俺の妹ときたら.... (ばなナイン)
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姫和ちゃんパニック!

はじめての投稿です。かなり粗削りな出来です。

台詞のみ、発言者の名前を省略(三人だけなので....)




ただいま~! お兄~ちゃん!!

 

うはっ!

 

ほ~ら お・か・え・り・は?? ヘヘッ

 

ああ....お帰り。てかもうひっつくな。 ん? 後ろに....ああ、友達だな。

 

あ、はいぃっ! あの、あの、その....はっ はじめはして! 十条....姫ょ和! と申しますっ! こいっ、いや、可奈美、さん にはいつも御世話になっております!!

 

んも~いつもどーりでいーのに~

 

いつもこんなだ!! あっ、いや、その....以後お見知り置きを....

 

えっ、と、こちらこそ初めまして、可奈美の兄です。....妹が迷惑をかけていないでしょうか? なんせこんな妹ですから....

 

問題ない問題ない! いつもこんなんだから! だからだいじょーぶだよねっ! お兄ーちゃん!

 

「「だからだろーが!」!」

 

.... あれ??

 

 

 

そうか....あなたが可奈美と....

 

その節はこぃ....可奈美....さんを巻き込んでしまい、非常に迷惑をおかけして....その、御家族の方にもご心配を、その....申し訳なく....

 

いーよ! わたしが勝手に手を出したんだから! それに無事に帰ってこれたんだし! これにて一件落着! ね!!

こいつはこーゆうやつだ、だからもう気にしないで、な?

 

こ....可奈美、さんは、いつもこんなだったな....いつも脳天....明るくくったくがなくて、あきれ....励まされてきましたから。ハイ....

 

も~てれるよーいや~あはは~!

 

お前は少し遠慮しろ....

 

姫和ちゃん泊まってくんだよ! お兄ちゃん、用意してある?

 

ああ、一泊でいいんだよな?

 

ホントのんびりしてきたいんだよー? なかなか休暇とれなくって~

 

まだ時間があるな。夕飯まで自由にしてくれ。準備するから。

 

あーそれなんだけど~姫和ちゃん作ってくれるって!! つくってくれるんだよね~姫和ちゃん!

 

おまえな~図々しいぞ、お客さんだし、だいたい....「おまかせください!」....はいっ?

 

 

 

いや~おいしかった!!やっぱりお父さんやお兄ちゃんのよりおいしーよねー姫和ちゃんのは!

 

おまっ! お兄さんに失礼だろ! ....いや、すみません、なんというか、その....

 

ああ、もう慣れてるから、そう気にしないで。可奈美、お客さんに気をつかわすな。

 

そうだよ! 姫和ちゃんは気にしなくていーんだよ! いつもどうりでっ!

 

おまえは遠慮しろ

 

え~! いいじゃん! おいしかったんだし!

 

まあたしかに、手際もよかったし。姫和さん、ご馳走さまでした。ハイ。

 

ほんっと! 同じ材料や調味料つかっててもこんなにちがうんだもんね~

 

可奈美! ....え、いやっ、その....ありがとうございます....お兄さん....

 

姫和さん、ほんと遠慮することないんだけども....

 

 

 

風呂、沸いたようだな。どちらか先に入ってきな。

 

じゃあ、姫和ちゃんさきはいっていいよ!

 

タオルや備品もうわかった?

 

はっ? はい! あっ、ありがとうございますっ! ではさきに失礼します!

 

 

....すごく真面目な子じゃないか。まだ緊張がとれてくれないなあ。

 

ふだんの姫和ちゃんはもおっとすごいよー! 『きさま!』『おまえ!』だもん。わたしにも問答無用だよー。あの紫様にも呼び捨てだし!

 

....あの時の事はまだいえないのか? 守秘義務かなんなのか? あのノロ大量流失事故ともなにか....

 

いやぁ、なんというかぁ....ははっ! わたしのアタマじゃ説明できないような事かつぎからつぎへおきちゃってぇ....へへっ、ただ姫和ちゃんのあとをただついてっただけってかんじ、かなぁ? あはっ! で、気づいたら友達はふえるし舞衣ちゃんもきてくれるし潜水艦にものっちゃうしミサイル? で空飛んじゃうしわ~もーいっぱいっ!! たのしかった~!!

 

はぁ、どうせおまえだからなにも考えないでるんだろう?

 

そう! そうっ! それっ! なんかからだが勝手にうごいちゃうんだよね~! あのときだって! ....て、えぇ....あぁ....あはは....

 

機密事項ってやつか?

 

きみつ? ひみつ? えー....なんのことカナー....わたしじゃワカンナーイ....てかっ....えーと....

 

....ああもうわかった。もういい。無理すんな。おれはなにもきいてないしおまえも何もいってない。それでいいよな? 可奈美。

 

....ごめんね、お兄ちゃん....みんなに心配かけちゃって....

 

 

 

お風呂お先です....ありがとうございます。

 

あーあいた~!

 

さき入ってこい。

 

うん! いってくるねー!

 

 

....おいっ、可奈美!

 

な~に~?

 

....余計なことは喋ってないだろうな....?

 

んー? なんのことだっけ? て、あ....ないっ! ない! ないないないってっ!!

 

おまえ....

 

いや~なんてゆーか、その、ね~? ははっ?!

 

....ったく、おまえって奴は....!

 

ぇえ~と??? ....ちがう! ちがうって!! あの....その....んもお~....だからぁ!!

 

 

 

 

!! お兄さんっ!! ....そのっ! ....あのっ!....ってっ!! お兄さんはちょ、チョ、チョコミントがコ、コ、好ぅブツっ! とききましたがほほほんとっ! で! しょうかっ!!!!

 

....はいっ?

 

 

 

 



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姫和ちゃんパニック!!

さっき投稿されたのを確認しました....はずかしい....ほんとはもう少し前書きを綴るつもりでしたが何かの拍子に投稿へと飛ばされてしまいました。これからは注意して書き込みます。


お、お兄さん....これがそのクッキーです!

 

ああ、そう....(これは....チョコクッキーに青白い蛍光塗料をコーティングしたような....禍々しいしいな....これ、食わないわけにはいかんのか....)....そういえばこのパッケージ、舞衣さんの....

 

そ、そうだ! そうなのだ! これはっ! あの! 柳瀬舞衣、手製の....そう! わたしの、わ、た、し! のためだけの! 特注の! チョコミントクッキーなのだっ! 〈ドウダッ!!〉

 

(大事だから二度念を押したね。それにずいぶん偉そうに胸を反らしているな....これがこの子の『そのまんま』の姿、なのか? それにこれ、自分で作ったわけじゃないだろ....つまり、あれか? これ、この子以外誰も食べないからこの子にだけ作ってあげてるのか? やっぱり舞衣さんひとがよすぎる....)

 

まあ、舞衣さんの作ったものならまちがいは「はア?」....ないとおもっただけなん....「....だれがつくろうが....チョコミントはチョコミントだろう!!」 あ、ハイ....(こぇ~って!!)

 

さあ! 兄さんっ! さあ! さあっ!

 

 

 

....いけるな、これ....

 

そ、そっ! そうだろう!?! そうだよなーっ! そうにきまっている!! さすがだ兄さん!! この味のよさがわかるとはさすがだっ!! やはりわたしの見込んだとおりだ兄さんっ!! (兄さんって....) ふっ、ふ、ふふふ.... (ええ何....)可奈美の奴め! おのれの血を分けた兄弟がまさか! 我等がチョコミン党の同志であったというこのまぎれもない事実を!! いまにとくとおもいしるがいいっ!! 〈フゥンっっ!!〉

 

(....ずいぶんキャラが崩壊してきてるな....呼び捨てだし。しかも人様の妹を罵倒するとはいい性格してんなー....) ....あの~....そろそろ....よろしいでしょうか....?

 

....はっ! へぇっ?! ....あああああああ~っっ!! すいませんすいませんすいませんすいませんんんんっっっ!!! でしたっっっ!!!

 

 

 

 

....でもふつうにうまいぞ。まあ初めて食ったってこともあるが....なあ姫和さん、チョコミントで可奈美となにかあったのか?

 

すいません。はめをはずしてしまって....お兄さんのことも呼び捨てに.... 「まあいいから」すいません....常日ごろ、可奈美さんに....『チョコミント~は歯磨き粉!♪』などとからかわれているのでつい....でも、わたしのまえではじめて『うまい!』ということばを耳にしてしまったのでその....ついつい舞い上がって....ついその....はい....

 

そうか、まあ確かに、いわれてみればそうでなくも無い。あいつ、けっこううまいことをいう....「お兄、さん?」....いや、べつにそ....「....いま、なんて?」(怖っ!怖っ!)なんでもありませんっ!

コホン....自分の好きな物の悪口をいわれりゃ....まあね、そりゃ怒ってとーぜんだが....でもこの味はひとを選ぶとおもうぞ。

 

はい、たしかに。それは認めます....

 

ん~む....ひょっとしたら! 「はい?」....あなたは『選ばれた』のかもしれん! その、チョコミントの....『精霊』に....! 「はあ?」....いやいや、つまり....あれだ! 『ひとがチョコミントを選ぶのではない、チョコミントが! ....ひとを選ぶ!』のだ!! どうだ!? 「お兄さん....」いやいやいや....

つ、ま、り! この味を理解できるのは極小数の選ばれし精鋭たちということだ!! これならどうだ!「・・・・・・・・」....そう....我々は『聖・チョコミンツェル』に導かれかつ、守護を命ぜられた『聖・チョコミンツェル騎士団』としてこの世に転生してきたのであった!! 「あのぉ....お兄さん....」さあ友よ! 剣をとれ! とってともに....(って、ああ....いかんいかんいかん!!! 以前こじらせていた暗黒の『あの』病がまた....幾年月を歴て....我が心の底より湧き出ずりようとしている!!....鎮まれ....!我が漆黒の記憶! 消え失せろ! 我が暗黒の歴史....!!トリャア~っ!)

 

 

!!!お兄さん!?! 「へっ? あっ....はぃ....?」

 

 

 

 

 

 




....なんか書いている本人の黒歴史? が....


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姫和ちゃんパニック!!!

なかなか書き慣れません。結構時間がかかります。完結出来るのでしょうか....?


