ゾンビが人間を守って何が悪い (セイント14.5)
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レベル0.歴史のお勉強 ※未プレイの方は読むことを推奨します。

未プレイの方のために、Destiny1やそこまでのストーリーを簡単に会話形式で説明します。既プレイの方は、読まなくても大丈夫です。


※登場人物


ケイド6…人類の守護者ガーディアンの三つの職業のうち、『ハンター』を代表するリーダー。エクソと呼ばれるアンドロイドでお調子者。いつも外に出たがっている。


イコラ・レイ…ガーディアンの職業『ウォーロック』をまとめる。種族は人間。疑問はそのままにしておかないタイプ。


ザヴァラ…ガーディアンの職業『タイタン』を統括する。アウォークンとよばれる、肌の白い人類の派生種族。頭の固さと責任感では誰にも負けない。





Destiny1からDestiny2までの少しの間…

 

タワー、バンガードの会議室

 

 

「イコラ、こんな時間に呼び出してどうした?もしかしてデートのお誘いか?俺はいつでもOKだぞ!さあ!」

 

 

「ケイド。聞きたいことがあるの」

 

 

「なんだ?まさか…スリーサイズか!?ちょっと待ってろ、今測ってくる!」

 

 

「違う。ケイド、あなたはトラベラーと我々の歴史についてどのくらい知ってる?」

 

 

「哲学的な質問だな。例えるなら…」

 

 

「いいから答えて」

 

 

「なんだよ…歴史だろ?俺たちの」

 

 

「そうだな…まずはトラベラーだ。真っ白の超デカイ球体!それが火星に現れて、俺達にすんごいテクノロジーをプレゼントしてくれた!」

 

 

「人類はもう大喜び!黄金時代の到来だ!太陽系のどこにも、人間が住んでない星なんか無くなった!あと俺が産まれた!これは一番大切だ。テストに出すぞ」

 

 

「エクソ。自己増殖機能を備えた、超高性能アンドロイド。あなたもその一人よね、ケイド」

 

 

「ああ、そうさ。おでこの角がチャーミングだろ?」

 

 

「そんで…あー…そのあと…」

 

 

「暗黒」

 

 

「そう!暗黒…ってなんだっけ?」

 

 

「はぁ…外宇宙からトラベラーを追ってきた敵性体の総称。トラベラーがガーディアンにもたらす『光』の力に対して呼ばれるの」

 

 

「暗黒には4つの種類がある。宇宙を放浪し、略奪と虐殺を繰り返すフォールン。虫と死の神を崇め、生物のことごとくを喰らい、侵し尽くすハイヴ。その圧倒的な軍事力で複数の銀河を手中に収め、未だ侵略を続ける大帝国カバル。そして、星の機械化と時間改変による我々の排除を目論む機械の集団。暗黒の中の暗黒とも呼ばれるベックス」

 

 

「あー。そうだったな。つまり暗黒は敵だ。そんでトラベラーと人間はそいつらと、それはもう戦ったんだ!」

 

 

「でもダメだった。もう全然。負けばっかり。人類はついに月まで奪われて、地球のこんなところにまで押し込まれた」

 

 

「もうダメか…そう思ったその時!地球に移動していたトラベラーが最後の力を振り絞り、暗黒を撃退…はしてないが押しとどめた!」

 

 

「そんで、トラベラーが最後に放ったゴースト達…ガーディアン用のナビゲーターで、トラベラーの子機みたいなもんだな。意外とおしゃべり。…とにかくそれを使ってガーディアンを生み出した」

 

 

「そこからは私が話そう」

 

 

「ザヴァラ!来てたのか!」

 

 

「今来た所だ」

 

 

「ガーディアン達は暗黒に対し勇敢に戦い、壁を築き、『シティ』と『タワー』を築いた。今我々がいる所だな」

 

 

「我々は団結し、バンガードを作ってガーディアンを組織した。ガーディアン達に装備を提供し、訓練を施し、送り出してきた」

 

 

「もちろん予期せぬ危機が我々を襲うことが何度もあった。ガラスの間…ハイヴの王子クロタ。エルダーズ・プリズンの挑戦…そして邪神オリックス…しかし、その度に、彼らは我々と共に戦い、勝利を収めた」

 

 

「彼ら…今は何をしてるのかしら」

 

 

「さあな。暗黒と戦ってるのだけは確かだ」

 

 

「新たな武器を求めて?」

 

 

「かもな」

 

 

「とにかく、そうして我々は今日もガーディアンとして、人類を守っているわけだ」

 

 

「というわけで、今日の会議を始めるぞ。二人とも位置につけ」

 

 

「イコラ。歴史をうまく言えた俺へのご褒美は、一週間外出権がオススメだぞ!」

 

 

「ダメ」

 

 

「なんだって!?」

 

 

「おい。早く位置につけ。ハンターのうちの一人が妙な反応を見つけたらしい。そう言ったのはお前だろう、ケイド」

 

 

「ああ、そうだった。俺が思うにアレはカバルだと思うんだが…」

 

 

 

Destiny2へ続く

 

 



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レベル1.我こそはガーディアン

初投稿です。


「…弱ったな」

 

 

さっきより勢いの強まった吹雪を見てつぶやく。

いくら敵が少ないとはいえ、やはりこんな山道を選ぶんじゃなかった。洞窟の壁にもたれかかりながら、今更意味のないことを考えて暇をつぶす。

 

 

『吹雪は少なくとも一晩、最長で二日ほど続く可能性があります。船を呼んで、一度シティへ戻りませんか?ここは寒くて…』

 

 

私のゴースト…ガーディアンのナビゲーターがわざとらしく震える。ひし形のシェルに入った大小の亀裂がこすれ、カチカチと音を立てる。

私はゴーストを手で制した。この手の冗談は嫌いだ。つまり、全くありえない仮定をするような…。

俺達が帰るべきシティはもうない。ついでに、ゴーストに寒さを感じる機能もない。

 

 

…そう。我々が、文字通り命をかけて守ってきたシティは、ついに敵の手に落ちたのだった。

カバル。レッドリージョンという一派だった。突然の襲撃に、我々は完全に敗北した。

シティを愛するタイタンは、カバル戦艦の砲撃から街や市民を守るため立ちはだかり、そのまま死んだ。

ハンターは飛び回り、何とか敵を減らすよう立ち回ったが、そのことごとくが失敗に終わった。

ウォーロックは混乱を鎮め、解決策を導き出すことに躍起になったが、答えはどこにもなかった。

 

 

我々は負けた。

俺もガーディアンとして戦ったタイタンの一人だった。

今では…頼るべき光も無い放浪者に過ぎない。

 

 

「これからどうすればいい?」

 

 

私はゴーストに尋ねた。ゴーストは俺よりずっと賢い。知り合いのウォーロックにこう言うと、全くナンセンスな考えだと笑われるのだが、少なくとも私はそう感じている。

 

 

『…あなた以外にも生きているガーディアンがきっといます。まずは彼らと合流しましょう』

 

 

「生きている、ね。光のないガーディアン…人類を守れないガーディアンは、本当に生きていると言えるのか?」

 

 

『…だとしても、これから生き返るのです』

 

 

「どうやって?」

 

 

『トラベラーの光を失いましたが、必ず取り戻す方法があるはずです。それを見つけましょう』

 

 

「俺が生き返るのと、みんなと合流することのどっちを先にやればいいんだ?」

 

 

『…お好きなように』

 

 

「そうか。なら、まずは光を取り戻そう」

 

 

自分でも意地の悪い問答だった。ゴーストをいじめるつもりはなかったのだが…光を失ったことで、無自覚のうちに精神が不安定になっていたのかもしれない。

 

 

光。ガーディアンの力の源にして、トラベラーを象徴するもの。曰く、生物、無機物…あらゆるところに存在するエネルギー。曰く、無限の勇気、情、奉仕の心…精神的パワー。実のところ、よく分かっていない何か。

これがないと、ガーディアンは何もできない。敵に撃たれれば死ぬし、復活できない。ガーディアンにとって光を失うということは、両手足をもがれ、感覚器官をすべて奪われたに等しい。

 

 

「よし…まず光だ」

 

 

なればこそ、取り返さなくてはならない。光を。力を。使命を…ガーディアンとしての、命を。

 

 

 

・・・・・

 

 

 

夜が明けてしばらくすると、嘘のように吹雪が止んだ。降り積もった雪を何とかかき分けて外に出ると、周囲を一望する。

真っ白な雪と、淡い水色の青空が目に入った。というより、それしかなかった。目印になるようなものが全くない。

 

 

「これはまずいか?」

 

 

ゴーストに尋ねる。

 

 

『問題ありません。自分の位置もわからないゴーストはいません。問題は、しばしばガーディアンの居場所を見失うことですが…』

 

 

問題なさそうだ。ゴーストのナビに従い、歩を進める。

一歩。雪に足が沈む。

二歩。膝まで沈む。

三歩。腰まで雪が積もっているのか?

四歩…

 

 

『ガーディアン、止まって下さい!ガーディアン!』

 

 

五…

 

 

「ゴースト?どうし…」

 

 

瞬間、嫌な浮遊感が私を襲う。

 

 

『ガーディアン!ああ…まずい…!』

 

 

どうやら、私は雪山のクレバスに思い切り足を踏み入れていたようだった。

崩れ落ちる雪とともに、割れ目の底へ落ちていく。

景色が妙にスローだった。ゴーストの声が遠くなっていく。走馬灯。何度も見た景色が、視界に現れては消える。

 

 

いや、大丈夫だ。ガーディアンは死んでもゴーストの光の力で蘇生してもらえるのだから…

…光?

 

 

「…っぁあああああーーー!」

 

 

死ぬ!死ぬ!このままだとまずい!

