夢と家族と想い人 (じーひり)
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皆様初めまして!
お久しぶりの方もいるかもしれません!

前にこのサイトでSS書いていたんですけど、アカウントにログイン出来なくなってしまったためまた1から始めることになりました!


拙い文章ではありますが、暇つぶしになれば幸いです!


俺は、幼い頃親に捨てられた。

 

父も母も俺が邪魔だったんだ。

2人の関係を悪くしてしまう原因、それがきっと俺にあったのだから。

 

食べるものも着るものも、全く持たされずに捨てられた。

 

よく見る捨て猫のように。

 

 

どこかわからない遠くに、箱に入れられて捨てられた。

「ひろってください」

箱に書いてあった言葉だ。

 

幼い頃の俺は何もわからず、

ただあちこちに貼ってあったキラキラ光る星を辿って進んでいった。

 

多分あの時何かに惹かれていたんだろう。

星の魅力に…

 

 

 

 

 

 

……きろ……

 

 

 

ん?何かが聞こえる。

 

 

お……きろ…!

 

 

口調は乱暴だけど…どこか優しさに包まれた心地良い声だ。

 

 

「おい起きろ!!何ニヤニヤしてんだ気持ち悪い!!」

 

「おはよう…姉ちゃん…」

 

「いいから早く飯食わないと遅刻するぞ!?先に行くからな!?」

 

この子は市ヶ谷有咲。

俺を拾ってくれた家の女の子。

 

可愛らしい見た目とは裏腹に言葉遣いは荒く性格も尖っている。

ただ…

 

「どうせ戸山さんまだ来てないし姉ちゃんもまだ行かないでしょ?」

 

「あいつもいっつもギリギリに来るからな!!」

 

「じゃあ先行っちゃえばいいのに」

 

「そ、それだとあいつが悲しんでめんどくさいだろ!!あいつが悲しむんだからな!!」

 

やっぱり可愛らしい一面もある。

 

「2人とも仲良いのはいいけど、本当に遅刻しちゃいますよ?」

 

このふわぁっとしているおばあちゃんが俺の命の恩人。

有咲の祖母でもあり…今は俺の祖母でもある。

 

「さぁさぁ早くお食べ?優星の好きな玉子焼き作っておいたから」

 

 

そしてこの優星というのが俺の名前だ。

 

本当の名前は知らないが、俺をここまで導いてくれた星のように優しくなってほしいと言うことでおばあちゃんがつけてくれた。

 

「兄ちゃん早くしてくれよー」

 

「わかってるよ姉ちゃん」

 

俺と有咲はお互いのことを呼ぶときは兄ちゃん、姉ちゃんと呼んでいる。

年齢は俺の方が2コ上なんだけど、この家族としては俺の方が下になる。

 

だから俺は有咲のことを姉ちゃんと呼ぶようにしているのだ。

 

もちろん本当の兄姉ではないため、他の人の前では名前で呼び合う。

 

有咲はバンドメンバー内では兄ちゃんと呼んでいるらしい。

それほどメンバーを信頼しているということだろう。

 

食事を終え、用意が出来たところで玄関がガラッとあき

 

「あーりさー!!ゆーちゃーん!おっはよーー!!」

 

元気のいい声が聞こえてくる。

 

「香澄ー、いいタイミングだったな。今2人とも用意出来たところだ。」

 

この元気のいい猫耳が戸山香澄さん。

 

有咲がやってるバンドのメンバーであり創始者らしい。

 

毎朝有咲を迎えに来て一緒に学校に行っている。

 

「戸山さんおはよう。じゃあ学校向かおうか」

 

俺は学校は違うが途中まで道が一緒になのでついて行っている。

 

 

 

 

 

そしてしばらく歩き、有咲と戸山さんの学校に着く。

 

「じゃあ兄ちゃんまたな。今日もうちで練習するからな」

 

「わかった、姉ちゃんがちゃんと授業受けるように…戸山さん見ておいてね?」

 

「わかったよ、ゆーちゃん!ていうかーゆーちゃんもそろそろ練習見においでよー?」

 

「気が向いたらね…じゃあ2人とも頑張って!」

 

