ワンマンアーミー with ドール (LAVANCLE)
しおりを挟む

帰還

脳死お気楽小説。


何も考えないで読もうね!


 鉄風雷火の叫び声が轟き、芳しい硝煙の香りが風に攫われ吹き荒ぶ。夥しい血肉が地図を描き、たまに吹き飛んでは様相を変える。最早何人殺したのかも数えていない。読み合いの末に至った結論が前時代的な正面衝突など笑い話にも程がある。お陰でどちらも壊滅だ。司令部は花火と見紛うかの如く吹っ飛んだ。生きているものなぞ早々にはいないと言い切れるような有様だ。

 

「なあおい、どうするよ。立ってんの俺らだけだぜ?」

 

「どうするもこうするも、敵は殆ど殺し尽くしてしまったし、そろそろお腹も減ってきたから帰りたいのだけど、司令部と一緒に糧食も吹き飛んでしまったし、今日は野宿になるかしらね」

 

「野宿。野宿かぁ。膝枕でもしてくんねぇ?獲物は獲ってくるからよう」

 

「獲物は獲ってきても調理は出来ないでしょうに。それをするのは私なのよ?割に合わないわ。お風呂も用意してくれたらしてあげてもいいけれど」

 

「風呂か。そうだなぁ、俺も風呂には入りてぇ。五右衛門風呂でも問題ねぇか?」

 

「戦場でまで贅沢は言わないわよ。その代わり、一番風呂は私がもらうわね」

 

「それくらい構いやしねぇよ。俺としちゃあ、身体流せるだけでも十分ってもんだ」

 

 それは、地獄と称してもなんら不思議では無い、血を吸ったかのような紅い月が照らす、戦場の夜のことだった。

 

 

 

 

 

 

 懐かしいことだ、もう10年以上前のことになる。最近になって手に入れるのも難しくなってきた葉巻を吹かしながら、ふと昔のことを思い出した。彼奴はどうしているか、と一瞬考えたが無用な心配だろうと一蹴する。そうそうくたばるような奴ではないことは俺が一番理解している。ただ久しぶりに酒を酌み交わしたいのも事実ではあるが。

 だがまあ、今はそんな現実逃避をしているような暇は無いか。まずは目前の問題をどうにかしなければ。

 

「なぁ、頼まれてはくれないか。人手が足りないしお前のような奴は貴重なんだ。それに今の時分、お前の望むような舞台はあまり無いだろう。だから、頼む」

 

「そうは言ってもなぁ。俺は裏で踏ん反り返ってるようなのは性に合わん。それはお前も十分知っているだろうに」

 

「それはそうだが……。お前程の人材を遊ばせておく程の余裕がないことも事実なんだ。俺だってお前がこんなことに、本来なら首を縦に振らないことも理解している。それでも頼らざるを得ないんだ。嘗ての戦友の好で、どうか受けてはくれないか」

 

「………お前がそこまで言うとはなぁ。どうやら相当に追い込まれているようだな。軍部との折り合いも悪いと聞くし、相当参っていると見える。…あぁ、いいだろう。受けてやるよ。ただし条件がある。大本の作戦には従うが、こちらの作戦はこちらで決める。それでいいなら雇われようじゃないか」

 

「恩に着る。助かった。詳細はまた二、三日中に送る。それに場所と日時を記しておく。次は、そこで会おう」

 

「あぁ、了解した」

 

 どうやら俺の雇われ先が決まったらしい。嘗ての戦友がPMCを立ち上げたとは風の噂で聞いていたが、まさか社長自ら来るとはな。それほど買われていると思うべきか、恐れられていると思うべきか、判断に迷うところだな。

 

 

 

 

 

 

「あなたが指揮官?………クルーガーから聞いていた通りね。あたしはVector。仲良くしましょ」

 

 書類に書かれていた場所に来てみれば、何やらVectorとか言う娘が待っていた。周りを見ても奴らしき影も見えぬし、この娘は案内役か。

 

「あぁ。クルーガーから聞いているのなら俺で間違いなかろうよ。だが、生憎俺は名無しでな、故、クラウンとでも読んでくれ。それで?クルーガーはどこにいる」

 

「ここの司令室で待ってるわ。そこまでの案内はあたしがしてあげる。逸れて迷子になんてならないでね、指揮官」

 

「ハッハッハ、俺は地図を回すような方向音痴じゃねえよ。まあ場所は分からんし着いても行くがな。それと、指揮官がなんざ大層な肩書きで呼ばんでいい。そもそも俺は指揮官に向いてるような人間じゃねぇしなぁ。だから、クラウンと呼んでくれ。単純にそっちの方が呼ばれ慣れてもいるしな」

 

 そう言うとVectorは僅かに困ったような表情を浮かべた後に小さく頷いた。

 

「わかった。これからはそう呼ばせて貰うわ、クラウン」

 

「あぁ、それでいい。そんじゃまあ、案内してくれ」

 

Vectorの後をついて行くこと暫し、凡そ十五分程歩きようやく司令室についた。室内にはクルーガーの他に数人いるらしい。外に少し声が漏れている。声からして女のようだが、俺の知り合いじゃあない。なんてことを考えている内に前に立っていたVectorが扉を叩き到着を告げていた。

 

「クルーガーさん、Vectorです。指揮官をお連れしました」

 

 扉の先が静かになり、クルーガーの入ってくれとの声と共に扉が開いた。開いた扉の先にいたのは男が一人に女が二人。男は言わずもがなクルーガーだが、女二人は俺の知り合いではない。となるとクルーガーの部下だろう。

 

「よく来てくれたな。色々と迷惑をかけた」

 

「かまわんよ。俺は雇われの傭兵だ。報酬が出るのなら雇い主の意向には逆らわんさ。それで隣のは?紹介してくれんのか」

 

「お前はそう言う奴だったな。あぁ、紹介しておこう。若いのがカリーナ、お前の後方幕僚を務めてくれる。もう一人がヘリアン、一応お前の上司だ。あまり虐めてやるなよ」

 

 よろしく、と挨拶すれば元気な返事が帰ってきた。緊張でかは知らんがガッチガチではあったが。

 

「それと、ここまで案内したVectorが、お前の副官だ。それで仕事の話だが、直近では大きな作戦は無い。取り敢えずは担当区域の維持と戦力の増強に務めてくれ」

 

「了解。それで、その担当区域とやらはどの辺りだ」

 

「詳しくはカリーナが説明するだろうが、お前の担当区域はS-09地区と呼ばれているところだ。お前のことだから特に心配もしていないが、まあ何かあれば連絡をくれ。こっちも何かあればヘリアン経由で連絡する」

 

「あぁ、分かった」

 

「すまんが、今日はこれで失礼する。こっちも色々と立て込んでてな」

 

「理解しているさ。人手不足のトップなぞ、大抵そんなもんだろうよ。となると、酒は今度に持ち越しか」

 

「そうだな。できれば嘗ての仲間で飲みたいが、そう贅沢も言ってられんか」

 

 一頻り笑い合い、また、とだけ言ってクルーガーはヘリアンを伴い部屋を出ていった。残されたのは俺とVector、それとカリーナとか言う後方幕僚のみ。Vectorは薄く笑っているが、カリーナは固まったままだ。こりゃしばらくは動かんな。前似たようなことがあった時は三十分は動かなかった。はてさて、今回は何分やら。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

感染

二話目だァ!



次はいつか分からんがなァ!


 新記録だ。一時間は動かなかったぞ、あのカリーナとか言う娘。足腰が強いのかと思ったが、その後へたり込んでいたからそうでもないのかと思い直した。件のカリーナとやらがフリーズしている間に諸々の説明はVectorから受けたが、詳しいことはカリーナが知っているとのことだったから聞いてみたが、今度は気絶しおった。これには流石のVectorも驚いたらしく、一緒に笑い合ったわ。

 

「それで、クラウン。これからどうするの?カリーナは暫く使い物にならなさそうだし」

 

「そうさなぁ、話を聞かねばここでは何も出来んし、少しばかりピクニックと洒落込むか」

 

「ピクニック?いいわね、それ。でもどこに行くのよ。ここら辺は鉄血の領域に近いし、ピクニックできるようなとこなんてないわよ?」

 

「それはまぁ、行ってのお楽しみって奴だ」

 

 何せ、ピクニック、だからなぁ。

 

 

 

 

 

 

「ねぇちょっと!ピクニックでしょう!?ピクニックに行くんでしょう!?」

 

「あぁ、そうだが。それがどうかしたのか?」

 

「じゃあなんで鉄血に追われることになってるのよっ!というよりこっちは鉄血の領域ってあたし言ったわよね!?」

 

「あぁ、ちゃあんと言っていたし、俺も確と聞いた」

 

「ならなんでこっち来たのよ!?」

 

「なぁVector、知っているか?俺等の間じゃあ、威力偵察と書いてピクニック呼ぶんだ。覚えておくといい」

 

「しっ………知らないわよそんなのっ!?そもそもあたし、その俺等の中には入ってないでしょうっ!?」

 

「それもそうだな!なら今日からお前も俺等の家族だ!」

 

「なりたくないわよっ!どうせクラウンみたいなのしか………っひゃぁっ!今かすった!耳の横かすっていったわよどうするの!」

 

「どうするっつってもなあ!奴さんが鬼ごっこをお望みなら付き合わん訳にはいくまいて!」

 

「付き合わないでさっさと殺したらいいじゃないのっ!さっきから当たりそうで冷や汗止まらないのよあたしは!」

 

「なら後100m我慢せいっ!」

 

「今度は何するつもりなのよっ!」

 

「なぁーに心配するな!ちょっとしたスタントだ!」

 

「余計心配になったじゃない!」

 

 Vectorは案外こういうことに慣れているのかとも思っていたが、どうやらそうでもないらしい。後ろから聞こえてくる悲鳴も可愛いもんだ。

 話している間に折り返し地点、砲撃、劣化その他諸々でボロボロになっているアスファルトの上で後輪を思いっきり滑らせる。

 

「しっかりと捕まっておけよォ!ちっとばかし揺れるからなァ!」

 

「もうしっかりガッチリ捕まってるわよ!だから殺るならさっさとして!」

 

