グランブルーファンタジー 〜伝説の蛇〜 (JOKER1011)
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1話

カタカタカタ‥タン!

 

「できた!やった!俺はやったぞ!参ったか!このクソ資料どもめ!」

 

カズは核査察後にIAEAへ向けて提出する30枚にも及ぶ資料を作成した。

 

本来なら部下に手伝ってもらえばよかったのだが、カズの女癖の悪さ故にまた女性スタッフを泣かした罪でスネークから一人でやれと言われてしまっていた。

 

食事と睡眠以外はずっとデスクに座り資料を作った。

 

何度も脱走を試みたが、その度にスネークに投げ飛ばされ、警備が増えた。

 

最初は0だったのが、1人、2人と‥最後はエアガンタレット付きカメラが二台付いた。

 

勿論費用は俺のポケットマネーからだった。最後まで納得いかなかったがな!

 

だが特例としてチコをアマンダの下に帰す時だけ部屋から出る事が許された。

 

チコはリハビリの末、なんとか歩けるようにまで回復した。

 

パスは‥ダメだった。

 

何とか爆弾は二つ除去し、海へ投げ捨てる事に成功した。

 

しかし爆弾を入れるために一部の臓器を失っていた事が原因で手術の甲斐なく意識が戻らないまま4日後に死んだ。

 

当初祭りは中止する事となっていたがスタッフ達の強い要望により追悼の意味を込めて行われた。

 

そしてメインイベントには偶然パスが使っていた部屋からデモテープが見つかった為、それを流した。

 

皆生前のパスの元気な声を聞き、歌声を聞き涙を流した。

 

しかし俺とスネークは泣かなかった。

 

確かに彼女はマザーベースを危険に晒した重罪人だ。

 

しかし俺にはマザーベースで共に暮らした思い出があり、強く糾弾などできる筈がなかった。

 

そしてパスを水葬にした日、パスが入った棺桶に縋り付き、いつまでも泣き続けるチコがいた。

 

棺桶を沈めるボタンをチコに押させた。

 

 

 

そしてなんやかんやあって資料が片付いた俺は扉の外のスタッフに終わった事を告げ、一番のお気に入りの女性スタッフにコーヒーを持ってくるように伝えた。

 

10分後、そのスタッフがコーヒーを持って俺の下に来た。

 

「副司令。お待たせいたしました。」

 

「いや?待ってないよ〜?ドルフィン。」と一瞬ニヤケそうになった顔をすぐ真面目な顔に戻す。

 

ドルフィン。彼女は最近入ってきたスタッフだ。スネーク曰く元SEALsらしいが非常に整った顔をしている。

 

勝手な偏見で女かどうか分からん奴が来ると思ったが、綺麗すぎるだろ。と思ったな。

 

「ふむ。この香りは‥良い豆を使ってるな。」ゴクッ

 

「モカか。うん、やはり綺麗な女性が入れたコーヒーは美味い。」と喜んで飲む。

 

(コロンビアなんだけどな‥)

 

 



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2話

そんなスタッフの哀れんだ目に気がつかず、飲み干すと外に出た。

 

久しぶりの新鮮な空気を吸いながら甲板に出る。

 

甲板では射撃訓練をしている者、昼寝してるものなどなどいた。

 

「お!副司令!やっと終わったんですね!」

 

「ああ。何回か途中で死にたくなったがな。」

 

「うん?スンスン‥雨が降るな。」

 

「本当ですか?副司令?」

 

「ああ、雨の匂いだ。」

 

その瞬間、ザァーと大雨が降りだした。

 

急いで屋内へ避難した。

 

「これは‥嵐が来るぞ。」

 

 

その頃、海上では

 

「ボス!嵐です!これから機体が大きく揺れます。しっかり掴まっててください!」と言った瞬間かなりの揺れがヘリを襲った。

 

「ぐっ!」

 

「機体に異常は無いか!」

 

「ありません!」

 

流石ピィークォドだ。難なく進んでいく。

 

しかしその想いは次の声にかき消された。

 

「ボス!大変です!目の前に未確認生物が!」

 

スネークは席を立ち、この生物を確認する。

 

「女性‥?」しかしただの女性ではない。三匹の竜を引き連れている。

 

「マザーベース!!こちら!ピィークォド!目の前に未確認生物が出現!指示を!」

 

「こちら副司令!そのまま逃げろ!やむを得ない場合だけ攻撃を許可する!」

 

「了解!」

 

ヘリは生物の横をすり抜けようとするが、竜の口から緑色の光が姿をあらわす。

 

「フレアたきます!」

 

その瞬間、竜の口から光弾が飛び、フレアをたきながら避ける。

 

直撃は免れたが、ヘリのローターを破壊された。

 

「メーデー!メーデー!こちらピィークォド!高度維持できません!墜落します!」

 

そしてヘリは墜落した。

 

ヘリから投げ出された俺は波に飲まれ沈んだ。

 

ブクブク沈んでいっているが意外と冷静でいられるものだな。

 

死ぬというのはこういう事なのか。戦場で散っていった奴らもこんな感じだったのだろうか。

 

そのまま意識が途切れた。

 

 

次の日

 

捜索チームが派遣され、最後に通信が途絶えた辺りを捜索するとヘリの残骸に掴まって浮いているピィークォドを見つけた。

 

救出され、続いてスネークを探すが、どうしても見つからない。

 

カズからの帰還命令が出るが、拒否する者が大量に現れた。

 

そりゃそうだ。自分達が尊敬するボスが見つからないのだ。誰しもが死亡という最悪の結末にえならないよう祈りながら捜索する。

 

明日また探すという事で一時帰還し、ようやく落ち着いた生存者であるピィークォドに何があったかを聞く。

 

「さ、三匹の竜を従えた女が!いきなり俺たちを攻撃して、それでボスは‥」

 

その先は誰しもが聞きたくない事だった。

 

「俺が最後に見たのは‥海中に沈んでいく所でした‥」

その瞬間、その場にいた全員が衝撃を受けた。

 

膝をつく者、立ち尽くす者、現実を受け入れたくなくて喚く者やピィークォドに掴みかかる者などが続々と現れた。

 

とりあえずカズは全員を解散させ、一人残る。

 

その辺の椅子に座りため息をつく。がすぐに顔を両手で覆う。

 

「スネーク‥お前がいなくなったら‥俺はどうしたらいいんだ‥」



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3話

目を覚ますと木にもたれかかっていた。

 

ここは天…いや俺が行くのは地獄かもな。

 

しかし、ここはどこなんだ?南米…ではないな。

 

それに俺は一度海に沈んだ筈だ。なら普通なら砂浜に打ち上げられてる筈だ。

 

俺は装備を確認する。

 

持っているのはM1911とナイフとM16ライフルとグレネードが3つか。

 

あとニカラグアで捨てたボスのバンダナだ。これは俺が右手でグッと握りしめていたものだ。

 

俺がバンダナを奪った時と捨てた時と同じ手だ。

 

何の因果かは分からないがな。

 

「ボス…あんたが俺を助けたのか?」

 

俺は漂う雲に問う。

 

しかし、この場には自分しかおらず、返事は返ってこない。

 

そうだ!と思い、無線を試す。

 

「こちら、スネーク。応答せよ…ダメか。」

 

とりあえず歩くか。

 

俺は立ち上がり、歩き出す。

 

バンダナはしょうがないから頭に巻いた。

 

少しして村が見えた。

 

村か。とりあえず話を聞こう。

 

「すまない、少しいいだろうか?」

 

「はい?」

 

「ここはどこだ?」

「ザンクティンゼルですが。」

 

ザンクティンゼル?聞いた事ないな。

 

嘘をついてる素振りは無いな。

 

すると森の方から剣を持った少年と赤いドラゴンが近づいてきた。

 

「あれ?見ない顔だな?こんにちは。」

 

「ああ、こんにちは。」

 

「すまない、実は俺は観光をしていてな?宿はあるか?」

 

「宿か。ごめんね、ここって田舎だからあんまり観光客なんか来ないから、宿屋は存在しないんだよね。」

 

「そうか。」

 

野宿確定だな。

 

あいにく野宿はした事あるため、苦にはならんが慣れない土地すぎて不安だな。

 

「あの、もしよろしければ、うち来ます?」

 

「すまない、そうさせてもらおう。」

 

「君たちだけで住んでいるのか?」

 

「あれ?よく分かりましたね。」

 

「ああ、食器などが君たちの分しかないからな。」

 

こいつらは‥大丈夫だ。

 

信用に値する。

 

それから何日か経った

 

 

そろそろ村の住人達と普通に話すようになってきた。

 

「あら、スネーク。今日も狩りかい?」

 

「いや、今日は家の掃除だな。」

 

しかし、今日はデカイ船が多いな。

 

どうやらこの世界では船が空を飛ぶらしい。

 

だが今上空を飛んでいるのは戦艦だ。

 

ほう、あれはなかなかだな。MSFにも‥いや高すぎて経営が傾くな。

 

カズなら「その分、俺が契約を取ってくれば良いだけだ!」とか言って買うんだろうな。

 

ふ‥俺はいつになったら帰れるんだ。

 

その時、1隻の戦艦から小さな爆発が起き、小型の騎空艇が飛び出して、島に落ちた。

 

ああ、あれは‥グランが修行してる辺りだな。まあ、奴なら‥大丈夫だろう。

 

しかし、そのグランは敵が放ったヒドラにやられて命を蒼の少女とリンクして生きていく事になるが、それはまた別の話だ。

 

そして村には兵士が30人来た。

 

そしてそれをスネーク一人で待ち構えた。

 

「貴様、この村の人間か?」

 

「いや?俺は只の観光客だ。」

 

「そうか、喜べ。貴様は我が帝国軍の全空支配の為に死ぬ事ができるのだから‥な!」と言いながら瞬時に抜いたナイフで首を狙ってくる。



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4話

が、歴戦の蛇がそんな事で死ぬ筈がない。ナイフを持つ手首を掴んでいた。

 

「くっ‥」掴む手を振りほどこうとするがスネークの力が強いのか、振りほどく事ができない。

 

「せいやぁぁぁ!」と左手で相手の手首を掴みながら相手の顎を掴み、足を刈って地面に叩きつけた。

 

「ぐあっ!」相手は突然の出来事に受け身が取れず、地面に後頭部を叩きつけられ、伸びてしまった。

 

一瞬、帝国兵達は何が起こったか理解できていなかったが、すぐに仲間がやられた事に怒り、剣を抜いて襲いかかってきた。

 

スネークは瞬時にナイフとM1911を構え、迎え撃った。

 

先程一人といったが、スネークはこういう事を予測して、村人を全員逃した。

 

田舎の村だからとナメて剣士だけで来たお陰で銃を使わず、CQCだけで迎え撃つ事が出来た。

 

スネークは現在弾は9mmパラベラム弾を使っているが、そんなものこの世界で手に入らない可能性の方が高い。

 

この世界の銃はフリントロックのものばかりで自分が使ってる銃は見た事がない。

 

斬りかかってくる敵を投げ飛ばしたり、殴り飛ばしたりしていくうちにどんどん数を減らしていき、立っているのは隊長格だけだった。

 

「くそっ‥剣相手に素手でしかも圧倒されるとは‥貴様は化け物か!」

 

「ふっ、違うな。俺はただの傭兵だ。」

 

「傭兵か。ならば!うちに来い!雇ってやる!」

 

「黙れ。今の俺はこの村が正義でお前らが悪。そう認識している。」

 

「ならば仕方ない。死ね!」と剣を腰に構え突っ込んでくる。

 

突きか!

 

そのまま受け止めようとした時、剣がかすかに燃えた。

 

「うおっ!」と横に緊急回避をした。

 

「はははは。俺がただ剣を振り回すだけに見えたか?甘いな。俺は少しなら魔法が使えるんだよ!」と火がついた剣を振るう。

 

その動作で火が揺れた。

 

「それ!」と斬りかかってきた。

 

「はっはっはっ!どうした?部下にやったみたいに投げ飛ばしてみろよ!」

 

「くっ!」

 

できるならそうするところだが、刃の全体が燃えている為、手が伸ばしにくいのだ。

 

 

どうする?このままではいずれ剣が当たる。

 

剣に毒が塗られてる可能性があるし、あの火だって当たったらアウトかもしれん。

 

「胴がガラ空きだぜ!」

 

その声を聞き、後ろに跳ぶ。

 

さっきまで自分がいたところを刃が通る。

 

前を見るが、いない。

 

「こっちだ!!!」と頭上から剣を振り下ろしてくる。

 

「今だ!!」

 

俺は剣のグリップを奴の手ごと握り、止める。

 

「ぐっ、離せ!」

 

相手は剣に夢中になっていて他が疎かになる。

 

俺はそこを見逃さず、膝を蹴る。

 

「がぁっ!」

 

崩れ落ちそうになったところを剣を奪い、側頭部に回し蹴りを叩き込んだ。

 

敵は吹っ飛び、地面に倒れた。

 

俺はすぐそいつに近づき、銃を向けた。

 

「剣と魔法を使っていたな。考え方はおかしくない。だが目の前の敵にばかり集中して周りを疎かにするな。だから素手の相手に圧倒されるんだ。もっと魔法を極めるべきだ。剣と魔法を用いた戦い方をするならな。だが剣さばきは見事だった。良いセンスだ。」

 

「良いセンス‥お前‥名は‥?」

 

「スネークだ。」

 

「スネーク‥へへっ‥覚えたぜ‥」バタッ

 

 



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5話

戦闘が終わった合図として狼煙を炊くか。

 

グランの様子を見に行くか。

 

その頃、グラン達は‥

 

「ガァァ!」

 

ヒドラを倒したところだった。

 

「はぁはぁ‥」

 

グランは疲労とダメージの蓄積により、剣を杖代わりにして立っていた。

 

「もう終わり‥ですネェ!」と剣を振り上げ、グランに迫る。

 

「グラン!」

 

「グラン!」

 

「グランさん!」

 

カタリナ、ビィ、ルリアは叫ぶが、敵の包囲により近づく事ができずにいた。

 

ここまでか‥そう思った時、「ダァン!」と銃声がし、ポンメルンの剣を吹き飛ばした。

 

「な!?何者!?ですネェ!」

 

「ハァァ!」とスネークが駆け寄り、ポンメルンを投げ飛ばすと、グランの前に立った。

 

「蛇のおっちゃん!」

 

「話は後だ!逃げるぞ!」

 

「なら私が盗んだ小型騎空艇がある!それで!」とルリアの手を掴み、包囲網を突破しながら逃げる。

 

ビィはカタリナの頭にしがみつき、落とされないようにしている。

 

「あっちか!」と俺はグランを担ぎ、女騎士の後を追う。

 

すぐに乗り込み、カタリナの操縦で島を後にした。

 

「ふーなんとかなったな。」

 

「いや、まだわからんぞ?」と後ろを確認するが、追手はいなかった。

 

「しかし君は何者だ?見たところグランやビィの仲間のようだが?」

 

「俺の名はスネーク。まあグランの家で世話になってるものだ。」

 

「こいつすげえんだぜ!獣をナイフ一本でとってくるんだぜ?」

 

「ナイフで‥それは本当か!‥あとは君はどこの軍の所属だ?」

 

「軍!?」とカタリナ以外が驚く。

 

「ああ、貴殿のその目は見た事がある。それは軍人の目だ。しかも歴戦のな。それにその銃も見た事がない。一体どこの所属だ?」

 

「俺は軍をやめた。勿論あいつらとは違う。」

 

「やめた理由は?」

 

答えようとした瞬間、ある記憶が鮮明に蘇ってきた。

 

バーチャスミッション、そしてスネークイーター作戦。

 

自分の愛するボスをこの手にかけた任務‥

 

「すまん、答えられん。」

 

スネークの一瞬見せた悲しそうな顔を見て何かを察したカタリナは

 

「すまない。どうやら貴殿は‥いやスネークは信用に値する人物のようだ。」

 

「よろしくお願いしますね。スネークさん!」

 

ビービー!

 

「どうした!」とスネークがカタリナを見る。

 

「すまん、墜落する。」

 

「な!?なんとかならないのか!」

 

「無茶を言うな!私は騎空艇乗りではない!」

 

そう言ってる間にどんどん高度が落ちていく。

 

「くそっ!操縦桿を貸せ!」と操縦桿を奪い、なんとか不時着を試みる。

 

「うおおおおおお!」

 

ドン!ズザザザザザザザ!

 

なんとか不時着に成功した。

 

「みんな!無事か!」

 

全員受け答えができている為、無事なようだ。

 

全員艇から出て確認するが‥誰が見ても分かるほどだった。

 

ガラスは粉々に割れ、翼は主翼、尾翼共に根元からへし折れていた。

 

「あ〜あ、ひでえことしやがる。」とひとりの男が近づいてきた。



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6話

一人の男が艇の様子を確認する。

 

「まず主翼と尾翼が根元からポッキリだ。あらら、竜骨までやられてやがる。こりゃもう飛ぶのは無理だな。」

 

「まあ、お前さん達は‥普通の旅人には見えねえが、操縦士が欲しいんなら街にでも行きな。」と言うと去っていった。

 

「なんだよ!あいつ!言いたい事だけ言って、どっか行きやがって!」とビィが怒る。

 

「たしかに‥これから旅をするのであれば操縦士は必要不可欠だな。」

 

ぐー!

 

音がした方を皆が見るとルリアが恥ずかしそうにお腹を抑えていた。

 

「えへへ、安心したらお腹空いちゃいました。」

 

と、言う事で操縦士探しと腹ごしらえの為、街へ行くこととなった。

 

しかし、途中でスネークが立ち止まった事でグランが足を止めた。

 

「どうした?スネーク。」

 

「いや?この壁が怪しくてな。」

 

一見すると何も怪しくない壁だが、スネークは野生の勘が働いた。

 

勘に任せて壁を押すと、そこだけボコっと沈み、レンガがどんどん横にずれて、人が一人通れるほどの隙間ができた。

 

「すごいな、スネーク。」

 

「このくらいなら俺にもわかる。」

 

スネークを先頭にビィ、グラン、ルリア、カタリナと非戦闘員を戦闘員で挟む形で進んだ。

 

「みんな、ここにワイヤーがある。ここをまたいで行くぞ。」

 

スネークが目の前に石を投げると、すぐ横の壁からハチェットが飛んできて、反対の壁に刺さった。

 

「大したものだな、スネーク。君のお陰で私たちは無傷だ。」

 

「このくらいのブービートラップなど何度も経験したからな。」

 

そして広場のような広い所に出た。

 

「どうやら、ここで行き止まりのようだね。」とグランが言う。

 

「何かあの中央にある石碑怪しくないですか?」

 

「そうだな、ルリア。怪しすぎて触れない方が良いんじゃないかとも思うよ。」

 

「とりあえず何とかしてみよう。」と俺は石碑を観察する。

 

文章を要約すると何かが封印されている。って事だ。その重要な何かは古いものらしく劣化して文字が読めなくなっている。

 

「なあ、オイラ腹減っちまった。引き返さねえか?」

 

「待ってくれ、ビィ君。せっかくこんな遺跡を見つけたんだ。もうちょっと探そうじゃないか。」

 

ルリアが上を見ながら歩いていると床が少し盛り上がっており、つまづいた。

 

「キャッ!」

 

何とか床に手をついたが、その床が少し沈んだ。

 

その瞬間、遺跡がグラグラと揺れ始め、石碑から煙が出始めた。

 

一行が混乱する中、スネークは気づいた。

 

「グラン下がれ!」

 

そう叫んだ瞬間、スネークは何かに掴まれ、煙の向こうに引きづりこまれた。

 

「スネーク!!」とカタリナが近づこうとするが、何かに阻まれる。

 

その煙の向こうでは魔法の音や銃声が鳴り響き、やっと煙が晴れる。

 

そこには銃を向けるスネークと二匹の大蛇を従わせる女の子が対峙していた。

 

「誰だ。お前は。」

 

「私☆カリオストロ。あなた達が封印を解いてくれたんだね?カリオストロ、感謝しちゃうなー!」

 

スネークはさっきまでの戦いようからの変貌に驚きつつ、しかし銃口は一切外さず、睨み続ける。

 

「君は封印されていたのか?」とカタリナがおそるおそる聞く。

 

「うん☆そうだよ?」

 

「そ、そうか。君が私達にこれ以上危害を加える可能性は?」

 

「無いよ?」

 

「へー!面白いや!仲間になってくれる?」



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7話

「な!?正気か!グラン!こいつはスネークに攻撃したんだぞ!」

 

「大丈夫だって!ね?」とカリオストロに聞く。

 

「まあね☆カリオストロは〜とってもいい子で〜可愛いから〜きっと役に立てるよ〜」

 

「ヘッヘッヘ!だからお前ら!これからよろしく頼むぜ!」と急に口調を変えた。

 

みんなは‥スネークも例外なくビクッとしたが、仲間に迎え入れる事となった。

 

どうやらカリオストロは錬金術とかいうものの開祖らしい。

 

錬金術か。そんなオカルトチックなものはパラメディックが聞いたら喜びそうだな。

 

そして洞窟を出て、街に到着する。

 

適当に入った店で腹ごしらえをした俺たちは今シェロカルテとかいう奴の目の前にいる。

 

どうやらザンクティンゼルに一度来ていたらしいが、俺はその時、狩りに出てたから会えなかったらしい。

 

俺は試しにハンドガンとアサルトライフルの弾を見せた。

 

「うーん、見たことないですねー普通に流通してる銃弾とも違いますし。」

 

元軍人のカタリナはもちろんグラン達も知らないと言っている。

 

聞いたのだが、この世界はフリントロック銃が主流なようだ。

 

フリントロックなんて18世紀、1701年から1800年くらいまでの時代によく使われてた銃だぞ。

 

そりゃ、そうだな。あるわけないか。

 

諦め、しまおうとすると助言をくれた。

 

「多分ですけどね〜?ここより鉄鋼業が盛んなバルツなら何か分かるかもしれませんよ〜?」

 

バルツ?鉄鋼業に精通か。なら見たことなくても似たものは作れるかもしれんな。

 

「なら、すぐに操縦士を見つけてバルツに行くぞ。」

 

「実はですね〜?これは他で聞いたんですけどね〜?風がおかしいから飛べないらしいですよ?」

 

「風が?確かにだんだん強くなっているな。」と横からカタリナが口を挟む。

 

すると他の商人が話しかけてきた。

 

「おや?あんたら操縦士探してんのか?だったら‥一番腕がいいのはラカムかな?」

 

「ラカム?誰ですか?」とグランが聞く。

 

「アンガド高原のデカイ艇の辺りにいると思うぜ?でもあいつは‥」

 

「どうしたんですか?」とルリアが聞く。

 

「あいつは‥首縦に振んないと思うぞ?でも行ってみるだけ行ってみたらどうだろう?」

 

「アンガド高原か。行ってみようか!」ということでアンガド高原に到着した。

 

「デ、デカイ‥」

 

そこにはとても大きな艇があった。

 

戦艦並みにデカイ艇だ。それが打ち捨てられてあった。

 

ピースウォーカー並みか?

 

スネークは一人そう考えていた。

 

するとひとりの男が‥

 

「俺の艇に何の用だ?」

 

「えっと‥ラカムさんを探しにこの高原に来たんですが‥あまりにも立派な艇で。」

 

「ラカムは俺だ。」とタバコに火をつけながら言った。

 

「その艇はグランサイファー。良い艇だろ?」

 

「確かにそうですね!でもいいな〜こんな立派な艇に乗れて。」

 

「勘違いすんな、小僧。俺はその艇を飛ばせられねえ。俺は空に見捨てられちまったんだ。」と悲しげに笑いながら言う。

 

「大方、街の奴らに勧められてきたんだろ?あいにくだが、他を当たんな。俺はもう飛べねえ。あばよ。」と去っていった。

 

 



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8話

「やっぱり気にくわねえやい!あんなやつ!」とビィは怒る。

 

空を諦めた?何故だ?大方墜落したせいで心が折れたのだろう。

 

そう思っていると俺は何か他の奴らが接近しているのに気づいた。

 

元軍人のカタリナも気がついたようだ。

 

俺たちはすぐに近くの岩の後ろに隠れる。

 

その数秒後に大勢の人物が走ってきた。

 

帝国兵だ。

 

「おかしいな?誰かいた気がしたんだが?」

 

「気のせいだろ?」

 

「だな。それにこんな街はずれまでくる奴はいねえか。」

 

 

「びっくりした‥帝国兵か。」

 

「それにしてもカタリナとスネークさんはよく気がつきましたね?」

 

「ああ、私は彼らの指揮をしていたからな。足音でなんとなく分かったもんさ。」

 

「俺は戦場を生きてきたからな。かすかに殺気を感じたんだ。」

 

 

すると帝国兵が信じられない事を言った。

 

「ところで本当なのか?フュリアス将軍の言ってた事は。」

 

「ああ、決定事項だ。この街を壊滅させるのはな。」

 

「壊滅だと!」とカタリナが飛び出して行ってしまった。

 

スネークはそれに気づき、止めようとしたが反応が遅れてしまった。

 

咄嗟に人数を確認するが、こちらの倍はいる。ルリアとビィを守りながら戦うよりかは逃げた方が良さそうだ。

 

「撤退だ!」とグランは叫び、俺達は逃げた。

 

「本当にすまない。」とカタリナはルリアの手を引きながら走る。

 

「くそっ!追いかけてきてるぜ!」とグランの頭にしがみつきながら後ろを見たビィが言う。

 

「しょうがない。戦おう!」とグランはUターンして剣を抜くと追手の兵士達の中に飛び込んだ。

 

帝国兵達はグランの予想外の行動に驚き、行動が遅れたせいで、何名か斬り捨てられていた。

 

「加勢するぞ!」とカタリナと俺は突っ込んだ。

 

「ルリア!決して私から離れるなよ?」

 

「うん!カタリナ!」

 

「ヘッヘッヘ!嬢ちゃん。悪いが死んでもらうぜ!」

 

「うっせえ!くたばれ!」とカリオストロは自分に迫ってきていた帝国兵に爆発魔法をおみまいした。

 

「みんな!このまま引き返すぞ!」と帝国兵を斬り倒しながらグランが進み出した。

 

それに続いてスネークも投げ飛ばしたり、ナイフで斬りつけたりしながらグランを追いかけた。

 

「それにしてもお前は大した奴だな。」と隣を走るカリオストロに言う。

 

「あ?錬金術の開祖を舐めんな!」

 

そしてグランサイファーのところまで戻ってきた。

 

「あれー?君達戻って来てくれたんだー?ラッキー!」と帝国兵達に守られた小さな男が話しかけてきた。

 

「僕の名前はフュリアス。ところで君達、賞金首なんだよね?じゃあ殺しちゃっても構わないよね?」

 

「おい!周りのクズ共!とっとと青い髪の女だけ生け捕りにして残りは殺せ!」

 

「は!」と全員が剣を抜き、迫ってきた。

 

「じゃあ☆カリオストロは〜?あの二人組をね〜‥屠るとするか!!!!」と蛇を召喚して走って行った。

 

「さっさと終わらせるか。」と大将らしき小さな男の元へ進む。

 

フュリアスを護衛する兵隊達はスネークの意図に気がついたのか前に出て妨害してくる。

 

スネークは大将を倒せば軍隊の機能は停止する。そう考えたのだ。

 

そうはさせまいと兵隊達が剣を抜いて向かってくるが、そんなものなんとも思わないスネークは次々とCQCをかけ、気絶させていく。

 

そうしてフュリアスの前にたどり着く。



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9話

「お前が大将か。」

 

「あ?君は誰だい?とっても偉そうだけど。」

 

「お前に名乗る名など無い。それにここは子供が来る所じゃ無い。帰れ。」

 

「子供‥?」とどんどん怒っていくのが見えた。

 

「貴様!フュリアス様を子供扱いとは!」

 

「僕は子供扱いされるのがとっても嫌いなんだよね!それに僕はこう見えて23歳なんだよね!」

 

「23か。40歳の俺からしたらまだまだガキじゃないか。」

 

「もういい。おい!お前ら!何ボサッとしてんだよ!早くこいつをぶっ殺せよ!」

 

「はぁ!」と周りの兵隊達は剣を抜き、再び立ち向かってきた。

 

彼らの顔を見れば分かる。司令官に忠など微塵も感じられない。

 

こいつは恐怖で縛り付けている。そんなものすぐ裏切られる。

 

せめてもの情けだ。殺すのだけは勘弁してやる。

 

銃をしまい、ナイフだけを構えて立ち向かう。

 

向かってくる奴らを投げ、絞め落とし、次々と気絶させていく。

 

「くらえ!」と向こうではカリオストロは兵隊達とは違う格好をした、恐らく傭兵と戦っている。

 

「おい!ドランク!とっとと足止めしろ!」

 

「いやいや、そんな事言ってもさ〜スツルム殿〜この蛇固すぎて無理だもーん!」

 

「おらおら!俺を止めてみせろ!」

 

あの二人を足止めしているお陰でグランとカタリナは戦いやすくなっている。

 

「余所見すんな!」と銃を撃たれるが、寸でで避ける。

 

どうやらフュリアスが撃ったようだ。

 

「はっはっは!こうなったら、これを使ってお前ら全員皆殺しだ!」と何か妖しく光る石を取り出す。

 

本能的に危機を感じた為、石を持つ手を撃ち、石を吹っ飛ばす。

 

「チッ!貴様だけは殺す!お前ら何寝てんだよ!とっとと殺せ!早くしないと処刑するぞ!」

 

「‥」

 

さっきまで倒れてた奴らが無言で立ち上がり、また剣を構えて向かってくる。

 

そしてまた銃を構える。が、銃口は俺に向いていない。まさか!

