アイカツ!with俺ガイル (クロジャ/時々シロジャ)
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番外編
八幡、アイドルになる?part1


どうも、クロジャです。

十話いってんで、番外編を作ってみました。

あと、番外編なので、色々とおかしい点がございます。

都合上なってしまいました。すいません。

それでもよければ、見てください。

では、どうぞ。


「君!アイドルに興味はないかい?!」

 

突如、街中を歩いていたらそんな声が聞こえてきた。いや、話しかけてきた。

 

THE・プロデューサーとも言うべき格好で俺を引き留める。

 

...なに?新手のいじめ?

 

「い、いえ、興味ないんで...」

 

アイドルに興味があるも何も、普段、本物のアイドルを見ているからな。だからといって自分からなろうとは思わない。俺は見るだけで十分だ。

 

そう思い、断って立ち去ろうとすると、手を捕まれる。いや、諦めろよ。しつこい奴は嫌われるぞ。まぁ、しつこくなくても嫌われる奴もいるけどな、ここに。

 

「頼む!今、とあるアイドルグループのバックダンサーが、一人いなくなってしまったんだ!頼む!この通りだ!踊らなくてもいい!立っているだけでもいい!お願いだ!」

 

「い、いや、流石に立っているだけとかは、ダメでしょう。それに、俺踊れなーー」

 

いや、待て。ジョニー先生に強制的に教えてもらっているから、踊れるっちゃ踊れるんだけどな。うん、踊れた。

 

「ーーくは、ないか」

 

「ホントかい?!じゃ、じゃあ今すぐ来てくれ!!」

 

「いや了承した覚えはーー!」

 

そしてそのまま引き摺られるようにして、連れ去られていった。

 

・・・

 

「ーーということだ。分かったかい?」

 

「あぁ、はい。まぁ....」

 

あの後。一時間ぐらいかけて、みっちりと踊る部分を教えられた。意外にもすんなりと、覚えられた。初めて感謝します、ジョニー先生。

 

出るのは、一曲だけでいいとのこと。さらに、顔を出したくないと、言うと、「仮面かなんかつけてもいいから!」と、言われた。それでいいのか。

 

「....うん。君、覚えがいいね。ここまで早く覚えた子は初めてだ。...もしかして、以前誰かから教えてもらったとか?」

 

「ま、まぁ....。少しだけ」

 

出番まで少しだけあるので、しばらく喋っていると、出番ですよー!といわれる。

 

「じゃあ...頼んだよ!」

 

「まぁ、それなりにやりますよ...」

 

といって、俺は人生で一番の黒歴史を作りにいった。

 

・・・

 

結果から言うと、大成功だった。しかも、かなり。

 

仮面をかけた状態だったので、見ていたお客さんたちは最初は戸惑っていたが、曲が始まると、自然と気にしなくなっていった。

 

踊っている最中に夢中になっていたから、分かりずらかったが、声が聞こえなかった。

 

普通はアイドルがいたら黄色い歓声をあげるのだが、何故かその声が一切聞こえなかった。

 

あと、他の人も踊らず歌わず止まっていた。いや、踊れ歌え。それが、お前らの仕事だろ。

 

曲が終わると同時に拍手がかかる。普段とは違う緊張感の中だったので、すぐ出ていった。

 

それから一週間後。

 

星宮とあおいと蘭の、いつものメンバーが揃ってこちらに来たかと思えば、スマホを見せてくる。うつっていたのは、一人の男性。というか、仮面を被った俺だった。

 

「これ、ハチ君...だよね?どうしてここで踊っているの?」

 

「ハチマン、なんで仮面を被って踊ってるの...?」

 

「というか、どうしてここまで踊れているんだ?」

 

誤魔化しながら、避けて避けて、最終的には逃げた。

 

さらにその一時間後。

 

今度は、おとめ、しおん、さくらの三人が、これまたグループできた。

 

「これって...八幡たん、なのですか?」

 

「八幡先輩って、バックダンサーをしていたんですか...?」

 

「八幡様は本当にどんな事にも、長けていらっしゃるのですね」

 

さっきと同じく、誤魔化しながら、避けて避けて、最終的には逃げた。

 

そしてこの三十分後。

 

今度は、美月さん、ユリカ、かえでの三人がきた。

 

「ねぇ、これ、八幡...じゃない?どうして、こんなところに出てるの?」

 

「八幡。あなた、私の下僕なのに、勝手に行動するなんて....。血を吸われたいのかしら?」

 

「ワォ!器用なんだね、八幡は。ダンスも出来るなんて...」

 

これまた、誤魔化しながら、避けて避けて、最終的には逃げた。というか、美月さん。あなた、今日は忙しいと言っていませんでした?

 

流石にこれ以上は言われずにすんだ、が。あまりにも言われたので、スターライト学園から逃げて、少し出掛けることにした。

 

これが、フラグだったのだろうか。

 

・・・次回へ、引き延ばし。

 

ちょっと、時間が欲しいので。




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

では、また。


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八幡、アイドルになる?part2

どうも、クロジャです。

すいません、引き伸ばして。

好評なら、他にも色々な番外編作ります。

あと、どこかで言ったのですが、番外編で、皆様が希望するシチュエーションを言ってくだされば、書くと言ったやつなんですが....

実行します!

応募方法は、感想のところに出してくれれば。あと、何にするかは、グッド数や、偏見で決めようと思います。
まぁ、もちろん、希望が無ければ、書きません。

そういう感じで、どうぞよろしくです。

では、本文どうぞ。


前回のラブ...じゃなかった、アイカツ!with俺ガイルの番外編は!

 

突然任されたバックダンサー!八幡は戸惑うも出ることに!

 

しかし、その後待ち受けていたのはスターライト学園にいる生徒からの質問攻めだった!

 

そして、それに耐えかね、八幡は外に出ることに...

 

さぁ、どうなる、part2!?

 

...なんか、色々混じりましたね.....。

 

・・・

 

スターライト学園から出た俺は、公園で一休みをしていた。

 

「はぁ.....疲れた体を癒してくれるのは、マッ缶だけだな...。にしても、あいつら..。どうして俺だって分かったんだ?あと、別に俺だった所で特に何かがある訳じゃないのにな...?」

 

もう一本買ってこようかな...と思った矢先。立ち上がると、二人の少女がこちらに走ってくる。

 

「はぁ..はぁ...はぁ...は、ハチ!」

 

「これって、ハッチーだよね?だとしたら、ヤバヤバヤッバッーイ!!」

 

「お、おう、とりあえず落ち着け、な...?」

 

息を上げながらも、俺に詰め寄りながら、というか問い詰めながら、迫ってきた二人の少女の正体は、音城と「セイラだ!」...セイラと、冴草「きいだよ!」...きいだった。

 

二人ともあの、ドリームアカデミーに通っている。

 

今、大注目なアイドルの一人でもある彼女らなのだが...色々とあり、その結果。友達になれたのである。

 

「これが落ち着いていられるか!!」

 

「そうだよ!ハッチーはどうして私達に黙って、出てたの?!」

 

そう言って見せてきたのは....あぁ、またか。

 

正直な話。こう何度も説明するとめんどくさくなってくる。

 

なので、適当に答えて、早々に立ち去っていった。

 

そして、その後。のんびりと歩いていると。

 

「あら?八幡?」

 

「え?...あ、本当だ、おーいはちまーん!」

 

同じくドリームアカデミーに通う、風沢「八幡?」...そらと、姫里「マリア!」..マリアがそこに二人で楽しく喋っていた。

 

今までの事を踏まえると、嫌な予感しかしないので、早々に立ち去らないと。

 

「よぉ。こんなところで奇遇だな。じゃ、そういうことで」

 

「八幡?」

 

「はい。すいませんでした」

 

立ち去れなかった。だってこの人怖すぎるんだもん。魔王だよ、魔王!

 

「なんか失礼なこと考えてない?」

 

「いえ、まったく」

 

心の中を読まないでください。

 

「あ、そうだ。八幡。これってもしかして...」

 

「あ、そうそう。聞こうと思っていたの。ねぇ、これって...」

 

面倒なことを言われる前に、口早にまくし立てて、逃げた。

 

流石にもう、会わないだろうと思いながら、足を引きずりながら歩いていると...。

 

「あれ?八幡?どうしたの、こんなところに歩いて」

 

そこにいたのは...みくるさんだった。美月さんとWMを組んでいる人だ。以上。

 

「あ、そうだ。八幡に会ったら、聞きたかったんだけどさ、これって、八幡?」

 

またか。またなのか。もう、嫌だ。どんだけ聞いてくるんだ。

 

はぁ。もう一回言わないといけないのか。...それとなく言うか。

 

・・・

 

「もう、何回聞かれたんだろう...。はぁ.....」

 

とぼとぼと歩きながら、学生寮に戻っていた。

 

もう少しで着くという所で、遠くに何人もの人影が見えた。

 

まさか.....いや、まさかな...。

 

やがて、その姿が見えると...。

 

「ハチ君!」←星宮

「ハチマン!」←あおい

「八幡」←蘭

「八幡たん!」←おとめ

「八幡先輩!」←しおん

「八幡様!」←さくら

「八幡..?」←美月さん

「八幡?」←ユリカ

「八幡!♪」←かえで

「八幡!」←セイラ

「ハッチー!」←きい

「八幡!」←そら

「八幡!」←マリア

「八幡!」←みくる

 

「い、いや、何で、ここに?」

 

そこにいたのは、俺に散々聞いてきた彼女たちだった。

 

ま、まだ続ける...もうちょっと、粘る...粘って見せる!

 

すいません。




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

では、また。


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八幡、アイドルになる?part3

どうも、クロジャです。

すいません、延ばしすぎですよね?

多分、これで終わるはず。

では、どうぞ。


「........」

 

静かな部屋に、一人の男性と十四人の女性。しかも、全員がアイドルという異様な事態。

 

とりあえず、現状報告。

 

星宮は、ニコニコと笑いながらもやっぱりハイライトさんが仕事放棄。

 

あおいは、アイドルの集結に驚きながらも喜んで貴重な写真を撮っている。

 

蘭は、何だかソワソワとしていた。何というか、落ち着きがなく、らしくない。

 

おとめは、ひたすらジーッとスマホの写真と俺を見比べている。で、たまにおとめの方を向くと、凄く可愛い笑顔で返される。やばい、癒される。

 

しおんは、キリッと澄ました顔をしているように見えるが、正座している足が少し震えている。先輩の前だから、緊張でか?

 

さくらは、星宮と同じくニコニコと笑っているが、こちらは普通の笑顔。癒される。

 

美月さんは、皆の手前、落ち着いてはいるが、なんとなく分かる。今あの人は、凄く心の中では落ち着きがない。証拠にたまに口元が歪む。あと、俺を見ると顔を赤らめる。なぜだ。

 

ユリカは、相も変わらずキャラを保っている。が、たまに、手が震えているのが見える。あれ、漆黒の辞書には緊張という文字がないんじゃ...?

 

かえでは、......楽しそうだ。うん、その一言につきる。

 

セイラは、星宮を見て...なかった。うん。俺をジトーッと見つめていた。目線をそちらにずらすと、慌てて手を顔の前に持ってきて、ふるふると振って誤魔化す。うん、可愛い。

 

きいは、何だかさっきから指を頭に当てて考え事をしていた。時たまに、ニヘラと顔を歪める。

 

そらは、......うん、八幡。何も言わない。だって、怖すぎるもん。

 

マリアは、おとめとかさくらのように、可愛らしい笑顔のまま、見守っている。こいつは聖母なのか...?

 

みくるさんは、かえで同様、楽しそうにしているように見える。が、よく見ると、たまに美月さんの方を見て心配そうな目で見る。

 

以上、十四人の状況です。え?俺?俺はいま、死地に立っている気分です。

 

そしてこの静寂を破ったのは、美月さんだった。

 

「...みんなは、どうして八幡に何のようなの?」

 

ポツンとそう呟くと、周りがそれに反応して、様々な反応をした。

 

それに真っ先に反応したのは、星宮だった。

 

「..私は、ハチ君がどうしてこんなところで踊っているのかが、気になって」

 

「だけじゃないでしょ?みんなもそう。八幡が別にこういうことをしたって、別にそれは個人の自由なんだから。....それ以外に、何かがあるから、しつこく聞いているんじゃないの?...まぁ、その中に私もいるんだけどね」

 

シーンと、またもや静まりかえる。

 

その時。セイラが勢いよく立ち上がり、俺を立ち上がらせ、威勢よくこう叫んだ。

 

「私は八幡がこういうことが出来るんだったら、興味があったんなら、一緒にやってみたいって思ったからだ!...な、なぁ、八幡。私と一緒に今度ギターでも引いてみないか..?」

 

「ひゃい?!」

 

最後の方は、上目遣いで言いながら、俺の手をギュッと握ってくる。普段とのギャップと相まって、破壊力がありすぎる...。

 

「ま、待つのです!お、おとめも一緒に八幡たんと踊ったり、歌ったりしたいのです!..八幡たん!おとめとじゃ、嫌...なのですか?」

 

セイラとは逆の手をギュッと握り、こちらも上目遣いで聞いてくる。止めろ。俺の理性を殺しに来るな。

 

「八幡..?」

「八幡たん..?」

 

二人に迫られ、たじろいでしまう。

 

「ふ、二人とも!流石にそれは、まずいんじゃないかな?!ほ、ほらスキャンダルとか、ね?」←あおい

 

「そ、そうよ!アイドルとしての自覚がないんじゃないの?!」←ユリカ

 

「「でも....」」

 

二人でセイラとおとめを俺から離す。それで終わりと思いきや、今度はあおいとユリカが迫ってきた。

 

「ま、まぁ、流石にここまではスキャンダルさん達も入ってこれないし。..だ、だからさ。ハチマン。その...今度二人でイケナイ刑事総監のドラマにハチマンが出れるように、二人でお願いして行かない..?」

 

「こ、今度。魔夜さんの所に行くのよ。そ、それで最近別の刺激も欲しいとおっしゃっていたから、八幡を連れていけば、いい刺激になると思って...別にあなたと一緒にいたいとか思ってなくもなくもないわよ!!」

 

普段だったらあまりないペアだが、今はそんなことを気にしている場合ではない。

 

あおいは腰らへんを、ユリカはあおいとは逆の方の腰を持って、やっぱり上目遣いで聞いてくる。

 

だから、俺の理性を殺しに来るな。本気になっちゃうよ?告白して、フラれちゃうよ?いやフラれちゃうのかよ。

 

じりじりと追い詰められていくなか、助け船を出したのは、魔王とマリアだった。

 

「ん?誰が魔王だって?八幡?」

 

「いえ、何でもございません」

 

「ふ、二人とも近いよ!」

 

あっ、と声を漏らしながら二人が引き剥がされていく。

 

え、これ何。全員やるの?

 

...ということで、まだ続けます!

 

てか待って、後どれくらいこれやるんだろう。わからない。←おい。




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

では、また。


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八幡、アイドルになる?part4

どうも、クロジャです。

何か本編に行けないんですけど。なぜ?

とりあえず、どうぞ。


「ねぇ、八幡」

 

「は、はい。何でございますか?!」

 

「むぅ...。どうして私にはそんなに敬語を使うの?」

 

「そ、それは..」

 

そらに接近されながら、マリアのどうしてか目に見える周りに漂うハートを避けながら二人と向き合う。

 

先程まで、セイラとおとめとあおいとユリカからの誘いを、何とか断り。というか、セイラとおとめの時は、あおいとユリカが。あおいとユリカの時は、今目の前にいる、そらとマリアが止めてくれていた。

 

この調子だと、あと四回五回。もしくはそれ以上、この下りをやりそうなんだが。

 

とりあえずは、目先の試練に立ち向かわないと。

 

「...八幡はさ。私のこと、多分怖い人程度にしか、思ってないと思うんだ。マリアとか皆みたいに、かわいくも優しくもないから。でもね。今回の話聞いて思ったの。八幡がこういうことをするんだったら、他のこともやってくれるんじゃないか、って」

 

....今回のことで他のことも俺がやるかどうかは別として。そらがこういう風に思っていたとは。

 

確かに俺は最初の方ならまだしも、途中からは魔王呼ばわりしていたからな。この年頃だと気にするのかもしれない。

 

「...悪かった」

 

「え?」

 

「魔王とか呼んでたりして。...別に怖い人とかは別に思ってもいるが...」

 

「やっぱり...」

 

「でもな」

 

「ふぇ?」

 

頭にポンッと手を置くと、不意討ちを食らったように変な声を出して、こちらを不安げな顔で見つめる。

 

「それ以上に、魅力的な女性だとも思っているし。...何より、星宮とか他の奴らの暴走を止めてくれたりもしてくれていたしな。その、少なくとも、き、嫌いではねぇよ」

 

「....ふふっ、そこは好きだって言ってくれればいいのに。捻デレね、八幡は」

 

「うるせぇ」

 

「ふふ...でも、ありがとう。私のことを気遣ってくれたんでしょ?」

 

「アホか。俺がそんなに器用に見えるか?自分で一杯一杯だ」

 

「....だから他の女の子よりも、八幡が魅力的に見える。こういうことをスッとしてくれる。....ねぇ、八幡。Bohemian Skyの衣装で少し、詰まっているところがあるの。今度、助けてくれない?」

 

魔王と読んでいた自分がバカらしく思えるほど、可愛らしい。綺麗な笑顔でそう聞いてくる。

 

思わず、俺は言葉に詰まってしまいーー

 

「お、お「そ、そら!一人だけズルいよ!」

 

「ご、ごめんなさい。つい、ね」

 

あ、危ねぇー!思わず了承しそうになった。

 

やっぱり、マリアは天使だな!」

 

「ふぇ?!ま、待って。ふ、不意討ちだよ...」

 

「...はぁ.....。八幡に少しでも期待した私が馬鹿だったかしら?」

 

「は?何がだ?」

 

「この鈍感。声に出てたわよ」

 

「ま、マジか...。わ、悪いマリア!気分を悪くしたならあやまーー「そんな事ないです!」お、おう?!」

 

「さっきは不意討ちでしたけど。こ、今度はちゃんと目と目を合わして言ってください!」

 

「い、いや、それは」

 

「あら。じゃあ、私もお願いしてもいい?」

 

ま、またか。またこうして迫られるのか。

 

ということは、恐らく...?

 

「ふ、二人とも止まれ!特にそら!悪ふざけが過ぎるぞ!」←蘭

 

「そらもマリアも、少し落ち着いて」←しおん

 

やっぱり...というか的中してほしくなかった。

 

「八幡もだ!そうやって不意に優しくしたりするな!あと、デレデレとするんじゃない!」

 

「八幡先輩は、節操がないんですね」

 

「い、いや、待てしおんよ!俺は別に節操がないとかではなくてな!」

 

「ふふっ......」

 

「し、しおん?」

 

「嘘です。大丈夫ですよ。少なくとも私はそんなこと思っていないですから」

 

「そ、そうか...」

 

この二人はこの中でも比較的真面目なタイプ。流石に他の奴らみたいに何かしたりしないだろう。

 

「ん、んん!」

 

「あ、わ、悪い」

 

「分かればよし!......そ、それで..だな?八幡」

 

何だか嫌な予感がする。

 

「そうだ。八幡先輩」

 

うん、多分これ的中したね。ひょっとして俺って占い師の才能あるんじゃね?...絶対ないな、うん。

 

「な、何だ...?」

 

「今度、その、な?モデルの仕事をするのに、もう一人人を探しているということをスタッフの人が言っていたんだが....。ど、どうだ?八幡も、や、やってみないか?」

 

「今度またオーディションを受けるんですけど....。ペアでやるので、もしよかったら、その...一緒に、やってくれませんか?」

 

だ、だから...!

 

普段は真面目で凛凛しい顔しか見ていないこの二人だからか。心配そうな顔をしたり、不安そうにしていると、とても魅力的に見える。

 

というか、だから迫ってくるな!服を握るな、可愛いから!

 

「お二人とも。待ってください」←さくら

 

「そうだよー!スト、スト、ストーップ!!」←きい

 

今度止めてきたのは、さくらときいだった。

 

「お、おい...!」

 

「残念」

 

蘭は少し抵抗していたが、あえなく撃沈。しおんは潔く立ち去った。

 

「大丈夫でいらっしゃいますか?八幡様」

 

「大丈夫?ハッチー?」

 

「お、おう。ありがとな、二人とも」

 

あおいとユリカの時もそうだが、普段は見れない二人組がくると驚く。このペアとかレアなんじゃないのか?

そう考えていると、さくらがこちらに近付いてくる。

 

「八幡様」

 

「なんだ?」

 

「おそらく、八幡様はこう考えているのでしょう。"さくらはしないと。特に何もしないだろう"と」

 

「ま、まあ、確かにそうだがーー「その考えを少し変えましょう。私は八幡様が思うよりも、ずっと悪い子です」

 

「い、いやどういう事だ..?」

 

「こういうこと、です!」

 

バッと俺に飛び付いてくるさくら。予想だにしない展開に、踏ん張っていられず、そのまま倒れてしまう。

 

そうすると、俺はさくらに押し倒されるという状況ができる。

 

.......ちょっと待って。頭が追い付かない。

 

「さ、さくら...?」

 

「いくら先輩方とはいえ。コイテキとなれば状況が違います。ここからは女同士の戦い!あぁ、引いてしまっては負けてしまうのです!」デデン

 

いや、こんな場面で北大路劇場されても。

 

「ですから、今日は私も一歩も引きません!八幡様!今度、私の家に来てください!八幡様のことをご紹介したいのです!」

 

「ちょ、ちょっと待ーー「す、ストーップ!さくらちゃん待って!」いや、お前も何をーー!」

 

そう言って、さくらだけでなくきいも乗っかってくる。

 

「わ、私も!私も今度紹介したいから来て?!」

 

「いや最早何の理由にもーーってぇ!?」

 

「きゃあ!!」

 

「わわわっ!!」

 

きいが勢いよく来たことで、恐らく滑ったのだろうさくらと俺を巻き込んで転ぶ。

 

「....うっ...く...さ、さくら?きい?大丈夫か...って、これなんだ?」

 

「ひゃん?!は、八幡様...?!」

 

「わ、悪い!」

 

「うひゃあ!!は、ハッチー?」

 

「え、えっと...?」

 

絡まってしまい、少しでも動くとさくらときいの体を触ってしまうという事態が発生した。まずい、これは非常にまずい。

 

何がまずいって、俺の理性が、ほら、ね?

 

そうしていると、二人の少女がこちらに来て、助けてくれた。

 

「アハハッ!相変わらず八幡は面白いね♪」←かえで

 

「相変わらずね、八幡は」←みくる

 

ようやく離れられた。さくらときいは離された後も少しの間抵抗していたが、すぐに元通り落ち着いた。

 

「大丈夫?」

 

「わりぃ、助かった。ありがとな。かえで、みくる」

 

「八幡が素直にお礼を言ったってことは....明日は雹でも降るのかな?」

 

「おい」

 

「アハハッ!うそうそ。冗談だよ、じょーだん!イッツジョーク♪」

 

「いやいや。かえでがいうと、冗談に聞こえないって..」

 

.....あぁ。かえでとみくると話していると、気分が落ち着く。こいつらとは良い話し相手だからな。あいつらも俺に何かするわけではないし、俺も何かする訳じゃない。

 

男女の間に友情は生まれる。ソースはこれな。

 

「あ、そうだ。八幡。今度さ、一緒にマジックを披露しない?みくるも一緒にさ!どう?」

 

「いいね!私も賛成。八幡は?」

 

「まぁ、それくらいだったら良いぞ」

 

かえてでとみくるであれば、裏がないのは分かっているので、特に疑わない。

 

「ヨシ,トリアエズセイコウシタヨ」

 

「サクセン,セイコウダネ」

 

ボソボソと二人が呟くが、気にしない。

 

「あ、そうそう。八幡、マジックの内容なんだけどさ。早着替えとかを用意してるんだけど。ちょっと、練習もしたいから明日か明後日に、□△○っていう所に来てくれない?」

 

「早、着替え?お前ってそういうマジックをしていたっけか?」

 

「ううん。違うよ。でも、違うのも挑戦してみたいんだ。いい?」

 

「あ、私もいくよ」

 

「そ、そうか。べ、別にいいぞ」

 

んー?ま、まぁ、かえでかみくる、どっちがやるかは知らないが、ミスらなければいいからな。失敗したら、俺が逮捕されてしまう。

 

「ダイニダンカイモセイコウシタヨ,ミクル」

 

「コレデ,ハチマンハワタシタチノモノニ...」

 

「みくる!かえで!」

 

「「!!」」ビクッ

 

美月さんが、二人を叱咤し、呼び止める。

 

どうしたんだ?

 

「二人とも。八幡が気付かないからって、やり過ぎよ。...今なら言わないでおいてあげる。だから、ここで引きなさい」

 

「....はぁ...美月がいる時点でそんな気はしていたよ。みくる。ここで終わりみたいだよ?」

 

「..そうね。引きましょう。....八幡、またね」

 

「グッバーイ♪八幡」

 

言うなりそそくさと二人は出ていった。

 

そして....。

 

俺の前に現れたのは、大魔王(ギャップ萌えの塊)と裏魔王(ヤンデレ百パーセント中の百パーセント状態)。

 

美月さんと星宮がそこに立っていた。

 

「...さて、八幡」

 

「ハチ君?私我慢したよね?一回も行動しないようにしていたよね?もういいよね?」

 

「....ストップ。待て。一回星宮はハイライトを戻そうか。美月さんは良い笑顔でなに持ってるんですか。それ、手錠ですよね。嫌な予感がするんですけど?」

 

チャラ...といつの間に手に持っていた手錠を俺に近付けてくる。

 

「私いい加減、そろそろ名前呼びでも良いと思うんだ。かなり長い付き合いだよね?みんなは名前呼びだよね?どうして私は名字なの?ねぇ」

 

「私は名前呼びだけど...。でも、さん付けは抜きで良いって言ってるのに、未だに美月さんよね?」

 

「美月さん」

「いちご」

 

「私が考えていることと」

「私が考えていることは一緒」

 

「やることはただ一つ」

「八幡を...」

 

じりじりと近付いてくる二人。助けを呼ぼうと星宮達の後ろを見るが、誰もいなかった。

 

「や、やめーー」

 

「「矯正するだけ」」

 

そこから一週間ほど俺の記憶は無くなっていたが、何故か本能がいちごと美月と呼べと、言っていた。

 

俺は一体何をされたのだろうか。

 

というか俺は何故、少し出ただけでこう言われなければ、ならないのだろうか。

 

あと、何故か十四人からメールが届いていて、要するに私の出るライブに一緒に出ろ、という話だった。そして俺は了解していた。

 

俺、アイドルになる...のか?

 

そう考えながら、とりあえず一人目の所へと向かうのであった。

 

ーー八幡、アイドルになる?

 

 

・・・これで良かったのか?




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

では、また。


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もしもあのキャラがヤンデレになったら~?ver.あおい

どうも、クロジャです。

前々から書こうとは思っていたんですが、書く暇がなく。

ようやく書けました。書けましたよー!ロリペイさーん!

