プーサー日記D×D (黒装束の人@活動休止中)
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0章 原作前
01


無かったので、
「無い? 無いなら作ればいいじゃない!」
という勢いで作ってしまいました。


○月凸日

 不思議なことが起こった。

 寝て起きたら森の中だった。ファッ。

 季節は寝るまでは冬だったはずだけど、なぜかこの時は真夏のように暑かった。

 そうか、俺は夢遊病だったのか。……な訳あるか。完全に国超えてんだろ。

 あと、なんかどうも動きにくいと思ったら鎧を着ていた。おいおい物騒だなぁ。

 青い布地が特徴的な、曲線の多い鎧だった。首元には、厨二的な模様が書かれていた。正直ツッコミどころ満載だった。腰にはなんか青と金の鞘に入った剣もあった。銃刀法違反待った無しである。でも、なぜか鞘から抜けなかった。錆びてるのか。手入れを怠ったのか。

 なんとかならんのかね、この格好──なんて思ってたら青い裏地の白いスーツに格好が変わって、剣も消えた。どうなってんだこれ。まさか魔法使いになったのか俺? まだ30歳じゃないぞ……、でも童貞だしなぁ……。

 とりあえず森から出なきゃ何も始まらないから、少し歩いたら森から住宅街に出て、さらに先に歩いてたら公園に出た。

 なんかもう色々疲れたから、ここで寝よう。いい感じのベンチがあった。

 

 あ、そういえば街中で見たんだけど、ここはどうやら日本の駒王町という所らしい。国は超えてなかった。

 おやすみ。

 

 

 

○月☆日

 起きたら全身が痛かった。そりゃそうだ。

 あと、公園の水道で顔を洗ってたら視界に入ったから見てみたら、髪が金髪になっていた。黒髪だったはずなんだが。

 まさか、これは転生とかいうやつか。地獄巡った記憶とかはないんだが。閻魔大王も見た記憶はないし。

 そういえば、財布を持ってなかった。食料もない。住む所も無い。完全に無一文だ。ホームレスだ。どうしよう?

 居候になるしかない。そう思ってダメ元で頼み込んでいたら、受け入れてくれる家は割とあっさり見つかった。

 兵藤夫妻の家にしばらく居候することになった。住む所もお金も無いからしばらく家において欲しい、という主旨の説明をしたらOKの返事をもらった。

 いい人達だと思う。

 なんと、兵藤夫妻には子供がいた。一誠という名前だ。今は高校1年生らしい。

 一誠君が学校から帰ってきたときは、すごく驚いていた。見知らぬ金髪の男がいたのだから当たり前だ。

 ご飯までご馳走になった。俺がやりますと言ったんだけど、断られた。奥さんの豚カツはとても美味しかった。ちょっと涙が出た。

 お風呂も貸してもらった。

 1日ぶりのお風呂は気持ち良かった。

 どうやら神はここにいたらしい。兵藤夫妻は神だったのか。

 とりあえず今日はもう寝ることにする。ああ、布団が心地良い……。

 

 

 

○月〒日

 もう1つ、死活問題が発覚した。

 替えの服がない。白スーツ1着のみである。

 その事をお父さんに言ったら、近所のデパートに連れて行ってくれた。まさに至れり尽くせりだ。ありがたい。

 適当にパーカーを選ぼうとすると、「せっかくイケメンなんだから、どうせならもっといいものを着なさい」と言って2万くらいの白いGパンを勧めてきたが、さすがに遠慮させてもらって7000円くらいのGパンと青系のパーカー、あと適当にTシャツを数着買ってもらった。もうほんと申し訳ない。兵藤夫妻がいい人すぎて泣けてくる。

 帰り際に、デパートの近くで美人さんから変なチラシを貰った。

 なんでも、「あなたの願いを叶えます」だそうだ。おいおい、冗談言っちゃいけねぇよお嬢さん。

 

 

 

○月E日

 服を手に入れてから10日経って、お金のアテができた。

 就職がきまったのだ。

 戸籍だとかはなんか勝手に用意されていたっぽい。謎の存在X(笑)に感謝だな。

 就職先は近所の喫茶店だ。ちょうど店員を募集していた所に、頼み込んだ。そしたら即答でOKの返事をもらった。イケメンフェイスってすごいな。

 とりあえず、明日からすぐ仕事らしいから、今日はもう寝ることにする。

 

 

 

○月<日

 今日は初仕事だった。

 例のスーツで行ったら、その服で接客してくれ! と言われた。まじすか。

 客足はぼちぼちといったところだったが、満足げな顔で客は帰っていった。中には電話番号を聞いてくる女性客もいたが、電話は持っていないので丁重に断っておいた。

 店長は「これはリピーター間違いなしだ!」と言っていた。

 まあ、また来てくれるなら嬉しいが。



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02

お気に入り60件登録、ありがとうございます。

Aura様、☆10評価ありがとうございます。

11/5 主人公が鏡を見たタイミングを修正しました。


☆月〆日

 仕事を始めてから約ひと月ほど経った。

 俺の就職した喫茶店は、現在大盛況である。

 まじかおい。ひと月でこんな客入るのか。店長すげぇ。

 どうやら、SNSとか口コミでどんどん噂が広まったらしい。なんでも、駒王町に「王子様系喫茶店がある」だとか。

 王子様……。

 店長。黒髪のどこにでもいるようなおじさん。違う。

 …………俺?

 いや、確かに金髪だけど、さすがに王子様は言い過ぎだろ!──そう思っていた時期が俺にもありました。

 この家に厄介になった当初、風呂上がりにドライヤーをかける際に洗面所の鏡を見たのだ。

 ……王子様系のイケメンが鏡にうつっていた時には、自分の顔ながら驚いてしまった。

 おおう、まじか。という具合に。

 なんか、女子の求める理想の王子様みたいな顔してたんだな、俺。女性客が電話番号聞いてくる意味がわかったよ。

 というか、1人左手の薬指に指輪してる人いたんだけど……、結婚指輪じゃないよね? ファッションだよね⁉︎ 断ったけど‼︎

 けどまあ、お客さんに喜んでもらえるのは素直に嬉しい。自然に笑顔が浮かぶ。

 写真も求められる。まあ、俺自身は全然構わないんだけど、店が繁盛しているせいであまり同じ所に長居は出来ないのが現状だ。

 まあ、それはいいんだけど。

 店長、さすがにポッキーゲームはまずいでしょ⁉︎

 童貞の俺には無理です!

 そういや、今の俺の顔、どっかで見たことある気がするんだよなー……?

 気のせい?