 

こうして俺はここから1人で学校に向かう。

 

 

先ほど戸山さんの口からもポロッと出たが、実はまだ有咲のバンドを1度も見たことが無い。

戸山さんと有咲以外のメンバーも知らない。

 

メンバーの人達は有咲がちょくちょく会話に出しているらしいので俺の名前くらいは知っているらしい。

 

ちょっと会ってみたいな…っていう気持ちも無くはないが一応年相応の男の子だ。

やっぱり女の子の集まりに顔を出すというのは抵抗がある。

 

こんな考えだから、未だに彼女の1つもできたことはない。

 

(せっかくだし…顔だけでも出してみるか)

 

 

 

この決断が、俺の恋の始まるきっかけになるとはこの時は思ってもいなかった。



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お好きですか?

学校が終わり、帰宅した。

 

有咲達の方が早く帰っていたみたいで練習している音が聞こえてきた。

俺は練習を見に行こうと思ったが、やっぱり恥ずかしい。

 

何を話せば良いだろう。

そこにいて何をすればいいんだろう。

 

頭の中がゴチャゴチャしてきた!!

 

 

やっぱり今日もいいや…部屋で休もう…

 

と思った矢先…

 

 

「あれ?ゆーちゃん!帰ってきたなら言ってよー!」

 

「戸山さん!?練習中じゃないの!?」

 

「トイレ行ってた!」

 

まじか…そのパターンは予想外だわ…

 

「じゃあ行こうか!皆会いたがってるし!!」

 

そう言って戸山さんは俺の手を引っ張り歩き始める。

 

「待って!ちょっと手を離して!!」

 

「大丈夫だよー手は洗ったから!!」

 

「そういうことじゃないからぁ!」

 

 

 

 

 

 

抵抗虚しく皆様練習中のところにお邪魔することになりました…

 

 

「皆!ゆーちゃんがいたから連れてきたよ!!」

 

「げっ!兄ちゃん!?」

 

やっぱり1番最初に反応したのは我が姉、有咲。

 

「ほーほー、この方が有咲のお兄様ですかー」

 

続いてじーっと俺を見つめて不思議そうな反応をする黒髪ロングのクールな子。

 

「へぇ、あなたが有咲のお兄さんなんですね!初めまして、山吹沙綾って言います」

 

「は、初めまして…市ヶ谷優星です!」

 

ドラムスティックを持ってるからドラムの子かな?

自己紹介までしてくれて凄い律儀な子だな…

山吹さんって言うのか…

 

「あ、あの初めまして!わ、わわ私は牛込りみって言います!」

 

「初めまして!よ、よろしくね!」

 

ちょっとテンパって可愛らしい反応を見せてくれる子。

まぁこれが普通の反応なんだろうな…

牛込さん…覚えておこう。

 

「で…そちらのずっと俺を見つめてる人は…」

 

「お、おたえちゃん…?自己紹介した方が…」

 

牛込さんが心配そうにクールな子に声をかける。

 

「あー私は花園たえ。よろしくねー?」

 

「う、うん…よろしく…」

 

じーっと見つめられたままなんだけど…

とりあえずこのクールな子が花園さん…っと。

 

 

 

ていうか…

全員可愛いんだけど!?

 

 

どうしよう、この状況…

 

ドキがムネムネ状態…!!

 

花園さんは凄いクールでスラーっとしていてとても綺麗だし

山吹さんもとても律儀で、完璧なお嫁さんって雰囲気が漂ってる

牛込さんはこのおどおどした感じ、守ってあげたくなるような可愛さがある

戸山さんだってあのハツラツな笑顔、ものすごく魅力的だと思う。

 

何この有咲のバンド、最高かよ!?

