リリカルなのは 戦女神奈の転生物語 (モフモフ好き)
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プロローグ

ガンダムの続きを書いていたはずが、気がつけば別の小説ができていた。
何を言っているかわからねえだろうが俺が一番わからねぇ。
催眠術とかトリックとかそんなちゃっちなもんじゃねえ。

そして一話書き終わった所で思った。
なのは要素が全くねぇ!
混ぜ過ぎ危険、チートも過ぎれば書きにくいと改めて考えさせられました。

そんな気まぐれ超不定期、勢いとノリと書き直しでできた小説で良ければどうぞ。

注意、プロローグはなのは要素がかなり薄いです。


 皆さん、事実は小説より奇なりと言いますが、本当にそういうことってあるんですね。

 なんで突然そんなこと言ったかって?

 そりゃきまってますよ、よく読んでた二次創作界隈のようなことが起きたからです。

 

「すまんな、お前さん死んでしまったんじゃ」

「死んだのに意識あるのは死んでると言うんでしょうか? 体のない人魂だから死んでるんでしょうけど」

 目の前(目がないけど)にはなにやら元始◯天尊様のような見た目の方が。

 

「それじゃ伏せ字になっておらんじゃろうに、この姿は単にお前さんのイメージからそれっぽいものが選ばれとるだけじゃ!」

「ああ! 死ぬ前、最後に読んでたのが藤崎版封神演義でしたね。

 伏羲の姿だと見た目の感じが足りませんでした?」

「イメージ的にちょっと貫禄がな~」

「つまり私のイメージ次第では変わると……」

 がんばって大神(モフモフ)の方をイメージしてみたけど。

「いやいや、そんな一生懸命イメージしてもダメじゃからな」

「無念……」

「死んだのに余裕があるのう」

「死んだからじゃないですか?」

 

 なんで死んだのかちゃんと覚えてますからね。

 いや~、前世病弱で、本の虫でしたから。

 ラノベや漫画を読むことが多い人生でした。

 ネットのお陰で二次創作作品にハマるぐらいには……。

 

「さて、お前さんが死んだのはじゃな」

「テンプレな書類ミスとかでしょうか?」

「いいや、ちゃんと世界の理通り死んだぞ」

「ならなんで私ここにいるんですか? 私死んだら多分輪廻転生か、全部真っ白どころか透明になるまで洗濯されて根源に落ちて消滅すると思ってたんですけど」

「そういう世界もあるな、じゃがお前さんのいた世界は概ね輪廻転生であっとるぞ」

「ならなんで私ここに? 神様の気まぐれでしょうか?」

 そう聞いたら神様は頷いてから

「そうじゃな、5割ぐらいは気まぐれじゃな」

「まさに神の気まぐれですか」

「じゃが残りはお前さんの死因に関わっとるの」

「それは心停止? それとも病弱?」

 

 私が思い当たるものを指摘すると

「どちらもじゃな、お前さんの知識だとわかりやすいのは天地◯無用の山田◯西南の事例が当てはまるな」

「伏せ字仕事してくださいって、え? それって世界の歪み、マイナスのパワースポットが個人に収束したっていうあれですか?」

「程度の違いはあれ、あれほど酷くはないが、お前さんの病弱はそれが起因しとる。

 全く歪みのない世界などそれこそ可能性のない世界じゃからな。

 お前さんのいた世界だと、誰かにプラスに働けば当然マイナスに働くこともあるじゃろう、生まれるものがおれば死ぬものもおる。

 自然の摂理じゃが、時たまそういった摂理の中で異常な値を示すものがおる、プラスにしろマイナスにしろな」

 

「つまり、超幸運な人と超不運な人が……幸運量保存の法則で女神は来なかったんですけど……」

「残念ながら女神お助け事務所は、お前さんの世界にはなかったのう」

「あったら来てました?」

「来ておったろうな……」

「神は死んだ!」

「なんでやねん! わしゃ生きとるぞ!」

「あなたが神か!」

「DEATH NOTEに名前書き込んだろうか?」

「もう死んでます!」

「ちょくちょくネタを挟んできおるなお主! 生前そんな性格ではなかったと思うが?」

「肉体がないから思いっきりはしゃげてるだけです! ちょっとこんなふうにはしゃぐのは憧れが有りましたから」

 そう言われると納得したのか、説明を続ける神様。

 

「ふむふむ、ではそんなお主には特典付き転生してもらおうかのう」

「神様転生、事実は小説より奇なり、人が空想できるすべての物事は起こりうる現実であるとはよく言ったものですね」

「まさしくのう、なおこれは儂の気まぐれ半分であるので当然拒否権はないやもよ?」

「曖昧ですね」

「断るのか?」

「未練たらたらではありますからね。普通に転生するなら当然記憶は抹消でしょうから未練も多分意味はないでしょうし、よっぽど未練のない、天珠全うした人じゃないと断る人少ないんじゃ?」

「まあ、断るものもおるのう、中には無理やり転生させて楽しむ神もおるな……後でバレて上の神に怒られる下級神が出とる」

「まさに神の悪戯ですか?」

「そう言われても仕方ないのお、儂はそこまで悪辣なのは好まんがな」

「ふむふむ、ちなみに特典はいくつで?」

「求めるもの次第じゃな、まあお前さんじゃと多分少なくとも片手で数えるぐらいじゃろう」

「じゃあよくあるやつから……」

「ああ、すまんが無限の剣製とかそこそこよくある定番のは却下な、特に王の財宝とかはヤバすぎる」

「あ、縛りあるんですね、王の財宝とか恐れ多いので選べませんけどなんかあったんです?」

 

 神様の顔見る限りなんかあったんでしょうね。

 

「別の神が作った世界じゃが、複数の転生者がギルガメッシュのクラスカードや王の財宝、能力なんかを選んでエヌマ・エリシュの打ち合いなんかをして世界を壊した事があっての……、他にも王の財宝を使って好き勝手してたらあの王様、無理やり単独顕現して……」

「ああ……、それは壊れますわ……」

 

 対界宝具で打ち合いはあかん!

 

「なので、なるべく定番からは外してほしいの」

「じゃあとりあえず、シュウ・シラカ「グランゾンもダメじゃぞ」ですよね~、そうなると裸エプロン先輩もとい球磨川みそ「もダメじゃ」と見せかけて安心院さ「もっとだめじゃい!」ツッコミが食い気味ですよ!」

 

 それから神様と雑談も交えながらあれこれと特典を考えている中、大事なことを聞き忘れてた。

 

「そういえばどんな世界に飛ばされるんです? 特典が役に立たない世界とかになると目も当てられないんですが」

「おお、そう言えば忘れとったな、行くのは【魔法少女リリカルなのは】をベースにした世界じゃな、概ねリリカルなのはの世界じゃよ、まあ特典によって交じる場合もあるが」

 

「魔王少女リリかるなのはですか」

「魔法少女な」

 

 魔砲少女「字が違うぞ!」リリかるなのは、アニメとかも見てたけど、ガチバトル系でしたね。

 魔法が存在する世界か……、よし!

 

「一つ聞きますが、スーパー宝貝の太極図、あれは魔力とか霊力などの力にも作用しますか?」

「特典として選ぶなら、当然作用するのう。

 本来であればアンチ宝貝や仙道の力を集め、収束し、力に変えるものじゃが、特典として選ぶなら改良は必要じゃろう、仙骨はどうするかの~」

「無いと宝貝持った瞬間干からびるんでしたよね」

「元となる世界だとそうじゃったな、流石に物騒じゃからのう。

 使えるのは基本、お前さんだけにしとかんと不味いじゃろうし、一応仙骨はつけといて……伏羲の能力も一部付けとくか」

 

「もりもり付けられてるけど、いいんですか?」

「まあ、太極図へのセットじゃからそこまでは、伏羲の能力全部つけておるわけじゃないからな。

 お主が知っておる能力などほんの一部じゃろうよ、どっちにしろ使いこなせるかはお前さん次第じゃな」

「使いこなせない力に意味は無いと」

「その通りじゃ。当然力を使いこなす修行もいるじゃろうが、あちらにはもう崑崙山もスペースシップ蓬莱もないからの~。それに生臭禁止じゃ一般生活に支障が出る、この辺もいじっておくか」

 

「ありがとうございます!」

「まあ世界に合わせておかんとな、変に縛りすぎると第二の人生楽しめんじゃろう……、一つ目はこれで良しと、まだ空きはあるが、何が良いかの?」

「では、2つめはネギまから……」

「ふむふむ、しかしそうなると……」

 

 

 それからしばらく特典について話し合い、条件を詰めていった。

 いや~、思ってたよりもいけました。

 とはいえ……。

 

 

「望んでおいて何ですけど、使いこなせるのか怪しくなってきました……」

「まあ、お前さんの肉体ならいつかは使いこなせるじゃろう、仙骨もついとることじゃし、それなりに時間はあると思うぞ(神目線)」

「努力しだいというやつですね」

「そうなるの、素質はあっても努力しなければ素質は素質でしか無いということじゃ」

「なんでしょうか、ものすごく不安になってきました……」

「まあ、こちらはお前さんの次の人生を見せさせてもらうとしよう」

 

 神様はそう言うと、そばに扉が現れた。

 

「行くがよい、行き先はフィクションではなく現実じゃ、儂もこの先どうなるかはしらんからな」

「……行ってきます」

 そしてゆっくり扉を開けて潜ろうとすると、突然足元に穴が空いた。

「えっ!?」

「行く前に最後の選別じゃ。最低限、太極図が使えるように修行してくるがよい。一応コーチはおるから最低限の事は習ってくるとよいぞ~」

「い、いきなりすぎませんか~!?」

 真っ暗な穴を落ちながら、そう叫ぶと最後に聞こえたのは。

「そうじゃった! 言い忘れておったが、お前さんがこれから生まれる今世じゃがのう、お前さんの前前世辺りに関係あるやもよ?」

「そこを曖昧ってどうなんですかねぇぇぇぇぇ……」

 

 

 

 

 

 

 そして、次に目が覚めたら山の中でした。

「……サバイバル? 山の中で修行は定番といえば定番だけど、人魂の状態って……」

 そんなことつぶやいたところで

「告、チュートリアルを開始します、疑似ボディを形成」

 そんな声が聞こえたところで人魂の姿から人の形に変わっていく……だけど

 

「鋼の錬金術師の真理さんですか?」

 

 透明な、口と鼻以外は輪郭オンリーという没個性の体だった。

 

「告、疑似ボディに個性を求めないでください、さっそくチュートリアル訓練を開始します」

 あたりを見渡すと、打神鞭らしきものが浮かんでいて、ひとりでに動きだした。

「打神鞭?……いた!」

 いや、よくよく見ると打神鞭をつかむ透明な存在の輪郭が見えた。

「訓練プログラムを開始します、無駄口たたかずに座禅を組むのです!」

 

 開幕そうそうたたかれ、座禅を組まされると私の最低限の修行は始まったのでした……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれから修行を開始して、一万年と二千年の月日が「非、流れておりません」痛いです……」

 打神鞭で叩かれて修行を初め、もうどれぐらいになるか、正確な時間はわかりません。

 なんせここ、昼も夜もないし、魂の状態であるのには変わらないので、体感時間が曖昧になっています。

 睡眠不要というのが一番時間間隔を狂わせてると思います。

「チュートリアルが長すぎる件について」

「告、大きな力を願ったからです、ですが最低限といえる程度には使えるようになったようですね」

 打神鞭先生から、ようやく最低限と言われました。

「告、チュートリアル終了に伴い疑似ボディを解除します」

 打神鞭先生からチュートリアル終了を告げられた。

「これにて訓練の全行程を終了します」

 

 そう告げられた後、私の意識は真っ暗な中に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に目を覚ました時、私はもうベッドの上でした。

 おぎゃーからじゃ無くて良かったのか悪かったのか……。

 私が私としての自我が目覚めたのは生後1年ちょっとした頃。

 やっぱり、こうなっているならおぎゃーからのほうが良かったのかもしれません……。

 

 母親はすでに他界、お父さん一人での育児、父子家庭というやつみたいです。

 遺影やのうて、生きてるお母さんに会いたかった……。

 

 とは言え、ごくごく稀にベビーシッターさんに任せてお仕事に行くのが我が家、戦女家の日常になります。

 

 父親に関してですが、第一印象マッチョでした。

 気分的にはあれですね、プロレスラーなのかと思うぐらいには筋肉がすごかったです。

 なのにその重い筋肉で俊敏な動きを見せることも有り、格闘家なのかとも想像しました。

 

 一体どんな仕事をしてるのか興味はつきません。

 

 

 

 

 ※しばしの間、日記風になります

 

 

 

 ○月☓日(曇り)

 

 目覚めてから数日、お父さんがどんな仕事をしているのか気になったため、伏羲の力……むしろ王天君の力の一つである空間使いの能力で職場見学をしてみた。

 具体的には、王天君がよく使っていた窓をつかって。

 他人に見せようと思わなければ見えないので、心配は殆ど無い。

 さて、お父さんはいったいどんな仕事をしているのか……。

 

 

 

 

 

 

 ○月△日(晴れ)

 

 今日は仕事から帰ってきたお父さんと一緒に過ごした。

 抱っこしたり、高い高いしてくれたりと家にいるときはしょっちゅうかまってくれるいいお父さんだ。

 子供の体だからすぐうとうとして眠ってしまうのが辛いところです。

 

 観察していた限りだと、どうやらお父さんのお仕事はボディーガードとかSPの様なお仕事のようだ。

 武器は刀とかではなく、基本的に拳で戦ってました。

 だけど、全く武器を使わないというわけでもなかったです。

 状況によってはトンファーなんかはもちろんの事、小刀、銃、鋼糸なんかもつかってました……。

 今世の我が家は戦闘民族高町家に近い存在なのかと想像しました。

 

 拳の一撃で人が空を飛ぶのを始めてみた……。

 

 

 

 

 ……それからしばらく、日常や雑記、特徴的な出来事などが書かれている……。

 

 

 

 

 

 伊達にあの世は月 見てねぇぜ日

 

 お父さんの仕事の都合であっちこちを転々と引っ越しながら過ごしたんやけど、どちらかと言えば関西の方が長かったからか、言葉がそっちよりになりつつある今日このごろや。

 それにしてもこの数年間で色々あったわ~……。

 

 光が丘に引っ越したら橋が壊れ、爆弾テロと朝刊にデカデカと載っていたりとか。

 おとんが体を治療しに行った先が霊光波動拳の幻海師範のところだったりとか。

 海外への長期出張で、幻海師範の所に預けられてガチの霊力の修行させられたりとか……。

 そして買い出しに出かけたらガチの鬼相手のリアル鬼ごっことかやってられへんかったわ。

 

 詳しく言うと明らかに長くなるから端折るけど、デジモンと幽遊白書の事件にちょこちょこ巻き込まれたんよ。

 幽遊白書なら、闇の三大秘法に選考会(アシスタント)、四聖獣事件や暗黒武術会とか、後は冥界死闘編なんかに仙水事件とかにも関わりました。

 原作と違って、この世界では暗黒武術会、戸愚呂さん回りが違いましたね。

 潰煉による虐殺事件が起こらなかったみたいです。

 その結果、戸愚呂兄の方は妖怪になったみたいですが、戸愚呂弟さんは人間のまま幻海師範と修行を続けた結果、人間の枠を超えてしまいました。

 具体的には仙人に近い形に限界突破、若々しい肉体を維持してます。

 幻海姉ちゃんが20代、戸愚呂さんが30代ぐらいの肉体を維持しています。

 一番驚いたのは……お二人がご結婚していたことですね。

 

 お二人の仲が進展していたようで何より……眼福もんでした!