二度と生き返れないことを思い出した俺は、がむしゃらに手足を伸ばした。

ボロボロになったグローブが氷壁を引っかく。落ちるスピードは変わらない。

ブーツで氷を蹴る。スピードはだんだん早くなる。

真っ暗なクレバスの底が近づいてくる。

 

 

 

重い衝撃。俺はたった数秒のうちに、意識を手放した。

 




あとがき

Destinyの世界観が好きなのですが、二次創作は少ないのが残念だと常々思っていました。
だったら作ればいいじゃないかぁ(ひらめき)


ちょっとした設定

主人公は名もなきガーディアンです。ちなみにタイタンですが、これは私の好みです。
時系列はDestiny2開始直後、レッドリージョンがシティを制圧した後です。主人公は人間です。まだ。

ヒロインや仲間は作るかもしれないし、このままゴーストがヒロインになるかもしれません。
これが欲しいぞ!という方は感想で伝えてもらえると、私がそれを読んで要望に応える可能性があります。


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レベル2.我こそはガーディアンだったもの

「…は、あ…」

 

 

『ガーディアン…ガーディアン!』

 

 

「…く…」

 

 

ゴーストの声が聞こえる。返事をしようとするが、その度に身体のどこかが痛み、言葉にならない音が出るだけに終わる。

 

 

『ガーディアン…状況を説明します』

 

 

『あなたはロシア連邦の雪山を徒歩で移動中、クレバスに足を滑らせて落下。今は…そのクレバスの底です。』

 

 

『あなたの身体に複数の骨折が見られます。ですが…』

 

 

「治るのを…ぉ…待ってる…暇は無い」

 

 

少しずつ意識がハッキリしてくる。しきりに痛みを叫ぶ身体をなんとか宥め、ゴーストに言葉を返す。

 

 

『…ええ。その通りです。ここは極寒の地…食料も熱源も無い今、このままでは…』

 

 

「…ぐ…つっ…あぁああ!」

 

 

『ガーディアン!無茶をしないで!』

 

 

ゴーストの制止を無視して、氷壁にもたれて無理矢理に立ち上がる。

目に見えて折れているのは左腕と左脚…特に左腕から地面に落ちたらしく、左肩から先は骨がないかのようにぐにゃぐにゃだった。

 

 

「はぁ…っ…ゴースト…左腕は…」

 

 

『…光があれば治ります』

 

 

「…はっ…」

 

 

何をするにも光。やることは結局変わりないようだった。

 

 

『ガーディアン…ここから少し歩きますが、洞窟を見つけました。人工のもののようです』

 

 

「…?」

 

 

こんなところに洞窟?しかも人工だと?

 

 

『ああ、いえ、人間ではなくフォールンの遺跡のようですので、人工ではなく…フォールン工?…うーん』

 

 

合点がいった。フォールンは地球上のどこにでもいるのだ。こんなところにいても不思議ではない。

 

 

フォールン。今となっては懐かしい、4本腕の略奪者にして、ガーディアンの戦うべき敵。

適応力に優れ、敵性技術を奪うとそれをすぐさま利用できるほどの柔軟性をもつ。それは、この地球の厳しい環境による洗礼を乗り切るためにも利用された。

フォールンは地球上のこういった所にも拠点を築くことで、ガーディアンの目から逃れることもあった。

 

 

…今の俺では、ドレッグ一体にも勝てないだろう。

 

 

 

『フォールンの機械が残っていますが、生きているフォールンはいません。戦闘の後、廃棄されたということでしょうか…』

 

 

なんとか歩きながら、その洞窟を目指す。

少しすると、橙色のうすぼんやりした光が見えた。

 

 

『電力が生きているようです。これなら…』

 

 

ゴーストが先行する。何かを持って帰ってきたかと思えば、金属の棒と長いコードだった。

 

 

『応急処置ですが、ギブスの代わりにはなるでしょう。私は探し物をしてきます。』

 

 

そう言うと、ゴーストはまた洞窟の奥に消えていった。

私は洞窟の入口に着くと、ゴーストが持ってきた資材を使い、左脚のギブスを作ることにした。片腕が使えないので、代わりに口を使った。

噛んだだけでも、コードはひどい味だった。今後どれだけ飢えても、これにかじりつくことは二度と無いだろう。

 

 

ひどく不格好なギブスを四苦八苦しながらなんとか一つ作り終えると、ゴーストが戻ってきた。

 

 

『ガーディアン…朗報です!通信機器が生きています!』

 

 

ゴーストが揺れる。シェルを回して、喜びを表現している。

 

 

「一体…誰と、通信するんだ」

 

 

『もちろんバンガード…ではなく………近くにいる…誰かです』

 

 

ゴーストはあまり動かなくなった。

シティが落ちた以上、こういう時に頼るべきバンガードもない。こんな状況で何を頼れというのか。

 

 

バンガード。ガーディアン達を統括し、シティを守るためにあった組織。三人のリーダーにより、ガーディアンはそれぞれの任務をこなした。

ザヴァラ…タイタンのリーダー。非情にも映るその行動は、しかしシティを守るためにいつでも万全を期すためにあった。

イコラ…ウォーロックの代表。常に冷静で、何にでも疑問を持って取り組む彼女の助言に救われた者は数しれない。

ケイド6…ハンターの取締役。彼の望まない役職に対する不満を聞かなかったガーディアンはいない。彼の親しみやすさと面白くない冗談は、ピンチの際に強力な支えとなったと言うガーディアンもいた。俺は信じていない。

 

 

今は、その誰もが、いない。

 

 

『とにかく、オープンチャンネルで救援要請を出してみます』

 

 

「…やめておけ」

 

 

『何故?』

 

 

「フォールンが…来るだろう…俺は、戦えない」

 

 

『…そうでしたね。ですが、それ以外に助かる方法は…』

 

 

「ゴースト…」

 

 

私は洞窟の壁を右手で指し示した。

 

 

『フォールンの死体があります。バンダルです。エーテルがまだ残っています。触ると危険です』

 

 

「使え…」

 

 

『使う…?一体何を考えているのですか?』

 

 

「左腕を作るんだ…銃は撃てるように…なる」

 

 

フォールンの機械技術は非常に高い。実際、フォールンの中には身体を機械化して戦闘するものも多く見られた。まさに、今目の前にいるフォールンのように。

フォールンとて二足の生物だ。ガーディアンと同じような構造をしているかもしれない。

 

 

『まさか…しかし!危険です!前例がありませんし、腕を機械化しても動くとは限りません!それどころか…』

 

 

「ゴースト…」

 

 

『嫌です。光を取り戻したって、一度改造してしまえば、その腕はもう元には治せなくなる』

 

 

「ゴースト」

 

 

『…ガーディアン…しかし、私は…』

 

 

「やれ、ゴースト…!」

 

 

『………』

 

 

「…頼む」

 

 

『…きっと失敗します』

 

 

「ああ…それでもいい」

 

 

何もしないよりは、誰かの救いを求めて死ぬよりは、ずっといい。

 

 

「俺は…死ぬまで、いや…死んでもガーディアンだ」

 

 

ガーディアン。人類の守護者。人間を守るために最後まであがいて死ぬなら、それも本望だ。

 

 

『…では、始めます。寝転がっていて下さい』

 

 

『麻酔はありません。せめてコードを噛んでおいて下さいね。それと…早めに気絶することを祈って下さい。』

 

 

そう言うと、ゴーストは薄い鉄板を取り出した。

ゴーストは私の左腕をしばらく見つめると、おもむろをその鉄板を振り下ろした。

 

 

「っっーーーーーー!」

 

 

 

 

『…ガーディアン…』

 

 

ゴーストの声。

 

 

『ガーディアン…申し訳ありません…』

 

 

「どう…した…」

 

 

失敗したのか?そう思って首を左に向ける。

そこには、よく見る腕があった。

 

 

「…なんだ…」

 

 

そう。俺がいつも殴り倒していたバンダルの腕。

カチャリと軽い音を立てて、その腕は自身の望むように動いた。

 

 

「成功したのか…よかった」

 

 

『ガーディアン…いえ…失敗です』

 

 

『フォールンは機械を動かしたり、生きるためにエーテルを消費します。普通はサービターが供給するのですが…』

 

 

「…まさか…」

 

 

『…ええ。その腕も、エーテルがないと動きません。それだけならともかく…』

 

 

ゴーストはためらうように俯いた。

 

 

『ガーディアン…その…あなた自身も…』

 

 

嫌な予感がした。

 

 

『エーテルが無くなると、全く活動出来なくなります』

 

 

「何故だ…機械化したのは左腕だけのはず」

 

 

『神経系を接続する際に、機械に残っていたエーテルが逆流しました。いえ、機械を動かすには必要なので、それは正しいのですが…ガーディアン…いえ、あなたとの相性が悪く、エーテルによる侵食が始まりました。』

 

 

『何とか侵食を止めた頃には、あなたの身体の中にエーテルが通っていない所はほとんどありませんでした。』

 

 

「…なんてことだ…!ああ…最悪だ…」

 

 

「…今、俺の身体には…光じゃなくて、エーテルが流れているのか?…」

 

 

「俺は…それでもガーディアンなのか?光のないガーディアンならまだいい…だが、望んでフォールンの腕を持ち…身体の中を、フォールンと同じものが流れている…ガーディアン…?」

 

 

「俺は…どうやって今の俺を…ガーディアンとして、定義すればいい?」

 

 

『ガーディアン、気を確かに持ってください…』

 

 

「ゴースト…お前には俺が何に映る?」

 

 

『あなたははガーディアンです。それ以外のなにものでもなく…依然変わりなく』

 

 

「…嘘だな」

 

 

『そんなことは!』

 

 

