ペニーワイズがパワプロドリームカップをオススメするようです (いのかしら)
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ペニーワイズがパワプロドリームカップIIをオススメするようです

天候は雨。かといって出歩くのを徒らに躊躇うほどではない。外で遊びたがりの子供にとっては、これほどの天候を気にすることがないのはおろか、その雨をも遊び道具に変えてしまう。

路上の雨はその僅かな湾曲を伝って、道の端に臨時の川を生み出す。この少年ジョージもその御多分に洩れず、ワジの親戚に広告チケットを流し、それを眺めつつ走って遊んでいた。車は殆ど走っていない。滑って転ぶのさえ気をつければ、別に問題ない部分もある。

 

ところがこの世はワジを永遠に流し続けるほど寛容ではない。その流れるものに注目していた彼は、それが急に側溝に吸い込まれる様に対し、何も対処できなかった。

 

「あぁっ!俺のチケット……」

 

そもそもそんな金銭とトレード可能なモノを流して遊ぶな、と思ったそこの君。彼は子供だ。ある程度は大目に見たまえ。

 

まぁとにかく、水が絡むもので下から上に移動するのは、温泉か噴水か毛細管現象、と相場が決まっている。そして側溝の穴はそのいずれにも含まれない。

 

そう、どんなに奥を覗いても。

 

 

浮かび上がってくるはずもなく、どこかに引っかかる代物でもなかった。最早どうにもならない。ジョージは諦めて引き下がるしかなかった。

なんと言って家に帰ればいいのやら。次に向けた不安さえ湧き起こっていた。

 

「ハァイ、ジョージィ」

 

だからこそ周りに誰と見当たらない状況で、どこからか聞こえた声には、それをもかき消す不安を呼び起こした。

 

どこだ。

 

少し周りを探して、音源に近いと思われるところ、その側溝の穴を覗くと、見るからに怪しいピエロらしき外見の者が、こちらに妖しい笑顔を見せていた。

 

「風船はいるかい?」

 

首を左右に振る。

 

「パパから知らない人から物はもらうなって言われてる」

 

「じゃあボクはピエロのペニーワイズ、君はジョージ。ほら、ボク達は知らない人間じゃなくなった」

 

面倒な輩がいる。

 

「だけど風船なんていらない」

 

「Oh……そうかい。それは残念だ。それでジョージィ、パワプロドリームカップIIって知ってる?」

 

何か言ってきたが、そんなものは知らない。本日2回目の首振りでそれを示す。

そもそもいきなり知らない人間に話しかけるか?まぁこいつが人間かは知らないが。

 

「Oh……本当に知らないかい?ニコニコ動画におーい汚水氏によって投稿されてるパワプロドリームバトルにおける一大大会だぞ?開会式なんてもうすぐ8000再生になるのに……」

 

そのピエロが見せてきたスマホの画像には、その大会の開会式らしきものが写っている。

 

パワプロドリームバトル、それならニコニコ大百科で見たり、ツイッターで関連する話を見かけたことがある。

 

あ、あれかぁ……

 

「なんだたったの8000だろ?パワプロドリームカップってチーム数も多くないし、なんかチーム毎の強さのバランスがメチャクチャな大会なんだろ!騙されんぞ!」

 

「いや、原作の亀甲縛りで確かにどうしようもなく弱いチームもある。でもな、大量の作品を基にしたキャラ。作品に出てくる曲を基にした応援歌。チームによっては全員に固有の応援歌があって、さらにチャンテも複数ある。おまけに本家の野球に負けず劣らずの迫力ある試合展開……どうだ?」

 

なるほど、思ったより悪くはなさそうだ。だが自分にはもっと面白そうに見えるものがある。

 

「確かに悪くないね。じゃあ俺、パワプロツアーズfinal見てくるから」

「待てや!」

 

カードは本当に諦めて帰ろうとしたところで、ピエロが大きな声で呼び止めた。

 

「これが……分かるか?」

 

なんかいろいろ見せてくるピエロが次に取り出したのは、見たことがある、いやさっきまで見ていたもの。

 

「俺の広告チケット!」

 

「Ex-Actlly!これは君のものだ。君にお返しするよ」

 

だが顔には無償で、とは書いてない。

 

「これをパワプロドリームカップIIの宣伝に突っ込め……か」

 

「物分かりがいい子は嫌いじゃないよ、ジョージィ」

 

けけけ、と変な笑い声を出しながらでもピエロが肯定する。だがなけなしの小遣いを貯めて貯めて買ったチケット。ただの動画には使いたくない。

 

「返して欲しくないのかい?確かに強そうなチームはいるさ。打線がアホみたいに強いとか、投手がバケモノ揃いとかね。だけどどこのチームも投手、打撃、守備全てが完璧ってわけじゃない。

打撃と守備は強力なドラゴンボールは、逆に投手力はお粗末だ。かといって打力も投手陣も今ひとつなきんモザ&ゆゆ式が大勝利を収めたりだってするかもしれない。

それにジョージィ、この大会は好きなチームの活躍をほぼ3試合以上見れるんだぞ?ボクだってツアーズが嫌いなわけじゃないけど、MAJORやらき☆すたが初戦で消えちゃったのは悲しかったろう?」

 

「ま、まぁ……」

 

大会優勝候補の一角で人気チームのMAJORの初戦負け。確かに天変地異とも呼べる出来事だった。

 

「この大会なら予選リーグの都合上2試合しか見れないチームがひとつだけあるが、55チームもいて1チームだけだ。かなり少ないだろう?

それに野球の試合は水ものだ。9回2アウトでもどうなるかわからないし、パワーSだからってホームラン量産するわけでもなければ、パワーGだからホームラン打てないってわけでもない。強いから勝つんじゃない。勝ったものが強いのさ。だから本当に予想できない試合揃いさ」

 

あれ、これ面白いんじゃね?このピエロの話を聞いているとそう思えてきてしまう。

 

「じゃあハルヒでも優勝できるの?」

 

「えっ……ああ、うん。可能性はゼロじゃないさ」

 

顔が一瞬歪んだが、それも気にならなくなるほどに、ジョージはパワプロドリームカップIIへの入り口ににじり寄っていた。手がすでに穴の中に入っていたのである。

 

「パワプロドリームカップIIはいいぞ……深いぞ……」

 

ピエロが再び笑った。その目を見ていると、どんどん引き寄せられていく。そしてその目からも目線が外せない。

 

「ちょいと昔から本当に最近の作品までいろんなチームが君の応援を待っているのさ……そしてパワプロドリームカップIIが心底気に入ったら……」

 

その時だった。ピエロの手がジョージの手首を捉えた。力強く握り締められ、もはや抜ける気配もない。

 

「深夜でもニコレポが気になって仕方ない人間になりなッ‼︎」

 

「キャァァァァァァァァ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョージは死んだ。ニコレポはおろか、作品のコメントが更新されるたびに覗きたくなるほどハマり、深夜の睡眠時間が削れに削れてしまったのだ。子供の体にそれはあまりにも重たすぎた。

 

みんなも見るときは、自分の次の日の予定と体調を考慮しような。

 



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ペニーワイズがシュタゲチームをオススメするようです

やぁ、調子いい?


天候は雨。かといって出歩くのを徒らに躊躇うほどではない。外で遊びたがりの子供にとっては、これほどの天候を気にすることがないのはおろか、その雨をも遊び道具に変えてしまう。

路上の雨はその僅かな湾曲を伝って、道の端に臨時の川を生み出す。この少年ジョージもその御多分に洩れず、ワジの親戚にメールを流し、それを眺めつつ走って遊んでいた。車は殆ど走っていない。滑って転ぶのさえ気をつければ、別に問題ない部分もある。

 

「わーい!我が漆黒の魂を乗せて彷徨いたまえー!」

 

ところがこの世はワジを永遠に流し続けるほど寛容ではない。その流れるものに注目していた彼は、それが急に側溝に吸い込まれる様に対し、何も対処できなかった。

 

「あぁっ!俺のメール……」

 

そもそもそんな電子っぽいモノを二酸化炭素も混じっているだろう水の上に流して遊ぶな、と思ったそこの君。彼は子供だ。ある程度は大目に見たまえ。きっと中身は既にイカれている。

 

まぁとにかく、水が絡むもので下から上に移動するのは、温泉か噴水か毛細管現象、と相場が決まっている。そして側溝の穴はそのいずれにも含まれない。

 

そう、どんなに奥を覗いても。

 

 

浮かび上がってくるはずもなく、どこかに引っかかる代物でもなかった。最早どうにもならない。ジョージは諦めて引き下がるしかなかった。

なんと言って家に帰ればいいのやら。次に向けた不安さえ湧き起こっていた。

 

