五人の団長と花騎士たち (夜刀ノ神)
しおりを挟む

序章 1、複合騎士団総団長

~知徳の世界花ブロッサムヒル~

 

 

王城、談話室

 

 

「陛下どのようなご用件でしょうか?」

 

 

この男ベテランの騎士団長でもう十年近くフラワーナイトを束ね害虫と

戦っている

 

歳は四十が近くなり黒い髪にちらほらと白髪が見えてきている

がっしりした体格で声にも威厳がある

 

 

 

「ふむ、そなたに頼みがあるのじゃ」

 

 

 

そんなベテラン団長に若い王女は告げる

 

 

「頼みですか・・・」

 

 

「そうじゃ、今月付で複合騎士団総長を頼みたい、やってくれるな

ファイス・ルーズよ」

 

「陛下の頼みというなら否とは言い難いのですが・・・」

 

「なんじゃ、受けてくれぬのか?」

 

「いえ、長年騎士団に勤めていた私でも複合騎士団と言うのを聞いたことが

ないので、ご教授いただいてもよろしいでしょうか」

 

「おお、そうかこれは極秘で進められていたんじゃったな知らないのも無理はない

説明させてもらおう

まあ実験みたいなものじゃ、普通の騎士団なら一人の団長に多くの花騎士というのが

普通じゃが、それを試しに五人の団長にしてその中の一人に団長のまとめ役を

やってもらう、というものじゃ」

 

「利点としては、団長一人一人にかかる書類の数が減るとそのほかには

各地で現れた害虫に対処が可能と言ったところでしょうか?」

 

「流石ルーズよこの短時間で二つも利点を見出したか、だがそれだけじゃないぞ」

 

「その他とは?」

 

「それは、自分で確かめてみるといい」

 

「む、それでは今の騎士団はどうなるのですか?」

 

ルーズには今勤めている辺境だが少数精鋭の花騎士たちがいる

 

「むろん連れて行ってかまわない変わりはこちらで用意しよう」

 

「・・・」

 

「受けてはもらえんか?」

 

「わかりました、受けましょう」

 

「そうか受けてもらえるか!よかった!」

 

「それで他の団長たちはいずこに?」

 

「まだ決まっておらん」

 

「は?」

 

思わず放心してしまうルーズ

 

 

「いやな、今回のことは特殊すぎてまだ決まってないんじゃよ、

決まり次第、連絡し送り込むから、他に素質がありそうな

物を連れてきたもらってもよいぞ」

 

「はあ、了解です」

 

 

そんなやり取りがありファイス・ルーズは総騎士団長の仕事を受けたのだった

 

 

 

話を受けルーズは自分の騎士団の拠点に帰ってきていた

 

 

「はあ・・・」

 

「ふぁ~団長さん~お~帰り~」

 

屋敷の扉を開けると、そこにはでろんでろんに酔った

小柄でどうみても成人しているようには見えない緑髪の花騎士が飲んでいた

 

「ホップか相変わらず酔っ払っているな、只今戻った」

 

「お~か~え~り~」

 

「ホップ大事な話がある、みんなを呼んできてくれ」

 

「は~ぃ」

 

 

「大丈夫か?」

 

「だいじょうび~」

 

 

 

この後他の花騎士たちにも説明することになる



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

序章 2、イケメン女団長

~深い森の世界花リリィウッド~

 

白百合の集落

 

この小さな集落にこのあたりでではあまり見かけない、花騎士が訪れていた

 

 

花騎士駐屯地

 

「すみません~」

 

その花騎士は新緑色の長い髪を揺らし肩に大きなピコピコハンマーを担いでいた

 

屋敷の中に女性の声が響き渡る

 

 

するとしばらくして・・・

 

「はい、今日いらっしゃる予定だった花騎士の方ですよね、こちらにどうぞ」

 

大きなエントランスにある階段の上から女性の声が降ってくる

 

「は、はい」

 

花騎士が階段を上り女性についていく

 

(この子は花騎士じゃないみたい、多分一般の職員さんかな?)

 

駐屯地や騎士団の本拠地には基本団長と花騎士しか入れないが

団長と花騎士たちだけではどうのもならないこともある、そんな色々な雑務をするのが彼女たちの

仕事だ

 

「こちらです」

 

案内された先には両開きの他とは明らかに違う扉がある

 

「それでは私はこれで」

 

「あ!、ありがとうございました」

 

「いえ、これが私の仕事です」

 

 

 

「失礼します」

 

「どうぞ」

 

扉に向かって話しかけると中から返事が返ってくる

 

 

「やあ、はじめまして君の任務は聞いてるよ、まずは座りたまえ」

 

中に入ると花騎士よりも背が低く童顔の少年が出迎えてくれる

 

「し、失礼します」

 

「まずは、自己紹介と行こうか、僕の名前はジャル・オンド・レイ

本来は近くの町で団長をやっているが最近ここいらの害虫が増えていてね出張してきたんだ」

 

「サクランボです、ここにはブロッサムヒルの王様から指令を受けてきました」

 

「うん、うん大変だね君も、それで今回の話なんだけど・・・」

 

