傷だらけの戦士 (黒死牟)
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第1話 出会

これから頑張って書いていきますのでどうぞよろしくお願いします。
誤字脱字、感想などどんどん頂けたら嬉しいです!


太陽がジリジリと照りつけ、アスファルトから熱気があがる。蝉がけたましく鳴き、夏の到来をしめしている。

 

この俺、大堂悠介は今年の夏から私立浦の星学院に転校する事になっているため、ここ静岡県の沼津にやって来た。

悠介の両親がある事が原因で他界してしまったため、これからの生活のために、沼津にある祖父の家に引っ越してきたのだ。

 

「それにしても暑いな…」悠介はボソリと呟いた。なぜなら電車を乗り継いでここ沼津駅まで来れたのはいいのだが、祖父がまだ迎えに来ておらず、歩いて行くにも祖父の家は遠いので仕方なく待っているのだがかれこれ30分が経過している。日陰で待っているとはいえ、夏場に外で30分も待っていれば、流石にまいってしまう。

 

「じいちゃん遅いな…熱中症になってしまいそうだ」そう言っていると、「悠介!待たせたの!」と聞き覚えのある声が耳に届いた。

「じいちゃん遅せぇよ!」

「すまんすまん、ちょっと自治会の集まりがあってな」

「ったくもう勘弁してくれよ」

「まあまあ、ともかくはやく家に行こう!」

悠介は文句を垂らしながらも、祖父の乗ってきた軽トラに乗り込んだ。

 

「悠介!沼津はどうじゃ?、海と山が綺麗じゃろ」とじいちゃんが話しかけてきた。

「ああ、そうだね」

悠介は素っ気なく言葉を返す。言葉にまるで生気がない。

「父さんと母さんの事は残念だったのぅ、でもこれからはじいちゃんがしっかりお前の面倒を見てやるから心配するな」

そう言った瞬間、

「父さん達の話なんかやめてくれ!」と悠介が怒鳴った。

「あんな事、もう二度と思い出したくないんだ!」

「悠介、じいちゃんが悪かった。確かに無責任だったよな。これからは絶対言わないようにするから。でもいつまでもその事を考えていても前には進めないぞ」

「そんな事、、分かってるよ…」

 

両親と悠介に何があったのか、それはこれから語られることになるだろう

 

 

 

15分程車に揺られていると、沼津の街中にある祖父の家に着いた。

「悠介!さぁ着いたぞ!ここがじいちゃんの家だ」

まるで海の家の様な出で立ちだが、外環はしっかり整備されている。

 

 

「どうじゃ?じいちゃんの家は?これでも若い頃建築家になりたかったんじゃよ。結局なれなかったが、それなりに勉強はしてたからのぅ。この家もじいちゃんが設計したんじゃ」

「ふーん、そうだったんだ」

「お前も明後日から学校なんだからしっかり頑張るんじゃぞ、元女子校に転校なんて夢があるのぅ、早くじいちゃんに彼女の顔を見せておくれ」

「そんなの、興味ない」

そうだ、俺は青春を謳歌するためにここに来たわけじゃない。奴らを、父さん達を殺し、人間を根絶やしにしようとしてる「奴ら」を潰す為に来たんだ。

 

三日後

 

「悠介!早く起きんか!今日から学校じゃろ!」

「わかった、わかったから朝から怒鳴るのは勘弁してくれ」

じいちゃんのけたましい声で俺は起きた。

「朝ご飯はじいちゃんが作っといたから、ちゃんと食べて行くんじゃぞ。それじゃ畑に行ってくるかの」

そう言ってじいちゃんは出て行ってしまった。

 

「はぁ、朝から怒鳴られる俺の身にもなってくれよ…」

ぶつくつ文句を垂らしながらも、俺は顔を洗って歯を磨き、じいちゃんが作ってくれた朝ご飯を食べる事にした。

「ん?じいちゃんって結構料理上手なんだな。まぁばあちゃんが死んでから結構経ってるからな、当たり前か」

悠介の祖母は彼がまだ幼い頃に病気で他界している。

 

じいちゃんが作ってくれた朝ご飯を完食し、新しい学校の制服に着替えた。

「今日から学校かぁ、さぁてどうなるやら」

というのも悠介が今日から通う事になっている浦の星学院は、去年から共学になったばかりなので、男子生徒は悠介しかいないのである。

「あんまり人と話さないようにしよう。どうせ仲良くなったって意味なんかねえんだから。まあ女ばかりだから俺に話しかける奴なんていないだろうな」悠介は元々人と接する事は嫌いではないのだが、両親が死んでからというもの、喋っけのある性格にすっかり影を落としてしまっている。

 

「さーて行きますか 確かバスにのるんだよね」

ここから浦の星学院まではどうやろ直通のバスが出ているらしい。

これは結構通学が楽だな

そんな事を思いバス停で待っていると、誰かがバス停に来たようだ。

 

 

 

今日もまた一日が始まる。

曜「今日も1日頑張りますかー!」

歩きながら背伸びをし、いつものバス停を目指す。

千歌ちゃんと一緒にスクールアイドルを始めてから、本当に毎日が充実している気がする。みんなと一緒に練習して、笑いあえる毎日が楽しくてしょうがない。

そんな事を思いながら歩いているとバス停についた。

曜「あれ?誰かいる?珍しいな」

私が学校に行くために使っているバス停は、朝はいつも私一人だけなのに。誰だろう?

そうするとある事に気がついた。この人が着てる制服は確かうちの高校の男子生徒のものだ。でもなぜだろう?共学になったのは今年からだけど、男子生徒は一人もいなかった筈なのにな。

もしかして転校生とか?

 

曜「ねぇ!あなたってひょっとして…」

言い終わる前にバスが到着したようで、私の声は遮られた。

 

バスの扉が開くと、その人はそそくさと乗って行ってしまった。

私もその後をおってバスに乗り込んだ。その人はバスの前の方の座席に座っていた。私はいつも一番後ろの座席に座っているので、そっちに行くことにした。

私はなぜか彼に目を惹かれていた。確かに顔はかっこいいがそういう事じゃない、何かとても寂しそうで、怖い目をしていた。

 

そんな事を思いぼーっと彼を見ていると、千歌ちゃん達がバスに乗ってきた。

千「曜ちゃん!おっはよー!」

梨「おはよう、曜ちゃん」

曜「千歌ちゃん、梨子ちゃんおはヨーソロー!」

いつもの様にあいさつをかわした。

 

千「今日も練習頑張ろうねー!」

曜「そうだね!ラブライブもある事だし、気合い入れなきゃね!」

梨「私も作曲がんばんなきゃ!」

3年生も加わって9人になったAqours、大会も近づいて皆も気合が入っているみたいだ。皆で力を合わせればなんだってできる!私達はそう信じていた。

そこうこうしていると、学校に着いたようだ

 

俺はバスから下りると唖然とした

なぜなら見渡す限り女子しかいない、まあ当然だわな

皆俺を珍しい目で見ていた。視線が痛かったので、俺は学校の職員室へと急いだ。

 

職員室に着き、扉を開ける

悠「失礼します、今日から転入する事になっている大堂悠介です」

そう言うと、職員室の奥の方から声がした

?「大堂くん、おはようございます。こちらに来てくれますか?」

悠介が呼ばれた方向に行ってみると、ジャージ姿の先生が立っていた

石「初めまして大堂悠介くん、私はあなたの担任の石川由美といいます。男子1人で心細いかもしれないけど、一緒に頑張って行きましょうね」

悠「よろしくお願いします」

石「あら?元気がないわね?まあ無理もないか、でもうちのクラスはとても明るいからすぐ馴染めると思うわよ!」

悠「はぁ…」

悠介は言葉が詰まった。ここに来た時から誰とも仲良くならないと決めていたからだ。それに、たとえ仲良くなったとしても俺の本当の姿をみれば、どうせ化け物だの怪物だのいって逃げていくに決まっている。それで傷つくくらいなら、最初から仲良くならなかった方がましだ。自分を守るためにも。

 

石「じゃあ早速教室に行こうか、挨拶考えておいてね」

先生に連れられ、2年生の教室に行く

挨拶なんて…まあ名前だけでいいか、どうせ誰とも話さないんだし

そんな事を思っていると、教室に着いたようだ

 

石「大堂くんは外で待ってて、私が合図したら入って来てね」

そういうと、先生は教室に入っていった。教室から声が聞こえる

石「はい皆おはよー!週末はどうだったー? 今日は皆にお知らせがあります。




今回はここまでです!なるべく早く投稿する事を心がけます。


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第2話 変身

2話目の投稿です!楽しんで読んでいただけると嬉しいです!


石「今日から転校生が来ます、それじゃあ入って来てー」

俺は教室に入っていった、生徒達ががやがや騒いでいる

俺は教壇の前に立ち、自己紹介をした

悠「大堂悠介といいます。よろしくお願いします」

言い終わると同時に、静かになった

あれ?俺変な事言ったか?すると先生が

石「え?それだけ?」

と言われたが、他に言うことも無い。

悠「はい、そうです。自分の席はどこですか?」

石「あ、えっと、後ろの窓側の席ね」

そう言われると悠介は自分の席にいった。

 

 

朝のホームルームが終わり、ぼーっとしていると、俺の周りに人が集まってきた。

「ねえ!どこから来たの?、彼女とかいるの?、前の学校はどんなだった?」

と、質問攻めを受けたが、悠介は1つも答えなかった。

ここに来た時から誰とも仲良くならないと決めている、俺が何も言わなければ皆飽きてどこかに行ってしまうだろうと思っていた

それでも質問を辞めないため、怒鳴ろうとした瞬間

「はーい、席ついてー授業始めるよー」

と、先生の声がした

生徒達は文句を言いながらも、それぞれの席へ帰って行った

 

 

「それでは授業を始めます。大堂くんはまだ教科書を持ってないよね?今日は隣の渡辺さんに見せてもらってね」

まあ教科書見るぐらいならいいかと思い、隣に席をくっつけた

 

 

彼が教室に入って来た瞬間、私は目をみはった

今朝のバス停にいた彼だったからだ

曜「大堂悠介君って言うんだ、なぜあんなに悲しそうな目をしてるんだろう」

席は私の隣だった、休み時間に話しかけようかと思ったけど他のみんながいたのでやっぱりやめといた。

 

 

隣にいる彼に向かって私は少し話しかけた

曜「あの、初めまして!私、渡辺曜っていうんだ!よろしくね!」

悠「大堂悠介です、よろしく」

彼は私の方を見ずに答えた、返事を貰えた事が嬉しかった私は続けて話しかけた

曜「悠介君って家はどこら辺なの?私は沼津に住んでるんだ!それで…」

私が言い終わらないいうちに彼が私の言葉を遮った

悠「ごめん、話しかけないでくれる?」

曜「あ、えっと、その、ごめん…」

彼はそれ以上口を開かなかった

 

 

時間は過ぎ、昼休みになった

悠介が自分の席で弁当を食べていると、誰かが近づいて来た

千「悠介君!初めまして!私、高海千歌っていうんだ!一緒にご飯食べない?」

悠「………」

悠介は何も答えなかった

梨「千歌ちゃん、いきなり言ったら迷惑よ…」

曜「………」

千「あれ?聞こえてないのかな?おーい悠介く…」

悠「うるさい、俺に話しかけるんじゃない!」

千歌の声を悠介が遮った

あまりの迫力に、千歌は言葉を失った、教室じゅうが騒然となっている

千「えっと、その、ごめんなさい…」

悠「わかればいい」

そう言うと、彼は教室を出て行ってしまった

 

 

 

部活の練習前、私がストレッチをしていると千歌ちゃんが話しかけてきた

千「曜ちゃんは悠介君のことどう思う?」

曜「え、どういうこと?」

千「だってあんな悲しそうな目をしてるんだよ?それなのに話しかけるなって、」

千歌ちゃんの言う通りだ

彼はとても悲しそうな目をしている。まるで本当の自分を隠しているかのような…

千「あそうだ!今度じっくり話を聞いてあげよう!ね?曜ちゃんもそれがいいと思うでしょ?」

梨「千歌ちゃん、無理に質問したら大堂君また怒っちゃうよ?」

千「そうだよね〜、でも絶対 勝ってみせる!」

梨「そういう問題じゃないでしょ…はぁ」

そうしていると、屋上の扉が開いて、1年生、3年生が入ってきた

鞠「チャオ〜今日も頑張って行きましょう!」

ダ「ラブライブ優勝目指して頑張りますわよ」

千「そうだね!頑張ろう!ね、曜ちゃん!」

曜「うん…そうだね!」

今はラブライブがあるんだ、気を抜かずにしっかり頑張らなきゃ!

私は心の中でそう強く思うのだった

 

 

 

 

俺は1人、帰り道を歩いていた

今日学校で怒鳴ってしまった。あいつらは何も悪くないのに…

いいんだ、どうせ仲良くなったって俺の本当の姿をみれば、皆俺に近寄らなくなるだろう。仲良くなった後に嫌われるより、最初から話しかけられない方がまだマシだ、これで…よかったんだ…

そう思いながら歩いていると、なぜか目から涙が溢れてきた

あれ?なんで泣いてるだ俺?ひょっとして寂しいのかな…

そんな事を思うが頭を振ってその感情を押し殺した

そんな訳ない、俺の心に優しさはもうない、憎しみの感情しか…

 

突然、悠介の耳に女性の悲鳴が響いてきた

 

「きゃー!誰か助けてー!」

途端に悠介はその方角目掛けて走り出した

そうだ、今は悲しみなんて感じてる暇はない、奴らを殲滅する、

それが今俺のやるべき事だ!

 

200メートルほど走ると、道端に女性が倒れているが目に入った

悠介は急いで駆け寄り、声をかける

悠「おい!大丈夫か!おい!」

女性は気を失っているだけのようだ、悠介は女性を近くのベンチに寝かせた

すると突然、近くの林から何かが走ってくる音が聞こえた、そして悠介の目の前まで来ると不気味な声で吠えた

 

「ガァ…ガガガガガ」

その姿はまるでカマキリの様で、両腕に大きな鎌、口には大きな牙をだし、大きな目をギラつかせて悠介を威嚇する

悠「ついにでたな、俺が相手だ!」

そう言うと悠介は自分の腹に手をかざした

すると腹から「アークル」がでてくる

悠介は手を前に出し、「構え」をとった

悠「お前らにもう人は殺させない!いくぞ!」

そして叫んだ、「変身!」




今回はここまでです!次もよろしくお願いします!
感想などいただけたら嬉しいです!


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第3話 戦闘

遅れて申し訳ないです!頑張って書きますのでよろしくお願いします。ちなみにセリフの前のク、はクウガ、デ、は敵のセリフです。


「変身!」

その声と同時に悠介の体が光に包まれ、みるみる体が変わっていく。

「はあっ!」

悠介が大きく手を振り払うと「変身」は完了した。

赤いボディに大きな複眼、そしてクワガタのような角。

仮面ライダークウガ、マイティフォーム

 

ク「こい、俺が相手だ!」

クウガが声を上げると同時に、カマキリデモスは大きなカマを振り上げながら近づいてくる。

デ「ガァァァァギ」

まるで悪魔の叫び声の様な声を出す。

クウガめがけて大きなカマを振り落とすが軽くかわされ、逆にボディブローのカウンターを喰らった。

それでもひるまず、続けてカマを振り回すがジャンプでかわされ、後ろに回り込まれて頭に蹴りを入れられた。

これは流石に効いたらしく、唸り声を上げながら引き下がった。

デ「ガガガ…」

ク「そろそろ決めてやる」

クウガは1歩後ろに下がり、必殺の構えをとる。

次の瞬間にデモスめがけて走り出した。その足には炎が宿っている。

近づいてくるクウガに対して、デモスは1歩も引かず、受け止める体勢を取った。

クウガはジャンプすると同時に体を反転させて宙返りし、デモスに蹴りを喰らわせる。

ク「おらぁー!」

マイティキックはデモスの胸に命中し、遠くに吹っ飛ばした。

デ「ガァァァ…」

腹にクウガの刻印が浮かび上がり、デモスは苦しそうな声を上げ次の瞬間、大きな破裂音と伴に砕け散った。

クウガはデモスの残骸に近づく。

そこには肉塊の他に、何やら小さな機械が落ちていた。

ク「これは…、やはり奴らの仕業か」

クウガはその機械を足で踏みつけ粉々にした。

ク「ふざけやがって、奴ら、ぜってえ許さねえ!」

クウガが声を荒らげると後ろに立っている女性に気がついた。

女性はワナワナと震えながらクウガを見ていた。

女「あああ…」

この女性はさっき倒れていたは女性だ。

ク「よかった、無事だったんだな、大丈…」

女「怪物!」

クウガが言い終わる前に女性が叫び、その場を逃げ出した。

ク「待て!俺は違うんだ!」

しかし、クウガが何を言っても女性には通じず、結局逃げられてしまった。

ク「俺は違うのに…なぜ俺を怪物呼ばわりするんだ!」

ク「ちきしょー!」

クウガは雄叫びをあげ、その場に拳をついた。

 

 

内浦のある廃工場にて

?男1「ガリマがクウガにやられたみてぇだな」

 

?男2「そうですねぇ、あれを探させてる最中だったのですが、まさかクウガが現れるとはねぇ」

 

?男1「ちっ、情けねぇ、クウガなんぞ俺がすぐに片付けてやる」

 

?男2「まあまあ、今のあなたの力ではクウガには勝てませんよ」

 

?男1「なんだとこらぁ!俺が奴より劣っているとでも?」

 

?男2「そうではなく、今のあなたは弱っているという事で…」

 

?女「その辺にしときな、言い争ってる場合じゃないだろ」

 

?男1「なんだメビオ、随分と偉そうじゃねえか?」

 

メビオ「私が言ってんのは言い争っても解決しないってことだ、グレム、お前もそう思うだろ?

 

グレム「そうですねぇ、まあ喧嘩っぱやいのがガドラの性格ですからねえ」

 

ガドラ「ちっ、くだらねぇ」

 

メビオ「もうじきあの方がこっちに来る、その時までにあれを見つけなければ」

 

グレム「そうですねぇ、あの方が来るまでには…必ず」

 

ガドラ「ちっ、めんどくせぇな」

 

メビオ「それまでにクウガを、いや、そんな事しなくてもあの方が直々に始末するだろうな」

 

グレム「まあそうかもしれませんが、やるに越したことはありません。スパイダーを呼びましょう」

 

ガドラ「そうだな、あの方の手を煩わせる訳にはいかねぇな」

 

メビオ「あたいに任せといて、クウガを始末させる」

 

グレム「任せます」

 

そういうとメビオは去っていった。

 

 

 

 

ある林の中

メビオ「スパイダー、出てこい!」

そういうと林の中から蜘蛛によく似た怪物が姿を表した。

 

スパイダー「シャーァァ」

メビオ「クウガを殺せ、これは命令だ」

スパイダー「シャァァァガ」

 

そういうとスパイダーは林の中へと消えた。




今回はここまでです。敵の幹部が出てきましたね。幹部の名前はクウガの怪人からとってきました!次回もよろしくお願いします。


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第4話 熾烈

今回は少し長めです!楽しんで読んでいただけたら幸いです!


悠介は自宅のリビングでテレビを見ていた、今日じいちゃんは町内会の集まりのため、家には悠介1人だ。

悠「今日倒したデモスは言葉を話さなかった…つまりただの戦闘員だな」

怪物のデモスは2種類が存在していて、言葉を話さない戦闘員のような者と、言葉を話し高い知能を持った者がいる。その中でも高い戦闘力を持った者が幹部という訳だ。戦闘員のデモスは基本幹部の言う通りに行動する。

悠「戦闘員がいるという事は幹部もいるはず…ただ今日倒した奴は何かを探しているようだった、一体何を…」

謎が謎を呼び、頭が混乱するばかりだ。そんな事を思っていると、テレビのニュースの声が耳に届いてきた。

「…さて、続いてのニュースです。今日の午後6時頃、沼津市の内浦で怪物が女性を襲うという事件が発生しました。怪物の正体なども未だわかっておらず、その場に居た女性の証言から明らかになっている事は、その怪物は赤い体に大きな角を持っていたとの事ですが未だ詳しい事はわかっておらず…」

悠「ちっ、なんで、なんでなんだよ…俺はただデモスを倒しただけなのに怪物扱いかよ」

悠介はテレビを消し、自室に戻って寝た。

 

 

次の日 曜の家

私がはいつものように起きて学校に行く準備をして、バス停に行った。

曜「大堂くん…昨日とても悲しそうな顔をしていたけど大丈夫なのかな?」

そんな事を思っているとバスが来たようだ。

 

千「曜ちゃん!おはよー!」

 

梨「おはよう曜ちゃん」

 

曜「二人ともおはよう」

 

千「あれ?曜ちゃんなんか元気ないよ、何かあったの?」

 

梨「そうよ、曜ちゃんらしくないわ」

 

曜「うん、実はね…大堂くんの事が気になって」

 

千「え!曜ちゃんそれってもしかして…恋?きゃー!」

 

梨「千歌ちゃん…今の曜ちゃんの言い方的にそれはないと思うよ…」

 

曜「うん、確かにそういう訳じゃないんだけど、何かとても寂しそうな目をしてるなーって思って」

 

梨「確かにそうね、きっと昔になにかあったんじゃない?」

 

千「よし!今日学校で聞いてみよう!」

 

梨「千歌ちゃん…昨日もそれで大堂くんに怒られたでしょ?」

 

千「そんな事ばっかり言ってられないよ、寂しそうな人がいたら話を聞いてあげる、当然でしょ?」

 

曜「千歌ちゃんの言う通りかもしれないね、今日少しだけ聞いてみようかな」

 

梨「二人とも…でも確かにそれも1つの手かもしれないわね、沢山の人の心を開いて楽しんでもらう、それが私達スクールアイドルの大切な役目だからね!」

 

千「そうだよ!梨子ちゃんの言う通りだよ!それに私は大堂くんにAqoursのマネージャーになってもらいたいって思ってるんだ!」

 

曜「それは結構大変じゃない?何か押し付けるみたいで…」

 

千「そうじゃないよ!私ね、ずっと思ってたんだ、みんなでダンスの練習して歌を歌って評価し合うのもいいと思うんだけど、やっぱり他の人からの意見も聞きながら練習したいなーって!そういうのって大切じゃないかな?」

 

梨「確かに千歌ちゃんの言う通りかもしれないわね、じゃあ私も手伝う!」

 

千「ありがとう梨子ちゃん!曜ちゃんはどう思う?」

 

曜「私もそれはとてもいいと思う、そうだね、そうだよね!それが私達の役目だもんね!よしっ!いっちょ頑張ってやりますか!」

 

千「うん、頑張ろう!」

そうこうしていると学校に着いたようだ。

教室に向かって歩いていると、大堂くんが歩いているのが見えた。

すかさず千歌ちゃんが話しかける。

千「おはよー!大堂くん!今日もいい天気だね!」

悠介はピクリともせず足を止めない。そのまま教室に走って行ってしまった。

千「やっぱり話してくれないか…でも、諦めたらそこで試合終了だっ!」

 

曜「さすが千歌ちゃん、めげないね笑」

 

梨「それが千歌ちゃんだから笑」

 

2年生の教室

千「なんで話してくれないのー?もしかして私の事嫌い?」

悠介は何も答えない。

千「ねー、私はあなたの事が知りたいの。なんでもいいから話してくれない?」

 

悠介「俺は人が信用できない。だからもう話しかけないでくれ。何も話したくないんだ」

3人は悠介の言葉に唖然とした。すると曜が口を開いた。

曜「大堂くん、私達はあなたの事が知りたい。あなたの心の闇をとって明るくしてあげたいんだ。何があなたをそうさせてるの?」

 

悠「お前らなんかに、俺の気持ちがわかってたまるか!」

悠介の言葉に千歌が怒った。

千「なんでそんな言い方するの?確かにあなたにとって私達はただのお節介かもしれないけど、私達はそうは思ってない。大堂くんを1人の人間として、友達として接してみたいなって思っているの!だから、お願い…」

千歌の言葉に悠介は唖然とした。ここまで悠介の事を思い、1人の友達として接したいと言っている人間を見た事が無かったのだ。

悠「お前達、そこまで俺の事を…わかった、俺の全ては、話す事はできないが、少しなら…話してやっても、いい…かな」

千「本当?ありがとう!よかったね!曜ちゃん!」

 

曜「ありがとう、千歌ちゃん!大堂くん、これからよろしくね!」

 

悠「ああ、こちらこそよろしくな」

 

曜「1つお願い、いいかな?名前で呼んでもいい?」

 

悠「ああ、別に構わない」

 

曜「本当に?ありがとう!あ、私の事も曜でいいからね?」

 

千「私も千歌でいいよ!梨子ちゃんは?」

 

梨「あ、うん、私の事も梨子でいいよ…(何か恥ずかしいな…)」

 

悠「ああ、わかった」

それから私達は色々な事を話した。お互いの事や、スクールアイドルの事、他のメンバーの事を。

悠「へえ、お前達、あのラブライブを目指してるなんて凄いな」

 

千「でしょ?そこで悠介君にお願いがあるんだ!」

 

悠「なんだ?」

 

曜「私達のマネージャーをやってほしいの!」

悠介は言葉に詰まった、俺にそんな重大な事が務まるのか?迷惑になってしまうんじゃないか?

悠「すまん、少し、考えさせてくれ」

 

千「うん、いつか答えを聞かせてね」

 

悠「ああ、わかった。ちゃんと答えを出す」

 

そうして学校が終わり、俺達は4人でバス停まで歩いていた。その間、曜達のたわいもない話を聞いていたがなぜか楽しいと思う自分がいた。

俺は今、楽しいのか?でも、確かに曜達と話していると気が楽になる。

 

そんな事を思っていた瞬間、それは現れた。

林の中から飛び出した、それは蜘蛛のような出で立ちの怪物だった。

スパイダー「クウガミツケタタオスメビオサマカラノメイレイ」

 

千「きゃぁぁぁ!」

曜「怪物…」

梨「これは、一体…」

 

悠「くっ、こんな時に!」




今回はここまでです!次回はいよいよ3人の前での変身です!
お楽しみに!


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第5話 傷害

こんにちは!今回の話はとても重要な内容となります!
感想、評価などいたたければ幸いです!

前回のあらすじ
悠介と仲良くなりたいという千歌、曜、梨子の3人。それが上手くいっていた矢先、怪物が現れる。果たして4人の運命は?


スパイダー「クウガタオスメビオサマノメイレイ」

 

曜「怪物…怖い…」

 

梨「一体なんなの…」

 

千「いや、こっちに来ないで…」

3人は恐怖に震えていた

悠「こいつらを守らなければ、しかし…」

3人の前で変身すれば、間違いなく怖がらせてしまう…

悠介の心に過去のトラウマが蘇る

 

 

1年前

友達と遊んでいた最中に怪物が現れ、目の前に立ちはだかる。

悠介はクウガに変身し、怪物を倒す。

もう大丈夫だ、そう話しかけたが…

あなたも怪物だったの?いや、こっちに来ないで!

待ってくれ!俺は違うんだ!

他の人には言わないから、もう私に近づかないで!