「いい返事だ!さあ、カッ飛ばしていこうか!」

 

 加速は十分、目標視認。

 

「ハッハァーッ!一人で追ったが運の尽き!轢き潰されて地球のシミになるといい!」

 

 

 

 

 

 

「案外なんとかなるものなのね。鉄血の頭も綺麗に潰れていたし、楽しかったわ」

 

「そりゃあよかった。哨戒中の一小隊も潰せたし、万々歳ってもんだぁな」

 

 今回のピクニックの戦果は、はぐれが1、パトロール中の小隊が1。初めてにしては中々いい戦果だろう。はぐれは俺がバイクで轢き潰したが、パトロール小隊に関してはVectorがキャンプファイアにしていた。行く前に仲間が作った手榴弾を5ダース渡していたんだが、投げきりやがった。お陰で残ったのは焦げたナニかだけだ。回収なんてできそうもない。まあVectorがそれで楽しいんならいいんだがな。

 取り留めもない話をしながら司令室へ向かう。カリーナが気付いているといいが、まだ気絶しているようなら今日はもう店仕舞いにしよう。そう思いながらVectorと歩き、話も一段落した頃に司令室についた。声が聞こえるから気付いたのだろう。もう一人、確かヘリアンだかの声も聞こえるが、何かあったのか。

 Vectorを伴い司令室に入ると、二人の視線が突き刺さった。何やら色々とっ散らかっているが、どうしたというのか。

 

「どうかしたのか。随分な慌てようだが」

 

「し、指揮官さま!ご無事だったんですね!鉄血に追われているって聞いたときはもうどうしようかと………」

 

『巡回中の部隊から鉄血に追われているバイクを見たって連絡が入ったから、もしかしてと確認をとってみたら君達だろうとクルーガーさんから言われたんだ。クルーガーさんは心配しなくていいと言っていたが、どうしようかとこっちに繋いでみたら、カリーナは知らないというし、どうしようかと思ったよ』

 

「そうか。それは要らぬ心配をかけたな。ちょいとばかしVectorとピクニックと洒落込んでいたのだが、存外楽しくて興がのった」

 

「ピクニックって言葉に騙されないでね。クラウンにとっては、威力偵察って書いてピクニックと呼ぶらしいから」

 

「余計危ないじゃないですか!怪我したらどうするんですか指揮官さま!」

 

「無用な心配よ。そう易々と俺に傷はつけられんさ」

 

 まだ何か言いたそうにしていたがそれを遮り、ここの詳しい説明を頼む。ヘリアンは何やら用事があるらしく慌ただしく通信を切っていった。じきに陽も落ちる。今日はカリーナから説明を聞いたら終わりだな。




知っているかい?


キチガイは感染するんだよ

















それはそうとヘリアンの口調がわからん

こんなもんでいいのかね?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

予兆

キチガイ成分が足りないィ!






あと人形サイド誰だそう?
Vector以外何も考えてなかった。
Vectorちゃんはウチの主力放火魔です。
一撃必殺ダネルちゃんも良さげ?


 その日、非番であったカリーナはとある調べ物をしていた。それは上司であるヘリアンに頼まれたのもあったが、それ以上にカリーナの興味と好奇心が抑えられなかったからでもあった。

 調べているのは新しく配属された指揮官のこと。突拍子も無い、と言えば聞こえはいいが、いってしまえばキチガイである。今の時分、戦術人形と相対するのは、ほとんどの場合は死を意味している。それもPMCの戦術人形でそれである。軍属ともなればいかに傭兵と言えど、全滅を覚悟する程の事なのだ。軍属では無いとはいえ、鉄血工造製の質実剛健な作りの人形に対し、生身で渡り合えている事自体が驚愕するべき事なのだ。

 

「調べても調べても出てくるのは眉唾物の噂話の域を出ないものばかりだし………、都市伝説みたいな戦場伝説が大半………、でもこの噂話も指揮官さまならできそうだし………」

 

『カリーナ、進捗の方は?』

 

「ダメです。貰った断片的な経歴をもとに調べてみても出てくるのは戦場伝説、噂話ばかりです。名前も出身地も、何も分かりません。それに、貰った経歴の中で一番古いものはもう50年も前のものなんですよ?そんな昔の記録、もう見付かりませんし調べようもありません。それより、クルーガーさんに聞いてみたらどうですか?こうやって調べるよりも詳しい事を知っていそうですけど」

 

『私もそう思って聞いてみたが、クルーガーさんでも知っているのは僅からしい。初めて目にしたのは15年程前、その時は敵同士だった。第三次大戦の初期のころ、一晩で基地が落とされた事があった。その実行犯が指揮官らしい。次に目にしたのは終戦間際のこと、今度は味方としてだ。その時は悲惨だったようだ。クルーガーさんも地獄のようだった、としか仰られなかった』

 

「そんな………」

 

『加えて、当時は指揮官だけではなく、何人かでチームを組んでいた、と言われたな。何か思い当たることはあるか?』

 

「あぁ、そう言えば何度か同じ名前が出てくることがありました。ただそれもコードネームのようで、本名を含め個人情報は何も出てきません」

 

『そうか………』

 

 二人の間に沈黙が降りる。ヘリアンがクルーガーから受け取った経歴も50年前から始まり10年前で終わっている。しかもそれすらもぶつ切りの断片的なものなのだ。それに第三次大戦の混乱の中で多くの資料、データが失われた。それは紙媒体が顕著であり、機密性の観点から紙媒体で保管されていた情報はそのほとんどが失われたといっていい。ネット上に保管されていた物は難を逃れたが、その代わりに管理している人材が失われたこともあり、ダストデータとなることも少なくなかった。

 

「カリーナ、いる?」

 

「あ、Vectorさん。どうしたんですか?」

 

「これ、クラウンから渡しておけ、って言われたの。あ、ヘリアンもいたのね」

 

『ああ。ところで気になったのだが、そのクラウンというのは、あの新しい指揮官のことか?』

 

「あ、それ私も気になってました。なんでクラウンなんでしょう?」

 

「さあ、そこまではあたしも知らないわ」

 

 ですよねー、と声が漏れる。Vectorさんはあんまりそういうことに頓着しなさそうだから、あまり期待はしていなかったけれども。

 飛んでいた思考を引き戻したのは、端末から聞こえるヘリアンの声だった。

 

『カリーナ、すまないがこれから会議が入った。恐らく今日一杯かかるだろうから、今日はここまででいい。次までに何か進展があれば私まで連絡してくれ。それと、今日の会議次第では君達に正式に動いてもらう事になる。早ければ来週には。その事を指揮官にも伝えておいてくれ』

 

 それでは、と言い通信が切られる。それにしても、早ければ来週には正式に作戦が実行される。となると、資材の補完状況、備蓄、部隊編成、装備の確認、通信経路の確保、と思いついただけでもこれだけの仕事がある。それに加えて報告書などの事務作業も合わせると………。考えるのもいやになってくる。来週は残業確定だろう。思わず昏い溜め息が口から溢れた。気分が沈み憂鬱になってくる。

 

「どうしたの?」

 

「ああ、いえ。早ければ来週から動く事になるそうなので、残業確定で憂鬱になっているんです」

 

「そう、大変ね」

 

「大変ですよー。ですけど、それが後方幕僚である私の仕事ですから。あ、Vectorさんこれから何か予定はありますか?」

 

「いいえ、今日はもうないわ」

 

「それなら一緒にご飯食べませんか?まずは来週のことを指揮官さまに報告してからになるんですけど」

 

「ふーん………。いいわ、付き合ってあげる」

 

 これはバレたかなぁ、と苦笑を浮かべつつ部屋を出る。

 何を隠そう、私はまだ指揮官さまが怖いのです。頭二つ三つ分上から見下ろされると怖いんです。

 私はしがない後方幕僚にすぎませんから!

 

 

 

 

 

 

「突然連絡なんざ寄越してどうした。お前はそんな殊勝な奴じゃあないだろう。いうならハリケーンみたいなもんだな」

 

『殊勝な自覚はないけれどハリケーンは言い過ぎでしょう。精々旋風くらいでしょうに。っと、それどころじゃなかった。ねぇ、貴方。PMCに雇われたって本当?指揮官やってるのよね?指揮官やれてる?』

 

「おいおい、そんな一気にまくし立てんじゃねぇよ。俺の口は一つしかないんだぜ?まあ順番に答えていくとなあ、PMCに雇われたってのは本当だ。昔同じ戦場に立ったクルーガーって奴に誘われてなぁ、そいつが立ち上げたPMCに雇われてんだよ。次、指揮官やってんのかって話だが、確かにやってはいる。未だ一人しかいないがな。最後、指揮官やれてんのかってのは、まぁやれてはいる。俺等流のやり方だがな」

 

『あー、でしょうね。そうでしょうとも。貴方ハウスもステイもできないものね。指揮下の娘は大丈夫かしら』

 

「それについては無用な心配だろう。彼奴、U.B.印の手榴弾が大層お気に召したみたいでな、初っ端渡していた5ダース投げ切りやがった逸材だ。人形にしておくのが勿体無い位のな」

 

『………そう、もうその娘も感染してしまっているのね。ならもう手遅れだわ………』

 

「おうコラテメェ、何常識人ぶってやがる。テメェが一番常識からかけ離れてんだろうが。サイコキラーが聞いて呆れる」

 

『何よ。私は天誅しているだけであって、欲求に従って殺している訳ではないのよ?………最近はちょっとアレだけれど』

 

「ダメじゃねぇかよ。ってかンなのをサイコキラーっつーんだよ。…………あー脱線した。ンで?何で連絡なんざ寄越したんだ」

 

『あーそうだったそうだった。えーっとね、大方予想がついていると思うけれど、貴方が雇われたって情報がみんなの間で広がってね。各々仕事を済ませてからだとは思うけれど、早ければ一週間後位に貴方のところにくるかもしれないから、一応連絡しておいたのよ。指揮下の娘に怪我させると、貴方はそうでもないでしょうけど他の人員に迷惑かけるでしょうから』

 

「なるほど、そういうことか。まぁ一週間後なら特に問題も無いだろう。こっちも簡素だが歓迎の用意でもしておこう」

 