....要は、歯磨き粉の味とからかわれることに怒れるんだろ? 食べてもらえることはもう期待しないほうがいいんじゃないか?

 

そうかもしれませんが....んんん~っ、、なっとくいかない! ナゼだ?! なぜみんな歯磨き粉の味というだけでこんなに敬遠するんだっ! 歯磨き粉は毎日つかうくせに! こんな理不尽なことがあるかっ! ひいきだ!!

 

....そうか、そうだな....そうだ! じゃあ見方をかえてみようか? ....つまりだ....チョコミントが....歯磨き粉の味をしているんじゃない、歯磨き粉が! ....チョコミント風味してある....というのは、その、どうだろう....発想の転換だ....

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

(あれ?またおれいらんこと言っちゃったのかなー....この子怒らすとえらい恐いしなー....可奈美~! はよ風呂からでてきてくれー....たのむー....)「あのぉ....」そうか!! 「ふぁいっ?」兄さんのいうとおりだっ! ....なぜいままで気がつかなかったんだ!!

そうか....そういうことか....ふ、ふふふふふ....(えぇぇ....また....)愚かな連中め....!

毎日チョコミントで歯を磨いておきながらまるでその事実に気づいておらぬとは! 片腹痛い奴らだわっ!!

(....いや、あなただっていま気づいたんでしょう....)

ほんとーは好きなもののはずなのに、それに気づかぬふりをしつづけるというのは、なんていう、その、ツンデレ?? なのかっ!? つまり、あの、あれだ、その....みんな、なんでっ?! そんなにっ! あーっ!!すなおになれないんだあああー!!! っ....ハァッ....ハァッ....ハァッ....

 

 

 

....息を切らしてるけど、大丈夫か....

 

 

 

 

 

 

(....ううぅ~....またもやってしまった....恥ずかしい~....しにたいぃ~....)お兄さん....またも見苦しいすがたを曝してしまい....慙愧に耐えない~....

 

....まあおたがいさま、ということで、このことはチャラっ! ....ということにしとこうじゃないか....(おれもバレたかない....)ほら、お茶も淹れてきたしおちつこう。舞衣さんのクッキーも久しぶりだし!

 

....はい....お兄さんは....おやさしいですね....「はあ....はい、.恐縮です....」似てませんけど....「あ、ははは....」

....はっ! また失礼なことを!! 「いいって! よくいわれるし....ははは....」

 

 

....ん~む、いたってふつうに食えるんだが、いったいなにがいかんのか?

「....お兄さんこれも!」 んん? これは....マシュマロ? 「ぜひ! ぜひ!」

....んんん....ミント味を練り込んだ空色のマシュマロに砕かれたチョコチップが程よく心地いい歯ごたえを与え、かつ鼻に抜けるその爽やかな風味はやがて訪れるであろう春の嵐を予感させつつ....こっ! これは....いいものだっ!! 「兄さん!! 兄さんは....やっぱり....あなたはいいひとだっ!!」

そ、そうか!? 「そうだ! いいひとだ!! ....これがあの可奈美の兄さんとは....もったいない!! わたしがもらう!!」....はい!?

 

 



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姫和ちゃんパニック!?!

今回で姫和編、完結! ....できるかな....


....姫和ちゃん! いまなんて....? 「おぉ出てたのか可奈美」

....ふたりでなに話してるの....って、これ舞衣ちゃんの?....「ああ」

....お兄ちゃんたべたの?....「ああもらったから食べた。うまいぞ」

....ふぅ~ん....おいしいんだ。。。「おい 可奈美?」

 

どぉ~だ可奈美っ! お兄さんはちゃんと食べてくれたぞ! 貴様とちがって兄さんは大海の如くわたしのすべてを受けいれてくれたわっ!(ちょ、ちょ、ちょ....っとまってくれ! その言い回しには誤解がある! てか生じる!)「....うそ」(おい!)「お兄ちゃんが....」(まてっ!)「姫和ちゃんと....」(ちがう! 誤解だ!)「いっしょに舞衣ちゃんのクッキー食べてたなんて! わたしにナイショで!」 (ズコ!)「ずる~い! わたしも食べる!!」

 

ふふふ....残念だったな....ここにあるのはすべて!! チョコミント味だっ!「ええ~っ!!」....さあ、我らとともに食したいというのなら喰らうがいいっ!! 貴様のような下賤な口を持つものがこの高尚たる味をを受け容れるかどうか! とくとみとどけてくれるわ!!(....そのキャラ、魔王が降りてきてますけど....)「うげっ....ほかにないの~?」....おまえっ、いま『うげっ』っていったな~っ! 「だっておいしくないんだもん」ばかっ! そこはオブラートにつつんでいうところだろ!(あの~お二方....もうそのへんでよろしぃんじゃないかと....)「え~姫和ちゃんもたいがいだよ~!」わたしはもともとこんなだっ!(....あ、認めちゃったよこの子....)

 

 

 

 

....ふ~ん....お兄ちゃん、おいしかったんだチョコミント....「まあ悪くはない」

....それで姫和ちゃんとも気が合ったんだ....「んーまあそうだな」

....へぇ~....それで姫和ちゃんお兄ちゃんをとっちゃうんだ。「ぶはっ! ちがうちがうっ! あれはただのことばのいきおいだっ! そうだよなっ! 姫和さん!!」

 

兄さん....自分の妹相手になにをあせっているんだ?「いやぁ....それは....「いま、姫和ちゃん、お兄ちゃんのこと、『兄さん』てよんでたよね....」」

「まぁそれははなしの流れでそうなって....「そこは『お兄さん』っていうところじゃない?」」

....おい、可奈美、に....お兄さんは悪くない。ただわたしが....少しばかり....はめをはずしただけだ。

....あああもうっ! はじめてチョコミントで気が合っただけだ! それで舞いあがってよけいなことも喋ったというだけだ! やましいことなんてない! 「ほんと....?」「「ほんとうだ」」「うそじゃない?」「「うそじゃない」」....「なんか息ぴったりだね」「そ....「そ....そんなことはない」っ!」「・・・・・・・・」

 

(....そうか....めんどくさいやつだったんだな....可奈美の奴め....それで兄さんも....)

と・に・か・く! 可奈美が心配しているようなことはなにもない!

それに今日あったばかりだろう!「....うん」

そしてまた忙しくなる「....うん」

これからもそう滅多に会えるわけじゃない「....うん....でもそのぶんお兄ちゃんに会えなくなる....」

....おまえ、ほんとお兄さんのことがすきなんだな....「うん! だいすき!!」....ほんと、すなおだな「ぇへへへへ....」

 

 

 

でも、チョコミントだよ? お兄ちゃん、なんともないの?

 

もとはといえば....おまえがお兄さんの好物はチョコミントだと言ったからこんなことになったんじゃないのか!?

 

あれ~そうだっけ? もうずいぶん昔のことだからおぼえてないや....ははっ!

 

おまえが風呂に入るまえだっ!

 

え~と....へへっ....

 

....お兄さん....可奈美はこういうやつです....

 

....うん、しってる....

 

だって、チョコミントだよ、お兄ちゃん。おかしくない? だってあの味ってさあ....

 

(いかん....『あの』せりふは言ってはならない....いわせるわけにはいかない....姫和さんの前では! ....封印された『魔王』が召喚し、この世はふたたび阿鼻叫喚の巷に....)

(可奈美....この期におよんでまだ『あの』禁断の言葉を口に出そうというのか!? せっかく訪れたこの平穏の世を、またも乱そうというのか!?)

 

はみがきこ....「「歯磨き粉いうなっ」!!」

 

え............

 

((しまった~!!! つい反射的に!! しかも同時に!!!))

 

....うそ....なんで....やっぱり....「「ちがうちがうちがうちがうっ! 偶然だ! たまたまだっ!ただの気のまよいだっ!!」」....やっぱり気も合ってるし....「「だから偶然だ!」」わたしなんてわたしなんて....「「おいっ!」」....お兄ちゃんのばかああぁ~っ!! うそつきいいぃ~っ!! うらぎりものおおぉ~っ!!!ドタドタドタ....

 

 

 

....ふぅ....あいつは筋金入りのお兄ちゃん子だな....ブラコン....って言うんだっけか? ....まあ可奈美のことだ、一晩すればケロッとするだろう....あとでよく言い聞かせますから兄さんも....「....こったかなみがおこったかなみがおこったかなみがおこったかなみが....」こっちが重症だっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




おわった....なんとか書き終わりました。ふぅ....なんか世間様に恥をさらす様な事で疲れを負ってしまうとは....

初めての作品なのでかなりの不備があるかも知れませんが楽しんていただければ幸いです。では。


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いざ美濃関 !

また恥の上塗りのような事を....ではどうぞ。


俺、岐阜に住む極々平凡、よって自ら名を名乗るでも無い、ホント極々普通の高校生(18)。何ら取り柄も無く、ラノベの鈍感系主人公にもその取り巻きとしても取り上げられることが無いであろう無個性派モブキャラ。しかしながらなんで、ここで自らを語ろうとするのか? それはひとえに、あの妹の兄であったからに過ぎない・・・・

 

 

 

これから講堂に移るー! スマホ、携帯、忘れないようにー!

 

 

普通学校は、こういうものを生徒が持ち歩くことを快く思われない場所であり、それでも持ち歩いているとするならば、それは学校側の黙認である。ところが、これから行われるであろうある講習会では、これらは必須アイテムなのだ。何故か?

 

 

ではーこれから荒魂の対策について講習をはじめるー! ではー! 鎌倉からこの講習の為に来て下さった、刀使の方々に! 拍手!

 

 

おぉ、なんかちっちゃな子が....って刀デカっ! なんかくたびれてそーな子だねー。 あれも刀使? なんか制服が.... 美濃関と違うねー。 大丈夫か? アレ?

 

 

なんか心配されている....大丈夫なのか? ホント。あ、もう一人いるの....ぅおおお!!

 

 

おいっ! なんだ!? でけぇ・・・・ パツキン! バインバイン! ナイスバディ!!

