復讐心を抱く紅 (ライドウ)
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第1話 ガントレット
燃えている・・・
私の家が・・・私の居場所が・・・
紅く、熱く・・・赤色の水たまりが私の目の前に広がっている。
見慣れたパジャマドレス、見慣れたメイド服、見慣れた羽・・・
全員・・・・・・
”死んでいる”
蝙蝠の羽を持っている主は銀の弾丸に貫かれて、壁に縫い付けられており
宝石の羽を持っているその妹様は・・・大量の杭に貫かれて・・・原型すらわからない。
メイド服の少女は・・・散々弄ばれた後、殺されたようで乱れているメイド服が赤く染まっている。
紫色の少女は、すでに連れ去られて・・・どこかへ行ってしまった。
その中で・・・私は・・・・・・
唯一・・・無傷で絶望してた。
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紅魔館が外来人たちの襲撃に会い、焼失。
10月13日 紅魔館が外から来た外来人たちに攻められ滅ぼされた。
住んでいた住人たちの死体も確認し、唯一生き残っていた”紅美鈴”氏と”小悪魔”氏も保護された翌日には行方をくらませてしまった。今回のことで、外来人に対する警戒が強化された。
幻想郷の管理者”八雲紫”氏は、紅美鈴氏達の行方を知っているようだが?
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ブロロロロロロ・・・
私が乗っている軍用トラックのエンジンの音が聞こえる。
ああ、どうやら私は軍用トラックで揺られている間に眠っていたのだろう。
私は、走行中のトラックから降りる。
そのまま軍用トラックは、道を進んでいきそのまま見えなくなった。
「ここは・・・・・・アフガニスタンか・・」
私がかつていた幻想郷といわれる場所の外側の世界・・・
そして、私は・・・その外側の世界のうちの戦争地帯へと足を踏み入れていた。
あの日、紅魔館が燃え堕ちたあの日・・・私は、紅魔館を滅ぼした奴らに復讐を誓っていた。
あいつらが落したであろう黒いものを妖怪の賢者に見せれば、妖怪の賢者はその持ち主たちのことをよく知っていた。
”アーフィリム傭兵団”という。黒い噂しかない、傭兵団らしい。
独自のルートで武器・・・銃というらしい、それを仕入れて、気分によってテロを起こしたり罪もない一般人を殺したり犯したりするらしい。パチュリー様を連れて行ったのはおそらく不老不死になるためだろう。
そのため私は、紅魔館の生き残ったメンバーでもあるパチュリー様を取り返すために小悪魔さんと一緒にこうして現代にいるのだ。
残念ながら小悪魔さんは別の仕事で今はいないけど。
そんな考え事をしていると、イヤホン型の通信機が通知を知らせてくれる。
≪よお、ガントレット。”無事に”目的地には着いたか?≫
「・・・レイジナス。おちょくるのはやめてくれない?」
≪おぉ、怖い怖い。まあ、そこは目的地だから安心しろガントレット。≫
「そうよかったわ、通信終了」
そういって、私は通信を切る。
今の男は、レイジナス。といって、私たちを拾ってくれた傭兵だった運び屋だ。
運び屋としての腕は確かで、精密機械さえもヘリで空輸できるほどの腕前だ。
だが、性格はお調子者。不真面目なので、どことなく頼りない。
しかし、彼の情報網は確かなものなので、信頼している男だ。
≪ガントレットちゃんに褒められた気がした≫
「帰ったら張り倒すわよ。」
≪ふひひwwwサーセン≫
これだから・・・
少し呆れながら、通信を今度こそ切る。
そして、依頼の場所へと歩を進める。
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第2話 スカーレット・グリムリーパー
あれから、何時間歩いたんだろう。
途中で、羊の群れを見たり敵の監視所を見つからないように通ったりしてこの荒れ果てている荒野を進んでいた。
紛争地と言えど、そこにかすかにある生態系は確かで、あとで動物保護NPOにいい報告ができそうだ。
現地に住んでいるのは、雇われの兵士か数少ない雇い主のアフリカ防衛軍の兵士たちだ。アフリカ語は、ほぼ全てを習得したが、各部族の言葉までは、また理解ができていない。
アメリカの海兵隊や、日本の自衛隊なんかもいるが、アメリカの海兵隊は最前線。はたまた日本の自衛隊は最後方だ。まあそれは、アメリカと日本が結んでいる条約云々のせいだろう。
・・・・・・なんだろう、久々にお味噌汁が飲みたくなってきた。(霊夢さんのお味噌汁、美味しかったなぁ・・・・・・)
「さてと、着いたのかな?」
