東方本気旅録 (駄々っ子天使)
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第1話 あの世での出来事。

どうも!駄瑱屍です!
今回はオリ主が東方の世界であれやこれやするお話になると思います!
そして今回はどんなに時間がかかっても最終話まで書けれたらなと思います!
それでは!生易しい目で見てください!
どうぞ!


「ふわぁ〜……。よく寝た…。」

 

 

いつから寝ていたのか等思い出せないが目覚めたと言うことは寝てたんだろう。

口から自然とよく寝た。と言葉が出たし。

寝惚けた目で辺りを見渡す。

真っ白い何も無い空間だ……。

 

 

「あれ……?此処どこだ…?」

 

 

寝る前の記憶をなんとか思い出そうとする。

確か俺はいつも通り学校をサボって……そんで道路を歩いてたら女の子が車に轢かれそうになってて…。

気づいたら体が動いて飛び出して…。

 

 

「…これって俺死んでね……?」

 

「その通りじゃ!!」

 

 

突然今の自分の視線のやや下から声がする

視線を少し下に降ろすとおしゃぶりをしている5歳程度の子供がいた。

 

 

「……誰…?」

 

「わしはお主を担当していた閻魔じゃよ」

 

 

閻魔……にわかには信じれないが自分はどうせ死んでいるんだろうし…。

信じるしかあるまい。

 

「それで?俺は今から地獄に送られるわけですか…?」

 

「いや、お主は違う世界に生き返らせる。所謂転生って奴じゃな」

 

 

転生……?なぜ俺が…?

そんな事を口に出さずに考えていれば自称閻魔が口を開く。

 

 

「お主が死んだのは実はわしの責任なんじゃよ……。本来まだ死ぬはずのないお主の魂を管理している書類に間違えて死の判子を押してしまってなぁ…。それでお主は死んでしまった訳じゃ……」

 

「つまり閻魔様が仕事を適当にこなしていたから俺が死んだと……?」

 

「そ、そんな事ないぞ〜?わしはちゃんと仕事しとったからなぁ…?」

 

 

目を泳がせながら言葉を口にする閻魔。

どう見ても嘘だ。

流石にムカついたのほっぺをつねって思いっきり横に引っ張ってやった。

 

 

「いひゃい!いひゃい!や、やめんか!馬鹿者!」

 

「馬鹿はどっちだ!馬鹿は!お前のせいで俺は死んだんだろう!?」

 

「だから転生させてやると言っておるではないか!」

 

 

まぁ……それもそうだな…。

と思い仕方なくつねるのをやめる。

閻魔は赤くなった頬を涙目で撫でている。

 

 

「それで?その転生ってのはどうすんだよ?」

 

「全く……わしのプリティーなほっぺをこうも赤くしおって悪びれる素振りも無しか…。まぁ良い…話を続けるぞ…?」

 

 

ゴホン、と一度咳き込みを入れて話し始める閻魔。

 

 

「お主には転生するに至って三つの権利をやろう!まず一つ目は転生する世界と時間の指定の権利!二つ目は現在の記憶の有無と今の体での転生か又は新たに赤ん坊等の新しい体での転生をするか!三つ目に好きな力をさずけてやろう!」

 

「二つ質問だ……まず転生する世界は俺の生きていた世界で言う二次元の世界でも良いのか、そしてその好きな力と言うのはどんな力でも良いのか?」

 

「あぁ!二つともイエスじゃ!どんなチートな力でもさずけてやろう!」

 

「……なら世界は東方projectの世界で時代は地球が出来たばかりの時、記憶は東方以外の記憶は残したままで今の体のままで転生。力は幽遊白書に出て来た技、能力を全て使えるだけの才能。ただし修行は自分でするからあくまでも才能だけだ。」

 

「はぁ……こりゃまた変わった設定じゃのぉ…。修行を自分でするのは置いといて死の世界に関する記憶だけ消すとは…」

 

「当たり前だ。自分がこれから生きてく世界のことが分かってたら面白味がないだろ?」

 

「わっははは!それもそうじゃな!それじゃあ転生させるぞ!」

 

「え?もう出来るのか?」

 

「準備はお前が寝てる間に終わらせておいたからな!最後にお前が名前を言えば転生させてやれるぞ!」

 

「そうか…」

 

 

何故わざわざ名前を言わなければいけないのか分からないがきっとそう言う契約的なものがあるのだろう。

 

「それじゃあな閻魔……俺の名前は…浦飯 涼だ…。」

 

「あぁ……涼…。もう会うことはないことを願っとるぞ。」

 

そう閻魔が言うと同時に俺の意識は消えた。

 

 

 

 

目を覚ました俺が何故今草地も無い土地にいるのか思い出した。

そうか……俺は転生したんだな。

そう心の中で呟いた俺は体を伸ばし指で鉄砲の形を作った。

 

まずはやっぱりこれを試してみるか…。

 

「霊丸!!!」

 

そう言うと指の先に溜まっていた霊気の塊が飛んでいくのが見えた。

恐らくまだ威力はパンチ程度だろう。

だけど霊丸が撃てる。

それだけで俺のテンションを上げるのには十分だった。

 

「よっしゃあ!伊達にあの世は見てねーぜ!」

 

そう決め台詞を一人で言うと早速修行を始めようと体を動かし始めた。

 




はい、第1話、いかがだったでしょうか?
何だかあり来たりなスタートになってしまったような感じですが……。

まぁここから涼の物語が始まるわけです!

皆さんが少しでもワクワクしてもらえたら幸いです!
それでは!また次回!


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古代の民編
第2話 人との出会い


はい!第2話です!

連続投稿です!

時間が吹き飛びます!
それではどうぞ!


 

「んー……朝かぁ…」

 

 

目を覚ますと太陽の光が目に入る。

正確な時間なんてまだ分からないが多分朝だろうと思い、朝かぁと呟く。

 

転生してからかなりの年月が経った。

30年辺りまでは数えていたがそこからは嫌気が差して数えるのをやめた。

まぁ多分だけど200年は超えてる。

そんでもってずーっと今まで修行だけをしていた。

 

それ以外にやることが無いからな。

因みに食べ物は植物や生物が産まれるまで何故か知らないけど朝起きると一日分の食料が毎日寝床に置いてあった。

多分あの閻魔のおかげだろう。そこは感謝している。

修行とは上手い食事と適度な運動で成り立つものだからな。

そんで食料が支給されなくなったらあとは自給自足。

なんやかんや今の今まで生き延びている。

 

そして妖怪、と言われる生物にはもう出会った。

まぁまだGからEランク程度の雑魚妖怪だが。

その程度なら余裕で倒せるようにはなっていたので少し安心した。

 

さて……今日は少し遠くの森まで行ってみるかな…。

 

雑に今日の予定を立てれば昨日のうちに取っておいた木のみを食べて朝ご飯を済まし、早速足を動かした。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

 

大体二時間程走っただろうか?

距離にすると多分4、50kmだろう。

 

予定していた森に着くと早速食料を探し始める。

自給自足な訳だから毎日こうやって森に入ってまずは食料探しを始める。

動物型の妖怪がいたら良いなぁ……なんて思いながら探索をしていると………。

 

キャァァァァァァーーーッ!

 

人の悲鳴が聞こえてきた。

え!?もう人いるの!?早くない!?

なんて思いながらも急いで悲鳴の聞こえてきた方に走る。

内心やっと人に会えるとワクワクしながらだ。

 

そうして2、3分走っただろうか。

何やら大きな熊の妖怪がやけに興奮している様子が見える。

そしてよく見るとその近くにしゃがみ込んでいる女の人が見えた。

どうやらその熊の妖怪に襲われているらしい。

 

状況を把握すると俺は更に足に力を入れ熊の妖怪に近付く。

そして手は剣を持つように握る。

熊の妖怪の懐に入ると俺は握っている手に霊力を溜めた。

 

 

「くらいやがれ!!霊剣!」

 

すると手から黄色の霊気で出来た剣が出来る。

そしてそのまま熊の妖怪の心臓辺りに突き刺さる。

 

熊の妖怪は力無く、ガウゥッ……と鳴き声をあげると息絶えてしまった。

 

これで暫くは肉が食える……なんて思いながら霊剣を消すと

 

 

「あ、あの……」

 

 

襲われていた女の人が話しかけてきた。

 

 

「え、あ、はい。なんでしょうか?」

 

 

実際人と話すのなんて何百年ぶりなので何を話せばいいのか分からずしどろもどろになってしまった。

 

 

「助けてくださってありがとうございます……。どうかお礼をしたいので…良ければ私の家に来ませんか……?」

 

「え……?良いんですか?」

 

 

まさかの出来事に一瞬遅れて返事をするもこれは願ってもないことだ。

もしかしたら他の人にも出会えるかもしれない。

上手く行けばその場所に住ませてもらったり……。

 

 

「はい……。私名前は八意(やごころ)××です。」

 

「えっ……なんですって?」

 

 

ん……?よく名前の部分が聞き取れない。

と言うより発音が分からないし聞きなれないの方が正しいか…?

 

 

「発音出来ないようなら永琳(えいりん)…と呼んでください…皆からもそう呼ばれております」

 

「分かりました。永琳さんですね、俺は浦飯涼と言います」

 

「涼さんですね。それでは私の後を付いて来てください」

 

 

そう言うと永琳は歩き始めたので、俺も言われた通りに永琳について行った。

 

 





はい!第2話お読みくださってありがとうございます!

初めての東方キャラとの出会いです!
因みに涼君の設定としては
・霊力と妖力のどちらも使えるが基本的に霊力しか使っていない。
・種族的には妖怪だが普段は霊力しか使っていないし見た目も人間なので見分けが付かない。
・かなりの強者には妖怪だと見破られる。
と言った感じです!

それでは次回もお楽しみに!


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第3話 都市と神と穢

はい、第3話です!

今回は多数のキャラの視点から物語を進めます!

楽しんでいただけたら幸いです!


 

 

森の中で出会った不思議な人……。

見た目は人間、持っている力も霊力で人間であることは確かなのだけれど……。

 

チラリと背後について来ている人物に視線を向ける。

 

…何度見ても霊力の量が桁違いすぎる。

もしこの人が敵対心があったら…。

 

そう思うと嫌な汗が流れるが分かった。

 

しかし彼は私を助けてくれた。

つまり今の所敵対心は無いと言うことだろう。

なので今のうちに……彼の事を月詠(ツクヨミ)様に伝えなければ…。

そしてもし私達に危険を指し示す人物だと判断された場合は…。

 

その時はきっと、月詠(ツクヨミ)様に手を下してもらわないとならないだろう……。

 

 

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あれから十分程歩いた所でとても大きな壁が見えてきた。

その高さ優に100mは超えているであろう高さの壁だ。

 

あの壁は外から穢である妖怪達を都市の中に入れない物である。

壁には東西南北に出入口があり一つの入口につき二人の門番がいる。

私達が入ろうとしている出入口は都市の中でも再重要人物たちが固まっている部分に一番近い入口だ。

 

入口に近づくとどうやら門番が私達に気づいたようでこちらを見て敬礼をしている。

 

 

「お帰りなさいませ八意様!ご無事なようで何よりです!」

 

「えぇ……途中妖怪に襲われたけど彼に助けてもらったは…」

 

 

そう言い後にいる涼を紹介する。

 

 

「なんと…!この者が妖怪を!?」

 

 

そう言い門番は目を見開いて驚く。

 

それもその筈この都市にだって自分の力だけで妖怪を倒せる人物は両手に収まる程度しかいない。

 

殆どの兵は高度な技術によって作られた武器を使わなければ妖怪には太刀打ち出来ないのだ。

 

しかしこの人は兵でも無ければこの都市の人物でもない。

当然そんな高度な武器は持っていないわけなのだ。

 

 

「えぇ……なので今からこの方にお礼をしたくてね…そこを通してもらえるかしら?」

 

「分かりました……ただし其方の方にはボディチェックを受けてもらいますぞ…?」

 

「え?俺か?勿論良いぞ!」

 

 

ここで少しでも彼の強さの秘密がわかれば良いのだけれど……。

 

 

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あれから5分位経っただろうか、どうやらやっとボディチェックが終わったようだ。

 

彼が持っていた荷物はとても綺麗な羽衣、剣の塚の部分、様々な植物の種、どこに隠していたのか大きな斧やとても重い鎧など……そしてどれも見た事の無い材料で出来ていた物だった。

 

それらの中から武器類は没収すると言うと少し渋ったが軽い説得をすると納得してくれたようだった。

 

そしてボディチェックが終わった彼は何故か羽衣を纏い、ヨーヨーを指全部にしている格好で出て来た。

理由は教えてくれないがまぁ気にすることもないだろうと思い、私はこの都市で一番高いビル。

月詠(ツクヨミ)様のいる新月ビルに向かった……。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

 

……今日もこの都市は平和だ。

 

窓の外の景色を見ながらそう心の中で呟いた。

 

しかし妙に胸騒ぎを覚える。

その理由は分からない。

 

そうして訳の分からない胸騒ぎに不安を覚えているのノックの音がした。

 

 

月詠(ツクヨミ)様、失礼します。八意永琳です。中に入ってもよろしいでしょうか……?」

 

「永琳か……あぁ…入ってくれ」

 

 

はて……今日は永琳との予定は入れてなかったはずだが…?

 

そう思いながら空いた扉の方を向くと永琳の後に見たことない男がいた。

 

胸騒ぎの原因は彼だ。

 

何故かそう確信すると思わず顔が強ばってしまう。

それに気付いた永琳が不安そうな顔をしている。

 

 

「あの……どうかなされましたか…?」

 

「いや…その後ろの彼が誰だか分からなくてね。この都市の人物ではないだろう?」

 

「その通りです。彼は旅の者で……私が妖怪に襲われていた所を助けてくださったのです」

 

「ほぉ……君、名前は…?」

 

 

あくまでも冷静を装いながら名前を尋ねる。

 

 

「初めまして……。俺の名前は浦飯涼と言います」

 

 

彼が口を開いた瞬間。

私が身震いをするような妖力と霊力の混ざったような不思議で不気味な力を彼から感じ取った。

 

 

 




はい!第3話いかがだったでしょうか?

様々な視点から書くのは難しいですね。

こんな駄文でも皆さんが楽しんでいただけたら幸いです。

それではまた次回!


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第4話 月の覚悟

はい、連続投稿です。

展開を進めるのって難しいですね……。

それではどうぞ!


 

 

永琳のあとについて行ったら大きな壁があって其処でボディチェックをされて試しの剣や武威の斧や鎧、破邪刀なんかも取られてしまった。

 

まぁ死出の羽衣や鈴駆のヨーヨーも魔界の重濃酒である鬼殺しもあるので最悪の場合は何とかなる。

 

そんなことを思っていたら大きなビルの最上階に案内され。

今は月詠(ツクヨミ)様と呼ばれる人の前で自己紹介をした所だ。

 

しかし何故か自己紹介をした後から全く月詠(ツクヨミ)に反応がない。

なんでだろうなぁ……なんて呑気なことを考えていたらやっと月詠(ツクヨミ)が口を開いた。

 

 

「悪いな永琳……少し涼君と二人で話がしたいんだ…少しの間席を外してもらえないか…?」

 

「え?し、しかし……」

 

 

席を外すように言われた永琳は困ったような表情をしている。

 

まぁそりゃあ素性もわからない旅の者と言っている男と恐らくこの都市の最高権力者を簡単に二人きりに出来るわけないよなぁ…。

 

 

「頼むよ…。なに、心配はいらないさ少し話し合いをするだけだ……」

 

 

少し考えた後に永琳は、分かりました。

と一言いい部屋を出て行ってしまった……。

 

さて……俺と二人で話したいとはなんだろうな…?

そう思っているとずっと立っているのが疲れたので許可を得てから目の前にあるソファに座らせてもらった。

 

凄いフカフカ…良いなぁ……。

 

 

「さて……単刀直入に聞こう」

 

 

呑気な事を考えていたら月詠(ツクヨミ)の周りの空気が変わった。

 

 

「君は……妖怪か…?それとも人間か?そして……私の敵か?味方か?」

 

「……俺は妖怪です。そして……今は貴方の敵でもなければ…味方でもありません」

 

 

俺は正直に答えた。

実際月詠(ツクヨミ)から発されている威圧はかなりの者だ。

だからこそ俺は嘘をつくのは良くないと思い正直に答えた。

 

 

「なるほど……それでは今は…とはどういう事だ?」

 

「俺は自分から喧嘩を売るようなことはしません。しかし、もし喧嘩を売られるなら喜んで買います……」

 

「そうか……」

 

 

そう呟き月詠(ツクヨミ)は少し考えた後に再び口を開いた。

 

 

「ならば…契約を結ばないか……?」

 

 

契約……?

 

 

「それはどう言った契約で…?」

 

「なに、そうややこしい契約ではない。君は妖怪だが全く穢を感じさせない。しかしその体には確かに妖力も感じる、それと同時に霊力も感じるがね。」

 

「そして君から感じる力は……私と同等…いやそれ以上かも知れないほどにある。だから出来るな君とは有効な関係を気付きたい、しかし君がもし敵になるというのなら私はこの命に変えてでも君を無力化する」

 

「だがそんな無利益な戦いは私も君も望んでいないだろう……?だから君にはこの都市の軍人になって欲しい、そしてその代わり君にはこの都市での最低限の衣食住は保証しよう。そして君が望む事はできる限りのことは叶える。という契約だ」

 

 

……ふむ…つまりは戦いたくない敵はどうせならこの都市の戦力にしてしまおうと

言う考えか…。

まぁ別にそれが嫌な訳でもないし、この都市はかなり発展している。

この都市で住めるのなら願ったり叶ったりである。

こんな契約を捨てる理由もないわけだが……。

 

 

「良いですよ、ただしこちらからも二つ頼みがあります」

 

「……聞こうじゃないか…」

 

「まず一つ目、軍人になるに至って最初の立場は一番下の軍人にしてください。

そして二つ目、この都市に入る時に取られた道具類をすべて返してください。

この二つの頼みを聞いてくれるなら喜んで聞き入れましょう」

 

「勿論二つとも叶えてやるが……なぜ一番下の軍人からなんだ…?君ほどの強さだ、幹部クラスの立場からでもいいのだが…」

 

「いきなり見知らぬ人が今日からお前らの上司だ、なんて言われたら誰だって嫌ですからね。いくら力があっても人望が無ければ意味が無い…」

 

「……そうか…良いだろう……それじゃあこの契約書に君だと分かるようにサインしてくれ……」

 

 

そう言い月詠(ツクヨミ)は何処からか取り出した契約書を俺の前に置いた。

 

俺は指を軽く噛み切り、血を出せば今日から始まる新たな生活に心を踊らせながら契約の部分に指を押し付けた……。

 

 




はい!第4話!いかがだったでしょうか?

次回からは少しだけ日常パートをやろうと思います!

それではまた次回もお楽しみに!


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第5話 美味い食事と適度な運動

はい!どうも!

今回は前回言った通りちょっとした日常パートです!
そして時間がかなり進みます!

上手く書けた自信はありませんが……
それではお楽しみください!


