ノイズ〜生きる理由 (九月の黒猫)
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序章〜プロローグ

初めまして九月の黒猫といいます

ただ単にオリキャラと日菜と紗夜を
絡ませたかったのと

オリキャラを奥沢美咲の兄として
登場させたかっただけです

まぁ優しい目で見てやってください

※氷川日菜と氷川紗夜は今回でません
すいません…次になんとかだします


音楽という存在が俺から消えた

 

まるで最初からなかったみたいに

 

音楽という存在が

 

雑音という存在に変わってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

中学校三年の時

 

俺は病気にかかった

 

激しい頭痛に見舞われ

 

自分の部屋をのたうちまわった

 

さらに思考の低下

 

まともに判断することが出来なくなっていた

 

もちろん美咲がすぐに親に報告

 

すぐさま病院に運ばれた

 

 

 

 

 

 

 

 

原因不明の病気だったそうだ

 

脳をやられたらしい

 

このままではあなたは記憶をなくしてしまいますと

 

はっきりといわれた

 

一つだけ方法があるといわれた

 

しかしその方法を行うと

 

日頃聞くような小さな音とかはいいのですが

 

大きな音や音楽を聴くことが困難に…

 

あるいは聴くことすら叶わなくなるかもしれないと…

 

 

 

俺は隣の椅子に座っている美咲を見た

 

美咲は下を向いたまま肩を震わせて泣いていた

 

妹の涙を見たのはいつぶりだろうか…

 

美咲の兄として妹を悲しませるわけにはいかない

 

なにより世界で一人しかいない妹

 

 

 

俺は悩むことなく音楽を捨てた

 

それで良かったと俺は思いたい………

 

 

 

 

 

 

 

 

それから時が経ち

 

美咲は高校一年生になり

 

俺は高校二年生…になるはずが

 

後遺症のせいで学校にもいけず普段は家にいる

 

リハビリとして外に出ることはある

 

もちろん俺一人ではもしものことがあるため

 

基本美咲が学校から帰ってきてから

 

一緒に出かけている

 

勉強も美咲に教えてもらってる

 

美咲には本当に悪いと思ってる…

 

 

 

 

 

っと…もうそろそろ美咲が帰ってくる頃なんだが…

 

「ただいまー…」

 

玄関のドアを開けるとともに

 

いかにも疲れたような声をだす聞き慣れた声がした

 

数十秒後ここの部屋の扉をゆっくり開ける音がする

 

俺への配慮だろ…気にしなくてもいいのに

 

「兄さん疲れたー…」

 

美咲は部屋に入るなり鞄を投げ出し

 

俺の膝の上に対面する形で座って抱きついてきた

 

「ちょっ、美咲…もう高校生なんだから…

抱きついてくるのはどうかと…」

 

嬉しいけど当たってるんだよ…気にしろよ…

 

「っあ…ごめ…兄さん…ついいつもの癖で…」

 

そういうなり美咲は俺から離れて

 

着替える準備をしだした…

 

どうでもいいが…俺と美咲は昔から

この部屋を使ってる

 

いや部屋別々じゃなくていいのかよ…

 

と最初は思っていたがもう慣れた…

 

でもここ最近色々困ってる

 

例えば今の状況…

 

美咲は俺がいるのにも関わらず

 

普通に着替えようとしている

 

慣れって怖い…

 

「あのなぁ美咲…俺だって…男だぞ?

その…なんつぅか…なにも言わないのか?」

 

いくら妹であれもう高校一年生なのになぁ…

 

「大丈夫だよ兄さん

あたしは兄さんがそんな人じゃないって信じてる…

まぁでも…あたしも恥ずかしいし…

そうだ…兄さん後ろ向いといてよ」

 

「ん…わかった」

 

まぁでも確かにあまり人には興味ないが…

 

とりあえず美咲には分かってもらえてなによりだ

 

だいたいこの歳になって男女同じ部屋とか…

 

どうかしてる………嬉しいけど

 

 

 

 

 

後ろを向くと…俺が以前使っていた

青と黒に染まったギターがあった…

 

ギター…か

 

俺の唯一無二のパートナー

 

二度と…触れることが出来ない…ガラクタ

 

音楽にしか興味のなかった俺の

 

唯一のやりがい…

 

 

決してあの時の選択は間違ってないと思う

 

でも…音を失うのは…つらいな

 

音に阻まれ…音楽に見捨てられ…

 

俺は生きる希望を見失った…

 