 

 

「ごめんな兄ちゃん…香澄が無理矢理連れてきたみたいで…」

 

「いやいや、大丈夫だよ。それよりも俺こそ姉ちゃん達の練習止めちゃってごめんね?」

 

「え?お姉ちゃん?優星さんがお兄さんじゃないの?」

 

山吹さんがすかさずに誰もが抱く疑問を投げてくる

 

「有咲とゆーちゃんはね!特別な関係なんだよ!」

 

「なんで香澄が答えてんだよ!」

 

「姉ちゃんも戸山さんもその事は皆に話してないの?」

 

メンバーと会話している時にたまに俺の話題になると戸山さんから聞いたことがあったのだが…さすがにそこまでは話してないのかな。

 

「まだ話してないんだ。まぁ後で詳しく説明しておくよ」

 

「ありがとう姉ちゃん。あ、お邪魔してごめんなさい!練習再開して大丈夫ですよ!」

 

そう言って部屋を後にしようとすると

 

「せっかくなんでお兄さんも練習見ていってくださいよ!私達も第三者の感想が欲しかったところなので」

 

と、山吹さんに頼まれる。

 

「じゃあ…聞いてみようかな…?」

 

時間が無いわけではないので少し聞いていくことにした。

 

 

~♪

 

 

 

「兄ちゃんどうだった?」

 

 

1曲を聞き終え、有咲が俺に感想を求めてきた。

 

俺もプロではないため的を得たことを言えるわけではないが…

 

「良かったと思うよ!!」

 

聞いててすごく心地良かった…まるで何かに包まれてるようだった。

 

「ゆーちゃん…他に何かないの!?」

 

「え!?他に!?」

 

戸山さん…やっぱりあなたにはついていけないよ…

 

無茶振りをされ必死に言葉を探した。

何かに包まれているような感覚…

良い感じの例えがないかなと探しているなか思いついた物が…

 

 

「チョココロネみたいだったかな…?」

 

 

………

 

皆の頭の上に?が浮かんでいる。

 

そりゃそうだよね!?俺もそうだもん!!

 

でも1人だけ目をキラキラさせて…

 

「チョココロネ!?」

 

まさかこの子が…という感じの牛込さんが物凄く食いついてきた。

 

「そ、そうチョココロネ!フワフワなものに包まれた柔らかい音みたいな!」

 

この食いつきに同様を隠せない俺の言葉は自分でも何言ってるかわからなかった。

 

「良かったねりみ。チョココロネ友達が見つかって」

 

「あ、その…チョココロネお好きなんですか…?」

 

え、なんでそっちに持っていった!?

 

 

 

 

こうして有咲バンドと俺の物語がスタートした。

 



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不思議な気持ち

皆との初めての会話も終え、その後も練習を見学させてもらうことにした。

 

 

バンドの練習ってもっとキツいイメージだったのだが、凄い楽しそうで皆笑顔が絶えなかった。

 

 

この子達の楽しそうな顔…それがとても魅力的でとても魅入ってしまった。

 

 

皆とても整ってる顔立ちなので、少しドキドキしてしまう。

 

 

それは…もちろん家族である有咲も例外では無かった。

 

有咲のこんなに楽しそうな顔、全然見たこと無かった。

素直にめちゃくちゃ可愛い。

贔屓目無しに1番可愛いんじゃないか?って思うくらいに可愛かった。

 

 

 

俺は練習が終わるまで音では無く彼女たちに、特に有咲に釘付けになっていた。

 

 

「ふぅ~今日も疲れたねー!そろそろ終わりにしよっか!」

 

「そうだねぇ~そろそろ家の手伝いしなきゃいけないし…」

 

「おっ、そうか。もうそんな時間か…続きはまた明日だな。皆明日も集まれるよな?」

 

「私は大丈夫だよー」

 

「じゃあまた明日有咲の家集合ね!ゆーちゃんもちゃんと来るんだからね!?」

 

「俺も?俺いる意味ないんじゃないか…?」

 

俺は戸山さんの言葉に疑問を投げかける。

 

「有咲はね!ゆーちゃんがいるといつもより張り切ることがわかったから練習効率アップに繋がるんだ!」

 

 

!?

