Another Sunshine!! (ミサエル)
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ディスティニーは突然に

どうも、ミサエルです。
受験勉強の合間にちょこちょこ書いてたものが溜まってきたので投稿しました。
まぁ、こんなん書くなら他の二作更新しろよって話なんですがね。
そちらも両方、ちょこちょこ進めているので楽しみにしていただけたら幸いです。

それでは、始まり始まり。


「ハックション!!寒っ!」

 

寒さからくるくしゃみだろう。俺は本日3度目のくしゃみをした。

いくら俺が鍛えていると言っても、4月の函館はまだ寒い。聞いたところによると確か、東京の12月と同じくらいの気温らしい。

そんな気温の外で、俺は既に2時間も立ちっぱなしだった。

 

巧人(たくと)のやつ、遅ぇな~。」

 

俺は俺をここで待たせている張本人のことを考える。

そいつは犬城 巧人(いぬき たくと)って言って、俺より2つ年上の高校3年生...なんだが、あいつには特に気を使うこともなく、タメ口で話している。数ヶ月前に俺が東京からこっちに越してきた時にちょっとした出来事があって、そこから絡み始めた。

あ、俺は長瀬 龍二(ながせ りゅうじ)。高校1年生で好きなものはプロテインとラーメン。趣味は筋トレ...って、俺は誰に説明してるんだ?

自分で自分にツッコミを入れる。

...まぁ、いっか。んで、なんで俺がここで巧人を待っているのかというと、実は別に大した理由じゃない。

今朝、巧人から『良い場所に連れていってやる。』って言われたから、指定された待ち合わせ場所に居るだけだ。

 

「あ~あ、あいつ早く来ねぇかな~。」

 

俺はそう呟いてボーっとしてた。

 

「ちょっと、離してって!」

 

その時だった。どっかからそんな声が聞こえてきたのは。

 

「ん?何だ?」

 

俺はその声がどこから聞こえたのか探した。

そしたら、案外すぐに見つかった。

俺が立っていた場所からも見えるビルとビルの隙間。

そこにある裏路地からだった。

俺はそこを覗いてみる。

 

「離してって言ってるでしょ!」

「おいおい。良いじゃんかよ、ちょっとくらい。」

「なぁ、君確か『セイント・スノー』の妹の方だろ?俺らさ、ファンなんだよね~。」

「そうそう。だからちょっとだけ、ファンサービスしてくれない?近くのホテルとかでさぁ。」

「いや!絶対に嫌!」

 

見れば紫がかったツインテールの女子が、(俺も人のことは言えねぇけど)頭の悪そうな男達にナンパされていた。

 

「離して!!」

 

そう言って、その女子が無理矢理男の腕を引き剥がした。

 

「痛!!...おい、調子に乗ってんじゃねぇぞ!」

「きゃあ!!」

 

そしたら女子を掴んでいた男がキレて、その女子を突き飛ばした。

悲鳴を上げて、尻餅をつく女子。

気がつけば、俺の足は既に男達へと駆け出していた。

 

「おい!お前ら!」

「「「あ?」」」

 

男達が一斉に俺の方を振り向く。

 

「やめろよ。どう見ても嫌がってんだろ!」

「何だ?ヒーロー気取りか?」

「邪魔だ。引っ込んでな!」

「それとも、ボコボコにされたいのか?」

 

そう言って、男の1人が両手に拳を構えてファイティングポーズをとった。

それに対して、俺も拳を構える。

 

「上等だ。かかってこい!」

「後悔しても知らねぇぞ!!」

 

俺と男は同時に駆け出す。

 

「今の俺は、負ける気がしねぇ!!!」

 

かくして、俺と男達の戦いが始まったのだった!