 

俺は向きを確認するとルリアに向いていた。

 

「手に入らないくらいなら壊してやるよ!」と引き金に指をかける。

 

「よせ!」と俺は銃を抜き、向けるが、射線に兵士たちが立ち邪魔をする。

 

「ルリア!カタリナ!伏せろ!!」と俺は叫ぶ。

 

それに気がついたカタリナがルリアを狙う射線に割って入り、庇う。

 

引き金に指がかかり、そして‥

 

「パァン!」

 

「グァアアア!」と発砲したはずのフュリアスが肩を抑えてうずくまった。

 

みると肩から血を流している。

 

第三者か!と俺は辺りを見渡すと、急に煙幕が上がり辺りが煙に包まれた。

 

「こっちだ!」

 

そう呼ぶ声がする。

 

俺達は聞き覚えのある声のする方を頼りに抜け出し包囲を突破した。



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10話

そして包囲網を突破して助けてくれた相手を見る。

 

ラカムだった。

 

「ありがとうございます。ラカムさん。」

 

「良いってことよ。それに俺の艇が壊されたら敵わないからな。」

 

「ラカムさん!教えてください!」

 

「どうして騎空艇を諦めたんですか?」とルリアが聞く。

 

「はぁ‥仕方ねえ。教えてやる。」

 

そこでスネーク達は何があったか聞いた。

 

艇をもう一度飛べるまでに修理した事、自分の艇で空を飛ぶ事に夢見てたこと、しかし何も問題がなかった筈なのに艇が墜落したことをラカムは語った。

 

「そういう訳だ。だから俺はやめたんだ。」

 

「つまり貴様は諦めた‥そういう事でいいんだな?」と俺は呟いた。

 

「お、おい。スネーク。」とビィ達は俺を止めようとする。

 

「ああ!そうさ!俺にはこの艇を飛ばす資格なんかなかったのさ!」

 

「だからどうした?諦めるのか?お前の騎空艇愛とやらはその程度だったのか?」

 

「スネークさん!そんな言い方!」とルリアが詰め寄ろうとするがカタリナに止められる。

 

「カタリナ?」

 

「お前いい加減にしろよ!知った風な口聞きやがって!俺がどれだけ!」と殴りかかってきたため、手首を掴み地面に倒す。

 

「お前はあの時何が自分に足りなかったのか!何故答えてくれなかったのか!考えたか!」

 

「もう一度聞くぞ。お前はあの艇をどうしたい?」

 

「俺は‥」

 

ラカムは思い出していた。

 

初めてグランサイファーを見た日、こいつで空を飛びたいと願って修理した日、飛ばした艇が墜落した日。

 

「俺は!もう一度グランサイファーで飛びてえ!」

 

「なら行くぞ!もう一度飛ばすぞ!」と新たに仲間になったラカムを連れて艇に戻った。

 

そこに行くとまだ帝国兵は残っていた。まるで戻ってくるのが分かっていたかのように。

 

「あれ〜?わざわざ死にに戻ってきたんだ。」

 

「なんだ?このガキは?」とラカムが言った。

 

「お前まで僕の事を子供扱いかよ!もういいや。僕は帰るから、そこの眼帯と髭は殺しておいて。」と去っていった。

 

兵士たちは戸惑ったが、すぐに剣を抜き、臨戦態勢に入る。

 

さすが帝国と呼ばれるだけあるな。

 

俺たちが何もなしでここに戻ってくる筈がない。

 

作戦はこうだ。

 

ラカムが一人でグランサイファー内部に入り、動力の確認及び調整。それが終わるまで後の俺たちで食い止める。

 

事前にルリアの能力でティアマトが上にいる事は分かっている。

 

しかし初めて聞いた時は驚いたな。

 

向かってくる兵士達を食い止めるべく俺たちは武器を抜き、立ち向かう。

 

そして10分後、ラカムがようやく艇から顔を出した。

 

「できたぞ!早く乗れ!」

 

その声にグラン達はすぐに乗り込んだが、俺は乗らなかった。

 

「スネーク!早くしろ!」

 

「俺抜きで行け!俺はここで食い止める!」

 

「分かった!死ぬんじゃねえぞ!」とラカムが言った瞬間、騎空艇から小さな影が落ちた。

 

「よう!おっさん!一人で何カッコつけてんだよ。」

 

「カリオストロ。お前。」

 

「まあ、手助けしてやるよ。この!美少女錬金術師の〜カリオストロがな!」

 

「カリオストロまで‥スネーク!こいつを使え!」とラカムが艇から何かを投げた。

 

スネークはそれを取り、見る。

 

「こ、これは‥」

 

 

 

 

 



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11話

「モシン・ナガンだと‥」

 

PUスコープにピストルグリップ、そして折りたたみ式ストック‥ジ・エンドモデルだと‥

 

だが、弾は麻酔針ではないようだ。

 

「ラカム!これをどこで!」

 

「ああ、少し前に艇の近くで見つけてな!珍しいから拾っといたんだ!お前にやるよ!」

 

「すまない!」

 

「良いって事よ!足止め頼んだぜ!」

 

「ああ!ティアマトは頼んだぞ!」

 

グランサイファーが空に上がっていったのを見送り帝国兵を見る。

 

「おい、おっさん。お前やれんのかよ。」とカリオストロがニヤッと笑いながら言う。

 

カリオストロのローブが風に揺れる。これから起こる大乱戦に興奮するカリオストロの昂りに呼応するように。

 

「ああ。だが、ここまで多くを二人だけで鎮圧した事はないな。俺はどちらかと言うとノーキルノーアラートを心がけてるからな。」

 

「なるほど。じゃあ休んでな。俺一人で片付けてやんよ。」と両隣に控えさせている蛇、どうやらウロボロスというらしいそいつらをシュルシュルいわせている。

 

「俺は女子一人に戦闘を任せて休むほど甲斐性のない男ではないからな。」とナイフと銃を抜く。

 

「あっそ。じゃあどっちが多く倒せるか‥勝負だ!!!」と言いながら敵兵の中に飛び込んでいった。

 

やれやれと呟きながらスネークも走っていった。

 

「敵は二人だ!行くぞ!」と帝国側の指揮官が叱咤激励し雄叫びをあげながら向かってくる。

 

俺は手当たり次第に敵を投げ飛ばす。

 

「死ねや!」

 

「ふん!」と俺は剣を避け、手首を掴み、顎に手を当て地面に頭から倒す。

 

「あの男!フルプレートの俺たちを軽々と投げやがる!化け物か!?」

 

「怯むな!どうせ奴等は二人だ!持久戦になれば数で勝るこちらが有利だ!」

 

「数が多いな!」とナイフと銃ををしまい、M16を抜く。

 

ひたすら敵を銃床で殴り、撃ち抜く。

 

「隊長!敵が倒れません!」

 

「くっ!予想外だ!本当に奴等は化け物なのか!?」

 

カリオストロは錬金術の始祖であるため、並みの人間に太刀打ちできるはずがない。

 

スネークはコブラ部隊やヴォルギンなどの人知を超えた奴等や、シャゴホットやピースウォーカーなどの大型の兵器に対して勝ってきた男だ。

 

二人がそう簡単にやられる訳がない。つまり‥帝国兵には勝ち目がなかったのだ。

 

「艇を落とせ!」

 

そう声が聞こえたと思うと爆発音がする。

 

嫌な予感がして、そちらを双眼鏡で見ると迫撃砲のようなものでグランサイファーが狙われていた。

 

当たってはいないが、だんだん惜しくなっている。

 

「カリオストロ!」

 

俺は少し前で戦っている少女に声をかける。

 

「何〜?」

目の前に迫っていた敵を爆発魔法で吹き飛ばしてから俺の方を向く。

 

「あれが見えるか!」と俺は指を指す。

 

「あ?‥おいおい、随分ナメた真似してくれてんじゃねえかよ!」

 

あいつ‥肉眼で見たのか‥

 

「流石にあの場所は俺の攻撃範囲外だ!どうするつもりだ?」

 

「ああ、俺なら奴等を倒せる!その間お前の蛇を貸せ!」

 

「‥分かった!ちゃんと仕留めろよ!」と言い、指をパチンと鳴らすと赤い蛇が一体俺の元に来る。

 

俺は背中に背負っていたモシン・ナガンを構える。

 

狙いは頭だ。

 

弾は有限だ。だから確実にヘッドショットする必要がある。

 

ダァン!とモシン・ナガンが火を吹き、迫撃砲をセットしている奴を一人吹き飛ばす。

 

敵はどうやら驚いているようだ。

 

そりゃそうだ。フリントロック銃の射程は精々50メートル、だがモシン・ナガンは800だ。

 

 



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12話

すると突風が吹き、帝国兵が吹き飛ばされた。スネーク自身も吹き飛ばされないように地面に踏ん張るが、その風は帝国兵だけを狙って吹き飛ばされているようだ。

 

すると目の前に一人の女性が現れた。

 

それはあの時、自分のヘリを襲ったものだった。

 

スネークはすぐに腰のライフルを構える。

 

すると目の前の女性はすぐに手を上に上げる。

 

それを見つつ、スネークは喋る。

 

「お前は何者だ。」

 

「私の名はティアマト。ポートブリーズを守護する者。」

 

「そのポートブリーズを守護するお前が何のようだ!何故俺たちを襲った!」

 

「そなたのヘリ?とやらを破壊したのは悪かった。だが、乗組員の命はとっていない。」

 

「そなたに頼みがある。何者かが我ら星晶獣を苦しめている。その助けをしてもらいたい。頼む。」と頭を下げる。

 

何を言っているんだ。こいつは。

 

何者かが?誰だ?それは。

 

「その助けを何故俺に頼む。理由があるんだろう?」

 

「ああ、その異物はごの世界のものではない。お前の世界のものだ。」

 

「なるほどな。だからその異物を同じ世界の俺に倒してくれというわけか。」

 

「話が早くて助かる。頼めるか?」

 

「いいだろう。」

 

そう言うとティアマトは微笑む。

 

「礼を言うぞ、人の子、いや‥スネークよ。」

 

「一度ザンクティンゼルの君が現れた場所に行くがよい。そこに送り物を用意した。」

 

そう言うと体から光が溢れ出す。

 

「我は蒼の少女によって救われ、一部を吸収された。さらばだ。」

 

そう言うと消えた。

 

「おーい、おっさん?」とカリオストロがゲシゲシと蹴りを入れていた。

 

「大丈夫か?さっきから呼びかけてんのに無視してよ?」

 

「ああ、大丈夫だ。なんともない。」

 

「おおい!無事か!」と空からグランサイファーに乗ってグラン達が降りてきた。

 

あれから1日ポートブリーズに泊まった。

 

街では英雄扱いされ、宴となった。

 

皆踊り、酒を飲み、ご馳走を食べ、どんちゃん騒ぎとなった。

 

俺はそれを少し離れた所で酒瓶を持って中身をあおる。

 

うん、赤ワインか。

 

中々うまい。

 

「どうした?スネーク?」と声をかけられる。

 

顔を上げるとそこにはラカムがいた。

 

「ああ、懐かしくてな。俺には昔これより多い人数の仲間がいた。俺は気がついたらここにいた。」

 

「へえ〜お前さん、只者じゃねえと思ったが、そんなすげえやつだったのか。良かったら聞かせてくれよ。」とタバコを勧められる。

 

いつもは葉巻なのだが、たまにはタバコもいいだろう。

 

もらったタバコに火をつけて吸う。

 

昔セシールから一本もらったやつに似てるな。

 

そこから俺の話をした。

 

バーチャスミッション、スネークイーター作戦、そしてピースウォーカー。

 

ラカムは一度も笑わず聞いた。

 

「お前だいぶ濃い人生を送ったんだな。」

 

そうして宴は終わり、夜が明けた。

 

どうやらグラン達は次はバルツに向かうらしい。

 

ザンクティンゼルに一度戻る俺とは少しの間、お別れだな。

 

そして俺はザンクティンゼル行きの騎空艇に乗り、ザンクティンゼルにたどり着く。

 

そして俺は記憶を頼りに俺が目を覚ました場所にたどり着く。

 

そこには何もなかった。

 

しかし突然「ジジジ‥ジジジ‥」と通信音が聞こえた。

 

咄嗟に銃とナイフを抜き構える。がすぐに敵の気配が無いことに気づく。

 

音がする方へ歩くと通信機が落ちていた。

 

どうやら音はそこからしているようだ。

 

拾い上げて音を聞く。が相変わらず「ジジジ」としか聞こえない。

 

なんだと思い耳から離そうとすると、微かにだが声が聞こえた。

 

「ジジジ‥ボ‥聞こえ‥こち‥M‥マザー‥ジジジ‥」

 

まさかと思いスネークはチャンネルを慌てて調整する。

 

すると今度ははっきり聞こえた。

 

「ボス!聞こえますか!こちらMSFマザーベース!」

 

「ああ。はっきりとな。」




ティアマトの計らいでMSFと通信することができたスネーク。
果たしてどうなることやら。


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13話

スネークが通信機を見つける少し前のMSFでは

 

スネークを捜索して1ヶ月が経とうとしていた。

 

MSFでは行方不明者は1ヶ月の捜索期間の後、期間が過ぎると死亡扱いとなる。

 

大切な事は総司令、副司令、各プラットフォームの班長が集まって会議により決まる。

 

皆最後の日でも諦めず捜索に精をだしていた。

 

諜報班は各地で聞き込み、研究開発班は捜索に役立つアイテムの開発など多くの者が働いた。

 

そして、この男も‥

 

「ジジジ‥ジジジ‥」

 

「頼む。応答してくれ。お前が戻ってくるんなら、もう女を泣かしたりなんかしない。」

 

カズは繋がらない無線にずっと話しかけていた。

 

スネークは行方不明。しかし無線が繋がるという事は無線は生きている。

 

と、いう事は!と希望を込めて。

 

すると部屋に医療班や拠点開発班、糧食班の隊員達が入ってくきた。

 

「お前ら何の用だ。見ての通り俺は忙しいんだ。」

 

「副司令。お願いです。もう休んでください。」とメディックが言う。

 

「バカな事を言うな。俺はまだまだやれるぞ。お前らこそ休め。」

 

「いえ、休むのは副司令です。我々は知っています。もう何日もほとんど寝たり食事を摂っていないということを!」

 

「それなら三時間の睡眠に栄養ならドリンクで摂っている。俺なら大丈夫だ。」

 

そういうカズのデスクには眠気覚ましや栄養ドリンクが数えきれないほど並び、デスクに乗らない分は床に転がっている。

 

「副司令!これが最後です。もう休んでください。」

 

「貴様ら俺に命令するつもりか!失せろ!」と怒鳴り、机にあった栄養ドリンクのビンを床に叩きつけた。

 

すると医療班の隊員の一人が手を上に挙げた。

 

すると横から隊員が出て「失礼します。」と言うとカズの両腕を掴み、無理やり立ち上がらせた。

 

「な!?貴様ら何をする!離せ!」

 

「もうこれ以上はやめてください!死にますよ!」とドルフィンが言う。

 

「ゼブラ!モール!貴様ら離せ!離さないと全員営倉送りにしてやる!」

 

「営倉送りにしてくださっても構いません!あなたまで失う訳にはいかないんです!」

 

「あなたまでって貴様!スネークを死亡扱いか!俺だってスネークに命を助けられた!あの日、俺がスネークと出会わずに反政府軍の指揮官として生きてたらいつかは殺されていた!俺の命はスネークに救われたんだ!

今度は俺の番だ!いいから離せ!」

 

そう一悶着やってる内に無線は引き継がれていた。

 

「ボス!聞こえますか!こちらMSFマザーベース!」と。

 

新人隊員であるモスキートが通信を再開する。

 

「ああ。はっきりとな。」

 

「え‥?」

 

皆固まった。初めて通信機に誰かが応答したのだ。

 

「モスキート!今すぐ全体に繋げろ!」

 

「は、はい!」

 

「こちらスネーク。そちらはMSFか。どうぞ。」

 

するといつのまにか拘束を振りほどいたカズが通信機の前に座った。

 

「こちらMSFマザーベース。副司令!カズヒラ・ミラー。スネーク。遅かったじゃないか。約30日と16時間40分振りだな。

心配したぞ。」

 

「ああ、すまなかった。説明はまた明日にしたい。」

 

「ああ、いいぞ。それよりあんたにどうしても言ってほしい台詞がある。『待たせたな』だ。それを言ってくれ。」

 

「カズ、そしてMSF全スタッフ達。待たせたな。」

 

そう聞こえた瞬間、歓声があがった。

 

泣く者、抱き合う者、雄叫びをあげる者など様々だ。

 

「スネーク。本物だな。」

 

カズはそう言うと今までの疲労が一気に体に現れたため、その場で倒れた。

 



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14話

次の日

 

9時頃、スネークはマザーベースと面々と情報交換していた。

 

マザーベースでは、ずっとスネークを捜索していたことや、ピィークォドがPTSDを発症した事。

 

スネークはファータ・グランデと呼ばれる空域にいて、空を飛ぶ艇がある世界にいる事や自分とピィークォドのヘリを落とした物はティアマトて呼ばれる星晶獣で助けを求めている事、俺たちの世界の何者かが、こちらの世界で悪さをしていること。

そして‥

 

しばらく帰れない事。

 

「スネーク。」

 

「カズか。俺の為に倒れたと聞いたぞ。もう大丈夫なのか?」

 

「もう大丈夫だ。それに今は点滴に繋がれてるし、車椅子生活だ。」

 

「俺がいない間が心配だ。」

 

誰かいないのか‥頼れるとしたら‥FOXか。

 

いや‥ 無理だな。

 

‥!いた!二人いたぞ!信用できるやつが!

 

「カズ!オセロットとevaだ!奴等にコンタクトを取れ!」

 

「オセロットとeva?まあいいだろう。スネークが、そこまで言うんだ。なんとかコンタクトを取ろう。」

 

「それにしてもスネーク。装備はどうなんだ?」

 

「ああ、今はハンドガンが5発。アサルトライフルが20発、新しく手に入れたモシン・ナガンが1発だ。」

 

「ふむ、そっちの世界でモシン・ナガンが手に入るとは思わなかったがな。なるほど。ちょっと待ってくれ‥」と無線から少し離れる。

 

微かにコソコソ声が聞こえる。

 

 

‥おい。ダンボール輸送できるか?

 

‥いや?分かりません。なんせ世界が‥

 

‥そんな事言ってる場合か。今度こそボス死ぬぞ。

 

‥分かりました。

 

 

コソコソ言ってるな。流石に無理なんじゃ?

 

‥おい、本当にできるんだな?本当だな?よし。

 

「‥‥ああ!またせたな。できるそうだ。で?ハンドガンがM1911A1、アサルトライフルがM16、ライフルがモシン・ナガンで合ってるな?」

 

「ああ。それにしても本当か?で、いつくらいに来る?」

 

「‥‥2分でくる。」

 

ヒュー!ボスン!

 

ハンドガンがマガジン6つで53発、アサルトライフルがマガジン3つで110発、ライフルが合計45発になった。

 

「とりあえずだ、スネーク。これから物資に困ったらいつでも通信を入れてくれ。すぐにダンボール輸送をする。」

 

「ああ、頼んだ。いくら現地調達といってもこの世界にある銃はフリントロック式だからな。」

 

「そうか。流石にあんたでも無理だろうな。まあ良い。とりあえずあんたが無事で良かった。カズ、アウト。」

 

通信が切れ、俺は再び立ち上がった。

 

そろそろグラン達も旅立つかもしれないな。

 

行くか。




こっからスネークはグランと一緒にいるより、ほとんど別行動となります。

だいたいイベント(舞い歌う五花や昏き島に眠る光の巨人など。」を追っかけてます。

そこでそこのキャラと仲良くなってます。


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舞い歌う五花 15話

「それにしても文句は言いたくないが、ザンクティンゼルが、ここまで田舎だったとはな。」

 

スネークは艇の発着所に降り立つ。

 

 

ザンクティンゼルからバルツまでの直行便は存在せず、代わりに偶然行商に来ていた商人の個人艇に乗せてもらった。

 

どうやらショチトル島というらしい。

 

ふむ。活気づいてるな。何かあるのか?

 

とりあえず聞いてみるか。

 

「なあ、すまない。いったいこれは何があるんだ?祭りか?」と目の前のエルーンの男に話しかける。

 

「あれ?知らないの?巫女様だよ!」

 

「巫女?」

 

「ああ、本当に知らないんだな。良いぜ、教えるぜ。」

 

スネークはその男から色々と聞いた。

 

巫女と呼ばれる5人組が島の繁栄の為に、この島の各地で舞い踊る巡業をしている事。

イクニアと呼ばれる信奉者が、それぞれ5人の内の一人を信奉し、その信仰心を競い合うという事。

14歳になると、この島の中から選ばれ今回その中の一人が16歳になった為、卒業すること。

 

「なるほどな。」

 

「あんた予定は?」

 

「特に無いな。」

 

そういうとパァッと顔に笑顔が浮かぶ。

 

「じゃあさ!これやるよ。」と水色のサイリウムをもらう。

 

「なんだ、これは?」

 

「トレピリだ。これを持って応援する。まあ時間がある時に見に来たら良いよ。」と去っていった。

 

まあ、少し見るくらいいいだろう。

 

会場にたどり着く。

 

沢山人がいるな。ヒューマンにドラフにエルーンにハーヴィンまで色々いるな。

 

ジュースを飲みながら見ていると歓声があがる。

 

「みんな!お待たせ!」と巫女の5人が現れる。

 

「ティクニウトリ・ショロトル!」

 

始まったようだな。

 

予想以上に盛り上がってるな。

 

遠くから眺めてると挙動不審な男を見つけた。

 

異様にキョロキョロと周りを確認し、ステージの裏へ歩いていった。

 

俺の勘が追いかけろという為、ジュースを急いで飲み干して追いかける。

 

「ヘッヘッヘ!ディアンサちゃんは今回で卒業だ。だったら最後くらいいいだろう‥」とゆらゆらと歩いていく。

 

それをスネークは物陰から確認し確信を得る。

 

止めるぞ。だが現行犯で行こう。今捕まえてもシラを切り通されたら意味がない。最悪俺が捕まる。

 

もう一度歓声があがった。

 

どうやら終わったようだな。

 

あれはテントか。おそらくあそこが待機場所か。

 

お、入っていったな。

 

俺はすぐ外で待つ。

 

「キャアァァァ!」

 

スネークが急いでテントに入ると、まさに事件が起きていた。

 

先ほどの男がナイフを抜き、先程ステージにいた5人の前に彼女達より年を取っているが、美しい女性が立って庇っているという状況だった。

 

「ディアンサちゃん、最後なんだからさー!いいじゃんかよー!」とナイフをチラつかせながら言う。

 

「だからこそダメです!あなたの相手なら‥分かりました‥私がします。それで我慢してください。」

 

「うるせえ!俺はディアンサちゃんがいいんだよ!」とナイフを振り上げる。

 

ガシッ

 

ナイフを振り上げた瞬間、俺が手首を掴む。

 

「な!?貴様は!?」

 

「おいたがすぎるぞ。こっちへ来い。俺が遊んでやる。」と手首を極めながら連行する。

 

それを見ていた6人。

 

「大丈夫かな?あの人。」

 

「心配なら見に行ってみる?」

 

と、6人が見にいくと、ちょうど向かい合ってるだった。

 

「どうした!俺は素手だぞ。」

 

「貴様!邪魔しやがって!」とナイフを舐める。

 

普通の相手ならそれだけで少しは威嚇になる。だが相手が悪かった。

 

スネークはただ構えを解かずに見ていた。だが少し笑っている。

 

 

 

 

 



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16話

「にやけんな!死ねや!」とナイフで襲いかかる。

 

ナイフはまっすぐスネークに吸い込まれる。

 

「危ない!」

 

ドッ!

 

「あ‥ああ‥」

 

1人の少女が青い顔をする。彼女の名はディアンサ。

 

この狂った男が信奉する巫女である。

 

彼女は次の巡業先が最後の公演という事もあり、緊張していた。

 

そこに自分をなんとかしようとする男、そしてそれを止めようとした男。

 

そしてその止めようとした男が目の前で刺された。

 

だが‥

 

「な!?何故!?」

 

スネークは刺されていなかった。手首を掴みナイフを止めていた。

 

スネークは手首を捻りナイフを落とさせる。

 

そして一本背負いで投げる。

 

「グエッ」

 

そのまま完全にのびてしまい動かなくなった。

 

そのままナイフを拾い、ついでに男の襟を掴む。

 

「あ、あの‥」

 

「うん?ああ君らか。無事か?」

 

「は、はい。ありがとうございます。」

 

「すいません。この子達を助けていただいてありがとうございました。」と女性が礼を言う。

 

その女性は眼鏡をかけてスーツを着ている。そして凜としていて大人の雰囲気を醸し出している。

 

「あんたは?」

 

「私はポピー。祭司をしています。」

 

「祭司か。つまり責任者でいいのか?」

 

「はい。」

 

「ふむ。警備がなっていないな。これで今まで襲撃されなかったのが不思議だ。」

 

「それは本当にお恥ずかしいです。そうですね‥あなたに依頼をしてもいいですか?」

 

「次の巡業での警備をしていただけませんか?お願いします。」

 

「巡業か。ここから次の場所までどれだけかかるんだ?」

 

「だいたい朝出発して昼頃に到着します。」

 

「と、言うことは‥明日出発か。」

 

「はい。そういうことです。」

 

うん、早くバルツ行きたいのだが‥まあいいだろう。

 

「受けよう。」

 

「ありがとうございます。それでは明日8時に出発となります。宿泊先は?」

 

「まだ決まっていない。」

 

「それでは‥私達の宿までお越しください。」

 

「分かった。地図をくれ。こいつを憲兵に引き渡さないといけないからな。」

 

「分かりました。こちらをどうぞ。」と地図を渡され、それをバックパックに入れる。

 

憲兵に引き渡し地図を見ながら行こうとしたら声をかけられた。

 

「ねえ、さっきの人!」

 

こっちに向かって走ってきたのは腰に緑色の宝石を付けたボブっぽい髪型の少女だった。

 

「君は‥」

 

「カンナ。私の名前はカンナ。」

 

「スネークだ。よろしく、カンナ。」と言うと腕を組んできた。

 

「えへへ」

 

年端もいかない少女に腕を組まれ歩く。

 

側から見たら俺とこの子は何に見られるんだ?親子か?

 

いや、皆この子が巫女だと知っているだろう。

 

「それにしても強かったね。スネークさん。」

 

「ああ、鍛えてるからな。」

 

「へー私もなれる?」

 

「さあな。やる気があればな。だがあざができるぞ。」

 

「あざかー。それはやだなぁ。」

 

そう言うとニコニコしながら会話を再開する。

 

ふむ。この子はかなり喋りが上手い。そして人をよく持ち上げる。

 

「ええと‥スネークさんはイクニアさんなの?」

 

「イクニア?俺は違うな。俺はただの護衛だ。」

 

「な〜んだ。水色のトレピリ持ってるからディアンサのイクニアかと思った〜」

 

なるほど。この水色のトレピリというものはディアンサのイクニアを意味するのか。

 

「因みに私のトレピリは緑色だよ?」と期待しているような顔をする。

 

「なるほどな。」

 

そう答えたカンナは一瞬ガクッとした顔を見せたが、すぐに立ち直る。

 

そして宿に着く。

 

「ここが私達の宿屋だよ。」

 

「そうか。で、祭司はどこだ。」

 

「ええと‥二階の一番右奥だよ。」

 

「ああ、ありがとう。」

 

そう言うとカンナは組んでいた腕を離し、手を振って階段を駆け上がって行った。

 

さて、この地図について聞くか。

 

コンコン

 

「はい」

 

「俺だ。スネークだ。」

 

「どうぞ。」

 

ガチャ

 

部屋に入ると祭司は綺麗に荷物を整理整頓されている部屋の中の机に向かっていた。

 

「ああ、鍵ですね。部屋は私の隣ですよ。」と鍵を受け取る。

 

「ありがとう。それとだが、これはなんだ?」と渡された地図を見せる。

 

「それは‥!分かりました。お教えします。」



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17話

渡された紙は地図ではなかった。

 

計画書だった。そこにはこう書かれていた。

 

(ディアンサの卒業を延期する。)と。

 

「どういうことだ?カンナから聞いたが巫女は16歳で卒業。ディアンサは次の巡業先が最後だと聞いたが?」

 

「確かにその通りです。しかし私は伝統を重んじる事も大切ですが、新たな進化の為に伝統を壊します。」

 

「ディアンサには自分のタイミングで卒業をする。そうしてもらうつもりです。」

 

「ディアンサは、それを知っているのか?」

 

「知りません。」

 

知らないのか。だが何故秘密にするんだ?

 

「ディアンサには、この事は他言無用でお願いします。」

 

「分かった。」

 

それだけ言い、自分の部屋に入りベットに横になる。

 

 

 

そして次の日

 

次の巡業先に向けて一行は出発した。

 

「おい!魔物はいたか?」

 

「いや、異常なしだ。」

 

「ああ、こちらも異常なしだ。」

 

周りのイクニア兼警護が剣を構えて前方と後方を挟んでいる。

 

スネークは一番後ろで殿を務めていた。

 

しかし他の警護達からは、やる気があるのか、あいつは。と思われていた。

 

それもそのはずスネークはナイフも抜かずに素手で後ろからついてきているだけだったからだ。

 

しかし素人目にはそう見えるかもしれないが、スネークは周りに気を配っていた。

 

襲撃者は魔物だけとは限らない。だから悟られないように首だけ動かしている。

 

そして残り距離が半分になった頃で休憩となった。

 

近くの岩に座ってマテ茶とレーションを食べていた。

 

レーションは本来はカロリーと栄養の補給重視の為にマズイものだ。しかし俺が糧食班に注文を入れた事で研究開発班と合同で作ったMSF印のレーションは従来のカロリーと栄養に加えて味も良くなった。

 

それを食べながら周りを見ると一箇所に固まりを見つけ、中に巫女がいるのが確認できた。

 

「ほう‥やりすぎな程の密集隊形だな。あれだと有事の際には中央の者‥巫女か。攻撃から守れるかもしれんが逃げ遅れるな。」

 

「あはは、スネークさんって、もしかして軍人さんなの?」と笑いながらカンナともう1人の巫女が歩いてくる。

 

「まあディアンサは一番人気だからね。一番警護の志願が多いんだよね。」

 

「君は‥赤い宝石か。ハリエだな。」

 

「そうです。覚えてくださったんですか?」

 

「ああ、護衛対象は覚えるべきだからな。」

 

そう言うと、カンナのように一度期待した顔が元の笑顔に戻る。

 

カンナは他のイクニアに呼ばれ席を立つ。

 

「それにしてもだが‥」

 

イクニア達に囲まれたディアンサを見る。

 

休憩時間だと言うのに休むことなく、話を続けている。

 

「おい、ハリエ。」

 

「どうしたんですか?」

 

「いつになったら、あの護衛はどこかに行くんだ?あれでは疲れがとれないと思うが?」

 

「スネークさんはよく見てるんですね。ディアンサは今も笑顔で答えてますけど、本当はかなり疲れてると思います。」

 

「いや、あれくらい誰にでも分かると思うが?」

 

スネークは300人以上の兵士を抱える組織のトップだ。医療班に任せているとはいえ、スネークが気づいて休ませることだってある。

皆スネークに憧れ、スネークの為に戦いたいと思っている。それ故に無茶をする。

 

その無茶を見抜き、強制的に休ませるのも仕事の一つになった。

 

それにディアンサくらいの歳の女性スタッフも中にはいる。

 

「いやいや‥あの子は一番人気があるって自覚があるからなのかは分かりませんが、中々疲れを顔に出さないんですよね。それにスネークさんみたいに昨日今日出会った人には、そうそう分かりませんよ。」

 

そう愛想笑いを浮かべているハリエもディアンサを心配しているようだ。

 

全く‥しょうがないな。

 

「ハリエ。一芝居付き合え。」

 

「え?」

 

そう言い立ち上がると、ディアンサに近づく。

 

「ディアンサ。」

 

「は、はい!どうしたんですか?スネークさん。」

 

「祭司に頼まれてな。ハリエと一緒に来て欲しいらしい。」

 

そう言うとそのまま立ち上がろうとした為、慌てて弁当も一緒に持っていくように伝える。

 

「お、おい。お前そう言ってディアンサ様を独り占めする気だな?」

 

「そんな訳ないだろう。」

 

「だが!」

 

するとハリエが後ろから近づく。

 

「あれ?ディアンサ。スネークさんに呼んできてもらったのに。」

 

そのハリエの言葉を聞き、疑っていた男が座った。

 

そのまま祭司の元へ連れて行く‥と見せかけて岩の後ろに連れて行く。

 

「あれ?祭司様に話があったんじゃ?」

 

「いや、疲れてるだろうなと思ってな?ハリエに協力してもらって嘘をつかせてもらった。それにしてもあれくらいの嘘を見抜けないとはな。うちの新米隊員の方が優秀だな。」

 

「新米隊員?スネークさんって上官か何かなの?」

 

「まあ、そんな所だ。」

 

 



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18話

「だが、今は騎空士だがな。」

 

「ありがとうございました。それじゃあ私やることがあるので‥」

 

そう言うと更に奥の方へ行った。

 

ハリエと顔を見合わせてディアンサの行った方に歩く。

 

そこではディアンサが振り付けを練習している所だった。

 

「1、2、3、4!5、6!回ってパーン!回ってパーン!ステップ!ステッp‥‥えっ!?」

 

10分ほど眺めてようやくディアンサは気がついた。

 

「見てたんだったら言ってくださいよー!」

 

「すまない。あまりにも集中しているようだったからな。」と腰にぶら下げてたマテ茶を差し出す。

 

そしてディアンサが何か言おうとしていたが、決めたのか、話を切り出した。

 

「騎空士の話を聞きたいです!」

 

「そうか。別に構わんが‥それより俺の後ろにいる3人もこっちに来たらどうだ?」

 

そう言うと物陰からカンナ、リナリア、ジオラが出てくる。

 

「えへへ、バレちゃってた?」

 

「気配がダダ漏れだな。あれは隠れている内に入らないな。」

 

「あたしたちも騎空士の話は珍しいんだもん。ねえねえスネークさん。私たちも聞きたーい!」

 

「ぼー‥あ。あの雲。お魚みたい‥」

 

そこから騎空団の話をしだす。

 

ポートブリーズの時だけしか話すことがない為、すぐ終わってしまった。

 

それでも普段聞きなれない外の話に舞い上がり、はしゃぎ、みんな興奮して話を聞いていた。

 

こう見ると巫女と信奉されている彼女達も年相応の子供だな。と改めて思ったスネークなのだった。

 

そしてそろそろ出発する為にディアンサ以外の4人は荷物を取りに戻りスネークとディアンサだけ残る。

 

「まあ、あれだ。余計なお世話かもしれないが、無理だけはするな。」

 

「無理はしていません。私が頑張らないと‥私が失敗しちゃうとイクニアさん達の心が離れて‥私達は力を失っちゃいますので。」

 

俺が祭司から聞いていたように巫女達はイクニア達の信仰心によって力を身につける。

 

だから失敗など出来ず、努力し続けるのだ。

 

するとスネークはディアンサの頭に手を置いて言った。

 

「そうか。だがこれだけは言っておくぞ。お前は十分すぎるくらい頑張っている。人一倍にな。」

 

「え‥‥!」

 

ディアンサは意外そうな顔をする。今まで自分の努力を誰も褒めてくれた人はいなかった。それに自分がやっている事は努力ではなく、当たり前の事だと思っていた。

 

初めての事に驚き、ほんのりと顔が赤くなっている。

 

「どうした?」とスネークが顔を覗き込む。

 

「し、失礼します!」とピューと走っていった。

 

スネークもすぐにディアンサを追いかけ隊列に加わった。

 

スネーク達護衛は気を引き締めていた。

 

ここからは魔物や盗賊がよく出る街道らしい。

 

スネークも流石に武器を抜いたが、ナイフだけだった為、また他の護衛達に呆れられていた。

 

「あはは‥スネークさんナイフじゃん。」

 

「スネークさん、絶対護衛の仕事ナメてるよ。ナイフとあんなちっちゃい銃だけなんて。」

 

「こら、リナリア。そんな事言わないの。」

 

「それよりディアンサどうしたの?顔赤いけど?」

 

「え!?いや‥なんでも‥ないよ‥」

 

「敵襲!!」

 

そして案の定魔物が現れる。

 

列の先頭と最後尾を挟む形でウルフの群れに襲われる。

 

護衛達が巫女達の元へ行かせまいと必死に応戦する。

 

スネークも腰のハンドガンとナイフを構えて後方の戦闘に参加している。

 

スネークは戦いながら考えていた。

 

おかしいな。ウルフは確かに集団で狩りをする生き物だ。しかし、ここまで統率が取れた動きをするものか?

 

辺りを見渡すと少し遠くから何者かがいるのが見えた。

 

よく見ると指揮棒みたいなものを動かしている。

 

あいつか!