いっその事…

 

「兄さん…」

 

声がしたので振り返ると…

 

美咲が俺にやさしく抱きついてきた

 

「兄さん…辛いと思うけど…

兄さん自身を否定するのは…だめだと思う…」

 

「美咲…」

 

美咲は優しすぎる…

 

こんな俺でも…兄さんといってくれる

 

なら俺はそれに応えないと

 

「美咲…そういうのは好きな人が

出来てからやってくれ…」

 

「なに?兄さん…人がせっかく

優しくしてるのに…」

 

「俺は大丈夫…美咲がいる限り大丈夫さ…」

 

「なにそれ…」

 

美咲はふっと優しく微笑んだ

 

「ならいいや…じゃ兄さん…

あたしも準備出来たしリハビリいこっか」

 

「おう」

 

美咲が部屋から出て行った後

 

俺は小さな声で

 

「ありがとう…美咲」

 

とつぶやいた

 

 

 

 

 

 

 

 

外に出ると…カラスがないていた

 

前は鳴き声も雑音に聞こえたが

 

今は心地よい音色に聞こえる

 

カラスの鳴き声を音色といういのはどうかと思うが

 

それほど音はすきだ

 

「兄さん、今日は少し遠くにある

公園にいこっか…」

 

公園?子供はいないだろうか…

いまだにあの音はなれない

 

「大丈夫だよ兄さん…あの公園にはこの時間帯に

子供はいないよ」

 

「そうか…よし、いくか」

 

俺が行こうとすると

 

「兄さん…久しぶりに手、繋ごっか…」

 

「俺は子供じゃない…まぁいいか」

 

これじゃはたからみれば恋人同士じゃないか

 

まぁ実際俺達は兄、妹の関係だが…

 

じゃあ何故美咲は顔を少し赤くしてんだか…

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく歩き続けると人だかりがあった

 

「なんだろ…兄さん、行ってみる?」

 

人の声は慣れてきたから大丈夫だろ

 

でもなんだ人じゃない音が聞こえる

 

少しの雑音…なんだ?

 

まぁ大丈夫だろ

 

「まぁ行ってみるか…」

 

 

 

人だかりに近づくたびに雑音が大きくなってくる

 

ついには頭痛…頭が痛む

 

「大丈夫?兄さん…」

 

いや…これは大丈夫じゃねぇ

 

つかなんだろ…雑音なんて久しぶりにきいた

 

リハビリでだいぶ慣れたと思っていたが…

 

しかし気になる…

 

どうせ克服しないといけないんだ…

 

人だかりをかき分け俺が目にしたのは

 

水色の髪をもつ女子がギターをひいていたところだった




うん…難しい

感想とかあったらよろしくお願いします


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第一話〜謝りたいのは


初めましての方は初めまして九月の黒猫と言います

前回の続きなのですが…

文字数が少ないので…

展開が遅いです(いや速いかも…)

まぁ優しい目で見てやってください


頭が…痛い…

 

脳みそがかき混ぜられているような…

 

頭の中をえぐられるような…

 

聴きたくなかった…

 

なにが克服だよ…

 

すべてが…耳鳴りのように聴こえる…

 

 

 

 

 

 

 

 

「聴いてくれてありがとう

今日、あたしとってもるんってきたから

最後にもう1曲弾いちゃうよー♪」

 

そういうと水色の髪をもつ女の子は

ギターをかまえ弾き始めた

 

 

 

前までなら最後まで聴いたいたいと思うだろう

 

でも今の俺には聴くことすら叶わない…

 

ただの雑音…こんなの聴きたくもない…

 

 

 

やめろ…

 

「ちょっと…兄さん本当に大丈夫?」

 

はやくこの場から離れたいのに…

 

頭が痛くて…足がいうことをきかない

 

だめだ…吐きそう…

 

「兄さんっ!!」

 

「うるさいっ!!黙れっ!」

 

「っ!?」

 

 

 

途端に周りが静かになる

 

水色の髪の女の子はキョトンという顔をしている

 

今の状態をいうなれば無音

 

でもこれでいい

 

おかげで頭の痛みがひいてきている

 

今はずっと…そうやって黙っていてくれ

 

 

 

「美咲…今日は帰ろう」

 

俺は隣でずっと固まっている美咲の手をひいて

 

その場から急いで離れるように家へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は今、ベッドに寝っ転がっている

 

美咲は風呂に入るといって部屋を出ていった

 

 

 

