ようこそ実力至上主義のAクラスへ (龍ヶ嬢にゃにゃにゃ)
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入学、女王との出会い

作者は学がなく阿呆なので頭脳戦は本当に期待しないでください。

このキャラと関わって欲しいなど感想頂けたら嬉しいです。


「ふぁああ」

 

俺は今全国屈指の名門校、高度育成高等学校の入学式に出るためにバスに乗っているのだが。

 

「外の景色見てると眠くなるっす」

 

このままでは眠気に負けて寝過ごすなんてこともあり得るのでバスの中を見回してみる。

 

「そこの君、お婆さんが困ってるのが見えないの?」

 

OL風の女性がガタイの良い金髪の”制服”姿の男に声をかけていた。

 

「実にクレイジーな質問だねレディー」

 

ええ、俺も人のことを言えた立場ではないがあの喋り方はやべぇ。

 

「何故この私が老婆に席を譲らなければならないんだい?どこにも理由はないが」

 

「君が座っている席は優先席よ、お年寄りに譲るのは当然でしょう」

 

どうやらOLのお姉さんはどうしても譲らせたいらしい、

だがこの場合モラルやマナーの話では彼はどかないだろう。

 

「理解できないねぇ、優先席は優先席であって法的な義務は何処にも存在しない。

この場を動くかどうかそれは今現在この席を有している私が判断することなのだよ。

若者だから席を譲る?ハハハ実にナンセンスな考え方だ」

 

「この満員の中バスに入った時点でお婆さんも覚悟してたはずなんっすけどねぇ」

 

思わず呟く、いや呟いてしまった。

 

「あの、その言い方はちょっと冷たくない?」

 

今度は俺が同じ制服を着た美少女に絡まれてしまった。

 

「あはっ、彼だけ責められるのは可哀想でつい」

 

すると金髪の男は興味深そうにこっちを見ている。

 

「可哀想なのはお婆さんのほうだよ・・・」

 

「他にも座っている学生や若者は沢山いるっすけどねぇ~」

 

前の席に座る学生二人を見ながら言ってみる。

 

「そこまで言うのなら貴方が譲りなさい」

 

またもや同じ制服を着た黒髪ロングの美少女に攻め立てられる。

 

「こっわ、僕は別に譲らないとは言ってないっすよ?」

 

あと少しで目的地に着く以上別に席を譲っても構わない。

 

「なら、最初から譲ればいいのよ」

 

「読書して我関せずを貫いてた君にだけは言われたくないっす」

 

「・・・」

 

とてつもない目で睨まれた・・怖い。

 

程なくして目的地にたどり着いた、バスを降りると天然石を連結加工した作りの門が待ち構えていた。

 

「流石は屈指の名門校っすねぇ~、平穏な青春を謳歌したいっす」

 

俺は常にこんなふざけた喋り方をしている、一人称も俺から僕へと直したのだ。

 

理由はこの喋り方だと敵は作っても”警戒”はされにくいのだ。

 

「あの!」

 

呼ばれた気がしたので振り返るとそこには最初に絡んできた美少女がいた。

 

「ん?さっきの子じゃないっすか」

 

「その・・さっきはごめんなさい!その制服でここにいるってことは同じ一年生だよね?」

 

自分には全く非がないにもかかわらず謝るとは随分と人間が出来ているらしい。

 

「一年の森新っす、君が謝る要素はないっすよ」

 

「森君でいいかな?私は櫛田桔梗、これからよろしくね!」

 

コミュニケーション能力の塊みたいな子だなぁ。

 

「櫛田ちゃんはどうしてこの学校を選んだんっすか?」

 

歩きながら櫛田に質問してみる、はっきり言ってこの質問に意味なんてない。

 

大抵の人は就職率百パーセントだったり名門だったりするから来ている者が大半だ。

 

「うーん、新しい関係を作りたかったからかな?」

 

人差し指を口に当てて考えるあざとい仕草をしながらそんなことを口にした。

 

「僕も似たようなものっす、知り合いが一人もいない学校が良かったんす」

 

知り合ったばかりでこちらの事情になど興味ないかもしれないが、この子からは近い何かを感じるので話してみるか。

 

「それはどうして?」

 

思いのほか食いついてきたな、やはりこの子も似たような理由でここに来たらしい。

 

「中学の時ちょっとやらかしたんっすよ、僕のせいでクラスが崩壊したんっす」

 

「森君、私と友達になってくれない?」

 

「今の話聞いて第一声がそれは凄いっすね」

 

「同じクラスだといいね!」

 

櫛田と話しながらそれぞれの教室に向かう中。

 

「僕はAクラスっすね、櫛田ちゃんはどこっすか?」

 

「私はDだね・・残念一緒が良かったな」

 

心底ガッカリした様子、この短時間でそこまで俺と同じクラスが良かったと思うだろうか?

 

やはりさっきの話が彼女にとっては何故か好感度が上がる話だったらしい。

 

「まぁ、クラスが違うだけで会えないわけでもないっすから」

 

「そうだよね!はい!これ私の連絡先!」

 

いつの間に書いたのかわからない紙を渡された、そこには本当に電話番号が書いてあった。

 

「登録しておくっすよ、それじゃあまた!」

 

櫛田ちゃんとお別れして俺も自分のクラスの扉の前に着く、

恐らくかなり早く来ていたのでまだいても数人だろう。

 

「緊張してきたっす・・・開けたくないっす」

 

扉の前で緊張してると不意に甘い香りが後ろからしたので振り返ってみる。

 

「入らないのですか?出来れば開けて貰えると嬉しいのですが」

 

絶世の美少女がそこにはいた、銀髪で杖をついているのが特徴的だ。

 

「君もAクラスっすか?」

 

「ええ、私は坂柳有栖です、貴方は?」

 

「僕は森新っす、絶世の美少女と同じクラスで嬉しいっす!」

 

どうしよう、途方もなく可愛い、一目惚れした。

 

「あら、森君もそこはかとなくカッコイイですよ」

 

どう考えても褒められていないが、可愛いから許せちゃう。

 

ずっとここで話しているわけにもいかないので扉を開ける。

 

「あれ、僕達以外は誰もまだ来てないっすね」

 

確かに早く来ていたがまさか誰もいないとは・・

 

「森君、”目も悪いのですか”?」

 

よく見ると窓際に一人いかつい坊主頭の男が座っていた。

 

「あ、一人いたっすね。あと有栖ちゃん僕をいじめても無駄っすよ、ご褒美っす」

 

「騒がしいな、浮かれるのは分かるがもう少し静かにしたらどうだ?」

 

俺が気がつかなかったのが癇に障ったのか少々怒っているようだ。

 

「怒られてるっすよ有栖ちゃん」

 

さっきのお返しにそんなことを言ってみる。

 

「あら、森君、頭を打っているようなので保健室はあちらですよ?」

 

「有栖ちゃん僕にあたりきつくないっすか?」

 

「森君はマゾヒストなのかと思いまして、違いましたか?」

 

「失礼っすね、僕は有栖ちゃん相手ならSMどっちもイケるっすよ」

 

おかしい、有栖ちゃん相手だとテンションがおかしなことになってしまう。

 

「はぁ・・どうやらかなりの変人達がクラスメイトになってしまったようだ」

 

ハゲ、もとい坊主頭の男が呟いた。

 

「僕は森新っす、ハg、坊主の君は何て名前っすか?」

 

「葛城康平だ、ハゲではない」

 

どうやら聞えてしまっていたようだ、以後気を付けよう。

 

「私は坂柳有栖です、葛城君少し”二人”で他の生徒がくるまでお話しませんか?」

 

「いいだろう」

 

「ちょ!有栖ちゃんナチュラルに僕をはぶかないで欲しいっす!」

 

なんだかこの二人はこのクラスの重要人物になるような気もする。

 

 

 




有栖の性格Sすぎますかね?メインヒロインは有栖の予定ですが葛城もワンチャン?!


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一之瀬とSシステム

少しでも見てもらえてると嬉しいですね、
誤字脱字やその他の注意をしてくださった方本当にありがとうございます!


「えーとトイレどこっすかぁ」

 

俺は今有栖ちゃんと葛城の二人とは離れてトイレを探していた。

この学校はにかく広い、所々にトイレくらいあるだろうが探しているときに限って見つからないのだ。

 

「君!迷子だったりする?」

 

廊下で歩いているとロングヘアのスタイル抜群美少女が話しかけてきた。

 

「迷子っす、トイレ何処か分かるっすか?」

 

「アハハ、実は私も迷子なんだよね・・・」

 

ええ!道分かると思って嬉しかったのに俺の感動返してぇ。

 

「この階にいるってことは君も一年生っすか?」

 

「うん、私Bクラスの一之瀬帆波、君は?」

 

正直こんな美少女でも自己紹介している余裕がない。

本気でトイレ行きたいのだ。

 

「僕はAクラスの森新っす、森君でも森さんでも森様でも好きに呼んでほしいっす」

 

「アハハ!初対面で様つけるの推奨されたの初めてだよ!」

 

こっちは笑っている余裕がない、この子とこれ以上は話していられない。

 

「悪いっすけど僕限界近いんでトイレ探してくるっす」

 

「あちゃーいい忘れてたけどトイレあそこだよ!」

 

言われてみれば迷子といっただけでトイレの場所がわからないとは言ってなかったな。

 

「早く教えて欲しかったっす!一之瀬ちゃん意外とSなんすか?」

 

「ええ!私Sなんかじゃないよ!」

 

「一之瀬ちゃんはMなんっすねぇ~、良い事聞いたっす!」

 

そう言いながらトイレに走る、もうホント限界である。

 

用を済ませてトイレを出るとまだ一之瀬ちゃんが待っていた。

 

「なんで待ってるんすか、遅刻するっすよ?」

 

「だって迷子だし・・せっかくなら一緒がいいなぁって!」

 

満面の笑みで可愛いこと言ってくる一之瀬ちゃん。

 

「よかったら友達にならないっすか?」

 

「え?私もう友達のつもりだったのに・・・」

 

しょぼーんという効果音が聞えそうなほどしょんぼりしているのを見ると罪悪感を感じる。

 

「なら友好の証にこれ僕の連絡先っす!」

 

そう言ってスマホの場面に映る連絡先を見せる。

今思えば有栖ちゃんとは連絡先交換してなくね?