 

スネークはバックパックからモシン・ナガンを出し、膝立ちになり撃った。

 

弾は何者かの杖に当たり手から飛んでいく。

 

そいつはすぐに逃げた。

 

しかしウルフ達は指揮系統がなくなり動きに統制が見られなくなったが、それでも止まらない。

 

「おい!そっち行ったぞ!」

 

スネークが見るとウルフが5匹先頭の戦ってる護衛達の頭の上を飛び越え、こちらに走ってきていた。

 

巫女の近くにいた護衛が抑え込むが、その内の1匹に突破されディアンサに迫る。

 

「ディアンサ!」

 

ハリエ達は叫ぶがスネークの事をかんがえていたディアンサは眼前に迫るウルフへの対処が遅れてしまった。

 

「え‥‥」

 

あと数秒で牙がディアンサに届く。

 

このような事態を招いたのは護衛達の油断‥それ以外に考えられない。

 

私‥死んじゃうのかな‥

 

彼女の目には必死にこちらへ走ってきている護衛が見える。

 

せめて‥痛いのだけは嫌だな‥

 

そう思い目を閉じる。

 

そして走馬灯のように今までの思い出が駆け巡る。

 

ー 巫女として選ばれた日 ー

 

ー 初めて他の巫女と出会った日 ー

 

ー 初めての巡業で必死に覚えた踊りが、しっかり本番でできて嬉しかった日 ー

 

今までの思い出が現れては消える。

 

そして最後に映ったのは‥優しく自分の頭に手を置いた、眼帯をしてバンダナを巻いた男。

 

ー ーーそうか。だがこれだけは言っておくぞ。お前は十分すぎるくらい頑張っている。人一倍にな。ーーー

 

私‥動転してお礼も言えなかった‥嬉しかったのに‥死ぬならお礼言ってからにしたかったな‥

 

 

 

その瞬間、何かが自分の横を通ったような気がした。

 

 

ガッ!



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19話

ディアンサはいつまでも襲ってこない痛みに疑問を感じ目を開ける。

 

そこにはナイフをウルフの下あごに突き刺し動きを止めているスネークがいた。

 

「え‥どうして‥」

 

ディアンサは思考が追いついていなかった。

 

スネークはここから離れた後ろで戦っていた筈だ。

 

「当然だ。俺は任務は遂行する男だ。」

 

確かに普通ならスネークにも追いつく事は出来なかった。

 

しかしノクトシアニンをスネークは服用していた。

 

ノクトシアニンは何秒か周りがスローに見える程に感覚が鋭敏となり早く行動ができるようになる薬だ。

 

それを使ってディアンサを守ったのだ。

 

下あごを貫いた事でウルフは力つきる。

 

それをナイフを振って地面に落とす。

 

その後は応戦しなんとか追い払う事に成功した。

 

助かった事への安心感とウルフへの恐怖感でペタッと地面に座り込んでしまった。

 

 

「おい、大丈夫か?立てるか?」と手を伸ばす。

 

それに応えて手を握ろうとすると‥

 

「ディアンサ!!!」とハリエ達が走ってきてもみくちゃにされた。

 

スネークはフッと笑い出した手を引っ込めた。

 

そして騒ぎが落ち着くまでその場で休憩となる。

 

スネークはその場で他の護衛達に囲まれる。

 

「あんたやるじゃねえか!ナイフとそんな小さな銃だけなんてナメてると思ってたんだが見直したよ。」

 

「武器は必要最低限の物を携行するようにしているだけだ。装備が重くては思うように動く事はできん。」

 

その囲まれているスネークをディアンサは見ていた。他の巫女達に囲まれながら。

 

あんな事があったのだ。もしスネークが間に合わなかったらと考えると‥

 

「でもさ、よくスネークさん間に合ったよねー」とハリエが言う。

 

「うん、あたしディアンサが死んじゃったって‥泣いちゃったもん‥」と今でも泣きそうな顔をするリナリア。

 

「ははは‥心配してくれてありがとう。」

 

「実はスネークさんって超能力者とかなんじゃない?」とカンナは自分でもありえない事を言っている事に笑いながら言う。

 

しかしイクニア達や巫女達は気がついていなかった。スネークを見つめるディアンサの頬が少し赤く染まっていた事を。

 

そしてディアンサが襲われかけた事以外は何も起きず街に到着した。

 

「それでは私はこの街の統治者と話してきますので。ハリエ、あとは任せたわ。」と祭司は去っていった。

 

自分にトレピリをくれたエルーンの青年と祭壇の設営を行う。

 

「それにしてもハリエはかなり信頼されてるんだな。」

 

「当たり前ですよ。ハリエ様は巫女達の実質リーダー的存在なんですから。」

 

トンカントンカン

 

スネークは一度設計図を見てから、すぐ構造を理解したのか大ベテランのイクニア達も息を飲むほどのスピードと精密さで組み上げていく。

 

するとハリエが近づいてくる。

 

「スネークさん、頑張ってくださるのはいいんですが、大丈夫ですか?疲れるんじゃ?」

 

「いや、大丈夫だ。これくらいなら休憩はいらん。」

 

するといつのまにか近寄って来てたカンナが口を開く。

 

「何かスネークさんならものすごくデカイ魔物でも一人で倒せそう。」

 

「ああ、倒したことあるぞ。」

 

「え!?あはは、まあスネークさんなら本当にやっちゃいそうだね。」と言うと呼ばれたのか他の所へ走っていった。

 

その後、順調に作業が進み、日が暮れた所で今日の作業は終了となった。

 

スネークは用意された宿舎に戻ろうとする。

 

が、ディアンサが複雑な顔をしながらどこかへ歩いて行くのを見て追いかけた。

 

「‥‥‥」

 

「どうした?そんなところに一人で。」

 

「え!?うわっ!?スネークさん!?」

 

驚き転びそうになったところを踏みとどまり自分の胸の内を語った。

 

「私‥この公演が終わったら巫女じゃなくなるんです。これで終わりか‥って思って‥」

 

「なんだ?巫女は嫌か?」

 

「い、いえ‥そういう事では‥実は私人前に出るのが得意じゃないんです。今まで誰にも言ってませんけど‥スネークさんには言いますね。」

 

「私聞いた事あるんです。公演が失敗したら良くない事が起きるって。それもありますけど失敗したくないんです!失敗しちゃったら、更に人前に出るのが怖くなると思うんです。」と笑う。

 

「お前は考えすぎだ。失敗した所で今までの努力が無駄になる訳じゃない。それに失敗するからこそ人は強くなる。」

 

「スネークさんにも失敗はあるんですか?」

 

「あるな。沢山な。」

 

「ふふっ、それ聞いて私落ち着きました!今回で‥最後ですけど頑張ります!あっ!それと‥」

 

改めてスネークの方を向き口を開く。

 

「遅くなりましたけど、今日は助けていただいてありがとうございました。」

 

「別にいいさ。俺は頼まれた事をしただけだ。それよりも頑張れよ。」

 

「はい!あ、それと不思議だったんですけど、どうしてあの時スネークさんは間に合ったんですか?距離離れてたのに。」

 

「まあ、それは‥俺の身体能力だな。訓練の賜物だ。」

 

本当は薬のおかげだが、そこは伏せておこう。

 

「訓練でそうなるんですか!?すごいなぁ。」

 

そして二人して笑う。

 

「そういや、ディアンサは巫女卒業したらどうするんだ?」

 

本当はまだ卒業は先なのは知っているが、まだ言うわけにはいかないな。

 

「まだ‥何も決まってませんけど‥スネークさんはこのお仕事が終わったら‥その‥団長さんのもとに戻るんですか?」

 

「まあ、そうだな。約束の日時はとうに過ぎてるからな。」

 

「そうなんですね‥」と落ち込んだ顔を見せたが、すぐに立ち直った。

 

「私!祭壇のほうで踊りの練習してきますね。」と歩き出す。

 

「一人では危険だな。俺も行こう。」



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20話

祭壇の方には、まだ人がいるから大丈夫と言ったディアンサだが、結局折れてスネークも付いてくる事となった。

 

向かった先で喧嘩が起きていた。

 

「だから大祭壇には巫女タンが来るんだろう?待ってんだァ、俺達ァ。引っ込んでろ!!」

 

「この祭壇の上にいまちゅかねー?」

 

「祭壇に登るな!!そこは神聖な場所なんだ!」

 

「なんだ、テメェ、文句あんのかよ!」

 

どんどん彼らとイクニア達はヒートアップしていき、一触即発の雰囲気が漂ってくる。

 

 

 

「講演前の祭壇に上がるなんて・・・イクニアさんは絶対こんな事しない。あの人達、よその人?」

 

「ええ。巡業の時期にお酒を飲んでるので外から来た観光客の可能性が高いです」

 

スネークとディアンサの近くにいたイクニアがディアンサの質問に答える。彼も遠巻きに事態を見ていた一人だった。

 

ならず者たちの暴走は止まらない。彼らは遂に松明に使う油を大祭壇の石像に撒き、火をつけてしまった。

 

 

「ぎゃーつはっはっは! カッコイイじゃねえか!」

 

「な・・・・何してるの!せっかくスネークさんとイクニアの人達が設営したのに、燃えちゃう!」

 

「く・・・・もう我慢ならん!お前達、許さないぞ!」

 

「あーん?」

 

「いいか、その祭壇はなぁ!余所者が汚していい場所ではない!」

 

堪忍袋のきれたのか、大声を上げた

 

ふと、ならず者の一人が声の聞こえた方に視線を大声を上げたイクニアの近くにいるディアンサを発見する。

 

「って・・・・あそこの女、巫女ちゃんじゃねえの?」

 

「おい、おいおいーい!酒につきあえよ巫女ちゃん」

 

「・・・・・・・・・!」

 

ディアンサを発見したならず者達が大祭壇からおり、ディアンサの元に向かってくる。

 

「俺たちとあっそぼうぜぇ〜」と手を伸ばす。

 

スネークはすぐにディアンサの前に出てその手を掴み、突き飛ばす。

 

「おいおい、飲みすぎだ。とっとと帰れ。」

 

「なんだぁ〜てめえ!どきな!」と殴りかかってきたが、スネークはそれを躱しボディに一発入れた。

 

その拳は的確に鳩尾に刺さり、男は白目をむいて倒れた。

 

「て、てめぇ――やりやがったな!」

それを見たもう一人が手に持つ銃を構えた。

 

「きゃあああ!」

 

それを見ていたディアンサが叫ぶと辺りに妙な気配が満ちた。

 

 

突如火の中から出現する魔物

 

「な・・・・魔物・・・!?」

 

現れた魔物達は銃を構えたならず者に襲いかかる。

突然の事に一行は呆気にとられる。その中でスネークは冷静にディアンサを抱き寄せると右足のホルスターをからハンドガンを取り出した。

 

「え・・・・・・・・え?!!」

 

突然抱きかかえられたディアンサは困惑しているが、スネークはお構いなし。

 

ハンドガンから放たれる4発の銃弾、その全てがならず者を襲おうとする魔物に吸い込まれるように直撃し魔物を消失させた。

 

何者かが走ってくる足音が響く。

 

「これは一体・・・・・!」

 

いつのまにか祭司が息を切らしながらこの場に到着しており目を見開いていた。

 

「それが、祭司様!そこのならず者二名が祭壇に火を放って・・・・ディアンサ様が止めに入られて すると火から魔物が・・・」

 

 

「な・・・・・!ディアンサ、あなた一体何を?」

 

「わ、私は何もしていません!ただ、そこに倒れている人が銃を構えたので・・」

 

スネークが銃をホルスターにしまい、ディアンサを援護する。

 

「ああ、なんだかよく分からないが、魔物が出てきて俺が倒した。」

 

「これも、巫女の持つ力・・・・?驚いたわね。・・・なんにせよ無事で何よりです。スネークさんも手間をかけさせてしまい申し訳ありません」

 

「ああ、問題ない。」

 

「ス、スネークさん・・・降ろしてください」

 

「ん?ああ、すまない。」

 

ディアンサの声で、今もなお抱きかかえていた事実を思い出したスネークは優しく彼女を降ろす。

 

 

その後、イクニア達がならず者を縛り上げ、祭壇の被害を確認する。

 

すると運良く石像が煤だらけなだけで祭壇の被害は少ない事が分かり一同は安堵する。

 

明日、石像の掃除を祭司からスネークは頼まれそれを了承した。

 

「よろしくお願いします。・・・ところでリナリアは?」

 

「み、見ていません、多分ですけどホテルにいると思います・・・・」

 

「そう。様子を見てきます」

 

 

 

そう言って祭司は、頬を赤くしたディアンサとスネーク達のもとから去っていった。

 

 

 

「俺は便利屋にでもなったのか?まぁいいか。今日は戻るか?ディアンサ。これでは、ろくに練習も出来ないだろう。」

 

「は、はい!・・・スネークさん待ってください」

 

祭壇から歩いて離れていくスネークに返事をして彼に追いつこうとディアンサは駆けだした。

 

 

 

 

 

誰しもが寝静まった深夜。

 

 

「はぁ、はぁ・・・・・・夢、か。怖かった・・・・・」

 

ディアンサは夜中に目を覚ました。辺りを見渡しても誰もいない・・・ここが自分の部屋だったのを思い出す。

 

「・・・・練習、しよう」

 

寝間着のネグリジェから踊りの衣装に着替え、音を立てないよう部屋を出た。

誰しもが寝静まった夜、少女は練習する・・・失敗しないため、自分の不安を解消するために。

 

 

汗を流し必死に踊りの確認をするディアンサ・・・・・そんな彼女を影から段ボールを被って見守る男がいた。

 

 

 

 

こうして夜は更けていく。男は願う、彼女の最後‥突然の宣告を彼女が乗り越える事が出来るようにと・・・

 

 

 

 

 

翌日、欠伸をしながら手際よく祭壇の石像を掃除するスネーク。

 

彼の手で石像は元の綺麗さを取り戻した。

 

「ああ、スネークさん石像綺麗にしてくれたんですね・・・・・どうしたんですか?そんな欠伸ばっかりして」

 

「ああ、それが昨日全く眠れなくてな。」

 

「ダメですよ、夜更かししたら」

 

ディアンサの忠告を受け取った後、もう一度おおきな欠伸をするスネーク。スネークらの姿を見てディアンサは軽く笑う・・・・。そんな彼らの元に祭司が近づいてくる。

 

「ありがとうございます。これで遅滞なく公演が行えます。

 

綺麗になっている石像を確認し、祭司はスネークに一礼した。

 

 

 

 

 

 

夜の公演に向け、巫女達の最後の調整が始まる。スネークの仕事は終わり、観客席の一番後ろで公演が始まるのを昨日届けてもらったマウンテンデューを飲みながら待っていた。

 

陽が沈み、会場にイクニア達が集まった。

 

公演が始まる直前、いつものように祭司が登場するが、今回は一言だけではなく……公演前に話しがあると言う。

 

ディアンサ派のイクニア達はこれが彼女の最後の公演なのだと悲しそうにしている。しかし悲しんでいるだけでは無い、彼らは目を見開きディアンサの最後の公演を目に焼き付けようとしていた。

 

「嫌な予感がするな。」

スネークは一人呟いた。

ディアンサの事はもちろん信じている。だが彼女の性格から思うに突然告げられては動揺してパニックを起こす。

そうなってしまえば公演は失敗する。

その事を祭司は考えなかったのか?

 

祭司は突如リナリアに話しをふった。巫女達も知らされていなかったのか皆驚いた顔をする。

 

リナリアが自信満々に告げた内容・・・それは独立して単独公演をすると言うものだった。

 

それはスネークも知らなかった。大方ディアンサの話を聞いたリナリアが「自分も!」と言ったのだろう。

 

イクニア達も突然の発表で驚いたようで、反応は様々である。

巫女とは二年間の巡業で力を蓄え、この島の平和と繁栄を守るもの、そして公演で歌う巫女様は必ず五人組。

 

昔からの伝統を破ろうとする祭司に批判の声を上げるイクニア達もいれば、応援する声もある。

祭司は語る。この枠組みの影響でかかる労力、そして長年に渡り進行を集めれば強力な力が宿る可能性があると。

 

「つまり、島の繁栄のため目指すべきは単なる象徴としてではなく真の意味での神格化!島の巫女にまつわる枠組みをまずは人数制限から壊す。リナリアにはその試金石となってもらいます」

 

 

だがスネークは祭司の言葉を聞き、一理あると考えていた。

時代により文化や伝統は変わっていく。様々な国を渡り歩き見てきたスネークは知っている。新しいことに挑戦するのは決して悪いことではない。伝統に囚われ続けるだけでは衰退していくだけだと言うことを。

 

 

しかし次のリナリアの言葉にイクニア達は更に声があがった。

告げられたのはディアンサも単独公演をするというものだった。

 

スネークはディアンサに目を向けると、やはり彼女は今の今まで知らされていなかったのだろう、誰からみても彼女が狼狽しているのは明らかだった。

 

 

リナリアは知らない、ディアンサが一刻も早く巫女を卒業したいと思っている事を・・・または知っていながらも、ディアンサに負けたままで終わりたくないと起こした行動なのかもしれない。

 

勝ち逃げを許したく無かったリナリアが、無理矢理ディアンサを巻き込んだのだろうとスネークは推測する。

 

 

動揺の収まらない会場。そのざわめきに割って入るように楽師達の演奏が始める。

困惑する四人の巫女。中でもひときわ狼狽していたのは他ならぬディアンサだった。

 

「マズイ!」

予想が現実になった!

 

なんとか調子を取り戻していくディアンサ以外の巫女達。しかし、対照的にディアンサのステップは乱れていく。

そして曲の最後を飾るステップで足をもつれさせ、転倒してしまった。

 

 

 

 

完璧のはずの巫女の失敗に、会場全体が混乱に包まれる。

観客の中で一人を除いた誰もが、信奉する巫女の単独公演の発表に動転してたのかもしれない混乱の渦はどんどん大きくなっていく。

 

巫女達が場を沈めようと声をかけるが、すでに手遅れ、リナリア派とディアンサ派の喧嘩が始まってしまう。

しかし唐突の地鳴りによって争いは止まる。

 

一部の人達の声が響く

 

「石像が・・・・!石像が・・・・!」

地鳴りの発生源・・それは今日スネークが必死に綺麗にした石像が声を上げて涙を流したことによるものだった。

 

 

 

スネークはディアンサ達の元に駆けだした。人の隙間を駆け抜けあっという間に祭壇に到着すると、動き出した石像の目の辺りに銃弾を叩き込んだ。

 

 

まるでスポンジのように吹き飛んだ石像は動きを止め、やがて石像から飛び出た何者かが飛び出し忽然と姿を消した。

 

 

「何が起きたか私には推し量ることはできません」

舞台袖から祭司が姿を表す。彼女も困惑しているのが見て取れる。

 

「ただ、あの存在の出現は公演での失敗が引き鉄となったかもしれません」

 

「・・・・・・!」

 

ディアンサの表情がどんどん沈んでいく。その目には涙を浮かべ――

 

「原因として考えられるのはそれだけじゃないだろう。」

 

ディアンサを庇うようにスネークが祭司の前に立つ。自分の予測を否定され、睨むように祭司がスネークを見る。

 

「どうして関係ないと言えるんですか、あれが何者なのか祭司の間ですら語られた事のない存在です。それを……部外者の貴方に何が分かるんですか?」

 

「確かに俺にはアレが何だったのか分からん。」

 

「なら―――」

 

「だが、今までの公演と違うのはこの嬢ちゃんの失敗だけじゃない、2年間共に生活して、彼女にこんなサプライズをしたらどうなるか考えなかったお前が原因だって可能性もあるだろう‥な!」

 

スネークはそう言って、いつの間にか巫女達の背後に向かって来ている魔物に向かって銃を抜き放ち、迫ってきていた魔物を沈黙させる。

 

 

「とりあえず話しは後だ、一体逃げるとしようぜ」

スネークの案に皆賛成し一同は祭壇から離れるのだった。

 



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21話

逃げる住人達を守るため、殿を務めるスネークは街の住人達を無差別に襲う魔物達を撃ち抜く。

 

「だんだん増えてるな。裁ききれるか?」

 

そのスネークの呟きに反して魔物達は消えた。

 

スネークは銃をしまい、段ボール支援を要請した。

 

街中に魔物が溢れて、最早魔物の巣窟と変わり果て始めた街を警備隊の人たちと制圧していくが、イタチごっこにしかならない。

 

大元を破壊すればと考えたが、祭司によりそれは止められた。

 

スネークは巫女達が宿泊しているホテルに帰る。

 

スネークがホテルに到着すると、ディアンサがスネークに気がつき駆け寄ってくる。

 

ディアンサの表情は今までの憔悴している顔から変化しており、多少元気に見えた。

 

「スネークさん!・・これ見てください」

 

「何か分かったみたいだな」

 

ディアンサは、年季の入った本のある一部を指し示した。

 

そこには書かれていたのは

 

金色の仮面の星晶獣・・・かつて島を滅ぼしかけた、暴食の獣。その力は万象の因果さえ歪める。

 

魔物を生み出す瘴気は空間の因果が歪んだ結果だと説明する。

巫女達の歌と踊り、そして巡業は金色の仮面の星晶獣を封じる儀式だったと・・・・。

「前に本で読んだんですが、とある島では狂暴な星晶獣を歌で眠りにつかせるとか・・・・」

 

祭司とディアンサが発見した内容から、もう一度イクニア達の巫女への進行を取り戻す策を練り始めた。

策を練る巫女と祭司、スネークもその話し合いに参加し対応策を話し合っていた。

 

対策を反している途中、静かにその場を離れていくディアンサ、スネークは直ぐさま小さい発信器を指で弾き、放れていくディアンサの襟元に付ける。ディアンサは自分の体に発信器が着いたことに気づいていない。

そして彼女を追いかけるように消えていくリナリアも同じく発信器を取りつけた。

 

スネーク以外の人達がディアンサとリナリアがホテルからいなくなったことに気がついた時、スネークの持つ無線機ではつい先ほどまで一緒にいたのだが、別々の方向に向かって移動を始めていた。

 

様子を見守っていたスネークだったが、ディアンサが大祭壇の方向の向かっているのに気がつくと直ぐさまホテルを飛び出し、ディアンサのいる反応がある方向に駆けだした。

 

リナリアと喧嘩別れに近い別れ方をしたディアンサは大祭壇に向かって足を踏み出した。

彼女の心の中は恐怖と罪悪感で満たされており、正しい判断が出来ない状態であった。

 

 

 

魔物を何とか偶然落ちていた段ボールを被って避けながらディアンサは大祭壇のある街にたどり着く。段ボールを脱ぎ捨て、満ちる瘴気と魔物にたじろぐも、勇気を振り絞ってさらに足を進めた。

 

「怖い・・・・でも、大丈夫・・・・」

 

公演前よりもさらに酷い怖さに必死に耐えるよう足を進める。

「♪願わく未来はいいことがいっぱいって――・・・」

(なんで歌ってるんだろう・・・私の行動をスネークさんが知ったら悲しむかな・・)

 

察しがいい人は気づいたかもしれないがディアンサは自らを生贄にして騒動を止めようとしていたのだ。

 

そしてディアンサは今の感情が公演前に近いせいだと自分で検討をつける。

(ふふ・・・・そっか・公演前の、祭壇に上がる時・・本当に、死ぬほど怖かったんだ・・・でもこないだ魔物に襲われて死にかけた時は歌わなかったな~あんなに一瞬を長く感じたのに・・・・何でだろう?)

 

 

ディアンサは気がついていない自分の歌う声が次第に大きくなっていること、その声を聞きつけて魔物がディアンサに迫っていることに。

 

ついにディアンサの視界に魔物が映る。

「あ!・・逃げなきゃ私は・・・祭壇からこんな遠い場所で死ねない」

 

ディアンサが後ろを向き駆けだそうとするが、足が止まる。

 

魔物はディアンサがここまで来るのを待ち構えていた。まるで狩りのように獲物が逃げられないタイミングまで待っていたのだ。

 

ディアンサは既に魔物に囲まれていた。逃げ場などない。彼女を助ける者はいない。

 

しかし、魔物達はディアンサを襲うことは無かった・・・出来なかったのである。

 

 

ゆっくりとM16を構えながら一人の男が歩いてきた。

 

「待たせたな。伏せろ!ディアンサ!」

 

その声にすぐ地面に伏せたディアンサの頭の上を銃弾が通る。

 

ディアンサを囲む魔物達に一斉に銃弾が命中し吹き飛ばす。

 

ディアンサはこの何日かでソレを何度も見ていた、自分の失敗したせいで街を走り回り街の住人を守ろうと戦う男の姿を。

 

男はゆっくりと近づきディアンサの元にたどり着き、手を掴み立たせる。怒られるとディアンサは確信していた。もしかしたら殴られるかも知れないと目をつぶる。

 

しかしそんな考えは杞憂に終わる。

男は依然、自分を褒めてくれた時と同じように優しく男は手を載せた。

 

「ダメだ、ディアンサ・・・命を無駄に散らすな。」

 

 

 

その一言、その行動で彼女の心を折れた。

 

ディアンサはとっくの昔にすでに限界だったのだ。彼女は罪悪感でここまで歩いて来た。

 

巫女であり、このような事態を引き起こした自分を生贄にすれば治るんじゃないかという思いを抱えながら。

 

そして恐怖を感じ、逃げ出したい気持ち、死にたくない気持ちを必死に押さえ込んで。

 

ディアンサはスネークに抱きつく。そしてダムが決壊したように泣き出した。ごめんなさいと何度も呟きスネークの服を涙で濡らす。

 

スネークはディアンサを慰めながら落ち着くまで胸を貸し続けた。

 

 

ディアンサが泣き止み、落ち着きを取り戻しかけていた時。スネークはディアンサを自分の背中に隠すように移動させる。

 

「さてさっきからこちらを見ているのは誰だ?いい加減出て来たらどうだ。」 

 

「え・・・・」

 

スネークは物陰に向かってM16を構える。ディアンサもスネークが見ている方向に目を向けるがそこは暗がりで特に人の姿は見えない。

 

「どうやら気づかれていたようだな。」

 

男が一人物陰から出てくる。

その男はフルフェイスの仮面をつけ、ボロボロのマントを羽織っていた。それよりも目立つのは身の丈ほど、もしかしたらそれ以上の大きさの大剣を背中に背負っていた事だ。

 

「よせ。お前と戦う気はない。偶然この島を訪れただけだ。」

 

「なら、その仮面を取れ。」

 

「それはできないな。」

 

「なら名前を名乗れ。」

 

「それならいいだろう。俺の名はジークフリート。元黒龍騎士団長。」

 

 




さて、舞い歌う五花も、もうすぐ終わります!(次で終わります。)


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22話

「黒竜騎士団?知らないな。」

 

ディアンサも同じようにうなづく。

 

「俺は追われてる身でな。悪いが、この仮面は外せないな。」

 

「それでその騎士団長とやらが何の用だ?」とM16をしまい、代わりにハンドガンとナイフを構える。

 

「俺は、この街から出られないのなら、ここで起きている事件の解決に手を貸そうと思った。・・・そしてお前達は魔物の巣に向かっていた。ならばこの騒動の解決方法を知っていると考え監視していただけだ。」

 

スネークはこの男の発言に嘘がない事を確信し、銃とナイフを降ろした。

 

ジークフリートは握手を求め、スネークとガッチリと握手をした。

 

「しかしお前の銃だが‥見たことない形をしているな。」

 

その時ディアンサは自分に巫女の力が少量だが戻っている事に気がついた。

 

「スネークさん、祭壇に行きましょう。知らない間に巫女の力が少量ですが戻っています」

 

「俺はこの島に詳しくない。行動はお前たちに任せる・・・・・魔物は任せろ」

 

 

スネークとディアンサ、そしてジークフリートを加え3人は大祭壇に向けて魔物を蹴散らし進んでいく。

 

 

 「大祭壇はもうすぐ・・・大丈夫、勇気をだせ、わたし!・・・・」

 

スネークは発砲とナイフファイトを切り替えながらディアンサを守りながら祭壇に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

「スネーク。やはりただ者ではないな」

 

「当たり前だ。」

 

目的地にはあっさり辿り着いた。

もともとここまでスネークは一人で魔物を倒して来ているのだ。そこにもう一人戦える人物がいたら、護衛する人物がいたとしても過剰戦力であろう。

 

 

すでに、ディアンサの目に恐怖はない。

それはここまで次々と一行の最前列でジークフリートと共に魔物を倒し続けている男の後ろ姿を見ていた影響なのかもしれない。

 

 

 

 

ディアンサは弱々しい輝きを身にまといながら、舞台に上がる。自信に満ちあふれた声で高らかに呪文を唱える。

5人に比べれば、その声はあまりにも小さい・・・しかし。

 

――どこからともなく姿を現す星晶獣、そしておびただしい数の魔物。

 

 

「スネーク!雑魚の相手は俺がする!星晶獣は――」

スネークはハンドガンとナイフをしまい、M16を抜いてディアンサが立つ舞台を守るよう立ちはだかる。

「任せろ・・・・ディアンサ!お前はとりあえず頑張って歌い続けろ。さてそれじゃあ戦うとするか。」

 

星晶獣に向かい銃を向け、引き金に指をかけた。

 

ジークフリートは走りだし、魔物の大軍に向けて大剣を軽々と振るう。

 

 

己の行く手を阻むスネークに星晶獣は牙を剥く。

自分の二倍以上の大きさを持った星晶獣の鼻頭にスネークは銃弾を放った。

 

放たれた銃弾は直撃し星晶獣を後方に吹き飛ばす。しかし、ダメージは与えたものの倒す事は出来なかったようだ。

 

星晶獣は立ち上がり再びスネークに迫る。もう一度銃を撃とうとしたスネークだが・・・。

 

「な!?」

 

因果を曲げる力で訳も分からずスネークは転倒した。その後何度も立ち上がろうとするが、スネークはそのたびに尻餅をつく。

 

 

「スネーク!何をしている」

魔物を殲滅しているジークフリートから声がかかる。

「俺が聞きたいくらいだ!おかしいんだ、立とうと思っても立てないんだ!」

 

 

今もディアンサの声は舞台から聞こえてくる。彼女は必死に歌っている。

 

そんなスネークを気に止める様子もなく、星晶獣はスネークの横を通り過ぎ祭壇に近づいていく。

 

それを止めようとスネークが星晶獣に投げる為グレネードのピンを抜こうとし、ジークフリートがディアンサを守ろうと舞台に向かって走り出した時。

 

 

 

 

 

よぉぉーッソイ! よぉぉ―ッソイ! よぉぉ―ッソイ!アソレソレソレソレソレ!

突如男達の声が響き渡った。

 

男達の声に弾かれるように星晶獣は祭壇を離れた。すると、そのタイミングでディアンサの体が輝きだした。

 

 

星晶獣の動きが止まる。

 

 

 

突然力が戻ったことに驚くディアンサ、そんな彼女に近づいてくる人物達がいる。

 

「もう、リナリア早く~」

 

「はぁ、はぁ・・・間に合った・・・」

 

「・・・・・・疲れた」

 

舞台に最初に現れたのはカンナ、次に息をきらしたリナリア、その後をハリエ、ジオラが続いて舞台に現れる。

 

「みんな・・・・どうして」

 

そして彼女達の後を追うように現れるたくさんのイクニア達。

 

ハリエは表情を変える事無く、ディアンサに近づいていく。

 

「ディアンサ!!」

 

「な、何?ハリエ」

 

突然現れたハリエに唐突に呼びかけられ事困惑するディアンサ。

 

「私達も一緒だから。もう一人で抱え込まなくていいよ。」

 

「え・・・・」

 

そんなディアンサにハリエは優しく話しかける・・・そして謝った。

 

ディアンサが怖がっている事を、気づかないふりをしていたと。

 

リナリアは伝える。星晶獣・・ショロトルは巫女とイクニア達が多も友達だった事を忘れてしまって悲しんでいると。

 

突如ディアンサの頭にリナリアの聞いてきた事、

 

星晶獣ショロトルの記憶が流れ込んでくる。

 

一頭の犬が星晶獣に改造され、親友を失い、彷徨った果てにこの島に辿り着いたのだと。

 

「今のは・・・?」

 

「ショロトル様、寂しくて怒ってたんだって・・・イクニアさん同士で喧嘩してティクニウトリなんて言われてもね」

 

ジオラが流れ込んできた記憶を説明する。

 

 

するとハリエが舞台の先端に走っていき、ショロトルと戦っているスネークに声をかける。

 

「一体どうなってるんだ?魔法にでもかかったみたいだが?」

 

スネークはゆっくり立ち上がる。動かなくなったショロトルを見つつ、今回は問題なく立ち上がれた事に首を傾げた。

 

「スネークさん!!」

 

背後からハリエがスネークを呼ぶ声が響く。

 

攻撃を再開したショロトルの前足の攻撃を前転で躱しながら応える。

 

「どうした!?」

 

「私達がこの会場を盛り上げるまで、ショロトル様を食い止めてください!」

 

「なんだと!?・・・分かった!・・任せろ!」

 

スネークがショロトルの攻撃を躱し、舞台の方に目を向けた。

 

そこには元気そうな笑顔を見せるディアンサと力を取り戻した巫女達の姿がある。

 

 

 

スネークは彼女達が解決策を見つけたと信じ、ショロトルを睨み新しいマガジンを交換する。

 

そして銃をショロトルに向ける。

 

「スネークさん!攻撃は禁止です。」

 

こんどはディアンサの声が響く。

 

「な!?」

 

もう一度巫女達の方を向き直るスネーク。そこにはこちらを見てウィンクをしながら親指を立てるディアンサがいた。

 

「‥!危うく三枚におろされるとこだったな。」

 

間一髪、頭をそらすことで攻撃を避ける。

 

 

「しょうがない。やってやる。」

 

スネークはショロトルの攻撃を躱し続ける。

 

 

 

スネークは緊急回避をし続けて避ける。

 

 

ショロトルの前脚の横薙ぎに巻き込まれた魔物が制圧された。

 

これで、ジークフリートの活躍により祭壇付近の敵は一掃された。

 

ジークフリートがスネークの元に向かい、スネークに迫っていた爪を大剣で受け止める。

 

「ジークフリート助かったぞ。」

 

「別に構わん。要するにこの犬との追いかけっこだな。受けて立とう!」

 

 

 

その後巫女達の歌は無事ショロトルに届き、悲しさは薄れ消えていった。そしてその姿は島の空気にゆっくりと溶けていくのだった。

 

ショチトル島の瘴気はふき払われ、島は元の平穏を取り戻す。

 

 

それから二日後――――――

 

「ディアンサ・・あなたがもしこれからも公演に関わろうという気持ちがあるなら楽士という道もありますよ?」

祭司の提案にディアンサは首を横にふる。

 

「私、まだ将来のことはよく考えていません。・・・ですが、やりたい事ならあります」

力強くディアンサは応える。

 

祭司の顔に驚きは無い・・・答えは分かっていたようだ。

 

「そうですか、いつでもこの島に戻ってきていいですからね・・・それとこれとこれを渡して置きます。」

 

そう言って頭部に金色の台座が据えられた一本の短杖と一振りのナイフを取り出した。

 

「祭司様・・私は島を出るとはまだ、言っていませんが・・それにこれは・・・・」

 

祭司はこの杖を使えばどこでも巫女の力が使えると説明する。ナイフは護身用だそうだ。

 

「さて、挨拶はこの程度にしておきましょう・・・ディアンサ急ぎなさい。彼はもう時期この島を出て行くそうですよ」

 

「え・・・嘘!!・・・・祭司様知ってたんですね!!・・・・・・急がなきゃ、祭司様二年間ありがとうございました」

一度頭を下げ慌てて走っていくディアンサを暖かい目で祭司は見送った。

 

 

 

(どうしよう!・・・どこにいるんだろう・・・それに荷物も何も準備していないし‥)

心配事を考え間に合わないんじゃないかと涙を少し滲ませながら懸命に艇の発着場に向かって走る。

その時、ふとディアンサの視界に4人の人影が映る。

 

 

「ディアンサ!!急いでこの先よ!!」

 

声の主は巫女達のまとめ役のハリエ、彼女の手には大きなトランクがある。

 

「ど、どうしてここに!!それに、それは私のトランク・・・」

 

突然自分のトランクを渡され驚くディアンサ。ハリエの後ろではカンナとリナリアがしてやったりと笑顔を見せていた。

 

「て、手紙頂戴ね!絶対だよ!」

 

「わ、わかった」

 

リナリアに返事をしてトランクを引きディアンサは走りだそうとした時。

 

「スネークさんはモテそうだからねぇ~敵は多いぞぉ~」

 

カンナがディアンサの耳元で呟いた。

 

「な!!!」

 

途端に顔が赤くなるディアンサを見てハリエ達は笑顔を見せる。反論しようとディアンサが口を開くこうとする。

 

「ほ~らいったいった!!早くしないとディアンサの初恋終わっちゃうよ~」

 

カンナがディアンサを艇の発着場の方向に押し出す。

 

なにやら言いたそうな顔をするディアンサだったが、ひとまず堪え、発着場に向かって走り出す。

 

 

 

「「「「またね!!ディアンサ!!」」」」

背後からディアンサを応援する声がかかる。

 

応援を受けディアンサは懸命に走る。

息はとっくに乱れているが彼女は走るのをやめない。

 

 

 

 

 

 

 

男は小型の艇に荷物を入れるのを手伝っていた。乗せてもらう代わりに手伝っているのだろう。

 

ディアンサは間に合ったことに安堵し一度止まると大きく息を吸って・・・。

 

「スネークさん!!!・・・・・私も連れて行ってください!!」

大きな声で叫んだ。

 

 

 

 

それは長い旅路・・彼女が眼帯の男と共に空の果てを目指す旅が始まった瞬間だった。

 

 

(舞い歌う五花編 終了)




はい!舞い歌う五花編終わりました!これからスネークはディアンサと二人旅ですね。おそらく。

次は‥どうしましょうかね?

