Fate/Experiment site (もみあげ)
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行間
「なぁ、力が伴わないと救う事は出来ないのかなぁ」
少年が 力なく呟くように、それでいて目の前のもう一人の少年に訴えるように声を絞り出す
「俺はどうしたら良かったのかなぁ」
「さぁな、ソレを俺に聞いてどうする?」
「救いたいって思ったんだ、助けたいって!だから行動した。だけど俺は弱かった、だから…」
うずくまる少年を尻目にもう一人の少年はつけ離すように言う
「そんな事を言ってる限りは変わらない、アレは止まらないし、止めたいなら動くしかない、力が無いと嘆いていても始まらない」
「う、うぅぅ…」
ドカンと二人の後方から火の手が上がる
気づけば周りは火の海だ
昨日まで何のこともなく普遍的な日常があったこの場所は見るも無残に焼失されて行く
燃え盛る炎の中心にアイツがいる
「俺は行くよ、元々俺は止まれない。この聖杯戦争に関わった段階でどうしようもないんだ」
「待ってくれ!俺も行く、行かなきゃならないんだ!助けないと救わないと!!」
決意は述べるがそう意気込んだ少年は動けない
「でも分からないんだ、どうすればこの状況をひっくり返せるのか、3人共無事に聖杯戦争を終わらせるのか」
「ぐだぐだ考えてる時間はもう無い、俺は行く。」
そうこうしている間に火の手は広がっている
熱波で火傷でもしてしまうのでは無いかと思わせる程に周りを焼き尽くしていた
「俺には力がある、サーヴァントって力が」
「でもそれだけじゃ変わらない、ただ聖杯戦争が継続するだけだ、この亜種聖杯戦争は元々の聖杯戦争からかなりかけ離れてる、でも聖杯を手にするのは最後の1騎なのは変わらない、聖杯戦争を終わらせる為には結局殺し合わなきゃならないんだ!」
「そうだな…」
「それじゃ助けられない、そんな形で聖杯戦争を終わらせる訳には行かない。3人共無事に聖杯戦争を乗り越えて、元に戻る為にはサーヴァントで戦う選択肢は選べない。」
「ならどうする、悩んで悩んで足を止めてココで焼け死ぬか?」
「それは…」
「考えたってまとまらないさ、考えてまとめられたんだったらこんな状況にはなってなかった。遅すぎたんだよ全部、最初から」
握りしめた拳の中にある宝玉の感触を感じながら少年は炎中心を見上げる
「力はある、どうにか出来るのはこの
うずくまった少年は決断出来なかった。力の無い自分になにができるのか
行かなきゃならない炎の中心を見据え、歩き出した少年は言う
「実験も最終段階だ、どうするかはお前が選べ!」
今後は1話ずつ最初から書いて行く予定です。
思い付きで書き始めてしまったのでどうなるかわかりませんが頑張ってみようと思います。
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起点であり転換点
何気ない日常って言うのが実は凄く大切な事に気付いている人は少ない。
目覚ましで起こされて、眠気まなこで歯を磨いて、時間に追われながら朝食を食べる。
制服に着替えて家から飛び出すと今日も既に待ち人がいる
「遅い!今日もギリギリだぞ!」
「悪いねー毎日、待っちゃった?」
「待っちゃった?じゃない、分かってるなら5分早く行動しろ!」
「いやーそれが激ムズでさぁ」
「難しくないわい!」
「大丈夫だよ、カズ君はどんなにギリギリでも遅刻はしないって分かってるから」
「そう!それ!」
「褒めてないからな、当たり前の事だからな」
今日もそんな事をだべりながら登校する
問題なく学校に着いて、つまらない授業を受けて、昼は学食のAランチを選ぶ。
朝と同じ面子で食事をして、また何でもない事を話す。
午後は眠たさとの勝負を行いながら授業を受け、眠たさに負けて居眠りしているところを教師に叩き起こされる。
部活をやっている2人を尻目に帰宅部は帰路に着き、今日は寄り道でゲーセンにて小銭を浪費する
家に帰る頃は晩飯が出来ているので有り難く頂いた。
特に予習も復習もせずにゴロゴロと時間を潰して風呂に入り、湯上りに冷たい麦茶で喉潤す。
自室でテレビゲームして眠くなってきた頃にスマホに友人から連絡が入っていたりして、またぐだぐだ話したりする
気づけば夜も更けて明日の事を考えると寝なければならない時間だ、無理矢理布団に潜り込んで寝る事とする
そしてまた朝に目覚ましで起きるのだ
当たり前の日常、当たり前の日々
其れを大切なだと思う事は普通は無いだろう
自分にとって余りにも普遍的なそれらは一般人にとって「当たり前」なのだから