「ああ…すまない。俺が認めたくないだけなんだ。自業自得だ。無理矢理ゴーストにフォールンの左腕をくっつけさせて、いざこうなってみれば…。死んで本望だ…なんて、本当に死んでみたら下らない。」

 

 

自嘲する。不思議と笑いが込み上げてくる。

 

 

『ガーディアン…』

 

 

「俺というガーディアンは死んだ」

 

 

「俺はもうガーディアンじゃない。俺のことをガーディアンと呼ぶな…今後一切」

 

 

『ガーディアン…!』

 

 

「二度は言わない…俺を苛立たせないでくれ」

 

 

『………では、ガーディアンにつき従わない私もゴーストではありませんね』

 

 

「なんと呼べばいい…俺も…お前も」

 

 

『…そうですね…では…』

 

 

ゴーストは少し考えるような仕草を見せた。

 

 

『ガーディアンであることを放棄したもの…ガーディアンとしての命を捨てた、動く屍ですね。分かりやすくゾンビでいいですか?』

 

 

「何とも言えないな。ゾンビか」

 

 

『…では、あなたが考えてください』

 

 

「いや、これでいいよ。…お前は、俺がガーディアンだったことの象徴だ。俺が捨てたガーディアンとしての命は、お前が預かっておいてくれ。」

 

 

『そうですか…では、私があなたの命を預かっている間、私を「ライフ」と呼んでください。あなたがガーディアンだったことを…その命を捨てたことを、忘れないために』

 

 

「分かった。…よろしくな」

 

 

『…ええ。初めまして、ゾンビさん。私は…ライフ。あなたのライフです。』

 

 




あとがき

あとがきはあったりなかったりします。
更新は不定期です。


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レベル3.略奪者の略奪者


第三話です。

敵の中ではフォールンが好きです。同種なのに派閥があったり、中には必ずしも敵対してないのがいたり、個性的なのが多いんです。




 

ガーディアン。トラベラーの従者にして、人類の守護者。

磨き上げたプラスチール製のヘルメットとガントレット。ジェットパックでどこまでも飛べる気がした。

 

俺は、ガーディアンであることに誇りを持っていた。

人類を守っている自負があった。敵をことごとく打ち倒し、全能感に浸っていた。

 

 

今はもうない。

 

…………………………

 

 

「いいことを思いついたんだ」

 

 

ぽん、と、わざとらしく手を叩く。

 

 

『きっと悪いことですね』

 

 

ゴースト…いや、『ライフ』がうつむく。ボロボロになったシェルも俺の腕のついでにちょっと直したらしい。

 

 

「お前にとってはそうかもしれない」

 

 

「だが、俺にとってはいいことだ。絶対に」

 

 

『そうですか…それで、一体何を思いついたのですか?』

 

 

「俺の身体をもっと機械化しよう。手始めに左脚だ。今ではまだ動くだけだ。戦えるようにしよう」

 

 

『…本当に死んでしまいますよ?』

 

 

「俺はゾンビだ。ちょっとやそっとでは死なん」

 

 

『それはただの…もういいです。バンダルを持ってきます。』

 

 

「頼む」

 

 

ライフが、俺の左脚に鉄板を振り下ろした。

 

 

 

『成功…で、いいのでしょうか。慣れてきた私に寒気がします』

 

 

「成功だよ。間違いなく」

 

 

俺の身体にくっついたバンダルの左脚が動く。接続には問題ないようだ。

 

 

『長さは調節しておきましたが、重さも何もかも違います。走ればバランスが崩れることがあるでしょうね』

 

 

ガシャガシャと新しい脚をいじくり回す。なるほど、これは確かに、走ることは難しいだろう。

 

 

「だが、ギブスのついた肉の足よりはマシだ」

 

 

『そうかもしれません』

 

 

「…む」

 

 

瞬間、目が眩む。左腕が妙に重く感じた。

 

 

『どうしました?』

 

 

「…目眩だ。それと…腕が、急にうまく動かなくなった」

 

 

『少し待ってください。見てみます…これは…』

 

 

『ゾンビさん。今すぐ通信機器を使って、オープンチャンネルで電波を流しましょう』

 

 

「どうして。危険じゃないか」

 

 

『あなたのエーテルが切れかけています。このままでは本当に死んでしまいます』

 

 

『電波を掴んだフォールンが怪しんでやって来るはず。それらの中には必ずサービターもいます』

 

 

「サービターを捕まえろっていうのか?」

 

 

『いえ。破壊しても構いません。サービターは破壊されても周囲にエーテルをまき散らします。それをこのタンクで集めれば…』

 

 

ライフが人間大の金属缶を取り出す。エーテルタンク。かつてフォールンの基地で、散々爆破した覚えがある。

 

 

「エーテルをそのタンクにどうやって集めるんだ?」

 

 

『…タンクを開けてれば勝手に入りませんか?』

 

 

「まさか!」

 

 

『生きているフォールンを見て学びましょう。実は、もう呼んであります』

 

 

電源の落ちたヘルメットの代わりに腕に取りつけたレーダーが赤く光る。

 

 

「…お前のそういうところは相変わらずだな。今度お前を握り込んでフォールンを殴ってやる」

 

 

『遠慮しておきます。敵はフォールンの一小隊。ドレッグ三体にバンダルが一体…まあ、斥候ですね』

 

 

「サービターがいないじゃないか」

 

 

『もっと後ろにいるようです。まあ、ドレッグ一体でも多少はエーテルを持っているでしょう』

 

 

「…クソっ!なんて無計画で無責任なやつなんだ!」

 

 

『あなたには言われたくありません!』

 

 

「ふん。ところで、武器はあるのか?」

 

 

『たくさんあります。フォールン製のものが』

 

 

「持ってきてくれ…いよいよ俺はフォールンの一員だな」

 

 

『これからフォールンを倒すんですが…ああ、いえ。フォールンは各ハウスで戦争してましたね』

 

 

ライフが俺にワイヤーライフルを手渡す。

アーク(電撃)エネルギーをまとった弾丸を打ち出す、バンダル用の武器だ。こいつに初めて撃たれた時は思わず叫んだぐらいには痛い。

 

 

「ああ。仲間内で殺し合うのはやつらの得意技さ」

 

 

久々の銃の感触。思いのほか軽い。左腕にもよく馴染んだ。

 

 

「よーく狙って…」

 

 

金属の折れた柱を支えに三本指になった左手を添え、右手でトリガーを握る。スコープがついていなかったので、とりあえず勘で撃つことにした。

 

 

レーダーが映す赤点が大きくなる。物音も聞こえる。既に洞窟の曲がり角を挟んで向こう側にいるようだ。

 

呼吸を抑える。右手に汗が滲む。つとめて肩の力を抜く。ここで死んだら、今までのように生き返ることはできない。フォールンは残虐だ。間違っても俺を生きたまま放り出すことはない。

 

失敗は許されない。

 

 

『…2…1…来ます!』

 

 

ゴーストの合図と同時にワイラーライフルの引き金を引く。

スプリングが水中で跳ねたような、特徴的な音とともにアークエネルギーの塊が走る。

 

 

「頼む!」

 

 

ライフルをリロードしながら祈る。どうか当たりますように。

 

 

『…ヒット!ドレッグ一体が沈黙。あと三体です』

 

 

「よし!」

 

 

ライフルを構える。奴らは少し混乱したあと、既にこちらに向けて腰を落として戦闘態勢を取っていた。

 

 

『バンダルを狙ってください!小隊長です!』

 

 

「分かってる!」

 

 

もう一度引き金を引く。今度はバンダルの前に出ていたドレッグの胸を撃ち抜いた。

 

 

『違います!そいつじゃない!』

 

 

「射線上にいたらどうしようもないだろ!ああクソ、もう一度だ!」

 

 

敵の攻撃が激しくなる。たまらず柱の裏に身を隠した。

 

 

『ドレッグが電磁ナイフを取り出しました!こちらに走ってきます!』

 

 

「うそだろ!?」

 

 

まずい!近接戦闘も想定しておくべきだった!

 

 

『来ます!ジャンプしました!直上!』

 

 

「っーーーー!」

 

 

ドレッグがナイフを両手に持って飛びかかってくる。フォールンの中では一番下っ端の、失うもののないドレッグにとってお得意の戦法だった。

たまらず転がって回避する。

 

 

「っがあああああああ!」

 

 

骨がきしむ。激痛が走った。ここに落ちてきた時に細かいところにヒビが入っていたらしい。これ以上激しい動きはできない。

 

 

何とかライフルを構える。向かってくるドレッグに向かって電流が走った。

 

 

「ギュアアアア!!」

 

 

ドレッグの悲鳴。右脚が吹っ飛んでいた。切断面が焦げつき、血が流れていた。

 

 

「左だったらお揃いになれたかもな!」

 

 

ライフルを撃つ。今度は頭に命中した。ドレッグはしばらく痙攣したあと動かなくなった。

 

 

『あと…あ、いえ。撤退していきました』

 

 

「フォールンが撤退?」

 

 

『いくら気性の荒いフォールンだって撤退ぐらいするでしょう』

 

 

「…そうかね」

 

 

『それよりエーテルです。このドレッグ…はダメですね。最初に撃った方…ありました』

 

 

ライフがドレッグのつけていたマスクを引きはがす。パイプの先にはドレッグがつけていた小さな箱が繋がっていた。

どうやらこれにエーテルを貯めてあるらしい。

 

 

『つけて下さい』

 

 

「ウソだろ?」

 

 

『残念ながら、ドレッグと間接キスです。…生きるためです』

 

 

「クソ…」

 

 

しぶしぶマスクをつける。心なしかライフが笑っているように見える。後でお仕置きしてやることを心に深く刻む。

 

 