ヒントは‥‥騎士かな?



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アストレイ・アルケミストinアウギュステ編 23話

すいません、やっぱり元々スネークはグラン達に追いつこうとしてたのでアウギュステに行きます。


アウギュステ列島

 

「へ〜 ここがアウギュステなんですか!」

 

ディアンサはキラキラした目をしながら窓から眼前に広がる海を見る。

 

どうやらディアンサは海を見たことがないらしい。

 

「ふっ、かなり夢中で見ているようだな。どうだ?池なんか比べ物にならないだろう?」

 

「はい!すごいです!」と窓から目を離さずに答える。

 

そう話していると運転手の老人が俺たちに言ってきた。

 

「眼帯の旦那!発着場の所に瘴気が立ち込めてやがる!これじゃあ着陸は無理だ!」

 

スネークはすぐに窓から外を見る。

 

発着場に瘴気が立ち込めていた。そして発生源を双眼鏡で確認すると海からだった。

 

「いつもあんな感じで海って荒れるんですか?」とディアンサが聞く。

 

「お嬢ちゃん、そんな事はないんだよ。この海はリヴァイアサンの加護があるからな。」

 

「な!?グラン!」

 

スネークは双眼鏡越しにグラン達を発見した。

 

「よし!あれを使おう。こういう時の為に用意しておいた。ディアンサ何も言わずにこいつを背負え。」

 

「何ですか?これ。リュック‥?」と言われるがままに背負う。

 

ディアンサは気づいていなかったのだ。これから自分に起こる出来事を。

 

「運転手。悪いがディアンサの荷物は後から届けてくれ。」と言いながら壁に付いたハンドルを回して入り口を開けた。

 

バガっと開いた入り口から風がゴオッ!と吹き込む。

 

「よっと!」とディアンサを脇に抱えて入り口近くまで歩く。

 

ディアンサは今になって、これから自分に降りかかる災難に気づいた。

 

「ヤダヤダヤダ!!!絶対嫌です!冗談ですよね‥?ね?スネークさん?」とひどく怯えた顔をしながらいう。

 

その顔を見たスネークはニコッと笑い、聞いた。

 

「お前、鳥って好きか?」

 

「え、ええ‥好きです‥」

 

「鳥みたいに飛んでみたいと思った事は?」

 

「ありますけど!今は!嫌です!!!」

 

「そうか‥分かった。」

 

その言葉にディアンサはホッとする。

 

しかしスネークの次の言葉に絶望した。

 

「よし!鳥になってこい!幸運を祈る!」と空に放り投げた。

 

ディアンサが悲鳴をあげながら落ちていく。

 

それを追うようにスネークも飛んだ。

 

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!ショロトル様助けてぇぇぇえええ!!!」

 

 

 

ディアンサは風でめくれ上がる自分のスカートのことなど考えることが出来ないようで、悲鳴を上げながら海面に向かって落ちていた。

ディアンサを信奉するイクニアの人達が見ていたらどんな反応をするだろうか……とりあえずスネークは襲われるであろう。

 

しかし彼女は偶然だが落下耐性の姿勢をとっていた。そんな彼女の元に空に放り投げた人物が上から近づいてくる。

 

「ほう、教えてもないのに落下姿勢を取れるとはな‥いいセンスだ。そして大丈夫だディアンサ、そいつはパラシュートだ。地上に近づけば勝手に開く」

 

そう言い残しディアンサと同じスピードで落下するのを維持していたスネークは、直立不動の姿勢をとり、どんどん加速し瘴気に向かって猛スピードで突っ込んでいった。

 

やがて、弾丸のように濃い瘴気の中に突入し海竜……リヴァイアサンと戦うラカムとカタリナの姿を確認したは、アサルトライフルを抜き、構えた。

 

パラシュートを開いてからマガジン一本分を撃つ。

 

自分の上でディアンサのパラシュートが開いたのを確認し、笑う。

 

が、スネークは気がついていなかった。海の中からこちらに放たれた水の弾丸に。

 

時は少し遡る。

 

グラン達は、アウギュステ列島に到着し浜辺で水遊びをしていた所、警備隊をしていたオイゲンと遭遇する。

 

その後帝国の兵器開発により汚染された海を取り戻すため協力し、施設を無事沈黙させた。

 

そしてグラン達はアウギュウステの兵士と帝国軍が衝突するザニス平原に向かった。

 

向かう途中オイゲンに一同はルリアの秘密を教え、グランの覚悟を知ったオイゲンが旅に同行することになった。

 

 

 

ザニス高原でアウギュステの兵士と帝国軍が衝突し、クラン達は暴走するリヴァイアサンを沈めるため、海岸に向かう。

 

しかし、リヴァイアサンの元に辿り着く直前、ポンメルンとフィリアスに遭遇し、ラカムとイオ、そしてカタリナがリヴァイアサンの元に向かいグランとルリア、そしてオイゲンが魔晶の力によって変身したポンメルンと戦っていた。

 

ポンメルンと戦っていたグラン達は劣勢だった。なぜならグラン達の周りはポンメルンだけではなくフィリアスの部下の帝国の兵士がグラン達を包囲していたためだ。

さらに、兵士たちは陰湿でグラン達よりもルリアを狙うため、オイゲンとグランは攻勢に踏み出せないでいた。

そんなグラン達を遠くからフィリアスが笑いながら眺めている。

 

 

ポンメルンの攻撃をなんとか反らすことで耐えたグランだが、既に体力は限界のようで膝を着く。

 

膝をついたグランに向かって帝国の兵士が剣を振りかぶり迫る。

 

「グラン!前です!」

 

ルリアの声で危険が迫ったのを悟ったグランは素早く立ち上がり迫る剣を弾き、自分の剣を帝国兵士の首元に突き刺した。

 

その光景を見て一瞬怯んだ周りの帝国の兵士の隙を見逃さず、オイゲンの大砲のような銃弾を直撃させ、周りの数名の兵士をはじき飛ばした。

 

「大丈夫かグラン!」

 

「オイゲンさん僕はまだ戦えます!!」

 

オイゲンがグランに走り寄る。二人は軽く言葉を交わした後、自分達の目の前に佇んでいるポンメルンに目を向ける。

 

 

「その絶望しない目つき!!生意気ぃ~ですネ!!」

 

魔晶の力で変身したポンメルンはまだまだ余裕がありそうに佇んでいる。一方……。

 

「俺はコイツの目が気に入ったがな? 真っ直ぐでいいじゃねーか!」

 

既にグランもオイゲンも息が上がり体力の限界は近かった。

 

「ふん、どこまで威勢を張っていられるか楽しみですネ!!」

 

再び迫る攻撃……しかしルリアが呼び出したコロッサスが攻撃を受け止める。

 

「ッ!!」

 

突然出現したコロッサスに攻撃を防がれ、ポンメルンは驚くが直ぐさま後方に飛び一度距離をとった。

 

 

「私も、戦います!守られるだけは嫌なんです!」

 

「嬢ちゃんがいれば百人力だな」

「分かったルリア・・だけど無理はしないでね」

息を整え終えたグランが剣を構え、コロッサスが出現していた間に銃に火薬をつめたオイゲンはグランを援護するようにポンメルンに向かって銃を構えた。

 

 

その時、どこからか少女の悲鳴が響き渡る。

 

グランとオイゲンは悲鳴が聞こえ一度足を止めた。

悲鳴はどこから聞こえてくるのか探す二人は自分達のはるか上空から聞こえてくることに気がつく。

 

グランとオイゲン、そしてルリアは空に目を悲鳴の主を確認しようと上を向き―――。

 

そしてこの世界の銃では聞かないタイプの銃声が鳴り響く。

 

グランはこの音の正体を知っていた。

 

グランは走り出した。

 

そして何かがリヴァイアサンに当たり、痛みに悶える。

 

その何発かが目や鼻などの生物の急所に炸裂したようでリヴァイアサンは耐えきれず倒れこむ。

 

その様子を信じられないといった感じで、ポンメルンも例外ではなかった。

 

その隙を逃さずグランがポンメルンに斬りかかる。ポンメルンも気がついたがグランの渾身の一撃の方が早かった。

 

それが決定打となりポンメルンは変身を解除され帝国兵は撤退を余儀なくされた。

 

そしてそのあと何かが海へ落ちて水しぶきが上がった。

 

 

戦いが終わり剣を納めるグラン、そしてグランの元に駆け寄るオイゲンとルリア。

 

「やるじゃねーかグラン!!不覚にも俺は突然どこからか聞こえた聞きなれねえ銃声に驚いちまって動けなかった」

 

「グラン!!凄いです格好良かったですよ」

 

「オイゲンさんは仕方ないですよ、僕は似たような音を聞いていたから動けただけです」

 

オイゲンは驚く顔をする。それに対しルリアは何か分かったように笑顔を見せる。

 

「あ、じゃあやっぱりあの銃声はスネークさんだったんですね!」

 

 

オイゲンはスネークという名前を聞き、グラン達の仲間で今は別行動している人物がいる話しを思い出し、その人物に興味をもった。

 

一撃でリヴァイアサンを沈める人物……ただ者ではないと。

 

「こいつはたまげたぜ、グラン、そのスネークってやつはすげぇな」

 

 

そんな彼らの元にパラシュートがポスッと地面に落ちる。降りてきたパラシュートの真ん中で何かがもぞもぞと動いており、誰かが近くに降りたったのを理解したグランは剣を再び鞘から抜き、オイゲンは銃を構える。ルリアはその二人の後ろに隠れ、顔をのぞかせていた。

 

やがて何とかパラシュートから抜け出してきた人物。その姿はこの場に似つかわしくない格好をした少女だった。

 

「い、生きてる!! ……やった、私生きてるよ!!ショロトル様!!ありがとうございます!!」

 

突如現れ、自分の生還を大声で叫ぶ少女。その姿を見て危険はないと判断したグランとオイゲンは武器を降ろした。

 

 

「あの~貴方は~?」

 

そんな叫んでいる彼女に向かってルリアが近づいて声をかけるルリアをグランとオイゲンは見守っている。

 

すると、遠くからリヴァイアサンと戦っていたラカム達がこちらに向かって駆けてくるのが目に入り、二人はやっと戦いが終わった事を理解して安堵の表情を見せるのだった。

 

 

 




前に言ってた騎士はアウギュステが終わってからにします。


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24話

「私の名前はディアンサです。スネークさんと旅をしています。」

 

「うん、スネークから聞いてるよ。僕はグラン。よろしく。」

 

全員と握手をしていき、ディアンサはある事に気づく。

 

「スネークって奴はすごいな!いきなり空から現れたと思ったらリヴァイアサンを制圧しちまうんだぜ?」

 

オイゲンが酒を飲みながら笑う。

 

グラン達は新しく仲間になったイオやオイゲンにスネークという今は別行動している仲間について話していた。

 

「あのー スネークさんは‥?」

 

「あ!本当だ!みんな!どこにいるか分かる?」

 

「オ、オイラ‥海‥しかも沖に落ちたの見たぜ‥」とビィが言う。

 

「海に!?」

オイゲンが驚く。

 

「おいおい、いくら穏やかな海だっていっても沖に落ちたら戻って来られるか‥」と言いながら下を向く。

 

それに続いてカタリナ、ラカム、イオが下を向く。

 

ラカムがタバコをくわえ、火をつけようとした瞬間ぽとりと落とした。

 

「な‥嘘だろ‥!」

 

「ふ〜 全くひどい目にあったな。バックパックを落とした時より悲惨だ。」

 

頭にタコを乗せ眼帯のところにヒトデ、身体中に海藻を巻きつけたスネークが店に入ってきた。

 

「スネークさん!」とディアンサが駆け寄って抱きつこうとする。がスネークはそれを制す。

 

「海水で服が濡れるぞ。」

 

「あ、はい。」

 

そう言いディアンサを連れてみんなのもとへ向かう。

 

「やあ!スネーク!元気そうじゃないか!」

 

「久しぶりだ。グラン。」と握手をする。

 

そしてスネークにとって見知らぬ顔のイオとオイゲンと挨拶する。

 

そしてスネークとオイゲンとラカムで酒盛りが始まった。

 

スネークはオイゲンから注がれた酒を一気に飲み干す。

 

「おお!おまえさん!いける口か?ほら飲め飲め。」

 

「そうだ。グラン!」

 

「なんだい?スネーク。」とジュースを飲みながらこちらに歩いてきた。

 

「カリオストロはどうした?」

 

「カリオストロなら帝国の基地に潜入中だ。」

 

「どうしてだ?」

 

「帝国が錬金術師を集めてて、中には拉致もあるけど。それで帝国と錬金術師たちで何か起こそうとしてんじゃないかって思ってね。」

 

「そうか。で、やつはダンb‥」

 

「今帰ったぞ。グラン。」

 

カリオストロが帰ってきた。

 

戦力が避けなかった為、やむなくカリオストロ一人で送り出したがボロボロだった。

 

「どうしたんだよ!カリオストロ!」とグランたちは駆け寄り手当をする。

 

「大丈夫か。カリオストロ。」

 

「ああ、スネークか。俺様は大丈夫だぜ?それにほらよ。」とポケットから書類を出してきた。

 

「俺を治療してグランサイファーに運んでくれねえか?早くこの書類に目を通したい。」

 

手当をしてラカムとイオが付いてカリオストロを艇まで送り届けた。

 

そしてカリオストロ、ラカム、イオを除くメンバーで先程戦っていた場所まで戻る。

 

するとザバッとリヴァイアサンが海から現れる。しかし目から敵意は感じられず正気を取り戻していた。

 

「ごめんね?痛かったよね?もう大丈夫だよ。」と言い手をかざす。

 

するとリヴァイアサンの体が粒子状になりルリアの手に吸い込まれていく。

 

「悪いが、その力‥こちらにも渡してもらうぞ。」

 

「な!?黒騎士!何故貴様がここに!」

 

カタリナは武器を抜きながら言う。それに習い皆武器を抜く。

 

ディアンサはスネークの後ろに隠れ、スネークはかばうように腰からハンドガンを抜き構える。

 

「こちらには貴様らと戦う理由などない。人形よ、やれ。」

 

そして人形と呼ばれた少女が前に出る。

 

その子が手をかざすと残りのリヴァイアサンの体が吸い込まれていく。

 

「何!?その子もルリアと同じ力を!?」

 

そしてリヴァイアサンを吸収し終えるとまた黒騎士の後ろに下がった。

 

そして何も言わずに去ろうとしたが、足を止めて振り返る。

 

「そこのバンダナ。貴様は何者だ?」

 

間接的にとはいえ、自分にも視線が向いている事に気付いたディアンサは身を強張らせる。しかしスネークは銃を構えたまま見る。

 

「俺か。ただの蛇。それだけだ。」

 

満足いく答えを得られたのか否か分からなかったが、黒騎士はまた歩いて行った。

 

 



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25話

夜、艇に帰るとカリオストロは食堂で書類を読んでいた。

 

そこに全員で集まる。

 

スネーク達が帰ってきたのに気づくと分かった事を話し出した。

 

書類を片っ端からパクってきたらしいが、特に重要なことは書いておらず、分かった事は研究所の本部の場所と錬金術の始祖、つまりカリオストロを狙っているということだ。

 

「なら、早いうちにその研究所を叩こう。」

 

「いいのか?別に俺一人で充分なんだが。」

 

カリオストロはグランの提案に対して苦言を言うがグランに押し切られていた。

 

「それでよ?スネーク。お前の後ろに隠れてる女は誰だ?」

 

「ディアンサ‥です。」と隠れながら答えた。

 

その後、ディアンサのスカートを指でつまみ、中を見ようとするカリオストロをスネークは止めた。

 

 

そして今日はオイゲンとディアンサの歓迎会が開かれることとなった。

 

「それではオイゲンとディアンサの入団を祝して‥乾杯!!」

 

グランの挨拶で始まった。

 

スネークは早速オイゲンに捕まり、ディアンサはイオに捕まった。

 

その後、オイゲン、ラカム、スネークによるショットガンが始まり、先に潰れたラカムを捨て、決着がつかないスネークとオイゲンがお互い上半身裸となり相撲を取り始めた。

 

それをみて呆れるカリオストロやカタリナ、歓声をあげるグランやビィやディアンサ。

 

こうして夜は明けていった。

 

次の日、グラン、カリオストロ、ルリア、ビィ、ラカムの研究所探索組とそれ以外の島に残る組に分かれた。

 

飛び立ったグランサイファーを見送り皆思い思いに過ごす。

 

オイゲンは馴染みの傭兵団で依頼をこなしながら研究所の情報を仕入れる。

 

スネークとディアンサは浜辺に来ていた。

 

「さて、ディアンサ!どこからでもかかってこい!」

 

「はい!行きます!や、やあああ!!!」

 

「ふん!」

 

「きゃあ!」ドタッ!

 

浜辺に来た理由は一つ。ディアンサがスネークにCQCを教えてもらうためだ。

 

ディアンサは今のところ武器は祭司から貰った杖と護身用のナイフだ。

 

杖による支援を主に担当しているが、あれから何回か見たナイフ一本で剣を持った敵と渡り合うスネークに憧れていた。

 

そこでスネークからCQCを習おうと考えたのだ。

 

さっきはディアンサがナイフを腰に構えスネークに突っ込んだが、ナイフを持つ手を掴まれ手首を捻られる事でナイフを落とし、そのままスネークの右足でディアンサの右足を刈り地面に倒した。ということだ。

 

因みにディアンサがナイフをそういう風に構えたのはスネークから「殺すつもりでこい。」と言われていたからだ。

 

スネークも久し振りにCQCの訓練を行う事が出来るので楽しんでいた。

 

「お!スネーク。張り切ってるな!」

 

声がした方を見ると、カタリナとイオがこちらに歩いてきていた。

 

「スネーク。あんたディアンサに何してたの?もしかして乱暴してた?」とイオにいわれスネークは慌てて訂正する。

 

「いや、違う。ディアンサが俺のCQCを習いたいと言ってきてな?教えていたところだ。」

 

「ほう、CQCとはなんだ?みたところ、軍隊格闘術のようだが?」とカタリナが興味ありそうな感じで聞いてきた。

 

「CQCは、俺と俺の師匠で作り上げた格闘術だ。こちらが素手の時に武器を持った相手と対峙した時に使えるものだ。」

 

「え?あんたが持ってる銃の方が強いんじゃないの?」とイオが聞いてくる。

 

「そうとも限らん。接近戦においては銃よりもナイフの方が出が早い。」

 

 



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26話

「私も元軍人として、そのCQCに興味がある。もしスネーク殿さえ良ければ、ご教授願えないだろうか?」

 

「ああ、別に構わん。」

 

そこからディアンサとカタリナとイオに対してCQCを教える事となった。

 

やはりといったところだが、カタリナは筋がいいな。流石元帝国軍人だけある。

 

イオも発展途上とはいえ年齢にしてはできてるほうだ。

 

ディアンサ、お前が一番できてないかもしれんが、最初からできるものなどいない。まだまだ伸び代があるのはいいことだ。

 

そして訓練は昼に終わり、カタリナとイオと別れて街へ行くこととなった。

 

街に行く理由はシェロカルテからの依頼の斡旋だ。内容は遺跡調査の為のボディーガード。

 

シェロから依頼人との集合場所を聞き、集合場所に指定されている喫茶店に入る。

 

自分はコーヒー、ディアンサはレモンティーを、あとついでにつまもうとフライドポテトを注文し、注文の品が届いたところで無線が入った。

 

とりあえず少し葉巻を吸ってくるといい、外に出る。

 

「こちら、スネーク。」

 

「スネーク、久しぶりね!」

 

「ボス、久しぶりだな。」

 

 

「!? EVAとオセロットか!」

 

「驚いただろう?うちの諜報班の連中が血眼で探したんだ。」

 

「しかしボスいったい俺たちを呼び出して何の用だ?」

 

「スネークでいい。俺は今訳あってそちらとは別の世界にいる。」

 

「それは聞いている。俺たちも最初は信じられなかったがな。」とオセロットは笑いながら言う。

 

当たり前だ。俺だって自分のところのスタッフがそんな事を言ってきたら、すぐにでも医療プラットフォームに送り込んでるところだ。

 

「でもスネーク。どうして私まで呼んでくれたの?私はあなたに嫌われてると思ってたけど?」

 

そうEVAは自嘲気に笑う。

 

EVA。彼女はスネークイーター作戦の際に出会った女性だ。ソ連関係者だと思っていたが、あとで聞いた話では中国側だったらしい。

 

そして俺がFOXを離れるきっかけとなった【恐るべき子供達計画】に関わった。彼女は俺の遺伝子ととある日本人女性の遺伝子を掛け合わせた受精卵を体に入れる。つまり代理母に志願した。

 

あの時は俺も不信感が募ったが、今では彼女もFOXとは関係ないらしい。

 

「ああ、今は俺がいないからな。その間だけだ。」

 

「そう。でも嬉しいわ。またあなたの声を聞くことができて。」

 

「そろそろカズに代わってくれ。」

 

「おお、スネーク。もうひとりの男はさておき、女性の方はどこで知り合ったんだ?まったく羨ましい!」

 

「手を出すなよ?男として再起不能にされるぞ。」

 

「ひっ!ま、まあ気をつけるさ。何か変わりはないか?」

 

「武器を送ってくれ。」

 

「武器か。何がいるんだ?」

 

「スタンロッドと‥そうだな。ガバメントを送ってくれ。」

 

「どうしたんだ?装備を多く持つとは。お前らしくないな。」

 

「今連れているバディ用だ。女性だ。」

 

「なに!?いけてるのか?」

 

カズが無線の向こうで鼻息が荒くなっているのが分かる。

 

ため息をつき、言う。

 

「多分な。」

 

「そうか。早急に研究開発班に作らせて送る。ミラー、アウト。」とプツッと無線が切れた。

 

それから2分後、空からダンボールが現れ、俺の上に落ちてきた。

 

俺はそれを持ってディアンサのもとに戻ると、男に絡まれていた。

 

「ねえねえ、彼女。誰待ってんの?良かったらその間俺たちと遊ばない?」

 

昼間から酒を飲んだ男がディアンサの肩に手を置いた。

 

助けようと一歩踏み出そうとした時、横を何かが通った。

 

少女がさっきまで俺が座ってたところに座ると、コーヒーを一口飲む。

 

苦い顔をしてからその男の方を向く。

 

「私と待ち合わせしてるから帰ってくれる?」

 

その少女はニコッと笑いながら言うが、その少女は勘違いをしている。それはお前が男だった場合なら有効だ。

 

「おうおう!可愛い子がもう一人追加か!ますます遊びたくなったぜ!」

 

「ちょ!?」

 

やれやれ、俺の出番だな。

 

「おい、その辺にしろ。俺の連れだ。」

 

「チッ!」と酔っ払いの二人は去っていった。

 

「怪我はないか?」と言いながら座る。

 

「はい。」

 

「おじさん、ありがとう!うちはクラリス!美少女錬金術師だよ。よろしくね!いぇい☆」

 

「‥(カリオストロと同じ空気を感じる。)」

 

「‥(リナリアと同じ空気を感じる。)」

 

二人は突然の名乗りに驚いた。

 

「あれ?ダメだった?おっかしいな〜 地元じゃウケるのに〜」

 

「‥‥そうか。君がシェロカルテから聞いた依頼人か。詳しく内容を聞こうか。」

 

「うん。私ある人を探してて、あ!詳しくは言えないんだけど遺跡を巡ってたら出会えるかな〜って!」

 

しらみつぶしだと‥無謀にも程があるだろ。

 

口から出そうになった言葉をすっかり冷めたコーヒーで流し出発した。

 

「ディアンサ、これを渡しておく。」と先程送られてきたスタンロッドとガバメントを渡す。

 

「これなんですか?」

 

「お前用の武器だ。スタンロッドは文字通り相手を無力化する為の物だ。このスイッチを押すと電気が流れる。暴徒鎮圧から感電死させるくらいの調節ができるダイアルも付いている。

そしてガバメントだ。これは一度撃たないと分からない。後で遺跡に入る前に撃とうか。」

 

「はい!ありがとうございます!」と一緒に送られて来ていたホルスター付きベルトに装着した。

 

そして遺跡に着く。

 

スネークはその辺りからビンを拾い岩の上に置く。

 

「まずは構え方からだ。まず銃を右手で持ち、左手の掌底を右手に当てろ。おっと!まだ引き金に指をかけるな。暴発するぞ。」

 

「腕をまっすぐ伸ばしフロントサイトとリアサイト‥これとこれだ。これが合わさるようにしてビンを見ろ。」

 

「よし!撃ってみろ。」

 

ドン!

 

「キャッ!!」

 

銃弾はビンを外れ明後日の方向へ飛んで行った。

 

「しょうがない。今回だけはレーザーサイトを使おう。」

 

今回支給されたガバメントにはレーザーサイトとフラッシュライトが取り付けられている。

 

「とりあえずレーザーサイトの光を頼りにビンを撃ってみろ。」

 

ドン!パリン!

 

「やった!当たった!」と命中させた嬉しさで飛び跳ねる。

 

「とりあえず今から入る遺跡内では銃の出番はそこまでないだろう。行くぞ!」

 

 



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27話

3時間後‥

 

「かんぱーい!」カシャン!

 

スネーク達は最初に合流した喫茶店にいた。

 

潜ってみたものの大した魔物は出ず、ほとんど自分だけでなんとかできてしまっていた。

 

「それにしてもホワイトラビットとカスケードジェリーを食べようとする人がいるなんて驚いたよ!」とクラリスは言う。

 

「はははは‥スネークさんの悪食は今に始まった事じゃないですから。」

 

「おいおい、二人とも。確かに魔物だが、要はウサギとクラゲじゃないか。食べられないものではない。それに戦場では今食べてるフライドポテトやパスタが落ちてる事はない。サバイバルが出来ないと生き残れないぞ?」

 

「ええー!うちはいかないもん!」

 

「だがディアンサはどうだ?俺と行動を共にするなら、またあるぞ?」

 

「う‥努力します。」

 

そしてテーブルの上の料理がなくなってきた頃、クラリスが言った。

 

「うち他にもやらなきゃいけない事があるからそろそろ帰るね?報酬は後日入れとくから!じゃあね!」

 

クラリスは自分が食べた分のお金をテーブルに置き走って店を出て行った。

 

「別に俺が全員分払っても良かったのだが‥」

 

「あ、スネークさん。ごちそうさまです。」

 

スネークは料金を払い店をあとにした。

 

しかしその頃クラリスは‥

 

「はぁはぁ‥もうあいつらしつこい!うちに何の用なのよ!」

 

何者かに追われていた。

 

クラリスが店を出てから数分後に声をかけられ、直感で身の危険を察知し逃げる、相手は追いかけてくるといった状況だ。

 

クラリスはこの街に来たのは一昨日のため、地の利がないのだ。

 

そしてクラリスが角を曲がる。がそこは行き止まりだった。

 

「へっへっへ!追い詰めたぞ!小娘!」

 

「貴様みたところ錬金術師のようだな。悪いが上の命令で錬金術師は全員捕まえろって話だ。悪く思うなよ。」

 

そう言いジリジリと距離を詰めていく。

 

クラリスはすぐに爆破しようと手をかざすが、ハッと気がつきすぐに手を引っ込めた。

 

爆破自体は強力で追っ手を撃退するのには十分すぎる威力だ。しかし加減が出来ず近隣住民に被害が及ぶ可能性が高い事は自分がよく知っている。

 

打つ手がなくなったクラリスは観念し涙が流れそうになった瞬間、屋根から何者かが降りてきた。

 

「おいおい、男5人で少女一人を襲うとは趣味が悪いぞ。」

 

「ス、スネーク!」

 

「待たせたな。」と言いながらナイフを抜く。

 

「な!?貴様は!?指名手配犯の!」

 

「嘘だろ!?ええい!仕方ない!二人まとめてだ!」と前にいた兵士3人が剣を抜き襲いかかってきた。

 

彼らは前衛が3人、後衛が2人の布陣だ。通常の戦い方なら前の3人が主で戦い、合間に後ろの二人が魔法なりを撃つ。確かにそれは有効的な戦い方だ。だが彼らは勘違いをしている。それはここが狭い路地だった事だ。

 

一番前の男が剣を横薙ぎにするが、壁にぶつかり途中で止まる。

 

そこをスネークが敵のがら空きの顎に左ストレートを打ち込む。

 

男はそのまま失神する。

 

前の男が一撃でやられた事で残りの4人は動揺するが次の男が剣を振り上げてきた。

 

角度から袈裟斬りと判断して柄を握る手の上から掴み、もう片方の手で顎の辺りを掴む。

 

そのまま足を刈り地面に後頭部から叩きつける。

 

後衛の2人は魔法を撃とうするが、最後の前衛が邪魔で撃てずにいる。

 

俺は敵の剣を払い落とし、後衛に向かって投げ飛ばした。

 

後衛が巻き込まれ3人とも気絶したことを確認してスネークはクラリスの方を向く。

 

「大丈夫か?」と言い手を差し出す。

 

「う、うん。ありがとう。」

 

そう言いクラリスは出された手を握り、立ち上がらせる。

 

「あれ?ディアンサさんは?」

 

「仲間に引き渡してきた。それにしてもやはりこいつらだったか。」

 

「こいつらって?」

 

「ああ、遺跡を出てからずっと尾行されていると思ったが、クラリス目当てだったとはな。とりあえずうちに来い。団長なら匿ってくれるだろう。」

 

 



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28話

「だが、その前にこいつらの尋問だな。おい、起きろ!」ドガっ!