だけどそんな当たり前の日常は呆気なく壊れる事がある、それは地震や台風などの天災かもしれないし、事故や事件などの人災かもしれない、病気とかもあるだろう
そして当たり前を失った場合、其れを取り戻す事が非常に困難なのだ
正に今、目の前で起きてる事は当たり前の日常とは程遠い「何か」だ
昨日まで一緒に登校していた幼馴染みの2人が今夜には殺し合いを演じている、然もそれは喧嘩の延長戦の様な物ではなかった。
吹き飛ぶ地表、切り裂かれる建物、おおよそ理解不能の応酬が繰り広げられている。
余りに非現実的な光景だった。
相対する2人とは別の人物もいる、寧ろこの現実離れした殺し合いは、其奴らの仕業が殆どだ。
片方はフルプレートの鎧を着用した人物であり片方は鎧武者の様な男だった
普通ならこったコスプイヤーだと思うぐらい突飛な格好だが目の前の状況は、そんな事を思わせない本物の迫力があった。
「何なんだよコレ…」
目の前の状況を何一つ理解できなかった。
ファンタジーな殺し合いについて行けないし、2人が何で戦ってんのかも不明、そもそも2人が喧嘩をしているのを見た事すらなかった
「何でだよ…」
止めないと、そう思う
だが足が動かなかった
あまりに非現実的な状況に頭がパンクした。
自分に何が出来るのか分からなかった。
そして只々、怖かった。
巻き込まれれば死は免れない様な状況に。
物陰から覗き見ているだけの自分が酷く矮小に感じた、震えて怯える自分が余りにも惨めに思えた。
2人とは小学校の頃からの付き合いだ、2人は自分と同じ普通の人間だと思ってた。だけど2人は明らかに自分とは違った
漫画に出てくるカッコいい主人公なら何の迷いもなく目の前の摩訶不思議な殺し合いに介入できるんだろうが、余り普通な自分にはこの殺し合いに介入する勇気が出なかった
苛烈に極まる殺し合いは唐突な大爆発によって終わる、爆発で舞い上がった砂埃が晴れた頃には2人ともその場から居なくなっていた。
「ちきしょう…」
呟いてヘタリ込む
安心して腰が抜けてしまった感じだ
自分が目撃したものが現在だったのか分からなくなる、だが目の前にはさっきまでの戦いの後がくっきり残っている
まるで現実感が無いが現実なのは確かだった
思考がまとまらない、どうしたら良いのか分からない
2人に何があったのか知りたい、だけど知ってしまって大丈夫かとも思う
そして決断
帰ろう、現状を丸投げして、考えるのを放棄して一旦帰ろう。
無理矢理気味に立ち上がり振り向いて帰ろうと思った矢先に目の前に誰かがいる事に気付いた。
上から下まで真っ黒な服を着た男
異様な程に闇に溶け込んでいる男が何がを言っている、多分外国語だろう全く分からない。
男が手を前に出すと、ふっと意識が遠くなっていくのが分かる。抗えないままに倒れこむ、覗き込んできた男のが何かを言っているがやはり全く分からなかった。
この日から俺の
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実験開始
とあるビルの屋上でその男は佇んでいだ。
百万ドルの夜景などとは程遠い夜景ではあるがスエーデンの実家の寂れた街の夜景に比べたらまだ良いなどと考えながら、その男は上司の連絡を待っていた
屋上に来てから30分が過ぎた頃にスマホに着信が入る、盤面には上司の名前が確認できた
「待ってましたよ、Dr.ルー」
『いやいや、すまないね、ちょっと問題が発生してね』
「まぁ、それは構わないのですが、どうやら今し方サーヴァント同士が一戦交えた様子です。」
『それはこちらでも確認している、反応としてはセイバーとキャスターのようだ』
「珍しい組み合わせですね、自力で劣るキャスターが序盤でセイバーと当たるというのは」
『まぁ、いいデータが取れたよ、どうやらどちらもまだ脱落してはいない様だしね』
「セイバーと正面から向き合ってキャスターが逃げ果せてると、成る程、今までには無いケースですね」
『ああ、今回の実験は、かなり期待が出来そうだよ。過去27回の実験でアップデートされて来た最新の〈聖杯戦争〉だからね』
スマホ越しに上司の興奮が伝わってくる
上司のDr.ルードビア=バレステノンの熱意が狂気がまるで目の前に居るかの様に感じられた
「既に6騎のサーヴァント召喚が確認されてます。後1騎で本来の聖杯戦争と同様の数が用意できた事になります」
『あぁ、遂にここまで来れたんだ、魔術師の間に広がった願望機生成の儀式・聖杯戦争、だが未だまともに聖杯戦争を成功させた者はいない。私も含めてね』
「そうですね、初めての時はサーヴァントすら召喚出来ませんでしたしね」