 

「これでよしっと!これからよろしくね森様!」

 

自分で言ったとはいえ森様は恥ずかしい、

本当に呼ばれるとは定着する前に修正しなければ。

 

「さっきのは冗談っすよ・・森君でいいっす」

 

「ええ~、森様気に入ってたのになぁ~」

 

ちょっとこの子の感性わからない・・・

 

「お!教室着いたっすね」

 

それぞれの教室が見えてきた、

お互いに遅刻になりかねないほどギリギリなので小走りで向かう。

 

「じゃあね!森様~!」

 

手を振ってくれているが、豊かな二つのお山が揺れているのに目がいってしまう。

 

「あら、少し見ない間に偉くなったようですね森君」

 

背筋が凍り付くような感覚に襲われて後ろを振り返る。

 

「有栖ちゃん・・これは誤解なんっす、様づけさせてるわけじゃないっす!」

 

「いえ、私を散々口説くようなことを言っておきながら随分とデレデレしてるなと

思っただけですよ?」

 

「嫉妬する有栖ちゃん可愛すぎっす、僕は有栖ちゃん一筋っすよ!」

 

恐らくだが一之瀬の豊なお山に見惚れていたとこを見て怒ったのだろう

理不尽である。

 

「森君、早く席についてください。お話は席についてからゆっくりと聞きますから」

 

「有栖ちゃん隣の席とか最高っす」

 

席に着くと隣に有栖ちゃんが座っていた、名前順で丁度隣だったらしい。

 

「森君、今日の放課後時間はありますか?」

 

友好を深めたいってわけじゃなさそうだなぁ、

何か裏がありそうだ警戒しておこう。

 

「デートっすか?愛の告白っすか?」

 

「ふふ、森君は冗談がお上手ですね?」

 

素晴らしい笑顔で流された・・・

 

「森君はこの学校のシステムについてご存知ですか?」

 

Sシステムのことだろう、どうせこの後担任から説明を受けるのだ今は知らない設定でいこう。

 

「はて、そういうのよく見ないんで分からないっす」

 

「私は物知りな男性は素敵だと思いますよ?」

 

「Sシステムっすね、学生証カードを使って買い物したり施設を利用するシステム。

導入してるのはこの学校だけっす」

 

「ふふ、森君が私を騙せると思ったのですか?」

 

ぐぬぬ、あんまり実力を測られたくないのだが有栖ちゃんにはいいところ見せたい、

難しいところである。

 

「全員そろっているな。私は真嶋智也、君達Aクラスの担任だ」

 

担任と名乗った男にクラス全員が集中する。

 

「この学校には学年ごとのクラス変えは存在しない、三年間君達は私と共に

学ぶこととなるだろう。」

 

なん、だと

 

「有栖ちゃんと三年間一緒!」

 

ゴンっと杖で足を叩かれた、痛い泣きそう。

 

「・・・」

 

有栖ちゃんが目で黙れと言っている、ここはおとなしくしていよう。

 

「まぁ、基本”お前達は”優秀だと私は考えている、失望させないでくれよ?」

 

何やら引っ掛かりのある言い方をしたがまぁいい。

 

「今から一時間後に体育館で入学式が行われる、その前に君達にこの学校の特殊なルールについて書かれた資料を渡しておこう。」

 

そう言いながら前の人達に配っていく、回ってきた資料に軽く目を通す。

 

以前に入学案内と一緒に渡された資料と同じものだった。

 

「Sシステムについては知っているかと思う、この学校ではポイントで買えないものはない。学校内の敷地にあるものなら何でも購入可能だ」

 

ポイントとやらは果たしてどう手に入れるのだろうか。

 

「ポイントについてだが毎月一日に振り込まれる。既に全員に十万ポイントが振り込まれているはずだ、なお一ポイントにつき一円の価値がある」

 

全員がざわつく、それもそのはずとても高校生に与える額ではない。

 

それに毎月十万ポイントとは確約していないのも気になる。

 

「ポイントをどう使おうとお前たちの自由だ、期待しているぞ」

 

入学式も無事終わり放課後になった。

 

「森君図書室で一緒にチェスでもどうですか?」

 

そういえば放課後の予定を聞かれていた気がする。

 

「僕ボードゲームは強いっすよ」

 

昔からチェスや将棋や囲碁で同年代に負けたことはない。

 

「ふふ、それは楽しみです」

 

有栖ちゃんは自分が負けるとは微塵も考えていない様子だ。

ことゲームなら全力でやっても問題はないだろう。

 

「有栖ちゃんが勝ったら愛の奴隷になってあげるっす」

 

「では森君が勝てたならデートしてあげます」

 

やはり全力でやるしかなさそうだ。

お手並み拝見といこうか。

 

 

 

 

 




次回はチェス対決です、なんかチェスのバトルもの小説になりそうで怖い。


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本当のプレイヤー

葛城中々登場させるの難しい、ヒロインの一人なんだから出さないと!


「チェックメイト」

 

そう呟いたのは当たり障りのない極々平凡な青年だ、

 

一方でその対極に座る絶世の美少女はその美しい唇を噛み締めていた。

 

「本当に貴方は森君ですか?」

 

「最初に言ったじゃないっすか、僕、強いっすよって」

 

そう青年が口にすると少女はその顔に怒りを露わにする。

 

「チェスの結果は仕方がありません、ですが、さっきまでの貴方が本当の貴方ですか?」

 

 

「”僕が”森新っすよ」

 

青年のその言葉には何処かそうあってほしいという願望が見て取れた。

 

 

 

 

 

 

 

「有栖ちゃん、なんで急にチェスに僕を誘ったんすか?」

 

俺は今有栖ちゃんと図書室に行くために廊下を歩いていた。

 

「少し今後のクラスについてのお話と森君と友好を深めるためですよ」

 

恐らく前者が本題で俺と友好を深めるつもりなどないのだろう。

 

いや、彼女にとっては”持ち駒”にすることが友好を深めることなのかもしれない。

 

「葛城君とは仲良く出来そうっすか?」

 

俺がトイレ探しで一之瀬ちゃんと楽しんでいた時、

 

有栖ちゃんと葛城は何やらあったようだ。

 

「彼とは考え方や価値観があまり合わないようです」

 

「葛城君は慎重な性格っすからねぇ~

好戦的でSな有栖ちゃんと合わないのも納得っす」

 

ゴンッと杖で足を叩かれた、なんかこれ調教されてる気分になる。

 

「森君より紳士だとは思いますが」

 

「あはぁ~わかってないっすねぇ、紳士なだけじゃ魅力にはならないっすよ」

 

紳士的なのは良い事だが、その反面、面白味がないと感じる人もいるのだ。

 

「さて、図書室には初めて来ましたが思っていたより人が少ないようですね」

 

入学初日から図書室に来る生徒はそう多くないだろう、

だが上の学年の生徒すらいないのは気になるな。

 

「どうして二年や三年の生徒もいないんっすかねぇ」

 

「恐らくですが、入学式の日は寮で待機しているのではないでしょうか?」

 

この学校のカリキュラムやシステムはまだ謎が多いため

何かあるのかもしれないな。

 

「森君、ポイントについてですがどう考えていますか?」

 

これはどう答えるべきか、一般的な生徒なら金の代わりだと考えているだろう。

 

「特になにも考えてないっすよ、僕、基本的に難しいこと考えるの苦手っすから」

 

そう言いながら図書室に入る、驚いた、想像の何倍も広い

 

ここまで多くの本がある場所は初めてだ。

 

「まぁいいでしょう、座りましょうか」

 

有栖ちゃんがそういったので椅子を引いてあげる。

 

「この学校私物の持ち込みは最低限だけだったはずっすけど

チェスできるんっすか?」

 

「はい、問題ありません、購入しておきましたから」

 

どうやらポイントを使うテストも兼ねていつの間に購入していたらしい。

 

有栖ちゃんはバックからボードを取り出してから綺麗に駒を並べていく。

 

「先手は有栖ちゃんに譲るっすよ」

 

「本当に自信があるようですね?」

 

有栖ちゃんは挑発と受け取ったようだ、単純に優しさアピールしたかっただけなのに。

 

「僕、強いっすよ」

 

「ふふ、お手並み拝見させてもらいましょう」

 

有栖ちゃんはポーンを進めて質問をしてきた。

 

「森君は教室での先生のお話に何か違和感を感じませんでしたか?」

 

なるほど、こういう会話方式か一手終わってから話すスタイルらしい。

 

俺もポーンを進めて答える。

 

「そうっすねぇ、”君達は”優秀だと私は考えているって言葉には違和感あったっすね」

 

このくらいのことなら、話しても不自然ではないだろう。

 

さっきとは違うポーンを進めてきた。

 

「ええ、入学式でそれぞれのクラスの方々を見た限り、

 クラス分けには何か意図があるのかもしれません」

 

俺も同じ列のポーンを進める。

 

「意図っすか?」

 

ルークを前に出してきたか。そろそろチェスの盤面にも集中しなければいけないな。

 

「学力以外の能力もこの学校では重要なようです」

 

そんな深く考えながら行動していたのか、

 

有栖ちゃんはこのクラスを支配したいのだろうか?

