Re:ゼロから始める異世界生活 with 風神の白悪魔 (月見草クロス)
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一章
始まる異世界転生


僕の名前は卯月ほのか!!名前は女子だけど列記とした中学三年男子!!受験生!!

 

そして現在、僕はとんでもないことになっております。

 

「ここどこ………」

 

そうです。自分で自分がどこにいるか分かりません。

え?ちょっと何言ってるか分からない?

 

周りの状況を説明しよう!!

 

西洋風な建物。不思議な容姿の人達。色々な色をした髪の人達………髪色に関しては僕が言うことじゃないか

 

「………やっぱりこれってあれだよね」

 

状況を確認した結果、答えは1つしか出なかった。

 

「異世界転生…………」

 

どうやら僕はとんでもないことになったみたいだ。

 

 

卯月ほのか。日本の中学に通う、少し普通じゃない男子中学生。少し普通じゃないのは髪の色、そして性格。

現実世界ではありえないとされる男の娘であり、髪は雪のように白く、目も白い。

それのどこが普通なんだというのは置いといてだ。

 

異世界転生…………とりあえず状況整理…………

 

僕の手元には学生の強い味方 スマホ、ちょっとした稽古のために持っていた木刀、お金1000円程度、帰り際にスーパーで買ったお茶、大好物のにぼし。

 

もちろんお金は使えないのでゴミになっている。スマホもWi-Fi繋がらないどころか圏外。充電はあるが一応、温存のために電源を切っている。

木刀は本格的に武器として使うには弱いがないよりマシ。

お茶は喉が乾いた時に飲むために残している。

にぼしに関しては大きめの袋を三つ買っておいたのでむしろ多いくらいだ。

 

…………お金ゼロっていうこと以外は数日なら割と何とかなりそうな状況だ。

 

「………異世界転生って大変なんだなぁ」

 

多くの男子が夢見るであろう異世界転生。しかしそれはなんとも過酷である。こんなに命の危機になるくらいには過酷である。

 

……と、考え事ばかりしていたら人とぶつかった。

 

「あっ、すいません」

 

すると肩を掴まれ、路地裏に引きずり込まれた。

 

「うわっ!?」

 

「おい、お嬢ちゃん。大人しくした方が身のためだぜ?」

 

あ、これ分かる。僕の世界で言うチンピラだ。武器があるからって強がるやつだ。

 

…………いや、そんなことどうでもいい。こいつらにとりあえず言っておくべき言葉がある。

 

「僕、男だし!!」

 

これが今後、『風神の白悪魔』と呼ばれるウヅキホノカの口癖のひとつとなる。

 

 

「はっ?……いやお前女だろ?」

 

「正真正銘男です!!」

 

「信じられん」

 

チンピラは一人。木刀さえあれば普通になんとかなるだろう。

 

「まぁ、んなこと関係ねぇ………とりあえず金目のものだせ」

 

「ない(*`・ω・´)」

 

「なにが「ない(*`・ω・´)」っだよ!!地味にドヤ顔も腹立つ!!」

 

「ということで木刀の一撃をプレゼント!!」

 

僕は昔習っていた剣道の要領で頭に木刀を叩きつけた。

まぁ、痛いとは思うけどこの程度ならあんまりダメージないでしょ。

 

バタッ……

 

…………あ、木刀って割と強い。




始まりました!!Twitter見てる人か書いてるの知ってたと思うけど!!
ちなみに現在、風邪ひいてます。しかも今週日曜にリゼロの映画見に行くという……なので全力で治すぜ!!
新参オリキャラのウヅキホノカくんをよろしく!!


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異世界について情報収集

異世界転生しましたがまずどうしましょう。

とりあえず武器の木刀は強いということ以外の情報がほとんどありません。

 

「まずここどこ…………」

 

そう、まずそこからである。どこここ。

 

「どうしたお嬢ちゃん。迷子か?」

 

と、ここで店にいたおっちゃんが声をかけてくれた。

 

「えっと………まぁ、そんなとこです。あと僕、男です」

 

「え?…あ、そうなのかすまんな。で、親とかいるのか?」

 

うわやばいどうしよう…………

 

「えっと……その……とりあえずここどこですか!!」

 

「どこって………ルグニカだけど……」

 

ルグニカ………ふむふむここはルグニカって言うんだ。

 

「お前本当に大丈夫か?ここの名前も知らないなんてよぉ………」

 

「えぇっと………」

 

あっ、そういえばもう1つ収穫がある。

ここでも言語は同じだから話は通じるみたいだ。文字はさっきから読めないけど。

 

「はぁ……お前本当に大丈夫か?」

 

「大丈夫です大丈夫ですあはは………」

 

「…………まぁ、いいか大丈夫なら」

 

「えっと………大丈夫でしゅ………です!!」

 

「可愛い噛み方してんなぁ………ん?お前それにほしか」

 

それ………あ、にぼしのことかな

 

「にぼしですけど………」

 

「にほしだろ?」

 

…………ここではにほしっていってるみたい。

ん?いや待てよ。にぼしって漢字で煮干しだから普通ににほしでも読める…………

 

「うちはにほし売ってんだよ」

 

と、店の商品を見ると…………確かに煮干しだ…………

 

「でも僕一文無しなんです」

 

「まぁ、迷子だししゃあねぇよな」

 

優しいおっちゃんだなぁ………

 

「とりあえず自力で何とかします!!ありがとうございました!!」

 

「いいってことよ!!」

 

またこの店行こう

 

 

さてさて現実を見ればどうしようもない。

 

「どうしたものかねぇ………」

 

「あなた、何してるの?」

 

「……………」「……………」

 

本日、二度目だ。声をかけられるのは。僕そんな変?

 

いや服装とか独り言とか変なことばっかだ。

あ、服装については触れてなかったけど白い長袖Tシャツにジーンズという普通な服装………ここじゃ普通じゃないが。

 

「どちら様ですか?」

 

「こっちのセリフよ。一人でボソボソ何言ってたの」

 

「まぁ………独り言?」

 

「…………気持ち悪い」

 

「初対面だよね!?」

 

この口の悪い女の子。桃色髪で髪を僕から見て左……すなわち彼女でいう右で分けている。

それよりも服装だ。これは………メイド服としか言えないんだが…………とりあえず僕の世界では見ないほど可愛い子だった。

 

「えっと……どうしたの?」

 

「変な人が居れば声だってかけたくなる………それだけよ」

 

「うん、君本当になんなの」

 

なんだこの子。君の方が充分変だよ?

 

「とりあえず名前は?」

 

「自分から名乗りなさいよ。礼儀でしょ」

 

「そう………なの?まぁいいや。卯月ほのか」

 

「私はラムよ。変人さん」

 

「おかしい!!扱いがおかしい!!」

 

「ハッ!!ホントの事言ったまでよ」

 

鼻で笑われたよ!?あれ?僕がおかしいの?

 

「で、困ってたみたいだけどどうしたの」

 

「…………へ?」

 

唐突に救いの手を差し伸べられてビックリした。

 

「えっと………生きる道が見つからなくて………」

 

「お似合いね」

 

「助けたいのかどっちだぁ!!」

 

ホントに変な人だよ!!まったく!!

 

「ま、それなら助けてあげてもいいわ」

 

「う……うん。そんでもってその顔なに?」

 

「企んでる顔よ」

 

「ストレート!!」

 

この子隠すってこと知らないみたいだ。

 

「私の手伝いをしてくれたら考えてもいいわ」

 

「…………うん?すなわち僕に声をかけたのはそれが目的?」

 

「そうよ」

 

「ラムさんはいい人なの?悪い人なの?」

 

「いい人よ。あとラムでいい。なんかゾワッてしたから」

 

「え?…うん、わかった。気をつける。でもいい人なら人の事利用しようとか真っ先に考えないよ?」

 

「私は美しいから許されるのよ」

 

「美しいより可愛いだと思う」

 

「………そこなの?」

 

「なぜそこ疑問をもったの?」

 

なんかコントでもしてる気分。まだあって数分の人とコントなんて変だなぁ。

 

「ホノカには言われたくないわね。可愛いなんて」

 

「可愛いって………男だしそういうのは………」

 

「えぇ、まぁ………ん?聞き間違え?」

 

あ、これはまた言った方がいいね。

 

「僕、男だし!!」

 

「………嘘が下手ね、ホノカ」

 

「嘘じゃない!!本当に!!」

 

「…………本当なの?」

 

「本当!!」

 

「…………証拠は?」

 

「証拠…………」

 

思わず首を傾けて考えてしまう。

よく良く考えればない……………ないよ!!