 

 

 

☆月¥日

 可愛らしいお客さんが来店した。

 長い黒髪の、小さな女の子だった。

 親が同伴しているわけでは無かったようなので、少し心配だったけど、案外しっかりした子だった。

 何才? と聞くと、「覚えてない」と言った。

 驚いた。7〜8歳くらいの女の子が、年齢がわからないと答えた。もしや致命的なまでに算数ができないのか、と思ったが、流石にないだろうと思い直した。

 ……もしや、虐待だろうか。

 お父さんとお母さんはどうしたの? と聞くと、「いない」と。

 どうやら親がいないらしい。出て行ったのだろうか。こんな小さな子を置いて?酷い親だ。

 苺のショートケーキをあげたら、女の子は、じー、とただ見つめているだけだったので、俺がフォークを持って、食べさせてあげた。あーん、というやつだ。

 しばらく見つめた後に、ぱくり、と食べてくれた。意外と一口が大きかった。

 食べ終わると、「また来る」と言い残して、さっさと出て行ってしまった。350円ちょうどテーブルに置いてあった。

 家のアテはあるのだろうか。心配だ。

 ……ちょっと不思議な子だったが、1番不思議だったのが、彼女の服装だ。

 ゴスロリに乳首をテープで隠しただけの服なんてほとんど服じゃないと思うんだ。

 

 

 

☆月$日

 給料がでた。

 記念すべき初任給である。胸が膨らむヤツだ。おっぱいじゃない。

 初任給ということもあり、総額13万ほどだった。

 繁盛していることだし、来月からはもっと貰えるだろう。

 そうしたら、兵藤家を出ていって、アパートの部屋を借りよう。これ以上兵藤夫妻に迷惑はかけられない。

 ちなみに、初任給でちょっと高めのメロンを買って、兵藤一家のみんなと食べた。

 みんなで食べるメロンは、美味しかった。

 

 

 

☆月€日

 今日は仕事が休みだったけど、特にどこかに出かけることもなかった。

 今日は一日中引きこもっていただけだったし、まあ、特に書くこともないんだけど……。

 そういえば、1ヶ月前にもらったあの変なチラシ。「あなたの願いを叶えます」とか書いてあったあのチラシ。

 もしかしたら本当に叶えてくれるものなのだろうか。

 いやまあ、どこから見てもオカルトサークルとかなんかのちょっとした謳い文句みたいなものってのはわかってんだけどさ。

 特に住所だとか、セミナーとかの開催日だとかが書かれているわけでもなく、ただ魔法陣と願いを叶えるって書いてあるだけなんだよね。

 俺の体だって、一瞬で服が変わる不思議仕様なわけだし、そういう魔法的なものがあるのかなー、と思ったわけだ。

 ……使ってみようかな。特に願いとかあるわけじゃないけど。



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03

少々遅れました。
仕事が繁忙期なもので……

それはそうと、3話投稿時点でUA数6,896、お気に入り登録数260件突破ありがとうございます。感謝の極みです。

なんか評価バーが黄色になってました。


#月×日

 先日、3回目の給料日を迎えた。

 ということで、俺。

 実は、引っ越ししました。

 当初の予定より、実に1ヶ月も長く滞在してしまった。

 引っ越した場所は、兵藤夫妻宅からちょっと離れた所にある比較的安かったアパートだ。

 職場からは少しばかり遠くなってしまったけど、それも誤差の範囲。

 部屋は、リサイクルショップで買ってきたテーブルと冷蔵庫が置いてあるだけの、質素というか貧乏部屋みたいな中身だけど、これから順次家具は増えていく予定。

 まあ、それはいいんだけど……。

 引っ越してきたから、お隣さんに引っ越しの挨拶をしに行った時の事だ。

 俺はインターホンを押したんだ。

 そうしたら、なんて聞こえてきたと思う?

 

「はーい、ちょっと待ってほしいにょ」

 

 思わず耳を疑ったよ。

 おじさんの裏声のような声が聞こえたと思ったら、語尾に“にょ”とついていたんだ。

 この時に持っていた引っ越し蕎麦を落としそうになった俺は悪くない。

 それだけならまだよかったんだ。いや、よくないけどさ。

 ドアを開けて出てきたのは、魔法少女の衣装を着た筋骨隆々の猫耳漢の娘だったんだ。どこの世紀末覇者だ、というレベルの筋肉(マッスル)だった。

 その後は記憶が曖昧なんだけど、どうやら俺はショックで気絶したらしい。

 ……ちょっと書いてて気分が悪くなってきたので、続きは明日書こうと思う。

 

 

 

#月+日

 昨日の続きを書こうと思う。

 気絶して、目覚めたら見知らぬ部屋だったんだ。

 覚醒しきらない頭で情報整理をしていたら、部屋の外から足音が聞こえてきて、漢の娘系魔法少女が姿を現したんだ。

 何をされるのかと思ったら、謝られた。

 状況を飲み込めないでいると、「ドアを開けた途端倒れたんだにょ」と説明された。

 あー、そうだっけ。この時の頭の中はそんな感じに冷静だった。

 

「ミルたんって言うんだにょ」

 

 ミルたん、名前だろうか。

 この漢の娘系魔法少女の名前がミルたんだなんて、とんでもないパワーワードじゃなかろうか。

 内心戦慄していると、ミルたんは自分について語り始めた。

 

「ミルたんは、魔法少女になりたいんだにょ」

 

「うん、見ればわかるよ」

 

 思わずツッコんでしまった俺は悪くない。

 ミルたんの着ている衣装は、よくアニメとかで見るような体のラインを強調するように肌にピッタリと張り付くタイプの白い衣装。

 ミルたんの世紀末覇王ばりに凄まじい筋肉と、膨張色の白が相まって痩せマッチョの成人男性を2人合成したらこんな感じになるかなー、というくらいにはデカい。身長は2メートルを超えるんじゃないだろうか。とんでもない迫力だ。

 形から入ったらこうなるんだろうな、というのを思い知った瞬間だった。

 そこで相談があるんだにょ、と一拍置いたミルたんは。

 

「ミルたんは魔法を使えるようになりたいんだにょ」

 

「諦めた方がいいんじゃないかな、うん」

 

 言った瞬間ものすっごい顔をしていた。ブルドッグの顔の皮がもっと垂れ下がったらこうなるんじゃないか、というくらいには凄かった。

 というか、ミルたんなら拳圧で風を飛ばすとか普通にやりそうなんだけど。

 

「……実はちょっとした魔法なら使えるんだにょ」

 

 この時正直あまり期待せずに、どんなのだい? と返事をした。

 どうせ風の無い室内で蝋燭の火を消すとかだろう。風の正体は拳圧。

 だとか内心馬鹿にしていたんだけど。

 

「パイプ椅子を鉄球に変える魔法だにょ」

 

 まじかおい、と素で返事をしてしまったことを覚えている。

 あれだろうか。パイプ椅子を拳で丸く圧縮して鉄球にするんだろうか。

 

 この後はよくわからないうちに知りもしない魔法少女ミルキー(ミルたんを生み出した元凶)について語られ、さらにはアニメ全話を見る羽目になった。

 帰ったのは結局深夜になってしまったんだが……魔法少女ミルキーが意外に面白いアニメでちょっと感動してしまった。

 同士じゃないから、ミルたん。だからその衣装を押し付けないでくれるかな。王子様系魔法少女なんてなりたくない。

 

 あと、例の変なチラシの事を思い出したからミルたんに渡してみたら、なにやらすごく葛藤していた。なんでも、他人に叶えてもらった力が自分の力だと言えるのか、悩んでいたらしい。

 真面目な事だ。

 別にいいんじゃないだろうか。どっかの魔法少女もフェレットから力をもらったようなもんだし。実際どうかは知らないけど。

 そう言ったら、どこか吹っ切れたような笑顔を浮かべて「ありがとうだにょ」と言っていた。

 乙女(・・)の笑顔はいい。漢女だけど。

 

 

 

#月÷日

 やっぱり猫は好きだ。犬派か猫派、どっち? と聞かれれば、間違いなく猫派だ。食費も犬と比べれば、体が小さい分安いし、鳴き声もそこまで大きくない。わりと飼いやすいのではないだろうか。

