ファントムオブキル√アリス~七人の姫と名の無い英雄~ (侍project)
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第1章~世界樹を目指して~
第1話~序章~


~三人称side~

 

何もない白い空間に声が響く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヨカッターーーーーーーーメガサメターー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………は?」

 

 

そこには一人の少年が茫然と立っていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドコモーーーモンダイハーーーーーナサソウダーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キミナラーーーーカノジョタチヲーーーーーミチーーービーーケーーーーーラレル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「導く?一体…何言って?というか、ここはどこだ?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キヲツケテーーーーーー

ダイジョウブーーーーキミナラーーーデキルーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉と同時に、空間が歪んでいった

 

 

 

「おいっ!待てっ!まだ何も聞いてないぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーガンガッテーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年は叫ぶーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺はーーーーーーーー一体ーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

その声は   虚空に消えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”…!…ろー!…るぞ!!…早く…!”

 

 

 

 

 

 

 

ワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ

 

 

 

 

 

 

”助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ”

 

 

 

  

”イャァァァァァァァァァァァァ”

 

 

 

 

”ママァァァァ!ママどこおぉぉぉ?!”

 

 

 

 

”殺されるっ!早く逃げろぉぉぉぉぉぉ”

 

 

 

 

 

”死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!!”

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めるとーーーー

 

 

 

 

 

 

そこはーーー地獄だったーーーー

 

 

 

 

目に見えるのは逃げ惑う人々

 

 

 

血のように赤い空

 

 

 

人の一部だった肉塊

 

 

 

この世の物とは思えない怪物

 

 

 

耳に聞こえるのは思わず耳を閉じてしまいそうな人々の悲痛な叫び

 

 

 

人が死ぬ断末魔の叫び声

 

 

 

肉がそぎ落とされ

 

 

 

おぞましい怪物の方向

 

 

 

 

 

 

 

ここはーーーーー地獄だったーーーーー

 

 

 

 

 

”こんなとこでつっ立ってんじゃねぇよ!!どけ!!”ドンッ

 

 

そう逃げ惑う群衆の一人の男にぶつかった衝撃で少年は地面に倒れた

 

 

「った!」

 

 

 

 

 

”おい!来るぞ!”

 

 

 

 

 

”早く逃げろ!!”

 

 

 

 

 

叫びが聞こえる

 

おぞましい怪物の声が響いた

 

 

『ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』

 

 

 

後ろを振り向くと、骨を型どった怪物が少年に目掛けて切りつけた人の血が滴る剣を振り下ろそうとしていた

 

 

 

 

 

 

「あ」

 

 

 

 

 

正念は死を確信した…しかし、それは大きく外れることとなった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”ザシュ”

 

 

 

 

 

 

 

 

その切りつける音と共に怪物は自らの血で作られた水溜まりに倒れやがて動かなくなった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年は茫然となった、倒れた怪物のことではないーーーーー

 

 

 

 

 

何よりーーーーーそれを切り伏せたのはーーーー美しい少女なのだから

 

 

 

 

 

 

 

腰まである桃色の長い髪、桃色の瞳、薄着の服に左腕を覆う鉄の鎧、自身の3/2程の剣を装備していた

 

 

 

 

 

その剣は先ほどの怪物の血がこびりついていた

 

 

 

 

 

 

少年の思考は止まっていた

 

 

 

この少女があの怪物を倒したのかと

 

 

 

この少女は何者なのかと

 

 

 

そう考えることで頭が一杯だったしかしそれは、少女の声で意識を取り戻した

 

 

 

 

 

 

「…!何してるの…?!」

 

 

 

 

 

「…え?」

 

 

 

 

 

「何してるの!!早く行って!!」

 

 

 

 

 

少女は逃げ惑う群衆を背後に叫んだ

 

 

 

「行けって、どこに!?」

 

 

少年がそう言いながら後ろを振り向くと雲を貫く程の大きさの巨大な大樹がそびえ立っていた

 

 

しかし、あまりの巨大さゆえ、大樹の根元の巨大な根が大地に張り巡らされていた

 

 

 

「何だ…あれ…?」

 

 

 

「急いで!!早くユグドラシルの大樹へ…」

 

 

 

少女が叫んだ次の瞬間、背後に先ほどと同じ姿の怪物が剣で切りつけようとしていた

 

 

 

「危ねぇ!!」

 

 

少年がそう叫ぶがーーーーー

 

 

 

「………え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”ザシュ”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無慈悲にもその剣は、少女を切りつけ鮮やかな鮮血があたりに命を散らすかのように散った

 

 

 

 

 

 

 

 

「アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

 

 

 

 

 

その惨状を目の当たりにした少年は心の奥から湧き上がる怒りを叫びと共に、怪物に向かい殴り掛かった

 

 

 

 

 

怪物はそれに気付き次の標的を少年に向け、剣を振り下ろした

 

 

 

ただの少年がおぞましい怪物を相手に勝てるはずなどなかった

 

 

 

怪物はその剣を少年に切りつけたーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、その剣は届くことはなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜならーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

”バキャァァァァァァァァ!!!”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『グギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!??』

 

 

 

 

 

 

 

”ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァ”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年の拳は怪物を殴り飛ばしたーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怪物は十数メートルほど飛び、近くの瓦礫まで飛ばされたーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして怪物は痙攣し、やがて動かなくなった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年は自分の拳を唖然と眺め、そしてすぐに斬られた少女を思い出し、そばへと駆けつけた

 

 

少女は背中の右肩から腰にかけて右下に斬りつけられており、傷口からは大量の血が彼女を染め上げていた

 

 

 

少年は彼女を抱き抱えた

 

 

 

その際に少女の血が彼の服を赤く染まった

 

 

 

 

 

「おいっ!しっかりしろ!!」

 

 

 

 

少年は叫ぶ

 

 

 

少女は朦朧とした意識で少年に呟いた

 

 

 

「…か、変えるのよ…この呪われた世界を…」

 

 

 

そう言いながら、少年に剣を託した

 

 

 

「…生きて…!…私たちの手で…」

 

 

 

少女は少年の頬に手を触れた、その頬は少女の血で濡れた、鼻からは鉄臭い血の匂いが鼻腔を満たす、しかし、それに気付かないほど少年は少女の言葉に集中していた

 

 

 

「目を閉じるな!意識を保て!死ぬんじゃねぇ!!」

 

 

 

 

 

 

少年は少女に死んで欲しくないーーー

 

 

 

 

 

その思いを言葉に乗せて伝えたーーー

 

 

 

 

 

しかし、そんな思いとは裏腹に少女は目を閉じていったーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「運命を…変える…の…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年の思いは悲しくも届かず、少女はその目に一粒の涙を流し

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

動かなくなった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいっ!おいっ!!死ぬな!死なないでくれっ!!頼むっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

少年は何度も少女の体を揺らしたーーー

 

 

 

 

 

 

 

血に染まった彼女を何度もーーー

 

 

 

 

 

 

 

それでも動かないーーー

 

 

 

 

 

 

少年はーーー

 

 

 

 

 

 

 

「死ぬんじねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年の悲痛な叫びはーーー天を貫くように響いたーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間

 

 

 

 

 

 

 

眩い光が彼らを包み、光は赤く染まった雲を貫き

 

 

 

 

 

 

 

 

二人とともに消えた

 

 

~三人称side out~

 

~〇〇〇side~

 

 

 

「………ん…?」

 

 

 

 

俺が気が付くと、見知らぬ空が広がっていた…

 

 

 

 

 

「…夢……か………?」

 

 

 

 

 

「…んっ……しょっと………」

 

 

 

 

 

装呟いた後、とりあえず尻をあげ辺りを見渡してみた

 

 

 

 

「…何だここ?」

 

 

 

 

周りは辺り一面の花畑だった…近くに民家は無さそうだ…

 

 

 

 

 

 

それより重要なことを思い出した

 

 

 

 

 

「俺は誰だ?」

 

 

 

 

 

 

 

記憶喪失キャラに使いつくされたテンプレートなセリフを俺は言った

 

 

 

 

 

(ここは何処だか分んない上、記憶までねぇとは)

 

 

 

 

 

 

 

「最悪だ………」

 

 

 

 

どっかの某天才物理学者みたいなことを言いながらーーー

とりあえず自分の荷物の中から持ち物を確認してみたーーー

なんが自分に繋がる何かがあるかもしれないしな

 

 

 

 

 

しかしでてきたのはーーー

 

 

 

 

 

七つのガラクタであった

 

 

 

 

 

 

「…ふーん……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…っざっけんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

俺は天国と地獄の住民が驚くのではないかと言う位の叫び声をあげた

 

 

「何でこれしかねぇんだよ!?こんなのが何の役に立つんだこれが!?」

 

 

これは流石に怒鳴るしかないな…

 

 

何せ見たことの無いゴミ同然のガラクタを持っていたのだ記憶を失う前の自分を殴りたくなった何でこんなの持ってんだって

 

 

 

「俺に繋がるヒントみたいなもんじゃねぇし…どうすんだよこれ?」トントン

 

 

俺が愚痴を言っている時、誰かが肩を叩く感覚がした

 

 

 

「うっさい、あっちいけ」トントン

 

何かの動物かと思ってとりあえず無視した

 

 

「これからどうしよう…人がいれば助かるんだが…」トントン トントン

 

 

俺はこれからのことを頭の中でフルに考えた…しかし、今考えてることは…

 

 

 

 

 

「だぁぁぁぁぁぁ!!鬱陶しい!しつけぇんじゃあ!ボケェ!!」

 

 

さっきから肩を叩いてくるのをぶちのめすことだ!!