 

「有栖ちゃんはこのクラスのリーダーになりたいんっすか?」

 

手は止めず進めながらも話続ける。

 

「ええ、率直に言えば葛城君は邪魔です、慎重な彼を下すにはそれなりの”駒”が必須でしょう」

 

こちらのナイトがやられたか。思っていた以上に強いな、

 

これは少し誘導したほうがよさそうだ。

 

「心配しなくても僕は有栖ちゃんの駒になるっすよ」

 

相手のルークは殺した、だが形勢はこちらが不利。

 

「森君は駒ではなくプレイヤー側だと思っています」

 

なるほど、真に警戒していたのは葛城ではなく俺だったわけだ。

 

脅威になりえるかどうか測る為にこの場を設けたらしい。

 

「”僕は”プレイヤーにはなれないっすよ」

 

”僕は”俺が創り出した駒であってプレイヤーである”俺”に成り替わることはない、

 

そしてもう”俺”が本気で動くこともない。

 

「ふふ、話し方も容姿も全く違うのに貴方は何処か”彼に”似ています」

 

彼?誰の話だろうか、彼氏とかなら泣いちゃうぞ。

 

もう少しで局面は誘導に成功しそうだ。こちらのルークを進める。

 

「有栖ちゃんの彼氏っすか?僕!きになります!」

 

ルークを取ろうとして有栖ちゃんの手が止まった、

 

まずいな・・狙いに気が付いたかもしれない。

 

「なるほど・・中々やりますね」

 

どうやらばれてしまったらしい、

 

今の局面、一見こっちの形勢は不利でこのルークを取れば更に有利になるが

 

十三手先でクイーンが死ぬのだ。

 

「ふふ、会話で油断を誘い局面を誘導しているとは思いませんでした」

 

最初からこの局面に誘導してルークを取らせる作戦だったんだが・・・

 

まさかあと一歩で気が付くとは。

 

「有栖ちゃんが気になっている彼とやらの話僕が勝ったら教えて欲しいっす」

 

「いいですよ?勝てるのなら」

 

もう負けはないと考えているのだろう、事実ここから先はもう絡め手や小細工は

 

通用しないだろうそうなれば純粋な演算力と発想力の戦いになる。

 

”僕”のままでは勝ち目はないだろう、純粋な実力を見せたくないから絡め手で攻めたんだがな・・・

 

だがしかしこれはゲームだ、本気になってもいいかもしれない。

 

「仕方ないか、本気で相手をしてあげよう」

 

そう呟きながら俺はキングを動かす、隙ができるがそれゆえに乱戦になる形に持っていく。

 

「なるほど、乱戦狙いですか、ですがそれは悪手ですよ」

 

そう言いながら有栖ちゃんはクイーンを動かす。

 

「悪手になるのは君が”俺”より強い場合だけだ」

 

既にチェックまで四通りほど視えている。

 

さりげなくポーンを進めておく。

 

「急に生意気になりましたね森君・・・」

 

不快そうな声を出しているが口元は笑っている、

 

久々に強敵を前にして喜んでいるのかもしれない。

 

だがことボードゲームに限っては”俺”に取って強敵足りえるにはまだ足りない。

 

「チェックだ」

 

「・・・」

 

有栖ちゃんは面白くないという顔をしていた、悔しがる有栖ちゃんなんだかそそるな。

 

「認めましょう、貴方は強い、ですが負けませんよ」

 

そう言っているが悟っているだろう、勝負はもう見えている。

 

「一つ例え話をしよう、圧倒的なチェスの才能を持った始めて一週間の子と

凡人だけど30年チェスの腕を磨き続けた者、果たしてどちらが勝つと思う?」

 

 

「・・・恐らく凡人でしょう」

 

「自分に自信をもつのは大事だが凡人だからと侮ると負けることもある」

 

「森君は自分が凡人だと思っているのですか?」

 

「どうかな」

 

「・・・負けませんよ」

 

どうやら諦めていないようだ、勝てる可能性が皆無でもプライドが許さないのかもしれない。

 

「続けようか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本当は有栖ちゃんを勝たせたかった・・・

それにしてもヒロインの一人である葛城の扱いに気を付けないと。


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綾小路清隆

10話くらいからが本番です、
それまでは日常回が続きます。



「森君、デートの約束ですが5月過ぎでいいですか?」

 

そう、俺は今有栖ちゃんにデートの約束を取り付けたのだ!

 

チェスに満を持して勝った俺は約束通りデートできるのだ!

 

だがそれよりも、だ。

 

「もちっす、たださっき言ってた”彼”について教えて欲しいっす」

 

彼氏だったら大変なのだ、ショックなのは勿論のこと

 

彼氏持ちの子を無理矢理デートさせたみたいでヤバい。

 

「ふふ、先に言っておくと彼氏ではありませんよ」

 

「一安心っす!」

 

良かった、彼氏だったら三日は寝込んでいたぞ。

 

「昔、私が唯一劣等感を抱いた男の子がいました」

 

劣等感・・・?

 

有栖ちゃんが?とても信じられない。

 

「それはまた凄い奴がいたもんっすね」

 

「ふふ、そうですね、でも森君もチェスに関しては評価を改めましたよ?」

 

チェスの腕に関しての評価が上がってもなぁ。

 

「僕、ゲームは強いっすから」

 

「今日久々に思い出しました、綾小路君、それが彼の名前です」

 

「知らない子ですねぇ~」

 

まぁ名前聞いても知らないよねそりゃ、

 

彼氏でないならぶっちゃけどうでもいい。

 

「森君、私が好きですか?」

 

「勿論っす、結婚して毎日ご飯作って欲しいっす!」

 

「ふふ、いきなりプロポーズですか?」

 

一応確認すると、俺と有栖ちゃんは今日が初対面である、

 

少しチェスをした間柄でプロポーズナウ。

 

・・・どうしよう、めっちゃヤバイ奴じゃん!

 

「いやぁなんか有栖ちゃんとは初対面とは思えないんっすよねぇ」

 

「私もですよ、会って間もないのに貴方は何処か他と違うと思いましたから」

 

そんなに俺は変だっただろうか?

 

話し方は独特かもしれないが・・・

 

話し方変えようかな。

 

「もし、森君が本当に私が好きなら今後”駒”ではなく”友人”として協力してください」

 

有栖ちゃんは大好きだがこればかりは限度があるな。

 

「いいっすよ、ただ、”僕”には限界があるっすよ?」

 

「ええ、それで構いません」

 

有栖ちゃんは肯定した、これで”俺”が動く必要性はないわけだ。

 

「ちなみに僕的には友人より恋人がいいっす」

 

「森君の協力次第ですね?ふふ」

 

本当に愉快そうに微笑んだ有栖ちゃんはやっぱり魅力的だった。

 

「連絡先、交換するっす!」

 

そう言ってスマホを見せた、そう、見せてしまったのだ、

 

俺はこの時致命的なミスをしたのだ。

 

「ええ、いいですよ森君が最初のお友達です」

 

そして急に笑顔が消えた、次の瞬間には背筋が凍るような笑みを見せた。

 

「どうしたんっすか?」

 

「いいえ、森君ここにある連絡先は二つです」

 

「そうっすね」

 

「登録した日は今日になっています」

 

「・・・」

 

忘れていた、今俺の連絡先は女子だけだ。

 

しかも一之瀬ちゃんや櫛田ちゃんという美女である、

 

入学式であの二人は目立っていたので名前は有栖ちゃんも知っている。

 

「何故、私が三番目なのでしょうか?」

 

「いやぁ~偶然出会いがあったんっすよ」

 

「そうですか、私はかなり早くに森君と会っていたはずですが」

 

なるほど、今日朝一番に会っていたのに三番目だから気分を損ねたらしい、

 

だが櫛田ちゃんに関しては本当に最初だったのだから仕方ない。

 

「櫛田ちゃんは朝バスで会ったんっす」

 

「櫛田さん”は”?」

 

「・・・」

 

墓穴を掘った。

 

「森君、やはり森君は友人でいいです」

 

「ちょ!ちょっと待つっす!」

 

「今日は帰りますね、見送りは不要です」

 

「・・・」

 

俺はその場に膝をつく、絶望である。

 

あの連絡先を一年の生徒がみれば入学初日で美女とかたっぱしから

 

連絡先を交換してると思われてもおかしくはないのだ。

 

「もう、女子とは連絡先交換しないっす!」

 

俺は心に決めた、

 

スマホの場面を見ると連絡先が三件になっている?