 こう思ったはずだ。突然どうした、と。

 というのも、今日はなにやら出勤途中に黒猫を見つけた。

 俺を見た途端逃げ出してしまったが。

 あそこまで露骨に嫌がられると、ちょっとくるものがある。

 餌付けとかしてみたかったんだけどな。またのチャンスに期待だ。




ミルたん回でした。アニメでのあの衝撃は凄かったですね。

ちなみに作者は猫派です。にゃん(=^x^=)


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04

気分次第で執筆するので、今回のように遅れることもままあります。

戦闘描写って難しい。

主人公がFateを見た時期を10年近く前から3年近く前に修正しました。
確かに10年前は思い出せないわな。
皆様の感想に感謝です。

'19/02/17 間違い探し程度の修正をしました。


%月A日

 やっと思い出した。

 なにがって、ほら。この体のことだよ。

 いつ鏡を見てもどっかで見たようなー、程度の既視感はあったけど、全く思い出せなかったこの顔。

 

 Fateのプロトアーサーじゃねえか。

 

 これはもうロールプレイをするしかあるまいよ。

 王子様顔だとは思っていたけど、王子様どころかまじモンの王様じゃねえか。

 いやあ、Fateでプロトアーサー見たのが3年近く前だから全く思い出せなかった。

 つーことはここ、Fateの世界か? いや、でもFateでは駒王町じゃなくて冬木市だったはずだし、違うのか? 地域が違う?

 わからん。

 

 そういえば、最初に持ってたあの剣。

 俺がアーサーだから、あれはエクスカリバーってことだよな。

 どーすんだよ、あれ。カリバることあるの?

 完全に宝の持ち腐れじゃねえか。

 

 

 

%月B日

 職場にテレビの取材が来た。

 まじかおい。

 なんでも、「ネットで話題の王子様系カフェに突撃」だとか。目的俺かよ。

 当然、給仕をやらされた。

 パンケーキを出すとのことだったので持って行ったら、店長が「一口だけ食べさせてくれますよ」だなんて言い出した。おい、普段そんなことしてないだろ。パンケーキも無駄に凝ってるし。取材来るからってやる気出すなよ。ほら、リポーターの人めっちゃ目輝かせちゃってるし。

 とりあえず、やらないわけにはいかないので、定番のあーんをした。

 リポーターが恍惚の表情をしてた。もう驚かない。

 ともあれ、パンケーキは美味しかったらしい。よかった。

 

 

 

%月E日

 今日はミルたんに半強制的に連れ出された。

 なんでも、近所のデパートで魔法少女ミルキーのショーがあるらしい。だから言っているじゃないか。俺は同士じゃないんだ。

 会場についたら、周りは小さい子供と付き添いの親御さんしかいなかった。そりゃそうだ。

 小さい子供たちに混じって大声を上げるミルたんはそれはもう注目を集めていた。中には泣き出す子もいたほどだ。

 この時俺は、必死で他人のフリをしていた。

 正直、もう来たくないと思った。

 

 

 

%月I日

 久しぶりにあの黒猫を見かけた。

 声をかけたら、すごい速さで逃げられた。ぐすん。

 あそこまで嫌わなくてもいいんじゃないかと思うんだ。

 ……明日から鯖缶を常備しようかな。それともマタタビがいいかな?

 

 

 

%月J日

 仕事帰りにコンビニで鯖缶と牛乳を買ってきた。

 鯖缶、食べてくれるといいなぁ。逃げないことが前提だけど。

 あと、牛乳は猫にはあげないほうがいいらしい。お腹を壊したり、老猫なんかは心臓に負担をかけてしまうこともあるんだとか。そうなのか。初めて知った。猫には猫の乳ということか。

 

 

 

%月K日

 化け物がいた。

 なんか、デカい蟷螂とか百足やらを足した胴体に、頭の方から男が生えたような、形容し難いもの。

 なんか変な感じがして、気になったからそこに行ってみたらそいつがいた。

 正真正銘の化け物。

 どうやらあいつは俺を食べ物としか思っていないらしく、俺を見た途端に口でもないところに大口を開けて飛び込んできた。

 正直身体の構造どうなってんだ、と突っ込みたかったけど、全然それどころじゃなかった。

 見掛けに反して、とても素早い動きだったんだ。

 それに加えて蟷螂の鎌まで使ってくるもんだから、最初のうちは避けるのに必死だった。

 そこで思い出したんだ。

 

 俺、プーサーじゃん。

 

 俺は最初のあの鎧を身に纏った。念じれば出てくることは、初日から分かっていた。

 現状他に武器なんて無いので、エクスカリバーを構えた。オーバーキルな気が若干しないでもなかった。

 すると、思った以上に身体が軽かった。サポートみたいな何かが働いているのか、勝手に身体が動き出すような感覚があった。

 そこからは早かった。

 向かってくる鎌を受け流し、あっという間に斬り伏せてしまった。

 こんな簡単にいくものなのか。英霊スペックってすげぇ。

 ……あんなのがこの世界にはいるのか。

 初めての戦闘で疲労困憊で、帰ってシャワーを浴びて布団に入ったらあっという間に寝てしまった。



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05

随分久しぶりな投稿になります。

この作品を待ってくれている方は果たしているのでしょうか。

私は何も書けなくなる時期が多々来るのですが、それにぶち当たりました。
何はともあれ、今後は投稿を再開する予定です。
方向性も決まりましたし。

'19/02/18 ツナ缶を猫缶に変更。でも彼女根っからの猫ってわけじゃあないんですよね。むしろ妖怪ですし。判断に困ります。


◇月C日

 そういえば、ここ3ヶ月程めっきりあの黒猫を見なくなった。

 もう冬だし、どこか寝床とかにこもっているんだろうか。もしくは飼い主の家にいるのかな? 首輪はつけてなかったから、多分それは無いんじゃないかと思うけどね。

 もし飼い主がいないのであれば、俺が引き取って飼いたい。

 猫は好きだ。小さくて愛らしい体躯に、鳴き声もたまらない。笑。

 ……まあ、飼うにはまず慣れてもらわなきゃならん訳だけども。

 あと、最近何かおかしい。

 何がおかしいって、夜コンビニの方向に歩いていると、急に気分が変わって、結局引き返してしまうなんて事を度々やってしまうようになった。

 ここ最近ずっとだ。

 ああ、お菓子が食べたい。

 

 

 

◇月E日

 今日もまたコンビニに行けなかった。

 最近はどこかコンビニに行くのにやけになっているような気がする。

 まあ、当然のごとく行けなかったので、特に書くこともない。

 おれは寝るぞ! ジョジョ──ッ‼︎

 

 

 

◇月K日

 起きたらなんと雪が積もっていた。

 もう子供みたいに雪ではしゃぐ年でもないが、こういう変化は好ましく思う。

 こんな日はこたつでダラダラしていたいと思うのだが、そうも言っていられない。

 出勤時間が迫っているのである。

 冬になって客足が遠のいているとはいえ、休むわけにもいかない。通常営業だ。

 

 仕事が終わってコンビニに寄り道をした。

 そしたらなんと普通にコンビニに行けたのである。やったね。

 まあ、買ったのは缶詰や飲み物、あとはお菓子くらいなものだけれど。

 