(なお、一般人の前では術で年相応の姿に偽ってたりします)

 

 

 闇の三大秘法では、はじめてのおつかいを幻海師範に頼まれ、その途中で餓鬼玉に引き寄せられて上記のリアル鬼ごっこ、そこから暗黒鏡に降魔の剣と芋づる式関わった。

 餓鬼玉では、浦飯さんが戦っている所に、無意識ながら餓鬼玉に引き寄せられたせいで出会うことに。

 

 暗黒鏡では、自分が同じ立場ったら同じことすると思ったために、浦飯さんが暗黒鏡に命を分けた所で

「何を考えているんだ お前!?」

「おい鏡! 俺の命を分けてやる! そうすれば、こいつの命全部取らなくても願いは叶うだろう!」

 そして、一度死んで見たからこそ言える、自分が死んだ後の親の様子を伝える浦飯さん。

 

「ほな、これで三分の一やな、三人で分ければそれだけ負担も軽くなるはずやろ? それにうちかて、同じ状況やったらお父さんを助けるために同じようなことしたと思うで……」

 原作なんてもんがあっても、その通りになるわけやないんや!

 そう思ってうちも命を分けてました。

 

 結果、原作通り命無しで願いは叶えてくれたんやけど、暗黒鏡の気まぐれなのか、体力と霊力をそれなりに吸われました。

 

『全く無茶を考える人間も居れば、それに乗る人間もいるとはな……

 しかし、願いをとなえる者たちが全てこんな奴らばかりなら、ワシも暗黒鏡と呼ばれることもなかったろうに……お前たちの行為に免じて命無しで叶えることにした、少々力は吸わせてもらったがな』

「せやったら、うちらぐらいは暗黒鏡なんて呼ばずに、月光鏡とか、別の名で呼んだらなあかんな」

 

 

 寝れば回復するとは言え、結構辛いわ~。

 帰りはぼたんさんに送ってもらったんや……。

 なお、事の次第を告げたら幻海師範からげんこつ落とされ、戸愚呂さんからは説教を喰らいました。

 

 そして、闇の三大秘宝で残った降魔の剣では霊界への貸しを作っとけとばかりに送り出されました。

 

 結果、ぼたんさんと一緒に幸村さんの治癒役兼、防御役をすることに。

 

 後は最後に

 

(霊丸の射線上に……疾ッ)

 

 

 やったのは暗黒鏡改め、月光鏡の目の前で風の渦を起こし、飛んできたレイガンを飛影に向けて跳ね返したんや。

 封神演義で言えば、Bクイックっぽいものである。

 太極符印がないからぽいものなのです。

 

 命無しで願い叶えてもらった恩もあるわけやし、霊丸の反射で割れるのはちょっとな……。

 

 

 そして続く選考会では特にこれといったことはせずに、アシスタント&テスターとして参加していました。

 まあ、幻海師範が超強化されてるおかげなのか、くじに関してのいちゃもんも眼力だけで黙らせてましたね。

 

 そして、ギリギリでしたけど浦飯さんが優勝しました。

 うち? うちがやったのは第二選考会の霊能力、霊撃力、霊気量を量るゲームのチェックでした。

 後は、幻海師範に付いていって試合の見学です。

 おかげでいくつか術が見れたので、大収穫でした。

 

 そして修行期間中は、私も頻繁に顔合わせることになったり、その際に影分身に似たような術の開発に成功したりした。

 ぶっちゃけ、伏羲の魂魄を分ける能力と、陽神の術と影分身の術を参考にした術の開発に成功した。

 

 

 やってることは陽神の術とほぼ違いはないんやけど、違うのは、どちらも行動が可能ということだ。

 魂魄を分けて行動できるお陰で、本体と分身、どちらも別々に動けるのだ。

 ただし、影分身と同じで練り込んだ分の霊力や気力、魔力分しか使えへんから注意が必要やな。

 

 

 ついでに言うたらまだ分身は一人ぐらいにしか出せへんねん。

 霊力修行先にしてたせいか、まだ魔法とかチャクラみたいな生命力関連はあんまり手を出せてへんねん。

 

 もろうたチートのお陰で、知識なんかは手に入るんやけど、使いこなすまでどれだけかかるかわからへんわ。

 

 四聖獣事件では陽神の術を使うて、関わったりしたんやけど、戦うことはあんまりなかったんよね。

 やったのはほとんどサポート、妖魔街には分身の方でついていって治療役や。

 それにしても白虎の言動見てると、意外と人間好きなんちゃうかな?

 そんな印象が拭えへんかったわ、なんでカールルイスがでてくんねん!

 実はテレビ好きだったりしたんかな? あのもふもふ、ちょっとおしかったな。

 

 流石に垂金権造の屋敷、つまり雪菜さんのときには関われなかったんですよね。

 ぶっちゃけ気がつけば雪菜さん救出事件が終わっていた感じです。

 聞いた話やと、戸愚呂兄は別の妖怪とタッグと組んで戦ってたらしいで。

 

 

 そして暗黒武術会では、ゲストとして浦飯さんたちが呼ばれてたんやけど……、幻海夫妻がチーム入りしてました。

 ついでにいえばうちも補欠で参加することに、一人置いていく方が心配だったそうですよ。

 なお、偽名の上覆面をつけさせられました……、どうしてこうなった。

 まあ、試合後の治療役としてはそれなりに働きましたけど、試合に出ることはありませんでした。

 最大人数も増えとるし、もう原作なんてなかった……。

 

 あえて言うなら、浦飯さんたちの命がけの修行場とかした暗黒武術会、締めは戸愚呂弟さんがお兄さんをフルボッコにして終わるかと思っとったんやけど……。

 いやはや、まさかこうなるとは……。

 戸愚呂兄の相方さん、ずっと覆面つけとったけど、まさかああなるとは。

 その結果、浦飯さん大苦戦の原作をなぞる展開に終わりました。

 

 その後も、冥界死闘編や仙水事件などにも関わり……魔界にも行ってきました。

 なんや小学生になる直前と直後ににえらい濃すぎる人生経験を積んでもうたわ……。

 

 一年という時間にとんでもなく詰め込んだというか、煮込まれた気分です。

 得るものも多かったんやけど、魔法少女はどこへ行ってしもうたんや!

 

 あと、コエンマ様から微妙にありがたくない肩書もらいました。

 非常勤霊界探偵って……、まあいまコエンマ様は親子喧嘩中やもんね。

 

 

 

 

 電子の海で月 会いましょう日

 

 

 8歳になりました。

 仙水事件の後はお父さんも帰ってきて、ようやく穏やかな日々を過ごすことができました。

 お父さんは前のお仕事を引退して、ゆっくり過ごすことに決めたみたいです。

 お金はもう十分溜まったから後は悠々自適な生活を送るつもりだとか。

 

 そして、うちが入学した小学校が御台場小学校だった件について……。

 クラスメイトに八神ヒカリちゃんがいた事にびっくりやで。

 

 なんやろう、魔法少女成分が皆無なんやけど……。

 

 

 なんて思うとったら、お父さんの友人が大怪我をしたと知って見舞いに行くことに。

 行き先は……海鳴市!?

 

 訪ねた先は……はい、喫茶翠屋でした。

 そうだよね、SPのような仕事してたもんね、面識あっても不思議はないよね。

 

 心配したお父さんは暫く桃子さんとお話するようで

 その間私は辺りを散歩することにしました。

 

 その際になのはちゃんと出会って、ちょっと励ましたり背中押したりもしたんやけど、散歩の道中で八神はやてちゃんとも遭遇。

 街角でばったりあったけど……思わず目が点になってましたわ。

 

 

 見た目が似とったんよね……、ここまであんまり気にしてへんかったけど、あの神様、うちの体のモデルを多分、美坂栞をもとにしたんじゃないかと……。

 昔、お父さんにプレゼントされたのが、チェック柄のストールだったんよね。

 肩に羽織って鏡みたら、あっ、ってなったし。

 

 

 出会ってやったことはお互に鏡合わせのパントマイムのような事やった。

 

「「に、似とる」」

 

 小学生だからなのか、髪型と顔つきがよ~くにてるんよな~。

 パッと見なら、車椅子に乗ってるか乗ってないかぐらいしか違いがないぐらいよく似ていた。

 

「……驚いたわ、世の中同じ顔の人間が3人はおるってきいとったけど」

「ここまで似とるとわな~……」

 

「実は私の生き別れのお姉さん?」

「いやいや、可愛い妹かもしれへんで?」

「マジで!? 私6月やけど、そっちは?」

「じゃあうちは多分妹やな、多分同い年やと思うけど、うちは2月生まれや」

「何歳?」

「8歳や、そっちは?」

「年度考えたら同い年やな、もうすぐ9歳やけど今はまだピチピチの8歳やで」

「同年代でここまでおんなじ顔……生き別れのお姉さん説が否定できなくなってきたな……実は遠い親戚ワンちゃんある?」

「どうやろうな? 私の親戚って、今のところ聞いたことないし」

「実はうちも無いんよ、後でお父さんに聞いてみよ……というわけで一枚」

 

 お父さんからもらったカメラ付き携帯でパシャリと一枚……スマホの時代はまだ遠いな~。

 

 

 その後なんやかんやで意気投合して連絡先を交換しました。

 

 

 なお、その後お父さんからは生き別れのお姉さんは否定され、こっそり士郎さんの治療を頼まれたんよね。

 幻海師範から、治療の筋は良いって言われましたけどどうなるやら……。

 一応、この事実についてはお父さんに念押しでこの件について誰かに話さないこと、書き残さないことを念押ししといた。

 変なフラグがたたんようにせんとな。

 

 

 病院に忍び込んで治療してみたけど……、瀕死の重体というか、まさに生死の境を反復横跳びといえる状態やった。

 これ士郎さんが死んだらリリカルなマジカルからトライアングルなハートになってたんかな?

 

 

 二次創作やとよく見られる、治療したら目覚める士郎さんに目撃されることのないように、空間をずらして肉眼では捉えられないようにしたから、多分見られてないはずです。

 

 そんなエピソードをよそに、時間は流れて学校も夏休み目前。

 そんな時にお父さんからでた一言。

 

「なあ神奈、お前には友達はいるのか?」

 

 ……ん? お父さんは何を言うてるんやろうか?

 

「何を言うてるんお父さん、うちかて友達ぐらいおるよ」

 

「具体的には? 特に同学年の子、あるいは同じ小学校の子はいるのか……」

 

「え~っと……あれ? 浦飯さんに、桑原さん、蔵馬さんやろ、飛影さんも多分として、ケイコちゃんにぼたんさんと雪菜さん、ゲーセン仲間の天沼くんに、最後に長電話友達のはやてちゃん……あれ?」

 

 同学年、いや同年代とみたら……はやてちゃんしかおらんやん!?

 天沼くんも学校ちがうし……。

 

 いや、学校でぼっちってわけや無いんよ、普通に会話もするし休憩時間に遊ぶぐらいはするし付き合いがないってわけや無いんよ!?

 

「幻海師範に交友関係を聞いてみたんだが、どうみても一緒にいた人たちが年上の人達ばかりと聞いてな、少し心配になってな」

 

「……た、確かにほとんど中学生以上やったな」

 

 思わず目を泳がせてしまった。

 その行動に思わずため息を漏らすお父さん。

 

「はぁ、これは完全に私の不手際だな。東奔西走、色んな所を転々と引っ越しさせたせいなのだろうな、同年代の子とあまり深い付き合いができなかったせいなのだろう……」

 

 そして、お父さんが意を決したように呟いた。

 

「お父さん、家を買うことにしたんだ」

「お! ついに賃貸暮らしから一国一城の主になるときが! で、どこに建てるん?」

「海鳴市だ」

「あ~、あそこに建てるん? ということはまた引っ越しかいな!?」

「すまない、これが最後の引っ越しと転校になるはずだ」

 

 

 こうして、舞台はちゃくちゃくとうちを囲い込み始めていた。

 だがそんな考えは、お父さんの爆弾発言により吹っ飛んでしまった。

 

「それと神奈、サマーキャンプに申し込んでおいたから、こっちでの思い出作りしてきなさい」

 

「え?」

 

 まって! 今このタイミングのサマーキャンプって嫌な予感しかせぇへんのやけど!

 いやおちつけ、何も八神先輩達と一緒の班になると決まってるわけはないんやし、他の子供達もいっぱいいる。

 きっと大丈夫のはず!

 ……ちょっとキャンプ用具と食料買い込んどかなきゃ。

 前に作った霊具もあるから、念の為今から準備しとこう、巻き込まれたら長い旅になりかねん。

 

 大丈夫、杞憂で終わればそれはそれでよし!

 そうさ、きっと大丈夫さ! フラグなんて無いさ♪ フラグなんて嘘さ♪

 

 うちは、フラグになんか負けへん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フラグには勝てへんかったよ……。

 

 

 

 

 

 

 サマーキャンプの班分けは見事に八神先輩たちと一緒の班に。

 

 

 あの神様、うちをどうしたかったんやろうか?

 混ざるにしても混ぜすぎやで!? リリなのが完全に霞むぞこれ!

 そんな事を行きのバスでふと考えてしまっていた。

 

 

 

 

「雪!?」

 器用に木の枝の上で昼寝していた八神先輩が気づいた。

 

 それを契機にみんなも天候の以上に気づきはじめた。

 うん、ちょっとの間班行動からはずれればいいって思うやないかな?