 

「…………嘘よね?」

 

「ホーンートーでーすー!!」

 

「…………」

 

ダメだ。これ信じてもらえないやつだ。

でも証拠なんてない。困ったぞ……困ったぞ……

 

「はぁ………しょうがないわね。少しマナの流れを確認するわ」

 

「まなのながれとは?」

 

「知らないの!?」

 

知るわけない。僕、この世界のこと、知らない。

 

「あなたよく生きていられたわね」

 

「生命力は高いので」

 

「はぁ………馬鹿なの?それともアホなの?」

 

「どっちも悪口!!」

 

「…………じゃ、マナについて説明してあげるわ」

 

「お願いしまーす!!」

 

「やる気があるだけいいわ。まずゲートってわかる?」

 

「門?」

 

「どうしてそうなるのよ」

 

英語を訳しただけなんだけど………あ、これ英語っていう概念がないやつか。

 

「ゲートって言うのは自分の体の中と外にマナを通す門のことよ。マナを取り込んだり、放出する時にはゲートを通じるわ」

 

「とりあえずマナを通す管でオンオフすることで入れたり出したり出来ると」

 

「だいたいそういうことよ」

 

なるほどなるほど。

 

「それって誰にでもあるの?」

 

「あるに決まってるじゃない」

 

「じゃあ、魔法とか使えるの?」

 

「使えるわよ?」

 

おー、魔法使えるんだー!!なんか本当に異世界って感じだ!!

 

「で、そのマナの流れって種族や性別によって違うのよ。あとはその無知な頭でもわかるはずよ」

 

「なるほどー…………」

 

それで性別が分かってことか。これは便利だぞ。

 

「あなた、混血みたいだから種族もついでに調べておくわ」

 

…………え?混血?あれ?僕人間じゃなかったっけ?

そんなこと思っているうちにおデコに指を当てられた。

ラムは目をつぶっている。こう見るとやっぱり可愛い。性格が少しあれだが根は優しいみたいだ。利用するためとはいえども助けてくれるみたいだし。

 

「…………あなた、何者?」

 

「…………え?」

 

「もう一度言うわ。何者?」

 

「…………何者って言われても……………」

 

「…………とりあえず男なのは分かったわ。まぁ、それでも女にも寄ってたから気をつける事ね」

 

マナまで僕を困らせるつもりか!!

 

「にしても………なんであなたは鬼の血なんか持ってるのよ」

 

ジロッと睨まれた。

お………鬼?どゆこと?

 

「え………それってどういうこと?」

 

「ホノカ。あなたの種族は鬼と何かの混血よ」

 

種族が変わってる!?僕人じゃ無くなってる!?

 

「それでなんで何者って…………」

 

「…………鬼は私と私の妹しか生き残りは居ないのよ」

 

「…………」

 

ラムが鬼だったのも驚いた。でも鬼が生き残ってないのも驚いた。

それにしても困った。転生してきて鬼になった………なんて言えない。

 

「…………遠いところで生き延びてた鬼がいたのね。混血なら恐らく別種族のやつを好きになって逃げ出した………で、それの子供ってくらいしか思いつかないわ」

 

「僕にもさっぱり………」

 

僕が知るわけない。でもラムは本気で悩んでるみたいだ。

 

「…………仕方ないわね。あなたを連れて帰ることが確定したわ。ロズワール様に相談する必要があるわ」

 

「………えっと………とりあえずわかった」

 

まだ状況を飲み込めてない。でも今は言うことを聞く方が身のためだろう。置いてかれても死しかない。

 

「そのために私の手伝いをしてもらうわよ」

 

「何するの?」

 

まだ困惑した様子が抜けないまま本題にやっと入るのだった。

 

「人探しよ」




本編ではラムがエミリアの付き添いで一応いたって設定なので出しました。このペースなら一章は5、6話で終わりそうです。


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人探し!!

「それで、そのエミリアさんを探せばいいのね?」

 

「そうよ。さっき言った通り銀髪で私より少し背が高いくらいよ」

 

説明された探す人はエミリアさん。

銀髪で見つかればすぐ分かるらしい。イマイチわかんないけど。

 

「でもなんでエミリアさんを探すの?」

 

「私がエミリア様の付き添いで王都に来たんだけど少し寄り道してたら見失ったわ」

 

「商務怠慢か!!」

 

仕事に関しても全くぶれないあたり、ラムがどれだけ自由な性格してるかがわかる。

 

「………まぁ、それは置いといて…………ある程度、居そうな場所とか分かってるの?」

 

「分かってないわ」

 

「おい!!」

 

こんなことをドヤ顔で言ってくるラム。むしろ恐怖を感じるのは僕だけ?

 

「お嬢ちゃん達、もしかして銀髪の少女を探してんのか?」

 

声をかけてきたのは………リンゴを売っている強面のおっちゃんだ。

 

「それなら………なんか探し物してたみたいだぞ。紀章かなんかを盗まれたそうだ」

 

「徽章…………分かりました。ありがとうございます」

 

「いいってことよ。あの二人には借りがあるんだ」

 

「………二人?」

 

ラムは二人という所に反応した。

確かにラムはエミリアさんは一人だと言っていた。

 

「なんか……黒髪で目付きが鋭くて……不思議な服装してたな……名前は確か………ナツキ スバルだったか……?」

 

ナツキ………スバル!?

これを聞けばわかる。それは僕の世界の人のはずだ。漢字で書くなら菜月昴あたりが妥当だろう。菜月も昴も聞いたことある名前だし間違えなくそうだろう。

 

「どうしたの?」

 

「いや………ナツキスバルって、僕の住んでた場所の人の名前なんだよね」

 

「そうなのね。ちなみにどこに住んでたの?」

 

「………東の国?」

 

「ここが一番、東の国よ」

 

そ、そうだったのか………

 

「それで、そこでどんな生活をしてたの?」

 

「それは………あれ?」

 

「…………どうやってここに来たの?」

 

「…………」

 

僕はここに来る前に自分が何をしていたのか思い出そうとした。しかし思い出せなかった。親の顔も、友達の顔も………覚えているのは日本での一般常識と自分がどういう人物なのかくらいだ。

 

「………記憶喪失みたいね」

 

「………そうみたいだね」

 

そんな話をしてると、リンゴ屋のおっちゃんが声をかけてきた。

 

「そろそろ帰ってもらえるか?商売の邪魔になってる」

 

「………あ!!すいません!!ありがとうございました!!」

 

「いいってことよ!!今度はリンガも買いに来いよ!!」

 

リンゴじゃなくてリンガなんだ………あ!!これを言っとかないと!!

 

「ちなみに僕!!男ですっ!!」

 

 

こうしてやっと、僕は前の世界での記憶が全くないことに気がついた。

 

「なんで思い出せないんだろ………」

 

「………思い出さない方が楽よ」

 

「そう………かな?」

 

記憶喪失について気になる。でもそれより今は………人探しをしてからでもいいだろう。大丈夫なはずだ。

 

「不思議ね……」

 

「なにが?」

 

ラムの突然発言に疑問を覚えた。

 

「………いや、なんでもないわ………どこにいるかは分からなかったわね」

 

「そうだね………でも何となく予測できたよ」

 

「………ほんとなの?変な推理して外したら容赦しないわよ?」

 

「怖いよ!!………まぁ、話すよ。盗まれて、その状態でリンガ屋に来たってことはまず犯人は見失ってる。そして盗みを犯すようなやつは基本的に路地裏とかにいそうだよね?でも流石に徽章なんか取ったなら近場には逃げないだろうしなんか………スラム街的なところに逃げたんじゃない?」

 

「スラム………?」

 

「貧乏人の集まった村的な?」

 

「………それならこの国の端っこにあったわね。行く価値も………ありそうね………ハァ………」

 

「そうと決まれば行くぞー!!」

 

「ハイハイ。分かったわよ」

 

「なんでラムの方が嫌そうなの!?」

 

「ハッ!!」

 

「鼻で笑わない!!」

 

そういう貧乏人の村に行くのが嫌なのか凄い顔をしているラムの手を引いて僕は進むのだった………道わかんないけど。

 

 

「ここかぁ………」

 

貧乏村はどちらかと言うと路地裏が延々と続いてる感じの場所だった。そしてそこで話を聞くと、そのエミリアさんとスバルという人は盗品庫に向かったそうだ。

 

で、その盗品蔵に着いたところだ。

 

「………気配はしないわね」

 

「とりあえず入ってみよっか?」

 

「………そうね。こんなところからは早くおさらばしたいし」

 

「ブレないね」

 

「ラムはラムよ」

 

「いやごめんちょっとわかんない」

 

苦笑いしつつ、扉に手をかけ、恐る恐る開ける。ちなみにラムは後ろについている。

 

開けると………真っ暗で見えずらい………

 

するとラムが鉱石のようなものを取り出して壁にぶつけた。すると鉱石が白く発光した。

 

「誰もいな………っ!?」

 

突然、ラムの発言が止まった。

そして1秒もしないうちに背中に温かい液体がかかった。

 

なぜか………本当になぜかだが、それが何かわかってしまった。

勘………などではない。それは感じたことがあるからこそな気がした。

 

ラムを見る気にはならなかった。見たくもなかった。

背中の液体を手につけて見ると、やはり………血である。

 

それを理解した瞬間、僕は不思議な感覚に陥った。

憎悪や怒りが心を支配し、意識は薄れてしまう。

体の自由が効かない。変だ。こんなに殺意が湧いてくる。

意識が赤く染まる。体は勝手に木刀を手に取った。

 

何が僕に起きた………死ね………こんなの………殺してやる………こんなの僕じゃ………僕じゃない(消えろ)!!