昭和のオッサンかっ! ぅわぁ....男子うざ.... きれい・・・・

 

 

どよめいてる....俺もその一人だしな。でも正直ホッとした。この講習があると聞いて、まさか可奈美が....と思ってたが、よかった・・・・もし、壇上から俺の姿を見つけてたら....俺は単に目立たないのではない、目立ちたく無いのだ・・・・面倒事は一切御免、平凡が一番の平和主義者なのだ。

 

 

デハー! 自己紹介シマス! 私ワー古波蔵エレン! でっ! こちらワー!

 

益子 薫だ・・・・

 

二人して、鎌倉からやってキマシター!

 

おう・・・・

 

 

元気溌剌と無気力....この対比は漫才コンビを思い出す....

 

 

・・・・デワ! 今インストールしたアプリをー! 三回連続おせバー! そのまま刀剣類管理局、自衛隊、伍箇伝校など各部署ニー! GPS機能デ現場の位置を表示する事が出来マース! 荒魂とすれ違ったときワー! 冷静にコレを起動させテー! クダサーイ!

 

・・・・ちなみにフツーのケータイもってる奴はー、口で電話な・・・・間違ってもメールだのLINEだの・・・・手で打ってる暇なんてねーからなー・・・・

 

モチロン悪戯もイケマセーン! ウソも繰り返し続けてるト? オオカミ少年になりマース!!

 

狼と少年な・・・・

 

OH! ニホンゴ難しいデス!

 

 

適当にウケを取ってるな・・・・まあ上々・・・・もう校内でケータイはー! なんて言ってられなくなったんだな・・・・可奈美も忙しそうだし....

あの鎌倉でのノロ流出事故以来、ここらでも荒魂の出現が多くなった。俺らが生まれる前ぐらいに凄い荒魂が発生して、それを当時の刀使たちが鎮圧して、それから約二十年、俺らはほとんど荒魂とは縁の無い子供時代を過ごして来た。しかしここに来てコレ・・・・

それで彼女たち刀使が宣伝隊となってこうして全国をまわっている。大変だな、こりゃ。

 

 

デワー! 説明も一通り過ぎましたノデー!? ココは美濃関学院ニ近いデスネー! ひょっとしたラー!? この高校にエトウ....

 

 

 

えぇえ・・・・




疲れました....続きは明晩! おそらく....


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いざ美濃関 !!


今日サボろうとしましたが....さあどうぞ!


*誤字訂正いたしました。「あぶない外道」様ご指摘ありがとうございます。


ちょっ! ちょっとマテ! その名前をこの場でだすな! 衛藤って苗字は珍しくは無いがこの高校では....オレ独り!? ダメだ~っ!! 目立ちたくない!!

 

「おいエレン。その名前は可奈美から出すなって云われてなかったか....」

 

「エ~ッ! 勿体無いデス!」

 

「おい、えとうって....」 「 そんな奴いたっけ? 」 「 さあ? 」 「別に珍しい名前じゃないからなー」

 

クラスにも認知されていない・・・・喜ばしいのか虚しいのか・・・・

 

「おい、お前確かえとうって.... 」 「そ、そうか? まぁ珍しくないからなー」

 

誤魔化せているのか? まあ今さへのりきれば・・・・

 

「おうっ? 「ねねー!」 おいっ! ねねっ!! なんだっ?!」 「OH! ねねデース!! 「ゲージから逃げてきたのか!?」

 

「なんだっ!! アレ!!」 「ネズミ!? 」 「猿じゃないの!?」 「何か、ヘン・・・・」 「キモカワ~っ!!」

 

ふぅ....気がそれた....

 

「ちょっと待てっ!! ねねっ! そっちは・・・・!」 「ねね~っ!!」

 

「キャ~ッ!!」 「なにっ! なにっ!」 「飛んで跳ねてる!!」 「カワイ~!」

「えっ! ....ちょっと?! なにっ! なんなのっ!?」

 

謎の生き物....一人の女子生徒に....むねに....たにまに....うづくまってる....

 

「おおっ、ここか....コラっ! 「ねぇね! ぎゅー!」 離れねえ....大丈夫か?」 「ええ? はい・・・・」「・・・・ホウ、姐さん、アンタ将来有望だねえ....へへっ 「はい?」 もうすでにそうか....」 「Oh....こまったデスねー」

 

全校生徒がこの子にくぎ付け・・・・ 悪いがこのまま終わってくれれば....終わるぞ! ヨシ!

 

「クンクン! ねねっ!? じー!」 ん? あの生き物、俺と目が合いやがった! ジーと見つめてやがる....嫌な予感が....何だ!? おいっ! コッチくんなっ!! 「ねねーっ!!」

 

「おいっ! ねねっ!! そっちはメスじゃない!!」 「 OH! なんなのデース!?」

 

やめろ! ヤメロ! 目立ちたくない! おい! 頬ずりしてきやがった....ああ....結構気持ちいいかも....なんてことはイイっ!! ああ....肩の上でくつろぎやがった・・・・

 

「おう、旦那、大丈夫か? 妙だな....ねねの方からオスに懐くなんて....まさか、オトコの娘....の逆なのか? 旦那?」

 

男の娘だの旦那だの....なんとかこの生き物を連れてってくれ~! 衆目がオレに~! タノム~!

 

「Oh....ひょっとシテ....アナタは可奈美の....カナミンの! お兄ーサンですネーっ!! WoW!! 逢いたかったデース!!」 ムギューっ!!

 

「ぅおおおお~っ!!!」「おいっ! なんだっ!!」「なにがドオシタ!!」「おぃ....キミは確かエトウ君といったね....ソコを譲りたまえっ!!」

 

ネタに走ってる場合かっ! あぁ○ぬ....窒息する前に社会的に!

 

「旦那ホントに可奈美の兄貴か....? 似てねえぞエレン」

 

「絶対デース! ねねを信じるのデース!」 「ねねー!!」

 

ねねーとしか言ってないようだが・・・・

 

「まあねねは鼻も効くしな。可奈美と同じ匂いを嗅ぎつけたかも知れん」

 

こちらには確認無しかよなんとかしてくれタノム・・・・

 

「ミナサーン! こちらのお兄ーサンワー! 私たちの仲間、衛藤カナミンのお兄ーサンデース!!」

 

「へー、お前の妹って刀使?」 「知らんかったーてお前ダレ?」 「おう俺お前の名前知らんで友達だったわ」 「えとうくんて?」 「えーとほら、確かウチのクラスの....」

 

う・・・・さらにダメ押しとは・・・・それによく知られて無いってのはかなりキツイ事なのか・・・・なんとも思ってなかったのに・・・・

 

「衛藤カナミン! は刀使の中でもトッっクラッっ! の実力を持つ剣術使いデース! 幾度も私達と死線を潜り抜け! ソシテ私達を助けてくれた最強の刀使でアリ! 私達のサイコーの友人デース!!」 「ねねーっ!!」

 

「おお~っ!!」 「おいっ見ろ! アレ!」 「可愛いぞ! あの娘!」 「本当にコイツの妹かっ!?」

「ウッソ? カワイイ~ッ!」 「マジで!? ヤバっ!」 「ホントにあいつの!?」 「似てね・・・・」

 

おい....何事、てなんだ~っ!?! なんで大型モニターに可奈美の映像が~!!

あぁ....このキンパツ....スマホの写真とこのモニター....リンクさせて講演してたんだな~! なんてことを....もうこの高校に俺の安住の地は無いのか・・・・

 

「おおおい! エトウ・・・・いいい妹サンをオレにししし紹介してくれれれ~!」ってお前もダレだっ!

「これから兄さんって呼んでいいすか!? センパイ!」 同級生だろうが!

「実はオレ....お兄さんのことを....」 まままて、早まるな! こころの準備が....!

「アニキって呼ばせてくれっ! ウイっす!」 ソレはちがーう!!

 

なななんかヘンなのが湧いてきた....なにがなんだか....そうかこれがモテ期! モテ期というのかっ! てちが~う!! そうだこれは夢だ悪夢だ異世界だトラックに撥ねられればハイ元通りって○ぬんかいっ!

 

衛藤、ちょつと来い。

 

救いの神は担任教師....このあと生徒指導室でこっぴどく説教されましたとさ。何で俺だけ・・・・おしまい。てなんでやねんっ!!

 

 

 

 

 

 




二作目書き終わりました。疲れました....まだ慣れません。もう寝ます。ありがとうこざいました。


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鎌倉へGO! であい!

えーと....お読み下さい....


さて、南口、と。んーどこだー? 可奈美のヤツー?

 

俺、『匿名希望、可奈美の兄』は、今、鎌倉のとある駅の前に居る。中々岐阜に帰れない我が妹が業を煮やして兄であるこの俺をここまで呼び付け、しかも事もあろうにホッタラカシとは....「お兄さん」全く実の兄をなんだと思っている! 「お兄さん?」どうせ可奈美のことだ、スッカリ忘れて「お兄さん....」いるのだろう....

昔っからこうして舞衣さんにも「お兄さん....!」....ハイ? えっと....「ここです....」ぅわっ!?

 

「初めまして、可奈美の、お兄さん....?」

 

「えっとー、はい、私が可奈美の兄です....貴女は....」

 

「私、可奈美の同僚、鎌府女学院一年、糸見沙耶香と、申します....」

 

なんか、中一の英語の授業の様な会話だが、可奈美の奴....わざわざ後輩の子をよこすなんて....結構先輩風吹かしてる、て事か? こんな小学生上がりの小さい子に! ここは兄としてビシっと言っとかねば....「お兄さん?」ぇ、はい....

 

「ここ、車、待たせてます。乗って、下さい....」

 

「はい、ありがとう、ございます....」

 

緊張しているのかナ? こちらまで口調が....

 

そして、やって参りましたここ鎌府女子寮....IDカードを首から掛けて、いざ! 男子禁制の花園....なんてことはなく、至って普通の建物だし、男性職員だって居る。ただ就寝時間には....てだけで、無駄にドキドキした....

 

「可奈美、まだ、帰ってない?」「んーまだみたい」「この方は?」「可奈美のお兄さん」

「「「「「「「えーっ?!?」」」」」」」

 

おいおい....ひとが集まり始めた....

