とある科学の最強の巫女 (@maika52)
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とある科学の最強の巫女 〈第1話〉学園都市へ

とある魔術の禁書目録×東方Projectの2次元小説です。

※オリキャラ有り

【原作】
東方Project、とある魔術の禁書目録


以上のことをご理解の上でご覧下さい。


幻想郷…そこは、

忘れ去られたものが集まる最期の楽園

 

そこで住む者達は、二人の管理者の言うことを

守り、人妖問わず平和に暮らしていた

 

―幻想郷の守護者、博麗霊夢

―幻想郷の管理者、八雲紫

 

この2人がこの世界の『管理者』と呼ばれていた

 

 

【博麗神社】

 

「……は?」

と、霊夢は機嫌悪そうにそう言った

 

「だから、学園都市へ行って欲しいの。」

と、紫は簡潔に言う

 

「なんで私が…」

と、霊夢はため息をつきながらそう言った

 

「愛叶からの頼みなのよ。」

と、紫はそう言った

 

「愛叶から…?なんで?」

と、霊夢は疑問を紫に投げつける

 

「貴方は最近、働き過ぎたわ。

少しは休憩しなさい。」

と、紫は少しキツイ口調でそう言った

 

「何を今更…私は、いつも通りに動いてるだけだわ」

と、霊夢は呆れ気味にそう言った

 

「だけどねぇ…私だって見てて辛くなってきたわよ」

と、紫はそう言った

 

「なら、様子見なんてしなきゃ良いでしょ?

用がある時に来れば良いじゃない。」

と、霊夢はお茶を飲みながらそう言った

 

「別に良いじゃないのよ!

私だって、心配して様子を見てるんだから!

とりあえず、学園都市へ行きなさい。」

と、紫は少し照れながら言ったが、

直ぐにキツイ口調へと戻りそう言った

 

「(´Д`)ハァ…

私一人で行けと?」

と、霊夢はそう言った

 

「そうねぇ…魔理沙も連れていきましょうか」

と、紫は考えた”振り”をしながらそう言った

 

「何でだよっ?!」

と、魔理沙はツッコミを入れる

 

「だってそこに居たから」

と、紫は簡潔に答える

 

「はあ…?!」

と、魔理沙は絶句する

 

「まぁまぁ気にしないの魔理沙!

さぁ、行ってらっしゃい!」

と、紫は問答無用で二人をスキマ空間へ落とした

 

「ちょっ…!」という霊夢の声が聞こえたが、

紫はあえて聞こえない振りをしてスキマを閉じた

 

【学園都市】

 

学園都市とは、八割が学生の住んでいる巨大な都市だ。

だが、普通の学生とは違い、

大半のものは『超能力』というのを所持している

 

それには段階がある。

無能力者、低能力者、異能力者、強能力者、大能力者

そして……超能力者。

 

超能力者と呼ばれる学園都市で七人しか居ない

最強の能力者達……。

 

――学園都市で七人しかいない超能力者の第三位

御坂美琴は、常盤台中学へと足を運んでいた

 

「おねーえさま!」

という声が隣から聞こえた。

 

彼女は、大能力者の白井黒子。

美琴のことを血も繋がっていないのに、

『お姉様』と呼ぶ、少し変わった後輩

 

「何よ、黒子」

と、美琴は面倒くさそうにそう言った

 

「今日から、常盤台中学に

新しい転校生が来るのを御存知ですか?」

と、黒子はニコニコとしながらそう言った

 

「新しい転校生…?初耳だわ。」

と、美琴は興味深そうにそう言った

 

「あら。そうでしたの…。

その方、どんな能力を使うのか、未だに不明ですの。」

と、黒子はそう言った

 

「どんな能力を使うのか不明って……。

バンクに載っている筈でしょ?」

と、美琴は驚きを隠せずにそう言った

 

「確かに、普通ならそうですのよ…。

しかも、常盤台中学に入ってくるということは

何かしらの能力がないと…入れないはずですもの」

と、黒子は考えながらそう言った

 

黒子が言い終わると、校門のほうが

ザワザワと騒いでいた

 

「ん?」

と、美琴は気になり後ろを振り返った

 