 

「だんだん吹雪いてきたわ! 神奈ちゃん、こっちよ」

「た、武之内先輩、うちは平気やって~」

 

 武之内空先輩に世話焼かれて逃げれんかったわ。

 

 そしてそのまま、なし崩し的に近くにあった祠の中へと誘導されてしまった。

 

 

「外はもう完全に吹雪ね」

「夏の山で吹雪ってどないなってんやろうね?」

 

 私と武之内先輩が祠に入ったときには、他の人達全員が避難していた。

 

「よし、皆いるね? 吹雪が止むまでここで待機する」

 

 班のリーダーでもある城戸先輩が方針を伝えて、吹雪がやんだら大人のいるところへ行くという判断。

 携帯を持っていた泉先輩は、連絡を取ろうとするけど電波がこの吹雪のせいで届かず、連絡不能。

 うちも携帯は持っていたからかけてみたんやけどつながらへんかったわ。

 

「ほな、ただじっとしてるってのも暇やし、これでもやる?」

 取り出したのは、定番のUNO。

 

 

 

 そして、しばらくして吹雪が止んだところで外に出ることに。

 

「吹雪が止んだら、電波届くと思ったのにな」

「うちのもつながらへんな」

「光子郎! 神奈! はやくこいよ!」

 

 八神先輩に呼ばれ、外に出てみると、日本ではまずお目にかかれない光景が視界に写った。

 

「きれい、ロマンチック」

「あれは!?」

 皆が息を呑んだ光景、それは光のカーテン。

 

「オーロラよ」

「始めてみたぜ!」

「すっごいよね!!」

 

 タケルくんのはしゃぎっぷりもよく分かる。

 うちも思わずリュックからインスタントカメラとビデオカメラを取り出しんやから。

 

 せやけど、この後起こることを考えたら冷静になってしもうたんよね。

 

「早く、大人たちのいるキャンプ場の方へ戻らなきゃ」

「そうだな、風邪引いたらつまんないしな」

「せやね、もどらへんといかんな」

 

 そして、急いでキャンプ場の方へ向かおうとすると。

 

「おい、何だあれ!?」

 

 空間がゆらぎ、そこから何かが飛来してくる。

 構わず逃げ出そうとした所で八神先輩が

 

「あぶねぇ神奈!」

 

 腕を引かれて、守るように抱き込まれました。

 

 その直後、激しい爆音と共に飛来物が着弾する。

 

「みんな! 無事!?」

 

 武之内先輩が皆の無事を確認した直後、落下してきた物体が輝き出し、空中に浮かび上がる。

 みなさん、思わず手にとってますけど、条件反射なんですかね?

 

 とりあえず、急いでその場から離れようとしたんですけが……。

 

「なに? これ」

「ポケベルでも、携帯でもないし……」

 

 泉先輩達が飛来物、デジヴァイスに意識を向けてるうちに、階段のところまで避難できたんやけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 駄目でしたw。

 

 

 

 

 

 

 

 突然、近くの水源が盛り上がり、空間が裂け、そこに引き込まれていく。

 

 なんかとか逃げようとしたものの……。

 

「なんやこれ!? 見えない壁で通れへん!?」

 え? 空間ごと隔離された!? 八神先輩達が吸い込まれていく中、どうにか踏みとどまろうと空をとぼうとしてもドンドン吸い込まれていく。

 

「あかん! 引きずり込まれる!? 吸引力の変わらない掃除機はまだはやいんやで!?」

 

 打神鞭状態で出して地面に突き立てようとしたんやけど、下が雪で埋もれているせいで深く刺さらず、最後の抵抗虚しく引きずり込まれていったのやった。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、引きずり込まれた先に見えたのは……

 

 

 

 

 

 

 巨大化したデビモンでした。

 

 

 

 

 

「ほえええええええええええええ」

 

 

 島の上空に放り出されたうちはニュートンの法則に従って、落ちていく。

 デビモンの頭上めがけて。

 

 

 

「おい! 誰か落ちてくるぞ!」

「あれは……神奈ちゃん!?」

 

 

 

 下の方では八神先輩達がこっちに気がついたようで。

 それと同時にデビモンもこちらを補足、手を伸ばしてきた。

 

 どうやら場面はパタモンがエンジェモンに進化してオーガモンを吹っ飛ばし、すべての力を注ぎ込んで倒そうとしている所のようやった。

 まさか、あの数秒の抵抗でここまで時差がでるとは……。

 

 

 そして状況を把握したところでデビモンが私に手を伸ばしてきた……。

 

 え? これって、私を人質にしようとしてへん?

 

 

 

 

 気がつけば自然と人差し指に意識を集中して、霊力を込めていた。

 

「とりあえず喰らいや! 全力全壊! レェィ……ガァァァァァン!」

 

 今持てる全力を込めた霊丸は、デビモンの腕を貫き、胸のあたりで爆散した。

 

「ば、バカな……人間の子供ごときにこの私が……」

 

「これならば……ヘブンズ・ナックル!」

 

 エンジェモンの一撃でデータの粒子へと変えるデビモン、だが最後に放ったその一言が、新たな旅路へと子どもたちを導くのやった。

 

 

 ちなみに落下しとるうちをキャッチしたのは、レオモンさんやったわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 デビモン討伐直後、ゲンナイと名乗る老人から八神先輩たちのもとに通信が届きサーバー大陸や紋章、タグに関する情報をもらい、とりあえずどうするかは山を降りてから決めることになったんやけど……。

 

 はい、この後の事情説明が大変だったのは言うまでもない。

 八神先輩達は、浦飯さん達と違って霊力とか関わってない人達なんだから。

 

 とはいえ、説明しないわけにも行かず霊力に関することは説明することに……。

 

 その後に、八神先輩達からもここまでの経緯を山を降りながら教えてもらったんやけど、生で聞くとやっぱりアニメで見るよりも大変だったのが良くわかったわ。

 

 その後一晩休息してから話し合い、サーバー大陸へ旅立つ方向になったんやけど、正史ならここにいる子供は7人、でもこの世界ではうちがおる。

 そう、パートナーもデジヴァイスもない、デジタルワールドからすれば多少戦闘力のある程度の子供や。

 

 うん、多少のはず……。

 成熟期ぐらいやったら勝てる程度のはず、どこぞの兄貴みたいに素手で究極体を殴り倒したりはまだできへんよ。

 実際に完全体と戦ったわけやないからわからんけど。

 

 浦飯さん達は勝てるんやろうけどな~。

 

 

 

 

 

 日記のページは続き、デジタルワールド事件について書かれている……。

 

 

 一部抜粋するなら、一部の死亡フラグが折れたこと、ヴァンデモン事件で桑原先輩が関わったり、コエンマ様からデジタルワールドに関する報告書を求められたことだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日記を振り返って見ると、ここまで来るのに色々有り過ぎや!

 

 自室で今までを振り返り、思わず叫びそうになった。

 

 

 デジモン事件から数日後、建物自体に住むのが難しくなった関係で海鳴市に引っ越す事になった。

 おのれヴァンデモン、あの戦いの余波で建物に罅やら何やらと入ったせいで夏の終わりに引っ越す予定が急遽引っ越すことになったんや!

 ああ、夏のコミケが……、あの事件の後でも開催される予定のコミケにも驚きやけどな。

 

 というかお父さん、引っ越し先のチョイスが八神家のお向かいさんとかどんなやねん!

 流石にフラグ立てすぎやで!

 お父さんがフラグメイカー過ぎて困るでさすがに!

 

 

 

 

 

 ほんま……こんなん困るで……。

 

 

 

 

 

 引っ越しの準備を終えた後にお父さんが倒れた。

 

 

 

 

 

 慌てて病院に連絡しようとしたら意識がまだあったお父さんに止められ「幻海師範の所へ……」

 そう言われて、意識を手放したお父さんを幻海師範の所へ慌てて連れて行くことに。

 

 

 

「……寿命じゃな、むしろよくここまで持ったもんだよ」

 

 

 

 そこで聞かされたのはお父さんの出生と、寿命が残されていないということだった。

 

 

 お父さんの体はある種のクローン体で、その技術も完成されたものではなかったみたいや。

 体の中もいじられた事により、大幅に寿命が縮められ、今に至ってる。

 どうもお父さんは、ポッドごと廃棄されてるところを幻海師範が拾ったのが始まりだったとか。

 

 幻海師範の伝で廃棄されたポッドの残留思念を読み取って調べた結果出てきたのは、研究室の光景と、ゼスト、魔力資質の遺伝に失敗、人造魔道士計画、管理局最高評議会という異界の情報。

 失敗した実験体の廃棄と、廃棄された後に偶然空いた時空の穴に落ちたということだけだった。

 

 

 

 人造魔道士ってむっちゃ管理局の闇やんけ!?

 ああいや、確かベルカ時代から行われてるけど禁忌とされてたんやったかな?

 けど思いっきり管理局最高評議会って事は三頭脳とかが関わっとるな。

 けどたぶんやけどスカリエッティはこれ関わっとらんのんちゃうかな?

 

 寿命的な意味やったらフェイトちゃんは、プレシアさんが技術的な意味では完成させとったみたいやからな……。

 

 

「し、師範」

「お父さん!」

 意識を取り戻したお父さんの手を握った。

 

「師範、私の体は後、どのぐらい持つでしょうか?」

 いやや、その先は……聞きとうない。

「早ければ今日明日にでも……」

 それを聞いた私は泣き出してしまった。

 

「いやや、お父さん! もっと生きて! うちを置いてかんで! うちを一人にせんといてぇな!」

「神奈」

「うちはまだなんも、なんも親孝行できてへんのんや!」

「……」

()()()()()()()()()()()()()

 

 私は無意識のうちにそう零してしまった。

 前世のうちは病弱で、まともに学校に行けていたかと言われたら、行けてへんかったと答えるしか無いねん。

 小学校の最初のうちはまだ行けとったけど、学年が上がるに連れてだんだん体調を崩すようになって、最終的にはなかなか部屋から出られんようになったんよね。

 親孝行ができたかと言われれば、むしろ邪魔でしかなかったんやないかな……。

 

 そこそこ裕福な家やったから経済的には問題なかったとはいえ、ただそこで横になるしかないうちは、前世の良心はどう思っとったんやろうな。

 うちができたのは、体が辛いときも、苦しいときも、誰かがいるときだけは笑っている、笑顔でいるぐらいしかできへんかった。

 

 それも最後には……。

 

 せやから転生できたこの世では、親孝行するって決めてたのに……。

 

「なんで、なんでなん、うち、まだ親孝行できてへんのに」

 

「今度こそ、か」

 

 お父さんがそう聞き返してきた時に、自分がうっかり口に出してしまった事実に気づいた。

 それから思わずお父さんの顔を見てしまう。

 思わず体が震えてしまった……、嫌われてしまうか、それとも自分の娘じゃないと言われるのか、拒絶されるんじゃないかと恐怖してしまった。

 

 

 お父さんはしばらく私の顔を真剣に見つめながら。

 

 

 

 

 

 

 

「知っていた」

 

 

 

 

 

 

 一瞬、お父さんが何を言ってるのわからなかった。

 

「母さんが神奈を身ごもってしばらくした後に、幻海師範に報告を兼ねて見てもらっていたからな……。最初は驚いていたが、母さんはそれでも『私の子供であることに変わりはないでしょ? なら、精いっぱい愛してあげないとね』と言っていた」

 お父さんは懐かしむように言った。

 

「最初に見たときは、お腹の中の赤ん坊の魂が明らかに普通とは異なっておったから、妖魔の類がついたのかとも思ったが、妖気のたぐいでも邪悪な気配もなし、かと言って普通の魂とは明らかに魂の質がおかしかったからな。

 おそらく前世の記憶とも言える物を持っているのではないかと当たりをつけておった」

 

「……ほなら、お父さんは……最初っから」

「前世の記憶があろうとなかろうと、お前は私と香里の子供だ」

 そう言ってお父さんは私を精いっぱい抱きしめてくれた。

 

 それから私はいっぱい話した。

 身近なことはもちろん、病弱で親に何一つ返せなかった、両親の前でただ笑顔でいることしかできなかった人生を。

 そして生まれてからのこれまでの、一種の大冒険を。

 

 途中から幻海師範の方をじーっと見つめるお父さんの姿もあったけど、幻海師範はぷいっと視線をそらしていた。

 

「仕方ないだろう? 神奈のことを考えれば霊界に貸しの一つや二つ作って置かなければ危険じゃったからな。

 私等と違って修行の末に仙骨を持ってしまったのではなく、生まれながらにしての仙人、更には世界から失われたとされる宝貝まで持っておるんじゃ、いつまで隠し通せるかわからんからん、自己防衛の一つもできんのではこの先生きていくにはあまりにも危険すぎる! お前さんもそう思っておったから武術の指導をしとったんじゃないか?」

 

 お父さんは幻海師範にそう言われ、図星を突かれたように黙ってしまった。

 

「お父さん、前にも言うたけど、幻海師範がきっかけでちゃんと友だちができたで、確かに年は離れとるから、お父さんの望んだ同年代や無いけど、それでも命も背中も預けられる大事な友だちや、それに同年代の友達やったらはやてだっておる、海鳴市に引っ越したらお向かいさんやで、お引越ししたら一緒に挨拶に行こうな」

 

「そうか、そういう友だちができていたんだな……安心した」

 

 あかん!? そのセリフはあかんて!

 その瞬間、おとんの生命力が一気に衰えていくのを感じたうちは、慌ててお父さんの体にさらに霊力を、生命力を流し込む。

 幻海師範も力を注いでいるが、その反応は芳しくない。

 

「待って! 待ってやお父さん、うちまだ親孝行しとらんで!」

 泣きながらお父さんにしがみつき、命をつなぎとめるように霊力を流し続ける。

 それと並行してなにか打つ手はないか思考する。

(使い魔を作る魔法……だめや、あれは擬似的な魂を与える魔法やから記憶はいくらか残ってもお父さんとは違う存在になってしまう、他になにか手は……せや! あの時分けてもろうた時爛れの花の果肉! あれを使えばもしかしたら若返りの薬も……ってそんな時間無い!)

 

 なにか手はないか、頭の中はお父さんを助ける事でいっぱいになっていたそんなうちの頭に手を置き、あやすように言った。

 

「いいや、いっぱい親孝行してくれたさ」

「えっ?」

 

 そう言われた瞬間に頭の中で考えてた事が全て吹っ飛び、止まってしまう。

 

「お父さんと呼んでくれたこと、仕事に出かける時に笑顔で行ってらっしゃいって見送ってくれたこと、家に帰ってきた時におかえりなさいって嬉しそうに言ってくれたこと、小さいのにがんばってご飯を作って待っていてくれたこと、今でもあのときの味は忘れられないな……、味付けが香里そっくりだった、神奈は間違いなく香里の娘だ。疲れていた時に肩をたたいてくれたりもしたね」

 

 そこからお父さんは一緒にいて嬉しかったことを話し始めた。

 

「そういえば幻海師範がカメラで撮ってくれていた中に歌を歌ってるのがあったね、最後にまた、神奈の歌が聞きたい……な」

 

「う、歌う、歌うから、お願いやからこれが最後なんて言わんで、うちともっと生きて! 歌やったらもっとうたったるから!」

 

 歌は前世で辛い時、悲しい時、苦しい時には特に口遊んだりした。

 声をだすのは年齢とともに出せなくなったけど、口ずさんだり、頭の中で歌って気を紛らわせてた。

 転生してからは自由に声を出せた、そのせいか私はよくいろいろな歌を口遊んだ。

 その中で真っ先に出てきたのは、旋律が気に入っていた7つの譜歌をつなげた歌。

 

「……♪~♪♪」

 

 そして、歌い終わった所でお父さんが口を開いた。

 

「あっちで香里に自慢できるな、俺達の娘はアイドルにだってなれる自慢の娘だと……そして最後に、私達夫婦の娘として生まれてくれてありがとう……神奈は立派な親孝行娘だ」

 

「お父さん……」

 

 そしてお父さんは精いっぱいの笑顔を向けながら

 

「神奈、いままで、ありがとう、愛してる、大好き……だよ、かん……な」

 

 そういった瞬間、お父さんの体がずっしりと重くのしかかった。

 

「うちも……、うちも大好きや、愛しとるで、お父さん……」

 

「そし……て、師範、いや……、母さん、今までありがとう……ございました」

 

「ああ、後のことは任せておけ、バカ息子め……」

 

「父さんにも、バカ息子で、すみませんでした……っと」

 

「ここにいる、全く不器用なところは一体誰に似たんだか……」

 

「「「…………」」」

 

 

 こうして、お父さんの魂を見送った。

 

 

 その後うちは泣いた、遺体となったお父さんを抱きしめながら……。

 

 その後気がついたらもうお昼を回ってたんや。

 泣きつかれてそのまま眠ってしまったって幻海師範は言うてた。

 

 お父さんは、とても安らかで、幸せそうな顔をして眠りについていた。

 

 

 

 そこからは先は慌ただしくも時が過ぎていきました。

 

 葬式の手配なんかは幻海師範と戸愚呂さんが手配してくれたのでそこから先はあっという間だった気がします。

 身内だけのひっそりとした葬式でした、だったんです!