そういうと友達は走って逃げて行ってしまった。

なぜ、なぜなんだ…俺はただ…

 

 

スパイダー「シャァァァガァ」

悠「ここは逃げるのが先決か!3人とも!逃げるぞ!」

 

曜「だめ、足がすくんで…」

 

千「これじゃ走れないよ…」

 

梨「どうしよう…」

そういうと3人とも地面に座り込んでしまった

 

悠「くっ、仕方ない、奴の狙いは俺だ!こっちに来い!」

悠介は敵を引きつけるために走ったが、次の瞬間スパイダーが口から糸を吐き、悠介の体を縛りつけた

悠「ちきしょう、これじゃ走れない…」

スパイダーは悠介に近づき、トドメを刺そうとする

悠「ダメだ、やっぱり戦うしかないのか…」

悠介は覚悟を決める

悠「3人とも、ごめんな、俺のためにこんな事に…だが、絶対守ってみせる!」

 

曜「え、どういう事?」

 

千「駄目だよ悠介くん!殺されちゃうよ!」

 

梨「そうよ!悠介君だけでも逃げて!」

3人の言葉が胸に響く

 

悠「俺は大丈夫だ、だから見ててくれ!俺の、変身!」

悠介は巻き付けられた蜘蛛の糸を気合いで引きちぎった

そして腹に手をかざし、アークルを出現させる。

変身の構えをとり、叫ぶ

悠「変身!」

悠介の体が光に包まれ変わっていく

仮面ライダークウガ マイティフォーム

曜「そんな、悠介君が…」

 

千「これって…」

 

梨「そ、そんな…」

3人は変身した悠介の姿をみて驚きを隠せない

ク「さあ来い、俺が相手だ!」

 

ス「クウガタオス」

スパイダーは再びクウガを拘束しようと糸を吐く

クウガはそれを体を捻らせて避けるが、腕に巻き付けられてしまった

ク「くっ、しつこい糸だな…」

スパイダーは手に持った糸を振り回し、クウガを地面に叩きつける

クウガは激痛の声を上げる

ク「うがぁ!」

スパイダーは手から鉤爪を伸ばし、クウガを引き裂こうと糸を引っ張り自分の方へと引き寄せる

クウガは何とか逃れようとするが、スパイダーの力に屈してしまいじりじりと引き付けられる

ス「コイクウガ、オマエヲヒキサイテヤル」

 

ク「このままじゃ、やられる!」

その時、スパイダーに石が投げつけられた

曜「化物!こっちよ!」

曜がスパイダーに石を投げつけ、気を引いたのだった

スパイダーはその行動に激昴する

ス「ナマイキナニンゲンメ、メニモノミセテヤル」

そういうとスパイダーは曜に向かって糸を吐いた

千&梨「曜ちゃん危ない!」

曜は覚悟を決め、ギュッと目をつぶる

糸が曜に巻つこうとした瞬間、クウガが盾となり曜を守った

ク「こいつらに手は出させねえ!行くぞ!」

次の瞬間、クウガは巻き付けられた糸を気合いで引き裂き、大きなジャンプしてスパイダーの顔面にパンチを喰らわせる

ス「ガァァァァ!」

スパイダーは顔を抑えて引き下がった

その一瞬の隙を見逃さず、クウガは必殺の構えをとる

これで終わりだ!

スパイダーめがけて走り出す、その足には炎が宿る

そのまま大きくジャンプし、宙返りからキックを繰り出す

ク「くらえ!」

マイティキックはスパイダーの胸に命中し、後方大きく吹っ飛ばした

ス「シァァ…」

スパイダーは苦しそうな声を上げ、大きな破裂音と伴に砕け散った

ク「はぁ、はぁ、なんとか…勝てた…」

かなりの強敵だったな、少しやばかった

悠介は変身を解き、後ろで座り込んでいる3人に近づいた

悠「おい、怪我はないか?」

優しく手を差し伸べるが、3人はその手をとることは無く後ろに引き下がった、顔は恐怖に怯えている

その顔は悠介の心を壊すには充分だった

悠「はっ、はははっ、そう…だよな…それが普通の反応だよな…そうだ!俺は醜い怪物だ!こいつらと同じような…もう二度と俺に近づきたくはないだろ?やっぱり俺と友達になんかなれないだろ?俺なんか…俺なんか…くっ!」

その瞬間、悠介は3人に背を向けて走り出した

俺は醜い怪物だ…もうあいつらに近づかない方がいいよな

悠介は一心不乱に走り続け、気づいた時には自宅についていた

 

曜「悠介君が、まさかそうだったなんて…」

 

千「確かにさっきの悠介君、とても怖かった…」

 

梨「なんでなんだろう…なんで悠介君が…」

 

曜「なんでかはわからない…でも悠介君、とても悲しそうな顔をしていた…」

せっかく友達になれそうだったのに、なんかとっても…悲しいな…

私達は今日の所は家に帰ろうという事になった

明日の学校で詳しい事を悠介君に聞こうと思っていた、でもそれはとても怖い事に足を踏み入れているような気がする…でも、きっと、大丈夫だよね、きっと…

 

次の日

私達3人はいつものように学校に行き、昨日の事を話していた

曜「悠介君のあの姿、確かこの間ニュースで言ってた怪物にそっくりだった」

 

千「でも悠介君は私達の事を守ってくれたよね?」

 

曜「うん、確かに見た目は怖かったけど、彼の目からは本物の正義の心が見て取れた気がした」

 

梨「そう思うんだったら1度話を聞いてあげたら?もしかしたら悠介君、それが原因で心が暗くなってしまったんじゃないかな?」

 

千「梨子ちゃんの言う通りだよ!困っている人が居たら話を聞いてあげる、当然だよね!ね!曜ちゃん!」

 

曜「でも、悠介君話してくれるかな…」

そうこうしていると悠介が教室に入ってきた

悠介は3人の顔を見るなり目を背け、自分の席に座り顔を伏せてしまった

曜「(やっぱり昨日の事を気にしてるよね…話しかけていいのかな…)」

私がそう考えていると

千「悠介くん!おはよー!今日もいい天気だね!」

 

悠「……」

悠介は黙ったままだ、それでも千歌は続ける

千「そうそう!昨日面白いテレビがあってさ!ずっと大笑いしてたんだ!それでね!…」

千歌が元気よく話しかけたが、悠介の声がその元気を遮る

悠「なぁ高海、なぜお前は俺になんの気兼ねもなく話しかけられるんだ?昨日お前らが見た通り俺は怪物だ、近寄らない方が身のためだぜ、だから二度と俺に話しかけるんじゃねえ、わかったか?」

 

千「え、その、ごめん…」

あまりの凄みのある声に千歌ちゃんは引き下がった、私もなにか声をかけようと思っていたけど、勇気がでなかった

曜「私って、意気地無しだな…」

 

その日の放課後

私達はいつものように屋上で練習をしていた

曜「ねぇ、果南ちゃん、」

 

果「ん?どうしたの曜?」

 

曜「うん、実はね…」

私は昨日今日起こったことを全て果南ちゃんに話した、最初はとてもびっくりしてたけど、とても親身になって話を聞いてくれた

やっぱり果南ちゃんは優しいな…本当のお姉ちゃんみたい

果南ちゃんは一通り私の話を聞いた後、こう言った

果「うん、話はわかったけどそれで曜はどうしたいの?それでもその子と友達になりたい?」

 

曜「うん、悠介君は私達を守ってくれたし、正義感もあるし…いやそれだけじゃないかも」

私は生まれて初めてこの様な感情を感じた。胸が苦しくなるような…

一体これは何なのだろう?

果「(曜ってば変な顔しちゃって…これは当たりかな)」

 

曜「私、どうしたらいいんだろう?」

 

果「曜が思う様に行動してみな?その子と仲良くなりたいんでしょ?だったら行動あるのみだよ」

確かに果南ちゃんの言う通りだ、自分の気持ちに素直になろう

曜「ありがとう果南ちゃん!頑張ってみるよ!」

 

果「うん!応援してるからね!」

やっぱり果南ちゃんは頼りになる

 

悠介は帰り道、ずっと考え事をしていた

俺は醜い怪物、あいつらはラブライブという輝きを求めて毎日頑張っている、ははっ…まるで月とスッポンだな、いや、それ以下かもしれない。俺があいつらの夢を邪魔してはいけない、そうだ、俺は奴らを潰すためにこの街に来たんだ、こんな甘ったるい事を考えてる暇なんてない、どうせ俺なんか…

闇が闇を呼び、悠介の心を沈めていった

 

内浦の廃工場

グレム「スパイダーもクウガに負けてしまったようですねぇ」

 

メビオ「あぁ、だがクウガの正体を知る事ができたからよしとしようじゃないかい」

 

ガドラ「クウガの正体?そんな事知って一体なんの得があるって言うんだ?」

 

メビオ「少しは頭を使いな、クウガの正体は普通の高校生だ、あいつの通っている学校を攻撃し、やつを精神的に追い込む」

 

グレム「なるほど、それは素晴らしいアイデアですねぇ、で、誰にやらせるんですか?」

 

メビオ「ザインにやらせよう、奴が適任だ」

 

ガドラ「なるほどザインか、奴ならいけるんじゃねえか?」

 

グレム「そうですねぇ、ではメビオ、ザインに報告を」

 

ガドラ「まて、その前に俺がクウガと戦う、久々に暴れてぇんだ、いいよなぁ?」

 

グレム「まぁいいでしょう、メビオ、後は頼みますよ?」

 

メビオ「わかったよ」

そういうとメビオは去っていった

 

海岸近くの岩場

メビオ「ザイン!出てこい!仕事だ!」

メビオがそう叫ぶと岩の影から何かが猛スピードで突進して来る

それに気づいたメビオはジャンプで別の岩に飛び移った

メビオが避けた瞬間、さっきまで乗っていた岩が大きな音と伴に砕け散った

メビオ「相変わらずの暴れっぷりだな、見事だ、ザイン、あの丘の上にある高校が見えるか?あそこにクウガがいる、3日後、あの学校を攻撃し、クウガを殺せ。わかったか?」

ザイン「ヴォォォオ!」

ザインは雄叫びをあげると近くの岩を吹っ飛ばしながら走り去って行った

メビオ「元気のいいやつだ、さーてどうするクウガ?ククク…明後日が楽しみだな」




今回はここまでです!学校に迫り来る怪物、果たして悠介の運命は?
次回もお楽しみに!感想、お気に入りなどして頂けたらモチベーション爆上がりですのでよろしくお願いします笑


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第6話 暗躍

前回のあらすじ
スパイダーを倒し3人を守った悠介、しかし3人に正体を知られた事で悠介は距離を置くようになる
そして悠介に不穏な影が近づき…


放課後、今日はAqoursの活動も無かったので悠介としっかり話し合うために私は彼の後をつけていた。

曜「一緒に帰ろうって言っても断られちゃうだろうし…あまりいい気はしないけど別にいいよね?家も近いみたいだし」

一昨日彼と話している中で、彼の家が私の家からそう遠くない事を知っていたのだ、私達は部活の朝練があるのでバスは彼より1本早いのに乗っている

悠介が住宅街を抜け海沿いに出た瞬間、曜に不気味な影が近づいた

 

今日も学校が終わり悠介は帰路についていた、別に何を考えるわけでもなくボッーっとしている

悠「はぁ、なんか最近やけにため息がでるな…寂しいのかな俺?」

そんな考えが頭をよぎるが、それを振り払うように頭を振った

悠「そんなわけない、父さんと母さんが殺されたあの日から俺の心の中には憎しみしかない、恨みの炎しかない」

悠介の両親は2年前、クワガタによく似たデモスに襲われ命を落としている

当時中学生だった悠介はその光景を目の当たりにし、絶句した

父さん…母さん…仇は必ずとる、俺達家族を引き裂いた奴を許しはしない!

 

その時、悠介の耳に悲鳴が届いてきた

曜「きゃぁぁぁ!やめて!離して!」

 

大男「やなこったぁ、お嬢ちゃんあの男に用があるんだろ?奇遇だなぁ、俺もそうなんだよ、まぁ理由は正反対だろうがな」

その声に気づいた悠介は後ろを振り返り、唖然とした

曜が大男に腕を掴まれていて、泣きそうな顔をしている

悠「なんだお前は?それに渡辺…俺になんの用だ!」

 

曜「悠介くんごめん、私のせいでこんな事に…」

 

大男「お前、クウガだな?この女を守りてぇなら、俺と戦え!」

そういうと大男は唸り声を上げ、鋭い爪に大きな牙、強靭な足腰をもつ虎によく似た怪物へと変身した、その姿はまるで…

曜「悪魔…」

 

ガ「そうだ、俺は悪魔だ、人間共に恐怖と絶望を与える存在、それが俺達デモスだ!さぁクウガ、俺と戦え!」

 

悠「くっ、やるしかないのか…」

こいつは見た目と口調からして恐らく幹部だ、勝てるかわからない…

だか、やるしかない!

悠介は覚悟を決め、変身の構えをとる

悠「お前を倒す!変身!」

悠介の体が光に包まれ変わっていく

仮面ライダークウガ マイティフォーム

ガドラ「さぁ、楽しもうぜ!」

そういうとガドラは掴んでいた曜の手を離し、クウガの前に立った

曜「悠介君、きっと大丈夫だよね…」

私は木の影に隠れて戦いの様子を見守った

 

ク「いくぞ!」

 

ガ「俺は鉄の牙、ガドラだ!」

ガドラはそう言うと獣のような雄叫びをあげた

クウガはガドラめがけて走り出し、ジャンプしながらパンチを繰り出す

ク「はあっ!」

 

ガ「無駄だ、クウガ」

そういうとガドラはクウガの拳を掴むとそのまま地面へ叩きつけた

ク「があっ!なんて、パワーだ…」

 

ガ「まだまだこれからだぜ?クウガ」

ガドラはクウガの首を掴んで無理矢理立たせると、手の爪を使って切り付けた

クウガは苦しみの声を上げ倒れ込む、切り付けられた胸には鮮血が滴っている

ク「はあっ、はあっ、強い…」

次の瞬間ガドラは大きくジャンプし、その大きな牙でクウガの腕に噛み付いた

ク「があっ!や、やめろ…」

クウガはガドラの腹に膝蹴りをいれ、なんとか離れる

ガ「どうした?もう終わりか?俺はまだ全然楽しんでないぜぇ」

ガドラは不敵な笑みを浮かべ、ゆっくりとクウガに近づく

 

ク「ふざけやがって、俺は負けない!はあっ!」

クウガは近づいてくるガドラに向かって走り、ジャンプから体を反転させ蹴りを繰り出した

マイティキックはガドラの胸を直撃、後ろに下がらせた、その胸にはクウガの紋章が浮かび上がる

ガ「ごおっ!く、苦しい…」

 

ク「俺を、舐めるな!」

クウガは勝利を確信したが、ガドラの表情にはどこか余裕が感じられた

ガ「なーんちって、こんなもの痛くも痒くもねぇ、ガァァァ!」

そういうとガドラは気合いで胸のクウガの紋章を消してしまった

ク「そんな、馬鹿な…必殺技が効かないなんて…」

 

ガ「葬ってやる、クウガ!」

ガドラはクウガめがけて走り出し、大きくジャンプする

ク「くっ、ちきしょう、体が、動かない…」

先程の必殺技で体力をすべて使い切ってしまい、クウガはその場から動く事が出来なくなっていた

ガ「ガァァァァルル!」

爪を大きく振りかぶり、クウガを切り付ける

あまりの力にクウガは後方に大きく吹っ飛ばされた

ク「がはっ…」

強大な力にクウガは屈してしまい、強制的に変身が解除された

悠介の体はボロボロになり、胸と腕に大きな傷が付けられていた

もう一度戦おうとガドラに近づいたが力尽き、そのまま倒れ込んだ

曜「そんな、悠介君が負けた…」

ガドラは元の大男に戻り、悠介に近づく

ガ「ガハハハッ!おいおい口程にもねえじゃねえか、大した事ねえなぁ、まぁいい、今日はここで見逃してやる。だが、次会う時はお前の最後だ!また会おうぜ、クウガ」

そういうと大男は去って行った

 

私は恐怖に震え立ち尽くしていたが、なんとか体を動かし悠介君へ近づく。悠介君は気を失っていて意識はなく、体にはいくつもの傷があった。

曜「早く手当をしないと…でも私、悠介君の家知らないし、そうだ、私の家に連れて行こう」

今日両親は二人とも用事で留守にしていて明日の夜まで帰って来ない

それに明日は土曜で学校は休みだ

私は悠介君を背負って自分の家に急いだ。水泳やスクールアイドルで鍛えた足腰がこんな風に役に経つなんて、人生何があるかわからないもんだね

そんな事を考えていると、自分の家に着いた

 

私はとりあえず悠介君を自分の部屋に連れて行き、ベッドに寝かせてあげた

曜「まずは手当をしてあげないとね、でもそのためには…」

悠介は全身に傷を負っている、手当をするためには服を脱がさなければならない

曜「別に仕方ないよね?やましい心は無いからね!ただ、手当するだけだから…」

私は自分に言い聞かせながら悠介君の服を脱がした

彼の体にはおびただしい数の傷がついていて、私は唖然とした

曜「こんなに体がボロボロになるなんて…」

私は彼の体を綺麗に拭いて、包帯を巻いた。傷に触れる度に彼は苦痛の表情を浮かべる

私があの怪物に捕まっちゃったばっかりに…

曜「悠介君、本当にごめんなさい…」

私は彼に謝ったが、彼から答えが返ってくる事は無かった




今回はここまでです!クウガの敗北、敵の圧倒的な力、そして学校に迫り来る危機、果たして悠介の運命はいかに…
次回もよろしくお願いします
お気に入りしてくれた皆様本当にありがとうございます!


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第7話 衝撃

お気に入りして頂いた方、本当にありがとうございます!感謝感謝でございます!
前回のあらすじ
ガドラに敗北してしまい深手を負った悠介、曜は悠介を手当しようと自分の家に連れ込むが?


内浦の廃工場

グ「クウガと戦ったのですか?」

 

ガ「あぁ、手応えが無さすぎた、あんなのに負けちまうなんて下のやつも大した事ねえなぁ」

 

メ「クウガをあまり舐めない方がいいぞ、奴は進化している」

 

ガ「進化だと?俺にはわからねぇなぁ…」

 

メ「お前が1番わかっているだろ?気づかないとでも思ったのか?」

ガドラは黙り込む

メ「胸でも蹴られたのか?苦しそうだぞ?」

 

ガ「ちっ、バレてたか、メビオは欺けねえなぁ。ああそうだよ、奴の蹴りを喰らってから少し胸が痛えな、だが大したは事ねぇ」

 

メ「別に心配している訳では無い、ただ、用心はしておけ」

 

ガ「余計なお節介だ、俺は負けねぇ」

 

メ「ふん、まぁいい、今からクウガが通う学校にザインが向かうはずだ、さぁてどうなるか」

メビオは不敵な笑みを浮かべ、その場を去った

 

 

曜の家

私は自分の部屋の机に突っ伏して寝ていた

どうやら昨日悠介君の手当をしてから疲れてしまってそのまま寝てしまったらしい

曜「はぁ、寝ちゃってたか…今何時だろ」

時刻は午前5時、外はまだ薄暗い

悠介君を見てみるが、彼はまだ意識のないままだ

とりあえずお風呂に入ろうと思い、浴室に向かう

お湯に浸かりながら私はずっと考え事をしていた

曜「悠介君大丈夫なのかな…もう二度と起きないなんて事、ない、よね…」

あれが戦いなんだよね、あんなに体を傷つけられて…

見てられないよ…それもあの怪物に捕まってしまった私のせい…

私は目を瞑り、昨日の出来事を頭の中で思い出していた

曜「そう言えばあの怪物が悠介君の事をクウガって言ってたよね、クウガって何なんだろ?悠介君のあの姿の事なのかな?」

私は風呂から上がり、私服に着替えて自分の部屋に戻った

 

 

まるで深い闇の中をさまよっているようだ

どこまでも暗い闇、出口などどこにもないように感じた

そう思っていると目の前に死んだはずの両親が見える

悠「父さん、母さん!ここは一体…」

そう思っていると、母さんが俺に囁いた

母「悠介、こっちにいらっしゃい、母さん達の所へ」

優しく語りかけてきたが、母さんの目は血走っており言いしれぬ恐怖を感じた

父「そうだ悠介、また一緒に暮らそうじゃないか」

そう言い、手を差し伸べてくる

俺は思わずその手を取りそうになるが、俺は我に返る

父さんと母さんは死んだんだ…それに俺はまだそっちに行く訳には行かないんだ

俺がそう思った瞬間、父さんと母さんが怪物に変身し、俺に襲いかかってきた

父さん達の言う事が聞けないのか?じゃあ力ずくで聞かせてあげるわ

悠「やめろ、やめてくれ!こっちに来るなぁ!」

うわぁー!

俺はそこで目が覚め、飛び起きた

悠「はあっ、はあっ、なんて夢だ…ここは、どこだ?」

俺は昨日デモスの幹部と戦って…それから…ダメだ、思い出せない

そうこうしていると、部屋に誰か入って来た

曜「あ、悠介君気づいたんだ!よかった、もう起きないかと思ったよ…」

 

悠「渡辺…一体なぜ?」

なぜ渡辺がいるんだ?一体ここはどこなんだ?そう思い、部屋の中を見渡す。部屋に雰囲気やインテリアなどからして、どうやらここは女子の部屋のようだ、まさか…

曜「なぜって、ここは私の部屋だからだよ」

え、嘘だろ…

俺は渡辺の一言から全てを察した、俺は昨日敵に敗北してそのまま気絶し、近くにいた渡辺に家に連れていかれたという訳か…

悠「帰る…」

そう思って体を起こそうとするが、胸に激しい痛みを感じた

曜「だめだよ!悠介君は大怪我してるんだからまだ寝てなきゃ…」

 

悠「問題ない、こんな傷直ぐに治る、それも俺の力のひとつだ」

悠介はそう言って胸に巻かれた包帯を取ってみせた

そこには昨日まであった傷はなく、ただのアザの様になっていた

曜「すごい、もうこんなに…」

 

悠「だが体への負担も大きい、自然の流れに逆らっているからな」

悠介は気合いでベッドから起き上がった

悠「怪我の手当をしてくれた事には礼を言う、だがもう俺に関わらないでくれ、昨日で懲りただろ?俺と友達になるなんて無理なんだ…俺もあいつらと同じ、怪物なんだ」

 

曜「そんな事ないよ!悠介君は私達を守ってくれた、その行動に偽りはないでしょ?私は信じてる、悠介君の中の正義の心を」

私は今自分が感じている事を素直に彼に伝えた、でも彼から帰ってきた言葉は私の心を壊すには十分だった

悠「黙れ…黙れ黙れ黙れ!俺は醜い怪物なんだ、この間のお前達の反応がそれを物語っている、俺の姿に恐怖を感じたんだろ?だから逃げたんだろ?俺は人が信用できない、わかったような事言うんじゃねぇ!」

私は黙り込んでしまう、確かに初めて彼の本当の姿を目にした時は、言いしれない恐怖を感じた、それは紛れもない事実、変えることの出来ない真実…

2人の間に沈黙が流れる、外は明るくなり始めていたが、部屋の中は私にはとても暗いように思えた

その時、私の携帯が電話の着信を知らせた

 

 

浦の星学院 屋上

私達は朝練の前のストレッチをしていた

今日は土曜で学校が休みなので朝から練習する必要はないと思われるかもしれないが、ここ内浦の夏は暑い、そこで日が昇って気温が上がる前に練習をしようという事になっているのだ

梨「そう言えば、今日曜ちゃんどうしたんだろ?」

 

千「私もわからない、何かあったのかな、」

 

ダ「まったく、ラブライブも近いというのにサボりや寝坊は許されませんわよ?」

 

千「わかってますダイヤさん、でも曜ちゃんはそんな子じゃありません!」

 

ダ「もちろんわかっていますわよ、曜さんはとても真面目な方ですから、だとしたら何かあったのでしょうか?」

 

花「マルもちょっと心配になってきたずら」

 

ル「曜ちゃん大丈夫かなぁ…」

 

善「もしや、天界からの導き…ギラン」

 

花「それはないずら」

 

善「突っ込みはやっ!」

 

果「まぁ、確かに何か悩んでたみたいだけどね」

 

鞠「いつも元気一杯の曜ならNo problemよ!チカッチ、そんなに心配なら電話してみたら?」

鞠莉ちゃんの言う通りだ、わからなければ聞けばいいんだ!

私はそう思い、ポケットから携帯を取り出した

曜ちゃんに電話をかけようとした瞬間、大きな地響きが耳に届いた

 

 

浦の星学院 裏山

ザ「ウゴオオォ!」

ザインは大きな木に頭から体当たりし、木は大きな地響きを立てながら倒れた

ザインはそのまま走り続け今度は近くの岩に体当たりした

大きな爆発音がなり、岩は砕け散る

メビオはその様子を山の上から見ていた

メ「相変わらずの暴れっぷりだな」

ザインは色々な物を破壊しながら浦の星学院の敷地内へと入って行った

 

 

大きな地響きを耳にした私達は音が聞こえた方を見る、そこには倒れてしまった大きな木と学校に猛スピードで近づいてくる「何か」

学校の中に入って来たそれはまるでサイの様な出で立ちの怪物だった

千「あれは…」

 

梨「怪物…」

 

ダ「学校にあの様なものが…」

 

果「なにあれ?」

 

善「ねぇ、ちょっと流石にやばいんじゃない?」

 

花&ル「怖い(ずら)…」

 

鞠「What !?何あれ!?」

怪物は猛スピードで走り回りながらあちこちに突進している

千「学校が…私達の学校が…そうだ、曜ちゃんに知らせないと!」

私は曜ちゃんに電話をかけた




今回はここまでです!果たして学校とメンバーの運命は?
次回もよろしくお願いします


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第8話 笑顔

感想やお気に入りして頂いた方、本当にありがとうございます!
これからも頑張って書くのでよろしくお願いします!
前回のあらすじ
カドラとの戦闘で深手を負ってしまった悠介、曜に手当をしてもらうが、今度は学校に怪物が現れ…


浦の星学院

ザ「ウゴオオォ!」

ザインはあちこち突進しながら暴れ回っている

千「このままじゃ…学校が!」

私は曜ちゃんにこの状況を知らせるために電話をかけた

 

 

曜の家

私は悠介君と対面したまま動けずにいた

彼の目は怒りと悲しみの感情が入り乱れていて、とても複雑な顔をしている

その時、私の携帯が電話の着信を知らせた

私は一瞬電話を取ろうか迷ったが、悠介君が一歩後ろに下がり目で合図をしたので私はそれに従う

電話の相手は千歌ちゃんのようだ

曜「もしもし、千歌ちゃんどうしたの?」

 

千「曜ちゃん!学校が大変なの!怪物が…」

 

曜「怪物?何がどうなってるの?」

私の怪物という言葉に悠介君が反応した

千「このままじゃ、学校が壊されちゃう!」

千歌ちゃんの声から危機迫る状況が読み取れる

曜「そんな…学校が壊されちゃったら、私達…」

学校が無くなればラブライブにも出られなくなってしまう、でも私に何が出来るっていうんだろう…でもこのまま放っておくなんてできない!どうしたら…

私が思い悩んでいると悠介君が声をかけてきた

悠「学校に怪物がいるのか?分かった、俺が倒す」

 

曜「だめだよ!悠介君怪我してるのに…そんな体で戦ったら、死んじゃうよ!」

 

悠「こんな怪我、大した事ない」

 

曜「なんで、なんで悠介君が傷つかなくちゃいけないの?なんでそこまでして…」

もう彼には傷ついてほしくない、私はその思いでいっぱいだった

悠「俺が傷つくだと?そんな事はどうでもいい!俺が傷つくだけで誰かの笑顔が守れるならそれでいい、俺が傷つくだけで誰かの平和が守れるならそれでいい!そのためにこの力を手に入れた、俺は大切な人も大事な物も全て無くした、もう失うのもなどない、だからこれからは誰かの大切な人や物を守っていくと心に決めた!だから俺は戦わなければいけない」

そういうと悠介君は私の部屋から出ていき、学校を目指して行ってしまった

私は彼の言葉を聞いて涙が止まらなかった、なぜそこまでして…

曜「誰かの笑顔のため、か…」

だったらこれからは私が悠介君の笑顔を守ってみせる!

