東方紫流風 (永遠の中級者)
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1話 風来坊

本来の活動が少々スランプ状態なので息抜き程度に遊びたくなったのですよ。
他の投稿を進めろよって感じですが気が乗りません。

遊戯王系統は前々からやってみたかったんです。私ガチ出来ないんですけどね。


「……何処だ、此処?」

 

 目が覚めるとそこは見覚えのない場所だった。

 周りが木に囲まれていて遠くに山すら見える。

 

 というか、そもそも何も分からない。

 自分のことも、自分が何故此処に居るのかどうかも。

 こんな山奥に何か用があったのだろうか俺は?

 

 何時までも座り込んでいるのもなんだから、とりあえず立ち上がり、自分の格好を確認する。

 改めて見ると随分とラフな格好をしている。山登りを目的とした人間の服装じゃないだろ。割と普通なシャツにズボンだぞ。

 それに服装もだが、それらしい荷物が一切ない無いのも可笑しい。

 唯一ある荷物と言えば、ベルトの両側面にかけてあった何かのケースが二つと、これまた何かの丸みを帯びた機械。

 

「食料が一切ないな…

にしても何でこんなのを持ってたんだ?」

 

 そう言いながら正体の分からない機械を眺める。

 上部に色の違う丸い物が付いていて、その近くに何かを差し込みそうな窪みが一つ、その近くに別の差込口が存在する。何だこれ?小型UFOか?とは思っても当然これはUFOではないことは自分でも分かる。そんなものを持っている訳もないし、こんな持ち運びできるはずもない。

 …というかそんなものを持っていたらいよいよ自分は何者なんだよとツッコみたくなってくる。

 

「それでこっちは……なんだ?札…いやカードの束?」

 

 小型の機械を仕舞い、次は腰元に付けているケースの一つに手を掛ける。

 ケースの蓋を開けて中身を取り出すとそれはカードの束だった。

 そのカードはトランプでも花札でもなく、一枚一枚にカードの名前と思われる名や不思議なマークなどが記されていた。

 同じ物であることは判断できるが、全てが一緒ではなく、異なる部分が多い。名前や絵柄が違うものもあれば、カードの色自体が違うものだって存在する。

 

 だけど何故だろう。これらを見ていると、大事にしていたような感じを思えなくもない。まあいいか。

 カードの束も元のケースに仕舞い込む。もう片方もサイズは同じなので中身も同じなのだろう。

 

 そうして再び周囲を確認する。

 何度見てもやっぱり山だ。

 風でさわさわと木の葉の音が聞こえる。随分と自然豊かな場所だ。

 

 よく見ると、背後には階段がある。

 階段の先には人の手が加わったかのように木が見えない。きっと何かがあるのだろう。出来ればこの辺りのことを知るためにも人が居ると助かる。

 

 そう思って階段を登ること少々。

 何とか登り切った。

 

「ちと長くねえか、この階段…。ま、着いたけどさ」

 

 階段を上った先にあったのは、整地された土地とそこにある建物。

 造りや雰囲気から見るに神社のようだ。というか中々の神社だ。

 

 と、丁度良い所に現地人を発見。

 竹箒で敷地内を掃除しているところを見るにこの神社の関係者のようだ。

 

 向こうはこちらに気付いていない。

 

「あー、そこの人少し聞きたいことがあるのですが」

 

「はい?参拝客ですか?」

 

 声をかけると相手は手を止めてこちらに振り返った。その際に緑色の髪が揺れる。後ろ姿でも分かったが相手は少女で、髪に付けた蛙や白蛇のアクセサリーが特徴的だった。

 

「いや、参拝客は違うと思うんだが…。

此処は何処なんだ?」

 

「此処は守矢神社ですよ?」

 

 少女は少し不審がりながらもそう答えた。

 

 守矢神社、聞いたこともない名だ。

 いや、そもそも記憶が無いのだから知らなくて当然なのだが、何も来る物が無いということは全く覚えのない名前らしい。

 

「随分と変わった格好をしていますね。この辺りに比べれば」

 

 そうなのか?

 どちらかと言うと君の方が変わっている気がするんだが。通気性が良さそうな格好をしているが、巫女装束的なアレなのかそれは?

 

「ひょっとして外から来たんですか?」

 

「外?

ああ、山の外ってことか?それなら多分そうだと―――」

 

「いえ、そういうことではなくて、()()()の外からという意味だったんですけど…」

 

 ……幻想郷?なんだそれは?

 

「あれ?その様子ですと幻想郷のことも分かっていませんか?」

 

 

 

 

―――――少女説明中*―――――

 

 

 

 

 少女に説明されたことを纏めると、

 つまり此処は幻想郷という世界であり、自分は恐らく別の世界の人間でこの幻想郷に幻想入りもとい移動したのだと。

 自分が別の世界の人間であることは服装で判断された。やはりこの世界ではこのような服装の者はあまり存在しないということと、彼女が少しは外の服装を知っていたことから判明したことだ。

 

「じゃあ本当に自分のことも分からないんですか?」

 

 ついでに記憶のことも言った。

 

「ああ。何でこっちの世界に来たかも分からないし、自分で調べようにも分かるような荷物は持ってなかったしな。せめて身分証明ぐらいは持ってて欲しかったんだが。」

 

「そうですか…」

 

「ところで、この幻想郷ってのは頻繁に外から人間が来たりするのか?」

 

「いえ、ここは外の常識とはかけ離れた場所なので、一般人が外から干渉したりすることは無いんです。と言っても例外はありますけど幻想郷に入ってくる場合はある種の条件みたいなのもあるんですけど……貴方はそれとは違いますよね?」

 

 だから訊かれても記憶がないから分かりませんって。

 というかその条件って何ですか。

 

 ほんと分からないことだらけだ。

 持ってたのも何に使うのか分からないこんな小型機械ぐらいだし…

 

「あれ? それは決闘盤ですか?」

 

「決闘盤?」

 

 懐から小型機械を出していると、それを見た彼女が何か知っているかのようにそんなことを言った。

 決闘盤?そんな大層な名前なのかこれ。これでどう決闘しろと言うのか。鈍器か?

 などと考えていると彼女の手にはいつの間にかデザインは違うが同じような決闘盤があった。君も持ってるのか。

 

「何なんだこれは」

 

「何って決闘の為の道具ですよ?これを使った決闘です」

 

 そう言って彼女は何処かから取り出したカードの束を決闘盤の差込口にセットして決闘盤を腕に置くように添えた。すると決闘盤の裏側から腕を覆うようにパーツが飛び出し、腕に取りついた。

 

 ああ付ける物なのか。それよりもさっき彼女が差し込んだカードは俺が持っているのと同じだった。

 そう思い、片方のケースからカードの束を取り出して先程の行動を真似るようにカードを差し込み、腕に装着してみた。

 

「あ、デッキもちゃんと持っているんですね」

 

「デッキ……」

 

 何だろうな、この決闘盤が妙に馴染む。サイズだとかそういう話じゃなくて、なんというかこの状態を望んでいたような感じがする。

 

「折角ですので、デュエルしてみませんか? もしかしたら何か思い出すかも知れませんし」

 

 デュエル…か…

 

「そうだな。これらを持ってたってことは何か関係があるのかもしれないし。そのデュエル?っての受けてやる」

 

「それじゃあ始めましょう」

 

 そうと決まり、言葉とは裏腹に彼女は離れて行った。

 そして一定の距離を取ると、彼女は決闘盤を付けた腕を前に出すように構えた。するとその決闘盤から半透明に輝く板のようなものが出現した。

 

 こちらも同じように構えてみる。するとこちらの決闘盤からも同じように半透明な板が出現した。

 

「そういえば訊いていなかったのですけど、お名前は何て言うんですか?」

 

「…紫遊(しゅう)。確かそんな名前だったと思う」

 

紫遊(しゅう)さんですか。私は東風谷(こちや)早苗(さなえ)です」

 

「そうか」

 

「では準備は良いですか」

 

 そう言う早苗は決闘盤のデッキから五枚のカードを引いて手に持つ。あれが決闘のスタイルなのだろう。こちらも同じようにカードを引く。

 

「こっちの準備も良いぞ」

 

「では始めましょう」

 

 微かな緊張感。戦いへの高揚感。

 次の言葉が頭に過る

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

 

 

 

紫遊    VS    早苗

LP4000       LP4000

 

 

 

 




デュエルは次回。


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2話 幻想郷の決闘ごっこ

 元居た世界とは別の世界、幻想郷の山の中の神社で今、二人の戦いが始まる。

 

「それでは先行は貰います。

私のターンです」

 

 説明を兼ねて、と言葉を続けながら早苗は手札からカードを一枚とる。

 

「自分のターンは順序がありまして、色々と処理などを行うスタンバイフェイズの次に主な行動が出来るメインフェイズ1に移ります」

 

「1ってことは2もあるのか?」

 

「はい。ですが、先行1ターン目ではあまり関係が無いですね。

という訳でメインフェイズ1で私はこのモンスター、《プリーステス・オーム》を通常召喚します!」

 

《プリーステス・オーム》

☆4 / 闇属性 / 魔法使い族 / 攻1700

 

 早苗がカードを決闘盤の半透明な部分に置くと、それに連動するように早苗の目の前にモンスターが出現した。これが召喚か。

 その後の早苗の説明では、このようにモンスターを通常召喚出来るのは1ターンに1度らしく、今のように何事も無く召喚出来るのはモンスターカードに記された星――レベルが4つまでのものだけらしい。それ以上のレベルのモンスターを場に出す場合は、既に場にいるモンスターを決まった数使って出すとのこと。

 

「それから私は魔法・罠ゾーンにカードを一枚伏せます。このゾーンにはその名の通りに魔法と罠をセットしてそれらを使うんです。魔法は基本的に自分のターンならすぐに使うことが出来ますが、罠は一度自分のターンを終えないと使うことが出来ません」

 

 へぇ。まあ、罠って名前からして相手に仕掛けるような感じだからな。一度ターンを終わらせないと起動できないと言うのは分かるな。

 

「この後にモンスターで攻撃することが出来るバトルフェイズがあるのですが、1ターン目は出来ないので、私はこれで流しまして、メインフェイズ2、そしてエンドフェイズになりまして、これで私のターンは終了です」

 

 

 

ターン1→2

早苗 LP4000

手札 3

墓地 0

フィールド

 モンスター《プリーステス・オーム》 

 魔法・罠伏せ1

 

□ □ ■ □ □

 

□ □ プ □ □

 

  □   □  

 

□ □ □ □ □

 

□ □ □ □ □

 

紫遊 LP4000

手札 5

墓地 0

フィールド 0

 

 

 

 これで1ターン目の大体の流れが終わって、次は俺に交代か。

 

「2ターン目からはターンの始めのドローフェイズでデッキからカードを1枚引くんですよ?」

 

 早苗の言う通りにデッキからカードを一枚引いて手札に加える。

 

 さて、さっきのターンみたいにする訳だが、どうするか…

 引きが良いのかは分からないが、手札にはモンスター、魔法、罠がバランスよく加わっている。基本的な行動は出来るだろう。

 にしても同じ魔法カードなのにこのマークは何だ?種類?まあいいか。

 

「俺は手札から魔法カード《ワンタイム・パスコード》を発動する。このカードの効果により、俺の場にセキュリティトークン1体を守備表示で特殊召喚」

 

《セキュリティトークン》

☆4 /光属性 / サイバース族 / 守2000

 

 魔法の効果によって、俺の場にモンスター…のようなものが姿を現す。

 守備表示か。《セキュリティトークン》の守備力は相手の《プリーステス・オーム》よりも攻撃力が高い。守るだけならこれでもいいだろう。

 

「サイバース族? 聞いたことがありませんね」

 

「続けて俺は魔法カード《強者の苦痛》を発動」

 

 先程使った《ワンタイム・パスコード》とは違って永続と書かれた《強者の苦痛》を決闘盤に差し込む。永続と書かれているので場にでも残るのだろう。だがその時に早苗が動いた。

 

「弱体化魔法ですか。それは通せませんね。

リバースカードオープン!カウンター罠《呪術抹消》!手札二枚を捨てて、相手が発動した魔法の発動を無効にして破壊します!」

 

 

早苗の墓地へ → 《儀式魔人プレサイダー》、《儀式魔人ディザーズ》

 

 

 マジか。ここでそれを踏むか。それとも弱体化をされたくないのか?

 

 早苗が続ける。《呪術抹消》には追加効果があるらしく、手札とデッキからも同じカードを破壊するらしい。俺は手札に同じものがないことを示しながら、デッキを確認する。どうやら一枚しか入っていなかったらしく、デッキにもないことを相手に確認させる。

 二枚目以降の破壊はされなかったが、それでもデッキ内の情報をかなり与えてしまった。完全なディスアドバンテージだな。それを利用してくるのかは謎だが。

 だけど考えようによっては一枚に三枚使わせたと考えれば悪くない。

 

「それなら、《バックリンカー》を通常召喚だ」

 

《バックリンカー》

☆3/ 闇属性 / サイバース族 / 攻1600

 

「俺はカードを一枚伏せる」

 

「二ターン目からはバトルフェイズで戦闘を行なうことが出来ますよ?」

 

 早苗が教えてくれる。

 先程の《強者の苦痛》が残っていればこちらの攻撃力の方が上になっていたが、防がれたが為に、僅かに届かなくなっている。流石にこれでは戦闘を起こす気にはならない。数値だけなら《セキュリティトークン》も居るが、守備表示はどう考えても攻撃出来ない。

 

「いや、俺はこれでターンを終了する」

 

 

ターン2→3

早苗 LP4000

手札 1

墓地 3

フィールド

 モンスター《プリーステス・オーム》 

 

□ □ □ □ □

 

□ □ プ □ □

 

  □   □  

 

□ □ バ セ □

 

□ □ □ ■ □

 

紫遊 LP4000

手札 2

墓地 2

フィールド

 モンスター 《バックリンカー》、《セキュリティトークン》

 魔法・罠伏せ 1

 

 

「では私のターンですね。ドローフェイズ、ドロー!」

 

 向こうの手札は一枚。このドローで二枚になるが、二枚ではそれほど厳しい状況には発展しないだろう。そう思っていたのだが、カードを引いた早苗が少し笑った。

 

「これを引いちゃいますかぁ。折角ですので狙って行きましょうか。

私は《センジュ・ゴッド》を召喚します」

 

《センジュ・ゴッド》

☆4 / 光属性 / 天使族 / 攻1400

 

 今引いたカードか。だがそれほど強いものではないように見えるが、何をする気だ?

 

「《センジュ・ゴッド》の効果を発動!このカードが召喚に成功した時、デッキから儀式モンスター1体を手札に加えます。私が加えるのは《救世の美神ノースウェムコ》!」

 

 儀式…モンスター?何だ今のカード。他とは色が違ったが。

 

「そして私は手札から儀式魔法《救世の儀式》を発動します!手札と自分フィールド上からレベルの合計が7以上になるようにリリースして《救世の美神ノースウェムコ》を儀式召喚します」

 

 さっき加えたカードを出す為のカードか!

 

「場の二体を使ってさらなるカードを呼び出すってことか」

 

「普通に考えるとそうですね、ですが常識に囚われてはいけないんです。

私はこの儀式の素材に墓地に居る二体の儀式魔人も素材とします。墓地の《儀式魔人プレサイダー》と《儀式魔人ディザーズ》は儀式召喚を行う場合、その儀式召喚に必要なレベル分のモンスター1体として、墓地から除外できるのです。」

 

 墓地のモンスターを!?儀式魔人なんてカードは使ってなかったぞ!

 …まさか《呪術抹消》のコストで捨てたカードか!あれは魔法を打ち消したかったんじゃなく、墓地に仕込むことが目的だったのか!?

 

「私は墓地の《儀式魔人プレサイダー》と《儀式魔人ディザーズ》をゲームから除外します。これで合計5、後はフィールドの《センジュ・ゴッド》をリリースして

レベルの合計は必要な7以上となりました。よってこのカードがフィールドに降臨します」

 

 

―――降臨したまえ、《救世の美神ノースウェムコ》!―――

 

 

《救世の美神ノースウェムコ》

☆7 / 光属性 / 魔法使い族 / 攻2700

 

 現れたのは恐らく早苗のデッキで一番強いモンスターなのだろう。

 あのカード自身の能力はこの状況では活かせないように思えるが、それとは別の力をモンスターから感じる。

 

「儀式魔人は儀式召喚に使われた時にその儀式モンスターに効果を付与する効果を持っています」

 

 儀式召喚に使われた儀式魔人は二種類。よって《救世の美神ノースウェムコ》

には二種類の効果が付与されていることになる。

 

《救世の美神ノースウェムコ》

☆7 / 光属性 / 魔法使い族 / 攻2700

※戦闘によってモンスターを破壊した場合、儀式モンスターのコントローラーはデッキからカードを1枚ドローする。(儀式魔人プレサイダー使用)

※罠カードの効果を受けない。(儀式魔人ディザーズ使用)

 

 凶悪とまでは流石にいかないが、これはまた戦闘に役立ちそうな効果だこと。

 罠の効果を受けないようになっているので罠で妨害するという手が使えず、罠に恐れず攻撃出来る上に、それでモンスターを破壊すればドローか。どうしたものか。

 

「ではバトルフェイズに移ります!

《救世の美神ノースウェムコ》で《バックリンカー》に攻撃します!攻撃表示が相手なら戦闘ダメージを与えられますからね!」

 

 《救世の美神ノースウェムコ》の攻撃に《バックリンカー》があっけなく破壊されてしまった。その衝撃は紫遊にも襲い掛かり、攻撃力を越えられた分のダメージがライフから削られる。

 

紫遊 

LP4000 -1100ダメージ → LP2900

 

「戦闘でモンスターを破壊したので追加効果により、一枚ドローさせてもらいます」

 

 これが決闘か。少しずつだが思い出せてきた。

 今使っているデッキは俺が最近作ったばかりのデッキで、実際に使うのは今回が初めてだ。そんな初陣で負けるわけにはいかないな。このデッキの可能性はまだ見せてはいないのだから。

 

「《セキュリティトークン》は倒せませんからメインフェイズ2に移りまして、今引いた装備魔法《秘術の書》を《ノースウェムコ》に装備します。これを装備した魔法使い族モンスターは攻撃力と守備力が300アップします。

私はこれでターンエンドです」

 

《救世の美神ノースウェムコ》

☆7 / 光属性 / 魔法使い族 / 攻2700 → 3000(《秘術の書》装備)

※戦闘によってモンスターを破壊した場合、儀式モンスターのコントローラーはデッキからカードを1枚ドローする。(儀式魔人プレサイダー使用)

※罠カードの効果を受けない。(儀式魔人ディザーズ使用)

 

「少し待ってもらおうか。このエンドフェイズに俺は伏せてあった罠カード《サイバース・ビーコン》を発動!」

 

 このカードは戦闘または相手の効果で自分がダメージを受けたターンに発動でき、デッキからレベル4以下のサイバース族モンスター1体を手札に加える効果を持つ。

 先程の《ノースウェムコ》による戦闘ダメージをトリガーとして、俺は次の為のカードをデッキから呼び寄せる。

 

「俺はこの効果で、デッキから《バックアップ・セクレタリー》を手札に加える」

 

 その様子に早苗は少し気になった。

 

「もしかして何か思い出したのですか?」

 

「ほんの少しだけ…デュエルのことだけだけどな」

 

 自分のことはそれほど思い出せてはいない。

 けど、自分が決闘者であることだけが分かれば今は十分だと思う。

 

 

ターン3→4

早苗 LP4000

手札 0

墓地 3

除外 2

フィールド

 モンスター《プリーステス・オーム》、

      《救世の美神ノースウェムコ》(《秘術の書》装備)

 

□ □ □ 秘 □

 

□ □ プ 救 □

 

  □   □  

 

□ □ □ セ □

 

□ □ □ □ □

 

紫遊 LP2900

手札 3

墓地 4

フィールド

 モンスター《セキュリティトークン》

 

 

「このデッキの本領を見せるのはこれからだ。

俺のターン、ドロー!」

 

 引いたカードを確認する。

 《サイバース・ホワイトハット》か。これは都合がいいな。

 ドローカードを手札に加えて別のカードに手を掛ける。

 

「俺は《バックアップ・セクレタリー》を特殊召喚。このカードは自分フィールドにサイバース族モンスターが存在する場合に手札から特殊召喚できる。」

 

《バックアップ・セクレタリー》

☆3 / 光属性 / サイバース族 / 攻1200

 

 俺のフィールドに居る《セキュリティトークン》はサイバース族のトークンだ。よってこの手の効果の基点に出来る。この手の特殊召喚は他にも居る。

 

「さらに俺は《サイバース・ホワイトハット》を特殊召喚」

 

《サイバース・ホワイトハット》

☆6 / 光属性 / サイバース族 / 攻1800

 

 《サイバース・ホワイトハット》は自分フィールドに同じ種族のモンスターが2体以上存在する場合に手札から特殊召喚できる。これで俺のフィールドにはあっという間にサイバース族が三体に。

 

「召喚権を使わずに次から次へと出してくるとは…!やりますね。

でもそんなに並べても私のモンスターの攻撃力には届いていませんよ」

 

 確かにこれでも《サイバース・ホワイトハット》が《プリーステス・オーム》を倒せるぐらいで肝心の《救世の美神ノースウェムコ》の攻撃力には届いていない。

 だからこそ本領発揮と行こうか。

 

「現れろ!幻想を創造に変えるサーキット!」

 

 その呼びかけに応えるようにフィールドの上空にゲートが出現する。

 

「何ですかそれ!?」

 

 アローヘッド確認。 召喚条件は効果モンスター2体。

 効果モンスターを指定している為効果を持たないトークンは使用できない。

 

「俺は《バックアップ・セクレタリー》と《サイバース・ホワイトハット》をリンクマーカーにセット。 サーキットコンバイン!リンク召喚!! 」

 

 選択したモンスターが竜巻となってゲートの周囲にある矢印のようなマーカーの二つに飛び込む。それによりゲートが起動し、その中から新たなモンスターが姿を現す。

 

「現れろ!リンク2、《アンダークロックテイカー》!」

 

《アンダークロックテイカー》

 リンク2 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1000

【リンクマーカー:左/下】

 

 先程までのモンスターとは違い、エクストラデッキから呼び出されたモンスターはエクストラモンスターゾーンに登場する。

 

「リンク…召喚…!?

何ですかそれ、始めて見ました…」

 

「そうなのか?まあいいか。

ここから反撃開始と行くか。リンク素材となった《サイバース・ホワイトハット》の効果を発動。相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力をターン終了時まで1000ダウンさせる」

 

《救世の美神ノースウェムコ》

☆7 / 光属性 / 魔法使い族 / 攻3000 → 2000

《プリーステス・オーム》

☆4 / 闇属性 / 魔法使い族 / 攻1700 → 700

 

「さらに《アンダークロックテイカー》の効果発動!1ターンに1度、このカードのリンク先にいる《セキュリティトークン》の攻撃力の数値分、ターン終了時まで《救世の美神ノースウェムコ》の攻撃力をダウンさせる」

 

「え、それじゃあ!?」

 

 

□ □ □ 秘 □

 

□ □ プ 救 □

 

  □  ←ア  

      ↓

□ □ □ セ □

 

□ □ □ □ □

 

 

 《セキュリティトークン》はああみえて攻撃力は2000もある。そして《救世の美神ノースウェムコ》の残りの攻撃力も同じ2000。つまり――

 

《救世の美神ノースウェムコ》

☆7 / 光属性 / 魔法使い族 / 攻2000 → 0

 

「攻撃力が…0!」

 

 これで撃破が簡単となった。だけどまだ止まらない。

 

「俺は手札から《サイバース・コンバーター》を特殊召喚!このカードは自分フィールドのモンスターがサイバース族モンスターのみの場合、特殊召喚できる。

そして再び現れろ!幻想を創造に変えるサーキット!」

 

 今一度現れるゲート。

 次の召喚条件も効果モンスター2体。

 

「俺は《アンダークロックテイカー》と《サイバース・コンバーター》をリンクマーカーにセット。 サーキットコンバイン!リンク召喚!

来い! 《コード・トーカー》!」

 

《コード・トーカー》

リンク2 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1300

【リンクマーカー:上/下】

 

 呼び出されるは剣士のようなモンスター。

 このデッキでは切り込み役のつもりだったりするが、今では切り札となる。

 

「《コード・トーカー》の効果。このカードの攻撃力はこのカードのリンク先のモンスターの数×500アップする。さらにこのカードのリンク先にモンスターが存在する限り、このカードは戦闘及び相手の効果では破壊されない」

 

 《コード・トーカー》の相手側のリンク先には都合がいいことにモンスターが存在する。これで最大火力を出せる。ついでに破壊耐性も得ることができる。

 

 

□ □ □ 秘 □

 

□ □ プ 救 □

      ↑

  □   コ  

      ↓

□ □ □ セ □

 

□ □ □ □ □

 

 

《コード・トーカー》

リンク2 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1300 → 2300

【リンクマーカー:上/下】

※戦闘及び相手の効果では破壊されない。

 

「最後の一枚だ。おまけに《ビットルーパー》を通常召喚。そして《セキュリティトークン》を攻撃表示に変更」

 

《ビットルーパー》

☆4 / 地属性 / サイバース族 / 攻1500

 

《セキュリティトークン》

☆4 / 光属性 / サイバース族 / 守2000 → 攻2000

 

 手札は使い切ったが、これぐらいあれば足りるだろう。

 

「あれ…?…これってもしかしなくても危ないですか?」

 

「バトルフェイズだ。《コード・トーカー》で《救世の美神ノースウェムコ》を攻撃!」

 

「くぅ…!」

 

早苗 LP4000 → 1700

 

「続けて《セキュリティトークン》で《プリーステス・オーム》を攻撃」

 

早苗 LP1700 → 400

 

 残るこちらのモンスターは一体。それに対して早苗の場にはモンスターは居ない。これでとどめ!

 

「《ビットルーパー》で早苗にダイレクトアタック!」

 

 《ビットルーパー》の放った攻撃は何に止められることも無く早苗のライフに

ダメージを与えた。

 

早苗 LP400 → 0

 

 早苗のライフが尽きたことにより、この決闘は紫遊の勝利で幕を閉じる。

 

「大丈夫か?」

 

「はい…」

 

 敗北して倒れている早苗に近付き、手を差し伸べる。

 早苗はその手を取って立ち上がる。

 

 どういう技術で実体化させているのかは知らないが、決闘をすると少しは衝撃が来るんだよな。幻想郷に来てからはそれが過剰になっている気がする。

 

「それにしても先程の召喚法は何だったんですか?」

 

「リンク召喚か?さっきも言ってたけどここじゃそんなに珍しいのか?」

 

「珍しいというか私が知っている範囲だと見たことが無いです。最近は融合などといった召喚を使う人も出てきているみたいですが……もしかすると何処かではリンク召喚を使う人も出始めているかもしれませんが…」

 

 へぇ。というか今の口ぶりだとこの幻想郷にも決闘者はそれなりに居るみたいだな。早苗もその一人だし。そうなると他の奴にも会ってみたくなってきたな。この幻想郷にも少し興味があるし。

 

「ところで、これからどうするんですか?」

 

「そうだな。丁度幻想郷に興味が出てきたところだしな…この世界を楽しむかな」

 

「記憶はどうするんですか?」

 

「記憶か…」

 

 正直記憶の方はもうどうでもよくなっていたりする。

 決闘者であることは分かったからそれだけでいい。どうせ元の世界とは違う幻想郷なんだ、向こうとは違う生き方をしようと思う。

 

「一つ分かっただけでいい。後は好きに生きるよ」

 

 それからは、早苗から人里の存在を訊き、まだ陽もあるのでその人里に向かうことにした。

 




自分で出しといてアレですけど《セキュリティトークン》が凄い邪魔(笑)
よくよく考えたら予定していた主人公のEXデッキにトークンを素材に出来るものが無かった件。


今回使った二人のデッキについてですが、
主人公のデッキは未完成でEXデッキには三枚しか入ってない状態で、
早苗のデッキは初戦用の適当儀式デッキなので後日変更予定です。(構築が謎な理由は後々分かるかもしれません)



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3話 最強⑨戦術

デュエルはノリで進めてます。


「最強のあたいと決闘しろ!」

 

 人間の里に降りてきて歩いていたらこれである。

 さっきの決闘後から腕に決闘盤(デュエルディスク)を付けっぱなしにしていた俺にも非はないこともない…いや、ないな。

 

 

 

 事の発端を説明すると、守矢神社を後にした後、早苗に教えて貰った索道を通って行った結果、熊とかと出くわすようなことはなく無事に人間の里に辿り着くことが出来た。

 早苗の服装やここまでの道のりなどで察していたが、人間の里は昔ながらの木造平屋が軒を連ねており、其処に住まう人々もその手の感じの服装をしていた。

 人々の賑わいも中々のものだ。

 

 それから少しは観光の気分で里の中を歩いていたのだが、やっぱり俺の服装が目立つのか、度々呼び止められることもあった。まぁ怪しむ気持ちも分からないでもないが。

 何て思っていたが、割と親切な人が多かった。目立っていたのは事実だがそれほど怪しまれていなかったらしい。差し入れをくれた人も居た。何に対しての差し入れなのかは謎だが、小腹が空いていたので有難く頂いた。

 

 その後も特に揉め事などもなく、観光をしていたのだが、街で子どもたちとすれ違ったと思ったら、その内の一人が俺の決闘盤を見るなり決闘しろと言ってきた。

 

 先述のことに戻る。

 

 とにかく、付けてそのまま歩いていたら変な子どもに絡まれた。見た目も小さくて自分を最強と自称しているところなんかはまるっきり子どもだ。

 

 子どもが目を輝かせながら手にしたデッキをこちらに向けている。デッキはちゃんと持っているらしいし、決闘が何なのかも分かっているようだが、決闘盤は持っていないらしい。

 にしても、この子どもは何者だ。なんか…氷的な羽のようなものが背中付近から出てるんだが…。

 

「けーね先生の授業よりもこっちの方が面白いからね!」

 

「チルノちゃん、持ってきたよ」

 

「おー大ちゃんでかした!」

 

 そういえばいなくなっていたもう一人が何処かから決闘盤を持って来て、氷の子どもに渡した。ちなみに今来た子どもも紛うことなく羽が生えている。

 チルノと呼ばれた子どもは受け取った決闘盤に自らのデッキを差し込み、そのまま腕に付けようとする。自身が使うにしては少し大きめな気がする決闘盤だったが、調整が出来るようで何とか腕にセットした。

 

「さあ!決闘だ!」

 

 …まあいいか。こうまでして挑まれたからには受けよう。それが決闘者だ。

 既にデッキが入っているので決闘盤を構える。

 

「決闘をするのは良いが、先行はどうするんだ?」

 

「あたいから!」

 

「はいはい」

 

「それじゃあ――「決闘(デュエル)!」!!」

 

 

 

紫遊    VS   チルノ

LP4000       LP4000

 

 

 

 さて、こんな調子だが、一体どんな戦い方をするのだろうか。

 お互いに手札を引いて、紫遊が見守る中、チルノはさらにデッキに手を掛ける―――

 

「あたいのターン!ド――」

 

「待て待て待て! 先行はドローしないんだぞ」

 

 先行ドローが無いルールなのにドローしようとするチルノを見て思わずツッコんでしまった。本当に大丈夫か…

 大ちゃんと呼ばれてたもう一人にまでツッコまれていたチルノはその後、今の自分の行動を特に気にしないまま、メインフェイズに移った。

 

「あたいの最強戦法を見せてやる!