さっき家に入った後玄関で美咲が小声で

 

「兄さん…ごめん」

 

と言っていた

 

違う…悪いのは美咲じゃない…

 

悪いのは俺だ…

 

と言いたかったんだが…

 

俺は無言で部屋へと向かってしまった

 

 

 

自分が情けない…

 

美咲が部屋に戻ってきたら謝ろう…

 

美咲に非はないからな

 

にしても…

 

あの時は自分でも驚いた…

 

あんな大声出した事がなかったから

 

いやそれ以上に…

 

俺は音楽を奏でているあの女の子を

 

 

少しだが憎いと思った

 

 

やはり俺は嫉妬をしていたのか

 

あんな笑顔で楽器を弾ける事に…

 

当たり前のように弾ける女の子に…

 

 

 

俺も前みたいに弾けることが出来たなら…

 

美咲にもう一度聴かせることが出来たなら…

 

 

 

ふいに玄関からインターホンの音がした

 

こんな時間に誰だ?

 

もう夕暮れ時だというのに…

 

俺はベットから身を起こし急いで部屋を出て

玄関のドアをあけた

 

「今出ますよっと…」

 

ドアを開けるとそこには

 

さっき見た水色の髪をもつ

女の子に似ている女の子がいた

 

似ているというのは…

 

髪の長さがあきらかに違う…

 

そして目の前にいる女の子は少し大人びている

 

 

 

 

 

「初めまして…氷川紗夜と言います」

 

その女性はそう名乗った

 

 

 

 

 

 

 

 

氷川紗夜と名乗る女性をリビングに

 

上がらせたあとソファーに座らせ

 

俺はお茶をだし自分もソファーに座った

 

「俺は奥沢晴希といいます…

すいませんがここにはなんの御用で…」

 

無言の状態が続いたので俺から話を切り出した

 

「あのー…いまここに奥沢美咲さんのお兄さんは…」

 

なんで美咲の事を知ってるんだ?

 

「俺が…その…美咲の兄ですが…」

 

「あぁ…あなたがお兄さんでしたか」

 

その前に兄としてこれは聞いとかなければ…

 

「あの…美咲とはどういう関係で…?」

 

「美咲さんとは…」

 

すると脱衣所のドアが開き

 

「紗夜さん?」

 

という美咲の声がした

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ…おなじ学校の人でしたか…」

 

どうやら美咲と氷川さんは同じ学校の生徒らしい

 

「ってか二人とも同い歳なんだから…

敬語じゃなくても…」

 

「「えっ…同い歳なんですか!?」」

 

これは驚いた…氷川さん…高校二年生ですか…

 

なんかこう…敬語で話しなさいオーラが出てたから…

 

「驚きました…私…あなたのことを

大学生ぐらいだと…」

 

それは俺が老けてるとでもいいたいのか…

 

「ていうか氷川さん…あなたって呼び方…

やめません?同い歳だし…晴希…でいいですよ」

 

なんかあなたって……うん…なんでもない

 

「いえ…私のは癖みたいなものなので…

まぁ…そうですね…晴希さん…でもいいでしょうか?」

 

「別にいいですよ…」

 

「なら私の事は紗夜でいいですよ」

 

紗夜!?紗夜さんじゃなくて!?

 

「分かりました…ところで紗夜はなんでここに?」

 

そういえば

なんで紗夜さんとやらがここに来たのか聞かないと…

 

「そうですよ…紗夜さんがここにくるなんて

珍しいですよ…」

 

美咲も気になっているらしいな…

 

「あ…うっかりしてました…

その…二人に謝らなければならない事があります…」

 

謝ること?謝ることなんてあるのか?

 

「私の妹の事なんですが…」

 

そっか…紗夜さんって妹なんていたのか…

 

まてよ…妹…?まさか…

 

そういえば最初出会った時

誰かに似ていると思ったが…まさか!?

 

「大丈夫です…晴希さんの病気の事は

奥沢さんから聞いていましたし…

日菜にもちゃんと説明しました…

もうそろそろ来る頃なのですが…」

 

ふとインターホンの音がなる…

 

俺は玄関のほうをじっと見つめる…

 

俺の予想が当たらないでほしいと思いながら…

 

美咲がドアをあけにいく

 

美咲がドアを開けると

 

 

 

そこには

 

リハビリの時に見た女の子が

 

下を向きながら立っていた

 

 

 

俺は絶望の表情へと変わっていった





短いですね…

長いのと短いのどちらが良いのでしょうか…

感想とかあったらよろしくお願いします(使い回し)


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第二話〜まだ始まったばかり

初めましての方は初めまして…九月の黒猫といいます

前回の続きです


悪いのは全部俺だ…

 

いつだってそうだ

 

あの時の選択は間違ってなかったのか?