そう心に決め、学校に向かった

 

 

浦の星学院

ザインは運動場にある倉庫などを破壊し、尚も走り続けている

私達はそれをただ、見ているしかなかった

千「どうしたらいいの?このままじゃ…」

するとザインは屋上に私達に気づいたのかこちらを見た、そして次の瞬間、学校めがけて走り出した、先程暴れていた時よりもスピードが速い

もうだめだ!そう思ったその時

1台のバイクがザインに突撃した、そのバイクに乗っているのは

ク「もうお前の好きにはさせねえ!俺が相手だ!」

仮面ライダークウガ マイティフォーム

千「悠介君…」

私は居ても立ってもいられず、屋上から駆け下りていた

梨「ちょっと千歌ちゃん!危ないわよ!」

 

ダ「千歌さん!どこに行くんですの!」

 

果「ちょっと千歌!」

 

ル&花「千歌ちゃん!」

 

善「ちょっと何してるの!」

他のメンバーも千歌を止めようと屋上から降りていく

 

 

私は急いで自転車を漕ぎ、悠介君の後をおっていた

息が上がっている

曜「はあっ、はあっ、悠介君!」

やっとの思いで学校着く、私は裏門から入り校舎の影から中を覗いた

そこには運動場のど真ん中で、「変身した」彼とサイのような怪物が睨み合っていた

私がその光景を見ていると、校舎から誰か降りて来た

千「曜ちゃん!」

千歌ちゃんを先頭に、Aqoursのメンバーが来る

曜「千歌ちゃん、みんな!大丈夫?」

 

ダ「私達は大丈夫ですわ、ただ、あれは一体…」

そういうとダイヤさんはクウガと怪物を交互に見る

曜「大丈夫、彼は…味方です!」

私はそう言い切り、戦いを見守った

 

 

クウガとザインは睨み合い、お互いの出方を伺う

ザインが先に動き、気合いと共にクウガに突撃する

ザ「ウゴオオォ!」

クウガはザインを反転ジャンプで交わす

ザインも振り返り、再びクウガ目指して走る

クウガはもう一度避けようとするが胸に痛みを感じ、その場から動く事が出来ない

ク「くっ、くそっ!」

クウガは何とか避けようとするが叶わず、猛スピードで突進してくるザインの突撃を喰らった

ク「ぐあぁ!」

その前大きく後ろに吹っ飛ばされる

ザインはさらに反転し、クウガ目掛けて走る

これも避けられず、また吹っ飛ばされてしまった

ク「があっ!、く、くそっ、体が、思うように動かない」

ザ「ウガァァァァ!」

ザインは天に向かって吠え、こんどは大きな助走をつけて走り出す

次の瞬間大きくジャンプし、頭からクウガに突撃した

クウガは立ち尽くすことしか出来ず、避ける事が出来ない

ク「がぁぁっ!」

再び後方に吹っ飛ばされ、変身が解けてしまう

悠介はその場に倒れ込み、余程のダメージを受けたのか立ち上がる事が出来ない

悠「くっ、ここ、までか…」

ザインは悠介にトドメを刺そうとこちらに近づいてくる

その時、ザインの肩に石がぶつけられた

ダ「ほーら、こっちですわよ!」

ザインは怒りを露わにし、ダイヤに狙いを定める

しかし今度は違う方向から石が飛んでくる

鞠「はーい!こっちよ!」

次は鞠莉に狙いを定めるが、さらに石が飛んでくる

梨「こっちよ!」

 

果「こっちこっち!」

 

千「今度はこっちだ!」

 

悠「お前達、何を…」

一体どういうつもりなんだ

すると倒れている悠介に曜が近ずき体を起こす

曜「悠介君!大丈夫?」

 

悠「渡辺…なぜ?」

 

曜「悠介君、私達の事をどう思ってもいい、でもこれだけは分かっていて欲しい。悠介君は決して1人なんかじゃない、悠介君はこの町の人達の笑顔を守るために戦っている、私達はスクールアイドルとして町の人達の笑顔のために毎日頑張っている。皆と手を取り合って助け合いながら成長して行く、それはとても大切な事だよ?私達がいる、私達がついてる、だから全部1人で背負い込もうなんて思わないで!」

 

悠「だが、俺は…」

 

曜「悠介君は怪物なんかじゃない、だって私達の事を守ってくれたでしょ?いつも真っ直ぐで、全ての事に一生懸命で、悠介君は私にとって、私達にとって、ヒーローなんだよ!」

私は今自分が思っている事の全てを悠介君に伝えた

私の、私達の本当の思いを…

悠「そうか、そう、だよな…」

俺は渡辺の話を聞いているうちに、自分の心にこびり付いていた黒い物がだんだん取れていく様に感じた

それまで本当の俺を隠していた物が、消えて無くなっていく

加えて心の中が軽くなったように感じる

悠「渡辺、今まで酷い事言って悪かったな、そう、だよな…俺は、俺は、1人なんかじゃない!」

もう俺は、運命から逃げたりしない!

悠介は自らの心にそう誓い、気合いで立ち上がる

その目に迷いはなかった

悠「渡辺、ありがとう、お陰で目が覚めた。俺は戦う、この町の人達の笑顔を守るため、お前達の夢を守るため、だから見ててくれ!

俺の、、、変身!」

腹に手を当てアークルを出現させる

そして腕を大きく前に出し、変身の構えをとった

ザインは悠介の覇気を感じ取り、こちらに迫って来る

それと同時に悠介も走り出し、体も変わっていく

仮面ライダークウガ マイティフォーム

 

 

クウガはザインの突進を間一髪で避けそのまま反転し、背中に蹴りを入れた

ザインは大きく倒れ込む

ザ「ガァァァ!」

ザインは怒りを露わにし、今度は殴りかかってくる

クウガは避けようとするが反応が鈍り、パンチを喰らってしまう

ク「くそっ…体が思う様に動かない…」

クウガは1度間をとり、様子を見た

何か勝つ方法はないのか…

その時ザインの角に目がいった、そこにヒビが入っていたのだ

あそこに的確に蹴りを入れられれば!だが、やれるのか…

悠介が考えていると、周りから声が聞こえてくる

曜「悠介君!頑張って!」

 

ダ「敵は弱ってますわ!今のうちです!」

 

果「突進に気をつけて!」

 

千「悠介君ファイトー!」

 

鞠「あなたなら勝てるわ!」

 

梨「自信を持って!」

 

花&ル「頑張れー!」

 

善「貴方なら出来るわ!」

悠介はその声を聞き、我に返る

そうだ、俺は1人じゃない、必ず勝つ!

よし、次に奴が突進して来た瞬間を狙って角に蹴りを叩き込んでやる!

悠介は一歩後ろに下がり、必殺の構えをとる

ザインも後ろに下がり、突進する準備をした

次の瞬間、両者は同時に走り出す

ザインが突進するために角を上に少し傾けた瞬間、悠介は素早くジャンプ、反転し、必殺技をザインの角に叩き込んだ

ザインの角は折れ、クウガの刻印が顔面に浮かび上がる

ザインは苦しそうな声をあげ、破裂音と共に爆発した

ク「はあっ、はあっ、や、やった…勝てた」

クウガが変身を解くとAqoursのメンバーが彼に近づく

千「やったー!悠介君が勝った!」

 

ダ「お見事ですわ!」

 

花「かっこよかったずら!」

 

ル「うゆ!」

 

鞠「victory!」

 

果「ナイスだね!」

 

梨「すごかった!」

 

善「素晴らしい勝利だわ、ギラン」

Aqoursの面々が声をかける

曜「かっこよかったよ!悠介君!」

 

悠「ありがとう、正直お前達がいなかったら負けてたかもしれない」

悠介はこと戦いを通して彼女達から多くの事を学んだ

仲間と助け合う事、助け合う事

そして、自分は1人じゃないないということを

千「曜ちゃん!言うなら今だよ!」

 

曜「うん、悠介君、1つお願いがあるだけど…」

 

悠「なんだ?」

 

曜「私達の、Aqoursの、マネージャーになってくれない?」

悠介は曜の言葉をを聞き、少し考えた

悠「いいのか?俺なんかにそんな重大な仕事が出来るのか?」

悠介の言葉を聞き、曜はとびっきりの笑顔で答えた

曜「大切なのは出来るかどうかじゃない、やりたいかどうかだよ!」

悠介は彼女の言葉を聞いて少し目を瞑り、そして開いた

彼の目にもう迷いはない、いい「笑顔」をしていた

悠「分かった、やるよ!」

悠介の答えを聞き、9人は声を揃えてとびっきりの「笑顔」で言った

「悠介君、ようこそ!Aqoursへ!」




今回はここまでです!
とうとう仲間になりましたね!次回からラブライブ本編とミックスしながら話を進めていきたいと思っています、その中でクウガの他のフォームも出していこうと考えています!
次回もよろしくお願いします!


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第9話 跳躍

今回からラブライブ本編とミックスしながら書いていこうと思っています!今回は本編10話の「シャイ煮はじめました」です
前回のあらすじ
自分のトラウマを振り払い新たに戦う決意を固めた悠介、正式にAqoursのマネージャーになるが?


梨子の家

私はベッドに寝転がりながら千歌ちゃんにメールをしていた

メールの内容は、ラブライブ用の曲の歌詞の事である

梨「歌詞は?」

 

千「ごめん!(犬のスタンプ)、明日には必ず…」

 

梨「そんなもの用意する時間があったら早く書いて」

はぁ、千歌ちゃん…大丈夫かな

私がため息をつくと、今度は違う所からメールが来たようだ

梨「これは…ピアノコンクールの…」

 

 

悠介の家

俺は汗だくになりながら家に帰り着いた

悠「ったくよぉーなんでこんなに暑いんだ…」

学校にもバイクで行ければいいのに、まあ流石に無理か

この間学校にバイクに乗り入れてからというもの、こっぴどくダイヤさんに叱られたのだ

あの時は緊急事態だったからな…

悠介は自分の愛車、トライチェイサーを撫でる

元々このバイクはある人が父さんに譲った物で、悠介はそれを貰ったという事だ、でも一体誰が…

その時、じいちゃんがの声が聞こえてきた

じ「悠介ーお前に手紙が来とるぞー」

悠「わかった、後で見とく」

そういうとじいちゃんは畑へと出掛けて行った

俺は封筒を手に取ったが、なぜか差出人の名前が無い

不思議に思ったが、とりあえず中身を見てみる事にした

悠「何だこれ?何かの写真と、手紙か」

封筒の中身は不思議な文字が沢山書かれた古代の碑文の写真と、手紙だった

手紙にはこう書かれていた

 

大堂悠介君へ

私は君が持っている力の事を研究している者だ、この写真は長野県にある九郎ヵ岳遺跡で新たに発掘された古代の碑文だ。解読も既に完了している。では、健闘を祈る。

 

九郎ヵ岳…全ての始まりの場所…

確か、父さんもそこで発掘作業をしていた、そしてこのベルトもそこで…

悠介は自分の腹を摩り、「あの日」の事を思い出した

 

 

当時、高校1年生だった悠介は2階の自分の部屋で休んでいた

その時、下で言い争う声が聞こえてきた

父と母、そしてもう1人別の男の声

父「だめだ、あれは渡せない!」

 

母「帰って下さい!」

 

?「勘違いするな、僕は頼んでない、僕にとって障害となる物は全て壊す」

その瞬間大きな爆発音がなり、同時に2人の悲鳴が聞こえてきた

悠介は何事かと思い、急いで1階に降りた

悠「父さん、母さん、どうしたの?」

その光景を見た瞬間、俺は目を見張った

血だらけで倒れている両親と、もう1人、白い服に身を包んだ男

悠「何だ、これ?」

 

父「悠介!机の上のケースを持って逃げろ!」

悠介は訳が分からなくなったが、父の表情から危険を感じ取り、ケースを持って全速力で逃げた

父と母を見たのは、それが最後だった

 

 

悠介は頭を振り、記憶を振り払った

最も思い出したくない記憶を

悠介は手紙と写真を封筒にしまい込み、机の上に放り投げた

まったく、嫌な事を思い出しちまったな

どうかしてるぜまったく

 

 

内海の廃倉庫

グ「まさかザインもやられてしまうとわねぇ」

 

ガ「ふん、せっかく俺が痛めつけてやったのになぁ」

 

メ「これで分かっただろう?クウガは確実に強くなっている」

 

グ「それは認めざるを得ませんね、所で次の一手は考えているのですか?」

 

メ「計画も大幅に遅れている、クウガは強くなってはいるが、まだ力の覚醒は起こっていない倒すなら今がチャンスだ」

メビオは少し考え、言った

メ「バヅーを使おう、奴ならクウガを倒せるはずだ」

 

ガ「バヅーか、確かに奴なら行けるかもしれねぇな、だが、クウガが青の力に覚醒しちまったらどうするんだ?」

カドラがそう呟いた瞬間、上から声が聞こえてきた

?「問題ない、クウガは俺が倒す」

 

メ「バヅー、やれるか?」

バヅーは天井を掴んでいた手を離し、下に降り立った

バ「楽勝だ、任せろ」

そういうとバヅーは外へ出て行った

グ「凄い自身ですねぇ、あれが吉と出るか凶と出るか」

 

メ「さぁな…」

 

 

次の日 浦の星学院屋上

真夏の太陽が照りつけ、体が悲鳴を上げている

蝉が忙しく鳴き、夏の暑さを倍増している様に感じた

俺は渡辺からの知らせを受けて学校の屋上に来ている

なんでも生徒会長から話があるそうだ

既に皆集まっており、それぞれ今日の暑さに文句を言っている

千「あーつーいー!」

 

花「ずらぁ…」

 

善「天の業火に闇の翼が…」

何故か津島は黒いマントを羽織っている

見ているこっちが熱くなるぞこれ

 

ル「その服辞めた方がいいんじゃ…」

ご最もだ

 

曜「どうしたんですか?全員集めて」

 

ダ「ふふふ、さぁて!いよいよ今日から夏休み!」

 

鞠「Summer vacation と言えばー?」

 

ダ「はいっ!あなた!」

そう言って高海を指さす

千「うぁっ…えーと、やっぱり海だよね…」

 

曜「夏休みはパパが帰って来るんだー!」

そう言えば渡辺の父親は船の船長だったな、それで長期休暇しか帰って来れないのか

花「マルはおばあちゃん家に」

 

善「夏コミ!ギラン」

 

悠「なんだよそれ」

俺は思わず突っ込んでしまった

ダ「ぶっぶーですわ!あなた達それでもスクールアイドルなのですか?片腹痛い片腹痛いですわ!」

 

全員「ゴクリ…」

 

ダ「詳しい事は部室で話します、それでは行きましょう」

そういうと皆部室へと向かって行った、俺もその後を追う

 

 

スクールアイドル部 部室

ダ「夏と言えばラブライブ!予選突破を目指して、Aqoursはこの特訓を行いますわ!」

ダイヤは黒板に貼られた予定表を指さした

花「遠泳10キロ…」

 

善「ランニング15キロ…」

なんだこの拷問みたいなスケジュールは…

曜「そう言えば千歌ちゃん!海の家の手伝いがあるって言ってなかった?」

 

千「あっ、そっか、そうだよ!自治会で出してる、海の家の手伝いをする様に言われてるのです!」

そういうと二人とも敬礼をした

 

その後の話し合いで、高海の実家の旅館に全員で泊まり合宿をする事に決まった

そういう事で今日は解散となり、それぞれ家に帰る

俺は家が近いと言う事もあり、渡辺と一緒に帰る事になった

悠「合宿、物凄いことになりそうだな…」

 

曜「うん、でもその方がやりがいがあっていいと思う!」

 

悠「凄いな渡辺は、尊敬するぜ」

私は悠介君の言葉が気になった

曜「悠介君、私の事は呼び捨てで大丈夫だよ?」

 

悠「ああ、そうだったな、前の1件以来お前の名前を呼ぶ事に抵抗あったんだよな」

悠介君の言葉を聞いて、私は少し悲しくなった。

曜「そっか、そうだよね…」

 

悠「でも、もう気にしてないから大丈夫だ。よろしくな、曜」

 

曜「うん、こちらこそ!」

私は笑顔で返したが、心の寂しさは取れなかった

なんでだろう、こんなに近くにいるのに遠い所にいる感じがする…

でも、これから仲良くなればいいんだよね!

自分の心にそう言い聞かせ、気合いを入れた

 

 

曜と別れた後、俺は自分の家に向かって歩いていた

その時、何かが俺の頭上を通過した

悠「なんだ?」

目の前に降り立ったのは、1人の青年だった

?「見つけた、クウガ」

 

悠「まさか、こいつ…」

俺は身構える

その瞬間、青年がバッタによく似た怪物へと変身した

バ「お前を倒す!変身しろ」

くっ、戦うしかないのか!変身の構えをとる

悠「変身!」

仮面ライダークウガ マイティフォーム

バ「行くぞ!」

そういうとバヅーは大きくジャンプし、クウガに蹴りかかる

クウガは大きく吹っ飛ばされた

ク「くっ、半端ない脚力だ」

バヅーはもう一度高くジャンプする

クウガも対抗してジャンプするが、バヅーには到底及ばない

空中でボディに強烈な蹴りを受け、大きく吹っ飛ばされてしまぅ

ク「があっ、やばいな…」

 

バ「そんなもんか、クウガ」

バヅーはこちらに近づいてくる

クウガはバヅー目掛けてパンチを連発するが、動きが早すぎるため1発も当たらない

気づけば広い倉庫のような所にまで来ていた

ク「なんてすばしっこいやつだ」

 

バ「ふん、お前のパンチなど当たるわけがない」

バヅーは大きくジャンプし、天井に隠れる

ク「どこに行きやがった?」

クウガは上を向いてバヅーを探すが、見つからない

次の瞬間、バヅーは後ろからクウガに襲い掛かる

ク「ちくしょう!」

蹴りを繰り出すが、またも避けられ天井に上がられる

奴め、自分が有利な空間に俺を誘導したのか…

天井が高く、どこに隠れているか見えない倉庫

完全にバヅー有利の戦いであった

ク「くっ、もっと高く、飛べたら!」

クウガがそう強く思った瞬間、レッグコントロールオーブが青く輝き、クウガの姿が赤から青に変わる、高い跳躍力を持った戦士

仮面ライダークウガ ドラゴンフォーム

次の瞬間、クウガはバヅーと同じ様に大きくジャンプし、天井に上がる。そこで初めて、自分の体色が青くなっている事に気づいた

ク「青くなった?」

 

バ「そうだ、その青がいい!赤では相手にならん」

バヅーは大きくジャンプし、別の場所に移る

ク「舐めやがって!」

クウガも同じ様にジャンプし、バヅーに近づく

ジャンプ力が、高くなっている?

そして、バヅーを殴るが全くきいていないようだ

パンチ力が、弱くなっている…

バ「ふん、」

バヅーはクウガを殴り、下へたたき落とす

ク「があっ…ちく、しょ…」

クウガは変身が解けてしまう

バ「今日はこれくらいにしといてやる、またな、クウガ」

そういうとバヅーはどこかへ去ってしまった

悠介は痛みに顔を歪めながら立ち上がる

悠「ちっ、でも何故体が青くなったんだ?一体どういう…」

そうだ、もしかすると今日届いた手紙にヒントがあるかも知れない

悠「帰って調べるか…」




今回はここまでです!
青の力に覚醒したクウガ、その能力を上手く使いこなせるのか?
次回もお楽しみに!


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第10話 青龍

今回は少し長めです!
前回のあらすじ
青の力が覚醒したクウガ、果たして強敵に勝てるのか?


悠介の家

俺はデモスとの戦いの後、傷ついた体でなんとか家に帰り、昨日届いた手紙を見ていた

悠「青い戦士の碑文は…あった、これだ」

碑文にはこう記されてある

水の心の戦士、長きものを手にして敵を薙ぎ払え

悠「長きもの?武器なんか持ってないぞ?ますますわかんねえな」

悠介はゴロンと横になりしばらく考え込んでいたが、結局答えは見つからなかった

 

 

次の日

真上に登る太陽、青い空、青い海

まさに絶好の海水浴日和だ

でも今日は遊びに来たんじゃなくて海の家の手伝いのはずだよな?

でもあいつら…

悠介が海に目をやると

千「うっわー!すっごーい!たぁー!」

 

曜「とりゃー!」

勢いよく海に飛び込む2人、全く、遊んでばっかかよ

ダ「そういえば手伝いは午後からって言ってましたが、」

ダイヤさんは後ろを振り向くが、そこには年季の入ったお店しかない

ダ「はて?そのお店はどこですの?」

 

花「現実を見るずら」

 

悠「それに比べて隣は…お客がいっぱいだな」

隣のお店はいかにも現代風のオシャレな造りで沢山の人で溢れていた

鞠「都会の軍門に下るのデェス」

 

悠「へ?」

 

鞠「私達はラブライブの決勝を目指しているのでしょう?あんなチャラチャラした店に負ける訳にはいかないわ!」

 

ダ「鞠莉さん…あなたのゆう通りですわ!」

 

悠「なんでこの人こんなやる気あるんだ?」

 

ル「ちょっと昔色々あって…」

なんか色々と闇がありそうだな、黒澤姉妹…

 

 

その後、ダイヤさんの提案で

千歌と梨子がお店の宣伝。曜、善子、鞠莉が料理と振り分けられた

俺は全体のサポートを頼まれたので、とりあえず料理組を見ている事にした

曜はどうやら焼きそばを作っているようだ

見事な手さばきで野菜を切り、麺と一緒に炒めていく、そうして出来上がったのは

曜「へい!美味しいヨキソバ!ヨーソロー!」

 

悠「おぉー、曜って料理上手なんだな」

 

曜「えっ、そうかなぁ(照)」

悠介君に言われるとなんか照れちゃうなぁ、何だろうこの気持ち、

胸が、苦しい様な?

私は無意識に彼の事を目で追っていた

悠「ん?どうした?俺の顔になんかついてるか?」

 

曜「えっ、いや、そうじゃなくて…」

言葉が上手く出ない…なんでだろう

悠「じゃあ他の2人の所に行ってくるな」

そういうと悠介君は行ってしまった

曜「私…どうしたんだろ、」

 

俺は曜の所を離れ、他の2人の所に行く

悠「調子はどうだ?」

俺が声をかけると鞠莉さんは何やら怪しい感じの鍋を掻き混ぜ、善子は真っ黒なたこ焼きの様な物を作っていた

鞠「anbiri-babo-、シャイ煮…complete…」

 

善「くくくっ、堕天使の涙…降臨」

完全に魔女と悪魔じゃねえかこの人達

 

 

そうしている間に日は傾き、夜になっていた

お店の手伝いの終わりに練習をしていたが、流石に辛かったのか果南さん以外は早々にダウンしていた

体力お化けだな、果南さん…

 

今日の夕食は、千歌のお姉さんの言いつけで余った食材で済ませるという事になった

と、言う事は…あの2品を…

鞠「シャイ煮、please!」

 

善「堕天使の涙に、溺れなさい!」

 

鞠&善「さぁ、召し上がれ!」

 

悠「これ、やばいやつだ…」

そう思いながらも、鞠莉さんが作ったシャイ煮を口に運ぶ

覚悟を決めていたのだが…

千「シャイ煮おいしいー!」

 

梨「でも一体、中に何が入っているの…」

 

鞠「ふふん、シャイ煮はわたーしが世界から取り寄せた食材で作った、究極の料理デース!」

 

悠「なるほど、どうりで美味いわけだ」

 

ダ「で、1杯いくらするんですの?」

 

鞠「さぁ?10万円くらいかなぁ?」

その値段を聞いた瞬間、全員が驚愕の声を上げた

どんな高級な海の家なんだここ

千「高すぎるよ!」

 

果「これだから金持ちは…」

ご最もだ

ル「えへへ、次は堕天使の涙は…」

ルビィは堕天使の涙を口に入れた瞬間口から火を吹き、外に飛び出して行った

ル「ぴぎゃぁー!辛い辛い辛い辛い!」

 

悠「お前、何入れたんだ?」

 

善「タコの分かりに大量のタバスコで味付けした…これぞ、堕天使の涙!」

拷問だなこりゃ…

 

そうこうしていると寝る時間になり、私達は布団に入った

私達は千歌ちゃんの部屋に泊まり、悠介君は別部屋に泊まっていた

私は夜中にトイレに行きたくなり、その帰り道、誰かが外にいるのが窓から見えた

曜「誰だろう?」

気になったので、外に出てその人物を見てみると

曜「悠介君、こんな時間に何してるの?」

 

悠「おわっ!なんだ曜か、びっくりした…」

 

曜「あ、ごめん…」

 

悠「いいんだ、ちょっと考え事をな」

 

曜「考え事?」

 

悠「ああ、昨日の事でちょっと」

 

曜「私で良ければ相談にのるよ?」

 

悠「うーん、じゃあ話すか、実は昨日、怪物と戦ってる時に俺の体が赤から青に変わったんだ。確かに赤じゃ勝てない感じだったが、青の姿でも何か足りない気がしてな」

 

曜「また、戦ったんだ…」

悠介君は私の言葉を気にせず続ける

悠「それが俺の使命だからな、そんで、気になった俺は一昨日届いた手紙を見てみたんだ、その中には俺の力について調べられた事が書かれている。」

 

曜「なんて書いてあったの?」

 

悠「水の心の戦士、長きものを手にして敵を薙ぎ払え、なんの事かさっぱり分かんないんだ」

 

曜「うーん、私にもよく分からないけど、やっぱり、答えは自分で見つけなくちゃ行けないんじゃないかな?」

 

悠「そうか、そうだよな、自分で考えて行動する。曜、ありがとう、なんか分かったような気がする」

悠介君は自信に満ちた表情で言った

曜「ほんと!よかったー!元気出してくれて」

私は笑顔で彼に語りかける

悠「曜のそういう気遣いが出来る所、俺は好きだよ」

悠介君がそう言った瞬間、胸が高鳴るのが分かった

鼓動が大きくなり、顔が熱くなる、悠介君、それは反則だよ…

悠「どうした?顔真っ赤だぞ?」

 

曜「えっ、いや、ちょっと体が火照っちゃって!さっ、早く帰らないと風邪引くよ!」

そう言うと、曜は走って千歌の部屋へと帰って行った

悠「どうしたんだ?あいつ」

悠介は訳が分からず、とりあえず帰って寝る事にした

 

 

次の日

今日も昨日と同じ様に海の家の手伝いをしていた

基本的に手伝いはAqours9人で足りている

なので俺はお客さんの案内や全体の監視を任されていた

昼下がりになり、お客さんも少なくなっていたので、俺は料理担当の曜の所へ行き昼ご飯を作って貰っていた。本当は自分で作るつもりだったのだが、曜がついでだと言ってくれたので快く甘える事にしたのだ

悠「それにしても曜は本当に料理が上手だな、将来良いお嫁さんになりそうだ」

 

曜「えっ、そっ、そんな事ないよー!私ってほら、それ以外あまり良い所ないし…」

 

悠「それは自分で思ってる事だろ?他人からの評価は自分で思うのとは訳が違うぜ?」

 

曜「そう、だね、なんか元気出たよ。悠介君、ありがと!」

やっぱり彼と居るとなんか楽しいな

しかし、この場にいたのは曜と悠介だけではなかった

果「なんかいい感じだねぇ〜」

 

鞠「んんーlovely!」

 

果「曜ってばもしかして自分の気持ちに気付いてないのかな?」

 

鞠「おぉー果南、それなら私に任せといて!」

鞠莉はそう言うとサムズアップをして見せた

 

 

俺は昼ご飯を食べた後、木陰で少し休んでいたが、安らぎの時間はつかの間のようだった

俺の目の前に、あの青年が現れた

青「こんな所にいたのかクウガ、さぁ変身しろ!、決着をつけるぞ」

その声には聞き覚えがある、一昨日戦ったデモスのだった

悠「お前は、あの時の!」

次の瞬間、青年が怪物へと変身した

怪物に気づいた人達から悲鳴が上がる

きゃぁぁぁ!怪物!