あたいは手札から《デス・メテオ》を発動!相手に1000ポイントのダメージを与えるぞ!」

 

 氷みたいな色してておもっきり燃やすのかよ!!

 

「うわっ!」

 

紫遊 LP4000 -1000ダメージ → 3000

 

「さらに《ファイヤー・ボール》を発動!500ダメージ!」

 

紫遊 LP3000 -500ダメージ → 2500

 

 まさかとは思うがあいつの言う最強戦法って単純なバーンかよ!

 しかもまだあるみたいだし!

 

「次は《革命(かくめい)》を発動!相手の手札の枚数×200ポイントダメージ!お前の手札は何枚だ?」

 

 まだ何もしてないんだから五枚あるに決まってんじゃねえか!

 

紫遊 LP2500 - 1000ダメージ → 1500

 

 って結構シャレにならなくなってきてる気がするな。案外良い引きしてやがる。

 三枚使った段階で総ダメージは2500か。半分を切ったか。ライフが残っているだけ良いが、残りの手札によっては先行ワンターンキルが成立する可能性が出てきたな。

 

「もう一枚《革命(かくめい)》を発動!相手の手札の枚数×200ポイントダメージ!」

 

紫遊 LP1500 - 1000ダメージ → 500

 

 相手の残り手札は一枚。こちらの手札には生憎と効果ダメージに反応するカードは無い。次の一枚に勝敗が賭かっている。流石にこんなのにワンキルされるのは遠慮願いたい。

 

「次でお前も終わりだ……あれ、なんだもう無いのか?」

 

 どうやらバーンカードは尽きたようだ。最後の一枚はそういった魔法ではないのだろう。だが油断はできない。魔法以外でも効果ダメージを与えるカードは多い。危機はまだ去ってはいない。

 

「でも、これで終わりだ!あたいはこいつを召喚!」

 

《コールド・エンチャンター》

☆4 / 水属性 / 水族 / 攻1600

 

 出てきたのはバーンとは関係のないモンスターだった。

 あのモンスターは手札を捨ててカウンターを置くのだが、バーンのしすぎで肝心の手札が残っていない。そもそも力を十二分に発揮させるには下準備の必要なカードなんだがな。

 でもこれで終わりってどういうことだ?まさかとは思うが……

 

「バトルだ!」

 

「やっぱりそうだったよコイツ!?」

 

 度々ルールを忘れやがるよコイツ…。

 説明しながらしないといけないのか?とりあえず戦闘出来ないことだけ伝えておくか。

 

 それで次は俺のターンだ。俺のターンならルール無視の暴挙に出ることもないだろう。伏せも手札もないし。

 

 

 

ターン1→2

チルノ LP4000

手札 0

墓地 4

フィールド

 モンスター《コールド・エンチャンター》 

 

 

□ □ □ □ □

 

□ □ □ □ コ

 

  □   □  

 

□ □ □ □ □

 

□ □ □ □ □

 

紫遊 LP500

手札 5

墓地 0

フィールド 0

 

 

 

 次にターンを返して下手なバーンカードを引かれたら困るから出来ることならこのターンで決めてしまいたいが…この手札では厳しそうだな。そもそもワンキルを目指している訳ではないからなこのデッキ。…出来るだけやるか。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 このカードは……

 引いたカードを見て、紫遊は少し考えた。保険としては使えるだろうとそのまま手札に加える。

 

「俺は《フレイム・バッファロー》を召喚」

 

《フレイム・バッファロー》

☆3 / 炎属性 / サイバース族 / 攻1400

 

「なんか弱そうなの出てきたな?」

 

 チルノが自分のモンスターと攻撃力を比較した結果を言っているが、紫遊はお構いなしに進める。

 

「《フレイム・バッファロー》の召喚成功時に手札の《ブート・スタッガード》の効果を発動。このカードを手札から特殊召喚する」

 

《ブート・スタッガード》

☆5 / 光属性 / サイバース族 / 攻2300

 

 《ブート・スタッガード》は自分フィールドにサイバース族モンスターが召喚された時に手札から特殊召喚できる効果を持つ。1ターンに1回の通常召喚権を使うことになるが、そこそこの攻撃力を持っているし悪くはない。

 あっさり攻撃力を越えるモンスターが出てきてチルノが驚いているが、気にしない。

 そして俺のフィールドのモンスターはサイバース族モンスターのみ。

 

「俺は《サイバース・コンバーター》を特殊召喚」

 

《サイバース・コンバーター》

☆2 / 光属性 / サイバース族 / 攻1000

 

「現れろ!幻想を創造に変えるサーキット!」

 

 呼びかけにより、上空に開かれるゲート。

 

 「アローヘッド確認。 召喚条件は効果モンスター2体。俺は《フレイム・バッファロー》と《サイバース・コンバーター》をリンクマーカーにセット。 サーキットコンバイン!リンク召喚!!

リンク2、《アンダークロックテイカー》!」

 

《アンダークロックテイカー》

 リンク2 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1000

【リンクマーカー:左/下】

 

□ □ □ □ □

 

□ □ □ □ コ

 

  □  ←ア  

      ↓

□ □ □ ブ □

 

□ □ □ □ □

 

 

「俺は《アンダークロックテイカー》の効果を発動する。このカードのリンク先の《ブート・スタッガード》の攻撃力分、《コールド・エンチャンター》の攻撃力を下げる!」

 

《コールド・エンチャンター》

☆4 / 水属性 / 水族 / 攻1600 → 0

 

「バトルだ!俺は《ブート・スタッガード》で《コールド・エンチャンター》を攻撃!」

 

チルノ LP4000 → 1700

 

《コールド・エンチャンター》の攻撃力が0になっていることで《ブート・スタッガード》の攻撃力を半減されることなく丸々受けることになる。そしてダメージを与えたことで《ブート・スタッガード》は効果を発動する。

 

「《ブート・スタッガード》の効果を発動。このカードが相手に戦闘ダメージを与えたことで、自分フィールドに「スタッグトークン」1体を特殊召喚する」

 

《スタッグトークン》

☆1 / 地属性 / サイバース族 / 守0

 

「続けて《アンダークロックテイカー》で直接攻撃(ダイレクトアタック)

 

チルノ LP1700 → 700

 

「チルノちゃん!」

 

「メインフェイズ2、俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

 

 

ターン2→3

チルノ LP700

手札 0

墓地 5

フィールド

 

 

□ □ □ □ □

 

□ □ □ □ □

 

  □  ←ア  

      ↓

□ □ ス ブ □

 

□ □ □ □ □

 

 

紫遊 LP500

手札 2

墓地 2

フィールド 

 《アンダークロックテイカー》

 《ブート・スタッガード》

 《スタッグトークン》

魔法・罠伏せ1

 

 

 

「最強のあたいにかかればこのくらいなんともないもんね!次で決める!あたいのターン、ドロー!」

 

 力強くドローされたカードを見たチルノが勝ち誇ったような顔をした。恐らくバーンカードでも引いたのだろう。だが勝ちを確信するのは早いぞ?

 

「へへん!あたいってばやっぱり最強ね!

魔法カード《昼夜(ちゅうや)大火事(おおかじ)》を発動!

これであたいの勝ちだ!」

 

 《昼夜の大火事》は相手に800ポイントのダメージを与える効果を持つ。確かにこれなら残りライフ500を削り切ることが出来る。――だが削り切れるのは相手も同じだ。

 

「それはどうかな。リバースカードオープン!罠カード《精霊の鏡》!」

 

 紫遊に襲い掛かろうとしていた火の手が突然現れた鏡によって吸収されていく。

 

 《精霊の鏡》はプレイヤー1人を対象とする魔法の効果を別のプレイヤーに移し替える効果を持つ。《昼夜の大火事》は()()に800ポイントのダメージを与える効果であり、モンスターではなく相手という1人のプレイヤーに対して効果が及ぶ。つまり《精霊の鏡》でその矛先を変えることが出来る。

 本当は相手が魔法でドローしようとしたら横取りしてやろうと一枚仕込んでいたんだが、まさかここで使うことになるとはな。

 

 そして《精霊の鏡》で移す別の対象は勿論発動させた相手!

 

「自分のカードで自滅してろ!」

 

 鏡から纏められて放たれた火炎弾がチルノのライフを撃ち抜いた。

 

 衝撃で吹き飛ばされたチルノの下に観客になっていた大ちゃんという子が駆け寄る。そんなに心配しなくても本当に命が尽きたりはしないって。ほら起きた。

 

チルノ LP700 → 0

 

「お前、最強のあたいを倒すとはやるな!」

 

「それはどうも」

 

 決闘後訊いたのだが、彼女たちは妖精とか妖怪とかそういうものらしい。

 人間じゃないのかよと薄々分かっていながらもツッコんでいると幻想郷でそういうものはあまり珍しくはないらしく、この人間の里にも訪れているものが割と居るとのことだ。

 

 それから、次にあったらまた決闘するとか一方的な約束をして去って行く二人。

 その後ろ姿を見送った後、紫遊はまた人間の里の中を歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 所変わって守矢神社とは別の神社。

 人間の里からは随分と離れていて、森に囲まれているこの場所に人間が訪れることは少ない。

 

 そんな神社の境内の縁側で黒髪の少女が静かにお茶を啜っていた。

 その少女は紅い巫女服を着ていることからこの神社の者なのだろう。

 

「よう、霊夢。来てやったぜ」

 

「別に呼んだ覚えはない……って勝手に何私のお団子食べてるのよ」

 

 霊夢と呼ばれた黒髪の巫女の傍らに置かれていた皿から串団子を取って食したのはこの神社によく来る来訪者。なお参拝者ではない。

 

「それより何の用よ魔理沙。お賽銭箱ならあっちよ」

 

 魔理沙は賽銭なわけないと言いながら霊夢の皿を挟んだ向かいに座る。

 そして串を口に咥えながら懐から決闘盤を取り出した。

 

「また面白そうなカードを拾ってな。調整がてら決闘でもしねえかと思ったんだぜ」

 

「決闘ねぇ……」

 

 霊夢はいまいち乗り気にはならない。彼女もまた決闘者である為デッキは持っている。だが今は面倒がっている。

 そんな霊夢を見て今すぐは無理だなと思ったのか、魔理沙は話題を変えることにした。そして団子皿の近くに置かれているものに気付いた。

 

「お、デッキあるじゃん。

…ん?なんだこれ、サイバース?」

 

「勝手に見てんじゃないわよ。用が無いなら帰りなさい」

 

 魔理沙が置いてあったデッキの一番上のカードを手に取る。そのカードを見て少し疑問符を浮かべる。

 霊夢はすぐにそんな魔理沙の手から自分のカードを抜き取って他のカードと一緒に手の届かないところに移動させる。

 

「なんだよ、霊夢もデッキを改良したんだな…。

そうそう、新しいカードと言えば、例のアレはどうするんだ?」

 

「例のアレって紫流風(シルフ)のこと?

アレはこれまでの異変とは違うわ。言うなれば現象よ。誰かがどうこうするものじゃない」

 

 そう言ってお茶を呑む。

 そんな霊夢に魔理沙は…

 

「それ面倒臭がってるだけじゃね?」

 

ツッコむのだった。

 

「やかましい」

 

 




霊夢と魔理沙は近々デュエルするかもしれません。
霊夢のデッキに関してはまだ迷ってるんだけど。


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4話 紫電旋風 前編

という訳で今回からスピードデュエル実装です


 人間の里に訪れてから、と言うか幻想郷に訪れてから気になっていたことがあった。

 

 それは衣食住だ。

 

 俺はこの里どころか幻想郷とも違う外部の者であるため、拠点と呼べるものはない。何時まで居るのかとか戻りたい気があるのかとかは関係なくとも、落ち着ける場所があるというのは大事だ。

 

 と言っても食に関しては一日分くらいなら何とかなる目途が付いた。

 里の中を歩いている時、ハプニングイベントが起きたのだ。日払いのバイトという名の手伝いだ。

 意図せぬものだったが、それなりの時間を働いた為に、お礼の報酬として少しの食料と金銭を手に入れることが出来たのだ。

 

 お蔭で外はそれなりに暗くなり始めていた。

 当たり前だけど暗くなってきたことで、外に出ている人間の数がかなり減ってきている。今も近くで戸が締められる音が。

 

 暢気に見ている場合じゃなかったな。衣食住の住を何とかしなければ。

 何処かに宿的なものでもあれば助かるのだが、このまま見つからなければ野宿しなければならなくなる。流石にそれは遠慮したい。

 

 ……とりあえず飯にしよう。話はそれからだ。

 

 丁度家屋の並ぶ道を抜けて小川沿いの道に出た。

 小川に架かる木製の橋に凭れて食料を漁る。

 

「うん、うまい」

 

 貰ったおにぎりを一つ手に取って食べながら空を見上げる。先程よりも暗くなっている空には少しではあるが、星の淡い輝きが見え始めている。

 その輝きは次第に電子的で不規則な輝きへと変化していき、それによって風すらも色を持っているような錯覚に…―――

 

「いや、違う。あれはまさか……何で幻想郷に…」

 

 紫遊の見ていた異様に輝く風は目の錯覚ではない。

 紫遊はその風に覚えがあった。未だに記憶が不十分な紫遊でも分かるもの、あの風は決闘に関係しているものだ。

 

"データストーム"

 

 本来は現実世界とは違う電脳世界で吹く珍しい風で、その中身はカードの情報に限らず、様々な情報の集合体であると言われている。

 

 そんな代物が何故この幻想郷に現れようとしているんだ。あれは電脳世界だからこその存在であって、幻想郷は電脳世界ではないはずだろ。

 

 陽が沈んでいくことで、姿がはっきりと現れていく電子の風。

 紫遊は食べかけだった残りを飲み込み、データストームの吹いていく先を目指して走り出した。

 

「ていうかアレは本当にデータストームなのか? 似てる別物ってことは…」

 

 本物を見た記憶は今の紫遊には無かったりするが、そんなことを思っていても直感的にアレが本物なのだろうと感じ取ってしまう。何といってもアレから放たれる異質感がそう思わせる。

 

 気が付くと人間の里をとうに抜けていた。

 データストームは人間の里の上空を抜けて、山の方へと流れていく。データストームは山登りをするかのような軌道を描いており、地上近くまで低くなっている場所が増えてきた。

 里を抜けてから結構歩き、山を少し登ったところで後ろを見ると、自身の場所の下にも風が流れている。ここから跳べば接触は出来るだろう。なお、した場合はそのまますり抜けて下に落ちるだろうが。

 

「これ、どこまで流れてるんだ?

遠くの方は見えなくもないが発生源らしいものまでは見えねえしな」

 

 遠くを見る視線の先には人間の里とその上空に流れるデータストーム。だがそのデータストームが流れている方角を見ても、ぼやっと消えているように見えるだけで何故吹いているのかは分からない。これ発生源の方向に向かった方が良かったか? そもそもなんでこっちに来たんだろうか自分は…

 

 そんな時だった。

 

「ん、なんだ…?」

 

 外していた決闘盤が怪しげに点滅を始めていたのだ。

 どういうことだ、と疑問に思いながら腕に装着してみた。怪しげに点滅していた光は信号となって何かを告げる。

 

―――――!

 

「今度は何だよ」

 

 遠くから何かの音が近付いて来るように思え、来た道を確認してみると、その上空に流れるデータストームの上を板のような何かが流れてくるのが見えた。

 

「あれは確か……Dボードか!」

 

 まさかと思って目を凝らしてみるが、近づいて来るのは確かにDボードだった。

 Dボードとは決闘者がデータストームに乗って決闘をする際などに使用するもので、これも電脳世界のものだ。わざわざ乗ってしなくてもいいのではと思うかもしれないが、データストームに乗っての決闘は普通の決闘とは違う戦術やスリルがあるのだと知識では覚えていた。

 

 あんなものまで登場するのか。さっきの決闘盤の信号がきっかけとなったのか? となるとアレは俺が呼んだことになるのか?

 そうなると俺が使っていいのか?近づいて来るが…

 

 都合の良いような位置に自分が居て、そこにDボードが向かってくる。これは狙うしかないか?

 Dボードが風に乗って向かってくる。紫遊はタイミングを合わせて眼下に流れているデータストームに向かって跳んだ。

 すると、そこに丁度Dボードがやってきて何とか乗り移ることに成功した。

 

「結構揺れるな。補助も特にないし現実だからミスって落ちたらひとたまりもないなこりゃあ」

 

 だけど、結構移動には便利ではある。もう少し落下時の心配などが無ければセグウェイ感覚で移動に使うんだけどな。

 

 それからゆったりと風に乗って少し感覚になれたところで、加速して山を登る。

 中腹を過ぎてもうすぐ頂上にでも着くだろうかという時、逆行するように何かが前から飛んできた。

 

「うおっ!?」

 

「あぶなっ!?」

 

 ボードを傾けて避けたことでぶつからずに済んで、何かは通り過ぎて行った……と思ったらそいつは反転してこちらを追ってきた。

 

「おい、お前!危ないだろ!…じゃなかった。

こんなところで何してるんだ!まさかこの紫流風(シルフ)の原因はお前か!」

 

 なんかとんでもない速度で濡れ衣を被せられていってる気がするんだが。

 というか紫流風ってデータストームのことを言ってるのか?ここではそういう呼び方なのか。

 

「そっちこそ誰だよ、魔女みたいな格好と箒で飛びやがって」

 

「私はこの風を調べてるんだよ」

 

 調べているか…。どうやらこの幻想郷ではデータストームは異変的な捉え方をされているようだ。これで元からあったという可能性は消えたな。

 

 ボードで飛んでいる紫遊の後ろを箒に跨って飛んでいた少女は何かに気付くと、箒の上に立ち上がり、目を凝らした。

 

「その腕のやつ…お前決闘者か!

丁度良い、お前を倒してこの風について知っていることを教えて貰うことにするぜ」

 

 そう言って少女は取り出した決闘盤を腕に装着してデッキを差し込む。すでに臨戦態勢だ。

 

「随分急な話だが、そっちがその気なら受けてやるよ!」

 

 こちらも決闘盤を構える。

 するとそれから表示されたのはいつもとは違うサイズのゾーンだった。

 

 そうか。Dボードに乗っていることで、連動されてスピードデュエル仕様に変更されたのか。

 

 スピードデュエルは普段のルールとは違い、メインモンスターゾーンと魔法・罠ゾーンの両端を使用できない縮小されたフィールドでデュエルが行われる。それだけでなく手札は四枚、メインフェイズ2も存在しない。

 本来のスピードデュエルはさらにデッキなども少ない小さな規模で行う初心者向けのルールだが、風に乗るスピードデュエルはある意味改良されたルールで行われる。

 

「一応訊くが、先攻後攻はどうするんだ?」

 

「あの大きな木を先に曲がった方が決めることにしようぜ」

 

 少女の指差した方向には確かに他よりも大きな木があった。山の上へと登っていたデータストームはそこから別の方向へと吹いている。

 それよりも、箒に乗ったままでスピードデュエルをするつもりなのかアンタ。決闘盤もスピードデュエル用に切り替わっているようだし。

 

 まあいい。今は決闘だ。

 

「じゃあお先に!」

 

「あ、待てこら!」

 

 少女の加速に出遅れて紫遊も加速を始める。だが始動が遅れた為に、少女が先に目標の木に辿り着き、曲がり切った。

 

「よし、先攻は貰うぜ

つーわけで―――」

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

 

 

紫遊    VS   魔理沙

LP4000       LP4000

 

 

 

「へー。スピードデュエルってこんなのなのか。

んじゃまあ、私は《黒き森のウィッチ》を召喚!」

 

《黒き森のウィッチ》

☆4 / 闇属性 / 魔法使い族 / 攻1100

 

「カードを二枚伏せてターンエンドだ」

 

 

 

ターン1→2

魔理沙 LP4000

手札 1

墓地 0

フィールド

《黒き森のウィッチ》

魔法・罠伏せ 2

 

× □ ■ ■ ×

 

× □ 黒 □ ×

 

  □   □  

 

× □ □ □ ×

 

× □ □ □ ×

 

紫遊 LP4000

手札 4

墓地 0

フィールド 0

 

 

 

 さっきまでの威勢の割には静かな立ち上がりだな。

 んでもって見た目通りの魔法使い族を使うのか。攻撃表示で出してきたところから考えるに、伏せてある二枚は罠だろうが、そう思わせるブラフかも知れないしな…。考えたらキリがないな。一応動くか。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 向こうが何を狙っていようが動くのみ。

 

「俺は《シーアーカイバー》を召喚」

 

《シーアーカイバー》

☆3 / 水属性 / サイバース族 / 攻 300

 

「霊夢が持ってたのと同じ種族のカードか……お前もサイバースを持ってるのか」

 

 俺が召喚したモンスターを見て何か言っている。

 少しだけ聞こえたが、幻想郷には他にもサイバースを使う奴が居るらしい。

 

「さらに、自分フィールドのモンスターがサイバース族モンスターのみの為、《サイバース・コンバーター》を特殊召喚」

 

《サイバース・コンバーター》

☆2 / 光属性 / サイバース族 / 攻1000

 

「現れろ!幻想を創造に変えるサーキット!」

 

 いつもの流れで上空にゲートで出現する。

 

 「アローヘッド確認。 召喚条件は効果モンスター2体。俺は《シーアーカイバー》と《サイバース・コンバーター》をリンクマーカーにセット。 サーキットコンバイン!リンク召喚! 来い、《コード・トーカー》!」

 

《コード・トーカー》

リンク2 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1300

【リンクマーカー:上/下】

 

「リンク召喚……?」

 

「さらに《コード・トーカー》のリンク先に《リンク・インフライヤー》を特殊召喚する」

 

《リンク・インフライヤー》

☆2 / 風属性 / サイバース族 / 守1800

 

 《リンク・インフライヤー》はフィールドのリンクモンスターのリンク先となる自分フィールドに手札から特殊召喚することが出来る。これによってリンク先を得た《コード・トーカー》は自らを高めることが出来る。

 

 

× □ ■ ■ ×

 

× □ 黒 □ ×

      ↑

  □   コ  

      ↓

× □ □ リ ×

 

× □ □ □ ×

 

 

《コード・トーカー》

リンク2 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1300 → 1800

【リンクマーカー:上/下】

※リンク先にモンスターが存在する限り、戦闘及び相手の効果では破壊されない。

 

 《リンク・インフライヤー》を出したことで実は墓地から《シーアーカイバー》が自身の効果で場に出すことが出来るが、今は出さないで置く。出したところでこのターンで決めきることは出来ないからな。

 

「自己強化だけでなく破壊耐性も得るのか」

 

 スピードデュエルではメインフェイズ2が存在しないのでバトルに入る前にカードを伏せておく。

 

「バトルフェイズだ」

 

 《黒き森のウィッチ》はフィールドから墓地へ送られた場合にデッキからモンスターを探してくる効果を持っている。しかもタイミングを逃すこともない。どうせ遅かれ早かれその効果を使われるだろうと思いながらバトルフェイズに入った。

 その時だった。少女はこちらの宣言よりも先に策を打ってきた。

 

「ここで私は伏せてあった速攻魔法《ディメンション・マジック》を発動するぜ!

このカードは自分フィールドに魔法使い族モンスターが存在する場合に自分フィールドのモンスターをリリースし、手札から魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する!私は《黒き森のウィッチ》をリリースして手札から《アップル・マジシャン・ガール》を特殊召喚するぜ!」

 

《アップル・マジシャン・ガール》

☆3 / 炎属性 / 魔法使い族 / 攻1200

 

 《黒き森のウィッチ》が姿を消し、その代わりのように別の魔法使いが姿を現す。一見すると少しステータスが上がっただけのようだが、行動はそれだけではない。

《ディメンション・マジック》は特殊召喚後、フィールドのモンスター1体を選んで破壊できる。

 

「私は《リンク・インフライヤー》を破壊だ!

そしてリンク先とやらを失ったことで《コード・トーカー》の力は元に戻る!

さらに、《黒き森のウィッチ》がフィールドから墓地へ送られたことにより、デッキから守備力1500以下のモンスター、《キウイ・マジシャン・ガール》を手札に加えるぜ」

 

《コード・トーカー》

リンク2 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1800 → 1300

【リンクマーカー:上/下】

 

× □ ■ □ ×

 

× ア □ □ ×

      ↑

  □   コ  

      ↓

× □ □ □ ×

 

× □ □ ■ ×

 

 一枚の伏せカードの発動で、色々と状況が動いた。

 こちらは弱体化と戦力を削られた。だが行動後ではなく、バトルフェイズに入ったところで行われたのでまだ戦闘の権利は残っている。

 その場合、攻撃をするかどうかが問われる。元の数値に戻った《コード・トーカー》でも新しく出て来たモンスターを倒すことはできる。だが、わざわざ攻撃前に出してきたモンスターがなにも無いとは思えない。

 

 仕方ない…。

 

「…俺はターンエンドだ」

 

 

 

ターン2→3

魔理沙 LP4000

手札 1(《キウイ・マジシャン・ガール》)

墓地 2

フィールド

《アップル・マジシャン・ガール》

魔法・罠伏せ 1

 

× □ ■ □ ×

 

× ア □ □ ×

      ↑

  □   コ  

      ↓

× □ □ □ ×

 

× □ □ ■ ×

 

紫遊 LP4000

手札 1

墓地 3

フィールド 

《コード・トーカー》

魔法・罠伏せ1

 

 

 

「なんだ怖気づいたのか?まあいい。

私のターンだ!ドロー!」

 

 少女はカードを引く。

 

「お、これか。

私は装備魔法《ワンショット・ワンド》を《アップル・マジシャン・ガール》に装備。これで攻撃力は800ポイントアップするぜ」

 

《アップル・マジシャン・ガール》

☆3 / 炎属性 / 魔法使い族 / 攻1200 → 2000

 

 今引いたカードか。追撃のモンスターを引いた訳ではなかったか。

 だが、これで《コード・トーカー》の攻撃力を上回ったことになる。

 

「バトルだ!《アップル・マジシャン・ガール》で《コード・トーカー》を攻撃!」

 

 今伏せているカードは防御カードだが、この状況では発動できない。これは受けるしかない…!

 

紫遊 LP4000 → 3300

 

「ぐっ…!」

 

「そしてここで《ワンショット・ワンド》の効果発動、このカードを破壊してカードを1枚ドローするぜ。私はこれでエンドだ」

 

 

 

ターン3→4

魔理沙 LP4000

手札 2(一枚は《キウイ・マジシャン・ガール》)

墓地 3

フィールド

《アップル・マジシャン・ガール》

魔法・罠伏せ 1

 

× □ ■ □ ×

 

× ア □ □ ×

      

  □   □  

      

× □ □ □ ×

 

× □ □ ■ ×

 

紫遊 LP3300

手札 1

墓地 4

フィールド 

魔法・罠伏せ1

 

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 引いたカードを確認する。

 《補給部隊》か。このカードは1ターンに1度、自分フィールドのモンスターが破壊された場合にデッキから1枚ドローすることが出来る永続魔法だ。だが、これでは反撃に出ることはできない。

 

「俺は永続魔法 《補給部隊》を発動してターンエンドだ」

 

 

ターン4→5

魔理沙 LP4000

手札 2(一枚は《キウイ・マジシャン・ガール》)

墓地 3

フィールド

《アップル・マジシャン・ガール》

魔法・罠伏せ 1

 

× □ ■ □ ×

 

× ア □ □ ×

      

  □   □  

      

× □ □ □ ×

 

× □ 補 ■ ×

 

紫遊 LP3300

手札 1

墓地 4

フィールド 

永続魔法 《補給部隊》

魔法・罠伏せ1

 

 

 

「私のターン、ドロー!

