ダークバスターの旧作品群 (ダークバスター)
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オレ達の生き様レース

この物語は『悠久幻想曲』+オリジナルキャラのギャグ話です。 本編とはまったく関係ないので。
 オリジナルキャラのプロフィーユは、サイト『サークル・闇砲』のデータベース(名前が変わるかもしれません)で公開中。(現在閉鎖済み)

なお、この作品は一番最初に書いた作品であり、セリフオンリー作品です。
その点を踏まえて、お読みください。
字をデカくして表現していた部分はありましたが、移動に辺り簡略化しました。


スラッグ「なあ、友よ」

 

ライ(悠久1の主人公)「なんだ?」

 

スラッグ(DB作オリキャラ)「お前さ、パティとシーラ……料理、どっちを取る?」

 

ライ「それは、お前――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレ達の生き様レース

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダークバスター『さーて始まりました、レースinエンフィールド!!』

 

ライ「おい!」

 

ダーク(以後これで行きます)「はい、ライさん」

 

ライ「なんで、俺はココに縛られいるんだ?」

 

ダーク「この大会の賞品だから」

 

ライ「なぜ故?」

 

スラッグ「実は、前に『パティとシーラの不味い料理、どっちを取る』がトリーシャの耳に入っていたらしくてなぁ~」

 

ライ「だったら、こうなるのは可笑しいはずだが?」

 

ダーク「いや~、『不味い』というところが、抜けたらしくて」

 

ライ「それで、ああなってると……」

 

 ちなみに、ライはこの時『アリサさんのピザの方が数倍マシだ』と、解答。そして――

 

 パティとシーラがいる方を向くと、そこには――言うまでもなく、殺気丸出しの二人組がこちらを見ていた。

 

 

 まったく、愛というモノが分かっていませんね。(苦笑)

 

 

ダーク『主催・企画・提供者は、スラッグですので!』

 

スラッグ「オレなのかよ!?」

 

ダーク『じゃあ~、サクッと行きま「まてやコラ!」』

と、スラッグが叫んだ。

 

スラッグ「なんでオレなんだ「ルーン☆ノヴァ」」

 

 

どぅおおおおおおおおおおおおおおん!

 

 

 解説しよう。

 

 ルーン・ノヴァは『ルーン・バレット』と『ヴァニシング・ノヴァ』の合成魔法である。

 

 ちなみに、この世界では合成魔法は余りにも危険なので使用できません。途中までは出来るのですが、魔法が暴走して死に至るそうです。

 

 なお、合成魔法は普通の魔法より強力になってます。

 

 

ダーク『では、気を取り直して選手を紹介します。なお、人数が多いので名前は省略します』

 

そして、ダークはポケットから、メモを出した。

 

ダーク『まず、エンフィールドチ~~~~~~~~ム!22名が参加します』

 

ライ「それで」

 

ダーク『特別参加チームをいいます、エターナルチ~~~~~~~~ム!13名が参加します』

 

スラッグ「一人多くないか?」

 

ダーク「フィリーという妖精がいますので、続いて・・・」

 

スラッグ「妖精も人数にはいるのかよ・・・」

 

ライ「いいんじゃないの、差別は良くないから」

 

ダーク『さーて、総合人数5897名!!』

 

ライ・スラッグ「「まて!」」

 

ダーク「なんですか?」

 

ライ「今の会話の間にどうやって答えた」

 

スラッグ「そうだ、そうだ!」

 

ダーク「その他、5862名が参加」

 

ライ「聞くんじゃなかった」

 

ダーク「スラッグは、このメモに書いてある場所に行ってくれないか」

 

スラッグ「いやだね」

 

ダーク「じゃあ、これは」

 

スラッグ「ん~~~~ぅぅぅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!この企画の裏方をやらさせてもらうぜ!!!!!!!」

 

 と、スラッグはどこかへ跳んで行った。そして、呆れながらダークに聞いた。

 

ライ「ダーク、いくらで買収した?」

 

ダーク「5000……円」

 

ライ「円……か、こちらに加算すると、1G(ゴールド)=100円(たぶん)だから、50Gか……哀れな奴だな」

 

 

 まったくである。

 

 ちなみにエンフィールド(ジョートショップ)の一ヶ月の給料は2000Gがラインだと考えてくれると分かりやすいと思うが。下の例を見て欲しい。

 

 雑貨屋で、特価・鯖の缶詰三個セット:3G

 札屋(よく会場の近くなどで個人販売している違法屋):200G

 

 

ダーク「じゃあ、ルール説明を行うぞ!」

 

 ルールは簡単、エンフィ-ルドを一周すれば良い。違反は次の通りである。

 

 1:移動は必ず自らの足で歩く事。(乗り物系禁止)

 

 2:移動魔法(魔術)は禁止。

 

 3:障害物は壊してはならない。

 

 4:障害物に挑んでいる時には、妨害をしてはいけない。

 

 (ただし、難関の間の移動時は妨害は有りするが、罠・武器による妨害は禁止。魔法も『ルーン・バレット』くらいの魔法しか使用してはいけない。)

 

 5:指示には、キチンと従うこと。

 

 以上、5項目が上げられる。

 

 こららが守られなければ、即退場だが、余りにも酷い場合は中止になる可能性有り。                 

                                     

 スタートとゴールは、ココ『祈りと灯火の門』です。

 

 最初に『グラシオコロシアム』に入り、『コロシアム通り』を通り過ぎて、『ウエストロット』を通り、『フェニックス美術館』に入る。

 そして、『フェニックス通り』を越え、『陽の当たる丘公』を行き、『ウィンザー通り』を駆け抜けて、『セント・ウィンザー教会』に入り、『エンフィールド学園』に入る。

 そして、『エンフィールド学園・グラウンド』に行き、『ローズレイク』を泳ぎ?、『クラウンズサーカス』で○○○を行い(爆)、『エレイン橋』を行き、『さくら亭』である物を引き換えに貰ってから、ゴールしてください。

 

ダーク「以上がルールとコース説明でした。皆さん、頑張ってください。」

 

ライ「ギャグにしてはしっかりとしたプランだな……っま、オチはあるはずだけど。」

 

ダーク「ま、ギャグだから――『それでは、スタートの合図をお願いします!!』」

 

おにぎり『わかったんだわっしょい。』

 

 ダークの横には何故か、2ちゃんねるのおにぎりがいた。たぶん、参加者は変わった置物もしくはこの大会のマスコットキャラだと思っていてだろう。

 

おにぎり『…………わっしょい!』

 

 その掛け声が、スタートの合図だった。

 

 そして、この時は子供だましのおふざけ大会だと誰もが確信していたが、子供だましレベルではなく、デット・オア・アライブの領域(肉体的・精神的共に)だったのはダーク以外は誰も知らなかった。

 

 予断であるが、スタートの合図と同時に参加者全員がこけてからスタートしたそうな。

 

≪第一の難関『グラシオコロシアム』≫

 

ダーク『さ~て、第一の難関は……バトルロワイヤルin古代兵器です。兵器自体は、自作ですので、あしからず。ちなみに、男性は3体、女性は1体です。思う存分破壊してください。』

 

 どんな古代兵器というと、全長170センチ前後に統一されたスパロボ・ガンガル・中には先行者まであったが、主に先行者が多かったが――

 

 

魔道士A「うわ~~~~~!た、助けてくれ~~~~~!!」

 

クランク「なんだこいつ! スケルトンみたいな奴(先行者)、相当強いぞ!!」

 

林檎戦士「く! このリンゴに掛けて、貴様を倒す!」

 

アメリカ兵「ヘイ! コノ最新ノサブマシンガンデ、蜂ノ巣ニ!!」

 

セイバー「シロウ! 下がっていてください!!」

 

カルラ「あら、面白い物があるじゃない」

 

 

 

ライ「決行やってるな……だけどアメリカ兵はともかく、林檎戦士って誰」

 

ダーク「細かいことは気にするな――と『早くも何人かがバトルロワイヤルをクリアして第二の難関に進んだ!』」

 

 

≪第二の難関『コロシアム通り&ウエストロット+給水所』≫

 

ダーク『ここでは、近くにある着替えボックスに入り、その中にある着替えを着てもらいます。なお、一度入ったら着替えるまで出てきてはいけませんので』

 

 余裕でクリアした、アルベルト、ボーボボ、ミルフィーユなど十数名がボックスの中に消えていった。そして――

 

『なんだこれは~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

 一斉にハモった。

 

ダーク『言い忘れてましたが、普通の物から恥ずかしい物までがあり、何所に何が入っているかは私にもわかりませんので』

 

 そして、次々とグラシオコロシアムから、出てきた人たちもボックスの中に消えては、出てくるという光景が続いている。

 

 普通に男性の服を着て出てきているのは時には、男がセーラー服を着てたり、時にはバニーガル、時にはハッパ隊の衣装(パンツと股間のところにハッパのみ)である。

 が、女性の場合は、喫茶店のマスターの服、スポーツ選手の服(サッカーや野球)、中にはスクール水着やロボット(ガンダム・マジンガー)のコスプレまであった。

 

 皆、それぞれ喜んだり、笑ったり、恥かしがったり、泣いたり、気持ち悪がれたり、軽蔑されたりと様々であった。

 

そして、今のところは魔法……いや、妨害事態無いようだ。今のところは。

 

 

ダーク「む、給水所が騒がしいな……ちゃんと全員分はあるはずがだが……」

 

バイトA「大変です! 何者かがドリンクの中にこの、『静岡のワサビ』が入れられてました! そのため、先頭集団がとんでもない事に! 一様、新しく作り直してますが、どうしますか?」

 

ダーク「はぁ~~~、そんじゃっいや待て! ……面白いからそのままにしておけ」

 

バイトA「いいのですか?」

 

ダーク「たぶん……ハメット辺りじゃないか?」

 

ハメット「失礼な! 私、そんな野蛮な事はしませんよ!」

 

ライ「この前の事件」

 

ハメット「そっ、それでは失礼いたしますので」

 

 急にあらわれ、急に去ってゆくハメットであった。

 

 ちなみに、『この前の事件』とは、ネタバレになるので伏せておきます。っていうか、説明がめんどくさいので省略。

 

 

≪第三の難関『フェニックス美術館』≫

 

ダーク『ここフェニックス美術館では、間違い探しをしてもらいます。入り口辺りで、紙を配っていますので書いてある通りにやってください。正解した人から次に進んでください』

 

 ここでも何十名のものが足を止める事になり、相当苦戦しているが、運動が苦手な人でもこういうのが得意な人もいるので、順位が逆転しやすいところである。

 

 

ダーク『体力に自信があっても、ある程度の頭の柔らかさも大切だという事を学びましょう』

 

アルベルト「くそ~~~~!」

 

トリーシャ「こんなの簡単、簡単 」

 

九羅香「うむ~~~~」

 

紅葉「九羅香様、頑張ってください」

 

九羅香「そういう紅葉は?」

 

紅葉「はい、もう終わりましたので、九羅香を待っているのです」

 

ボーボボ「よ~し、これで完成だ! さっそく答えを――」

 

バイトB「…………もう一枚、頑張ってください」

 

ボーボボ「貴様のせいだ! ところ天の助!!」

 

ところ天の助>「ぎゃあああああああ! なんで俺なの~~~~~~!!!!」

 

メラモン「ああ! 紙が燃えてゆく!!」

 

レミット「当たり前じゃない、だって彼方自体が燃えてるんだから」

 

メラモン「く! バイトさん、新しく紙をください! しかも、燃えない紙で」

 

 

ダーク「大分苦戦しているな……予定通りかな?」

 

ライ「予定通りじゃないのかよ」(汗)

 

ダーク「いいさ、別に。シーラとパティがゴールできれば」

 

ライ「逃げていい?」

 

ダーク「ダ~メ 」

 

 

≪第四の難関『フェニックス通り』≫

 

ダーク『ここの道には、何も無いので好きなだけ妨害しあってください!』

ライ「お、鬼だな」

 

ダーク「だって、妨害有りなのに未だに行われて無いから、せめてココだけでも起きてもらわないと」

 

 

魔道士B「ルーン・バレット」

 

闘神士A「術返し!」

 

ヤクモ「式神降神!!」

 

与一「水神の来往我!」

 

エル「遅い!」

 

アルル「いっえけ~~☆ ぼよえ~~~~ん!」

 

ローラの上からぷよぷよが大量に落ちてきた。

 

ローラ「え? 何ってうわああああああ! ……ぎゅう」

 

ディアーナ「ローラちゃん、大丈夫!」

 

鷹村「うおおおおおおおおお! なめるなぁ――――――――!!!!!!!」

 

一歩「待ってください、鷹村さん!」

 

青木「はあ、はあ、まったくよく、こんなところを走っていけるよなわああああああああああああああ!」

 

流れ魔法攻撃が青木に直撃した。

 

木村「青木~~~~~~!」

 

 

 うわぁ、コレ書いていてなんだか収集つかなくなってきたな……。(汗

 

 

ライ「おい、作者。地の文を使って本音を語るな」

 

ダーク「そうだぞ、オレ」(注:ダークバスターは、作者の分身)

 

 ごもっともだけど、地の文に対しての突っ込みは禁止だから。

 

 

 どごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!

 

ライ「む、あのキノコ雲は・・・マリアか」

 

ダーク「派手にやってくれたぜ……後始末はオレがやるんだから、もう少し抑えてくれるとありがたいんだが」

 

ライ「一様、当時者という自覚はあるんだな」

 

ダーク「ま~ね、何事にもやる以上は、責任と自覚は持たないと」

 

ライ「その割りには、人に押し付けてないか?」

 

ダーク「……『おおっと!なんと、各選手の戦いの傷跡は凄い事に!』」

 

ライ「そらすなよ、しかも違反しまくってないか?」

 

ダーク「マンドスセ」

 

 

 おい!(突っ込み!)

 

 

≪第五の難関『陽の当たる丘公』≫

 

ダーク『ここは、ある人を探していただきます! 陽の当たる丘公の中にかならずいますので、立て札を頼りにさがしてください』

 

ライ「スラッグか」

 

ダーク「それは、お答えできません」

 

 

リカルド「ふむ、どうしたことやら」

 

トーヤ「ほ~お、また難題を……」

 

静「あらら~、よくわかりませんね~」

 

リカルド「あの、どちら様で」

 

静「私、静と申します~」

 

リカルド「私はこの町の自警団のリカルドです」

 

 

ダーク「なんか、リカルドのおっさんと静さんが話あってますな~。これは早く見つかるかも知れんな」

 

ライ「おっさんはともかく、なんで静さんが……」

 

ダーク「あの人は意外にも、すごい切れ者なんだよ……ほら、もう見つかった」

 

ライ「え?」

 

 

スラッグ「く! もう見つかっちまったか……まっ、給料分は働いたからいいか。」

 

 『陽の当たる丘公』ど真ん中ででパントマインしていたスラッグの姿があった。

 あからさまにバレバレだよ……あれじゃ~ねぇ……。

 

 

ダーク「あいつ……あとで死刑」

 

ライ「……あれで、自警団か……大丈夫か、この町は……」

 

 こちらも呆れて物も言えません。

 

 

≪第六の難関『セント・ウィンザー教会』≫

 

ダーク「セント・ウィンザー教会では、決められた聖書の内容・15ページを指定された紙に記載してください。 ちなみに、ここでリタイヤしてもかまいませんので。」

 

 それを聞いたか、聞いてないか次々とリタイアが続失し、一気に四分の一まで減ってしまった。

 

 

 

青木「お、俺……も、もう……無理(カク)」

 

トミ子「まさる!まさる、しっかりして!」

 

 

 青木、本名:青木まさる 登場作品:はじめの一歩

 

 

ノゾミ「あう~~~~、書き写しは大変だよ~~~~~」(泣)

 

ネギ「この程度なら、簡単ですね」

 

エックス「たいぶ古いようだな・・・」

 

ハクオロ(なぜ、これが読めるのだ?・・・始めてみる字なのだが……いったい……)

 

フィリー「く~~~~~~~~、上手く書けないわよ! こんなに大きいのに!!」

 

 

ライ「おいダーク、フィリーが唸っているぞ」

 

ダーク「郷には郷に従え」

 

 笑顔で言い切った。

 

ライ「たしたに……だが、あれでは可哀想ではないのか?」

 

 困惑しながら尋ねたが……

 

ダーク「郷には郷に従え」

 

まさに鬼だな。

 

 

≪第七の難関『エンフィールド学園、エンフィールド学園・グラウンド、ローズレイク』≫

 

ダーク『ここでは、学園の敷地内に入り、ある物を取ります。ある物は、学園の敷地内に必ずあるので探してください。コレだと思ったら、それを持ってクラウンズサーカスへ行きます。そして、違っていた場合のみに限りローズレイクの中に沈んでいる物を取りに潜ってもらいますので。ちなみに、他の人からの奪い取りは無しです。同時に見つけてもジャンケンでケリを付けるように』

 

 

メロディ「ふみゅ~、みっつからないの~~~」

 

ストライクガンダム(リアル)「は、入れない・・・」

 

ガンダム(SD)「早く見つけないと!」

 

108「ストライクさん……リタイヤで宜しいでしょうか?」

 

109「宜しいでしょうか?」

 

ストライクガンダム「…………はぃ」

 

レイオン「うわ! なんだこいつらは!」

 

レイオンは、いきなりモンスターに襲われはが、一瞬でカタがついた。(レイオンの勝利)

 

 

ダーク『言い忘れてましたが、モンスターも放ってあるので注意してください』

 

 

全員「「「「「「「「「「「「「「「「「先に言え!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

 一斉に非難の声が上がったことは……書く必要ないか。

 

 

≪最後の難関『さくら亭・ゴール』≫

 

ダーク『さ~~~て、長かった戦いもいよいよクライマックス! ある物を持って、さくら亭で、ゴールのキップを交換してもらい、そのままゴールまで行きます! ゴールのキップも奪い取りは厳禁ですが、ネタが続かないので許可します』

 

 

全員「「「「「「「「「「「「「おい!」」」」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして、デットヒートが続き、結局ゴールした時には皆、ボロ雑巾になっていたそうな。

 

 

 ちなみにココの辺は、ご想像にお任せします。

 

 理由:その方が面白いかと思ったので。

 

 本音:力尽きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダーク「遊びに来たよって――この現状は何?」

 

 さくら亭に入って来たダークが目にしたモノの先には――。

 

 

 

 

シーラ「ライさん、ちゃんとの・こ・ざ・ず・に食べてくださいね♪私が心を込めて作った不味い料理ですから」

 

パティ「はい、お待ち! パティ特製・生ゴミ和えよ  はいどうぞ」

 

 ライの前には、シーラとパティが作った料理の数々が置かれていた。

 

ライ「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんな――」

 

 ひたすらブツブツと呟きならが謝っているライの姿が、そこにあった。

 

 

 

 

リサ「あんな事言った末路だよ」

 

アレフ「シーラの手料理は食べたいけど……あれは、さすがに……」

 

ピート「オレもパス」

 

トリーシャ「ボクも……同情は出来ないけど」

 

リカルド「私もだ」

 

 ダークの問い掛けに答えてくれた人達の感想を聞いて

 

 

ダーク「シーラ、パティ」

 

シーラ・パティ「「何(か)!」」

 

ダーク「いや、コレも……どうかと思いまして」

 

 ダークの手には、気持ち悪い蟲の詰まった壺を見せた。本来は、シーラは悲鳴を上げ、パティにズタボコにされるはずだが。

 

シーラ「あ! ありがとう御座います。調度、材料をきらしたところなんです。」

 

パティ「あら、気が利くじゃないアンタ 」

 

 

 そして、ライとダークの目が合う。

 

 

 

 

ライ:き、きさ……ま、オ……レの味方じゃないの……か?

 

ダーク:悪いな、オレは……提供者だ……

 

 

 

 

パティ「さーて、シーラ 」

 

シーラ「はい 」

 

 二人は満面の笑みで、ライを見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライ「頼む、許てくれ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 断末魔と呼べる叫びが、また聞こえた。byオバキ

 

スラッグ「って、あんた誰!」

 

オバキ「さあ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき(サイト名『堕天』・夢里まくら様へ)

 

 書き終わりました、そしてお引越しお疲れ様でした。

 いやはや、書いていてだんだん不安になりつつ、書き終わりましたが、最後の最後で力尽きました。

 申し訳ありませんでした。

 本当は、もう少し詳しく書きたかったのですが、文章能力の無さにこんな感じになってしましました。

 今後もサイト運営、頑張ってください。

 陰ながら応援しています。

 

 

 ダークバスターより。

 

 

 

 

 

あとがき(コレを読んでくれた皆様へ)

 

ダークバスター(以後ダ)「作者のダークバスターと」

 

トリーシャ(以後ト)「エンフィールドの流行の、水先案内人のトリーシャ・フォスターでお送りします」

 

ダ「トリーシャ」

 

ト「何ですか?」

 

ダ「この話、どう思う?」

 

ト「手抜き作品?」

 

ダ「…………」

 

ト「な、なんで黙るのさ?」

 

ダ「いや、自分の文章能力の無さに呆れていただけだ」

 

ト「な、ならいいけど……」

 

ダ「大丈夫だ、ここでお前を脱がしたら、健全ギャグストーリーでは、無くなるから安心しろ……それにまだ死にたくないから」

 

 と、ある方向に指を指す。

 

ト「え?」

 

 トリーシャがつられて見た先に、リカルドあり。

 

ト「…………」

 

ダ「そろそろ終わりにするか?」

 

ト「そうですね。面白くないし」

 

 

 

 

 

 

 

 

制作期間:忘れた。

公開日:2005/4/11

 

訂正日:2005/5/14・2005/5/18~2006/6/28(この日まで、サボってました)

改正日:2005/11/20




ファンだったサイト名『堕天』・夢里まくら様へ送った作品です。
修正していて、表現を書き加えたくなったけど、これ以上やると当時の雰囲気が壊れるので、辞めました。
効果音やセリフが大きくなっていた場所がありましたが、読みながら修正していたら当時を思い出して楽しかったり。
これを下地に、もう少し話を膨らませられるかも。
最後に、ホント色んなキャラを出していたな。(汗
何でアメリカ兵を出したんだ、林檎戦士ってマジで誰よ?


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オレ達の生き様レース・おまけ

多分、勢いで書いた作品。


とある喫茶店、その店の片隅で一人の女と男が座っていた。

 

リディア編集長(以後、リディア)「あなたの今回の作品を読ませていただきました。」

 

ダークバスター(以後、ダーク)「では!」

 

 ダークはテーブルを乗り出し、瞳を輝かせていた。

 

リディア「覚悟は出来てますよね 」

 

 それを聞いたダークバスターは、寒気を感じると同時に逃げ出した。

 

リディア編集長「確保!」

 

 リディアは激を飛ばした途端――

 

ダーク「うわああああああ! 放せ、放せ~~~~!!!」

 

 他の席で待機したいたバイト、編集者、担当者がダークを一斉に取り押さえた。

 

アルベルト(バイト)「お、となしくしろ!」

 

編集者A「往生際、がわるいぞ!」

 

フラッシュ(担当者)「このクソガキ、いい加減にだまれ」

 

ルシエル「フラッシュが怒る、前に、大人しくなる、のが身のためだぞ」

 

ダーク「嫌だ~~~! い~~~~や~~~~~だ~~~~~~~~~!!!!!!!!」

 

 

 

 

○月◇日昼過ぎ、店から、ロープで芋虫状態になった男を引き摺る謎の一段が目撃されたという。

 

 

 

 

こうして、『月刊・悠久の扉』の原稿を落としたあげく、お仕置きを受けるダークであった。

 

 

 

 

 

 

 べべん!(三味線の音)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダーク「こんなオチ! 俺は認め~~~~~~~~~ん! てか、ゆるし――『ぷつん』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

ダークバスターです。

 

これは……言わば、書き足しというより入れ忘れです。

 

トリーシャ「そして、書き直しがこれで三回目……と」

 

ダーク「仕方ないじゃん! だっ「だってもへったくれもないよ」」

 

 喋っている途中でトリーシャに割り込まれた。

 

ダーク「……」(泣)

 

トリーシャ「ごめん……ボクが悪かったよ」

 

ダーク「そんなことは気にせずに頑張ろう!」

 

トリーシャ「ってか、立ち直り早!」(汗)

 

 

真面目に、三回はコレを打ちました。

 

理由:手違い、インターネットのトラブルで二回、消えました。

 

 

 

 

 

 

 

制作期間:オレ達の生き様レースを書き終えたあと、すぐ。

 

公開日:2005/4/12

 

 

訂正日:2005/5/14

 

 

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ネットの投稿場所に直接書いて、回線トラブルで3度も書き直したという作品。
当時、メモ帳どころか、ワードに書いて保存するという習慣がなかったので。
という様子が、あとがきから見て取れる。
色々ぶっ飛んだ事書いているな。(遠い目
なお、下の『@』は、字稼ぎ。あとがきと日にち入れても、810文字しかなかったので。


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終焉のメシア 1 戦火、再び

初代HPのカウンター数3000超えたら公開していた作品。
一応、当時のままで読みにくいかと思いますが、ご了承を。


 ある日、突然出撃命令が下った。

 本当に久しぶりだった。あの戦闘から、既に1年と9ヶ月ぶりだった。

 俺は一応、亜空間汎用人型戦闘兵器・ダークバスターだからな。

 まあ、トランスフォーマーと似たような存在と受け止めてくれれば有り難い。

 そんな訳で、A1230-BH1596-S15698ポイントに行った。

 しかし、付いた時には戦闘が終了したあとだった。

 そりゃあ、ちんたら移動していたから終わるな、普通は。

 だが、俺は驚いた。

 

「馬鹿な…全滅だと!?」

 

 先にポイントに来ていた部隊が、居たはずだった。

 しかし、そこには戦艦と機体の残骸が、所狭しと散乱していた。

 先行隊・ディメンションフォースという、所属していた軍の先行隊の中では、まさに最強クラスの部隊だったからだ。

 

「部隊の質が落ちたのか?…いや、あいつに限ってそんなヘマはしないはずだが…」

 

 考えてもしかたないので、残骸の中にデータや生存者が居ないか、捜索に入った。

 一応、命令してきた軍にも救援要請は手配した。

 

 しかし、捜索したが目ぼしいデータは、全て破壊され、脱出ポットも全滅の状態だった。

 だが、似たようなことは1年と5ヶ月前…つまり『アポカディプス事件』でもあったことだ。

 そのアポカディプス事件は、戦争と言ってもおかしくは無い内容だった。

 だが、軍、政府の上層部は、『無かったこと』の方針で対処を始めた。

 しかも上層部の連中は、生き残った俺を、『終焉のメシア』と名づけ、英雄として祭ろうとしたが、俺は本国にある軍の基地を五分の四壊させて、出て行った。

 派手にやったから、刺客の一大隊は覚悟していたが、まったく来なかったので、そのまま独自の拠点を構えたのだが、俺は脱走兵扱いされずに『終焉のメシア』として、英雄の一人として崇められていたらしい。

 まったく……俺は神でも何でも無い、ただの死に損ないだから。

 そうしている内に、救援隊からの通信が来た。

 

「こちら、救援隊のセフィス中隊です。終焉のメシア、応答願います」

「こちら、ダークバスター。今どこまで来ている?」

「今……A1230-BH1596-S8236ポイントです」

「そうなると…10:36+-5に到着しるのか。…分かった、そちらが付くまでの間、もう少し探索している」

「了解、とくに『遺産兵器』には、お気よつけてください」

「そちらもな」

 

 通信を切り、再度捜索を始めた。

 

(一通りの捜索は終わったが、念には念のた――ん?)

 

 センサーに微弱だが、生命反応を確認した。

 だが、本当に微弱なため、燃え尽きる前のローソクと言った所だった。

 すぐさま、反応した所までいったが、金属の塊が浮かんでいただけだった。

 パイロットスーツなら、すぐに分かるのだが……どこかに引っ込んでいるのか?

 まあ、しょうがない。

 俺を知っている連中は、アポカディプス事件で大半が亡くなったのだから。

 居たとしても数人程度。

 俺を改造、開発した奴一名、元同期の奴三名、上官二名、総統閣下。

 軍の中には、このくらいしか居ないが、軍関係者じゃない連中は多少なりいるが、最近は会ってない。

 

(ホント、俺は何を望んで…軍に入ったんだろう?)

 

 そう思いながら、反応がある塊を回収した。

 その後、予定より20分遅れで、救援隊が到着。理由は、時空獣に襲われて、時間をくったそうだ。

 なお、時空獣とは――

 空間に居つく存在で、ウイルスとは全く異なった存在、どんな存在からも干渉を受けることは無い。

 ウイルスは、人が作り出した兵器ナンバーを指している。(この世界では、そういう設定)

 まあ、『遺産兵器』よりは数段楽だがな。

 ただ、時空獣にはいくつかの種類がある。

 自己再生・増殖・強化型・電子系・エネルギー体・突貫型・重量型のタイプが確認されている。

 ただ、最近は新種の発見が報告されたらしい。探索・ステルスの二種類のタイプだ。

 連中も統制が出来てきたらしく、軍とタイマンを張っているそうだ。

 まったく、この前までは単体でいることが多かったのにな…。

 

 と、まあそんなこともあり、反応のある金属の塊をバラし始めた。

 

 そして――

 

「まさか!そんなはずが無い……あいつは俺が……殺したはずだ、…この手で」

 

 金属の体を震わせながら、塊から出てきた存在に驚いた。

 アポカディプス事件で、俺が殺した女――エイナが現れたからだ。

 

 ……to be continued

 




公開日:2005/11/12


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終焉のメシア 2 忌まわしき、過去の出来事

初代HPのカウンター数4000超えたら公開していた脳内設定垂れ流しのオリジナル作品。
一応、当時のままで読みにくいかと思いますが、ご了承を。


 今いる所は、ゲートサークス・パロイスの近くにある第1298ゲート・軍滞在基地の集中治療室前だ。

 ちなみに今は、人間モードである。

 

 人間モードとエイナとの出逢いについて簡単に。

 このモードは、本来の人間の姿でダークバスターとなる前の姿だ。

 金属生命体になったのは、アプカディプス事件が起きる三ヶ月前の事だった。とある極秘人型兵器のパイロットとして抜擢され、その機体に乗り込み、実験を行っていた。

 その時に、原因不明のトラブルが発生した。

 その原因は、俺をこの姿にしたDr.サキュナストという女だった。

 あの女は、偶然開発に成功した金属の生命体の好む特殊な液体を、機体に乗って出る前に、精神高感剤と偽って打ち込み、挙句の果てにコクピットに金属生命体を忍ばせておいた。

 そして、汗が滝のように出るまでデータをとり続けさせた。終わったあと、汗を拭くためメットを取った瞬間、襲ってきた。

 俺の体を取り込み、増徴し、ついには機体もが金属生命体に取り込まれた。

 次の瞬間、足元に整備班の者や研究者、あの女もいた。

 そして、同期の仲間も。

 何となく腕を動かした。下の連中が騒ぎ出した。暴走した。止めろ。逃げろ。そんな言葉が飛び交っていた。

 理性が飛んだのか、マシンガンを乱射して攻撃を開始してきた。

 なんだかチクチクして痛かった。だから俺は――

 

「チクチクして痛いからやめろ。つーか落ち着けよ、お前ら」

 

 と言いながら、指でマシンガンの弾を防いだ。

 その言葉を聞いたのか、皆唖然となった。

 その後、事が上層部に入り俺を一つの兵器として扱おうとしたが、俺の意志で許可しなければ、コクピットに乗る以前に外部からのデータを送ることが出来ないし、暴れに暴れたため、自由と特別階級を貰う代わりにいくつかの任務をこなした。

 まあ、俺が条件を出したのがすんなり通った時は驚いた。

 あの石頭集団の連中が、ただの一兵だった意見を受け入れたのだから。

 

 その後は、人型兵器の大きさ(全体平均の高さ:12m~15m)だったが、意識を集中することで、元の姿に戻れることが分かった。あと、そのままの姿で小さくなることも。

 念のため、人間だった俺は死んだことにしてもらった。

 こんな姿、家族に見せることなど…俺には出来なかった。とある改造人間のマンガだと、「この体が俺のプライドだ」と言ったセリフがあるが、そんな勇気は無かった。

 憧れたが、実際になってみると怖かった。可笑しくなった。なんで憧れた?なんでこうなった?そう考えていると自然と笑いがこみ上げてきた。そのまま笑った。壊れたレコードのように笑った。涙も出てきた。次第に笑いが悲しみの泣き声に変わっていった。

 何時から泣いたのか、何時から収まってたのか分からなかった。

 ただ、俺を落ち着かせるように、優しく包まれていた。

 そして少女の顔を見て気がついた、いつの間にか、見知らぬ少女の膝の上に頭を乗せていた。

 慌てて飛び起きた、が、それがまずかった。

 

 がつん!

 

 おでことおでこがゴッツンこって、真面目に痛かった。

 少女もおでこを抑えてた。が、少女の方が回復が早かった。俺より石頭と直感した。

 それが、エイナとの出逢いだった。

 まあ……そんな感じで。

 

 

 

 あの時見つけたエイナは、確かに本人だった。

 だが彼女は、アポカディウス事件の戦いで俺が殺したはずだった。

 あの時――

 

 

 

「こちらエイナ…ダーク…無事?」

「ああ、なんとか」

 

 いつもより弱弱しく通信してきたエイナ。

 

「何があったか?」

 

 問い掛けるように返したが、なかなか戻ってこなかった。

 

「どうした?エイナ、マシントラブルでも起こしたか?」

 

 すこしくらいたってから返事が返ってきた。

 

「避けて!」

 

 俺はとっさに避けた。

 だが、先ほどもまでいた位置に電磁兵器が通過した。

 

「ちぃ――!?」

 

 グラビトンライフルを構えようとしたが、その姿と見て思考と体が止まった。

 その隙を突いて、電磁を纏った打撃が体に直撃した。

 

「ぐあああああああ!」

 

 そのまま、宇宙空間の法則で吹き飛ばされ、巨大な残骸の壁にぶつかって止まった。

 一瞬だけ思ったのだが、このままいけばもう5~6kmは飛ばされていただろう。

 二つ分かったことだ。一つが、あの電磁攻撃は一時的に機体機能を麻痺させる効果があると分かった。先の攻撃で体験済みだ。

 そして、もう一つが――

 

「ギアフリード…グラスパー……なのか?」

 

 エイナの乗っていたギアフリード・グラスパーは、異様な姿となって俺の目の前に現れた。

 

「逃げて…ダーク」

 

 泣きそうな声で通信が入った。

 

 ……to be continued




公開日:2006/1/1


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終焉のメシア 3 間一髪

初代HPのカウンター数5000超えたら公開していた脳内設定垂れ流しのオリジナル作品。
一応、当時のままで読みにくいかと思いますが、ご了承を。
なお、これにて終了となっています。


「ぐああああああ!」

 

 俺は今、ギアフリード・グアラスパーだった機体に捕まり、電撃を喰らっていた。

 多分、時空獣の新種か遺産兵器かのどちらかだ。

 一つ分かることが、寄生タイプだということ。

 しかし、このまま喰らい続けていると、神経や脳が駄目になる可能性が高くなっていく。

 

「ぐあああ、ぐっ、あ、が!」

 

 抵抗するが、両腕らしきものでガッチリとホールドされてしまい、脱出もままならない。グラビトンライフルも、吹き飛ばされて衝撃で放してしまい、どこかへ行ってしまった。

 今の所、打つ手無し。

 このままだと、神経がイカレる前に気絶するのが早いかもしれない。

 そう頭の中で過ぎった。

 

 バシュ!

 

 がん――ドガーン!

 

 寄生タイプの背中に、高圧水素弾が直撃した。

 その衝撃で、腕の力が弱まった。

 

(今だ!)

 

 即座にブースターを吹かせ、残り少ない推進剤を全力で使いながら、離れることに成功した。

 すぐ閃光弾を放ち、目くらましにした。メインカメラを一時的に、使用不可能にする効果がある。

 俺も何度か使い、自滅したことも度々あった。(汗

 その度に、エイナにどやされていた。

 だが、エイナは今、寄生タイプの中にいる。助けたい。だが、今の持ち手の武器は――

 ヘッドの追加装備の小型ビームバルカン

  ツイン・ビームサーベル×1

 ビームソード×1

 圧縮型フォノンナイフ×2

 閃光弾×1

 

 グラビトンライフル×1・・・行方不明

 

 あとの武器は、ギアフリード・グラスパーの中だ。

 しかも、奇襲をかけたくても敵は、分厚い装甲、優れたレーダー、機動性などいくつもあるが、最大の問題が俺の中にあるエネルギー残量だった。

 すでにエネルギーは、イエローからレットゾーンに変わろうとしているのだ。不意を付く以外方法は無い。

 

「ダーク、大丈夫か!」

 

 俺の同期のムラカタ・アバライ……後に「斬撃の緑神」(ざんげきのりょくしん)となる人物。

 機体カラーは緑がベースとなっていた、武装は大型フォノン・プレートブレード2本がメインとなっている。

 ちなみに高圧水素弾を撃ったのは、上官のリュウナ・エスペランス……後に「白銀の狙撃手」(はくぎんのそげきしゅ)となる人物。

 

「なんとか……だが、エイナは…」

「ああ、わかっている……俺がトドメを指し損ねたばかりに」

 

 ムラカタがそう言うのだから、敵は相当なやり手だとわかった。

 このままだとエイナを救出どころか、全滅なる恐れがある為、仕方なく一時退却を余儀なくされ、戦闘区域外で待機していた戦艦「大艦隊丸」(だいかんたいまる)に、着艦することになった。

 

「……状況は分かった」

 

 大艦隊丸の艦長、ヤマト・スメラギ……後に「不落艦の将軍」(ふらくかんのしょうぐん)と呼ばれる人物。

 艦長はおもむろに、ブリッチに通信回線を開いた。

 

「ダークの補給はどうなった?」

 

 若い女性が出てきた。

 

「はい、体の修復も終わり、弾薬の補給も完了しています。いつでも出撃可能です」

「そうか……ダークには少し我慢しろ。と、伝えてくれ」

「了解しました」

 

 女性は投げキスをして、通信を切った。

 まあ、彼女の癖だが。

 

「さて・・・・・・どうするか」

 

 艦長は、エイナを助ける案を考え始めた。

 

 ……to be continued




公開日:2006/1/30


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終焉のメシア・解説

初代HPキリ番脳内設定垂れ流し作品の解説です。


・アポカディウス事件

サークル・闇砲設立する前に起きた事件。 詳しいことは後ほど。

 

・遺産兵器

アポカディウス事件で関わったある組織が作り出した兵器が、未だに稼動しているため、そう名づけられた。

あと、今の技術(当時も)では到底不可能な兵器や武装だった。

そして、解析不可能な武装の多数確認されている。(魔法兵器といっても可笑しくは無い)

 

・時空獣

空間に居つき、あらゆる存在の干渉を受けることが無く、ウイルスよりも厄介な存在。

(よは、自分たちの意志で動き、洗脳なので操ることは出来ない。)

ただ最近は、統制が成り立っていて、単体では来なくなった。

種類も豊富で新種も含め、9種類が確認されている。

 

・ウイルス

犯罪者が作り出す兵器。

その姿はさまざまで、管理者や軍の連中も手を焼いている。

一世代前は、戦艦・車両タイプ・人型・半人型(簡単に言うと、モビルアーマー)などが主だったが、最近は人可変形型兵器・大型人型兵器・戦闘機・単位人型(コストが低い奴・ジムやザクみたいなの)が、流行っているらしい。

 

 

 

 

 

・ゲートサークル

ゲートサークルは、ほかの次元を繋ぐためのトンネル。

パイロスは、第1298ゲート・軍滞在基地の名前である。

 

・Dr.サキュナスト

軍のありとあらゆる実験に携わる人物で、俺を金属生命体にした張本人。

 

・金属生命体

金属のように硬く、スライム状の生き物で、自我を持っていう。

なを、こいつに取り込まれた生命体は、実験段階で報告は以下の通りである。

ネズミ・・・取り込まれた瞬間に死亡。

小動物・・・大体はネズミと同じ結果だったが、ごく一部は10秒くらいもった。

大型動物・・・大体が金属生命体になったが、自我が無く、数時間後に死亡。

人間・・・3名中/3名が金属生命体になることに成功。だが、2名は自我が無く、襲ってきた。

あと、1名は自我があり、知能もあって脱走をしようとした為、破棄をかねて生体実験を行った。

 

・エイナ

軍に入った新米オペレーター。

恥ずかしながら、俺が泣いているところを発見して、落ち着かせてくれた少女。

その後、本当に色々あり、俺の専属オペレーターとなった。

階級は伍長だったが、特別階級に昇進した。

 

・ギアフリード・グラスパー

機体を搬送と支援が目的で開発された小型戦艦、というよりも大型戦闘機だといっても過言ではない。

主に、特別任務やエースパイロット、特別階級の者が使用している。

 

・グラビトンライフル

重力兵器の一種。当たるとわずかに広がり、その部分を押しつぶす。

弾数は約25~30発くらい。理由は、弾の質により大きさが変わるためだ。

大きい弾は広がりやすいくダメージは下がる、小さい弾は広がりにくいが威力が高い。

 

 

 

 

 

・高圧水素弾

文字道理、高圧に圧縮した水素を詰め込んだ弾。

 

・戦艦「大艦隊丸」(だいかんたいまる)

大型時空戦艦。

のちの大戦にも参加し、先陣を切って突貫して生き残った戦艦の一つ。

装甲も分厚くにも関わらず、旋回や、機動性が非常に高い。

機体は11機まで収納可能。

 

・ヤマト・スメラギ

大艦隊丸の艦長で、後に「不沈艦の将軍」(ふちんかんのしょうぐん)と呼ばれる人物。

威厳はあるが、無愛想で戦況しか見ない者と思われがちだが、部下思いで、少々口下手な人。

あと、戦闘時は色々と的確な指示を出す。

 

・ムラカタ・アバライ

俺の同期で、後に「斬撃の緑神」(ざんげきのりょくしん)となる人物。

機体カラーは緑がベースとなっていた、武装は大型フォノン・プレートブレード2本がメインとなっている。

 

・リュウナ・エスペランス

ダークバスターとムラカタの上官で、後に「白銀の狙撃手」(はくぎんのそげきしゅ)となる人物。

機体カラーは、白がベースになっているが、状況に応じて機体カラーを変えることもある為、別名「変化の狙撃手」とも呼ばれている。

 




公開日:2005/11/12


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闇の継承者・異世界の旅のあと

本編と言うべき物語が、脳内完結している作品の後日談という初期作品。
今は覚えておらず、当時は下地である設定があやふやで、文章を上手く表現できなかったことで出来た作品。
なお、前編のみとなっております。


 異世界の戦いの中で、闇が衰えていき、光が増していった時があった。

 この時、光の側が闇を完全に消そうと、異世界から人間を呼び込んだ。

 しかし、その人間・男はまったく力が備わっていなかった。

 結局、元の世界に戻そうとしたが、失敗に終わり、再度準備が整うまでの間、この世界に留まることになった。

 しかし、力を持たないため厄介払い状態の日々。

 そんな時、声が聞こえた。

 初めは幻聴かと思ったが、次第に、はっきりと聞こえてくる方へ行った。

 だが、声の方へ行けば行くほど、俺を呼んだ連中が「立ち入り禁止」と、言っていた場所へ向かっていた。

 けれども、誰一人、すれ違うことなく、扉の前に着いた。

 厳重に鍵がかかっているはずなのに、扉はすでに開いていた。

 そこで、アルフレイドという魔剣と出会った。

 この世界は、魔の力、特に闇の力を持つ武具を全て「魔具」と呼ばれているそうだ。

 アルフレイドは俺の心の闇を感じ取り、俺の体を乗っ取ろうとしたが、何故か強制契約が弾かれたらしい。

 何故弾く事が出来たかは、アルフレイド自身も、未だに分からないらしい。

 そして、乗っ取られずに済んだのはいいんだが、その後が大変だった。

 異変を感じた兵士がここへ来て、その現場を目撃してしまい、完全に乗っ取られたと思われてしまい、捕縛されそうになるが、アルフレイドと一時休戦としてその場を切り向けて外に出た。

 そこで、初めて城の中にいたのかと、自覚しつつ城下町へ走った。

 大通りや裏路地、下水道、樽の中、はたまた屋根の上など、アルフレイドから借りた力が、俺の身体能力を向上させ、騎士団から逃げ続けた。

 

 ある程度話を折るが……その後、ある少女と出会う。

 その出逢いが、俺とアルフレイドが共に歩む、運命の始まりだった・・・。

 

 

 

 PiPiPiPiPiPi・・・・・・

 

 目覚まし時計が五月蝿い。

 

 PiPiPiPiPiPi・・・・・・

 

 まだ寝たい・・・・・・。

 

 PiPiPiPiPiPi・・・・・・

 

 仕方ない、起きるか。

「ふわあああああああああああん」

 俺は、大欠伸をしながら目覚ましを止めた。そして、目を擦りながら時計を見た。

 「・・・・・・やべ、遅刻だ・・・」

 しかし、慌てることなく普通に着替え始めた。

 

 

 俺の名前は、赤野 龍騎(あかの りゅうき)、高校3年。

 去年の夏休みのとき、俺は異世界に飛ばされた。

 その後、色々な出逢い、知識、悲しみ、大義など、あの世界でしか学べないことを多く学び、知ることが出来た。

 その後、この元の世界に戻って来た時は、一週間しかたってなかった。

 おかげで、学校の宿題が山積みになったが、それほど苦ではなかった。

 

 

「あ、そうだ。今日から夏服だった」

 そういって、夏服を探し始めた。

 

 

 

 現時刻・8時05分

 

 

 

「……たしか~、このあた、あった、あった」

 袋の中から、カロリーマスター(ベジタブル)を取り出した。

「っじゃ、行きますか」

 そうして、玄関に向かった。

 

 

 

 現時刻・8時15分……あと15分で遅刻。

 

 

 

――5分後――

 

 

 

 ガラガラガラ・・・

 俺は教室のドアを開けた。

 ちなみに、普通なら家から30分かかる距離だ。

「おはよ」

 俺は、水氷王(すいひょうおう)こと、水乃 氷霞(すいの ひょうか)に挨拶をした。

「おはよう御座います、クロス様」

 

 

 水氷王こと、水乃 氷河だが、水乃 氷河は俺が付けた名で、本来は、異世界の水・氷最上級モンスター、ブレリウル・アクアスという。

 ちなみに、姿は女性である。

 

 

「ところでさ、「様」を付けるのをやめてもらえないか、何と言うか・・・、お偉いさんみたいだから」

 正確に言うと、周りの人から変な目で見られるからである。

「ですが、自分にもケジメというものガッ!」

 会話の途中で、後ろから誰かに殴られた。

「誰ですか、いきなり殴るなんて!」

 頭を抑えて後ろを振り向いた。

「ったく、クロスの旦那が「様」付けを嫌がってるんだから、やめてやれよ」 そこには、火獣王(かじゅうおう)こと、火焔 獣乃助(かえん じゅうのすけ)がいた。

 

 

 火獣王こと、火焔 獣乃助もまた俺が付けた名で、本来は、異世界の火・獣 最上級モンスター、アニマント・グライドラスという。

 なを、姿は大男。

 

 

「こればかりは、たとえマス・・・じゃなくて、クロス様でも譲りません」

 付き合って判ったことだが、案外強情なところもある、氷霞。

「あのな・・・、旦那の言うことは絶対のはずだが」

「・・・・・俺は、強制した覚えはないが・・・・・」

 呆れながら講義する俺。

 ちなみに、周りの視線は異色状態。

 

 

 この二人・・・、もとい2体に出会ったことを少し話す。

 少女に出逢う前のこと。

 俺は、町を出て森をさまよい、休息していた時に、城の兵と騎士団長・ホワイトマスターが、追ってきた。

 ホワイトマスターは、城の中でも優れた騎士団長の一人で、白魔法と剣術に優れている。

 そんな騎士に見つかったら、瞬殺は必然。

 あわてて逃げ出したが、それが良くなく、すぐに見つかり大慌てで逃げた。

 その後、誤って崖に落ちてしまう。

 そして、落ちたところに古代遺跡らしき建物があったので、そこに逃げ込んだ。

 だが、奥にあったのが、火獣王・フレア・ガンドライブ、水氷王・アクアガン・インパクトという拳銃が置いてあった。

 アルフレイドは、「不用意に近づくな」と言ったが、ドサクサに紛れて近くに寄ったが、何も起きず、そのまま二丁の拳銃を頂戴した。

 フレア・ガンドライブ(以後フレア)は、火の弾を撃ちだすことが出来、それを媒体に火属性の魔法が使用できるようになった。

 アクアガン・インパクト(以後アクア)は、氷の玉を撃ちだすことが出来、それを媒体に水・氷の魔法が使用できるようになった。

 

 この二つの存在によって、ホワイトマスターを退くことが出来た。

 

 

「ですから、あなたは主の仕え方が!」

「貴様は、いつも固すぎるんだよ、もう少し!」

 二人にであったことを思い出していたのに・・・、まだ言いあってんのかよ。

「ですから!」

「だから!」

「いい加減にせんか、フレア!アクア!」

 とうとう我慢できなくなり、ガンモードの時の名を叫んだ。

「も、申し訳ありませんでした!」

「す、すいませんでした!」

 二人は、慌てて謝った。

「はあ~、いいから席に着け。」

『はい。』

 二人はうなだれながら、席に着いた。

「なあ、龍騎。」

 不意に担任に声を掛けられた。

「あ、はい。なんですか?」

「なんで、あの二人はお前のことを『クロス』と呼んでいるんだ?」

「・・・・・深い意味はありません。・・・ただの、あだ名です、二人が俺に対しての」

 少し顔が曇ったが、質問に答えた。

「・・・そうか」

 そういうと、担任は教卓に立った。

「今から出席をとるぞ~」

 そう言うと、クラスの名前を主席番号一番から、挙げていった。

 そして、12、3人目に入った頃に、前のドアが開いた。

「すいません、遅れました!」

「・・・・・」

 勢いよく入ってきたのは、学園一天才の今井 菜月(いまい なづき)と、学園一不良の沖田 亮陛(おきた りょうへい)。

 傍から見ると、まさに異色。

 だが、この二人は元々幼馴染で、菜月を人質に他県の不良にボコボコにされているところを偶然見かけ、俺が全員ハッ倒してして、トラウマを擦り付けて、警察に匿名で突き出した。

 その後、回復魔法でケガを直してやり、遅いということで俺の家に泊めてやったが、その夜に悲鳴が上がり、同時に一つの打撃音が聞こえたという。

 殴られたのは、火焔である。

 理由、風呂上りで前も隠さず、家をうろついていたのが原因。

「おい、遅れた理由を言え」

 担任は素っ気無く聞いた。

「え~と・・・」

「・・・・・・・・・・」

 黙る二人。

「ん?どうした、二人とも?」

「一緒に寝た亮を起こすのに手間取ったか、菜月?」

 俺が何気に振った。

・・・・・・・・・コクリ・・・・・。

「そうか・・・・・ってマジ!」

 驚く俺。

「ああ、パンツ一佇で寝るもんじゃないな」

 ボソリという亮陛。

 ああ、そうか。

 俺はすぐに気がついた。

「・・・・遅刻はいかんぞ」

 そう言うと、ペンで行けと合図をだした。

 

 

 こうして朝の時間が過ぎていく。

 

 

 

――昼休み

 

 

 

「あ!龍騎見っけ!」

「ん?ってどわ!?」

 いきなり後ろから飛びつかれた。

 悪意が無かったために、避け損ねた。

「えへへへ♪」

「って、なんだエルか」

 

 

 エルナスト・ハミング、通称エル。

 去年転校してきた子で、何故か俺が偉くお気に入り。

 そのせいか、当時の非公開ファンクラブに数々の嫌がらせと、暴行を受けた。

 とうとう嫌気がさして、エルに当たってしまった。

 それが相当ショックだったのか、少しの間休んでしまった。

 その事が原因で、とある放課後に呼び出しを受け、制裁(リンチ)を貰うことになったが、制裁中にエルがその現場を目撃し、警察に通報。

 その後、非公開ファンクラブの中に、権力者の息子がいて、警察から厳重注意だけと学校側はお咎め無しだったのだが、実は、エルは外交官のお嬢様で、しかも当時は交友関係を深める大事な時期であったため、エルが親に頼んで俺をリンチした連中全てを、2、3日の停学処分に変更させた。

 なを、権力者の息子の父親は、政界から自主させられた。

 もちろん、退職金は無しである。

 あのあと、事情をしったエルは、俺に謝りにきた。

 そのあとは、譲り合いのオンパレード。

 結果的には仲直りしたが、エルに泣き倒された。

 そんなこともあり、一週間も音信不通にしていたてめ、出逢った時には相当泣かれた。

 

 

「どうしたんだ、エル?」

「えへへへ、今度デートしない?」

 周りの視線が、一斉に集中した。が、

「いつだ?」

 エルに尋ねる。

「え~と、○月×日!」

 大々的に言った。

「すまない、その日は友人の墓参りなんだ。」

 苦笑しながら答えた。

「友人って・・・」

 何となく、黄色い感じが重い空気に変わっていくのが判った。

「何時なくなったの?」

 尋ねてくるエル。

「大分・・・・前かな」

 友人といっても、異世界の戦いで亡くなった友人のことだ。

 

 

 友の名は、ギアノフ・コーレイン。

 ある村の決定権を持っていた村長役だった男で、あの時は魔具使いがその村を襲っているときに、俺とアルフレイドで応戦した。

 その時は、新手と勘違いされて、襲ってきたが・・・。

 その後、連携をとり、魔具使いを倒すことに成功した。

 そして、集会の結果、村に一週間の滞在してよいと許しがでた。

 その晩に、酒のつまみということで、今までの経緯と俺の世界のことを話した。

 最初は、半信半疑の者や、頭がいかれてるんじゃないかと思われていたが、徐々に判ってもらえるようになった。

 次の朝、村の復旧作業の手伝いをして一週間を過ごした。

 だが、期限の最後の日に、村を出る準備をしていたときに、外から悲鳴が聞こえ、表にでると、魔具に取り付かれたギアノフがいた。

 アルフレイドによると、あの魔具は寄生型で、心臓に寄生している為、心臓を貫かなくてはならなかった。

 今では、悪しき存在だけを裂くことが出来るが、その時はまだ出来なかった為、貫いた。

 それは、ギアノフの願いでもあったからだ。

 この時だったかもしれない。

 本当に強くなると誓ったのは・・・。

 

 

「本当にすまない、代わりに今から一緒にご飯を食べない?」

 しゅんとなっているエルの顔が、一気に明るくなった。

「ホントですか!?嬉しいです!」

 そういと俺に飛びついてきた。

 今度は前から、しかも顔に胸が!

「わっ、判ったから、頼む、離れてくれ!」

 そして、嬉しい悲鳴と嫉妬と嘆きの悲鳴が学食近くの廊下で、響き渡っていたという。

 

 

 

――放課後

 

 

 

「さて、さっさと掃除しますか」

「おい、龍騎」

 不意に。後ろから声を掛けられた。

「なんだ?」

 答えながら振り向いた。

「大河(だいが)か、どうした?」

「頼みがある、今日はトイレの掃除があるから、教室を頼めるか?」

「問題ないよ」

 あっさりOKを出す、どうせサボるつもりだろう。

「ああ、じゃあ頼むぞ」

 と言いながら、カバンを持っていった。

「・・・ま、居ないほうが有り難い。・・・風の渦巻く螺旋が一つ、しかし、小さく優しき風を吹かせ・・・ショウ・トルネード。」

 呪文を唱えると、教室中のゴミが風に巻き上げられて一箇所に集まった。

「……ふぅ、あとは塵取りで集めて……終わりっと」

「ある意味、セコイな」

 驚きもせず、後ろを向いた。

「よう、忍」

 

 

 この男の名前は、無道 忍(ぶどう にん)。

 異世界の人間で、昔の日本に似た文化をもつ島があり、そこの阿木利の里(あぎりのさと)の元落ちこぼれ忍者で、抜け忍。

 忍は、里始まって以来の落ちこぼれで、肩身狭い思いをしていた。

 幼馴染の舞菜(まいな)は、親同士の決めた許婚だったが、あまりにも酷いため、許婚を解消させられ、親からも見捨てられていた。

 そんな時、いつの間にか立ち入り禁止の地に足を踏み入れていたことに気づき、

 慌てて戻ろうとしたが、先代とお頭、上忍たち来たため、すぐに隠れて身を潜んでいた。

 そして、絶望的なことを聞いてしまった。

「忍を、次の任務の時に劣りに使い、そのまま見捨てる」

 その言葉を聞いて、時が止まった。

 その後、先代とお頭、上忍たちは戻っていき、一人取り残された忍は、ただ呆然と隠れていた。

 そのあとの二日後に、聖魔具の一つ、鏡燕刀(きょうえんとう)を奪い、里を抜けた。

 鏡燕刀は、その持ち主の心に応じて、妖刀にもなる。

 清き心の時は、青々と輝き、荒んでたり、やんでいたりと負の感情に満ちていると、赤々と輝く妖刀になる。

 だが、そのときは怨みでもなく、怒りでもなく、決別を掲げて里を出ているため、妖刀になったことはない。

 そのこともあるため、上忍たちも戸惑ったため、何とか逃げおうせることに成功した。

 その後、龍騎と出逢い、共に旅をする仲間となった。

 

 

「どうした、彼女でも出来たか?」

 ボケる俺。

「冗談はよせ、なんとなく顔を出しただけだから」

「そうか・・・・・、これからどうする?」

 掃除用具を片付けながら聞く。

「メイド喫茶なるところへ、入って見る」

「……そうか」

 あえて、聞かなかったことにした。

「で、お前はどうする?」

 忍が聞いてきた。

「そうだな・・・・、今日はサントライズに行く。そろそろ、食料を買いに行かないと」

 今日は、何にしようかと考えながら言った。

「じゃあな、忍」

 突拍子もなく挨拶を送る。

「では」

 忍もすぐに返して、教室を出て行った。

「さて、行きますか」

 

 

 

――龍騎の家

 

 

 

「ただいま~」

「おかえり、お兄ちゃん♪」

 リアンナが、出逢い頭に懐に飛び込んできた。

「おわっと!ただいま、リアンナ」

「えへへへ」

 微笑んだリアンナの頭を撫でてやった。

 

 

 リアンナ――正式名:R.A.N.N.

 人工生命体であり、生態兵器である。

 容姿は、金髪、目の色は灰色、9~10才くらいの女の子と代わりがない。

 目的は、子供ならば敵味方関係なく保護の対象になりやすく、油断しやすく、その隙を突いて敵を全滅、又は重要人物の消去に使われていた。

 なを、この子はとある国で作られ、偶然日本のとある海岸の倉庫で極秘取引の最中に、自らの意思で脱走。

 その後、逃亡の最中に龍騎と出逢う。

 そのあとは、国一つ相手にドンパチかました。

 まあ、圧勝で我が軍の勝利・・・・・・まあ召喚獣、魔法などなど全勢力を駆使したからな。

 一難さってまた一難・・・・・今度は日本政府は引渡しを要求したのだ。

 だが、引き渡す代わりにいくつかの条件を出した。

 それでも国は認めず強行してきたが、国会議事堂に乗り込んで、政治家の汚点資料を奪取。

 脅して、二度とこないようにした。

 度々侵入してきたが、召喚獣たちに取り押さえられて、少しずつ暴露していった。

 

 

 まあ、こんなことがあり、今では俺の妹になっている。

 時折、リアンアを作った国から和解の要求がくるが、受け入れるつもりはない。

 もし日本政府みたいに強行してきたら、今度は国ごと落とす気でいるからな、俺たちは。

「クロス、電話だ」

 俺は、部屋にカバンを置いてリビングに入って来た時、フレアに呼び止められた。

「誰から?」

「親から」

「どっちの?」

「・・・・・・・・・」

 フレアは黙る。

「・・・・・・どうする?」

「でる・・・・・・今出とけば、あとはうるさくなくらるから」

 そうして、龍騎はフレアから電話を受け取った。

「何の用だ?」

『久々の電話がこれか・・・私も随分きら「ああ嫌いだね、で、用はなんだ?」』

『ふん・・・・・・勘当を解きたい』

「とうとうボケたか、赤野財閥の会長さん」

『・・・・・・戻るつもりは?』

 その言葉は、確認と言わんばかりの響きだった。

「ああ、戻るつもりはない」

『なら、せめて母さんには会ってくr「断る」』

 断言した。

「たしかに母さんは関係ない。だが、会うことは許さないと言ったのは誰だ?アンタだろ!ふざけた事抜かすな!」

『・・・・・・・・・・・・』

 

 

 

 続く




制作開始:2005/7/12~2005/12/13

打ち込み日:2006/3/13
公開日:2006/3/13


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聖夜に降る祝福の雪

色々あったクリスマス記念SS作品で、英語はヤフーの翻訳を使用。なので、英文が狂っていますが、ご了承を。
元は、とあるエロゲーの手から出てきた糸を、相手に差す事で操ることが出来る作品が元だった筈。
なお、そのエロゲーは体験版しかやった事無いし、今は解散してしまっているので、タイトルは覚えてない。
けど、良く覚えているな、自分。(汗

 少年の名は、羽山 勇斗。高校一年の普通だった生徒。
 今は『闇』を操る力を持ち、力を宿した札(カード)――" Courage that is seamy " [闇黒である勇気]という札を偶然拾ってから、今までの日常が終わりを告げた。
 " Courage that is seamy "は、"song of a spell"[呪いの歌]と呼ばれる札の一枚。

 ある夜、この札を持ち出した男がいた。
 だが『元素』と『分解』を宿す『奴』は、見逃さなかった。
 しかし、事態は急変した。
 男は、逃げる途中で札をばら撒いていったのだ。
 札の数は全部で51枚存在し、男は竜巻の能力で吹き飛ばしたのだ。
 男は『奴』の分解の力で、この世から消えた。
 だが、世界に散った札は男、女、子供、大人関係なく力を宿した。
 ある者は力を振るい、ある者は他者を救い、ある者は己の為に、ある者は力を隠した。
 そして、数あるうちの一枚を勇斗が手にした。
 その手にした札は最凶最悪の札で、『元素』・『分解』・『時』・『原子』の四つを抜かせば最強と言っても可笑しくない能力を宿した札。
 だが、宿主の意識(精神)を破壊し、自分の体にしてしまう。と、いう能力があり、"song of a spell"の中で、ある意味タブーの札である。
 しかし、勇斗は問題なく、今まで道理だった。
 ただ一つだけ、思い当たる事があった。
 心の中に絶望があったのだ。
 全て絶望していた事に触れた"Courage that is seamy"は、勇斗に一時的に委ねたことで一つの存在となった。
 だが、" Courage that is seamy "は、"song of a spell"のトランプに例えれば、ジョーカー的存在であり、イレギュラーであった。

 そのイレギュラーとなった勇斗は、"song of a spell"の戦いに巻き込まれていく。

 "song of a spell"の本来の目的は、今現在の世界の修正と破壊、再生の三つの事柄を行なう為に作られた札。

"song of a spell"[呪いの歌]
 光、闇、炎、水、地、風、雷、重力、原子、元素、
 時、氷、無、影、空間、鉄、剣、翼、力、森、
 獣、魔王、英雄、死、癒し、熱、霧、邪、霊、束縛、
 鎖、鬼、悪魔、天使、盾、砂塵、竜巻、分解、操作、糸、
 血、岩、鋼、暴走、蟲、脚、腕(わん)、聖、生命、運命
 創造
――計51枚

能力所有者
 闇:勇斗
 水:雷
 元素・分解:『奴』

――あと未定

 なを、現在公開中のクリスマス用SS『聖夜に降る祝福の雪』は、戦いから4年後の話であり、また現在公開中のプロフィーユ道理にストーリーを書くとなると、多分このSSとは別物になると思います。



最後に、"song of a spell"[呪いの歌]についての、能力の元と名前が以下の通りです。


  光    殺戮の光
  闇    闇黒である勇気
  炎    炎に焼かれし者
  水    水面下の死体
  地    汚れた大地
  風    犯された風
  雷    雷を受けた指
  重力   重力の枷
  原子   始まりの原子
  元素   虚空の元素
  時    時の迷宮
  氷    氷に張り付いた皮膚
  無    無限の再生
  影    まやかしの影
  空間   消える空間
  鉄    鉄の意志
  剣    折れた剣
  翼    失いし翼
  力    力の威圧感
  森    偽善の森人
  獣    腐りし獣
  魔王   眠る魔王
  英雄   今無き英雄
  死    早過ぎた死
  癒し   癒しの悲劇
  熱    噴き飛ぶ灼熱
  霧    残酷な霧
  邪    邪眼の魔道士
  霊    呪縛の霊魂
  束縛   束縛された人
  鎖    繋がれた鎖
  鬼    鬼神候(きしんそうろう)
  悪魔   聖なる悪魔
  天使   欲に塗れた天使
  盾    諸刃の盾
  砂塵   砂塵の銃弾
  竜巻   破壊の竜巻
  分解   分解者
  操作   操り人形
  糸    絡まった糸
  血    血塗られた道
  岩    岩石に挟まれた少女
  鋼    鋼の悲鳴
  暴走   静かなる暴走
  蟲    侵食する蟲たち
  脚    疾風の脚
  腕(わん) 圧迫の腕
  聖    聖なる屍
  生命   糧となる生命
  運命   狂った運命
  創造   破壊と創造


「よう、待ったか?」

「遅いよ!もう」

「おかーさん、あれ見て!」

「どうしたの?・・・フフ、サンタさんに頼んでみたら?」

「さ~て、クリスマスケーキは如何ですか!?」

『♪~♪♪~~♪~♪』

 

 

 

街には、親子、働く者、来る時に合わせた歌などが、響き渡る。

しかし、その風景を眺めていた青年がいた。

「・・・・・・・・・・・・・・」

ビルの屋上、しかも立ち入り禁止の場所兼メチャクチャ危ない場所に座り込んでいた。

"Courage to be darkness" [暗闇である勇気]の『闇の固定』で足場を固め、姿を見えなくし、『暗黒の盾』で強風を防いでいた。

「やっほ~」

沙紀之 綾菜(さきの あやな)が声を掛けてきた。

「・・・・・・・・・・・・・・」

しかし、勇斗(ゆうと)はそのまま街を眺めた。

ガシャ、ガシャン、ガガシャ!