『えぇ、わかったわ。位置的に私かグリムが先に到着するとは思うけど、連鎖爆破式高速移動なんかをしないとも限らないから、気を付けておいてね。下手すると花火になるわよ』

 

「肝に命じておこう。花火になるのは二度とごめんだ」

 

『私もよ。それじゃあ、今度は直に会いましょう。久々に皆で集まるから、樽で準備しておいて頂戴ね』

 

「あぁ、もちろんだとも。それじゃあな」

 

 えぇ、また、との声を最後に静かになる。

 さぁて、これは大変なことになった。昔の仲間が集まるとなると大層愉快なことになるだろう。問題は、酒を手配できるがだ。樽で三十程用意できればいいが。肴は俺がそこらで何かしら獲ってくれば問題はないが、酒ばかりはどうにもならん。それにヤケにこだわりをもつ奴ばかりで困る。スピリタスにでも漬けてやろうか。

 まあ、金なら幸いたんまりとある。盛大にやろうじゃないか。

 

 

 

 

 

 

「えーと、確かこの辺りだったから………うん。一週間、いや急いだら五日と半日で着くくらいかな。楽しみだなぁ。最後にあったのが中東だったから、だいたい3年くらい?指揮官やってるって言ってたし、面白いことになってそう」

 

 

 

 

 

 

「さぁて、忙しくなるわね。まあ、まずはどうやって向こうまで行くかを考えなければいけないのだけれど。車は通れないからダメだし、空も伝はあるけどそれだと間に合わないし………、やっぱり山越えしかないかしら?寒いし降りたところで鉄血の領域横断していかなきゃいけないから面倒なんだけれど、それしかないわよね。もしかするとグリムは一週間切ってくるかもしれないし、ドヤ顔されると天誅したくなるし。まあ、なるようになるわよね」

 

 

 

 

 

 

「OMG!海挟んだ向こう側じゃねぇかよ!これじゃ一ヶ月はかかっちまうぜ。俺が一番最後になっちまうか?それは、なんというか、マズイ気がするな。あーぶっつけではあるが試してみるかぁ?最悪ミンチになっちまうが、まぁメンゲレの奴もくるだろうから問題はねぇか。さぁ、そうと決まればさっさと準備して吹っ飛んで行くかあ!」




次はキチガイ成分を補給してからだ。





キチガイ小説もっと増えてくれていいのよ?








読み飛ばしていい補足
連鎖爆破式高速移動:要は水切り。自分を石に見立てて、爆破で空中を目的地まで吹っ飛んで行く方法。もちろん空中で爆破させているわけだから、下は愉快なことになる。ミンチになるかジュースになるか選びなァ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

窮地

書きたい事書いてたら長くなった
反省も後悔もしていない







とりあえず404小隊出してみたけど、キャラ崩れてる気がしないでもない

直す気もないけど


 カリーナから聞いた話の通り、話を聞いた翌日には作戦が伝達され、作戦開始は五日後となった。それに伴い、現状Vectorしか所属していない俺の所にある部隊が配属されるらしい。クルーガーから上手く扱ってくれと言われたが、はてさてどんな奴が来るのやら。

 指定された時間は今日の昼、つまりはそろそろ来るはずだがまだ何の連絡もない。まあ昼なんて曖昧な指定をした俺も悪いんだが。

 しばらく思考に耽っていると、ノックの音が響く。噂をすれば影とやら、どうやら到着したらしい。入れ、と声を掛けると、僅かな音をさせながらドアが開く。入ってきたのは四人、似たようなのが二人に目元に刺青がある奴とちっこい奴。小隊のリーダーだろう茶鼠色の髪をした少女が口を開く。

 

「404小隊、現時刻をもって指揮下に入ります。仲良くやりましょう、指揮官」

 

「ご苦労。来て貰って早々悪いが、五日後の作戦に参加してもらう。俺のとこはまだVectorしかいないからな。どうしても出来ることが少なくなる。作戦開始までは暇だ。各々好きに過ごしてくれて構わん。仲良くやろうか、404小隊。作戦が終わったら、ささやかながら祝宴でもやろうじゃないか」

 

「了解です。楽しみにしてますねー」

 

 結局喋ったのは茶鼠色の少女だけだった。というか名前すら知らんのだがどうしろというのか。隣にいるカリーナを見ても首が取れそうな程ブンブン横に振っているし。

 面倒だが、クルーガーから聞き出すか。

 

 

 

 

 

 

 クルーガーから聞き出した結果、茶鼠色の少女がUMP45、似たような栗色の少女がUMP9、目元に刺青がある奴はHK416、ちっこいのがG11らしい。

 これはちょいとマズイかもしれん。G11を前にして仲間のメカニックが冷静でいられるとは思えん。絶対魔改造しやがるぞアイツ。どうにかして思い留めさせれればいいんだがな。鉢合わせたらどうしようもない。俺等ではメンテアイツに丸投げしている手前、止めるに止めれんしなぁ。諦めてもらう他ないか。

 ともあれ、作戦開始までは暇だ。それまでに酒を買い漁っておくか。

 

 

 

 

 

 

 どうにかこうにか酒を工面するのに四日かかった。まさか北欧の隠居ジジイのところにまで買い付けに行かねばならんとは思わんかったわ。今の時代、趣向品は須く高価だが、ここらで富裕層向けに売っているものすらも、昔の安酒よりマズイとは思うまいよ。肴はそこらで狩って来たものもあるし大丈夫だろう。

 まあ、それもこれもこの作戦が終わってからの話になるんだが。

 今回の作戦の目的は鉄血の領域内部にある廃棄された研究施設のデータの回収。中身は知らん。回収班は俺のとこのVectorと404小隊が担当する。周辺の掃討と援護にご近所さんが付いてくれるらしい。俺はカリーナにくれぐれも前には出るなとお叱りを受けて、今回は司令室で踏ん反り返っておけばいいらしい。詰まらんな。時期を見て抜け出そう。

 ブリーフィングは済ませた。そろそろ彼奴らを乗せたヘリがLZに着いている頃合だろう。事前調査でジャミングがないことは分かっているが、鉄血はそこまで愚かでもない。ジャミングされていた場合の緊急連絡手段も用意した。

 

『こちらUMP45。指揮官、聞こえてる?』

 

「感度良好。しっかり聞こえてるぜ」

 

『なら良かった。こっちはLZに着いたとこ。現時刻より作戦を開始します。何か伝達事項はある?』

 

「いいや、特にない。ブリーフィング通りだ」

 

『そう、こっちも今のところ問題無し。それじゃあ、また後で』

 

「ああ、また後で、な」

 

 あぁ、相棒が使えないのが実に心残りだ。相棒が使えれば一緒に突っ込むことも出来たというのに。まあそれも今暫くの辛抱か。メカニックが合流さえすればそれも解消される。なるべく早く来て欲しいものだ。

 

「指揮官さま、Vectorさん達の方は大丈夫ですか?」

 

「順調だよ。至極順調だ。俺としては詰まらん程にな」

 

「指揮官さまの感覚で言わないで欲しいですー。今回はただでさえ鉄血の領域での作戦なんですから、何もないに越したことはありませんよ」

 

 それはそうなんだが、なぁ。なぁーんか起きる気がするんだよなぁ。破茶滅茶に滅茶苦茶な感じの何かが起きる予感がするんだよ。まぁどっちにしろ抜け出して乱入するつもりだが。

 

『指揮官!ねぇ指揮官、聞こえてる!?』

 

 そーら来た。はてさて何が起こったのやら。

 

「そう叫ぶな。聞こえているさ」

 

 通信の向こう側からは罵声と怒声と悲鳴と嘲笑の四重奏に銃声と爆発音がアクセントを加えている。

 

『私ブリーフィングでビルが真っ二つになるなんて聞いてないよ!おかげで道は塞がれるし切り刻まれた鉄血の残骸は降ってくるし目標施設にすら近づけないの!』

 

「そうは言ってもなぁ、こっちからはどうしようもないし手も打てん。気を付けろとしか言えんな」

 

『そっ………れはそうだけどぉ!こっちも色々やってるけどもう収拾がつかないくらいになってるの!なんとかならないの指揮官!」

 

「あーあー、わかったわかった。援軍やるから後三十分持ちこたえろ」

 

『無理!二十分!』

 

「りょーかいりょーかい。二十分な。持ちこたえろよー」

 

『なるべく早くね!』

 

 通信が切れる前に、向こう側で45が、Vectorちゃんステイ!と叫んでいたし、触発されてVectorのイケナイスイッチも入っているんだろう。辺りは火の海だろうな。

 

「ってぇ訳だカリーナ。大体の状況は理解できるだろう?」

 

「り、理解出来ましたけど、どうするつもりですか指揮官さま!今から援護に回ってくれている部隊に連絡したとしても、その穴を埋めれる程余裕がある部隊はいません!」

 

「そうだな。だから、こうするんだよ」

 

「ど、どうするんですか!?」

 

「カリーナ、後は任せた」

 

 それだけを告げて窓を突き破り、止めていたバイクに跨りフルスロットルでカッ飛ばす。後ろからカリーナの情けない声が聞こえてくるが、無視だ無視。折角出て来たってのに、誰が好き好んであんな牢獄に戻るかよ。

 制限時間は二十分。普通に行けば三十分オーバーは確実だが、幸いここは誰も住んでいない廃墟エリアだ。つまり、存分にショートカット出来るって訳だ。

 さあ、目的地までは一本道!ノーブレーキで突っ走ろうか!