 

俺は倒れている中で一番装備が良い奴を蹴り起こす。

 

「ウギャ!」

 

「そのまま両手を頭の上に置け。いいな?寝ながら俺の質問に答えろ。」

 

「まず。この誘拐は誰の命令だ?ただの人攫い‥って訳ではないだろう?」と銃を突きつけながら聞く。

 

「知らんな。貴様などに言うことは何もない。」

 

まあ、こうなるのは分かってる。

 

だが、俺はここで見逃すほど甘くないぞ。

 

俺はすぐに男の頭の近くを撃つ。

 

「ヒィッ!」

 

「忘れていたが、俺の質問に嘘をついたり、黙秘をしてみろ。お前の指を一本ずつ折る事になるぞ。どうだ?全部で5回までチャンスがあるぞ?」

 

「それに指の次は歯だ。32本あるぞ。」

 

「‥分かった!分かったから!」

 

「なら、最初の質問に答えろ。」

 

「下っ端だから詳しい事は知らないが、上が錬金術師を大量に集めているんだ。何か‥大きな事をやるらしい。」

 

「それはなんだ?」

 

「それは知らない!本当だ!」

 

ふむ、嘘はついていないようだな。

 

因みにこれは念の為にオセロットも通信で聞いている。

 

オセロットも嘘はついていないと判断しているようだな。

 

「後はお前が知っている情報を全て吐け。残さずだ。」

 

そこからその男は全て吐いた。後半は泣きながらだ。少し小便の臭いもしたな。

 

「もう‥ありません‥許してください‥」

 

俺はそれを聞いてもう一度男に蹴りを入れ気絶させる。

 

「オセロット。男の話は全て本当か?」

 

「ああ、口調などから嘘は感じられなかったな。それにしても‥すまん。」

 

「何を謝ってるんだ?オセロット。」

 

「ボスが一人で苦しんでいるのに俺たちは何もできない事だ。」

 

「そのことか。大丈夫だ。お前たちの声を聞くことが俺の力になる。」

 

「ボス‥分かった。こちらでも何故そちらの世界に飛ばされたのか調査してみる。アウト。」ブツっ!

 

スネークは艇に先に帰していたディアンサにクラリスを預け自室で眠りについた。

 

 

次の日

 

目を覚ましたディアンサは今も気持ちよさそうに寝ているクラリスを起こさないように部屋を抜けだし、ロビーに向かう。

 

昨日の夜中に突然起こされたと思えば、昨日分かれたはずのクラリスを任され、その後クラリスに何があったのか事情を聞いていたため、昨日は余り眠れていないのが現状である。

軽く欠伸をしながら階段を降りロビーに辿り着いたディアンサは目的とする人物を見つけた。

 

「スネークさん、おはようございます」

 

「ああ、おはようさん」

 

スネークはサンドイッチと珈琲の朝食を美味しそうに食べている。その光景にそれにつられたのか、ディアンサも同じものを注文しスネークが座る4人掛けの席に腰掛けた。

 

「それで、なんで突然クラリスさんを連れてきたんですか?」

 

「ああ、昨日帝国兵に拉致されそうになっていたところを助けた。」

 

「・・・そうですか」

 

その後、スネークはディアンサに経緯を詳しく説明し、ディアンサは彼の話に相槌をうちながら聞いていた。

 

スネークが本当にその場に偶然居合わせたかは分からないが、話している内容はディアンサが昨日クラリスに聞いていたものと合致していた。

 

さらにスネークは続ける。

 

「それで、帝国軍と結託している錬金術師の親玉はパラケルススって奴で、今はこの書類に書かれている奴の研究施設がある島で開祖を襲う予定らしい」

 

そう言って、スネークは話しながら何処から数枚の書類を取り出しディアンサに差し出す。

 

差し出された書類をとりあえず受け取り、ディアンサは疑問を口にする。

 

「これ・・・どうしたんですか?」

 

「ん?ああ、昨日潜入して盗んできた。意外とザルな警備だったぞ。俺がそこの教官なら全員訓練のし直しだな。」

 

スネークは当たり前にように話す。

 

昨日、ディアンサにクラリスを頼んだあと、この島にある帝国の施設に単身乗り込み、バレる事無く、必用な書類を頂いてきたらしい。

 

突然聞かされたことの大きさに驚きながら、ディアンサは書類に目を通す。

 

しかし、とにかく字が小さく、賢者の石や開祖だの所々の単語は分かったのだが、書いている内容は全く理解出来ずにディアンサはしばらく書類と睨めっこをしていたが、諦めて澄まし顔で書類をスネークに返したのだった。

 

「まあ、俺もこんな書類は読むのがめんどくさいが、要するにグラン達が危ないって事だ。」

 

書類を受け取ったスネークはそう言い終えると、話すことは終わったとばかりに、食事を再開した。

 

団長が危険だと言うが、スネークが落ち着いているため、ディアンサもスネークに続くように注文した自分のサンドイッチに手を付けたのだった。

 

「ごっめーん!!寝坊しちゃった」

それからしばらくして、クラリスがロビーに顔をだし、3人とも朝食をすませたのだった。

 

 

「スネークさん、昨日は本当にありがとうございました」

 

食事が終わったタイミングでクラリスが姿勢を正し、スネークに感謝の意を伝える。

 

「別にかまわん。俺も奴らに接触しないとと思っていた所だ。それよりクラリス・・そんなことより今後の話しをしようか。」

 

クラリスの礼を受け流すようにして今の現状を説明し始めた。

 

クラリスに一通りの事情を説明し、グランとカリオストロそして捕まっている可能性が高いクラリスの両親を助けるため、3人はパラケルススがいるであろう、とある島に向かって移動を開始した。

 

 

 



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29話

島に向かう定期便の大型の騎空艇に乗り込んだ3人だったが、意外にも定期便の利用者は多く、スネーク達の他にもかなりの人数が乗り込んでいた。目的の島には五時間ほどかかるらしく3人は艇の甲板で作戦会議を行っていた。

 

 

「それじゃあウチとディアンサちゃんでグランくん・・・団長くんの援護に向かえばいいのね?」

 

「ああ任せろ、もしもまだ捕まってたらお前の親を俺が助けてくるこよう。」

 

最初クラリスが親を助けに行くと言っていたのだが、スネークの説得によりグランの援護に行くことになった。

 

理由としては、クラリスの攻撃手段は潜入には向いておらず、人質含めて塵にしてしまう可能性があるからだ。

 

そして、クラリス一人ではグランだと分からない可能性があるため、ディアンサも同行することになった。

 

 

「それで、ディアンサちゃん・・・その団長さんはどんな姿なの?」

 

少し考えるディアンサ。

 

「そうですね・・・凄いお人好しですね」

 

 

その会話を聞きスネークは葉巻を咥え、船内に向かって消えていった。

 

取り残されたディアンサとクラリスは小さくため息をついたあと、鞄から何も書かれていない紙を取り出すとリナリア宛てに手紙を書き始めたのだった。

 

「あれ?ディアンサちゃん。そのリナリアって?」

 

そこからディアンサはクラリスに自分が巫女だった事を言い、興味を持ったクラリスが質問しながら話を聞くといった感じになった。

 

ディアンサとクラリスが楽しそうに会話をしているのを物陰に隠れるながら見てスネークは通路に戻る。

 

 

 

葉巻を吸いながら通路を歩くスネーク。これから島に付くまで何をしようか考えて、通路の曲がり角を曲がったところで何者かとぶつかってしまった。

 

「おっと、すまん。」

 

「こちらこそ、すまない。」

 

スネークの声に返事をするように聞こえてきたのは男の声。

 

スネークは自分よりも上から聞こえた声に反応し顔を上げ、ぶつかった相手を見て驚く。

 

「デカイな・・・いや、すまない。ここまでの奴をあまり見た事がなくてな。」

 

スネークが驚いたのは男の体格とその姿にだった。スネークの身長は180センチあるのだが、目の前の大男は2mを優に超えていた。

 

そして何より、大男がもつ、布にまかれた何かが強烈な威圧感を漂わせていた。

 

こいつ‥どこかの傭兵か‥?ただそこらへんの奴とは違う。この佇まいは歴戦のものだ。

 

「いや、気にするな・・・この体は特別製だからな、」

 

 

「ちょっと、バザラガ!!いきなり止まんないでよ!」

大男・・・バザラガの背後から女性の声が聞こえバザラガの背後から一人の女性が顔をのぞかせた。

 

「ああ、彼女連れか。」

スネークの勘違いに狼狽する女性。バザラガは何も語らずスネークを見続けている。

 

 

「すまなかった。俺の名はスネークだ。」

 

ここまでの奴はMSFにもいないな。

 

「って!違うわよ!なんでこんなやつと‥」

 

「同感だな。」

 

「なんだ。違うのか。」

 

「ま、まあ誤解が解けたならいいわ。私の名前はゼタ、よろしく!」

 

女性・・・ゼタと握手をするスネーク。

 

「しかし君は‥いや。君達は傭兵か?しかもそこら辺の奴とは違うな。」

 

そのスネークの言葉を聞いて二人の空気が変わる。

 

ゼタは槍を‥大男は手の中の獲物を持ち直す。

 

しかし‥

 

「え!?そ、そう?アンタ良いこと言うじゃない、そういうアンタも只者に見えないわよ。」

 

「まあ、そうだな。」

 

 

お互いの自己紹介が終わり、スネークが次の言葉を言おうと口を開いた時――。

 

「ゼタ、喋りすぎだ」

 

突如制止の声をかけるバザラガ。その声に反発するようにゼタが噛みつく。

 

「まだ、挨拶しかしてないんだけど!」

 

突如喧嘩を始める2人、このままでは艇内でそれぞれがもつ武器で戦闘になるのではないかという危険な雰囲気が漂い始める。

 

 

「おい、待て。艇の乗客を危険n‥」

 

「黙ってて!」

仲裁に入ろうとするスネークだが、門前払いを受ける。彼らの喧嘩はヒートアップしていくが、突如、バザラガがその場を離れるように歩いて行ったことで突然の終了となった。

 

必然的にその場に残ったのはゼタとスネークになる。

 

「・・・・・・それで? 貴方・・・スネークだったかしら?私に何のよう?」

 

苛ついているのが目に見えるゼタに対しスネークは―――。

 

「最近の帝国について情報が聞きたい。お茶でもどうだ?」

 

 

船内には喫茶店などはなく、飲み物程度しか売っておらず、スネークはそれを2つ買って一つをゼタに差し出す。

ゼタはそれを受け取り、スネークと他愛のない話しをする。

 

 

 

「―――それで、私達はアウギュウステの暴走した星晶獣を倒したっていう人物を探しにわざわざ向かってる訳よ。」

 

「なるほど‥ってことはお前達とはこの艇でお別れか」

 

ゼタがイライラを解消するかのように目的を説明しそれに相槌をうつスネーク

 

 

「それで、スネークは何のためにあの島に向かうの?」

 

「俺か?まあ、知り合いの家族を助けにな」

 

スネークは事情をやんわりと説明する。その後グランの話しや、最近眼帯の男が帝国から重要指名手配にされている話などゆっくり時間が流れていった。

 

「あとこんな事は聞いた事はないか?最近錬金術師達が世界各地で行方不明になっているとかだ。」

 

「うん?ああ、それなら私の仲間が‥って!それ言っちゃいけないんだ。今の忘れて。」とジュースを飲む。

 

そして艇が到着する頃

 

「そろそろお別れね。あの子達?あなたのツレは‥って!なんであいつがいるの?」

 

そちらを見るとディアンサとクラリスが先ほどの大男と一緒にいた。

 

「ああ、あいつらだ。それじゃまたな。」

 

ゼタと別れてディアンサとクラリスと合流する。

 

「スネークさん!探しましたよ!」

 

「ああ、ディアンサ。すまない。」

 

ディアンサの後ろを歩いていたバザラガはスネークに何も言わず横を通り抜け、ゼタの元に歩いていく。

 

「ところで、ディアンサ。あの大男とは知り合いか」

 

スネークは振り向きバザラガに視線を向けながらディアンサに質問を投げかける。

 

「ああ! バザラガさんですか?先ほど書いていた手紙が風で飛んでいきかけた所をとって頂いたんです。話してみたら優しい方でしたよ」

 

楽しそうに出来事を話すディアンサ。

 

「そうか。」

 

その後、3人は甲板で話した通り各々の行動を開始したのだった。



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30話

島に降り立ち、ディアンサとクラリスが帝国兵とパラケルススに追い詰められていたグラン達を助太刀に入った事でピンチを脱出。賢者の石の影響で弱体しているカリオストロをグランが担ぎ、撤退している最中、男の姿はとある施設にあった。

 

 

葉巻を咥え、とある施設を双眼鏡で見つめるスネーク。彼が調べた結果、すでにクラリスの両親は囚われているらしく。軟禁されている目の前の施設には多数の錬金術師と帝国兵の姿があった。

 

スネークは冷静に施設を警備する兵士を確認するが、如何せん人数が多く正面突破は余り良い選択とは思えなかった。

 

「なるほど。ここの警備は少しはまともか。」と葉巻を消す。

 

「待たせたな。今からクラリスの両親及び捕虜の確保を開始する。」と独り言を言い侵入した。

 

 

並大抵の人間では、近づく事すら出来ない警戒状態だが、スネークにとって潜入は本業に近い。

 

そして監視カメラや金属探知機などがないセキュリティが薄い場所を瞬時に見抜き潜入することなど造作も無い。

 

兵士達の視線が逸れたタイミング。または話してる隙に、物陰から物陰に素早く移動。そして時には石を投げて気をそらしたり、警備を絞め落として物陰に隠すなどして着々と進んでいった。

 

スネークはあっという間に、誰にもバレることなく施設内部に潜入することに成功したのだった。

 

少し進んだところで何者かの気配を感じた。スネークは咄嗟に物陰に身を隠し覗こうとした時、第六感が働き首を引っ込めた。

 

するとそこを短剣が通った。

 

「何者だ。帝国兵か?」とその男はスネークに問う。

 

「違うな。俺は任務でここに囚われている人達を助けに来た。」と銃とナイフを構えながら物陰から出る。

 

その瞬間、短剣で切りかかってきた。

 

それを躱す。が男が猛攻を仕掛けてきた。こいつ‥隙が見えん。

 

しかし一瞬の隙をつき、男の腕を掴み地面にねじ伏せる。

 

「くっ‥不覚を取ったか。答えろ。降参だ、殺せ。だが最後に聞かせてくれ。お前は帝国の敵か?」

 

「だったらどうする。」

 

 

 

「志は同じようだな。味方だ。」

 

スネークは拘束を外し話を聞く。

 

この男、名はジャミルというらしい。どうやら帝国が王国だった時代から一族で仕えていたが帝国になってから悲惨な目にあっていたらしい。

 

とりあえずこの男と行動する事にしようか。

 

「しかし主君はどこで習ったのですか?その腕は?」

 

「スネークだ。これは若い頃だ。」

 

 

 

話している内に途中の警備室から施設全体の見取り図を盗み進む。

 

しかしスネークには気になる事があった。見取り図がまるでついさっき取られたような痕跡を見つけた。1枚か。自分以外にも忍び込んでいる者がいる事に気付き、より警戒しながら進んでいった。

 

しかしそれを物陰から見ている事には気づいていなかった。

 

?「ええ‥気づかれてんじゃん。」

 

 

そうとも知らずに遭遇する帝国兵や錬金術師を上手く絞め落とし、施設の奥へと進んでいたスネークとジャミル。

 

 

「ここだな」

 

「ええ、そのようですね。」

 

施設の最奥の部屋、扉は鋼鉄で出来ており見るからに無骨で頑丈、鍵穴が見受けられるが、スネークはここに来るまでにこれほどの物を見つけられていない。

 

「主k‥いえ、スネーク。ここは私が。」とジャミルがピッキングを始めた。

 

「!? 誰だ。そこの物陰から見ている奴は。」と銃を構える。

 

ジャミルも作業を中断して短剣を抜く。

 

すると女が現れた。

 

「スネーク、屠りますか?」

 

「待て。女、答えろ。お前は誰だ。」

 

「わ、私は名乗らん!」

 

「ふっ、足が震えているぞ。ルーキー。」

 

「私はルーキーじゃない!私は潜入に長けたベアトリクスだ!」

 

「ベアトリクスというのか。」

 

「あ!しまった!」

 

その時スネークとジャミルは思った。こいつ馬鹿なのかと。

 

そしてスネークはベアトリクスの服装に気づいた。

 

「そうか、お前がゼ‥何とかが言っていた仲間か。」

 

「な!?お前ゼタに会ったのか!っていうか、どうして仲間だと‥!」

 

「簡単だ。お前の服装が似ているからだ。それに今お前はゼタとはっきり言った。本当に潜入が得意なのか?」

 

「くぅ〜!私をいじめるな!」

 

「まあ、いい。ジャミル。こいつは敵ではない。おそらく仲間だ。」

 

「まあスネークが言うならそうなのでしょう。」とまたピッキングに戻った。

 

 

そして鍵が開いた。

 

 

「・・・・・・な、何事です!?」

 

中から狼狽する女性の声が聞こえ、スネークは銃をしまい部屋の中に入っていった。

 

 

「さがっていろ、プロメティア!」

 

スネーク達が部屋に入ると、中にいたのは2人の男女。彼らはスネーク達の姿を見て警戒をあらわにする。

男が、女を庇うように前に出る。

「何者だ」

 

「俺か?俺の名はスネーク。アンタらの娘に助けるように言われて来た。」

 

スネークの言葉に2人が反応する。

 

「く、クラリスは無事なのですか?何か怪我とかは・・・・・・」

 

「安心しろ。元気にしてると思うぞ。今は別行動中だがな」

 

少し安心した素振りを見せる2人。やがて女性が口を開く。

 

「そ、そうですか申し遅れました。私はクラリスの母でプロメティアと申します」

 

「父のハロルドだ、感謝する」

 

「挨拶は後だ。とりあえず今は脱出が優先だ」

 

スネークがそう言って自分が入ってきた方に目を向ける。

 

「スネーク。最短の脱出経路を確保した。」

 

「分かった。それで行こうか。」

 

「スネーク!残りの捕虜は開放したぞ!褒めてくれ!」

 

「よくやった。」

 

「へへへ、だろ?」

 

「ついて来るんだ。余り音を立てるなよ。」

 

斥候にジャミルを立て、ベアトリクスが前、スネークが後ろに着き、進む。

 

進む道を見るとジャミルがやったのか帝国兵が転がっていた。

 

結局最後まで帝国兵士や錬金術師は気がつかれることなく、スネークは2人を施設から盗みだしていったのだった。

 

帝国兵達が牢の錠前が大半は壊されていたものの捕虜が全員逃げ出している事、そしてプロメティアとハロルドがいなくなっていることに気がつくのはもうしばらく先の事。

 



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31話

「みんな大丈夫?」

 

当初ルリア、ビィそしてカリオストロと研究施設に向かっていたが、それは帝国によるカリオストロをおびき出す為の罠だったらしく。パラケルスス達との戦闘でカリオストロが賢者の石によって弱体化してしまった。

 

グランがルリアとカリオストロを守りながら賢明に戦うも、カリオストロが弱体化した原因でもある賢者の石で錬成された、白い人型の塊・・・・・・ヘルメスの門と呼ばれる兵器には攻撃が効かず絶対絶命の危機だった。

 

そんなタイミングで最近グランの旅のメンバーに加わり、アウギュステにいるはずのディアンサが少女と共に現れ、窮地を救われ、この場所まで逃げてきたのだった。

 

「グラン、私は大丈夫です」

 

「オイラも問題無いぜ」

 

グランの問いに真っ先に応えてくるルリアとビィ。グランは一同を見渡す。

 

息を切らしている自分達を助けてくれたクラリスという少女。そして彼女に声をかけているディアンサ。

 

「す、すごいね、ディアンサちゃんは……ウチもう走れないよ」

 

「私は少し踊りの練習とかで体力が付いただけだよ」

クラリスと対照的にディアンサはあまり疲れている様には見えない。

 

そして最後の1人、グランから変わりデリフォードが今抱きかかえているカリオストロがいる・・・周りを見渡し全員無事に逃げられていることにグランはほっとする。

 

「オイ、おっさん。いいからもう降ろせよ。」

 

その声には恥ずかしさが混ざっており、頬も若干赤くなっている。

 

今のカリオストロの状態はお姫様だっこと呼ばれるものである。

 

デリフォードはゆっくりカリオストロを降ろす。

 

逃げながら途中、軽く自己紹介をするクラリスと、そんな彼女を警戒するカリオストロとの間で少しもめ事があったが、無事に解決していた。

 

グラン達はディアンサとクラリスが指定した場所に向かっている。そこに何があるのかは知らされていないが、ディアンサが行けば分かるとの事なので一同は歩みを進めている。

やがて、集合場所だと思われる広場が見えてくると、その場に立つ人影が見えてくる。

その光景を目にした途端、グランの脇をクラリスが走り抜けていった。

 

グラン達が近づき人影の正体が見えてくると、そこには、ディアンサが現れた時点で、いるであろうと予想していた人物がグランの到着を待っていた。

 

「お父様! お母様!」

 

「クラリス・・・・・・心配かけたようですね」

 

「すまないな、クラリス。お前に迷惑をかけてしまって・・・・・・」

 

「そ、そんなの気にしなくていいって!お父様達が無事なら・・・・・うち、それで十分だから」

 

プロメティアとハロルドの元に駆け寄ってきたクラリス。

その後、両親に何か言われたのか戸惑ったような表情を浮かべるクラリス。

 

家族の再会に水を指さないよう、少し下がったスネークはクラリスが走ってきた方向からグラン達の姿を確認し、葉巻を取り出した。

 

 

「おい、スネークじゃねーか!なんで、オメぇがここにいるんだよ」

 

「ビィ少し黙ってろ。家族の感動的な再会シーンだ。」

 

「あと、横の‥「ありがとう、スネーク。」・・・おい、グラン・・・オイラまだ話してんだけど。」

 

自分の抗議の声をかき消され少し落ち込むビィをおいて、話すスネークとグラン。どうやらスネークがジャミルを紹介しているようだ。

 

「いいってことよ……おお、ディアンサもお疲れさん」

「ははは、私は殆どなんもしていませんけどね……スネークさんはやっぱり凄いですね」

話すクラリス一家に目を向けディアンサが呟く。

 

「そんなはことない ディアンサの援護は助かった」

「そうですか……それなら頑張ってよかったです!」

少し落ち込む素振りを見せるディアンサにグランがフォローを入れる。

 

 

「いいか、ディアンサ、誰にも得意、不得意はあるんだ。完璧な人間なんてこの世にはいないさ。自分の出来ることをやればいいんだよ。」

「は、はい!!分かりました」

 

 

 

 

それから家族の再会を見守ること数分。

 

 

 

 

 

「さて、それじゃ、クラリスそろそろ始めるか」

「ううっ・・・・・・わかったよー」

カリオストロの声に嫌そうに反応するクラリス。

 

 

こうしてカリオストロによるクラリスの錬金術講座が始まろうとしていた。

 

集合場所から移動し、カリオストロがクラリスに講義をしている途中、他のメンバーは近くの建物に入り、現状の報告共有をしていた。

 

「錬金術の勉強・・・・・ですか?それも開祖直々の?」

「はい。クラリスさんにみっちり、教え込むんだそうです。」

プロメティアの疑問にルリアが元気よく答えている。

 

 

どうやら、逃げている途中にクラリスがグランの旅の仲間に加わりたいと言ったようで、グランが頷こうとする直前、加わる条件としてカリオストロがこの講義を提案したようなのだ。

 

外では、カリオストロの怒号とクラリスの悲鳴が聞こえている。

グラン達との合流前、コブラがカリオストロのことを軽く話していたおかげで、プロメティアとハロルドは開祖カリオストロを警戒はしているが敵視してはいなかった。

 

彼らは一通り内容を話したところで、カリオストロ達の場所に向かったのだった。

 

 

 

 

講義が進みカリオストロに教えられたとおりに、錬成をしていくクラリス。しかし中々思うようにいかず、失敗が続いていた。

 

そんな彼女達を遠くから眺めるスネークとディアンサ。

「クラリスさんは大丈夫ですかね」

「分からん・・・だが奴なら大丈夫だ。」

 

彼らが見守る先で再び爆発が起きる。

「ちっ・・・・・・また、失敗か・・・・・」

「・・・・・・ごめん。やっぱり、うちには・・・・・・」

錬成の失敗続きで元気がなくなっているクラリス。カリオストロが励ましていた。少ししてカリオストロがひとり、何かを考え込み始める。

そこにスネーク達と同じようにグランとルリアが近づいていく。どうやら2人も落ち込むクラリスを励まそうとしているらしい。

グラン達のおかげで元気を取り戻すクラリス。もう一度錬成に取りかかろうとした時―――

 

 

 

スネークがディアンサに呟く。

「・・・ディアンサ。俺の後ろに隠れてろ」

「スネークさん一体何を・・・・・・」

ディアンサを背後に回し、スネークはホルスターからm1911を撃ち放つ。

 

スネークの放った銃弾は物陰にいる何かに確かに命中し鈍い音が響く。

しかし、スネークの銃弾が効かなかったのか怯んだ様子は無く物陰の何かから光線が放たれる。

 

「しまった!!カリオストロ!クラリス!避けろ!!!」

 

スネークの声に反応してクラリスとカリオストロが振り向くが時既に遅く、光線がクラリスに迫っていた。

 

「え・・・・・・」

 

「チッ、何ボーっとしてやがる!」

反応出来ず、棒立ちのクラリスを守るためその身を盾にするカリオストロ。

 

「ぐはっ・・・・・・」

攻撃を代わりに受けたカリオストロは力なく地面に倒れる。

 

「まさか、ニグレドの奇襲に気がつく者がいるとは思わなかった、だが残念なことにニグレドには錬金術しか効かないことを知らなかったようだな」

物陰からニグレドを連れてパラケルススが現れる。同時に多数の帝国兵士が後方から駆け寄ってきてスネーク達を包囲する。

 

 

 

 

「今日の俺は運が良い。さぁ、ニグレド・・・・・チャンスだ。開祖を吸収しろ。」

「させるか!」

スネークがm1911の銃口をパラケルススに向けて放つ。

 

だが、その攻撃は近くの帝国兵士が盾となりパラケルススに届かない。

 

「こ何処からともなくゴキブリのようにゾロゾロと・・・・・ディアンサ俺の側を離れるなよ」

「は、はい!!」

 

ディアンサを抱き寄せるスネーク。この間にもグラン達とスネーク達の間に兵士が入り込んできて彼らと段々と距離を離され孤立する二人。

 

スネークは斬りかかってくる兵士にナイフと拳銃で応戦し、撃ち漏らした敵をジャミルが斬り伏せる。スネークは武器を一旦ホルスターに戻すと背中に背負っていた大筒を外し、構える。そして兵士達には銃口を向けず、真上に向かって撃ち放った。

 

スネークが最後に兵士と兵士との隙間から見えたのは吸収されていくカリオストロの姿と絶望するクラリスの姿だった。

 

 

 

 大袈裟な身振りで喜びを表すパラケルスス。そしてニグレドの体にちりばめられた結晶が少しずつ輝きを放ち始める。

やがて閃光が収まると、そこにはカリオストロの容姿を模したニグレドの姿があった。

「あはははっ! これで開祖の知識と技術は私の――――なにっ!!?」

 

突如パラケルススは背後を振り向き手から障壁を展開し、迫るミサイルを防いだ。しかし―――。

「っ!!! なんだ、この攻撃の威力は!!」

 

迫る光弾を防いだパラケルススは息を切らしながら崩れるように、片膝をついた。

「あの眼帯の男・・・何者だ、まぁいい開祖は手に入れた。あの男は今、帝国兵と戦っているはずだ、こっちには来れまい」

パラケルススは体制を立て直し立ち上がった。

 

 

 

 

 

グラン達は帝国兵士達を捌きながら、各々に背中を預けていた。

 

「うちが・・・・・・うちがちゃんと出来なかったから・・・・・・」

「違うクラリス!!まだ何も終わって無い!!」

「そうです!クラリスさん、カリオストロさんも言ってました。まだ何か出来るはずです!」

「なに言ってんの!?そんなわけ・・・・・・」

「大丈夫、カリオストロはそんな簡単にくたばったりしない!」

グランの瞳がクラリスを見つめる。その目にはカリオストロの無事を確信しているように強く輝いていた。

「っ!!」

「私達はクラリスさんなら、なんとかできるって!・・そう信じていますから!」

ルリアの言葉に強く頷くグラン。

「もちろん、オイラも信じてるぜ」

 

グランとルリアが必死に声に反応するように、絶望しかけていたクラリスの瞳に灯りが点る。

グラン達に続くようにプロメティアとハロルドも声をかける。

貴方になら出来ると・・・・・それまでは私達、親が貴方を守ると。

 

 

 

 

 

一同は体制を立て直し、前にいるパラケルスス、そして何人もの帝国兵に向かって各々の武器を構える。

すると 突如、彼らの体を優しい力が包み込む。突然の状態に驚く一同。プロメティアとハロルド以外は全員この力が誰のものなのか知って居た。

グラン達が逃走している時、グラン達の心を支えてくれた力。

 

何も出来なかったと言っていた少女の人の精神力を底上げしてくれる優しい力。

この力こそが彼らが今も戦っていることの証明だった。

 

 

 

 

「そろそろ作戦会議は終わったか?」

余裕そうにグラン達を見据えているパラケルスス。その傍らにはカリオストロの姿を模したニグレドが圧倒的な威圧感を放っていた。

 

 

 

 

 



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32話

カリオストロの姿を模したニグレドと戦うグラン達。

 

しかし、手加減の一切ないカリオストロの圧倒的な攻撃力の前に一行は瞬く間に追い詰められていく。

 

錬金術の爆撃を剣で受け止めるグラン。しかし力を抑えきれず、引きずれられる様に後ろに下がる。

「やっぱり凄いな、カリオストロは・・・・・・いつもは全然力使ってなかったんだ‥」

 

額に流れる汗を袖で拭いながらグランはニグレドを見つめる。

 

そんなグランの声にビィが賛同する。

「改めてカリオストロがとんでもねー奴だってのが、良く分かるな‥」

 

時間と共に賢者の石の黒化の能力によって体が重くなっていく一同。グランも戦闘直後ほどは体が動かなくなっていた。

 

「だけど、ここで負けるわけにはいきません! 今もスネークさんとディアンサさんが帝国兵士さんを抑えてくれています」

ルリアの言葉に強く頷き、再び二グレドへと向かっていくグラン。それをルリアがティアマトを呼び出し援護する。

 

最初、グラン達を取り込んでいた帝国兵士たちも、パラケルススの指示によりスネークのいる方向に向かっているため、今彼らの敵はニグレドとパラケルススのみ・・・勝てるタイミングは今しかない。

 

 

ニグレドの放つ攻撃を星晶獣ティアマトが発生させた風により僅かだが反らし、その隙にグランがニグレドに向かって剣を振り下ろす。

攻撃は確かにニグレドに届き鈍い音が響くが、ニグレドにはダメージを与えたようには見えない。

そんなグランの攻撃に追従するかのように、プロメティアとハロルドの錬金術が炸裂し、爆音と共に辺りは爆発に包まれる。

爆発から逃げるようにグランは再び大きく後退し、剣を構え直す。

 

 

これほどの爆発だ。ダメージを与えられたと確信していた一同だが、その期待は裏切られる。

爆風が消え、錬金術の攻撃を受けてもなお平然としているニグレドが姿を現す。

 

グランは苦笑いを浮かべ、額には汗が流れる。

 

 

彼らの耐えられる時間はもう殆ど残されていない。

 

グランが懸命に戦っている最中、彼の後方でクラリスは必死にカリオストロを助け出すための方法を模索していた。

 

 

 

 

そんなグラン達の戦いを見ているパラケルススは機嫌が良さそうだった。

「良いぞ、実に良い調子だ。有意義なデータを提供してくれ」

 

彼の表情には戦いへの慢心もグラン達への哀れみもない。そこには、ただひたすらに真理を追究使用とする科学者の顔がそこにはあった。

時は少し遡る――――――

 

 

「な!?今までロケット弾を食らっても倒れなかったやつはゴロゴロいたから予想はしていたが、本当に防がれるとはな。あの男。」

 

悔しそうに上に向けた、名をキラービーというバズーカ砲を降ろすスネーク。

ふと、辺りが静かな事に気がつき、見渡すと自分とディアンサに襲いかかってきていた帝国兵士の動きが止まっていることに気がつく。

ヘルム越しでは見えないが、困惑しているのを感じとれる。

 

「が、眼帯とバンダナに、俺たちが見たことのない武装を持つ男・・・・・・」

「ま、間違いない!!コイツがポート・ブリーズ群島での惨劇を起こした人物だ!!」

 

次第に恐怖に染まった、悲鳴に近い声が広がっていく。

 

「スネーク!やはりあなたは凄い人だったのだな。ボス!いやビッグボス!」とジャミルがキラキラした目でスネークをみる。

 

「まさかこの世界でもビッグボスと言われるとはな!いくぞ!」

 

 

「くっ、何をしている!!相手は三人だ!!数で押しつぶせ!!進め!進むんだ!」

帝国兵士の指揮官だと思われる人物の号令を受けて、多数の兵士が自分に渇をいれるように大声を出しながらスネークに向かって突撃してくる。

 

「おっと!危ないぞ、ディアンサ。」

右手で背後にいたディアンサの腰に手を回し抱き寄せる。彼女がいた場所を帝国兵士の放った銃弾が通過していく。

スネークは左手で銃を抜き放ち、迫り来る帝国兵に向けて同時に六発を撃つ。

その全てが直撃し、喰らった帝国兵士が地面に倒れ込む。

 

その間を縫ってジャミルが帝国兵を屠る。

 

「ありがとうございますスネークさん・・・って・・・え、歌うんですか?それも今!?」

 

波のように次から次へと迫る兵士に向かってm1911をぶっ放していたスネークだったが・・・。

 

「切りが無い!ディアンサ!歌え!今すぐだ!」

スネークはそう言ってディアンサを肩に担ぐ。

 

「歌う!?ディアンサは吟遊詩人が何かなのか?だがスネークの言うことだ!何かあるに違いない!歌うんだ!ディアンサ!」 

 

「す、スネークさん・・・それにジャミルさんまで‥あのスカートが・・・そ、それにこの体勢で本当に歌うんですか?だって私一人ですよ?それこそ伝統が!ショロトル様に怒られちゃいます!」

 

「大丈夫だ!ショロトルも祭祀も巫女もイクニアも誰も見ていない!俺たち以外はな!」

恥ずかしそうに、スカートの裾を手で伸ばそうとして、見えない様に隠そうとするディアンサを他所に、スネークは今も、ナイフに持ちかえ帝国兵士の銃弾を躱し、ナイフで辺りの帝国兵士を葬っていく。

