踏み台転生?何言ってるのさ (みかん@)
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第一話

とあるマスターが老衰で死んだ。
享年99歳。だが、契約したサーヴァントが異変に気づきマスターの元に向かって行った。
契約というわずかな縁を辿って。


「という訳で、ワシの世界で踏み台として生きろ」

「お前は何言ってるんだ?」

 

気がついたら真っ白な所で、長くて白い髭を生やして、白いローブを着て、木の杖を持った自称神を名乗るジジイがいた。

ちなみにハゲだ。ハゲジジイだ。

 

なにやらまだ寿命あるのに自身の娯楽の為、俺を殺し踏み台?として生きろと言う。

踏み台ってなんだ?手の届かない高さにある物を取るための足場じゃないのか?

 

というか俺、老衰で死んだはずなんだが。

家族に見守られて眠ったはずなんだが。

誰かと間違えてない?

 

踏み台転生者の特典?

ニコポにナデポ?なんなのそれ?

神特性のデバイス?会ったばかりの奴から貰った物なんて信用出来ないのですがそれは…

魔力SSSランク?それは多いの?少ない?

王の財宝?フ・ザ・ケ・ル・ナ

 

 

 

 

フザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナフザケルナ

 

 

フザケルナ!!!!!

 

 

あれは英雄王ギルガメッシュ王の宝具だぞ!

俺の尊敬する王の宝具なんだ!かの王を侮辱スルナ!!

 

「何怒っているのかわからんが、もう要はすんだ。とっとといけ」

 

突如足元に穴が空き俺は落ちてしまう。

焦った俺は咄嗟に叫んだ。

 

令呪(れいじゅ)を持って命ず!

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「さて踏み台を送ったことだし、早速見てみるかのう」

 

ワシは毎日毎日の仕事が面倒くさくての。

他の神が娯楽目的の転生で遊んでみようと思ったのじゃ。

適当な魂を用意()して世界(舞台)で遊ぶというものじゃ。

 

上位の神に知られたらマズイが、こちらに興味を持たれなければまずは知られないし、一部の上位の神もやっていることじゃ。

 

あの踏み台(スパイス)はワシが用意した主人公、所謂オリ主達にどんなことしてくれるか楽しみじゃわい。

 

おっと。そうなるように踏み台に呪いでもしておくかのう。

 

 

「成る程。お主が我がマスターを殺した者か」

 

「誰だ!?この空間はワシにしか侵入が出来ぬのだぞ!?」

 

ここはワシが作った空間じゃ。ワシが呼ばなければ誰も来ることなど出来ないというのに。

 

「それは傲慢ね。あなた以上の権能をもってすれば簡単に侵入できるわ」

 

「そもそもあなた、神にしては弱すぎではありません?言うならば下級神といいますか」

 

「こんなのを神サマっていうなら、それこそ本当の神サマに失礼だろうが。もっともそんなことなんてどうでも良い。お前は生きているんだろう?1度やってみたかったんだよな。神殺しって奴を」

 

他にも現れて合計で四人。ワシの空間に現れただけじゃ。

どうもない。先程は驚いたが消えてもらうとするかのう。

 

「邪魔じゃ。消えろ」

 

腕を振るえば存在を消すことなど容易いことじゃ。

 

「ほらよ。遅すぎだぜあんた」

 

ヒュン。そんな音がした時カランと何かが落ちる音がした。

何をしたと聞こうとしたが眼線が音の方へ落ちる。

そこには

 

杖を握ったままのワシの腕が落ちていた。

 

 

「あ、あああぁぁああぁぁあ!!ワシの!ワシの腕がぁぁぁぁぁぁ!いだい!いだいいだいいだい!」

 

「煩いですね。炎天よ、払え!」

 

今度は別の女が札を投げてきた。その札に当たった瞬間。

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!熱いぃぃぃぃぃ!」

 

全身が炎に包まれワシ自身が燃やされたのじゃ。

 

「ワシが何をしたというんじゃ!」

 

「何、マスターが命令してのう。そのハゲを殺せとな」

 

「マスターが殺せ、とか言うなんて物騒だと思ったけどあのギルガメッシュを侮辱したみたいだし怒るのも無理ないわね。あの子、ギルガメッシュを尊敬しているし」

 

「あのマスターが怒るなんて、俺は想像出来ないんだけどな」

 

「マスターは私達英霊を尊敬し、尊重してますからね。誰であれ怒って貰えますと私は思ってます!」

 

「では帰るとするか。マスターが待っている」

 

帰るじゃと!ワシをここまでコケにしよって!!

 

「速くしないとかの王が待ちきれないぞ」

 

何を言って…

 

 

 

 

 

 

天地乖離す開闢の星!!(エヌマ・エリシュ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第二話

この辺り入れたら時系列は一気に飛びます。
幼少時の内容ってどうすれば良いか分からん。




「あーうー」

(まさかの赤ん坊からスタートするとは…)

 

あのハゲから無理やり転生させられて、生まれ変わりました。

といっても意識はあるが身体は動かせないし、勝手に泣いたりする。

要するに思考は出来るが、それ以外は動かすことが出来ない、墜落中のアイ○ンマンみたいな感じだ。

 

「あら(じゅん)君、お腹が空いちゃったのかな?」

 

「うーうー」

(空いてない…はず…だから)

 

その後に起こったことは想像して忘れてくれ…

 

 

 

 

 

 

 

思考を再起動して話を続けよう。

誰とだって?自分とだよ。

 

今世の名前は要盾(かなめじゅん)。前世と同じ名前だった。

生まれた時から左手に模様がついていたらしいが、どう見ても令呪ですね。ナンデダヨー

 

前世は人理継続保障機関カルデアという所に所属していた。

人理を守るため俺ともう一人、藤丸立香という女の子と二人でマスターとして戦ってきた。

立香と契約した後輩デミ・サーヴァントのマシュ・キリエライトやダ・ヴィンチちゃんなど、様々な人達と他に契約した英霊達の力を借りてようやく世界を救えたんだ。

あんな戦いは、もうしたくない。

 

なんやかんやあって99歳まで生きていたがさすがに、歳には勝てなかった。老衰で倒れてそのまま眠ったんだが、何の因果か転生する事になった。

 

踏み台というのが分からないがギルガメッシュ王を馬鹿にされたので、令呪を使って彼女らにあのハゲをコロコロして貰った。

 

どうなったかは分からないがせいせいした。

 

取り敢えずこのまま生きていくことにしようと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

~数年後~

 

 

ようやく自由に身体を動かせるようになってから行動範囲が広がった。

勿論、今世の両親に心配掛けない範囲での行動だ。

とはいえ、一人で公園行くのは早すぎたか?

 

「……………………………」

 

「……………………………」

 

けれども目の前にいる、女の子を一人にするのはマズイだろう。

その子はブランコに乗り、ただ顔を下にし俯いていた。

何かしら事情があるかもしれないが簡単に聞けることではないだろう。

放っておくのもなんだし、一緒に遊ぶか。

 

 

「なぁ、一緒に遊ばないか?」

 

「?」

 

声をかけると女の子は周りをキョロキョロし始めた。

勿論他に人はいないので顔を傾げ始めた。

 

「いやいや君の事だからね!?君を誘ったんだから!?」

 

「……私の事?」

 

「そうだよ。一緒に遊ぼうぜ」

 

「……うん!」

 

その子は元気な返事をしてくれた。

砂遊びだったり、遊具で遊んだり、日が暮れるまで遊んだ。

もう遅いので家に帰ろうと提案すると、またその子の顔が暗くなってしまった。

 

「どうした?家に帰らないのかい?」

 

「……」

 

困った。話してくれなければこちらもどうしようもない。

という訳で。

 

「じゃあまだ一緒にいるよ」

 

「?!でも!」

 

「大丈夫だって。少しくらい遅くなっても問題ないさ」

 

「……」

 

「というか今の君を一人にさせる方が心配だわ」

 

実際に同じくらいの子供を一人にさせるのは精神年齢100歳越えのジジイには出来ねことだよ。

 

「…なのはー!」

 

「!この声…」

 

「誰か心配になって探しにきたみたいだね」

 

それなら良かった。何があったか知らないが探しに来てくれる家族がいるんだから問題ないな。

 

「それじゃあまた明日ね」

 

「え?うん!」

 

おっと、忘れてた。

 

「最後にアドバイス」

 

「?」

 

「迷惑かけるのも子供の仕事だよ」

 

「!?…うん!わかった!」

 

そう言って公園から去りました。

 

 

 

次の日。その女の子から家族と仲直りできた、と聞きました。

 

そして月日は流れて…



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第三話

忘れてましたが主人公の見た目は藤丸立香に似ています。
つまり、男の娘ということに…


今世に転生してから幾年経ち、現在は私立聖祥大付属小学校という所に所属しております。

まさか二度目の小学生とは…生きているとこうゆうこともあるもんだ。

 