 

「え~!?」 「どれどれ~?」「あのひと!」「糸見さんと一緒の!」

「衛藤さんのお兄さんでしょ!きっと!....」

 

「「「「「「「似てない」」」」」」」

 

あぁ....御免なさい....不肖の兄です。「お兄さん、こっち」はい、こっちです。

 

ああぁ・・・・可奈美の奴・・・・あとでおぼえてろ・・・・

 

「でも! ....あの....お兄さんとケッコンすれば....ワタシと衛藤さんは姉妹! ワタシは姉....! 衛藤さんは妹!

....ふふふ....ふひひ....」

「あゆむー、なにしゃがんでんのー? おなかー?」

 

何かヘンな気配も感じるが....「ここ、可奈美の部屋。鍵、これ」 ガチャ!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ああ....予想通り....でも予想以上でない処は褒めてやろう。ナデナデ。

 

「さてと! やるか! 糸見さん、ありがと....「んんん....」ん? なに? て....」

 

糸見さんのアタマに手を乗せていた・・・・え、えーと・・・・

 

「ゴメン! 御免なさい!! ついいつもの癖で! えーとぉ・・・・」

 

「いい、いいの....いつも舞衣に、撫でてもらってる。だから、続けて....」

 

爆弾発言だ....! 気まずい....でも確かに嫌がってない....ウン、妹が一人増えたと思えば....ウンウン!....

 

「ま、まぁ、でも、片付けなくちゃ! 糸見さん、後は俺が....」

 

「私、手伝う」「でも....」「洗濯、する」「こんな量だよ!」

 

部屋一面に拡がる脱ぎ散らしの服....アイツどれだけの着替え持ってんだ! まあ皆量販店の安売コーナーかな。可奈美が中学に上がるまで、家族三人でよくショッピングモールで買い物してその後食事をしたもんだ。

今じゃ親父も可奈美も忙しくてこうして会う事も稀に....って、暇なのはオレだけ!? ....ハイ、不肖の兄です....

 

「洗濯機のある所に、持ってく」「それぐらい俺が....」「場所わかる?」「教えてくれれば....」「お風呂の、着替え室....」「お願い、します・・・・」

 

ああ、ここにあるカゴだけじゃ足りない....何回か往復しなきゃ。何か悪い....

 

「お兄さん、へいき。行ってくる」

 

行っちゃった・・・・ここは好意に甘えよう....さっきみたいのはもう勘弁....

 

「お、お兄さん! ああ、やっぱり!」「あ....貴女は!」「お久し振りです! 兄さん!」

 

姫和さん、十条姫和。可奈美が妙に懐いている一つ上の刀使。この前ウチに連れて来た時はエラい事に....

 

「今帰ったとこで....周りが騒がしかったから....皆似てないと! やはり....!」

 

息を切らす程か? まあそこまで再開を喜んでくれるなら悪い気は....でも『やはり!』て....

 

「ここは可奈美の部屋....てなんだコレはっ!?」

 

驚くのは無理がない。姫和さん、可奈美の部屋に入るの初めてってことね....アイツにも恥じらいというものがあるのか....

 

「それに匂いも....これは....」「ああ、これな....可奈美の大好物だ....」

 

備え付けのキッチンの流しに溢れるカップラーメンの脱け殻の山....兄も周りも認める美少女はしかし、自室ではオンナを捨てていた....

 

「あいついつの間に....夕食は結構食べている方なのに....」

 

「ああ、アイツの夜食だ。オレの育て方が甘かった....」

 

 

 

 

 

 

 

 




カップラーメンのネタ、確か折神紫様の好物がカップ焼きそば! という話だったような....そこから頂きました。


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鎌倉へGO! ふんとう!!

明日にしようとしましたが、書きました。どうぞ。


結局、姫和さんまで掃除に巻き込む事に....しかし可奈美、殊勝者だぞ! こんなに周りに可愛がられるなんて! まぁ、ただ単に後片付けをさせられる事が多かっただけだったりして・・・・

 

「兄さん! ゴミ袋が足りない! 持ってくる!」「ああ御免な....」

「お兄さん、もう一回、行ってくる....」「有り難う、糸見さん....」

 

二人が手伝ってくれて約一時間....何とか観られる様に....しかし可奈美め....いつになったら帰って....

 

「終わったようだな、兄さん」

 

「そうだな、もういいだろう....有り難う。姫和さん」

 

「それはそうと、兄さん! コレを!」「おお! 新作! これは!」

 

『ベニテングダケの密林』! イヤ流石にマガマガ....いや、食欲をそそるネーミングとデザイン! でもこのキノコ、傘は赤地に白い斑点だったような....「そんな細かいことはともかく、さあ! さあ!」

 

「おお! いけるぞ! 姫和さん!」「そうか! そうか! やはり! チョコミントは最強! という事だな! 兄さん! これでこそ私の兄さんだ!」

 

「兄さん、て、姫和....」「おお? 沙耶香! 何故ココに?」「えぇと....アレ!?」

 

この二人....一度も顔を合わせていなかったのか? この掃除中に? それに顔見知りか?

 

「姫和、また食べてる、ソレ。お兄さんと....」

 

ヤバい....俺と姫和さんは顔を見合わせた....この事が可奈美にバレたら!

 

「ああ....沙耶香も....コレ、食べるか....?」「いらない。それ、苦手」

「糸見さん、その、手伝ってくれて有り難う....! 御礼がしたいんだけど、どう?」

「おお、そうだ! 私も助かった! 私からも、どうだ!? 沙耶香!」

 

「姫和の為じゃ、ない。」「お、おう....」「どうしても、なら....」「ウンウン!」

 

「お兄さん、私も、名前で、呼んで....」

 

 

 

「えっ、えーとぉ....」「兄さん! この際だ! 私の様に名前で!」「駄目? お兄さん....」

 

ナントイウコト・・・・これでは妹系ハーレム男じゃないか! オレは! いつからこんなレベルアッパーな事に....でも、下手すりゃ実妹に半○しにあうというオマケ付き....これをどう乗りきったら....!

 

「わかった....名前で....沙、耶....香....さん....」「ありがとう、お兄さん....」

 

嬉しそう....そんなにいいものなのか? 名前で呼ばれる、て....?

 

「それと....」「まだあるのか! おい!」「ぇえ....」「裏取引、薫に教わった」「薫....まったく碌なことを教えない!」「カップラーメン....」「「へっ?」」

 

「カップラーメン、食べたい」「それで....いいのか?」「ウン。舞衣が食べさせてくれない....」「まあ、舞衣さんならな....」

 

そして、妹の部屋をあさる....とんだ変態兄貴だ....しかも妹の親友と....シュールだ....

 

「うーん、流しの下にも....」「兄さん! 最後の手段だ! ベットの下を!!」「ソコはマズい!」「でも女の子だからイケナイものは....」「なに、慌ててるの? 二人とも」「「・・・・・・・・」」

 

そうか....姫和さんにはわかるのか....なんて感慨深いことはともかく....「あった」

 

「へっ? どこ?」「机の引き出し」「机って勉強机の!?」

「可奈美....なんてとこに....」「またあった」「こんどは!?」「ベッドのなか」

「「なかっ!?」下じゃなくて!?」

 

可奈美・・・・オマエはどういう日常を送っているのか....ベッドの中でカップ麺と添寝....「ぬいぐるみなら可愛いものを....」....ん?

 

「姫和、ぬいぐるみと寝てるの?」「ばばばばばバカなっ!私がそんな! カワイイこと・・・・」

 

なんか姫和さんのクールなイメージが....まあチョコミント騒動で随分剥がれ落ちたけど....

 

「ウサギとイヌとトロール、登録商標付き・・・・文句あるかっ!」

 

これはまたファンシーな....ギャップがたまらない....

 

「私、等身大抱き枕」「「へっ!?」」「ん? キリンさんの」

 

ああ、そういう....オレと姫和さん、顔合わせられない....

 

 

 



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鎌倉へQO! かんけつ!!! さらば妹たち!?

えーと....どうぞ....


*誤字訂正いたしました。「銀太」さんご指摘ありがとうございます。


「六つか....」「見たことの無い物も....」「私、全然判らない」

 

沙耶香さんはともかく、姫和さんも判らないというカップラーメンは、恐らくご当地もの....その地域限定物にプレミアが付くか知らんが、少なくとも沙耶香さんには普通のカップ麺のほうがいいだろう。もし貴重品だったら....いずれは食べるもんだけど....

 

「これ! これは初心者向き! この縦長のカップ麺は世界初と云われるカップ麺で! これはヨーロッパの某小国に派遣されたこの国の警部と機動隊員が夜勤中にズルズルと啜っている処をドキュメンタリーで公開され、一躍大ベストセラーとなったという伝説のカップ麺なんだ!」

 

「おお! 私も観たぞ! その映画! 最後は一介のドロボーが姫様のハートを盗んで去っていくという! ああ~! 女性だったら一度は憧れるぞ! あのシチュエーション!!」

 

「いつになったら、食べられるの?」「「・・・・・・・・」」

 

「そ、そうだな、作ろう! 私はキッチンでお湯を沸かす!」「つくりかた、みせて」「ああ、ただ、紙の蓋をここまであけて、お湯を注ぐだけ。あと三分おまちっ! ってとこ!」

 

「沸いたぞ! 兄さん!」「よし! ここに注げ!」「ラジャーっ!」

 

息ぴったしだ....共通の後ろめたさがあるとこんなに共闘できるものなのか....

 

「おいしい....」「「ふぅ~・・・・・・・・」」

 

試練は去った。去ったよな? 後は可奈美の洗濯物を取り込んで来るだけかな?

 

「それなら兄さん、今度は私が取って来る」「いいのか?」

「任せておけ! これでも私は兄さんの戦友だ!」

 

なんと頼もしい....我が妹もこのぐらい甲斐甲斐しくあって欲しかったのに....

 

 

 

「お兄さん....」「んー?なに?」「私、役にたった?」「おお、勿論!」「ほんと....?」「ほんとほんと!」

「実の、妹みたいに?」「まあ、実の妹がアレなんだが・・・・」「じゃあ、その、あの....」「ん?」

「さっき....みたいに、ん。」「えーと・・・・」

 

アタマを差し向けてきた....つまりこれ、撫でてくれ、という....まあ、撫でるだけだし、いいだろう....へんもんじゃないし....