 

 

 

 

 

 

「45姉ぇ!援軍はまだなの!」

 

「もうすぐ来るはずよ!それまで耐えて!」

 

 このやり取りも、もう何度目か覚えていない。辺りは穴ボコだらけの残骸だらけ。ところどころさっきまで広がっていた火の海の残り火が燻っている。未だにドッカンドッカンと景気良く破壊活動は続いているし、その度に残骸が飛んで来るのも変わらない。

 もうすぐで二十分経つというのに援軍の影も見えない。あの指揮官がホラを吹いたのかとも思ったが、それで指揮官にメリットがあるとも思えない。考えられるとしたら駆け付けて来れる位置に友軍がいなかったか、その友軍も妨害にあって動けないでいるか。

 どうか今の状況が偶然であることを願う。あの化け物二体が鉄血だとしたら、どうしようもない。例え404小隊で相手取っても刺し違えられたら万々歳なくらい規格外なのだ。二体共武器は刃物だと高を括っていたらスッパリ頭と胴体が泣き別れすることになる。あの刃物で、ビルを斬ったのだ。そんな二体を相手に飛び道具だからと油断していれば、次の瞬間には終わっているだろう。今だってあの二体をなるべく刺激しないように周りの鉄血を始末しているのだ。ただ予想外だったのは、指揮官の副官でもあるあのVectorだ。何をトチ狂ったのか持って来ていた手榴弾を投げ尽くす勢いであの二体に向かって投げ始めたのだ。直前にあの二体は刺激するなと言ったにも関わらず、だ。あのVectorAIにバグが発生しているんじゃない?というかしてて本当に。同じ戦術人形だと思いたくないし、辺りを一瞬で火の海にした手際に芸術的な美しさを感じた私を同類だと思いたくないから。まぁそのVectorも手榴弾を投げ尽くしたらしく今は大人しいものだが。

 目の前で潰し合っている化け物二体は、片方は顔の下半分を覆う黒いマスクをしたカタナを持った少女。もう片方は、瞳は紅く強膜が黒く染まった異形に幼女といっても遜色ない程に低い背をした、両手にナイフを携え顔を歪め哄笑を上げている少女。

 切り結べば大抵周りのものは吹き飛び、一度振り抜けば瓦礫が散弾となり私達に襲い掛かる。

 残弾も心許ない中、来るのかも怪しい援軍を待ち続けるのも滑稽だが、それ以外に動きようもないのも事実なのが歯痒い。せめてあの化け物が場所を移せば、ここから離れることも出来るのに、と考えても無駄でしかない。いくら現実逃避を重ねても、今は変わらないのだから。

 通信もこの騒ぎで嗅ぎつけられたのか、ジャミングされてうんともすんとも言わなくなった。繋がっていれば状況を知ることもできただろうに。最早無い物強請りでしかないのだが。

 

「416!残弾は!?」

 

「後2マグ!」

 

 ………本格的に不味くなってきた。今まで敵を倒していた416が後マガジン2本。G11に無理はさせれないし、UMPはそもそもこの距離で戦うことを想定していない。Vectorも同じくキルゾーンに入らない。今の状況で救いと言えるのは、化け物のおかげでライフル型がスクラップに変わったことくらいだ。

 打開策はいくつか思いつく。だがそれも、どれも確実とは程遠いものだ。ダミーを囮にすることも考えたがあまりにも場所が悪い。今ここで動かしては囮にもならないだろう。

 何か、何か策は。ずっと同じ思考が堂々巡りを繰り返し、決まって同じ結論を弾き出す。つまりは、詰みだ。強硬策をとれば半数は脱落する。そうなれば作戦目標の回収に行くことも難しくなる。無理矢理に実行した場合の生還率は考えずにも分かるほどだ。

 ふと視覚が視界の端で動く影を捉えた。

 

「ねえ、UMP45。何か策があるんでしょう?そしてそのためには誰がの犠牲が必要、違う?」

 

 目の前にいたのは、ついさっきまで大人しくしていたVectorだった。

 

「そうだとしてどうするの?あなたが囮にでもなる気?」

 

「そう。あたしが囮になるわ。うまく使って」

 

「ちょっ………死にに行くようなものよ!?」

 

「それが?今と大して違わないでしょう?」

 

「っ………それなら、」

 

「それはダメ。あなたはこの小隊の頭脳でしょう?それに、あたしよりあなた達の方がキルゾーンは広いでしょ。それならこの中での適任はキルゾーンが狭いあたし」

 

 確かに、確かにそうだ。このメンバーの中で一番キルゾーンが狭いのはVectorだ。そしてVectorが囮役をやってくれるのならこちらも動くことができる。現状に置いて一番の最適解に違いないのは事実だ。だが、それを。

 

「割り切りなさい。あたし達は所詮商品よ。それにあたしも早々にくたばるつもりはないもの。せっかく楽しくなってきたところなのに、蚊帳の外決められるなんて遠慮したいわ。それに、ーーーーーー」

 

 Vectorの最後の言葉はビルが崩れる爆音に掻き消された。覚悟を決める。腹を括る。やはりいつになってもこの感覚には慣れない。出来れば慣れたくないものだが、そうもいかないのが悲しいところだ。

 

「任せたよ、Vector」

 

「えぇ。任せられたわ、UMP45」

 

 すれ違いざまに、うまくやりなさいとの言葉だけを残して。

 交わした言葉はそれだけ。それだけ言って、Vectorは何の気負いも感じさせることなく、私の隣を抜け、遮蔽物を越えて死地に躍り出る。

 途端に集中する火線。抜けて行く隙間すらも許さないと言わんばかりに撃たれ、その悉くを当たり前のように抜けて行く異様。それを目にして暫し呆然としたことも許されるだろう。

 

「ねえ、416。あれ、できる?」

 

「できるわけないじゃない。わたしじゃ精々蜂の巣よ」

 

「だよねー」

 

 416どころかわたし達全員蜂の巣のスクラップにしかならない未来が想像に難くない。というか今はそれどころじゃなかった。

 

「416は今まで通り!G11は牽制射!9は13時方向の廃墟まで走って!私は11時方向の残骸!タイミングは………」

 

 遮蔽物の後ろから盗み見る。敵の大半はVectorを狙っているが、全部じゃない。だがこの程度の数なら何とか辿り着ける。

 ふと、囮役を買って出たVectorと目が合った。口が動き、音も無く言葉を紡ぐ。声は届かない。いや、出してもいないのだろう。だが何と言っていたのかは読み取れる。読み取れてしまったが故に、空恐ろしくなった。どこまで読んでいるのか。どこまで想定しているのか。今も踊るように銃弾の雨の中を擦り抜けながら、私に早くと催促する。銃弾を避けているというより、銃弾が避けていると言われたほうが納得してしまいそうになる。

 

「……9!スタン用意!カウント3でVectorに投げて!」

 

「了解!」

 

「カウント3!………2!………1!………今っ!」

 

 ピンが抜かれた手榴弾が二つVectorに向かって飛んで行く。9のスタンに私のスモーク。それは緩やかな軌道を描きながらも、しかし真っ直ぐにVectorの方へと飛んで行く。そして二つの手榴弾は、いっそ美しい程にまで洗練されたフォームで敵陣の方へと蹴り抜かれた。一拍遅れて閃光と爆音、煙幕が敵の視界を奪う。

 

「っ!今の内に走って!」

 

 私の声で9が弾かれたように走り出す。走り、奔り、疾り抜け、残骸の影に隠れた頃に敵の視界も戻ってくる。416とG11は上手くやっているらしい。迂闊に頭を出した鉄血を撃ち抜いている。しかしVectorの姿が見えない。やられたか、と思いもしたが、鉄血の雑魚如きにやられるようには見えない。ではどこに、と周囲を見渡し、呆気に取られる。

 確かに、確かにVectorのキルゾーンは狭い。精々5、60mが関の山だろう。だが、だからと言って。

 

 敵陣に突っ込み零距離確殺戦法を繰り広げなくてもいいだろう。

 

 銃撃で頭を吹き飛ばし、敵の射線に敵を挟み、足で何処かしらをへし折っていく。私にアレが出来るかと聞かれても、力の限り首を横に振って否定する。私は、というよりいかに人形であるとはいえ、あんな動きが出来るのはあのVectorだけであって欲しい。

 敵を着実に削りながらこの後のことを考える。援軍は望み薄だろう。なら一段落つけた後で、指揮官に緊急連絡で撤退することを伝えて、ある程度安全が確保されたところまで退がるのが妥当になる。全員残弾が心許無い状態だから、出来る限り遭遇は避ける方向で動くべきだ。

 そう考えていた時、無用の長物と化していた通信からノイズに混じって声が聞こえた。

 

『ーーーーーさん、聞こーーーか!?ーMPーーさん、聞ーーますか!?聞こえますか、UMP45さんっ!?』

 

「聞こえる。聞こえてるわ、えーと、カリーナだったっけ?」

 

『はいっ!カリーナです!よかった、やっと繋がった……。UMPさん達は大丈夫ですか?』

 

「大丈夫とは程遠い状態よ。残弾も心許無いし、敵の増援が途切れる気配もない。今はVectorが元気に跳ね回っているけど、それもいつまで続くかは分からない。何とか離脱するつもりだけど、それも厳しいかもしれないわね。それより、援軍の方はどうなの?あれから二十五分たったけど」

 

『あっ、えっと、そのことについてなんですが、ちょっと問題が………』

 

「煮え切らないわね、はっきり言いなさい。こっちは戦闘中でくだらない問答をしている余裕すらないの、よっ!」

 

『わ、わかりましたぁ!驚かないでくださいね!驚かれても私にはどうすることもできないことなんですからぁ!』

 

 一拍空いた後、カリーナが泣きが入った声で理解を拒む言葉を告げる。

 

『指揮官さまが飛び出して行っちゃいましたぁ!』

 

 は?

 

「は?」

 

『ヒィイッ!そんなドスの効いた声で言わないでください私ではどうすることも出来ないんですからぁ!』

 

 指揮官?指揮官といったか?確かに戦えそうではあったが、一人では高がしれているし、そもそも人間では私達と違い替えが効かないのだから足手纏いにしかならないだろう!何を考えている?多少は戦えるからヒーローにでもなれると思ったのか?初めて顔を見た時から確かに頭の出来は良くないだろうと思っていたが、ここまでだとは思うはずも無い!