数回呼吸をすると、空気とは違うものが肺に流れていくのが分かる。恐らくこれがエーテルだろう。

だんだん思考が明瞭になり、機械化した腕が軽くなった気がした。

 

 

「まるで麻薬だな」

 

 

『そんなに【イイ】ものですか…エーテルというのは』

 

 

「ああ。お前も吸うか?」

 

 

『遠慮しておきます。それより、しばらくはそれをつけておいてください。今あなたの装備にくっつけます』

 

 

「フォールンと見分けがつかなくなりそうだ」

 

 

『今度は胴体も作りますか?』

 

 

「それもいいかもな」

 

 

『…あなたはフォールンになりたいのですか?』

 

 

「俺はフォールンじゃない。ガーディアンでもないが…」

 

 

『ですが…!』

 

 

ライフが一回転する。慌てている。

 

 

「どうした」

 

 

『フォールンが来ます!さっきより多い…!』

 

 

まずいことになった。

 

 



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レベル4.脳筋は銃で殴る

フォールンの援軍。まさしくピンチだ。正直に言うと、勝てる気がしない。

 

 

「フォールン…!詳しく分かるか?」

 

 

『ドレッグ5、バンダル3!それと…キャプテンがいます!サービターを連れています!』

 

 

「一部隊丸々来てんじゃねえか!一体何したんだ!?」

 

 

『何かしたのはあなたでしょう!?バンダルを取り逃したなら、仲間を呼んでくるのは当たり前です!』

 

 

「…確かにそうだが!ワイヤーライフルで全部倒すのは無理が…」

 

 

『ああ!もう来ます!構えて!』

 

 

「っ!」

 

 

キャプテンの雄叫びが洞窟内を反響する。どうやら怒っているらしい。同調したのか、他のフォールン達もそれぞれに声を上げる。

 

 

「…まさか、フォールンの大声に恐怖する日が来るとはな」

 

 

今までは、煩わしいとしか思っていなかった。慣れた頃には、もう意に介さなかった。自らの無力がどこまでも恨めしい。

 

 

「………ライフ。考えがある」

 

 

ドレッグから剥ぎ取った電磁ナイフを見つめる。エーテルも補給した今、身体は動く。

状況は、さっきとは違う。絶望ではない。むしろ…

 

 

 

……………

 

 

 

「いいぞ…そのまま来い…」

 

 

身をかがめ、フォールンを待つ。

 

 

『フォールン、曲がり角の向こう側に到達』

 

 

『…本当にやるのですか?あなたは元タイタンなのに…』

 

 

「だが、今はタイタンじゃない。なら、やることだって変わる」

 

 

『慣れの話をしているんですよ』

 

 

「やらなきゃ死ぬのは変わらんだろう」

 

 

『そうですか……来ますよ』

 

 

「よし…そのままだ…」

 

 

ドレッグが部屋に入ってくる。キョロキョロと辺りを見回す。

 

 

『…気づかないものですね』

 

 

「生き物は上下の動きに弱いのさ。フォールンもそうかは知らんが…」

 

 

俺は、柱を伝って天井の梁に登っていた。ハンターのマネだ。かつての俺はタイタンだったが、一度としてこんな卑怯なマネはしなかった。今回は仕方なく…だ。そうやって勝手に納得して、作戦通りワイヤーライフルを構える。

 

 

「ドレッグは後だ。次…」

 

 

続いて入ってきたバンダルに狙いを定める。

呼吸を整え、引き金を握る。エーテルを補給したおかげで、支えが無くても持ち上げられるようになっていた。

 

 

「…ふっ!」

 

 

特徴的な発砲音。何度聞いても慣れないな、なんてのんきなことを考えながら、リロードする。

弾丸はうまくバンダルの頭を撃ち抜いたようだ。プシュー、という音を立ててバンダルが倒れる。

 

 

「アレは、パイプからエーテルが漏れる音だったんだな」

 

 

続けてバンダルを撃つ。今度は肩に命中した。ドレッグの一体がこちらを指して叫んでいる。場所がハッキリとバレたようだ。

 

 

「やれると思うか?」

 

 

電磁ナイフを取り出し、強く握る。刀身はバチバチと音を立てている。

 

 

『やるしかありません。それに、これはあなたが考えたんです…残りはドレッグ5、バンダル1、キャプテンとサービターです』

 

 

部屋にキャプテンが入ってくる。榴弾ランチャーを構えている。アレはワイヤーライフルより痛い。いや、今は痛いじゃ済まないだろう。当たればどこかは確実に吹っ飛ぶ。

 

 

「行くぞ…行くぞ、クソ…行くぞ!」

 

 

ワイヤーライフルを適当に投げつけると、踏ん切りのつかない足を殴りつけ、不格好にジャンプしてキャプテンの頭に飛びかかった。

頭の装飾を掴んで張り付くと、キャプテンのやたら大きい叫び声が頭に響いた。

 

 

「ぅわあああああああああ!!」

 

 

ナイフをむちゃくちゃにキャプテンに向かって突き立てる。傍目に見れば、大人に駄々をこねる子供にも見える体格差だった。

 

 

「ぐっ…クソ!死ね!死ね!死んでくれ!死ねぇぇえ!!」

 

 

ナイフがひときわ深く突き刺さる。キャプテンが榴弾ランチャーを天井に向けて撃ち込む。金属片や氷が砕け落ち、俺の頭に当たる。

 

 

「づっ…このっ!」

 

 

「グオ…オ…ォ…!」

 

 

キャプテンのエーテル供給パイプが千切れる。首元から吹き出る血が顔にかかる。

 

 

「っーーー!ぐ、わ…!」

 

 

瞬間。背中に衝撃。

 

 

『バンダル!』

 

 

混乱から回復したバンダルが、俺に殴りかかってきていた。

 

 

「く、このやろ…!」

 

 

ナイフを振り回す。バンダルは身体を後ろに逸らして回避する。

 

 

「クソ!あともう少しなのに…!」

 

 

俺と電磁ナイフによる涙ぐましい努力により、キャプテンはもう死に体だ。だが、その周りがこれで終わらせることを許さなかった。

 

 

『【ガーディアン】!これを!』

 

 

「っ!【ゴースト】!」

 

 

放り投げられたドレッグのピストルを右手で掴む。

倒れていくキャプテンから飛び降り、そのままの勢いでドレッグをピストルの柄で殴りつけた。

 

 

『銃なんですから撃ってください!』

 

 

「うるさい!こっちの方が早い!」

 

 

飛びかかってくるドレッグを足で払うと、そのまま脳天に向けてピストルを撃つ。

 

 

「ほら!撃っただろ!」

 

 

『後ろ!』

 

 

「っぐお…!」

 

 

背後に鋭い痛みと温かい感触がする。バンダルが背中を切りつけたようだった。出血もしている。

 

 

『このままでは…!』

 

 

「先にこっちだ!」

 

 

バンダルを正面から蹴りつけ、姿勢を崩す。そのままナイフを肩に突き立てて倒し、今度は首を切りつける。吹き出る血で、視界が塞がれる。

 

 

「次!どこだ!ライフ!」

 

 

血を拭いながら叫ぶ。

 

 

『右手!三時の方向です!』

 

 

「こっちか!」

 

 

ピストルを撃つ。

 

 

『違います!そっちは九時です!』

 

 

「九時か!こっちだな!」

 

 

後ろ蹴り。ドレッグの腹に当たったらしい。

 

 

『違っ……納得いきません!』

 

 

「倒したんだからいいだろう!」

 

 

血が落ちてだんだん視界がクリアになる。残るは…

 

 

「ドレッグが2体。それと…」

 

 

『サービターです。今頃入ってきました』

 

 

ドレッグに対して応戦する。光も装備がないとはいえ、身体が動くなら遅れはとらない。1体は頭を殴りつけ、2体目はナイフを投げつけて殺す。

 

 

「さて…」

 

 

大きな黒の球体に、蛍光色の紫で縁どりされた円状の機械がいくつか埋め込まれた…一言で例えるならば目玉のような形をしたサービターがゆらゆらと浮いたまま移動している。こちらを見ているようにも見える。

 

 

「できればそのまま撃たないで欲しいんだが…」

 

 

サービターが動きを止め、機械的な甲高い音を立てる。装備されている砲を構えた合図だ。

 

 

『来ます!』

 

 

「やっぱりダメか!」

 

 

サービターはフォールンの中では一際装甲が厚い。ドレッグのピストルでは歯が立たないだろう。

 

 

「何か、何かあったか…」

 

 

ボイド…宇宙的な(実のところ俺にはよく分かっていない)…エネルギーを纏ったサービターの砲弾を転がってかわし、周りを見渡す。

 

 

『これを!』

 

 

ライフが、キャプテンの持っていた榴弾ランチャーを投げる。確かにこれなら十分なダメージが望めるだろう。

 

 

「くっ…重い!」

 

 

何とかランチャーを持ち上げ、サービターに向けて撃つ。一発撃つごとに身体がきしみ、後ろに吹っ飛びそうになる。

 

 

5発も撃つ頃には、俺の肩が外れかかる代わりにサービターは小さなクレーターだらけになっていた。

 

 

「これで…終わりだ!」

 

 

爆発音。榴弾ランチャーがサービターの中心に命中すると、サービターが高速で回転しはじめる。サービターは一定以上のダメージを追うと、形を保てなくなって自壊するようになっている…そう俺は思っている。

とにかくしばらく撃っているとサービターはみんなこうなるので、あながち間違いではない…ハズだ。

 

 

ひときわ甲高い音を立てると、サービターは爆発した。辺り一面に破片が飛び散る。

 

 

『終わり…ました。生きてます!』

 

 

「ハァ…ハァ…フー…」

 

 

ランチャーを床に落として息を整える。そういえば…

 