フェンスのなる音が聞こえた。

「よいしょ、っと」

綾菜は横に座り、寄り添って腕を絡めた。

「えへへへへ♪」

「・・・・・・はあ」

勇斗は呆れてため息をついた。

それはそうだ、この娘は沙紀之財閥の令嬢にあたるらしく、おじいさん――現当主に(勇斗が独断で調べた結果)勘当されているそうだ。

「ねえ、今日はどうする?」

「今日はここにいるつもりだが・・・・・・お前が来たから、予定を変更する」

「疫病神とでも言いたいの?」

頬を膨らませ、泣きが入った顔でこちらを見てきた。

「違う、お前に飯をくさせなきゃならないからだ。一日中ここだと、退屈だろうーが」

「ってことは――デーt「違う」うわ~~~~~ん!」

泣き出した。

「って、ちょ、ま、待て、俺が悪かった、デートでいい、今日一日デートだ!」

半場自棄(やけ)になりながら、綾菜をあやした。

 

 

 

やはり男は、女の涙――惚れた奴にはとくに弱いのであった。

 

 

 

「へへ♪」

「はあ~」

綾菜は勇斗の腕に抱きついていた。

まさに、どこからどう見てもカップルである。

しかし、勇斗の服装は地味とダサイの中間の服装。

綾菜は、綺麗な服装かつ、どことなく気品があり、誰もが令嬢、または有名人だと感じとれる。

まさに、月と鼈(すっぽん)の差が無くなっている状況だ。

「勇斗、綾菜」

「あ、雷くん、こんにちは」

「雷、こんなところでバイトか?」

商品の花の世話をしている雷(らい)が、声を掛けてきた。

判りやすく言えば、「奪還屋」に出てくる、雷帝の覚醒の表情だと思ってくれれば早い。

「いや、バイトの子が怪我したから、変わりに代理を務めている」

「へえ~、でもバイト料はどうなるの?」

「ボランティアみたいなものだから、出ないよ」

笑いながら言った。

「お前も大変だな」

勇斗は、苦笑しながら言った。

「ふ、花は好きだからな。・・・今日の夜、雪が降るかもしれない」

「そうか・・・・・・ホワイトクリスマスだな」

雷は、星座の位置で天候が判るらしい。

あと関係ないが、雷の実家は花屋さんだ。

「寒くなるが、熱々の二人なら乗り切れるさ」

「な?!」

「はい♪!」

勇斗は顔を赤くし、綾菜は喜んだ。

「勇斗、ちょっと」

店の奥を指さしながら、雷は俺を呼び込んだ。

勇斗は渋りながら、雷のあとについていった。

ちなみに綾乃は、雷の代わりに店番を始めた。

「で、なんだ?」

「少し待て」

雷は、袋の中をあさりだした。

勇斗は、綾菜の様子を覗いた。

綾菜は、花の世話を一生懸命やっていた。

そうしている内に、雷は袋からある物を取り出した。

「勇斗、コレを持っていけ」

クリスマスプレゼント用に舗装された包みを差し出した。

「なんだ、これは?」

「はあ・・・・・・鈍いのは『力』を持つ連中の探知能力だけにしてくれ」

雷は呆れながら言った。

「綾菜に渡すプレゼントだ。今日は何の日だ・・・・・・まさか」

「今日はクリスマス、夜は雪が降るからホワイトクリスマスだ」

「クリスマスといえば?」

「サンタクロース」

「サンタクロースが持ってくる物は?」

「クリスマスプレゼント」

「なら判るな?」

そうして勇斗は、雷からプレゼントを受け取った。

 

 

 

「あ、勇斗、雷、今まで何やってたのよ」

綾菜は怒りながら抗議した。

「すまない。で、どうだった?」

「お客さんが結構来て、本当に大変だったんだよ」

頬を膨らませ怒る綾菜。

俺は、綾菜どこに惹かれたんだろうか?

「何人くらいが来たんだ?」

「え~と、14~15人くらいかな」

「多!」

さすがの雷も、この短時間で14~15人という数など経験が無い。多くても4~5人程度だ。

「あと、コレも渡された」

綾菜は紙の束を差し出した。

「なんだこれ?」

勇斗と雷は、綾菜から差し出された紙の束を受け取って、中身を見た。

 

 

18時、○×橋の前で君を待つ

幸せを呼ぶ者より

 

 

俺たちは、初めに見た紙を無言で綺麗に畳み直し、俺の闇の力『斬殺の舞』で全て切り裂いた。

そして、雷の水の力『エレメントウォーター』で紙をよく溶かしてから、路上の排水溝に流した。

「え、ええ?なんで捨てちゃうの?」

「イタズラだったから」

「ああ、イタズラだったな」

綾菜は困った顔をした。

 

 

 

結局、綾菜に群がるハイエナどもから守ることになった勇斗。

ラブレターを渡してきた男どもに見せ付ける為に、ベタベタすることを許した。

本当は恥ずかしいし、こういうことは慣れてないので好きじゃないが、綾菜にもしもの事が起きたらマズイので、こういう結論になったのである。

まあ、今日はクリスマス。

似たような輩は、たくさん居るので恥ずかしがることも無い。

綾菜は嬉しそうだった。

でもいるんだよな~、こういう雰囲気ぶち壊す奴。

その度に、綾菜の顔から笑顔が消えた。

さすがの俺も、三度目の奴には力と使って吹き飛ばした。

探索能力『黒の警戒』で、俺たちに近寄ってくる――特に雰囲気を壊そうとする奴らを、遠隔能力『闇矢の砲撃』と少し離れてついて来ている雷の『アクアトラップ』の餌食となっていった。

あと、周りに集中しすぎて綾菜を不機嫌にしていまし、腕を離してドンドン先へ行ってしまった。

待ってましたと言わんばかりに来た男どもは、雷に任せてた。

 

 

 

「ごめん、綾菜」

無言。

「あ、あのさ・・・お詫びに、何か言ってくれ。出来る範囲で何とかするから」

その言葉を聞いて止まり、こちらを振り向いた。

「キス」

「え?」

「キスして。ディープ・キス」

思考が一瞬止まり、再起動した瞬間、思考がフル回転を始めた。

一分間、お互い見つめあったまま、動かなかった。

「・・・・・・嘘つき」

「謹んでお受けさせてください」

土下座した。

 

 

 

これ以上、どうすればいいんですか?誰か教えてください。

 

 

 

さすがに公道のど真ん中では出来ないと言って、場所を変えてもらった。

ちなみに今は、夜の8時を回ったところ。

場所は大きなクリスマスツリーがある広場。

雪は、まだ降らない。

「ねえ、勇斗」

機嫌を直した綾菜が声を掛けてきた。

「どうした?」

さすがに寒く感じてきた勇斗は、ここに来る途中で安くて大き目のコートを買って着ていた。

「コートの中に入ってもいい?」

少し考え――

「ほら」

前を開けて入れてやった。

綾菜は嬉し恥ずかしくしながら、コートの中に入ってきた。

 

 

 

「何やってるんだよ、あのバカップルは」

雷は呆れながら言った。

あのあと、ドジッた勇斗の隙をついて、綾菜に漬け込もうとした連中を一人残らず叩き潰して、二人を探してようやく見つけたと思ったら――バカップル状態を見た。

「ま、上手くやっているようだし・・・・・・俺はそろそろ撤収しますか・・・・・・」

そうして、星座観察するために、裏道に消えていった。

「人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られてなんとやら・・・・・・お、雪か」

 

 

 

「あ、雪だ」

綾菜は子供のように目を輝かせた。

「あ!」

「どうしたの?」

勇斗は、雷から譲り受けた品の存在を思い出した。

「あ、あのな、綾菜・・・・・・渡したい・・・物が、ある」

俺もウブだな。そう思いながら言った。

綾菜は何も言わずにコートから出て、少し離れた。

そして、『暗黒の蔵』から取り出して、綾菜にソッポ向きながら片手で差し出した。

「私に?」

顔は見えないが、声がどことなく震えてた。

「あのな、俺の前にはお前意外に誰がいるんだ?」

「ううん、私しかいないよ」

そうして片手から重みが消えた。

「ねえ、約束」

「あ・・・・・・ああ」

勇斗は、きちんと綾菜の顔を見た。

その顔は、嬉し泣きと満面の笑顔があった。

そして、見つめ合い、キスをした。

約束道理、ディープ・キスで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光り輝く街並み、そこには色々の人がいる。

 

 

 

 

 

仕事やバイトをして、他者や己の為に頑張る者。

 

家族団欒(かぞくだんらん)で過ごす者。

 

サンタクロースに頼んだプレゼントが、明日届くか楽しみにする子供たち。

 

その笑顔を楽しみにする親達。

 

男同士で寂しく過ごす者達。

 

一人で楽しむ者達。

 

 

 

 

 

そして、愛し合う者同士で過ごす者達。

 

 

 

 

 

この日は雪も降り、より寒くなるが、その喜びを祝福するように舞積もる。

 

 

 

 

 

その一つを祝福するかのように、降り積もる。

 

 

 

 

 

男は、平凡で変わり者だが、運命のイタズラで得てしまった力を持ってしまった。

 

 

 

 

 

女は、気品があり、優秀で全てに恵まれていたが、日々変わらぬ出来事に不満を持った。

 

 

 

 

 

だが、お互いを理解し、支え合う事が出来る者と唇を交わす。

 

 

 

 

 

 

 

 

まさに異端。

 

まさに不可解。

 

まさに在り得ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

それは運命と言う名の歯車が示した出来事かもしれない。

 

それは偶然なのか、必然なのか。

 

それはお互いが引き合わせたのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

時は進む。

 

回りながら進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

道はある。

 

だが、その道は一つではない。

 

道を進めは、壁にぶつかり、躓(つまず)くこともある。

 

 

 

 

 

 

 

 

一人で登ることも、立てなくても出来なくても、二人なら出来る。

 

登ることも、立ち上がることも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、二人は唇を離した。

「ところで、開けないのか、ソレ」

先ほど渡したプレゼントを指差した。

「うん、勇斗から、本物のプ・レ・ゼ・ン・トを貰うまでは」

軽く舌をだしながら、笑顔で言った。

「どうせ雷から、譲り受けた物でしょ、コレ」

そして、プレゼントを差し見せた。

「う」

図星を突かれ、固まる勇斗。

「ばれるに決まってるじゃない。そういうことに、気を使う君じゃないから」

「申し訳ありません」

頭を下げた。今日は謝りっぱなしてある。

「ふふふ、どうしよっかな~」

こんな時も気品を失わない綾菜を尊敬するが、小悪魔の気品と笑みが見え隠れしていた。

自業自得だが。

「今日は、私の家に泊まること。これが一つ目」

「はいはいって、家に泊まる!?」

綾菜は右手で、左手の指を一本づつ曲げていった。

「二つ目は、一緒の部屋で寝ること」

「え!」

さらに続き――

「三つ目は、今着ているコートを譲ること」

で、両手を合わせるように叩いた。

「この三つの条件を飲んでもらうからね、勇斗♪」

一番最後はともかく・・・・・・一つ目と二つ目はマズイだろう。

二つ目は、明後日の日の光が見れるかどうか怪しい。

なんせ綾菜のじいさん――会長に会った時に、悪い虫と勘違いされて、家宝の刀で斬りかかられた事があるからな・・・・・・。

どうこう考えているうちに、腕に抱きついてきた。

「じゃあ、行きましょうか。お父様にも、ご報告しないといけないから」

その言葉を聞き、何となく聞いた。

「プレゼントの件は、お前が絡んでんな」

その言葉に止まる綾菜。

しかし、何事もなかったように歩き出した。

「やっぱりお前が企んでいたのか!?」

「うわ~~~ん、ごめんなさ~い!」

腕から離れ、綾菜は一目散に逃げ出した。

「あ、こら待て!」

勇斗も綾菜のあとを追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Merry Christmas

 

 

 

メリー クリスマス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To all people || a blessing

 

 

 

全ての者に祝福を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

So that, to these two people, there is eternal happiness・・・

 

 

 

この二人には、永久の幸せがあらんことを・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~Fin~




まずは、勇斗、綾菜、雷の年齢についてです。
プロフィーユには、高校一年の16歳になってますが、戦い(何時書くか未定)が終わり、高校を卒業して、大学になって初めての冬です。
つまり、20歳という設定です。
まあ、4年後の話です。
上手くまとめられた、かな。
まあ、書いていた自分が恥ずかしい。
まあ、クリスマスですからOKということで。
最後まで読んでくださった皆さん。
良いことがありますように・・・

では。




制作開始:2005/12/13~2005/12/15

打ち込み日:2005/12/16
公開日:2005/12/24

変更日:2008/10/24


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災難

悠久2の主人公が、リカルドに・・・。


ある日のさくら亭。

 

どどどどどどどどどどど・・・バン!

 

スラッグ「パティ、大至急かくまってくれ!」

 

いきなりスラッグが、もの凄い勢いでさくら亭に入って来た。

 

パティ「い、いきまりどうしたのよ!?しかも、ドアが壊れちゃうじゃない!」

 

スラッグ「ああ、悪い!だからかくまってくれ、頼む!」

 

パティ「理由は!?」

 

スラッグ「リカルド隊長に追われているから。」

 

リサ「なんでアンタが追われなきゃならないのさ?」

 

パティが答えるより早くリサが問い掛けてきた。

 

ライ「実は、トリーシャとぶつかってその拍子に、俺が押し倒した形に倒れこんで、そこをリカルド隊長に見られた、と。」

 

ライがふざけ半分で言ったが、スラッグは首を急いで縦に振った。

 

パティ・リサ「「マジ?」」

 

スラッグに聞く。

 

スラッグ「ならここに居ないから、俺、今日は非番じゃないし。」

 

ライ「後ろに鬼神と化した、自警団第一部隊リカルド・フォスター隊長が居るが・・・。」

 

スラッグがギギギギと首を鳴らしながら、後ろを振り向くと・・・。

 

リカルド「覚悟は出来ているかね、スラッグ・アストロクン。」

 

スラッグ「りっ、リカルド隊長、こ、ここは穏便には、話を・・・。」

 

リカルドの気迫にスラッグが怯え、店に居た者達(ライは除く)は一歩下がった。

 

リカルド「トリーシャとは前々から、中が良かったと聞いてが・・・、まさかここまでの関係だったとは・・・。」

 

スラッグ「で、ですから、あれは事故で。」

 

スラッグは、必死になって弁解を試みているが・・・

 

リカルド「覚悟はいいけね。」

 

聞く耳持たず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、逃亡を試みたがエンフィールドの外で奇怪な悲鳴が上がり、次の日には、スラッグがローズレイクのど真ん中に浮かんでいるのを、近くを通り掛った人に発見されたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき&雑談会

 

ダーク(作者):ダークバスターです。

 

ライ:ライアングス・ダライグァードだ。

 

スラッグ:・・・・・・・・・。

 

ダーク:スラッグは、今自宅休養中です。ちなみに中継場所は、自警団の寮のスラッグの部屋からです。

 

ライ:しかし、よく生きていたな・・・。

 

ダーク:まあ~、ギャグだからな。

 

ライ:なあ、『ギャグ』は、キャラは崩れるのが基本だと聞いているが。

 

ダーク:あんたは、あまり崩したくない!お前はかっこいい男として置きたいから。・・・今のところは。

 

ライ:今のところは、か・・・。しかし、既に一回ぐずれ

 

ダーク:今日はここまで!また今度!

 

トリーシャ:逃げ足は、天下一品だね。

 

ライ:ああ、そうだな・・・。時にトリーシャ。

 

トリーシャ:なに?ライさん。

 

ライ:何時から居た?

 

トリーシャ:え~と、8、9行目辺りから。

 

ライ:そうか・・・、ではこれで今日は帰らせてもらうよ。

 

トリーシャ:うん、わかった。

 

ライ:リカルドのおっさんには、気よつけろよ。

 

 

 

 

 

 

 

END




制作期間:2005・4月に書いた。

公開日:2005/4/15


訂正日:2005/5/14


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何かに出逢う者たちの物語・第一部 エターナルメロディ~運命に出逢う者~ 物語の前夜

プロローグ
青年がロクサーヌとフィリーと出逢うまでの話。


 東京のとある場所の公園。

 

 俺は『崎山 蓮』、親しい者は『紅蓮』と呼んでいる。

 

 『紅蓮』と呼ばれるようになったのは、『紅』という漢字がカッコよく見えたのでそのまま付け足して名乗っていたのである。

 

 高校を卒業して大学に入ったのはいいのだが、最近は何だかつまらなく思えてきた。

 

 友人とゲームセンターへ行っても、つまらない。(下手だけど・・・。)

 

 漫画、小説、テレビ等など、見ていてつまらなく思えるようになってきた。

 

「・・・・なんか楽しいことないかな・・・・・。」

 

 噴水の近くにあるベンチの上でぼやいていた。

 

 時間的には、夕方くらいであと数十分で夜になる。

 

 

「・・・・・・・・・ぼやいても何にもならないし、帰るか。」

 

 

 そして、ベンチから立ち上がって、何の変哲も無い帰り道を去って行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんた、明日あたり気お付けなさい。」

 

「はい?」

 

 いきなり占い師に声を掛けられて、返事を返した。

 

「あんた、何だか分からないけど明日辺りは気をつけな。」

 

「何か起きるのか?」

 

 本来ならば無視をするが、占い師の言葉が気になり聞き返した。

 

「それは分からない、ただ明日はこれから先の人生に関わる出来事が起きる、とだけ言っておく。」

 

「これから先の人生に関わる出来事・・・、ありがとう占い師さん。」

 

 俺は、その占い師に礼をいって家に戻った。

 

「本当に、運命というのは面白いものだ。」

 

 そう占い師はぼやいた。

 

 そして、風が吹き、止み終わったとたんに占い師は居なくなった。 初めから居なかったように・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、占い師の言葉が気になり、非常食三日分・親が誕生日にくれたサバイバルナイフ・方位磁針・ペン・メモ用紙・空の革袋をポシェットに入れた。

 

 しかし、何故かお金は要らないような気がしたから、あえて入れなかった。

 

 そして、眠りに付いた。

 

 

 明日の為に・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冒険道具一式を入れたポシェットを持って家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 出る前に何故か両親に電話をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今思うとアレが最後の会話になるとはおもってもみなかったが・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 町をウロウロと不審者みたいな感じでうろついて、工事中の建物の横を通っている途中、ふと上を見上げたら、大きな鉄骨が落ちてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわああああああああああああああああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 とっさに身を屈めながら、占い師の言葉を思い出した。

 

 

 

 

 

 

『あんた、何だか分からないけど明日辺りは気をつけな。』

 

 

 

 

 

 

(これがフラッシュバックか。)

 

 

 

 

 紅蓮はそう思えた。

 

 

 

 

 

『それは分からない、ただ明日はこれから先の人生に関わる出来事が起きる、とだけ言っておく。』

 

 

 

 

 

(こういう事だったんだな。)

 

 

 

 

 俺は、死を悟った。

 

 そうして視界はブラックアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どさ!

 

 

 

 

 何だか地面に叩きつけられたが、何故か痛くはなかった。

 

「お、重いから早く退いて!」

 

 

 

 下から声が聞こえた。

 

 

 それがフィリーとの出逢いだった。

 

 

 

 

 こうして、物語は始まった。

 

 

 謎の占い師の助言で始まった出来事。

 

 

 自分自身がこれからどうなるのかは、分からない。

 

 

 だけど、一つだけ分かった事がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何時もとは違う日々が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

君に出逢って恋に冒険する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エタ-ナルメロディ

 

 

 

~運命に出逢う者~

 

 

 

 

 

 

 

……to be continued




ダークバスターです。

色々のサイトのサイドストーリー(以後SS)を読んでいるうちに、何だか書きたくなり筆を(キーボード)を走らせました。

カウンターも少しですが、増え始めました。(本当に少しですが)

今は文章能力の低さに呆れていますが、少しずつ頑張っていきます。

今後も宜しくお願いします。



ショートコント

ダークバスター(以後・作)「書きました。」
リディア(以後・リ)「そ、それだけなの?」

作「まあ、厳密に言うと紅蓮を出したかったから。」

リ「でも、某サイトではその名前で活躍しているんだけど。」

ぐさ!・クリティカル・ダークバスターに684のダメージ

作「・・・・・い、今の・・・一・・・・こ、とで、ダ、ウン・・・・・。」(カクン)

リ「ああ!作さん、光よ我(われ)の名においてその御心をくださいオールヒール!」


全回復


作「い、痛いところだから伏せて、お願い。」

リ「分かりましたが、私の話は書いてくれるのですが?」

作「真面目に考えておく。」

リ「あ、そういえば今日宅急便が届きました。」

作「おお、ついに届いたか!で、その品はどこに?」

リ「はい、あそこです、ちなみに中身も拝見済みです♪」

作「・・・・・・・・・・・」(化石化。)

リ「覚悟は宜しいですか?」

シーラ(以後・シ)「あの~、私も宜しいでしょうか?」

フローネ(以後・フ)「私もです。」

リ「モールスてすごいよね。」

作「そのセリフ、93年の公開されたSDの映画の奴。」

シ「最近新しく覚えた技を試したかったんです♪」

フ「ええ、シーラさんとの合体奥義なんですよ♪」

注・二人とも、顔は笑ってません。

リ・シ・フ『覚悟はいいですよね、ダークバスターさん。』

作「では、去らば!」

ルシード(以後・ル)「逃がすか!インフィーノ!」


ずか!・クリティカル・9867のダメージ・追加効果:一ターン行動不能


作「な、に!?」

リ「風よ我に力を・・・エア・ブレイク!」

シ「右は天!」

フ「左は地!」

シ「我(われ)は糸で!」(装備:ピアノ線、属性:風)

フ「我(われ)は槍で!」(装備:ゲイ・ボリク、属性:水)

シ「悠久なる時の流れ!」

フ「幻想なる曲を奏でん!」

シ・フ『奥義・悠久幻想双曲!』

どがーーーーーーーーん!!!!!!!

ル「ち、逃げられたか、しかしインフィーノを直に食らっておきながら。」

リ「変なところで全力なんですから、あの人は。」

フ「ある意味、化け物ですね。」

シ「今度は、ギルドに頼んで男の子になろう。」

リ・フ・ル『はい!?』

シ「男の子になった私は、手が付けられないくらい危険だそうですから。」

リ・フ・ル『は、はあ。』



作「次は殺されたな、俺。」


届いた中身、大人の本とだけ記載しておこう。








公開日:2005/4/24
再編集:2005/4/29+2005/6/5

変更日:2008/10/23
訂正日:2006/2/13


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出逢いと遭遇

第一話
紅蓮の仲間やライバル達との出逢い……
そして、『奴』との遭遇。


 俺は旅をしている。

 

 場所は、トリペイとキャベリアの中間地点である。

 

 あの時……フィリーと、吟遊詩人ロクサーヌと出逢った。

 

 そこで、自分自身が異世界に飛ばされて事を知ったが、別に動揺は無く、むしろありがたく思えたので、二人(?)は唖然となった。

 

 まあ、当然である。

 

 基本的反応は、驚くか、唖然となるが全くならなかった、いや、むしろ今までとは違う日々が来るのに想いを馳せていたのだから。

 

 

「ま、まあ~、元の世界に帰るためには、『魔宝』を集めなさい」

 

 

『魔宝』とは、ありとあらゆる願いを叶えてくれるアイテムだと、ロクサーヌが言っていた。

 

 

「……そうさせてもらうよ」

 

 そう返事を返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして、一緒に旅に付いてきてくれる人を探して、12人の候補が上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 が、カイルという魔族を仲間にしようとしたら、何故か殴られてしまった。

 

 そうとう俺の事が気に入らなかったらしい。

 

 そして、偶然であった?若葉に話したら、手伝ってくれると言った。

 

 若葉は可愛いが、方向音痴、料理は下手、というバットウェポンを装備している。(ここまでの旅の間で体験済み)

 

 そのまま、楊雲に出逢ったが

 

「私といると不幸になるので」

 

 と、断られてしまった。

 

 影の民だのそんなのは関係ないのだが、嫌がっているのに無理やり説得するのは気が引けてので、言われたとおり他に当たることにした。

 

 アイリスさんなら・・・・と思ったが人を探しているので却下。

 

 レミットは、もし本当に国の姫様ならヤバイのでこの子も却下。

 

 メイヤーは、趣味が合わないので却下。

 

 カレンは、ちょっと着いて行けそうにないので却下。

 

 リラは、反発しやいやすいので却下。

 

 アルザは、食費の問題で却下。

 

 キャラットは……保留。

 

 

 

(なんでボクだけ理由無しで保留なの!?)byキャラット

 

 

 

 などと考えていたら、ウェンディとぶつかってしまった。

 

 ウェンディは、人間不信になっているとこから見ると、子供の頃、相当なイジメに会ってたのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かつて、俺と同じように……。

 

 いや、俺のほうが何倍も上か。

 

 だから、仲間になってもらった。

 

 心の痛みがわかるから……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウェンディに、少しだけ過去と今までの経緯を話してわかってもらい、一緒に行くことを決めた。

 

 そして、広場でティナと出逢い、理由を話して手伝ってくれると言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 誰に頼むのは、人それぞれだが、最後に決めるのは頼んだ相手だ。

 

 断られたら、諦めるしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、三人の仲間に出逢い、『魔宝』を探す旅は始まったばかりだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 広場で、ロクサーヌと出逢ったが、俺以外にも『魔宝』を話したらしい。

 

 カイル率いる、楊雲、アルザ、メイヤーのチーム『黒い閃光』。

 

 レミット率いる、アイリス(非戦闘員)、リラ、キャラット、カレンのチーム『プリンセスナイツ』。

 

 そして俺、紅蓮率いる、若葉、ウェンディ、ティナのチーム『蒼い明日』。

 

 ただし、チームの皆から(フィリーも含む)ダサいと言われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、必ず言葉には意味がある。『蒼い』は、空の青々とした晴天の如く。『明日』は、明日を迎える。という意味を込めて付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、それぞれの夢や野望を胸に抱き、旅へ出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうすぐキャベリア……か」

 

 そうぼやいた。

 

「どうしたんですか?」

 

 ウェンディが尋ねてきた。

 

「いや、何でもないさ。ただ、次の街の名前を呟いただけだよ」

 

「たしか……キャベリアですよね。」

 

「ああ、その次が第一の魔宝があるガミルの洞窟がからな」

 

「ねえ、何話してんのよ?」

 

 フィリーが声を掛けてきた。

 

「いや、次の街の事と魔宝について話していたんだが」

 

「ふ~ん」

 

 そう言いながら俺の肩に乗った。

 

「紅蓮さん」

 

 ティナが俺を呼んだ。

 

「どうしたんだ?」

 

「そろそろお休みになりませんか?」

 

 若葉が答えた。

 

 そして、周りを見渡したら暗くなっていた。

 

「じゃあ、この辺でキャンプにするか」

 

『は~い』

 

 全員が声をあわせて答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さ、さすがに若葉の料理は……」

 

 先ほど食べた、若葉の料理はきつかった。

 

 もう、見た目は良いのだが味は……。

 

「……うっぷ、また吐き気が……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数十分後。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ~う、大分収まっていたか」

 

 夜空を見ながら呟いた。

 

「……そろそろ戻るか……」

 

 立ち上がり、振り向いたらそこに、『奴』がいた。

 

「お前か……崎山 蓮か……」

 

「俺に何の用だ?」

 

 そう言いながら、すぐさま臨戦態勢に入った。

 

 理由は簡単だ、仲間に本名を名乗った覚えは無いのだから。

 

「俺はもう寝たいのだが?」

 

「安心しろ、すぐに寝かせてあげるさ」

 

 そう言うと奴は、全力疾走で俺に向かったきた!

 

「く、エナジー・アロー!」

 

 本来なら詠唱が必要なのだが、何度も練習しているうちに無詠唱で魔法を発動できるようになった。

 

 ただし、『エナジー・アロー』だけだけど。

 

「甘い」

 

 その途端、『奴』は一旦止まったと同時に大剣で魔法を打ち払った。

 

「なに!?」

 

 俺は戸惑った、それが命取りになった。

 

 『奴』は、戸惑った瞬間を狙い、足払いをして、そのまま倒れた俺は馬乗りしてきた。

 

 そのまま大剣が突き下ろしてきたが、何故か顔の横に刺さったいた。

 

「ふん……この程度か」

 

『奴』はそうぼやくと、すぐに立ち上がり間合いを取った。

 

「……なぜトドメを刺さなかった?」

 

「今の貴様を倒しても、無駄になるだけだ」

 

「……何が無駄になる?」

 

「いずれ判ることだ、それに……」

 

 奴は、空を見上げた。

 

「タイム・オーバーのようだ」

 

「何だと?」

 

 そして、奴は少しだけにやけて、闇に溶け込むように消えていった。

 

「いったい奴は、何者なんだ?」

 

 そう考え込んでいた時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐれ~~~ん!」

 

「紅蓮さ~~~~~ん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 仲間の呼ぶ声が聞こえた。

 

 そして、「こっちだ!」、と答えようとした時、不意にナイフを見た。

 

(一瞬だけ、光ったように見えたが気のせいか。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのあと、散々心配かけたということで、皆から説教を受けることになったことは言うまでも無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、仲間たちと、ライバルと、『奴』との出逢いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『奴』とは、この先戦うことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旅の終点、『イルム・ザーム』まで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺一人で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……to be continued




 エターナルメロディ~運命に出逢う者~・出逢いと遭遇、いかがでしたか?

 本当は、物語の前夜で終わりのはずでしたが、何だか書く気力が出たので、行けるところまで行きます。

 こんなしょぼいSSですが、今後も宜しくお願いします。









ショートコント


ダーク(以後:作)「エターナルメロディ~運命に出逢う者~・出逢いと遭遇!」

紅蓮(以後:紅)「エターナルメロディ~運命に出逢う者~・出逢いと遭遇の~運命に出逢う者~は、後付じゃん。」

作「・・・・・・・打ち切りにするぞ?」

紅「すいませんでした。」(土下座)

作「まあ、冗談は置いといて。」

紅「冗談かよ、ところで他の人は?」

作「聞かないでくれ。」

紅「そういえば・・・・、殺されかけたんだっけ?」

作:コクコク(首を縦に振った。)

紅「届いた荷物ってなんですか?」

作「大人の世界」

紅「ってことは・・・・・、それは怒りますよ!」

作「やっぱ?」

紅「当たり前です!」

作「じゃあ、また今度。」

紅「って、もう終わりですか!オチも無しで!?」

作「もう眠いから。」

紅「いいのかよ。」












公開日:2005/4/29
制作期間:2005/4/28~2005/4/29+200/6/5

変更日:2008/10/23
訂正日:2006/2/13


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バイトと老人と籠手と…

第二話
とある町で、バイトと買い物えおする事にした紅蓮は、あの時の夜に出逢った老人と再会する。
そして……。



 奴の戦いから一ヶ月半。
 ガミルの洞窟で第一の魔宝・青の円水晶を手にした。
 カイルとミレットは俺が仕掛けた古典的な罠に掛かり、簡単に出し抜くことが出来たが。(爆)



 しかし、一様カイルとミレットと戦ったが、まだまだ強くならなければ……。


 そして、今俺たちはダーヴァルザンのメロディランドでバイトをしてた。



「おにーさん、チョットいいかしら?」
「はい、何でしょうか?」
 俺は、お客さんに声を掛けられた。
「ここへ行くにはどうしたらいいのでしょうか?」
 地図を見せながら、あるアトラクションを指した。
「ええっと、ここは……」


 あっちこっちを移動しながら掃除をして、聞かれたら答える、という作業をしているうちに、休憩の時間になった。

 

 

 

「ふう~、さすがに疲れた~」

「お疲れ~」

 サラナさんが声を掛けてきた。

 この人は、身長が145cmしかないが、年齢は24歳であり、よく迷子の子とお客に勘違いされることが多くて、その事が原因となり彼女の仕事は、裏方役か劇の子役、迷子センターにいる子供たちの相手になることが多くじゃなくて、完全に定着してしまったそうである。

「さすがに大きいでしょう、このテーマパークは。」

「ええ、さすが街全体の四分の一を締めているだけのことがありますね」

「まあ、都市になるために頑張っているよの・・・はい、どうぞ」

 そういうと、缶ジュースを差し出した。

「あ、すいません」

 そして、受け取りながら礼を言った。

「いいのよ、別に。今日はバイトがいっぱい来てるけど、仕事効率が悪いから休憩無しで頑張ってるけど……。午後はたぶん、そっちに回されるはずだから、頑張ってね」

 そして、部屋を出て行った。

「……さーてと、さっさとジュース飲んで仕事へ行きますか」

 

 

 

 そして、お昼。

 

 

 

「はあ~、やっと昼だ」

 時間になったので、近くにあった事務所に入った。

「ぐ、紅蓮!」

「あ、なんだカイルか、お前もここでバイトしてたのか?」

「ふん!誇り高き魔族が、こんなところでバイトなど「おい、バイト!」」

「はい、なんでしょうか?」

 従業員に呼ばれたカイルは、すぐさま返事をした。

「このままだと、日が暮れるから早く飯を食ったら作業を始めろよ!」

「はい、わかりました!」

 

 

 すっかりフリーターだな、カイルよ。

 

 

「今日は貴様に構っている暇は無い!」

「ああ、頑張れよ」

「ふん!」

 カイルは、奥の部屋に入っていった。

「さーて、俺も飯にするか」

 

 

 

「いや~、配給食なのにあそこまで豪華とは……ここは相当儲かってるんだな」

 配給食の中身は、結構豪勢な料理だった。

 おにぎりは、こしひかりに匹敵する上手さで、うめぼしも良い物を使用していた。

 タクワンも上手く作っている、これだけでも贅沢だよ。

 バイトする側にとって。

「この世界に来るまで、アパート生活は悲惨だったな~」

 思い出すと、何故か目蓋が熱くなる……何故だろう。

「さて、感傷に浸ってないで仕事、仕事」

 

 

 

 

 その頃、ウェンディ一行は、バイト中の紅蓮のいない間に必要な物を買いに出ていた。

 

 

「こんな物でしょうか?」

 若葉が、買い物袋を確認しながらウェンディに尋ねた。

「はい、必要な物は全て買いました。

 あとは、紅蓮さんが『各自で必要な物があるなら買っておけ』

 だそうです」

「じゃあ、一旦宿に戻ってから、各自で行動という事で」

「サンセー。」

 ティナの案に、フィリーが同意した。

「じゃあ、フィリーさんは私と」

「なんで若葉と一緒なの?」

「紅蓮さんが、『絶対に一人になるな。』と、言ってました」

 そうである、若葉はバットウェポンとして、料理が下手(いや、下手以前の問題かアレは。)・極度の方向音痴であり、説明しても、近くなのに『右を曲がって……』と言ったにも関わらず、左に行こうとしていたので、もう救いようの無い?方向音痴なのだ。

 いや、これは書きすぎか・・・すいません、若葉ファンの皆様。

「た、たしかに……」

「で、では、宿に戻りましょうか」

「そうですね、それから後の事を考えましょう」

 

 

 

 

 そして夜八時すぎ(目測で)、バイトは終了した……が。

「つ、疲れた~。」

 さすがに俺もバテた。

「は、働く事って大変……なの……ね(カク)」

 レミット(居たらしい)も、何かを悟った感じで燃え尽きていた。

 

 あ~あ、アイリスさんも燃え尽きてるよ。

 

 カイルは――

「…………」

 ぶっ倒れてた。

 そうとう濃い仕事をやらされていたんだろう。

 

ちょんちょん。

「ん?」

 肩を突っかれたので、振り向いた。

ぷにゅ

「やあ、バイトくん。よく生きてるね、あの三人は生きる屍になってるのに。……あんた、化け物?」

 よく肩を叩かれて振り向くと、そこに指があり、頬に刺さるイタズラをやられたあとに、化け物扱いとは……酷いな。

「…………」(怒+泣)

「あ、あは、あははははははははは……ごめん」

 威圧感に耐えかねて謝ってくれた。

「バイト、今回の給料だ、受け取れ」

 給料が差し出され、受け取ったら――

 

――ずしん

 

 お、重!なんだこの重さは!?

 

「あ、あの!いったいいくら下さったんですか!?」

「ああ、珍しく生き残っていたからな、奮発しといたよ」

「あ、ありがとう御座います!」

「バイトくん、また今度……」

「あ、すいません。……旅の途中なので、もう来ないかもしれません。」

「ええ!?」

 何故か、給料を渡したおじさんまで驚いてた。

「そんな!せっかく生き残った奴に出会えたと思ったのに……残念だ」

 うわ、凄い落ち込みよ!

「うう、タフな後輩が出来たと思ってたのに」

 こちらも、負けてないよ。

「え、え~と」

 俺がアタフタしている内に、誰かが来た。

「君が紅蓮くんかね?」

「は、はい、そうですが……どちら様ですか?」

 その問いが受けたのか、笑いながら答えた。

「私はココの責任者のガリオルと申す。

 今回のバイトの件で話があったのだが……。

 聞くまでも無いか」

 落ち込む二人を見ながら答えた。

「すいません」

 俺はとっさに謝った。

「いやいや、君が謝ることは無いんだよ。

 人は、それぞれの都合があるからね」

 なんだか、悲しそうな顔が一瞬だけ、見えたような気がした。

「また、いつかここのバイトに、来てください」

「……また、いつか」

 

 

 

 そうして、事務所をあとにした。

 

 

 

「……また……か」

 もう、ここには来ないかもしれない。

 一様、元の世界へ戻らなければならないのだから。

 そして、歩きながら空を見上げた。

(今日は、星が綺麗だ)

 宿へ帰る、仲間たちの元へ。

 

 

 

 

 

 

「そこのアンタ」

「ん?」

 ふと、誰かに呼ばれたので、振り向いた。

「あんたは!?」

「ふむ……久しぶりじゃな」

 そこには、あの時の占いじいさんがいた。

「いきなりじゃが、お前さんに渡しておきたい物があるじゃが」

「俺に渡したい物?」

 そして、俺に手を差し出した途端、その手から『籠手』が出てきたが、しかし・・・。

「何故、左手だけ?」

 そう、老人の手の上には、少しゴツイが、左手の籠手しかなかった。

「この籠手は、左手しか存在しないんじゃよ。防具としては欠陥品じゃが、能力のサポートには最高じゃ。」

 全体は明るい緑色で、取り付け部分は、黒くなっていて、手の甲の部分には透き通った青色の球(大きさは、俺の甲より一回り小さい)がはまっている。

「すごいな・・・、この籠手。」

 俺は、つけた途端に、この籠手が相当な力が宿っていることに気がついた。

「小僧、使い方はお前さん次第じゃが・・・・・、一歩間違えれば、そこには屍しか生まないからな・・・・。無理に使う必要は、無いならな。」

 そういい残すと、その場を去っていった。

「ま、待ってくれ!あんたには、聞きたいことが・・・・。」

 しかし、路地へ歩き出した老人は、闇に解けていくように、消えていた。

「・・・・・・本当に、何者なんだ・・・・、あのじいさんは・・・。」

 その言葉は、冷たい路地の風に、消された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……しかし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この籠手が、新たなる戦いへの、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幕開けとなるとは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

想像もしていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

……to be continued




 やはり、文章能力の低さに苛立ちを、覚える。
 このままだと、どの位で終わるかな……。
 まともに、プロットも書いてないし……。
 駄目駄目作者ですが、今後も宜しくお願いします。
 感想をください。
 BBSでもいいので(泣)






ショートコント
作「今回も来ました!」
九羅香(以後・九)「相変わらず短いね。」

グサ!(クリティカル+自滅=9999999999999999999999999999999999999ダメージ)

九「うわ!HPカウンターが何度も振り切れてるよ!」
リ「ほっといても大丈夫だから。」
九「そんなものなの?」
シ「そんなものですから。」



ライアングス(以後・ラ)「生きてるか?」
作「……なんとか。」
ラ「ギャグに変更したら?」
作「この話と、今さっき書いた奴(少女義経伝弐~時を超えた契り~・時空を越えし者)が終わったらな」
ラ「また書いたのかよ、というか貰い物も早く打てよ」
作「うん。てか、エタメロ終わったあとは、新シリーズがスタートするから」
ラ「はい!?」


終わり





制作開始:2005/5/1~2005/6/18+2005/7/8

打ち込み日:2005/7/8
公開日:2005/7/8

改正日:2005/7/22+2005/9/2
変更日:2008/10/23
修正日:2006/2/13


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悪しき者と目覚める力

第三話
魚のことでケンカしてしまったウェンディと紅蓮。
だが、シーラを送る途中で、本人の意思で寄り道をする。
そして、飛び出していったウェンディを探してる時、不思議な事が起きる。
見たこともないモンスターの遭遇で……。



 ウェンディとケンカした。
 おおいにケンカした。

 原因は、近くの川で獲ってきた魚を食べる、食べるなで皆VSウィンディとなった。

 何故こうなったかというと、ウェンディは大の魚好きで、(食べるのが好きではなく)魚に手を出すとこんなことになってしまう。
 しかも、三回目なので、彼女も相当怒っていた。

 だが、俺は
「魚しか食べない状況になった時に、食べるなといったら、俺たちに餓死しろといっているような状態なんだぞ。
 俺たち人間が生きることは、多くの犠牲が成り立って生きているんだ。
 たとえば、豚肉は豚、米・麦は植物、といったものたちが、犠牲になっているんだぞ。
 魚好きという理由で、魚を食べるなと言うのはおかしいはずだが…」
と、抗議したら
「もう付いて行けません!」
 と言って、泣きながら森の奥へ行ってしまった。



 そのあと、フィリー・若葉・ティナに散々怒られて、ウェンディを追いかけた。


「……こ、ここは?…う!」

 目覚めたら白い天井が、目に入った。

 そして、起き上がろうとしたら、全身に激痛が走った。

「!!紅蓮さん、まだ起きてはいけません!」

 ティナが近くにいたらしい。

「う、くぅ……、ここは?」

 ティナにもう一度尋ねた。

「ここは、あの時森でキャンプした場所から、一キロはなれた場所にあった町の病院です。」

 そういえば、あの時ウェンディを追いかけて…、そのあと………!

「ウェンディは!」

 とっさに思い出して聞いた。

「ええ、大丈夫ですよ。

 特にケガはありませんでしたし、異常はありませんでした」

「そうか、よかった」

「よかったではありません!

 一歩間違えば、死んでいたかもしれないんですよ!」

「………すいません」

 謝る紅蓮。

 

 まあ、仕方ないか…、あんなことになったんだからな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その出来事は、ウェンディを追いかけていったあとのことだ。

 

 

 

 

 

 

「はあ、はあ、はあ…ったく、何所までいったんだウェンディの奴。さすがに暗いと、こう視界が…。」

 

 

“アッチ”

 

 

(!?)

 俺は、慌てて辺りを見回したが、誰もいなかった。

(気の…せいか?)

 

 

“アッチだよ”

 

 空耳をあてにするほどバカではないが、何故かウィンディの存在を感じ取れた。

 俺は、走り出した。

 精霊魔法「ウインド・ウイング」を唱えてないのに、もの凄いスピードで走り…いや、跳躍(瞬間移動に近い)してた。

 そして、大きな木の根の辺りでしゃがんで泣いているウェンディを見つけた。

 

 

 

 

 

(紅蓮さんのバカ!私が魚が好きなことわかっていて、あんなことするんですから!)

 ウェンディはひたすら走った。

 しかし…不意に足が止まった。

「……ここ、どこだろう?」

 闇雲に走ったために、方向を確認するのを忘れていた。

「ど、どうしよう……このまま一人でここに…?」

 みんなのところへ戻ろうと考えたが、先の件もあって、どうすればいいか分からなくなっていた。

「……う、うう、ぐすん、皆……紅蓮さん……」

「呼んだか?」

「え?」

 不意に顔を上げるとそこには、紅蓮がいた。

 

 

 

 

「まったく、考えなしに飛び出すなよな。皆が心配しているから、戻ろうぜ。」

 紅蓮は、そう言いながらウェンディに手を差し出した。

「………ほっといてください…」

 そういうと、顔をプイっと横に反らした。

(うん~~、ここからどうしよう……?

 日が浅いのは判るが、共同しているから、一人のために魚類全般ダメとはいかないのを判ってくれればいいのだが…)

 ウェンディを見つけることが出来たが、どうやって連れて帰るか、考えていなかった紅蓮。

 

 

――ガサ

 

 

 

(!?)

紅蓮とウェンディは、音のする方を向いた。

「なっ、なんですか?」

「も、モンスターか?」

 二人同時にパニくってしまった。

 だが――

 

 

「みやー」

 

 

 

 そこには、猫がいた。

 そして二人は安心し、ホッと息を吐き、顔を見合わせて笑った。

「おいで」

「みやー」

 ウェンディは猫を呼び、猫をそれに従いこちらに来たが――

 

 

バシュー!

 

 

 

 ウェンディの視界の風景が、一瞬だけ赤く染まった。

 そう、猫が一瞬で巨大化し、化け物となりウェンディに襲いかかろうとしたので、俺が盾となり庇おうとしたが、背中を爪で引き裂かれた。

 

 

「い、いやあああああああああああああ!」

 

 

 

 ウェンディの悲鳴が、こだまする。

 だが、紅蓮は動くことはできなかった。何故なら、モンスターの爪に、毒が付いていたらしく、体が麻痺し、意識が朦朧としていた。

 

 

 

 

 

 

“・・ろ”

 誰かに呼ばれた。

 だが、知っている者の声ではない。

(誰だ?)

“・きろ”

(誰だ、お前……)

 もう一度聞き返した。

“起きろ!”

 強い口調と同時に、視界が真っ白になった。

 

 

 

 

 

 

――ドクン!

 

 

 誰かに「起きろ」と言われたと思ったら、急に体中が熱くなってきた。

 

 

 

 

「あ、あ…ああ……い、いや……こ、こないで」

 ウェンディは、とうとうモンスターに追い込まれた。

 すぐに逃げればよかったが、紅蓮を見捨てることが出来なかった。

「グアアアアア……」

 モンスターは、ウェンディを見ながら涎を垂らしながら吼えた。

 そして、モンスターは、ウィンディに襲いかかろうとした。

 

「おい」

 

 

 モンスターは、後ろから不意に声がかかったので、反射的に向いた。

 

 そして、思いっきり頬を殴られて、(ウェンディから見て)左の方へ吹っ飛んでいった。

 モンスターを殴った者は――

 

 

 

 

 

 

 

「紅蓮さん!?」

「すまない、ウェンディ。すぐにケリを付ける」

 そういうと、すぐにモンスターの近くにいった。

 だが、紅蓮が来たと同時に起き上がり、爪でカウンターを放った。

「紅蓮さん、避けて!」

 しかし、紅蓮は空中にいるため、ほぼ回避不可能だったが、モンスターの爪は空を切った。

「グア――ぐばぁ!」

 そして、消えたはずの紅蓮が、真横から現れて、また頬に蹴りを入れた。

「ええ!?」

 ウェンディも、状況が把握できていなかった。

 何故なら、魔法を使用すれば、呪文を唱えなければならない。

 だが、紅蓮は違った。

 紅蓮は、呪文を飛ばして魔法を発動できることは、知っていたが、魔法の名前を言わなければ、発動はできない。

 それに、瞬間移動の空間魔法は、高等魔法の一つで、まだこの世界に来てから一、二ヶ月しかたってないのでマスターできる魔法ではない。

 そのことだけに、今紅蓮がしている出来事が、よく理解できていなかった。

「グアアアアアアアアア!」

 蹴り飛ばされたモンスターは、何とか踏みとどまり怒りの遠吠えが、森中に響き渡る。

 吼え終わった途端に、モンスターは紅蓮目掛けて、一直線に突っ込んでいった。

 だが、紅蓮は慌てずに、普通に立ち、両手を前に差し出した。

 そして、魔法を唱え始めた。

 ウェンディは、ふと思い出してみたが、今まで聞いたこともない呪文を耳にした。

 

「我が体は暴君があり、手には風が舞う、その風、嵐となりて、立ちはだかる存在を吹き飛ばさん――トルネード・インパクト!」

 

 呪文を唱え終わると、両手に風が巻きついていったが、その風を思いっきり地面に叩きつけた。

 その風は、もの凄い勢いでモンスターに飛んでいき、次の瞬間、竜巻みたいな風に飲み込まれ、それが通り過ぎた時には、モンスターの姿は何所にもなかった。

 

 

 

 

 

 一部始終を見ていたウェンディは、すぐさま恐怖を覚えた。

 モンスターに襲われた恐怖とは、段違いのモノだった。

 

 

 そして、モンスターもいなくなり、辺りは静けさを取り戻した。

 

 

 恐怖で怯えていたウェンディだが、次第に和らいでいき、一息ついたところで紅蓮に尋ねた。

「…あ、あの……ぐ、紅蓮…さん?」

 だが、返事は返っては来なかった。

 そして――

 

――ドサ!

 

 

 紅蓮は突然倒れた。

 そのあと、泣きながら紅蓮の名を読んでいたウェンディを発見した、フィリーたち(ロクサーヌもいます。)に発見されて、近くの町の病院まで担がれていった。

 

 そのあと、気がついた紅蓮は、ティナに叱られ、次に若葉、フィリー、ロクサーヌまで怒られてしまった。

 ウェンディは、怒りながら泣きついた為、紅蓮は相当参っていた。

 医者からは、「女に心配をかけるな」と言われてしまった。

 あと、背中の傷跡は、神父様の神聖魔法でも直らなくて、一生残る痕だと言われた。

 魔法ギルドも、同じ回答だった。

 しかし、一番気になったのは、あの時に襲ってきたモンスターのことだった。

 図書館や魔法ギルドの魔道書、生態研究のレポート、自警団や役場の資料を見せてもらったが、どれにも載っていなかった。

 その後、町で買い物を済ませ、宿で寝ようとしたが、全然眠れずにいた。

 正体不明のモンスター、あの時の二つの声、知らない魔法…。

 一度に起きたことが多すぎて、頭の中がこんがらがっていた。

 ああでもない、こうでもない。

 色々考えていたが、次第に意識が消えていった。

 そして、俺に眠る力と出逢った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“こんばんは”

「誰だ?」

 見知らぬ空間で、白緑色の発光体に出逢った。

“敵じゃないよ、あなたの力だよ”

「俺の力?」

“そう、あなたの力。あなたは、特別な存在になったの”

「特別な存在?」

“そうだ”

 

 別の声が出てきた。

 振り向くと、朱色の発光体があった。

 

「お前は?」

“我が名は、暴君の王”

“あ、私は空の王、宜しく”

「暴君の王と、空の王?」

“そうだ、暴力を司る王、空を司る王”

「何故、王が俺の中にいるんだ?」

“本来は、人間が持つべき力じゃなんだよ。あなたが、この世界に飛ばされた時に、何らかの原因で取り込まれてしまったらしいのよ。司る王たちの力の一部が、ね”

 

 空王は、ウインクをしながら問い掛けに答えた。

 もう少し聞こうとしたが、空間全体が急に歪んだ。

 

“そろそろ時間か”

 

 暴王が、そうぼやいた。

 

 

「時間って?」

“なに、お前が起きるだけのことだ”

「俺が、起きる?」

“ええ、ここはあなたの精神世界。寝ている間だけ、あたなが来れる場所。だけど、当分は来れないの”

「何で来れない?俺の精神世界なら――」

“残念だが、まだ完全に覚醒できた訳ではない。今状態では、我々の力は強すぎる。だから、しばしの別れだ”

“またいつか、会いましょ”

 

 そういい残すと、二つの発光体は、消えていき、空間も崩壊し始めた。

 そして――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございます、紅蓮さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前には、笑みを浮かべたウェンデイがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、誓った……どんな事があっても、ウェンディを守り抜くと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……to be continued




作「久々の新規!」
ラ「すっごく遅かったな」
作「2005/8の終わり頃の日記のように、色々なモノを書きすぎて、アタフタ状態に」
ラ「計画性を持て…、ところで一つ聞いたんだが」
作「なんだ?」
ラ「エタメロ終わったら新シリーズスタート、とか言っていただろ」
作「ああ、それね。
  実は、エタメロの冒険から半年~一年後の話で、それ以上は言えない」
ラ「・――ごはっ!」(殴:聖具・黄金の→
作「悪いな、一言だけでも判る人は判るから」



END





制作開始:2005/何時だか忘れた~2005/9/2

打ち込み日:2005/9/2
公開日:2005/9/2

変更日:2008/10/23
訂正日:2006/2/13


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騙した者、騙された者

第四話
初の前中後編シリーズSS。
ある夜、謎の声の問い掛けに答え、操り人形と化したリリト。
紅蓮は、王々の力を使い『魔法体術』を生み出し、制御の練習をするが、皮肉にもすぐ実戦で使うことになった……。



 何時からだろう、人間を信じられなくなったのは……。
 私の名は、リリト。
 前に、若葉という人間の娘と、その仲間たちと出会い、戦った。
 そして、負けた…。
 だが、連中は私にトドメを指さずに生かした。
 私は、屈辱と敗北感に包まれた。
 でも若葉は、私に「生きろ」と言った…。
 とても久しぶりだった、人間……いや、他人にああ言われたのは。
 けれでも、私は人間を信じない。
 今度こそ、後悔させてやるつもりだ。
 今度こそ、今度こそ……。
 そう思いながら、夜空が綺麗に見える丘に座り込んでいた。

(ククククク……ならどうしたい、魔族の女よ)


 いきなり頭の中に、声が響いた。
「だっ、誰だ!」
 慌てて臨戦態勢をとるリリト。
 しかし、テレパシーの一種の魔法で問い掛けてきた為、姿を確認することは出来なかった。
(ククククク……手を組まないか?)
「手を…組むだと?」
 リリトの眉が少しだけ釣り上がった。
(そうだ、話に乗れば色々と手を貸す)
 少し迷ったが――
「……わかった、話に乗ろう――く!」
 頭が急な激痛に襲われた。
(交渉成立だな、リリトよ)
「ぐ、がぁ…ああ、っく、が!」
 そして、リリトは意識を失った。


「――エア・ドライブ!」

 見た目は跳び蹴りだが、足を突き出した瞬間、紅蓮は十数メートルを音速で飛んだ。

 足には風魔法-空王の力-で生まれた、魔法体術である。

 ちなみに、魔法体術は紅蓮と王々の力で生まれた体術みたいなモノである。

「ふう、大分なってきたな」

 時間的には朝の6時くらいで、朝の鍛錬中である。

 さすがに仲間でも見せる訳にはいかなかった。

 あの時、ウェンディを助ける為に無意識で放った魔法だが、制御もまた無意識だったので危険極まりないかつ、あの成功がまた出せるほど簡単ではないことも肌で感じ取っている。

 その為に、まず両手両足に風を魔法で巻きつかせて、攻撃(打撃系)に乗せて攻撃力を増させる方法を考え付いたのだ。

「ぐれ~ん、ご飯が出来たよ~!」

 フィリーが声を出しながら知らせに来た。

 紅蓮はすぐに魔法を解除した。

「ああ、今行く!」

 そして仲間の元へ、走っていった。朝食を食べに。

 ちなみに今日の朝飯担当は――

 

「ウップ!」

「うぐ!」

「まず!」

「ぶぁぐあ!」

――どさ

 ○月▼日、午前6時38分、紅蓮の腹・重症。

 原因:手作り料理

 

「ぐ、紅蓮さん!?皆さん、ええ!?」

 

――紅 若葉だった。

 

 

 

「ふ~、死ぬかと思った」

「うう、そこまで言わなくても……」(泣

 と、若葉がヨヨヨと泣き出した。

「若葉さん、大丈夫ですよ。焦らずに練習していけば、何とかなりますから」

 ティナが慰め始めた。

「フィリーさん」

キイ!

「フィリー、ウィエンディ、頼むからあまり喧嘩しないでくれよ」

 そういいつつ紅蓮は、次の街までの距離を確認するために意識を高め、空王の力を使い始めた。

 まずは、基盤をイメージした。

(――地形、周囲検索、マップ構成)

 ここまでで、大間かな見取り図を構築し、そのまま検察を続行。

(――人の波動検索、距離算出)

そして――

(――見つけた!)

「おい、みん…な……」

 振り向きながら読んだが、紅蓮を呆れさせてくれる状況に発展していた。

「――ですから、フィリーさんはいつもいつも――」

「――なによ、アンタだって出会った時は人が――」

「――え~ん、ティナさ~ん!うっぐ、ヒック――」

「――あ、え、あ、わ、若葉さんしっかりして――」

 この時状況が、こうマリエーナ歴史書物の一つにこう記されていた。

――呆れかつ、本当に大丈夫だろうか――

《第15章節・第三マリエーナ王国女王のご友人・紅蓮の日記の一部より》

 

 

 

 言い争いと若葉を泣き止ますことに成功した紅蓮は、次の街に行こうとしていた時に老人に呼び止められた。

「お前さんら、街に入るのか?」

「ええ、そうですが何か?」

 その言葉に老人は、顔を青くした。

「今は、止めたほうがええ。なんせ今、あの街は魔族の女に占拠されているからな」

「なんだって?」

「それは本当ですか!?」

『うお!』

 紅蓮と老人は、いきなり現れた若葉にほぼ同時に驚いた。

「どうしたんですか?」

 首を捻る若葉。

「い、いや、なんでもないから……で、どうしてこんなことに?」

「あ、ああ、そうじゃな……あれは、二日前の出来事だった」

 

 

 

 いつもと変わらぬいい天気の日だった。

 ワシは偶然街の外に散歩に出ていたから、難を逃れることができのじゃよ。

 あれはたしか……昼前の時に起きたのじゃよ。

 いきなりモンスターが街を襲撃して来たのは。

 その日は自警団の連中は、全て出払っていたから陥落するのもあっというまじゃった。

 人為的被害は無かったものの、食べ物などはほとんど全滅じゃ。

 若い者は、他の街に救援を呼びに行き、血の気の多い者は戦いを挑んだが全滅じゃよ。まったく、先走りおって。

 おかげで薬も不足する状態になっていまい、もう八方塞がり。

 

 

 

「と、言う訳じゃよ……だから、はよ立ち去ることのじゃ」

「駄目です!」

 即答で若葉が叫んだ。

「いくらなんでも、こんな状況を見過ごすわけにはいきませんよね、紅蓮さん!」

「…………」

 紅蓮は街の方を見ていた。

「紅蓮さん?」

 若葉は心配そうに紅蓮を見た。

(空王・ディメンティア、状況は?)

“え~と、モンスターの配置はバラバラに見えるけど……上手く誤魔化しているわ。しかも、数は全部で50以上いるし”

(50か……種類は?)

“まずオオカミ、しかも全部珍しい「狩猟オオカミ」に、オーガー、ガーゴイル、あと不明が一体と、前に会ったリリスがいる”

(リリスか……若葉の言葉は届かなかったのか)

“違う”

(暴王・ジェサイア)

“リリスという魔族の女は、何者かに操られておる。モンスター全てを相手にするのは酷だが、若葉筆頭に囮になってもらうしかない”

(だが、俺が抜けた穴は誰が塞ぐんだ?)

“大丈夫だ、少しは仲間を信じてやれ”

(……わかった)

「・・ん・・ん、す~う、ぐ・れ・ん!!!!!!!!!」

「――――!」

 耳元で(しかもゼロ距離で)怒鳴られたので、耳を押さえながら地面に蹲っていた。

「紅蓮、いつまでボケーとしてるつもりよ!さっさと若葉を追いかけるわよ!」

「へ?若葉の奴、先走りやがったのか?」

 間抜けズらで聞き返した。

「そうよ!だからティナとウェンディがあとを追いかけていったわよ」

 呆れ口調で言った。

「フィリー、頼みがある」

 

 

 

 その頃、若葉達は――

 

「おい、酒持って来い!」

「はい、ただいま!」

「おめえ、料理はまだか?」

「少々おまちください」

「お酌してくれや~ヒック」

「い、忙しいのでまたということで」

 

 モンスターの宴会所で酔っ払ったオオカミに、ウェイターと間違われていた。

 

 

 

 

 

「ええ!紅蓮はどうするつもりよ!?」

「この騒ぎを起こした奴をボコってくる」

「ボコるってちょっ、紅蓮!」

 フィリーに止める間も無く、紅蓮は街の中に消えていった。

「もう、勝手なんだから!」

 怒りながらフィリーは、紅蓮の作戦を伝えに若葉たちを探し始めた。

 

 

 

「さてと……おい、さっさと出てこいよ。――操妖術師」

 鞘から刀を抜きながら隠れている奴に叫んだ。

「よく見破ったな紅蓮よ……我が名はサルフ――おわ!」

 容赦無く紅蓮は、横一線を放った。が、ギリギリのところをバックステップでかわされた。

「おい待てよ!せめて名前くらい名乗ら――ごは!」

 そのまま踏み込んで体当たりをした。

ズサササササササ!

 操妖術師は、紅蓮の不意打ちを何とか踏み耐えた。

「ちい、テメェ~がその気なら……こちらも行くぜ!」

 操妖術師の周りから、チィーンソウが四つ浮かんで現れた。

「こいつは『ギア・チェーンソウ』というマジックウェポンの一つだ!しかも、所有者以外の操作は受け付けないからな!」

 

 マジックウェポンとは――

 魔法武具で、手で持たなくても宙に浮かんでいる。

 なを、使用する時は魔力の波長と脳波の両方を合わせる必要がある。

 魔力の波長だけだと、レベルの高い魔力の使い手は、他者の波長に制御できるために、奪われてしまうのを防ぐための二重ブロックだからだ。

 

「くらいな!」

「く!」

 四つのギア・チェーンソウが、四方八方から飛んできた。

“――真上、左、右斜め上、後ろ!”

 ディメンティアが攻めてくる方向を教えてくれた。

「うおおおおおおおおおお!」

 まずは真上を弾き、そのまま操妖術師のところに突っ込んでいった。

「あまい!」

 そういうといきなり地面からモンスターが現れた。

「なに!?」

 すぐさま立ち止まったが、相手に隙を与えてしまった。

「もらった!」

 がら空きになった背後に、ギア・チェーンソウが飛んできた。

“後ろだ!全部で四つ、全部かわしてみせよ!”

「くそ、むちゃくちゃだぞジェサイア!」

 振り向くと既に距離が無く、とてもかわしきれる自信はないが、ふとある事を思い出した。

 そして――

「――エア・ドライブ!」

 音速の速度での跳び蹴りは、さすがのマジックウェポンも後退を余儀なくされた。

「な、なんだその魔法は!?」

 さすがに相手も動揺した。

 なんせ紅蓮オリジナル魔法体術は、跳び蹴りと風魔法を合わせたのだから。

「よっと……なんだ、あのモンスターは?」

 武器の包囲網から抜け出し、もう一度振り向くとそこには見たことないモンスターがいた。

 全体的には生物の感じだが、全て機械できてることが一目でわかる。

 あとは、この世界のモノではことは確かだ。

「こいつは『パイロン』という生態兵器らしい。こいつが一機あれば、一夜で村や町が二つ三つ殲滅できるらしいが、こん――」

 奴の薀蓄(うんちく)などどうでも良い。問題はあのパイロンという兵器だ。

 大きい差はオーガーより小さが、それなりの大きさを有していた。

 しかも、右腕の籠手が奴に反応している。まるで、『危険』と震えているようだった。

 だが、俺は引くわけには行かない。

 リリスを助けるために、ワザとフィリーに若葉たちだけでこなすことのできる作戦を提案したのだから。

 ここで悟られる訳にはいかない。

「――と、まあこんな感じだ。どうだ、降参する気になったか?」

「……悪いな、お前はここで負けるのだから。何故降伏なんかしなきゃならんのだ?」

――ピク

「ほう、ならここで散るがいい!行け、パイロン!」

「グオオオオオオオオオ!」

 パイロンが吼える終わると同時に突撃してきた。

「短気に即効かよ!」

 突撃をかわし、後頭部に蹴りを入れ、エア・ドライブを叩き込んだ。

ドゴーン!

「グオア!」

 だが、体制を保ちながら踏みとどまり、背中にあった六枚のプレートが飛んでいった。

「なに!?」

 俺は慌てて離れたが――

――ドン!

「ぐああああ!」

 左足に、火の魔弾をくらった。

 そのままパイロンに足を掴まれて、

「グオオオオオオオ!」

 瓦礫に叩きつけられた。

「がああああああ!」

「グオオ~オ!」

 そして、ひたすら瓦礫、建物の壁などに叩きつけていった。

「ふははははは、紅蓮、無様だな!そのまま死ぬがいい!」

 魔法で起死回生を図ろうとしたが、気づいたときには魔力が皆無だった。

 奴には、他者の魔力を吸収する能力があるらしい。

 永遠とも思える叩きつけだが、終わりが近づいてきた。

(あ、が、くそ、もう痛みも感じない……声もでない……。このまま、ここで死ぬのか……)

“死なない”

(何?)

“その通りです、あなたはまだ死にません”

(この状況をどうしろと?魔力がパイロンという兵器に吸収されたし、体力も限界……これ以上、何がある?)