「ハァイ、ジョージィ」

 

だからこそ周りに誰と見当たらない状況で、どこからか聞こえた声には、それをもかき消す不安を呼び起こした。

 

どこだ。

 

少し周りを探して、音源に近いと思われるところ、その側溝の穴を覗くと、見るからに怪しいピエロらしき外見の者が、こちらに妖しい笑顔を見せていた。

 

「風船はいるかい?」

 

首を左右に振る。

 

「パパから知らない人から物は賜るなって言われてるし、貴様は何者だ」

 

「じゃあボクはピエロのペニーワイズ、君はジョージ。ほら、ボク達は知らない人間じゃなくなった」

 

面倒な輩がいる。この小賢しい問答はこのピエロを敬遠させるには十分だった。

 

「だけど風船なんて我が人生にはいらない」

 

「Oh……そうかい。それは残念だ。それでジョージィ、Steins;Gateチーム、通称シュタゲチームって知ってる?」

 

何か言ってきたが、そんなものは知らない。本日2回目の首振りでそれを示す。

そもそもいきなり知らない人間に話しかけるか?まぁこいつが人間かは知らないが。

 

「Oh……本当に知らないかい?ニコニコ動画におーい汚水氏によって投稿されてるパワプロドリームカップIIにおける人気チームだぞ?それにその原作だってゲーム、アニメ、映画いずれも人気なんだ。おまけにチームは予選を1位で通過しているんだぞ?」

 

そのピエロが見せてきたスマホの画像には、そのアニメの公式ホームページらしきものが写っている。

 

steins;gate。それなら最近見始めたアニメサイトで見たり、ツイッターで関連する話を見かけたことがある。

 

あ、あれかぁ……

 

「なんだ最強のパワーがBの雑魚チームじゃないか!おまけに投手陣は一人を除いてボロボロにされてんだろ!1位通過だって偶々に違いない!さらに作者シュタゲ全く見てないだろ!いいかげんにしろ!」

 

「いや、確かに作者はこの作品を見てないし

、シュタゲの投手陣は優秀とは言えないさ。でもな、それはヒジョーに狭い見方さ、特にこのチームが好きかどうかと打撃をそのように見てしまうのはね。

確かにパワーC以上はミスターブラウンしかいないし、彼にもチャンスFという弊害がある。だけどね、彼だけがホームランを打てる訳でもなければ、ホームランだけが点を稼ぐ手段じゃない。

そしてその打線こそ、予選リーグ1位通過の原動力だ。どうだ、その打線について知りたくないかい?」

 

なるほど、思ったより悪くはなさそうだ。だが自分にはもっと面白そうに見えるものがある。

 

「確かに悪くないね。じゃあ俺、アニメのシュタゲゼロを全部見てくるから」

「待てや!」

 

カードは本当に諦めて帰ろうとしたところで、ピエロが大きな声で呼び止めた。

 

「これが……分かるか?」

 

なんかいろいろ見せてくるピエロが次に取り出したのは、見たことがある、いやさっきまで見ていたもの。

 

「俺の……メール!」

 

「Ex-Actlly!これは君のものだ。君にお返しするよ」

 

だが顔には無償で、とは書いてない。

 

「これを下賜する代わりにシュタゲチームの観測者となれよ、か」

 

「物分かりがいい子は嫌いじゃないよ、ジョージィ」

 

けけけ、と変な笑い声を出しながらでもピエロが肯定する。だがこのメールは俺が現在の世界線を超えて新たなる世界の主人となるためには欠かせないもの。確かに失うのは惜しい。

 

「返して欲しくないのかい?確かにステータスだけ見れば、そこまで全体として優秀な訳じゃない。もっと打撃ステータスが高いチームならるろ剣とかドラゴンボールとかもあるしね。

だがステータスだけじゃないのがこの大会の目玉さ。

切り込み隊長にして俊足捕手の盗塁量産バイト戦士阿万音!

繋ぎ最強の指圧師桐生!

安打製造機にして守備も安心のクリスティーナ牧瀬!

ホームランを叩き込んでくれるミスターブラウン!

チャンスでタイムリーでもホームランでも決めてくれる頼れるダル!

チャンスB意外性で終盤は侮れないまゆしぃ椎名!

そして魔曲スカイクラッドが流れた時の悪魔的繋がり……強そうだろう?」

 

「ま、まぁ……」

 

「予選ではあの大エース、シモンを打ち崩し、あの三橋を擁するおおふり相手に勝利している。下位打線まで隙が少ないのがこのチームなのさ。

さらに投手陣は安定の黒木さんがいる。調子さえ良ければ2〜3回投げられるから、ほかの中継ぎが悪くなってもある程度安心だ。さらにちょっとの失点なら打線が取り返してくれるさ。

そもそも岡部と比屋定は本来そこまでステータス的に悪い訳じゃない。岡部は逃げ玉持ちで失投はいうほど多くないし、対ピンチはAだ。それにもう一人の先発、比屋定はコントロールSだしね」

 

あれ、このチーム面白いんじゃね?このピエロの話を聞いているとそう思えてきてしまう。

 

「じゃあドクター中鉢でもホームラン打てるの?」

 

「えっ……ああ、うん。可能性はゼロじゃないさ」

 

顔が一瞬歪んだが、それも気にならなくなるほどに、ジョージはシュタゲチームへの入り口ににじり寄っていた。手がすでに穴の中に入っていたのである。

 

「シュタゲチームはいいぞ……深いぞ……」

 

ピエロが再び笑った。その目を見ていると、どんどん引き寄せられていく。そしてその目からも目線が外せない。

 

「シュタゲチームと魔曲スカイクラッドが気に入ったら……」

 

その時だった。ピエロの手がジョージの手首を捉えた。力強く握り締められ、もはや抜ける気配もない。

 

「10月27日くらいに投稿される決勝トーナメント初戦を深夜まで出待ちして見るんだよォ!」

 

「キャァァァァァァァァ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョージは死んだ。紅莉栖の罵りとまゆしぃの催眠ボイスが組み合わさり最強に見えたのだ。魔曲スカイクラッドを聴きながら死ねたのがせめてもの幸運だろうか。

 

 

「なんで俺また死んでるの?」

「世界線でも超えたんじゃないかな、ジョージィ」

 



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ペニーワイズがきんいろモザイク&ゆゆ式チームをオススメするようです

やぁ、調子いい?



天候は雨。かといって出歩くのを徒らに躊躇うほどではない。外で遊びたがりの子供にとっては、レインコートさえ手に入れてしまえばこれほどの天候を気にすることがないのはおろか、その雨をも遊び道具に変えてしまう。

路上の雨はその僅かな湾曲を伝って、道の端に臨時の川を生み出す。この少年ジョージもその御多分に洩れず、ワジの親戚に小さなこけしを流し、それを眺めつつ走って遊んでいた。車は殆ど走っていない。滑って転ぶのさえ気をつければ、別に問題ない部分もある。

 

ところがこの世はワジを永遠に流し続けるほど寛容ではない。その流れるものに注目していた彼は、それが急に側溝に吸い込まれる様に対し、何も対処できなかった。

 

「あぁっ!俺のこけし……」

 

そもそもそんな床の間に飾っておいたほうが適当なモノを流して遊ぶな、と思ったそこの君。彼は子供だ。ある程度は大目に見たまえ。

 

まぁとにかく、水が絡むもので下から上に移動するのは、温泉か噴水か毛細管現象、と相場が決まっている。そして側溝の穴はそのいずれにも含まれない。逆に噴き出してきたら問題になる。

 

そう、どんなに奥を除いても。

 

 

浮かび上がってくるはずもなく、どこかに引っかかる代物でもなかった。最早どうにもならない。ジョージは諦めて引き下がるしかなかった。

家からほぼ勝手に持ち出してきたものだけに、なんと言って家に帰ればいいのやら。次に向けた不安さえ湧き起こっていた。

 

「ハァイ、ジョージィ」

 

だからこそ周りに誰と見当たらない状況で、どこからか聞こえた声には、それをもかき消す大きな不安を呼び起こした。

 

どこだ。

 

少し周りを探して、音源に近いと思われるところ、その側溝の穴を覗くと、見るからに怪しいピエロらしき外見の者が、こちらに妖しい笑顔を見せていた。

 

「風船はいるかい?」

 

首を左右に振る。

 

「パパから知らない人から物はもらうなって言われてる」

 

「じゃあボクはピエロのペニーワイズ、君はジョージ。ほら、ボク達は知らない人間じゃなくなった」

 