戸山さんの言葉を聞いて、なぜか俺が少しドキッとしてしまった。

 

「な!?ちげぇーから、ちげぇーからな兄ちゃん!?香澄の勘違いだからな!?」

 

やばい、どうしよう。恥ずかしくて有咲の顔が見れない。

 

「2人とも仲良いんだねぇ。私も帰ったらお姉ちゃんに色々教えてもらお~」

 

 

 

 

 

こうして練習が終わり、皆帰っていった。

 

 

「ごめんな兄ちゃん、無理に付き合わせちゃって…」

 

「全然大丈夫!楽しかったし!それにしても皆可愛いねぇ…」

 

「兄ちゃん、手を出すとかやめてくれよ」

 

有咲の言葉が冷たくささった…。

 

「……兄ちゃんは私の兄ちゃんなんだから…」

 

「ん?何か言った?」

 

「な、なんでもねぇ!早く部屋もどるぞ!」

 

有咲が何かボソッと言った気がしたが…気のせいだったみたいだ。

 

 

 

 

こうして改めて有咲と2人きりになると、どうもドキドキが止まらない。

 

家族同士なんて気持ち悪い。兄姉同士なんて気持ち悪い。

 

そう思われるのは仕方ないことなんだろう…。

でも。

 

あの練習でのキラキラした有咲を見てからだ。

 

有咲の身体が、仕草が、声が、存在が…

全てが…全てが愛おしく感じる。

 

今まで感じたことが無かった…いや、

その感情を否定していただけなのかもしれない。

 

なぜか、今はこの感情が止まらない…。

 

 

 

でも、有咲はどうだ?

 

有咲だって普通の子だ。

きっと好きな人だっているだろうし

普通の恋愛をしているんだろう…

 

もしこの俺の感情がバレたらどうなる?

 

きっと…もうこの仲良しな家族には戻れなくなると思う。

 

それだけは絶対嫌だ…。

 

だから…

 

 

 

この想いだけは誰にも気付かれちゃいけないんだ。

 

 

「姉ちゃん」

 

「な、なんだよ急に…」

 

「これからも…仲良くやっていこうな…家族として」

 

 

そう俺達は…

 

 

「はぁ!?本当になんだよ!?そんなの当たり前だろ…兄ちゃん」

 

 

 

 

家族なんだから。

 

 

 



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牛込失踪

コメントやお気に入りありがとうございます!

誰か一人でも読んでくれてると思うと、自分も頑張ろうも思えます!


これからもよろしくお願いします!


溢れそうなほどの有咲への気持ち。

 

きっと今までも、自覚が無かっただけで心のどこかではこんな気持ちが芽生えていたのかもしれない。

 

だけど…もうこれ以上大きくしてはいけない。

 

それがお互いのためなんだ。

 

 

 

そう決意して寝ようと目を瞑った。

 

数十分後携帯が鳴った。

 

 

「やっほー!有咲に連絡先聞いちゃった☆明日練習の前少し時間あるかな?りみりんと一緒にカフェ行こうと思うんだけど、ゆーちゃんも呼んでみようかなって思って…どうどう??」

 

知らないアドレスからのメールだったが文章ですぐに誰かはわかった。

 

夜だし眠かったから誤字したということにして戸山バカすみと登録した。

睡眠を妨げないでほしいものだ。

 

とりあえず

「有咲は一緒に行かないの?」

と返信した。

 

すぐに返信が来た。

「有咲は薄情者だよ!もう知らないもん( ˃̣̣̥ω˂̣̣̥ )」

 

あぁ…断られたんだな。

珍しいな…何かあったっけ?

 

とりあえず

「まぁ、行けないことは無い。戸山さんの学校に行くからそこで合流でいい?」

と送り、もう起こされることのないように携帯の電源を切り就寝した。

 

 

 

 

 

 

 

翌朝

「兄ちゃん、もう起きてるか?」

 

部屋の外から天使の声が聞こえてくる。

 

「ん。今行く」

 

着替えを済まし、部屋を出る。

 

「おはよ、兄ちゃん」

 

「姉ちゃん…おはよぉ」

 

可愛い、抱きしめたい。

 

そんな気持ちを抑え一緒に朝食をとっていると…

 

「おはよー!有咲!ゆーちゃん!!」

 

盛大に玄関があき大声でバカすm…戸山さんがやって来た。

 

あれ以上騒がれると迷惑なので手短に朝食を済ませ玄関へ向かう。

 

 

「おい香澄!!朝からうるせぇ!!」

 