『其れが遂に7騎用意出来るまで来た、この〈亜種聖杯戦争〉も本家と同じ騎数を用意するに至ったのだ、実に素晴らしいぃぃ!』
スマホから耳に響く程の大声が聞こえてくる
更にガチャガチャと何が崩れる音を同時に聞こえて来た
どうやら興奮し過ぎて何を崩したのだろう
こうなった時のDr.の話は長い、ここは早く切り上げた方が良いと考え、強引に本題内容に話を進める事にした
「Dr.ルー、それではこれから最後のサーヴァント〈バーサーカー〉の召喚に入ります」
手のひら大の「宝玉」を取り出す、薄紫色の透明度の高い水晶球にはバーサーカーを示す刻印が刻まれていた。
この宝玉こそが今回の聖杯戦争のサーヴァント召喚用の媒体兼魔法陣兼管理用の情報端末である。
実際の聖杯戦争には特定の範囲内の霊脈上で召喚用の魔法陣と英霊召喚用の触媒を用意し降霊の詠唱を行う事でサーヴァントの召喚を行う。
しかし、本家の聖杯戦争の骨格全ては情報として流れては来なかった。
アバウトに全体像だけ伝えられ其れを元に現在も各地で亜種の聖杯戦争が繰り広げられている。
『今更ではあるが君がこの〈実験聖杯戦争〉に参加するメリットは‘何も無い’と思うのだが?』
「まぁ、そうなんですけどね。ただマスター側からしか観察出来ない事もあるかもしれませんので」
『うん、それなら良いのだけどね』
先程までの興奮が治まって来たななどと考えながら、でも実際は私の事などどうでも良いと思っているのだろうという事は分かっている。
握りしめた宝玉に自らの魔力を注入する
同時に宝玉は眩い光を放出し始めた。
注入された魔力を切っ掛けに召喚システムが起動、内包された魔法陣と詠唱を読み込み蓄積された媒体データから魔力にあった英霊を具現化する
男が今回召喚したバーサーカは
老人だった
「バーサーカの召喚に成功しました。」
『素晴らしい、遂に7騎の召喚に成功した、ここまで遂にここまで…』
感極まっているDr.を聞き流しながら今召喚された英霊を観察する
見た限り東洋人の様で昔の中国の映画に出てきそうなチャイナ服を着ている、深いシワに長い髭、曲がった背骨でお世辞にも英霊には見えなった。
『して、どの様な英霊を召喚したのかな?さぁ聞かせてくれたまえ、送られてくるデータだけでは分からない事が多過ぎるのでね』
「男性の老人です」
『ほう、老人、老人ねぇ…』
流石のDr.も戸惑っている様だ、正式な召喚方法では無い為、英霊の召喚に不備が生じてしまう可能性は高い、正式なら生前最も力があった全盛期の姿で召喚される筈なのだが、多分に含まれる独自解釈込みでの召喚システムによる弊害を鑑みたとしても目の前のサーヴァントはやはり特質だった
『こちらで観測している数値的にはバーサーカーの物で間違いないようだが』
「面白い、実に良いサンプルデータが取れそうです。」
『君が良ければそれで良い、引き続き《令呪》無しでのバーサーカー制御のデータ採集をお願いするよ』
「任せて下さい、良いデータをお土産にしますよ」
男はほくそ笑む、命懸けになる戦いを前に不安要素の出現を愉しむ様に
この日から老人サーヴァントと共にヴァルド=オーグレーンの
宝玉のデザインはFGOの輝石をイメージして下さい。
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亜種聖杯戦争
「ライダー出てこい」
呼ばれた声に反応してチビで太った男が何もない空間からふわりと現れた
「呼んだかマスター」
「当然だ、お前も感知してるだろう?」
「あぁ、近くにサーヴァントが現れたな、突然なので、今現界したのか気配遮断を切ったのかは分からんが」
「同じサーヴァントであるお前なら私より詳しく所在が掴めるだろう。さぁ、早く討伐に向かうぞ!」
いきり立ち戦闘準備を始める自分のマスターにライダーは溜め息混じりに忠告する
「いやいや、普通に考えて無策で会敵するなんてあり得ないだろ」
「私は構わんが?」
「マスターが構わなくても我が構うわ」
「何故だ、ライダー?聖杯戦争はサーヴァントを使役したマスター同士で戦い最後の1騎に残った者が聖杯を得て願いを叶える、そうゆう物だぞ、敵は即座に排除せねば」
「分かってんじねーか、つまりこの聖杯戦争を勝つ為には、最後の1騎残ればいいんだ、極論、我らが戦わずとも他の者達が潰しあってくれれば良いのだ。」
「漁夫の利で勝者になれと…」
「そうゆう事だ、戦わねばならない時は戦うが、わざわざ危険に突っ込む必要など無いではないか」
「成る程、だが駄目だ。それでは高みには登れない、私には実戦が必要なのだ、名声を得るにしても全ての敵をなぎ倒し私の力を存在知らしめる型でなくては!」