 

登録名を見ると坂柳有栖の文字があった、

 

しっかりと登録はしてくれたらしい。

 

「さて、俺も帰るか」

 

俺は図書室を出て自分の寮に戻る、

 

帰り道にコンビニに寄ることにした。

 

「無料の商品?」

 

コンビニに入ると無料の文字が目に入った、

 

なんだあれ、気になるので見てみる。

 

「そこ、どいてくれるかしら?」

 

いきなり声をかけられたので振り向くとそこには

 

バスで我関せずをつらい抜いていた黒上ロングの美少女がいた。

 

「うわ、あの時の怖い子じゃないっすか」

 

「ここにカメラがあって良かったわね」

 

それはなければしばくぞって意味だろうか?

 

怖すぎる、この子普通にしてれば可愛いのに。

 

「って君達カップルっすか?」

 

バスでもそうだったが隣に同じ男子がいたので声をかける。

 

「あーそうそう、痛って!」

 

「貴方は何を馬鹿なことを言っているのかしら?そんなにコンパスが恋しい?」

 

地味なイケメン生徒は見事な肘撃ちを受けていた、しかもカメラの死角である。

 

「・・・やっぱりコンパスで刺したのお前じゃないか」

 

え、なにこの物騒なカップル、怖い。

 

ヤンデレプレイとか流行ってるのだろうか?

 

「えーと君達一年っすか?僕一年Aクラスの森新っす」

 

「ああ、俺も一年のDクラスだ」

 

「どうして貴方に名乗らないといけないのかしら?」

 

「すまない、堀北は自己紹介も出来ないツンデレっぷりでな」

 

「デレが見えないっすけど、堀北さんっすね覚えたっす」

 

「あなた達、覚えてなさい?」

 

ひえっ!俺でもちびりそうなくらいドスの聞いた声と目で呟いた。

 

「森はなんで無料の物だけ取ってるんだ?ポイントならあるだろ」

 

「毎月多額のポイントが貰える保障はされてないっすから」

 

他の生徒は貰えるものと考えているようだがとてもそうは思えないのだ。

 

「うちのクラスの生徒も見習うべきね、ポイントは節約するべきだと思うわ」

 

「堀北さんはポテンシャルは高そうっすね」

 

「自慢じゃないけど私は一年生の中ならトップクラスに優秀だもの」

 

「優秀って学力がっすか?」

 

「当たり前でしょう、学生なのだから勉強が一番大事に決まってるわ」

 

「森は、この学校をどう思う?」

 

真剣に試すように測るように地味なイケメンが聞いてきた。

 

「はて、僕は難しいことは考えるの苦手っす」

 

「今の質問は”難しい”ことか?」

 

なるほど、そうきたか。

 

確かに一般的な生徒なら今の質問には適当に答えるべきだった。

 

この質問を難しいと感じるのは先を見据えてる者だけだからだ。

 

「私はもう帰るわ、貴方はどうするのかしら綾小路君」

 

「俺も帰る」

 

・・・綾小路だと?

 

いや、普通に考えれば同じ苗字なだけだろう。

 

有栖ちゃんの言っていた綾小路ならかなりのヤリ手なはずだが

 

とてもそうは見えない、しかしさっきの質問もある、実力を隠してるのか?

 

あるいは人違いか・・・まぁいい。

 

「綾小路君、良かったら連絡先交換して欲しいっす」

 

「俺でよければいいぞ」

 

あの綾小路なのかは知らないが只者ではないことは確かだ、

 

今のうちに連絡手段を手に入れたほうがいいだろう。

 

「森・・・俺以外みんな女子なんだが」

 

連絡先を見られたようだ。

 

「違うんだってばよ!」

 

ヤバい焦ってキャラがぶれた。

 

「同性の友人はいないのか?」

 

「察して欲しいっす」

 

「俺でよければ友人になるぞ」

 

「綾小路君、何か飲み物奢るっすよ」

 

どうやら高校初めての男友達が出来たようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、ドラゴンボーイ現る!

デュエルスタンバイ!


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どらごんぼーい

今回は龍園君の登場です。




五月最初の学校開始のチャイムが鳴る。

 

暫くし手に封筒を持った担任がやって来た。

 

その顔はどこか上機嫌だ、彼女でもできたのだろうか羨ましい。

 

「さて、朝のホームルームを始める前に質問があれば受け付けよう」

 

待ってましたとばかりに生徒達が手を挙げる。

 

「先生今月のポイントが少し足りてないんだけど?」

 

今ではこのクラスは葛城派と坂柳派で分裂しているのだが、

 

今質問したのは弥彦と呼ばれる葛城派の生徒だ。

 

「ポイントは一切の不備はなく振り込まれている」

 

これだけ言えば分かるだろうといった顔だ。

 

「やはり、クラス分けには意図があったのですね?」

 

「坂柳さんそれってどういう意味?」

 

坂柳派の女子の一人が有栖ちゃんに質問した。

 

「言葉のままです、クラス別で振り込まれた金額が違うはずです」

 

有栖ちゃんは基本自分の中で完結しているから話を割愛して話す癖がある。

 

これでは殆どの生徒が理解できないだろう。

 

「???」

 

案の定女子生徒は困惑している。

 

「今朝方振り込まれていたのは9万4千円、それが我々の評価ということだ」

 

口を開いたのは葛城だ、どうしてこの子たちは他の人でも分かるように説明しないのだろうか。

 

自分で考えることは大事だがこの場合は説明したほうが今後に生きる。

 

「何で6千円も引かれてるのよー」

 

葛城派の女子が抗議する。

 

「理由は大体予想がつきます・・・」

 

有栖ちゃんがため息交じりに呟く。

 

「クラスポイントについて話してやろう」

 

先生のその言葉に皆注目する、大事な話だと直感したのだろう。

 

 

「まず、これを見てもらおう」

 

先生はそう言うと黒板にAからDまでの名前とその横に三桁の数字を書いていく。

 

Aクラス 940ポイント

 

Bクラス 650ポイント

 

Cクラス 490ポイント

 

Dクラス 0ポイント

 

 

「以上が各クラスのポイントだ」

 

なるほど、1000ポイントが10万相当のようだ。

 

どういった採点方法かは知らないが恐らくは減点法だろう。

 

この一か月はどれだけ減点されないかの勝負だったようだ。

 

「この学校では優秀であればAクラス、逆にそうでなければDに下がっていく」

 

それは腑に落ちないな、Dクラスにはポテンシャルの高い生徒が沢山いたはずだ、

 

最初からDクラスとは考えにくい。

 

能力以外も採点基準なのかもしれないな。

 

「さて、減点されたのは授業中に私語や問題行動を起こした生徒がいたためだ」

 

そう言った先生と目があった、

 

え?

 

なんでこっちみんの・・・

 

何故か皆に睨まれている。

 

「僕、授業態度は良いはずっす!」

 

「森・・・お前体育の授業中隙あらば見学の坂柳のところに行き、

果てには授業中わざと物を落とし拾う途中で隣の坂柳のスカートを覗くことが6回」

 

「覗けたことはないっすよ?杖で顔はじかれるんで」

 

「森いいいいいいいいいいいいい」

 

クラス全員からの誹謗中傷が凄い、何故だろう?

 

「森、お前減点された分皆に払えよな」

 

弥彦の無慈悲な言葉にうんうんと頷くクラスメイト達

 

「皆冷たいっす、グスン」

 

「愚か者はさておき一つ良い知らせがある」

 

そういうと封筒から紙を取り出して黒板に貼り付けた。

 

そこにはAクラスの生徒の名前と横にまたも数字が書いてあった。

 

「先日行った小テストだ、たった一人を除いて全員が90点前後をとれていた」

 

その顔は誇らしげだ、優秀な結果だったからだろう。

 

どうやら50点は俺だけだったらしい。

 

まさか50点で最下位とは、思った以上にこのクラスは点数が高い。

 

「お前達は実に優秀だと言えるだろう」

 

そういって皆を見回す先生、俺と目があうとフッと鼻で笑って目をそらした。

 

「いい加減泣いちゃうっすよ?」

 

「森君は優秀ですよ?」

 

有栖ちゃんはそんな嬉しいことを言ってくれt

 

「荷物持ちとしては、ですが」

 

「フォローするならしっかりして欲しいっす」

 

有栖ちゃんに罵られるの癖になりそうだ。

 

「次の中間テストも期待しているぞ」

 

皆力強く頷いている。俺も頷いておこう。

 

「森、お前はまず態度を改めろ」

 

「僕、悪いことはしないっすよ!」

 

「・・・」

 

先生は本当かよって顔である、信用ないなぁ~。

 

有栖ちゃんと仲良くすることは悪くないもんね。

 

「先生、今後ポイントが増えることはあるのだろうか?」

 

葛城が質問をした、確かに皆気になっていたことだ。

 

「流石だな葛城、増えることもあるだろう」

 

「ありがとうございます」

 

葛城は嬉しそうだ、褒められるのに弱いのかもしれない。

 

今度怒られそうになったら褒めてやろう。

 

「だがまずは森をどうにかすることだな、担任としてのアドバイスだ」

 

「森君の調教は任せてください」

 

有栖ちゃんはとても嬉しそうにそう言った。

 

調教!なんて甘美な響きだ!俺も嬉しいぞ。

 

ゴンッ

 

「痛いっす!」

 

杖で足を叩かれた、ニヤニヤしていたのが癇に障ったようだ。

 

「坂柳、大変だとは思うがよろしく頼むぞ」

 

先生は心底申し訳なさそうに有栖ちゃんにお願いしていた。

 

「ではホームルームを始める」

 

6時間後

 

 

「やっと終わったっす~」

 

やっと放課後になったのだ、授業のレベルはそれなりに高いが俺からすれば退屈極まりない。

 