面倒な輩がいる。

 

「だけど風船なんていらない」

 

「Oh……そうかい。それは残念だ。それでジョージィ、きんいろモザイク&ゆゆ式チーム、通称ゆゆきんチームって知ってる?」

 

何か言ってきたが、そんなものは知らない。本日2回目の首振りでそれを示す。

そもそもいきなり知らない人間に話しかけるか?まぁこいつが人間かは知らないが。

 

「Oh……本当に知らないかい?ニコニコ動画におーい汚水氏によって投稿されてるパワプロドリームカップIIにおける人気チームの一つだぞ?その戦いぶりはみんなの注目の的なんだ。アニメは2期まであって、どっちもまんがタイムきららの日常系アニメの一角としての地位を保っているんだぞ」

 

そのピエロが見せてきたスマホの画像には、その大会の開会式らしきものが写っている。

 

きんいろモザイク、それならニコニコ大百科で見たり、ツイッターで関連する話を見かけたことがある。

 

あ、あれかぁ……

 

「いや、ゆゆきんチームってきんいろモザイクのメンツじゃ足りないから、仕方なくゆゆ式から引っ張ってきたチームだろ!打線のパワーは総じて低めだし、挙げ句の果てに投手陣のスタミナは貧弱!騙されんぞ!」

 

「いや、確かに投手陣のスタミナは少ない。先発2人のスタミナがEとDという点と、中継ぎが3人しかいない点から見ても明らかだ。

でもな、かといって試合は9回までしかないんだ。先発が5回まで投げきれれば問題ないし、アリスとカレンの両先発にはそれを成せるだけの力がある。それに中継ぎの美月や空太、抑えの先生にもそれぞれ強みがあるから心配いらないぞ……どうだ?」

 

なるほど、思ったより悪くはなさそうだ。だが自分にはもっと面白そうに見えるものがある。

 

「確かに悪くないね。じゃあ俺、きんモザのBlu-ray&DVD買って見てくるから」

「待てや!」

 

カードは本当に諦めて帰ろうとしたところで、ピエロが辺りに響くほどではないが大きな声で呼び止めた。

 

「これが……分かるか?」

 

なんかいろいろ見せてくるピエロが次に取り出したのは、見たことがある、いやさっきまで見ていたもの。

 

「俺のこけし!」

 

「Ex-Actlly!これは君のものだ。君にお返しするよ」

 

だが顔には無償で、とは書いてない。

 

「これを返す代わりに、ゆゆきんチームを応援しろ……か」

 

「物分かりがいい子は嫌いじゃないよ、ジョージィ。なに、安い要求じゃないか」

 

けけけ、と変な笑い声を出しながらでもピエロが肯定する。だがゆゆきんチームの応援、こけしがそれに引き換えられるのか、親の顔も交えて浮かぶ。

 

「返して欲しくないのかい?確かに打線だって最強だってわけじゃないし、守備にだって隙がある。本来なら早々勝てるチームには見えないさ。打線ならMAJORあたりの方が優秀だし、守備ならSAOの二遊間とかと比べたらはるかに劣るさ。

でもな、安定した投手陣、特に先発の安定はその二つよりも試合に勝つ上でかなり重要さ。彼女らが抑えれば、たとえ打線がそこそこ封じられてもなんとかなる。

それにジョージィ、このチームの打線はそう簡単に抑え込めるほど甘くないぞ?能力見ただけじゃ分からないかもしれないが、君だってクソザコナメクジくんと化した薬師寺や、プギャーな成績しか残せない園城寺を見てきただろう?」

 

「ま、まぁ……」

 

「それならその逆も十分あり得ることさ。このチームには4番に大正義YOUKOが控えているし、その前後の大宮勇、櫟井の二人も出塁はもちろんタイムリーを放てるし、1番の久世橋は威圧感待ち。さらに2番の忍も侮れない。下位打線にもパワーがある程度ある烏丸先生がいる。

特に陽子はホームランを何本もかっ飛ばせるチームの中核だ。彼女の活躍にはみんな期待しているのさ。そしてそれに答える力が、彼女にはある。

打線の繋がりだっていいし、忍やゆずこはバントをきっちり決めてくる。相手からしたらやりづらい相手さ。そしてそれだけの打線あった上で安定した投手陣さ。どうだ、面白そうだろう?」

 

あれ、これ面白いんじゃね?このピエロの話を聞いているとそう思えてきてしまう。

 

「じゃああややでもホームラン打てるの?」

 

「えっ……ああ、うん。可能性はゼロじゃないさ」

 

顔が一瞬歪んだが、それも気にならなくなるほどに、ジョージはゆゆきんチームへの入り口ににじり寄っていた。手がすでに穴の中に入っていたのである。

 

「ゆゆきんチームはいいぞ……深いぞ……」

 

ピエロが再び笑った。その目を見ていると、どんどん引き寄せられていく。そしてその目からも目線が外せない。

 

「ゆゆきんチームが気に入ったら……」

 

その時だった。ピエロの手がジョージの手首を捉えた。力強く握り締められ、もはや抜ける気配もない。

 

「緩やかな日常アニメの中の滾る闘争心に呑み込まれなッ‼︎」

 

「ギャァァァァァァァァ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョージは死んだ。ペニーワイズの話に乗っかった後、こけしとともに気がついたらイギリスの地方都市に取り残されていたのだ。もちろんパワプロドリームカップIIを見る余裕もなく、言葉はかろうじて通じるものの身よりも誰もいない異界の恐怖に呑み込まれたのだ。悲しいなぁ。

 

 

ゆゆきんチームの決勝トーナメント初戦は今月12日ごろに投稿されると思うぞ!

 

 

 

ジ「何で俺また死んでんの?」

 

ペ「だいたいBrexitのせい(適当)」

 



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ペニーワイズがまどか☆マギカチームをオススメするようです

やぁ、調子いい?

ブームが去ってる?知らないな。


天候は雨。かといって出歩くのを徒らに躊躇うほどではない。外で遊びたがりの子供にとっては、これほどの天候を気にすることがないのはおろか、その雨をも遊び道具に変えてしまう。

路上の雨はその僅かな湾曲を伝って、道の端に臨時の川を生み出す。この少年ジョージもその御多分に洩れず、ワジの親戚にソウルジェムを流し、それを眺めつつ走って遊んでいた。車は殆ど走っていない。滑って転ぶのさえ気をつければ、別に問題ない部分もある。

 

ところがこの世はワジを永遠に流し続けるほど寛容ではない。その流れるものに注目していた彼は、それが急に側溝に吸い込まれる様に対し、何も対処できなかった。

 

「あぁっ!俺のソウルジェム……」

 

そもそもそんな命そのものと交換可能なモノを流して遊ぶな、と思ったそこの君。彼は子供だ。物の価値なんざ分かっていない。ある程度は大目に見たまえ。

 

まぁとにかく、水が絡むもので下から上に移動するのは、温泉か噴水か毛細管現象、と相場が決まっている。そして側溝の穴はそのいずれにも含まれない。

 

そう、どんなに奥を除いても。

 

 

浮かび上がってくるはずもなく、どこかに引っかかる代物でもなかった。最早どうにもならない。ジョージは諦めて引き下がるしかなかった。最悪今自分が死んでいない以上、砕けていることはない。一応安心できた、ということもある。

しかしこっからどうすればいいのやら。水道局に電話でもかけてもらうか。しかし親にはどう言ったものか……など次に向けた不安さえ湧き起こっていた。

 

「ハァイ、ジョージィ」

 

だからこそ周りに誰と見当たらない状況で、どこからか聞こえた声には、それをもかき消す不安を呼び起こした。

 

どこだ。

 

少し周りを探して、音源に近いと思われるところ、その側溝の穴を覗くと、見るからに変質者としか思えないピエロらしき外見の者が、こちらに妖しい笑顔を見せていた。

 

「返事してくれないのかい?そうだ、風船はいるかい?」

 

首を左右に振る。

 

「パパから知らない人から物はもらうなって言われてる」

 

「じゃあボクはピエロのペニーワイズ、君はジョージ。ほら、ボク達は知らない人間じゃなくなった」

 

面倒な輩がいる。

 

「だけど風船なんていらない」

 

「Oh……そうかい。それは残念だ。それでジョージィ、まどか☆マギカチームって知ってる?」

 

何か言ってきたが、そんなものは知らない。本日2回目の首振りでそれを示す。

そもそもいきなり知らない人間に話しかけるか?まぁこいつが人間かは知らないが。

 