 

意識が消えかける中、突然、何者かがとんでもない速度で迫ってきた。

体は勝手に動き、そいつの攻撃を見ないで木刀で防いだ。そしてその流れでそいつを薙ぎ払った。

 

それは木刀の一撃だ。殺傷能力はかなり低い。

 

 

しかし、僕が最後に見たのは黒い女が血を流し、吹き飛ぶのと………ラムの見たくもない悲痛な顔だった。




予想の斜め上の展開では無いでしょうか(*`・ω・´)
感想を待ってます!!


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あまりに謎すぎて困惑

「……どうしたの?」

 

「………バッッッッ!!」

 

「奇声を挙げないで。汚らわしい」

 

僕は気づいたらリンガ屋の前にいた。

で……目の前の少女は………

 

「……ラム……?」

 

「突然何よ」

 

えっ!?イヤだってあの時明らかに死んで………そう言えば僕、突然、感覚がおかしくなって………

 

あれは身体を乗っ取られたということがあうだろうな……でも何に?突然過ぎたし、あそこに居たのは死人とあの黒い女性だけだ。でも、最後に僕は明らかにアイツを吹っ飛ばしてたし、アイツが操ってきたって線はない。しかもあの時、外からと言うより、僕は内側から何かが湧き出るような感じがしたんだ。これは僕の中に何かがいる……いや、そんな感じじゃなかった。詳しく言えば血が騒ぐような………

 

もしかして、ラムが言っていたもう1つの謎の血族……それの正体じゃないだろうか。

 

「ハルカ?さっさと動くわよ。邪魔になるから」

 

「お、おう………そうだね」

 

「……何があったの?突然、豹変したわよ?」

 

「………とりあえず歩こう」

 

「……そうね」

 

とりあえず、僕らは歩き出した。足は自然とあのスラム街に向かっていた。

 

だってこの状況。答えはひとつしかない。

 

時が戻ったんだ。

 

恐らく、何か転生した時の特典かなんかで能力がついたんだろう。

 

でもそう考えると僕も大概チートだな………やり直しが効くってことでしょ………

 

「どこ行くの?」

 

「場所が分かった。だから行く」

 

「突然、変なこと………頭のネジが外れたみたいね。荒治療するしか………」

 

そんなことを言いつつ、ラムが拳を握りしめた。

 

「怖いから!!」

 

「少しは落ち着いた?」

 

「お陰様で」

 

なんかいつもの感じに戻った気がする。

 

「で、どこにいるの。エミリア様は」

 

~少年説明中~

 

「盗品蔵………ね。とりあえず行ってみるわよ」

 

「行くぞー!!」

 

ラムの手を引いて、僕は再び盗品蔵に向かう。

 

 

 

(不思議よね………)

 

彼に手を引かれながらピンク色のメイド、ラムはそんなことを考えていた。

 

(服装もだけど……なんというか……懐かしい)

 

「どうしたの?」

 

「……ん?なんでもないわ。さっさと行くわよ汚らわしい」

 

「それってこの場所がだよね!?」

 

なぜかこうやって話すのも初めてではないような気がしてしまう。

 

(気のせいよね……)

 

謎の違和感を感じながら、また彼に手を引かれる。

 

 

 

「ここ……だね」

 

「先に行きなさい。もし、虫が飛び出してきたら私が逃げられるように」

 

「酷いと思う!!人を盾にして!!」

 

「ハッ」

 

「なんか腹立つー!!」

 

前に来た時よりかなり早い時間に来ている。でもアイツがいる確率はあるし、しっかりと木刀を構えておこう………

 

と、そうしたその時だった。

 

「あなた達、そこをどいてくれないかしら?」

 

………分かってしまった。もう分かってしまった。

あの時、殺した奴の気配。なんでか分かってしまった。

 

こいつ……ノコノコと……殺す。

 

ただ、殺せばここで終われる………

 

また、血が吹き上がるような感覚がした。

今回は自分も制御などしようとしなかった。

 

恐らくこれで僕の推理の真偽が出来るはずだ。

 

「お前っ!!」

 

感覚が支配され、もう五感は消失した。

 

「角……」

 

なのに何故か最後に彼女の声は聞こえた。

 

 

「っ………!!」

 

身体が凄まじい感覚の変化に着いていけず思わず、倒れそうになった。

 

「おいっ!!どうしたお前……突然、フラっとして……」

 

「大丈夫………です!!」

 

「ホントに大丈夫なの?顔色悪いけど」

 

うん、本当は感覚の変化がキツすぎてめちゃくちゃ目眩がする。

 

「まぁ、大丈夫ならいいけどよ」

 

僕はまたリンガ屋の前にいた。

やっぱり戻るか………

 

でもこれで条件は分かった。

恐らく、あの状態で目的を果たすと時が戻るんだ。

その目的ってのは恐らく……場合による。ただ、あの状態は激しい感情によるものだ。今回は二回とも激しい憎悪だったが。他の感情では出来るのかな?

 

あの状態になると僕自身の感覚では何も出来なくなり、目的を果たすためだけに体が動く。

 

まぁ……ざっとこんなとこだろうか。

ちなみにここまで分かったのは自分で感じたからなので聞いてるだけじゃどうしてそうなるんだよ!!って思うかもだけど……

 

とりあえず……次で終わらせよう。正直、もう時戻りしたくない………目眩ひでぇや。




今回は短めですが!!


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俺の名は菜月スバル!!

やっと、スバルくんです……


今回は、あの女と会う前に盗品蔵に行かなくては!!

って訳で、ラムに推理をさっさと話して向かうことになった。

まぁ、もう恨みは一回晴らしたし今はそこまで感情は沸き立つ感じがしない。

 

というか、もう一回あれになってらまた戻るという恐怖しかない。

 

「にしても、あなたの推理力はどっから来たのよ……」

 

「本を子供の頃から沢山読んだから、そのせいかな?」

 

特に、推理小説はよく読んだなぁ……あの、先を予測するのがとても楽しいんだよ!!

 

「本なら、ロズワール邸に来れば読み放題よ」

 

「僕、ここの字読めないの」

 

「………そうだったわね。常識外れすぎて忘れてたわ」

 

「常識外れは否定しないけどさぁ……」

 

まぁ、実際に常識外れだろう。まぁ、転生してきましたし……しょうがないでしょ?

 

「……っと……ここだよね?」

 

「情報によれば、ここのはずよ」

 

僕は何回も来てるので分かってるけど、即座にわかる反応を見せるとあれだしね?

 

「じゃ、開け……閉まってる?」

 

「フーラ!!」

 

閉まってることを知って、即座にラムさんが魔法で扉を吹っ飛ばした。

というか魔法って初めて見た!!すごい!!風の刃だったよ!!

 

「これで入れるわね」

 

「そうだけどさぁ……」

 

とか言いつつ、普通に中に入った。

まぁ、チャンスだし。入らせてもらいますよ?

 

「誰だぁ!!うちの扉ぶっ飛ばしたのは!!」

 

と、言うのは……でかい白髪の老人だ。いわゆる巨人と言うやつだろうか?

と、あと一人……普通の人間……しかも、僕の世界の服を着た人がいる。

 

んー……ん?アルエ?ナンデココニコンナフクソウノヒトイルノ?

 

僕は、そいつと目が合う。いや、目つき悪いね。

じゃなくて!!