「どうやら、転校生が来られたみたいですわね。」

と、黒子が美琴と同じように後ろを振り返りそう言った

 

「まぁ、私は教室で会えるだろうし。

黒子、行きましょう。」

と、美琴はササッと校内へ入って行った

 

黒子はそう言われると「はいですの」と言って

美琴と同じように校内へ入って行った

 

 

【ホームルーム】

 

「さて、入っきてもらおう」

と、ザワついた教室で教師が、そう言った

 

教師のその声にザワついていた生徒達は、

一斉に静まり返った

 

――入ってきたのは、

長く黒い髪に、紅いリボンが象徴的な

歳にしては大人気な雰囲気を醸し出している

凄く綺麗な少女が入ってきたのだ

 

「初めまして、博麗霊夢です。よろしく」

と、霊夢は簡潔に自己紹介をした

 

霊夢が自己紹介をすると、

再度教室がザワついた

 

「じゃあ、博麗。

御坂の隣が空いているからそこに」

と、教師はそう言った

 

霊夢は、『御坂』が誰なのかを理解し、

頷き、美琴の隣へと歩いて行った

 

美琴は内心バクバクしていた。

同じ年頃にしては雰囲気が違いすぎて、

大人っぽくてドキドキしていたのだ

 

霊夢が隣の席に座ると、

霊夢は小さく美琴に「よろしくね。」と言った

 

――授業は、四時限目を迎えた。

 

四時限目の内容は、隣の席の人と相談して

解決して行くようなそんな内容だった

 

「…なるほど、そういうのもあるのね」

と、霊夢はニッコリと微笑んで美琴にそう言った

 

「ま…まぁ…」

と、美琴は恥ずかしそうにそう言った

 

「?そう緊張しなくてもいいのに…」

と、霊夢はそう言った

 

「へ?な、なんかごめんなさい」

と、美琴は慌て気味にそう言った

 

「ふふっ…直ぐに慣れるわよ。」

と、霊夢はニッコリと笑った

 

 

【放課後】

 

「ねぇ、霊夢。」

と、美琴はいつの間にか慣れたのかそう言った

 

「何かしら」

と、霊夢は教材を入れながらそう言った

 

「ちょっと…あのね。

私の友人が貴方に会いたいって言っててね。

これから、時間あるかしら?」

と、美琴なんかそう言った

 

「えぇ。というか、余りする事がないし。

良いわよ。行きましょうか」

と、霊夢はそう言った

 

【公園前】

 

「あっ!御坂さーん!」

と、頭に花を乗せた少女が手を振りながらそう言った

 

「ごめん、お待たせ。」

と、美琴はそう言った

 

「もしかして、この人がですか?」

と、隣にいた髪の長い少女がそう言った

 

それを聞いた美琴は頷いた

 

「初めまして…ね。私は博麗霊夢。」

と、霊夢は自己紹介をした

 

「私は佐天涙子!柵川中学の1年です。」

と、髪の長い少女は自己紹介をした

 

「私は初春飾利です。

佐天さんと同じく柵川中学の1年です」

と、頭に花を乗せた少女も自己紹介をした

 

「私は白井黒子。常盤台中学の1年ですわ。」

と、黒子は霊夢に自己紹介をした

 

「ふむふむ…よろしくね。」

と、霊夢はニコッと笑ってそう言った

 

自己紹介を済ました一行は近くにある

クレープ屋さんでクレープを買い、

近くにあったベンチに座り話込んでいた

 

「霊夢さんは、どんな能力をお使いになるのですの?」

と、黒子は今朝から疑問に思っていたことを聞く

 

「うーん…」

と、霊夢は考え込む

 

「へっ?!