「Oh……本当に知らないかい?パワプロドリームカップIIでの人気チームの一つだぞ?なにせ今大会唯一の3チームのリーグで、1チームしか決勝トーナメントに出れないNリーグで、あのメジャーを倒したストパンに勝って突破してきたチームだぞ?」

 

そのピエロが見せてきたスマホの画像には、その大会の開会式らしきものが写っている。

 

パワプロドリームバトル、パワプロドリームカップ、それならニコニコ大百科で見たり、ツイッターで関連する話を見かけたことがある。

 

あ、あれかぁ……

 

「なんだ単に宮藤のノーコンに助けられて進出してきたチームだろう!今大会の戦闘モノは大概が守備に難がある中で、さらに女子チームだからパワーも無いんだろ!それに作者またしても本編見たことないし、騙されんぞ!」

 

「いや、確かに内野の守備難は否定できない。だけど、所詮内野だ。ある程度難があっても最低でも内野安打程度には収まる。それに元々5人の魔法少女を軸に打線はそこそこ優秀さ……どうだ?」

 

なるほど、思ったより悪くはなさそうだ。だが自分にはもっと面白そうに見えるものがある。

 

「確かに悪くないね。じゃあ俺、パワプロツアーズfinalのグラップラー刃牙戦見てくるから」

「待てや!」

 

カードは本当に諦めて帰ろうとしたところで、ピエロが大きな声で呼び止めた。

 

「いや、だってスピンオフキャラそっちにしか出てないもん」

 

「本編キャラでも十分さ……それに……これが……分かるかい?」

 

なんかいろいろ見せてくるピエロが次に取り出したのは、見たことがある、いやさっきまで見ていたもの。

 

「俺のソウルジェム!」

 

「Ex-Actlly!これは君のものだ。君にお返しするよ」

 

だが顔には無償で、とは書いてない。

 

「これと引き換えにまどか☆マギカを応援しろ、か……」

 

「物分かりがいい子は嫌いじゃないよ、ジョージィ」

 

けけけ、と変な笑い声を出しながらでもピエロが肯定する。だがそれは生物の屑と契約してまで手に入れたもの。それと引き換えにするには……

 

「返して欲しくないのかい?確かに投手陣だって一見不安に見えるかもしれない。マミは精神的に脆弱だし、2番手の上条はスタミナがない。

だが二人とも失点を抑えて回を稼ぐ、という点では優秀さ。コントロールは二人とも良いし、マミは右のサイドスローから放たれる変化量の大きいスライダーがある。あれは十分武器になるよ。

そして中継ぎ、抑えは何だかんだ頼りになる。ショウはコントロールが低いが、逃げ玉があるからある程度は何とかなる。キュウべえはナックルが武器で、前回大会かなりの回を投げて無失点さ。

それに精神的弱さが投手としての弱さに直結しないのは、園田や北条、ホップ、深雪を見ても分かるだろう?」

 

「ま、まぁ……」

 

「抑えのまどかもステータスは悪くない。キュウべえはスタミナあるから、ある程度のロングリリーフも効くからね。

それに打線は一番にしてホームランも打てる杏子、安打製造機ほむら、プルヒッター美樹さやか。この3人を軸に、なぎさや鹿目詢子、そして地味に中沢やスラッガー早乙女もいい成績を残している。中沢とかは打率4割超えていたぞ、多分。能力低い選手がやけに活躍しているのが、このチームの最大の強みさ。

おまけに志筑はチャンスBがあるから、チャンスだと侮れないぞ?どうだ、強そうに思えてきただろう?」

 

あれ、これ面白いんじゃね?このピエロの話を聞いているとそう思えてきてしまう。

 

「じゃあスラッガーは本当にホームラン打てるの?」

 

「えっ……ああ、うん。可能性はゼロじゃないさ」

 

顔が一瞬歪んだが、それも気にならなくなるほどに、ジョージの手は既にまどか☆マギカチームへの入り口ににじり寄っていた。手がすでに穴の中に入っていたのである。

 

「まどか☆マギカチームいいぞ……深いぞ……」

 

ピエロが再び笑った。その目を見ていると、どんどん引き寄せられていく。そしてその目からも目線が外せない。

 

「そしてまどか☆マギカチームが気に入ったら……」

 

その時だった。ピエロの手がジョージの手首を捉えた。力強く握り締められ、もはや抜ける気配もない。

 

「早くマミさんのティロフィナーレでマミるんだよ!」

 

「ギャァァァァァァァァ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョージは死んだ。ソウルジェムが握りつぶされたのなら多少はね。

 

 

 

 

ジョージ「俺なんでまた死んでんの?」

 

ペニーワイズ「円環の理に導かれたのさ。そういえば、まどマギといえば、ということで一つ紹介したい作品があるらしいぞ」

 

ジョージ「なにさ」

 

http://sp.nicovideo.jp/watch/sm17867807?cp_in=wt_uservideo

 

ペニーワイズ「『まどかは皇帝になるようです』だ。鹿目まどかが二次大戦前の世界で、世界戦を変えるためにオーストリア皇帝になる話さ」

 

ジョージ「……ちょっとなに言っているかよくわかんないです」

 

ペニーワイズ「逆にその設定さえ乗り越えて仕舞えば、あとは濃密な世界が君を待っているぞ?」

 

ジョージ「でもこれ更新頻度悪すぎだろ!新作なんて一年半近く更新されてないだろ!騙されんぞ!」

 

ペニーワイズ「この人なら稀によくあることだから。ま、耐えるんだ。きっと戻ってくるから」



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ペニーワイズが物語シリーズチームをオススメするようです

やぁ、調子いい?


天候は雨。かといって出歩くのを徒らに躊躇うほどではない。外で遊びたがりの子供にとっては、仮に近所の知り合いが吸血鬼を助けたという話があっても、レインコートさえ手に入れてしまえばこれほどの天候を気にすることがないのはおろか、その雨をも遊び道具に変えてしまう。

路上の雨はその僅かな湾曲を伝って、道の端に臨時の川を生み出す。この少年ジョージもその御多分に洩れず、ワジの親戚に小さなこけしを流し、それを眺めつつ走って遊んでいた。車は殆ど走っていない。滑って転ぶのさえ気をつければ、別に問題ない部分もある。

 

ところがこの世はワジを永遠に流し続けるほど寛容ではない。その流れるものに注目していた彼は、それが急に側溝に吸い込まれる様に対し、何も対処できなかった。

 

「あぁっ!俺の船が……」

 

そもそもそんな床の間に飾っておいたほうが適当なモノを流して遊ぶな、と思ったそこの君。いや、よく考えたら流してしかるべきものだったわ。この文章がコピペの使い回しのせいだな。

 

まぁとにかく、水が絡むもので下から上に移動するのは、温泉か噴水か毛細管現象、と相場が決まっている。そして側溝の穴はそのいずれにも含まれない。逆に噴き出してきたら問題になる。

 

そう、どんなに奥を除いても。

 

 

浮かび上がってくるはずもなく、どこかに引っかかる代物でもなかった。最早どうにもならない。ジョージは諦めて引き下がるしかなかった。

家からほぼ勝手に持ち出してきたものだけに、兄になんと言って家に帰ればいいのやら。次に向けた不安さえ湧き起こっていた。

 

「ハァイ、ジョージィ」

 

だからこそ周りに誰と見当たらない状況で、どこからか聞こえた声には、それをもかき消す大きな不安を呼び起こした。

 

どこだ。

 

少し周りを探して、音源に近いと思われるところ、その側溝の穴を覗くと、見るからに怪しいピエロらしき外見の者が、こちらに妖しい笑顔を見せていた。

 

「風船はいるかい?」

 

首を左右に振る。

 

「パパから知らない人から物はもらうなって言われてる」

 

「じゃあボクはピエロのペニーワイズ、君はジョージ。ほら、ボク達は知らない人間じゃなくなった。こうしたら貰ってくれるだろう?」

 

面倒な輩がいる。

 

「だけど風船なんていらない」

 

「Oh……そうかい。それは残念だ。それでジョージィ、物語シリーズチームって知ってる?」

 

何か言ってきたが、そんなものは知らない。本日2回目の首振りでそれを示す。

そもそもいきなり知らない人間に話しかけるか?まぁこいつが人間かは知らないが。

 

「Oh……本当に知らないかい?ニコニコ動画におーい汚水氏によって投稿されてるパワプロドリームカップIIにおける人気チームの一つだぞ?その戦いぶりはみんなの注目の的なんだ。本家は西尾維新の小説で5部構成、アニメ化だってされてるし、何より今新作映画が公開中さ」

 

そのピエロが見せてきたスマホの画像には、その大会の開会式らしきものが写っている。

 

物語シリーズ、それならニコニコ大百科で見たり、ツイッターで関連する話を見かけたことがある。

 

あ、あれかぁ……

 

「いや、物語シリーズって先発2人のコントロールは低めだし、打線だってパワーがあるわけじゃないし、むしろ低めだろ!阿良々木さんがありゃりゃぎさんになる未来しかないだろ!