 

 

月詠(ツクヨミ)との契約を交わし、数百年が経った。

話によると此処の都市は穢と言う物を拒絶しているので寿命と言う概念が存在しないらしい。

 

あの後、俺が住むことになった家は永琳の家の近くで今ではすっかり仲良くなった。

軍人の仕事もしっかりとこなしておりそれなりに充実した日々を送っている。

 

因みに今の俺の立場は……

 

 

「これは、これは!最近昇格したばかりの涼隊長じゃないか!」

 

 

そう……隊長にまで上がっていた。

そして今話しかけてきたのは俺のことを良く思っていないであろう総隊長である。

他の奴に聞いた話だとどうもコイツが色々と根回ししたせいで俺の昇格が遅れ、本当なら五年程の時には隊長になれていたらしい。

 

 

「あぁ……どうも…総隊長殿……今回はどういったご要件で?」

 

「丁度ある仕事を頼みたくて探していた所なんだ!」

 

「仕事ですか……?」

 

 

どうせコイツのことだからまた嫌味でも言いに来たのかと思ったが違ったらしい。

 

 

「この都市の中で今穢共を素手で倒せる者が何人いると思う……?」

 

「えっと……俺を合わせて7、8人程度ですかね…」

 

 

そう、実は俺がここに来た時からこの都市の戦力は全く上がっていないのだ。

 

 

「そうだ……確かに武器を使えば殆どの兵が穢を倒せるだろうが………武器がもし無いとなった時にも戦える戦力が少なくとも後六人は欲しい…」

 

「そこで涼隊長には新たに穢を倒せる……まぁ霊力値が約10万以上の者を育てて欲しいのだ!期間は半年だ!どうだ?頼めるか?」

 

 

……なるほどな。

何となくコイツの思惑は見えた。

大方既に月詠(ツクヨミ)に半年以内に俺が何人かこいつの言った条件に合う人物を連れてくると言った、とでも報告したのだろう。

そして連れてこれなかったら俺は嘘を言ったという事で降格でもさせられるんだろう。

 

しかし……これは逆にチャンスでもある。

もしこれで連れてくることが出来たらこの総隊長が何百年かけても出来なかった戦力補充が出来るのだから…。

もしかしたらコイツの立場を奪ってやれるかもしれない。

 

そう考えた俺は二つ返事でその仕事を受け持った。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

 

さて……仕事を受け持ったは良いがどうするかな…。

 

勿論半年であいつの言った条件の通りに兵を育てる修行法は既に考えてある。

しかし、その修行に付いてこれる才能を持つ兵がいるかどうかだ。

出来るならこの軍の一般兵から6人を集めたいが…人数が多すぎる……。

一人一人見ていては修行の時間が無くなってしまう。

 

なにかいい方法は………あった。

簡単な事じゃないか。

一人一人見る時間が無いなら……全員同時(・・・・)に見れば良いだけだ。

 

そうして自身の考えた言い考えに思わず溢れる笑いを浮かべながらウキウキとした足取りで準備を進める。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

 

そうして何だかんだで約束の日付の半月が経った……。

 

俺は自分が育てた六人の兵を連れて月詠(ツクヨミ)のいる部屋に入る。

そこには霊力値を測定する機械を持った永琳、月詠(ツクヨミ)、例の総隊長の三人がいた。

 

 

「その後ろの六人が君の育てたという兵士かい?」

 

「はい、俺の全身全霊を込めて育て上げた兵士達です。ほら自己紹介をしろ」

 

「涼隊長殿に稽古を付けてもらった(かい)と言います」

 

 

まず六人の中で一番体格がでかくこの中でも近距離戦闘に長けた櫂が名前を言う。

 

「同じく、稽古を付けてもらった(みやび)

 

夢異(むい)と言います」

 

続けて二人、雅と夢異が名前を言う。

この二人は個々の実力もそこそこあるが二人で戦う時が一番自身の力を発揮するべすとこんびである。

 

「同じく私は(さん)です」

 

「俺は清堂(しんどう)だ」

 

「僕は翔空(とあ)と言います…」

 

散と清堂は遠距離からの攻撃が、翔空は全体的に長けているものは無いバランス型とでも言ったところだろう。

 

勿論全員元々はただの平軍人だったので総隊長でさえも名前なんて覚えていない。

そして総隊長名前も聞いたことない人物が出て来たからか既に自分の思惑が成功したとでも思ったのかニヤついていた。

 

 

「それじゃあ一人ずつ計測するわね」

 

 

そう言い永琳が自己紹介をした順番に霊力値を計測する機械を向ける。

 

 

「櫂……霊力値10万9000pt…雅……霊力値11万pt…」

 

 

一人一人の霊力値を永琳が言う度に総隊長の顔が焦りに変わっていく。

 

 

「夢異……霊力値11万3000pt…散……霊力値10万7000pt…清堂……霊力値11万5000pt…翔空……霊力値12万pt…!?全員10万ptを超えております!」

 

 

その言葉を聞いた途端総隊長の顔が真っ赤になる。

 

 

「こ、こんなの嘘に決まっておる!たった半年やそこいらで名前も売れていない兵がこんなに強くなるなど……なにかイカサマをしただろ!」

 

 

あーあー見苦しいねぇ…全く……。

そんなイカサマなんてしてないと言うのに…。

 

「俺はそんな事してませんよ。ただ稽古を付けてあげただけです」

 

「お前のような無能がそんな事…!」

 

 

出来るわけがない。そう言いかけた総隊長の声は他の者の声で打ち消された。

 

 

「無能はどっちよ!貴方は何百年とかけてもたった一人たりともこんな強い兵を育てたかしら?それを涼はたった半年でやったのよ?口を慎みなさい!」

 

「し、しかし八意殿……」

 

「永琳よ、そう怒るな。総隊長殿の力は本物だ、それ以上を求めるのは酷というものだろう……」

 

「……それもそうですわね…」

 

 

そこまで言われて総隊長は何も言えぬまま、失礼します!と言い部屋を出て行ってしまった。

 

 

「それにしても涼?貴方どんな修行をさせたら経った半年でこんなに強くなれるのよ?」

 

「ふふっ……まず一般兵全員でトーナメント戦をさせてその中から才能のある兵を選別する。後は美味い食事と適度な運動ですよ」

 

 

後ろの六人からは

美味い食事!?あんな物が!?

だとか

適度な運動ー!?あれは地獄だぜ…!?

なんていう声が聞こえるが気にしない気にしない。

 

まぁ一先ずこれで俺が総隊長になる日も近いだろうなー…。

なんて思いながら少し月詠(ツクヨミ)や永琳、櫂達と話して一日の仕事を終わらせた。

 

 




はい!第5話!いかがだったでしょうか?

今回のお話は幽遊白書の魔界統一編を見て書きたくなったので書きました。

今回出てきた六人や総隊長はモブのようなキャラなのでもう殆ど出番はないと思います(六人はまたあるかも……?)

次回も日常パートを書こうと思います!

それでは次回もお楽しみに!


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第6話 家庭教師

はい!どうもです!

今回も日常パートです。
軽く戦闘もあったりします。
そしてあの原作キャラ達が出演します!

それではどうぞ!


 

 

俺が六人を強くしてから数ヶ月後。

俺の予想通り俺は総隊長に昇格、もと総隊長は降格となった。

 

話によるとその時も文句を言っていたらしいが月詠(ツクヨミ)が決定事項だと行ったら流石に黙ったらしい。

そしてあの六人も各部隊の副隊長まで昇格しており俺としては満足する結果となった。

 

そして今日は俺が総隊長となって初めての仕事である。

その内容は午前中はある姉妹の稽古。

午後はある姫の家庭教師と言うことらしい。

元々前総隊長が週に二回、永琳が他の日をやっていたらしいのでそれの引き継ぎと言う訳だ。

 

多少の前知識によると姉妹の方はとても物覚えも良く優秀らしい。

しかし姫の方は才能自体はあるのだがワガママ姫なせいで手を焼いていたとのこと。

まぁ何とかなるだろ。

と思いながら俺はまずその姉妹のいる屋敷。

綿月亭にやって来た。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

 

中に入ると使用人さんに案内されるままに部屋に着く。

 

数分待っていると二人の少女が中に入って来た。

 

先に口を開いたのは腰ほどに金髪の髪を伸ばしている少女の方だった。

 

 

「お初にお目にかかります総隊長様。私前総隊長様に稽古をつけてもらっていた綿月 豊姫(わたつきの とよひめ)と言います」

 

 

それに続いてもう一人の少女も口を開く。

 

 

「同じく、妹の綿月 依姫(わたつきの よりひめ)と言います」

 

 

こちらは薄紫色の髪を黄色いリボンで一つに纏めている。

 

そしてどうやらこの二人が俺が稽古を付ける姉妹らしい。

それにしても……二人共中々の霊力だ。

まだ成長途中ではあるがこれは教えがいがあるな…。

 

 

「それで……総隊長様、本日から貴方が私達の先生になるのですよね…?まずはどういった稽古をするのでしょうか…?」

 

「あぁ、そんな固くならなくて良いよ、俺は浦飯涼。好きな呼び方で呼んでくれ……。まぁまず最初は二人の実力を知らないことには始まらないからな、軽く組手をしてもらう」

 

 

緊張しないように軽く笑いながらそう言うと二人は戸惑っているような表情になる。

え?なんか俺変な事言った?

戸惑っている俺を察したように豊姫が口を開く。

 

 

「戸惑ってしまってすいません……。なんせ前の総隊長様は組手など一度もせずにただ基礎を延々と教えてくださっただけでしたので…」

 

 

はぁ……思わず溜息が出る。

この二人の実力も分からずにただ基礎を教えていただけ?

それではただ教えていた気になっているだけ、ただの自己満足じゃないか。

全く……仕事も禄にできないのによく総隊長になれたな…。

そんなことを思いながらも俺は立ち上がり二人にちゃんとした稽古を付けてやると言い好きに使っていいと言われた武道場に向かった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

 

武道場は思ったよりも広くこれなら好きなように動けるな。

そう思いながら軽くストレッチをしていると依姫が話しかけてくる。

 

 

「涼先生、どちらから先にお相手してくださるのでしょうか?」

 

「ん、両方同時にでいいよ。そっちの方が早く終わるし」

 

 

そう言うと依姫の目付きが鋭くなる。

 

「それは私達姉妹二人を相手にしても勝てる自身があると言うことですか…?」

 

「あぁそうだが……?」

 

 

確かにこの二人は強い霊力を持っている。

 

しかしまだ俺の育てた六人にも及ばない程度の霊力だ。

この程度なら動かずにしてても勝てるだろう。

そしてどうやら依姫の方はプライドが高いらしいな。

 

 

「分かりました…後で後悔しても知りませんからね」

 

 

そう言うと豊姫の方に向かい何やら話し合っている。

さーて……霊力は中の上程度だが…どれ位やってくれるかな……。

そう思いながら俺は何時でもかかってこいと言い二人の話し合いが終わるのを待った。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

 

数分後、話し合いが終わったらしく依姫が前線、豊姫が後ろで構える形で二人共戦闘態勢に入った。

どうやら依姫は剣を使い豊姫は……扇子?らしきものを手に持っている。

 

何をしてくるかなと思いながら待っていると依姫が真正面から堂々と切りかかって来た。

素早く流れるような動き、完璧とも言える剣の持ち方。

ふむ……これ程の剣の使い手は軍にもいないんじゃないか…?

だが…

 

「そんな動きは簡単に読み切れるぞ……呪氷剣…。」

 

カキンッ!

と刃と刃の当たる音がする。

俺は手に氷を纏わせ作った氷の剣、呪氷剣で依姫の剣を受けたのだ。

 

受けられたのを見るとすぐに剣を引き体制を立て直して連撃に移る。

しかしどれも全て基本の剣術の動き。

簡単に読み切れてしまい全て呪氷剣で受けきってしまう。

すると今度は後ろにいた豊姫が扇子を構えこちらに向けて扇ぎかなりの強風を作り出してくる。

 

ふむ……確かにこれが直撃したちょっとマズイかもな…。

そう思うと俺は依姫の剣を弾き軽く蹴り飛ばすと自分の周りに豊姫が作った強風以上の竜巻を起こす。

 

爆風障壁(ばくふうしょうへき)!流石にいまのが当たってたらまずかったな……!中々やるじゃないか…!」

 

そう言いながら俺が笑うとそれが挑発に見えたのか豊姫が何度も強風を起こしてはこちらにぶつけてくる。

依姫はその強風のせいでこちらに近付けなくて追撃出来ない様子だ。

 

「ったく……二対一のハンデがこれじゃあ意味無いだろ…?」

 

そう呟き再び爆風障壁で風を受け切れば手の平に小さな氷の礫作り出す。

 

魔笛散弾射(まてきさんだんしゃ)!」

 

手の平の小さな礫に軽く息を吹きかければ礫が素早いスピードで依姫や豊姫を襲う。

それらを二人が何とかガードをしている間に二人の背後に回り二人共の首元にて当てる。

 

「勝負あったな……?」

 

そう言うと二人同時に負けを認めた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

 

結果から言えば二人共まだまだ発展途上の力であったがその先頭センスはかなりものであった。

基礎修行だけであれ程の強さになっているのだからもしかしたら前育てた六人よりも遥かに高い才能を持っているかもしれない。

 

組手が終わったあとは二人に軽いアドバイスを言い次回の稽古内容を伝えた後に二人の成長を楽しみにしつつ次の目的地である蓬莱山と言う貴族のいる屋敷に向かった。

 

 

 




はい!第6話!どうだったでしょうか?

最近自分でもっと会話を書けよと思いつつも書けていないです((

次回はもう少し頑張って書いてみようと思います!
そしてあの原作キャラも登場します!

それでは次回もお楽しみに!


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第7話 箱入り姫

はい!どうもです!

今回は前回言った通り日常パートで会話を多めにしようかなと思って書いたものです!
多くなったかは自分の目で確かめてください()

そしてあの原作キャラが登場します。

それではどうぞ!


 

 

大体時計の針が1時を指し示したころ。

俺は地図に記された場所に既に辿り着いてくつろいでいた。

実は午後よりも早く来てしまい昼ご飯をごちそうになったのだ。

どうやら姫様は自室で食べてるらしく顔は見れなかった。

そろそろ良いだろうと思い使いの人に姫様のいる部屋に案内してもらった。

 

そして使いの人に案内されるままに付いた部屋。

何やら中からはピコピコと電子音が聞こえるが……。

取り敢えず襖の前で突っ立っていても仕方ないので入りますよ。

と一言言うと中に入った。

 

すると目に飛び込んできた景色は電気も消してカーテンも締め切っている暗い部屋。

その中で布団を被り目の下にクマを作りながら必死にゲームをしている黒髪の少女がいた。

この少女が……姫様…?

呆気に取られていると少女がこちらに気付いたようでゲームを中断してこちらに視線をやる。

 

 

「ふーん……貴方が新しい先生…?何だか頼りない見た目してるのね」

 

 

初対面の少女にいきなり頼りないと言われて少し凹む。

いや実際はかなり凹んだ。

 

 

「まぁ良いわ、それでまず何を教えてくれるのかしら?」

 

「あ、あぁ……それじゃあまずは自己紹介から…俺は浦飯涼。姫様の新しい家庭教師として指名された者です」

 

「へぇ……私は蓬莱山 輝夜(ほうらいさん かぐや)よろしくね」

 

 

そう自己紹介を終えた後またゲームをやり始める輝夜。

流石にイラッと来た。

……まずはその性格から直そうか…?

 

そう心の中で呟いた手始めに俺は輝夜のやっていたゲームを取り上げた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「もうやりたくない!」

 

あの後、しっかりとゲームのセーブをさせ止めさせてから4、5勉強した所で輝夜が駄々をこね始めた。

4、5分始めた所でだ……。

やれやれと思いつつも俺は何故そんなに勉強がしたくないのか聞いてみた。

 

 

「輝夜様は何でそんなに勉強がしたくないんです?」

 

「だって私ばかり毎日、毎日……午後6時までは勉強させられて家からは出してもらえないし…ゲームは楽しいけど……それでもやっぱり外がどんな所か知りたいの…!」

 

 

……なるほど、つまりはたまには休みが欲しいと言う訳か…。

まぁ確かにそう毎日毎日昼から夕方まで勉強していたら休みも欲しくなるわな…。

でも俺は勉強を教えなきゃいけないし……

そうだ、良い事を思いついた。

 

 

「分かりました。それではこうしましょう。今からこのテキストの23ページから26ページまでの3ページを終わらせてください。そうしたら後の勉強時間はお休みにします」

 

「え!?本当に!?」

 

「俺は嘘は付きませんよ」

 

 

そう言うと輝夜は一目散に勉強に励んだ。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「終わった!」

 

 

あれから10分後、もう終わったというのである。

実はあのテキストはかなり難しい物である筈でこんな短時間で終わるはずがないのだが……。

 

そう思いながら輝夜のノートを見たら全部の問題正解で本当に終わらせているではないか。

驚いていたのも束の間すぐに輝夜にさぁ、早く外を案内して頂戴よ!と言われて外に引っ張り出されてしまった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

 

それからはあっという間に時間が過ぎていった。

 

取り敢えず今日は楽しい所だけを回るという事でショッピングモールに行き服やアクセサリーを見たり、フードコートで買い食いをしたり、ゲームセンターでゲームをして遊んだりした。そして何時の間にか輝夜とはタメ口で話す程に仲良くなっていた。

 

「あーっ……楽しかった!」

 

そう言い笑っている輝夜は最初見た時の退屈そうな顔とは違ってとても満足した顔になっていた。

ここまで満足されると俺としても嬉しいのでつられて俺も笑った。

さて……そろそろ帰るか。

と思い立ち上がると輝夜が服を掴んで聞いてきた。

 

 

「また……今度も連れてってくれる?」

 

「勿論!ちゃんと俺が言った通り勉強したらな?」

 

 

そう答えると輝夜は再び嬉しそうに笑いまたね!と手を振った。

俺も輝夜に別れの言葉を返せば自分の家の帰路を歩いた。

 

 




はい!第6話!どうだったでしょうか?

会話は書くの難しいですね()
本当ならショッピングモールの中の会話も書きたかったんですけど文才が足りませんでした。

日常パートはここまでで次回からはストーリーを進めます!

それではまた次回もお楽しみに!


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第8話 月面移住計画 ①

はい!どうも!
今回は初めて予約投稿と言うものを使ってみました!
もし上手く出来ていれば18:30に投稿されてる筈です!
その時間に投稿されてなかったら失敗しました()

今回から古代の民編も終盤です!
それでは今回のお話しをお楽しみください!


