王城奪還を果たした王子率いる王国軍は、そのままの勢いで快進撃を続け、砂漠の国、東方の国、魔法都市、密林を抜け、現在魔界を攻略中だと言う。
この物語は……
主戦力を魔界攻略に全力投入しまった後……
王国の守護を任された者達の防衛の記録である。
「隊長!領内各所に配置された斥候のアーチャーより、王国領内の異常なしとの報告がありました」
「そうか、引き続き各自任務を遂行してくれ」
王国の防衛を一手に請け負う、第八守備大隊……その隊長である竹中は用兵のエキスパートであり、アイアンクラスの兵士のみで構成されているこの大隊を率いて日々、王国の安全を守り続けている。
「竹中隊長?」
竹中の側近であり、アイアンクラスのメイジの畠中である。
「どうした畠中?」
「いえ、その……魔物が脅威を増してきている昨今、我が隊にもせめてシルバークラスの人材が欲しいです」
「……そうだな」
「……」
この会話は幾度と無く繰り返されて来た会話だ。
竹中自身も内心畠中と同じ事を考えている。
「畠中?」
「なんです?」
「確かにシルバーやゴールドクラスの兵力は強力だ……しかしそれ故に防衛等に回す余裕は無いんだ、お前だってそれはわかっているだろう?」
「……えぇ、まぁ……ですが魔物はどんどん強くなっているのも事実ですし、こんなんで王国を守り続けられるのか……不安です」
これまで畠中の魔法と、竹中の用兵で幾度なく魔物を撃退してきた第八大隊ではあったが、この世界の魔物は常に強くなって来ており、先日は危うく民間人に犠牲が出るところであった。
「確かに俺も不安だが、泣き言は言ってられん……王子達はいよいよ魔界攻略に乗り出した、魔物を封印出来れば全て解決……」
「しかし、ついこの間魔王が復活したりヘカトンケイルが復活したりしてますが……」
「まぁ何にせよこの話は平行線だ、ケイティさんやアンナさんに陳情したが未だに改善はない……しかしポジティブに考えれば、我らがそれだけ信頼されているという事だ」
「はぁ……それはそうかもしれませんが……」
畠中は未だに腑に落ちないと言った表情だ。
「竹中隊長!!畠中副隊長!!敵襲です!!」
「早速おいでなすったか?場所は?」
本部と各所の伝令役の下級ソルジャー、北村は焦りながらも正確に伝令する。
彼はその滑舌の良さと足の速さを買われ、伝令役に抜擢された。
ちなみに100m10秒台だとか?
「よし分かった、田園の周辺に配置されている第2第3小隊は直ぐに現場に急行し、民間人の避難を優先しつつ敵を抑えておいてくれ、すぐに俺達も現場へ向かう!」
そう言うと竹中は自前の大斧を担いで司令部を出た。
ちなみに彼の職業は山賊であった。
鉄の兵団の運命や如何に!!
アイアンユニットなのでみんな男の子です。ウホッ
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