クールな船長を振り回すお話 (ミント*)
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【1話】拾われました。
主人公ちゃんがロー船長に拾われました。
はっちゃけ主人公ちゃんがクールなロー船長を振り回しまくるお話。
いずれ恋愛に発展する…かも?
ONE PIECEの世界観やイメージを壊されたくないという人はブラウザバックでお願いします。
ギャグになるといいな。。。笑
“偉大なる航路”にある小さな島、三日月島があたしの住む島。
一年を通して三日月しか見られないからこの名前がついたんだって。
おかげで満月は見たことがないけれど、この島から観られる月はとても大きいし、きれいな山吹色をしていてあたしは大好き。
「おーくるみちゃん、いらっしゃい!」
「こんにちは、おじさん」
「今日は活きのいいハリマグロが入ったんだ、見てくかい?」
「わーおいしそう!それじゃそれもらおうかなー」
「まいど!」
家には両親がいないから1人暮らし。
両親は大の旅行好きで、物心ついたときからあたしもよく海へと連れて行ってくれた。
今はあたしも大きくなったし、1人立ちしたいっていう気持ちもあったから、お父さんとお母さんは夫婦水入らずの旅行を楽しんでいる。
基本的に自由な両親だ。
でもそのおかげで家事全般はできるようになったし、そんな両親も大好きだから特にさみしいとは思わなかった。
「今日の夕飯も買ったし、そろそろ帰ろうかなー」
両手にいっぱいの荷物を抱えて歩き出した瞬間ー
「あいたっ!((ドンッ」
とても大きなものにぶつかってしまった。
こんなところにぶつかるようなものあったっけ?
「うわわっ!大丈夫、君?」
「ふぇ?」
鼻をさすりながら上を見上げると、そこにはオレンジ色のツナギを着た大きな白クマが、これまた両手にいっぱいの荷物を抱えてあたしを見ていた。
「し、白クマさんが喋った?!」
「喋れてごめんなさい…」ショボーン
「い、いや、それは全然いいんだけどね…?((汗」
とりあえず起伏の激しいクマみたい…汗
「…!あなた、お菓子が好きなの?」
「あぁこれ?おいしそうだからつい買っちゃったんだよな笑」
「よかったらこれあげるよ!」
そう言ってあたしは紙袋の中からロリポップキャンディを取り出した。
「なにこれ!?」
白クマさんはどうやら初めて見るらしくて、眺め回したり臭いをかいだりしてる。
「ロリポップキャンディだよ。甘くて舐めると美味しいよ?」
「うわー!おれ、初めて見たよ!!ありがとう!!」
どうやら気に入ってくれたみたい。
「お前いいやつだなぁ…」
「えへへーありがと」
「そうだ!お礼にいいものあげるから着いてこいよ、船長にも合わせたいし」
「船長…?」
船長って、もしかしてこの白クマさん、海を渡ってきたのかな?
そういえばこの辺じゃ見かけないし…
白クマさんが歩き出したのであたしもその後ろを歩きながら話しかけた。
「あなた、海を渡ってきたの?」
「ああ、おれは海賊なんだ!」
「へーそうなんだー海賊かぁ…」
「お前怖くないのか?」
「海賊ってよく聞くけど、正直なにしてる人たちなのかわからないし、それにお母さん達も海を旅してるから似たようなもんかなぁって」
「…お前変わってんなぁ」
「えぇ?!白クマさんに言われたくないよ⁈!」
「すいません…」ショボーン
どうやら白クマさんは謝るクセがあるみたい。汗
「お、着いたぞ」
しかも立ち直りも早い。汗
小さな森を抜けた先には海岸があって、その海岸には白クマさんが着てるツナギと同じオレンジ色した潜水艇があった。
よく見たら白クマさんの胸に書いてある模様と同じ模様が描かれている。
「あれがあなたの船なの?」
「そうだよ、ハシゴ登るんだけどのぼれる?」
「それぐらいなら大丈夫!」
ハシゴを登りきると、上にはちょっとした甲板があった。
「こっちこっちー!」
白クマさんが案内してくれて、あたしは潜水艇の中へと入っていった。
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【1話】拾われました。2
