カードファイト!!ヴァンガードG 歌姫のハーモナイズ (奏梅莉愛)
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TURN0 プロローグ

 「──これで止めだ!アタック!」

 

 「ぐぁああ!!……だ、ダメージ、チェック……くそっ、ノートリガー……」

 

 2年前、アメリカで行われた小学生のみが参加できる『ヴァンガードジュニア世界大会』決勝戦。

 帽子を目深に被った少年と思われる人物のアタックが対戦相手の少年にヒットした事で相手のダメージは6になり、勝負が着いた。

 

 「決まりましたーっ!ヴァンガードジュニア世界大会、決勝戦の勝者は日本代表の『(あずま) カズ』選手!まだ小学生とは思えない程の圧倒的な強さで、ヴァンガードジュニア世界チャンピオンの座に君臨しましたーっ!!」

 

「「わぁああああああああ!!!!!」」

 

 その大歓声に、優勝した日本代表の少年(?)──『(あずま) カズ』の顔色は帽子で隠されていたが、僅かに覗く口元には笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから2年の年月が経ち、今現在、ヴァンガードの大会が開かれる会場で、とある大会が幕を開けようとしていた。20歳以下のファイターたちによる、熱き戦いの場……その名も、『U20(アンダートゥエンティ)チャンピオンシップ』。

 

「プロファイターの登竜門ともいわれているこの大会!今回注目すべきズバリ!この選手たちだーっ!」

 

 司会であるMCミヤが今回注目されるべき、選手たちを紹介していく。その人物は、知らない人はいないほどの実力を持ったファイターたち……

 

「新導クロノ!綺場シオン!安城トコハ!」

 

 ジェネレーションマスターの称号を持った、チームトライスリーのメンバーたちだ。だが今回は、いつもとは違った光景が広がっていた。

 

「数多の強豪ファイターを跳ね除け、ジェネレーションマスターの称号第1号に輝いた、チームトライスリー!かつてチームメイトだった彼らが、今回はライバルとなり、それぞれのチームを率いてこのU20(アンダートゥエンティ)のステージを戦うのです!」

 

 そう、今回トライスリーはそれぞれが別々のチームを組み、互いにライバルとして戦う事になるのだ。その証拠に、3人それぞれの傍にはチームメイトが共にいるのだ。

 

「熱くたぎれ!若きファイターたち!レッツイメージ!レッツヴァンガード!U20(アンダートゥエンティ)、いざ開幕です!」

 

 ヴァンガード……地球上に数億人ものファイターを数えるこのカードゲームは常に人々を熱狂させ、多くの絆を育んできた。その歴史に今、新たな伝説が生まれようとしている。

 

「負けないんだから!」

 

「勝つのは僕だ!」

 

「やってやるぜ!」

 

 

 

 「……あの時より、更に上のステージ……僕の力で、何処まで行けるのか、楽しみだ…!」

 

 そして、とある一人の少年──否、少年の格好をした少女(・・・・・・・・・・)も、仲間(チームメイト)と共に戦いの地へと足を運ぶ。自分が、再びヴァンガードの頂点へと舞い戻る為に。

 

 「絶対に優勝するぞ!」

 

 「頑張りましょう!クロノさん、カズマさん、カズハさん!」

 

 「おうよ!やってやる!」

 

 「僕たち4人なら勝てるさ!」

 

 2年前、ヴァンガードジュニア世界大会でチャンピオンの座に君臨した日本代表の謎の少年ファイター『(あずま) カズ』こと『東海林カズハ』は、チームストライダーズの4人目のメンバーとして『U20(アンダートゥエンティ)チャンピオンシップ』を駆け上がる!



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TURN1 日常

 ──宮地学園中等科の、とある教室。

 

 「……すぅ…」

 

 何処にでも一人はいるであろう、授業中に気持ち良さそうにスヤスヤと眠っている生徒。学校規定の学ランにパーカーを着て、フードを被り突っ伏して寝ているが、教壇からは地味に目立っているのである。

 

 「……東海林カズハ、この問題を解いてみろ」

 

 「んぇ?ふぁーい……」

 

 当てられるのもベタな落ちである。だがこの生徒──東海林(しょうじ)カズハは、寝ていたにも拘わらず、黒板に書かれた問題をスラスラと難なく解いていく。つまるところ、漫画とかではよくいる『こいつ寝てたのに解けるのかよ。天才か』みたいな人物である。その通りなのだか。

 

 

 

 

 

 

 「起立、礼」

 

 「「「ありがとうございました」」」

 

 全ての授業と帰りのHRを終え、部活のない生徒は速やかに(さっさと)下校していく。学ランにパーカーを着てフードを被った生徒──東海林(しょうじ)カズハもその一人。だがそのまま家に帰るのではなく、あるところに寄り道していく。その場所とは、カードゲームショップ。

 宮地学園と言うエリート学校に通うカズハも、学校を出ればただの中学生。遊びたいお年頃なのだ。

 行きつけのカードゲームショップで、カードゲームをして帰る。それがカズハの日常であった。

 

 

 

 

 

 

 

 「こんにちわーっす」

 

 「いらっしゃい。今日も来たんだね」

 

 いつもの、行きつけのカードゲームショップ──その名は、『カードキャピタル』。かつて日本を制し、アジアを制したヴァンガードのチーム──『チームQ4』。その聖地とされる1号店が、カズハの行きつけだった。

 

 「来ましたよー、ミサキ先輩。学校から近いんでねー」

 

 「あんたの家の近くに、2号店が出来たんだけどね」

 

 「学校帰りに寄るならこっちのが近いんすよー」

 

 カウンターに座る女性は、『戸倉ミサキ』。

 あの『チームQ4』の一人にして、カズハの通う学校『宮地学園』の先輩兼OGなのである。それ故に、カズハは親しみと敬意の表われとして『ミサキ先輩』と呼んでいる。

 

 「ま、客が来てくれてるのは大歓迎だけどね」

 

 「あはー、ファイトするにはうってつけの人たっくさんいますからねー!」

 

 「おー、カズハー!来たんなら早速ファイトすんぞー!!」

 

 大声でカズハを呼んだのは『三和タイシ』。

 ノリは軽いが、ファイトはそれなりに「オイコラー」結構強いヴァンガードファイターの一人。『チームQ4』の櫂トシキさんの同級生らしいので、『三和さん』とさん付けで呼んでいる。ノリだけならまだ高校生で行けると思われる男性である。

 

 「はいよー、待ってろ三和さん!すぐに叩きのめして仕事に戻してやるー!」

 

 「生意気だなガキンチョめ!返り討ちにしてくれるー!」

 

 二人して子供のような(片やまだ中学生だが)挑発をしあいながら、ファイトテーブルにつく。

 

 「さぁ来いカズハ!今日は俺が勝つ!」

 

 「今日も僕が勝って、三和さんに連勝してやる!」

 

 「「スタンドアップ・ヴァンガード!!」」

 

 ──ヴァンガード。それが『東海林(しょうじ)カズハ』という人物を構成する要素の一つとして成り立つ、カードゲームの事である。




名前:東海林(しょうじ)カズハ

学校:宮地学園中等科(つまり中学生)

概要:カードキャピタル1号店の常連のファイター。
いつも学ランにパーカーを着ており、フードを被っている為、顔が隠れている。ミサキ・三和等1号店関係者とは仲がいい様子。三和とは軽口を言い合う位に仲がいい。三和とやりあえるらしく、ヴァンガードでもそれなりの強さを誇っている様子。


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