 

「んんん・・・・ふぅ....ありがとう。もう少し」

「・・・・はいはい。「あらあら! うふふ!」へ・・・・?」

 

「ん、舞衣、おかえり」「お、おおう! 舞衣さん! 久しぶり!」

 

「お久し振りです、お兄さん? 沙耶香ちゃんとこんなに仲良しになってたなんて、お兄さんのお出迎えを頼んでおいて良かった~! ね! 可奈美ちゃん!」「え・・・・」

 

「お兄ちゃん・・・・どおしてさやかちゃんの頭に手を乗せてるの・・・・」

 

「こ、これは・・・・そこにアタマがあったからだぞ・・・・」

 

「ふーん・・・・そこに頭があれば誰でもいいんだ・・・・」

 

「いや、そうじゃない! この部屋の片付けを手伝ってくれていただけだ!」

 

「そうなの....?」「見ろ! この見違える光景を! 「うん....」いま、洗濯物を姫和さんが持ってきてくれている。ちゃんと二人に礼をいえ!」

「うん....ごめんね、さやかちゃん、お兄ちゃん....」

 

「あああと、カップ麺ひとつ俺が貰ったぞ! 腹が減ってたんでな。ハハ!」

 

「なーんだ! お兄ちゃんが来るならもっとカップ麺買っとけばよかった! 一緒に食べられたのにっ! ね!」

 

「来るなら、て....今日が約束の日じゃなかったのか....」

 

「へっ!? 今日!? ははは....お兄ちゃんまたまた~! あれ?」

 

「やっぱり....すっかり忘れてると思って、沙耶香ちゃんに頼んでおいたの。もー可奈美ちゃんっ! たら!」

 

「....はは~! ゴメンゴメン! すっかり忘れてたよ~! それで担当地区のシフト? おかしーなーって!!

ハハッ!」

 

「はぁ....俺は一体どれだけコイツに振り回されなきゃならんのだ....」

 

「おにーちゃん? 大丈夫だよ! お兄ちゃん可奈美がついてるから! いつでも安心だよー!? ねっ!」

 

「そう、可奈美、こういう子」

「わ~! さやかちゃんに褒められたのって初めてー! ありがとー! さっやかちゃんっ!!」

 

「「「・・・・・・・・・・・・」」フフフっ!」

 

もういい・・・・可奈美はこう云う奴だ・・・・でもにくめない、みんなに可愛がられるカワイイ妹だ・・・・さて、ほとぼりも冷めて、めでたし....

 

「OH! にてないおニーサンが来てる! て? ヤッパリ! カナミンのおニーサンっ! ひっさしぶりデース!!」 ギューっ!! 「ねねー!」

 

あああ・・・・終わったともったら・・・・最終爆撃・・・・意識が遠くなる・・・・

 

「お兄ちゃん・・・・ひさしぶりって・・・・エレンちゃんと・・・・どおして・・・・」

 

「カーナミーン! おニーサンとワ高校で逢いましター! あの時もこうしてたデース!」

 

「おい、エレン....衛藤の旦那、もう○にかけてるぞ....そのぐらいにしとけ....おい、可奈美? お前もどーした?」

 

「うそ....お兄ちゃんとエレンちゃんが....やだ....やだ! ヤダーっ!」 ギュギューっ!!

 

「お兄ちゃんはわたしんだからーっ! 誰にもあげな~いっ!!」

 

「WOW!! ウツクシキ兄妹愛デースっ!!」「イヤこれは重症のブラコンだろ....」

 

「あらあら! ウフフ! こういう二人、久し振りっ!」「面白がってんぞ、舞衣のやつ....」

 

「可奈美、大人気ない。減るものじゃなし」「へるのーっ! お兄ちゃんとの時間がへるの~っ!! もう誰にもあげな~いっ!!!」

 

えーナニナニ? 衛藤さんが? キャーっ! 衛藤さんがオトコのニトに~!! ホント? ほんとほんと!!

うわ~!! すご~い!! あの衛藤さんが男の人に泣いてすがってる~! きゃーキャーキャ~っ!!

 

「おい、こいつは可奈美の兄貴だ。誤解すんな....」

 

へっ!? じゃあ! 兄と妹の禁断の恋路!? うわ~! それ好物だわー! えー! どんなどんな!?

衛藤さんのお兄さんでしょ!? じゃあじゃあっ!!

 

・・・・・・・・・・・・にてない・・・・・・・・・・・・

 

ああ....そうでしょうとも....このフツ面では折角のロマンスがパー....このまま意識が消え去る前に....姫和さん、アンタ、この様子を遠くで観て逃げたな....なにが戦友だ....ああ....こうして、妹に振り回される俺の人生は終わるのか....最後の最後に可奈美に泣き付かれながらの最期、ブラコンの兄として一片の悔いなし....ガク....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第三部、終了です....

UA2800! 先週だけで2000....! ですか....すごいですね....ありがとうございます....

あと一部、でこのシリーズを完結させるつもりですが、これが中々難物で....いつになるかわかりません。

とりあえず、ここでお別れとなります。皆さん、ありがとうございました!


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俺と可奈美と・・・・

「たのむ! ボクと一緒に来てくれ! ボクにはキミが必要だ!」

 

 

 

....いきなりの告白....俺は息を飲むしかなかった....

 

 

 

ここは俺の自宅。突如二人の客が来訪し、重要な話があると告げ、止むを得ず客間へと通した....

 

 

 

「キミには重要な使命がある....!

この国の安寧のため、国民の安全のため! 是非ボクと一緒に来てくれ!」

 

・・・・話が急に飛んでしまった....

いま俺は愛の告白を受けたんじゃ無かったか? それが何で安寧? 安全?

 

 

「....貴女という人は....真希さん....!

ちゃんと誤解の無い様に喋る事がお出来にならないの!? ほら、お兄様が....」

 

 

俺の目の前に座るこの二人....かなり自由に制服を着崩してるがエエのか?

しかもそのうちの一人....顔はどう見たってオトコ....

いやいやそこいらの男に較べてもかなりの、○塚級の顔立ち....!

もう一人は優雅で御淑やか....

良いトコの出であることは身から染み出る様ではあるが若干言葉遣いが....

ウム、古の諺、『東男に京女』を地で行くカップリングだな、こりゃ。

 

「そ、そうか?」

 

「そうですわよ真希さん。お兄様、お困りの様ですわ」

 

「??」

 

 

 

ああ、無自覚だ....この○塚、直情型だな。なにも段取りを考えずに結論だけを先に口走る....

対して隣の御嬢様、上手く手綱を取りに行くタイプか....なるほど、絶妙な組み合わせかな。

この二人、こう見えても刀使の中でも最重要ポストにあたる特別遊撃隊、という組織のNo1、No2、なのだそうだ。

とにかく凄いんだろうな。ナカミはどうか知らんが。

でもこんな凄い人たちが俺んちに来るなんて! アポ無しに....

親父は休日出勤で俺しか居ないってのに。

 

 

ちなみにこの俺、『可奈美の兄(登録商標付?)』は、この春無事に高校を卒業し、地元の企業....舞衣さんのお父さんの会社の関連企業(様は下請け)に就職と、まさに地方人として順風満帆な人生を送ろうとしている....!

自宅通いでもあり、家のローンにも悩まされる事も無い、後はケッ....ゲフっゲフっ!

とまあ、凡庸な人種としては模範的なルートを歩んでいる! のだが....

 

 

「このままではダメになりそうなんだ....だからボクと一緒に是非!!」

 

だからその顔で....って近い! アブナい! 何かにめざめちゃう! だってアンタの顔じゃ....

 

「もぅ....真希さんは口を閉ざしていて頂戴! お兄様、私シから説明申し上げますわ」

 

 

話というのは、可奈美の事だった....可奈美と、親友の十条姫依さんは共に昨年の十二月下旬から今年の四月までの間、

行方知れずだった....

鎌倉からも学校からも要領を得ない説明ばかりを受け、親父も会社を休んで学校や鎌倉へと....

とにかく気が気でなかった。俺は高三で就職活動中だったし、何もする事も出来なかった。

舞衣さんも忙しいなかウチに来ては状況を説明してくれたり励ましてくれたりと....

お袋ばかりでなく、妹まで....刀使という仕事を理解していたつもりだが、頭の中だけのことだった....

 

 

『お父さん! お兄ちゃんっ! たっだいまーっ!!』

 

 

無事に家に帰って来た時の可奈美の第一声がこれ....

思わず玄関を開けたままコイツを抱きしめて大声で泣き出してしまった....

姫依さんも無事で、二人ともまた鎌倉での勤務に復帰することとなったのだが....

 

 

「衛藤さん、美濃関に帰りたいと零していた様ですの」

 

「可奈美が....」

 

 

可奈美が家に帰って来て約一週間、家族三人で話し合ったり励ましあったりと....

親父も俺も刀使を辞めろとは言わなかった。

可奈美もそのつもりは無い様だし、元気に鎌倉へと戻って行った。

それから半年、二度ウチに帰ってきてるがそんな素ぶりはみせなかったぞ。

何があったんだ?

 

 

 

「今、衛藤さんに去られては困りますの」

 

「と、言いますと?」

 

「だからなんだ! だから兄さん! ボクと一緒に鎌倉に!」

 

「真希さん!!」

 

「!?....ハイ」

 

あらシュンと....結構効くのねこのツッコミ。漫才とはチト違うか。

 

 

「順を追って説明しますわ....」

 

今、鎌倉....刀剣類管理局は世間から厳しい目で観られている。

去年のノロ流出事故、そして首都圏での戒厳令....あのクリスマスの夜東京では何があったのか?

地方の住民には知る由もなく、報道も及び腰....これを機に政府の責任を追求する筈の野党まで口を閉ざし、首都での復興事業を優先させる事に合意しているかの様だ。ネットでは審議不明の情報が蠢き、結局何もわからないまま一年が過ぎようとしている。

そしてその批判の矛先が刀剣類管理局並びに刀使達に向かっている、と....

 

 

「先代の局長、紫様が引退されて妹の朱音様が跡を御次なされましたけど、体勢を整えるには器量不足と申しますか....

ここだけの話ですけど、紫様の様な圧倒的なカリスマ性が感じられず、若い刀使達を率いるのにも少しばかり、影響が出始めているのです」

 

確かに、我ら一般市民にも、日常の中に、『折神 紫』という人物の持つ存在感がひしひしと感じられる....ぐらいの影響力は在るとは思われる。表立って宣伝している訳でも無いのに....