白クマさんに案内された船内は潜水艇とは思えないほど広かった。
薄暗いのはやっぱりな〜って感じ。
「よその人が船内勝手にうろついてたら疑われるから先にキャプテンに挨拶にいこーか」
「やっぱりそうなの?なにも手土産持ってきてないよー」
「何言ってんの?笑 客人なんだから手土産なんて要らないよ」
「あ、そっか」
なんか遠足気分だったからすっかり立場逆転してた。
しばらく薄暗い廊下を歩くと、今まで通ってきた扉よりも大きな扉に着いた。
多分一番大きな部屋。
「ここがキャプテンの部屋だよ」
「さすが船長さんだね〜お部屋もおっきいや」
そう言いながらあたしは大きな扉を押した。
「おじゃましまーす…」
「あァ?」
入って早々、とても不機嫌な声で出迎えられた。
部屋の中は医学の本で埋め尽くされてて、天井近くに一つだけ丸い窓がある。
机は壁にくっついてて、その隣に大きめのベッド、部屋の隅にはコートハンガーがあって、そこに白衣とモコモコの白いハットがかかっている。
そして部屋の真ん中にはテーブルとイスが並べられていて、あたしはそこまで白クマさんに案内された。
船長さんらしき人はベッドの上で寝転びながら読書をしていたみたいで、手には本が握られていた。
黒髪がつんつん跳ねていて、あまり開いてるとは言えない目の下にはクマがくっきりついている。
黄色の七部丈のTシャツの真ん中には、白クマさんの胸にあるマークと同じ模様が描かれている。
「おい、ベポ。なんだそいつは」
「お客連れてきた!」
「客?」
「おじゃまします((ぺこり」
「聞いてよキャプテン!実はさっきこいつがロリポップキャンディってやつくれたんだ!!それがものすごく美味くてさー」
「……」
ベポと呼ばれた白クマさんが楽しげにさっきの会話を話している間、船長さんはずっとあたしの顔を睨んできた。
み、見過ぎじゃないですか?
いつか絶対あたしの顔に穴があきそう…汗
「…名前なんて言うんだ?」
「名前?…そういえば聞いてなかったな笑」
「お前、それで客だとか言ってたのかよ汗」
船長さんの表情が少しだけ呆れた顔に変わった。
「お前、名前は?」
「くるみです」
「そうか。くるみ、船内をまわるのは勝手だが、船内のものは持って行くなよ」
「持っていかないよー泥棒じゃないもの」
「…ベポ、もう行っていいぞ」
「アイアイキャプテン!」
隣でベポちゃんが船長さんに向かって、船乗り特有の敬礼をした。
「よし、くるみ行くぞー」
「はーい」
あたしの後ろで扉が閉まった後に気づいたけど、そういえば船長さんの名前聞いてなかったや。
後できいとこーっと。
※船内の描写は作者の妄想と願望が入り混じっています。
公式ではないのでご了承ください。
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【1話】拾われました。3
「ねえベポちゃん」
「ん?なにー?」
あたしが呼びかけるとベポちゃんは先頭を歩きながら振り返った。
「一体どこに向かってるの?」
「まずはメシかなって思って、食堂に行こ!」
「ごちそうしてくれるの!?」
嬉しくて思わず両手を合わせて喜んだ。
「ペンギンがいるはずだからきっと作ってくれるよー」
そう言ってベポちゃんは楽しそうに微笑んだ。
…ペンギンさんって言ってるけど、ここは水族館かなにかなのかなー。
「ペンギンー、メシちょうだい!」
「もうメシの時間はとっくに終わったぞ?片付け中だ」
「そんなっ!?」
厨房の方から顔を出したのはペンギンを連想させる帽子を目深くかぶった人だった。
帽子には名前の通りPENGUINって書いてあって、ベポちゃんと色違いの白いツナギを着ている。
袖まくりして見えている腕には、さっきの船長さんと同じ刺青がしてあった。
「ん?誰だよ、この娘さん」
あたしに気づいたらしく、ペンギンさんと目が合った。
「あーくるみだよ」
「くるみって誰だよ?!」
「すいません…」
…ベポちゃん大丈夫かなぁ汗
「なんだ、礼がしたいのか」
ベポちゃんの説明が終わって、ペンギンさんはやっと理解してくれた。