 飛影さんと浦飯さんは流石に無理でしたが、桑原さんや蔵馬さん、螢子さんや静流お姉さんと+1……。

 ここまではひっそりとできる人たちだったんです……。

 蔵馬さんに修行で預けられた酎さん達まで加わると、ひっそりとしたとは言えませんでしたが、この方がいいのかもしれませんね。

 

 +1に関してはもう原作なんてとうの昔にぶん投げられとる気もするけど、まぁ、ええか、幸せそうやし。

 

 

 これがうちの人生のプロローグ。

 

 

 

「こんにちわ~、向かい側に引っ越してきたものです」

 

 

 

 リリカルなのは 戦女神奈の転生物語、はじまります。

 

 

 

 

 

 葬式後の後日談

 

 

 

 

「なあ幻海おばあちゃん、どうしてお父さんは寿命のことをうちに話さなかったんやろうか? 話してくれてたらうちは……」

 延命させるための術の開発もそうやけど、それこそ願いを叶えるという意味でのチャンスもあった、月光鏡の時、暗黒武術会優勝者の権利しかり……そういえば、優勝者の権利があの爆発のドサクサで流れとったな。

 こんどコエンマ様にあったら聞いとかないと。

 

「いつの頃だったかあいつは言っとった、作られた命である自分だからこそ、残された時間を懸命に生きたいとな、神奈に伝えれば無茶をしかねないと口止めされとった」

 

「そっか……、うちも隠し事してたんやからお互い様やったんやね」

 うちがそうつぶやくと、茶をすすりながらこう告げた。

「あやつの体は神奈が生まれた頃にはすでに限界に近かったんじゃ、それを自身の霊力のほとんど回して命をつなぎとめておった。

 ここまで命をつないでおったのは紛れもなく強力な意思の力じゃ、娘をそれほどまでに愛しておったということじゃよ」

「愛って、強いんやね」

「……そうじゃな」

 縁側で茶をすする中、一陣の風が頬をなでた気がした。

 




 前にとある文面を見たせいで、これができました。
 だれだ! 太極図は魔法少女のステッキってpi◯iv大百科に書いた人!


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1話

ちょこちょこ3000字ぐらいで書いていこうかと思います、不定期の気まぐれ更新ですがしばらくはコンスタントにかければいいな……。


 side:はやて

 

 

 8月も半ばに入ったこの頃、外からは楽しげな声が聞こえてきよる。

 現在世間一般では子供は夏休み、アグレッシブ満載な子たちは元気いっぱいに遊んでいる。

 

 体が重い、図書館で借りてきた本の続きが気になってかなり夜更かししたせいでもう10時をすぎてる。

 

「朝ごはん作らんと……流石に夜更かししすぎやな、石田先生にまた怒られかねへんわ」

 

 石田先生いうのは私の主治医の先生の人やね。

 美人の女医で親身になって私の体を見て、私の心配してくれる優しい先生。

 何の病気かって?

 

 うちの足、動かんのや。

 

 外ではしゃぐ子どもたちの声を尻目につい愚痴ってしまう。

 

「この足が動けば、私もあん中の一人に入れたんかな……」

 

 うちが愚痴をこぼすなんてほんま珍しいんやで、全ては何もかんもこの熱すぎる太陽があかんのや!

 窓から差し込む燦々と照りつける太陽を憎らしく思いながら、腹いせに後でクーラーガンガンに効かせて思いっきり涼んだるんや。

 アイスも忘れたらあかんで!

 

 そしてベッドの横に備え付けた車椅子に乗って食堂へ向かった。

 

 

 テレビをつけるとどこも似たような話題ばっかりやな。

 焼いたトーストにマーガリン……と見せかけてバニラアイスを塗りたくる贅沢仕様!

 さらにコーンフロストを少量散らせば食感もよしや!

 暑い夏にはたまにやりたくなるんよ、これ。

 一緒に食べる人でもおればもうちょいやる気もでるんかな?

 

 そして、そんな朝食を食べ終え、一息ついた所で呼び鈴がなった。

 なんやろ? 石田先生以外に尋ねる人っておらんのやけどな、なんや知らんけど他所様ではよく聞く訪問販売とかはなぜかうちには全くけ~へんし……。

 

「すいませ~ん、向かいに引っ越してきたものですけど」

 

 

「は~い! ちょっとまって~な~」

 

 

 まさかいつもの退屈な日々が、今日このときから変わるとはうちは思いもしとらんかったわ。

 

 sideOUT

 

 

 

 

 

 side神奈

 

 あれからしばらくして、転入試験や手続きやらなんやらで大変やったわ。

 まさかお父さん、うちの転校先を私立聖祥大学付属小学校にするとは……。

 またフラグ立ててへんよな……。

 

 編入試験はまあ、受かりましたけどね……。

 多分こっちに引っ越すのはだいぶ前から決めてたんやろうな。

 でなきゃ幻海師範預けられてる時に、合間合間に勉強させてへんやろうからな……。

 あの時まだ小学校にも入ってなかったんやで!

 

 もらったチートの関係で頭の出来も結構、いやチートなんやろうな。

 勉強すればするだけ頭がスポンジのように吸収していく感じがあるから、ちゃんと勉強していれば学校は問題ないやろうな。

 

 けど、うちが作りたいもののためにはまだまだみっちり勉強せなあかんわ。

 まあそれにもましてあの一軒以降、さらに短期集中やけど修行もした。

 

 まあ、チートの恩恵もあって、修行は大分マシになったんやけどね。

 影分身って便利やわ~……一体しか出せへんけどね。

 ナルトみたく、自力じゃ何十人も出せへんのよ。

 

 ああ、なんで影分身が使えるのかって?

 説明書を読んだのよ。

 

 というのは冗談として、特典としてもらった中に、ネギま!の綾瀬夕映のアーティファクト、世界図絵(オルビス・センスアリウム・ピクトゥス)力の王笏(スケプトルム・ウィルトゥアーレ)を混ぜた物をもらったんや、その中に影分身なんかの術とチャクラ関係も詰めてもらったんやけど、印を結ぶ練習がきつかったわ……なれへんとあんな風に印って結べへんよ。

 まだある程度ゆっくりやらんと印が結べへん。

 

 ただ、混ぜたことによる利点もあれば弊害もあるんよね……、うん、上位電子精霊がいません!

 

 他にも実は太極図もインテリジェントデバイスにしようとしたんやけど、そこは却下されたんよね。

 なんでも神様、その手の分野がめっちゃ苦手とのこと。

 なので電子精霊もついてきませんでした。

 

 前に作ったときには、愉快犯型高性能魔術礼装のような人格だったり、その失敗を生かして作ったら今度は「なんでもできる、ラスボス系後輩なのです♡」な設定になったりと、あまりうまく行かなかったとのこと。

 いや、そんなインテリジェントデバイスもろうてもうちも困るで!

 

 なお、前者をもらった人は胃痛とストレスに苦しみ、後者の方は、口を濁しとった。

 

 インテリジェントデバイスにしたければ融合させるか、インテリジェントデバイスの元となるデータをインストールするか、自分で作るしかないようや。

 電子精霊はデジタルワールドに行ったおかげでなんとかなりそうだけど、インテリジェントデバイスは……どうするべきやろうか?

 レイジングハートさん、あるいはバルディッシュさん……は流石にあかんな。

 

 まあ、なるようにしかならんな!

 しかし、デバイスはちょっと欲しいな……。

 

 一応魔法の発動はできるけど、現在そっちは細かなコントロールに難あり。

 初級系統の魔法の射手なんかは打てるけど、中位、上位になると細かなコントロールができず、発動だけできる感じやね。

 どこぞのけんのせかい2やったら魔法制御無しで味方のいる乱戦エリアに範囲魔法を打つような所業や。

 

 っと、話がそれたな。

 後は幻海師範の書斎に陽神の術の資料を見つけた結果、組み合わさった術が完成したんよ。

 

 ちなみに世界図絵の方にはもう少し機能があるんよね。

 それは術、技の情報解析。

 写輪眼の様にすぐさまコピーできるわけやないけど、世界図絵の中で解析が終わればうちも使えるようになるはず……。

 単純に写輪眼は却下されたという話でもあるけど。

 

 まあ、そんな話をよそに、私は近所への挨拶を済ませ、最後のお家へ足を向けていた。

 

 呼び鈴を鳴らす。

 

「すいませ~ん、向かいに引っ越してきたものですけど」

 

「は~い! ちょっとまって~な~」

 

 返事が帰ってきたのではやては在宅のようだ。

 帽子を被って顔が見えないようにしてっと……。

 

 

 そして、扉が開きはやても挨拶を返してきた。

 

「こんにちわ、お向かいさんから挨拶なんてこれはご丁寧にありがとな」

 

「こんにちわです、これ引っ越し蕎麦ですけどよかったらどうぞ」

 

 そして引っ越し蕎麦を入れた箱を渡す。

 

「引っ越し蕎麦とは、うち初めてもろうたわ」

 

 そしてうちが手を離した瞬間、箱の蓋が飛びだした!

 

「うわぁぁぁぁあ、なんやこれ!?」

 

「堪忍なはやて、リアルでは久しぶりだけどびっくりした?」

 

 箱から飛び出したのはいたずら系でよく使われるバネの飛び出しおもちゃだ。

 

 はやてが箱をわたわたさせた所で帽子を脱いでいたずら成功とばかりに舌をちょこっと出してみる。

 

「え、か、神奈!? 向かいに引っ越してきたのって神奈ちゃんやったん!? 突然過ぎてびっくりするわほんま!」 

 

「ふふふ、ドッキリ大成功やで! これからお隣さんやからよろしゅうな♪」

 

「本当にびっくりしたわ……、とりあえず立ち話も何やから中に入ってな~」

 

「は~い♪」

 

 こうして、うちの海鳴生活がはじまったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




神奈のもらったチートに関してですが、だいたい5つほど。

強化太極図、アーティファクトこれで2つ。
そしてとあるものの設計図と完成品(使用回数制限有り)理解して作り使いこなせるようになるための頭。

物創りの才。

そして最後の一個は割とささやかだけど世界によっては大きななにかです。
まあわかりやすいものだとは思いますけど。


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2話

結構短めです、もうしわけない。


「ズズズ……」

「う~ん、茹で加減がええ感じやね」

 

 あの後しばらくお互いの近況報告や雑談してたらあっという間にお昼を回っていた。

 

「夏は素麺か蕎麦やね、冷たくてええ感じや」

「しかし、持ってきた引っ越し蕎麦を一緒に食べるってのもなかなかないんちゃう?」

「せやな~、お隣さんが友人ってのもなかなかないやろな」

 

 そのまま冷えた蕎麦を食べていると、テレビの方からはお台場の惨状が映し出された。

 

「しっかし東京の方はエライことになっとるな~、神奈ちゃんは確かあっちにおったんやろ?」

「せやな、おかげで住んでたマンションはだめになってもうたから、本当は8月の終わりに引っ越す予定やったのを繰り上げて大急ぎで引っ越してきたんやで」

 

 テレビではあちこちの被害の様子が映し出されている。

 

「実際どんな感じやったん? 現地におったんやろ?」

「う~ん、どう説明したらいいか……」

 

 ごまかそうにも、当事全世界の空にデジタルワールドは世界に亀裂を入れるかのように映っていたため世界中の人に見られている。

 テレビでもその時の映像が映し出されている。

 ヴァンデモンとの戦いの部分は放送されてなくてよかったわ……。

 さすがに全部話すには長すぎるので、色々ぼかしながら説明した。

 ビッグサイトに気がついたら寝てたり、起きたらおきたで外が凄いことになってたりと。

 事件の中心に関わっているとは思われないように説明した。

 

「っで、目が覚めたら怪獣大決戦やったね」

「まるで映画の中から飛び出してきた感じやね、その戦いの跡があれなんやね」

「それにしても、この熱さの中クーラーもつけられないから近所のおばちゃん達は大変そうやったわ」

「この熱さの中でクーラーなしは叶わんでほんま、最近は少しずつ落ち着いてきてるってニュースで言っとったけど」

「みんなたらい引っ張り出して、水張った中に足つけてたわ……」

 

 太一先輩たち、大丈夫かな?

 

 

 

 その頃、選ばれし子どもたち一同全員がくしゃみをしたとかしないとか。

 

 

 

「なあ神奈ちゃん、神奈ちゃんのお父さんの事やけど、この度はお悔やみ申し上げますって言えばええんかな……」

「おおきにはやて、家にとっては突然のやったけど、ちゃんとお別れはできたから……」

 

 はやてには、お父さんのことは話してあった。

 いつの間にか携帯のバッテリーが切れて連絡がつかなかった間にかなり心配させてしまったんや。

 お父さんの葬式の前、ふと携帯のこと思い出してみると、電源が切れてて、充電はじめた直後にはやてから電話がかかってきたんや。

 お父さんの死から数日、全く連絡取れない上にあのニュースでずっと心配してくれてたんや。

 

 うちもその時はまだ精神が不安定やったからつい話してしまったのだ。

 けど、はやてが話し相手になってくれたおかげでだいぶ安定するようになったのは本当に感謝や。

 

 

 その日の夜は、はやてからの提案で一泊することに。

 荷解きなんかはすませてから、その日の夜ははやてのお家でお泊まりに。

 

「神奈ちゃん、おやすみな」

「おやすみ、はやて」

 

 

 その日を境に、割と頻繁にはやての家にお泊まりに行くことになったのだが、うちは忘れていた。

 はやての手癖の悪さを、それを思い出した時にはもう手遅れやった。

 

 

 それははやてと親睦を深め、お泊りした翌日の朝のことだった。

 

 

 

「ふふ、これは将来が楽しみやな(むに、もにゅ)」

 

 

 

 おっぱい魔人であったということに!