「森君、良ければ一緒に帰りませんか?」

 

素敵な笑顔で素敵な提案をしてくる有栖ちゃん、

 

だが目的なく俺と帰ろう等とは考えていないだろう。

 

「いいっすよ」

 

問題は一体俺にどんな用があるのだろうか、

 

やはり今朝のテストのことかもしれないな。

 

「坂柳さーん一緒に帰ろー」

 

坂柳派の女子が有栖ちゃんに話しかける。

 

「すみません、今日は森君をつ、ご一緒するのでまたの機会に」

 

今使うとか言ったぞ、何させるつもりなんだろうか。

 

やはり荷物持ちか、朝公認もらったからな。

 

「森君、あんまり坂柳さんに迷惑かけたらダメだよ?」

 

「了解っす、有栖ちゃんには迷惑かけないっすよ」

 

有栖ちゃんにはな。

 

「そっか、じゃまた明日ねー」

 

俺の答えに満足したのかバイバイと手を振って帰った。

 

「では私達も行きましょうか」

 

「何処か目的地でもあるんすか?」

 

有栖ちゃんの口ぶりからしても目的地があるとみていいだろう。

 

「Cクラスのリーダーの可能性が高い人物に会いに行こうかと」

 

流石に一か月もたてばリーダーなんてものが出てくるのはどこも同じか。

 

しかしここまでクラス内が分裂したのはAくらいだろうな。

 

「どんな奴なんすか?」

 

「暴力的で野蛮な方だと聞いています」

 

それ聞いて何故会おうなんて発想が出てくるのか不思議だ。

 

もしくはリスクがあっても接触せざるを得ない程の奴なのか。

 

「何で会う必要があるんっすか?」

 

坂柳派の人なら絶対にしない質問だ。

 

有栖ちゃんの決めたことに基本口出しはできない、

 

そもそもその考えを理解するのは難しいのだ。

 

「少し交渉に、場合によっては”お願い”をします」

 

お願いとは恐らく脅迫ということだろう。

 

この短期間でCクラスのリーダーの素性と弱みをなにか握ったわけか。

 

恐ろしい子だ、しかし何故手に入れたカードをここで使うのかまでは

 

俺でもわからないな。

 

「それ、ついていくの僕でいいんすか?」

 

そんな危険な奴に会うのならもっと他に良い人材は多くいる。

 

「ええ、森君が適任です」

 

はて、適任とまで言うからには俺を連れていく意図があるのだろうか?

 

あんまり物騒な奴とは関わりたくないんだが。

 

「ここのようです」

 

しばらく歩くと少し風紀の悪そうなカラオケ店についた。

 

なるほど、この近辺にはカメラが無い。

 

店内にはあるだろうが個室の中まではないだろう。

 

「随分と物騒なとこっすね」

 

「ええ、だからこそ拠点にしているのかもしれません」

 

中に入ると一つだけ広い個室の前にはCクラスの生徒らしき人が立っていた。

 

見張りだろうか?あそこまであからさまに使われているのか。

 

「龍園さんに何か用事か?」

 

見張りの生徒はやはりCクラスの生徒だったようだ。

 

「ええ、Aクラスの坂柳が来たとお伝え下さい」

 

「分かった・・・待ってろ」

 

個室の中へと消えてから1、2分してから再び出てきた。

 

「入れ」

 

そう言って個室のドアを開けた。

 

個室に入るとガラステーブルの上に足を組んでおいている生徒が口を開いた。

 

「女王気取りのお嬢様がこの俺に何の用だ?」

 

「交渉でもと思いまして」

 

有栖ちゃんがそういうと龍園と呼ばれた男は興味なさそうな顔をした。

 

「俺はお前と交渉してやる気はない、うせろ」

 

これは嘘だな、本当にその気がないなら部屋に入れたりはしないだろう。

 

向こうも何か知りたくて招いたはずだ。

 

「ふふ、愉快な方ですね?では”お願い”でもしましょうか」

 

そう言って俺に持たせていたバッグから封筒を取り出す有栖ちゃん。

 

「あ?お前なら抱いてやってもいいぜ」

 

「ふふふ、これをどうぞ?」

 

封筒から写真やボイスレコーダーを取り出して手渡す。

 

何故か龍園が急に黙り込んで睨みつけてきた。

 

「お前、これをどこで手に入れた?」

 

「優秀な駒がいるのは貴方だけではないということです」

 

見たところ何かしらの弱みだったのだろう、

 

一体どうやってあんなもの手に入れたのやら。

 

「塵一つ残さず隠滅したはずだがな、情報力は認めてやる」

 

「ふふ、私からの些細なお願いを聞いて頂けますか?」

 

これはほとんど脅迫だ、この場で暴力を振るっても関係ない。

 

この証拠を握られている限り逆らうのは難しいのだろう。

 

「内容次第だな」

 

少し余裕を取り戻したのか落ち着いた声で龍園はそう言った。

 

「貴方はAクラスを狙っていますね?」

 

果たしてそれはAクラスになることを狙っているという意味か。

 

敵として狙っているという意味なのか。

 

「ああ、だったらどうした?至って健全だ」

 

「私達と貴方が戦うのは最後にしましょう」

 

これは一時休戦の交渉だったのだろうか。

 

「ククク、俺に何の得がある?」

 

「少なくとも先程の情報は今後一切他言しないと誓いましょう」

 

「信用しろってか?契約書を書いてもらおうか」

 

もう本当に俺がここに来た意味はあったのだろうか・・・

 

帰りたくなってきた。

 

「構いません、ただ、私と森君を狙うのは最後であると確約してください」

 

「あ?そこのモブは関係ねぇだろうが」

 

全くもってその通りだ、いいぞ龍園もっと言え。

 

俺を巻き込まないで欲しいものだ。

 

「そうっすよ僕は関係ないっす」

 

ゴンッ

 

いつものように杖で足を叩かれた。

 

これは黙っていろという合図だ。

 

「あくまで想定の話です、私と森君は最後だと約束してもらいます」

 

「ククク、彼氏を守るのか?可愛いとこもあるじゃねぇか」

 

いいぞ龍園もっと言え!

 

有栖ちゃんの可愛さが分かるとは見どころあるじゃないか。

 

「まだ彼氏ではありません、契約書も用意してきました」

 

どうぞと言って差し出す有栖ちゃん、

 

本当に用意周到だな。

 

「ククク、俺としても楽しみは最後にとっておくつもりさ」

 

そう龍園は不気味に笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は中間テストのお話です。


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テストと衝突

今回はツンデレヒロインの葛城君の出番だよ!

最近気が付いた、Aクラスだと過去問云々とか勉強会イベントとか不要じゃね?と。

だって普通にテスト受けても平気そうなんだもん。


「何で龍園とあんな契約したんすか?」

 

俺は今有栖ちゃんと共にあのカラオケ店から出て

 

レストランに来ていた、食事代は勿論俺の奢りである。

 

「ふふ、森君なら薄々気が付いているのでは?」

 

確かにあの契約の意味は大体理解しているが、

 

俺まで契約内容に入れた意味だけは未だに分からないのだ。

 

「狙いは理解してるっす、ただ僕まで入れる必要あったんすか?」

 

「ええ、森君は私の大事なお友達ですから」

 

半分本当で半分嘘だろう、しかし、いつからこんな作戦を考えていたのか。

 

「いつから考えてたんすか?」

 

「と、言うと龍園君との契約ですか?」

 

それ以外にないだろうに、何処まで理解できているのか試されているようだ。

 

「そうっすよ、龍園なんて微塵も脅威だとは考えてないっすよね」

 

「ふふ、森君は何処まで分かったのですか?」

 

全ては理解してないが恐らく、

 

有栖ちゃんの地位向上のためだろう。

 

「龍園と契約したのは僕と有栖ちゃんだけっす、

Aクラスを狙わないとは確約してないっす」

 

そう、Aクラスを狙うなと言えば龍園は断っただろう。

 

だが、あえて自分と俺だけを指定しAクラスを狙うことは出来るようにしたのだ。

 

理由は簡単だ、葛城を龍園に潰してもらうためだろう。

 

龍園と葛城が対決すればどちらが勝っても有栖ちゃんにはメリットしかないのだから。

 

「ええ、何故そうしたと思いますか?」

 

これはしっかり答えないとダメそうだ。

 

「ノーリスクハイリターンだからっすね」

 

龍園の性格からして契約の抜け穴を探して攻撃してくるのは明白だ。

 

だがその攻撃を受けて戦うのは葛城であり、

 

どんな結果であれ得をするのは有栖ちゃんである。

 

しかも恐ろしいことに今日の契約を葛城は知る術がないのだ。

 

「50点ですね」

 

「手厳しいっす!僕にしては頑張ったんすよ」

 

50点というのは俺のテストの点とかけて言ったのだろう。

 

俺はあのテストを真面目に解いてはいない、

 

つまり俺が真面目に答えていないと言いたかったに違いない。

 

「私が龍園君を攻撃しないとは言ってませんよ?」

 

「あ」

 

言われてみれば一言もそんなことは言ってない。

 

俺が勝手に一時休戦だと思っていた、いや

 

そう錯覚していた。

 

「今後彼は葛城君を重要視するでしょう、私は自由に動くことができます」

 

「こっわ、でもそんな有栖ちゃん大好きっす」

 

そこに痺れる憧れるぅ~。

 

俺がそんないつもの口説き文句を言うと

 

何やら有栖ちゃんは少し嬉しそうだ。

 

「ふふ、私が計算して行動しているのに何とも思わないのは”森君”もだからですか?」

 

「僕はそんなハイスペック人間じゃないっすよ」

 

そう、明確な違いがある、俺は計算しているのではない。

 

”誘導”しているのだ。

 

「森君、次の中間テストで90点を取ってください」

 

「そのつもりっすよ、まさか50点で最下位とは思わなかったっす」

 

中の下くらいの点数のつもりだったのだが、

 

このクラスは想定より点数が高かった。

 

「ごちそうさまでした、たまには外食も悪くないですね」

 

思いのほか美味しかったようだ、

 

確かにここの料理は一級品だ。いつもは自分で作ってるのだろうか?