そっちが守りに入るってんなら遠慮なく攻めさせて貰うぜ!私は《チョコ・マジシャン・ガール》を召喚!」

 

《チョコ・マジシャン・ガール》

☆4 / 水属性 / 魔法使い族 / 攻1600

 

「手札の《キウイ・マジシャン・ガール》を捨てて《チョコ・マジシャン・ガール》の効果発動!一枚ドローするぜ!」

 

 先程から分かっていた手札が捨てられて新たにドローされる。

 

「バトルだ!《チョコ・マジシャン・ガール》で直接攻撃(ダイレクトアタック)だ!」

 

「通すわけにはいかない!リバースカードオープン!速攻魔法《スプール・コード》!自分の墓地のサイバース族モンスターが3体以上の場合の相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動でき、その攻撃を無効にする!」

 

「ちっ」

 

「さらに俺の場に「スプールトークン」を3体まで守備表示で特殊召喚する!」

 

《スプールトークン》

☆1 / 光属性 / サイバース族 / 守 0

《スプールトークン》

☆1 / 光属性 / サイバース族 / 守 0

《スプールトークン》

☆1 / 光属性 / サイバース族 / 守 0

 

 メインモンスターゾーンを埋め尽くすように現れる壁モンスター。

 これならこのターンは凌げるはず

 

「なら《アップル・マジシャン・ガール》で壁モンスターを一体攻撃してターン終了だ」

 

 トークンが破壊されたことで《補給部隊》が発動し、俺の手札が増える。

 そしてターンが回ってくる。

 

 

 

ターン5→6

魔理沙 LP4000

手札 2

墓地 4

フィールド

《アップル・マジシャン・ガール》

《チョコ・マジシャン・ガール》

魔法・罠伏せ 1

 

× □ ■ □ ×

 

× ア チ □ ×

      

  □   □  

      

× ス ス □ ×

 

× □ 補 □ ×

 

紫遊 LP3300

手札 2

墓地 5

フィールド 

永続魔法 《補給部隊》

 

 

 

 一枚ドローする。

 それにしても一向に発動する気配がないあの伏せカードはなんだ?何かを待っているのか?…今は考えている場合ではないな。

 

「現れろ!幻想を創造に変えるサーキット!」

 

 再び現れるゲート。俺のフィールドには効果を持たないトークンが二体。

 だから今回の召喚条件はレベル2以下のサイバース族モンスター1体。

 

「俺は《スプールトークン》1体をリンクマーカーにセット。 サーキットコンバイン!リンク召喚! リンク1《トークバック・ランサー》!」

 

《トークバック・ランサー》

リンク1 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1200

【リンクマーカー:下】

 

「さっきのよりもリンクの低いモンスター?」

 

「《トークバック・ランサー》の効果発動!俺のフィールドの《スプールトークン》1体をリリースして、そのモンスターと元々のカード名が異なる自分の墓地の「コード・トーカー」モンスター1体をこのカードのリンク先となる自分フィールドに特殊召喚する!

―――甦れ、《コード・トーカー》!」

 

《コード・トーカー》

リンク2 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1300 → 1800

【リンクマーカー:上/下】

※リンク先にモンスターが存在する限り、戦闘及び相手の効果では破壊されない。

 

 

× □ ■ □ ×

 

× ア チ □ ×

      

  □   ト  

      ⇅

× □ □ コ ×

      ↓

× □ 補 □ ×

 

 

 蘇るは《コード・トーカー》。これでお互いをリンク先とする相互リンクが構築され、《コード・トーカー》は再び強化される。そしてこの蘇生に反応するカードがある。

 

「フィールドのリンクモンスターのリンク先にモンスターが特殊召喚されたことにより、墓地から《シーアーカイバー》を特殊召喚する!」

 

《シーアーカイバー》

☆3 / 水属性 / サイバース族 / 守2100

 

「カードを一枚伏せて、バトルフェイズに移る!

《コード・トーカー》で!《アップル・マジシャン・ガール》を攻撃!」

 

 効果は……発動させない。

 

「ぐっ…(効果は…発動させない方が良いか…)」

 

 魔理沙 LP4000 → 3400

 

「ターンエンドだ」

 

 今一瞬反応が遅かったような…。

 やはりあれらのモンスターは戦闘時か戦闘後に発動するタイプの効果を持っていたのか?

 だとすると発動しなかったのは何だ?単純に発動の条件を満たしていなかったのか、わざと使わなかったのか…

 

 

ターン6→7

魔理沙 LP3400

手札 2

墓地 5

フィールド

《チョコ・マジシャン・ガール》

魔法・罠伏せ 1

 

× □ ■ □ ×

 

× □ チ □ ×

      

  □   ト  

      ⇅

× □ シ コ ×

      ↓

× □ 補 ■ ×

 

紫遊 LP3300

手札 2

墓地 3

フィールド 

《コード・トーカー》

《トークバック・ランサー》

《シーアーカイバー》

永続魔法 《補給部隊》

伏せ1

 

 

 

「ドロー!

私は魔法カード《暗黒界の取引》を発動!お互いにデッキから1枚ドローし、その後お互いは手札を1枚選んで捨てる」

 

 手札交換か。何かを狙っているのか?

 

 疑いながらもお互いにカードを引く。

 

魔理沙の墓地へ → 《トーラの魔導書》

紫遊の墓地へ → 《サイバネット・リフレッシュ》

 

「お、でもって《黒魔術(くろまじゅつ)のヴェール》を発動!ライフを1000払い、墓地から魔法使い族・闇属性のモンスター、《黒き森のウィッチ》を蘇生!」

 

魔理沙 LP3400 → 2400

 

《黒き森のウィッチ》

☆4 / 闇属性 / 魔法使い族 / 攻1100

 

 再び蘇る魔法使い。またサーチに繋げるのか?

 そんな時、相手は思い出すかのように手を伸ばし始める。

 

「確かこんなのだったよな……現れろ、サーキット」

 

 まさか…!?

 

「えっと、召喚条件はトークン以外の同じ種族のモンスター2体。私は《チョコ・マジシャン・ガール》と《黒き森のウィッチ》をリンクマーカーにセット。 」

 

 驚くことにここで相手はリンク召喚を行なおうとして、ゲートのマーカーに二体のモンスターをセットした。そしてゲートは起動される。

 

「リンク召喚!《アカシック・マジシャン》」

 

《アカシック・マジシャン》

リンク2 / 闇属性 / 魔法使い族 / 攻1700

【リンクマーカー:上/下】

 

 新たに召喚されたのはリンクモンスターだった。やはり幻想郷でも持っている奴は居たのか。

 そしてリンク素材になり再び墓地に戻った《黒き森のウィッチ》の効果で、相手は《ベリー・マジシャン・ガール》を手札に加えた。

 

「そろそろ頃合いだな。

よぉく見ておけ! 今からとっておきを見せてやるぜ!

リバースカードオープン、魔法カード《円融魔術(マジカライズ・フュージョン)》!」

 

 魔理沙は始めから伏せていたカードを発動する。

 そのカードが発動した瞬間、眼前に渦のように回転する魔法陣が出現する。

 

「フュージョン…ってことは!?」

 

「このカードは自分のフィールド・墓地から、融合素材モンスターを除外し、

魔法使い族融合モンスターをEXデッキから融合召喚する!

私はフィールドの《アカシック・マジシャン》、墓地の《黒き森のウィッチ》、《チョコ・マジシャン・ガール》、《キウイ・マジシャン・ガール》、《アップル・マジシャン・ガール》の5体を除外する!」

 

 

―――異なる五つの魔道を束ね、新たな覇道をこの世に刻め―――

 

―――融合召喚!大魔導師 《クインテット・マジシャン》!―――

 

 

 呼び出されたのは最高クラスの力を持つ魔法使いであり、間違いなく魔理沙のデッキのエースモンスター。

 その魔術がフィールドを襲撃する――。

 

 




フィールドやら墓地やらが混乱してきました(;・∀・)


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5話 紫電旋風 後編

その辺書いたか忘れたから今言いますが、

デュエル中、魔理沙は箒の上に立ってます。


ターン7

魔理沙 LP2400

手札 2

墓地 6 

除外 5

フィールド

《クインテット・マジシャン》

 

× □ □ □ ×

 

× □ □ □ ×

      

  ク   ト  

      ⇅

× □ シ コ ×

      ↓

× □ 補 ■ ×

 

紫遊 LP3300

手札 2

墓地 3

フィールド 

《コード・トーカー》

《トークバック・ランサー》

《シーアーカイバー》

永続魔法 《補給部隊》

伏せ1

 

 

 

 山から別の方向へと向かうデータストームに乗ってのスピードデュエル。

 正直状況は良いとは断言できない。

 相手のフィールドに5体融合の大型モンスターが出現してから、感じられる流れが変わっている。

 

《クインテット・マジシャン》

☆12 / 闇属性 / 魔法使い族 / 攻4500

※モンスターゾーンに存在する限り、リリースできず、融合素材にできず、効果では破壊されない。

 

「《クインテット・マジシャン》の効果を発動!

魔法使い族モンスター5種類を素材として融合召喚に成功した場合、相手フィールドのカードを全て破壊する! "マジック・エンド"!」

 

 融合素材にされたのは確かに五種類。それによって発動された強大な力が紫遊のフィールドに襲い掛かる。

 この効果で場を一掃されて、あんな攻撃力を受ければライフを削り切られて負ける。

 ここは何としてでも耐えねば…!

 

「《クインテット・マジシャン》の効果に対して、俺は墓地から《サイバネット・リフレッシュ》を除外してその効果を発動する!」

 

 先程相手が使った《暗黒界の取引》で手札から捨てておいたカードだ。

 

「なにっ、このタイミングで墓地から!?」

 

「それにより、自分フィールドのサイバース族リンクモンスターはターン終了時まで、自身以外のカードの効果を受けない。

さらにチェーン、速攻魔法《サイバネット・バックドア》を発動!自分フィールドのサイバース族モンスター1体を除外し、そのモンスターの元々の攻撃力より低い攻撃力を持つサイバース族モンスター1体をデッキから手札に加える。《トークバック・ランサー》を除外し、その攻撃力1200より低い攻撃力を持つ 《スタック・リバイバー》を手札に加える」

 

 チェーンを組まれた効果の処理は後のものから行い、それにより《トークバック・ランサー》が初めに除外されてサーチ、その後に《サイバネット・リフレッシュ》の効果でサイバース族リンクモンスターが効果を受けなくなり、それらの後に《クインテット・マジシャン》による破壊が行われる。

 

 リンク先を失って弱体化はしてしまうが、これでリンクである《コード・トーカー》は破壊から守られる。だが、それ以外のカードは破壊され、自身の効果で蘇生されていた《シーアーカイバー》は除外される。

 

《コード・トーカー》

リンク2 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1800 → 1300

【リンクマーカー:上/下】

 

 ギリギリだが、これが今生き残り次に繋ぐための最適解のはず。

 

「ならバトルだ!《クインテット・マジシャン》で《コード・トーカー》を攻撃だ!

"五重魔法陣、クインテットバースト"!」

 

「ぐわああぁぁ!!」

 

紫遊 LP3300 → 100

 

「ちっ、仕留めそこなったか。私はこれでターンエンドだ。」

 

 

 

ターン7 → 8

魔理沙 LP2400

手札 2

墓地 6 

除外 5

フィールド

《クインテット・マジシャン》

 

× □ □ □ ×

 

× □ □ □ ×

      

  ク   □  

      ↑

× □ □ コ ×

      ↓

× □ □ □ ×

 

紫遊 LP100

手札 3

墓地 6

除外 3

フィールド 0

 

 

 

 なんとか首の皮一枚繋がったか。だがこの状況をどうする。向こうのフィールドには攻撃力4500という大型モンスターが居る。しかも効果で破壊することも出来ない。手札に戻すなどのバウンスなら何とかなるだろうが、このデッキにはその手のものはあまりない。何か手はあるのか…

 

「俺のターン、ドロー!

そしてこのスタンバイフェイズに《サイバネット・バックドア》で除外されていた《トークバック・ランサー》は戻ってくる。そして直接攻撃できる」

 

 とはいえ、《トークバック・ランサー》で直接攻撃したところで勝負を決めることはできない。

 

「残りライフ100でお前に何が出来る!」

 

 確かに相手の言う通りだ。

 だが、まだ諦める気はない。ライフが残っている限り出来ることはある。

 その時、ふと頭にある人物が過った。

 

 

 電脳世界で己の意思を貫き、幾度となく戦い、世界すらも救ってきた、かのプレイヤーの姿。

 

 

 そしてあるものを思い出した。まだ使っていない一手を。

 

「この世界でも使えるのか…いや、データストームがある時点で可能性はある…。

いけるのか……」

 

 紫遊は覚悟を決め、賭けの一手を打つために行動に移る。

 

「俺は手札から速攻魔法 《バウンドリンク》を発動。自分のフィールド・墓地のリンクモンスター1体を持ち主のEXデッキに戻し、そのリンクマーカーの数だけ、自分はデッキからドローする。その後、ドローした数だけ手札を選んで好きな順番でデッキの下に戻す。

俺は墓地の《コード・トーカー》をEXデッキに戻し、そのリンクマーカーの数だけドロー」

 

 《コード・トーカー》のリンクマーカーは二つ。よって二枚ドローしてから、手札二枚をデッキのしたに戻す。

 

「《スタック・リバイバー》を召喚。さらに《バックアップ・セクレタリー》を特殊召喚」

 

《スタック・リバイバー》

☆2 / 闇属性 / サイバース族 / 攻 100

《バックアップ・セクレタリー》

☆3 / 光属性 / サイバース族 / 攻1200

 

 俺のフィールドには帰還した《トークバック・ランサー》も合わせてモンスターが三体。条件は揃った。

 俺は手を前に差し出す。そして、かのプレイヤーの偉業の一つを模倣する力の名を叫ぶ。

 

「スキル発動!【サイバネット・クリエイション】!

デュエル中に一度、自分のフィールドにサイバース族モンスターが二体以上存在し、ライフポイントが500以下の時、データストームからサイバース族モンスター1体をランダムにEXデッキに加える!」

 

 叫びと共に右手の中に、周囲のデータストームから光が集まる。

 

「スキル…!? なんだそりゃ!?」

 

 このスキルはかのプレイヤーの力を解析した結果、オリジナルに及ばないものの構築することが出来たプログラムだ。彼はこれのオリジナルの力で何度も窮地を脱してきたと共に力を高めてきた。ならば俺もこれに賭ける…!

 

「おおおおお!!」

 

「なんだ…そんなのありかよ!」

 

 右手に集まる光が次第に形となっていき、次の瞬間、新たなカードとして手の中に実体化する。

 紫遊は実体化したカードを確認すると、EXデッキに加え、そのカードを呼び出す為にゲートを呼ぶ!

 

「現れろ!幻想を創造に変えるサーキット!

アローヘッド確認。 召喚条件はサイバース族モンスター2体以上。

俺は《スタック・リバイバー》、《バックアップ・セクレタリー》、《トークバック・ランサー》の三体をリンクマーカーにセット。 サーキットコンバイン!リンク召喚!」

 

―――リンク3、《エンコード・トーカー》!!―――

 

 

《エンコード・トーカー》

リンク3 / 光属性 / サイバース族 / 攻2300

【リンクマーカー:上/下/右下】

 

 現れたのは盾を持つ白い戦士。

 

「それがさっきの光のカードか!」

 

「リンク素材となった《スタック・リバイバー》の効果!このカード以外のリンク召喚の素材としたレベル4以下のサイバース族モンスター1体を守備表示で特殊召喚する」

 

《バックアップ・セクレタリー》

☆3 / 光属性 / サイバース族 / 守 800

 

「そして自分フィールドに同じ種族のモンスターが2体以上存在することにより《サイバース・ホワイトハット》を特殊召喚!」

 

《サイバース・ホワイトハット》

☆6 / 光属性 / サイバース族 / 攻1800

 

「バトルフェイズ!

《サイバース・ホワイトハット》で《クインテット・マジシャン》を攻撃!」

 

「攻撃力の低いままで《クインテット・マジシャン》に攻撃してきた!?」

 

「この瞬間、《エンコード・トーカー》の効果を発動!

このカードのリンク先に居る《サイバース・ホワイトハット》はその戦闘では破壊されず、その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる」

 

 攻撃は続くが、その戦闘ではお互いに何も変化は起こらない。

 

「無意味に攻撃して何が狙いだ…」

 

「狙いならあるさ。《エンコード・トーカー》の効果、ダメージ計算後、このカードの攻撃力をターン終了時までその戦闘を行った相手モンスターの攻撃力分アップする」

 

 つまり《エンコード・トーカー》の攻撃力に《クインテット・マジシャン》の攻撃力が加えられ、その攻撃力は――

 

《エンコード・トーカー》

リンク3 / 光属性 / サイバース族 / 攻2300 → 6800

【リンクマーカー:上/下/右下】

 

「6800!?」

 

「行け、《エンコード・トーカー》!

《クインテット・マジシャン》を攻撃しろ!」

 

《エンコード・トーカー》の盾から光を帯びた剣先の刃が伸びて現れ、その刃を《クインテット・マジシャン》に向かって振り下ろす。

 

「"ファイナルエンコード"!!」

 

「くっ…!」

 

魔理沙 LP2400 → 100

 

 削り切れないか。もう一体攻撃表示のモンスターが居れば決めれたんだがな。けどこれでお互いにライフは同じだ。

 次のターンに運命がかかっているだろう。

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

 

 

ターン8 → 9

魔理沙 LP100

手札 2

墓地 7

除外 5

フィールド 0

 

× □ □ □ ×

 

× □ □ □ ×

      ↑

  □   エ  

      ↓↘

× □ バ サ ×

      

× □ □ □ ×

 

紫遊 LP100

手札 0

墓地 8

除外 2

フィールド 

《エンコード・トーカー》

《バックアップ・セクレタリー》

《サイバース・ホワイトハット》

 

 

 

「やるな!けど勝つのは私だ!私のターン、ドロー!」

 

 相手の手札はこれで三枚、その内一枚は《黒き森のウィッチ》の効果で加えた《ベリー・マジシャン・ガール》だろうが、逆転のカードはあるのか…?

 

「私は《ベリー・マジシャン・ガール》を召喚!そして装備魔法、《ワンダー・ワンド》を装備!」

 

《ベリー・マジシャン・ガール》

☆1 / 地属性 / 魔法使い族 / 攻 400 → 900

 

 装備魔法で強化をしても逆転の手としてはどう見ても足りない。

 だが、あの装備魔法には強化以外の使い道がある。

 

「《ベリー・マジシャン・ガール》と《ワンダー・ワンド》を墓地に送ることで《ワンダー・ワンド》の効果によりデッキからカードを二枚ドローする!」

 

 こちらの場に伏せカードは無い。

 この二枚のドローでこちらにダメージを与える手段を引けばこちらは負ける。

 果たして結果は…

 

「私はカードを三枚伏せるぜ!これでターンエンドだ!」

 

 魔理沙は一瞬だけ口元を緩めてから、手札を全て伏せた。

 このターンは動かなかった。

 

 

 

ターン9 → 10

魔理沙 LP100

手札 0

墓地 7

除外 5

フィールド 

魔法・罠伏せ 3

 

× ■ ■ ■ ×

 

× □ □ □ ×

      ↑

  □   エ  

      ↓↘

× □ バ サ ×

      

× □ □ □ ×

 

紫遊 LP100

手札 0

墓地 8

除外 2

フィールド 

《エンコード・トーカー》

《バックアップ・セクレタリー》

《サイバース・ホワイトハット》

 

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 向こうはこの状況でも余裕を見せている。伏せが三枚もあれば一枚ぐらいは何かありそうだが、ここで攻撃せずにターンを渡せば向こうのチャンスが増える。ここは攻めるしかない。ここが正念場だ。

 

「このままバトルフェイズに入る!

俺は《エンコード・トーカー》で直接攻撃(ダイレクト・アタック)

"ファイナルエンコード"!」

 

 恐れずに攻撃を宣言。

 伏せているカードを使う素振りはない。

 

魔理沙 LP100 → 0

 

 攻撃が通り、ライフが零となって勝敗は決した。

 攻撃の余波で相手がデータストームの外へと弾かれたが、危なげではあったがその後もなんとか飛び続けていた。そして近くに着地した。

 

「あー、ブラフしときゃ止めれると思ったんだけどなー」

 

「おい、大丈夫か」

 

 最後の局面でのプレイに関して愚痴を言っている相手の下に紫遊はDボードで近づいて着地する。Dボードは紫遊が降りた後、データストームに流れて何処かへ消えていった。

 

「ああ、これくらいどうってことないって。

それよりも何者だお前。決闘者なのは分かったけど、色々と変わってるしさ」

 

「何者って…決闘者は決闘者であることだけ分かればいいんじゃないか?」

 

「っ……それもそうか。」

 

 始めは敵意を向けられていたが、決闘を通してある程度その敵意は消えて行ったようだ。

 

 彼女の名前は霧雨魔理沙。本物の魔法使いらしく(何でもアリだな幻想郷…)、幻想郷に出現するようになったデータストームのことを調査していたらしい。と言っても危険性がそれほど感じられず、別の理由もあって、調査も腰を入れていないとのことだ。

 

「で、この紫流風(シルフ)の正式名称はデータストームって言うのか?」

 

「ああ。でもこれは現実世界には出ない筈なんだけどな。

…ていうか魔理沙、何処へ向かってるんだよ」

 

 打ち解け合ったのは良いが、魔理沙は先程まで居た山に向かって進んでいく。会話も終わっていないので仕方なく付いて行くが。……スピードデュエルでそれなりに山から離れてしまったな。

 

「なぁに、折角の情報だからな、あいつの耳にも入れておこうかと思ってな」

 

「あいつ?」

 

 そう言って魔理沙は再び箒に乗って山へと向かう。先導しているつもりなのか、あまり速度は出さないでいてくれている。これならDボードから下りなければよかったな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あやややや。

これはまた面白くなりそうな予感ですねぇ」

 

 紫遊たちのデュエルを一部始終見ていた第三者が、空中で写真機を片手にそう呟くのだった。

 

 




状況が混乱して《コード・トーカー》が耐性を得ていることを忘れていました。あの辺はもう自分でも分かりません。


と言う訳で、魔理沙戦でした。

主人公が使ったあのスキルですが、ストームアクセス(ネオ含む)の劣化版?ですね。
これはアレです、主力クラスの力を持つカードの入手法に困りましてね、この幻想郷ではカードの入手手段が……それは追々説明するとして……なので、特殊性というか差別化と言いますか…その辺の理由がありまして考えた結果、もう本家と一緒でいっかと至ったわけです。

簡単に言えば主人公のスキルはデータストームに手を突っ込む必要がなくなったストームアクセスです。はい。
条件を増やした結果、そこに持っていくのが難しかったんですが。


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6話 博麗の巫女

デュエルはありません。設定説明回です。


 魔理沙の先導の下、木々が増えて道に迷うのではと思いながらも到着したそこは年季を感じさせる神社だった。

 

 鳥居をくぐって境内の中に入る。

 時間帯というのもあるかもしれないが、先の守矢神社とは打って変わって人の気配を感じない。神社なのに信仰されているとは思えない。

 

「此処に誰かいるのか?」

 

「居るぜ。こっちだ」

 

 そう言って魔理沙は神社の奥にあった母屋と思われるところに誘導した。

 そこから中を見ると確かに人が居た。

 

「霊夢、まだ起きてるか」

 

「……帰ったんじゃなかったの」

 

 中から出て来た巫女服を着た人物は魔理沙の顔を見ては面倒そうな顔をした。それでも一応応対はするようだ。

 

「それがさあ、帰る途中で面白い奴とあってさ、そいつがあの紫流風(シルフ)について知っててさ」

 

「ふぅん。……そいつが?」

 

「おう」

 

 霊夢と呼ばれた巫女がこちらを見る。

 その内に魔理沙は勝手に中へと上がっていく。そして止められる。

 

「ちょっと、なに上がろうとしてるのよ」

 

「気にするなって」

 

 なんやかんやありながらも結局は中へと入る流れに。

 中にある和室で三人でとりあえず座る。

 

「それで、誰よアンタ」

 

 そういえば自己紹介がまだだった。こちら側は名前を知れてはいるのだが。

 という訳で軽く紹介をしておく。ついでに証明として決闘盤とデッキも置いておく。

 

「決闘者であることは確からしいわね。それで何でこんな時間にウチに来たのよ?」

 

「だから紫流風についての情報をだな」

 

「また明日にしなさいよ。どうせそんなに急ぐことでもないんでしょ」

 

「んー、それもそうだな。じゃあ…寝るか!」

 

 そう言って迷いなく寝転ぶ魔理沙。

 

「だから何でそこで寝ようとするのよ!」

 

 その夜は結局霊夢から折れた。足で蹴ってはいたが。

 俺も寝泊りするところを確保していないのでこのまま出ると野宿確定の為、この場で寝させてもらうことにした。一応邪魔にならないように気を使って部屋の隅に移動してから寝た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして一夜が明けた。

 

「じゃあ、あの時のブラフって殆ど魔法だったのか」

 

「それも装備とかな。紫遊が《ディメンション・マジック》を撃った後、警戒して攻撃を止めるほど慎重だったから、適当に余裕でも見せとけばまた止めるだろうと思ったんだが、突っ込んできやがってよ」

 

「あれは一種の賭けでもあったからな」

 

「……まだ居た」

 

 体勢が体勢だった為か、早くに起きてしまった俺は、その後に起きた魔理沙と軽い雑談をしていた。

 昨日のデュエルのことだったり、幻想郷のことだったりと。

 

 そうしている内に霊夢が起きる時間になったのか、奥から面倒なものを見る様な目でこちらを見ながら現れた。口ぶりからして帰っていて欲しかったのか。それも分からなくもないが。

 

「霊夢、お茶くれ」

 

「そういうのは咲夜に言いなさい」

 

 そう言いながらも後からお茶とお茶菓子を出してくれた。後でお賽銭でも入れておこうか。

 そして霊夢も輪に加わり、話は先延ばしにしたことへ。

 

「それで紫流風が何だって?」

 

「ああ、それを紫遊が説明してくれるよ」

 

「やっぱり俺からか」

 

 振られたのでとりあえず説明に入ることにした。電脳世界などはあまり伝わらない気がするのでその手のことは出来るだけ伏せながら。

 データストームの中身、その危険性と考えられる幻想郷への被害。といっても現実的な構築物質にはそれほど影響はないだろう。

 

「じゃあそのデータストームってのが本当の名前なのね」

 

「俺が知っているのとまったくの同質ならな」

 

「ていうか、そう考えると何でカードが落ちてるのかも少しは納得できるな」

 

 霊夢に説明をしていると、横で改めて説明を聞いていた魔理沙が妙なことを言った。

 

「カードが落ちている?

…そういえば、魔理沙たちはどうやってカードを手に入れているんだ?」

 

 カードで思い出した素朴な疑問。

 昨日、人間の里をある程度歩いたが、カードを扱っている場所は疎か、カードに関係している場所すらなかった。それなのにカードを持った決闘者は存在している。一体何処からカードを入手しているというのか?

 

「何処からって今言った通りだぜ。カードは拾った、って奴だな」

 

「それ全部か?」

 

「そうだけど?」

 

 デッキを組めるほどのカードが落ちているというのは如何なんだ…。

 それに、そんなに落ちているのなら一度は目撃してもいいはずなのに、此処に来るまでにそんなものは一切に目撃しなかった。

 訊いてみるとそれもデータストームが関係しているらしい。

 

「あれが現れた次の日ぐらいにさ、決まって出たところの下あたりにカードが落ちてるんだよ。多分本体から零れた情報って感じなんだろうな」

 

 それを集めてデッキにしたってことなのか?結構な回数になるな。

 

「そりゃあ、毎日出てればそれなりの数になるか」

 

「何言ってんだ?毎日は出ねえよ?」

 

「そうなのか?」

 

 どうやらある程度法則のようなものがあるらしく、それらを含めて教えて貰った情報を纏めてみると、

 

 ・データストームは数か月前から出現している。発生理由は謎。

 ・データストームは決まって夜に出現し、毎日は出現しない。昨日現れたので今晩は出ない。

 ・データストームの出現地点の付近には次の日にカードが落ちている。手に入るカードはランダムで、一度の発見で入手できるのは1~3枚程度。入手カードの性能や枚数はデータストームの状態に比例する可能性がある。

 ・発見しても回収しなかったカードは時間が経つと消滅するとされる。恐らく元のデータに戻るのだろう。

 ・霊夢たちは危険性を今のところは感じられないので放置している。

 

 ということらしい。

 放置していると言うが、魔理沙は現にまだ調べていた。ちなみに何度も出現しているからか、巷では自然現象の一つということで受け入れられているらしい。通りで騒ぎになったりしなかった訳か。オーロラかっ。

 

「拾えるのはカードだけなのか?