 そんなこんなでコンビニから出てくると、あの黒猫が歩いてくるのが見えた。

 冷たそうに、ひょこひょこと歩いていた。

 どうやらこっちに気づいた様子で、こちらを見るとギョッとして逃げようとしたので、缶詰を差し出してみた。

 すると黒猫はしばらく考えるようにこちらを観察した後、警戒した様子で近づいてきた。

 喜べ、猫缶だぞ。ちゃんと猫用だ。

 そうすると黒猫はやや瞠目した後、あまり警戒する様子も見せずに、缶詰を食べてくれた。

 正直に嬉しかった。

 見れば黒猫は前見た時よりもやや痩せた様子で、お腹も凹んでいた。

 ここ何日もろくに食べ物を口にしていなかったのだろう。凄い勢いで缶の中身が減っていった。

 美味いか、と聞くと。

 返事は無く、ただ缶の中身に齧り付く音だけが聞こえた。

 食べ終わると、にゃあ、と鳴いてすり寄ってきた。撫でても、逃げなかった。

 

 そのあとは暇つぶしに話しかけてみたりもしたけど、当然帰ってくるのは、にゃあ、という鳴き声だけ。当たり前だ。

 しばらく撫でていたら、突然走り去っていった。

 また、来てくれるかな?

 来てくれたら嬉しい。

 

 

 

◇月L日

 風邪をひいた。

 猫がいたとはいえ、あんな真冬日に外に長時間出てるもんじゃないね。

 とりあえず安静にしてることにする。

 寝る!

 

 

 

◇月M日

 起きたらポストの中に風邪薬らしきものが入ってた。なんかよくわからない粉薬だった。白い粉じゃなかったわ。

 とりあえず、誰だか知らないけど、ありがたく頂くことにする。

 とんでもなく苦かったことは覚えてる。

 

 

◇月N日

 

 風 邪 な お っ た わ

 

 何あの薬。効き目凄すぎるでしょ。

 一体何をどうしたらあんな薬ができるんだろうか。変なものとか入ってないといいけど。

 何はともあれ、感謝だ。

 ありがとう、名も知らぬ人よ。




黒猫回でした。
みんな彼女は好きでしょ?笑


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06

今回は結構強引かもしれません。
でも、ここで入らないといつまでたっても原作に入らないので、ね?

黒歌は至高。


Δ月G日

 起きたら例の黒猫が窓の外にいた。

 ど、どうしてここが分かったし。

 いや、別にいいんだけれども。

 窓を開けたら中に入ってきてくれた。それだけで正直キュン死しそう。テンション朝っぱらからアゲアゲだよ俺。

 ただね、君。

 いつからそこにいたのさ? すっかり身体が冷えきっていた。

 まだ2月だぞおい。

 速攻でストーブつけましたとも。

 しばらくして温まってきたところで、ご飯にすることにした。俺もそろそろ腹が減ってきたからね。

 とりあえず常備してある猫缶をやることにした。カリカリの方が良かったかな?

 で、食べ終わったらすり寄ってきてくれたけど、なぜか走って窓から逃げてしまった。なんで開けられるの君?

 てか超速いんだけど。何あの俊足。

 そしてなんで逃げたの?

 ……臭かった? ウソでしょ、まだ加齢臭出る年齢じゃないんだけども。

 ボディーソープ変えようかな。

 

 

 

Δ月N日

 1週間ぶりに黒猫が来た。

 てかここ最近は割と高頻度で来るんだよね。家を知ったからかな?

 とりあえず今日は趣向を変えてカリカリの方をやることにした。

 なんていうのかな? この硬いものを砕いてる音が癖になるんだよねー。俺だけ?

 にしても結構美味しそうに食べるなぁ。

 どれ、1つだけ食べてみようか。

 

 まずかったわ。やっぱ猫用は猫用だな。

 

 そういや、さっき割と重要なことに気づいたんだ。

 え、何か気になる?

 勿体ぶるなって?

 いいでしょう、教えてしんぜよう。

 

 君、雌だったんだね。

 

 めっちゃ引っ掻かれた。痛い。

 

 

 

Δ月W日

 前回の日記からだいぶ日付が経ったけど、特筆すべきことも無かった。

 黒猫は来てたけどね。

 そういえば、なんか変な人がいた。

 結構と派手な格好をした人だった。あとイケメンだった。

 なんか、人を探してるらしい。犯罪者なんだとか。物騒だな。

 長い黒髪の女性らしい。あと和服を着てることが多いんだそう。

 見た事はないのでそう答えたら、見たら連絡をしてくれと言われて別れた。

 了解した。多分3日くらいは忘れない。

 

 あと、ご丁寧に名乗ってくれた。デュリオなんとかって人だ。難しくて覚えられなかったわ。

 ていうか連絡してって言っておいて連絡先知らんのだけど。あらまあお茶目さん。

 

 

 

 Δ月AB日

 黒猫が前に来た時から頻度が減ってる気がする。

 いやまあ、たまに来てるから事故とかの心配はしてないけどさ。

 それはそうと、いつまでも黒猫呼びだと不便だ。

 何が言いたいかというと、いっそ名前をつけてしまおうぜ! ということだ。

 ただ、俺がネーミングセンスが乏しいのは知ってるので、どうしても安直な名前になってしまうのだ。

 何がいいだろうか。

 ココアとか。ココア成分はどこから来たんだ。

 じゃあ、あんこ。いまいちしっくりこない。

 …………なんかもう、クロでいいかな。食べ物の名前をつけたら可哀想だ。

 

 というわけで黒猫の名前はクロになった。はい、拍手。

 

 

 

ω月B日

 そういえば、最近素振りをしていない。

 唐突にそう思い立った俺は、近所の森の中に入っていったんだ。

 木にでもこの剣(エクスカリバー)を振って、ちょっと前みたいないつか来るかもしれない実戦に備えられればと思ったんだけど……。

 突然、すぐ近くに雷が落ちた。

 凄い音がしたから、かなりビビった。

 森に雷が落ちると火事になりかねないから、様子を見に行ったら、いつぞやの派手なイケメンさんがいたんだよ。

 あともう1人、黒髪の和服美女がいた。とんでもなくエロい。やべぇ。

 近づいたら俺に気づいたのか、風っぽいものを放ってきた。

 うぉい、なんで俺に向けてくる⁉︎ まさかの誤射?

 とか考えていると、黒髪の美女が俺を庇ったらしい。俺の方に吹き飛んで来た。

 血が、背中からドクドクと流れ出ていた。背中がパックリと裂けている。かまいたちみたいなものだったらしい。傷自体はそこまで深くはなく、致命傷じゃないけど、放っておけば命に関わる。

 「よかった」と、それだけ言うと、彼女は意識を失った。途端に姿が変わっていって、見覚えのある黒猫の姿になった。

 えっ、どういうこと?