バ「さぁ立て!」

ちっこんな所で…

俺は立ち上がり、バヅーと睨み合う

その時、悲鳴を聞きつけたのか曜がやってきた

曜「悠介君、何かあったの?きゃぁ!か、怪物…」

 

悠「曜、皆を連れて逃げるんだ!」

 

曜「うん、分かった!」

曜達が逃げて行くのを確認し、俺は変身の構えをとる

悠「もう俺は負けない!いくぞ…変身!」

悠介の姿が変わり、青い戦士になる

仮面ライダークウガ ドラゴンフォーム

ク「いきなり青か!」

バヅーは大きくジャンプし、クウガに蹴りかかる

それをクウガは華麗な身のこなしでかわす

攻撃をかわしたのもつかの間

続けてバヅーはクウガに近づき、早いパンチと蹴りを繰り出す

クウガはそれを避けきれず、モロに受けてしまう

ク「くっ、このままじゃ…」

その時、声が聞こえてくる

曜「悠介君!頑張って!」

 

千「負けないで!」

そこにはAqoursの面々がいる

悠介の事を心配して戻って来たのだ

ク「ばか、逃げろって、言ったじゃねえか…」

そう言いながらもクウガは立ち上がり、構えをとる

あいつらの前で負ける訳にはいかねえ!

その時、クウガの目に1本の細い流木が見えた

水の心の戦士、長きものを手にして敵を薙ぎ払え…

クウガはその言葉を頭の中で反響させる

そうか、そういう事か!

バ「けりをつけてやる」

そういうとバヅーはこちらに近づいてくる

次の瞬間大きくジャンプし、クウガに蹴りかかるが、それをクウガは前転でかわし、流木を手に取った

クウガが掴んだ流木がモーフィングパワーで変化し、ドラゴンロッドへと変わった

ク「これか!」

高い俊敏性を得る事で低下した打撃力を補う為の武器を手にし、ドラゴンフォームが完成する

バ「ふん、武器を持った所で!」

バヅーは再びクウガに蹴りかかる

クウガはそれをかわし、バヅーの背中を打つ

バ「ぐあっ!」

バヅーが怯んだ瞬間を見逃さず、クウガは必殺の構えをとる

エネルギーをロッドに貯め、敵を突く

スプラッシュドラゴンはバヅーの胸に命中した

バ「ぐあっ!そんな、バカな…」

バヅーは苦しみながら倒れ込み、大きな破裂音と共に砕け散った

ク「はあっ、はあっ、やった、勝った!」

 

千「やった!悠介君が勝った!」

 

曜「よかったー!」

 

ダ「お見事ですわ!」

 

鞠「nice fightね!」

クウガは変身を解き、Aqoursの元へ駆け寄った

悠「お前ら逃げろって言ったじゃないか!」

 

曜「でも、悠介君が心配で…」

悠介は少し怒った顔をしたが、すぐ笑顔になり

悠「でも、お前達の応援のお陰で勝てたよ、ありがと!」

悠介の笑顔に、Aqoursの面々も笑顔で答える

この笑顔を守る事が、俺の使命だ!

悠介は心に強く思い、ニカッと笑いながらサムズアップをして見せた




今回はここまでです!次回は恋愛色強めで行こうと思います!
次回もお楽しみに!


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第11話 感情

お気に入りして頂いた方、本当にありがとうございます!もっとこうして欲しい、感想などありましたらどうぞよろしくお願いします!
前回のあらすじ
強敵、バヅーを新たな力で撃破したクウガ。Aqoursもラブライブの予備予選に向けて練習を重ねるが?


沼津駅 改札前

千歌との話し合いで、東京のピアノコンクールに出場する事になった梨子、今日は全員でその見送りに来ている

梨「じゃあ、行ってきます!」

 

鞠「チャオ、梨子」

 

花「ふぁいとずら!」

 

ダ「東京に負けてはダメですわよ!」

 

悠「梨子、お前なら出来る、お前の精一杯を出して来い!」

 

梨「ありがとう悠介君!頑張ってくるね」

そう言い、がっちり握手を交わす

梨「皆の事、よろしくね!特に千歌ちゃん…」

 

千「それどー言う意味ー!」

千歌は隣で喚いたが、すぐ笑顔に戻り

千「梨子ちゃん、次のステージは…絶対一緒に歌おうね!」

 

梨「もちろん!」

そういうと梨子はホームに向かって走って行った

それをと見届けて、残りのメンバーは帰り始める

果「よし、これで予備予選で負ける訳にはいかなくなったね!」

 

鞠「んん〜なんか気合が入りまぁース!」

 

ダ「早速帰って練習ですわ!」

 

曜「私達も頑張ろ!ねっ!千歌ちゃん」

そう言って私は後を向いたがそこに彼女の姿はなかった

曜「あれ?千歌ちゃん?」

不思議に思い、私は改札の方を見た。彼女は梨子ちゃんが言った方向をずっと見つめながら立ち尽くしていた

曜「千歌ちゃん…」

 

 

浦の星学院 屋上

その後Aqoursは学校へ戻り、予備予選へ向けて練習をしていた

しかし…

課題は、抜けてしまった梨子の位置に曜が変わりに入ったのだが中々千歌とタイミングが合わないようなのだ

果「ワン、ツゥー、スリー、フォー、ワン…」

その時、2人の肩がぶつかる

千「あちゃっ!」

 

曜「私が悪いの…早く出過ぎて、」

 

千「いやー私が曜ちゃんにタイミング合わせられなくて…」

 

ダ「とにかく練習あるのみですわ」

その後、練習を重ねたのだが、上手くいく事はなかった

 

 

帰り道

あの後、私が千歌ちゃんの動きに合わせる事によって上手くいく事ができた。確かによく出来たのだが、私の心は曇ったままだった

曜「これで、よかったんだよね…」

私がとぼとぼ歩いていると…後ろから人影が近づいて来た

次の瞬間、胸を捕まれ

?「うりゅっ!おおー!これは果南にも劣らぬ逸ざ…」

 

曜「とりゃー!」

私はセクハラかと思い、相手の腕を掴んでそのまま投げ倒した

?「アウチっ!」

我に返り、その人物を見てみると

曜「ま、鞠莉ちゃん!?」

 

 

曜「千歌ちゃんと?」

 

鞠「はぁい、上手くいってなかったでしょう?」

 

曜「それなら大丈夫、あの後ちゃんと練習して…」

 

鞠「いえ、ダンスの事ではなく、千歌っちを梨子に取られて、ちょっぴり、嫉妬ファイア〜が燃え上がってたんじゃないの?」

 

曜「そんな事…」

次の瞬間、鞠莉ちゃんは私のほっぺを掴んでつねった

鞠「ぶっちゃけトーク、する場ですよここは?それに、悩んでるのはそれだけじゃないでしょう?話して」

 

曜「はあっ…」

私は今悩んでいる事を全て鞠莉ちゃんに話した。千歌ちゃんとの事、梨子ちゃんの事、Aqoursの事、そして…彼への事」

鞠「友達には、本音でぶつかった方がいいよ、大好きな友達を2年間放ったらかしにしてた私が言うんだから、間違いありませんっ!」

そういうと鞠莉ちゃんはニッコリ笑った

鞠「そしてもう1つ、曜、貴方は悠介の事が好きなのね?」

私はその質問に戸惑う

曜「それはもちろん…悠介君はいい人だし、優しいし、本当にいい友達だよ」

 

鞠「友達?曜にとって悠介はただの友達なの?」

 

曜「えっ、どういうこと?」

これは…曜ってば自分の気持ちに気付いてないのね…

鞠「それは自分で考えなさいっ、あなたのためよ」

鞠莉ちゃんはとても真剣な顔で言った

鞠「とにかく、友達には本音でぶつかりなさいっ」

そういうと鞠莉ちゃんは帰って行った

本音か…

 

 

次の日の練習後

結局、その日の練習で千歌ちゃんに何も話す事は出来ず、私は帰り支度をしていた

曜「今日も練習ダメだったな…」

私がしっかりしないといけないのに…

身支度を終え、部室を出ようとした時、誰かが部室に入って来た

曜「悠介君!どうしたの?」

 

悠「ちょっと忘れ物をな、今から帰るのか?」

 

曜「うん、ちょうど今終わった所だよ」

 

悠「そうか、なんだし一緒に帰るか?」

 

曜「え、いいの?」

 

悠「もちろん、鞠莉さんから聞いたけどなんか悩んでるんだって?俺でよかったら相談のるぜ」

 

曜「悠介君…ありがとう」

私達は沼津に帰る途中で喫茶店に寄り、そこで話す事にした

 

 

沼津 喫茶店

私は千歌ちゃんとの事を話した

悠「そうか、どうりでダンスが上手くいかないわけだな」

 

曜「うん、私って弱虫だよね…皆に迷惑かけて…」

私は思わず涙目になる

悠「何言ってんだよ、曜ほど友達思いな奴なんて中々いないよ?そんな風に考えるのも千歌の事を思ってだろ?だからもうちょっと自信持てよ!」

彼の言葉を聞いた瞬間、涙が溢れて止まらなくなった

曜「グスン…悠介君の…ばかぁ…」

 

悠「え、俺なんかまずいこと言った?ごめん…」

というかこんな可愛い子泣かしてるのめっちゃ罪悪感あるじゃん…

周りの視線が痛い痛い

曜「ううん、大丈夫だよ。元気出た」

私は涙を拭きながら答える

悠「そいつはよかった、そんなに気になるんだったら千歌に聞いてみたらどうだ?」

 

曜「私に、聞けるかなぁ…」

 

悠「曜なら出来るさ、自信持てよ!」

悠介君はそう言いながら私の肩をポンポンと叩いた

曜「ありがとう、頑張ってみるよ」

 

悠「俺も曜には助けられたからな、曜に出会えたお陰で俺は少しだけど変われた、少しだけど強くなれた。お前のお陰だよ、曜」

 

曜「私も悠介君に出会えてよかったって思ってる、命も助けて貰ったし、今こうして相談にも乗ってくれてる、感謝してもしきれないよ、ありがとう」

曜は、今日のお礼と言わんばかりのとびっきりの笑顔で答えた

 

 

夜 曜の家

私、どうしたらいいんだろう…

本音をぶつけるって、どうしたら…

私は頭の中で想像を膨らませる

 

千歌ちゃんに壁ドン

「千歌ちゃん、私と梨子ちゃんどっちが大切?ハッキリして!」

…って、嫌々違うよね…なら!

木の木陰で

「千歌ちゃん、私の事あんまり…好きじゃないよね、」

これもちがーう!、なら!

某水族館の着ぐるみを着て

「私、渡辺曜は千歌ちゃんの事が、全速前進〜ヨーソロー!」

もぉぉぉ、なんか訳わかんなくなってきた…

私が変な妄想にふけっていると、誰かから電話来たようだ

ディスプレイを見ると「桜内梨子」と書いてある

私は意を決して電話に出る

曜「もしもし?」

 

梨「曜ちゃんが私のポジションで歌う事になったって聞いて、あんまり合わせちゃダメよ?曜ちゃんには曜ちゃんらしい動きがあるんだから」

 

曜「そんな事、ないよ…千歌ちゃんの隣には、梨子ちゃんが1番合ってると思う、だって、千歌ちゃん梨子ちゃんといると嬉しそうだし、梨子ちゃんのために、がんばるって、言ってるし」

目から涙が溢れてくる、耳から携帯を離し、涙を拭う

梨「そんな事思ってたんだ…千歌ちゃん、前話してたんだよ」

私は梨子ちゃんから、千歌ちゃんの本当の思いを聞く

その時、外から声が聞こえてきた

千「曜ちゃーん!」

 

曜「千歌ちゃん、どうして?」

 

千「練習しようと思って!やっぱり曜ちゃん、自分のステップでダンスした方がいい!合わせるんじゃなくて、1から作り直した方がいい!曜ちゃんと私の2人で!」

私はその言葉を聞いた途端、急いで階段を駆け下りた

その道中で、先程の梨子ちゃんの言葉を反響させる

「私、曜ちゃんの誘い、いっつも断ってばかりで、ずっとそれが気になってるって。だから、スクールアイドルは絶対曜ちゃんとやるって、絶対曜ちゃんとやり遂げるって!」

私は階段を駆け下り、千歌ちゃんの元へ辿り着く

後を向きながら近づき、千歌ちゃんの肩を触る

曜「汗びっしょり、どうしたの?」

 

千「バス終わってたし、美渡姉達も忙しいって言うし…曜ちゃんずっと気にしてたっぽかったから、いても立っても居られなくなって…」

私はとんでもない思い違いをしていたようだ、やっぱり、私…

曜「私、バカだ、バカ曜だ…」

私は我慢できず、千歌ちゃんに抱き着く

千「あぁ、汚れるよぉ」

 

曜「いいのぉ!」

 

千「風邪ひくよ?」

 

曜「いいのぉ!」

 

千「風邪ひくよ?」

 

曜「いいのぉ!」

 

千「なんで泣いてるの?」

 

曜「いいのぉ!」

やっぱり千歌ちゃんは、私にとって1番の親友だな

 

 

ラブライブ 予備予選当日

やれるだけの事はやった

梨子ちゃんの為にも負ける訳にはいかない!

私達は円陣を組む

千「さぁ、いこう!ラブライブに向けて、私達の第1歩に向けて、今、全力で輝こう!Aqours、サンシャイン!」

私は、分かった気がした。何故千歌ちゃんがスクールアイドルを始めたのか、千歌ちゃんにとって輝くという事は1人じゃなくて、皆で輝くという事、普通の皆が集まって1人じゃとても作れない大きな輝きを作り、学校や周りの人に広がっていく、繋がっていく、それが千歌ちゃんがやりたかった事、スクールアイドルの中に見つけた、輝きなんだ

私達は歌う、今、全力で…

「想いよひとつになれ」




今回はここまでです!
まさかの戦い無しでした笑
次回も頑張って書くのでよろしくお願いします!


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第12話 疾風

前回のあらすじ
ラブライブ予備予選を終えたAqours、果たして…


内浦漁鮮前

果「突破出来てるのかな…」

 

千「大丈夫だよ!あんなに頑張ったんだもん!きっと…」

 

悠「そうだ、きっと…大丈夫だ」

そうしていると曜の携帯が鳴る、どうやら結果が届いた様だ

曜「来た…ラブライブ、予備予選合格者」

 

全「ゴクリ…」

 

ダ「Aqoursのアですわよ!」

そして1番上に書かれていたグループは

曜「イーズエクスプレス…」

 

果「うそ…」

 

千「落ちた…」

全員が落胆していると

曜が健気な声で言う

曜「あ、エントリー番号順だった、」

なんじゃそりゃ

悠「びっくりさせんなよ!」

 

曜「ごめんごめん笑」

そして曜が画面をスクロールすると、そこに

曜「Aqours…Aqours!」

 

千「やったぁ!」

 

花「やったずらぁ!」

それぞれ歓喜の声を上げている

悠「これで一安心だな」

 

鞠「予選…突破、オーマイガー!」

 

 

スクールアイドル部 部室

とりあえずお祝いをしようと言うことで学校に戻ってきた訳だが…

果「はいっ、今朝取れた魚だよ!」

 

千「なんでお祝いにお刺身?」

 

果「え、だって干物じゃあお祝いにならないでしょ?」

っていってもなぜ刺身をチョイスしたんだ果南さん…

千「それ以外にもあるでしょ…夏みかんとか!」

 

花「パンとか!」

花丸がのっぽパンを頬張りながら言う

いやみかんもパンも違うだろ…

俺は心の中でツッコミを入れる

悠「そう言えば鞠莉さん、俺をこの高校に入れたのは共学テスト生としてでしょ?共学になって生徒が沢山集まれば学校も続けられるんですよね?」

 

鞠「That's Right、その通りよ悠介、この前のPVの再生回数からすると入学説明会の人数もかなり…」

鞠莉さんはそう言って携帯を操作するが、急に指を止め

鞠「0…」

 

千「そんな…」

確かに予備予選は突破した、でも肝心の学校説明会の希望者がいなきゃ…

俺は少し考え、その答えを話す

悠「なぁ千歌、お前の好きだったμ'sってグループは東京にいたんだろ?立ったら行けばいいじゃん、お前が目にした輝き、それを最初から見直して見たらいいんじゃないか?それに、梨子もだ東京にいるんだろ?」

俺の言葉を聞いて千歌は少し考え込んだ

千「それ、いいかもしれない、私が憧れた輝き、そこに答えがあるかもしれない。よし、行こう!」

 

果「まぁ、まだ夏休みだし…いっか、ねっ?ダイヤ」

 

ダ「私は別に…」

 

鞠「本当は行きたくて堪らないんでしょ?」

 

ダ「違いますわ!」

ダイヤの一言に全員が笑った

 

 

内浦の廃倉庫

グ「バヅーまでもやられるとは…クウガも侮れなくなりましたね…」

 

ガ「へん、腰抜けばっかじゃねえか、どうすんだ、メビオ」

 

メ「既に次の手は打ってある、クウガは東京に向かった、先に奴を始末しなければ計画は進まない」

 

グ「バチスを使ったのですね?」

 

ガ「あの蜂野郎か」

 

メ「早くあれを、魔石ゲブロンを見つけなければ」

 

グ「古代にこの地に君臨したグロンギ族の王…その力を使えば、我々デモスは全てを支配出来る、それがあの方のお考えです」

 

メ「必ず見つけ出す」

そういうとメビオは去った

 

 

とある森の中

メ「バチス、予定が変わった」

メビオがそういうと、蜂の様な怪物が現れた

バ「東京だろ?任せろ、クウガは俺が始末する」

 

メ「他の人間は絶対殺すな、クウガだけを始末するんだ」

 

バ「クウガだけだと?つまんねぇな、まあいい」

そういうとバチスは背中の大きな羽を使い飛び去った

 

 

 

東京駅

千「わぁー、賑やかだねぇ」

さすが日本の中心地、今日も多くの人で一杯だ

ダ「皆さん、心をしっかり、負けてはなりませんわよ!東京に呑まれないように!」

 

千「大丈夫だよー襲ってきたりしないよ」

 

ダ「貴方は何も分かっていませんわ!」

そう言って千歌を指さす

悠「何であんなにテンパってるんだあの人」

ルビィによるとダイヤは昔東京で迷子になった事があるらしいのだ

まさにトラウマだな…

悠「トラウマか…東京」

悠介も昔は東京に住んでいた。両親が死ぬまでは…

父さん、母さん…

曜「悠介君!どうしたの?変な顔して」

 

悠「あ、いや、何でもないんだ、所でどこに行くんだ?」

そうしていると梨子と千歌が来た

悠「よう梨子、コンクールお疲れ様」

 

梨「ありがとう、皆のお陰で最高の結果が得られたよ!所で今日はどこに?」

 

鞠「tower?tree?bills?」

 

ダ「遊びに来たんじゃありませんわ」

 

千「そうだよーまずは神社!私ある人に話聞きたくて、すっごい調べたんだ!そしたら会ってくれるって!」

 

花「ある人?誰ずら?」

 

千「それは会ってのお楽しみ!」

 

ダ&ル「東京、神社、凄い人…まさか、まさか!」

 

神社に着くやいなや、全速力で階段を登って行くダイヤとルビィ

しかも色紙を持って

そんな簡単に有名人と会えるのか?

そう思い、階段を上がる、そこに居たのは…

聖「お久しぶりです」

seinto sunoの2人

ダ&ル「なんだぁ〜」

 

鞠「誰だと思ってたの?」

ご最もだ

 

 

喫茶店

梨「予備予選突破、おめでとうございます!」

 

聖「褒めてくれなくて結構ですよ、再生回数はあなた達の方が上ですから。でも、決勝では勝ちますけどね」

聖良は自信満々の表情で言って抜ける

聖「私達も考えた事があります、A‐RISEやμ'sの何が凄いのか」

 

千「答えは、出ましたか?」

 

聖「いいえ、ただ勝って同じ景色を見るしかないと思います」

確かにそうだな、勝った物の喜びは勝ったものにしか分からないし、その逆もしかりだ

千「ラブライブ、勝ちたいですか?」

 

聖「勝ちたくなければ、なぜラブライブに出るのです?μ'sやA‐RISEはなぜラブライブに出場したのです?…そろそろ今年の決勝のステージが発表されます。毎年恒例ですから」

聖良の言葉を聞き言われた場所に行く、そこに書かれていたのは…

梨「秋葉ドーム…」

 

果「うそ、本当にあの場所で…」

 

千「ちょっと、想像出来ないな…」

確かに今までのどのライブ会場よりも広いだろうな、でもそのプレッシャーを乗り越えなければならない、乗り越えなければ、勝てない…

その時、梨子が提案した

梨「ねえ皆、音ノ木坂に行ってみない?ここからなら近いし、昔、私のわがままで行けなかったし、しっかりピアノ弾けたからかな、私も今は、行ってみたい!皆はどう?」

 

千「いいの?」

 

曜「賛成っ!」

 

果「いいんじゃないかな!」

 

ダ&ル「μ'sの、母校ー!?」

 

悠「いいじゃん、行ってこいよ、そこでお前達の輝きの意味、見れたらいいな」

 

曜「悠介君行かないの?」

 

悠「なんか、俺は行っちゃダメな気がするんだ、本気で輝きを求めてるお前達にこそ行く権利があるよ、大丈夫、ちゃんと待ってるから」

 

千「じゃあ、お言葉に甘えて…行こうみんな!」

そういうと9人は音ノ木坂へ向けて出発した

 

そして、この時を待っていたかのようにその声は聞こえてきた…

やっと1人になったなクウガ、お前を…潰す!

その声が聞こえた瞬間、物凄い速さで「何か」が飛んでくる

悠介は前転してそれを間一髪でかわす

悠「なんだ、これは…」

目をやった先にあったのは長い針のような物

悠「これは…毒針?」

その時虫の羽音が聞こえ、その方向に目を向けると蜂によく似た怪物がいる

悠「デモス?ちっ、こんな所にまで!」

悠介は変身の構えをとる

悠「今はお前の相手をしている暇はない、変身!」

仮面ライダークウガ マイティーフォーム

クウガが変身すると同時に蜂のデモスは地上に降り立つ

バ「瞬殺の針、バチスだ!」

バチスは腕から針を伸ばし、クウガを刺そうとする

クウガは何とか避けるがバチスのスピードに押され、反撃が出来ない

ク「くっ、早い…なら!」

クウガは後方に大きくジャンプして距離をとり、構える

ク「超変身!」

クウガの体が赤から青へと変わる

仮面ライダークウガ ドラゴンフォーム

クウガは近くに落ちていた折木を拾い、ドラゴンロッドへ変化させる

ロッドを振り回しバチスを突こうとするが、間一髪の所で空に逃げられる

バ「ここまでは届かないだろう?」

そういうとバチスは毒針を発射する

俊敏な動きでそれを避けるが、敵が空にいる以上、攻撃が出来ない…

ク「くそ、どうすれば!」

その時、レッグコントロールオーブが緑に輝き、体色も青から緑へと変わる

仮面ライダークウガ ペガサスフォーム

ク「緑になった!?」

驚くのも束の間、耳の中に様々な音が流れ込んでくる。あまりの感度に目眩を起こし、頭を抱えて倒れ込む

ク「ぐっ、な、何だこれは!」

クウガは苦しみ、やがて緑から白い姿に変わってしまう

エネルギーを使い切り、戦う事が困難な姿

仮面ライダークウガ グローイングフォーム

白い姿になっても、先程の目眩が残っているのかクウガは立ち上がる事ができない

やがて変身が解けてしまい、尚も悠介は立ち上がる事ができない

バチスはゆっくりと悠介に狙いを定める

バ「トドメだ、クウガ!」




今回はここまでです!


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第13話 射手

今週からペースを一定にする為に毎週日曜を投稿日にしようと思います!これからもよろしくお願いします!
前回のあらすじ
輝きの意味を知るために東京に出向いたAqours、そこでもデモスが現れ…



バチスはクウガに狙いを定める

バ「終わりだ!」

 

悠「くっ、こんな所で…」

悠介が諦めたその時

曜「悠介君!」

曜が悠介の元にかけより、ほかのメンバーも来る

千「どうしたの!?」

 

梨「大丈夫?」

バ「ちっ、邪魔が入ったか、命拾いしたなクウガ」

そういうとバチスは飛び去った

 

 

電車の中

曜「……なるほど、あの怪物は悠介君を…でも無事でよかったよ」

 

悠「お前らに助けられるとはな…だが、礼は言う、ありがとな」

 

梨「私達、お礼言われるほどの事してないよ笑」

 

悠「ところで、音ノ木坂行ったんだろ?どうだった?

悠介の質問に千歌は手顔で答える

千「うん!わかった気がするよ!私達が目指す輝きは何なのか、その答えは、自分で見つけるしかない、勝ってその景色を見るしかない!だから、これからも頑張るよ!」

 

曜「千歌ちゃんに着いていくであります!」

 

果「ダンスも歌もも頑張らなきゃね!」

 

梨「そして作詞も!」

 

千「うぅ…頑張ること多いな…でもその方がやりがいがあるよ!」

 

悠「頑張れよ、俺も全力でサポートするぜ」

悠介はサムズアップをしてみせた

 

ダ「そういえば悠介さん、怪我の具合は大丈夫なのですか?」

ダイヤが心配そうに語りかける

悠「そっちの方は全然問題ありません、特別な力のお陰で、怪我の治りも早いですし!ただ…」

 

曜「ただ?」

 

悠「怪我の治りが早いって事は、それだけ体に負担をかけているって事なんだ、自然の流れに逆らってるからな…でも、俺は大丈夫だ!

だから心配はいらない」

悠介は元気に話したが、他のメンバーの顔はどこか寂しそうだった

 

 

その後、メンバーはそれぞれの家に帰る

悠介も家に帰り着き、居間に寝転がる

悠「はぁ、やつら東京にまで追いかけてくるとはな、よっぽど俺を消したいらしい」

奴らの目的は一体なんだ?

考えてみたが、答えは浮かばない

悠「やーめた、そういえばまた体の色が変わったな、今度は緑か…」

悠介はこの間送られてきた手紙の写真に目を通す

悠「感覚がとても鋭くなったような…でも鋭すぎて変身が解除されたな…いや、体の感度を全開にするからあの姿では長い間戦えないのか?だからエネルギー切れで白い姿に戻ったのか」

そう考えながら碑文を見てみる

内容的に…これが1番有り得るかな?