独り言をこぼし、前方300メートルにある基地を見る。
本当なら、双眼鏡を使うのだけれど、この距離ならばなくとも見える。
「こちら、ガントレット。目標基地を発見、300の位置で待機中だ」
≪ん?バリバリ・・・ハイハイ、こちらレイジナス。ポテチ食いたいから手短にな≫
(敵の基地についたわよ)「蹴り飛ばそうか、貴様。」
≪おーい、本音と要件が逆になってないかー?≫
「ん?気のせいだ」(ちっ、勘のいい奴)
≪お前・・・はいはい、ブリーフィングを始めるぞい≫
「はぁ・・・」
まったく、この男は・・・さすが
能力だけなら、あの霊夢さんにすら劣らないのに・・・なぜこの男は・・・
≪クライアント様の依頼は、あの基地に忘れた極秘資料を回収することだ≫
「極秘資料を忘れた?そのクライアント少しあほなんじゃないの?」
≪アフガニスタン大戦を兵士上がりで生き残り、現階級は中将、しかしディスク作業は苦手といい前線指揮をしている。
兵士想いのホワイト将校で、しかも妻子持ちで浮気なんてしてない真人間だぜ?≫
「・・・そんな人がなぜ。」
≪クライアントが言うに、唐突に黒い装備を付けた人間に襲われ基地から逃げるしかなかった。
しかし、大急ぎで逃げたからその極秘資料を忘れたそうだ≫
黒い装備を付けた人間・・・10年前紅魔館を襲ったやつらも黒い装備を付けた人間たちだった。
もし、それが私の復讐相手なら一人残らず殲滅する予定だ。誰が何と言おうと・・・
殺しつくす・・・あいつらの関係者なら。
≪ガントレット。殺してもいいが・・・痕跡は残すなよ?≫
「・・・ああ。」
≪で、その極秘資料は二階の金庫の中に入っている。米国が欲しがる極秘資料だそうだ≫
「まさか、あの敵は米国と?」
≪その可能性は高いな。≫
それならば、基地を謎の敵が襲撃したのも頷ける。
その敵が、アメリカに繋がっているならばアメリカは難なくその極秘資料を盗み出せる。
そう考えると、今回の敵は私の復讐相手ではないことが分かる。
10年間集めた奴らの情報によれば、あいつらはどこの国にもアジトと言うものが存在しなく、また国ごとに関係者がいるから国一つ一つにアイツらのメンバーがいるという事だ。しかも、少数精鋭で練度もかなり高い。
しかも、それぞれの国が、そいつらが犯す犯罪に目をつぶっている。アイツらによって潰される可能性があるからだ。しかし、あいつらは仕事を受けない。正確には、アイツらのトップが指示して、国ごとのメンバーが活動するテロリストのような集団だ。だから、私の・・・・・・私たちの復讐相手ではない。
そう思うと、段々と殺気が収まる。
《 ガントレット?》
「・・・・・・問題ない。これより、作戦を開始する。」
《 ・・・・・・OK。ドジるなよ?》
「あぁ・・・・・・」
通信を切り、懐に隠していた拳銃。
河童が作ったコルトガバメントに、河童性のサプレッサーを取り付ける。
撃つことは無いだろうが、一応リロードしておく。
「ガントレット、
「なあ、聞いたことがあるか?」
「何をだ?」
「スカーレット・グリムリーパーの事だ。」
「あぁ、なんとなくだがな。」
スカーレット・グリムリーパー・・・・・・恐らく私のことだろう。ずっと前の依頼の際に、ドジを踏んでとある基地の兵士を壊滅させたその時に生き残った兵士がどうやら私を目撃していたらしく、私の返り血を浴びた姿を見て、血色の死神・・・・・・スカーレット・グリムリーパーと名付けられた。
本当ならば、私的に言えば本当に不服としか言いようがない二つ名でもある。
「なんでも、そのスカーレット・グリムリーパーには、悪魔の射手という相棒がいるらしいぞ」
「悪魔の射手・・・たしか、悪魔の姿をしたスナイパーだったな。」
「ああ、伝説のスナイパー”テレトア”が唯一勝てないと表明したスナイパーだ。」
「マジかよ。」
多分、悪魔の射手は小悪魔さんのことを言っているのだろう。
小悪魔さんも、”テレトア”さんには一生勝てない。と言っていたのだし
「まあ、こんなところでだべってないでさっさと警備に戻ろうぜ」
「ああ、そうだな。」
そう言って、警備兵の二人がどこかへといった。
あの二人が話していたところは、今回私が侵入し極秘資料がある部屋でもある。
≪その部屋だ。その部屋に極秘資料を隠してあるらしい≫
「この部屋・・・ね。いかがわしいものはないでしょうね?」
≪部屋には、確かにそういうデゴイが仕掛けてあるが・・・まさか敵もこんな部屋に隠しているとは思わないだろうな≫
「・・・最悪ね」
≪といってもその部屋は副官が作った部屋らしい≫
「・・・指揮官というよりかは副指揮官に問題あるわね。」
そう言って私は、ダクトから飛び降りたのであった。
ようやく・・・ようやく投稿できた!