そう、駄目なのだ
証明せねばならない
この才能を血の力を
高みへ、更なる深淵へ、《根源》へと至る為に
私は…
-1ヶ月前-
「つまり、その亜種聖杯戦争に参加しろと?」
「はい、今回の開催地は日本の【日野浦】で行われます。」
「確かに十数年前から各地で行われている儀式だとは聞いているが、まともな成功例は殆ど無く、成功は100に1の出来損ない儀式だとも聞いているが」
「確かに他の聖杯戦争は正に規模も質も悪い出来損ないの亜種でしか無いでしょう、しかし、私達の聖杯戦争はそこいらの雑魚魔術師が行う聖杯戦争とはモノが違います」
「ほう…」
ロンドンの魔術師の集まる秘匿された学園都市【時計塔】に数あるカレッジの一室で怪しい男から私は聖杯戦争への参加を持ちかけられていた
相手の男は見た目は兎も角、話し方が怪しい
詐欺師が年寄りを騙す時に使いそうな口調でどうにも胡散臭い
「では、どう違うのか教えてくれるか」
「勿論ですよ、ですが先に確認されて頂きたい事があります。まず聖杯戦争の内容に付いて、どの程度の知識をお持ちで?」
「魔術師が使い魔を使い戦い、聖杯を得る儀式ぐらいしか知らないな」
「成る程、分かりました。では1からご説明致します。」
「あぁ」
何故か小馬鹿にされた様な気がする、わざと知らない振りをしたが、実際は聖杯戦争その物には以前から興味があり、調べていた位だからその事は置いておく
「私達の開催する聖杯戦争は冬木のソレと同様マスター7人が英霊を1騎ずつ召喚、サーヴァントとして契約し自分以外のマスターと覇権を争い最後の1人が聖杯を手にするそう言った儀式です。」
「英霊…」
「左様、聖杯戦争のサーヴァントは英霊則ち過去に神話や伝説の中で為した功績を残した英雄が選ばれます。」
「その様な霊格の高い者を使い魔とする事が出来るのか?」
当然の疑問だろう伝説を残す様な存在は神格化され精霊にも匹敵する
どんなに才能や能力に優れていたとしてもいち魔術師程度では《位》が高すぎて手に負えない。
それは《魔法使い》ですら無理なのではなかろうか。
「そう、普通ならば不可能、しかし其れを可能にしているのが聖杯です、日野浦と言う限られたエリア内とは言え、願望機たる聖杯の補助を受ける事で英霊をサーヴァントとして使役する事が出来るのです」
聖杯の存在が英霊のサーヴァント化を可能としているならば、規格外の魔術礼装と言える。
ならばその聖杯は願望機としての機能も期待できるだろう。
つまりそれは…
「そして、召喚されるサーヴァントにはそれぞれクラス分けが存在し、各クラスそれぞれに特徴がございます。マスターは振り分けられクラスのサーヴァントを使役し戦って頂きます。勿論、本家同様にクラスの被りはございません。」
「7つのクラスに特徴…」
「クラスは[セイバー][アーチャー][ランサー][ライダー][キャスター][アサシン][バーサーカー]となります。」
ここら辺の情報も調べた物とほぼ変わらら無い。
・セイバーは剣の英霊【対魔力】を持ち優れた能力を持った者が多い最優の戦士
・アーチャーは弓の英霊【単独行動】でマスターから離れても行動できる遠距離主体の戦士
・ランサーは槍の英霊【対魔力】を持ち俊敏性に優れた接近戦主体の戦士
・ライダーは騎兵の英霊【騎乗】のスキルで高い機動力を持ち、宝具の手数で戦う戦士
・キャスターは魔術を行使する英霊【陣地作成】で自分に有利な環境を作り戦う術者
・アサシンは暗殺者の英霊【気配遮断】を使用た搦め手を得意とする殺し屋
・バーサーカーは狂気の英霊【狂化】される事で理性を失う代わりに能力を強化された戦士
ここまでは他の亜種聖杯戦争と変わらない
まぁ他の亜種聖杯戦争は聖杯不完全で不成立、出来ても2騎から5騎程度でまともに機能していないらしい
サーヴァントも偏りが酷く、大体は召喚用の触媒を奪い合う魔術師同士の諍いがメインだとも聞く
だがそれは私にとっては、余り関係無い
優れた召喚システムと願望機の存在、ソレは根源に至る可能性そのものに思える
「元来英霊の召喚には触媒が必要でした。英霊はその信仰度合いによって力の有無が変わります、開催される地域に土着した英霊が質然強くなり、触媒もそれに合わせた方が良くなるのが必然。しかしそれでは公平性にかきます。ですので我々の行う聖杯戦争では特別な触媒を必要としない召喚を行います。」
「なに?!」
「はい、この《宝玉》には各クラスの触媒データを組み込んでおり、マスターとパスを繫ぐ事で自動的に英霊を選択し適正な召喚を行います。」
「特別な召喚儀式や詠唱が不要だと…」