というか、そうなると幻想郷の決闘者が持ってる決闘盤はどこで手に入れたんだよ?」

 

「決闘盤については初めの質問で説明出来なくもないわ。

拾えるのはカードだけという質問は間違い、出始めの頃は別のものも落ちていたらしいわ。この決闘盤の原型がね」

 

「それと私もルールブックってのを拾ったぜ。ほら」

 

 そう言って魔理沙は小さい書籍を取り出した。借りてみて中身を確認してみたが、確かに基本的なルールが書かれていた。データストームによるスピードデュエルについては無かったが。

 それにしても…

 

「原型って魔理沙が持っているそれか?それとも霊夢が持っているのか?」

 

「いや、私らのとは違うぜ。

こいつは機械に強い河童が原型を解析して、それを元に改良込みで作られたんだよ。巷に出回ってる奴は全部そうだと思うぜ」

 

 ということはその河童が原型を持っているのか。

 それよりも河童がメカニックなのか。機械は水に弱いのにその相性はいいのか…。

 

「っと、機械で思い出したが、あいつにこれを改造させないとな。

紫遊、あのスキルってのはどうすればできるんだよ」

 

「ああ、あれか」

 

 魔理沙がスピードデュエルでの紫遊が使ったスキルについて訊いてきた。

 

 スピードデュエルでのスキルはプレイヤーでもデッキにもなく、決闘盤にダウンロードしておいてから使うプログラムだ。

 その為、デッキと同じようにプレイヤー毎に使えるものが違い、後から別のものを入れておくことでスキルを変えることも出来る。

 幻想郷でも仕様は同じだと思うが、その辺を触るには機材などが必要なので今は出来ない。さっき言っていた河童に協力してもらえれば何とかなるだろうか?

 

「スキルの情報をディスクに入れておけば一応は使えるが…」

 

「なら今から入れさせに行くか」

 

 そう決めて魔理沙は立ち上がった。ついでに俺も行かなければいけないらしい。こちらとしても交流をしておきたいので別に構わないが。

 

「おっと、忘れてた」

 

 と思っていたら、何かを思い出して順番を変えるらしい。

 

「霊夢も行くか?」

 

「遠慮しとく」

 

「そうか。んじゃ行くか」

 

 ということで、魔理沙は紫遊を連れて何処かへと向かい始めたのだった。

 




この作品でのスキルは"ディスクに入ったプログラム"ということにします。


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7話 速きこと風の如し

サブタイトルは特に意味はありません


 河童のエンジニアに会いに行くために博麗神社を出たのだが、現在はスピードデュエルで通ったと思しき森の道を進んでいた。これは決して迷っているわけではない。

 

「お、あったあった」

 

 森の中で魔理沙は言った。

 魔理沙は木に引っかかっている光る何かを手に取ると、その光る何かは次第に光を失っていき、気付くと実体のあるカードが手の中に掴まれていた。

 先に言っていたカードの入手法である。

 

「確かに拾ってるな」

 

「こうやって私らはカードを集めたんだよ。まぁ最近では香霖堂で取り扱うかって噂もあるらしいけどな」

 

 そう言いながらも遠くにも見つけたらしい魔理沙はそこへと駆けて行った。

 

 折角の機会だし俺も拾ってみようかな。こちらでの入手手段が限られているようだし。

 そう思って紫遊は光を探し始めた。この辺りは先程魔理沙が探した為に無いと思い、別の場所に変えてみる。

 カードが落ちているのはデータストームの出た場所付近だったな。それでいて魔理沙がまだ探していないところ。

 

「ん?これか?」

 

 先程の場所から少々離れて探していると、木の根元に光っているものを見つけた。拾い上げると確かに先程魔理沙が持っていたものと同じ大きさだった。

 手に持って少しすると、先程のように光が弱くなっていき、その光が殻のように砕け散ると、そこにはモンスターカードがあった。

 

「《コード・ジェネレーター》…まあまあ使えそうだな。」

 

 変化したカードを確認して仕舞う。

 それにしてもサイバースのカードを引くとは。これもランダムのはずなんだがな。…デッキに入りそうなものなのは良いんだが。

 他にもカードを探してみるか。

 

 そしてそれなりに時間が経った頃、それほどカードは見つからなかった。結局手に入ったのは計三枚。《コード・ジェネレーター》の他に《マイクロ・コーダー》と《コード・ラジエーター》というカードだ。どれも見事にサイバースのカード。そして同じような効果を持っている。どれも一枚ずつ拾ったはずなんだが、この引きには偶然を通り越して何かを感じる。

 

「そっちも何か見つけたのか?」

 

 丁度魔理沙も切り上げようとしていたのか、向こうから合流してきた。その手にはカードが四枚あった。

 

「そっちは使えそうなカードを手に入れられたのか?」

 

「微妙だな。使えるのもあるけどよく分からんのとかもあるし」

 

 確かに、そう言いながら見せびらかしているカードのうちの数枚は、魔理沙の融合を絡めた魔法使い族デッキとは相性が良いのか悪いのかと言った所だった。他にはそれなりに汎用性が感じられるものもあった。

 

「そんじゃ、今度こそ行くか―――ん?」

 

 行くかと言った時に上空に何かが通り過ぎ、魔理沙は空を見上げた。だがそこには何もない。

 

「どうした?」

 

「天狗か。あっちは霊夢のとこか…戻るぞ!」

 

「お、おい!」

 

「もしかしたら面白そうなことがあるかもしれないしな!」

 

 通り過ぎたものに魔理沙は心当たりがあるらしく、来た道を戻っていく。

 紫遊もその後を追いかけていく。魔理沙の様子を見るに何か厄介事というわけでは無さそうだ。一体何があるのだろう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「清く正しい射命丸(しゃめいまる)です!号外ですよ!」

 

 "文々。新聞"という新聞を持って博麗神社に一人の天狗が現れた。

 その天狗の登場には何も言わず、霊夢は射命丸と名乗る天狗の手から新聞を受け取り、その一面に気付いた。

 

「…何これ?」

 

「あれ、ご存知ないんですか? この近くで行われていたからてっきりその後に来たのかと思ったんですけど。片方は魔理沙さんですし」

 

 霊夢が見ている新聞の一面には、先の紫遊と魔理沙によるスピードデュエルのことが書かれていた。

 何これとは言ったが、霊夢はその内容自体は薄っすらと知っている。現に本人たちから聞いている。気にしたのはそれが今新聞になっていること。

 

「そういう事じゃなくて、これを載せて何かあるの?」

 

「ありますよ。というか結構反響あったんですよ!

今幻想郷では少しずつデュエルが広まっていますから、そんなところに新たな形態と聞けば、そりゃあ興味を引きますよ!」

 

「ふーん」

 

 現に普段以上に読まれていることは事実である。普段があまり読まれていないというのも無いことも無いが、関心を集めているのは確かだ。

 この烏天狗、射命丸(しゃめいまる)(あや)はさらなる情報を得るために、可能なら当人に取材をする目的も少なからずあり、この場を訪れている。

 

「それはそうと、本当に来てないんですか?」

 

「……来たわよ。けどもう行ったわ」

 

「あやややや、それは一足遅かったですねえ。私としたことが…」

 

「……そうでもないみたいよ」

 

 速さにそれなりのこだわりがあるが故に落ち込みかけていた文に霊夢がお茶を呑みながら言った。

 霊夢が示した先、入り口の鳥居の所には戻って来た魔理沙と紫遊の姿があった。完全に野次馬目的である。

 

「さっきの影はあいつか?」

 

「ああ。にしても思ったより何も無かったな。

…んじゃ、改めて行くか」

 

「ちょっと!そこのお二人さん!待ってくださいよ」

 

 呼び止められたんだが。

 こちらとしては特に用は無いんだがな。魔理沙が思っていたことも無かったようだし。

 そんな二人に、凄い速度で詰め寄って逃がすまいと魔理沙の腕を掴む文。

 

「取材させてくださいよ!」

 

「取材?何で」

 

「魔理沙何かしたのか?」

 

「いや、最近はしてな……」

 

 その言い方だと以前は何かしたのかよ。

 そんな時、霊夢が近付いてきた。その手に新聞のような紙を持って。

 

「あんたらの決闘が新聞に載ったのよ。新しい決闘形式がどうだかで」

 

「「はい?」」

 

 霊夢が持ってきた新聞を見ると確かに昨日のスピードデュエルのやつだな。

 

「確かに私らだな」

 

「昨日の決闘が見られてたんだな。周囲に誰も居ないと思ってたんだが…」

 

「こいつ天狗だから空から見てたんだろ」

 

「そういう訳で、取材いいですか?」

 

 逃がすまいと腕を掴みながらもう取材の体勢に入っているんだが。

 正直面倒だな。掴まれているのは魔理沙だけだから逃げようと思えば逃げれるかもしれないが、それはそれで面倒なことになりそうだ。 

 

「ちなみに取材したいことって何なんだ?」

 

「そりゃもう、あの決闘と貴方の使っていた召喚法ですよ!」

 

 つまりデータストームによるスピードデュエルとリンク召喚についてか。どうやらリンクモンスターの存在をまだ知らない部類らしい。この幻想郷の決闘者が使う召喚法は疎らだからな。

 ちなみに俺じゃなくても魔理沙もリンク召喚を使っていたはずなんだがな。枚数調整で出してすぐに纏めて融合素材にしたけど。

 

 どうしようかな。これを受けたら長くなりそうだしなぁ……

 

「じゃあ、決闘でもすればいいんじゃないか? スピードデュエルは紫流風がないと無理だが、リンクならすぐ出来るだろ?」

 

 魔理沙がそんなことを言った。説明よりも実演した方が早いみたいに言っているが、その決闘対象俺だよな?

 

「そうですね。今一度この目で見れるのならそれでもいいでしょう。では決闘と行きましょうか!」

 

 相手は早速とばかりに決闘盤を付けて臨戦態勢に入っている。早えなおい。

 まあいいや。それだけで終わるかもしれないのなら受けるか。さっき手に入れたカードを試すのにもいいしな。

 

 紫遊は文と距離を取り、それからお互いに決闘盤を構える。

 文は文で、さあさあ突撃取材ですよーなどとよく分からんことを言っている。 

 …放っておいて始めてしまおうか。

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

 

 

紫遊    VS     文

LP4000       LP4000

 

 

 

「…どうして此処で始めるのよ」

 

「まあいいじゃん。賑やかになって」

 

 観戦することになった霊夢と魔理沙が端でそんなことを言っているが、紫遊たちには聞こえておらず、決闘は始まる。

 

 

 

「先行は貰いますよ!私は《RR(レイド・ラプターズ)-バニシング・レイニアス》を召喚!」

 

《RR-バニシング・レイニアス》

☆4 / 闇属性 / 鳥獣族 / 攻1300

 

 現れたのは機械のような印象を持つ鳥型モンスター。

 あのモンスターは仲間を呼ぶ効果を持っていることから、文のデッキはRR(レイド・ラプターズ)を軸としたものなのだろう。

 

「私は《RR-バニシング・レイニアス》の効果を発動。召喚・特殊召喚に成功したターンの自分メインフェイズに1度、手札からレベル4以下の「RR」モンスター1体を特殊召喚する。

二体目の《RR-バニシング・レイニアス》を特殊召喚!さらにこちらも効果を発動し、《RR-ネクロ・ヴァルチャー》を特殊召喚!」

 

《RR-バニシング・レイニアス》

☆4 / 闇属性 / 鳥獣族 / 守1600

《RR-ネクロ・ヴァルチャー》

☆4 / 闇属性 / 鳥獣族 / 守1600

 

「ほぉ。紫遊とは違う意味で次から次へと出てくるな」

 

「手札消費が荒いとも言うけどね」

 

 霊夢と魔理沙が口々に感想を言っている。

 それを聞いてか偶然か、それを少しでも軽くするようなカードを文は発動する。

 

「では、これもしておきましょう。

永続魔法 《RR-ネスト》。そして効果!自分フィールドに「RR」モンスターが2体以上存在する場合、自分のデッキ・墓地の「RR」モンスター1体を選んで手札に加える。私はこれでデッキから《RR-ブースター・ストリクス》を手札に。

私はこれでターンエンドです。さぁ貴方は如何来ますか?」

 

 思っていたより1ターン目から動いたな。とはいえ並べただけでそこからの派生が無かったから本気ではないのは分かる。本当に様子見といった所だ。

 

 

 

ターン1→2

文 LP4000

手札 2

墓地 0

フィールド

《RR-バニシング・レイニアス》

《RR-バニシング・レイニアス》

《RR-ネクロ・ヴァルチャー》

永続魔法 《RR-ネスト》

 

□ □ ネ □ □

 

□ バ バ ネ □

 

  □   □  

 

□ □ □ □ □

 

□ □ □ □ □

 

紫遊 LP4000

手札 5

墓地 0

フィールド 0

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 相手の場に伏せはない。

 気になるのは先程デッキから加えたカードだ。先程の行動は後続を用意したという雰囲気ではなかった。ではあれはこちらの行動に備えたものか? そうなると面倒だな。

 

「俺は手札から《ハック・ワーム》を墓地に送ることで《ビットルーパー》を特殊召喚!」

 

《ビットルーパー》

☆4 / 地属性 / サイバース族 / 守2000

 

 《ビットルーパー》は手札からレベル2以下のモンスター1体を墓地へ送ることで手札から特殊召喚できる効果を持つ。手札を消費するが初動にはいい。

 

「さらに《サイバース・ガジェット》を召喚」

 

《サイバース・ガジェット》

☆4 / 光属性 / サイバース族 / 攻1400

 

 そして次に通常召喚した《サイバース・ガジェット》は召喚時に自分の墓地のレベル2以下のモンスター1体を守備表示で特殊召喚する効果を持っている。蘇生対象の制限はレベルだけで種族を指定していないのでサイバース以外でも蘇生することが出来る。

 

「《サイバース・ガジェット》の効果、墓地から《ハック・ワーム》を蘇生」

 

《ハック・ワーム》

☆1 / 闇属性 / 機械族 / 守 0

 

「現れろ、幻想を創造に変えるサーキット!」

 

 呼びかけによって上空に現れるゲートを見て、文が「早速来ますか」と呟いた。

 

 「アローヘッド確認。 召喚条件は効果モンスター2体。俺は《ハック・ワーム》と《サイバース・ガジェット》をリンクマーカーにセット。 サーキットコンバイン!リンク召喚! 来い、《コード・トーカー》!」

 

《コード・トーカー》

リンク2 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1300

【リンクマーカー:上/下】

 

「それがリンク召喚ですかぁ。他の召喚とは色々と違いますね」

 

「リンク素材となった《サイバース・ガジェット》の効果、フィールドから墓地へ送られた場合、自分フィールドに「ガジェット・トークン」1体を特殊召喚する」

 

《ガジェット・トークン》

☆2 / 光属性 / サイバース族 / 守 0

 

「続けて現れろ、幻想を創造に変えるサーキット!

アローヘッド確認。召喚条件はサイバース族モンスター2体以上。俺は《ガジェット・トークン》と《ビットルーパー》、そして手札の《マイクロ・コーダー》をリンクマーカーにセット!」

 

「手札からリンク素材にですと!?」

 

 今リンク素材に指定した《マイクロ・コーダー》や今日拾った他の二枚はどれも

共通した効果を持っている。それは――フィールドのサイバース族を特定のカテゴリのリンクモンスターの素材にする場合に限り、このカードを手札からリンク素材にすることが出来る――

 

 

―――リンク召喚! 《エンコード・トーカー》―――

 

 

《エンコード・トーカー》

リンク3 / 光属性 / サイバース族 / 攻2300

【リンクマーカー:上/下/右下】

 

《コード・トーカー》

リンク2 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1300 → 2300

【リンクマーカー:上/下】

※リンク先にモンスターが存在する限り、戦闘及び相手の効果では破壊されない。

 

□ □ ネ □ □

 

□ バ バ ネ □

      ↑

  □   コ  

      ⇅

□ □ □ エ □

      ↓↘

□ □ □ □ □

 

 

「ほうほう、EXデッキのモンスターをメインモンスターゾーンに…。

リンクモンスターはエクストラモンスターゾーンを擬似的に拡張できるようですね?」

 

 文が状況を分析して決闘中であるにも関わらずメモを取っている。

 それを無視して進めよう。

 

「バトルだ。俺は《コード・トーカー》で攻撃表示の《RR-バニシング・レイニアス》を攻撃!」

 

「…そのモンスターは破壊耐性を得ているのですか、それは通すしかありませんね…」

 

文 LP4000 → 3000

 

「続けて《エンコード・トーカー》でもう一体の《RR-バニシング・レイニアス》に攻撃!」

 

「それは通しませんよ!手札の《RR-ブースター・ストリクス》を除外してその効果を発動!攻撃モンスターを破壊します!」

 

 相手を破壊してモンスターを守る効果か。だから先程の《コード・トーカー》の攻撃では使わなかったのか。破壊耐性を得ていたから。

 だが、こちらも早々に破壊されるわけにはいかない。

 

「その効果にチェーンして手札から速攻魔法、《サイバネット・バックドア》を発動!《エンコード・トーカー》を除外!」

 

 積まれた効果の逆順処理より、先に《エンコード・トーカー》が除外され、破壊効果は不発に終わる。

 そして俺は《サイバネット・バックドア》の効果で《エンコード・トーカー》より攻撃力の低いモンスターをデッキから手札に加える。これで展開補助として《サイバース・コンバーター》を加えておく。

 結局、攻撃していたモンスターは居なくなった為、戦闘もなくなる。

 

「躱しました上にサーチですかー」

 

「メインフェイズ2に永続魔法、《サイバネット・リカバ―》を発動してターンを終了する」

 

《コード・トーカー》

リンク2 / 闇属性 / サイバース族 / 攻2300 → 1800

【リンクマーカー:上/下】

※リンク先にモンスターが存在する限り、戦闘及び相手の効果では破壊されない。

 

 

 

ターン2→3

文 LP3000

手札 1

墓地 1

除外 1

フィールド

《RR-バニシング・レイニアス》

《RR-ネクロ・ヴァルチャー》

永続魔法 《RR-ネスト》

 

□ □ ネ □ □

 

□ バ □ ネ □

      ↑

  □   コ  

      ↓

□ □ □ □ □

 

□ □ サ □ □

 

紫遊 LP4000

手札 1

墓地 5

除外 1

フィールド

《コード・トーカー》

永続魔法 《サイバネット・リカバ―》

 

 

 

「さてさて、結構見せて貰いましたしこちらも少し飛ばしましょうか!

私のターン、ドロー!

まずは《RR-ネスト》の効果、デッキから《RR-トリビュート・レイニアス》を手札に加え、そのまま召喚」

 

《RR-トリビュート・レイニアス》

☆4 / 闇属性 / 鳥獣族 / 攻1800

 

 このサーチはやはり厄介だな。

 モンスターを一応守れはしたが、戦闘自体を不発にして数を減らすことも出来なかったのは痛いな。

 

「《RR-トリビュート・レイニアス》の効果を発動。召喚・特殊召喚に成功したターンの自分メインフェイズにデッキから「RR」カード1枚を墓地へ送る。私はデッキから《RR-レディネス》を墓地へ。

そして他の二体のモンスターを攻撃表示に変更し、手札から永続魔法、《一族(いちぞく)結束(けっそく)》を発動。これは自分の墓地の全てのモンスターの元々の種族が同じ場合、自分フィールドのその種族のモンスターの攻撃力は800アップする効果を持つ」

 

《RR-バニシング・レイニアス》

☆4 / 闇属性 / 鳥獣族 / 守1600 → 攻1300 → 2100

《RR-ネクロ・ヴァルチャー》

☆4 / 闇属性 / 鳥獣族 / 守1600 → 攻1000 → 1800

《RR-トリビュート・レイニアス》

☆4 / 闇属性 / 鳥獣族 / 攻1800 → 2600

 

 相手の墓地には先程破壊した《RR-バニシング・レイニアス》がいる。それにより、《一族の結束》が適応されて全体強化。それに加えて全員攻撃態勢か。

 

「ではバトルと……おっと、そういえば《コード・トーカー》は《RR-ネクロ・ヴァルチャー》があの場に居ては戦闘破壊することは出来ませんでしたね……いや、《サイバネット・リカバ―》の存在から破壊しない方がいいのでは…?

では気を取り直してバトルフェイズと行きましょう。

《RR-バニシング・レイニアス》と《RR-トリビュート・レイニアス》で《コード・トーカー》に攻撃!」

 

 戦闘破壊耐性を持っている《コード・トーカー》が相手では、同じ攻撃力で攻撃しても相打ちどころか一方だけが破壊される為、《RR-ネクロ・ヴァルチャー》以外で攻撃する。破壊は出来ずとも攻撃表示が相手では戦闘ダメージはある。

 

 耐性を持っている故に、破壊された場合に発動する《サイバネット・リカバ―》は使用できず、《コード・トーカー》はサンドバックになる。

 

「くっ…!」

 

紫遊 LP4000 → 3700 → 2900

 

「私はこれでターンエンド」

 

 

 

 

ターン3→4

文 LP3000

手札 1

墓地 2

除外 1

フィールド

《RR-バニシング・レイニアス》

《RR-ネクロ・ヴァルチャー》

《RR-トリビュート・レイニアス》

永続魔法 《RR-ネスト》

永続魔法 《一族の結束》

 

□ □ ネ 一 □

 

□ バ ト ネ □

      ↑

  □   コ  

      ↓

□ □ □ □ □

 

□ □ サ □ □

 

紫遊 LP2900

手札 1

墓地 5

除外 1

フィールド

《コード・トーカー》

永続魔法 《サイバネット・リカバ―》

 

 

 

「ドロー。このスタンバイフェイズに除外されていた《エンコード・トーカー》は俺のフィールドに戻ってくる。そして《サイバネット・バックドア》で除外されていたモンスターはこのターン直接攻撃できる」

 

《エンコード・トーカー》

リンク3 / 光属性 / サイバース族 / 攻2300

【リンクマーカー:上/下/右下】

※このターン直接攻撃できる

 

 

□ □ ネ 一 □

 

□ バ ト ネ □

      ↑

  □   コ  

      ⇅

□ □ □ エ □

      ↓↘

□ □ サ □ □

 

 

《コード・トーカー》

リンク2 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1800 → 2300

【リンクマーカー:上/下】

※リンク先にモンスターが存在する限り、戦闘及び相手の効果では破壊されない。

 

 

 《エンコード・トーカー》の帰還先を《コード・トーカー》のリンク先にすることで再び強化に貢献。

 

 手札を確認する。この手札ではこのターンに決めきるのは厳しそうだ。今の場だけで攻めたとしてダメージを優先しても削り切ることはできないだろうが…

 

「バトルフェイズだ、《エンコード・トーカー》は《サイバネット・バックドア》の効果でこのターン直接攻撃できる。《エンコード・トーカー》でプレイヤーに直接攻撃(ダイレクト・アタック)!」

 

「うわっ!」

 

文 LP3000 → 700

 

 ダメージを優先しても削り切れないのなら攻撃力の高い《RR-トリビュート・レイニアス》を処理しておきたいところなんだが、それには攻撃力が足りていない。リンク先を攻撃すればこちらも下がってしまうので仕方ない。

 

「《コード・トーカー》で《RR-バニシング・レイニアス》を攻撃!」

 

文 LP700 → 500

 

「…俺はこれでターンを終了する」

 

 

 

ターン4→5

文 LP500

手札 1

墓地 3

除外 1

フィールド

《RR-ネクロ・ヴァルチャー》

《RR-トリビュート・レイニアス》

永続魔法 《RR-ネスト》

永続魔法 《一族の結束》

 

□ □ ネ 一 □

 

□ □ ト ネ □

      ↑

  □   コ  

      ⇅

□ □ □ エ □

      ↓↘

□ □ サ □ □

 

紫遊 LP2900

手札 2

墓地 5

除外 1

フィールド

《コード・トーカー》

《エンコード・トーカー》

永続魔法 《サイバネット・リカバ―》

 

 

 

「ライフ的には紫遊が優勢ではあるが…」

 

「フィールドの状況的には、サーチも全体強化も出来る文がやろうと思えば巻き返せそうね」

 

「さて、このターンであいつは一体何をするつもりなんだろうな」

 

 

 

「私のターンです、ドロー。

《RR-ネスト》の効果、デッキから《RR-ラダー・ストリクス》を手札に加えて召喚!」

 

《RR-ラダー・ストリクス》

☆4 / 闇属性 / 鳥獣族 / 攻 0 → 800

 

 強化されるとはいえ、元々の攻撃力が0のモンスターを持ってきてまで召喚するという事は効果が目的か。

 紫遊の予想通り、文は早速とばかりに効果を発動する。

 

「《RR-ラダー・ストリクス》の効果を発動。召喚に成功した場合、相手に600ダメージを与える」

 

紫遊 LP2900 → 2300

 

 確実にライフを削りに来たわけか。

 そう思った時、文は不敵に笑った。

 

「私はフィールドの《RR-ネクロ・ヴァルチャー》と《RR-ラダー・ストリクス》、墓地の《RR-バニシング・レイニアス》。計三体のモンスターをゲームから除外します!」

 

 三つの風が吹き、それが一つに合わさった竜巻が卵のようになってフィールドに

現れる。そして風の殻を破るかのようにそれは召喚された。

 

 

―――《The() アトモスフィア》!!―――

 

 

The() アトモスフィア》

☆8 / 風属性 / 鳥獣族 / 攻1000 → 1800

 

 

 あれは自分フィールド上のモンスター2体と自分の墓地のモンスター1体をゲームから除外した場合に特殊召喚する事ができ、召喚権を使うことなく、除外対象の種族の指定も無いので他のデッキでも出そうと思えば出せなくもない。

 召喚コストの割にステータスは低めだが、厄介なのはその効果だ。

 

「ではいきましょうか!

The() アトモスフィア》の効果発動!1ターンに1度、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を装備カード扱いとして吸収!対象は《エンコード・トーカー》!」

 

 風が《エンコード・トーカー》を包み、《The アトモスフィア》に吸収される。

 この効果は吸収という形で相手を除去する為、相手が破壊耐性を持っていようと関係が無い。故にこの手の効果はバウンスなどと同じで、そこらの破壊効果よりも厄介なのである。

 

「《The アトモスフィア》の攻撃力・守備力は、このカードの効果で装備したモンスターのそれぞれの数値分アップします」

 

 といってもリンクモンスターは他と違って守備力を持っていない為、上がるのは攻撃力のみ。

 さらに言うと、これで完全にリンク先が居なくなって《コード・トーカー》の力は本来のものに戻る。

 

The() アトモスフィア》

☆8 / 風属性 / 鳥獣族 / 攻1000 → 1800 → 4100

 

《コード・トーカー》

リンク2 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1300

【リンクマーカー:上/下】

 

 

□ エ ネ 一 □

 

□ ア ト □ □

      ↑

  □   コ  

      ↓

□ □ □ □ □

      

□ □ サ □ □

 

 

「ではバトルフェイズ!

これで終わりにしましょう!《The アトモスフィア》で《コード・トーカー》を攻撃!"テンペスト・サンクションズ"!!」

 

 場にも手札にも防御カードはない…これは防げない…!

 

「ぐわああぁぁぁ!!」

 

紫遊 LP2300 → 0

 

 

 

 

 

「ではでは、分かったこともありますし、私はこの辺で!」

 

 そう言って、文は飛び立って行った。

 何というか忙しい奴だな…

 そう思いながら紫遊はそのまま寝転がっていた。

 




あれ、負けた?