 

 

 

「ひにゃあぁぁぁあ//////」

 

 

 朝一のひどい目覚めだった。

 

 

「もう、お嫁に行けへん……ぐすん」

 

 

 

 つづく?




 次回、めっさ時間が飛びます。
 ご了承ください。

 原作突入になりますが、その途中途中の日常はちょこちょこ挟むと思われます。

 ちなみに神奈の後見人は幻海夫妻がついています。
 なのでちょこちょこ神奈の所へ様子見に来ている設定です。



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3話

 あれから時間は流れて翌年4月になって3年生になりました。

 

 編入した当初は、お台場からこっちに転校してくる子達がチラホラいたおかげで、あまり目立たなかったというのは有りましたが、それでも知り合いが一人もいないというのはなかなかなれまへんでした。

 

 まあ、なるべく目立たないように学校ではえせ関西弁は封印。

 標準語で話すように気をつけていた。

 

 編入した当初は高町さんとは違うクラスだった事に安堵していた。

 ぶっちゃけ高町士郎さんに知られるとなにかフラグ踏みそうな気がするんよね?

 

 何度かはやての要望で喫茶翠屋に足を運んだこともあるけど、一応見た目を変えてたから大丈夫だと信じたい。

 士郎さんになんどか首を傾げられたけど、直接は会ってないから今のところはバレてないと思う。

 

 

 あ、桃子さんの作ったシュークリームは絶品でした。

 

 

 後はまあ、気づいてしまったから首突っ込んだ事件もありました。

 ある日の帰り道、うちの霊感に引っかかり、向かった先で月村さんとバニングスさんがさらわれる瞬間を見てしまいまして……。

 

 陽神の術と影分身と魂を分割する能力をかけ合わせて作った、あんちょくやけど陽分身の術をつこうて助けに行ったんよね。

 一応性別男にして、子供太公望っぽい見た目で向かわせました。

 本体は霊感に引っかかった段階で分身に任せて本体は帰宅。

 

 陽分身を解除したときには疲労がどっとのしかかりました。

 

 どうも犯人の目当ては月村さんだったようで、夜の一族の末裔を狙っての犯行だったようです。

 BBCも武術祭以降無くなったって聞いとったけど、その手の人はまだまだいるようで……。

 

 まあそんな誘拐犯なんで遠慮なくボコれたんですけどね。

 

「どうやら間に合ったようだの」

 

 犯人が一時の隠れ家に選んだのは無人の廃ビルの奥。

 3人いた犯人の二人がバニングスさんを達を襲おうとしていたので、殺さない程度の威力に抑えた霊丸で一人を吹き飛ばし、残り二人の犯人も懐に飛び込み鳩尾に一撃いれて、二人を襲おうとしていた最後の一人は銃を打とうとするけど、殴ったやつをそのまま犯人側に殴り飛ばして防ぐ。

 そしてそのまま最後の一人の背後に回り込み股間を蹴り上げた。

 

「!?qあwせdrftgyふじこlp……」

 

 最後の一人は泡を吹いて気絶していた……、紳士諸君、YESロリータNOタッチの精神やで!

 

「待っておれ、いまはず「そこまでだ!」

 

 そのタイミングで小太刀二刀流のお兄さんが現れた。

 

 

 その後、問答無用で襲ってくる高町恭也さんの攻撃をしのぎながら逃走、突然の状況に思考が止まっていた月村さん達が正気に戻って止めてくれたので追ってこなかったけど、本当に高町家っておっそろしいわ!

 生身で行ってたらどうなっていたか……。

 

 まあそんな事件もありながら迎えた4月、クラス替えの時期になりました。

 三年生のクラス分けで、ちょっと絶望顔になりました。

 閻魔はいても神は……いましたね、うん。

 

 高町さんたちと同じクラスになってしもうたわ……。

 

 当然自己紹介はあるわけで……。

 

 

「あの戦女さん、前に私とあったことあるよね?」

 

 休憩時間に入った後、すぐに話しかけられたので顔を背ける。

 

 まだ一年経って無いけど、あったのはほんのちょっとの時間だったから忘れててくれないかな~ほんの少しだけ期待しとったけど、やっぱ無理か。

 

「まあ、ありますね……お久しぶりです、高町さん」

 

 もうど~にでもな~れ!(AA略)

 

 

 

 

 

 

 

「ふ~ん、あんたがなのはの言ってたあの」

「なのはちゃんがお世話になった人って聞いたね」

「そうなの! 神奈ちゃんは私を助けてくれたヒーローなの!」

 

 お昼休憩、なぜかテンションが上ってるなのはさんに連れて来られたのは学校の屋上。

 屋上って割と立入禁止とかされてる場所多いけど、ここはそうでもないんやね。

 そんな中でお昼を食べることになったのであるが……。

 

「いや、私は高町さんの背中を軽く押しただけだよ?ちょっとした手品見せて気を引いた後にお悩み聞いて素直に自分の気持をお母さんに伝えたほうがいいよって、一般論を述べただけで……」

 

 それを聞いた月村&バニングスさんは

 

「あ~、あの頃のなのはって精神的にかなり追い詰められてたわよね」

「うん、あの頃のなのはちゃんって表情は笑ってるけど生気が感じられないぐらいにひどかったよね」

「そうそう、なのはって友達の私達も頼ってくれなかったのよね」

「うん、あの時は大丈夫の一点張りで、もう少し私達を頼ってほしかった……、でもなのはちゃんが元気になってくれた時は本当に嬉しかったな」

「すずかあの時泣いてたもんね」

「そういうアリサちゃんだって涙目になりながらなのはちゃんを抱きしめてたよね」

「ちょっとすずか! そういうはずかしい事は言わないでよ//////」

「にゃはは、あの時はごめんね」

「でもまあ、そんな状況を変えてくれた戦女さんには、私達も感謝してるんだよ」

「大事な友だちを助けてくれて感謝してるわ」

 

 高町さんたちはそう言ってくれてるけど、複雑な心境やで。

 

「感謝の気持ちは受け取っておきます」

 

 

 こうして、学校での高町さんたちとのファーストコンタクトが終わりを告げたのだった。

 

 

「あれ? そういえば神奈ちゃんって最初にあった時と口調が違わない?」

「流石にこういう学校であの口調でしゃべるのはまだちょっと……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              予告

 

「誰か、僕の声を聞いて……、力を貸して……」 ──小さき獣の発掘者

 

 

「不屈の心はこの胸に!」 ──不屈の心を持つ少女

 

 

「ジュエルシードを、渡してください!」 ──母の愛を求める雷光の少女

 

 

「私は取り戻す! 私とアリシアの幸福を!」 ──失いし愛子を再びこの手に抱こうとする母

 

 

「フェイトを、誰でもない……誰の代わりでもないフェイトを、助けておくれよ……」──愛を求める少女の唯一の守護獣

 

 

「やめて! もうやめて……ママ!」 ──聞こえぬ声でたった一人の妹の救いを求めしもの

 

 

「どんな魔法を使っても……過去を取り戻すことなんか、できやしない!」 ──悲しみを知る黒の執務官

 

 

「失われた時間を、過去を取り戻す事はできひんかもしれん、せやけどまだ……未来を作り出すことはできるはずや!」 ──導師の力を秘めし少女

 

 

 

 リリカルなのは 戦女神奈の転生物語 無印編 始まります。

 

 

 

 

 

 なお、予告の内容は変更される場合があります、ご了承ください。

 

 

 

 

 

 

 



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4話

やっぱりパワーワードすぎると思うんだ、チェイテピラミッド姫路城。


「こちら中継です、現在海鳴市槙原動物病院前の現場からお送りいたします」

 

 はやてと朝食を取りながら朝のニュースから流れてきたのは、砕かれた壁、凸凹だらけになった道路、なぎ倒された電柱、そして倒れた電柱が病院に直撃している映像だった。

 

「うわっ!? 一体何があったんやろか? 車が事故起こしたなんてレベルやないで?」

「これは被害総額がすごそうだね……、電柱に電線、家屋の損壊と……」

 

 味噌汁すすりながらはやてと朝食を食べるこの光景が、完全に日常になった。

 こうして朝食を一緒に取るようになってから、交互にご飯作るようになったんやけどね。

 たまにあっちの家で幻海師範も一緒に食べることも。

 なお、戦女家は全面バリアフリーで建築されている。

 なんでそうなったっけ? お父さんは自分が車椅子で生活する可能性を考慮してたみたいや。

 実際、いつ体がおかしくなるかわからない状態だったわけやし。

 

 一度幻海師範に見てもろうたけど、はやての足は幻海師範でも治せへんかった。

 いや、正確に言えば治すだけならできる、私も手段を選ばなければ無いわけやない。

 

 だけど、解こうとすればはやてが死にかねないという矛盾。

 

 原因ははやての部屋にあった闇の書、そこから伸びるラインがはやてのリンカーコアを侵食、その結果はやての足を麻痺させると言う結果を引き起こした。

 

 下手に壊そうとすればはやてを道連れ、かと言って解除しようとしても暴走を引き起こす。

 暴走した時ははやても巻き添えにされるから下手に手が出せないという状態。

 

 となると取るべき手段は……。

 

「神奈、そろそろいかんと学校遅刻するで」

「んっ、了解や」

 

 テレビが示す時間がいつもの学校への出発時間を示してた。

 

「今夜は何にするん?」

「今夜は丼ものやな、帰りに足りない食材かってくるけどなんか買ってきて欲しいもんあったら言ってな」

「了解や!」

 

 そしてカバンを背負って玄関へ向かう。

 

「んじゃ、行ってくるわ」

「き~つけてな~♪」

「行ってきま~す」

 

 そして印を組んでから

 

「陽分身の術」

 

 分身を出してから出発する。

 

「はやてのこと頼むで~」

「任せてな~本体」

 

 はやてには霊力や術に関しては教えてあったりする。

 

 頭のほんの隅っこに分身を学校に行かそうかと思ったけど、幻海師範に釘刺されとるからな。

 非常事態、あるいは緊急時以外に分身を学校にやったらお仕置きが待っているのである。

 

 

 

 

 

 

 そして、本体が家を出てからは分身ははやてと一緒に過ごしていたりする。

 

「さて、ほなら今日も朝から一本行きますか」

「ええで、お昼をどっちが作るか勝負!」

 

 基本的に病院がない時は、本を読むか一緒に勉強するか、掃除するか遊ぶかぐらいである。

 

 そして遊ぶ時はどっちがお昼作るかなどを賭けて勝負したりしてる。

 この間はSFC◯リカーの150CC3本勝負だったりしたけど、今回は……。

 

 

「ほなら私のターン、アンタップアップキープ特になにもないならこのままいくで」

「こっちは特に何もなしや」

「んじゃ、フェッチ出して即起動、土地持ってきて暗黒の儀式で黒3マナだすで!」

「あ~、A定食? 通したくないけど通るんよね」

「ほなら3マナでヴェリアナや、着地するんなら+1でお互い手札1枚ディスカードでエンドや」

「2マリ相手の初手に鬼か! Fow無いです」

「ハハハ、囲いからのHymnよりはましやろ?」

「どっちにしてもつらいわw」

 

 そのまま手札も盤面も食い尽くされてこの日は圧殺、お昼は神奈が作ることに。

 

 

 

 

 学校では学校で。

 

「いけすずか!」

「そーれ!」

 

 体育の授業で月村さんの弾丸ドッチボールが行われていた。

 そして、その弾丸で無残に散っていく男子たち。

 

「ぐへっ!」

「あべし!」

「なんだあれ! 女子の投げるたまじゃねぇ!」

「ドッジボールってこんな危険なものだったか!」

「ハァ、ハァ、どうかすずか様もっとおれに痛みを……」

 

 すずかの投げるボールで一人、また一人と倒れていく。

 そして中には立ち上がれずそのまま外野に運ばれていく人たちもいた。

 とりあえず最後の人は若くして、開けてはいけない扉を開いとるな。

 

 殺伐とした体育の授業が学校では繰り広げられていた。

 

 

 

 そして時刻は学校の終わった夕方、スーパーでの買い出しを終えた帰り道、突如として発生した魔力を感じて急いで路地裏へ。

 

 人の気配が無いことを確認して買い物やカバンは亜空間にしまい、認識阻害を貼って飛んでいく。

 今回は幻術でショタ太公望に姿を変えて現場に到着すると、女性一人が倒れており、その側には巨大化した魔獣といって差し支えない存在と、フェレットのような動物を連れた少女、というか高町さんが対峙しとった。

 

「なのは! レイジングハートの起動を!」

「ふぇっ!? 起動ってなんだっけ?」

 

 おいぃぃぃ!? 高町さんなにやっとんねん! 危険なことに首突っ込んでるって自覚あるんかなこれ?

 流石に不用心すぎるでほんま!

 

「我は使命をから始まる起動パスワードを!」

「あんな長いの覚えてないよ!?」

「もっかい言うから繰り返して!」

 

 そんなコントのようなことをしてる間に魔獣はどんどん高町さんたちめがけて突進していく。

 とりあえず助けに行きますか!