1枚の写真の文字の訳を見る

邪悪なる者あらば、その姿を彼方より知りて、疾風の如く邪悪を射抜く戦士あり

射抜く、か、また武器を持つんだろう

でも一体どんな武器を…

考えている内に悠介は眠りに落ちた

 

 

浦の星学院 屋上

今日もまた一段と暑い、俺はマネージャーとして、メンバーが熱中症にならないように注意をしながら練習を見守る

地区予選に向けて気合いも入っている様だ、ダンスのキレが違う

果「よしっ、じゃあ一旦休憩にしようか」

 

花「疲れたずらぁ…」

 

ル「1番の猛暑日だって…」

 

悠「はいっ、スポドリと塩飴な」

俺はメンバー全員に渡して回る

曜「サンキュー!」

 

ル「ありがとう」

 

花「ずらっ!」

メンバーの大半がぐったりしている中、果南さんだけはどこか元気そうだった、流石体力おばけだな…

鞠「果南はシャイニーな子だからねぇ」

いやシャイニーな子って何だ

そう心の中でツッコミを入れていると、千歌が話しだす

千「私、夏好きだなぁー」

 

曜「私も!」

曜が敬礼をしながら応える

悠「俺も好きだな、なんか心が熱くなる」

 

梨「熱くなり過ぎないようにね?倒れるわよ?」

梨子の一言に全員が笑った

千「さ!そろそろ再開しようか!」

 

ダ「ぶっぶーですわ!」

 

鞠「overworkは禁物、by果南」

 

ダ「地区予選が近づいて焦るのも分かりますが、休むのも立派なトレーニングですわ」

流石ダイヤさんだな

 

 

プールサイド

そして夕方になり、練習も一段落した

千「はぁ〜、今日も目一杯だったね〜」

 

曜「でも、日に日に良くなってる気がする!」

 

悠「確かに、練習の成果が出てるって感じだな」

 

ダ「それで、歌詞の方は順調ですの?」

 

梨「花丸ちゃんと果南ちゃんとステップ決めてる所です!」

 

鞠「皆のheartに届くシャイニーな歌にしないとね!」

皆、それぞれ頑張ってるんだな

そう思っていると果南さんに腕を引っ張られ、プールに飛び込んでしまう

いきなりの事に俺は驚き、一瞬溺れそうになる

悠「ちょっと果南さん!殺す気ですか!」

 

果「あははっ!いやー悠介見てたら弄りたくなるんだもん」

 

ダ「また服のままで!はしたないですわよ!」

 

果「だって気持ちいいんだもーん!」

そうだ、水が冷たくてとても気持ちいい、ふと俺は空を見上げる

そこには長い飛行機雲が伸びていた

夕陽と相まってとても綺麗だ

他のメンバーも空を見上げる

千「綺麗…私達もいつか、あの長い飛行機雲みたいに飛べるかな…」

 

悠「飛べるさ、皆で力を合わせれば必ず、そのために俺は全力で応援する、学校の人達も全力でサポートするって言ってくれてたしな

悠介は穏やかな表情で千歌に応える

曜「なんか、悠介君代わったよね」

 

悠「へ?そうか?」

 

梨「だって転校してきたばっかりの時は誰とも話さないで」

 

曜「俺に近づくな、なんて笑」

 

果「でも、悠介といると退屈しないよ」

 

鞠「勇気もあるしね!」

 

ダ「正義感に溢れていますわ」

 

善「流石、わたしのリトルデーモンね」

 

花「それに優しいずら!」

 

ル「うんうん!」

メンバーの声を聞き、悠介は物思いに耽る

悠「俺も変わったのか…でもそれはお前達のお陰だよ、毎日が楽しいしな、Aqoursに会えて本当によかったよ」

悠介の言葉に、全員が笑顔で応える

俺は守らなければならない、この笑顔を、輝きを…

 

 

ラブライブ 地区予選会場

客席は超満員だ、まさか全校生徒で応援に来るとはな…

Aqoursのメンバーは衣装に着替え、最後のミーティングをしていた

千「皆がいたから、ここまで頑張って来れた、これから辛い事や嬉しい事、色々あると思う、でも私、それを楽しみたい!全部を楽しんで皆と一緒に進んで行きたい!それがきっと輝くって事だと思う!

0を1にするために、私達の学校を、この町を好きな人達の思いを伝えるために、今、全力で輝こう!」

そして全員で円陣を組み、ステージへ向かって行った

そうしてAqoursは歌う、内浦の人達も共に…

「未来チケット」

ライブはとても素晴らしく、客席の生徒との心も繋がっているように思えた

悠介が余韻に浸っていた時…その声は聞こえてくる

「来いクウガ、決着をつけるぞ」

Aqoursの輝きを邪魔させたりはしない!

悠介は外に向かって走りだす

会場から少し移動した砂浜に奴はいた

 

砂浜

バ「よく来たなクウガ、さぁ変身しろ!」

 

悠「俺は負ける訳にはいかない、変身!」

仮面ライダークウガ マイティフォーム

バチスは腕から毒針を伸ばし、クウガを刺そうとする

それを素早い身のこなしで躱し、逆にボディに蹴りを入れるとバチスは苦痛の声を上げた

バ「がぁっ!生意気な!」

大きな羽を使い上空へ上がる

その姿を見てもクウガは動揺せずに構え

ク「1発で決めてやる、超変身!」

クウガの体色が赤から緑へと変わる

仮面ライダークウガ ペガサスフォーム

近きに落ちていた短い折木を拾い上げ、銃型武器、ペガサスボウガンに変化させる

鋭い五感を最大限に活かす為の武器を装備し、ペガサスフォームが完成する

バ「そんな物があった所で!」

バチスはクウガに狙いを定め、毒針を発射する

クウガはそれをなんと2本指で掴んでみせた

高い視覚を持っているからこそ出来る技だ

バ「毒針をいとも簡単に…」

バチスが動揺し、隙を作った瞬間をクウガは見逃さない

ペガサスボウガンの引き金を引き、バチス目掛けてエネルギー弾を放つ

ブラストペガサスはバチスの胸に命中

バ「そ、そんな、バカな…ガァァー!」

バチスはそのまま海に落ち、海中で爆発した

ク「勝った…」

悠介は我に返ると、変身を解き会場に急いで戻った

 

 

悠介が戻ると、丁度Aqoursの歌が終わった所だった

会場は熱気に包まれ、ライブが成功した事が伝わってくる

Aqoursが求めた輝き、まだまだ未熟かもしれないけど、これからだよな、俺はその輝きをこれからも守っていくんだ

ステージ上で輝く彼女達を見つめながら、悠介はそう心に誓った




今回はここまでです!


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第14話 剛腕

1つ設定を変えようと思います。敵怪人は幹部と戦闘員がいるという設定でしたが、全て平等という設定に変更致します
そして、前回日曜日を投稿日に設定すると言いましたが、より多くの皆様に読んで頂けるよう金曜日に変更致します
前回のあらすじ
ラブライブ地区大会突破を目指し、練習に励むAqours。彼女達の輝きを守るため、悠介は戦い続ける…


浦の星学院 屋上

日が傾き初め、美しい夕陽に照らされている

Aqoursのメンバー練習後のストレッチをしていた

悠「地区大会、惜しかったな」

 

千「うん、でも…0を1にする事はできた!これからも頑張って練習していくよ!」

 

曜「そうだね!ラブライブはまだあるし!」

 

ダ「先日、次のラブライブの発表がありましたね、次こそは!」

 

鞠「メラメラねーダイヤ」

 

果「そう言えば、次のライブは水族館でやるとか言ってたよね?」

 

梨「はい、3週間後の水族館のイベントで」

 

ル「曲は決まってるのですか?」

 

千「それが…まだ書いてなくて…」

千歌の一言に全員がズッコケる

善「大丈夫なの?」

 

花「やばいずら…」

 

ダ「全く、先が思いやられますわ!」

 

果「まぁ、仕方ないよ、ラブライブもあったんだし。そうだ、作曲は私達がやって悠介が作詞するっていうのはどう?」

え。まじか…

花「それ賛成ずら!」

 

梨「確かに、たまにはいいかも知れませんね!」

 

曜「楽しみだなぁ!」

 

悠「ちょちょちょ待ってください!俺作詞なんか…」

 

ダ「大丈夫、自分が書きたいとおりにすればよろしいですから」

 

悠「…まぁ、たまにはいいかもな…わかった、やります!」

 

千「やったー!」

 

悠「千歌はサボりたいだけだろ!」

俺の突っ込みに全員が笑った

 

 

沼津 カジノ店廃墟

薄暗い部屋の中で、チェスをする2人

ガ「……」

 

グ「頭で私には勝てないですよ」

戦局は一方的だった

次の瞬間、ガドラは盤を引っくり返した

ガ「あぁ!つまんねぇ!」

 

グ「正にちゃぶ台返しですね」

グレムは不敵に微笑む

メ「またくだらない事でもやってるのかい?」

 

グ「やぁメビオ、このチェスというゲームは非常に愉快です、駒の位置が1マス変わるだけでも戦局が大きく変わってしまいます、いいですか?よく見ていて下さい」

そう言うとグレムはキングの駒とナイトの駒を手に取り

グ「このキングがクウガ、私がナイト、ナイトはキングを角に追い詰めて」

次の瞬間、キングの駒に液体をかけた

駒は直ぐに溶け始め、やがて消えた

グ「クウガもこれぐらい簡単に倒せれば苦労はしないんですが、所で、次の者は?」

グレムがそう言った瞬間、後ろの扉が開かれた

?「俺が行く、クウガは俺が倒す」

現れたのは身長2メートルはあろうかという大男

ガ「ジイノか」

 

グ「頼みますよ」

 

ジ「任せろ」

そう言って外へ出て行った

 

 

翌日 帰り道

悠介はバイクを走らせ、帰り道を辿る

夏休みの間はバイクで登校していいと鞠莉さんに許可を貰ったのだ

曜に乗せてくれと頼まれたが、危ないので今度と言っておいた

一緒に帰っている時に襲われでもしたらヤバいからな

そう思いながら走っていると、目の前に大男が立ちはだかった

手前でバイクを止める

悠「何だ?」

大男はニヤリと笑う

大「お前がクウガだな?待っていたぞ」

次の瞬間、大男が猪に似た怪物へと変身した

大きな牙と鼻、強靭な手足

ジ「お前を倒して名を上げる!ジイノだ!」

悠介は身構え、変身の構えをとる

悠「こんな所で…仕方ない、変身!」

仮面ライダークウガ マイティフォーム

次の瞬間、ジイノはクウガ目掛けて突進する

それをジャンプで交わし、後ろに回り込んだ

クウガはボディを狙うが、逆に拳を捕まれる

ジイノはクウガの拳を凄まじい腕力で握る

苦痛の声を上げるクウガ

ジイノはそのままクウガのボディを何度も殴り、最後に蹴りを入れた

その凄まじい力に、クウガは大きく吹っ飛ばされる

ク「なんて…パワーだ…」

何とか立ち上がり、構える

ジ「まだやれるのか、中々タフだな」

ジイノは自らの首飾りを1つちぎり、巨大な槍に変化させる

ジ「トドメだ!」

次の瞬間走り出し、渾身の力でクウガを突いた

何とか避けようとするが適わず、もろに攻撃を貰ってしまった

流石に耐え切れず、変身が解けてしまう

ジ「人間体のお前を倒しても意味が無い、また会おう、クウガ」

ジイノはそう言って去る

悠介は力を振り絞って立ち上がった

悠「はあっ、はあっ、なんてパワーだ…」

ジイノの力に、悠介は言い知れぬ恐怖を覚える

 

 

悠介の自宅

悠介は寝転がりながら、碑文の写真を見つめていた

悠「送られてきた写真は4枚、という事はもう1つ新しい力があるという事だな」

そう思い、4枚目の写真に目をやる

「邪悪なる者あらば、鋼の鎧を身に付け地割れの如く邪悪を切り裂く戦士あり」

切り裂く、って事は剣って事か?

剣か、でもどう言う心持ちで闘えば…

その時、部屋にじいちゃんが入って来た

じ「悠介、風呂入れ」

 

悠「ああ、わかった」

その時、悠介はある事を思い出した

悠「そうだ…そうだ!じいちゃん、昔剣道やってたって言ってたよな?」

 

じ「ん?あぁ、3段じゃ、大会では負けた事が無い」

じいちゃんはドヤ顔で答える

悠「俺に教えてくれ!」

 

じ「いいが、手加減はせんぞ?」

 

悠「わかってらぁ!」

剣道をすれば、剣の戦士の心が分かるかもしれない

悠介はそう確信していた

 

 

沼津 カジノ店廃墟

グ「なぜクウガを取り逃がしたのですか?」

 

ジ「人間体の奴を倒しても意味が無い」

 

ガ「真面目な奴だ」

ガドラはニヤリと笑った

メ「やりたい様にやらせてやれ、だがジイノ、油断だけはするなよ」

 

ジ「分かっている」

ジイノはそう言って去って行く

 

 

次の日 練習後

千「じゃあ曜ちゃん!また明日ね!」

 

梨「気をつけて変えるのよー」

 

鞠「see you again 曜!」

 

花「バイバイずら!」

そう言って皆帰って行った

ダイヤさん達も先に帰ったようだ

私は衣装のスケッチがまだだったので、少し部室に残る事にしている

曜「んー、中々浮かばないなぁ…曲のイメージもあるし、悠介君に聞いてみようかな」

私が考えていると、誰か部室に入って来た

悠「おお、曜、何してるんだ?」

 

曜「悠介君、衣装のスケッチをね、そうだ!悠介君、歌詞どれくらい書けてる?衣装のイメージの参考にしようと思って!」

 

悠「それがなぁ、難航してると言うか、時間が無いというか…」

そう言うと彼は自分の腕を摩っていた

その行動に、私は違和感を感じる

曜「腕、どうかしたの?」

悠介君は黙り込む

曜「少し見せて」

彼の制服を捲り上げると、そこにはおびただしい数のアザ

曜「また、戦ったの?」

 

悠「ああ、でも大丈夫、すぐ直るから」

私は彼の腕を抱いて耳元で囁いた

曜「何でそこまでして戦うの?なんで、なんで悠介君が…」

 

悠「そんなの決まってるさ、この街のため、学校のため、そしてお前達のためだよ。ここに来た時は違ったが、今はAqoursの輝きとこの街を俺は守りたい、だから戦うんだ」

 

曜「強がり、なんだから」

私は彼の背中に腕を回した

曜「分かった、でも無理はしちゃダメだよ?」

 

悠「ああ、分かってる」

やばい、こんな可愛い子に抱き着かれたらまじやばい…

俺は嬉しい思いと焦りが交錯しながらも、曜に身を任せていた

曜「あ、ごめん、私ったら…」

ちょっと大胆にやりすぎたかな…

悠「いいんだいいんだ!それより、曲作りだろ?所で曜、今好きな人とかいるのか?」

 

曜「えっ、いやっ、その……いるっちゃいるかも…」

曜は顔を真っ赤に紅潮させる

悠「そうか、好きな人、居るんだな…分かった」

彼は少し寂しげな表情で続ける

悠「実は、恋愛曲を作ろうと思ってな、センターは……曜だ!」

 

曜「えっ、私!?」

 

悠「ああ、だからお前が今気になってる人への感情を少し聞かせてくれないか?俺、恋愛とかした事なくてな」

 

曜「う、うん、参考になるか分からないけど…いいよ、」

困ったなぁ…好きな人は目の前に居るのに…

 

その2人の姿を見ている2つの影があった

果「悠介ってば、曜があんなにアピールしてるのに気づいてないの?」

 

鞠「恋は盲目よ?果南」

 

果「これから面白くなりそうだね」

 

鞠「んん〜楽しみねぇ」

2人は顔を見合わせてにやけ合った




今回はここまでです!
次回もお楽しみに!


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第15話 装甲

週1投稿ではあまりに遅すぎるので、週2投稿に変更します!
前回のあらすじ
3週間後のライブの歌詞作りを任された悠介、なれない歌詞作りに悪戦苦闘していると新たな敵が現れる…



浦の星学院 屋上

今日も日差しが照りつけ、汗ばむ陽気だ

果「1.2.3.4 1.2.3.4…よしっ、じゃあ一旦休憩にしようか」

 

花「疲れたずらぁ…」

 

ル「ピギィ…」

 

善「よはぁ…」

 

悠「はい、疲れてても水分補給は欠かすなよ」

そう言って水を渡した

悠「他の皆もどうぞー」

 

曜&千「ありがと!」

 

梨「どうも!」

 

ダ「ありがとうございます」

 

果「さんきゅ!」

 

鞠「Thank you!」

 

ダ「所で、歌詞の方は順調なのですか?」

 

悠「はい!結構進んでます」

悠介は自身満々の声で答える

果「特に昨日は順調だったでしょ?ね、ゆーすけ?」

果南さんはニコニコ笑顔で聞いてくる

悠「え、昨日って、まさか…」

 

千「なになに?どうしたの?」

 

果「まープライベートだからねっ、笑」

やばい、昨日の部室での事見られてたんだ…終わった…

俺が青い顔をしていると、曜は顔を真っ赤にして俯いていた

千「どーしたの曜ちゃん?顔赤いよ?」

 

曜「いやいやいや!大丈夫だよ!」

 

梨「なんでそんなに焦ってるの?」

果南さんと鞠莉さんはそのやり取りを微笑ましく見つめていた

 

 

今日の練習は昼過ぎには終わったので、悠介は剣道の練習をするためにじいちゃんと道場に来ている

悠「それじゃ、よろしくお願いします!」

深々と頭を下げた

じ「手加減はせんぞ?、こい!」

悠介は面を狙うが軽く受け流され、逆に胴を貰ってしまう

悠「くっ、まだまだっ!」

悠介は面にフェイントをかけ胴を狙うが、これも裁かれ今度は面を貰ってしまった

悠「ちきしょう…」

 

じ「悠介、お前はビビっちょる、剣士は相手を恐れてはならん!雑念を捨て、気で攻撃するんだ!」

俺が、ビビっている?そうか、一昨日の戦いもそうだった。敵の強さに恐怖を感じ、本当の力が出せ無くなっていた

攻撃を受ける事を恐れずに、相手に向かって行くんだ!

悠「わかった、じいちゃん、俺を打ち続けてくれ」

 

じ「なに?それでは試合にならんぞ?」

 

悠「いいから、頼む」

じいちゃんは頷き、竹刀を構える

そらから俺の面を打ち続ける

俺は心で念じる

攻撃を恐れるな、立ち向かうんだ!

俺は攻撃を受けながらも、前に出る

そしてコートの端まで来ると、じいちゃんが大きく振りかぶったのを見逃さず、竹刀を上に弾いて面を入れた

じいちゃんは驚いたが、やがて満足気な顔になり

じ「見事じゃ、悠介」

 

悠「じいちゃんありがとう、わかった気がするよ」

相手を恐れずに立ち向かい、一瞬の隙をついて攻撃する

俺の心に足りなかったのは、勇気だ!

 

その夜 悠介の家

悠「よしっ、書けた!」

悠介は書き上がった歌詞を見つめて、満足げにした

そう思っていると、携帯が鳴る

メールが来たようだ

携帯を開くと、曜からだった

曜「こんばんは!明日もし暇だったら一緒に買い物行かない?」

明日は練習も休みで特にやる事も無いので応じる事にした

悠「おっす、明日1日暇だから全然オッケーだよ」

返事は直ぐに帰って来た

曜「本当?やったー!じゃあ、明日10時にバス停とかいい?」

 

悠「わかった、準備しとく」

 

曜「じゃあ、明日ね!」

やばい…悠介君と買い物の約束しちゃった…

これって、デートなのかな?困ったなぁ、緊張する…

でも、仲良くなるチャンスだ!頑張ろう

私は心に決心し、今日は寝る事にした

 

 

次の日

俺は毎朝使っているバス停で曜を待っていると

曜「悠介君!おはヨーソロー!」

元気よく挨拶をしてきた

悠「おはよう」

 

曜「とりあえず、沼津のショッピングセンターに行こう!」

私達はバスに乗って沼津駅まで行き、そこから歩いてショッピングセンターへ向かった

悠「買物ってなに買うんだ?」

 

曜「衣装の生地を買うんだよ!」

まず、生地屋さんへ行き次のライブの衣装のイメージを悠介君と相談しながら選ぶ

曜「こんな感じでどうかなー?」

 

悠「うん、いいと思うぜ!歌のイメージによく合ってると思う」

2人で選んで決めたのは、魚をイメージしたフリルを付けた衣装

衣装に必要な生地を買い、店を出るとお腹が鳴った

悠「腹減ったな、なんか食べるか?」

 

曜「賛成であります!」

俺達は悩んだ挙句、ハンバーグ専門店に入る事にした

悠「しっかし曜がハンバーグが好きなのは意外だったな」

 

曜「うん!たまに自分で作ったりもするよ!」

 

悠「俺は料理下手だからな…」

 

曜「よかったら今度作ってあげようか?」

 

悠「まじか?じゃあ、お言葉に甘えようかな」

曜の手料理、絶対美味しいだろうな…

 

お昼を食べた後、私達は服屋を回ったり、アクセサリーを見て回ったりしていた

たわいもない話しかしてないけど、やっぱり悠介君といると楽しい

 

 

帰り道

曜「今日は楽しかったー!」

 

悠「俺も、買い物なんて久しぶり」

 

曜「悠介君は、彼女とかいたの?」

曜が顔を赤らめながら聞いてくる

悠「いた事ない」

彼はぶっきらぼうに答える

曜「そうなの!もったいないなぁ…」

 

悠「曜はどうなんだ?」

 

曜「えっ、私もいた事ないかな…」

 

悠「お前の方が勿体ない、そんなに可愛いのに」

その瞬間、私は顔から火が出るようだった

ほんと、気づかないって幸せだね…

悠「曜の好きな人がどんな人か俺は知らないが、きちんとその人に思いが伝わるといいな、俺、応援してっから」

彼はニカッと笑ってサムズアップをして見せた

好きな人は、隣にいるのになぁ…

曜「……あのね、悠介君、実は…」

私が言いかけた途端、彼が足を止めた

彼の目線の先には、大男が立っている

大「見つけたぞ、クウガ」

その出で立ちにただならぬ気配を感じる

悠「曜、隠れてろ、奴の狙いは俺だ」

 

曜「…わかった、でも約束して、死んじゃだめだよ?」

 

悠「あぁ、わかってる、大丈夫だ」

彼の言葉を受け取ると、私は遠くの電柱の影に隠れた

次の瞬間、大男が猪に似た怪物へと変身する

ジ「さぁ、変身しろ」

ジイノは首飾りを1つ取り、巨大な槍に変化させた

悠介は変身の構えをとる

こいつを倒すには、あの力を使うしかない、

思い出せ!じいちゃんとの稽古を…

俺は絶対に逃げない、立ち向かうんだ!

悠「変身!」

悠介の体が、重厚な装甲に身をまとった戦士へと変わる

スピードを失う変わりに、凄まじいパワーと鋼鉄の鎧を持った戦士

仮面ライダークウガ タイタンフォーム

ジ「行くぞ!」

ジイノは槍を振り上げながら、クウガ目掛けて突進する

クウガは槍を軽く受け止めて掴み、ジイノのボディにパンチをいれた

あまりの力にジイノは軽く吹っ飛ばされる

ク「これが、新しい力!」

 

曜「凄い、あれが悠介君の新しい力…」

クウガはジイノから取り上げた槍を巨大な剣、タイタンソードに変化させる

そしてタイタンソードを携え、ゆっくりと前に進む

ジ「くっ、くそっ!」

ジイノは首飾りをちぎって槍にし、構える

クウガはジイノのに近づき、大剣で斬りかかった

ジイノはその攻撃を槍で受け止めるが、力で押されている

そしえ、剣を大きく振り上げジイノを牽制

ク「はあっ!」

次の瞬間大きく前に出て、剣頭をジイノの腹に突き刺した

必殺技 カラミティタイタン

ジイノの腹にクウガの紋章が現れる

ジ「…見事だ」

ジイノは苦しみ、大きな破裂音と共に爆発

ク「か、勝った…」

悠介は変身を解き、大きく息を吐いた

曜は悠介の元へ走り、背中に抱き着く

悠「おわっ!」

 

曜「よかった、かっこよかったよ」

 

悠「ありがと、新しい力のお陰だ」

俺はこれからも戦い続ける、この街のため、Aqoursのため、そして皆の笑顔を守るために…

 

 

3週間後 ライブ前

俺は曜に呼び出され、ステージ裏にいる

悠「いよいよだな、頑張れよ」

 

曜「ありがと!…悠介君、私、あなたにいつか必ず伝えるから。私の本当の気持ちを、だから…待ってて!」

曜はニカッと笑い、敬礼をした

悠「えっ、それってどういう…」

 

千「曜ちゃーん!そろそろ行くよー!」

 

曜「はーい!じゃあね!」

そう言って走って行ってしまった

今の言葉、もしかして曜の好きな人って…

 

水族館のイベントもクライマックス、いよいよAqoursの出番が来る

千「さぁ行こう!沢山の人の笑顔のために、1!」

 

曜「2!」

 

梨「3!」

 

花「4!」

 

ル「5!」

 

善「6!」

 

ダ「7!」

 

果「8!」

 

鞠「9!」

 

千「Aqours!」

 

全「サンシャイン!」

曜「いよいよだ」

私はステージの真ん中に立ち、曲が始まるのを待つ

全力で歌おう、彼が書いてくれたこの歌を

今ならはっきり言える、私は彼の事が好きだ

いつか届けよう、この思いを…

曲が鳴り始め、私達は歌う

「待ってて愛のうた」




今回はここまでです!