「その通りです。しかも宝玉には前もってクラスの確定を行なっておりますので召喚時のランダム性も御座いません」
召喚の操作、このレベルは初めてだ
今まで調べた聖杯戦争の中でも聞く限りでは特別な物であるのは確かなようだ
「サーヴァントには宝玉を通して命令を下したり魔力を供給する事になります。ですので宝玉の破壊=敗退となりますので悪しからず。」
「その宝玉とやらで『絶対命令』は可能なのか?」
本来の聖杯戦争ではマスターが令呪を身体に刻みその力でサーヴァントを強制的に従えさせると言う、そうしなければ自我のある英霊に命令を聞かせる事など不可能だからだ
「おや、やはり見込んだ通り、気付いてしまいましたね、はい残念ながら宝玉には令呪同様の機能はございません。ですがマスターと適正の高い英霊が召喚されますので反逆されて死ぬなんて事は無い筈です。」
胡散臭さここに極まる、わざと危険な情報を伏せた説明をしていた事をあっけらかんと明かしてきた。
「優れた魔術師であるマスターならば自身の力でサーヴァントを従わせる事が可能なのです。そして貴方にはその力がある筈です。」
「ほう」
「貴方様の《家系》その《血脈》は凡に埋もれる筈は無いのですから」
「成る程、其れが私にこの話を嗾けた理由か」
「どうですか?貴方様にとってメリットは充分なのでは?」
この胡散臭い男はどうやら私の事を良く調べてきているようだった。
「能力を示すのならば持ってこいの場ですよ。聖杯戦争は、だから調べていたのでしょう?自らを示す場所として、ねぇ」
「わかったような事を…」
「分かってますとも、だから来たのですから」
確かに私は探していた、自らの才能を血を示す場所を
名家に生まれ、何不自由無く魔術師としての道を歩んで来た、名門である時計塔に籍を置き、その才能を遺憾無く示してきた
だが足りない。
圧倒的に足りない。
このままでは至れる気がしない。
根源に
究極にして無なるモノに
自他共に認めている、私に才能が有ると
代々受け継がれている《魔力回路》の本数も間違いなく時計塔トップクラスだ。
だからこそ分かってしまう。
このままでは至れないと
辿り着けないのだと
魔術師の家系は根源に至る為に跡継ぎに魔力回路を引き継ぎ、回路の本数を増やして行く事でいつか根源に至る事目指している
今が駄目なら次へ、それも駄目ならまた次へと
だが私は自分が至りたいのだ、掴みたいのだ
あらゆる魔術師の望むモノを
その為に自分に足り無い物を求めた、その為に見下していた《現代魔術論科》のロードエルメロイ二世の講座を受けたりもした
その中で聖杯戦争の事を知ったのだ
知り合いの中では実際に亜種聖杯戦争に加担した者さえ居た、その話を聞き、聖杯戦争の情報を得れば得る程に時計塔に居るだけでは得られない物が得られる気がした
経験した事の無い魔術での実戦、聖杯を手にした事で名声、そこには可能性があった、魔術の最先端、神秘や奇跡の体現が
身を焦がすような焦燥感を焦りを目の前の怪しい男は見抜いた上で誘いをかけにきたと言う。
知らないふりなどもう意味がなかった
「私の演技もお見通しか」
「はい、それはそうと如何ですか?今なら貴方様の任意でサーヴァントのクラスをある程度選べますよ」
通販の決まり文句の様に勧誘の言葉が紡がれる、其処に胡散臭さが溢れてくるが
「サーヴァントの特性をある程度掴んだ上で準備まで出来ると」
「はい、まぁ残念ながらセイバーとキャスターに付いてはもう先約が御座いますのでそれ以外となってしまいますが」
どうやらもう2人の参加が決まっているようだ
「構わんさ、私の力を示す為の場か良いだろう、その亜種聖杯戦争に参加しよう」
自身を危険に晒す行為が馬鹿げているのは承知の上で怪しい男のあまりに胡散臭い話に乗る事に決めた
「ではサーヴァントはどれを選ばれますか?」
「私の英霊は…」
-1ヶ月後-
「ライダーよ、私は止まる訳には行かないのだ」
ライダーは呆れて溜息をつく
「全くたいした向上心だよ、ほんと…」
「楽はさせんぞ、ライダー、お前も一度は上り詰めたのだろう?」
「まぁな、その後どうなったかは察して欲しいところだかね」
「はっ、だが『不可能は無い』のだろう?」
「言ってくれるなぁ」
私とライダーは顔を見合わせてニヤリと笑う
「では行こうか、颯爽と駆け抜けて聖杯を手にしよう」
「仕方ねーな、行ってやるよ」
時計塔から来た男、ウォーマ=ビルストンはライダーと共に夜の深淵に駆け出して行った
俗に言う説明回です
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事件
