世界は愛で満ちている (とほくれす)
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一冊目【AR小隊】 クズと鉄血と戦術人形

とある場所から逃げてきたので匿名です。悪い事は特にしてない。


A月B日 ムカつく晴れ

 

やあ諸君、俺の名前はどうでも良いなよし。まあいきなりこの日記を拾った不幸なやつのためにちゃんと話だけはしてやる。

俺は転生者だ、まあコレはどうでも良い。忘れとけ、本題は次――――――俺がどれだけ人間性に欠けるかについてだ。

 

一応こんな恐らくどっか変な場所に転がってる日記を読むような変人野郎に説明は必要ないと思うのだが、本日記は存分に私利私欲に生きようとしてたあんまり精神衛生上よくない男の日記が載っているはずだ。

まあ善人、読むな。まあ悪人、暇じゃないなら読むな。まあ変人、読みたいなら読め。以上だ、じゃあ日記と入ろう。

 

じゃあ手始めに何故俺が今こんな瓦礫で文字を書く侘しい生活かだが――――――実は俺が喜んでなったのである。いやあゴメンな、期待通りの答えは出来ん。

去年に親が二人とも鉄血にぬっ殺されてから始めて、もう半年ぐらいかね。ああ同情とかいらんぞ、正直親はろくな奴じゃなかったからな。死んで清々した。

 

で、日記見つけたから今日。初カキコ…………ども。みたいな感じなわけだ。じゃあまあ書く所がねえが、今日の収穫物でも。

缶詰4個と日付不明の新聞だ。缶詰は勿論お役立ちだし、新聞は焼けててほぼ読めないが写真ぐらいは有る。情報収集に使えんこともないな、ウンウン。

明日はどうやってこういうものを拾ってきてるか話をしてやるとしよう。

 

 

 

C月D日 気分の良い雨

 

雨は良いなあ! 体を洗う最高の機会だ、川は妙な工業排水とか混じってたりするし辛うじて綺麗なのは雨なんだよ。これで綺麗好きだったころも有るから、こういう機会が不定期になるのだけはこの生活スタイルの困りどころさね。

 

そんで、えっと――――そうそう、俺のアイテムドロップ方式の話だな。自分の文字を読むのに一瞬苦労する程度には頭が退化してやがる。

まあ言わずもがなだとは思うが鉄血って奴居るじゃん? ほら、あのビミョーミョがいっぱいの。あ、これ界隈で殺されるな自重しよ。

アイツラが一回襲った土地を速めに漁るんだよ。もしくは戦闘のドサクサに紛れる。いやー乱世乱世、正直ドサクサに紛れなきゃ戦利品は少ないよな、後死人が出ないと回収されちゃう。

 

だから戦闘経験はあるんだぜ、というかむしろ「被弾しない」と絞れば俺は其処らへんのプロには負けん。何せそこら辺のプロが吸収して当然の常識的なものに欠ける構築で逃げるからな、意表をつける。

 

――というのは冗談にしても、そこそこ逃げるのは上手い。銃撃ぃ? んなもん出来るわけねえだろ、俺は危機回避能力に特化してんだよ。まあ銃は持ってるぜ。そこら辺に落ちてたボルトアクションライフルなんだけど、これどんなライフルなんだろうな。よく分からんまま適当に弾薬詰めて暴発したりしつつ使ってるからあんまアテにしてない。武器を乱用して破損するのはこういう生活をする身としてバカ丸出しだが、銃知識は薄っぺらいんだ。結構見よう見まねでパーツ造って直してるところもあるし、まあ使えなくても怒れない。分からんもんはしゃあなしだ。

 

今日は昨日の缶詰を食べつくす。サンマだぜぇ…………。

 

 

 

E月F日 死体漁りに最悪な快晴

 

おっと不味いな。根無し草の俺にあってはならない幸運が降ってきた。

何と俺が今日うろちょろしてた辺りで人形と出くわしちまったのだ。AR小隊のイカレたメンバーを紹介するぜ!?

まず明らかに気弱な黒髪ロング、いやー裏がありそうだね! M4A1! 何と隊長だってさ、ご苦労なこった。

次にピンク髪は淫乱か!? え何その綺麗な眼の色羨ましい、ラフなアウターのST AR-15! いやー神経質そう、俺とは合わねえな。

お前は見るだけでイかれてるの分かるんだよなあ、ワンコ枠丸出しM4 SOPMODⅡ! 弁当屋みたいな名前だな。

おーかっちょいい、お前は付き合ってみたいな。姉貴肌な長身隻眼黒髪おさげM16A1! ところでお前が持ってる長物は何。

 

ここで恐ろしいことが発覚した。俺はAR15ちゃんを気分で鉄血から逃してやっただけなのだが――――ああ、これはマジで気分な。俺は別に美少女だから助けなきゃ! とか思わない。抱けそうなら助けるかもしれんが、要するに尻の軽そうなやつだけってこと。嫌がる女は趣味じゃねえ。それどころじゃなくて、何と彼女達は俺の名前を知っているじゃあないか。吉良吉影ばりの隠密行動を常とする俺としては困った話だ、どうやらグリフィンで俺は変人として有名になってしまってるらしい。ふっざけんな、変態と呼べ。

 

で、何処ぞやから通信を飛ばしてるペルシカとやら(なんか凄い研究者らしい、俺は浅学だからよく知らん。)が俺と交渉(脅迫)を仕掛けてきた。

曰く、「普段だったら武器持ちの身元不明の男なんぞ速攻で拘束、拷問コースだけど――――――今回の作戦に力を貸してくれたらお目溢しってことで」だそうだ。お前それが人に物を頼む態度か、えぇ? こら。なんか猫耳みたいな髪しやがって、もぐぞこら。いやモフりたいか。千切ってモフらせろ。

 

……………とも言えなかった、今回は俺が不利。定職に就くだけでも面倒でこんなホームレス生活に入ったのに、よりによって拘束からの拷問とか頭がおかしくなる。

拘束するメリットは無いが、こういうヤツラは大抵脅しに乗らないとマジでやって来る。勘弁してほしいもんだよなー。

 

という訳で受けるというか、半ば強制でその仕事は受けた。ちなみにその時ペルシカが言っていたが、「どんな追跡をしても見つからないから、専ら本部で『Phantom』とか呼ばれちゃってるらしいよ」だそうだ。カッコイー、俺は心の怪盗団だったのか。

 

という訳で今日は半日で分けてみる。取り敢えず半日分書けたからこれか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おっとスマンスマン、急にページ変えちまったな。

AR15ちゃんが俺の日記に興味津々でさ、えげつない面相で取ろうとしてきたからページを跨いで回避させてもらった。

 

あの娘の視線が若干熱くて困るぜ、俺に惚れたのかね? 顔だけは良いって昔から知り合いに言われてたし――――――――性格? 勿論、「顔に似つかわしくないど畜生」だよ。大体ソイツラとは殴り合いの喧嘩になったことが有るがな。

 

じゃ、半日分は次のページ捲ってくれや。またAR15ちゃんが俺を見てる。




思うに外道も徹底してたら扱いようがあります。
中途半端に甘いやつ、これはクズ。推して苦労するべし。
某小説に影響受けてるけど、全く展開が違うので安心して欲しい。話がパッパカ進むぜ。

という訳で大事な注意点
・徹頭徹尾のクズではない(偶に甘い、中途半端に優しい)
・避難場所に速い更新を求めてはいけない
・ストーリーバレは考慮してないので自己責任
・肩の力抜いて読もうな
・じんわりとハーレム(地獄)になる


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天は八物ぐらい与えてしまった

開幕一投目で低評価とか妙な才能を持ってるんじゃないか俺。濃い作品になってるようで何より。全く酷評されない作品もそれはそれで薄味すぎるのでは考えていてだな(ry。
今回から一日あたりが長くなる。だって本編に絡む因果が確定してもうたし。


引き続きE月F日

 

俺が愛銃のゴミさを面々に見てもらっている最中、AR15ちゃんが激しく俺に構ってきた。

やれ「何処から来たのか」、やれ「行く宛てはあるのか」、やれ「女の子の好みは」、やれ「人手に事欠いてはいないか」だの。後半は何だ、お前は俺の彼女かよ。

取り敢えず先に女には基本興味がない、と言えば「じゃあどんな女なら興味が湧くのか」と来る。「功績? 美貌? 床上手かしら?」とか、お前中々すまし顔でえらいこと言うな。M4ちゃん、ちょっと引いてたぞ。

 

イイ女と答えてこんな感じに言った。

「俺の定めるイイ女には三つの条件がある。1に周りの評価に頼らないこと。2にどれだけ愛されたかよりどれだけ愛したかを語ること。3に自分磨きに余念がない事だ。お前は論外、女磨いて出直してこい」

まあ勿論口から出まかせである。条件は今考えた、まああながち間違いじゃないだろう。

まあね、これでAR15ちゃんの人形ライフに幸有れ、ぐらいの無責任さと願いを込めて言ったんだが本気にしたらしく、「成る程…………」と唸っていた。いつ出まかせだってバラそうか、困ったぞ。

変に未練持たれないように「そういう出来た女は俺なんてほぼ追いかけてこなかった」という事実だけを伝えておいた。そりゃあなあ? 俺だし。

 

ってか聞いてくれ(手遅れ)。何と作戦決行は今日じゃねえんだと、何で半日に分けたんだよバカじゃねえの俺。まあどの道長くなりそうだし半分に分けたのは間違った判断じゃあねえんだがよ。

しゃあねえからまた廃墟漁りに戻る。AR小隊の面々は俺を変人を見る目で見ていたが、俺は食わなきゃ死ぬんだよ。

あんまり見つからないから最後の方は手伝ってもらった。コイツラ、俺と行動するのに向いてない甘さだ…………大人しく利用させてもらおう。

 

辛うじて手に入ったレトルトパックで夜を凌ぐ。そう言えばAR15に「そのザックを持ってよくアレだけ走ったわね」と感心されたな、この世界に来てから俺は自分の能力で困ったことねえんだわ。すwwwまwwwんwwwなwww

自重しよう。いや悪かったよ、間違ってもこの日記を破かないでくれよな? 破られたら俺だってちったあ悲しいからな、ああ。

 

飯を食った後は俺はぼろ小屋で寝たんだが、AR15ちゃんが今度は夜番を買って出てきた。SOPちゃんまで俺のボロ布と化した寝袋に入ってきてもう大変よ。SOPちゃんは単純に入ってくるだけだから実害が少なかったんだが、AR15ちゃんはどうした。俺にめっちゃ話しかけてくるのよ。夜番#とは。好きな食べ物嫌いな食べ物動物は好きか嫌いかグリフィンはどう思うか――――――ええ~、全部書いたら日記帳のページ切れ起こすからカット。

 

今は冴え切った目を誤魔化すように日記を書いてるというのがオチな訳だ。AR15ちゃんが俺を見てる、何だ。読ませないからな。

 

 

 

G月H日 素晴らしい晴れ

 

(作戦決行日では)ないです。まあ、早起きは慣れてる。5時起きが何だってんだ――――――まあM4ちゃんに「目の下に隈が」と言われた辺りでゆっくりとAR15ちゃんを見た訳だが。昨晩は激しかったな()。

起きるなりM16ちゃん(さん、かね? まあ今後のイメージでブレるやもしれんが今はちゃん)が俺の愛銃を返してくれた。取り敢えずストックが肩に負担をかける上に固定しにくい構造だったらしい。直してくれたらしいので素直に礼を言っておく、礼は欠かさないぞ。弾までくれたしな、偶々有ったらしい。

どうやらもうちょっと歩くらしいのだ、何でヘリとか使わねえんだよと聞いたら「予算がない」「人形だから問題はない」「撃ち落とされる」「今はその人員すら不足してる」と散々な言い訳が飛んできた。

簡潔に「面倒くさくね?」と言ったら4人揃って溜息を吐いてしまったのは、まあアレだな。敢えて言ってなかったんだな、スマン。

 

ところで、試しにそこらの野鳥に我が愛銃を撃ってみたら当たった。偶々かと思ったら全弾命中、俺よりもAR小隊が目を丸くしてた。弾とストックだけでこんなに違うんだな、いや~今日もボルトハンドルを握る感触が最高だった!

AR15がめっちゃ食いついてきた。今まで何をしてきた、と聞かれたので「ゴミ漁り」と答えたのだが半信半疑のジト目。残念ながら事実だよ。

 

飯も確保した所でどうせなので俺以外のやつにも焼き鳥をくれてやった。配給ガーとか言ってたがそんなカロリーメ○トみたいなもの毎日食ってると飽きるだろうが、と言ったら全員黙りこくった。素直に受け取るさまはいやあ痛快痛快。

だが問題なのは俺が若干良い奴なんじゃないか、みたいな感じで歓迎ムードになってきたところだ。違う違う、気分で助けてるだけで今も何なら気が向いたら逃げるから。多分逃げれるしな、スリルを求めてる側面も少なからず有る。

俺はありきたりと束縛が嫌いな人種だからこういう変なことに加担してるだけだ。別にいきなり裏切ったみたいなムードでコイツラを人間不信にしたいわけではないのでな。

 

また日記を読まれた。「書いてる程性格が悪いようには見えないけど」じゃねえよ、勝手に勘違いしてるだけの癖に。後でどういう目に遭っても俺は知らんぞ。

寝れないので外に出たらM4ちゃんが月を見ていた。「月が綺麗ですね」と言ってみると、意味を知ってるらしくみるみる顔を赤くしていって収集がつかなくなりそうに。流石に冗談だって、面白いと言うか可愛いと言うか。

 

 

 

I月J日 苛立つ曇り

 

今日も元気にバードにショット。ハロー、俺だ。いや分かってるよな書いてみたかったんだよ。

道程は長く、少なくとも後3日らしい。姐さん(姐さんだな、M16はこれが良い)は「こっちとしてもアンタが居れば暇しないし、今後もムードメーカーとして居てもらえると助かるかもな」とかカタカタ笑っていた。どうやらM4がちょっとばかし頼りないのが全員心配らしい、ちょっとあの娘引っ込み思案だし俺みたいなフリーダム枠が欲しいんだろう。SOPちゃんガンバ、お前なら出来るさ。

姐さんの発言は恐らく冗談半分だったのだが、笑っている一同の内AR15だけ目が笑ってなかった。いや、お前が居る限りお断りするわ。

 

今日はSOPちゃんと楽しく交流した。銃の残弾はそんなに無いんだが、撃ち落とした野鳥を二人でめっちゃ食いまくった。ってか人形って飯食えるんだな、今更だけど。他の三人が「コイツラ食い過ぎだろ」みたいな目で見てきたの、正直ちょっと興奮した。

ついでにべらべらと情報漏洩してもらったのだが、AR15はどうやら俺が寝静まった後に結局俺の日記を舐めるように読んでるらしい。もう良いよ、俺が見て無ければ好きにしろ。後M4ちゃんも俺に興味が有るらしい。君達なあ…………仕事しなよ、俺が言うのも何だけどよ。

流石に仕事の話は漏洩しなかった。てっきり喋ると勘違いしてたので素直に褒めてやったら喜んでいた、犬かな? 俺は好きだぞ。

 

そう言えば今日の夜、何時も通り「ヤツ」が見ていて眠れないので外に出たら姐さんが酒を煽っていた。任務中じゃないのか、とは言ってみたが逆に勧められたので飲んだ。いや別に俺はどうでも良いのよ、言うだけ言ってみただけ。

随分盛り上がった所で姐さんが「仕事が終わったらアンタの所にAR15でも貸し付けてみるかな! 懐いてるみたいだし!」と大声で言ったら何かが木の上から落ちる音がした。俺達が動くよりも速く消えたアレは何だったんだ、鉄血だったら困るな…………。

 

 

 

K月L日 華々しき晴れ

 

何かAR15が妙にデレデレしてて気持ち悪い。顔が傷だらけだったので大丈夫か、と言ってみると「昨日木から落ちちゃっただけ」とのこと。まさか………………な? 無いか、悪趣味過ぎる。幾らAR15でも。

まあでも女の顔が掠り傷だらけなのも見てていたたまれなかったから絆創膏だけ貼っておいてやる。「意味ないのに」と言われたがこれは気分の問題だ、俺が放置してると気分悪いんだよ。

そう言えばAR15が俺の銃を見て「Kar98k」って呟いてたな、それが名前なのかね。

 

今日は実力が見たいとのことで、全力で逃げる日だった。もう色々やっちゃうぞ俺は。

実はいつも羽織ってる俺のマントって似たようなの12個用意してあるし、ほら足跡を踏み直して逃げるやつ有るじゃん? ああいうのも得意。後木の枝意図的に折ったりもするよな、こういうのってそれで誤魔化しきろうとするより「相手の中で選択肢が増えてしまう」辺りにポイントが有る。

誤魔化しきれるわけないじゃないですかヤダー!

 

取り敢えず30分と聞いたので「30分ぐらいの」策で突破した。全部手の内を見せるわけ無いだろ、アイツラが何時撃ってくるようになるかだって分からん。

無事達成。随分驚かれたな、まあお前ら素人じゃないもんな。だが残念ながら俺はミスったら死ぬからお前ら以上に全力なんだよ…………と言おうとしたら説明されたが、AR小隊はスペアのない存在らしい。

つい素で「え、それ戦いたくなくね?」って言ってしまった。真顔で「でもそれが仕事だし」と四人でハモられた時に俺は戦術人形とグリフィンの闇を感じたね。

 

こっからはAR15にとうとう見られながら書いている。今も書き足そうとされかけて面倒だった。

 

ああ、そう言えば何で転生者なのに母国語を使わないかって言えばそりゃあ――――――まあ、読まれたいんだろうな。読まれるために書いてるんだろう、こういう日記も。

音読されたので不貞寝することにする。明日も程々にスリリングな一日が待っていますように。

――――――――というかAR15って俺が転生者だって知ってることになるな。コレ放置していて良いんだろうか、お前ついでだし返答書き込んでおけよ。どうせ読んでるんだろ?




コイツ日記なげえ。昔語りとかさせたら煙たがられるタイプだ。
あ、何処まで原作知識があるかは曖昧にしてます。見切り発車なんで明言すると書きにくい。
今後は超速投稿しないように予約投稿します。

ところで感想返しは日記の持ち主に任せたいと考えている。ロールプレイとか好きだからこういうの好きなんだよね。
ただこういうの苦手な人も居るしなーと…………感想を書く人の反応に任せます。良ければそこら辺触れていって、嫌なら嫌でいい。


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無自覚暴走列車

あ、規約違反のラインを見誤ったので一話は修正した、親切な人ありがとね。
忠告有り難いけどどうせだし文句言って良かったのよ?
苦情を入れる方もスッキリ、俺は避けるべき層が把握できて大勝利だからな。

今回はAR15編。日付を照らし合わせるのが面倒な人は雰囲気でも読める。


E月F日 作戦開始から■■日 快晴 平均気温6℃

 

あの男から突然日記帳を貰ったので、何となく書いてみることにする。

とはいえ書いたことが無いから、まずはホットな話題と言えるあの男について整理してみよう。確か日記はそういう用途だ。

 

簡潔に言って、あいつは謎が多い。経歴不詳なのはあんな所を彷徨いていた時点で予想がつくが、妙に身体能力が高い。

一般的に鉄血人形の能力は人間よりは遥かに高い。五感も、身体能力も、知能もだ。感情ばかりは高いかは分からないが大体の能力は人間の上だろう。

私を抱いたまま鉄血人形から逃げ切った時は正直驚いた。いや、お姫様抱っこだったからじゃない。違う、うん。

 

言動は何となく掴めない。多分善人ではないけど、その不明瞭な雰囲気は追いかけたくなるものが有る。

質問してみたり、何気なく会話してみたり、色々してみてるけど正体不明。

消耗品は戦場跡地で漁って集めているみたいだ。金がないのかと聞いてみたら「俺はありきたりと束縛が嫌いなんだ」と返された、ちょっと意味が分からない。

 

そう言えばあいつの中では「イイ女」とやらの条件があるらしく――――――

 

 

 

G月H日 作戦開始から■■日 晴れ 平均気温5℃

 

踏み込みすぎた。あんまり質問攻めにするから警戒されてしまったらしい、何であんなにしつこく迫ってしまったのか自分でもよく分からない。興味で済ませるには強引になっている気がするが、AIに異常でも出ているのだろうか。

まあ夜番を引き受けるようにしているから、あいつの動向は何時でも確認できる。昼間にも書いていた日記、これについてもちょっと内容を確認できれば良いと思っている。

 

というかSOP Ⅱは何考えてるのかしら。いつ何をするのかもわからない男の寝袋に入り込むだなんて、ちょっと信じられない。注意したら「もしかして嫉妬してる?」とか間抜けな答えを返すし。何で焦ったのかな、あの時。やっぱりあいつと会ってから私はちょっと変だ、帰ったらペルシカに相談してみよう。

M16があいつの愛銃を直して返していた。物に執着しないタイプと見ていたが、お気に入りの物ぐらいは有るみたい。どうやらKar98kのようだが、トリガーガードに指を引っ掛けてクルクルと回す姿からは相当な上機嫌が伺える。器用なものだ、やってみたけど私は無理。

その時にM16が耳打ちしてきたのだが「銃の知識がない割に、それなりの代替パーツに組み替えられていた」ようだ。益々謎が深まる、一体何者なのだろう。

 

驚くべきことに、適当に構え出したと思ったらあいつは一発で野鳥を落とした。見つけてから構えて撃つまでの動作が僅か数秒足らず。凄まじいと言う他ない。

偶々かと思っていたが、あいつは何度も何度もその並外れた射撃を見せつけてきた。ボルトアクションもお守り程度に扱っているにしては手捌きが速い、これはいよいよどんな訓練をしてきたのか聞くしか無い――――――が、返答は「ゴミ漁り」。どうせ嘘だ、何かしているとしか思えない。ちなみに食べれる野鳥だったらしく、焼いて無理矢理に食べさせてきた。まああの配給よりはよっぽどマシだろう――――――其処を突かれてしまうと私達も何も言えない。

 

取り敢えず、変わり者なだけで度の越した悪人ではないような気がする。本人は何回も「俺を信用しすぎるな」とは言っているが、利己的なのと悪人なのは別物だ。大なり小なり人間は利己的であるべきなのだから、彼は自分に関して少し過小評価をしている傾向を感じる。

日記で書いてあることは中々酷いが(口も悪いし発想も酷いし確かに擁護が出来なかった)、非人道的でもないし。読まれるのを恥ずかしがる辺り、愛嬌もなくはない。

そう言えば夜に急に外に出るものだからちょっと後をつけたけど、M4と何か話していたみたい。何を話していたのだろう、凄く気になる。あいつは、何となく気になる。楽しそうだったなあ。

 

 

 

I月J日 作戦開始から■■日 曇り 平均気温5℃

 

今日は何もないかと思っていたがM16が面白い提案をした。何でも「うちの小隊に入れる」というものだ。

他意はないが、真面目に考慮しても意外と不要と断じれない所がある。あいつの射撃技術は間違いなく私達よりも上な訳だし、あの時のことを考えると身体能力も足を引っ張る――――とまではならない。

生活様式の問題でいざという時のサバイバル能力に問題がないし、この小隊にというよりは「兵士」に向いている成長をしていると思う。

コミュニケーションも問題は無さそうだし。

M16に「色気を出すのは良いが、仕事を忘れるなよ」と釘を差された。一体何の話か分からなかったが、何となく過剰反応してしまった気がする。

 

…………本音を言うと、私はあいつを知りたい。

理由と言われると、それは偶々身近に居た強者だからだと思う。周りがそうだと宣うのでもなく、本人がその力を示したわけでもなく、行動に実力が垣間見えるような人間は見たことがない。

そういう人間は元々高い地位についていたり、そういう人間と判断するに足る外面が出来上がっているからだ。

それでは眼が濁る。私達の眼で見た、私達だけの知る強者。そういうものからこそ、本物の実力を盗み取れる筈なのだ。

まあ今は冗談程度にしかならないだろうと笑っておいたが、あいつの目線が妙に此方に向いていたのが気になる。

 

さて、SOP Ⅱとあいつは仲が良いらしい。と言ってもペットと飼い主、従兄弟といった空気だけど。

野鳥を落としてはひたすらに食べていた。別に個人的な行動に水を刺そうというつもりはないが、よくアレ程食べるものだ。あいつもアレで抑えてるだけで中々の健啖家だったようで、ニコニコと喋りながら食事を摂っている様子は楽しそうだった。私が参加してもああいう笑い方はあまりしないだろう。

他意はない。悲しくもない。本当だ。

 

今夜もフラフラと外に出ていく。せっかく夜番を買って出ているのに、あいつは意外と節操が無い。急に逃げられたり怪我をされても困るので後をつける。

誰かと迎合して喋りだしたと思ったが、どうやらM16のようだ。

M16とあいつは、何というか波長が合う――――――というより同年代のような空気が有る。あいつは見た所私達の誰の設計年齢ともそれ程離れてない――――――そう、20近くあたりに見えるのだが、何か理由があるのだろうか。

 

任務中だと言うのに酒を取り出すM16に思わず注意をしようかと思ったけど、彼女が以前言っていた「相手を知るなら酒を飲め」という言葉を思い出して踏みとどまる。私はさっぱり理解できなかったが、ああした方がM16としては相手を理解しやすいのだろう。

実際かなり煩くなった、酔いが回ったのだろう。恐らく覚えていない程度には酔っていたはずだが、少しだけ昔話もしていた。

あいつの家族というのは軒並み酷い人種だったらしい。聞いているだけで気分が悪くなったので途中で聞くのをやめたが、いつもマントを着ているのはその時の傷が本人的に「見られたらダサいから」という所もあるのだとか。

別に気にしていないとあいつが言うからには本当に気にしていないのだろうが、それはそれで無感動過ぎると思わなくもない。M16もその話ばかりは神妙な面持ちで聞いていたぐらいなのだ、実際。

 