“名を叫べ”

“そう、我々『森王』と『鎖王』の名を”

 パイロンは口を開け、エネルギーをチャージし始めた。

「はあ……はあ……森王・リフテリア、鎖王・チェングラウン……」

 

コレが新たなる王々の力の目覚めだった。

 

 

 

 

――街の外

「な、なんじゃあの光は!?」

 街に入る前にあったおじいさんが叫んだ。

 次第に、まばらに座り込んでした人たちも気づき、騒ぎ始めた。

「わしらの街で、いったい何が起きようとしておるのじゃ……」

 その光は、二箇所から同時に輝いたものだった。

 

 

 

――若葉一同

「リリトさん、もうやめてください!」

 若葉はそういいながら、リリトに突っ込んでいった。

「うおおおおおおお!」

 リリトはライトニング・ジャベリンを放ってきた。

「若葉さん、下がって!」

 ティナはありったけの魔力を使って、シールドを張った。

バチバチバチバチバチ!

「ええ~~~~い!」

 いつの間にか、後ろに回りこんでいたウェンディが後頭部目掛けて、どこからか拾ってきたフライパンで攻撃をした。

ガシュン!

 だが、リリトの振り払いでフライパンの取っ手以外の部分を持っていかれた。

「ウェンディさん、上手く避けてください!」

「いっけ~~~~!」

 若葉は、フィリーが紅蓮から作戦用に貰っていたマジックアイテムを投げた。

 そしてリリトの手前で弾け、閃光が駆け抜けた。

「ぐああ!」

(今だ!)

 そのままウェンディは、サングラス(これもまた紅蓮から)を素早くかけて、思いっきり後頭部を殴った。

「ぐがあ!」

 相当効いたのか、そのまま倒れこんでしまった。

 次第に光が弱まり、若葉とティナが目を開け始めた。

 そして若葉は足早に、リリトに駆け寄った。

「リリトさん!リリトさん、しっかりして下さい!」

「……う…うあ、ああ…わ・わか……ば…」

「そうです!若葉です、大丈夫ですか!?」

 若葉の答えに、警戒をといた二人と「今までどこにいた」と小一時間問い詰めてみたいがあえてやめとくフィリーが集まってきた。

「わ…かば……私は一体なにを…」

「それは――『ドゴーーーーーン!』」

 いきなり別の場所で爆発が起きた。

「な、なんですか!?」

「まさか…紅蓮さん!」

 ウェンディが爆発の起きた方向へ駆け出した。

「ウェンディさん、危険です!」

「ああもぅ!私が付いていく!」

 フィリーがウェンディのあとを飛んで追いかけた。

 

 

 

……to be continued




作者「ひさびんの続きだよ。」
紅蓮「作者、まず敵の名は?」
作者「まずはオリジナル敵キャラの本名は、『サルフォン・X・クラッキー』です」
紅蓮「もの凄い名前だな」(汗
作者「まあ、敵でもカッコいい名前をつけようかと」
紅蓮「でも今回は調子がいいな」
作者「まあね、プロットができたから、これ以前の話を書き直そうかと思い始めたから」
紅蓮「そうか……ってプロット最近できたのかよ!」
作者「あ、しまった。まあ、行き当たりばったりに近い状態だったけどね」(笑
紅蓮「呆れてもの言えん……そういえば、第三の魔宝は?」
作者「すまん、手違いで先に書いちゃった」
紅蓮「アホ、本来は第四の魔宝を手に入れた話だろうが……」(呆
作者「後編は二つの王々の力の覚醒だよ」
紅蓮「ああ、名前は確か無かったはずだが?」
作者「無いと面白みが無いから考えた」
紅蓮「この作者は、こう行き当たりばったりなんだろうか」
作者「12月に入るまでにまたは、1月には、後編を書き終えたいです。
   クリスマスネタの話も書きたいし」
紅蓮「いつになったら終わるかな?」
作者「一応続編控えてるから、2006年2月中旬までには終わらせたい」
紅蓮「ならサボるなよ」
作者「ウッス!」

END




制作開始:2005/9/3~2005/11/20

打ち込み日:2005/11/20
公開日:2005/11/20

変更日:2008/10/23
訂正日:2006/2/13


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騙した者、騙された者・中編

第五話
初の前中後編シリーズSS。
ついに緑王、鎖王の王々力が覚醒!
紅蓮の反撃、空王の真の力が発動する。



「ふははははは、紅蓮、無様だな!そのまま死ぬがいい!」
 魔法で起死回生を図ろうとしたが、気づいたときには魔力が皆無だった。
 奴には、他者の魔力を吸収する能力があるらしい。
 永遠とも思える叩きつけだが、終わりが近づいてきた。
(あ、が、くそ、もう痛みも感じない……声もでない……。このまま、ここで死ぬのか……)
“死なない”
(何?)
“その通りです、あなたはまだ死にません”
(この状況をどうしろと?魔力がパイロンという兵器に吸収されたし、体力も限界。これ以上、何がある?)
“名を叫べ”
“そう、我々『森王』と『鎖王』の名を”
 パイロンは口を開け、エネルギーをチャージし始めた。
「はあ……はあ……森王・リフテリア、鎖王・チェングラウン……」

コレが新たなる王々の力の目覚めだった。


「な、何なんだ!?」

 操妖術師は叫んだ。

 パイロンが紅蓮にトドメをさそうとしていた矢先に、紅蓮が光を放ったのだ。

「グオア!?」

 パイロンもすぐ紅蓮を放して距離を置いた。

 さすがに危険を感じたんだろう。その光には多大な魔力を放っているのだから。

 

 

 

“リーフ・ヒーリング”

 リフテリアが、回復魔法をかけてくれた。

「すまない」

“礼には及びません。さあ、共に戦いましょう。あのパイロンという、この世界のバランスを壊そうとする者を”

「ああ、行こう……チェングラウン!」

“なんだ?”

「俺に力を貸してくれないか?」

“愚問だ、何故拒む必要がある?”

「すまない、失言だった。……行くぜ、パイロン、操妖術師さんよ!」

 光のカーテンを突き抜け、そのままパイロンに突進した。

「なに!?」

「!!!?」

 両名共に、あの光から不意打ちが来ると読んでいたが、ケガも魔力も全回復で出てきたため、動揺した。

「――Restraint of a chain(鎖の束縛)!」

ジララララララララ!

「グオガア!」

ガシン!――ぶおん!

「うおおおおおおおお!」

 パイロンの胴体と腕を纏めて縛り、そのまま壁に投げ飛ばした。

「ガa――『どがががががーん!』」

 直撃、そのまま瓦礫の下に埋もれた。

 だが――

ドガーーーーン!

「ゴオオオオオオオオオ!」

 遠吠えを上げるや否や、背中のプレートが飛んできた。

 そして六枚が接近せずに、魔弾を撃ってきた。

「――Guard of a chain(鎖の守り手)!」

ドドドドドド――ババババババシュン!

 魔弾を全弾弾き、そのまま魔法を放つ。

「――Rule of a chain(鎖の支配)!」

 五本の鎖が手で物を掴むように、パイロンを鎖で巻いた。

「――Existence compressed(圧縮される存在)」

「ゴォアアアアアア!」

 

――ガシュアァァァァァァァン!

 

 パイロンの体が粉々になった、そしてそのまま大爆発を起こした。

 

 

 

「リリトさん!リリトさん、しっかりして下さい!」

「……う…うあ、ああ…わ・わか……ば…」

「そうです!若葉です、大丈夫ですか!?」

 若葉の答えに、警戒をといた二人と「今までどこにいた」と小一時間問い詰めてみたいがあえてやめとくフィリーが集まってきた。

「わ…かば……私は一体なにを…」

「それは――『ドゴーーーーーン!』」

 いきなり別の場所で爆発が起きた。

「な、なんですか!?」

「まさか…紅蓮さん!」

 ウェンディが爆発の起きた方向へ駆け出した。

「ウェンディさん、危険です!」

「ああもぅ!私が付いていく!」

 フィリーがウェンディのあとを飛んで追いかけた。

 

 

 

「のああああ!」

 操妖術師は、パイロンの爆発寸前に物陰に隠れてた。

 そして、少し視界がよくなったところで恐る恐る見ると、煙でほとんど見えなかったが悲惨な状況だということが分かった。

「ふ、ふふ…ふはははははははは!ついにやったぞ、この俺が、この俺が紅蓮を倒したんだ!」

「紅蓮さーーーーん!」

「ぐれーーーーーん!」

 ウェンディとフィリーが走ってきた。

 しかし、二人は途中で立ち止まり、絶句した。

「なに…コレ?」

「どうすればこんな状況に?」

 当たり前だ、こんな悲惨な状況を見れば、誰もが絶句する。

 建物は壊れ、地面は抉れ、挙句の果てに砂煙が上がっている。

 モンスターでも、ここまで出来るのはほとんど限られてくる。

「お嬢ちゃんたち」

「誰!?」

「誰ですか!?」

 二人はすぐに声がした方を向いた。

「探している人、いるのかい」

 二人は警戒した。なんせ、この街にはもう人は居ないと聞いていたからだ。

 だとすると、物好きか、盗賊の類かのどちらだ。

「アンタ、何者!?」

 フィリーが尋ねた。

「私はサルフォン・X・クラッキー、ただの操妖術師ですよ」

「操妖術師?」

「たしか…人や物を操る人たちのことでしたっけ?」

 フィリーは首を捻り、ウェンディは持っている知識の確認で言った。

「ええ、そうですが…物は操ることは出来ません。命ある者でしたら、可能ですが…」

 不適な笑みで答える。

「まさか、リリトさんを……?」

「感が鋭い…そのせいで、先ほどこの武器の持ち主がお亡くなりになりましたが」

 そういうと、紅蓮の愛用の刀を見せた。

「な!?」

「!?」

 言葉を失った。

「さて、あなた方も…彼の知り合いですから、苦しまずに後を追わせてあげます」

 そして、サルフォンは紅蓮の刀を持って、ウェンディ目掛けて走った。

「い、いや!」

「ウェンディ!」

「死ね!」

 サルフォンは少しジャンプして、真上から切る。

 

――シュルルルルルルル、ガシュアン!

 

「え――どおわあああ!」

 途中で刀を落としながら、鎖に引っ張られていった。

 

ジャラジャラジャラ――パシュア!

 

「うを!」

 空中で解かれたため、何とか体制を立て直して着地した。

「勝手に殺すな、サルフォン」

 まだ残る砂煙の中に、木に囲まれた紅蓮が現れた。

「なんだその木は!?どこから出した!?」

「いや、"wall of tree"(樹木の壁)で爆風を防いだ。木は湿気ているとなかなか燃えにくいだろ、だから水分を多く含むかつ、大きく頑丈な木を盾に使ったのさ」

「なら……全て叩っ斬るのみ!」

 ギア・チェーンソウを再び召喚して、攻撃をしてきた。

「ジェサイア――はああああああ!」

 次々と木を斬っていくギア・チェーンソウに拳を突き出した。

「ははははは、どうしたつい――なんだと!?」

 拳を突き出したギア・チェーンソウは大きな打撃音を出しながら後退した。

 しかも動作不良が起きたのかなのか、刃が上手く回ってなかった。

 そのチャンスを見逃す紅蓮では無かった。

 満足に浮かぶことの出来ないギア・チェーンソウを、今度は直接殴り、地面に叩きつけた。

 

がしゃん――バーン!

 

 一つ目のギア・チェーンソウを破壊した。

「くそ!」

 だが、この程度で攻撃が緩むはずも無く、再び飛んできた。

「leaf dance(葉の舞)!」

 落ちていた葉がどんどん舞い上がり、ギア・チェーンソウに張り付いていった。

「く、くそ、離れろ!」

 だが、どんどん張り付いていき、三つのうち二つが動かなくなった。

「せいや!」

 素早く愛用の刀を拾い、ギア・チェーンソウを真っ二つにした。

「戻れ!」

 最後のギア・チェーンソウを手に取り、先の魔法で付いた葉を剥がして、葉が動くか少し確認してから構え、呪文を唱えた。

「来(きた)る言葉、来る風、来る鼓動……来る力、今この武具に宿りたまえ――Words of power(力の言葉)」

ギア・チェーンソウは淡い赤色の光に包まれて消えた。

「武具の強化魔法か」

 紅蓮は刀を構えなおした。

「ふふ、よくわかったな。この大陸じゃない魔法だからな……お前もそうだろう?」

「……似た様なモノだ」

 苦笑しながら言った。

 

 

 

<街の外>

「そ奴は!?」

「お、おい、この街を襲った親玉じゃねえか!?」

「早く殺せ!そんな奴なんか助けなくたっていいんだから!」

「駄目です!」

 若葉は強く言った。

「たしかにリリトさんは、この街を襲いました。でも、それには理由があるはずです。それも聞かずに大勢で、しかもケガした状態で一方的になんて、酷すぎます!」

 遠くの人にも聞こえるように、大きな声で叫んだ。

「だが嬢ちゃん、ならなぜここを襲ったんだ?理由がなるんなら聞かせてくれよ?」

「そ、それは……」

 若葉は黙り込んでしまった。

 それはそうだ、リリトは操られていたのだから。

 だが、それを証明する証拠が無い。

 このままだと大変なことになるのだが、どう説明して分かってもらえばいいのか、思いつかない。

「まさか……グルじゃないよな?」

「そんな!?」

「いや、魔族なんて庇う奴だ。グルに決まってる」

「そうだ、そうだ!」

 本格的にやばくなって来た。

 この場から逃げれば、認めたと同じことになるし、リリトを担いで大勢から逃げることなど不可能。

 周りの視線が徐々に殺気に変わってきたのを、肌で感じ取っていた。

「若葉…私はい……いいから」

「そんな……リリトさん」

 だが、天は若葉たちを見捨てはしなかった。

「いい加減せんか、このうつけども!」

『ちょ、町長』

「おじいさん!」

 初めに来た時にあったおじいさんが、若葉たちを庇った。

「お前さんら、よおく考えてみろ。この子はワシから事情を聞いた途端に、一目散で街に行ったんだぞ。仲間が居たにも関わらず一人で。しかも報酬の話もしないで……これがどういう意味か分かるか?」

 その言葉を聞いて、殺気に満ちた空間が次第に薄れていった。

「大丈夫だったか、お嬢ちゃんや」

「おじいさん」

「許してやってくれないか。あんな目に合わされたからな」

「いいえ、お気遣いなく。説明が出来なかった私にも、非がありますので」

「若葉!若葉!」

「どうしたんですかフィリーさん?」

「ああ若葉って、あれティナは?」

「今水を汲みに――あ、戻ってきました」

「はい、持ってきましたよ若葉さん」

「ありがとう御座います、でフィリーさんどうしたんですか?」

「ああそうだった!リリトを操っていた奴が見つかったのよ!」

「本当ですか!?」

「うん、今紅蓮とやりあっているけど「来るな」って言われたけどね」

「なんでですか!?」

 ティナが講義した。

「なんでって……とにかく来るなだって、若葉とティナはそのままリリトを見ているだって」

「そんな……あれ?」

 若葉は残念そうに項垂れたが、一人足りないことに気がついた。

「ウェンディさんは?」

「ああ!あの娘、まさか!」

 

 

 

<決闘場と化した街角>

カギギギギギギ――ギン!ガギン!ブシュゥゥゥゥ!

 紅蓮は三撃目防いだが、四撃目はかわした。

「おりゃあああああ!」

「せいやああああ!」

 純粋な武器の遣り合いだった。

 だが、武器の衝突が激しいため、紅蓮が不利だった。

 刃と刃で交えれば刃が欠ける、かと言って受けそびれば、その場に血の池と大きな肉の塊が出来るのだから。

「どうした、どうした!」

「ていや!」

 横に振り払ったが――

「おら!」

 

ガキン!

 

「あ!?」

「もろうた!」

 ギア・チェーンソウの突きがきた。

「くそ!」

 

ガン!

 

「ちい!」

 紅蓮はギア・チェーンソウの平らの部分に(日本刀で表すと鎬地(しのぎじ)に当たる)左右から拳で挟みこむように押さえ込んだ。

「くっ!」

「おおお!」

 両者共に引かない……いや、紅蓮なら払いのけることができたが、あえてしなかった。

 リリトを初め、この街の人たちを巻き込んだのだから。

 だから……だから、ここで――

「ここで引くわけには、いかないんだよ!」

 

バキン!

 

 最後のギア・チェーンソウの刃が、紅蓮によって砕かれた。

「なに!そ、そんな……オリハルコンに近い硬さを誇るリオハルコンが……」

 戦意喪失になりかけたサルフォンだったが、悪魔はイタズラをした。

 

――がら

 

「あ!」

 紅蓮とサルフォンは、崩れた音と同時にでた声の主を見た。

「ウェンディ!」

「紅蓮さ――きゃあ!」

「サルフォン!」

 距離的にサルフォンが近かったため、不意を突かれてウェンディを人質にされてしまった。

「くくくく……紅蓮、動くなよ。動けばこの女の命は無いぞ」

「ち、古典的なこと言いやがって」

「仕方ね~だろ、こういうセリフしかないんだからよ」

「はいはい」

(距離があり過ぎる)

 平常心を保っているフリをしながら、内心焦っている紅蓮。

 やはり魔法でも、1~2秒掛かってしまう。

“ねえねえ紅蓮”

(なんだよディメンティア、こんな時に)

“私の真の力……使ってみる?”

(どういうことだよ?お前は風じゃないのかよ?)

“私は空王よ。風じゃないわ”

(じゃあ何故今まで隠してたんだよ?)

“あなたを信用してない訳じゃなかったんだけど、どうしても伏せておきたかったのよ。あのお転婆姫さんや、魔族の男に力を使うんじゃないかって……でも使わないという核心が持てたわ。……だから、今解き放つわよ。しっかり受け止めてね♡”

(ああ!)

“いくよ!”

 

シュ!

 

「え?」

「な!?」

 紅蓮の姿が一瞬で消えた。

 

ドゴ!

 

 サルフォンの鳩尾に、拳がめり込んでいた。

 そして、そのまま突き刺さった拳を振り抜いた。

 

ごがーーーーん!

 

 サルフォンは、そのまま吹き飛び壁に激突した。

 

「……ぐ、紅蓮…さん?」

「はあ、はあ、はあ、はあ……」

――どさ!

「紅蓮さん、大丈夫ですか!?」

「あ、ああ、なんとか…」

“何がなんとかよ、ほとんど魔力がスッカラカンのくせに、強がって”

(あ、あのな~お前さ……俺の魔力配分も考えろよ)

“あ……ごめん、すっかり忘れてた”

 とぼけるディメンティア。

“ディメンティア……大丈夫ですか紅蓮、今大気に存在するマナや生命の息吹から漏れた魔力をかき集めていますので、少々お待ちください”

(ああ、さんきゅー)

 リフテリアの気遣いに感謝した。

「紅蓮さん、立てますか?」

 王々との会話は、どんなに長くても一、二秒で終わるので、特に大きな支障はでない。

「うん……何とか」

 ウェンディの肩を貸してもらいながら立ち上がった。

 そして、サルフォンが吹き飛んだ場所を見て、その場をあとにした。

 

 

 

 そのあと、紅蓮の説明(詳しい戦闘内容は省いた)と街角の惨状でリリトの無罪は証明できたが、肝心のサルフォンには逃げられてしまった。

 まあ、全員無事だったから良かった事にしておこう。

 

 

 




紅蓮「なあ、作者・ダークバスター?」
作者「なんだ、紅蓮こと崎山 蓮さん?」
紅蓮「これで終わりじゃないのか?」
作者「終わりにしてもいいけど……一応シメを気めたいから後編を書く」
紅蓮「おお、挑戦的だな」
作者「まあな。少しでも数をこなさないと、夢に近づかないからな」
紅蓮「夢とは?」
作者「ゲームクリエーターになること!
   と、いってもまだ、詳しくは決めてないから」
紅蓮「たしかに……一口にゲームクリエーターと言っても、色々あるかなら」
作者「シナリオライター、CGクリエーター、プログラマーなどなど、特にプログラマーは地味な印象があるが、ゲームを作るのには欠かさないからな」
紅蓮「なるほど。どれも必要な訳か」
作者「そういうこと」
紅蓮「次回は?」
作者「12月10までは出来ないと思う」
紅蓮「用事でもあるのか?」
作者「ああ、この時期になると色々と忙しくなるから……でも、暇があれば書くから」



紅蓮「そういえば、何で英語が入ってるの?」
作者「スマン、英語読めないの。俺」
紅蓮「勉強しろよ……」(汗

END





制作開始:2005/11/20~2005/11/21

打ち込み日:2005/11/21
公開日:2005/11/21

変更日:2008/10/23
訂正日:2006/2/13


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騙した者、騙された者・後編

第六話
ついにサルフォンとの戦いに終止符が打たれ、新たなる戦いが幕が上がろうとしていた。
そして……

エターナルメロディ~運命に出逢う者~・第一部、ここに完結!



「ぜえ…はあ…ぜえ…はあ…くそ!」
ドン!
 サルフォンは壁を殴った。
 紅蓮と戦闘したあとすぐに戦線離脱をした。
 このまま遣り合っても勝ち目は無い、そう悟った。
 だが……これで終った訳ではない。
「最後に、笑うのは……俺だ…」


「アンタ…やり過ぎにも限度があるわよ」

 あとから来たレミットは、呆れ口調で紅蓮に言った。

 それはそうだ、生態兵器・パイロンとサルフォンと戦闘の跡。

 他のところは……宴会の後片付けと、リリトが壊した道と民家の壁の一部のみ。

 差がありすぎる。

 さすがのカイルも――

「本当にお前がやったのか!?人間……いや、魔族同士の戦闘跡にしか見えないぞ…」

 などと、お言葉を貰った。

 一応アイリスさんが、王宮に救援を要請したから、近いうちに復興するそうだ。

 そんな事もあり、今日は無事な宿に泊まらせてもらうことになった。

 まあ、モンスターは当分寄り付かないだろう。

 なんせ、強大な魔力を放ったゆえ、一般の人まで波動を感じ取れたという。

 それほど凄い一撃を放ったんだと、紅蓮は理解した。

 

 

 

<宿屋『休息の地』・屋根の上>

 この宿の名の由来は、『安息の地』の文字をいじったそうだ。

 そんな紅蓮は、屋根の上で月を見ながら黄昏ていた。

 今日の出来事を振り返りながら……。

“紅蓮”

「どうした、チェングラウン?」

“どうした?暗いぞ”

「少し考え事」

“回復能力が上がっても、本来の休息をおろそかでは、体が持たないぞ”

「わかっている……さて、最後の仕上げでもするか」

 そう言いながら紅蓮は立ってジャンプし、屋根から屋根へ跳び乗って戦闘跡地に赴いた。

 紅蓮は大穴の前で止まった。

 ここはパイロンが爆発して出来たクレーター跡だった。

 そこには僅かながら、地下の下水路に繋がっている穴があった。

「さて、サルフォン……本当に終わりにしようか」

 紅蓮の姿は、地下の下水道に消えていった。

 

 

 

 翌朝、その旅人たちと街を襲った魔族の女は出て行った。

 一応男が女三人と、妖精にどやされたらしいが。

 

 

 

 結局サルフォンとの決着は、人知れずに幕を閉じた。

 何故紅蓮を狙ったのかはわからない。

 だが、一つだけわかったことがある……何かが起きている。

 それだけだ。

 それでも変わらない誓いがある。

 

 

 

「紅蓮さん、本当にどうしたんですか?」

 少し怒り口調でウェンディは言った。

「だから、屋根から落ちて、そこがガラクタ置き場で、そこに落ちてこうなったって言ってるじゃないか」

 全身痣だらけ、しかも口を切って血を出してたからだ。

 自分に回復魔法を掛け忘れていたので、ケガのまま帰宅。

 そのあと問い詰められてが、屋根から落ちかことにしてある。

「本当にそうかしら?」

「な、なんだよフィリー、疑ってるのかよ」

 フィリーはここぞとばかりに、マシンガントークが発動した。

「あんたね、異世界から来た人間だと思っていたけど、最近は化け物じみた戦いをしているし、私たちはのけ者扱い!肝心なことは一切話さない!本当に馬鹿の中の馬鹿、馬鹿・オブ・馬鹿ね!それでも付いてきている私たちに感謝しなさい!普通なら見放されているわよ!」

「そうです!少しは私たちを信用してください!」

 未だに絞られている紅蓮であった。

 

 

 

「ち、何が見逃すだよ……お人よしが」

 街と紅蓮たちが見える丘の上に男が立っていた。

 服とマントはボロボロだが、ケガらしいケガは無い。

「あそこまでボコボコにしておいて、最後のトドメは回復魔法かよ」

 サルフォンは、そうぼやいた。

 あの時、地下の下水道があることに気づき、そこに逃げ込んだのだ。

 そして、魔力、ケガもほとんど回復した時に、紅蓮は現れた。

 

 

 

「ちっ……案外早く見つかっちまったか」

 サルフォンはそう言いながら、右腕に魔力が集中し始めた。

 紅蓮は臨戦態勢に入ろうとしたが――

「安心しろ、攻撃魔法じゃない」

 そして、光の玉が現れ当たりを照らし浮遊し始めた。

「ただの明かりと臭い匂い取りだ。こんな状態だとまともに戦闘もできないだろ、お互いに、な」

「まあな、ここ…それなりにカビ臭かったし……」

 見回しながら紅蓮は同意を口にした。

 この下水道は既に機能していないらしく、もう何十年も使われていないということが、明かりの点いたき、壁や埃などの具合がわかった。

「しっかし、何時から使ってないんだココは?」

「さあな……でも遺跡だと言ってもおかしくは無いだろう」

「たしかに……じゃ、始めようか」

 苦笑しながら柔軟体操をする紅蓮。

「そうだな、ココはあまり長居はしたくない」

 敵を見定め、集中するサルフォン。

 

 そして、拳と拳のぶつかり合い。

 蹴りが来れば、蹴り返す。

 拳がくれが、それを掴み、至近距離で殴る。

 掴み合いになれば頭突きをし合う。

 馬乗りになって頬を殴る。

 またその逆もある。

 

 半場遺跡と化した地下の下水道。

 そこでは意地と意地のぶつかり合い。

 終わりは両者の体力、又は体が動かなくなるので続く。

 武器、魔法は一切使わない。

 

 

 サルフォンは、プライドを賭け――

 

 

 紅蓮は、信念を賭け――

 

 

 ただ殴り合う……一人の人間として。

 

 

 王々の力を持つ者でもなく、名の知れた操妖術師でもなく。

 

 

 長く続くとも思えるぶつかり合いは、終焉を迎える。

「はああああああ!」

 紅蓮が最後の力を振り絞り、大掛かりなフェイントに出た。

「うおおおおおお!」

 サルフォンの全身の力が篭った右ストレート。

 紅蓮の顔面目掛けて飛んできた。

 この時サルフォンは確信した、「直撃」と。

 だが――

 

――シュ、ブォオン!

 

 紅蓮はギリギリの所で、髪の毛がわずかに当たったが、下に屈んで避けた。

 そして左足で踏む込み、足の踵を軸に全身の力を拳に乗せて、右ストレート。

「ごぼあ!」

 数歩下がりながら体がくの字となる。

 そのまま紅蓮は詰め寄り、左アッパーを決める。

「ぐが!」

 本の少しだけ宙に上がる。

 サルフォンの腹目掛け、技を繰り出した。

「気功・衝天波!」

 「気」と人間に存在する力を練り上げ、同時に両手の平を上下に合わせ、相手に叩きつける技。(よは、ス○リート○イターⅡの波動○みたいなモノ)

 

――勝負はついた。

 

 まあ、そのまま去ればよかったのだが、紅蓮は最後に攻撃に見えるような回復魔法を掛けて、その場をあとにした。

「待てよ!勝手に人様に回復魔法を掛けて、挙句の果てにトンズらするのかよ!?」

 しかし紅蓮は、最後に一言をぼやくように言い残して去って行った。

 

 

 

「……依頼失敗……これじゃあもう、商売上がったりだよ」

 サルフォンは、今後のことを考えていた。

 もう裏の世界に戻ることは不可能だろう。

 個人で仕事を請け負っているので、一度失敗すれば信頼を取り戻すのに、時間は掛かり過ぎる。

 ギルドに入っていれば何とかなっただろうが、元々キルドから煙たがられているから、どこも拾ってくれないだろう。

 だとしたら、表で真っ当な職を探すしかない。

 しかし、裏の人間が表に出て、受け入れてくれるところは余りにも無さ過ぎる。

 それでも生きることを選んだのだから、頑張るしかない。

「さて……まずはどうするか?」

 空を見上げながら言った。

 

 未来は自らの意思で切り開く。

 

 

 

<???>

『紅蓮さん、本当にどうしたんですか?」

『だから、屋根から落ちて、そこがガラクタ置き場で、そこに落ちてこうなったって言ってるじゃないか』

『本当にそうかしら?』

『な、なんだよフィリー、疑ってるのかよ』

『あんたね、異世界から来た人間だと思っていたけど、最近は化け物じみた戦いをしているし、私たちはのけ者扱い!肝心なことは一切話さない!本当に馬鹿の中の馬鹿、馬鹿・オブ・馬鹿ね!それでも付いてきている私たちに感謝しなさい!普通なら見放されているわよ!』

『そうです!少しは私たちを信用してください!』

 

「ふん、サルフォンは失敗したか」

 水晶から、今までの出来事を覗き見していた。

「まあ、王々の力が解放されただけでも、良しとするべきか」

 

ブン――ガシャーン!

 

 謎の男は、水晶を地面に叩きつけて割り、その場から消えた。

 そこには砕けた水晶だけが

 

 

 

 第四の魔宝を手に入れるため、一同はサアレスを目指す。

 だが、そこにはこの世界に来て一ヶ月くらいたったあの日に襲ってきた『奴』がいた。

運命の歯車は急激に加速を始め、紅蓮を戦いの真髄に引き込まれていく。

半年後、イルム・ザームで、最後の戦いが始まる。

 

 

 

そして同時に、この日に新たなる運命に出逢う青年がいる。

『エンフィールド』という街で……。

 

 

 

 

エターナルメロディ~運命に出逢う者~

 

 

 

Part 1 / the conclusion

 

 

 

 

悠久幻想曲~信頼との出逢い~・前奏曲

 

 

 

The beginning / an opening




作者「エターナルメロディ~運命に出逢う者~、第一部ここに完結!」
紅蓮「それはいいが、なんでこんな中途半端なんだ?」
作者「まあ、悠久幻想曲~信頼との出逢い~・前奏曲をやってから、第二部をやろうということで」
紅蓮「メチャクチャにならないか?」
作者「なるかも……でも、紅蓮の戦いが終わったら、そのままスタートしたいから」
紅蓮「つまり、先に悠久幻想曲の主人公が街に来た話を書いて、次に第二部を書く寸法か」
作者「正解!」
紅蓮「初の試み過ぎだろ……こんなSS見たことないぞ」
作者「だからこそ楽しいじゃないか、誰もやったことないから♪」
紅蓮「責任持って終わらせろよ」
作者「ここまで来たら、やめるつもりは無いよ。
   特に支障が無い限り」
紅蓮「今の世の中、何が起きるのか分からないからな」


END




制作開始:2005/11/22~2005/11/23

打ち込み日:2005/11/23
公開日:2005/11/23

変更日:2008/10/23
訂正日:2006/2/13


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何かに出逢う者たちの物語・第二部 悠久幻想曲~信頼との出逢い~・前奏曲 前奏曲1

プロローグ・1
聖龍の過去とアリサさんとの出逢い、そして・・・



 俺はどうしてここにいるのだろう?
 何のために生まれてきたのだろう?
 学校に行ったが迫害される。
 家でも親――特に父親に罵倒され、出来の悪い息子としてすら見てくれない。
 その辺にいる蛆虫を見るかの様な目でしか、見てくれない。
 なら、俺はなんだろう?


 俺の名は聖龍、本名は反吐が出るほど嫌いだった。

 父親、母親、俺、の三人家族の構成だが、両親、特に父親は俺を捨てやがった。

 理由は勉強が出来ないから。

 勉強、スポーツの文武両道――いや、片方すら駄目だった。

 その後、俺は家を追い出された。中学一年の時だ。

 一軒屋の家と、普通に生活すれば30歳まで生活が持つ多額の大金と、三年間の学校生活の保障の権利だけ渡して。

 

 

 

 中学生活は、最初はイジメがあったが次第に無くなった。

 まったく反応しないからだ。

 教科書を汚され、破かれていても、平然と使っている。

 下駄箱の上履きが無くなっても、スリッパ、又は靴下でいた。

 机や下駄箱に、動物や虫の死骸をいれても平然としたいた。

 三年の頃には、逆に誰も関わってこなかったし、寄り付かなくもなった。

 さすがにここまで来ると教師が動くが、俺が平然としすぎるので捜索も止めて、俺を避けるようになった。

 だけど、『あいつ』だけは俺に関わってきた。

 『あいつ』のおかげで、何とか人間の感情を保つことが出来たと思う。

 だけど『あいつ』は、中学三年になると同時にどこかに転校していった。

 俺に何も告げづに……。

 

 あとからわかったのだが、クラスメートの奴に俺宛の手紙を渡したそうだ。

 だが、そいつはそのまま手紙を捨て、『あいつ』に渡したと偽ったらしい。

 まあ、それがわかった夜、そいつを闇討ちして恐怖心を植えつけてやったけど。

 

 

 

 そして、家を追い出されてから三年たち、高校に入学できたので、報告ついでにもう一度認めて欲しくて、帰ったが衝撃を覚えた。

 なんせ、見知らぬ女の子が両親と共に出てきたのだ。

 気づいた父親が母と女の子に、先を行かせてこっちにきた。

 そして、いきなり殴りつけて「クズが、ここへは来るなと言っただろう」と、冷たく言い放った。

 色々聞きたがった、言い返したかったが「あの子、誰だ?」と言った。

「私の列記とした娘だ、本当はお前とは一つ下妹だったが、今まで親戚に預けていたんだ。

 あと、お前を追い出してから今日、やっとお前との血縁を法律上で切ることが出来た。だからお前はここには二度と来るな、今度この辺りで見つけたら警察に連行させる、いいな」

 そう言って、二人のあとを追っていった。

 

 変わっていなかった、三年前と……あのその辺にいる蛆虫を見るの様な目は。

 

 最悪だった。

 金と住む場所を渡して勘当し、挙句の果てに血縁を切ったのだ。

 完全に一人になった。

 だが、悲しくはなかった……いや、悲しむという感情は既に無くなっていた。

 

 

 そして、誰も信じなくなった。こうして、一年が過ぎて、二年の時だった。

 

 

 5月の修学旅行の時、他の学校の女の子とであった。

 本当に偶然だったが、女の子は俺を偉く気に入ったらしく、電話番号や住所を教えてくれとしつこくせまられてため、渋々教えた。

 あの時は本とっっうに疲れた。

 

 

 

 6月の中ごろ、突然俺を捨てた父親が尋ねてきた。

 用件を聞いたが、「開けろ」の一点張り。

 仕方なく開けると、胸座を掴まれ玄関から引きずり出されて地面に叩きつけられた。

「お前、娘と会ったそうじゃないか」何のことだ?と言ったら、殴られた。

「もう一度言う…お前、娘と会ったそうじゃないか」

「何のことだ?」

 また殴られる。

「いい加減にしろ!」

「やめてお父さん!」

 電話番号を交換した女の子が泣きながら立っていた。

 俺は理解した。

(ああ、俺の妹だった奴か。なるほど、やっと理解できた)

 そのあとは、人の家の玄関の前で親子喧嘩というより、親の一方的な怒りだった。

 殴る、殴る、また殴る。

 奴の娘は、泣きながら奴を止めた。

 だが奴は娘を振り払い、俺を殴る。

 次第に疲れが出てきたのか、殴る回数も、力も無くなっていった。

 ある程度収まると、俺の顔面に300万を叩きつけてきて、「携帯電話を換えろ!」と怒鳴り、娘無理やり連れて帰っていった。

 娘は痛がっていたが、気にもせずにつれて帰った。

 300万は、近所の連中に分けて、あの時の騒ぎの謝罪と俺に関わらないで欲しいと言った。

 その後、メールが度々来たが、答える気は無く、ほっておいた。

 

 

 

 7月の後半には、一通も来なくなった。

 気になって空メールを送ったが、返送されてきた。

 

 

 

 8月の初め、何となく遠出したい気分になった。

 当ても無く、ただ呆然と適当に歩いた。

 遠出をした田舎の骨董屋で古い腕輪が目に付いた。

 何故目がいったのかわからない。

 何となく購入した。

 

 空も赤くなり始めたので、帰ることにした。

 

 そして、帰り道にうっかり転んで、斜面を転げ落ちてしまう。

 次に気がついたのは、森の中だった。

 しかし、転げ落ちた斜面は無く、途方にくれている時に女性の悲鳴が聞こえた。

 慌てて駆けつけると、化け物に襲われているところだった。

 俺は女性を助けるために、とっさに出て行き、化け物の気をこちらに向けるようにした。

 女性を逃がし、俺は化け物の怒りを買い、重傷を負うが、そこから先は視界が暗くなった。

 

 

 

 気づくと何処かの家の中にいた。

 俺が助けた女性は、シーラ・シェフィールドという、世間知らずのお嬢様だった。

 そのあと、この家の主であるアリサ・アスティアさんが来て、事情を説明してくれた。

 何でも、俺が見たこともない強力な魔法で、化け物を吹き飛ばしてその場に倒れた。

 ということらしい。

 この時『魔法』という言葉に反応し、そんなものは存在しないと否定したが、目の前で下級魔法『ルーン・バレット』を見せられ、納得せざるおえなかった。

 

 俺は異世界に迷い込んだらしい。

 だが、元の世界に帰るつもりも無いので、嘘を言った。記憶が無い、と。

 基礎知識があっても、思い出が無いという事例はこの世界にもあるらしい。

 そして、持ち物にカードがあり、そのカードの名前から取ったのを

名前にすることにした。

 苗字はアリサさんからお借りした。

 

 

 

 今日から俺の名は――聖龍・アスティア

 アリサさんの家に居候させてもらっている、異世界から来た身元不明の人間として、新しい生活が始まった。

 

 そして、今日もアリサさんの為に頑張っている。

 苗字を貸してもらい、しかも家族とまで言ってくれたお礼に。

 

 そういえば『あいつ』は、元気でやっているだろうか?

 青い空に向かって、もう二度と会うことが無い、初めての友だった『あいつ』と今までいた世界に別れを告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠久幻想曲~信頼との出逢い~・前奏曲

 

 

 

The beginning / an opening

 

 

 

 

 

to be continued!




紅蓮「話重!」
作者「この程度なら、人生経験を元にかけるから」
紅蓮「人生経験って……親から虐待でも?」
作者「親には感謝しているよ。おかげで真っ当な人生を送れてるから。
   学校でのイジメは事実だけど……」
紅蓮「マジ?」
作者「マジですが言っておくけど、ここまで酷くなかったからな」
紅蓮「あはははは……よく非行に走らなかったな」
作者「なんだかんだ言っても……親のおかげかな」






紅蓮「ところで、『あいつ』って誰?」
作者「さて誰でしょう?第二部と連動するから」


END




制作開始:2005/11/23~2005/11/24+2005/12/9

打ち込み日:2005/12/9
公開日:2005/12/9

変更日:2008/10/23
訂正日:2006/2/13


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前奏曲・2

プロローグ・2
半年後、『ある事件』の為に手伝ってくれる人たちとの出逢い。
アリサさんに頼まれて、ケーキを届ける事になる・・・



 夢を見た。
 久しぶりだった、こんな夢を見たのは……。
 とても暖かく、安らぐ心地よい温もりだった。
 そして俺は、何となく目が覚めた。
 その朝は、俺が正式にアリサさんの息子になった日から、一夜たった出来事だった。



「う、ん……ん?」
 俺は眠っていた五感が目覚め、不意に気配を感じた。
「お……母……さん?」
 次第に視界が良くなってきた。
「おはよう、聖龍くん」
「聖龍さん、おはよーッス!」
「え!?」
 俺は慌てて飛び起きた。
「きゃあ!」
「うわぁ!」
 アリサさんとテディが驚いた。
「あ、スイマセン!」
 俺は反射的に謝った。
「平気よ、どうしたのいきなり?」
「あ、いや、その……おはよう御座います」
 アリサさんの問いに、戸惑いながら朝の挨拶をした。
「はい、じゃあ起きたことだし、朝食にしましょう」
「ウッス!そうするッス!」
「じゃあ、先に行ってください。着替えてから行きます」
 そういうと、少し悲しそうな顔をするアリサさん、もといアリサ母さん。
「あ……先に行って、着替えてから行くから」
 慌てて言い直す。
「ええ、わかったわ」
 そう言って、テディと部屋を出て行った。
 俺はさっさと着替え始めた。
「しかし、何というか……今日から正式にアリサさんの息子になるのか……。だけど、アリ……母さんすら信じきれていない自分が……」
 聖龍は着替えながら、昨日の出来事を思い起こした。


 話は10日前にさかのぼる。

 聖龍がこの世界に飛ばされてきてから、一週間たっていた。

 既にケガは完治しており、俺を助けるのに手伝った人たちのお礼の品(アリサさん特性ケーキ)を届けに、まずはさくら亭に向かっていた。

 そしてさくら亭前まで来たら、中から声が聞こえてきた。

 

『い、いや!』

『いいじゃねいかよー、お酌くらいしろよ』

『あんたら、嫌がっている娘相手になにやってるんだい』

『へん!女はすっこんでな!』

『あんたたち、いい加減にしないと出てってもらうわよ!』

『やれるもんならやってみな!』

 

 声からして、どうやらガラの悪い客が、シーラと数名に絡んでいるようだ。

 しかもドアの前に一人いるらしい。

「テディ、コレ持てるか?」

「へ?大丈夫っすけど……どうするんすかッス?」

 テディに、俺が持っていたケーキを渡すと、さくら亭のドアを勢いよく開けた。

 

――ドガ!

 

 男は後頭部を抑えていたが、俺はそのまま無視して入ってきた。

「さくら亭って、ここでいいのか?」

 白々しく言った。

「こんにちはーッス!お届けモノッス!」

 テディも続いて入ってきた。

「え!?あ、ええ、そうよ。あ、テディもいらっしゃい」

 ここの看板娘?らしき人は、面をくらっていた。

「アンタ、ナイスだよ」

 銀髪の女性は、笑いながら言った。

「おい、テメェ!」

 先ほどドアの餌食となった男(以後・チンピラA)は、問答無用で殴りかかってきた――

――スゥ

 何気に避けて、そのままチンピラAの足を掛けて転ばした。

「うお!」

――ベタン!

 そのまま壁に激突。

「キサマよくも!」

 シーラにお酌を頼んでいた男(以後・チンピラB)も、掛かってきた。

「アンタ、知ってるか?」

「あん?」

 いきなり尋ねられたので、拳が途中で止まった。

「『貴様』とは、敬語で相手を敬う言葉だから、今度から『お前』とか『テメェ』とか言う事をオススメしておく」

「ふざけるな!」

 チンピラBは逆の拳を出してきた。

 事実を言ったが、相手には挑発にしか聞こえなかった。

「事実だっつーの」

 聖龍は相手の拳を流し、体を回りながら相手に背中を預け、さらに流れるようにチンピラB右腕の下を通りながら背後に回った。

「!?」

 素早く、軽やかな動作だった為、見ていた連中も声を失った。

「気功・衝天波!」

 チンピラBの背中に向けて放った。

 吹き飛ぶが、その先にはチンピラAがいたので、当然――

「ぶふあ!」

「うぉあ!」

 仲良く一緒に壁に激突。

パン、パン!

「さっき言った『貴様』のことは、本当だからな」

 決めセリフは、ご丁寧の注意だった。

「聖龍さん、コレッス!」

 聖龍はケーキを受け取り、カウンターに置いて、チンピラたちがいる壁のほうにいった。

「ああ、すまない……壁のほうは……無事だな」

「へえ~、やるじゃないアンタ」

 銀髪の女性は階段を下りて、カウンターに腰を掛けた。

「アタシの名前はリサ、リサ・メッカーノだ、アンタはたしか……」

「聖龍。今のところアリサさんの家にご厄介になっている」

「ああ!あの時生き倒れ!」

 パティの言葉に聖龍はこけた。

「違う、気を失なっただけだ」

 先の言葉を訂正しながら、チンピラA・Bを掴んだ。

「そいつらをどうするッス?」

「店の外に出す。目障りだから」

 ドアを開け、チンピラA・Bを店の営業の邪魔にならないように置き去った。

「あ、聖龍くん」

 シーラが声を掛けてきた。

「シーラ、無事か?」

「うん、平気」

 笑いながら答えてくれた。

「へ~え」

 パティが意味ありげに声を出した。

「なんだ?」

「シーラが赤面せずに、男と仲良く話してるから」

「ぱ、パティちゃん!」

 シーラは文字道理、赤面しながら言った。

 

――からんからん

 

 不意にドアが開いて、派手な帽子を被った男と背が小さく、体より大きな服を着た男の子が入ってきた。

 そして、シーラを見る否や近づいてきた。

「やあシーラ、今日も美しいね」

(ナンパか、こいつ?)

 裏拳でもかもそうかと思い始めたが――

「こらアレフ!いい加減にしなさいよ」

 この派手な帽子を被った男はアレフ、というらしい。

「いいじゃないか。……もしかして、妬いてるのか?」

「はいはい」

 呆れながら流した。

「なあ、パティ?」

「ほえ?」

 全然会話に参加してないなった聖龍が声を出したので、変な声を出した。

「俺を運ぶのに手伝ったや…人にお礼の品を配ってきてくれって、頼まれてるんだが…知っているか?」

 何となく理解できたパティが答えた。

「ああ、それなら…シーラ、リサ、アレフとそのにいるクリス、マリア、エル、ピート、シェリル、メロディに…アタシだから」

 聖龍の恩人の名を次々に上げていった。

「へえ~、そんなにいたのか」

 ふと、シーラは尋ねた。

 しかし、いつの間にか猫耳の女の子が、箱の匂いを嗅いでいたが、それに気づいたのは聖龍だけだった。

「それっ「ケーキな・の・だ~~~~~~!」」

 いきなりカウンターの下から現れ、話を割って出てきた。

 まあ、聖龍以外は全員驚いた。

「亜人か、猫の?」

「ふみゅ~、メロディは猫じゃありません!」

 メロディは怒りながら訂正を求めた。

「ああ、すまない」

 素直に謝る聖龍。その言葉を聞いて満足したのか、特性ケーキの匂いを嗅ぎ始めた。

「くんくん……アリサちゃんの特性チーズケーキの匂いだ!」

「へえ~、匂いでわかるのか……新手の珍種族か?」

「ふみゅ~、メロディはメロディですよ?」

「……さいですか。まあ、今いる人だけでも先に渡しますか。パティ、いいか?」

「ええ」

 笑いながら置くから出てきた。

 その手には、お茶とお皿、ホークをお盆の上に乗っけて運んできていた。

「準備がいいな、すでに用意してたとか?」

「あははははははは……」

パティは目を逸らしながら笑った。

 

 

――食後

 

 

「さすがはアリサさん、ホントおいしかったぜ」

 アレフは茶をすすりながら言った。

「ああ……しかし、俺の分まであったとは……でも、何でチーズケーキなんだ?」

 何となくの疑問だったが、テディが答えを教えてくれた。

「ほら聖龍さん、前にご主人様が聞いてたんじゃなんすかッス!」

 少し考えて、ポンと手を打った。

「そういえば……昨日聞いてきたな、どんなケーキが好きかって」

「え?そうなんですか!?」

 クリスが意外そうに言った。

「……テディ、コレ飲み終わったら行くぞ」

「うッス!でも……」

 テディの顔が曇った。

「なんだ?」

「クリスさんの一言で不機嫌になったような感じッス…」

「え、あ、す、スミマセン!」

 それを聞いて、慌ててクリスが謝った。

「なに、早く届けないと痛むからな……こいつらが」

 と、笑いながら、ケーキの入ってる箱を指した。

「食べた感じは絶品だったが、このままだと質が落ちる可能性があるからな、早めに他の奴らにもお礼参りにいかないと」

「はい、そうですね」

 クリスは苦笑しながら答えた。

「じゃあ、もういくから」

「もう行くんだ、話は明日聞かせてよ」

 食べ終えていたパティが、カウンターのところから言った。

「ああ、じゃ、また明日」

「おう!」

「はい、また明日」

「ええ」

「ありがとうございました!」

「またな、ボウズ」

「ふにゅ~、バイバ~イ!」

 それぞれの言葉で挨拶を交わした。

 

 

 

 しかし、他の人が居そうな場所を聞き逃し+ケーキを置き忘れたので、慌てて戻ったそうだ。

 言うまでもなく、いた人たちは爆笑していた。

 

 

 

「あ~、えれーめにあったぜ」

 少し疲れた感じてボヤいた。

「聖龍さん、間抜けッス」

「テディ…この場でシバくぞ?」

 エガオで言い放つ。

「ひ~い!あ、あ!聖龍さん、アソコッス!」

 目的地が見えてきたので、話題を変えた。と言うか、切り抜けられた。

 そこには、旧王立図書館があった。

「あそこに、シェリルとトリーシャがいるって場所か」

「うッス、たんぶいるはずッス!」

 少し回りを見回した聖龍。

「たぶんか……しゃあない、いくか!」

 

 

 

 旧王立図書館に入った聖龍とテディは、カウンターに向かった。

「すいません、尋ねたいことがあるのですが」

「はい、…どちらさまでしょうか?」

 髪の長い女性は、無表情で対応した。

「え~と…「聖龍さんッス、先週行き倒れになったいたッムジュ!」」

 テディが代わりに答えてくれたが、行き倒れといったのが気に食わなく、軽く踏むつけた。

「はい、その時アリサさんを手伝ってくれた、シェリルとトリーシャという子は今日、ここに来てませんでしたか?」

「なら、あそこにいますよ」

 カウンター越しから、二人が座っている場所を指差した。

「ありがとう・・・いくぞテディ」

「う、うッス」

 涙目で答えた。それなりに痛かったらしい。

 

 自業自得というやつだ。

 

「あ!聖龍さん、もう大丈夫なの?」

 トリーシャが心配そうに尋ねる。

「ああ、問題無い。トーヤ医師からも大丈夫だといわれたから」

 トリーシャは聖龍の全身を見て納得した。

「へえ~あの短期間で直っちゃたんだ。もう少し遅いかと思ったけど」

「自分自身、こんなに早く直るとは思ってませんでしたよ」

 頬を指でかきながら答える。

 そして、ふと会話に入れないで困っている子がいたことに気づいた。

「ところでトリ助、聞きたいことがあるのだ『ブオン!』うをあ!」

 棒がついたマジックハンド?が、横顔めがけ水平に飛んできたので、反射的に避けた。

「ボクはトリ助じゃなくてトリーシャだからね」

 薄く笑いながらドスの効いた声で言った。

 しかも目を赤く光らせながら・・・・・・。

 

コクコクコクコクコクコクコク!

 

 トリーシャの威圧感に負けて、首を縦に何度も頷いた。

「と、トリーシャちゃん、落ち着いて」

 話に入れなかった女の子が、トリーシャをなだめた。

「で、なに?」

「だから、その子は誰なんだ?」

「え、わ、私ですか?」

 女の子は戸惑いだした。

「君以外に誰がいるんだ?」

 トリーシャと女の子は、当たりを見回した。

「……たしかに」

 苦笑するトリーシャ。

「す、すいませんでした。わ、私、シェリル・クリスティアです、よ、宜しくお願いします」

 そう言ってシェリルは頭を下げた。

「ああ、あの時は助かったよ、ありがとう」

 その言葉に自分も驚いた、そしてここ一週間のことを思い出した。

 他人にお礼を言うこと、他人への感謝の言葉……。

(アリサ……さんのおかげかもしれない)

 久しぶりに、心の底からそう思えた。

「あ、あの…私、何か……」

 その言葉に、聖龍は我に帰った。

「ああ、すまない。……少し呆けていた」

 聖龍は慌てて返事を返した。

 その言葉に、シェリルの顔に笑顔が戻った。

「そううですか」

「ああ、あとコレ」

 二人にケーキを差し出した。

「うわぁ」

「へえぇ」

「ご主人様特製チーズケーキッス!」

 二人がケーキに見とれ、テディはその二人に品の名前を言った。

「俺を運ぶのを手伝ってくれた御礼だ、そうだけど…まだ会っていない三人の分があるし、ココでそのまま渡す訳にも……」

「聖龍さん、コレッス!」

 テディは、ケーキ屋が使う箱を二つ渡してきた。

「どこから出したのかは、あえて聞かないからな」

 そう言いながら、ケーキを一つずつ入れて、二人に渡した。

「ありがと~」

「ありがとう御座います」

二人は頭を下げながら、お礼の言葉を述べた。

「どういたしまして……ところで二人とも、ピートって男の子と…エルとマリナだか、

マリルだかって人がいる場所ってわかる?」

 その言葉に笑顔が固まった。

「ど、どうした?」

 トリーシャが恐る恐る言い出した。

「聖龍さんも災難だね……ピートはともかく、最後があの二人だったなんて」

 シェリルの顔色も、どことなく暗かった。

「聖龍さん、残りのケーキは……さくら亭に預けておきましょうッス」

テディの言葉には、不安感有りまくりであった。

「それでもいいが…ピートって子の分はどうするんだ?」

 そして、俺自身にも不安が過ぎるのだった……が、ピートって男の子の分も預けることになるので、中途半端な事はできればしたくなかった。

 

 

 だが俺は……この時のテディの言葉に従えば良かった後悔することになる。

 

 

 こういう事は……ああ、『後悔先にただず』っていう言葉が正しいのか?

 

 

 とにかくこのあと、悲惨な目にあった事は間違えない。




 手抜きっぽい感じになってしまい、申し訳ありませんでした。
 次の話は、エルVSマリアとその後の話です。

 2006年・今年初の作品です。
 こんな話ですが、今年も宜しくお願いします。






久々の解説?ショートコント?
紅蓮「DBよ」
作者「何でしょうか?」
紅蓮「何故、聖龍は『気功・衝天波』を使えてんだ?」
作者「さらば!」
紅蓮「って、ちょっと待て!」

END






制作開始:

打ち込み日:2006/1/1
公開日:2006/1/1

変更日:2008/10/23
訂正日:2006/2/13


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前奏曲・3

プロローグ・3
ピートがエルとマリアの分のケーキを食べてしまい・・・



 俺は、この異世界の街・エンフィールドに来てから、一週間たった。
 そこで、ケガも完全に完治し、アリサさん……母さんに頼まれ、ケーキをトリーシャ、アレフ、クリス、リサ、エル、マリア、シェリル、ピート、パティ、メロディ……そして、俺が助けたシーラの11名に持っていくように言われた。
 まあ、拒否しても良かったんだが、なんというか…恩を仇で返すのはどうかと思ったため、なんとなく引き受けた。
 そのあと、さくら亭で、アレフ、クリス、リサ、ピート、パティ、メロディ、シーラに渡し、図書館でトリーシャとシェリル、そして…



「あ、テディ!」
 エルがいるという武器屋に向かう途中で、赤い髪の毛の子供が声を掛けてきた。
「お前が……ピートって子か?」
 俺はそう言って、本人かどうか確認を取った。


「ああ、そうだけど……アンタ誰だ?」

 ピートは聖龍を指で指しながら答えた。

「こら、人を指でさすんじゃない。俺は聖龍、アリサさんに頼まれ物を渡しに来た」

 ピートに注意しつつ、自己紹介しながらケーキの入った箱を差し出した。

「アリサおばさんから?」

「そうッス。聖龍さんを運ぶのを手伝ってくれたお礼ッス。」

 そしてテディは、またどこからともなく箱を出してきた。

「ま、そういうことだ……礼を言う」

 そう言いながら、ピートの分のケーキを箱に移して渡した。

「おお、ありがとう!」

 ピートの目は、キラキラと輝いていた。

 そのまま聖龍は、エルとマリアのことを聞こうと思ったが――

 

ドゴオォォォォォォォォォォォン!

 

 

――爆発音に阻まれた。

「な、なんだ!?爆破テロか!?」

 聖龍は慌てて当たりを見回した。

 そして、ある方向からピンクのキノコ雲が上がってきた。

「ヤッターメンのドロなんとかってやつか?」

 俺も『こんな古い作品知ってんだよ』と思いつつ、テディにケーキを渡して、発生地点に向かった。

「ああ、ちょっと聖龍さん、待ってほしいッス!」

「あ、聖龍、俺も行く!」

 テディは、いきなり渡されて、走り出す聖龍に戸惑い、ピートはケーキを食べながら俺のあとをついて来た。

 

 

 

モクモクモク……

「派手にやったな……」

 発生地点についた聖龍は当たりを見回した。

「ゲフォ、ゲフォ…この……バカマリアァァァァァァ!」

 煙の中から声が上がり、聖龍はとっさに臨戦態勢に入った。だが、

「あれ~、あーして、こーして……こうだっけ?」

「だからいつもいっているだろう!中途半端に覚えて、魔法を使うんじゃないって!」

 どうやら煙の中に二人いて、内一人が放った魔法でこうなったということがわかる。

 そして、次第に煙が晴れてきて、出てきた二人は、金髪のツインテールの子と耳が長い……エルフだと思う。

「ぶぅ~、エルが魔法を馬鹿にするからじゃない!」

 エルフ――エルという人らしい。

「当たり前だマリア!魔法なんかに頼っていたら、いつか酷い目に遭うに決まってらぁ!」

 金髪のツインテールの子――マリアという子らしい。

 つまりこの二人は、トリーシャが言っていた二人だとわかった。が、まだ口論が続いている。

 聖龍は手を叩きながら、二人の間に割って入った。

「はいはい、二人ともいい加減にしろ」

 いきなり割って入って来た人物を見て、二人ともケンカを中断した。

「ちょっと、何よアンタ!?」

「アンタは確か……あの時の行き倒れか」

 マリアは忘れているらしいが、エルは思い出して手を叩いた。

 それを聞いた聖龍は凹んだ。

「思い出してくれたのはありがたいんだが……行き倒れじゃなくて、気を失っただけだから……俺は聖龍、アリサさんに頼まれて、俺を運んでくれたお礼に、ケーキを配っていた所だ」

 そう言って、いつの間にかいたテディから、ケーキが入っている箱を受け取り、二人に差し出した。

「ありがとうよ」

「わ~い☆」

 エルが箱を開け、マリアが覗いた。

 そして二人とも固まった。

「ん、どうした?」

 聖龍も箱の中を覗いて固まった。

「おい、聖龍…これはどういうことか、説明して貰おうか?」

 エルは少し怒り気味で言った。

 マリアも少し怒っているようだ。

「テディ」

「うッス、どうしたッス?」

 テディは聖龍の足元によってきた。

「ピートはどこへ行った?」

「そういえば……それがどうしたんすかッス」

 聖龍はエルからケーキの箱を取り、テディに中を見せた。

「……カラッぽッス」

「ピートを追うぞ、テディ」

「何故ッス?」

 聖龍の言葉に首を傾けるテディ。

「なんとなくだよ」

「うわッス!」

 聖龍はテディを掴み、肩に乗せて走り出した。

 しかし、テディは気づかなかった。

 この時既に聖龍は、感が異常に冴えていた為に怒りの矛先がこちらに向く可能性が出てきた事を直感し、その場から離脱を図ろうとしたが――

「ちょーと、待ちな」

「えへへへへ★」

 エルに首の袖を掴まれ、マリアは何となく黒くなっていた。

「アタシも一緒で構わないよなぁ、聖龍?」

「マリアも~★」

 そして、聖龍は「諦めろ」の三文字が脳裏を横切った。

「わかりました……でも、宛は無いですよ、俺は」

 諦めて素直になった。

「安心しろ、アイツの事だ…まだ近くにいるはずだ」

 エルさん、目が赤いんですが……

「ええ~い★」

 

ピカーン――ボン!

 

 

「ってマリア!?」

 マリアはいつの間にか、エルと話しているうちに魔法を使用していた。

「エヘッ、エヘッ…げ、エルとマリア!」

 やはりエルとマリアのケーキの事を知っている口らしい。

「えへへへ、転送魔法~、大・成・功~!」

 マリアはピースしながら言った。

「へえ~、マリアもやるときはやるんだな……なあ、ピ~ト君」

 マリアに礼を言いつつ、指を鳴らしながらピートに近づいていった。

「へ、へへへ、そ…そうだ――ね!」

「あ、待てピート!」

 ピートはエルの隙をついて、全力で逃げ出した。

 そして、エルもピートのあとを追いかけて行った。

「あぁぁぁぁぁ!マリアを置いてくな~!」

 マリアも慌ててエルのあとを追いかけた。

 最後に聖龍は、ただ立っていた。

「せ、聖龍さん?」

「テディか……嵐が去っていたな……おつかいも終わったし、帰るか」

「う、うッス」

 

 

 

<さくら亭>

 聖龍がケーキを渡しに来て、出て行ってから2時間くらい経過していた。

 さくら亭の中は、夕方に向けての仕込みを開始していた。

「♪♪~♪~♪、♪、♪♪~」

 パティは鼻歌を歌いながら、今日のオススメであるマッコウクジラの肉の煮込み料理の仕込みをしていた。

 

 ちなみに聖龍がいた世界での「マッコウクジラ」は、ワシントン条約で捕獲禁止と一応されているが、この異世界ではまだ沢山存在し、未確認生物・モンスターが多数存在しているかつ、絶滅種であってもまだ体制が成り立っていない。

 せいぜい成り立っているのは、牙人族、フォーウッド、ライシアン族などの特別な種族くらいだ。

 ちなみに、エルフ族や魔族などは人間と同等の扱い、特別視されている。

 

「パティちゃん、何のお料理なの?」

 お嬢様育ちであるシーラが尋ねてきた。

「え、ああ。コレはさくら亭先着限定マッコウクジラの肉の煮込みよ。この肉はココじゃ滅多にお目に掛かれないから、しっかり作らないと」

「へえ~、そんなに珍しいんだ」

 シーラも少しばかり興味が出てきたらしい。

「どうしたんだシーラ」

「え、あ、アレフ君」

「あ、アレフまだ居たの?」

 こけるアレフ。

「いたよ!ったくも~、で、なにやってるんだ?」

 気を取り直して、パティに尋ねた。

「ん、マッコウクジラの料理」

 煮込み中の鍋を、お玉で指した。

「へえ~、今日のオススメはマッコウクジラで決まりだな。じゃあ、今日は食べていこ~と♪」

 嬉しそうにアレフは言った。

「そ、そんなに美味しいの?」

 シーラは恐る恐る尋ねる。

「まあ、旨いには旨いが、癖のある味だから人によっては駄目な人もいるからな」

 シーラの質問にアレフは答えたが、少し悩んで言った。

「たしかにそうだけど、一回食べないと分からないから……なんなら今ココで食べてみる?」

「え、いいのパティちゃん!?」

「少しなら平気よ、平気」

パティは笑いながら言った。

「好き嫌いはよくないけど、食べず嫌いはもっと良くないから、何事にもチャレンジよ、チャレンジ♪」

 そう言って中くらいの器に半分くらい入れて、シーラの前に置いた。

「そ、それじゃあ…いただきます」

「はい、召し上がれ」

 シーラが食べようとした時――

 

ドドドドドドドドドッ――バタン!

 

 

「た、助けてくれ!」

「きゃあ!」

――からーん!