 

 

 

どんな奴かと考えていたがーーー

 

 

”…グ…ガ……グガギャ…”

 

 

フードの用なモノに仮面を着けた人型の怪物がいた…何だあれ…

 

 

しかしそんな事よりいかにも襲い掛かりそうな雰囲気だった…

 

 

「振り向くんじゃなかった」

 

 

”ガグギャギャァァァァ!”

 

 

そう言った直後、怪物の一体が襲い掛かってきたヤベェ!!

 

 

”ブンッ!”

 

 

「危ねっ!」

 

 

怪物の一体が振り下ろした剣をギリギリで右に回避すると、すぐに体制を建て直しすぐに立ち上がろうとしたが、すぐに別の個体が槍を構え俺目掛けて突き刺そうとしていた

 

 

 

 

 

「げっ!!」

 

 

 

 

 

 

しかし

 

 

 

 

 

 

 

”ザシュッ!”

 

 

 

 

 

 

 

”ギ…ッッ!”

 

 

 

 

 

 

 

一閃

 

 

 

 

 

 

 

何処からか飛んできた斬撃が怪物たちを切り裂いた

 

 

 

 

 

 

 

”グギャ…ギャァァァ!!”

 

 

 

 

 

 

 

断末魔の叫びと共に怪物たちはただの肉塊と化し、やがて動かなくなった

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…」

 

 

 

 

 

 

 

「この一帯は…すでに〝異族”に侵食されてしまったようですね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

斬撃を放った張本人の剣を持った少女言葉を発してその場にいた

 

 

 

 

 

 

その少女は

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ご安心下さい。私はティルフィング…」

 

「異族討伐を指命とする゛キラープリンセス゛です」

 

 

 

 

 

ティルフィング…そう名乗った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢の中で出会った……少女に………そっくりだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…生きて…!』

 

 

 

 

 

 

ズキンッ!

 

 

 

 

 

 

「ッッ!」

 

 

 

 

 

 

 

一瞬の頭痛と共にティルフィングらしき少女の光景がフラッシュバックした

 

 

 

 

 

「…!あの…大丈夫ですか…?!」

 

「…ああ、なんとか…」

 

俺がそう答えると、心配そうにしていた顔が和らぎ、うっすら笑顔を浮かべて話かけてきた

 

「先ほどの貴方の大声を聞いて駆け付けて来ました…間に合って…本当に良かった…」

 

「……どの辺りから聞いてたの…」

 

俺がそう言うと…彼女は申し訳さそうに

 

「ほとんど……最初からです………」

 

そう言った……マジか……

 

「…出来ることなら……忘れて欲しい……間違いなく俺の黒歴史の一部になった…」

 

「あ…あはははは…」

 

やべぇよ…彼女苦笑いじゃねぇか…などと先ほどの殺されかけた空気から一変、和んでいると―――

 

「…!…来た…!!」

 

ティルフィングが何かに反応した

…さっきの゛いぞく゛ってのか?

 

 

゛ザッ゛

 

 

 

 

俺は目を疑った…何故ならそこに…ティルフィングと全く瓜二つの少女がそこに立っていた…

 

 

 

「…え…?何で……お前が………もう一人…………?」

 

 

「すみません…お話の途中ですが、失礼させて頂きます」

 

「………」

 

突然のことに戸惑い言葉を失っている俺を尻目に、話を続けるティルフィング

 

「…真の闘いは、ここからなんです」

 

 

 

 

そう言うともう一人のティルフィングに剣を構える

 

 

 

 

「…あとで…」

 

 

 

「お話の続きをさせて下さい……もし、私が…」

 

 

 

 

「生きて戻って来られたなら…」

 

 

 

 

 

覚悟を決めた声で…………ティルフィングは俺に言った

 

 

 

 

 

 

そこから…二人の決闘が始まった…

 

 

 

 

~〇〇〇side out~

 

 

 

~ティルフィング side~

 

 

 

 

 

 

゛ガキン゛

 

 

 

 

 

 

゛ガァン゛

 

 

 

 

 

 

二つの剣激による鉄がぶつかり合う音が辺りに響く

 

 

 

 

「クッ!」

 

 

 

 

剣が右に、左に、弾かれ、弾き返す

 

 

 

その光景が何度も続いた

 

 

 

 

 

 

 

私は地面を蹴りイミテーションの懐に入り、左下から斬り上げるしかし、体を後ろに仰け反ると同時に、腹に強烈な蹴りドッと言う音と共に入った

 

 

「グッ!!」

 

 

一瞬膝を着くも、直ぐに体制を建て直し突による追撃を剣でいなすと、右の頬に蹴りをするも、左手でそれを防がれる

 

 

「甘い」

 

 

 

イミテーションがそれを言うと同時に、剣で斬りつける

 

 

 

 

゛ザシュ゛

 

 

 

 

「ウグッ!」

 

 

 

 

肉が裂ける音と同時に、私は後ろに下がった…

 

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…」

 

 

 

 

 

 

 

右腕を斬りつけられた…深くは無いけど…長引くと…

 

 

 

 

 

 

 

 

いいえ…今は…目の前の敵を倒すことだけに集中しなければ…

 

 

 

 

 

 

 

彼に…話の続きをしたい……

 

 

 

 

 

まだ……………聞きたいことが……

 

 

 

 

 

 

「息が上がってるわね、もうそろそろ限界なのかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

挑発交りにイミテーションが言葉を発する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…舐めないで…まだいけるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっぽどあの゛マスター゛のことが気に入ってるのね…わざわざ遠くから大声を聞き付けてそれに反応した異族を倒すのだから」

 

 

 

 

 

 

「貴女には…関係…無いでしょ…」

 

 

 

 

「もしかしたら…マスターを利用して゛バイブス゛に゛キラーズ゛を共鳴させて力を強めるつもりだったのではないのかしら?」

 

 

 

 

 

私がマスターを利用するですって?

 

 

 

 

 

 

 

……違う………

 

 

 

 

「それは違う!!」

 

 

 

「…?」

 

 

 

声を荒らげる私に対して、理解出来ていない様子のイミテーション

 

 

 

「では何かしら?キラープリンセスの指命とか」

 

 

 

 

確かに…それもあるけれど…一番の理由は…

 

 

 

 

「…守りたい…」

 

 

 

 

 

「…え?」

 

 

 

 

 

 

 

「彼を守りたい…そう思ったから!私は彼を探し続けていたのかもしれないから!!」

 

 

 

 

 

 

私は…分からなかった…彼を探し続けていた理由も…でも…彼を見た瞬間に…゛守りたい゛そんな強い思いが…私を満たしていた

 

 

 

 

 

 

「…下らない」

 

 

 

 

 

 

 

「…ッッ!」

 

 

 

 

ガキン

 

 

 

 

 

 

私のイミテーションがそう言うと、剣をぶつけてきた

 

 

剣と剣が鍔迫合う中、イミテーションは話を続ける

 

 

 

「彼を守りたい…それは当然でしょ…マスターを守るのも、キラープリンセスの指命でもある」

 

 

「違う!指命とか、宿命とかそういうものじゃない!!ただ、彼を純粋に守りたいだけ!!」

 

 

 

 

 

「…゛愛゛とでも言うのかしら…私達にそんなものは必要ないわ…」

 

 

 

そう言うと、力を緩め、体制を崩した私を逆の方から斬りつけようとしてきた

 

 

 

 

それを剣で防御する…間に合って!!

 

 

 

 

「…遅い!」

 

 

 

 

 

゛ガァン!゛

 

 

 

 

 

「アァッ!」

 

 

 

 

 

 

 

剣が弾かれる衝撃で倒れてしまった!剣は遠くの地面に刺さってしまった!このままだと…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「残念ね…これで終わりよ」

 

 

 

 

 

 

イミテーションが勝利を確信する笑みを浮かべながら、私に剣を下ろす…

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまでね…

 

 

 

 

 

 

 

彼と……………………話したかったのに……………

 

 

 

 

 

 

 

…………まだ……………一緒に居たかった……

 

 

 

 

 

 

 

私は死を覚悟し、目を瞑った……………

 

 

 

 

 

 

 

しかし、いつまでたっても剣は降り下されなかった……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開けると……………………

 

 

 

 

 

 

「…何のつもり?」

 

 

そこには…私が守るはずのマスターが私を庇うように立っていた…

 

 

 

「…何…で…?」

 

 

 

~ティルフィング side out~

 

 

 

~〇〇〇 side~

 

二人のティルフィングの決闘が始まってから数分立った時、最初にあった方のティルフィングが腕に傷を負った

 

 

「あっ!」

 

俺はただ、その光景を見てるしかなかった…

 

その際、二人が何かを話しているようだったが、詳しく聞き取れずにいた

 

「くそっ!何話してんだ?」

 

 

その時

 

 

「それは違う!!」

 

最初のティルフィングが突然大声を出した

何を否定したんだ?怒鳴り声を出すほど否定することでもあったのか?

などと考えていると…

再び剣のぶつかり合いが始り、鍔迫合いが起こる

 

しかし、剣が弾かれて今にも斬られそうだっヤベェ!!

 

(間に合ってくれ!!)

 

ダッ!