日野浦のとある商店街に衝撃の事件が発生した
近くに大型のショッピングモールが出来てから1店舗1店舗とシャッターを下ろして閑散とし閑古鳥が鳴り止まない、悲しみを背負った商店街の元パン屋の店舗で其れは起こった。
「外人さんですね」
「間違いねーな、然もこんな顔、この街で見た事ねーな」
「しかし、惨たらしい仏さんですねぇ」
「後ろから数十カ所の刺し傷、明らかな殺人事件って感じだが」
「こんな田舎でまさかの殺人…」
なんの気ない朝に散歩中に商店街を歩いていた老人は、元パン屋のシャターの下から赤いモノが流れ出ているのを発見する
その色とその生々しい匂いで其れが血液だと分かってしまう
腰を抜かした老人に更に学校に向かう途中の女子中学生が声をかけ、絶叫した後に警察に通報された
来たのは近くの交番に勤める警官2人で分かりやすく、ベテランと新米といった感じの風体だった
明らかに壊された裏手口から入った2人は元店舗の真ん中でうつ伏せで倒れている外国人らしき男性の死骸を発見する
明らかな殺人事件、平和な街に突然発生した異端の事件に困惑する
「大事件っスね…」
「取り敢えず本庁に連絡だーな」
「はい…すんません、ちょっと気分がぁ」
「まぁ、わかるがな」
死体は今まで見た事はあっても殺人事件程の無残な死体を見たのは2人とも初めてだった
2人が環境保存を優先しつつ県の警察署に報告を行おうとした時
「それは、ご勘弁して頂きたい」
「なんだ、あんた?ここには入っちゃならんぞ」
上から下まで全身黒い服を着た男らしき人物が突然現れた
目の前にいるのにまるでぼやけて男なのかすら曖昧に感じた
「全く、困ったものだ」
黒ずくめの男は何かを言っている、明らかに日本語では無い
「外人さんだね、あんたこの人と知り合いか何かかい?」
ベテラン警官が男に話しかけるが男は無視して死骸に近づく
「ちっと…」
黒ずくめの男を呼び止めようとしたベテラン警官は突然意識が遠くなるのを感じた、気付けば、新人警官は既に意識を失って倒れていた
「レイバン=ラムダ=ムスミテルで間違いなさそうだな、Dr.聞こえるか?」
『あー聞こえてるよ、そこで死んでるのは間違いな《アサシンのマスター》である筈のレイバンなんだね』
「えー、その様で」
『アサシンのサーヴァントが召喚されたデータは残っているが、マスターは死亡と、戦闘した形跡は?』
「見た限り魔術的戦闘が行われた様子はなさそうだ」
『こちらでも戦闘データは摘出されてないからなぁ』
「どうする、まだ今回の《実験聖杯戦争》のサーヴァントは全騎召喚されてる訳では無いのだろ?」
『あぁ、問題無ければ、今夜最後のサーヴァント・バーサーカーの召喚が実行される筈なのだが…』
黒ずくめの男はDr.と呼んだ男と会話をしながらも倒れた2人の警官にある術式を施していく
【記憶の改竄】
男が得意とする《魔術》は、人間の脳に干渉し意識や認識、記憶を操作する類のものだ
2人の警官に魔術をかける、脳に直接干渉し1時間前後の記憶を曖昧にし[特に何もなかった]と記憶を改竄する
その後2人の意識を覚醒させる、ぼんやりと立ち上がった2人はふらふらと店外へ出ていった
「Dr.これであの2人の問題は解決だ、目撃者達も記憶は改竄済み、そっちの方で警察署には?」
『大丈夫、圧力はかけて貰ってる、この後の処理は、お願いできるね』
「ああ、其れが仕事だからな」
『しかし、召喚されたアサシンのサーヴァントは何処に消えた…』
「さぁな、それは管轄外だ」
『だよね、全く…今回は遂にサーヴァント7騎を揃えるところまで来たんだ、やっとだよ!やっと!!過去27回の失敗から学び、培い、築き上げてきた結果なのですよ!更にこれか』
うるさいと通信を一方的に切り、認識阻害の術式を施して元パン屋を後にする
次はこの街の警察署で今回の件に関わった者の記憶を改竄しに行く
残った死骸は更に別の魔術使いが処理しに来るだろう、認識阻害の結界を張っておいたので一般人に再度発見される事も無いだろう
時間にして現在14時を超えた辺りで人通り増えてきた、警察署に向かう途中で結構な人とすれ違った、高校生の男子や母親と子供の2人、小学生の女の子など黒ずくめの男が歩いてきた方向に向かって行く、先にはシャッター街と化した商店街に向かっていく
そこに死骸がある事も気づかず
「和正君、怖いおじさんは向こうに行っちゃったよ」
黒ずくめの男と今し方すれ違った親子は男に聞こえない程度の声で話し始めた
「みたいだな、堂々とすれ違ったんだけどな、気付かないもんだな」
「楽しそうね和正君」