途中で「仕事が終わったらアンタの所にAR15でも貸し付けてみるかな! 懐いてるみたいだし!」とM16が言い出したから思わず木から滑り落ちた。冗談でもそういう事は言わないで欲しい、あいつと同じ屋根の下は流石に無理だ。どう無理かと言うと、まあ色々と。

 

 

 

K月L日 作戦開始から■■日 晴れ 平均気温7℃

 

昨日滑り落ちた時の傷をしつこくあいつが追求してきた。大丈夫だって言ってるのに、「俺が気分悪い」とか言って絆創膏まで貼られてしまった。別に効果はないんだけど。まあ、気持ちを無碍にするのはどうかと思うからあんまりしつこくは言わなかった。あんまりこういう扱いをされたことがないから返しに困ってしまう。

私があいつの銃の名前を呟いたら、ちょっと変な顔で私を見ていた。知らないのかもしれない、本当に素人なのだろうか。代替パーツを作ったとは思えない。

 

今日はあいつの実力を図るために、30分ほど私達から逃げ回ってもらった――――――のだが、予想以上だった。

足取りがまるで掴めなくて苛々としたものだ。布切れは大量に引っ掛かってるし、足跡は四方向に伸びてたりするし。発想はありきたりというかセオリー通りだが、4人がかりの捜索中の何処でそんな細工をする時間を見つけたのかが分からない。

日記を読むにはアレで手加減しているようだ――――――まあ、別に手の内が明かせないことは責めない。私も同じ判断をするだろうから。

終わった後、ひょんな事からAR小隊がスペアのない存在だと言ってしまったが、「え、それ戦いたくなくね?」と妙な苦言を呈するだけで反応はなかった。同情、とかは無いらしい。別に気にはしないが。

――――それが戦術人形。戦いたくないとかそんな意思は関係ないことが、自由に生きてきたあいつには分からないのだろう。

 

今日は何となしに日記に書き足そうとしてみた。勿論怒られたが、意外と本気で怒っていない。何だかんだ、今まで一人で生きてきた分人恋しいところもあるように見える。

読まれるための日記、なんて妙なものを書くぐらいだ。意外とメンタル面は頑丈な人種ではないのだろう。

ちょっと意地悪をして音読をしたらさっさと切り上げて不貞寝してしまった。まあ明日には機嫌も治っているはず。

 

そう言えばあいつは転生者だ、なんて日記に書き込んでいた。日記についでに返答を書き込んでおくように書いてあったが、私には大した意見はないので何も書いていない。

あいつが転生者、とかいうものなのだろうがそうでなかろうが特に関係ない。私が見ている男は、過去がどうあれ何も変化しないのだから。




多分五話ぐらいで俺の本垢バレるよね、どうやら相当癖があるらしい。この前試したら三話ぐらいで看破されて焦った。

AR15の推察はおおよそが正しいですが「コイツに集団行動は無理」という一点だけ見誤ってます。恋は盲目というやつですな、というか日記というか観察日記だなコレは。
404小隊の方が馴染みやすい性格だけど――――――分かるだろ? ああ、それは相手が強すぎるんだ。

あんまり日記じゃないけど理由はある。いや、こじつけた(正直)。
以下日記主よりコメント。
「自分の日記が高評価ってさ、文字面見れば分かるけどかなりこう――――――クルぞ?」


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海より低く山より浅く

人の作品をパク――――――リスペクトすると良いものが出来る法則があります。
あ、そうだ(唐突)。ランキング入りありがと~、もうちょっと上位に入るか諦めがついたら匿名外そうかな(何で)。

じゃあ本編。もうちょっとしたら動かそうね、話。


M月N日 偶にだと楽しい雨

 

AR15が寝袋の横に居て眼を丸くした。戦術人形って寝るのな、まあ見てて俺が寒いからボロ布をかけといた。

朝から二発ほど鳥に弾を打ち込む。今まで調整不足で酷かったから凄いスッキリするなコレ、姐さんには頭が上がらないぜ全く。

今日は朝の射撃を見ていたらしくて、俺のガバガバなフォームの矯正までやってくれた。妙に面倒見がいいな、と零したら「何となく気に入った」らしい、買いかぶりか冗談なのかさっぱりだな。

まあ味方と行動する男に基礎もないなんて俺も嫌だしな。まあイタズラが見つかる時はトカゲの尻尾切りが基本戦法だった俺が言ってもこれっぽっちも説得力はないのだが。

 

そう言えば俺が妙にハイスペックだとご不満な顔だな。見ずとも分かるさ、「こんな妙なやつが何故運動神経が良くて妙に女に煙たがられないのか」って。

まあ理由分かんないけどな、ははは! 多分転生特典みたいなやつじゃないの、俺は無神論者だしさっぱり信用してないけど。

持ってるものには感謝するが、それを神様だのよく分からんもの恩恵にするのが嫌いなんだ。昔読んだ「超人理論」ってやつ? アレはまあうろ覚えだが支持はしてるタイプってわけだ。

 

昼に差し掛かる前に雨が降ってきたのでお気に入りの黒傘を取り出したら変な顔をされた。は?

レインコートとかカッコつけてカッパ着てるヤツラには傘から溢れる高尚なオーラが分からんのだ! 俺は絶対傘だぞ、レインコートなぞ甘えだ!

着せられた。目立つってさ、黒が好きで何か悪いかい…………。

 

姐さんいわく、俺が思ったより体力がないのとハンティングする時間で到着まではもうちょいかかるらしい。そりゃ半日歩き通しだぞ。しかも途中から雪山通ったりしてるしさあ。普通の人間基準なら中々の体力だと思うんだよなあ。

 

また見られてる。俺の日記ってそんな面白いこと書いてるか? ちょっと前に新しく拾った日記帳をくれてやったが、何故に日記なんぞ…………。そう言えばイイ女の条件の話、アレ出まかせって書いた気がするけど怒られてないな。何でだろ。

最近は全体的に何しててもニコニコ観察されてる気がして動きにくい。コイツラマジで何なんだよ、気持ち悪いな。

 

 

 

O月P日 美しい雨、偶に雪。

 

雨続きだな。弾が湿気ると昨日から周りがガヤガヤとしていたので、俺も見習って残り少ない弾丸をちゃんとしまってみる。

もうちょっとで着くらしい、そりゃ結構なことだと大笑いしたのをよく覚えている。

 

だが外が湿気てると話も湿っぽくなるらしい、アイツラは俺の今後を不安がっていた。M4ちゃん曰く「幾らペルシカでも仮称がつけられたような要捕縛対象を見過ごさせる力が有るのかな」とのことだった、まあ妥当だな。

同時に俺は手早く切って捨てておいた。理由は単純、「お前らには関係ないことだ」ということ。

 

別に冷たくあしらおうと躍起なんじゃない。俺はこの仕事が終われば何時も通りの日常に戻る、AR小隊はコイツラなりの任務をこなす日々に戻る。今は偶々交差していても、結局それだけの関係なのだ。

そういう奴を本気で案ずるのは時間の無駄だ。どうせならもっといつも近くに居るような――――――それこそ他の小隊メンバーのことでも心配してやればいいのだ。そして仕事中は仕事に集中しろと至極真っ当な意見も。

そもそも俺は心配されるほど落ちぶれてねえ、と言ったら姐さんに笑われた。姐さん的には「何だかんだ甘いから心配されてるんだよ」とのこと、そうかねえ? 一人前の人情が有るだけで割り切りはするぞ?

 

最近M4ちゃんが俺によく喋りかけてくる。姐さんは俺とは敢えて一歩距離を置いていたみたいだが、M4ちゃんの喋る様子を見ながら「おいおい、お前もか」とか言いながら会話に混ざってくるようになった。変なセリフだったが二人共俺に面白い話を結構してくれるのでまあ良いだろう。楽しそうだし。

 

SOP Ⅱちゃんは俺の布団に潜り込む時に身体を密着させてくるの辞めような。AR15は他の奴と喋ってると時々恨めしそうにこっちを睨んでくるので、さりげなーく話題に混ぜてやる必要が出てきた。ひょっとしてハーレム? いやいや、男が物珍しい故の独占欲というものだろうよ。。

AR15はどうやら夜番を他と交代した後、俺の横で寝ることにしたらしい。何も被らずに寝るのが見てるだけで寒気立つから毛布をくれてやった。俺が起きているとは思っていなかったらしく、俺の顔を見ると珍しく照れて毛布をひっかぶったまま出てこなくなった。愛嬌は有るらしいね。

 

それをどうやって書いてるかって? SOP Ⅱ氏の無自覚なメンタルアタックに耐えかねて寝袋から這い出て書いてんだよ。

外は、雪が酷くなっている。明日は晴れると良いな。

 

『そうね、私はひとしきり雪の降り積もった後の晴れ模様が好きよ』

 

 

 

Q月R日 えげつない大雪、人殺しスノーデイ

 

ビックリした、アイツとうとう俺の日記に書き加えを敢行したらしい。何も言わねえからビックリしたよ、っていうかいつの間に。

アイツらしい綺麗な字だ、口に出す気はないがお前みたいなのは多分いい嫁になれるよ。俺は尻に敷いてくる女は結構なのでパス。

 

珍しく俺とAR15の起きる時間が被ったらしく、SOP Ⅱ氏のだいしゅきホールドを脱出する時に至近距離で目が合った。

目を逸らされたがじーっと瞳を凝視させてもらった。前々から思ってはいたが、AR15の眼は青空みたいに透き通る群青色が大変美しい。これでも芸術品の価値を見抜くのは長けた男だから言い切るが、この視線をいつも受けられる指揮官が居るならそれだけで果報者というやつだ。

賛辞は腹に含めない主義なので、そのまま言ったら「この女たらし! 言ってて恥ずかしくならないのかしら!?」と怒鳴られて逃げられた。いや、まあそれより気持ち悪いって言われそうだなと先に思った…………まあこの世界ではそこそこ顔が良いらしいから褒めるのぐらい自由にしたい。というか生き死に含めて全部自由に生きたい。顔が駄目だと褒めても気色悪がられるからな。

M4ちゃんに相談したら「ええっと…………それはつまり、AR15の代わりに自分を殴って欲しいってこと?」と困り顔半分の据わった目つきで言われた。何で?

 

今日は突然の大雪で数メートル先もよく見えないので立ち往生だそうだ。姐さんはゲッタゲタ笑って「良かったなお前達!」と背中を一人ずつ叩いていた、今日はどいつもこいつも挙動不審で困るぜ。

ぼろ小屋の中は5人が騒ぐに足らないスペースで、正直狭苦しかった。幸い飯なんぞ俺がちょちょいと兎なり何なりを獲ってくれば良いだけだったが、暇つぶしに事欠く状況。

 

そこで俺は有能だった。この強制連行生活中に拾っておいたトランプを徐ろに取り出したのである。

馬鹿騒ぎしながらテーブルゲームというテーブルゲームを網羅する大会が開かれた。M4ちゃんは慎重すぎて弱い、SOP Ⅱちゃんは意外と考えてるから勝てん、しかもいつも笑ってて分かりにくい。

AR15は雑魚オブ雑魚でしたね、辛辣だけどマジで雑魚オブ雑魚。顔に出る、運がゼロ、押し引きセンスゼロ、カジノに行かせちゃ駄目な理由三か条が役満だ。クソザコナメクジ、33-4、圧倒的だなAR15は。窮地に陥ると「えっと、えっと…………」とあわあわしだすのでもう俺と姐さんは目を覆っていた。

姐さんはヤバイ。ダチとの賭け事はかなり強かったはずなのだが、まとも且つ負けるのは姐さんだけだ。あの人なにもんだ、見てるだけで不安になる。

 

仕方なくM4ちゃんのサポーターに回って俺は「負けない」という選択をした。負けなければよかろうなのだ――――――ッ!

AR15は――――――もうね、俺がやるのと変わり無いから手伝わなかった。M4ちゃんと作戦会議してる時にかなりこっちを見ていたが俺は何も知らない、「随分仲が良いみたいね…………」と呟いてたのなんか聞こえてない、聞こえてないよ俺。

 

結局SOP Ⅱからも変な視線を浴び、姐さんから「いやいや、両手に花! 前門の虎、後門の狼! 頑張り給えよ!」などと随分上機嫌に絡まれ俺は散々だった。

 

さて、M4ちゃんまでとうとう俺の隣で休眠を取り出した。また毛布が減っていく…………結構探し回ったマニア垂涎モノなのに。

AR15はいつもどおり夜番を引き受けていたが、姐さんが「偶にはちゃんと休むのも仕事だ」と無理やり俺の横に押し付けてきた。おっぱいのついたイケメンプレイは良いけど俺に押し付けるんじゃないよ。

 

 

 

S月T日 最高の快晴!

 

いよっしゃ、晴れやぞ晴れ――――――と言うわけで二本立て。何でも姐さんいわく「もう着く」らしいじゃないか、やったやった。これが終われば俺も自由の身だぜ。

昨晩はM4ちゃんがうなされていて手を宙に振っていたから、まあ若干躊躇ったが握っておいてやった。いや凄いヤバめの顔してるしさ、放って置くと俺が夢で襲われるレベル。

勿論起きたら大慌てで手を振りほどかれた、まあ起きるまではM4ちゃんがかなり強く握ってきたから手を外せないまま俺支度してたんだけどね…………酷だから言ってない。

 

さてさて、今回は近くなってきたから真面目に作戦を練ってから動くそうだ。という訳で、後編に続く。




そういや主人公に感想返しさせる案、どうですかね? いきなりやると変態っぽくて躊躇ってる(変態だろ)。
ついでに主人公の呼称を誰か考えて。俺には思いつかないぜよ。

書いている本人が周囲にドン引かれる鈍感なので鈍感描写に定評があります。
もう少し進んだら最推し登場と同時に100%身バレするので匿名が外れてると思う。あの娘の推し書き手ってだけで特定のしやすさがね…………。

これ予約投稿で遅延させる予定だったけどイライラしたから投稿した。最近我慢ができない人間になってきた。


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雪降って地固まる

冒頭から衝撃で殺しにかかる。これ一応恋愛モノなんでね。

あ、ルーキー日刊8位どーも。若干趣旨がズレてきてて不安だけどまあ更新です。


引き続きS月T日

 

もう凄く大変だった、俺は今日ほど人生ゲームが正しく人生の模式だと信じれた日はない。ハプニングマスを踏みまくってもう大変だったのだ。

まずは告白された。俺も言っていることはよく分からんが、事実だ。正直俺がビックリしたんだ――――――

 

 

 

 

 

◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「ほう、俺が好きなのか。ふむ」

 

 彼の反応は冷めていた。聞き慣れているのか、興味が無いのか。負け戦なのだけが分かる。

――思えば、初日からこの結論は何処かで出ていた。

 

 自分の感情は見ないようにすれば簡単に蓋を閉じれる。AR15が妙に彼に拘る理由なんて、大抵「恋」の一文字で片付けれてしまうものだったのだ。

 SOP Ⅱの煽るような言動もそう、M16が釘を差してきたのもそう。彼女自身の行動だけではなく、彼女の身の回りの変化を見ても気づくことは出来た。

 

 AR15が足元に視線を逃げさせると、眩く輝くのは降り積もった雪。

 ちょうど好きだと書いた雪の積もった晴れ模様。雪がきらきら輝いているのは確かに美しく、それには彼も頷いていたのを思い出す。

 

「――――――――いや悪いな、お前の重大発表に対し随分軽い反応だと思う。こういう男だから、惚れたのが運の尽きだと思ってくれ」

「…………何となく分かってたわよ、責める気もないし」

 

 彼は相変わらずの軽い態度だったが、ちょっぴり言葉にだけ重みを乗せて返す。

 

「バカ。お前、大勝負に出てるんだからもっとこう――――今に生きろよ? 一喜一憂が出来ないと人生はかなりつまらん」

「お説教は分かったから」

「ああ、すまん。話を逸らそうとしてたみたいだ」

 

 変な所で正直。彼の長所というよりは持ち味か。

 考え込んでいる様子はなくて、どちらかと言えばイエス・ノーの先にあるものについて思いを馳せているような遠い目つき。極東を思わせる黒の伽藍堂の瞳は何を考えているかを読ませない。

 

――さて。

 男が動く。

 

「まあノーだ。溜めたのは――――」

「どうせ居なくなるなら、どっちを答えても同じだから。でしょ?」

「ご明察」

 

 彼の言葉にスラスラとつなげてみせたAR15に、伽藍堂の瞳が僅かな火を見せる。

 言い訳じみた理由の羅列が続く。

 

「悪いが俺は女に基本は興味がない、後だな――――」

「どの道、戦術人形なんて無理でしょ」

 

 投げ捨てるようなAR15の言葉に、彼の瞳が見開かれる。

 

「違う、それは理由じゃねえ」

「じゃあどうなのよ? 子供も産めない、そもそも女としての機能なんか殆ど無いわ」

「だからそういうのじゃねえって! 怒鳴らせるなよ、俺は怒鳴るの嫌いなんだからよ…………」

 

 彼は少しばかりバツが悪そうに伏目がちになる。

 口こそ悪いし発想も育ちが悪いとしか言えない彼だが意外な話、温厚なのだ。人に向かって怒鳴るのはかなり苦手だし、AR15に関しては見た目も見た目だったからか長らく感じていなかった罪悪感を覚えているらしい。

 

 AR15が俯いて黙ってしまうのに困り果てた顔をしながら、彼は慰めているのか何なのかよく分からない羅列を投げかける。

 

「こう、お前だからとかじゃないんだよ。確かにお前は胸もなけりゃ色気もないが非はなくてだな、単純に俺が興味ゼロと言うか」

 

 本当にフォローを入れる気が有るのかは分からない。多分そういうつもりなのだろう。

 頭を掻いて目線をアチラコチラに向けながら言葉を濁す。

 

 震えるようなAR15の声が彼の耳に響いた。

 

「じゃあ、今だけ好きって言ってよ」

「は?」

「良いじゃない、もう多分会えないんでしょ?」

「そりゃそうだが………………」

 

 考えあぐねた様子の彼に、叩きつけるようにAR15が押し殺しきれない叫び。

 

「どうせなんだから、私の為になる答えをしてよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「も~シリアスは無理じゃこの馬鹿娘がァッ!」

 

 彼は思い切りビンタをした。大事なことなのでもう一度、彼は思い切りビンタをした。

 勢い余ってAR15が雪に倒れて埋もれてしまう。

 

「え!? い、痛っ!?」

 

 完璧に不意を突かれて目を点にするAR15に、彼は我慢ならんとビシャリと指差しながら半狂乱としか思えない様相で答える。

 

「痛くしたんじゃこの ヴ ォ ケ ! 後で幾らでも平謝りしてやるから今はその痛みをよーく噛み締めて聞けよこの箱入り娘!」

「ボ、ボケ? は、箱入り娘? は?」

 

 全く予想の範囲外のセリフの羅列に目を回しそうになるAR15。彼ももはややけっぱちとしか思えないテンションだ。

 自分で顔をバチンと叩いた彼は、顔を振りながら戸惑うAR15に再び言葉を叩きつける。

 

「あのなAR15! 恋に悩むは乙女の華よ、俺はそれにどうこう言いはせんがもうちょっと冷静になれ!」

 

 ええっとだなええっとだな、と興奮しすぎて言葉を失う姿は誠にみっともない。かなり、みっともない。

 

「いや、あんたがまず冷静になった方が良いんじゃないの。深呼吸、ほら」

「やかましい!? そうだそう、まず男を見る目ゼロ! バーカ、バーカ!」

「聞いてるコッチが冷めてきたわ…………」

 

 あまりにおかしな挙動になった彼を見て、AR15の方が落ち着いてきてしまったようだ。まあ恐らく言いたいことを言えたのでスッキリした所も大きいのだろう。溜め込むタイプにはありがちな話だ。

 立ち上がったかと思うと、雪を払ってあまりに憔悴しきった男の背中をポンポンと叩いてやる。

 

「分かった。話を聞くから深呼吸ね、はい吸って――――――吐いて――――――――それで?」

「ちょっと落ち着いたな――――じゃなくて! ちょっと! 速すぎ!」

 

 プンプン、とでも言った方が似合う錯乱具合にAR15の目が段々と落ち着きを見せ始める。

 

「会って何週間だよ、もうちょっとよく見ろ! 変な男だったらどうするんだ!? まあさ、若いってそういうもんだからこういう事言うのは酷だがよ!?」

「いや、一目惚れなのよ。何か文句ある?」

「開き直ってんじゃねーよ!? ダメだよ、もっとよく見て!? 俺ダメな男の気配しかしないからな!?」

 

――そんなの承知の上よ。あんたバカ?

 言ってしまっては彼の話がいよいよ要点を得なくなるだろうと判断して、AR15はその即答とも言えた逡巡をぐっと飲み込む。若いのはどちらなのだろうか。

 

「後困ったら自己否定に走るな! お前は俺が見てきた中で、少なくとも両手の指で収まるレベルで可愛いからな! 別に嫌いでもない、そして俺は戦術人形でもその気になれば一向に構わん!」

「え!? そ、そうなの。それは何よりだわ…………」

「まだ説教の最中だ照れてんじゃねえぞコラ!?」

 

 あまり褒められなれしていなかったのか、捻りない称賛に少しもじもじとするAR15。彼としてはそんな事より話をしたいので全く意味のない展開であった。

 

 AR15の肩をブンブン振って正気に戻す。

 

「後最後のだけどさ! 俺が嘘言ってもお前の為にならねえからな、とんだ勘違いだぞ!」

「………………何でよ、良いじゃない。負けて終わるより勝ち逃げの方が良いでしょ」

 

 えらく冷静に答えているが、多分もう其処らへんも今の彼の惨状を見るとどうでも良くなってきている所があるのである。

――誰かが支えないとダメね、あんた。

 

 ついでに静かな決意が灯る。彼は水面下で絡まりきった女難の相が出ていることなど露知らず、これが肝要と言わんばかりに一番大声で叫ぶ。

 

「あのな、本当にお前の為になるってんなら尚更振るべきだ! 俺にお前が縛られてどうするってんだ! お前の足引っ張るほど悪趣味じゃねえよ!?」

 

 

 

 

 

◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

結果、色々と説教をした。アイツがあそこまでアホだとは思わなんだ。

俺が嫌いなことは束縛とありきたりだ。俺が変に受けてどっか行ってみろ、アイツがしばらく未練たらたらで過ごすハメになる。引き止めないためには尚更振っておくのが大正解なのだ。

大体趣味じゃないし、そういう対象で見てなかった。予想外すぎるわ。ああいう綺麗な顔の女は俺には向いてない、もっとお綺麗な男を見つけてきて欲しいものである。

 

話が逸れまくったので戻すとしようか。

何故か俺が背中を擦られながら帰ってきたのは姐さんに爆笑されたが、M4ちゃんとSOP Ⅱちゃんは変な目線をこちらに向けていた。勿論内容は姐さんには筒抜け、後の二人にはどうだったのだろうか。

 

次だ次。その任務の舞台にはあっさり着いたのだ、この後が大変だったがな。まず目的のデータのためにデータベースにアクセスする、までは俺の手伝いもあって(だろう)順調だったのだが――――――




あ、俺は玉砕と片思い以外経験ないです(地獄)。そういうのは期待しないで。
普通に進行する予定だったので気付いたらビンタして語彙力が小学生になってた。何が起きるか分からんもんですね、絶対ウケ悪いわ。

すいません、クズに出来ませんでした(平謝り)。そして日記形式オンリーも無理です。ゆるして、ゆるして…………。
ランキングに長く居座りすぎたから元ネタに平伏する準備もしてる。
いい加減更新頻度落ちてもおかしくないので笑って受け入れて。


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亡霊たる所以【前編】

『お、やっほ~。挨拶が遅れたね、『亡霊』君。元気にしてたかな?』

 

 脱力しきった阿呆な声。M4がつけた通信機からだ、映し出されたのはだらしなく白衣を着崩した血相の悪いあの女。

 何日経とうが忘れるものか。名実ともに人畜無害だった俺を脅して手伝わせた挙げ句、今ものうのうと挨拶をしてくるような脳味噌溶けてそうな女の事は絶対忘れない。いや、忘れられない。

 

 ペルシカ。肩書は知らない、俺にとって敵であることは確かだ。

 

「してる訳ねえだろ変態ケモミミ研究者」

『おお怖い怖い。ご挨拶は結構なようだけど、進捗は?』

 

 SOP Ⅱに宥められて思わず舌打ち。我ながらよく此処まで嫌悪感を見せられるものだ。

 だが仕事が進まない方が面倒事なのは事実。積もる不満もそっちのけでM4との会話を清澄する。

 

「作戦は順調に進みました。現在AR小隊は第3セーフハウスに居ます」

『わお! 予想より速いね、やっぱり彼のおかげかな?』

 

 呆けた顔で俺を見る。はちきれんばかりの恨み辛みを込めて睨んでやった。

 ペルシカがケタケタ笑う。

 

『アレだね、君は虐待を受けた動物みたいだ。確かに私があなたを脅して面倒事に首を突っ込ませてるのは事実だけど、それは同時に()()()()()()()()()()()――――――』

「うるせえ、あんなヤツラの話するんじゃねえよ」

 

 コッチが本気でキレてるというのに、コイツときたらヘラヘラ笑うばかりで話にならない。

 AR15が今の話題に食いついた。

 

「どういう事? 初耳だけど」

「それに関しては俺は応答を拒否する。良いか、是非は問わず返事をしない。分かったか?」

「………………分かったわよ、無理にとは言わないわ」

 

 妙にAR15にはあっさり引き下がってもらえたが、俺としてはそれが有り難い。

 結局あの後もありがちな気まずさというのも有ったわけではなく――――――――どころか、AR15は何処か吹っ切れたような態度を見せるようになった。

 

 M16は「積極的かつ効果的で最善策だ」とかニシニシ笑っておどけてみせたが、逆に俺がやりにくい。

 

「…………何よ、変な顔で見て」

「お前みたいなタイプってかなり引きずると思ってたもんだからな」

「何? 今すぐこの銃口を眉間に突きつけられたいってこと?」

「はいはいすんません、私が悪うございましたよ」

 