 

「とりあえず……ちょっと話す?」

 

「あぁ……おぉ……」

 

困惑顔で了承してくれた彼を連れて、一旦、盗品蔵から出た。

 

「あのー……どちら様で?」

 

「僕は卯月ほのか!!君と多分同じで、異世界人……でいいのかな?」

 

「ああ、それで間違いない……じゃ、君も名乗ってくれたし!!俺も名乗りますかね!!俺の名は菜月スバル!!前は、引きこもりだった!!」

 

「自慢げに言うこと!?ちなみに!!学年は?」

 

「高三だ!!」

 

「じゃあ僕の三歳上かぁ……僕は中三!!」

 

「とりあえず、なんか心強くなった!!よろしくな!!ホノカ!!」

 

「よろしく!!スバル!!」

 

あっという間に意気投合した。本当にあっという間に。

 

「とりあえず戻るか?」

 

「そうだねー」

 

 

とりあえず、戻ると、ラムと老人……と、一人の少女がいた。

 

「あー、そうだ。そう言えば名前を聞いてなかった」

 

「儂か?ロム爺じゃ」

 

「ロム爺ねー。了解了解!!」

 

「で、こっちの子は?」

 

スバルが僕も気になっていた少女の名前を聞いた。

 

「フェルトだそうよ、徽章を盗んだのもこの子で間違いないみたいよ」

 

「じゃー……待ってれば………」

 

 

トントン……

 

 

突然、扉をノックする音が聞こえ、一瞬、静寂。

 

「えーと……とりあえず、出てくる」

 

んー……あれ?これ、来るとすれば一人しかいない気がするよ!?大丈夫!?

 

と…ととと…とりあえず止めなきゃ!!

 

「ちょーっと、待ってぇ!!」

 

僕が叫んだ。もしもエルザだったらフェルトは……

 

しかし、静止も虚しく、フェルトが扉を開けた。

すると……

 

「殺すとか、そんなおっかないこと、いきなりしないわよ」

 

やっと、僕の前に銀髪の少女が姿を現した……

 

「エミリア様!!どこに行ってたんですか!!」

 

「ら…ラムじゃない!!こんなところにいたのね……よかった……」

 

いやいやエミリアさん。彼女のせいですよ、迷子になったの。

 

「エミリア……エミリアって言うんだ……」

 

「何を言ってるんだスバル」

 

「エミリア様も来ましたし、徽章を返してもらって、さっさと帰りましょう」

 

そう言いつつ、ラムが今日も一度放った風の魔法を放とうとする。

 

でも、そんなことよりも、僕はエミリアの……更に後ろの殺気が……っ!!

 

「エミリアさん!!避けて!!」

 

今度は遅れないようにと早めに叫ぶ。

 

するとエミリアはそれに咄嗟に反応してくれて、かわしてくれた。

 

「あら……よく分かったわね」

 

「えへへー……って、言える相手でもなさそうだよね」

 

「エルザ……」

 

僕は、反射的に背中にかけていた木刀を取った。あ、というかエルザって名前なんだね。なんで知ってんだスバ公よぉ!!

 

「っ……パック!!」

 

「分かってる……にしても、よくうちの娘に不意打ちなどしようとしたね……」

 

エミリアさんがパックと呼ぶと……多分、パックであろう猫ちゃん的ななんかが出てきた。

 

「精霊…精霊ね。ふふふ…素敵。精霊はまだ、お腹を割ってみたことないから」

 

「何言ってんだ変人!!」

 

とりあえず、木刀を手に持ち、相手に突撃する。

 

「あらあら、気性の荒い子ね」

 

「うわっと!!」

 

しかしその突撃はエルザに軽々かわされた。

というか今めっちゃ速かったよ!?

 

「おい!!どういうことだよ!!」

 

「こいつを買い取るのがお仕事!!持ち主までこられては商談なんてとてもとても……だから予定を変更することにしたのよ」

 

何となく格が見えてきたような気が……とりあえず、こいつを倒せってか!!(分かってない)

 

「この場にいる関係者は皆殺し。徽章はその上で血の海から回収することにするわ……あなたは仕事をまっとうできなかった。切り捨てられても仕方がない」

 

「エル!!フーラ!!」

 

ここで、ラムが今度はエルザを狙って、風の刃を放った。

しかし、やはりエルザは素早く、それをかわす。

 

「あぁーっ!!てめぇ!!ふざけんなよ!!」

 

スバルがこんな時に雄叫びあげるんだからビックリ。

いや大丈夫か!!頭、大丈夫か!!

 

「こんな小さいガキいじめて楽しんでんじゃねえよ!!腸大好きのサディスティック女が!!予定狂ったからちゃぶ台ひっくり返して全部おオジャンってガキかてめぇわ!!命を大事にしろ!!腹切られるとどんだけ痛いか知ってんのか、俺は知ってます!!」

 

「……何を言ってるの、あなた」

 

ミートゥー

 

「自分の中の思わぬ正義感と義侠心に任せてこの世の理不尽を弾劾中だよ!!俺の理不尽はつまりお前でこの状況でチャンネルはそのままでどうぞ!!」

 

「そんなこと言っても分かるわけない!!」

 

「はい、時間稼ぎ終了……やっちまえ、パック!!」

 

「後世に残したい見事な無様さだったね……ご期待に応えようか」

 

パックは……氷柱を20本以上をエルザの周囲に発生させた。

 

「まだ自己紹介もしてなかったね、お嬢さん。ボクの名前はパック……名前だけでも覚えて逝ってね」

 

直後、僕の人生初のとんでもない戦闘が始まる。




次回かその次で一巻分終わり!!頑張る!!


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速い!!でも僕は木刀で殴るまで!!

タイトルが既に草。


こうして、僕の目の前でエミリアさん&パックとラムVSエルザの戦いが始まった。

 

まぁ、正直、えぐい。パックが氷柱を発射し、切り落とされ、風の刃はエルザがめちゃくちゃな速度でかわす。エルザの攻撃はエミリアさんが防いでいる。

 

いやー、異世界だねマジで。夢じゃないよね?

 

「ねぇ、スバル、何起こってるか、全然わかんないや」

 

「幻見てるみたいにボーッとしてたしなお前。そろそろ終盤だぞ……」

 

あー……僕そんなにボーッとしてたのか……まぁ、やっとの事でループも終わりそうなわけで……ボーッとしちゃうんだよ、疲れで。

 

「三対一……さすがに圧倒しておるな……」

 

何気にラムもエミリアさんもパックもめちゃくちゃ強い。まぁ、エルザさんそれと張り合うレベルの化け物なんですがね。

 

「戦い慣れしてるなぁ…女の子なのに」

 

「あら。女の子扱いされるなんてずいぶんと久しぶりなのだけれど」

 

「ボクから見れば大抵の相手は赤ん坊みたいなものだからね。それにしても不憫なくらい強いもんだね、君は」

 

「精霊に褒められるなんて、恐れ多いことだわ」

 

こんな話しながらもとんでもない戦闘は続いている。

 

「ここまま物量でおしてけば消耗戦で勝てると思うけど…不安は尽きねぇ」

 

「あの黒い娘の身のこなしが尋常でない。とはいえ、三対一なら負けると思えんが……精霊がいつまで顕現できるかが勝負じゃ。精霊抜きだと一気に形勢が傾くぞ」

 

「うげ、そういやそうだった……そろそろ五時を回るか!?」

 

「精霊って、消えるの!?まずいじゃん!!」

 

精霊……パックが居なくなればエミリアさんとラムだけだ。エミリアさんが防御しないと、エルザの攻撃はどうしようもないし、ラムじゃ攻撃力が足りない。しかも、ラムの攻撃ペースは少しずつ落ちている。ゲームとかで言う魔力切れだろうか。

 

「楽しくなってきたのに。心ここに非ずなんてつれないわ」

 

「モテるオスは辛いところだね。女の子の方が寝かせてくれないんだから。でもほら、夜更かしすると肌に悪いからさ」

 

次の瞬間、速すぎるエルザの動きがピタッと止まった。そんなエルザにパックがウインクする。猫だし普通に可愛い。

 

「そろそろ幕引きと行こうか。同じ演目も、見飽きたでしょ?」

 

「足が……」

 

エルザの右足が……氷で地面とくっついている。砕かれか氷塊まで……エルザの足を止める楔の役割になっている。

凄いよ!!パック凄い!!

 

「無目的にばらまいてたわけじゃ、にゃいんだよ?」

 

「……してやられたってことかしら?」

 

「年季の違いだと思って、素直に賞賛してくれていいとも。オヤスミ」

 

パックが身震いをし……もう氷ですらない破壊が放たれた。

 

うひゃぁ!!パック凄いけどもはや怖いよ!!