機動力が売りといっても、進撃とかストパンみたいになるのがオチさ!それに抑えが寸前×というどうしようもない状況だろ!騙されんぞ!」

 

「いや、確かに先発2人のコントロールは良くはない。コントロールがEとDという点はそうだし、さらに抑えの斧乃木が寸前×なのもその通りさ。

でもな、このチームには最強捕手の忍野メメがいる。球界の頭脳を持ったね。これは司馬兄やMAJORの佐藤も持ってる優秀な捕手の証さ。その力はコントロール+20、スタミナ+10!コントロールは場合によっては2レベル上がったりもするのさ。それに抑えが悪いとはいえど、中継ぎの月火や忍も悪くないし、むしろ良い。投手陣はこれだけで十分って並びさ」

 

なるほど、思ったより悪くはなさそうだ。だが自分にはもっと面白そうに見えるものがある。

 

「確かに悪くないね。じゃあ俺、その映画の『続・終物語』見てくるから」

「待てや!」

 

カードは本当に諦めて帰ろうとしたところで、ピエロが辺りに響くほどではないが大きな声で呼び止めた。

 

「これが……分かるか?」

 

なんかいろいろ見せてくるピエロが次に取り出したのは、見たことがある、いやさっきまで見ていたもの。

 

「俺の船!」

 

「Ex-Actlly!これは君のものだ。君にお返しするよ」

 

だが顔には無償で、とは書いてない。

 

「これを返す代わりに、物語チームを応援しろ……か」

 

「物分かりがいい子は嫌いじゃないよ、ジョージィ。なに、安い要求じゃないか」

 

けけけ、と変な笑い声を出しながらでもピエロが肯定する。だが物語シリーズチームの応援、船がそれに引き換えられるのか、兄の顔も交えて浮かぶ。

 

「返して欲しくないのかい?確かに打線だって最強だってわけじゃないし、投手陣は良いとはいえ抑えとか隙がないわけじゃない。特に2番手火燐は初戦の相手がハルヒだったこともあり、読めない部分も大きい。

でもな、それだけでなんとかなるわけでもないけど、機動力はあるのとないのじゃ大違いだぞ?守備範囲は広がるし、内野安打は多くなるし、とにかく先の塁に進みやすい。

それにジョージィ、ここのチームはミートが高めの選手が多いのさ。5番まで全員ミートはD以上。つまり出塁しやすくかつ機動力がある。この恐ろしさは想像つくだろう?」

 

「ま、まぁ……」

 

「そう。塁に出れば引っ掻き回せる人材揃いってことさ。1番の駿河や3番のひたぎ、7番の貝木、9番の千石辺りなら十分盗塁可能さ。こんだけいたら気が休まったもんじゃない。

そこに4番で影縫さんがいらっしゃる。パワーAの強振多用。塁に出てたらみんな纏めてホームランで一掃さ。

8番忍野メメも打撃ステータス高めだし、9番の千石はステータスから想像もつかないほどの活躍を見せている。そして地味に貝木が一発撃ってたりする。

守備は外野は悪くないし、内野も二遊間のヴァルハラコンビが有能さ。そしてキャッチャーはさっき話した通り。バックか十分に支えてくれるさ。

どうだ、面白そうだろう?」

 

あれ、これ面白いんじゃね?このピエロの話を聞いているとそう思えてきてしまう。

 

「じゃあ控えの八九寺も代打として活躍できるの?」

 

「えっ……ああ、うん。可能性はゼロじゃないさ」

 

顔が一瞬歪んだが、それも気にならなくなるほどに、ジョージは物語チームへの入り口ににじり寄っていた。手がすでに穴の中に入っていたのである。

 

「物語チームはいいぞ……深いぞ……」

 

ピエロが再び笑った。その目を見ていると、どんどん引き寄せられていく。そしてその目からも目線が外せない。

 

「物語チームが気に入ったら……」

 

その時だった。ピエロの手がジョージの手首を捉えた。力強く握り締められ、もはや抜ける気配もない。

 

「お前は『ピエロに睨まれた少年』になるんだよッ!」

 

「ギャァァァァァァァァ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョージは死んだ。いや、これは社会から見た論理に過ぎない。本当に死んだかどうかはわからない。どこかの下水道で、彼自身が風船片手に誰かを待ちわびているのかもしれない。私はキメ顔でそう言った。

 

 

 

 

 

 

ジ「何で俺また死んでんの?」

 

ペ「物語が変わったら生き返ってんじゃないかい?」

 



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ペニーワイズがワンパンマンチームをオススメするようです

やぁ、調子いい?


天候は雨。かといって出歩くのを徒らに躊躇うほどではない。外で遊びたがりの子供にとっては、レインコートさえ手に入れてしまえばこれほどの天候を気にすることがないのはおろか、その雨をも自らの遊び道具に変えてしまう。

路上の雨はその僅かな湾曲を伝って、まとまって道の端に臨時の川を生み出す。この少年ジョージもその御多分に洩れず、ワジの親戚にトレーディングカードを流し、それを眺めつつ走って遊んでいた。車は殆ど走っていない。滑って転ぶのさえ気をつければ、別に問題ない部分もある。

 

「わーい!上手くいけばこのままS級ヒーローのやつを手に入れてやるぞー!」

 

ところがこの世はワジを永遠に流し続けるほど寛容ではない。その流れるものに注目していた彼は、それが急に側溝に吸い込まれる様に対し、何も対処できなかった。

 

「あぁっ!俺のトレーディングカード……」

 

そもそもそんなハチャメチャなモノを流して遊ぶな、と思ったそこの君。彼は子供だ。ある程度は大目に見たまえ。

 

まぁとにかく、水が絡むもので下から上に移動するのは、温泉か噴水か毛細管現象、と相場が決まっている。そして側溝の穴はそのいずれにも含まれない。逆に噴き出してきたら問題になる。

 

そう、どんなに奥を除いても。

 

 

浮かび上がってくるはずもなく、どこかに引っかかる代物でもなかった。最早どうにもならない。ジョージは諦めて引き下がるしかなかった。

せっかく親にねだって買ってもらったものなのに、なんと言って家に帰ればいいのやら。次に向けた不安さえ湧き起こっていた。

 

「ハァイ、ジョージィ」

 

だからこそ周りに誰と見当たらない状況で、どこからか聞こえた声には、それをもかき消す大きな不安を呼び起こした。

 

どこだ。

 

少し周りを探して、音源に近いと思われるところ、その側溝の穴を覗くと、見るからに怪しいピエロらしき外見の者が、こちらに妖しい笑顔を見せていた。

 

「風船はいるかい?」

 

首を左右に振る。

 

「パパから知らない人から物はもらうなって言われてる」

 

「じゃあボクはピエロのペニーワイズ、君はジョージ。ほら、ボク達は知らない人間じゃなくなった」

 

面倒な輩がいる。

 

「だけど風船なんていらない」

 

「Oh……そうかい。それは残念だ。それでジョージィ、ワンパンマンチームって知ってる?」

 

何か言ってきたが、そんなものは知らない。本日2回目の首振りでそれを示す。

そもそもいきなり知らない人間に話しかけるか?まぁこいつが人間かは知らないが。

 

「Oh……本当に知らないかい?ニコニコ動画におーい汚水氏によって投稿されてるパワプロドリームカップIIIにおける人気チームの一つだぞ?アニメは2期がもうすぐ始まるし、なにより大会最強選手の1人、サイタマがいるぞ」

 

そのピエロが見せてきたスマホの画像には、その大会の開会式らしきものが写っている。

 

ワンパンマン、それならニコニコ大百科で見たり、ツイッターで関連する話を見かけたことがある。

 

あ、あれかぁ……

 

「いや、ワンパンマンチームって先発ジェノスはコントロール悪くて赤い特能多いから絶対崩れるし、無免ライダーも変化量はないし緩急もないし、先発2人は絶対炎上要因だろ!打線も縛りの都合上サイタマを9番に置かなきゃいけないし、騙されんぞ!」

 