では、どうぞ。


私には二人の幼馴染がいた。

 

一人は太陽のような子だった。

 

幼い頃から彼女は天真爛漫という言葉がよく似合う子で、私もよく振り回されたけど。一回も苦痛には思わなかった。

 

私は彼女と一緒にアイドルを目指し、スターライト学園に入学した。

 

お互いにつまづきそうなこともあったけど、なんとか乗り越えていけた。

 

彼女の名前は星宮いちご。

 

 

そして、もう一人は...私の初恋だった。

 

彼はいつも孤独だった。

 

クラスで私達以外に誰かと一緒にいた事を見たことがない。

 

そして彼はいじめられていた。

 

当時の私達は頑張って守ろうとしたけどーー、多勢に無勢。勝てるわけがなかった。

 

それを見て、誰かが私達を脅して守ってもらっている、という噂を流した。

 

私達は否定し続けたけど....それも庇っていると思われて、さらに彼へのいじめが酷くなった。

 

ある日の教室。彼は「もういい。ありがとな」と私達に言うなり、いきなり私達をバンっと押して倒す。

 

何でこんな事をしているんだろうと思っていると、「てめぇらが俺の事を守らねぇから、俺がいじめられるだろうが!」と叫んで怒ってきた....フリをしてきた。

 

私達は一目で分かった。彼は言いながら震えていた。

 

でも。分かっていながらも、私達は何も出来なかった。いや、させてくれなかった。

 

それを見た他のクラスの人も、彼を次々に罵倒し始めた。

 

彼は殴られ、蹴られ、罵倒され。私達は彼を助けようとしたけど、助けられなかった。

 

その時、偶然にも先生が来てくれたおかげで、いじめは止まり、それ以降も先生達からの監視が入って、無くなった。

 

私達は彼に話しかけようとしたけどーーダメだった。

 

でも、毎日話している内に、彼はまた私達と話してくれた。

 

....それがダメだったのかもしれない。

 

学校内では彼は先生に守られる。でも、学校外だと、そうもいかなかった。

 

彼は今度、外でいじめられ始めた。

 

なるべく私達も一緒にいたけど、その日。私達は用事があって一緒に帰れなかった。

 

その次の日。私達が教室に入ると、クラスの人が一斉に私達の所に来た。

 

クラスの人達は、私達に「今まで守れなくてごめん」と言ってきた。

 

意味が分からず、理由を聞くと、昨日。彼はまたいじめられ、その際に「お前、あいつらを脅してまだ守ってもらってんのか?!」と聞かれて、彼は「あぁ、そうだが?」と言ってきたらしい。

 

私達にはもう何がなんだが分からなかった。でも、一つだけ分かった。

 

彼は私達を守ろうとしている、ということ。

 

私達がどう言っても、もうまともに聞いてくれず、全員が「脅されて...」と言うばかり。

 

その時にそのクラスのリーダー格が、私達の所に来て、私達を一緒のグループにいれたい、と言ってきた。

 

もちろん私達は断った。それを見たリーダー格の人は私達がまだ脅されているから、そう言ってしまっているんだと言ってきた。

 

それを聞いたクラスメート達は、いよいよ怒りが最高潮にまで達し、いじめという規模を越えそうになったときだった。

 

リーダー格の人が私達どちらかではなく、私達二人に告白してきた。しかも、放課後の教室。皆がいるところで。

 

他のクラスメートはからかったりして、「ひゅーひゅー」やら「お似合いだぁ!」とか「まだ付き合ってなかったのぉ?」やら。

 

どうしてか私達と彼が付き合っているという風に、クラスの人に認識されていた。

 

それを必死で否定し、そのリーダー格の告白を断り、尚且つ絶対に言われると思って先に、彼に脅されて言われていっている訳じゃない、と強く否定しておいて、そこから走って外に出た。

 

その時に丁度彼が通りかかった。

 

そして、私達を追ったリーダー格とクラスの人達も彼に気付いた。

 

私達は彼がまたいじめられると思って、一生懸命庇った。

 

それを見た彼がまた、自分を犠牲にして私達を助けようと、何かを言おうとした時。

 

リーダー格の人が一瞬ニヤリと笑った。

 

その時に私は子供ながらに頭をフル回転させ、なぜ彼がいじめられていたのかを理解することが出来た。

 

彼をいじめ、彼を貶めることで、私達がリーダー格の人の方に行くと思っていたんだろうと。

 

合っていたのか、間違っていたのか。私には分からなかったけど、体が反射的に動いて、私はリーダー格の人を右手でビンタした。

 

ビンタされたリーダー格の人は、何がなんだか分かっていなかったが、私は捲し立てるようにして、先ほど考えた事を言った。

 

すると徐々に静かだった廊下が、クラスの人達の声でざわざわし始めた。

 

みんなも少し思うところがあったのか、リーダー格の人を怪しみ出した。

 

必死でそれを否定するも、それこそ多勢に無勢。ドンドンと勢いは衰え、リーダー格の人は走って逃げていった。

 

それを追いにいったクラスの人達は無視して、私達は彼に向き直り、守れなかったこと、庇えなかったことを謝った。

 

そう言うと彼は照れながら、「...あ、ありがと、な」と言ってきた。

 

それからは三人で仲良く、前みたいに仲良くすることができた。

 

彼の名前は比企谷八幡。

 

ハチマンは優しい。その優しさは私達だけじゃないのは、知っている。それが、私にだけ向くことはないと知っている。

 

ハチマンがスターライト学園に来たことは本当に嬉しかった。また一緒にいれると思って。

 

それにハチマンの良さがわかる人が、何人もいてくれたことも嬉しかった。あの美月さんもハチマンを理解してくれた。

 

....でも。

 

...うれしい反面。ハチマンの心の支えが私達だけじゃなくなっていることを、嫌になっている私もいた。

 

喜ぶべきことなのは分かってる。

 

ハチマンの味方が増えて、良かったと思ってる。

 

でも、ドンドンとハチマンがいなくなっていくようで嫌だった。

 

でも、どんなに嫌がっても私はハチマンには絶対に選ばれない。

 

ハチマンは、私じゃない誰か。いちご、蘭、おとめちゃん、ユリカちゃん。もう何人いるのかも分からないけど。

 

それでもその中に、私は入っていない。

 

願ったって無駄。

 

だから、私は諦めて、いちご達を応援していた。

 

ねぇ、ハチマン。

 

私はちゃんと覚悟を決めたよ?

ハチマンに選ばれなくたってハチマンが幸せならそれで良いって思ったよ?

 

だから、だからさ...ハチマン。

 

お願いだから、私のことを優しくしないで。

 

気があるって思っちゃう。

私にも、って思っちゃう。

諦めなくても良いって思っちゃう。

 

まだ私は自分の気持ちを理性で抑えられているから。

 

もうやめて。

 

応援出来なくなっちゃう。

 

私の中にある私じゃないナニカが溢れ出てきそうになる。

 

ハチマン、私の初恋の人。

 

お願いだから、初恋のままでいさせて。

 

これ以上。ハチマンも、いちご達も、私も。

 

苦しませたくない、苦しみたくない、から。

 

私からの、一生のお願い、だよ?




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

続き、要りますかね?つまんなかったら、これにて終わり。

では、また。


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もしもあのキャラがヤンデレになったら~?ver.あおい2

どうも、クロジャです。

特に何もないので、本編見てください。

では、どうぞ。


「でね?!このアイドルがね?!」

 

「お、おう...ハイテンションですね、あおいさん」

 

「そりゃあそうだよ!久しぶりにアイドルについて語れるんだから!!」

 

あおいが最近何やら落ち込んでいたのを見て、大丈夫かと声をかけたのは良いものの...。

 

まさか、アイドルについてかれこれ二時間も語られるとは..仕事とか大丈夫か?

 

「お、おい。流石にもう仕事とーー」

 

「安心して、今日は一切ないから」

 

「そ、そうか」

 

「..ハチマンは、いや、かな?」

 

上目遣いでだから聞くな!はいかyesしか答えられないだろ!

 

「そ、そんなことないじょ」

 

「....ぷ、はははっ!ないじょ、ないじょって!」

 

「...笑うな」

 

しばらく。ひとしきり笑うと、ヒーヒー、という過呼吸音と共に、笑うのを止めた。

 

「ごめんごめん。あまりにも面白くってさ」

 

「...なぁ、あおい」

 

「ん?どうしたの?」

 

「いやーー」

 

どうしようか。

言うべきか。

言わないべきか。

 

触れてほしくないことであれば、言わないべきだろう。でも、ここまで空元気だったのは、初めてだ。

 

「ーー...その、な。あおい。何か元気ない、のか?」

 

「ーー!!..そっか。ハチマンにはバレちゃうか」

 

「バレるって、何が」

 

「....ねぇハチマン。ハチマンが優しいのって、私にだけ?」

 

「いや俺が優しいわけーー「そういうの、いいから」...分からん。だけどもし、それがあおいには優しさと取れるなら.....多分、お前だけじゃない」

 

「......そっ、か」

 

そう伝えると、微妙にあおいの顔に歪みが生じる。

 

「...だけどな、あおい。俺はーー「お願い、ハチマン。少し待って」...分かった」

 

そのまま俺達はそれとなく会話をポツポツと交わして、解散することになった。

 

俺は。何かをしてしまったのだろうか。

 

だとしても、俺には多分。分からない。

 

・・・次の日

 

「おはようハチ君!」

 

「ハチマンおはよう!」

 

「お、おう」

 

「むー、そこはおはようって返してよー!」

 

「わ、わりぃ...」

 

あおいか普通に返してきたから、思わず驚いたけど、昨日。一応、あんな事があったん....だよな?

 

「いちご。その辺にしてあげて。ほら、だってハチマンだよ?」

 

「まぁ、確かにね」

 

「おい。確かにってなんだ」

 

いつも通りの会話..だよな?

じゃあ昨日のことは、俺の..夢?

 

「ほら、ハチマン行くよ!」

 

「お、おう」

 

..まぁ、何もないなら、それでいいだが..。

 

それから俺はいつも通り、授業を終えて、掃除をしていた。

 

このまま、1日が過ぎると思われた時。

 

事件は起きた。

 

sideあおい(あおいで進める方が楽なので)

 

うん。大丈夫。ハチマンには悟られていない。昨日のことはなかったことにする。ハチマンはああ見えて意外と単純な所もあるから、このまま行けば、おそらく数日で、「あぁ、あれは夢だったんだな」と認識する。

 

大丈夫。私はハチマンを。いちご達を応援する。

 

私はもう、乗りきった。

 

いま仕事が終わって、帰る途中。わりかし早めに帰ることができ、まだ日も暮れていない。

 

時間を確認すると、まだ7時。うん。今日は上手くできた。ここまで早めに帰ることができたのは、いつぶりだろう。

 

.....でも、いま思えば、今日が早めに終わったのは、偶然なんかじゃなかったんだと思う。

 

どこか、運命じみた物にかけられていたのだと思う。

 

学生寮に戻る途中に、ハチマンを見つけた。

 

遠くからだから、あまり分からないが、あそこにいるのは、おそらくハチマン。

 

....あと、誰か。もう一人いる。でも流石に見えない。

 

誰だろう?と思いながら、私は自然と速度を速くしていた。

 

どうして速くしたのか。その時の私は、よくわからなかった。でも、それに気付く前に、私はハチマンが完全に見えるまで近付いてしまった。

 

「おーい!ハチマーー......え.....」

 

誰かはよく見えなかった。近付く勇気がなかった。

 

ハチマンは、誰かとキスをしていた。

 

口と口を合わせ、ゆったりとした空気のなか、ハチマンは掃除服で。もう一人の方は、学生服を着て。

 

それを見て、私の中にある、何かが。砕けちった音がした。

 

ハチマン達にバレないように、少しずつ後退り、視界内にハチマンが見えなくなると、私は走り出した。

 

しばらく走ると、周りには誰もいない場所にいた。

 

「ーーそっかぁ...ハチマン。ついに決めたんだ...。見えなかったけど、誰だったんだろう。いちご?蘭?おとめちゃん?それとも美月さん?」

 

「誰でもいいけど....。良かった。ハチマンもついに....ついに......あれ...?」

 

なんだろう、雨かな?さっきまで晴れてたのに。

 

...違った。これは、私の、涙だ。

 

「あれ?どうして?私。どうして泣いて....?私はハチマンの、皆の幸せを...あれ?あれ?」

 

その時、私の中からナニカの片鱗が出てきた。

 

『皆の幸せ?違うでしょ?あなたは皆の幸せなんか望んでない。あなたは自分がハチマンと一緒になりたいんでしょう?ーーハチマンが好きなんでしょう?』

 

「違う!私は本当に心の底から皆の幸せを願ってる!確かに私はハチマンの事が好き!でも、それはもう乗りきっーー」

 

『乗りきった?つまらない嘘をつくね。あなたの心の底はもっと違ってる事を望んでる。そうでしょ?』

 

「違う違う違う!」

 

『ハチマンを一人占めに。蘭でも、おとめでも、ユリカでも。それこそいちごも。全てを捨ててでも欲しいんでしょ?ハチマンを』

 

「違うって言ってるでしょ!」

 

何もない所で急に怒鳴る一人の生徒。普通であれば、奇異の目で見られる。けど、ここには誰もいない。私以外。

 

『....はぁ......。もういい。まだ素直にならないなら、力ずくで』

 

私の中にあるナニカがドンドンと溢れ出す。

 

どうしてか抑えきれなくなる。

 

「やめて....私はいちご達を、ハチマンを。傷付けたくない!」

 

『じゃあちゃんと抵抗しなよ。そんなの抵抗じゃないよ。むしろなすがまま、じゃん』

 

「ーー!うるさいうるさい!違う!私は!私は!」

 

『もう五月蝿いから、黙ってて。あとは、私がやるから』

 

「ーーあ.......」

 

そこで私の意識は途絶えた。




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

あおいのヤンデレver別人格。

かなりの毒舌。親友だろうと、欲しいものがあれば平気で裏切る。

あおいの溜まりに溜まった気持ちが固まって、出来た姿。だいたい10年間ぐらいが気付かない内に化物を作っていった。

一度発動すると、止まらない。ブレーキがない蒸気列車。

おそらくヤンデレ界では、ほぼトップ10に君臨すると思われる。

いらん情報かも。

では、また。


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もしもあのキャラがヤンデレになったら~?ver.あおい3

どうも、クロジャです。

特に何もないので、本文どうぞ。

どうでしたか?面白かったら、幸いです。


最近、あおいがあおいじゃない気がする。

 

何を言っているのか分からないが、とにかくそんな気がする。

 

話しているのも、目に見えているのも、全部あおい、のはずなんだが。

 

いつも通りの会話をしている筈なのに、違和感を感じてしまう。

 

俺は、おかしくなったのだろうか。

 

・・・ある日

 

俺は涼川さんから休みを頂き、その日だけは掃除がなかった。

 

いつもこの時間は、掃除をしていたので、何をしようか、どこへ行こうか。特に用事もないので、とりあえずぶらぶらすることにした。

 

「...どうせだったら、溜めといたプリキュア全部一気に見ちまうか?...いや、でも今からだと間に合わない気が...」

 

いつの間にか、スターライト学園を出ており、周りは来たことのない場所だった。

 

やべぇ、迷子った。

 

地図を探そうと、目線を周りに向けようとすると、ちょうど後ろを向いたとき。

 

「どこかに地図は、ってうおう、びくった...」

 

そこには何故か、あおいがおり、ニコニコと微笑んでいた。

 

その笑顔がなぜか、いつもの笑顔には見えず、どこか黒ずんだような笑みだった。

 

「ハチマン。どうしたの、こんな所に来て」

 

「あ、あぁ。たまたま今日、涼川さんから休みをもらってな。何をしようか考えてたんだよ」

 

「そうなの?じゃあ、一緒にいい?私も今日仕事が休みなの」

 

「いや、まぁ、別にいいが」

 

「ありがとハチマン♪」

 

楽しそうにはにかむあおい。

 

でも、やっぱり....ーー「ね、ハチマン」

 

「どうした?」

 

あおいに問われて、思考が止まる。

 

「ハチマンはさ。例えば、いちごやユリカ..ちゃん、おとめちゃんに、美月..さん、他にも何人か。いま言った子達が、一斉にハチマンに告白したら....どうする?」

 

「.....は?」

 

突然の謎の質問に、俺は固まって、思わず歩くのを止める。

 

「二回も言わないし、逃がさないよ?ちゃんと答えて」

 

あおいはスタスタと歩いていく。迷うことなく、歩いてどこかへ。俺もそれについていこうと、歩くのを再開する。

 

あおいが怖い。

 

「....俺は。多分、選べないと、思う。誰かを選ぶのは...俺には、無理..だと思う」

 

「....そっか。ハチマンらしいね」

 

「ま、まぁ、そもそも、あいつらが俺のことを告白なんて、するわけないだろ。俺だぞ?」

 

「.....そうだね、いちご達は告白しないと思うよ」

 

「だろ?...というか、そもそも何でこんな質問した、ん、だ」

 

あおいにそう語りかけようとして、俺は体の向きをかえる。だが、そこにあおいはいなかった。

 

「......あおい...?」

 

風のごとく。気付いたら、あおいの影も形も無くなっており、周りには俺一人だった。

 

「....どういう、ことだ?」

 

「ハチマン」

 

「ーー!あおい?!」

 

耳元であおいの声が聞こえた。と思いきや、あおいの姿はそこにはなく、脳内にはあおいの俺を呼ぶ声だけが、反芻していた。

 

「あおい?!」

 

「ハチマンは優しいよね。...でもさ、それは特別な誰かを作らない、ってことだよね。ハチマンはみんなを傷つけたくないから、複数から言われたら、絶対に選ばない。決めない」

 

「......」

 

見えないが声だけは聞こえるなか、あおいのその言葉に俺は、黙ってしまう。それと同時に、なんとなくこの声は、いつものあおいのような気もした。

 

「ううん、ハチマン。あなたは悪くない。あなたの今までの経験が、体験が、そうさせているんだよね」

 

「...それは」

 

「でもね、ハチマン。人の想いって、年々大きくなるものなんだよ?」

 

「なんの、話だ...」

 

少しずつ、あおいの声が小さくなっていく。なんだかそれが、あおいという。昔から一緒だったあいつが。

 

俺から消えていくような気がして、背筋に寒気が走った。

 

「でも私は我慢した。いちご達を、精一杯応援したくて。ハチマンに幸せになってほしくて。...でも、想いは小さくなるどころか、どんどん大きくなっていった」

 

「あおい、待て」

 

「私の中のハチマンは大きくなっていった。それでも、それでも....」

 

「あおい、一回姿を見せてくれ!落ち着いてくれ!」

 

声の出所を探るが、所々からあおいの声が聞こえて、特定ができない。

 

「我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢した」

 

「あおい!」

 

「でもハチマンの周りには、いろいろな子が集まって来て。ハチマンを理解してくれる子が増えてきて。それで、私だけじゃなくなったんだって思って。じゃあ、私の。私がいる意味って、あるの?」

 

「頼むから落ち着いてくれ....!」

 

「そう思ったら胸がちぎれそうなぐらい痛くて。その時に、ね。この子が生まれたの。私の、嫌な部分。隠してた部分。...ううん、ずっと気付いてた。この子がいることは」

 

もう、俺の声はあおいには届かないのか....!

 

そう絶望しかけた時、前方にあおいの姿が確認できた。

 

「あおい!」

 

「もう私だけじゃ無理なんだ、ハチマン」

 

「無理じゃない!今からでもーー」

 

なんとかなる、と言おうとしたとき。あおいの姿が消え、俺の隣に急に気配を感じた。

 

「もう、無理なんだよ。ハチマン」

 

バチッ!という音がし、俺の意識が持ってかれる。

 

「あ....お、い....」

 

「ごめんね、ハチマン。いちご達には、手紙を送っておいたから、大丈夫だよ。....じゃあ、行こっか」

 

「や、め....ろ....」

 

そこで俺の意識は完全になくなった。

 

ーーあおいヤンデレEND~一緒に...~




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

では、また。


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本編
001 希望が断たれた時


どうも、クロジャです。

最近、色々な所に出没して書いています。

八幡が好きなんですが、よくよく見てみたら、「あれ?アイカツ!とのクロスオーバー無くね?」と、思い書いてみちゃいました。

下手くそですけど頑張ります、では、どうぞ。


神崎美月という人物をご存知だろうか。

 

聞くのもバカらしいとも言うべきほどの人気を誇り、日本。いや、世界一のアイドルに君臨する。

 

勿論ファンも多く存在し、その内の一人に俺もいた。

 

中学一年生だった俺は、相変わらずいじめられていた。そしてそんな俺を救ってくれたのは、神埼美月の歌だった。

 

あの歌があったから俺は小町に何事も無かったかのような顔を出来た。あの人がいたから俺は生きられた。

 

しかし。

 

俺は毎日話しかけてくれたあいつ....折本かおりに告白した。そしてそれは断られ、周りに言いふらされた結果。いじめがさらに悪化して、陰口は勿論、暴力は集団でリンチ状態。帰ったときに小町に隠すのが、大変だった。

 

両親は俺の事を息子だとは微塵とも思っていないのだろう。そんな物、随分前から知っていた。それでも家に帰れば小町と、あの人の歌があった。

 

ある日のこと。家に帰ると、リビングで小町が見てわかるほど怒っていた。

 

すぐに、どうした、と聞くと。

 

「今日、クラスの皆から、小町ちゃんのお兄さんが告白してこっぴどく振られたんだって、ってずっと言われたんだよ?!こっちにまで迷惑掛けないでよ!!小町的にポイント低いよ!!ーー」

 

裏切られたと思った。

 

学校に行っても、いじめられ裏切られ傷つけられ。

家に帰っても、小町に迷惑と言われ。

 

俺は、すまん、と謝り二階に上がる。

 

その時、俺の全てが壊れる一言を小町が言ってきた。

 

「ーーそんなお兄ちゃんにはお仕置きです!!お兄ちゃんの持っていたCD、全部売ったからね。でも、結構高く売れたよ?まぁ、あれだけあれば小町への謝罪にはなるかな?あ、今の小町的にポイント高い!!」

 

小町を殺そうとする自分の気持ちを必死に理性で押し殺し、ありがとな、とだけ言って、引きずるように昇っていった。

 

自分の部屋に着くと、すぐさまベッドにうつ伏せになり、目からなみなみと流れ出る涙で濡らしていった。

 

死にたい。

 

ただ、それだけしか思わなかった。

 

その日の夜。

 

小町が自室に戻ったのを、ドアの音で確認すると、俺はすぐに玄関まで行って、出ていった。

 

「...くそ..くそ、くそ!」

 

いつか小町が家から出ていき、そして俺が見つけたあの公園にいた。

 

あの時と立場が逆だな..と苦笑いする。が、違うところがあるとするなら、それは俺を迎えに来るのは誰もいないということだ。

 

「そろそろ潮時か...」

 

薄々、もう無理だと思っていた。あの人の歌はただ単に寿命を伸ばしただけだった。

 

いや、違う。俺は本心であの人の歌に聞き惚れていた。あの人の生き様に惚れていたのだ。

 

何にせよ、もう無駄だ。ただえさえ両親から貰う少ない小遣いで買ったCD。恐らく年々少なくなっていき、しまいには無くなるだろう。だから、買うのはもう無理だ。

 

何から何まで俺を殺そうとする。俺が何をした?いつお前らに危害を加えた?俺は生きてはいけないのか?

 

そもそも、俺が告白したのが、間違いだったのか。

 

「...流石にここで死ぬのは止めるか。小町に迷惑掛かるし。......ははっ、今のは小町的にポイント高かったか...」

 

立ち上がろうと膝に力を入れると、不意に声がかかった。

 

「ハチ君?そこで何してるの?」

 

声がした方向を向くと、そこにいたのはーー

 

「星宮か?」

 

「もう!いちごって呼んでよ!」

 

ぷんすかと頬を可愛らしく膨らませた。俺の幼馴染の一人、星宮いちごだった。




はい。いかがでしたでしょうか。

溜め込むタイプじゃないので、書けたら書いて出すといい感じです。

なので、投稿頻度が少し遅いです。そこのところはご了承ください。

では、また。


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002 救いの手

どうも、クロジャです。

特に言うことないので、本文みてください。

では、どうぞ。


「..悪い」

 

こう見えても、俺とこいつ「いちご!」...こい「いちご!」いt「いちご!」......星宮は幼馴染なのだ。「まぁ、いいかな」

 

こいつ....なんで、俺の心が読めるんだよ。

 

「だって、ハチ君。物凄く分かりやすいんだもん」

 

マジか。俺、そんなに分かりやすいのか。

 

「うん」

 

今度から注意しないとな...。まぁ、次はもう無いんだけどな。

 

先程の続きだが、俺と星宮は幼馴染なのだ。家が隣とかでは無いのだが、小さい頃から一緒。別に親同士が知り合いとかではないが、それでも何故か星宮、と、もう一人いるのだが、こいつらとは腐れ縁という奴だ。

 

幼稚園、小学校と一緒だったのだが、星宮はスターライト学園に入学することを決め、そこからはバラバラになった。ちなみにスターライト学園に入学することを決めたきっかけでもある、神崎美月のコンサートは色々とあり、行けなかった。マジであの時は悔しかった。

 

まぁ、でもこうして会うのは、かなり久しぶりなのだがーー、どうしてこんなところにいるんだ?でもってどうして、制服。

 

「星宮はどうして、こんなところにいるんだ?というか、こんな時間にこんな場所でこんな奴と会っていたら、悪い噂が立つぞ。悪いことは言わんから、さっさとどっか行け」

 

よし、これでOKだ。このまま星宮に去ってもらい、その前に少し俺が何か罵倒でもすれば、こいつは俺が死んでも、特に思うことはないだろう。

 

しかし、状況は俺の思い通りはならず、星宮はまた頬を膨らまして、私怒ってますアピールをする。

 

「ハチ君。私、前に言ったよね。自分の事をひどく言うのは止めてって」

 

「いや、それはだな...」

 

「いやじゃない。ダメなものはダメだよ。そんな風に自分の事を悪く言ったら、私やあおい。それに小町ちゃんだって悲しむよ?」

 

「ーー小町か...」

 

「そうだよ」

 

「...ははっ..絶対に無いな、そんなこと」

 

自嘲ぎみに笑い、星宮が心配そうに見つめている目から逸らして、そう呟く。

 

「...ハチ君?」

 

「もう俺を心配する奴なんていない。....だからもう俺の事は放っておいてーー」

 

「ハチ君!!」

 

両手で俺の肩を掴み、無理矢理星宮の方を向かされる。

 

「んだよ..」

 

星宮がしつこく粘ってくるので、苛立って返答する。

 

「ちゃんとこっちを見て。ハチ君、何があったの?ちゃんと教えて。誤魔化さないで言って」

 

「ーーっ」

 

強い目。俺を逃さまいと。目線を逸らすことができなくなる。

 

「...はぁ.....しつこいんだよ、お前」

 

「うん。私すっごくしつこいよ?後、いちごって呼んで」

 

「.....長いぞ」

 

「まだ時間はあるから、大丈夫。だからーー」

 

ーー教えて?

 

面と向かって話すのは久しぶりかも知れないな。

 

・・・説明中

 

「ーーで、今にいたる、ってわけだ」

 

「...ハチ君」

 

「なんだ。お前もこんな話聞いて嫌だろーー」

 

いつなのか。分からなかったが、星宮は泣いていた。

 

俺の両手の袖を掴んでこちらを見やる。その顔はぐしゃぐしゃに歪んでいた。

 

「ハチ君...ハチ君は、強いんだよ。凄く」

 

「強い.....?」

 

「うん。でもね、ハチ君」

 

星宮はふるふると、首を横にふる。

 

「..ハチ君はさ、どうして一人で抱え込んじゃうの..?」

 

「.....ぼっちだからだよ。言わすんじゃねぇ」

 

「私は?」

 

「は?」

 

「私じゃなくてもいい。あおいや、小町ちゃんでもいい。どうして、相談してくれなかったの?」

 

「..お前らにまで迷惑をかけるわけには、いかないからな」

 

「迷惑じゃないよ」

 

「..そんなこと言われても、今さらなんだよ」

 

言うと同時に星宮を突き放して、後ずさる。

 

このまま逃げれるかと思ったが、星宮はすぐさま俺の手を捕み、またしても逃げられなくする。

 

「私さ、そんなに信用ないかな..?」

 

「....」

 

心細そうに袖だけをキュッと掴み、そう、聞いてくる。

 

「..頼らなかったのは、悪かった。....だけど、もう何もかも手遅ーー」

 

「手遅れなんかじゃないよ。まだ、やり直せる」

 

「やり直すって、何を」

 

「小町ちゃんと話し合う」

 

「...だからそれはさっき言っただろ「でも、ちゃんと話してないよね。きちんと話し合っていないよね。自分の今の状況とか話していないよね」...それはそうだが」

 

「だったら行こう!」

 

先程までの涙でぐしゃぐしゃになっていた顔はどこへやら。笑顔満開な顔をする。

 

「行くってど..!」

 

こ、と言う前に引っ張られて連れ去られる。

 

「ハチ君の家に!」

 

「いや、もう流石に遅いだろ。小町だってもうぐっすり寝て「お兄ちゃん!!」

 

声のした方向を振り向くとそこには。

 

「小町..なんで」

 

「小町ちゃん...」

 

息も絶え絶えの状態で、恐らく急いで来たのだろう。パジャマからは着替えているが、それでも服装は乱れ、顔も先程の星宮のようになっている。

 

そこにいるはずのない人間。

 

俺の愛すべき妹だった、小町がそこにいたのだった。




どうでしたか?