 

俺は自分でも信じられないスピードでイミテーションのティルフィングに立ち塞がり、最初のティルフィングを庇った…

 

てか、最初のティルフィングとかイミテーションのティルフィングとか…しつこくないかな…紛らわしいっつうか…まぁ、作者の技量が原因だな…

 

「…何のつもり?」

 

イミテーションのティルフィング…くそっ長ぇからイミティルでいいか、シンプルに

 

「…別に…守ってるだけだが…」

 

 

「…ふうっ、どう言うつもりか知らないけどアナタの゛バイブス゛は私の゛キラーズ゛とは不適合…」

 

「よって、アナタのオーダーを受ける義務は無い」

 

呆れた様子で、淡々と説明するイミティル

 

「゛淘汰゛中は何人たりとも介入不能」

 

「邪魔をするのであれば原則に乗っ取り、そのイミテーションと共にアナタも排除することになるわ」

 

「成る程…お邪魔はガキでもぶっ殺すってか…随分とまぁ、冷酷なもんだ」

 

俺がそう返答すると

 

「それが゛キル・オーダー゛、私たちの絶対原則でしょ?」

 

「んなもん知るか」

 

そう答えた瞬間

 

「どきなさい」

 

冷淡に、冷たくその言葉を発し

 

俺を蹴りあげた

 

 

 

 

ガッ!!

 

 

 

 

ミシッ!

 

「チィッ!」

 

イミティルの蹴りを左腕でガードしたが、くそっメッチャ痛ぇ…赤く腫れてやがる…

 

「嘘…」

 

「………」

 

 

その様子をイミティルとティルフィングは驚いた様子で見ていた…どうしたんだ?

 

「アナタ…何者なの…キラープリンセスの攻撃を耐えるなんて遠くまで吹き飛ばす蹴りを防ぐって…」

 

「…分からねぇよ…自分でも…」

 

激痛に耐えながらもそう答える俺に対してイミティルは

 

「聞きたいのだけれど…何でこのイミテーションを庇うのかしら?アナタだけでも逃げれば助かるかも知れないのに…バカな人ね…」

 

そう質問するイミティルに対して俺は

 

「あぁ、確かに楽だろうな…」

 

「だがな」

 

「……?」

 

「死なせなくねぇんだよ」

 

「こいつを死なせたくねぇ…そう思うと、いてもたってもいられねえんだよ」

 

何故か分からない…何故死なせたくないのか…義理…いや、そんなものじゃないな…それ以上の…

 

 

「もういい…」

 

ガッ

 

「!!」

 

イミティルがそう言うと俺の腕を掴み、放り投げた

 

ズザァ!

 

「ガッ!」

 

地面に放り投げられたと同時体に激痛が走る

 

「ツ……ウガァ…」

 

「アナタはそこでこのイミテーションがやられる様を見てなさい…後でアナタも始末してあげるわ」

 

体が…動かねぇ…

 

ティルフィングに剣を突き出す

 

 

 

 

「さようなら…゛ティルフィング゛の名は私のものよ」

 

 

引導を渡すかの用にティルフィングに言った

 

 

 

 

 

 

 

待てよ…ここで…終わりかよ…

 

 

 

 

 

 

まだ…体は動く…

 

 

 

 

 

夢の時と同じようになんかしたくねぇ…

 

 

 

 

 

 

 

あいつを助けられるなら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この体がどうなろうと構わねぇ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は

 

 

 

 

 

 

 

 

あいつを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティルフィングを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

助けてぇ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その考えだけが心で満たされると、ガラクタの一部が淡く光だした

 

 

 

 

 

「…何だ?」

 

 

 

 

 

 

 

俺はそれを不思議そうに持つと、今にも殺されそうなティルフィングに向かった

 

 

 

 

 

 

 

そして、剣を突き刺す直前

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頭に聞き覚えの無い詠唱が

 

 

 

 

頭を駆け抜け

 

 

 

 

『神器起動・(剣)形態移行』

〔スタートアップ・ブレード・オン〕

 

 

 

 

 

 

 

俺はその言葉を口にした

 

 

 

 

 

 

 

 

゛ガァン!!゛

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…それは………何?」

 

 

「…え?」

 

 

二人とも鳩が豆鉄砲を食らったかみたいに驚いていた俺だってそうだ…なんせ

 

 

剣を弾いただけじななく

 

 

 

見たことの無い赤い剣を持つ

 

 

 

俺が立ってるんだから…

 

~〇〇〇 side out~

 

 

 

~ティルフィング side~

 

何が起きたのか…分からない

 

 

イミテーションが私に止めを刺そうとした瞬間、それを阻止しようとマスターがそれを防ぎ、剣を構えていたのだから…

 

 

「待ってろ…すぐに片付けてやる」

 

マスターが任せろと言わんばかりにそう言うけれど…

 

「やめて下さい!」

 

「…へ?」

 

「淘汰は何人足りとも介入してはなりません!!アナタは私のマスターです!守らなければならないのに…これでは…全く逆「ウッサイ!!」え?」

 

マスターに言葉を遮られる

 

 

「そんなの知るか!黙って休んでろ!こいつが俺が倒す!!」

 

「話を聞いてました?!それに、人間がキラープリンセスを倒せるわけなんて…」

 

「その通りよ…投げ飛ばした最に頭をぶつけておかしくなったのかしら…」

 

「俺の頭はもともと空っぽだ!記憶ねぇし!ここがどこだか分かんねぇし!!」

 

(そう言うことではないのだけど…)

 

「それに、゛そんな事が゛俺が止める理由にならねぇよ!」

 

「!」

 

「!」

 

「ティルフィングが俺の事を守る用に、俺もティルフィングを守る!ただそれだけだ!!」

 

そう曇りのない眼でマスターはそう宣言した

 

「…そう…」

 

 

 

 

「よっぽど早死にしたいようね」

 

ゴオッ!

 

辺に殺意が蔓延する

 

それに反応するように近くの草花がザワザワと揺れる

 

「その戯れ言の出る口を閉じてあげる」

 

シュッ

 

 

「なんの!」

 

ガキン!

 

剣で斬激を防ぐしかし今度は右斜め上から降り下ろす用に切りつける

 

ガァン!

 

ギギギギギギギギ

 

「クソッ!」

 

マスターがそれを防ぐように鍔迫合いが起きる、だが、徐々に押され始めているこのままでは…

 

「守ると言っておきながら、随分弱いわね…」

 

挑発するようにイミテーションは発言し、力を強めた

 

 

 

 

しかし

 

 

 

 

 

 

「なめんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

ガァン!!

 

 

 

「なっ!」

 

 

 

マスターが押し返した?!キラープリンセスに人間が力で押し負けるなんて…

 

 

 

「ツエァッ!!」

 

 

 

ギィン!

 

 

体勢を崩したイミテーションを追撃をするマスター

 

「テァッ!!」

 

ガギン!!

 

「くうっ!」

 

右に、左に、斜めに、剣激を行うマスター

 

しかし

 

「図に乗ら無いで!!」

 

早いスピードで、マスターに剣を突き出しイミテーション、危ない!!

 

「なろっ!」

 

ドスッ

 

地面に剣を指し、それを台に右に飛ぶそれと同時に頬に蹴りを入れた

 

「あぐっ!」

 

 

イミテーションは蹴り飛ばされ、なんとか立って持ちこたえた、かなりのスピードで接戦したのだからかなりのダメージになってる!このままなら…

 

「甘いわよ」

 

そんな淡い希望はその一言で砕かれた

 

ガッ!

 

 

「ぐっ!」

 

瞬時に加速し、マスターの首を掴んだ

 

「ぐ…が…」

 

「このまま、始末してあげる楯突いたおとを後悔しながら死になさい」

 

このままじゃ… ダッ!

 

 

マスターを助けるため、走った…でも

 

「フンッ」

 

ドガッ

 

「アァッ!」

 

腹に蹴りを入れられ、地面に転がった

 

「ううっ…う…」

 

「゛神器゛も待たず立ち向かうなんて…無謀にも程があるわ…このマスターに感化でもされたの…?」

 

「…うっ…」

 

蹴りの痛みで何も言い返せない…

 

「そこで自分の無力さを痛感しなさい」

 

息ができず、意識が途切れかけれるマスターに剣を突きつける

 

「だめ…やめて…」

 

何とかしないと…

 

「舐めんな!」

 

ドガアッ!

 

「ガッ!」

 

気力で息を吹き替えしたマスターが辺に響くような強力な頭突きでイミテーションの首を掴んだ手を放させた

 

「げほっ、ごほっ、ったく!強く締めやがって…」

 

首を手で抑え、呼吸を整えて話すマスター

 

「…怯んだだけよ…追い詰められた鼠は怖いわね」

 

頭突きをされた箇所に手を押させるイミテーション

 

「でも、そんな抵抗も終わりにしてあげる」スッ

 

再び剣を降り下ろす

 

「さようなら」

 

 

ザクッ!

 

 

 

肉を断つ不快な尾登が響いた…そんな…

 

 

 

しかし、

 

「舐めんなって…言ったはずだ…」ぐぐっ

 

 

降り下ろした剣を左手で掴んでいた…

 

 

「何っ?!」

 

苦痛で顔を歪ませながら

 

 

「捕らえたぞ!」

 

 

立ち上がるマスターしかし、ますます左手に剣が食い込み、血が勢いよく吹き出す

 

 

 

ブシャァァァァァァァ!!

 

 

 

 

 

「つぇあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

マスターがそう声を上げた、気迫に怯んだイミテーションの腹に剣を突き刺したその

 

 

 

 

ドシュッ!!

 

 

 

 

 

「アグッ!」

 

 

 

腹を刺されたイミテーションは後ろに下り、傷にてを添えながら呼吸を整えてる

 

「はぁ…はぁ…随分と無茶をするわね…アナタみたいなマスターははじめてよ…」

 

 

「(はぁ…)…へぇ…誉めてんのか…(はぁ…)?」

 

「呆れてるのよ…はぁ…はぁ…」

 

お互い息を切らしながら会話をする二人…マスター…何て無茶を…

 

 

「アナタを始末するの手間がかかるわね…」

 

「ほぉ…ビビったのか?」

 

マスター…挑発はやめた方が…

 

その時

 

ダッ!