「いや、確かに先発2人は不安だし、サイタマ9番縛りもあまり喜ばしい情報じゃない。しかしな、打線のレベルはかなり高いぞ。中軸にカミカゼと豚神がいるし、機動力のあるソニックも上位打線に並ぶ。バネヒゲとかの下位打線も決して悪くないし、サイタマは冗談抜きで大会最強打者の一人だ。強振多用っていうのが恐怖を増幅させてくる。ソニックやカミカゼ、バネヒゲが繋げて豚神とサイタマのホームランで一掃……どうだ?」

 

なるほど、思ったより悪くはなさそうだ。だが自分にはもっと面白そうに見えるものがある。

 

「確かに悪くないね。じゃあ俺、来月からのアニメのために待機してくるから」

「待てや!」

 

カードは本当に諦めて帰ろうとしたところで、ピエロが辺りに響くほどではないが大きな声で呼び止めた。

 

「これが……分かるか?」

 

なんかいろいろ見せてくるピエロが次に取り出したのは、見たことがある、いやさっきまで見ていたもの。

 

「俺のトレーディングカード!」

 

「Ex-Actlly!これは君のものだ。君にお返しするよ」

 

だが顔には無償で、とは書いてない。

 

「これを返す代わりに、ワンパンマンチームを応援しろ……か」

 

「物分かりがいい子は嫌いじゃないよ、ジョージィ。なに、安い要求じゃないか」

 

けけけ、と変な笑い声を出しながらでもピエロが肯定する。だがワンパンマンチームの応援、トレーディングカードがそれに引き換えられるのか、買ってくれた親の顔も交えて浮かぶ。

 

「返して欲しくないのかい?確かにハンマーヘッドはミートG強振多用だから活躍には限界あるだろうし、パワーSのぶりぶりプリズナーを控えにしなくちゃいけなかったり、ショートのキングが守備力ないなど不安な部分も大きい。

しかしな、やはりホームラン打てる打者、機動力のある打者が何人もいるのはそれだけで恐怖さ。仮に一度引き離せたとしても、いつ追いつかれるかわかったもんじゃない。下位打線のハンマーヘッドにも長打力あるしね。それが恐怖っていうのは、終盤に強いSAOが前回大会優勝したってところからも分かるだろう?」

 

「ま、まぁ……」

 

「それにここの強みは中継ぎ以降がかなり安定しそうなところさ。150キロを越えながらスローカーブで緩急付けてくるタンクトップに、速球と変化球に加え数多の特能があるバング。そして3種の高度な変化球を備えコントロールも良いタツマキ。これらを支える童帝のキャッチャーとしてのステータスも並以上だ。中継ぎ以降が安定するってことは、打線さえ打てば先発の失態を取り返せるってことさ。そしてここの打線にはそれを可能とする力がある。どうだ、面白そうだろう?」

 

あれ、これ面白いんじゃね?このピエロの話を聞いているとそう思えてきてしまう。

 

「じゃ十字キーでもホームラン打てるの?」

 

「えっ……ああ、うん。可能性はゼロじゃないさ」

 

顔が一瞬歪んだが、それも気にならなくなるほどに、ジョージはワンパンマンチームへの入り口ににじり寄っていた。手がすでに穴の中に入っていたのである。

 

「ワンパンマンチームはいいぞ……深いぞ……」

 

ピエロが再び笑った。その目を見ていると、どんどん引き寄せられていく。そしてその目からも目線が外せない。

 

「ワンパンマンチームが気に入ったら……」

 

その時だった。ピエロの手がジョージの手首を捉えた。力強く握り締められ、もはや抜ける気配もない。

 

「お前もまずは開会式全部に目を通すんだよ!」

 

「ギャァァァァァァァァ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョージは死んだ。1番近くにいたヒーローがキングだったのだ。

 

余談だけどペニーワイズの元ネタ、災害レベルそこそこ高い気がする。

 

 

ジ「もうペニーワイズネタとかオワコンだろ」

 

ぺ「最近のネタで紹介に使いやすいのがないのさ、ジョージィ」

 

 

 

 



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ペニーワイズが銀の匙チームをオススメするようです

やぁ、調子いい?






天候は雨。かといって出歩くのを徒らに躊躇うほどではない。外で遊びたがりの子供にとっては、レインコートさえ手に入れてしまえばこれほどの天候を気にすることがないのはおろか、その雨をも自らの遊び道具に変えてしまう

路上の雨はその僅かな湾曲を伝って、まとまって道の端に臨時の川を生み出す。この少年ジョージもその御多分に洩れず、ワジの親戚に新聞紙の船を流し、それを眺めつつ走って遊んでいた。車は殆ど走っていないどころか、人とさえ滅多にすれ違わない。滑って転ぶのさえ気をつければ、別に問題ない部分もあるのか?

 

「わーい!上手くいけばこのままどんどん流れ続けるぞー!」

 

ところがこの世はワジを永遠に流し続けるほど寛容ではない。その流れるものに注目していた彼は、それが急に用水路の分岐点に吸い込まれる様に対し、何も対処できなかった

 

「あぁっ!俺の船……」

 

そもそもそんなハチャメチャなモノを流して遊ぶな、と思ったそこの君。彼は子供だ。ある程度は大目に見たまえ。

 

まぁとにかく、水が絡むもので下から上に移動するのは、温泉か噴水か毛細管現象、と相場が決まっている。そして側溝の穴はそのいずれにも含まれない。逆に噴き出してきたら問題になる。

 

そう、どんなに奥を除いても。

 

 

浮かび上がってくるはずもなく、どこかに引っかかる代物でもなかった。最早どうにもならない。ジョージは諦めて引き下がるしかなかった。

せっかく兄に折ってもらったものなのに、なんと言って家に帰ればいいのやら。次に向けた不安さえ湧き起こっていた

 

「ハァイ、ジョージィ」

 

だからこそ周りに誰と見当たらない状況で、どこからか聞こえた声には、それをもかき消す大きな不安を呼び起こした。

 

どこだ。

 

少し周りを探して、音源に近いと思われるところ、その用水路のそばを覗くと、見るからに怪しいピエロらしき外見の者が、こちらに妖しい笑顔を見せていた

 

「風船はいるかい?」

 

首を左右に振る。

 

「パパから知らない人から物はもらうなって言われてる」

 

「じゃあボクはピエロのペニーワイズ、君はジョージ。ほら、ボク達は知らない人間じゃなくなった」

 

面倒な輩がいる。

 

「だけど風船なんていらない」

 

「Oh……そうかい。それは残念だ。それでジョージィ、銀の匙チームって知ってる?」

 

何か言ってきたが、そんなものは知らない。本日2回目の首振りでそれを示す。

そもそもいきなり知らない人間に話しかけるか?まぁこいつが人間かは知らないが。

 

「Oh……本当に知らないかい?ニコニコ動画におーい汚水氏によって投稿されてるパワプロドリームカップIIIにおける参加チームの一つだぞ?アニメは2期までノイタミナで放送されていたし、ところどころ休載中とはいえ、今でも連載が続いているぞ」

 

そのピエロが見せてきたスマホの画像には、その大会の開会式らしきものが写っている。

 

銀の匙、それならニコニコ大百科で見たり、ツイッターで関連する話を見かけたことがある

 

あ、あれかぁ……

 

「いや、銀の匙チームって先発御影はコントロール悪くて赤い特能多いから絶対崩れるし、駒場も変化量はないし速球派だから、絶対炎上要因だろ!打線も駒場以外パワーヒッターいないしチャンス弱い人材いるし、騙されんぞ!」

 

「いや、確かに先発2人は不安だし、打線についてもあまり喜ばしい情報じゃない。しかしな、下位打線まで隙がない、というのもこのチームの特徴だ。ミートAのタマコはもちろん、3番から7番の相川まで全員パワーDと長打を狙えるステータスだ。それに8番の八軒もミート多用だし文化祭で倒れたとは思えないほどまともなステータスだ。控えの吉野もチャンスに強いぞ……どうだ?」

 

なるほど、思ったより悪くはなさそうだ。だが自分にはもっと面白そうに見えるものがある。

 

「確かに悪くないね。じゃあ俺、8月の新刊発売まで百姓貴族読んで待機してくるから」

「待てや!」

 

船は本当に諦めて帰ろうとしたところで、ピエロが辺りに響くほどではないが大きな声で呼び止めた。

 

「これが……分かるか?」

 

なんかいろいろ見せてくるピエロが次に取り出したのは、見たことがある、いやさっきまで見ていたもの。

 

「俺の船!」

 

「Ex-Actlly!これは君のものだ。君にお返しするよ」

 

だが顔には無償で、とは書いてない。

 

「これを返す代わりに、銀の匙チームを応援しろ……か」

 