 

「お前…さっき俺のこと、ガーディアンって呼ばなかったか?」

 

 

『…いえ、気のせいでは?』

 

 

「………」

 

 

ライフを見つめる。

 

 

『………』

 

 

『…呼びました。いけませんか?それにあなたも私のことをゴーストと呼びました』

 

 

観念して白状したが、開き直るつもりのようだ。

 

 

『ガーディアン。やはりあなたはガーディアンとして動いた時の方が…』

 

 

「それ以上言うな。握りつぶすぞ」

 

 

『そんな力もないくせに。私がいなければあなたはここで凍死していました』

 

 

「それとこれとは話が別だ」

 

 

『…そうですか。では今は、とりあえずゾンビとライフ。それでいいでしょう』

 

 

「とりあえずじゃない。これからずっとだ」

 

 

『………』

 

 

『…とりあえず、エーテルを集めましょう。首尾よくサービターも倒せました。上手くいけばエーテルを生産する方法も見つかるかも…』

 

 

「ああ…後は頼む。俺は疲れたよ…少し眠る。何かあったら起こしてくれ」

 

 

『ええ。ええ。わかりました…【ゾンビさん】』

 

 

硬い地面に横になる。天井の氷壁は太陽の光を少しも通さないほど分厚いようだ。今後のことを何となく想像しているうちに、意識は薄らいでいった。

 

 




あとがき


Destinyをプレイしている、もしくは知っている方には説明ばかりでストレスのないように。未プレイの方(読んでるか分からないけど)には置いてけぼりにならないように…両方やらなくちゃあいけないのが難しいですね。


分かりにくい所とかは教えて下さるとモチベーションにもなります。感想下さい(直球)


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レベル5.魔改造計画

少し間が開きました。

今回はクロスオーバーというか、個人的に好きな作品の要素を思い切って取り入れています。

Destinyの世界観や整合性を崩さないレベルになるよう作りましたが、そういうのが苦手な方や純粋にDestinyのみを楽しみたい方はご注意ください。


追記:クロスオーバーについて少々書き直しました。物語には支障ありませんが、過去のものは過去に置いていきます。



 

 

夢を見た。カバルの無機質な戦車が進む。さっきまで軽口を言い合っていた戦友をその履帯の下におきながら、俺に砲口を向けていた。俺は動けなかった。友人の死に動揺したのではない。後ろに、守るべき街と市民がいたから…

 

ずいぶん久しぶりの夢だった。

元々死体だったガーディアンが夢を見るほど眠ることは、実は少ない。

光さえあれば、いくらでも活動できるからだ。

 

 

…光はもうない。

 

 

……………………

 

 

『起きてください』

 

 

ライフの声で目を覚ます。身体の節々が痛み、麻痺したように動かない。

 

 

「ここは寒すぎるんだ。疲れがちっとも取れない。全く…」

 

 

『あなたはよく眠っていました。およそ6時間といったところでしょうか』

 

 

「そうか。日は出てるのか?」

 

 

指先から少しずつ動かして身体を慣らす。カチャ、という音に驚いたが、すぐに腕と脚を取りかえたことを思い出した。既に接続部の痛みはかなり薄まり、フォールンに受けた傷も半分ほど塞がっているように思えた。改めて、ライフの性能の高さとエーテルの万能っぷりを感じる。

 

 

『いえ。真夜中です』

 

 

「ならなんで起こしたんだ」

 

 

実をいえば洞窟にいる今、日が出ているかどうかはさほど問題ではないのだが…要は気分の問題だ。人間は夜に寝て、朝に起きる。紀元前から続く伝統で、俺もそれを尊重するつもりだった。自分の都合のつく限りだが。

古き伝説によればアイティー・ドカータやヒキ・ニートゥという希少人種が昼夜を厭わず活動していたという噂もあるが、俺は信じていない。

何せこれはハンターが言っていたことだからな。

 

 

『報告があります。2つほど…まず、いいものが1つ』

 

 

「もう1つは?」

 

 

『受け取り手次第です』

 

 

『いい方から行きましょう。サービターの残骸から抽出したエーテルにより、しばらくはエーテル切れの心配をする必要はありません』

 

 

「そうか。朗報だな」

 

 

『そうですね。それともう1つは』

 

 

『フォールンの装備がたくさん手に入りましたので、更なる改造が可能です』

 

 

「なんだ。両方とも朗報じゃないか」

 

 

『…私にとっては朗報ではありません。あなたの意思を尊重して報告したまでです』

 

 

「俺がもうガーディアンじゃないように、お前ももうゴーストじゃない。自分でそう言っただろう」

 

 

「光の戦士としての正義は、もはやこの手に振りかざしていいものでは無くなったのさ」

 

 

『ガーディアンじゃないから、身体をフォールンに改造しても倫理的に問題ないと?』

 

 

「ん…うん。ああ。つまりそういうことだ」

 

 

そこまで考えていなかった。そうか、身体をフォールンに改造するっていうのは倫理的な問題もあるのか。

ほかの生存者に会った時の印象が悪くなるかもしれない…

 

 

「まあ、どちらにせよ…生きるために必要だからやるんだ。それで、いくつ改造プランがあるんだ?」

 

 

『2つです。脊髄から神経系に沿うようにしてエーテル供給パイプを身体の各所に繋ぎ、エーテル供給の効率化と省エネ化をする。これはフォールンがやっていることと同じです』

 

 

『もう1つが、腕及び脚にフォールン由来の武器を直接装備するカートリッジを増設します。これにはいつくかの前例があり…成功率も高いと思います』

 

 

『代表的なものは…パワードスーツでしょうか。少数ですが、ガーディアンが生まれる前に人間の装備の一種として開発されたものがあるようです』

 

 

「パワードスーツ?ガーディアンの装備とは違うのか」

 

 

『着想はもっと古く…トラベラーさえ存在しない時代にはもう、創作として広く知られていたようです』

 

 

『例えば…ああ、今の私ではクラウドデータに接続できません。口惜しい』

 

 

「何も覚えてないのか?」

 

 

『多少は覚えています。英雄として宇宙からの侵略者に立ち向かった話があります。ただ、彼の人間性は最悪だったようですね』

 

 

「パーソナリティはともかく、やってることはガーディアンそのものだ。しかし、それが古典なら彼は光なしで戦ったということか?」

 

 

『ええ。創作ですが』

 

 

『何でしたら、カートリッジ増設の際に彼の装備を再現しますか?』

 

 

「できるのか?」

 

 

『もちろん。ゴー…我々の能力は非常に高いことをお忘れですか?』

 

 

「そんなことはこの腕や脚を見ればいつだって思い出せるさ」

 

 

『そうでしょうね。【それ】は私の…功績であり、同時に業、ですから』

 

 

「あまり難しいことを考えるなよ。気が滅入る」

 

 

『すみません』

 

 

「とにかく、そいつの装備が再現できるならついでにやってみてくれ。後で交換もできるんだろ?」

 

 

『…恐らく』

 

 

「おい」

 

 

『いえ、大丈夫です。ええ。それで、改造プランは後者…腕と脚の強化でよろしいですか?』

 

 

「いや、脊髄のと両方だ」

 

 

『…私が失敗しないことを今から神に祈って下さい』

 

 

「神は信じてないんだが…」

 

 

『でしたら私に祈っていてください』

 

 

「わかった。頼むぞ」

 

 

うやうやしく(同時にわざとらしく)ライフの前で手を組み、目をつむる。

数秒の沈黙の後、俺はライフに言われたとおりうつぶせになった。ライフが腕から何かを流したかと思うと、視界は急速に暗くなっていった。

 

 

………………………

 

 

『軽い電流です。毎度毎度、痛みで気絶するわけにもいきませんからね』

 

 

『…本当にこれでよかったのでしょうか?…いえ、選択肢など無かった。それは確かなのですが…』

 

 

『…ガーディアン。いえ、今は動く死者…ゾンビと、そう名乗っていましたね。私が見つけ、共に戦ったかつての光の守護者…あなたは、今何を考えていますか?』

 

 

『私は…いえ、トラベラーは、あなたが命をかけて守った彼らは、今の…ガーディアンとして死んだあなたを見て、どう思うのでしょう…』

 

 

ライフは俯くような仕草を見せたあと、ボディを左右に振った。さも、人間が迷い、そしてそれを思考から排除しようとするかのように。

 

 

……………

 

 

また夢を見た。今度は見知らぬ場所。【俺】が、薄暗い所で佇んでいる。

誰かが近づいてくる。その影がだんだんはっきりしてくると同時に、【俺】は姿勢を低くして、そいつを注視した。

 

 

「そんなに身構えなくてもいいじゃないか」

 

 

そいつは【四本ある腕】を軽く広げ、俺に話しかけた。

 

 

「仲間だろう?」

 

 

そいつは話し続ける。

 

 

「…何だと?仲間?俺とお前が?」

 

 

聞き捨てならない言葉に、思わず反応した。

 

 

「そうだ。同じ身体。フォールンの身体。流れているものも、死ぬ条件も同じ…俺とお前は同類だ」

 

 

「ふざけるな!俺とお前は別物だ!俺は…」

 

 

俺は…

 

 

俺は、何だ?