面白かったら、幸いです。

では、また。


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003 仲直り①

どうも、クロジャです。

まぁ、特に言うことはないので、本文みてください。

では、どうぞ。


「...もう、大丈夫か」

 

「...うん、ありがとう。お兄ちゃん」

 

「..とりあえず、座ろうか」

 

なんとも言えない空気が周りに流れ、それをみかねた星宮がベンチへと誘導する。

 

時刻はそろそろ日付が変わろうかとする時間に近く、周りの景色は公園にある街灯がなければ見えないほど、暗い。

 

そんな所に目の腐った男子一人と、美しいというよりかは、可愛らしいと言うべき美少女が二人。何とも異様な光景だ。

 

「...小町ちゃんは、どうしてここに?」

 

「..あ、はい。その、お兄ちゃんが、夜遅く出たのに気がついて、心配になって探したんです。でも」

 

「見つからなくて、本格的に探し始めたら、私たちを見つけた、ってこと?」

 

「はい...」

 

「....」

 

小町と星宮が話すなか、俺は歯を食いしばり、怒りを抑えていた。

 

「(心配、だって?)」

 

俺を見捨てたくせに。

 

俺を裏切ったくせに。

 

負の感情がおさまらない。ドンドンと溢れだして、今にも溢れそうだ。

 

「..小町ちゃん。どうして、心配してたの?」

 

「そ、そんなの当たり前じゃないですか!お兄ちゃんがいなくなるなんて、そんなこと嫌に決まってーー「うるせぇよ」...お兄ちゃん..?」

 

星宮がなにかを呟いているが、今は関係ない。そんなことよりも、この溢れだす感情が止まらない。

 

「心配だと?あの一連の状況から、どうしてそんな言葉をのうのうと言える?お前は、あいつらは、俺を裏切って楽しいんだろ?傷つけて嬉しいんだろ?今さらそんな偽善者ぶったこと言われたってーー」

 

迷惑なんだよ、そう言う前に。

 

言わせまいと星宮が俺の頬を手で叩く。いまゆる→所謂(いわゆる)、ビンタというものだった。

 

「ーー何すんだよ」

 

「ハチ君、落ち着いて。今の小町ちゃんの顔、ちゃんと見えてる?」

 

そう言われ見てはじめて気がついた。

 

震えていた。

 

襲い掛かる恐怖に耐えるようにうずくまりながら、ごめんなさい、ごめんなさいと呟きながら涙を流していた。

 

ここでようやく俺の理性が、この感情を押さえつけることに成功した。

 

「ーーっ」

 

俺は何をしている。俺は何をした。何をしてしまった。

 

言葉が思い付かない。何を言うべきなのか。何をするべきなのか。思い付かない。

 

「..ハチ君、ちょっとコンビニで飲み物買ってきてくれる?ちょっと喉が乾いちゃって。お金は私のを使っていいから」

 

といって、財布を渡す。星宮なりの気遣いなのだろう。

 

いつもであれば、断り、余計なお世話と言うが、今の状況に関しては、感謝しかない。

 

「...分かった」

 

俺は逃げるようにして、その場から去っていった。

 

・・・小町&いちごside

 

「..小町ちゃん、落ち着いた?」

 

「..はい。ありがとう、ございます」

 

ハチ君が行ってから少し立って、小町ちゃんが泣き止み、話のできる状態になる。

 

「..小町ちゃん。話しても、いいかな?」

 

「....はい」

 

「小町ちゃんはどうして。ハチ君を傷つけるような事をしたの?」

 

「...小町は、お兄ちゃんを喜ばしたくて、少し前から機会を伺っていたんです」

 

「機会?」

 

「はい。小町は最近お兄ちゃんが暴力をふるわれているのを、薄々分かっていたんです。でも、お兄ちゃんは何も言いませんでしたし、小町から何か出来ることも無かったので別の方法で慰めようとしたんです」

 

「...」

 

「お兄ちゃんが大ファンの神崎美月さんのコンサートのチケットが、ゲット出来たんです。でも、普通に渡したんじゃいつも通り。お兄ちゃんの心は本当の意味で癒えないと思ったんです」

 

「..それで?」

 

「その、小町も普通に渡すのが恥ずかしくて、だからどう渡すか悩んでいたんです。そしたら、お兄ちゃんが告白して振られたっていう情報をクラスの皆が言ってきて。それで、小町は思ったんです。この事について言った後に、サプライズで渡せば、お兄ちゃんはもっと喜ぶんじゃないか、って」

 

「...」

 

「それで、お兄ちゃんが帰ってきたのを見計らって、起こ→怒っている風を装ったんです。それで、少しだけ言えば良かったんですけど、急に恥ずかしくなってきて。それで、本当はもう少し抑えて言うつもりだったんですけど、強まっちゃって..」

 

「それは...」

 

「はい、完全に小町のせいです。小町も自分で言っときながら驚いて。それで、止まれなくなっちゃって、お兄ちゃんにとって一番、嫌なことを言っちゃったんです」

 

「...美月さんのCDを、 売ったって...?」

 

「ち、違います!お兄ちゃんの部屋に残ってます!....お兄ちゃんは両親から、あまりお小遣いを貰えていませんでした。だから、あのCDを買うのに、とても苦労していたんです。小町もそれは知っていて...。なのに、小町は..!嘘とはいえ、言っちゃいけないことを...!」

 

「....」

 

...不器用だなぁ、二人共。

 

お互い大切な存在なのに、色々な気持ちがぶつかっちゃって、言えなくなってる。

 

「小町ちゃん」

 

「..うぐっ....はい..」

 

「小町ちゃんは、ハチ君と仲直りしたい?」

 

「勿論です..!」

 

「じゃあ、ハチ君が帰ってきたら、ちゃんと話し合おう?」

 

「はい...!」

 

小町ちゃんが覚悟を決めたみたい。

 

その時丁度良く、少し遠くの方から足音が聞こえ始める。

 

「あ、ハチ君じゃない?」

 

「え、あ、こ、この格好は流石に恥ずかしいですよ!」

 

「我慢我慢」

 

しかし、そこに現れたのはハチ君では無かった。

 

「あーやってらんねー!!あの野郎裏切りやがって...!!絶対に許さねぇ...!.....あ?」

 

明らかにヤバそうな人がそこにいた。

 

そしてその人は私たちを視界に入れるなり、ニヤリと気持ち悪い笑みを浮かべてこちらに近付いてくる。

 

「お嬢さんたち?こんな時間にこんなところで何をしてるのかな?もしかして、援交?やべー!お金払ったらヤらせてくれる?君たちみたいな子だったら、いくらでも払うよー?」

 

ゆっくりとこちらに近付いてくる。

 

小町ちゃんが恐怖のあまり、叫び声を出す。

 

「ーーひっ!お、お兄ちゃーん!助けてー!!」

 

「おい!大きな声出すんじゃねぇ!!ーー殺すぞ」

 

「ーーう、あ」

 

もう一度声を出しそうな小町ちゃんの口を抑えて、優しく宥める。

 

「大丈夫だよ。.....そんなんじゃありません。..私達もう行きますから」

 

「いやいや、待てって。大丈夫大丈夫。すぐに気持ちよーくなるからさ。ね?」

 

私の体に手が伸びる。

 

私も怖くなり、助けを呼ぶ。ハチ君を。

 

「ハチ君ー!!」

 

「てめぇ!だから大きな声を「お前の方が声でかいんだよ。そんな事も分かんねぇのか?」んだと!!誰だ!!」

 

「こっちだ、よ!!」

 

「グハッ!!」

 

私に触りかけていた手は誰かの蹴りによって、飛ばされる。

 

「ハチ君...!」

 

「お兄ちゃん...!」

 

私の救世主、ハチ君がそこにいた。




どうでしたか?

あ、そうそう。

アイカツ!を見直しているんですけど、誰かどんなのでも良いので情報くれると、助かります。どんなのでもいいです。

それでは、また。


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004 仲直り②

どうも、クロジャです。

特に言うことはないので、本文みてください。

では、どうぞ。


・・・八幡side

 

「...はぁ.....」

 

俺はため息をしながらコンビニまでの道のりを歩いていた。

 

目の腐った男性がため息をしながら、歩く...恐怖だな、この光景。なんだろう、俺がいるだけで恐怖のワンシーンになるな。

 

「...今頃何してるんだろう。あいつら、もしかして俺の悪口を...?」

 

あり得る。俺はあんなことをしたのだ。言われても仕方がない。

 

そんな事を考えている内にコンビニにつく。こんな時間でもやっているとか...流石としか言いようがない。

 

「こういう時便利だよな...」

 

ウィーンという音が聞こえた後、すぐに、いらっしゃいませー、とお決まりの台詞を言われる。

 

「俺はMAXコーヒーで良いとして...、星宮は何にするか。...なんだこれ、のり弁味?...これでいいか。小町は...レモンジーナでいいか」

 

適当に買って、星宮の財布からお金を取り出し....なんだろう、罪悪感が半端ない。

 

会計が終わって、ありがとうございましたー、と後ろから声がかかるのを聞いて、外に出る。

 

まだ話しているかもしれないので、少し遅めに歩く。

 

だが、その時、誰かが叫んでいるように聞こえた。しかも、どうしてか。小町の声のように聞こえた。

 

「ーーっ」

 

一瞬頭の中で悩んでしまった。俺を見捨てたやつだ、助ける義理などないと。

 

だが、体はそうはいかなかった。そんな考えはすぐさま消え、助けにいこうと走り出す。

 

「(...やっぱり俺は、シスコンなんだろうな)」

 

走る。

走る。

走る。

 

息が切れる。だが、そんなものは無視して走り出す。疲れなど気にしている暇はない。

 

五分ほど走ると、先程の公園に着く。

 

そこには、小町と星宮の二人の近くに知らない男性が、近付く光景が見えた。

 

すぐさま助けようと体が動くが、理性が止めにかかる。

 

「(いま助けに言ってもああいうタイプのやつは、証拠がないとかを言い出す。だったら....)」

 

俺はすぐさまスマホを取り出して、その光景を録画する。

 

そして...

 

「ハチ君ー!!」

 

「てめぇ!だから大きな声を「お前の方が声でかいんだよ。そんな事も分かんねぇのか?」んだと!!誰だ!!」

 

俺は男を蹴り飛ばし、星宮たちの前に立つ。

 

「てめぇ..何しやがる!!」

 

「こっちの台詞だ。俺の可愛い妹と幼馴染が襲われているのに、助けねぇはずないだろ」

 

「襲われている?はっ!俺はそんなことしてねぇよ!こんな夜中に二人の女性がいたら、助けようと思うだろうが!」

 

「へー?じゃあこれはなんだ?」

 

そう言いながら俺は先程の映像を見せる。

 

「ーー!てめぇ、姑息な真似しやがって...!」

 

「で?誰がそんなことしてないんだって?」

 

「この野郎...!!」

 

男は激昂し、殴り出す。

 

だがらその手も読めている。

 

そろそろ、来るはずだ...。

 

「おい、お前!」

 

「なっ...!」

 

「俺が一人で来ると思うか?ここまでやったんだ。もちろん、警察も呼ぶに決まってんだろ」

 

「この野郎!!」

 

「おい!大人しくしろ!...連れてくぞ!」

 

「はい!」

 

複数の警察官が男を連れていく。

 

「...ふぅ。..大丈夫か?って、どうして顔が赤いんだ?」

 

二人の方を向くと、どうしてか顔が赤くなっていた。

 

「い、いや、だって、お、お兄ちゃん、可愛いって...」

 

「...ハチ君から初めて言われたハチ君から初めて言われたハチ君から初めて言われた.....」

 

「お、おい?」

 

「う、うん。大丈夫だよ!」

 

「ーーはっ!ご、ごめん。何でもないよ!」

 

「..何なんだよ、一体」

 

「「(鈍感め!)」」

 

「...とりあえず、座ろうぜ」

 

「う、うん」

 

「あと、これ財布。ありがとな、今度必ず返す」

 

「いいよ、これぐらい」

 

三人でベンチに座り、先程までの喧騒から一転。静かになる。

 

「...お、お兄ちゃん。ありがとう、助けてくれて」

 

「私もありがとう。助けてくれて」

 

「あ、あぁ...」

 

「「「・・・」」」

 

再び、静けさが辺りを満たす。

 

「「あ、あの(な)」」」

 

「「ど、どうぞ」」

 

小町と完全に被ってしまい、何となく気まずくなり、お互いに黙ってしまう。

 

「...あーもう!二人共黙ってないでちゃんと話してあって!...小町ちゃん!ちゃんと説明して!」

 

「は、はい!」

 

「ハチ君もちゃんと聞く!!」

 

「お、おう...」

 

・・・説明中

 

「ーーっていうことなんだ。...お兄ちゃん、ごめんなさい!!」

 

「...」

 

そう、だったのか。

 

完全に俺は勘違いをしてしまったのか。

 

「...小町は、本当に俺のためにしてくれたのか?」

 

「あ、当たり前だよ!むしろお兄ちゃんのためだけにここまでやったんだよ!!」

 

「...ありがとう。でもって、悪かった」

 

「ーーへ?!」

 

俺は言うと同時に小町に抱きついて、謝る。

 

小町は戸惑っているが、今はこうさせてほしい。

 

「えっと、あーー...うん、小町もごめんね」

 

「あぁ」

 

「良かった良かった」

 

俺と小町を見て、微笑ましい光景をみるような顔をする。

 

こいつがいなかったら、俺と小町は一生分かり合えなかったのかもな。

 

「....星宮」

 

「ん?どうしたの、ハチくーー」

 

「ありがとな」

 

小町に抱きつきながら、星宮にも抱きつく。気持ち悪いと思われてもいい。そう思いながら、お礼をいう。

 

「ふぇ?は、ハチ君?!」

 

「お前がいなかったら、俺と小町は、こうして仲直りできなかった。だから、あ、ありがとな」

 

「あーー...うん、どういたしまして」

 

「あー!いちごさんばっかりずるいです!お兄ちゃん!小町も小町も!」

 

「お、おう」

 

「...私ももう少しだけ、抱き締めて?」

 

上目遣いで聞いてくる二人。

 

もちろん俺はーー

 

「わ、分かった」

 

逆らえるはずなかった。

 

・・・時間経過

 

「ん、もういいよ、お兄ちゃん」

 

「ありがと、ハチ君」

 

「...あぁ」

 

流石に恥ずい。美少女二人をこうして抱き締めるなんて、一生に一度あるかないかの状況。緊張しないはずがない。

 

「...今日はありがとな」

 

「うん、どういたしまして。.....あと、ハチ君」

 

「ん?なんだ?」

 

そういう星宮の顔はどこか苦しげだった。不安そうな顔でこちらを見る。

 

どうしたというのだろうか。

 

「......ごめん。ハチ君のこと、ビンタしちゃって...」

 

「.......いいっての、別に」

 

「ーーへ?」

 

驚いたような顔で星宮は、何度も何度も瞬きをする。

 

そんなにおかしなことをいった覚えはないんだが...。

 

「あの時、お前がビンタしてくれなかったら、俺は今頃。小町に何をしていたか分からない。だから...別に、お前が謝ることじゃない」

 

「.....ーー良かった」

 

少し暗くて見づらいが、星宮は涙を流していた。

 

「..流石に嫌われたかと思った。...ありがとう、ハチ君」

 

「お、おう。何のお礼かは分からんが。どういたし、まして?」

 

.....何とも言えない空気が流れる。

 

それを破ってくれたのは、小町だった。

 

「......じゃあ、お兄ちゃん。もう、帰ろ?もう遅いし、いちごさんもアイドル活動してるのに、こんな所にいたら、まずいんじゃないですか?」

 

「ーーえ、あ、うん。そうだね。もうこんな時間だし。私帰るね」

 

「お、おう」

 

「ーーあ、でも、待ってお兄ちゃん...」

 

ポツン...と呟く小町。...なんだろうか、小町が異様に可愛く見える。いや今までも可愛かったんだけども。

 

「おう...あー、でも明日からの学校....」

 

「...お兄ちゃん、無理して行かなくても、いいんだよ?」

 

「でもな...」

 

二人で悩む。

 

うーん、と、頭を抱えていると星宮が切り出してくる。

 

「あ!良いこと思い付いた!ハチ君。ハチ君って家事とか出来る?」

 

「は?...あぁ、まあ大方」

 

「じゃあさ、こっちに来なよ!」

 

「こっちって?」

 

「スターライト学園に!」

 

「は?いや、無理だろ、あそこは女子しかーー」

 

「だから、あそこで手伝えばいいんだよ!」

 

「手伝うって?」

 

「あー、なるほど。でも、それって許可がないと、無理じゃないですか?」

 

小町が分かったように応答する。え?小町ちゃん?どうして俺よりも先に分かったの?

 

「な、なんとかするよ!」

 

「だから、何が?」

 

「だから!ハチ君が!

 

 

 

 

 

スターライト学園で、色々なお手伝いをすればいいんだよ!!」

 

「...は?」

 

俺は脳の回転が止まったのを実感できるほど、停止する一言を星宮から告げられたのであった。




どうでしたか?面白かったら幸いです。

あと、キャラがおかしかったりしたら、報告してくれるとありがたいです。

それでは、また。


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005 仲直りの後

どうも、クロジャです。

特に報告することはないので、本文見てください。

では、どうぞ。


あの一件から一週間後。

 

俺は、スターライト学園にいた。

 

「...ということになっているから、注意してくれる?...比企谷くん?」

 

「ひゃ、ひゃい!」

 

「学園長、比企谷ボーイが困っていますよ。もう少し抑えて」

 

「それは何かしら。私が怖いとでも?」

 

「ひぃ?!」

 

どうして、こんな事になったのだろうか。

 

時はもちろん、一週間前に遡る。

 

星宮からスターライト学園に行くのを誘われるが、とりあえずはその場で解散となった。

 

家に帰ると、珍しく両親がおり、二人共心配していた。ただし、もちろん小町にだけ...と、思いきやお袋はなぜか俺の事も心配する。

 

理由を聞くと、自分の息子を心配して何が悪いの?、と逆に聞かれたので、いままでの事について問いただしてみた。

 

すると、お袋は今までの事はごめんなさいと土下座をしてきた。親父はこんな奴、謝るどころか土下座なんてする必要ないぞ!と言っていたが、お袋に思いっきり殴られ、気絶した。ドンマイ。

 

そして、今の俺の現状のこと。小町と喧嘩をしたこと。星宮にスターライト学園に行くことをオススメされたこと。

 

お袋は涙を目に溜めながら、あんたの好きにしなさい。私は何一つ母親としてやってあげられなかった。だからこういうときぐらい、あんたの好きにさせるわ、と言って抱き締めてきた。

 

今日はよく抱き締められるなと、思ったのと、小町の母親なのに、ここまで違うんだね。どことは言わないけどな。

 

こうして、スターライト学園に行くことは許可された。

 

ただ、大きな問題が一つだけ残っている。

 

それは、そもそも行っても大丈夫なのか?という問題だ。

 

だが、それは懸念に終わる。

 

その次の日に、星宮から電話が掛かってきた。

 

「もしもし、ハチ君?いま、大丈夫?」

 

「大丈夫だ。どうした?」

 

「良かった。...それで、どうだった?こっちに来ること許してもらえた?」

 

「あぁ、問題ないぞ。...でも、どうするんだ?俺がそっちに行くのを、許可されるとは到底思えないんだが.....」

 

「OKだったよ!今すぐに来てもいいって!」

 

「...は?ちょっと待て。何がなんでも即答過ぎないか?こんな奴が行くんだぞ?普通だったら断るだろ」

 

「...」

 

「おい?星宮どうした、急に黙って」

 

「何度も言わせないでね、ハチ君。自分のことを酷く言うのは、止めてって言ったよね?」

 

「い、いや、だってそれは「言ったよね?」...すいませんでした」

 

「分かればよろしい」

 

「...それで、どうしてそんなにも早く答えが帰ってきたんだ?」

 

「学園長先生が、最近人手が足りないから丁度欲しかったって言ってたよ?」

 

「そ、そうか」

 

「でも、一つだけ条件があるって」

 

「条件?」

 

「うん。労働基準法?とかで働かせることは出来ないんだって。だから...」

 

「だから?」

 

「こっちで普通の学校生活を送れ、だって」

 

「.....何だって?」

 

「こっちで普通の学校生活を送れ、だって」

 

「いや、二回も言わなくていいから。...本当か?」

 

「本当だよ」

 

「本当の本当か?」

 

「本当の本当だよ」

 

「嘘じゃーー「あ、ごめんハチ君、これからレッスンあるんだ。またね」っおいまー」ツーツーツー...

 

「マジか」

 

詳しい日程なのは後日、メールで送られてきた。ついでにあおいからもきた。

 

どちらも、最後に、楽しみに待ってるねー♪、とつけられていた。いや、楽しみに待たないで。もうちょっと戸惑って。

 

そして、気付いたら当日。

 

小町とお袋に送られ、電車にしばらく揺られ、さらに少し歩き、ようやく着く。

 

そして現状に戻る。

 

「...まぁ、いいわ。比企谷くん、とりあえず学園内を周ってきなさい。後これをかけておいてね」

 

「...これは?」

 

「学園内を回るのに必要な許可証よ。これがないと一発で逮捕。...面倒ならかけなくてもいいわよ?」

 

ニヤリと笑い、スーッと許可証を遠ざけていく。

 

この人...意外に腹黒いんだな。

 

「いえ、貰います」

 

「あら、そう?.....あぁ、忘れてたわ。私の名前は光石織姫。こっちがジョニー先生よ」

 

「よろしくな、比企谷ボーイ!」キラッ

 

「は、はぁ...」

 

「一通り見たら戻ってきなさい」

 

「くれぐれもハニーたちに手を出すんじゃないぞ?」

 

「...ハニーっていうのが何か分かりませんけど、手なんか出しませんから」

 

そう言って俺は出ていった。

 

・・・学園内探索中

 

「...ここどこだ」

 

学園内を回り初めてから十分。俺は早々に迷子になっていた。

 

周りの景色が全て同じに見える。ここは樹海か?

 

「...最悪星宮に電話して、助けを求めるか..」

 

フラフラと回りを見ていたせいで、気がつかなかったせいで、目の前に迫っていた何かにぶつかってしまった。

 

「キャッ?!」

 

「うぉ!!」

 

急にぶつかってしまったせいで、避けることができず、そのまま倒れこんでしまう。

 

「...うぐ...、だ、大丈夫か?」

 

「大丈夫なわけないじゃない!...ひゃっ?!」

 

「お、おい危なっ!」

 

なぜかぶつかった人物が暴れて体勢が保てなくなる。

 

「わ、わわわ?!」

 

「危ーーねぇ!!」

 

頭を打ちそうになったのをかばうために、その人物を抱き締める。

 

「...ぐっ...も、もう大丈夫..か?」

 

「だから大丈夫なわけーーないでしょう!!」

 

俺のことを突飛ばし、立ち上がる、ここでようやくぶつかったのが女性だと気づく。

 

「このユリカさまの、む...む、胸を触るだなんて!!」

 

「は?い、いやちょっと待て、あれは事故だ!」

 

「言い訳なんか聞かないわ!」

 

激昂して怒り出す、ぶつかった女性改めユリカさま(仮)。

 

どうして、こうも面倒事ばかり襲いかかるのだろうか。

 

俺はそうユリカさま(仮)に睨み付けられながら、そう考えるのであった。




どうでしたか?面白かったら幸いです。

なんか、ありきたりですね。いや、王道と言うべきか?ま、どっちでもいいや。(良くない)

では、また。


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006 災難①

どうも、クロジャです。

特に報告することはないので、本文見てください。

では、どうぞ。


「どう責任とってくれるのよ!このユリカさまの、む...胸を触るだなんて!?」

 

「......恥ずかしいなら言わなきゃいいだろ」

 

「なんか言ったかしら?」

 

「いえ、何も」

 

ただいま正座中。

 

言われてしたのではなく、自主的にやっている。もちろん理由は警察を呼ばれないようにしてもらうためだ。

 

「な、なぁ」

 

「はい?!」

 

恥ずかしさと怒りがいれ混ざり、何とも言えない反応をする。

 

「あの、な。言い訳とかじゃなくて、本当に事故だったんだよ。確かに俺も周りを見てなかった、そこはもちろん謝るし、その、お前の胸を触ったことも、土下座でも何でもする。だから、警察沙汰にするのだけは....」

 

「....知ってるわよ」

 

「え?」

 

「だから、知ってるって言ってるの!!私も私で、色々と戸惑ったのよ。さっきされた事とか、学園内に男子がいるだなんて思わなかったの」

 

「....すまん、助かる」

 

....ふぅ。一先ず安心。話がわかる奴で助かった。

 

これが意地の悪い奴だったら、一生俺の事をこき使ってくるからな。

 

「だからいいわよ。別に警察を呼ぶだなんてしないわ。.....ただ、一つだけ聞きたいことがあるんだけど」

 

「な、なんだ?飛び降りろとか言われても、流石に出来ないんだが....」

 

「そんな事しないわよ!というか命令じゃなくて、ただ聞きたいことがあるだけ。...どうしてここにいるのかしら?」

 

まぁ、当然の疑問だな。こんな所に見知らぬ怪しさ満点の男性が歩いていたら、まず最初に警察に電話する。

それをしてこないだけ、ありがたい。

 

「~~~っていう訳だ」

 

「....何か、所々不自然な点があるようだけど...。まぁ、いいわ。とりあえずはそれで許してあげる」

 

「お、おう。すまん、助かる」

 

「じゃあ私は行くわ。....もうするんじゃないのよ」

 

「しねぇよ」

 

からかうように言った後、落ちていた傘を手に取り、雨が降っている訳でもないのに、さしたままそのままどこかへ行っていった。

 

そういえば、ぶつかった時も傘をさしていたな......その後の展開のせいで、違和感を感じることも出来なかった。

 

でも、まぁ....

 

「....はぁ..助かった。流石にここで警察沙汰は、勘べーー「だ、誰なのですぅ!?」うぉう?!」

 

驚き過ぎて変な声が出てしまった。恥ずかしいが今はそれに構っている暇はない。

 

「ふ、不審者ですぅ!誰か、誰かぁ!」

 

「ちょ、ちょっと待て。俺はちゃんと許可証をーー」

 

そう言い、俺は首元にかかっている許可証を...。

 

.........待て。

 

手を首元に何度も許可証を掴もうとするが、なぜか空を切る。

 

「.....おいおい」

 

........待て待て待て。

 

「う、嘘までつくなんて...」

 

「いや、嘘じゃーー」

 

「ひぃ!ち、近付かないでください!」

 

「わ、分かった。近付かないから、せめて俺の話を...」

 

「い、嫌ですぅ!だ、誰かぁ....」

 

.....ヤバいヤバいヤバい。

 

許可証は多分さっきのぶつかった勢いで、どこかにいったっぽい。

 

「...これは、積んだというやつじゃ」

 

「も、もうイヤですぅ!」

 

俺は二度目の危機に襲われていた。

 

そして、今回はダメな空気しかない。

 

星宮、あおい、小町悪い。

 

「警察、警察って何番なんですかぁ!」

 

「...マジか」

 

...意外と何とか、なりそう、か?