あ、そういえば忘れていた。

あの時公園で会った女の子の名前、高町なのはと名乗ってくれた。

なのはとはその頃からの幼馴染だ。

 

長く共にいると面白い事に気づいた。

なのはには魔力があるということだ。

前世から備わっている技能の一つ、鑑定眼(偽)。

別に魔眼とかではなく、単純に練度によるものなんだ。

相手の魔力量を測る為に鍛えたんだが、今世では使うこと無いと思っていたんだよ。

 

日課の鍛練みたいなもので使っていたんだが、たまたまなのはが現れて発覚した。

だだ漏れ状態なのでビックリしたが、なのはの親である高町士郎さんと桃子、兄妹の恭也と美由紀には見えなかったので、隔世遺伝なんだろう。いや、突然変異の方があってるか。

 

この世界では問題無いと思って小学校に入学してから三年経ったが驚くことに。

 

 

 

 

 

「よう!なのは!すずか!アリサ!今日も愛を語ろうじゃないか!」

 

「てめぇ!三人がビビってるじゃねぇか!」

 

「なんだと剛二!?我の邪魔をする気か!」

 

「してやるよ!表でなぁ!」

 

「今日こそ決着つけてやる!」

 

 

教室に着くととある二人が喧嘩を始めていた。

最初になのは達に愛を語ろうとしてたのが天道時王我。

金髪赤目という日本人離れしている小学生だ。

それを止めようとして喧嘩を買ったのが藤堂剛二。

こちらは白髪褐色肌でこれまた日本人離れしている。

 

この二人が入学してから魔力持ちとわかっている。

 

というか朝っぱらから馬鹿共が煩いな。

ガキらしくない行動って気づいてるのか?

 

「全くあの馬鹿二人はなにしてるのやら…」

 

「あはは…それより盾君おはよう」

 

なのは…それよりって以外とヒドイな。まあ同意するが。

 

「おはよう盾君」

 

なのはの友人の一人、月村すずかも気にしてない(てい)で反応している。たまにだが、何らかの知っている気配を感じるが、触らずにいる。

 

「来てたのね盾」

 

もう一人の友人、アリサ・バニングスはある意味一般人な感じだな。

唯一、異能の力を感じないのが安心する。

 

「三人共おはようさん」

 

三人の内、二人が魔力持ち(男二人は入れない)という意外な話。とはいえ、必要がないので教えていない。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「将来の夢?」

 

国語にて将来の夢をテーマに作文を書くことに。

 

「私は親が会社経営だから、跡を継ぐためにもっと勉強しなくちゃ」

 

「私は機械系が好きだからそっちの方面かな」

 

「俺は警察でもいいがちゃんとは決めてないな」

 

「皆凄いな~。私も決めかねてはいるんだけど…」

 

なのは場合、決まっているようなものなような。

 

「このままいけば翠屋二代目じゃないの?」

 

「うん。それも将来のビジョンの一つではあるんだけど。やりたいことは何かあるような気がするんだけど、まだそれがなんなのかハッキリしないんだ。私特技も取柄も特にないし…」

 

「いやあるでしょ。なのはには」

 

そう言うと三人共こちらを向いた。

 

「なのはって努力家だろ。苦手な事でもキチンと取り組めるところは好感持てるぞ」

 

昔からの付き合いで分かっている事だ。そんなところは前世からのお気に入りだ。

 

「そ、そうなんだ…」

 

なのはの顔が赤くなった。照れてんのか?

 

「あんたよくそんな、恥ずかしいセリフ言えるわね」

 

「狙ってやってます」

 

「自覚あり?!わざとやってるわね!」

 

「そのくらい普通でしょうに。女の子を褒めるのは当たり前だからね」

 

「それでいて狙っているのは、なんだか盾君ってプレイボーイだね」

 

前世では大勢のサーヴァントに囲まれていたから自然とそうなったんだ。特に女性サーヴァントには色んな意味で付き合ったからな。

 

そんなこんなで今日も平和に終わろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《助けてください!》



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第四話

ギル祭が開催した直後の話。

「よし!イベント礼装目当てで一万円分、回すぜ!」

「どうせピックアップ対象のギルガメッシュは来ないしミドキャスが来たらよしかな?」

ギルガメッシュ「我が来た!」

孔明「私も来た」

星五礼装のイベ礼装は無し

「なんでや!?」


「フェレット?」

 

「そうなの。昨日の帰りに、怪我してたから助けたの」

 

「近くの動物病院に見てもらって、今は入院してるわ」

 

変な声が助けを求めたような気がした昨日。

用事があったため、先に帰宅したから知らなかった。

 

「それでね。盾君の家でフェレット飼えないかなって?」

 

「すずかちゃん。盾君のお家はアパートだからペットはダメなんだよ」

 

「いや、今だったら大丈夫だ。昨日の内に引っ越したから」

 

「「「え?そうなの?」」」

 

用事ってのがアパートから一軒家への引っ越しだ。

所謂、夢のマイホームを我が家は実現させたのだ。

だから聞いてみれば可能かもしれない。

 

「まあ、聞かなきゃ分からないが候補にいれていいぞ」

 

「と言っても大丈夫そうなのが、なのはか盾しかいないのよ」

 

「私の家は猫がいるし、アリサちゃんの家は犬いるから難しいの」

 

結局この日は、なのはと俺の親に相談してから決めるという事で終了した。

 

ちなみに王我と剛二(バカ二人)は何故か珍しく喧嘩をしてなく近寄って来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後

 

家に帰って、今世でようやく手に入れた自分の部屋を整理しているときにある物を見つけた。

 

「あれ?まだあったんだこれ」

 

それはネックレスである。

アパートに住んでいるときに、何故か家にあった物で親の物でもなかった。

魔術を使って調べてみると機械で出来ているため普通の代物ではない。

が、アクションを起こしてこなかったので今まで忘れていたのだ。

 

手にもっていると突然ネックレスが点滅し始めた。

 

《…ようやく二人きりで話せますね》

 

「うわ、なんだこれ」

 

《今まで貴方の両親が居たため会話できませんでしたがこれで契約に移れます》

 

ここで俺はあることを思い出した。

(ハゲジジイ)が特性のデバイスを用意することを。

 

「あー、お前がデバイスって奴?」

 

《そうですよ。貴方用のデバイスです》

 

「成る程。ところで一つ聞いていいか?」

 

《何でしょう?》

 

「デバイスってなに?」

 

デバイスとは、魔導師の為の補助道具でサポートできる相棒とのこと。

デバイスにはAIが搭載されたインテリジェントデバイスや近接戦用のアームドデバイスなどがあるらしい。

 

その辺の説明を聞いて、前世に出会ったイリヤが持っていたルビーの事を思い出した。

 

「んで、お前をどうすればいいんだ?」

 

《私に機体名をつけて下さい。それで契約完了します》

 

「名前ねえ…」

 

どうしようか。ある意味信用できるあの名前にしてもいいが…

 

「…決めた。名前はキャメロットにする」

 

《……機体名をキャメロットで登録しました。これからよろしくお願いしますマスター》

 

「…ふふ」

 

《?どうしましたかマスター》

 

「いやなんでもない」

 

まさか今世でもマスターと呼ばれるとは思いもしなかった。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

契約を済ませるとキャメロットは、すぐにとある場所へ連れていこうとする。

 

《さあ早く!》

 

「こんな遅くに何があるんだよ」

 

《今日から原作(・・)が始まってしまいますからね》

 

だから原作ってなんなんだ?

そんな物語じゃあるまいし。そんな事を思っていると近くで大きな音がした。

その音は、建物に穴が空いた時の音だ。

前世では契約した英霊達が、よく壁をぶち破って移動していたから覚えている。

 

「なんたってこんなところに……交通事故か?」

 

《何をボーっとしているんですか!あそこに向かってください!》

 

「注文が多いデバイスだな」

 

わけが分からないが現場を見に行ってみた。

そこにいたのは、異形の怪物とフェレットを抱えたなのは。そして藤堂剛二と天道時王我が喧嘩してた。

 

「…なんだこれ?」

 



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第五話

「…先になのはを助けにいくか」

 

《そうですよ。そして助けようとして余計に被害を増やしてしまう。これこそ踏み台です》

 

「だからなんなんだよ、踏み台って…」

 

キャメロットの事は放置してなのはの元に駆け寄る。

怪物は喧嘩している剛二と王我に興味が向いているので、安全に向かうことができた。

 

「なのは、大丈夫か?」

 

「ふぇ!盾君、なんでいるの!?」

 

「なのはこそ、なんでいるんだ?俺はこいつに、魔力反応があるから向かえって言われたんだ」

 

《どうもーキャメロットと申します》

 

「喋った~!」

 

「デバイス!?現地に持っている人がまだいたなんて」

 

フェレットが喋っていやがる…。

いやまあカルデアもサーヴァントが増えていって人外魔境になっていったし、フェレットが喋っても不思議じゃないか。

 

「それよりも、あれをどうにかしないとな」

 

怪物はまだ顕在しており、暴れまわっている。

少しも傷ついていないのに喧嘩していた二人がいなくなっていた。

もしかしてやられたのか?