※※※

 

「『始まったのだった!』じゃないよバカ。」

「バカって言うなよ!」

 

俺は俺の隣を歩く巧人に言った。

あの後、俺達の喧嘩は10分ほど続き、巧人が警察を連れてきたことによって終わった。

その間にあの女子は逃げたらしく、その場からは既に居なくなっていた。

 

「全く。その程度の傷で済んでたから良かったけど、相手が刃物持ってたらどうすんだよ。」

「まぁ、でもあの女子は助けられたから良かったじゃんか。」

「それとこれは別問題だ。女の子を助けようとしたっていうのは立派だけどな。」

「確かに、まだアザが痛ぇけど、大したことねぇよ。...ところで、今どこに向かってんだ?」

「すぐ着くから。着いてからのお楽しみだ。」

 

それから1分もかからずに目的の場所に着いた。

 

「ホントにすぐだな。」

「だろ?ここは甘味処なんだけどな。実はただの甘味処じゃないんだ。」

「どういうことだ?」

「ここはな...函館が生んだ最っ高のスクールアイドル『Saint Snow(セイント スノー)』の2人の家なんだ!」

 

まーた始まったよ。巧人はアイドルオタクで、特にスクールアイドルっていうアイドル達が好きらしい。

 

...って待て。『セイント・スノー』?

 

「なぁ、今『セイント・スノー』って言ったか?」

「あぁ。知ってるのか?」

「いや、どっかで聞いたような...聞いてないような...。」

「ん?まぁいいだろ。さ、入るぞ!」

 

巧人がそう言って勢いよく入口の引き戸を開けた。

店内は落ち着いた雰囲気で、奥に畳のスペースが見える。

客は俺達の他は2、3人で黄色とピンクの制服に白いエプロンを着けた店員が2人居た。

 

「いらっしゃいませ。2名様でよろしいでしょうか?」

 

黄色い制服の店員が俺達に近づいてきて言った。

青みがかった長いポニーテールがどこか大人っぽさを醸し出している。

 

「はい!」

 

巧人が何か知らねぇけど張り切って返事をする。

店員はにっこりして、

 

「かしこまりました。お席の方へご案内しますね。」

 

と、言って歩き出そうとした。

が、ちょうど会計に立った客が居て、黄色い店員はそっちの対応をしなければいけなくなったみたいだ。

 

「あ、お会計ですね。分かりました...、理亞~。ちょっとこちらのお客様達をお願い。」

「はーい。」

 

入れ替わりに、奥の方に居たピンクの制服の店員が俺達のところに来る。

こっちの店員は、紫がかったツインテールの髪が特徴で...って!

 

「あぁー!!」

「うおっ!なんだよ。びっくりしたな。」

 

俺はあることに気がついてその店員を指差した。

隣で巧人が驚いている。

 

「何、一体どうし」

「あぁ!」

「こっちもか!」

 

最初は不思議そうにしていたピンクの店員も気がついたのか、俺の顔を指差す。

そして同時に、

 

「さっきのナンパ女!」

「さっきの人!」

 

と言った。

 

俺はこの時、まだ知らなかった。

この出会いが、俺の青春と運命をバッキバキに熱くするものになることを。

 

そして、このツインテールの店員が、俺にとってかけがえのない存在になることを。

 




いかがだったでしょうか?
気づいた人も居るかと思いますが、龍二や巧人のモデルはベストマッチなあいつらです。
ということは、心の火を燃やすドルヲタや、ヒゲも出てくるかも...?ご期待ください。

次回から、あらすじは彼等に任せますので、そちらも楽しんでいただけたらなと思います。
それでは、また次回。


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不器用なナイス・トゥ・ミーチュー

??「天っ才高校生である犬城巧人とその助手である長瀬龍二は、巧人が応援しているスクールアイドル、『Saint Snow』が居るという甘味処を訪れた。」

龍二「おい、何でお前があらすじやってんだよ。」

巧人「あーあ、何で出てきちゃうかなー。文字だけならバレないと思ってこっそり主役やっちゃおうと思ってたのに。」

龍二「ふざけんな!主人公は俺だろ!そもそもなんだよ『助手』って!」

巧人「うるさいよ。分かったからとっとと2話始めるぞ。」

龍二「俺が主人公だからな!」

巧人「さぁ、そんなバカでうるさい、エビフライみたいな頭している長瀬龍二が主人公の『Another Sunshine!!』第2話どうぞ!」

龍二「エビフライの何が悪いんだよ!」


俺達は指差し合って、数秒固まっていた。すると、相手が急に顔をしかめて言う。

 