どうでしたか?面白かったら幸いです。

では、また。


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007 災難②

どうも、クロジャです。

最近いろんな方から、感想いただきます。ありがとうございます。

それにともない、お願いがあります。

色々な所で言ってますが、アイカツ!の情報ください。今から見直していますが、しんどいです。
例えば、呼び方とか。お願いします。

...あと、一段落ついたら、見てくださる皆様の希望のシチュエーションとかを受け付けたいと思います。

今からでも受け付けます。

どれにするかはグッド数とか、偏見とかで決めます。

もちろん無かったら、やらないです。

長くなりました。すいません。

では、どうぞ。


「119?それとも117?一体、どっちなんですかぁ~!」

 

いや、どっちでもねぇよ。

 

心の中でそう突っ込みながら、俺は目線だけ許可証を探していた。

 

先ほど転んだ場所の近くを見渡すが、見つからない。

 

「(...ヤバい、せめて見つかれば、どうとでも言えるんだが...)」

 

「103?177?あれ?あれれれれ?」

 

警察を呼ぼうとしているが、こいつ。見た目以上に馬鹿みたいだ。助かったが、流石にかわいそうに思えてきた。

 

「.....なぁ」

 

「は、はい?」

 

先ほどまでは明らかな拒絶をとっていたが、今は頭がこんがらがっているのもあるのか。普通に返答する。

 

目がぐるぐると回って、フラフラと今にも倒れそう。

 

「一旦落ち着いてくれないか。俺にもちゃんと事情がある」

 

「わ、分かったです」

 

「俺はちゃんと許可を得てここに来ている。ただ、許可証が、どこかにいったんだ」

 

「そ、そうだったんですか」

 

「だから、今から探す。それでも見つからなかったら、警察にでも電話すればいい。...あと、警察は110だぞ」

 

「そ、そうなのです。110なのです!」

 

わーい、と、両手を挙げて喜ぶ。

 

こいつ騙されやすいだろ、絶対に。

 

「探している間は監視でもすればいい。不安だったら、誰か他に人でも呼べ」

 

「だ、大丈夫なのです」

 

・・・探し中

 

探し始めて約四分。

 

「あ、あった....」

 

ようやく許可証が見つかる。

 

「これで認めてくれたか?」

 

「は、はい。....ご、ごめんなのです」

 

「いや、大丈夫だ。こっちも不審者みたいな見た目だからな」

 

「え、えっと...」

 

戸惑い、返答に困りだす。

 

「あぁ、悪い。何でもない。....じゃあ俺はもう行くから。悪かったな」

 

「ま、待つのでーー」

 

急に動いたことにより、体勢が崩れる。

何かデジャブな気がする。

 

たださっきと違うのは、お互いに立っているので、体勢が崩れると、倒れてしまう。さらに、こいつは後ろに倒れているので、かなり危険な状態。

 

「危..ねぇ!」

 

「わ....!」

 

・・・

 

助けることには成功した。

 

だが、助け方を間違えた。

 

後ろに倒れていたのを助けるためにすぐさま移動したため、手で支えるだけだと勢い余って二人とも倒れてしまう。

 

その結果でした俺はどうしたか。

 

「はわ、はわわわわわ...///」

 

「....」

 

お嬢様抱っことなっていた。

 

....俺は馬鹿か、それともアホなのか。

 

どうしてこうも自分で墓穴ばかりを掘る。

 

「..大丈夫か」

 

「は、はいなのですぅ...//」

 

「....降ろすぞ」

 

「ま、待つのです!!」

 

「いや、どうして」

 

「い、いいから、待つのです!!」

 

「お、おう」

 

...にしても、こいつ軽いな。五十キロないんじゃないかと思わせるほど、軽く持てる。

 

だから、まだ持っていられるが....色々と困ることがある。

 

お嬢様抱っこというのは、体のかなりの面積を触ることになる。頭の中に邪な考えが浮かび、理性が飛びそう。それに、触ることになるだけでなく、体が近いから女子特有の甘い良いにおいが鼻孔をくすぐる。

 

さらにとどめとばかりに、俺の腰に抱きついてきて、頭をすり付けてくる。

 

さっきまでの怖がった顔はどこへやら。今は親に甘える子供より甘えた顔で、女の人がなってはいけない顔になっている。

 

もちろん俺もこんな得しかない状況で、何も思わないはずがない。

 

可愛い、愛おしい、襲いたい、という言葉が頭の中をぐるぐると回る。

 

「その、そろそろ離れてくれると助かるんだが...」

 

「えへへ~なのです~」

 

「聞いてねぇ...」

 

....というか、この状況で誰か来たら不味くないか。

 

それこそ、通報物なんだが。

 

それがフラグだったのだろうか、今一番来てほしくない人物が俺の前に現れる。

 

足音が不意にし、そちらを振り向くと、見知った人物が立っていた。

 

その人物がこちらを見るなり、ハイライトが仕事を放棄し、首を横に傾けて、質問してくる。

 

「...ハチ君?何を..しているの?怒らないから教えて?」

 

「......」

 

「ほわぁ~。気持ち良いのですぅ~」

 

来た人物に気付かないまま、相変わらず顔を擦り付けて問題発言をし、俺を死地に運ぼうとする。

 

俺はというと、汗だくになりながら、何とかして状況を打開する方法を考える。

 

半端ないほどのプレッシャーを感じさせる眼光を放つ人物....星宮はジリジリと距離を縮めていく。

 

どうやら災難はまだ続きそうだ。




どうでしたか?面白かったら幸いです。

では、また。


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008 災難③

どうも、クロジャです。

そう言えば、良い忘れていたんですが、アイカツ!との時間列は、アイカツ!がだいたい現在三話ぐらいです。

理由は話数を増やしたいのと、ネタがたくさんあればもっと書けると思ったからです。

ですので、いちごは蘭にも会っていません。

そんな感じで行こうと思います。

さぁ、八幡は迫り来る恐怖から逃げることができるのだろうか。

では、どうぞ。


「ねぇハチ君どうしてすぐに答えてくれないの?もしかして私にも言えないことがあるの?ねぇハチ君聞いてる?」

 

「...き、聞いてる。聞いてるから、話をする余地をくれ」

 

「ん~♪」

 

頼むから今すぐ俺からどいてほしい。このままだと死人が出る。もちろん俺。

 

「その状況で話をする必要なんてあるの?」

 

「ある。だから、少し待て。いや、待ってください。.....おい、お前。そろそろ良いだろ。頼むからこの事態のヤバさに気付いてくれ」

 

「...むぅ。おとめの名前はお前じゃないのです。有栖川おとめ、って言うのですぅ」

 

「わ、分かった。有栖川、頼むから俺からーー」

 

「有栖川、じゃなくて、おとめって呼んでほしいのです。...ダメ、なのですか?」

 

こ、こいつ。上目遣いで目をうるうるさせてきて。実はあざといのか....?

 

「ぐ...お、おと、おと、め。これでいいか?」

 

「む~。まあ良いのです。よいしょ、っと」

 

ようやく俺から降りてくれた、が。今度は腕を組んできた。

 

おい、やめろ。おま「おとめなのです」、お「おとめなのです」....おとめは俺の事を殺す気なのか。

 

「ハチ、君?」

 

「おい、おとめ!降りたら良いっていう訳じゃないんだよ!腕を組むのを、やめ、っろ!」

 

無理矢理腕を抜き取ると、あ...、と大事なものがなくなったときみたいな顔になり、見るからに落ち込む。

 

「おとめ...邪魔なのですか?」

 

だから上目遣いでこっちを見つめるな!

 

「ねぇハチ君私の質問には無視してその子と楽しそうにお話するんだね。....どうしてか、教えてくれる?」

 

頼むからそうやって俺をじりじりと近付いてくるのは、止めてくれ。死期が近づいてくる感覚がするから!

 

「い、いや、その...」

 

「邪魔なのですか?」

「ハチ君?」

 

もういよいよダメかと思ったその時。

 

救世主が現れた。

 

「おーい、いちごー。急に走ってどうした、の.....って、有栖川おとめちゃん?!そ、それに、ハチマン?!」

 

「あ、あおい、か?」

 

俺のもう一人の幼馴染、霧矢あおいが走ってこちらに近付いてきた。

 

こいつには昔からアイドルの情報を、毎日のように俺に説明してくるほどの、アイドル好きなのだ。マイナーの物でも、有名なものでも。

 

それにしても助かった。今の場面であおいが来てくれたのは、かなりありがたい。

 

「い、いちごと有栖川おとめちゃんが、ハチマンに近付いて...。穏やかじゃないわね...」

 

「穏やかでも穏やかじゃなくてもいいから。頼む、助けてくれ!何でも言うこと聞くから!」

 

「え、えぇ?!な、なんでも、って...」

 

「あ、いや、何でもだから一回きりで頼む。流石に何回もは、俺も無理だ」

 

「そ、そういうことじゃなくて!ド,ドウシヨウイキナリーーーーーーッテイッテモ,ハチマンノコトダカラゴマカスニキマッテルシ...」

 

「お、おい?!あおい?!なるべく今すぐに助けてほしいんだが!」

 

一人でブツブツと何かを喋っていたあおいを呼び掛け、再度助けを求める。

 

そうすると気が付いたのか、ハッと顔を上げて星宮とおとめに近付いてくる。

 

「と、とりあえずいちご。一旦落ち着いて。ハチマンのことだから、きっと何か必ず理由があるはずだから。ね?有栖川おとめちゃんも、ハチマンが困ってるから。一回離れて離れて」

 

「...うん、分かった」

 

「...分かったのですぅ......」

 

二人ともあおいの一言で、離れてくれた。ようやく話ができる。

 

「で?ハチマン。色々と聞きたいことがあるけど、この二人にちゃんと事情を説明しないと」

 

「あぁ、分かってる。ありがとな、助けてくれて」

 

「どういたしまして。...そ、それで、後でちゃんと言うことを聞いてくれるんだよね?!」

 

ガッと顔を近付けて問いただしてくる。近い近い近い距離感考えて!そういう行動は男子が勘違いするんだよ!

 

「わ、分かってる。ただし一回な」

 

「う、うん。分かった。...じゃあ私はしばらく待ってるから。話しててね」

 

「おう。....で、お二人さん。どうして俺の手をつねるんですか、って痛い痛い痛い!」

 

「...」

 

「...何か嫌なのですぅ....」

 

「二人とも落ち着いて落ち着いて....」

 

それから約二分たち、ようやく話ができる体勢が再びできる。

 

さて、何から話そうか....。




どうでしたか?面白かったら幸いです。

では、また。


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009 本当の終わり

どうも、クロジャです。

特に報告することはないので、どうぞ。


「ーーっていう訳で、俺は自分から抱きついてはいない。分かってくれたか?」

 

「...分かったけど.....」

 

「何か所々抜けてる気がするのです」

 

二人にはとりあえず、ユリカさま(仮)の話は省いて、単純に許可証を落としてしまった。あそこにいたのは迷子のため、とだけ伝えておいた。

 

いちごには個別に、おとめと会ったときの話をして誤解を解いておいた。

 

にしても、どうして抜けているのが分かるのかね。超能力か、何かか?

 

まぁ、もちろん本当の事を言うと殺されてしまいそうなので(主にいちごに)、絶対に気付かれてはいけない。

 

「い、いや、そんなことはないじょ」

 

........俺の馬鹿。肝心な所で噛むなよ。

 

「何かますます...」

 

「怪しいのですぅ...」

 

ほら、物の見事に怪しまれてる。というかいつの間に仲良くなったの?息がピッタリ合っているんだが。

 

「ハチマン、終わった?」

 

「あ、あぁ。今丁度終わったところだ」

 

「ジー...」

 

「ジー...ナノデス」

 

「何か二人に睨まれてるけど、なんかしたのハチマン?...って聞くだけ無駄かぁ。ハチマンは変なところ鈍感だからなぁ...」

 

「おい鈍感って何だ。俺は人に対する物は全て敏感だぞ」

 

「はぁ....。ま、鈍感さんは放っておいて、自己紹介しよう?お互いにまだ、きちんとしてないでしょ?」

 

パンっと手を叩く。その瞬間に空気が変わった気がする。何というか二人の向けてくる視線が柔んだ感じがする。

 

「じゃあ、私から。二人は知ってると思うけど、有栖川おとめちゃんは初めてだからね。私の名前は、霧矢あおい。中等部一年。誕生日は一月十六日。血液型はA型。好きな食べ物はサンドイッチで、特技は、一度見たアイドルは忘れないこと!アイドルの情報量では誰にも負ける気がしないよ!よろしくね」

 

「私は星宮いちご。あおいと同じく中等部の一年で、誕生日は三月十五日。血液型はO型。好きな食べ物はのり弁!実家がなんでも弁当っていうお店屋さんなんだ。私の特技は、ご飯をきっちりよそうこと!あと、あおいとハチ君とは、幼馴染なんだ。よろしくね」

 

「よろしくなのですぅ♪おとめは有栖川おとめ、っていうのですぅ。誕生日は五月五日で、血液型はB型なのです。好きな食べ物は、ハンバーグ・オムライス・スパゲッティ・エビフライ・プリン...えっと、たくさんあるのです。でも、苦い食べ物は好きじゃないのです...。おとめも、一年なのです!よろしくなのです♪」

 

「じゃあ皆一緒なんだ!良かったね!」

 

お互いに手を繋ぎ、三人でバンザーイと喜びを分かち合う。

 

ひとしきり喜んだ後に、今度は俺の方に目線が移動する。

 

....何だ?

 

「ハチ君は?」

 

「何が」

 

「ハチマンは自己紹介しないの?」

 

「いや必要ないだろ」

 

「して...くれないのですか?やっぱり、おとめって、邪魔なのですか...?」

 

「だから、上目遣いは...!」

 

「「「ジー」」」

 

三人の気迫に押され、自己紹介をするはめになる。

 

「はぁ...。星宮とあおいは知ってると思うが、俺の名前は比企谷八幡だ。なるべく距離感を考えて接してくれ」

 

シーン。

 

明らかに三人の目が、というか主に星宮とあおいが、えぇ...っという顔になる。ちなみにおとめは、「ひ、ひきぎゃ、や?ひきぎゃ!し、舌噛んじゃったのですぅ。痛いのです....」と、手こずっていた。可愛い」

 

「え?!あ、ありがとなのです....。カ,カワイイッテイワレチャッタノデスゥ....」

 

「ハチ君?」

 

「ハチマン?」

 

急に二人の目から、いちごは再び、ハイライトが仕事を放棄する。止めて。サボタージュしないで。

 

「え、俺何か言ったか?」

 

「...はぁ....」

 

「まぁ、ハチマンには無理な相談。だよね....」

 

二人が諦めの目で見てくる。いや、だから俺何かしたのか?

 

「~~~♪」テレテレ

 

何かおとめが両手を頬に添えて、顔を赤らめているんだが。

 

「え、えっと。俺の自己紹介は終わりでいい、のか?」

 

「...まぁ、ハチ君に期待した私たちが...」

 

「ダメだったんだろうね....はぁ...」

 

「んふふ~♪」

 

ご機嫌のおとめに、不機嫌な星宮とあおい。そして、微妙に反応に困っている俺。

 

こうして俺の災難は確実に去った。今回ばかりはフラグでもなんでもなく、本当に去ったみたいだ。

 

「...はぁ....この状況は、去ったと言えるのか?」

 

少しカオスな状況になっているが.....、いいの、か?

 

一先ず訪れた喜びと、疲れから、はぁ...と息を漏らして、この後をどうするか考えるのであった。




どうでしたか?面白かったら幸いです。

では、また。


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010 災難終了→悩みの種は増えた

どうも、クロジャです。

もう十話に突破しました。ありがとうございます。

とりあえずまぁ、第0章が終わった、という感じでしょうか。

ここから本格的に、アイカツ!の話に入っていきます。

では、第0章の最終話です。どうぞ。


こうして俺の災難は過ぎ去ったわけだが。

 

悩みの種は増えてしまった。

 

まず一つ目に、星宮からの監視が入ったこと。

 

今回の出来事から、何かを察したのか。星宮は気付いたら俺の近くにいる。怖い。

あおいに説得してもらおうと思ったが、「ハチマンもたまには困るといいよ。....フン」と何やら怒られた。

 

二つ目に、あの謎のユリカさま(仮)という人物の忘れ物を見つけてしまったことだ。

 

あの後に許可証を首元にかけようとしたら、何かが落ちてきた。

 

ハラリと風に揺られながら、長方形型の物が落ちてきた。

 

服の絵が書いてあるカードだった。

 

置いておくわけにもいかないし、もし星宮やあおいに見せたら分かるかもしれないが、さっき起きたことを考えれば必ず疑いの目を向けてくる。

 

学園長に渡すと、「もしこれを比企谷くんが拾ったのであれば、あなたが自分から渡すといいわ。..........フフッ」と言われて返された。最後に笑った気がする。この人、ドSだろ。

 

三つ目。これが一番おそらくまずい。何やらあの出来事で助けたことにより、懐かれてしまったらしい。

 

最初はあんなに拒絶をしていたのにも関わらず、今では、俺が離れろと言っても、離れず、満足するまで抱き付いてくるのだ。

 

俺はただ、転びそうだったところを助けただけなのに、なぜここまで懐かれるのかが、分からない。これくらい普通なんじゃないのか?

 

以上の三つが悩みの種である。

 

それであの後、結局その場で解散し、俺は学園長の所に戻りに。星宮とあおいは授業を受けに。おとめは、気付いたらどこかへ消えていた。

 

あの人は超能力者か何かなのだろうか。俺が戻るなり、一目見て、何かあったのかしら?と聞かれた。怖い。

 

嘘を言うわけにもいかず、全てを包み隠さずいうことになった。

 

話している途中に、こういうことだったのね...、と呟いていたのが気になった。

 

特に咎めることはなかったが、アイドルという立場上、あまり特定の男性と接していると...と言われたので、そうですよね?!と、逆に聞き返してしまった。

 

一瞬驚いていたが、不意にフフッと笑って、なるほどね、こういうところに...、とまたしても意味深な呟きをしていた。こういうところが一体なんなんでしょうか。私、気になります!あ、これは別のか。

 

ついでに、どうして俺を学校に入れたのかを聞いてみると、

 

「新しい輝き、新しいステージに立ってほしいからよ」

 

とまるで俺には関係のない話をされた。

 

そして、ようやくスターライト学園での初日を終え...るには、まだ早かった。

 

出ようとする俺に、恐怖の一言がかかった。

 

「そうそう。比企谷くんが泊まる所ですが、学生寮の一室を使ってもらいます。...まさか手を出したりしないわよね?」

 

「................はい?」

 

「冗談よ。..あぁ、後一緒にいる子もいるから、よろしくね」

 

「い、いや、ちょっと待ーー「何かあるかしら?」いえ、ございません」

 

冷たい眼光が俺を襲う。この人、実は化物なのでは?

 

「荷物は先に送っておいたわ。許可証もまだ一応預けておくから、無くさないようにね」

 

「あ、はい」

 

もし行った際に不審者呼ばわりされたら、これを見せれば何とかなるもんな。今回の出来事から教訓を得た。

 

これで話も終わりかと思いきや、少し溜め息をついて神妙な顔つきで話しかける。

 

「...くれぐれも、この学園で問題を起こさないようにね。思春期の男の子には酷な話かも知れないけど、例え幼馴染であっても。他の子であっても、アイドルである以上、恋愛はタブー。あちらから好意を見せてきても、あなたが好意を抱いたとしてもね」

 

...びっくりした。急に声音が変わるものだから、入るのを止めてくれとでも、言われるのかと思った。

 

「いや大丈夫ですよ。俺が誰かを好きになるなんてあり得ないですし、誰かが俺のことを好きになるなんて、万が一どころか、億が一にもあり得ませんよ」

 

「....ここまで鈍感だと、彼女たちがかわいそうね..」

 

「いや俺は鈍感なんじゃないんですけど...」

 

「あなたが鈍感じゃなかったとしたら、この世は終わりよ」

 

え、そこまで言うか?星宮たちにも似たようなことを前に、言われたような...。そんなに俺鈍感か?

 

「あと、まだ話は終わっていないわよ。確かに恋愛はダメよ。でもね、それは世間の目を気にしての事。だからもし、世間にも認められ、アイドルが恋愛をすることによって彼女たちに何をもたらすのか。そしてそれがもし良い効果なのであればーー.....私は止めないわよ?」

 

「いえ、ですからーー「それはあなたの意見よ?他の子達がどう思っているかなんて、分からないでしょう?」それは......」

 

「一概にないとは、言い切れないでしょう?」

 

「そうですけど....」

 

「はいっ!これで話は終了。私も暇じゃないの。これからの生活は、また後日。別の人に説明させるから、とりあえず今日は学生寮に行きなさい」

 

「分かりました。....その、俺をこの学園に入れてくださって。あ、ありがとうございます」

 

「.....ふふっ、あなた捻デレね。どういたしまして」

 

「なんですか、捻デレって....」

 

こうして俺は理事長室から出ていき、学生寮に向かうことになった。




どうでしたか?面白かったら幸いです。

では、また。


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011 不審者扱い何度めですか?

どうも、クロジャです。

特に報告することはないので、どうぞ。


「ここ...広すぎる、だろ....」

 

出た後に後悔したが、せめて地図でも貰えば良かった。ここ広すぎる。また迷ってしまった。

 

「....たい、りょく。つけ、れば、良かった、な....」

 

ふらふらになりながら歩いていると、後ろから声がかかった。

 

「おい!そこの不審者め!警察を.........」

 

....またか、またなのか。そんなに俺は不審者に見えるのか。....あれ、目から汗が..。

 

「お、おい!急に泣いて...」

 

「泣いてない」

 

「い、いや泣いて」

 

「泣いてない」

 

「そ、そうか。....いや、そうじゃない!どうして学園内に入ってきているんだ!」

 

「あ?...あぁ、もう説明するのも面倒くさくなってきた。...ほら、ちゃんと許可証も貰っているし.....」

 

「な、なんだ。それならいいんだ。だがこの先は学生寮だぞ、行くところを間違えているんじゃないのか」

 

どう説明してもきっとこいつは。いや、誰もが信じないだろう。言っても無駄だ。

 

「...あぁ、そうだなーー「あれ?ハチくーん!おーい!」....はぁ」

 

「ちょ、ちょっと!会っていきなり、溜め息なんかつかないでよー!ひどいよ!」

 

「ハチマンと......えぇ?!紫吹蘭!?ま、また...」

 

星宮とあおいが俺に気付いて、こちらに走ってくる。親しげな話し方を聞いて、ハテナを浮かべている紫吹蘭という生徒。

 

「何だっていい。それよりも星宮とあおいは何かようか」

 

「ううん。用とかじゃなくて、学生寮に戻る途中だったんだ」

 

「そこで偶然見かけただけだーーってあおいは、さっきから何に驚いているんだ」

 

ポカーンと口を開けて、微動だにしないあおい。

 

「い、いやだってハチマンの隣にいるのって、あの紫吹蘭でしょ?!『美しき刃』と呼ばれるあの...!」

 

「....ハチ君?もしかしてまたなの?まだ懲りないの?もしかしてもう一回オハナシしないといけないのかな?」

 

だからハイライトさん、仕事して!怖い、怖いから。星宮のヤンでる時が一番怖いから!

 

「な、なんだ?もしかしてお前ら知り合いなのか?」

 

「知り合いというより幼馴染だよ。...私の名前は星宮いちご。中等部の一年だよ?紫吹蘭?さん、って私達より年上?」

 

「いや、私も中等部の一年だ」

 

「じゃあ、紫吹蘭ちゃん!って呼んでもいい?」

 

「ちゃん付けで呼ぶな!」

 

「じゃあ、蘭って呼ぶね♪」

 

「いやいきなり名前は」

 

「蘭って呼ぶね♪」

 

「だから名前は」

 

「蘭って呼ぶね♪」

 

「だ「蘭って呼ぶね♪」わ、分かった...」

 

「わ、私も...」

 

怖い、怖いよ。初対面の奴をハイライトがなくなった目で睨みつきるとか。俺がまだ一緒だったときは、こうでは無かったんだけど。何があった。

 

この後、俺にこの恐怖が襲いかかりそうだったので、今のうちにと、するりするりと抜けていこうとすると、

 

「ハチ君?逃げるの?」

 

「いえ、逃げません」

 

ガッと肩を捕まれ、逃げられなくなる。

ハイライトさん!帰ってきて!

 

「と、というか待て。さっきから学生寮に向かっているのは、どうしてだ」

 

「え?ハチ君、学生寮に向かっていたの?何で?...もしかして......」

 

「え、ハチマン。さすがに、それは......」

 

星宮はさらに(これ以上何が消えるというんだろうか)ハイライトを消して俺を殺さんというかの如くの目で見る。

 

あおいは蔑むような目で見てくる。止めて。星宮より痛い。主に心が。

 

「いや、お前らの考えているようなことじゃない!.....その、な。学園長から、言われたんだよ」

 

「何を?勿体ぶらないで早く言って?」

 

「......学生寮に、泊まることになったんだ。だからこうして向かってる」

 

ピタッと三人が固まり、しばらくすると思い思いの顔をする。

 

紫吹蘭はシンプルに驚き、星宮は喜んでいるような悩んでいるような顔をして、あおいは。あおいは...穏やかな顔ではなかった。

 

その後はピッタリ。

 

『えーー!?』

 

彼女たちの声が周りにビラビリと響く。

 

「い、いや嘘だろ?!流石に学園長もそんなことは言わないだろ?!」

 

「やったー!これでハチ君と一緒だー!.....あれ、ちょっと待って。私とあおいが一緒でしょ?...じゃあハチ君は?」

 

「スターライト学園に男性が学生寮に泊まるなんて....こ、これは穏やかじゃないわね!!」

 

「....嘘だと思うなら、学園長に聞け」

 

ガヤガヤと三人が騒いでいると、ほうきを持って片目を髪で隠した男性がこちらに近付いてくる。

 

「おい、お前ら。こんなところで騒ぐな」

 

「あ、涼川さん」

 

「あ、じゃない。もうちょっと静かにしろ。...後、お前。もしかして、比企谷か?」

 

「え、あ、はい」

 

突然の指名に反射的に体が震えるが、すぐに応じる。

 

「俺の名前は、涼川直人。ここの清掃員だ。...正直な話、助かった。流石に一人じゃそろそろ、限界だったんだ」

 

「は、はぁ..」

 

「とりあえず、お前を学生寮の部屋に案内することになっている。行くぞ」

 

「あ、はい」

 

話がドンドンとスムーズに進む。ついでに涼川さんの足もスムーズに進む。

 

「あ、待って!私も行く!」

 

「私もー」

 

「い、一応、確認しに...」

 

「いや付いてこなくていいから」

 

この時の俺は、まだ知らなかった。

 

この後起こる、悲劇に....




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

では、また。


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012 で?一緒に住むのは?

どうも、クロジャです。

特に報告することはないので、本編見てください。

では、どうぞ。


「ここが学生寮だ」

 

「...デケぇ..」

 

しばらく歩くと、かなりの規模の大きさを誇る建物が出てくる。

 

一体中に何部屋あるのだろうか。ここにいる生徒が住んでいるというのだから、おそらく何十部屋もあるのだろう。(ネットとかで調べたのですが、何部屋あるのかとか分かりませんでした。内部の構造も調べましたが、細かくでなかったので、だいたいでやります。すいません)

 

「ここは3階建てで、1階はエントランス、2階、3階には生徒の部屋になっている。食堂はあっちにある。ちなみに給湯室もあるぞ」

 

「はぁ.....。そ、それで、俺の部屋はどこですか?まさか一緒に誰かがいるとかは....」

 

「.........こっちに来い」

 

なに!?今の間はなに!?怖いんだけど!?