「えーっと、くるみちゃんだっけ?」
「あっうん、気軽にくるみでいいよー」
「じゃあくるみ、メシ食いたいんだろ?余りもんしかないけど大丈夫か?」
「うん、好き嫌いないから大丈夫!」
それだけ聞くとペンギンさんはにっこり笑った。
「よし、じゃあ待ってろよ?ウマいの食わせてやるから」
「ありがとう」
ペンギンさんっていい人だなぁー
料理ができるまでなんとなく手持ち無沙汰になったあたしは、食堂の中を観察することにした。
見た目は普通の食堂で、壁の端っこには観葉植物がある。
入り口とは反対側にある壁には丸い窓がたった2つだけ、外の光を取り込んでいた。
「窓の数少ないんだねー」
あたしがそうつぶやくと、隣に座ったベポちゃんが話し始めた。
「そりゃあ潜水艦だからね。あんまり多いと水圧で割れちゃうよ」
ガチャ
「おーい、ペンギーン」
扉を開けてやってきたのは、キャスケット帽をかぶったサングラスの男の人だった。
帽子からはみ出た少し長めの髪の毛があちこちに跳ねている。
その人の腕にもやっぱり、船長さんやペンギンさんと同じ刺青がしてあった。
「ちょっと小腹が空いたんだけどなんかあるー?」
「あァ?今そっちの嬢ちゃんにメシ作ってるからちょっと待ってろ」
「嬢ちゃん?」
そう言って、キャスケットの人はあたしを初めて見た。
「女の子いるなんて珍しいなー、なんでいんの?」
「ベポのお客だとよ」
「お前羨ましいなーその見た目で女の子イチコロじゃん」
「おれ、メスのクマがいい」
「贅沢だな!!」
クマさんだから贅沢ではないと思うんだけどなぁ…
「あ、そういえば名前なんていうの?」
「くるみっていうの」
「そっかくるみか。おれはシャチ、よろしくなー」
そう言ってシャチさんは無邪気に笑った。
…シャチもいるなんて、ホントに水族館みたいだなぁ。
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【1話】拾われました。4
「ペンギンさん、ご飯美味しいでふっ!!」
「わ、わかったから飲み込んでから喋ってくれ((汗」
ペンギンさんが、あたしとシャチさんの分のご飯を用意してくれたので2人ならんで食べていた。
余りものだからチャーハンしか作れなかったと言っていたけどそれでも美味しい。
「まぁチャーハンなんて誰が作ってもウマイからなー((笑」
「メシ取り上げるぞ、シャチ」
「じょ、冗談だって!((汗」
この船に乗ってる人たちは面白い人たちばっかりだなぁ…
ん、あれ?少し部屋が薄暗くなった気がする。
外も少し騒がしいし…
「あーーー!!!」
「うおっ!どうしたの?くるみ」
隣でベポちゃんが驚く。
「ふ、船が沈んでる!!」
「「「え?」」」
4人揃って2つしかない窓の外を見た。
今まで青空が見えていたのに、今は半分ほど海水に浸かっている。
「えっ出航してる?!」
「おれ航海士なのに…」
「ベポ、落ち込んでる場合じゃないぞ!とりあえず外の状況を確認しよう!!」
「アイアイ!!」
「あ、くるみはそこにいろよ!」
バタバタバタ…
…置いていかれちゃった。
することもないし、できることもないからとりあえずペンギンさんが作ってくれたチャーハンを食べた。
すごく美味しいんだけど、やっぱりこういうのはみんなで食べたい。
そういえば誰かとご飯を食べるなんてすごく久しぶりだ。
はやく帰って来ないかなぁー
ガチャッ
「あっおかえりー…って船長さん」
食堂の前には船長さんが少し驚いた顔をして立っていた。
「お前、まだいたのか」
「うん、ペンギンさんが作ってくれたチャーハン食べてたら船が沈み始めちゃって。シャチさんがここにいろって言ってたからみんなが帰ってくるの待ってたの」
「…困ったな」
一通り説明すると船長さんは考え事をはじめた。
「どうしたの?」
「ベポにも言わず出航したのは海軍がおれ達を追ってきたからだ。海底に逃げてまいているから大丈夫なんだが…」
「ん?」
「…おれ達はもうあの島へは戻れない」
「……えーーーーーーー!!!?」
えっ戻れないってどういうこと!?
あたし、帰れないってこと!!?
