No.23 (Blood Moon )
しおりを挟む

よくある転生

アーマードコアが好きです(迫真)不定期投稿ですが見てくださると嬉しいです。


独りになった時僕は考えた。「何が足りなかったのだろう」と僕は力だと思う。それがきっとあったら独りにならなく、いや独りになっても――

 

 

齢18才僕は死んだ。自殺だった。そして目覚めることのない僕が見たのは数本の剥き出しの支柱で支えている頭のおかしい前衛建築だった。

 

 

僕はあるゲームを半年程したことがある。精神的に絶望したような状況でも明日を見ようとする者達だ。鴉、山猫、渡り鳥――結局はそんなふうに馴れなかったが。

しかし今僕の体には機械が繋がっているしネクストに乗っているこれは……所謂転生という奴ではないか?

 

 

「こちら管制室、アレルヤ、何かアクシデントか?」

無線が耳に入る。

「いや問題無い、今からエグサヴィルに帰還する」

そう言うと僕はその変態的な建物に向かうのだった。

 

 

僕はアーマードコアの世界にきてしまったらしい。

 

 

記憶ははっきりしている、その上で僕がここにいるなら最低でもリンクス戦争は始まっていないはずだ。ネクストを降りるとさっきのオペレーターに訪ねる。

 

 

「すまない、ベルリオーズは何処にいる?」

「ベテランのサンプルが期待のダークホースに何か用かい?」

「些細なことさ」焦る内心を抑えその場を離れる。

 

 

あのNO.1がダークホースとはいえ新人じみた扱い?そして自分が彼より経験だけなら上の扱いを貰っているリンクスだとそんな人物が……

「え、じゃあそう言うこと?」

思わず素の喋りが出た。そうなるのも許して欲しい。そんな人物はAC4にはいない、『当時では』僕はAMS適性を調べる。アンジェ、オービエ、ザンニという僕より後にリンクスになった者達と比べても自分はあまりにも低かった。

 

続いて機体を確認してみる。この機体は03-AALIYAHに似ているがメカニックに聞いてみるとこれは02-ALLELUIAというらしい武装は背中にはハイレーザーのシリウスとテクノクラート製の単発ロケット左腕にはレイレナード製大型マシンガン右腕にはGA製ドラムマシンガン、またメインブースターは空中戦に適したオーメル製……複数企業の武装構成という装備にさっきオペレーターが自分に向けて言った『サンプル』という言葉が脳裏を掠めた。

 

 

こういう言葉がある。

『神話の御世にあって、神とは即ち力のことである』

皮肉過ぎて呆れてしまう。その神のような力を持ちながら自分に降りかかる運命に。

 

 

 

 

僕はNO.23、リンクスでありながらリンクス戦争前に消えたか、もしくは死んでるリンクスになっていた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

AMS適性

オレンジ一色で構成されたお椀を被せたような半透明な壁を持つ世界、其処で踊るのは二つの機影。

 

グレネードの爆音が響くと同時に自らの横を通り過ぎる処刑人。クイックターンをした目前に迫る銃剣一体じみたライフル―ああクソ、ダメだ。それを最後に見て僕の視界は暗くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は項垂れる。

シミュレーター、現実の世界を模擬的に実感する道具である。

「いや弾切れまで追い込んだのは悪くない」

そんな風に声を掛けるのはベルリオーズ――後のNO.1である。

「立場を無視してみると?」

「あまりにも差がありすぎる」

だろうな、弾切れまで追い込めたのは彼が実弾兵器を使うことを見越したGA系列のタンク機体であったからだった。

「すまないな、こんな奴と模擬戦をしてくれて」

「いや、こちらはこちらで収穫はあった、気にしないでくれ」

 

ああ、この人間性が救われる……アンジェは一戦後「弱すぎる」と言ってから音沙汰なし、オービエは機体が壊れてからも執拗に死体撃ちをするし、ザンニにいたっては姿がないし。僕はランク1でもリンクスでも人格者って大切だと思うの、マトモ大事。

 

ゲームのアーマードコアをやっていたんだから他のリンクスなんかマッハで蜂の巣にしてやんよ!