 

 

やがて、諦めたのか、ディアンサは顔を真っ赤にしたまま、祭司に貰った杖を使いリズムを奏で始める。

ディアンサが歌い始めた直後から、ディアンサの歌の力が優しくスネークを包み込む。

 

「やはり理屈は分からないが、体の奥底から力が湧いてくるな。」

 

 

彼の体が進化したかのように俊敏に動くようになり、敵を屠っていく。横のジャミルも驚きながら両手の短剣を振るう。

 

ますます機敏になった二人は迫りくる帝国兵士を簡単に沈黙させ、帝国兵士達を次々と葬りさっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

兵士たちの怒号や悲鳴が聞こえなくなった時、スネーク達の周りには倒れた帝国兵士の山が築かれていた。

残る帝国兵士は指令官だと思われる男ただ一人。彼はこの光景に呆然としており事態が把握出来ていないようだった。

 

そして、次の瞬間この男にもジャミルの刺突が直撃し、地面に崩れ落ちたのだった。

 

 

 

ジャミルが最後の一人を仕留め、スネークがディアンサをゆっくりと降ろした時、先ほどからグラン達が戦っていると思われる場所で、起こっていたクラリスだと思われる爆破音が止まっている事に気がつく。

 

「ようやくこっちは片付いたな。グラン達の応援にいくとするか。」

「は、はい・・・そうですね」

 

スネークの傍らにいるディアンサの声が小さい事に気づく。

 

「どうした?ディアンサ。元気がないようだが流れ弾でも当たったか?」

 

スネークはディアンサの肩に手を置こうと腕を伸ばすが、ディアンサに払いのけられてしまう。

「そ、そんなこと無いですよ。それよりも早く、団長さんの元に向かいましょう。かなり離れてしまったみたいですし・・・」

 

倒れる帝国兵士を踏まないように避けながら、グラン達がいる方に向かうディアンサの後を追うようにスネークとジャミルは歩き出した。

 

 

 

 

 

スネークとディアンサとジャミルがグラン達を遠くから目視できる程度に近づいた時、その戦場はスネークが最後に見た光景とは大きく異なっていた。

 

 

グランはルリアの前に立ち、今も彼女を庇おうとしているが、その立ち姿はボロボロで戦闘の激しさを物語っている。

 

 

そしてもう一つ疑問なのが、服装も普段とは異なっているが、ニグレドに吸収された筈のカリオストロがその場におり、クラリスと共に方を並べパラケルススを睨みつけていた。

さらに、パラケルススが操るニグレドの姿は何処にも見当たらない。

 

 

スネークとディアンサとジャミルは目の前の光景に理解が追いつかず、仲良く三人揃って首を傾げた。その後

スネークとディアンサとジャミルは見るからに圧倒的不利な状況でも嬉しそうに笑うパラケルススに視線を向けた後―――――――。

 

 

 

 

 

 

 

「随分と嬉しそうだな」

 

「くくくくっ・・・・・・ああ・・・・・・嬉しいとも。今日は俺の今までの人生の中で最良の日と言っても過言ではないだろうな」

 

パラケルススは一度口を閉じた後、声を張り上げる。

「なにせ、ここまで素晴らしいデータがとれたのだからな・・・・・・その上ニグレドを分解してくれたのだ。これ以上に嬉しいことなどあるか?」

 

「なんだと?」

パラケルススの言葉を聞き警戒するカリオストロ。

次の瞬間、どこからともなくニグレドの残骸が一箇所に収束し始める。

 

突然の変化に驚く一同をよそに、残骸は集まっていき新たな形を表す。

 

「え・・・・・・ど、どうして・・・・・・」

「どうしたんだよ、ルリア?」

 

驚愕するルリアにビィが心配そうに声をかける。

ルリアは自分でも分からないと言ったあと、ニグレドが収束した中から星晶獣の気配が現れたと告げたのだった。

 

 

「ほう・・・・・・星晶獣の気配を感知できるのか。ああ、帝国で聞いたことがあったが、お前がそうだったのか。・・・だとすると、あの眼帯の男が一人で帝国兵共を全滅させた男だったかのか。」

一人でに、納得した素振りを見せるパラケルスス。

 

彼は、ルリアの発言を肯定した後、姿を表そうとする星晶獣について語り始める。

この星晶獣は賢者の石の翠化によって再構成され、誕生したと。

 

 

「これこそが星の民の遺産と我らの技術の融合で生み出された最強にして成長する星晶獣・・・アルフェウスだ!さぁこれにどう抗うか見せてもらおうか・・・・・・」

 

「はっ、その程度で最強とは笑わせてくれるな」

「最強だろうとなんだろーと、全部纏めてドカーンって、するだけだっ!」

 

 

 

 

「いくぞ!!クラリス!!塵一つ残すんじゃねぇぞ!」

振り下ろされる。アルフェウスの攻撃を躱し、クラリスとカリオストロが二手に分かれ各々の攻撃手段を放つ。

 

カリオストロとクラリスの攻撃を受け大きく怯むアルフェウス、しかし倒しきることは出来ず、クラリスに向かって多数の魔法陣を形成し放たれる。

 

「や、やば!」

攻撃を放った直後で動けないクラリスに魔法陣の攻撃が迫るが、後ろから走ってきたグランが、クラリスを突き飛ばし、迫る攻撃を剣でたたき落とす。

「クラリス、カリオストロ!!援護するよ!」

 

満身創痍に見える、グランだが彼の目の輝きは失われていない。

 

「団長!!ありがとね!」

「団長さん☆無理はしないでね!」

クラリスが立ち上がり、再びカリオストロと息の合った攻撃を仕掛けていく。

 

 

 

彼女達の攻撃を受けながらも、今度はグランに向かって攻撃しようとするアルフェウスだったが、突如目の前に姿を表したコロッサスの左ストレートが直撃し大きく吹き飛ばされる。

「私も援護します!頑張ってください皆さん!」

グラン達の後方でルリアが声を張り上げる。そんな彼女を守るようにプロメティアとハロルドが立ちふさがっている。

 

 

その後も確実にカリオストロとクラリスが攻撃を仕掛け、ダメージを与えていきアルフェウスに一切の行動をさせず、一方的に責め続ける。

 

しかし、突如アルフェウスが姿を消し、一定の距離が離れた場所に姿を現す。

そして拳を握りしめた途端、グラン達全員の足下に魔法陣が現れ、土で出来た大量の杭が出現し各々に襲いかかる。

 

「「「「っ!!」」」」

グランが剣で弾き、クラリスが存在崩壊で粉々にする。

「こんな攻撃でオレ様を倒せると思っているのかよ!」

カリオストロは何もない空間から2匹のウロボロスを出現させ、向かってくる杭を粉々に打ち砕く。

「皆さん!何か来ます!!」

ルリアの声に反応し、カリオストロが再びアルフェウスに目を向け、今の攻撃が囮だったことに気がつく。

 

アルフェウスの周りには、先ほどとは比べるのが、馬鹿らしくなるほどの魔法陣が展開されており、魔法陣を読み取るに自分の奥義と似た、強力な攻撃が来ることを感じ取る。

 

「クソ!!」

もし、仮に自分と同じ威力の攻撃だった場合、確実に何人か死ぬ。その確信があった。

急いで、自分の奥義を発動させようとしたカリオストロだったが、間に合わずアルフェウスの一撃が発動してしまう。

 

魔法陣が輝きだし、辺りの光が奪われたかのように世界が暗闇に包まれる―――――

 

しかし、その瞬間・・・暗闇の中、カリオストロの目の前を青い何かが高速で駆け抜けていく。

 

 

すると突如、暗闇が晴れ、胴体を横薙ぎに斬り裂かれたアルフェウスが視界に映る。

 

「へへ!私だってやるんだ!」

 

今まで一人で帝国兵と戦い続けていたせいか、服がボロボロになっていて肩で息をしながらベアトリクスが剣を杖に笑う。

 

「この小娘が!!!何故!!!アルフェウスにダメージが!!!」

 

「へへーんだ!私の剣は特別性なんだ!それに私は追い詰められたら追い詰められただけ力が増すんだ!!!」

 

「いけええええ!!!!二人とも!!!!」

 

 

アルフェウスの攻撃がキャンセルされたことを理解したカリオストロは、直ぐさまクラリスに向かって叫ぶ。

 

「クラリス!塵一つ残すんじゃねぇぞ!」

「おっけー☆クラリスちゃんにお任せってねっ☆」

 

 

「うちに壊せないものなんて無い! ジャガーノート・スフィア!」

クラリスの存在崩壊の一撃によって跡形も残らないほどに、粉々に砕け散るアルフェウス。

 

 

 

こうしてグラン達は、星晶獣アルフェウスを倒し完全に消滅させることに成功したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして時は流れ――――――

 

クラリスの両親達に事後処理を任せ、一同はラカムが待つグランサイファーの元へと戻ってきた。

 

黒幕のパラケルススには逃げられたが、無事帰還できた事を喜ぶグラン。

 

新たに旅の仲間に加わった、カリオストロを「ししょー」とよぶクラリス、そしてジャミルをつれ、一同はカタリナ達が待つアウギュステ列島に向けて飛び立っていった。

 

 

 

 

 

 

 

再び、彼らを見送る形となった、スネーク。しかし今回は一人ではなく隣にはディアンサとそしてベアトリクスがいる。

「それじゃオレ達も行くとするか、ディアンサ。」

「はい!次の島ですね!ベアトリクスさんは来ないんですか?」

 

「ああ、私も着いて行きたいのは山々なんだが、今回の事について上に報告しないといけないしな!」

 

「では、ここでお別れですね。」とディアンサは寂しそうな顔をする。

 

「また会えるさ!なんかそんな気がするし。」

 

 

 

 

少しして、ベアトリクスに通信が入り女性の声が聞こえてくる。

 

「はい!え!?はい、今すぐします‥」

 

「それじゃあな!」と走っていった。

 

(アストレイ・アルケミスト編 終了)



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救国の忠騎士編 33話

スネークとディアンサは騎空艇の発着場に降り立った。

 

今回は星晶獣の加護により栄えている国があるという話をきいたからだ。

 

「それにしても楽しみですよね!シルフ様って赤い宝玉を作るみたいでですね?それを摂ったらいつまでも若々しくいられるなんて!」

 

「それだけじゃあないだろ?そのシルフ様とやら星の民の話を聞くんだろ?」

 

「我々空の民と共存する星晶獣‥巫女とショロトル様みたいですね!」

 

ディアンサはワクワクしてスネークの腕を掴み、早く行こうと急かす。

 

「おい、そんなに急ぐな。」

 

「だって若さっていつの時代も女の子の夢なんd‥」ドン!

 

「キャッ!」ドシャっ!!!!

 

「イタタタ」

 

「ごめんなさい!大丈夫ですか!」

 

「すいません、こちらも前をちゃんと見てなくて。」とぺこりと頭を下げる。

 

その女性は頭や上半身は神聖な何かを感じるような服だが、下半身が露出がすごくチグハグな印象をスネークは受ける。

 

「俺のツレがすまない。ほら。」とスネークは手を差し出す。

 

「ありがとうございます。」とその女性はスネークの手を握り立ち上がる。

 

「あなた方に星の民のご加護があらんことを。」

 

それだけ言って女性は去っていった。

 

「ご加護?宗教勧誘か何かか?」

 

「さあ?あ!早く行かなきゃ!」

 

?「おかしいな‥ランちゃんってば、ここで待ち合わせのはずなんだけどな〜‥‥‥」とデカイ槍斧を担いだ男がボヤいているのを横目に通り過ぎようとした時、乗客達が良からぬ話をしているのが耳に入った。

 

「おい!知ってるか?シルフ様が突然復活した真龍ファフニールに喰われたって話。」

 

「ええ!?嘘だろ‥ ファフニールって確か‥ 龍の巣に封印されてたはずだろ?」

 

「ああ、それで今王都では急遽ファフニール討伐軍を編成してるって話だぜ?」

 

「え‥嘘でしょ‥シルフ様ってあの星晶獣シルフ様でしょ‥食べられたって‥」

 

「ああ、俺も聞いた。」

 

「おい!そこのアンタ達!!!その話を俺にも詳しく教えてくれ!」

 

「そのファフニール討伐軍は!?白龍騎士団団長ランスロットが率いているのか!?」とその男は掴みかかり話を聞かせろと迫る。

 

「うっ‥ぐるじい‥」

 

「おい、落ち着け。このままじゃ落ちるぞ。」とスネークは腕を掴みながら止める。

 

「はっ!?す、スマンスマン!つい熱くなっちまって‥」

 

「ひぃ‥!殺される!」タッタッタッ!

 

「ちょっと!あ!そこのあんた!教えてくれ!」

 

「‥」タッタッタッ!

 

「なぜ逃げる‥なぜ逃げるんだぁ!?俺が誠心誠意込めて頼んでいるというのに!」

 

「落ち着け。お前が必死すぎるんだ。」

 

「これが落ち着いていられるか!ランちゃんが戦うかもしれないんだぞ!」

 

「それでもだ。お前が今ここで焦ってどうにかなるのか?余計に時間がかかるぞ。」

 

スネークが諭すように言うとようやく男は落ち着いた。

 

「スマン。だが当てがあるのか?無いなら‥」

 

「ある。だから付いて来い。」

 

目的の場所まで歩いて行くうちに話をする。

 

どうやらその男は王都フェードラッヘにある白竜騎士団の団員で名をヴェインというらしい。一人遠征に向かい最近帰還したらしくランちゃんとはランスロットという親友らしい。

 

「よし!着いたぞ。おーい!シェロ!いるか!」

 

「はいはーい!あらスネークさんとディアンサさんと‥そちらの方は知りませんね〜」

 

「子供‥?いやハーヴィンか。でも俺は買い物をしてる場合じゃ‥」

 

「シェロ。シルフがファフニールに喰われた事は知っているな?」

 

「はい〜勿論ですよ〜」

 

「王都フェードラッヘではファフニール討伐軍が結成されているらしい。それを率いているのは誰か分かるか?」

 

「はい〜白竜騎士団団長ランスロットさんと執政官のイザベラさんです〜」

 

「やっぱりランちゃんが!こうしちゃいられねえ!」とまた走り出そうとした為、首を掴んだ。

 

「ぐぇっ!何すんだよ!?」

 

「先走るな。俺たちも一緒に行く。」

 

「お前達もか?どうしてだ?」

 

「人と共存する星晶獣に興味があってな。」

 

「ふーん。まあ、悪いやつじゃなさそうだからいいぜ。近道で行こうぜ。」と三人は森へ入った。

 

舗装された道を外れ、けもの道を歩き始めた。

 

「本当にこっちで合ってるのか?」

 

「ああ、大丈夫だ。なんてったってこの辺りは俺の庭みたいなもんだからな。」

 

ガサガサッ!

 

「魔物か!」



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34話

スネークが石をその草むらに投げ込む。

 

「キャアッ!!な、なんですかあなた達は!?」

 

草むらから少女が飛び出してきた。

 

 

「アンタこそ何者だ!?こんな薄暗い森の中で‥いったい何をしていた!!」

 

「ひっ!?」

 

「待て。また必死になってるぞ。」

 

「すまねえ、スネーク。」と武器をしまう。

 

「さっき発着場で私とぶつかった人ですよね?」

 

「あ!はい!その節はすいませんでした!」

 

「い、いえ、私の方こそ!」

 

「私‥ソフィアと言います。旅の僧侶です。」

 

「その‥王都を目指している途中で近道をしようと思って横道に入ったら‥すっかり迷ってしまって‥ははは。」

 

「なーんだ!俺と一緒で迷ってるのか!」

 

ディアンサはそのヴェインの発言に驚く。

 

「え!?ヴェインさん!?迷ってたんですか!?」

 

「え?あ!すまねぇ‥」

 

「だと思ったよ。近道はシェロから聞いている。こっちだ。」とそこからスネークの先導で王都へ向かった。

 

「それでソフィアさんはどうして王都へ行くんですか?」

 

「私は‥王様へ直訴をしに行くんです。」

 

「直訴か。それはまた何故だ?」

 

スネークが聞くとソフィアは悲しそうな顔で口を開いた。

 

「私は今聖地巡礼の旅の途中で、この星晶獣の加護により栄えし国に立ち寄ったのですが‥」

 

「慟哭の谷のふもとにあるルフルス村では、突然、収穫前の作物が枯れてしまったり‥生まれたばかりの赤子や老人が次々に命を落としていく‥謎の奇病が蔓延しているのです。」

 

その話にヴェインが驚いた。

 

「なんだと!?俺が王都に仕えていた時はそんな話聞いた事なかったぞ!」

 

「まー俺は身体が丈夫だったから縁がないっちゃあないんだがな!わははは!」

 

「詳しいことはわかりませんが、この国で何か異常事態が起きていることは間違いないのです!」

 

そう言うソフィアの杖を持っていない方の手は固く拳を握り震えている。

 

彼女はその村の悲惨な現状を自分の目でしっかりと見てきて自分には何も出来ず、自分の無力さを知ったに違いない。

 

自分が何も出来ないことへの怒りと悔しさでいっぱいなのだろう。

 

「しかし‥そのような異常事態が起こっていたとは聞き捨てならない問題だな。」

 

「ファフニールが復活してシルフが食べられた事と何か関係があるのでしょうか。」

 

ヴェインとディアンサが互いに首をかしげる。

 

「その件については私も独自で調査をしてみようと思います。あと気になることが‥」

 

「どうした?」

 

「過去に病気の症状や作物の異常について調査していた村長が調査資料を持って王都へ向かったそうなのですが‥それっきり行方不明になったそうで‥恐らく魔物に襲われてしまったのではと‥」

 

「そうか‥それは気の毒なことだな。」

 

「よし!わかった!ソフィアが王様に謁見出来るように俺も協力するぜ!」とヴェインが息巻く。

 

そして引き続きスネークを先頭に道を進んだ。

 

「す、スネークさん‥あと‥どのくらいですか‥?」

 

「意外と‥遠いんですね‥」とディアンサとソフィアが膝に手をついて息をする。

 

「確かそろそろだが‥あれか?」

 

「あれは!王都フェードラッヘの南門だ!」

 

そこからは案内をヴェインと変わり城内の玉座の間へと進んだ。

 

 

その頃、玉座の間では‥

 

「イザベラ様。ファフニール討伐軍の準備が整いました。」

 

「ご苦労だった、ランスロット。しばらくそこで待機していてくれ。」

 

「はっ!」

 

「カール国王様。このイザベラ、此度のファフニール討伐作戦に同行してもよろしいでしょうか?」

 

 

「うむ。お主が誰よりもシルフの事を案じておるのはワシが一番知っておる。気をつけていって参れ。」

 

「はっ!有難きお言葉。ご配慮、誠に痛み入ります。」

 

「それでは私とランスロットが率いる討伐軍は明朝出立いたします。」

 

その時、ヴェインに連れられたスネーク達が玉座の間に現れる。

 

「白竜騎士団のヴェイン!ただいま、戦地より帰還しました!」

 

「ヴェイン!」

 

「ランちゃん!」

 

「そ、その呼び方はやめろ!‥‥場をわきまえろ。」

 

二人はガシッと音が出そうなくらいの握手をする。本当に二人は仲がいいのだろう。そう感じる。

この男がヴェインの言っていたランスロットという男か。彼が一国の騎士団の長か。若いな、まだ20代だろう。

 

 

「しかし、港まで迎えに行けなくて悪かった!ちょっとゴタゴタがあってな!」

 

「気にするな!この通り無事に帰ってこられた!」

 

「これっ‥王の御前であるぞ‥」と王の側に控える女性が静かに、そして威厳のある声で諌める。

 

「はっ‥‥」

 

「なんと!?イザベラ様は相変わらずお美しい!以前よりも更にお若く‥」と女性‥イザベラの言葉が聞こえていないのかヴェインが空気を読まない発言をした。

 

「ヴェインめ!私語を慎め!」

 

怒られた。当たり前だ。

 

しかし王を見ると笑っているようにみえる。

 

「まぁまぁ、よいではないか‥久しぶりの親友同士の再会だ。ところで‥そちらの方々は?」

 

「はっ!こちらはここへ向かう途中で出会った騎空士の方々と、旅の僧侶です。」

 

「ヴェイン!今は国の有事だぞ!そのような素性の分からぬ者どもを王の御前に軽々と招き入れるな。」

 

確かに俺もそれは疑問に思っていた。国の守り神を奪還するべく動いている中で普通は城に、ましては玉座などに入る事ができるはずない。

 

「あ!いえ。ですので‥」

 

「よいよい、旅の方々。王都フェードラッヘへようこそ。それとイザベラの非礼を許してくれ。」

 

「気にしていません。我々も本来なら玉座にまで入る事が出来るとは思っていません。」と俺は久しぶりの敬語で話す。

 

「そう言ってもらえると助かる。今は見ての通り王都が慌ただしくて、皆ピリピリしておってな。して‥‥‥そなた達は何者だ?」

 

「は、初めまして!こここ、国王様!」

 

「ははは!何もそこまで緊張しなくともよい。ざっくばらんに話してくれ。」

 

「俺達はこの国の守り神とされているシルフ様と呼ばれる星晶獣に会いにきた。」

 

「ふむ。しかしシルフ様がファフニールに喰われてしまったことは、そなた達も知っておろう?」

 

「はい、港で商人達が話しているのを聞きました。」

 

「その通りだ。残念ながら‥ファフニールを倒さん事にはシルフ様に会うことは叶わんのじゃ。」

 

「なら、俺達も討伐隊として協力させてほしい。」

 

「ほう、スネーク殿は我ら白竜騎士団と肩を並べて戦いたいというのか。」とランスロットが言う。

 

「はい!スネークさんは凄いんです!一人で星晶獣も倒しちゃうし‥あ!あの時はもう一人いましたね。確か‥黒い鎧に、仮面つけてた人だったけど‥」

 

「なるほど。スネーク殿とやらは星晶獣を倒せるほどの力を持っているというのか。よろしい。イザベラ、ランスロット。彼も仲間に加えなさい。」

 

「‥!はっ!」

 

「かしこまりました。」

 

そう言い、二人とも頭を下げる。

 

「旅の方々の用は済んだだろう。なら立ち去りなさい。」とイザベラは冷たく言う。

 

「な!?ちょ!」

 

その時、王の前にソフィアが出た。

 

「国王様!お初にお目にかかります。私、大僧正ペテロの孫のソフィアで御座います。」

 

「なんと!?そなたはあのペテロ導師の孫であったか!」

 

「ペテロ?ヴェイン。それは誰だ?」

 

「ペテロ導師といや、ゼエン教に帰依する全ての僧侶を束ねるトップだぞ。」

 

「つまり教祖の孫か。」

 

「‥‥祖父よりカール国王の事は度々伺っております。スネークと同じように私も目的を持ってこの国を訪れました。」

 

そう言うと、ソフィアは島で起きている異常事態と民衆の窮状を静かに訴えた。

 

「確かにその奇病とやらも気にはなるが‥やはり優先はシルフ様の奪還なのだが‥」とイザベラは眉間を指でつまんだ。

 

「はい。ですからまずは一刻も早くシルフ様の救出を成し遂げ、王都に平穏を取り戻す必要があります。」

 

「私はそれからこの国の異変を調べたいと思っています。」

 

「ふむ。分かった。それではソフィアよ。そなたも討伐隊に加わってもらおう。今日のところは体を休めなさい。」と王は言った。

 

 



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35話

次の日

 

「さぁ、みんな!準備はいいか!」

 

ランスロットは討伐隊の前に立ち、言葉を述べる。

 

「我ら白竜騎士団の名誉とフェードラッヘの栄光のため、真龍ファフニールを打ち倒す!」

 

「そして必ずしや、シルフ様を救出し民の安寧を取り戻すぞ!」

 

「うおっー!」

 

白竜騎士団の団員達から歓声があがり、皆が奮い立つのがわかる。

 

こうしてランスロット、ヴェイン、ソフィア、スネーク達の先発隊と、イザベラが率いる後発隊に分かれて進軍を開始する。

 

「ええと、君は‥ディアンサちゃんであってるか?」

 

「はい!白竜騎士団団長のランスロットさん!」

 

「君は‥ウォークライ‥いや味方を鼓舞させる力を持つと聞いたが、具体的に何をするんだ?」

 

「歌です。」

 

「歌?」

 

「はい、私が歌うといつもより力が出るんです。最近知ったんですが。」

 

「なるほど。それd‥」

 

「まさか!あなたはディアンサ様ですか!」

 

「え!?私に様をつけるって事は‥」

 

「はい!あなたのイクニアです!」

 

なんと世間は狭かった。白竜騎士団の中にも巫女を応援するイクニアがいたのだ。

 

「す、凄いや!あなたが巫女を卒業してから、もう会えないと思ってました!嬉しいです!」

 

「あははは‥ありがとうございます。」

 

「それで先程チラッと聞いたのですが‥歌われるのですか?」

 

「はい!」

 

「頑張ります!俺めっちゃ頑張ります!」

 

それだけ言い、また列に戻っていった。

 

「すまない。」

 

「いえいえ、謝らないでください!私も久し振りに私のイクニアさんに出会えて嬉しかったですから。」

 

「おーい!ランちゃーん!そろそろ休憩にしないか!」

 

「ああ!そうしよう!」

 

「ふふ、ランスロットさんとヴェインさんって本当に仲がいいんですね。」

 

「それにランちゃんってなんだかワンちゃんみたいで可愛いです!」

 

「うぐっ‥だからあれほど人前ではやめてくれって‥もう訂正するのも面倒だ。」

 

「ヴェインとは故郷の家が隣同士でな?昔から一緒だった。」

 

「へえ〜そうなんですね。」

 

ディアンサとランスロットが話しているとスネークが近づいてきた。

 

「団長。」

 

「ランスロットでいいさ。スネーク殿。」

 

「シルフという星晶獣がどんな姿をしているかだとかを聞きたい。」

 

「シルフ様は少女の姿をしており、その可愛らしさと神秘的な力で国民のみんなから敬愛されている。」

 

「へ〜とっても可愛らしいんですね〜」

 

「それだけじゃない。シルフ様はファフニールの力を借りて霊薬を作り出すんだ。」

 

「私も聞いた事があります。不老長寿の霊薬アルマですね?」といつのまにか近くにいたソフィアが話に入ってきた。

 

「そう。その霊薬アルマはどんな病もたちまち治してしまう万能薬だ。」

 

「そしてシルフ様がお作りになったアルマをイザベラ様が無償で民に配っているんだ。」

 

「確かに旅の途中で会った人たちの中に霊薬のお陰で助かったって言ってる人もいました。」

 

「そうだろう?いつも厳しいイザベラ様も民には優しいんだ。」

 

「しかし、私が立ち寄ったルフルス村はアルマが行き届いていませんでした。最後までシルフ様の加護を信じて亡くなっていった方を大勢見ました。」

 

「ああ、残念ながら現状では全ての国民に薬が行き届いているとは言い難い。」

 

「だからこそシルフ様を奪還するのだ!」

 

「と、いう事はシルフはファフニールにもとへ?」

 

「ああ、その日もだ。普段はファフニールは封印されているはずだ。しかし誰かに封印を解かれたようだ。それで逃げている最中に謎の剣士が現れたらしくてな。」

 

「どんな奴だ?」

 

「俺も伝聞でしかないが、黒い鎧にボロボロのマント、そして仮面をかぶっていたようだ。」

 

「‥!まさか‥」

 

スネークの咄嗟の反応をランスロットは見逃さなかった。

 

「スネーク殿!何か知っているのか!」

 

「ああ、俺は最近その特徴に合う男にあった。名は確か‥」

 

 

「え!?ジークフリートさんが!?嘘だろ‥」

 

「おい、ヴェイン!その名を口に出すな!!」

 

「あ‥!わ、ワリィワリィ!」

 

 

 

「俺は先に行くぞ!」とランスロットは向こうへ行ってしまった。

 

「何か‥あったんですか?ランスロットさん‥ジークフリートさんの名前を出した途端、急に‥」とディアンサが悲しそうな顔をする。

 

「あー、そかそか。みんなは知らなかったのか。この国に起こったあの事件を‥」

 

「あの事件‥とは?」とソフィアが聞く。

 

「まあ‥‥‥誰もが忘れたい事件だからなぁ。アイツが怒るのも無理ないんだが。」と言いながらヴェインは困った顔をする。

 

 

時を同じくして山道の岩陰から、ファフニール討伐隊の動向をうかがう一人の男の姿があった。

 

「思ったより護衛が多いな‥それに見知った顔もいるようだ‥あの時の巫女と‥スネークか。」

 

「まぁいい‥しばらくこのまま偵察させてもらうか。」

 

 

 

「!?」バッ!

 

スネークは何者かの視線を感じて咄嗟に後ろを振り返った。

 

5秒ほど睨むとすぐに見るのをやめた。

 

「スネークさん?」とディアンサがスネークの妙な動きを疑問視する。

 

一行は休憩を終え、龍の巣へと行軍を続けていた。スネークはヴェインから話の続きを聞こうと思い、話しかけた。

 

 

「いや‥なんでもない。それよりヴェイン話の続きを頼む。」

 

「あ、ああ。その昔、この慟哭の谷周辺はファフニールが暴れまわっていて今よりもずっと荒廃していたんだ。」

 

「そんな時、王都に仕える忠騎士ジークフリートが、ファフニールを打ち倒して封印しちまったんだ。」

 

「たった一人でか?」

 

「ああ。ジークフリートは''竜殺し''って名誉な通り名で呼ばれるようになって、先代のヨゼフ王にも気に入られてよ。そのまま王直属の護衛騎士として重用されて、若くして王都を守る、騎士団の団長に任命されたんだ。」

 

「その時にできた騎士団が、今の(白竜騎士団)の前身である(黒竜騎士団)ってことだな。」

 

「ジークフリートは、黒龍騎士団の団長になった後も、数々の戦場で武勲を挙げて国民的な英雄になったんだ。俺とランちゃんが黒竜騎士団に入団したのは、ちょうどその頃だったかな‥」

 

「それで‥その''竜殺し''の英雄ジークフリートは、この国の一大事に何をしているのですか?」

 

「ははっ‥‥‥さあな?ジークフリートは今、行方知らずさ。国を追われてな。」

 

「え!?」

 

「国王を惨殺した罪で、お尋ね者に成りさがっちまった。」

 

「え‥私達を助けてくれたのに‥‥どうしてお尋ね者に‥?」

 

「''竜殺しの英雄が''王殺し''の狂人になりさがっちまったのさ。」

 

「まったく笑えねぇよ。ランちゃん、最後まで信じてたのにな。国以上に、アイツが裏切られた。」

 

「過去に‥そんな痛ましい事件があったのですね。」

 

「まぁ‥‥‥ジークフリートは俺らの上官だった男だからさ、色々と思うところがあるわけよ。」

 

その時ランスロットが話を遮るように口を開いた。

 

「ヴェイン、無駄話はそこまでだ。ここから先は龍の巣だ。もっと緊張感を持て。」

 

「了解了解!失礼しました〜」

 

そしてスネークにだけ聞こえるようにボソッと口を開いた。

 

「まあ、何にしてもだ。いくら狂人と言われようがスネークとディアンサを助けたんだ。それ聞いて安心したよ。心の底まで悪人じゃないって分かってさ。」

 

一行は洞窟内へ入り、ファフニールを目指して歩を進めた。

 

スネークは潜入任務だと言いながらダンボールを被ろうとしたところ、ディアンサに止められ、渋々しまった。

 

「ディアンサ。スネークはいつもああなのか?ダンボール?とかいう物を被ろうとしたが。」

 

「はい、私も最初見たときは驚きました。彼曰く、被ったら落ち着くらしくて。」

 

「被ったら落ち着く?理屈は分からんが、今度機会があれば被ってみることとしようか。」

 

「焦りは禁物だ。万全を期し、ファフニールに感づかれないよう慎重に進むぞ。」

 

ランスロットの言葉を聞き、だったらと再度ダンボールを被ろうとした為、ダンボールはディアンサに回収されてしまった。

 

更に歩いた頃、先頭が止まった。

 

どうやらファフニールが近いようだ。

 

洞窟が揺れているな。これはオーラか?

 

そう考えていると、後方の部隊にいた執政官イザベラが前線に姿を現した。

 

「皆さん‥‥いよいよファフニールが近いようですね。」

 

「イザベラ様?突然どうなされました?」

 

「ランスロット。いえ‥‥皆さんに伝えたいことがありまして。」

 

その言葉に兵士たちは更に静かになる。

 

「ここまで見てきた皆さんの実力は本物でした。王都で働いた、数々の非礼をお許しください‥」

 

「ランスロット、ヴェイン。そして皆さん!くれぐれもシルフ様を頼みます!」

 

「はっ!私の命に代えてもシルフ様を救出します!」

 

「ああ、気にするな。俺達に任せろ。」

 

 



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36話

「グルアアァァァ!!」

 

スネーク達が龍の巣の最奥へとたどり着くと、そこには暴れまわる真龍ファフニールの姿があった。

 

「ファフニールが暴走しているだと!?いったいどうしたというんだ!」

 

ランスロットが武器を抜きながら驚く。

 

周りの兵士も驚いているようだ。

 

「私たちの気配に感づいて、威嚇しているのでしょうか?」

 

「いや、あの様子は‥威嚇ではない。あれではまるで‥‥」

 

「はい‥まるでひどく苦しんでいるように見えます‥」

 

「だが、苦しんでいるならチャンスじゃねーか!?近づける隙をうかがうんだ!」

 

 

「グルアアァァァ!!」

 

そう面々が口に出してる間もファフニールは暴れまわり、辺りを破壊しまわっている。

 

「シルフ様‥‥もう少しの辛抱です‥‥」

 

「よし、今だ!行くぞ!」

 

ランスロットの掛け声により、皆武器を構えて突撃した。

 

対するファフニールはそれが見えているのか、定かではないがもう一度吠え、更に辺りを破壊し始めた。

 

そしてそれが歌っているディアンサに向く。

 

「させるか!!」

 

ヴェインが槍斧を振りかざし振り下ろされた爪にぶつける。

 

「ナイスだ!ヴェイン!」

 

そう言い、ランスロットはヴェインの脇を抜け、斬りかかる。

 

「グルアアア!!!」

 

ダァン!