 

盗品蔵はめちゃくちゃになった。そんな一撃だ。エルザが当たれば、死ぬしかない………いや、それは前提として当たれば……だが。

 

「嘘…だろ……」

 

「嘘じゃないわよ。あぁ、素敵。死んじゃうかと思ったわ」

 

「……女の子なんだから、そういうのはボク、感心しないなぁ……」

 

エルザは……足の底をスッパリ斬って、氷から脱出したらしい。そのせいか……血が……おぞましい……

 

「早まって切り落とすところだったのだけれど、危ういところだったわ」

 

「それだけでも相当、痛いだろうに」

 

「ええ、そうね。痛いわ。だけど素敵。生きてるって感じがするもの。それに……」

 

エルザは右足を氷に押し付けた。

うげぇ……痛そうで見てられません!!

 

「ちょっと動きずらいけど、十分よ」

 

氷で……止血したよ……

 

「パック、いける?」

 

「ごめん、凄い眠い。ちょっと舐めてかかってた。マナ切れで消えちゃう」

 

パックからのその発言は、まさに敗北に近い。

パックは悲しいことに淡く輝きだした。

 

「あとはよろしくね……ピンクのメイドちゃん」

 

「…はい」

 

ラムはパックの声に端的に、緊張感を持って答える。ラムがどれだけ適当な性格でもエミリアとは一応、主従関係。守るのは義務だ。

 

「君に何かあればボクは契約に従う……いざとなればオドを絞り出してでもボクを呼び出すんだよ」

 

そして……パックは消えた。消えちゃったよ……

 

「……あぁ、いなくなってしまうの。それは酷く、残念なことだわ」

 

こうなりゃ形勢逆転………足のせいで機動力の下がったエルザに勝てるかと言われると……厳しい気がする。

 

そんな中、スバルとフェルトが何か話している。

とりあえずフェルトが十五歳らしい……同い年!!

 

とかくっそどうでもいい事はさておき……予想と同じく、押され始めた。

 

何よりもの問題はラムだ。ほとんど攻撃をしていない。本格的に魔力切れなんだろう。

 

「いくぞーッ…!!」

 

ロム爺が雄叫びを上げる。そして、棍棒片手にエルザに突撃した。

 

「あら、ダンスに横入りなんて無粋じゃないかしら」

 

「そんなに踊りたければダンスを踊らせてやるわ!!そら、きりきり舞え!!」

 

……とりあえずはロム爺に任せよう。時間稼ぎ頼むー!!

……そして僕はヤバそうなラムに僕は駆け寄った。

 

「大丈夫?」

 

「そう見えるなら、あなたの目は節穴ね」

 

明らかに疲れきってしまっている。

 

「とりあえずここは危ない。離れないと………ッ!!」

 

間一髪とはこのことだろう。エルザのナイフが僕スレスレで止まっている……止めたのは僕だけど。殺気のお陰で来ることが分かってなけりゃ、木刀を抜いて防ぐまでの動作は間に合ってないよ!?

 

………ん?あれ?エルザさん?なんでこっち来るんですか……って、ロム爺ぃ!!倒れてるし!!

 

そして、スバルとフェルトは……あぁ……フェルトがスバルに助けられた的な感じだ。

 

「あら?反応できるのね?」

 

「いやね……僕、戦闘経験はゼロだよ?」

 

………今から初戦ですね!!死ぬよねこれ!!

 

「にしては、扱い慣れてるわね?」

 

「いいつつナイフ振らないでよ!!」

 

っと……およよ?こいつ、剣筋に癖があるね?

 

「お…おいホノカ?お前……人間か?」

 

「違うよー」

 

「違うの!?」

 

そんな会話をする余裕あるかと言われるとない!!ないけど話したい!!どうせ長持ちはせんよ!!

 

……今チラッと見えたけど……フェルトがいない。援軍呼び行ったと捉えていいよね!?ナイス!!

 

「余所見とはいい度胸ね!!」

 

「はい!!すんませんね!!」

 

もう、癖は読めた。読めたんである程度はさばけますよ!!

 

「す…すげぇ…」

 

スバルの感嘆の声が聞こえる。まぁ、僕、人間じゃないし。そのせいか、体は実はずっと軽いのだ。体力も問題ない。

 

「あぁ…精霊がいなくなったのは寂しいけど、あなたの腸も見たくなったわ」

 

「そりゃぁ!!素晴らしいね!!」

 

……エルザのナイフがカスリすらしなくなった。

さすがに無謀と悟り、エルザは一旦、下がった。

 

「古風な剣の使い方ね……」

 

「ケンドーだ!!」

 

「……知らないわね」

 

「……って、ホノカ!!お前剣道してたのか!?」

 

「お?スバルは剣道経験者?」

 

「ま…まぁ…」

 

「なら僕のこと知ってるよねー?」

 

スバルは少し悩んで……ハッとした。

 

「卯月ほのかって!!」

 

「そうそう……中学剣道全国一位の!!」

 

そう。僕は地味に全国一位なのだ。相手の剣の癖を見抜き、的確に一撃を叩き込むんだ。

 

「……色々訳が分からないわ」

 

「わかんなくていいよ……じゃ、再開ってことでいい?」

 

「私はいつでもいいわ」

 

「それじゃ……容赦なく!!」

 

ちょーっと、攻撃してみるかー。

 

「やぁっ!!」

 

「甘いわね」

 

予想通り、サッと木刀をかわされた。

 

「ほとんど動かずに避けるなよぉ!!」

 

「文句があるなら当ててみなさいよ」

 

「ハイハイわかってますよ!!」

 

次から次にと攻撃をするがエルザは目の前でダンスをするようにかわす。

 

「あー……無理☆」

 

もう何となく無理だとわかったので一旦引いた。

そしてまたお互い牽制し合う。

 

「じゃあ、次は私の番かしら?」

 

「おぉう……まぁ、そうなるね……」

 

しょうがない……反撃狙うしかない。

 

「じゃあ、容赦なくいかせてもらうわ」

 

再びエルザの猛攻。

ナイフの攻撃を次々に木刀でさばくがやはり隙がない……

 

「油断大敵よ」

 

「おっ?」

 

エルザの腹を狙った横の一閃。

僕はそれを木刀を横にして防いだ。

 

あっぶね!!これ木刀が太いからよかったけど普通に剣だったら細すぎて抜けてたよ!!腸スパッといってたよ!!

 

というかエルザさん!!あなたさっきより攻撃激しくしましたよね今!!しかもそれで余裕な顔しないでよ!!まだ本気じゃないってか!!

 

「あら……」

 

「わぁ……」

 

(自分でも出来たことに驚いております)

 

「もうお前超人だろ……」

 

「だから人じゃないって!!」

 

少なかれ、チャンスなので木刀に力を込めてエルザの頭に………

 

しかし、エルザはそれでもかわしてきた。

 

うーん無理ゲー☆なんて思ってたら、木刀の風圧でエルザを吹っ飛ばすことに成功した。

 

んー……ん?風圧おかしくね?普通に全力で振ってもこんなに風圧でないよね?

 

「おい……ホノカ?お前自分の木刀見てみろよ」

 

「ん?……あるえ?」

 

スバルに言われて、木刀を見てみると木刀は…緑色に光っていた。

 

「何これ?」

 

「それ、マナがこもってるわよ?」

 

エミリアさんに言われた。

マナ……?そっか、ちょっと体から力吸われてるような気はしたよ。これがマナなのね。納得。

 

「驚いたわね……あなた、何者?」

 

「わかんないので、調べるので、立ち去ったりは……」

 

「ふふ……あなた面白いわね。むしろ腸を見たくなった」

 

「……そっすか」

 

もうこの人怖い……

 

「とりあえず……そろそろ幕引きかな?」

 

「それはあなたが勝つという意味で?」

 

「まぁね?」

 

今、パッと浮かんだだけだが、この体のエネルギーの流れを木刀に向けてやればいいんだよね?

 

すると、体からエネルギーがすごい吸われた。そして木刀は更に緑に光った。

 

「お……おい?ホノカ?」

 

「エミリアさん、どのくらいの威力になるかわかりませんけど防御よろしくお願いします」

 

「えーっと……わかった。まかせて」

 

そうとだけ言って、木刀を上に真っ直ぐ振り上げる。

 

というかなんか木刀重くなってない?