「…参ったな((汗」
「そ、そんなぁ…」
しばらく、お互い無言になってしまった。
船長さんはあたしと目も合わせない。
船長さんは頭を掻きむしって重い口を開いた。
「仕方ねェ、女は船に乗せる主義じゃなかったがこっちの責任だ。くるみ、お前おれの仲間になれ」
「…仲間?」
「あァ、海賊になれ」
め、命令形ですか。汗
「そんな急に言われても…親に置き手紙も何もしてないし…」
「お、お前の心配どころはそこなのか?汗」
あれ、船長さん呆れてる?
「あたしの親、長いこと旅に出てていないから。あたしも出かけるならいつ帰ってくるかわからないし置き手紙しとかなくちゃ」
「わかった、それはおれがなんとかしてやる。お前もこの船の一員ってことでいいんだな?」
「うふふっどうせ強制なんでしょ?」
「……」
あれ、今度は船長さんそっぽ向いちゃった。
「とりあえず!こっちの状況が落ち着いたらお前の分のツナギを用意させるからここでおとなしく待ってろ」
乱暴にそう言うと船長さんは食堂の扉に手をかけた。
「あ、待って!」
あたしの言葉に船長さんは止まってくれた。
「名前、教えてくれない?」
「…ロー」
それだけ言うと船長さんはあたしと目も合わせず去って行ってしまった。
「…あたし、もしかして嫌われてるのかなぁ」
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【2話】新しい仲間。1
「くるみー!」
「あ、みんなおかえりー」
振り返るとそこには3人がいて、なぜかすごく嬉しそうな顔で近づいてきた。
「お前仲間になったんだってなー!」
「あれ、もう知ってるの?」
「キャプテンが言ってた!」
「くるみのツナギ用意してやれってさ」
「そういえばそれっぽいこと言ってたかも」
「じゃあ行くぞ」
早速あたしはツナギを貰う為に3人の後ろをついていった。
これからはみんなと生活するのかと思うと楽しくて、やっぱり今まで自分もさみしかったのかなぁとか思った。
「くるみは身長何cmだ?」
「んーと、156かな?」
「ならサイズでかいのしかないかもなぁ。それでもいいか?」
「大丈夫だよ。ありがとうペンギンさん」
会話している間に倉庫みたいなところに着いた。
中には色んなものがしまってあって、つなぎも何種類かちゃんとあった。
「くるみにはオレンジが似合うな!」
倉庫を漁ってシャチさんが引っ張り出したのはオレンジ色のツナギだった。
そのツナギをあたしに当ててサイズや色を見る。
「本当?」
「ああ!おれが言ってるんだから間違いない!」
「ありがとうシャチさん これでベポちゃんとお揃いだねー」
「おう!」
「じゃあ着替えろよ、おれたちは外に行ってるから」
そう言ってペンギンさんは2人を連れて倉庫の外へと出て行った。
「よし、お着替え完了。やっぱりぶかぶかだねぇー」
コンコンッ!
『入っていいか?』
あれ、この声は…
「どうぞー」
倉庫のドアを開けて入ってきたのは船長さんだった。
「…まぁまぁだな」
船長さんはひとしきり眺めるとそう呟いた。
「それって褒めてる?」
「お、くるみ似合うなー!」
そう言いながら入ってきたのはベポちゃんたち3人。
「えへへ、ありがとー((ニコッ」
「なっおれの見立てに間違いなかっただろ?」
シャチさんはちょっと誇らしげだった。
「そういえば、ローはどうしてわざわざここに来たの?」
「来ちゃ悪いか」
「「「ロ、ロー!!?」」」
「あ、あの船長にローって!!」
「しかもそれに対してなにも言わないだなんて!!」
「船長!おれもローって呼んでm((殴」
「少し黙れ」
「な、なんでおれだけ…」
な、なにかまずいことでも言ったかなぁあたし…汗
殴られたシャチさんが少しかわいそう。
「こいつは異例だ。この船に乗るのはおれのせいみたいなもんだからな。別に忠誠を誓わなくたっていい」
「ロー…」
そんな風に、おもってたんだ…。
あたしのことは嫌いなんだと思ってた。
目は合わせてくれないし、それかと思えばずっと睨んでくるし。
けど、あたしは知らないひとにこんなによくしてもらってる。
この関係、大切にしなくちゃね。
「あたし、役職で呼ぶのはあまり好きじゃないから敬称でもつけようかなー。んーローさん…ローちゃん…ローくん…んー」
「…ローでいい」
「ほぇ?」
悩んでいると、ローは呆れた顔でそう答えた。
相変わらず目は合わせてくれないけど。
「変に敬称つけられても気持ち悪い。ローでいい」
「…わかった!よろしくね、ロー((ニコッ」
あたしがそう言うと、ローは頭をかいて部屋を出て行った。
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【2話】新しい仲間。
その後、みんなでローのお部屋に行って、この船でのルールについて色々聞かされた。
お風呂はどうとか、ご飯の時間とか…。
他にもあった気がするけど忘れちゃった(笑)
「…何か聞きたいことはあるか?」
一通り説明が終わった後でローが聞いてくれた。
そりゃあもう全部!って言いたいけど怒るよね…?