やはり二十年前のあの大災厄を鎮めた当時の刀使達のリーダーというのが主な理由だろう。

その時の戦いの様子は伝説として語り継がれ、リーダー及び、当時の仲間達....今では伍箇伝校の校長も務める....の活躍の結果、刀剣類管理局並びに特別祭祀機動隊の権威が大いに高まった。と、その様に俺たちは学校で習ったのだが....

 

 

「鎌倉での一件、そして首都での....あれ以来私シ達の立場は危うい物となってしまったのです。

刀使を辞める子たちも増えて、私シ達がその残留の説得に当たっている、と、そう云う事ですの」

 

「可奈美は....」

 

「衛藤さんは....まだ中学の三年ですから、そこまで難しい立場にはおりません。

むしろそういった事とは無関係に事に当たらせておりますの。」

 

「そうですか....」

 

 

少しホッとした。仕事そのものが嫌になったということでは無いんだな。

そういえば何か役職に就いた、て話も聞かないし。

 

 

「可奈美さんは、刀使として現場に出ていたいという希望書を提出しておりますから....

刀使としての生活が嫌になった、と云う訳ではない様ですの。

ですからお兄様、何か心当たりは....」

 

「私にも....わかりません....すいません、お役に立てなくって」

 

「いえいえ、そんな! お兄様のお手を煩わせるだけでは無く心配までお掛けして仕舞って....」

 

「そこでだ、兄さん! ボクに一計がある!」

 

「真希さん....! 貴女は黙って....」

 

「いいや! これには効き目がある! 何故なら、可奈美君は....」

 

「....何で御座いますの?」

 

 

 

 

 

 

 

「ブラコン!? とか云う病気に罹っている! と聞いたからだっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

....ナゼそんな話がここで飛び出してくるのか....!?

ブラコン!? 確かにそうなのだが....それとこの話と如何云う関係が....アタマが....

 

 

「真希さん....貴女ってヒトは....真面目な話をしている時に....!

いい加減になさって下さいまし!!」

 

「ボクは本気だっ! 兄さんも判るだろう! だから一緒に鎌倉へ来てくれっ!!」

 

 

わかって仕舞った....この真希さんというヒト....つまりは....

 

「私が鎌倉に行って可奈美と会えば、元気になる、と....」

 

「そうだ! その通りだ兄さん! ボクの計略を理解してくれるとは流石だ!

やはりボクの思っていた通りのヒトだ兄さん!」

 

 

どっかで聞いた様な言い回しだが....しかし計略って程か?

でもまあアタマがカラッポなだけ勘が優れるってこともあるらしいしな....

それで冒頭の台詞って訳か、ハア....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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俺と加奈美と・・・・・・

「私は構いません。そういう事なら何度でも鎌倉に参ります。月に一度ぐらいなら....」

 

「いや、違う! 鎌倉で可奈美君と一緒に暮らしてくれ! そうすればもう帰りたいとは....」

 

 

 

「....俺が鎌倉で....?」

 

 

 

「真希さん! そんなに急に! お兄様にもここでの生活というものが在るのですよ!」

 

 

なにもそこまで....無理だ。鎌倉には引っ越せない。就職もしたしそれ以外の事も....

もうここでの生活の基盤が出来上がっているのだ。親父も独りに出来ないし....

それに刀使の仕事を辞めるつもりも無いなら別にここに帰ってきたっていいんじゃないのか?

 

 

「ダメだろうか....?」

 

「今は....無理です....」

 

「お兄様、お気になさらず....真希さん! 無理を言った事を謝りなさいませ!」

 

「ん!? ううん....唐突に無茶な事を言ってしまった。謝罪する、申し訳ない....」

 

 

それだけ可奈美の事を心配してくれているんだな。こういう人達なら可奈美も....

 

 

「でも困った事になった....これでは....」

「真希さん!」

 

 

ん....?

 

 

 

「そういえば可奈美はなんの役職にも就いていないですよね。刀使の一人として、ということで」

 

「あ、ああ....そうだ....可奈美君には重要なポストには何ら属していない....はずだ。な? 寿々花君」

 

「....そうですわね、その様な話、聞いておりませんわ」

 

 

何かおかしい、二人の口調....

 

 

「可奈美の学籍はまだ美濃関にあるはずですから、

ここに帰ってきても何ら問題はないと思いますが。

なんならしばらく自宅から学校へ通わせることも」

 

「それは困る! 鎌倉には可奈美君が必要だ!」

 

「....貴女ってヒトは....」

 

 

本音が出てきたか....

 

 

「可奈美には他に重要な何かがあるんじゃ無いですか? ただの人数合せでは無く」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「正直に申しますわ....

お兄様、貴方の妹の可奈美さんは、刀使の中でもトップクラスの、いや一番の剣の使い手ですの」

 

 

そんな話なら前に....思い出したくも無いあの講習会での騒動....

あれからしばらくオレは学校一の有名人となってしまったからな....副産物として友達も増えたが....

でもアレはアメリカンなリップサービスだったんじゃ無いのか?

 

 

 

 

 

 

 

「そうではありません、お兄様。

衛藤可奈美は本当にこの国の剣術使いのなかで一二を争う程の剣の達人なのです」

 

 

はあ....何を言って....

確かに美濃関代表として鎌倉の大会には出られたが....可奈美はまだ中学生だぞ....

 

 

「そうだ。ボクも寿々花君も或は二人で掛っても可奈美君には敵わない....」

 

 

この二人も相当出来るんだろ....前衛のトップだし....それでも敵わないって....

 

 

「本当ですかそれ....そんな話可奈美から聞いてない....舞衣さんからも....」

 

 

「詳しくは言えないが、去年のあの二つの騒動....」

「真希さん!」

 

 

可奈美が鎌倉へ行って暫くして鎌倉や東京ではあの大惨事に見舞われた。

可奈美や舞衣さん、姫依さんも沙耶香さんもあの漫才コンビ達も....

その処理に追われて母校には帰れず、不眠不休で働いていたという。まだ十代の子達が....

可奈美からはたまに携帯で連絡はしてきたが、詳細や泣き言めいた事も喋っていなかったし、

無理をしてるんだなとは思っていたけど....

 

 

 

 

 

 

 

「....ええ....解決に導いたのは衛藤さん。それ以上は話せません。

もし、衛藤可奈美が居なかったら私シ達は....そう云う事ですわ」

 

 

 

 

 

 

 

そんな....事になってたなんて....じゃああの行方不明の原因も....話してくれそうにないな。

とにかく鎌倉は可奈美を離したく無い、と云う事か。それで俺まで、利用して....

 

 

 

 

 

 

「可奈美の意志は、尊重されない、と云う事ですか....」

 

 

 

 

 

 

「いや、兄さん! それは....!」

「そうですわ! お兄様、ただ私シ達は....」

 

 

 

「可奈美は疲れているんでしょう。美濃関に帰って、時々鎌倉に出向すれば....」

 

「それだけじゃない! 兄さん! 聞いてくれっ!

可奈美君は! このままでは....刀使を....剣術そのものを....! 辞めるつもりだっ!」

 

「貴女....何を仰って....? 可奈美さんの進路希望書には先程の様に刀使を続けると....」

 

「いやっ! ボクには判る! 可奈美君は....!」

 

「あ....」

 

 

 

この獅童さん、というひとの....『辞めるつもりだ!』という発言に頭を殴られた様な衝撃を受けてしまった....そうかも知れない....この人の勘は正しい、無根拠にそう確信してしまった。

『美濃関に帰りたい....』とはそう云うことか、と....

 

 

 

「このところ....可奈美さん、笑顔が....ですわね」

 

「そうだ、無理をしている。努めて明るく振舞っている様だ」

 

「帰りたい、てあなた方に、ですか?」

 

「いや、糸見....そう、沙耶香君に零してたそうだ」

 

 

 

沙耶香さんに....あの子にならつい本音も....ということもありそうだ。

言いふらす事もなさそうだし。でも沙耶香さんまでこの二人に、て事は....

 

 

 

「そうかも知れません。可奈美は剣術そのものを辞めるつもりかも....」

 

 

「お兄様....」

「兄さん....」

 

 

 

 

つまりは、この二人は可奈美に鎌倉へ留まって欲しいと考えている。

此花さん? は刀使としての実力を持つ可奈美として....

組織の上に居る人だろうからそう考えるだろう。

でもこの真希、て人は、それだけでは無い様だ。本気で可奈美の事を心配してくれているのか?

 

 

 

 

「美濃関に帰れば、或は可奈美君の気持ちも落ち着くかも知れない。

ボクとしても、その方がいいならそうさせたい。だが、ボクの立場としては、可奈美君を手放したく無い。手放す訳にはいかないんだ。それだけ鎌倉は追い詰められている。それに、もうこれ以上、仲間を失いたくない....」

 

「真希さん....」

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間の滞在の後、追って連絡すると言い残して二人は家を出て行った。

まだ刀使達の自宅を巡ってくるらしい。彼等も忙しい....疲れてもいた。

必死なんだな....可奈美も疲れているんだろうな。ウチにも帰ってこれないし....

 

 

親父も帰ってきた。さて、最後の仕上げに取り掛かるか!

グリルに入っている焼き魚にも一回火を入れて温め直し、フライパンの上に予め炒めて味を染み込ませた肉と、キャベツ・玉ねぎ・人参・ピーマンなど薄く刻んだ野菜と混ぜて炒めてと、あとはこれらと豆腐を二人分テーブルに出してっと。漢の手抜きディナー完了!

 

 

食事中に先程の顛末を親父に聞かせる。ただし、可奈美の本当の実力と活躍は伏せて....会話はいたってボソボソと続き、出した結論が、

 

 

 

 

 

「可奈美に会ってこい」

 

 

 

 

 

である....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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俺と可奈美と・・・・・・・・

 

・・・・しかしながらそう簡単にはいかない。今日は朝七時、職場にて仕事開始!

俺の職場は、『特別希少金属利用研究所』なるレッキとした理系工学系の研究所であり、何やらとんでも無く危険な研究と実地作業が続けられていると云う....