「?、何か問題でもあったんですか?」

 

花騎士改めサクランボが聞く

 

「それが朝から彼女の姿が見えないんだ」

 

「え、いないんですか?」

 

「内の花騎士たちで村中を探したんだが見つからなくてね、今は周辺を探してもらっている」

 

「この辺て害虫が増えているんですよね?」

 

「そんなんだ、速急に見つけて連れ戻さなければ」

 

「!、私も探しに行ってきます」

 

「わかった、そうだ!重要な話をするのを忘れるところだった!」

 

「なんでしょう?」

 

サクランボは逸る気持ちを抑え話に耳を傾ける

 

「一刻ほど前、村人から報告があった、どうやら病気の子供のための薬草を取りに行ったと」

 

「わかりました、注意して探してみます」

 

そう言うや否やサクランボが駆けていく

 

 

 

サクランボが出て行った後の執務室

 

「わざわざ自分一人で解決しようなんて、相談してくれれば協力したというのに・・・

 

誰もいない執務室に、呟きが漏れる

 

 

 

 

サクランボはこの集落にいる花騎士たちと一度合流した後、情報をもらい

森の中を進んでいた

 

「どこにいるんでしょう・・・まだ昼間だというのに薄暗い・・・」

 

 

キンッ

 

 

「!?」

 

何処からか、剣戟の音が聞こえてくる

 

 

「これは、あっちでしょうか」

 

あたりを付けた方に駆け出す

 

 

 

「はあ、はあ、私だって戦えるんだ」

 

 

赤髪の女性が剣を取り、カマキリ型の害虫と相対している

 

ギシャぁぁぁぁぁぁぁ

 

息も絶え絶えな女性にとどめを刺すべくカマキリが鎌を振りおろしてくる

 

 

「ダメぇぇぇぇぇぇぇ」

 

ガキン!!

 

ギリギリのところで間に合い鎌をハンマーの柄で防ぐことに成功する

 

 

___ギシャ?

 

 

カマキリが怯んだ隙にハンマーを振りおろす

 

キラキラ

 

頭部を強打され体力を削り切られたカマキリは断末魔を上げる暇もなく光の粒子に代わる

 

「よかった~ちゃんと勝てました」

 

サクランボが女性の方に振り向き声をかける

 

「無事でよかったです、あなたがジャル・オンド・クリスタルさんですね」

 

「はあ、はぁ、そうよ助かったわ」

 

「薬草は見つかりましたか?」

 

「ええ、無事に見つかったわ、これから帰ろうというところに見つかってね、危ない所だった」

 

「それはよかったです、さあ帰りましょう」

 

 

 

それから無事に村に帰り、とってきた薬草を使い薬を製作し子供は安静にしていれば助かるというところまで

回復した

 

クリスタルはその後こってりレイに叱られた

 

 

お説教も終わり、自己紹介をする

 

「改めまして、はじめましてサクランボです花言葉は【上品】よろしくお願いします」

 

「ジャル・オンド・クリスタルよこんな見た目だけど女よ、よろしく」

 

クリスタルはロングの赤髪に透き通るような水色の瞳をしており

 

洋服は女性らしさのかけらもないスーツをビシッと着こなしており、髪が長いことを差し引いても

女性には見えない、可愛いや綺麗という言葉より、かっこいいハンサムと言った言葉の方が先に出て来るような

容姿をしている

 

「さっそくですが本題に入りたいと思います」

 

そう言ってサクランボは肩にかけていたポーチから書類を出す

 

「え~とこほん

ジャル・オンド・クリスタル様、来月付で複合騎士団第3部隊団長を任せるものとする

詳細は今月末完成予定の複合騎士団本拠地にて通達するものとする、  ___ブロッサムヒル女王」

 

「私が?騎士団長に?」

 

「そうです、正確には複合騎士団第3部隊団長ですが」

 

「花騎士のことなにもわからないのに?」

 

「それは問題ありませんブロッサムヒルにつき次第、複合騎士団完成までみっちりお勉強です」

 

「はあ、断れないんだろうな・・・」

 

「断れないですね、普通は断りませんけどね」

 

「よかったじゃないか、クリスこれでお前も騎士団長だ」」

 

レイが祝福?する、ちなみにクリスはクリスタルの愛称らしい

 

「ではまいりましょうか」

 

「行きますか・・・」

 

 

こうしてイケメン女団長クリスタルの総合騎士団就任が決定したのであった



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

序章 3、ロリ団長

遅くなって申し訳ないです


グリドの白き森淵

 

ザクザク、ザクザク

 

静かな森に積り積った雪を踏みしめ固めながら前にすすむ小柄な少女がいる

 

時折手に持ったコンパスを確認しまた進んでいく

 

「此処に来るのもひさしぶりじゃのう」

 

その少女、シロタエギクは周りを見渡しつぶやく

 

「といっても、一度来たことがあるだけでほとんど覚えてないんじゃがな」

 

たれと話すでもなく孤独を紛らわすようにつぶやく

 

「まったく、ベルガモットの王女様も無茶を言う」

 

シロタエギクはなぜ自分がこんな辺境の土地までやって来ることになったか想い出していた

 