 

勝手なイメージだが有栖ちゃんは自分で作らなそうだ。

 

「・・・今、失礼なことを考えませんでしたか?」

 

「そ、そんなことないっすよ!有栖ちゃん料理できるんすか?」

 

やはり容姿がお嬢様っぽいから何処か料理出来ないイメージがあるのだ。

 

「基本的な料理は大体出来ます」

 

「お弁当作ってほしいっす!」

 

冗談半分で言ってみる、いつか食べてみたいものだ。

 

「ふふ、気分が向いたら作ってあげましょう」

 

「まじっすか!」

 

言ってみるものだ、まさか女子のそれも有栖ちゃんの手料理が食べれるかもしれない。

 

「さて、今日は解散にしましょう。見送りは不要です」

 

「了解っす、また明日っす!」

 

そう言って俺は二人分の会計を済ませて、自分の寮に戻るため歩き出す。

 

「ええ、さようなら」

 

有栖ちゃんは手を振っていた、手を振っていても可愛らしい。

 

帰り道にベンチがあったので座っていくことにした。

 

少し連絡したい人達がいたからだ。

 

一人は櫛田ちゃんだ、あのコミュニケーション能力ならクラスでも中心人物である可能性が高い。

 

Dクラスの内情を知るには一番だろう、本当かどうか照らし合わせるために

 

綾小路にも連絡して確認する、よって二人目は綾小路だ。

 

そして三人目はBクラスの一之瀬ちゃんだ。

 

同じく内情を知る為でもあるが、単に話したいからである。

 

「龍園と仲良くやるには他クラスの情報は必須だからな」

 

俺は明日龍園と再び会って話したいことがあるのだ。

 

龍園によって統率されたCクラスは脅威でもあるが

 

他クラスを図るのに利用できる。

 

 

 

翌日

 

 

 

「ふぁああ、眠いっす」

 

朝から大きなあくびをして通学していると前に一之瀬ちゃんがいた。

 

話しかけようか迷うな。

 

「あ!森様だ~!おはよう!」

 

不意に後ろを向いて来たので目が合った。

 

なんで後ろ向いた、気配でも分かるのだろうか。

 

「オハっす、今日も綺麗っすね」

 

寝癖がすごい俺と違い、一之瀬ちゃんはあちこち整えられている。

 

容姿を考えて努力しているのが見て取れる。

 

「え!ええ!ありがとう?」

 

しまった、寝ぼけてたから有栖ちゃん相手かのように接してしまった。

 

「昨日は話せて楽しかったっす」

 

「森様ってなんか不思議な人だよね!」

 

これは遠回しに変人だと言いたいのだろうか。

 

「不思議の国の住人っすから」

 

「ええ!Aクラスって不思議な人多いの?」

 

実際には真面目な人ばかりだ、不思議な人は有栖ちゃんくらいだろう。

 

「不思議の国の有栖がいるっすよ」

 

本人が聞いたらと思うとゾッとするがここなら聞かれることはない。

 

「嘘だ~!今度会わせてよ!」

 

一之瀬ちゃんは無邪気にそう言ってくる。

 

「それはちょっと・・・」

 

正直なんかこの子と有栖ちゃんを会わせるのは危険な気がするのだ。

 

「そういえばテスト勉強って頑張ってる?」

 

唐突に聞いてきた、ぶっちゃけたことを言えば全くしていない。

 

「そ、それなりにはしてるっす」

 

「ふーん、本当かなぁ~」

 

これは完全に信用されてないな、テスト勉強はテスト前日の夜にすれば事足りるのだ。

 

テスト勉強より今するべきことが多すぎる。

 

「もし勉強苦手なら私が教えてあげるよ!」

 

「まじっすか!お願いしたいっす」

 

反射的にお願いしてしまった、無邪気な笑顔で言われると断れないのだ。

 

勉強なら全く問題ないのだがどうしたものか。

 

「森様は何の教科が得意なの?」

 

すっかり定着してるが様つけるのやめて欲しい、

 

軽い羞恥プレイもいいところだ。

 

「現代文っすね」

 

「なんか以外かも!森様は理数系だと思ってたよ!」

 

日頃の俺を見て何故そう思うのか、どう考えても論理的な人間には見えないはずだが。

 

「答えや解釈が人それぞれ違うとこが好きなんっす」

 

「でも数学みたいに答えは一つだけど道のりは一つじゃないのも良くない?」

 

確かにそれは数学の楽しさだろう。

 

一之瀬ちゃんは数学が好きなのだろうか?

 

「一之瀬ちゃんは理系なんすか?」

 

「んーどっちだろう、どっちも好きだよ!」

 

それからも5分くらい話しながら歩いた。

 

話していると一年の教室のあるフロアに着いた。

 

「バイバイっす!」

 

「良かったら今日お昼一緒にどうかな?」

 

「用事がなければ連絡するっす!」

 

「うん!楽しみにしてるね!」

 

一之瀬ちゃんと別れて教室に入ると有栖ちゃんと葛城がなにやら言い合いをしている。

 

あの二人は対立関係にあるとはいえあそこまで表立って争っているのは珍しいな。

 

「あの二人どうしたんすか?」

 

近くにいた女子に話しかける。

 

「あ、森君、葛城君が森君のこと悪く言ったみたいで坂柳さんが怒ってるの」

 

なんと、信じられない。

 

あの慎重で真面目な葛城が安易に誰かの悪口を言うとは、

 

しかもそれに対して有栖ちゃんが怒ったこともびっくりだ。

 

「お二人さんオハっす!」

 

葛城と有栖ちゃんの間に入って挨拶をする。

 

「森、お前の点数や行動がクラスの評価にも直結する、Aクラスだという自覚をもて」

 

「小テストの話っすか?中間はそれになりに取るっすよ」

 

恐らく授業態度なども含めて言っているのだろう。

 

俺からすればぶっちゃけ有栖ちゃん以外は割とどうでもいいのだ。

 

「点数もそうだがお前の態度には問題がある、クラスのことも考えることだ」

 

「森君のことは私に任せてくださいと言ったはずです」

 

有栖ちゃんは随分と怒っているようだ、珍しいな。

 

一体どうしてこんなことになっているのか、

 

リーダー同士の衝突でクラスの雰囲気は最悪だ。

 

「任せていたが改善するとは思えん、今後このクラスは追われる立場なのだ」

 

「そこまでこのクラス凄いっすかね?Dの方がよっぽど優秀っすよ」

 

俺が知っているだけでも4人もDには優秀な生徒がいる。

 

Bに関しては一之瀬ちゃんを中心に全体で動いている。

 

Cは龍園によって統率はされいるから集団としては成り立っている。

 

ではAはどうだろうか、まとまりもなく、統率も取れていない、勉強ができるだけだ。

 

「お前以外は皆しっかりとした行動をとっている」

 

「しっかりした行動だけしてるようじゃDまっしぐらっすよ」

 

葛城の顔には怒りが見て取れる、自分の思い通りに動かないことが許せないのだろう。

 

「話にならんな、足を引っ張られては迷惑だ」

 

「僕はリーダの言うことには従うっすよ?」

 

葛城は疑問を顔に浮かべるとすぐに気が付いて睨んできた。

 

俺は遠回しにお前はリーダーではないと言ったからだ。

 

「そうか、お前はあくまで坂柳に従うわけだな」

 

「このクラスのリーダーは有栖ちゃんだけで十分っすよ」

 

葛城はもう諦めたのか呆れたのか自分の机に戻った。

 

朝からクラスの雰囲気は最悪だ、教室に入ってきた教師はなんだこれはといった顔をしていた。

 

 




葛城はツンデレなんです・・・

次回は再びドラゴンボーイの登場ですぞ。


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二つの修羅場

一之瀬ちゃんとドラゴンボーイの登場デス


「森君、お昼をご一緒しませんか?」

 

昼休み早々に有栖ちゃんは俺に声をかけてきた。

 

「あー、僕先約があるんす・・・」

 

俺は今朝方に一之瀬ちゃんとお昼の約束をしていたのを思いだす。

 

本当は有栖ちゃんのお誘いにのりたいが、約束は守らなければならない。

 

「そうですか、私のお弁当はいりませんか」

 

「なん、だと」

 

昨日冗談半分で言ったら本当に作ってくれたのか。

 

ど、どうしよう。

 

すげぇ食べたい。

 

「い、いやぁ~、やっぱ有栖ちゃんと食べるっす」

 

俺がそう言った最中、突如Aクラスの教室のドアが勢いよく開いた。

 

「森様~!お昼一緒に食べよう!」

 

一之瀬ちゃんだった。

 

「・・・」

 

有栖ちゃんはジト目で俺を見ている、やばいやばい。

 