 剣幕から滲む殺意に俺も流石に引き下がる。やっぱりコイツは男を尻に敷くだろう、俺は絶対にゴメンだ。

――まあ元気で何より。変にヘコまれるよりは俺に変な因縁つけてくるほうが流れ的にはマシだ…………とか考えていたのは無礼だったらしい。

 

 俺が思うよりは強い女のようだ、尚更俺には似合わん。

 気づけばずっとAR15を見ていたらしく、照れているのか睨んでいるのかよく分からない顔をしている。

 

「何よ…………」

「ああ、いい出会いをと思って」

「やっぱり死にたいんでしょ、そう言う事ならお望み通りに」

「俺が全面的に悪かったです辞めて下さい!」

 

 取り敢えずその銃を下ろそう、話せば分かるはずだ。大丈夫だ俺は相手と分かり合うまで話し合おうという心意気ぐらいはちゃんと持ってる、後はお前次第だ。

 俺の命乞いが通ったのか、気分が変わったのか銃口が下げられた。

 

「お前、何かさっきから暴力的だよな…………」

「我慢するのが面倒になったのよ、意地を張る理由もなくなったし」

「あっそ」

 

 じゃあ仕事に戻るか。

 M4とペルシカの会話はかなり進んでいたらしい、気づけばM4の通信機のスイッチは切られている。どうやらもうそのデータとやらの複製作業に入ったようだ、話をちゃんと聞いておくべきだったか。

 

 もうすぐ解放されるとは言え最後まで気を抜かないのは当然のこと。万が一不義が有った場合は何ならそのメモリとやらを人質にするぐらいしなくてはならない。

 

「ああM4ちゃん、ちょっとAR15がめんどくさくて「はい?」俺が巫山戯すぎたから話を復唱して欲しい」

「…………まあ、そんなに込み入った話は。パスワードを解いて、データのコピーのために通信を切っただけです」

 

 何だ、意外と進んでないな。

 M4が俺とAR15を何とも言えない、敢えて言うなら苦々しい表情で見やる。

 

「やっぱり煩かったか? 悪いな、AR15が煩くて」

「あんたも十分煩いわよ」

「ははっ、仲良さそうだね~二人とも!」

 

 んな訳有るか。口を慎めSOP Ⅱ、お前の一言で俺が蹴られる可能性すら有るんだ。

 AR15は手を組んで不機嫌そうにそっぽを向く。いやあ、俺も何というか酷かったと思うがお前はよく分からないという意味で酷いぞ。

 

『そうですね。私も混ぜてくださりますか?』

 

 刹那、モニターの電源が急に入る。俺達は咄嗟に銃を構えた。

 映し出されたのは見覚えのない団子頭の――――――メイド服? 一瞬は唯の女にも見えていたが、そう済ませるにはフリルスカートの下から伸びたサイドアームが異様過ぎた。

 

――明らかに敵だ。ソイツは少しばかりの漏れる微笑を抑え込みながら、整った仕草でモニター越しに挨拶をする。

 

『鉄血工造の「代理人」です。お待ちしておりました』

 

 その名前を聞いた途端にM16が下唇を噛む。俺の嫌な予感は苛立つほどに良く当たるが、今回も例外ではないようだ。

 

「…………代理人!?」

「おいおい、俺達は鉄血様の掌の上ってか? やられたなぁ」

 

 俺が失笑するなりM16はギラついた目で代理人を睨む。

 

「お前は鉄血のハイエンドモデルの筈だ! 何故こんな所にいる!」

『あなた方が其処にいる理由が答えでしょう? 「ご主人様」の望むものはそのデータ、後は――――――あなた方をバラバラにしてメモリーチップを渡せば良いだけです』

「うわ、手助けしちゃったんだね、私達」

 

 SOP Ⅱの苦笑いには賛同しか無い。パターンとしては最悪だ、これは正直俺にはどういう寸法を取れば生き残れるのかさっぱり分からない。

 代理人が溜息をつく。溜息を付きたいのはこちらだっての。

 

『正直言って、此処まで面倒でした。まさかシステムが古すぎて手に負えないというのは全く予想外でしたが――――――まあ、問題は結果がどうあるか………………では、始めましょうか』

 

 プツリ、とモニターが消えたのと同時にAR15が焦り調子に叫ぶ。

 

「鉄血の信号が――――――何よこの数! 本気みたいよアイツ!」

 

 視線が集まるのはM4のコピー状況。俺は正直もう逃げてやりたくて堪らない所だが、どちらにせよ此処で逃げたら碌でもない理由で戦術人形の溢れる殺意を受け止める日々に突入しかねない。

 

 M4は特段取り乱すわけでもなく、静かに

 

「コピーは終わってない、耐えるしか無いわ。防勢作戦の用意を!」

「うは~やってらんねえぜ畜生!」

 

 大体俺は逃げるのが本分であって殴り合いは無理なんだって!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なーんにも出来ないですまねえな」

 

 結果として、俺は台風の目のような立ち位置となっていた。周りが目まぐるしく展開する戦闘にもあんまり参加出来ない。

 決して適当にしているのではなく、俺は「防衛」という概念に圧倒的に弱いらしい。正確には慣れてないんだろう、動けない。弾薬も少ないから無駄撃ちが許されないという状況も硬直の一助をしてまるで何も出来ない。

 

 手榴弾だの何だのパッパカと投げるM16が奥の方で置いてけぼりの俺にニカッと笑う。

 

「お? アンタなら『俺は元々巻き込まれた側だし』ぐらいの文句言うと思ってたが、見当違いだったかね?」

「俺は利己的だが無責任じゃねえっての」

 

 実際、この人数で一人が木偶の坊は中々致命的ではないか。

 AR15とSOPⅡはアクセス権だか何だかを変更して、近くの見捨てられた支援部隊を持ってくると言うなり消えてしまった。此処に居るのは止まないドンパチに晒されるM16と、転送のせいであまり自由に動けないM4と、民間人同然になってしまった俺だけである。

 

 M16の表情には余裕がなかったが、気を遣われているのか割と話しかけられる。

 

「まあついでに動きを覚えていけよ、またグリフィンにお使いさせられた時に役に立つだろうさ」

「いやもうしたくないな、うん」

「その反応が妥当だ。そう言えば、AR15とはありゃどういう事だ? 面白い展開では有るが」

「知るかよ、何か吹っ切れたんじゃねえの? 俺は身勝手に振っただけだ、何もしてない」

「本当にそうなのかねえ。まあ良いけど――――――な!」

 

 閃光弾を放り投げる。絶え間ないのは会話と弾幕どちらもだった。

 しかし流石にいい加減邪魔だろうと思って、奥でデータ転送の為に色々と操作をしているM4の方にフラフラと向かう。

 

 忙しなく画面を走る視線が何処と無く躊躇わせはしたが、俺が何か言うまでもなく近づいた俺にM4の方が気づく。

 

「どうかしましたか?」

「いや、あんまりサボってるもんだから情報でも貰おうかと」

 

 M4の視線が僅かに画面の一点で固まる。しかし手は止まらない、此処はやはり人間と機械の違いなのかもしれない。

 

「と、言いますと? 私、あなたが有効活用できる情報は持ってませんよ?」

「そうだな、例えば戦術人形の構造上の欠陥とか」

「いやいや、民間用の私達ならともかく鉄血の堅実な作りであからさまな欠陥なんか――――――――ああ」

 

 思い当たるフシが有ったようだ。

 

「関節、は弱いですよ」

「関節?」

 

 はい、とM4がこちらに振り向くわけでもなく妙な資料をこちらに画面で映し出す。

 恐らく戦術人形の簡易構造の図式だろう。正直意味は分からなかった。

 

「鉄血も私達(グリフィン)も、やはり『人間モデル』で作った弊害が有ります。その一つが可動部位の脆弱性です」

「ああそうか、関節を硬くしたら動かないじゃん」

「そうです。まあARなら一々狙うより蜂の巣にしちゃった方が速いんですけどね、機関部の破壊なら尚速い」

 

 まあ精密射撃も人間よりは圧倒的に上な戦術人形のことだ、そういう展開になるのは想像に難くない。

 ()()()()()()()()()()()()()()()使()()()、そういうのは俺の本分だし尚更覚えておいて損もあるまい。

 

「まあ、逆に言えば民間用人形の転用品の私達はともかく、鉄血はそれくらいしか共通また明快――――――といった弱点は…………よし、転送完了!」

 

 M4が顔を輝かせながら画面を閉じる。同時にM16は深い溜息、俺まで何もしていないのに安堵の溜息が漏れてしまう。

 

「外の音を聞くには、あの支援部隊も役に立ったらしい」

「ええ。AR15達と急いで離れた方が良いわ」

 

 言うが先か足が先か。二人がすぐさま動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「逃がしはしませんよ…………」

「おいおい、何だアイツは! 呪○か何かと出演間違えた声出してるぞ!?」

 

 代理人の声に背筋が凍る。俺は無謀な人間じゃない、アイツと出逢えば即死で、逃げるべきだってことぐらいはすぐ分かる。

 だが間に合うわけがない。これはそう近い所からした声では無いようだが、えげつない勢いで走ってくる足音だけははっきり聞こえる。

 

 逃げようがない。M16が叫ぶ。

 

「代理人の信号だ! 馬鹿みたいな速さで急接近してる!」

「言われんでも分かっとるわ! ええい、やれるだけやってやるぞこの野郎が!」

 

 俺がすぐさまライフルを構え、M16とM4が迎撃のために道具を取り出した。

――だが、それよりも速く。

 

「…………鉄屑を寄せ集めただけの、生ゴミの処理しか出来ないような――――――――スクラップ人形どもが!」

 

 怨嗟が溢れんばかりに込められた恨み言と同時に、部屋が爆風に包まれた。



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亡霊たる所以【後編】

「ゲホッ…………ゲホゲホ!」

 

 人間と見紛うような咳。逡巡するまでもなく、それはM4の声。

 だが俺はすぐさま助けに行ったりはしなかった。転送は終わった、これなら最悪逃げても決してペルシカは俺を咎めないだろうと予想がついていたからだ。

 

 瓦礫越しで明瞭としない視界越し、M4が悲痛な掠れ声。

 

「M16姉さ…………ゲホッ……どこ…………」

 

 ふと俺の横を見ると、M16が横たわっているのに気付いた。場違いな感想だが、眠っている(ように見えているだけにしても)彼女はM4の面影が有ってやはり美しいの部類に入るのが分かる。

 しかしボウっと見ている暇はない、M16を急いで揺すり起こす。幸い軽傷だったのかすぐさま目を開ける。

 

「――――――!? M4」

 

 大声を出しそうだったから咄嗟に手で口を塞いで囁き声で状況を伝える。

 

「待て、噎せこんでるが妹は無事だろうよ。それよりも――――――だ」

「あ、ああそうか。代理人…………悪いな、取り乱した」

 

 少し目を伏せたM16だが、俺は特に気にしていない。これまでに世話になりっぱなしだったからプラマイゼロだ。

 すぐに体勢を立て直すM16の切り替えは流石だとしか言いようがないが、今聞こえた声が俺の幻聴じゃないなら果たしてM16は気が気でいられるのだろうか。少しばかり杞憂が脳裏をよぎる。

 

――いや、杞憂で済むのか。声がした。

 

「人の心配をしている場合じゃなくてよ、M4A1」

 

 代理人の声。同時に首を絞めるような嫌な音、同時にM4も呻いた。

 恐らくだが、その光景がM16の位置からなら少しだけ見えたのだろう。乗り出しそうだった彼女を無理やり後ろから抱き留める形で止める。

 

「おい! どうするつもりだ、速く行かないとM4が――――――ッ!」

「バカ、落ち着けよ姐さん。まずはタクティクスだタクティクス、戦術。無策に行ってアンタも巻き添え、なんてのが一番M4ちゃんを泣かせるルートじゃねえのかよ?」

 

 中身のないスッカスカな説得だが、理性を屈服させるには足りたらしい。M16の抵抗がしゅるしゅると弱くなる。

 問題なさそうなので手を離すとM16が此方に向き直す。

 

 あちらではまた代理人が何やらクレームを入れているようだが此処は放置、お前の言い分に反応してやるほど今の俺は暇じゃない。

 

「…………立て続けに本当にすまん」

「まあ良いんじゃないか? 俺は身内は纏めて嫌いだったから羨ましいよ」

 

 そうかい、と少しだけ寂しそうな目をする。そんな顔してる場合じゃないだろ、アンタ。

 瓦礫一枚隔てればM4と代理人の酷い会話が聞こえてきたが、まずはM16と話を詰めてしまう。

 

「今、代理人は完璧に油断してる。多分行けるだろうよ、状況はどうだった?」

「…………M4が代理人に片手で首を絞められていた、代理人の方も人工皮膚が割りかし剥げていた…………筈だ」

 

 それは良いことを聞いた、耐久的には落とせる可能性が高そうじゃないか。

――――――そうだな、ちょうどお誂え向きな案があった。

 

 

 

 

 

「いや、もう大丈夫だ。私一人でも行けるさ」

 

 M16は俺の提案をあっさりと断った。思わず目を見開いてしまう。

 

「は?」

「いやいや、アンタはあくまで無理やり付き合わされた身だ。これは結論で言うと作戦じゃない、私のエゴだろう? こんな事に命を賭けるのは馬鹿な人形一体で十分だ」

「いや…………そうだな。まあそうだ」

 

 それは事実だ。

 別に俺は此処で逃げ帰ってもペルシカに咎められまい、それはさっきも考えたことじゃないか。確かに逃げてしまって問題はないだろう。

 

――問題はない。利害的な問題はよ。

 行こうとするM16の手を引き止める。冗談かどうなのか、困ったようにM16が笑う。

 

「おいおい、報酬はないぞ? 次会ったら見逃すからそれで勘弁してくれ」

「いやいや、こっからは俺の個人的な仕事だ」

 

 M16の眉が顰められる、そらそうだろうな。

 

 さて、俺が一般的に言われる薄情な人間かと言うと多分そうだ。冷めていると言った方が良いか?

 今までも死体漁りに抵抗を感じたことはないし、追ってきた戦術人形を軽く撃つぐらいのことは何も思ったことはない。俺は生きる為には他人を犠牲に出来る。正しくは、それを自覚しても尚出来る人種だ。

 

 だがな。

 

()()()()()()()()()()()――――――()()()()()()()()()()()()()()

「…………何?」

 

 代理人との会話は進む。時間がなさそうだった。目を丸くするM16を無理矢理に位置につけた。

 

「ごちゃごちゃ言わずに位置につけよ、姐さん。M4ちゃん、助けるんだろ?」

「――――――驚いたな。薄々気付いてはいたが、やっぱりアンタは甘いらしい」

 

 馬鹿野郎。

 

 誰が冷酷非情なんて言ったんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まず手始めに、あなたにはここで死んでいただきますわ」

 

 代理人が幕引きだ、とでも言わんばかりに構える。

 M4が咄嗟に目を瞑ろうとする前に、彼女が陰から現れた。

 

「…………悪いが、そいつをここで死なせるわけにはいかん」

「――――――!?」

 

 代理人が振り向ききる前に、M16が突っ込んでいく。

 サイドアームがM16を捉えた。身体とは対照的に驚くほど速く動いたサイドアームは代理人の目がM16を捉える前にM16の足に触れた。

 

 刹那、M16がニヤリとする。

 

「今だぞ――――――反対だ!」

「okey、美女の腕をぶっ壊せるなんてご褒美だ!」

 

 大回りして反対側から走ってきていた彼が、ライフルを構えて代理人に突っ込む。

 代理人は既にM16の方に向ききってしまっていた、存在に気付いても遅すぎる。幾ら速かろうと次の一手、一手だけなら彼女に抵抗権は与えられないだろう。

 

 男の目が確かに標的を見定める。代理人の足元に滑り込みながら、的確にM4の首を掴む左腕の――――――更に関節に撃ち込む。

 明らかなオーバーパワー。あっけなく端子さえ千切れ飛んだ代理人の左手と一緒にM4が崩れ落ちる。

 

 代理人はM16の迎撃を諦めたのだろうか、確かに彼の方を見て目を見開きながら

 

「あなたは――――――まさか、()()()()()()()

 

 呟いた。

 彼は信じられない速度でボルトハンドルを戻すと、その一言に目つきを鋭くして

 

「五月蝿えよ、俺は亡霊だぜ? もう死んでるよ」

 

 喉元を撃ち抜く。

 殆ど機能を失っている代理人に、これでもかと言うほどM16が弾丸を発砲し続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あそこからは大変だったな。代理人? だっけ、アイツが妙なことを口走ろうとしたから発声機関を潰させてもらったが。

いまどきお団子サイドアーム付きでバトルメイドとか流行るわけ無いでしょ。お前はジ・オか、まあジ・オ好きだけどさ俺。

まあデータをボッシュートした後は流れで逃走祭りよ。何か俺にも妙に人数割かれてたし、用もないからAR小隊とは途中で別れた。まあ元々一人が好きな所もなくはなかったし多少はね?

 

そう言えばM4ちゃんと姐さん、あの後から何か受け答えが妙だった気がする。心ここにあらずって言うのかね、まあちゃんと作戦指揮は出来てたし大丈夫でしょう! そこまで知らん!

AR15とは合流した時に「あんた、やっぱりそういうの向いていないでしょ」と言われたが、そういうのとはどういうのか聞く前に別れた。次会う――――――事はないだろうし、もう答えは聞けないんだろうな。

 

思えば今日記を書いているこの瞬間も、横にSOPⅡちゃんが居ないことにちょっとだけ肌寒さを感じる。なまじっか誰かと居るもんじゃねえな…………ああ、くしゃみ止まらん。

 

 

 

U月V日 クソッタレな晴れ

 

また捕まった。今回は何だコイツラ…………と思ったら404小隊と言うそうだ。俺がエロ画像探して404が表示された時の前世のトラウマを的確についてくる部隊名じゃねえかこの野郎。

既に許せなかった。

 

【文字数が足りんのでこっから二冊目の拾い物に移すぞ】




M4ちゃんと姐さん、アウトー! 依存ルート!

絶対人形潰すメイドも来てたのでちゃんと書いてみた、流石にゆるバカ日記に戻るから安心して欲しい。意外と主人公の脳内は堅い喋り方だったりする。
身バレしたけど匿名だからな! ネームバリューゼロでやっていくからな!

遂にやって来た例のヤツラ(Not Found)(とうとうガチパクリ)(逃げ切れよ主人公)(404のやべーやつら)(関係性の違いで差をつけろ)


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二冊目【404小隊】 未確認生命体

すぐ身バレするからもう他作品ネタも入れていくゾ、別に読めるはず…………。
STU以降のアルファベットの並び超うろ覚えで何回もググった。

まあね、ヤンデレ書かないから俺()。ダイジョーブダイジョーブ、怒られへん。


引き続きU月V日

 

404小隊のイカれたメンバーを紹介するぜ!?――――――――このノリ、ちょっと懐かしいな。

お前絶対わるいやつだゾ(安直)。サイドテール眩しい鼠髪のUMP45! 人を捕まえながら笑うな、お前胡散臭えよ。

あ、ご懐妊おめでとうございます。間違えた、栗毛色の元気なツインテールのUMP9! 俺は家族じゃねえ、別途お求め下さい。

不審者捕まえたんだしもっとシャキッとしろよ。灰のくせっ毛眩しいねぼすけG11! 実は酔拳的なアレなのでは?

おっと唯一まともそうだなお前。白銀のロング煌めくエメラルドアイのHK416! 名前覚えたぞ、お前は気に入った。

 

今回はよく知らんコイツラの雇い主から脅された。また手伝えってさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はペニーワイズか何かか!? 次またこの流れで変な小隊に手を貸す羽目になったら○すぞ作者ぁ!? オススメするもんなんかもうねえんだよクソが! っていうかジョージ最近鬼畜すぎるわ!

――――失礼、全く関係のない愚痴が混ざったな。もう何年も経ったのにあの頃のニ○動の事を思い出すよ…………。

 

今日喋った印象だと、一番気が合うのは…………45ちゃんかね。

全体的に404小隊は俺にちゃんと警戒心を感じる、AR小隊がポケポケし過ぎなんだよもっと警戒しろ顔だけで人を判断するな…………何か親みたいな目線で書いちまうな。自制自制。

中でも45は俺に対してきっちりとした線引みたいなものが見えて好ましい、これすっごい求めてた(飢え過ぎ謙信)。別に邪険に扱うわけでもなく、だからと踏み込みもせず、じーっと一定距離で此方を観察するような態度。これがあるべき不審者への対応だよ。

9ちゃんはズケズケ踏み込むがこちらに踏み込ませないタイプと見た。警戒というよりはATフィールドのそれに近い、心の壁厚すぎぃ! 自分ATフィールド全開で中和いいすか?

G11ちゃんと416ちゃんはよーわからん。警戒余ってそもそも話しかけてこなかったし。G11ちゃんはアレだな、何となく朝起きたら上で乗っかっていて欲しいタイプ。つまり猫。

 

どうせなのでこれから仕事するんだからライフルの腕を見せておいた。全員それなりに反応したがAR15みたいな狂人は出なかった。敢えて言うなら416が一番むずがゆそうに此方を見ていたがアイツがAR15ポジですか? みぃつけたぁ(ねっとり)。

 

今日は久しぶりに拾った缶詰。侘しい。

 

 

 

W月X日 麗しき曇り

 

最近ちょびっとだけ暖かくなった気がしなくもない。どうも。

そう言えば夜番役は416とG11で交代らしいぞ、やっぱAR小隊何かズレてたんだって。これが王道だって、俺の知ってる小隊だよコレ。

打って変わって今日は手探りで質問が飛んできていた。昨日はあんだけ称賛したこのマトモな接し方も俺では耐えられず、途中で「何でも聞け! 冗談抜きで何でも答えるぞ!」って言ってしまった。お前が我慢利かんのかいな。

しかし9の「45姉と私の見た目、どっちが好み?」っていうドストライクな質問には引いた。まあ「45姉かな!?」と即答する俺にも原因は有る、416が呆れ顔で俺を見ていた。やめてよ興奮するだろ。

 

そう言えばG11とは寝袋会議で随分仲を深めた。分かるぞ、良い寝所は良い人生に直結する。コイツは分かっているやつだ、悪くない。

というかAR小隊よりも速くちゃん付けが抜けていった。ぼそっと呟いたら「M16と会ったの!?」と416がめっちゃ食いついてきた。顔怖かった、素直にほぼ全部の情報を吐いたね俺は。

内容としては一冊目を参照とのこと。終盤の内容聞いた辺りで「M16がアンタなんかをねえ…………」と言っていた。お前酷くない?

 

それから416が露骨な色仕掛け。分かりやすすぎたのでつい「見え見えなんだよお子ちゃま。お前はパンツまで丸見えだからお兄さん困っちゃうぜ」と言ったら本気で殴られた。当たり前だな、流石に怒る気はない。二時間ぐらい気絶してて、45が俺を突いていたので起きた。「面白い人」という認定を頂いたぞ、このガキ…………ッ!

 

404小隊もやっぱり歩きの任務らしいのだが、AR小隊みたいに期限がある感じではなかった。45曰く「まあゆっくりお散歩してても守れる期限」らしい、いや早く仕事は済ませていこうな?

G11が俺の使っている寝袋を使ってみたい、とのことなのでまあ喜び勇んで貸してやったよね。俺はマニア垂涎モノ(もう全部垂涎モノだな俺の毛布)の毛布その3で寝た。気のせいかな、交代する時に416も寝袋入ってなかった?

 

結局肌寒くて起きたから今書いてる感じ。いい加減夜中に書き足さなくていい生活にしたいよね。

 

 

 

Y月Z日 マガマガしい晴れ

 

世界に平和は訪れなぁーい! コレ分かんないか、分かんないよなゴメン。

そう言えば9が「夜に書いてるヤツなにー?」と無邪気に聞いてくるので見せてやった。おい45、お前に見せるとは言ってねえ。

ペニーワイズのページを見て9が藪に隠れるなり、「はぁい、ジョージィ」とか言いながら顔をぬっと出した時は45と爆笑を必死で抑えた。何でお前ら知ってんだよ、最高か。

「家族はいいぞぉ、ジョージィ」とかねっとり言うんだもん、アレは無理。「どうせ『お前も家族だ』とかそういうオチなんやろ、騙されんぞ」と返させてもらった、面白くない返しなのに45にオオウケだったな、お前センスおかしいぞ?

今日ほどアイツラと兄妹の契りを交わしたかった日はない、秒で拒否られたけど。

 

どうやら基本的には416が常識人枠らしい。G11は寝てる、9はアホの子プレイ、45は傍から見てくすくす笑ってる。俺は思いっきり道化、はあいジョウジィ、寝袋使ってる?

9とG11はすぐアプローチできるし、416は面白いから口が勝手にいじってしまう。なので意図的に喋るのは45と決めた、放って置くとずっと蚊帳の外で笑ってるだけだしな。

 

どうやら404小隊の中でも隊長格らしい。その分他のやつが知らないことも把握してるみたいで割と苦労人気質も感じる。「しょうもないことでいい」と前置いてメンバー紹介を頼んだら結構いろいろ喋ってたな、後愚痴も。大変そうだからちょっと慰めてやった。

意外な話、俺が居ることでこの小隊のバランスは更に良好になっているようにも見えなくはない。そんな馬鹿な、また俺はそういう変な役回りだというのかね?

 

416の色仕掛けがしつこい、また罵倒をご所望と見たので「お前のだらしない脂肪の塊なんかぶつけられるよりもバレーボールぶつけられるか45のまな板ぶつけられてる方がマシなんだよ」と言ったら45が笑顔で鼻をへし折ろうとしてきた。お前の方が416より痛いのな、気絶できなかったからしばらくマジで痛かったよ?

 

よりによって45が俺の日記を盗み見るようになった。あのなお前、俺が居ない頃を見計らおうがバレてるんだよ。

まあ警戒する程でもない人間というのはこの日記で把握してもらえるかな? だとしたら今後も読んでよし。

初日だったかな、友好の証でまた拾った日記をあげたがどうだい。日記帳好きかい?