 

「先にこのイミテーションを始末するまで!」

 

 

私に狙いを定め、切り伏せようと急接近し始めた

 

「あっ!てめっ!」ダッ!

 

それを阻止しようと、マスターも駆け出す

しかし、イミテーションの方が早い

 

「間に合えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

その叫びと共に、マスターが急加速し、私を始末しようとするイミテーションに間に合い、私の手を掴んだ

 

その時イミテーションが狙いを換え、マスターを狙った、まさか!

 

「最初から私の狙いはアナタよ」

 

そう言うと、マスターを切りつけようとした

 

「まずい!!」

 

ガシッ

 

「えっ?」

 

マスターが私の腕を掴んだまま、私を放り投げた…

 

ズザァッ!

 

「キャッ!」

 

そして近くに投げ出された、でも

 

「逃がしたつもりかしら、始末するのが遅くなったに過ぎないわ」

 

ブンッ!

 

「マスターッ!」

 

やられるっ!

 

 

 

 

 

しかし、

 

 

 

 

 

「殺られるかあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

体を仰け反らせ、ギリギリでかわし右斜め上に

 

 

ザシュアァァァァァ

 

「アァッ!!」

 

切りつけた

 

「今のは危なかったぜ…」

 

これで倒した…でも

 

 

 

「本当ね…」

 

 

 

 

 

 

「…チィッ!」

 

 

 

深く切りつけたにも関わらず立ち上がるイミテーション

 

「嘘だろ…あれだけの傷で立つのかよ…」

 

「キラープリンセスを侮らないで…アナタこそ人間なのに゛神器゛を使いこなすって…」

 

「…゛神器゛?」

 

理解できない表情を浮かべながら言うマスター

 

「゛神器゛すら知らないなんて…まぁ…これから死ぬ人に関係ないわ…」

 

「誰が死ぬか、誰が」

 

「言ってなさい、アナタも満身創痍の状態でしょ」

 

イミテーションの言う通り、まだ立つイミテーションに対して、体力が尽きかけてるマスター

 

そんなマスターにイミテーションが近づき

 

「最後に言うことはあるかしら…」

 

剣を斬る構えをとるイミテーション

 

「あるよ…ただお前じゃないけどな…」

 

「一体誰…」

 

「ハッ!」

 

(そう言えば…彼がイミテーションを投げた方向は!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ティルフィング!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あのイミテーションの゛神器゛が!!)

 

 

 

 

 

 

「はい、゛マスター゛!」

 

 

 

 

地面から剣を抜き、構えた私にそう言った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アナタの意志は…私が担う…」

 

「安心して逝きなさい」

 

 

 

 

 

「くっ!」

 

イミテーションが気付くも、もう遅い

 

 

 

 

 

 

「汚れなき声を」

 

「゛ココロ゛に刻め…!」

 

抑えられない昂りを顔に出し、恍惚の表情を浮かべ

 

 

 

 

 

ザシュッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その直後…イミテーションに止めの一撃を…放った

 

鮮やかな鮮血と共にイミテーションは地面に倒れた

 

それと同時に、私の昂る感情は消えた…

 

「我が同胞の叫び…この魂の礎とならん」

 

そう言うと、イミテーションは光の粒子となって私にまとわりつき…消えた

 

シュゥゥゥゥゥゥゥ

 

同じくして、私の剣に付いた血も消えた

 

 

 

「…処理……完了……」

 

 

 

思ったより手強かったわ…彼の協力がなければ…やられていたかもしれない…

 

 

 

 

そう思いながら私は

 

 

 

 

 

 

マスターの元へ向かって歩いた

 

 

 

 

(傷を…手当てしないと…)

 

 

~ティルフィング side out~

 

~三人称 side~

 

ティルフィングそっくりのイミテーションが消えると、ティルフィングがマスターと呼んだ少年に向かって歩きだした

 

「待たせてごめんなさい」

 

そう謝り

 

「思いのほか゛イミテーション゛が手強くて」

 

話し

 

「これで話しの続きが出来ますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アナタの声が、私に届いたの…」

 

「私は…アナタを探していたのかもしれない…」

 

太陽のような眩しい笑顔を少年に向けながら…そう言った

 

「俺を…探してた…?」

 

「はい、何故か分かりませんが…そんな感じがしてならないのです」

 

「…そうか…」

 

ブシャァァァァァァァ

 

「あ」

 

そんな空気をぶち壊すかのように左手でから大量出血を起こした

 

「ヤベッ!血ぃ止まんねぇ!てか今さらだけど超痛ぇ!!」

 

少年が慌て始めた

 

「あ…今すぐ傷の手当てをしなければ…」

 

「出来るの?」

 

「はいっ!ある程度の知識はありますし、道具もあります」

 

「じゃあ頼む!」

 

「はい」

 

そう言うと、傷を手当てし始めるティルフィング

 

しばらくしてティルフィングが話しかける

 

「そう言えば…名前を聞いていませんでした…アナタの名前を教えてくれませんか?」

 

「名前?」

 

「はい、私はティルフィング゛異族゛討伐を指命とする゛キラープリンセス゛です」

 

「゛キラープリンセス゛゛異族゛…さっきのイミテーションってのも言ってたけど…それは…」

 

「それは後で話ます、マスター、アナタの名前を教えて下さい」

 

「名前か…」

 

「どうしたのですか?マスター?」

 

「実は…記憶が無ぇんだ…」

 

「記憶が無い…そう言えば…先程そんなことをおっしゃっていたような」

 

「気のせいだ…忘れてくれ」

 

「あ…はい…実は…私もなんです」

 

「…え?」

 

「私も…過去の記憶が無くて…」

 

「ほぉ…お揃いとは…変わった縁だな」

 

「フフッ、えぇっ」

 

少年が微笑むと、それに続いて頬笑むティルフィング

 

「でも名前が無いと困るな…どうしよ…」

 

そう少年が呟くと

 

「では、最初に頭に浮かんだモノを名前にするのはどうでしょう?」

 

そうティルフィングが提案する

 

「成る程…そりゃいいな…」

 

少年は賛成した

 

「ふふっ」

 

「名前…名前…」

 

「深く考えな事が大切です」

 

その時、少年の頭にある言葉が浮かんだ

 

「…゛アリス゛」

 

「…゛アリス゛」

 

少年…いや、アリスがそう呟くとティルフィングも続く

 

「…あぁ、名前は゛アリス゛…それが俺の名前だ」

 

「アリス…素敵な名前です」

 

傷の手当てがいつの間にか終わり、改めてティルフィングが言う

 

「改めて、私のはティルフィング…これからよろしくお願いします゛マスターアリス゛」

 

スッ

 

ティルフィングが手を差し出し、握手を求める

 

「あぁ、これからよろしく頼む!ティルフィング」

 

ガシッ

 

アリスもそれに続きティルフィングと握手を交わす

 

 

 

 

左手で

 

 

 

「痛ぇ!こっち傷があった!」

 

 

「あっ!ごめんなさいマスター!!」

 

「いやいや、気にすんな!マジで大丈夫だからぁ!」

 

「いや!血が、血がで出ます!!」

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

草花が生い茂る花畑で、空気をぶち壊すようなぐだぐだなやりとりが行われたのであった…

 

かくしてこの出会いがこの世界を大きく変えるこのになるのは………誰も知らないであろう

 

~三人称side out~

 

「いや、作者は知ってるだろ」

 

「誰に言ってるのですか?マスター?」

 

「別に…ナレーターに言っただけ」

 

「はぁ…」



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第2話~キラープリンセス~

少年アリスが目を覚ますと、そこは見知らぬ花畑、そして自身が記憶喪失であることに気が付くさらに、゛異族゛という名の怪物に襲われ絶対絶命のピンチを救ったのが゛ティルフィング゛と呼ばれる゛キラープリンセス゛の少女だった!!」

「あの…マスター…何をしてるのですか?」

「これまでのあらすじ紹介をしているところ」

「あらすじ紹介…ですか…」

「ほらっ、ティルフィングも」

「この台本を読めば良いのですね…分かりました」

「さらに、゛ティルフィング゛そっくりの゛イミテーション゛と呼ばれる存在に襲われるも協力して撃破するのだった」

「どうなる第2話!?」

「ふふっ、楽しそうですね、マスター」

「あぁ!やってみたかったんだよね!」

(何故かしら…マスターの笑顔を見ていると…私も…嬉しいのは…?)

「どうした?ティルフィング?」ズイッ

「なっ何でもありません!!」

「?」

―――――――――――――――――――――――――

仮面ライダービルドのあらすじ紹介が好きすぎてマネしてみました…


~アリスside~

 

「あの…マスター…怪我の具合は大丈夫でしょうか?」

 

「あぁ、問題ない…血が滲んでるけど…」

 

握手を交わした時に再び出血した所を心配するティルフィングまぁ、そりゃそうだ…でも今は

 

「で、さっきの言葉はどういう意味なんだ?」

 

俺はあの言葉が一番気になっていた

 

「俺のことを探してたって…いったい…」

 

「はい…私はアナタのことを探し続けてきたんだと思います」

 

何でティルフィングは俺を…

 

「でも…何で俺を…?」

 

「…なぜと言われても…一言では説明し辛いのですが…」

 

「どゆこと?」

 

「どう言うことと言われても…?」

 

そう疑問に思ったその時

 

「本当にどう言うことよ?!」

 

何か…変なのが翔んできた…

薄茶色の髪、頭の左には花の髪飾りがつけていて、水色と桃色の四枚のトンボみたいな羽をした…手のひらサイズの…

 

……………妖精がいた…………

 

………何だあれ………

 

「ちょっと!あれって何よ!あれって!?」

 

「……別に…」

 

何で分かった?