 

「風陣縛封!」

 

 高町さんに飛びかかる直前に生み出された風が魔獣の体に纏わりついて動きを封じる。

 

「今のは!?」

「だ、誰?」

「何やら妙な気配がしてみれば、これはまた妙なことになっておるのう……、それより良いのか? そいつ、いつ縛めを破るかわからんぞ?」

 

 

 そこからは原作同様、レイジングハート先生が起動してジュエルシードを封印していった。

 

 

 

 そして、倒れた女性が目を覚ますまでにフェレット改め、ユーノ・スクライアに事情説明を求める事にした。

 

「あの、あなたは一体……」

「わしか? 本名は職業柄本名は名乗れぬ故、好きに呼ぶといい」

「好きに呼べって言われても……」

 

 流石に名無しは面倒か。

 

「ならば望でもスースでも好きに呼べ……」

 

 完全に太公望からとってるけど、後で神棚にももか桃まんお供えしとこ。

 

 

「ではスース、先程はありがとうございました、あなたは一体……この世界に魔法使いはいないとあったのですが」

 

「そうじゃのう、それに関してはまず何者かと聞かれれば、この海鳴市における守護役のような物を担っている一人じゃな、霊界探偵というこの手の怪異に対しての調査、並びに解決などを担っているものじゃ」

 

「霊界……探偵?」

 

「まあ、この世界における裏の大きな組織の末端の一人と思えばよかろう、次の質問に関して言えばお主の言う魔法使いがどういう定義を指すのかがわからんからなんとも言えんが、力を持つものは存在するぞ、基本表には出ておらんがな」

 

 有名所なのは幻海師範などの一部の人達ぐらいやからね。

 

「さて、守護役としては先程の怪異について説明を願いたいのだが、よいかの?」

 

「はい、実は……」

 こうしてユーノから事件の説明を受けたのだ。

 

 

 

 

 ──────────

 

 

 

「なるほどのう、そりゃまた面倒な……」

「前にも行ったけど、ユーノくんは悪くないよね」

「けど、あれを発掘したのは僕だから、全部責任を持ってあるべき場所に返さないとだめだから」

 

 責任感が強いというのも困ったもんやな、よし。

 

「とりあえずユーノとやら、本当に責任を取るつもりなのかの?」

「はい! 僕が責任を持って──」

「──責任の意味がちゃんとわかっておるのかと聞いておるんじゃよ」

「それは、どういう……」

 

 そんなユーノに懐から取り出した一枚の紙を見せた。

 

「責任を取ると言うなら、昨夜の事件で起きた事に対する被害も全額支払うということなのじゃろうな?」

 

 分身の方に頼んでおいた、被害総額の大まかな見積書である。

 ネットで調べた金額なので物によってはかなりかわるんやろうけど、最低でもこのぐらいになるだろうという目安である。

 前世ではアニメのキャラが起こした被害総額なんてのを計算してる人もいたな……。

 

「「……」」

 

 ユーノとなのはは絶句していた、軽く見積もっただけでも0が5個では足りん額になっているとは言っておこう。

 

「さらに言えば今後起きるであろうそのジュエルシードとやらが起こすであろう被害も加算されていくと言うことになるのじゃが、本当に責任が取れるのかの? まさか責任を取ると言っておきながらそれは回収に関してだけであって、それによって起きた被害に関しては知らぬ、などと言わんよな?」

 

 コレに関して完全に何も言えなくなってしまったようだ。

 

「わかったであろう、コレほどのことになると、一人で責任を取るというのがいかに難しいということが」

 

 ユーノが完全に考え込んじゃったので、今度は高町さんにも一言言うとこうか。

 

「さて、高町と言ったな」

 

「えっ、あッそうです。高町なのはです」

 

「お前さんに言えることは、ユーノの手伝いないし、お遊び気分が残っているならば……怪我をしないうちに手を引くべきだろうな」

 

「!? わ、私はそんな気持ちじゃ……」

 

「ならば先程はなぜ最初から杖を出しとらんかった、おそらくだが昨夜の事件の惨状を見る限り、命の危険が伴うことだということは理解できておると思うが」

 

 自分も幻海師範から何度となく注意された事だ。

 浦飯さん達についていくということがそれだけ死と隣り合わせの場所とであるということ。

 後方支援役、主に治療を担当しとったけどいつ狙われるかわからんからな。

 実際、何度か狙われたこともある。

 とは言え、巻き込まれただけの高町さんに言うのは流石に酷な話やね……。

 

「これからも関わるなら、事件の度にその生命を危険に晒すということを、そして他者の命を危険に晒す可能性があるということを覚えておいたほうが良いぞ、説教臭いことを言ってすまんがな」

 

 そう言い残して去ろうとした所でふとつぶやいてしまった。

 

「それにしてフェレットが遺跡発掘をするのか……スクライア一族、フェレット一族か」

 アニメだとスクライア一族ってユーノぐらいしかまともに出てなかったな。

 

 そのまま飛び去った後、後からは何か聞こえた気がしたが、夕飯のこともあるので急いで帰ったのだった。

 

 

 なお、その日の晩御飯は、割り下で煮た玉ねぎと人参、それをさっと浸したからあげを卵で閉じた、唐揚げ丼にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてスース(神奈)がさった後にユーノ・スクライアは叫んでた!

「まって! スクライア一族は遺跡や古代史の探索・発掘の一族だけど、フェレットだらけの一族じゃないからね! ちゃんと人間だからね!」

 

「えええええええ!?」

 

 フェレットだと思っていたなのはが驚いていたりと言うことがあったとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




作者のMTGは割とにわかです。
テーロスブロックとか辺りに一時期やってたぐらいです。
けど、動画を見るとMTGって面白いなと思ってしまう(なお、金額を見てあっ、となった)
なお、はやてや神奈のカードは基本的に両親が残したものを使用していると言う設定。
使用デッキのイメージは、はやては白黒、神奈はトリコロールイメージ。
はやてに熊本弁が必要か……(錯乱

しかし、原作ユーノくんはバレた後、士郎さん達とOHAMASIする事にになっていたのだろうか……。


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5話

 

 上空からジュエルシードの発動を認識した瞬間、用意していた術を発動させる。

 

「忠告はしたが、やはりこうなったか」

 術で姿を隠蔽しながら打神鞭を太極図に変え、対象ををまとめて前もって作っておいた結界の中に取り込んだのだった。

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 その日は休日だった。

 朝靄の立つ早朝、うちは住居とつながっている道場にて精神統一をしていた。

 お父さんは一体何考えて庭付き一戸建てどころか道場付きにしてたんやろうか……。

 いや、意図はわかるんやけどな、幻海師範とお父さんがうちに稽古つけてる時の顔がそっくりやったもん。

 もしもっとお父さんが生きていたなら多分、ここで一緒に鍛錬してたんやないかな……。

 

 

 

 そんな事を考えながら、ここ数日のことを振り返っていた。

 

 

 

 コエンマ様に今回の事件の報告をしたら今回の事件に関して完全に任されてしまったという事。

 

「異世界の飛来物、ジュエルシード、持つものの意思に反応して願いを叶える石か……しかし歪んで叶えるとなると質が悪いな」

「ええ、今の所二件発生、その一つはうちが確認しましたが、可愛いワンコが恐ろしげな魔獣への大変身してましたわ」

「対処事態は神奈でも可能そうか?」

「それはまあ、可能といえば可能やけど……」

「なら、この一件はおまえさんに任せる」

「ちょっ!? 普通はこういう時に小学生に任せるかふつう!?」

「仕方なかろう、唯でさえ今人手不足なんじゃ、幽助も蔵馬も飛影もおらんのじゃから仕方なかろう、桑原とて今はなかなか動けんじゃろうからな。儂が動かせる人員とてそう多くはないんじゃ、任せたぞ! 非常勤霊界探偵戦女神奈」

 

 

 そんな事もあり、街の平和を守るお仕事を任されることになってしもうた。

 昼間は小学生としての活動、夜は夜でジュエルシードを探してパトロール。

 街の色んな所に感知系の術を張り巡らすの大変やでコレ。

 そろそろ、本格的に魔法の方にも手を出さんとあかんなこれ。

 

 

 そして、探し回った結果未発動のジュエルシードを昼間の学校で一つ発見、確保、封印したのだった。

 夜は夜で太公望(ショタ)の姿でパトロール、ロールプレイが入ってきとるけど、ばれると面倒やからな。

 

 

 

 そんなこんなありながら今日ははやての付き添いで病院の付添である。

 高町さんたちからはサッカーの応援に一緒に行かないかとの誘いもあったけど、こっちのほうが先約やからしょうがないよね?

 

 ちなみに食事の時にふとその事話したら「ほなら病院の帰りに見に行かへん?」と言われてしもうた。

 そんなわけで病院帰りに見に行くことに。

 

「それにしてもサッカーの試合観に行くなんて初めてやわ」

「うちも初めてやで、はやてが楽しめればええんやけど」

「それは行ってみんとわからんわな、早いとこ病院終わらせていかんと」

「はいはい、んじゃ私はいつもどおり中庭の方でまっとるで」

「了解や、ほなら行ってくるわ~」

 

 はやてと病院の入り口で別れた後、うちはそのまま中庭へと足を進める。

 

 

「あ、神奈ちゃんきた!」

「ほんとだ!神奈が来たぜ! 」

「こんにちわ~! 戦女さんは今日も付き添い?」

 

 中庭につくと、ここに入院している患者の子たちや看護婦さんが挨拶をしてくれる。

 

「皆おはようさん、今日もはやてを送ってきたところやで」

 

 こんな風に挨拶する中になったのは、はやての付き添いで病院まで一緒に行くようになってから。

 

 流石に友人のうちがはやての診察までついていくのはあれやったので、こうして診察中は病院の中より外の中庭で待たせてもらっているんや。

 

 そんときもちょうど日も出てて陽気な気分で前世で気に入ってた曲を鼻歌交じりに口ずさんでたら、声をかけられたのだ。

 

「ねえ、それなんてうた?」

 

 入院中の子やったんやけど、その子がたまたまうちが口ずさんでたのが聞こえてたようで、気になって声をかけたんやて。

 なんでも入院が予定よりも伸びて退屈してたんやて。

 

 そこからやな、最初に声をかけてきた子にせがまれてから歌ったら、そこから一人、また一人と人が集まってきたのだ。

 大きな声で歌うてはおらんかったんやけど、気がつけばそうなってた。

 

 それからはこうしてはやての付き添いで病院に来ると中庭で過ごすようになっとった。

 

「さて、今日はどんなのがええかな?」

 

 

 

 

 sideOUT

 

 

 

 

 side八神はやて

 

 

 

 

「ほなら石田先生、今日はありがとうございます」

「ええ、入り口まで送っていくわ」

「石田先生、おおきにです」

 

 笑顔で送ってくれる石田先生やけど、その笑顔の奥には曇りが見えるんや。

 こうして病院に通い続けとるけど、これといって症状の改善が見られへんからやろうな……。

 うちの足、やっぱり治らへんのやろうな……。

 

 けど、石田先生はそれでも親身になってうちの足を治そうと必死で手を尽くしてくれとる。

 それこそ私生活の方でも何かと気にかけてくれとるから感謝しか無いわ。

 

「♪~♪」

 

 そんな事を考えていたら、中庭の方から歌が聞こえてきた。

 神奈の歌声や。

 

「あ、戦女さん、今日も歌ってくれてるのね」

「神奈の周り、子どもたちでいっぱいやな」

 神奈の歌声聞いてると、なんやお腹の辺りがポカポカするんよね。

 テレビとかでも聞いたことの曲もあるんやけど、それ以上に聞いたことがない曲の方が多いんよね、一体どこで覚えた曲なんやろうか?

 

「戦女さんがはやてちゃんの付き添いで来るようになってから中庭でよく歌ってるけど、患者さんからは意外と評判いいのよね」

「私もすきやで、神奈の歌はなんや元気が出てくるんよね」

「そういえばはやてちゃん知ってた? 戦女さんがたまにここで歌うようになってから、病状が快復に向かい始めた患者さんがいるんだって」

「そうなん!?」

「ええ、この間も入院していた子が予定よりもかなり早く退院できたの。その子戦女さんが歌ってる時いっつもそばで聞いてたそうよ」

「マジかいな!? ……でも何やわかる気がするわ~、石田先生、もうちょいゆっくりでもええかな? もうちょい神奈の歌声聞いていたいんや」

「……っ、いいわよ、私ももうちょっと聞いてみたいし」

 

 なんや石田先生が一瞬驚いた顔しとったけど、何かあったんかな?

 

 

 

 

 

 sideOUT

 

 

 

 

 

 

 

 side神奈

 

 

 

「「「「「神奈お姉ちゃんまたね~」」」」」

 

「は~い、皆またな~」

 

 

 はやての診察が終わった後、中庭の音楽会は終了した。

 最近は一部の子たちも覚えとる曲を一緒に歌ったりしとるけど、大丈夫なんかな?

 患者さんに付き添っていた看護婦さんは止めてへんかったからよかったんやろう、多分。

 

「なんや神奈、人気もんやね~」

「どうなんやろうね? 病院やと娯楽が少ないからかもしれへんで?」

「せやろうか? けどうちは好きやで神奈の歌、病院やから大きな声や無いけど、それでもなんや透き通って聞こえてくるんよね」

「そう言ってくれると嬉しいな、ほんじゃ、バスで目的地まで行こうか」

「了解、では全速前進や!」

 

 

 その後はバスを経由して練習場が行われる河川敷へ向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いっや~、なんやハラハラしたわ」

 

 サッカーの試合をちょうど橋の上から観戦した後、昼食をとっていた。

 

「ゴール前のボールの取り合いとかになると、ドキドキするわな」

 

 今回はちょっと奮発してイタリアンなお店での昼食である、オープンテラスで食べるピザやパスタと思い思いに料理を堪能していた。

 

 そのままサッカーの感想や食べてる料理に話題を膨らませていると、霊符で作った鳥型の使い魔からの映像にジュエルシードを持った少年がカバンから取り出すのを補足した。

 そして、映像の限りだと高町さんは一瞬気づいたように見えたけど、気の所為かもとスルーした感じに見えた。

 

 そして哀れユーノことフェレットはバニングスさんに玩具にされていた。

 

 

「っとはやて、ちょっとお花摘んでくるわ」

 

「……了解や、あわてんでな」

 

 はやてには緊急時に使う隠語としてこんな合図を使うことを教えてる。

 

 ちょっとお店のおトイレを借りて、カメラを確認してから陽分身を出して入れ替わる。

 カメラはようやく完成した電子精霊ならぬデジ精霊にごまかしてもらった。

 

 モデルになっているのはデジタルワールドで出会ったデジモンたち。

 特に情報が多かったのは、一度治療のために本に取り込んだレオモンさんやな。

 その情報を元にできたのが、ネギまの電子精霊の能力を有したデジ精霊や。

 

 このデジ精霊にちょっとカメラをハッキングしてもらい何事もないようにごまかす。

 他の客の気配もないことを確認してから陽分身。

 

「ほな、はやてのこと任せたで」

「了解や、そっちも気をつけてな」

 

 そして、転移魔法で転移して上空へ。

 認識阻害の魔法がなかったら、どこぞの宅急便の魔法少女になっとるんかな?

 

 

────────────────

 

 

 そして冒頭に戻り、結界内は阿鼻叫喚の大惨事になっていた。

 結界内で包んだ結果、現実世界への影響は皆無と言っていいだろう。

 してなかったらこれが都市部で起きたとなると、大災害確定やな。

 復興にどれだけかかるか、去年は東京が、今年は海鳴市ってなったら予算が足らへんで!