と言うわけで何故か主人公が負けました。
本当なら耐えきって何とか逆転する予定だったんですが、《ラダー・ストリクス》出した辺りから狂いましたね。


それと文のデッキですが、
『RR』軸ではありますがエクシーズはまだ早いということで使いませんでした。
ぶっちゃけイメージ的には『BF』かなとも思っていたんですが、それは別の候補に置いておいて、対ということを採用して『RR』になりました。


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8話 お値段以上

デュエルが無ければこんなものだよ。(文字数)

そしていつも以上にキャラが迷走。


 そういえば幻想郷に来てから負けたのは始めてだろうか。

 勝ちに全てを賭けている訳ではないから、負けてもそこまで落ち込む訳でもないが、いざ負けると悔しいものだ。

 

 あの天狗が去ってから、紫遊は地面に寝転んだままそんなことを考えていた。まぁそれほど復活に時間は使うことはなく、すぐに身体を起こした。

 

「そういや、あいつあんまり止めるようなカードを使ってるところ見たことないなぁ……それほど決闘見たことないけど」

 

「魔理沙、誰だあいつは」

 

「おおっ!? って、にとりか。驚かすなよ」

 

「かっぱっぱ」

 

 魔理沙の背後に突然として現れたのは、大きなリュックを背負った青い服装の少女。

 彼女は河城にとり。幻想郷の決闘盤に携わっており、魔理沙たちが後で探そうとしていた河童のエンジニアである。それが向こうから来たのだ。

 

「都合がいいや。にとりに依頼することがあってな」

 

「依頼って決闘盤のことかい?」

 

「おお。話が早いな」

 

 魔理沙の目的を予測していたにとり。

 どうやらにとりも"文々。新聞"でそのことを知っているようだ。

 そして興味から魔理沙を探していたという。

 

「この決闘盤にスキルを入れてほしいんだよ」

 

「スキル?なんだそれ?」

 

「ああ、そこから説明すんのか」

 

「…なんか増えてるな」

 

 魔理沙がにとりにどこから説明しようかと考えている時、立ち上がっていた紫遊が二人のもとに来た。ちなみに霊夢はすでに母屋の中に入っていますのでこの場にはいません。

 

「紫遊、こいつがにとり。私らが捜しに行こうとしてた河童だ」

 

 河童と言われて自然に頭を見てしまったが、頭には帽子があった為、本当に皿があるのかどうかは分からなかった。

 それにしてもお値段以上な名前してるな…いい仕事をしそうだ。

 

「んで、こいつが紫遊。流浪の決闘者だ」

 

 なんか凄い紹介をされたな。そんなの初耳だぞ。

 とまあ変な紹介はさておき。決闘をしている間に来たのなら手間が省けたというものだ。

 

「紹介はここまでにして、とりあえず中に入ろうぜ。説明はそれからでいいだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だからなんで此処で集まるのよ。ちゃっかりにとりまで居るし」

 

「ほうほう。そんなものがあるのか」

 

「聞いてないし。」

 

 博麗神社の和室に戻り、俺はにとりにスピードデュエルとスキルについて説明した。スキルのことを話している時ににとりは少し興味を示していた。

 説明を終えてから魔理沙が再び頼んだ。

 

「別に構わんよ」

 

「本当か?」

 

「だが条件がある、私はそのスキルを知らない。だから見本としてそいつの決闘盤を貸してくれるか?」

 

 そういって指さしたのは紫遊の決闘盤。

 その発言は分かる。おそらく幻想郷でスピードデュエルのスキルに対応しているのは俺の決闘盤だけだろう。どんなものでも見本がある方が分かり易いし、スキルプログラムに対しての知識も得られる。

 だが、流石にその要求にはすぐに頷けない。

 

「貸したら何処かに持っていくのか?」

 

「一回戻ったほうが設備的にもやり易いけど、簡単なことなら此処でもできないことじゃない。道具は一応持ち歩いてるからな」

 

 そう言うにとりは持ってきていたリュックから色々な機材を出し始めた。確かにこれなら出来なくもない。というかこんなものまであるのか。

 

「提案だが、プログラムについては俺も参加していいか。少しは役に立てるかもしれないし」

 

 決闘盤に変なことをされても困るし。

 

「……いいぞ。じゃあ今から始めますか」

 

 そういうわけでこの瞬間、博麗神社の一室が整備室になった。宿主の許可なく。

 それからは意外と進むものである。

 機材はどれも古くて効率はそれほど早いものではないが、必要なことは割とできた。解析している間にもスキルの種類や条件などを聞かれたりした。スキルは一人一つだけなのかとか、スキルが被ったりしないのかとか。

 

「どっかの団体とかだとスキルをある程度統一させてたりすることもある。といっても強い奴ほど個性的なのが多かったと思うが」

 

「あ、俺のは多分プロテクトがあるから複製できないぞ」

 

「決闘中にカードを取得するのはいいのか?」

 

「いいんだよ」

 

 などと言いながらも作業は進んだ。

 外はすっかり暗くなっている。流石に数時間で魔理沙のスキルの構築までは行けなかった。

 とはいえ作業はまだ終わらない。にとりはすっかり火が付いている(河童なのにとかは今はいらない)。中途半端に止めておけない。

 

「いや、帰りなさいよ」

 

 などというツッコミがあったが、居座り続けた。

 長時間居座っているもので、食に関しては魔理沙が何処かから持ってきた軽食を食べていた。

 

「スキル内容はどうする?」

 

「紫遊が知っている効果はどんなのがあるんだ?」

 

「えっと…デッキを選ばない汎用性が高いスキルだったり、デッキタイプに合わせたスキルだったりかな」

 

「デッキに合わせたってどういう奴?」

 

「例えば、デッキ内容の大半を占めるカテゴリを指定するとか」

 

「なるほどな」

 

 まあ、どのスキルが強いかなんてのは、その状況による。

 タイミングを問わない魔法として使うようなのもあれば、ルールに関与するようなものだってある。直接アドバンテージを取るものもあれば取らないものもある。

 

 つまりはそういうことである。

 

 

 それからも作業は続き、日を跨いでも構築をしていた。

 ある程度形になってきた辺りから少し悪ノリしかけたこともあったが、スキルの構築はいい感じになった。

 

 実はというと結局明確なスキルは作っていない。明確ではないだけでスキルは出来ている。作成途中で少し思い付きどうせならと話し合った結果、自己構築という形のスキルを作り上げた。

 要は決闘者の情報を読み込ませて独自のスキルを作らせるのだ。これなら個性的なスキルが出来ることだろう。依頼者である魔理沙とこの場にいた霊夢の決闘盤には既に入力済みだ。霊夢にはサービスらしい。

 二人のスキルがどうなるかは数日後。楽しみだ。

 

 それと、魔理沙の他にも同じような要望を出す者がいるかもしれないということで、先手を打って自己構築プログラムの複製を用意した。にとりは後日、これを配るか売るかするだろう。

 

 最後にもう一つ。にとりの俺に対する認識だが。

 

「じゃあな盟友」

 

 帰り際にそう言っていた。一緒に開発をしている間に、いつの間にか格上げしていたらしい。まあいいか。

 

 



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9話 確認と再戦と

エースの召喚時とかにカットイン入れたい。
…入れたくない?


 にとりと作業をしてから二日程が経った。あれからデータストームは出ていない。もうスキルが構築されたらしい魔理沙が早く実戦で使う為に出現を待っていたがまだ出ない。

 

 二日の間に少しは変わったことがある。住居だ。

 流れ的に何度も博麗神社に泊まっていたりしたが、流石にずっとそれでは悪いので、自分で拠点となる場所を探してみることにしたのだ。

 とは言ってもこの幻想郷に不動産のようなものは見つからず、途方に暮れていたのだが、「なら作るか?」の言葉と共に突然現れたにとりの協力を得て、拠点を作ることになったのだ。

 

「何か要望はあるか?」

 

「雨風凌げれば別にいいよ。この世界に雨の概念があるのか知らないが。

あとは…静かに調整できればいいぐらいか?」

 

 などと言ったからだろうか。それを訊いたにとりは人間の里を出ては、妖怪の山へと向かって行ったのだ。そして山に入ってすぐの辺りの木々の中で少し開けたスペースを見つけてはそこに目印を付けていた。

 

「それじゃ、ここにするか」

 

 一瞬耳を疑いはしたが、山に向かった時点で予想はしていた。

 にとりは無ければ作ればいいと言わんばかりに此処に拠点を作ろうとしているのだ。まだ下の方だからちょっかいも少ないだろうって、ちょっかいがあること前提なのかよ。

 

「そういえば代金とかはどうすればいいんだ? 少しぐらいならあるが家一軒建てるとなると足りないんだが」

 

 こちらで生活するにあたって、金銭面は即日払いの臨時バイトのようなもので生計を立てているが、それも僅かであったり現物支給でだったりするので、建築費用となると圧倒的に足りないのだ。

 

「別にいいよ。そこはおまけしといてやる」

 

「いいのか?」

 

「まあ、後日色々としてもらうことになるだろうけどな」

 

 それくらいで良いのなら有難いことだ。

 そういう訳で家の方はにとりに任せて、この日はまた人間の里で生活費を稼ぎに行ったのだ。

 

 

 

 そして今、バイト代を現物支給されて仮拠点へと戻ろうとしていた。

 拠点の本格的な建築の前に設計図を書く必要もあり、拠点が出来るまでの仮としてにとりが早々に作った仮拠点だ。と言っても葉の多い枝を屋根にしてハンモックを掛けたような簡易的なものだ。これでも結構寝心地はいいものである。他のものは何一つ無いけどな。

 

「結構暗くなってきたな」

 

 陽も沈み始めており、辺りが暗くなっていく。

 周りが木々だらけの中で暗闇というのはかなり不便である。灯りのことも考えておかないとな。

 

「とは思っても、アレが出たときはこの方が分かり易いんだよなぁ」

 

 そう言う紫遊の視線の先に面妖に輝く一筋の道。それこそ魔理沙が待っていたデータストーム、こちらでの呼び名は紫流風であった。

 

「仮拠点に一度戻ったらすぐに博麗神社にでも行くか」

 

 とうとう現れたのだから、きっと魔理沙は今頃対戦相手でも探しているのだろう。俺としても構築が巧くいっているかが気になるところだ。

 

 

「ん? もう帰って来たのか」

 

「にとりが外に居るってことはもう図面は書けたのか?」

 

「書けたけど、作り始めるのは明日からだな。もう暗いし」

 

「そうか」

 

 そう言えば考えてなかったが建築作業は一人でするつもりなのか?流石にそれくらいは手伝った方がいいだろうか。 訊いてみたところ、建築の際は他の河童を呼ぶとのことらしい。他に居るのか、河童。

 

「それはそうと、魔理沙が来たりしなかったか?」

 

「魔理沙?来てないぞ」

 

「そうか」

 

 よくよく考えてみればここに拠点を作ろうとしていることは他には誰も知らないんだったな。それは来るわけがないな。

 

「じゃあ今から博麗神社にでも行くか。そっちに居た方が都合がいいし」

 

「都合? …ん?ああそういう事か」

 

 どうやら遠くに微かに漏れている光で出現を理解したらしい。理解が早くて助かる。

 にとりも技術者として確認はしておきたいだろう。

 

「それじゃあ行くか」

 

 かくして二人は博麗神社を目指して仮拠点を後にした。

 

 

 

 

 

 

「本当に居たな」

 

「そうだな」

 

 博麗神社に着くと、早速魔理沙と霊夢の姿が目に入った。何か会話をしているだがここからでは何を言っているかは聞こえない。だがまあ動きからして魔理沙が霊夢に決闘相手を頼んでいるんだろうなぁ。

 そんな時、魔理沙がこちらに気付いた。

 

「よぉ、丁度いいところに来たぜ」

 

「決闘相手でもしろって?」

 

「よく分かったな」

 

「そうだろうと思って見に来たからな。製作者側としてスピードデュエル中のスキルの作動確認をな」

 

「なら相手をしてくれるのか」

 

 うーん、本当なら魔理沙と霊夢がスピードデュエルをしてくれれば一度に二人のスキルの作動確認が出来たんだが…。霊夢もそろそろ構築された頃だろうし。

 当の霊夢はいつの間にか姿が消えてるし。しょうがないか、などと思っていると隣からにとりが変な提案をした。

 

「じゃあ順番に確認といきますか。先に魔理沙とデュエルをして、その後に霊夢とすれば二人のスキルを確認できるから」

 

「おい、それは俺に二連戦しろと言ってないか?」

 

「かっぱっぱ」

 

 おい、そこで変にとぼけるなよ。

 

「たくっ……」

 

 そうと決まり、腕の決闘盤を構えてはDボードを呼び出す。魔理沙も同じようにDボードを呼び出す。郷に入っては郷に従えとか言っているが、これはスキルのプログラムをインストールするついでに俺の決闘盤のデータを少しコピーして入れておいた為に、そう施された決闘盤を使えば誰でも呼べるようにしておいたのだ。

 前に箒に乗りながらしていたがそれは危なっかしい気がしたからな。あとこっちの方がシステム的にスムーズになる。

 

 二人はDボードの飛び乗ってデータストームの上を滑る様に飛行する。今夜のデータストームは博麗神社周辺と山の方を周回するようなコースになっている。後で持ってくることを考えると好都合なルートだ。

 

「そんじゃ、次に神社を越えた方が先行だ!」

 

「いいだろう」

 

 二人は流れに沿って博麗神社を一度離れ、遠くで旋回をして此方へと急速に向かってくる。流石と言うべきか、ボードに乗るのは初めてのはずだが魔理沙はかなりの飛行テクニックでリードしている。これは負けてられないな。

 紫遊はスピードを上げて追い上げにかかる。そしてもうすぐ博麗神社が通り過ぎようとした時、魔理沙が急にスピードを落とした。

 

「なっ!?」

 

「今日は後攻の気分なんでな。ここは譲ってやるぜ」

 

 魔理沙がスピードを落としたことで、先行は紫遊のものとなる。

 前回はたしか魔理沙が先行を取っていたから今回は逆だな。

 前回からあまり時間は経ってはいないからお互いにデッキ内容はあまり変わっていないはず。今回はどういう手で来るつもりだ?

 

「スピード―――「デュエル!!」」

 

 

 

紫遊    VS   魔理沙

LP4000       LP4000

 

 

 

 

「よいしょっと」

 

「…何それ?」

 

 風に乗って何処かへ行く二人を見送ってからにとりは一つの道具を取り出した。にとりはその道具を開いて起動させると、道具の一部分に何処かへ行ったはずの二人の状況を映し出した。主に決闘の様子を。

 

「決闘盤の情報を転送して見えなくても決闘の状況を見れるようにしたのさ。」

 

「ふーん」

 

 霊夢はにとりが映し出した画面を静かに眺める。そして先行である紫遊のフィールドにカードが表示される。

 

 

 

 

…なんだこの手札。

 

「相手フィールドにモンスターが存在しない場合、手札から《ハック・ワーム》を特殊召喚出来る!」

 

 

《ハック・ワーム》

☆1 / 闇属性 / 機械族 / 攻 400

《ハック・ワーム》

☆1 / 闇属性 / 機械族 / 攻 400

 

 

「でもって二体の《ハック・ワーム》をリリースして、《デュアル・アセンブルム》をアドバンス召喚!」

 

 

《デュアル・アセンブルム》

☆8 / 闇属性 / サイバース族 / 攻2800

 

 

「カードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

 

 

ターン1→2

魔理沙 LP4000

手札 4

墓地 0

フィールド 0

 

× □ □ □ ×

 

× □ □ □ ×

 

  □   □  

 

× □ デ □ ×

 

× □ □ ■ ×

 

紫遊 LP4000

手札 0

墓地 2

フィールド 

《デュアル・アセンブルム》

魔法・罠伏せ 1

 

 

 

 今の俺のデッキの中で一番高い攻撃力のモンスターを出せはしたが、その代わりにいきなり手札を使い切ってしまった。

 さて、これで魔理沙はどう出る…

 

「そんなモンスターも持ってるのか。

だけどそれくらいじゃ私は止まらないぜ。私のターン、ドロー!」

 

 高攻撃力を前にして恐れることなく、力強くカードを引き抜く。

 

「《チョコ・マジシャン・ガール》を召喚するぜ。そして手札から《ベリー・マジシャン・ガール》を捨てて効果で1ドロー!

さらに手札から速攻魔法、《ディメンション・マジック》を発動するぜ。《チョコ・マジシャン・ガール》をリリースして手札から《ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-》を特殊召喚するぜ」

 

《ブラッド・マジシャン- 煉獄(れんごく)魔術師(まじゅつし)-》

☆4 / 炎属性 / 魔法使い族 / 攻1400

 

 このパターンは前回も使った奴だ。今回はカウンター目的ではなく、除去の目的で使うか。

 そして魔法の追加効果でこちらの《デュアル・アセンブルム》が破壊される。

 

「カードを二枚伏せてバトルに入るぜ。

《ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-》で直接攻撃(ダイレクト・アタック)!」

 

「くっ…!」

 

紫遊 LP4000 → 2600

 

「私はターンエンドだぜ」

 

「このエンドフェイズにリバースカードオープン!罠カード《裁きの天秤》!このカードは相手フィールドのカードの数が自分の手札・フィールドのカードの合計数より多い場合、その差の数だけデッキからドロー出来る!」

 

「ここで手札補充か。破壊は想定済みだったってことか?」

 

 魔理沙の場のカードは合計三枚、それに比べてこちらのカードはフィールドに残っていて今発動させた《裁きの天秤》のみ。それによりその差、二枚のカードをドローする。

 そしてターンが切り替わる。

 

 

 

ターン2→3

魔理沙 LP4000

手札 0

墓地 3

フィールド

《ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-》

魔法・罠伏せ 2

 

× □ ■ ■ ×

 

× □ □ ブ ×

 

  □   □  

 

× □ □ □ ×

 

× □ □ □ ×

 

紫遊 LP2600

手札 2

墓地 4

フィールド 0

 

 

 

 カードをドローする。

 

「俺は《サイバース・ガジェット》を召喚。そしてその効果で墓地からレベル2以下の《ハック・ワーム》を守備表示で蘇生」

 

 

《サイバース・ガジェット》

☆4 / 光属性 / サイバース族 / 攻1400

《ハック・ワーム》

☆1 / 闇属性 / 機械族 / 守 0

 

「モンスターが二体…来るか?」

 

「現れろ!幻想を創造に変えるサーキット!」

 

 呼びかけによってゲートが出現する。いきなりあのモンスターといきたいところだが条件が合わない。それなら…

 

「アローヘッド確認。 召喚条件は効果モンスター2体。

俺は《サイバース・ガジェット》と自身の効果で手札の《コード・ラジエーター》をリンクマーカーにセット。 サーキットコンバイン!リンク召喚!

リンク2、《コード・トーカー》!」

 

 

《コード・トーカー》

リンク2 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1300

【リンクマーカー:上/下】

 

 

「さらにリンク素材となった《コード・ラジエーター》と《サイバース・ガジェット》の効果を発動!

まず《コード・ラジエーター》は「コード・トーカー」モンスターのリンク素材として墓地へ送られた場合、相手フィールドの表側表示モンスター1体の攻撃力を0にして効果を無効化する!

そして《サイバース・ガジェット》は自分フィールドに「ガジェット・トークン」1体を特殊召喚する」

 

 

《ガジェット・トークン》

☆2 / 光属性 / サイバース族 / 守 0

 

《ブラッド・マジシャン- 煉獄の魔術師-》

☆4 / 炎属性 / 魔法使い族 / 攻1400 → 0

※効果無効

 

 

「続けて現れろ!幻想を創造に変えるサーキット!」

 

 次の召喚条件はレベル2以下のサイバース族モンスター1体。《ガジェット・トークン》を使ってリンク召喚だ。

 

「リンク1、《トークバック・ランサー》!」

 

 

《トークバック・ランサー》

リンク1 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1200

【リンクマーカー:下】

 

 

× □ ■ ■ ×

 

× □ □ ブ ×

  ↑

  コ   □  

  ↓

× ト ハ □ ×

  ↓

× □ □ □ ×

 

 

《コード・トーカー》

リンク2 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1300 → 1800

【リンクマーカー:上/下】

※リンク先にモンスターが存在する限り、戦闘及び相手の効果では破壊されない

 

 

 これならリンク3を出すよりも総ダメージ量が上のはずだ。

 俺は最後の手札を伏せてバトルフェイズに移行する。

 

「バトル、《コード・トーカー》で《ブラッド・マジシャン- 煉獄の魔術師-》に攻撃する!」

 

魔理沙 LP4000 → 2200

 

「続けて《トークバック・ランサー》で直接攻撃(ダイレクト・アタック)!」

 

魔理沙 LP2200 → 1000

 

 伏せカードを発動する様子も無く、さらに魔理沙のライフが削られる。だが遂に動く――!

 

「この瞬間に私は罠カード《フリッグのリンゴ》を発動!

こいつは自分フィールドにモンスターが存在せず、自分が戦闘ダメージを受けた時、受けたダメージの数値分だけ自分のLPを回復して自分フィールドに「邪精トークン」1体を特殊召喚する!」

 

魔理沙 LP1000 → 2200

 

「さらにこの「邪精トークン」の攻撃力・守備力は、この効果で回復した数値と同じになる」

 

《邪精トークン》

☆1 / 闇属性 / 悪魔族 / 守1200

 

 ダメージを帳消しにした上に壁を増やしたか。まぁどちらにしろバトル出来る奴はもう居ない。

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

 

ターン3→4

魔理沙 LP2200

手札 0

墓地 5

フィールド

《邪精トークン》

魔法・罠伏せ 1

 

× □ ■ □ ×

 

× □ 邪 □ ×

  ↑

  コ   □  

  ↓

× ト ハ □ ×

  ↓

× ■ □ □ ×

 

紫遊 LP2600

手札 0

墓地 5

フィールド

《コード・トーカー》

《トークバック・ランサー》

《ハック・ワーム》

魔法・罠伏せ 1

 

 

 

 「私のターンだ、ドロー!」

 

 魔理沙の手札は今ので一枚、場にはトークンと伏せカードが一枚ずつ。エースを召喚するにはまだ下準備が足りないはず。此処からどう返してくるか…

 

「《邪精トークン》をリリース!そんでもってこいつをアドバンス召喚!」

 

 呼び出されるは新たな魔法使い。

 

 

闇紅の魔導師(ダークレッド・エンチャンター)

☆6 / 闇属性 / 魔法使い族 / 攻1700 → 2300

魔力カウンター(2)

 

 

 《闇紅の魔導師》か、変わったモンスターを持ってるんだな。

 このモンスターは今のように召喚時に自身に魔力カウンターという特殊なカウンターを置く。カウンターというものはその手のカードの力を引き出すのに必要であり、このモンスターも魔力カウンターが置かれたことで一つにつき300ポイント攻撃力が上がっている。それだけでなく他にも自身の魔力カウンターを2つ取り除く事で相手の手札をランダムに1枚捨てさせる、所謂手札破壊の効果も持っているが今の俺の手札は無いからすぐには使わないだろう。

 

 にしても、この間は単なる種族デッキかと思ったが、さっきの《ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-》といいこのカードといい、思ってたよりも専用な構築だったりするのか? …ただ単に枚数の為に入れているだけかもしれないが。

 

「バトルだ!

《闇紅の魔導師》で守備表示の《ハック・ワーム》に攻撃!」

 

 こちらのモンスターのどれよりも攻撃力が上なのに、わざわざ守備表示の《ハック・ワーム》を攻撃だと…? 《コード・トーカー》は耐性を得てるから破壊は無理だとしても、リンクを攻撃すればライフは削れるはずなのに。

 意図を読めないでいると魔理沙が叫んだ。

 

「ここで勝負を決めさせてもらうぜ!スキル発動!【マジック・スパーク】!」

 

 遂に来たか魔理沙のスキル。魔理沙が放った光が《闇紅の魔導師》を覆っていく。スキルは問題なく作動しているようだ。果たしてその効果とは―――

 

「自分のターン中に一度、ターン終了時まで自分フィールドの魔法使い族一体の攻撃力を二倍にして、貫通効果を与える!」

 

「…そういうことか!」

 

 

《闇紅の魔導師》

☆6 / 闇属性 / 魔法使い族 / 攻2300 → 4600(スキル効果)

魔力カウンター(2)

※守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。(スキル【マジック・スパーク】効果)

 

 

 だからこそ守備表示の《ハック・ワーム》に攻撃か!《ハック・ワーム》の守備力は0。このままでは倍加した攻撃力をまともに受けることになる。

 

「そうはいかない!罠カード《ハーフ・アンブレイク》!

モンスター1体を選択し、このターン、選択したモンスターは戦闘では破壊されず、そのモンスターの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは半分になる。対象は《闇紅の魔導師》だ!」

 

「なにっ!?」

 

 

《闇紅の魔導師》

☆6 / 闇属性 / 魔法使い族 / 攻4600

魔力カウンター(2)

※守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。(スキル【マジック・スパーク】効果)

※このターン中、戦闘では破壊されない。(《ハーフ・アンブレイク》効果)

※発動したプレイヤーへの戦闘ダメージは半分になる。(《ハーフ・アンブレイク》効果)

 

 

「くっ、だがこれで…!」

 

 攻撃は無効になっていない為、攻撃は続行されて《ハック・ワーム》は破壊され、戦闘ダメージももろに受ける。だけどスキルでの上昇分をなかったにしたことでなんとか生き残った。

 

紫遊 LP2600 →(4600÷2ダメージ)→ 300

 

「ちっ、残しちまったか。しかもあのライフは……私はこれでターンエンドだ」

 

 このエンドフェイズに《闇紅の魔導師》に適用されていた効果はなくなる。そして紫遊のターン。

 

 

 

ターン4→5

魔理沙 LP2200

手札 0

墓地 5

フィールド

《闇紅の魔導師》 魔力カウンター(2)

魔法・罠伏せ 1

 

× □ ■ □ ×

 

× □ 闇 □ ×

  ↑

  コ   □  

  ↓

× ト □ □ ×

  ↓

× □ □ □ ×

 

紫遊 LP300

手札 0

墓地 7

フィールド

《コード・トーカー》

《トークバック・ランサー》

 

 

 

 俺の残りライフは300。勝てるかどうかはこのターン次第だ。

 

「俺のターン、ドロー」

 

 引いたカードは…モンスター。

 

「自分フィールドに同じ種族のモンスターが2体以上存在することにより、手札から《サイバース・ホワイトハット》を特殊召喚する!」

 

 

《サイバース・ホワイトハット》

☆6 / 光属性 / サイバース族 / 攻1800

 

 

 そっちが使ったのだからこっちだって使わせてもらおう。

 俺のライフは500以下で、フィールドにはサイバース族モンスターが二体以上存在する…!

 

「スキル【サイバネット・クリエイション】発動!」

 

 突き出した手の中にデータストームから光が集まり、輝きを増す。

 

「やっぱり使ってきたか!」

 

 光はデータが集まる度に輝きを増していき、やがてそれは一つのカードとなって構成される。そしてそれは実体化して手の中に納まる。

 

「現れろ!幻想を創造に変えるサーキット!

アローヘッド確認。 召喚条件は効果モンスター2体以上。

俺は《サイバース・ホワイトハット》、《コード・トーカー》、《トークバック・ランサー》の三体をリンクマーカーにセット。 サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ!」

 

―――リンク3、《トランスコード・トーカー》!―――

 

 

《トランスコード・トーカー》

リンク3/地属性/サイバース族/攻2300

【リンクマーカー:上/右/下】

 

 

「リンク素材となった《サイバース・ホワイトハット》の効果、相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力をターン終了時まで1000下げる」

 

 

《闇紅の魔導師》

☆6 / 闇属性 / 魔法使い族 / 攻2300 → 1300

魔力カウンター(2)

 

 

「《トランスコード・トーカー》の効果発動。

同名カード以外の自分の墓地のリンク3以下のサイバース族リンクモンスター1体をこのカードのリンク先となる自分フィールドに特殊召喚する。《コード・トーカー》を蘇生する」

 

 

 

× □ ■ □ ×

 

× □ 闇 □ ×

  ↑

  ト→  □  

  ⇅

× コ □ □ ×

  ↓

× □ □ □ ×

 

 

 

「これにより《トランスコード・トーカー》のもう一つの効果。相互リンク状態の場合、このカード及びこのカードの相互リンク先のモンスターの攻撃力は500アップし、相手の効果の対象にならない。

さらに《コード・トーカー》はリンク先のモンスターの数×500攻撃力をアップし、破壊耐性を得る」

 

 

《トランスコード・トーカー》

リンク3/地属性/サイバース族/攻2300 → 2800

【リンクマーカー:上/右/下】

※相手の効果の対象にならない。

 

《コード・トーカー》

リンク2 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1300 → 1800 → 2300

【リンクマーカー:上/下】

※リンク先にモンスターが存在する限り、戦闘及び相手の効果では破壊されない。

※相手の効果の対象にならない。

 

 

「一気に攻め手を整えてきたか」

 

「バトルだ!《トランスコード・トーカー》で《闇紅の魔導師》を攻撃!

"トランス・フォールト"!」

 

 パーツが変形合体して出現した銃口が《闇紅の魔導師》に向けられ、狙い撃つ。

 

「そうはさせないぜ!罠カード《プライドの咆哮》を発動!」

 

「それは!?」

 

魔理沙 LP2200 → 700

 

 魔理沙が伏せていた罠、《プライドの咆哮》は戦闘ダメージ計算時、自分のモンスターの攻撃力が相手モンスターより劣っている場合にその攻撃力の差分のライフポイントを払うことでダメージ計算時のみ、自分のモンスターの攻撃力を相手との攻撃力の差の数値+300ポイントアップするカード。

 結果的に自身のライフを失うことになるのは同じだが、必ず相手の攻撃力を上回って迎撃できる。逆に言えば相手を返り討ちにして300ダメージを与える。そして今の俺の残りライフも丁度300。

 

 

《トランスコード・トーカー》

リンク3/地属性/サイバース族/攻2800

【リンクマーカー:上/右/下】

 

《闇紅の魔導師》

☆6 / 闇属性 / 魔法使い族 / 攻1300 → 3100

魔力カウンター(2)

 

 

「これで決まりだ!」

 

 強化された《闇紅の魔導師》の反撃が《トランスコード・トーカー》の砲撃ごと紫遊へと襲い掛かる。

 

「ぐああああ!!」

 

紫遊 LP300 → 0

 

「まさか伏せていたカードがそんなカードだったとはな。まんまと騙されたよ」

 

「発動させないのもブラフとしてはいいだろ? ま、紫遊が除去をあまりしなさそうと思ってたから出来たことだけどな。

さて、一旦戻るぜ」

 

 決闘を終えた二人はデータの波に逆らって博麗神社の方へと飛行していくのであった。

 




裏話

これを書いてるとき《ハーフ・アンブレイク》のところを始めは《ハーフシャット》にしていたのですが、あれ?これだと魔力カウンター乗って結局終わるんじゃね?と気付いて書き直してました。気付いた時カウンターが乗ることとそれで強化されることを忘れてて笑ってました。


次回は個人的に使いたいデッキが出ますね。
それを使うキャラに関してはダジャレ採用ですけど笑


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10話 猛る炎

燃やせ!Soulburner!(違う)

あと、今回何故か長いです。
本当なら半分で勝敗が決まってたはずなのに…どうしてだ…


「戻ったぜ」

 

「じゃあ次は霊夢の方の確認といくか?」

 

 少しは休ませてくれないのか?

 博麗神社に戻ってきたはいいが、外野がすぐに次の決闘を進めようとしているのはどうなんだ?当の俺も霊夢も乗り気ではないんだが?