 

スネークの銃から飛び出した弾丸が鼻にヒットし、更に苦しみだす。

 

 

そしてとうとうファフニールは地面に倒れ、それと同時にその口腔の奥からシルフが顔を出した。

 

「ふぅ‥‥とても息苦しかった。」

 

「しかし、ありがとう人の子。感謝に堪えません。」

 

これが星晶獣シルフ‥喰われたと聞いていたから正直死んだと思っていたが、なるほど。小さいのか。これなら喰われたというより呑まれたが正しいな。

 

「シルフ様!よくぞご無事で!」

 

「良かった‥御身がご無事で何よりです。」

 

ランスロットとイザベラが口にだす。

 

「イザベラ。貴女も来てくれたんですね。ありがとう。」

 

俺の横ではディアンサが笑顔になっていた。

 

「あれがシルフ様‥蝶々みたいで可愛い‥そりゃ人気者だよ。」

 

するとシルフがこちらに向いた。

 

「貴方達は見ない顔だけど‥どうやら迷惑をかけたようですね。」

 

「でも良かった!シルフ様が無事で!」

 

俺とディアンサとソフィアに向いていた視線が今度はディアンサ一人に絞られる。

 

「君は‥なるほど‥私と同じ星晶獣の‥加護を受けているのですね。」

 

「へ?あ、ショロトル様のことですね。」

 

「ショロトル‥?名は知りませんが、貴方には何か特別な力を感じる。それは貴方にも。」と今度はスネークも見ながら喋った。

 

 

「貴女からは‥親しみ?そして貴方からは‥よく分かりませんが何かを感じます。」

 

「親しみ!?ありがとうございます!あの‥もし良かったら‥友達に‥」

 

「友達?分かりました。興味深いです。」

 

「やっ‥やった!」

 

「貴女には興味があります。帰り道の話し相手になっていただけませんか?」

 

「はい!よろこんで!」

 

周りの兵士達はディアンサとシルフが喋っているのを見て先程までの戦闘で緊張していた顔を綻ばせる。

 

「へへっ!ディアンサとシルフ様は妙に馬があってるみたいだな。」

 

ヴェインが近寄ってきて話しかけてきた。

 

「さぁて‥運動したら腹も減ったし、早い所王都に帰ろうぜ!」

 

「そうだな。だがヴェイン。王都にたどり着くまでが任務だ。気を張る事を忘れるな。」

 

「スネークの言う通りだな。」といつ間にか側にいたランスロットがうなづく。

 

こうして、再びファフニールを封印することに成功した討伐軍。彼らは軽やかな気持ちで龍の巣を後にするのだった。

 

ランスロットの部隊を先頭に帰路についていると、突然後方のイザベラの部隊から悲鳴があがった。

 

一行がイザベラのもとにたどり着くと身の丈ほどの大剣をイザベラに突きつけた仮面の男がいた。

 

「法政官イザベラ‥‥ここで死んでもらおう。」

 

「きっ、貴様は‥ジークフリート!?」

 

「フェードラッヘに仇なす逆賊めが!よくもおめおめと姿を現わせたものだな!」

 

「お前は‥あの時の剣士か。」とシルフがつぶやく。

 

あの時‥?なるほど。ジークフリートがシルフをファフニールに呑ませたのか。

 

 

「ファフニールに喰われてもなお生きながらえるとは‥‥さすがは化け物。」

 

「なっ!?では貴様がファフニールを!この期に及んで‥いったい何を企んでいる!」

 

「さあな‥シルフを餌に貴様をおびき出すつもりだったが‥」

 

「そんなことはもうどうでもいい‥いま、ここで全ての決着をつけよう。」

 

「くっ‥」

 

シルフは目の前の光景に手が出せずにいる。

 

「シルフ様は下がっていてください!」

 

「貴様!一人で現れるとは命知らずだな!」とイザベラの部隊の護衛兵士が前に出る。

 

「我ら白竜騎士団を相手に‥生きて帰れると思うなよ!」

 

ダメだ。ジークフリートの戦力は俺も知っている。奴の闘いぶりを見たが奴は一個大隊を相手にできる。

 

「‥‥‥‥‥邪魔をするな‥‥‥‥!!」

 

 

「くそっ!ランスロットはまだか!」

 

ジークフリートがイザベラに剣を振り下ろした瞬間‥

 

 

ガキンッ!!!

 

「イザベラ様!ご無事ですか!」

 

「た、助かったぞ!ランスロット!早くこの逆賊を捕らえるのだ!」

 

「ランスロットか‥久しいな。」

 

ジークフリートはフルフェイスの仮面の顔の部分を外しながらランスロットに声をかける。

 

「な!?ジークフリート!?」

 

「嘘だろ!?なんでジークフリートがこんなところに!?」

 

 

「お前達は‥ほう。スネークまた会ったな。」

 

「ああ、あの時は世話になったが、これはいったいどういうことだ。説明しろ。」

 

「そうです!あの時貴方は私達を助けてくれたじゃないですか!なのに‥どうして‥」

 

 

「仕方ない‥無駄な戦闘は避けたかったがな。」

 

「かつての英雄とはいえ、この人数相手に勝ち目はないわ!観念しなさい!」

 

「ふぅ‥久々に手合わせしてやろう。」

 

結果としてはジークフリートの方が一枚以上上手だった。

 

「どうした、ランスロット。息が上がってるんじゃあないか?」

 

「くっ‥‥」

 

「流石は竜殺しってとこか。剣の腕も、タフさも尋常じゃねえ‥」

 

「まともに戦えるのは‥スネーク。お前だけか?」

 

「それにしてもランスロット。昔のキレがなくなっているな。団長の座につき、ぬるま湯につかったか?」

 

「はああああ!!!」ドガッ!

 

「ぐぅっ!?」ドサッ!

 

ダァン!

 

カキン!

 

スネークが銃を撃つが、剣の刃の部分で受け流される。

 

「くらえ!スネーク!」と剣を振り上げ、向かってきた。

 

一瞬ナイフを出そうとしたが、受けきれないと判断し、マチェットで受け止める。

 

鍔迫り合いがおき、両者が動けない。

 

「やるな。スネーク!」

 

「当たり前だ。俺だって一組織の長だ!」

 

その時、ボソッとジークフリートがスネークだけに聞こえるように喋った。

 

「伝えたい事がある。今晩一人で龍の巣に来い。」

 

「何?そこに何がある?」

 

「来れば分かるさ!はぁっ!!」ドンッ!

 

スネークは押し切られるが、咄嗟に地面を転がる。

 

「ランスロット!ひとまず勝負はお預けだ。」

 

「待て!ジークフリート!このまま逃げる気か!」

 

「熱くなるな‥‥お前は、もっと冷静に周りを見ろ。」

 

「何を言っている‥‥‥!?待て!!」

 

「ランスロット!今はシルフ様の護衛が最優先だ!決して深追いはするな!!」

 

「くっ‥くそおっ!!貴様はこの俺が絶対に捕らえてやるぞ!!」

 

ランスロットの叫びも虚しく、ジークフリートは山中に姿をくらませる。

 

無事にシルフを救出し事態は収束したように思えたが、ジークフリートの出現によりスネーク達は更なる混乱の渦に飲み込まれていくのだった。

 

 



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37話

夜、龍の巣へと繋がる山道をスネークは一人で歩いていた。

 

ジークフリートに一人で来るように言われた。しかしそれは罠かもしれない。本当に奴らの言う通り、奴は狂人かもしれない。だが‥

 

予想外の戦闘も考慮し、武器のメンテナンスをし、万全の体制で向かう。

 

「もうそろそろだな。」

 

ダンボールを被りナイトビジョンをつけ、双眼鏡で龍の巣を見る。

 

まだいない‥?いや、もう中か?

 

確か中は上が所々穴が空いていたよな?ならナイトビジョンが使えるな。

 

そのままナイフと銃を構えながら進む。

 

ファフニールを倒したところまでたどり着いた時に奴がいた。

 

「来たか。」

 

スネークは声がしたと同時にアンダーマウントにフラッシュライト&レーザーサイトを搭載した銃を向けた。

 

その男は近くの岩に腰掛け大剣を近くの岩肌に立てかけていた。

 

「ジークフリート‥何故俺を呼び出した?しかしがっかりしたぞ。お前が王殺しの狂人だったとはな。」

 

「その話か。まあ事情を知らない者が聞けばそう思うのも納得だな。」

 

「事情だと?意味が分からん。お前の口ぶりだと王殺しは濡れ衣だ。と言ってるように聞こえるが?」

 

「その通りだ。お前はあの時あの場にいた連中の中で一番の手練れだ。だから今から俺が話すことを聞け。」

 

 

「まず俺はあの日ハメられた。」

 

「イザベラか?」

 

「ほお‥察しがいいな。」

 

「当たり前だ。奴は普通の女には見えん。」

 

そこからジークフリートが言った事をまとめるとイザベラに呼び出されたジークフリートはそこで死にかけの先代の王を発見、しかしそこにイザベラの息がかかった兵士が通り騒ぎ立てられる。といったところだ。

 

因みにこの話は通信機を通してオセロットとエヴァ、カズとエイハブが聞いている。

 

彼らが嘘だと思えば向こうで何かしらのアクションを起こすといった手筈だったが、何のアクションもない。

 

つまり、この話は本当だ。しかしその最終決定権は俺にある。

 

全て話し終えたジークフリートは俺を見て言った。

 

「どうだ?この話を信じるか信じないかはお前の自由だ。信じず俺を断罪するなら撃て。」

 

俺は銃を抜き引き金に指をかけ構える。

 

が、俺はそのまま引き金から指を外しホルスターにしまい込んだ。

 

「分かった。信じよう。」

 

 

「ほう‥?俺の話を信じるか。狂人の戯言かもしれんぞ?」

 

「今のお前の挙動と話には怪しい点はなかった。それが理由だ。」

 

「なるほどな。やはり見込み通りだ。」

 

俺は近くの岩に座り、ジークフリートに向き合う。

 

そこからジークフリートと俺は互いが持っている情報を交換し合い、別れ際に小型の通信機を渡し別れた。

 

 

そして夜が明ける前に城へ戻り、床についた。

 

 




はい!本編には存在しないオリジナルストーリーを挟みました!
お気に召したでしょうか?



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38話

次の日、スネーク達は玉座にいた。

 

「皆の者!ファフニール討伐、大義であった。」

 

カール国王の言葉を皆聞いていた。

 

「はあ‥」

 

横からため息が聞こえ、そちらを見る。

 

ソフィアだった。

 

「ソフィアさん?ため息なんかついてどうしたんですか?」とディアンサが聞く。

 

「いえ、これでファフニールの一件は落ち着いたのですが。やはり昨日現れたジークフリートの事が気になって‥」

 

「ふむ、ランスロット?お前も浮かない顔をしているぞ?」とイザベラがランスロットに問う。

 

イザベラ‥ジークフリートの話が本当ならば奴が‥

 

「いえ、何もありません‥お気遣いありがとうございます。」

 

「ジークフリートの事だな。」

 

「‥はい。」

 

「確かに私も奴の襲撃には肝を冷やしたが‥だが奴の味方をするものなどこの国にはおらぬ。」

 

「だが‥もしもう一度現れた時は‥ランスロット。お前がとどめをさせ。いいな?」

 

「はい。」

 

その時、今まで静かにしていたシルフが喋り出した。

 

「魔物達が騒がしい。」

 

そうシルフが呟いたのと同時に衛兵が部屋に入ってきた。

 

「申し上げます!!王都周辺に突如魔物の群れが現れました!!」

 

「なに!?まさかシルフ様を狙って!?して‥住民達は大丈夫なのか!?」

 

「はい!住民は粗方避難を完了しております!現在なんとか衛兵で抑えておりますが、それもいつまで持つか‥」

 

「ご列席の皆様方には大変恐縮なのですが、お力をお貸しください!」

 

「ヴェイン!行くぞ!」

 

「ああ!」

 

「スネークさん!私達もいきましょう!」

 

「ああ。」

 

「ソフィア!君はひとまずこの国から逃げろ。」

 

「逃げません!困ってる人達を前にしてできません!」

 

「分かった。なら‥避難してきた人達がいるはずだ。その人達の手伝いに回ってくれ。」

 

「わかりました!」と走っていった。

 

「頼んだぞ。事が収まるまでシルフ様は城内でお守りしておく。」とシルフの横に立った。

 

「行くぞ!」

 

ランスロットはヴェインを連れて先に行った。

 

スネークは腰から発信機を出し、指で弾いてこっそりとイザベラに取り付けた。

 

しっかり貼りついたことを確認するとランスロットの後を追って駆け出した。

 

 

 

「数が多い!」

 

「諦めるな!必ず援軍が来る!」

 

しかし、そう励ます衛兵を仕留めんと後ろから魔物が飛びかかる。

 

「おい!!後ろだ!!」

 

ザシュッ!

 

「おい、大丈夫か!」

 

「だ、団長‥大丈夫です。ただの擦り傷です。」

 

「ならばよかった。無理だけはするなよ!」

 

バンッ!

 

草むらから飛び出そうとしていた魔物の脳天をスネークは撃ち抜く。

 

「魔物の群れに応戦している各隊を戦況を教えてくれ!」

 

「はっ!現在広範囲に渡って魔物が暴れており、状況が掴めておりません!」

 

「分かった!ヴェイン!スネーク!このまま前進!各隊の援護をするぞ!」

 

「おう!」

 

「ああ!」

 

 

そのまま前進しながら三人は魔物を薙ぎ倒す。

 

「くそっ!倒しても倒してもキリがないぜ!」

 

「大方の戦況は分かった。一旦後退し戦況を立て直すぞ!ヴェイン!スネーク!自力で動けない怪我人の救助を頼む!」

 

「分かった!おい、肩を貸せ!」

 

「うっ‥すまない。」

 

なんとか怪我人に手を貸し後退している最中、1匹の蝶が目の前を通る。よくみると背の小さい女性だった。

 

ハーヴィン‥?いやドラフの女性か。その女性は浮かない顔をしながら身の丈に合ってない長さの長刀を腰に差して歩いていく。

 

「この街にもいないのね‥」そう呟きながら。

 

すれ違う‥?はっ!?

 

「おい!そっちは魔物だ!逃げろ!」

 

ランスロットが叫ぶが、意に介さず進む。

 

魔物達は獲物が自ら自分達の射程範囲に入ってきたと一斉に襲いかかる。

 

「くそっ!!」

 

スネークとランスロットは助けようと怪我人を横の者に任せ、武器を抜きながら走る。

 

しかし‥

 

ズバン!!

 

一瞬何が起きたか分からなかった。その女性が日本でいう居合斬りを歩きながら行い、その一太刀で10匹はいたであろう魔物を瞬時に斬り伏せた。

 

そのまま何事も無かったかのように歩いていく。

 

ランスロットとスネークはあっけにとられる。が、すぐに声をかける。

 

「おい!そこの方!」

 

その女性は立ち止まりキョロキョロと周りを見渡すと自分にかけられたものだと知り、振り向いた。

 

「私?」

 

「ああ。相当な剣‥いや刀の使い手とお見受けする。恥を承知で言うが手助けをしてくれないか!」

 

「そんな‥私なんて‥全然すごくないし‥」

 

「いや、理想が高いのかもしれないが大した腕だ。頼‥」

 

その瞬間、女性は自分のすぐそばにまで近づいてきていた。

 

おもわず反撃しそうになる。

 

「‥あなたの目‥あの人に似てる。」

 

「俺か?」

 

「ええ、まるで他人とは思えないわ。あなたの親戚に刀を使う方はいない?」

 

「ああ、いることにはいるが、あんたの思ってる御仁とは違うだろう。」

 

スネークが思い浮かべたのはフランク・イェーガーだ。だが目の前の女性が知るはずがない。

 

「ふふ、いいわ。手伝う。私の名前はナルメア。」

 

「助かる。俺はスネーク。こっちはランスロットだ。」

 

「それじゃあ私は殿を務めるわ。」

 

ナルメアが殿を務め何とか城内へたどり着くことができた。

 

「ほら、ここまで来れば安心だ。」

 

「うう‥すまねえ。」

 

「団長!城壁に魔物が群がっております!」

 

「怪我人は休んでてくれ!まだ余力のある者は街中に魔物が入ってこないよう死守するぞ!」

 

「ディアンサ!お前は怪我人の方を頼む!」

 

「はい!」

 

ランスロットの指揮のもと、城壁を登ろうとする魔物を叩き落とす。

 

しかし、魔物が2匹城壁を駆け上がり街中に入ってしまった。

 

「うわああああ!!」

 

「えい!」

 

街人が襲われそうになったところ、ディアンサが投げた石がヒットし、体勢を崩す。

 

「早く!」

 

「助かったよ、嬢ちゃん!」と逃げていく。

 

ガルルルル

 

「!?」

 

しかし、石つぶて一つじゃ魔物は倒せるはずがなかった。

 

魔物はディアンサに標的を絞り、睨みつける。

 

「あ、あの‥私なんか食べても‥」

 

言い終わる前に喰らわんと突進する。

 

「キャアアアアア!!!」

 

ズバン!!

 

その時、黒い影と水色の影がディアンサの前に飛び出して、斬り伏せた。

 

「あれ?痛くない?」

 

「ジークフリート‥とあれ誰だ?」

 

「あいつがディアンサを助けたのか!?」

 

そのままジークフリートは何も発さずに逃げる。

 

「待て!!今度こそ逃がさん!!」とランスロットは追いかけて行ってしまった。

 

「おい!待てよ!ランちゃん!追いかけるぞ!」

 

 

 

 



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39話

「待て!ランちゃん!」

 

ヴェインを先頭に俺たちは追いかける。

 

「ちょっと待つであります!自分はどうして走ってるんでありますか!」

 

見知らぬ声が聞こえ、何かと声がした方を向くとディアンサが鎧を着たハーヴィンの手を繋いでいた。

 

「ディアンサ?誰だ?その人。」

 

「え?白竜騎士団の方じゃないんですか?」

 

「確かにハーヴィンはいることにはいるが‥そんな顔はいなかったと思うぞ?」

 

「やっぱりハーヴィンって可愛いわ。」

 

 

「な!?自分は!リュミエール聖騎士団現団長のシャルロッテ・フェニヤであります!」

 

「フェニヤ?お前名字があるのか?」

 

「あります!」

 

知らなかった。いや、それか名乗ってないだけでやはりこの世界でもあるものなのか。

 

「そ、それより皆さん!ランスロットさんを追わないと!」

 

ソフィアの言葉に皆目的を思い出し、ランスロットを追いかけた。

 

すぐに見つかり、怖い顔をしながら辺りをウロウロしていた。

 

「ランちゃん!」

 

「おお!ヴェイン!ジークフリートを見たか?」

 

「いや、見てねえな。」

 

「そうか‥あいつは必ず俺の手で‥」

 

「落ち着くであります!ランスロット団長!」

 

「なんだと!」

 

ランスロットはイラついた顔でシャルロッテを見る。がすぐに顔が驚きに変わる。

 

「な‥貴女はシャルロッテ団長!どうしてここに!?」

 

「自分は‥ええと‥今はそんな事どうでもいいのです!少し落ち着くべきであります!」

 

「分かっています!しかs‥」

 

「キャア!」ドタっ!

 

ディアンサが前のめりに転んでいた。

 

「大丈夫か?」

 

スネークは駆け寄り、手を掴んで立たせる。

 

「あらあら、ディアンサちゃん。大丈夫?怪我とかしてない?」

 

「いえ‥大丈夫です。」

 

「ディアンサさんって意外とドジっ子なんですね。」とソフィアが笑う。

 

笑われた事に対してディアンサは頬を膨らませながら反論する。

 

「ち、違います!何かにつまづいたというか‥」

 

つまづいた‥?は!まさか!

 

スネークはすぐに地面に伏せ、耳を地面につける。

 

よく見るとナルメアも同じことをしていた。

 

「スネーク。」

 

「ああ、間違いない。何かあるぞ。」

 

スネークはすぐにナイフで地面を掘る。

 

すると鉄の板が掘り起こされ、試しに力を入れると簡単に開き、階段が現れた。

 

「もしかしてジークフリートは、ここに‥?」とソフィアは呟く。

 

「ランスロット!シャルロッテ!こっちに来てくれ!」

 

スネークが声をかけると二人は走ってきた。

 

「スネーク!どうした!‥これは!」

 

「まさか‥隠し通路でありますか!」

 

「そのまさかだろう。」

 

スネークが降りようとするとランスロットが止める。

 

「待て。俺が先に降りて危険がないか確かめる。」

 

その後、ランスロットから異常が無いことを聞かされ、降りていく。

 

ランスロットの先導のもと、一歩一歩進む。

 

「なんだ‥ここは‥?王家の隠し通路か?」

 

「驚いたぜ。地下にこんな空間が広がってるなんて。」

 

どうやらランスロットとヴェインも知らない隠し通路らしい。

 

「もしかしたら‥この先にジークフリートが?」とソフィアが言う。

 

「分からんな。だが進むしかないだろう。」とスネークが答える。

 

「なんだか気味が悪いよ‥」

 

「大丈夫よ、ディアンサちゃん。お姉ちゃんが守るわ。」

 

「ディアンサ殿!大丈夫であります!出たとしてもネズミくらいであります!」

 

キキッ!

 

「!?」

 

一行の前と後ろからネズミの魔物が現れ、挟まれる形になる。

 

「戦闘用意!」

 

先頭のランスロット、ヴェイン、ソフィアと殿を務めていたスネークとその前にいたディアンサ、ナルメア、シャルロッテに分かれて相手をする。

 

ネズミの数はこっちに6匹、ランスロット側に4匹の計10匹だ。

 

俺はスタンロッドを構えるディアンサを背に庇いながら2体のネズミと対峙する。

 

良い機会かもしれない。

 

「ディアンサ。ちょうど2対2だ。」

 

「え?はい‥まさか!無理です!」

 

ディアンサは俺の言葉の意味が分かったのか、激しく否定する。

 

「お前だっていつまでも守られてる人生でいいのか?CQCや武器の取り扱いならあれからも教えてるだろう。」

 

「でも!」

 

「やるんだ。お前ならできると信じてる。」

 

「‥わかりました。」

 

ディアンサは俺の後ろから出て、横に並んでスタンロッドを構えた。

 

スネークがナイフを構えるとネズミは突進してくる。

 

運がいいのか、ネズミは単調な動きしかしなかった為、楽に倒せた。

 

だが問題はディアンサの方だった。

 

運が悪いのか、そっちのネズミは変則的な動きを繰り返し、ディアンサは攻撃を試みるも空振りし、それを狙っていたのかネズミが飛びかかり押し倒されていた。

 

「は、離して!!」

 

キキキッ!!!

 

ネズミの発達した前歯がディアンサの首を襲う。がスタンロッドを噛ませる事で助かる。

 

「どいてよ!」とディアンサはスタンロッドのスイッチを入れ、電流を流す。

 

バリバリと電撃音と共に肉が焼ける嫌な臭いがするが、すぐにネズミの首の力でスタンロッドを振り飛ばされる。

 

それを見てすぐにスネークは銃を取り出そうとしたが、ディアンサは諦めていなかった。

 

ディアンサは腰のナイフを抜き、ネズミの側頭部に思いっきり突き刺した。

 

キシャアアアアアアア!!!!

 

 

ネズミの力が一瞬弱くなったため、すぐに蹴り飛ばし距離をとる。

 

ネズミの方は完全にディアンサを敵と見定め、致命傷になっていないのかナイフが刺さったまま突進してきた。

 

その時ディアンサはそれがゆっくりに見えたという。あの日、スネークによってウルフから助け出された時の死を覚悟した時とは違う感覚だったという。

 

そして尊敬する仲間であり、師でもあり、大切な人でもあるスネークの言葉を思い出す。

 

「ディアンサ。まずはCQCの基本を思い出すんだ‥」

 

ディアンサはその突進を避け、左手で短い腕を掴む。

 

そのまま首をフロントチョークの要領で捕らえネズミの突進の勢いに任せ後ろに倒れこむ。

 

ゴギッ!

 

意図せずにプロレス技のDDTを繰り出した形となった。

 

そしてゴギッという音はネズミの首が折れた音を指し、それと同時にディアンサが始めて一人で敵を倒した事を意味していた。

 

「ディアンサ。よくやったな。」と肩に手を置く。

 

「私‥本当に倒したんですか?一人で‥?」

 

「ああ、間違いなく一人だ。ハラハラしたが初めてにしては上出来だ。」

 

「まだ信じられません‥」

 

「お前はネズミの全体を見ていたな。考え方は悪くない。だが不規則な動きをするものに対しては目を見ろ。いつも訓練通りに物事は進まない。いいな?だがお前は自分の力を信じて咄嵯の判断で敵を倒した。いいセンスだ。」

 

「いい‥センス‥?」

 

「ああ、ほらさっさとスタンロッドを拾ってこい。」

 

「はい!」

 

スタンロッドを拾いにいくディアンサを見守っていると後ろからナルメアとシャルロッテが話しかけてきた。

 

「ディアンサちゃんの成長の為に敢えて突き放すなんてね。私だったら助けてたかもしれないわ。」

 

「スネーク殿。やはりあなたは上に立つ人材です。」

 

「よしてくれ。俺だってそんな出来た人間じゃない。それに俺が上に立つんじゃない。みんなが俺を支えてくれて初めて立てるんだ。」

 

「おい、そっちは大丈夫か?」とランスロットが走ってきた。

 

「ああ、大丈夫だ。」

 

「なら、行こう。」とまたランスロットを先頭に先を進んだ。



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40話

更に奥へ進むと行き止まりに辿り着く。

 

「行き止まり?」

 

「そんな訳ないだろー じゃあジークフリートさんはどこへ‥?」

 

悩むディアンサとヴェインを尻目にスネークは前に出る。

 

まさかと思い、壁を押してみる。

 

すると壁がクルリと周り部屋が現れる。

 

「な!?回転式‥考えたな、ジークフリート。」

 

中に入ると壁際に無数に鉄格子の檻が並ぶ部屋にたどり着いた。

 

「なんなんだ‥この部屋は‥地下にこんな場所が広がっていたなんて‥」

 

「これは牢屋ですかね?錠前が壊されてますが‥」

 

みんながキョロキョロ辺りを見渡していると奥からジークフリートが歩いてきた。後ろに老人を一人連れて。

 

「な!ジークフリート様!追っ手ですじゃ!」

 

「ふむ、やはりここに気づいたか。褒めてやろう、ランスロット。」

 

「黙れ!もう逃げられないぞ!大人しく観念しろ!」

 

「そうか‥ならば俺も容赦はしない。全力でかかってこい。」と背中の大剣を抜きながら答える。

 

「貴様といえども所詮罪人が振るう汚れた剣!取るに足らん!」

 

「その通りだぜ!俺とランちゃんの二人がかりならジークフリートにも勝てる!」

 

三人が一触即発のムードになった中、スネークとディアンサが前に出て止める。

 

「待て。」

 

「な!?スネーク!ディアンサ!何故止める!」

「そうだぜ!」

 

「ジークフリートさんは‥私が魔物に襲われそうになった時!助けてくれました!そんな人が悪い人に私見えません!」

 

スネークはそれでも反論するランスロットとヴェインを手で制しながらジークフリートの方を向く。

 

「ジークフリート。もういいんじゃないか?全てを話せ。それともここで死ぬのが望みなのか?」

 

長い沈黙の後、ジークフリートは大剣を納め、ため息をつく。

 

「やれやれ、スネークには敵わないな。いいだろう、あの日のことを全て話そう。」

 

 

話そうとした時、部屋の奥から王国兵士が走ってきた。

 

「おい!騒ぎを聞きつけて駆けつけたが!」

 

「貴様ら!どこから侵入した!」

 

ランスロットは駆けつけた兵士に見覚えがなく、質問をする。

 

「失礼だが、君達はどこの所属の兵士だ?」

 

そう言い、近くランスロットに対して無言で兵士二人は剣を抜いて斬りかかってきた。

 

「な!?貴様ら俺が白竜騎士団団長のランスロットだと知っての攻撃か!?」

 

「そうか、ランスロットに、そこにいるのはヴェインか‥」

 

「わかった。だが、この場を見たものは誰だったとしても消せと言われてるもんでな。」

 

その瞬間、ナルメアが人質にとられてしまう。

 

「へへへ、おかしな真似すんじゃねえぞ。分かってるよな?」

 

「おい、その娘を離せ。」

 

「嫌だね。」

 

その瞬間、ナルメアが無数の蝶々の姿になり、兵士の腕をすり抜ける。

 

隙をつかれた兵士がジークフリートに吹き飛ばされる。

 

「な!?貴様!」と、残りの兵士はジークフリートではなく、ディアンサに襲いかかる。

 

「えい!」と剣を避け、背中を突き飛ばす。

 

そのままスネークは目の前の兵士を死なない程度に頭から投げ落とす。

 

「そうだ、まだ先程の話には続きがある。今俺の横に立っている老人がかの嘆願書を持ったまま、行方不明になった村長だ。」

 

「え!?貴方が‥生きていたのですね‥」とソフィアが村長の手をとる。

 

「ああ、さっきの兵士達に襲われたところをなんとかジークフリート様が助けてくれたのじゃ。」

 

「更に奥にこの国の真実がある。ついてこい。」

 

奥に進むと大きな牢があり、沢山の人が閉じ込められていた。

 

「村長!」

 

「生きていたのですね!」

 

「お、お前ら!」

 

ジークフリートが牢の鍵を壊し、扉を開ける。

 

「ここは先代のヨゼフ王が秘密裏に作らせた地下通路だ。」

 

こうしてジークフリートはスネークに話した事を全て話した。

 

話し終えた時、皆驚愕の表情を浮かべる。

 

「まさかジークフリートさんにそんな事が‥」

 

「嘘だ‥まさかイザベラ様が‥」

 

「国の執政官が悪事‥よくあることね。」

 

「確かにジークフリート殿ともあろう方がそのような事をするのはおかしいと思っていたであります!」

 

流石ナルメアとシャルロッテは飲み込みが早かった。

 

しかし、まだランスロットは信じきれてないように見えた。

 

 

「これで分かっただろ、今この国は腐敗している。一人の欲深き女によってな。」

 

「ランスロット。」

 

「なんだ、ジークフリート。」

 

「ここはひとまず休戦だ。突破するぞ!」

 

それからワラワラと湧いてくる兵士を次々となぎ倒し、玉座に辿り着く。

 

ジークフリートがゆっくり扉を開くと奥では近衛兵に囲まれたカール国王と執政官イザベラがいた。

 

「イザベラッ!!」

 

ジークフリートが怒鳴りながら部屋に入ると一緒にスネーク達も中に入る。

 

「大罪人がのこのこと‥自分が何をしているのか分かっているのか」

 

「その言葉、そのまま返そう。フェードラッヘと民は貴様の化粧道具ではないぞ。」

 

「ランスロットにスネークよ、そんなに急いでどうしたのじゃ?」

 

「国王陛下、突然の無礼をお許しください。」とランスロットが深く頭を下げ、その後イザベラに向き合った。

 

「イザベラ様‥教えてください。ヨゼフ王が殺されたあの夜、本当は何があったのかを。」

 

「ランスロットよ、真実も何も事実が全てを物語っている。その男がヨゼフ王を殺し、今も国を追われているという事がな!」

 

「私には何が真実なのか‥何を信じたらいいのか分からなくなりました。」

 

「だから今ここで真実を‥皆の前で真実を話してください!」と懇願する。

 

「可哀想にな、ランスロット。かつての師に世迷言を吹き込まれたか。」

 

「もうよい。近衛兵!あの無礼者共をひっ捕らえよ!」

 

「は!」

 

王とイザベラを囲んでいた近衛兵達がゾロゾロとこちらを捕まえようと近寄ってくる。

 

 



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41話

「彼らに罪は無いが、やむを得ん!応戦するぞ!」

 

武器を抜き、近衛兵達と渡り合う。

 

スネークは自分に斬りかかってきた兵士の腕を取り、投げ飛ばす。

 

こうして近衛兵達を全滅させ、イザベラに向き合う。

 

「ランスロット‥お前も師のように、この国に牙を剥くというのか。」

 

「最後の命令だ‥逆賊ジークフリートを殺せぇ!!!!」

 

「待ってください!それでは‥この者達はどう説明するのですか!」

 

その声と共に捕らえられていた村人達がシャルロッテと共に前に出る。

 

「おおう、そなたはリュミエール騎士団団長のシャルロッテ・フェニヤ殿。そなたもランスロット達と一緒であったか。」

 

「はい。まずは彼らの声を聞いてあげて頂けないでしょうか。」

 

陛下がうなづいたのを確認して村人達はしゃべりだす。

 

「イザベラ!!我らの顔を忘れたとは言わせないぞ!」

 

「な!?貴様らは!?」

 

「そうだ!俺たちはお前が川に垂れ流した毒物カルマのせいで死の淵にある事を伝えに行くところでお前に捕らえられた村の人間だ!」

 

「毒物‥カルマ‥なんのことだ?イザベラよ、これはどういうことだ!」

 

「か、カール王、これは‥違うのです!あやつらはジークフリートによって謀られているのです!」

 

「謀りだと!ふざけんな!」

 