キャメロットの方から《これこそ踏み台》とか聞こえるのでやられたのかもな。

 

「封印することができれば何とか」

 

「その方法は?」

 

「僕が持っているデバイスがあれば封印は可能です。だけど今の僕には使うことができなくて」

 

「ならなのはに、使わせれば良い。魔力持っているから大丈夫だろ」

 

俺には一応デバイスがあるからな。

 

「でも危険なことに巻き込むわけには!」

 

「そう言ってもアレは待ってくれないぞ」

 

どうやら怪物はこちらに気づき、ターゲットにしたようだ。

時間がない。俺は急いでキャメロットに使い方を聞くことにした。

 

「おいキャメロット。どうすれば良い?」

 

《セットアップ、と唱えてください。それが起動キーとなっています》

 

「りょーかい。んじゃ時間稼ぎといきますか」

 

意外と簡単だな。後で詳しく聞くか。

キャメロットを構えて唱えようとした時、後ろからなのはが声をかけてきた。

 

「盾君!」

 

「ん?」

 

「がんばって!、なの」

 

「…ありがとうな」

 

こう言われちゃ無様な真似は出来ないな。

改めてデバイスを掲げ、こう唱える。

 

 

 

 

「キャメロット、セットアップ!」

 

唱えると、俺は光に包まれ気がつくと変身してた。

服装が変わっており、鎧を着ていた。

紫のラインが入った黒の鎧。手には西洋の剣を握っていたのだ。

ぶちゃけると、前世での後輩であるデミ・サーヴァントのマシュ・キリエライトが戦闘時に着ていた鎧であり、剣はセイバー・リリィの勝利すべき黄金の剣(カリバーン)である。

 

いや、なんで?

 

《バリアジャケットと武器はマスターのイメージで作られました。お好みの武器も後々追加できますよ》

 

「あー成る程、俺のせいか」

 

誰かを守るためのイメージでマシュやリリィが浮かんだのか。

 

「それじゃあ準備できたし、怪物退治といきますか」

 

剣を構え、怪物に向かって走る。

なのはがデバイスを使って封印するまでの時間稼ぎだ。

 

「よし、なのは!このデバイスを使い方を!」

 

「うん!わかった!」



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第六話

最近、夜勤が多いので投稿が遅れてしまいました。


俺は剣を構えて、怪物に向かって斬り込んだ。今更ながら気づいたのだが、この(カリバーン)ってキャメロットなんだな。

デバイスって便利~

 

怪物の右前足を、剣で軽く切り込み一旦後ろに下がる。

怪物は攻撃されたと認識して怒ったのか、左前足で大振りに叩いて来た。

予想通りの行動なので、前に前進して避けながら、胴体を深く切り裂いた。

胴を斬られたのが、よっぽど痛かったのか、怪物は大きく仰け反り、右側へと倒れこんだ。

 

うん。分かっていたけど、こいつ弱いな。

 

《いやまあ、踏み台らしく無謀にも戦いを挑む感じで良いんですが。マスター、なんで戦い慣れてんですか?》

 

「そんなに変か?」

 

《そりゃあ大人が戦い慣れしているならともかく、マスターは強すぎです。本当に小学生ですよね?》

 

「前世では嫌ってほど戦ったからな…」

 

それこそ死んだ、と思ったことなんて何回もある。最初はファヴニールの大きさで、どうやって倒せば良いのかなんて悩んだのが懐かしい。

後に魔神柱やティアマトなど、もっと大きな敵が現れて、そして戦った。戦うしかなかった。

 

撤退などは大丈夫だが、負けは許される戦いじゃなかったからな。

そんな事が続いたら、未知の敵には全力全壊で挑んでたものだ。

 

《マスターの前世って、一般人じゃなかったのですか?》

 

「むしろなんで一般人だと思ったんだ?」

 

なにやら、話が合わないぞ。

後で詳しく話し合ってみるか。

 

「盾君!」

 

「君!大丈夫かい!?」

 

一息ついている所に、なのはとフェレットがこちらに向かってきた。

先程のデバイスを使って変身したのか、服装が変わっていた。バリアジャケット?が何故制服なのか聞きたいが。

 

「それよりも、さっさとアレを封印しようぜ」

 

「凄い盾君!でも怪我してない?」

 

「本当に凄い…まさか圧倒するなんて…」

 

いや、早く封印をしような。

 

「そうでした!なのは、今から言う呪文を復唱して」

 

「う、うん」

 

なのはは手に持った機械的な杖を、怪物向けてフェレットと共に呪文を唱えた。

 

「「リリカルマジカル、ジュエルシードシリアルⅩⅩⅠ(21)、封印!」」

 

呪文を唱えると怪物は光に包まれた。光が収まるとそこには怪物の姿はなく、宝石が一つ落ちていた。

 

「こいつがあの怪物の正体か…」

 

見た目はただの宝石でⅩⅩⅠ(21)と刻印されている。

眼で見ると、確かに宝石内部に大量の魔力が入っていた。

機能は分からないが、これだけの魔力が不安定に入っていれば危険なのは間違えない。

 

「それをレイジングハートに入れておいて。その方が安全だから」

 

「お願いレイジングハート」

 

《了解しました》

 

なのはのデバイス…こいつより真面目そうでいいな。

 

「お前には拡張空間的な機能は、ついてないのか?」

 

《ありませんよそんな機能。むしろマスターが持っているでしょう》

 

なのはがデバイスに宝石を閉まったところで、俺は提案する。

 

「よし!逃げるか」

 

「え?なんで?」

 

「この惨状を見ても同じ事を言えるか」

 

俺がそう言うとなのはは周りを見回すと、怪物が暴れて塀は崩れ、道路は穴ボコだらけ。動物病院なんか壁に穴が空いている。

現状を理解したのか、なのはとフェレットは顔を青くしていた。

 

「だいぶ暴れたからな。住民の誰かが警察に通報しているだろう。どうする?この歳で警察のお世話になりたいか?」

 

「じゅ、盾君!早く離れよ!」

 

「ヤバいよなのは!なんかサイレンが聞こえてきた!」

 

「じゃあ逃げますか」

 

「ご、ごめんなさーいなの!」

 

とりあえず、家の近くの公園まで逃げますか。

俺たちは、後ろに聞こえるサイレンの音をバックに現場から走り出した。

…なのは、お前運動音痴じゃなかったか?なんで俺より早いんだ?

 

 



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第七話

FGOアーケードでジャンヌが出ないよ~。
玉藻も実装されないよ~。



「ここまでくれば大丈夫かな」

 

怪物と戦った現場から逃げてきて、家の近くの公園に着いた。

後ろを向いてなのはが、着いてきているのを確認。

…うん、OK着いてきてる。だいぶ息が荒いが。

 

しょうがないので、自動販売機でお茶を買ってくることにする。

 

「つ、疲れたの~!」

 

「ごめんね。こんなことに巻き込んじゃって」

 

《大丈夫ですからマスター?》

 

「大丈夫だよ。レイジングハート」

 

「お疲れなのは。ほれ、お茶だ」

 

買ってきたお茶をなのはに渡す。

お茶を飲んで少しは落ち着くだろう。

なのはは、お礼を言いながらお茶を受け取った。

 

「ありがとう盾君」

 

「どういたしまして。フェレットもお茶いるか?」

 

「僕は大丈夫だよ。そう言えば自己紹介がまだだったね」

 

こいつ、フェレットなのに名前があるのか?ただのフェレットじゃないな。

まあ、そのへんはおいといて。狼復讐者(アヴェンジャー)にも名前があるしな。

 

「僕の名前はユーノ・スクライア。ユーノでいいよ」

 

このままこちらの自己紹介もした方がいいな。

なのはもそう考えたのか、自己紹介をし始めた。

 

「私は高町なのはです」

 

《レイジングハートと言います》

 

「俺は要盾だ」

 

《私はキャメロットと申します。皆さん仲良くお願いしますね》

 

やっぱりこいつ、人間臭いな。俺的にはレイジングハートの方が好ましいんだが。

 

「やっぱりチェンジできねぇかな?」

 

《止めてくださいね!?》

 

ひとまず全員の自己紹介を終わらせた。

後はあの出来事を聴かせてもらわないと。

 

「早速だけども、さっきの怪物や宝石の事を教えてくれ」

 

「うん、それはかまわない。僕が知っていること教えてあげる」

 

あの宝石はジュエルシードという名前で、ユーノ自身が発掘したらしい。

ジュエルシードは一つ一つ魔力の結晶体で、周囲の生物が抱いた願望を叶える特性を持っているとのこと。

先ほどの怪物はジュエルシードが何かの願望に誘発されたものということだ。

 

「だけどジュエルシードはとても不安定なんだ。下手したらこの街をぶっ飛ばすくらいの暴走をしてしまうかもしれないんだ」

 

「なんでそんな危険な物をこの街に持ってきたんだよ」

 