そう思ってた時期が僕にもありました。

 

吐く、絶対吐く、というか何で吐かないの僕。時速1000キロ嘗めてましたすいません。

 

さらにAMS適性の弱さが拍車をかける。

オリジナルは26人、その23番目になるリンクスなのだ。

国家解体戦争時は戦闘の腕は余り重要ではなく戦闘時間の長さ=AMS適性の高さが如実に反映された。

つまり自分のAMS適性は下の上あたりがいいところ。ス……いや何でもない。

 

さらに致命的なのはGA社なら「まあ、仕方ないか」と見えるのに対し自分がいるのは全員がNO.12以上になるレイレナード社であるということ。

はっきり言おう、もしかすると味方から用済みだと消されるかもしれない。国家解体戦争はもうすぐだと言うのに。

 

 

 

 

 

「ザンニ、試作品の調子はどうだ?」

「悪くない、近いうちにお前も使うことになるかもしれんよ」

ベルリオーズという男は完璧であるといわれている。だが彼自身の見方では自分はできることをこなしているだけに過ぎない。人には向き不向きがあるものだ。

このザンニのような三次元戦闘、アンジェのような間合いとブレードによる攻撃、オービエでも敵地に放りこめば撹乱要員としては最適だ。

 

「またあのサンプルに頼まれたようだな、結果は」

「全勝だ」

「やはりな、はっきり言う、何故そこまであいつの肩を持つ?お前が情に深い人間だった記憶はないのだが」

 

しかしあのサンプルはリンクスとして不向きであると言わざるを得ない、ただリンクスになれただけとでも言うべきか。

「解らないからだ」

「何をだ?」

「あいつが機体を変えることがだ」

自分達はいずれも完全に自分の力を引き出せる装備を整える、企業の思惑はあるが二人はそれを重要としている。

 

それが戦士の命を左右する。

だからベルリオーズはサンプルを不気味に思うのだ。

 

 

『全ての武器、機体をそれなりに扱えることを』

正しい運用方法を知り、常に形を変える不定形。イレギュラー。最近になってからだ。サンプルの異変は。いやむしろサンプルだからだろうか?

ベルリオーズはサンプルに対してこう評価している。

『リンクスとしては三流、戦士としては何をしてくるかわからない化け物』と。

 




自然にやっていること自体がヤバいのはレイブンによくあること


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

国家解体戦争①

いよいよ企業の協定が結ばれネクストによる攻撃が始まる。国家解体戦争だ。

 

僕の攻撃目標は……北欧、ベルリオーズ達は五大国と呼ばれていた重要地域に参戦するらしい。

 

そして北欧はアクアビットがある所、あー僕何か解っちゃったなぁ。

 

すると熱源を確認する。

 

「こちらヒラリエス、P.ダムだ。宜しく頼む」

 

そういいながらやってくるアクアビットマン、彼女に対してもヤバい、脆いのイメージしかない。

しかし意外だったのはプライマルアーマーを展開していないことだ。

あれ?思ったよりアクアビットって緑を大事にしてる?

いや別の方はしてるけど。

 

 

「覚悟は決めた、行こう」

いや、行こうじゃねぇよ!無駄死にの覚悟!?

「わかった、まずはプライマルアーマーを展開しよう話はそれからだ」

「あ…ああ」

 

「戦場は始めてか?」

「その通りだ、金が…必要なんだ」

まあ、レイブンとしては基本なのでそこはどうでもいい。

しかしそうか、NO.5まででも軍人と言えるのはベルリオーズくらいだ。他は宗教家と辻斬りと騎士と女帝だもんな……ごめん、やっぱ血生臭かった。

 

 

「いいか?プライマルアーマーを過信するなとは言わないがアクアビットの技術は優れている筈だ」

「それと戦士に必要なものがある。心・技・体だこれがある戦士は強い」

 

 