 

そんなの…分かるわけない…

 

 

 

 

 

 

 

 

「日菜…はやく入りなさい…」

 

「……」

 

日菜と呼ばれる女性は無言のまま

 

美咲によってリビングへ連れてこられる

 

そのまま氷川妹?は紗夜の隣にすわり

 

美咲は「邪魔しちゃ悪いから…」

 

といって部屋に戻って行った…

 

リビングにいるのは

 

俺と紗夜と氷川妹…

 

うーん………気まずい…

 

というか俺は何を言われるのだろうか…

 

「日菜…取り敢えず謝りなさい」

 

紗夜…がドスのきいた声で言う

 

いやよくよく考えればこの子は悪くないじゃないか…

 

あの時だって俺が近づかなれけば良かっただけの話…

 

ここは俺が何とかせねば…

 

「あの…紗夜…この子は何も悪くないです…」

 

「はい?」

 

紗夜が驚いたような顔をしている

 

「この子が何を言ったかは分かりませんが…

あの時だって俺が近づかなければ良かっただけの話…

この子に悪気はないと思います」

 

「…ですが…」

 

「でしたら…あの…

この子と二人にさせてもらえませんか?」

 

氷川妹は見る限りかなり落ち込んでいるように見える

 

きっと紗夜にこっぴどく怒られたのだろう

 

このままではこの子が悪者になってしまう…

 

「…分かりました」

 

なら紗夜にはいったんこの場をはなれてもらおう

 

「俺の部屋で待っててもらえませんか?

この先にあるので…美咲もいますから…」

 

紗夜は無言で頷くと氷川妹の方を向いたあと

廊下の奥へと消えていった

 

 

 

 

 

 

今リビングにいるのは俺と氷川妹だけ

 

にしてもひどい落ち込みようだ…

 

さっきから下を向いたまま何も話さない

 

これは何とかしないと…

 

「あの…その………」

 

こういう時なんといえばいいのだろうか…

 

うまく言葉が出てこない…

 

あれこれ考えていると…

 

「ごめんなさい!!」

 

先に声を出したのは氷川妹…

 

だが相変わらず顔を上げてくれない

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

 

いや…そんな謝られても…

 

「ごめ…なさい…」

 

泣くなよ…俺が悪いみたいじゃないか…

 

いや俺が悪いのだけれども…

 

「謝らないでください…

さっきも言いましたがもともと悪いのは俺です…

だから…その…顔を上げてもらえませんか?」

 

「…ふぇ?」

 

ふぇ?ってなんですかふぇ?って…

 

「その…謝るべきは俺です…

そもそもあなたは俺の事知らないわけで…

…うーん…取り敢えずあなたは悪くないって事です

すいません…俺もなんて言えばいいか分からなくて…」

 

語彙力ねーな俺…

 

そう思っていると氷川妹はふっと笑った

 

…笑っている時の顔…可愛いな…

 

「…そっか…ありがとう…晴君」

 

晴…!?…見事に不意打ちくらった…

 

そんな可愛い顔で言われたら…

 

って今はどうでもいい…そんなことより

 

「そういえば…氷川妹さんは紗夜に

なんていって怒られたんですか?」

 

これは聞いとかないと…

 

「…その氷川妹ってやめて…日菜って呼んで…」

 

………は?

 

「日菜って呼んで!お姉ちゃんだけ下の名前はずるい」

 

……………姉妹ってなんだかんだ似てるんだなー

 

「あと敬語はやめてよ…なんかるんってこない…」

 

るん…てなんだ?かびるんる…俺は子供じゃない…

 

「分かった…じゃあ…日菜」

 

名前で呼ぶと日菜は満面の笑みで

 

「るんっっってきた!」

 

とかいいだした…話が進まん…

 

「あの話を戻すが…日菜は紗夜に

なんていって怒られたんだ?」

 

「えっとねー………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん大変っ!!」

 

あたしは人が倒れたあとすぐに路上ライブをやめて

 

真っ先に家へと向かった

 

「日菜…ノックしてから入ってって…」

 

「それどころじゃないの…

なんかあたしがギターをギュイーンって弾いてたら

見ていた人が倒れちゃったの…」

 

「…どういう事か詳しく説明して」

 

「いや…詳しくったって…

あたしはギターを弾いていただけで…」

 

「………倒れた人の隣に誰かいた?」

 

…どういう事だろう?