あとお久しぶりです!本当に遅れて申し訳ありません!
ネタが本当に思いつかなくて、結構寝込んでました!
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第3話 スカーレット・グリムリーパー2
おそらく、クライアントのと思われる机をあさる。
すると、ボタンのようなものを引き出しの奥に見つけたので引き出しの中に手を突っ込んで
そのスイッチを押す。すると、絵画と思われた絵が壁ごと空いて、金庫をのぞかせた。
≪おそらくそれだな、暗証番号はクライアントから送られている≫
「番号は?」
≪41234125635≫
「4、1、2・・・3、4、1、2・・・5、6、3、5」
ジーニアスの言った番号を慣れない手つきで押してゆく。
そして、最後の数字を入れた途端固く閉ざされていた金庫が開き資料が顔を見せた。
極秘と英語で書かれたそれは、薄いような厚いようなファイルで中には何こもの付箋が張られていた。
≪間違いなく、それだな。それと≫
「・・・ああ、敵が来てるわね」
どうやら私が侵入したことがバレてしまったらしい。
だけどまあ、この程度の警戒率じゃあ私は簡単には見つかってやらない。
パパッと部屋を元の状態に戻し、見つけた極秘資料を懐に閉まってダクトに飛びつき腕力だけで再び空調パイプの中に戻り、そのダクトを閉じた
その30秒後にドアが強引に開け放たれフラッシュグレネードを投擲される、私は目を腕で多いそれを回避し
収まったのを感じると閉じたダクトから部屋をのぞき込む。
「・・・ふむ、どうやらネズミが入り込んだようだ」
(!?)≪なっ・・・バレてやがる≫
部屋に入り込んだのは、黒づくめの兵士と小さいフードをかぶった人物、そして金髪サングラスで黒服の男。
あれが、この基地を強襲、奪取した部隊なのだろうか・・・
それにしてもあのフードの人物・・・どこかで
「っ!!」≪どうした?≫
私はダクトから急いで離れる。
それはなぜか、あのフードの人物の目を見たからだ。
紅い瞳で、黒く細長い爬虫類のような瞳孔、妙に紅く光るそれはどこか見覚えがありまた恐怖感がぬぐえない。
間違いない、”アレ”は強い。
「・・・ほぉ、なるほど。引くぞもうここには用がない」
「「「「サー、イェッサー」」」」
≪・・・行ったか≫
「ああ、そうだ。聞いているか分からんと思うが」
(!!)≪?!≫
「仮に、生きて帰れるとは思わないことだ」
と、サングラスの男が退出するがあのフードの人物はどうやらいるようだ。
強者が放つ威圧がそのまま駄々洩れている。
ここは動かないのが正解だろ・・・下手に音を出せば勘づかれる。
「・・・・・・っ」
だが、どうしてだろう。
この威圧感にはどこか覚えがある。記憶的な?いや違う、もっと親しい間柄で、体が覚えている相手・・・
「・・・・・・」キィッ・・・
どうやら部屋からフードの人物も退出したらしい。
「・・・」
静かに息を吐き、力を抜く。
≪やれやれ、一時はどうなることかと・・・いや、まだだな。さっきのフードマンがまだその基地に居やがる≫
「・・・考えられるのは」
≪おそらく、
「分の悪い賭けは嫌いだ」
≪まーまー・・・いま、 スナイパーサイトもそっちに急行している。どうする?≫
「・・・脱出する。細心の注意を払いながら、な」
≪はいはい、情報を更新しておく。抜かるなよ。ガントレット≫
そう言って、レイジナスが通信を切る。
私は狭いダクトの中でどうにか体の方向を変えて出口を目指す。
==========
三時間後
どうにか、元々入って来たダクトには戻って来た。
しかしそこにはフードの人物が”複数人”で陣取っておりまるで私がいることがわかっているようだ。
さて、この三時間ただ移動してきたわけではない、こっそりこの基地の動力部に降りてC4を仕掛けてきた。
それを起爆させればこいつらの注意は反れる。それに確かサブの依頼に動力部の破壊もあったはずだ。
私は、黙ってC4起爆装置を起動させる。
ドカァァァァァァンっ!!