 

 

今日は水曜日、何時もなら午前中は兵の訓練を受け持ち午後からは書類の整理、それが終われば壁の外の見回りと言うスケジュールだが今日は少し違った。

 

朝から月詠(ツクヨミ)に呼び出されているのだ。

眠い体をゆっくりとベッドから起こすとまずは着替えから始める。

本当なら軍人に支給されている制服を着なければいけないのだがあれは動きにくいので大切な用事な時にだけ着ている。

 

今日は制服を着てくるようにも言われなかったし何でも良いだろう。

なんとなくで服を選ぶと洗面所に行き顔を洗う。

そしてパンを焼いて軽い朝食を取ろうとコップに牛乳を注いだらコップにヒビが入ってしまった。

 

 

「………………」

 

 

思わずジッとコップを見つめる。

何だか嫌な予感がする。

あんまりこういう物は信じないのだが何となく嫌な予感がするのである。

しかしそんな事を気にしてもどうにもならないと自分に言い聞かせ手早く朝食を済ませれば庭に出る。

 

毎日朝食を済ませたあとはここで軽い鍛錬をするのが日課なのだ。

贅沢を言うなら相手がいる組手が一番力が付くのだが……俺の動きについて来れるやつがいないのだから仕方ない。

取り敢えず今日は時間もないし早く終わらせようと思う。

 

ポチッ。

 

壁にあるスイッチを押すと庭が左右に破れてその下はそこが見えない程深い。

そして穴のちょうど俺が立っている場所から反対側まで一本の綱が引かれている。

 

今日は酔拳の練習でもするか。

そう思い俺はこの都市の中では一番度数の強いと言われる月土産と言われる酒を一瓶手に持つ。

そして瓶の蓋を開ければ一気に飲み干す。

 

 

「ヒック……俺の技は酔拳だぁ…」

 

 

さすがこの都市で一番の度数の酒。

すぐに酔いが回ってしまう。

ベロンベロンに酔っ払ったまま俺はゆっくりと縄に足を置く。

 

 

「酔えば酔うほど……技にキレが増し…動きが洗練されていく…ヒッ…うぇッ…」

 

 

流石に飲み過ぎたかなと気持ち悪くなりながらもそのまま縄の上を進んでいき何とか渡りきる。

 

……また今度もっと遠くしてもらうかな。

 

 

「…貴方こんな無茶な修行ばかりしてるの?」

 

 

どこからか声が聞こえてきた。

フラフラとしたまま声の聞こえてきた方向を見れば家の門のほうに永琳が居た。

 

 

「あぁ〜永琳じゃないか〜。何しに来たんだよ?」

 

 

ふわふわとした頭でゆっくりと永琳に近付く。

酒臭いからか永琳は離れて行ってしまう。

……少し寂しい。

 

 

「貴方も月詠(ツクヨミ)様に呼ばれているんでしょう?貴方に限ってそんな事はないと思うけど一応遅刻しないように迎えに来たのよ…。そしたら朝からこんな度数の強いお酒飲んで……」

 

 

ブツブツと説教を始める永琳。

こうなったら長いんだよなぁ…なんて思いながら大人しくしていれば段々と酔いが冷めてくる。

時計を見れば月詠(ツクヨミ)に指定された時間まで後30分程、流石にそろそろ家を出ないとまずいと思いもう1度壁にあるボタンを押して庭の穴を片付けると永琳にそろそろ行かないと遅刻するぞ、と言いお説教を止めさせて小走りで月詠(ツクヨミ)のいるびるにむかった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

 

何とか時間に間に合った俺達は月詠(ツクヨミ)の居る部屋に入った。

そこには既に俺達以外にも収集されたであろう面々が集まっていた。

そして一番奥にいる月詠(ツクヨミ)が全員集まったな。

と言うと今までこちらに向いていた視線が全て月詠(ツクヨミ)の方に向いた。

 

 

「今日集まってもらったのは以前から問題視していた強大になっていく穢についてだ……」

 

 

その事を聞いた途端隣の永琳の表情が強ばる。

それもそうだ、この都市の一番の敵である穢、そしてその穢から身を守る為にあの大きな壁や様々な機械を作りこの都市を発展させて来たのは永琳なのだから。

そしてだからこそ分かっていた。

近頃穢の力が強くなりあと数年もしたら今の壁が撃ち破られてしまうことが。

 

 

「近頃の穢の力の上昇はかなりの物だ、恐らく残り数年で今の壁が破られてしまうだろう」

 

 

そう月詠(ツクヨミ)が言うと他の者がざわつき始める。

聞こえてくのは驚きの声、不安の声等様々だ

その中には永琳を貶すような声もあった。

 

やはりあの女に任せていたのが間違いだ。

私に任せておけばもっと強固な壁が……

 

そこで思わず俺はバンッと机を叩いてしまった。

怒りのせいで力加減が上手くいかず机は簡単に壊れてしまう。

暫くの静寂の後月詠(ツクヨミ)がゴホンッと咳き込み話を続けた。

 

 

「今の壁が弱いという訳では無い。今の壁は我々の作れる最大で最強の壁であることは確かだ。しかしそれを遥かに超える勢いで穢の力が強くなっているのである……」

 

「そこでだ…これは提案なのだ穢の無い土地、月に移住をしないか?」

 

 

月詠(ツクヨミ)の口から放たれた言葉に再び室内はざわつき始める。

しかしそのざわつきを収めもせずに月詠(ツクヨミ)は話し始める。

 

 

「私の考えでは永琳、君の知能があれば月まで行けるロケットの開発は出来るはずだ。そしてもし君が出来ないのであれば恐らく私達はこのままこの土地に残り穢と過ごし寿命を受け入れなければならないだろう……」

 

 

その言葉を聞き一斉に永琳の方へ視線が向けられる。

 

 

「どうだ……?君に頼めないか?」

 

 

隣にいた俺には分かった。

永琳は小さく震えていた。

今まで幾度となくこの都市の為に開発をしてきた永琳だが今回の開発にかかる重圧(プレッシャー)は訳が違う。

 

その重圧がどれほどの物か俺には分からないが俺に出来ることはこれしかない。

そう思い俺は、

 

 

優しく手を握った。

 

 

ゆっくりと泣きそうな表情でこちらを向く永琳に軽く微笑みながら俺は頷く。

すると何かを覚悟したような表情で前を向く。

 

 

「はい!私に任せてください!この都市の安寧の為にこの八意永琳!全身全霊を尽くして見せます!」

 

 

そうして始まった月面移住計画。

 

出発予定は五年後だ。

 

 

 




はい!今回のお話しどうだったでしょうか?

文を纏めるのってやっぱり難しいですね。
次回は出発まで時間が飛びます。

それでは!また次回もお楽しみに!


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第9話 月面移住計画②

はいどーもー!
前の投稿から少し期間が空いてしまい申し訳ありません!

ただ自分の性格上無理に進めるとモチベが下がる一方なのでこれからも期間が開くことは多々あると思います。
それでも更新出来る時は更新するので引き続き見てくださると幸いです。

それでは本編をどうぞ!


 

 

あれからの五年間はあっという間だった。

永琳は宣言通りその知力を全て使い驚くべき効率で月までのロケットを作った。

完成は予定の半分、二年と半年で出来てしまい、もう半分は月面に安全に移動する為の作戦を考えていた。

 

そして予定通りあの会議があってから五年後の今日。

月面移住計画が開始される。

一応俺は何かあった時の為にロケットに乗るのは一番最後にしている。

 

何もなければ良いのだが……あの会議があった日の朝から俺の胸騒ぎは治まらないでいる。

ただ待っているだけなのも暇なので酒でも飲もうかと冷蔵庫を開けた時、事件は起きた。

 

突然、緊急事態の時にしかならないサイレン音が鳴る。

そしてその後に報告が入る。

 

 

「北方面より多数の妖怪が進撃中!数は万を優に超える物!兵の者は全員守備に付け!」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

 

報告が入ってから5分後、俺は守備の最前線地に到達する。

既に俺以外に6人の副隊長が守備に付いているが状況は防戦一方。

幾らこちらの個々の強さが勝っているとは言え数が多すぎる。

報告では万を超えると言っていたがどうやらまだ増えている様だ。

 

……仕方ないな…

俺は覚悟を決める6人に聞こえる声で叫ぶ。

 

 

「今この場にいる6人の兵に継ぐ!!お前らは今すぐ後ろに下がれ!!此処は俺が引き継ぐ!!」

 

 

それを聞き6人全員の視線がこちらに集まる。

 

 

「それはできません!!総隊長!!」

 

 

最初に叫んだのはいつも通り櫂だ。

それに続いて雅、夢異、散、清堂、翔空と同じく出来ないと叫ぶ。

コイツ等ならそう言うと思っていたさ……。

 

 

「櫂!お前は近距離戦闘が得意だがまだまだ遠距離戦闘は半人前だ!

雅!夢異!お前ら2人はこの中じゃ個人の戦闘力は一番下だろ!

散!はまだ技が荒い!清堂!は精密性が低い!

翔空!お前はまだ自分の得意分野を見つけていないだろう!」

 

 

全員何も言えずに俯いてしまう…。

 

 

「総隊長命令だ!全員今すぐ後ろに下がれ!!お前等はまだ死に場所を決めれるほど強くない!生きろ!」

 

 

一瞬の静寂の後、全員が覚悟を決めたように頷く。

そして俺の隣を通り後ろに下がっていく…。

 

 

「隊長…ちゃんと戻ってくんだぜ……」

 

「貴方の言う通りまだ僕達は貴方に学びたいことがありますからね」

 

「死んだら許しませんからね」

 

「またいつも通り不味いお茶待ってるよ」

 

「お前を殺すのは俺だ……死ぬなよ」

 

「まだ一度も隊長からダウン取れてないんですから…勝ち逃げは駄目ですよ……」

 

 

ふんっ……全員好きなように言ってくれるじゃないか…。

これは帰ったら全員お説教だな。

 

軽く拳の骨を鳴らしながら前を向く。

 

 

「死にたいヤツからかかってきな。ここからは強者だけが生き残る。ルール無しのサバイバルだ……」

 

 

その一言を引き金に未だに増え続ける何万の妖怪達との戦争が始まった。

 

 




はい!いかがだったでしょうか?

あんまり馴染みの無い6人ですけど個人的には好きなんです((

恐らくこの6人はたまに出て来ますので生暖かい目で見てください。

次回は妖怪達との戦闘編です!

それでは次回もお楽しみに!


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第10話 人妖大戦①


はい!どうもです!
今回は戦闘メインのパートになります!
まぁ戦闘と言っても殆ど無双するんですが……()

それでは本編をどうぞ!


 

 

ある妖怪は頭を割られ。

ある妖怪は首を絞められ。

ある妖怪は体を凍らされ。

ある妖怪は肉が抉られ。

ある妖怪は胸から上が無くなり。

ある妖怪は7色の霊気に木っ端微塵に。

 

様々な方法で妖怪達が死んでいくがまだまだ数は減らないでいる。

 

 

(まだ来んのかよ……!)

 

 

ここまで霊気だけを使い線を超える妖怪達を倒してきたが一向に数が減る気配がない。

幾ら億を超える年月の間で増やした霊力と言えどいつかは底を突く。

妖力を使えばいい話ではあるがこの位置では都市のレーダーに引っかかり自分の正体がバレてしまう。

勿論自分の正体がバレるだけならば良いが正体を知っていた月詠(ツクヨミ)が責任を負いかねない。

それだけは回避したいので霊力だけを使うが……。

 

最初と同じ容量で妖怪の頭を割ろうと殴るが今度は割れずに怪我をさせるだけ。

 

 

(そろそろ限界か……)

 

 

そう思った時。

 

……ぃ………るか…

 

頭の中に声が響く。

 

ぉ……い…聞こえる…?

 

段々とハッキリと聞こえてくる。

どこかで…聞いた声…。

 

おい!聞こえるか!?

 

明確に聞こえたその声は月詠(ツクヨミ)の声であった。

 

(月詠(ツクヨミ)か!?どうやって話しかけて……!?)

 

その話は今はいい!本題だけ伝える!

妖力を使え!

 

(はぁ!?でも俺が妖怪だってバレたらお前の立場が……!)

 

そんな物は最早どうでも良い!とにかく今はお前自身生きる事だけを考えろ!

何より自分の立場を守る為だけに友を見捨てるような奴が王になんてなれる訳ないだろ……?

 

 

……その声から伝わってくるのは月詠(ツクヨミ)の自分に生きて欲しいと願う想い。

 

 

(…………)

 

それじゃあな……涼。

 

 

最後にそう言うと月詠(ツクヨミ)の声は聞こえなくなった。

 

俺はそこで一度目を瞑り全ての感覚を切るような感覚になる。

 

 

周りの妖怪はその瞬間を逃さずに一斉に涼に飛び掛る。

その妖怪の群れのせいで涼の姿は見えなくなる。

普通の人間ならばあれ程の妖怪に飛び掛られればほぼ間違いなく死んだだろう…。

 

………ァァ…

 

そう、普通の人間(・・・・・)ならば…。

 

一瞬涼を襲いかかった妖怪の群れが黒く光ったかと思うとその場にいたのは一人の男だけだった。

 

 

その男の右手には黒い龍のアザが浮かび上がっている。

 

 

「さぁ……続きをやろうか…雑魚どもが……」

 

 

そう呟いた男の体からは黒い炎が散布される。

その炎に触れた妖怪は一瞬で消し炭になってしまう。

 

 

「分かるか…?貴様等の火遊びとは一味違う魔を秘めた本物の炎術が……」

 

 

誰かは分からないが炎を扱う妖怪が聞いたことがあるという。

普通の炎とは違う黒い炎。

それは魔界の炎。

そしてその魔界の炎を扱う奥義、邪王炎殺拳。

未だにその奥義を完成させた者はおらず未完の奥義と言われている程であると……。

 

 

「未完の奥義か……それも今日までだ…。そして喜べ、お前等はこの世界で初めて、完成した邪王炎殺拳の被害者第一号共だ……」

 

そう言った男の妖気がより一層強まる。

その妖気に呼応するかのように空は雲で覆われ、雷が鳴り始める。

 

 

邪王炎殺黒龍波(じゃおうえんさつこくりゅうは)ァァァ!」

 

 

男が右腕を突き出し呼応すると共にその右腕から黒龍が現れ真っ直ぐに突き進む。

黒龍が通った場所は地面は抉れており一本の道が出来る。

黒龍波を放った方向にいた妖怪共は影さえも残っていない。

 

その様子を見て呆気に取られている妖怪共だったが視線をすぐに男の方に戻す。

しかし今までいた男はいない。

どこに行ったと探そうとするも何故か首から下が動かない。

おかしいと思って視線だけをしたに向けるとその場にある筈の体が無い。

 

「呑気な奴等だ……」

 

そう聞こえると同時に殆どの妖怪の意識は無くなった。

まだ何とか意識のある妖怪に見えた光景は先程の男が黒炎を纏った刀を持っている姿だった。

 

そこからの男の行動もまさに神速と言うに相応しい速さであった。

まず最初の妖怪は頭を握りつぶす。

そして次の妖怪は一瞬で四肢を切り落とす。

 

残り5体、

 

次は首の骨を降りその次は頭に剣を突き刺す。

そしてその次は黒炎で消し炭に。

 

残り2体、

 

次の妖怪は上半身と下半身をさようならさせる。

 

残り1体、

 

そこで男の動きが止まった。

 

「お前がこの群れの頭だろ……?何時までも妖気を隠さずに本気を出したらどうだ…?」

 

「……それもそうだな…良かろう」

 

残りの人形の妖怪がそう呟くと見る見るうちに姿が変形していく。

少女のような大きさの体は身長が180はある男の体よりも大きくなり。

短かった髪はとても長い赤い髪になる。

そしてその頭から大きく伸びた二本の角。

発していた妖気はどんどんと強力になっていく。

 

「この私の本当の姿で相手をしてやろうではないか……」

 

「見掛け倒しじゃなければ良いがな……」

 

 

そう二人が呟いた途端両者共に双方に飛び掛る。

 

今、妖怪の群れの頭と人類を守る妖怪の一体一の戦いが始まった。

 

 




はい!今回のお話いかがだったでしょうか……?

戦闘を表現するのが難しいので恐らく作中一の駄文です()

次回は古代の都市編ラストです!

それではまた次回もお楽しみにね!


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第11話 人妖大戦②

はい!どうも!お久しぶりです!

今回で古代の民編は終わりとなります!

それでは本編へどうぞ!


 

大量の妖怪の死骸が転がっている中心部、そこには二つの人影があった。

 

一人は人間が住む都市の軍で総隊長を担っている男。

もう一人は人間を襲うために何万と言う妖怪を集めた鬼。

 

「さて……まずは小手調べだ…」

 

その言葉と同時に俺は距離を詰め、相手の腹目掛けて拳を放つ。

拳の早さは今までの妖怪共なら見切れずに食らってしまい腹に穴が開くほどの威力を持っている。

ドスッと音と共に拳が何かに触れる感触を感じる。

完全に入った……!

 

「……そんなものか…?」

 

完璧に相手の下腹部、鳩尾と言われる急所に拳が入っているにも関わらず顔色一つ変えていない。

思わず一瞬体が硬直してしまった。

 

「今度はこっちの番だ……」

 

体を硬直させてしまった一瞬で俺は腕を掴まれ逃げれなくされる。

 

「お返しだ…!」

 

バコッ……と鈍い音がすると共に俺の体は吹き飛ばされそうになる。

しかし相手が腕を掴んでいるせいでそれさえも許されず体が弓のようにしなる。

 

「ぐぁッ……はぁッ…!」

 

灰の中の空気が一瞬ですべて押し出されたような、いや実際押し出されているであろう。

酸素が足りない苦しさに思わず下を向いてしまう。

 

「ふん……次は本気で打ってこい…」

 

その言葉と同時に腕が解放される。

相手に掴まれていたおかげで立てていた俺は呆気なくその場にしゃがみ込んでしまう。

 

「なんだ…もう立つ力もないのか?これじゃあ拍子抜けだな…」

 

そう言いながら俺を見下す視線。

その視線はまるで弱い者を哀れむような視線だった。

 

その視線に頭に来た俺は無理矢理体を起こす。

こうなったらこっちだって本気で行かせてもらう。

 

「ふんッ……!」

 

俺は右腕を真横に伸ばすと精一杯回し始める。

すると段々と腕の周りに風が纏わり付く。

そしてその風はすぐに竜巻に変わる。

 

「修羅旋風拳!!」

 

その竜巻に驚いたような表情をしている相手の顔面へと拳を突き出す。

今度の拳も先程と同様確かな手応えを感じる。

そして今度は先ほどとは違い相手の体が数メートル吹き飛ぶ。

吹き飛んだ相手はそのまま重力に従い体を地面に倒す。

 

「なんだぁ!?あれだけ言っておいてもう終わりか!?」

 

少しの静寂が辺りを包む。

 

「……ククク…ハハハッ!」

 

その静寂を破るように野郎は笑い始め、体をゆっくりと起こす。

 

「初めてだ……初めて痛いと思える拳を食らった…!気に入ったぞお前…!」

 

そう言いながら腰を落とし腕の力を抜きダランとした腕を揺らしながらこちらを見詰める。

 

「私に気に入られたからには……楽には死ねないと思え!!」

 

声を出して笑っていたのをやめたかと思えばニヤリと大きく口角を上げそう言葉を発した。

そしてその言葉が聞こえたとほぼ同時。

ゴッ、と鈍い音と共にほぼ反射的にガードをした腕に痛みが走る。

先程まで数メートル離れた場所にいた相手がほぼ一瞬で距離を詰めて殴りかかって来たのだ。

 

「ほぉ……今のを受けきるか…ますます気に入った…!」

 

そう言いさらに口角を上げてニヤつき拳を構える。

仕方ねぇ……付き合ってやんぜ…!