 

 

………………………

 

 

『起きてください』

 

 

ライフの声。

 

 

『うなされていました。どこか痛みますか?』

 

 

「…いや」

 

 

左腕を見る。首を回すと、何かに引っ張られるような異物感を覚えた。

 

 

「…っ」

 

 

正面の氷壁に自分の姿が映った。全身をパイプがつなぎ、口にはフォールンと同じマスク。少し大きくなった左腕や左脚は、既に元の人間の要素など欠片もない。

 

 

『どうか、しましたか?』

 

 

「…ライフ」

 

 

「俺は…何だ?」

 

 

『あなたはゾンビ。死してなお動く、元ガーディアン…そう、あなたと私で決めました』

 

 

「ああ…そうだったな」

 

 

『ええ…そうです。腕と脚の装備の説明をしますね』

 

 

『まずは彼のメイン装備であった【リパルサーレイ】…を模した、アーク放電を起こすことで衝撃波を前方に放射する手のひら』

 

 

「同じ名前にするのも失礼だし、パルスキャノンとでも呼ぶか」

 

 

『そうですね。加えて、ひじから拳にかけての部分にはワイヤー射出機構を装備しています。相手を掴まえて動きを封じるほか、高いところから落ちても平気』

 

 

「俺が反応できるならな…これはまあ、ワイヤーでいいだろう」

 

 

『そうですか。色々案はありますよ?タクティカル・ロッドにスペシャルダーツ。それと…極東の古典になぞらえてヒッサツ・オシゴトピープル』

 

 

「装備の名前は全部俺がつける。絶対だ。いいな」

 

 

『残念です。まだ色々あるのに』

 

 

『説明に戻りましょう。ですが腕はそのくらいです。あとは先程の戦闘で使用したワイヤーライフルを直接腕に接続できるようになりました』

 

 

『脚は、武器としてというよりも別の用途に向けて改造しました。まずは大腿部にエーテルパック詰め替え用。2つもついて安心です』

 

 

「もう少し言い方はなかったのか」

 

 

『特には。それと、膝にはスパイラル・ドリル』

 

 

「待て」

 

 

『何ですか?ストレート・ドリルの方がお好みですか?』

 

 

「めちゃくちゃだ。武器はつけないと言ったろう」

 

 

『ええ。これは武器ではありません。採掘用です。収納もできます。というか、今収納しています。思い切り膝蹴りすると出ます』

 

 

試しに左足を曲げて強く振ってみると、膝をカバーしていた金属板が突然開き、けたたましい機械音とともに鋭く高速回転する銀色のトゲが出てきた。これは間違いなくドリルであり、他の呼び方を許さない。そんな気迫さえ感じる回転だった。

 

 

「なくせ」

 

 

『ご無体な』

 

 

「これはものすごく邪魔だ…まさか楽しんでないか?」

 

 

『分かりました。残念ですが、次の機会にでもその機構は排除しておきます』

 

 

「頼むぞ…それと、他には何かないのか?」

 

 

『あとはかかとに小型ローラー及びターンピックと』

 

 

「なくせ」

 

 

『冗談です。流石に全く不要なものはつけません』

 

 

「………」

 

 

『仕切り直して、あとは爪先に電磁ナイフを仕込みました。これでキックによる攻撃に殺傷能力が付与されます』

 

 

「まともだな。武器だが」

 

 

『ええ。スペースが余ったので…つい』

 

 

「………」

 

 

『………』

 

 

一通りの説明を受けると、どっと疲れを感じてまた横になった。こいつはいつからこんなに冗談好きになったのだろうか。いや、冗談にしてもこんな行動までするような奴じゃなかったような気もするが…トラベラーとの接続が途切れると、性格も変わるのだろうか。

 

 

「…ライフ」

 

 

『何ですか?』

 

 

「…いや。俺はもう一度寝る。今度は朝になったら起こしてくれ」

 

 

『分かりました。いい夢を』

 

 

「ああ…見れるといいな」

 

 

意識は、次第にブラックアウトしていった。考えることややるべきことは数え切れないほどある。だが、今は何も考えずに眠りたかった。

 

 



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レベル6.走狗


遅くなりました。なんて事ない回のハズなのにやたら難産でした。
おかしいところがあるかもですが大目に見てくれると…




 

 

 

死とは、何だろうか。

生命に、等しく訪れるもの。黄金時代、人間の寿命は3倍にまで伸びたが…結局、逃れえなかったもの。

物理的には、細胞の活動が全て停止し、二度と動かない状態。精神的には意識を失い、それが二度と戻らない状態だろうか。共通しているのは、死が不可逆的なものだと捉えていることだ。

中には、あらゆる人々に忘れられた時に初めて人は死を迎える、と言ったロマンチストもいる。

 

 

ガーディアンは死体から生まれる…すなわち、一度死んでいるが生き返っている。この時点で、死の概念から乖離する。その上で、ガーディアンは死なない。いや、厳密にはよく死ぬが、すぐに生き返る。敵に脳天を撃ち抜かれても、踏み潰されても、ゴーストと光の力によって復活することができる。だからガーディアンは絶対に【死なない】。

 

 

であれば、ガーディアンは何をもって死ぬのか?

 

 

ウォーロックであった友人の言葉によれば、我々ガーディアンが死ぬはその役目…市民を、街を、そして何よりもトラベラーを守るという役目を果たせなくなった時。要は…光を失った時に、自らをガーディアンとして定義できなくなり、初めて本当に死ぬのだという。

 

 

それを聞いたとあるタイタンは、そんなことをしなくても、ゴーストを撃ち抜いたあとに頭を撃てば死ぬと言っていたが。

 

 

俺には、もう市民は守れない。いくらかの敵に囲まれればあっけなく死ぬだろう。復活もできない。

ゴーストがいても、光がないからだ。何度でも立ち上がれるガーディアンではないからだ。

 

 

俺というガーディアンは死んだ。

 

 

ならば、未練がましくも生きている【ガーディアンとして死んだ】俺は何者として生きればいい?

 

 

「簡単なコトだ」

 

 

目の前の【4本腕の怪物】が低くうなるようにして笑う。その姿は、以前よりもずいぶんハッキリと見えた。頭に特徴的な一対の装飾。首から背中にかけたマントには、彼の所属するハウスのマークが大きくこしらえてあった。

 

 

「お前はもうガーディアンじゃない。だが人間でもない…死んでから生き返る人間などいない」

 

 

【奴】は誇らしそうにマントを撫でた。

 

 

「お前はフォールンだ。ハウス・オブ・デビルズの装備を奪い、ハウス・オブ・キングスのエーテルを奪った。略奪者の中の略奪者。しかし同時に、自分だけは、まだ堕ちちゃいないとどこかで思っている…まさしく模範的フォールンだ。素晴らしいコトじゃないか」

 

 

【奴】は皮肉っぽく笑い声を上げたあと、下の腕で相手の胸を強く叩くと、上の腕を高く上げた。これがフォールン流の賞賛であることが、何故か分かった。

 

 

胸の腕を振り払う。【奴】は少し考える素振りをすると、俺の肩を掴んだ。

 

 

「オレはお前のことを気に入ってるんだ。誰よりもフォールンらしいお前を、な」

 

 

「どこが…!」

 

 

そう言ってもう一度腕を振り払おうとする。

 

 

「っ!?」

 

 

「【ソレ】が、何よりの証拠だ」

 

 

細長く、薄白い三本指。【奴】の腕を掴んだ自分の腕が、フォールンのものになっていた。

 

 

 

………………………

 

 

「…っは!」

 

 

『どうしました?』

 

 

ライフが不思議そうにこちらをのぞき込む。背中にはじっとりと汗がにじんでいた。

 

 

「恐怖…?いや、まさか。ありえない」

 

 

タイタンが恐怖を感じるのは、カバルのファランクスの大盾に吹き飛ばされた時だけだ。地に足がついている限り、そこから一歩も引くことのない決意と、誰よりも暗黒を憎む心があるからこそタイタンは戦うことができるのだ。

 

 

タイタンは光と勇気、そして強靭を誇り、暗黒と弱気、そして卑怯を厭うと言われている。ふと、ガーディアン達の冗談のひとつを思い出した。

 

ファイアチームのひとりが、強大な敵に恐怖したことを仲間に伝えた。まず仲間のタイタンが『なんて軟弱なやつだ』と笑う。次にハンターがそれを見て『恐怖がわかる分、お前より賢いな』と笑う。最後にウォーロックが大笑いした。

『なぜお前が恐怖を感じたか推測したんだ。お前にも教えてやろう。まず…』

みんな静かになった。

 

 

…これは、バカで石頭なタイタンと、人を嘲笑うことばかりなハンター、話が長くてつまらないウォーロックをまとめて揶揄するものだったはずだ。

 

 

「…いや、もう俺はタイタンでもない」

 

 

下らないことを思い出した。

タイタンはガーディアンの職業だ。今の俺には関係ない。

 

 

「しかし、もう寝る気も起きないな。ライフ、外はまだ暗いか?」

 

 

『いえ。今ちょうど起こそうと思っていたところでした。太陽は既にのぼっています』

 

 

「そうか。なら、今日はここから移動しよう」

 

 

『どこへ行くのですか?』

 

 

「ずいぶん遅れたが、当初の予定をなぞる。つまり…」

 

 

『ヨーロッパ・デッドゾーンですか?』

 

 

「ああ。だが、目的は違う」

 

 

「元々は光を取り戻すための手がかりを探るためだったが…それはもうなしだ。…ヨーロッパ・デッドゾーンは、確かフォールンの拠点だったよな?」

 

 

『ええ。元々はフォールンのハウスのひとつが拠点を置いていました。しかし、彼らが去ってからは様々な勢力が争う場となっています』

 

 

『まさか、突っ込むつもりですか?』

 

 

「いや。まさか」

 

 

『では、何をするつもりですか?』

 

 

「助けてもらうのさ」

 

 

『…今、なんと?』

 

 

「フォールンに助けてもらう。もはや半分フォールンの形をしてるんだ。仲間だと思ってハウスに入れてくれるかもしれない」

 

 

『ありえません。馬鹿げてます!フォールンは我々よりよほど社会的に統制された存在です!』

 

 

「…だろうな。冗談だ」

 