「まぁね、自分の魔術に自身があるんだろうが、この状況だけで言えば間抜けだろ、存在を曖昧にしてカモフラージュしてんだろうが俺らにバレバレな上に真横素通りなんだから、お笑い草だね」
「もー和正君、一所懸命頑張ってる人を笑う何て失礼よ、そう言う事は言わないの」
「うるせーな、聖杯戦争関係者のくせにサーヴァント見過ごして歩いて行っちまうんだから、まぁ分からせない様にはしてる訳だが」
「もー反抗的ねー」
「あと何度も言うが俺は《和正》じゃねー」
見ている限り母親が子供にお小言を言い、息子が反抗的に返している様に見える
しかし、実際は違う
子供に見える男の子は生きた人間では無い
聖杯戦争の為に日野浦で召喚されたアサシンのサーヴァントである
「ったく、何でこんな奴と一緒に行かなきゃならんのか」
「和正君はまだ子供何だから、お母さんと一緒にいるのは当然でしょ。ほーら今日の晩御飯のお買い物済ましちゃいましょ」
母親の様な女性は子供の様なサーヴァントの手を引いて進んでいく、さも当たり前の様にまるで本当の家族の様に
アサシンの本来の召喚者はこの女性に殺されている
召喚者は一般人では無い、こと戦闘であるなら魔術を使用し人を殺す事など容易い戦闘力を有している
それに対してこの女性は完全なる一般人であり、魔術の知識はおろか喧嘩だって今までまともにした事の無いような女性だった
そんな女性の凶行に召喚者は反応出来なかった
気付いた時には背後から刺されていた、反応しようとするが恐ろしい程の力で何度も何度も刺された。何度も何度も
召喚者は何一つ理解出来ずに意識を閉ざす事になった
薄暗い元パン屋の店舗の中でぼんやりと浮かび上がる様に佇む小柄なアサシンに向かって言った
「もう、大丈夫よ。お母さんが守ってあげる、今度こそ守ってあげるから」
アサシンのサーヴァントですら何が起きたのか理解に苦しむ状態だったが、召喚された以上は聖杯戦争に挑まなければならない、挑み勝たねば【願い】は叶わない
「守るだ何だはどうでも良いが、責任は取ってもらうぞ、お前がマスターを殺っちまったんだからな」
女性は泣きながら、慈しみながらアサシンに抱きついてくる
「もう離さない、ずっと一緒よ、和正君」
「おい、聞いてんのか?和正って何だ?」
こうして子供の様に見えるアサシンとその母親の様に見える田中部 陽子の
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救い
十字架が光る
その黒人男性の胸元には銀色の十字架が光る
「主は貴方を許します」
とある協会を模したイベント会場で白い修道服を着た黒人男性は目の前で倒れている男に語る
「主は全てを許します」
倒れている男は蠢く、折れた腕、切られた脚、打ち抜かれた頬と満身創痍の身体を無理矢理にでも動かしている
「貴方の罪は無くなります」
黒人の男性はカツカツと靴の音を響かせながら倒れている男に近づく
「されど」
更に近づく、目の前まで来てしゃがみ倒れた男の耳元で囁く
「貴方はここで死ぬ」
倒れた男は更に蠢く、客観的に見てその傷だけで助かる見込みが無いのか分かる、それは自分でも理解しているだろう。だからと言って死ぬと宣言されて何もしないで訳にも行かなかった
男は思う。こんな奴に殺されたくないと
「主の元に行きなさい」
黒人男性は修道服の袖から砂のような物を男に振りかけると男は激しくのたうち回った、身体中の傷が無理矢理こじ開けられていく、折れた腕は更に折れ、切れた脚は裂け、打ち抜かれた頬が腫れ上がる
修道服の黒人は笑顔で苦しむ男を見つめていた
「面白い余興じゃのマスター」
黒人男性の背後から声だけ聞こえる
振り向かず、笑顔絶やさず、死にゆく男を見ながら答えた
「彼は自分の罪で死ぬのです。見てください彼はこうして自らの罪を刻み込む形で救われるのです。」
「《罪》のう」
「ええ、自らの汚れを引き受け戻す事で罪を清算し天へ帰る事が出来るのです」
グチャ、ゲチャと倒れた男は人の形を崩していく、おおよそ人間の形が無くなった肉の塊に変化していく
しかしそれでも男は生きている
「そして、これからゆっくりと天に召されて行くのです。」
人の形を無くした肉塊だがおかしい部分があった、一切血が流れて来ないのだ。
どんなに傷口が開いても、そこから血が溢れ出る事が無かった、折れて切れて腫れてそれでも血は流れ出て来ない
物理的に血管が切れている筈なのに血が出てこない、それどころか血管は問題なく血を全身に送っていた
通常ではあり得ない、有り得るはずの無い状況
肉塊になった男には痛みだけが残る、折れた部分の、裂けた部分の、腫れた部分の痛みだけが伝わり続ける、全身から痛みや外傷から普通ならショック死は避けられない筈だが男はいつまでも痛みに苦しむ