「うお?」

「ん?」

 いつもの光景なのでアレフとリサは平然とドアの方を見た。

「くこぉっらピート!何度言ったらわかるの!ドアが壊れちゃうでしょうが!」

 しかしピートは、大慌てで店の奥に逃げ込もうとした。

「って、ちょい待ち!」

 パティはピートの襟首を掴んだ。

「うげ、って放してくれパティ、今追われてるんだから!」

「何が追われてるんだから、よ。アンタは何時も何時も店を乱暴に扱わないでよね!」

「だからいつもごめんって誤ってるじゃないか!しかも今は追われているんだよ!」

 パティに襟首を掴まれているのを外そうと、暴れながら講義した。

「だから誰に追われ…て…る……の……」

 パティは、異常な殺気を背後から感じ取り、振り向いて言葉を無くした。

 ピートも同じだ。

 あと、店内にいた関係なさそうな連中やアレフ、リサ、シーラも一歩下がった。

「覚悟はいいか……ピート」

「新しい魔法の実験になってね☆」

 二人とも声はもの凄く柔らかく、かつ笑っているが……目は笑っていなかった。

 間合いは大分ある。

 ピートがその気になれば逃げれるが、瞬発力で勝てても、エルに持久力で負ける。

 それにマリアも追加されているので、ある意味最強タッグである。

「「覚悟」」

 エルとマリアは静かにかつ同時に言った。

 

 

 

 かくして、さくら亭は戦場と化した。

 

 

 

<ジョートショップ>

 話は数十分遡る。

 全員にケーキを一応配り終わり、仮宿であるジョートショップに戻ってきた。

「ただいま戻りました」

「ただいまッス、ご主人様!」

 声が届き、奥からアリサさんが出てきた。

「おかえりさない、二人とも」

 微笑んで出迎えてくれた。

「おつかいご苦労様、でどうだったかしら?」

「ええ、それなりに街のこともわかりました。ただ、ピートがエルとマリアの分を食べてしまったらしくて……今追われていると思います」

 それを聞いたアリサさんは、なんてこともなく微笑んだ。

「あらあらピート君たら、明日二人の分を作り直さないといけないわね」

「ははは、そうですね」

 聖龍もつられて苦笑した。

 そして腰に手を掛けて、ふとポケットの中を弄った。

「あれ?」

 聖龍は身に付けていたポシェットやポケットの中をひっくり返した。

「どうしたんッスか?」

「どうしての、聖龍クン?」

 いきなりの出来事に二人は困惑した。

「無い、無い、無い、カードが無い!」

「カード…って、あの『聖龍王』とかいうカードッスか?」

「ああ、そうだ」

「聖龍クン、落ち着いて」

 焦っていた聖龍にアリサさんは言い聞かせるように言った。

「もう一度、ゆっくりと思い出して見て、必ず思い出せるはずだから」

 聖龍はアリサさんの言葉に従い、落ち着き、ゆっくりと思い出していった。

 そして――さくら亭が思い浮かんだ。

「アリサさんすいませんが、今からさくら亭に行ってきます」

 そう言って振り向き、外へ出ようとして――

「待って、聖龍クン」

「ん、なんですか?」

 アリサさんに呼び止められ、もう一度振り向いた。

「さくら亭に行くなら、今日は外食にしましょう」

 その言葉に、聖龍とテディは驚き、困惑する。

「え…でも、晩御飯の用意は……」

「そうッスよ、ご主人様」

 しかし、そんな二人の反論をお構い無しに話を続けた。

「大丈夫よ、ご飯なら明日温めなおして食べればいいんだし、ね?」

「そうッスね、ご主人様」

 アリサさんに同調する犬。

「所詮は犬か……わかりましたアリサさん、では先に行ってます。遠回りしながら行きたいし…それに違かったら、別の場所を探さなければならないので」

 笑いながらアリサさんに言った。

「ええ、わかったわ」

「では!」

 そうして、聖龍は外に出て行った。

「聖龍さん、ボク犬じゃないッス!」

 先ほど言った犬と言ったことについての反論だったが――

「知るか!」

―― 一蹴りで済ませた。

 

「ったく、あの駄犬は…」

 聖龍は念のために、道端に落としてなかどうか確かめる為、辿った道のりを遡っていた。

「しかし……見当たらないなら、図書館かさくら亭しかないのか…」

 立ち止まり、考える聖龍。

「図書館は、この時間だから空いてないと思うから……さくら亭だな」

 そして、さくら亭に走り出した。

 

 

 

<さくら亭前>

 聖龍は店の前まで来て、唖然となった。

――ドタン、バッタン、ガシャーン!

 店の中から普段は有り得ない音が聞こえてきたからである。

「な、何があっとあ!」

 中の様子を窓から覗こうとした途端――

 

 がしゃぁぁぁぁぁぁぁん!――がたごとん

 

 その窓を突き破って飛んできた椅子を全力で伏せて避けた。

「ぜえ、ぜえ、ぜえ…いったい何が起きているんだ?」

 もう一度覗こうと、先ほど壊れた窓から覗こうとした途端――

「ルーン☆バレット!」

 

ぼしゅぅぅぅぅぅぅぅぅ!

 

「マトリクス!」

 聖龍は、某映画の主人公の如く、体を反らして避けた。

 この時、聖龍は『人間やれば出来るんだな』と、確信したのだった。

――どた!

 

しゅぅぅぅぅ―――ドゴーーーン!

 

「いて、っう~ふぅ……本当に何が起きているんだ?」

 起き上がり、爆発音の方を向くと、小さいながらクレータが出来ていた。

「……俺、今日悪いことでもしたのか?それとも厄日なのか?」

「うわぁぁぁぁぁあああああ!」

 不意に後ろから悲鳴が近くなってので、すぐさま振り向いた。

 そして見たものは――

 

 

ピート本人が飛んできた。

 

 

 

――認識に0.2秒掛かったために回避が遅れ、顔面にピートの膝が直撃した。

 それが、聖龍が見た最後の光景だった。

 

 

 

「うぅ…あ、いつ!」

「聖龍くん、大丈夫!?」

 シーラが心配そうに声を掛けてきた。

「ああ、いや…顔が少し痛い……ここは?」

 まだ意識が朦朧とした状態で当たりを見回した。

「ここはさくら亭の宿室よ。それより、本当に大丈夫?」

「うん…なんとか。……今何時だ?」

 意識がハッキリしてきたので外を見たが、既に暗くなっていた。

「え~と、7時過ぎだと思う……6時の鐘がなってから、大分経っているから」

 少々困った顔をした状態で言った。

「そうか。で、結局何があったんだ?」

「そ、それは……」

 

 シーラの話をまとめると、こういうことだ。

 まずピートが店に入ってきた。

 だが、入り方が乱暴だったためにパティと口ゲンカとなる。

 そしてピートは、誰かに追われていたらしく、店の裏手から見げようとしたらしい。

 しかし、もの凄く怖い顔をしたエルとマリアが来た。その時の二人の怖さに店に全員が一歩下がったそうだ。

 そのあと、理由はわからないがエルとマリアが共同して、ピートを襲い掛かったそうだ。

 その後は、俺が見て受けた通りだそうだ。

 それで気絶した俺が終わりのキッカケになったそうだ。

 

「はあ~、俺はストッパーなのか?」

 話を聞き終えた聖龍は、ぼやかずにはいられなかった。

「ま、まあまあ、そう言わずに、ね」

 シーラの言いたいことはわかる。

 なんせその原因が、アリサさん特性ケーキだからだ。

 だが、今更そんなことは言える訳がない。

 ここまで被害が大きくなってしまっては、隠しておくしかないからだ。

「一応パティちゃんが感謝していたから」

「……しゃあない、感謝されとくか」

 呆れ口調で言った。

 そのまま起き上がり、シーラと共に部屋を出るのだった。




 まずは、謝らなければならないキャラクターがいます。
 ピート・ロスです。
 ごめんなさい、真面目に忘れていました。
 なので、急遽こういう展開になりました。 (汗
 次は忘れないようにしないと……。

 次は最終話です。





制作開始:2005/12/26~2005/12/28+2005/12/31

打ち込み日:2005/12/31
先行公開日:2006/1/5
公開日:2006/1/7

変更日:2008/10/23
修正日:2006/2/13


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前奏曲・4

プロローグ・4
聖龍が気がついた時は、既に夜だった。
だが、シーラを送る途中で、本人の意思で寄り道をする。
そこでシーラは、店で拾ったカードを返したと同時に、聖龍のことを尋ねる・・・

悠久前奏曲、完結話。



 ここはさくら亭の食堂だった部屋。
「はい、ちゃっちゃっと片付ける!ほらそこ、手が止まってる!」
 鬼神と化したパティが、エルとマリアとピート、そしてとばっちりを受けたアレフとリサの計4名に激怒の指示を飛ばしていた。
 ちなみにクリスもいたが、寮に帰らないとマズイので、なんとか帰してもらえた。
「ほらピート、手がお留守よ!」
「へ~い」
 手を休めて小休憩していたピートだったが、パティの激怒が飛んできたので仕方なく再開した。
「うわ~、こんなに酷かったのかよ」
 二階から降りてきた俺は、一階の惨状を見て、直感的な感想を漏らした。
 シーラも、その言葉に苦笑いをした。
 当たり前だ。
 テーブルのほとんどは壊れ、皿もメチャクチャ、椅子もバラバラの状態である。
 カウンターとかは、何とか無事だったようだ。


「あら、生きてたの?」

 聖龍に対してのパティの第一声。

「もぅ、パティちゃん!」

 シーラが、少し怒った口調で言った。

「はあ……一応は」

 怒っていたため、言い方が皮肉になっていたパティだったが、そんなことを気にせずに聖龍は答えた。

「だが、ピートの顔面蹴りは効いたぞ、って」

 そう言いつつ、まだ僅かに痛いところを擦る。

「おい、平気か?」

「へ~、アレフが心配するとは、珍しいことがあるんだな」

 リサが直したテーブルを起こしながら言った。

「ったく、いいだろ別に」

 アレフはソッポ向く。

「ホントか、ホントに大丈夫なのか?」

 心配してピートが寄ってきた。

「ああ、大分腫れは引いているから、問題は無い。この程度なら、明日には痛みもなくなる」

「お~い、奥の掃除終わったって、聖龍……平気か?」

 奥から出てきたエルが、聖龍を見るや否や、心配の言葉を掛けてきた。

「ああ、なんとか」

 苦笑しながら返事を返す。

「そういえば、マリアは?」

「ああ、アイツならまだ奥で掃除しているよ」

 エルは、マリアがいる場所を指差した。

「……なんで穴が開いてるんだよ」

 聖龍は、エルが示した場所を見て呆れた。

 なんせ、壁に大穴が開いていた。さらに、その開いた壁の先の部屋が貯蔵庫?だったらしく、野菜などが散乱しているのが見えた。

「……アリサさんは?」

 ふと肝心な事を思い出した。

「アリサおばさんなら、この惨状と、アンタの容態を聞いて家に帰ってたわよ」

「そうなのか、なら帰らないと」

 聖龍は急いで店を出ようとした。

「ちょい待ち!」

「ぐげ!」

 パティに襟首を掴まれ、聖龍は変な声を上げた。

「げっほ、げっほ…何するんだよ?」

 蒸せながら振り返る。

「あのね、アンタを付きっ切りで看病していたシーラに、お礼の一言も無い訳?」

「ぱ、パティちゃん!」

 顔を赤くしながら声を上げるシーラ。

「……ありがとう、シーラ。……あ、の…そうだ、シーラ、家まで送るよ」

 顔を赤らめ、照れ隠しで言った。

「え、あ、その…別にそこまでしなくても……」

 シーラも顔を赤らめた。

「似た者同~士が、ここにいる~♪」

 パティはホホホと笑いながら歌う風に言って、カウンターに入っていった。

 聖龍は周りを見渡したが、他の連中もニヤニヤとこっちを見て笑っていた。

「い、行こうシーラ」

 聖龍はシーラの手を取って、店の入り口に向かった。

「え、あ、や、あの、せ、聖龍くん!?」

 動揺しまくりのシーラを気にもせずに店を出るのだった。

 

――からんからん♪

 

「かわいいボウヤだことで……おや、アレフ、どうしたんだ?」

 リサは、聖龍とシーラが出て行くのを見届けたあと、原因が分かりきっているのにあえて、沈んだアレフに尋ねた。

「……わかってるんだろーが」

 暗く低い、呻くような声でリサに言った。

 

 

 

<さくら亭・外>

「ったく……わかっててからかってるな、あいつらは」

 シーラの手を引いて店を出た聖龍は呆れ口調でぼやいた。

「……あの……聖龍くん……」

「うん?……あ、ごめん!」

 聖龍は、慌ててシーラの手を離した。

 お互いの顔は真っ赤になっている。

 お互い向かい合いながら、シーラは俯き、聖龍は空を見上げた。

 お互い何を言えばいいのか分からない状態に陥っていた。

「あ、あの、聖龍くん」

 シーラが声を出した。

 まだ困惑、恥ずかしさもあるが、勇気を出して、とにかく声を出した。

「え、あ、な、何ですか?」

 何故か敬語で答える聖龍。

 まだ考えがまとまらず、どうすればいいか考えている時、シーラに声を掛けられた。

「え~と、その……ちょっと寄り道していきませんか?」

 顔を真っ赤に染め、俯きながら聞いてきた。

「え、ええ、別にかまわないけど……大丈夫なのか?」

 考えはまだまとまらなかったが、平常心を取り戻し、シーラに返答を返した。

「うん、少しくらいなら……それに……」

 それから黙るシーラ。

「それに?」

 シーラが言った、最後辺りの言葉を復唱した。

 そして、1,2分くらい経ってから、シーラは重い口を開いた。

「やっぱり、エレイン橋で言うことにするわ」

 そう言って、シーラは先に歩き出した。

 聖龍は、何も言わずにシーラのあとを付いていった。

 

 

 

<エルイン橋>

「へえ~綺麗だ、ここの水面に映る星空は。それに静かだし」

 直球な感想を述べた。

 二人はローズレイクを眺めていた。

「うん」

 シーラも、その感想に同意した。

「っで、シーラは何故ここに?」

「うん、聖龍くんに聞きたいことがあって……あと、コレ」

 シーラが俺に、布で包まれた手のひら大の長方形の薄い包みを渡してきた。

 そして、その包みを受け取り、その場で開いた。

「ん?これは……俺の聖龍王の」

「うん、ケーキをさくら亭で忘れて取りに来た時に、落としいったから……」

「ああ、ありがとうシーラ」

 聖龍はカードを大事そうに、懐へしまった。

「どういたしまして」

 テレながら言った。

 だが、すぐに顔つきが変わった。

 今まで恥ずかしがっていたり、戸惑ったりしていたが、今度は真面目な顔つきになった。

 すぐに俺は気づき、真面目になった。

「ここに足を運んでもらったのは……聖龍くんの過去の事で聞きたいことがあるからなの」

 

静寂。

 

「い、いきなりどうしたんだよシーラ。俺は記憶喪失というやつらしいから、過去の記憶なって――」

「寝言で」

「――え?」

 俺は、シーラの問いに戸惑いを隠しながら、平常心を装い、普通に態様をしたが、寝言というシーラの一言で止まった。

「寝言で……記憶喪失は嘘、本当は過去を消したかったから嘘を言った。って……」

 その言葉に聖龍は、いつの間にか合わせていた視線を逸らして、夜空を見上げていた。

「説明して……欲しい、かな?」

 聖龍の雰囲気を察したシーラが、強制でないこと言った。

 シーラも、夜空を見上げる。

 また静寂。

 だが、すぐさま口を開く。

「……いつか」

 俺は、シーラに横顔を向けながら言った。

「いつか……きちんと話す。……心の底から信じる事が出来る人が現れるまで」

「……心の底から……信じる事が出来る人?」

「ああ……心の底から信じる事が出来る人」

そのまま水面に顔を向け、腕を組み、欄干(らんかん)に寄りかかった。

「……だから今は、まだ話せない」

 俺は、重々しく言った。

「でも……いつか絶対に話すよ、本当の事を。だから、この事は秘密にしてくれないか?」

 シーラは黙りこんでいた。

 しかし、彼の雰囲気からして、それなりの理由があることは明白である。

 だからシーラは――

「せめて、アリサおばさんには話してあげて」

――そう答えることしか出来なかった。

 彼の言う『心の底から信じる事が出来る人』とは、どんな人なのか想像できなかったからである。

 だが、驚くべき答えが返ってきた。

「それは駄目だ」

「なんで!?」

 大人しいシーラも声を上げた。

 それはそれだ。恩師でもあり、今彼の寝床を貸してくれている人なのにも関わらずに、拒否の答えが出てきたのだから。

「俺は……俺はあの人……アリサさんですら、信用していないからだ」

 俺は、ハッキリと言った。

 今日で何度目かの静寂。

 だが、その静寂はあっさり破られた――

 

からん――かららららん。

 

――誰かが小石を蹴った音で。

 二人はその音のした方を、ほぼ同時に向けた。

 そして、二人とも驚き、唖然となった。

「聖龍クン……シーラさん」

 そう、そこにはテディとアリサさんが居たのだ。

 あと、顔色から察するに、今の会話は全て聞き取られていたという事がわかる。

「あ、あのご主人様……ボク、先に帰るッス」

「あ、テディ!?」

 テディはそう言って、アリサさんの返事を待たずに家の方へ走っていった。

「はあ、もうあの子ったら」

 アリサさんは少々困った顔をして、テディを見送ってからこちらを向いた。

「あ……アリサ、さん」

 俺は、なんとか口を開いて声を出したが、ほとんどかすれる大きさだった。

 だが幸いにも、ここには3人しかおらず、静かだったので聞き取れる。

「聖龍クン……アナタにどんな事情があるのかは分からないけど、だけど……これは、私の我侭(わがまま)だけど、ホンの僅かだけでも話してもらえないかしら?」

 俺は、アリサさんとシーラの顔を見て、反対側の欄干へ行き、背を向けたままで、ポツリ、ポツリと言った。

「俺は、この世界の人間じゃない。別世界の人間だ。……勉強、スポーツの両方が駄目で……それでも努力しても、一番……いや、上位ランカーすら入ることが出来なかった。元・親父は結果主義でね……過程がどうあれ、結果を出せなければ意味が無いらしい。おかげで家を追い出され、勘当……血縁すら切られたからな」

 アリサさんとシーラはその言葉に耳を疑った。

 自分の子供なのに、その権限すら破棄した父親がいることに。

 「挙句の果てに、俺には妹がいたらしい。……今まで、どこにいたのかも知らなかった」

 そして、俯いたまま振り向き、欄干に寄りかかりながら話を続けた。

「だから、どんなに親切な人でも……今の俺は、誰も心の底から信用していない。本人の目の前でいうのもなんだけど、アリサさんも、シーラも信用しきれてない。……学校でも、居ないと同じだった……育った環境で人が変わるらしいけど、だぶん……俺も悪い環境で育ってしまった一例だと思う。……人が支えあう為に大切な事を学べなかった一例が」

 シーラは唖然となった。

 たぶんある程度は端折ったり、隠したりしていると思うが……こんなに酷いとは思っても見なかった。

「……なら……私の……子供になる?」

 その発言に、聖龍、シーラ共にアリサさんの方を向いた。

「帰る家も……待っている人も迎えてくれる人も無いなら……。私も……帰る家があっても……待ってくれる人も迎える人もいないから……ただ、テディは家族だけど、いつも私と一緒だから……」

 少し悲しそうに言うアリサさん。

 それを聞いたシーラは、ただ黙る。

 俺は、ただただ呆然としていた。

 たしかにこの世界から、帰る家がなくなった。

 待ってくれる人、迎えてくれる人……12歳の4月に居なくなった。

 学校ではいても、いなくてもどっちでも良い存在。

 いればいるで、イジメを受けていた。

 だが、この世界に来てから俺は少しながら、変わった。

 あいさつを交わす。

 他人に礼を言う。

 頼みごとを引き受ける。

 そして――帰る家には、迎えてくれる人がいる。

 12歳で親元から突き放され、15歳の時に父親から決別させられた。

 家に帰っても、誰もいない。

 学校へ行っても、拒絶させれる。

 居場所、友、家族すらいなかった。

 だが、今目の前にいる人が、家族になろうと言ってきた。

 拒むことも出来る。だが、これを逃せば、二度と来ないかもしれない。

 

 これが最後の静寂の時。

 

 

 

 ここはエルイン橋。

 エンフィールドのメインの橋でもある。

 名前の由来は、かつて生贄にされた少女の名前から来ているそうだが、何分古い橋のため、本当かどうかは定かではない。

 

 

 

 だが、その橋の上で、三人がたたずんでいた。

 

 

 

 悩んでいる聖龍。

 

 

 

 蚊帳の外であるが、この問題を作ってしまった為、最後まで見守るシーラ。

 

 

 

 そして……答えを待つアリサさん。

 

 

 

 そして……

 

 

 

 俺は

 

 

 

 顔を上げた。

 

 

 

 その顔は、全てを覚悟した面構えだった。

 

 

 それを見たアリサさんは、聖龍の考えがわかったかのように、微笑んだ。

 シーラは、二人を見続けた。

 

 どんなことがあっても……最後まで見る。っと。

 

 聖龍は、口を開いた。

 

 

 

――10日後の朝

 

 

 

「ふぅ~……よし」

 聖龍は、水で洗った顔を確認して、アリサもとい母さんとテディがいる食卓へ向かった。

「遅いッス」

 テディが文句を言った。

「悪かったよ、テディ。今日は洋風の朝食だな」

「ヨウフウって、なんすかっッス?」

「洋風は、こう言うパン食などを言い、和風がご飯や焼き魚などの料理のことだ」

 なんというか……極端すぎる例を上げる俺。

「そうなんすかッス。勉強になったッス」

「ふふふ。さあ、食べましょうか」

 奥から出てきた母さんが、テーブルについた。

「じゃ、いただきます」

「いただいきますッス!」

「いただきます」

 三人(この場合、テディは一匹でいいのか?)が胸の前で手を合わせ、食べる挨拶をした。

 

――食後

 

「じゃあ、留守番お願いするわね」

 外へ出て行く母さんとテディ。

 二人は、今から役所へ行き、正式な手続きを行いに行く。

「ええ……いってらっしゃい、母さん」

 母さんだけに挨拶をした。

「聖龍さん、僕には……」

「さ~て、書類整理でも始めるか」

 テディの言葉を無視して、作業の準備を始めた。

「うわ~ん、ご主人様!」

「冗談だ、テディ……いってらっしゃい、母さんを頼んだぞ」

 すぐさま泣くのをやめ、敬礼をした。

「うッス、了解ッス!」

 その二人のやり取りを見て微かに笑う母さん。

「じゃあ、いってきます」

 玄関のドアが閉まった。

「じゃ、俺も仕事しますか」

 ここは万年貧乏のジョートショップ。

 だから、俺は働く。

 母さんの為にも――

 

――こんこん

 

――と、不意にドアが叩かれる音がした。

「ん?仕事の依頼か……は~い、開いてますよ!」

 そして、入ってきたのは、赤と白の色の服を来た女性――シーラが入ってきた。

「お、御邪魔します……あの……その……アリサおばさんは?」

 相変われず俯き、頬を赤らめながら言うシーラ。

「ああ、今さっき役所に向かったよ……正式な手続きを行いに」

 それを見て、少々苦笑しながら言う聖龍。

「もう、笑うことないのに」

 拗ねるシーラ。

「ははは、悪い悪い」

 笑いながら謝る聖龍。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖龍は、アリサさんを母さんと呼ぶが、完全には信用していない。

 

それはアリサさん、シーラ共に理解している。

 

だが、今日から聖龍は、聖龍・アスティアとなる。

 

血の繋がりが無くても、家族は出来る。

 

信頼という名の絆があれば……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠久前奏曲

 

opening / the conclusion

 

 

 

悠久幻想曲~信頼に出逢う者~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここに始まる……だが

 

It is ...... beginning here

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの時の物語は、まだ終わっていない……。

 

...... that a story of that time is not yet over.

 

 

 

刺客が送られ、関係ない者たちが巻き込まれた。

 

An assassinator was sent, and the people who had nothing to do were rolled up.

 

 

 

だから……真実を知る為に

 

Therefore to know the ...... truth

 

 

 

青年は戦う

 

A young man fights

 

 

 

友の為、仲間の為、自分の為に……

 

For a friend, it is ...... for oneself for a friend

 

 

 

ここに、一つの戦いが終わる。

 

Here, one fight is over.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エターナルメロディ

 

 

 

 

 

 

 

~真実に出逢う者~

 

Part 2 / begins

 

 

 

 

END




ウッス、ダークバスターです。
色々指摘を頂いたので、内容の一部を訂正しました。
あまり変わってないですが、今後も宜しくお願いします。

ちなみに、今は無くなりましたが、アドレスのCCは「correction」(訂正)の略が入っていました。





制作開始:2005/12/28~2006/1/10

打ち込み日:2006/1/20
公開日:2006/1/20

変更日:2008/10/23
訂正日:2008/10/23


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何かに出逢う者たちの物語・第三部 エターナルメロディ~真実に出逢う者~ 第一話:真実を求めて…… 

第三の魔宝の戦いから数十日目、阿木葉に植えつけられた恐怖に怯えているウェンディ。
紅蓮もまた、あの日の誓いを阿木葉に砕かれて、苦悩する紅蓮。
だが、それでも進むしかない。
真実を知る為に……


「あばよ、お人よし!」
 阿記葉(あきは)は、紅蓮に対して言い放つ。
「く……そ!」
 紅蓮の体はボロボロで、動くことも困難なのにも関わらず、三体のパイロンに装備されてあった拘束用ワイヤーを体に巻きつけられているため、さらに動くことが出来なかった。
『起爆プログラム始動……魔力動力暴走開始……三十秒後ニ起爆シマス』
 一体のパイロンから、発せられた声。
「紅蓮さん!」
「くるな、ウェンディ!」
 ウェンディが、紅蓮のサバイバルナイフを持って、紅蓮の元へ駆け寄っていく。
 だが――
「へ、お前か……また、たあっぷりと、イタぶってやるからよ~お。だから……大人しくしてろや」
 阿記葉が、ウェンディの進行方向を塞ぐ。
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 阿記葉を見たウェンディは、植えつけられた恐怖を思い出し、悲鳴を上げ、そのまま尻餅をついて後ずさりを始めた。
「あぁぁぁぁぁぁきぃぃぃぃぃぃはぁぁぁぁあああああ!」
 雄叫びを上げる紅蓮。


 フードを被り、ローブを纏う『奴』は、リンディアンにある丘にいた。

「……いるか……リアン?」

「ここに」

 凛々しく、美しく……まさに戦姫というべき女性が、『奴』の後ろに膝を突き、頭を下げて待機していた。

 髪型は、ポニーテイルだが、長さは首から肩の間で、毛先は真っ直ぐ横に切りそろえられている。色は水色。

 着ている鎧は、軽装で必要最小限しか無い。主な色は赤で、枠の色は黒という色合いだ。

 『奴』はリアンに頼みを言った。

「すまないがリアン、紅蓮の仲間……特に青髪で三つ編みをしている女性を仕留めてきて貰いたい。……そう怒るな……阿記葉がやられたのだ、仕方あるまい」

 初めの言葉に怒りを覚えたが、阿記葉が倒された事を聞き、驚いた。

「パイロンを三機与えたのにも関わらずに、だ」

「あのパイロン……ですか?……馬鹿な!?」

 リアンは更に驚いた。

 パイロンについては、色々と不可解な点が多かったが、テスト運転というのを行う為に下級ドラゴンを四体同時に相手させて、多少のダメージを負いながらも、四体のドラゴンを全て倒した代物だ。

 それを三体も倒したとなると……『人』という存在を超えている。

 リアンは少なからずの恐怖を覚えた。

「案ずるな……お前に、新たなる装備品と補強アイテムを用意する。……やってくれるな、魔道騎士…リアン・フォントランダァー」

 リアン・フォントランダァーは、顔を上げた。

 そして、その顔には一寸の迷いも、恐怖も無かった……ただ、主の為に。それだけだ。

「は!このリアン・フォントランダァー、命に代えても!」

「頼むぞ……だが、命を賭けることは許さん……どんな事があっても生きろ。……いいな」

 リアンは、フードの隙間から見える『奴』の瞳は悲しげだった事に、気がついた。

「申し訳ありませんでした…主様」

 その言葉に『奴』は微笑んだ。

「ああ……装備とアイテムを用意するのに時間が掛かる。すまないが、少し待ってろ」

 そう言って、『奴』は姿を消した。

「主の為なら命を惜しまない、か……」

 その言葉にリアンは振り向いた。

「相変わらずだな、リアン」

「……マスカードか」

 振り向き様に柄を掴んだが、仲間であるマスカードを見て、手を離した。

「どうしたんだ?」

 その口調にマスカードはゲンナリとなった。

「お前さ~、何で『奴』意外にはそういう口調なんだ?」

「貴公には関係無い事だ」

 リアンはそのままマスカードの横を通り過ぎ際にこう言った。

「阿記葉 狂太朗(あきは きょうたろう)がやられた」

「……ありがたいが、既に主から聞き及んでいる。残念だったな」

 そして、リアンは立ち去った。

 その場には、マスカードしかいなかった。

 だが、マスカードはそのまま空を見上げ、呟いた。

「紅蓮……か。……一戦交えてみたいものだな」

 

 

 

――イアソンに行く途中にある森の奥地

「せい、は、てい、やあ、せい、らぁ、はぁ!」

 左の中段蹴り、そのまま跳んで回転しながら横から上段の踵蹴り、着地後に中段に肘鉄、続いて右の掌底(しょうてい)、右のつま先の蹴り上げ、踵落し、気功・衝天波の流れ技をした。

 これは、単体戦での不意打ち・連撃をする為の戦法として、紅蓮が独自で考えた流れ技だ。

 ただ……この動作が並みのスピードでないため、たぶん一般人には、何をしているのか分かりづらいと思う。

『――The fist which has power(力ある拳)」

 暴王・ジェサイアの力を拳に宿し、近くにあった大岩に叩きつける。

“調子は良好ですね”

 頭の中に、威厳かつ重々しい声が響いた。

「はあ、はあ、はあ」

 呼吸を整え、王々の一人の問いに言葉を返す。

『水王・アクターキュアス、久しぶり。動きは……まあまあってところだ』

“……普通の人がそのセリフを聞いたら、化け物だというぞ?”

 呆れ口調で、別の声が響いた。

『久しぶりだな、闇王・ダドウック。そういえば、二人とも海賊王の島以来だな』

“ああ、たしかに。間接的ながら、気まぐれでお前を手助けしただけだ”

 思い出すかのようにアクターキュアスは言った。

『…………』

“やはり黙ってしまったか”

 予想道理と言わんばかりに、ダドウックがぼやく。

『まあ、二人には感謝しているよ。……あの時は間接的ながらも、助かったからな』

 紅蓮は苦笑しながら、第三の魔宝・白の聖鍵があった海賊王の島野出来事を思い出しながら言った。

『……あの時は色々あったからな』

 紅蓮は、後悔した顔で空を見上げた。

 

 

 

――イアソンに行く途中にある森のテント地

「♪~♪♪~♪~♪」

 ピンク色の大きなリボンをつけた少女が、鼻歌を歌うながら料理を行っていた。

 ちなみに、某アニメの魔砲少女もとい、魔法少女A's・オープニングテーマである。この物語には関係ないけど。

「今度は大丈夫なんでしょうね、若葉」

 妖精・フィリーが、料理をしている少女・若葉に言い放つ。

「なんとか大丈夫だと思います!」

 若葉は、大丈夫。と言わんばかりに力こぶを作って見せた。

 しかし、フィリーの内心は――

(その自信は、どこからでてくるのよ~!)

――で、あった。

 フィリーは本来、もっとキツイ言い方するのだが、最近は気絶するほど不味くなくなり、 それなりに進歩していることを認めているから、このような言い方に留まった。

「にても……」

 不意に森の奥を見るフィリー。

 それに釣られて見る若葉。

「紅蓮は何しにいってんだか」

「そうですね~、たぶん鍛錬でもしてるのではないでしょうか?」

 微笑む若葉。

 少し離れたテントの入り口から、手が出てきた。

「おはよう~ございま~す」

 目を擦りながら、テントから出てきたティナが朝の挨拶をした。

「おはよう、ティナ」

「おはよう御座います、ティナさん」

 挨拶を交わす若葉とフィリー。

「あれ~、ウェンディさんと紅蓮さんは?」

 まだ眠気が取れないのか、虚ろの目で当たりを見回しながら言った。

「ああ、あの二人ね。紅蓮は森の奥に行って、ウェンディは近くの川に、顔を洗いに行ったわよ」

「ありがとう御座います、ふぃり~さん」

 と、フラフラしながら川に向かうティナだが――

「きゃあ!」

――ドテン!

 足に石を引っ掛けたのか、そのまま転んでしまった。

 

 

 

――テントの近くにある川

 辺りの木々の生い茂った葉っぱの間に朝日が差し込んで、とても幻想的に見える。

 そして、その間を通るように川が、穏やかな流れで流れている。

――ぱしゃん、ぱしゃん、ぱしゃん。

 そこで、川岸に座り込んで顔を洗うウェンディの姿があった。

 その流れる川の水面に映った自分を見ていた。しかし――

「ひぃ!」

――海賊王の島で、紅蓮が戦った阿記葉 狂太朗の顔が浮かび上がった。

 ウェンディは、恐怖のあまりその場で尻餅をついた。

 そして、落ち着きを取り戻して、もう一度川を覗く。

 だが、そこにはウェンディの顔しか映っていない。

 辺りを見回したが、誰もいない。

(そうだよね……阿記葉は、もうこの世にはいない)

 紅蓮と戦い、変な金属質のモンスターの大爆発に巻き込まれ、海の底に消えていった。

 だが、あの時受けた恐怖を、どうしても忘れることは難しい。

 左腕を擦る。

 もう完全に治っている。

 傷もなくなっている。

 それでも――

「……紅蓮さん」

 その場に蹲るウェンディ。

 一度植えつけられた恐怖は、まだ消えることはなかった。

 

 

 

“紅蓮!”

『うお!どうしたんだよ、ディメンティア』

 海賊王の島の出来事の感傷に浸っていた時に、不意にディメンディアの声が響いて、驚いた。

“紅蓮、今すぐウェンディの所へ飛んで!”

『!!』

 ディメンティアの言葉にすぐさま空間把握を行い、ウェンディの居場所を割り出して、近くに座標固定して跳んだ。

 

 

 

――シュン

 紅蓮は、ウェンディがいる近くに跳んできた。

「…………」

 紅蓮は声を掛けることを止めた。

「ぅぅえっあ、ひっく……ひっく……」

 泣くウェンディ。

 それを、ただ見ている紅蓮。

 どうしようもなかった。

 普段なら、怒鳴るディメンディアだったが、今回ばかりは黙っていた。

 あの日の誓いを守ることが出来なかった。

 客観的に見れば、今も誓いを守っていると言える。

 だが、阿記葉との戦いに巻き込んでしまい、挙句の果てに恐怖まで植えつけられてしまったのだから。

 だから、紅蓮は悩んだ。

 俺には声を掛ける資格はあるのだろうか。

 このまま別れたほうが……いや、それこそ自ら誓いを破棄することになる。

 そんな思考が、メビウスの輪のように延々を回っていた。

 しかし、落ち着きを取り戻しつつあったウェンディは、人の気配に気づいたのか、紅蓮のいる方を振り向いた。

「……ウェンディ」

 紅蓮が、呟くように言った。

「ぅ、ぁあっ、ぐすっ、があぁ、ぐれんしゃん」

 紅蓮を見て言った。

 ウェンディの顔は、涙でぐちゃぐちゃになっていた。

 紅蓮は、胸が苦しく、己の未熟さに怒りを覚えた。

 だが、そんなものは後回しにした。今成すべき事は――

 紅蓮は、ウェンディに近づき、屈んで、前から優しく抱きついた。

 強くなる。

 今度こそ、誓いを破らない為に。

 そう想い、さらに優しく、強く抱いた。

 

 

 

「ウェンディさん……」

 遠くから見ていたティナが呟く。

「紅蓮じゃなきゃ、どうしようもないわよ……行きましょう、私たちがここに居ても、役に立てそうにないから」

 フィリーがティナと若葉に、そう告げた。

「そう……ですね。ですから、ご飯を作って待っていましょう」

 納得する若葉。

 そして、三人はテントへ向かった。

 

 

 

――テント地

「遅いわよ、二人とも!」

 と、早速帰ってきた二人を怒鳴るフィリー。

「すまない。鍛錬に集中しすぎた」

「ごめんなさい。少しボーとしてました」

 どことなく、棒読みのようなセリフを吐く二人。

「まあまあ、全員そろったので、食べましょうか、ね?」

 フィリーをなだめるティナ。

「ああ、そうだな……ありがとう若葉」

「ええ、どういたしまして」

 紅蓮は、若葉からご飯が入ったお椀を貰いながら座る。

 その隣にウェンディも、座りながら貰う。

 フィリー、ティナにも渡り、全員にご飯が行き渡った。

「せ~の」

『いただきます!』

 今日の食事当番である若葉の言葉を合図に、一斉に挨拶の返事が森に響き渡る。

 だが、同時に『不味い』の言葉も、森に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつもと変わらない朝。

 

 

 

 

だが、どこかぎこちなかった。

 

 

 

 

それでも進むしかなかった。

 

 

 

 

本当の……真実がわかるまで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かに出逢う者たちの物語・第三部

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エターナルメロディ

 

~真実に出逢う者~

 

 

 

 

Originates Part 2, here

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……to be continued




 お待たせしました。
 何かに出逢う者たちの物語・第三部、エターナルメロディ~真実に出逢う者~、ここに公開!
 今まですいませんでした。
 なんせ、卒業認定テスト期間に突入してしまい、テンション低下、風邪など色々あり、遅れに遅れたことを、お詫び申し上げます。
 本当は、第四の魔宝を手に入れる直前かの開始でしたが、作者の気まぐれで、急遽第三の魔宝を手に入れて、第四の魔宝があると言われる地に行く話しに変更。
 そうなると、本作とは完全に別の作品になりつつあります。
 もうオリジナルストーリーに入っても、誰も文句は言わないかと……。
 ともかく、今後の展開も宜しくお願いします。
 ちなみに次回は、完全オリジナルキャラクター兼シリーズ初……今までの作品(2006/1/23現在)のSS制作で初の死亡者である阿記葉 狂太朗(あきは きょうたろう)と、その男に恐怖を植え付けられたウェンディの出来事を書きます。

 第二話:海に散る誓い・前編

 こうご期待ください。






制作開始:2005/12/23~2006/1/24

打ち込み日:2006/1/24
公開日:2006/1/24

変更日:2008/10/23


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第二話:海に散る誓い

ボロボロにされてしまったウェンディ。
そこで、自分自身を見失いかけるが、ジェサイアのおかげで自分を取り戻す紅蓮。
その時、四方八方からの攻撃に……



「ここが第三の魔宝がある場所……海賊王の島です」
 お決まりのセリフを言うロクサーヌ。
 この地に、第三の魔宝とウェンディがいる島。
「ですが、紅蓮さん」
「なんだ、ロクサーヌ?」
 紅蓮は島を見つめたまま、返事を返した。
「本当に宜しいんですか?今回の魔宝を諦めることと……ウェンディさんのことに関してですが……」
 少し曇った顔をするロクサーヌ。
「問題はない。……約束道理、手出しはするなよ、レミット、カイル」
 後方で作戦を立てていたレミット&カイルチームに言った。
「……あ、ああ」
「う、うん」
 二人らしからぬ返事が返ってきた。
 フィリー、若葉、ティナ、他のチームの娘たちも、不満や心配そうな眼差しが、紅蓮の背に集まっている。
 だが、紅蓮は気にもせずに、ただ島を眺めていた。
「首を洗って待っていろ、阿木葉」
 ウェンディをさらって行った男の名前を、吐き捨てるように呟いた。


 話は五日前に遡る。

 ゲンシュウという街を出て二日目の出来事だった。

 その日の夜、紅蓮たちは川岸の近くでテントを張って、静かに寝ていた。

 だが、不意に目が覚めた紅蓮は、川の水を飲みにテントを離れた。

 そして、喉を潤していた途中で、爆発音が鳴り響いた。

 テントがある位置に。

 紅蓮は、空王の力を使い、すぐさま戻ったが、酷い光景が広がっていた。

 テントは吹き飛び、地面が抉れ、草木が燃えがあっていた。

 しかし、その炎の中に人が居た。

 奴の名は、『阿記葉 狂太朗』、ウェンディを攫った男だ。

 阿記葉は紅蓮見るや否や、抱えていたウェンディを見せた。

 紅蓮はすぐさま阿記葉に飛び掛ったが、パイロンのD.S.M.P (ディメンション・シックス・マジック・プレート)の不意打ちの直撃を受け、吹き飛び、そのまま倒れてしまった。

 その後、阿記葉はウェンディを抱きかかえて、パイロンと共に夜の闇に消えてった。同時に紅蓮の意識も、そこで闇に沈んでいった。

 目が覚めた時は五日後で、場所は海賊王の島から少し離れた小屋の中だった。

 それから、若葉、ティナ、フィリーの三人共無事だった。ちなみに三人の事は、何故か居たレミットから聞いてから気がついた。

 レミットの話によれば、ロクサーヌが五日前の夜に草原に炎が上がるのが見え、その辺りから、銀色の閃光があの海賊王の島の方角へ飛んでいくのを見たそうだ。

 そして、不安になり、燃え上がった場所を行ったら、案の定、俺が倒れているのを見つけ、転送魔法でここまでは運んで来たと言う。

 それから明朝に辿り着いたカイルとレミットチームに訳を話して、ロクサーヌの提案で、魔宝争奪戦を一旦中断してもらったのだが、阿記葉から映像が送られてきた。

 ちなみに、その映像が入っていたモノは、紅蓮の世界でお馴染みのビデオカメラであった。

 中身は、鞭でボロボロにされたウェンディの姿が映っていた。

 そのあと……紅蓮自らの申告により、紅蓮のチーム抜きで、魔宝争奪戦を行うことになった。

 その際、若葉、ティナの二人は、カイルかレミットのチームに、フィリーはロクサーヌに付くことになった。

 ここまで話が大きくなれば、全員が納得するはずが無いのだが、紅蓮の暴王の力を見せ付けられて、黙るしかなかった。

 

 

 

 そして――今に至る。

 

 

 

<海賊王の島・最深部>

 ここは島の最深部、光がほとんど無く、あっても隙間風くらいの大きさしか無い。

 それでも、それなりに明るいのは、マジックアイテム・フラッシュ・ストーンのおかげである。

 

 

 フラッシュ・ストーンとは――

 光の精霊を水晶に、魔法で封じ込めた品物である。

 水晶に『up』と刻まれた部分に張られた紙などを剥がす事で使用可能となる。使い終わったら、もう一度『up』の部分に紙や布などを巻くことによって、明かりを消すことができる。

 安物は一日・二十四時間の使い捨てタイプから、上質なものは百年以上持つといわれている。

 ちなみに、マリエーナ王国の地下にも設置されているが、二百年以上は点けっぱなしだとか。

 

 

 そんな誰も来ない場所に、二つの影が中央にあった。

「阿記葉、調子はどうだ?」

 『奴』が、阿記葉に声を掛ける。

「ああ、順調に進んでいる。あとは……」

 阿記葉が壁を指差した。

 その先には、鞭でボロボロにされ、両腕を鎖で繋がれたウェンディの姿があった。

 しかも、目の輝きは失いつつある。

「幻覚の魔法を使っているな」

 エグイやり方だと、直感した。

 たが、咎めることは出来なかった。なんせ、好きな方法で戦えと許可してしまったからだ。

「そうさ、まずは流しで肉体から、調度良いくらいに恐怖の色に染まったら、幻覚の魔法で追い討ちを掛ける。こうすれば、肉体よりも精神的ダメージが大きいからな」

 と、笑いながら語る阿記葉。

「あとは、これで――と、これでどうですか?」

 変身の魔法で、阿記葉はウェンディの姿に変わった。

「なるほど……騙し討ちか」

「挑発も終わったからな。最後に愛しい者に殺されるのがベターでないか?」

 ウェンディらしからぬ不適な顔で、『奴』に問うが、何も答えなかった。

 ただ、ウェンディを心配そうに見つめていた。

 

 

 

<海賊の島・海岸沿いルート>

 紅蓮は一人、海岸沿いを進んでいた。

 空王・ディメンティアのディメンション・ジャンプで中央に飛びたかったが、何故か島内部の空間把握が出来いなかったため、ウィンド・ウイングで低空飛行をしていた。

「にしても……どうなってるんだ?」

 既に島に二周分くらいの距離を飛んだのに、一向に島の反対側が見えてこなかった。

 進んでいる途中で、我を忘れていた紅蓮が、見かねた暴王・ジェサイアに喝を貰い、正気を取り戻したが、ただ海岸沿いが延々続く状態だった。

 この空間一体に閉じ込められたかと思い戻ってみたが、帰ることができた為、罠でないことがわかった。

“たぶん……空間が捻じ曲がってるんじゃないの?”

 ディメンティアの声が、頭の中に響いてきた。

「空間が?」

“そう。進もうとしても、無限ループ……メビウスの輪みたいに、永遠と同じところを回り続けているから……ここから先は、森の中を進むしかないかも”

 空中で停止し、森を見上げた。

「しゃあ無い、行くか」

 ウィンド・ウイングを本来の効果に戻して、森に入っていった。

 

 

 

<海賊の島・正規ルート>

「ねえ、カイル」

「なんだ、チビ」

「誰がチビよ、誰が!」

 カイルのチビ発言にキレるレミット。

「れ、レミット様、お、落ち着いて」

 宥めるアイリス。

 その光景を見ている、若葉、ティナ、メイヤー、楊雲、カレン、アルザ、リラ、キャロット、そしてフィリーとロクサーヌであるが――

「なんで、皆一緒な訳?」

 と、ボソリとフィリーが言う。

 その言葉に、ロクサーヌ以外の全員が固まった。

『…………』

 沈黙が流れる。

 だが、その沈黙はすぐに――

ドガァァァァァァァァァァァァン!

 爆音によって、打ち砕かれた。

「とうとう始まったようやな」

 アルザが、険しい表情で煙が上がってる方向を見た。

「どうしますか、リーダー?」

 楊雲が、リーダーであるカイルに指示を求めた。

「…………」

 しかし、ただ煙の上がっている所を、黙って見ているカイル。

 それでも、爆発音やぶつかり合う金属音が鳴り響いていた。

「レミット様?」

 ただ黙って見ていることに気がつくアイリス。

バシュシュシュシュシュ――ドドドドドドドン!

「行こう、レミット!」

 元気良く言う、キャロット。

「どうするの、レミット?」

 臨戦態勢が整っている、リラ。

「もしも、危険な状況だった……どうしますか?」

 とんでもない事を口走るメイヤーの言葉に釣られるように、再び大きな爆音と煙が上がった。

「行くわよ、皆!」

 先に動いたのは、レミットだった。

「そうこなくっちゃ!」

 腕捲りをする、カレン。

「く、俺たちも行くぞ!」

 それに続く、カイル。

「やれやれ、本当に皆さん……どう思います、フィリー?」

 しかし、返事は返ってこなかった。

「?フィリー……あれ、若葉さんとティナさんは?」

 その言葉に、全員が辺りを見回すが、若葉、ティナ、フィリーの姿が無かった。

「まさか、三人とも先に!?」

 カレンが、また煙が上がった場所を見た。

「先行くぞ、レミット!」

 カイルが、黒いマントを靡(なび)かせながら走り出した。

 それに続いて、レミットチーム、カイルチームのメンバー、ロクサーヌまでもが、あとに続いていった。

 

 

 

<海賊王の島・森の中>

 紅蓮は、木を背もたれにして立っていた。

「はあ、はあ、はあ……地雷から草で作った足掛け、挙句の果てにパイロンの攻撃付きかよ……よく生き残れたな、俺」

 始めに草の足掛けに躓き、片足でケンケンして地雷を踏み、その場で止まっていた所にパイロンの背中に付いている六枚のプレートによる、遠隔精密射撃のオンパレード。

 おかげで、踏まずに済んだはずの地雷にも当たり、爆発が起きた。

 しかも、地雷の連鎖爆発のオマケ付きで。

“さ、さすがの我(われ)も驚いたぞ。あんな大きな爆発が至近距離で起きたからな”

 少々引き攣るジェサイア。

“わ、私、もうイヤ”

 半べそのディメンディア。

 ディメンディアが、それなりに落ち着いくまで休むことにしたが――

――タシュ――ドゴン!

 背後から殺気を感じた紅蓮は、すぐさま飛び跳ねて攻撃をかわした。

シュシュシュシュシュシュ!

 紅蓮を取り囲むように、フォーメーションを組む六枚のプレート。

 だが、この六枚―― 一組だけではなかった。

シュシュシュシュシュシュ!

 さらに、もう一組が現れたのだ。

「……マジかよ」

 それを合図に、二組のプレートが一斉に紅蓮に襲い掛かる。

「くそったれが――エア・ストライク!」

ガキガキガーン!

 プレート三枚ほど蹴り飛ばしながら、強行突破した。

 だが、また九枚のプレートが残ってある状況。

 このまま強引に進んでも、確実に四方から押さえられ、上に跳べば格好の的。

 まさに四方八方であった。

 そして、プレートから攻めこようとした時に――

“あの穴に飛び込め!”

「!?」

 知らない声が頭の中に響いた。

 それと同時に、プレートの一斉攻撃が放たれた。

 迷っている暇も無く、その指示に従い、穴の中に入っていった。

 

 

 

<海賊王の島・最深部>

「何?見失っただと……お前らは、何をしてたんだポンコツども!」

 阿記葉は、パイロンからの報告を受け、激怒した。

「どうした?」

「あんたかって、それはなんだ?」

 『奴』が手に持つ物を指差した。

「ああ、パイロンの元になった試作型・トライアの改良型のデータが入っている」

 と、厚さがニ~三ミリくらいであり、正方形の形をしたロムを見せた。

「この中に設計図が、ね~。機械はあるのか?」

「別の所に保管してある。バックアップもきちんとあるぞ」

「アンタ、案外真面目な性格だな」

 先の怒りを忘れ、苦笑した。

「で、何があった?」

 と、反れた話を戻す『奴』。

「あ、そいうえばパイロンの奴らが、紅蓮を見失ったらしいんだ」

 『奴』は驚いた。だが、その原因はすぐにわかった。

「この島には、検索・探索・転送魔法防止の結界と海岸沿いの空間をいじってあるからな。パイロンの探索能力も落ちる」

「なんでそんな結界を張るんだよ、まったく……」

 投げやりになる阿記葉。

「紅蓮からの不意打ちを防ぐ為の盾だと思えば、安いものだ」

「ふぅ~ん……よく紅蓮のことを知っているな」

 『奴』の後ろに立つ阿記葉。

「何が言いたい」

 阿記葉は、そのままウェンディの所まで行く。

「何でもないさ……いい肌触りだ」

 ウェンディの頬を撫でる。

 『奴』は、それを見るや否や、外へ向かって歩き出した。

「いくのか?」

 不満そうに言い放つ。

「……実は」

「実は?」

 『奴』は少々躊躇ったが、話すことにした。

「実は、リアンにアラウンド王国の豆腐を買ってきて欲しいと頼まれてな」

 片足を上に開いて、大いにこける阿記葉。

「とっとと帰れ!」

 『奴』は、そのまま闇に消えていった。

「ったろーが、何考えてるんだか……さて、早く来ないかな~」

 紅蓮の絶望した顔を創造しながら、ウェンディの姿で待っていた。

 

 

 

<海賊王の島・どこかに繋がる穴>

――ズサササササササササササ!

「うわわわわ、がっ、で、どば!」

 あっちこっちにぶつかりながら、紅蓮はもの凄い勢いで穴の中を滑り落ちていく。

「いででででで、ご、がふば!」

――ズササササササササァァァァァァァ……

「……う、うう……こ、ここは?」

 痛みを堪えながら、辺りを見回した。

「く、暗くて何も見えないが……響き具合から、相当広いなここは」

 と、何か明かりを作り出すものは無いかと、荷物の中を弄った。

“何をしている?”

「何をしているって……明かりになるモノを探しているって、誰だお前は!?」

“気がつくのが遅い……闇王・ダドウック……名の通り、闇の王だ”

「宜しく……闇王・ダドウック。早速だけど、この状況を何とかして欲しいんだが、力を貸してくれるか?」

“お安い御用だ”

 先ほどまで闇しか見えてなかった景色が、段々と晴れてきた。

 そのまま立ち上がり、服や体付いた泥を払った。

「はぁ~、お気に入りの服なのに……」

「ここで遭うとは偶然だな、紅蓮」

 その言葉に飛び跳ねながら、単位空間から刀を取り出して臨戦態勢をとる紅蓮。

「貴様は……あの時の!」

 鞘から刀を抜く。

「大分たくましくなったな……どうだ、ここらで戦うかと言いたい所だが、お前の相手はこの奥にいる」

 『奴』は、洞窟の奥を示す。

「どういうつもりだ?」

 しかし、紅蓮は『奴』からの視線を外すことはなかった。

「……今のお前に勝っても意味が無い」

 そうして、紅蓮の横を通り過ぎて行く。

「あ、そうそう、言い忘れてたことがある」

 お互いに、背を向けたまま止まる。

「外の連中は、パイロンとは接触しないようにしてあるから、安心して戦え」

 その言葉に、紅蓮は振り向いた。

「お前の目的はなんだ!?」

 『奴』は答えない。

 辺りは沈黙に包まれた。

 本来は、明かりも無い暗闇の世界。

 その世界に、二つの蠢く者がいた。

 そして『奴』は、重々しく言った。

「……いずれ判る。……そんなことより、早くウェンディの所へ行け。幻覚の魔法で精神がもたないぞ」

 そう言い残して、『奴』はその場を去った。

「おい!……っち!」

 紅蓮は、『奴』が示した方へ進んだ。

 

 

 

<海賊王の島・どこかに繋がる穴>

「おい!……っち!」

 紅蓮は、『奴』が示した方へ進んだ。

「…………」

 『奴』は、後ろを振り向いた。

「紅蓮……ここで消え、そこまでの男だったなどと、失望させないでくれ……お前を殺すのは、この俺だからな」

 そう呟き、また歩き始めた。

「お前が俺であり……俺はお前であるのだからな。そして、お前に眠る残りの王々の力……解き放ってもらうぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前は……光ならば

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は……影なのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それも、劇で踊らせれる……操り人形の様に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの男の手の上で、踊らされているのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……to be continued




 少々短くてスイマセンでした。DBことダークバスターです。
 話をいきなり重たくした為に、上手くいかない状況になってしまいました。
 しかも、真面目なのかシリアスなのか、中途半端な作品に。
 やはり……重い話を書くのは、無知無理無謀の行いでしたが、今後の展開の為の試作品として見てくれれば幸いですが。
 とにかくこんな半端な作品になってしまい、申し訳ありませんでした。






制作開始:2006/1/24~2006/2/17

打ち込み日:2006/2/17
公開日:2006/2/17

変更日:2008/10/23


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第三話:地脈の果てに

ついに囚われのウェンディを見つけたが、幻と滅んだはずのモンスターの大群に囲まれてしまう。
激戦の末に、地面が崩れ、地脈に落ちてしまう紅蓮。
そして、光と水の王々の力が、紅蓮の前に現れる……



 紅蓮は、通路みたいな穴――鍾乳洞を抜けると、『奴』が示した通りだった。
 そこは海賊王の島・最深部であった。
 その空間のど真ん中に祭壇があり、その上にボロボロになったウェンディが寝ていた。
「ウェンディ!」
 紅蓮は叫び、走り出した。
 だが、それを阻むように地面から、天井から、見たことも無いモンスターが現れた。
 あとから調べて判ったのだが、このマリエーナ地方ではお目に掛かれない奴や既に歴史上滅んだモンスターも存在した。


――アンデットデーモン
 デーモン系でも、もっとも古く、既に滅んでいる。
 しかも、アンデット系にも属するので、非常に厄介なモンスターである。
――ビーストドラグーン
 生息数がとても少なく、未だに謎が多いいモンスター。
 昆虫系なのかドラゴン系なのかも、不明。
――マジックラット
 姿は、ごく普通のネズミだが、魔法攻撃が出来るという上級モンスター。
 これも既に、千二百年前に滅んだ事になっている。
――マッドドラゴン
 泥のドラゴン。
 ドラゴンの中でも、生命誕生時に生まれた存在の一体となっている。
 なを、泥さえあればいくらでも蘇生が可能。


 それが、計三十五体居たのだ。
 だが、ロクサーヌから聞いた話だと、そのようなモンスターは生息していなかったそうだ。
 ロクサーヌ曰く、「関係ない所の調査は、欠かせないのですよ」の事。
 まあ、魔宝までの道のりを把握する為らしい。
 モンスター達が現れたあと、祭壇の上に寝ていたウェンディは、闇に溶けていくように消えたいった。
 そして、紅蓮目掛けて攻撃を始めた。
「ディメンション・ジャンプ!」
 そして、爆発が起きた。
「おりゃ!」
 空間跳躍で、マジックラットの上に現れて、二体踏み潰した。
 所詮はネズミだった訳だ。
 どんな強力な魔法が使えても、術者を倒せば用意ではない。
 だが、他のマジックラットが『ルーン・バレット』を放ってきた。
 それをシールドで防ぎ、斬りかかったが――
――ガキィィィィィィィィィン!
 シールドに弾かれたのだ。
 紅蓮はそれに動揺し、僅かに動きを止めてしまった。
 それがチャンスと言わんばかりに、アンデットデーモンとビーストドラグーンが攻めてきた。
 ビーストドラグーンが、殴りかかってきたが、受け流し、拳に魔力と気を練り合わせて――
「せい!」
 ビーストドラグーンの腹を打ち抜いた。
 だが、血が吹き出ることなく、そのまま崩れて消えた。
 これはビーストドラグーンの特性で、命が尽きると、魔力の塊に変化して、空中に拡散して消えるそうだ。
「な――ぐぁ!」
 ビーストドラグーンの現象に呆気に取られた為、横から攻撃を喰らう。
 鳩尾に直撃した。
「く、そが!」
 再び攻撃を仕掛けてきたモンスター達に怯む事無く、挑んでいった。


「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……はぁ」

 紅蓮の周りには、モンスター達の死骸が転がっていた。

 他のモンスターは何とか倒せたが、マッドドラゴンだけはどうしようもなかった。

 この鍾乳洞は、いい具合に湿っていて、泥という泥があった。

 そのせいで、斬っても、焼いても再生が繰り返されていた。

 そこで地面を焼いて、泥を乾かしてから叩く先方を思いついた。

 それで倒すことが出来たが、蒸し暑く、しかも臭いと来ている。

 まあ、自業自得とういう奴だ。

“無茶苦茶な事をやったな”

 さすがのダドウックも呆れて言った。

「ゲホッ、ゲホッ……仕方ないだろうが、これ以外どうしろと?氷系魔法が使えれば、固めて砕けたんだが、あのデカイ図体を固める強力な魔法はまだ持ってなかったんだよ」 

“まあいい……体は?”

「問題ない。戦闘には支障はでるが、それ以外の事は、な」

 立ち上がる紅蓮。

“ちょっと待って!”

「うを!」

 コケそうになる紅蓮。

「なんだ、ディメンディア!危ないだろうが」

“だって、この一帯の岩盤が、先の戦闘で脆くなっているんだから。下手に動くと崩れるわよ”

「……今度は立ち上がる前に言えよ」

“ふぇ?”

 間抜けな声を出すディメンディア。

 その次の瞬間――

――ガランゴロンガラゴロンガ!

 紅蓮を中心に、地面が崩れだした。

「どぅあ!」

“紅蓮、魔法!”

「ああっぐあ!」

 落ちている最中に、壁の出っ張りにぶつかり、気を失う紅蓮。

 しかも、魔力もほとんど無い為、王々でも、宿主の許可無しで魔法使用をする分の魔力もなかった。

 そのまま落ちる紅蓮。

 しかもその先には流れの速い地脈があった。

 そして、何も起こることも、起こすことも無いまま地脈に落ちていった。

 

 

 

<海賊王の島・最深部>

「ふぅ~、モンスターを仕掛けておいたけど……どうすればこう何のかな?」

 祭壇のあった空間を見に来た阿記葉だったが、そこには大穴以外何も無かった。

「に、しても……くっせ~」

 異常なまでの異臭に鼻を摘む。

「奴がいないとなると……」

 穴を覗く。

「落ちたか……それとも、どこかで見張ってるのか」

 辺りを見回す。

「まあいい……紅蓮を殺すのは俺だからな」

 

 

 

<???>

 闇の中だった。

 上も下も、右も左もわからない。

 そして、目の前には白く美しい光が輝いていた。

“・き・・・・・”

 何かが聞こえるが、良く聞き取れない。

“お・・く・・・”

 少しずつだが、聞き取れるようになってきた。

 そして、不意に青く輝く光が割って入ってきた。

“起きろ――アクア・ボム”

「ぶぅふあ!」

 飲みこんでいた水を吐き出した。

「ぶぇは、がはっ、あ、はぁ、はぁ……じ、じむかど思だ」

 気がつくと、体中が濡れていて、振り向くと川があり、辺りを見回すと鍾乳洞か洞窟だった。

 そして、だんだんと記憶が戻ってきた。

「そういえば、あの時……こうしちゃって、べはっ!」

 血と水が混じったモノを吐き出す。

“今は動かない方がいいわよ”

 聞き覚えのないが、とても澄んでいて、冷たい声だったが、どこか嫌味はなかった。

“い、いきなり何をしているんですか、アクターキュアス!この方は恩師なんですから……申し訳ありません紅蓮様”

 こちらは、とても暖かく、やさしい声だった。

「王々の?」

 パターンが似ていてかつ、頭の中に響き具合から判断できた。

“ええ、私の名はシャインレンス。こちらが、アクターキュアスです”

“こんなのがね~”

 何か含みのある言い方をするアクターキュアス。

「何が言いたいんだ?」

“さあ~、いずれわかるわよ”

“すいません、紅蓮様”

 とっさに謝るシャインレンス。

「仕方ないさ、君らだって好きで俺の中に居る訳じゃないんだし」

 立ち上がる紅蓮。

“で、これからどうするつもり?”

 尋ねるアクターキュアス。

「とにかく上に行って、阿記葉を倒す」

 

 

 

 その後、カイル&レミットチームとロクサーヌは、それぞれに分かれてフィリー・若葉・ティナを探していた。

 だが、運悪く待機状態でいたパイロンの目の前に出ていったロクサーヌにより、状況が変化した。

 現在のパイロンの設定は『監視しつつ待機』であったが、本来の最優先事項の一つ、『機密保持』に変更になったのだ。

 おかげで、他の連中も巻き込んだ戦闘というよりも、逃走劇が始まったのだ。

 理由は、リオハルコンの特性である魔力無効化が、外装装甲に使われているからである。

 そのため、カイルたちの一斉魔法攻撃も虚しく弾かれ、逃げ出したという訳だ。

 そして、その逃走劇の中で、捜索対象となっていたフィリー・若葉・ティナの三人を見つけつつも、逃走劇の仲間入りになってしまうが、フィリーだけは木陰に隠れてやり過ごした。

 パイロンが通り過ぎたあと、近くの鍾乳洞を見つけて、何かに惹かれるようにして入っていくフィリー。

 そして、上(のぼ)ってきた紅蓮と再開し、状況を説明。

 今、若葉やティナと合流したくなかったが、仕方なくディメンディアの風の力――

 この時は、空王の力がまだ完全覚醒していないからである。

――エア・ダッシュ・零式を使って助けにいった。

 

 

 エア・ダッシュ・零式とは――

 魔法体術の一つで、高速戦闘と高速移動を目的として編み出された技の一つ。

 精霊魔法のシルフィザードよりも早いが、エア・ダッシュ・零式は移動魔法なので、魔力消耗が少々高いのが難点である。

 

 

 そのあと、パイロンを全員で協力して凌いだあと、紅蓮は全員に絞られた。

 特に、若葉とティナに。

 そんな事もあり、ロクサーヌの案内で海賊王の島・最深部に案内してもらった。

 

 

 

<海賊王の島・洞窟>

「モンスターか!?」

 持っていた剣で、真っ二つにするカイル。

 だが、真っ二つにされたモンスターは、その場で液体化して一つの水溜りとなり、元の状態で再生してきた。

「気をつけてください、そのモンスターは『スライムリザード』といって、斬撃系の攻撃は一切効かないんです。それに皮膚が少々硬いので、打撃攻撃も利かないんです。そして、止めには持っている盾は、アンチ・マジック(魔法を無力化)がかけられているんです」

 ロクサーヌの説明を聞いて、絶句する全員。

「それじゃ駄目やないか!」

 スライムリザードの体当たりをかわしながら、吼えるアルザ。

 他の者達も、各々の力で攻撃し、かわしていた。

「ですが、盾さえ何とかすればいいだけの話ですから」

「そういう事は、早く言ってよ!」

 カレンは、剣と盾を弾きながら懐に入り込み――

「――ルーン・バレット!」

 ほぼゼロ距離からの魔法攻撃に、後退するスライムリザード。

 それを見た、他のスライムリザード達も後退をした。

「何で下がるのよ?」

 敵の行き成りの後退に戸惑うレミット。

 だが、今度は三体一個小隊で、紅蓮たちに突っ込んできた。

「あ、いい忘れてましたが、相手が強敵と判断して時は、彼らは小隊を組んで攻撃してくるんでした」

 いつも道理の口調で語るロクサーヌ。

「ええい、拉致が空かないから、ここは任せた!」

 とにかく、カイルたちにスライムリザードの大群を任せて、紅蓮だけ中央突破を開始した。

「あ、紅蓮さん!」

 若葉が何とか止めようとしたが、上手くかわして走った。

「紅蓮さん!」

「ワリ、後任せた!」

 ティナに言いながら、紅蓮はそのままスライムリザードの不意を突きながら、中央突破していったのだった。

 阿記葉とは、一対一で蹴りをつけたい事と、カイルたちをパイロンと戦わせたくなかった為である。

 最後に、王々の力は、まだ皆には秘密のなので、居ると使えないからである。

 そして、ダドウックの案内によって、やっと阿記葉とウェンディがいる最深部にたどり着いた。

 そして、真正面の壁に、両手を鎖で繋がれたウェンディの姿があった。

「遅かったな、紅蓮」

 洞窟全体に響いた。

「阿記葉」

 この出来事を起こした張本人の名前を呟いた。

「ほら、早く彼女を助けないと……精神が壊れちょうよ?」

「ああ、そうさせてもらうよ」

 そして、中央まで走った途端、右に九〇度に曲がり、壁に向かって走りながら、軽くジャンプしながら振り向きざまに左腕を横に振りながらウェンディにルーン・バレットを叩き付けた。

 そのまま着地して壁に向かって走りながら、右腕で突き出して、Purification of wind(風の浄化)を放った。

 

 

 Purification of wind(風の浄化)とは――

 ピンポイントで疾風を巻き起こして、特定の場所にかけられた魔法を無効化・解除することが出来る魔法。

 ただし、人や動物などの生命体や、命の宿った人形などの特殊な存在には効き目が無い。

 

 

 壁に目掛けていった疾風は、ぶつかると同時に鏡が割れたような感じで、幻覚魔法が解け、ウェンディが現れた。

「ウェンディ、しっかりしろウェンディ!」

 ウェンディの元まで行き、両肩を掴んで僅かに揺する。

 だが、うめき声らしき呟きしか帰ってこなかった。

 

 

 

○               ○               ○

 

 

 

 

「ぶふ、ぼへは、がぁ、はあ、はあ、はあ~……速攻で見破って、魔法攻撃とはいい根性してるぜ、紅蓮のヤロー」

 先ほど直撃コースだったが、ギリギリの所で鎖を外して、防御魔法を張って難を逃れた阿記葉。

「ウェンディ、しっかりしろウェンディ!」

 紅蓮が、ウェンディを僅かに揺らしていた。

(無駄だ、そんな事では起きはしないさ)

 変身魔法を解き、念話でパイロンたちに命令を送った。

(さぁ~て、このあとはどうするかな、紅蓮!)