 

『あの、その、UMP45、さん?』

 

「まだ何かあるの、カリーナ?私これ以上悪い報せは聞きたくないよ」

 

『あ、いえ、悪い報せでは無くて、えーっと、ですね。多分、なんですけど、さっきまでのジャミングを解除したのって、指揮官さま、なんですよね。だから、もしかすると、そろそろそっちにーーーーーー』

 

 爆音。哄笑。崩壊。咆哮。そして、ナニカを力の限り殴りつけるような音。残骸の影から覗き、そして覗いたことを後悔した。

 覗いた先では、今将に切り結ばんとしていた化け物二体の横っ面を、倒壊させたビルを駆け上り、空中に躍り出た指揮官が、バイクのタイヤで踏み付けている瞬間だった。そして重力に引かれるままに、横っ面を踏み付けたまま着地し、化け物の頭を摩り下ろすように地面に二本の黒い線を引きながら滑っていき、十字路の真ん中でようやく止まった。

 誰か夢だと言って欲しい。こんなのが人間の標準だとしたら私達の立つ瀬がない。

 視界の端で、フリーズしていた鉄血を始末しているVectorが見えた。そのVectorも蹴り一発で、雑魚とはいえ鉄血の頭を三つ潰していた。なんでそんなこと出来るんだろう。転属願いは受理されるだろうか、まぁ順当に揉み消されるだろう、という結論がでた辺りで演算を放棄した。嫌になる。

 思わず重く昏く深い溜め息をついた私は、悪く無いはずだ。




次話あたりに人物紹介入れるやもしれませぬ


まぁ予定は未定だからないかもしれぬが











あと、書き方ちょっと替えてみた

読みやすいといいが







読み飛ばしていい補足
特に無し:要望があれば書きますえ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

邂逅

休み無しで海外とかただの地獄ですやん。
わしより英語できる人間もっとおりますやん。
なんでわしにばかり出張が回ってくるんですかねぇ。

飛行機乗ってると体固まってヤバイんですよねぇ。
この前整体行った時に50代の方がまだマシだとも言われましたし。
転職したぁーい。








以上愚痴でした。





あ、今現在も海外です。
戻った時の時差ボケがこわひ


「一先ず第一波は凌いだか。遅れてすまんな、なるべく急いで来たがジャミングを潰すのに時間を食った。45、そっちの状況は?」

 

「こっちもあまりいいとは言えないかな。弾薬が結構カツカツ。出来るだけサルベージしてるけど、あまり芳しくはないね」

 

「そうか。だがここで悪いお知らせだ。鉄血の部隊がわんさか集まって来ている。それも三方向からだ。弾薬は来る時に幾らか掻き集めて来たから分配してくれ」

 

 はてさて、どうするか。敵は三方向から攻め寄せているが、損耗激しい404小隊に一方向を任せるのは辛いだろう。となれば俺かVectorが援護に付くべきだが、そうなると他が抑えられなくなる。まあ、それも想定内だ。そのためにこうしている訳だしなぁ。

 

「Vector、特製をやる。俺もこの5つしか持っていない特別製だ。これで右を抑えろ。芸術的にやれよ?」

 

「わかった。………綺麗に燃やしてあげる」

 

「それでこそだ。次、404小隊。お前達は正面だ。416は左側のビルの二階。G11は右側のビルの三階だ。9は右側奥の廃墟に潜め。45は左側の路地だ。正面は俺が張ってやる。撃つタイミングは俺が撃ち始めたらだ。何か質問は?」

 

「指揮官が正面張るの?武器は?」

 

「あぁ、俺が正面張ってやるよ。せっかくM2積んで来たってのに、使わねぇんじゃ勿体ねぇからなぁ」

 

「じゃあ、左側はどうするのよ。私達じゃ手が回らないわ」

 

「その通りだ。だから、まだ殺していない」

 

 徐に懐から粘土状の物体を取り出す。噛むと甘い味がすると仲間が言っていたが、その後痙攣していたし幻覚かもしれんが、まぁ気付けにはなるだろう。

 取り出したものを二つに千切り、起爆装置を突っ込んで用意を終わらせる。

 

「さぁーて、そろそろ寝たフリも遠慮したいだろう?折角だ。とっておきの目覚ましをやろう。なに、そう拒む程のものじゃない。精々木端に吹き飛ぶくらいだ。だから、ほら。そう暴れるな」

 

 なんとか拘束を逃れようと暴れているが、早々に逃れはしない。こちとらお前らのことは嫌という程知っているんだ。簡単に逃れることが出来るようなことをする訳がないだろうに。ほれほれ暴れんな。今口に突っ込んでやるからな。

 

「「ンーーーーーッ!!ンン゛ーーーーーーーーーーーッ!!!!」」

 

「ね、ねぇ指揮官。まずそれが生きていたことも驚きだけど、それよりさっき口に突っ込んだのって、もしかしなくてもCーーーー」

 

「「ンン゛ーーーーッ!!!!!!ンンン゛ン゛ーーーーーーーッ!!!!!!!」」

 

 俺がイイ笑顔をしていたことで確信を得たのか懸命に吐き出そうとしているが、俺がそう簡単に吐き出せるように突っ込む訳ないだろうに。しっかり口腔に合わせてギッチリ詰め込んだからな。しかも顔は踏み付けて動かそうにも動かせんだろうし。

 

「お前らも離れておけ。汚い花火にはなりたくないだろう?」

 

 俺の言葉を聞いて一斉に離れて行った。そうだそれでいい。俺も汚ねぇ花火にはなりたくもねぇから離れるかね。

 上空良し!左右良し!エンジン快調!離れるぜ!

 エンジンを吹かし一気に離れる。タイヤで踏み付けていたしなんか色々液体が付いてそうだが気にしない方向で!戻ったらまず洗うか。範囲外に出たと同時にスイッチを押し込む。

 僅かな間を置いて上空から爆風と爆音が襲い来る。それを知覚し、僅かな落胆と言いようもない興奮が身を包む。

 

「あーあぁ〜。折角いい機会だったってのによー。再会の餞別位素直に受け取れんのかね?」

 

 俺の目前には二つの人影。どちらも何かを喋ろうとしているのだろうが、顎がガクガクと動くばかりで言葉を話せていない。これはこれで面白いものだが、会話が出来ん。

 人影もそれに気付いたのか、ガクガクと揺れる下顎を掴み、ゴリッともゴリュッとも取れる音を立てて無理矢理嵌め直した。ギッチリ詰め込んだからなぁ、顎外さねぇと取れなかったんだろう。無理矢理嵌め直したのが余程痛かったのか、涙目で突っかかってくる顔が二つ。

 

「久しぶりの再会にアレはひどくない!?」

 

「吐き出そうとしても吐き出せないしさぁ!?しかも威力高すぎるし!アレ絶対U.B.のでしょ!?」

 

「久しぶりの再会に花火を上げようとしただけじゃねぇか。ンな怒るなよ。まぁモチロンU.B.のだが。Vectorにやるか迷ったんだがなぁ、やった場合此処等が陥没するやもしれんから思い留まった」

 

「あぁー、それは正しい判断ね。聞いた通りの様子ならやりかねないわ」

 

「んぇ?Vectorって人形そんなにキマってんの?」

 

「あーそうだなぁ、U.B.に無邪気さを加えた感じって言ったらわかるか?」

 

「え?それ大丈夫なの?最悪お茶目でグリフィン吹っ飛ばない?」

 

「有り得るかもなぁ。ほれ、今も物欲しそうにこっち見てやがる」

 

 二人に加えて404小隊も一斉に俺が指差した方を見る。そして一瞬で顔がこっちに戻ってきた。アレヤベェよなぁ。

 

「ま、ありゃ後回しでもいいだろ。明日の俺にでも任しときゃ十分だろうよぅ。それよりも、だ。お前等がヤンチャしたせいで今こうなってる訳だが、モチロン、手伝ってくれるよなぁ?」

 

「い、いや、そもそもはミニマムチビが揶揄ってきたからで………」

 

「はじめに手ぇ出したのはバージンババァの方じゃん!」

 

「うるせぇ両方ギルティだ馬鹿たれ。っつーわけで、お前等は一番数が多い左側を殲滅してこい。キルスコアが多い方には褒美をやろう。ただし、キルスコアは鉄血のコアで数える。欠けていたり削れている不良品は数に含めない。そこらをしっかりと考えて殺せよ?」

 

 何か聞きたそうな雰囲気だったが時間もないので追い立てる。これで左側は安泰だ。

 此処で褒美は明確にしない。人参がどんなものかは想像させていたほうが効率がいい。あとで色々言われるだろうが、俺は何も明言はしていない。取らぬ狸のなんとやらってな。想像力豊かで助かるねぇ。先を争うように突っ込んで行ったわ。

 

「さて、そろそろこっちも会敵する頃合だ。総員配置に着けよ。凌ぎ切ったら臨時ボーナスでもだそうじゃないか」

 

 404小隊とVectorが駆けていく。あと数分もしない内に鉄血が視認出来るだろう。

 さて、M2の弾は足りるかね?まぁ、その時はその時か。無くなれば、原始的に殴り合いと行こう。

 

 

 

 

 

 

 最後に残ったJaegerの頭を握り潰す。オイルやらなんやらで汚れるが今更だ。結局持って来ていたM2の弾は保たなかった。積載ギリギリまで持って来ていたんだがなぁ。弾が切れてからは、404小隊に削らせて俺が殲滅するという方法を取ってみたが、これが中々に上手くいった。正面だけで大小合わせて凡そ100。右は地形上多くの部隊を進行させるには向かない狭い道だから、あっちは多くても70程度。問題は左の方だ。左は比較的大きな道が三つ交わって此処に繋がっている。少なくとも150、多ければ400ほどが殺到することも考えられた。まぁ、だからこそ彼奴らに押しつけたんだが。

 彼奴らであれば最悪を想定することも無い。人参をぶら下げずとも嬉々としてスクラップを作りにいくだろう。ただその場合、本気でスクラップにしかならんから改め言い聞かせておく必要があるんだが。彼奴ら躾がなってねぇ犬にも劣るんじゃねぇか?俺にハウスもステイもできねぇつってたが自分もじゃねぇかよ。

 姦しい話し声が聞こえてくる。どうやら彼奴らも殲滅し終えて戻ってきたらしい。話し声というよりは罵り合いのような気がするが。

 

「ねぇねぇ、聞いてよクラウン!このバージンババァ、コア抜き取ろうとして思いっきり握りつぶしたんだよ!バージンでババァなのにそれに加えてゴリラとかそら結婚どころか恋人も出来ねぇわけだよナッハッハッハッハッ!」

 