こちらも拳を構える。

気づけば俺もいつの間にか笑っていた。

相手の拳が何発も打ち出される。

そのラッシュに応対するようにこちらもラッシュを打ち返す。

 

ガッ、ゴッ、バゴッ、ドッ、ボゴッ。

 

拳と拳が何度も当たり鈍い音が何度も響く。

そんなラッシュ勝負が数分続いた時、意外にも先に引いたのは相手の方だった。

 

「楽しい……実に楽しいなぁ…!」

 

「あぁ……!不思議だけどよ…俺もすっげぇ楽しいぜ!」

 

もしかしたら独り言だったかもしれない相手の言葉に俺は思わず言葉を返す。

 

「こんな楽しい時間がいつまでも続けば良いが……そうも行かない…」

 

そう呟いた相手の顔は何処か切なそうでとても楽しそうな笑顔だった。

 

「そこでだ……お互い最大の技で決着をつけないか?」

 

俺は無言で頷く。

お互い距離を取れば俺は右腕を構え、相手は角をこちらに向けてくる。

 

俺の右手に妖気が溜まり黒炎が灯る。

相手の角の先には妖力の球が出来上がる。

 

装填はほぼ同時、そして発射も━━━━

 

「邪王炎殺黒龍波ァァ!」

角妖砲(かくようほう)!」

 

━━同時だった。

 

そしてお互いの大技がぶつかり合う瞬間、辺りは光に包まれた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

光が収まってきた時、やっと辺りが見える。

俺の体は戦闘での怪我と霊気と妖気のガス欠で立っているのが精一杯。

ふらつく視線の中、相手の方を見れば倒れている人影が見える……。

つまり、

 

「俺の勝ちだァァァァァァァァァァ!!!」

 

そう叫びながら右腕をあげた俺にはもう体力は残っておらずそのまま背中から倒れ込んでしまう。

 

そして広がる雲一つない青空。

しかしそこに何故か俺は違和感を覚える……。

 

(……あれはなんだ…?)

 

雲一つない晴天と言える青空に一つの点が見える。

最初は既に出発してしまったロケットだろうと思ったがその点は段々と大きくなっている、つまりこちらに落ちてきているのだ。

 

そこで月面移住計画の会議での内容を思い出す。

ロケットが発射された後、都市の技術を残すのは危険なので核爆弾を落とす。

と言う最後の計画を……。

 

(まずいッ…!)

 

あれが核爆弾だと分かれば俺はもう動けないと悲鳴をあげる体に鞭を打ち無理矢理動かすとまずは倒れている鬼の方に向かう。

 

この体格の大きさの鬼ではとても運ぶ事は出来ない。

しかしコイツをこのまま此処において俺だけ逃げる事も寝覚めが悪い……。

 

少し考えた後に俺はある決断をする。

 

(……頼むから安全な場所に飛ばしてくれ…!)

 

そう祈りながら取り出したのは綺麗な羽衣である。

 

この羽衣は通称死出の羽衣と呼ばれるもので包み込んだ物を何処かに飛ばしてしまうのだ。

飛ばした場所は使う本人も分からない。

もしかしたら世界の果てか……魔界か…異空間なんてことも有り得る代物だ。

普通ならとても危険なのでとても使わないが……今はそんなことも言ってられない。

 

俺はまず倒れている鬼を死出の羽衣で包み何処かに飛ばしてしまう。

……生きててくれよ…。

 

そう願いながら上を向けばもう残り数秒もすれば落ちて来ると言う所に核爆弾がある。

 

俺は急いで羽衣に包まれる。

ギリギリ羽衣に包まれ何処かに飛ばされる途中、俺は体力に限界が来てしまいそこで意識が途絶えてしまった…。




はい!今回のお話!どうだったでしょうか?

今回は何時もよりかなり長くなってしまいました…!

次回からはまた新しい物語が始まります!

それでは次回もお楽しみにね!


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諏訪の国編
第12話 心機一転


はい!どうもです!

今回から新しく諏訪の国編に入ります!

そしてピョンピョン時間が飛びます!

それでは本編をどうぞ!


 

 

━━━目を覚ますとそこは知らない天井だった。

なんてことも無く目の前には雲がゆっくりと流れる穏やかな空があった。

 

意識を失った後のことはさっぱり分からない。

ここが何処なのか、あの鬼はどうなったのか、永琳達は無事に月に行けたのか、どれ程意識を失っていたのか……。

 

気になることは山ほどある。

しかしどれも確かめようが……いや、何個かは確かめれるな…。

リスクは大きいがその分メリットも大きい、なによりソレをやるなら早い方がいい。

そう考えた俺は早速行動に移った。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

 

……何とか成功した…。

 

額にまだ薄らと痛みを感じながらも体をゆっくりと起こす。

その額には一つの目玉が付いていた。

 

━━━━邪眼。

それは千里先をも見通すことが出来る第三の目。

その眼を生まれ付き持つ妖怪は極小数しかおらず邪眼は強大な力の示しにもなる。

 

俺が今行ったのは邪眼の移植手術である。

説明したとおり千里先をも見通す目でありこの目を開くことで妖力を強化することも出来る。

しかし強大な力にはリスクが伴う。

邪眼の移植手術は生半端ではない痛みが襲い副作用として持っている妖力が最下級にまで落ちてしまう。

 

 

……痛みは引いた、妖力は修行すればまた元に…いや更に膨大な妖力になる。

それに今は新しいこの力を試してみようではないか。

 

そう思い俺は額の目に意識を集中させる。

まずは月の様子からだ…。

 

バチッ!

 

「ッ……!今のは…!?」

 

月の様子を見ようとしたら何かに邪眼の力が阻まれた…。

かなり強力な結界であろう。

これ程の結界を貼れるとなると恐らく月詠…。

つまり皆は月に無事に辿り着いたと言うことだろう。

 

そう自分に言い聞かせれば次の探し物を探す。

あの鬼は無事だろうか……。

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

あれから数時間程邪眼で鬼を探したが見つからなかった。

かなりの痛みと妖力を犠牲にしたのに探し物が二つとも見つからなくて残念である。

 

でもアレほどの強さを持つ鬼だ、無事ならまた会えるだろう。

そう考えれば一先ず邪眼を閉じる。

 

流石に額に瞼があってはおかしいので包帯を巻いておく。

さて……今日からは忙しいぞ。

まずは無くなった妖力を戻すための修行。

食べ物もないので自給自足を成り立たせ、寝れる場所も探さねければならない。

まぁ全て永琳達に会う前に毎日行っていたことだし大丈夫だろ。

 

そんな事を考えていたら背後から何かが近付いてくる気配がする…。

足音から察するに妖獣の群れと言ったところだろう。

一先ず食料は確保出来たな。

 

そんなふうに呑気に考えながら俺は妖獣の群れの中に飛び込んでいった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

俺が意識を戻した日からどれほどの年月が経っただろうか……。

 

あれからは適当に妖怪を倒し修行をしながら生物の進化を目の当たりにした。

 

恐竜が姿を現し始め、火山が噴火、草木が燃えて食物連鎖が崩れて恐竜が絶滅。

そして氷河期に入った。

まぁ恐竜達は簡単に倒すことが出来たし氷河期は元々呪氷も使う俺にはなんてこと無かった。

 

そして現在。

やっと人間が現れ始めたらしく遂に人里を発見した。

何億年ぶりの人との出会いに感動を覚えた。

早速人里に入ろうとした時、背後から声が飛んできた。

 

「そこのお前!何者だ!」

 

後ろを振り向けば大きな目玉がついたおかしな帽子をかぶっている金髪の少女が鉄で出来た輪っかのような物を構えていた。

 

 




はい!今回のお話どうだったでしょうか…?

ちょっと時間飛ばしすぎたかなぁ……なんて思いつつもこうでもしないと話が進まないからしょうがないと思ってる自分がいます。

修行の様子はたまに書いていこうと思います。

それではまた次回もお楽しみに!


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第13話 諏訪の神

はい!どうもです!

今回はあの原作キャラが出ます!

それでは本編をどーぞ!


 

 

今、俺の目の前には鉄製の輪っかのような武器を構えすぐにでも襲ってきそうな少女がいる。

この少女が妖怪ならば問答無用に倒してしまうのだが……この子から感じる力は妖気ではない、つまり妖怪ではないのだ。

しかし霊力、人間の持つ力でもない……。

この力が何かわからないまま戦闘になるのはあまり得策ではない。

ここは一つ穏便に済まさなければ……。

 

「落ち着いてくれお嬢ちゃん……子供がそんなの持ってちゃ危ないだろ?まずはその武器を置いて……」

 

「子どッ……人が気にしてることを…!!問答無用!今すぐ排除させてもらうよ!」

 

どうやら失言してしまったらしい。

少女は怒りを抑えきれずそのまま戦闘に入り鉄の輪っかのような武器を俺に向かって投げつ来てきた。

 

やれやれ……仕方ない。

取り敢えず話を聞いてもらえるように頭を冷やしてもらうか…。

 

こちらも戦闘態勢に入れば一先ずは投げてきた武器をジャンプして避ける。

どうやらブーメランのように自動的に本人の元に戻るようで今度は俺の後ろから武器が少女の元に戻っていく。

もちろん何もせずにそのまま当たってしまう気は無い。

 

俺は風を操ればそのまま空中で静止し、自分の周りに風を集める。

そして大きな竜巻を体の周りに作り出す。

 

「爆風障壁!」

 

その竜巻により鉄の輪の武器は軌道がずれ、竜巻を避けて少女の元に戻る。

 

「少しはやるようだね!だけど次はそんな風じゃ防げないよ!!」

 

そういい少女が地面に手を着くと四角い土柱が大量に飛び出しこちらに向かってくる。

 

「面白い能力だな……だけどそんな直線的な攻撃じゃ甘い」

 

そう呟けば俺は土柱の一つ一つを避けていく。

この土柱は量こそ多く威力も高いが直線的な攻撃でありスピードも遅く機動性にかける攻撃である。

 

「これも避けるの……!?」

 

悔しそうに葉を食いしばり再び武器を構える少女。

しかし……もう攻撃させるチャンスはおしまいだ。

次はこっちの番。

 

「さて……ゆっくり眠っててもらうよ…」

 

そう呟き少女の後ろに素早く回り込む。

 

「き、消え……!?」

 

「おやすみなさい」

 

俺は懐からある花を取り出す。

その時周りに甘い香りが一瞬香ると少女は眠ってしまう。

倒れた体をそっと抱きとめる。

 

眠っている少女をゆっくりと寝かせれば俺の上着をかける。

人里の様子を見ながら俺は少女が起きるのを待った。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「んー……あ…ぅ……?」

 

日も暮れ始めて夕方になった頃、やっと少女が目を覚ました。

体を起こすと辺りをキョロキョロしている。

恐らくまだ寝惚けていてまだ状況が把握出来ていないらしい。

 

「おーい……大丈夫かー?」

 

そう声をかけるとこちらを向き数秒顔を見つめた後にあーっ!と大きな声をあげた。

どうやら先程のことを思い出したらしい。

 

「お、お前!」

 

「しーっ…取り敢えず話をしないか……?」

 

何かを言いかけた少女の言葉を遮り話し合いを求める。

少女は少し黙った後にゆっくりと首を縦に降った。

 

「ありがとう、まずは自己紹介をしよう、俺は浦飯凉だ。君は?」

 

「……諏訪子…洩矢諏訪子(もりやすわこ)…」

 

「それじゃあ諏訪子、まずなんで君は俺を襲ってきたんだ…?」

 

「だって……村を守りたかったから…」

 

「俺が村を襲うと…?」

 

「だって…アンタ大和国の使いだろ……?もし今村を襲わなくてもまたすぐに襲いに来るだろうし……」

 

ん……?大和国…?なんだそれ…?

 

「ま、待った、俺はそんな国の使いじゃないんだが…?」

 

「え?」

 

「え?」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

諏訪子の話を纏めると

諏訪子はこの人里の神であり王であるらしい。

そして大和の国という大国がありその国の神はすべて国を収めようとしている。

そして諏訪子の住むこの村にも先日信仰を寄越せと手紙が来たそうだ。

その信仰というのは神にとって力の源らしく諏訪子はそれを拒否した。

すると今度は武力行使にでると手紙が来た。

なので俺の事をこの村を襲いに来た、または偵察に来た大和国の使いだと思ったらしい。

 

そしてそう話していた諏訪子の声は震え、怯えていた。

 

「もし私が負けたら……この村の人たちは取られてしまう…そして私はきっと信仰がなくなって消えてしまう…それが怖いんだ……私はこの村の人達と離れるのが…嫌なんだよ……」

 

そう言うと諏訪子は遂に泣き出してしまう。

きっと今まで溜め込んできた物が全て爆発してしまったのだろう。

そんな諏訪子の姿を見ていると俺の胸がとても痛む。

……仕方ない。これも何かの縁だ。

 

「諏訪子……もし良ければ俺と一緒に修行しないか?」

 

「修行…?」

 

「あぁ……俺に任せてくれればお前を今より何倍にも強くしてやる。だから……どうだ…?」

 

そう尋ねれば少し俯き黙った後再び顔を上げる。

 

「うん……私…凉と修行するよ!」

 

そう言った諏訪子の目は覚悟を決めた目であった。

 

 





今回のお話どうだったでしょうか?

少し長めのお話になってしまいました!

次回は新しい原作キャラも登場します!

それでは次回もお楽しみに!


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第14話 大和国

はい!どうもです!

特に何も言うことが思いつきませんでした!

それでは本編をどうぞ!


 

 

あの後、俺は諏訪子と共に諏訪子の神社に行き晩飯を食べ床に就いた。

 

朝日がまだ登る前、まだ暗い時に俺は動き始める。

修行させるとは言った物の相手がいつ攻めてくるのか分からないのでは落ち着いて修行が出来ない。

それに向こう側がこの村を襲って民を傷付けてしまったら修行をしても水の泡だ。

そうならない為に俺は行動に移った。

 

まずは敵が居ると言われている大和国を探す。

これは邪眼を使ったら簡単に見つかった。

後はこちらから出向いて話を付けるだけである。

結構な距離があるので恐らく今日一日使ってしまうであろう。

諏訪子に心配させないよう簡単な置き手紙だけ書いて置く。

内容は

大和国に話を付けてくる。待ってる間は此処に書いてある修行をしておくこと。

 

さて…それじゃあ行きますか…。

そうして俺は大和国に向かった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

あれからかなりの時間が経った。

一応日が登る前に出発したと言うのに今では日が真上に登ってしまっていた。

それだけの時間をかけてやっと付いた大和国。

 

取り敢えずは諏訪の国の使いと言う体で中に入ろうと思うので一先ず服装は少し小汚いローブを身に纏いフードを被っておく。

 

そうして大和国の門番であろう男に近付く。

 

「すいません……私、諏訪の国から来ました使いの者ですが…」

 

「ほぉ…諏訪の国の……暫し待たれよ…」

 

そう言うと男はもう一人の門番に俺を見張っておくように言うと門の奥へと行ってしまった。

 

さて、男が戻ってくる間暇だしこの門番と世間話でもするかな。

 

「門番さんも大変ですねぇ……そんな重い鎧身に付けて…」

 

「………………」

 

なんだこの門番、感じ悪いな。

 

「少しくらい喋ってくれても良いじゃないですか」

 

「この私が人間と?巫山戯るのも大概にしておけ」

 

そう言うと門番はふんっと小さく鼻を鳴らした。

 

「あら、門番さんは人間じゃないんですか?」

 

「私は神だ、まぁお前のような者には分かりもしないだろうがな」

 

ばーか、お前の力が弱過ぎるんだよ。

そのせいでこの国のもっと強い奴らの力に飲み込まれて感じ取れねぇの。

 

そんなことを思っていたら奥に行った門番が戻って来た。

 

「ついて来い」

 

そう一言だけ言うと門番は再び門の奥に進んで行ってしまう。

俺は言われた通り門番のあとを付いて行った。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

 

しばらく街を歩いた後、大きな城のような場所に入りある一室の前についた。

どうやらこの奥にいるのがこの国の主らしい……。

 

「無礼のないようにな」

 

そう言うと門番は襖を開けたので俺はそのまま部屋の中に入った。

そこには紫がかった青髪の注連縄を背負った女が居た。

 

「お前が諏訪の国からの使いか……?ふん…諏訪の国は随分人手不足と見えるな…」

 

こいつ本当にこの国の主か……?力は確かに諏訪子よりかは上ではあるが圧倒的な力の差は感じない。

それに俺の抑えてる霊力にも気づかないでいる…。

 

「それでなんのためにここに来た。要件を言え」

 

「分かりました……簡潔に申します。戦の日時と場所、そして条件を指定させてほしい所存で来たのであります」

 

「ほぉ……言ってみろ」

 

「まず時間は1ヶ月後、場所は……ちょうど諏訪の国と大和国の間に開けた土地があります。そして条件は…貴方様とこちらの主と一体一で戦って欲しいと言うものです」

 

「理由は…?」

 

「まずは貴方様との力の差を埋める時間が欲しいのとこちらとしては民を傷付けたくないのです、その為この条件を飲んでほしい」

 

「ふっ……こちらにメリットがないじゃないか…そのような条件を飲むとでも?」

 

「飲まないのならこちらにも考えがあります」

 

「なに……?」

 

ここまでは全て俺の考えていた通り。

さて……派手にかましてやろうか…。

 

俺は腕を真上に上げて指パッチンをする。

すると周りには無数の蝙蝠のような目玉が現れる。

 

「……何をする気だ?」

 

「これは爆弾です…貴方様が今の条件を飲んでくださらないなら今ここで全てを壊します」

 

「そんなことッ…!」

 

したらどうなるか分かっているか?