 

 そして高町家の玄関扉を結界内に入るための扉に調整、高町さんが外に出ようとしたらこっちに自動で結界内に引きずり込めるようにしてる。

 

 

 

 

 その後は高町さんが結界内に移動し、街の惨状を目にする事になる。

 

 街自体は結界内にコピーして再現したものとは言え、流石に高町さんにはショックやろうな。

 

 

 

 

 

 そして、原作のように砲撃魔法で封印し、町並みを見下ろしその悲惨な光景から決意を新たにした顔を見せる高町さん。

 

 そしてその瞬間、世界、崩壊した都市はガラスが砕けるような音と共に消えた。

 

 あとに残ったのは、無事な姿の海鳴市だった。

 

 

「これは、さっきまでいたのは結界の中!? でも、そんな気配を全く感じさせないなんて……」

「ど、どうなってるの!?」

 

 動揺している二人の前にいつもの変身した状態で姿を現す。

 

「まったく、緊急時用の結界を用意しておいて正解じゃったのう」

「スース、これはあなたが!?」

「そうじゃ、わしが用意しておいた緊急時における非常用の結界じゃ、もし結界が用意ないし、間に合わなければ先程の光景が現実となっておったじゃろうよ」

 

 その事実を聞いて、緊張が溶けたのか、膝をついて座り込む高町さん。

 

「よ、よかったの……」

 

 そんな高町さんに厳しいことだけど確認も込めて言わなければならない。

 

「わかったであろう? 他者の命を危険に晒す可能性があるという事がどのようなことであるかという事が」

「……」

「今ならば、魔法のことも全て忘れて普通の小学生にもどれるじゃろう。事件のことはそこのフェレットやわしに任せておけばよい」

 

 だけど、そんな言葉で止まるような高町産ではなかった。

 首を横に振り、決意を込めた目でこちらを見据えならがら言った。

 

「ううん、これは……私がやりたいことだから! ユーノくんの手伝いじゃない、自分の意志で決めたんです! もう絶対、こんな事にならないようにするために!」

 

「どうやら決意は硬いようじゃな……、この手のことに民間人が関わってほしくはないんじゃがのぉ、これ以上引けと言っても無駄のようじゃな。ならそっちはそっちでやってくれ、こっちはこっちで動くとする」

 

 そう言って立ち去ろうとするとフェレットが呼び止めてきた。

 

「待ってくださいスース、協力はしてくれないんでしょうか?」

「わしも立場が一応ある故な、街を守るという点では今回のように協力するようなことはあるかもだが、決定的に違う部分があるからのう」

 

 そう、なのは達と決定的に違う部分、それは……。

 

「お主はジュエルシードの回収じゃが、わしの場合はジュエルシードなる驚異の排除じゃよ」

 

「え? それは同じじゃないの?」

 うちの発言に高町さんは首を傾げるけど、前提が変わるとあっという間に瓦解するのだ。

 

「全く違うのぉ、例えばじゃ、今この街にジュエルシードを回収しようとしている者はお主たちだけじゃ、じゃがその前提が変わり、他にも回収しようとする者が現れ、お主たちよりも早く回収できるとなるとわしはそっちにつくことになるじゃろうな。わしの立場としては早急に街の驚異を排除したいのじゃ」

 

「それはっ!?」

 そう、早く回収できるならそれがジュエルシードを良からぬことに使おうとする者であろうとも、この世界に被害が及ばぬならせいぜいわしの罪悪感ぐらいじゃろうな……。死んだ後の霊界の裁きがどうなるかはわからんが。

 

「まあ、後はわしの上司の判断もあるじゃろうがな……、今の所味方ではないが街への被害を防ぐ安全装置ぐらいに思っておけばよかろう。わしの立場としては街を守るという部分が根底にある故な」

 

 後は言うべきことがあるとすれば。

 

「後は協力というがな、わしにどんなメリットが有る?」

「それは、僕にできることなら何でも、お礼なら僕の一生をかけてでも」

「フェレットの一生か……余り期待できぬな、それになんでもというのは正直信用できんの」

 

 一瞬妙な電波を拾いかけたけどそんなことはなかった。

 なんでもなんて言葉は一番信用しちゃあかんと思うんよ……。

 

「まって、僕はフェレットじゃなくてちゃんと人間だからね! スクライア一族だってフェレットだらけじゃなくてちゃんと人間だって!」

「なるほど、自分たちを人間と勘違いしたフェレット一族じゃったか」

「ちっがーう! 魔力を回復させるのに変身魔法で動物の姿を取ってるだけであって、本来の姿はちゃんと人間なんだよ! 確かに動物形態でいることも多いけど!」

 

 必死に人間であることを主張するユーノ、せやけどここまで来るとからかいがいがあるな~。

 

「ふむ、では人間であると仮定した場合、そこの高町少女と二人屋根の下で一緒に暮らしておったのかのう?」

「そうですよ! 仮定じゃなくて、れっきとした人間だ!」

「まさか同じ部屋に住んでおらんじゃろうな? あまつさえ着替えを覗いたり一緒にお風呂に入ってたりせんよな? いたいけな少女の裸なんかを覗いたら有罪判決を下して処分せんといかんと思うのじゃが」

 

 アニメだと確か、なのはの着替えで汗をダラダラと流しながら背を向けてた気がするが。

 

「してませんしてません! そんなことはしてません!」

「……この間スースさんにあったとき人間って聞いてなかったらちょっと危なかったかもなの」

 高町さんから一瞬、魔王のような気配を感じかけたけど錯覚やろうか?

 

「ならばいいがのう、人間と称すなら気をつけておくことじゃな、喋りからして一応男の子であろう」

「はい、気をつけます……」

 冷や汗がダラダラとしとるが、本当に大丈夫やろうか?

 

「ではさらばじゃ」

 ユーノが動揺しているうちにそう言って、さっさと立ち去る事にした。

 あんまり長居してると晩御飯に遅れてまう。

 

 

 今夜の当番ははやてだけど、何を作ってくれるかな~。

 

 

 

 

「ああっ、待って~! まだ聞きたいことが!」

 

 なにやらユーノが叫んどった気がするが気のせいやな、うん。

 

 ちなみに、ジュエルシードに取り込まれとった二人はまとめて暗示をかけて忘れさせ、ベンチで二人並べて置いてきました。

 

 

 

 

 

「ただいま~、はやて今夜は何にしたん?」

「おかえり~、こんやは私特製の肉じゃがや、もうちょいでできるからて~あらってお皿の用意頼むわ~」

 

 

 

 

 

 願わくばこの日常を守り続けたいな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次回に続く!

 

 

 

 

 

 




ボツネタとして、巨大樹をふじりゅうばん封神演義の趙公明を倒した時のあれを一瞬やろうかとも思いましたが、発動させた二人もやばそうなので没になりましたw。

そして今更ながら、神奈の見た目の元ネタにした栞とデジモンのタケルの声が同じ人だったことを思い出し、これ絶対神奈はヤマトをタケルと一緒にからかった説が浮上。

同じ声でどっちが本物のタケルかやってそうw

「「おにいちゃ~ん!」」 「た、タケルゥゥゥゥ!」

 なお、次回はちょっと時間が飛んで、温泉戦のあとの予定。


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6話

毎度のことながら難産でした。


 

「コエンマ様、霊脈か霊鬼門の使用許可ください!」

 

 前回の広域結界、あれは自前で用意かつ、発動前に囲うことができたからこそ被害を抑えられた。

 だけど今後も同じ様にできるかと言われたら正直困る。

 なので大地に流れる霊脈をつかい、ジュエルシードが発動した際に自動で隔離結界内に捕らえられるようにしようと考え、海鳴市の霊脈の力を借りようということになったのだ。

 

 

 まあ、許可はおりたのだが、なるべく早めに決着をつけて欲しいとの事。

 

 

 そして迎えた週末。

 うちは日々の疲れを癒やそ~と思っとったんやけど、出張することになりました。

 高町さん達から月村家へお誘いがあったけど、日程がかぶってしもうたからな。

 にゃんこをモフり放題にはものすごく惹かれるけどしゃーない。

 夜のパトロールのときになのはちゃんには土日出張のことは伝えはしたけど、はてさてどうなるか。

 

 え? 行き先はどこかって?

 

 ……魔界やで。

 

 

 

 

 現在戸愚呂さんが魔界で浦飯さんの修行をつけるために出張してるんですよね。

 仙水事件で一度魔界に行ったので魔界への転移はできるんよね、霊界の貼った結界はうちには意味ないし。

 

 そして幻海ばあちゃんも久々に様子見しに行くことに。

 うちは完全にタクシーになった気分やで。

 

 

 まあ、魔界であった事は省くけど、一言で言うなら原作ブレイクをまたすることに……。

 

 理由はどうあれ、やってしまった気はします。

 お父さんと重ねてしまったのも否めませんが、条件が揃っていたというのもありましたし。

 

 雷禅さん、紆余曲折を経て仙人になりました。

 

 ある種断食という名の辟穀の行を長々続けていたからなのかもしれへん。

 

 とはいえ、暫くの間は死んだことにして仙人の体に慣らすんだそうです。

 まあ妖怪としての雷禅さんは死んだと行っても間違ってはいないはず。

 

 

 

 こうしてうちの週末は魔界出張で潰れることに。

 

 

 なお、分身ははやてと一緒に、悠々自適な週末を過ごしていたという……。

 

 だが、そんな分身がはやてとのショッピング中に見てしまったのだ。

 

 

 

 金髪美少女の姿を!

 

 

 

 

 

 そして厄介なものも見えてしまった……。

 

 

 

 

(え~、いやでもこれ……丸く収まる? いやでも……、調べてみんことには何とも言えんな)

 

 

 

 

 

 

 それから一週間、何事もなし……とは行かんかったんよね。

 

 途中に会った連休明けに街をパトロールしていたら、ユーノと高町さんに呼び止められたんよね。

 なんでも相談したいことがあるとか。

 

 まあ時期的にあったフェイトそんならぬフェイトちゃんとの1件やろうな。

 月村家と旅館での一件の後かの。

 

「あの、一つ相談に乗ってもらってもいいですか?」

 

「一体どうしたのだ? このワシに相談事とは?」

 

 

 まあ予想通り、フェイトちゃんの一件での戦闘面での相談だった。

 

 

「ふむ、まあ正直に話したところには好感が持てはするがな……」

 

 正直魔法を教えてほしいと言われたらかなり困ったんやけどね。

 うちが基本使っとるのは霊力を使ったものやし、ネギま式等の他世界の魔法はそこそこ使えるがこっちのミッドないしベルカ式はデバイス持ってないから後回しにしとったんよね。

 

 戦闘訓練なら付き合わんこともないけど……。

 

「そうはいってもの~、わしとお主では使っている力が違うからのぉ……、お主の使っとる非殺傷設定など無いし」

 

 まあここは、こっちかな?

 

「こと戦闘に関しては儂に頼むよりは、お前さんの父親か兄姉に頼んだほうが良いと思うがのぉ」

 

「えっ?」

 

 その提案にキョトンのする高町さん。

 

「お前さんの父親、高町士郎、旧姓不破士郎といえば永全不動八門一派・御神真刀流小太刀二刀術、通称御神の剣士じゃろ? こっちでも結構有名じゃぞ。

 それこそお前さんの兄なんかもそうじゃがかなり強いぞ。

 人間相手なら裏でもよほどの実力者でなければ『御神の剣士とはたたかうな』と、言われるぐらいにはな」

 

「「えっえええええ!」」

 

 やっぱり知らんかったんやろうな。

 二人して思いっきり驚いとる。

 

「おそらくじゃが、フェレットのような魔法使い相手でも、魔法無しで勝つぞ、あの御仁達は」

 

「そ、それはいくらなんでも……」

 

「いやいや、これは正直な話本気じゃぞ、裏の方でも言われとることじゃが、『完成された御神の剣士相手では、銃火器を装備したものが100人程ど居ないと、倒せないと言われている』、正直100人いても倒せる気がせんのじゃがな」

 

 この間恭也さんを見て思った、人間って可能性の塊なんやなって。

 

「士郎殿は引退しているとはいえ、一流の剣士であり、恭也殿達の師でもある以上、教えるというという意味ではこれ以上の存在はそうそうおらんと思うぞ、剣を使わなくとも体の動かし方、護身の仕方などを習うのもよかろうて、他にも模擬戦なんかをしていたらそれを見学するのも十分参考になるじゃろうな」

 

 

 

 高町さんの相談に乗ったりする一幕もあったが、やはり周りに相談できないというのは周りとの軋轢を生むようで……。

 

 高町さんとバニングスさんが喧嘩……というか、バニングスが一方的にキレる形になっていた。

 まあ、高町さんが生返事のような感じになってたのもあかんと思うけど、顔に出やすいから余計に心配掛ける。

 でも何でもないと言うから余計に周りは心配するという悪循環。

 

 

 しゃあない、フォロー入れときますか。

 まあ、月村さんとバニングスさんなら多少は大丈夫でしょう……多分、夜の一族がわかっているなら多少のことはね……。

 

 教室から出ていった月村さん達をそっと追いかけると、二人は階段で話していた。

 

「だってむかつくわ! 悩んでるのミエミエなのに、迷ってるの……困ってるのミエミエじゃない!

 なのに、何度聞いても私達には何も教えてくれない!」

 

 思わず息を呑む月村さん。

 

「悩んでも、迷ってもないなんて嘘じゃん!」

 

 思いの丈を吐き出すバニングスさん、しかしなのはの気持ちも理解できるのか月村さんは言った。

 

「どんなに仲良しの友達でも、言えないことはあるよ……。

 なのはちゃんが秘密にしたいことだったら私達は待っててあげるしかできないんじゃないかな……」

 

「だからそれがむかつくの! 少しは役に立ってあげたいのに!」

「あっ」

 バニングスさんのその言葉は、親友を心配する心の叫びだった。

 

「どんなことだって良いんだから、なんにもできないかもしれないけど、少なくとも一緒に悩んであげられるじゃない!」

 

「やっぱりアリサちゃんも、なのはちゃんのこと好きなんだよね」

 

「そんなの当たり前じゃない! あの子がいたから、私は一人ぼっちじゃなくなったんだから!」

 

 

 

 バニングスさんも月村さんも高町さんもええ子や……なのになんで高町さんは……。

 ここからの未来、原作はIFとしても、それがどうして将来ああなってしまったのか(ホロリ)

 とりあえず、屋上に行った二人にフォロー入れますかね。

 

 

「さっきはものすごい剣幕だったけど、なんや悩み事なん?」

 

「あんたは!?」

「戦女さん!?」

 

「大体何が原因かは見取ったからわかるけど」

 

「あ、あんたには関係ないでしょ!」

「あ、アリサちゃん……」

「今は虫のいどろころが悪いから話かけ「なのはちゃんの事情、いくらか知っとるって言ってもか?」

 

「「!?」」

 

「まぁ、どのぐらいの事を聞きたいのかはお二人さんがどうしたいかやけど」

「その口調、いつもと違うのね」

「まぁ、高町さんからもとの口調は聞いとるやろうし、他の人も聞いてへんから多少はね……、気になるんなら戻すで」

 

 うん、自分で言っててなんやけど怪しさ大爆発やな。

 

「いいわよ、そのままで、それで、なのはは一体何に悩んでるの?」

 

「その前に聞くけど、どこまで知りたいの? 詳細に?それとも当たり障りの無いようにぼかしたのがいいのかな?」

 

「それは、どういう意味で?」

 

 月村さんが、その真意を尋ねてきた。

 

「せやね、その悩み結構大きなものやからな……、知らないほうが良いこともあるってことかもしれんけどな……。

 多分月村さん家の事やから、うちの事もそこそこ調べたんちゃう? うちの後見人の人のことまで」

 

「それは!?」

 

「なのはちゃんの悩みのレベルは、月村家の秘匿事項とまでは言わんけど、方向性としてはこの世界では思いっきり裏方面やね、それに巻き込まれてもうたみたいや」

 

「なんであんたが鈴鹿の家のことを!」

 

「一応、うちもそっち関係やからな、それで二人はどこまで聞きたいん?」

 

「「それは……」」

 

 

 

 二人して考えた結果、詳しいところは私から聞かずに、どういったものかはぼかして、昨今の奇妙な事件との関わりと目下の悩みがなんなのかを聞くことにしたようです。

 