考え込むようなことを言いましたの?!私!」

と、黒子はアワアワしながらそう言った

 

それを見て、聞いていた他の三人は

お互いに笑いあっていた……。 続く




「とある科学の最強の巫女」第1話 学園都市へ

ご覧頂きましてありがとうございました!
『ようこそ!幻想郷へ』も
ご覧頂けますと嬉しいです⋆⸜(´˘`*)⸝


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とある科学の最強の巫女 〈第2話〉星の能力者

「とある科学の最強の巫女」第2話です。

◆登場人物

・上条当麻
・インデックス
・霧雨魔理沙



その頃、

霊夢と共に問答無用で飛ばされた魔理沙はと言うと…

 

「(´Д`)ハァ…

紫の奴、何処に飛ばしやがったんだよ全く…。

一緒に飛ばされたはずの霊夢は何処にも居ないし」

と、魔理沙はため息をつきながらそう言った

 

「おわっ?!」

と言う男性の声が前からした

 

「お!?すまん、大丈夫か?」

と、魔理沙はその男性に手を差し出す

 

「いや、こっちがよそ見してたから…。

ごめん、そっちは怪我は無いか?」

と、頭がツンツンしている少年は

手を借り、起き上がりそう言った

 

「私は大丈夫だぜ!それより、

荷物重そうだな…持って行くの手伝おうか?」

と、魔理沙は少年の持っている荷物を見てそう言った

 

「え?いや…」

と、少年は少し焦りながらそう言った

 

「まぁまぁ、遠慮するなって!」

と、魔理沙は少年の持っている荷物を

少し取りながらそう言った

 

――数分後

 

長い道を共に歩きながら、自己紹介をしていた

 

「俺は上条当麻。」

と、当麻はそう言った

 

「私は霧雨魔理沙だぜ!

実はな、訳あってつい最近此処に来たばかりだから、

ちょっと分からなくなっててな(^^;」

と、魔理沙は焦り気味にそう言った

 

「そうなのか…?」

と、当麻はそう言った

 

「あぁ、今はある人を探してるんだ。」

と、魔理沙はそう言った

 

「ある人って…?」

と、当麻はそう言った

 

「うーんとな…私と同じくつい最近

この学園都市に来た奴なんだけどさ…。

 

何故か、近くにいなくてさ。」

と、魔理沙は困り気味にそう言った

 

「そうなのか…。

なら、住む場所も無いってことなのか?」

と、当麻は少し焦り気味にそう言った

 

「あぁ。」

と、魔理沙は頷いた

 

「マジか!それは大変だな!

よし、手伝ってくれたし、俺の住んでる

学生寮に来るか…?」

と、当麻はそう言った

 

「良いのか?」

と、魔理沙はそう聞き出す

 

「あぁ。」

と、当麻は頷いた

 

【学生寮】

 

「当麻ったら遅いんだよ?!」

と、銀色の髪の長い少女が帰ってきて

早々、怒り出していた

 

「スマンってインデックス。」

と、当麻は焦りながらそう言った

 

「まぁ…良いけど。

それより、そっちの人は?」

と、”インデックス”と呼ばれた少女は

魔理沙の方を見てそう言った

 

「あぁ、彼女は霧雨魔理沙。

訳あってつい最近学園都市に来たらしくてな。

手伝ってもらったし、住むところが無いみたいだから

連れてきたんだ。」

と、当麻はそう言った

 

「そうなの…。

よろしくね、魔理沙!私はインデックス!」

と、銀色の髪の長い少女…

インデックスは自己紹介をした

 

しばらくすると、当麻はキッチンに立って

夕飯の支度をしていた。

 

「当麻、何か手伝おうか?」

と、魔理沙はそう言った

 

「え?いや、大丈夫だ。

色々歩き回って疲れてんだろ?

ゆっくりしてくれてたら良いさ。」

と、当麻はニッコリと笑ってそう言った

 

「そ、そうか(^^;

それにしては、普段当麻が夕飯とか作ってんのか?」

と、魔理沙は疑問に思ったので聞いてみる

 

「まぁな。元はと言えば、一人で暮らしてたし。

インデックスは訳あって途中から同居してるんだ」

と、当麻は調理しながらそう言った

 

「なるほどな…。」

と、魔理沙は納得したようだ

 

「ねぇ、魔理沙魔理沙。

何かしら遊べそうなのない?」

と、インデックスはそう言った

 

「遊べそうなのか…。

ないけど、代わりに『魔法』を見せてやるよ」

と、魔理沙はニッと笑ってそう言った

 

「魔法?!魔理沙は能力者じゃないの?」

と、インデックスは驚きながらそう言った

 

「まぁ、”此処”では能力者だが。

一応、れっきとした魔法使いなんだぜ?」

と、魔理沙はそう言った

 