 

『うん、大好きさ!――――――変なこと書かせないでよね』

 

 

 

A月C日 愉しい雨

 

チャージマン研まで通じるって、お前相当だな。すき。というか字が達筆で笑った、お前ギャップ激しいな。

やつが何故半世紀も前のアニメのネタを知っているかはさておいてやるとして。いい加減馴染んできた。

416は極度のOP(オプションパーツの略らしい、だからスコープとかサイレンサーとかだってよ。俺にはまだ分からん話だな)マニアらしいのだが、俺の銃は何のOPも無いから「あんた本物ね、どうしようもないわ」と言われた。何だよじゃあ教えんかいとキレたら、意外と教えてくれた。何だ、案外いいやつじゃねえか…………。

ついでに弾薬がないことについて相談したら仕方ない、と偶々持っていたらしい(またかよ)弾薬を貰った。とはいえ雀の涙、大事に扱わせてもらおうじゃないか。早速湿気ないようにザックにしまったら保管方法まで教えてくれた、何だ普通にいいやつじゃん。

 

今日は9とお喋りした、45の恥ずかしいお話をいっぱい聞きましたね。読まれてるらしいので俺は書かないぞ、書かない。ああ無理めっちゃ書きたくなってきたから書くわ【此処からしばらくは黒く塗りつぶされていて読むのは無理そうだ】

と、まあ45がちょっと好きになった。アイツ意外と可愛いのな。

 

G11と416は姉妹みたいな動きをしていると発見した。面倒見いいんだなとも思うが、G11も割と416の言うことを聞いているフシが有る。あら^~…………冗談冗談。

 

そう言えば妙な話が有って、俺の射撃はある人形に超似ているらしい。「ちょうど、あなたが持ってるその銃の人形」とのことだが、AR小隊に「変態射撃」と言わしめた俺と同格の動きをするって、自分で言うのも何だけどソイツは魔改造キャラなのでは?

何かすげえ特殊部隊に居たらしいよ、ソイツ会ってみたいな。呟いたら45が「あの人、何かあなたとは合わなそう」と答えていた。尚更会いたい、オトせない女ほど興味が湧くんだよ俺は。

 

9が時たま俺の寝袋に侵入してくる。SOPⅡちゃんで慣れてるので特に動揺とはなかったが、君意外とあるね。何の話とは言わんが。

 

『意外とケダモノ。手出しちゃったら流石に見過ごせないからね~』




差別化出来てるかな…………まあ知らね。「あの人ならオッケー出すやろ」ぐらいのノリで書いてます。違ったら土下座。ジャパニーズ土下座は常に技スロットに入ってる。

404小隊はAR小隊よりも実際の特殊部隊に近い意識、というイメージが有るのでオチるのが遅め。ギャグ9.5割のいつものテンションが暫く続くと思ってね。

主人公が銃音痴なのは俺自体が中途半端なのと、ミリしら勢(超誤用)に合わせて。ガッチガチのミリオタは呆れて俺の小説は読まないと思う。



そう言えば元ネタの人とはパクリ元パクリ屋という関係にありまして、この流れをやる度に自分の作風とか、内容とか、細かい表現を見直す機会になるんですよね。
とか正当化してみるがダメなものはダメ(自戒)。新しい風を取り入れるには一番楽なのも事実で。

そう言えば結局この作品の何が面白いのかをあんまり理解しないまま二冊目に入ってしまった。
特に売り出しのポイントみたいなのは押さえてないまばらな内容なんだけどな。誰か何を面白く読めているか説明してみて欲しい、拷問か?


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無意識迷走系少女

書くのが楽すぎて本業に戻れない日々、そろそろお家に帰ろうな。
今日は45ちゃんの日記を読もうね。ぶっちゃけ404小隊好きなので長くなると思う、そうやってまたパクリとしての罪を重ねるのさ。

めっちゃ特定してきてるけど多分何人か間違えてる。というかその方が面白いからそうなれ。


U月V日 天候:晴れ 昨日と続いて朗らかな心持ち。

 

かの有名な『Phantom』を確保した。全く尻尾を掴めない故に亡霊、と聞いていたけど所詮不意を突けば人間。少しだけガッカリ。

雇い主様は彼を脅してその力を有効活用したいみたい。その成り行きを伝えると彼の顔は曇っていた、まあそうなるよね。

 

だけどキャラクター性で言うなら亡霊、というよりは道化師だったみたい。信用するつもりはそれ程無いけど一応話はしてみた。彼は至って欲に忠実で、それでいて適当な人種のようだ。

9の裏表が読めない行動にも特に抵抗しないし、G11と416に至っては積極的にコミュニケーションを取ろうとしている姿勢を見せていた。私とも何だか会話をしたそうだったけど、あくまであなたは観察対象。別に踏み込むつもりもないし、踏み込ませる予定もないよ。途中で理解したのかそれ程しつこくは迫ってこなかった、案外普通の人間なのかもしれない。

 

それでもその距離感の相手に、突然日記をプレゼントしてくる辺りから変人さは見えてくる。別にこうやって観察記録として使えるから別に邪険に取り扱いはしないけど、まるで意図が掴めない。

理由を尋ねてみると、「これが会話を作る方法の一つだった」とのこと。あなた、ちょっと人付き合いに難があるようね。悪人には見えないから苦労はしないだろうけど偏りそう。

 

何を思ったのかニコニコとしながら持ち前のKar98kで野鳥を撃ち落としてみせた、実力を見せたつもりらしい。その構え方、綺麗な笑顔、全ての動作の気味悪さ――――――あの人形によく似てる。

416は彼の射撃技術に興味を示してたみたい。「アイツと会話をしても大丈夫かしら」なんて珍しく要求を出してきたから、まあ任務に支障が出ない範囲でとだけ釘を差して許可した。別に好きにすればいいのに、416に限って任務の要らない情報は漏らさないだろうし。

 

そう言えば食事は拾い物で済ませるらしく、私達に撃ち落とした鳥を押し付けると缶詰を食べ始めた。別に食べればいい、と言ったのに「何か関係ないことを思い出した」と言っていた。アレは女絡みの顔だ、何となく分かる。

 

興味深いかと言われれば興味はなくもない。この観察日記で纏めつつ、その見えない実体を掴んでいこうとは思う。あくまで片手間で。

 

 

 

W月X日 天候:曇り 日陰者にはお似合いかな。

 

彼の知識の偏りが面白い。夜番をG11と416の交代でしているのを見ながら驚いていたのだ、彼は一体どんなへっぽこローテーションの部隊を見てきたのだろう。謎が深まる。

昨日ほどのぎこちなさはない質問攻めが続いた。9は元からだったが、416が加わったことで会話の熱は増したように見える。私は引き続き静観。

何をトチ狂ったのか「何でも聞け! 冗談抜きで何でも答えるぞ!」と言い出した時は元カノの人数でも聞いてやろうかと思ったけど、9が「45姉と私の見た目、どっちが好み?」と大変面白い質問をしてくれたので此処は抑えておく。

ちなみに私らしい、それは光栄なことだ。いざとなれば泣き落としが利くだろうか、重要な内容なのでそのうち実験してみるのも悪くはない。

 

G11は寝袋の云々で随分と仲が良さそう。まあ彼の適当な空気感とG11の自堕落さはマッチするだろうとは思ってた、予想外は彼のこちらへの気の許しよう。

馬鹿なのやら、それともそう取り繕うだけの対人スキルが有るのやら。AR小隊と行動を共にしていたなんてとんでもない事まであっさりとバラしてしまった、その情報でどれだけの環境が変化しかねないのか分かっているのだろうか。パット見は変人だったが、もしかすればそれも演技? だけど――――――と考えたが時間の無駄そうなので此処まで。

 

M16に対抗心を燃やしたのか、416が露骨なハニートラップを仕掛けているみたい。正直面白いので放置した、反省はしているが後悔はしていない。

彼の返しは…………あんまり酷いから割愛。間違いないのは416が彼を本気で殴ったこと、それで2時間気絶していたこと。どれだけ叩いても蹴っても起きなかったので本当に愉快だった。

………………白状すると、ちょっぴりやり過ぎた。申し訳ない。

 

G11が寝袋を借りていたようだ。別にどうこう言わないが、私は変な男の使っていた寝袋は流石に抵抗がある。416は何で寝袋に入ってたの、それだけは真面目に聞いてみようかな。

彼は肌寒くて何度か起きていたようだ、9に抱きつかれても動じることなく日記を書いていた。女慣れしてるみたい。

というか9、ちょっとくっつき過ぎじゃないかな。まあ良いけどさ。

 

 

 

Y月Z日 天候:晴れ 日差しが気持ち良い。

 

とうとう敢えて誰も聞いていなかった日記の詳細を9が聞いてしまった。あっさり見せてくれた、何故なのか。どうせなので私も読んでいたら何となしに彼は不機嫌になった、変な人。

随分古い――――――半世紀ほど前の映像のネタで、「ペニーワイズがオススメするシリーズ」というものが有ったのだが、彼もそれを知っているようだった。何となく見たら漁ってしまった思い出は此処だけの秘密。

9がペニーワイズのモノマネをしていたのでつい笑ってしまった。彼もノリノリで返すから収拾がつかない、珍しく心の底から笑いそうだった気がする。

だけど彼は「もう何年も経ったのに」とまるで昔に嗜好として見ていたような記述をしていた。映像資料レベルのものなのに、どういう事だろ。

後、彼と兄妹になりたいかと言えばそれは無いと断言できる。冗談でも辞めて欲しい。

 

彼は私に本格的にアプローチを試みたくなったらしい、先日よりもかなりの頻度で私に話しかけてきた。

最初は面倒だったけど、あの裏表の感じない笑顔を見せられるとどうにも断れなくなった。ヘンだ。

まあ会話は他愛のないものにしたつもりだ、彼も気を遣ったのかそういう内容でいいと前置いていた。メンバーについては聞きたそうだったから余分に喋っておいたけど、途中から話が逸れたような気もする。まあ良いや。

 

416が懲りずにハニートラップ。また彼はおかしな事を言ったけど、もう聞くに耐えなかったので鼻を抓っておいた。しばらく目を腫らして擦っていたので、これで当面はあんな巫山戯たことは言わないだろう。

 

ようやく日記を本格的に盗み読むことに成功した。どうやら彼はこの世界とは別の世界――――とやらから来たのだとか。妄言、と言ってしまいたいが彼はそれにしてはあまりにマトモ過ぎる。信じがたいが、私達だって数十年前からすれば信じがたいのは同じ事。簡単に切って捨てるのも早計だ、もしかすればこれも何か暗喩だったりするのかもしれないし。

ちなみに盗み見はバレていたみたいで、その後追記されていた。別に元から警戒なんてしてないよ、その化けの皮を剥がしてみたいだけ。

…………それにしても、彼は妙に古いネタをよく知っている。本当に別の世界から来ていたりしてね。

 

 

 

A月C日 天候:雨 雨に濡れると生きてる実感が湧く。

 

達筆って、彼は失礼だ。人が気にしていることをわざわざ掘り返さないで欲しい。

416とは仲が良くなったみたい。彼女は遺憾なくそのOPバカっぷりを披露して、あまつさえ彼の質問にノリノリで返事をしていた。少しチョロ過ぎはしないかな、まあ変なことを漏らさなければとやかく言わないけど。

途中で7.92×57mmモーゼル弾は無いかとコッチに来たから、ちょっと前の鉄血から奪った弾薬をあげた。何に使ったんだろ、調整とかかな?

と思ったらそっくりそのまま彼に渡していた…………いや、まあ良いけどさ。ちょっと気を許し過ぎ、デレデレするのは良いけど彼も旅は道連れ世は情けレベルの縁。何時かは別れる――――――そう、別れる。

最近は彼にばかり目が行っているので、いざ居なくなると暇になりそうだ。まあ、多分それくらいのものだ。

 

9と彼が仲良く喋っていた、良いことなのに少しだけ靄がかかったような気分がした。

それよりも9がとんでもない事ばかり口走っていた、アレだけ言わないでって釘を差しておいたのにこの妹と来たら。

彼の視線が気持ち悪い、何だか露骨に年下でも見るような目つきにムカついたので思わずデコピンしてしまった。らしくない。

 

どうせなので射撃がある人形に似ている、と言ったら興味ありげに私に質問攻めを繰り返してきた。何で私教えなかったんだろ、別に教えれば良かったのに。

それに安易に「合わなそう」なんて言ってしまった。実際そうは思うが、わざわざ言う必要が有ったかな…………まあ、興味を削ぐためにはアリだよね。うん。

 

9が彼の寝袋に侵入していた。流石に辞めた方が良いと言ったけど、「G11もあの寝袋の匂いが落ち着くんだって~!」と話を聞いている様子がない。良い匂いとは彼のものだろうか、私も嫌いとは言えない所があるので返答に困った。

妹を襲われては私も黙っていられないので一応日記に書いておいた。どうせやるならせめて私にして欲しい、まあ迎撃するけど。

ついでに私の話は全部塗り潰しておいた、1%でも記録として残る可能性が有るなんて耐えられない。




そう言えば俺がどのくらいド変態か分かりにくいのでお話しますと、L4D2でスキン404小隊に変えながら「45姉はか弱いなあ」って一人で笑いながら救急キット使う感じです。我ながら中々だな。

UMP45は丁寧なレイアウトからの達筆。簡潔で分かりやすい日記というか報告書になる。ああいうのに限って感情の起伏は激しいので文字に出る。

何となく分かったと思いますが、彼は邪気が無いので女誑しの才が有る。自分勝手にしようとする部分はあるけど害意が無さすぎ。
じわりとじわりと無関心を装いながらエスカレート。本人に自覚のない興味とか、恋愛感情が好き(細かい)。

45の日記なのでちょっとフワフワしてると言うか、どうにも日記らしさを薄くしたかった。出来なかった。
元が元だからテンションに迷いながら書いた。まあどうせオチるし良いだろ(投げやり)。

あ、あんまり速く更新しすぎても何なので大真面目にセーブかけていきます。ま、まあ待つのも一興ということで!?


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無自覚暴走列車 case.2

ああもうしゃらくっせえ! twitterで似たようなネタ有ったから衝動的にポイだコノヤロー! 更新止まったらゴメンナサイ!!!!!!!!
45に力が入ってるのはもう許してくれ。好きなんだ、流石にあんな娘と付き合いたいとは思わな(銃声)

あ、そうだ(不死身の唐突マン)。俺は美少女と同じくらいイケメンが好きです。ホモじゃねえよブ○殺すぞ。


B月D日 天候:雪 忘れられない雪景色になった。

 

今日は酷い雪だった、少し前にも有ったが天候が不安定みたい。

視界が取れないことも有って、今日の彼の狩りには私も同行することになったのだが――――――

 

 

 

 

 

◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「Nice Shot! 狩りはともかく狙いを外さない感覚は忘れられねえなあ」

 

 悪戯っぽい歯を見せた笑顔と同時に、ボルトハンドルを引き戻す音。45には『彼女』の姿が重なった。

 決して嫌いだったという訳ではないが、他人の空似と言うにはよく似ている立ち姿は少し気味が悪い。そして『彼女』に関しては、コートのモフモフ以外の全てがあまり好きではなかった。

 

 撃ち殺したらしき鹿を見ながら彼は感心したように頷く。

 

「まあ今日は保つ筈だ、焼くしかないのが何ともつまらんが飯に困るよりは――――――ッ!」

 

 言葉の途中、息を切る音と共に彼が後ろに振り返る。

 45も勿論それには気付いた。後ろからゆっくりと迫る足音は、少なくとも1つ2つと笑って言える数ではない。

 

「不味いな、数が多そうだ!」

 

 声は足音に掻き消された。

 それは直ぐ様走り出す、獲物が構える前に一撃を。あらゆる生存競争で重要なのは強さよりも結局は疾さ。その点に於いて今回の45は敗者だった。

 

「狼!? 何でこんな所に…………ッ!」

「馬鹿野郎! そんな事より避けろってんだ――――――ッ!」

 

 彼が叫ぶが間に合わない。群れの内数匹が45に向かって飛びかかる、文字通りの俊足を完全に避けきることは叶わないだろう。

 少なくとも片腕の損傷は免れない、辛うじて判断して片手を振り上げて目を瞑る。

 

――――が、何時まで経っても痛覚は信号を発しない。代わりにポタリ、ポタリと近くから液体の滴る音。考えるべきではない可能性に、無いはずの鼓動が少しだけ速まった気がした。

 恐る恐る45が目を開く。嫌な予感はあっさりと当たってしまう。

 

「あー、無事かねレディ…………いややっぱ痛いなぁ――――」

 

 流れているのは血で、流れたのは右腕からで、流したのは彼。

 数匹に噛みつかれた腕を思い切り振り払うと、宙に浮いていた狼達が呆気なく雪の上に投げ出されてしまう。

 

 後ろから抱き着く形になっていた45を、彼は無理やり右腕で横手に回す。その動作は振り払う、薙ぎ払うと言ったものに限りなく近いのが45の焦りを加速させる。

 それに気づかれたのか、彼の右手が確かに45の肩をしっかりと掴んで引き寄せてみせた。

 

「え…………何で?」

「はあ? 何でと来ますか、隊長殿は馬鹿だったらしい」

 

 彼が小さく息を吐く。その白く曇った吐息が消えたのと同時だったろうか、汗の滲んだ不敵な笑顔。

 

「お前らを助けるのが俺の仕事だからだよ――――――」

 

 また矢継ぎ早に飛びかかってきた狼相手に、彼は45を抱き留めながら思い切り後ろに飛ぶ。慣れた動作で片手で一匹の眉間を撃ち抜くと、左手だけでボルトハンドルを操作し終えてしまう。

 

 服に滲む血の温度に、その量に何故か45の頭は滅茶苦茶になった。

 

「右腕、大丈夫なの!?」

「らしくねえぞ? えらく動揺するな――――――っと、受け取れ犬っころ共!」

 

 また撃ち抜く。ノールックに近い振り向きざまの射撃は圧巻の一言だが、45にはそれを評価するメモリ領域の余裕がない。

――こういう時はどうすれば良いんだっけ。

 

 考えて、考えるが考えるほど雁字搦め。45自身も驚く程、彼女は明らかに動揺していた。

 彼の右腕を見るほどに尚更。収まることなく続く乱れに彼女は対応しきれない。対照的に落ち着いたボルトアクションの音が響く。薬莢の乾いた排出音が、血塗れの彼女に染み渡る。

 

「う、動けるよ! 離して!」

「腰の抜けた女風情がほざきよるなあ! ってか、コイツラ引き時を弁えろってんだ!」

 

 ピボットターン。彼女が振られると同時に雪景色が巡る、嫌にゆっくりな気がしてまるでスローモーション。ロマンチックにメリーゴーランド。

 ようやく自分がマトモに立てていないことに気づく。力の入りようもなさ気な湿り気を帯びた右腕は、実のところ彼女を支える点に於いて正しくまだ働いていた。

 

 彼が小さく舌打ちして発砲。Kar98k、残り装弾数一発。

 

「ヤバイな、流石に片手のリロードまでは出来んぞ! 後一発で帰ってくれよバカ犬共――――――ッ!」

 

 

 

 

 

◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

彼は私を庇った結果、右腕に大怪我を負った。しかもその後出血の貧血で倒れたから、柄にもなく焦っちゃったよ。

あの時は私をしっかりと掴んでいたはずの右腕だが、狼を追い払った後はめっきり動かなくなってしまったらしい。意志力というのはあまり信用しないけど、今回ばかりは強く言う気は起きない。

 

左手でボルト操作をしていたから気づかなかったけど、彼は基本的に右利きの筈だ。「不便だからガキの頃に右利きにされた」らしい、結局世話は私がする他ない他ないという結論になった。

何故か416が交代で良くないか、なんて言い出したがこれは私の不手際が原因。私が責任を取るのが妥当な線だろう、実際そう言えば416も黙りこくった。

 

今度は9も含めた三人で食料調達に出向いたが、彼は元々サポートハンド無しでも野鳥を撃ち落としていたので問題はないようだ。

自分ではあまり分からなかったことだけど、どうやら私はいつもより動揺しているみたい。9が言うには「いつもならこの程度の怪我、そんなに気を遣わないよ」との事らしい。

とはいえ私の落ち度だし、人間の腕は私達と違って替えが効かない。そういうのも反応の違いに出てるんじゃないのかな。

 

食事は案の定。彼は柄にもなく食器できちんと食事を摂る人種で、そのスタンスは例え右腕がなかろうと曲げたくないらしい。「食い方まで動物だと自分が猿かなんかだと思えてきちまう」だそう。よく分からないけど彼の口に食事を黙々と運んだ。

 

日記も私が書く羽目になった。どうせ盗み見るから変わらないということらしい、どことなく複雑な気分。

字が達筆だとまた笑われた。幾ら人形とは言っても言われて許せることと許せないことは有ると言うと、あっさりと謝られたのでそれはそれで拍子抜け。

夜番をG11と交代しようとしていたのだろう、416が仮眠を取る直前に「あなたが、へえ」と此方を見て笑っていた気がする。何故だろうか、理由はよく分からない。

 

久しぶりに、ちょっと眠い。

 

 

 

C月E日 天候:快晴 肌が焼ける、なんて思いたくなる。

 

起きたら彼の腕がお腹に回っていて少し飛び退いた。どうやら疲れて眠ってしまったらしい、9は私を見て妙な笑いを浮かべていた。変なの。どうやら彼は寝ている時に近くに居る人間を抱き寄せる癖があるらしい、9の実体験なんだとか。

 

そう言えば、応急処置のために彼のザックを漁った時に中身があまりに適当だったので少し注意しておいた。せっかくの協力者にいきなり死なれても困る、まさか救急キットの一つもないとは驚きだ。

それに彼の装備品には近接戦の対応力が欠けすぎている、ナイフなりハンドガンなりを持っておいて欲しい。次拾ったら押し付けてしまおう、無いよりはマシだ。

事情を聞くには「怪我をしたことがなく」、また「マトモに接近されたことが無かった」らしい。その場しのぎみたいな言い訳だったのに、何となく理解できてしまったのは私が毒されたのか彼がそれだけ異常なのか。

 

どうやら昨日の一件で意外と無理をしていたようで、今日歩かせてみると右足首を思い切り捻っていて歩けないみたい。流れ的に私が肩を貸しながら道中を行くことになりそうだ。

――――――それは良いけど、スキップを要求したり足でテンポを踏めとかよく分からない要求は辞めて欲しい。辞めるように言ったら「お前はママか何かかよ」だって、何なのこの人。

 

それと私が人形だという実感がイマイチないのか、疲れてないかだとか交代してもらえだとかしきりに変な勧めをしてくる。「人形だから問題ないよ」とは言っておいたが、彼の気分の問題みたいだ。

あんまり心配性なので適当な世間話で誤魔化す。会話を弾ませておけば彼もそんな瑣末事には気が向かなくなっていった。

 

食事も段々と慣れてきた。彼も最初は嫌がっていた、というか恥ずかしがっていたフシが有ったが若干慣れてきたと見える。そうしてもらえると私も楽で有り難い。

時々「それやめてくれるか?」と顔を赤くしてスプーンをどけてくることが有る。普通に食べさせてるだけなのに、羞恥心のポイントが奇妙だ。

 

あんまりしつこいので、日記の文字を変えてみた。戦術人形だからそれくらいは出来るが、「丸っこい文字。それお前っぽい」と妙に彼は喜んでいた。上機嫌に頭をガシガシと撫でてくるし、一体どうしてしまったのやら。

最近小隊の皆が私を見てニヤニヤとしてる、気持ち悪いや…………。




高評価オイテケ…………ランキングヨコセ…………(乞食が下手)

右利きライフルですが、彼は左利きなので左でボルトハンドルを引きます。これは俺と同じ、分かりやすいから。片手操作は極まるとカッコイイ。
ところで乙女チックな展開って興味ある? 俺は有る。


※追記(2018/10/07)
この話数の描写で最後に「Kar98k、残り装弾数二発」って有ったんですがどうやら装弾数を六発と勘違いしていたらしい。よって、一発に修正。
Kar98kファンとして生き恥を晒したことを此処に謝罪しながら感謝の0-2周回一万回をキメてきます。


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地獄への道は愛で舗装されている

もう気軽に乞食はしないが、高評価は肥料だと断言しておく。嘘ついても仕方ないしね? この更新も高評価の影響だし。
めっちゃ✝堕天使45✝に食いついてきて笑うぞ君達。俺も大好き。

さて、答え合わせ。察したやつは居れば100点。凄い読解力だ、現代文は困らないぞ――――――と書いていたが、反応を見るにはバレバレバー。馬鹿にしてスンマセンでした。
じゃあ始めよう。


B月D日 ヤバ過ぎる雪 天気:大雪

 

あぁ~、冒頭から取り消し線は悪い。というのも事情があってだな、まずは何時も通りの俺の日記を読んでくれ。ああ、字が汚いのは気にすんな。

今日は酷い雪で、視界が全く取れなかったのよな。最初は進もうという気概を見せていた404小隊もこの酷さにはお手上げ、今日は足踏みせざるを得ない現実を無事受け止めた。

416が「あんたを盾にすれば雪だろうが進めるわよ」と言った時は正気を疑った。お前、俺のこと嫌いなの…………? ちょっと本気で今思い悩んでるんだけど「別に嫌いじゃないわよ、建設的な提案でしょ?」すまん、悪戯書きされた。何ニヤニヤしてんのアイツ?

 

まあ勿論却下、足踏みしてもらった。問題はその後。

狩りの時に安全と監視を兼ねて45が着いてきたわけだが、油断して狼に襲われちゃったのである。仕方なく俺が庇った、だって怪我されると気分悪いし。

という訳で現在右腕から血がダバダバ出たその後ということですね、痛いょ。。。。。。現在は45に代筆を頼んでいますね、ハイ。

 

貧血で倒れた俺を45が介抱してくれたらしいがちょいとおかしい。いや、そもそも「()()()()()()4()5()()()()()()()()()()()()」事自体に違和感を覚えたアンタは察しが良い。いや、良すぎる。

それについては後にして、俺は応急手当を受けたのは良いが右腕が動かせなくなってしまったのだ。G11曰く「思わず飛び起きちゃう慌てようだったね、45が」だそう。嘘だろ? なあホントなのか?