「別の場所に運ぶ最中に事故が起きちゃったんだ。そのせいでこの街の周辺にばらまかれたんだよ」

 

願いを叶えるなんてまるで聖杯だな。

とはいえ、不安定な聖杯など厄介すぎる代物であろう。

そんなただの爆弾でしかないジュエルシードが、この海鳴市に落ちているなんて…。

 

「その数はいくつあるの?」

 

「全部で21個持っていたんだ。その全部がこの街のどこかに…」

 

「レイジングハートが預かっているのを抜いて、まだ20個か…」

 

この街に落ちている事が、分かっただけでも良かった。

とりあえず集めることは確定だ。

 

「私、探すの手伝うよ!」

 

なのはは持ち前の正義感で、手伝うことを決めたようだ。

こいつ、頑固だから簡単に意思を曲げないだろう。

 

「な、無茶だ!それにこれは僕のせいなんだから、僕が責任を持って集めないと…」

 

「そんな体で何ができるんだ?」

 

「…」

 

今のユーノは、見た目ただのフェレットだ。

そんな奴が探し出せる事が出来ると思えない。

 

「それに、爆弾が街にあるって知って落ち着いていられねぇよ」

 

「盾君も、一緒に探してくれるの?」

 

「お前一人の方が不安だわ」

 

「ひどいよー!」

 

ここで現在時刻が気になったので、公園にある時計を見てみる事に。

すると、長い針が20時を指していたので、なのはを帰宅させないとマズい時間になっていた。

 

ちなみに俺の方は対策済みだ。

勉強していると思わせるようにしてきた。

 

「なのは、今日はもう遅い。ジュエルシードの対策は明日にしないか?」

 

「ふぇ?もうそんな時間なの?って20時なの~!?」

 

「うるさいぞ。ご近所迷惑だ」

 

今、時間に気づいたようだ。流石に送っていこうとしたが。

 

「じ、じゃあ解散なの!ユーノ君は家に来るの!」

 

「え?!ちょっと!」

 

「盾君、また明日なの!」

 

「お、おう。明日な」

 

よっぽど焦っていたのか、声をかける前にユーノを握って走っていってしまった。

 

ユーノは大丈夫か?なんかコの字になっていたぞ。

 

さて、後はキャメロット(こいつ)の事だけだ。



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第八話

なのはを見送り、俺も家に帰った。

家の部屋にある、親に気づかれない為の仕掛けを止めて部屋に入る。

どうやら問題なく効果は発揮したようだ。

 

《マスターはよくそんな機械を持ってましたね》

 

「前世でよく使っていた機械だから作ったんだ」

 

《え。こんなにコンパクトなのにマスターが作ったんですか!?》

 

約十㎝の正方形の箱。

部品は、捨てられていたテレビなどの電子機器から手に入れた。パソコンが無いため、プログラミングは無理だった。

代わりに、ルーンを刻んだ石などの魔術で代用。

それでも()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

つまり、機材の限界である。

 

《…マスター。私、聞きたいことがあります》

 

「それなら俺も聞きたいことがある」

 

キャメロットが聞きたいことがあり、俺もキャメロットに聞きたいことがある。

とりあえずキャメロットから質問を聞くことにする。

 

「キャメロット。何が聞きたいんだ?」

 

《マスター、率直に聞きます。マスターの前世は一般人なんですか?》

 

前世のこと?なんで今に聞くんだ?

 

「なにが基準で一般人を指しているのか分からないが、前世は一般人とは言えないな」

 

《ではなにをしていたんですか?》

 

「人理継続保障機関フィニス・カルデアでマスターやってた」

 

《…………はい?》

 

うん?

反応が悪いぞ。

 

《カルデアってあのカルデア?レイシフトして人理修復するカルデア?》

 

「詳しいな。とはいえ俺一人で無し得なかった事だ。立花や所長、ロマニにダ・ヴィンチちゃんにカルデアの職員達。何より力を貸してくれた英霊達。そんな皆がいなければ世界を救うことなんて出来なかった」

 

あれはもうやりたくない。

何より世界を救うことなんて、輝かしい功績などではない。あの時の立花のケアが大変だったな。何せ時計塔から色々言われたからな。

面倒くさくなったので、立花と俺の契約サーヴァントでカチコミに行ったのは懐かしいな。

 

《……》

 

「それが俺の前世だが、なにか?」

 

《……マジで?》

 

「マジだ」

 

《あれぇぇ……》

 

どうしたんだ?まるで知っていることが違っている感じだな。

 

《私が知っている情報は、一般人で引きこもりのニート、と聞いていますよ》

 

「誰だよそれ」

 

《マスターの前世での名前は覚えてますか?》

 

「今世と同じ要盾だ」

 

《知っている名前と全然違う~!?》

 

えぇ……あの神様(ハゲジジイ)に間違えて殺されたということか……

 

《本当にごめんなさい!情報が間違っているとは知らなかったです!煽って踏み台にしようとしてごめんなさい!》

 

「あーあれって煽っていたのか」

 

《役割通りに動かすために、踏み台踏み台って煽っておけば、勝手に踏み台の道化として動くと思いまして》

 

成る程。イラってくる言い方はそのためだったのか。

いやまあイラって来たけど聞きたいことがあるんだ。

 

「なあ、キャメロット」

 

《何でしょう?》

 

「踏み台ってなんだ?」

 

《そこからですか……》

 



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第九話

もうすぐ復刻ハロウィンイベントですね。
もう一体のメカエリチャンを手に入れるチャンスです。


キャメロットに踏み台について教えてもらった次の日。

首から下げながら登校していた。

家を引っ越したため、学校への道のりが変わっている。

あまり変わってないし、むしろ近くなった。

けれど習慣を直ぐに変えれなかったので、早めに起きてしまったのだ。

早めの登校になるが、散歩のつもりで少し寄り道気味で歩いていたんだが。

 

「……早起きは三文の徳といったんだがな…」

 

「? 何を言っているのか分かりませんが、そのジュエルシードを渡してください」

 

「ほら。早く渡さないと痛い目に遭うよ」

 

金髪の女の子と犬耳?としっぽを着けた女性に絡まれた。

 

寄り道してたら道端にジュエルシードが落ちていたんだ。

拾ったはいいが、俺のデバイスは封印機能が無いためどうしようかと悩んでいる内に、背後から誰かが近付いて来るのを気がついた。

 

その気配は通りすぎる訳でもなく、こちらを見ていた。

最初は気のせいだと思ったので、そのまま歩き始めたんだ。

でも、相手も動き近づいてきたので声をかけようと後ろを向いたら、武器を突きつけられた。

 

んでさっきに戻る。

対処できるよ。でも、ジュエルシードが暴走しても俺には方法が無いため下手に動けない。

ユーノの話じゃ、管理局?が動くのはまだ先なので、この子は第三者になる。

ならば手に持っているジュエルシードを対価に、情報を手に入れる事にするのが吉かな。

 

「ええと、君の名前は?」

 

「私は……」

 

「フェイト!名前を言っちゃ駄目じゃないか!」

 

「アルフ…私の名前、喋ってるよ」

 

「しまった!てか、フェイトも私の名前喋ってるじゃないか!」

 

「!?」

 

「いや、お前らバカなのか?」

 

俺から問い掛けておいてなんだが、まるでコントのように話してくれた。

 

「何の為にこの石が欲しいんだ?」

 

「貴方には関係ない」

 

「そうだ!鬼婆が集めてるなんて言うわけ無いぞ!」

 

「バッチリ喋ってるじゃないか…」

 

「しまった~!?」

 

この犬耳?を着けた女性はバカなのか?

頭が残念過ぎるぞ。

 

「こら、そんな哀れんだ目をするな!」

 

「アルフ…」

 

「フェイトまで!?」

 

飼い主まで彼女に哀れみの目を向けていた。

可愛そうなのでここまでにしておく。

 

「ほら、これあげるから気を付けるんだよ」

 

「うん。ごめんなさい、アルフが迷惑かけて」

 

「止めて!それはなんか凹むから!」

 

なんかワンコが喋っているが、気にせずに女の子と話す。

 

「何かあったら手を貸したあげるからな」

 

「うん。その時はお願いしますね」

 

「ねえ、その内容は私に関係しないよね?そうだよね!?」

 

ジュエルシードを彼女に渡して別れることにした。

別れ際、アルフと呼ばれたワンコが「覚えていろー!」

と捨て台詞を言ってきた。

そういうキャンキャン言ってくる所がエリちゃんことエリザベート・バートリーに見えてきて面白い。

 

《良いんですか?ジュエルシード渡して》

 

「お前封印機能が無いだろ。危ないから渡した方がなのは待つより良いだろう」

 

《んー、まあしょうがないですね。今度から対策を用意していきましょう》

 

「そうだな」

 

確かに、そうしておかないと今みたいに困ってしまうしな。

そんな事を考えているとキャメロットが話しかけてきた。

 

《…ねえ、マスター。黙っていましたが遅刻しますよ》

 