「い、いえ!握り潰すつもりは無かったんですただ力が入り過ぎたというか力加減を間違えたというか思いの外脆かったというか、あ、えと、その、………わざとじゃ無いんですっっ!!」

 

「お前がアホでマヌケでどこか抜けているのは昔からだろう。天誅だけはやたらと上手いがそれ以外は”出来はするが得意ではない”くらいだろうに。何を今更恥ずかしがる」

 

「貴方には一生分かる事の無い乙女心ってやつですー」

 

「フフフフッ。さすが、バージンなだけ、フフッ、あるわね。ンフフッ。それもう乙女じゃなくて老婆じゃ無いの。フフフフッ。あーダメ、もーほんとダメ、笑っちゃいそう」

 

 言った直後に殴られていた。もう此奴ら放っておこうか。そのうちどっちか潰れるだろ。

 そうこうしている内に、盛大に燃え盛っていた右の方からVectorが顔を出す。見た限り怪我もしていないし、上手くやったらしい。

 

「ねぇ、クラウン。少し聞きたいんだけど、向こうの方から聞こえてくる爆発音は、敵?」

 

 そう言ってVectorが指差したその先。澄み渡るような青空にある、ただ一つの汚点。矢鱈と暑苦しい程の筋肉質のサングラスが、花火を伴って確実にこちらへ向かって近付いてくる。一回爆発する毎におよそ100m程をカッ飛んできているようで、今も段々と爆発音が大きくなっていると同時に、汚点が汚物へと進化を果たそうとしている。このまま見ていたら目が腐りそうだが、迎撃しない訳にもいかん。何やら爆発音に混じって不協和音が聞こえているような気がしないでも無いが、まぁ気にすることも無いだろうと思い、迎撃準備を始める。

 まず用意するのは手頃な鉄骨。これはそこらの残骸から良さげなものを拝借した、次は確保した鉄骨を整えること。余りに長いようなら丁度良い長さになるよう引き千切る。長さを整えた後は持ち手の調整。そのままでは些か握り難いため、持ち手の部分を握り潰す。そうして何度か振り、違和感が無ければ、即席鉄骨バットの完成である。

 俺が準備している間に大分近付いてきたらしい。404小隊は危険を察知したのか即席バリケードの内側からこっちを覗いている。Vectorは404小隊が回収して一緒にバリケードの裏にいる。アホ二匹は未だに喧嘩中。あっちはほっといて良いな。

 爆発音。最早至近。上空で殻の一部パージを確認。落下軌道。演算終了。軸修正−2。ターゲットの分離を確認。軌道予測完了。修正無し。カウント3。

 

 一拍。

 

 体ごと大きく捩じらせる。

 

 二拍。

 

 ターゲット、及び標的を確認。射線確保。

 

 三拍。

 

 インパクト。

 

 標的に先駆け落ちてきていた爆薬をカチ上げる。打ち上げる先は今現在落下中の汚物へ向けて。

 

「Heeeeeeeeeeeeeeeeeeeeyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyy!!!!!!!!!Broooooooooooooooooooooootheeeeeeeeeeeeeeerrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrッんごぷっ」

 

 曰く、戦勝祝いには些か汚い花火だったという。




オリジナル人物紹介は延期になりました。
名前すら出てねぇのにやってもねぇ?ってことで延期でーす。

















読み飛ばしていい補足
即席鉄骨バット:字面の通り。そこらに落ちている鉄骨で片手間に出来る、突撃、ゲリラ戦の頼もしいお供。人間相手でなら何発殴ろうと問題なかったが、鉄血相手では精々10発程度しか殴れなくなった。まぁ使い捨てだししょうがないよね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

遂行

ッシャ年内に書き上げたぞオラァーーーー!!!








いやまさかここまで遅くなるとは予想してなかった。
しかも、インフル、食中毒、風邪のトリプルコンボ食らうとか考えもしてなかったわ。
わしただでさえ一度体壊すとしばらく体調不良引き摺るっていうのに。
インフルかかって熱が40℃超えた時は逆にピンピンしてたんだけどなぁ。
まぁその後食中毒なってトイレと友達になってたんだけど。
インフルかかる前日にワイン一瓶空けたのがいけなかったのか。
んーむ、わからん。
食中毒は多分牡蠣。もしくは海外で食べた何か。


あ、おそらくこれが今年最後の更新になります。
仕事が大晦日までミッチリなんじゃぁ〜。その分正月は休みをもぎ取ったんですけど。
まぁそれもふわふわしたものなんですが。



はぁー転職したい(定期)


 揺れる。揺れる。

 鉄が軋む不協和音を響かせ、一際大きく揺れた。

 大気が鉄と食い破らんとし、それによりまた不協和音を響かせる。

 悲鳴はない。狂騒もない。

 この異様な空間を、静寂が支配していた。

 その静寂を破るように落とされる、軽い溜め息。

 

「ねぇ、少し聞きたいことがあるのだけどいいかしら。分かり切っていることだと思うのだけど、今一度はっきりさせておくべきだと思うのよね」

 

 暗い空間に不思議な程澄んだ声が響く。それは、人によっては冷たいとも感じるような声。

 応えるは、良く言えば渋い、悪く言えば歳を食った声。

 

「なんだ改まって。言いたい事がありゃあ言えばいいじゃねぇか」

 

「それもそうね。じゃあ言うわ」

 

 雷鳴が轟く。稲光が奔り五人の人影が浮かび上がる。

 

「これ、堕ちてるわよね?」

 

 再び訪れた静寂を雷鳴が切り裂く。

 この五人、合流して移動を開始したはいいが、目的地を目前にして絶賛墜落中であった。

 

 

 

 

 

 

 花火を咲かせた後は何事も無く、とはいかなかった。

 重力に引かれ順当に堕ち地球とキスする羽目になった変態を簀巻きにし、未だに騒ぐ馬鹿二人の顔をC4で覆い黙らせ、404小隊とVectorを伴いこの場所を離れていく。

 目的地まではあと10km程ある。一度何処かで弾薬をくすねて偵察も済ませるべきか。Vectorは気にしていないようだが、404小隊の連中が馬鹿と変態をチラチラと見ているし、紹介くらいは済ませるべきだろう。まぁ今は移動が先決だが。

 

「ねぇクラウン。今何処に向かってるの?」

 

「ここの近くに廃棄されたシェルターがある。確かそこの下にある程度の火器が保管されていたはずだ。火器があるなら弾薬もある。食えるかは分からんが糧食も余ってるかもしんねぇだろ?だから一先ずはそこを目指す。そこから先は偵察してから作戦を練るつもりだ」

 

 そう、とだけ言ってVectorは離れて行った。

 簀巻きにした変態を引き摺りながら、瓦礫が散乱した道をトロトロと走らせる。度々変態が呻き声を上げるが、それ以外では鉄血に遭遇する事もなく、順調な道行きだった。順調過ぎて些か退屈でもあったが。

 

 

 

 

 

 

 シェルターに着いたはいいが、着いて早々に問題が発生した。シェルターは地下シェルターであり、その出入り口を瓦礫が塞いでいた。今その瓦礫を馬鹿と変態を馬車馬の如く働かせているが中々入口が見えてこない。

 よもや上に建っていたビルが崩れているとは思うまいよ。お陰で瓦礫の山から発掘作業する羽目になった。とはいえ、そろそろ見えてくる頃だとは思うが。

 

 結局、それから四半刻は発掘作業を続ける羽目になった。周辺の索敵は404小隊とVectorが担当していたが、どうやら何も無かったらしい。

 地下シェルターの中には小火器用の弾薬と糧食が僅かに残されていた。弾薬に関しては、G11用の4.73×33mmケースレス弾が無い事は予想できていたが、M2用の12.7×99mmNATO弾が無い事は予想外だった。残っていた弾薬は.45ACP弾に9×19mmパラベラム弾、5.56×45mmNATO弾、加えて誰も使えない7.62×51mmNATO弾だった。拳銃弾が割合多かったことが救いか。糧食の方も缶詰が段ボール一箱分残されていた。これだけあれば一ヶ月は籠城していられるだろう。籠城するつもりなど毛頭無いが。

 

「取り敢えず弾薬の分配を済ませてしまえ。それから小休止も兼ねて俺の仲間を紹介しようじゃねぇか」

 

「ねえ指揮官、あたしの分は?」

 

「4.73×33mmケースレス弾がこんなシェルターにあると思うか?」

 

「ないと思う」

 

「その通りだ。缶詰をやろう」

 

「わぁ〜い」

 

 G11に乾パンの缶詰を投げ渡す。残念ながら飲み物は無い。馬鹿と変態には特別に缶詰を丸ごと口に突っ込んでおいた。

 416と9、45、Vectorの弾薬は補充できた。G11には一応弾薬の消費を抑えさせていたから、当分問題は無いはずだ。ただ俺が持ってきたM2が鈍器に成り下がった。火力的な面では痛手だが、その分は俺と仲間で補って余りあるだろう。

 ともあれ、まずは紹介だけでも済ませるか。

 

「この後の予定を詰める前に紹介しておこう。一番左端のミニマムチビがグリム、斥候役だ。その隣でグリムと乳繰り合ってた奴がマンティス、俺らの突撃番長をやってる。そんで最後がU.B.、爆弾魔だ。9と45、Vectorはよく世話になるかもしれんな。他にも数人いるが、それは合流出来たらまた紹介しよう」

 

 俺の紹介に不満でもあるのか、口に詰めていた缶詰を噛み切って文句を言ってきたが聞き流す。事実を言って何が悪いのか。

 

「ついでに今後の予定だ。グリムとVectorを偵察に出す。グリムは件の研究施設まで見てこい。敵の処理は任せる。Vectorは周りの索敵だ。敵は余さず殺せ。情報を遮断しろ」

 

「指揮官、そうしたら鉄血は集まって来るんじゃない?」

 

 45が不思議そうな顔を作って聞いて来る。

 

「勿論来るさ。うじゃうじゃ集まって来るだろうな。これまでに3桁潰してきた。総力を上げて潰そうするだろう。それが目的だ。ここの情報を遮断して包囲させる。一々潰して回るより楽でいいだろう」

 

「弾薬に余裕がある訳でもないのに、態々危険を犯すの?」

 