 

「顔に出でたわよ!」

 

「あ、やべ」

 

「やべじゃないのよ!それより!」

 

「探し続けてきたってどういうことよ!?」

 

「まさか、゛マスター゛を見つけたってこと?…適合タイプは!?」

 

「もちろん一致している…でも、それだけじゃないの」

 

「一致してるって…それが答えじゃない!あああ、なんてこと!?」

 

「アタシがチョコ買ってる時にアナタのいる方向から変な大声が聞こえてきて、急いで戻ってきたらなんて劇的な展開になってるのよ!」

 

やべぇ…結構遠くまで聞こえてたのかよ…

 

つーか、置いてけぼりになってね?

 

「ともかく…やったじゃん、ティルフィング!!」

 

「あー、ティルフィング、こいつは…?」

 

突然話に割り込んできた妖精はどうもティルフィングの知り合いみたいだな…ま、一応聞くか

 

「あ、すみません紹介がしていませんでしたね、妖精のデュリンです」

 

「どうも、はじめまして!アタシが妖精のデュリン、ティルフィングの相棒よ!」

 

まぁ、一目見れば妖精ってことは分かる…羽あるし…小さいし…なんて思ってパタつかせている羽をみてたら

 

「分からないことも多いでしょうけど、何かあったらアタシに気軽に…」

 

「って、誰が妖精よ!!」

 

「どこ見てんのよアンタ!!失礼過ぎるわよ、このバカ!!」

 

「勝手にキレんな!自分でも乗ってといて!!」

 

「うっさいわよ!と言うか、どっかで聞いた声だと思ったらアホみたいな内容の大声上げてたのアンタでしょ!?」

 

「それを言うなぁ!!テメェに何が分かる!記憶を失ってどこだか分からない俺の気持ちが!そして今!ちっこい妖精にキレられてる俺の気持ちがお前に分かるかぁ!?」

 

「何ですってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

「デュリン、落ち着いて!す、すみませんマスター!デュリンは妖精扱いされると怒ってしまうんです…あとで…チョコでご機嫌をとらなきゃ…」

 

「今度、アタシを妖精扱いしたら…その鼻に、ナッツを突っ込んでやるから!!」

 

「やってみろ!お前を電子ジャーに封印してやらぁ!!」

 

「何よ!電子ジャーって!?」

 

「知るか!何か頭の中に浮かんだ!」

 

ギャーギャーギャーギャー

 

そんなバカ騒ぎをやってる最中、

 

「っ!」

 

「どうしたのよ…アンタ…」

 

俺が反応に戸惑いを見せたデュリンに対し、俺はティルフィングに言葉をかける

 

「ティルフィング…」

 

「はい…来るっ!!」

 

その瞬間

 

゛ガガァァァリィィィ…!!!゛

 

俺を襲った゛異族゛ってのが出てきやがった!またかよ…

 

「ク…ッ!ここは王国不干渉の外地…゛異族゛多発地域よ…とにかく、急いでここを切り抜けるわよ!」

 

チッ、道理で多いわけだ…かなりいるぞ!

 

「マスター!行きましょう!」

 

ティルフィングがそう言うと、前に駆け出し異族の一体を切り倒し、斧を振るってきた固体もなんなく避けた瞬間、剣の突きによるカウンターを食らわせた

 

「よっしゃ!」ザッ

 

俺も前に出で戦おうとするが

 

「ちょっと!何のつもり?!危ないから下がってなさい!!」

 

デュリンが慌てて警告するが

 

「知ってるよ!」ダッ!

 

急いでティルフィングの元に援護へ向かう

 

「あのバカッ!正気!?」

 

確かにそう思うだろぅ…武器もないのに怪物共の群に突っ込むなんざ、勇敢なのかバカなのか…いや、この場合は蛮勇だろう…武器がなければ肉体で…て言うのもあるけど…まだ自分のことも分からないんだ…たが…唯一分かってるのは…

 

 

 

このガタクタが゛武器゛だということだ

 

『神器起動・(剣)形態移行』

〔スタートアップ・ブレード・オン〕

 

その詠唱と共に、ガタクタが剣へと姿を変えた

 

「な…何よ…あれ…」

 

デュリンが驚いた表情を浮かべながら呟いていたが…それが聞こえた時には、異族の一体をたたっ斬り、ティルフィングの隣で剣を構えてた

 

「マ、マスター…」

 

「よっ!助っ人に来たぜ!!」

 

俺が軽く挨拶をするが

 

「マスター!早く後ろに下がって下さい!!危険です!」

 

「知ってるって」

 

「では何で!?」

 

「俺も戦うからだよ」

 

「何を言ってるのですか!?先程の戦いはあくまで運が良かっただけです!マスターを守るはずなのに死なれるようなことになったら…私は…」

 

「……俺も同じだよ…」

 

「…え?」

 

「俺だってな…ティルフィングに死なれたくねぇんだよ…お前が俺の目の前で戦ってるのに…ただ突っ立ってるだけなのは嫌なんだよ…」

 

「…」

 

俺の言葉を聞き続けるティルフィング

 

「それに…」

 

「俺はティルフィングの傍に居たいしな」

 

「エッ!?」ボッ

 

あ、ヤベッこれじゃ告白みてぇじゃねぇか!

 

「いや違った!そういう意味じゃなくて…お前のことをもっと知りたいっつうか…そうそれだ!お前を知るには近くに入れば分かるって言うか…ティルフィングにも俺のことを知って欲しいし…」

 

駄目だ…上手く言葉が出ねぇ…俺の答えにティルフィングは…

 

「もう…好きにして下さい!」

 

顔を赤くしながら俺に諦めたようにそう言った

 

「私はマスターを守るのでも守られるのでもなく…」

 

 

 

 

 

「…一緒にお互いを守り合いいきましょう!」

 

笑顔でその言葉を言いながら

 

「…あぁ!」

 

何で…アイツが俺を探していたのかが分からない…でも…これだけは一つ言える

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くぜ!ティルフィング!!」

 

「はい!マスター!!」

 

 

 

 

ティルフィングと俺は

 

 

 

ザシャァァァァァァ!!

 

 

 

 

゛グギャァァァァァァァァァァ!!!!゛

 

 

相性がいい!!

 

 

「このまま切り抜けるぞ!」

 

「はいっ!」

 

そう言い、俺達は゛異族゛と呼ばれる怪物達を切り伏せ、突破していった…

 

 

 

 

 

 

すっかり囲まれたけどね…

 

 

 

~アリスside out~

 

 

 

~デュリンside~

「全く信じられないわ」

 

アタシ達はすっかり異族に取り囲まれたわ

 

「あぁ、この状況をどうにか打破しねぇとな…」

 

「この状況を招いといてよく言うわ!!」

 

「俺のせいだって言うのか!?」

 

「アンタがティルフィングを守るとか言って突っ込んだのが原因でしょ!?」

 

キル姫はマスターを守るはずなのにこのバカは

 

「一度決めたことはやり通すもんだろ!!」

 

何でこんな意地をはってんのよ!それにアタシが気になるのはあの゛神器゛よ!

 

「その結果がこれじゃない!すっかり囲まれちゃったじゃない!と言うか、さっきの何なのよ!あんな゛神器゛見たことないわ!?」

 

「俺だって分かんねぇよ!大体゛神器゛って何だよ゛神器゛って!?さっきの゛イミテーション゛ってのも言ってたし!?」

 

「゛神器゛を知らないの!?全く、゛異族゛と言い゛神器゛と言い!知らなさすぎよ!」

 

「しゃあねぇだろ!さっきも言った通りここはおろか自分のことも分からねぇんだ!」

 

「どういうことよ?」

 

「…゛記憶゛が無ぇんだ」

 

「アンタも…ティルフィングと同じなの…?」

 

こんな偶然ってあるの?