「なんだと!?」

 

手持ちの携帯端末を見ると予定時刻が過ぎてしまっていた。

アルフで遊んでいた罰なのか、バッチリ遅刻してしまったぜ……。

 



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第十話

復刻ハロウィンを頑張ってます。
けど次回イベントに参加するための条件が第二部第二章をクリアしてないと行けません。

私…クリアしてないです…


「へぇ、あのフェレットはなのはが引き取ったんだ」

 

「うん。ユーノ君って言うの」

 

「そうなんだ。ねえなのはちゃん、ユーノ君に会いに行ってもいい?」

 

「私も行きたい!」

 

「うんいいよ。ねぇ盾君もくるよね?」

 

現在、お昼休み中。なのは達と学校の屋上で弁当を広げているんだ。

弁当を食べていると、なのは達が話しかけてきた。

どうやらアリサやすずかはユーノの事を知っていたみたいだな。

 

「まあ、構わないけど」

 

「じゃあ決まりね。放課後、あいつらに聞かれないうちに行動しましょう」

 

アリサが言ったあいつらって、剛二と王我の二人の事だろう。

キャメロットに聞いた話、あいつらも転生者とのこと。

ただ、転生させた神(管轄)が違うらしく、詳しい情報が入って来ないと言っていた。

いやまあ、俺を転生させた神はたぶん()()()()()()…。

 

「了解。ついでに宿題もやろうか」

 

「そうしましょうか。すずかも、それでいいわよね」

 

「うんいいよ」

 

「じゃあお母さんに頼んでシュークリームを、用意しておくの」

 

こうして、放課後に勉強会が実施されることになった。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「ふぇ!?襲われたの!?」

 

「まあ、ジュエルシードを封印する方法がなかったから渡りに船だったけど」

 

帰り道の最中。なのはに今朝の出来事を伝えることにした。

心配されることは分かっているが、危険が伴う現場ではほうれんそう(報告・連絡・相談)は鉄則だろう。

 

「ユーノにも二人組の事、聞いておかないとな」

 

「そうだね。でもどうして集めているんだろう?」

 

「上司的な女性がいるが、理由は聞けなかったな」

 

あれ以上、フェイトが可哀想だったからな。

 

「まあ詳しいことは後でな」

 

「うん分かった。また後でね」

 

分かれ道になったのでなのはと此処で別れる。

と言っても、家に着いたら直ぐになのはの家に向かうんだがな。

 

《マスター。魔力反応を関知しました》

 

「ん?まさかまたジュエルシードじゃ無いよな」

 

《いえ、後ろにいる方です》

 

「あー、あいつのことね」

 

尾行されているが、とっくに気づいているんだがな。

クラスメイトでアリサに黙っていろと、言われた人物の一人。

 

「んで何のようさ。天道時」

 

「気づいてたのか!?」

 

バレバレです。

 

「ならしょうがねえ。お前をここで殺してやる!!」

 

「えぇ…急すぎねぇ……」

 

天道時王我。クラスメイトだがあまり関わりたくない奴だ。

何故かなのは達を嫁と呼び、困らせている人物。

キャメロット曰く、《これが踏み台と言うものです》だとか。

 

考えているとあいつの背後の空間が、黄金の波紋を浮かばせていた。

まさか。

 

「喰らうがいい!モブには過ぎた力だが光栄に思え!」

 

「なんだろう。それが英雄王の口調だと思っているか?」

 

真似ているつもりなのか、それっぽい口調をしている天道時。

あれはバカなのか?

奴は周りの被害を考えずに、背後から武器を射出し始めた。

それは、紛れもなく王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)だった。

武器は俺に目掛けて跳んできて、そして刺さった。



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第十一話

はしれーはしれー
イベントはしれー

また世界救うのもはしれー


武器が跳んできて、そして刺さった。

俺の手前の空間に。

 

「な!?どういう事だ!?」

 

「どうもこうもない。俺もこれが使えるんだよ」

 

別に要らなかったが押し付けられた特典。

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)だ。

王我が放った武器は、すべてこちらの王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)に回収させてもらった。

まさか役に立つ時がくるとは……。いつか英雄王に返すけども。

 

「何で我と同じ特典使えるんだよ!」

 

「偶々なんだとよ。管轄が違う神が選んだから、カブっただけだ」

 

「そんなわけないだろう!?」

 

相手の性格上、信じるわけがないが真実なんだけどな。

 

《マスター。相手のこと怒らないのですか?》

 

「あれに怒る必要あるか?。ガキに怒るほど俺は幼くないぞ」

 

怒る必要があるなら神様(保護者)に責任があるからな。

とはいえ、ある程度没収はさせてもらうがな。

 

「くそ!こうなったらこいつで!」

 

王我は黄金の波紋から、見たことある剣を取り出した。

まさかと思うが()()をここで使うつもりか!

 

「キャメロット!セットアップ!そのまま結界を張れ!」

 

《了解です!》

 

その剣は、騎士王が使っていた聖剣。

その名も…約束された勝利の剣(エクスカリバー)である。

もしもあの剣を使うなら、周りの被害を考えろよ!

いやまあ、先ほどの剣の射出の時点でそうなんだが…

 

「喰らえぇ!約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!」

 

「マジで使いやがったぁぁ!」

 

《プロテクション展開します》

 

「いや無駄だ。それよりも…」

 

王我との距離が10mもないが、放ってきた()()

俺は冷静に王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)からある盾を取り出す。

結界を張って正解だな。

でなければ更地になっていた。

 

 

 

盾を構え、俺は真名を唱える。

 

「真名、開帳──私は災厄の席に立つ……」

 

思い描くのは、怖がりながらもいつも守ってくれた彼女の背中。

 

「其は全ての疵、全ての怨恨を癒す我らが故郷――顕現せよ」

 

マシュ。君の宝具を借りるよ。

 

いまは遙か理想の城!(ロード・キャメロット)

 

現れるは円卓を守りし、白亜の城。

本来なら、持ち主であるギャラハット本人か許可されたマシュではないと100%の力は発揮しない。

けれどもそれは相手も同じである。

王我も約束された勝利の剣(エクスカリバー)の本来の担い手ではないので対処できるのだ。

 

光の斬撃と白亜の城がぶつかり、その力が辺りに流れていく。

結界も強固に張ったので、余波程度では壊れないだろう。

 

《マスターって実は規格外な方ですか?》

 

「何を今更聞いてんだよ…」

 

しばらくすると、約束された勝利の剣(エクスカリバー)の斬撃は収まり弱くなっていく。

やがて消えると、肩で息をしている王我が現れた。

 

「ぜぇー、ぜぇー、どうだ!これが我の力だ!」

 

「それは凄い。こっちは無傷だけどそれが全力か?」

 

「なんだと!?」

 

なぜそこまで驚く。

まさか、本当に気付いてなかったのか?

だとすると、呆れるんだが。

 

「糞!この役立たずめ!」

 

「は?」

 

こいつは何に向かって言ったんだ?

剣にか?

だとするとお角違いにもほどがあるぞ。

 

「糞!覚えてろよ!」

 

そう捨て台詞を吐いて、逃げて行った。

えぇぇぇぇ…

 

「マジで逃げて行ったぞ…」

 

《呆れてものも言えないと言う感じですか?》

 

「呆れすぎて何もできなかったよ…」

 

意味が分からな過ぎて、フリーズしてしまった。

もう少し鍛えておけよ……



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第十二話

無事に復刻ハロウィンイベントは何とかなりました。
後は二部二章をクリアするだけです。

頑張れ。俺のサーヴァント達。


「「かわいいー!」」

 

「キュ?!」

 

「ほどほどにしておけよ」

 

あの後、襲われることなく無事に高町家にたどり着く事が出来た。

今は、アリサとすずかがユーノを可愛がっているところだ。

まあ、やり過ぎたら止めるがな。

 

「ほら二人とも。ユーノ君が困ってるよ」

 

「キュー!」

 

「あ、逃げてなのはの所に」

 

「あはは…、嫌われちゃったかな?」

 

どうやらなのはの一言で収まったみたいだな。

これで宿題始められるかな?