とでも言いかけたのだろう。

しかしそれは言わせない。

 

それを言いかけた所で俺は抑えていた霊力を解放させる。

 

「……そんなこと…なんですか?」

 

相手の主は予想していなかった力の前に口をパクパクさせている。

 

「さて……返事が聞けないようならまずは…この城ごと行きましょうか……」

 

そうして俺が指に力を入れた時。

 

「待ちなさい…。その条件飲みましょう」

 

凛とした声が周りに響く。

声の主の方を向くとそこには水色の長い髪をした女性が立っていた。

 

「貴方様は…?」

 

そう尋ねると女はゆっくりと口を開いた。

 

「私はこの国の本当の主、天照大御神でございます」

 

なるほど……つまりこっちの神は隠れ蓑のような物か…。

そこで先程まで主を名乗っていた神が口を開く。

 

「し、しかし天照様!諏訪の国のような小さな国の条件、それもこちらに優位のない物を飲んでしまったらこの国の沽券が……!」

 

「神奈子…分かってないわね……今回の戦、もし全面戦争になりましたらこの者も参加しますのよ…?」

 

そう言うと天照は俺の方を指す。

 

「この者の力見て分かるとおり私と同等……もしかしたらそれ以上かも知れませんわ…。もしこの者が戦いに参加したら勝てたとしても私たちの国の軍力は大幅に低下、最悪敗北まで有り得ます…。しかし向こうの主との一体一の勝負ならこちらの勝算は大いにありますのよ」

 

「…………」

 

神奈子と呼ばれていた神は俯き黙ってしまう。

 

「……と言うことで諏訪の使いさん…?お話はこれくらいでお終いで宜しいかしら…?」

 

「……一つ訂正です。私は先程までそちらの…神奈子様と言う方をこの国の主だと思っておりました…なので……」

 

「分かっています。一体一は諏訪の主と神奈子ですわね」

 

「はい……それでは私はこれで失礼します…」

 

話し合いも終わったし諏訪の国に帰ろうと部屋を出ようとした時。

 

「また……お会いしましょうね、妖怪さん…」

 

そう天照に言われた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━

 

あれから何事もなく諏訪の国に帰り神社に戻ったら諏訪子に半泣きで抱き着かれた。

 

話を聞くとどうやら俺が大和国に行き寝返ったり殺されたりしないか心配だったらしい。

半泣きの諏訪子を落ち着かせると諏訪子はそのまま寝てしまった。

 

さーて……明日から一ヶ月…修行のメニューを考えなきゃなぁ…。

そう考えながら俺も諏訪子の隣で眠ってしまった。

 

 

 




はい!今回のお話どうだったでしょうか?

自分の書きたいものを書こうとするのってやっぱり難しいですね……。

それでは次回もお楽しみにね!


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第15話 ケロちゃん雨にも負けず風にも負けず

はい、今回は修行パート……?
日常パート…?

取り敢えずそんな感じのほのぼのっとしてる雰囲気です笑

それでは本編をどうぞ!


 

 

次の日の朝。

まだ諏訪子が寝ているうちに準備を始める。

 

毎回言っているが強くなる為には上手い食事と適度な運動。

これが良いんだ。

その為にまずは運動が出来るスペースを作る。

作り方は簡単。

神社の裏手にある広場の土を削り谷を作り削り取った土でと山々を作る。

 

そして山と山の間に霊力で編んだ縄を繋げる。

谷の崖は各所に人が一人が座れるかどうかの休憩ポイントを作っておく。

これで終了。

 

そして諏訪子が起きてくる前に朝ご飯を作っておかなければ……。

 

メニューは薬草のスープをお椀一杯、白米に魔界魚の塩焼きである。

魔界魚と言うのはその名の通り魔界に住んでいる魚で修行の時に魔界に行って捕まえ、冷凍保存しておいた。

薬草は種に霊力と妖力を混ぜて成長させた。

スープはスタミナ増進。魔界魚は力の底上げの効能を持っている。

 

料理が完成した所で諏訪子が起きて来た。

机の上の料理を見ては顔を青ざめているがそんなことは知らない。

 

これを食べたら次は本格的に修行だ……。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

10分ほどかけて全ての料理を食べ終わらせれば早速裏の広場に回る。

昨日とはまるっきり違う光景に驚く諏訪子を横目に修行メニューを伝える。

 

「最初は谷底から山のてっぺんまでの崖上りをこの鉄球を四肢に付けてやってもらう。重さは1個約10kgだ。

そして崖上りが終わったら今度は山と山の間の綱渡り。落ちたら崖上りからやり直しだ。

そして綱渡りが終わったら残りの時間を山のてっぺんで瞑想。

夕暮れまでに終わらせろ。」

 

「そんなの出来る訳ないでしょ!?」

 

因みに山と言っても殆ど先の尖っている岩のようなもの。

その上に立つのは常人では無理である。

もちろん俺も初日から全部出来無いことは理解している。

しかしこれは諏訪子の力を見極める為なので仕方ない。

全力で力を出している時こそ潜在能力は初めて浮き彫りになる。

 

「つべこべ言わずに夕暮れまでに全部終わらせる気でやれ、終わらなかったら夕飯は抜きだ」

 

そう言うと俺は早速諏訪子の四肢に鉄球をはめて谷底に落とす。

途中で涼の鬼〜!などと聞こえた気がしたがきっと気のせいだろう。

 

取り敢えずこれ以上説明することも無いしサボらないように見張りつつお茶でも飲もうかなとした時。

 

「あ、あのー……」

 

話しかけられた。

声の主は建物の影から控えめに顔を出してはこちらを見ている。

神は緑色で巫女のような姿をしているのできっとこの神社の巫女だろう。

 

「えっと……何のようかな…」

 

「その…………

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

 

話を聞いたところやはりこの神社の巫女らしく名前は洩矢 早奈美(もりや さなみ)と言うらしい。

朝一で来たのだが諏訪子の様子が見当たらないので探しに来たという事だ。

事情を話したところ、それなら神社のお仕事は私がやっておきますね!また何かありましたらお呼びください!

と言い神社の方に戻って行った。

 

そうか、そう言えばここも神社なんだし色々と仕事もあるな。

うっかりしていた。

まぁ早奈美に任せておけば良いだろう。

 

さーて……諏訪子はどれ位上れたかな。

と思いながら谷を覗き込むと丁度谷底に落ちていく諏訪子の姿が見えた…。

 

これは明日からの修行内容は大分緩くしたほうが良いな…。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

あれから夕暮れまで、諏訪子はサボらずに崖を上り続けた。

何度か上り終わり綱渡りに移ったもののすぐに落ちて再び崖上りをしていた。

 

見たところ神力と言われる妖力や霊力と同じような力を使い上っているようだがまだ大分使い方が荒い。

明日からそこが課題となる。

 

取り敢えず諏訪子に今日の修行は終わりだと伝えれば俺はクタクタになっている諏訪子から鉄球を取り外しお風呂に入っておくように伝える。

先にお湯は早奈美に伝えて沸かしておいてもらったのだ。

 

諏訪子がお風呂に行けば俺は飯を作り始める。

メニューは基本朝と同じだが効能が違う。

 

薬草は疲れを癒すものに変えてある。

魔界魚も種類を変え夜にゆっくり休めるよう睡眠の促進効果のある物にしてある。

因みにお風呂のお湯には傷が癒える薬草を入れてあり寝室には薬草をアロマのように炊きリラックス効果を付けている。

 

そうしてお風呂から上がった諏訪子に料理を食べさせれば神社の仕事を終えた早奈美にもお風呂に入るよう勧め、諏訪子を寝かせる。

早奈美がお風呂から上がれば普通の味噌汁と白米に鮎の塩焼きを出し家に帰らせた。

 

 

さーて……俺もさっさと風呂入って飯食って寝ますか…。

固まった体を軽く解しながら俺は一日を終えた。

 

 

 




はい!今回のお話どうだったでしょうか?

次回は多分諏訪大戦のパートに入ると思います!

それではまた次回もお楽しみに!


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第16話 諏訪大戦①

はい!どーもです!

今回から遂に諏訪大戦に入ります!

それで本編をどーぞ!


 

 

あれからの日々はあっという間だった。

最初の一週間は神力の効率のいい使い方。

次の一週間は初日行った修行。

次の一週間は崖上りの難易度を上げ同じ修行。

最後の一週間は全て組手に費やした。

 

最初こそ修行に文句を言い着いてこれてなかった諏訪子だったが神力の使い方を理解した途端、段違いに強くなった。

勿論使う神力の量も格段に増え、身体能力も底上げされている。

実力は恐らくあの神奈子と呼ばれていた神と同等程度であろう。

 

そうして万全を期して迎えた勝負の日当日。

約束の時間通り、約束の場所に到着した。

相手は先に来ていたようで諏訪子の相手である神奈子の他に天照と数十人、もしくは数百人近くの雑兵が集められていた。

こちらに気づいた天照が口を開く。

 

「良くぞ参られました諏訪の主よ。

約束通り勝負は諏訪の方は主である貴女様が。

我が国の大和国からは神奈子を出します。

そしてその二人の一体一で宜しいですね…?」

 

諏訪子はコクリと頷く。

 

「それでは早速ですが……この石が落ちたら勝負開始と行きましょうか…。

両者前へ…」

 

そう言い両軍の中間に立つ天照。

相手の神奈子は言われた通り前に出て構えている。

 

しかし諏訪子は動かない。

俺の前で小さく震えながら固まってしまっている。

 

「ったく……出来の悪い神だな…。ここまで頑張ってきたんだ、あいつらに一泡吹かせてこい」

 

「う、うるさいなぁ!そんなこと分かってるさ!これは武者震いだからね!」

 

そう言いこちらを振り向いた諏訪子の震えは止まっていた。

もう決心は決まったようだ。

 

「ありがと…」

 

前に出ていく諏訪子からそう言われたような気がした。

 

天照が両者前に出たことを確認するとゆったりとした動きで石を上に投げる。

投げられた石は真っ直ぐと上に飛んで行く。

やがて飛んでいく力が無くなると今度は重力に従い下に落ちる。

そしてカッ、と音を立てて地面に落ちる。

 

それと同時に両者共に動き出す。

諏訪子は武器である鉄の輪っかを握って。

神奈子は御柱の様なものを近くに浮かせ。

 

「随分凄まじい修行を送ったようですね……」

 

隣を見るといつの間にか天照が座っていた。

 

「まぁな……これでも人に稽古を付けるのは得意でな」

 

「力はきっと神奈子と同等……いやそれ以上かも知れませんね…」

 

「良く分かってるじゃないか…」

 

「でも……決定的に足りないものがありますね」

 

「………………」

 

何も言えなかった。

それが事実だからだ。

確かに諏訪子はこの一ヶ月で圧倒的な成長を遂げた。

力量も神奈子に負けていない。

しかし、天照の言うように決定的に足りないものがある。

それは……

 

「経験」

 

「そう、諏訪の主には経験が圧倒的に足りていない。

現に諏訪の主の攻撃は全て基礎通りと言うべき単調なものばかり。

あれでは百戦錬磨と言う通りの神奈子には攻撃はすべて読まれてしまう」

 

これも事実だ。

すべては目の前で起こってる勝負が語っている。

今俺の目の前では諏訪子だけがダメージをくらい疲れが溜まっている状況。

力量は同じなのに何故か……?

それら天照の言う通り神奈子にすべて攻撃が読まれて避けられてしまっているからである。

 

「ふふっ……勝負と言うものはお互いの力量に限らず良い物ですね…

決する瞬間、それまでの道程が花火のように咲いて散って見えます…」

 

そう呟いた天照の表情は勝利を確信した笑みと何かを企んでいるような不気味さを感じさせる物だった。

 

 




はい!今回のお話どうだったでしょうか?

次回で諏訪子VS神奈子、決着です!

それでは次回もお楽しみにね!


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第17話 諏訪対戦②

はい、どうもです!

投稿期間が遅れてしまって申し訳ありません!

何をやってたかは聞かないでください←

これからも度々投稿期間が遅れることはあると思いますのでそれでも仕方ねぇ。許す。
って言う方はこれからもよろしくお願いします……!

それでは本編をどうぞ!


 

 

あれから一時間ほど経った。

体力はどちらも限界。

傷の量はどう見ても諏訪子のほうが多く不利な状況。

 

これ以上時間を費やしても諏訪子が負けるのは分かっている……。

となると諏訪子は博打に出る筈…。

 

と思い諏訪子の方を見れば案の定、自身の武器に神力を溜めていた。

それを見て神奈子が口を開く。

 

「このまま無駄に時間を費やすなら真正面から衝突しようって訳かい……気に入った。私も本気で答えてやろう…!」

 

そう言うと神奈子の方も神力を溜め始める。

辺りに静寂が響く。

ピリピリと肌に感じる緊迫感。

溜めに溜められた神力。

全てが感じられる。

そして……その時は来た。

 

「行くよッ!神奈子!」

 

「来な!諏訪子!」

 

諏訪子と神奈子が動いたのは同時。

諏訪子は武器を持ち神奈子に向かい。

神奈子は溜めた神力を諏訪子に向けた。

そしてお互いの神力がぶつかりあった時。

 

ズドォォォォンッ!

と凄まじい爆音と共に辺りは土煙包まれた。

 

……土煙が晴れる。

その場にある人影は一つ。

立っていたのは―――神奈子である。

 

「……この勝負、私の国の勝ちですね…。それでは私はこれで…」

 

そう言うと天照は大和国の方に飛んでいってしまった。

 

そんなことより心配なのは諏訪子だ。

死んでいる。なんてことは無いであろうが重体なのは変わりないであろう。

早く治療してやらなければ。

そう思い俺は急いで諏訪子の側による。

 

スー……スー……

 

息はしている。心音もちゃんと聞こえている。

どうやら気絶しているだけのようだ。

ホッとしていると何やら大和の兵が何やら騒ぎ始めた。

 

「ったく……なにやってんだ…!小国の主に手こずって…!」

 

「更に息の根も止めれずに…!」

 

「こうなったら俺らが奴を始末するぞ!」

 

「そうだ!」

 

そう良い兵は俺と諏訪子の周りを囲む。

神奈子も止めようとはしているが傷が深いらしく動けないでいた。

 

「さぁ、諏訪の主を置いていけ。今そいつを置いて行けばお前は生かしてやろう」

 

そう言ってきた兵には生かして返す等と言うことは思ってもいないだろう殺気が漏れていた。

 

「……俺がもし此所に諏訪子を置いていったら…お前らはどうする気だ…?」

 

そう質問するとバカにするように鼻を鳴らした後口を開く。

 

「敗北者はそれ相応の辱めを与えた後殺す。決まっているだろう?」

 

……ダメだ。我慢しようと思ったが無理だった。

もうコイツらは許しておけない。

 

俺は諏訪子をゆっくりと足元に置くと俺は妖怪を解放させる。

するとその妖力に呼応するように空が荒れはじめる。

 

「き、貴様!妖怪だったのか!」

 

兵が何かを言っているが俺には聞こえない。

 

パッシーンッ!

と近くに雷が落ち周りが一瞬光に包まれる。

 

 

「さぁ、お仕置きの時間だ」

 

そう呟いた俺の姿は髪は白髪。頭にはキツネ耳が付き、腰元には尻尾。

服装は白い袖のない物になっていた。

 

「俺を怒らせた罪は重い……貴様等は…殺すぞ」

 

そう言うと目に分るほど怒りを露にして兵の一人が剣を持ち切りかかってくる。

 

「貴様のような下衆な妖怪に……殺される訳あるかぁぁぁぁぁ!」

 

「お前は……この食妖植物に喰わせることにするか…」

 

俺の右腕からは既に鋭い歯のついた木のような物が生えていた。

そして切りかかって来た兵の胸にはポッカリと空いた穴。

それに気がついた時、兵は絶命していた。

 

「なんだ……神というのもこの程度なのか…」

 

そう呟くと同時に辺りの兵達も一斉に飛びかかって来る。

この程度の挑発に乗るなんて……。

 

兵達が俺に近付いた瞬間。

地面からとても大きな植物が生える。

 

「魔界のオジギソウだ……そいつらは気が荒くてなでな…動くもの全てに興味を示して襲いかかる…。神奈子とか言ったか…女、死にたくなかったら動くなよ……」

 

グルルッ……と音を鳴らすオジギソウ。

 

「どうやらお前等を敵と判断したらしいぞ…」

 

そう言うと同時にオジギソウは周りの兵共を喰らい始めた。

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

当たりは既に夕刻になっていた。

俺はあの後兵共が血溜まりだけになったのを見れば諏訪子を神社まで送り。

軽い手当をした後に神奈子の方も大和国に送って行った。

神奈子は別れる時に

諏訪の国の事についてはまた後日話す。そしてあのクズ共に罰を与えてくれてありがとう。

とだけ言っていた。

 

……さて今日は色々と疲れた…。

まだ明日からも忙しいだろうし…今日はもう寝よう…。

 

そうして俺は布団に入り目を瞑って眠りに付いた。

 

 

 




はい!今回のお話どうだったでしょうか?

久々に書いたせいで何時もに増して駄文になっているような気がします←

次回は後日談。
そしてその後に2回か1回やったら諏訪の国編は終わりにしたいと思います!

それではまた次回もお楽しみにね!


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第18話 諏訪神社の新たなる日常

はい。
今回から日常パートです。
少しでもほのぼのしていただけたら幸いです。


それでは本編をどーぞ!


 

 

朝の日の出前の時間。

この時間が俺の起床時間である。

起きたらまずは布団を畳みパジャマから着替える。

因みに布団は諏訪子から貸してもらいパジャマは自分で作った。

今日の服は何となく和服の気分なので和服を着る。

紺色に緑が混ざったような色で個人的に好きな色である。

 

そして寝ている諏訪子や神奈子を起こさないようにしながら俺は顔を洗い寝癖だらけの白髪を整えて神社の裏手に出る。

そこには諏訪子の修行のために地形を変えた修行場所がある。

今では俺しか使っていないがまた何時か使い時が来るだろうと思い残してある。

 

さて、今日は何の修行をしようか……。

昨日はヨーヨーを使っての戦闘を練習した。

最近漸く両手で十個のヨーヨーを同時に使えるようになったところである。

 

よっし、今日は剣術の練習をしよう。

使うのは……魔哭鳴斬剣(まこくめいざんけん)にしよう。

そうと決めれば刀を取り出して早速修行に取り掛かる。

まずは素振りを五百、そしてその後縮地と言われる技術の練習だ。

 

ブンッ、ブンッと音を鳴らしながら素振りをしつつ俺は先日の事を思い出していた。

 

 

――先日の戦の後、神奈子がうちの神社に越してきた。

話を聞くとここの神社の管理と信仰を集める事を天照から命じられたらしい。

最初は諏訪子も数日したら自分が消えると嘆いていたが何故か諏訪子は中々消えなかった。

神奈子に話を聞いてみると村人達が信仰の対象を変えてしまったらミジャグジ様からの祟が恐ろしいと信仰が変わらないらしい。

それで何やら神奈子と諏訪子が話し合い名前だけの新しい神を作り信仰をお互いに分け与えることで得ることにしたのだとか。

良く信仰の仕組みを知らないので詳しいことはよく分からないがそうする事によって諏訪子も消えず、神奈子にも信仰が入りお互いに良い関係を築けたらしい。

そしてそれからは神奈子も此処の神社の住人の一人になった。

神奈子は基本的には何もせず神社でグータラに過ごしている。

諏訪子も最近はそれに毒されて一緒にグータラになりつつある。

そのせいで家事や掃除は全般俺、たまに早奈美が手伝ってくれたりしている。

 

「はぁ」

 

思わずため息が漏れてしまった。集中力が途切れた証拠だろう。

まぁ丁度目標回数に突破した所だし今回は良しとしよう。

さて、次は縮地の修行だが……そろそろ日が登ってきて諏訪子達が起き始める時間になってしまった。

仕方ない、縮地の練習はまた明日にして朝飯の準備をしよう。

 

俺は刀を片付けて神社の台所に向かうと朝飯の準備をする。

今日のメニューは納豆と白米、それに卵焼きと焼き魚に味噌汁だ。

勿論今回は修行メニューの食事ではないので味を第一に考えて作ってある。

因みにこの神社の台所はコンロがあり水道もあり冷蔵庫まである。

全て俺が作った。

この物作りの技術は恐らく鈴木さんの技術である。

そこまで与えてくれるとはあの閻魔は中々通だ。

しかし俺はここまで特典である幽遊白書の能力に頼りその技だけを使ってきたが……そろそろ俺自身の考えた技も欲しくなってきた。

まぁそれでも俺の使える能力は今の所幽遊白書に出てくる物だけなのでそれの派生になってしまうだけだが……。

 

俺は味噌汁の味見をしてみる。

うん、美味しい。

自分でも褒めてしまう出来だ。

そして完成した朝ご飯を机の上に並べてるうちに諏訪子と神奈子の二人が起きてきた。

一応着替えはしたようだが髪はボサボサでまだ半目状態である。

 

「二人共、朝飯食べる前に顔を洗ってきなさい。じゃないと朝飯は抜きだ」

 

そう言うと二人揃ってはぁ〜いと間の抜けた返事をして顔を洗いに行く。

その間に俺は料理に使った調理器具の洗い物を済ませてしまう。

 

二人が戻ってくると朝食の始まりだ。

二人共美味しそうに食べてくれるのでこちらも作りがいがある。

 

「あ!神奈子!それ私の魚!」

 

「良いじゃないか魚の一匹や二匹……ケチだねぇ…。」

 

「ダメ!返して!」

 

そうして二人のじゃれ合いが始まる。

うん、二人共元気があってよろしい、だけどいい加減にしないと、ほら、味噌汁の器が吹っ飛んでこっちに――バシャ。

 

「「あっ」」

 

……熱々の味噌汁が俺の髪から滴る。

良いだろう。二人の気持ちはよくわかった。

俺は頭に乗っているお椀を取り顔にかかった味噌汁を手で拭い笑顔で二人を見詰める。

二人は何故か青ざめている。おかしいな。俺はいつも通りの笑顔だよ――尻尾と耳が生えている以外は。

 

「二人共……お仕置きの時間だ…。」

 

その後の神社には二人の神の悲鳴が聞こえその様子を見ていた早奈美は涼さんは絶対に怒らせないようにしようと決めましたと語った。

 

 




はい、何となく日常っぽくかけた気がします。

しかし台詞が少ない。とてつもなく。
次回はもっと会話を多めにしたいなと思います。

それでは次回もお楽しみにね!