「ちょっと、何よ『ナンパ女』って。」

「そっちこそ、恩人に向かって『さっきの人』はないだろ!」

「私は別に助けてなんて言ってない。」

「へっ、よく言うぜ。あんなバカみたいにビービー泣いてたくせに。」

「なっ...!」

 

俺が言い返すと、今度は顔を真っ赤にした。

 

「泣いてないし、『バカみたいに』って何よ!あなたの方がバカっぽい顔じゃない!このエビフライ頭!」

「あぁ!?だからエビフライの何が悪いって言うんだよ!」

「はいはいストップー。」

 

俺達がさらに言い合いを続けようとしたところに、巧人が割り込んできた。

 

「理亞ちゃん、とりあえず落ち着こうか。そこのバカもちょっと黙ってろ。」

「おい、何だよその俺の扱い。」

「うるさいよ。店の中で大きな声をあげちゃいけないって教わっただろ。」

「理亞。その方の言うとおりですよ。」

 

客の会計を終えた黄色い服の店員が、俺達の所に来た。

 

「すみません。うちの理亞が。」

「いえいえこちらこそ。うちの筋肉バカがすみません。」

「だからせめて筋肉つけろ...って付いてんのか。」

「訂正。やっぱりお前ただのバカだわ。」

「何でだよ!?」

 

俺達のやり取りを見て、その店員はくすっと小さく笑った。

 

「申し遅れました。私は鹿角 聖良(かづの せいら)。妹の理亞(りあ)と2人で、スクールアイドルをやっています。」

「ええ。存じております。」

 

店員、聖良さんが名乗ると巧人がドヤ顔をしながら返事をする。

とりあえず、そのドヤ顔殴りたい。

 

「俺は天っ才高校生の犬城巧人と申します。んで、こっちのエビフライが」

「お前までエビフライって言うのかよ。」

「人が紹介してるときに割り込むんじゃないよ。長瀬龍二って言います。」

「だから自分で天才とかイタいんだっての。」

「...確かに。ちょっとイタい。」

「理亞ちゃんは良いとして、長瀬、お前は許さん。」

「何でだよ!」

「ふふ。お2人は仲がよろしいのですね。」

「違う。」

「違います。」

 

聖良さんに言われて、俺達は同時に否定した。

あら、と言ってやっぱりくすくすと笑う聖良さん。

 

「巧人さん達は、何か予定などはありますか?もし良ければ、あとで理亞も交えて4人でお話したいのですが...。」

「もちろん。喜んで。」

「あ、巧人お前、何勝手に。」

 

聖良さんの申し出に、巧人が勝手に返事をした。

 

「姉様。私は別に...。」

 

向こうでも理亞...鹿角でいいや。

鹿角がそれを嫌がった。

 

「理亞。お2人はお客様なのだから、お席にご案内して。」

「...分かった。」

 

だけど聖良さんが遠回しにその要求を蹴る。

鹿角は渋々、俺達を席まで先導した。

正直、俺はもう帰りたかったけど、無理矢理帰ると巧人に何を言われるから分かんねぇ。

 

...はぁ。めんどくせぇ。

 

俺はため息をついた。

とりあえず、そのあと食べた白玉ぜんざいは、普通に旨かった。

 




はい、いかがだったでしょうか。

完全なノリで書いてるものなので結構読み苦しいところがあったと思いますが、そこはご了承ください。

次回もお楽しみに~。


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