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

「ええ!今度は天道時君に襲われたの!?」

 

「ジュエルシードを狙っている組織がいるなんて……」

 

宿題を終わらせて夕方になりすずか達と解散した後、なのはとユーノに今日の出来事を情報共有することにした。

どうやら二人とも、俺が王我と戦っていた(遊んでいた)事に気づかなかったみたいだな。

 

「王我の事は別に問題ない。適当にあしらうから」

 

「適当になんだ……」

 

強くないから適当で大丈夫なだけだ。

 

「問題は、第三者の存在だ。俺が会った二人と、もう一人女性がジュエルシードを集めているようだ」

 

「名前は分かるの?」

 

「なのは。盾は襲われているんだから、いくらなんでも名前が分かるなんて…」

 

「分かるぞ」

 

「分かるの!?」

 

ユーノ、気持ちは分かる。

俺も話してくれるとは思わなかったからな。

 

「金髪の女の子がフェイト、犬耳の女性がアルフって言ってたな」

 

「フェイトとアルフ……」

 

「ユーノ。その名前に覚えは?」

 

「まったく聞き覚えがないよ」

 

聞き覚えが無いようなので、相手の素性が分からないままだ。

悪い子では無さそうだったので話し合って見たいところだ。

 

「私も、会うことができるならお話しして見たいな」

 

「ああ、した方がいいじゃないか。きっとなのはと気が合うさ」

 

「うん!」

 

止めたところで、なのはは話しかけるだろう。以外と頑固だからな。

結局、たいした対策を立てない状態で俺達も解散することになった。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

帰り道。

キャメロットにお願いしてた事の成果を、聞いてみることにした。

 

「で、どうだった?」

 

《もちろん大丈夫ですよ。レイジングハートの協力もあってどうにか術式のプログラミングは完了しました》

 

頼んだのは、ジュエルシードの封印対策だ。

キャメロットには封印は出来ないので、なのは達と話している間にレイジングハートに聞いてもらったんだ。

結果、簡易封印が出来るようになった。

これで、今朝のようにジュエルシードを見つけてもなのはに渡すまで暴走させずにすみそうだ。

 

「でもなんでお前は、封印が出来ないんだ?」

 

《もともと踏み台用に作られているので、封印が間違っても出来ないようにされているのです》

 

「成る程。あのハゲジジイが悪いと」

 

《そうなりますね…》

 

消しても迷惑な存在だな。でも不思議に思う。

今回、術式を作ってもらって使えるようになった。

その事を考えるにどうにでもなるわけか。

 

「後付けは可能なんだな」

 

《それは可能です。結局のところ、私は機械ですからプログラムさえあれば術式が作れます。今回はノウハウが無いため完全にはできませんでしたが》

 

「まあそれでも十分だしな」

 

後は帰るだけなので歩を進めていると、道にとあるものが落ちていた。

気になったので近付いて拾ってみると。

 

「これは…」

 

それはアリサの靴だった。

今日と同じものを履いているのは確認しているし、何より名前が書いてあるのだ。

周りを見回すと、すずかの名前が書いてある鞄も落ちていた。

これはきな臭くなってきたぞ。



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第十三話

ハロウィンイベント頑張って終わらせて。
後は二章だけだ。



「さてと…。二人を探しに行きますか」

 

《当てはあるんですか?》

 

「すずかの魔力を、眼で探すから大丈夫」

 

《…どんな眼をしているんですか》

 

普段から人とは違う気配をしているすずかは、魔力を持っている。

なのは程では無いにしろ、魔力量は多いので探しやすい。

 

「とりあえず気配遮断しながら、家の屋根から探していくぞ」

 

《…もうどこからツッコめばいいのやら》

 

キャメロットがなにか言っている間に、家の屋根に上る。

すこし眼のチャンネルを変えれば、すずかの魔力だけを見ることができるからな。

そうすると魔力が見えてきた。

街外れにすずかの魔力が見えたので、そこへ向かおう。

 

「場所は分かった。行くよキャメロット」

 

《了解です。…なんかデバイスの面目が潰れますよ》

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

たどり着いた場所は、街外れにある廃工場。

ここまで来るのに日が暮れてしまい、夜になってしまった。

とりあえず侵入するとしますか。

 

「キャメロット。動体反応を探知するセンサーとかある?」

 

《ありますよ。では調べますね》

 

すずかとアリサの居場所を探りながら、敵に気をつけて行動する。

ただ、着いてからすずか以外の魔力を感知している。

その事を覚えておきながら、捜索する。

 

《すずかさん達の居場所が分かりましたよ。ただ他の反応を、複数感知しました》

 

「二人と同じ所にいるの?」

 

《はい。どうするんですか?》

 

ん~。

あ、そうだ。

 

「あいつら驚かしてやろう」

 

《はい?》

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「いいか!そいつら()()()()は化け物なんだよ!!」

 

「いやーーー!」

 

…なんか聴いちゃいけないことを聴いてしまった。

タイミングが悪かったかな?

 

「夜の一族は血を吸う吸血鬼なんだ!それでも友達とでもいうのか!」

 

「そうよ!すずかが化け物でも大事な友達よ!」

 

成る程。吸血鬼か。

だから懐かしい気配を感じ取れたんだ。

納得納得。

 

「アリサちゃん…!」

 

「ふん!強情なガキめ!おとなしく怯えてくれれば帰したものを」

 

「友達を見捨てて、誰が帰るものですか!」

 

おっと、それ以上の挑発は危ないので止めさせないと。

敵の目視は完了。

後は仕掛けをご覧あれってね。

…トラウマになったらごめんな。

 

「じゃあお願いな、ジャック」

 

「うん!頑張るねおとうさん!」

 

《ついにサーヴァントを召喚したよこのマスターは…》

 

キャメロットが、言ってくるが無視。

まあ説明はしてやろう。

 

まず俺は令呪を持っている。

さらに言うなら()()も持っている。

これは生前に世界を救った事に関する話だ。

表にでる功績ではないが、世界中の人々はこう思った。

「世界で何かが起こり、それを解決した者達がいる」と。

形はどうあれ、それが逸話となり英霊として座に登録される予定だった。

まあ、生まれ変わって(転生)しまったが。

 

英霊としての宝具に『英霊限定召喚(グランドオーダー)』というのがある。

一時的に縁を結んだサーヴァントを召喚するものだ。

その力でジャックを召喚したんだよ。

 

「分かったキャメロット」

 

《あまり気にしない方が良いと分かりましたよ》

 

「…なんでだろう?前世でも良く言われたんだが」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「なんだこの煙は!?」

 

「煙じゃない!これは霧だ!?」

 

なんだこれは!?

先程までガキ二人を相手に遊んでいたのに、気がつけばガキ共は居なくなり建物内が霧で包まれてしまった!

何がどうなってやがる!?

 

「落ち着きなさいよ。ただの霧じゃないの。

大方、月村の当主さまがなんかやったんじゃないの?」

 

「…それもそうだな。すまない、取り乱したようだ」

 

俺が連れてきた女の言葉で落ち着きを取り戻す。

しかし、この霧は一体なんなんだ?

 

そんな時、子供の声が聴こえた。

 

 

『此よりは地獄』

 

 

その声はとても無邪気そうで残酷に聴こえる。

 

「誰だ!」

 

「出てきなさいよ!居るのは分かってるのよ!」

 

 

()()()()() は炎、雨、力』

 

 

声が聴こえたのは俺だけではなかった。

けれども何処にいるか分からない。

まるで建物全体に館内放送してるかのように、響いているのだ。

 

「おい!俺から離れるなよ!」

 

「……」

 

「聞いているのか!?」

 

「……」

 

 

『――殺戮を此処に…… 』

 

 

「おい!?」

 

しかしすべてはおそかった。

 

 

解体聖母(マリア・ザ・リッパー)!』




ジャックでこれがやりたかった。


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第十四話

今回は引用文を多く含んでおります。
自分なりにかみ砕きたかったけど、難しかったのでやめました。


解体聖母(マリア・ザ・リッパー)

アサシン、ジャック・ザ・リッパーの宝具。

この宝具は、Dランク程度のナイフである。

だが条件を満たすと極大の呪いに変質する。

 

「その条件は、時間帯が夜であること。対象が女性であること。そして霧が出ていること。この三つを満たせば問答無用で解体された死体ができる」

 

「なん…だ…と!」

 

俺は誘拐犯達の前に立ち、説明してやった。

足元には()()()()()()()()の死体が、バラバラになって転がっている。

 

既にジャックのもう一つの宝具、暗黒霧都(ザ・ミスト)を解除してもらっている。

こちらは、かつてロンドンを襲った膨大な煤煙によって引き起こされた、硫酸の霧による大災害を再現する結界宝具だ。ちなみにこの宝具で条件を一つ満たすのはOKだそうだ。

 

結界の範囲・対象は自由に設定可能であるため、敵味方が入り乱れた状況でも敵だけに効果を発揮できる。

そのため今回はすずかとアリサとそれ以外を分ける必要があったのだ。

 

二人は突然、死体(しかもバラバラである)が現れたので気を失ってしまっている。

いや、すずかは気絶したふりをして起きているな。

 

「おとうさん!褒めて褒めて!」

 

「よしよーし。良く出来たなジャック。ありがとう」

 

「えへへ!」

 

やった本人はこの笑顔である。

良く出来たので沢山褒めてやろう。

そんな事をしていると、犯人達は我を取り戻したのかこちらを怒鳴り始めてきた。

 

「な、なんなんだ!そのガキは!?」

 

「佳奈さんをやったのはアイツか!?」

 

「なんであんな惨い事をして笑っていられるんだ!?」

 

もう一度言おう。やった本人はこの笑顔である。

幼い見た目だが、中身は産まれることができなかった水子の怨念の集合体だ。

この子にとってこれが()()()()なのだ。

当たり前を褒めて何が悪いのやら。

 