 

 

とある日 ベルガモットバレー シュウメイギクの自室

 

「さて、第何回かはもう忘れてしまったが、年長会始めるとするかえ」

 

「いえ~い・・・眠い」

シュウメイギクの開始の挨拶に変な盛り上げを見せる少女はヒノキだ

 

「いつも思うんじゃがこの会開く意味あるのか謎なんじゃが」

 

「わらわもそう思わんこともない。が、こう似た者同士仲良くしようではないかえ」

 

「お休み~~」

 

「ああ、結局わっちと王女様で話すことになるんじゃな・・・

そう言えば、もう一人いなかったか?、まだ見たことはなかったが確かもう一人いるんじゃよな?」

 

「ああ、『荒野の魔女』のことかえ?」

 

「そうじゃ、そうじゃ確か魔女様もわっち達と似たようなものじゃろ?」

 

「何度も誘ってはみておるが、多分来ることはないんじゃないと思うぞえ」

 

「そうか、一人でも話し相手が増えればさらに話がはずむと思ったんじゃがな、ままならないか」

 

「そうじゃ、今日は頼みがある」

 

「なんじゃ、藪から棒に」

 

「シロタエギクは、総合騎士団の話を知っておるか?」

 

「総合騎士団・・・ああ、聞いたことあるんじゃ」

 

「そうか、それならば話が早い、そなたにはあの人を起こしに行ってもらいたいのだ」

 

「あの人じゃと?、まさかあの人か?」

 

「そなたの師匠のさらに師匠、彼人は今回の件にぴったりなのだ、行ってくれるな?」

 

「仕方ない、王女様の頼みじゃ迎えに行くするかの」

 

「そうか、行ってくれるか、助かるかの人が団長としてついてくれればかなりの戦力になるよろしく頼むぞ」

 

 

 

 

 

「はあ、ああわ言ったものの、辿りつくのにこんなに時間がかかろうとは・・・」

 

そんなことを一人つぶやきながら、意味ないだろうとは思いつつも

もらった地図を確認する

 

「うぬむ、周りが白すぎてやはり地図も役に立たぬか・・・」

 

思ったとうり役には立たなそうだ

 

 

しばらく意味もなさそうな地図とにらめっこしつつ進んでいたシロタエギク、

幸い羅針盤があるので帰る方向に困ることはないが、そのまま手ぶらで帰るわけにはいかない

 

「せいっ!」

 

こんな雪の中でも元気に活動している害虫を討伐しながら、進んでいく

 

そしていまシロタエギクの目の前を大量の害虫が行進していた

 

「むぅ、流石にわっちでもこの数の害虫を一人で相手にすると無事に帰れる自信がないのじゃ」

 

身体は小さくても流石は歳を食っているだけはある、むやみと敵に突っ込んだりせず、

引くのも大事だということを知っている

 

「?あの害虫達、不自然にあそこだけ避けておるな、そう言えばシュウメイギク殿が言っておったな」

 

旅立つ際に言われた言葉をシロタエギクは思い出す

 

『例の場所には、閉ざされた屋敷の姫が結界を張ったと聞く審議は定かではないが、

おおよそ間違いはないであろう、近づくものを返す結界だ注意すればすぐ気づくであろう

では、頑張ってな』

 

「もしやあれは、結界の効果なのかのぅ、確かめてみるしかあるまい」

 

思い立ったが吉日、すぐに実行とはいかないが、回り道をして害虫が避けていた道に入り先に進んでいく

 

「うむ、やはり先に行くほど返そうとする力が強くなっているのぅ、幸いわっちは魔力も多いからまだ

耐えられるようじゃ」

 

その道を進んでいくと、やがて絶壁の中に作られたような白亜の神殿が姿を現す

 

「ほぅ、これは美しいのぅ純白の雪化粧に白亜の神殿かこれがもっと都に近かったらのぅ」

 

栓のないことを言いつつも白亜の神殿に入っていく

 

入って目に飛び込んできたのはシロタエギクと同じくらいはある、水晶でできた蕾だった

不思議と透き通っているのに中が見えない

 

「これはまた、見事な水晶じゃなぁ」

 

何気なくシロタエギクは水晶の蕾に手を触れてしまう

 

「な、なんじゃ一対突然光始めたぞ、魔力が少し吸い取られた気もするんじゃ、どうなっておる」

 

シロタエギクは警戒し距離を取る、すると待っていたかのように蕾がゆっくりと回りだす

 

しばらく警戒しつつ見守っていると回転が遅くなり始め同時に花びらが開き始める

 

「さて、蛇が出るか鬼が出るか」

 

微妙に違う気がするが置いておこう

 

開き切った花びらの中心にいたのは少女だった

 

「ふあああ、よく寝た」

 

花びらから起きた少女にシロタエギクは恐る恐る話しかける

 

「あなたが、桜ノ宮 舞(さくらのみや まい)桜ノ宮 舞殿であっているかのぅ?」

 

「そうよ、私が桜の宮 舞よ舞ちゃんて読んでね

 

 

これが舞とシロタエギクとの出会いだった



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。