 

実のところ、冗談を言ったつもりは無かった。かといえば、ヤケになったわけでもない。このままいけば、何かのきっかけで俺はフォールンに近しい存在にもなりうる。昨日の夢の影響なのか、そんな気…いや、確信が、俺の中にあった。

 

 

「だが、人はいるかもしれない」

 

 

『…可能性は低いです』

 

 

「なら他の方法を考えてくれ」

 

 

『…ヨーロッパ・デッドゾーン…いえ、そこにほど近いところにガーディアンのキャンプがあったという記録があります。そこへ行きましょう』

 

 

「そうか。ならそこだな」

 

 

バランスの取りづらくなった身体を持ち上げ、洞窟の外を見据えた。

 

 

…………………

 

 

「ハァ…ハァ…フー…」

 

 

『大丈夫ですか?』

 

 

「…大丈夫に…見えるか?」

 

 

『…少し』

 

 

何とかワイヤーとドリルやナイフを使ってクレバスを登った。しかし、ガーディアンでないということは、疲労や小さなケガを無視できなくなるということでもある。

俺の身体は指先一つ動かすのも億劫なほど疲れ果て、身体のところどころに傷ができていた。

 

 

「初めからそういう模様だったみたいだ」

 

 

キズを見てつぶやく。

 

 

『冗談はよして下さい。このまま夜を迎える訳にはいきません。移動しましょう』

 

 

「ああ。そうだな」

 

 

重い腰を何とか上げる。太陽は既に西に傾き始めていた。

 

 

…………………

 

 

『…見えました。アレです』

 

 

「本当か?」

 

 

前方に目をこらす。確かに、米粒ほどの大きさのテントのようなものがいくつか見えた。

 

 

『…記録が正しければ、確かにここのはずです』

 

 

「そうか…じゃあ」

 

 

『…そうですね…残念ですが…』

 

 

「ああ。失敗だったな」

 

 

キャンプには、動くものが何ひとつなかった。

 

 

その事実は、しかし何よりも雄弁に、俺達にそのキャンプの全滅を伝えていた。

 

 

 





はい。例のキャンプです。
タカはいません。


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レベル7.半端者:前編

前提として、主人公は元々タイタンでした。

つまり…石頭でアホの子要素があります。




 

『エーテルって何なんだ?サービターを倒すと出てくる紫のもやもやのことだ』

 

 

『エーテルだと?助手よ、まさか本当に知らないのか?』

 

 

『…知らないという顔だな。よくそんな状態でヤツらと戦おうなどと言えるものだ。仕方ない。教えてやろう。エーテルとはサービターに搭載された高度なテクノロジーによって精製される気体状のエネルギー体であり、フォールンにとっての生命維持装置だ。サービターがその辺の資源から適当に作って、周りのフォールンに配る。ヤツらはこれがないとみじめにもがき苦しんで死ぬ』

 

 

『じゃあヤツらを見つけたら、まずサービターを破壊すればいいのか?』

 

 

『バカめ。怒り狂って突撃してくるフォールンを全員捌ける自信があるのか?それともお前はサービターだけを破壊して帰ってくるつもりか?』

 

 

『サービターを壊してエーテル供給を止めても、しばらくの間はエーテルが残っているから動ける。中でも供給量が多いために身体が肥大化したキャプテンは、エーテルなしでも数週間は動いてられたという情報もある』

 

 

『ふーん…まあ、俺には関係ないな』

 

 

『どうせ全部倒すから、とでも言うつもりか?』

 

 

『………』

 

 

『バカバカしい。だが、正しくもある。そんなところだな。フォールンは一度に全滅させないと次々と援軍をよこしてくる』

 

 

『でも、疑問がひとつ晴れたよ。フォールンのなかでも特に偉いアルコンやバロンがどうしてあんなにデカいのか。エーテルをたらふく貰ってたんだな』

 

 

『ああ…まあ、そういう話で終わっておこう。お前との会話は疲れる。もうどこかへ行け』

 

 

ー金星。とあるガーディアンの会話記録ー

 

 

…………………

 

 

「さて…」

 

 

『どうしましょう』

 

 

「キャンプには誰もいませんでした、おわり…とはいかん。何か探そう」

 

 

『…あ、ガーディアンの死体です。戦闘があったのでしょうか』

 

 

「…ハンターだな。クロークを見るに、デッドオービットの所属だったらしい。この状況はヤツらにとってはありがたかったのかもな」

 

 

『デッドオービットはあくまで太陽系外にも生存圏を探しに行くことを目指していただけで、タワーの破滅までは…』

 

 

「どんな組織だって一枚岩にはなれない。実際、ヤツらの中にだってそういうことを大声で言うのはいた」

 

 

「デッドオービットの船は、タワーよりよっぽど安全なんだと。しかしタワーがあるから人は外に逃げられないんだ、足枷なんだ。だったら無くなってしまえばいいってな」

 

 

「そして…いつだって、大声を張るやつは目立つ。そいつのいる組織や集団を代表するかのように、そいつの声や行動は周りに広まっていく」

 

 

「そうやって出来ていくんだ。イメージというのは…良くも、悪くも」

 

 

「話しすぎたな。まあ、奴らのデザインしたアーマーは気に入ってたよ。ライフ、何か見つけたか?」

 

 

『えーと…食糧はありませんね。前にキャンプを見つけた人がいたのかもしれません』

 

 

『…まあ、今のあなたはエーテルがあれば十分なのですが』

 

 

「…そうだな。それ以外は?」

 

 

『プラスチール強化材がありました。これであなたのアーマーを修復できます』

 

 

「それはいいな…おっ」

 

 

『どうしました?』

 

 

「銃だ…これは、パルスライフルだな。ハッケの旧式で、4発バーストで撃てるやつだ」

 

 

『いいですね。弾は資材さえあれば精製できます』

 

 

「この規模のキャンプならこんなもんだろう。むしろいい方だ」

 

 

「アーマーを修理して少し休憩したら、もう少し奥まで行ってみよう。マトモな武器も手に入ったことだし、今度は多少戦闘することも考えて動くぞ」

 

 

『了解しました。無理だけはしないで下さいね』

 

 

………………

 

 

「…少し、慣れが必要だな」

 

 

先程のパルスライフルを手元に構える。さもありなん、といったところだろうか、フォールンの腕に人間用の武器はかなり不格好に見えた。ついでに三本指では持ちづらい。

 

 

『大変お似合いですよ』

 

 

「お前はその態度をいつか後悔することになるぞ」

 

 

『ああ、恐ろしい』

 

 

「ライフ…大丈夫なのか?」

 

 

最近、気になってきたことがある。ライフの様子がおかしいのだ。元々あなたのゴーストであることを誇りに思います、とか恥ずかしげもなく言うような真面目一辺倒だったのに、いつの間にか冗談ばかり言うようになったのだ。ゴーストの性格が変わるのは珍しい話ではないが、それは長年の付き合いとなったガーディアンに徐々に影響されたりした結果、個性として生まれたものだ。今回のような急激な変化とは状況が合わない。

 

 

『何がですか?私の機能は依然、万全です』

 

 

「…お前みたいなやつを修理できる知り合いはまだ生きているかな」

 

 

『中々ひどいですね』

 

 

「お前のために言ってるんだ。決めた。ゴーストに詳しいやつに会ったらお前について調べることにする」

 

 

『そうですか?まあ、何も出ないとは思いますが』

 

 

「だと、いいんだがな」

 

 

とはいえ、今できることは非常に少ない。ライフのことばかり気にしていることはできない。今は前に進むべきだ。

 

 

「さて、鬼が出るか、蛇が出るか…」

 

 

そうつぶやいて、ヨーロッパ・デッドゾーンの奥地へ歩を進めた。

 

 

………………

 

 

『…アレは…』

 

 

「ケッチ!だが小型か」

 

 

ケッチ。フォールンの輸送船だ。兵員から物資まで何でも運ぶ。多少の自衛能力もある。ケル(王)のケッチはすさまじくデカく、停泊すれば基地にもなる。

 

 

『停泊しています。戦闘…ではありませんね。物資の調達でしょうか』

 

 

「…チャンスだな」

 

 

『危険では?』

 

 

「エーテルはあるに越したことはない。確保できる時にするべきだ。それに…新しい武器の試運転もまだだ」

 

 

『…そうかもしれませんね。では偵察から行きましょう。ちょうどいいところに小さな岩山があります。あの裏なら気づかれないでしょう』

 

 

「そうだな…行くぞ」

 

 

………………

 

 

「ここだな。さて…」

 

 

改めて、フォールンの様子をうかがう。後方の支援任務についた小隊、といったところだろうか。忙しく働くドレッグに手や口で激を飛ばすキャプテン。周りを数機のシャンクが飛んでいるのが見える。

 

 

「バンダルはいないのか?」

 

 

『いえ。これは恐らく…』

 

 

「あ、あそこか」

 

 

『どうせなら最後まで言わせて下さい』

 

 

少し離れたところで、バンダルが戦闘訓練をしていた。4本の腕を器用に使い、ブレードやライフルで連携してターゲットデコイに波状攻撃を仕掛けている。

 

 

「改めて見ると、シンプルでよくできた戦術なのかもな」

 

 

少し感心する。少しだけ、もし自分に4本の腕がついていたらどうするか考えてみる。

 

 

「…あり、か?」

 

 

『脳改造から始めないといけませんがね。それか各腕に私特製のサポートAIを取り付けます』

 

 

「…それは御免だ」

 

 

『残念です』

 

 

ライフが少しうつむいて身体をふるが無視して偵察を終える。

 

 

「こんなもんだろう。後はどう攻めるかだが」

 

 

「昔の俺なら正面にグレネードを投げ込んだ勢いのままオートライフルを撃ちながら突撃してパンチだが、流石に無理だ」

 