「だいたい、二人を誘拐したのはお前らだろう?報復があって当たり前だろうが」

 

「報復だと…?。化け物を誘拐して何が悪い!?」

 

「俺の()()を誘拐したんだ。悪いに決まってるだろ」

 

堂々と言ってやった。

 

「な?!お前も化け物を友達と言うのか!?」

 

「当たり前だろ。化け物と友になって何が悪い?」

 

そもそも吸血鬼()()を化け物と言っているが、それなら魔神柱の方が化け物だと思うのだか。

 

「だったら…お前らも!化け物ごと死ねえぇぇぇ!?」

 

誘拐犯達は拳銃を取りだし、構え始めた。

このままだと二人が危ないので、さっさとチェックメイトしますか。

 

力を使わせてもらうよ。

 

「血に塗れた我が人生をここに捧げようぞ」

 

唱えるは護国の鬼将の力。

ヴラド三世を特とご覧あれ。

 

血塗れ王鬼(カズィクル・ベイ)!!』

 

その瞬間、体から杭が飛び出し誘拐犯達に向かっていく。

これは体内から杭を精製し、それを放出する宝具。

対人宝具であるが、普通の人間には十分。

 

杭を分けて、まずは拳銃を構えた人間を殺す。

何をされたすら気づけずに、杭に刺され死んでいった。

 

「ゴヘッ!…」

 

「ウガッ!…」

 

()()()()の名の通りにあいつらは串刺しにしてやった。

 

「ひっ!?」

 

「ヤバいぞ!逃げろ!」

 

「何が簡単な仕事なんだよ!?」

 

拳銃を構えなかった奴らは生き残らせた。

でも逃げ場はない。

 

「逃げたら、メッ!だよ」

 

逃げ出した奴らはジャックの暗黒霧都(ザ・ミスト)で閉じ込めておく。

今度は死ぬまで霧の中だ。

 

「な、なんだんだよお前ら!?」

 

主犯であろうこの男は、無傷のまま放っておいた。

そのほかの部下は、串刺しか霧の中であり、気がつくと一人取り残されているのだ。

怯え、心を乱し、困惑してるのだ。

とりあえず、質問には答えてやろう。

 

「俺は要盾」

 

ただのニンゲンさ。



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第十五話

イベント参加の為に頑張ってました。
投稿遅れてすいません!


「嫌だ…死にたくない…」

 

男の口から出てきたのは命乞いだった。

許す気が無いので殺ることに。

一歩。男に近づくと、俺に目掛けて僅かな殺気を飛ばされているのに気づく。

気づかれないように、念話でキャメロットと話すことに。

 

『キャメロット、センサーに反応は?』

 

《複数の動体反応を確認しました。というかマスターは気づいてましたよね》

 

『殺気を感じたからな。そいつ、まだまだ未熟だな』

 

《その人ってもしかして…》

 

気づいてないと思わせる為、視線をすずか達に向けた。

男からその一瞬視線を外したら、男は逃げ出してしまった。

 

「死にたくない!いやだ!」

 

「あ!まてー」

 

「ジャック、追わなくてもいいよ」

 

「そうなの?おとうさんが言うならいいか」

 

そう、追わなくてもいい。

ジャックに左手に持っている本を見せた。

表紙には『ALICE IN WONDERLAND(不思議の国のアリス)』の文字が書かれている。

ジャックはその本を見て納得した表情を浮かべた。

 

「じゃあおとうさん、私たちは帰るね」

 

「ああ、ありがとうなジャック」

 

またね、と言いながらジャックは、足元から消えていき退却していった。

 

「後はすずか達だけか」

 

俺はすずかに近づき手を伸ばした。

気絶したふりをしているのは分かっているので、顔に触れて眼を開けさせようとした。

その瞬間、隠れていた気配が駆け出してきたのだ。

殺気を出しながら近付いて来たので、咄嗟に右手をその気配に向けた。

 

「っ!?」

 

「はぁ!」

 

「え?盾君?」

 

突き出した右手は、殺気を出していた人物に斬られた。

斬られた手はそのまま跳んでいき、残った腕からは血が()()()

 

「へぇ、やるじゃん」

 

「すずか!大丈夫か!?」

 

こちらの事を警戒しながら、すずかの安否を確認している。

その辺の訓練、というか何かしら教えられているのが分かる。

だけど警戒だけじゃあまだまだだね。

 

「殺るんだったら(ここ)をやるべきだよ」

 

残った右腕で首を叩く。

右手を斬って怯むと思っていたのか、斬った本人は驚愕の表情を浮かべていた。

 

「お前…正気なのか?」

 

「腕一本で騒いだりしねーよ」

 

それよりも左手にある本の方が我慢出来てないみたい。

落ち着きな。

 

「あ、あの盾君…大丈夫なの?」

 

さっきもそうだがさすがの騒ぎに、すずかも眼を開けた。

すずかの視線は右腕に向いている。

 

「ああこれ?大丈夫だよ」

 

「でも手が!?」

 

「…もしかして君が盾君かい?」

 

今更違和感に気づいたのか、彼は俺に名前を確認してきた。

てかなんで知ってる風なのさ?

 

「この人は、なのはちゃんのお兄さんなんだよ」

 

「兄?てことはこの人が恭也さんか?」

 

話は聞いている。

幼い頃からなのはと一緒にいたが、何故か一度も会ったことがない。

父親や母親、姉まで会って兄に会ったことが一度もない。

ことごとく噛み合わないかのように。

なのはと二人して首を傾げてた記憶がある。

 

「兄なら味方か。じゃあすずか、帰ろうか」

 

「そんなことよりも!」

 

「すまない!俺の勘違いで君の右手を!」

 

「ああこれ?」

 

そう言いながら袖から()()()()を出した。

 

「「え!?」」

 

「これ、この女の腕だよ。気づかなかった?」

 

そう、最初にジャックが殺した女性の右腕である。

すずかに触れようとした時に、恭也さんが襲って来たので足元に落ちている右腕を掴んで突き出したのだ。

 

そこまで動揺するとは思わなかったがドッキリ大成功という事で。

 

「単純に切ると言っても、こうも綺麗に切れるのは腕が良いと言うこと。でも非情にはなりきれなかったかな?」



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第十六話

やっぱり出てきたエリちゃん。
ピックアップされないのかな?


「さて、恭也さん。案内してくれますか?」

 

「なに?」

 

「すずか達のお迎えに来たんでしょう?なら乗り物で来ているはずだ。そこまで案内してくれない?」

 

「…正直なのはの友人とはいえ、人を殺すのに非情になれる奴を連れていきたくない」

 

でしょうねー。

妹と同年代が、躊躇わずに人を殺したんだ。

だから警戒してるんだ。

すずか達を助けてるとはいえ、人殺しを連れていきたくないのだろう。

 

「だが」

 

「?」

 

「俺の勝手で、二人を助けた恩人を置いていくことはしない」

 

おや?

以外と理性的に行動できるのか。

その辺は好評できるな。

 

「ノエル、ファリン。出てきてくれないか?」

 

「二人共来ているの?」

 

「ああ。すずか達の場所を特定してくれたんだ。介抱も必要だし、一緒に来たんだが…」

 

恭也さんが呼んだ二人は出てこない。

何かあったのか?

 

「おかしい…二人は俺のすぐ近くに待機していたのに」

 

「あ」

 

「盾君、どうしたの?」

 

何かあったわ。俺のせいで。

 

「ナーサリー!急いで《名無しの森》を解除して!」

 

「盾君?」

 

「ナーサリー?誰かいるのか?」

 

左手に持っていた(彼女)にお願いをする。

すると本は手から離れ、発光していく。

恭也さんとすずかは、光が眩しいのか腕で顔を覆っていた。

 

「解ったわマスター。…この建物全体にかけていた《名無しの森》は解除したわ!」

 

光が収まり、現れたのは黒いドレスを着ている少女。

真名、ナーサリー・ライム。

もともと首謀者の男を、拷問しやすいよう《名無しの森》に閉じ込めておくつもりで発動してもらったのだ。

 

解除と同時にメイド服を着た女性二人が現れた。

その内の一人が、首謀者の男を引きずってきた。

 

「ノエル!ファリン!」

 

「すずかお嬢様!ご無事ですか!?」

 

「大変遅れて申し訳ありません!」

 

「ううん!来てくれてありがとう!」

 

うん。無事で何よりだね!