よって食事は45が手伝ってくれることになってるんだが――――――何かおかしい。45ってさ、多分「はい、あーん」とか言い出すキャラではないと俺は思う。

いつものニヤケ面もちょっとだけ柔らかい気がする。どうした、お前どうしちまったんだ? あの頃の丁度良い45に戻ってくれよ。

俺の腰に手を回してた時はゾクリとして弾きそうになった。流石に可哀相だからゆっくりと手をどけてやった、ホントさ。

 

盗み見るから変わらないとは言え、笑顔で日記を書いていく45の横顔が今の俺には残念ながら怖かった。というかコレを書いて尚笑ってるし、この内容にもさして興味を示してないのが怖すぎるんだよ。お前マジでどうしたの?

そう言えばさっき416が「精々頑張りなさい、意外と重いわよ?」と囁いてきたのを思い出した。馬鹿野郎、冗談になってねえんだよ。

 

【妙に汚い字の誘導に従うと、離れた別ページに追記を見つけた】

あ、これは俺の直筆な。嬉しいダルゥオ!?

何かよく分からんが好感度がめっちゃ上がってて怖い、この後も怖いことになる。俺はその未来を経験した上で此処に改めて書いてる訳だから保証する。

45は眠くなったのか、あの後俺に寄りかかって寝落ちである、ちょっと可愛いと思ってしまった。というか警戒心一気に下がり過ぎだよねこの娘、男は狼やぞ?

起こしそうだったので仕方なく俺の毛布に入れてやった、まあ至近距離で動揺するタイプでもなさそうだし大丈夫だ。9も来たが別の毛布をくれてやった。ちょっと不満そうだった、何でも「いつもは45姉とも一緒に寝てるのにー」らしい。キマシタワー? キテナイワー?

 

 

 

C月E日 日差しの煩い快晴

 

何とか天気の欄は死守した。俺の数少ないこだわりポイントやぞ、許せ。

45が怖い、エスカレートした。助けて…………と書いてはせっかく読んでるだろうアンタに飽きられる。「45本人も読んでいる、というか書いてる」事実に震えながら読んでくれよ…………。

 

俺のマントを匂ってた。やめろ恥ずかしい、というか汚いからやめなさい。9は「やっと分かってくれたんだ!」とか笑顔で言うのをやめろ、俺は生理的恐怖を覚えた。

あまりにヤバ過ぎるので実のところ一番マトモに見えているG11に救援を求めたら「いやそれは周知の事実だしね」とか意味不明な返答。待って、お前らは全員俺の体臭を知ってるということなのか…………?

何か不味いぞ、俺の半年を誤魔化してきた第六感がこいつはヤバイと告げている。まあどっちみち逃げられないけども。

 

ベタベタくっついてくるようになってきたのはもう言うだけ無駄なので放置するが、45曰く俺の所持品はあまりにカスいらしい。

そう言えば昨日は心配されてたらしいよ? 45が俺を心配する…………何を言ってるんだ俺にはちょっとよく分からない。

どうやら俺は接近戦に対するやる気が感じられないらしい、無いんだよなあ。俺の得意分野的には接近された時点で負けまで有る。

ハンドガンなりナイフなりをゲットするのが今後のサブミッションとなった。「まあ最悪守ってあげるけどね」とは言われたが、頼りっぱなしはどうなのだろうか。後お前顔が怖いぞ、笑い方がマジのサイコパスを感じるからやめてくれ。

 

9が「お似合いですなー二人とも! これはもう家族しか無いのでは?」とかとうとうトチ狂ったことを言い出した。家族しか無い、って何だよ。意味分かんねえよ君はちょっと黙ってなさい。

何か今日は皆騒がしい。打ち解けてくれたのは構わないのだが、物理的接触が増えたのはいかがなものか。辞めろとは言ったが「誰にでもはしない」と口を揃えて言うので「お前らは結婚詐欺に遭うタイプだな」と忠告だけはしておいた。

45の介抱がノリノリで怖い。416は対抗心を燃やすな、9はノリで俺におぶさってくるな、G11起きろ。頼むからピンポイントで立ったまま寝ないでくれ。

 

あ、そうだ。良いことが一個あったぞ。漸く45が自分から喋りかけてくるようになったぞ、これは大きな一歩だ。

警戒心が無くなったことに関してコレだけは評価しても良い、ニコニコしている相手と会話をするのは悪くない。ただ45はやっぱり本気で笑っているのか作り笑いなのか判別に困る。今日は、多分普通に笑ってたのかねぇ。

 

しかしあんまり長い時間肩を借りるのも何だから交代を申し出たのだが、45にかなり強い拒否を受けてしまったぞ。416も変わる気満々だったのに断固として譲らない姿勢を貫いていた。

416も「あんまり不自然な負荷をかけ続けると、人形でも不調は有り得る」と言ってくれていたのに(何かニヤニヤしてたけど)とうとう45が自分では不満なのかと聞いてくるのに根負けした。そういう顔されると俺無理なんだけど? そうやってすーぐ泣き落としするんだからコイツは油断ならん。

世話を焼きたがるその食いつき方は本来の母親、に近いものを感じた。ま、俺にはそんなマトモな母親は居ないけどな。もう昔の記憶だ。

――――――――まあ正直、ちょっとだけ懐かしかった。後、あの親についても考えるには考えた。意味はないし、もう過ぎたことだ。

 

おっと感傷的だったな、悪い。

 

食事はまあ、流石に少しだけ慣れてきた。問題は今度は45が俺と同じスプーンで食事を取り出したことだ。分かってるさ、コイツ人形なんだよ。俺だって馬鹿じゃないんだが、ご覧の通り此処の線引が下手でね。

今日も今日とて横にひっついて「はい、あーん」とか言われてる。416から殺意混じりの目線が飛んできてるし、G11と9は俺達を見てクスクス喋りながら笑ってるしで色々と地獄。「やはり家族か…………」とか真顔で言い出した9のほっぺを引っ張ってやった、よく伸びるやつだ。

途中から悪乗り極まった9まで左側を埋めてきたので、俺は冷や汗と自分に浮き上がる死の線の錯覚に怯えていた。何時から直死の魔眼に目覚めたんだっけ。

 

日記の文字だけはどうしても不満だ、という話をしていたら「仕方ないなあ」と45はさらりと字体を変えてみせた。人形だから有り得るとは思っていたが、まるで別人のようだ。

試し書きで色々な字を見せてもらったが、一番丸っこくて女の子らしい字が有ったのでそれにしてもらった。「何で?」じゃないよ、女の子なんだから可愛い文字書けばいいだろ。強制はしないが、その方が俺は好きだしお前のキャラじゃないか。

 

『此処からUMP9が代打を務めております!』

 

まあ、ノリノリでよろしい。お前は女の子っぽいながら癖の無い字なんだな、意外。

意外ってちょっと酷いよ~!

一々コメントを書くな。現在はまた右側で45さんが安眠中、責める気はないけど俺の手をガッチリホールドしてるのは辞めて欲しい。君の無い胸に当たって大変虚しい。

…………絶対そのうち鼻を折られちゃうと思うな、私

そう言えばついでに此処に記録しておこうか、9的には45の態度の変化はどう思うよ? 俺は正直怖い。

う~ん? 難しい事は考えるつもり無いけどさ、一緒に居て楽しい人と居られたら45姉も嬉しいと思う。だから、あんまり邪険にもしないであげて欲しいな~…………とはね

そうかい。9が言うなら、そうするよ。度が越したら無理だがな。

後は意外と寂しがりやだよ! もし45姉を粗末に扱ったら――――――なーんて、冗談だよ♪

お前の顔から冗談という雰囲気を感じられませんが? 目が据わってますヨ。




最近ぶっちゃけ若干飽きてきてるよね(は?)。続く限り続けよう。
潮時なので一旦戻ろうかな。

あ、主人公の呼び方一通り考えてきたよ。
「ファントム」「ふぁんとむくん」「ファミチキ(ほら、鳥ばっかり食うし)」「亡霊」「ぼーちゃん(某教育に悪いらしいアニメより、俺はそうは思わんがね)」「貴方 君 お前 などの代名詞(こっちで感想来たら返信は「彼」に任せます)」「残念イケメン(ただの事実)」色々ありますアイツの呼び方!(エミ○ム並感)
カスタムしても理解できれば良いんだぞ、面白い呼称考えていけ? 多分別の小説で本名も出てくるだろう、いつものやつ。

前回の比じゃない真実のデレデレ45に震えろ。とんでもないものを作ってしまった。予想通りメロメロのメロです。作戦指揮できるんだろうか彼女。9は意外とそこら辺考えてるイメージが有る。
皆が間接キスって言うから採用しちゃったよ。俺はそんな描写してないつもりだ、ちゃんと読んでみやがれ。可愛いから良いけど!!!!!!!

次回は416にも入ろうかな、G11は攻略不可能キャラです。アイツはアレが一番可愛いからな。


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果報は寝過ごせ【前編】

アレ絶対兄貴に正体バレてるよ(そりゃあな)、先に謝罪会見でも決めておくか?(ハラキリの構え)
あんまり深く理解できてないながら、今回はG11を取り上げました。


20xx/U/V てんき:ハレ

 

さて、お仕事をしようか。面倒だけどヘリアンの命令に抗えるAIは持ち合わせなかったしね。

それじゃあお仕事の確認もしちゃおう。次寝ちゃったら絶対忘れるもんね、いやあこれは仕方ないよ決して文字稼ぎだとかじゃないよ信じて。

現在の404小隊は「特定のポイントに有るデータの奪取」を目的に動いてる――――「という体」にされてるね。

 

本当の目的は某ふぁんとむの情報収集。半年グリフィンを撒いたという結果は、過程を知りたいお偉方の目に止まっちゃったんだね。

あたしがこんな日記まがいの報告書をこそこそ書けと言われているのもそれが原因。ヘリアンは「45は仕事をこなすが、信用は難しい」と言っていた、仲間だけどそれははいそうですねとしか言えなかったなあ。圧倒的事実。

「一番やらなそうな人形が、一番やらなそうな面倒事をするというのが偽装には向いている」とのことだ。仕事を整理すると「彼を監視、その逃げ足の秘密を丸裸にして何ならグリフィンまで連行」だ。ちなみにこれはあたししか知らない、ヘリアンは何を考えてるんだろうね。

 

ダミーの任務は雇い主もはっきりと嘘だとは言われてないんだね。徒労の可能性はあるが金は出る、みたいなニュアンスで喋ったみたいだしそれにそこまで異論は唱えないらしい、ああ現金な人はやだなー。

 

ちゃんとした報告しよ。

逃げ足は、まあ何というか適当。ヘリアンには悪いけど理論に革新的なものはないだろうし、半ば野生の勘みたいな状態だろうね。後、相手が女の子だと割と油断するみたいなことを言ってた。じゃあどうやって戦術人形から逃げたんだろ。

 

戦闘力は多分、相当高い。体が人間という縛りは有るにしても、本気でやり合えば下手したら404小隊も全滅するねアレは。人間なのがむしろ勿体無い。

目測600mもサイトなしで目標に命中、ボルトアクションのKar98kが愛銃とは言えアレは変態だよ。もう絶対あたし捕まえるの手伝わないから。

後――――――()()()()()()()。いや、ちゃんと見たら光り方が違う。どうしたんだろうね、アレがあの変態射撃のお手伝いしてる感じ? それでも凄いけど、構えも適当、撃つまで数秒だし。

 

性格は至って善良? みたいな感じじゃないかな。生活のせいか、過去に何が有ったのか決定的な一線は感じるけどフランク。アレだ、ヘリアンにわかるように言うと45を男にした感じ。合コンでよく居るでしょそういうやつ。

こっちにも絡んできた、めんどう。でも鳥を撃ち落としてコッチにくれた、これは良いや。

日記を書くみたい。9が「あれなんだろーねー!」ってわくわくしてた。頼むから巻き込まないでほしいなあ、面倒事は睡眠の質を下げちゃう。

 

45、意外と興味持ってるみたい。珍しい。彼が皆に配った日記も書いてる、もしかして? いやいや、まさかね。

 

 

 

20xx/W/X てんき:クモリ

 

あたしと416の交代交代の夜番にカルチャーショックを受けてる。こっちがびっくりだって。

皆が質問したいお年頃のようなので、こちらは静観しておこう。彼も何でも聞いていいとは言ったけど、まさか45と9の顔比べを申し出るとは9はやっぱり変だ。

 

これは良いよ、彼は寝袋マイスターだったんだ。睡眠の質は人生の質、実に分かってる。そりゃあ半年逃げ切れるわけだね!

――――――ごめん、まあ今のは冗談にしても会話のタネが有って良かった良かった。416みたいな世話焼きは無理だし、UMPの二人みたいにとりあえず絡むタイプでもないしね。

何だ、多分あたしも絆されてるね。ヘリアンも不正確な報告と思っておいたほうが良いよ、意外と人誑しっぽい。

 

416がM16を話題に出した彼にひっつき出した。かなり酷いおちょくられ方をしたから思いっきり殴っちゃってた。

――――――――でも普通に生きてる、この人の体どうなってるの?

45はえらく構ってる、気に入ったんだね。まあとやかく言わないけど。

 

何だろ、45はちょっとこの任務の真相に勘付いてる気もする。彼に「歩きでもどうにかなる」なんて言ってたし。

 

どうせなので寝袋を借りてみた。これは素晴らしい、もう早く寝たいから今日は此処まで。

 

 

 

20xx/Y/Z てんき:ハレ

 

9と45が日記の内容を見せてもらった後、変な小芝居をして盛り上がってた。珍しい、45が楽しそうに笑ってる。

 

そう言えばあたしの報告書に気づいた416が「何? 流行ってるのかしら、日記」と言い出したので「416が書いたらM16への惚気だらけだから辞めておきなよ?」と忠告した。それだけなのにゲンコツを喰らった、まだ痛い!

416は何もなかったように「私は完璧なのよ? 日記なんて物体に頼らなくても此処で覚えてるのよ、此処で」とか頭を指さしてきた。面倒だから「はいはい、416スゴイナーカテナイヨー」と言って頭を撫でておく、だってこれで何とかなるし。褒められ慣れしてないよねえ。

 

45が彼に愚痴っていた、何事? アレは女の顔というべきなのか? もうあたしには分かんないよ…………あ、ヘリアンは万年合コン惨敗だしもっと分かんないか。ごめんね、416もこの前同情してたよ。416の方が行き遅れそうなオーラ有るのに暢気だよねえ。

まあ今頃ヘリアンがコーヒーを吹きかけていると想定して、もうちょっとコミカルな話題をあげるね。416のお子様丸出しな色仕掛けに彼がまた例のアレな返しをしたんだけど、あろうことか45の胸について触れちゃった。鼻をへし折られかけてたね、いや愉快愉快。眠りが深くなるよ。

 

45は日記を盗み見て勝手に書き足してた。割と楽しそう、アレは堕ちたね。ヘリアンも彼狙ったら良いんじゃない? 多分良い人なんだよ、知らないけど。

416は「M16と何が違うっていうのよ…………」とぶつぶつ拗ねていた。こうやってまたあたしが慰めるはめになるんだ、また今度彼には辞めてもらうようにちゃんと言ってみたい。起きてたら。

あんまり拗ねるから「得意のOPパーツの話題でも振ればいいじゃん、M16にだって絶対勝ってるようんうん」ともうやけっぱちな慰め。我ながら酷いねアレ。

眠たい。おやすみ。

 

 

 

20xx/A/C てんき:アメ

 

本当にOPパーツの話で攻めた、416は女性雑誌を鵜呑みにして男にすぐさま試しちゃうタイプだね。やっぱり行き遅れタイプじゃないか。

普通に心配だなあ、とちょっぴりの罪悪感と共に眺めてたんだけど話が弾んだらしい。なんで?

と思ったら、彼は銃火器知識が皆無なんだってさ。何者なんだ、謎が多いなあ。

 

7.92×57mmモーゼル弾を416が貰いに来たから、こっそり大量にあげておいた。「定期的に、継続して、あたかも拾ってきたようにしなよ」としょうもないアドバイス。雀の涙みたいな努力だけど、積み重ねれば違いになるはずさ。責任は取る気ないけど、上手く行って喜んでたしもう良いよね? 許されたよね?

 

45が彼ともう仲良しなのは置いておいて、じゃあそうだなあ…………9の話でもしよう。

彼の射撃を45が見に行ってるときに、9があたし達と何気なく「ありゃもう家族だねぇ~」って言ってた。相変わらず家族判定どうなってるんだかさっぱり。お前の家族判定ガバガバじゃねえか――――ってね。

9的には「せっかく心を開いている相手とくらい、思いっきり楽しんで欲しいな~!」だって。良いねえ、姉妹愛は良いことだよ。まああたしにはそんなのは無い…………まあ、無くはないか。当人は「コッチ見たまま寝ないでよ」とか素っ頓狂な返しをしてくるけどさ。

 

416は「別に45の邪魔はしないわよ」と何だか咎められたような表情でぷいっと返した。そういうことじゃないと思うんだけどなあ、自覚が有るからそう答えちゃうんだろうね。

 

やばい、最近本気で眠い。真面目に生きるからこうなるんだ、睡眠の質の問題だ。9に彼の寝袋を略奪されてしまっているから尚更だめ。

確かにいい匂いがするとは言ったけどさ、取っていいとは言ってないよ…………。寝れない。

 

45が日記を狂気じみた表情で塗り潰してた、どうしたんだろうね。

 

416がふと「このままアイツの居る生活に慣れて、元に戻れるかしら」とか急にセンチメンタルなことを言いだした。月とか眺めながら言っちゃって、まあロマンチストなこと。

あたしを起こすのは416だけだし、彼が居なくなってもそれは一緒。別れを惜しむ暇があったら一秒一秒を真面目に生きれば良いんじゃないのかな。

そのまま言ったら「あんたが言っても説得力無いのよ説得力が!」って頬を引っ張られた。良いじゃないか、一秒一秒真面目に寝てるんだしさ~。




タイトルこんなのだけど実は愛とかあまり信じてない、とか言いながらジャンルは恋愛。

G11と416が偶に立場逆転したら嬉しい、姉妹ってそういう関係性だと思う。
イメージとして「意外と一番冷静」にしました。戦闘とか平時は違うけど、ファミチキくんと居るときはそういう感じ。

時系列が進まないのは「メインストーリー」との兼ね合いのため。第零戦役から一ヶ月後って明言されてるからね、あんまり時間は使えない。
まあ複数の視点から全く違う物語が見えるって、それはそれで良くない?


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果報は寝過ごせ【後編】

G11が宇宙一常識枠してる回です。
後個人的には最近が怒涛過ぎたので今回は見どころさんが息してない。


20xx/B/D てんき:オオユキ

 

今日は凄い大雪だったのだが、これが視界もマトモに取れなくて参った。416が彼を盾にして進む、なんて狂気の案を出したからやんわりと止めたんだけど――――――今思えば盾にしたほうがマシだったかも。

流石の404小隊もアホ集団じゃないから、今回ばかりは立ち往生を認めざるを得なかったんだけどこの後が大変だ。

 

ちょっとした興味本位だった。彼の狩りの監視を45に任せたんだよ、いやあだって3人が合図もなしに息を合わせた瞬間だよ? これを活かせないなら45はもう駄目だしね。

――――――結果、思ったよりロマンチックな結果で終わってしまったようで、右腕から夥しい出血をした彼が帰ってきた。

おぶってきた45は柄にもなく完璧に焦って駄目になっちゃったし、仕方なくあたしと416が彼を見たのだが――――――――結構やばかったね、アレは。

むしろ息をしてるのが怖いくらい。取り敢えず衛生管理と簡易の止血、これを二人がかりで何とかするにはした。こんなやっつけ仕事でも何とか落ち着きを取り戻して安心したよ。

そう言えば手にいっぱい不自然な傷とか火傷の痕が有った、何だろうアレ。虐待でも受けてたのかな。

 

今日は寝るに寝れなかった。彼の状態は刻一刻を争う状況だ、下手をすれば死ぬ。問題は45に伝えれば間違いなく更に動揺するし、9は何かアテに出来ないし、416も単独ではビミョーに放っておけなかった辺り。

45なんか自分が介抱を全面的に請け負う算段なんてつけ始めるし困ったなんてもんじゃなかったね、416に横入りしてもらおうと思ったけど失敗。この人形独占欲が地味に強い…………いや、責任感が強いのかな? 好意的に捉えようか。

結局416と状況については秘密にしていたのだが、彼はあっさりと起き上がってしまった。尋常じゃない回復速度に加えて、リカバリーも速い。本当に人間じゃないんじゃないのこのお兄さん。石仮面とか被らなかった?

 

あっさりまた狩りに出て持って帰ってくるし、あたし達は目を点にしてたよ。しかも45曰く腕の衰えもなし、あの出血量だったのに目眩も収まっちゃったって? もう手に負えない、化物だ。

目がすっかり冴えちゃったし、柄にもなく45の観察を始めた。

 

デレデレしてるよね正直。「はい、あーん」とかニコニコして言い出した時は9がゲタゲタ笑うのを堪えてたし、416は何か冒涜的なものでも見たみたいに吐き気に口元を抑えてた――――――ん? 当方は目を見開いた、以上。

腰に手を回す45には「うわっ…………」って思わず言っちゃったけどね、聞こえてなくて安心したよ。触らぬ神に祟りなしだ、彼も手を払ってて安心だよ。その動きが完遂されてたら弱めの呪いか何かが纏わり付いてたね、多分。

「45が男に手を回すと蛇が蛙を絞め殺す三秒前を錯視する」っていうのは416とも共通した意見。つまり、人形らしからぬ生理的恐怖を覚えちゃうんだ。

 

夜も代筆をしてニコニコニコニコ。416と一緒に「正直お腹痛い…………」と互いに互いを慰めあった、416が45に気取られないように彼に忠告はしてたけど多分わかってない。

今日ばかりは何というか、気が立って寝るに寝れなかった…………。416と月を眺めながら「もとに戻って…………」ってもう何かに縋るみたいな口調で呟き合ってた。45が壊れちゃった、どうしよう。

 

 

 

20xx/C/E てんき:カイセー

 

45が…………添い寝!? ヘリアン不味いよ、ふぁんとむ君は多分ウイルスを45に仕込んでる!?

416とずっと45をジロジロ見てる一日になった――――――とかじゃなくて、416は切り替えが速かった。裏切り者め! この恐怖を一人で味わえっていうのか、あのポンコツ自意識過剰銀髪人形!

 

何時も通り416に叩き起こされた。ああ、何だか最近立場逆転してた気がするのに不思議だ。

起き抜けに45が彼のマントを目一杯匂ってて、目を五回ぐらい擦ったから軽く痛めた。416が焦って止めるまで何回も目を擦ってしまった、何あのド変態。うちの小隊にあんな変なの居なかったよね?

あ、でも匂いが良いっていうのは周知の事実だしまあ分かる。何故そんな狂ったように嗅ぐのか、コレガワカラナイ。途中で彼に何か聞かれて気がするけど、反射で答えちゃった。眠い。

 

昨日気を張ってたせいで、今日はいつもよりぼうっとしてた。416に手を引かれながら朝が始まったけど、ちらりと45が彼のザックをひっくり返して説教をしている絵面が見えた。目が冴えた、彼女面してない?

416はいつもよりテンションが高くて、あたしがぼうっとしてるとご飯を無理やりスプーンで口に突っ込んできた。今は45に世話してもらいたいよ…………今有頂天だろうし、絶対優しくしてくれる。

 

食事が終わるとすぐ出発したんだけど、まあ45と彼は遅いよね。差が開いた頃、何かこみ上げる的なへんてこな笑いを416がし始めた。コイツもか。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「これはチャンスよ!」

「静かにしてよ、M16オタク」

「なんですって!?」

 

 その禍々しい笑顔と下らない戯言を辞めたら訂正も吝かじゃないよ?