 どう見ても、これはクロだ。俺に懐いていた、あの黒猫だ。

 …………OK、だいたい整理できた。

 黒猫──クロが実はこの美女で、あのイケメンに追われていて、今に至る。そういうわけだ。

 途端、感じたことの無い激情が俺を支配し、頭では何も考えられなくなった。

 困惑した表情の男が近寄ってきて、怒りに任せて風王鉄槌(ストライク・エア)を放った。

 とっさに男は氷の壁を作り出したが、それを砕いて男に直撃した。

 木に叩きつけられたものの、気絶はしなかったらしい。「なぜ、」と聞いてきた。

 そんなもの、きまっている。彼女が、俺にとって大切な者だから。大切な者を傷つけられて怒らない者がいるものか。

 故に、俺は奴を倒してクロを救うことにした。

 

 ……正直、その先はあまり覚えていない。怒りと、初めての対人間戦だったこともあるんだろう。

 結果として、クロを助けることはできた。今は、傷の応急手当をして布団で寝かせている。傷が深くないことが幸いした。

 クロが起きたら、色々聞かなければならない。

 この世界のこと。あの男のこと。そして、クロの正体。

 

 とりあえず、今はクロを助けられてよかった。心底そう思う。



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07

はい、第7話でございます。

ランキングを見ていたら何やら見覚えのある名前が。
見事にランクインしてました。あと評価バーがスイカバーになってました。と思ったらオレンジに戻ってました。
あと誤字報告がありました。ありがとうございます。

今話は基本的に説明及びイチャイチャ回と思ってください。
黒歌がチョロいです。
あと、主人公が話している時は一人称が「僕」で話している設定です。ロールプレイの様な何かだと思ってくださいね。


ω月C日

 クロが目を覚ました。

 生きててくれて良かった。いや本当に。

 素人の応急処置でもなんとかなるもんだな。あと、大まかな傷はセンジュツでなんとかなるらしい。なんか、知らない単語が出てきたんだが……。

 

 それと、色々とクロに聞いた。

 この世界には、天使や堕天使、悪魔の三竦みから構成される三大勢力をはじめとして、その他神話の神々や妖怪、化け物などが実在してるらしい。あ、前に出てきたやつはそれか。それをいったらクロが驚いてた。

 ちなみにクロは妖怪で、猫又の上位種の猫鞘だと言ってた。猫又に上位種なんていたのか。

 それから神器(セイクリッド・ギア)という、聖書の神が作った人間にしか宿らない道具があって、歴史上の偉人は大体持っていたらしい。神器(セイクリッド・ギア)の中でも特に強いものは、神を殺せる道具──神滅具(ロンギヌス)と呼ばれるのだとか。

 

 それから、クロを殺そうとしてたあの男。デュリオ・ジェズアルドという名前で、教会最強のエクソシストで、2番目に強い神滅具(ロンギヌス)煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)の持ち主だとか。天候を操ることができるって……。チートや! チーターや!

 そしてクロは妖怪から悪魔になった転生悪魔で、主を殺して逃亡したはぐれ悪魔で、教会のエクソシストも何人も手にかけてるから悪魔と教会の両勢力からも狙われている、と言っていた。

 だからなんだというのか。

 優しいクロのことだから、おそらく主を殺したのも何か理由があるんだろう。

 クロの言ったことなら俺は信じる。クロは本当は優しいんだって知ってるからね。

 正直にいうと、クロのことがとても心配だ。

 今は良くても、いずれどこかで死んでしまうかもしれない。それが俺には我慢ならない。

 だって、クロがいるのが既に生活の一部になっているから。クロがいなくなるのは、すごく辛い。

 そこで俺は、いっそここに一緒に住まないか? そう提案した。

 それならずっとクロを見ていられるし、そばにいてあげられる。クロはどこか危なっかしいからね。俺は心配性なのだよ。

 するとクロが、「はぐれ悪魔だから、私を狙った悪魔に襲われることになるよ?」と言った。

 そんなの問題にならない。クロは俺が守ると決めた。

 それに俺にはコレがある。約束された勝利の剣(エクスカリバー)。この剣となら、クロに迫るどんな厄災でさえも斬り伏せてみせよう。

 するとエクスカリバーを見たクロが戸惑ってた。

 なんでも、エクスカリバーは既に存在して、古の大戦で折れて7本に分かれてしまったらしい。

 ウッソだろエクスカリバーあんのかよ。

 伝説ガバガバだなおい。

 ……この話は置いておいて、話を戻そう。

 俺はこの時、こう言ったんだ。

 

 クロがいない生活は、俺には考えられない。ずっと俺と一緒にいてくれないか?

 

 するとクロは泣きながら頷いてくれた。

 ずっと一緒だよ、だって。

 ……で、コレを書いていて気づいたんだよ。

 

 あれ、俺これプロポーズしてね⁉︎

 

 やっべどうしよう。

 あと、クロの本名は黒歌と言うらしい。紙一重だったな。

 

 

 

ω月D日

 起きたらクロが横で寝てた。

 ファッ⁉︎ ってなったよ。

 やっちまったか俺。と思ったけど違ったみたい。よかった。

 もう俺朝から心臓バックバクよ。

 クロ曰く、「肌と肌をくっつけることで気を循環させて傷の治りを早めていた」のだとか。ああ、そう。それなら構わない。理性が持つかどうかは別としてな!

 だってクロめっちゃエロいんだよ。

 着物をはだけさせて大きなバストの谷間を見せてるのはエロすぎる。それが寝起きなら見れたもんじゃない。

 結論、クロと一緒に住むのは理性との戦いでした、まる。

 

 

 

ω月E日

 クロが傷が粗方治ったと言っていた。日常生活に支障はないらしい。それは良かった。

 まあそれはそれとして、結構重要な問題に直面している。

 クロの替えの服がない。

 買いに行こうと思ったら、どうやら今までの拠点にある程度置いてあるらしい。

 なので取りに行ってきた。簡単な結界を張ってあって、見えないようになってるとか。便利なもんだ。

 んで、取りに行ってきたはいいんだが、下着が荷物の中に見当たらなかった。

 え、下着はつけてない? 着物はそういうもの? へー、そうなんだ。初めて知ったかも。

 

 

 

ω月H日

 昨日は寝ようとしたら同じ布団に潜り込んできた。

 心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却──!

 寝るだけならまだいいんだが、当たってるのだ。

 何がって、大きなメロン(・・・)が。

 このままじゃまじで理性が危ない。

 夫婦ってこういうものでしょ? だって。

 いやたしかにそんなようなこと言ったけども!

 とりあえず、オブラートに包みに包みまくって指摘すると、「……別に、襲ってくれてもいいのよ?」と。

 もう俺はダメかもしれない。

 結局一線は超えなかった。



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08 黒歌の日記帳

今回は黒歌の日記です。
黒歌視点です。


☆月%日

 今日から、日記をつけてみることにした。

 といっても、特に書くことはないんだけどね? 強いて言うなら、気分転換。

 だって昼夜問わずはぐれ悪魔狩りが襲ってくるんだもの。「主人殺し」とか「賞金首」だとか言われて。もう気が滅入っちゃう。それに、可愛くない。ナンセンスだにゃん。

 まあ、来る奴が大体たいした実力もない半端者だからたすかってるんだけどにゃー。

 でも、私を見るたび鼻の下を伸ばすのはやめてほしい。中には私を捕らえた後に犯そうとしてくる変態もいたりするから手に負えない。

 この胸がいけないのか。そんなに大きいのがいいのか。

 話は変わるけど、最近は教会の勢力にも目をつけられた。

 だって悪魔だからって襲いかかってくるんだよ? 迎え撃つしかないでしょ。私だって白音を残してなんて、お姉ちゃん死にたくないよ?