「だってぇだってぇ今日ゆーちゃんとカフェ行くのが楽しみでぇー!!早く放課後にならないかなー!?」

 

「…は?兄ちゃん行くのか?」

 

「うん、特に予定無いし」

 

「ゆーちゃんと朝一緒に登校する以外に遊んだことないしー!りみりんもきっと楽しみにしてるよー!」

 

「いや、まず牛込さんとそんなに関わりないし!!」

 

「りみもいるのか…本当に行くのか兄ちゃん?嫌じゃないのか?嫌なら無理していかなくてもいいんだぞ!?」

 

「ゆーちゃんは有咲見たいにハクジョーじゃないもん!!」

 

「うるせぇ!!今日は用事があるって前から言ってるだろ!?」

 

「なぁ姉ちゃん、その用事って何??俺も知らないんだが…」

 

「秘密」

 

「教えて」

 

「嫌だ」

 

「ちょまま」

 

「いくら兄ちゃんでもそれは許さねぇからな!?」

 

「もーイチャイチャしてると遅刻するよー」

 

 

このイチャイチャが一生続けば良いのにな…

 

 

ふとそんなことを思ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつも通り学校を終えバカすみとの待ち合わせ場所に向かう。

 

「あ!ゆーちゃん!!こっちこっち!!」

 

いた。バカすみと牛込さん。

 

「ごめんごめん!待たせちゃった?」

 

「ううん!大丈夫!ね、りみりん?」

 

「は、はい!大丈夫です!!」

 

うわぁ…この子めっちゃ緊張してるじゃん…大丈夫かな?

 

「じゃあさっそく行こうか!!」

 

「ねぇバカすm…戸山さん。今日どこ行くの?」

 

「酷い!!今バカって言わなかった!?!?」

 

「昨日あんな時間にメールしてきたのが悪いんだからな…」

 

「そういうとこ有咲にそっくり!!」

 

「う、うるせぇ!!」

 

「そういうところだよ…ゆーちゃん…」

 

やっぱり似てしまうもんなんだな。

 

「とりあえずカフェに向かおっ!!」

 

とりあえずって…牛込さんも自分から意見言うタイプに見えないし…

これこのバカに流されたらヤバいかもしれないな…。

 

 

と、不安な気持ちの中歩いていると…

 

 

「あ、私学校に財布忘れてきた…!!ちょっと待ってて!取りに行ってくるから!!」

 

「はぁ!?何してんだバカ!!待っててやるから早く行ってこい!!」

 

「バカって言わないでぇ~!!」

 

バカは学校へと走って戻って行った。

 

そんなに歩いてきたわけでは無いので10分程度で戻るだろう。

 

 

 

さぁ問題は…

この数分間、牛込さんと何を話すかだ…

 

 

「あ、あの!!」

 

急に牛込さんが声をかけてきた。

 

「どうしたの??」

 

「あのぉ…お手洗い行ってきても大丈夫ですか…?」

 

「うん、大丈夫だよ?行っておいで?」

 

牛込さんは向かい側にあるコンビニに駆け込んで行った。

 

 

 

 

 

そして数分後、先にバカが戻ってきた。

 

「お待たせぇ!!ってあれ?りみりんは?」

 

「えーっと…トイレしに向かい側のコンビニまで行ったんだけど…まだ帰ってきてないんだよね…」

 

大きい方なのかな…?それにしても長すぎる気がする。

 

さすがに心配になったので少し様子を見に行くことにした。

 

 

 

 

コンビニに入って様子を見てみると…

 

大変だ。

 

 

「戸山さん…トイレの鍵…1個もかかってないよ…」

 

「えぇ!?一応中も見てみるね!!」

 

俺が男女兼用のトイレ、バカが女子トイレを見たのだが…

 

「いない…!?」

 

牛込さんがいなくなった!?

 

 

 

 

どうしようとあたふたしている2人のところに牛込さんからメールが届いた。

 

 

 

「たふけて」

 




本当に自分で気が向いた時にしか書かないのでマイペース更新になってしまっています…。

コメント、評価くれると嬉しいです!!