ダクトの中でも分かる強い衝撃が私を襲う。
すると、ダクトの前で陣取っていたフードたちも反応せざるを得ずおそらく基地内部へと去っていった。
(行動するなら、今!!)
私はダクトから飛び出し走り・・・っ!!
とっさに感じた殺気を左に転げることで回避する。
すると、私が降り立った場所には機械チックなブレードが振り下ろされておりもし私がそのまま走り出していたら即死だった。
私は懐にある拳銃をいつでも取り出せるようにしつつ、その紅いフードの人物をにらみつける。
ああ、この感覚は・・・間違いない。
「クソがっ!!あいつら・・・」
フードの人物が邪魔なのだろうか、フードを脱ぎ捨てる。
そこに居たのは
「”妹様”達のDNAを利用して生物兵器を作り上げやがった!!」
”妹様”によく似ているが、首から下がサイバー的なスーツで身を包んだ存在だった。
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第4話 ”ヴァイオレッド”
≪どういうことだ、知っているのか?!ガントレット!!≫
「ああ・・・数年前、私の居場所を奪ったあいつが殺した、恩義のある人の妹によく似ているんだ」
≪それは・・・つまり≫
「あいつは、間違いなく私の復讐相手ってことだ。」
≪だが、今その目の前にいる奴は似てるんだろ!?やりづらくないのか!?≫
「・・・やり辛いに決まってるだろうっ、だがやらねば。やられるっ!!」
そのレイジナスへの返答と同時に腰脇にあるガンホルダーからデザートイーグルを取り出して
バンッバンッバンッ!!!カランカランカラン・・・
その敵に向けて発砲した。マズルフラッシュと共に鉛玉が飛び出し、薬莢が排出されて落ち、音を出す。
そしてすぐにバックステップで距離を取り、デザートイーグルを構えなおす。
「銃弾は、斬られたか」
≪うっそだろ!?銃弾を切るとか、サムライじゃないんだぞ!?≫
「私の知り合いには幽霊すら断ち切る庭師がいるぞ」
≪おいおい、冗談を言っている暇があったら逃げろ!!そいつはやばい!!≫
「それは一番私がよくわかってる・・・でも、逃げられると思うか?」
≪・・・くそっ!!今情報を見つけ出す!それまで死ぬなよ!!≫
そう言ってレイジナスが荒々しく通信を切る。
右手で持っているデザートイーグルは小さく震えてしまっている。
それを左手で無理やり抑え込み、妹様と過ごした日々を思い出しつつにらみつける。
「・・・・・・」
人形のように不気味で、目に光はなくサイバーチックなボディースーツが異様な光を放っている。妹様と同じ翼は無い物の、その顔つき、髪の色、体格はまさしく妹様のそれだった。
「・・・っ」
嗚呼、私はどうすればいいんだ。
この妹様モドキは間違いなく偽物だ。だけど、だからこそ撃つことができない。
彼女を撃つということは、妹様を撃つということだ。
そんなの、私には到底できない。
≪美鈴さん、伏せてっ≫
「!!」
その言葉を聞いて、反射的に頭を下げる。
すると私の頭すれすれをマグナム弾が通過する。高速で、そして意識の外から放たれたそれは、機械チックなブレードに切り裂かれることなくそれの胴体に突き刺さった。