 

「これが終わったら軽く打ち上げでもするぞ?」

 

 やる気になっていない俺たちを見てにとりがそんなことを言った。

 

「…じゃあいいわ」

 

「良いのかよ」

 

「紫遊だって、決闘すれば主力カードを増やせるチャンスだぞ」

 

 確かにその通りだが、それはスキルが使えればの話だ。

 というかなんだチャンスって。どういう捉え方してるんだよ……同じこと思ったけどさ。

 

 かくして二人は決闘盤でDボードを呼び出し、風に乗る。(紫遊は一度降りてしまって何処かへ行ったのでもう一度呼び出す羽目に。)

 恐らくDボードに乗るのは初めてのはずの霊夢は意外と上手く乗りこなしている。幻想郷の人は皆こんな感じなのだろうか。

 

「順番はどうする?」

 

 などと考えていると霊夢が訊いてきた。霊夢の腕にはしっかりと決闘盤とデッキがセットされている。

 それに応えるよりも先に箒に乗って付いてきたらしい魔理沙が勝手に言った。

 

「私らもだったが、そこはレースでだな。」

 

「じゃあそれで」

 

 ということで先に魔理沙の指定した木を越えた方が先行ということになった。

 そうと決まれば同時にボードを加速させて目標へと急接近する。そしてタッチの差で目標の木を越えたのは―――霊夢だった。

 

「私が先行ね」

 

「ああ。そんじゃまあ行きますか。

―――スピード」

 

「「デュエル!!」」

 

 

 

紫遊    VS    霊夢

LP4000       LP4000

 

 

 

 魔理沙が前に言ってた気がするがサイバースのカードを持ってるんだったな。だけどその他の事は訊いてないし、それを使うかどうかも分からない。一体どんなデュエルをするんだ…

 

「……。

私は《転生炎獣(サラマングレイト)ガゼル》を召喚」

 

 

《転生炎獣ガゼル》

☆3 / 炎属性 / サイバース族 / 攻1500

 

 

 あれはサラマングレイト!霊夢が持っているサイバースカードってサラマングレイトだったのか。

 

「《転生炎獣ガゼル》の効果発動。召喚・特殊召喚に成功した場合に、デッキから「転生炎獣ガゼル」以外の「サラマングレイト」カード1枚を墓地へ送る。デッキから《転生炎獣スピニー》を墓地へ。

そして墓地に送った《転生炎獣スピニー》の効果。自分フィールドに「転生炎獣スピニー」以外の「サラマングレイト」モンスターが存在する場合、このカードを墓地から特殊召喚する。その代わりこのカードはフィールドから離れた場合に除外される。」

 

 

《転生炎獣スピニー》

☆3 / 炎属性 / サイバース族 / 攻1000

 

 

 墓地に送られたばかりのモンスターがすぐに場に現れる。これがサラマングレイトの特徴の一つだ。転生の名を冠している為なのか墓地から自己再生する効果を持ったものが多いのだ。

 

「私はレベル3の《転生炎獣ガゼル》と同じくレベル3の《転生炎獣スピニー》でオーバーレイ!」

 

 霊夢が宣言したと同時に二体のモンスターは紅い光となって飛び上がり、眼前に現れた銀河のような渦の中に飛び込む。

 

「二体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

ランク3《転生炎獣ミラージュスタリオ》!」

 

 

転生炎獣(サラマングレイト)ミラージュスタリオ》

ランク3 / 火属性 / サイバース族 / 攻2000

ORU レベル3モンスター×2

 

 

 周囲に二つの紅い光球を纏わせて、銀河の爆発と共にエクシーズと呼ばれる新たなモンスターが姿を現した。

 

「なんだあのモンスター!? 霊夢の奴、いつの間にあんな召喚法を!」

 

 エクシーズモンスター。リンクモンスターと同じようにレベルを持たず、そのかわりにランクを持つ黒いカード群。同じレベルのモンスターを決められた数使うことで出すことが出来る。

 エクシーズの最たる特徴は他の召喚法とは違い、素材としたモンスターはすぐには墓地には行かず、ORU(オーバーレイユニット)と言う効果を使う際に墓地に送るものとして場に留まっているのが特徴。今で言うと《転生炎獣ガゼル》と《転生炎獣スピニー》が素材として《転生炎獣ミラージュスタリオ》の下に重ねられている。

 さらにいうと《転生炎獣スピニー》のように自己再生するとフィールドを離れた時に除外されてしまうようなモンスターはエクシーズ素材となることで除外されずに再び墓地へと送ることが出来る。エクシーズ素材は別のものと扱われる為である。

 

「《転生炎獣ミラージュスタリオ》の効果を発動。

ORU(オーバーレイユニット)を1つ取り除き、デッキから「サラマングレイト」モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。《転生炎獣フォクシー》を特殊召喚」

 

 《転生炎獣ミラージュスタリオ》が周囲に漂っていた光球を一つ吸収すると、何処からともなく新たなモンスターが呼び出された。

 ちなみにここまでで手札の消費は一枚だけなのである。

 

 

《転生炎獣フォクシー》

☆3 / 炎属性 / サイバース族 / 守1200

 

 

「私はカードを二枚伏せてターンを終了するわ」

 

 

 

ターン1→2

霊夢 LP4000

手札 1

墓地 1

フィールド 

《転生炎獣ミラージュスタリオ》 ORU1

《転生炎獣フォクシー》

魔法・罠伏せ 2

 

× ■ ■ □ ×

 

× フ □ □ ×

 

  ミ   □  

 

× □ □ □ ×

 

× □ □ □ ×

 

紫遊 LP4000

手札 4

墓地 0

フィールド 0

 

 

 

「俺のターン、ドロー」

 

 出来るところまで飛ばしてみるか。

 

「EXモンスターゾーンに相手モンスターのみが存在する場合、手札の《バックリンカー》を特殊召喚できる。さらに自分フィールドのモンスターがサイバース族モンスターのみの為、《サイバース・コンバーター》を特殊召喚」

 

 

《バックリンカー》

☆3 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1600

《サイバース・コンバーター》

☆2 / 光属性 / サイバース族 / 攻1000

 

 

「現れろ!幻想を創造に変えるサーキット!」

 

 アローヘッド確認。 召喚条件は効果モンスター2体以上。

 場には二体しか居ないが、それなら手札を使えばいい。

 

「俺は《バックリンカー》、《サイバース・コンバーター》、そして効果により手札の《マイクロ・コーダー》をリンクマーカーにセット。 サーキットコンバイン!リンク召喚!」

 

―――リンク3、《トランスコード・トーカー》!―――

 

 

《トランスコード・トーカー》

リンク3 / 地属性 / サイバース族 / 攻2300

【リンクマーカー:上/右/下】

 

 

「「コード・トーカー」モンスターのリンク素材となった《マイクロ・コーダー》の効果。デッキから「サイバネット」魔法・罠カード1枚を手札に加える。《サイバネット・リカバー》を手札に」

 

 まだ止まらない。召喚権もまだ使っていない。

 

「続いて《サイバース・ガジェット》を召喚。効果、墓地のレベル2以下の《サイバース・コンバーター》を守備表示で蘇生する」

 

 

《サイバース・ガジェット》

☆4 / 光属性 / サイバース族 / 攻1400

《サイバース・コンバーター》

☆2 / 光属性 / サイバース族 / 守1000

 

 

 そしてこの二体を使って再びリンク召喚に取り掛かる。今回の召喚条件は効果モンスター2体。《サイバース・ガジェット》と《サイバース・コンバーター》を呼び出したゲートのリンクマーカーにセット。

 

「リンク召喚、リンク2《アンダークロックテイカー》!

リンク素材として墓地に送られた《サイバース・ガジェット》の効果で「ガジェット・トークン」1体を特殊召喚」

 

 

《アンダークロックテイカー》

リンク2 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1000

【リンクマーカー:左/下】

 

《ガジェット・トークン》

☆2 / 光属性 / サイバース族 / 守 0

 

 

「三度現れろ!」

 

 このターン三度目となるゲートが出現する。次の召喚条件はサイバース族モンスター2体以上。リンクモンスターはそのリンクの数の素材とすることが出来る。

 

「《ガジェット・トークン》とリンク2の《アンダークロックテイカー》をリンクマーカーにセット。 サーキットコンバイン!」

 

―――リンク3、《エンコード・トーカー》―――

 

 

《エンコード・トーカー》

リンク3 / 光属性 / サイバース族 / 攻2300

【リンクマーカー:上/下/右下】

 

 

× ■ ■ □ ×

 

× フ □ □ ×

      ↑

  ミ   ト→  

      ⇅

× □ □ エ ×

      ↓↘

× □ □ □ ×

 

 

「1ターンで主力モンスターを二体並べたのか。紫遊の奴、今迄以上に飛ばしてるな。」

 

 

 二体のモンスターは相互リンク状態にある。よって《トランスコード・トーカー》の効果で強化と耐性付与が行われる。

 

 

《トランスコード・トーカー》

リンク3 / 地属性 / サイバース族 / 攻2300 → 2800

【リンクマーカー:上/右/下】

※相手の効果の対象にならない。

 

《エンコード・トーカー》

リンク3 / 光属性 / サイバース族 / 攻2300 → 2800

【リンクマーカー:上/下/右下】

※相手の効果の対象にならない。

 

 

 そしてもしもの為の相手ターンでのリカバリーとして手札から二枚の永続魔法、《サイバネット・リカバー》と《補給部隊》を発動。手札を使い切るがそのためのケア用だ。

 準備は出来た。このままバトルフェイズだ。

 

「バトル!《トランスコード・トーカー》で《転生炎獣ミラージュスタリオ》に攻撃」

 

「リバースカード、罠カード《アルケミー・サイクル》を発動!このターンの終わりまで自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター全ての元々の攻撃力を0にする」

 

「わざわざ自分から0に!?」

 

 

《転生炎獣ミラージュスタリオ》

ランク3 / 火属性 / サイバース族 / 攻2000 → 0

ORU レベル3モンスター×1

 

《転生炎獣フォクシー》

☆3 / 炎属性 / サイバース族 / 守1200 (攻1000 → 0)

 

 

 《転生炎獣ミラージュスタリオ》の攻撃力が0となった為、モンスターが破壊され、《トランスコード・トーカー》の攻撃力2800をまともに受けることになる。自分からダメージを増やして一体どういうつもりだ…!

 

 《転生炎獣ミラージュスタリオ》が予想通り破壊され、そのダメージが霊夢へと届こうかとした時、もう一枚のカードが開いた。

 

「このダメージ計算時にもう一枚の罠カード《パワー・ウォール》を発動!戦闘で発生する自分への戦闘ダメージが0になるように500ダメージにつき1枚、自分のデッキの上からカードを墓地へ送る!

今のダメージは2800、よってデッキの上から6枚を墓地へ」

 

霊夢の墓地へ

転生炎獣の烈爪(サラマングレイト・クロー)》、《転生炎獣ラクーン》、《転生炎獣(サラマングレイト)降臨(こうりん)》、《(ひかり)護封霊剣(ごふうれいけん)》、《転生炎獣モル》、《魔界(まかい)足枷(あしかせ)

 

 戦闘ダメージをわざわざ増やしたのはこれが目的か。

 ダメージを0にすると同時に6枚もの墓地肥やしをさせてしまった。しかもそれほど悪いわけではない落ちだ。

 

「さらに《アルケミー・サイクル》の効果で元々の攻撃力が0になっているモンスターが戦闘によって破壊されて墓地へ送られたことで私は1枚ドローするわ」

 

 しかもドローもか。

 さてどうする。まだ攻撃は出来るが《転生炎獣フォクシー》もその効果を受けていて破壊すればドローされる羽目になる。だが、少しでも残しておくのも厄介そうだ。

 

「《エンコード・トーカー》で《転生炎獣フォクシー》を攻撃。戦闘ダメージは無いが…」

 

「《アルケミー・サイクル》の効果で1枚ドロー」

 

「…俺はこれでターンエンドだ」

 

 

 

ターン2→3

霊夢 LP4000

手札 3

墓地 12

フィールド 0

 

× □ □ □ ×

 

× □ □ □ ×

      ↑

  □   ト→  

      ⇅

× □ □ エ ×

      ↓↘

× □ 補 サ ×

 

紫遊 LP4000

手札 0

墓地 5

フィールド 

《トランスコード・トーカー》

《エンコード・トーカー》

永続 《サイバネット・リカバー》

永続 《補給部隊》

 

 

 

「私のターン、ドロー。

墓地から《転生炎獣モル》を除外してその効果を発動。自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分の墓地の「サラマングレイト」カード5枚をデッキに加えてシャッフルする。

私は《転生炎獣ミラージュスタリオ》、《転生炎獣ガゼル》、《転生炎獣フォクシー》、《転生炎獣の烈爪》、《転生炎獣の降臨》の5枚を戻してその後、デッキから2枚ドローするわ」

 

 折角肥やした墓地は減ったが、それを使うことで手札を6枚まで増やしてきた。ライフを減らせていないから振り出しに戻ったようなものだ。いや、振り出しよりも厄介かもしれない。

 

「さてと…そろそろしますか。

私は手札から儀式魔法、《転生炎獣の降臨》を発動。レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリースし、手札から「サラマングレイト」儀式モンスター1体を儀式召喚する。

手札の《転生炎獣ウルヴィー》と《転生炎獣ファルコ》をリリース!レベルの合計は8。これにより儀式は成立する。儀式召喚!」

 

 

―――降臨せよ、炎を纏いし翠玉の翼!《転生炎獣(サラマングレイト)エメラルド・イーグル》!―――

 

 

《転生炎獣エメラルド・イーグル》

☆8 / 炎属性 / サイバース族 / 攻2800

 

 

 儀式召喚か。攻撃力2800…これが霊夢の切り札なのか?

 

「さらに墓地から自身の効果で《転生炎獣スピニー》を特殊召喚」

 

 

《転生炎獣スピニー》

☆3 / 炎属性 / サイバース族 / 攻1000

 

 

 再び墓地から蘇るモンスター。今度は何をするつもりだ?

 

「…そのモンスター、借りるわ。

手札から魔法カード、《フュージョン・オブ・ファイア》を発動!

自分の手札及び自分・相手フィールドから「サラマングレイト」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

私の場の《転生炎獣スピニー》とアンタの場の《トランスコード・トーカー》、"サラマングレイト"モンスターとリンクモンスターを融合!」

 

 なにっ!?こちらのフィールドをも干渉して融合召喚だと!? …待てよ、この素材指定はまさか!?

 

 《転生炎獣スピニー》と《トランスコード・トーカー》が異なる二色の炎となってぶつかり混ざり合って、紫炎となって弾ける。そしてその炎の中から禍々しい獣が目覚める。

 

 

―――現れよ!一つの狂おしき魂のもと凶悪なる獣たちの武器を集めし肉体を誇る魔獣よ!《転生炎獣(サラマングレイト)ヴァイオレットキマイラ》!―――

 

 

《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》

☆8 / 炎属性 / サイバース族 / 攻2800

 

 

「《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》の効果。ターン終了時までこのカードの攻撃力は素材としたモンスターの元々の攻撃力を合計した数値の半分だけアップする!」

 

 融合素材となった二体のモンスターの元々の攻撃力の合計は3300。その半分である1650が攻撃力にプラスされ、その攻撃力は4000を超える。

 さらに《トランスコード・トーカー》が素材に使われてフィールドからいなくなったことで《エンコード・トーカー》の強化も消える。

 

 

《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》

☆8 / 炎属性 / サイバース族 / 攻2800 → 4450

 

《エンコード・トーカー》

リンク3 / 光属性 / サイバース族 / 攻2300

【リンクマーカー:上/下/右下】

 

 

× □ □ □ ×

 

× エ □ □ ×

      

  ヴ   □  

      ↑

× □ □ エ ×

      ↓↘

× □ 補 サ ×

 

 

 だが、攻撃力が戻ったことは好都合かもしれない。

 《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》は自己強化の他に、元々の攻撃力と異なる攻撃力を持つモンスターと戦闘を行う時に攻撃力を倍加させる効果を持っている。そうなれば戦闘ダメージでライフを丸ごと持っていかれてしまう恐れがある。だがまだ気を抜けない。

 先程の墓地肥やしの際に装備モンスターの攻撃力を変化させる《魔界の足枷》が確認できたことから、攻撃力を変動させるカードが何枚か入っているのは間違いない。残りの手札次第ではライフを削り切られる―――

 

「私はカードを一枚伏せて、バトルフェイズに移るわ」

 

 攻撃力を変動するものではなかったか。だが危険であることには変わらない。

 

「《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》で《エンコード・トーカー》に攻撃するわ!"ヴァイオレットソウル"!」

 

紫遊 LP4000 → 1850

 

「ぐっ…。

この瞬間に二枚の永続魔法、《サイバネット・リカバー》と《補給部隊》を発動。

まずは《サイバネット・リカバー》の効果、自分フィールドのリンクモンスターが戦闘または相手の効果で破壊された場合、リンクモンスター以外の自分の墓地のモンスター1体を守備表示で特殊召喚する。《サイバース・コンバーター》を蘇生。

続いて《補給部隊》の効果、1ターンに1度、自分フィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された場合にデッキから1枚ドローする。」

 

 

《サイバース・コンバーター》

☆2 / 光属性 / サイバース族 / 守1000

 

 

「それなら《転生炎獣エメラルド・イーグル》で《サイバース・コンバーター》を攻撃。

これでターンを終了するわ。」

 

 

《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》

☆8 / 炎属性 / サイバース族 / 攻4450 → 2800

 

 

 

ターン3→4

霊夢 LP4000

手札 0

墓地 9

除外 1

フィールド

《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》

《転生炎獣エメラルド・イーグル》

魔法・罠伏せ 1

 

× □ ■ □ ×

 

× エ □ □ ×

      

  ヴ   □  

      

× □ □ □ ×

      

× □ 補 サ ×

 

紫遊 LP1850

手札 1

墓地 7

フィールド 

永続 《サイバネット・リカバー》

永続 《補給部隊》

 

 

 何とか耐えきりはしたが、かなり厳しい状況だ。霊夢の場にはエース級が二体。それに対してこちらは何もいない。しかも相手の墓地にはアレがあるためにこのターンで決めるとするなら出来れば一、二撃で削り切る必要がある。…そもそも越えられないのだが。

 

「ドロー」

 

 悪くはない引きだが…

 

「俺は《レディ・デバッガー》を召喚」

 

 

《レディ・デバッガー》

☆4 / 光属性 / サイバース族 / 攻1700

 

 

 《レディ・デバッガー》は召喚・特殊召喚に成功した場合にデッキからレベル3以下のサイバース族モンスター1体を手札に加える効果を持っている。

 

「《レディ・デバッガー》の効果でデッキから《バックアップ・セクレタリー》を手札に加え、自身の効果で特殊召喚!」

 

 

《バックアップ・セクレタリー》

☆3 / 光属性 / サイバース族 / 守 800

 

 

 二体のモンスターが並んだが、このままだと次のターンにモンスターを引かれれば負ける。だからと言ってリンク召喚をしても変わらない。ここは守りに入るしかない。

 

「俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ。」

 

 

 

ターン4→5

霊夢 LP4000

手札 0

墓地 9

除外 1

フィールド

《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》

《転生炎獣エメラルド・イーグル》

魔法・罠伏せ 1

 

× □ ■ □ ×

 

× エ □ □ ×

      

  ヴ   □  

      

× レ バ □ ×

      

× ■ 補 サ ×

 

紫遊 LP1850

手札 0

墓地 7

フィールド

《レディ・デバッガー》

《バックアップ・セクレタリー》

永続 《サイバネット・リカバー》

永続 《補給部隊》

魔法・罠伏せ 1

 

 

「私のターン、ドロー。

これで終わりよ。装備魔法、《災いの装備品》を《レディ・デバッガー》に装備。これにより《レディ・デバッガー》の攻撃力は私のフィールド上に存在するモンスターの数×600ポイントダウンするわ。こちらのモンスターは2体。よって1200ポイントダウンよ」

 

 

《レディ・デバッガー》

☆4 / 光属性 / サイバース族 / 攻1700 → 500(《災いの装備品》装備)

 

 

 ここで引いてきたか。これで倍加効果が適用される。

 だが、モンスターの数が変わらないのならまだ可能性はある

 

「バトル。《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》で《レディ・デバッガー》を攻撃!これで仕舞いよ」

 

「まだ終わらない!速攻魔法、《サイバネット・バックドア》!

《レディ・デバッガー》を次の自分スタンバイフェイズまで除外する。そして《レディ・デバッガー》より低い攻撃力を持つ《ロックアウト・ガードナー》を手札に!」

 

 対象が居なくなって場が変動したことにより、《災いの装備品》は外れて墓地へと送られ、《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》の攻撃は巻き戻しとなった。巻き戻されたモンスターは攻撃目標を新たに選び直さず攻撃を取りやめればこのターンの攻撃権利を失う。これで攻撃しようが止めようがあの火力をもろに受けることは無くなったわけだ。

 

「それなら《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》で《バックアップ・セクレタリー》を攻撃。」

 

「ダメージは無いが破壊されたことで《補給部隊》により1ドロー」

 

「でもどちらにしろこれを防げなければ終わるわ。《転生炎獣エメラルド・イーグル》でプレイヤーに直接攻撃!」

 

 確かに霊夢の言う通り、この攻撃を受ければ俺は負ける。

 だからこそ、このカードを加えたんだ!

 

「まだ足掻かせて貰うぞ。この直接攻撃宣言時に手札の《ロックアウト・ガードナー》の効果を発動!このカードを手札から攻撃表示で特殊召喚する!」

 

 

《ロックアウト・ガードナー》

☆3 / 地属性 / サイバース族 / 攻1000

 

 

 壁のように現れたモンスターが相手の攻撃を受け止める。

 

「ぐっ!」

 

紫遊 LP1850 → 50

 

「自身の効果で特殊召喚された《ロックアウト・ガードナー》は、このターン戦闘では破壊されない」

 

「しぶといわね」

 

「自分で言うのも何だけど、俺もそう思う」

 

 これで全ての攻撃を終わり、霊夢はターンを終えてこちらにターンが回ってくる。よく耐えたものだ。

 

 

 

ターン5→6

霊夢 LP4000

手札 0

墓地 10

除外 1

フィールド

《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》

《転生炎獣エメラルド・イーグル》

魔法・罠伏せ 1

 

× □ ■ □ ×

 

× エ □ □ ×

      

  ヴ   □  

      

× □ □ □ ×

      

× □ 補 サ ×

 

紫遊 LP50

手札 1

墓地 9

除外 1

フィールド

《ロックアウト・ガードナー》

永続 《サイバネット・リカバー》

永続 《補給部隊》

 

 

 

「俺のターン、ドロー。

そしてこのスタンバイフェイズに《レディ・デバッガー》が帰還する」

 

 さて、問題はここからだ。

 一番厄介な《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》を倒そうにも、下手にこちらの攻撃力を上げれば向こうは倍加して反撃してくる。あれは攻撃された時にも発動するから面倒だ。

 仮にそれを避けて《転生炎獣エメラルド・イーグル》を破壊しても返しでやられるだろう。

 ここからは少しでもダメージを受ければ負ける状態だ。こうなったらいつもの賭けだ。

 

「まずは魔法カード、《取捨蘇生》を発動。

このカードは自分の墓地のモンスター3体を対象とし、相手はその中から1体を選び、そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚して残りのモンスターを全て除外する。俺が選ぶのはこれだ!」

 

 

〈選択〉

・《トランスコード・トーカー》

・《アンダークロックテイカー》

・《サイバース・ガジェット》

 

 

「(蘇生か弱体化かトークン生成かってところね。どれを選んでも何かしら企んでるのは見え見えね)」

 

「…私は《サイバース・ガジェット》を選択するわ」

 

 

《サイバース・ガジェット》

☆4 / 光属性 / サイバース族 / 攻1400

 

 

 選ばれた《サイバース・ガジェット》がフィールドに現れ、残りのカードが除外される。正直この選択が一番予想できた。だがこれでフィールドのモンスターが三体になった。これなら何が出ても出せるはずだ。

 

「スキル【サイバネット・クリエイション】発動!」

 

 この状況を覆せるかはこの結果次第だ。

 手の中に光が集う。時折炎のように揺らぐデータが形となって、新たなカードとして実体化を果たす。

 

「現れろ!幻想を創造に変えるサーキット!」

 

 新たに呼び出されるゲート。

 

「アローヘッド確認。 召喚条件はモンスター3体!

俺は《ロックアウト・ガードナー》、《レディ・デバッガー》、《サイバース・ガジェット》の三体をリンクマーカーにセット。 サーキットコンバイン!リンク召喚!」

 

 

―――リンク3、《パワーコード・トーカー》!―――

 

 

《パワーコード・トーカー》

リンク3 / 炎属性 / サイバース族 / 攻2300

【リンクマーカー:左/右/左下】

 

 

 呼び出されたのは紅き鎧を纏った新たなコード・トーカー。

 そしてこのリンク召喚によって《サイバース・ガジェット》の効果でトークンが出現する。

 

 

《ガジェット・トークン》

☆2 / 光属性 / サイバース族 / 守 0

 

 

× □ ■ □ ×

 

× エ □ □ ×

      

  ヴ  ←パ→  

     ↙ 

× □ ガ □ ×

      

× □ 補 サ ×

 

 

 

「《パワーコード・トーカー》の効果発動!1ターンに1度、フィールドの表側表示モンスター1体の効果をターン終了時まで無効にする。"ワイヤー・リストラクション"!」

 

 対象は勿論、《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》。これでこちらの攻撃力が上がっていても倍加することはない。

 

「だけど無効になったところで攻撃力はそっちが下よ」

 

「それはどうかな?

俺はカードを一枚伏せて、バトルフェイズに移る。

行くぞ、《パワーコード・トーカー》で《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》を攻撃!」

 

 《パワーコード・トーカー》はダメージ計算時にリンク先のモンスターをリリースすることで攻撃力をそのダメージ計算時のみ、元々の攻撃力の倍にする効果を持っている。これでどうだ!

 

「…甘いわ。罠カード《サラマングレイト・レイジ》を発動!このカードの2つの効果の内、私は1つ目の効果を使い、《転生炎獣エメラルド・イーグル》を墓地に送ってフィールドのカード1枚を破壊する。《パワーコード・トーカー》を破壊!」

 

「なに!?」

 

 折角召喚したリンクモンスターが《転生炎獣エメラルド・イーグル》共々破壊される。だが只では終わらない。破壊されたことで二枚の永続魔法が起動し、墓地からまた《サイバース・コンバーター》を蘇生して、俺は1枚ドローする。

 

「俺はこれでターンエンド」

 

 

 

ターン6→7

霊夢 LP4000

手札 0

墓地 12

除外 1

フィールド  

《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》

 

× □ □ □ ×

 

× □ □ □ ×

      

  ヴ   □  

      

× □ ガ サ ×

      

× ■ 補 サ ×

 

紫遊 LP50

手札 1

墓地 11

除外 2

フィールド

《ガジェット・トークン》

《サイバース・コンバーター》

永続 《サイバネット・リカバー》

永続 《補給部隊》

魔法・罠伏せ 1

 

 

 

「ドロー。

速攻魔法、《転生炎獣の炎陣(サラマングレイト・サークル)》を発動。これも2つの内1つ目の効果を選択し、デッキから「サラマングレイト」モンスター1体を手札に加える。

私は《転生炎獣Jジャガー》を手札に加え、そのまま召喚」

 

 

《転生炎獣(ジャック)ジャガー》

☆4 / 炎属性 / サイバース族 / 攻1800

 

 

「バトルよ。《転生炎獣Jジャガー》で《ガジェット・トークン》を攻撃。

《転生炎獣Jジャガー》は守備表示モンスターを攻撃した場合に守備力を攻撃力が超えた分だけ貫通ダメージを与える効果を持っているわ。これで終わりよ」

 

 確かにこれが通れば終わる。今俺が伏せているカードは単なるブラフ。攻撃を止める様なものではない。…ここまでか…

 

紫遊 LP50 → 0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あれ? そういえばスキルは?」

 

 

 

 

 




という訳で「不靈夢→霊夢」的なダジャレをしたいが為の転生炎獣です。
カードプールは執筆時に判明している分までになります。
ですので書いた数時間後に判明した《転生炎獣Bバイソン》は知らん。

やってみたら楽しかったです。はい。
ちなみに霊夢はまだリンクを持っていません。

結構好きな部類のカテゴリなんですが、純【転生炎獣】の明確な勝ち筋ってまだ《ヴァイオレットキマイラ》ぐらいなんですね。《ヒートライオ》は切り込み役みたいな感じですし、《エメラルド・イーグル》はコストが重めですし。




さてさて本編のことですが、転生炎獣であっさりと初エクシーズ出してしまいましたね。本当は融合、シンクロ、エクシーズ、ペンデュラムと順番に出したかったんですが。ストラクの情報が次々に公開されるんだからしょうがないじゃないか。

そうなると誰にシンクロを使わせようか…



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11話 夜炎を呑む

最近思ったけど、内容の割合的に原作設定は東方より遊戯王の方がいいんじゃなかろうか?