 

学園長が言っていたのは、冗談だと信じたい。

 

五人で歩く。もちろん、歩いている途中で他の生徒もちらほらと見受けられる。

 

そして、ヒソヒソと....あぁ、うん。八幡分かってるよ。どうせ陰口だろ?キモいやらなんやら言ってるんだろ?考えるだけで気が滅入る。ここにこれから住むとなったら、俺は毎日罵倒の嵐....泣けてくる。

 

「...はぁ.......」

 

「ハチ君?どうかした?」

 

「あ?あぁ、何でもねぇよ。ただここにこれから住むと考えたら、死にたくなってきただけだ」

 

そういった瞬間、ピタッと星宮が止まる。俺も思わずとまるが、他の三人は気付かず先に行く。

 

「おい、星宮。置いてかれーー「ハチ君。あのね。私あの日、ハチ君が死んじゃうかもしれないって、本気の本気で思ったんだよ?」....星宮?」

 

ゴゴゴという音が聞こえてきそうな程、フルフルと体を揺らす星宮。周りの生徒もヤバイ雰囲気を察したのか、逃げていく。

 

.......なんか、嫌な予感が。

 

「私達に何も相談してくれなかった。私達に助けを求めてくれなかった。私達を置いていこうとした。...だから誓ったの。二度とハチ君を一人にはしない、って」

 

「....星宮......」

 

「なのに、なのに........!」

 

周りはいつの間にか誰もいなくなり、俺と星宮だけとなる。

 

不安そうな顔で話しかけていたのから一転し、怒り顔となる。

 

「ハチ君は、いつもいつもいつもいつも!自分のことを悪く言わないでって言ったのに!!こんなに心配してるのにハチ君は、死にたくなってきた?とか言ってーー!........ハチ君のーー」

 

「お、おい、星宮。ストップ、落ち着け。話し合う余地はまだあるはずだ。だから落ち着け、な?」

 

その瞬間。

 

キッとこちらを見たかと思えば、握りしめた拳を開き、勢いよく....

 

「ーーバカぁ!!」

 

バチーンという音が自分の頬から聞こえ、それを認識する頃には俺の景色は横へと移り、やがて地面へとーー

 

「ゲフッ.....!」

 

そこで俺は意識を失った。

 

星宮のビンタ、超痛い。

 

・・・一時間後

 

「..........あーー.....いってぇ......」

 

目が覚めると、真っ先に光が目に入り込み、俺の目を刺激する。

 

それを手で塞ごうとすると、星宮にぶたれた頬を触ってしまった。

 

触るだけで痛く、少し腫れているようにも思える。しかし、頬を触ったという表現は少し間違いで、頬を覆う冷えピタのような物を触った、という方が正しいのだろう。

 

...いや、にしたって星宮にぶたれた頬は痛いので、変わらないが。

 

「あ、ハチマン。起きた?」

 

声をかけられた方を見ると、そこにはあおいが椅子に座っていた。

 

おそらく、冷えピタをつけてくれたのはあおいなのだろう。星宮は切れていたし、紫吹とやらはそもそも俺と初対面だし、涼川さんは仕事があるだろうし。

 

消去法的にも、おそらくあおいだ。

 

「あ、あぁ。..冷えピタを貼ってくれたのは、あおいか?」

 

「ううん。私じゃなくて」

 

そう言って、ちょんちょんと指をさす。そちらを見ると、そこには、先程消去法で消えた、百パーセントないと思われていた紫吹が座っていた。

 

え、なんで?

 

「か、勘違いするな!!怪我人を助けるのは当然のことだ!お前を助けたくてしたわけじゃない!!」

 

なんだこの絵に描いたようなツンデレは。

 

「......何でもいい。ありがとな」

 

素直にお礼をいうと、言われると思っていなかったのか、しばらく硬直すると、顔を少し赤らめる。

 

「べ、別にお礼を言われる筋合いはない!.....まぁ、でも。素直にお礼を言われたのであれば....、ど、どういたしまして..」

 

「で?ハチマン。私達はいなかったから分かんないけど、少なくともハチマンがいちごを怒らしたのは分かってる。でも、何で怒らしたのかは分からない。だから、こと細かく。一言一句間違わずに言ってね?」

 

「.....もしかして、あおい怒ってるのか?」

 

「ん?いや怒ってないよ。まだ、ね。内容によっては、ハチマンを弁護するし....もちろん、逆も、ね?」

 

「お、おう....」

 

あおいが微妙に怒って.....いる?

 

でもなんか選択肢を間違えたら、即死な気がする。

 

「~~~ていう訳だ....あ、あおい?」

 

「.....ハチマンって、意外とバカなの?」

 

「......は?」

 

話をした後にあおいを見ると、こちらを蔑さむような目で睨んでいた。あと、微妙に怒ってる。そして急に罵倒された。

 

なぜ。

 

「.....はぁ......。ハチマンにホントはビンタして、もう一回寝ててほしいぐらいだけど....。まぁ、いいや。いつものことだし」

 

「...なんか不穏なことを言われた気がするんだが..」

 

「とりあえず、もう少しゆっくりしてなよ。いちごも今、怒ってどこかへ行っちゃったし。私はそれを慰めないといけないし。....じゃあ、また明日」

 

「ま、また明日....?」

 

そう言ってあおいは出ていき.......ん?

 

「..お前は、いかなくてもいいのか?」

 

「紫吹蘭だ。...ここはな..その.....あ、あたしの部屋でもあるんだよ」

 

「........はい?」

 

「だから...!ここはあたしの部屋でもあるんだよ!」

 

いいいいいいいや待て!待て待て待て!

 

まだ星宮とかじゃなくて良かったー、とかそういう問題じゃなくて。というか知り合いとかの方がまだ、幾分かマシだった。

 

なのに....!

 

「う、嘘だよな?」

 

「嘘だと思うならそれは?お前のじゃないのか」

 

目線をずらすと、そこにはあってほしくないものが。なくて良かったものがあった。

 

それは俺の荷物がおそらく全部入っているのであろう、ダンボールが何個も積み重なっていた。確定的なのは、マッ缶が何十個も入ったダンボールがあった。中身は既に開けられており、少し乱雑になっていた。

 

おそらく、あおいだろう。あおいは俺と同じくマッ缶好きなのだ。

 

......いや、そんなことはどうでもいい。

 

「......マジか....」

 

「.....お前が寝ている間に、本当かどうか学園長に聞いた。...そしたら」

 

『あなたが成長するためには必要なことよ』

 

「と言われて、そのまま言いくるめられた.....」

 

「...このことを知ってるのは、他に誰がいる?」

 

「あおいだけだ」

 

そう言って、紫吹は溜め息をもう一回すると、バタッとベッドに倒れる。

 

「.....待て。ということは、星宮は知らない。...それに今、あおいは星宮を慰めにいってる。もし、どこかであおいがポロリとこのことを言ったんだとしたらーー」

 

バタン!!と勢いよく扉が開く。

 

「ハチ君!!」

 

そこにいたのは、血相を変えた星宮と、テヘペロと舌を出して「ごめん、ハチマン。私には無理」と言わんばかりの顔のあおいが出てきた。

 

.......俺は災難に襲われないといけない体質でもあるのだろうか。...はぁ.....。




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

蘭と元々一緒に住んでいたかたには、どこかへ行ってもらいました。メインキャラだったら、教えてください。誰がいたのか。

では、また。


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013 もう一回

どうもクロジャです。

特に報告することはないので、本文見てください。

では、どうぞ。


「ハチ君?どうして一緒にいるの?なんで私とじゃないの?どうして学園長先生に私かあおいと一緒にって言わなかったの?」

 

「ハチマン、ごめん」コゴエ

 

「なんで私が....」

 

「いや、お前らと一緒なんて尚更...」

 

星宮がハイライトを消し、あおいが星宮の後ろで両手を合わせ謝り、紫吹はベッドに倒れ込み疲れきった顔でぶつぶつと呟いていた。

 

俺とはいうと、星宮の今日何度目かの恐怖の質問に、心が廃れていた。

 

「尚更...?尚更なに?そんなに私達が嫌なの?」

 

さらには疲労もあり、体は既にボロボロ。最終的にはなんとかなったとはいえ、こう何度も災難にあっては、精神的にしんどい。それに、星宮からのビンタもあったことで、肉体的にもきつかった。

 

まぁ、そりゃ、こっちに来るきっかけになった、あれに比べたら全然楽な方だけど.....。

 

「嫌とかじゃなくてだなーー」

 

「じゃあなに?私達に一声掛けてくれれば、学園長先生にもちゃんと聞くよ?言ったでしょ?私達に相談して、って」

 

「いや、それとこれとは、違うんじゃ....」

 

「なんで?」

 

相変わらずハイライトを消して、問いただしてくる星宮。

 

そこで俺は沸々と怒りが沸いてきた。

 

今日一日。俺は何もしていないのに、ずっと星宮に疑われ、さらにビンタはされる、

 

目が覚めたと思えば、この有り様。

 

考えると、さらに怒りが溢れ、理性を乗り越えて出ていこうとする。

 

頼むから、一日待ってくれ。疲れが取れれば、何とかなるから...!

 

「...とりあえず、明日にしないか。もう俺も体力がない。星宮も明日から、また色々とあるだろう。だから、今じゃなくて、またあしーー」

 

「明日に延ばすってことは、何かまた後ろめたいことでもあるの?ねぇ」

 

「....だからもう疲れてんだよ」

 

心なし、ピリピリとした空気が流れ始める。

 

それを敏感に察知したあおいが、止めにかかる。

 

「ふ、二人とも!落ち着いて!お互いに少し時間を置いてから、また話そう?いちごも!ハチマンも慣れない土地で、疲れてるし、本人もこう言ってるから、ね?」

 

「.....分かった。ごめん。...ちょっと私も慌ててて...」

 

「...別に」

 

「.......その、また、ビンタしてごめん」

 

「...はぁ......。俺もお前のことを考えずに言ってたからな。別にいいっての。......ただ、ビンタは勘弁してくれ。お前のビンタ、超痛いから」

 

「...ごめん」

 

「だからいいっての」

 

星宮はしょぼ~んと見るからに落ち込む。

 

「..とりあえず、どっか座れよ。あおいも。星宮を止めてくれてありがとな」

 

「....うん」

 

「う、うん。どういたしまして」

 

そう言って、二人は座る。がーー?

 

「....なんで、星宮は俺の隣に座るんだよ。あと、おい。あおいはどさくさに紛れて頭を俺の肩に乗せるな」

 

「その....、ハチ君のことを二回もビンタしたわけだし....。ちゃ、ちゃんとお詫びをしなきゃ、って...」

 

「....私。今日は凄く頑張ったよ?だから、それ相応の報酬の貰ってもいいと思うんだけどな~?」

 

理性総統!攻撃を受けています!即死級の大ダメージです!襲っちまえゲージが上昇!かなり危険です!

 

何?どうにかならんのか!?

 

ダメです!原因となる二人の女性を離さなければどうにもなりません!

 

.....現実逃避をしている暇ではない。

 

いま、確実に俺は危機に陥っている。

 

星宮は隣に座りながら、「お詫び..お詫び。あんな腫れるほど痛いビンタをしたんだから....。そ、そうだ、せ、責任を取るって言えば...!」と言っている。聞こえてます。そして、かなり危険なことを言わないでください。

 

あおいはあおいで、チラリとそちらの方を見たが、あちらもチラチラとこちらを見ていた。そして、俺が気づいていないと、思ったのか。そ~っと顔を。というか口を近付けてくる。

 

ちょっと待て。曲がりなりにも、お前らアイドルだろう。何してんだ。抵抗できない、俺も俺だが。

 

「....う、うん。は、ハチ君。わ、私。ちゃんと責任取るからね!」

 

「ハチ、マン...」

 

展開が急過ぎるだろ、もうちょっとゆっくりでというか、別に進まなくていい。

 

というか、本格的にそろそろまずい。誰でもいいから助けてくれーー。

 

「おおおおおお前ら!!なななななな何してるんだ!一体!」

 

異常な気配を察知してのことか。紫吹は勢いよく立ち上がると、俺から星宮とあおいを引き離す。

 

.......た、助かった....。

 

だが、助け方が間違いだった。

 

紫吹は勢いよく来たものだからーーってこのくだり何かデシャブ何だが。

 

いや、勢いよく来ても、引き離すために飛び込む必要はない。証拠に紫吹は一回止まって、星宮とあおいを引き離した。

 

だが、慌てすぎたせいで、足が絡まり、倒れる。しかも、よりにもよってこちらに。

 

「うわっ...!」

 

「おいこっちに倒れたらーー!」

 

案の定、俺とぶつかり、俺は紫吹に押し倒される形となる...と思いきや、星宮が倒れたのを助けようとし、間に入ろうとする。そしてそれをさらに気づいたあおいが、これまた助けようと、こちらに手を。というか体ごと助けにはいる。

 

「ハチ君ーー!」

 

「ハチマンーー!」

 

「ーー!」

 

「だから、こっちに来るなーー!」

 

ドシーン!!という音ともに。

 

全員がぶつかる形となった。




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

なんか、中途半端ですね。すいません。

では、また。


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014 よし終わり!

どうも、クロジャです。

特に報告することはないので、本文を見てください。

では、どうぞ。


「.....う...お、おい。星宮?あおい?紫吹?大丈夫か..?」

 

いま、何がどうなっているのか、さっぱり分からない。

 

荷物やら何やらが、色々と落ちてきたせいで、体も起こせない。

 

「だ、大丈夫だよハチ君...」

 

「こっちも大丈夫、ハチマンは?」

 

「俺も、大丈夫だーー....あ?なんだこれ」

 

無事を確認している際に、俺の手に何やら柔らかいような固いような、何やらよく分からない物の感触がする。

 

「この部屋にこんな物あったかーー」

 

「ひゃあ?!」

 

突然。驚いたような声がした。発生源はおそらく、紫吹だ。

 

「紫吹、か?大丈夫か?」

 

「い、いや、何かが私のーーんっ?!」

 

「お、おい?!本当に大丈夫か?」

 

おかしい。今回は俺も何かよく分からないものを触ったら、何もしない方がいいということをふまえて、何もしなかったのに。

 

何故だ?

 

「だ、誰だ!!私の、わたーーあひゃ?!」

 

....何故だろう。卑猥にも聞こえるけど、何か「美しき刃」やらと呼ばれている奴が、こんな風な声を出すと...何だか変な気分になる。

 

「ほ、本当に誰なんだ...!や、止めーーあん?!」

 

「も、もう止めてくれ!いちごか?!あおいか?!それともお前か?!誰でもいーーうにゃあ?!」

 

「....わ、私が何をしたっていーーひゃあ?!そ、そこは本当にーーはんっ?!」

 

いや本当にマズイから。もう一人の八幡が目覚めちゃうから。

 

「とりあえず、出れるやついるか?!」

 

「わ、私出れそう。いちごは?」

 

「...ん..。私は、ちょっと無理そう、かな.. ?」

 

「分かった。じゃあ、私から...。ーーよいっ、しょ!!」

 

声だしと共に、あおいが勢いよく出ていく。そしてそのまま星宮を助けにいく。

 

「....お、収まった....のか?よ、よかーーうぁ?!」

 

あおいが出たのにも、関わらず、相変わらず紫吹は嬌声を出し続けている。

 

ということは、あおいではない、のか。

 

「いちご?出すよ?」

 

「...あ....。う、うん。いいよ。引っ張って」

 

あおいが星宮の手を持って力強く引っ張る。すると、少し手こずりながらも、星宮が出てくる。

 

「よいしょ、っと。ありがと、あおい」

 

「こ、これで残るはお前だけだ!これでもおこーーあん?!...お、お前か?!」

 

「いや違うっての...!星宮とあおい。俺も出してくれ」

 

二人にそう言うと、両手を引っ張り、俺を上げる。

 

「.....と」

 

「ほ、ほらっ!お前が出た瞬間に収まっーーやぁ?!...な、何で..?」

 

やはり。というか、大方分かっていた。

 

「紫吹。おそらく、お前がさっきから苦しめられているのは...人ではなく、ただの物だぞ」

 

紫吹なそれを聞いて、出れるようになった体を、スーッと抜いていく。

 

そこには、やはりというべきか。紫吹の周りにだけ小物等が、置いてあった。

 

気付けなかったのは、錯乱状態にあったからだろう。少しでも落ち着いていれば、すぐに気付けただろうことだ。

 

「.......」

 

紫吹はそのまま無言状態のまま、枕を掴んだと思うと...

 

「ーーー!!!!」

 

投げる、ではなく、ベッドに飛び込んで、顔を埋める。

 

「.....とりあえず、落ち着くまでまつか」

 

『うん』

 

満場一致で、待機することに決定した。

 

・・・しばらくして

 

「...すまない......」

 

落ち着いたのか。紫吹は枕から顔を起こし、今度は抱き枕としながら、こちらに謝罪する。

 

「...いや。俺は大丈夫だ」

 

何とも言えないような顔をして、ペコリと頭を垂れて、もう一度言葉には出さずに謝罪する。

 

「..私も、急に押し掛けてごめん」

 

「...それはーー、別にどうでもよくはないが、大丈夫だ」

 

「私はーー....いちごを止められなくて、ごめん?」

 

「ちょ、ちょっとあおいー!そんな言い方ないよー!」

 

「ーー....ふふっ」

 

『...?』

 

星宮とあおいは紫吹が笑ったことで、ハテナを浮かべながら二人で見合わす。そして、もう一度ハテナを浮かべて頭を傾ける。

 

「いや、何でもない。仲が良いんだな...」

 

「うん!あおいとは幼馴染だよ!あと、ハチ君も!」

 

「そうか。.....ウラヤマシイナ」

 

「?何か言った?」

 

「いや、何でもないよ」

 

最後にボソッと呟いたが、何を言ったのかわからなかった。

 

そして、星宮に話した後。俺の方を向く。

 

「すまなかった。疑ったり、犯罪者を見るような目で見たりして」

 

「....え、なに。俺のこと犯罪者だと思っていたの?」

 

「だから悪かった。....それで、今さらなんだが、お前の名前を聞いてもいいか?」

 

「あ、あぁ、そういえばそうか。...俺は比企谷八幡だ」

 

「あたしは紫吹蘭...って、あたしの名前はいちご達とのやり取りで言ってたな...。まぁいいか」

 

....ほっ....良かった。何とかなった。もうダメかと思った。警察行きも覚悟していたから、尚更良かった。

 

だから今しかない...!

 

「.....で、だ。紫吹はここをーー」

 

「蘭でいい」

 

「は?」

 

「だから、蘭でいい」

 

「な、何で...?」

 

「いちごとあおいが名前で呼ぶんだ。もう一人ぐらい増えたって別にいい」

 

そう言い、頬を心なし赤くしながら、名前呼びを許可する紫吹。

 

「そ、そうか。...りゃ、りゃん?!」

 

「...ふっ.....はははっ!」

 

「....笑うな」

 

「りゃんって何だ、りゃんって。緊張し過ぎだ」

 

「...うるせぇ、こちとら、万年ボッチなんだよ」

 

何で噛んじゃうかな...と思いながら溜め息を吐くと、紫吹が、俺との顔の距離を十センチしかないほど、近付いてくる。

 

「ーー慣れてからでいいよ、八幡」

 

「ーー!!」

 

ゾクゾクゾクと背筋になにかが走る。

 

顔が近いと言ったが、気付かない内に自分の口元を耳元に近付けて、囁くように話し、フ~ッと息をかける。

 

耳が弱いのでこれはかなり破壊力がある。

 

「.....からかうなら、止めろ。本気になるぞ....」

 

「ふふっ。八幡は耳が弱いんだな。何か得した気分だ」

 

「だから、そういうのは止めーー!」

 

紫吹と話していたとき、後ろから何やら殺意を感じた。

 

恐る恐る見てみると...

 

「...何だよ」

 

「...ハチ君の鈍感」

 

「...バカ、ボケナス、八幡」

 

「いや、八幡は悪口じゃないんだけど...」

 

二人の機嫌が最高潮に悪い。反対に紫吹蘭の機嫌が最高潮とは言わないが、そこそこ良い。

 

「...で?八幡は私のことを蘭と読んでくれないのか?」

 

「.....蘭」

 

「......あ、あぁ..」

 

おそらく、紫吹は蘭とすぐには呼ばれないだろうと思っていたのだろう。というかもうすぐに話を終わらせて、星宮とあおいの機嫌を直さないと、ヤバい。主に俺の生命が。

 

「話を戻すぞ。...それで、蘭はここに俺が住むことを許可してくれるのか」

 

「...あぁ、何だ。...それなら今更だ。別にあたしがあーだこーだ言っても無駄だろ?....それに、他の奴ならまだしも....別にお前なら良い」

 

「お、おう。ありがとな...」

 

「....ハチ君のたらし..!」

 

「ハチマンの馬鹿...!」

 

二人は不機嫌のままだが、とりあえずはまぁ...良かったのか。

 

「八幡、これからよろしくな」

「ハチ君、たまには私たちの部屋に来てね」

「ハチマン、絶対に問題とか起こさないでね」

 

...良かった、のか?

 

ーーそういえば、俺が触っていたものは、何だったのだろうか。




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

では、また。


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015 一旦のまとめ

どうも、クロジャです。

今回からようやく。ようやくですよ。アイカツ!のないように入れます。遅くてすいません。

では、どうぞ。


スターライト学園での一日がようやく終わり、俺は体を癒すべく睡眠を取った。

 

...あぁ、忘れてた。

 

あの出来事の後、星宮が自分も名前呼びをしろと言っていて、何とか断われたのは放っておき。

 

星宮とあおいがどこかへ行った後、蘭と少々話し合いをした。

 

内容はこれからのこの部屋での生活だった。

 

まず第一にお互いの物は勝手に触ったり、見ないようにすること。まぁ、これはあたりまえだな。多分俺が蘭の物を触ったり、見た瞬間に、警察に行くことになるだろう。

 

そして次に....と思いきや、決めたのはなんとこれだけ。

 

裏があるかと思って、何度も聞いてみたが、そんなことはなく。本当にこれだけらしい。

 

その際に、「ちゃ、ちゃんと節度をもって、過ごすんだぞ?!」と言われた。どういう意味なのだろうか。

 

その日はそれで終わった。

 

朝、目が覚めると既にそこには蘭の姿がなく、置き手紙が一つだけ。先に行っている、と書いてあった。

 

時間もついでに確認してみると、そこには既に十一時と出ていた。

 

急ぎ足で学園長室に向かうと、そこには青筋を浮かべた学園長が。

 

その時は流石に死を覚悟した。

 

何とか説得してもらったのだが....次はないと行ったときの目は完全にハンターの目だった。

 

その後、俺は中等部の一年がいる教室に案内されて、学園長自ら、事情を大雑把に説明して紹介してくれた。

 

なお、その説明の最中に、星宮とあおいが俺のことを呼んでいたが、こんな奴と星宮達が仲良く話していたら、他の奴らに変に噂されて、こいつらの評判が下がるだろうと思って、無視した。

 

何やらその後もわーわーと話していたが、そのまま話は進み、俺の席を決めることに。

 

だが、もちろん、こんなえたいの知れない奴を隣の席に座ってほしいという奴はなく。というかそもそも空いていたのは、一つだけだった。

 

指名された人に申し訳ないと思いながら、顔を見ると、そこにいたのは、なんと蘭だった。

 

隣の席に座りながら、「...嫌ならいいんだぞ」と聞いたら、「別に、大丈夫だ」と言って、そっぽを向いてしまった。

 

あぁ、嫌なんだな。どう謝罪すれば..と悩んでいると、周りにいた生徒がなぜか色めき出す。

 

何やら黄色い声を出して、慌ただしくなる。何を言っていたのかは分からなかったが、そんなことを気にしている気持ちにはなれなかった。

 

挨拶が終わり、授業が終わると、俺は別行動。涼川さんの手伝いに行く。

 

手伝いと言っても、掃除がメインなので、いろいろな所を掃除したり。

 

涼川さんが着ている服を、俺も着ることになったのだが...何か、ある意味似合ってるのか?

 

そう疑問を抱いていると、おとめが俺を発見して話しかけてくる。そして、もちろんおとめは俺の服を見る。

 

何を言われると思ったが、「ラブユ~なのです!!」と言い、喜んでいた。なんだ、ラブユ~って。

 

気付けば夜遅くなり、そこで丁度掃除も終了。時間はかかったが、涼川さんは「最初だからそんなもんだ。徐々に慣れればいい」と言い、立ち去っていった。

 

やべぇ、超かっこいい。

 

学生寮に戻っていると、近くからがさがさという音が聞こえた。

 

その方を見ると、いたのはユリカ様(仮)だった。

 

話しかけると、「ひぃっ!!ゾンビ!!...じゃなくて、この前会った...。驚かせないで頂戴」と言って、また何やらがさがさとし始める。

 

そこで、俺はカードを持っていたのを思いだし、ポケットから取り出し、しゃがみ、肩を叩いて、こちらの方を向かせる。

 

「何よ..」と渋々振り返った..という感じだったが、俺の持っていたカードを見て一転。すぐさま奪い、こちらをキッと睨み付け、「あなたが取ったのね...!」と言ってきた。

 

俺はすぐさま、このカードを見つけた経緯を話すと、警戒を解いて、「...悪かったわね、疑ったりして」と言い、「ま、まぁ見つけてくれたのだから、お礼ぐらいしてあげるわ。...わ、私のことをゆ、ユリカと名前を呼び捨てで呼んでもよくってよ?!」と捲し立てながら、そう言ってきた。

 

断ろうとも思ったが、今までの経験からしてすぐに言った方が良いと判断し、「どういたしまして...ユリカ」と言うと、顔を赤くして走っていった。

 

そして、ようやく学生寮に戻ると、星宮とあおいが待っていた。どうやら、俺と一緒に晩飯を食べるつもりだったらしい。

 

食堂に向かう途中に、蘭と遭遇した。

 

蘭も忙しく、まだ食べていないとのことだったので、星宮が誘ったところ、OKが出た。

 

で、晩飯を食べたわけだが....星宮よ。お前はどんだけ食べるんだ。太るぞ。言わないけど。

 

終わって、星宮とあおいにお休みと言って離れ。蘭には大浴場に入ると言って、別れた。ちなみに俺が入るときは、【入浴中】という看板を立てて置けば、いいとのこと。

 

いや、俺の前に誰かが入っていたら、どうすんだよ。今日はたまたまいなかったけど。

 

ゆっくりと浸かって一日の疲れを取り、少し長く入った。

 

上がって、着替え、歯を磨いて、戻る。

 

部屋には蘭が既に寝ており、暗くなっていた。起こさないように、ゆっくりと歩いて自分の布団に....と、何かを蹴ったのか、静かな部屋に音が響く。

 

本来であればそこまで響かない音だが、ここまで静かだと異様なほど響く。そしてその音を聞いて、蘭が起きてきてしまった。

 

寝ぼけながら、「..なんだ、帰ってきたのか....」と言ってムクリと立ち上がる。俺が起こしたことを謝ると、眠過ぎるのか、俺の言ったことを無視して、俺の手を掴み、布団につれてく。

 

何をするのかと思ったら、そのまま布団の中に入れられる。しかも、場所的には奥に入れられた。

 

戸惑う俺を無視して、蘭は寝てしまう。何故、入れられたのか、分からないが、とりあえずすぐさま出ようとする。...が、腕を両手で抱くように掴まれる。

 

俺の手に柔らかい感触と、女の子特有の何とも言えない良いにおいが俺の理性を溶かしにかかる。出ようとするも、掴む力が強すぎて出れない。あと、俺が少しでも動こうとすると、「....ん...」という艶かしい声を出して、さらに俺の理性を溶かしにかかる。

 

結局出ることはかなわず、俺は理性が溶けないようにずっと起きていた。その間ももにゅもにゅと何か柔らかい物が動いていたり、艶かしい声が聞こえていたりしていていた。

 

そんな感じで一日を終え、同じように過ごしている内に。

 

星宮がある問題に直面したのだ。

 

.....そう言えば、何やら噂で「美しき刃が柔らかくなって、可愛らしくなった」と流れていたんだが....、俺は関係ない、よな?