 

 

 

○               ○               ○

 

 

 

 

――ゴジュュュュュュュュ……ン!

 後ろの方で、ジェット音らしき音が聞こえた。

 紅蓮は、ウェンディにかけられた魔法を解いて、結界魔法をかける。

 もちろん、ウェンディに攻撃がこないように。

 そして、振り向くと……パイトンが三機並んでいた。

「…………」

 無言で、刀を鞘から抜く。

 右手には、刀。

 左手には、鞘。

 まさに二刀流さながらの構えだった。

 右の刀を前に突き出して、左の鞘は後ろにして腰の辺りで姿勢させる格好だ。

 パイロンたちもまた、陣をホンの僅かずつだが牽制していた。

 お互い均衡を保っていた。

 紅蓮が動けば、パイロンたちに包囲されてしまう。

 パイロンたちが動けば、紅蓮の連撃に押される可能性がある。もしくは、一体破壊される恐れがあった。

 だが、紅蓮は――

「はああああああああああ!」

 恐れる事無く、踏み込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

……to be continued




 短い、僅かに短い。
 ああ、バイトも忙しいし、やりたいゲームもあって、常設制作が難航中。
 マジで、マジでどうしようもない男だと痛感する、この頃。(汗
 まあ、急遽タイトル変更+少々ハショッタ。
 そして極みつけは、解説での行稼ぎ。
 自分の文章能力も、現段階ではここまでが限界。(泣
 散々お待たせしといて、ここまでのレベルでは、申し訳が立たないですが、何とか書いていきます。
 では次回、第四話:終止符と傷跡(仮)を、お楽しみに






制作開始:2006/3/13~2006/3/19

打ち込み日:2006/3/20
公開日:2006/3/20

変更日:2008/10/23


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第四話:終演と傷跡

始まりがあれば、終わりもある。
ついに阿記葉との決着。
結局、パイロンの事は判らずじまいで終わってしまうが、旅はまだ続く……



――ギャシャァァァァァン!
 パイロンA(同機が三体いるので、区別をつけるためにA・B・Cと区別します)の腕が、紅蓮の刀に斬り落とされた。
『左腕破損、戦闘能力13.8%低下』
 などと機械的な言葉が、パイロンAから聞こえてきた。
 紅蓮の背後に、パイロンCのD.S.M.Pが飛んできたが――
「来炎一閃(らいえんいっせん)!」
 薙ぎ払う様に、刀を横に振りつつも、同時に炎が巻き上がる。
 しかし、その炎からパイロンBが出てきたのだ。
 ダメージを省みず、そのままメタルクローが飛んできた。
――ジャシュ!
「ぐぁ!」
 胸を押さえながら、距離を取る紅蓮。
 後ろに下がったが、軽く胸辺りを裂かれた。
『チャージ完了――発射』
 その『発射』の言葉と同時に地面に伏せた。
 次の瞬間、一筋の青い閃光が走った。
 紅蓮はすかさず、バースト・ビームを放ったパイロンAに――
「アクア・ボム!」
――ズブァサーーーーン!
 パイロンAの胴体辺りに、水が発生――爆発が起きた。
 しかも、発射後のオーバーヒート+廃熱中だった為に、通常時よりもダメージを与えることが出来た。
『先ノ攻撃ニヨリ、廃熱管ニ異常発生。以後、バースト・ビーム使用不能。サラニ、全機能42.9%低下、コレ以上ノ戦闘ハ不可能――機体確保優先ノ為、一時撤退』
 パイロンAは、D.S.M.Pを射出と同時に、壁際に跳び、壁に吸い込まれるように消えていった。
 それを見た紅蓮は、その辺の手頃な石を広い、消えていった壁に投げつけた。
 石は、壁にぶつかる事無く、吸い込まれるように消えていった。
「ホログラムか!?」
 不意に殺気を感じ、前に飛び込んだ。
――シュン!
 パイロンCのメタルクローが、数瞬前まで頭があった場所辺りを通過していた。
「ライトニング・ジャベリン!」
 受身を取りながら、魔法を放つ。
――バシューン!
 未だにパイロンCのアンチマジックは有効だった。
「グォォォォォォォォォ!」
 そのまま、さらに斬りかかってきたパイロンC。
「ちぃいっ!」
 片手を地面に着いて、パイロンCの顎目掛けて、蹴り上げる。
 そのまま僅かに吹き飛ぶパイロンC。




戦闘と言う名の演劇は……次第に、終演へ向かうのだった。




<どこかに繋がる通路>
「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ……ここまで来れば、奴も、おっんってはぁこない、な」
 壁に寄りかかり、荒くした息を整える阿記葉。
「?」
 ふと、自分が通ってきた方から、何かの音が聞こえてきた。
 しかも、その音は次第に大きくなってきたのだ。
「この音……パイロンのホバー音!?」
「だろうな」
 その言葉の主を見た。
「お前は……マスカード」
「そう睨むな。あのお方から、お前の監視を頼まれてな」
「なんだと?」
 訝しげに目を作る。
「ハッキリ言えば、お前は信用されていた訳ではないが、別に信用しきっていた訳でもない」
「どういう意味だ?」
 パイロンAは、二人の横を通り過ぎていった。
「言葉通りだ。よは信用できるかできないか、監視をしていたんだよ。そして、結果がどうであれ、この戦いが終わったあと……お前とは縁を切るそうだ」
「何故そんな話が出てくる!?」
 怒鳴る阿記葉。
 だが、そんな事を予測していたのか、怯む事無く淡々と続けた。
「自分の胸に聞け……お前の本心を、あのお方が気づかないとでも思ったのか?」
「!?」
 その言葉に目を丸くした。
「どちらにせよ、お前は調子に乗りすぎた。自分の始末は自分でつけろ、いいな?」
「おっ、おい待て!」
 マスカードは、阿記葉の問いに振り返ることなく、パイロンAが通っていった通路を進んでいった。
「生きていたら、また会おう」
 そのまま、地面に沈みながら消えていった。
「糞が!」
――ドン!
「俺がどんだけ苦労したのか分かって言ってるのかアイツはよ!」
 怒り任せに拳を壁に叩き付け、杉違いな事を口走る。
 拳からは、血が出てきた。
「……やる……殺してやる、皆殺してやる、皆殺してやるみんなころしてやる皆殺してやる皆殺してやる皆殺してやる皆殺してやるミンナコロシテヤル皆殺してやる皆殺してやる皆殺してやるみんなころしてやるみんなころしてやるミンナコロシテヤルミンナコロシてやる皆殺してやる皆殺してやる皆殺してやる皆殺してやる皆殺してやる皆殺してやる皆殺してやるみんなころしてやる皆殺してやるミンナコロシテヤルミンナコロしてやる皆殺してやる皆殺してやる皆殺してやるミンナコロシテヤル皆殺してやる皆殺してやる皆殺してやる皆殺してやる皆殺してやる皆殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやるコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤル殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺スコロスコロスコロスコロスコロス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺スコロスコロスコロスコロス殺ス殺ス殺ス殺すころすさつす殺ス殺ス殺ス殺す殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロす殺す殺す殺す殺すころすころすころす殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺スコロスコロスコロスコロスコロス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺す殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロす殺す殺す殺す殺すころすころすころす殺す殺す殺す殺す殺すころすころすころすころす殺す殺す殺す殺す殺すころすころすころすころす殺スコロスコロスコロスコロスコロス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺す殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロす殺す殺す殺す殺すころすころすころす殺す殺す殺す殺す殺す――」
 狂ったレコーダーのように、ひたすら『殺ス』を繰り返し呟くのだった。



<戦闘場所>
――カランカラン、カラン!
 パイロンBとCは、腰に付けてあった円形の缶を転がした。
「爆弾!?いや違う!」
 爆弾にしては、自分たちとの距離は、あまりにも近すぎるという以前に、足元に落としたのだから、違うと紅蓮は判断した。
――カシャ!×2
 パイロンの顔の部分が、薄黒いアイシールドを展開した。
「!?」
 紅蓮は咄嗟に、顔を腕で覆った。
――ドバァァァァァァァァァァン!
 次の瞬間、大きな爆発音と強力な閃光に包まれた。


<阿記葉との戦いから、十日後――>

 

 

 

――パシャ、パシャ

――カチャ、カチャ

「若葉、洗い終わったぞ」

 紅蓮は、川から汲んできた水で、皿を洗っていた。

「はい、お疲れ様です、紅蓮さん」

 洗い終わった食器類や調理器具を拭いていた若葉。

「次は?」

 洗い終わった皿を、若葉に渡す。

「いえ、これで最後です」

 紅蓮から受け取った皿を、一枚づつ丁寧に拭いていく。

「ふぃ~っ!」

 背伸びしようとして途端、パイロンから受けた傷跡に痛みが走った。

「紅蓮さん!?」

「っだ、大丈夫大丈夫」

 苦笑しながら若葉に言い聞かせた。

(まだ回復しきってないのかよ……アンチ・マジックの液体版ってもの、ってか何でもアリに成りつつあるな)

 内心、そう呟く紅蓮だった。

 

 

 

<ある街の非合法酒場>

「で、マスカードさんよ。阿記葉の野郎、知らねえか?」

 黒人の様に、黒い肌で筋肉質なおっさんが尋ねてきた。

「……死んだよ」

 そを言って、グラスに入ってたカクテルを一気飲みする。

「アイツが死んだ?がははははははっ!……いくら掴まされた?」

 顔を寄せてくるおっさん。

「だから死んだんだよ、阿記葉は」

 いい加減ウザくなってきたのか、ぶっきら棒に言い放つ。

「……マジらしいな」

「当たり前だっんく、んっく――」

――ゴトッ!

「止めは俺が刺したんだからな」

 

 

 

 

○           ○          ○

 

 

 

 

「はあっ、はあっ、はあっ……」

 紅蓮は、ウェンディをおぶりながら、パイロンBとCが逃げていった通路を通っていた。

 一応、ホログラムを破壊して、判りやすい様に道標を残して来た為、若葉ですら間違うことは無いだろう。

“もうすぐ出口だ”

 闇王・ダドウックが告げた。

「わかった」

 紅蓮はその場で止まり、ウェンディを降ろした。

“紅蓮?”

「――fraud of darkness(闇のまやかし)」

 サバイバルナイフを媒体に魔法を掛け、襲われない様にした。

「……行くか」

 刀を握り締め、通路の出口へ勢い良く出て行った。

 その瞬間を待って射たかの様に、パイロンたちが襲い掛かってきた。

 パイロンAの攻撃を避け、同時に左から来たパイロンBの首を跳ねる事が出来たのだが、一瞬の隙を突いたパイロンCの拳をもろ顔面に貰って、左側に吹き飛ばされた。

 二、三回バウンドしながらも、体制を立て直し、残りのパイロンに再度攻撃を仕掛けた。

 そして、混戦の極みを見切りながら、阿記葉の精密射撃魔法を放ってくる。

 いくつモノ奇策や罠を使っていたから、頭脳タイプの弱い奴と考えていたのだが、思った以上の正確な攻撃に、高い魔力を持っていた事に驚いた。

 だが、ここで負ける訳には行かない。

 この男はウェンディを……そして、あの謎の機動兵器・パイロンの事を聞き出さなければならない。

 この世界には、余りにも不似合いで、進歩しすぎた科学の結晶の品物。

 この世界に出回れば、確実に世界バランスを崩す兵器。

 それを知っているのは、今はまだ俺だけ。

 だから、こいつらを倒し、阿記葉の顔面に拳をぶち込んだ後、何が何でも聞き出さなければ。

 そう思いながら、パイロンA、Cのコンビネーション攻撃と阿記葉の精密射撃魔法を流し、かわしていた。

「アハハハハハハハハハハハハ――どうしたんだい!?動きが悪いぞ?」

 狂った笑い声を上げながら、罵声を浴びせる阿記葉。

 確かに、限界が既に来ていた……いや、既に超えていたと表現した方が適切かもしれない。

 ここまで来るのに、魔力、小道具、回復アイテムを使い切っていたから。

 今ある魔力は、自然界に漂っているごく僅かな魔力と、パイロン廃熱と共に捨てている魔力と阿記葉が放ち終えた魔力をかき集め、自分の魔力に変換して使っている状態なのだ。

 完全にゲリラ戦法状態で、体力も限界に来ている。

 だが、阿記葉の法は――今の今までほとんど魔法を使っていなかった。加えて地形を把握している事。

 さらに、ダメージを喰らわせているのに、一向に衰えを見せないパイロンA、C。

 完全に形勢不利だった。

 だが、それでも――

「負ける訳は――」

 バックステップしながら刀を鞘に戻し、素早く構え直す。

「いかないんだよ!」

 その瞬間、紅蓮は一筋の線を見た。

 

 

体剣魔総撃覇術――奥義・剣の章――『閃・居合い抜き』(せん・いあいぬき)

 

 

 その線に体を乗せ、次の瞬間、二体のパイロンの間を過ぎていた。

――パチン

 そこで、少し鞘から出ていた刃をしまう。

 それと同時に今度は、二体のパイロンの首が同時に跳んだ。

 阿記葉は、何が起きたのか判らなかった。

 紅蓮の姿が消えたと思った次の瞬間、いつの間にかパイロン通り過ぎていた。

 そして、『パチン』といい音が聞こえたと思いきや、今度はパイロンの首が跳んできた。

 もう、訳が判らなかった。

「あ、あは、あははははは……」

 地面に膝を付き、ただただ笑う阿記葉。

 そして、紅蓮はボロボロで言う事を聞かない体を、無理やり動かして、阿記葉の前まで歩いた。

「阿記葉、お前に聞きたい事があ――」

――パパパパパパパパパ、キュ

「!?」

 後ろから、ワイヤー飛んできて、紅蓮の体と腕に巻きついた。

 それを待っていたのかの様に、素早く飛び退く阿記葉。

 とにかく後ろを見ると、首を跳ねたはずの三体のパイロンの胴体部分から、ワイヤーが射出されていた。

「そのまま止めを刺せば良かったものを……所詮アマちゃんだった訳だ」

「誰が殺しなどするか。それに聞きたい事があったからな」

「ふん、強がりもいい加減にしておけよ!」

 怒りの余り、我を忘れている阿記葉。

 

 

 

 怒りをあらわに、内にあった不満と怒りを言い出した阿記葉。

 自分の過去、今の状況、これからの計画が狂った事。

 そして――

 

 

 

「あばよ、お人よし!」

 阿記葉は、紅蓮に言い放つ。

「く……そ!」

 紅蓮の体はボロボロで、動くことも困難なのにも関わらず、三体のパイロンに装備されてあった拘束用ワイヤーを体に巻きつけられているため、さらに動くことが出来なかった。

『起爆プログラム始動……魔力動力暴走開始……三十秒後ニ起爆シマス』

 一体のパイロンから、発せられた声。

「紅蓮さん!」

「!?」

 声が聞こえた方向を向く。

 そこには、ウェンディがいた。

「くるな、ウェンディ!」

 ウェンディが、紅蓮のサバイバルナイフを持って、紅蓮の元へ駆け寄っていく。

 だが――

「へ、お前か……また、たあっぷりと、イタぶってやるからよ~お。だから……大人しくしてろや」

 阿記葉が、ウェンディの進行方向を塞ぐ。

「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 阿記葉を見たウェンディは、植えつけられた恐怖を思い出し、悲鳴を上げ、そのまま尻餅をついて後ずさりを始めた。

「あぁぁぁぁぁぁきぃぃぃぃぃぃはぁぁぁぁあああああ!」

 雄叫びを上げる紅蓮。

 その瞬間、自分の生命力と残りの魔力を『力』に変換して、篭手に注ぎ込む。

 そしてワイヤーを引きちぎり――

 

 

体剣魔総撃覇術――奥義・体の章――『神足之領域』(しんそくのりょういき)

 

 

 そして、紅蓮の見える世界が波動に変わった。

 ここが地面、そこは岩、あそこには人、向うには草と、レーダーが探知する様な感覚になっている。

 この移動技は、目で見るのではなく、体全体で感じ取る技。

 ある流派には、『神速』という技があるが、それは感覚の促進らしい。

 故に、全てが0で止まり、相手に近づく事が可能。

 だが、完全な移動技故に、攻撃などと同時に行えないのが難点であるが、相手が気づいた時は、すでに手後れ故だからこそ、この名がついたといえる。

 神の足を持つ者のみに許された領域。

 それが、『神足之領域』である。

 

 ウェンディと阿記葉の間に割って入り、阿記葉を殴る瞬間、元の世界に戻される。

 そして、吹き飛ぶ阿記葉。

 そのまま地面をバウンドする事無く、パイロンたちとぶつかり、巻き込みながら倒れる。

 同時に爆発が起こり、海の中へ沈んでいった。

 紅蓮は、動かないことを遠目で確認すると、ウェンディを連れて、外へ出て行った。

 

 

 

 その後、紅蓮たちはいつも道理の冒険が始まった。

 結局、パイロンの事は判らずじまいだったが、一つだけ分かったことは、何者かが量産している事だけだった。

 

 

 

 最後に、とある海岸沿いの港で、男のバラバラ死体が流れ着いたという話があった。

 死亡原因は溺死や火傷ではなく、鋭利な刃物と体中に打ち込まれた弾だったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

……to be continued




 うわ~~~ん!この話、大失敗作だよ!
 でも、この話を読んでいる人を裏切りたくないので、一旦公開。
 五ヶ月間も放置していたから。(汗
 でもやはり、完全オリジナルストーリーを展開するべきだった。
 魔宝が置いてある場所、通る町はそのままで、四つ目の魔法を目指す話にすれば良かったと、今後悔。
 ついでに、5ヶ月間近く放置したのが仇になった。
 次の話は、プロット組まないと。(汗
 ちなみに、初めの『死』の所、自分で書いておきながら、マジで怖かった。(汗






制作開始:2006/3/19~2006/8/11

打ち込み日:2006/8/11
公開日:2006/8/11

変更日:2008/10/23


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絶望幻想曲No.1

1の主人公・聖龍は、作者・ダークバスターの陰謀により、とんでもない事に!
しかし、聖龍はある存在に協力を得るのだった……



主人公は、オリジナルです。
なを、まだ未登場キャラも多数参戦です。


 

 

 

絶望幻想曲(聖龍)

 

 

 

 

 

 

「はあ、はあ、はあ、はあ………ふぅ、巻いたか?」

 肩で息を整え、壁に寄りかかりながら呟いた。

「くそ~~、ダークめ……あとで覚えてよ」

 青々とした、ある晴れた日の出来事。

 しかし、聖龍は裏道(通称・犯罪者の巣)にいた。

 

 

 

 

 今から、一時間前のジョートショップで起きた出来事――

 手っ取り早く言えば、昨日の夜に、俺(管理者)に出会った聖龍に、

「聖龍、ちと後ろ向いてくれない?」

「別にいいけど……?」

 そうして、後ろを向いた時に、偶然開発した「猫にナレ~ル」を思いっきり振りかぶり、ビンごと後頭部に叩きつけてやった。

 そのせいで、めちゃめちゃ可愛い猫になっていた。

 しかも、気づいた時にはさくら亭にいて、ダークが――

 

「この猫を捕獲した者に、自分の欲しいものをプレゼント♡」

 などと言うもんだから、皆の目が「狩る者」の目となり、皆から追いかけられていた。

 回想終りょ――

 

 

 

「いた――!」

 ピートに見つかった。

「やべ!」

 すぐさま駆け出した聖龍。

 それを追いかける、ピート、マリア、リンゴ戦士、ゴーリキー、ほか数め――

 

 

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド………。

 

 

 

 訂正、数十名でした。

「ちょっとマテ――――――!!!!てか、リンゴ戦士はともかく、ゴーリキーは、ポケ○ンだろ!」

 この時、裏道から、爆音や断末魔などが聞こえたという……。

 

 

 

<とある部屋の中>

 ここは、カーテンが締め切ってあり、部屋の真ん中にテーブルと椅子だけが置いてあり、テーブルには、今さっきの状況が映し出されている水晶と、何故か小説用原稿用紙、インクとペンが置いてあった。

 そして、水晶を観察している黒いフードを被った者が言った。

「ふふふふふふふ……、さあ、逃げるがいい聖龍よ。……そして、わg――」

「何やってるんだ、ダーク」

「うおおおっ!って、ライか……、脅かさんでくれよ」

 後ろから不意打ちの如く、声を掛けた。

「またやったか…」

「まあ~ね♪」

 と言いつつ、原稿用紙に文字を書いていく。

「何書いてるんだ?」

「聖龍の、今後の出来事」

「つまり、ある程度のことは、その通りになると」

 呆れつつ、ライは言った。

「ああ、これほど面白いことは無い」

「今まで知っている、SSの中では、初の試みじゃないか?」

「ああ、多分ね」

 そう言うと、ライは肩をすくめて部屋を出て行った。

(しかたない……、同じ釜の飯を食った中だしな、助けてやるか)

 

 

 

 イレギュラーとは、何時起きるか判らない。

 

 

 

「いたか!?」

「いや、こっちには…、第08小隊は!」

「いませんでした!」

「く、仕方が無い……、カルボナーラ小隊を出せ!」

「了解!」

 

 

 

<場所はさくら亭>

 聖龍捕獲団団長:紅蓮

 聖龍捕獲団副団長:ケルベロス・R・ガオークス

 

 

 

 現在紅蓮は、マリエーナ王国第五騎士団長・第三王女護衛総隊長である。

 なを、この日は休日で遊びに来ていた。

 ちなみに記載するが、普通の人間は日帰り出来る距離ではありません。

 

 

 

「くそ、まだ見つからんのか!」

 テーブルを叩きながら、紅蓮は吼えた。

「こら!乱暴に扱うなら出て行って!」

 続いてパティが、唸る。

「あ、すんません」

 そして、誤る。

(団長として、大丈夫か?)

 ケルベロスはそう思いつつ、通信旗(つうしんき)で、状況を把握していた。

 

 ここで『通信旗』について解説――

 『通信旗』とはマジックアイテムの一つで、名の通り旗で通信できる優れ物だが、魔力の調整や距離感などの問題で、正式なアイテムとならなかった。

 それを、前に魔法ギルドに遊びに?行った聖龍が、貰って改造したものだ。

 そして、旗に『001/P-002~010』と書き込めば、周波数のかわりとなり、選んで通信できる改造をしたのである――

 

 そして、伝言が届いた。

『こちらさくら亭第01部隊関東連合族小隊、本部、応答願います!』

「こちら本部、何が起きた」

『はい、聖龍が野良猫たちと手を組んで、奇襲をかけられました!』

「なんだと!?」

 本部に動揺が走った。

「それで被害状況は!」

『はい、全員ケガはありませんが……、第五天使・アルスタードに、拘束魔法で動きを封じられてしまいまして、動くことが出来ないんです。』

「あいつ、十二天魔を使いやがったな……」

 少し考え――

「救援部隊を送る。その後、さくら亭に戻れ」

『了解です』

 そして、通信は終了した。

 

 

 

<さくら亭・外 。

「天使まで使い始めたのかよ……、しゃあない早めに助けにいくか………」

 さくら亭本部の通信を傍受したライは、すぐさま作戦を早めることになった。

 

 

 

 

 

 こうして、エンフィールド最大の珍事件の幕開けとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

100%続く!




 突発的に筆を走らせました。
 ちなみに、まだ続きます。
 なを、十二天魔とは、天使12人、悪魔12人、計24人で構成されている。
 あと聖龍は、四竜王、秦緑十結集がいます。
 協力した猫は、秦緑十結集の一体・ネコマタである。

 紅蓮のマリエーナ王国第五騎士団・第三王女護衛総隊長で、第五騎士団とは、主に特別任務や魔法研究など、様々な事柄をこなしている、云わばエリート部隊の隊長ということになる。
 まあ、王々の力を持つ者だから、当たり前ですが。(苦笑


END




制作開始:2005/9/9くらい~2005/9/18

打ち込み日:2005/9/22
公開日:2005/9/22

改正日:2005/11/20
変更日:2008/10/23
訂正日:2006/2/13


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絶望幻想曲No.2

あの日から四日目、とうとうアリサさんまでもが動き出した。
既に自警団は、三日目に全滅した。
そして……



 ――あれから三日目、聖龍は何とか猫の姿から元に戻ることができたが、未だに追われてます。
 そのせいか、自警団も動いているそうだったけど…全滅したそうな、しなかったとか。
 三日目からは、姿を見ませんでした。
 しかし、相変わらず全力で逃げる猫を、何度か目撃しました。
 その時は、あの猫が聖龍君だったなんて…、ちょっと驚きです。
 明日は、聖龍君を助けないと――

<シーラ・シェフィールドの日記の一部を抜粋より>


絶望幻想曲(シーラとアリサ)

 

 

 

「うう、……朝か」

 木の上で休憩していたつもりだったが、何時の間にか寝ていたようだ。

「ふあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん、ふぁん。……さて、行きますか」

 こうして、四日目の戦いが始まった。

 

 

 

<ジョートショップ>

「おはようございます、アリサさん」

 階段から降りてきて、台所に居るアリサさんに挨拶をした。

「おはよう、ライ君」

「おはよーッス!」

「テディもおはよう」

「何で僕だけは、いつもあと付けのような挨拶なんッス?」

 半べそになりながら、ライに抗議の声を上げた。

「気のせいだ」

 即答する。

 ただし、目線を逸らしながら言ったので、説得力が無い。

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁん、ご主人様~!」

 泣きながら、アリサさんに飛びついた。

「あらあら、ライ君もそんな意地悪しちゃ駄目よ」

 子供を注意するような言い方で、言い聞かせた。

「すいません、アリサさん」

 何時ものような朝の出来事だが、アリサさんは内心心配しているようだ。

(やはり聖龍が居ないせいだな……最近になって、アリサさんを『母さん』と呼ぶようになったからな……)

 そう思いつつ、朝ごはんが置いてあるテーブルに付いて――

「大丈夫ですよ、アリサさん。聖龍には、十二天魔やシーラがついてますから」

 アリサさんを安心させるために、淡々と語った。

「そうッス!聖龍さんには、王々の力があるッス!」

 テディも、合わせてくれた。

「そうよね。……そういえば、こうなった原因は?」

「うッス!ダークバスターさんのせいッス」

 テディが、アリサさんの質問に速攻で答えた。

 

(テディのバカヤロー!!!!)

 

 

 その言葉を聞いたライアングス・ドラグァードは、質問に答えた魔法生物に心の中で暴言を吐き、身を強張らせた。

 そして――

 

 

 ――ゾク!

 

 

 

 店の半径(アリサさんを中心に)30mは、高密度な殺気に見舞われた。

 一般人なら、そく気絶ものである。

「……そう、ダークバスターくんのせいで……」

 邪竜ですら、裸足で全力疾走して逃亡するくらいの、めちゃくちゃ低い声を発した。

 ちなみにテディは、既に気絶していた。

「ライくん」

「は、はい!何でしょうかアリサ様!」

 不意に声を掛けられたので、慌てて返事をしながら席から立ち上がった。

「場所、わかる?」

「申し訳御座いません!」

 そして、土下座しながら謝った。

「……そうですか、仕方がありませんね」

 そして、ライは恐る恐る顔を上げると、いつの間にかアリサさんの右手には、死神の鎌・ディア・ネクロ・デスが装備されていた。

「"¦≒∑∮√∠⊿⊥⊿∵∩ЭШЦЙИ!!!!!!」

 

 ライアングスは、恐怖の余り錯乱した。

 

 

ライアングス・グラグァードのステーサス

 LV:25

 HP:356

 MP:249

 状態:混乱

 

アリサ・アスティアのステーサス

 LV:456

 HP:983567

 MP:10023578

 状態:正常inバーサーカー

 

「ライ君」

「あ、ああああ、あはい……」

 声を振り絞り、震えながら返事をした。

「留守番、お願いできるかしら?」

 ライは、首を縦にもの凄い勢いで、振った。

「ありがとう、じゃあお願いね」

 そういうと、外へ出て行った。

『あ、アルベルト君、そんなところで何を?』

『い、いえ、ライアングスに用事が…あ、ありまして』

(あいつも、アリサさんの殺気に驚いてるな)

『ライ君なら家にいるから、それじゃ』

『は、はい』

 数分後、アルベルトが入ってきた。

「お、おい、アリサさん……どうかしたのか?」

「ダーク(管理者)が、聖龍にバカやった」

「……………今日は、あいつの命日か?」

「それは無い。奴のことだ、既に手は打ってあるはずだ」

 ライも少し落ち着いたのか、そう言いながらアルベルトにお茶を出した。

「そうだな、ここまでやっておいて、最後にドジ踏んだなんて……あり得るかも」

「はははは、まさか――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もの凄い爆音があったが、地面などは揺れなかった。

『………………はあ』

 二人同時にため息を吐いたのだった。

 

 

 

 

200%続かないかも




 ただいまダークバスター(管理者)は、アリサさんとエンカウント中のため、コメントはありません。







制作開始:2005/9/23一日で制作

打ち込み日:2005/9/23
公開日:2005/9/23

改正日:2005/11/20
変更日:2008/10/23
訂正日:2006/2/13


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絶望幻想曲No.3

とうとう、この意味不明な争いも終わる鐘が告げられる。
だが、ダークとアリサさんが……
そして、シーラも凄いことに(汗


絶望幻想曲(ダークバスターとアリサさん)

 

 

 

「はあ、はあ、はあ、はあ、……あの人、こ、こんなにつよ、ぅん、…強いなんて」

 息を上げながら、素直な感想を述べるダークバスター(管理者{以後ダーク})。

 そう、アリサさんとエンカウントとなり、成り行きで戦闘を開始したが……

「絶対に、リカルドより強いって、あの人…は!」

 とっさに、寄りかかっていた壁から跳び離れた。

 そして――

 

 

ざん!――どごぉぉぉぉぉぉぉぉん!

 

 

 斜め左下から斜め右上が切られ、吹き飛んだ。

「く、もう見つかったか!」

 そして、ダークは背中に装備してあるミノフスキードライブを噴火させた。

 しかし、その進行方向には、既にアリサさんが抑えていた。

「く!」

 右手に持っていた『三連ビーム砲』を敵(アリサさん)に向けて、打ち込んだ。

だが――

「遅いです」

 と言い放ち、持っている大鎌(名前は、絶望幻想曲2に記載)を、回転させて弾いた。

 そして、弾き終わると同時に、大鎌で横一線を放った。

 それをギリギリでかわす。

 しかし、あの聖杯戦争のアサシンの如く、ツバメ返しをしてきた。

 だが、これを食らったらここで話は終わりので、全部かわす。

「ちい!」

 アリサさんに似つかわしくない言葉が出てきた。

 自分、キャラ壊す才能があるのか?

 と、考えつつ、アリサさんの横をすり抜けざまに、煙幕弾を放ってその場を離脱した。

 

 

<シェフィールド家・シーラの部屋>

「聖龍君、大丈夫?」

「し、死ぬかと思ったーぁ」

 シーラに膝枕されながら、そう答えた。

 シーラにもまた、心を許すようになった。

 だが、さすがに今日は、王々の力や十二天魔でさえ、ボロボロになっていた。

 あと、四竜王、秦緑十結集も全員出動してもらったが、敵の数が多すぎて、ほぼ壊滅状態になった。

 

 

 

 

――作者と密会

「一応、上級クラス以上の集まりなんですけど……。」

 む、十二天魔の第11悪魔・デュークナルではないか、どうした?

「どうしたじゃないですよ、あれはいくらなんでも反則です」

 ああ、ファング砲のことか?

「それもありますが……、モビルスーツは出さないでください。あと片付けも大変ですが、十個師団は異常です」

 まあ、10の軍隊が一度に着たからな

「もうやめてくださいよ?」

 ああ、わかった。……多分(ぼそ)

「……はあ」

 話を戻して――

 

 

 

 

「ねえ、今日はどうするの?」

「どうするって、帰りたくてもな~。なあ、シーラ」

「何?」

 少し驚きながら、聞き返した。

「少しの間、このままでいてくれないか?」

 聖龍は、少し頬を赤らめながら尋ねた。

「え、ええ、かまわないわ。」

 シーラも同様に、少し頬を赤らめて答えた。

「ありがとう」

 そう言うと、目を瞑ろうとした時――

 

ばたん!

 

「聖龍、見つけたぞ!」

 いきなり、部屋のドアが開け放たれて、聖龍捕獲小隊が乱入してきた。

「な!?どうしてここがわかった!」

「なに、パティが『シーラのところに居たりして』とか言ったから、まさかと思ったが……本当に居たよ」

 最後辺は呆れて言った。

「だが、それも今日が最後!お――」

「タイム!」

 いきなりタイムが掛かり、話を止めた。

「今、誰が隊長?」

「紅蓮なら、既に帰ったぞ。なんだか、よくわからないがな?」

「そんで、今はケルベロスが隊長をしている」

 小隊長の変わりに、部下が喋った。

「ま、そういうことだから……大人しぐぼべば!」

 いきなり小隊長が吹っ飛んでだ。

 

 

がしゃん!

 

 

(あ~あ、窓ガラスを突き破ってちゃった、大丈夫か?……って、誰が!?)

 そこには――

 

 シーラが、蹴り終えたモーションがあった。

「し、シーラ?」

 おずおずとシーラに問い掛けた。

「・・も」

「え?」

「よくも邪魔しましたね!」

『ええ!?』

 聖龍の含む(シーラ以外)全員が声を上げた。

「エーテル・バーストinクロスハート!」

 

 

 

 そして――

 

 

 

どが!

「ぎや~~~~!」

ずが!

「ぐぼば!」

「た、助けが!」

どす!

 

 

 

 

 ――これ以上は危険なので、しばらくお「し、シーラ抑えて!マジでそいつら死ぬから!」

どごーん!

「どぶば!」

「どうし――全員退却!」

「み、見捨てないでくれー!」

ちーん!

「せ、聖龍!シーラを止めろ~!」

「無茶言うな!」

「か、かあちゃ~ん!」

どがん!ぼじゃ!ゴッキーン!

「お、お嬢様!」

「ジュディ、ここは危険だ、下がって!」

「よくも大切なひと時を!」

「じ、自警団を呼べ!」

がごーん!

「無理です、既に全滅して今日はお休みだそうです!」

「じゃあ、公民は!」

どどどどどどどどど!

「くるとでも!」

「来ないに1000G!」

「俺、1500G!」

「そこ、この状況で賭け事するな!」

ばがーん!

 

 

 

 

 

 お、お持ちください――

 

 

<アリサ視点>

「ふふ、シーラちゃんもおませさんね♪」

 これがおませさんというのだろうか?

 未だに爆音や悲鳴が発生しているシェフィールド家を眺めながら言った。

「…にしても、服が汚れてしまったわね」

 アリサさんが着ている服は今、煙幕弾の煙のせいで、あちらこちらに薄く灰色に染まっていた。

「さて、ダークバスターさんは……、さくら亭ね」

 何かを感じ取ったのか、そう言うと、アリサさんは駆け出した。

 

 

<さくら亭>

「おい、どうした!?応答しろ、おい!」

「繋がったか!?」

「いえ、まだなんとも」

「繋がりました!」

「よし、報こ――」

 

 

 

『し、シーラ抑えて!マジでそいつら死ぬから!』

どごーん!

『どぶば!』

『どうし――全員退却!』

『み、見捨てないでくれー!』

ちーん!

『せ、聖龍!シーラを止めろ~!』

『無茶言うな!』

『か、かあちゃ~ん!』

どがん!ぼじゃ!ゴッキーン!

『お、お嬢様!』

『ジュディ、ここは危険だ、下がって!』

『よくも大切なひと時を!』

『じ、自警団を呼べ!』

がごーん!

 

 

 

――ぷつん

 即通信を遮断した。

『……………』

 さくら亭内部に沈黙が流れた。

 そして、外から微かに爆音や悲鳴が聞こえた。

「………総隊長」

「本日をもって、『聖龍捕獲団』を解散する!あとで、全回線でそう伝えろ!」

「了解!」

「現実逃避ね」

 その場に居た全員が固まった。

「で、早めに片付けてね」

 そして、フリーズした野郎どもは、解凍した思考で片づけを始めた。

 その時――

ドドドドドドドドドドドド――ばたん!

「パティかくまってって!」

 飛んできた棒を、全力で避けた。

 そして――

 

 

どか!ばき!ごき!がこ!

 

 

 獅子四連弾を食らった。

 そのまま、店の外に叩き出された。

 

 

<さくら亭前>

 

 

ずささささささささささささ!

 

 

「………………い、痛い」

 ダークは、半べそになりながら呟いた。

「こんなところに今しかた」

「く、さすが精霊使い……、今は死神でしたね」

 アリサさんと確認すると、真面目モードになる。

「今度は逃がしませんよ」

「安心してください、もう逃げるつもりはありませんから」

 苦笑いしつつ、立ち上がった。

「では、始めましょうか……、審判を」

「ええ、そうですね……、俺の欲望のために」

 

 

 

 

 

 

 

 そして、さくら亭の前で二人の因縁に決着がつく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに、シーラの暴走は、未だに続くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 続けちゃいますか!




 ギャクなのか、シリアスなのかわからなくなった。
 でも、これで感想がもらえれば最高です。
 次回で、最終回かな?
 話数のこと、一切決めずに始めたからな~、これ。
 まあ、マンネリ化しない程度に終わらせます。
 でも、キャラ壊しすぎた。(汗

END





制作開始:2005/9/25一日で制作

打ち込み日:2005/9/25
公開日:2005/9/25

改正日:2005/11/20
変更日:2008/10/23
訂正日:2006/2/13


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絶望幻想曲No.4

この突発的な出来事は終わる。
ダークとアリサに終止符が打たれる!
そして、聖龍とシーラは・・・

これが期待を裏切る、絶望幻想曲・最終回!


絶望幻想曲(ファイナルラウンド&ミッション)

 

 

 

 今は、あの日の出来事から、四日目の午後5時を回ろうとしていた。

 エンフィールドでは、この四日間で『第一回?聖龍捕獲作戦in猫』、『自警団全滅事件』、『犯罪者の道・爆発事件』、そして……、まだ継続中の二つの出来事があった。

 一つは『シェフィールド家・謎の崩壊事件』、二つは『謎のさくら亭前・ストリートファイト』であった。

 ただ、明日のには何故か……、全て復活しているのだから、ある意味、不気味である。

 

 

 ――話を戻して。

 まずは……、ダークVSアリサを覗こう。

 

 

 

 

 俺の分身が、最近一キャラ化してきたな。(ある意味、泣

 

 

 

 

<さくら亭前>

キン!キン!――ガキン!

 アウストロサーベル(簡単に言えば、特殊エネルギーで出来た、大型ビーム○ーベル)と、大鎌が交差していた。

 アウストロサーベル(以後・大剣)が上の軌道を描けば、大鎌が下から来て、弾く。

 また、大鎌が横から来れば、大剣が防ぐ。

 右に、左に……上に、下に……交じり合い、弾け飛ぶ。

「噉嵌(くうは)」

 大鎌の鎌風を飛ばした。

「せい!」

 ダークは、左手を突き出して――

 

キィイン!

 

 

 鎌風を弾き飛ばした。

 左腕装備の『Ω・フィ-ルド』を、使用したからだ。(I・○-ルドのパクリだけど)

「セット!シュー!」

 

ドオオオオオオオオオオオン!

 

 

 感覚のみでロック・オンして、両脇にあるベスパァーを打ち込む。

距離は、約25m。

 

シュ、サァ!

 

 

 二発とも、外れた……いや、かわされた。

「デス」

 縦一文字攻撃。

 もの凄い速さで、打ち込んできた。

 

ドン!

 

 

 しかし、空振り。

 同時にダークは、アリサさんの懐にいた。そして――

「もらっt――」

 全力で離脱。

 数瞬後、そこに空間が出来た。

「あ、あぶね――、空間魔法……、いや、風の精霊の仕業か」

「ええ、よくわかりましたね」

 そう言いながら、大鎌を地面から引き抜いた。

 周りは穴や、残撃のあとがあちらことらに、見て取れる。

「まだまだ行きますよ?」

 暗く微笑みながら、大鎌を構えなおした。

「いつでも、いいですよ」

また、ダークも同じだった。

 

 

「では――参ります!」

 

 

 

「ダーク、行きま――す!」

 

 

 

 同時に踏み込んだ。

 

 

 

 

<シェフィールド家・門前>

「アルベルト……、どう思う?」

 

 

ドガン!

 

 

 

「ぎやああああああああああ!」

 

 

 

バゴーン!

 

 

 

「お前こそ、どう思う?」

 

 

 

どどどどどどどどど!

 

 

 

キュピーン!

 

 

 

「あ、誰かが星になった」

「じゃあ、俺はこれっで!」

 アルベルトは、言い終わると同時に、逃げ出した。

 いわゆる、現実逃避というやつだ。

 だが、ライは逃さなかった。

「いやだ~~~~、は~な~せ~!」

「ここまで付いて来といて、逃げようとするな。それでも自警団か?」

「うぐ!」

 その一言に、アルベルトは暴れるのを止めた。

「いくぞ……、戦場へ!………行きたくないな~(ぼそ)」

「へ~い」

 平常心を保っていたライだが、結局本音を漏らしたのだった。

 

 

 

 

<戦場と化した・シェフィールド家内部>

 ライとアルベルトは、内部に突入したが、自体は以上だった。

 

 

「ここは危険だ!」

 

「カルボナーラ小隊は!?」

 

「二分前にやられてます!」

 

「衛生兵!いないのか、衛生兵!?」

 

「兵は居ないが、救援隊ならいるぞ!」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「おい、誰か鎮圧弾持ってるのいない!?」

 

 

 

「本当に戦場だな」

「……ああ」

 俺たちの素直な感想だった。

 壁は崩れ、天井はボロボロ、けが人も多数発生している。

 しかも、ときどき振動や揺れもある。

 以上だ、以上すぎる光景だ。

 そして――

 

 

 

ドゴォォォォォォン!

 

 

 

 前方の壁が爆発した。

「き、キタ――――――――!」

 一斉に鎮圧弾の雨が、崩れた先に現れた人影に降り注いだ。

 だが――

 

 その赤い?人影は、異常な速さで、聖龍捕獲部隊団員を撃破していく。

「アルベルト!」

「わかってる!」

 お互いに武器を構えた。

 そして、その敵は――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シーラ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 異様なまでに興奮状態かつ、目が赤く光っているシーラノ姿があった。

「敵増援、確認……、殲滅開始」

「「マジですか?」」

 そして、シーラは二人に接近してきた。

「ちい!」

 アルベルトハ、そのままシーラに突っ込んでいった。

「あ、馬鹿!」

 ライは、バックステップしながらアルベルトの無謀な行いを罵倒しながら、武器を構えた。

 そして――

 

 

 

「ファイナルストライクin連撃」

 

 

 

「ぼぶべがばごがあぎゃ!」

 

 

 

 シーラのファイナルストライクの連撃が、アルベルトをボロ雑巾にしていった。

 

 

 

 

 

 

 蹴り

――げし

「いて!」

 左肩にヒット。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ビンタ

――バチン

「!?」

 右頬にヒット。

 

 

 

 

 

 

 

 

 拳

――ゴス

「のが!」

 顔面

 

 

 

 

 

 

 

 

 裏拳

――ばき

「がご!」

 再び顔面

 

 

 

 

 

 

 

 

 踵落し

――ゴス

「ごば!」

 みぞおち

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔法(攻撃・錬金・精霊)

――ドゴーン、ガッキーン、すいーん……どごごごごごごごごご!

「д⊇γΡλÅ!」

 全身

 

 

 

 

 

 

 

 

 通りすがりの四竜王

――どがーん!(四竜王・究極奥義)

 以下省略(辺り所が不明、ここから言葉にできません。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 超磁○タツ○キ

――きゅぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゲ○ター○ラスト

――ドシュン、ドシュン、ドシュン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 10○ボ○ト

――ビリビリビリビリビリビリビリビビリビ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 デン○シー・○ール

――ドン、ドン、ドン、ドン、ドン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 ○テオ

――ごごごごごごごごごごごごご!

 

 

 

 

 

 

 

 

 ファミレス奥義・トレイで撲殺

――ゴス!(クリティカル)

 

 

 

 

 

 

 

 

 釘バット

――ごきーん!(クリティカル)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルベルトは星になり、一週間後にボロ雑巾の姿で、マリエーナ王国騎士団長に発見された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、それは置いといて……ライは、

「アルベルト、良い無駄死にだったよ」

 

 

 

 

 

 

 

 注:死んではいません。

 

 

 

 

 

 

 

「それは、置いといて……マジで、どうするか?」

 そう言って、辺りを見回した。

 簡単には、既にシェフィールド家は崩壊しており、更地と化してた。

 暴走していたシーラも、アルベルトを吹っ飛ばした時に、ぶち抜かれた壁の破片が、シーラの顔面に当たり(平べったい部分)で気絶。

 結局、何がなんだかわからずに終わりました。

「俺、何もしてないけど?」

 ボソっと言いながら、ジョートショップへ戻るライでした。

 

 

 

 

<さくら亭前>未だに続いてます。(汗

 

 

ドドドドドドドドドドッン!

 

 

 

どがん!ばーん!がきん!

 

 

 

 ダークの追尾レーザーが火を噴き、アリサさんはそれをかわし、弾いていく。

 だが、そろそろエネルギーがつきかけていた。

 あれから約5時間、補給無し・休憩無しのフルバトルをしていた。

 ここまで来ると、精神力の問題だが、この二人には関係が無い。

 

 

 

 

 

――ガキン!

 

 

 

 

 

 

――ガキン!

 

 

 

 

 

 

――ドン!ドン!ドン!

 

 

 

 

 

――キキキン!

 

 

 

 

 

 持ち弾も、残りわずか。

 アリサさんの魔力は、既に底をついてるはずだが――

 

 

 

 

 

 

 

「ルーン・ストライク!」

 

 

 

どどどどん!

 

 

 

 未だに無くなりません。(汗

「く、女神の悪魔が!」

 ビームブレードで切りかかった。

「ふふふ、ダーク君、自分の行いを呪うがいい、ダーク君がいけないのよ」

 

 

――キュピン!

 

 

「宇宙西暦か!」

 

 

 

「メテオ・バット」

 

 

 

ドガ!

 

 

 

「ぼぶ!」

 アリサさんの的確な突っ込みバットが顔面を捕らえ、そのまま振り抜く。

 物理的法則により、吹き飛びます。以上。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――くしゃ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ダークの視界は、とうとう暗闇に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

<アリサ視点>

 激戦?の末、とうとう元凶?のダークバスターを倒したアリサ。

 しかし、これまでの被害は尋常ではなかった。

 家は32件も吹き飛び、道には斬撃と銃弾、魔法の後が刻まれ、廃墟と化していた。

 気のせいか、遠くの方で爆音が響いていたが、次第に聞こえなくなった。

「シーラちゃんの方も終わったようね」

 ニコリと女神のような微笑を浮かべながら、血のついたメテオ・バットをどこかに仕舞い込んだ。

 なお、どこに仕舞ったかは聞かないでください。

 書いてる自分も、怖くなってきたので。

「さて、今日の晩御飯は何にしましょうか?」

 そう言い残して、何故か無傷の夜鳴鳥雑貨店へ向かった。

 

 

 

 

<更地と化したシェフィールド家>

「うっん……、ここは?」

 薄っすらと目を開けながら言った。

「起きたか……、大丈夫かシーラ?」

 目の前には、聖龍の顔があった。

「え、ええ、えっと、あ、い、いや、その……」

「まずは落ち着け」

「……うん」

 頬をほんのりと赤らめながら、聖龍の温もりを感じてた。

 そして、顔を横にずらして見た光景に絶句した。

 なんせ、シーラの家があった場所は、黒焦げた地面しかなかったからである。

 当たり前だ、ついさっきまで部屋にいたのに、気づいた外にいて、しかも跡形も無ないのだから。

 ジュディは、近くの木で寝ていた?気絶したのか?どっちが正しいのかわからないが、毛布を羽織っているので、大丈夫だということは判った。

「ねえ、聖龍くん」

「なんだ?」

 シーラの頭を撫でていた聖龍。

「なんでこんなことになったの?」

 固まる聖龍。

 しかし、その瞳は「どうして?」という眼差しだった。

 だが、真実を告げる気は更々ないので嘘を言うことにした。

「ごめん、シーラが気絶した時に、四竜王が近くでケンカを初めて……それで止めようとしたんだけど……」

 内心で、四竜王に謝罪しながら嘘を言った。

「そう……、でも、聖龍くんが悪くないからね」

 微笑みながら、聖龍に言い聞かせた。

 そうでも言わないと、「自分の責任だ」と言いかねないからだ。

 だが、今回は嘘なので、責任を感じてはいないが、罪悪感が降り注がれていた。

(ごめん、シーラ)

「ああ、大丈夫。四竜王に、注意しておくから」

 聖龍も、シーラに微笑み返した。

 しかし――

「でも、何で気絶したんだろう?」

 再び固まる。

 そう、何故シーラが気絶したのか、理由を言わないと怪しまれる。

 光速を超えた、脳内処理で一つの結論に達した。

 だが、このセリフは、非常に恥ずかしいし、相手にその気がなければ自爆行為に当たる。

 だが、言わなければヤバイ。

 非常にヤバイ。

 そして、青年は……男となる為に、心を決めた。

「……シーラに」

「え?」

きょんとするシーラ。

「・・・くしたから」

「え、何?」

 どんどん顔が赤くなる聖龍。

「だから…、その……、こ・・くしたから」

「こく?」

 首を傾けるシーラ。

「俺が、シーラに……、告白したか」

 目線を逸らして言った。

 返事が無いまま、時間が過ぎていった。

 とうとう耐えかねたのか、聖龍がシーラの顔を見た途端――

「うん!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キスされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――翌朝

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二日で完全回復した自警団は、街の復興作業に入っていた。

 さすがに被害状況が物凄く、魔法ギルドや、公民、手の空いてる戦士たちも居たが、ジョートショップの連中は見当たらなかった。

 結局、主犯のダークは、血痕だけを残して消えていた。

 まあ、キッカケを作ったのはダークだが、拡大したことに関しては否認する。

 そして、シーラと聖龍は、そのまま外で肩を寄せ合いながら、ローズレイクを眺めていた。

 夜明けが訪れて、ジョートショップに戻ると、何故か赤飯が用意されていた。

 唖然と立ち尽くした二人。

 アリサさんは、微笑みながら二人のことを祝福した。

 あと、ライは聖龍の頼みで、シーラの暴走状態は見なかった事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして、次に日からは、普段どう――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どがーん!

 

 

 

「マリア~!」

 

 

 

「ごめんなさ~い!」

 

 

 

「ぼふ!」

 

 

 

「掃除しよ」

 

 

 

「俺、用事思いだ――」

 

 

 

「お前も手伝え」

 

 

 

「はい」

 

 

 

「ふみぅ~、お店の中はめちゃくちゃです~」

 

 

 

「あ~ら、またマリアちゃん?」

 

 

 

「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 うん、普段通りだ。

 

 

 

 これが、エンフィールドの日常の一部。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 終わります。




 最後の辺りが失敗かも。
 まあ、行き当たりバッタリで書いたからな、このシリーズは。
 気にせず、どんどん行きまーす!


END





制作開始:2005/27~2005/10/5

打ち込み日:2005/10/6~2005/10/15
公開日:2005/10/15

改正日:2005/11/20
変更日:2008/10/23
訂正日:2006/2/13


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外伝・未来に繋がる出来事

外伝かつ、2005年最後の作品です。
デスメロ、悠久1、2が終了した話で、紅蓮メインです。


西暦226年12月、場所はマリエーナ国より少し離れた村に、夫婦と二人の子供が住んでいる家庭がある。

男の名は、崎山 紅蓮。

現マリエーナ国の王女――レミット・マリエーナのご友人で、新兵から熟練兵の基礎

体術と魔法体術の専門顧問を受けている。

おかげで、マリエーナ国一の戦士といわれているが、紅蓮は迷惑している。

女の名は、ウェンディ・ミゼリア・崎山。

崎山 紅蓮の妻で、相変わらず新婚夫婦をやっている。

二児の母をしていて、男の子と女の子が一人ずついる。

 

「ただいま~」

紅蓮は我が家の玄関を開けながら入ってきた。

「おかえりなさい、紅蓮さん。今日はどうでした?」

妻・ウェンディが迎えてくれた。

「ああ、新米で三人ほど筋のいい奴がいた。このままだと、基礎のマスターは、そう

時間は掛からないはずだ・・・・・・で、子供たちは?」

「ふふふ、大丈夫よ。あの子たちはもう寝ているけど・・・・・・だけど」

ふと、ウェンディの顔が暗くなった。

「だけど、どうした?」

ウェンディの放つ違和感に気づき、真面目な顔つきになった。

「最近、レンウェンの様子がおかしいのよ」

「レンウェンの?」

レンウェン・崎山――二人の子供で、この家の長男である。

だが、レンウェイには秘密があった。

西暦216年頃に、紅蓮とウェンディは結婚した。

初めは、ウェンディの両親に反対をくらっていた。

そりゃあ、異世界の人間です。と言っているいかれた(事実だが)奴に、大事な娘をやる訳にはいかない。と怒り出していて、仕方なく、一旦自分たちの家に戻ってきた時、玄関に赤ん坊が置いてあった。

よは、捨て子であったが、役所に報告するため、出かける準備を始めた。

その時、運悪くウェンディの父親がココを嗅ぎづけてきたのだ。

そして、レンウェイをあやしている時に、ノックも無しにいきなり入ってきた。

その場にいた、紅蓮とウェンディは固まった。父親も固まった。

ただ、赤ん坊がキャアキャア笑っていた。

 

 

 

その後、何とか誤解を解き、この子を育てる決意を固めた紅蓮とウェンディは、ウェンディの両親にもう一度、結婚の許しを得るため、必死で取り次いだ。

その会あってか、いくつかの条件をクリアすれば認めると言った。

一つ目、住む場所。

二つ目、安定した収入と就職。

三つ目、時折顔を出せ。の、三つ。

あとは、俺が男かどうか試すとのこと。

試すといっても、王々の力、使わなくても魔法体術がある。

それに、魔法禁止でも、気功術もある。

内容は、「お前がどれだけ強いか、知りたい」だ、そうだ。

レミットに頼んで、王国最強クラスの騎士と魔道士を3~4人借りて、ミゼリア家の方々の目の前で戦闘を始めた。

 

――所要時間30秒

 

さすがにやりすぎた。

おかげで、ウェンディの父親は腰を抜かし、騎士の連中は、当分の間負傷休暇にしてしまった。

おかげでレミットに、格安で顧問をやらされた。と、同時に、雇ってくれることが決まった。

おかげで、全項目クリアして、ようやく結婚したのだった。

 

 

 

「うん、なんというか・・・・・・遠慮しているような、他人行儀のような感じがして」

「そうか・・・・・・よし、決めた!」

紅蓮は少し考え、すぐ思いついた。

「明日、レミットに事情を説明して休みにしてもらい、レンウェイと二人で、ちょっと出かけてくる。

 だから、明日弁当を作ってくれないか?」

その言葉に、ウェンディの顔が明るくなった。

「はい!」

 

 

――そうして、次の日。

 

 

「レンウェイ、今日は少し付き合ってくれない?

 どうしても、お前がいないと駄目なんだ、頼む!」

朝、朝食の時間の時に、父親のいきなりの申し出に戸惑いを隠せなかった。

「え、あ、でも、今日は仕事じゃ・・・・・・」

「そうよ、なんでレンウェイだけなよ!」

実の娘のマナ、年は10歳であり、まだまだワンパク娘である。

「マナには、私からやってもらいたい事があるの」

ウェンディの言葉に、マナの頬が膨らんだ。

「すまない。クリスマスの2日間は家族全員一緒だから、な」

紅蓮は、内心焦りながらマナの説得にあたった。

「ま、いっか」

紅蓮はあっさり過ぎるほどの納得振りに、テーブルに顔面から突っ伏した。

「うお!」

「きゃあ!」

「あなた、危ないじゃないですか!」

「す、すまない・・・・・・マナがすんなり聞いたことに驚いたもんで」

それはそうだ、なんせマナの機嫌を損ねた時は、もの凄く大変だった。

 

なんせ娘―― 一部相愛 ――なんだからな。(爆

 

「まあ、たまには父様の言うこと聞かないと」

「そうか、レミットに何か言われたのか?」

気を取り直して何気に聞いたが、それからマナは、黙り込んで飯をひたすら食べ始めた。

 

何を言ったんだ、レミット。(汗

 

「まあいい、朝食が終わって少ししたら出かけるぞ」

「うん」

その返事は、どことなく他人行儀に聞こえた。

 

 

 

――次元空間の総合世界

「ついたぞ」

「こ、ここは?」

レンウェンは当たりを見回した。

天使、悪魔、亜人、神族、魔族、有翼人、エルフなどなど、さまざまな種族がいるのだ。

なを、ウェンレイの世界にも存在するが、滅多にお目に掛かることはまず無いと断言してよい。

だが、次元空間の総合世界はそうではなかった。

至る所にいるのだ。

おかげで、初めて来たレンウェイは唖然としていた。

「どうした、レンウェイ?」

「い、いや、父さん・・・・・・」

「言わなくても判るから、大丈夫だ」

紅蓮は平然として言った。

「もうすぐクリスマス、それが終われば大掃除、そして新年・・・・・・さて、いくぞ」

レンウェイは、『いやそうじゃなくて』の顔をしたが、義理の父・紅蓮に手を引かれていった。

 

 

 

「この店は?っていうか、大丈夫なの父さん」

今二人がいる場所は、先ほどとはうってかわって殺伐として、薄暗く、人がいる大通りとはまったく違う裏通り。

しかも、危険な人らしき人物も多数いたが、紅蓮を見た瞬間、いそいそと視界から消えていった。

「ああ、大丈夫。

 ここに頼んでおいた品があるんだ」

そう言いながら、店に入っていった。

「いらっしゃ~い!」

いきなりレンウェイと同年代の娘が、カウンターから可愛く挨拶をした。

「年増、頼んでおいった!」

大きな大剣が、紅蓮の頭上目掛けて襲う。

 

――パン!

 

 

だが、紅蓮は真剣白刃取りで受け止める。

「次、年増言ったら・・・・・・死ね」

そう言いながら、どこから出した大剣ビック・ウォーを、カウンターの下に潜り込ませた。

ちなみに大きさは、長さはそんなに無いが、横の幅が相当でかい。

「ほら、コレが頼まれた品だよ」

初めに会った時の可愛らしい声ではなく、ドスの聞いた声を出しながら、品物を投げ渡した。

「おっと・・・・・・すまないな、イアン」

紅蓮はとっさに品物をキャッチした。

「で、その子が」

イアンは、レンウェイを指差した。

「え、あ、は、初めましてレンウェイです」

慌てて頭を下げた。

「ふふふ、どことなく、お前さんの父親に似ているな」

イアンは微笑みながら言った。

「そうですか?」

少し暗い声で答えた。

「・・・・・・紅蓮、少しの間店を開けるから、店番を頼む」

イアンは立ち上がり、そのまま紅蓮の了承を得ずに出て行ってしまった。

「あ、おいイアン!」

紅蓮はイアンの後を追ったが、ドアから顔を出して左右を見て、ドアを閉めた。

「ったく、あいつは・・・・・・」

「父さん」

不意にレンウェイに声を掛けられた。

そして、紅蓮は何となくわかった。何が言いたいのか。

「・・・・・・言いたいことがあるなら、今日はとことん聞いてやる」

紅蓮は、店のインテリアの椅子を二個持ってきて、一つレンウェイの前に置き、向き合うように椅子を置いた。

「・・・・・・・・・」

レンウェイは何も言わずに座った。

「・・・・・・・・・」

そして、お互い体を向けて、無言のまま数分が経過した。

「実の子供じゃないって・・・・・・本当?」

俯きながら言った。

「ああ、そうだ」

紅蓮は即答した。

その回答にレンウェイは、驚いて顔を上げた。

「一生隠すつもりは無い。お前が自らの意思で、家を出る時に話そうと思っていた」

紅蓮は淡々と語りだした。

「まずは、お前と出会った場所は、家の玄関の前だ・・・・・・置手紙があったの――」

「・・・・・・なんで」

レンウェイは呟いた。

「ん?」

そして、顔を上げ、ハッキリと言った。

「なんで僕を育てたの!?」

思いっきり、ありったけの声を張り上げた。

そして、レンウェイと紅蓮は見詰め合った。

親子として。

他人として。

一人の人間として。

紅蓮はまた語り出した。

「お前は捨て子だった。それは、どうしようが間違えない。だが、俺はお前を息子だと思っている・・・・・・いや、お前は俺の息子だと断言する。

 ・・・・・・これは、誰がなんと言おうが変わりない」

その後、また無言が続いた。

 

 

 

――マリエーナ王国・城下町

「お母さん、これで最後?」

少し重そうな荷物を持ちながら確認を取る。

「え~と・・・・・・うん、これが最後よ」

母・ウェンディは、メモを確認しながら娘のマナの質問に答えた。

「はあ~、これでやっと終わるよ~」

少々お疲れ気味のマナ。

それを見て微笑むウェンディだったが、長男であるレンウェイのことが心配だった。

(紅蓮さん・・・・・・お願いします)

空を見上げながら、祈りを捧げた。

「お母さん、どうしたの?」

「え、あ、ううん、何でもないわよ」

マナが心配そうに見ていた。

「二人が帰って来たら、美味しいお料理を作っておかないと、ね♪」

笑いながら、マナに問い掛けた。

「うん!」

そして、力強い返事が返ってきた。

 

 

 

――イアンの店の外

「ふむ、あやつら、まだやっとるのか」

イアンは呆れながら苦笑した。

「しかし、親子の縁の為に、店をタダで貸し出すなど・・・・・・我も人の子ということか」

手で顔を覆い隠した。

「ま、頑張れるんだな・・・・・・紅蓮」

 

 

 

――イアンの店の中

「――じゃあ、本当に父さんは、父さんで呼んでもいいんだよね」

「ああ」

紅蓮は、レンウェイの答えに、静かに答えた。

「ぅぅああ・・・うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

レンウェイは泣いた。

店の外に響かんばかりに泣いた。

 

そしてこの日、レンウェイは真実を知った上で、本当の家族となった。

 

紅蓮もまた、本当の親子になれたと確信した。

しかし、何故レンウェイが紅蓮の本当の子供じゃない、と知ったんだろうか?

それが疑問に残った。

だが、あえて詮索はしなかった。

 

レンウェイ・崎山――紅蓮とウェンディの義理の息子で、崎山家の長男、マナの兄。

マナ・崎山――紅蓮とウェンディの実の娘で、崎山家の長女、レンウェイの妹。

 

レンウェイが17歳になり、マナは16歳となった時には、とある街の学園に居る。

そこで出逢う者たちは、ライバルであり、友であり、仲間であり、知り合いでありとさまざまである。

その出逢いが、新たなる物語の扉が開き、始まる。

 

だが、それは・・・・・・まだ先の話。

 

そして、レンウェイは泣き終わったのか、涙を袖で拭いた。

「もう、平気か?」

紅蓮は心配そうに尋ねた。

「うん、大丈夫だよ、父さん!」

その返事に、紅蓮は満足した。

本当に理解し合えたのだから。

「ところ父さん」

「なんだ息子よ?」

「さっきから、お客さん来ないんだけど・・・・・・」

紅蓮はその言葉に反応し、店の扉を開け、外の札を見た。

そして、何事も無かったように扉を閉めた。

「閉店の札でもあったの?」

「いや・・・・・・見た方が早い」

「?」

父親の言葉に従い、扉を開け、外の札を見た。

 

『ただいま、紅蓮とその息子の愛の面談中により、立ち入り禁止っていうか、デバガメは去れ』

 

と、いう札が掛かっていた。

「・・・・・・・・・デバガメはどっちなんだか」

やはり血は繋がっていなくても、間違えなく紅蓮の息子であった。

 

 

 

「おい、今帰ったぞ」

イアンが戻ってきた。

「「お帰り」」

親子はハモって返した。

「お前ら・・・・・・やっぱり親子だよ」

イアンは呆れながら言った。

「そうか?」

「どうですか?」

その言葉には、何から含みが感じられた。

「お前ら・・・我をからかっておるのか?」

怒りのマークを浮かべながら、ドスの聞いた声を出した。

「「サー、イエッサー!」」

イアンは、どこからともなく、大剣ビック・ウォーを取り出した。

「貴様ら~、そこに、直れ~!」

「おう!?」

「それカウンターの下にしまったはずでは!?」

紅蓮は大慌てでレンウェイを脇に抱えて店を出た。

そして、人気の多い大通りに出た。

「待たんかい!この腐れ親子が!」

イアンはビック・ウォーを振りかぶりながら、紅蓮親子を追いかけて大通りに出て来た。

言うまでもなく案の定、大通りは大騒ぎになった。

まあ、必然であり、当然である。

いきなり大剣を持った怒りに燃えた存在に驚いた。

だが、女の子かつ10歳くらいの娘が、身長より少しデカく、剣の幅の体の幅より大きい剣を振り回していることに、なを驚いていた。

「どこいった~!」

イアンの怒りの声が、大通りに響いた。

 

 

 

――崎山家

「遊びに来たわよ」

この地一帯を治めている第三王女・レミット・マリエーナが遊びに来た。

普通は有り得ない光景だが――

「あ、レミット姉さまだ!こんにちは!」

「あら、レミット、お久ぶりです」

この家では、普通であった。

「で、いきなり有給を取った馬鹿は?」

「レミットさん、あまり娘の前では控えてください」

ウェンディは、少し暗い声で注意した。

「ご、ごめんさない」

レミットはすぐさま謝罪した。

「父さまなら、レン兄と一緒に出かけたよ」

「レン坊と?」

レミットは不思議そうに言った。

「ええ、ちょっと急用ができたんですよ」

少々困った顔で言った。

「へえ~。でも、今日は新しい技を披露するっていって、張り切っていたのに」

「レミット姉さま、父さまってどういうことしているの?」

「え、聞いてないの!?」

レミットは驚いた。

「ええ、大間かな事しか言わないんですよ、あの人は」

ウェンディは、苦笑しながらレミットの疑問に答える。

「紅蓮、家庭には仕事を持ち込まない主義なんだ~」

レミットは感心した。

「でも」

ふと笑うレミット。

「紅蓮らしいわね」

 

 

 

――次元空間の総合世界・大通り

今紅蓮親子が居る場所は、とある大通りに建てられている民家の屋根の上にいた。

「どうするの、父さん?」

「どうするか……」

紅蓮は半場真剣に考えていた。

さすがにヤバイ。そう感じている。

なんせ、今のイアンは、人が隠れられそうな入れ物を、片っ端から斬りこんでいった。

「真面目に止めないと……あとでバレたら……」

紅蓮の顔が、少々青み掛かった。

「ぐれ~ん、どこだ~!」

 

ブン、ブン――ゴガーン!