 

「は?それ、いったいどういう゛ガァァァァ!゛ッ!」

 

異族の一体が襲い掛かった攻撃をコイツは剣で防ぎ、そのまま首を切り落とした…人間が゛異族゛に対抗出来るなんて…

 

「大丈夫か!」

 

「…えっ!えぇっ!まぁ…」

 

「二人とも、もう少し真面目に!」

 

゛異族゛を前にティルフィングが注意する

 

「あっ悪りぃ」

 

「そもそもティルフィング…コイツが゛異族゛を引き寄せる真似なんてするせいよ!」

 

「悪かったな!」

 

「もうやっと出会えたマスターなのよ?そんなこと言わないで」

 

「そりゃそうだけど」

 

「それに…マスターは私のことを守ってくれるし、私もマスターを守るから…」

 

全くこの娘ったら…

 

「ちょっと、あんた…ティルフィングの足、引っ張らないでよ?」

 

「誰が引っ張るかよ」

 

「マスターの身は…私が守ります!!」カチャリ

 

「俺だってな!!」ジャキッ

 

そう言うと二人はお互い連携し合い、゛異族゛を殲滅していったわ…

 

まぁ…マスターってのは何かぎこちない動きだったけど…

 

~デュリンside out~

 

 

 

 

 

~ティルフィングside~

マスターと共に゛異族゛の殲滅が完了し、綺麗だった花畑が血の海にそまった

 

「ふぅ…゛異族゛まみれの花畑だったわね、綺麗な景色が台無しよ」

 

そうデュリンが呟いた…私が…これを招いてしまったのね…

 

「この惨劇を…また私が…」

 

そう落ち込んでいるとデュリンが

 

「なに、また後悔してんの?言っとくけど殺らなきゃ

今頃、゛異族゛の腹の中よ?」

 

そんなことは分かっているのだけど…

 

「でも、こんなにも残酷なことを…私がやったなんて…」

 

その時

 

「なら俺も同じだよ」

 

「マスター?」

 

「俺だってお前と協力して、この現状を起こした帳本人の一人だよお前ばかり背負い込むなよティルフィング」

 

確かに、マスターも協力していたのだけど…

 

「でも、私はマスターより多く゛異族゛を切っていたので…」

 

「数がどーしたよ数が、俺も殺った時点で事実に代わり無いだろ」

 

「お前が罪悪感を抱える必要事項なんてねぇよ、現に、俺達がやらなきゃ皆あの化物どもの餌食になってたし」

 

「確かにそうですが…」

 

「俺も抱えてやるよ」

 

「お前の苦しみも俺が抱えてやるよ…同じ記憶の無いもの同士、同じ惨劇を起こした者同士、一緒に抱えてやるよ…仲間として…なにより゛マスター゛って奴としてな」

 

本当に…あなたと言う人は…

 

「マスター…ありがとうございます…」

 

「そうよティルフィング!何もアンタが抱え込む必用なんてないわ!それにアンタ!何゛マスター゛なのに前に出てるのよ!死んだら元も子も無いのよ!!」

 

「だって助けたかったんだもーん」

 

「何よそれ!?゛マスター゛ってのは゛キラープリンセス゛を制御し、統率することよ、前線で戦ってどうすんのよ!?まぁ、ティルフィングの励ましは良かったけど」

 

「゛マスター゛って奴のいろはなんて、そんなのどうでも言いっつの!」

 

「何がどうでもいいのよ!」

 

先程と同じくまたデュリンと゛マスター゛が口喧嘩を始めてしまった…もう…デュリンったら…でも、マスターにばかり背負い込ませる訳にはいかない…慣れていかないと…

 

「はいデュリン、チョコレート」ポムッ

 

デュリンの口にチョコレートを押し込み口喧嘩を中断しないと…

 

「ムグッ、…アンタねぇ…人がこのバカにお説教してる時に…モグッ…こういうもので誤魔化そうっだって…ムシャ…」

 

「そう言いつつも食ってんのな」

 

「…何よ、これ!?」

 

「うおっ!」

 

「この舌を包み込む食感…初めてだわぁぁぁ!?」

 

良かった…機嫌を治してくれたみたい…

 

「どうしたんだ一体…?」

 

「マスター」

 

「ん?」

 

「記憶が無くて不安なのは、私も一緒です」

 

「自分が何者なのかを指し示すのは、体に染みついた戦闘術と…魔剣゛ティルフィング゛から与えられた名前だけ…」

 

私もあなたと同じ、記憶がありません…何者かさえも…分からない…

 

「でも、心配しないで下さい、゛マスター゛が私を守り支え合うように、私もマスターの傍で守ります!」

 

「ティルフィング…」

 

「そして、この喉越し…初めてだわぁぁぁ!!」

 

「まだやってんのかよ…空気ぶち壊しやがって…」

 

マスターが呆れてしまってる…デュリンとも仲良くやっけいけそうな気がします

 

「ふふっ、゛デュリンが怒ったらチョコレート゛…こんな風に、一緒にこの世界のことを知っていきましょう」

 

「最高だわぁぁぁ!」

 

「うるせぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

ふふふっ、これから楽しくなりそう

 

そんな私達を遠くの木の上から見る人影がいることに私達は気がつかなかった…それが新しい゛キラープリンセス゛の出会いになると…

 

 

 

 

「はぁ…せっかく気持ちよく寝てたのに…遠くまで聞こえるバカ騒ぎされたら…寝れないじゃん…」

 

 

 

 

「はぁ…めんどくさい…」(でも…何か楽しそう…)

~ティルフィングside out~

 

 

~三人称side~

二人と一匹が「誰が一匹よ!」おっと失礼…では気を取り直して…コホン…

 

三人がバカ騒ぎを終えた後、アリスがあることに気が付いた

 

「そう言えば…どこに行けばいいんだ?俺達?」

 

「あ、そうそう!よく考えたらアンタ達今一状況が呑み込めてなかったわね」

 

「まずは世界樹゛ユグドラシル゛を目指すの」

 

「世界樹…゛ユグドラシル゛?」

 

「゛ユグドラシル゛てぇと…あの北欧神話の?」

 

「アンタ…記憶が無いくせによく知ってるわねそんなこと…」

 

「いや…何故か知らないけど…知ってんだよね」

 

アリスの言葉に呆れるデュリン

 

「まぁ、良いわ話を続けましょう。゛ユグドラシル゛はこのラグナ大陸の中心にそびえ立つでっかーい世界樹。そこがアタシ達の目指す場所なの」

 

その世界樹はここからでも微かに見えていた、世界樹の名の通り、この距離からでも見えるとなるとその巨大差は愕然とするだろう

 

そんな折、アリスはユグドラシルを懐かしむように眺めていた

 

「どうしたのよ?ユグドラシル何か見て、はは~んあまりの大きさに驚いてるの?」

 

からかう用にデュリンが言うが

 

「いや、何か何処かで見覚えがあるんだよ…」

 

「何よそれ?」

 

(夢に出てきた大樹にそっくりだな…)

 

「…いや…何でもない…」

 

「変なのっ、とにかくアタシ達の目的地はアンタの見てる所、わかった?」

 

「あぁ、でも何でそこに目指す必用があるんだ?観光でもするのか?」

 

「ばっかじゃないの?正しくは、ユグドラシルの麓にあるラグナ大聖堂ってとこに行くのよ」

 

「ラグナ大聖堂?」

 

「そっ、そこで洗礼を受けることでマスターの称号を授かり、初めてラグナロク教会が゛キラープリンセス゛の指揮権を正式に認めたことになるのよ」

 

「色々とめんどくさいんだな…」

 

「グチグチ言ってないで、マスターとなるべく、いざユグドラシルへ!」

 

「おーっ」

 

やる気の無い声で言うアリス

 

「ふふっ、えぇ、行きましょう!ユグドラシルへ!」

 

頬笑み、張り切るティルフィング

 

 

歩いて数分後、またも゛異族゛と遭遇するが、アリスとティルフィングの連携により最期の一体が残る

 

「゛異族゛の最期の一体を追撃します!マスターはそこでお待ちください!」

 

「あっ」ダッ

 

アリスが反応をするもデュリンがそれを止めるように前に出る

 

「ストップ、これ以上戦ったら危険よ」パタパタ

 

「大丈夫、殺されねぇよ」

 

「そういう問題じゃないの、寄生される可能性があるわ」

 

「は…どういうことだ?てか、あの怪物ども何なんだ?」

 

切り刻まれた゛異族゛なる怪物達の屍体を見ながらそうアリスは言った

 

「あの怪物達は゛異族゛…人々を喰らう、人間の上位捕食者であり…この大陸最大の驚異よ。だからもう戦わない方が良いわ」

 

「あんなのが大陸中にウジャウジャいんのかよ…」

 

「そっ、大陸最大の驚異に対抗出来るのが、キラープリンセスだけなのに…」

 

「どうした?」

 

口をつぐむデュリンを疑問に思うアリス

 

「あれが原因なのよ」

 

「えっ?」

 

デュリンが指を指した方向を見ると…そこには

 

「…これで終わりよ…っ!」

 

恍惚の表情を浮かべ、゛異族゛に止めをさすティルフィングの姿があった

 

「…ティルフィング…どうしたんだ!?あいつ…」

 

(さっきの゛イミテーション゛って奴に止めを指した時と同じじゃねーか!)

 

心の中でそう考えるアリス

 

「彼女達は対象を殺す瞬間、あんな風に快楽満ちた表情を浮かべるでしょ?」

 

「…あぁ」

 

「それが、人々を気味悪がらせてるのよ」

 

デュリンがそう言った瞬間

 

「…消えなさい!!」

 

ティルフィングは恍惚に満ちた表情で、異族を切り刻み、止めをさした

 

「…『恍惚の斬殺者』…」

 

 

 

 

 

「それがあの子達の通り名…」

 

 

 

 

 

「異族をただの肉片に変えるあの子達は世間から不気味に見え…忌み嫌われる存在なのよ。…侮辱の意味を込めてね」

 

 

デュリンのその言葉にアリスは…

 

 

 

「チッ!胸糞悪ぃ…命懸けで守ってんのに何様で言ってんだよ…その連中はよ…」

 

その目に…静かに燃える…怒りの火が灯っていた…

 

「…ふふっ、すっかり熱くなっちゃって…少しはマスターっぽくなってきたじゃない」

 

そんなアリスに笑みを浮かべるも、嬉しそうにそうデュリンは述べた

 

「…マスター…そう感情的にならないで下さい…私は…大丈夫です…」

 

そんな怒りを浮かべるアリスをティルフィングはなだめる

 

「…そういう問題じゃねぇんだよ…」

 

「はいはい、そんな空気にならないで!早く近くの村で一息入れましょう」

 

デュリンがそんな空気を和ませるように、目の前に見える村に目指して羽を羽ばたかせた

 

「………」

 

しかし、そんな空気とは裏腹にティルフィング達キラープリンセスの世間からの扱われる現状にアリスはただ、静かな怒りを灯していた…

 