 

「黙れ!!!そんなに言うのならば証拠を見せろ!!!」

 

「証拠ならあるぞ。」

 

そう言い、ジークフリートは懐から出した包みを開き、王に見せる。

 

「陛下ご覧ください。こちらが土壌を汚し、人々を奇病にするカルマでございます。」

 

「そしてこちらのカルマについて書かれた真書を一緒にご覧になれば自ずとイザベラが起こしたものだと分かると思います。」

 

それに対してイザベラは鼻で笑う。

 

「そんな真書に見せかけた小細工など騎士上がりの無能が考えつくことだ!」

 

「陛下、この真書は医者ボリスが書き上げたものです。」

 

そのボリスという人物の名を聞き、王は身を乗り出す。

 

「ボリス‥彼は先代よりも前から我が王家に仕えてきた医師だ。」

 

「ならボリスを呼んでまいれ。彼に今ここで真書について説明させれば分かる事であろう。」

 

「ボリスは死んでしまいました‥もう14ヶ月も前です。」

 

「彼がこの真書を書き上げた後、賊に襲われ‥真書だけは私が何とか死守いたしましたが。」と彼の死を悔やみながら陛下に伝えた。

 

「な!?貴様があの時の‥」とイザベラはボロを出してしまった。

 

そこを見逃すはずもなく、スネークは口を挟む。

 

「あの時の‥?」

 

「ぐっ‥」

 

「イザベラよ、何故ボリスの死を1年経った今もワシに知らせなんだ!申してみよ!」

 

「そ、それは‥その‥」

 

「全空に誇りし竜の騎士団を持つ大国、フェードラッヘの王、カールよ」

 

「先王、ヨゼフ様と交わした約束を果たすため、御前にて争う無礼をお許しください。」

 

「うぅ‥ぐすっ‥」とイザベラが急に泣き出した。

 

しかし、スネークはそれを冷静に見ていた。あれはどう見ても嘘泣きだと。

 

「何のことだか分からないまま、寄ってたかって私を悪者に仕立て上げるなんて‥」

 

「往生際が悪いぞ!イザベラ!もう諦めろ!」とスネークが言う。

 

しかし、イザベラはランスロットに擦り寄る。

 

「ランスロット‥」

 

「はい。」

 

「お前は‥私を‥信じてくれるよな?」

 

「‥‥」

 

自分の中で真実が分からなくなってしまったランスロットが黙ってしまった。

 

するとディアンサがスネークに声をかける。

 

「スネーク。私も正直どうしたらいいかなんて分からないよ。ジークフリートかイザベラ、どっちを信じたらいいの?」

 

「もし間違った選択をしちゃったら‥それこそ歴史が捻じ曲げられちゃいます‥」

 

「スネーク、あなたはどちらを信じるの?」

 

「‥もちろんジークフリートだ。」

 

「だあああ!!!もう分かんねえ!!!」

 

そう答えた瞬間、ヴェインが頭を抱えて叫ぶ。

 

「俺バカだからさ、もう何がなんだか分からねえ。だから‥」

 

 

 

「ランちゃんの選択を俺は信じる。例えその選択で国を追われたとしても俺は一生側にいるし、ずっと親友だ!」

 

「ありがとう、ヴェイン‥そうか、俺は決めたぞ。」

 

 

「イザベラ様、今の私はあなたを信用する事ができません。」

 

「イザベラよ、ワシもじゃ。ワシは一刻も早くそなたの口から真実が聞きたい。」

 

「分かりました‥大人しく従います‥」

 

 

「と言うとでも思ったか!!!どいつもこいつもピーピー騒ぎやがってよ!!」

 

イザベラは豹変し、更に言葉を続ける。

 

「こうなったらお前ら全員地獄に送って、私の手で新たにこの国を作り直してくれるわ!!!」

 

「どうやらランスロットちゃんの選択は正しかったようね。やっぱりあの執政官最低だったわ。」とナルメアが吐き捨てる。

 

「シルフ様!どこにおられるのですか!」

 

その声に呼応してシルフが現れる。

 

「イザベラ?みんな?そんな怖い顔してどうした?」

 

「シルフ様!お願いです!このボンクラ共を痛めつけてやってください!」

 

「ぼん‥くら‥?」

 

「うるせえんだよ!つまりこいつらは寄ってたかってお前を殺そうとしてんだよ!」

 

「な!?あの人!嘘をついてまで!」とソフィアが怒る。

 

「しまった!シルフが普段一番接しているのはイザベラだ!」

 

「シルフ様!お願いです!私の声を聞いてください!」とディアンサが悲痛の声で叫ぶ。

 

「ムダだ。善悪の判断がつかないシルフにとって一番の優先はイザベラだ。」

 

「諦めろ!イザベラ!」

 

「黙れぇぇえ!!!貴様らは黙って霊薬の恩恵に縋りついていればよかったんだよ!!!これさえあれば皆が救われる!!!多少の犠牲などあってないものだ!!」

 

 

「うるさいです!確かに私も身長がほしくて霊薬が欲しかったですが、そんな犠牲の上の薬なんていらない!!」

 

 

「そうか!もういい!!星晶獣シルフよ!こいつらをぶっ殺せ!!!」

 

「可愛い顔してこいつもいっちょまえに星晶獣だからな!!!惨めにぶっ殺されろ!!!」

 

 

 

「やるしかないんだな。」

 

「ああ、俺たちしか止められないぞ。」

 

落胆するヴェインの肩に手を置き、ランスロットが勇気づける。

 

「スネーク!もうすこし力を借りるぞ!」

 

「ああ、任せろ。」

 

 

「ジークフリートさん‥」

 

「俺‥ジークフリートさんの事、疑ってました‥本当にすいませんでした。」

 

「ランスロット!何をしている。教えた筈だぞ。戦場では敵から目をそらすなと。謝るなら後にしろ。」

 

「はい!白竜騎士団団長ランスロット!フェードラッヘの歴史を正すため、参る!」

 

「同じく団員のヴェイン!親友や仲間たちと共に闇を打ち砕く!」

 

「元黒竜騎士団団長ジークフリート!今こそ!遺された任務を果たす!」

 

「くだらん。さあ!シルフ!!!この愚か者どもをぶち殺せ!!!!!」

 

 



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42話

シルフは持ってた杖を構えてスネーク達と対峙する。

 

その後ろではイザベラがニヤニヤしながら、こちらを見る。

 

先に動いたのはこっちだった。

 

前衛にスネーク、ヴェイン、シャルロッテ、ナルメア、ジークフリート、ランスロット。

 

後衛にディアンサ、ソフィア。

 

まず、ヴェインが槍斧で斬りかかる。そしてナルメアが陽動をし、シャルロッテが身軽に攻撃を加える。

 

そこにジークフリートとランスロットがダメージを入れる。

 

その時、シルフの持つ杖が光り、レーザーを撃ち出す。

 

「うぎゃ!」

 

ヴェインの肩に炸裂し、動きが止まる。

 

そこを見逃さず、もう一度杖の先にレーザーがたまる。

 

撃ち出される瞬間を狙いスネークはM16に切り替え、杖を撃ち、レーザーの軌道を変えた。

 

「へへっ!助かったぜ!」

 

「ヴェイン!まだいけるか!」

 

「ああ!このくらい何ともないぜ!」

 

「ハイルミッテル!」

 

ソフィアがアビリティでヴェインを回復させ、ニコッと笑う。

 

その後、着々とダメージを与えていくが、急にシルフが桃色の膜に包まれたかと思うと急に攻撃が中々入らなくなってきた。

 

「防御力も上げてくるのか!」

 

ディアンサも後半からは歌っていたのだが、それでもほとんどダメージが入らなくなってきた。

 

「シルフ!!!!!さっきから耳障りな歌を歌っている小娘を殺せ!!!」

 

その声に応えてシルフはレーザーを撃つ。

 

スネークはディアンサを庇おうと走る。

 

死を覚悟し、ゆっくりと向かってくるレーザーを見るしか出来ないディアンサの頭の中に突如声が響いた。

 

(ディアンサ)

 

「!? だ、誰!?」

 

(私はお前の頭の中で話している。私の名はショロトル。)

 

(我が力を貸してやろう。目の前の哀れな同志を救ってやってくれ。)

 

その声が止んだ瞬間、ディアンサにレーザーが直撃し、爆発による煙が上がる。

 

「そ、そんな‥」

 

「はっはっはっはっはっ!!!!小娘をぶっ殺してやった!!!!!」

 

その時、シルフがまた杖を構える。煙の中に狙いを定めて。

 

煙が晴れると‥‥ディアンサが立っていた。

 

しかし、様子がおかしい。

 

ディアンサの右目が緑色に変わり、緑色のオーラが 出ていた。

 

「無事なのか!ディアンサ!」とスネークがか叫ぶ。

 

「はい!大丈夫です!」と言いながら杖を振るう。

 

するとショロトルの前脚を模したオーラがシルフに襲いかかる。

 

初めてシルフの桃色の膜にヒビが入る。

 

そして!とうとうシルフのガードを崩す事に成功した。

 

「みんな!決めるぞ!」とジークフリートの声に皆が答える。

 

「レーヴェ・バイン!!!」

 

「胡蝶刃・神楽舞!!!」

 

「ノーブル・エクスキューション!!!」

 

「レーベン・シュトラール!!!」

 

「今だ!!!行くぞ!!!ランスロット!!!」

 

「はい!」

 

ジークフリートとランスロットが走る。それを迎撃せんとシルフは杖を構えてレーザーを撃とうとする。

 

しかし、スネークが杖を持つ手を撃ち抜き、杖を落とさせる。

 

もうシルフには攻撃を防ぐ術はなかった。

 

「「はあアァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」」

 

「シュバルツ・ファング!!!」

 

「ヴァイス・フリューゲル!!!」

 

シルフは地面に叩きつけられ動けなくなった。

 

ディアンサは倒したシルフに近づく。

 

「すまない、イザベラ。」

 

「シルフ様‥」

 

「ディアンサ‥」

 

「ごめんね、貴女の力を分けてもらいます。」

 

「ごめんね‥ありがとう‥ディアンサ‥」

 

ディアンサに自分の力を分け与えたシルフは、静かに消えていった。

 

「くそおおぉぉぉ!!!私の!私のシルフが!」

 

「イザベラ、観念しろ。もう終わりだ。」

 

「イザベラよ。俄かには信じがたいが、今ワシが見た事でそなたの罪は明白だ。」

 

ジークフリートとカール国王の言葉にイザベラは怒りと悔しさで震えた。

 

その後、イザベラと、その関係者は皮肉にも自分たちが邪魔者を幽閉していた地下牢に幽閉される事となった。

 

 

数日後、スネーク達はカール国王から礼をしたいと玉座に呼び出されていた。

 

「此度はそなたらの力でイザベラを倒す事ができた。礼を言いたい。」とカール国王は頭を下げる。

 

「いや、俺たちはただランスロット達と戦っただけだ。」

 

「それでもそなたらは国を救ったのだ。本来ならワシがイザベラの悪事に気がついていなければならなかったものだ。全く自分が恥ずかしい。それとだ。川の汚染で甚大な被害を被ったルフルス村の病人達には霊薬アルマを送る事とした。」

 

「でも、アルマはもう作れないんじゃ‥」

 

「良いのだ。これは民を苦しみから救えなかったワシの責任でもある。このくらいの事はさせてほしい。」

 

「それにあのような霊薬に頼るようでは、この国は、いずれ滅んでしまう。これからは民衆達と共に生きよう。」

 

「はい!この身に変えましても尽力いたします!」とランスロットは答える。

 

「ソフィアよ、そなたはどうするのじゃ?」

 

「はい!私は‥もしお邪魔ではなければ、この国の復興をもう少し手伝わせてください。」

 

「もちろんと言いたいところではあるが、それではワシがペテロ導師に申し訳ない。」

 

「そしてナルメア殿。そなたにも感謝しよう。」

 

「はい、ありがとうございます。」

 

「シャルロッテ殿もじゃ。偶然とはいえ、リュミエール騎士団長の力を借りる事ができるとは思わなんだ。これからもリュミエール聖国とは密接な関係を続けたいと聖王にお伝え願いたい。」

 

「はい!心得えたであります。」

 

「失礼します!」

 

玉座の扉が開き、ジークフリートが入ってきた。

 

「色々と準備に手間取り、遅れた事をお許しください。」

 

「よいよい、そなたは英雄じゃ。このくらい許そう。」

 

「いえ、お言葉を返すようで恐縮ですが真の忠騎士は、遅刻は致しません。」

 

「はっはっは、そうじゃな。ワシもしっかりせんとな。これでは先代のヨゼフ王に怒られてしまうわい。」

 

「それでじゃ。白竜騎士団の団長になる話は考えてくれたかの?」

 

「その話ですが、辞退させていただきたい。」

 

「な!?ジークフリートさん!どうして!」

 

「ランスロット。お前は本気で俺に団長になってほしいのか?お前は俺に易々と団長の座を明け渡す程の覚悟で団員を率いていたのか?」

 

「それは違います!俺は英雄と呼ばれたアンタを越えるために、国を守る為に戦ってきた。」

 

「そうだ。それでいい。この国に英雄は二人もいらない。俺はもう少し旅に出るよ。次に会った時はもっと立派になってることを願うぞ。」

 

「はい!」

 

二人はガッチリと握手をした。

 

「グスッ‥よかったなぁ、ランちゃん。」

 

「おいおい、泣くなよ。ヴェイン。」

 

「ジークフリートよ、そなたの心よく分かった。これからは何かあったらすぐに戻ってくるのじゃぞ?」

 

「お心遣い、感謝致します。」

 

「さて、ディアンサ。ジークフリートも旅立つようだからな。俺たちも行くぞ。」

 

「はい!」

 

こうしてフェードラッヘに巣食う悪を退治する事に成功したスネークとディアンサ。

 

次の旅は果たしてどこに向かうのか。それは神しか分からない。




さて救国の忠騎士編はこれにて終了です。
今回ディアンサが発動したショロトルの力ですが、これは杖の能力です。
設定では杖はルリアのように星晶獣の力の一部を使役する力を持ちます。
そして使役すると片目がその星晶獣のカラーになります。
つまり同時に使役できるのは2体までです。


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臆病勇者と囚われの姫君編 43話

フェードラッヘを出発したスネーク達は現在バルツに来ていた。

 

目的はそう。弾薬だ。

 

現在、弾薬はダンボール輸送で賄っているが、それもいつまで出来るか分からない。

 

M1911は.45ACP弾、M16は5.56×45mm NATO弾だ。もちろんスネークには作れない。

 

その為、鉄鋼業に精通しているバルツでなら製造可能なのでは思い、訪れた。

 

結果は難しいらしい。一人だけドラフの女性、まあ今目の前にいるんだがな。

 

「うーん、分解してみたけど‥なるほどなー 全然見たことないや。でもすごいな。この世界の銃は大体が火薬とか弾とか別々なのに。」

 

彼女の名前はアルメイダ。21歳の若さで工事現場の現場監督をしている。また武器職人の顔もある。

 

「スネークさん、外騒がしくないですか?」

 

「確かにな。ちょっと見に行ってみるか。」

 

「え!?あの‥まだパンケーキが‥」

 

「‥分かった。包んでもらえるか聞いてやる。」

 

急いで外に出ると魔物が街に現れて暴れていた。

 

「ま、魔物だと!一体どこから!」

 

「おい!何があった!」と近くにいた人に聞く。

 

「俺だって分からねえよ!いきなり現れたんだ!」と逃げていく。

 

「俺は魔物を倒す。ディアンサは逃げ遅れた人の救助だ!」

 

「はい!」

 

スネークはナイフと銃を抜き立ち回る。

 

向かってくる者にはナイフ、遠くの者は銃で応戦する。

 

遅れてやってきた衛兵と協力した事であっという間に魔物は全滅した。

 

「我々が到着する間、戦っていただきありがとうございます。」

 

「いや、当然のことだ。」

 

「うわっ!!誰か!」

 

「まだいたか!」と衛兵の一人が走り出そうとした為、スネークが止める。

 

こちらを振り向いた瞬間に発砲し、魔物は男性に飛びかかろうとした瞬間、眉間を撃ち抜かれ絶命した。

 

?「うう‥なんだってこんな事に‥やっぱり俺なんかが‥」

 

「おい、大丈夫か?」

 

「え?ああ、大丈夫だ。それにしてもアンタやるな。俺は魔物を油断させて倒そうと思ったんだが、返り討ちにあうなんてな。」

 

「それより行かないと!」

 

「どこへだ?その感じだと外に行くようだが、街中の様子から外は危険だぞ。」

 

 

「ああ、それなら心配いらねえ。俺は腕には自信があるんだ。見てろよ。」と街の外へ走っていった。

 

「ディアンサ、あいつをどう思う?」

 

「危なっかしいです。」

 

 

「なら追いかけるぞ。」

 

案の定、その男は魔物に囲まれていた。

 

男の剣の動きはバラバラ、腰が入っていない、軸がブレている。あれでは倒せるものも倒せない。

 

「伏せろ!」

 

スネークが怒鳴った事でビックリしてその男はしゃがむ。

 

そこをM16の乱射で魔物を一掃し助け出した。

 

「また会ったな‥」

 

「ああ、それよりもだ。何故そんな危険な真似をする。」

 

「危険?俺は戦える!」

 

「やる気だけは認めるが、お前の剣の動きはダメだ。腰が入っていない、腕だけで振るな。体全体で動け。」

 

ディアンサが前に出て話を聞く。

 

「ねえ、あなた名前は?」

 

「スタンだ。」

 

「スタンさんね。どうしてそんなに急いでるの?訳を話してよ。」

 

「実は‥」

 

その男、スタンが言うには、この男は護衛だったのだが突然現れた星晶獣に護衛対象が拉致されたらしい。

 

なるほどな。

 

「よし、分かった。俺達も行こう。」

 

「本当か!よかったー 一人じゃ心細かったんだ。」

 

「とりあえず、まずは街に戻るぞ。」

 

「もう急にどこ行くんだよ!銃弾見てたら急にいなくなるんだもの。」

 

「悪かった。」

 

「全く!‥て、アリーザちゃんとこのスタン君じゃん!どしたの?」

 

「なんだ?知り合いか?」

 

「ああ!私が仲良くしてるイオっち‥ほらグランに付いてった小ちゃい子と私友達でさ?それでたまにアリーザちゃんのお目にかかる時があるんだよ。」

 

「そうなのか、なるほど。」

 

「実は‥」

 

スネークとディアンサにした話をもう一度アルメイダのまえでする。

 

「うーん、突然現れた魔物に変な入れ物に閉じ込められて連れ去られた‥?知らないな。」

 

「ああ、考えられるのは星晶獣だな。」

 

「やっぱり‥それは私も思ってました。」

 

「星晶獣だって!?尚更戻らなきゃ!」

 

「おい、何を言っている。悠長な事を言ってる場合か!?」

 

「俺だって!助けたいさ!」

 

「でも!俺は単なる使用人なんだよ!英雄でもなければ勇者でもない!血筋も家柄もごく普通の一般人なんだよ!」

 

その瞬間、スネークはスタンを殴っていた。

 

「え‥スネークさん‥?」

 

ディアンサは止めようとするがアルメイダに止められる。

 

そしてそのままスネークは倒れているスタンの上を跨ぎ胸倉を掴んだ。

 

「お前が、そのお嬢様を助けたい気持ちはそんなものなのか?今この瞬間にも怖い目に遭ってるかもしれないんだぞ?それでもお前は逃げるのか?お前の忠誠心はそんなもんか?」

 

「違う!!!俺は!!!お嬢様を!!!アリーザを助けたい!!!でも‥」

 

ガチャ

 

スネークは銃をスタンに向けた。

 

「え‥」

 

「よく狙え お前は一人の男を 殺すんだ」

 

「スネークさん!ダメ!」

 

 

 

パシュ!

 

ディアンサとアルメイダの制止を振り切り、スネークの構えた銃から一発の銃弾が飛び出した。

 

しかし銃弾はスタンの命を取ることなく頬を掠め、地面に刺さった。

 

殺されると思ったスタンは驚いた顔でスネークを見る。

 

「スタン お前は、ここで死んだ。分かるな?」

 

「お前は新しい人間になった。その命、今だけ俺に預けてくれ。」

 

「共に闘おう、スタン。お前の力を見せてみろ。」

 

「うっ‥グスッグスッ‥」

 

「涙が枯れたら約束してほしい。」

 

「もう俺の前で弱音を吐くな。強くなれ。」

 

「それと英雄の現実は伝説ほど格好良くはない。」

 

「分かったよ、ボス。」と言いながらスタンはスネークの手をガシッと掴んだ。

 

「スネークでいい。」

 

スネークはスタンを立ち上がらせながら言った。

 

この時スネークはサンディニエスタの若き戦士を思い出していた。

 

 




はい!今回から【臆病勇者と囚われの姫君】編スタートです。


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44話

スネーク、ディアンサ、スタン、アルメイダの4人は敵を倒しながら進んでいた。

 

そしてそろそろ休憩しようかと思った時に何者かが現れる。

 

「動かないで!動くと‥撃ちます。」

 

その女性は大きな砲身を構えてスネーク達に照準を合わせたまま、ジリジリと近づいてくる。

 

「待て。俺達は星晶獣に捕まった人を助ける為にここに来た。敵じゃない。」

 

そう言いながらも引き金に添えられている手を注視し、こちらもすぐ抜けるようにジェシカから死角になっている方のブーツに装着したナイフを握る。

 

双方の睨み合いが続き、ようやくジェシカが砲身を下ろす。

 

「貴方方も星晶獣ネフティス退治なんですね。」

 

「ネフリティス?そいつはネフティスというのか。貴方もということは‥」

 

「はい、私は弟が連れ去られて行方不明に‥」とジェシカは俯く。

 

「そうか。なら俺達と一緒に来い。」

 

ジェシカは驚いたように顔を上げ、スネークに尋ねる。

 

「いいのですか?私は貴方方に武器を‥」

 

「俺は構わん。戦場において、そんな事は日常茶飯事だ。」

 

「はい!ありがとうございます!では!」

 

「私はジェシカ。星晶獣ネフティスに連れ去られた弟を助ける為、旅をしています。よろしくお願いします。」

 

こうしてジェシカが仲間に入り、更に歩を進めた。

 

「私が調べ上げた情報ではネフティスの巣はこの先です。」

 

そう言い先頭を務め歩いていく。

 

ディアンサはふと気になることがあり、ジェシカに質問した。

 

「ジェシカさんってすごいですね。そんな大きな大砲を持って歩くなんて。重いですよね?」

 

「うーん、使い始めは確かに重かったですが、今となってはもう慣れちゃいました。それに‥」

 

「それに?」

 

「大砲って弾を使わなくても戦えるんですよね。」

 

「弾を?」

 

「はい、こうして、ここ持って殴れば鈍器になるんですよね。」

 

「「へ、へぇ‥」」

 

ディアンサと、それを聞いていたスタンは若干引き気味でジェシカを見る。

 

「ふむ。確かに射撃と近接を同時に行える点では俺と似通っているな。」

 

「ジェシカって言ったね。もちろんネフティスがアジトにいるんだろ?どうやって奪還するんだい?」

 

「いえ、ネフティスは捕まえて巣に持って帰りはしますが執着はしません。なのでほとんど巣にはいないかと。」

 

「それなら楽勝だな。」

 

「スタン‥油断はするな。''ほとんど''いないだけで絶対居ないとは限らないだろ?」とスネークはスタンの肩を掴んで言い聞かせる。

 

「うっ‥分かってるよ。」

 

「それにしても助かりましたよ。私一人だけでは不安だったんですよ。」

 

「いやー!分かるぜ!そんな一人で星晶獣倒してこいなんて言われたら俺だって無理だぜ。」

 

スタンは仲間がいたと喜ぶ。

 

「いえ‥別に一人では無理というわけではないんですよ。ただ‥その‥」

 

ジェシカが言いよどんでしまう。

 

それをスネーク、ディアンサ、アルメイダ、スタンは見る。

 

「私‥地図を読むのが苦手なんです‥ネフティスがいるこの島に辿り着いたのも艇を間違えて回り道をしてやっと辿り着いたんです。」

 

「でもそれならもう安心ですね。私達と一緒なら安心ですよ。」

 

ディアンサは笑顔を見せながらジェシカの横に並ぶ。

 

「ありがとう。その恩返しというわけではないですが‥魔物の相手は任せてください。まとめてズドン!と撃ち抜きます!」

 

その瞬間、スタンは悲しそうな顔をした。それをスネークは見逃さなかったが、敢えてその場では何も言わなかった。

 

そして一時、休憩となり一行は思い思いに休む。

 

スタンが一人で水筒の水を飲んでいるのをスネークは見つけ、近づこうとしたがそれより先にジェシカが声をかける為に近づいて行った。

 

「スタンさん。ちょっといいですか?」

 

「えっ?な、なんだよ‥」

 

突然話しかけられ動揺したが、スタンは少し横に寄り、ジェシカが座れるスペースを作った。

 

「スタンさんは星晶獣が怖いですか?」

 

「あ‥おれはジェシカやスネークみたいに特別な存在じゃねえから‥」

 

スタンは俯きながら弱々しく答える。

 

「いえ、私だって特別な人間じゃありません。私が産まれたのもごくごく普通の家でしたし。」

 

「え!?で、でも星晶獣を撃退したことがあるって!」

 

「強くなったんです。旅の中で‥星晶獣に負けないくらい。」

 

「スネークさんもそうですよね?」

 

ジェシカは後ろからその話を聞いていたスネークにも声をかける。

 

「気づいていたのか。ああ、そうだ。俺も最初はただの軍人だった。だがボスや家族が俺を強くしてくれた。」

 

「そうですよね。誰だって最初から強い人なんていません。」

 

その言葉にハッとしたようにスタンは顔を上げ、ジェシカの顔を見る。

 

「俺も‥なれるかな‥?今より強く。」

 

「なれますよ、スタンさんなら。誰も特別じゃありません。みんなおんなじ舞台にいるんです。」

 

「ううん、舞台なんて最初から一つです。だから逃げないでください。助けたい人がいるんでしょう?」

 

「俺に‥助けられるかな?アリーザお嬢様を。」

 

「ふふ‥大丈夫ですよ。スネークさんもそう思いますよね?」

 

「ああ、お前ならできる。俺たちはお前を信じてる。」

 

 

「おおーい!何してんだい?置いてっちゃうぞ?」

 

向こうからアルメイダが出発を促している。

 

「行くぞ、スタン。アリーザがお前を待ってるぞ。」

 

「やってやる!魔物なんか相手じゃねえ!俺は今よりもっともっと強くなるんだ!」

 

「おお!スタン君。やる気になったし、目も変わったな。なんかあったのかい?」

 

休憩後のスタンの変わりようにアルメイダは驚き、感心しスネークに聞いてくる。

 

「うん?ああ、この話は俺とスタンとジェシカの3人だけの秘密だ。悪いな。」

 

「むっ!ずるいですよー」

 

自分の行く先を覆い隠す闇をスネークとジェシカの言葉で打ち払ったスタンは堂々と歩き出す。

 

それは一人の男が迷いを捨て、立ち上がった姿に見えた。

 

それを応援するかのように日差しがスタンを包んでいるのをスネークは微笑ましく思うのであった。

 



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45話

「とうとう、着きましたね。」

 

「ああ」

 

「なんか‥暗くて何も見えねえな。」

 

「ほ、本当にここ‥なんだよな?」

 

「ええ、ここです!」

 

とうとう、ネフティスの巣である洞窟にたどり着いたスネーク達。

 

その得体の知れない空間は大きく口を開けるようにスネーク達を待ち構えていた。

 

「な、なんか怖いですね。」

 

ディアンサは震えながらスネークの腕にくっつく。

 

「ああ、だが大丈夫だ。怖いなら俺の後ろにいるといい。」

 

そう言うとスネークはナイフとハンドガンを構える。

 

「おいおい、ディアンサ。お前怖いのかよー」

 

スタンは剣を抜き放ち、構える。

 

「そういうスタンさんこそ、足震えてますよ?」

 

「な!?」

 

「ふふ、みんなで固まっていきましょ?そうすれば怖くないですよ?」

 

スネーク、ディアンサ、スタン、アルメイダ、ジェシカの順番で暗い洞窟を進む。

 

「お、お嬢さーん!どこですかー!いたら返事してくださーい!」

 

「バカ!スタン!大声出したら魔物が集まるだろうが!」ガツッ!

 

「イテェ!」

 

「まあまあ、アルメイダさん。」

 

ディアンサがアルメイダに拳を降ろすよう宥める。

 

「まあ、星晶獣のことだ。これだけ騒いで出てこないなら今はいないのだろう。」

 

「そのようですね。それに流石に私達の声が聞こえるほど近くにはいませんね。」

 

「ああ、だが気をつけろ。魔物が多い。」

 

スネークのジェシカは互いに一番前と後ろで会話をする。

 

「私の杖が反応してます。この洞窟内の‥奥ですね。連れ去られた人達がいるのは。」

 

「本当か?ディアンサ。」

 

「はい。」

 

「そういえば、アリーザさんってどんな人なんですか?」

 

ディアンサはスタンに聞く。

 

「え?ああ、アリーザお嬢様は美しく、とても元気な方だ。」

 

「一子相伝の技を引き継ぐほど武芸に秀でた方で‥幼い頃から芯が強い方で‥」

 

「俺とお嬢様は幼馴染でもあるんだ。あの方は昔から変わらないな。」

 

「ふふ、それじゃあ尚更スタンさんが助けに行かないと、ですね!」

 

 

「それで、ジェシカさんの弟さんはどんな方なんですか?」

 

「私の弟は‥どことなくスタンさんに似てます。雰囲気とか、単純な所とかですね。だからスタンさんの事が放っておけないんですよね。」

 

「ああ、いいですね。私一人っ子ですから。」

 

「ふふ、でもどうせならディアンサちゃんみたいな妹も欲しかったわ。」

 

「え、そうですか?ふふ、ありがとうございます。」

 

「話しているうちに魔物だ。やるぞ!」

 

スネークが言い終わるやいなや、魔物が飛び出してくる。

 

「やるぞ!お前らは俺の通過点だ。倒してやる!」

 

 

戦闘終了後

 

 

「はぁ‥はぁ‥」

 

「やったじゃないか。スタン。」

 

「ああ‥ありがとう。スネーク。でもやっぱやる気はあっても体が追いつかないや。戻ったら鍛えようかな。」

 

「ふふ、鍛えるなら日常的に負荷を掛けた生活とか、どうですか?なんなら私の大砲貸しましょうか?」

 

「いや‥遠慮しとく。さっき微かにだが、地面にめり込んでるのを見たぞ。」

 

「ああ、俺も見た。」

 

「スネーク。なんとかならないのかい?このまま全部相手にしてたら保たないぞ。」

 

「それもそうだな‥よし、一体ずつ撃つか。」

 

スネークはM16ライフルにサプレッサーとスコープを取り付けながら言う。

 

「なんだ?その銃の先に付けた筒は?」

 

「ああ、これは消音器と言ってな‥まあ見てろ。」

 

ウルフが3匹たむろしている方を見る。

 

スネークは片膝を立て、狙いを定める。

 

3匹はこちらに気がついているそぶりはない。

 

パスッ

 

サプレッサーを通して放たれた銃弾はウルフのこめかみに吸い込まれ、血を吹き出して倒れる。

 

他のウルフは突然仲間がやられた事に驚き、地面に鼻をつけ、こちらを探そうとする。

 

だが、スネークは冷静に残り2匹も撃ち抜き、対象の沈黙を確認したため、岩陰から出る。

 

死んでいる事を確認して、毛皮を剥ぎ、血抜きをして肉を剥ぎ取る。

 

「おいおい、スネーク。それ食うのか?」

 

「ああ。」

 

スタンが話しかけてくる。

 

「ええ‥マジかよ。」

 

「大丈夫だ。食べたら美味かったぞ。だが今回は焼いて食べたい所だな。」

 

「え!?あんた生で食ったのか!」

 

「当たり前だ。戦場によっては焚き火の煙で敵に見つかることもある。それに生で食うことで肉のビタミンをそのまま摂取できるんだ。」

 

「絶対いやだ。なあ!ディアンサ!お前も何か言ってくれよ!間違ってるって!」

 

「大丈夫ですよ。スタンさん。生肉って意外と食べられるんですよ?」

 

「な!?ディアンサ!?‥‥遠い目をしてる‥」

 

そうなのだ。実はディアンサは偶然立ち寄った村の依頼でスネークと一度盗賊のアジトを壊滅させた事がある。その時にアジトの近くにキャンプを張ったため、焚き火が出来ず生肉を食べる羽目になったのだ。

 

黙々と生肉を頬張るスネークにドン引きしながら保存食の干し肉を食べようとしたが、スネークに止められた。

 

スネーク曰く、「こういうのは本当に獲物が取れなかった時に食べろ。」と。

 

ディアンサは親や祭祀様からこう言われて育った。

 

「お肉はよく焼いて食べなさい。お腹壊しますよ。」と。

 

それが当たり前だとおもって過ごしてきた。だが目の前の男は一度も火を通さずに頬張っている。

 

「あの‥お腹壊しますよ?」

 

「あいにく腐肉以外で腹を壊したことはない。」

 

「寄生虫は‥?」

 

「よく噛めば死ぬ。」

 

それ、ただ寄生虫食べてるだけじゃん。と思いながらも仕方なく、泣きながら生肉を食べたものだ。

 

そして、とうとう洞窟の奥に到着した。

 

「これです!これがネフティスです!」

 

ディアンサが杖を向けた先にいたのは‥大きな置物だった。

 

「ディアンサさん?本当にあれがネフティスですか?私には置物‥か何かに見えるのですが」

 

「あれです。杖が反応してます。」



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