「え、えーと、一之瀬ちゃん」

 

「森様!全然連絡来ないからきちゃったよ~」

 

これはマズイ、有栖ちゃんの許しもなくBクラスのリーダーと関わりがあることが

 

何よりもマズイのだ。

 

「森君、お友達がいたんですね?」

 

うわぁ、有栖ちゃんが明らかに怒っている。

 

あと何気にグサッとくる。

 

「一之瀬ちゃんとは偶然仲良くなったんす」

 

「そうですか、”偶然”ですか」

 

完全に信じてくれてないようだ。

 

だが出会いは本当に偶然なのだ、関係を保っているのは利用できるからではあるが。

 

「森様、その子は?」

 

一之瀬ちゃんは有栖ちゃんを見て俺に聞いてきた。

 

「私は坂柳有栖です、森君をお世話してます」

 

あれぇ?お世話になってますだろう普通・・・。

 

「え!貴方が不思議の国のアリス?」

 

そんなこと言った気がする、どうしよう。

 

「・・・森君、どういうことでしょう?」

 

「え、えーと、記憶にないっす」

 

俺は思わず目をそらしてしまった。

 

ドンッ

 

杖で思いっきり足を叩かれた。

 

「私は一之瀬帆波!よろしくね!」

 

「ええ、少しお話でもどうでしょう?」

 

有栖ちゃんはこれを好機と考えたのだろう。

 

Bクラスの、それもリーダの一之瀬ちゃんと話せるのはアドバンテージになるからだ。

 

「うん、いいよ~!私もAクラスのリーダーと話したかったから」

 

今、葛城が角のほうでピクッとしてたきがする。

 

一之瀬ちゃんの中では葛城はリーダーじゃないのか。

 

「まて、坂柳はリーダーではない」

 

葛城が異議を唱える、一之瀬ちゃんは完全に天然で言ったのだろう。

 

「あ!ごめん!葛城君のこと忘れちゃってた!」

 

「・・・」

 

葛城は言葉もでないようだ。

 

なんか、とても気の毒だ。

 

今朝の俺のような悪意がある発言でなく、素の言葉だからこそ響くだろう。

 

「じゃあ僕はこの辺で失礼するっす」

 

俺はそう言ってすぐにでも逃げ出そうとドアに向かうが。

 

有栖ちゃんが杖を前に出してきたので見事に転んだ。

 

「痛いっす!」

 

「森君も来てください、お話がありますから」

 

目が、目が笑ってない。

 

これは間違いなくお説教だろう。

 

「うん、三人でご飯食べながらお話しよ~!」

 

一之瀬ちゃんはクラスのことを探るより、有栖ちゃんのことを探るつもりみたいだな。

 

恐らく一番警戒しているのだろう。

 

正直この二人の間でお昼は・・・

 

「二人ともお弁当?」

 

一之瀬ちゃんが聞いたのは学食なら食堂で話すつもりだからだろう。

 

「ええ、”私は”お弁当です」

 

「ちょ!有栖ちゃん!」

 

どうやらお弁当をくれる気は失せてしまったようだ。

 

「僕はたった今学食の予定になったっす」

 

俺は何も悪くないのに修羅場にでもいる気分だ。

 

やはり一之瀬ちゃんと有栖ちゃんを会わせてはいけなかったか。

 

「坂柳さんと森様って仲良しなんだね!」

 

一之瀬ちゃんはここに来てから俺が杖で叩かれたり、

 

転ばされてるとこしか見てないのに何故そう思ったのだろうか。

 

「とりあえず、食堂行かないっすか?」

 

「うん、そうしよっか!」

 

 

食堂にて

 

 

 

「今日は色々話せて楽しかったよ~!」

 

一之瀬ちゃんは無邪気にに言っている。

 

この二人の会話は何処かビリビリしてるのだ。

 

この二人の間から一秒でも早く逃げ出したい。

 

「ええ、とても参考になりました」

 

「僕、いる意味あったんすか?」

 

基本ずっとこの二人が話していたので、俺は黙々とご飯を食べていた。

 

「あはは~ごめんね森様、私ばっかり話しちゃって」

 

「別にいいっすよ、美女達の会話する姿は目の保養っす」

 

俺と電話した時と違い、一之瀬ちゃんはクラスに関する話題は上手く濁していた。

 

有栖ちゃんには晒すつもりはないのだろう。

 

「じゃ!私そろそろクラスに戻るね!バイバイ!」

 

一之瀬ちゃんは手を振りながら去って行った。

 

「さて、森君、何か言い残すことはありますか?」

 

何故いきなり死ぬ前提なんだ!

 

「言い訳はさせて欲しいっす」

 

「何故、私に黙って彼女と接触したのですか?」

 

これから先、一之瀬ちゃんと関係を持っておくことが必ず役に立つからだ。

 

Bクラスは今はまだ脅威ではないが、成長すればどのクラスよりも厄介だ。

 

「あの子と出会ったのは本当に偶然っす」

 

「森君の連絡先を見た時からそれは知っています」

 

成程、確かに見せたことがあったな。

 

「問題なのは私に報告をしなかったことです」

 

確かに俺は意図的に報告はしなかった。

 

本来ならずっと隠し通すつもりだったからだ。

 

「一之瀬ちゃんはあくまで友達っす、報告することじゃないっすよ」

 

友好関係にまでは流石に有栖ちゃんでも口を出せないだろう。

 

あくまで友人として付き合っているのなら誰かに報告する必要性などないからだ。

 

「森君は私が好きではなくなったのですか?」

 

例え好きでもこればかりは必要なことなのだ。

 

いずれ有栖ちゃんでも勝てない相手に出くわすかもしれない、

 

その時に守るにはある程度の秘密も必要なのだ。

 

「僕は有栖ちゃん一筋っすよ」

 

「森君を信じます、森君は私のお友達でもあることを忘れないで下さい」

 

有栖ちゃんは俺が裏切った可能性を考えたが信じることにしたのだろう。

 

俺が有栖ちゃんを裏切ることなどない、それ以外の全てを裏切りはしても。

 

「森君は私のです」

 

そう小さく呟いた少女の声は誰にも聞かれることはなかった。

 

 

 

 

 

放課後にて

 

 

 

「相も変わらず物騒っすねぇ~」

 

俺は今あのカラオケ店に来ていた。

 

理由は龍園に会うため、龍園は俺が知る限りこの学校で一番厄介な存在だ。

 

「お前は、昨日の」

 

見張りの生徒が昨日と同じように立っていた。

 

「龍園君に用事があるっす」

 

「分かった、少し待て」

 

そう言って昨日と同じように個室に消えた。

 

おかしいな、全く動揺を感じなかった。

 

”まるで俺が来ることを知っていたかのような反応”だった。

 

「龍園は想像以上みたいっすね」

 

暫くして再び見張りの生徒が出てきた。

 

「入れ」

 

言われたまま個室に入る。

 

「よう、やっぱり来たか」

 

龍園は楽しそうに笑っている。

 

何故俺が来ると思ったのか、昨日が初対面だったはずだ。

 

事実昨日俺のことをモブと言っていた、警戒などしているようには見えなかったが。

 

「僕が来ることが分かってたんすか?」

 

「二重スパイ、それがお前の役割だろ?」

 

なるほど、俺が有栖ちゃんに命令されてここへ来たと思っているのか。

 

確かに本来なら有栖ちゃんの目的はそれだったんだろうな。

 

「今日ここへ来たのは僕個人の判断っすよ」

 

「ククク、お前みたいなモブが何のために来る?」

 

龍園は俺が自分で考え行動しているとは微塵も考えてはいないらしい。

 

「君はとても使えそうだからっすよ」

 

「あ?お前が俺を使うだと?」

 

龍園はとても便利なのだ。

 

「仲良くして欲しいっす」

 

「アルベルト、やれ」

 

近くにいた屈強なハーフの男が近づいてくる、どうやら物騒なことになりそうだ。

 

久々に”俺”が動く必要があるな。

 

「体付きは良いけど、君じゃ俺には勝てないよ」

 

アルベルトと呼ばれた男のパンチを寸前で回避し瞬時に背後に回り込む、

 

乳様突起に手刀で叩きこむ。

 

「!」

 

アルベルトは一瞬固まる、一時的に運動機能が低下する一撃を入れたからな。

 

その隙に胸元を掴み体を引いて顎に膝で蹴りを入れる。

 

これでしばらくは動けない。

 

「俺は別に闘いに来たわけじゃない、仲間作りをしにきたんだよ」

 

「ククク、坂柳が連れてるからただのモブではないとは思ってたがな」

 

俺の力を測る為にアルベルトを使ったのか。

 

だがこれで少しは交渉しやすくなった。

 

「龍園、君が何処かを叩く時は強力させて欲しい」

 

「Aクラスが含まれていてもか?」

 

今後他のクラスもAクラスも龍園を使って力を測り、成長させることができる。

 

「ああ、君は全てのクラスを潰すつもりなんだろう?」

 

「お前にメリットがあるようには思えねぇけどな」

 

龍園からすればそうだろう、だが俺からすれば自分で手を下さずに他クラスを攻める事ができる。

 

「互いに利用し合う関係というのは嫌いではないだろう?」

 

「ククク、面白いモブだ」

 

さて、ここからが本番だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は櫛田ちゃんが登場、読みやすいように書くの難しい。


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野生の櫛田ちゃんが現れた!

今回は櫛田ちゃんの登場です!