しかも、研究所の敷地内で飛び抜けて目立つガラス張りの研究棟では、その吹抜けの空間の中空に据えられた小部屋に、絶対機密のナニカが収められていて、さらにウワサによれば、どう云う訳か....御社が祀られているという....絶対機密なら何も目立つ所に置かなくても....なんて、文系高卒の一般事務員、しかも庶務課としてはどうでもいい話なんだけどサ。

ここの研究員達は二十四時間、交代で研究・作業を続けているので、庶務課の俺たちまで備品の調達、材料の確保、など各自割当てられた....或は急を要する研究に対応するための....仕事に追われている。

決してブラック、と云う程のものでも無いらしいが....研究員達は趣味で仕事をしている様な処があって、自分達の待遇に特に不満は無さそうだし、一度は閉鎖されようとしていたこの研究所をあの舞衣さんの父親が引き取って研究を継続、と云う事で、我等事務員....元々舞衣さんの父親の会社の社員が出向でここへ来た....にも、何やら恩人じみた対応をしてくれているのだ。

居心地は良いのだが忙しい....つまり、中々休日が可奈美の非番の日と重ならないのだ。

 

 

 

 

 

 

「お兄さん! お久しぶりです!」

 

「え、はい?」

 

 

 

 

書類を運んでいる途中の通路で声をかけられた。誰? この美少女??

 

 

 

 

「おにいさん! わたし、舞衣ですよ!」

 

「へっ? ああ! ....ひさしぶり....」

 

 

 

 

このギャルゲ....じゃない清純派女優の様な格好....白いワンピースに麦わら帽....しかも髪を下ろしたレアなスタイル....出木杉....てかナンでこんなとこに?しかも場違いなその....

 

 

 

 

「父の仕事の手伝いに来たんです。重要な会議もあると云う事で。お兄さんも壮健でなによりです」

 

「ハア、舞衣さんもまあ、その....健康そうでなにより....」

 

「ふふっ! やはり場違いでしたよね、この格好。でもお兄さんがここで働いていると聞いて、もしかしたらって!」

 

ソレ、誤解を招くアレですよ....つまり、

 

「どこか遊びに行くついでにここに立ち寄ったと、そういうことね」

 

「ええ! ここでの用事も済ませてから妹たちと。中々美濃関には帰れませんからね」

 

 

 

 

ふぅ....一安心....この方は幼い頃からの可奈美の大親友にしてオイラの雇い主の御令嬢、妄想桁たましいオレでも決して則を超えてはならぬヒト、そう、我ガ永遠の妹君なのだ....

 

 

 

 

「可奈美ちゃんも誘いたかったんですけど、日程が合わなくって....でもお兄さんがここで元気にしてるって可奈美ちゃんに報告しとかなくっちゃ!」

 

そうだ、ここで可奈美のこと、美濃関への事を、舞衣さんに....そうすれば可奈美に逢える算段も....

 

「最近可奈美ちゃんに直接合う機会が無いんです。同じ鎌倉なのに....元気してるかしら!」

 

 

 

 

ああ、聞けない....舞衣さんは知らないんだ。可奈美の事情....ここでこの事を舞衣さんに知らせたら....

 

「可奈美は元気そうですよ。毎日一回は連絡してるから」

 

メールだけど....

 

「そう!? 良かったー! あ! すいません、『ハイ、わかりました。すぐ移動します。』

では、お兄さん、いずれまた!」

 

「はい、さよなら....!」

 

 

 

 

ケータイでの呼び出しで行ってしまった....舞衣さんに頼んだら、あるいは日程の調整も....なんて甘える事なんて出来ない。皆んな忙しいんだ....

 

 

 

 

 

 

そんなある日、美濃関学院からの呼び出しがあった。保護者会の集まりだそうだが如何いう訳か俺の名前での呼び出しだ。親父じゃ無いのか? 平日だし俺だって仕事が....

 

『保護者としての出席なら構わんよ』

 

....あっさりと有給が認められた。理解のある上司でよかった....この会社、基本ホワイトなのね。だったら鎌倉行も有給取れたかも....まあいいや、学校行くだけだし、それに可奈美のあの一件かな....まさか転校、て事は....なんか頭が混乱してきた。

 

 

 

 

俺は基本、可奈美の望む進路ならなんでも受け入れるつもりでいる。美濃関に帰りたいなら家から学校に通ってもいいし、刀使を辞めたいなら辞めても....でも、可奈美から剣術を取ってしまったら....しかも自分の意志で....

 

 

 

 

あいつは幼い頃から剣を握っていた。お袋と、剣術の稽古とはとてもいえないようなおままごとの様な動きの頃から。

最初は俺も混って三人での稽古だ。でも、いつの頃からか、可奈美とお袋との一対一の稽古に。俺と親父はその様子を縁側で何と無く眺めていた。

幼い俺にも何となく気付いていた。可奈美には特別な何かが有ると。稽古の初め頃には遠慮がちに剣を振るっていたお袋も次第に本気に近い動きになってきて、それに可奈美が受け応えていたと。まだ三歳なのに。

お袋が居なくなったあと、俺も稽古の相手をする事もあったが、俺に負けると泣きじゃくりながら『....もう一本! もう一本!』とせがんでとことん付き合わされたっけ。

小学校に上がってから舞衣さんと出会い、うちの庭や舞衣さんの家でおままごと....ならぬ剣術の稽古をするようになって俺の出番は無くなった。舞衣さんは、特に剣術や刀使と関係のある家柄の出、と云うわけではなかったが、可奈美の稽古に付き合わされるうちに興味を持ち始めたそうで、舞衣さんの自宅近くにある剣道道場にも通うようにもなった。舞衣さんの流儀が北辰一刀流となったのもその流れを汲むからだそうだ。

 

幼い頃からお袋と同じ刀使になる事を夢見ていた可奈美は美濃関学院に入学して御刀の選考会に臨み、お袋と同じ『千鳥』と云う由緒ある御刀に選ばれた。その時の喜び様といったら....講堂一杯に『やったーっ!! 千鳥だーっ!!』って....

可奈美と同じ学校なら、と一応普通科のある美濃関学院に入学した舞衣さんも、試しにと選考会に出席したら、『孫六兼元』と云う御刀に選ばれて....舞衣さん自身が一番困惑して、そして喜んでいたな....

 

そして、穏やかに一年が過ぎた。俺はそこいらによく居る様な無気力な高校生活を送ってたし、可奈美も月に一度は寮から帰ってきて学校の事を楽しそうに話す。つまり、何事も滞り無く平和な日常を過ごしていたのだ。あの鎌倉の全国大会までは....

 

 

 

 

 

あれから一年半、可奈美には如何いう心境の変化があったのか? 俺と親父はわからない。

ただ、剣術だけは....と云う想いで美濃関学院の門を潜った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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俺と可奈美と・・・・!!!

7-10

 

 

「すいません、衛藤可奈美の身内の者です....」

 

「えー、衛藤可奈美....はい、伺っております。案内致しますので此方へ」

 

 

ここ美濃関学院の校舎に入るのは可奈美の入学式以来かな。

親父一人での出席のはずが『お兄ちゃんも〜!!』、とダダを捏ねられ家族三人で式に挑み、

そしてその後の選考会でのおおはしゃぎまで目撃し....

親父が恥ずかしそうに周りの保護者に会釈していたな。

帰りは三人で校門の前で記念撮影。家に帰ってささやかなお祝い....

お袋の写真もテーブルに置いて....

 

 

「こちらです。ここで少々お待ち下さい」

 

 

ん・・・・ここは? 教室でも無く待合室でも無く。ホール? 剣術道場?? 何でこんな所に通されたんだ? 他の保護者達は??

 

 

・・・・「お兄ちゃん!! 何でここにいんの!?」

 

「ふぇ!? 可奈美!?」

 

 

なに!? 如何云う事?? なんで鎌倉に居るはずの可奈美が美濃関に?

 

 

「それわたしのセリフだよー! なんでお兄ちゃんが??」

 

「俺は...保護者会に出るために呼ばれて来たんだ。お前は?」

 

「わたし....進路の事で美濃関に戻るように言われたから....でもここに通されて、ナンデ??」

 

 

それはコッチの台詞だぞ! と言い返そうとした時....

 

 

「御免なさいね、二人とも。このヒトが如何しても! て聞かないものですから....」

「そうだ。二人を呼んだのはボク達だ。早速だが二人にはして貰いたい事がある....」

 

 

獅童さんと此花さんまで!?! 何が如何したって??

 

 

「真希さん! まだ話を....それにいきなりそんな!!」

「時間が惜しい、早々に始めよう。二人とも、これを....」

 

 

この二人が俺たちをここへ?? て、これは....

 

 

「袋竹刀....どうして? 獅童さん??」

「俺まで....何??」

 

 

「....ここでお二人には試合をして貰いますわ。....無理を承知して御願いします。私シ達には目算があるのです」

 

「ええっ!! なんでっ!?」

「俺が!? 可奈美と!?!」

 

「そうだ....もしボクの眼に狂いが無ければ....両者前へ!」

 

 

へっ!?! もう!? でも如何やるんだ?? オレはチャンバラごっこもした事も無い現代っ子だぞ!! ええ〜?!?

 

 

「でもお兄ちゃんは剣術なんて....!」

「これは命令だ、可奈美君」

「はい....お兄ちゃん、ここに立ってて。すぐ終わるから....」

 

 

真剣勝負では無いが....試合相手の妹に気を遣われるとは....情け無い兄貴だ....

 

 

「.... 始め!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ・・・・」

「え・・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の竹刀の先が可奈美の手首を・・・・ほんの一瞬の間に・・・・

なにが起こったんだ・・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・お兄様の勝ちです。両者、礼!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・どうした? 可奈美」

「うん・・・・ごめん、お兄ちゃん。もう一本・・・・」

 

「え? あ! うん・・・・いいですか? 此花さん」

「・・・・ええ、では、もう一度」

 

 

 

 

可奈美の目が・・・・本気になってきたのか?

 

 

 

 

「....両者、前へ、始め!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・うそ・・・・お兄ちゃん・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんどは....俺の竹刀の側面が可奈美の額の前に....ほんとに何が?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・一本! それまで! ....今日の試合はこれにて....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え・・・・もう終り・・・・?