「死にたくても死ねない《呪い》かの」
「流石[アーチャー]良くお分かりで」
「何とも酷いの」
「それが彼の罪ですから」
「成る程、人間は皆罪深いものなぁ」
「彼は罪を償い、天に召されて行けるのです、大変喜ばしい事ですね」
「喜ばしいかの?だが汝の顔は喜んでいるのでは無く楽しでいる顔だのう」
修道服の男は更に口角を上げまるで口が裂けたかの様なおぞましい笑顔を見せた
「ええ、楽しいですとも神の名の下に愚かなる者を裁く、こんなに愉快痛快な事が有りますか?はぁ〜堪りませんよ。見てください、彼は苦しみ悶えながらも簡単には死ねない、私の《呪術》が彼を生かして苦しみを罰として昇華させるのですから」
「その人間にどんな罪があったのかの」
「さぁ、それは分かりません、彼とは偶然出会ったもので」
「そうだの、街を歩いて目があっただけの人間にしか見えなかったからの」
「まぁ、彼が何処の誰でもどんな人生を送ってきたのかは全然興味がございません。ですが《この世に生きる人間に罪がない者などいない》から構わないのですよ」
「そうかそうか、それは良かったの。それでお前のような奴を許す『主』とやらどんな奴なのかの?」
「さぁ?会った事がないので分かりませんね、でもまあ良い方だと思いますよ」
アーチャーはその返答を聞いて激しく笑った
「愉快、愉快じゃの」
「はぁ、それは良かったですね?では次に行きましょうか、果たしてサーヴァントにはどんな罪があるのか、そのマスターどんな罪があるのか、気になりますよねぇ」
「よかろう、裁けるだけ裁けば良い、我も力を貸してやろう」
「ありがとうございます。アーチャー」
哀れな肉塊を残して修道服を着る黒人の男性ミゲウ=サントスの
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独白①
普通が良かったんだけどなぁ
私は何時も思ってる
一般家庭に生まれて、普通の家族と一緒に暮らして、ドラマチックな事など何も無い「普通」の生活
子供の頃から憧れていた
神社に生まれて【神道】なんてのを子供の頃から修行させられて、秘術だから外の者には知られちゃいけないとか言われて黙らされて
他の子達が遊んでる中で私は家で修行しなきゃいけなかった
ハッキリ言ってこんな事に何の意味も見出せない、楽しく無いし、やって良い事が何も無い
学校に行って友達と話してた方が数万倍マシだ、楽しいし嬉しい事も沢山ある
だけど伝統だ、血脈がとか、どうでも良い事で私は縛られてきた
今回の件もそうだ、私はこんなのに参加したく無かった
『聖杯戦争』なんてよく分からない事を祖母から押し付けられた
「戦って勝て!」って何それ?
数少ない友達とだって喧嘩すらした事無いのに?
普段から使用してる式神の様に「使い魔」を召喚して使役すれば良いだけって何よ!!
訳わかんない!なんで私なの?祖母様が出れば良いじゃん、現当主でしょ!私は只の高校生なんだよ。
「才」があるからって知らないよ。
でも断れない、祖母様は怖い、昔から怖い、だから逆らえない、身体に染み付いた恐怖が其れを許してくれない
仕方ないから従うしか無い、嫌だけど、本当に嫌だけどやるしか無い
手渡された水晶玉は綺麗だった
コレでサーヴァントを召喚しろとの事、式神の様なお札じゃ無いんだ
水晶玉に「力」を流し込んでパスを通す
漏れ出す光と広がる魔法陣
私の扱う神道とは全く別の系統術
溢れ出した光が目の前に集まって人型を取っていく、祖母様が言うには召喚されるサーヴァントは【キャスター】のクラス?らしい、英霊?なんか凄い魔術師でも召喚されちゃうのだろうか??
ってあれ??あれれ?
ちょんまげに髭面、戦国時代の鎧みたいの着てるのが出てきたんですけど!!
何⁈何なの⁈
キャスターって魔術師系だよね?鎧武者じゃ無いよね???
出てきた鎧武者は豪快に笑っていた
キャスター自身もまさか自分がキャスターのクラスで召喚されるとは思ってもいなかった様だ
何なのコイツ…
全然愉快じゃ無いんですけど…
しかも勝手に外に出ようとしてるし
祖母様の顔が怖い…微笑んでるけど目が笑ってないよ、付いていかないと駄目だよね
はぁ、最悪…
普通とは程遠い
聖杯戦争に勝ち残ればどんな願いも叶うって何だかなぁ、胡散臭!
でもどんな願いも叶うんなら叶えてもらおうじゃない!!
私は普通になりたいんだ、勝って普通を手に入れてやる!!
そしての
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