それを放った人物は、どうやらここにたどり着いた小悪魔さんのようだ。
それにしても、いい腕だ。
「っ!!すまない、助かった!!」
≪いえ、まだですっ。左に飛んで!!≫
その声の通りに左に飛び込む。
そして、少しでも私に注意が向くようにデザートイーグルの引き金をそいつに向けて撃つ。そうだ、何を勘違いしていた。あれは”フランドール・スカーレット”じゃない。
ならば話は簡単、殺すだけだ。
胴体に受けた銃弾で動けないそれに、私が撃った弾は吸い込まれるように当たる。
肩の関節、腕の関節、足の付け根と関節に一発づつ当たる。
そして、追撃で小悪魔さんがそいつの頭にマグナム弾を撃ち込む。
≪今です、逃げてっ!!≫
「!!」
私はわざと基地内部に向けて走り出した。
≪ちょ!?そっちじゃないです!?≫
「違う、ヘリ!!」
≪っ!?なんで!?≫
そう、ついさっきから遠くでヘリと思わしきローター音が聞こえてくる。
おそらくは戦闘ヘリだろう。それも一機だけじゃない3機。
「着たっ!!」
走りながらそのヘリを見る。
そこには、なんと今度はレミリア様によく似た少女が私に向けてAKを向ける。
数秒後には合計4つの銃口から連続して弾が撃ちだされる。
正確だけど、けれども連携ができていない。
だから私に命中弾は出ず、だけど至近弾ばかりでる。
≪ガントレット!!そこから100M左!!≫
「っ!!了解っ」
100Mを走り抜け、左に飛び込む。
≪ダッシュ!!≫
「人使いが荒いな!!」
≪生き残るためだ!!≫
レイジナスの指示に従ってまた走り出す。
ヘリは追いかけてくる。もちろん、兵員輸送用の兵だけでなく攻撃用ヘリ・・・スーパーコブラも追いかけてくる。
≪美鈴さん、私ならパイロットを撃ちぬけますよ≫
≪スコープ!!そこから南西に5kmにヘ撃ちぬくのにのにちょうどなポイントがある!!そこに移動!!≫
≪了解ですっ!!≫
≪ガントレット!そのまま南西に走れ!!≫
「了解だっ!!」
ついにAKだけではなくヘリ付きのガトリング砲まで撃ち始めた。
これも精度は甘いが・・・でも、厄介だっ
「やってみるか。」
≪おまっ!?≫
私は止まって反転し、デザートイーグルを構える。
そして、引き金を引きガトリング砲だけを動かさないようにする。
≪ひやひやさせるなっ!!≫
「でもこれで・・・あっぶ!!」
≪あと少しだ!!走れ!!≫
デザートイーグルを閉まって南西に走り出す。
≪お待たせしましたっ≫
「頼んだ、スコープ」
≪お任せ、ガントレット≫
遠くの方で発砲音、それも三発。
SRの発砲音、そして私の頭をすれすれで通る強化ガラスを突き破る強化徹甲弾
それは、するりとそれぞれのコックピットを赤く染める。
ヘリは自由を失いそれぞれ地面に激突し爆発する。
搭乗していたあの兵器たちもそれで息絶えている。
あの妹様に似てるのもヘリに押しつぶされている。
≪・・・終わったな。戻れ、あれの情報を見つけた≫
「・・・ああ」
「美鈴さん、あれは」
「わかっている。わかっているが・・・」
やはり、似ているということは、そういうことなのだろう。
彼女たちもお嬢様たちと言うことだ、いくらクローンやコピー、生物兵器であろうとも。
==================
???