 そういえば、私は今駒王町っていう人間界の町にいるんだけど、どうやらこの町には白音がいるらしい。

 落ち着いたら様子を見にいってあげるのもいいかにゃ?

 

 

 

#月÷日

 今日は愛しの白音ちゃんの通っている学校、駒王学園の中等部に様子を見に行く──予定だったんだけどにゃー。

 朝方に学校に向かって歩いてたら、町の雰囲気に似合わない、金髪の外人さんと出くわした。

 まあ、それだけならよかったんだけどにゃー……。

 その外人さん、とんでもなく強い聖の力を放つ、聖剣っぽいものを持っていたのよね。

 私自身、SSランクのはぐれ悪魔ってこともあって、たまに聖剣を持った教会のやつらに襲われることもあるんだけど、あんなに濃い聖の力を放っている聖剣は初めて見た。

 外人さんがこっちに気づいた段階で、考える前に、ほとんど反射で逃げていた。

 いやー、ひさびさに死ぬかと思った。なんなのあの人。

 聖剣も、おそらく現存しているエクスカリバー6本と失われた1本を束ねたとしても、あれに届くかわからないレベルのもの。

 そして、そんなものを扱えているあの人も相当なやり手なんだろう。

 ……教会勢力にあんな化け物がいるなんて、知らなかった。煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)の使い手が最高戦力って聞いてたけど……、まさか油断させる為の誤情報?

 とりあえず今日は、1日身を潜めてることにした。

 次あんなのに見つかったらひとたまりもない。

 

 

#月*日

 なんか、変な組織から勧誘が来た。

 禍の団(カオス・ブリゲード)とかいう組織なんだけど……。

 「世の中を変えたくはないか?」だって。まあ、なんというかありきたりだにゃー。

 接触してきたのは曹操ってやつ。なんでも、三国志の曹操の子孫らしい。

 それはどうでもいいんだけど、そいつが神滅具(ロンギヌス)黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)持ちだったのにはちょっと肝を冷やしたにゃー。

 使い手はまだ未熟っぽかったけど、曲がりなりにも神器(セイクリッド・ギア)は神殺しの聖槍。悪魔の私にはちょっときつい相手だ。

 なんか他にも魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)とか、アーサー王の子孫とか結構な面子がそろってて、断って易々と逃してくれるような雰囲気じゃなかったので、とりあえず入ることにした。

 まあ、世界を変えるっていうか、白音ちゃんと暮らしたいのはあるけどね?

 それと、どうやら組織のトップはあの無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)のオーフィスだった。

 ……この面子なら、あるいは。

 本当に成し遂げてしまうかもしれない。

 

 

 

%月I日

 禍の団の方も少し落ち着いてきたし、休暇をもらった。しばらくはこの町にいられそうだにゃー。

 それで、何をしにきたかっていうと、白音ちゃんの様子を見にきた。まあ、遠くから眺めるだけだったんだけど。あんな別れ方をした以上、簡単に顔を合わせることができないんだにゃん。

 それで、白音ちゃんなんだけど、元気そうだった。

 よかったにゃん。

 でも、発育不足が目立つかにゃー?

 同年代の子達と比べても小柄だし。

 前見た時からほとんど成長してなかった。

 うにゃー……。大丈夫かな、白音ちゃん。そんなんじゃ、男はできないよ? まあ、小さい体型の子が好きな男もいるけど……。

 お姉ちゃん、そういうのはちょっと認められないかにゃー。

 分けられるなら分けてあげたい。どうしてこうも姉妹で違うのかにゃー? 不思議。

 あと、またあの外人さんに見つかった。

 相変わらずとんでもない聖の力の量だった。

 まあ、逃げてきたんだけどね? なんか、追ってくる様子はなかった。どうしてだろう? 泳がせてるとか?

 そうなったらちょーっと流石の黒歌さんでもきついかにゃー。

 

 

 

%月K日

 今日も一日フリーだったから、白音ちゃんの様子を見てきた。相変わらず遠目からだったけど。

 そういえば、夜に近くが騒がしいと思ったら、どうやらはぐれ悪魔と教会のやつらが戦ってたみたい。

 で、教会の勢力なんだけど、いたのはあの外人さん1人だった。

 結論から言うと、そいつは勝った。

 はじめは避けてばかりだったけど、途中から反撃しはじめて、あっという間に斬り伏せてしまった。

 やっぱり、結構強いんだにゃー。

 あと、私はあまり剣には詳しくないけど、多分あれは鞘に収めたまま振ってたと思う。

 なんで? と思ったら、どうやら封印っぽいのが施されてるみたい。

 うそ、あれよりもっと強くなるの?



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09 黒歌の日記帳

みなさん、コーヒーの準備はいいですか?

よろしければどうぞ。


◇月A日

 最近、はぐれ悪魔狩りの襲撃が増えてきた。

 町中で襲われるから、全く気が抜けないんだにゃー。

 ほんと、困るにゃー。

 

 

 

◇月E日

 ここ数日で襲撃の頻度が増えて、まともにご飯を食べられない日が続いてる。

 ……あー、お腹減ったにゃー。

 禍の団の猿との馬鹿騒ぎが懐かしく感じる。

 ちょっと前には、フェニックス家の坊ちゃんが仕掛けてきたこともあった。

 なんでも、獣耳美少女を眷属に加えて多属性ハーレムを作るんだとか。全くもって訳がわからないにゃー。

 断ったら、当然強引に眷属にしようと襲ってきた訳だけど。

 まあ、あんな質の低い眷属じゃ私には勝てない。おとといきやがれ、だにゃー。

 でも、やっぱり不死ってのは厄介極まりないにゃー。

 正直あれはもう勘弁してほしい。

 

 

 

◇月K日

 今日も一日頑張った。

 ところで、雪が積もった。

 ぅなー……、冷たいのは勘弁してほしいにゃー……。私、寒いのは苦手なんだけど。

 夜になるとまた雪が降りはじめてきたから、近くのコンビニに雪が止むまで、雪宿り? しに行ったんだけど。

 

 やー、まさかあの外人さんに会うとは思わなかったにゃー。

 ここ数ヶ月会わなかったから、完璧に油断してた。

 で、逃げようとしたんだけど、どうにも私と敵対しようとしてるように感じられないのにゃー。

 もしかして、オンとオフの差が激しかったりするのかにゃー?

 まあ、猫缶をくれた時は流石に目を疑ったけどね。

 ……あいつって、教会の戦士とかじゃないのかにゃー? 悪魔に施しを与えるような真似して大丈夫?

 罠かも、と疑いもしたけど……、流石に空腹と食欲には勝てなかったにゃー。

 ひさびさにまともなご飯を食べた気がする。猫缶だけど。

 食べる傍、ちょっと観察してみたけど、教会関連のものとかをつけてる様子はないし、どうにもこいつは教会とは関係ない、ただの一般人っぽい。

 もしかしたら、ただ強力な神器を持ってしまっただけの、ただの人間なのかも。

 

 色々思考してたら、いつのまにか頭を撫でられてた。

 ……下手っぴだにゃー。

 お世辞にも撫でるのが上手いとは言えないけど、……なんていうか、あったかい。

 …………、いつぶりかにゃー、こんな風に誰かに撫でてもらうのって。

 多分、悪魔に転生する前──それこそ、両親が生きてた時以来かも。

 なんか、こういうのっていいかも、とか思ってしまった。

 

 ……キャラじゃないにゃー。こんなの、黒歌さんのキャラじゃない。

 黒歌さんはもっと、クールビューティで、男を誑かす悪いはぐれ悪魔──、そのはずなんだけどにゃー……。

 

 これじゃダメ、そう思ってあいつから離れたけど、ね。

 なんであいつの後をつけちゃったかにゃー。

 あいつがコンビニから帰っていくところを陰から眺めて、なんか寂しくなっちゃって。

 そして、気づかれないように後を追って。

 結局、家までついていって。

 

 ほんと、どうしちゃったのかにゃー、私。

 なんていうの、こういうの。吊り橋効果?

