空から流星が落ちるそうで (バウよりカッコいいMSはいない)
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第○話 ○○○○へ、
あらすじにあるとおり本編が存在するのでちゅーい!
そっち書かなきゃなあ……ハハッ
淡く小さな光が灯り、それらがひときわ強く輝いた後思い出したかのように闇へと帰する。
まただ。またあの光の中で命が消えていく。
唸る銃声、軋む鉄屑の接触音、人々の念からくる細やかな鼓動。
苦しむことはない。悲しむことはない。迷うことは……ない。
なぜならば、この戦争という名の恨みの連鎖が途切れることを知らないからだ。
そう、この光は消えることもやむこともない。
それが戦争だ。
○外伝○
少女と燻る残り火と
不気味な静けさが漂う。
周囲に浮いたスペースデブリが、艦の表面に当たり静かに離れていく。
どれも小さな鉄屑だが、幾度となる接触は自らを危険にさらしかねない行為であり、それを知らぬ人物などここにはいない。
それは全長228mにもなる巨大な鋼鉄の要塞、サラミス級宇宙巡洋艦『トリチゲン』においても同じことだ。
「熱量探知!
右舷前方、浮遊物確認!
小型艦…いえ、ジオン公国制MAと推定!」
「あれがMA……80mはあるか?
……なんと巨大な」
艦橋において一番の権力者、艦長の肩書きを持つ男は小さく息を飲んだ。
モニターには無数のデブリの中、巨大なダークグリーン色の機影が映っている。
つい最近まで慌ただしく揺れ動いていた宙域、前ア・バオア・クー要塞近海。
長く続いた、かの一年戦争の残り火は、この宙域のみを除いてどこかで人の命を散らしているのだろうか。
それでもこの近海、いや最終決戦の地となったこの場には、物言わぬ鉄屑のみがただ静かに漂っている。
ならばその場に浮かぶ、あのMAもこれらのデブリと同じなのではないか?
「(……いや、あれは微量ながら熱を持っていると言ったな
……囮か?)」
「熱量を発しているのならば…おい、近くに別の反応はないか」
もし仮にあれがスペースデブリの皮を被った『餌』だとするのなら、すでにこの宙域に他の反応……つまり敵がいてもおかしくはない。
「は、はい……いえ、周囲に敵影、ミノフスキー粒子ともに確認できません!」
しかし、その心配はないようだ。
「よし……総員配置につけ!
最大限の警戒体制をとり、目標に近づく!」
「はっ!
……いえ、お待ちを!
前方MAより映像通信あり!」
「通信だと?
……映せ」
少しの不安を抱きつつ、男の声により通信兵がキーを叩く。
あきらかに怪しいその通信に艦橋全体が緊張をはらむ中、しばしの時間を要した後、モニターにはコックピット内部と思われる映像が映った。
その内容を理解した者達が次第にざわつきを起こす中、男もまた混乱に脳を悩ませる。
そこに映る映像があまりにも現状とかけ離れていたためだ。
「…………子供だと」
男の目に白銀が揺れた。
予想していたパイロットの姿はなく、あきらかに上等なドレスを見にまとった少女。
その存在が苦しそうに呼吸を繰り返さなければ、等身大のドールかなにかと考えていたかもしれない。
銀糸の長髪に、閉じられた瞼にかかる同色の長い睫毛。時折つらそうに歪む顔は、陶磁器のように白くしみ一つ見当たらない。
小柄な体格によく似合う赤いドレスが、散乱しところどころに血の浮かぶコックピットがあまりにも絵画じみている。
ここにいる誰もが純粋に美しいと感じた。
「…………艦長?」
「す、すまん
……見たところジオン兵では無さそうだ
怪我も確認できる……未だ少し怪しいが……」
男は艦長である。
ここにいる何人もの人間から命を預かっているのだ。
簡単な判断は許されない……が。
「……保護せよ」
「……は?」
「前方、ジオン制MAに閉じ込められた、かの少女を保護せよ」
「は、はっ!」
これは少し未来の話である。
かの少女が進んだ未来、ifとも呼べる可能性の物語である。
流星を夢見た男と、数多くの部下を失い己の存在意義すら疑った男。
様々な火を灯す意思の中、新たな争いが綴られる。
少女は今──
TS主人公がロリコン仮面と出会ったら~ 外伝
○第零話○
水天の涙へ、
あの変態は出てきてもゲスト的扱いになるかと……つまり本編の未来、それも空白期にあたるものになると思います。
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