 

 

「うわー、店の品が!」

「誰か何とかしてくれ!」

「ひ~!」

「うおって、ワシの髪の毛が!髪の毛が~!」

 

大惨事だ。

ばっくれるという選択肢があったが、それやると当分ここには来れなくなる。

それは本当に困る。

ここだと、格安で食材や機材が手に入るので重宝している場所。

「しゃあない、レンウェイ」

「は、はい!?」

不意に声を掛けられたので、慌てて返事をした。

「俺の力……見せてやるから、しっかり見とけよ」

「うん」

「じゃあ、行きますか」

紅蓮は、その場から消えた。

次の瞬間――

 

「――Restraint of a chain(鎖の束縛)!」

ジララララララララ!

 

「のわ!」

イアンの体に鎖が巻きついた。

「紅蓮、貴様~!」

「俺が悪かったから、これ以上物壊すな」

紅蓮は呆れながら言った。

そして、それを見ていたレンウェイは唖然としていた。

自分の父親が、こんなに凄い人だとは思っても見なかった。

家に帰ってきても、仕事のことはあまり話さない。

聞けばキチンと教えてくれるが、自分からは言わない。

だが今見ている父親は、いつもの父親と違ってた。

優しい感じは変わらないが、威圧感があった。

でも、嫌な感じじゃなかった。

誰かを守る――そんな感じだった。

「――で、弁償はお前が払えよ」

「くうぅぅぅぅぅ!」

イアンは、相当悔しそうな顔をした。

 

ちなみに被害総額は、534万G、だ、そうだ。

 

日本円でいうと、約5億3400万円相当

 

年代物のワインの入ったタルと高級品を壊したのが瓦礫と化した道に、多数発見された結果だそうだ。

 

最後に、弁当の中身は、何故か豪華な御節料理だった。

 

 

 

――崎山家

「ただいま、母さん」

「ただいま~」

紅蓮とレンウェイは、我が家に帰ってきた。

「おかえりなさい、レンウェイ、紅蓮さん」

「父さん、兄さん、おかえりなさい」

「おじゃましてるわよ、紅蓮、レン坊」

三者三通りの返事が返ってきた。

「よおレミット、来ていたのか」

紅蓮はレミットが来てることに、少々驚いた。

「ええ、あたなが昨日いきなり有給とるなんて言ったものだから、他の者たちが大慌てだったわよ」

「ああ、すまない事をしたと思ってるよ」

紅蓮は、城の慌しい光景を思い浮かべ、苦笑しながら言った。

「って…ことは……お仕事サボったんだ!」

マナは紅蓮を指指した。

「こらこらマナ、人を指で指しては駄目だぞ。

 あと、キチンと有給休暇というものも貰っているから、問題ないぞ」

聞いたマナは、キョトンとした顔で尋ねてきた。

「父さん……『ゆうきゅうきゅっか』って何?」

それを聞いていたレミットとウェンディは苦笑した。

紅蓮もつられて苦笑した。

レンウェイとマナも顔を見合わせ、笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Space named happiness.

幸せという名の空間。

 

There is the air space anywhere.

その空間は、どこにでも存在する。

 

If it expects all, it is air space to be happy which is available even to whom.

皆望めば、誰にでも手に入る幸せという空間。

 

I write myself, this work and am hypocritical. There are , a part to think of.

私自身、この作品を書いていて、偽善だな。と、思う部分もある。

 

But I think that this is psychology.

だけど私は、これが心理だと思う。

 

And ...... I put a writing brush here.

そして……私はここに、筆を置く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~Fin~




まずは、謝罪します。
本当に度々の変更、申し訳ありませんでした。

少々手抜きらしき部分も出来てしまいましたが、何とかまとめました。

これが、2005年中に公開する最後の作品だと思います。
ちなみに、2005/12/24に公開するSSは、既に相互リンクしている人たちに2005/12/14に先行公開しているので、今年最後の作品とは言えないと思います。

まず反省点
説明不足、少々話が短い、公開日が曖昧、まだ出来ていないSSもある、プロットを作ってない、その場の勢いで書いている、展開が急すぎる。
極めつけは、感想メールがまったく無いこと。
これが痛い。(泣
何とか改善したいと思います。

あとは、今年から書き始め、8ヶ月で25作目の作品。
ちなみに計算すると……一ヶ月、3.125作品作ったことになる。
この短期間で書きまくったんだな、俺。(汗
本当に気づかずに、よくここまで書いたものだ。
なんだか、書きたい話がたくさんあって、一つに絞り込めずになった、この有様を。(号汗

あとは、この後もサークル・闇砲を宜しくお願いします。
こんな乱雑な文ですが、来年も宜しくお願いします。


皆さん、良いお年を……








制作開始:2005/12/18~2005/12/21

打ち込み日:2005/12/21
公開日:2005/12/21

変更日:2008/10/23


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バレンタインデーの出来事

エタメロ&悠久1&少女伝のクロスSS。
本編の何かに出逢う者たちの物語とは、異なる世界でのバレンタインデーの一日を書いた、壊れギャグSS。
ちなみに、作者&管理者のDBと他の作品から2名参戦。

ですので、読む際には気をつけてください。



 完全にパラレル&ぶち壊しSSです。
 本作である「何かに出逢う者たちの物語」を読んで、心に感じた、よかったなど、作品に好感を持った方、またキャラ感を大切にしたい人は、お読みにならない方が良いです。
 ので、自己責任でお願いします。
 ですが、別にではなく、一風変わったありえたかもしれない話として、受け取って読んでみてください。


「お~い、紅蓮!壮太(そうた)!」

 聖龍が手を上げながら声を上げる。

「遅いぞ、聖龍」

 壮太が、タバコの形をしたチョコレートをくわえながら言った。

 ちなみに、このお菓子は実在しますのであしからず。

「遅れてすまん、準備に手間取ってな」

 と、二人に『ある物』が入った袋を見せた。

「この中に……我々の希望が入っているのか」

 壮太は、聖龍が指し見せた袋を見ながら、震えた声を出した。

「やはり……やめないか、こんなこと?」

 紅蓮は呆れながら言った。

「ここまで来て、敵前逃亡は重罪だぞ?」

 壮太は紅蓮の耳元で囁いた。

「軍かここは……」

 紅蓮は、ただただ呆れるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バレンタインデーの出来事

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある学校の調理室。

 その部屋の中に、三つの影とほのかな香りがあった。

「紅蓮、そっちの首尾は?」

「問題ない、他の生徒もここの事には気づいてない」

 作業しながら紅蓮は、廊下の方を見て言った。

「聖龍は?」

「いつでもOKだ」

 しぼり袋を持って言う。

「よし、チョコレートも固まった……始めるぞ」

 こうして、自称モテナイ三人衆による、捏造作戦が展開された。

 しかし、彼らは気づいていなかった。

 本当はモテていることに……。

 

 

 

「で、例によって三人衆は?」

 と、九羅香がシーラに尋ねた。

「え、あの三人ですか……あの様子だと、調理室にいったらしいです」

 戸惑いながら答えるシーラ。

「……本当だったんですね……捏造」

 呆れて言うウェンディ。

 そして、三人は向かい合い――

『はぁ~』

 ため息をつくのだった。

 その三人のカバンの中には、『本命チョコ』が入っていたのだった。

 

 

 

 ここは、私立moo学園――名前に関しての突っ込みは無しで。

 あの三人衆――紅蓮、壮太、聖龍のことである。

 この三人は、幼稚園からの腐れ縁で、紅蓮はともかく、壮太、聖龍の二人は、いままでバレンタインで、義理チョコすら貰ったことが無い。紅蓮もだが。

 だが、転機は訪れた。

 紅蓮は、廊下でウェンディの手袋を拾い、渡したことでお互いが知り合いになる。

 壮太は、高校二年の時の修学旅行に、罰ゲームとして、男湯から女湯に放り込まれて、九羅香と知り合うことに。

 ただし、このあとは地獄を見たのは言うまでも無い。

 聖龍は、シーラが川岸で呆けている時に、横で水切りをしていた時に知り合う。

 まあ、そのあとの付き合いは続き、友達以上恋人未満状態へ。

 ……こんなタイトルのゲームがあったような気がしたが、気にしない方針で。

 

 

 

 そんなこんなで、今に至る。ということで、今日は二月十四日・バレンタインデーの日。

 そんな三人が、一致団結して……いるのかいないのか、一個も――義理ですら貰えないとクラスの笑い者にされるので、ただいま調理室で偽造品を制作中。

 そして――

「出来た!」

 デコレーションが終わり、紅蓮が担当のラッピングを終えた。

「今年もこれで乗り切れた」

 遠い目をしながら言う聖龍。

「ああ、そうだな」

 呆れながら言う紅蓮。

「どうした、嬉しくないのか紅蓮?」

「当たり前だ壮太、何が悲しくて男三人で、義理チョコくらにゃああかん」

 エプロンを外しながら、調理室を出る紅蓮。

「おい、コレは?」

 聖龍は、先ほど作ったチョコを差し出す。

「いいよ、お前らが何とかしろ」

 脱ぎ、たたみ終えたエプロンを聖龍に放り投げ、出て行った。

「つれないよな~」

「しかたないさ、いつも無理言って付き合ってもらってんだから」

 と、ぼやきながら後片付けをする二人だった。

 

 

 

<階段が近くにある二階廊下>

「紅蓮さん」

 その言葉に反応して、後ろを振り向く。

「ウェンディ、どうしたんだ?」

「あとの二人は?」

「ああ、あいつらなら――「調理室」……」

 黙る紅蓮。

(何故知ってる、何故分かった、何故、何故、何故!)

 思考が駆け巡る。戦慄が走る。額から汗がでる。

 まさに確信を突かれた、冷静な犯人の焦り顔だった。

「やっぱりだったんですね……DBさんの言うとおりでした」

「あ~の~、お~と~こ~か~!」

「ああ、ちょっと!」

 ウェンディは、鬼神の如く怒りを露にした紅蓮の腕を両手で掴んだ。

「DBさんを探す前に、渡したいものがあるんです!」

 廊下全体に響かんばかりの声で叫んだ。

――きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん!

 しかし、ウェンディの声の大きさのせいか、紅蓮は両耳を押さえていた。

「う、ウェンディ」

「は、はい!」

 顔を赤らめるウェンディ。

「声デカイ、耳痛い」

 ぼやく様に言った。

「ご、ごめんなさい」

 

 

 

<一階と二階の間の階段>

「ったく、ウェンディは、声がデカイよ。おかげでこっちも耳が痛いよ~」

 様子を伺いながら、呆れながら言うDB。

「あの様子じゃ、まだ渡さないな……B1か」

 携帯に出る。

『こちらB1、九羅香と壮太の接触を確認』

「場所は?」

『調理室です。……ただいま修羅場の様子』

「そうか、引き続き頼む」

『sir!』

――Pi!

 携帯をきる。

――ブルブル、ブ――Pi!

「B2か」

『こちらB2、聖龍とシーラの接触を確認。ただいま中庭にて、ラブラブ中』

「もう?」

 詰まらなそうに言うDB。

『仕方ないです、シーラが出会い頭にチョコを差し出したんですから』

 呆れて言うB2。

「そうか……もう上がっていいぞ、バイト代は後ほど」

『約束ですよ?』

――Pi!

 ちなみに、『B1』と『B2』の『B』はbyte(バイト)、の略です。

「さて……嫌な予感がプンプンなので退散――」

――ガチャ!

「させる訳ないだろうが」

 DBの後頭部に、ハンドガンが突きつけられていた。

「調理室で見張り&ラッピング担当で偽造で作ったチョコを受け取らず目的も無く歩いていたら階段が近くにある二階廊下でウェンディと出会い怒りに任せて俺を探そうとした時に廊下全土に響かんばかりの大声を出したウェンディに止められてが至近距離で聞いた為耳を痛めていていつの間にか後頭部に突きつけているMK23 フェイズIIプロト<05ハードキック>を退かしてもらえませんか紅蓮君」

 大量の汗を額にかきながら言う。

「細かい解説ありがとう」

 満面の笑みで答える紅蓮。

 その後ろでオロオロしているウェンディ。

「ところで紅蓮……君は過ちを犯している」

「苦し紛れの言い訳か?」

 無表情な顔で一蹴りする紅蓮。だが、DBの顔には、焦りの表情は消えていた。

「サイレンサーが無ければ……主(ぬし)にもわかろう」

 不敵に笑う。

 しかし紅蓮は、徐に左腕を腰に回して――

――カチ、シァァァ……カチン。

 サイレンサーを付けて、ハンドガンを構え直す紅蓮。

「反則だぞ」

「日ごろの行いが悪いからだ」

 

 

 

<少し時間を戻って、修羅場と化す調理室>

「壮太!」

 九羅香が勢いよくドアを開ける。

「げ、九羅香!」

「げ、九羅香!っじゃないよ。も~、何見っとも無い事してるのよ~」

 九羅香は、問答無用で中に入る。

「い、いや、その……今の男性は料理もできな「バレンタイン用のチョコを作るが」……」

 黙る壮太。

「まったく……DBの言うとおりだったわ」

「あのヤロ~、ってまさか聖龍の野郎、DBから材料を受け取ったな!」

 人材のミスを悔やむ壮太であったが、あんなに細かく用意してくれる人間は、アイツしかいない。

 紅蓮――非協力的な歩く大百科事典、壮太が大体巻き込んでいる為、自らまた頼んでも持ってきてくれない。

 壮太、自分――総司令&参謀役の為、考えることは得意だが、用意するのが下手くそ。

 聖龍――調達役、道具などを安く見つけ、大まかな指示でも、細かく調達してくれる。

 以上、三人衆の役割分担でした。

「しかし……なんでこんなに大きい訳?」

 そう、チョコレートケーキよりも大きい……いわゆるウエディングケーキである。

「つい……熱が入って」

「いや、これは熱が入る以前の問題だよ」

 ただただ唖然とする九羅香。

「は・は・は、それ「褒めてないから」……」

 速攻で突っ込む九羅香。そして、両目蓋を押さえる壮太。

「泣いてるの?」

「……ちょっと」

 真面目に答える。

「……傑作な訳?」

 恐る恐る尋ねる九羅香。

「うん」

 

 

 

<廊下・調理室前>

 Pi,Po,Pa,Po,Pa――プルルルル、プル――Pi!

「こちらB1、九羅香と壮太の接触を確認」

『場所は?』

「調理室です。……ただいま修羅場の様子」

『そうか、引き続き頼む』

「sir!」

――Pi!

 携帯をきるB1もとい、特別出演の羽山 勇斗。

「あの出番以来だからな、能力もフルに使わせてもらうさ」

 クリスマスSS『聖夜に降る祝福の雪』以来の登場っていうか、それしか出ていないので張り切る勇斗。

 まあ、綾菜のデートの軍資金稼ぎだがな。

「貧乏人は辛いんだよ」

 ボヤいて監視と続けた。無駄遣いしすぎ。

「余計なお世話だっと」

「あ~ごめん、ごめん」

 泣きの入ったと壮太をあやす九羅香。

 だが、壮太はシカトを決め込んだらしい。九羅香の言葉に、耳を貸してない。

「所詮馬鹿な男で……」

 などと、ボソボソ言っている。

「うわ、イジけてるよ……壮太のや「そこどけ勇斗!」」

 右から怒鳴り声が聞こえた。

「へってDB!っ!」

 怖気が走った為、その場から飛び跳ねた。

――チュン!

「銃弾!?」

 驚く勇斗。そして、その横を全力疾走で逃げるDB。あとを追う紅蓮。

 その手には、サイレンサー装備のハンドガンが握られていたのが見えた。

「な、なんだ!?」

「何があったの!?」

 騒ぎを聞きつけた九羅香と壮太が、調理室から出てきた。

「あ、ああ……DBが馬鹿やらかして、紅蓮に追われてる」

 その言葉に、二人は納得した。

「で、なんであんたがここにいるの?」

 と、九羅香。

「DBに頼まれてな、ちょっと」

 埃を掃いながら、訳を説明する。

「なんでも、物を行き忘れたらしくて、昨日行った調理室を見てきてくれと頼まれたから」

「その心は」

 問う壮太。

「バイトとして、九羅香と壮太の監視を……は!」

 口を塞ぐ勇斗だったが、時既に遅し。

「覚悟は宜しいですか?」

 営業スマイルの九羅香と――

「ちょっと面かせ」

 ――エガオの壮太が、仁王立ちしていた。しかも、二人で取り囲む形で。

「DB……もう二度と手伝わないからな」

 その可能性は、どうかな?

「逃げる!」

 が――

『はい、確保』

 しりもち状態からのクラウチングスタートだったが、立ち上がった瞬間に捕まった。

「……お手柔らかに」

 

 

 

 このあと、大きな爆発音と、大きな悲鳴が上がったという。

 

 

 

 ちなみに、聖龍とシーラは――

「美味いよ、シーラ」

「聖龍君のもね」

 

 

 

 手作りチョコを交換して、食べながらバカップルをやっていた。

 

 

 

 ちなみにB2は――

「出番はコレで終わりかよってまともに出たのDBの電話だけかよ!つーかなんだよ、あのバカップルは!?」

 ライラングス・ドラグァードでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バレンタインデーの起源

 時は古代ローマにさかのぼる。後にキリスト教を国教としたローマ帝国だったが、もともとはキリスト教を迫害していた多神教の国。いきなり「神様を変えることにしました」と言われても民衆はなかなか納得できず、昔からの習わしを続けていた。

 

 その中に、2月15日に行なわれていた古代ローマのルペルカリア(Lupercalia)祭があった。これは豊穣と多産を祈る春の祭典。この祭りの前日2月14日に、女の子の名前を書いたくじを男の子が引いて、当たった娘を祭りの間のパートナーにする、という風習があった。

 

 469年にローマ法王は、この異教徒の祭りを禁止したが、14日に行なわれていた名前のくじ引きスタイルだけは残し、女性の名前の代わりに聖人の名前を引かせて、1年間その聖人にならった生き方をするようにと勧めた。そして2月14日に殉教した聖バレンタインをこの行事の守護聖人としたという。

 

 また、ヨーロッパでは2月になると長い冬が終わり、春の訪れを前に小鳥たちが愛のさえずりをかわすといわれていた。民間の祭りに、動物たちの発情期や聖バレンタインのエピソードが混じりあって、時と共に変化し、14世紀ごろには現在のようなバレンタインデーになっていたようだ。

 

 

 

 バレンタインと恋愛の英語の本文より抜粋。(アドレス↓)

 http://www.eigotown.com/culture/special/valentine/index.shtml#02

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、紅蓮さん」

 空が赤く染まり掛けた時間。

 校門の辺りで、ウェンディは紅蓮を見つける。

「お、ウェンディ」

 手を挙げながら、友達以上恋人未満の名前を言った。

「あの……コレ」

 可愛くラッピングされた包みと手紙を差し出してきた。

「俺に?」

「お前意外に誰がいる」

 後ろから、鋭く突っ込む壮太。

「九羅香に壮太……で、その包みは?」

 紅蓮は、壮太が持っていた包みを指差した。

「ああ、九羅香から貰ったんだ!」

「壮太!」

 顔を真っ赤にしながら、鞄を振り回す九羅香。

「じゃ、じゃあな!」

「あ、コラ待て!」

 逃げる壮太に追う九羅香。

「まったく……あの二人は」

 苦笑しながら、ウェンディの手から包みを取る。

「あ」

「ありがたく貰うよ」

 

 

 

「向こうは上々だな、シーラ」

「ええ」

 反対側斜線の歩道の影から、先ほどのやり取りを見ていた。

「道具の準備、ありがとうシーラ」

「ううん、コレくらいどおってことないよ」

 微笑み合う二人。

「しっかし、DBは災難に遭うとは……」

 苦笑しながらぼやく聖龍。

「ええ、本当に」

 シーラも苦笑した。

「でも……今日はよかったな、シーラ」

「はい!」

 

 

 

<瓦礫と化した教室跡>

「はあ~、覗きなんてするもんじゃないな」

 瓦礫の上に座りながら、缶ジュースを飲むDB。

「バイト料と危険手当」

 睨むB1――勇斗。

「出番があっただけマシだろう」

 なだめるB2――ライアングス・ドラグァード、通称ライ。

「ほら」

 っと、二人に封筒を投げて渡す。

「約束道理のバイト料だ」

『…………』

 黙る二人。

「どうした?」

「い、いや、本当にくれるとは思わなかったから、なあ」

 話をライに振る。

「ああ、たしかに」

 二人とも、驚きを隠せずにいた。

――は~る~か天空(そら)響いてる…祈りh――Pi!

 着歌:魔砲少女リ○カルな○はA's・オープニングより。

「ああ、二人ならいるぞ……分かった、伝えておく」

――Pi!

「おい、二人とも……お姫様たちが、校門の前で待っているぞ」

 顔を見合う勇斗とライ。

「なら、いくか……またなDB」

「そうだな……じゃあな」

 急いで、校門へ行く二人。

「俺もそこまでヤボじゃないよ」

 空になった缶ジュースを、ゴミ箱に放り投げたが――

――カン、カランカラン、カラララララ……

 外して、床に転がる。

 空を見上げた。ちなみに天井は、崩れて無くなってます。

 赤い空から、星々(ほしぼし)が見える青黒い空に変わる時間。

「宅配便で~す、DBさんですか?」

「あ、ああ、俺だが……ご苦労様です」

 唖然となりながら、宅配物を受け取る。

「はい、確かに……ありがとう御座いました」

「ご苦労様~……差出人は不明っと、中身の確認でもしますか」

 何とか無傷であった机を見つけ、宅配物を置いて開けた。

「これは」

 なんと、手作りチョコが入っていた。『本命です』のメッセージカード付きで。

 ただ問題なのが――

「チョコを使って、文字を書いたのまではいいのだが、本命と言いつつ『義理』って書くか?」

 そう、作られた板の上にではなく、文字の線がチョコである。

「泣いていいのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 所詮世の中、こんなもんだ。

 ま、貰えるだけマシだよな。

「だが……大丈夫かな、あいつら……まさか、腹痛オチは勘弁してくれよ」

 と、渋りながら、チョコを口に入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 チョコの味は、市販のチョコレートと同じ味がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<次の日>

「先生、三人衆は?」

 と、DBが担任に尋ねる。

「ああ、あいつらなら休みだ」

「食中毒で」

 冗談で言うDB。

「よくわかったな、あと勇斗とライも食中毒で休みだ」

 笑った状態で固まる。

「なんでも、原因がチョコレートらしくて……」

「ウェンディ、シーラ、九羅香、三人で作らなかったか!?」

 慌てて立ち上がり、三人同時に尋ねるDB。

 しかし、三人は注目の的のため、顔を赤くして縮困っていた。

「生クリームは何時頃買った!?」

「……一月の後半あたり」

「一月の後半だって!」

 青ざめるDB。

「な、何か問題でもあ「大有りだよ」」

 怒りながら言う九羅香の言葉を、DBが遮った。

「生クリーム賞味期限……確認した?生ものだから、案外早く駄目になるんだぞ?出来立ての手作りロールケーキは、二~三日しか持たない……ここまで言えば分かるな?」

 青ざめる三人。

 それを聞いていた、他の生徒、担任も苦い顔をした。

「エルと綾菜は、どうだか知らんが……お前らは、生クリームが原因だ」

 

 

 

<社会保険中央総合病院>

「……なあ紅蓮……聞きたいこっとがある」

 腹に走る激痛を堪えながら、紅蓮に声を掛ける。

「なんだ、壮太」

 比較的に、生クリームの量が少なかったにも関わらず、腹に走る激痛を堪えながら、壮太の質問に耳を傾ける紅蓮。

「社会保険中央総合病院って、リアルにあったような」

「ああ、あるぞ……大丈夫か作者?」

 大丈夫だと思う、一様フィクションだし。

「だ、そうだ」

「そうか……聖龍、生きて、るか?」

 向かいのベットにいる聖龍に声を掛ける。

「…………」

「相当、重症だ、なだたたたたた!」

 腹を押さえる壮太。

「はいはい、あまり喋らないでください。お腹に響きますよ」

 いつの間にか、看護士さんがいた。

「それにしてもあんたら、相当運ないね~。彼女のバレンタインチョコで、病院送りになるなんて」

 不運な顔で言う看護士。

「ま、今日はどっちみち入院だから……気を落すんじゃないよ」

 そういい残して、部屋を出る看護士。

 ちなみに、今の看護士は女性です。

 看護婦と思いますが、看護する男も出てきた為、最近は看護士と言います。

『ふぅ~』

 三人のため息が、同時に重なって響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 不運なり、三人衆よ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに、勇斗とライは――

 どうでもいいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~END~




 DB=ダークバスターなので、作者である俺が登場しましたが、最後はなんだかカッコいいセリフを吐いたけど、似合わね~。
 自分は、こんな事言いませんので。
 最後は、食中毒の病院ENDで完結しましたが、あとで三人衆+2名に奇襲される前に撤収します。(笑
 家族――妹、母上、ばあちゃんの三人しか貰ったこと無いですが、妹の友達が一回だけくれました。義理ですけどね。(笑
 今回は、バレンタインチョコが貰えないと笑いものになるとのことで、書きましたが、元ネタが、ラブ○なの主人公?の男の偽造スキルを思い出したからです。
 まあ、義理すら貰えないと悲しすぎるので……ねえ。
 他のSSも宜しく、では。






制作開始:2006/2/2~2006/2/11

打ち込み日:2006/2/13
公開日:2006/2/14

変更日:2008/10/24


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少女義経伝・弐 サークル・闇砲、サイト一周年記念

サークル・闇砲、サイト一周年記念SS。
少女義経伝弐の勝手に舞台裏話。
なお、本編のプロローグがありましたが、丸パの作品なので、削除しました。
あと、本編内にゲームの当時の公式サイトへのアドレスがありましたが、削除しました。


サークル・闇砲一周年記念&少女義経伝・弐の予約特典ポスター&テレカを見て

 

 

 

今日は、少女義経伝・弐の裏方に来ていた。

 

ダーク「うーす、紅葉。」

 

紅葉「こんにちは、ダークさん。」

 

ダーク「ところで、何で俺の事知ってるの?」

 

紅葉「知っているという前提で書いてるんじゃないんですか?」(汗)

 

ダーク「そんなもの、全然決めて無い。」(キッパリ)

 

紅葉「・・・・・つまり、行き当たりばったり、と?」(汗+汗)

 

ダーク「YES。」(面々の笑み)

 

紅葉「・・・・・・・・・・。」(濠汗)

 

楓「何やってんの?」(微妙に呆れ)

 

紅葉「あ、楓。」

 

ダーク「ああ、この子が新キャラ・紅葉の妹・九羅香ラブの楓か。」

 

楓「・・・・・・(なんか引っかかるけど)あんた誰?」

 

ダーク「この話を書いた、作者の分身。」

 

楓「九羅香には、手を出さないでね。

  っというか、ゲームもこんな感じなの?」

 

ダーク「知らん。

 

    だって、姿・武器・人間関係(九羅香・紅葉のみ)しか公開されて無いんだもん。」

 

楓「確かに。」(汗)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

注:コレは、2005/5/4に制作開始したので、プレイされた時には大きく違う事が予想されるのでご了承ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅葉「で、何をしに来たんですか?」

 

ダーク「弁慶は入る?」

 

楓「それなら九羅香と与一が一緒に、待合室で休憩していたぞ。」

 

ダーク「サンキュー、じゃ、またあとで。」

 

楓「また会うのかよ。」(冷酷+呆)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特別待合室

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダーク「よう弁慶。」

 

弁慶「誰!?」(即答・0.1秒)

 

ダーク「うわ、ひど!」

 

弁慶「冗談だ。」

 

九羅香「あ、行き当たりばったり作者。」(素面)

 

ダーク「こちらも、負けずに酷い扱いだな。」(汗)

 

与一「否定は出来ないはずだが。」(冷酷)

 

ダーク「べ~ん~け~い~。」(泣)

 

弁慶「うわ!引っ付くなってか、汚!」(服が涙とよだれと鼻水まみれ。)

 

ダーク「冗談はそこまでで。」(復活)

 

弁慶「おい!この有様は冗談では済まないぞ!」

 

ダーク「ところで九羅香。」

 

九羅香「なに?」(煎餅を間食中)

 

弁慶「スルーかよ!?」

 

ダーク「楓とのツゥショットの事で♪」(耳元で)

 

九羅香「(パクパクパクパク)←口の開閉の音」(顔面真っ赤)

 

与一「どうした九羅香殿?」

 

ダーク「いや、楓の事でチョット。

    ちょっよ見てくれないか、与一。」(悪魔の笑み+懐から紙を出そうとする)

 

九羅香「まったまったまった!」(紙を引っ手繰る)

 

与一「く、九羅香殿!?」

 

ダーク「ああ!九羅香が楓に押し倒された写真が!」(爆)

 

弁慶・与一「何!?」

 

九羅香「え、え~と、コレはその・・・ってか、なんで持ってるのよ!?」

 

ダーク「弁慶、何所行ってた?」(九羅香をスルー)

 

弁慶「お前が服を汚したから、隣に行って着替えていたんだよ。」(呆)

 

九羅香「だぁ~くぅ~。」(刀:妖刀・『裂き乱』を突きつける)

 

ダーク「パソコンで検索すれば出るから。」(両手を挙げながら)

 

九羅香「ええ!?」

 

弁慶「キーワードは?」(インターネットを開き済み)

 

ダーク「少女義経伝・弐」

 

弁慶「了解。」(カタカタカタ・・・)

 

九羅香「っちょっと待って!」

 

静「ど~したんですか~?」

 

玲奈「さっきからピギャーピギャー、うるさいな~。」

 

観月「どうしたんですか、九羅香様?」

 

九羅香「ええ~と・・・。」

 

弁慶「うわ!九羅香が楓に押し倒されてる!

 

  しかも、パンぶは!」(殴られた・弁慶に999のダメージ)

 

九羅香「見るな~!しかも言うな!」(顔面真っ赤+手から煙)

 

与一「く、九羅香殿。」(動揺)

 

静「まあ~。」(頬が微妙に赤い)

 

玲奈「く、くく、九羅香、まさか!?」(後ろへ一歩)

 

観月「九羅香様と楓様・・・・。」(口元を押さえる)

 

弁慶「・・・・・・・・。」(死亡中)

 

紅葉「楓!」(動揺+真っ赤)

 

楓「紅葉姉さんには関係無いでしょ?」(素面)

 

ダーク「ああ、そこそこ喧嘩はご法度。」

 

紅葉「しかし!」

 

ダーク「mooさん(九羅香達の産みの親)が描いたんだよ。」

 

紅葉「うう。」

 

ダーク「弁慶。」

 

弁慶「何だ?」

 

ダーク「皆の凄い姿、見たくない?」(耳元)

 

弁慶「大丈夫か?」

 

ダーク「安心しろ、mooさんの絵だから。」

 

弁慶「なら(たぶん)問題無し。」

 

ダーク「ほんじゃ」(『パチン』と指を鳴らす)

 

九羅香一同(ダーク・弁慶・観月は抜かす)「きやあああああああああああああああああああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アドレス:<アドレスが記載されてました>

 

移動法:少女弐→関連商品→一番下のポスターの絵

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

九羅香「な、なな!」(真っ赤+動揺)

 

紅葉「え、えええ!」(真っ赤+動揺)

 

与一「な、なんだこの格好は!」(真っ赤+動揺)

 

静「これは~、どういう格好ですか~、弁慶さん?」(真っ赤)

 

玲奈「・・・・・・・・!」(真っ赤+動揺+声にならない声を上げてる)

 

観月「なんだか、変わった服ですね。」(目が見えないので)

 

楓「お姉さま、いい感じです。」(なんかズレてる)

 

弁慶「んな!?」

 

ダーク「mooさんだから。」(意味不明)

 

弁慶「いくらなんでも、これは!」

 

ダーク「安心しろ、俺は逃げる。」

 

九羅香一同「逃がす訳無いでしょうが!」(怒)

 

弁慶・観月「頑張ってください。」(怯えながら、既に退避済み)

 

ダーク「おい!」

 

九羅香「さ~て、どうしようかっな~♪」(満面の笑顔)

 

紅葉「シーラさん、フローネさん!スタンバイです!」

 

シーラ・フローネ「は~い♪」

 

ダーク「なんでいるの!?」(後ずさり)

 

静「逃がしませんよ~。」(ロープ装備)

 

玲奈「そうだぞ!」(椅子装備)

 

与一「覚悟はいいな?」(弓矢装備)

 

楓「今の内に、お姉さまの写真を・・・。」(カメラ装備)

 

ダーク「ね、ねえ、君たち。

 

    ラブ・&・ピースって言葉を知っている?」

 

九羅香一同(シーラ・フローネも含む)「時代設定を考えろ。」

 

ダーク「あ。」(頭を叩く)

 

弁慶「美味い?」

 

観月「ええ、とても♪」(チーズケーキを間食中)

 

ダーク「そこ!和むなよ!」(濠泣)

 

観月「あ、弁慶様。

 

   そちらの和菓子はどうでしたか?」

 

弁慶「ああ、美味しいよ。」

 

ダーク「だから、和むな!ってかスルーかよ!」(濠泣)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作:この話は、スルーが多いな。(汗)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダーク「俺、何とかしろ!」

 

ごめん、無理。

 

ダーク「あああああああああああああ!」(絶望的)

 

九羅香一同「では、生き地獄へ一名様、ご案内♪」

ダーク「いやあああああああああああああああああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして俺(ダーク)は、こってりと絞られたそうな。

 

てか、三分の二殺しになった。

 

生きてるって素晴らしいですね。(泣)

 

ダーク「俺は、・・・・・当て馬・・・・・か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・そうだな、今回は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダーク「今回・・・・・・も、だろ・・・・・・(カク)。」(気絶)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

END




サイト『サークル・闇砲』一周年記念&少女義経伝・弐の予約特典ポスター&テレカを見て、無性に書きたくなったので書きました。

なお、いつもの「ショートコント」は、作者(ダーク)が重症のためお休みさせていただきます。

っというか、これ自体がショートコントだな。

今度は、これの改正版を書こう。






制作期間2005/5/4~2005/5/19

公開日:2005/5/21


再編集:2005/12/16

変更日:2008/10/24


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ガンダムSEED SEED~戦火の納豆~

読めばわかる!



これは、パラレルワールド+オリジナルキャラ、設定があるのでご了承ください。


ある日、ミレルバ・アークに議長からお中元を貰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

受取人:ダーク

中身:納豆一年分

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なぜ納豆?

 …まあ、いっか日本人だしっと言っても、これはさすがに多すぎだな…一年分。

 …しゃあない、皆にも食べてもらうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食の時間

 

 

食堂に入ろうとしたら、いきなり怒鳴り声が聞こえた。

 

 

 

「納豆は、人間の食べもんじゃない!」

 

 

 

 

と、怒鳴るシン。

 

 

 

「何を言うかシン、納豆は体に良いんだぞ!」

 

 

 

 

と、怒鳴るアスラン。

それですぐに、二人が口論していることがわかった。

「ルナっち」

「何?ってダーク、おはよ。」

「おう、おはー。

 っで、なんでこうなった?」

「実は、シンが納豆が嫌いらしくて…。

 それで、「こんな物、人間が食べる物じゃない!」と、言ったら…。」

「アスランさんが、怒ってこうなりました。」

っと、横からメイリンがルナマリアの説明に付け加えた。

「そ、そうか…。」

(納豆でこうなるか、普通。)

「納豆は、ご飯と一緒に食べるのが筋なんだ!」

 

いつの間にか、アスランが語りだした。

「違うよ、アスラン!」

 

そこにキラが乱入。

「キラ!?」

 

いきなりの乱入者に驚く二人。

「納豆は、そのままで食べるのがベストなんだ!」

 

止めるどころか、あの二人の口論に参加した。

 

「いやキラ、それこそ間違いだ。

 ご飯にかけて、始めてその旨さがわかるんだ!」

「だめだアスラン。

 納豆はそのままの方がいいんだ!」

そして、取り残されていたシンが制裁に入っていった。

 

「っちょ、ちょっと、二人とも落ち着いてください。」

そして、キラ&アスランの回答は…、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「黙れシスコン!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンの脳内で、SEEDが弾けた。

 

 

 

 

 

そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「せいやぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故か、モビルスーツ戦闘勃発。

ちなみに三人とも、SEED覚醒。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ミレルバ・アーク、食堂内。

「そこの醤油ください。」

「どうぞ。」

「ありがとう。」

「それいただき。」

「ああ、それ俺の!」

「やはり納豆には、ネギを入れないと。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和んでた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダーク、艦長がお呼びだって、…ダークは?」

「格納庫へ行った。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、三人ともやめるんだ!」

 

ダークが仲裁に入った瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「黙れ腐れサイト管理者!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダークの脳内のSEEDが、弾けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、ダーク・キラ・アスラン・シン四人の、くだらないバトル勃発。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

艦内

 

 

 

「お~い、SEEDトト始めるぞ~。」

「アスラン!」

「キラに!」

「俺シン!」

いつの間にか、賭け事が始まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、ダークには誰もかけませんでした。(泣

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、連合軍が攻めて来たが、喧嘩中の乱入なのでとばっちりをくらい、一個艦隊が全滅。

それでも収まらず、結局全機エネルギー切れで海に墜落。

そして、地引網で回収され、きっちり艦長に説教された後、四人で後片付けをしたそうな。

 

 

 

 

 

 

 

END




粗品SS。 特に書くこと無し。 もし、付け加えるのならば、友人から聞いた話を(ほとんど改正してませんが)自分なりに書きました。 あと、「ルナっち」は、突っ込み無しで。






制作期間:2005/7/16
打ち込み日:2005/7/16

公開日:2005/7/16


改正日:2005/7/22
変更日:2008/10/23


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ダークバスターの空想生活・訴えてやる!

DB本人が主役。


「これでよし!」

「よしな訳ねーだろうが!」

 

スパン!

 

「いっ、痛いな~。何すんねん、九羅香」

そこには、『一撃必中』と書かれたハリセンを持った九羅香が立っていた。

「何時になったら、私たちの話を書くわけ?」

「う~ん……うん、未定、もしくは打ち切り」

ダークバスターは、笑顔で言った。

「じゃあ、最初から書くな!」

またしてもハリセンが飛んできたが、素早くかわす。

ニ撃目、三撃目、どんどんかわしていく。なんせ、絶望幻想曲でアリサさんと、全力バトルのおかげで、ある程度の攻撃はブースターを使用しなくても、かわすことができるようになっていた。

「く、ちょこまかと!」

 

シュ!シュ!シュシュ!

 

上、左斜め下、十字切り、足払い、全て避けきった。

「ふふふ、その程度なら、かわすことなど造作も無い」

しかし――

 

ヒュウ!――タン!

 

顔の横に、矢が飛んできた。いや、正確には、マジック・アローが飛んできた。

「リディアか!」

飛んできた方向に、目線を走らせた。

「久しぶりです、ダーク」

本当に久しぶりだよ。

「では、折檻です♪」

「行き成りですか!?」

こうして、ダークバスターの逃亡劇が――

 

「混沌の闇より、その御心、門に乗せ、悪しき光を打ちはらん――ダークネス・ジャスティス!」

「劫火の地に、古の鬼居でり、その叫びは地獄の底より、聞こえたる響きなり――鬼・劫火之響(おに・ごうかのひびき)!」

二人のコンビネーションアタック、発動!

ちなみに、リディアの使用した魔法属性・闇の中にある純粋な光。(六属性)

九羅香の使用した術の属性・火(五行の理)になってます。

「解説しゅうりょおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 

どっごおーーーーーーーーーーーん!

 

「アビバでパソーーーーーーーーー!」

 

キラーーーーン!

 

「アビバって古!」

「ねえ、『あびば』って何?」

「ええっと、たしかパソコンの操作を教える教室、だったはずだけど……今はもう無いと聞いてるわ」

「ええ、何で?」

「ダークバスターが、知り合いから聞いた話だけど…今、パソコンの普及率が高くなって、操作も昔より簡単になったせいで、習う人が居なくなったから。と、聞いているそうよ」

「へえ~」

何も無い場所で、「へえ~」と言いながら、手を上下に振っていた。

たぶん、「へえ~」ボタンを押しているつもりなんだろう。

「あと、CMもやっていたけど、いつの間にか見なくなったらしいわ」

「へえ~、まあ、どこも世知辛い世の中になった、ってことで」

「ああ、そうだな」

「うわ!」

「きゃあ!」

二人とも、それなりの悲鳴を上げてくれた。

うんうん、嬉しいかな。

「えりゃ!」

 

ゴス!

 

「ごあ!」

いきなり後頭部に、衝撃が走った。

「何馬鹿やてるんですか、マスター」

「いっててててて、お、お前はエイナ!」

「はい、今回初登場のエイナです。きちんと擬人化されてますから、ご心配無く」

笑顔でカメラ目線。

今思ったが、コレは小説だからカメラ目線と書いていても、どこ見てんのか分からないよな。普通。

「リディアさん!」

「は、はい!」

いきなり現れたエイナに、声を掛けれてたので、戸惑いながら返事をした。

「勝負、ていやー!」

そして、いきなり跳び蹴り。

「きゃああああああああ!」

リディアに直撃。

「痛たたたたた……いきなり何すんですか!いきなり娘!」

「いきなり娘とはなんですか!」

「いや、いきなり娘と言われても、しょうがないぞ」

冷ややかな突っ込みを入れる、ダークバスター。

「ガーン!」

エイナの雰囲気が、どす黒くて重い空気がまとわり付き始めた。

「いいもん、いいもん…どうせ私なんか……」

部屋の隅で丸くなった。

「エイナ、さあ僕の胸に飛び込んでこっごば!」

どこからか湧き出てきた、ウイルスこと端末君。

なを、彼は今さっき考えました。このギャグの為に。

「よは、即席?」

「YES、九羅香」

一仕事が終わったあとの爽やかな笑顔で答えた。

対して九羅香は、唖然と呆れが混じった表情だった。

 

 

 

「で、Dバスター」

「なんだ?っというか、Dバスターって?」

「ダークバスターの略」

「DBなら駄目なの?」

「DJじゃないから、俺」

「一文字違い」

何時の間にかエイナがいた、っと言っても、既に一時間後なので復活もするか。

「Dと言えば…イニシャルDだね!」

「頭文字(ずがしら)Dか」

「いや、頭文字(かしらもじ)だから」

九羅香が突っ込む。

「ところで、Dバスター」

「なんだ~、リディア?」

「ええっと、このタイトルの「訴えてやる!」は、何処へ?」

 

黙るDバスター。

しばし考え込む。

そして、手をポンと叩いた。

そして、三人の顔を見てから口を開いた。

 

「知らん」

 

 

 

 

 

『え~、臨時ニュースです。

 今日未明、サークル・闇砲特別ゲート付近で、大爆発と言うのでしょうか?

 とにかく激しい爆発らしきものが起こりました。

 詳しいことは分かっておりませ――え、何、また馬鹿やった。……え~、訂正します。

 今日未明、サークル・闇砲特別ゲート付近で、大爆発が起こりました。

 原因はダークバスター氏が、不用意な発言をした為に魔法、法術、電子兵器で吹き飛ばされたようです。

 続いて、今日のニュースです。こ――』

 

 

今日も平和な一日だった……。

 

 

END




まあ、空想話だから。鵜呑みにしないでください。
自分は、笑いが取れればそれで良し!

制作開始:2005/10/22~2005/10/23+2005/11/3

打ち込み日:2005/11/3
公開日:2005/11/3

改正日:してない
変更日:2008/10/24


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機甲兵団J-PHOENIX 復讐の空 プロローグ+FILE01

プロローグ:あの日の・・・

そこは小さな町だった。

よくイジメられていた少年が居た。

イジメている者達は、ただそこに居るだけの理由でイジメてきた。

何時しか少年は、唯一得意のプログラミングを使い、いくつかのプログラムを作った。

しかし、少年はそれらのプログラムを作っていくごとに使うことに恐れ始めた。

理由は、二つ。

一つ目は、これを使うことにより、より多くの人が死ぬことになること。

二つ目は、一人の女の子をプログラムの一部として使用すること。

そのため、これらをデリートしようとしたが、時はすでに遅く、外部アクセスにいくつかのプログラムがコピーされいた。

そして、このプログラムの存在を知ったヴァリムは、アルサレアの領地にも関わらず進軍を開始し、残りのプログラムと、

そのプロブラムのベースとなった一人の女の子を確保し、そして町を焼き払い去って行った。

少年は後悔した。

たった小さな復讐心で作ってしまったプログラムが、多くの人を死なせてしまった。

そして、一人の女の子の未来を奪ってしまった。

アレから数年、少年・・・・いや、青年はアルサレア機甲兵団に入隊した。

自ら作り出したしまったいくつかのプログラムを破壊し、一人の女の子を助けるために、そして町を襲った者達と

自分自身の犯した行いへ復讐のために。

機甲兵団J-PHOENIX
復讐の空


FILE01:復讐の空

 

 

 

 

 

「エレナ!ステラの援護!」

「了解しましっうわ!」

敵の中距離用「マシンガン」が何発か直撃した。

「大丈夫か!」

被弾したエレナに聞き返す。

「す、すいません。敵が多く、しかも今は完全支援型なので接近戦の装備がなく、近づけません!」

「そうか、なら」

一安心して、すぐ次の指示をしようとした時に。

「俺の出番か」

と、他の隊員が通信に割り込んで来た。

「トーラスか、お前はエレナを!サーガ、聞こえるか!」

「ステラを、ですねナーガ隊長、今向かってます」

突き放した口調で帰ってきた。

「お前、俺が逆の指示をしたらどうするつもりだ」

怒るわけでもなく、呆れるわけどもなく、ただ言葉を返した。

「自分はエレナとは、相性が悪いためただ…」

「俺が悪かった。ステラを頼む」

サーガとエレナは、なぜか仲が悪いことは、部隊の皆が知っているため即座に通信を切り上げた。

今、エレナの機体は「J-ファー・完全支援型」にカスタマイズになっているため、至近・中距離の格闘・射撃装備はなされていないので、

敵の「ヌエ」は中距離でマシンガンに火を吹かせていた。

しかし、盾「ビックプレート」を装備したいたが、2機の装備していたマシンガンと格闘用武器「レーザーソード」の計3機の連携攻撃を防いでいる時に破壊されてしまった。

しかも、数は全部で5機。分が悪すぎる。

「やっぱり、きちんとステラに付いてけばよかったな」

と、自分の失敗を呟いた。

「しかし、コレらを何とかしないと。と、言いたいけど武器がっキャ!」

瓦礫の半分が崩れ、被弾し始めた。

「トーラスさ~~~ん!早く来てください~~!」

そして、1機のヌエがレーザーソードを振りかざして、突進して来た。

「き、来た~~ぁあわぁ~~~~~~~~!!!!!」

天と地がひっくり返りそうな大声を出しながら後退するが、瓦礫に足を取られ機体が尻餅をついた。

そうしているうちに、突進して来て斬られそうになったが、ヌエが立て真っ二つに斬れた。

「大丈夫か、エレナ」

目の前には、アルサレアで優秀なパイロットが搭乗することができる機体、Jフェニックスがいた。

「ト、トーラスさ~ん、助かりました」

「早くお前は後方へ下がれ。あとは、俺がやる」

「りょ、了解しました。」

機体の態勢を立て直しながら言葉を返した。

 

 

そのころ、ステラはというと。

「この、この!」

何度も何度も「Jファー・バルカン」の格闘用武器「スパークフック」を振っているが、敵の機体にかする以前に届いていない。

「こ、このパイロットは、何がしたいんだ?」

敵パイロットも困惑を隠せない状況。

「うう~ちょこまかと動いて~!」

と、怒りながらスパークフックを振り回す。

「ちょっとまて、全然届いてないから、しかもイチャモンまでつけんなよ!」

なぜか、イチャモンまで付け始めた。ココがステラの悪い癖である。

「いつまで遊んでいるんだステリアル、撤退命令だぞ」

「ええ!もうそんな時間ですか。…わかりました、すぐ撤退します」

大急ぎで機体を、旋回しながら後退していった。

「あ!こら、待ちなさい!!」

すぐさま敵機の「ダークアームド」を追おうしたが、サーガの「Jファー・カスタム改」が止めに入った。

「待て、1分前から全ての敵機が後退を始めた。任務は完了だが」

ココで、ステラに尋ねた。

「なぜ内部装備のバルカンを使用しなかったんだ、あれはロックオンされていれば自動的に追尾してくれただろうが。」

しばしの沈黙がながれて、

「あ、そういえばあったんだっけ」

「・・・・・・・・・・・またか。腹、くくっとけよ」

「あう~~~、お願いしますから一緒に――」

「断る。」

即答。その時間、わずか0.1秒。

「報告書なら書いてやる」

「それくらいなら、私でも書けます」(泣)

 

 

その後、戦闘中に合流したトーラスとエレナはうまく連携をあわせて5機のヌエを破壊してキャンプ地点に合流。

サーガとステラは、途中でナーガと出会いそのままキャンプ地点に合流したが、戻<る途中で先の戦闘状況を話したら、案の定ステラは、キャンプ地点に着くと同時にその場に正座させられて怒られた。

まあ、当たり前の結果だったが。

「で、感想は?」

と、サーガはテーブルにつっぷしているステラの横にコーヒーを置きながら尋ねた。

「最悪」

一言言ってコーヒーを啜った。

「また当分は、演習からだな」

「うん、でも演習はもうヤダ」

プッシュュュュュと、ドアが開いた。

「ここに居たの、ステラ」

「あ、エレナ、なにか用」

エレナは、ステラに近づいて。

「ううん、またステラが隊長に怒られたって聞いたから。どーせまた、サーガのせいでしょうけ・ど!」

なぜか、最後辺りを強く強調して言った。

「違うよ、私が効率の悪い戦闘をしたからだよ。なんでいつもサーガのせいにするの」

その問いかけに、えっという顔をしながら。

「え~と、それは~~~ってあんた何時からいたの」

話を逸らすように、サーガに今気がついたような口ぶりで言った。

「元から居たが」

「あっそう、居たんだ」

今気がついたように、突き放す口調で言った。

「俺は今から機体調整に行くが、ステラはどうする」

あえて、エレナの言葉を流してステラに問いかけた。

「じゃあ私も行くよ。エレナ、またあとで」

「ええ、また」

ステラとサーガはエレナを残して部屋をあとにした。

そして、部屋に残ったエレナは

「なんであいつなんだろう、……私じゃなくて」

 

 

格納庫では、作業している整備班とカナディアが居た。

「あら、アーガにステナじゃない」

カナディアに、会う早々いきなり名前を間違えられた。おかげでサーガとステラはこけそうになった。

「違います、自分はサーガで」

「こっちは、ステラだよ、おばちゃん」

ステラの一言にサーガと作業班の者達が、凍りついた。

「ステラちゃん、今、なんて言ったのかな」

ステラも自分の言った言葉の重さを思い出したが、すでに近くに居たサーガと作業班の者達はすでに危険地帯から離脱していた。

「えっ、えあ、う、あ、あの、その、え~~と、さ、さよなら!!!」

ウサギのごとく逃げたが、0.3秒で襟首を掴まれた=捕獲された。

「ステラ、ちょっと奥まで来てもらいますよ」

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんな……」

襟首をカナディアに掴まれて引き摺られる状態で、ごめんなさいを何度も繰り返したが、結局、奥の部屋に連行されて行った。

危険地帯の元凶が消えたため、また作業が始まった。

「あの馬鹿は、本当に懲りないんだから」

前に一度、この部隊が結成されて自己紹介の時に、他の部隊員とケンカになってその仲裁役になったカナディアに対して、

「黙っててください、カナディアおばさん!」

などと、口ばしってしまいケンカしていた部隊員と共に奥の部屋へ連れて行かれた。

その時、カナディアからはとてつもない殺気が充ちており、皆の足が竦んでしまい、なすがままに連れて行かれ、戻ってきた時は

二人とも、なにかをぶつぶつと呟やいて三日間は部屋の隅で蹲っていた。

最近は慣れたらしく、3時間くらいで直るようになった。

(しかし、なぜ慣れるまで言ってんだか)

おかげで、この部隊の恐怖名物になっている。プラス、他のとこからは「ガイア小隊」ではなく、「悪夢の小隊」と言われている。

「また言ったのか、あいつは」

不意に後ろから、ガーナが声をかけてきた。

「ええ、また言いましたよ」

「ま、こちらが被害がでなきゃいいがなっと、戻っていたみたいだ」

話し込んでいたら、奥からカナディアと……。

「カナディア、ステラになにをしたんだ」

おそるおそる、ガーナがカナディアにステラのことを聞いた。

「え、ガーナもですか」

その問いに首を左右に素早く振った。

「では、私は一回部屋に戻りますので」

「あ、ああわかった」

そのまま格納庫を出て行った。

カナディアは顔はすがすがしい感じだったが、身に纏っていたモノが殺気に変わっていた。

「絶対この部隊の禁句事項に記載するべきだと思う」

サーガの問いに、整備班一同が首を縦に力ずよく頷いた。

「俺もそう思う」

ステラの姿は、もの凄いことになっていた。(どんな姿はご想像にお任せします。)

 

 

-三時間後-

 

 

「ふう、もう!あそこまでしなくてもいいのに」 燃え尽きた状態から復活したステラは、カナディアの仕打ちに対して愚痴をこぼしていた。

「いや、学習能力の低いお前が悪い。いい加減に覚えろ、ステラ」

「ガ――ン!」

トーラスにキツイ一言でテーブルに沈んだ。

「おいおい、さすがに言い過ぎだぞトーラス」

「ですがガーナ隊長、お言葉ですが・・・」

「泥に釘を打っても意味はないぞ」

と、サーガが割り込んで喋って話を丸めこませた。その時、ドアが慌しく開きエレナが入ってきた。

「たっ隊長、ほ、本部より緊急連絡です!」

「なにがあった!」

「グッグレン小隊が、っと、とにかくミーティングルームに!」

その場に緊張が走った。

「トーラス、ステラ、サーガ!」

その掛け声にすぐさま反応してミーティングルームに急いだ。

 

 

-ミーティングルーム-

 

 

「っな、なんだって」

ガーナが唖然となった。無理もない、アルサレア第七中隊が全滅した報告を受けた事。

しかも、それは目と鼻の先で行われていたのでその敵はこちらに向かっている事をカナディアから聞かされた。

「しかも、『その機体を何が何でも破壊しろ』だと!」

ガーナを怒鳴りながらテーブルを叩いた。

「ですが…、このままだと近隣の村に被害が」

ガーナをなだめる様にトーラスが言った。

「……ところで、そのキースを撃破したいう機体、どんなタイプなんだ?」

サーガが何気なく迎撃目標のことを聞いた。

「ええ、それが……、どうもアルサレラ機みたいなのよ。

 機体名は…、ヘリオスみたいなのよ」

「ねえ、ヘリオクってなに?」

エレナは、初めて聞く名前らしくて尋ねてきた。

「ZCX-HOISTV ヘリオス、流星雨事件だかに、研究所から出てきた内の一機。

 基本的には、夜間用に開発された機体らしい」

「サーガ、なぜそれを知っているの。

 ……まさか軍用データベースに侵入したのか?」

驚きながら尋ねた。

「ああ、いや噂で聞いた話しだ。

 さすがにあのセキュリティーは、突破は難しい」

「……侵入したことには変わりないから」

エレナがぼやいた。

 

 

 

作戦開始まで、あと1時間――

 

 

整備班たちは、大慌てで修理や補給を行っている。

サーガは、カナディアに尋ねた。

「カナディア、一つ聞きたいことがあるのだが」

「何かしら?」

データ整理を一旦中断して、サーガと向かい合った。

「先のヘリオスのことだが、まさか一機だけで中隊を壊滅させたのか?」

「ええ、そうよ。

 敵は、いきなり中隊の中に突っ込んでいき、同士討ちを狙いながら、戦っていたそうよ」

送られてきた報告書を見ながら、答えた。

「……………最後に一つ」

「そうぞ」

少し考えて、言葉を放った。

「そのヘリオスには、特しy――」

「ここにいたのかサーガ」

後ろからガーナが、声を掛けてきた。

「何かあったんですか?」

「いや、お前さんが相談事をしてたところを見たもんでな」

サーガは呆れながら、

「相談事ではなく、ヘリオスの事について聞いていたんだが…、もういい」

そういって、自分の機体が置いてある格納庫へ行った。

「はあ、……ガーナの馬鹿」

「………すまない」

「時々、悲しそうな目をしているけど……、何故軍に入ったんだろう?

 あの子は、そういうのは向かない子だというのに…」

カナディアは、サーガが出て行ったドアを見つめて言った。

「そうだな、…奴は何かを追っているようだが……」

そこまで言って、ガーナは黙り込んだ。

これ以上の詮索はよそう。そう思ったからだ。

 

 

このアルサレアは、ヴァリムの脅威から逃れるために、駆け込み寺役を担っている。

そのため、ここにいる者達は、ヴァリムに何らかの恨みをを持っているのも少なくは無い。

サーガも、その一人だと考えたからだ……、少なくとも、この時は……

 

 

-ヘリオスのコクピット内-

 

 

「こちらDA2687-G01、AK、応答願います」

『こちらデュア、確認しました。

 どうなされましたか?』

「……アルサレアに、この機体のことがバレた」

『増援要請ですか?』

「いや、報告だけだ。

 それに、他の部隊も動き出したようだから、近くの部隊を一つ潰してから、それらに戻るように報告しといてくれ」

『了解、後武運を』

そして、通信は切れた。

「………後武運、か……」

そう、呟いた。

 

 

-ヘリオス予測通過ポイント-

 

 

「準備はいいか、ABCども」

Aはアルファ、Bはブラボー、Cはチャリー。

 

 

Aチーム

ナーガ:Jアームド

ステラ:Jファー・バルカン

 

Bチーム

トーラス:Jフェニックス

エレナ:Jキャノン

 

Cチーム

サーガ:Jファー・カスタム改

 

である。

「いまーす」

「了解」

「ええ」

「………」

サーガ以外は、応答した。

「サーガ、さっきも説明した通り、後方で待機。

 俺たちA、Bが抜かれたら、応戦しろ」

「……ああ」

そっけなく応答した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして十分後、ヘリオスと接触した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、ステラはともかく、他の三機が大破させれれてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、サーガも中破しつつも、何とか敵を退くことが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、見逃してもらった。と、言ったほうが正しいのかもしれない。




プロローグを記載に辺り、結構開けていた行間を記載に辺り、1行に変更。
制作開始:2004/9/30

打ち込み日:2005/9/29
公開日:2005/9/29

改正日:2005/11/20


FILE01のあとがき
去年から書いていた、「機甲兵団J-PHOENIX 復讐の空」です。
発表してから、早○ヶ月……、能力不足でやる気ダウンしたが、やっと第一話完成しました。
そして――
FILE02:黒い機体とサーガ
を、お送りします。

次は多分、いつだろう。
まだ、何作か書き途中だし……






制作開始:2004/9/30くらい~2005/9/25

打ち込み日:2005/9/29
公開日:2005/9/29

改正日:2005/11/20
変更日:2008/10/23


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FILE02

発表から約一年。(2004/9/30に発表)
真の初小説が、ココに!

とあったけど、ロボットの各名称が判らずに断念した作品である。


FILE02:黒い機体とサーガ

 

 

 

 

 

戦闘が終了してから数時間経過していた……、あのヘリオスには、特殊なシステムが組み込まれていたのだった。

ハイパーモードとは違い、パンツァーフレームの機動能力が向上したことと、理屈は不明だが完全予測の回避行動が行うことが出来た。

だが、サーガのパンツァーフレームにも似たシステムが搭載してあった。

機能は、相手の予測までは出来ないが、機動能力を大幅に向上してくれるが、使用後は機体がオーバーヒートしてしまい、当分動けなくなるのが欠点のため、今まで使用しなかった。

 

 

 

 

――移動単位キャンプ・集中治療室

「ガーナ、生きてますか?」

カナディアが、部屋に入ってきた。

ガーナは、ヘリオスとの戦いで重傷した。

しかも、戦線復帰は確率的に低いそうだ。

「ああ、生きてるよ……、まだ死ぬわけにはいかないからな」

「ええ、サーガのためにも」

二人は、そういうと、外を見た。

その先には、サーガが夜空を眺めていた。

「……あいつには、教えないと。

 この先、戦い抜くためのことと……、自分を保ち続けることを」

 

 

 

 

――移動単位キャンプ・治療室の外

サーガは外を眺めていた。

先の戦闘でのケガは、左腕の打撲程度だが、機体は中破していまった。

「……あの動き…、間違いない。

 …これで、手掛かりが見つかった」

そして、夜空を見上げ、あの時の戦闘を思い出していた。

 

 

 

 

――数時間前のヘリオスとの戦闘

『遅い!』

そんな通信が聞こえた途端、トーラスのJフェニックス、配置周辺に爆発が起きた。

『ぐああああ!』

『トーラス!』

『トーラスさんって、ええ!』

そしてまた、爆発。

『きゃあああああああああ!』

『ステラ!』

『まて、エレナ!』

サーガは、後方待機なので、ここからでは爆発と通信しかわからない。

「くそ!」

吐き捨てるように、怒鳴り、歯を食いしばった。

『サーガ、聞こえる!?』

「カナディア、どうなってる!?」

『……ガーナから伝言よ』

「ガーナから?」

(ガーナから伝言?何故今頃になって)

そう思いつつ通信に、耳を傾けた。

『伝えるわよ。

 ――あの三人には悪いが、頼みがある。

 あの機体を、お前が討て!――

 以上よ』

少し呆気に取られた、あのガーナがこんな伝言を残すのだから。

『ふふ、ガーナは本気よ。

 やらなきゃ行けないことがあるんでしょ』

その言葉を聞いて、ハッとなった。

「……何時から知ってた」

少し低い声で問い掛けた。

『つい最近よ、私も、ガーナも』

「…………」

『あなたのせいじゃないわ。

 誰にだって間違いはあるから……』

「……知った様な口を聞くな」

カナディアの言葉を遮った。

「サーガ・ディオナム、Jファー・カスタム改、出る!」

そして、ガーナ小隊最後の戦士が、戦場を駆け抜ける。

 

 

 

 

――ヘリオス・コクピット内

「ち、ここまでとは……、辺境部隊の一つと見て侮っていた」

先のガーナ小隊の戦闘で、機体損傷率・20%を越えてしまった。

「損傷率20%……、途中の二機はともかく、最初と最後の機体にダメージを受けるとは……、まったく、戦場とは判らないものだな」

パイロット・ダークスライアは、今までの戦闘で、損傷率20%を越えることは、今までなかったのである。

そのため、先のアルサレア小隊に敬意を表していた。

そして、コクピット内に警告音が鳴り響いた。

「!?」

とっさの勘で、サブマシンガンを避けた。

「まだいたのか!?」

さすがに、ダークスライアも驚いた。

なんせ、先の戦闘で、全滅したと思い込んでいたのだから。

 

 

 

 

――Jファー・カスタム改・コクピット内

(あいつか!)