 デュエルを終えてから行われた、スキルプログラム完成を主に祝した軽い宴会も終わりを告げ、皆が帰った後の博麗神社の縁側で霊夢が一人、月を眺めていた。

 

 スピードデュエルというものを始めてしたけど、ボードに乗っている分、普段飛んでいる感覚とは違って疲労を感じる。それに本来のスタンダードデュエルよりも弾幕ごっこに近い感じがして妙な感情を……

 

「気のせいね」

 

 霊夢は立ち上がり、そろそろ寝ようかと思った。

 

「霊夢にしては随分と楽しんでいたわね」

 

 霊夢しか残っていないはずの博麗神社にそんな声が響いた。霊夢はその声に驚くことは無く、声の主を知っているように言葉を返す。

 

「相変わらず、突然来るわね(ゆかり)

 

 霊夢の背後に現れた紫と呼ばれる者の名は八雲(やくも)(ゆかり)。霊夢に【転生炎獣(サラマングレイト)】のカードを与えた張本人である。といっても与えたと言うより霊夢の下に置いていったと言う方が正確か。

 彼女はこのように度々霊夢の下に顔を出してきては、話すだけ話して何処かへ行くのがいつものことである。

 

「で、何か用?」

 

「さっきのアレ、見せて貰ったけど私の持ってきたカードを使ってるみたいね」

 

「そこにあったからね」

 

 そこにあった、と他人事のように言うが実際は使わせるつもりなのだろうと理解しながら使っているという面があるし、紫もそれを分かっているから言葉を続けない。

 

「じゃあ、今日も置いていくことにするわ」

 

 そう言って紫の傍に置かれたのは数枚のカード。それらはまた転生炎獣に関係するカードであると同時に、その内の何枚かは儀式の青よりも濃い紺色のカードだった。

 

「リンクモンスター……」

 

 霊夢がそれを拾い上げてまじまじと見ていると、紫はそれを気にせずにふと口を開く。

 

「幻想郷の流れが少しだけど変化しつつある…。良い事だわ…」

 

「?」

 

「私でも予想していなかった例外が齎したのか、それともあの風を呼んだのが良かったのか…」

 

「やっぱりあの紫流風の出現にアンタが絡んでたのね」

 

 紫の独り言の中に気になる名があった為に入っていく霊夢だったが、やはりそれ以上のことは言わなかった。言ったことといえば「行き場のなかったものに道を示しただけ」という言葉。それだけでも結構語ってる気がするのだが、要は出現のきっかけだけ関わったと。

 

「主犯じゃない」

 

「主犯も何もあれが害意を与えたことはないでしょう? 現に霊夢がこうして暢気に居るのだから」

 

「今のところはね」

 

 紫流風もといデータストームが幻想郷に何かしらの悪影響を齎していたならば、こんな長い期間出現している訳がないだろう。それが分かっているからこそのことだろう。

 

 訪れる静寂。そんな中で紫は何かを取り出す。

 

「霊夢、折角だから決闘をしましょうか」

 

「なんでそうなるのよ。まぁいいわ」

 

 そう言って腕に決闘盤を装着し、しれっと先程のカードを加えたデッキをセットする。

 

「霊夢にしては随分と素直ね?」

 

「何よその言い方。止めるわよ」

 

「冗談よ」

 

 他愛ないことを言っているが、デッキ調整に付き合うつもりでの提案なのだろう。調整と言うほど調整をしたわけでなく組み込んだだけだが、丁度いいので受ける。

 そして博麗神社の境内で二人は距離を置いて見合う。決闘が幻想郷に広まってからそれほどが経つが、紫とは数えるほどしかしたことが無い。それも決闘の度にデッキ自体が変わっている。今回は何が出るか…。

 

「準備はいいかしら?」

 

「ええ」

 

「それじゃあ……「決闘(デュエル)!!」」

 

 

 

霊夢    VS     紫

LP4000       LP4000

 

 

 

「先行はこちらが貰うわ。

私はモンスターを裏守備表示でセット。そしてカードを一枚伏せてターン終了よ」

 

 

 

ターン1→2

紫 LP4000

手札 3

墓地 0

フィールド

裏守備モンスター

魔法・罠伏せ 1

 

□ □ ■ □ □

 

□ ■ □ □ □

 

  □   □  

 

□ □ □ □ □

 

□ □ □ □ □

 

霊夢 LP4000

手札 5

墓地 0

フィールド 0

 

 

「私のターン、ドロー」

 

 自分から先行を取った割には随分と静かね。ほんと何考えてるのか。

 

「手札の《転生炎獣ミーア》の効果を発動。手札から《転生炎獣ファルコ》を捨てて自身を特殊召喚。

次に墓地の《転生炎獣ファルコ》の効果。自分フィールドの「サラマングレイト」モンスター1体を持ち主の手札に戻し、このカードを墓地から特殊召喚する。

そして手札に戻った《転生炎獣ミーア》のもう一つの効果。通常のドロー以外の方法で手札に加わった場合にこのカードを相手に見せることで、もう一度手札から特殊召喚よ」

 

 

《転生炎獣ファルコ》

☆4 / 炎属性 / サイバース族 / 攻1200

 

《転生炎獣ミーア》

☆2 / 炎属性 / サイバース族 / 攻 800

 

 

「続いて、《転生炎獣ラクーン》を通常召喚」

 

 

《転生炎獣ラクーン》

☆1 / 炎属性 / サイバース族 / 攻 400

 

 

「実質無駄な消費無しでモンスターが三体……回ってるようね」

 

「早速だけどやらせて貰うわ。

現れなさい、楽園を導くサーキット!」

 

 霊夢の呼びかけにより上空に出現するゲート。

 さっき自分で渡したカードを今見せてあげるわ。

 

「アローヘッドを確認。 召喚条件は通常召喚された攻撃力1000以下のモンスター1体。私は《転生炎獣ラクーン》をリンクマーカーにセット。 サーキットコンバイン!リンク召喚!《転生炎獣アルミラージ》!」

 

 

《転生炎獣アルミラージ》

リンク1 / 炎属性 / サイバース族 / 攻 0

【リンクマーカー:右下】

 

 

「続けて現れなさい、サーキット!」

 

 連続で開かれるゲート。次なる条件はレベル4以下のサイバース族モンスター1体。

 

「私は《転生炎獣ミーア》をリンクマーカーにセット。 サーキットコンバイン!リンク召喚!《転生炎獣ベイルリンクス》!」

 

 

《転生炎獣ベイルリンクス》

リンク1 / 炎属性 / サイバース族 / 攻 500

【リンクマーカー:下】

 

 

「《転生炎獣ベイルリンクス》の効果発動。リンク召喚に成功した場合にデッキから「転生炎獣の聖域(サラマングレイト・サンクチュアリ)」1枚を手札に加え、そして発動するわ。

これで三回目よ!現れなさい!」

 

 三回目となるリンク召喚。炎属性の効果モンスター2体以上。

 素材にするのは《転生炎獣ファルコ》、《転生炎獣アルミラージ》、《転生炎獣ベイルリンクス》の三体。

 

「リンク召喚! リンク3、《転生炎獣ヒートライオ》!」

 

 

《転生炎獣ヒートライオ》

リンク3 / 炎属性 / サイバース族 / 攻2300

【リンクマーカー:上/左下/右下】

 

 

 三回連続リンク召喚。これが紫が持ってきたリンクモンスターたち。新たな戦い方。

 

「《転生炎獣ヒートライオ》の効果発動!リンク召喚に成功した場合、相手の魔法&罠ゾーンのカード1枚を持ち主のデッキに戻す。その伏せカードには消えてもらうわ!」

 

 《転生炎獣ヒートライオ》の放った咆哮がセットカードを消し飛ばす。だが伏せが消えようと紫には謎の余裕が感じられた。

 まぁこれくらいじゃ焦るような奴じゃないわよね。これを渡したのは紫なんだからこういうことは予想済みだろうし。

 

「バトルよ。《転生炎獣ヒートライオ》でそのセットモンスターを攻撃するわ」

 

 《転生炎獣ヒートライオ》の攻撃がセットモンスターに迫った時、その

セットモンスターが姿を現した。それは奇妙な形をしていて、《転生炎獣ヒートライオ》の攻撃を受け止める。

 

 

方界胤(ほうかいいん)ヴィジャム》

☆1 / 闇属性 / 悪魔族 / 守 0

 

 

「残念だけど《方界胤ヴィジャム》は戦闘では破壊されないわ」

 

「ちっ」

 

「さらに、このダメージステップ終了時に効果が発動し、《方界胤ヴィジャム》は別の次元へと移動して相手に方界カウンターを残す。」

 

 

《転生炎獣ヒートライオ》

リンク3 / 炎属性 / サイバース族 / 攻2300

【リンクマーカー:上/左下/右下】

方界カウンター(1)

 

 

「そして方界カウンターを乗せられたモンスターはアンディメンション化するわ。そのモンスターを見てみなさい」

 

「…!?」

 

 《転生炎獣ヒートライオ》を見てみると、その身体には色を失い、石のように硬直して動かなくなっていた。生物を感じられずまるで石のようになっており、力を失ったってことか。

 

「それはもう攻撃できず、効果も無効化され、ただの置き物とかした。

さぁ、どうするのかしら?霊夢」

 

「メインフェイズ2に移るわ

カードを二枚伏せてターンエンドよ」

 

「そう。そうするしかないわよね」

 

 

 

ターン2→3

紫 LP4000

手札 3

墓地 0

フィールド

《方界胤ヴィジャム》(永続魔法カード扱い)

 

  □ 胤 □ □ □

  

  □ □ □ □ □

    ↑

    ヒ   □  

   ↙ ↘

聖 □ □ □ □ □

  

  □ ■ ■ □ □

 

霊夢 LP4000

手札 1

墓地 5

フィールド 

《転生炎獣ヒートライオ》方界カウンター(1)

※方界カウンターが置かれたモンスターは攻撃できず、効果は無効化される。

フィールド魔法 《転生炎獣の聖域》

魔法・罠伏せ 2

 

 

 

「それじゃあ、私のターン」

 

 紫は静かにカードを引く。

 

「さてと、《方界胤ヴィジャム》の効果を発動するわ。自身の効果で別次元へと移動している場合、元の次元へと戻ってくる」

 

 

方界胤(ほうかいいん)ヴィジャム》

☆1 / 闇属性 / 悪魔族 / 守 0

 

 

「そしてこの瞬間、手札から速攻魔法、《地獄(じごく)暴走召喚(ぼうそうしょうかん)》を発動。

相手フィールドに表側表示モンスターが存在し、自分フィールドに攻撃力1500以下のモンスター1体のみが特殊召喚された時、特殊召喚したモンスターの同名モンスターを自分の手札・デッキ・墓地から可能な限り攻撃表示で特殊召喚する。

さぁ…現れなさい」

 

 

《方界胤ヴィジャム》

☆1 / 闇属性 / 悪魔族 / 守 0

 

《方界胤ヴィジャム》

☆1 / 闇属性 / 悪魔族 / 守 0

 

 

 デッキよりさらに呼び出される不気味なモンスター。

 《地獄の暴走召喚》にはデメリットとして、相手は攻撃力の制限なしに自身のフィールドの表側表示モンスター1体の、同名モンスターを自身の手札・デッキ・墓地から可能な限り特殊召喚するという効果があるのだが、霊夢の今のフィールドにはデッキではなくEXデッキから呼び出された《転生炎獣ヒートライオ》しか存在しない。勿論デッキに同名カードが入っている訳も無い為、結果的に自分だけが展開に成功していることになる。

 

「そして三体となった《方界胤ヴィジャム》を墓地へ――」

 

―――紡ぎし光よ、漆黒の闇よ。今、新たなる未来の扉を開け!出でよ、《方界超帝(ほうかいちょうてい)インディオラ・デス・ボルト》―――

 

 

《方界超帝インディオラ・デス・ボルト》

☆4 / 光属性 / 天使族 / 攻 0

 

 

 三体の《方界胤ヴィジャム》を取り込む形で呼び出されたのは天使とは思えない異形のモンスター。

 

「《方界超帝インディオラ・デス・ボルト》は自分フィールドの「方界」モンスター3体を墓地へ送った場合にのみ特殊召喚でき、この方法で特殊召喚したこのカードの攻撃力は2400アップする。

さらに言うと、このカードは手札からの特殊召喚に成功した場合、相手に800のダメージを与える効果も持っているわ」

 

 

《方界超帝インディオラ・デス・ボルト》

☆4 / 光属性 / 天使族 / 攻 0 → 2400

 

 

霊夢 LP4000 → 3200

 

「バトルフェイズに移るわ。

《方界超帝インディオラ・デス・ボルト》でその置物に攻撃よ」

 

「置き物とは言ってくれるわね…。けどその攻撃利用させてもらうわ!

ダメージ計算時に二枚の効果を発動する!罠発動!《パワー・ウォール》!そしてフィールド魔法、《転生炎獣の聖域》の効果!

まずはフィールド魔法、《転生炎獣の聖域》の効果!自分のモンスターが戦闘を行うダメージ計算時に1000LPを払い、自分フィールドのリンクモンスター1体の攻撃力を0にしてその元々の攻撃力分だけ自分のLPを回復するわ」

 

霊夢 LP3200 → 2200

 

《転生炎獣ヒートライオ》

リンク3 / 炎属性 / サイバース族 / 攻2300 → 0

【リンクマーカー:上/左下/右下】

方界カウンター(1)

 

霊夢 LP2200 → 4500

 

「これで私への戦闘ダメージは2400になる。

《パワー・ウォール》の効果、戦闘で発生する自分への戦闘ダメージが0になるように500ダメージにつき1枚、自分のデッキの上からカードを墓地へ送る。5枚のカードを墓地へ!」

 

霊夢の墓地へ

《転生炎獣フォクシー》、《転生炎獣Bバイソン》、《転生炎獣エメラルド・イーグル》、《サラマングレイト・ロアー》、《転生炎獣の降臨》

 

 落ちは微妙ね。

 《転生炎獣ヒートライオ》は破壊されるが戦闘ダメージは墓地肥やしへと変換。これでこのターンは凌いだ。

 

「ふふっ。これでターンを終わりにするわ」

 

 

 

ターン3→4

紫 LP4000

手札 2

墓地 4

フィールド

《方界超帝インディオラ・デス・ボルト》

 

  □ □ □ □ □

  

  □ □ イ □ □

    

    □   □  

   

聖 □ □ □ □ □

  

  □ ■ □ □ □

 

霊夢 LP4500

手札 1

墓地 12

フィールド 

フィールド魔法 《転生炎獣の聖域》

魔法・罠伏せ 1

 

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

…癪だけどここは耐えるしかないわね。

 

「私はこれでターンエンドよ」

 

 

 

ターン4→5

紫 LP4000

手札 2

墓地 4

フィールド

《方界超帝インディオラ・デス・ボルト》

 

  □ □ □ □ □

  

  □ □ イ □ □

    

    □   □  

   

聖 □ □ □ □ □

  

  □ ■ □ □ □

 

霊夢 LP4500

手札 2

墓地 12

フィールド 

フィールド魔法 《転生炎獣の聖域》

魔法・罠伏せ 1

 

 

「霊夢にしては何もしないなんてね。ドロー」

 

 しょうがないでしょ。手札が手札なんだから。

 

「《流星方界器(りゅうせいほうかいき)デューザ》を召喚。このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキから「方界」カード1枚を墓地へ送る。

方界(ほうかい)(カルマ)》を墓地へ。」

 

 

《流星方界器デューザ》

☆4 / 光属性 / 機械族 / 攻1600

 

 

「バトルフェイズ」

 

「この瞬間、伏せていた永続罠、《(ひかり)護封壁(ごふうへき)》を発動するわ!」

 

 《(ひかり)護封壁(ごふうへき)》は1000の倍数のライフポイントを払って発動し、このカードがフィールド上に存在する間、払った数値以下の攻撃力を持つ相手モンスターは攻撃をする事ができない効果を持っている。これである程度抑える。

 

「私が支払うのは……3000よ!」

 

霊夢 LP4500 → 1500

 

 これで攻撃力3000以下である《方界超帝インディオラ・デス・ボルト》と《流星方界器デューザ》は攻撃できない。ここはバトルフェイズを終わらせるしかないはず。

 

「随分と思い切ったことをするのね」

 

「思い切ったも何も、ライフぐらい増やそうと思えば増やせるからよ。

さぁどうするのよ」

 

「そうね。ここはターンを終了するわ」

 

 

 

ターン5→6

紫 LP4000

手札 2

墓地 5

フィールド

《方界超帝インディオラ・デス・ボルト》

《流星方界器デューザ》

 

  □ □ □ □ □

  

  □ □ イ デ □

    

    □   □  

   

聖 □ □ □ □ □

  

  □ 光 □ □ □

 

霊夢 LP1500

手札 2

墓地 12

フィールド 

フィールド魔法 《転生炎獣の聖域》

永続罠 《光の護封壁》(3000以下の攻撃力を持つ相手モンスターは攻撃をする事ができない)

 

 

 

「でも、それが命取りになるかもしれないわよ……」

 

「? わけの分からないことを――ドロー!」

 

 これなら少しは動けるわね。

 

「永続魔法、《転生炎獣の意志(サラマングレイト・ハート)》を発動して一つ目の効果を使うわ。自分の手札・墓地から「サラマングレイト」モンスター1体を選んで特殊召喚する。蘇生するのは―――《転生炎獣ミーア》よ」

 

 

《転生炎獣ミーア》

☆2 / 炎属性 / サイバース族 / 攻 800

 

 

「《ミーア》?《ヒートライオ》ではなく……」

 

「墓地の《転生炎獣ファルコ》の効果、《転生炎獣ミーア》手札に戻して自身を蘇生。そして手札に加わった《転生炎獣ミーア》も自身の効果で再び特殊召喚」

 

 

《転生炎獣ファルコ》

☆4 / 炎属性 / サイバース族 / 守1000

 

《転生炎獣ミーア》

☆2 / 炎属性 / サイバース族 /守 600

 

 

「カードを一枚伏せてターンエンド」

 

 

 

ターン6→7

紫 LP4000

手札 2

墓地 5

フィールド

《方界超帝インディオラ・デス・ボルト》

《流星方界器デューザ》

 

  □ □ □ □ □

  

  □ □ イ デ □

    

    □   □  

   

聖 □ フ ミ □ □

  

  □ 光 意 ■ □

 

霊夢 LP1500

手札 1

墓地 10

フィールド 

《転生炎獣ファルコ》

《転生炎獣ミーア》

フィールド魔法 《転生炎獣の聖域》

永続魔法 《転生炎獣の意志》

永続罠 《光の護封壁》(3000以下の攻撃力を持つ相手モンスターは攻撃をする事ができない)

魔法・罠伏せ 1

 

 

 

「守りを固める…か…。

私のターンね。ドロー。」

 

 私にはあってないようなものだけど、紫は呟いたが霊夢には聞こえなかった。そして静かに手を進める。終わらせるための一手を。

 

「私の墓地から永続魔法、《方界業》を除外して効果を発動。デッキから《暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ》を手札に。そして……」

 

《方界帝ゲイラ・ガイル》

《方界合神》

《方界獣ダーク・ガネックス》

 

 紫はおもむろに自分の手札の中から三枚を選んで霊夢に見せるように公開した。まるでそれが必要な条件かのように――

 

 

―――境界を越え、光さえ飲み込む大いなる闇よ。その姿を顕現なさい。《暗黒方界神(あんこくほうかいしん)クリムゾン・ノヴァ》―――

 

 

《暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ》

☆10 / 闇属性 / 悪魔族 / 攻3000

 

 

 出現したのは明らかにこれまでとは纏っているものが異なる歪な存在。

 

「何よ…それ……」

 

「狂気が生み出した悪の化身。使う者によっては全てを滅ぼしかねないものよ」

 

「アンタなんてものを出してるのよ!」

 

「…《流星方界器デューザ》と《方界超帝インディオラ・デス・ボルト》を守備表示に変更して、これでターンを終了するわ」

 

 紫は霊夢の言葉をスルーしてターンの終了を宣言した。

 そして、その宣言と共に邪神がその力を解放する。

 

「このエンドフェイズに《暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ》は闇を放つ。お互いのプレイヤーは3000のダメージを受けるわ。私は残るけど霊夢はこれで終わるわね」

 

 紫の言う通りだ。あんなふざけたダメージを受ければ誰だって厳しいし、残り半分も無い霊夢に至っては厳しいどころではない。

 だけど…こんな幕切れは願い下げよ!

 

「甘く見ないで!

カウンター罠!《リンク・リスタート》を発動!自分にダメージを与える効果が発動した時、その発動を無効にし、自分の墓地からリンクモンスター1体を選んで特殊召喚する!これで効果ダメージは帳消し!そして甦れ―――《転生炎獣ヒートライオ》!」

 

 

《転生炎獣ヒートライオ》

リンク3 / 炎属性 / サイバース族 / 攻2300

【リンクマーカー:上/左下/右下】

 

 

「……!」

 

 発動自体を無効にしたから紫へのダメージもなくなったが、これでまだ可能性はある。

 リンクモンスターを渡されるまで完全に腐ってたカードだけど、抜かなくてよかったわ。お蔭でまだターンが回ってくる。……単に総枚数的に入れてただけなんだけど。

 

 

 

ターン7→8

紫 LP4000

手札 3

墓地 4

除外 1

フィールド

《方界超帝インディオラ・デス・ボルト》

《流星方界器デューザ》

《暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ》

 

  □ □ □ □ □

  

  □ 暗 イ デ □

    

    □   □  

        ↑

聖 □ フ ミ ヒ □

       ↙ ↘

  □ 光 意 □ □

 

霊夢 LP1500

手札 1

墓地 10

フィールド 

《転生炎獣ファルコ》

《転生炎獣ミーア》

《転生炎獣ヒートライオ》

フィールド魔法 《転生炎獣の聖域》

永続魔法 《転生炎獣の意志》

永続罠 《光の護封壁》(3000以下の攻撃力を持つ相手モンスターは攻撃をする事ができない)

 

 

 

 恐らくこれが自分に回ってくる最後のターンだろう。このターンで何も出来なければ、次の紫のターンでまたエンドフェイズにあのバーン飛んでくる。そうなれば次も防ぐ術はないこちらの負けになる。このターンに懸かっている

 

「私のターン、ドロー」

 

 …来たっ! となるとまずは――

 

「現れなさい、楽園を導くサーキット!」

 

 フィールドの上空に現れるゲート。

 その様子を見て紫は疑問に思った。

 

「この状況でさらなるリンク召喚でもするつもり…?」

 

「ここで《転生炎獣の聖域》の効果を発動!自分が「サラマングレイト」リンクモンスターをリンク召喚する場合、自分フィールドの()()の「サラマングレイト」リンクモンスター1体のみを素材としてリンク召喚できる!

私は《転生炎獣ヒートライオ》をリンクマーカーにセット!」

 

 

―――逆巻く炎よ、浄化の力で真の力を呼び覚ませ!転生リンク召喚!甦れ、炎の平原を駆け抜ける百獣の王!《転生炎獣ヒートライオ》!―――

 

 

《転生炎獣ヒートライオ》

リンク3 / 炎属性 / サイバース族 / 攻2300

【リンクマーカー:上/左下/右下】

 

 

 先程よりも激しい炎を纏って新たに召喚された《転生炎獣ヒートライオ》。これこそが"転生炎獣(サラマングレイト)"が"転生炎獣"である最たる由縁。リンクの《転生炎獣ヒートライオ》に限らず、儀式や融合も同名カードを使用して新たに生まれ変わる、転生することで更なる力を解放する。

 

「転生リンク召喚…何をするつもりかは知らないけれど、《暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ》は自身以外の元々の攻撃力が3000以下のモンスターが発動した効果を受けないわ。

今の《転生炎獣ヒートライオ》はフィールドのモンスター1体の攻撃力を墓地のモンスターの攻撃力と同じにする効果を持っているけれど、こちらの耐性はレベルではなく攻撃力を参照する。それでは意味を成さないわよ」

 

「そうね。でも別にそこまで考えてないから問題ないわ。

永続魔法、《転生炎獣の意志》を墓地に送ってその二つ目の効果を発動。転生した《転生炎獣ヒートライオ》のリンクマーカーの数まで、自分の手札・墓地から「サラマングレイト」モンスターを選んで守備表示で特殊召喚する。さぁ、墓地から蘇りなさい!」

 

 

《転生炎獣ラクーン》

☆1 / 炎属性 / サイバース族 / 守 800

 

《転生炎獣フォクシー》

☆3 / 炎属性 / サイバース族 / 守1200

 

《転生炎獣Bバイソン》

☆8 / 炎属性 / サイバース族 /守1000

 

 

 

  □ □ □ □ □

  

  □ 暗 イ デ □

    ↑

    ヒ   □  

   ↙ ↘    

聖 ラ フ ミ フ バ

       

  □ 光 □ □ □

 

 

「そして手札から《フュージョン・オブ・ファイア》を発動!自分の手札及び自分・相手フィールドから「サラマングレイト」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

私は《転生炎獣Bバイソン》と《転生炎獣ヒートライオ》を融合!」

 

 

――― 融合召喚!一つの狂おしき魂のもと凶悪なる獣たちの武器を集めし肉体を誇る魔獣よ!《転生炎獣(サラマングレイト)ヴァイオレットキマイラ》! ―――

 

 

《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》

☆8 / 炎属性 / サイバース族 / 攻2800 + ((2300+2800)÷2=2550) = 5350

「サラマングレイト」モンスター+リンクモンスター

 

 

 《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》は融合召喚に成功した場合に、ターン終了時まで素材としたモンスターの元々の攻撃力を合計した数値の半分だけアップする効果を持つ。それにより今の攻撃力は5000を超える。これなら《暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ》を倒すだけなら十分ではある。だが次のターンに二枚目が出る可能性が無いとは言い切れない以上、これだけでは足りない。

 

「《暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ》は相手の効果を受けない耐性を持っている。けどそれはモンスター効果に対してのみ。ならこれならどう?

手札から装備魔法、《魔界(まかい)足枷(あしかせ)》を《暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ》に装備よ。装備モンスターは攻撃する事ができず、攻撃力・守備力は100になる!」

 

 

《暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ》

☆10 / 闇属性 / 悪魔族 / 攻3000 → 100

 

 

「そういうこと。」

 

「バトルよ!

《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》で《暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ》を攻撃!そして《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》の効果発動!元々の攻撃力と異なる攻撃力を持つモンスターと戦闘を行うダメージ計算時に一度、自身の攻撃力をそのダメージ計算時のみ倍にする!」

 

 

《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》

☆8 / 炎属性 / サイバース族 / 攻5350 → 10700

 

《暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ》

☆10 / 闇属性 / 悪魔族 / 攻100

 

 

「この一撃で終わらせるわ!やりなさい!

ヴァイオレットソウル!!」

 

 伏せカードは無い。手札誘発もない。

 これで…決まった。

 

「随分と…楽しんでいるようで良かったわ」

 

紫 LP4000 → 0

 

 デュエルが終わり、実体化していたモンスターが消えた時、既にそこには紫の姿は無かった。霊夢はそれをいつもの事かと気にも留めた風も無く母屋へと戻っていく。

 

 その光景を離れた場所から紫が眺めていた。

 

「霊夢にもしっかりと火は灯っていた。

この幻想郷に吹く新風はこれから先で何を齎すかは分からないわ。いい流れにも悪い流れにもなるかもしれない。もし何かが起こった時は……」

 

 紫はその続きを言うことなく、再び姿を消していた。

 

 




オーバーキルぅぅぅ

今回はいつも以上にノリで進めていたので、途中少々強引となっています。


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12話 荒ぶる風

「二日分くらいは余裕出てきたか?」

 

 自然に囲まれた自宅に帰って来てから、紫遊は即日払いの給料を仕舞いながらそう呟いた。

 

 今居る家屋は以前からにとりが制作して、先日完成したばかりの物件だ。

 始め、それほど多くは要求を出していなかったはずなのだが、完成した物件は思いの外広く、住み心地も悪くは無かった。

 

 だけど少し謎がある。この物件の間取りに少々疑問が出る。居間や台所、寝室や収納部屋など部屋が分かれていて最低限は揃っていたりはするのだが、それでは部屋のスペースが余っているはずなのだ。外から見てみれば分かるだろう。居間が位置している場所の隣に変な出っ張りがある。居間が端ではないはずだからこそ、謎に思う。

 

「おぉ、戻っていたのか」

 

「にとりか。確認なんだがこれで完成なんだよな?」

 

「ああ、そうだ。良い出来だろ?」

 

 いやまあ確かに住み心地は悪くないけどさ…。

 考えすぎなのだろうか?設計ミス…というのは流石になさそうだし、配線とかそこらを一か所に固めているだけなのだろう。…配線を使うようなものはあまりないけど。

 

「さてと…」

 

 などと思いながら座り込んで、ちゃぶ台の上によく使っているデッキを広げる。そして懐からも数枚のカードを取り出す。この数枚のカードは紫流風の次の日に拾ったカードの他、実は持っていたらしい束(デッキと呼べる程の数は無い)を合わせたものだ。何故これらを取り出したのかというとデッキ調整の為だ。今のデッキは未完成でまだまだ改良の余地はあるからな。

 

「前々から思ってたが、紫遊のデッキには決定打と為りうるようなモンスターとかは居ないんだな? 『コード・トーカー』モンスターも十分使えるけどもエースってのとは違うようだし」

 

 デッキを広げていると覗き見てきたにとりがそう言った。

 

「まあ、発展途上ってところだからな。これからだよ」

 

 そう言いながら紫遊はデッキ内容を弄り始めた。触るのはメインデッキのみ。EXデッキに入るようなカードはこの束には入ったないからな。となると魔法や罠を中心として触ることになるか。今の『サイバース』デッキ的に他の種族を入れすぎると動き辛くなるだろうからな。

 

「まあ頑張れ」

 

 足音が離れていく。そういえば結局にとりは何をしに来たのかとにとりの方を見た。すると、にとりは帰るでもなく出口とは別の方向へと静かに歩いていき、居間の端へと行っては壁を触り、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…ってちょっと待て!