 

~三人称side out~



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第3話~淘汰と新たな姫~

「さーて始りましたあらすじでございます」

「前回はマスターがデュリンに初めて会いましたよね」

「あぁ、ちっこいのに存在感ありまくりだろ」

「まぁ、デュリンはそこが良い所なので」

「ちょっとここどこよ!?ってか何してんのよティルフィング!」

「えっと…前回のあらすじをマスターとやっているのだけれど」

「説明になってないわよ!前ってアイツがアナタ達キル姫が世間からの扱いに怒りを覚えたこと!?」

「ええ、今それを説明したいた所なの。それでは第3話始ります」

「ええっ!ちょっと!待ちなさいよぉぉぉぉ!!」

「…あぁ…対して話せてねぇ…俺主人公なのに…」

―――遅れて大変申し訳ごさいません。

「あ、作者」


~アリスside~

「………デュリン、質問いいか?」

 

「ん?なになに?」

 

さっきのキラープリンセス…もとい『キル姫』のことも忘れた訳じゃねぇけど…今はあることが頭の中に思い浮かんでいた

 

「゛イミテーション゛って何だ?」

 

「あぁ、まだ話してなかったわねって、何で゛イミテーション゛を知ってるのよ?」

 

「さっき見て、戦ったから」

 

「…え?今、何て言ったの?」

 

俺の質問を確かめるかのようにもう一度言うように頼むデュリン

 

「戦ったんだよ、゛淘汰゛ってのをしてた゛イミテーション゛ってのとティルフィングといっし「アンタ何やってんのよぉぉぉぉぉぉ!!」…ぶべらっ!!」

 

全部言いきる前に俺の顔に全力で蹴りをかまして来やがった…こいつ…

 

「ってんめぇ!いきなり何をしやがんだ!!俺の顔がジャイアンパンチを喰らったのび太みてぇになっちまったじゃねぇか!!!」

 

「アンタってのは!アンタってのは!何でこうもやらかすのよ!?バカなの!?死ぬの?!」

 

「何でそこまでキレてんだ!?悪いか!?戦っちゃあよぉ!!?」

 

「当たり前よ!人間がキラープリンセスの゛淘汰゛に介入し、さらに゛キル・オーダー゛に反する行為をするわ本当に何考えてんのよ!?」

 

「デュリン何を騒いでるのって、マスター!何があったのですか!顔が凄いことに!?」

 

騒ぎを聞き付けたティルフィングも来て俺の顔の現場に驚いていた、そりゃそうだ…

 

「何、心配する事ねぇよ。次sideに行くまでに元に戻るから」

 

「次sideって何ですか!?」

 

「こっちのこと、で、俺の顔に蹴り喰らわせたのは置いといて、肝心の゛イミテーション゛って何だよ?」

 

顔が徐々に戻ってくな…周りはめっさ仰天してるが

 

「え…ええ…いいわ、教えてあげる。゛イミテーション゛ってのは同じ姿や形、能力を持ってる゛他の自分゛の存在のことを言うのよ」

 

「私達は゛他の自分゛と戦うことで、統合し最期の一人であるオリジナルに近づいていく…それが゛淘汰゛です」

 

「何だそれ゛蠱毒゛じゃあるまいし」

 

「キラープリンセスである私達にとっても、神聖なる儀式なんです」

 

「殺し合いに神聖もクソもないだろ」

 

「確かにそうだけど…そう定められているの」

 

デュリンがそう言ってるが、俺は納得できねぇ…ッツ!

 

「おい…これって…」

 

「どうしたのよ?」

 

俺の反応にデュリンが疑問に思っていると…

 

「マスター…身を持って教えた方が早いのかもしれません…」

 

ティルフィングも俺と全く同じ反応をしていた…やっぱり!

 

「それって…まさか!!」

 

「私のイミテーションが近くにいるの」

 

~アリスside out~

 

 

 

 

 

~三人称side~

アリスとティルフィングがイミテーションの気配を察知して数分後、異族の群れに紛れこみ交戦するイミテーションを確認したが、同じく一行は異族達に囲まれていた。

 

「まさか、一日に二人のイミテーションと戦う何てありえないわ!!」

 

その中で、ありえない表情を浮かべながら叫ぶデュリン

 

「んなこと言ってる場合じゃないだろ!状況が変わる訳じゃああるまいし!」

 

そう言い返すアリス

 

「しかも異族に囲まれてるし…」

 

「イミティルも同じ状況だろ」

 

「イミティルって何よ?」

 

「イミテーションティルフィングの別名」

 

「何よそれ…」

 

アリスのイミテーションティル「イミティル」おっと失礼…「しっかりしてくれよナレーション」…つーか、まずくないんスか?貴方以外干渉できない私に話しかけて、ほら見てくださいよティルフィングは不思議な顔をしているとはいえ、デュリンにいたっては呆れてますよ

 

「いいんだよ別に、アイツらそういうの伝えても伝えてられねーし」

 

「ねぇ、誰に話してるのよ?」

 

「おいっ、仕事仕事」あぁ、はいっ…コホン呆れながらも質問するデュリンに対して

 

「この作品のナレーションに注意しただけだよ」

 

「ナレーションって何よ?!」

 

「別にいいだろ、どーせ分かんねぇし」

 

「いや…あんた…おかしいわよ…」

 

「あぁ、お前もな」

 

「おい今どこ見て言ったコラ」

 

デュリンの羽を見て言ったため、物凄い形相で睨み付けられ、たじらいを見せる

…そんな二人に対して

 

「二人とも異族に集中して下さい!」

 

注意するティルフィング

 

「あぁ、ごめんティルフィング」

 

「マスターがどんな人でも私のマスターであることには代わりありませんから…大丈夫です」

 

アリスに心配しない用に頬笑みながら伝えるティルフィング

 

「サンキュ」

 

「いえ」

 

「はいはいそんな展開は後回しにして、ティルフィング?」

 

「異族を相手にしなければいけないのは向こうも同じよ」

 

「いや、お前はイミテーション俺は異族を相手する」

 

「マスター…分かりました気を付けて」

 

「ちょっと!何言ってるのよティルフィング!マスターを死なせる気!?」

 

アリスの発言に首肯くティルフィングに驚きを見せるデュリン剣を構えながら横目で伝えた

 

「大丈夫よデュリン、マスターは短時間とは言え私のイミテーションとも互角に戦えたのだから」

 

「だからって」

 

「それに私はマスターを信じてるわ、マスターが私を信じてくれるように」

 

桃色の髪をなびかせながら彼女はそう答えた

 

「ううううう…ああっもおっ!分かったわよ!アンタ達の好きにして!!!」

 

手に頭をつけ唸り、その小さい体から想像もつかない、根負けしたように大声を上げた

 

「ありがとうデュリン!さぁ!行きましょう!マスター!」

 

「応!!」

 

アリスの返事と同時に、異族が武器を構えおぞましい咆哮を轟かせ襲い掛かる

―――数分後、一体、また一体とアリスの振るう剣によって、断末魔の叫びと共に異族が血飛沫を上げ絶命していく

 

「ぜりゃぁぁぁ!!!」ザシュッ

 

最期の一体の首が切り落とされ、辺が異族の死体とその血によって赤く染まっていく時、異族の戦いの最中、ティルフィングとイミティルによる淘汰がさらに激しさを増していた…

それを表すように二人の剣戟が火花を散らしながら右に左にと剣をぶつけ合っていた

 

「……」

 

前足を出し、アリスも加勢しようと考えた…だが…

 

「止めなさい」

 

羽をパタパタと音を立て、アリスの前にデュリンが遮った

 

「これ以上゛キル・オーダー゛に反する行為はあまりにも危険すぎるわ」

 

彼女の鋭い眼光に怯みを見せていた

 

「゛キル・オーダー゛?」

 

(さっきのイミティルも同じ事を言ってだが…何なんだそれは?)

 

「詳しい事は後で話すわ…今はその目に焼き付けておきなさい」

 

そしてその眼を戦いを今もなお続けるティルフィング達に向け

 

「キラープリンセス達の神聖なる殺し合い」

 

言葉にした

 

「゛淘汰゛を!!」

 

神聖と言う名の虚像の

 

 

 

殺しの名を

 

 

~三人称side out~

 

 

 

 

~アリスside~

デュリンの言葉を聞いて数分たった、もうすぐ決着が付き添うな勢いで激しさを増していた

 

俺も本当は加勢したかった、しかし、俺にとっては下らならい殺し合いでも、ティルフィング達キラープリンセス達にとっての神聖なものに泥を塗る行為、即ちティルフィングの意志に反する事はしたくなかった…

 

いや、むしろ…俺はデュリンの言葉を信じた

 

なんせ彼女の眼を見て…嫌な物を感じた…

 

これ以上踏み込めば、大切な物を失うかもしれない…そんな恐怖が俺を動けなくした…

 

彼女の意志より見えない恐怖が勝りそれを理由に動かなかった…

 

 

 

最低だな…俺は…

 

そうこう思っていると内に

 

「―――汚れなき声を心に刻め!」ザシュ

 

決着がついた

 

「我が同胞の叫び…この魂の礎とならん」

 

息を上げながら剣を薙ぎ払い、血を辺りの草花へと飛ばす

 

心配した様子でデュリンがティルフィングの顔の前に羽を羽ばたかせ近寄った

 

「ねぇ…貴女は…」

 

「アタシの知っている…ティルフィングなの…?」

 

その言葉にティルフィングは血の取れた剣をしまう、息の調子を整えながら答える

 