たったこれだけの為に俺と可奈美を・・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・これだけ・・・・・じゃない・・・・

・・・・お兄ちゃん・・・・」

 

 

 

 

 

 

「....おい、可奈美....??」

 

 

 

 

 

 

「これだけじゃないっ!! お兄ちゃんっ!! もう一本っ!!」

「おいっ!?!どうしたっ!?」

「!!ハァーアッ!!」

 

バシっ!! 「おいっ!! まて!可奈美!!」

「!ハッ! ハッ!! ハアーっ!!」

 

なんだなんだなんだっ!!! 速い! 速いっ!! スピードがー!

!ってオレ何でで打ち返してんだ!?! オイ!!!

 

 

 

 

「やはり・・・・」

「真希さんの見込通りでしたわね、あのお兄様・・・・」

「可奈美君! かまわない! 迅移を使って兄さんと....!!」

 

 

 

 

コラ!! なんて事言い出すんだあのオトコンナ!! 迅移ってアレだろ....ワープみたいなモンだろ!! あっ!! 可奈美!?!

 

 

・・・・うわっ!! なんで天井からっ!!反則だろ!! オレはシロウトだっ!!

「う・・・・」・・・・でも俺の竹刀が可奈美の胴に....

いったいなんで・・・・?

 

 

「大丈夫かっ!? 可奈美!」

「うっ・・・・ううん・・・・まだまだっ!!ハアっ!!」

 

おいっ! またか!! ちょっ・・・・!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「....真希さん、いくらあのお兄様でも....もうそろそろ....」

「もう少し....可奈美君の本気を取り戻してくれたら....兄さん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッ! ハッっ!!・・・・っ!ハアッ・・・・っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう・・・・どれだけ・・・・打ち込んでくるんだ・・・・

 

おい・・・・可奈美・・・・お前目が・・・・溢れてるぞ・・・・

 

なんで・・・・そこまで・・・・もお・・・・いいだろ・・・・

 

・・・・かなみっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・あ・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・気がついたら、可奈美の竹刀を取って後ろに投げ捨てていた・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・おい・・・・可奈美・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うなだれて・・・・たちすくんで・・・・放心状態か・・・・涙が・・・・

 

床まで落ちて・・・・おれ・・・・そんなつもりじゃ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・ごめん! 可奈美・・・・オレ・・・・」

「・・・・お母さん・・・・」

 

 

 

 

 

「・・・・え・・・・?」

 

 

 

 

 

「・・・・お母さんと・・・・

お兄ちゃんと三人でお稽古してたの・・・・

思いだしちゃった・・・・おかしいね!・・・・

・・・・覚えてるわけないのに・・・・あはっ!」

 

 

「・・・・そうだ・・・・そうだったな・・・・」

 

 

「ねえ・・・・おぼえてる?

わたし、お兄ちゃんにはまだ一度も勝てたことないんだよー・・・・」

 

 

「あ・・・・」

 

 

そうだ・・・・可奈美の相手をしてた時はいつも・・・・

『もう一本!もう一本!!』て泣きじゃくってる可奈美の顔しか思い浮かばない・・・・

 

 

 

「だから・・・・お兄ちゃん、わたし! お兄ちゃんから一本取るまでずっとお稽古するからねっ!

何年かかっても! ぜったいにお兄ちゃんから一本取るんだからっ!!」

 

 

「・・・・ああ、わかった! いつでもいい! 相手になってやるから!!」

 

 

「えへへ・・・・」

 

 

ああ、いつもの癖で・・・・コイツのアタマに・・・・ハハ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アア・・・・可奈美さん、あんなに・・・・

よかっですわね・・・・真希さ「お兄さん!!是非ボクとも一本!!」

・・・・ったく、貴女というヒトは・・・・!こんなにいい雰囲気なのに・・・・

なんですの! もう・・・・」

 

「うん!いいよー! ねっ!!」

「本当か!?!」

「おいっ!ちょっ! 可奈美!」

「はあ・・・・可奈美さんまで・・・・仕方がないでわね・・・・」

 

 

・・・・ナンデこんな御見事なひとと打ち合いに・・・・

背は俺ぐらいだけど貫禄が....可奈美とはまるで違うタイプだ。

 

 

「....両者前へ、始め!」

 

「はぁーあっ!!」ボコっ!!☆ ☆ ☆ ・・・・

 

「お兄ちゃんっ!?!」

「....はっ! ちょ....真希さん!!」

「へっ!? え?? えぇえ〜?!?」

 

 

 

 

 

....ううう....真っ正面から脳天に....いくら柔らかい竹刀といっても....

おお....ここは! 可奈美の膝枕....「お兄ちゃん....大丈夫?」....まさかこんな風に介抱されることがあろうとは....

 

 

 

 

 

 

 

少し落ち着いた後、此花さんにもヤンワリと立ち会いをして貰ったのだが....

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜あっ! ハッ! ハッっ!!」

「おい可奈美.....もおいいだろ....俺にはもう体力が....」

「まだまだ〜っ! ハァアッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「こんな事ってあるんだな....寿々花君」

「ええ、お兄様の剣は、ただ可奈美さんの為だけにあるのですわね....」

「たった一人の為の何か、か....とても素敵なことじゃないかな。ん?」

「!!....そ、そうですわね....真希さん....では....! 鎌倉に戻ったら私シとも稽古の相手をして下さらないこと!? 宜しいですわね....!」

「ん? なんだい唐突に....それにナンカその目....怒ってない??」

「そっ、そのようなこと....! フン!」

「??」

 

 

 

 

 

ふう....やっと開放されたのは下校時間....明日も有給貰えるかな....

 

 

 

 

 

 

獅童さんと此花さんはそのまま鎌倉へ戻り、俺と可奈美はウチに帰る事となった。

暫くは自宅で休養を、てことだ。当人は『ナンデ??』て顔をしているが....

自分が沙耶香さんに零したという言葉、もうスッカリ忘れているのかもな....

 

 

 

 

 

 

 

 

後日談、特別刀剣類管理局並びに特別祭祀機動隊の体制の異動が発令されたと云う。

 

此まで鎌倉に一極管理されていたノロが、古来のように全国の神社、祠に分祠され、祀られる事。

これは鎌倉を中心とする関東圏での大荒魂の発生率を下げる為で、結果として地方での荒魂の発生を増やす事となるが、その分大荒魂の発生率が低くなり、むしろ鎮圧が容易になるとのこと。

それは刀使達の鎌倉への一極集中から地方への分散をも意味し、より地域に密着....つまり各刀使達の任務を出身地で遂行させることで、刀使達一人当たりの仕事量を低減させる事が予測されていという。

実際、昨年度のあの大騒動が鎮圧されて以来、荒魂・大荒魂の発生率は一昨年程度にまで抑えられ、今時点では小康状態。特別祭祀機動隊における非常事態体制は解除され、通常状態に移行しているらしい。

そして最大の変化は、それまでトップダウン型だった刀剣類管理局の組織を合議制へと移行させた事。それまで独裁的な権限を持った局長という地位、つまり『折神 紫』という圧倒的なカリスマ性で保たれてきた

管理局のトップに、妹の朱音様を据える事で象徴的な意味を持たせ、実務は伍箇伝の学長など旧刀使達の実力者が揃って管理、運営を行う体制に変化させた事にある。これにより鎌倉から地方の刀使達への権限が緩和され、より地方分権的に、即ち緩やかな状態になり、結果として幼い刀使達の心理的重圧も軽減、これで刀使を辞する子達も減少すると期待されているとも。

....これらは後に此花さんからのリーク....ならぬ近況報告で、要は可奈美達あの六人の負担も軽いものに成って来ているというありがたいメールだ。中には個人的なグチまで書かれてることも....此花さんも結構溜めやすい性格なのかな? その点ウチの可奈美は....忘れっぽいだけかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

三日後の朝、可奈美が鎌倉へ立つ前に朝食を食べて、これで暫く三人での食事はお預けか....

お袋の写真も入れて四人かな? まだ鎌倉での任務はどうなのかな? 忙しいのかな?

 

 

 

「お父さん、お兄ちゃん....これから鎌倉へ帰るね。身体ちゃんとしといてよ!!」

 

「ん、じゃあ俺駅まで送ってく」

 

「うん! じゃ! お父....」

「可奈美、・・・・可奈美が帰る所は一つ、ここだけだ。な?」

 

「・・・・うんっ! お父さんありがとー!! だーいすき!!」

「おい....! こら! わかったわかった!!」

 

開けたままの玄関で....こいつはファザコンでもあったのだ・・・・

 

 

 

岐阜羽島駅....去年の鎌倉大会の時は見送る事が出来なかったこの駅で今は可奈美と二人。

あの後、何で見送らなかったんだ....と後悔したことも。

今日は見送って....いやいやいやもう大丈夫だって! 可奈美は元気に出掛けてまた帰って来るって!

....俺って心配性なんだな。やっぱり、妹はどこまでいっても妹なんだな....なんて、

 

 

 

「どーしたの? お兄ちゃん??」

「ん? ....いや、なに....」

 

 

 

アタマが混乱してしまった....もう時間か。

 

 

 

 

 

 

「どうぞ」

 

改札口で証明書を見せてホームに向かう。また静かになるな....

 

「じゃ! お兄ちゃん!行って来るねー!」

 

「ああ、行ってらっしゃい!」

 

そこを曲がると見えなくなるな....じゃ俺も。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・お兄ーちゃーんっ!! おみやげにチョコミント買って帰るねーっ!

いっしょにたべよーねーっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ・・・・最後の最後にヤラカしおって・・・・可奈美のヤツ・・・・

まだ乗降客が多いってのに・・・・よおし!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わかったーっ!たのしみにしてるぞーっ!!」

「うんっ! じゃーねーっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

はあ・・・・目立っちまったじゃないか・・・・

やっぱり俺たちは兄妹なのか・・・

 

 

 

まあ、アイツのやることはみんな笑顔で許されることばかりかな・・・・

さて! ヤツも戻って行ってしまったし、二泊三日分か・・・・

またもアイツの部屋が・・・・ハァ

 

 

 

さてっ! ウチに帰ったらまたやるとしますか!! ヨシ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




・・・・以上を持ちまして、このシリーズを終了させていただきます。

お読みになって下さった方々に感謝致します。

ありがとうございました!!


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