「へぇ~!どんなの使えるの?」

と、インデックスはグイグイと迫り来る

 

「分かった。見せてやるよ」

と、魔理沙はそう言った

 

魔理沙は両手を何かを持つようにして広げると

眩い光が発せられ、そこからは無数の星が出てきたのだ

 

「わぁ!凄いね!」

と、インデックスは星をマジマジと見つめて言った

 

「まぁ、これは序盤の方に習うんだがな」

と、二ヒヒと照れくさそうに笑いながら

魔理沙はそう言った

 

「ん?魔法って習えるもんなのか?」

と、夕飯の準備をしながら、

当麻は魔理沙に問いかけた

 

「あぁ。だが、私の場合は、

魔法を教えてくれる師匠が居たからな。

とはいえ、あまり簡単に覚えられる様な

ものじゃないんだぜ。」

と、魔理沙はそう返答した

 

「え。でも、その言い方だと、

”才能がある”人じゃないと使えない様な言い分だね」

と、インデックスは少しムスッとしてそう言った

 

「まぁ…そうなのかもしれないな。」

と、魔理沙はそう言った

 

「違うんだよ。魔術って言うのは、

”才能がない”人が扱うために作られたもの。

”才能がある”人が扱えるわけないんだよ。」

と、インデックスは

少しムスッとしてそう言った

 

「そうなのか…?

やっぱり”此処”は、”こっち”とは違うんだな。」

と、魔理沙はうむうむと頷きながらそう呟いた

 

「こっち…?どういう意味だ?」

魔理沙の言った言葉に疑問を抱いた

当麻は、魔理沙に問いただす

 

「あー。言っちゃいけなかったんだっけな…。

まぁ、良いか。ご飯食べながらでも説明するぜ。」

と、魔理沙は二ヒヒと笑いながら言った

 

「あ…あぁ。」

上条当麻は少し気になって今の内に

聞きたかったが、どうやらご飯を食べながら

説明すると言ってくれたのでササッと作ることにした

 

 

 

「―…霊夢、うっかり言っちゃったんだぜ」

と、魔理沙はそう呟いた

 

その声を聞いたインデックスと当麻は

脳裏にはて?という文字を浮かべていた

 

 

――その頃、霊夢は……。

――次回へ続く。




ご観覧ありがとうございましたー!
第3話も何卒よろしくお願いしますー!


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第3話 博麗の巫女 《20.11.29 改稿》

お久しぶりです。
第3話、やっと執筆完了しました。
ということで更新です。

◆追記
明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします。

«追記 20.11.29»
お久しぶりです!
本日、第3話の本文を少し改稿しました!
以前より少し、情景が浮かびやすくなったかなぁと思います。


魔理沙がうっかり口にしてしまっていたその頃、

霊夢の方では、白井黒子に能力は

どういうものなのかと問われていた。

 

「そう、ねぇ…」

霊夢は考え込んでいた。

 

こちら側──つまり幻想郷側に

一切関与していないこの人達に言うべきか…。

 

言わない方が良いのではないのか…。

と悩んでいるところに、

 

『──…霊夢、うっかり言っちゃったんだぜ。』

 

と、反省の色がない魔理沙のテレパシーが

霊夢の耳に入る。

 

「(´Д`)ハァ…

あんたは馬鹿なのかしらね…。」

 

美琴達には聞こえないような小さな声で霊夢は呟いた。

 

『すまんすまん。

で、だ。説明した方が良いよな』

 

戸惑ったような魔理沙の声がテレパシーを通じて聞こえてくる。

 

「そうね…。

ちょうど良いわ、こっちにも少し関わりがある子が居てね。

その子達にも話しましょうか。」

 

魔理沙の言葉に考え更けていた霊夢は

決意したように顔をあげて、魔理沙にそう返す。

 

「霊夢…?」

 

少し声が聞こえたのだろう。

隣にいた美琴が訝しげに霊夢の顔を見つめていた

 

『どこ集合に、ってもこっちは居候させて貰っててな。

夕飯を食べる時に説明するって言っちまったんだよ』

 

魔理沙から既に説明をすると言ってしまったことを

聞き入れた霊夢は、ため息をつく。

 

「ふーむ……。

なら、アンタの魔法でこっちを映せない?