「心配するな。こんなもん銃を持ち出すまでもない。対処は俺らでやる。Vectorにはちょいと手伝ってもらうがな。404小隊は出立の準備を整えておけ」

 

「兄弟、俺はどうすればいい」

 

「お前にもちょっとした仕事がある。特別だ。これから暫くは機会も無いだろうし、今日に限り、ドミノの解禁を許可する」

 

「流石兄弟!分かってるじゃねぇか!やるのは15年前の再現か?それとも27年前の方か?」

 

「ハイブリッドだな。研究施設方向に穴を開けろ。周囲100mで囲い込め。開けた穴はマンティスが埋めろ。1匹足りとも逃すなよ。俺とVectorは遊撃に回る。遊撃というよりは牧羊犬みたいなもんだがなぁ」

 

「わんわん」

 

 やっぱこのVectorアホなんじゃねぇかな。

 

 

 

 

 

 

 爆発音が連続する。

 粉塵が舞い上がり視界が覆われる。

 U.B.が包囲を作り上げ、唯一の退路もマンティスが潰している。後は俺とVectorで哀れな羊供を追い立てるだけだ。マンティスがいる方向のちょうど真反対から、俺が時計回りに、Vectorが反時計回りに追い立てていく算段だ。

 折角残した退路を通らず包囲を抜けようとする横着者がいるかも知れんが、それはU.B.が吹き飛ばすだろう。

 追い立てやすいようこっちに注意を向けようと近くの鉄血を小突けば、頭が吹き飛んだ。残された体が首からオイル的な何かをブチまけながら崩れ落ちる。Vectorの方から火の手が上がった。どうやらよろしくやっているらしい。

 粉塵で視界が効かない中での奇襲だ、見事に同士討ちが誘えた。銃声が木霊して広がっていく。マンティスの方からも断末魔が聞こえてきた。銃弾に倒れ、逃げ遅れて踏む潰され、炎に巻かれて火達磨となり、殴り飛ばされスクラップに変わっていく。狂騒が混乱に変わり、混乱が伝播していく。それはさながら出来の悪いパニックホラーのような有様だった。

 

「そらそらそら!逃げろ逃げろ、死にたくなくば死ぬ気で逃げろ!地獄が口を開けて追って来るぞ!」

 

 腕を振る。弾け飛ぶ。

 瓦礫を蹴り飛ばし押し潰し、頭蓋を握り潰しオイルを撒き散らし、愚図を殴り飛ばしスクラップに変える。

 もう半分ほど押し込んだ。Vectorの方も火勢が強くなっている。今も散発的に、爆発音と共にスクラップが降ってきている。

 辛うじて残っていたビルを殴り、鉄血をマンティスの方へと誘導する。チラッとマンティスの方を見たが鉄血のスクラップで小山が出来ていた。

 そこでふと思い至ることがあった。俺は基本的に敵はスクラップにしてきた。それはつまり色々なものを辺り一面にブチ撒ける訳で。マンティスもマンティスで敵は斬り捨て御免するが故に、中身は色々垂れ流しとなる訳で。つまりは辺り一面オイル塗れ、とういうよりは最早小さな池に近いところまである。そんな中でVectorは景気良く焼夷手榴弾を投げては火勢を強くしている。その強さたるやおよそビルの三階相当。

 どっちにしろここは敵地だ。民間人なんざいやしねぇし、当分誰かがここに住む訳でもねぇ。この様子だと後一日は燃え続けるかも知れんが、まぁ問題はあるまい。

 

「Vector!マンティス!脱出しろ!U.B.!穴を塞げ!」

 

 声を張り上げると同時に駆け出す。Vectorも声を聞き即座に動き始めたらしい。身軽な動きで優に10mはある瓦礫の山を越えていった。進路上に飛び出してきた敵を吹き飛ばし、瓦礫の山を飛び越える。置き土産代わりにU.B.印の焼夷手榴弾を投げ込んでおく。マンティスも近くの瓦礫を切り崩して即席の障害物を作って脱出した。後はU.B.が穴を塞ぐのを待つだけなんだが、なぁーんか嫌な予感がするんだよなぁ。俺が15年前って言ったからか?だとしたらちょいとマズイかもしれんなぁ。

 

「Vector、404小隊連れて後50m程下がっておけ。マンティス、瓦礫は任せた。恐らくだが、U.B.の奴15年前の小規模再現しようとしてんぜ?」

 

「15年前?となると、あの埋没事故?でもあれって準備に結構かけたはずなんだけど」

 

「それを即席でやろうとしているのだろうよ。どういう手法かは知らんがな。アイツのことだ、こっちを巻き込むようなヘマはしないと思いたいが………前科があるしなぁ」

 

「戻ってきたよーって、二人ともどうしたの?」

 

「U.B.がはっちゃけた」

 

「それ大丈夫じゃなくない?」

 

「まぁ問題はないだろう。前科もありはするが、今回はそこまで派手には出来んだろうしな」

 

「それなら、まぁ、問題は、ない、かな?」

 

「取り敢えずそれで納得しておきなさい」

 

「そうするー」

 

 微妙に納得していないような顔をしているが、それは俺も同じだろう。それより先にグリムの報告を聞いた方がいいか。

 

「それで、先の様子はどうだった」

 

「敵は疎らだね。先にいたのも結構こっちに流れて来たみたい。駄賃代わりに敵の目だけは念入りに潰して来たよ。ただ奇妙なことに研究施設の周りに敵がいなかったんだよね。まぁその分楽だけど。いくつかルートも見繕って来たし、急いだら遭遇戦に時間取られずに行けると思うよー」

 

「それならさっさと移動してしまうか。面倒は被りたくないしなぁ」

 

 Vectorと404小隊に移動準備の指示を出し、こっちも準備を整え始める。と言っても俺等は近接戦主体だから用意らしい用意もしなくていいんだが。

 そうして丁度用意も終わった頃、体を奥底から震わせるような爆音と共に、中央部から円状に地面が崩れていく。その崩壊に追われるようにU.B.が走って来ているのが見えた。もうオチまで見えたぞ。アイツ、ヘマりやがった。

 

「総員駆け足!!グリム先導しろ!マンティス雑魚処理!Vectorは後詰だ!404小隊は駆け抜けろ!殿は俺が持つ!足止めるなよォ!!」

 

「Heyheyheyhey!missったのは謝るからよォ!俺を置いて行かないでくれよな!!寂しくて死んじまうゼ!?」

 

『さっさとくたばってろ変態!!』

 

「Oh、辛辣ゥ」

 

 結局崩壊が止まったのは、ビルドミノ内の100mを越えてさらに150m程走った頃だった。U.B.曰く地下空間が思いの外広かったらしい。爆薬は、爆心地から周囲100mを崩壊させられる最小限で仕掛けたと言っていたが、それでも爆薬量が多かったのか、もしくは衝撃で脆くなっていたのか。俺としては両方だと思うが。

 

 

 

 

 

 

「暇だ」

 

 ぶっちゃけ殿って暇なんだよな。グリムとマンティスで敵は処理して仕舞えるし、万一があってもVectorが処理するからこっちまで敵が残ってねぇ。戦犯であるU.B.を簀巻きにして餌としてぶら下げているが、何も掛からん。寧ろ逃げて行っている気すらする。もう件の研修施設まで目と鼻の先だというのに。

 

「んで、カリーナ。結局そのデータとやらはどこにあるんだ。データを回収してこいとは聞いたが、そのデータがどこにあるかは聞いてねぇぞ」

 

『えっと、それが私にも情報が回って来ていないんです。ヘリアンさんに聞いてみようとしても会議中なのか繋がらなくて………』

 

「冗談だろ、おい。研究施設内部を虱潰しに探せってのかよ。それじゃ帰投予定時刻までに見つけられる方が奇跡だぞ。クルーガーの方には連絡してみたか?」

 

『してみましたが、クルーガーさんの方にも繋がりません。会議があるとは聞いていましたけど、相当揉めているようです。何せ相手が軍部関係らしいですから』

 

「軍部だと?なんであの木偶の坊共が出てくんだ。データの接収が目的が?………いや、考えるだけ無駄か。おいカリーナ。そっちでこの通信中継できるか?あの木偶の坊共なら脅迫できる。後でクルーガーに文句言われるだろうが、早急に問い質す必要が出て来た」

 

『出来ますけど………、何かあったのですか?』

 

「今丁度研究施設を視界に納めたんだが、確か事前情報では荒廃してはいるが建物は健在だっていう話だったよな」

 

『はい。一月前の強行偵察の偵察結果で、健在だと報告が上がっています』

 

「一月前だと?情報が古すぎるだろう。せめて一週間前だろうが。まぁこれも上の自業自得だろうがなぁ。だがそのつけが回ってくんのは俺等現場の奴等だってのに、学習しねぇな」

 

『えと、何があったのですか?』

 

「研究施設の上部構造物の一部が吹っ飛んでやがる。もしあそこにデータがあったら完全な無駄足だぞ」

 

『えぇっ!それホントですか!?』

 

「本当のことだ。最悪なことにな。それで、中継の用意はできたか?」

 

『はいっ!出来ました!』

 

「よし、なら今からいう番号を打ち込め。クルーガーへの直通だ。いくぞ、”#0000”。繰り返す必要は?」

 

『大丈夫です!繋がりました!』

 

『どうした。この回線で繋いできたってことは、何か不測の事態か?』

 

「まんま不測の事態だよクソッタレ。それよりそこに軍部の連中がいるんだろう?スピーカーに切り替えてくれ」

 

『特大の嫌な予感がするんだが………、仕方ない。スピーカーに切り替えたぞ』

 

 軍部のクソ共邪魔するしか能がねぇのかよ。四年前に潰しておいた方がよかったか?