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第16話 喪失

前回のあらすじ
Aqoursのライブのために作詞をする悠介、新たな力を使い強敵を倒したが…


沼津 カジノ店廃墟

メ「ジイノのが殺られた」

 

グ「そうですか、益々クウガが手に負えなくなりましたね」

グレムは冷静に答える

ガ「腰抜けばっかだな、よし、だったら俺が…」

言いかけた瞬間、入口の扉が開き、黒服にワインレッドのカーディガンを身にまとった女と、白いズボンとシャツにベストを着た髪が長く細身の男が入って来た

グ「これはこれは、バルバ…あの方に通じる唯一の者」

バルバと呼ばれた女は3人の前に立ち

バ「随分楽しそうだな、クウガは倒したのか?」

 

ガ「いや、まだだ、だが必ず俺が倒す!」

バルバは軽く微笑んだ

バ「その必要はない」

そう言うと、細身の男が口を開いた

男「そうそう、クウガは僕が倒すよ」

 

グ「えらく自信たっぷりですねぇ、まぁ物は試しです、やってもらいましょう」

 

メ「バルバ…なぜお前が来た?」

メビオの問いかけにバルバは鋭い口調で答える

バ「決まっている、お前達がだらしないからだ、クウガ1人にいつまでてこづっているんだ?これからは私が指揮を取る、いいな?」

バルバの凄味のある言葉に3人は口出し出来ず、無言で頷いた

バ「ギノガ行け、クウガを殺ってこい」

 

ギ「任せてよ」

ギノガは部屋を出て行った

 

 

スクールアイドル部 部室

水族館でのライブを終え、今後の予定を決めるために全員が部室に集められた

ダ「特訓ですわ!」

ダイヤが凄みのある声で言う

千「…また?」

 

ダ「そうですわ!入学希望者を集めるため、今年の秋から始まるラブライブのために、今の内から準備をするのですわ!」

 

果「確かに、早めの準備は大事だね」

 

鞠「off course!果南とダイヤの言う通りね!」

 

花「でも一体何をするずら?」

 

ル「もしかして…またこの前の合宿みたいな…」

 

梨「流石にそれは…」

 

曜「もうすぐ学校も始まるしね…」

 

善「なにをするかもう決めてるの?」

善子がダイヤに質問した

ダ「ええ、まずは基礎体力作りからですわ!ライブに必要なスタミナをしっかり作る事はとても重要ですので」

確かにダイヤさんの言う通りだな

悠「なるほど、まず基礎体力作り、次に技術力の向上、精神面の強化、それを順番にして行くことで短期間でレベルアップを図ろうって訳ですね?」

 

ダ「そ、その通りですわ!」

 

ル「流石お姉ちゃん!」

 

曜「ほんとにそこまで考えてたのかなぁ…」

他のメンバーがダイヤをジト目で見る

ダ「何ですかその目は、私はちゃんと考えていましたよ」

ダイヤは背中を向け、自分のホクロをかいた

果「まぁいいか、じゃあ明日から体力重視の練習メニューにしていこうか!」

果南の言葉に全員が元気よく返事をした

 

 

その日の帰り道

バス停で曜と別れ、自分の家の前まで来ると後ろから声をかけられた

?「大堂悠介君、だね?」

振り返ると、そこにはスーツを着て眼鏡を書けた20代後半位の男性が立っていた

悠「どちら様ですか?まさか…デモス?」

悠介は身構えるが、男性は両手を上げ

?「待ってくれ!僕は君の敵じゃない、どちらかというと…味方だ」

 

悠「味方?一体どういう…」

 

?「私は椿資仁、君のお父さんと一緒に研究をしていた者だ」

 

悠「父さんと?もしかしてこの間送られてきた手紙…」

 

椿「そうだ、君に碑文解読の手紙を送ったのはこの私だ、機密情報だから匿名にしたんだ、君に話さなければならない事がある、私の家に来てくれないか?」

悠介は一緒考えたが、椿が嘘をついているようには見えなかったので応じる事にした

 

 

椿邸

椿の家は悠介の家からそう遠くない一軒家だった、椿の他に住人はおらず、部屋の中には多くの資料が山積みにされている

椿「まぁ掛けなよ」

俺は椿さんが指さした椅子に座った

悠「椿さんは、父さんの事を知っているのですか?」

椿は大きく頷く

椿「もちろん、私は助手として君の父さんと古代の遺跡の研究をしていたんだ、君のその力についても調べている」

 

悠「椿さん、俺のこの力って一体?」

 

椿「それは古代の戦士クウガの力、古代、デモスと同じようなグロンギという怪物が存在し、人間を殺人ゲームの標的にしていた。そいつらを封印する為に作られたのがその力、霊石アマダムだ。アマダムは装着者の体と同化し、様々な力をさずける、その代表例が変身能力と、驚異的な回復能力だ」

椿は更に続ける

椿「古代の戦士クウガは全てのグロンギを封印、しかしグロンギの末裔とも言えるデモスの出現により、またクウガの力が必要になったんだ、そしてアマダムの研究に携わっていた君の両親は彼らに邪魔だと考えれ…」

 

悠「そうだったん、ですね…」

悠介は涙を堪えながら答えた

悠「俺、なんで父さんがこの力を授けたのかずっと気になってたんです、なんで弱い俺なんかに…」

 

椿「何を言ってるんだ、君は弱くなんかない、仲間の為に自らを犠牲にし、自分が傷つくことを厭わない、君は本当にお父さんに似ているよ、これからは私が相談にのる、いつでもここにおいで」

椿は悠介に優しく微笑みかけた

悠「俺、暴力って嫌いなんです…例え相手が敵だとしても…殴るのが、嫌なんです…」

悠介の仮面は彼の身を守る為だけではなく、悲しい表情を隠すためにあるとも言えるだろう

椿「本当に、優しいんだね、それでいいんだよ、それで…その心をいつまでも大切にしてくれ」

悠介は椿の言葉に大きく頷き、優しく微笑んだ

 

 

3日後

今日はAqoursの活動もないので、悠介は椿の家に行く予定だ

支度を済まし、家を出る

トライチェイサーに跨ってエンジンを掛けた

走りながら、今日椿に聞こうと思っている事を整理する

俺の力、特に碑文の事を聞かなくちゃな。新たな発見があるかもしれない

そう思っていると、急に前に人が飛び出して来た

咄嗟に急ブレーキをかけ、バイクを停止させる

悠「危ないじゃないですか!」

目の前には、髪が長く細身の男…

?「見つけた、クウガ」

その声を聞き、悠介は身構える

悠「お前、何者だ!」

男はニヤリと不気味に笑い、薄い鎧と丸い頭を持った怪物に変身した

?「お前を殺す…ギノガだ」

悠介は変身の構えをとる

悠「デモス…よっぽど俺の命が欲しいようだな、だがそう簡単にやられる訳にはいかない、変身!」

仮面ライダークウガ マイティフォーム

クウガはギノガに近づき、ボディにパンチをいれる

ク「おらっ!」

ギノガの鎧は薄っぺらく、クウガの攻撃をモロに喰らって苦しむ

ギ「ぐぐっ…」

続けてパンチを喰らわせ、今度は頭に蹴りを打ち込んだ

余程効いたのか、ギノガは頭を抱えて倒れ込んだ

なんだこいつは、弱すぎる…

クウガは追い打ちをかける為、倒れたギノガの頭をもう一度殴ろうとするが、避けられて拳がアスファルトを打つ

ギノガはその隙を見逃さず、クウガの口元に近づき「キス」をして、何かをクウガの中に注入する

次の瞬間、クウガはもがき苦しみだした

ク「があっ…一体、何を…」

ギノガはよろけながら立ち上がり、早足で去って行く

クウガは逃がすまいと立ち上がろうとするが、力尽き、変身も解けてしまった

その時、誰かが自転車で通りかかった

その人物は、自転車から降りて急いで悠介の元へ駆け寄る

曜「悠介君!どうしたの!」

曜は自転車から急いで降り悠介を抱き起こすが、顔面蒼白で瞳孔は開き、虫の息だった

曜「どうしたら、どうしたら!」

慌てていると後ろから声をかけられる

椿「悠介君?どうしたんだ!」

椿が走って来ている

悠介があまりに遅いため、心配して来てくれたのだ

曜「あなたは?」

椿「悠介君の知り合いの者だ!この症状は…何かの毒にやられたのか?とにかくこのままじゃ危険だ!君!この子を私の家まで運ぶのを手伝って貰えないか?」

 

曜「わかりました、急ぎましょう!」

 

 

椿邸

悠介はベットに寝かせられ、酸素マスクを付けられている

椿「彼の体内から腐食性の高い菌糸が検出された、この菌糸はキノコ類の物に非常によく似ている」

 

曜「そんな…悠介君はどうなるんですか?」

 

椿「…今、彼の体内の霊石アマダムは、白血球を通常の30倍に増やして対抗している、この菌は人間の体温では爆発的に増殖するんだ…回復力を信じるしか…ない」

曜は椿の言葉を聞いて絶望し、ゆっくりと悠介の元へ駆け寄る

曜「悠介君、私、信じてるから…だから!」

次の瞬間、悠介に繋いでいて、今まで等間隔に動いていた心電図のモニターが、停止した

椿「そんな…心肺停止だと?悠介君!」

椿は悠介の元へ駆け寄り心臓マッサージをする

曜「そんな、死んじゃだめだよ!悠介君!」

椿はAEDを取り出し、悠介に装着する

椿「離れて!電流を流して心臓を元に戻す!」

それでも、悠介の心臓は元には戻らない

椿は懸命に心臓マッサージとAEDを続けたが…やがて手を止め

椿「すまない…助けられなかった…」

その瞬間、私の涙腺は崩壊した

涙が溢れて止まらない、椿さんも泣いている

なんで、なんでなの?これからも皆で一緒にAqoursの活動して、沢山遊んで、そして…ゆくゆくは…

私は膝から崩れ落ちる

椿さんは途切れ途切れに呟いた

椿「午後15時32分…大堂悠介、死亡…確認…」




今回はここまでです!
主人公が大ピンチ!最終回ではありませんよ?
感想、お気に入り、ご意見などよろしくお願いします!


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第17話 霊石

前回のあらすじ
父の旧友、椿と出会った悠介。彼に色々な事を聞こうとしていた矢先、彼の身に脅威が…


私は自分の部屋のベッドにくるまり、ずっと泣いていた

椿さんから、悠介君の事は他の誰にも言わないようにと釘を刺されている

曜「悠介君、なんで、なんでなの…これから、なのに…」

私は枕に顔を埋め、気づくと眠ってしまっていた

 

 

次の日 浦の星学院 屋上

Aqoursの面々は練習前の体操とストレッチをしている

無論、悠介は…居ない

千「今日悠介君どうしたんだろ?」

 

曜「風邪って言ってたよ、風邪って…」

 

梨「珍しいわね、風邪なんて引きそうじゃないのに」

 

ダ「まぁ、彼も人間ですから」

私は嘘をついてる、とても悪い様な気がするけど…本当の事は言えない

果「どうしたの曜?元気ないね?」

 

鞠「あらぁ、曜も病気なのかしら?恋の?」

 

曜「そんなんじゃないよ!」

私は大声で叫んでしまった

善「どうしたのよ?あんたらしくない」

 

千「大丈夫?曜ちゃ…」

千歌が言い終わる前に、曜は屋上から出て行ってしまった

果「なにかあった事は間違いないね」

 

鞠「ただ事じゃなさそうね…」

 

花「話を聞いてあげるべきずら?」

 

ダ「花丸さんの言う通りかも知れませんわね、少し練習してから曜さんの家に行ってみましょう」

 

ル「でも、皆で行って迷惑にならないかな?」

 

梨「それもそうね…何人かで行ってみたら?」

 

花「それがいいと思うずら!でも、誰が行くずら?」

 

梨「取り敢えず、事情を知っていそうな…果南ちゃんと鞠莉さんが行ってみたら?」

 

果「えっ、私?」

 

鞠「oh.それはいい考えね!」

 

千「じゃあ私も行く!ずっと曜ちゃんと一緒に居るんだもん!曜ちゃんの悩みを、聞いてあげたい」

千歌はとても真面目な表情で話し、ニカッと笑う

ダ「じゃあ、3人に頼みましょう、曜さんの事、お願いしますね」

 

千「はーい!」

 

果「OK!」

 

鞠「りょーかいっ!」

果南、鞠莉、千歌の3人は大きく頷いた

曜ちゃん、大丈夫だといいんだけど…

 

 

曜の家

私は学校を飛び出して、無心で走った

彼が死んだという事実を忘れ去るために、でもその事は頭からこびりついて離れない、寂しい、悲しい…

気がつくと、私は家の前まで来ていた

学校まではバスで通う位の距離なのに…

こんなに走っても忘れられないんだね…無理もないか

私は自分の部屋に籠り、机に突っ伏していた

曜「悠介…君…」

なんでなの?なんで彼ばっかりこんな目に…

その時、私の頭にあらぬ考えが浮かぶ

そうだ、彼に会いたいのなら彼の所に行けばいいんだ、彼のいる…天国に…

考えるよりも手が先に動いていた

私はキッチンに降り、包丁を持つ

悠介君、待っててね、今あなたの所へ行くから

私が包丁を突き立てようとした瞬間、誰かに手を掴まれる

千「曜ちゃん!何してるの!」

すごい剣幕だ

曜「千歌ちゃん…私、悠介君の所に行くんだぁ」

目が虚ろいでいる、いつもの曜ちゃんじゃない!

果「曜、やめなよ!」

 

鞠「こんな事して何になるの!」

 

曜「離して!私は行く、彼の所にい…」

いいかけた瞬間

バチン!

果「曜、やめなさい!」

平手打ちをされた様だ、涙が溢れてくる

曜「なんで、なんでわかってくれないの…」

私は両端を抱えて座り込む

果南は曜の背中に手を回し、ハグをした

果「ごめんね、曜、ただ、あなたに話をして貰いたかっただけなの…ぶったりして、ごめんね…」

鞠莉と千歌もその上からハグをする

鞠「果南の言う通り、あなたは1人じゃないの」

 

千「そうだよ、曜ちゃん、何があったの?」

私、バカだ、こんなに皆に思われてるのに…

曜「わかった、話すよ…」

私は悠介君の事を全て話した

 

果「……そんな、悠介が…」

 

鞠「悠介…」

 

千「悠介君がそんな…」

 

曜「私も整理がつかない、どうしたらいいのか…」

 

千「確かに、気持ちは分かるよ、でも、曜ちゃんが死んでも悠介君は絶対喜ばない、逆に怒ると思うよ!今はまだ難しいかもしれないけど…悠介君の為にも、曜ちゃんは笑顔でいてあげなきゃ!」

考えてみると、確かにそうかもしれない…

私はなんて事を…

曜「ごめん、ごめんね…」

 

果「今は、泣いてもいいんだよ」

涙が溢れて止まらない、千歌ちゃんも果南ちゃんも鞠莉ちゃんも泣いている、あぁ、皆一緒なんだな…私やっぱりバカだよ…

そうしていると、私の携帯が鳴った

ディスプレイには椿資仁

椿「もしもし、渡辺君か?君に話したい事がある、今すぐ私の家に来てくれないか?」

 

曜「話したい事?分かりました、今から行きます…」

1人じゃ不安だったので、4人で行く事にした

 

 

椿邸

椿「よく来てくれたね、そちらの3人は?」

 

曜「千歌ちゃんと鞠莉ちゃんと果南ちゃんです、皆、悠介君の大切な友達です」

 

椿「そうか、友達か…なら一緒に話を聞いて貰おう」

椿は1枚の資料を私達に見せた、そこにはよく分からない文字が沢山並んでいる

果「これは、一体?」

 

椿「これは古代の碑文の1部だよ、悠介君の力の事について書かれてある」

 

千「なんて書いてあるんですか?」

 

椿「戦士の瞼の下、大いなる瞳現れても、汝涙することなかれ

つまり、戦士が例え死んだとしても、悲しむ事はないって事だ」

 

曜「でもなんで…」

 

椿「大切なのは最後の部分だ」

 

鞠「そこには何と?」

 

椿「戦士の瞼の下、大いなる瞳になりし時、何人もその眠りを妨げることなかれ」

 

果「眠りを妨げるなって事は、戦士が例え死んだもしてもそっとしておけって事?」

 

椿「その通りだよ、現に、さっき悠介君の体の様子を見てみたら…」

私はその言葉を聞き逃さなかった

曜「どうなってるんですか?」

 

椿「見てみなよ」

私は彼が寝かされているベットに駆け寄り、手を握った、すると…

曜「温かい、死んだはずなのに…」

他の3人も悠介の手を握る

千「ほんと、あったかい、いつもの悠介君の手だ」

 

果「そうだね、いつもの悠介の手、ほんのりあったかい」

 

鞠「very hot、安心するわ」

 

曜「椿さん、ありがとうございます!」

 

椿「私は何もしていないよ、君達の想いが、彼を呼び戻したのさ」

私達は椿さんに深々と頭を下げる

全「私達のマネージャーを、よろしくお願いします」

椿は4人に向かって、大きくサムズアップをして見せた

 

 

沼津 とあるトンネルの出口

山中にあり、人通りが少ないトンネル

その中に細身の男が1人、腹を抑えて座り込んでいる

ガ「相変わらずの虚弱体質だな、ギノガ」

 

グ「打たれ弱すぎますねぇ、所でクウガはどうなりました?」

 

ギ「僕は確かに打たれ弱い、でも力は本物だよ?だって、僕のこの力で…あのクウガが死んだんだよ?」

ギノガの発言に、その場にいた全員が驚愕の表情になる

ガ「なんだと?クウガを殺したのか?」

 

グ「それは本当なのですか?」

 

ギ「正確には、死にかけてるのは間違いないよ。死んだのは確認していない、でも、僕の菌糸はあのクウガの力でもそう簡単に消せるもんじゃないからね」

ギノガは不敵な笑みを浮かべる

ガ「ははっ…やるじゃねえか」

 

メ「クウガが…死んだ」

3人はギノガの実力をある程度認めたが、バルバは違った

バ「クウガを侮るな、奴はまだ死んでなどいない、お前が暴れれば奴は必ず現れるだろう」

 

ギ「なぜそんな事がわかるの?」

 

バ「念には念をだ、分かったらさっさと行け」

 

ギ「わかったよ、クウガの周りの人間を襲えばいいんだね?」

 

バ「よくわかってるじゃないか、自分の身内や友人に危害が及べば、クウガは必ず姿を現す。奴は弱っている、変身出来たとしてもいつもの様には戦えない、そこを殺れ」

 

ギ「オーケー、まぁ、見ててよ」

ギノガはすくっと立ち上がり、そのまま立ち去った

グ「さぁ、どうなるのやら」

 

ガ「打たれ弱いからなぁ」

 

バ「ギノガは、打たれるほど強くなるのさ」

バルバは不敵に口元を歪ませた

 

 

帰り道

千「曜ちゃん、よかったね!」

 

曜「うん、本当によかった…」

 

鞠「曜の願いが通じたのね!」

 

果「あながち間違ってないかも」

果南の一言に全員が笑顔になる

悠介君、絶対、帰ってきてくれるよね?

私達が歩いていると、目の前に…

細身の男が立っていた

ギ「君たち、クウガの知り合いだね?」

 

果「クウガって、悠介の事?」

 

曜「この人、あの時の…」

そう思った矢先、男が怪物へ変身する

鞠「何なの?一体…」

 

果「なに、こいつ…」

逃げようとするが、足が竦んでしまっている

千「足が…動かないよ…」

 

ギ「お前達を、溶かしてやるよ」

ギノガは自身の唇を拭い、4人へ近づく

4人は後退りしか出来ない

曜「悠介君…助けて!」

 

その時、後方から何かが走って来る

もしかして、また怪物?

その怪物は白い体に大きな2本角、そして赤い目…

曜「あれって…まさか!」

仮面ライダークウガ グローイングフォーム

ク「はあっ!」

クウガは勢いそのままにギノガに突進した

果「もしかして、悠介?」

 

千「悠介君!」

 

鞠「まさか、本当に?」

 

ク「待たせたな!隠れてろ!」

私達は彼の言う通り木陰に身を潜めた

クウガは再びギノガに向かう

ギ「クウガ、本当に生きてるなんて…」

 

ク「舐めるな!」

クウガは必殺の構えを取り、ギノガに蹴りを入れる

グローイングキック

ギノガは吹っ飛び、胸にクウガの紋章が浮かび上がる

ギ「があっ、はぁぁ!」

しかしギノガはそれを気合いで消してしまった

ク「もう一度!」

クウガは必殺の構えを取り、再度ギノガに蹴りを入れる

グローイングキック

ギノガはまたも吹っ飛ばされ、胸にクウガの紋章が浮かび上がるが、またも気合いで消してしまう

ク「くっ、どうしたら!」

その時、

曜「悠介君、負けないで!」

 

ク「曜…そうだ、負ける訳にはいかない!」

精神を研ぎ澄ませ!気持ちで戦うんだ!

クウガはもう一度必殺の構えを取り、1歩下がる

その時、レッグコントロールオーブが赤に輝いた

ギノガに向かって走る、その足には炎が宿る

次の瞬間大きくジャンプし、蹴りをギノガに叩き込む

「マイティキック」

ギノガは大きく吹っ飛ばされ、もがき苦しんでいる

ギ「許さない、クウガ!」

そのまま大きい破裂音と共に爆発した

クウガの勝利だ

 

クウガは変身を解いて、4人の元へ駆け寄る

悠「待たせたな、怪我はないか?」

 

曜「ばかぁ…」

 

果「ほんとだよ…」

 

鞠「よかったわ…」

 

千「うんうん…」

4人の目には光る物がある、そして悠介に向かい

おかえり、悠介君!

悠「あぁ、ただいま!」

悠介はニカッと笑い、大きくサムズアップをして見せた




感想、お気に入り、ご意見などございましたらお願いします!


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第18話 誘惑

今回はラブコメ多めです!


椿邸

悠介は椿の身体検査を受けている

椿「…よしっ、特に問題ない様だね」

 

悠「ありがとうございます、椿さんって医者でもしてたんですか?手際がいいというか」

 

椿「あぁ、監察医の経験はあるよ」

 

悠「所で、なんで俺は助かったんでしょうか…」

 

椿「少し説明しようか、君が敵に注入された菌糸は人間の体温では爆発的に増殖する。最初、君の中の霊石アマダムは白血球の数を増やして対抗していたんだがそれでは追いつかないと判断した。そして、君の心臓を1度止め、瀕死状態にして体温を下げる事で菌糸を撲滅したんだ」

 

悠「判断って…じゃあ、俺の中のアマダムには意思があるという事ですか?」

 

椿「詳しい事は分からないが、レントゲンを撮ってみた結果、君の中のアマダムは君の体とほぼ完全に結合している。この意味が分かるかい?」

椿は深刻な顔で質問してくる

悠「え、どういう事ですか?」

 

椿「君の体が人間じゃなくなってしまう可能性があるって事だ、今は身体だけだけど、もしこれが脳にまで及んだら、奴らと同じ様な怪物に…」

椿の質問に悠介は明るい声で答えた

悠「大丈夫ですよ!なんか、そんな気がするんです。俺は奴らと同じ様にはならない、そう感じるんです」

 

椿「まぁそう言ってるうちは大丈夫だね、私は碑文の解析を進めるとするよ、新しい発見があるかもしれない」

 

悠「お願いします!ありがとうございました!」

悠介は椿に深々と頭を下げて帰って行った

椿の家から帰る足でそのまま学校へ向かう、Aqoursの練習に参加するためだ

 

 

浦の星学院 屋上

悠「おまたせー!」

悠介が屋上へ出ると、メンバー達が押し寄せる

千「おかえり!悠介君!」

 

曜「元気そうだね!」

 

ダ「もう動いて大丈夫なのですか?」

 

悠「ご心配ありがとうございます、もう大丈夫です!」

 

果「じゃあ、練習再開しようか!」

 

全「おぉー!」

新学期が始まるまで残り1週間と少しある、その間の練習は基礎体力作りに重点を置く事にしているのだ

まずはストレッチ、体操、それから校庭に降りてみっちりランニング、教室で体幹トレーニング、筋トレをする

 

気づけば夕方になり、ひぐらしが鳴いている

果「はいっ、今日はここまで!お疲れ様!」

皆その場に座り込み、疲れを顕にしている

花「疲れたずらぁ…」

 

ル「ピギィ…」

 

善「よはぁ…」

 

鞠「まだまだデスねぇ!」

 

ダ「そうですわね!」

互いに方を寄せ合って座り込んでいる1年生組を後ろ目に、3年生組はまだまだ元気そうだ

流石だなぁ…

俺も今日は疲れたなぁ

曜「悠介君もお疲れ!」

そう言って水を手渡される

悠「おう、ありがとな」

喉乾いてる時に飲む水って格別の美味しさがあるよな

悠「あぁー、生きてて良かった」

 

梨「魂の叫びね」

 

悠「ホントだよ、しっかし疲れたなぁーこういう時は温泉にでも入りたい気分だ」

俺の一言に千歌が食いつく

千「じゃあウチに来なよ!旅館だし!なんなら泊まったら?」

 

悠「いやぁ、泊まるのは迷惑じゃないか?」

 

千「そんな事ないよ!志満姉もまた悠介君に会いたいって言ってたし!ダメ…かな?」

千歌が上目遣いでこちらを見て来る、やばい…可愛い

悠「わかった、じゃあお言葉に甘えようかな」

 

千「やったー!」

私はその光景を黙って見ていた

曜「…」

私も行くって言おうとしたけど、きっと邪魔になっちゃうよね…

寂しさを紛らわすように拳をぎゅっと握った

私って、意気地無しだな…

 

 

十千万旅館前

あの後、俺は1度家に帰り支度をして千歌の家の前に来た

今日も曜と一緒に帰ったのだが、心無しか言葉が少ない様に思えた

なんかあったのかな?まぁ練習で疲れてるだけだよな

 

そんな事を考えていると、旅館から千歌が出てきた

千「いらっしゃい、悠介君!」

千歌の後ろには姉の志満さんもいる

志「久しぶりね、いらっしゃい」

志満さんもニコニコ笑顔で出迎えてくれた

悠「お世話になります!」

 

旅館に通され、説明を受ける

志「この廊下を真っ直ぐ行ったらお風呂ね、悠介君の泊まる部屋は2回にあるわ、じゃあ、楽しんでね!」

去り際の志満そんの顔がなんか物凄くニコニコしてたんだけど気のせいか?

まぁいいか、取り敢えず部屋に行くか

そう思って2階に行くと、千歌が待っていた

千「あ、悠介君!こっちだよ!」

千歌に通されたのは、いかにも女の子の部屋らしい雰囲気の部屋

あれ?これってまさか…

俺は恐る恐る尋ねる

悠「千歌、まさか俺の泊まる部屋って…」

 

千「うん!私の部屋だよ!志満姉に頼んだらOKだって!」

 

悠「いや、俺に選択肢は…?」

女の子の部屋にいきなり泊まるなんてハードル高すぎだろ…

千「悠介君、いや?」

千歌が上目遣いでこちらを見て来る、これは断れないやつだ

悠「いや、むしろ嬉しい」

すいません、口が勝手に…

兎にも角にも千歌の部屋に泊まることになった、今夜は眠れそうにないな…

 

その後風呂に入り、旅館の温泉を十分堪能した後食堂に向かう

温泉最高だったな、生きててよかった

志「温泉どうだったー?ご飯できてるよ」

 

悠「最高でした!うわっ、美味しそう!」

今日のメニューは天ぷらの盛り合わせに刺身という海沿いならではの夕食だ

悠「では、頂きます!」

料理はどれも美味しく、舌舐めずりする程だった

夢中で食べ続けると、お腹もパンパンになる

生きてて良かった、何回言うんだろうこの言葉

悠「あぁー美味しかった!ご馳走様でした!」

 

志「喜んでくれて何よりよ、それに、悠介君の食べっぷりをうちのお父さんが気に入った見たい」

 

悠「そうですか!お父さんはどこに?」

そう言うと厨房から手が出てきてサムズアップをしてくれた

千「ごめんねーうちのお父さん恥ずかしがりだから…」

千歌も風呂に入ってきたのか、髪が濡れていた

悠「そうなのか、でも料理は本当に美味しかったよ」

そう言うとまた厨房から腕が出てくる

千「お父さん喜んでるみたい!」

腕見ただけで意思疎通が出来るって凄いな…

改めて高海家の凄さを痛感した

千「それはそうと悠介君!今から部屋で遊ぼうよ!」

千歌は子供のように無邪気に笑う

が、しかし…

美「あんたは手伝いがあるでしょうが!」

 

千「ええーいいじゃん美渡姉〜」

この人は千歌のもう1人のお姉さんだ

美「悠介君ごめんね〜うちの千歌は手伝いがあるから少し待っててね?」

顔は笑っているが、言葉からは威圧が感じられる…

悠「全然大丈夫ですよ!むしろ手伝いましょうか?」

 

志「大丈夫よーでも気持ちだけ貰っておくわね、ありがとう悠介君」

そして千歌は美渡さんに耳を引っ張られながら消えていった

 

俺は千歌が帰ってくるまで窓から海を眺めていた

辺りは電灯も少ないので殆ど暗闇しか見えないが、微かに見える白い海水と潮風がなんとも心地よかった

悠「海って、いいな」

物思いに耽っていると部屋のドアが勢いよく開く

千「悠介君おまたせー!もー美渡姉ったら洗い物殆ど私にさせるんだもん!」

 

悠「お疲れさん、まぁしょうがないだろ」

 

千「それはそうと何して遊ぶ?」

 

悠「そうだな、トランプとか?」

俺の言葉に千歌は大きく頷き、机の引き出しからトランプを取ってきた

2人でやれるトランプなんてババ抜きと真剣衰弱ぐらいなので、取り敢えずババ抜きをやる

悠「よしっ、また俺の勝ちっ!」

 

千「もーなんでなの!」

ババ抜きでこんなに顔に出る人がいるのかと思うくらい、千歌は心理状態が顔に出る

それから何回かやったが、5勝1敗と俺の圧勝だった

 

そろそろ寝る準備をしようとしていると

千「悠介君、悠介君って好きな人とかいるの?」

いきなり真剣な声で聞いてくる

悠「え、どうした急に?」

 

千「いいから、答えて、好きな人いる?」

 

悠「…わからない、でも気になる人は…いるかな」

 

千「そうなんだ、私は、いるよ」

そう言うと千歌は俺に抱き着いてきた

女の子の匂いとシャンプーの香りが鼻腔をつく

千「私ね、本当は凄い寂しがり屋なんだ。一緒にいてくれる人が居ないと虚しくなる、悠介君が誰の事を好きかは見てたら分かるよ?でも、今日位は甘えても、いいよね?」

そう言うと千歌は目をうるうるさせながら上目遣いで見て来る

やばい、断れねぇ…

悠「あぁ、まあ今日位なら、いいぞ」

あ、口が勝手に

俺たちは布団に横になり、お互い向き合う形になった

俺を抱きしめる腕が強くなる

千歌は顔を赤らめ、嬉しそうな顔で此方を見ていた

やばい…俺に千歌の胸が当たり過ぎて理性が吹っ飛びそうだ…

俺は何度もこれは千歌のためだと自分に言い聞かせていると、いつの間にか寝落ちしていた




今回はここまでです!