僕はそんな彼らを見て来た、彼らは強かったよ。

ジナ姐とかジナ姐とか、あとジナ姐とか。

 

「そして心は習熟しにくいが、一番変わりやすくもある」

「……」

「まあ、ミサイルだったらアレルヤの後ろに下がるといい、ばら蒔くにはピッタリの武装だ」

まあ頑張るのは僕じゃなくてFCSのinblue君なんですけどね。ロック速度1位はありがたい。

 

「ありがとう、頼りにさせて貰うよ」

 

 

 

 

海上から襲撃を掛ける。大丈夫?河童こない?と思ったがAMS適性が低いリンクスにはオートブーストという機能が搭載してあるようだ。視界に障害物がないのが心配の種だが

これが相手にとってネクスト戦の最初となるのがでかかった。

アレルヤが弾幕を張りながら撹乱しデカブツにはヒラリエスがプラズマキャノンを浴びせる。よくもあんな機体で溺れないものだ。もうパニックは大丈夫のようだな。

 

右肩のロケットを構える。3とSLの頃はどんな動きのする機体にも当てられる自信があったんだけどそうもいかない。だから『止まっている目標』で『動く敵』を落とす。

 

ロケットが灯台に当たり倒れて、そこにいたノーマル達が潰れる。

 

 

ハッ!そんな建物の下にいるからだ……あ、ヤベこれマイハウスの末路だ。

 

北欧戦線はそのあと問題なく侵攻する。

「こちらヒラリエス、すまないがそろそろ限界だ」

AMS適性の時間だろう

「了解した、オペレーター。こっちも辛くなってきた例の物を頼む」

そう言うとヒラリエスも気になるのかリンクを切り待つ。少し後にイクバール製のショットガン武器腕がトラックに搭載されてきた。

「それは?」

「武器腕による負荷の軽減とクイックブーストを抑える動きを合わせればより時間が伸びる、サンプルの知恵と言うやつだよ」

 

もちろんリスクはあるがプライマルアーマーという条件がそれを緩和する。

 

「あなたは…強いわね」

「いや、点数稼ぎに必死なだけさ」

 

うん、まずは験担ぎとしてNO.23から外れることを目指すべきだと思うし。

 

そう言うと僕はまた戦場に向かっていった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

国家解体戦争②

書いた次の日から風邪をひくなんてこの程度想定の範囲外だよ…ともあれ楽しんでください


企業のネクスト達が次々に国家の主要地域に電撃戦を仕掛けた結果、戦局は圧倒的にこちらが優位となっていた。

 

そしてほとんどのネクストがある場所に合同で攻撃をすることになった。

 

場所は中東、ここは植物が少なく内紛は多い、その上昔は第一線で活躍していた石油経済はコジマを初めとした新エネルギーによって衰退を辿る。

テクノクラートが斜陽企業に近くなっていくのはこうした背景があるからかもしれない。

 

そんな旨みが少ない都市に襲撃を行う理由、それは輸送路の断線だ。

中東と北アフリカの間にスエズ運河という川がある。この川は人の力でつくられた川なのだがそれはユーラシア大陸やアフリカ大陸を迂回するという時間と資源を減らすことに力を発揮した。

しかしここが使えなくなるとどうなるか。空輸で燃料を運ぶのは限界があり、遅い陸路で運べば電撃戦に長けた死神達が嗅ぎつけやってくるかもしれない。そもそもリンクス戦争間近でもタンカー船は重要な輸送手段であった。

 

それが潰されてしまう。中東は真っ先に手にいれる必要性はないがダメ押しとして奪うにはこれ以上にない地域だった。

 

 

脚部を逆関節であるアリシアに変えレイレナードの傑作突撃ライフルとローゼンタールの旧式ライフルを構える。

この圧倒的な戦力差は例えが思い付かない。ベルリオーズが舞うように戦車に穴を開けながら自分と同じに見える、だが少しカスタマイズしより鋭利にした突撃ライフルでノーマルを貫く、アンジェはブレードを振らずにマシンガンとプラズマキャノンで敵を撃墜していた。あの癖は強敵との戦いが無くて飽きが来てる戦い方だな、というか自分との模擬戦は後半からあんな感じだったような……気のせいだって!多分……