「・・・そう、6番から19番がやられたのね?」
「はい、マスター。シスターズのうち6番から19番のシグナルをロスト」
「こちらのシスターズの4番もシグナルロストです」
「・・・そう。」
薄暗い研究室。
金銀の吸血鬼に似た少女が二人、白衣を着ている女性にそう報告する。
そんな中その女性は、冷静にまた冷酷に振る舞い強がっていた。
「・・・っ」
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第5話 ”BRA ナマケモノ”
いつも通り・・・と言うわけではなかったが、碌でもない仕事を終わらせ行きつけの酒場でお気に入りの酒を飲む。
紅魔館にいたころとは全く別の生活、まったく別の習慣。
でも数年も続けているうちに慣れてしまった。
「ご注文は?」
聞き慣れた声、聞き慣れたセリフ。
私は煙草を蒸かしつつ、いつものと注文した。
「ウィスキーのハーフロック。ですね、少々お待ちを」
この現実は、あの時の非現実をわずかながらに癒してくれる。
仮にも恩人に似た彼女たちを、撃って撃ち落して殺したのだ。
罪悪感が無いわけではない。むしろ、罪悪感はありすぎで困る。
ふぅー・・・と、たばこの息と一緒に吐き出すため息。
「お待たせしました。」
マスターが私が注文したものを持ってきてくれた。
ありがとう、と言いつつまずは軽く一口。
「・・・おいしい。」
ウィスキーの香りと味わいが引き出されており、おいしく感じる。
今は防弾ベストとか暗視装備などは付けていないから多分外見から見たらただの女が飲んでいるだけだろう。
ちなみにこのBARでは争いは一切禁止されてる。喧嘩しようとした途端、マスターのレミントンM870が火を噴くのである。マスターの射撃の腕は間違いなくヤバい
「それで、今回のお仕事はどうでしたか?」
「中々、きつかったよ。」
「そうですか。では店のおごりでこちらを」
するとマスターは、厨房に入って行きしばらくしてガーリックシュリンプを持ってきた。
これは中々、いい摘みになりそうだ。
「ああ、それと。こちらを。」
懐からパッと封筒なようなものを私に差し出してくる。
どうやらマスター経由で、あの男からの調査結果が渡されるらしい。
よほど、あの男は忙しいと見た。
「では、ごゆっくり」
「ありがとう、マスター」
マスターが離れてゆくのを見て私は封筒から調査結果に目を通す。
=====================
”S‐444 Ⅴiolet”
現在は近接特化型の
しかし、万能戦闘型の
これを開発した博士は現在この
一度も顔を見せたことがないことから”
”近距離特化型生体兵器
”S‐444 Ⅴiolet”の近接特化型タイプ。
注目すべき点は見目麗しい容姿ではなく、人知を超えた身体能力と性能である。
ミニガンの超速射の弾丸すら切り裂き装甲輸送車の全速力のスピードにも追いつく身体性能と言われており
戦場では”破壊の子”と呼ばれて恐れられているらしい。
”中遠距離専用生体兵器
”S‐444 Ⅴiolet”の中遠距離専用タイプ。
注目すべき点は見目麗しい容姿ではなく、異常なほどの射撃正確率、カリスマと言えるほどの指揮能力、そして常軌を逸した集中能力である。
彼女たちが持つ銃のサイトの先では必ず敵がハチの巣にされ、彼女たちが持つスナイパーライフルのスコープでは赤い花が咲き誇っている。身体能力は普通。(それでも常識を超えた身体能力だが)特質すべき点は射撃能力が高いということだけだ。しかしながら、生体兵器でありながら戦車や軍事ヘリなどの兵器も使えることからフランドールよりも対処が難しいとされる。
ごくたまに頭を抱えて震える個体もいるようだ。その際、うー。とかわいらしい声も聞こえるとかなんとか。
======================
「・・・・・・」
調査結果をそっと丸め潰しそっとしまう。
やはりと言っていいほどあの生体兵器はレミリア様と妹様のDNAを使って作られているみたいだ。
だとするならば、私は
銃の製造だけでなく、戦車や戦闘機、果てには戦艦を作っている。
キャッチフレーズは”棍棒から起動兵器まで”というどこかで聞いたようなフレーズで安定性も高いと言われている。
(・・・いや、今だけは考えないようにしよう。)
そう思いつつ、ウィスキーが入ったグラスを傾け、ガーリックシュリンプを軽くつまむ。
「お待たせしました、美鈴さん」
隣によく知った顔・・・小悪魔さんが隣の席に座る。
小悪魔さんはマスターに赤ワインとカプレーゼを注文していた。
マスターはかしこまりましたと言うとテキパキと用意を進めていた。
「で、どうでしたか?」