コクピットを開けて、肉眼で敵位置を確認していた。

「くらえ!」

左手に装備されているサブマシンガンが、火を噴いた。

しかし、敵はすぐ反応し、避けた。

「ちい!」

そして、ハッチを閉め、本格戦闘に入った。

 

 

 

 

――戦場と化した森

赤い戦士と、黒い侍が戦っていた。

ミサイルが飛び、それを打ち落とし、レーザーが放たれ、避けて剣を振るう。

剣と刀がぶつかり合い、弾ける。右へ、左へ、上へ、下へと、ぶつかり、弾ける。

だが、お互い全てが避けることが出来ず、切られ、吹き飛び、飛び回る。

それでも、終わり無き戦いは無い。

次第に両機に、疲労の色が現れてきた。

「ぐあ!」

ヘリオスの左手の武器が壊れた。

さすがに鉄の刀とレーザーの剣では、差があったが――

「そこ!」

「な!?」

右手の刀が、フォースソードを叩き折った。

「つ!」

しかし、折れたフォースソードで、敵に立ち向かった。

お互いに、機体損傷率は50%を超えていた。

だが、お互いに引くつもりは無かった。

遠くのほうでは、両陣営の増援が着たが、戦いの結末を見るために、参戦することは無かった。

しかし、さすがに危険と思ったら、出て行くくもりだ。

サーガも、ダークスライアも、それは承知済みだった。

そして、お互いの弾丸もつき、掴み合いになった。

「く、貴様、なかなか出来るな……、何者だ!」

ヘリオスから、操行振動による直接通信が入った。

「く、貴様に名乗る名など無い!」

「我が名は、ダークスライア」

「っち、サーガ……、サーガ・ディオナムだ!」

「サーガ・ディオナム……覚えておこう」

ヘリオスは一気に下がり、掴み合いを止めた。

「冥土の見上げに、食らうがいい」

そして、刀を両手で持ち直すと、ヘリオスの気配が変わった。

「!!」

サーガは気づいたのか、一気に距離を離れた。

だが、ヘリオスの動きは以上だった。

人間で言うと、50Mもある距離をわずか2秒で、間を詰めた。

しかし、サーガも全装備を排除し、拳で立ち向かった。

だが、リードはヘリオスが優勢であることには変わらなかった。

「――おそ、があ!?」

ヘリオスは後方に吹き飛んだ。

「遅いのは、どっちだか」

そいういと、拳を打ち抜いたモーションが、ほとんど見えなかった。

その代償に、左腕に異常が発生した。

『左腕ニ異常発生、左腕ニ異常発生』

緊急アラームが、響いた。

「っち、やはり無理がたたったか」

全武装を解除することにより、この機体に積んである特殊なシステムが作動した。

システム名――

は、ない。

作っただけで、使うつもりはなかったのだから。

あるシステムを生み出すための、試作システムの一つだから。

そして、サーガが使ったシステムもまた、その試作の一つ。

機能は、PF(パンツァーフレームの略)の腕の機能を、オーバーヒート&耐久限界を無視し、全エネルギーを一時的に腕に集中させて、打ち込む。

そのため、使った腕は取り替えるか、修理するまでの間、使うことが出来なくなる。

ヘリオスのシステムは、機動力を最大限に引き出すことが出来るが、そう長くはもつはずも無く、歩くこと、いや、立つことすら出来なくなる。

だが、今目の前にいるPFはどうなんだろう……、立ち上がってきた。

(何故?何故立つことが出来る?

 ……まさか、改良したのか!?機体が持つ様に!

 時間はある、当たり前だよな……)

そう言い聞かせ、左腕の機能を切り離した。

「見事だ……、あの一撃を感づき、カウンターを合わせたのは、貴様が初めてだ」

そう言いながら、態勢を立て直した。

だが、いきなりヘリオスから、多数の煙が噴出し、片膝をついた。

「く、限界点か……、今日はここまでのようだな。

 ……また戦場で」

ヘリオスは、全力でこの戦場を離脱した。

敵が退却したのを確認したのか、援軍が来た。

だが、ヘリオスを追おうとしたが、敵の援軍が援護攻撃をしたために、断念せざる終えなかった。

その後、他の機体や仲間も見つかり、修理や治療をしていた。

軽症なサーガと、オペレーターのカナディアが、今回の件の報告を上層部から必要以上に迫られた。

だが、ほとんどデータや通信記録が無く、カナディアの配慮により、サーガは精密検査を受けることになった。

その間、カナディアがなんだか適当に説明したそうだ。

あとで報告内容を見たが……、本当に適当だった。(汗

こんな報告で、納得する上層部はどうなってるんだろう?

近くにいた奴の証言では、「聞くな」の一言が返ってきた。

しかも、震えた声で。

またやったのか……、しかも、お偉いさんに。(号汗

っと、まあ、システムのことについては、全くと言っていいほど触れられてなかった。

 

 

 

 

――数日後

「サーガ小隊は、現時刻を持って、海岸前線基地の配属となった。

 なを、この命令は一時的な物である……、以上」

そんな命令が下った。

結局、修理できた機体は、たったの二機で、サーガのJファー・カスタム改と、ガーナのJアームドだが、ガーナは……、戦線復帰は不可能と判断された。

トーラスのケガは、外傷だけで、骨とかは無事だったので、すぐに復帰した。

しかし、Jフェニックスは、修理不可能に近いので、当分は『ツインファング』で、出ることになった。

ステラは、骨にひびが見つかったので、一ヶ月くらいは安静。

エレナは……、撃墜時の恐怖で、当分はPFに乗ることは出来ない。

だから、戦闘できるのは、サーガとトーラスの二名のみ。

まあ、休養も兼ねて、海岸前線基地に行ったのだった。

 

 

 

 

――アラ・クライク極秘研究所・格納庫

「こ、ここまでやられるとは……、まさか!?」

小さい女の子は、顔を青くした。

『まさか、グレン小隊だったらすぐに離脱する』

「はあ~、よく…ないよ」

整備のチーフ・ステリアルは、ため息をついた。

今まで、損傷率数20%未満だったPFが、目の前で50%以上の損傷しているから、当たり前だ。

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

 どうしただい、その損・傷・わぁ!?」

めちゃくちゃ甲高い声が、格納庫内に響いた。

『はぁ……、来たか』

「Dr.アストロンだ」

「はぁ~い、呼ばれないともアストロン!参上!」

何故か、マイ・マイクを持って現れた。

 

 

暴走鎮圧隊

ダークスライア・ステリアス

 

モンスター

Dr.アストロン

 

――戦闘開始

ズガ!ゴス!バガ!

 

WIN・暴走鎮圧隊

 

戦闘終了――

 

 

地面に沈んだが、すぐに起き上がった。

「いきなりなにるの!?」

それはそうだ、いきなり出てきた途端に張り倒されたから。

まあ、ここではいつものことだが……。

今回のヘリオスの損傷報告を、PF開発部の局長・Dr.アストロンと整備のチーフ・ステリアスに言った。

「まさか、そんな逸材がいたとは……」

「ええ、話からしても相当な腕の持ち主ね」

二人は納得した。

だが、納得した反面、不意に落ちないことがあった。

ヘリオスの一撃。

いままで、反応することは出来ても、かわすか被弾のどちらかだ。

だが、今回は、カウンターで止められた。

あんな猛スピードで、カウンターを合わせるのは、ほぼ不可能に近い。その不可能を可能にしたアルサレアPF。

異常だ。

脳裏に過ぎった。

Dr.アストロンは、そう感じた。たぶん、ステリアスも。

『では、失礼させてもらう……、ザイアスに会わなければならないので、な』

そう言って、格納庫をあとにした。

その場に残された、二人の表情は重かった。

ダークスライアが居なくなったことを、確認してから呟いた。

「……ザイアスは、嫌い」

「その意見は、私も同意だよ。

 ……彼は良いシステムエンジュニアだが、大半のモノは危険すぎる」

ザイアス・ストロンガー、極秘試作型・ギガティクフレームのパイロットであり、FPのOS担当でもある。

しかし、彼が作るシステムは素晴らしいほど完璧だった。完璧ゆえ、パイロットの事など気にしてないため、何度かのテスト実験で、全てのテストパイロットは亡くなった。

その数は、ハッキリとはわからない。なんせ、裏でも実験をしているという話だから。

だが、唯一ザイアスの実験で、奇跡の生還を成しえた者が一人だけいた。

名を、ダークスライア――

性別、年齢、出身地など、一切不明のザイアスのシステム搭載型・FPのテストパイロット。

それ以上でも、それ以下でもない存在――、そう、ダークスライアは答えた。

 

 

 

 

――ギガティク・フレーム(以後GF)前

カタカタカタカタカタカタカタ……ピタ。

「……来たか」

『はい』

キーボードを打つのを止めて、ダークスライアが来たことを、背後で感じ取った。

カタカタカタカタカタ……

「で、例のシステムの結果は?」

結果を質問しながら、再度キーボードを打ち始めた。

『システム起動限界を超えました』

――ピタ。

また止まった。だが、ダークスライアは報告を続けた。

『しかも、敵機を一機だけ逃しました……、相打ち、っと言うべきでしょうか?』

「相打ち?」

眉を寄せながら、振り向いた。

『はい、敵にも似た様なシステムを、制作されているよ――』

「まさか!」

突然の発声のため、ダークスライアも驚いた。

『ど、どうなされましたか!?』

行き成りの為、ダークスライアも戸惑いを隠せない。

「くくくくくくくく…………、とうとう現れたか。

 ……創造主、そして……罪深き戦士よ」

 

 

 

 

――ダークスライア

その言葉を聞いたが、何のことだかわからなかった。

だが、この言葉の意味に気づくのは、ほんの少し、先の話だった。

そして、私自身の運命が、大きく変わる言葉でもあった。

 

 

 

 

――アルサレア国・上層部

「以上で、奪取された『ZCX-HOISTV ヘリオス』と、戦闘報告です」

「そうか……、ご苦労だった。

 あとは、私からグレン将軍に伝えておく」

ツェレンコフ・ゴルビー参謀は、報告に来た者に言った。

「ふう~」

椅子に座り込んだ。

 

グレン将軍――

帝政国家アルサレアの将軍であるが、既に戦死している。

だが、グレン将軍の遺言と、ツェレンコフ参謀の働きにより、病状に臥されたことになっている。なを、現時点の将軍――もとい影武者は、グレンリーダーに一任されている。

だが、このことを知っているのは、ごく一部の者だけである。

当然、グレン将軍の娘たちにも知らせてない。

 

コンコン。

「誰だ?」

椅子から立ち上がりながら、ドアの向こうにいる存在に問い掛けた。

「そのままで、お聞き願いたい」

ツェレンコフ参謀は、眉を顰めた。

「……いいだろう」

「すいません……、ガーナ小隊三番機・サーガの……、機体のことで、少々お話が」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――全てが、動き出す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――サーガの罪が、形となった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――人生を狂わせた、狂わされた出来事

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――少年は今……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――罪を償うために、戦う




さーて、行き当たりバッタリのシリーズです?
理由・プロットを決めなで、感覚で書いてるから。
です。
しかし、制作発表して、FILE01を作りかけで放置してから……もうすぐ一年経つな~。

ちなみに、これを(FILE01~02)制作しながら、『よあ○な』をしながら、作りました。

マジです。

こんな奴ですが、以後よろしゅう。




制作開始:2005/9/25~2005/9/29

打ち込み日:2005/9/29
公開日:2005/9/29

改正日:2005/11/20
変更日:2008/10/23


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ブルーブラスター 第一話:真実を求めて……

マキEND後の話。
七月七日――七夕の夜に、リグナイテッド=オーバーンは、何を考え、短冊を飾ったのだろうか……。



※七夕記念で3話構成で書いた作品ですが、3話目を≪工画乃郷≫という『パワードール』ファンサイトに投稿。
現在、データが手元になく、サイトも閉鎖済みなので、復旧不可能状態。


 平和維持軍、第190広報部隊……それは、僕たちの前の部隊名。

 今は、新生平和維持軍の部隊として戦い続けている。

 そして、結成から一年がたち、現在は二度目の休暇に入る所だった。

 僕たちは新たに配属された部隊員と共に、惑星ローウェンという、稀に見る地球と同じ環境下の惑星に来ている。

 惑星連合の過激派も、ほとんど沈静化になった事もあり、色々飛び回っていた僕たちにとって、嬉しい日でもあった。

 そんな中、二週間前の任務で出会った、記憶喪失の男と新生平和維持軍の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

七夕SS

ブルーブラスター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミッチーの番だよ」

「ええっと…………これだ!」

 ミチルの引いたカードは、ハートの1だった。

「よし、これで上がり!」

 元から持っていたスペードの1と、先ほどシンシンから引いたハートの1をトランプの山の上に置いた。

「またミチルの一番抜けかいな」

 手札を摘んで、ヒラヒラと前後に振るパトリシア。

「ミッチー、ズルしてない?」

 少し不機嫌顔で言うアヤカ。

「そ、そんなことしないよ。第一、遊びでズルしたって面白くないよ」

「そうかな~」

 と、ミチルを睨みながら、拳を握るシンシン。

「はいはい、喧嘩は駄目よ」

 シルヴィアが止めに入る。

「遊び程度で、喧嘩和はやめるんだな」

 シュディも止めに入ってきた。

「「は~い」」

 同時に返事を返すシンシンとアスカ。

 相変わらず仲がいい。

――パシュ

 誰かが入ってきたようだ。

「誰か、オーバーン曹長を知らないか」

「あ、エルザはん。リグナイテッドはんなら、確か格納庫に行くような事を言ってはったな」

「どうしたんですか、エルザさん?」

 尋ねるミチル。

「ええ……少し気になることがあって」

 少し歯切れの悪い答えを返すエルザ。

「あー、わかった!」

「どうせ外してると思うんやけど、答えてみ」

「えーと、書類に嘘が書かれてた!」

「よくわかったわね」

 驚くエルザ。

「ほ~ら、はずしってええ~!」

 エルザ以上に驚くパトリシア。

「えへへ」

「で、どの辺りが?」

 興味を持ったのか、聞くシュディ。

「それは――」

 持っていた書類を捲る。

「ここの部分よ」

 シュディが、書類を覗き込む。

「……戸籍、ですか?」

「ええ。早急に調べたんだけど、該当する人物が居ないって通達が来たのよ」

 その言葉に、和やかな空気が一変した。

「念のため、聞きなおそうと思ってね」

「なら、僕が聞いてきます」

「ミチルが、か」

「はい。それに……いつか書類の事で聞かれる時がくるから、ミチルが聞きに来てくれって」

 その言葉に、その場にいた者たちは驚いた。

「そう……わかったわ。フェアテーゼ曹長、頼むわ」

「判りました」

 

 

 

――カン、カンカン……チュィィィィィィィィン!

 持っていた工具を置いた。

「ふう……さすがわは、ブルーブラスターの衝撃剤。脚部の負担も大分解消されてるな」

 俺の名前は、リグナイテッド=オーバーン。

 乗っているパワーローダーは、センチュリオンMk-3改。

 外装はセンチュリオンMk-3改であるが、中身はMk-4で、ブースターとスラスターを装備。

 脚部は、ブルーブラスターの技術が積み込まれている。現ローダーの中で機動力が優れた機体の分類に入り、スラスターによるダッシュ、短時間ならば空を飛ぶことが可能であるが、冷却に30秒掛かってしまうのが難点である。

 何故、この様なローダーがあるかというと、彼が自ら改造を行った為である。

 本来ならば、軍の備品を無断改造および私物化で重罪なのだが、僕たちの部隊を助けてくれた人という事で、この部隊に入ることで、免除として貰ったのだ。

 ……色々裏話もあるけど。

 お、おほん。失礼。(マキ風)

 とにかく、俺は新生平和維持軍に仮入隊として入っている。

「リグナイテッドさん」

「ん、ミチル……ついに、か?」

 顔つきと雰囲気を察したリグナイテッドは、作業を止め、ミチルと向かい合った。

「で、聞きたいことは何だ?」

 落ち着いて答えるリグナイテッド。

「まあ、何と言うか……場所を変えるか」

 そう言いながら、リグナイテッドは立ち上がり、格納庫を後にした。

 続いてミチルも、後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~夜空の川に願いを~(前編)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って、何で食堂なんですか!?」

 雰囲気的に、誰もいない場所を選ぶと思いきや、もろ人が集まる場所にきていた。

 ちなみに只今夕飯の時間帯です。

「別にコソコソ話をするよりは、マシだと思えるが?」

「いや、あなたには一応偽証罪が掛かっているんですよ?」

 呆れ口調で答えるミチル。

 その言葉に、二人に視線が集中した事は、言うまでも無い。

「まあ、いいじゃん。実際そうなんだし」

 と、オムライスを口に運ぶリグナイテッド。

 一応、エルザやシンシンたちも食堂にいたが、潔さに唖然としていた。

「じゃあ、どこの生まれなんですか?」

「知らん」

 即答。

「聞かれても、第一この名前自体偽名だし……ずずずずずずずず」

 お茶を啜る。

「まさか、どこかの組織のスパイだ。って言い出さないですよね?」

 さすがに、頬が引き攣り始めるミチル。

「うむ、それも判らん。お前らと初めて会った時より、三週間前の記憶が無い。一種の記憶喪失らしい」

「記憶喪失ですか?」

 驚くミチル。

「ああ」

「じゃあ、身元も調べようが無いわね」

 と、ミチルの後ろから声が掛かる。

「マキさん」

「マキの姐さん」

 ミチルとリグナイテッドは、この部隊の隊長の名前を言った。

「姐さんって……まあいいわ。ところでリグナイテッド、調子はどう?」

「ボチボチって所です。センチュリオンの整備・調整も、あと少しで終わります。ところでマキ隊長、この前の始末書の清書、終わったんで取りに来てもらえますか?」

「っちょ、リグ!シーーーーー!」

 大慌てで、静かにのジェスチャーをするマキ。

「マキ」

「ぎく!」

 マキの背後から、巨大なプレッシャーが襲い掛かる。

「どういうことかしら?オーバーン曹長、詳しい話を」

「うっす。この前の戦闘の始末書の清書を、マキ隊長から預かった次第です」

 普通に報告するリグナイテッド。

 マキが、何かジェスチャーを送っていたが、あえて無視した。

「そう、わかったわ。……隊長」

「なっ、なんでしょうか、エーちゃん」

 ビクビクしながら答える新生平和維持軍・初代隊長マキ=アルディート中佐。

 ちなみに、エルザはこの部隊の副隊長である。

 この光景から見て、どっちが隊長で副隊長だか、時々わからなくなるのが、リグナイテッドの本音である。

「ここの所の報告書の内容が良すぎると思ったら、何新人にやらせてるの!」

「ひ~~~~、ごめんなさ~い!」

 エルザに説教されるマキ。

 まあ、いつもの事なので、皆、気にしないで飯を食べる。

 ミチルも、乾いた笑いを浮かべながら飯を食べる。

 リグナイテッドも慣れているが、近くでやられるのも迷惑なので、マキに助け舟を出してやった。

「エルザ副隊長」

「何かしら?オーバーン曹長」

「マキ隊長も反省しているようですし、それに俺の処遇はどうなったんですか?」

 再び驚くエルザ。

 マキに助け船を出すために、自分の不利――つまり、偽証罪の事を出してきたからだ。

「え、あ、ええ、さっきアナタが言っていた通り、記憶喪失ならどうしようもないけど、一応、施設で厳重に検査を受ける必要があるわね」

「まあ、それがセオリーっすね」

 苦笑しながら言うリグナイテッド。

「でも、何で嘘を?」

 と、尋ねるミチル。

「いい加減、あの惑星にいるのがシンドくなったから、かな。あとは破棄されていた軍の基地の食料や物資がスッカラカンになったからだな……すいません~ん、お茶のおかわりキボンヌ」

「き、キボンヌですか?わかりました」

 調理を担当していた隊員は、少しばかり困惑する。

 この言い方は、もう聞きなれた言葉だが、未だに困惑を出す者もいる。

「でも、そうなると……あの機体はどこから手に入れたんですか?たしか、あの軍の基地は、センチュリオンMk-4が2~3機配備されていたとしか、記録に残ってないんですが?」

 ふと、前の作戦のブリーティングの話を思い出して、リグナイテッドにミチルが尋ねた。

「ああ、何か一機だけ外装の無いローダーがあったから、それを拝借して改造した。ブースターは、スラスターを上手く調節して、簡単にカスタマイズしたものだから、いい加減本腰入れて一から作らないとまずいからな――ども、ずずずずずずずず」

 隊員が入れてくれたお茶を再び飲む。

 食堂は、いつの間にか何ともいえない空気に支配されていた。

「……隊長、彼の処遇はいかがなさいますか?」

 冷静に切り出すエルザ。

「そうね……一応人智無害だし、変な事もしてない。だけど、この事態を予測して、ミチルに言って置いた用意周到さ。結果からして、監視つきで部隊に居てもらってもいいんだけど、念のためにテルル参謀にも話を通さないといけないから。ってな訳で」

 みま~と笑顔を浮かべるマキ。

 だが――

「それくらい、自分でやりなさい」

 エルザの即答が飛んできた。

「そうっすよ、さすがにエルザ副隊長ばっかりさらせてないで、偶には自分でやるべきですよ」

「その割には、隊長の始末書を書いているのはどういうことかしら?」

「大雑把な内容だったんで、これ以上、副隊長の仕事を増やさないようにと思った次第です」

「無用な気遣いは結構……でも、礼は言っておくわ。隊長、行きますよ」

 と、エルザに首の袖を捕まれ、引きずられていくマキ。

「まだご飯食べてないんだけど~~~~~~~~~…………」

 反響を残しなら、食堂から強制退室させられるマキ。

「ミチル」

「何ですか?」

「あとで、隊長と副長に飯を持っていくぞ」

「はい、わかりました」

「ああ。って訳で、おばちゃん飯二たrびは!」

 中華鍋が、リグナイテッドの顔面に直撃した。

「誰がおばちゃんよ!」

 おいおい生きてるか?痛いそ~。などと、言葉が飛び交っていた。

 

 

 

『……わかりました。リグナイテッド=オーバーン曹長についての処遇は、マキ=アルディール中佐に一任します』

 テルル参謀が、モニター越しに答える。

「宜しいんですか、テルル参謀」

 少々驚くマキ。

『ええ、MBH弾の時みたいに、再び一つに戻ったあなた達がいるのですから、大丈夫だと思っています』

「わかりました。彼に不審な行動が見られれば、再度通信させてもらいます」

 マキの変わりに、エルザが言った。

『ええ、それでは良い休暇w――』

――パシュ

 と、扉が開いた。

「ちわーす、隊長と副隊長に出前どえ~す!」

 料理を持ったリグナイテッドとミチルが入ってきた。

『彼が、リグナイテッド=オーバーンですね?』

 その言葉は、どこと無く震えていた。

「そうですが。あなたが、テルル参謀で?」

 ちなみに、今のリグナイテッドはヒラヒラの可愛らしい絵柄の描かれたエプロンを装備していた。

 いい男が台無しである。

『え、ええ、そうです。所でマキ=アルディールト中佐からの報告では、記憶喪失だ、そうですね』

「はい、三週間くらい前から以前の記憶がありません」

 真面目に答えるリグナイテッドだが、エプロンと持っている料理でしまるものもしまらなかった。

「決まってませんよ、リグナイテッドさん」

 呆れるミチル。

「リグナでいいぞ。リグナイテッドは適当に考えた名前だから、リグナでいい」

「う~ん、だったら最初からそうすればよかったんじゃないの?」

 呆れ口調のマキ。

「あだ名が欲しかった」

 その一言に、ミチル・マキ・エルザ・テルルがズッコけた。

「アンタ、何考えてるの?」

 起き上がりながら言うマキ。

「何も。ところで、料理も冷めてき始めてるんで、食べてくださいな」

 と、エルザに差し出す。

「あ、あうん」

 戸惑いながら受け取るエルザ。

「ミチル、早くマキ隊長に渡さんか、冷めるぞ?それとも、熱々バカップルの如く、食べさせたり、口移ししたりするのか?」

 その言葉に、今度は顔を赤らめる四人。

「じゃ、エルザ副隊長、お邪魔虫は退散しあしょう」

 エルザの背を押しながら、退室していくリグナイテッド。

「どこの口調よ?って、まて、背中を押すな、コラ」

「では、ごゆっくりどうぞ」

 エルザの抗議を無視する。

「それからテルル参謀、また後で」

『そうですね、また後で』

 先の爆弾発言に察したテルルは、リグナイテッドと簡単に言葉を返す。

 そして、そのまま退室していった。

『では、マキさん、ミチルさん、ごゆっくり』

「え、あ、白瀬!?」

――プツン

 そこで通信は途切れた。

 っというよりも、相手から切ったと言ったほうが正しいかもしれない。

 そして、残された二人の場は、気まずい雰囲気に包まれるのであった。

 

 

 

 そして、本当に二人で熱々バカップルの如く、食べさせたり、口移ししたのかは、定かではない事を記載しておく。

 

 

 

「ふぅ、貴方も中々の兵(つわもの)ね」

 皮肉として取って良いのか、困る発言をするエルザ。

「いや、それほどでも。それよりも、早く食べないと、本当に冷めてしまいますよ」

「そうね。……いただくわ」

「どうぞ、召し上がれ」

 

 

 

 その後、テルル参謀と言葉を交わし、監視付でありながら新生平和維持軍にいることが許された。

 そして一同は、リープゲートに入り、惑星ローウェンに向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




 七夕SSなのに、どこが七夕なんだ?と自分でも疑問に思えるSS。
 まあ、第一話ってことで処理。
 今回は、オリジナルキャラの紹介と経緯&作者の暴走なわけです。
 ファンの方、納得できなかった方にはスイマセン。(汗






制作開始:2006/7/7~2006/7/10

打ち込み日:2006/7/10
公開日:2006/7/10

変更日:2008/10/23
修正日:2006/7/22


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第二話:海に散る誓い

BBSS(ブルーブラスターサイドストーリー)第二話。


「では、この休暇が終わり次第、リグナイティド=オーバーンを正式に入隊許可を承諾します」

 と、テルル参謀から通達を受けた。

 リグナイテッドさんも晴れて平和維持軍に入隊する事が決まった。

 だけど、僕は思う。

 リグナイテッドさんもとい、リグナさんは、何者なんだろう?と。

 ここ数日間、共に居たが、知識が20世紀後半から21世紀前半の事に関しては、異様に詳しかった。

 既に廃れ、風化し、日に当たることが無かった出来事も知っていた。

 でも、何故か25世紀の一般常識や、情報には皆無だった。

 何でこんなに激しいのか、疑問に思う。

 そして、一つの答えを見出した。

――タイムスリップ

 過去から来た人間。そう思ったが、すぐ打ち消した。

 まずタイムスリップなど夢物語の話。

 それに悪い人じゃない。

 そう感じがする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

七夕SS

ブルーブラスター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「惑星ローウェンにとぉ~ちゃ~く!」

 マキの第一声である。

「「とぉ~ちゃ~く!」」

 続いてシンシンとアヤカが続く。

「隊長!そういうことはやめてくださいって言ってるじゃないですか!」

 と、マキを怒鳴るソフィー。

 そして、後ろを見ると――

「あ、ああ……」

「ゆっ、ユージンが!」

 などと、向うではショートコント?が行われている。

 ついでにエルザは手続きを行っていて、ミチル、フラン、パトリシアの三人は、何やら検査で未だ宇宙港の中だった。

 リグナイテッドは、辺りを見回した。

 空は青く、海は静かになびいてる。

 地球の港にいる様な気分になった。

 だが、やはりどこか違うと、頭の中で訴える。

 そして――

 

 

 海の中――

 潜水艦――

 その中にローダー数十機――

 そのローダーを整備している人達――

 そのローダーのパイロットと思しき者たち――

 

 

 頭の中に、フラッシュのような感じで駆け巡った。

「!?」

 すぐさま頭を振る。

(何だったんだ、今のは?)

 何がなんだか分からずに、手で顔を押さえながら、立ち尽くすリグナイティド。

「どうしたの?」

「!?」

 不意に後ろから声が掛かり、咄嗟に、振り向き様に後ろに飛んだ。

 その行動に驚くフラン。

 リグナイテッドは、相手をフランだと確認して落ち着くと、何故か腰に仕込んであった銃を抜きかけていることに気がついた。

「お、驚かせなすなよフラン」

 平常心を装いながら、銃をバレない様に戻す。

「どうしたー、どうしたー?」

 と、マキが異変に気づき、こちらへ来た。

「いえ、ボーとしていた所に、フランが声を掛けてきたんで、驚いて飛び跳ねただけですよ」

 少し焦り気味だったが、何とか普通に言えることが出来た。

「マキ」

 エルザが、宇宙港から出てきた。

 ちなみに、ミチルとパトリシアと一緒に。

「あ、エーちゃん。手続きと検査は終わったの?」

「ええ、検査の結果も問題ないそうよ」

「そう、ならシーナが車を持ってきてくれれば――」

 と、そこで車が数台、マキたちの前に止まった。

 そして、運転席からシーナが降りてきた。

「隊長、車を持ってきました」

「ご苦労様。じゃ、皆、車に乗りなさい」

 マキの指示で、次々に車に乗っていた。

 リグナイテッドも、車に乗ろうとするが、一回だけ振り返り海を見た。

 その海は、先ほどと打って変わって、不安が広がる海に変わっていた。

「どうしたんだ、リグナ?」

 と、運転席にいたシーナに声を掛けられた。

「いや、何でも無いですよ」

 お茶らけな声で答える。

 そして、車は目的地に向かって、走り出した。

 皆、思い思い楽しむ計画を思い浮かべていた。

 だがリグナイティドだけは、『戦闘がある』と、頭の片隅にあり続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~夜空の川に願いを~(中編)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え!?機体調整の為、待機ってアンタ、今日は休暇なのよ?それも丸一日のお休みなのよ?その意味、分かるわよね?」

 ズズイっと顔を寄せるマキ。

「お、落ち着いてください、マキの姐さん」

 壁に追いやられるリグナイデッド。

「理由を述べなさい、リグナイティド」

「まぁ、機体のブースターに、試したいことがあったんで、この機会に、オーバーホールも兼ねてやろうかと……」

 エルザに答え返すが、マキの勢いに言葉が少々チグハグになった。

「だそうよ、マキ」

「駄目」

 即答。

 リグナイテッドは、前にマキとある約束をしている事を思い出した。

 

 

 

 話は一週間前に遡る。

「ねえ、リグナイテッド」

「何ですか、マキの姐さん」

 その言葉に、こけるマキ。

「え、え~と、面白いこと知ってる?知ってたら教えなさい。包み隠さず全てを」

「唐突なんで、話が見えないんですが?」

 その言葉に、満面の笑みを浮かべるマキ。

 何故か、本能的に逃げるリグナイテッド。

 そして、逃亡劇の始まり始ま――

「待てっい!」

 0.23秒で、逃亡劇は終わった。ちなみに掴まれた場所は、襟首である。

「うほぉ、うふぉ……何だ?」

 敬語を使わずに、素で返すリグナイテッド。

「う、ご、ごめんね。ね?」

 微妙な殺気を感じ取り、平謝りした。

「実は、来週辺り、この部隊に一日の休暇が下りた訳。だから、何か面白いモノ何かを知っていそうな君に、聞きに来た訳」

「面白いことって……そんなに無いですよ?ってか、殆ど知りませんけど」

「たとえば?」

「福笑い、凧揚げってこれは正月だ。メンコ、スゴロク、お手玉、おはじき、水切り、けんけんぱ、○×ゲーム、カン蹴り……」

 

 と、昔の遊びを何種類か言った。

 その中で、何で知ってるんだ?と疑問に思いつつも、マキに言った。

 次第にマキの顔は、悪戯を思いついた子供の笑みを浮かべていった。

 そしてリグナイテッドは、いつでも走れるように準備した。

 なを、逃走経路も構築済み。(爆

「ねぇ、リグナイテッド」

 甘く囁くような声で言うマキ。

 それが合図だった。

 素早くバックステップをするが、マキも読んでいたのか、リグナイテッドに飛び掛る。

 だが、リグナイテッドも読んでいたのか、マキを上手く掻い潜り、走った。

「って、待たんかいコラ!」

 あと追うマキであった。

 

 

 

 ちなみにどちらが勝利したかというと――

「マキ!リグナイテッド!」

「すっ、すいませんでした!」

「エーちゃん、ごめん!」

 エルザだったりする。

 

 

 

 結果的に約束はした訳ではないが、遊びは教えると言ったので、まだ聞き足りなかったらしい。ついでに、遊びの名前だけでは分からないのもあったので、やってほしかたのかもしれない。

「リ~グ~ナ~」

「す、すいません。ホント、マジで。……え、エルザ副隊長ヘルプヘルプ!」

 たじたじだった所で、横を通り過ぎるエルザを見つけ、助けを呼んだ。

 だがスルーされ、そのまま過ぎて行ってしまった。

 

 

 

「ふぅ、報告書も全て終わった事だし……何をしようかしら?」

『リ~グ~ナ~』

 と、マキの声が聞こえた。

(また何かやってるわね)

 と、少々苦笑しながら、壁際に追いやられているリグナイテッドと追いやったマキを、横目で見ながら通り過ぎていく。

「す、すいません。ホント、マジで。……え、エルザ副隊長ヘルプヘルプ!」

 こちらに気がついたのか、助けを求めてきた。

 だが、あえてスルーした。

 その方が面白いから。

「え、エルザふ~く~た~い~ちょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……」

 通路一杯に、リグナイテッドの叫びが響いた。

 マキに続いて、リグナイテッドも弄りがいがあったからだ。

 なを、その時のエルザの表情は、笑っていたのであった。

 

 

 

「お、リグナはん、どなんしたん?そんな疲れた顔をして」

 通路で偶然パトリシアと出会った。

「いや……マキの姐さんに、ちょっと。プラスで副隊長に見捨てられた」

「あははははは、そりゃ災難やったな。で、これから何処に行くねん」

「格納庫。ブースターのオーバーホールをしないといけないから」

「あの機体の背中についとる奴か?なら、うちもええか?」

「問題無いが……いいのか、休まなくても?」

「ええねん。休みも大切やけど、滅多にお目に掛かれない技術の結晶を見れるんやら本望や。なんなら、手伝わせてぇな」

「別にいいですけど、面白くも何とも無いですよ?」

「ええねん。ほな行こか」

 と、パトリシアは先に格納庫へ向かった。

 リグナイテッドも、何だかな~と思い、後頭部をかきながら、あとを追うのだった。

 そして――

 

 

――ビィー!ビィー!ビィー!ビィー!

 

 

『港A-198ポイントから浮上した潜水艇から、識別不明のローダー部隊が展開、攻撃を行っています!大至急、戦闘要員はA-198ポイントへ向かってください!繰り返す――』

 基地全体に、緊急出動要請のアナウンスが流れる。

「リグナはん!」

「ちぃ!簡単な点検が済んで、これから始めるって時に!パトリシア、先に出るから、皆の機体に火を!」

「了解や!」

 すぐさま行動に移るパトリシア。

 リグナイテッドも、コックピットに入り込む。

「――システムチェック、オールグリーン!エネルギー、満タン!センチュリオンMk-3改、出るぞ!」

 機体が動き出し、前に急ピッチで開発したビームマシンガンと試作型のバンカー内蔵式中型シールドを持つ。

 そして、格納庫の扉が開く。

「オペレーター、聞こえるか!?こちら平和維持軍のリグナイテッド=オーバーンだ!」

 格納庫から出る、センチュリオンMk-3改。

『リグナイテッド=オーバーン……仮入隊の方ですか?』

「ああ、そうだ。今格納庫から出て、この基地を出る所だ、敵の数は?」

『はい、現在の交戦中の敵の数は10機です。うち紅色の機体は、ADDらしきモノを使う機体だそうです』

「ADDらしきモノ?」

『そうです。連合が使うADDの動きに似ているんですが、まるでこちらの動きを読んでいる様な動きを行うそうなんです』

「了解。他の平和維持軍の人たちは?」

 センチュリオンMk-3改は、基地を出た。

『それが、機体の整備中だった為に、出動が500秒遅れるそうなんです』

「500秒……か」

 500秒。痛い数字であった。

 この機体が優れていても、さすがに10機まとめて相手にするのは、自殺行為である。

 2~3機くらいだったら、何とかなるが。

「わかりました。出来るだけ、敵の注意を引き付けますので、援護できる機体を回してもらえますか?」

『巡回していた車両3機くらいでしたら』

「それでお願いします」

『わかりました。すぐ向かわせます』

 そこで通信は終わり、リグナイテッドは、センチュリオンMk-3改のブースターを吹かすのだった。

 

 

 

『こちら第26巡回部隊のリー=オクタナ曹長!至急増援を求む!繰り返す、至急おうえうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――プッン』

 センチュリオンが爆発した。

『オクタナ曹長!?くっ、くそ!』

 マシンガンが火を噴くが――

 

 

――ドキュン!

 

 

 ビーム兵器に、マシンガンが壊される。

『うわっ!』

 今度は右足、左腕、顔、そして、ジェネレーターを正確に打ち抜く。

 また爆発。

「6機目……通信を傍受するほどでもなかったか」

 紅色の機体。

 その機体は、ローダーと言うには何かが違った。

 機体サイズは、ローダーより一回りだけ大きく、後ろにはブースターが付いていた。

『聞こえるか?』

 味方から、通信が入る。

「ああ」

『一体その機体は――』

「俺とこの機体の詮索はしない契約だが?」

『すっ、すまない』

 そこで通信は終わる。

 以前、別口で雇ったローダー乗りが、しつこく聞いてきた為、後ろから撃ち抜いた事があるので、仲間内でも怖がられている。

 そして、新たにレーダーから敵機を捕捉する。

「……来たか。戻れ」

 Bシステムが戻ってきて、背中や腕、肘や膝に取り付いていった。

「敵は……1機だけだと?」

 レーダーに映っている機影は、1。

「自殺志願者か……あるいは作戦か……後者だと考え、対処するべき――何!?」

 先ほど確認した機影は、既にレーダーの半分まで来ていた。

「馬鹿な……HMTでも、こんな短時間では……ローダーでない別系統の機体か?」

 少し考え込む。

「聞こえるか?」

 こちらから、通信回線を開いた。

『どうした?お前から開くなんて珍しいな』

「HMT以上の機動力を持つ機体が、こちらに接近している」

『何?』

「数1、距離650……普通のスピードなら、320秒後に接触する」

『って何で今まで黙ってたんだよ!』

「先ほど確認したんだが……文句があるなら、サボっているオペレーターに言え」

 通信回線を閉じる。

「今度は、どこまで楽しめるか、な」

 男は、そう呟いた。

 

 

 

「敵には……捕捉されていると考えるべきか……なら、車両は――」

 素早く地形マップを見る。

 その時間、僅か1.5秒。

「こちら、リグナイテッド=オーバーンだ。車両に待機して欲しい場所のデータを転送する」

 そう言いながら、データを素早く作成する。

『了解――転送確認しました……こんな場所で、宜しいんですか?』

 さすがのオペレーターも、驚きの声を上げる。

「ああ。付き次第、30秒後に威嚇射撃の形で、適当に撃ち込んでくれ」

『りょ、了解しました』

「さーてと、車両の配備が終わるまで、ここで待機してますか――」

 背筋が凍るような、戦慄が走った。

 とっさに飛び上がるセンチュリオンMk-3改。

 そして――

 爆発。

「!?」

 着地し、視線を巡らせた。

 だが、どこにも機影は確認できなかった。

 レーダーにもだ。

 光学迷彩機かと考え、機体視界を熱源探知に変更した。

 だが、機体の熱源は確認できなかった。

 と、なると――

「向うからの、超遠距離射撃か」

 

 

 

「外したか」

 赤いローダーに乗った男は呟いた。

 敵は、こちらが一望出来る高い岩肌から動かなくなった為、こちらに来たら迎え撃つから、急遽、こちらから仕掛ける事にした。

『当たったか?』

 赤いローダーは、大型ライフルをリロードする。

「避けられた。相当勘の良いパイロットのようだ」

 再度構え直す。

「今度は当てる」

 大型ライフルが、再び火を噴いた。

 そして、男はニヤリと小さく笑った。

 

 

 

「……撃ち落す」

 センチュリオンMk-3改に持たせてあった、ビームマシンガンを構える。

 ビームマシンガンの設定を、ビームライフルと同じ設定に変更する。

 そして、再び飛んできた。

 無造作に構え、ビームを放つ。

 空中で爆発。

 そこで通信が入る。

『配置完了しました』

「了解。予定道理、30秒後に簡単な威嚇射撃を」

『わかりました』

 再びブースターを吹かし、敵陣へ向かうのであった。

 

 

 

 その頃、駐屯基地では――

 

 

 

「さあ、皆いっくわよ~!これが終わったら、抜け駆けしたリグナを、皆で締め上げるわよ!」

『了解!』

 平和維持軍の精鋭たちも、出陣するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




 BB七夕中編です。
 既に七夕は終わっていますが、8月7日の旧暦の七夕までには、書き終わりません。
 理由、バイトで死ぬほど忙しくなるからです。
 まあ、中編が出来ただけでも、良しとしますか。
 では、後編をお楽しみに……次で終われるのかな?(汗






制作開始:2006/7/22~2006/7/27

打ち込み日:2006/7/27
公開日:2006/7/27

変更日:2008/10/23
修正日:2006/7/28


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何かに出逢う者たちの物語・イメージソング+≪何かに出逢う者たちの物語≫というタイトルの意味について

移行したデータを、確認しながら削除していく過程で見つけた品物。
こんなの書いたのかと、見つけた時に思った。


 世界は、出会いと別れが繰り返されている。

 昨日が終わり、明日が始まるように。

 必ず始まりがあれば、終わりもある。

 時間は、真っ直ぐに、その場で回り続ける。

 だけど、確実に前に進んでいる。

 そして、再び繰り返される出来事に出会う者たち。

 A story of people meeting in something!

 何時何所で何に出逢うのかは、誰にも判らない。

 だけど、始まりがなければ、終わりもない。

 だから、前を向いて歩こう。

 A story of people meeting in something!

 出逢いという名の道を……

 

 時は、止まる事無く流れていく。

 今日が終われば、昨日となっていく。

 必ず終わりがあれば、始まりもある。

 今(いま)、この瞬間も、過去と成り過ぎて行く。

 今も、確実に過ぎ去っている。

 そして、再び繰り返される出来事に出会う。

 A story of people meeting in something!

 何時何所で何が始まるかは、誰にも判らない。

 それでも、後ろを向かず、前を進もう。

 これから、前を向いて歩こう。

 A story of people meeting in something!

 出逢いという名の道を……

 

 そして、再び繰り返される出来事に出会う。

 A story of people meeting in something!

 何時何所で何が始まるかは、誰にも判らない。

 始まりがなければ、終わりもない。

 後ろを向かず、前を進もう。

 これから、前を向いて歩こう。

 出逢いという名の道を。

 In something……A story of people meeting in something!

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 我が魂の叫びであるサイト、『サークル・闇砲』二周年記念作品。

 本作はエタメロと悠久がベースとなっている物語で、外伝は汎用性の高い物語……よは、連動作品ではなく、一つのタイトル内で終わる作品です。

 

 例:『エタメロ~運命篇~』→『悠久~信頼前奏曲篇~』→……

 例:『リリカルなのは』、『魔女アラ』、『IZUMO2』、『よあけな』……

 

 色んな広がりを見せる、何かに出逢う者たちの物語シリーズ。

 企画・製作・その他:ダークバスター

 まだまだ脳内暴走してきますので、こうご期待!

 ちなみに、DBが可能なリクエストがあれば、制作いたしますので。

 ただし、どう転ぶかは、知りませんが(汗

 

 でも、作詞能力が無いのにも関らず、書き続ける自分も凄いなと呆れています。ハイ。

 まあ、テンポはお好きな様に、でも大体3分半前後くらいで終わる感覚でお願いします。

 こんな突拍子も無いサイトですが、今後も宜しくお願いします。

 

 

 

 

 

 

制作期間:2006/05/09~2006/5/17

 

打ち込み日:2006/5/20

公開日:2006/5/20

 

変更日:2008/10/23




≪何かに出逢う者たちの物語≫というタイトルの意味について


 この≪何かに出逢う者たちの物語≫シリーズという、ダークバスターの作品。
 最初は、エタメロから悠久1、さらにエタメロ後半に入り、悠々1本編へという流れ。そこから、オリジナル主人公たちが、何かに出逢うという物語を描きたいからという意味で。
 で、タイトル名を決定。あとは、なんかカッコよかったから。

 現在(2009年10月現在)は、外伝のみの連載となっています。
 後付になりますが……何故、≪外伝≫扱いになっているのか。それは、本家の設定を流用している所からであり、どこかに繋がりがあったからです。

 まだ、何年後になるかは不明ですが、オリジナル設定を1つに纏めて、スパロボOGみたいな感じでやりたいと考えています。
 二次設定でのオリジナルを、完全に別設定にして、二次創作に使った原作と接点を持たせないようにしてで。
 まぁ、エタメロ&悠久の設定だけでも、全く出していないキャラ・設定が沢山あるので、それだけでも十分かも。あとは、ストーリーだけ。

 あとラスボスは、本家を原点とし、全て同じ存在に使用かなと思ったり。まぁ、出来る話と、出来ない話がありますが。(汗
 出せるのは、完全に戦闘がある奴。それが、人外クラス並みの。
 あ、外伝2のよあけなには、出ません。っか、出しません。全然、合わないし、戦闘があっても人外の枠をギリギリ超えるか超えないかの線。キチンと、別のを考え済みです。

 何かに出逢う者たちの物語シリーズが公開されたのは、2005年4月24日。制作期間は、記録していなかった為、不明。
 読み直すと、まず短すぎるし、文章の間が長すぎる。さらに、ピンポイントしか書いて無さ過ぎて、場面展開の切り替わりが速すぎる。
 うん、読み辛いこの上ない作品です。(汗
 現在、≪DBの旧作品集≫にて、公開中です。


雑談的な話。


 そして、一番最初に書いた作品が、≪オレ達の生き様レース≫という作品。
 書く切欠は、今は休刊したラズベリーという雑誌の、投稿イラストの紹介していたキャラを描いてた人のサイト移転。
 描いていた絵が、自分の趣味にクリーンヒットし、コンタクトを取ったのが、ラズベリーの休刊が決定した頃。
 現在は、コンタクトすら取っていないので、相手には忘れられているかもしれませんが、小説を書く切欠をくれた方でもあります。
 その一年前から、既に打ち切りになった≪機甲兵団J-PHOENIX~復讐の空~≫を書く事を宣言しながら、未だに書けなかったので。
 こちらは、ストーリー内容はともかく、設定と各話のタイトルが出来ていた状態。ただ、ロボットのマニュピレーターとかが、今1つ判らず。さらに、それらの事が判らなかったので、断念してしまいました。
 その設定は、今書いている小説にも使う事は可能ですが、使うかは不明。(2009年10月現在)

 話は変わり、完全初オリジナルは、≪聖夜に降る祝福の雪≫。
 SSオリキャラ紹介に、設定だけあった≪闇物語~何の為のチカラ~(仮)≫の、4年後の話。本編は、制作未定状態。(汗
 色々ネタバレコーナーでもありますが……改正版を書いて、とあるパソコンゲーム会社に送ったり、専門学校の卒業課題にも使用した作品でもあります。
 こちらも、初のオリジナルなので、改正を考えています。


 以上、雑談的な話を含め、お読み頂きありがとう御座います。
 短い内容でしたが、≪何かに出逢う者たちの物語≫は、全シリーズを通して、設定が流用・繋がりがあると考えていただければ早いです。
 今後も、DBことダークバスターと、サークル・闇砲、作品共々、今後も宜しくお願いします。

















制作開始:2009/10/8

打ち込み日:2009/10/8
公開日:2009/10/8


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少女義経伝弐~時を超えた契り~プレイ日記

ここには、微妙にネタバレも含まれています。
読むときは気をつけてください。
責任は一切負えません。

プレイ時は、発売の2005年です。


6月9日

早速プレイしました!

 

キャラクター選択が出てきたので、即九羅香を選択!

 

っといっても、特別版なので、先に少女義経雀をプレイ。(おい!

 

しかし………、惨敗。

 

麻雀のルール分かんないよ!

 

ってか、役が揃わん!

 

結局、一局しかやってません。

 

 

 

その後、本編をプレイ!

 

そして、なんと立ち絵キャラの口が動いたー!

 

さすが弐、そこの所は抜かりが無い!

 

しかし、初戦が九羅香とは……。

 

何か、戦闘形式がスーパーファミコンの『魔装機神』ってか、ダメージ判定が、同じだよ!

 

まあ、そこのところは置いといて。

 

そして、何故か与一が一番強い。(泣

 

 

一番強くしたいのは、弁慶なのに……。(泣。

 

 

三回目の戦闘で、与一が与える仮面の男のダメージが、正面からでも100を超えてるから。

 

 

これからだよね。

 

 

 

ちなみに、講座も健在!

 

しかし、結局は『ご自分で調べてください。』だし。

 

挙句の果てには、前作をプレイした方が早いと言い、『少女義経伝』の宣伝(特別版)で第一回目が終わる。

 

 

 

何となく、期待は裏切らない講座です。(笑

 

 

 

 

 

 

 

6月11日

早速ですが、クリアしました!

 

しかも、三日で。

 

 

6/9~10までの総数時間が、5~6時間で今日は、12時間くらいかけました。

 

 

あわせて、17時間42分です。

 

もちろん、九羅香ENDです。

 

 

講座は、相変わらず期待を裏切ってくれないところです。(笑

 

クリア時の時に、撤退した数を数えていたので、集計したら『16回』も撤退をしていたのです。

 

そのおかげで、5章では、ある程度は専用奥義を習得してました。

 

 

しかし、ラストステージの九羅香の兄貴は、強すぎるよ!

 

アレ何、HP・MPともに最大値(9999)だし、与えてきたダメージの半分を回復できるという化け物。

 

しかも、妖魔もハンパなくらい強い。

 

 

7人なら、楽勝!っのはずだが、エンディング条件を満たしたキャラ・二人だけで戦うのだから、麻痺になるは、毒になるは、MPは足りなくなる始末。

 

弁慶が、普通の攻撃力が999でも、与えられるダメージは、たったの700~950くらい!

 

かななず、HPと状態異常回復のものを、弁慶ともう一人に振り分けて付けることをオススメではなく、絶対につけないと勝てない、と思う。

 

 

講座は、アレは観た方がいい!

 

微妙に、キャラが壊れてるので

 

 

ちなみに、キャラ攻略に関してで、撤退はエンディングを見る過程で関係無いので。

 

 

しかし、キャラ一人に二つのエンディングが用意されてたのが驚き!

 

九羅香の場合、一つは少女義経伝と同じエンディング。

 

もう一つが、結婚エンディング。

 

 

この調子だと、『参』が出るかもしれない。(これは、あくまでも予想です。)<6/11より

 

 

 

 

 

 

 

6月12日

 

 

二周目突入!

 

楓を攻略中。

 

今度は、観月を攻略します。(決定事項)

 

 

やっていて気づいたこと。

 

必ず、自然体を、セットする事をオススメします。

 

しかも、二個。

 

 

これを付けてれば、五行は大体均等になります。

 

 

あと、自分的ですが、自然体×2、防御、集中がオススメ。

 

 

変えたい場合は、防御だけを変えたほうがいいです。

 

 

 

 

 

 

 

6月13日

 

楓クリア!

 

しかし、口紅は似合わなかった……。(汗

 

 

やっぱり、どう観ても続編が出るかの知れない。

 

 

終わり方が、怪しすぎる。

 

 

どうしても、ラストはキツイ。

 

 

次は、観月を攻略中。

 

 

 

 

 

 

 

6月14日

今日は、ダークバスターの誕生日。

 

↑はどうでも良くて。(じゃあ、書くなよ

 

 

5章までクリア。

 

テメーら、汚い手で観月に触るんじゃねえ!(5章のCGで)

 

 

出来れば、もう少しいたぶりたかったけど。(怒

 

 

この調子だと、明日か明後日辺りに終わりそう。

 

 

少女義経雀で、未だにCGが1枚だけ……。

 

全然役が揃わない。

 

勝っていても、最後に倍満で抜かれるし……(泣

 

 

そんな日々です。

 

 

 

 

 

 

 

6月15日

 

三週目・観月をクリア。

 

 

それは、良くて。

 

少女義経雀をプレイ中のこと。

 

 

東四局。

 

東四局

 

東四局

 

東四局

 

東四局

 

って、今回の観月様は、何故か強!

 

 

そして、やっと南一局。

 

この時点で、一番強いはずの与一が、ビリ。

 

観月様に、思いっ切り持ってかれた。

 

 

しかも、観月の得点:5万オーバー。

 

 

 

……勝てる気がしないし、逆転できる気がしない。

 

 

只今、南三局・観月・6万オーバー。(泣

 

 

そのまま、ボロ負け。

 

 

 

これから逆転しろ、と言われたら『国士無双』しかないし……。

 

これこそ、滅多に来ないよ。

 

 

しかし、弁慶のランクで、ハイパー・爆裂って……。(汗

 

 

 

 

 

 

 

6月16日

 

今、紅葉を攻略中。

 

 

しかし、弁慶もよくクサいセリフを吐けるな。

 

ゲーム主人公の特権っていう奴か。

 

 

 

 

 

 

 

6月17日

 

少女義経雀をプレイしたが、今回は一回が長かった。

 

二回やったら、8回だが、13回もやった。

 

一、二回ともに、北条政子、九羅香、静。

 

 

東一局を3回。

 

東二局、リーチの捨て稗でロンされて、-8600

 

東三局を二回、九羅香から+12000GET!が、またもやリーチかかったのに、静にツモられる。

 

東四局を二回。

 

南一局も二回。

 

南二局は、流局と思いきや、最後に北条が九羅香に役満で+12000を徴収。

 

南三局は、九羅香0点でも続く。

 

南四局は、・・・・。

 

 

負け決定。

 

 

 

二回目。

 

東一局は、速攻でリーチでツモ。+9000点

 

東二局は、俺だけノーテン。-3000点

 

東三局は、ロンで+5200点!

 

東四局も、ロンで+3600点。

 

南一局は、テンパイで、+3000点

 

南二局は、5回。

 

一回目、ツモで+13000点

 

二回目、これもツモ+10400点

 

三回目、静でロン+9600点

 

四回目、テンパイで+1500点

 

五回目、九羅香がロンで静は-に。

 

 

これにて終了。

 

 

静さんのCGGET!

 

 

この時は、調子が良すぎて何となく怖かった。

 

 

 

 

 

 

 

6月19日

 

紅葉クリアで、静さんを攻略中。

 

 

しかし、静さんの合体技で、「ラブラブアタック」を聴いた瞬間、吹きました。

 

しかも、巴御前が死んだ事確定になってたし…。(汗)

 

 

でも、こんな調子で、来月辺りには全キャラ一週目はクリア出来そうです。

 

 

しかし、紅葉のEND2は古典的なネタがキターーーーーーーーーー!

 

俺も騙されたよ、アレは。

 

弁慶が子供を引き連れて、お墓で「母さんの墓」=紅葉と思い込んでしまった。

 

でも…。

 

 

そのあと、紅葉登場!

 

 

母さんって、紅葉の母さんかい!




なお、途中で飽きて全クリアしてません。
1人2週の7人14週は辛いです。ラストが特に。


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何かに出逢う者たちの物語・外伝Ⅱ 夜明け前より瑠璃色な ~Memory of the past and the tomorrow's future~ プロローグ

オリンフィス戦争――それは、地球と月の戦争の名称である。

 多くのテクノロジーを駆使して作り上げられた兵器は、地球と月との間で宇宙(そら)を舞い、爆発という光となって消えていった。

 そして、地球のとある場所の森の中に隠れて建っている施設の中。

 廊下の中は、床と壁の境に、淡く光るプレートが埋め込まれている。空気は、空調が効いているのか、意外と清んでいた。

 報告ではここは、既に廃墟と成っている筈の施設。なのに、整備された通路に、稼動している電流。つまり、当たりを引いたと言っても、過言ではない。

 そんな通路の真ん中に、二人の男が立っていた。

 

「この先に、連中がいます」

 

 右手に角ばった剣、左手に丸い剣――特殊な二刀を持つ、黒髪に男。

 名は――霧生・O・クライアント(きりゅう・おう・くらいあんと)。地球人と月人のハーフである。なを、この時はまだ、ハーフという存在は当たり前だった。

 

「了解、隊長。って、言っても、俺とお前の二人しかいないけどな」

 

 右手にレイピア、左手にカスタマイズされたリボルバーを持つ、白髪の男。

 名は――朝霧 総一郎(あさぎり そういちろう)。こちらは、生粋の地球人である。

 

「本当にいいんですか、俺が隊長なんかやって……」

 

 恐縮する隊長の霧生だが、当然の反応と言える。

 何せ、この部隊――ルナアース隊に、入隊してから2年しか経っていないのである。

 

「実際、お前はこの部隊の次期隊長候補の人間だったんだから、今更気にするな」

 

 霧生の肩に、手でポンッと叩く総一郎。本来なら、総一郎が勤めるべき役割であった。が、亡くなった前隊長の言葉に従った結果、霧生が選ばれたのである。

 

「はい!」

 

 その言葉に合わせるように、霧生は両手に持った武器を握り直す。そして、両足に力を入れる。

 

「それでは、行くぞ! ――って、隊長はお前だろ!?」

「了解! ――って、すいません!!」

 

 などと、会話をしながら走り出す二人。

 だが、その走る速さは常人ではなかった。その速さは、100メートル4秒台。空気は、体によって切られていき、その速さのまま前方に見えてきた扉を、勢いよく吹き飛ばす。

 両開き扉のため、Vの字を描きながら、吹き飛んでいく。

 その出来事に、部屋にいた連中が動揺する。服装から、月の貴族と地球の高官の者たちと判断できた。

 そして霧生は、武器を構えながら、高らかに宣言する。

 

「ルナアース隊だ! ここに居る全員が、戦争開戦を目論むとの事! よって、月と地球の平和を脅かす者たちとして、拘束さ――」

 

 霧生が宣言する最中、背中から小さな衝撃が走る。その時は、何が何だか判らなかった。だが、腹部を何かが突き抜け、血飛沫が飛び出した瞬間に理解した。

 自分は、刺されたのだと。

 

「――っがぁふぁ!」

 

 勢い良く血を吐く。しかし、体制は崩さなかった。何とか踏ん張りながらも、咳き込む衝動を抑えつつ、後ろをゆっくり振り向く。

 そこには、何か異物を見る様な目をした総一郎の顔があった。

 何故だという考えが、霧生の頭の中に飛び交う。だが、そんな事は知らないと言わんばかりに、総一郎は無言のまま剣を横に振り、体を裂く。

 

「――――――――!!」

 

 血は噴出すと共に、引き千切れた肉も飛び散り、体全体に激痛が走る。

 半分残っているのが災いして、激痛を明確にさせる。

 

「……なぁ、何故ぇ……?」

 

 激痛に耐えながら、総一郎に尋ねる。

 

「何故、か……ふっ」

 

 霧生の言葉を鼻で笑い、血と肉片がついたレイピアを振り払う。その際、血と肉片は、壁や床に飛び散る。

 

「それも判らない貴様は、やはり無能だったと言う事か。隊長も、こいつに目を掛け過ぎだって言っていたのに」

 

 視界が血で染まり、痛みで周りを感じる感覚が麻痺し始めた為、何も判らない。唯一判るのは、自分の傷の痛み、血が抜けていく感覚、地面がどこか、耳はまだ無事くらいである。

 

「言いたい事は沢山あったが……その姿を見ていると、どうでも良くなる」

 

 体から力が抜けていく間隔に襲われる。

 死にたくない衝動に掛かれるが、生存本能から来るものではない。ただ、何故こうなったのかが知りたいだけである。

 

「……ぅん? まだ足掻くか、見っとも無い……」

(当たり前だ)

「仕方が無い。冥土の見上げに、教えてやる」

(何をだぁ?)

「隊長たちのデータをリークし、抹殺した。だけぇの話さ」

(なっぁ、にぃ?)