 

 

 

◇月L日

 また、あいつの家に行ってしまった。

 キャラじゃないんだけどにゃー。

 そしたら、あいつ風邪ひいちゃってるのにゃー。情けない。

 まあ、ご飯の恩もあるし、薬でも作ってあげようか。

 この時期って薬草取れないから、薬なんて貴重なんだよー? 

 作った薬をポストに入れて、帰った。

 この黒歌さん謹製の特製風邪薬なんだから、効かなきゃおかしい。

 風邪、治ってるといいにゃー。

 

 

 

◇月N日

 様子を見に行ったら、風邪が治ったみたい。よかった。

 ……なんで、私はこんなに安心してるのかにゃー?

 

 

 

Δ月G日

 最近は禍の団の活動も落ち着いてきたから、また駒王町に来た。

 で、あいつの家の窓から中を覗いてた。

 何やってんのかにゃー、私。白音の様子を見に来たんじゃなかったの?

 案の定あいつが起きてきて、見つかった。

 そして、家に入れてもらって、ご飯を食べさせてもらって。

 何やってんだろうね、私。

 途中で、強い聖の気配を感じて、逃げちゃったけど。

 また、行けるといいにゃー。

 温もりを知った猫は、野良には戻れないんだよ?

 

 

 

Δ月N日

 今日も行ってきた。

 ご飯はカリカリだった。私的には刺身が食べたい。

 安物だったのはマイナスかな?

 あと、お尻を見られちゃった。雌なんだ、だって。

 そういうの、絶対やっちゃダメだよ?

 思わず引っ掻いちゃった。

 嫌われてないかな?

 

 

 

Δ月Z日

 厄介なのに目をつけられた。

 デュリオ・ジェズアルド。

 神滅具、煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)の使い手にして、教会の最高戦力。

 この町に来ているらしい。

 しばらく、身を潜めるしか──。

 

 

 

ω月C日

 デュリオ・ジェズアルドと接触して、私は倒れた。相手が悪かった。

 戦ってる途中であいつが来た時は、動揺した。

 そして、デュリオはあいつを私の仲間かと思ったのか、攻撃を放った。

 一般人だとすぐに気づいたみたいだけど、遅かった。

 あいつが死んじゃったらどうしよう、なんて考えて、酷く動揺して、気づいたら体が動いてた。

 とっさに盾になって、あいつを守って。

 ……でも、守ったつもりが守られてたなんてにゃー。

 あいつが私を連れてデュリオを撒いた、って聞いた時は耳を疑った。

 その後は、色々説明した。三大勢力のこと、デュリオ・ジェズアルドのこと、そして──私のこと。

 嫌われた、と思ったけど、全然そんなことはなかった。むしろ、私を歓迎してくれた。

 それが、とても嬉しくて、でも巻き込みたくない、って駄々こねるような真似して。

 結局、押し負けた。そして、なんかプロポーズみたいなことをされた。

 まー、そんなつもりじゃないってのはわかってるつもりだけどね? でも、すごく嬉しかった。

 この人となら、一緒になっても構わないって、思っちゃった。

 

 でも、あいつは、エクスカリバーを持ってた。

 現存するどのエクスカリバーとも違った、でも、『聖剣』というものを一身に表したような聖剣。でも、鞘から抜けないらしい。封印が施されているんだって。

 たしかに、エクスカリバーは伝説では、湖の乙女に返還されたけど。

 これがエクスカリバーなら、教会の持ってるものはなんだろうにゃー?

 

 まあ、それはさておいて。

 私、今すごく幸せだよ? 生きてるなかで、1番。

 色々、身の回りを整理しなきゃならないけど。

 

 これからよろしくね、アーサー。




そして物語は、原作へ。


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1章 旧校舎のディアボロス
10


1話投稿してからもう1年以上経っていたのでこっそり投下。
今回も例に漏れず短いです。
原作時間軸に入りました。ちょい駆け足気味かも。


β月B日

 

【速報】俺氏、携帯を契約した

 

 いや遅っせーよ。

 もうすぐ1年経つぞおい。

 

 そう思ったそこのアナタ!

 最近の携帯(スマホ)ってバカ高ぇのな。10万とかするのかよ。

 俺みたいな社会人1年目の貧乏人は買うのを躊躇する金額だ。最近は同居人が増えたし尚更。

 まあ、この現代社会で携帯が無いのは正直キツいし、これで仕事の連絡も楽になる。

 え? 今までどうしてたんだって?

 

 自宅まで走ってくるんだよ、あの店長。

 

 アクティブすぎんだろおい。

 

 契約して帰る途中に、兵藤夫妻宅に寄って、携帯を買ったことを言ったら、番号を交換してもらえた。

 連絡手段ができるのは嬉しいね。

 

 そういや、近く一誠君が2年生になるらしい。

 たまに店で一誠君の悪評(のぞき)を聞くけど、無事に進級できたのか。

 今度、進級祝いか何か買ってあげるのもいいかもしれない。

 

 

 

β月C日

 どうやらクロには妹がいるらしい。

 まじか。

 クロの妹とか、どんな感じなんだろうか。

 

 聞いた限りでは、白くて小さい子らしい。名前は白音だとか。

 

 あー、なんか見たことあるような。

 というか、よくウチの店に来るあの子じゃね?

 猫耳ないけど。ちっぱいだけど。

 

 そろそろ高校に上がるくらいの年齢らしい。

 そんなもんか。クロが異常なだけか。

 ナニがとは言わないけども。

 

 

 

<月I日

 今日は、学園の前を通ったら一誠君に会った。

 本当に久しぶりだ。もう春だよ。いや、もうすぐ春も終わるけど。桜ほとんど無いもん。

 一誠君は今2年生になって、後輩もできたらしい。でも、関わりはほとんど無いんだとか。大丈夫か。覗きは頻繁にやっているらしいが。

 それから、友人と一緒だったみたいで、紹介してくれた。

 松田君と元浜君というらしい。

 

 ドーモ、マツダ=サン、モトハマ=サン。

 アーサーです。

 

 ……こんなことは言ってない。やってみたかっただけだ。忍殺語とか絶対キャラに合わない。

 久しぶりにうちで食事でもどうかと兵藤君に誘われたが、断った。

 うちで待ってる人がいる、と言ったら「え゛っ」と凄い声を出してた。どこからそんな声出てるんだ。

 別れた後、後ろから「同棲だとおぉぉぉぉぉぉぉ───⁉︎」とか、「勝ち組人生かよクッソ羨ましい───⁉︎」だとか、めっちゃでかい声で嘆いてた。

 

 ……あ、そっかそういうことか。

 

 なにやら3人の世界に入ってしまったらしいので、その間に退散してきた。

 