ガルパでは新イベが来てるんですかね??
私は推しが来るまでガチャ禁してます!


誰が推しかは…想像にお任せします!笑




さぁりみりんがいなくなってしまい、意味深なメールが届きましたね。
次回どうなってしまうんでしょうか…
内容考えてないので、私にもわかりません…


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サプライズ

牛込さんからメールが送られてきてどうすればいいのかわからない俺達。

 

たふけて…助けを呼んでるんだよな…?

でもなんで…そしてどこで?

 

迷子…では無いよな…?

 

ふと頭に過ぎる言葉

 

 

 

 

拉致、誘拐

 

 

 

…嫌な予感がする。

 

 

 

 

 

 

俺と戸山さんは急いでコンビニを出る。

 

 

「ねぇゆーちゃん、どうしよう…!!」

 

「どうしようも何も早く探さなきゃ…多分人目のつかない場所…そんなに時間も経ってないからそんなに遠くはないと思う…心当たりある!?」

 

「わからない…どうしよう…りみりん…」

 

あまりにも急に訪れた事件。

 

何が起きたかはわからない。

けど牛込さんが危ないのは確かだろう。

 

 

急がなくちゃ…まずい。

 

 

 

「クヨクヨしてる場合じゃないだろ!?早く走ってよ!?」

 

「そんなこと言ったって…どうしたらいいの…?」

 

「そんなの俺にもわかんねぇよ!!」

 

「っ!ごめんなさい…」

 

俺は焦りからか、ついムキになってしまった。

 

その俺の怒声に…戸山さんは涙していた…。

 

 

「あっ…ごめん…戸山さんだって…今パニックなんだよね…」

 

「ううん…早くりみりんを見つけなきゃ…!!」

 

そうして俺と戸山さんはとにかく走った。

 

商店街、公園、学校。

隅々まで探したが牛込さんは見つからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

何時間探したかわからない…

 

もう…とっくに月が出ていた…

 

 

「ゆーちゃん…りみりんどうなっちゃうの…?」

 

「…。」

 

そんなの…わからない…。

 

牛込さんが何をしたの?

 

俺はまだ1回しか会ったことない。

でも、その1回でも十分にわかる。

小心者でオドオドしてるけど、とても芯が強くて優しい子なんだって。

そんな子がどうして…?

 

 

俺が…ちゃんと見ていたら…

目を離さなかったら…こんなことにはならなかったのかな…?

 

 

もう今更無駄なことを考えていると、戸山さんの携帯に着信が入った。

 

「もしもし有咲…?……うん、わかった」

 

どうやら姉ちゃんからの電話みたいだ。

 

「姉ちゃんから?なんだって?」

 

「とりあえず1回有咲の家に集合してから探す場所を皆で決めようってことになったみたい…」

 

「そっか…急いで帰ろっか…」

 

俺はこの重い足を一生懸命動かして家へと向かった。

 

 

 

 

そして自宅。

 

練習で使ってる蔵集合のはずなのだが…暗い。

姉ちゃんは家にいるはずなのに…なんでだ?

 

 

とりあえず俺は蔵に入ると…

 

 

 

 

「「ハッピバースデートゥーユー♪」」

 

 

と暗闇の中から声が聞こえてくる。

 

明かりを付けるとそこには、

 

 

「え…?」

 

姉ちゃんと…牛込さんがいた。

 

 

「兄ちゃん!誕生日おめでとう!」

 

「な!?これどういうことだよ!?」

 

「えっへへぇ…ゆーちゃん驚いた!?」

 

「戸山さんもそっち側なの!?」

 

さっきまで一緒にいた戸山さんもこの状況がわかっているらしい。

 

となると…わかっていないのは俺だけか…

 

っていうか…牛込さんが無事で良かったよ…

 

 

「お、おい兄ちゃん!?別に泣かなくてもいいだろ!?」

 

「有咲~サプライズ大成功だね!嬉し泣き嬉し泣き♪」

 

「ううん…違うよ…」

 

「兄ちゃん…嬉しくなかったか…?迷惑だったか??」

 

「牛込さんが…無事で良かったんだよぉ!!」

 