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

では、また。


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016 ファンとカメラ目線

どうも、クロジャです。

特に報告することはないので、本文見てください。

では、どうぞ。


「カメラ目線を意識しすぎて困ってる?」

 

「うん、そうなの。だから、ハチ君。お願い!手伝って!」

 

「ごめん、ハチマン。私からもお願いしていい?」

 

「いや、そんなこと言われてもな....」

 

授業が終わった後、掃除をしていた所を急にダッシュで(しかも止まらず飛び込んで)来た。

 

それで、あおいはここまでの経緯を話し始めた。

 

今日のレッスンで、カメラ目線を意識するとのこと。

 

あおいはすぐに出来たのだが、星宮が一向に出来ず、かなり困っているのこと。ジョニー先生からもアドバイスをもらうも、言葉の意味が理解出来なかったのこと。

 

この時点で既に俺には無理だろうと、思いつつも話を聞き続ける。

 

そこからは関係ないのでは、と思ったが、一応聞いた。

 

あおいがファンからレターを貰ったり、星宮とあおいがオーディションを受けることになったり、星宮はオーディションの為に走っていた所で自分のファンの人に会うなど。

 

....まぁ、こんなに言われた所で協力出来るところが一つも無いんだが。

 

「....で、俺にどうしろと。ボッチな俺にはカメラ目線も何もないぞ」

 

「そんなこと言わないで、お願い~!」

 

「と言われてもな...」

 

どうしたものかと悩んでいると、あおいが耳打ちをしてきた。

 

「こんなこと頼んでごめんね。いちご、こういうのはとことん苦手で....」

 

「....とりあえず、考えてはみる。ただ、期待はすんなよ。なんせ俺だからな」

 

「そこは決まったように言わないでよ....」

 

・・・二人はどこかへ行き

 

「考えてはみる、と言ってみては見たものの、どうするか....」

 

掃除をしながら、頭を悩ませていると、丁度目の前に蘭が通りかかった。

 

「あ、おい。蘭」

 

「ん?あぁ、八幡?どうした」

 

ダメ元で聞いてみる。

 

「~~って事なんだが、何かアドバイスできるか」

 

「....アドバイス。というよりかは、それはもうきっかけ一つで変わることだから、あたしが何か言うことじゃないと思う。それにあたしの場合、昔から芸能界にいたし、そこら辺は小さい頃に慣れちゃったからな」

 

「そうか。悪いな、こんな所で引き留めちまって」

 

「別にいいよ」

 

そう言って手をヒラヒラと振って、立ち去っていった。

 

にしても、慣れ、か。今の星宮はできるまでやる気だから、きっかけを掴ませるしかない。

 

カメラ..カメラの奥にあるもの...ファン、か。....待てよ?確かあの時、話の中に.....。

 

いや、これは俺要らないな。

 

そうして俺はまた掃除を再開するだった。

 

・・・次の日

 

朝、目が覚めて教室に向かうと、星宮がこちらに走ってきた。...あ、後ろにあおいもいる。

 

「ハチ君、ハチ君!私分かった気がする!」

 

「何が...って、あぁ、カメラ目線が何やらっていう話のことか?」

 

「うん!」

 

両手を前に出して、喜びを露にする星宮。よっぽど嬉しかったのだろう。そして、凄く犬っぽい。

 

「い、いちご、速い...もう少し、落ち着いて...」

 

「ご、ごめん.....」

 

あおい(飼い主)が星宮(犬)に注意をすると、星宮はシュン...と落ち込んで、素直に謝る。

 

「..まぁ、何でもいいがーー、どうして分かったんだ?」

 

「あ、うん。昨日、会ったていう私のファンになってくれた人がいるでしょ?」

 

「あぁ」

 

「それでねーー」

 

話の続きを聞くとこういうことらしい。

 

先日、そのファン(太田というらしい)と約束をしていたらしく、一緒に走ったとのこと。

 

どうやら、陸上部だったらしく、星宮のオーディションを見てファンになったというが、ここは割愛。

 

太田が二人に合わせて走る、と言ったらしいが、むしろ二人がどこまでついていけるかを試したいと言って、なんだかんだで最後までついてこれたらしい。

 

太田は地区大会が星宮達とのオーディションと被ってしまったらしく、その場で応援の言葉を星宮に送り、それを聞いた星宮も太田を応援して、立ち去ったらしい。

 

そこで、星宮は気付いたらしい。地区大会で来れない太田に。つまり、カメラの向こう側にいる人達に伝えるということに。

 

「そうか。無事に分かったようで、何よりだ」

 

「うん!ハチ君もありがと!一緒に考えてくれて!」

 

「...別にいいっての。それよりも早く行かないと遅刻するぞ」

 

「あ、待ってよ!」

 

俺はなんだか気恥ずかしくなり、星宮から顔を背けるようにして、少し速めの速さで歩きだした。

 

その際に、あおいが耳もとで、「捻デレめ~♪」と言っていたが、無視。なんだ捻デレって。

 

特にその後はこれといったことはなく、通常通りに進んでいった。あるとするなら、おとめが昼食中に俺を見つけて、「はい、八幡たん。あ~んなのですぅ~♪」とか言ってパフェを差し出してきた。

 

ちなみに、比企谷とは言えなかったので、八幡たんとなった。いや、なんで?

 

その際に星宮がいなくて助かった。いたら、俺は今頃この世にはいなかった。

 

それはそれとして、星宮達はその後、オーディションを受け、見事に合格したらしい。

 

ただ、嬉しさのあまり二人とも抱きつくのは止めてくれ。その、お前らの成長具合が...だな?

 

蘭も二人が合格したことに喜んでいた。あと、おとめも「良かったのですぅ~♪」と言って喜んで、なぜか俺の手を抱きつく形で密着してきた。それに対抗して、蘭も逆の服の袖を掴んできた。

 

もちろん、星宮からのオシオキとオハナシが待っていた。

 

そんな形で話が終わった。...この調子でいくと、後何十回聞かれるのだろうか。

 

溜め息と共にそのまま一日を終えたのだった。

 

・・・とある場所

 

「...学園長が言っていたのは、あの子のことね..。少し、調べた方が良いかしら..?」




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

では、また。


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017 ついに、あの方が....

どうも、クロジャです。

特に報告することはないので、本文見てください。

では、どうぞ。


誘拐。

 

ニュースでよく聞くこの単語。聞くだけで人の不安を煽ってくるので、あまり聞きたくはない。

 

意味は一つ。だが、それを実行するのは、様々な理由がある。

 

身代金の為、監禁する為、自分の物にする為...などなど。

 

どれもやはり良いことではない。では、逆に良い方の誘拐とは何だろうか?

 

例えば、自分の友人が大変な目に遭っているのに、両親はなにもしない。そういう場合、良くはないが、誘拐は良い方と言える...訳はない。

 

誘拐はすべてに関して、悪いことしかない。下手をすれば、殺人などよりも意地が悪い。

 

なので、誘拐はやってはいけないこと。いけないことなのだがーー

 

「ーーで?何か申し開きはあるかしら?」

 

「......ございません」

 

目の前にいるのは、誰もが知る。そして、尚且つ俺の命の恩人と言っても過言ではない人。いや御方。

 

誰もが認めるトップアイドル。神崎美月が俺の前に仁王立ちでこちらを睨み付けるように、たっていた。

 

かくいう俺はというと、両手両足を縄で縛られ、何も出来ない状況。

 

普通に会ったのであれば、喜ばしいどころか、卒倒してしまいそうな勢いだが、場面が場面なので、そんな気持ちは微塵も。

 

......いや、会うことが出来て少しはあるが。

 

まぁ、何故こうなってしまったのかと言うと。

 

毎度おなじみ。過去の回想シーンにより説明。

 

・・・数時間前

 

星宮達はモデルのオーディションに出るために、蘭に教わろうと、突撃しに行ったところ、何とまさかの着替え中。

 

星宮達だけだったら良かったのだが、俺は星宮に連れられて一緒に来ていたので、俺は顔がゆでダコとなった蘭に殴られはしなかったが、追い出され、着替え終わった蘭に怒られた。

 

恥ずかしいので、しばらく顔を合わせたくないと言われたので、俺はそのまま掃除をし始めた。

 

時折、蘭の引き締まりながらも、女性らしさを帯びた体を思い出して、顔が赤くなりながら、忘れようと一心不乱に掃除をした。

 

その時に俺は集中し過ぎて、周りが見えておらず、目の前に迫っていた人に気付かず、そのままその人を巻き込んで転んでしまった。

 

どうやら女性だったらしく、ぶつかった際に「キャッ!」と、どこか聞き覚えのある声が聞こえた。

 

俺はすぐさま謝ろうと起き上がろうと手に力を入れると、ふにゅん、と嫌な予感がしつつも柔らかい感触が俺の手を襲った。

 

それと同時に今度は艶を帯びた声で「キャッ!」と言って、そのぶつかった人が驚き、体を動かす。それに俺もまた巻き込まれた。

 

今度は何も動かさないでおこうと思い、体を鉄のように固くすると、神はいないのかそれとも俺を見捨てたのか。

 

倒れた衝撃で今度は、俺の方に倒れてきたその人の何かに手がぶつかり、「ひゃあ?!」と言って、こちらに体重を乗せてきた。

 

その重さもプラスされ、さらに俺の手に何かの感触が強くなる。またもや、柔らかい感触だった。

 

慌てて動こうとするが、今までの経験則からして動くのはいい手ではないと思い、その人に話しかけて、冷静になってもらおうと考えた。

 

だが。

 

そこにいたのは、俺が予想できなかった。できるはずもない人物が俺の目に止まったのだ。

 

どのくらい長いのだろうか。おそらくは腰まで伸びた紫色の髪を、ポニーテールにしていた。

 

髪だけではない。世界に二人もいないだろう、その美形。パッチリと開かれた綺麗な目。美しいほど綺麗に伸びている眉毛。何を取っても完璧としか言いようがない。

 

その人が誰かなど、考えるまでもなかった。

 

世界一のトップアイドル。

 

俺の命の恩人と言っても過言ではない人物。

 

神崎美月がそこにいたのだ。

 

そしてここで俺は最大のミスをおかした。

 

動かまいとしていた手を驚きのあまり、上に少し勢いよく上げてしまった。

 

そのせいで神崎美月さんは、筆跡に表しにくいような声をあげた。良かった。近くに人がいなくて。

 

そしてこうなった。

 

なぜ、ここにそこからの説明がないかと言うと、俺はその時、半ばパニック状態になったせいで、記憶が曖昧なのだ。どうしても、思い出せない。

 

で....。

 

「潔いのは認めるけど、このままだとあなた確実に警察行きよ?」

 

「...その.....何でもしますので、それだけは勘弁していただきたく...」

 

お得意の土下座も使えないこの状況。何でもしますと言わない限り、俺に未来はないだろう。

 

「...何でも?」

 

「あ、その、十階建てのビルから落ちてとかは、流石に...」

 

「言うわけないでしょう。...そうね、だったらーー」

 

腕を組み一瞬考えた後、俺に向けて指を向ける。

 

「だったら、明日。またここに来なさい。時間は朝の4時。遅れたら許さないわよ」

 

と言って、俺の縄を解き、解放する。

 

「....え?」

 

「二度は言わないわ。ほら、私も忙しいの。さっさと出て」

 

冷たいながらも、当初よりかは優しめな声で俺を促す。

 

「じゃあまた明日」

 

「は、はぁ....」

 

何はともあれ助かったがーーどうして俺を解放したのだろうか。

 

その日は、それで終了した。ちなみに俺が突然いなくなったことに、涼川さんは特に何も言わないでくれた。ヤバい、この人イケメン過ぎる..!

 

そして次の日の朝。

 

俺は4時の三十分前に着くと、そこには既に神崎美月さんの姿があった。

 

「...あら、早いのね」

 

「....まぁ、何かあったら困るので」

 

「そう。早いことは良いことよ。..じゃ、ついてきて」

 

スタスタと歩いていく彼女を追って、急いで俺も走り出す。

 

「ちょ、ちょっと待ってください。今日、俺は何を..?」

 

「そういえば言ってなかったわね。今日一日。あなたは私のマネージャーをやるの。私の元々のマネージャーには、言っておいたから大丈夫よ。..はい、これに予定が全部書いてあるから」

 

そう言って渡してきた紙には、びっしりと分..いや、秒刻みで仕事の予定が書いてあった。

 

「あ、後。ちゃんと学園長先生に言っておいたから、そこら辺も大丈夫」

 

.....え?マネージャー?

 

「早くしなさい。時間は待ってはくれないわ」

 

「え、えっと...」

 

「返事は?」

 

「ひゃ、ひゃい!」

 

どうやら、今日一日。波瀾万丈になるっぽい。




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

では、また。


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018 神崎美月の一日マネージャー

どうも、クロジャです。

特に報告することはないので、本文見てください。

では、どうぞ。


「次は?!」

 

「えっと、次は..」

 

「モタモタしない!」

 

「は、はい!」

 

俺はなぜか怒られながら、あの世界一のトップアイドル。神崎美月についていた。

 

なぜ、こんな不審者がついているって?理由は簡単。俺は今日一日、マネージャーとして勤めることとなったからだ。

 

時間は現在十一時とお昼に近く、町行く人々はみな、ファーストフード店に入ったりして、空腹を満たしていた。

 

そんななか、俺も空腹と眠気と戦いながら、神崎美月さんについていた。

 

ちなみに次に目指すのは、とあるテレビ局。そこでやるバラエティー番組に出演するらしく、だいたい収録時間まで約二十分もない。

 

急いで車に乗り、走り出す。ちなみに運転してくれているのは、神崎美月さんの元々のマネージャー。月影ほのかさんというらしい。

 

車が走りだし、話すぐらいの時間が出来たことで、月影さんが神崎美月さんに話しかける。

 

「...はぁ...。急に男性をマネージャーにするなんて言われた時は流石に驚いたわ。それに素性もほとんど知らないって...」

 

「はは....ごめんなさい。ほのかさん。少し私もこの人に用があって...」

 

「でも、名前すら知らないんでしょ?せめて自己紹介だけでも今のうちにすればいいんじゃない?」

 

「分かってます。....私の名前は神崎美月。あなたは?」

 

「ひゃ、ひゃい!ひきぎゃやひゃちみゃ!!」

 

やべぇ...盛大に舌噛んだ...絶対に笑われる。

 

いや、というかもう既に笑っていた。しかもかなりツボにはまっている。必死に堪えているが、我慢しきれず、時折笑い声がもれていた。

 

「....んん!....落ち着いて話して良いわよ。あ、ほのかさん。...あと、どれくらいですか?」

 

「んー、そうね。五分ぐらいかしらね」

 

「ほら、時間も大丈夫だから、ね?」

 

昨日のあの時が嘘だったのかのように、対応が優しい。...いや、もしかしたら月影さんがいるから、優しく見せてるだけかもしれない....のか?

 

「は、はい。..ひ、比企谷八幡です。学園長から許可を頂いて、スターライト学園に通わせてもらってます」

 

「...ちょっと待って。もしかして通ってるって、学生寮に住んでいるの?」

 

「...えぇ、まぁ、はい..」

 

「....よくあの人が許したわね..」

 

「でも、皆がレッスンを受けている間って、何をしてるの?」

 

「涼川さんと一緒に掃除をしています」

 

「なるほどね...」

 

その後も話していると、いつの間にか目的地に着いていた。

 

「じゃあ、行ってきます。ほのかさん」

 

「行ってらっしゃい」

 

神崎さんが(話している途中に呼び捨てで良いと言われたので、名字で呼ぶことにした。ちなみに神崎さんは比企谷君と呼ぶことにしたらしい)先に走り出したので、後を追うようにして走り出そうとすると、月影さんに肩を掴まれた。

 

「...えっと..」

 

「美月が連れてきた時点で、少なくとも君の事を信用はしているようだけど....。もし、美月に手を出したら私は一生許さないわよ」

 

片方の目が隠れているので、今いち分かりづらいが、もう片方の目が俺を鋭い目で見ていた。

 

「...あり得ませんよ、そんなこと。俺にそんな事が出来る奴だと思います?」

 

「....はぁ......」

 

俺が答えると、何やらため息をつかれて、呆れた顔で見てきた。

 

え、何。何かやらかしたか。

 

「まぁ、話してて何となくそんな雰囲気は感じていたけど....。はぁ...いいわ。君がそういうことを出来る人間ではないということは分かったわ。...悪かったわね、もう良いわよ。....あと、美月が無茶を言っても我慢しなさいね」

 

「それってどういう..?」

 

意味を聞こうと思ったら、強引に外に出されて、そのまま行ってしまった。速ぇ...。

 

「いや、そんな事を言ってる場合じゃねぇ!早く追わないと!」

 

神崎さんが行った方向を見ると、そこには既に影も形も残っていなかった。

 

「こっちも速ぇ..」

 

ため息を俺もついて、走り出すのだった。

 

・・・時間経過

 

なんとか追い付き、カメラの画面外で神崎さんを見ていたのだが、その際に今までも思っていた事を、改めて考えていた。

 

本当にあの人、中学生か..?実は年齢を偽っているんじゃ..?

 

面白おかしく話す芸能人に対して、それに合った答えを返しながら、尚且つ的確に返して、これまた笑いを誘う。

 

.....にしても。

 

俺がずっと聞いていた歌を歌っていたあの人が、いまこうして目の前にいて、さらには一日とはいえマネージャーとしているだなんて。

 

夢だろうと、この後酷い目にあおうとも。

 

今はこの瞬間を一秒でも感じていたいと、素直に思った。

 

そんな事を考えていると、番組は終了し、どこからともなく、おつかれっしたー、という声が色々な所からかかる。

 

神崎さんも全員に挨拶をし、スタッフ一人一人にも挨拶をして、そのまましばらく周りを見ると、俺を見つけてこちらにやってくる。さて、俺も任されたからには、不得手なりにも頑張らなければ。

 

「...それで、次なんですけどーー」

 

「ーーストップ」

 

俺が次の予定を言おうとすると、神崎さんが遮ってくる。

 

何だろう、いきなり粗相をしたのだろうか。

 

「な、何ですか..?」

 

「いま、何時?」

 

「えっと....、今はぴったり十三時です」

 

時計で確認して報告すると、神崎さんは「うん、予定通り..」と言って、歩き始める。え、なに。計画通り?それは某◯◯ノートに出てくる人物の台詞ですね。

 

しばらく歩くと、外に出る一歩手前の場所の所でようやく立ち止まった。

 

「ぜぇ..ぜぇ..。きゅ、急に歩きだしてどうしたんですか..?」

 

「その予定なんだけどね。ーー実はもう終わりなの。だから、そこに書いてあるのは嘘、よ」

 

「ーーへ?」

 

多分これまでにないほどの、バカな顔だったのかも知れない。それほど驚いてしまった。

 

「さ!私、これから久しぶりにオフなの。まぁ、午後だけだけどね」

 

「......は、はぁ...」

 

久しぶり...まぁ、確かに。こんな今まさに、人気絶好調な人が休みだなんて、そうそう取れないだろう。

 

まぁ、だから、これで俺の仕事は終了か、と。

さっきの決意は無駄だったな、と思っていると。

 

予想外の言葉がかけられる。

 

「ーーじゃ、行くわよ?」

 

「..........はい?」

 

「比企谷君も一緒に行くのよ?ほら、早くしなさい。時間は有限よ」

 

「ちょっ!手を掴まないで..!」

 

その時にちょうど月影さんの言っていたことを、思い出した。

 

ーー....あと、美月が無茶を言っても我慢しなさいね

 

そういうことか。そういうことだったのか。

 

この人のオフに付き合えということだったんですか?

 

....いや、無理でしょ。こんなただの一人のファンにーー

 

「ほらっ!早く!」

 

満面の笑みでこちらに手を伸ばしてくる神崎さん。

 

外からこちらにこぼれてくる光が、ちょうど神崎さんに当たって後光のように射す。

 

「......はぁ...」

 

出会って二日もないとか。

会ったときの印象が最悪だったとか。

 

この人は全部を乗り越えてくるんだな。

 

なんとなく、この人がトップアイドルになれた理由を知れた気がする。

 

「....行きましょう」

 

多分これから先。この人とこういう風に話す機会があったなら。

 

俺はこの人には逆らえないと、笑顔で外に行く神崎さんを見て思ったのだった。




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

では、また。


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019 神埼美月の一日マネージャー...ではなかったですね。

どうも、クロジャです。

そろそろ次で本編20話行きそうですね。やった。

この調子で頑張りたいと思います。

では、どうぞ。


「次はあそこに行くわよ!」

 

「ちょ、ちょっと待って、速い...」

 

いま俺はどこにいるのだろうか。そう分からなくなるほど、俺は様々な場所に連れられていた。

 

何ヵ所回ったっけ....えーと、ショッピングモールに、遊園地に、映画館に....あれ、一日って何時間だったっけ。

 

「時間は待ってはくれないわ!」

 

「い、一旦休憩...。休憩、しましょ、う?」

 

俺がそう尋ねると、意外にも神埼さんはすぐに了承してくれた。

 

「まぁ、そうね。流石に無理させすぎたし...。あそこのカフェで休みましょう?」

 

「...あ、はい」

 

入ったカフェは某有名店だった。にしても、料金がそこそこ高い..!

 

「比企谷君は何にする?」

 

「え、あー、じゃあ普通にココアで」

 

「私はアイスコーヒーで。....あのー、すいませーん」

 

神埼さんに呼ばれて来た店員さんは、一回神埼さんを見て、もう一回見て、かなり驚いた顔をし、前にいる俺を見る。そして、え?という顔になる。

 

悪うござんしたね、こんな顔で。いや、目か。

 

しかし流石と言うべきか。店員さんはしばらく惚けると、すぐさま切り替えて、接客モードに変える。

 

「ご注文お決まりでしょうか」

 

「私はアイスコーヒーで。こっちはココアをお願いします」

 

「かしこまりました」

 

何度もチラッ、チラッとこちらを見ながら立ち去っていく店員さん。だから悪うござんしたね。

 

「ごめんなさいね」

 

そう考えていると、突然謝り出す神埼さん。え、なに。

 

「何がですか。荷物の件ですか」

 

「それもそうだけど、さっきの店員さんのことよ。...アイドルだし、こんな所に一人でいるならまだしも、男の人と一緒だと、ね?」

 

「...いや違いますよ」

 

「え?」

 

きょとんと頭を横に少し倒す神埼さん。くそ、可愛い。

 

「神埼さんみたいな絶世の美女。さらにはトップアイドルなんて肩書きを持つ人が、こんな冴えない目が腐った男性と一緒にいることに対して驚いていたんですよ」

 

「ーーへ?!」

 

「へ、って....やべぇ、すいません。こんな事言って..」

 

言ってから気づいた。正直にも程がある。恥ずかしすぎる。

 

「い、いや、べ、別にいいのよ?べ、別に、ね...?」

 

顔を一瞬で、ボンッと赤くして照れる神埼さん。可愛いが、こういうことは言われ慣れてるんじゃないのか?」

 

「そ、そういうことは、あまり言われないのよ。それこそ、異性だなんて...そもそも会わないし」

 

「あれ、もしかして声に出てましたか」

 

「え、えぇ出てたわ」

 

「え、えっと....さっきのと合わせて、すいません!」

 

「い、良いわよ...。それよりも、来たわ」

 

言われて視線を移すと、確かに店員さんがそこまで来ており、アイスコーヒーとココアを持っていた。

 

「お待たせしました。アイスコーヒーとココアです」

 

「ありがとうございます」

 

「ごゆっくり」

 

そう言って、また訝しげにこちらを見ながら立ち去る店員さん。もう気にしない。

 

「まぁ、それよりも少しゆっくりしましょう?これから、また色々な所にまわーー」

 

「ねぇ君。そんな奴放っておいてさ、俺と一緒にいいとこ行かねぇ?」

 

突然声を出して現れたのは、ガラの悪そうな奴だった。

 

「....突然何のよう?私はこの人と一緒にいるんだけど?」

 

「あ~?....ぷっ!あははは!こんな奴と一緒にいたって、楽しいことなんかねぇぜ?さっさと俺と一緒に行こうぜ?」

 

「お客様、周りの方々に迷惑になるような行為は...」

 

「あぁ?!うっせぇぞてめぇ!!」

 

「ひっ...」

 

さっきの店員さんがくるも、あえなく撃沈。周りの他のお客さんも、我関せずといった感じだ。

 

「ほら、行こうぜ?」

 

「断るわ。さ、ここにいてもこの人のせいで、気分が害されるだけだから、勿体ないけど、もう出ましょう?あ、すいません、お会計をーー」

 

「おいてめぇ、今なんつった!?」

 

「きゃ!」

 

神埼さんの言ったことに腹をたて、ガラの悪そうな男は、神埼さんの肩を強く掴む。

 

「てめぇ、好き勝手なこと言いやがって..調子こいてんじゃねぇぞ!!」

 

「....!」

 

掴まれた神埼さんは、恐怖で震えていた。が、それを男に悟られまいと、口びるを噛んで、我慢していた。

 

それを見た瞬間に、俺のなかの何かがプチっと切れた音がした。

 

「まぁいいぜ。このまま連れてって俺好みの女にーー」

 

「ーーおい、止めろ」

 

「あぁ?なんだてめぇ?」

 

俺は立ちあがり、神埼さんを掴んでいる手を、掴んで外す。

 

「やっていいことと悪いことの区別もつかないの?それとも体は大人、頭は小学生なの?もう一回、義務教育に逆戻りするのか?」

 

とりあえず、神埼さんから意識を外す。そして、俺をターゲットにする。

 

「....何だと?」

 

「ほら、言葉につまった。お前みたいな奴らは全員そうやって、あ?とか何だと?ぐらいしか言えないもんな。なに?他に言うことないの?それしか習ってないの?」

 

ざわざわと周りが少し五月蝿くなってきた。野次馬も増えて...ってやべぇ。このままじゃ、俺と神埼さんが一緒にいたことが、公にされちまう。

 

俺なんかといたら、神埼さんが風評被害を受けてしまう。

 

....どうするか。

 

「何だとてめぇ!!いい加減にーー」

 

「つーか、こいつ俺が狙ってた奴だから。だって、あの神埼美月だぜ?そんな奴と付き合えたら、俺すぐさま有名人じゃん」

 

「......あ?」

 

周りのざわめきが、最高潮に達し、野次馬も増えていく。よし、その調子。

 

「だからーーって、くそっ!これ言うつもり無かったのに.....お前のせいだぞ!!計画が滅茶苦茶だ!!」

 

俺はそういうなり、首もとを掴んで、さりげなく神埼さんとの距離を離す。

 

それと同時に、周りから神埼美月という超有名人がいる喜びと、俺というクズを罵る声が聞こえ始めた。

 

「くそが!」

 

今のは俺でなく、ガラの悪そうな男。人が増え、ナンパした相手がまさかの、神埼美月ということに驚いて、立ち去っていく。

 

じゃあ、そろそろ俺も。

 

「バレちまったのに、長居は無用だ。くそっ、後少しだったのに....」

 

「あ、ま、待っーー」

 

神埼さんが何かを言っていたが、俺は無視して、走って逃げる。

 

すいません、神埼さん。会計は払うので、荷物は自分でお願いします。

 

そうして、俺の最高にして、最悪の一日は終了した。




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

では、また。


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020 どうして俺の考えお見通しなの?