 

「……本気?」

 

「本気だよ、エルザさん。頼むから一撃で沈んでね!!」

 

そして、剣道の要領で木刀を振り下ろす。

そうだせっかくだし技名言おう(唐突)

 

「『ストームレイジ』!!」

 

次の瞬間、辺りを破壊が襲った。




次で一巻まではおわりぃ

あとレムラムハッピーバースデー!!
Twitter見てて気づいた!!推しの誕生日覚えてないのはヤバいかも……wレムさんはまだ出てないけど待っててね!!ラムはこれからが本番です。ホノカをよろしく!!
レム「とりあえずあと二話後まで待ちますね」
ラム「ホノカならなにも言わなくてもついてきそうだから問題ないわ」

って、ことです!!あらためておめでとう!!(ちなみにですがホノカの誕生日は3月31日ですよー、皆さん覚えておいてくださいね☆)


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闇夜の帰り道

二日連続投稿!!
そして一章ラストォ!!


ガタガタと竜車に揺られながら、ボーッとする。

今日は本当に忙しかった。あの少年のおかげで何とかなったが、またあの少年は面倒な課題も持ってきた。

 

あの少年……ホノカは、何故かいるはずのない鬼の子だったということが一番の悩みだ。それだけではないけれど。

 

もう夜だ。しかし、急ぎで帰らなければならないので夜道だが竜車を動かしてもらっている。

 

ホノカとスバルという少年はまだ意識が戻っていない。

 

あの、破壊的な魔力が放たれた時、盗品蔵は粉々に吹き飛んで、見るとエルザの姿はなく、ホノカが横たわっていた。

 

結果からいうとエルザはそれでも生きていて、スバルが攻撃を防がなければ、エミリア様は確実に死んでいたと思う。

 

その後、フェルトが呼んできた剣聖 ラインハルトが来たことにより、エルザは颯爽と逃げていったわけだ。

 

ちなみにホノカが気絶したのはマナ切れが原因だ。彼はまだマナを理解していなかった様子だし、手加減が分からなかったのだろう。なんとも、常識のないのだろう。

兎にも角にもマナ切れしたままだと、命に危険もあるのでボッコの実という、マナを強制的に増幅させる実を食べさせておいた。それでも疲れ切っている様子のまま寝ていたが、今は回復し始めたらしくすやすや寝ている。しかし、マナ切れで体力のほとんどを持っていかれただろうから、起きるのは結構先になるだろう。

 

あ、ちなみにスバルに関してはエルザの一撃を防ぎきれずに気絶した。エミリア様が回復はしたので、命に問題はない。

 

………まぁ、そんなスバルのことはどうでもいい。問題はホノカだ。あの一撃は、盗品蔵だけでなく、周りの建物すらも、軽々と粉砕していた。あれほどのマナを持つものを、私は剣聖やロズワール様以外知らない。それにあの速さのエルザに対してあそこまで粘ることが出来るのは、正直、鬼でも不可能に近い。私が全盛期のあの頃なら軽々と出来たかもしれない。でも、私は異例中の異例。鬼全てが出来るわけがないのだ。鬼化をすれば話は別だが、彼はそれすらしていないのだ。

 

「………はぁ」

 

思わずため息が出るほど謎が多い。

 

謎といえばあの木刀もである。マナを吸い上げる武器なんて珍しい代物だ。それをホノカが、知っていて持っていた様子ではないが、あれを昔から使っていた……というようなことは言っていた。

 

そして、違和感。彼の存在にどうしても違和感がある。なぜか懐かしい気がしてならないのだ。

 

………まぁ、最後のは気のせいよね。

 

そんなことを考えていると、竜車がガタッと音を立てて止まった。

 

「流石にこれ以上は無理です、ラム姉様」

 

「そう……おつかれ、シフィ」

 

彼女はシルフィア。あだ名はシフィ。ロズワール邸で働くメイドの一人で私達の後輩兼妹分だ。緑がかった銀髪で、一本のみつあみに纏めていて、紫の目の、可愛らしい子だ。

控えてで優しく、礼儀正しい。その上、天然であざとく、純粋無垢な自慢の後輩だ。

 

「ふぁ……流石に眠いのでそろそろ寝ますけど……ラム姉様は寝ないんですか?」

 

「ちょっと考え事でね……」

 

「……ホノカさんのことですよね?」

 

「……そうよ。謎しかない……」

 

「私は悩むことはないと思いますよ。ロズワール様なら、なにか分かりますよ」

 

「……そうね」

 

ロズワール様を信用していない訳では無い。むしろ、信用しきっているのだが、何か違う。そうじゃない。

 

……でも、そんなことを言って、話を長引かせるような時間でもないので、とりあえず寝ることにする。

 

「おやすみなさい、ラム姉様」

 

「……おやすみ」

 

私も流石に眠くなってきたので、寝ることにしよう。

 

……その前に、ホノカを見る。

 

「………メロンパン……zzz…」

 

よく分からないことを言っている。そんな様子を見ると、悩みが吹き飛んだような気がした。

その髪があまりに綺麗だったので、撫でてみるとホノカは嬉しそうな顔をした。

 

……女じゃないのよね?ホントに

 

そう思うくらいには可愛らしかった。




あれなんかラムの口調おかしい気が……おかしいと思ったら、感想でどこがおかしいのか教えてくれ!!

今回、初登場のシフィちゃんは奏梅さんに考えて頂きました!!毎回毎回頼りすぎで頭が地面から離れませんよ!!

そして、一章完結ですよ!!早い!!次回から二章!!レムやロズワール、ベアトリスの活躍にもご期待ください!!それでは!!


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二章
目を覚ましたら、屋敷にいました


二章ー!!


僕は夢を見た。

暗闇の中で、何かが見える。それが何かハッキリとは分からない……赤い霧に黒い霧が混じっている。それだけだ。

そしてやがて、霧の中に何かが見えた……これは記憶だろうか。うっすらとだが何かの景色と人が見える。

よく見るとそれは幼い頃の僕と……

 

 

 

 

「……っ」

 

……よく寝たぁ……!!

瞼を開けると、そこには白い天井があった。やけに真っ白で怖いくらいだが。

 

「うーん……」

 

まだ起きてからあんまり経ってないし頭がボヤけている。

とりあえずここどこ……辺りを見渡してみると怖いくらい豪華だ。

 

多分だけどラムの言ってたロズワールさんの屋敷ではないだろうか。

 

「にしても今何時くらいかな……」

 

いやまずこの世界に時間という概念はあるのだろうか。

 

そんなことを思っていると、突然、大きい扉がノックされた。

油断していたのでめちゃくちゃ驚いた。でもお陰で目は覚めた!!

 

「いいですよー」

 

と言うと、一人のメイドさんが入ってきた。

銀髪……と言っても少し緑っぽい髪は一本のみつあみで纏めていて、紫色の目をしている。

とりあえず可愛い子だ。

 

「目を覚ましたんですね、お客様」

 

「えーと……誰?あと、ホノカでいいよ?」

 

「…分かりました。ホノカ様、ボクはシルフィア。シフィと呼んでください!!」

 

「えーと……シフィさん?様もいらないかな?」

 

「……ホノカさんでいいです?」

 

「……まぁ、それでいいよ!!」

 

同い年くらいの子だし、呼び捨てしてもらってもいいんだけどなぁ……(ブーメラン)

 

「で、シフィさん。ここはどこなんです?」

 

「ロズワール邸です。ラムお姉様から話は聞いてますよね?」

 

その問いに僕は無言で頷いた。

 

「ラムお姉様はもう一人のお客様にレムお姉様とついていますので、話を聞くなら後程……」

 

「……わかった。で…さ?僕は何で意識とんじゃったのかな?」

 

「ラムお姉様に話を聞くと魔力の使いすぎだそうです」

 

……なるほど……やり過ぎたかあの時。

 

「起きてから一日は安静にしておいた方がいいそうなので、今日はここでゆっくりしておいてください」

 

「わかったー……で、今いつ頃なの?」

 

「ちょうど陽日になったくらいですね」

 

……陽日?

 

「あー…そういえばホノカさんって、常識が通用しない人でしたね……」

 

「いやちょっと酷くない!?」

 

「ラムお姉様が言ってました」

 

「ラムゥゥゥ……」

 

いやあのメイド何を吹き込んでくれてるのさ。

まぁ、常識が通用しないのは間違ってないけどさ!!

 

「簡単に言うとお昼が陽日で、夜が冥日です」

 

なるほど……僕らの世界で言う、午前午後的な感じか!!

 

「とりあえず、起きてから一日安静が必要らしいので、今日はゆっくり休んでください。後でラムお姉様が来ると思うので、話はその時に聞いてください」

 

「わかった。ありがとーシフィさん」

 

シフィさんは一礼してこの部屋をさっていった。

いやぁ、にしても……可愛かった。あんな子、僕らの世界でいるのかな……

 

は?僕がいえたことじゃないって?ぶっ飛ばすよ?