声だけだと、本心か事実か分からないでしょ。

それに、こっちも説明出来るから良いのよね。」

 

説明するのに、どちらにもいちいち一つ一つ説明するのが

面倒だと思った霊夢は、魔理沙にこちら側と魔理沙側を

何かを媒介にして映せないか、と問いかける。

 

『りょーかいだぜ。

けど、そっちは人目がない所でしてくれよな。

こっちの事情はあまり知られたらダメなんだろ?』

どうやら映し出すことができるらしく、

すぐさま返事をくれたが、その声色は珍しく真剣だった。

 

「そうね…。

 

───…ねぇ、美琴。

私の能力を教える代わりになんだけど。

あまり人目がない場所って知ってる?」

 

霊夢は近くにいた美琴に、

人目のつかない場所がこの辺り一帯にないか聞いてみることにした。

 

「えっ?!…そうね。

風紀委員の支部って使えるかしら、初春さん」

 

霊夢の問いかけに、美琴は驚きながらも

近くにいた初春に一七七支部が使えないか聞いてくれた。

 

「あ、はい。使えますよ…。

でも、どうして人目がない場所なんて…」

 

突然のことだったが、どうやら使えるらしく

初春は戸惑いながらも了承してくれた。

 

「確かに、どうしてですの?

能力のことだけでしょう?」

 

能力を使うのならば屋内よりも屋外の方が

家具や建物が壊れる心配がないから、

気楽にできるものなのに……と思った黒子が霊夢に問いかける。

 

「こっちにもこっちの事情があるのよ。

とりあえず移動しましょう。そこで

 

──…私”達”の『全て』を教えてあげるわ。」

 

 

 

【風紀委員一七七支部】

 

「それじゃあ、教えて…くれるのよね?」

 

風紀委員一七七支部に着いた霊夢達は

各々近場にあったソファに座って、霊夢の言葉を待った。

 

それから、初めて言葉を発したのは美琴だった。

 

「えぇ。まず、言っておかなきゃいけないことがある。

”このこと”は絶対に他言しないで欲しい。

 

”こちら側”にも少なからず影響が出るのよ」

 

あまりにも真剣な雰囲気と、その眼差しに

美琴達は気圧され背筋をビシッと伸ばしてしまう。

 

「こちら側…?」

 

聞き取った言葉の中に、意味深げな言葉があり、

初春はそっとその疑問をつぶやく。

 

「──…魔理沙、用意は良いわよね?」

 

霊夢は、おもむろにテレビの置いている

方向へ向き、ある少女の名前を口にした。

 

「魔理沙…?」

霊夢が突然何も映っていないテレビの方を向きだし、

ある人物の名前だろうか。

美琴達はその名前が誰なのか分からず呟く。

 

 

──すると、いきなりテレビの画面に

金髪の長い髪をした女の子と、

白く長い髪をした女の子

──そして、ツンツン頭の少年が映し出された

 

「…はあっ?!なんでアンタが!!」

 

まさかの人物に驚きを隠せなかった美琴は、

咄嗟に声を上げてしまう。

 

『うおっ?!ビリビリ?!!』

 

どうやら向こうもそうだったらしく、

驚いた声を上げていた。

 

『どうやら成功みたいだなー。』

 

金髪の少女は、不敵に微笑んで霊夢にそう言った。

 

「そうね…。」

 

その様子を見て、どこに行っても相変わらずだなと

霊夢は呆れてしまう。

 

『んじゃ、自己紹介するな!

私は、霧雨魔理沙!”幻想郷側”の人間だ。』

 

満面の笑みを浮かべた魔理沙が、

美琴達に自己紹介をする。

 

『幻想郷…?』

 

魔理沙の隣で、お茶を飲んでいたインデックスが

疑問を口にする。

 

「幻想郷って言うのは、何なの?」

 

美琴達にも何を指す言葉なのか分からず、

魔理沙に問いかける。

 

『それについては、

そこに居る奴の方が詳しいぜ』

 

にっこりと微笑みながら、魔理沙は顎で霊夢を示す。

 

「ハイハイ。後でね。

私は幻想郷の”管理者”の一人。博麗霊夢よ。」

 