言わなくても…分かるだろ…こいつは

 

「ハァ…ハァ…デュリン…そんなの…見て分からないの…?」

 

俺達の゛仲間゛だよ

 

その答えにデュリンはホッとした様子を見せていた

 

「良かった!!」

 

「長く付き添った相棒なのに、分かんないのか?」

 

「゛イミテーション゛相手に分かるわけないでしょ!」

 

「見た目で判断すんなよ」

 

俺達が言い合っているとティルフィングが話かけてきた

 

「デュリン…心配してくれて…ありがとう…」

 

「本物か偽者か分からない…数多くいる私から…この私を゛相棒゛として選んでくれたことに…」

 

「本当に感謝しているわ」

 

心からの感謝の気持ちをデュリンに伝えたその事に笑顔が溢れていた

 

「ティルフィング…」

 

俺も…伝えないとな…

 

「偽者か本物か…そんなの関係ねぇよ…お前は俺を助けて、一緒に戦ったティルフィングだろ」

 

俺の言葉にティルフィングは目に涙を浮かべながら頬を赤らめ、微笑んだ

 

「マスター…ありがとうございます」

 

そんなのティルフィングに俺は

 

「俺…ティルフィングのそういうとこ…好きになりそう」

 

こんなとこ言っちまった

 

「えっ…あっ…えっと…その…ありがとう…ございます…」

 

やべ…顔赤くなってるよ…

 

「なーに嬉しくなって顔赤くしてんのよティルフィング」

 

呆れてそんなこと言うデュリン…やめてー冷めた目で見ないでー

 

「そっ!そんなこと!!」

 

よけい赤くなって慌ててるよ…でも…

 

「…可愛い」

 

火に油どころかダイナマイトの束を投げ入れる事をやっちまった

 

「っ~~~~~~~~~~!!」ボッ

 

あーあーあーあー、やべーよトマト見たいになっちまったよパニクっちゃってるよ

 

「あーあー、凄いですねー、顔真っ赤ですねー、もーいーですかー?」

 

冷めた口調と呆れて用な目で言ってきた

 

「゛淘汰゛は一見するとただの殺し合い…でも彼女達キラープリンセスにとっては自分達の存在を統合する聖なる儀式でもあるの」

 

さっきの空気とはうって変わり、周りは真剣な空気に包まれた

 

「殺しとか…死ぬ事とか…神聖とかを盾にして正当化する…そういうのよくあるな」

 

さっきも言ったけど…なんでこんなのがよくあるんだ?…まぁ続きを聞くか…

 

「敢えて言うなれば、淘汰の果てに残った最期の一人が…オリジナルの存在なの」

 

「オリジナル…何でそれにこだわる?」

 

俺がその疑問を口にすると

 

「オリジナルに近づく程、自分の記憶が甦ると言われています」

 

ティルフィングがその意味を答えた…だからか…彼女達が戦うのは

 

「私の中に沈んだ…記憶を取り戻すには…これしかないんです!!」

 

自分の記憶を…求めるために…

 

 

 

 

 

 

あるんだな…お前達には…記憶を取り戻す術が…

~アリスside out~

 

 

 

 

 

~三人称side~

ティルフィングの淘汰が終わり、アリスは近くの森にいた、用事があると言いティルフィング達には待って貰うことにして森は太陽の光がうっすらと木々を照らし指す

 

「…………」

 

考えたごとをしながら、茂みをがさがさと進んでいた何かに導かれるように…

 

「ティルフィングらキル姫達は記憶を取り戻す方法がある…」

 

「だがその方法は…自分達との殺し合い…」

 

そして、木の幹の前で止まった

 

「あいつら…そんな重圧を背負って…戦ってるのか…」ジィィィィッ

 

そして何かを下ろす音がした

 

「どんな気持ちなのかな…戦い続けなければならない…あいつらの…」ジョロロロロ

 

そしてした

 

「そして…俺はタチションを出さなければならない…」ジョロロロロ

 

排尿を…って何やってんの!アンタは!

 

「しゃあねぇだろ、出すもの出さないと体に悪いだろ」ジョロロロロ

 

だからってさっきまでのシリアス空気をぶち壊す用な行動をするなよ!!

 

「ぶち壊さないで言ってないだろ」ジョロロロロ

 

言わなくても分かるだろ!つーかどんだけ出てんだよ!!

 

「溜まるに溜まってたんだろ男はどこかでビュルッと出さないと体が持たないの」

 

言い方がヤらしいんですけど!?

 

「そうか?」

 

そうだよ全く!こんなことしてっと天罰下りますよ…

 

「天罰ねぇ…それなら可愛い娘にやってもらえるなら嬉しいものだよ」ジィーッ

 

やっと終わった…ん?…

 

ゴンッ

 

「痛ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

何者かがアリスの頭を頭蓋骨に罅が入るかの如く強烈な蹴りが上から襲ったのであった…ほら言わんこっちゃない

 

「うっさい、余計なお世話だ!つーか誰だ!!俺の頭蹴ったの!!」

 

蹴られてコブの出来た頭を抑えながらアリスは青々とした葉の覆う木を見た…そこには…

 

「全く…ゆっくり寝てたのに…用を足されるわ、しかも一人で大きい声でバカ騒ぎされるわ…」

 

「うざいし…」

 

「めんどくさい」

 

木の枝に寄りかかっていた一人のティルフィングとはまた違った美しい容姿の美少女が、その言葉を発すると同時にアリスを力があったら殺せそうな殺意に満ちた眼でにらみ効かせていた

 

「うっ…いや…ごめん」

 

その強力は殺気に思わずたじろぎ、謝るアリス

 

足元まで届くような長いストレートな銀髪、ルビーのような赤い眼

裾が余りすぎて手が見えない白い服に黒の短いホットパンツ…

 

そしてその服の大きな特長は横からは多きな穴が開き、胸が見える大胆なものであった。

 

そんな容姿にアリスは少女に見上げながら口を開いた

 

「…痴女?」

 

「フンッ!」ガスッ

 

「ゆかなっ!!」ズザァァァァッ

 

怖いもの知らず顔と言うか馬鹿と言うか…その殺意を秘めた少女に対して無謀ともいえる言葉を発したため、アリスは地面を抉りながら謎の人物の言葉を叫び、吹き飛ばされた

 

「何しやがんだ!こん畜生!初対面の人間に対して蹴り飛ばしやがって!!」

 

「人が寝てる木の下で用を足してた人に言われたくないんだけど」

 

アリスのツッコミを華麗に受け流す少女…

そしてアリスはもしかしてと思い質問をする

 

「なぁ…」

 

「何?めんどくさいから早く答えて…」

 

「お前…キル姫か?」

 

彼女もティルフィングの用なキラープリンセスではないかと…

 

「だったら何?私がキル姫で問題でもあるの?」

 

だから何だと言わんばかりの返答であった

 

「いや…何で…こんな人気の無い森い居るんだって疑問に思ってな…」

 

「何だっていいでしょ」

 

「俺には何か意味があっている…そんな気がする」

 

アリスの返答に少女は苛立ちを覚え…

 

「あのさぁ…あんまり私に構ってると…」

 

そして

 

ジャキン

 

「消すよ」

 

赤と黒の不気味な印象を持つも、何処か美しく、独特な形をした大剣をアリスの目の前に突きだし殺しそうな気配を帯びていた

 

(めっちゃ怖ぇ…早く離れとくか…でも…)

 

その少女に恐怖を覚えるも…何かを感じたアリス

 

そう思うも…次の瞬間

 

キィン

 

「「ッツ!!」」

 

二人の間に何か共鳴を感じた

 

「おい…今の…」

 

アリスは同じく感じた少女に質問するが

 

「ねぇ…貴方もしかして…マスターなの?」

 

逆に質問をされた

 

「あぁ、ティルフィングにも言われてるけど…マスターの才能があるとか」

 

「はぁ…めんどくさい」

 

そう言うと少女は木から降りアリスの目の前まで来た

 

「まさか貴方のバイブスと私のキラーズが適合するなんて…ありえない…」

 

「…え?適合した「フンッ」ドッ痛っ!?」

 

戸惑いを見せるアリスに対してすれ違い様に脇腹を殴る少女

 

「ほら…ぼさっとしてないで…行くよ」

 

自分で原因を作っておきながら、早くこいと催促した

 

「てめぇでやっといて…こんにゃろ…」

 

脇腹を抑えながら少女の後を追うアリス

 

「早く案内して…貴方の隊のとこ」

 

「分かったよ…えっと…」

 

「…レーヴァテイン」

 

「レーヴァテイン?」

 

「そっそれが私の名前…貴方は?」

 

レーヴァテインと名乗るキル姫はその長い銀髪を揺らしながら後ろを振り向いた

 

「アリス」

 

「ふぅん…可愛い名前」

 

まるでからかうような笑顔を浮かべた

 

「うっさい」

 

「ま、めんどくさいけど…これからよろしく…変態マスター」

 

挑発的な事を言うレーヴァテイン

 

「ああ、よろしくね、痴女」

 

負けじとアリスも言う

 

「「…………」」ピキッ

 

殺伐とした空気が爽やかな森に流れたのは言うまでもない

 

(ま、こんなマスターだけど…退屈はしなさそう…)

 

レーヴァテインはそう思いながらアリスの後を追った

 

その後、デュリンと「何がどうなってるのよ!」とギャーギャー口論する声が花畑中に響き渡った

 

~三人称side out~




遅れて大変申し訳ごさいません。
次からは半月のペースで書けたら良いなと思います。

「はたして出来るかな?」

やれるよ…たぶん…


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