 

「…あ、いたよ…確か…美咲ちゃんに似ていたような」

 

「…日菜…あなたとんでもない事をしたわね…」

 

「…え?」

 

「今すぐ外にいく準備をしなさい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「っていうことなの…」

 

「なるほど…」

 

………日菜の説明は確かにあってる

 

「なんかあたしとんでもない事しちゃたのかなー

って思ってさ…お姉ちゃんにまた嫌われるって

思ったらガーンってなっちゃって…」

 

またって事は前になにかあったのか?

 

すると俺の部屋の扉が開いて中から紗夜と美咲が

出てきた

 

「兄さん…そろそろ…もう外も暗いから…」

 

時計を見るとすでに八時になっていた

 

結構時間経ってたんだな…

 

「両親が何を言うか分かりませんので…」

 

確かに紗夜の言う通りだ

 

「では…」

 

「晴君またね!」

 

日菜の言葉に紗夜は驚いているようだ

 

「…!?日菜!」

 

「あぁ大丈夫です…日菜の事は許しましたんで…」

 

「…そうですか…」

 

納得してくれてよかった…

 

「帰り道きおつけてくださーい」

 

「美咲さん忠告ありがとうございます…

あ、晴希さん…」

 

紗夜が玄関を出ようとした時俺の名前を呼んだ

 

「明後日…時間空いていますか?」

 

明後日?明後日は…土曜日か…

 

ていうか基本フリーだから俺はいつでもいいんだが…

 

「空いてますけど…なんで…」

 

「いえ…晴希さんの部屋で気になるものがあったので」

 

「はぁ…分かりました…」

 

「では…」

 

玄関のドアを閉める音が聴こえる

 

気になるもの………

 

音楽関連のものじゃなければいいんだが…

 

「明後日になれば分かるか…」

 

俺がそういうと

 

美咲から「なに独り言いってんの…」といわれ

 

あげくのはてには変な目で見られた




まだ始まったばかりなんです
こんな作品に付き合ってくれる方々
ありがとうございます

何か感想などありましたらよろしくお願いします


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第三話〜諦めるのは…

初めましての方は初めまして…九月の黒猫といいます
ここでこの話の設定を少し説明します
この話は「秋時雨に傘を」より後の話になります
美咲は兄さんにバンドの事を話していません

それでは前回の続きです


2人が帰ったあとのリビングは少し広く感じた

 

「…」

 

この家に俺と美咲以外が入ったのは

久しぶりの事だった

 

両親は仕事の都合で遠くへ行くことが多い…

 

美咲のもう一つ下の妹も今は親戚の家に預けている

 

この家に住んでいるのは

俺と美咲だけといってもいいほどだった

 

美咲も友達はいるらしいのだが

 

ここに連れてきたがらないし

 

俺なんて16になって今まで友達なんて1人も

出来たことがないので

 

本当にこの家に人が入るのは久しぶりの事だった

 

にしても…

 

今日、家にきた紗夜と日菜って人だが…

 

日菜は呼び捨てでもいいと思うが…

 

紗夜…はやっぱりさんづけで呼ぼう…うん…そうしよう

 

 

 

 

 

 

 

 

俺と美咲は夕食を食べたあと

 

美咲は「じゃあ兄さん…先に部屋戻るから…」

 

といって先に部屋へ向かって行った

 

俺はまだ風呂に入ってなかったので

 

食器を片付けた後、脱衣所に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

「美咲…」

 

風呂から戻ると美咲はすでに

 

寝息を立てながら寝ていた

 

「…なんだ…もう寝てんのかよ…」

 

相当疲れてたんだな……

 

でも俺もすることないし…

 

「…寝ますか」

 

 

 

彼女を起こさないように…

 

慎重に寝ている彼女の隣へ行こうとする

 

ベッドのきしむ音…

 

そう…この部屋にはベッドはひとつしかない…

 

さらに俺の寝る場所は壁際

 

だから自然と美咲に覆い被さるような体制になる

 

慎重に………

 

 

 

「…ふぅぅ……」

 

無事起こさず到達することが出来た…

 

思わず息を吐いてしまう…

 

慣れたとはいえ…緊張はするものだ…

 