 というわけで、なのはちゃんの悩みがどういったもので、なんで話せないかという事が多少はわかったのか、バニングスさんの怒りのボルテージは多少減少した様子。

 

「あのバカなのは! あの時からちっとも成長してないじゃないのよ! そりゃ人に話せないようなのもわかるけど……ああっもう!」

 

 頭をかきむしるバニングスさん、けれど悩みがどういったもの中がわかり、その後多少ホッとしたのか先程までのような圧はない様子。

 

「けど、なのはちゃんが悩んでるのはその女の子のことなんだね」

 

「せやね、今の所その子の事が悩みみたいやね、問題はなのはちゃん自身がどうしたいのかやけどな」

 

 そしてくるっと反転して二人に背を向けながらその場を後にした。

 

「というわけで、うちから言えるのはここまでや、後はお二人となのはちゃんの問題やからがんばってな」

 

 

 

 

 

 

 

 秘密を抱えたまま頑張るってのは、やっぱ大変やな。

 

 

 

 

 

 

 そしてその夜の事やった。

 

 

 

 

 

 

「神奈、玉ねぎのみじん切りどんな感じや?」

「いい感じに飴色になってきてんで」

「ほならこっちのボールに入れたって、それでハンバーグの種は完成や。

 後は付け合せとスープも作ればはやて特製ハンバーグセットの完成や」

 

「後は少し種を寝かせてから焼けばハンバーグは出来上がりっと……っ!」

 はやてと晩御飯の準備をしているときに、うちの霊感にビビッと来るものが(走るニュータイプ光)

 

「はやて、ちょいとお仕事のようや、分身置いとくから後お願いな」

「はいはい、お仕事頑張ってな! それにしてもいきなりやね、最近ちょい多めやな」

「ま、事件はもう佳境に入る感じがあるから、もうちょいで終わるとは思うんやけどな、ちゃっちゃと済ませて来るさかい、うちの分ちゃんと残しといて~な~」

「はやく帰らんとうちが全部食べてまうから気をつけてな~」

「そこは残しとくもんちゃうん? なら急いで片付けるとしましょうか、いってきま~す!」

 

 分身を残して、転移で海鳴市上空へ。

 

 そして下を見れば、魔法発動直前のフェイトさん達が。

 

「緊急展開!」

 

 慌てて用意ていた結界を展開!

 もうちょい手段選んでほしいでほんま! 特にごはんどきやで今!

 

 

 とはいえ、なのはちゃんの邪魔をするのは流石に気がひけるので、今回は上から様子見である。

 

 

 

 そうして成り行きを見守っていたんやけど、二人が同時にジュエルシードを封印しようとジュエルシードを杖で挟み込んだ瞬間それは起きた!

 

「まずい!」

 

 ジュエルシード内のエネルギーが溢れ、その力に二人のデバイスに亀裂が走り、吹き飛ばされる。

 

「太極図よ!」

 

 ジュエルシードを中心に太極図の陣が展開されると同時に、そのエネルギーの奔流を制御し、一部を吸収、残りを結界内で回し、暴走が収まりだしたところでエネルギーをゆっくり戻していく。

 

 

「ふぅ、なんとか収まったようだのう」

 うちは冷や汗をかきながらその額を拭った。

 

 暴走が収まったジュエルシードはその場で淡い輝きを発しながら中空に佇んでいた。

 

 その瞬間、ジュエルシードをかっさらおうとする気配を感じ、それを先んじて制した。

 

「双方そこまで! これ以上の戦闘はこの街の守護者として容認できん、これは一時的に儂に預からさせてもらおう」

 

 そのままジュエルシードを握り込む

 

「っ! そのジュエルシードを、渡してください」

 

 金髪美少女のフェイトちゃんは杖を構えながら戦闘態勢をとる。

 

「まあまてまて、わしはこれがほしいわけではない、じゃから一時的に預かると言ったのじゃ」

 

「預かるだぁ?」

 

 フェイトちゃんの横にいる守護獣、アルフさんは威嚇しながらこちらの発言を疑問視する。

 

「仕方なかろう、またさっきのようなことになれば次はどうなるかわからんからのう? そしてこれは双方が欲しておるがわしにとっては街に仇なす危険な品物でしか無い、回収してくれるのであればわしは全面的に協力するぞ」

 

「だったらとっととそいつをこっちによこしな! さもないと!」

 

 唸り声を上げながらこちらに襲いかかるポーズをとる。

 

「ジュエルシードを渡してください!」

 

「ユーノくん、ごめんね」

「なのは?」

 

「スースさん、そのジュエルシードをフェイトちゃんに渡してください」

 

「よいのか?」

 

「はい、でもフェイトちゃん、次にあった時に私が勝ったら、ただの甘ったれた子じゃないってわかってもらえたら……お話、聞いてくれる?」

 

 ジュエルシードをそのままフェイトの方に滑らせるようにゆっくり飛ばしながら押し出すと、それを受け取ったフェイトは複雑そうな顔をしながら何も言わずに去っていった。

 

 

 ユーノはいろいろ聞きたそうにしていたけど、時間が時間なのでそのまま解散。

 

 

 急いで帰ったおかげで、うちのハンバーグはなんとか無事でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この日はこれで終りと思っとったんやけど、いやはや終わらへんかったんよね。

 明日の準備やらなんやらではやてのいえから帰宅するとき、道路で出会ったんよね。

 

 

 

 

 

 

 

 それにしてもまさか眼の前に現れるとは思っとらんかったわ。

 

 

(あなた、私のこと見えてるの?)

 

 

 そこにはフェイトちゃんそっくりの金髪少女が立っとったんよね。

 

 

 

 

 

 

 アリシア・テスタロッサ、今回の事件でのある意味中核といえる存在の霊が現れたのだった。

 

 

 

 

 つづく

 

 

 

 

 

 




 というわけで、次回は話は佳境へと突入するやも。

 次回、クロノ死す! デュエルスタンバイ!


 は、冗談としても、次回は神奈が戦う描写を入れられそうな予定。
 ぶっちゃけ出会った人たちと周りにいた人たちの影響はかなり受けているので、戦闘スタイルも影響受けているやも。

 アリシアの霊も登場し、プレシアも登場、そして次回から原作から乖離が始まる予定。


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7話

恥ずかしながら、帰ってきました……。
どこまで走れるかわかりませんが、またよろしくおねがいします。


「おねがいします、フェイトを……私の妹を助けてください」

 

 突然現れたアリシア・テスタロッサの霊、彼女から事情を聞くために家に招いたんや。

 するとそこでフェイトがなんのためにジュエルシードを集めているのか、そして母親であるプレシア・テスタロッサが何をしようとしているのか。

 

 

「つまりプレシアさんはアリシアちゃんを生き返らせるためにジュエルシードを集めていて、フェイトちゃんは自分がアリシアちゃんのクローンだということも、なんのためにジュエルシードを集めているのかを知らされずにお母さんの為という純粋な気持ちだけで集めていると言うわけやな」

 

「うん、けどママはフェイトに冷たく当たってばかり……あんなの、酷すぎるよ」

 

 泣きながら語るアリシアから聞かされた虐待の内容も、やはり相当なもので、それでもフェイト自身はジュエルシードを集めきればきっと記憶の中にある優しかった頃の母親に戻ってくれると信じている。

 フェイトちゃんは母親の笑顔を取り戻したいだけやん!

 

「ものすごく胸糞が悪くなる話や……、しかもそのプレシアさんやって、理不尽に娘を失い、そのために狂ったようなものやんか!」

 

 しかも確かその事故自体、プレシアさんが悪いわけや無い!

 むしろ事故や暴走の危険を訴え止めようとしていた。

 けど上は取り合わず強行の末に暴走事故を起こして、全責任はプレシアさんに押し付けたやて?

 

 ハッハッハ……。

 

 腐っとる。

 

 その上病に冒され、残された時間も残りわずか。

 最後に見つけた、たった一つの希望がジュエルシードとアルハザード。

 

 そして原作の世界やと最後は自分の後悔と共に次元の狭間にアリシアの体と一緒に落ちていく。

 

『いつも私は……気づくのが遅すぎる』

 

 かつてのアリシアとの約束を最後の最後に思い出して消えていく。

 確かにフェイトにした仕打ちは簡単に許されるもんやない。

 

 

 せやけどその果てがこれじゃ余りにも……。

 

 

 確かにうちもこの時期の原作知識はある、プレシアさんに関してもネットでなんでああなったのか調べたこともあった。

 しかし、実際にこうしてアリシアちゃんから話を聞いて、術を介して見せてもらうとな。

 

 見ると聞くの差がここまでとはな。

 

 自分の母が徐々に狂っていく姿をずっと見続けたアリシアちゃんにとってはそれは……。

 

 うちって、ここまで感情的になるタイプやったかな?

 お父さんのことがあったとはいえ……、浦飯さん達に当てられたかな?

 

 

『息子の死んだあとの母親の泣き顔! あれは、見られたもんじゃねぇぞ! あんなバツの悪いもんはねぇぜ!』

 

 

 頭に浮かぶのは幽助さんの三大秘法の時の言葉、悪いもんやないな。

 

 

 よし! 腹は括った、やるだけやってみよか。

 

 

 

「アリシアちゃん」

 

 手を霊力で包み、霊体のアリシアちゃんを抱きしめる。

 

「うちでどれだけ力になれるかわからんけど、それでもかまへんか?」

 

「お願いします、フェイトを……ママを助けて!」

 

 

 

 さて、コエンマ様にいろいろ確認せんといかんな。

 

 

 

 その後、コエンマ様に報告、連絡、相談して確認と確証は取れた。

 後は、うちがどこまでやれるかやな……。

 

 後のことを考えると幻海お婆ちゃんにも相談せんとアカンな。

 

 しばらく学校は分身に行ってもらおう……。

 

 

 

 

 なお、幻海師範に相談に行った際には当然のごとく叱られました。

 そらやろうとしてることは割とやばいことやってわかってるけどな、ほっとけへんねん。

 

 拳骨もろうた後に「寄りにも寄って孫が馬鹿弟子に似てきおったか……」って聞こえたけど、ソンナコトナイヨーっと思わず答えたのは仕方ないよね?(追加の拳骨)

 

 

 とはいえ、今すぐにプレシアさんがいる時の庭園に行けるわけやない。

 時空間の間にあるみたいやけど、それがどこにあるのかはわからない以上手が出せない。

 

 じゃけん知ってる人に連れて行ってもらいましょう。

 

 誰にって? アリシアちゃんお願いします!

 そもそもの話、アリシアちゃんは今までどこにいたんって話になるんやけど。

 

 フェイトちゃんの中や。

 詳しい部分は省くけど、肉体に戻れない状態で霊体のまま漂うのは極めて危険な行為なんよ。

 もし霊体から更に無防備な魂、人魂になって丸一日放っておけばあの世行き、霊界へ行ければええけどそうでなければ完全に無へと帰るしか無い。

 

 アリシアちゃんの場合は、詳しいところはわからへんけど、どうも肉体に完全に戻れないわけやないみたいなんよね。

 肉体との微妙な繋がりがあったから長い間持ったみたいなんやけど、それでもかなり危険な状態やったんや。

 

 そんな危うい状況で生まれたのがフェイトちゃん、アリシアちゃんの肉体を元に作られたからか、まだフェイトとしての自我が完全に確立していない今だから、フェイトちゃんの中に入ることで消滅を免れたみたいや。

 

 そんな状態を利用して、フェイトちゃんが時の庭園に戻る時に同行してもらって場所を把握する手はずに。

 

 

 ところで幻海お婆ちゃん、なんかめっちゃアリシアちゃんかわがってへん?

 え? 気の所為? 気の所為なら仕方ないか~。

 

 

 そしてアリシアちゃんを幻海師範のところに連れて行った際に、もう一つ出来事があったのですが、それはまた後日に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝、保険を渡したアリシアちゃんを起点にして、時の庭園の座標を観測できるよう準備を整えてからフェイトの元へ送り出した。

 

 

 それまでの間は幻海師範への相談とセットでみっちり扱かれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして時間は夕方、海鳴市にある臨海公園、そこでジュエルシードの発動を感知、即時結界内に隔離した。

 

 え? アリシアちゃんに関してはどうしたって?

 それはまた後々わかると思うで。

 一応、共闘体制とまでは行かなくても、話し合いの席は設けれるようになったけど……、プレシアさんが今情報過多とその他いろいろでパンク状態のため、話し合いは後日となった。

 

 

 

 まぁ、いきなりだったもんな~。

 

 

 

 

 

 

 場面はなのはちゃんとフェイトちゃんがジュエルシードで変化した樹木を魔法で撃ち抜いたところやった。

 

「撃ち抜いて! ディヴァイン!」

《バスター!》

 

「穿け轟雷!」

《サンダースマッシャー》

 

 

 二人の魔法にサンドイッチされた変異体は消滅。

 

 そして二人の封印魔法によってジュエルシードは封印されたのだった……。

 

 

 

 

 なのはちゃんはこの間の宣言通り、フェイトちゃんに話を聞いてもらうために。

「ただの甘ったれた子じゃないってわかってもらえたら、お話、聞いてもらうよ!」

 

 フェイトちゃんはプレシアのためにジュエルシードを。

「……わかった」

 

「どうやらジュエルシードの封印は完了したようじゃな」

 

 というわけで、二人にはちゃんと戦っていただきましょう!

 一度二人の間に飛び込む。

 

「「スースさん!?」」

 

「お前は!?」

 

「母さんの言ってた……」

 

 ユーノとなのははうちが現れたことに驚き、フェイトちゃんたちは微妙にうちのこと警戒してる。

 まあ、ちゃんとした話し合いはまだやからね……。

 

 

「二人が戦うなら、わしがフィールドを用意しよう、そこでなら邪魔も入らんじゃろうからな」

 

 ほほいのほいで、打神鞭を振って全員を結界の中へとご招待。

 結界の中には審判役の本体を待機させてるから大丈夫やろ。

 

 え? なんで本体が結界の中にって?

 本体にはリンカーコアがあるから念の為やね。

 現段階ではできる限り、あちらへ情報を渡したくないんよね……。

 

 

 そして、有無を言わさず全員を飛ばしたのは、現在進行形でうちの貼った結界を破壊しようとしてる人達がいるみたいやからや。

 やっぱあれなんかね?

 魔法やなくて霊力をつこうてるから、原作みたいにうまく転移できひんのかね?

 

 そして、ジュエルシードは一時的に太極図の中に格納っと。

 

 後は、今外向きに張っている結界を緩めてっと……。

 

 

 

 

 

 

「時空管理局だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、時空管理局とのファーストコンタクトとなりますか……。

 

 

 

 




前回から数年立ちましたが、皆様お久しぶりです。

色々刺激を受けたのと、感想で待っているとコメントしてくれた方がいたので、なんとか交信。

プレシアとの話は、クロノ達時空管理局とのファーストコンタクトの後ということで。

では、いつになるかわかりませんが、相当くないうちに続きをかきあげたいと思います。


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