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第19話 神化、時々妖狐


今回も日常パートです!

特に話すことがない!

それでは本編をどーぞ!


 

 

「あっ、涼に言い忘れてたことがあるんだけど!」

 

唐突に諏訪子が喋り始める。

ここ数ヶ月の付き合いだが大体諏訪子はどうでもいい事はいい忘れず大切なことだけを言い忘れる。

内容によってはお仕置きの時間が始まってしまう。

 

「ん?なにを言い忘れてたんだ?」

 

 

「いつの間にか涼も神様になっちゃってるよ」

 

 

ん……?聞き間違いだろうか?俺が神様?紙様?髪様?

あ、髪様か。

たしかに俺の髪は自作のトリートメントを使ったり髪を乾かす時は温風の後に冷風をかけたりとかなり気を使ってサラサラのフワフワで艶のある髪を保っている。

 

「おーい、ちょっとー?現実逃避しないでー」

 

「いや、現実逃避なんてしてない。俺は髪様になったんだろ?」

 

「字が違うから、神様、神、カタカナのネ見たいのに申し出るとかの申の神だから」

 

 

……どうやら俺は本当に神化してしまったらしい。

確かに最近体の奥から妖力でも霊力でもない力が流れ込んで来ていたがそれの事だったのか。

それにしても妖怪が神になるなんて面白いこともあったものだ。

これからは妖狐神とでも名乗ってみようか。

 

「と言うがなんで俺が神化したんだ?」

 

「アンタが最近良く悪さをする妖怪を倒したりしてるだろう?あれの影響だと思うよ」

 

いつの間にか隣にいた神奈子。

気配を消すのが上手いな……。

 

「そんな簡単なことで神化なんて出来るのか?それも妖怪の俺が」

 

「なっちまったんだから出来るんだろ。それとも他になにか理由が…………あっ!あれか…?」

 

何かを思い出したように神奈子が手を付く。

 

「アレだよアレ、諏訪大戦の時のアンタの神殺し。あれを見てた妖怪がアンタを信仰したんじゃないかい?」

 

……確かにそれは有り得る話だ。

妖怪からしたら神は最大の敵。

例え弱小の雑兵の神とは言え神は神。

それを大量に殺した妖怪を見れば信仰してしまうこともあるだろう。

 

「なる程な、納得いった」

 

「それじゃ涼もうちの神社の神様に決定だね」

 

「え?いやそれは良いのか?俺は妖怪でもあるんだぞ?」

 

御利益どころか厄災が降りかかりそうな神だ。

下手すると生贄を捧げないと恐ろしい事が起きる何ていう伝承まで作られてしまいそう。

 

「大丈夫、大丈夫。御利益は恋愛成就で良いよね」

 

「いやいや、駄目だろ。

神奈子もウンウン頷いてないで止めろよ。

俺みたいなパッとしない神が恋愛成就なんて出来るわけないだろ?

どうせなるなら諏訪子みたいに可愛らしい神か神奈子みたいな綺麗な神がなるべきだろ。」

 

「……涼って良く恥ずかしげも無くそんなこと言えるよねー…」

 

「これがたらしって奴かい?」

 

なにやら諏訪子と神奈子が喋っているがよく聞こえない。

多分だけど俺が出来る御利益なんて髪を綺麗にすることくらいだ。

うん、それなら出来そう。て言うかそれがいい。

髪麗美の神なんて他にいなさそうでカッコイイ。

今はなにやら顔を赤くしてるから放っておくとして後で諏訪子か神奈子にそういう神にして貰えるよう頼もう。

 

それにしても今の俺の種族はどんなんだ……?

えーっと…人間と妖怪と神を併せ持った感じだろ……。

どうせだから妖狐を名乗りつつ神要素も合わせたい。

人間離れし過ぎてるから人間を名乗るのは辞めるとして……。

うん、やっぱ妖狐神がいいかもしれない。

妖狐神の涼……かっこいい。

 

その後は神奈子とお茶を飲んだり、早奈美と掃除をしたり、諏訪子に尻尾をモフらせたりして一日が終わった。




はい!今回のお話どうだったでしょうか?

そろそろ日常書くのもやめて次のストーリーに進めようかなと思ってます!

次回は何を書くかは未定です!

それでは次回もお楽しみにね!


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第20話 別れと出会い


はい、今回で諏訪の国編はおしまいです。
軽くお別れの話を書くのと新キャラ2人が登場します。
それに至って少しだけタグを編集し直しました。
そして少しだけいつもより長いです。

あとお気づきの方がいるか分かりませんけど名前も変えました。
今日からは駄々っ子天使です。よろしくおねがいします((

それでは本編をどーぞ!


 

 

「ダメ!絶対にやーだ!」

 

……どうしたものか…。

今の状況を説明すると諏訪子が布団の上で手足をバタバタさせながら駄々をこね、神奈子が真剣に何かを考えてる様子。早奈美は困った様子で苦笑い。

なぜこんな状況になっているかと言うと時間は数分巻き戻る――

 

――始まりは俺の旅に出たいの一言からだ。

理由は刺激が足りないのと色んな場所を見て回りたいからである。

諏訪子は最初から今まで否定を続け神奈子は考え中。

早奈美は恐らくだが肯定派……だと思う。

そして俺は色々と諏訪子を説得しようとし今に至るという訳だ。

 

しかし……困ったもんだな……ここまで駄々をこねられると俺の決心も揺らいでしまう。

神奈子はまだ考えているし……ここはどうにかして神奈子を味方につけて無理矢理にでも諏訪子を納得させるのが得策か…?

 

「私から……一つだけ言わせとくれないかい?」

 

そんな事を考えていれば初めて神奈子が口を開いた。

一体どんなことを言うのだろうか……

諏訪子のように否定的な言葉じゃなければ良いのだが……。

 

「涼が旅に出るにしても出ないにしても此処はアンタの家でもある。だから……辛い事があれば此処に戻って私達を頼ってくれ」

 

「……あぁ、当たり前だろ?俺はお前等を家族だと思ってる。だから何時だって助けるし助けられもするさ…」

 

「……そうかい。なら私からもう何も言わないよ。涼の好きにしな」

 

そう言い神奈子は部屋から出て行き寝室に行ってしまう。

諏訪子もいつの間にか駄々こねをやめてこちらをジッと見つめていた。

 

「……どうしても行くの…?」

 

「あぁ……どうしてもだ」

 

そう言うと諏訪子の目に涙がたまるのがわかった。

 

 

「なに、心配すんなって。たまに戻って来ては土産話を聞かせてやるからさ」

 

俺は笑いながらそう言うと諏訪子の頭を撫でる。

諏訪子は少し黙った後、うん。と小さく頷き寝室に戻っていた。

早奈美も健康には気を付けてくださいね。と一言言うと帰ってしまった。

 

……さて俺も明日には出発するしもう寝てしまおう…。

俺は元々敷いてあった布団に寝転がればそのまま目を瞑った。

 

――

 

次の日の朝。

まだ村の人も諏訪子も神奈子も眠っている時間に俺は外に出た。

一応部屋には手紙と置き土産として俺の霊力を込めて作ったキラキラと光るビー玉のようなものを置いてきた。

この時間に出発したのは決心が揺らいでしまわないようにするためだ。

もし諏訪子や神奈子、早奈美の涙を見てしまったら俺はこの村に残ってしまう。

なので俺は誰からも見送られずに村を出発した。

 

 

――

 

村を出発してから数時間経った。

今は森の中を歩いている。

 

そして、この森の中に入ってからずっと視線を感じている。

それも敵意を込めた視線だ。

しかし何か危害を加えて来そうな気配や音はしない。

一体なんなんだ…?

このままほっとくのも何だか気持ち悪いし……どうした物か…。

 

そう思っていたら突然草むらから二つの人影が飛び出て来た。

 

片方は青に黒も混ざっている髪、服装は首元に青い数珠の様なものを下げ青い生地の上に黒い模様で装飾されている和服を着た鋭い目つきでこちらを睨みつけている男。

 

もう片方は男の青い部分がすべて赤に変わった色違いの女。

そして二人共の共通点として手が鎌のようになっていた。

 

「俺は(そう)

 

「私は(くれない)。この辺りを縄張りとしてる鎌鼬の兄妹です。」

 

鎌鼬――旋風に乗って現れては人間の肌を切り付けて行くとされる妖怪。

妖怪の中でもかなり有名で地位の高い妖怪である。

恐らくこの二人は自分の縄張りに入った俺を襲いに来たと言ったところだろう。

 

「恐らくお察しされてると思いますが貴方にはここで死んでもらいます」

 

「肉はちゃんと食べてやるから心配はすんな!」

 

そう言うと同時に青い鎌鼬――蒼の方が斬撃を繰り出してくる。

真正面から出された攻撃に当たるほど俺はお人好しではないのでこれを躱す。

すると避けた方向に今度は赤い鎌鼬――紅が斬撃を飛ばして来る。

なるほど……この二人の連携はかなりの物。

恐らくA〜B級妖怪ならすぐに倒されてしまう程だ。

そんなことを考えながら紅の斬撃も上に飛ぶことで避ける。

 

「……なかなかやりますね…」

 

「流石は妖怪の神様ってとこか!だけど……これはどうかな!」

 

そう言い再び蒼が斬撃を繰り出す。

しかし先程とはスピードと威力が全くもって違う。

それに……これは――

 

 

「考え事ですか?」

 

 

いつの間にかすぐ近くにいた紅がその鎌を振り下ろす。

 

「くッ……」

 

咄嗟に体を捻らせて避けたものの攻撃は当たってしまった。

しかし切られた傷口から血は流れず火傷のような傷になっている…。

流石に俺もやられっぱなしと言うわけにはいかない。

そろそろ反撃しようと妖力を解放させる。

 

「ッ……これが貴方の本気ですか…?」

 

紅と蒼の顔に驚きの表情が浮かぶ。

 

「お前ら如きに本意を出すほど弱くは無いさ」

 

そう言うと同時に俺は二人に目掛けて斬撃を繰り出す。

それも蒼には妖力を水に変え発射させた水圧の斬撃を。

紅には炎の斬撃だ。

 

「これはっ……!」

 

「ふざけたことを…!」

 

二人はギリギリで避ける。

だが……

 

「ゲームオーバーだ」

 

そう呟くと同時に二人の足首を固定するように鉄のアームが出る。そしてそのアームには爆弾が付いている。

 

「そんなッ――」

 

――静かな森の中に相応しくない爆発音が響いた。

 

 

「はっ……!ここは…?蒼は……!?」

 

「お目覚めか?」

 

話しかけた途端にこちらを睨み付け攻撃態勢に入ろうとしてくる紅。

しかし先ほどの爆発の怪我が痛むようで傷口を抑えて顔を歪める。

 

「おいおい、無理するなよ。なにもお前等二人にこれ以上攻撃はしねぇよ……」

 

「……何故私たちを助けた…?お前に私達を助ける理由など無いはず…」

 

「最もな質問だな。だけど残念ながら助ける理由はあるんだな」

 

「ふん……金か?それとも私の体か…?負けた者に価値などない、お前の好きにしろ」

 

ったく……可愛げのない奴め…。

 

「ッ……!姉ちゃんは……!?」

 

そんな話をしていたら蒼の方も目覚めたようだ。

これで話を進められる。

 

まぁ蒼の方は起きたばっかのせいか先ほどの紅と同じ態度を取ってくるが気にしない。気にしない。

 

「さて、蒼も起きたしお前等を生かした理由を話させてもらうよ……。お前等、俺の式になれ」

 

「なんだと……?」

 

「だ・か・ら!お前等二人共式になれって言ってんの!」

 

全く……式の意味位分かるだろうに。

 

式――式神と呼ばれる物。式神は主の妖力を貰い受ける代わりに主のいうことを聞かなければいけない存在である。一瞬の主従関係になる。

 

「……なぜ私達なんだ…?」

 

「お前等二人の力はさっきので分かった。そんでもって俺は一人旅に寂しさを感じている。以上!」

 

「なぜドヤ顔で言うんだ」

 

人のドヤ顔を見てクスクスと笑う紅。

……なかなかに失礼な奴だ。

 

「面白い奴だな……私は別に良いぞ…」

 

「姉ちゃんッ!?何でこんな奴の式なんかに!」

 

「私たちは負けたんだ、敗者は勝者の好きにされる。それは自然の掟だろう?」

 

「だけど…」

 

「それに……こいつ…いやこの人に私は興味が湧いた。ただ寂しいだけとの理由で自分を殺しに来た奴を自分の式にしようとするこの人にね…」

 

「……わかった…姉ちゃんがそこまで言うなら…」

 

 

どうやら話は纏まったらしい。

二人は俺の前に跪いて口を開く。

 

「私達二人は貴方様の式となり。貴方様の敵となるものを根絶やし。貴方様のために動き。貴方様の従者になると誓います」

 

そうして俺は二人と式神としての契約を結んだ。

 

 




はい!今回のお話どうだったでしょうか?
やっぱり長いですね!はい!

次回からは妖怪の山編に入ろうと思います!

それではまた次回もお楽しみにね!


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妖怪の山編
第21話 再会の山


メリークリスマス!

はい!クリスマスに何も関係ないお話を投稿する悲しい天使です!

皆さんクリスマスはどうお過ごしでしょう?自分は特に普段と変わりません()

それでは本編をどうぞ!


紅と蒼との旅を始めてから数ヶ月が経った。

二人は俺の予想通り強く育ち初めて出会った時とはスピードも高下の威力も見違えるほどに強くなった。

そして数ヶ月と言う時は長く二人とは仲良くなれた物の――

 

「涼様〜!美味しい木の実を見つけてきましたよ〜!」

 

「お、俺も見つけてきました!姉ちゃんよりも多く!」

 

――仲良くなり過ぎた気がする。

 

最初の頃は蒼は警戒しっぱなしで紅はずっと気を使った話し方をしていたが時間をかけて蒼の警戒を解いていくうちに紅の気も解れて行った。

そして仲がいいと言うより懐かれたと言う方が正しい程までに慕われた。

そろそろ主従関係と言うものを教えた方がいいのかと思うものの――

 

――目をキラキラと輝かせてくる二人を見てしまうと何も言えなくなってしまう。

そんな悩みを吐き出すようにため息を吐きながら二人の頭を撫でた。

 

 

――

 

あれから数分歩いたら大きな山が見えてきた。

新しい物が見つかるかもしれない。

そう思い俺等は山登りを始めたのだが……

 

「ここは我等が天狗の住む妖怪の山!人間とたかが化け鼬が入る場所では無い!即刻立ち去れ!」

 

っと言われてしまった。

これでも俺は一応平和主義者なので言われた通り帰ろうとも思ったのだが……

 

「誰が化け鼬だクソ烏どもッ!テメェ等全員首掻っ切ってやろうか!」

 

「そんな下品な言葉使っては駄目ですよ蒼。もっと頭の悪い低俗な烏にも分かるように簡単な言葉を使ってあげませんと」

 

……二人が喧嘩を買ってしまったわけだ。

いや、二人共こっちを見てやってやりましたよみたいな顔で見ないの。寧ろ迷惑だから。

まぁ買ってしまったものは仕方ない。今更やっぱ帰りますなんて言ったら俺の面子も無いし…。

そう思い戦闘態勢を取ろうとした時――

 

「――やっぱりお前だぁぁーーー!」

 

「んぐぁッ!?」

 

突然脇腹に衝撃を感じ目の前が真っ暗になった。

 

 

――

 

 

……目を覚ますと見知らぬ天井だった…。

なんてことは無く目の前には紅と蒼の顔があった。

 

「……近いぞ二人共…」

 

「涼様!お目覚めになられましたか!」

 

「あぁ……心配かけちまったな…」

 

そう言いながら俺が体を起こすと二人同時にその場に頭を下げる。

 

「私たちがお側にいながら……申し訳ございませんでした!」

 

「謝るな、別に気にしてないさ」

 

「し、しかし……」

 

「二回目を言わせるのか……?」

 

「……分かりました」

 

全く…こいつ等は義理堅いと言うか…なんというか……これのせいで俺も甘くなってしまう。

 

「お、起きたか……?」

 

そんなことを話してたらいつの間にか障子から誰かが顔を覗かせていた。

……しかし…どこかで見覚えがあるな…。

ジッと障子から覗かせている顔を見詰めてみる。

長い赤い髪……顔の位置的に身長は180程度…頭から生えるとても立派な角――

 

「――あっ!お前はあの時のッ!」

 

「覚えておったか!」

 

「お知り合いですか……?」

 

ガハハと口を大きく開けながら笑う赤髪の鬼。

 

「確か自己紹介はしとらんかったな!ワシの名前は乱鬼(らんき)!鬼の頭領で今では鬼子母神と呼ばれとる!」

 

それが俺と乱鬼――人妖大戦で殺し合いをした二人の再開だった。

 

 




はい!今回のお話いかがだったでしょうか?