「どうも何も、私たちが見たものがすべてだったわ」
「・・・やはり、あれは」
「ええ、そういう事。」
私と小悪魔さんの間で沈黙が流れる。
仮にも恩義のある主、召喚主の親友を撃ったのだ。流石に心にくるものがある。
私たちにとってそのお二方は、とても久しく恩義のある人でもある。
小悪魔さんにとっては恐ろしい存在ではあったものの、実はこっそり遊び(ボードゲームとか)に付き合っていた間柄だった。それゆえ、撃つのにも殺すことにも躊躇はある・・・それほど似ているのだ、
仮に撃たなければ自分たちが殺され、撃てば恩人の影がちらつくのである。
「・・とてもやり辛いわね」
「・・・・・・ええ」
そのあと、一言も会話せずに静かにグラスを傾けていた
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第6話 少しの休暇
煙草をくわえつつ繁華街を歩く。
この町は、ロサンゼルスと呼ばれる大きな町だ。
ここにBRAナマケモノはあるし、ここのどこかに私たちのアジトがある。
普段は尾行などをされて特定されないようにこの街をブラブラしているし
アジトには以来の時以外近寄らないように指示されている。
「この街の活気は他と比べてすさまじいな」
にぎやかな街、街自体が繁華街のようなものだ。
小悪魔さんは報酬金を片手にカジノに走りこんでいったが私はゆっくりとこの街を歩く
少し歩道を歩くだけでそこらへんで、喧嘩や薬物売買などが横行している。
ここら辺は、私が縄張りとしているのだが・・・
「おいお前ら!ここは美鈴の姉御の島だぜ!?」
「誰の許可を得てここで商売やってんだ!?あ”?」
と、どこかで見たことあるチンピラ二人がその薬物売買に割り込んでいく。
あの二人はこのロサンゼルスに来た時に絡まれたので殴り倒したらいつの間にか舎弟になっていた二人だ。しかも、あの二人の人望も厚いらしく私の縄張り・・・つまりあいつらの言う島を(あいつらが勝手に)見回っている。
その二人が絡んでゆくと商売人と購入者は散り散りになって逃げ始める。
「おい!まてごらっ!!」
二人がそれを別々で追いかけだして売人の小さな人影が私のところに近づく。
はぁ・・・こうなったら捕まえるしかないか。
その小さな人影も私の姿を見るとナイフを構えた。
「あっ、姉御!?ちょっ、こいつナイフ持って」
「そのナイフ、捨てなさい」
近づきながらそういう。
「姉御!?危ないですよ!?」
その小さな人影はバッと私に飛び掛かりナイフを突き刺そうとする。
私はそれを体を左に逸らすことで回避し、そいつの手を軽くたたく。それだけで持っていたナイフは地面に落ち、その人影に隙ができる。
私はその隙を逃さずに、足をはらってその人影を転ばせ押さえつける。
「さ、さすが姉御!!」
「ほめるな、でこいつを頼む。くれぐれも」
「わかってますぜ姉御。数日説教した後、まっとうな道に」
そう言って、小さい人影を立たせどこかに連れてゆくのであった。
まったく、仮にも私の舎弟を名乗っているんだからナイフだけで驚くな。そう言いたいものだ。
しかし、戦場や争いを知らない一般人だ仕方ないと居れば仕方ないのだろう。
「さて、なにをしようか・・・」
そう、私はすることがない。
ストリートファイトで稼いでもいいのだが、こっちの人間たちはうたれ弱く大抵私が勝ってしまう。
賭博をしようにも、私はそんなにそういうことが嫌いなのでやらないのである。
・・・そうだ、この街を全部見渡そうか。私は、そう思いこの街で一番高いビルに向かう。
この町で一番高いビルと言ったらあの高級ホテルだろう。
=======================
ある許可を取り私は、この町で一番高い街の屋上に出る。
ここから見える風景は、あの時見ていた風景とまるで違う。
机はない、真っ赤な紅茶もない、本もない、望遠鏡もない
幼くカリスマがあり、みなに怖がられないようにわざと幼稚に演じていた主も、いない。
その主の妹で、無邪気で子供らしくとっても笑顔が素敵だった主の妹も、いない。
常に瀟洒で完璧で、からかえば顔を真っ赤にして居眠りしている私を叱ってくれたメイド長も、いない。
いつも本を読んでいて、常に難しい言葉遊びをしていた図書館の主も、いない。
その補佐で、常に気を配りみんなから愛されていた使い魔も・・・かつての姿は、もうない。
そして・・・
とてもやさしく、強く、みんなから慕われいた門番は、もういない。
そっと、懐から一本の煙草を取り出して火をつけそれを咥える。
そっと吸って、吐くと霞んで見えない月に向かって煙が消えてゆく。
喫煙を始めたのも現実を逃避するため・・・あの辛い現実を見たくなかったから。