その様子にまたもや溜息をつきながら、

霊夢は上条達に自己紹介をする。

 

『か、管理者?!』

 

上条が驚きの声を上げる。

どうやら幻想郷というものの偉い立場にあることに気付いたようだ。

 

「まあ正確には”守護者”なんだけど……。

そんなことより気になってると思うしさっさと説明するわね」

 

少しだけ遠くを見つめながら、霊夢はそう言ったものの

すぐさま説明するためにテレビ画面の方向へ向き直った。

 

「え、えぇ…」

 

困惑しながらも美琴達はしっかり聞いているようで、

黙って説明を促した。

 

「まず、幻想郷についてね。

幻想郷は”忘れ去られたもの”が集まる世界。

 

こっちの連中からすれば【異世界】って

言った方が無難かしらね。」

 

今まで謎だった幻想郷という言葉。

それはひとつの世界であるという説明に

上条達も美琴達も驚きを隠せないでいた。

 

『異世界…?』

 

アニメやSFの世界でしか耳にしない単語。

本当にそんなものがあるとは思っていなかった上条は

霊夢の発した言葉を反復した。

 

「えぇ。この”世界”とは違う。

『別次元』の世界ね。

 

──別次元と言っても、

私たちが”住んでいる世界が”って訳じゃなくて

幻想郷以外にも沢山あるんだけどね。」

 

幻想郷という世界が、上条達のいる学園都市からして

”異世界”という訳ではなく、

幻想郷以外にもまだまだ自分たちでは分からないほど

たくさんの世界があるのだと霊夢は言う。

 

 

霊夢のそんな説明を聞いていたメンバーは

静かに、ただ黙ってその話に耳を傾けていた。

 

「私たちは、その『幻想郷』から、こっちに来たのよ。」

 

言うべきことは終わった、と言わんばかりに

霊夢は言葉を切ってしまった。

 

『何か理由があるからか?』

 

幻想郷という霊夢や魔理沙が住んでいる世界に

何かしら大変なことが起きたから、

学園都市に来たのではないかと思った上条は

うるさく高鳴る鼓動を必死に抑え込みながら、

上条からして、テレビの向こう側にいる霊夢に問いかける。

 

「──…いや、理由はないけど」

 

その様子を知ってか知らずか、霊夢は素っ気なく答える。

 

『ないのかよっ?!』

 

ツッコミを入れながらも、変に力が入っていた身体の

力が抜けていくのを上条は自覚する。

 

『まぁ(笑)息抜きに来たんだよ。

だから、何か厄介事を持ってきたわけじゃないぜ』

 

そんな様子を隣で見ていた魔理沙が、

笑いながら上条や美琴達を安心させるようにそう言った。

 

「そうなんだ…」

 

美琴も美琴で、何かあったから学園都市に来たのだと

思っていたらしく、安堵したように顔を綻ばせていた。

 

『まぁ、なんだっけ。

能力が何なのかだったよな?

私の能力は『魔法を扱う程度の能力』だぜ。』

 

そんな様子を見て、魔理沙は美琴達が知りたがっていた

自分の能力に関して、そう告げる。

 

「魔法を扱う、ですか……?」

 

聞き慣れない単語に、首を傾げながら初春は

疑問を口にする。

 

『あぁ、こっちで言うところの”魔術”だな。』

 

科学と魔術、両方の別々の力の世界を行き来してきた

上条にはすぐさま理解出来たらしい。

 

「魔術…?」

 

美琴達、学園都市サイドの人間は

初めて聞く言葉に首を傾げている。

 

「あら、よく分かってるわね。

流石に魔術側も奔走してるだけはあるってことか」

 

霊夢はにっこりと、意地悪げに微笑みながら

上条を賞賛とも皮肉とも取れる表情でそう言う。

 

『なんで奔走してるって分かったの?』

 

奔走して、いつも大怪我をして帰ってくる上条を

身近で見てきているインデックスが、

今しがた会ったばかりの霊夢がどうして知ってるのか、と

驚きで目を見開きながら、疑問を問いかける。

 

「うん?勘。」

 

大したものでは無い、と言わんばかりに

呆気なく霊夢はインデックスの疑問に答える。

 