次回のお話ですが年末年始は少し忙しいので投稿は先になりそうです!

それではまた次回もお楽しみにね!


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第22話 VS最速の天狗

はい!皆様お久しぶりです!
そしてあけましておめでとうございます!

年末年始は忙しく中々執筆する時間が取れず期間が空いてしまいました!
すいません!

これからも度々期間が空いたりしてしまうこともあると思いますが今年もよろしくお願いします!

それでは本編をどうぞ!


 

「母様ァ!そんな雑魚共蹴散らせちまえぇ!」

 

「おい天狗!負けたら承知しねぇからな!」

 

それぞれ好き勝手に騒ぎ始める周りの鬼共。

中には数名天狗も見えるが騒ぐ所か顔色が悪くとても大人しくしている。

 

そして俺のいる場所と対象になる場所には乱鬼を初めとして他に鬼が二人、天狗が二人いる。

 

俺が乱鬼と再開した後、当たり前のように喧嘩をしようと言われた。

そして話がどんどん進みいつの間にか俺、蒼、紅の三人対妖怪の山の精鋭達での勝負が決まってしまった。

 

「それじゃあ改めて勝負の内容を説明するぞ!

勝負はお互いのチームから一人選んで一対一の勝負を始める。

細かい勝負の内容はお互いの話し合いで決める。

お互いの勝った者の数で最終的な勝敗を付ける。

人数の差を埋めるルールとして涼達の方は一度勝負に出た者でも負けてない限りは何度でも勝負に出れる。

ただしこちらは一度勝負に出た者は再び出ることは出来ない。

異論はないな?」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

「それじゃあ早速最初の試合を始めるぞ!ここからは審判に進行は任せる!」

 

...某イーなんちゃらさんの有名な台詞を使ってみたがやはり誰にも反応されずにスルーされてしまった。

地味に寂しい。

 

「それでは、先鋒!前へ!」

 

っと、そんな事を考えていたら早速一戦目が始まるらしい。

此方は最初から俺が行こうと思ったが紅に「涼様は最後まで残っていてください」と止められてしまい蒼が前に出た。

相手側はセミロング程度の黒髪で赤い帽子のような物を被っている鴉天狗が出て来た。

 

「あやや、初めまして鼬さん。私、鴉天狗の射命丸文と言います。以後お見知り置きを」

 

「ふん……裏飯蒼。鎌鼬」

 

待て、蒼。お前はいつの間に裏飯の姓を手に入れたんだ。おい。

 

「それでは勝負内容を決めましょうか……とは言っても私はどんな勝負でも負ける気しませんけど」

 

「…何でもありの対決。勝敗の決め方はどちらかが負けを認めるか倒れて十秒数えられるか……死ぬかだ」

 

「異論ありません」

 

「……それでは勝負――

 

――始め!」

掛け声と共に審判が手を下ろした。

 

 

――

 

 

「先手必勝です!」

 

そう言うと文は真っ直ぐと蒼に突っ込んでいく。

 

「ふん……幾ら速かろうとそんな単調な動きでは…」

 

蒼は文にカウンターをかけようと手を鎌に変化させ構える。

そして文が自分の射程範囲内に入ると同時に鎌を振り下ろす。

タイミングも完璧であった――

 

――が。

「あやや、恐ろしい斬れ味に戦闘センス。賞賛に値しますよ」

 

文は蒼の腕を掴み鎌を止めている。

様子を見る限り文に傷一つ着いていないようだ。

 

「おやすみなさい、可愛い可愛い鼬さん」

 

そう言うと同時に文の手の上に白色の弾幕が現れる。

どうやら風を球状に硬めた物らしい。

文が手を振り下ろすと同時に風弾は蒼に向かい飛ばされた。

 

「ぐがッ……ぎッ!」

 

風弾が当たると同時にブチブチッと肉が切れる嫌な音と共に蒼が声を上げる。

当たった右肩は抉られたような傷になっている。

 

「あれを受けて意識を失いませんか……それではもう一度…」

 

そう言い再び風弾を作り始める文。

蒼は動かすのも痛い右腕を無理矢理動かし文を払い除ける。

 

「なんと、まだ動かせるんですかその右腕……無理はしない方がいいですよ?」

 

どこか楽しそうに笑う文。

しかし蒼の目はまだ死んでいない。

 

「はッ……性格の悪いクソ天狗がッ…お前なんかに負けるかよ」

 

そう言い指を自分の首の前で横に切る。分かりやすい挑発だ。

しかしプライドの高い天狗、その中でもより一層プライドが更に高い鴉天狗を怒らせるのには充分だった。

 

「良いでしょう鼬さん。貴方には私の最高速度を見せて差し上げます……この山で最速の天狗のスピードに何も出来ずに眠ってください」

 

そう言うと同時に文の翼が広げられる。

その翼が羽ばたかれると同時に蒼の目の前からは文は忽然と消える。

いや、薄らとだが残像は見える。

蒼の周りを乱雑に飛び回る文の影が。

 

「懺悔をするならこの時間が最後ですよ!今謝れば少しは軽傷で済むかもしれません!」

 

そんな言葉を無視して蒼は目を瞑る。

そして鎌を構える。

その集中力は見ているだけの天狗や鬼にも伝わる程。

しかし、挑発に一度乗ってしまった冷静さが欠けてる文にはその集中力には気付かない。

 

「黙りですか……それでは天狗と鬼に喧嘩を売った愚かな自分と自分の主を恨んで死んでください!」

 

その言葉と同時に影が蒼の方に向かう。

そしてその影が蒼に当たる一瞬――

 

「――千凪(ちなぎ)

文の動きが何故か止まる。

 

「余りにもゆっくりなせいで見えなかったか?それとも……速すぎたか…?」

 

「私のッ……負け…ですねッ……」

 

そう言うと同時に文の体中に切り傷が出来て血が吹き出し倒れる。

 

「しょ、勝者!涼チーム、裏飯蒼!」

 

「っしゃあ……!まず一勝…!」

 

そう言い力無い拳を上げる蒼。

その、顔はとても嬉しそうに笑っていた……。

 

「ひ、一つ……いったいいつ私に攻撃したんですか……?最初の一振り以外、私には見えなかったんですが……」

 

「……お前が俺の周りを飛んだる時さ。俺からお前の姿が見えないんだ。その速さで飛んでるお前自身も俺が何をしてるかまでは見えない筈だからな……。そこで周りに高水圧のカッターをドーム状にゆっくりと飛ばした。それに気付かず飛び回ってたお前は傷だらけ……って訳さ…。」

 

「あやや……正しく私の完敗…ですね……」

 

そう呟くと同時に文は意識を失った。

 

 

 




はい!今回のお話どうだったでしょうか?

これから少しの間は戦闘パートが続くと思います!
次回は出来れば来週が終わるまでには投稿したいと思っております!

それではまた次回もお楽しみにね!


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第23話 VS怪力乱神

はい!どうもです!
思ったより早く書けたので早速投稿させてもらいます!

今回は題名の通りあの鬼の戦いです!
それでは本編をどーぞ!


 

「二回戦!次鋒前へ!」

 

文は意識を失っているので医務室に搬送された。

蒼はまだ負けていないので次の勝負も出ると良い天狗達に止血だけさせると再び前に行ってしまった。

 

俺も止めようとしたが言うことを聞かず前に出てしまったのだから仕方ない。

全く……変なところで頑固なやつだ。

相手の方は盃を片手に持った赤い大きな角の生えてる鬼が出てきた。

 

「アンタ……確か蒼とか言ったか?私は星熊勇儀、ここじゃ鬼の四天王なんて呼ばれてるよ」

 

「御託は良い。さっさと始めるぞ」

 

「少し位聞いてくれたって良いじゃないか……。まっ、私も早く始めたくてウズウズしてるから良いけどさ!」

 

そこまで話すと二人共戦闘態勢に入る。

審判が二人を確認した後手を上に上げ――

 

「二回戦ッ!初め!」

 

――掛け声と共に手を下げると。蒼は遥か後方に吹き飛ばされていた。

 

 

――

 

 

「なんだいなんだい?もう終わりかい?母様を倒したヤツの連れなんていうからもっと骨があると思ったが……大したことないねぇ!」

 

「くッ……化物が……」

 

フラフラとした姿勢でなんとか立ち上がる蒼。

どうやら勇義の攻撃が当たるより先に後ろに飛んでいたらしく飛ばされたのは風圧のせいでありダメージは少ないらしい。

 

……しかし

 

(ただのパンチの風圧(・・・・・・・・・)だけで吹き飛ばされた……!?)

 

恐らく今の攻撃は勇儀にとっては挨拶替わりと言った所だろう。

その攻撃だけで蒼は吹き飛ばされてしまったわけだ。

あの拳が一撃でも当たればそれこそ蒼にとっては致命傷になるだろう。

そして今の一撃は真正面から放たれギリギリで避けれた物。

蒼にはその攻撃も見えず受け止めることも出来ない。

今の蒼と勇儀にはそれだけの力の差がある。

 

(でも……だからと言って簡単に負ける理由には――)

 

「いかねぇよなぁッ!」

 

その言葉と同時に蒼は両手を窯に変形させ高水圧の斬撃を繰り出す。

 

蒼の能力は『水圧を操る程度の能力』である。

蒼の斬撃は妖力を変化させて出来た水を能力で高水圧にさせその水の中に細かい砂の様な妖力を混ぜる事でダイヤモンドでも切れ、生物に当たれば当たった部分から切断される程であろう。

 

その斬撃を勇儀は何故か避けようとはせず受けようともせず、ただ立っている。

 

「はッ!俺の斬撃を舐めるなよ!何でも切れる超水圧の斬撃だッ!例え鬼の四天王でもまともにくらえばじゃ唯じゃ済まねぇぜ!」

 

「確かに……まともにくらえば(・・・・・・・・)ねッ!」

 

その言葉と共に勇儀が手を振ると蒼の繰り出した斬撃は消えてしまった。

 

「なッ……!」

 

「何をした?ってか?簡単な事さ、アンタの水は妖力で出来てる。だからアンタの水の妖力よりも大きい妖力をぶつけて打ち消しただけさ……」

 

確かに勇儀の言っていることは理論上可能ではある。

しかし蒼も妖怪の中ではかなりの強者。

その蒼の繰り出した妖力をかき消すほどの妖力となるとどれ程の妖力なのだろうか。

しかも、それを糸も簡単に実現させてしまう勇儀の妖力の底はどれ程なのか蒼には予想も付かなかった。

 

周りから見れば二人の力量はまさに大人と子供。

それ程までの力の差を見せつけられれば大体の者は諦め、絶望するであろう。

しかし、まだ蒼の目には光が灯っていた。

 

「良い目をするじゃないか……気に入ったよ…」

 

「お褒めの言葉ありがとうよ、鬼の化物が……」

 

(チャンスは1回……成功させればまだ勝機はある。俺もかなりの覚悟が必要だが…臆したら待つは死だ!)

 

「何を考えてるのか知らないが鬼に下手な策じゃ真っ向から壊されるだけだよッ!」

 

そう言うと同時に勇儀が距離を詰め上段に蹴りを入れる。

頭を下げることで蒼はそれを躱すがすぐさま追撃のかかと落とし。

横に転がりつつ勇儀の足に蹴りを入れるも全くとして効いていないようですぐさま拳のラッシュが繰り出される。

拳一つ一つが音を置き去りにするような恐ろしい速度のパンチだが腕に側面から力を与える事で何とか当たらせないようにする。

しかし拳の風圧でどんどん蒼は傷が増えるばかりである。

 

「ほらほら!どうしたんだい?やり返してこないのか?」

 

そう言い勇儀が右腕を大きく振り下ろす。

 

(今だッ……!)

 

蒼はその拳に向かい鎌の先を向ける。

咄嗟の事であり避けることも出来ず勇儀の拳はそのまま鎌の先に自ら刺さる。

しかしその拳の威力に耐えれずゴキッと蒼の腕の骨が折れる音がした。

 

「ッ……肉を切らせて骨を立つってやつかい…?なかなかやるじゃないか…」

 

「へッ…まだまだ骨を立たせてもらうぜッ!」

 

そう言うと勇儀の腕を刺している鎌とは逆の鎌で勇儀を切りつけようとする。

咄嗟に勇儀は鎌を抜こうとするが……

 

(ッ!鎌が抜けない!?)

 

鎌が拳に刺さったと同時、蒼は腕の鎌を更に変形させ抜けにくい反しを作っていた。

そうしてる間に鎌が勇儀の首に当たろうとし、勇儀が思わず目をつぶった時……

 

………………何故かいつまで経っても鎌は勇儀の首に当たらなかった。

不審に思った勇儀が目を開けると、蒼は立ち勇儀の首に当たる寸前まで鎌を近付けながら意識を失っていた。

 

「な、なぁ審判?この場合はどうなるんだい……?」

 

「えーっと……蒼選手を戦闘不能と見なして…勇儀選手の勝利とします!」

 

それと同時に蒼の両腕の鎌が腕に戻り、蒼はその場に倒れてしまった。

 

「ったく……格好の付かない勝たせ方すんじゃないよ…」

 

そう呟くと勇儀は蒼を背負い医務室の方に向かって行った……。

 

 




はい!今回のお話どうだったでしょうか?

何だかんだで程度の能力と言う言葉の初登場だったりします()

妖怪の山との戦いも残り3回となりました!


それではまた次回もお楽しみにね!


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第24話 vs天狗の長

はい、お久しぶりです皆様。

今回何故こんなに遅くなってしまったかと言うと、実は両手の手術をしまして……それで更新が遅れてしまいました。

まだ手術の傷口も塞がりかけですがこれからはきちんと更新しますのでまた見てくださると嬉しいです。

長くなりましたが…本編をどーぞ!


 

あの後、蒼は勇儀に運ばれて治療室に行った。

大丈夫かと乱鬼に尋ねたらこの山に住んでる河童たちの最新の設備を使えば大丈夫らしい……。

心配ではあるが大将である俺が狼狽える訳にはいかない。

それに本当に心配なのは紅の方である。

ここまで一緒にいて分かったが紅はかなり蒼の事を溺愛している。

今の精神状態がどうなっているか分からないが……本当にこのまま戦わせて平気なのだろうか?

 

「それでは……中堅、前へ!」

 

「お、おい……紅、お前…」

 

「……心配はご無用です……すぐに終わらせてきますので。」

 

そう言い軽く微笑む紅。

しかし、その微笑みを見ただけで俺の背筋にはなにかゾクリとした冷たいモノを感じた。

 

 

――

 

「……天狗の長、風羅(ふうら)。皆からは天魔と呼ばれておる。勝負内容は先程までと同じで良いな?」

 

「……紅……それで構わないですよ……貴方には悪いけど今の私は機嫌が悪い……」

 

そう話してる途中に審判が手を上げ――

 

「それでは、三回戦!始め!」

 

――その言葉と同時に手を下げ、試合の開始を告げると。紅は既に天魔の後ろに回り、天魔の胸には大きく焦げた傷跡があった。

 

――

 

「ぐっ……貴様…なにを…!?」

 

「簡単な事です。貴方の目に見えない速度で貴方の胸を焼き切り貴方の後ろに私が回った。それだけです。」

 

紅は簡単な事、と言ったが実際それがどれだけ常識外れなことか。

相手は妖怪の中でも上位とされる天狗、それの長である。

そのような実力者の目にも見えない速さ、そのようなスピードで動く等、普通では出来ぬ芸当なのである。

 

「先程も言いましたが……今の私は機嫌が悪い……貴方には悪いですけど今からすること全て八つ当たりですので……」

 

そう言い鎌に変化させた腕を構える紅。

その鎌の刃はかなりの熱を帯びているのか赤く変色している。

 

「……先に謝っておきます」

 

その言葉と同時に紅が素早く鎌を振ると無数の炎の斬撃が天魔向かって飛んでいく。

 

「ほぉ……凄い熱量…こんな炎で身を焼かれたらタダじゃすまんの……」

 

そう言いながら特に何もせずただ立っている天魔。

そしてそのまま炎の斬撃は天魔を襲い――

 

――ザシュッ

 

「ッあぁ……!?何故ッ…!?」

……血が吹き出したのは紅の腕からであった。

 

「簡単な事じゃ…お前の炎の斬撃を全て、能力で切り刻んだ、そしてそのままお前も攻撃した訳だ。」

 

そう説明している間に今度はいつの間にか紅の頬に傷が入る。

 

「……風ですか…」

 

「半分正解……と言った所かの…

ワシの能力は風等と貧弱ではない……

『嵐を操る程度の能力』。それがワシの能力…

これを使えば炎を……空気を断ち切る程の斬撃を作るなど容易い事だ…」

 

そう説明している間にもどんどん紅の体には新しい傷が増える。

 

「お前の能力は『炎を操る程度の能力』と言った所か?それではワシには勝てん、諦めて降参するが良い」

 

「……何勘違いしているんですか…?」

 

そう言い、紅は立ち上がる。

そしてそれと同時に小石を天魔の目元に向け真っ直ぐと投げる。

天魔はその小石を余裕を持ちながら避ける。

 

「……私の能力は『温度をあげる能力』ですよ…」

 

そう言った紅は天魔の背後に回っている。

 

「ぐがぁッ!あがッ!やぁッ!」

 

そして気付くと天魔の体には無数に火傷の線が入っている。

今もまだ焼かれているような痛みがあるらしく天魔はのたうち回って居る。

 

「審判、早く天魔の負けを認めなさい。さも無いとこのまま焼け死んでしまいますよ?」

 

「は、はい!3回戦!紅選手の勝利です!」

 

「ふぅ……少し疲れました…」

 

それと同時に紅は能力を解いたのか天魔の火焼けるような痛みも治まり暴れるのを辞めた。

 

 

 




はい、今回のお話どうだったでしょうか?
かなり書くのが久しぶりなのでなんかよく分からない文章になってる気がします……。
次回はあの原作キャラと戦いますよ!

それではまた次回もお楽しみにね!


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第25話 VS酒呑童子

はい!どうもです!

ポケモンの新作情報化でて一気にテンション上がってます!

それでは本編をどーぞ!