 

そんな考え事は自分の横にいたGAのノーマルがカァオという音で破壊されさらに自分がよけた射線上に運悪くいたテクノクラートのノーマルが大型のロケットで爆砕したので消えてしまった。

 

強力なレーザーライフルのカラサワと高出力ブレードである月光、そして肩に大型ロケット2つを搭載した中量二脚が建物の上にいた。撃ちきったのかロケットの一つをパージし完璧な重量過多をギリギリまで抑えると月光を落下しながら振り下ろす。

僕はバックブースタを吹かしてクイックブーストを出すとカラサワからレーザーが飛んで来る。何故重量過多だったのかを考えればよかったとは思う。それでも今まで躱せた、ということなのだから。

 

 

僕はこの戦いでまた例えが思い付かない状態に陥っていた。でもあの初撃のロケットは偶然味方に当たったのではなく二段構えであったことはよく理解できた。ロケットが自分の機体に衝撃を浴びせてくる。カラサワは直撃でないものの楕円形の独特な形のせいか掠めてしまい続けている、そして自分のライフルは『当たらない』

 

予想はある。恐らく僕のFCSを誤魔化しているのだ。右にブーストを吹かして敵の弾丸が発射された時に左にブーストを掛け慣性を消す、さらに小刻みな跳躍で上の方向にも射撃位置を反らす。理論はわかる。

だが『どうしてそれに一度も失敗しない?』

それだけでなく僕にロケットの射線を予測して当ててくる。いまやプライマルアーマーは消えてしまっていた。

 

液体が漏れてそうに感じる独特のアラートが鳴り始める。これはマズイ。

 

「サンプル、退け!」

ロケットが白い光に当たって爆発する。アンジェお前僕のことを助けて――

 

 

 

「こいつは私が仕留める!」

あっはい、ですよね。明らかに出撃時の声のトーンより高い声で行うことが僕を助けることなわけないですよねわかります。

「すまないアンジェ、こちらは引かせて貰う」

というと作戦基地まで戻りに入る…これは評価には大幅なマイナスかな。しかし途中で無線が入る。ベルリオーズだ。もしかして勝利か死かしか無くて逃走は許さないとか?まさか彼に限ってそんなことは

 

「サンプル、今からこの地点まできてくれ」

…そういうことかもしれない。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

国家解体戦争 決着

まるさんが変換できねぇ…


ベルリオーズは違和感を感じていた。自分に与えられた任務はこのスエズ運河に停泊している輸送船を叩くというこの戦闘において最も重要な任務であるのだ。

 

彼はブリーフィングの前に大体の内容を聞くことをその戦績によって認めさせ初めている。その上で独自に調査をするのだ。

 

AMS適性は重要だが絶対ではない。セロは適性が最も高いがそれでも他の点において自分は上だと言う自負がある。

 

そしてそれら全てを踏まえていくと結論は

「少ないな」

「何がだ」

ザンニが答える。

「輸送船の数だ、調べた数より半分あるかないかだ」

この襲撃は国家側には知られていない。だが国取りに関してはあちらの方が経験があるはずだ。

「オペレーター、敵の総勢力の所属が知りたい」

「地方軍が五割、レイブン等の雇われが三割、国家からの援軍が二割です」

レイブン、圧倒的であった力を持ち金によって動く存在彼らもこの決戦にいる。

「これは…切ったか?ザンニここの掃討は頼んだ」

「了解だ」

何故かは判らないが自己主張が強いことの多いリンクスの中で彼だけはまるで召し使いのようにベルリオーズの要求を呑んでくれる、いつも通りの回答を貰い個別に行動を取ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

ポイントを虱潰しに当たっていくとヘリの大部隊を確認する。

旧世代においての力とは何もACだけではない。勿論使いやすさで言えば圧倒的にACの方が上だろうが、より確実に彼らの作戦を失敗させなければ成らない。レーダーを見るとネクストの中から一機だけ撤退する味方がいる。