今度ベッドもう一つ買ってもらうか…

 

「…だめ…に…さん…」

 

おいおい…どんな寝言だよ…

 

「そっちに……ちゃ…だめ…」

 

………

 

「……すぅ…すぅ…」

 

あとから聞こえたのは一定のリズムをきざむ寝息

 

…俺が美咲を置いてどこに行くってんだよ…

 

自然と彼の手が彼女の手の方へのびる

 

そのまま優しく手を握る

 

「…ん…」

 

彼女は少し安心したような…そんな顔をしている

 

 

大丈夫…

 

俺は兄として…死ぬまで…見守ってやる

 

そして俺は美咲に恩を返さなければ…

 

 

そのためには音楽と向き合わなければならない

 

 

音にも…音楽にも…仲間にも見放された

 

この病気のせいで

 

でもまだ希望はあるんだ…

 

これは治らない病気ではない…

 

またいつか仲間達といっしょに…

 

 

 

 

 

 

 

 

世界を笑顔にするために…

 

 

 

 

 

 

 

 

窓から差し込む光で目が覚める…

 

隣を見ると美咲はすでにいなかった

 

「起きるのが…はやいな…」

 

 

 

リビングに向かうと

 

彼女はとても慌てていた

 

「やばい…バイト遅れるっ!」

 

あぁ…なるほど…

 

にしてもバイトというのは

こんなにはやくからあるものなのか…?

 

「おはよう兄さん!朝はそれ食べといて…

じゃ…あたし行くから!」

 

慌ただしいな…

 

「…行ってらっしゃい…」

 

「行ってきます!」

 

その声とともに玄関のドアが閉まった

 

テーブルに目をやると

 

焼いた食パンに目玉焼き…牛乳…バナナ…

 

「…いつもお疲れ様です…」

 

気づいたらそんな言葉が出ていた

 

 

 

 

 

「さて…」

 

今は自分の部屋にいる

 

まずは病気が治っているか確認するのが俺の日課…

 

イヤホンを装着して

 

音楽アプリから適当に音楽を流す

 

音のボリュームは最弱…

 

「……」

 

まだ雑音に聴こえるくらいだ

 

内容は分からないが心身に異常はない

 

そのまま音量を少しづつあげて…

 

「…………っつ…」

 

耳に激痛が走る…

 

砂嵐の最大音量をマジかで聴いているみたいだ…

 

急いでイヤホンをとり

 

耳から少し出ている血をティッシュで拭き取る…

 

イヤホンも拭き取ったあとティッシュをゴミ箱に捨て

 

俺は深いため息を吐いた

 

「今日もだめだったか…」

 

次に窓の戸を開け…自然の音を聴く…

 

「…」

 

少しの雑音も混ざっているが…

 

ここ最近本来の音も聴けるようになった…

 

「これは進歩だな…」

 

そのまま窓の外の景色を見続ける…

 

暇だな…

 

音楽という存在がなくなってから

 

彼の行動はかなり制限された

 

音楽を聴くことはおろか、ゲームすらできない

 

「…ギターを弾くことも…」

 

いや…まだ諦めるのははやい…

 

 

 

そうだろ…?弦巻さん…

 

 

 

1日という時間をどう使うか考えていると

 

インターホンの音が響いてきた…

 

「誰だよ…」

 

昨日といい今日といい珍しい…

 

ここ最近人ともあまり話した事のない俺に

 

接客をさせないでくれよ…

 

そう思いながら玄関のドアを開けると…

 

 

「こんにちは、晴希さん…」

 

 

ドアの向こう側には昨日初めて出会った

紗夜さんがいた…

 

「紗夜さん…?」

 

明日じゃないのか?まぁどうでもいいか…

 

 

 

 

 

「どうぞ…」

 

紗夜さんを取り敢えず

リビングにあるソファーに座らせる

 

「それで…紗夜さん…今日はどうしたんですか?」

 

「いえ…実は…今日、本当はバンドの

練習が入っていたのですが…急遽明日に変更

することになったので…」

 

バンド?紗夜さん…バンド…やってたんですか…

 

「それで今日ここにきたんですね?」

 

「…はい…それで急なのですが…

少しお聞きしたいことがあって…」

 

聞きたいこと…

 

「…その…晴希さんはギターをやっていたのですか?」

 

「………」

 

紗夜さんの質問は見事に俺の痛いところをついてきた




中途半端な所で終わってしまいました…

何か感想などありましたらよろしくお願いします


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