 

「やっと私の番かぁ〜!」

 

天魔が鴉天狗達に運ばれて行ったすぐ後、身長の低い角の二本生えた少女よりも幼く見える鬼が腕を軽く回し嬉しそうに笑いながら前に出てくる。

 

「あんた中々強いね!いやぁ!さっきの蒼って言う鼬も気になるけどねぇ!もう我慢出来ないや!早速始めよう!さぁ!早く!」

 

「はぁ……全く…鬼と言うのは難儀な妖怪ですね……」

 

大きな溜息をつきながら傷の手当もせずに紅は前に出ようとする。

って流石にあの傷で鬼と戦うんじゃ無理がある。

慌てて紅を止める。

 

「お、おい!紅!お前傷の手当は?」

 

「大丈夫ですよ。この程度の傷、かすり傷です。心配しなくともこの紅、涼様に勝利を運んできます。」

 

軽い微笑みを見せた後、話も聞かずに紅は行ってしまう。

本当に大丈夫なら良いのだが……。

 

――

 

 

「全く……あんた…鬼を舐めてのんかい?今のあんたの状況じゃ立ってるのもやっとじゃないのかい?」

 

「さぁ?何のことでしょうか……私は元気いっぱいですよ」

 

「……まぁいいや、つまんない負け方だけはしないでくれよ。勝負の内容はさっきと一緒で良いね。」

 

「勿論です」

 

「それでは……勝負初めッ!」

 

その言葉と同時に私の目の前には鬼の拳が見えた。

 

「ッ……!」

 

その拳をギリギリ体を大きく捻じる事で避けるも拳の風圧で軽く飛ばされ受身も取れずに情けなく地面に横たわってしまう。

 

「やれやれ……避けた事は褒めるけど…あんたの今の体じゃやっぱ無理があるんじゃない?その証拠にまともに受身も出来てないじゃないか。」

 

相手の鬼の言う通り。実際私の体はボロボロで立ってるのが精一杯である。

立ち上がるのにも足元がふらつく。

だけど――

 

「――そんなこと関係ありませんよ。『灰演―蛍火』!」

 

腕を鎌に変化させ四方八方、めちゃくちゃに振りまくる。

その時に高熱の小さな火の粉を無数に振り撒く。

例え火の粉とは言えどかなりの熱を持ち生身で触れれば皮膚は爛れ酷い火傷になる。

 

「へぇ……綺麗な技だねぇ…!」

 

「なッ…!」

 

しかしその火の粉も鬼が腕を横に振ればその風圧によって消えてしまう。

 

「それじゃ次はこっちも面白いものを見せてあげるよ……!」

 

そう言った鬼はみるみるうちに体を大きくする。

その大きさは小さな山を軽く超える程の大きさである。

 

「これで終わりだね!」

 

そして鬼は大木の様な腕をこちらに向けて伸ばしてくる。

 

「……悪いですけどただで負ける気はありません…。」

 

そうだ、私は負けない。涼様の為にも。

 

「『灰演―爆炎舞』!」

 

鎌を横一字に切れば目の前に赤を超え白い炎の塊を作り出し、周りが炎に包まれる――

 

 

 

「――しょ、勝負あり!勝者、萃香!」

 

「ったく……なんつー危ないことするんだ…下手したらこの山全部が無くなるとこだったよ…。

まっ、楽しかったから私はそれで良いけどさ。ほら、私が医務室まで連れてってやんよ。」

 

そう最後に聞こえ、体が軽く上がり足の方だけ引き摺られる感覚を感じた。

 

「ちゃんと運んでくださいよ……」

 

その言葉を最後に私の意識は闇に消えた。

 

 

 




はい!今回のお話どうだったでしょうか?
次回で戦闘パートはおしまいです!

ここまで長かった……(最終回感)

それではまた次回もお楽しみにね!


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第26話 VS鬼子母神

皆さんお久しぶりです!

今回は久々の主人公である涼君のターンです!

それでは本編をどうぞ!


 

「さぁて……いよいよ最後だな!乱鬼!」

 

「じゃな!ワシらの喧嘩は何でもありじゃ!」

 

「さぁ!早く始めようぜ!見てたら俺も戦いたくてウズウズして来たんだ!」

 

「そうじゃな!天狗!合図を早くしろ!」

 

「は、はい!それでは大将戦!勝負初め!」

 

天狗が合図を言うと同時に俺と乱鬼の拳は互いにぶつかり合い、周りに大きな風を巻き起こした。

 

「やはりやるのぉ!だがこれに反応出来るか?」

 

そう言うと乱鬼は最初繰り出してきた方とは逆の手にも握り拳を作りラッシュを繰り出してくる。

ふっ……それじゃあラッシュの速さ比べといくか…。

 

「オラ!オラ!オラ!オラ!オラッ!」

 

「無駄!無駄!無駄!無駄!無駄ッ!」

 

余りにも早いラッシュのせいでお互いの拳が複数あるように見える。

一見お互いに互角の勝負に見えるが――

 

(――やばいッ!)

 

乱鬼の拳が俺の拳より早く俺の頬を掠める。

 

「貰ったぞ涼!」

 

そして怯んだ隙に乱鬼が顔面に拳を叩き込んでくる。

 

「ぐッぁ……!」

 

このままだと追撃を食らってしまうので体制は悪いが距離をとる為足を突き出す。

 

「まずはワシが先手じゃの!」

 

「はっ!まだまだ!次はこっちの番だぜ?」

 

俺はポッケから一つ種を取り出し、その種に妖力を集める。

すると種は見る見るうちに成長していき茨となり拳に纒わり付く。

 

「ガードは出来ないぜ?樹霊妖斬拳!」

 

茨の纒わり付いた拳で殴りかかる。

 

「ふん!当たらなければなんてことないわい!」

 

乱鬼は拳を紙一重で避けるよう後ろに下がる。

 

ふっ……かかったな…!

 

「樹霊妖斬剣!」

 

その言葉と同時に拳に纒わり付いていた茨が剣のようになりリーチが伸び、乱鬼に突き刺さる。

 

「なッ……く…!」

 

乱鬼は無理矢理茨を引き抜き距離を取ろうとする。

もちろんそのまま逃がすつもりは無い。

茨の棘が相手の肉に引っかかりそう簡単には抜けなくなっており、乱鬼も引き抜くのに手こずってる。

 

「ふっ……ここで決めさせてもらう!霊光弾!」

 

右手を引けば右手に纒わり付いた茨が突き刺さっている乱鬼もこちらに引き寄せられる。

そしてそこを霊力を溜めた左手で殴り、当たると同時に霊力を解き放つ。

 

「っらぁ……!」

 

腹に直接食らった乱鬼は茨が抜け体事後ろに吹っ飛ばされ、受身も取れずに壁にぶつかる。

 

「クックク……クハハハッ!楽しい!やはりお前との喧嘩は楽しいなぁ!」

 

笑いながら乱鬼は立ち上がる。

見た限りしっかりとダメージは入ってるようで足取りもフラフラしている。

 

「なぁ……覚えとるか?あの時の喧嘩…あの時は殺し合いだったからのぉ…お互いの本気の技じゃった……だが次は喧嘩じゃ…だからお互い、本気の拳で決めようぞ!」

 

……はっきり言えばこの提案、俺が飲む必要は無い。

寧ろ飲まずに攻撃すれば俺が勝てる。

だけど――

 

「良いぜ!その提案乗った!」

 

――そんな勝ち方楽しくないだろ?

 

「それじゃあ行くぞ……『三歩廃壊』!」

 

そう言うと乱鬼の拳にとてつもない妖力が溜まる。

あれをまともに食らうの流石にやばい……

が、真正面から俺は勝つ!

 

「『修羅電撃旋風拳』!」

 

俺が右手を振り回すと右手に小さな竜巻が纒わり付く。

ここまでは何時もの修羅旋風拳だが、さらに今の竜巻には電撃が流れている。

 

「行くぞ!涼!」

 

「あぁ!来い!乱鬼!」

 

そしてほぼ同時、お互いに走り出し距離をつめ、両者の拳が当たった瞬間、大きな妖力同士がぶつかり合い、爆発が起き、辺りが光に包まれた――

 

 

――光が収まった時。立っていたのは、涼だった。

 

「くっ……また…わしの負け……か……」

 

そう言い、倒れていた乱鬼は意識を闇に手放した。

 

「っしゃあぁ!俺の勝ち……だ…!」

 

俺は右腕を上に突き出し叫んだ。

そして気付けば地面に倒れておりゆっくりと意識を沈ませた。

 

 




はい!今回のお話どうだったでしょうか?

書けば書くほど自分の語彙力の無さが分かります。
次回からは戦闘パートはお休みです!

それではまた次回もお楽しみにね!


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第27話 飯だ!酒だ!宴会だ!

はい……どうも皆様お久しぶりです。

いや、あの、はい、すいません。投稿サボってました←
特に何も言い訳もなくサボってました。はい、すいません。←


……それでは本編どーぞ!


 

「「かんぱーい!!」」

 

「……乾杯…」

 

……恐らくほとんどの人が今の状況が把握出来てないだろう。なぜ分かるかって?俺も把握できてないからだ。

俺の目の前では何故か鬼と天狗、そして紅と蒼が混ざり酒を飲んだり机に並べられた料理を食べたり……所謂宴会を楽しんでいる。

 

俺の記憶が正しければ酒を浴びるように飲んでいる勇儀や萃香は勝ったとはいえ大量のアルコールを摂取していいような怪我じゃないはずである。

その隣で少しずつだが酒を飲んでる風羅も蒼や紅にウザがられながらもずっと絡んでいる射命丸に至っては意識が無くなるほどの怪我だった筈だが……

 

「おい!涼!楽しんどるかぁ!?」

 

周りを見ながら色々考えていたら突然後ろから乱鬼が持たれかかりながら話しかけて来た。

 

「あぁ!?なんじゃなんじゃ!お前全然酒が進んどらんじゃないか!意識も戻ったばっかなんじゃからもっと酒を飲め!酒を飲めばどんな傷もすぐに治るじゃろ!」

 

……そういう事か…全てはこのバカ……いや酒好きの鬼のせいと言った方が正しいか…。

 

恐らく大の酒好きの鬼という種族では酒は怪我にも病気にも効く万能薬ということになっているのであろう……。

だからあの激闘の後に、激闘の後にこそ酒を飲めということか……。

 

「……悪いな乱鬼、俺はそんな飲める方じゃないんだ、だから飲むなら他をa「つべこべ言わず飲めッ!」

 

酒を断ろうとほかを当ってくれと言いかけた時、気付いたら口の中には程よい苦味と甘みが混ざったアルコール味の液体が流れ込んで来る。

もちろん吐くことも出来ないし口に留めようにもどんどんと流れ込んでくるので飲むしかない。

 

「ッ……はぁ…!」

 

「にししっ!流石涼!いい飲みっぷりじゃな!」

 

 

――

 

「もう!乱鬼さん!何やってるんですか!うちの涼様を虐めないでください!」

 

「虐めとらん!介護じゃ!」

 

 

あの射命丸とか言う天狗の面倒臭い質問攻めを受けていたら何と自分の主人が無理矢理酒を飲まされていた。

射命丸の言葉は完全に無視し向かってきたものの既に涼様はお酒を全て飲まされていた。

全く……これで主が急性アルコール中毒とかにでもなったらどうするのだ…。

そう思いながら涼様の背中を撫でるも反応がない。

まさか本当にアルコール中毒に……?

 

「……涼様…?大丈夫ですか?」

 

心配気味に顔を覗き込むとトロンとした表情をし顔を真っ赤にている。

声をかけたことでこちらに気付いたのかこちらをジッと見つめて来るも何も話してはくれない。

 

「……涼様…?」

 

「紅ぃぃ〜〜ッ!なんでお前はそんな可愛いんだー!?えー!?」

 

突然なにか吹っ切れたようにこちらに飛びつき頭を撫で可愛い等と褒めてくる涼様。

私は状況が理解出来ずほぇっ!?と言う声しか出せずにいる。

 

「あー!ほんと!可愛い!可愛い!可愛い!赤と黒の混ざった艶やかな髪!長いまつ毛!大きい目!何だかんだで弟の蒼が大好きな所!全てが可愛いなぁ!」

 

「ッ〜〜〜!!!」

 

思わず声にならない声を抑える。

ここまで自分の事を褒められたことは人生、いや妖生で初めてである。

確かに褒められて嬉しくもあるが何より恥ずかしいので本音を言うならやめて欲しい……が、やめて欲しくないと思う自分もいる。

確実に今の私はニヤケ顔で顔を真っ赤にしている。

 

「もー……本当に食べちゃいたいくらいだ!」

 

「はひッ……!?」

 

その言葉を最後に私は恥ずかしさのあまり気絶してしまった。

 

 

――

 

……一体何が起こったんだ?

突然涼様が姉ちゃんの頭を撫でながらべた褒めし始めた、姉ちゃんの方は顔を真っ赤にし頭から煙を出し始めたと思ったら気絶してしまった。

 

……羨ましい…。

じゃなくて!完全に涼様は酔ってる!そうじゃなきゃあんな奇怪な行動に出るはずがない!

 

「あー!蒼〜!お前もいたのか〜!」

 

そんなことを考えていれば涼様がこちらに気づく。

これ以上涼様に醜態を晒させる訳にも行かないので何とかしなければ……。

 

「涼様、そろそろ今夜はおやすm「お前も本っ当!可愛いなぁ!」

 

涼様に寝ることを進めようとした途端いつの間にか俺は涼様の腕の中に収まっていた。

 

「お前の髪は紅と違ってフワフワしてるし!なんかいい匂いするし!ほんっと!可愛い!」

 

やばい、このまま褒めちぎられると俺も姉ちゃんと同じようにヤられる。

何とかしなければ……いけないのだが…

 

「あぁぁ!よしよしよしよしよし!ちゃんと俺の言う修行もこなすし!1頼んだら100やってくれるし!本当に有能な式達だ!」

 

こんなん無理!辞めさせるなんて勿体なさすぎる!

普段は優しいが何処か一歩距離の置いたようなクールな涼様がこんなふうにべた褒めしてくれるなんて!

 

「あー!もー!いい子!いい子!」

 

そう言いながら涼様が俺の背中を撫で抱きしめる。

その感覚と共に俺は意識を失った。

 

 

――

 

その次の日、朝になり早めに寝ていた白狼天狗の話によると宴会場では全員が顔を赤くしたまま気絶しておりその中で涼だけが満足気に寝ていたと言う。

 

 

 




はい、今回のお話どうだったでしょうか?
久しぶりに書いたので何やら文がおかしい点が沢山あると思われますので指摘してくださると嬉しいです!

それではまた次回もお楽しみにね!


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第28話 河童と作ってワクワク!

はい、途轍もなく御久しぶりの投稿ですね。正直な話一切合切忘れておりました((
恐らく、また今日から書き始めると思いますので、応援してくださる皆様は見てくださると嬉しいです!どうか、再びよろしくお願いいたします!


妖怪山のメンツたちとの宴会から一週間後。

 

今は鬼や天狗達のいる場所で寝泊まりさせてもらい喧嘩をしたり酒を飲んだり喧嘩をしたり酒を飲んだり天狗をからかったり喧嘩をしたりしている。

 

そうして生活しているうちにある一つの疑問が思い浮かぶ。

何故かこの家の生活環境はこんなにも整っているんだ?

 

今、俺達が使わせてもらっている家は3LDKのキッチン、トイレ、お風呂付きのとても素晴らしい家だ。

 

そして、この時代ではおかしな事に灯りは電気、お風呂も水道蛇口が着いておりキッチンにはなんとIH、トイレはウォシュレット付きで自分が転生する前と殆ど同じ技術が使われているのである。

 

 

風羅に尋ねてみたらどうやらこの山の川に住んでいる河童と言う種族のおかげらしい。

どうやらその河童と言う種族は変な物を変な物で弄って変な物を作り出す自称発明家の種族らしい。

 

そんな話を聞いたら勿論興味が湧いてきた。

一体ここの河童達はどこまで技術を進めているのだろうか?

善は急げだ、早速河童達の住んでいると言う川に向かうとしよう!

 

――

 

「ここが河童達の住む川かー!中々綺麗な水じゃないか!」

 

 

鬼達の集落からだいぶ下山した高度も高くない場所。

そこに話に聞いた河童が住んでいるであろう川があった。

川の水はとても透き通っており、覗き込んでみると川の中で鮎のような魚が泳いでいるのが見えた。

 

 

「ここの川で育った魚ならさぞ美味しいだろうなー……お土産に持っててやるか!」

 

そう思い川の中に手を伸ばそうとした時に気付いた。

川の深い底の方に光の丸が二つ……こちらをジッと見詰めてくる瞳に。

 

その未知なる存在に思わず手を引いた時――

 

――「カッパパパーーーーーッ!」

 

っと言う声と共にその声の主は姿を見せた。

 

 

 

――

 

「ックシュ…!」

 

「あはは…、済まなかったよ……まさかあんなに吃驚されるなんて思ってなかったんだ…。」

 

目の前にいる青い髪を2つ結びにしているのは、今回のオレの目的であり、今のオレがびしょ濡れになっている原因の河童のチトリ。

話を聞いた所、ここの川に近付いてくるのは自分の友人位だったモノで、驚かせてやろうと思ったらしい。

悪気も無いので、怒る気もないが……流石に山の川に落ちたせいか、体がブルブルと震える程に寒気がする…。

 

「それにしても、アンタがあの涼だとはねぇ〜!いやぁ、こんな有名人に会えるなんて、ワタシはラッキーだなぁ!あ、この事アンタの式神達には黙っておいてくれよ……?」

 

前言撤回。そろそろ怒りたくなってきた。このま

ま、相手の話を聞いているだけで、本当にゲンコツの一つ位落としてしまいそうなので、話を変えるとしよう。

 

「随分とオレ達の事について詳しいんだな……、紅や蒼の事についても知ってるみたいだし…どこで聞いたんだ?」

 

「何言ってんだい!アンタ達のことを知らない奴の方が今時、珍しいよォ!」

 

……そんな大きな声を出して言う事じゃないだろうに、耳が痛くなる。

いや、そこまで声を大きくしてしまう程までに有名になっているのであろう。まぁ……仮にも此処の頭を倒した訳なんだから、そりゃそうだ。

っと、此処に来た当初の理由を忘れる所だった。多少強引だが……このままだと話が長くなりそうなので、本題の河童の技術と言う物を見せてもらう事にしよう。

 

「この妖怪の山を便利にしてくれた河童達にそこまで知れ渡っているなんて…いや〜光栄だなぁ?もし良かったら、その河童の技術とやらを見せては貰えないか…?」

 

………チトリが黙ってしまった。やはり、今の時代では考えられないほど進んでいるあれ程の技術だ、門外不出とかであったのだろうか。それならば、無理には…と言いかけた途端――

 

「アンタ分かってるねぇ!!!良いよ!良いよ!是非とも見て行っておくれよ!」

 

――再び耳が痛むような声を出される。どうやら、河童と言うのは自分の技術にこの上ない自信があり、尚且つ中々に単純でチョロいらしい。いや、河童と言うよりかはチトリが、かも知れないが。

兎に角あの技術が見れるのラッキーだ。

 

そう思い、気軽にチトリについて行ったのが間違えだったらしい。

あの後、オレは三日程に渡り、紅が迎えに来てくれるまで、チトリの発明品の数々の説明を聞かされる羽目になったのであった。

 




…と言うわけで、此方後日談となる訳ですが……この話、実は途中保存していて、久々に開いて続きを書いてたんですが、すっかり涼君の口調などを忘れたので、久々に自分の作品を最初から読み直しました。どうしようもない駄文ばかりで恥ずかしくなりましたが……何時かはこの作品を終わらせたいと思っていますので、今後もどうかよろしくお願いします…!


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