ベルリオーズはそのリンクスに無線をかけた。

 

 

 

 

どうもボロボロの状態で残業が確定したリンクスです。

とは考えてみるが状況はそれどころではない。

敵のあるヘリの部隊がいるのだがそれに高エネルギーを確認したのだ、建物を消炭にする位の。

旧式の兵器でそんな兵器は恐らくあれしかない。

「サンプル、ミッション内容を連絡する。仮定『核兵器』を搭載したヘリ部隊を殲滅する、私は低、中高度の機体を君には高高度の機体を破壊してもらいたい」

ベルリオーズから無線が入る。この配分は恐らく彼の機体の性質によるものだろう。特に彼のメインブースターは垂直の移動へのエネルギー効率が悪い。

 

ネクストに核兵器が使われた事例も無いことはない。結論を言うと適切に対処すれば中破で済むと言ったところか、だがあれだけの量で適切に動くことができるだろうか、敵側についてはベルリオーズは既にここを捨てたと思っているらしい。僕もこれを見ては素直に認めざるを得ない。そしてヘリは既に戦場に着こうとしている。僕が上空高くヘリの死角につくとベルリオーズが肩のグレネード弾を恐らくノーロックで放る。僕の目には小魚の群れに大型の魚が突っ込んだように見えた。それと同時に真上からライフルを撃つ、ヘリが被弾のリスクを抑えもせずバラバラと何かを落とし始めた。

 

「ホントに見境なしか!」

「出来る限り地上につく前に撃ち落とす!お前はヘリ自体を落とせ!」

 

そういうとベルリオーズはグレネードを次々と撃つ、彼はこの標的に対して点の対抗では限界が来ると考えたからだ、爆風によって破壊されたりもしくは見当違いの場所に落ちていく核兵器を見て自分の判断は正しいと感じながらサンプルを見る。ごく平凡に機体を撃ち落としている。この危険物に対して恐れは全くないようだった。

それともネクストの装甲なら耐えれると確信しているのだろうか。過ぎた蛮勇…というわけではない。むしろ、そこで前にでなければより良い結果を得られぬと言う判断にも似ている。実際ヘリ自体が減ることがこの作戦の肝だからだ。

 

やはり連れてきて正解だった。それでも戦場に被害は免れないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

楽しい!楽しい!アンジェは目の前にある者との舞踏会を心のそこから喜ぶ。まだこんな奴がいたのか。マシンガンとプラズマキャノンを構えているのはさっきとは真逆の理由だ。

 

この機体の間合いに入るのは私が命を掛ける時だ。殺気の濃さがそう私に囁く。ロケットをマシンガンで破壊しながらプラズマキャノンを放ちパージする。当たれば範囲的に影響を与えるそれを相手はレーザーをぶつける。

白い刃が相手を撫でる前にあちらはレーザーをタンクに撃ち爆発させることでお互いの機体を吹き飛ばす。

あれは臆病からではない。私が仕留めに来たと判ったのだ。口角が吊り上がる。爆発で使えなくなったレーザーライフルを捨てるのを見て私もマシンガンを捨てる。

 

お互いに近づく―上か下か…下だ!ブレードを振る。しかしあの機体はより機体の体勢が崩れるまで姿勢を低く

する。右腕を支えにし壁に立つかのように機体の向きを変える。白い刃は右腕を斬るもコアには届かず。青い刃は私の前で花開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いは運で決まらない。しかし、卓越した技術だけでは勝敗は決まらない。私の月光は優に三機体分の長さを持つがあの青い月光は一機体がいいとこだ。

つまりは浅かった。オルレアに使われているアリーヤのコアの尖った部分を斬るだけに留まったのだ。機体性能の差だった。

私は月光を袈裟斬りに振る。まだだと言わんばかりに私の右腕を奴の左腕が掴む。その時だった。

 

 

 

 