 416がこのゲス笑いを浮かべたときは大抵こちらも巻き添えを食うポンコツアタックを仕掛けるんだ。もう学んだよ、416も結構馬鹿なんだって。

 

 手をワキワキとさせ始める。これは駄目なテンションだ。

 

「45で霞んでいる今こそチャンスよ、攻めれば私はアイツを落とせる――――――ッ!?」

「どっから突っ込めば良いんだこれ」

 

 9はニコニコとしてこちらを傍観してる。この馬鹿騒ぎ好きなところは姉譲りで本当に困る、いつもあたしが止めざるを得なくなるんだ。

 

 416はもう止まらない。インマイワールドを決め込むとボソボソと何かを呪詛のように呟き出す。

 放置して9と喋ろう、その方がまだ楽しいし。

 

「ねえねえ、アレって恋愛なのか対抗意識なのか賭けない? あたし対抗意識で」

「分が悪い賭けだよそれー、まあ良いや。何賭ける?」

「そりゃあこっそり彼から拝借した毛布、これ良いよ」

「乗った」

 

 即答する辺り9もすきものだよねえ。

 まあ416の事だしどっちでも全然有り得るとは思うんだけど、9が敗色濃厚な賭けはしないからこれ多分負けるね。9はおバカを装ってるけど姉同様、そこそこキレ者だし。

 たぶん今のは「G11にとって分が悪い」という意味だ。

 

 416がようやっと無視されてることに気づいた。

 

「ちょっとG11! あんたも何か案はないわけ!?」

「ええ? 面倒くさいなあ416は…………じゃあ添い寝はどう」

「無理」

「無理かあ」

 

 初心に色仕掛けはやっぱり無理があるよね。

 当てにならないと早々に切り捨てられたみたいで、また一人で親指の爪を噛みながら416がボソボソつぶやく。

 

「でも416ってさ、流れ的に45姉に一番を譲る姿勢は感じるよね」

「まあそうだろうさ。此処はかなり416の中では大きな落とし所だと思うよ? M16に勝てれば良いって訳でもないしね、45が特別なんじゃない?」

 

 まあ要するに。

 

「「何だかんだ好きなんだな~って」」

 

 416の方を見てみるが、当人ときたら「名案が出たのかしら!?」と血走った目でこちらに走り寄ってくるっていうか怖ぁ!?――――――――が、ズッコケた。

 思いっきり枝で肌を掠めたようだ、少しだけ目を赤くしている。

 

「まだ雪も残ってるのに走るからだよ」

「うるさいわね…………痛っ」

 

 

 

 

 

◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

まあ紆余曲折有って416はずっこけたんだけど、人工皮膚がちょっと剥げちゃったみたい。彼が「右腕が治ってりゃそれぐらい何とかしてやるんだが…………」とつぶやいてたけど、それ何気に専門技術だよ。何者なんだい、彼。

 

仕方ないからと彼は絆創膏を416に貼ってあげていた。顔が近いから416が恥ずかしがってたよ、アレは写真に収めて脅しに使いたかったレベル。

 

45がすごくデレデレしてる、あたしと416は見てるだけで腹痛がするレベルで怖い。こう、何ていうんだろう。すごく人懐っこいゴキ○リを見たような恐ろしさ。狐につままれたようなってやつだね。

416が45に肩貸し役の交代を申し出たが45の決死の弁舌で言いくるめられてしまった。しかしアレは416の個人的な欲望も有るけど、実際45に気を遣った打診でも有ったんじゃないのかなと個人的には。

 

とうとう彼に「お前はママか何かかよ」と言われた45だったが、何で嬉しそうなんだろう。あたしもうこれに関して触れなくていい? やっぱり怖いよ。

 

――――――とは書いてみたけど、慣れてくるとかなり面白い絵面なのが分かってきた。

とうとう同じスプーンで食事を取り出した、エスカレート甚だしい。「絶対頭の上に回想風に『でもこの後ハメられたんだよね…………』ってフキダシ出てると思わない?」という9の発言には流石に笑ってしまった。これが美人局の風格なんだぁ。

416は終始機嫌が悪かった。譲って欲しいならそう言えばイイじゃん、って言ったらほっぺた引っ張られた。痛い。

しかも9が悪乗りでもう片方の彼の脇も埋め始めたから絵面がぼったくりバー的なそれ。

 

そう言えば45のきたな――――――達筆だけど、彼はその代筆が気に食わなかったみたい。45は結局丸っこい、至って普通の女性規格の字体に変えていた。頭を撫でる男って賛否両論有ると伝え聞くけど、アレほど撫でられた本人が犬みたいに擦り寄ってる場合は問答無用で良いと見なしていいんじゃないだろうか。45デレッデレだなあ、面白い。

――――――多分だけどさ、面白く見え始めたのは適応しただけで絵面は地獄だろうね。要するに異常現象を目の当たりにしすぎて感性がおかしくなったんじゃなかろうか。

 

あ、9も代筆してたよ。45との時とは別の方向で賑やかだった。




えー、皆様の高評価を元にランキングに入る流れだったと思うのですが――――――ふっつうに無理でした(観客席から空き缶が飛んでくる)。
実力不足で申し訳ね―気持ちがちょっぴりです(それが謝る態度かオン!?)。

まあ過去に類を見ない伸びが見れたのでそれでご勘弁いただければとね。

さてさて、そろそろ纏めに入ろうかと思っています(およそ10話以内という意味)。そろそろファミチキ野郎にも「肩書」ってもんを与えてあげよう。
まあこの謝罪会見したかっただけであんまり悪びれてはいないんだけどな(クズ)。実は主人公じゃなくて俺がクズだった…………?


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五等星定理【その1】

ミスったから再投稿、すまん。

416の時間だ。
9には心残りがありますが45を書きすぎたので暫くお休み。

出来るだけ「いきなり最新話を見ても「面白そう」に見える」作り方を考えて常に話をクルックルさせてるんですが、そろそろ俺の馬力の限界が見えてきてる所は有る。


【このページは妙に汚い。肩ごと動かして書いたのではないかという大きさの字だ】

D月F日 怪しい曇り

 

朝に手を動かしてみたが、右腕はそこそこ動くようになってきた。もう射撃のサポートハンド(って言うらしい、416が教えてくれた)は務まりそうな予感。もう食事は摂れる、というか左で食べる努力をした。

45は妙に心配性だ、9も焚きつけるから今日も食べさせてもらうはめに。G11が目を見開いてこちらを見ていたが、一体どうしたのやらね。

 

そう言えば416の様子がちょっとおかしい。俺の話を聞いてない上に注意散漫。色仕掛け(笑)も少なくなった、まあ俺としては助かるんだけどな!

45も「何か心配だね」とは言っていた、思いの外気にしてるようなので「俺は良いから喋ってこい」つったのにこれがまた譲らんこと譲らんこと。素直じゃないやつだ。

 

仕方なく俺がアイツに喋ってみたのだが、反応が薄い。試しにスカートめくりを敢行したらぶん殴られた。でも俺の左側から拳を向けてくる気遣い、嫌いじゃないぞ。気絶するかと思ったがな!?

それからはまた銃の話を沢山してもらった。珍しくG11が混じっていたがやはり見た目で油断は出来ない、銃の話だと目が違う。

 

まあ機嫌が治ってよかったよかったという所でG11からこそこそと「416、ちゃんと相手してあげてね」との思わぬ意見が飛んできた。俺にマトモに喋ったのって何回目? いっつも会話に知らない間に混ざって消えてるだけだから珍しい。明日は大雪だな。

 

ところで俺は妙案を思いついたのだが聞いてくれ! いや聞くんじゃなくて読んでくれかな!? いやどっちでも良いね!

UMP姉妹の介護(強制)の脱出手段を発見したのだよ、その名も「骨を切らせて肉を断つ戦法」! G11と416で俺の横を埋めてもらうだけ、単純単純。

416は最初嫌がっていた。「45が…………」と言っていたが何のことやら、だいぶ渋っていたがG11の「まあ良いよ、暇だし416もソッチのほうが良さげだ」という気怠げな言質を盾に押し切った。

 

もちろんUMP姉妹は共謀を疑ったが「偶にはお前らも冷めてない飯を食おうな!」と適当に言ったら黙った。ああ、言い忘れてたけど最近配給を廃止した。ちょろっと俺が持ってくればいいだけだし。

G11は飯中に寝るという暴挙に出るらしく、肩を叩いてやって起こすようにしたのだが、その内寄りかかって起きなくなった。馬鹿野郎、寝たら(俺が)死ぬぞ!

416はもじもじとしてこっちに来ないので無理やり引き寄せた。お前が俺と間を空けているとコイツラ埋めに来るでしょうが。

 

というかこの二人、慣れてきたら俺を横目に説教が始まるらしい。寝るG11に叱る416。俺に乗りかかりながら叩き起こす416は、何というか怖かった。お前からAR15を感じる…………。

自分から俺に乗りかかっておいて、顔が合うなり逃げ出す416には困惑した。ありゃ何だ、俺に惚れたか?

 

そして今このページ、ようやく俺が書いているのだ。手首はまだ動かしにくいからアレだが、肩で字を書いてる。この調子で45から卒業するぞ俺は。

――――横で45寝てるけど。

 

まあまあ、良かれと思って付き合ってあげてよ~! 45姉、添い寝してるときは寝顔がちょっとだけ機嫌良さそうで好きなんだ!

 

 

 

E月G日 芯まで凍る大雪

 

マジで大雪だったじゃねえか。っていうか9は勝手に書くな、これフリーのホワイトボードとかじゃねえから。

というか不味いぞ、45に起こされる朝がデフォルトになっている。人に起こしてもらうようになると自分で起きる能力を失う、困ったもんだ。

何か起きてたG11に相談したら「速くしないと既成事実で固めてくるタイプだよ、45って」と物騒なことを言い出した。既成事実って、そんな話はしてねえよ。

 

もう足は治った。うーんピンピンしてるぜ! 45がボソッと「治っちゃったんだ…………」と言っていたような気がするが、流石に気のせいだ。自意識過剰は駄目だぞ俺。

416がまた心ここにあらずだったので、胸を鷲掴みした。腕を折る勢いで背負投げされた。背中をかなり強打したらしいよ俺。

 

骨斬肉断作戦で朝は乗り切った、さすがG11だぜ! 朝なのに寝てる、416は気軽に服持って引き回そうとするのを辞めなさい。

ただちょいちょいまだ食事を零しそうになるみたいだ、仕方なく416に手伝ってもらった――――――お前ら(45&9)じゃねえ、座ってろ。「ガタッ」じゃないよ、9は何故効果音を声に出した。

 

いつもの喋りまくる道中。いや全くもって説明がないが、任務中なのにこんなに無警戒で良いのだろうか。AR小隊はちゃんと鉄血の位置把握が出来てたけど、コッチはそういう話は聞かない。

今日の道中、45は最初の方は何処と無く距離を取っていた。しかしあんまり会話に参加したそうなので、俺と9のジェットストリームアタックで会話にブチ込んでやった。成し遂げたぜ。

 

そう言えば416が質問をしてきてな?

 

 

 

 

 

◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「何でこんなに構ってくるのよ!?」

 

 彼はキレられていた。416はあまりに絡んでくる大の大人という存在がかなり面倒らしい。

――――というのは冗談にしても、彼には1か10しか無いのは事実で。G11に頼まれてからの彼はウザいほどに彼女に絡んでいた。

 

 もはや酔っ払い、控えめに言ってもクレーマーと同程度。

 

「いや面白いから」

「45で遊びなさいよ、何で私なのかしら――――――」

 

 何で、と言われて彼は首を傾げた。45のような掴みどころのないものではなくて完璧に分かっていない、と切に伝わってくる立ち姿に416も語尾を濁す。

 

 後ろでは鳥鍋を敢行する9の騒ぎ声。どうやら45が止めつつも自由に作らせているようだ、G11は特に意味もなく9に巻き込まれている。

 416は気でも逸らしたかったのかその様子をぼんやりと眺めていたが、急に彼が動き出す。

 

「あ、分かった。お前弟に似てるんだわ」

「私は一応女をモデルに設計されてるのだけど?」

「顔とかじゃねえよ…………」

 

 ピントを外したクレームに眉を顰める。元から416は何処と無く空気の読みきれない言動が多く、専ら彼の中ではポンコツのようなイメージが固まっていた。

 

 じゃあ何なんだ。言外に圧を込める416に彼は全く動じた様子はなく、いつもどおり脳天気に考え耽った後に答える。

 

「何か面倒見が良いところとか、完璧主義者な所とかあのバカにそっくりだ」

「馬鹿と一緒で悪かったわね」

 

 ぷいっと機嫌を悪くした416に齟齬を感じたのだろう、ひらひらと手を降って彼が誤解を暗に伝える。

 416もそこまで言うとは考えていなかったからかあっさりと機嫌を治す。

 

「俺よりよっぽど善良だ。ただ気はつけろよ、アイツみたいに拗らせると面倒だ」

 

 いやあ、と顎に手を当てて遠いものを見るような目つきになる。

――聞きたいことは全然喋らないんだもの、ちょっとイライラするわ。

 

 まるで横殴りの弾丸のような雪景色を眺めながら、複雑な顔色の彼を416は引き戻した。

 

「…………一応聞いてあげる、その弟やらはどうしたの?」

「家出した。アレ何時だっけなあ、まだ10とかじゃなかったっけ?」

「妙に速いわね」

 

 同感だし、同時に正解だと結論付ける。

 思えば彼も早々にそうするべきだったのだ。別に執着できるほどの家族でもなければ、彼だってそう望んでいた筈。

 

 成り行きで残って、成り行きで生き残ったのだ。彼は自主性が薄い――――――それは此処にいる事実さえ。

 

「俺は近い歳の人間としては上手く接してやった気がするが、兄貴としては特段何もしてやってないんだよ。そう言えば――――――だから、なのかね」

「何、妹代わりだとでも?」

 

 そうそう、と言うと不機嫌になった416が話を切ってしまう。

――それじゃあ何か、私がバカみたいね。

 

 彼女はどうにも伝えるべきことを伝え損ね、要らないことを肉体言語で語る悪癖が有るようだ。

 言い損ねたのが勿体なく思えたのか、もうその話題は興味を失ったのか。彼女まで雪景色を見ながらぼうっと雪が溶けた後の長旅についてなんて考え出す。

 

 大雪だったというのに、その雪の群れは少しだけ楽しそうに弾んでいる気がした。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「何で構うんだ」だってさ。気になるからだろうに、敢えて言うならあのアホによく似ているから。

G11にも頼まれているし、最近の416はちょいと不自然だからな。手を出しやすくなってるところはある、俺はどんな事でもすぐ手を出す(物理)悪い癖が有るからな。今でもAR15をビンタしたのは後悔してる。

 

今日の昼は鳥鍋だ、しかし9が作ったという情報は怖かったね。曰く、料理が出来なくもない45の監修だから食べられるとG11は言っていたが――――――普通に美味かった。素材不足でよくあそこまで味を作ったもんだ、二人ともえらいぞ。良い嫁さんになれるな、と言ったら「お嫁さん、ね」と45が意味ありげに俺を見た。悪かったな、独身で。

温かいものを食べるのは大事なことだ。冷たいものばかり食べていると心まで冷たくなっていくんだよ、不思議な話だが。

ちょっと目が潤んだが適当に誤魔化した。流石に気持ち悪いからな。あんまり静かに食べてしまったから気取られたが、まあ話す必要はない。

 

日記を一人で書けるのは良いんだが、最近45が横にピッタリくっついて寝るから非常に落ち着かない。9も寄ってくるのが恒例だからいよいよ俺は寝ている間に動けないと来た、俺の体重でのしかかったらミシミシ言うかもしれないし、寝苦しいだろう。

ただ45は寝言で「もう一度腕を折ってみる…………」とかとんでもないことを言わないでくれ、そんなに人の世話がしたいなら学校なり幼稚園なりに再就職してこいよな。9は「鳥の踊り食い~…………♪」って寝言言ってるけど俺達そんな事はしたこと無いからな?

 

あまりの閉塞感に見張りをしていたG11と会話した。最近色々有って寝不足なんだとか。

俺が「あの姉妹に代わってもらうように言おうか?」とかなりクリティカルな提案をしたのだが、G11は若干血走った眼で「そんな事より寝袋頂戴、寝袋! ね ぶ く ろ!」と言われたのでその凶相に負けてやってしまった。俺の安眠が…………。

しかしちゃんと借りるだけで返すとは言っていた。眠友(みんゆう)はやっぱり一味違うな、分かってる。俺も心置きなく貸せるってもんだ。




ファミチキの言動に色々な意見が出ますが、「距離感が近い」だけ。マジで居るというか俺です、引かれるぞ。色んな意味で。
想定しないので好意も「ああ、そんなもんかな?」ぐらいで処理します。苦労してきましたが治りませんからこれ。
416は単純明快で扱いやすいからチョロいぜ!(銃声)


そう言えば俺の文章ってそんな読みにくい? 癖が強いのは分かるが。
「読みにくい」って言い逃げされると対応しかねるし、「見ず知らずの相手に批評するのに失礼だな」とか思ってしまうよ俺。
改善しようにも出来なくて朝からイライラさせられたぞオイ。文句ははっきり言えってのぉ。
いや本当に読みにくいなら教えてくれたら納得次第治すよ、問題はソイツが言うだけ言ってストレス発散してきた辺りね。忌憚ない意見はまあ全然気にしない、ただ否定から入る以上のマナーみたいなものは有るよねって。

愚痴ってしまって悪いが吐出口がないんだ。じゃあ此処で416から一つコメント。

い……! !」

彼女とは欠点ばかりよく似てます。仲良くはなれないね、俺が蹴られそう。

お知らせなんですが、後数週間の内お便りコーナーをしたいと思います。
質問は感想にどんどん入れてけ? 了承を取らずに原文ママとか有るかもしれないけど、嫌なら感想についでに書いておいてね。


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五等星定理【その2】

「五等星定理」はいきものがかりさんの「HANABI」がイメージ。416に割と合う歌詞だった、すき。
416は純粋な子で、優しい子で、脆い子で…………思い浮かぶのは「硝子の百合」。綺麗なものの代表で、ちょうど百合の花言葉は「純粋」。

キモオタに戻ってすまなかった。
では本編。


20xx/D/F てんき:クモリ

 

最近9が決め台詞とか決めよー、と言い出したからあたしは「ただしその頃にはあんたは蜂の巣になっているだろうがな」にした。秒間レート33発だからね、事実だよね。

そんな事はどうでもよくて、今日は面倒事が降ってきたんだ。どうやら416まで駄目になったらしい、コイツラチョロすぎる…………ああ、つい本音が。

 

一々報告要らないんだけど、416は過眠症のポケポケ人形に何を求めてるのさ。自覚はないらしくて、事あるごとに聞いてくる。起こさないでくれ、死ぬほど眠気に襲われてるんだ。

以下、わかりにくいだろうからうろ覚えで抜粋。

 

「最近、アイツと喋ってるともやもやっとするのよね」

「はあ」

「こう、何ていうの? もっと喋りたいというか、でも現状が何処と無く満足できてないと言うか…………何なのかしらねこれ」

「知らないよ~、じゃあもっと喋ればいいじゃん」

「話題がないと会話に詰まっちゃうのよ!?」

 

この後滅茶苦茶配給を口に突っ込まれた。真っ当なことしか言ってないのに…………大体、416が会話が続かないから会話しないなんて乙女チック全開なことを言う時点で。

驚くことに彼は一ミリも気づいてない。いつもどおり45に食事を手伝ってもらってるよ、女絡みで殺されるね。保証する。

 

さてさて、疑似人格ってあくまで疑似だってヘリアンは言ったね。あのとき苦い顔をしてたから言っておこうかな、大ニュース。

彼は人形に他より大きい変化を与えてるのは間違いない。45が他人相手にデレデレしたり、416が恋愛感情で空回りし始めたり。

あたしは深く考える気はないけど、これは「人間らしい行動」と言っていいよ。以前よりぐっと人間らしい、ヘリアン的にはいいニュースなんじゃない?

 

という訳で彼の話ももちろんするけど、416にも焦点を当てていこう。「ジレンマ」にぶつかる人形なんて、疑似人格のデータ収集としても役に立つかもね。45については怖いから触れないでおくよ…………。

416は心ここにあらず、という感じになっている。意味もなくぐるぐると歩き回ったり、話を聞いてなかったり。彼に対する物理接触が極端に減った、要するに「恥ずかしがってる」。思い出すだけで笑うんだけど何これ。

45はよく分かってないから、奇妙な416が心配みたい。

 

ただ彼が痴漢紛いの事をするから暴力は収まってない。ただ殺意はなくなったよ、前は何なら殺す覚悟を感じてたんだよね。

416には仕事以外がダメダメなのは知っての通り。だから銃の話で必死に繋げてるみたいなんだけど、あんまりにも必死だから助け舟は出しておいた。会話って人数が増えるだけで弾むものでしょ?

玉砕は見えてるけど、暴走する前にチャンスは撒いて損はなかろう。という訳で彼にも、もうちょっと構ってあげるようには言ってみた。焼け石に水レベルだけど。

 

しかし416は遊びがない人種(いや人形だけど)だから、何だか会話自体が下手なんだよね。彼は面白がってよく喋ってるみたいだけど、アレじゃ玩具か妹扱いが精々。とはいえあたしも何仕込めば良いんだかさっぱりだから困ったよ。

――――――妙案は一つだけあった。「狙撃についてマンツーマン」だ、というかこれしか分からない。だって416って全然攻めないから、まず彼は人となりをわかってないと思うし。

 

幸運は一気に降ってくるのかな、彼はUMP姉妹の猛攻を食い止めるために「骨を切らせて肉を断つ作戦」を提案してきた。あたしと416で横を埋めてしまえば介護は無理、それだけなんだけど物理的距離感は異性の意識の第一歩だ。ゴリ押ししたね、眠いから雑な押し方したけど。

416はこの期に及んで45の心配だってさ。自分を鏡で見てくると良いと思うな、驚くほど口元釣り上がってたよ。

 

しかし、416って本当シャイだったんだよ。もじもじもじもじと見てるだけで眠くなる。というか寝ちゃってた、彼が起こしてくれるうちに起きればよかった。またガミガミと煩いなあ416は。

意図せず彼の前に身を乗り出していたらしく、顔が近すぎたから見事ゆでダコノックアウト。待てよ、あたしが仲介すれば可能性が微粒子レベルで存在する…………?

もうちょっと彼と喋ってみようか、チャンネリングの役なんてあんまりしたこと無いんだけどなあ。

 

ようやく45を卒業して彼は字を書いていた。肩で書く姿は笑いどころだけど、本人は一生懸命なのでちょっと微笑ましく見える。結構子供っぽいから、見た目よりこう? 可愛らしいというか? もうやめようかこの話。

横で45が寝るのは相変わらずみたい、思うに彼は鈍感である以上に距離感が何でもかんでも近すぎるんだ。だから相手が意図的に距離を詰めても異常に見えない――――――何で冷静に推察してんだろ。

416は誘うチャンスを逃したと黄昏れてた。その惚けてるのか悩んでいるのかわからない感じは睡眠マイスターとして非常に羨ましい。夢心地ってやつなんだろう。

 

最近報告が長いの、これはちょっとヘリアンには悪いと思う。でも実りが多いという意味で前向きに喜んでもらえたら。

 

 

 

20xx/E/G てんき:オオユキ

 

やばい、なぜか416と同じ時間に起きれてしまった。疲れているのかもしれない、寝ようとしたら416に引きずって持っていかれた。「これは不健康だ! 二度寝しなければならないんだ!」と抗議したけど「至って健康的で私は嬉しいわ、という訳で起きろ寝坊助」とあっさりぶった切られた。ヘリアン、これは昔あったっていう労働基準法を大幅に逸脱する越権行為だとあたしは抗議したい!

 

416は実に真面目な性格で、朝から射撃練習とかをちゃんとしているわけだ。あたしとは大違いだ、だから計画通りの作戦であたしの出る幕って少ない。ちゃんとやってくれるし昼寝も出来る。

まあ今日は大雪だからあんまり多くのことはしてない。こういう所、彼はちゃんと評価するタイプなんだろうけど如何せん起きてないもんねー。困った困った。

 

また45に起こされてる。そろそろ何とかしないと、そのうち外堀から水攻めみたいにじわじわ来ると思うなー。

足は治ったみたいで、45が戯言みたいに「治ったんだ…………へえ…………治っちゃったか…………」ってずっと言ってるから怖気だってた。寝るに寝れないよ!? しかも本人は呟いてる自覚ないらしいし!?

 

416がまたぼうっとしてるので彼が大胆な痴漢行為に打って出ていた。ある意味距離感は近いんだけどさあ………………惜しいなあ、決定的にずれてる。

またやってしまった、みたいな顔してるけど416から手加減は見られなくないかい? どうして反射でそこまでやっちゃうかな、ある意味彼への信頼の裏返し? だとすると随分暴力的な信頼だ。

 

骨を斬ってうんたらかんたら作戦は今日も元気に決行してた。「チャンスだよ416」、とアイコンタクトは送ったのに結局またダメだった。食事の手伝いは出来るのに「射撃見せて」が言えないってどうなんだい。まああたし関係ないけどさ?

呆れて途中で寝た、引き回されそうだった。彼は止めてくれるから良い人だ、本当に。普通引き回そうとしないから。

途中から416の事情をぼんやりと察したのか、45は彼と距離を置こうとしていた。それはそれで416の願う所でもなかったんだけど、彼と9は何とか引き戻していた。まあ彼は単純に善良だからね。

45もようやっと一歩引いた視点に戻ってきたのか、416の心配する空気が強くなってる。本当は優しいもんね。

 

お昼に鳥鍋が開催された。何故か45があたしまで9の作る鳥鍋の試食に付き合わせてきたんだけど、アッチで彼と416が喋ってたので察した。あ、ふーん。的な。

ついつい目移りしてたら45が「あんまり邪魔しない方が良いんじゃない?」とウインクしてた。いや待って、45のせいで動きにくかったんだからね。何をあたしが足引っ張ってたみたいな!