 ていうか進級できたのか。とりあえずうちの割引券とか渡せるかな? 店長に相談だな。

 1つ胸につっかえてたのが取れた。自分の子じゃないにせよ、嬉しかった。

 

 

 

<月L日

 今日も今日とてワタクシは仕事であった。

 とりあえず、先日の件で店長に相談したら、割とあっさり割引券が貰えた。ただ、店長が機械オンチであるために超シンプルな手作り感満載系の割引券である。しかも、かなーり余分に多くもらってしまった。何枚あるんだこれ。

 店長曰く、「いやなんか印刷したらめっちゃ出てきた。ばーって」と。部数指定直してください。

 

 もう俺が作ってやろうか。切実に。

 見た目外国人でも中身は機械世代の純日本人だからな、俺。

 

 そういえば、最近は写真投稿アプリに登録して、店のアカウントを作った。

 まあ、更新の担当は俺なんだが。どんどん仕事が増えていくから勘弁してほしいんだが。

 とりあえず、告知のポスターを作って店先に掲示しておいた。

 フォロワーが増えるといいな。沢山の人に見てほしい。

 

 

 

=月C日

 おかずを買いに商店街に行ったら、駅の近くに今年も出てきたよ。

 何がって、あの「願いを叶えます」みたいな謳い文句の書かれたチラシ配ってるお姉さん。

 まだ夏には入っていないとはいえ、あんな薄着でずっと配ってるんだろうか。大変だな。

 近くで偶然、うちによく来る白髪の子と会ったから、挨拶のついでに割引券を渡しておいた。直立する猫の尻尾を見た気がした。かわええ。

 それとなく名前を聞いてみると、塔城子猫というらしい。白音ちゃんじゃなかった。

別れ際、「姉様の匂い……?」とか呟いてた。君の姉様は知らないぞ。




コカビエル戦まで書きたいなーと思う今日この頃。


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11

=月F日

 職場からの帰宅途中にコンビニに寄ったら、バイクが大勢停まってた。

 かっこいいなー、と思って眺めてたら、バイク乗りの1人に声をかけられた。

 なんでも、テレビで見たことがあったらしい。まあ、職場が話題になった直後は結構テレビとか来てたなー、というのをふと思い出した。

 

 話を聞いていると、どうやら彼らは職場の部活仲間らしく、ツーリング部というらしい。

 部活っていうとサッカーとか野球とか、そういうスポーツ系ばかりかと思ってたわー、とか思っていると、他にもカヌー部とかダーツ部もあるらしい。なにそれ楽しそう。

 ちなみに彼らは今遠征の最中らしく、休憩のためにここに寄ったんだとか。しばらく休んだ後は、隣町にとってある宿に向かうらしい。

 

 そういえば、バイクといえば、Zeroのセイバーもバイクに乗ってたなー、とふと思い出した。

 魔力の鎧で強化したり、落石の中をバイクで駆け抜けたり。

 絶対人間業じゃねえ。あ、人間じゃねえや。

 

 騎乗スキルってすげえ、としみじみと思った。

 

 

 

=月I日

 帰ってきたらクロがテーブルの前で正座してた。

 ……え、なにこれ?

 そう思っていると、いつもより低めのトーンで「座って」と言われた。え、なんか怖い。

 言われたとおり素直に座ると、クロがなにやら見覚えのある、怪しさ満点な紙切れをテーブルの上に出して、「これ、なに?」と言ってきた。

 え、なにこの、妻に浮気の証拠を見つかった夫みたいな構図。

 夫婦でもなければそもそも付き合ってすらいないんですが。いや、付き合ってすらいないのに同棲してるってどうなのよ、これ。完全に事案モノじゃんか。

 

 あなたの願いを叶えます、と書かれたあの紙切れについてはまあ、特にやましいこともないんだが……、まあ、素直に駅前で貰った、と言ったら、使ったことあるのか、と。

 いや、ないけど───、と言おうとして、

 

「私じゃ不満なの?」

 

 クロがそう言って、はい? と思わず言ってしまった。

 ちょっとわけがわからない。

 なにやら軽くヒステリーを起こし始めたので誤解を解いて落ち着いてから話を聞くと、俺が他の悪魔を呼び出して、あんなことやこんなことをしてるんじゃないかと思ったらしい。

 ……ていうかそれ、悪魔を呼び出すやつだったのね。

 

 クロから聞いた話では、この紙に書かれている魔法陣は、グレモリーっていうこの町を管理する悪魔の魔法陣であり、文字通り願いを叶えてもらうために悪魔を呼び出す代物なんだとか。で、願いを叶えてもらった後は、願いに見合った対価を払うらしい。

 魂じゃないんだな。どうも、全部が全部そうではないらしいが、最近になって魂の代わりに物品を受け取るケースが増えていて、グレモリーはそう言った方法を取っているんだとか。

 

 まあ、色々説明を受けたわけであるが、最終的には、これは使わないということに落ち着いた。

 クロは冥界では指名手配されているから、悪魔を召喚してうっかり見つかったら厄介なことになるし、何より白音ちゃんがグレモリーの眷属になっていて、会わせる顔がないやら恥ずかしいやら、色々あるらしい。

 俺的には、なんとか仲を取り持ってあげたいけど………、今やってしまうとグレモリーや他の悪魔に知られてまずいことになるんじゃないか、そう思ってしまう。

 何事もやるにしたって、きっかけが必要だ。何かこう、グレモリーの悪魔に近づける機会があれば、なんとかなりそうだとは思うんだけど。

 ああ、もどかしい。

 

 ………嫉妬するクロもかわいいと思った。

 

 

 

=月N日

 うちの店には、あまり外国人は来ない。まあ、立地の関係だろう。

 というのも、今日は珍しく外国人の女の子が来たのだ。初めて見る子だった。綺麗な金髪を二つに分けて頭の左右両端で結った──いわゆるツインテールの子だった。しかも黒のゴスロリ。

 ……ゴスロリって流行ってんの?この辺でゴスロリファッションなんて、乳首テープのあの子ぐらいなもんだと思ってたんだけど。ていうかあの子、よくあの格好で警察に目をつけられないな、と思う。

 

 で、その子なんだけど、すごく流暢な日本語を話してた。目をつむって聞いたら日本人と言われてもわからないぞ、あれ。

 ただ、語尾が「〜ッス」だったのは気になった。

 君はどんな教材で日本語を勉強したんだ。

 

 

 

=月S日

 去年の冬くらいに出くわした化け物───はぐれ悪魔というらしい───だけど、なんかこの町にはちょくちょく現れるらしい。

 というのも、昨日また出てきたー、ていう話なんだけども。

 まあ、このセイバーボディのスペックを確かめる実験台になってもらいましたとも。ヨユーでしたよ。

 やっぱなんか、動きに軽くサポートが入る感覚があるね。

 あれかな。セイバーの残滓とか、そんなの。

 これから先色々あるだろうし、とにかく、早めに自分で動けるようにならないと。

 

 ていうか、はぐれ悪魔ってみんな裸なの?どうにかなんないのかあれ。

 今回出てきたのが女のはぐれ悪魔だったんだけどさ。

 おっきいの(・・・・・)が丸出しなんだよ。

 目に悪いよ。

 …………クロも大概だけどな!




ゴスロリ金髪ツインテール………一体何テルトさんなんや………


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