 

「おいおいおい! どうなってんだよ!」

 

 にとりが入っていった付近の壁を触ると、確かに何かの入り口があった。軽くでは動かないが力を少し込めて押すと壁がキィィ…という音を立てて回り、中へと入ることが出来た。此処だけ絡繰り屋敷かっ。

 

 中へと入って行くと、そこは他の部屋とは別の明かりで照らされており、謎の機械が数個程置かれていた。

 

「なんだ此処…こんなのは訊いてないぞ?」

 

「お? 勝手に入ってくるとはどういう了見だい?」

 

「了見もなにも俺の家のはずなんだが、何仕込んでんだよ……」

 

 にとりは謎の機械の前を陣取りながらこちらを見てきた。

 それもすぐに向き直って機械を触り始めた。近づいてその機械の画面を見ていると何かのメーターや波が表示されていた。

 

「なんだこれ?」

 

「何って、()()()()()()()ってところさ」

 

「観測機?」

 

 疑問に思ってにとりに訊いてみたところ、この機械はデータストームの出現に伴う空気の変化を感じ取ってある程度予測することが出来るらしい。といってもデータストームはそんな前から前兆があるわけでもないので、分かるのは当日ぐらいらしい。

 この機械は最近作ったわけではなく、前々から計画していたものらしい。それを改良に改良を重ねてより性能を向上させて、この場に秘密裏に運び込んでいたとのことだ。

 

「ちなみに今夜がてら次の風が来るはずだ。それもでかいやつがな」

 

「でかい? いつもと違うのか?」

 

「こいつによると、最近の紫流風の平均出力よりも結構上を示している」

 

「そんなのが来て大丈夫なのか?」

 

「大丈夫じゃないか? あれは意識してるように被害が少ないところを流れている傾向があるからな」

 

 そうなのか。それならその辺は気にしないでもいいのだろう。

 でも気になりはするなぁ。

 

「ちと、調査に行ってくる。規模を把握しておくのも必要だろうし」

 

 今夜ならそろそろ出現する頃だろう。

 にとりに理由を言い残して、途中にしていたデッキを回収して紫遊は一人で外へと向かって行った。にとりが居座っていることにはこの際放っておこう。鍵が開いていて誰も居ないよりかはマシだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 探してみると山の中を通るように確かにデータストームが出現していた。眺めてみたが、それほどデカいという印象は受けない。幅のことを言っていたなら普段とあまり変わらない気がする。場所に関しても隙間を通り抜けるように進んでいるし高い位置で吹き続いている。となると流れに違いがあるのか?

 

「実際に乗ってみるか?」

 

 体験した方が早いとばかりに紫遊はDボードを呼び出し、其れに乗って風の上へと出る。そして波に落ちる。

 

「うおっ!? いつもよりも流れが速いな!」

 

 今回のデータストームはある意味規模がデカいといえばデカいか…。

 普段よりも流れが速い上に、荒い波があってバランスを取るには少しコツがいるな。…よし、少しは慣れてきたぞ。

 

「にしても前触れも無く強い風が吹くなんてなんかあるのか?

……そういえば前に魔理沙がなんか言ってた気がするな。たまに強いのも吹くとかだったっけ? ならこれは異常とかではないのか…」

 

『まぁ、それも自然現象と同じようなものだからな』

 

「ほあっ!?」

 

 一人で飛んでいるはずなのに突然にとりの声が聴こえて、危うくバランスを崩しかけてなんとか堪え切った。何処から声がしたのかと探してみると声は紫遊の決闘盤から出ていた。

 

「お前、いつの間に通信機能なんて仕込んだんだよ!」

 

『いいだろ盟友。

それに安心したまえ、これは盟友の家の装置としか繋がってないから』

 

 つまり誰かが家に居ればこうして通信してくることか? 騒がしいわ。

 それと機能で思い出したが――

 

「ところでにとり、あのスキル構築プログラムはあの後どうしたんだ?」

 

「ああ、それなら販売に移しているところだ」

 

 やっぱり売る気だったのか。

 まぁスピードデュエルが広まり始めれば、必須とまではいかないと思うが、それなりに欲しがる奴は居そうだもんな。そこで金を取るかどうかで迷うが。

 

「移してるってことは、まだ買った奴は居ないのか?」

 

「居るぞ。数人な。技術協力者である盟友にも少しは分け前渡す予定だから期待しておくといいぞ」

 

 …くれると言うのなら貰っておくか。

 

 さて、それなりに把握はしたしそろそろ戻るか。下手に一人で動くと迷うからな未だに。戻れなくなる。

 紫遊はそう思い至って風向きに逆らって戻ろうかとした時、行こうとした方向から声が聞こえた。

 

「其処の者、何者か!」

 

 声のした瞬間、来た道を確認すると誰も居なか―――と思ったら下からDボードに乗ってデータストーム上に乗っかって来た。

 

「不審な奴…この風はお前の仕わあああ!?」

 

 なんか風に流されてるんだが大丈夫かアレ……

 

「ぁぁ……其処の者!この風はお前の仕業なのか!」

 

 あ、リテイクした。

 

「どうやったらそう見えるんだよ…」

 

「怪しい格好、風を乗りこなしている姿、なにより人間がこんなところに居ることがおかしい!」

 

 どんな理由だ…。

 此方からしたらそっちの方が変わった格好をしているけどな。前に会った天狗に似た格好の割にアレとは違って耳とか尻尾とか人ではないことが分かるものがあるし。なんか犬っぽい。あと白い。

 

「止まりなさい!止まらぬのなら決闘(デュエル)で捕縛するのみ!」

 

 そう言って相手は決闘盤を構える。Dボードに乗っているから、だろうなと思ったが決闘者であったようだ。説明しようにもああいうタイプは話を聞かないんだろうなぁ…。仕方がない。

 

「そっちがその気なら受けてやるよ」

 

 そう言って互いに速度を上げる。

 

 

 

「スピード――――「デュエル!!」」

 

 

 

紫遊    VS     椛

LP4000       LP4000

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『この声……まさか?』

 

 




決闘は次回。


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13話 轟く鼓動

「先行は譲ってあげます」

 

「そりゃどうも」

 

 謎の誤解の下、荒波の上で始まったスピードデュエル。

 正直、冷静に話を出来さえすれば勝敗はどうだっていいのだが、捕まるのは御免だからな。手は抜かない。

 

「俺は《フレイム・バッファロー》を召喚」

 

《フレイム・バッファロー》

☆3 / 炎属性 / サイバース族 / 攻1400

 

「俺は永続魔法、《強者(きょうしゃ)苦痛(くつう)》を発動。これにより相手フィールドのモンスターの攻撃力はそのモンスターのレベル×100ダウンする。

これで俺はターンエンドだ」

 

 

 

ターン1→2

椛 LP4000

手札 4

墓地 0

フィールド 0

 

× □ □ □ ×

 

× □ □ □ ×

 

  □   □  

 

× フ □ □ ×

 

× □ 強 □ ×

 

紫遊 LP4000

手札 2

墓地 0

フィールド 

《フレイム・バッファロー》

永続魔法 《強者の苦痛》

 

 

 

「レベルに応じて弱体化させるカード…それは面倒な。

私のターン、ドローします!」

 

 《強者の苦痛》を面倒と言うのなら高レベルを使うデッキなのか?

 どうくるかお手並み拝見だ。

 

「私は手札から《空牙団(くうがだん)闘士(とうし) ブラーヴォ》を召喚!」

 

 

《空牙団の闘士 ブラーヴォ》

☆4 / 炎属性 / 爬虫類族 / 攻1900 → 1500 (《強者の苦痛》適用)

 

 

「《空牙団の闘士 ブラーヴォ》の効果を発動します!1ターンに1度、手札から「空牙団の闘士 ブラーヴォ」以外の「空牙団」モンスター1体を特殊召喚する。

空牙団(くうがだん)舵手(だしゅ) ヘルマー》を特殊召喚!」

 

 

《空牙団の舵手 ヘルマー》

☆3 / 水属性 / 水族 / 守2000 (《強者の苦痛》適用)

 

 

「仲間が特殊召喚された瞬間、《空牙団の闘士 ブラーヴォ》の効果が発動!フィールドの全ての「空牙団」モンスターの攻撃力・守備力はターン終了時まで500アップする。

そして下級"空牙団"の共通効果として《空牙団の舵手 ヘルマー》も同じ効果を持っている。効果発動!手札から《空牙団(くうがだん)孤高(ここう) サジータ》を特殊召喚!」

 

 

《空牙団の闘士 ブラーヴォ》

☆4 / 炎属性 / 爬虫類族 / 攻1900 → 1500 → 2000 (《強者の苦痛》適用)

 

《空牙団の舵手 ヘルマー》

☆3 / 水属性 / 水族 / 守2000 → 2500 (《強者の苦痛》適用)

 

《空牙団の孤高 サジータ》

☆5 / 風属性 / 鳥獣族 / 攻1200 → 700 (《強者の苦痛》適用)

 

 

「そして今度は《空牙団の舵手 ヘルマー》の効果発動!このカードが既にモンスターゾーンに存在する状態で自分フィールドにこのカード以外の「空牙団」モンスターが特殊召喚された場合、手札から「空牙団」カード1枚を捨ててデッキから1枚ドローする。

《空牙団の飛哨(ひしょう) リコン》を捨てて1枚ドロー」

 

 

× □ □ □ ×

 

× ブ ヘ サ ×

 

  □   □  

 

× フ □ □ ×

 

× □ 強 □ ×

 

 

 これが『空牙団』。先の仲間の合図で後ろからどんどん仲間を呼んでくるモンスターたち。あっという間にメインモンスターゾーンを埋めてきた。

 さらに自身が居る状態で仲間が現れれば発動するか……厄介な展開力だ。

 ついでに言うと下級ではない《空牙団の孤高 サジータ》は、仲間を呼ばなくても、自身がモンスターゾーンに存在する限り、相手は他の「空牙団」モンスターを効果の対象にできないという効果を持っていたりする。

 

「そして特殊召喚された《空牙団の孤高 サジータ》の効果を発動!

このカードが特殊召喚に成功した場合、「空牙団の孤高 サジータ」以外の自分フィールドの「空牙団」モンスターの種類×500ダメージを相手に与える!」

 

 自身を含まないのなら場の「空牙団」の種類は二種類。よって受けるダメージは1000ダメージか。これぐらいならまだ大丈夫だ。

 

 

紫遊 LP4000 → 3000

 

 

「私はカードを一枚伏せてバトルフェイズ!

《空牙団の闘士 ブラーヴォ》で《フレイム・バッファロー》を攻撃!」

 

 随分と素直に攻めてくるものだ。

 

 

紫遊 LP3000 → 2400

 

 

「くっ…。戦闘ダメージを受けた瞬間、手札の《インタラプト・レジスタンス》の効果を発動。このカードを特殊召喚する!この効果で特殊召喚したこのカードの攻撃力は受けたダメージの数値分アップする」

 

 

《インタラプト・レジスタンス》

☆6 / 光属性 / サイバース族 / 守2100 (攻 0 → 600)

 

「さらに破壊されてフィールドを離れた《フレイム・バッファロー》の効果。手札からサイバース族モンスター1体を捨てて、デッキから2枚ドローする」

 

紫遊の墓地へ

《シーアーカイバー》

 

 紫遊のフィールドに壁モンスターが現れたことで追撃が出来なくなり、椛は仕方なくターンの終わりを宣言する。そしてこのタイミングで《空牙団の闘士 ブラーヴォ》の効果が終了する。

 

 

 

ターン2→3

椛 LP4000

手札 1

墓地 1

フィールド 

《空牙団の闘士 ブラーヴォ》

《空牙団の舵手 ヘルマー》

《空牙団の孤高 サジータ》

魔法・罠伏せ 1

 

× □ ■ □ ×

 

× ブ ヘ サ ×

 

  □   □  

 

× □ イ □ ×

 

× □ 強 □ ×

 

紫遊 LP2400

手札 2

墓地 2

フィールド 

《インタラプト・レジスタンス》

永続魔法 《強者の苦痛》

 

 

「俺のターン、ドロー」

 

 手札が手札だが《強者の苦痛》が残っているから攻めに関してはそれほど問題ないな。

 

「《スワップリースト》を召喚。

自分フィールドにサイバース族モンスターが召喚されたことにより、手札から《ブート・スタッガード》を特殊召喚!」

 

 

《スワップリースト》

☆2 / 地属性 / サイバース族 / 攻 500

 

《ブート・スタッガード》

☆5 / 光属性 / サイバース族 / 攻2300

 

 

「現れろ!幻想を創造に変えるサーキット!

アローヘッド確認。 召喚条件はレベル2以下のサイバース族モンスター1体。

俺は《スワップリースト》をリンクマーカーにセット。 サーキットコンバイン!リンク召喚! リンク1、《トークバック・ランサー》!」

 

 

《トークバック・ランサー》

リンク1 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1200

【リンクマーカー:下】

 

 

「リンク素材として墓地へ送られた《スワップリースト》の効果。このカードをリンク素材としたリンクモンスターの攻撃力は500ダウンして、自分はデッキから1枚ドローする」

 

 すぐ次のリンク素材にするからこの弱体化は気にならない。

 …お、丁度良いカードだ。

 

「手札から《リンク・インフライヤー》を特殊召喚。このカードはフィールドのリンクモンスターのリンク先となる自分フィールドに手札から特殊召喚できる。

でもって再び現れろ!幻想を創造に変えるサーキット!」

 

 二度目のゲートが上空に開く。

 次の召喚条件はモンスター3体。

 

「俺は《トークバック・ランサー》、《インタラプト・レジスタンス》、《リンク・インフライヤー》の三体をリンクマーカーにセット。 サーキットコンバイン!リンク召喚!」

 

 

―――リンク3、《パワーコード・トーカー》!―――

 

 

《パワーコード・トーカー》

リンク3 / 炎属性 / サイバース族 / 攻2300

【リンクマーカー:左/右/左下】

 

 

× □ ■ □ ×

 

× ブ ヘ サ ×

 

  □  ←パ→ 

     ↙

× ブ □ □ ×

 

× □ 強 □ ×

 

 

「バトルだ!

《ブート・スタッガード》で―――」

 

「その前にこれを発動させてもらいます!

罠カード《威嚇(いかく)する咆哮(ほうこう)》を発動!これでこのターンの攻撃宣言を封じます」

 

 それは面倒なことを。攻撃宣言が出来なければ戦闘すら行えない。

 攻撃を封じられればもう出来ることは無い。

 

「…これでターンを終了する」

 

 

 

ターン3→4

椛 LP4000

手札 1

墓地 2

フィールド 

《空牙団の闘士 ブラーヴォ》

《空牙団の舵手 ヘルマー》

《空牙団の孤高 サジータ》

 

× □ □ □ ×

 

× ブ ヘ サ ×

 

  □  ←パ→ 

     ↙

× ブ □ □ ×

 

× □ 強 □ ×

 

紫遊 LP2400

手札 1

墓地 6

フィールド 

《パワーコード・トーカー》

《ブート・スタッガード》

永続魔法 《強者の苦痛》

 

 

「私のターン、ドローです。

…今こそあのカードを使わせてもらいます!」

 

 なんだ…?気迫が増した?

 

「開けゲート!」

 

 その叫びと共に伸ばされた手の先に見慣れたゲートが出現する。

 リンクを持っているのか…!

 

「召喚条件は種族が異なるモンスター3体!

私は爬虫類の《空牙団の闘士 ブラーヴォ》、水の《空牙団の舵手 ヘルマー》、鳥獣の《空牙団の孤高 サジータ》を素材に指定!これにより現れる!」

 

 

―――《空牙団の大義(たいぎ) フォルゴ》見参!―――

 

 

《空牙団の大義 フォルゴ》

リンク3 / 闇属性 / 獣族 / 攻2400

【リンクマーカー:上/左下/右下】

 

 

 現れたのは貫禄を持った獣人のモンスター。

 リンクはレベルを持たないために、《強者の苦痛》で弱体化することはない。

 

「《空牙団の大義 フォルゴ》の効果を発動!このカードがリンク召喚に成功した場合、そのリンク素材としたモンスター3体とは異なる種族の「空牙団」モンスター1体をデッキから守備表示で特殊召喚する!

呼ぶのは獣戦士、《空牙団の参謀(さんぼう) シール》を特殊召喚!」

 

 

《空牙団の参謀 シール》

☆4 / 闇属性 / 獣戦士族 / 守1000 (攻1600 → 1200)

 

 

「さらに手札から魔法カード《烏合(うごう)行進(こうしん)》を発動!自分フィールド上に獣族・獣戦士族・鳥獣族のいずれかのモンスターが存在する場合、

その種族1種類につき1枚デッキからカードをドローする。私の場には獣族と獣戦士族が居る。よって2枚のドロー!」

 

 《烏合の行進》には発動するターン自分は他の魔法・罠カードの効果を発動できない。というデメリットが存在するが、モンスター効果を軸としている『空牙団』デッキではそれもあまり気にならない。

 

「そして手札からチューナーモンスター、《ジュッテ・ナイト》を召喚!」

 

 

《ジュッテ・ナイト》チューナー

☆2 / 地属性 / 戦士族 / 攻 700 → 500 (《強者の苦痛》適用)

 

 

 チューナー…!

 

「《ジュッテ・ナイト》の効果を発動!1ターンに1度、相手フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスター1体を表側守備表示にする。《ブート・スタッガード》を守備表示に!」

 

《ブート・スタッガード》

☆5 / 光属性 / サイバース族 / 攻2300 → 守 500

 

 リンクモンスターは守備力を持っていなければ守備表示にもならない為、対象となって守備になる《ブート・スタッガード》。

 

「私はレベル4の《空牙団の参謀 シール》に、レベル2の《ジュッテ・ナイト》をチューニング!」

 

「やっぱりか…!」

 

 椛の言葉と共に《ジュッテ・ナイト》がそのレベルと同じ数の光輪となって、その輪の中を《空牙団の参謀 シール》が駆け抜け、レベルの光を合わせていく。閃光。

 

 

―――シンクロ召喚!

獣の如き捕食者!レベル6!《ゴヨウ・プレデター》!―――

 

 

《ゴヨウ・プレデター》

☆6 / 地属性 / 戦士族 / 攻2400 → 1800 (《強者の苦痛》適用)

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

 

 

 シンクロモンスター。

 チューナーと呼ばれるモンスターとチューナー以外のモンスターのレベルの足し算によって、EXデッキから呼び出される白いカードのモンスター。基本的にチューナー1体とそれ以外のモンスターの足し算で行われる為、融合のように専用魔法を必要とすることはなく、三体以上を使って召喚レベルの調整が出来たりするのがシンクロ。

 逆に言えばチューナーが重要となっている為、チューナーが居なければ出すことが出来ない。

 

「手札を一枚伏せてバトルフェイズに移行!

《ゴヨウ・プレデター》で《ブート・スタッガード》を攻撃!」

 

 守備表示にされてしまったことで戦闘破壊される。

 守備であるから戦闘ダメージは無いが、破壊されたはずの《ブート・スタッガード》が墓地からフィールドに戻され、それを《ゴヨウ・プレデター》の持つ縄が縛っている。

 

「《ゴヨウ・プレデター》の効果!

このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する!

ただし、この効果で特殊召喚したモンスターがプレイヤーに与える戦闘ダメージは半分になりますが」

 

 

《ブート・スタッガード》

☆5 / 光属性 / サイバース族 / 攻2300 → 1800 (《強者の苦痛》適用)

 

 

× □ ■ □ ×

 

× ブ ゴ □ ×

 ↖ ↗

  フ  ←パ→ 

  ↓  ↙

× □ □ □ ×

 

× □ 強 □ ×

 

 

「さらに《空牙団の大義 フォルゴ》の効果。1ターンに1度、相手フィールドのカードが戦闘・効果で破壊された場合、自分はデッキから1枚ドローする。

…本当はそのリンクモンスターを捕えるつもりでしたが、まぁいいでしょう。

続いて《空牙団の大義 フォルゴ》で《パワーコード・トーカー》を攻撃!」

 

 攻撃力が僅かに負けている為破壊される。

 

「くっ…」

 

 

紫遊 LP2400 → 2300

 

 

「そして《ブート・スタッガード》で攻撃!」

 

 効果で戦闘ダメージを半分しか与えられないので、受けるダメージは《強者の苦痛》で下がった攻撃力のさらに半分。900ダメージ。

 

 

紫遊 LP2300 → 1400

 

 

「《ブート・スタッガード》が相手に戦闘ダメージを与えたことにより、「スタッグトークン」1体を守備表示で特殊召喚。

私はこれでターンエンド」

 

 

ターン4→5

椛 LP4000

手札 2

墓地 8

フィールド 

《空牙団の大義 フォルゴ》

《ゴヨウ・プレデター》

《ブート・スタッガード》

《スタッグトークン》

魔法・罠伏せ 1

 

× □ ■ □ ×

 

× ブ ゴ ス ×

 ↖ ↗

  フ   □

  ↓  

× □ □ □ ×

 

× □ 強 □ ×

 

紫遊 LP1400

手札 1

墓地 7

フィールド 

永続魔法 《強者の苦痛》

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 フィールドに空きがあって戦闘で倒せさえすれば《ゴヨウ・プレデター》でモンスターを奪われ、その過程で《空牙団の大義 フォルゴ》の効果で手札を増やす…か。

 さて、どうするかな……

 

「俺は《バランサーロード》を召喚!」

 

 

《バランサーロード》

☆4 / 光属性 / サイバース族 / 攻1700

 

 

「《バランサーロード》の効果発動!

1000LPを払うことで、このターン自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズにサイバース族モンスター1体を召喚できる。

手札から《コード・ラジエーター》を召喚!」

 

 

紫遊 LP1400 → 400

 

 

《コード・ラジエーター》

☆4 / 水属性 / サイバース族 / 攻1600

 

 

× □ ■ □ ×

 

× ブ ゴ ス ×

 ↖ ↗

  フ   □

  ↓  

× コ バ □ ×

 

× □ 強 □ ×

 

 

「そしてこの瞬間、墓地の《シーアーカイバー》の効果発動!フィールドのリンクモンスターのリンク先にモンスターが召喚・特殊召喚された場合にこのカードを特殊召喚する。」

 

 

《シーアーカイバー》

☆3 / 水属性 / サイバース族 / 守2100

 

 

今俺の場には三体のモンスター。そしてライフは400。条件は揃っている。

 

「スキル発動!【サイバネット・クリエイション】!

自分のフィールドにサイバース族モンスターが二体以上存在し、ライフポイントが500以下の時、データストームからサイバース族モンスター1体をランダムにエクストラデッキに加える!」

 

 スキルの発動と共にボードの下を流れていたデータが手元に集まり始める。だが、今回はいつもとは違った。

 

「うおっ!?」

 

 風がいつもよりも荒ぶっているからなのか、その集まり具合も違えば、波のように集まっては大きい波がくる度に手にまで衝撃が伝わってくる。

 おまけにボードも波でぐらぐらと揺れていて、手元にだけ意識を向けてしまえば、バランスが揺らいで落ちる危険性がある。

 

「おおおおおお!!」

 

 手元にデータが集まり終えるまで堪える。データの集束ももうすぐだ。

 光の衝撃の中、手元にカードが実体化し、それを掴むと周囲に漂っていた余剰データが弾けた。

 

 実体化したカードを確認すると、その状態からでもかなりの力を感じた。

 強い力を感じるが出来ることなら、この状態でこれを使うことは躊躇われる…。

 

「現れろ!幻想を創造に変えるサーキット!」

 

 アローヘッドを確認。

 今墓地にはリンクモンスターが居る。それならば、召喚条件は効果モンスター2体以上。

 

「俺は《バランサーロード》、《コード・ラジエーター》、《シーアーカイバー》をリンクマーカーにセット。 サーキットコンバイン!リンク召喚! 」

 

 

―――リンク3、《トランスコード・トーカー》!―――

 

 

《トランスコード・トーカー》

リンク3 / 地属性 / サイバース族 / 攻2300

【リンクマーカー:上/右/下】

 

 

× □ ■ □ ×

 

× ブ ゴ ス ×

 ↖ ↗  ↑

  フ   ト→

  ↓   ↓

× □ □ □ ×

 

× □ 強 □ ×

 

 

「自身の効果で特殊召喚された《シーアーカイバー》はフィールドから離れたことで除外される。

そしてリンク素材となった《コード・ラジエーター》の効果発動!

「コード・トーカー」モンスターのリンク素材として手札・フィールドから墓地へ送られた場合、相手フィールドの表側表示モンスター1体の攻撃力を0にして効果は無効化する。この時、《コード・ラジエーター》がフィールドから素材となった場合はこの効果の対象を2体にできる!」

 

「2体!?」

 

「対象は《空牙団の大義 フォルゴ》と《ゴヨウ・プレデター》!」

 

 

《空牙団の大義 フォルゴ》

リンク3 / 闇属性 / 獣族 / 攻2400 → 0

【リンクマーカー:上/左下/右下】

※効果無効

 

《ゴヨウ・プレデター》

☆6 / 地属性 / 戦士族 / 攻1800 → 0

※効果無効

 

 

「そして《トランスコード・トーカー》の効果発動!

同名カード以外の自分の墓地のリンク3以下のサイバース族リンクモンスター1体をこのカードのリンク先となる自分フィールドに特殊召喚する。甦れ《パワーコード・トーカー》!」

 

 

《パワーコード・トーカー》

リンク3 / 炎属性 / サイバース族 / 攻2300

【リンクマーカー:左/右/左下】

 

 

「これで攻撃されればこちらのライフは尽きる…それはさせない!

リバースカードオープン!永続罠、《拷問車輪(ごうもんしゃりん)》!このカードは相手フィールドのモンスター1体を対象として発動でき、このカードが魔法・罠ゾーンに存在する限り、対象のモンスターは攻撃できず、表示形式の変更もできない!対象は《パワーコード・トーカー》!」

 

 対象となり、車輪に囚われる《パワーコード・トーカー》。

 さらに、モンスターがこの車輪に囚われている限り、発動者のターンごとにこちらにダメージを受けることになる。

 こうなってしまっては、このターンで決めきれない上に次のターンでダメージを受けてこちらの負けとなってしまう。

 

 ……だが、それは《パワーコード・トーカー》が残っている場合に限る。

 

「今一度現れろ!幻想を創造に変えるサーキット!」

 

 脳裏に過るは先程手に入れたカード…

 

「アローヘッド確認。 召喚条件は効果モンスター2体以上。

俺は《パワーコード・トーカー》とリンク3の《トランスコード・トーカー》をリンクマーカーにセット。」

 

 現れたゲートのマーカーに《パワーコード・トーカー》と自身のリンクの数と同じ三つの分身となった《トランスコード・トーカー》がそれぞれ飛び込む。そして起動されるのは―――リンク4。

 

 

―――終わりを告げる破壊者、その鼓動が爆炎と共に激しく轟く―――

 

―――リンク召喚!現れろ、《トポロジック・ボマー・ドラゴン》!!―――

 

 

 現れたのはこれまでスキルで手に入れたカードとは明らかに違う力を秘めたモンスター。その召喚の余波でデータストームがさらに荒れる。

 

 

《トポロジック・ボマー・ドラゴン》

リンク4 / 闇属性 / サイバース族 / 攻3000

【リンクマーカー:上/左下/下/右下】

 

 

× □ 拷 □ ×

 

× ブ ゴ ス ×

 ↖ ↗  ↑

  フ   ト

  ↓  ↙↓↘

× □ □ □ ×

 

× □ 強 □ ×

 

 

「リンク…4!?」

 

「バトルだ!

《トポロジック・ボマー・ドラゴン》で攻撃力が0となった《空牙団の大義 フォルゴ》に攻撃! "終極のマリシャス・コード"!」

 

「うわっ!」

 

 

椛 LP4000 → 1000

 

 

「痛いダメージですが、これでこのタ―――」

 

「いや、これで終極だ。

《トポロジック・ボマー・ドラゴン》の効果発動!このカードが相手モンスターを攻撃したダメージ計算後、その相手モンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える!」

 

「なにっ!?」

 

「いけっ! "エイミング・ブラスト"!」

 

「あああああああ!!」

 

 

椛 LP1000 → 0

 

 

 ライフを削り切る一撃を受けて相手はバランスを崩してコースから落下する。それに気付いた紫遊が何とか追い付いてキャッチし、そのまま下に降りることにした。

 

 このまま逃げるでもいいのだが、後にまた追われても困るので一応話をしようと状況を説明することにした。それからは特に問題はなかった。

 

『相変わらずだな白狼天狗の椛さんや』

 

「その声は…! え? え!?」

 

 相手がにとりの知り合いだったというのもあって誤解はあっさりと解けた。決闘盤から声が出たときは驚いていたけど。

 

 そういうわけで椛とは別れて今日のところは戻ることにした。スキルの影響が直に出ているわけだし。微妙に手が痛い。




椛のデッキがこんな形に至るまで。

なんとなく空牙団合いそうだな…

あ、でも役割的にゴヨウの方が合うかな? シンクロあるし

いっそのこと混ぜるか。

というわけでこんな変な構築を使ってました。
本当はリンク使う予定はなかったんですけどね。




話は変わりますが、
そろそろ息抜きにも区切りを入れて戻ろうかと思うので、一度ここで更新は止めます。
ここまで読んでくださりありがとうございました(・ω・)


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