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第19話 不安

お気に入りして頂いた方、本当にありがとうございます!
これからも頑張りますのでよろしくお願いします!


私はいつもの様に学校へ行く為にバスを待っていた

最近のAqoursの練習も基礎体力作りで、体にも結構疲労が溜まっているが、心にも不安が募っている

曜「はぁ、悠介君…やっぱり私の事なんか好きじゃないのかな…」

彼は今千歌ちゃんの家に泊まりに行っている

千歌ちゃん曰く同じ部屋で寝たらしいけど、もしかして既に悠介君は…

私はブンブンと頭を振って考えるのを辞める

悠介君が私の事をどう思っているか分からないけど、私は彼の事が好き。この気持ちは絶対変わらない、だから…いつかきっと…

考えているとバスが来たようだ

 

千「曜ちゃーん!おはよー!」

 

梨「おはよう」

 

曜「おはよう曜」

 

曜「3人ともおはヨーソロー!」

いつもと変わらない悠介君だ、やっぱり私の考えすぎかな…

 

 

浦の星学院 校庭

果「はーい、ランニングあと1周ね!」

 

鞠「じゃあ競走ね!let's go!」

その瞬間、全員が最後の力を振り絞って全力疾走する

もう軽く5キロ近く走り続けているのでヘトヘトだ

戦闘は果南ちゃん、いつもは私が2番なのだけど今日は何故だが調子が出ない

結果的にゴールしたのは…最下位だった

膝に手をつき、肩で息をする

どうしたんだろう?体調も悪くないのに…

悠「曜どうしたんだ?いつもは果南さんと張り合うぐらいに走ってるお前が、どっか悪いのか?」

 

ダ「確かに曜さんらしくありませんわね、何かあったのですか?」

 

曜「いや、大丈夫です!ちょっと疲れが溜まってるみたいで…」

 

梨「あんまり無理しちゃダメよ?」

 

千「そうそう!休むのも立派な練習だよ!」

 

梨「千歌ちゃんは休みすぎ…」

 

曜「あはは…ありがとう、少し休もうかな」

 

 

練習終わり

花「じゃあまた明日ずら!」

 

ル「じゃあね!」

 

善「さらば、我がリトルデーモン…」

 

曜「おつかれー!また明日ね!」

私が帰り支度をしていたその時、悠介君が来た

悠「おつかれ曜、今日も大変だったな」

 

曜「うん、でもそっちの方がやり甲斐があるよ!」

 

悠「確かにそうだな、それはそうと今日体調でも悪かったのか?」

 

曜「えっ、どうして?」

 

悠「何言ってんだよ、マラソンでは果南さんとトップ争いをする程のお前がビリ、体幹も筋トレも終わるの1番最後だったじゃないか、なんかあったんだろ?話聞くよ?」

私は一瞬迷ったが

曜「わかった、じゃあお願いしようかな」

その時、部室のドアが勢いよく開いた

鞠「おつかれさまデース!突然だけど曜、話があるの、今から理事長室に来てくれる?悠介も今日は帰りなさい、貴方も疲れてるでしょう?」

 

悠「鞠莉さんが言うのなら…先に帰ります。曜、また明日な」

 

曜「うん、また明日」

私は小さい声で答えた

 

 

理事長室

鞠「取り敢えず、そこの椅子に座って」

 

曜「話ってなに?」

椅子に座りながら質問する

鞠「他でもない、悠介の事よ」

私はハッとする

曜「悠介君がどうしたの?」

 

鞠「とぼけないで、前にも話したでしょう?気持ちは伝えたの?」

 

曜「いや、まだ…でも、悠介君は私よりも千歌ちゃんの方が好きなんじゃないかって気がして」

鞠莉ちゃんはため息をつく

鞠「そんな事分からないでしょう?本人に聞かなきゃ」

 

曜「そうだけど、自信無くて…」

俯きながら答える

鞠「曜、まずは努力をする事が大切よ、今夜電話でもしてみたら?」

 

曜「でも…迷惑かもしれないし…」

言いかけた時、鞠莉ちゃんからほっぺを掴まれた

鞠「そんな事考えない、相手の気持ちを思いやる事も大事だけど、ある程度積極的にならないとダメよ?」

 

曜「そうだね、確かに私は今まで奥手過ぎたかもしれない。だから悠介君とあんまり話せなかったのかも。わかった、もうちょっと頑張ってみる!」

 

鞠「その調子よっ!」

そう言うと鞠莉ちゃんは私の背中を軽くたたいた

曜「所で鞠莉ちゃんはなんで私の応援をしてくれるの?」

 

鞠「恋する乙女を、放っては置けないのよ」

鞠莉ちゃんは笑顔で答える

鞠「話は終わりっ!今日はもう帰りなさい」

 

曜「わかった、鞠莉ちゃんありがとう!」

私は鞄を持って理事長室を後にした

鞠莉は曜を見送ると椅子に深く腰掛け、俯いた

鞠「曜、あなたなら悠介に昔の様な笑顔を取り戻してあげられる…あの笑顔をもう一度…」

私の脳裏に「あの日」の記憶が浮かび上がる

内浦に戻るために1度海外から日本に帰ってきた時、私と彼は出会った

 

浦の星に戻る事が決まり、新学期が始まるまで東京で生活していた

理事長就任の手続きや、事務仕事の説明を受ける合間を縫って遊びに出ていた時、彼に出会った…

私はホテルへ帰る道を間違えてしまい、暗い路地に迷い込んでしまう

鞠「調子にのってずんずん行っちゃったら迷っちゃった…携帯の電池も切れてるし、どうしたらいいの…」

私が途方にくれていると、目の前に身長が高くて大きな体をした男が立ちはだかる

男「お嬢ちゃん、こんな所で何してるの?」

 

鞠「い、いえ…ちょっと迷っただけで…」

恐怖で声が震える

男「こんな可愛い子がこんな暗い所にいると、襲われちゃうよ?俺とデートでも行かない?」

男は唐突に質問してくる

鞠「いえ、大丈夫です、」

 

男「いいじゃん、ちょっと部屋で楽しい事するだけさ」

次の瞬間男は私の腕を掴み、強引に引っ張った

男「だからさ、俺と来いよ」

男の力は強く、とても太刀打ちできない

鞠「離してよ!ねえ!」

私は必死に抵抗するが、男の手はビクともしない

男が私の胸を触ろうとしてくる

覚悟を決めたその時

「何してるんだ?」

声の先には、端正な顔立ちの少年が立っている

男「なんだ、お前?お楽しみを邪魔するんじゃねぇよ」

 

「離してあげろよ、嫌がってるだろ」

 

男「ガキはすっ転んでな!」

男は空いた方の拳で少年を狙うが、少年はその攻撃を華麗に裁き、逆にボディブローをいれた

男「がっ…」

男は一瞬怯んだが、すぐ向き直り

男「生意気なんだよ!」

男は掴んでいた私の胸を離し、少年に蹴りかかるが、またも避けられ今度は膝蹴りを入れられた

男「うがっ!」

男が膝をついた瞬間に少年は私の手を握り

「逃げましょう!走れますか?」

 

鞠「ええ!」

私達は全力で走り、気づくと表通りに出ていた

「大丈夫ですか?」

 

鞠「ありがとう、助かった…」

そう言うと少年は二カッと笑った

まるで太陽のような笑顔

「もう安全です、では僕はこれで!」

去ろうとした少年を私は呼び止め

鞠「待って!あなたの名前は?」

少年は振り返って答える

「大堂悠介っていいます!また会えたらいいですね!」

悠介は大きくサムズアップをして去って行った

 

鞠「大堂、悠介…」

昔はあんなに弾けた笑顔だったのに、今はどこか無理をしている様な笑顔をしている。確かに笑ってはいるけど、心の底から笑っている様には見えなかった

鞠「悠介…あなたの身に一体何があったの?それにあの力…」

私は悠介の変身した姿を思い浮かべる

変身して戦う程、彼の心は傷ついている、本当は暴力なんかしたくないのだろう、私にはそう見えた

 

 

沼津 カジノ店廃墟

グレムはダーツの矢を飛ばし、真ん中に突き刺した

グ「ダーツ、このゲームも悪くありませんね」

 

ガ「俺はこんなちまちました奴は嫌いだ」

ガドラは矢を4本鷲掴みにし、一気に放り投げる

矢は2本が命中、あとの2本は壁に突き刺さった

グ「相変わらずのバカ力ですね」

 

バ「遊んでる暇などあるのか?」

 

グ「ご心配なく、次の手も考えてあります」

そう言うと、入口の扉が開き、銀髪の男が入って来る

メ「ガメル、仕事だ」

ガメルと呼ばれた男は次の瞬間、緑色の体色を持ったカメレオンの様な怪人に変身した

ガ「いいよ、何をすればいいんだ?」

バルバはガメルに近づき、冷徹な口調で言う

バ「クウガの仲間をさらって人質にしろ、そして奴を呼び出し…殺せ」

 

グ「人質ですか、確かに悪くありませんね、仲間の命を握られていればクウガも思う様には動けないはずです」

 

ガ「わかった、まぁ見ててよ」

ガメルはそう言って出て行った

グ「しかしなぜクウガばかり狙うのです?先にゲブロンを探した方がいいと思うのですが」

 

バ「お前は何も分かっていないな、いいか?よく聞け、あれを復活させるためにはゲブロンだけでは不十分だ、もう1つ、クウガの持つ霊石アマダムが必要なんだ」

 

グ「なるほど、そういう事でしたか」

グレムは何かを企んでいるような笑みを浮かべた

 

 

その夜 曜の家

私は携帯と睨めっこをしながら、考えていた

曜「鞠莉ちゃんに言われたけども、電話してもいいのかな…」

あれこれ考えていたが、腹を決め、通話ボタンを押す

呼び出し音が鳴り、等間隔の機械音が聞こえてくる

出てくれるかな…やっぱり、出てくれないかな…

等間隔の音が更に緊張感を煽り、焦りと期待を誘発させる

次の瞬間、音が途切れ

悠「もしもし、曜か?どうしたんだ?」

 

曜「も、もしもし、こんばんは悠介君、ちょっと話したくなって…」

 

悠「そういや今日も話聞いてやれなかったな、なんか悩みでもあるのか?」

私は少し考え、覚悟を決めてから聞いた

曜「悠介君は…千歌ちゃんの事が好きなの?」

 

悠「へ?確かに千歌は元気で可愛いけど…友達として好きだな」

 

曜「なーんだそういう事かぁ〜」

私は気が抜けてしまった

悠「急にどうしたんだ?もしかして俺と千歌が付き合っているとでも思ったのか?」

 

曜「…うん」

次の瞬間悠介君の笑い声が聞こえてくる

悠「確かに昨日は楽しかったけど、そんな話はしてないよ、もしかして曜、嫉妬してんのか?」

 

曜「ちがうもん!ちょっと気になっただけ…」

私は必死に否定したが、彼の言っている事に間違いはなかった

確かに私は千歌ちゃんに嫉妬していたかもしれない…

悠「お、いつもの曜の声に戻ったな、少しは元気出たか?」

 

曜「うん、ありがとう」

 

悠「じゃあ明日も早いから切るな、おやすみ」

 

曜「うん、おやすみ、今日は話聞いてくれてありがとう」

そうして電話は終わった

やっぱり悠介君には適わないな…

いつか必ず伝えよう、この思いを




今回はここまでです!


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第20話 遊戯

この小説も20話まで来ました!
ここまでこられたのもいつも読んで頂いている皆様のお陰です!
これからもよろしくお願いします!


浦の星学院 運動場

悠「ランニングあと1周〜ファイト!」

全員が最後の力を振り絞って全力疾走している

今日も果南さんがトップだろうな

そう思っていると…

曜「やったー!1番!」

 

果「くっそー!負けちゃった〜」

 

千「凄い曜ちゃん!」

いつもは果南さんが1番なのだが、今日ばかりは曜のラストスパートに負けてしまった様だ

ル「しゅごい走りだったね!」

 

善「さーすがっ、我がリトルデーモンね」

 

花「ちがうずら」

1年生組がいつもの様なコントを繰り広げる

梨「何かいい事でもあったの?」

 

曜「うーん、あったかも!ね?悠介君!」

 

悠「え、俺?」

 

千「なになに?何があったの?」

 

曜「なーいしょ!」

 

千「えー何でよー!」

俺達の話を果南と鞠莉は微笑みながら見ている

果「いい感じだね?」

 

鞠「そうデスねぇ」

 

果「鞠莉、曜に何か言ったんでしょ?」

 

鞠「ええ、悠介とちゃんと話なさいって」

 

果「色々話せたみたいだね!次は…告白かなん?」

 

鞠「あーん、very hot ね!」

 

果「ほんと、羨ましいよ」

 

鞠「あら〜果南、もしかして妬いてる?」

 

果「ちがうってー!」

 

鞠「うふふ、It's joke!」

私は再び悠介達の方に向き直り

曜、悠介の事、頼んだわよ…

 

 

その日の帰り道

千歌ちゃんと梨子ちゃんと別れ、私達は家に向かって歩いている

悠「しっかし今日のお前は凄かったな、びっくりしたよ」

 

曜「悠介君のお陰だよ!」

 

悠「俺の?」

 

曜「うん、私、わかった気がするんだ、悩んで自分だけで抱え込むんでいても何も分からないって、自分で行動する事が大切なんだって!」

 

悠「何だか分からないけど曜が元気になれたんならそれで十分、やっぱりお前は凄いよ、あーあ、曜が俺の隣にずっといてくれたら楽しいだろーな」

悠介君は顔を赤らめながら話した

ほんと、ずるいんだから…

曜「うん、私も…」

言いかけた途端、悠介君のおじいちゃんの声が聞こえてきた

じ「悠介ー!手伝って欲しい事があるからちょっと来てくれんか?」

 

悠「わかったー、じゃあ曜、また…今度な!」

 

曜「うん!また、今度ね!」

彼がまた明日と言わずにまた今度って言ったのは…話の続きって事なのかな?

考えても応えは見つからない

曜「たまたまだよね!今日も疲れたし早く帰って休もっと」

私は自分に言い聞かせ、家に入って行った

 

 

沼津 カジノ店廃墟

グ「チェックメイトですね」

 

ガ「あー!つまらん!」

グレムとガドラがチェスをしていると、後ろの扉が開きガメルが入って来る

バ「ガメル、何をしている?クウガは倒したのか?」

バルバは鋭い口調で言った

メ「ぶらぶらしている暇など無いんだぞ?」

 

ガ「別に遊びに行ってた訳じゃないよ?下見をしてたのさ」

 

グ「下見?」

 

ガ「ああ、クウガの周りの人間をね」

 

バ「それで、どうしたんだ?」

 

ガ「クウガには仲の良いガールフレンドがいる、そいつをさらう」

 

グ「なるほど、そういう事ですか」

 

ガ「奴の心を攻撃するには最適だよ」

ガメルは不適に笑い、自信気な表情をする

バ「せいぜい頑張る事だな」

 

ガ「まあ、見ててよ」

ガメルはカジノ店を後にした

 

 

次の日 夕方

今日はAqoursの練習もお休み

私は体力を落とさないようにランニングをしている

住宅街を抜け、海沿いに出ると心地よい潮風を感じた

この感覚がなんとも言えないから走るのが楽しい

弁天島で折り返し、再び住宅街に戻って来た時、背後に何者かの気配を感じた

立ち止まって振り返るが、そこには何もいない

曜「気のせいかな?」

私は再び走り出すが、また後ろから気配を感じた

動物でもない、人間でもない、とても…嫌な感じがする

もう一度立ち止まって振り返るが、やはり何もいない

また走り出そうと前を向いた瞬間、それは現れた…

目の前の空間が不自然に歪み、緑色のカメレオンの様な怪物が姿を現す

ガ「見ーつけた、クウガのガールフレンド、俺と一緒に来てもらうぞ」

怪物は長い舌を伸ばしながら此方に近づいてくる

曜「か、怪物…」

恐怖を感じて私は腰が抜けてしまい、その場にヘナヘナと座り込んだ

曜「だ、誰か…」

その時、後ろから声が聞こえてきた

悠「曜!大丈夫か!」

悠介君が私に近づこうとしたが、怪物の方が一足早かった

私を無理やり立たせ、身動きが取れない様にする

ガ「クウガ、この娘はさらって行く、助けたければ隣の島に来い!1人でな」

怪物はそう言うと、曜もろとも体を周りの景色に体を溶け込ませ、消えてしまった…

悠介は何も出来ずに佇む

悠「曜が、俺のせいで…」

曜がさらわれたのは俺の責任だ…絶対に助け出さなければ!

隣の島という事は…淡島だな、待ってろ、曜!

俺は船乗り場まで走り、船に乗り込む

 

果「あれ?今のって…悠介?」

 

 

淡島 山中

曜「ここは…」

私は気がつくと山中の開けた場所で、木に縛り付けられていた

縄を解こうとしたが、きつく結ばれていてビクともしない

ガ「お目覚めかい?クウガのガールフレンドさんよぅ」

声のした方向に目を向けると、銀髪の男が立っている

曜「なんでこんな事…」

 

ガ「決まってるよ、クウガを殺すためさ」

男は冷徹な口調で答える

ガ「冥土の土産に教えてあげるよ、僕達デモスは古代の民であるグロンギの遺伝子を受け継いでいる種族、クウガは古代の人間達が生み出した戦士、言わば僕達の天敵だね。グロンギは全てクウガが倒したはずだったけど、もう1体、復活をしないまま生き残った者がいる、そいつが封印されているのがここ内浦って訳さ」

ガメルは更に続ける

ガ「だけど、そいつを復活させるためにはクウガの持つ霊石が必要なんだよ、それをもぎ取る道具にするためにお前をさらったって訳さ」

 

曜「そんな事のために…」

 

ガ「ここにはトラップを仕掛けてる、クウガが足を踏み入れたが最後、奴に…死が訪れる!」

ガメルは不適に笑う

その笑みからは狂気も感じられる、これが、デモス…

悠介君…

 

次の瞬間、聞き覚えのある声が私の耳に届いて来た

悠「曜!助けに来たぞ!」

 

曜「悠介君!来ちゃダメ!」

曜は必死に訴えるが、ガメルが私の声を遮った

ガ「よく来たなクウガ、さぁ、こいつを助けてみろ!」

ガメルは怪人態に変身する

ガ「お前に救えるか?この人間を!」

 

悠「救う、絶対に…いくぞ!」

悠介は変身の構えをとる

曜「悠介君!ダメ!」

 

悠「変身!」

仮面ライダークウガ マイティフォーム

クウガは変身すると同時にガメル目掛けて走り出す

ガメルは1歩も動かずに、不敵な笑みを浮かべている

ガ「ふん、バカめ!」

次の瞬間、クウガの足元から鎖が飛び出し、両手両足を拘束

ク「なんだ、これは…くっ!」

鎖を引きちぎろうともがくが、ビクともしない

ガ「無駄だ、その鎖は特殊合金で出来ている、お前の力でも千切る事は不可能だ!」

ガメルは高らかに笑い声を上げながら、クウガに近づく

ガ「今まで仲間が世話になった分、きっちり返させてもらう!」

身動きが取れないのをいい事に、クウガを痛めつける

クウガは苦痛の声を上げて倒れ込むが、無理やり起こされ、更に殴打を受ける

ク「がっ…やっべぇ…」

曜は顔を背け、目をつぶった

とても見ていられない、ごめん悠介君…私が捕まったばっかりに…

 

その時、聞き覚えのある声が聞こえてきた

果「悠介!しっかり!」

 

ダ「助けに来ましたわ!」

 

千「悠介君!」

目を向けると、そこにはAqoursの面々がいる

曜「皆、どうして?」

 

鞠「話はあと!兎に角今は悠介を援護するわよ!」

鞠莉ちゃんは私の縄を解きながら応える

ガ「お前ら、一体?」

 

鞠「私達は、彼の仲間よ!」

次の瞬間、ガメルに木の枝が投げられた

果「ほーら、こっち!」

 

花「こっちもいるずら!」

 

善「こっちも!」

 

梨「こっちにも!」

四方八方から飛んでくる枝にガメルは怒り狂う

ガ「たかが人間如きが、舐めやかがって!」

ガメルが果南に狙いを定めた瞬間

果「悠介!今がチャンスだよ!」

果南の声にクウガが反応し、ガメルを抑える

ク「聞こえたぜ、お前達の声!超変身!」

仮面ライダークウガ タイタンフォー厶

クウガはガメルを抑えたまま、自慢の剛力で鎖を引きちぎる

ガ「ぐ、くそっ!」

ガメルはクウガの腕からすり抜けると、周囲の景色に体を溶け込ませた

ク「逃がすか!超変身!」

仮面ライダークウガ ペガサスフォーム

枝を拾い上げ、ペガサスボウガンへと変化させる

意識を集中させ、見えない相手、悪意を感じ取る…

脳裏に見えたのは、林の中を走り去るガメルの姿

ク「そこか!」

遠くの敵に狙いを定め、ペガサスボウガンにエネルギーを貯めて引き金を引く

ブラストペガサス

凄まじい速さで打ち出された矢は遠く離れたガメルに直撃、クウガの紋章が浮かび上がる

ガ「そんな、バカな…」

ガメルは苦しみながら倒れ込み、大きな破裂音と共に砕け散った

千「やったー!」

 

ダ「あっぱれですわ!」

クウガは変身を解き、曜の元へ駆け寄る

悠「大丈夫か!」

 

曜「平気だよ!でも皆何でこの場所が?」

 

鞠「船乗り場に悠介が血相変えて走り込んで来たのを果南が見つけて、皆に知らせて追っかけて来たってわけ!」

 

悠「そういう事だったのか、ありがとう、また皆に助けらてしまったな…また危険な目に」

 

果「悠介、私達はあなたの仲間であり友達、それを助けるのって当たり前だよ?何でも1人で背負い込もうとしないで、玉には頼る事も大事だよ?」

果南の言葉に全員が頷く

千「この街は私達の街なんだもん!守りたいと思う気持ちは、同じだよ?」

 

悠「千歌、果南さん…そうか、そうだよな、」

 

鞠「1人じゃできない事も、皆がいれば出来るようになる、あなたは1人じゃ無い、だから…勘違いしないよーに!」

俺はずっと1人でこの街を守っている気でいた、でも、1人じゃ…なかったんだな。皆いる、皆がついてくれている

悠「仲間って、良いもんだな」

赤々と染まる夕陽に向かい、俺は誓った

この街を必ず守ってみせる、皆と…Aqoursと一緒に!

 

 

帰り道

私達は夜道の中を歩きながら帰っている

辺りはすっかり暗くなり、少し肌寒くも感じる

悠「夏も終わっちまうな」

 

曜「うん、ちょっぴり寂しいかも」

 

悠「俺、ずっと思ってたんだよな、ここに引っ越すまで辛い事、悲しい事ばかりあったけど、今は違う。曜や千歌達と出会えた事がなりよりも嬉しく思う、真っ黒に染まってた俺の心を明るく照らしてくれた。お前と一緒にいると楽しいんだよな、なんて言うか心が安らかになるっていうか…俺はこれからもずっと曜に隣にいて欲しい、だから、だから!」

悠介は立ち止まり、曜と向き合う

曜「つづき、言って?」

 

悠「俺と、付き合って下さい」

その瞬間、私はボロボロと涙を流す

曜「やっと、言ってくれた…私も同じ気持ち、悠介君とずっと一緒にいたい、だから、これからもよろしくね!」

私達が友達から恋人になった瞬間だった




今回はここまでです!


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第21話 未来

ここからは、アニメの2期をベースに話を組み立てて行きます!


輝きって、一体何処から来るんだろう?

その光に憧れて、今まで走って来た

後ちょっと、もうちょっと…

でも1歩及ばず、求めている輝きには届かなかった

 

次の瞬間、隣からしいたけが吠えた

千「わぁ!痛ぁ…」

びっくりしてベッドから落ちてしまう

千「なんだ夢かぁ…」

ため息をついたが、部屋のドアが勢いよく開いた

美「あんた!いつまで寝てんの!遅刻するよ!」

 

千「えぇー!」

私は急いで制服に着替え、学校に向かって走る

 

鞠「Hello everybody!今日からsecond seasonのスタートデェーす!」

 

曜「second season?」

 

梨「2学期って事よ」

 

悠「しっかし千歌の奴どうしたんだ?」

 

梨「明日からは1人で起きるって言ったそばから遅刻…」

そんな事を言っていると、舞台裏のダイヤが鞠莉に声をかける

ダ「理事長挨拶だと言いましたよね?そこは浦の星生らしい節度を持った…」

 

鞠「雪像を持つ?」

何だよ雪像を持つって…

果「あはは…」

3年生のコントを呆れた顔で見つめていた善子が口を開く

善「それにしても惜しかったわね」

 

ル「後もう少しで全国大会だったみたい…」

 

花「過ぎた事をいつまで言っても仕方ないずら」

確かに花丸の言う通りだ

時間は巻き戻せない、だから前に進むしかない

善「でも、参加賞が2色ボールペンってどうなの?」

 

ル「決勝に進むと3色になるとか…」

 

花「未来ずら〜!」

 

善「どこがよ!」

次の瞬間、鞠莉が大声で叫ぶ

鞠「shut up!!」

マイクから耳をつんざくようなズレた音が聞こえる

鞠「確かに、全国大会には進めなかったけど、」

 

ダ「0を1にする事は出来た、ここにいる皆さんの力ですわ」

 

曜「そして、今では!」

 

梨「入学希望者も1から10になった!」

 

果「確かに!」

 

ダ「それだけではありませんわ!」

 

鞠「本日発表された、次のラブライブが!決勝は前と同じ、秋葉ドゥーム!」

その時、ようやく千歌が体育館に到着した

ダ「大遅刻ですわよ!」

 

曜「どうする?」

 

悠「決まってるよな!」

 

花「善子ちゃんも!」

 

善「ヨハネ!」

 

千「でよう、ラブライブ!そして、1を10にして、10を100にして、学校を救って!そしたら!」

 

全「そしたら?」

 

千「私達だけの輝きが見つかると思う!きっと!」

輝ける!