世界が爆ぜた。あの機体は吹き飛んで行き、私の機体のAPも危険域となる。あちらこちらでふざけた爆発が起きる。

「現在地域が核弾頭の落下地点になっています、早急に離脱してください!」

オペレーターから連絡が入る。口惜しい。奴は活きていてくれるだろうか。だとしたら次は…後ろに爆音を聞きながら私は撤退した。

 

 

 

 

 

 

体が熱で舐められたACが一機、近くに転がっていた相手のマシンガンを拾う。アイサイトは儚く点滅している。

そのはずだ。しかし、その光はまだ戦いに、生き抜く執着に満ちているようにも見えた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

結果発表

企業連合体、パックスからの結果が届く。

 

何の結果かと言えば、NO.の結果だ。添付されたファイルを開く。

 

 

 

 

ファイルには『NO.23サンプル』と記されていた。

「やっぱりダメか?」

戦績は最後を除けばほぼ完璧だったのだが、やはりノーマルのACに落とされ兼ねなかった。というのがまずかったのだろうか?とにもかくにももはや自分が死なない保証は無くなってしまった。自分はいつまで夜明けを見れるのか、アレルヤをみながらふと頭そんなことが浮かんでしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

レイレナード本社エグザヴィルの最も位の高い男とベルリオーズは対面する。

 

 

「まずは君がNO.1になる戦績を出してくれたことに感謝する」

所詮ランク付けではあるがレイレナードがネクストの技術についてアドバンテージを持っている証明にもなる。

 

「そのNO.について聞きたい。何故『サンプル』のNO.が低い?」

その上で短所をさらす程自社のブレーン達は甘くないそれ故に彼は尋ねた。

 

 

「あくまでも『サンプル』であるからだ。彼はレイレナードに属しているが実質はいつどこに与するかわからない」

それを聞いてNO.29のリンクス、ロードを思い出す。彼はオリジナルではないものの黎明期のリンクスでありローゼンタール社にいるが恐らくまだ完璧とは言えなかったネクスト産業を含めてオーメル社が絡んだとみて間違いないリンクスだ。『サンプル』もアクアビット社の関係で生まれたリンクスなのである。

 

今コジマ技術に長けた二社だが初期のリンクスとなるとモルモットのようなものだった。その生き残りが腹に何かないとも限らない。そもそもその出自からしてどこについてるかもまだはっきりと決まってないリンクスなのだ。

 

「まともな評価ではないと後で足をすくわれかねないと危惧した、それだけのことだ」

彼は模擬戦の日々を思い出すもあくまでレイレナード社の専属としてこう返した。

 

 

 

 

僕は数年後にリンクス戦争が始まることを知っている。まあ、その前に消えるからここが正念場なのだが、かといって一番のターニングポイントを捨ててしまうのは危険なのだ。

その戦争で重要なリンクスとされたのがアスピナの傭兵ジョシュアオブライエン、そしてアナトリアの傭兵だ。

 

そしてアナトリアの傭兵はフリーだが低いAMS適性によってGA社しか受け入れないことは目に見えている。だからこそ僕が打っておくべき手はGAE社とパイプを作っておくことだ。

 

そうしてGAE社から依頼が来る。

「ミッションの概要を説明します。GAE社の工場を襲撃し占拠したテロリストを排除してください。またテロリスト達はノーマルを乗っ取り立て込もっています。充分に注意してください。」

ブリーフィングの終了と共にアレルヤはヘリから切り離された。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

片羽の天使

アレルヤが降下する。

 

「戦闘、既に始まっています!」

 

オペレーターの声が響く、ブリーフィングと違いすぎる。

 

と思うと壁から爆風がアレルヤを撫ぜていく、恐らく超大型ミサイル、ゲームの時は核ミサと呼んでいたものだろう。最近本物と会うはめになったのについていない。

 

あくまで大型なだけなので放射線被害はない。

 

 

戦争において攻撃性能と防御性能のどちらが先に発展するか解るだろうか?