どうも、クロジャです。

ようやく、本編二十話突破。いえーい。

これからも、頑張ります。

では、どうぞ。


あの一件から数日....ではなく、次の日の朝。

 

俺は学園長に呼び出された。内容は分かっている。

 

「失礼します」

 

中に入ると、そこには学園長が一人いるだけで、他には誰もいなかった。ジョニー先生も。

 

「どうして、呼ばれたか....分かってるかしら?」

 

「はい」

 

どうせ、もうこの学校を辞めてくれ、とかだろう。当たり前だ。こんな奴をいれたい学校なんてない。あ、いや、ここは学園か。

 

「はぁ...その顔は分かっていなさそうね」

 

「どういうことですか」

 

「どうせこの学校を辞めてくれって言われるんだろうって、思っているでしょう?一応言うけど違うわよ?」

 

「え?」

 

あれ、違うの?強制退学じゃないの?

 

「...やっぱりね。はぁ...。とりあえず、これを見てくれるかしら」

 

「はぁ...?」

 

そう言って、パソコンをこちらに見せてきた。写し出されていたのは、どうやら何かの映像らしく、会見のような場所に、何故か神埼さんがいた。

 

「.....なんですかこれ」

 

「いいから見なさい」

 

「分かりましたけど...」

 

そうこう言っている内に、神埼さんが話始めた。

 

『皆様。今日は集まって頂き誠にありがとうございます。本日、記者の皆さま方を集めたのは、昨日からネット上で騒がれている件についてです』

 

「.....!これって」

 

「そうよ。昨日の出来事が、ネット上にアップされていたの。それが、色々と面倒な事になって...それで、美月自らが、緊急会見を起こすことにしたの」

 

「どうして...?」

 

「理由は見たら分かるわ」

 

そこで、話を切り上げて、もう一度画面を見る。

 

『私は昨日。ある男性の方と一緒にカフェにいました。それは、噂の通りで間違いはありません』

 

『その男性の方とは、一体どのような関係なんでしょうか』

 

『...私とその男性とは、そこまで付き合いが長いわけでは、ありません。まだ、二日しか会ったことも、話したこともありません』

 

『では、なぜその男性と、カフェにいたのでしょうか?他にも目撃情報がありましたが?』

 

『はい。確かに他にもさまざまな場所にも行きました。私がその男性と行ったのは....見定めるため、ということです』

 

『それはどういうことですか?』

 

『その男性には、アイドルの友人がいます。そのアイドルは、光るものを持っており、いずれ私を越えると思っていました。..その男性がもし害にあるのであれば、私はその男性に何らかの手を加えていたかもしれません。ですが.....』

 

そこで一回神埼さんは区切って、画面の向こう側にいる誰かに語りかけるようにして、話を再開する。

 

『ですが私は昨日。その男性に助けられました。そもそも、その男性と行かなければ、あんな事にはならなかったのかもしれません。ですが、あの時。もし別の人だったなら。一人でいっていたら。私はいま。この場所に、立てていられてないかもしれませんでした』

 

『それはネットの情報と違いますが、それはどう言うことでしょうか?』

 

『はい。その男性があんな事を言ったのは、私があの場面で、どんな理由があれ、一人の男性といたことに気付いてしまう。それを危惧して、その男性は私との関係を明確に否定することを言ったんです』

 

『ということはつまり、その男性は、悪くないと...そうおっしゃるのですか?』

 

『はい』

 

『では、今日はそれを伝えるだけに、これだけの人数を集めたのですか?』

 

画面越しだが、何十というカメラのシャッター音が聞こえる。もしこれだけなら、相当な事態だ。

 

というか、神埼さん。どうして、庇うんですか?俺、まだ二日しか話したことありませんよ?

 

「学園長。どうして、神埼さんは、俺のことを庇っているんですか?」

 

「庇うも何も、美月は事実を伝えているだけよ」

 

「いや、それでも...」

 

「だったら、今日。美月に聞きなさい。スターライトクイーン専用の寮に、今日は九時には帰ってこれる筈だから、その時間までに行きなさい」

 

「....いや、すいません。ちょっと、急すぎて何がーー」

 

その瞬間、学園長がパソコンをパタリと閉じ、そのまま俺の方を向いたまま話しかける。

 

「さ。私の呼び出した理由はこれだけ。さっさと戻りなさい。私も仕事があるの」

 

「いや、それはいくらなんでも理不尽では?」

 

「いいから早く行きなさい?」

 

「いや、あの」

 

「行きなさい?」

 

「いや、ま」

 

「行きなさい?」

 

「....はい」

 

どうして、俺の周りの女性は眼光が鋭いんだろうか。ハチマンそろそろ泣いちゃうよ?

 

「....失礼しました」

 

「授業には間に合うようにしているから、早く行きなさい」

 

俺はそれを聞いた後、扉を閉めて、学園長室から去っていった。

 

・・・八幡が去ったあと

 

「...流石に、ちょっと、無茶苦茶だったかしら?」

 

人知れず、珍しく反省をする学園長がそこにいたそうな。




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

記者会見のときのセリフって、こんな感じですか?ちょっと、わからないんで、もしよければ、報告ください。

では、また。


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021 美月パレスへようこそ!

どうも、クロジャです。

最近内容が薄くなってきていて、すいません。もうちょっと、頑張ります。

そんな感じでどうぞ。


そういえば星宮達なんだが、合格することができたらしい。ただし、星宮だけ。

 

あおいは悔しがってはおらず、むしろ、星宮と蘭が合格出来たことを喜んでいたらしい。

 

俺は残念ながら、その時は丁度神崎さんといたから、見れなかった。

 

.....さて、そろそろ現実逃避も良いだろう。

 

ただいま俺は学生寮の、自分の部屋にいる。

 

そこには、星宮にあおいに蘭に、あと何故かおとめもいた。

 

こいつらが何をしに来たかと言うと、察しが良いやつなら、もう気付いた筈だ。

 

「ハチ君..?!もう私、本気で怒ってもいいよね..?!」

「いちごいちご!!ミシミシいってるから、力を入れるのもう止めて!!」

「あ、あたしは、その。美月さんを守ってる所...か、かっこいいと思うぞ...?」

「おとめもそう思うのです♪ラブユ~なのです♪」

 

うん、ハチマンもう慣れたよ。なんとなく、そんな気はしてたよ。

 

どうやら、ネット上に上がっていたのを、あおいが見つけてそれを、今いるこのメンバーに見せたところ、こうなったらしい。

 

「い、いや、そのな。今回限りは俺じゃなくて、神崎さんに誘われたんだよ。それに星宮とあおいなら、分かるだろ?あの人から頼まれて、断ることが出来ると思うか?」

 

「...それは...そうだけど...」

 

「ほら、いちご。一回落ち着いて。ハチマンがこうなのは今さらでしょ?一々何か言ったら、もたないよ?」

 

「...うぅ....」

 

今回はあおいの説得と、状況が状況。人が人なので、星宮もすんなり、矛先を納めてくれた。

 

「それにしても、何があったら、美月さんと一緒にどこかへ行くなんて事になるんだ?」

 

「あぁ、それはだな~~~って事だ」

 

だいたいの説明をすると、四人は何とも言えない顔をする。

 

「...まぁ、その、なんだ。八幡らしいな」

 

「何かごめん、ハチ君..」

 

「私、何かいずれハチマンが捕まっちゃうんじゃないか、心配だよ」

 

「元気出すのです!八幡たん!」

 

「うん、そうやって慰めるようにして、貶すような言い方止めてね?ハチマンの心、折れちゃうよ?」

 

などと、たわいもない会話をしている内に、俺はあの指定されている時間の、五分前だということに気付いた。

 

「...ちょっと、少し外してもいいか」

 

「どこか行くの?ハチマン」

 

「あぁ。まぁな」

 

「行ってらっしゃーい」

 

「遅くなるなよ?」

 

「行ってらっしゃい、なのです~♪」

 

「あぁ、すぐ帰ってくる」

 

予定だが。

 

・・・

 

「...デカ...」

 

俺はいま、神崎さんをたずねようと、学園長にもらった手紙を頼りに来たのだが...え、本当にここか?

 

「学園長、間違えているんじゃ....」

 

時刻は、もう予定の時間より十分過ぎている。もしかして、俺は騙されたのか..?

 

そう疑心暗鬼に陥っていると、何者かに肩を叩かれる。

 

「はい、誰でしゅか」

 

「ふふっ...誰でしゅかって」

 

振り向くと、そこには指が置かれており、頬を押される。

 

そして、それをして、さらに笑ったのは...神崎さんだった。

 

「...何してるんですか」

 

「見ての通りよ。さ、入りなさい」

 

促されるまま、外国とかにありそうな扉?を開け、広い庭?を歩く。

 

「...これって、一人で住んでるんですか」

 

「そうよ」

 

「....」

 

「....」

 

....何か気まずい!!

 

こういうときに会話が続けられないのが、ボッチの宿命という物なのか...!

 

な、何か。何かないか..。

 

「..そ、そういえば、神崎さん。どうして、今日。あんな会見を、したんですか?俺なんて、放っておけば、いいじゃないですか」

 

「...」

 

俺がそう聞くも、黙ったまま口を開かず、歩き続ける神崎さん。

 

俺もそれを見て、結局黙って歩く。

 

しばらく歩くと、玄関まできた。

 

「ほら、入って」

 

「は、はい。....おじゃまします.....」

 

中はというと、見た目通り。いやそれ以上かの大きさで、部屋がいくつもあった。

 

その内の一つに案内され、「ちょっと待ってて」と言うなり、出ていった。

 

部屋をじろじろと見るのも、あれかと思い、ひたすら何もせずに待っていると、ほどなくして神崎さんは戻ってきた。

 

戻ってきた神崎さんの手には、飲み物が握られていた。

 

「コーヒーで良かったかしら?」

 

「えっと、はい。大丈夫です」

 

「そんなに畏まらなくてもいいわ。それに、昨日一緒に出掛けた仲でしょ?」

 

「....」

 

昨日と言われ、頭にあの一連の流れが甦る。あれは我ながら酷かったと思う。だから尚更思う。なぜ、神崎さんは俺のことを助けたのか。

 

「.....神崎さん。さっきも言ったんですけど、どうして俺のことを助けたんですか?」

 

「.確かに私自身どうしてあそこまでしたのか、わからないわ。それに不思議と後悔してない。どうしてなのかしらね?」

 

「いや、俺に聞かれましても....」

 

「......そうね。でも、なんとなくあなたが悪い人ではないとは、分かっていたのよ。そもそもこの学校にいる時点で、そんな可能性は、無かったわ」

 

「俺が何かしらの力を使って、星宮やあおい、学園長を操っているとしたら?サイコパスだったら、これぐらいのことはするでしょう」

 

「ふふ、じゃあその為だけに、私をあの場面で助けて、わざわざ自分を貶めることを言ったの?」

 

「....それは」

 

「それにね、比企谷君。アイドルで恋愛禁止だったとしても」

 

「なーー」

 

いつの間にか。自分の前にまで迫ってきていた神崎さんを、気付くことが出来ず、接近を許してしまい、今にもキスをしそうな距離まで詰められる。

 

「ーー私だって、誰かをーーーーーーーぐらーあーーよ?」

 

神崎さんが何か言っているが、全然聞こえない。どんどん声が遠ざかっていく。

 

...あぁ、分かった。これ、気が遠のいてるんだーーー

 

「ーーまーくー?!ー丈夫?!」

 

俺はそこで、気を完全に失った。

 

ここに来てから、何回目だろう。気を失うの。




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

では、また。


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022 帰宅

どうも、クロジャです。

特に報告することは、特にないので、本文みてください。

では、どうぞ。


「ーーあ...」

 

頭に何やら柔らかい感触がする。枕かと思ったが、少し感触が違う。

 

何かと思って、顔を起こすと...

 

「.....んん..」

 

「な!」

 

思わず驚いて声が出てしまった。

 

そこには神崎さんがおり、俺は丁度そこに膝枕をされる形でいたらしい。

 

てか、待て。いま、何時だ。

 

急いで時計を探す。すぐに見つけたが、なんとそこに出ていた時刻は、俺を戦慄させるものだった。

 

「...いち、じ....」

 

携帯に目を落とすと、そこには何十、何百の着信、メールが届いていた。

 

恐る恐る開いて、見てみると。

 

「....俺、明日殺されるのでは...?」

 

あおいが電話とメールを合わせて23件。

蘭が電話とメールを合わせて14件。

おとめが電話とメールを合わせて21件。

 

................星宮が、メールと電話を合わせて、268件...。

 

ヤベェ。あいつヤンデレの素質を持ってるぞ。多分、俺の場合、速攻で殺される。包丁をもって、「ふふふ...ハチ君が、悪いんだよ?」とか言って、刺してきそう。

 

考えただけで、寒気が....。

 

「...ん、八幡君起きたの...?」

 

「あ、はい。すいません、気を失ーー...八幡君?」

 

いつの間にか、名字呼びから、名前呼びにグレードアップしてる。

 

「.....んー」

 

「か、神崎さん?!」

 

寝ぼけているのか、神埼さんは隣に座った俺を抱きしめて、そのまま、また眠ってしまう。

 

「ちょ、マジでヤバイですからどいてください!!」

 

「.....」

 

いい匂いいい匂いいい匂い柔らかい柔らかい柔らかい!!

 

この人、無防備過ぎるだろ!!相手は星宮でもあおいでもなく、俺ですよ?!

 

これ、普通だったら襲われても文句ないだろ。

 

「抱きしめないで下さーーって、強い?!この体のどこから、そんな力が?!」

 

びくともせず、むしろ力を強めて、さらに俺の体に密着してくる。

 

なにわざとなの?最近の女子ってこんな感じなの?どうして俺の理性を削りに来るの?

 

どうしようも出来ずに、あたふたと狼狽えていると、

 

「....あり、が、とう....」

 

一瞬だけ目を開けて、そう呟くと、それ以上喋ることなく、また、すーすーと規則正しい寝息をたてながら、完全に寝てしまった。

 

その言葉を聞いて、俺は狼狽えるのを止めて、静かに俺も神崎さんに話しかける。

 

「俺の方こそ、ありがとうございます」

 

なんとか三十分かけて、拘束を解いて、俺は出ていく。

 

ちなみに、学生寮に戻り、自分の部屋に行くと、星宮とあおいと蘭とおとめが、それぞれ二人ずつ寝ていたので、俺は仕方なく床で寝そべった。

 

さすがに、寒かった....。

 

・・・次の日

 

目が覚めるというか、ほぼ叩き起こされる形で俺は朝を迎え、目を開けるとそこには、星宮が立ったまま、俺を跨ぐ形で叫んでいた。

 

「あー!!」

 

「な、なに?!どうしたのいちご...って、ハチマン?!」

 

「こんな所で叫...は、八幡?!いつの間に?!」

 

「ん~?どうしたのですか、いちごたん...。あ、八幡たん。おかえりなさいなのです...、すぅ...すぅ...」

 

「......えーと。た、ただいま?」

 

星宮は単純に叫び、あおいは驚きながら起きて俺に気付いてまた驚き、蘭は星宮を叱ろうとした時に俺を見つけて驚き、おとめは挨拶だけをしてまた寝た。

 

というか、待て。星宮よ。俺を跨ぎながら上にいられると、スカートの中がですね?その、危ないんですよ?

 

「た、ただいまって....」

 

またもや怒られるのかと、身構えて体に力をいれると、俺を襲ったのは痛みではなく、

 

「わ、私、すごく、すごく心配したんだから..!」

「まぁ、私はハチマンが帰ってくるって思ってたけど...なるべく心配させないでね」

「あ、あたしは別に....。ま、まぁ、無事なら良いけどな...」

「んゅ....」

 

星宮からのハグと、心配の声だった。(若干一人寝ていらっしゃるが)

 

「お、おい?星宮さん?」

 

「昨日の事もあったし、誰かに恨まれて、何かあったんじゃって、思った。本当に、本当に心配したんだから」

 

.......そうか。

 

だから服も制服のままだったのか。俺のことを探して、見つからなくて。

 

逆だったとしたら、俺も多分、この辺を死ぬほど探し回ると思う。

 

「...悪かった」

 

「....ん、いいよ」

 

「その、お前ら...わ、悪かった」

 

「いいよ。私は慣れてるし」

 

「慣れるって...」

 

「あ、あたしは別に....」

 

「はいはい。ツンデレご馳走さま」

 

「つ、ツンデレ...?!」

 

「おとめも、ありがとうな」

 

「....んー...どういたしまして、なのですぅ....」

 

それぞれに謝りとお礼を言って、俺は立ち上がる。

 

「それにしても、良かった。ハチ君が無事で」

 

「まぁまぁ、いちご。ハチマンはいつもこんな感じでしょ?」

 

「八幡って、いつもこうなのか...?」

 

「いや、おい」

 

いつも通りの空気が流れ始めた時。どこからか携帯の着信音が聞こえた。短かったので、おそらくメールだろう。

 

「あ、私だ」

 

そういって星宮は携帯を取り出し、何が来たのかを確認する。

 

しばらく操作していると、一瞬だけピクッと体が動く。顔もなぜか真顔に変わる。

 

「どうしたのー、いちご?」

 

「....二人とも、ちょっと」

 

「どうした....」

 

あおいと蘭が星宮の元へといき、携帯を向けられ、何かを見せられる。

 

二人ともハテナを浮かべながら近づいたのだが、星宮の携帯を見た途端に、明らかに顔つきが変わる。

 

そして、星宮と同じく、真顔になり、固まる。

 

「....ハチ君」

 

「なんだ?」

 

周りに漂っていたいい感じの雰囲気が、何やらおかしくなる。

 

一体何が写っていたのだろうか。

 

「......これ、なに?」

 

そういって携帯をこちらに向けると、そこには文はなく、写真が一枚だけ貼ってあった。

 

「.......ん?」

 

目を凝らして見る。何度も見る。だが、見ているものは変わらず、同じ写真が。

 

俺が寝ている。それだけなら良いのだが、俺を誰かが膝枕している。その誰かなんて、考えるまでもなく...。

 

「まさか、神崎美月さんと一緒にいたなんて。私達が心配して、探している間に、こんな事してたんだ。ふーん」

 

写真には俺が神崎さんに膝枕されており、神崎さんはこちらに向いて片目を瞑りながらピースをしている。

 

........うぉい。

 

「昨日。何があったか一言一句間違わずに言ってくれる?」

 

星宮のハイライトが消えた目。

 

「ハチマン.....」

 

あおいの憐れんだ目。

 

「お前はこういうことを。しないと思っていたのにな」

 

蘭の哀愁籠った声。

 

「んゅ........」

 

おとめの艶を帯びた甘い声。

 

 

 

どうやら俺は今日、死ぬらしいです。




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

ちなみに、この作品上の神埼美月は、ssで俺ガイルとクロスオーバーしているμ'sの絢瀬絵里だと思ってください。

では、また。


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023 サイン

どうも、クロジャです。

特に報告することはないので、本文見てください。

では、どうぞ。


一時間の土下座と、今度の休みの日に星宮と(あと何故かあおいと蘭。さらに寝ていた筈のおとめも)どこかへ行くという約束をつけた結果。俺はなんとか許しをえた。

 

一応、理由を説明したが、本当に一言一句間違わずに言わないと、殺されそうだったので、嘘も抜いた所もなく言ったところ、俺は先程のような刑罰を受けた。

 

一言いうと、死ぬかと思った。

 

一刻も早く忘れたかったので、怒られていた時の記憶はほとんどない。

 

まぁ、そんなこんなでいつも通りの一日がまた、始まった。

 

これまた授業が終わって、掃除をしていると星宮が走ってこちらにきた。

 

俺に頼まれて出来ることなんて、限られてるぞ...。

 

「ハチくーん!」

 

「今度はなんだ。俺に頼まれても、無理だぞ」

 

「えぇ?!な、なんでわかったの?!ハチ君って、もしかして、天才?!」

 

「んな訳あるか。お前の動向はなんとなく分かるんだよ」

 

後ろを見てみるが、今度はあおいも蘭もおらず、星宮だけだった。

 

「う、嘘..?私ってそんなに分かりやすい?」

 

「あぁ。物凄く単純だ」

 

「そ、そんなぁ...」

 

ガクリと膝から崩れ落ちる星宮。もう、放っておいていいか?

 

「じゃ、そういうことで」

 

「ままま待って!!お願い!話だけでも聞いて!」

 

「えー....」

 

「そんな嫌そうな顔しないでよ!!」

 

まぁ、掃除も一通り終わったところだし、別にいいが...。

 

「で、なんだ?」

 

「き、聞いてくれるの..?」

 

「....まぁ、話だけはな」

 

「うぅ...ありがとう...」

 

「それで、なんだ?」

 

そう聞くと、星宮はどこから出したのか、サイン色紙とサインペンを出して、俺に出してきた。

 

....ん?なに?これ、俺にサインしろと?

 

「ハチ君が考えるサインを書いてみて」

 

「やだ」

 

さて、掃除を再開...

 

「だから、待ってって!」

 

「なんだよ。俺にサインを書けと?はっ、そんなこと出来るわけないだろ。だって、俺だぞ?」

 

「なんの根拠もないのに、分かる気がする...」

 

「つーか、そもそも何で俺にサインを書かせるんだよ」

 

「その、ね。ジョニー先生に、宿題で、自分の考えたサインを出さなきゃいけなくて....」

 

「で、分かんなくなって、俺の所に、きたと」

 

「そ、そう」

 

そんなの、俺じゃなくて、蘭とかに聞けばいいだろ。俺に聞く意味が理解できない。

 

「じゃあ、蘭に聞けばいいんじゃないのか」

 

「い、いや、その、蘭とかあおいとかは、何か別の用事があるとかで...。も、もうハチ君しか頼む人がいないの!お願い!」

 

両手を合わせてお願いされてもなぁ...。

 

.....いや、頼める人なら、もう一人だけいる。おとめではない。

 

ただ、あの人に頼むのは気が引けるんだが....。魔王というか、なんというか。

 

でも、ここまで悩んでいる星宮を見ると、どうにかしなければと思ってしまう。ただ、俺の力ではどうしようもないので...やっぱり、あの人に頼むしかないか...。

 

「あー...すまんが、俺は無理だ」

 

「そ、そんなぁ...」

 

先程のように膝から崩れ落ちる。悲嘆の声も出す。

 

「...でも、それを頼める人が一人だけいる。それも、かなり信用できる人が」

 

「...だれ?」

 

しょぼんと落ち込んだ様子で、聞いてくる星宮。いつも元気だから、ギャップがあって、可愛いと思ってしまう。

 

「ちょっと待ってろ」

 

俺はそういって、携帯を取り出して、ある電話番号にかける。俺は交換した覚えはないが、勝手にされていた。気付いたのは、本当についさっき。

 

「....」プルプルプル

 

「...?」

 

「....」

 

中々出てこない。さすがに、忙しいかと、切ろうとした瞬間。携帯から、あの人の声が聞こえてきた。

 

「ーーもしもし八幡君?!なにか用かしら?!」

 

「...えぇ、まぁ」

 

「...?」

 

星宮には、聞こえていないが、声を聞かせてやったら、おそらく驚くだろう。だって、俺が朝に怒られた原因のあの人が、いま電話に出てるんだからな。

 

「ゴホン...それで?私も忙しいのよ。でも、八幡君が電話してくれたから、出てあげたのよ?」

 

「それはどうもです...神崎さん」

 

そう、電話に出たのは、昨日一悶着あった、神崎さんだった。

 

「でも、本当に時間がないから、五分で終わらせてね。あ、私はもっと電話したいわよ?でもーー」

 

「それ以上は、勘弁してください。それにすぐさま終わらすので」

 

「それは、それで、何か嫌だけど...まぁ、いいわ。それで?用件は何かしら?」

 

もう一度咳払いをした、神崎さんがそうといてくる。

 

「その、ですね。いま、星宮と一緒にいるんですけど、星宮がサインに困っていまして...。ただ、俺だけじゃどうしようもないので、神崎さんに頼みたいんですけど...」

 

「.......」

 

無言になる神崎さん。あれ、やっぱりダメか。

 

でも、こっちだって引き下がれない。何としてでも、神崎さんに手伝ってもらわねば。

 

「これは、神崎さんにしか、頼めないんです」

 

「..................それは、本当?」

 

大分間はあったけど、この調子でいけば....

 

「えぇ、そうです」

 

「.....なら、いいわ」

 

「ありがとうございます」

 

「でも」

 

了承をしてくれるも、少し雰囲気が変わった神崎さんが、こんな事をいってきた。

 

「.....今度、また私と出掛けてくれる?」

 

「....まぁ...そのくらいだったら」

 

「本当?なら、休みがとれたら、すぐに言うわね?!」

 

「は、はい....」

 

頼むから、この前のような事は起きないでほしいんだが...。

 

「じゃ、星宮と少し話したいから、変わってくれる?そこにいるんでしょう?」

 

なんで、分かるんだよ。怖っ。

 

「分かりました....星宮、ほら」

 

「え、あ、うん」

 

ハテナを浮かべながら、携帯を受け取り、耳に当てて少し話すと、すぐさま驚いた様子で話す。

 

ま、これで良かったろう。

 

そこで、俺は安心しきっていた。

 

またもや、星宮がきて、こうなったということは。

 

またもや、何かが起きるだろうということを、完全に忘れていた。




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

では、また。


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024 展開が急

どうも、クロジャです。

特に報告することはないので、本文見てください。

では、どうぞ。


星宮と神崎さんが話すこと数分。

 

星宮は電話を切ると、未だ驚きを隠せない様子で携帯を返してくる。

 

「....びっくりした......」

 

「で、どうだった」

 

「う、うん。深夜に、待ち合わせして、そこで教えるって。今日中にだって」

 

「そうか」

 

どうやら話もちゃんと、決まったらしい。

 

めでたしめでたし、と終わると思いきや、

 

「...でも、何でハチ君。美月さんの電話番号知ってるの?」

 

「それは、あの人が勝手にやったんだ」

 

「勝手に..?」

 

ジロリと疑うようにして、俺の目の中を覗くように、数秒ほど見ていたが、すぐに笑みを漏らして、疑いの目を止める。

 

「疑ってばかりじゃ、ハチ君がかわいそうだもんね」

 

「なんだらその俺が常に、疑われるようなことをしたような言い方は」

 

「間違ってないでしょ?おとめちゃんの時もそうだったし、ね?」

 

「ぐ....」

 

こいつ、こういうときだけ頭がすぐ回る。

 

「ありがとうね、ハチ君」

 

「....別に。俺はあくまでお願いをしただけだし、教えるのは俺じゃなくて、神崎さんだろ」

 

「それでも、だよ」

 

「あのな....」

 

ため息をついて、星宮にもう一度同じことを言おうとすると、星宮は俺がまばたきする瞬間に、目の前まで接近してきた。

 

「私の、ううん。私達の為に、いつもありがとう」

 

「なーー?!」

 

お礼と共に、星宮が俺の顔と自分の顔を近付けたかとおもったら、俺の頬に柔らかい感触が。

 

「おまっ!なにを!」

 

「ふふっ♪じゃあね」

 

足早に立ち去る星宮。振り向いたその顔に朱がかかっていたような...。

 

俺はその後、十分の間。涼川さんがそこを通るまで、固まっていた。

 

・・・その日の夜

 

「ふぅ...これで、終わりっ、と」

 

掃除用具を片付け、手をパンパンと叩く。終わった後にこれをやると、何か終了したのが実感できるからいい。

 

「今日の晩御飯は...」

 

何だろうかと頭を悩ましていると、数メートル先に人が立っているのが分かった。

 

その人物は、紫色の髪...って、この時点で大分分かった気がする。

 

少しずつ近付くにつれ、その人物の正体が明らかとなる。

 

というか、神崎さんだった。

 

「....何してるんですか?」

 

「あ、八幡君。遅いじゃない。もう少し、掃除を早く終わらせないと」

 

「...どうして、俺の掃除が終わる時間を、知ってるんですかね」

 

「まぁ、いいでしょ。それより早く行きましょ」

 

そう言って手を引っ張って、走り出す神崎さん。心なし、顔が喜色満面な気がする。

 

しばらく走ると、ついたのはスターライトクイーン専用寮。通称美月パレスだった。

 

「..はぁ...はぁ....な、なんで、ここに?」

 

「おそらくもうすぐ...ほら、来たわよ」

 

そう言って指を指した方には、歩いてくる星宮の姿が。え、なんで?