(今では、ヘビースモーカー・・・だが)
ここで見える風景は、コンクリートで作られたジャングル。
煌びやかなネオン輝く繁華街、空気の悪い空だけだ
(ここにきて、もう何年何だろうな)
あの時、死にぞこなったから。
居場所がなくなったから、この現代に逃げてきた。
幻想郷には、もう私たちの居場所なんてなかった。
妖怪を雇う店もなければ、ましてや住む場所などなかった。
そっと、私の頬に涙が伝う。
「嗚呼。帰りたい、あの頃に・・・」
ドタバタしながらも、常に笑顔で毎日が楽しかったあの日常に。
赤白巫女の腋を強調した巫女服が懐かしい、白黒魔法使いを追い払おうと奮闘したことが懐かしい。
霧の湖に住む氷の妖精とその保護者の妖精の顔が懐かしい、その友達たちと遊んだこともあった。
=================
一人、ただ一人月に向かって静かに涙を流す影があった。
家族同然の家を焼かれ、家族同然の者たちを失い、それでもまだ生き続け。
死ぬために外に出て、傭兵としてあちこちを駆け巡るその影は只々美しかった。
しかし、同時に弱さがあふれ出していた。
今の彼女は、傭兵としての彼女ではない。
ただ、家族と過ごした日々に帰りたい、悲しげな少女である。
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第7話 小さな悪魔
がららららっ
ルーレットの中を金色の弾が世話しなく動き豪快な音を立てる。
「赤、53」
「やった!!あたった!!」
今日は調子が良いようで、帰る前にやってみたルーレットでまさかの大穴。
全額をそこにBetしていたがどうやら一人勝ちのようで100ドルが100万ドルになった。
私は、気分がいいと思い。それを預けてカジノを後にする。
そして、少し浮ついた歩き方をしながら”BARナマケモノ”へと向かう。
「きょっうはっ、なにをのもっかな~」
るんるんと浮足を立たせながら、今日何を飲むかを考えるのであった。
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「マスター!」
「はいはい、いつものですね。」
”BARナマケモノ”の入り口を開けてマスターに声をかける。
マスターは分かっていたかのようにパパっと私がいつも飲んでいるお酒を出してくれる。
「ぐびっ・・・かーうまい!!」
「おっさんくさいですよ、リリアさん」
「めんごめんご☆」
リリア・・・それは私の偽名だ。
いくら何でも、小悪魔で通すのには無理があった。
なので私は、”リリア・マルガータ”と名乗り、偽物の戸籍も作った。
「でもマスター・・・今日だけはこうさせて。」
「・・・わかりました、私は席を外しますので。御用の際はお呼びを」
「・・・うん、ありがとう。マスター」
そっと、マスターが厨房へと消えてゆく。
私は飲んでいるお酒を傾けつつ、在りし日の記憶を思い出す。
「色々、あったなぁ・・・」
ある日、使い魔召喚で呼び出されご主人・・・パチュリー様と出会った。
始めはすごく驚いた。召喚されて目を開けたら喘息でぶっ倒れていたのだから。
その日からというもの、私の苦難・・・そして、幸福な日々が始まっていた。
ご主人のご友人、レミリア様・・・そしてその妹様のフラン様。
その二人が吸血鬼だとわかった時は、すごく焦った。
でも、それでも、私は彼女たちと友人として接していた。けして、ごますりとかのためじゃない。疚しい気持ちがあって、彼女たちと遊んだわけではない。
「ああ、そういえば最初に遊んだのは、弾幕ごっこだったなぁ・・・」
幻想郷で流行っていた遊び。あの二人に手加減されながらも楽しくやった。
トランプもチェスも、何もかもあのお二方と一緒にやった。
それも・・・2年前まで。そう、何を隠そう・・・今日はレミリア様、フラン様・・・
そして死んでいった紅魔館の住人の命日だ。
「・・・とっても、なつかしなぁ」
始めて、パチュリー様に仕えたとき何とも言えない不快感もあった。
けれど、それは働くうちに慣れてゆき、あの図書館のすべてを把握していた。
今では、すべて忘れてしまったけど・・・思い返せば、あんな本もあった、と思う。
「マスター!!おかわり!!」
空元気を出してマスターにおかわりを注文する。
美鈴さんもどこかで死んでいった紅魔館の住人たちに向け涙を流しているのだろう。
今日は、一人でとことんまで飲もう、そうしないと
(泣きそうで・・・仕方ない)
窓の外から見える月を見つつ・・・そう思ったのであった。
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