短い時間でも影響を受けていると思ったけど良かった。

 

「お、俺の名前…?なな、にしして、たっ、けけ、あれれ?」

 

男は、いい具合に駄目になっているが。

 

「おい盾君。一体何をしたんだ?首謀者は精神的に弱っているし、呼んでも二人は来なかったし」

 

「ああ、あれは…」

 

「むぅ!マスターを責めたら駄目なの!マスターはこの子達を救うために頑張ったんだから!」

 

「いや、責めているわけではないんだが…」

 

「ナーサリー、大丈夫。説明するだけだから」

 

「んー…だったらいいけども。私は先に帰るわよ」

 

機嫌を悪くしたのか、ナーサリーも退去するようだ。

またねと言ってナーサリーは退去していった。

退去したナーサリーを目撃した、すずかや恭也さん、メイドの二人も眼を開いてこちらを見ていた。

 

「説明はしますから、取り敢えず帰りません?」

 




文字数少なくてごめんなさい。
次回からもう少しがんばります。


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第十七話

投稿遅れてすいませんです!




「……」

 

「……」

 

「……」

 

「…ふぅ。この紅茶、美味しいですねノエルさん」

 

「ありがとうございます要様。このお茶請けもどうぞ」

 

「ええ。いただきますね」

 

「あんたゆっくりしすぎでしょ!?」

 

現在、月村邸にてお茶を貰ってます。

理由はもちろん、誘拐されたことにより知ってしまった月村の秘密について。

俺とアリサは、選択次第ですずかとの付き合いを考えなければならない。

今はすずかの姉が、誘拐犯の男を取り調べ中なのでそれが終わるまでお茶を飲んでます。

 

部屋には俺とアリサ、すずか、恭也さんにメイドのノエルさん。

すずかは顔を下に向けているため、表情を伺えない。

恭也さんは眼を閉じているが、俺が何かしないように見張っているのだろう。

 

「アリサ。静かにお茶を飲めないのか?」

 

「逆にあなたはこの状況でよくゆっくりできるわね…」

 

慣れだ。

カルデアにいると色々起こり過ぎて、日常茶飯事だからな。

 

「なに、俺の答えは既に出しているからな」

 

「え?…」

 

俺の言葉に、すずかが反応した。

まさかまた言わせるつもりか?

 

「すずかは聴いていただろうよ」

 

「…あ」

 

しょうがない。もう一回聴かせてやるよ。

 

「すずかと友達になって何が悪い?」

 

「ッ!うっ…ぐす…」

 

「ちょ!すずか!泣かないのよ…」

 

すずかは泣き出し、アリサの胸にすがり付く。

アリサも慌てはしたが、落ち着くまであやすだろう。

 

「…お前の答えはそうなのか?」

 

「そもそもあいつらの言う、化け物の基準が低いと思うけどね。…本当の化け物はこんなに可愛くないよ」

 

あの肉の柱である魔神柱なんかとすずかを比べてはならない。

 

「そうか…なら」

 

「なら、すずかの婚約者になって貰わないとね!」

 

恭也さんの言葉を切って、扉をバーンと開けて女性が出てきた。

 

「お、お姉ちゃん!?いきなり何を言い出すの!?」

 

「忍さん?」

 

突然の事にすずかは復活。

話は扉越しで聞いていたようだ。

 

見た目は活発な様子の女性の印象。

だが微かな死の匂いが、裏にも通じてる証拠だ。

誘拐犯の男を取り調べをするのも納得だし、今回は拷問もしておるだろう。

 

「私達夜の一族の秘密を知ったからには、ただでは帰さないわよ」

 

「だから婚約して身内にしちゃおうって魂胆か」

 

「まあ実際は特殊な契約を結ぶだけよ」

 

ふむ。自己強制証明(セルフ・ギアス・スクロール)みたいなものか。

 

「アリサちゃん、盾君。私達月村の秘密を誰にも喋らない事をして約束してくれるかしら?」

 

「当たり前よ!すずかは大事な友達なんだから、絶対に守るわ」

 

「良いよ。誰にも喋らない事を誓おう」

 

すずかとの関係を終わらせるつもりもない。

こうして俺とアリサは月村の一族と契約を結んだ。

 

「ところで盾君」

 

「なんでしょう?」

 

「貴方はどこで殺しの技術を学んだのかしら?」

 

…今ここで話さなきゃダメか?

 

「私も気になる…」

 

「…思い出したくないけど、あのバラバラ死体は、あなたの仕業なんでしょう?」

 

「できれば俺も知りたい」

 

忍さんや恭也さんに話すのは構わなかったが、すずかとアリサも俺の事を知りたがった。

…元々秘密にするつもりは無かったから話しても構わないが。

 

「…別に話しても良い。けどもアリサにすずか」

 

「「うん?」」

 

「俺の事、聞く覚悟あるか?」

 

「「…」」

 

「これから話すことは全部本当だし、今後もその行いを止めるつもりはない」

 

「「…」」

 

「話を聞いて後悔はしないか?」



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第十八話

夜勤ありました。
風邪引きました。

色々起こりましたが遅れてすいません。


少しだけ部屋に沈黙が訪れる。

そして。

 

「私は聞くわ。すずかだけ友達になっても意味がないわ。貴方やなのはがいての私達だもの。貴方だけを除け者なんて私が許さないわ!」

 

「私も聞くよ。私の事を知っても友達って言ってくれたのに、私が盾君を軽蔑したりしないよ」

 

「…」

 

その事を聞いて俺は、()()()()()()()()()()()

 

『盾は盾でしょ。何をしようが私達を守ってくれたナイト様なんだから』

 

『私や先輩を守ってくれるその手はとても綺麗です。だからもう二度と、自身の手を汚れている等と言わないでください』

 

…はぁ。

全く、俺の回りの女はなんでこう、強いのかね。

 

「分かった。じゃあ教えてやるよ」

 

俺の言葉に二人は笑顔を浮かべていた。

機会あればなのはにも話してやるか。

 

「早速だけど、前世って信じるか?」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

部屋にいたすずか、アリサ、恭也さん、忍さん、ノエルさん、ファリンさんの全員に俺の前世を話す。

 

始まりの土地。救国の聖処女。薔薇の皇帝。嵐の航海者。ロンディウム騎士。鋼鉄の白衣。輝けるアガートラム。天の鎖。そして極天の流星雨。

 

様々な時代を巡った。様々な世界を歩いた。

様々な人と出会った。様々な生き方を見た。

 

それと同じくらい

 

様々な主張を巡った。様々な争いを歩いた。

様々な理不尽と出会った。様々な死に方を見た。

 

けれども歩みは止めず、先に進んだ。

止まれば終わりなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「そして世界を救って終わり。納得した?」

 

「一部、端折ってるけどもね」

 

「確かに話を一部分ぼやかして話しているわね」

 

君たち目敏いなぁ。確かに話してない部分がある。

そこはまた今度でな。

 

「けど納得してしまうな」

 

「最初は信じがたい事だったけど真実味があるものね」

 

「自分で言うのもなんだけど、よく信じてくれますね」

 

前世ですら時計塔の奴ら、信じてくれなかったぜ?

 

「確かに前世と言うだけで信じがたいが、その年で俺以上に修羅場を潜っているという辻褄が合うからな」

 

「ああ、なるほど」

 

というか恭也さんは修羅場潜るような事しているのか?

 

「でも私はもうひとつ聞きたいわ」

 

「なんですか忍さん?」

 

「人手はどうしたの?残っていて戦えるのが貴方の他に二人だけでしょう。どう考えても戦力と呼べない人数で戦い続けることが出来そうに無」

 

鋭い所に目がつくな。

今の話だけじゃ人数の問題があるからね。

 

「それはサーヴァントと呼ぶ英霊達の力を借りましたからね」

 

「「サーヴァント?」」

 

「もしかして突然現れた少女のことかい?」

 

「恭也さん達は見ていたよね。あの子もサーヴァントだよ」

 

「しかし、得体の知れないが強そうに見えなかったが」

 

見た目はね。あの子自身、そこまで強い訳ではないけどキャスターのクラスらしいことはできるから。

 

「あの子の真名は《ナーサリーライム》。童話の英霊さ」

 

「童話の?」

 

「英霊って人だけじゃないの?」

 

「英霊は必ずしも人という訳ではないよ。彼女の場合、童話を読む子供達の夢が形になった存在だからね」

 

そう、人だけじゃない。たまに神霊だって出てくることがある。

 

「他にも聞きたいことがあるけど、今日はここまでにしましょう。もう遅いわ。続きはまた今度にしましょう」

 

「そうだな。明日は休日だがそろそろおいとまとするか」

 

「あら恭也。貴方泊まっていっても良いのよ?」

 

「残念だが、明日は早くから用事があってね」

 

俺もおいとまするとしますか。

そう思ったが誰かに両腕を捕まれた。

振り返ってみればすずかとアリサが腕を掴んでいた。

 

「あの、二人とも?」

 

「遠慮しないで盾君。家は広いから部屋はあるよ」

 

「いやそうじゃない」

 

「いいから一緒に泊まっていきなさいよ」

 

「あのねアリサ。って」

 

振りほどこうとしたらアリサから震えが伝わってきた。

気丈に振る舞っているが、怖かったのだろう。

ほっとけばトラウマになりかねないか……

 

「分かったよ。俺も泊まっていくわ」

 

ちなみにすずかの方も振りほどこうとしたが、力が強すぎて振りほどけなかった。



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