「物分かりがいい子は嫌いじゃないよ、ジョージィ。なに、安い要求じゃないか」

 

けけけ、と変な笑い声を出しながらでもピエロが肯定する。だが予選落ちさえしそうな銀の匙チームの応援、紙の船がそれに引き換えられるのか、兄の顔も交えて浮かぶ。

 

「返して欲しくないのかい?確かに中継ぎの肉の存在や依田さんのチャンスGなど不安要素は多いさ。しかしこれだけまともなステータスのメンバーが揃っているのは、調子の影響を受けにくいっていうメリットがあるのさ。澪頼みのけいおん!で澪が絶不調引いたら、チームへの影響は大きいのは想像つくだろう?」

 

「ま、まぁ……」

 

「その点このチームは絶不調が出ても打順を組み替えてしまえば解決さ。弾道高い大川さんとか、チャンスメーカーのタマコの兄さんとか、いい選手は多いしね。長打の連打で点を稼ぐのさ。守備も常盤さえ起用しなければ大きな隙はない。そして不安視している投手陣だが、八軒のキャッチャーBの効果もあるし、コントロールBある西川の存在は大きい。抑えが安泰なのはありがたいぞ」

 

あれ、これ面白いんじゃね?このピエロの話を聞いているとそう思えてきてしまう。

 

「じゃあステータス全部29の池田は抑えてくれるの?」

 

「えっ……ああ、うん。可能性はゼロじゃないさ」

 

顔が一瞬歪んだが、それも気にならなくなるほどに、ジョージは銀の匙チームへの入り口ににじり寄っていた。手がすでに穴の中に入っていたのである。

 

「銀の匙チームはいいぞ……深いぞ……」

 

ピエロが再び笑った。その目を見ていると、どんどん引き寄せられていく。そしてその目からも目線が外せない。

 

「銀の匙チームが気に入ったら……」

 

その時だった。ピエロの手がジョージの手首を捉えた。力強く握り締められ、もはや抜ける気配もない。

 

「お前もベーコン焼いて卵かけご飯をかきこむんだよ!」

 

「ギャァァァァァァァァ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョージは死んだ。雨が降っている時に用水路の確認とかに行くのは、やめようね!

 

 

ジ「結局銀の匙で紹介作品は書かないのか」

 

ぺ「単に設定考えるのと大会システムをいちいち説明するのがめんどくさくなってきたのさ、ジョージィ。それにな」

 

ジ「なんだ?」

 

ぺ「とにかくR18と恋愛モノだらけの銀の匙SS業界にこのネタ小説を連載するのは気が引けたのさ」

 

ジ「そのくらいの配慮はできんのな」

 




個人的には卵かけご飯そんなに好きじゃない


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ペニーワイズがこの素晴らしい世界に祝福をチームをオススメするようです

天候は雨。かといって出歩くのを徒らに躊躇うほどではない。外で遊びたがりの子供にとっては、レインコートさえ手に入れてしまえばこれほどの天候を気にすることがないのはおろか、その雨をも自らの遊び道具に変えてしまう。

路上の雨はその僅かな湾曲を伝って、まとまって道の端に臨時の川を生み出す。この少年ジョージもその御多分に洩れず、ワジの親戚に冒険者カードを流し、それを眺めつつ走って遊んでいた。ここの治安はいいから、滑って転ぶのさえ気をつければ、別に問題ない部分もある。

 

「わーい!上手くいけば魔王を倒して僕が王族になれるぞー!」

 

ところがこの世はワジを永遠に流し続けるほど寛容ではない。その流れるものに注目していた彼は、それが急に側溝に吸い込まれる様に対し、何も対処できなかった。

 

「あぁっ!俺の冒険者カード……」

 

そもそもそんな大事な身分証明書を流して遊ぶな、と思ったそこの君。彼は子供だ。ある程度は大目に見たまえ。

 

まぁとにかく、水が絡むもので下から上に移動するのは、温泉か噴水か毛細管現象、と相場が決まっている。そして側溝の穴はそのいずれにも含まれない。逆に噴き出してきたら問題になる。

 

そう、どんなに奥を除いても。

 

 

浮かび上がってくるはずもなく、どこかに引っかかる代物でもなかった。最早どうにもならない。ジョージは諦めて引き下がるしかなかった。

せっかく自分の能力も書いてあったのになんと言って家に帰ればいいのやら。次に向けた不安さえ湧き起こっていた。

 

「ハァイ、ジョージィ」

 

だからこそ周りに誰と見当たらない状況で、どこからか聞こえた声には、それをもかき消す大きな不安を呼び起こした。

 

どこだ。

 

少し周りを探して、音源に近いと思われるところ、その側溝の穴を覗くと、見るからに怪しいピエロらしき外見の者が、こちらに妖しい笑顔を見せていた。

 

「風船はいるかい?」

 

首を左右に振る。

 

「パパから知らない人から物はもらうなって言われてる」

 

「じゃあボクはピエロのペニーワイズ、君はジョージ。ほら、ボク達は知らない人間じゃなくなった」

 

面倒な輩がいる。

 

「だけど風船なんていらない」

 

「Oh……そうかい。それは残念だ。それでジョージィ、このすばチームって知ってる?」

 

何か言ってきたが、そんなものは知らない。本日2回目の首振りでそれを示す。

そもそもいきなり知らない人間に話しかけるか?まぁこいつが人間かは知らないが。

 

「Oh……本当に知らないかい?ニコニコ動画におーい汚水氏によって投稿されてるパワプロドリームカップIIIにおける人気チームの一つだぞ?8月には劇場版が公開されるし、異世界カルテットにも参加している、今注目すべきアニメの一つさ」

 

そのピエロが見せてきたスマホの画像には、その大会の開会式らしきものが写っている。

 

このすば、それならニコニコ大百科で見たり、ツイッターで関連する話を見かけたことがある。

 

あ、あれかぁ……

 

「いや、このすばチームって先発めぐみんはコントロールはともかく変化球がエクスプロージョン一本で変化球多用だからスタミナ削られるし、中継ぎのこめっこもちょむすけも変化量はないし緩急もないから打たれんぞ。打線もアクアはチャンスGだしダグネスはミート1だから長打力は欠けるから頼りないし、騙されんぞ!」

 

「いや、確かに中継ぎ2人は不安だし、クリンナップが御剣を含めチャンスに弱いのもあまり喜ばしい情報じゃない。しかしな、投手陣のレベルはかなりまともな部類だ。先発二人が揃ってコントロールAあるし、二番手ゆんゆんは変化球も使えるいい技巧派だ。抑えのウィズが変化球、制球ともに高く信用できるのも大きくプラスだ。それに不安といった中継ぎもこめっこはナックルボーラーで特能も多いし、ちょむすけは逃げ球があるから能力ほどは打たれないさ……どうだ?」

 

なるほど、思ったより悪くはなさそうだ。だが自分にはもっと面白そうに見えるものがある。

 

「確かに悪くないね。じゃあ俺、異世界カルテットを見直してくるから」

「待てや!」

 

カードは本当に諦めて帰ろうとしたところで、ピエロが辺りに響くほどではないが大きな声で呼び止めた。

 

「これが……分かるか?」

 

なんかいろいろ見せてくるピエロが次に取り出したのは、見たことがある、いやさっきまで見ていたもの。

 

「俺の冒険者カード!」

 

「Ex-Actlly!これは君のものだ。君にお返しするよ」

 

だが顔には無償で、とは書いてない。

 

「これを返す代わりに、このすばチームを応援しろ……か」

 

「物分かりがいい子は嫌いじゃないよ、ジョージィ。なに、安い要求じゃないか」

 

けけけ、と変な笑い声を出しながらでもピエロが肯定する。だがこのすばチームの応援、冒険者カードがそれに引き換えられるのか、いやひきかえるのはいいのだが、このピエロの口車に乗せられているのが気に入らない

 

「返して欲しくないのかい?打線だって普通に優秀さ。バニルやクリスはステータス高いし、どちらもミート力が高いからいい打率を残してくれるはずさ。それに和真も特能多いしチャンスにも強いからクリンナップと交代し得るし、下位打線のダストとルナも下位打線と考えれば決して悪くない。下位打線から上位打線に回して、バニルあたりで一掃、なんてこともできる。打線の安定が勝ち続けるのに大きいことはわかるだろう?」

 

「ま、まぁ……」

 