「じゃあなぁ」

(まっ、待て! まだ聞きた――)

 

 そこで、意識は完全に途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その数ヶ月後――開戦。地球と月の5度目の戦争と成り、後に第五次オリンフィス戦争と呼ばれる。

 多くの傷跡を残し、勝敗すら判らなくなった戦争は、いったい彼らにどんな利益を齎したのか。

 霧生は、知る事は無かった。

 ただ判っている事は、戦争阻止失敗及び、仲間に裏切られた事。そして、自分の死のみ。

 何も判らないと、同じだったが。

 だが、転機が訪れる。まぁ、意識だけを考えると、一瞬だとしか言えないが。俗に言う、転生という奴を得る。

 あれから――7・800年後の、ある日の夜明け頃。日本のある街で、一人の男の子が生まれた。

 

「おめでとうございます、元気な? 男の子です」

 

 疑問系で答える女性看護士。それもその筈、生まれた瞬間泣いたには泣いたが、ほんの5秒ほどで大人しくなり、当たりを見回しているのである。疑問系に成るもの、当然と言えば当然なのかもしれない。

 

「ああ……あら? 何か握っているわよ?」

 

 赤ん坊と受け取った母親が、何か握っているのに気がつき、赤ん坊の手の平を空けようとする。

 だが、赤ん坊はそれを放さないと、暴れだしたのである。

 慌てて赤ん坊を抑える、母親と女性看護士。その赤ん坊が、手に持っていた物を見た瞬間、2人は固まった。

 それもその筈、血の塊だったら判るが、球体の金属の塊を持っていたのだから。

 それからも、暴れる赤ん坊を宥めながら、球体の金属は解析に回された。だが、結局何も判らず、特に害も無いと結論に至り返された。

 それから、もう1つ。腹部から右の脇にかけて、裂かれたような痣があったのである。

 痣にしてみても生々しすぎるので、皮膚移植を検討するが、基本的に健康なので出来るか微妙との事。

 まぁ、あくまで痣なので、歳を重ねれば薄れていくはずだと医師から伝えられた。でも、人によっては、広がる可能性もあるので、何とも言えないのが本音である。

 

 

 

 

 

 それから、5年後――赤ん坊を子どもになった。

 やはりと言うべきか、幼稚園で痣を見られてから、その痣でからかう輩が出てきた。が、特に反応する事も無く、あっさり沈下した。

 だが、沈下するのは大いに結構であったが、余りにも子どもらしからぬ対応に、困惑を隠せない大人たち。時たま読んでいる本も、大人でも難しいモノを読んでいるのを、目撃されている。

 さらに両親共に、子育てをしているのかどうか不安にあるほどで、さらに他人行儀が見え隠れする時もあった。

 そんな日々を送り続けたが、精神的に参り始めたのは母親である。

 息子が、自分に気に入らない言動をすれば、すぐに怒鳴りつける。息子も、それに従って、なるべく気を使う。何とも、奇怪な光景である。

 だが、いくら気を使うと言っても、何事にも限度があり――ついに、爆発してしまう。

 母親が、息子を殴ろうとした瞬間、あっさり息子の手によって払われる。

 

「――このぉ!!」

 

 反対の手で、思いっきり振りかぶって殴りかかってくるも、バックステップでかわす。

 母親の怒りは、さらに増してしまい、今度は物を使って殴りかかる始末。さすがの息子も、これには拙いと思い、近くにあった物を掴んで投げる。投げた物は、母親が持っていた物を弾き飛ばす。

 

「何で逆らうの!? ちゃんと言う事を聞きなさい!!」

 

 理不尽極まりない言葉を、母親の口から吐き出される。

 

「はぁ~……今の言う事やらに従っていたら、怪我確定だろう」

 

 ため息を吐きながら、母親に正論をぶつける。だが、これが子ども――しかも5歳の息子から放たれる言葉。13歳くらいであれば、それほど問題では無かっただろう。

 それから、発狂したような奇声を上げながら、子どもに襲い掛かる母親。息子も、これ以上は、命に関わる可能性があると踏んで、外へ逃げる事に。

 これを気に、子どもと母親は、母親の方から一方的に家族の縁を寸断させられたのである。

 父親の方も、必要最低限の事をして、それ以上は踏み込んでくる事は無かった。

 家族との関係は、最悪の一言。両親の仲は、現時点で問題は無いので、なるべく関わらない様にする事を選んだ子ども。

 この選択は、子どもにとって最悪の選択だったと言えたのだが、それを痛感するには10年以上の時間が必要であった。

 それから、子どもは他の人を遠ざけるようになった。

 色んな人たちが、子どもに寄ってきたが、最終的には諦めていき、孤独を得る事ができた。

 幸い文武共に優秀だった為、変わった天才児としか移っていなかった。それでも、それが気に食わない連中も現れたが、合法的に叩き潰していった。

 具体的には、前日の夜にビデオカメラなどの映写機関係を、野外などに隠して置いておく。そこに、タチの悪い連中を誘導して、暴行などの瞬間を収めて親に突きつける。で、言わずとも、コピーは残しておいて、ネットなどで公開して破滅させる。

 こちらの方が、ある意味タチが悪いが、親の手を借りる事ができない以上、形振り構っている訳には行かない部分もある。

 それから、子どもは小学生と為り、中学生、高校生へ。

 そして、最悪の選択を選んだ結末を間も辺りにし、家を飛び出して、ある町へ向かう。

 柵(しがらみ)が無くなった以上、危険な橋を渡っても、問題は無くなったから。

 ある意味気楽になった反面、全てを失った。

 

 

 

 

 

 子どもから、青年になった俺――晴山 彰浩(はるやま あきひろ)は、駅のホームのベンチに座り、空を眺めて呟く。

 

「とにかく、月人がいる町へ向かうか……まぁ、皮肉にも、あそこは月と関係が直通だったくらいだからな」

 

 そう言いながら、地面に目を向けると、電車が来るとアナウンスが流れる。それに合わせ、ゆっくりとベンチから立ち上がり、黄色い線の近くに立つ。

 不意に階段の方が、騒がしくなる。多分、親戚が追ってきたのだろう。

 

「ガメツイ連中だな……それとも、責任逃れか。どちらでも良いが、このままでは捕まる、か」

 

 俺は、辺りを見回す。不意に、ベンチの下の足辺りに、中身が残っている空き缶が置いてあった。さすがに拙いと思ったが、隠れる場所が無いので、退場願う。

 

「いっ――」

 

 親戚の1人が、俺を見つけて叫ぼうとする。だが、その言葉と同時に、素早く缶を拾って額に投げつける。

 

「たぁ――あぁぁぁぁぁぁぁぁ――――…………」

 

 ちなみに、この駅の階段を上る奴なので、階段の下へ落ちていった。後ろにもいたので、多分死亡者は出ていないはずである。怪我人は、確実に出るだろう。

 階段の方では、少し騒ぎになっているが、運行には問題ないだろう。

 俺は、電車に乗り込んだ瞬間、発信音が鳴り響く。そして、エアー音と共にドアが閉まり、電車が動き出す。

 ガタンゴトンと揺れる車両の中を移動し、開いている席に座り、目を瞑る。

 電車の窓から見える風景を眺めるのも悪くないが、そんな気分には慣れなかった。この町にあった出来事を、余り思い出したくないからだ。

 別に目を背ける訳ではない。言い訳なのかもしれないが、今は少しだけ時間が欲しいだけだ。

 受け容れられる様に。背負える様に。前を向いて歩く為に、少しだけ遠回りさせて貰いたい。

 そう思いながら、意識を闇の中へ落としていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この先の出来事――月と地球の交流の架け橋の一端に関わる、重大な事とは、俺は知る由も無かった。

 同時に、最後の任務が課せられる――オイディプス戦争阻止失敗の原因の報告。今の政府、王国に報告する義務は無い。だが、この世界のどこかに、過去の記憶を継承した人間がいる筈である。

 それは、術中八苦、月人だろう。地球では危険すぎるが、派閥はあっても、月に国は1つだけしか存在しない。つまり、他の国家から狙われる事は、まず無い。

 さらに、地球よりも狭い場所で暮らしているので、誰がいなくなったなどすぐに判明するはず。

 さらに、ロストテクノロジーの扱いに関しては、7・800年前に比べても、月の方が何枚も上手である。

 小難しい話は追々として……俺は、彰浩と霧生の間にいると言って、過言ではない。

 多分、この世でもっとも歪な存在だろう。先も言った、ロストテクノロジーの使用を除いた場合で、だ。

 とにかく、俺は行かなければならない――あの満弦ヶ崎中央連絡港市へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この話は、前世の記憶を持った青年が、ある月人の女性聖職者と出逢う事と……最後の戦いの話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色々な出逢いと別れをし、世界の歯車を大きく動かしていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悩みを越えた青年は戦士へ戻り、1つの町を駆け抜ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昔、残してきた使命を胸に秘め、世界に翻弄される事無く、刃の如く貫いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かに出逢う者たちの物語・外伝Ⅱ

夜明け前より瑠璃色な

~Memory of the past and the tomorrow's future~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロローグEND




最終章の販売を気に&リリカルなのはが行き詰ったので、改正版公開。(汗
 ついでに、少し話を追加変更。
 PCやってフィーナラブに、PS2版をプレイしてエステルに転向。PS2版は、フィーナ、エステル、翠、リース以外はスキップで飛ばしてクリアしたので、CG埋まってません。
 ちなみに、最終章はプレミアムエディションです。ファーストの初回限定を、中古に出した人間が言うのもアレですが、やはりファンにはたまらないセットですよ。






制作開始:2006/2/12
改正日:2006/11/4~2006/11/10+2006/12/18~2006/12/23
再改正:改正日:2009/2/25~2009/2/28

打ち込み日:2006/12/23
公開日:2006/12/23

変更日:2009/2/28
修正日:2009/3/1


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第一話

「達哉」

「菜月、今日はバイトだから、早く行かないと」

 達哉は、教科書などをカバンに入れながら答える。

「ええ、行きましょ」

「菜月、朝霧くん」

 と、緑の髪のポニーテイルの娘が、声を掛けてきた。

「翠」

「遠山」

 菜月は名前を、達哉は苗字と、それぞれの呼び方で言った。

「ねえねえ、今度どこかに遊びに行かない?」

「いつ頃なんだ?」

「え~と……、今週か来週の日曜日辺り」

 顎に人差し指を当て、天井を見ながら答える。

「ごめん、その時期はちょっと」

「私も~」

「え~! 残念」

 少し涙目になり凹む、翠。

「でも、遠山さんは諦めません!」

 と、一気に復活して、テンションを上げる。

 その姿を見慣れていた二人は、毎度の事ながらも苦笑した。

「それじゃ、また明日」

「翠、バイバ~イ」

「また明日ね、ご両人!」

「み、翠!」

 真っ赤な顔をする菜月。

「はははは」

 カバンを掴んで、一足先に離脱した。

「こらー! 翠!」

 廊下に響く、菜月の声。

「待ったねー! 朝霧君! 菜月!」

 手を振りながら、廊下を駆け抜けていった。

 そして、玄関で靴を履き替え、学校を出た。

「さて、と……、一旦家に戻ってから、駅前でも行きますか」

 鼻歌を歌いながら、翠は歩き続けた。

 

 

 

「……む」

 ガタンゴトンと一定のリズムを立てながら揺れる電車の中、青年は目を覚ました。

(いつの間にか、寝ていたのか)

 そう思いながら、座席に座りなおし、持ち物を確認する。

 そして、無くなっていないことを確認すると、安心して背もたれに寄りかかる。

 それと同時に、アナウンスが流れる。

 次の駅は『満弦ヶ崎中央連絡港市』。

 俺自身、初めて来る場所だ。

 前世の記憶が目覚めてから、早十数年。

 ついでに、この前世の記憶のせいで、色々な出来事に巻き込まれた。

 両親共に、一度も信じてもらえずに、俺の前から姿を消した。

 それから、親類に引き取ってもらうことになったが、押し付け合いが始まった。

 どうせ盥回しになるくらいなら、と勢い良く出てきた。

 だが、出て来たのはいいが、当てが無いことに気が付いた。

 そこで前世の記憶で、未だに名前がある街へ目指した。

 そして、今に至る。

 揺れる電車の中、ただ一人モノ老ける俺。

「月人がいる町、か」

 呟きながら窓を見た。

 そこには、満月のように開かれた海があった。

「――――の跡か……、――も派手にやったな」

 そう呟いた。

 

 

 

 あれから10分後、電車を降り、駅を出た。

「…………」

 一吹きの風とほんの僅かな塩を香りに、そこまでも広がる青い空が、出迎えてくれた。

 家族に、同世代、周囲にいた者――人に拒まれても、世界は受け入れてくれた。

 辺りを見回して、

「戦争のことなど、空言にしかない……、か」

 そう呟きつつ、手荷物を確認してから、歩き出したが――

「いいじゃん、ちょっとだけなんだしさ」

 その言葉が聞こえた方に顔を向ける。

「すいません。急いでるんで」

「だ~か~ら、少しだけでいいからさ、な」

 明らかに嫌がる相手を、無理やりナンパしている男。

 周りの連中も、遠巻き見てたり、見て見ぬフリをしている。

 呆れる光景だな。と、言いたいが、これが普通である。

 下手な正義感は、逆に状況を悪化させる場合がある。

 だが――俺は、自動販売機から、アルミ缶とスチール缶のジュースを、それぞれ一本ずつ購入。

 そして、アルミ缶のジュースの中身を空にし、ナンパ男の後頭部目掛け、投げつける。

「いでっ!」と言う声と、カコーンといい音が、広場に響いた。

「って、誰だ!」

 ナンパ男は、後頭部を抑えながら叫ぶ。

「すまない。大丈夫か?」

 平然と答える俺。

 そして、その一部始終を見ていた周りの連中は、動揺していた。

「いきなりとは、これだから野蛮人は!」

「いや、缶をゴミ箱に投げ捨てようとしたんだが、手元がくるってな。どうやらこの缶、ナンパ男が嫌いらしい」

 その言葉に、ナンパ男の口元が引き攣る。

「なんだと?」

「詫びの品として、これを――」

 片手に持っていたスチール缶のジュースを、中身の入ったまま素手で潰し、丸めてナンパ男の手に乗せた。

「差し上げますから、今日は勘弁してもらえませんか?」

 ナンパ男や、嫌がっていた娘、周りの連中も驚愕していた。

「はっ、はい! ありがたく頂戴します! それでは!」

 ナンパ男は、全力疾走でこの場から去っていった。

 それを見届けてから、俺も歩き出した。

「あっ、あの!」

 だが、俺は振り向く事無く歩く。

 これ以上、この場にいたくなかったからだ。

 ナンパを撃退した勇敢な男として、拍手喝采に近い状況になるからだ。

 なら、自分たちが助ければいいだろう。

 そんなことしか、思い浮かばなかった。

「待ってください!」

 いつの間にか、先ほどの娘が目の前にいた。

「……急いでいるんじゃなかったのか?」

「えっ、あ、いや、その……」

 目の前にいる娘を看破して、横を通り過ぎ――

「待て、って言ってるでしょ」

 問答無用で、腕を捕まれた。

「何だ?」

 諦めて尋ねる事にした。

「先ほどは、ありがとうございました。私、遠山翠と言います。アナタは?」

 小さなため息をついた。

「俺は、晴山(はるやま)、晴山彰浩(あきひろ)だ。じゃあな」

 遠山に背を向けるが――すぐに確保されてしまった。

「まだ、話は終わってないって」

 少し怒り気味に答えた。

「お礼くらいさせてよ、ね?」

「……わかった」

「やったぁ~!」

「やったぁ~、じゃ、ねぇぞ糞ども!」

 その言葉に、遠山はバンザイをしたまま固まる。

「なるほど……、今度は数。定番だな」

「やかましい! 手はず通りに頼むぜ!」

『おお~!』

 声を上げる不良ども。ナンパ男も含めて、30人近くはいた。

 あわわわわっと、慌てふためく遠山を、問答無用で近くの店に押し込む。

 それが合図となり、一斉に襲い掛かってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――三分後

 30人近くの不良が、道端で山済みになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、お強いんですね~」

 でっかい汗を垂らしながら、後ろからついてくる、遠山。

「別に。ただ、チャラチャラした奴が嫌いなだけだ」

「ってことは……、アタシ、も」

「いや、お前の場合、無理してでも笑い飛ばすタイプだから」

 それから会話が途絶えた。

 そして、無言のまま歩き続ける二人。

 時折、彰浩が道を尋ね、遠山が答える。

 そんな会話だけが、続いていた。

「あの店です」

 遠山が声を上げる。どうやら、目的地についたらしい。

「トラットリア左門……、軽食店か。イタリア料理にしては、珍しい店だな」

「判るんですか?」

 驚きの声を上げる。

「中途半端で、偏った知識しか持ち合わせていないが」

 そう言って、肩を竦めて見せつつ、店のドアを開けた。

「いらっしゃいませ!」

 赤をベースにした制服を着た、女性ウェイターが出迎えてくれた。

「おじゃましま~す♪」

 俺に続いて、遠山も入ってきた。

「あ、翠、いらっしゃい。で、そちらの方は?」

 と、俺を見てきた。

 名前で呼んでいるから、彼女らは知り合いだと判る。

「私を助けてくれた、白馬の王子様!」

 遠山を押し返して、店を出ようとするが、

「あわわわわ、ごめんなさい、冗談です!」

 また腕を捕まれた。

「え~と、お席は……」

「どこでもいい」

 戸惑うウェイターに、即答で返す。

「はい、こちらへどうぞ」

 そこで、窓際の奥の席に案内された。

「こちらがメ――」

「何も乗ってないパスタを頼む」

「へ? 何も乗ってない……、パスタ、ですか?」

 やはり固まるか。

 普通の店に、そんな物が置いている筈が無い。たとえあったとしても、始めてきた人間に出すことはしないだろう。

「ふむ。君は、相当な美食家だと見た」

 いきなり現れた、男性ウェイター。

 カウンターの所にいたはずだが。いい足を持っている。

「に、兄さん!?」

 しかも兄か。彼女も、何か特技があると見た。

「親父殿! プレーンパスタを一つ!」

「あいよ!」

 出してくれるのか!? 美食家と勘違いしたか。

「ところで、君は誰だい? 僕は、このトラットリア左門のオーナーであり、コック長の鷹見沢じ――ぐぁ!」

 さすがの俺も驚いた。なんせ、いきなりしゃもじが飛んできたのだから。

「失礼しました~」

 手馴れた手つきで、しゃもじと兄貴の首根っこを掴んで、裏手へ運んでいった。

「お待たせしました」

 別の男性ウェイターが、プレーンパスタを運んできた。

 彼の顔立ちは良いが、平凡的な雰囲気が漂っている。

 だが何と無く、彼は近い将来、大きな出来事に関わると、確信が持てた。

 これは前世の記憶の経験上からくる、直感。

 だが、思い出したことがあった。

「お前、何か頼んだのか?」

「あ! そういえば何も頼んでないよ~。朝霧く~ん、今日のオススメでお願い」

「はいはい、わかりました。おやっさん――」

 さて、食べるか。

 店のやり取りを眺めながら、プレーンパスタを口に放り込んだ。

 うん、まずまずだな。

 それからは、料理に意識を集中することにした。

 何か話しかけてくる誰か。

 無視して、黙々と食べる。

 食べる。

 食べる。

 食べる。

 食べ――、辛っ! ばっ、馬鹿な!? プレーン=何も無い混ざりっけゼロのモノが、どうして激辛に変わるんだ!?

「ぼふっ! ぼふっ!」

 変な咳き込み方をする俺。

 やば! 鼻にパスタが!

「あわわわわわわっ! あ、朝霧君!」

「タツ! 水だ!」

「はい!」

 などの会話が、耳に入ってきた。

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁぅ~、はぁ~」

 水を飲み、息を整えなおす俺。

「大丈夫ですか?」

 申し訳なさそうに尋ねてきた、遠山。

「ああ。大丈夫だが、何で急に辛くなったんだ? 麺の中に隠し味として、辛子関係のものを練りこませるのか、この店は?」

 直球で感想をぶつける。

 いくらなんでも辛すぎだわ。

「あ~、それアタシのせい」

「何? シカトしていた憂さ腹に、辛子系統をぶち込んだとでも?」

「うん♪」

 満々の笑みで答えるか、この女。

「君、大丈夫か?」

 カウンターから、コックが出てきた。

「一応」

 水を一口。

「しかし、いきなり咳き込むから、驚いたよ」

「翠、恩師の人に何やってるのよ」

 笑顔で語る、先のしゃもじで撃墜された男性ウェイターと、呆れて友人に言葉を投げかける女性ウェイター。

「だって~、アっきんが無視するんだもん」

「ぶっりこかまして言うセリフじゃねーだろうが」

 容赦無く俺は、遠山の背後に素早く回りこみ、口を開け、激辛となったプレーンパスタを放り込む。

「―――――――!」

 悲鳴にならない悲鳴を上げる。

 慌てて行動を起こす三人。

「君、なかなか素早いね」

「撃墜された男性ウェイター、か」

「いや、名前で呼んでくれよ」

「『じ』までしか判らん」

「おいおい、聞いてなかったのか?」

「途中で撃墜されて、中断となったから」

 真顔で答える俺。

「あはははは。それなら、仕方ないか」

 相も変わらず、笑顔を浮かべる男だ。

 軽い感じの人間だと、第一印象で感じたが、けして嫌なタイプではない。

 むしろ、自分の大事な部分を隠しつつも、いざとなると助言や後押しをしてくれる人。

 悲しいピエロではなく、自ら望んでピエロになった。

 俺には、そんな感じがした。

「僕は、仁。鷹見沢仁だ。宜しく」

「こちらこそ。名前は、晴山彰浩。彰浩で構いません」

「そうか、彰浩君か。仲良くやろう」

 それから少しだけ、他愛も無い会話を始めた。

 

 

 

「うっく、うっく――ぷっは~! いや~、生き返ったよ」

 飲み干したコップを置く。

「翠、今度こそ大丈夫?」

「うむ! 完全回復しましたよ!」

 立ち上がらんとした勢いで答える。

「それくらい声がでれば、大丈夫だろう。菜月、彼に……、ふむ」

 左門が途中で言葉を止める。

「そうしたんですか、おじさん?」

 達哉が代表で尋ねる。

 無言のまま、左門は顎で指す。

 三人は、顔を向けると――

「君、やっぱり美食家だよ」

「いや、ただ単に食べたかっただけですから」

 二人は、他愛も無い話で盛り上がっていた。

「……………………」

 それを見て、安心する左門。

「さて、仁。彼の食器を下げてくれ」

「うぃーす。じゃ、また」

 皿を持ち上げる仁。

「ああ」

 返事を、柔らかい声で返す彰浩。

 それを聞いて満足する左門。

 店に入って来た時は、歳に似合わない雰囲気を出していたが、ある程度緩和していた事に満足した。

 そして、次に来た時は、どんな料理を出そうか、考えるのであった。

 

 

 

「会計を頼む」

「あ、それなら別にいいって、お父さんの伝言」

「いいのか? 始めてきた人間なのに?」

 ってか、あまり恩を貰いたくないんだよな。

「うん。お父さん、アナタの事、相当気に入ったみたいだし。あと、いつでも来いよ。だって」

「……わかった。気が向いたら、また来ると、伝えておいてくれ」

「ええ、それじゃ」

 俺は、遠山を置いて、店をあとにした。

 そして、後ろから遠山らしき声が上がったのは、言うまでも無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かに出逢う者たちの物語・外伝Ⅱ

夜明け前より瑠璃色な

~Memory of the past and the tomorrow's future~

 

 

第一話

満弦ヶ崎中央連絡港市と呼ばれた街

 

END

 

 

 

 

 

次回予告

 

勢いで出てきた、彰浩。

当ても無く、夜が来てしまう。

公園で寝泊りしてもいいが、警察の御用にはなりたくない。

そんなこんなで、月人が住んでいる居住区へ、足を運ぶ。

そこで、モーリッツという人物と出会う。

 

 

次回

何かに出逢う者たちの物語・外伝Ⅱ

夜明け前より瑠璃色な

~Memory of the past and the tomorrow's future~

 

第二話

罪を背負う教団の神父




 どうも、DBの最新作。
 まだ連載終わってないのに、新作ですよ。はい。
 馬鹿です。
 もう、終わりなき無限回路へ突入しました。
 でも、完結させます。
 今回は、主人公視点重視で書いていきます。
 サイト『生まれての風』のとらは小説に、影響されました。
 あれは、主人公が面白すぎ! 真面目な話で、上手く他のキャラと絡み合ってます。
 ぜひ、読んでみてください。

 行き方は、直接打って飛ぶか、我がサイトの『リンクの海』から行けます。






制作開始:2007/1/11~2007/1/18

打ち込み日:2007/1/18
公開日:2007/1/18

修正日:2007/1/23
変更日:2008/10/24


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第二話

 今日は色々あった。

 遠山と言う女を助け、飯を奢って貰う……、正確には、トラットリア左門のシェフ・鷹見沢左門という、親父さんの奢りであるが。

 俺の見解だが、自らピエロに望んでなった男性――鷹見沢仁。いい兄貴分だと、感じ取れた。

 最後に、しゃもじのスペシャリスト? の鷹見沢菜月。そして近い将来、大きな運命に直面する達也という男性。

 暖かな空間であったことも言えるが、達也という男性の未来が見てみたい。

 そんな衝動に駆られている俺が。

 今、空の色は黒。

 現在の時刻――8時46分。

 そう、夜である。

 寝場所? 10万円くらいしか持っていない俺が、ホテルに泊まると?

 こんな額、使おうと思えば三十分以内で使い切ってしまうわ。

 などと、思いにふけつつ、

「夏が近いから、野宿しても多少は平気だが……、警察の補導には、気をつけないと」

 ぼやきながら、寝床を探し始めた。

 が、屋根付き(雨宿りが可能)が無い。

 橋の下でもいいが、雰囲気からして月居住区を跨いだ場所、つまり大使館もある訳で……。

 あとは、今一な所ばかり。

 屋根があるが地面が駄目。地面は良いが屋根が無い。両立しているが、民家の隣、警察署の近く。

 そんな所ばかりである。

 そんな感じで、途方にくれていた俺だが、思い出したことがある。

 確か、月人の大半が教団を信奉している。

 故に、月居住区には月人が住んでいる=教団関係の施設――教会がある。

 教会は、迷える子羊に手を差し伸べてくれる場所。

 ただ、地球人である俺を、受け入れてくれるかどうか。

 それだけが、問題であった。

「いい人で、ありますように」

 それだけを呟きながら、月居住区へ向った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二話

 

罪を背負う教団の神父

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 月居住区――満弦ヶ崎中央連絡港市の入り江に作られた、言葉通りの月人の為の居住区。

 居住区を過ぎると、月大使館、教会、展示館の三つの施設がある。

 そして、月大使館の敷地内には、宇宙港が設けられているが、地球の――特に一般人は、大使館すら入ることすら出来ない。

 だが、それ以外には制限がもうけられてない為、一般人が歩き回っても問題は無い。だが、月関係の職務についている地球人以外は、滅多に来ないのが現状である。

 その最大の理由が、月居住区自体、独特の雰囲気をかもし出しているからである。

 よは、地球人を、あまり快く想っていないからである。

 それはやはり――

「第五次オイディプス戦争の……、長きに渡る傷跡、か」

 月居住区に入った瞬間の、率直な感想である。

「止められなかった事が、俺の罪か」

「罪とは、どうなさいましたか?」

「 !? 」

 聞かれた!? どこからだ!

 俺は、慌てて振り返った。

 そこには、教団関係者の服装が、目に飛び込んできた。

 戸惑いを覚える俺。

 しかし、教団の男性から、話し出した。

「もし、よろしければ、今から教会でお話を聞いて差し上げますが」

 物腰の柔らかい男性。

 髪が白く、顔のシワも目立っているので、老人の部類に入るくらいかと。

「俺、じゃなくて、私は地球人ですが?」

 あえて地球人と名乗り、男性の出方を伺った。

「迷えるものに、月人も、地球人も、関係ありませんよ」

 優しく微笑む男性。

 それで判った。

 この男性は、後悔と苦難な人生を歩んできた――いや、今も歩み続けているんだと。

「すいませんでした。試すようなマネをして」

 俺は、頭を下げながら謝罪した。

「過ぎた事です。では、こちらです」

「聞きたいことがあります」

「何でしょう?」

「名前を。私は、晴山彰浩です。彰浩で構いませんので」

「彰浩、さん、ですね。私は、この先にある教会の管理を任されている、モーリッツです」

 名乗り合い、モーリッツを先頭に歩き出した。

 

 

 

「どうぞ、中へ」

 モーリッツは、教会の扉を開け、先に招き入れる。

「失礼します」

 俺は、モーリッツに会釈しながら入っていった。

 そして、前世の記憶と照らし合わせる様に、中を見回した。

 さすが教団。合いも変わらず、同じ内装だな。

 それに、祭壇の奥には、定番の隠し通路があるんだよな。

 などと、物想いにふけていると、

「珍しいですか?」

「あ、いえ、いや、はい」

 モーリッツがいる事を忘れてた。

 戸惑いながら、はいと答える。

 実際に見たのは初めてだが、前世では、相当お世話になった場所である。

 だが、前世の事を話しても、軽く流されるのが目に見えた。

 だから、あえて伏せた。

「そうですか。では、奥のほうへ――」

「あ、いえ、ここで大丈夫です」

 俺の言葉に驚いたのか、モーリッツは目を少しだけ丸くした。が、普段どおりの目に戻った。

「わかりました。では――お聞きします」

 座りながら答える、モーリッツ。

 俺は、モーリッツに前世の記憶を伏せた状態で、今までの軌跡を話すのだった。

 

 

 

 母の死――子供にとって、悲しいことは無い。

 何故かって? 二度と会うことはできないから。

 怒られる事も無い。庇ってくれない。慰めてくれない。遊んでくれない。など、色々ある。

 亡くなった原因は、詳しくは不明。

 ただ判っている事は、俺と父のせいである事だけ。

 理由は、俺の前世のせいでの極度のストレスと、父の失踪と置き見上げだ。

 父の失踪――生きているのか、死んでいるのか判らない。

 ただ、俺の父親は最悪だ。

 失踪した理由は、浮気した女と駆け落ち。

 永遠の愛を誓い合った女――母を捨てて。

 しかも、家の蓄えである貯金全てと、会社の金を掴んで。

 事実上、借金を背負うことになった俺と母だった。

 が、それがトドメとなったのかは不明だが、母は死んだ。

 で、その保険金と、一軒屋と土地、その他の物を売り払う事で、借金は帳消しとなった。

 

 

 

 これが、俺の両親の末路。

 父はどこかで生きている。だが、親とは思いたくない。いや、親ではない。

 二度と出会うことが無い事を、強く願っている。

 結果――俺は、一人になった。

 捨てる神あらば、拾う神あり。

 前世の記憶を頼りに、俺は――この地へ、足を踏みしめた。

 

 

 

「――っていう訳で、寝床を探していたんです」

 なを、この時にモーリッツには、両親は共に死亡。親戚もいない為、放心状態で適当に歩いていたら、この街に辿り着いた。

 そして、駅からここまで合った出来事を話した。

「……わかりました。宜しければ、ここで寝泊りしてはいかがですか?」

「い、いいんですか!?」

 モーリッツの提案に、さすがの俺も驚いた。

 なんせ、ここは月の重要施設の一つ。なのだが、

「かまいません。ただ、月大使館の方には、話を通しておきますが」

「問題は無いですが……、できれば、警察に連絡は……」

「本当なら、その方が宜しいのですが……、ご安心ください」

 俺を安心させるように微笑む、モーリッツ。

「ただ、食事に関しては――」

「贅沢は言いません。寝床だけ、提示していただけただけで、嬉しい限りです。ただ、お礼をさせて貰えませんか? さすがに、寝床だけ貰って、ぐうたらやっていては、モーリッツさんに失礼ですし」

「そうですか……、では、明日からこの部屋の掃除を頼みます」

「はい、わかりました」

 前世の癖で、敬礼をしてしまう俺だったが、慌てて手を引っ込めた。

「ははは、面白い人ですね」

 案の定、モーリッツに笑われた。

 しかし、悪い気分ではなかった。

 

 

 

「ここをお使いください」

 モーリッツに連れられて、奥の部屋へ案内された俺。

 部屋に入ると、殺風景であるが、普通の生活には全くと言って良いほど問題は無い。

 寝床が無い人間にとっては、いたりつくせりである。

 なんせ、日当たりが良い、ベッド付きの部屋だから。

「いいんですか? こんないい場所を使っても?」

「ご安心を。ここはさほど大きくは無い教会ですが、今住んでいる人数は、私を含めてたった二人だけですので。……ただ、半月後辺りに新任の方がくるので……」

 歯切れの悪いモーリッツ。

「いえ、その前にここを離れます」

 断言する。

 この居住区に足を踏み入れたときから、わかっていた事なのだから。

 なんせ、月人は地球人を嫌っている。

 全員とは言わないが、何事にも例外がある。

 その結果が、この月居住区。

 両者の傷跡はそれぞれである。

 地球の一般人はあまり関心は無い。

 月の一般人、貴族問わずに関心は大きい。

 それが壁を作り、今まで関係を絶っていた。

 だが、それが解消されてから、まだ20年しか絶ってない。

 これからである。

「いえ、彰浩さん。その必要はありません」

 俺を制止させる。

「ここは教会。困っている人に、手を差しのべる場所。新任の方が来たとしても、貴方が出て行く必要は、どこにもありません」

 キッパリと答えた。

 確かにその通りだ。

 教会――それは、神に仕える者、神に救いを求める者が、集う場所。

 だが、俺は神に救いを求めた覚えは無い。

 ただ、そのあり方に漬け込んだだけ。

 しかし、モーリッツは見透かしたように言葉を続けた。

「たとえ、神に救いを求めなくても、誰かに救いを求めている者にも、例外は無いのです」

 負けた。

 やはり、人生経験豊富で、独自の悟りを見つけた方に理詰めで勝てる訳がなかった。

 相手は六十くらいかつ、悟りを見つけた。

 俺は前世合わせて、三七くらいで、まだ悟りが見えない。

 二倍近い差……いや三倍か以上か。

 今度、どんな人生を歩んできたか、失礼承知の上で聞いてみるか?

「モーリッツ」

 と、廊下から幼い女の子の声が聞こえてきた。

「リースリット様、いつお戻りで?」

「今」

 何ともまぁ……冷静な子で。

 ついでに、モーリッツさんが敬語とは。相当な地位に属する方か? なら――

 とっさに俺は、首に掛けていた自作ネックレスを、懐に隠した。

 そして、素早く身だしを整えてから、

「あの、誰かいるんですか?」

 とにかく尋ねた。

 尋ねなければ、話は進まない。

「ああ、そうでした。リースリット、こちらへ」

 少し気まずい顔をしてから、女の子を誘導した。

「 ん 」

 ドアから金髪の、ゴスロリを着た女の子が入ってきた。

「彼女の名前は、リースリット・ノエル。ここで、預かっている子です」

「リース」

 それだけかよ!

 心の中で突っ込みを入れるが、気を取り直して、

「晴山彰浩だ。彰浩でいいよ」

 手を差し出す。

 …………。

 …………。

 …………。

 してくれないのね。

 俺は、苦笑しながら手を引いた。

「モーリッツ……、ご飯」

「ええ、わかりました。よろしければ、彰浩さんもご一緒に?」

 誘いに少し悩んで、

「ありがとうございます」

 頭を下げた。

 そして、晩酌にありついたのだったが、素っ気無い料理だった。

 教会だから当たり前の事なのだが、今一パッとしない。

 リースは、黙々と食べているだけ。

 上手いとも、不味いとも言わない。

 ……明日からでも、料理させてもらうかな。

 そう考えつつ、素っ気無い食事は終わった。

「それでは、私はもうお休みになりますので」

「え? もうですか」

 モーリッツの言葉に、食器を洗っていた俺は驚いたが、時計を見てすぐに納得――というよりも思い出した。

 教会の朝が早いことを。

 そして――あの時の笑顔。

「確かに、そんな時間ですね」

 これで何度目かの物思いにふけながら、皿を洗い続けた。

 アイツの笑顔。

 アイツの笑顔。

 アイツの笑顔。

 アイツノエガオ。

 その瞬間、俺がガタガタ振るえながら、作業を続けた。

 さすがにこの時、モーリッツとリースは一歩下がったらしい。

 後ろへ下がる気配があったから。

 ……安易に思い出すんじゃなかった。と、後悔した――

 

 

 

 ――ギラリン! と、何かがこちらを向くや否や、全力で襲い掛かってきた。

 しかもその手には、愛用の――

『たっ、助け――ぎやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』

 

 

 

――日であった。

 ガクガクブルブル。

 

 

 

 そんな事を思い出しつつ皿洗いを終え、部屋へ戻っていった。

 途中で、モーリッツさんに報告しようと思ったが、時間が時間のため、止めておいた。

 念のため、火回りだけ確認した。

 で、ベッドに倒れこむ。

「ふぅ……、前世の俺、苦労してたんだな」

 他人事のように、って魂だけが同じだけで、俺とは別人なのだから当たり前か。

「明日は、朝早くから掃除でも……、する……か……」

 つ、疲れが出てきたのか? にしても、早すぎるな。精神面の方が、先に参ったのか?

 などと考えていくうちに、意識は闇に沈んでいった。

 そして、小さな息遣いで寝ていると、不意にドアが音も無く開いた。

「…………」

 リースリット・ノエルだ。

 何の躊躇いも無く、部屋へ足を入れようとした。

「 !! 」

 しかし、リースは素早く引っ込めた。

 何かに睨み付けられた様な錯覚に襲われたからである。

 それからリースは、入ることを諦め、ドアを閉めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かに出逢う者たちの物語・外伝Ⅱ

夜明け前より瑠璃色な

~Memory of the past and the tomorrow's future~

 

 

第二話

 

 

END

 

 

 

 

 

次回予告

 

あれから数日がたったある日の事。

モーリッツに留守を頼まれた彰浩だった。

一応、前世でも似たことをしていたので、難なくこなせる。

初めのうちは案の定、月人に毛嫌いされていたが、モーリッツと彰浩の人柄で受け入れられる様になった。

そして、教会に来た女の子から、月の姫の事を聞く。

その夕方、モーリッツの元へ来るように言われ、買い物袋を置きに奥へ。

その後をリースが追いかける。

そして――運命が、僅かに動き出す。

 

 

次回

何かに出逢う者たちの物語・外伝Ⅱ

夜明け前より瑠璃色な

~Memory of the past and the tomorrow's future~

 

第三話

一つの運命が動き出す日(前編)




 なのはそっちのけで書きました。(オイ
 メインヒロイン役のエステルの出番は……、まだ先です。(オイオイ
 一応出てきますが、チョイキャラ役扱いです。(オイオイオイオイ
 で、今後の展開を少しだけ。
 前世の記憶に悩まされ続けた主人公は、エステルと出会う。
 この辺は、ゲームと似たり寄ったり。
 で、教会に居座っていることに、不満の顔を浮かべるエステル。
 以後、続きます。
 基本的に、ゲームのそり方ですが、ゲームより先はあります。
 これ以上はネタバレなので、気長に待ってください。
 リリなのよりは、遥かに進み具合はいいかと。
 でも、最近は学校の課題で……。
 では、また。

 最後に、未だにこの作品の主人公の名前が、曖昧気味に。(汗






制作開始:2007/1/20~2007/1/23

打ち込み日:2007/1/23
公開日:2007/1/23

変更日:2008/10/24


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第三話

「姫様、姫様! 地球があんなに大きく!」

 地球を見て、興奮する小さなメイド。

「ふふっ。ミア、あんまりはしゃぐと、鼻を窓にぶつけてしまうわよ?」

 微笑みながら、藍をベースにしたドレスを身にまとっていた。

「あ、すいません」

 恐縮しながら席に戻るミア。

「私ばっかりはしゃいでしまって……、姫様、申し訳ありませんでした」

「もう、ミアは真面目すぎるのだから。でも、そこがミアの良い所でもあるわ」

「ありがとうございます、姫様。そういえば、姫様は一度地球に行かれたのでしたよね。もし宜しければ、お話を聞かせて頂けませんか?」

 目を輝かせながら、姫に過去の話を求めた。

「地球へ行った日……」

 

 

 とある男の子と手を繋ぎ、空を眺めたあの日――

 

 

「――、・様、姫様」

 ハッと意識を戻し、

「何でも無いは、ミア。ただ、子供のときだったから、あまり覚えてないの」

 ごめんなさいと、最後に付け加えた。

「そうですか、残念です。でも、今度はたくさん想い出を作りましょう」

 ニッコリ笑う。

「ええ、そうね」

 姫も微笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三話

 

一つの運命が動き出す日(前編)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 教会の朝は早い。が、前世の習慣で、早く起きるのは苦では無い。

 朝起きて、モーリッツの手伝い。

 続いて、道具の準備と簡単な掃除。

 そして、朝食の準備へと移っていく。

 これが彰浩の朝の流れである。

「彰浩さん、頼みがあるのですが」

 朝食を食べ終わり、リースから使った食器を受け取っている最中だった。

 ちなみに今日の献立は、納豆パンと目玉焼き。

 見せた時はさすがに、モーリッツに引かれ、リースは食べないと言い出して出て行こうとした。

 だが、二人を何とか説得して食べてもらった。

 結果は、まずますの反応だったので、ホッとしたが、なるべく普通ので、と言われてしまったが。

「何ですか?」

 食器を流しに置きながら訪ねる。

「そのままで構いません。実は、夕方までここを開けるので、できれば留守を頼みたいのですが」

「ええ、今日はとくにする事が無いので、別に構いませんよ」

 食器を手早く洗いつつ、問いかけに答える。

「ありがとうございます、彰浩さん。それでは、今から支度が済み次第、出掛けますので、あとは宜しくお願いします」

「はい、わかりました。モーリッツさんも、お気をつけて」

「それでは。リースリット、行って来る」

「…………」

 ただ頷くだけのリース。

「こら! リース、挨拶」

「ぅ……いってらっしゃい」

 蚊の泣くような声だったが、言えただけでよしとしよう。

「ええ、それでは」

 そう言い残して、部屋を後にした。

 皿洗いは、モノの二分で片がついた。

 それからは普段通りで、リースはいつの間にかいなくなり、俺は教会の掃除を始めた。

 そして――

「すいません」

「はい、どうなさいましたか?」

 掃除中に信奉者が訪ねてきた。

「神父様は、ご在宅で?」

「申し訳ありません。ただいま、モーリッツ様は御用で、夕方までお帰りにならないとの事で。もし宜しければ、私がお伺いいたしますが」

「いえ。そうですか……、他の方は?」

「残念ながら、私一人なんです」

 深々と頭を下げながら謝罪する。

「あ、ええ、そうですか。……わかりました、また日を改めて」

「はい。神のご加護を」

 信奉者は、会釈しながら出て行った。

「ふぅ~。まっ、仕方ないといえば、仕方ない、か」

 背伸びをする俺。

 こんな感じで、信奉者は来ては帰ってしまう。そんな日々。

 しかし、たまにだが、懺悔室で話を聞いていることもある。

 信頼は薄すぎるが、だからと言ってどこかで喋ったり、引っ掻き回したりしない様に心得ている。

 悩みを持つ者は、誰かに話すことで気が楽になる場合もある。

 しかし、誰にでも聞いて欲しい訳ではない。

 例えは、親しい友人に話したのが切っ掛けで、相談した内容がばら撒かれる。

 友人としては最低だが、相談した内容がばら撒かれるということは、内容によっては最悪だ。

 誰々が好きだけど、どうすればいい? 実は悪いことしちゃったんだ。など、勇気がないと、中々言い出せないものもある。

 時間が解決してくれる時もある。

 だが、けして最善の方法ではない。

 では、何が最善なのか? それがわかれば、神父などいらん。ましてや、教会――神すら要らなくなる。

 だから、この職業? があると、俺は考えている。

 人は、必ずどこかで間違いを起こす。

 命を大切に。

 当たり前のことだが、子供は好奇心で虫を殺す。

 例えばおたまじゃくしと蛙辺りが定番ではないだろうか?

 俺も子供の時、地面に叩きつけたりしたことがある。

 この筆者である、ダークバスターもその一人。

 ……話が反れた。

 とにかく戻すが、信頼関係が合ってこそ、成り立つモノ。

 ここに来て間もない俺に相談する者は誰もいない。

 だが――

「彰浩、いる?」

 緑色の髪の女の子が、ドアを開けて入ってきた。

「こら。まず返事」

「ごめんなさい」

 頭を下げながら素直に謝る。

「……今日はどうした?」

 自覚は無いが、俺は軽く頬を緩めて言った。らしい。

「うんとね、今日お姫様が上がってくるの!」

 大喜びで答える女の子。

「姫が、上がってくる? ――ああ、その上がるね」

 自己完結した俺。

 何故『上がる』と言ったのか、説明します。

 地球人は、地球から月へ行くことを、上がるといいます。

 よは、それの逆バージョン。

 月人は、月から地球へ行くので、上がるといいます。

 天と地が逆さまという訳で。

「うん! でね、今日は一緒に見に行こうって誘いに来たの」

 目を輝かせて答える女の子には申し訳ないが、

「すまん。今日は夕方まで、留守番を任されているから」

 と、断った。

 愛らしい顔が、グシャリと歪み、今にも泣き出しそうになった。

「み、見に行くことは出来ないけど、今度、は無いか。って、ごめん! 泣くのだけは勘弁してくれ、頼む」

 女の子が完全に泣き出さない様に、必死で宥める俺。

 本当に、骨が折れるわ。

 で、何とか慰めて、別の日に遊ぶ約束をした。

 そして、時間だからとの事で帰っていったあと、また掃除を始めた。

 そこからは、朝の時を同じ事を繰り返す。

 信奉者が来る。

 対応して信奉者の意思を聞く。

 帰るなら帰る。相談していくなら奥へ。

 それ以外は掃除。

 以上の流れである。

 そして――

「腹減ったな。で、今は……、もう昼か。掃除も大半終わったし、何か――って、冷蔵庫の中身はカラだったんだっけ。参ったな」

 と、後頭部を掻きながらぼやく。

「……仕方ない、買出しに行くか」

 道具を片付けながら、結論に至った。

 

 

 

「では、次からは」

「はい、連絡を頂ければお届けいたしますので。神父様にも宜しくお伝えください」

「ええ、お伝えいたします。それでは」

「ありがとうございました」

 と、いう会話をして店を出た。

 手には、食材の入った袋を持っている。

「さすがは通販の時代だな――って、いつの時代だよ、おい」

 などと、一人突っ込みをする俺。

「早く戻らないと。一応、留守の紙を張っといたけど」

 そう、教会の扉に『ただいま、不在。最悪午後一時までに戻ります』、とデカデカと書いた張り紙を張った。

 もちろんモーリッツに許可を得ていないので、あまり宜しくない行いである。

 バレたらバレたで、モーリッツが悩んでしまうので、素早く教会へ戻った。

 そして、教会に付くと、素早く張り紙を剥がして中に入る。

 そこには、モーリッツと、大使館の高官数名――その中に、カレンがいた。

 モーリッツの建前があるので、

「あ゛、モーリッツさん……、いつ、お帰りで?」

 間が悪いような感じで、モーリッツに尋ねた。

「ついさっきです、彰浩さん。ところで、何故教会を空けたのですか?」

「ええ、実は買い置きの食材が無く、昼も食べることすら間々ならない事になって。それで、少しの間だけ空けて、買出しに出ていたんです」

 買い物袋を、モーリッツと、大使館の高官数名に見えるように持ち上げた。

「そうですか」

「あと、午前中に尋ねてきた信奉者の方々の人数は、6人でした。そのうち、一人だけ相談に乗りました。また、モーリッツさんがいる時にでも、とのことで」

 俺は簡単な定例報告を済ませた。

「わかりました。彰浩さん、一度荷物を置いてから、またここへ来てください」

「はい、それでは失礼します」

 一礼して、奥のドアを開けて台所へ向った。

 

 

 

 パタンとドアが閉まるのを見届ける、モーリッツと、数名の高官たち。

 うち一人が話を切り出した。

「モーリッツ様、彼が例の――」

「ええ、晴山彰浩です」

「身よりも無いとは……、地球と同じ状況とは。……胸糞悪い」

 最後の言葉は、隣の高官の耳に聞き取れないほどの呟きで吐いた。

「……どうですか、彼は?」

「見たところ、これといって変わった様な事は無いですが……、第一印象だけでの判断は、致しかねます」

 変わりにカレンが答えた。

「そうですか」

 重々しく答える、モーリッツ。

「ですが、何らかの能力と、人脈さえあれば問題ないかと」

「…………」

 だが、モーリッツにとって、それは重い言葉だった。

 彼――彰浩の能力は、ここ数日間である程度わかった。しかし、肝心の人脈は、彼にはない。

 カレンとは、すでに会っているが、親しい仲とはいえない。

 せいぜい顔見知り程度。

 トドメと言わんばかりに、親はいない。

 親戚は当てにならない。

 八方塞がりとは、まさにこの事だなと、モーリッツは痛感した。

 また私は、ここでも無力だとは。

「――ツ様、モーリッツ様? どうかなさいましたか?」

「あっ、ああ、いえ、大丈夫です」

 考えを振り払うように、頭を横に僅かに振るのであった。

 

 

 

 ? ――リースか。

 背後からの気配を感じとり、リースと判った。

 が、どこと無く違うと、脳内でサイレンが鳴り響く。

 故に振り返ろうとしたが――、振り返ることが出来なかった。

 とにかく、このまま気づかない振りをするのが得策だな。と、考えがまとまった。

 歩く。

 音を立てずについてくる。

 歩く。

 音を立てずについてくる。

 歩く。

 音を立てずについてくる。

 歩く。

 音を立てずについてくる。

 歩く。

 音を立てずについてくる。

 歩く。

 音を立てずについてくる――の、永遠と思えるほどのエンドレス。

 だが、ここは教会の廊下。

 無限回路とか、大層な場所じゃないので終わりは早かった。

 扉を開けると、流れるように台所に滑り込み、冷蔵庫に食材を詰め込む。

 終わり、冷蔵庫を閉め、そこから固まる。

 振り向かないのではなく、振り向けないからだ。

 リースは既に気づいている。己自身が認知されていることに。

 俺も気づいている。リースが、ワザと認知する様に動いていたことを。

 一分経過。

 二分経過。

 三分経過――カップラーメンの出来上がり♪ と、おふざけしてみたかったが、そんな余裕は存在しなかった。

「……いい加減、振り向いたらどうだ? アキヒロ」

 声の質はリースだが、それ以外は別人だ。

 警戒しながら振り返る。

 そこには――

「――――!」

 吸い込まれそうな、紅い、紅い瞳。

 雰囲気も、無関心な感じだったが、今目の前にいるリースは違う。

 鋭く、射抜くように俺を見ている。

 リースには出来ない目。

 前世の戦士の本能が、最大級のサイレンを脳内に鳴り響かせる。

 ヤバイ。

 真っ先に浮かんだ考えだ。

「お前が持っている、ロストテクノロジーを渡してもらいたいのだが」

 ――あの手作りネックレスか!

「……悪いが、それはできない相談だし、俺と一緒に生まれてきたコイツが、ロストテクノロジーだって? 笑い話にも、出来すぎているのでは?」

 リースに、首に掛けていたネックレスを摘んで見せる。

 内心、冷や汗を垂らしながら、平常心な声で答える。

「何?」

 俺と生まれてきた。の部分に反応した。

 俺はチャンスと言わんばかりに畳み掛ける。

 ……嘘じゃないからな。

「調べれば判る。当時の病院じゃ、話題だったから。古株の連中に聞けば一発だぞ?」

 悩むそぶりを見せるが、すぐこちらを見る。

「…………しばらくは、お前に預けておく。だが、少しでも不穏な動きがあれば――わかるな?」

 殺気染みた視線が襲い掛かる。

 この程度なら耐えられる。

「ああ、約束する。時期が来たら、そちらに渡す」

「時期、だと?」

「今は……、まだ言えない。だけど、信じてくれないか? いつか、話すから」

 真っ直ぐな瞳で、リースを見る。

 リースは肩を竦め、扉へ向う。

 そして、ドアノブに手を掛け、顔だけこちらを向いた。

「最後に一つ。この事は、他言無用で頼むぞ」

「わかっています」

 僅かに笑い、部屋を出て行く。

 パタンと、閉まった音を聞いた後、少しだけ気配を確認する。

 こちらへ戻ってこないことを悟ると、

「ふぅ~~」

 壁に寄りかかりながら、床に座り込む。

「経験と知識は別もとと言うが、まさかここまでとは……、耐えられただけマシ、かな」

 心地よい疲労感に襲われつつも、立ち上がって、モーリッツの元へ戻っていった。

 

 

 

「しかし、遅いですね。何をやっているのだ?」

「これだから地球人は……」

 と、囁き始める、月大使館の高官たち。

 高官たちのいらだちが募り始めてきた時、

「すいません、遅くなってしまいました」

 扉を開け、深々と頭を下げる俺。

 待たせたら、まず謝る。

 騒ぎを起こさないための対処の一つ。

「モーリッツさん、何か?」

「実は、あれを――」

 とある高官が、懐から包みを差し出してきた。

 それを受け取りながら、

「これをどうすれば?」

「私たちの代わりに、フィーナ様に届けてもらいたいのです」

「フィーナ? フィーナ・ファム・アーシュライト……、姫のことですか?」

「ええ、そうです。早急にお渡ししなければならない物なので。場所は、この紙に書いてあります」

 モーリッツは、ポケットから紙を取り出し、俺はそれを受け取った。

 そして、片手で紙を開くと――トラットリア左門の隣の家だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かに出逢う者たちの物語・外伝Ⅱ

夜明け前より瑠璃色な

~Memory of the past and the tomorrow's future~

 

 

第三話

 

 

END

 

 

 

 

 

次回予告

 

モーリッツに用事を頼まれ、月の姫のホームスティ先へ行くことに。

その途中で、ハイテンションの代名詞、遠山翠と、達也の妹の、朝霧麻衣と出会う。

翠に散々言われながらも、朝霧家につく。

そこで月の姫、フィーナ・ファム・アーシュライトと出逢う。

そして……

 

 

次回

何かに出逢う者たちの物語・外伝Ⅱ

夜明け前より瑠璃色な

~Memory of the past and the tomorrow's future~

 

第四話

一つの運命が動き出す日(中編)




 少し悩みましたが、完成です。
 が、二話目の予告変更が発生。
 予告でフィーナと会うはずが、結果的にまだ合えてません。
 やばっ。(汗
 ってな訳で、訂正します。
 第四話で、旧メンバーオールスターズです。
 そういえば、メインヒロインのエステルは、いつ出るんだろう?
 いや、プロットは出来ているのですが、何分全体を通してのと言う訳で。






制作開始:2007/01/23~2007/1/30

打ち込み日:2007/1/31
公開日:2007/1/31

変更日:2008/10/24


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第四話

 一吹きの風が抜け、日は傾き始め、時計の針は二時を指している時。

 俺は、月居住区の目抜き通りを歩いている。

 やはり、どこと無く浮いているのか、僅かに視線を感じる。

 俺も有名になったものだな。

 と、馬鹿な事を思いつつ、居住区を抜けた。

「にしても、やはり感覚が違うな」

 橋の中間辺りで呟いた。

 前に進めば、開放感的で豊かな雰囲気。

 後ろに下がれば、閉鎖的ながら洗礼された雰囲気。

 両者共に交わることの無い領域。

「これがホントの、見えない壁、ってか」

 後頭部を掻きつつ、地図を見ながら歩き始め――

「あぁぁぁぁぁっ! 裏切り者発見、即座に尋問開始!」

「 ? 」

 声の発信源の方を向く、俺。

 正直、人の習性なんだよな。と、思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第四話

 

一つの運命が動き出す日(中編)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 駅前のとある場所にあるアイス屋『カントリー・カントリー!!』に、二人の女の子がいた。

「すいませ~ん。バナナバニラアイスを一つと、遠山先輩は?」

 茶色い髪の女の子が、緑色のポニーテイルが目立つ、翠に声を掛ける。

「う~ん……、おじさん、今日のオススメは?」

 その言葉に、おやじさんの瞳は輝きを増した。

「この――スパイラル・エキストラ・デンジャラ――」

「チョコレートクレープ、一つ」

 生き生きと喋るおやじさんを、別の品物で看破した、翠。

「…………あいよ」

 ものすごく落ち込むおやじさん。

 その作業する姿は、惨めに近いものを感じた、二人だったりする。

 で――

「おまちどうさま。合計で750円です」

「はい、これで」

 翠が、お会計ピッタリの金額を払う。

「毎度ありがとうございました」

 決まり文句を言うおやじさんを背に、店を後にする翠と、女の子。

 翠が食べながら専攻し、麻衣が後を追う格好となっている。

「いいんですか、遠山先輩」

 お会計の事で、少し驚く女の子。

「いいの、いいの。麻衣には、いつもお世話になっているから」

 お気楽に答えつつ、チョコレートクレープを頬張る。

 それからは、麻衣と他愛も無い会話をした。

 今日や最近の出来事。

 今後の事。

 お喋りしながら、いつもの帰り道である土手を歩いていた。

 そして、月居住区の橋の近くに差し掛かった時――

「あぁぁぁぁぁっ!」

 翠がいきなり叫んだ。

 橋の真ん中辺りにいた人も、何事かと顔を上げる。

「とっ、遠山せ――」

 いきなりの出来事に、あたふたと戸惑う、麻衣。

「裏切り者発見、即座に尋問開始!」

「遠山先輩!?」

 翠は、勢い良く橋の真ん中にいる人の下へ駆け寄っていった。

 もの凄いで。

 

 

 

 やばっ。

 遠山翠、だっけ? 放置したまま店を出て……、それから音信不通。

 マズイ、不味い、拙い、まずい!

 本能が叫ぶ。

 走れ。振り切れ。早く逃げろ、と。

 またも、前世の記憶が語り始める。

 が、よく考えてみれば、あんな女性がここにもいるなら、世界中に溢れている。

 考えは纏まり、戦闘時コマンド『迎え撃つ』を選んだ。

 が、それがマズかった。

「遠山さん、アタァァァァァァァァァァァク!」

 突撃しながら突き出された拳は――

「あ!」

 足を滑らせた。

「え?」

 故に、攻撃ポイントが下にズレ――

「――――!」

 直撃!

 クリティカルヒットで、鳩尾に750のダメージ。

 ついでに45のオーバーキル発生。

 崩れ、大地――正確には橋の上だが――に倒れる、俺。

 何でこんな時に限って、綺麗にはいるかな。

 そう頭の中で考えるのだった。

 

 

 

 只今、土手を歩いてます。

 あと15分以内で、目的地に着くとの事。

 翠は謝罪を続け、俺は女の子に支えられながら歩いている。

「遠山さんは、海よりも深く反省しております!」

 と、さっきから何度も頭を下げている翠。

「っ、く……、ああ」

 呻きながら答える、俺。

 直撃だからキツイって言うか、体全体に響いたから。

「本当に大丈夫ですか?」

 俺を支えながら、気遣ってくれる女の子。

 幼さは残るものの、遠山よりも女らしく見える。

「ああ……慣れてるから」

 愛想笑いを見せる。

 そうですか。と言って苦笑する、女の子。

「で、遠山。いい加減止めてくれるか? 五月蝿くてかなわん」

 頭をペコペコ下げられるのに、いい加減嫌気が差してきたので、矢の如く言い放つ。

「がぁぁぁぁぁぁぁっん! 遠山さん、大ショックですよ! 慰めて~、麻衣ぃ~」

 シクシクと泣き真似の仕草をしながら、反対側に回って、女の子――麻衣に泣きついた。

 どうやら直撃したらしい。

「あっ、ああ、遠山先輩、しっかりしてください」

 麻衣は、俺を支えつつ、翠を慰める。

 感想――器用だな。

 と、いい加減はなれるか。これ以上負担を掛ける訳には。

「あ、もう平気なんですか?」

「ああ、大分収まったから。ありがとう」

 離れながら答える。

「ううっ、麻衣まで私の事見放すの?」

 少し半泣きになる、翠。

 俺と、麻衣は顔を見合わせて苦笑し合う。

 それからは、翠から色々尋ねられた。

 今まで何処にいたのか?

 何処から来たのか?

 歳は?

――と、質問内容は、その辺の転校生と余り変わらなかった。

 途中で、翠と別れた。

 どうやら、途中までは同じ道のりだったらしいが、ここからは反対側だと言って、家に帰っていった。

 ただ、彼女の背中は寂しさを訴えるモノがあるが、日の浅い俺が聞き踏み入れる領域ではない。

 それこそ、親しい友人が聞くべきである。

 ただ、俺はそこまでのレベルに達していないだけ。

 一時の想いよりも、長い年月を重ねた絆の方が、人と人の繋がりを示せるモノだから。

 ただ、それだけ。

 そう、たったそれだけなのだから。

 その想いだけが、俺の体にのしかかってきた。

 

 

 

「……さん、時覇さ~ん?」

 いつの間にか、ボケッとしていたらしい。

 麻衣の顔が、ドアップでされているから。

 俺は、驚くが大声は出さなかった。

「着きましたよ」

「ああ、ありがとう」

 顔を上げ、家を見る。

 見るからに中流階級の家。

 上でも下でも無いが、普通よりもちょっと良い家。

 だが、俺には眩しく見えた。

 家の雰囲気で。

 幸せな家庭。

 幸せな絆。

 誰でも受け入れる。

 そんな雰囲気の家。

 今のご時勢にはほとんど無い、本物の家族の家。

 俺みたいな、たとえ記憶でも血に染まった事がある者が、近寄って良い場所ではない。

 多分、この家は、そんな俺でも受け入れてしまうのではないかという雰囲気がある。

 ただ、ここまで来て、何か足りない雰囲気がある。

 それさえあれば、文句無しの完璧な家庭であるのに。

 そう思いながら、

「じゃあ、行きましょうか?」

「ああ」

 敷地内に、足を踏み入れた瞬間――黒い三つの影が襲い掛かり、前に飛び退いた。

 そして、前転しながら立ち上がり、間合いを取ったつもりだったが、

「わふっわふっわふっわふっ!」

「うおうん!」

「わんわんっ!」

 大、中、小の三つの影に押しつぶされた。

「…………」

 一連の動きを目の辺りにして固まる、麻衣。

 乗っている連中は、とくに邪気は無かったので抵抗はしなかった。

「って、こら! カルボ、ペペロン、アルビ、駄目じゃない」

 フリーズから回復した麻衣が、俺にのしかかった犬たちを下ろしながら、やさしく叱る。

 完全に退いた事を確認してから、毛と埃を掃いながら立ち上る。

「人懐っこい犬だな」

 苦笑した。

 動物には、余り良い印象は持ってもらえないタイプなんだが、どうやらこの三匹は交友的だった。

 はははは、心配してくれるのか?

『わん!』

 一斉に吠える、三匹の犬。

 麻衣は麻衣で、いきなり綺麗に吠えたので、目を白黒させている。

 また苦笑。

 こいつらエスパー犬か? それはそれでどうでもいいか。

「イタリアンズ、どうし――麻衣ちゃん、おかえりなさい」

 ほのぼのした女性が、ベランダから出てきた。

「ただいま」

 癒し系の人か。

 ただ、何とも言えない雰囲気の後ろに、鋭い何かがあることだけは判った。

「あら、そちらの方は?」

 俺の事か。

「はじめまして、晴山彰浩です。彰浩で構わないので」

 あまり芸が無いが、これが一番良い方法だろう、うん。

「あ、ご丁寧にどうも。私は、穂積さやかと言います」

「さやか……、というと、月大使館のカレンさんのご友人ですか?」

「あ、そうですけど。カレンの知り合いってことは――」

「あ、俺、地球人なんで」

「あら」

 俺のフォローと、まとまった考えのギャップの違いに、目が点になる。

 カレンを知っているので、月大使館の関係者だと思ったんだろう。

「実は、教会のモーリッツさんから、フィーナ姫宛に、物を届けに着ました。できたら、直接渡したいんですが――います?」

 微妙な敬語使いになりつつも、

「え! もう着てるの!?」

 何故か、麻衣が反応する。

 どうやら詳しいことは知らないらしい。

 人の事は言えない立場だが。

「ええ、こちらに。麻衣ちゃんにも、きちんと紹介しないとね」

 ウィンクしながら答える、さやか。

 やりてか。

 と、どうぞどうぞと言わんばかりに、玄関を開ける。

「た、ただいま」

 姫がいるとの事で、自分の家なのに緊張している。

 当たり前と言えば、当たり前かもしれないが、前代未聞には違いない。

「お邪魔します」

 麻衣に付き添うように、家に入る。そして、

「へぇ~」

 入って見た、第一印象の感想だ。

 やはり、と言うべきか。

 外見で感じ取ったモノと同じ――いや、それ以上だった事に驚いた。

「どうかなさいましたか?」

 スリッパを出しながら尋ねてくる、さやか。

「いや、何でも無いです――お邪魔します」

 返事をしながらスリッパを履く。

「どうぞ、どうぞ」

 入って入ってと、手の動作をする、さやか。

 愛想笑いを浮かべながら頷き、麻衣を押しながら、後についていく。

「お、押さないでください」

 情けない声を上げて講義するが、聞こえないフリ。

 これは、基本だと教わったことが――ある、訳が無い。

 と、アホな考えを思い浮かべている内に目的の場所に着いた。

 時間は、僅か20秒。

 リビングが近いタイプの家である。

 建築家ではないので、それが良いのか悪いのかは知らんが。

「こちらです――ミアちゃん、フィーナ様」

 その声に二人の女性が顔を上げる。

 片やメイド服を着て、黒い髪にカチューシャ。

 メイドオタク辺りが見たら、写真を取らせてくださいと言うセリフの押収と、膨大なシャッター音が、頭の中に描かれる。

 それは置いといて。

 片や蒼白い髪に青をベースにしたドレス。

 腕の袖や胸元、ティアラについている青い宝石が目に付く。

 が、構成に作られた偽者。

 本物は、それなりの場か、公正な場所以外では身に付けることは無いだろう。

 しかし、綺麗だ。

 いや、美しいと言うべきだろう。

「あ、さやか。そちらの方は?」

 首を傾げて、俺と麻衣を見る。

「ええ、こちらが――」

「あ、朝霧麻衣です! ほっ、本日はお日照りも良く――」

 その言葉に、俺とさやか、フィーナ姫とメイドは軽く笑う。

「麻衣ちゃん、そんなに畏まらなくても大丈夫だから」

「ふふっ、私は月王国の王女、フィーナ・ファム・アーシュライトと申します。はじめまして、麻衣様」

 スカートを両手で摘み、軽く会釈した。

 努力を行い続けて身に付けた、気品と動作。

 腕のいい者にとかせた、全くと言っていいほど癖の無い髪の毛。

 雰囲気からしても、その辺にいる女性とは比べ物にはならないモノを纏っている。

 まさに、どれをとっても一級品の芸術品と言って良いかどうかは判らないが、とても美しい女性である。

「それで、アナタ様は?」

「あ、俺? ――失礼しました。私は、晴山彰浩と申します。このたび、モーリッツ様より、お預かりした物をカレンさんの代わりにお届けに参りました」

 いい終わってから、腰のポシェットから包みを取り出だす。

「カレンの代わりに? 何かしら?」

「私は、ただ渡して欲しいと頼まれたので」

 渡しながら答える。

 しかし、この場で開けず、

「ミア、コレを部屋に持って行ってくれるかしら、っと、そういえば、ミアの自己紹介がまだだったわね」

「あ、そういえばそうですね。改めてはじめまして、麻衣様、彰浩様。私は、ミア・クレメンティスと申します」

 こちらも丁寧に頭を下げる。

 こっちは、気品とかはそれほど無いが、この仕事に誇りを持っている。という、強い意志を感じる。

 前世の俺も、こんな感じだったんだろうな。

 それで今の俺は、前世の記憶に翻弄されっぱなし、か。

 この子の意思の強さは、天と地の差だな。

 そう考えると、やはり気分が暗くなる。

「――、……さま? どうなさいましたか?」

「い、いや、少し考え事をしてただけだから」

 ほとんど条件反射の答え。

 身に染みてるんだなと、心の中で吐き捨てる。

 そんな時、ふとした言葉が出た。

「そうだわ。彰浩君、今日一緒に夕食でもどう?」

 ウィンクしながら提案する、さやか。

「夕食、ですか?」

 俺は、その誘いに目を白黒させるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かに出逢う者たちの物語・外伝Ⅱ

夜明け前より瑠璃色な

~Memory of the past and the tomorrow's future~

 

 

第四話

 

 

END

 

 

 

 

 

次回予告

 

さやかに夕食に誘われる、彰浩。

彼は戸惑いながらも、一度教会へ戻る。

そして、月の姫、フィーナ・ファム・アーシュライトと、大きな運命と直面する青年、朝霧達也と、出会いと再会を果たす事に。

そのあと、許可を貰い、再びトラットリア左門に向う、彰浩の姿があった。

今ここに、月と地球の歴史の歯車が、再び噛み合い始める。

 

 

次回

何かに出逢う者たちの物語・外伝Ⅱ

夜明け前より瑠璃色な

~Memory of the past and the tomorrow's future~

 

第五話

一つの運命が動き出す日(後編)




 二度も予告内容がズレた!
 計画できてるのに対して、後ろへ後ろへズレ込んでいく。
 よあけなの大まかな話は出来てるが、細かい一話一話の話が、未だにパソの前に座って考える。という、悪循環法則が続いてます。
 が、まともな話が書けてる事に、驚きを隠せない状況。
 でも、本気でそろそろ直さないと不味いかも。
 とくに、オリジナル小説を書く時は。
 とにかく、よあけなSSは、まだまだ序盤の話。
 総数話が、何話になるのかは、私にも判りません!
 ので、今後の展開にこうご期待!






制作開始:2007/1/31~2007/2/16

打ち込み日:2007/2/16
公開日:2007/2/16

変更日:2008/10/24


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何かに出逢う者たちの物語のサンプルページ

 

 

 

世界には、絶対なる存在は『王』と呼ばれる。

精霊王、海王、竜王と様々な王がいる。

無論、人間にも。

だが人間の王は、所詮権力の象徴にしかすぎず、多数存在する。

精霊王は、全精霊の王であり、長でもある。

海王も、また同様であり、竜王も右に同じ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それらは一つしか、存在しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だからこそ、大いなる……人間には、禁忌の力。

その力に見入られ、欲する男がいた。

だが、儀式は失敗し……王々は、この世界から消え始めていった。

しかし、男は諦めなかった。

消え始めた王々の力を一つにまとめ、異世界の者に定着させることを思いついた。 そして……儀式は成功した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、ここで誤算が生まれる。

余りにも大きすぎた力は、二つに分かれてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その力は――異世界で、まだ赤ん坊だった二人の男の子に……植え付けられてしまった。

それから十数年……

二人の男の子は、少年となり――青年となっていったが、

それまでの間に起きた出来事は、不幸でありながら正反対だった。

片方は、物心つく前に両親が交通事故に遭い、孤児として施設に預けられたが、ある夫婦に引き取られた。

だが片方は、文武共に才を見出せなく、親――父親に見捨てられ、孤独となってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、青年になった時……運命が奏でる曲と、悪戯が――

二人の青年を

異世界へと誘う。

そして、運命、螺旋、信頼、真実――何かに出逢う……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは――

何かに出逢う者たちの物語

 

 

 

 

第一部:エターナルメロディ~運命に出逢う者~

 

 

 

 

第二部:悠久幻想曲~信頼との出逢い~・前奏曲

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、サークル・闇砲『闇の小部屋(本館)』で、不定期連載中!

 

ただいま連載中は、『第三部:エターナルメロディ~真実に出逢う者~』の第二話まで、公開中。

 

最後に注意事項で、ここはたまにしか更新しない為、連載が進んでいる場合があるので、注意してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

制作開始:2006/2/28

 

打ち込み日:2006/2/28

公開日:2006/2/28

 

 

 

 

 

 

 

 

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 データの最終確認中に見つけて、こんなのも作っていたのかと思いつつ、思い出なので記載。


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