だから1番気になってたことを聞いてみることにした。
「ずっと気になってたんだけど…シャチさんやペンギンさんにもローとおなじ刺青があるよね そういう決まりなの?」
そう聞くと3人は顔を見合わせた。
「別に決まりというわけじゃない。おれがしてたら全員付けたがっただけだ」
「てことはみんなしてるのね」
「…まぁな」
「あたしもつけたい!」
「「「「…はぁ?!!」」」」
うっ四人に突っ込まれた…。
「くるみ、よく考えろ!お前は女の子なんだぞ!?」
「そうだ!傷物になんかってみろ!お嫁に行けなくなるぞ!!」
シャチさんとペンギンさんがあたしに詰め寄る。
「別に元から貰い手なんていないよー」
「おれもあんまりオススメしないなー痕残るし」
「ベポちゃんもそう思う?」
「うん」
きっぱり言われてしまった。
「…なんでしたいんだ?」
「だって、みんなしてるんでしょ?あたしだってみんなと同じ、ハートの海賊団の一員だもの」
久しぶりに家族の暖かさを感じられそうなんだ…とは言えなかった。
ローがまっすぐあたしの目を見てくる。
まっすぐ人を見るのは癖なんだろうなと思う。
さっきの説明でお医者さんでもあるって言ってたし…。
「…わかった、おれが入れてやる その代わり小さめにだ 女なんだから自分の体は大事にしろ」
「いいの!?ありがとう!!」
「…((ぷい」
あれま、そっぽ向いちゃった…。
んー…なんでだろう?
ローに連れられて来たのは診察室だった。
薬の匂いが鼻をつく。
他の3人は一応手術だからと席は外したみたい。
「どこにどんな風な刺青がいいんだ?」
「みんなと同じがいい!ローの腕にあるやつ」
「そのダボダボのつなぎじゃしても見えないだろ」
「あ、そっか…」
よくよく見たら、つなきが大きすぎて肌が出ている所は手か顔しかなかった。
「わかった!ほっぺの所に小さく…」
「バカ 顔に刺青する女がいるか」
「うー…でもどこも空いてないじゃない…((ぶぅ」
そう言うと、ローはしばらく考えた後、あたしの首元に手を伸ばした。
「その服の大きさじゃ首も苦しいだろ 今度から首元は開けとけ そこに入れてやるから」
そう言ってあたしの服を開け始めるロー。
「ふぇ?!ちょ、ちょっと待って!襟曲げるくらいなら自分でできるから!!///」
「…何赤くなってんだ 裸体なら見慣れてるから大丈夫だ」
「あたしが大丈夫じゃないの!!///」
オ医者サンコワイ。
あたしが綺麗に襟を曲げると、ローが手招きをした。
「ほら、もう少し寄れよ できねェだろ」
「…はい」
今さらだけど緊張して来たかも…。
「…もうひとつボタン開けるぞ しづれェ」
「うー…はぃ///」
大体場所も場所だよね、少し恥ずかしいよ。
「局部麻酔かけるから掻いたりすんなよ((ぶすっ」
「いったーい!!ちょ、普通はもう少し間を開けるものじゃないの!?((涙目」
「うるせェ 気が散るから黙ってろ」
「……」
ローが一生懸命あたしの首元…というか鎖骨に何かを描いていく。
あまりにも真剣な顔をするから、こっちまで緊張しちゃうなー
早く終わりますように…!
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