でも416は機嫌悪げに帰ってきた、彼から顔を逸らした後でちょっと落ち込み気味だったからまた失敗らしい。まあ仕方ない、果報は寝て待てとの極東の名言も証明するように、出来ないことを攻めるより気長に待つ方が色々と都合がいい。

 

ちなみに鳥鍋は美味しかったよ。9はセンスがある、45は知識があった。彼がぽろぽろ涙を流しだしたのはちょっとビックリしたけど、やっぱりあの時の腕の不自然な痕は「そういう事」なんだろうね。

――――触れないよ、勿論。本人が喋れば返すだけ、それはこの小隊全員の暗黙の了解だ。彼は何というか、態度も色々と不自然だから複雑な事情があるのは何となく皆分かってるし。

 

言葉じゃ誰も救えないよ。ましてや人形の仮初めの言葉なんかじゃ。それはあたし達人形が最初に得る教訓だから。

 

45は彼が居ないときに「心を許せる人とか、出来なかったのかな」とコッチに振ってきた。辞めてよ、あたしそういう話向いてないんだから。

拠り所みたいなのが無いのが想像がつかないみたいだ。

 

416は今日も今日とて黄昏る。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「…………ねえ、答えなくて良いから話を聞いて」

「はいはい、分かりましたよ。お好きにどうぞ」

 

 横は見ない。見たら416は怒るか、もしくは弱っているのか。どっちにしろ見たくない光景になるのは明白。

 雪はかなり勢いを弱めて、どれもこれもがマイペースにゆるりゆるりと降り積もっていく。木々から突然落ちる積雪だけが、心音のように静寂を打ち鳴らし続ける。

 

 長く待った。別にどうこう言う気はない、そういう日もある。ちゃんと言葉に出来たのはそう思ったちょっと後。

 

「――――――言うだけ言って悪いんだけど、整理つかないからやっぱり辞めていいかしら」

 

 声は震えてる。まるで迷子みたいだなあとは思ったけど口にしない、傷口に塩を塗るほど趣味は悪くないから。

 見えない月を見ようと目を凝らしたけど駄目だった、その代わりに喋ることだけは思いついたりして。肝心な時は手早く動く口が本当に助かる。

 

「別に良いけどさ、今は取り敢えず吐き出したいとかない?」

「無いわよ。少なくともあんたに言う気がない」

「そうかい、それは大層嫌われたようで」

 

 声は続く程弱くなった。声の調子とか、音量とか、そういう物理的なものではなかった気がする。こう、有りもしない「心」から弱くなっているように聞こえた。多分思い込み。

 

 雪は積もるのに、それが目に見えて変化を起こしたりしない。彼女達は何を思ってこんな死にゆくだけの命運を受け入れ地に降るのやら、あたしにはさっぱりである。

 逃げて寝ておけばいいのにね。寝てる内に終わればそれは最高だ。

 

 結局予想通りというか、また喋りだす。

 

「私はあんまり特定の人間に興味を持ったことがないわ。評価は大多数から求めるし、存在価値は個人からの供給じゃ物足りない。だから個人に肩入れした経験って少ない」

「うん」

「他人のために頑張ろうとか思ったことも無いわ」

「うん」

「でも私は、「アイツに」見て欲しい気がしてるのよ」

「うん」

「すぐに変な所触ってくるし」

「そうだね」

「喋り方も品があるかと言えばないし」

「その通り」

「とても、私が肩入れするタイプとは思わないでしょ?」

「確かに」

「完璧になりたいのは自分の為よ。だけど今は、見られるから完璧で居たい」

「ふーん」

「私は完璧で居たいけど、アイツが居ると完璧になれないのよ」

「何で?」

「アイツと喋ると、いえ。見てると、近くに存在すると、思い出すと、視界に移っただけで乱れるから。じゃあ完璧にはなれないわ、彼に見てもらうべき私は存在し得ない」

「難しい事を言う」

「私はどうすれば良いのかしらね? 大体、これって何なのよ?」

 

 

 

 

 

「眠たいから、今から凄く無責任なことを言うよ。416は戯言と切り捨ててもいいし、何かの一助にしてもいい。あたしは無責任に、あたしが見た事実を言っておくだけ」

「416は、彼のことが「好き」なんだろうさ」

 

 動揺の様子はなかった。

 必要なのは事実というナイフじゃなくて、ナイフを刺してくれる相手。どうせそんな事だろうと思った。

 

「後さ。416は完璧に見られたいって言うけど、個人的には完璧じゃない416の方が綺麗だと思う」

「何? 私はソッチの趣味なんて無いわ」

 

 声は弾んでいた。こっちもちょっと笑えた。

 寝てるばかりのこの頭もちょっとばかしは役に立つ。

 

 雪は消えた。月ももうすぐ見えてくる。

 

「まあ頑張りなよ。ともかく今日は寝た方が良いんじゃない?」

「………………そうね。今日はちょっと眠いわ」

 

 雲が切れて、小さく月明かりが差し込んだ。

――さて。何時か怒られるんだろうか。

 

 こういう感情は知りたくなかっただとか、結末は分かっていたのかだとか、そういうぶつけるしかないぶつけようのない理不尽な鬱憤は此方に向くんだろうか。睡眠は取れないかもしれない。

 でもこの方が、416にとっては良いことだろう。ちょっとだけ起きてるのも嫌いじゃない、24時間寝てしまっては二度寝の楽しみがないのだから。




G11がこの日彼にキレ気味に寝袋を所望した理由は各自で補完してください。例えば友人を振り回す男に理不尽に怒ってしまったでも良いし、友人について考えると目が冴えて仕方なくて機嫌が悪かったでも良いでしょう。貴方に任せます。
私が好むのは許容する文章です。この話の結末は、大抵の貴方の予想を呑み込めるような得心のいく話にしたいです。














はい真面目終わり~~~~~~~~~。
416が事務報告っぽい下書きを殴り書くという案もあったけど、時系列こわれたのでパス。416はこっそり書いてます、あんまり見られたくないだけ。

恋愛クソザコナメクジだからビギナーズラックと察しのいい友人で生きてる感じ。416は恋愛感情を理解も出来ないし、扱いかねて苦しむイメージ。
ちょっとG11と416の関係性は変わってるのになったけど、俺はこういう支え合えてる関係は好きです。

そう言えば「イライラしてるからボルトアクションをガッシャンガッシャンしてる」って言ったら休んだほうが良いみたいなお話をいただきました。
息をするように執筆するので無理です。心配ありがとうね。気持ちだけ、執筆は病なんだよ。


匿名外した。
phes2氏の作品をパクったのは二回目。この前はお許しもらったし、怒ってない――――――たぶん。すいません。
まあ苦情クレーム果たし状ラブレターファンレターボルトアクション語り等々、メールなりで送ってください。俺はそういうの好きです。
ランキング10位以内を達成できるのでは、そんな淡い野望に踊らされつつ更新するのでよしなに。


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五等星定理【その3】

他作品パクったりラスボス系転生者書いてたら遅れた。そして若干えっちかもしれない。
という訳でただいま。日記の気分だから、頑張って完結まで持っていきたい。

私は自分の作品を褒めたことがなくて、基本最後は貶してます。
そういう後ろ向きな作品が評価されてるのって、貴重だと思うわけです。
有難う。この経験が何時か私を活かすでしょう。


20xx/F/H てんき:晴れ

 

寝不足過ぎる、サイアク。でも良いことも有ったから、そっちから話をするね。

どうやらとうとう彼が416の訓練風景を目撃したそうだ。割と感心していたらしい、意味は分からないけど「心意気自体に意義があるってやつじゃないの」とのこと。そうは思うけどさ。

416が息を巻いてあたしに報告してくるのは何、一人でやってて欲しいなあって正直。

 

彼は何やら作戦を変えたようで、45がいつもどおりに横に座ってくるとぐいっと腰を引き寄せた。珍しく慌てていた45はやはり脅しのためにショットを保存するべきだったよね。9と後で「わかる…………」って一緒に頷き合う程度には共通した結論だった。

45がとにかく面白くって、明らかに遊びに来てる彼に対して顔を逸らしたり噛み噛みに返事したり何時になく弱かった。至近距離まで顔を近づけたのは「節操のない男」と正直思ったし、45も流石に駄目だったのか両手で顔を押し退けて逃げていってしまった。

 

この後はすごかった。416と彼は珍しく普通に楽しくお喋りしてたのもびっくりするけど、45の愚痴ったら長いこと長いこと。むしろあの朝食の五分ぐらいの出来事をよくそれだけ長々とあたし達に喋るよね。ええっとね、あそこだけ記録してたんだけど…………有ったから書き出してみようか。

 

「そもそも物事って順序が有ると思うの、例えば運動するなら準備運動をするべきだし勉強をするなら補助教材を用意するべき。なら男女のあれこれにも順序は有るはずなのよね、例えばまずお互いを知る所からだし、お互いの好意の確認も大事だよね、まあ何だかんだそういう事って絶対必要だと思うんだけど彼ってそういうのが全然足りてないみたい。いや別に強引なのは全部ダメなんて言わないよ? そういう形も有るし、相手が受け入れてくれるなら勿論問題ないかな。でも私は無理、まず早すぎるよね。順序が守られてない、例えばもうちょっとお互いのことを知るべきだと思うし、あ、あんまり顔を見られると誰だって恥ずかしいでしょ? それに彼って妙なフェロモンみたいなのが出てるっていうか、とにかく近いのは駄目。大体私は別に良いけどアレを416とかにしたら大変じゃない。まあ別に私は平気だから今後練習台にされるのぐらいはまあ気にしないけど、時間を掛けてでも治していってほしいよね。二人はどう思う?」

 

要するに大好きなんだってさ、ふーん――――――こわい…………たすけてヘリアン…………あたしの知ってる45は男をべた褒めしないし淡々とデレデレしないし、自分を練習台になんてさせてないよ………………たすけて……。

9はノリノリで45を煽ってるしかなり面倒なことになりそうだ、416にはR.I.Pの一言に尽きる。

結論から言うと昼食と夕食の45は確かに大人しかったので彼の戦略は効果的だった。ただ元々入ってた妙なスイッチがとうとうレバーハンドルを叩き折る勢いでフルスロットルになったことは、まあ分かってないんだろうね…………。

 

彼は妙に45と喋るようになった。多分だけど、最低限の恥じらいだとか距離感を取り戻した(ように見えるだけなんだけど)から彼も本調子なんだろう。精々あがくがいいさ、みたいな悪役っぽいセリフを言いたくなる。

9を巻き込んでやたらと寝る前に揉めていたというかじゃれ合っていたけど、知らない間に三人揃って寝てた。416がため息を付きながら毛布を掛けるのを見ながら、「ひょっとして、あたしもいつもこんな感じだと思われてるの」みたいな僅かな疑念が叩き台に上がったりしたけどまあそれは置いておこう。

 

 

 

20xx/G/I てんき:はれ

 

416五月蝿い。寝させて欲しいなあ。

45が本気を出してしまったので彼は性的な意味で終了したと思う。俗に言う牝の顔、というとあんまり45の品位が疑われるから女の子っぽい顔をしているとだけコメントしておく。

例え彼の毛布で簀巻きになりながら凄いニヤニヤしていても勝手にバラさないよ。あたしに見つかった時やばいって言わんばかりの顔だったけど、結局45は自覚有るの?

 

45は段々支離滅裂な行動が増えてきた。抱きつくのに触られるとしおらしくなるし、面倒は見るのにちょっと彼が手を貸しただけであたふたする。一般的なAIらしい恋愛感情を持っているようで他の隊員は正直涙ぐむレベルなんだけどまあそれは置いておいて。416ホントに目を潤ませてた、「あいつにもちゃんと春は来るのね…………」とかしんみりと呟いてたけど、それはかなり失礼では?

 

それを勘定に入れてもちょっと今日の45はヘンだった。いやもう既にヘンで済まない状態なのは分かってるんだけど、とりわけ違和感のある事柄があったっていう意味ね。

416を見ている時の空気がちょっと違うんだ。いや、嫉妬かと思ったんだけど何だかそれだけでもない。困ったような、何か苦しんでいるみたいな本当に複雑な表情をする。

一番分かりやすかったのは昼間のことだ、歩いている途中で急に泣き出したんだよ。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「45姉、ホントお兄さんのこと気に入ってるよね~」

 

 9がニコニコとして彼女の周りをくるくると歩く。踊るような軽いステップは不快ではなくて、45は妹の上機嫌さに安心に近い感覚。

――気に入ってる、かもね。

 

 わからないので適当に誤魔化す。彼女の笑顔は誤魔化しだ。煙に巻いて、目を曇らせて、結論を先延ばしさせるためのアピールの一種。

 

「そうかも。でも私にもよく分からないや」

 

 困り笑いに9は元気よく返す。

 

「でも一緒に居たら楽しそうだから、多分気に入ってるよ!」

 

 雪を踏む9のブーツを見ながら考える。

――楽しい。うん、楽しいな。

 

 彼は何をさせても面白い人間だと彼女は捉える。ちょっとからかえばすぐに反応するし、表情豊かで他の人間よりずっと色鮮やか。

 笑うと何となく自分も笑えてくる。

 嫌そうな顔をされると小さな表情の違いを引き出したくなる。

 辛そうだと何となく事情を知りたくなる。

 涙を流すと止める方法がないのがちょっとつまらない。

 

「うん、気に入ってるね。一緒に居て飽きない」

「でしょー?」

 

 上機嫌に笑うと9が彼に絡みに行った。雪を踏む彼の足音が乱れて、多分9が遊んでいるのだろうと分かる。

――そうね。416と居る時とか、また違う顔をするのが面白い(つまらない)

 

 脳裏で自然と矛盾が起きて、45の顔が僅かに顰められる。

 

「…………?」

 

 立ち止まって顎に手を当てて考えたが、すぐに湧いてきた小さな違和感が消えた。取り敢えず保留できたことに喜びながらまた歩く。

 理由はわからなかった筈だが、彼女は彼が他の人形と喋っている姿を想像して笑う。何処と無く歪な表情だ。

 

 9が楽しそうにじゃれ合っているのは好き(イヤ)

 G11と話題が合って声の弾むんでいるとちょっと嬉しい(私はつまらない)

 416をからかっている時の得意げな柔らかい笑顔は見ていて飽きない(つらい)――――――いやだ、独り占めしたい(その表情は嫌いじゃない)

 

「――――――あれ? ヘンだなあ」

 

 頭に真逆のベクトルの感情衝突。45の表情が崩れ始める。泣きそうな、笑いそうな、怒っているような、悲しんでいるような。

 

――違うよ。

 本当は私にだけ笑って欲しい(いっぱい笑えたほうが良いよ)

 もっと私にも知らない表情を教えて欲しい(私じゃどうしようもないものも有るしね)

 他の人形と同じなのはイヤ(皆と仲良くして欲しい)

 

――何で?

 分からない(分かってる)

 

 明らかに反発する意見が頭を過ってばかりで、45は変な顔をして立ち止まってしまう。

 

「違う違う、違う…………違うよね?」

 

 返事はない、声は誰にも届いていない。

 ふと雪に水滴が落ちた。雨が降ったのかと45が上を向いたが、恐ろしいほど快晴だ。霞む視界に映るのは確かに晴れ空で、落ちた水滴は彼女の黄金の瞳から。

 

――おかしいなあ、おかしいよ。駄目だよ。

 急に45は笑ったまま泣いてしまっていた。悟られないように急いで涙をパーカーに吸わせるが止まらない。笑ってるのに泣いたままだ。涙が乾かない。

 

「おかしいなあ、違うのに…………」

 

――違わないのに。

 誰かが答えると、もう彼女は涙が止まらなかった。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

流石に心配だよね。それから数時間ぐらい彼とは会話もしなくて、その後はけろっと元通りとでも言わんばかりに喋りだした。

挙動不審にも程があるから9も416も心配してる、彼もこっそり「いつもあんな感じなのか?」ってあたし達に聞いてきたぐらいだ。いつもは違うよ、もっと飄々としてる。

 

彼はそれから45の行動を殆ど拒否しなくなった、それぐらいしか思いつかなかったんだろうね。

あたしが寝る直前に見た時はいつもどおり横で寝てた。本当に何だったんだろうね、アレ。




一回Kar98kの装弾数を間違えた回が有ったから吊ることを考えた。ファンとしてあるまじき失態だよなあ!?

あ、失踪してた理由は飽きてたからです。やる気が出ただけ。

45姉こわれる。そりゃアンタ、普通男を共有するなんて無理でしょ。どっちかが譲らなきゃ駄目になるわな。


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五等星定理【その4】

人間もいつしか壊れるのに、機械が壊れないわけがない。


 彼が目覚めたのは寒い寒い夜も更けた星空の事。何だか身体が気持ち悪かった。

 

 段々体の感覚が接続されてくると、口元と手がおかしい。それが恋人つなぎとキスの感触と思い出した頃には彼の伽藍堂の瞳が見開かれる。

 目に写るのは大きな傷と白い肌、瞑られた大きな瞳。髪の灰鼠色でその予想外の正体を思い出す――――――どうしようもなく、UMP45だ。

 

「――――――ッ!?」

 

 途端に覚醒するなり、彼は肩を押しのけようとしたが手付きが止まる。それにつられて目を開いた45が、それでも止まらなかった奇妙さ故だ。

 黄金の瞳に自分が映り込むのを眺めながら、それが妙に揺れているのに既視感。思い出す限り、AR15と同じ匂いを彼は感じてしまっていた。

 

 どんどん青ざめるような45の表情と裏腹に、織り込まれた指が力強くなる。何となく舌まで蠢いていた気がしたが、流石に彼もそれは拒否する。声を出すなら「TPOを弁えないと却下」とでも答えるだろう。

 かなりの時間が経って、ゆっくりと唇が離される。途中から彼女は顔を逸らして気まずそうだ。

 

「…………どういう流れなんだコレ」

「ごめんね」

「いや謝れってんじゃなくて」

「軽蔑しただろうし」

 

 彼に対してと言うより自分に吐き捨てるように45が呟くと、そのまま外へ走ろうとするのを彼は手を引っ張って止める。

 

「うーんストップ、流石にな」

「今のは謝るから、取り敢えず一人にして欲しいな」

 

――多分な、一番ワースな回答なんだわそれは。

 ボソリと呟くと彼は立ち上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 ぼんやりと星を見る。顔を合わせられないから星に逃げたのか、元々空が好きだったから空に頼っているのかは彼自身がもうあまり思い出せない所。

 固まっていた空気に彼が楔を打つ。

 

「俺な、一等星が好きなやつニワカだと思うのよ」

「…………ニワカ?」

「そうだ。ミーハー、だって何時でも見れるものなんてわざわざ好きになってどうすんの? お前ロミジュリを読んだこと有るならすぐ会えちゃうような恋愛許せねえだろっていう」

 

 何の話かさっぱりだったが、45は力なくふーんと答えた。

 45が何気なく足元に手を着こうとすると、夜中に吹き荒れていた吹雪の名残か雪に当たる。無視して沈み込ませると結構深くて、予想よりちょっと不格好な手の付き方になった。

 

 彼女の気が逸れているのを知ってか知らずか、彼は淡々と話を続ける。

 

「それでさ、一等星好きだって言った知り合いにニワカだニワカって言ったこと有るんだけど」

「うわ、ソレ凄い押し付けがましいよね」

「ソレを言うな」

 

 全くそのとおりだと思っているフシが有るから彼も苦い顔をする。

 伽藍堂と黄金色。二つに映る星空は似ているようでまるで似つかない、伽藍堂の方は目が輝いていて、黄金色のほうがむしろ景色がくすんで見える。

 

 さて、と話を切り替えたつもりで話が流れていく。

 

「そしたらお前アホだなーって言われてさ」

「私も概ね同意」

「何と!? いやそんな話じゃなくて、その時ソイツが言った言葉が印象的でなあってオチを話させてくれます?」

 

 ヤケに素直にタネ明かしをしたのにつまらない気分になりつつ、好きにすればと素っ気なく答えた。

 素っ気なさなど無かったように彼の口調が重々しく、弾む。矛盾している。

 

「いや、「いつも見えてるからって誰も好きじゃなくなったらさ、マイナーCPが公式CPより圧倒的に人気出るとかいう原作レイプじゃん」って答えたんだよ」

「え、何の話」

「まあ待て。此処まではオタ話だ、与太話のヲタ話」

 

 巧いこと言ったつもりなのか、と45が冷たい視線を浴びせるが彼は実際得意げだった。しかも45を見てもその自信は全く揺らいでいないと見える、もう彼女にはお手上げだ。末期である。

 

 ようやくオチらしいオチが添えられた。

 

「今、ちょうどそういう感じなんだなあって」

「どういう事、私は公式CPなの? 自分でも何言ってるか分かんなくなるんだけど」

「そうそう、お前は公式CP」

 

 意味不明な文章に彼が一人でに笑いだした。元気なものだと45はちょっと呆れている。

 このままだと一種罵倒の類か何かだと思われる現実にようやく思い当たったのだろう、彼は違う違うとニヤける顔を振って真面目な表情をした。

 

 反則じみた凛々しい面構えに面食らってしまう。

 

「実はだな、45がもしやすると俺を好きなんじゃないのかな~ってのは気づいていたわけだ」

「何それ。酷い話」

「いや全くなあ? 転がり方が最悪だ」

 

 ケタケタと笑う。率直に言うと彼女はとても不快だった、理由は分からない。間違いないのは、此処まで明確に「人間を」嫌悪することには、自分の正体へ思いを馳せざるを得ないことだけ。

 

 眉をひそめた45を見るなり、目を丸くした彼はそっと頭に手を乗せる。

 

「悪かった。先に答えておく、ノーだ」

 

――まあ、前にもそう答えてるし?

 義理堅くもないくせにあの桃色の後頭を思い出すと、彼は小さく頷いた。

 

 わしゃわしゃと乱暴に撫でるのの45は不満そうだったが、手を払い除けたりはしない。ソレに関しては、お互いに最初から見えてる結論だっただろう。

 

「そう。まあ、分かってたけどね」

「…………物分かり良いなあ、俺はお前みたいなタイプ苦手」

 

 

 

 

 

「えーっと、もうこれ以上カッコつけるの辛いから此処までなんだが――――――――辛かったら泣いていい」

 

 フッと。45の中で何かが千切れる音がした、良くない結び目を手で千切ってしまったような、ちょっと無理のある音。

 

「嫌なら嫌でいい、怒ってるなら怒ればいい、何でわざわざ言わなきゃお前は出来ないんだ? 俺は自由第一主義だから分からないんだが、これはちゃんとしようぜ?」

 

 ぶちぶちと、音を立てて千切れていく。45の視界が曇った。

――反則。やっぱり貴方は反則ばっかりなんだ、何でこんな人。

 

 笑ってるのか泣いているのか分からない顔になる。前とは違う、それは開放されたようなちょっとした高揚感の伴った苦痛じゃない表情。

 彼はその顔を見て困った表情で頭を掻く。

 

「あー、うーん、えっと――――――もうよく分かんないわ。悪い」

 

 取り敢えず。そんな調子で45の背中に手を回すと、柔らかく抱き締める。

 

「もっと気の利いたやり方有るんだろうけど、俺は虐待された身でだな。辛かった時にやって欲しかったことって言えば、これだ。うん」

 

 彼はそもそも転生者であるのは事実だろうが、もう此処での記憶以外というのは薄れて掠れて読めない本みたいなものだ。愛情は特に分からない、与えられなかった時間が長すぎた。

 

 動物でも分かる肉体的な愛情表現しか、彼にはマトモな手立てが思いつかない。

 原始的であることがどれだけ直接的かも、もうあまり分かっていない。

 

 45が顔を隠すように彼の右肩に顔を埋めた。

 

「よし、言いたいこと全部言え。もうな、俺に死ねとか言っても良い――――――お前にそれだけのことをした可能性もある」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「好き」

「ああ」

「匂いも、言葉も、表情も、手が届かないところも好き」

「ああ」

「独り占めしたい」

「ああ」

「私ともっと喋って欲しい」

「ああ」

「もっと知らないことを教えて欲しい」

「ああ」

「G11と楽しそうに喋ってるのも好き」

「ああ?」

「9ももっと相手してあげて欲しい」

「ええ?」

「416の息抜きもしてあげて欲しい」

「んん?」

「だから、好きだったことにしたい!」

 

 知らない間に嗚咽混じりだった声が消えると、顔をふいに上げて涙を堪えてメチャクチャになった顔で彼を睨むように見つめる。

 

――そして、また涙を掬って顔を埋めた。

 

「でも、やっぱりまだ好き」

「そうか、じゃあ精々頑張れ。大事なのはな、取り敢えずお前が今誰かにちゃんと吐き出せた所だ。我儘でいいぞ、人間も人形もそんなもんだ」

 

 正直な所、彼は異性が好きだとか嫌いだとか言われてもあまり分からない。こんな生活をするぐらいの変人な以上は当然というか、まあ妥当な話だ。

 

 だが人が辛い、楽しい、怒っているぐらいなら分かるし。最低限の共感ぐらいは出来る。

 他のやり方は分からないから、彼は非常に中途半端にこういう事ばかりしているが――――――一周回って、それが彼女達に好かれた理由なのだろう。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

W月Y日 忙しない雪

 

今日は疲れたので特に書くことはないのだが、人間より人形の方が感情豊かで大変そうだなあとは何となく思った。

時間も近い、尾けてきてる趣味の悪い奴をそろそろ釣り上げようじゃねえか。

 

全く、何時になったら親の遺恨は消えてくれるのかねえ。鬱陶しいこった。




タイトル回収に真面目な作品だと常々思うなあ。
女が感情とか滅茶苦茶に吐き出す感じのやつ大好きなんだよなあ…………。

あ、多分後5話ぐらいで本編完結ね。一個ずつちゃんと終わらせられればよかったんだが。

そもそも45姉が発狂しかけたりする予定なかったしこの回とか割と大真面目に突然生えてきたから、やっぱ俺自身が重い男なんだなあとふと。


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箒星は駆け抜けて【前編】

箒星というのは、燃え尽きるまで宇宙を駆けていきます。
彼は初めて名前を入力された二年半前から、ずっとそういう男です。


 俺の後悔は大きく二つ有る。

 

 一つ目。俺の親友の話だ、ソイツは端的に言うと自殺した。特に何の変哲もない夏休み、アイツは俺と珍しく電話なんかしてきて、待ち合わせた後に下らない会話をして――――その後急に飛び降りたらしい。忘れもしない、雲が丁度いい具合に膨らんだ爽やかな夏空の日のことだ。

 良いやつではなかったのだが、悪いやつでもなかったし、俺とは随分の腐れ縁なやつだった。人付き合いと俺と違って上手くて、やれば大抵のことは出来るやつだ。

 いつも笑い方が豪快で眩しいやつだったのだが、その日のソイツは「結局俺の人生はなんか違う」とか言ってた。

 それ自体は俺が責めるつもりはない。付き合いが長いと、一周回って何か有ったんだろうとは思う。別に甘えるなとも言わない、アイツはそれなり人生を上手く生きた結果としてそう言ったのだから、それもまたアイツにとっては事実なのだろう。

 むしろそれだけ上手く行ったのに、それでもアイツが絶望した世界の景色というのはまあ、嫌なものだったんだろう。悲しいし、死ぬことはないと思うが仕方ない。

 

 ただ、そのことをおくびにも出さなかったアイツに甘んじたことには後悔した。聞いても意味はなかったし、俺が言葉を重ねてもアイツは変わらなかったのは知ってるし、そういう無念を残させたくないから言わなかったのも知ってるけど。

 最後に土産ぐらいはくれてやれる人間ではありたかった。それが許してもらえる相手でありたかった。

 

 

 

 

 