答えは前者である。

彼らノーマルはネクストと同じ兵器も扱えるこれも国家解体戦争との違いだろう。

プライマルアーマーがあるとはいえ、ネクスト戦で使われる武器もノーマルは使えるのだ。もちろん当てれるならば、という条件はつくが。

 

 

 

レーダーの反応をみると敵ノーマルと明らかにスピードがノーマルではない機体。

「高エネルギー、不明ネクストです!」

 

すると壁が焼け始めると白い機体が押し割るように外へ飛び出す。

 

ローゼンタール製ネクストHOGILEに右腕にブレード左腕に僕らでは初期ライフルと呼ばれていたスタンダードライフル、右肩には三連レーザー、破壊天使砲と呼ばれた高火力のエネルギー兵器を搭載している。

 

だが僕はこの機体構成を『見たことがない』

「NO.29ロードです!」

 

NO.29…僕と同じくリンクス戦争時には既にいなかった者である。

 

GA製のノーマルがバズーカをその機体に放つとその機体は『本来のクイックブーストよりも多い噴射光』を出しながらノーマルをブレードで切り刻んでいく。

 

 

僕は知っている。そう知っているだけだ。二段QBというエネルギーを少しだけ多めに使い、より速くより遠くにクイックブーストを使う技術、そしてこれはリンクス戦争時に三人しか使えなかったものだ。アスピナの傭兵、砂漠の英雄、アナトリアの傭兵。それなのに四人目が僕の前にいる。

 

「同類…なのか?」

 

「NO.23サンプルか、レイレナードのお前がこの依頼を受ける、それは私の道を壊すものだ」

レーダーの白い点が赤く変わる。

 

「死ねっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

間合い、という言葉それを、如実に感じる。

 

相手の躍動的なリズムはまるで人が舞っているような、AMS適性の差ではない。次僕がここに立つことをわかっているようなどんどんAPが消えていく。

「何故僕に襲いかかる!道とは何だ!?」

「世界はあるように進み、あるように継がれるべきだからだ!」

 

 

フレアをぶつけて目眩ましにする。本来の用途とは違うが仕方ない。ロードはレーザーを放つエネルギー弾は距離減衰が激しい。後ろにQBを吹かしてからすぐ右に吹かす、駄目だ平衡感覚がブレそうになる。

 

フレアをぶつける、しかし問題はないかのようにブレードがアレルヤを切り裂く。

 

「二度は効かん、致命的だったな」

「お互いにな」

 

 

 

ロードに大型のミサイルが背中から直撃する。本来フレアはミサイルをその熱源で誤魔化すものだ。しかし今回は逆に取らせてもらった。

 

しかしロードはブレードを直前で振りその慣性と爆風で僕の目の前に、ライフルでアレルヤのモノアイを撃ち抜く。

 

僕は前方向のQBで体当たりをする。

 

恐らくはブレードを振ろうとしてたロードは吹き飛ぶ。

 

相手はブーストがおじゃん、こっちは視認に難あり。

 

満身創痍だった。

 

「素晴らしい抗いだ」

お互い様だ。

「死にたくないもんでね」

「本当か?それなら何故ネクストを降りない?最も安全になるぞ、死にたがり」

僕は頭をぶん殴られたような気がした。その手段があるのに何故僕はネクストを降りない?『死にたがり』というのは否認できない。僕は死んだからここに来ているのだから。だけど…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「違う…僕はまだ死ねない、力を手に入れるまで!何かを見つけるまで!」

 

そうゆうとロードはオーバードブーストで空に飛ぶ、格納してあるから壊れずそれをギリギリまで黙っていたのか、たちの悪い奴だ。

 

「お疲れ様でした、サンプル」

オペレーターの声が響く、ファットマンみたいなのもいいが女性の声は戦場から戻れたような実感がして悪くない。

 

 

 

 

 

 

 

「敵ノーマルはこちらで処理したのでこちらの報酬ははありません、ネクスト戦への対応についてで払わせいただきます」

 

……やっぱり女怖い。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。