「それにここ、守備面も結構まともだ。外野のバニル、ダストは機動力あるから守備範囲広いし、打撃面では期待度の低いダグネスもキャッチャーとしての守備はガッチガチだ。ファーストのアクアが若干不安定だが、ファーストだから他に比べればマシだ。二遊間のクリスと御剣も問題はない。守備が安定すれば少々不安なめぐみんをバックアップしていくこともできる。アクアとバニルが機動力も使えるから、いろんな戦いが可能なチームさ。どうだ、面白そうだろう?」

 

あれ、これ面白いんじゃね?このピエロの話を聞いているとそう思えてきてしまう。

 

「じゃあSAOみたいなガチ競合相手でも勝てるの?」

 

「えっ……ああ、うん。可能性はゼロじゃないさ」

 

顔が一瞬歪んだが、それも気にならなくなるほどに、ジョージはこのすばチームへの入り口ににじり寄っていた。手がすでに穴の中に入っていたのである。

 

「このすばチームはいいぞ……深いぞ……」

 

ピエロが再び笑った。その目を見ていると、どんどん引き寄せられていく。そしてその目からも目線が外せない。

 

「このすばチームが気に入ったら……」

 

その時だった。ピエロの手がジョージの手首を捉えた。力強く握り締められ、もはや抜ける気配もない。

 

「お前もそろそろ始まるDリーグを楽しみにしておくんだよ!」

 

「ギャァァァァァァァァ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョージは死んだ。この街では珍しいことらしい。そして魔法で復活して以下無限ループ

 

 

ジ「まだやる気なのかよこれ……」

 

ぺ「大会とネタと気力がある限りは続ける気さ、ジョージィ」



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ペニーワイズがシンフォギアチームをオススメするようです

 

 

天候は雨。かといって出歩くのを徒らに躊躇うほどではない。外で遊びたがりの子供にとっては、レインコートさえ手に入れてしまえばこれほどの天候を気にすることがないのはおろか、その雨をも自らの遊び道具に変えてしまう。

路上の雨はその僅かな湾曲を伝って、まとまって道の端に臨時の川を生み出す。この少年ジョージもその御多分に洩れず、ワジの親戚に新聞紙の船を流し、それを眺めつつ走って遊んでいた。車は殆ど走っていない。滑って転ぶのさえ気をつければ、別に問題ない部分もある。

 

「わーい!どんどん流れるぞ〜」

 

ところがこの世はワジを永遠に流し続けるほど寛容ではない。その流れるものに注目していた彼は、それが急に側溝に吸い込まれる様に対し、何も対処できなかった。

 

「あぁっ!俺の船が……」

 

まぁとにかく、水が絡むもので下から上に移動するのは、温泉か噴水か毛細管現象、と相場が決まっている。そして側溝の穴はそのいずれにも含まれない。逆に噴き出してきたら問題になる。

 

そう、どんなに奥を除いても。

 

 

浮かび上がってくるはずもなく、どこかに引っかかる代物でもなかった。最早どうにもならない。ジョージは諦めて引き下がるしかなかった。

せっかく姉貴に借りたものなのに、なんと言って家に帰ればいいのやら。次に向けた不安さえ湧き起こっていた

 

「ハァイ、ジョージィ」

 

だからこそ周りに誰と見当たらない状況で、どこからか聞こえた声には、それをもかき消す大きな不安を呼び起こした

 

どこだ

 

少し周りを探して、音源に近いと思われるところ、その側溝の穴を覗くと、見るからに怪しいピエロらしき外見の者が、こちらに妖しい笑顔を見せていた

 

「風船はいるかい?」

 

首を左右に振る

 

「パパから知らない人から物はもらうなって言われてる」

 

「じゃあボクはピエロのペニーワイズ、君はジョージ。ほら、ボク達は知らない人間じゃなくなった」

 

面倒な輩がいる

 

「だけど風船なんていらない」

 

「Oh……そうかい。それは残念だ。それでジョージィ、シンフォギアチームって知ってる?」

 

何か言ってきたが、そんなものは知らない。本日2回目の首振りでそれを示す。そもそもいきなり知らない人間に話しかけるか?まぁこいつが人間かは知らないが

 

「Oh……本当に知らないかい?ニコニコ動画におーい汚水氏によって投稿されてるパワプロドリームカップIIIにおける人気チームの一つだぞ?アニメは今年の9月5期まで続いていたし、完とはなったが続きを求める声も多いんだぞ?」

 

そのピエロが見せてきたスマホの画像には、その大会の開会式らしきものが写っている。

 

戦姫絶唱シンフォギア。それならニコニコ大百科で見たり、ツイッターで関連する話を見かけたことがある

 

あ、あれかぁ……

 

「いや、シンフォギアチームって先発響はコントロール悪くて赤い特能多いから絶対崩れるし、中継ぎ3人は絶対炎上要因だろ!打線も前回5点しか取れずに予選最小得点を出して結局予選敗退だったし、騙されんぞ!」

 

「いや、確かに先発の響ははっきり言って不安だし、前回大会のOTONAの不調と良い情報ばかりじゃない。しかしな、打線のレベルはかなり高いぞ。マリアとキャロルは共にパワーBを誇るし、下位打線にはパワーAのOTONAが座っている。それだけでも相手からは脅威さ。おまけに今大会から加わるカリオストロは立派な長距離砲だ……どうだ?」

 

なるほど、思ったより悪くはなさそうだ。だが自分にはもっと面白そうに見えるものがある

 

「確かに悪くないね。じゃあ俺、来月のDVD発売待機してくるから」

「待てや!」

 

カードは本当に諦めて帰ろうとしたところで、ピエロが辺りに響くほどではないが大きな声で呼び止めた。

 

「これが……分かるか?」

 

なんかいろいろ見せてくるピエロが次に取り出したのは、見たことがある、いやさっきまで見ていたもの

 

「僕の船!」

 

「Ex-Actlly!これは君のものだ。君にお返しするよ」

 

だが顔には無償で、とは書いてない。

 

「これを返す代わりに、シンフォギアチームを応援しろ……か」

 

「物分かりがいい子は嫌いじゃないよ、ジョージィ。なに、安い要求じゃないか」

 

けけけ、と変な笑い声を出しながらでもピエロが肯定する。だがシンフォギアチームの応援、この紙の船がそれに引き換えられるのか、貸してくれた姉の顔も交えて浮かぶ。

 

「返して欲しくないのかい?確かに1番に置いていた暁が全然打たないとか、マリアとキャロルもそんなに長打打ってないとか、中継ぎの板場、寺嶋は燃えやすいとか、抑えの天羽が寸前×持ちだとか、OTONAが安定しないとか、問題点は多い

しかしな、他のそれに大きいのは2番手の翼の安定性の高さだ。第一回大会だけなら無失点というのは非常に大きい。2番手のシリカが安定したSAOが優勝したことからもその重要性は分かるだろう?」

 

「ま、まぁ……」

 

「それにここの先発一番手の響だって前回大会ではまずまずだ。オリストのガングニールは浮き上がるから、バントを封じれるってメリットもある。翼もそうだが、打者としても優秀だしな。スタミナはあるし、引き延ばせばそれだけ有利さ

それに今回カリオストロが加わったことで緒川を控えに置けるようになったんだ。これでOTONAが不調だった時の変えとか守備固め、代走としても使えるようになるから、戦術の幅も広がるぞ。元々の守備も二遊間とか小日向の肩とか見れば結構優秀だしな。どうだ、面白そうだろう?」

 

あれ、これ面白いんじゃね?このピエロの話を聞いているとそう思えてきてしまう。

 

「じゃウェル博士でも英雄になれるの?」

 

「えっ……ああ、うん。可能性はゼロじゃないさ」

 

顔が一瞬歪んだが、それも気にならなくなるほどに、ジョージはシンフォギアチームへの入り口ににじり寄っていた。手がすでに穴の中に入っていたのである。

 

「シンフォギアチームはいいぞ……深いぞ……」

 

ピエロが再び笑った。その目を見ていると、どんどん引き寄せられていく。そしてその目からも目線が外せない。

 

「シンフォギアチームが気に入ったら……」

 

その時だった。ピエロの手がジョージの手首を捉えた。力強く握り締められ、もはや抜ける気配もない。

 

「お前も今度のKリーグを心待ちにするんだよ!」

 

「ギャァァァァァァァァ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョージは死んだ。絶唱してシンフォギアを纏っても、実力で勝てなかった模様

 

余談だけど固着して攻撃可能っていうと、ゼノサーガのグノーシスとヒルベルトエフェクトを思い出すワイ

 

 

 

ジ「もうペニーワイズネタとかオワコンだろっつってんだろ」

 

ぺ「シンフォギアは今ハーメルンで流行りなのさ、ジョージィ」

 

 

 

 



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