 二つ目。コッチに来てからの俺の両親は揃って研究者、弟も俺も放置で仕事をしていた。

 というかぶっちゃけ理不尽とか僻みの類を当たってくる方が多かったよな、酷い奴らだ。弟は十で逃げた、正直アレが正解だと俺も知っている。

 とにかく親としてはどう見ても最低で、でも世間的には大変偉大な奴らだった。何せ鉄血工造の人形のAIに関わっていた、と言えば世間の人は「結果はともかく素晴らしい成果を遺した」と言ってくれるだろう。

 俺にとって全く良い両親ではなかったが、世間的には功績を遺していたし、どんどん重くなるプレッシャーみたいなものが辛かったのは見れば分かる。やるだけ俺にやってな、夜中に泣いてるのは良くない。幾らまやかしと思っても俺も言葉が出なくなる、アイツラ俺が寝静まったって思った頃に急に酒飲んで泣き出すからな。

 不器用で、弱い奴らだった。俺は嫌いだったが、憎むことがどうしても出来なかった。

 

 美談で済ましてやろうなんてつもりもないのだが、蝶事件の後にアイツラは俺を庇って死にやがった。

 記憶は曖昧だ。銃で死んだのか、身体を抉られたのか、半身を吹っ飛ばされたのか。ショックってやつだろう、俺はあんな奴らでも憎めなかったからな。

 というか俺を庇ったアイツラはにっこり笑って、最後にパソコンのエンターを押した。俺の左眼の義眼が死ぬほど熱くなったのを覚えてる。

――お前の眼は、世界を見通せる。

 そんな事を言って死んだ、気がする。俺はあんまり記憶がない、多分全速で逃げた。

 

 

 

 

 

 要するにだ。

 俺は頼むから後悔は勘弁して欲しい。例えば悪いやつでも嫌いになれなかった、割に俺は嫌いじゃないやつとして接してなかった。とか。

 数少なかった友人なのに、何も置き土産ももらえないまま死なれてしまった。だとか。

 もう沢山だ。後悔するなら生きてる間にさせてくれ、償うなら生きてる内に済まさせてくれ、決意は死ぬ前にした方が良いに決まってる。

 だから俺は、あんまり良いやつじゃなかった割に良いやつのフリをした。出来るだけ、俺が別れる誰かに後ろ髪を引かれないように。

 もっと、非情になれるように。

 

――だから、今回も俺は非情になる。後悔はもう、沢山なんだよ。

 せめて後悔させる側にさせてくれ、なあ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さーて。代理人、久しぶりだな? 髪切った?」

 

 切ってるわけがないんだが、何となーく俺はそんな事を尋ねた。眼の前の青白い肌の女から返事はない。当然だなあはははは。

 驚くぐらい照った日のおかげで地面の雪はもうシャーベットの有様だ。雪道用のブーツとは言え辛いところもある、枯れ木に腕を引っ掛けられるほど右腕も動かん。

 

 ぶっちゃけハイエンドに人間が挑むの自体が弩級の阿呆なのはテスト運用を眺めていた俺が一番知ってるが、しっかしやるべき時というのは確かに有ってだ。

 要するにショッカーは負けを確信しても必ずライダーに仇なすって話。

 

「まさか生きているとは。リンドウ・アマギ」

「うわやめろ! リンドウって名前何かイタタなんだって!」

 

 さて、ちゃっかり本名がバレちまった。天城倫通、倫ってのは人が守るべき道のことだと。高尚だな、俺にゃあ似合いませんわ~。

 

 全く人道に反する俺であるが、今回相手にする代理人にかなり困ってる。

 エージェント、代理人、パンモロメイド、もしくは生天目仁美。太陽は落とさぬ女であるが、グリフィン基地は多分落とせるだろう昏い夜明けを告げるハイエンドモデル。

 はっきり言ってめちゃ強い。どうするこれ。

 

「しかしあなたにしては気づくのが遅いわ、泳がせていた?」

「いや~? 404小隊といきなりぶつかると思わなかったから放置してただけ」

 

 そもそもあんなイロモノ部隊が俺を捕縛しようってのも変だしな、薄々アチラにも手は有るんじゃないかと「鉄血が思うこと」は俺だって思いついてた。

 まあ多分無いだろう。そう思わせるの自体が404小隊の採用理由、まさしく不可視のジョーカー共。とんだ道化だな、パンツ丸見えなやつが居るだけは有る。

 

 45だけだな、其処ら辺大体察しがついていたのは。

 言ったそばから押し付けられてた通信が鳴り響く、代理人にストップ掛けて応答。

 

「まーまー落ち着けよ、俺が妙なこと口走ってから撃っても殺せるだろ? なあ45」

『何処』

 

 ドスが利いてるような、心細そうな。短い声。

 こういうのに弱いから肩入れするの嫌いなんすよね、分かる?

 

「教えなーい」

『捕まえた後関節4つぐらい外すよ』

 

 前言撤回ドスどころかハジキ構えてるわこの子。

 

「あーえーっと!? いや俺は二度捕まるなどありえん、なんたって天下の亡霊様だからな!? あは、あははははは!?」

『…………絶対見つけるから』

 

 切った。こわ、ヤンデレかよ。流行りは過ぎたぜ?

 明らかにガタガタしている筈の俺に代理人は全く反応しない、この人鉄面皮ってのが超似合う人形なんだよなあ。鉄血だし、何というかマジで怖いしな。

 

――なんて言ってる内に突然発砲。

 取り敢えず右腕のワイヤーで木に逃げる。ズボンに掠った弾丸に悲鳴が出る。

 

「こわぁ!? パンツ見せてから射撃しろ!」

 

 返事がない、ただの代理人のようだ。

 

 アイツラには俺の逃走には難しいことしてないって言ったがもちろん大嘘である。ワイヤーとか変なものとかいっぱい使っちゃう、言うまでもなくホームレスには備蓄的制限があるからマジでイロモノが多いんだが。

 ワイヤーは巻く機構としっかりと返しの付いた先端さえ手入れすればずっと使えるからな、実はメインだ。他のやつと行動してる時はバッグでも別のものとかに詰めて隠してるけど。

 

 勝手に触られて壊されたら俺キレるし何より手がバレたくない。

 

「うーん、だけど旋回性能低いなそのSMGアーム」

「本当にそうでしょうか」

 

 途端にスカートからびっしり出てきたアームに苦笑い。ウッソだろお前。

 

 枝の先ギリギリまで走り抜けてそのまま別の枯れ木に飛び移る。一回だけじゃ距離も足りず蜂の巣製造機の射程から全力で走り逃げる。

 俺が雪の上で戦ってもお話にならん。アイツラは雪を踏み砕いて走れる小型ブルドーザーでもこちとら人間だ。しかもワイヤー使うのに一々腕振り上げるモーションでロスする。

 

「おいおいおいおい! パンツ丸見えだぞ良いのかい!?」

 

 黒か。おもんな。

 距離が取れない。Kar98k、だっけ。この銃で俺が片手で、かつ肩脱臼上等となるとやはりアイツの弱点に一撃で当てるべきだ。

 

 至近距離しか無い。しっかし前回と同じ手はアイツも食わんだろう。

 

「参ったな、お手上げだ」

 

 俺の呟きが聞こえたのだろう、一瞬だけ銃声が遅れた。

 

 

 

 

 

 

 

 よし、チャンスだ。アイツに向かって伸びたえらく前傾姿勢でチャレンジャーな枝にワイヤーを引っ掛け、アイツ目掛けて体全身を真っ直ぐ向ける。

 

 蹴り抜いて突進。

 アームは間に合わねえだろ、今止まったしな。アイツの美脚で殺されるならご褒美よ、一番リスクは少ない。

――――後はそうだな。

 

「Launch, Play start.」

 

 この御大層な左の義眼様の出番だ。

 

 勘違いされてるがコイツラの目的は俺の義眼だ、結構重要な情報を全部移して死にやがったからなあのクソッタレども。俺が追われてたのもそれ。

 だが相応の自衛手段も残してる、何せ俺のクソアホ両親はクソアホだが間抜けじゃないからだ。

 頭に負担はかけるが、アイツより一瞬だけ。

 

 そう、本当に一瞬だけだが。

 

「一世一代の大勝負でもやってやろうか!」

 

 演算速度で俺が上回る。

 眼に火でもついてるような痛みに思考が若干飛ぶが問題ない、今アイツの動きを見て、反射で避けるには容量は十分残ってるだろ。

 

 飛び込む俺に代理人の右脚の無機質な浴びせ蹴りが真っ直ぐねじ込まれて行く。スロー。

 体が追いつくか? これ。

 

 見えた軌道に合わせて手を引っ掛ける。

 

「…………ッ!」

「ちょっと失礼しますよっと!」

 

 そのまま右脚に振り回されるような形で体を裏側に持っていく。

 

 残念ながら人形は()()()()()()()()()()()。俺がくっついたぐらいじゃ骨を10本ぐらいへし折りそうな蹴りは止まらずそのまま宙を足が舞っていく。

 そして気づけば足は地面につく、後は上手ーく伝ってきた力で体を回して、地面にドスンと踏ん張ってですね。

 

「俺の弾丸に惚れてもらうぜ馬鹿野郎!」

 

 アイツを左腕で抱き込んだ右脚から引っ張って、顔面に至近距離で打ち込むだけだ。

 勝った、いや勝ってくれ。ミスったら多分俺は致命傷だぜコレ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やはり人間にしては強いのね、リンドウ』

 

 しっかし現実は残酷だ。いっつも俺を裏切るらしい。クソッタレ。

 当然のように首だけで弾丸が避けられる。

 

 スローモーションはまるで拷問だ。咄嗟に義眼の電源も切れなかったのは不幸と言うか、アイツの真っ直ぐな右ストレートが腹に近づくのまで精細に見える。

 

「マジかよ――――――」

「死になさい」

 

 あっさりと腹を打ち抜かれた俺は、そのまま転がって崖に落ちていく。

 全く。死に際は碌なもんじゃないとは思っていたが、流石にこりゃあ笑えねえわな。マジで人生は何度やってもクソゲーだ。

 

「悪い」

 

 404小隊が探しに来るんだろうなあ、とだけ思うと砕けた内臓よりアイツラの先行きに心が痛んだ。




『次回で終わりってマジ? 五ヶ月空けるのはアマギクン感心しないな~』
『まあ。それじゃあな』


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箒星は駆け抜けて【後編】

弱者が強者に勝つ方法は幾つか存在しますが、うち一つ。
『勝ち目がない方法で挑む』というものがあります。

何故って、勝ち目が無いことをするなんて想定する強者は中々居ないからです。強すぎる故に、人形なら殊更に強さによる怠慢が滲む。
そういうものだと思います。


 俺はもう死んだんだろうか。天国はだいぶ肌寒いらしい、早めに暖房とかをつけるべきだと切に感じる。死んだだけでもお先真っ暗で不安な人間にこの寒さばかりは堪える。心だって凍えてしまうだろう。

 

 背中が痛すぎる。何処かで読むであろう一般読者には描写できない可能性は多分にある、死んだ後くらい元気な姿で神様と会うなり閻魔様に怒鳴られるなりしたいのだが、まあ痛いのでどうしようもない。

――でも、痛いだけで済むか?

 

 よくよく考えたら、胸のあたりだけ暖かい。

 死んで、なさそうだな。

 

「うっ…………ケホッ、ゴホッ!」

「起きたかしら!?」

「かあ、さん?」

「違うわよこの馬鹿!」

 

 違うらしい、じゃあ416だな。多分。

 ズシャリズシャリと雪を踏んで走る足音と、何だか銃声も聞こえてくる。少し遠い、俺が揺れてるってことは、アレか。俺を背負ってやってるのか。

 

 それは申し訳ねえな。

 

「おろ、せ」

「頭でもイカれたの、却下よ却下」

 

 これは俺が勝手にやって、俺が勝手に野垂れ死ぬ事案だ。俺は誰の縛りも受けない代わりに、誰の助けも得られない人生を選んだ。

 都合が良すぎる。手間をかけるには安くて、あんまりにも非人道的な男だ。

 

「やめとけ、損するぜ」

「アンタが死んだ方が私達は損するのよ、もう黙ってなさい役立たず!」

 

 はっ。凄い言われよう、よっぽど余裕が無いらしい。

 通信に416が答えてるのが少しだけ分かる。

 

「ウソ!? もうダミー切れそうって、手は抜いてないでしょうね!」

「あー分かったわよ、すぐ行く! 後ろのお荷物が居るから前には出過ぎれないわ、G11! 危険だったらアンタ盾にするからそのつもりで居なさい!」

 

 成る程…………。そうか、行けそうだ。だがもう一個、何か。

 

 欠けたピースの在処を探しながら辛うじて動く首で後ろを向く。もう左目しか見えない、機械だから無理やり映像を送ってきてるんだろうな、自動ブレ補正も有って何とか景色は見える。

 

 

 

 

 

 一瞬、遠くで何かが光っていた。見覚えがある、いつも親父が俺に見せてた射撃の光に。

――そっか。小説かよ、俺の人生は。

 

「…………ははっ。そうか、神様は飴と鞭が巧いもんだな」

 

 そーやってすぐ、俺にチャンスを残していく。憎たらしいな。

 じゃあ、やるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヤバイ、そろそろ押し負けるよ!」

 

 G11が激しい射撃音混じりの通信で叫ぶ。定点射撃を崖上から努めていたようだが、流石にダミーが品切れとあっては走りながら撃ち逃げざるを得ない。

 

 傍聴していた人形が、少しだけ思案する。

――代理人の機銃は数、レート、共に暴力的。頑丈なのもあってただ押し勝つのは不可能ですね。

 それに加えてお荷物1名と来ては苦戦するのも致し方ない。恐らくこうなることを見越して自分をこんな極秘任務につけていたのだろう、と彼女は得心行きつつ苦笑い。

 

「45姉、スモーク残り2つ!」

「あたし一応3つ!」

「私はもう無いからしっかり考えて使って! 瞬間的なタイミングが重要だから各自に任せるよ!」

 

 かなり酷い状況だ。そもそもあの掃射の速度ではグレネード関連がほぼ機能しておらず、むしろ投げ続けて漸く五分かという惨状なくらいなのでどうしようもない事だった。

 マガジンの入れ替えもほぼしていない辺り、まさしくハイエンド。代理人というコードは伊達ではない。

 

 数を活かして全方位からの射撃を試みてもあちらのアームの数からして無力。はっきり言って、お互い万全の状況で戦って何とかなるような人形ではないのだろう。

 通信に新しい人形が参加した。

 

「私も出るわよ、ちなみにグレネードとかとっくに切らしてるからアンタ達が全力で私を守りなさい!」

 

 走ってきた416が――――――待て。思わず彼女が絶句する。

 男を背負っている。本当に連れてきたらしい、確かに撤退戦の様相で崖と崖の溝で戦闘している以上は余程距離を取らないと彼が危険なのは分かる。

 

 だが感情論でリスクマネジメントを怠るとは思えなかった。

 とうとう潮時かもしれない、と彼女は口を引き結ぶ。

 

「ほんとに連れてきたの!?」

「策があるの…………ほら行くわよ! 突っ込むから援護して」

 

――嘘ですよね!? 絶対に勝ち目なんて。

 思わず彼女が銃身を構えてスコープを見た瞬間、一瞬だけ彼と目があった。

 

 手を振っている。小さく、明らかに疲労しているのが分かる。それよりもこちらが見える筈のない距離であることに驚くべきだったが、彼の口元が何か喋っているように見えたのに思わず目で追ってしまう。

 明らかにこちらに話しかけている。傍聴まで把握されていたのだろうかと彼女は焦り、少しだけ恐怖する。

 

 読唇するにはこうだ。

 

『撃ちあぐねてるだけなら、近づいたら一瞬だけ時間を稼いでくれ。賭けるしか無い、ミスったら多分俺死ぬんで』

 

――彼、おかしくなってしまったのかしら。

 彼女の頬に冷や汗が流れていく。今回の任務は『いざとなればリンドウ・アマギを救護しグリフィンまで連れ帰ること』だ。ご丁寧にこれまでの期間も全く干渉しない形を取ることで、あらゆる陣営から見て飛び道具になりうる状況を保っていた。

 これも不測の事態で彼を必ず手に入れるために過ぎない。

 

 本人が突っ込むとなれば、彼女は援護せざるを得なくなった。

 

「貴方、随分と悪知恵が働くようですね――――――!」

『ごめんな、付き合ってくれ。Kar98kさん――――かね?』

 

 Kar98kは舌打ちしながら銃を構える、ダミーも総動員だ。

 チャンスは五回。最早彼女までもが追い詰められていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の案は単純に無謀だ。とは言うものの、無謀が必ず失敗に繋がってきたかと言うとそれは違う。

 頭を使って怖気づくよりは、読み合いで負けるくらいなら、やはりシンプルさが答えとなってくれる時は沢山ある。俺は逃げる最中、それに関してはいつも強く感じていた。

 

 必ずしも機械的な結論は正解にならない。やっぱり、世の中というのはそういうものだ。理不尽、とでも言い換えるか。

 

「本当に突っ込むの!?」

 

 45が明らかに狼狽した声で聞き返すが、もう俺達は答えない。

 必要なのはランダム性だ。アイツは演算処理能力がとてつもなく高い、それが鉄血の、ハイエンドモデルという名前の強さだ。真っ当に撃ち合いで勝てるなら俺はあの時コイツを殺せていた。

 

 走り寄る俺達に代理人が気づくと、すぐさまに機銃の幾つかを構える。言うまでもなく誰かがスモークを焚くなり発砲、今までのような連続性など考慮しない一斉射撃だ。

 此処で誰かが欠けるといよいよ終わりなのは分かっているから。

 

「死にに来ましたか、死に損ない」

「悪いな代理人――――――」

 

 アイツはこの程度でブレない、ぐちゃぐちゃに歩みよった俺達に的確に機銃を向ける。一個で十分とばかりに一個だけ。

 それがミスだ。

 

 代理人の後ろから弾丸が彼女に飛ぶ。

 

「――――ッ!?」

 

 恐らくあの人形の弾だ。思わず代理人が振り向く、きっと想定外の一撃だ。

 さて、俺はそれで十分だった。ワイヤーで上の枯れ枝に上体だけで飛び乗る時間で十分で、それしか期待もしてなかった。

 

 どうやらダミーをバラけさせていたのだろう、断続的に撃ってきた銃撃に代理人の機銃が少しだけ、少しだけ俺から逸れた。

 だから、今。

 

「貴方、まさか」

「そのまさかって奴だ」

 

 ”俺が真上から飛びかかってくる”なんてアホな想定は、きっと人形は出来ない。

 効率的であることを強いられてきて、効率的であることが正解で、そんなアイツラじゃ分からない。人形は人間のようで、俺は人間と大差ないと思ってしまうが、やはりまだ機械だ。

 

 効率ばかりを求められすぎた。

 落下の勢いでKar98kの先につけたバヨネットを頭に突き刺す。辛うじて動く足でみっともなく腹に絡みついてやった、泥臭いことこの上ない。ちなみにちょっと細すぎて俺は焦った。

 

 頭がいいやつは凄い事だ。俺には真似できない。

 

 ()()()()()()()()()()()()()? お前らみたいなのを作るくらい、大馬鹿だ。

 頭がいいお前らに嫌われることが思いつかなかった馬鹿が、お前らの思うような戦略なんか練れねえよ。みっともないやり方で勝たせてもらう。

 

「悪いがな」

「人間様はド阿呆しか居ねえんだよッ――――――!」

 

 眉間にバヨネットを力いっぱいぶっ刺しながら引き金を引く。辛うじて俺を狙った機銃が結構当たったらしく、自分の体が地面に落ちる感覚だけ残して意識が消えた。

 

 まあ助けてもらった借りというか、後始末は出来たのでもう良いだろう。地獄の沙汰も金次第というらしいし、借金返済できれば十分だ。




『お、おい普通に終わってないぞ! 前回のかっこつけはどーしてくれる!?』
『ま、まぁ最後まで? お楽しんじゃってくれ、うん。ハッズこれ!』

リンドウの名前は「私自身が子供につけたい名前」なぐらいで、両親は本当に悪い人とだけとも言えません。ただ少し弱かっただけ。
銃も実は両親から教わっていて、銃自体も彼らがいざという時のために家に置いていたものです。

Kar98kは初期案時点でまあ一話冒頭から居ました。伏線がなかったのホント駄目。ごめんね。

勝ち方はいろいろ考えましたが、やはり「人間が勝つ」ならこれだけでしょう。
皆賢いですから。みっともなくて泥臭い、卑怯なやり方でしか人間は絶対に勝てないはずです。


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三冊目【    】 燃え滓のリサイクル

最終回のタイトルではないですね。


 月 日 清々しい晴れ

 

さて。結果から言うと俺はグリフィンに捕まったと言うか、保護された。

懐かしのヘリアンが病室でアンニュイな表情を決め込んで「腹イテエ…………」とか情緒ゼロな事を考えてる最中にやってきたので飲んでいた水を噴き出しそうになった。何故此処で古い付き合いの知り合いが出てくるんだよ世界は狂ってやがる。

 

どうやら俺は何か思っているよりは長い期間寝込んでいたそうだ。起き抜けにずっと近くに居た銀髪の大層な服を来た人形に怒られた。かすかな記憶を頼るに多分Kar98kちゃん。

かなりお怒りだった。無計画だ、死んだらどうするわたくしが怒られる、普通に心配した、とにかく同じことを感情任せに暫く怒鳴られた。多分なんだけどだいぶ長い間怒られてたし、ヘリアンはほとぼりが冷めるまでドアの近くで唸って待ってたと思う。

 

困ったことが起きたようで、俺は今後グリフィンの庇護下に置かないと駄目らしい。そこそこ厳重に監視するから逃げれない、と断言されて夜になった今も絶望しっぱなしだ。

まあ左目の義眼の事だろうが、引っこ抜かれたら普通に俺も困るし、パスワードとか色々有るから実は開くの俺も無理だという事を暴露したら「なっ!? おま、真面目に言っているのか!? 全くお前のご両親は昔から阿呆だな!」と俺がなぜか怒られた。人の親に阿呆ってお前な、まあ俺もそう思うけど。

 

恐ろしいことに指揮官にされるらしい。グリフィン本部で厳重管理も有りでは有るが、鉄血に情報漏えいするポイントが特に無い以上は基地とかで油売ってる方が逆に見つからんだろうとのことだ。どうせ開けないならお前が死んでもどうでも良いと本部は考えてるかもしれない、みたいな事言われたが特にヘコまない。ふーんっていうか、まあそんなんだから嫌いなだけだしね俺。

偽名を作れと言われたので、昔どっかの二次創作で聞いた「小野也人」にしておく。今後はその名で生きていけとの事だ。まあリンドウでもヤヒトでも痛いし大丈夫でしょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く貴方は! 人間がハイエンドモデルの人形にあんな至近距離で! いつもヒヤヒヤさせられていましたが今回ばかりはわたくしに謝ってください!」

「知らねえよんなもん! ステルスおかん人形に俺は何を謝れってんだよ!?」

「お、おかん!? 違いますよ、つけあがって勘違いなさらないでくださりませんか!?」

「二人共静かにしろ! 外で数時間正座させられたいか!」

 

 俺達は二人揃ってお口にチャック。体中ボロボロなんで流石に勘弁してくださいとしか。

 

 いや本当に俺に分かる伏線が一個たりとも無かったステルスおかん人形に「心配したんだからねプンプン!」と言われてもそれは分かんないなとしかお答えできない。それはもう100人中98人そうだろう。残りの2人は此処で「もっと怒って!」って言い出すがまあそれは俺には関係ない。

 

 怒鳴られて素面に戻ったついでにふと思い出したことを尋ねる。

 

「代理人は取り敢えず倒せたのか? 後404小隊は」

「襲ってきたダミーは倒せたようだ、というよりお前が気を失いながら引き金を壊れるほど何度も何度も引いて体中を貫通して動けなくなったらしい。後は倒れた虫の息の代理人を射撃して終了、お前が起きている時以上の被害はない」

 

 待ってくれ、俺はそんな執念だけでトリガーを引くとんでもない男だった覚えはない。明らかに主人公補正か何かが入っている。何時だって無理なら素直に諦めて逃げるような恥の多い人生を送ってきた筈なのだが?

 

 Karが俺にドン引きしたような顔をするなり口元を隠す。

 

「遠目からなので見間違いかもしれませんが、何だか凄く鬼気迫る顔で叫びながら執拗なくらいトリガーを引いていましたよ………………弾切れしても」

「記憶が全く無いです。いや誤解だ俺は意志薄弱なニートだ勘違いするな俺から逃げるなお前ら!」

 

 二人して距離を置いて何か二人でブツブツと喋りやがる。アレだろ、何というかあのままだと俺の判断ミスで全員お陀仏だから珍しく真面目だったんだろ。正直俺もわからないが、そういうので無責任に逃げることはたしかに好きじゃねえ。

 

 流石にアレで駄目だったら可哀想だから転生者補正もらっただけだと切実に思う。そんなナチュラル狂人みたいなポジだった覚えはない。

 

 一頻り揉めたり喧嘩したり叱られたりしつつある程度俺の状況整理が済んだ辺り。ヘリアンが手を叩く。

 

「――――――ではKar98k、データを消すぞ」

「ああ。そうでしたね」

「待て待てどういう事だ」

 

 ヘリアンがそこからか、と言わんばかりに溜息をつく。

 

「404小隊は本来存在しない部隊だ。お前の記憶も消去したいところだが、生かせば有用なデータの物理保管所のお前に変なことは出来ん。特例で覚えているだけで、Kar98kは消す」

「はあ。なんで今まで俺と喋ったんだ?」

 

 何でって。と二人して俺の方を見る。

 

「「副官になるから」」

「え、コイツと?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嫌なんだけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

尚拒否権とかは特にないとのこと。

逃げなくて良くなくなった所で、俺というやつは一生面倒な女と付き合わされる運命らしい。

 

だれか助けてくれ。この日記を読んでいるなら早急に、俺を、攫って。お願い。




では続編、決定です。

上手い具合に出来てきたらご報告するので、良ければそちらでも宜しくおねがいします。


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