 

 

 

……暇だ。ひっじょーに暇だ。

誰もいない上、この部屋からは出られない。これ程、暇なことがあるだろうか。

 

あ、そう言えばスバルはどうなったのかなぁ……死んでなきゃいいけど……

 

と、ここで荒々しく扉が叩かれた。

 

「おーい!!ホノカー?起きてるだろー?」

 

「寝てる」

 

「じゃあ誰が返事したんだよ!!」

 

そんなツッコミをしつつ、入ってきたのは噂をしていたナツキ スバルだ。

 

「なんだよー」

 

「こっちのセリフだ!!俺を邪魔者扱いして!!」

 

「実際そうだよね?」

 

「おいおい……」

 

ガックリするスバルを見て僕はにししと笑う。

 

「ねーねースバルー。この世界の本持ってきてー」

 

「いや唐突になんだよ……」

 

「勉強」

 

「……お前マジで言ってんのか?」

 

だって色々わかんないじゃん?

 

「まぁ、わかった。宛があるから持ってきてやる」

 

「わーい!!」

 

ということで暇とか言いながらスバルを追い出すのだった。

 

 

うるさいのがいなくなりまた静かになるかと思いきや、すぐさまスバルは本を持ってきてうるさくしてきたので、木刀で脅して帰してやった。

 

そして、すれ違いでラムが入ってきた。

 

「何してんの?」

 

「勉強べんきょうー!!」

 

「ま、常識がないわけだし、しょうがないわね」

 

「酷くね!?」

 

まぁ、もう慣れたけど。

 

「とりあえず、少し教えてあげるわ」

 

「やったー!!ありがとー!!」

 

「……の前に質問なんだけど、メロンパンってなに?」

 

「………なんで?」

 

「寝言で言ってたから」

 

「oh……」

 

うーわ……そんな恥ずかしいこと言ってたのか僕。

 

「えっと……パン?」

 

「それはわかるわよ」

 

「うーんと……難しいから今度作るね?」

 

「作れるの……?」

 

「うん」

 

まぁ、僕向こうの世界で料理結構やってたし。

 

「はぁ……とりあえず教えるわよ」

 

「はーい!!」

 

~時は経って~

 

「よーし!!全部覚えたぞー!!」

 

(イヤなんなのこの記憶力……)

 

なんと僕は今日だけで文字全部読めるようになってしまった。

 

「ウヅキホノカ……っと」

 

ちなみに書きも完璧である。

 

「………明日はここの常識を教えるわね」

 

「はーい!!」

 

よーし!!どんどん覚えるぞー!!

 

 

で、今日は終わったとだった。




久々書いた……ちなみにホノカは脳があんまり育ってないから覚えがはやいのです
ホ「は?」


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メイドじゃないよ!?執事だよ!?

正直、ホノカはメイド服の方が似合う自信ある
ホ「おい」


「朝だぁぁー!!」

 

朝が来た。いやぁ、にしても昨日はよく勉強したぁ。文字はとりあえず読めるし、次は何覚えよっかなー♪

 

トントン

 

と、今日も扉を叩く音がした。

 

「どーぞー」

 

がちゃりと扉を開けて入ってきたのはシフィさんだ。

 

「起きたんですね。おはようございます」

 

「おっはよー」

 

「とりあえず着替えをしてください。着替え終わった呼んでくださいね?」

 

シフィさんは僕が元々着ていた服を置いて、一旦部屋を出ていった。

なーんかあの子冷たい気がするなぁ。いいけどさぁ、ラムみたいに馴れ馴れしい方がいい気がするなぁ。

 

~少年着替え中~

 

「シフィさぁん、終わったよー」

 

そう言うと扉をまた開いて、シフィさんが顔だけを覗かせた。

 

「では、まず朝食なので、着いてきてください」

 

「はーい」

 

僕はシフィさんを見失わないように、走って追いかけた。

 

 

うーん、広い!!広すぎるよこの屋敷!!

なんと、朝食を食べるための場所まで5分以上かかった上、同じような光景しか見なかった。

 

「あら、来たのね」

 

あからさまに邪魔そうに見てくるのはピンクのメイド、ラムだ。

 

「相変わらずだねぇ……ラムは」

 

「ラムはラムだから」

 

「いや意味わかんないよ……」

 

と、またコントをしていると、料理をラムと瓜二つの青髪のメイドが運んできた。

 

「あれがラムの妹さん?」

 

「そうよ、自慢の妹よ」

 

「レムです」

 

「よろしくねー」

 

「…よろしくお願いします」

 

なんでちょっと嫌そうな顔するのこの人。

あ、人じゃなくて鬼でした。

 

と、そこにジャージ姿のナツキスバルがやってきた。隣にはエミリアさんもいる。

 

「あ、ホノカ。起きたのね」

 

「よぉ、ホノカ」

 

「エミリアさんおはよー!!」

 

「俺は無視かよ!!」

 

「えへへ」

 

「笑うところじゃねぇよ!!可愛いけど!!」

 

「……え?」

 

どこが可愛いのだろうか。

 

「………はぁ」

 

「ねぇ、ラム?なんでそんなため息なんかつくの?」

 

「全部ホノカのせいよ」

 

「えぇ!?」

 

僕なにかしました!?ねぇ!?

 

「……そんな事いいので、早く席に着いてください」

 

レムが痺れを切らして声をかけてきた。

 

「そう……だね。みんな座ろー!!」

 

「なんでお客のお前が言うんだよ……」

 

スバルのツッコミを受けつつ、僕は席に着いた。

それと同じくらいに……二人広間に入ってきた。

 

一人は髪の毛クルクルの幼稚園児……?で、一人はピエロみたいな格好の背の高い人だ。

 

「……だれ?」

 

僕はすぐ隣にいたスバルに聞いてみる。

 

「あー、あのピエロがこの屋敷の持ち主のロズワールで、クルクルのロリはベアトリスだ」

 

「言葉の意味は分からないけど馬鹿にされたのは分かったのよ!!」

 

「はいはい」

 

スバルはすっかりここに馴染んでいるようだ。適応能力高そうだもんなぁこいつ。

 

「で……ロズワールさん?」

 

「いかにーも、私がロズワール・L・メイザールだーぁよ。ウヅキ ホノカくん」

 

んー、なんだこの人。凄まじく変な人だぞ。

 

「とりあえずお二人もよろしくですー」

 

「……お前は面倒なやつじゃないのを祈るのよ」

 

「大丈夫僕スバルアンチだから」

 

「お前ほんっとに酷いよな!?おかしくないか!?」

 

なんだろうか、スバルならいじっても問題ないような気しかしないんだ。

 

「…ホノカ、お前よくわかってるのよ」

 

「いや、ベア子?」

 

ベアトリスさんとスバルの会話を見ているのも面白そうだけどそろそろ食べないのかな?お腹空いた。

 

「…そろそろ食べましょうか」

 

ここでシフィさんが話をきってくれた。

 

「……それでいいですよね?ホノカさん」

 

「うんー、よく分かったねー、シフィさん」

 

「顔に出てましたよ、お腹空いてるって」

 

「えへへー」

 

「……やっぱ女の子なんじゃ」

 

「男だから!!シフィさんまで言わないでよ!?」

 

 

 

「おいひー」

 

「やっぱ女の子だろお前」

 

「なんかスバルに言われるのは本能的に拒絶するなぁ」

 

スバルがいじろうとしてきたのを軽くあしらって、ロズワールさんの方を見る。

 

「…で、多分言いたいことがあるんですよね?」

 

「そーだーぁね、一番大事なことは後にするとして……とりあえず君には褒美をあげなきゃいけないんだーぁよ」

 

「んにゅ?僕なんかしましたっけ」

 

「やったじゃない。私を助けてくれたし、ラムを助けてくれたでしょ?」

 

まぁ、確かにエミリアさんとラムを助けたけど……

 

「え?それしかしてないよ?」

 

「……やっぱり無知ね、ホノカは」

 

「お姉様、無知と言うよりこれは病気だと思います」

 

「いやそこ双子!!地味に酷いよ!?無知なのは認めるけど!!」

 

この双子もほんとにシフィさんの大人しさを見習って欲しいものである。

 

「…あのね、私はルグニカの王選の候補者なのよ」

 

「……王選?ってことは王様になる得る人ってこと?」

 

「そういうことみたいだぜホノカ。これで自分がどれだけでかいことをしたか分かったか?」

 

「んー…でも助けるのは当たり前でしょ?褒美もいらないよー、むしろ匿ってくれたことに感謝すべきなわけで」

 

「……優しすぎませんホノカさん」

 

シフィさんにまで言われた。普通だと思うけどなぁ……

 

「まぁ、俺ももらったんだからもらっとけって」

 

「じゃあ、住ませて。雑用でもなんでもするから」

 

僕は真っ先に浮かんだのはそれだった。だってまだ住む場所ないんだもん。

 

「んー、いーとーぉも」

 

「ってことはお前もここで働くのか?」

 

「そーゆーことかなぁ」

 

「……ホノカも欲がないのね」

 

エミリアさんが凄く残念そうな顔をしている。

え?なんで?