 

「よぉ木偶の坊共。四年ぶりだなぁ。俺を忘れたなんてこたぁねぇんだろう?もし忘れたんなら今度は仲間と一緒にお邪魔させて貰おうかねぇ?」

 

 通信の向こう側から阿鼻叫喚の叫びが聞こえてくる。大抵は驚きだがトラウマになっている奴もいるらしく泣き喚く声も聞こえている。

 

「一度だけしか言わん。それで聞かんのなら、致し方無い、俺の仲間も連れて訪ねるしかなかろうな。いいか、一度だけだ。”退け”。俺が、code:convictionを抑えていることを忘れるな」

 

 向こう側が静寂に包まれる。さっきまで泣き喚いていた奴も、泣き喚いていた事が嘘かのように静かになっている。

 

「んでクルーガー、本題だ。データはどこにある。上部構造物だとかいうなよ?一部吹っ飛んでるからな」

 

『何?あの施設は鉄血にとっても重要な筈、何故そのような事をする必要がある』

 

「理由なんざいくらでも考えられるだろう。今重要なのはデータがどこにあるかだ」

 

『それもそうか。確か、データが保管されているのは地下だ。地下にあるサーバールーム、そこにある。ただ問題がある。その施設の地上部分は問題ないが、地下部分はまだ生きている。セキュリティも万全のはずだ。突破出来るか?』

 

「ハッ、誰にモノ言ってやがる。その程度のセキュリティなら問題にならん。通信終了」

 

『了解した。通信終了』

 

 これで目的地もはっきりした。あとはデータを回収して帰るだけだな。強いて問題をあげるとすれば、地下部分の広さがわからねぇことくらいか。

 

 

 

 

 

 

 地下へのセキュリティはグリムがビリッとやって侵入した。正規の手順を踏んで入った事にしたからアラートは鳴らなかったが、もしマンティスにやらせていたら絶対面倒臭いことになってたぞコレ。警備ロボットの数が尋常じゃない。

 しかも中が予想以上に広かった。精々二階くらいだろうと思っていたが、なんとなんと、七階まであった。その七階は一階分全てがサーバールームだった。そのせいで目的のサーバを探すのも一苦労だ。

 今はその帰り道なんだが、なんとも珍妙なものを見つけた。45によるとG41らしいんだが、そのG41が鎖に繋がれていた。その状態でこっちを睨みながら唸っているもんだから戸惑っているんだが、コレどうすんだ。まぁ躾けたら猟犬として使えそうではあるが。躾けなけりゃそのまま野生化しそうだしな。というかもう半分野生化してるしな。

 

「ねぇクラウン、コレどうするの?ほっといたらそのまま野生化しそうだけど」

 

 グリムの言葉にマンティスとVectorが頷いていた。マンティスはともかくVectorもかよ。

 

「一応持って帰るか。躾けたら猟犬にはなりそうだしな」

 

 その間も警戒しているのかG41はずっと唸っていた。

 取り敢えずはその鎖を離さんことには持って帰れもせんしな。暴れるなとも言ったが、警戒しているのか理解していないのか唸ったままなのは変わらなかった。

 鎖を離そうと近付いた時に噛みつこうと飛びかかってきた。取り敢えず余っていた缶詰を開いている口に放り込んだら噛み切りやがった。これにはちょいと驚いたが、何故か知らんが動きが止まったからその間に鎖を引き千切って担ぎ上げる。

 

「よーし、帰るぞー。帰りは外に放置してあったトラック使って帰るかー」

 

「さーんせーい。歩いて帰るのメンドーイ」

 

「私も賛成です。雑魚の相手も面倒臭くなってきましたし」

 

「あたしも賛成。手榴弾がもうないし」

 

「あぁU.B.、お前は外な。進行方向の瓦礫の撤去だ。喜べ、いくら使おうと構わんぞ」

 

「Oh Jesus!」

 

 んなこと言ってるが笑っていやがるからな。盛大に吹っ飛ぶだろうなぁ。

 

「指揮官、その子連れて帰るの?」

 

「あぁ、そのつもりだ。何か不都合でもあったか?」

 

「んー、ウイルスとかは大丈夫なのかな、って思って。それと、あの支部にはその子を直せるような人はいないから」

 

「あぁ、そんなことか。まずウイルスについてだが、何の問題も無い。何も仕掛けられていないし、鉄血が接触した記録も痕跡もない。こいつがこうなったのはエラーの蓄積が原因だ。エラーが蓄積して致命的なバグを引き起こした。言ってしまえばそれだけだ。もう一つの方も一週間もしない内に解決するだろうよ」

 

「そう。ならいいんだけど」

 

 45は何やら気になるらしい。まぁ部隊柄そういうもんだろう。俺等だって似たようなもんだ。

 

「さぁーて、それじゃあ帰りますかねぇ」

 

 各々明々の返事を返してくる。帰りは楽だといいんだが、な。

 

 

 

 

 

 

「えーと、指揮官さま?その担いでいらっしゃる子と周りの方々はどなたでしょう?」

 

「周りのは俺の仲間だ。昔チームを組んでたロクデナシ共だよ。担いでいるのはあの研究施設の地下で鎖に繋がれていたのを拾ってきた。まぁ俺のペットみたいなもんだと思ってくれ」

 

「それで納得できるわけないじゃないですかぁー!書類作るの私なんですよ!そこになんて書いたらいいんですかぁ!せめてもう少し説明してくださぁーい!」

 

「あぁわかったわかった。ただし明日な。今日はこのあと酒盛りだ。何ならお前も来るか?カリーナ」

 

「う………、い、行きます………」

 

 好奇心に勝てなかったらしい。こりゃ飲まされて明日は潰れてるだろうな。そしてそのまま有耶無耶にして全部投げ………れはせんだろうなぁ。あぁ、面倒臭い。

 

 取り敢えずは酒盛りだ酒盛り。ついでにG41の餌付けもやっておこう。缶詰にあんだけ食いついたんだ、肴で釣れねぇ訳もねぇだろ。




前書きに書いた通りおそらくこれが今年最後の更新になります。

それでは皆様、良いお年を!


後お酒と餅には注意しましょうね!ジジィとの約束だ!




今回は下も盛り沢山だわーい。
やっと色々設定吐き出せたぁー。
あースッキリ。
人形の方もあったほうがいいかな?


何か要望あれば付け足しますぜぃ。









人物紹介:やっとこ本編に出てきた人物のザックリとした紹介コーナー(俺得)
主人公:かつて戦場を渡り歩いた傭兵。2m近い身長の筋肉ダルマ。だがサイボーグ。クルーガーとは同じ戦場に立っていたこともある戦友(敵味方問わず)。その伝でグリフィンに雇われた。年齢不詳。サングラスを掛け、髪は短髪を後ろに流した形。M197を立射腰だめでブッ放すトリガーハッピー。大抵血が滾り指揮をほっぽり出して戦闘に乱入する。通称クラウン、又はサイバーゴリラ。メインウェポンはM197。

マンティス:主人公と同じく戦場を渡り歩いた傭兵。突撃番長。人形が台頭し始めてからは、戦闘地域でのTUJIGIRIを主にやっていた。主人公と同じく年齢不詳、名前も無い。主人公と同じくサイボーグの体。顔は基本マスクに覆われていて見えない。胸は並。身長は157cm。体重は秘密。基本敵は一撃で天誅する。それは例え人間であれ人形であれ。通称マンティス、又はバージンババァ。メインウェポンはKATANA。

グリム:主人公と同じく戦場を渡り歩いた傭兵。斥候役。潜入、暗殺、破壊工作なんでもござれ。人形が台頭し始めてからは、裏に潜り官僚クラスの暗殺に精を出していた。主人公と同じく年齢不詳、名前も無い。主人公と同じくサイボーグの体。顔は瞳は赤く強膜は黒く染まっている。ギザ歯。胸は無い。身長は139cm。体重は秘密。基本敵は影からの暗殺か毒殺。通称グリム、又はミニマムチビ。メインウェポンは大振りのナイフ。

U.B.:主人公と同じく戦場を渡り歩いた傭兵。人形が台頭し始めてからは、派手かつ芸術的な爆破解体の研究をしていた。解体数は1000を超えるとか何とか。殺害方法は爆殺。主人公と同じく年齢不詳、名前も無い。主人公と同じくサイボーグの体。顔は基本髑髏のバンダナとサングラスに覆われていて見えない。身長は193cm。自他共に認める爆弾魔。通称U.B.。又は雷汞。メインウェポンは爆弾(主にC4)。


読み飛ばしていい補足
ドミノ:言わずと知れたビルドミノ。誰だって夢見たことはあるでしょう?あれです。いくつある倒し方の種類の内、今回はオーソドックスな円型のドミノ。そのビルの残骸で即席の壁を作り鉄血を包囲殲滅した。

15年前:通称基地埋没事故。大戦初期に依頼遂行のために遊び半分でやってみたら出来てしまった事故。クルーガーが知っているのもこれ。方法としては基地直下の地下に半年ほどかけて最大深度50mの円錐状の穴を作り、実行当日までは柱で基地を支えて気づかれないようにしていた。そして当日、柱を順繰りに爆破すると同時に地上でも思いつきでビルドミノを敢行。結果、基地の所在地が小さなクレーターのような有様となった。生存者はもちろんゼロ。

27年前:通称大規模テロ。当時ゲリラが潜伏していたとされる都市がほんの僅かな時間で更地と化した。依頼としてはゲリラの殲滅であったが、依頼人の横着とチームの殆どが面倒くさがった為に起きた事。後で依頼人から詰問されたが依頼の詳細は決めていないと答えて口八丁で丸め込み、依頼人の過失10で丸く収まった。尚その依頼人はその数日後に自殺している。行ったことは至極単純で、ただの無差別ビル爆破である。その結果としてビルドミノが発生した。二次災害として、衝撃による地下施設の崩壊も起こっている。被害者は凡そ20万人。内訳は、ゲリラ5000人、民間人15万人、身元不明5万人。その場所は未だに再建されていない。これから先もその予定はない。

四年前:これはただクラウンが軍施設に突撃!隣の晩御飯!をかましただけ。それでも被害は甚大だった模様。後いくつかの機密データもかっぱらってきた。事の発端は軍部が■■■■■について調べようとしていた為。その警告ついでにやったら予想外に傷が深くなった。PTSDになる人間もいた程。

code:conviction:四年前にクラウンがかっぱらってきた機密データのうちの一つ。ぶっちゃけこれを実際に行ったところで何かが変わる事もないし、状況が好転する訳でもない。むしろ悪化する事もありえる。だがそれが人間にはわからない。むしろ■■■■■について調べようとする事の方がヤバイ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 10~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。