『勘?!』

 

まさかの答えに、上条達は驚くしかなかった。

 

「あぁまぁ……気にしないで。

私の能力は『空を飛ぶ程度の能力』と

『霊気を操る程度の能力』よ。」

 

魔理沙には一つしかなかった能力が、

霊夢には二つあるようだ。

 

『2つあるのか?』

 

その事に気づいた上条が、霊夢に問いかける。

 

「えぇ。

本質についてだけど。

一つ目の能力、『空を飛ぶ程度の能力』は、

地球の重量なんて関係無しに、そのまま空を飛べたり、

”縛る”とか”囚える”とか、まぁ金縛りとかは一切通用しないし、

他人の能力も一切通用しないわ。

 

例えば、精神系の能力とか力は、一切通用しない。

こっちに『死を操る程度の能力』

ってのを持ったものがいるんだけど、

そいつの力も私には効かないわ。」

 

霊夢は上条の問いかけに肯定し、

名前だけ聞けば分からない能力の本質について

ササッと説明してくれた。

 

『簡潔に言うと、無敵状態になれる

チート能力って訳だせー。』

 

難しくて分からない様子だった美琴達に、

魔理沙が簡単に説明してくれる。

 

「そんな能力…ありですの?」

 

魔理沙の説明を聞いて分かったらしい黒子が、

呆気に取られたようにそう言葉を発した。

 

『まぁ、幻想郷とここはルールが違うからな。

幻想郷じゃ、幻想入りすれば勝手に能力を

身に付けたり出来るんだが、ここはどうやら、

無理矢理にでも能力を付けるための実験を

してるみたいだしな。』

 

幻想郷と学園都市。

このふたつでは能力に対して全く違うのだと

魔理沙の説明で美琴達は思った。

 

「幻想郷は、勝手に能力がついてくるの?」

 

能力開発を受けなければ、能力が身につくことなど

有り得ないと思っていた美琴が、

隣で呑気にお茶を飲んでいる霊夢に問いかけた。

 

「えぇ。幻想郷に入った時点でね。

まぁ、稀にって感じじゃないかしら

幻想郷がその人を気に入れば能力はついてくるわよ。」

 

どうやら、誰でも簡単に能力を身につけられる

ということではないらしく、

幻想郷が気に入ったものにしか能力は手に入らないらしい。

 

 

『まぁ、あまり気にしなくていいぜ。

確かにこことは違うかも知れないが、

お互い、こういう関係になったんだ。』

 

誰にでも能力を身につけられる、という言葉に

羨ましいと思っていた佐天や初春を知ってか、

魔理沙は苦笑いをしながらそう言った。

 

「そう言えば、霊夢さんは

幻想郷の管理者と言っていましたよね?」

 

心の内で思っていた気持ちに気づかれたことに、

気恥しさと情けなさを感じた佐天が、

紛らわすように話題を変えた。

 

『あぁ。それは気になったんだが、

一体管理者っていうのはどういうものなんだ?』

 

どうやら上条も気になっていたらしく、

聞いていただけでいた霊夢に、そう問いかける。

 

「そうね。私ともう1人いるんだけど……。

幻想郷には『幻と現実の境界』と『博麗大結界』

って言うのがあってね。

その二つが幻想郷自体とも捉えられるんだけど……。

 

『幻と現実の境界』って言うのが、

妖怪の賢者「八雲紫」って言う大妖怪が管理していて、

『博麗大結界』って言うのが、

代々私たち”博麗の巫女”が管理してるのよ。

 

だから、私と紫を合わせて『管理者』って

言われてるのよ。それについては

まぁ、幻想郷創造時にまで遡らなきゃならないから

また今度ね。説明する時があったら言うわ。」

 

上条の問いかけに、霊夢はなるべく簡潔に

”管理者”と呼ばれる者の立場について説明した。

 

『博麗の巫女…?』

 

何か思い当たる節があるのか、

インデックスは驚きに目を見開きながら、そっと呟いた──。

 

──第4話へ




ご覧いただきありがとうございました。
第4話更新は出来れば4月頃までには更新したいですが
きっと第2話更新日を見て頂いた通り、
何ヶ月以上振りになるかもしれません。


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