 

「じゃあ、私はスバルに付き添ってるから、シフィ、後でホノカにこの屋敷を案内しておきなさい」

 

「わかりました」

 

「あ、あとメイド服用意しときましょう」

 

レムさん!?

 

「いいわね、しときましょうか」

 

ラムさん!?

 

「……そうですね」

 

シフィさん!?

 

「ということでホノカ……」

 

「僕はメイドじゃないから!!執事だから!!僕、男だからぁ!!」

 

相変わらず、この見た目のせいで苦労が耐えない僕なのだった。




しばらくはリゼロ1本で行くかもです。にしても、ロズワールの口調は未だに難しいなぁ


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空が裂けました(僕のせいです許して)

お久しぶりです。
ファンからの感想が一番投稿する原動力になります。


ここで働くことが決まった日。

僕は色んな仕事をテストでやらされた。元々家事は好きだしこの程度の仕事なら何の苦もなく出来そうだ。かくいうスバルは割と苦戦気味のそうだけど。

 

で、今はその日の夜なんだけど。

 

「今日はここまででいい?」

 

「充分よ。バルスの5倍以上はもう覚えてるわよ」

 

目つぶしの呪文と化したスバルのことはさておき、ラムと勉強をしているところだった。

 

「だいぶ覚えたし本もある程度は読めるよー」

 

まだ2日しか勉強してないにしてはかなり覚えられた気がする。

 

「あ、そういえば。メロンパンどーすればいい?」

 

「そうね、気が向いたらでいいわ」

 

「分かった」

 

というかまずメロンパンの材料なんてここにあるんだろうか。

 

「あと、明日の朝ちょっとだけ魔法の稽古したいんだけど来てくれる?」

 

あの時使ったストームレイジはあまりにパワーを制御出来ていなかった。また使うべき時が来た時のために練習しておきたいのだ。

 

「私は朝は無理ね」

 

「なんか用事とかあるの?」

 

「起きたくないからよ」

 

「うーんさすが」

 

そこら辺はぶれないのがラムである。

 

「私からシフィに頼んどくわ」

 

「おー、それなら安心。ありがとー!!」

 

「はいはい」

 

そう言ってラムは部屋から出ていった。

 

 

そして次の日。僕はロズワール邸の庭に来ていた。

 

「まず聞きますけど魔法の属性って分かりますか?」

 

「知らない!!!!」

 

「清々しすぎて逆にいいですね」

 

「えへ」

 

「褒めてないですけど……まぁいいです。教えますね。魔法には属性があって、基本的に4つ、他に二つあります。基本は火水風土、他二つとして陰と陽があります。エミリア様とレム姉様は火、ラム姉様は風、ベアトリス様は陰、私は火と陽です。ちなみにロズワール様は基本四属性全てを使える凄い人なんですよ」

 

「へー、ってことは僕は風に適性があるってこと?」

 

「多分そうですね」

 

なるほどー。

 

「でも火って言ってもエミリアさん氷使ってたよね?」

 

「火は温度を操ると言った方が分かりやすいですね」

 

「あーね、完全に理解した」

 

低温にして氷を作ってるわけか。

 

「流石に理解力ありますね。でも、風に適性があること分かってるならラム姉様がいればすごく分かりやすかったんですけど……」

 

「確かに」

 

まぁ、ラムはめんどくさがり屋だし朝なら尚更面倒だろう。

 

「全く困った姉様です」

 

「シフィさんって面倒見いいよね」

 

「そうでもないですよ。まだ姉様に頼ってばかりですから」

 

「そうでも無いと思うんだけどなー」

 

自分に自信を持つべきだと思う。

 

「とりあえずその木刀ってマナを吸うんですよね?だったら無茶して技を自身から撃たなくても今はそれを使うのでいいのでは?」

 

「そうだねー……にしてもこの木刀なんなんだろうね」

 

「私にも分からないです。ホノカさんが知らないなら誰にも分かりませんよ。ロズワール様も分からないって言ってますし……でもベアトリス様なら何か知ってるかもしれませんね」

 

「ベアトリス?」

 

「はい、ベアトリス様は禁書庫に住んでいます。禁書庫にはかなり多くの本があります。知識豊富なので」

 

へー、ベアトリスって凄いんだなー。

 

「とりあえずマナを流してみてくれませんか?」

 

「うん」

 

僕は背中にかけておいた木刀をいつも通り構えて目を瞑り上手くマナを流す。

 

「うーん……」

 

「えっと…流しすぎなのでは?」

 

「え?」

 

目を開いて木刀を見るとこの前ほどではないけどかなり濃い緑色になってきていた。

 

「おお」

 

「おぉじゃないですよ。何してるんですか」

 

「調整が難しいなー」

 

「……それにしてもよくそれだけマナ込めて辛くないですね」

 

「全く辛くないない」

 

「流石です。とりあえずそれ自身の体に魔力を戻せません?」

 

「うーん……ちょっと待って」

 

何とか引っ込めようとするけど上手くいかない。なんか引っかかってるような感じがする。

 

「何と言うか、マナを流すことは出来ても戻すことは出来ないみたい」

 

「じゃあそのマナはどうするんですか」

 

「空にでも撃つしかないかなー……」

 

僕は木刀を真上に向けて折角なので技を叫んでおく。

 

「『ウィングスラスト』!!」

 

雲が裂けた。

 

 

「それで今朝の爆音はなんなんだぁーね」

 

「僕のマナの爆撃です」

 

「そうですね」

 

とりあえず僕達は今朝の雲裂け事件について朝ご飯時に問い詰められていた。

思いの外火力の出たウィングスラストは空に浮かぶ雲まで届き、雲を吹き飛ばしたのだ。これを上じゃなく横に撃っていたらどうなっていたのか考えると怖すぎる。

 

「とりあえず早く慣れて貰わないと困りますね……」

 

「それ僕も思う」

 

どうしようもないけど早く慣れないと戦うことも出来ないし、この世界で生きていくなら是非とも戦えるようにはなりたい。

 

「しばらくはもう少し魔法に長けた人の管理の元で特訓するしかないわね」

 

「あ、ベアトリスで思い出したけど、僕の木刀について何か知らない?」

 

「マナを吸う木刀だったかしら?」

 

「はい、ベアトリス様なら何か知ってると思ったので」

 

「昔、本で少しだけ見たことあるのよ。こっちの世界では昔に使われていたことがあったらしいのかしら。でも今は普通の剣でもそれが出来るから木刀を使うことはないわ。斬れ味は全くなくて打撃にしか使えない武器なんて使い勝手が悪いだけなのよ」

 

「流石」

 

僕よりも小さいのに凄い知識力なんだなー。

 

「でも風属性なら例外もあるんだよーぉね。風属性と木刀は割と相性がいいんだーぁよ」

 

「へぇ」

 

「風属性は放てば刃になるわ。だから使い方によっては木刀でも敵を斬れるし、打撃に使ってもその後に風の衝撃が出るから、簡単に言うと1回で2回分の打撃を出せるのよ」

 

ロズワールの言葉をラムが補足する。

 

「なるほど……じゃあ、これも上手く使えば僕なら使えるってことか」

 

否、上手く使うことができるようになればだが

 

「とりあえずこれから毎日練習してはやく皆の役に立ちたいからよろしくね」

 

「毎朝やるんだったら僕が見てあげようか」

 

そこで声を上げたのはいつの間にかエミリアの肩に乗っていたパックだった。

 

「確かにパックなら安心かもね」

 

「朝の運動のついででやらせてもらおうかな」

 

と、言うことでこれからはパックが僕の朝練に付き合ってくれることになった。

 

 

でも、その朝練をすることはなかった。

僕がこのまま平和に終わると思っていたのが間違っていたのかもしれない。

 

 

 

翌朝、スバルの死が確認された




二章を抜ければ.........書きやすんや.........頑張ってくれ未来の俺.........


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