 

ーーうん、深夜に待ち合わせして..

 

待ち合わせって、ここだったのか。にしても、なんで俺を呼んだんだ?

 

「美月さーん...って、ハチ君?!なんで?!」

 

「俺が聞きてぇよ...」

 

驚きを隠せない星宮を見た後、家の中へと案内する神崎さん。

 

建物の大きさに驚き、俺がいることにも驚き、星宮は何やら混乱していた。

 

「さて、じゃあ。今現在。あなたが考えるサインって、どんなのかしら?」

 

「........あ、はい!」

 

呆けていた星宮だが、神崎さんの問いには反応して、一冊のノートを取り出して渡す。

 

「....これ、時間がかからないかしら?」

 

「えっと...はい。同じことをジョニー先生にも..」

 

二人が話して集中しているのをみて、ここに俺がいる意味はないと考えて、忍び足でそ~っと出ていこうとする。

 

「ーーので、それで、八幡君?どう思うかしら?」

 

こちらには一切向かずに、そう聞いてくる神崎さん。超能力者か、この人?!

 

「え、え~とですね。あれがこうでこれがそれだからこうして...」

 

「ハチ君......」

 

「逃げないで、少し待つだけでいいの。だから、ね?」

 

ガバッと抱きついてくる神崎さん。

 

急に来ないで?!期待しちゃうから?!あと、あれが!あれが当たってるから!

 

「み、美月さん?!」

 

「何かしら?」

 

それを見た星宮はフルフルと震えだし....

 

「ひ、一人でハチ君を独占するのは、ずるいですよ!」

 

神崎さんが抱きついている逆に、星宮が抱きついてきた。

 

いいいや、待て!展開が急すぎる!てか、そういうことじゃないだろ、星宮!

 

神崎さんと星宮に両方を抱き締められ、どちらの方からも、良い匂いが、柔らかい感触がする。

 

「あら、星宮?あなたはサインを考えないといけないんじゃないの?」

 

「そ、それとこれとは話が違います!美月さんこそ、こんなことしていいんですか?」

 

「それはあなたにも言えるでしょう?」

 

「でもーー!」

 

二人が揉めているが、俺はそれを気にする暇がなく、理性と性欲がバトルしている。

 

二人とも、引けを取らない。誰が見ようと美少女な二人から、こうして抱き締められると、さすがに俺も抑えられない。

 

頼むから、もう...

 

「は、ハチ君は私のです!!」ギュッ

 

「八幡君は私のよ?」ムギュッ

 

「ーーあ....」

 

パリンと理性の壁が、

 

ーー破られた音が、した。




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

では、また。


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025 運が悪いとは、この事だ。

どうもです。お久しぶりのクロジャです。

少々、遅くなってしまいました。

面白いかどうかは、分かりかねますが、よかったら、時間があったら、見てみてください。

では、どうぞ。


これでも、かなりの回数耐えてきたと思う。

 

筆跡に残していないところでも、かなり耐えてきた。(メタイとか、言わないで)

 

星宮やらおとめやら、たまにあおいやら蘭やら。そして、最近は神崎さんも。

 

ベタベタベタベタと、やたらスキンシップが、というかあれは最早スキンシップというのだろうか。

 

俺はごく普通の一般的な男子だ。

 

それに、思春期真っ只中の中学生。あんな風に何度も何度も何度も何度も、されると流石に限界だってくる。

 

なのに、あいつらときたら、言っているのにも関わらず、止めずに、むしろ最近はさらに激しくなっていった。

 

だからなのだろう。

 

深夜という人間の精神的にも、不安定になる時間帯で。

さらに、学生寮という実質女子寮に住んでいることもあって。

 

俺の中にあるリミッターが、ついに崩れたのだ。

 

「...........」

 

「.................は、はちま..... 」

 

「ハチく............」

 

二人を押し倒した形で、俺は固まっていた。一切そこから動くことなく、かろうじて。ほんの少しだけ、残っていた理性で押さえつけているおかげだろう。

 

というか、未だに理性が残っているこの奇跡に驚く。

 

が、それも一時、猶予を少し作るだけ。このまま、何事もなく、時間が過ぎれば、俺はおそらく二人を...。

 

そんな事になったら、取り返しがつかない。多方面からバッシングを受け、俺はもちろんのこと、二人まで被害がいってしまう。

 

二人のうち、どちらかでもいい、俺を殴るか、蹴るかしてくれれば痛みで、俺も正気に戻るはずだ。

 

だが、それも望み薄だ。二人は完全に萎縮してしまっていて、声も出せなくなっている。

 

本当にそろそろまずい.....!!

 

頭の中が、オーバーヒートするような感覚が襲い始める。考えがまとまらなくなる。思考が回らない。体が自分のもので無くなっていくように感じる。

 

いよいよダメかと思った、その時

 

「ーー美月、明日のスケジュールに、変更があったから...!!」

 

そこに現れたのは、声から察するに月影さんだろう。聞くだけの情報だと、マネージャーとしての仕事を果たしにきただけらしい。

 

その声に何か、反応をする前に、腹部に痛みを感じたと同時に壁へと吹き飛ばされた。

 

まったく容赦はなく、当たりどころが悪かったら、死ぬんじゃないかと思うほどの痛み。骨も折れたのではないだろうか。

 

だが、助かった。

 

「はーー.... 」

 

声を出すことは出来なかったし、痛すぎて出す気にもなれなかったが、どうやら二人から離れることには成功したらしい。

 

月影さん...ありがとうございます..。

 

俺がそうしている間に、月影さんは、二人に駆け寄って、青ざめた表情で声をかけた。

 

「二人とも大丈夫!!」

 

「ーーほのか、さん...?」

 

「月影さん.........」

 

俺が聞き取れたのは、最初のこれだけ。その後は、遅れてやってきた本格的な痛みに襲われ、悶えていたので、聞こえなかった。

 

五分ほど痛みに悶えていると、何やら喧騒の音が聞こえ始め、なんと言っているかまでは、分からなかったが、月影さんと二人が喧嘩をしているように聞こえた。

 

ぐぐぐ....と体をなんとか動かして、そちらの方を向こうとすると、ぼやける視界の中、月影さんがこちらに近付いてくる。

 

俺の前でしゃがむと、何やら腹部あたりを優しく触り始める。一瞬、トドメをさされるのかと思ったが、違く、ケガをしたところを確認しているっぽい。

 

「......ちょっと、待ってなさい」

 

二人の前を通りすぎて、どこかへ行くと、そこまで時間はかからずに、箱を持って戻ってきた。

 

「.........」

 

腹部をピトピトと、何歳かは分からないが、柔らかいその手で何かを確認した後、箱から包帯を取り出す。

 

「........ごめんなさい」

 

手は止めず、包帯を巻きながら、そう謝ってきた。

 

その顔は、いつものポーカーフェイスを無くした、先のような青ざめた顔をしていた。

 

「......い、え...むしろ、止めてくれて、ありが、とうございます.....」

 

「..............ごめんなさい」

 

ぐるぐるとしばらく巻くと、今度は後ろにいた二人がこちらに近付いてきた。

 

「...........八幡君、その.....ごめんなさい」

 

「...........ハチ君......ごめんな、さい.......」

 

腰を曲げて謝るその姿に、俺はすぐさま、別にいい、と言おうとしたが、咄嗟に動いたため、腹部に痛みが走る。

 

「ーーぐ.....」

 

「.....移動しましょう」

 

肩を貸してもらいながら、なんとか立ちあがり、俺はソファに連れてかれ、寝そべさせられる。

 

どんな素材で出来ているのかは、分からないが、明らかに高そうだった。理由は簡単。俺が寝そべった瞬間に、体がどこまで沈むのかという勢いで、その柔らかい体を俺の形に変化させたからだ。

 

そんな柔らかいソファに寝そべる俺を、三人の女性が異様な空気で見続ける。

 

「..........その、私の勘違いで、いきなり蹴るだなんて.....」

 

「ううん。ほのかさんは悪くない。私が、八幡君をからかいすぎたせいで.....」

 

「い、いえ、お二人のせいじゃ、ないです。私がハチ君とずっと一緒にいたのにも関わらず.....」

 

それぞれがそれぞれを庇いながら、ひたすらに謝り続ける。その光景は端からみれば、大分異質だ。

 

ちょっと長く話すから、深呼吸をして....。

 

「....月影さん」

 

「ーーっ」

 

呼び掛けると、一瞬ビクッと体を震わせる。怒鳴られると思ったのだろう。怒られると、そう思ったのだろう。

 

「その、気にしないで下さい」

 

「...........え...?」

 

「神崎さんと星宮を、理由が理由とはいえ、襲っていたんです。それを知らなかった月影さんなら、尚更、それこそ蹴り飛ばしてでも止めるのは、仕方がなかったんです」

 

月影さんはマネージャーだ。神崎さんの未来を背負っていると言っても、過言ではない。

 

いつから一緒なのかは、俺には分からない。それでも、神崎さんのマネージャーを一日だけやらしてもらった時に、なんとなくだがこの二人は、信頼という強固な絆で結ばれていると。

 

なんともくさいセリフで、いつもの俺だったら絶対に言わないだろう。だが、これを言わないと、月影さんは罪悪感に苛まれてしまう。

 

「...でも」

 

「大丈夫です。もし、それでも何か言うのであれば...」

 

「わ、私に出来ることなら何でも、や、やるわ...」

 

月影さん。いくら年下とはいえ、それはダメです。思春期真っ只中の男の子にそんな事を言ったら、何をされるか分かりませんよ。

 

「そこまで、気負わないで下さい。そうですね.......今度、神崎さんの話を聞かせてください」

 

「.....................え?」

 

大分間があった後に、月影さんは呆気を取られたように、ポカーンとした顔をする。

 

「あぁ、いえ。プライベートの事を隅々まで、とかそういうのではなくてですね。俺、神崎さんのファンなんです」

 

「あ、ありがとう.......」

 

後ろで神崎さんが顔を赤らめて、照れたように顔を隠す。......やばい、癒される。

 

じゃ、なくて。

 

二人には聞こえないように、月影さんの耳元まで移動....しようと思ったが、出来なかったので、少し近づいてくださいと、小声でいう。

 

「.....?」

 

ハテナを浮かべながらも、言われた通り近づいてくる月影さん。

 

「ーーお互い、神崎さんのファン同士、話し合いませんか?」

 

「ーーっ!」

 

ビクッと一瞬その場で、魚のように跳ね、俺の顔を何度も、ジロジロと見てくる。

 

あれ、違ったか。

 

「もしかして、勘違いでしたか?」

 

「..........そうよ」

 

後ろの二人には、主に神崎さんにバレないように、ボソッと呟き、こちらも顔を赤らめる月影さん。

 

........ぅあ...やばい、意識が....。

 

「じゃ、あ....そういう...こと、で.....すいません、少し、寝ます.....」

 

「本当にごめんなさい。....それと、お休みなさい」

 

薄れ行く意識のなかで、月影さんが微笑んだように見えたのは.....気のせいだろうか。

 

それを確認すると、俺は意識を失った。




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

では、また。


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026 神崎さんと

どうも、クロジャです。

久々なので、八幡が崩れてるかもしれませんが、勘弁してくらあさい。

では、どうぞ。


目をゆっくりと開く。

 

窓から光が部屋に入り、電気が消えた室内を明るく照らす。

まだぼんやりとしか見えず、目が慣れるまでもう少しかかりそうだ。

 

そんなとき、ふと一番最初に考えるべきであろうことをいまさら思い付く。ここは、どこなのだろうかと。

順当に考えれば、美月パレスなのだが、そもそも男がそ

こに入ること事態が異質なのだから、学生寮に移動されている可能性もある。

 

...よし、徐々に慣れてきた。

 

ぼやけていた光景が、少しずつ明確に写し出されていく。眼鏡をかけているやつはこんな感じなんだろうかと、不意に考え付く。

 

眼前に広がるは、天井。自分の体を包んでいるのは、布と柔らかいナニか。.....ナニか?

 

「.....んぁ..八幡...君.......」

 

幸い。体は触っていなかった。

安心するべきか、残念だと思うべきかは定かではないが、少なくとも捕まる率は減った。

え?そもそもこの場所にいる時点で捕まる?そんなのもとから重々承知している。

 

艶かしい声をあげ、俺が寝ているベッドに、何故か一緒になって寝ている人物...。神崎さんの姿が、捉えられた。

 

完全に力を抜いて、油断している。普通はだらしなくなってしまうものだが、流石トップアイドルというべきか。寝顔も綺麗..というよりかは可愛い」

 

「ぅぇ.....!!」

 

「...ん?」

 

なんか神崎さんから、声が微かに聞こえたような。

寝言か?それとも、起きてましたドッキリか?

 

....いや、なんて悠長に構えている暇じゃない。よくよく考えなくとも、いま俺が置かれている状況は不味い。

 

ベッドに二人。一人は俺。一人はトップアイドルの神崎美月。周りに人はいない。完全に二人きり。

 

..これ、ファンに見つかったら死ぬのでは?俺も一ファンだからそう思うけど。

 

とにかく。

 

一刻も早く。迅速的に。この場所から離脱しなければ、俺は明日この世にいないかもしれない。それだけはなんとしてでも避けなければ。

 

「...いま何時だ?」

 

時計が見当たらない。ここは恐らく美月巴パレスの中。スマホは学生寮だから、確認もできない。

時間が分からないのは中々に不安だったりする。朝目が覚めたとき、なんとなく時間を確認してしまうのもそのためだろう。

 

ぐっすり寝てしまっている神崎さん。俺が起きたことにも気づかず、一切動かず、寝息だけをたてる。

というか、起きなくてもいいのだろうか。神崎さんは何度も言うが、トップアイドルであり、その仕事は一日...いや、半日マネージャーをしてさらに理解したが、かなり多忙だ。

 

そんななか、隣で寝ているのはどこからどう見ても神崎さんなのだが....大丈夫だろうか。

 

「....自分の心配だよな..一先ず」

 

神崎さんを起こさないように、極力静かに体を起こす。

上半身を起こしたところで、袖をぎゅっ...と捕まれる。誰かと聞くまでもなく、神崎さんだ。

 

可愛いんだが、その可愛さにやられていたら、俺はポリスメンにやられてしまう。あと、ファンとか星宮とか。星宮に至っては、あれに睨まれるだけで、俺の死期が近付いてくる気がしてならない。まじで怖い。

 

強引にでもこの場を離れないと...なんか手はないか。

無理矢理引き剥がしている最中に神崎さんが起きると、誤解を招きそうだし、だからといって起こすのも忍びない。

 

「....仕方ない。体に触れちゃいますけど、少し我慢してください」

 

一応一声かけてから、掴んでいる手をそ~っと指一本確実に剥がしていく。

なんだか背徳感を感じてしまう気もするが、頭の隅に放り込んでおく。

 

「ん...あ...はち、まんくん.....」

 

「......」

 

心臓に悪すぎる。こんなことして、明日死ぬんじゃないか、そんな錯覚を感じる。

 

それにしてもこの人、本当にトップアイドルだという自覚はあるんだろうか。

 

いや、馬鹿にしているとかではなく、男である俺に。しかも、会ってたったの数日。そんな奴にこんな惜しげもなく油断した顔を見せてくるなんて、大丈夫なんだろうか。俺じゃなかったら、勘違いして、速攻で告白して断られるね」

 

「こ、断ったりなんかしないわ!!むしろ!!.....あ」

 

「.....神崎さん?」

 

ガバッと勢いよく体を起こすは...神崎さん。

元気よく声を出している。いやー、トップアイドルは朝から綺麗な声が出ますね。ハハー。

 

「ど、どうしたのかしら八幡君。目が怖いわよ?」

 

「目はデフォルトです。それよりも神崎さん。起きていたんですか?」

 

「い、いまよ?いまちょうど起きちゃったのよ。たまたま。たまたま、ね?」

 

「....神崎さん」

 

「わ、分かってくれーー」

 

「ちょっと月影さん呼んできて叱ってもらいますね」

 

「やめてぇ!!それはやめて!!謝る!!謝るから!!」

 

俺のなかで神崎さんストッパーが、月影さんに決定した瞬間だった。

 

ーーーーー

 

なんであんなことをしたのか。理由を尋ねてみたところ、遊び心が働いてしまった結果らしい。

 

なんでも、家族以外に異性の人と一緒に寝たことがないらしく、一緒に寝てみたかった。そして、俺がいつ気付くか黙って見届けていた。ようするに、面白そうだからやってみただけらしい。

 

所々嘘が混じっている気がしないでもないが、ここは大人しく飲み込んでおく。

 

「..それで、あの後。結局どうなったんですか?見たところ場所は変わっていなさそうですし、ここまで運んでくれたんですか?」

 

「えぇ、まぁ....。月影さんは帰ってもらったし、星宮は.. .うん。えっと、帰ったら気を付けなさいね」

 

「......もう、ここ住んでもいいですか」

 

「...へ?!」

 

なにが起きたか分からないけど、絶対にやばいのは確定した。次会ったら死ぬかもしれない。おまけであおいもついてくるかもしれない。別理由で。

 

ふえぇ..帰りたくないよぉ....。

 

「はぁ....聞きたいことは他にもありますけど、置いとい.....なにしてるんですか」

 

「ここに住む?八幡君が?確かに嬉しいけどまだ早いというか、時期尚早というか。心の準備とか...」

 

なにやら顔を真っ赤にしてぶつぶつ喋り始めた神崎さん。早口でまくしたててますけど、どこのいろはすですか。

 

にしても、大のファンだった神崎さんを目の前にしているのに、意外にもスン...としてしまっている。この人の適応力もそうだが、俺も俺で慣れるのが早い。

 

「あの、神崎さん」

 

「へあ!!は、はい!?なにかしら?!」

 

どうして俺よりもテンパっているんだろうか。

そして何故顔を赤らめながら、覚悟を決めたような表情を見せているのだろうか。

俺はまた何かやらかしたのだろうか。

 

「え、えっと、ですね...」

 

「え、えぇ....」

 

ごくりと生唾を飲み込む音がする。それがどっちなのかは分からないほど、緊張感が室内に走る。

 

「その、きょ、今日って、仕事とか大丈夫なんですか...?」

 

「ごめんなさい!!まだ私達にはまた少し早いっていう.....え?仕事?」

 

「はい。昨日も午後休だったんで、大丈夫かなと......なんで不機嫌そうな顔してるんですか」

 

「...いーえ。なんでもないわ」

 

その割には顔が怖いんですが。魔王の風格が隠れ見えているんですが。どこのはるのんですか、それ。

 

「仕事なら心配しなくていいわ。あの会見で、仕事にちょっとだけ影響が出てね。しばらく開けざるをえないのよ。だから大丈夫なの」

 

不意に出てきた会見という言葉によって、俺がどんなことをしでかしたのかをもう一度改めて認識する。

俺はこの人の積み上げてきたものを、もしかしたら全て崩れさせてしまうかもしれない。

 

「...っ....それは、その...本当にすいまーー」

 

「いいの」

 

「それでも、俺のやったことは神崎さんのこれからのアイドル活動に支障を....」

 

「あぁもう焦れったいわね。私が良いって言ったのよ?それをどうして八幡君があれこれ言うのかしら?」

 

「.....」

 

はぁとため息をついてから、言葉を続ける。

 

「...それにね、八幡君」

 

不意をつくようにスルリと、

 

「私だって嫌いな人のことを、擁護するほどいい人じゃないわ」

 

俺の耳元まで近付いてきて、

 

「だからこそ。あの時、どんなに捻くれたやり方でも、私を助けてくれた八幡君は」

 

神崎さんは聞くだけで、

 

「私からすれば白馬の王子さまに見えたわ」

 

脳が蕩けるような声音で、

 

「乙女っぽいって思う?でもね、八幡君。女の子はいつだって」

 

こう囁いてきた。

 

ーー白馬の王子さま(はちまんくんみたいなひと)を待っているのよ?




どうでしたか?面白かったら、幸いです。

ストーリーの組み合わせ難しい。時系列とか、気にしないでください。お願いします。

では、また。


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027 一悶着、終了

どうも、クロジャです。

特にいうことないので、どうぞ。


電気でも流れたのだろうか。そんな感覚が体に走る。

なんともむず痒い。それでいて、脳を甘くとかしていくような、快感が俺を襲う。

 

頭の回転が遅くなる。呂律も回りにくい。体が上手く動かない。神崎さんから、目を離すことができない。

 

耳元で話し掛けられただけなのに、その破壊力は計り知れない。少なくとも、俺はこれを続けられて理性を保てる自信がはっきりいって、ない。

 

昨日注意されたのに、一日たたずして理性を溶かしにかかってくる。頼むから離れてくれ...!!そんで学んでくれ..!!

 

「...あら。八幡君?聞いているの?」

 

「ぇ...あ、はぃ」

 

音量も絶対におかしい。声音なんかもっとおかしい。でも、そのおかしいのを治せない。

たった一言。たった数十文字。それだけで、俺の思考は全て停止させられる。

 

「...もしかして、八幡君。耳弱いの?」

 

「.....っ..!!」

 

獲物を見つけた肉食獣のごとく。目が一瞬、きらんと光ったかと思うと、もう一度。今度は囁くではなく、ふーっと、短く息を耳に吹き掛けてきた。

 

もちろん、俺には大ダメージだ。

 

「..やめ、て....くだ..さい......」

 

「......へぇ..」

 

最早、トップアイドル神崎美月の姿はそこにはなかった。

ここにいるのは、弱点を見つけ、いじめいたぶり、理性を溶かしてくる。...まるで、この世には存在しない筈の、サキュバスを相手にしているような気分だ。

 

「ほんろーに、弱いろれ?」

 

「舐めながら...!!言わないで、下さい...!!」

 

なんかこの人、変なスイッチ入ってないか...?昨日のことと言い、異性に対してのボディタッチが過激すぎる。

...確かに、神崎さんの方から少なくとも、悪くない感情を持たれているのは本人から聞いた。

 

だが、それにしたって、だ。なにがなんでも好感度が高過ぎやしないだろうか。

何度もいう、重ねていう。俺と神崎さんは初めて会ってから、数日しか立っていない。

 

他にも、おとめとか。蘭は、まだマシなほうだ。それでも、やっぱりおかしい気はするが。

 

なにがそう、この人の性格を変えた?確かに助けた。確かにこの人の心を打ったのかも、しれない。それにしたって、度が過ぎている。

 

結論、女の人って怖い。

 

「あむ.....ん..」

 

「あ、う、あぁ!!いい加減離れてくださ...さい!!」

 

「きゃ!?」

 

体は以前、力が入りづらかったが、それでもなんとか振り絞って、神崎さんを体から引き剥がす。

見事に成功し、神崎さんは離れたのだが....ここで俺の体力がなくなってしまい、ばたりと倒れ混んでしまう。

 

若干この時点で嫌な予感はしていた。何度か似たような展開が起きているので、なんとなく次の展開も読めていた。

 

だが、体と心の意見は一致せず、そのまま体は、神崎さんの方へと...。

 

「....////」

 

「.. あの、神崎さん?一応言いますけど、これは事故。事故、ですからね?」

 

「た、確かに少し調子に乗りすぎたな~なんて思っていたわよ?だから、怒られるのは覚悟していたけど、これは、ちょっと...心の準備が、まだ...というか、ね」

 

「いま退きますから、ちょっと待っていて下さい」

 

神崎さんが思考に更けている間に体を退かしてしまおうと、そちらは無視して手に力を入れる。

ぐっ...と状態を起こして、ベッドの上で一度深呼吸をしてから、神崎さんとの距離を広げる。

 

「で、でも、八幡君がどうしてもっていうのなら、私としても、やぶさかじゃ.....」

 

「昨日はお世話になりました。今後、このような事が起こらないよう、十分注意して、適切な距離感を保ちながら過ごしていきます。では、失礼します」

 

口早にまくしたてて、急ぎ足で部屋から出る。

 

神崎さんが喋るよりも、動くよりも早く動く。本当に何かあっては、俺なんかよりもあちらが困ってしまうだろう。ただでさえ、仕事に支障が出ているのだから、俺がこれ以上関わるのもこの人にとっては、害でしかない。

 

例えどんな理由であっても、神崎さんが俺と接するというのは、あってはならない。本人がどうのではなく、それを見る世間の目がどう見るかなのだ。

 

俺はこの人に大恩がある。それを知っていようと、知らないだろうと、俺はそれを仇では返したくない。

あの店での出来事も、本当はヘイトを全て俺に向けるつもりだった。まさか、神崎さん自ら会見をするとは予想だにつかなかったが。

 

つまり、何が言いたいのかというと....

 

「へ?あ、ちょ、ちょっと、待ちなさい!!」

 

「すいませんが待てませんので、それでは!!」

 

逃げるが勝ち、ということである。

 

ーーーーーーー

 

場所は変わって、目の前に対峙しているのは、ラスボスその一こと学園長である。

多分、俺が転生して俺TUEEE状態になっても、勝てる気がしない。チートでも勝てないって、そんなんチーターやん、チーター。

 

「何か?」

 

「いえなんでも」

 

おい、なんだあの目。ただ笑っているだけなのに、睨みのせいでひと一人が死にかけたぞ、俺が。

寿命が十年ほど縮まった気がする。

 

「そう。では、比企谷くん。本当に、なにも、なかったのよね?」

 

おかしい。文字数にして、たった二十文字程度。それを発音するだけで、人をここまで恐怖に陥れられるのか。

 

「正真正銘。本当になにもありませんでしたよ。...というか、そんなこと出来るように見えます?」

 

「いえ、まったく」

 

さらりと言われると言われるで、俺のメンタルがやられる。そこまで否定します?

 

「な、なにはともあれ、なにもしていませんよ。じゃなきゃ、こんな普通に話してなんかいませんよ」

 

「それもそうね。それに元々情報はもらっていたし、あなたが何かするだなんて、そもそも頭の中に入れてすらいなかったもの」

 

情報をもらってた...?もしかして、月影さんか?

てか知ってたんなら最初から言ってくれよ...。減った俺の寿命が無駄じゃねぇか。

 

「確認よ、確認。念のためにね。なにもないなら、それで結構。これからも、出来るだけ、問題がないように学園生活を楽しみなさい」

 

「えぇ、俺からは、なにもしていませんから、安心してください」

 

「話はこれで終わりよ。今日はもう寮に戻っていいわ。とりあえず、仕事は免除しておいたから安心しなさい」

 

「......わかりました。それでは、失礼しました」

 

そのまま変な空気が流れたまま、部屋から出ようとドアノブを捻ろうとすると、声がかかった。

 

「そうそう、忘れていたわ。比企谷くん、十分に注意してから言葉を発しなさいよ?」

 

「..それって、どういう..」

 

意味ですか、と続ける前にドアノブが回った。

俺が力をかけたわけではない。だとしたら、外からのものだと思われる。

 

そして、そこから出てきたのは、

 

「失礼します。....あ..やっと、見つけた」

 

最早恒例となっているハイライトを消した星宮が、怖いほど綺麗な笑みを浮かべ、現れたのだった。




ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

織姫学園長の口調。難しい....。

よかったら、評価とかお願いします。気が向いたらで結構なので。

それでは、また。


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