「えぇ!?う、うち!?」

 

牛込さんが無事ってわかって安心した。

涙が止まらなかった。

 

 

どういう事だったのかを聞くと

今日は俺の誕生日(本当の誕生日はわからないので市ヶ谷家に引き取られた日を誕生日としている)だったらしく姉ちゃんが俺を驚かせたいということで計画されたみたいだ。

 

牛込さんが行方不明になり、俺と戸山さんで探す。

 

その間に姉ちゃんが部屋の装飾や料理、プレゼントを用意して終わったら戸山さんに連絡してここに集める。

 

 

という計画だったらしい。

 

 

「戸山さん…演技うますぎない…?」

 

「いやぁまんまと騙されましたなぁ~。でも、まさかあそこまで本気で怒鳴られると思ってもなかったからちょっとびっくりしちゃったよ…」

 

「兄ちゃん…香澄に怒鳴ったのか!?」

 

「そーだよ有咲。ゆーちゃんりみりんのこと心配しすぎて大混乱してたよ!なんだか見てて可哀想になっちゃって…」

 

「そんなに私のこと…?まだ1回しかお話した事も無いのに…?」

 

「なんかぁ一目惚れした女を守らない訳にはいかない!!って…」

 

「ひ、一目惚れ!?////」

 

あ、牛込さん顔真っ赤にした。

 

めっちゃ可愛いわ…

 

 

「…ってそういう冗談はやめろ?」

 

「だってー!怖かったんだからね、あの時のゆーちゃん…」

 

「それは…仕方ないじゃん…」

 

「ほーら、一目惚れしてるからだ~」

 

「だから違うっての!!」

 

「兄ちゃんはりみが好きなのか…??」

 

俺と戸山さんの言い合いに、姉ちゃんが入ってくる。

牛込さんは相変わらずあたふたしていてとても可愛い。

 

「い、いや好きじゃないから!?」

 

「じゃあ嫌いなんだ~可哀想りみりん…」

 

「嫌いなわけないじゃん!?」

 

「じゃあやっぱり好きなんだな!?」

 

「姉ちゃんまで……ほら!まだ1回しか話したことないからね!」

 

「じゃあ今度2人っきりでデートして!!りみりんもいいよね??」

 

「えぇ!///ウチなんかと有咲ちゃんのお兄さんが…?///」

 

「香澄!!勝手なこと言うなよ!!皆困ってるだろ!?」

 

「いいのいいの!りみりんはオッケー?」

 

「無理だよ~香澄ちゃん」

 

「じゃあちょうど1週間後ね!!」

 

な、なんか強制的に決められてしまったみたいだ…。

 

周りの人の意見ガン無視…さすがバカすみ…!

 

 

 

 

何はともあれ、この事件が解決して良かった。

 

この後、なぜか姉ちゃんは少し不機嫌だったが俺のバースデーパーティは終わった。

 

 

 

そして戸山さんと牛込さんが帰るとき、

 

「じゃあゆーちゃん。来週はりみりんとのデート頑張ってね!」

 

「え!?本当にするの!?牛込さんも嫌でしょ…?」

 

「私は…その…心配してもらったみたいで、すごくすごく嬉しかったし…今日はめっちゃ迷惑かけちゃったからそのお返しがしたいです…///」

 

「と、いうことでけってー!!じゃあ2人ともまた明日ねぇ!!」

 

 

俺の返答を待たずに戸山さんと牛込さんは帰っていった。

 

 

俺も自室に戻ろうとすると、姉ちゃんが

 

「なぁ…本当にりみのこと好きなのか?」

 

疑問を投げかけてくる。

 

 

やめてくれ、そんなこと聞かないでくれ。

俺がこの世で1番好きなのは姉ちゃん…姉ちゃんなんだよ!?

 

でも、そんなこと言えるはずもない…

 

こんな気持ち…存在してはいけないから。

 

 

もしかしたら…今回の牛込さんの件は、姉ちゃん離れするいい機会なのかもしれない…

 

 

 

 

俺は

 

「まだ…わからない」

 

 

これ以外に…回答の選択肢がなかった気がするんだ。

 

 

 

 

 



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