「全く、酷い目にあったっす」

 

俺は龍園と話をした帰り道に中間テストもあるので本屋にでも寄っていくことにした。

 

今日の目的は達成出来た、今後何か試験などがあれば動きやすくなるだろう。

 

本屋に入ると図書室程ではないが、色々と興味をそそられる本の並びがしてある。

 

「あれ?森君?こんにちは!」

 

参考書の置いてある近辺を見回していると、櫛田ちゃんと出くわした。

 

恐らく友人と遊んだ帰り道だろう、もう夕方の六時頃になっているはずだ。

 

「やほっす!櫛田ちゃんもテスト対策っすか?」

 

「私は平気なんだけど、皆は大変そうだから参考にならないかなって」

 

なるほど、クラスメイトのためだけにこんな時間に本を探すとは。

 

やはり相当な人格者のようだ。

 

「櫛田ちゃんは仲間思いっすねぇ~」

 

「森君こそテスト対策?必要なさそうだけど」

 

おや、櫛田ちゃんの中では俺は勉強できるイメージなのか。

 

こんな話し方だからあまり賢そうには見えないはずだが。

 

「僕はクラス最下位っすよ?」

 

「え!小テスト何点だったの?」

 

本当に意外そうな反応だ、この子は演技なのか素なのか区別しにくいな。

 

「50点っす、これで最下位っすよ・・・」

 

「うわぁ、Aクラスは大変なんだね」

 

確かにDクラスなら50点は程よい点数のはずだ、

 

全員が90点前後のAが異常なのだ。

 

「Dクラスは楽しそうっすね」

 

「うん、でも皆やりたい放題だよ」

 

Dクラスはクラスポイント0という驚異的な数字だった。

 

やりたい放題とは文字通りなんだろうな。

 

「櫛田ちゃん、もし暇なら喫茶店で少し話さないっすか?」

 

「いいよ!森君とは友好を深めたかったから!」

 

この子は何処か普通ではない、仲良くしておいて損はないだろう。

 

「この喫茶店気になってたんすよね」

 

とても洋風で昔らしさを感じる場所なのだ。

 

人がそんなに入ってる所を見たことがない、

 

密談などには向いているだろう。

 

「デートスポットとかにはいいかも!」

 

なるほど、今度の有栖ちゃんとのデートはここもありだな。

 

やはり女子の価値観を聞けるのは有り難い。

 

一之瀬ちゃんは感性が何処かずれているから参考にならないし・・・

 

「森君、デートする相手とかいるの?」

 

可愛らしく首をかしげて指先を口にあてながらあざとく聞いてきた。

 

何やら言い方に棘を感じるのだが・・・

 

「する予定の子ならいるっすよ」

 

「ちょっと以外かも!森君は恋愛とか興味ないかと思ってたよ」

 

森君は恋愛なんて出来ないと思ってたに聞える。

 

「とりあえず中に入るっす」

 

「そうだね!中ってどんな感じなんだろう」

 

扉を開けて中に入ると、それぞれの席の横に壁のようなものがあり、

 

軽い個室のようになっていた。

 

雰囲気はとても落ち着く感じだ。

 

「良いお店だね」

 

櫛田ちゃんは小声で耳打ちしてくる。

 

「そうっすね、メニューが気になるっす」

 

そう言って席に着く、下にあるカゴにカバンを置いてメニューに目を通す。

 

「店員さんはいないのかな?」

 

櫛田ちゃんの言うように店に入ってから誰一人として人を見ていない。

 

たしかに店は開店していたはずなんだが。

 

「まぁ、何を注文するかだけ決めるっす」

 

「そうだね!うーん、これにしようかなぁ?」

 

とても迷っているようだ、事実俺も何を頼んだものかと悩んでいた。

 

メニューには定番のコーヒーや紅茶以外にも写真付きで載っている、

 

その写真がどれも美味しそうなのだ。

 

「決めた!森君は決まった?」

 

「紅茶とパンケーキの王道でいくっす!」

 

やはり無難なのはこの組み合わせだろう、なにより定番であればあるほど

 

そのお店のレベルがハッキリと分かるのだ。

 

「私はハーブティーとシフォンケーキかな」

 

「ベルを鳴らすっす!」

 

チリンチリンとベルを鳴らしてみる。

 

「いらっしゃいませ、ご注文ですか?」

 

何処から突然エプロン姿の美少女が立っていた、まるで気配を感じない子だ。

 

「私はハーブティーとシフォンケーキで!」

 

「僕は紅茶とパンケーキをお願いするっす!」

 

俺たちが注文すると店員の美少女は古風な手帳にメモを取り、

 

確認をとったあと厨房へと消えていった。

 

一人でお店を回しているのだろうか?

 

「随分と綺麗な子だったっすね」

 

「うん、びっくり!もっとダンディなおじさんが来ると思ってたよ」

 

あれだけの美少女が店員なら通いつめる人もいるかもしれないな。

 

「森君はさ、秘密って共有するの好き?」

 

唐突に櫛田ちゃんが質問してきた、秘密か、

 

誰かと共有すればそれはもう秘密ではない気もするが。

 

「僕はあまり話さないっすよ」

 

「そっか、森君、前に言ってたことって本当?」

 

前?初対面の時のことだろうか。

 

確か中学時代の話をした気がする、今思えばあれは失言だったな。

 

入学してすぐで浮かれ過ぎていたかもしれない。

 

「中学のことっすか?」

 

「うん、どうして私に教えてくれたの?」

 

直感的に何処か”俺”と似ているような気がしたのだ。

 

櫛田ちゃんには過去に何かあった人間独特の雰囲気があったからだ。

 

「櫛田ちゃんとはシンパシーを感じたんっすよ」

 

「私も同じ、森君とは似てるかも」

 

いつもとは違った何処か大人びた笑い方だ、これが本当の櫛田ちゃんなのかもな。

 

「私はね、信頼はされるけど、誰かを信頼することはできないの」

 

「僕もっすよ、でも”信用”は出来るんじゃないっすか?」

 

櫛田ちゃんみたいなタイプの子は、相手の弱点を知って初めて安心して付き合えるのだ。

 

それ故に自分の弱点を晒す真似は本来ならしないはずだが。

 

「流石!本当に私のことよくわかってる」

 

「僕の弱点は晒したっす、互いが弱みを握った状態がベストな関係だと思わないっすか?」

 

実際には中学のことは事実ではあるが弱点ではない。

 

大事なのは櫛田ちゃんに俺の弱みを握らせてあげることだ。

 

「そうだね、私も森君と同じだよ」

 

「同じ?クラス崩壊させたんすか?」

 

何かあるとは思っていたがまさか本当に似た内容だとは。

 

「うん、最後に全部皆の秘密を暴露して壊してあげたの」

 

「櫛田ちゃんだから出来ることっすね」

 

確かにそれならクラスの人間関係は崩壊するだろう、何故そんなことをしたのかは分からないが。

 

「森君はどうやったの?」

 

「僕は一人一人を誘導して問題を大量に引き起こしたっす」

 

これは事実だ、しかし櫛田ちゃんと違い証拠は何一つとして残ってはいない。

 

櫛田ちゃんがDクラスで俺がAクラスなのがその証拠だ。

 

俺の場合はクラスでなく、学級崩壊と言っても過言じゃない。

 

「堀北さんって知ってる?」

 

「綾小路君の彼女っすか?」

 

確かあの怖い黒髪ロングの美少女だ、あの子がどうかしたのか。

 

「綾小路君を知ってるの?」

 

随分と驚いているようだ、確かに有栖ちゃんの話が無ければ関わろうとはしなかっただろう。

 

「その堀北さんと一緒に偶然コンビニで話したことがあるっす」

 

「そっか、なら話が早いね!堀北さんを退学にしたいの」

 

とても可愛らしい笑顔で元気よくそんなことを言った。

 

退学?何故そこまでしたがる。

 

秘密を知られたのか?そんなミスをする子には見えないが。

 

「何故そこまでするんすか?」

 

「同じ中学なの、わかるでしょ?」

 

なるほど、確かにそれなら早急に排除したいだろうな。

 

しかし、堀北はそんなに話を広めるタイプには見えないけどな。

 

退学以外にも手はありそうなものだが。

 

「成程、僕はお手伝いっすか?」

 

「うん、この間Dの内情教えてあげたでしょ?」

 

あの電話の意図にしっかり気が付いていたのか。

 

あえて晒したのは俺に自分が使えると思わせるためか。

 

「僕で良ければ手伝うっすよ」

 

「ホント?ありがとう!」

 

ただついでに色々実験させてもらうけどな。

 

龍園のテストも兼ねて丁度いいかな。

 

「ただ、僕にも協力してもらうっすよ?」

 

「いいよ!森君とは仲良くできそう!」

 

堀北を退学させることが余程嬉しいらしいな、随分とあっさりとOKされたものだ。

 

「お待たせしました、こちら紅茶とパンケーキです」

 

店員のエプロン美少女が僕のところに注文した物を置いていく。

 

「ハーブティーとシフォンケーキです」

 

櫛田ちゃんの頼んだ物もおいしそうだ。

 

「美味しそう!頂きます!」

 

「頂くっす!」

 

龍園と櫛田ちゃんというカードを手に入れたのは大きい、今後が楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 




堀北さん出てきましたね、話の中でな!

堀北さんファンの方は主人公嫌いになったかな・・・

感想頂けると嬉しいです、改善点や間違えなども教えて下さい!


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