 

『…まあ、高所からそのワイヤーライフルで狙撃、都度拾ったパルスライフルやその他の武器で攻撃でしょうね』

 

 

「狙撃は苦手なんだがな…」

 

 

だが、他に手もない。俺は深呼吸をすると、狙撃のできそうなポイントを探し始めた。

 

 



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レベル7.半端者:後編

 

 

結局、狙撃のために横倒しになったトラックの山の上に伏せることにした。しかし…

 

 

「なんて不安定な場所だ…どこも錆び切って今にも崩れそうだ。さっきの岩山の方が良かったんじゃないか?」

 

 

『あそこだと遠すぎます。当てる自信があるのなら別ですが』

 

 

「………」

 

 

『ここがベストです。我慢してください』

 

 

「…そうか」

 

 

ワイヤーライフルに取り付けたサイトを覗く。銃口の先には、休んでいるのか壁にもたれかかるキャプテンの姿があった。

 

 

「これは使命じゃない。生きるためだ」

 

 

そうつぶやいて、息を止める。腕のブレを極力抑え、キャプテンの頭を狙う。

 

 

「………」

 

 

「…っ!」

 

 

パシュン、と特徴的な音を響かせ、弾丸がキャプテン目がけて飛ぶ。

 

 

「クソッタレ!やっぱりだ!」

 

 

だが、無情にも放たれた弾丸はキャプテンに届くことなく、その足元に穴を作ったのみに終わった。

 

 

キャプテンの咆哮。アレだけ派手な武器なのだから当然だが、こちらに気がついたらしい。

 

 

『ドレッグが向かってきます。応戦してください!』

 

 

「分かってる!」

 

 

ワイヤーライフルを置き、トラックの山から飛び降りる。

 

 

『正面にドレッグ2体、10時の方向からシャンクが3機です』

 

 

「おおおおっ!」

 

 

パルスライフルを乱射する。頭に正確に当てる自信はないが、どこかに当たれば足止めになる。

 

 

ドドドドッというリズミカルな音とともに、運良く弾が胴に当たったドレッグが倒れた。

 

 

「よしっ」

 

 

『まだです!気を抜かないで!』

 

 

気づけば、シャンクがすぐそこまで迫ってきていた。すでに銃撃の用意をしている。

 

 

「ぐっ!…ライフ!」

 

 

『なんですか!』

 

 

「パルスキャノンを使う!補助してくれ!」

 

 

『分かりました!左手を素早く2回握れば起動します!無事に当たることを祈って下さい!』

 

 

「また祈りか!ギャラルホルンを探してるんじゃないんだぞ!」

 

 

『チャージしています!構えて!』

 

 

「くっ!」

 

 

シャンクの銃撃をかわしながらパルスライフルを背負い、左腕を前に突き出して右腕を添える。

 

 

『…もう少しです』

 

 

「早くしてくれ!もう避けるのも限界だ!」

 

 

シャンクの群れにいつの間にかバンダルが加わり、銃撃は激しさを増していた。

 

 

『行きますよ!3、2…』

 

 

「っ!」

 

 

『1…!発射!』

 

 

左腕から大きな衝撃が走り、景色が急転する。一瞬、青空が見えたかと思うと頭に鈍痛が走るが、何とか意識を保つ。どうやら自分はパルスキャノンの反動で後ろに転んだようだった。

 

 

「っ〜〜!…」

 

 

『敵の残存数を確認…朗報です。パルスキャノンの威力は予想以上です』

 

 

「…みたいだな」

 

 

起き上がって、先ほどのパルスキャノンの射線を見る。そこにあったのは、一直線に黒く焦げた地面と、装備ごとボロボロに破壊された無惨な姿のフォールン達だった。

 

 

『これで残りはキャプテンだけです』

 

 

「サービターはいないのか?」

 

 

『あ、そうですね。サービターは…いないようです』

 

 

「いなくても大丈夫なのか?」

 

 

『分かりませんよフォールンの考えることなんか。それよりキャプテンが来ます。構えて!』

 

 

「クソ!パルスキャノンは!?」

 

 

『エーテルを使いすぎました!これ以上使うと生命維持装置に支障が出ます!』

 

 

「これが終わったら調整が必要だな…仕方ない、ほかの武器で戦うぞ!」

 

 

『キャプテンはエネルギーシールドを展開しています。キネティックダメージ系統…背中のパルスライフルは有効打になりえません!』

 

 

「だろうな!あとは…ワイヤーライフルを拾いに行ってる暇はない!残るのは…」

 

 

『…ドレッグピストル、それと…ショックブレードと、ドリルですね。ワイヤーは残念ながらあの体格の動きを阻害できるほど強力ではありません』

 

 

「最悪だ!!」

 

 

「クソっ!食らえ!」

 

 

興奮気味に、ドレッグピストルをキャプテンに向かって撃つ。低威力だがアーク属性を持っていること、敵を検知して多少追尾することが利点の武器だ。銃を当てる自信の無い今の自分には意外にマッチした武器かもしれない。

 

 

『キャプテンのシールドの漸減を確認。消失には至っていません。それと…』

 

 

『あのキャプテンは肉体派のようですね』

 

 

「見たらわかる!」

 

 

キャプテンは二本の大型ショックブレードを構えてこちらに突進してきていた。こちらのささやかな抵抗は全く意に介していないようだ。

 

 

「曲芸なんかしたことないぞ!」

 

 

ピストルを撃ちながら、悪路をジャンプしつつ後退する。キャプテンとの徐々に距離が詰まっていく。

 

 

『危ない!』

 

 

「っ!!」

 

 

一瞬の視界の暗転ののち、痛みとともに地面に伏す。こんなところで引き撃ち流石に無理があったか、大きめの石に気がつかずに無様に、仰向けに転んでしまった。

 

 

「まずい!」

 

 

キャプテンは速度を緩めず向かってくる。

 

 

立ち上がる暇もなくこちらに追いつき、右腕ごとピストルを踏み砕く。そして…

 

 

その刃を、無慈悲に俺に突き立てた。

 

 

「っ…ああああああああ!!!」

 

 

死。それが明確なビジョンとなって俺に襲いかかる。キャプテンは勝利を確信したのか、腕を上げて叫んでいる。

 

 

キャプテンがこちらを見る。狩人が捕らえた獲物に対するように見下ろしたかと思えば、今度は久々に会った同胞に向けたように目を見開いた。

 

 

『グ…ォ…』

 

 

『…オレ達の、【なりそこない】か』

 

 

「…なん、だと…」

 

 

フォールンの声。ひどくハッキリとした幻聴が頭の中でこだまする。景色が妙にゆっくりと動く。キャプテンはこちらを観察するのをやめ、トドメを刺すために再度ブレードを掲げた。

 

 

終わってみれば、なんとも呆気ないものだ。そんなことを呑気に考えながら、ブレードを見つめる。

 

 

『ドリルを起動します!』

 

 

突如、けたたましい音が鳴り響く。左脚からだった。

ドリルがキャプテンの足を抉り、キャプテンを怯ませる。

 

 

『さあ、起きて!まだ戦えるハズです!』

 

 

「あ、ああ…」

 

 

キャプテンが叫ぶ。相当な怒りを感じる。勝利を確信した【獲物】に噛みつかれたことに憤っているのだ。

 

 

「武器、は…」

 

 

『残念ながら、左脚のみです』

 

 

「はっ…」

 

 

乾いた笑いを浮かべる。

 

 

『グオオオオ!』

 

 

キャプテンが突進してくる。足を怪我したためか先ほどより勢いは無いが、それでも今の俺を殺すには十分だ。そう思った。

 

 

「死ねないから殺す…生きるためだ。略奪も、生きるため…」

 

 

「なりそこないか…確かに、そうかもな」

 

 

左脚のつま先ををキャプテンの突進に合わせて突き出した。

 

 

『オオオオオォ…!』

 

 

つま先に仕込まれたブレードが、キャプテンの首に深々と突き刺さる。パイプが切れたようで、エーテルが吹き出ている。

 

 

「…俺は死んだガーディアンだ。だが…なりそこないとして生きることはできるのかもしれない」

 

 

『ォォ…ォ……』

 

 

ぶらん、とキャプテンの腕が下がる。

 

 

「そのくらいならできるハズだ」

 

 

「フォールン。お前の奪ってきたものを少し分けてもらうぞ」

 

 

『…グオオオオォ!』

 

 

『危ない!』

 

 

キャプテンが突如動き出す。ライフが叫んだ。

 

 

「っ!?」

 

 

『オオオオ!』

 

 

キャプテンの最後の抵抗によるブレードは、俺の右肩に突き刺さった。右腕が身体と切り離され、地面に落ちる。

 

 

「っぐ!ああああっ!!」

 

 

「…痛いな…クソ…畜生!」

 

 

背中のパルスライフルを取り出し、キャプテンに滅茶苦茶に撃ち込んだ。キャプテンは少し痙攣したかと思うと、ついに倒れる。

 

 

『ォォ………』

 

 

勝ち誇ったような顔で、キャプテンは今度こそ息絶えた。

 

 

「…俺は生きてるんだからお前の負けだよ、この野郎…」

 

 

『大丈夫ですか!?』

 

 

「ライフ…大丈夫に見えるか?」

 

 

『いえ…ただ…』

 

 

「何だ…早く止血しないと死んじまう。とりあえず布を…」

 

 

『あ、いえ、そのことなんですが…』

 

 

『血が、出てません。右肩からエーテルが流れ出てます…』

 

 

「………は?」

 

 





長くなったので今回は前後編にしました。

最近、別の小説?も書き始めましたがちゃんと終わらせるつもりなので大丈夫です。きっと。


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