私達の新しい第1歩の始まりだった

 

 

浦の星学院 屋上

私達は練習前ストレッチをしていた

曜「そう言えば、次のラブライブっていつなの?」

 

梨「来年の春だと思うけど…」

 

ダ「ぶっぶーですわ!その前に大事な事があるでしょう?」

 

悠「学校説明会か」

 

鞠「off course!」

 

ダ「そこでライブをすれば、この学校の良さを伝える絶好の機会になりますわ!」

確かに、人が集まればかなりのアピールの場になるな

千「それいいと思う!」

 

悠「そうなると、日が暮れるのも遅くなるし新しい練習場所も確保した方がいいんじゃないか?」

 

梨「確かにそうね…」

 

ル「どこかいい所ないのかな?」

 

千「よし、今度皆で探しに行こー!」

 

果「そうだね!」

と、その時鞠莉さんが手を叩いた

鞠「はーい、ここで重大なお知らせがありマース!」

 

果「お知らせ?」

 

鞠「実は、この中からvery hotなカップルが誕生したのデース!」

 

千「え、そうなの!」

その瞬間、全員の視線が俺に集まった

曜は顔を真っ赤にしている

果「おめでとう!曜、悠介!」

次の瞬間、曜の顔が燃え上がる

悠「ちょ、鞠莉さん!なんでそれを…」

 

鞠「私の知らない情報はありまセーン!」

やっぱり金持ちって怖い…

花「おめでとうずら!」

 

ル「おめでとうございます!」

花丸とルビィは拍手をしている

千「曜ちゃんが取られたー!」

 

悠「いや、それは意味が違う」

俺の一言に全員が笑った

梨「悠介君、曜ちゃんの事頼むわよ?」

 

果「曜を悲しませたら容赦しないからね?」

 

悠「あぁ、わかってるよ!」

俺は、そう自分に言い聞かせるように答えた

頑張っていこう、これからも!

 

 

沼津 カジノ店廃墟

静かな空間に、手球を打つ乾いた音が響き渡る

グ「ビリヤード、これもなかなか面白いですねぇ」

 

ガ「そんなちまちま玉を落とすゲームのどこが楽しいんだ」

 

グ「荒っぽいあなたには分かりませんよ」

グレムがまた手球を打とうとした瞬間、背後に立っていた女が彼の持つキューを巨大な鎌で叩き切った

グ「おやおや、皆して私の楽しみを邪魔するのですか?ガリマ」

ガリマと呼ばれた女はグレムを見下ろした

グ「あなたは確かクウガに倒されたはずでは?」

 

ガ「あれはただの分身だ、本物の私ではない」

 

バ「賢い奴だな、次は自分に行かせろと言いに来たのか?」

ガリマはバルバ相手に威圧した態度で答える

ガ「当然だ、クウガを倒す者は、このガリマ以外にない!」

ガドラはガリマの前に立ち

ガド「言うじゃねぇか、じゃあ見せてもらおう、お前の本当の力を」

 

ガ「任せておけ」

ガリマは胸を張ってカジノ店を後にした

 

 

ホテルオハラ

鞠「嘘、だってパパは待ってくれるって約束してくれたのに!そんな…」

私はがっくり膝をつく

そんな、学校が…

その時、携帯が電話の着信を知らせた

ディスプレイには松浦果南

 

私は果南に呼び出され、下に降りる

鞠「お待たせしまシター!」

 

果「何があったの?」

 

鞠「sorry.i can't speak Japanese!」

 

果「何かあったでしょ!」

果南は声を張り上げた

鞠莉は一瞬引き下がったが、すぐ笑顔になり

鞠「何の話デスかー?」

そう言いながら果南にハグをする

いつもなら受け入れる果南だが…

果「訴えるよ?」

 

鞠「ふぅ…wait wait、実は最近wheitoがちょっと上がっちゃって…」

言い終わる前に果南は鞠莉をだき抱える

果「嘘だね、変わりない」

 

鞠「なんで分かるの…」

 

果「わかるよ!大体、鞠莉はそれくらいでブルーにならないからね」

鞠莉は顔を背ける

果「話して、鞠莉!」

すると、観念したかのように鞠莉は涙目になる

鞠「どうしたら、いいの…?」

 

果「え…鞠莉?」

 

 

浦の星学院 理事長室

果「もう、覆し様がないんだね…」

 

鞠「いいえ、まだ!」

鞠莉は電話をかけようとするが、果南がそれを止める

果「ダイヤはこの事知ってるの?」

 

鞠「言えるわけない…」

その時、扉が開く

ダ「だったらちゃんと隠しなさい?」

 

鞠「ダイヤ…」

 

ダ「この前からこそこそと、本当にぶっぶー、ですわ」

 

沼津 ダンススタジオ

千「うっわー!ひろーい!」

 

曜「パパの知り合いが借りてたんだけど、しばらく使わないからって!」

ルビィはカーテンを開け

ル「ここを開けると…鏡もあるよ!」

 

善「いざ、鏡面世界へ!」

どこに行くつもりだこの人…

その時、花丸が善子の肩を掴み

花「やめるずら?」

 

悠「確かに良い環境だな」

広さも十分、鏡もあるからフォームのチェックもできるし空調も整っている、正に絶好の練習場所だ

千「それに、ここなら帰りにお店も沢山あるし!」

 

梨「そんな遊ぶ事ばかり考えてちゃダメでしょ?」

皆は思い思いに話しているが、3年生達はどこか申し訳なさそうな顔をしている

悠「一体どうしたんですか?」

悠介が聞くやいなや、鞠莉が切り出した

鞠「皆聞いて、実は…学校説明会は、中止になるの…」

鞠莉の言葉を聞いた途端、全員が唖然とした顔になる

そんな、中止…?

梨「どういう意味?」

 

果「言葉通りの意味だよ、浦の星は正式に、来年度の生徒募集を取りやめる」

 

ル「そんな、まだ2学期始まったばかりなのに…」

 

善「いきなり過ぎない?」

 

ダ「生徒からすればそうかもしれませんが、学校側はもう2年も前から統合を模索していのですわ…」

 

果「鞠莉が頑張って何とか先延ばしにしてきたけど…」

 

曜「でも、入学希望者は増えてるんでしょ?0だったのが10になって…」

 

ル「これから先も増えるかもしれないのに…」

 

鞠「もちろんその事は言ったわ、でもそれだけで決定を覆す理由には…」

鞠莉が言い終わる前に千歌が駆け出した

千「鞠莉ちゃん!お父さんはどこ?」

 

鞠「千歌っち?」

 

悠「待て千歌、アメリカだぞ?」

 

千「美渡姉や志満姉やお母さん、あと、お小遣い前借りして、前借りしまくって、アメリカ行って…もう少しだけ待って欲しいって話す」

 

曜「千歌ちゃん…出来ると思う?」

 

果「鞠莉はさ、この学校が大好きで、この場所が大好きで、留学より、自分の将来より学校を優先してきた」

 

ダ「今までどれだけ頑張って学校を存続させてきたか、私達が知らない所で影で理事長として努力していたのですわ…」

鞠莉は悲しい顔を笑顔に変えて、千歌に語りかける

鞠「ごめんね、千歌っち!てへぺろ」

違う、そんなんじゃない…

 

あの時、ラブライブの予選に勝って決勝に進んでいたら、違っていたのかな?

 

私はその夜、ずっと考えていた

学校を存続させるためにはどうしたらいいか…

でも、答えは浮かばない

 

そのまま眠りに落ちた私の脳裏に、1つの紙飛行機が浮かび上がった

 

目を覚ますと、そのままの勢いで走る

走って走って走りまくる、自分の思いを振り払う様に

気づけば学校に着いていた、そしてそのまま叫んだ

千「起こしてみせる、奇跡を絶対に!それまで、泣かない、泣くもんか!」

 

曜「やっぱり来た!」

 

悠「来ると思ってたぞ!」

振り向くと、そこにはAqoursの面々がいる

千「曜ちゃん、悠介君、皆…どうして?」

 

梨「気づいたら来てた!」

 

花「以心伝心ずら!」

 

ル「うん!」

 

善「ふふ、聞こえたぞ、闇の囁きが」

 

曜「なんか、よくわかんないけどね!」

 

果「そう?私はわかるよ!」

 

千「きっと、諦めたくないんだよ、鞠莉ちゃんが頑張ってたのは分かる、でも、私も、皆もまだ何もしてない!」

 

悠「そうだな」

 

千「無駄かもしれない、けど、最後まで頑張りたい、足掻きたい、ほんの少し見えた輝きを探したい、見つけたい」

 

果「諦めが悪いからね、千歌は昔から」

 

ダ「それは果南さんもですわ」

 

ル「お姉ちゃんも!」

ルビィの言葉に全員が笑う

千「皆はどう?」

 

果「いいんじゃない?足掻くだけ足掻きまくろうよ」

 

悠「俺も、全力でサポートするぜ!」

 

ダ「そうね、やるからには…奇跡を!」

 

ル「奇跡を!」

 

善「奇跡を!」

 

花「奇跡を!」

 

果「奇跡を!」

 

梨「奇跡を!」

 

鞠「奇跡を!」

 

曜「奇跡を!」

その時、山の影から太陽が登り始めた

その光は、正に「輝き」そのもの

千「起こそう奇跡を!足掻こう精一杯!全身全霊、最後の最後まで、皆で、輝こう!」

これが、私達の未来へのネクストステップの始まりだった




今回はここまでです!


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第22話 強化

今回も頑張って書きます!


2学期が始まり、本格的に学校に行く事になった

この1ヶ月、本当に色々な事があった。

俺はこの街に来ると決めた時から誰とも仲良くなるつもりは無く、学校に行く事もためらっていた

でも、曜や千歌や梨子と出会い、Aqoursと出会えた事で俺は変われた

彼女達が懸命に輝きを求める姿を見ている内に、自分の殻に閉じこもっている自分が情けないと思った

Aqoursと出会えた事は、俺にとって…

次の瞬間、大きな声が聞こえてくる

曜「悠介君!おはヨーソロー!」

そう言って布団を剥ぎ取られた

悠「うわぁ!なんだ曜か…え、なんでここにいるんだ!?」

 

曜「悠介君が起きるの遅いから起こしに来たの!あ、おじいちゃんには許可貰ってるよ!」

じいちゃん…まぁ俺は寝坊助だから起こしに来てくれるのは逆に有難いかも、それに…こんなに可愛い子にモーニングコールされるなんて幸せすぎんじゃん

曜「ん?どうしたの?私の顔に何かついてる?」

 

悠「いんや、今日も曜は可愛いなーって」

 

曜「え、ホントに…?」

曜は顔を真っ赤にしている、やばい可愛い

悠「それにもう恋人同士だろ?」

 

曜「もう、相変わらず、ずるいんだから…」

曜は小声で呟く

悠「ん?なんか言ったか?」

 

曜「なんでもないよー、ただ…」

そう言って俺の横に座る

曜「私も悠介君と一緒にいれて、とても幸せだよ?」

俺の肩に頭を倒してきた

曜の甘える様な顔と女の子特有の匂いがして、理性が少しずつ削れていく…

朝から可愛すぎだろ

曜は俺の背中に手を回し、抱き合う形になった

そして唇と唇が触れ合おうとした瞬間、外からバスの音が聞こえてきた

悠「やばい!バス来たぞ!」

 

曜「ほんとだ!」

俺は全速力で制服に着替え、曜とバス停に走った

悠「はぁはぁ、何とか間に合ったな…」

 

曜「危なかった〜」

俺達はシートにもたれ、ぐったりとしていた

朝からハードだな…

 

 

昼休み

千「よし、お弁当たべよー!」

千歌はそう言って弁当箱を勢いよく開けた

そして袋の中からみかんも取りだす

梨「千歌ちゃん本当にみかん好きよね〜」

梨子の弁当は、栄養のバランスが良さそうでやっぱり体型に気を使っている感じがした

千「だって美味しいんだもん!」

 

曜「内浦のみかんは甘くて美味しいからねー!」

 

悠「さーて、俺も弁当を」

そう思って鞄の中を探るが、弁当箱は見つからない

もしかして…

悠「弁当忘れた、終わった…」

 

梨「そんなこの世の終わりみたいな顔しなくても…」

 

曜「あははっ、私が少し分けてあげるよ!」

 

千「私の弁当も分けてあげる!」

 

梨「私のも食べる?」

美女3人衆に弁当分けてもらえるなんてすげえ幸せすぎんじゃん…

悠「ありがとう!じゃあ頂くよ!」

 

曜「せっかくだから、アーンしてあげようか?」

 

悠「いやー流石に恥ずい…」

 

曜「いや…?」

上目遣いで見てくる、これは断れないやつだ

悠「じゃあお言葉に甘えて」

曜は卵焼きを1つとり、俺の口へと運ぶ

卵焼きはほんのり甘く、微かに塩気が聞いていて本当に美味しかった

曜「おいしー?」

 

悠「美味しいよ、ありがと!」

俺達は照れくさく笑い合う

恋人同士になったとはいえデートにすら行ったことないし、恋人らしい事は殆どしていないが、こんな何気ない日常が何よりも幸せに感じた

幸せに浸りながら横を見ると、千歌がムスッとしている

千「曜ちゃんが取られたー!」

 

曜「だいじょーぶ!千歌ちゃんと私は永遠に親友だから!もちろん梨子ちゃんも!」

 

梨「曜ちゃんらしいわね、私も2人とは永遠に親友よ!」

梨子はニッコリ笑顔になる

千「私も!これからもずっと一緒だよ!」

3人は互いに顔を見合わせて笑いあった

この笑顔を俺は守っていかなければならない

俺は心に強く決心した

その時、俺の指先に電流の様な刺激が走る

反射的に持っていた箸を落としてしまう

曜「どうしたの?大丈夫?」

曜は心配そうな顔で見てくる

悠「あぁ、大丈夫だ、ちょっとびっくりしただけだから」

俺は自分の手を見つめる

さっきの電流は一体…

 

放課後

バス停で曜と別れ、俺はその足で椿さんの家へと向かう事にした

要件は、俺の体の事

あれから何度かふとした瞬間に手や足に電流が走る事があった

流石にこれは只事ではない

ちょうどいい事にAqoursの活動も休みだった

 

 

椿邸

椿「いらっしゃい悠介君、何かあったのかい?」

 

悠「はい、実は最近、俺の体に妙な電流が走る事があるんです」

 

椿「電流ん?それはいつからだい?」

 

悠「うーん、多分、キノコのデモスを倒した時くらい?」

椿は悠介の言葉にある可能性を感じた

椿「確かあの時、君が心肺停止になってそれを戻そうとして心臓マッサージとAEDを…そうか、AEDだ」

 

悠「どういう事ですか?」

 

椿「通常、AEDを使用したとしても後に手足に痺れや痛みが残るなんて事は無いはずだ、でも君にはその症状が出ている」

椿は少し考え、話し始めた

椿「これは仮説の段階だけど、君の中のアマダムがAEDの電流を受けた事で何かしらの変化が生じた可能性がある、つまり、力を吸収したんだ」

 

悠「俺もそんな感じはしました、何か新しい力を得た様な…ちょっと変身してみてもいいですか?今なら力を出せる気がします」

 

椿「わかった、じゃあ実験室に行こう」

悠介が通されたのは、1つの個室

ガラス越しに椿が座る

椿「君が力を1番出せる様な姿の方が変化が顕著に現れやすいかもしれない、紫の戦士がいいんじゃないか?」

 

悠「わかりました!じゃあ、いきます」

悠介は片手にトライアクセラーを持ち、変身の構えをとる

悠「変身!」

悠介の姿が鋼鉄の装甲に覆われた戦士へと変わる

持っていたトライアクセラーがタイタンソードに変化し、先端が伸びた

仮面ライダークウガ タイタンフォーム

クウガは精神を統一し、力を引き出そうとする

次の瞬間、クウガの体に電流が走り、姿が金淵の装甲を持った戦士へと変わる、持っていた剣も先端部分に金色の刀身が現れた

椿は悠介の新しい姿に目を見張る

椿「これは…」

その神々しい姿に、椿は驚きの表情を隠せない

クウガは変身を解いた

悠「椿さん、やりました!」

凄い、この力は一体…

椿「君の体に何が起きているのかはまだ分からない、でも、古代の碑文に何かヒントがあるかもしれない、ちょっと調べてみるよ」

 

悠「お願いします!」

悠介は深々と頭を下げて椿の家を後にした

 

 

俺が自分の家に入ろうとした時、誰かから声をかけられた

曜「悠介君!」

 

悠「おぉ、どうした?」

 

曜「うん、ちょっと会いたいなーなんて思ったりして…!」

曜は恥ずかしそうにはにかんだ

悠「でももう夕方だし、流石に遊びには行けないぞ?」

曜はもじもじしながら答える

曜「私の部屋に…来ない?」

顔は真っ赤っかだ

 

曜の家に入ると、お母さんが出迎えてくれた

母「あらーいらっしゃい、貴方が悠介君ね?話は曜から聞いてるわよ」

 

悠「はい!大堂悠介といいます!」

 

母「これからも曜と仲良くしてあげてね?」

 

悠「もちろんです!」

 

母「それにしても曜も隅に置けないわねーこんなにイケメンな彼氏がいたなんて」

 

曜「もーママったら!悠介君いこ!」

曜は嬉しいような恥ずかしいような顔をしながら俺の手を引っ張って行った

 

曜の部屋

悠「曜のお母さん、とってもいい人だな!」

 

曜「うん!自慢のお母さんだよ!」

 

悠「羨ましいよ、ほんとに、俺の家族は…」

ふと涙が溢れてくる

私は悠介君をそっと胸に抱いた

曜「泣いていいんだよ?」

 

悠「ごめん、やっぱり寂しいんだ、俺…」

曜の力が強くなる

曜「悠介君、最近ずっと寂しそうな顔してたから、彼女として元気づけてあげたいなーって、ずっと思ってたんだ」

俺はまるで赤ん坊の様に泣いていた

悠「ありがとう…本当にありがとう」

 

 

次の日 練習終わり

俺達はいつもの様に2人で並んで歩いている

付き合い始めの頃はそれだけでも照れくさく、お互いに遠慮していたのだが今は違った

お互いを深く理解し、お互いを信頼し合っているからこそ、今の私達があるのだろうと常々思っている

そして、ゆくゆくは…

 

その時、目の前に巨大な鎌を持った女が立ちふさがった

ガ「見つけたぞクウガ、さぁ勝負だ!」

次の瞬間、女はカマキリに似た怪物へと変身した

曜「か、怪物…」

悠介君は私の前に立ち

悠「曜、隠れてろ」

 

曜「悠介君…気をつけてね?」

 

悠「あぁ、大丈夫さ!」

そう言って悠介はサムズアップをする

ガ「我が名はガリマ、お前を殺す!」

 

悠「上等だ、行くぞ!」

悠介は変身の構えをとる

悠「変身!」

仮面ライダークウガ マイティフォーム

ガリマは大鎌を振り回しながら近づく

ク「でかい鎌だな、まともに喰らったらやばい」

クウガは距離を取る

ガ「はあっ!」

次の瞬間、ガリマはクウガ目掛けて鎌を振り下ろす

間一髪で避けたが、ガリマはしつこく追いかける

そして、至近距離で切りかかった

流石に避けきれず、なんとか両腕で鎌を止めるが、装甲の無い腕に大鎌が食い込み鮮血が流れる

ク「くっ、おらっ!」

クウガは大鎌の真ん中を蹴り、真っ二つに

ガ「な、なに?」

クウガは2つに折れた鎌の片方をもぎ取った

クウガは構える

ク「よしっ、いくぞ!超変身!」

仮面ライダークウガ タイタンフォーム

持っている鎌がタイタンソードに変化した

ガ「おのれ…」

ガリマはクウガに切り込むが、力では勝てずに押される

両者は激しく武器を撃ち合いながら戦う

再び組み合った時、タイタンソードに電撃が走った

クウガはガリマの顔面を殴って吹っ飛ばし、力を引き出す

レッグコントロールオーブが金色に輝き、体の装甲が強化され、タイタンソードに金色の刀身が現れた

仮面ライダークウガ ライジングタイタンフォーム

 

ガ「コケ脅しだ!」

ガリマはクウガ目掛けて走り出す

切りかかろうとするが、その前にクウガがガリマの腹を貫いた

ライジングカラミティタイタン

封印の紋章が現れ、ガリマは苦しみの声を上げる

クウガは剣をさらに深く押し込んだ

ガ「があっ!」

ガリマはそのまま爆発

ク「ふぅ、勝てた…」

クウガは変身を解いた

曜は悠介に駆け寄る

曜「やったぁ!悠介君!」

そのまま抱き着く

悠「おっとー、何とかな!」

曜は満面の笑みを浮かべながらこちらを見て来る

 

いい笑顔だ

この笑顔を俺は守り続けなければならない

遥かなる未来へ向けて!




今回はここまでです!


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第23話 彷徨

今回も頑張って書きます!


椿邸

先日に撮影した悠介の全身レントゲン写真を見つめながら、椿は考え込んでいた

アマダムから脳幹に伸びる神経の数がより多く、太くなっている…

これは一体…

その時、碑文の解析をしていたパソコンから音が鳴る

解析完了

椿「こ、これは…」

そこに書かれていた文字とは?

 

 

沼津 カジノ店廃墟

薄暗い部屋の中、沈黙が続く

ガ「ガリマ、大口を叩いたやつから死ぬ」

 

グ「あのクウガの力…一体なんなのでしょう?」

 

バ「あの方の力と同等な物を感じる、前には無かったものだ」

その時、入口の扉が開く

メ「ブウロ…来たか」

ブウロと呼ばれた男は部屋の中を見回す

ブ「随分とくつろいでいるな、そんな暇あるのか?」

 

?「計画は大幅に遅れている、これ以上の失態は許されない」

凄みのある声が聞こえ、その方向を全員が見る

そこには軍服を来た威厳のある男がいた

グ「これはこれは、ガドル…あの方に次ぐ力の持ち主」

 

ガ「いずれ超える、私は誰よりも強くなる」

男は胸を張りながら答える

バルバはその姿をみて少し笑い、ブウロに向き直り

バ「行けブウロ、命令は理解しているな?」

 

ブ「勿論、クウガを殺す」

男は店を後にした

 

 

浦の星学院 理事長室前

今日、全員ここに来ているのは他でもない

学校説明会の事だ

千「きっと、なんとかなるよね…」

 

ダ「しかし、入学希望者が増えていないのも、事実ですわ」

 

善「生徒がいなくちゃ、学校は続けられないもんね」

その時、理事長室の扉が開き、鞠莉が出てきた

果「どうだった?」

 

鞠「残念だけど、どんなに反対意見があっても、生徒がいないんじゃって…」

 

悠「やっぱりそうだよな…」

 

鞠「だから言ったの、もし増えたら考えてくれるかって、何人いればいいのって、何人集まれば、学校を続けてくれるのって」

 

曜「そしたら?」

鞠莉は少し俯き、答えた

鞠「100人」

 

千「100人…」

 

鞠「ええ、今年の終わりまでに少なくとも100人集まれば、来年度も募集し、入学試験を行うって」

 

ダ「100人って…今はまだ10人しかいないのですよ?」

 

梨「それを年末までに100人…」

メンバーは暗い雰囲気になるが、千歌がそれを打ち破る

千「でも、可能性は繋がった、終わりじゃない、可能が不可能か、今はどうだっていい、だってやるしかないんだから!」

 

果「まぁ確かにそうかー」

千歌は会談を駆け上がる

千「可能性がある限り、信じよう!学校説明会もラブライブも頑張って、集めよう、100人!」

 

曜「0から1へ!」

 

梨「1から10へ!」

 

千「10から、100!」

新たな目標、新たな希望への始まりだった

 

スクールアイドル部 部室

千「とは言ったものの…」

千歌は机に突っ伏している

曜「ラブライブの予備予選がこんなに早くあるなんてね」

 

悠「学校説明会とラブライブ、2曲作らなければ行けないんだろ?」

 

千「私ばっかりズルいー!梨子ちゃんだって2曲つくるの大変って言ってたじゃーん」

 

果「でも、千歌達に任せっきりって言うのもね…」

 

鞠「じゃあ果南、久しぶりに作詞してみる?」

 

果「いやぁ、私は…それ言うなら鞠莉だって作曲してたじゃーん」

 

ダ「衣装は私が作ってましたわね」

その時、鞠莉が何かを思いついたように手をポンと叩いた

鞠「じゃあ、千歌っちと曜と梨子で説明会用の曲を作って、残りの6人でラブライブ用の曲を作るってのはどう?」

 

花「それさんせいずらー!」

 

果「確かに、皆の負担も減るね!」

 

ル「でも、いきなりラブライブ用の曲なんて…」

 

ダ「大丈夫、私達がいますわ!」

 

悠「俺はどうするんだ?」

 

鞠「そーねぇ、悠介は全体の補佐をしてもらおうかしら!」

 

悠「要するに両方って事ね、わかりました!」

1番大変なポジションだなこりゃ

 

話し合いの結果、2年生組は千歌の家、他のメンバーは鞠莉さんの家でそれぞれ作業する事になった

ところが…

ダ「それではラブライブを突破できません!」

 

善「その曲だったら突破できるというの?」

 

鞠「花丸の作詞よりはマシです!」

 

ル「でも、あの曲はAqoursには合わないような…」

 

鞠「新たなchallengeこそ、新たなfutureを切り開くのデス!」

 

ダ「更にそこにお琴を!」

 

花「そして無の境地を!」

流石にたまりかねた悠介は

悠「ちょっと待てーい!」

その場を静止する

悠「喧嘩してる場合じゃ無いですよ!」

 

1年生組と3年生組はあまり関わりが無く、お互いをよく知らないのだ

ダイヤさんの発案でまずは親睦を深めようと言う事で、6人で温泉に行ってしまった

悠「やれやれ、困ったもんだな…」

 

曜「あはは、でも仲を深める良い機会かもね!」

 

悠「それで、そっちは順調なのか?」

 

千「うん、輝きをテーマにしようと思ってる!」

 

梨「結構順調よ!」

その時、曜が思い出したかのように言った

曜「そうだ!衣装のイメージも大体決まってきたから、これから買物に行かない?」

 

悠「俺はいいけど…いいのか?2人とも?」

 

千「大丈夫だよ!」

 

梨「後は私と千歌ちゃんの仕事だから!」

2人は優しく微笑んでくれた

悠「わかった、じゃあ行こうか!」

 

曜「うん!」

 

とりあえず沼津に行こうと言うことになり、俺達はバスに乗った

曜「えへっ、なんか、デートみたいだね!」

 

悠「そうだな、確かに2人切りでどっか行くなんて初めてかも」

曜は俯きながら話す

曜「今は色々大変だけど、いずれは…ちゃんとデートに行こうね?」

 

悠「あぁ、もちろん!」

 

今日は平日だが、都会というだけあって人もかなり多い

悠「すごい人だな…」

 

曜「都会だからね〜ここら辺は」

その時、人々が急にざわめき始めた

悠「なんだ?一体どうしたんだ?」

 

曜「あ!ビルの上に人がいる!」

曜が指さした方向には、それなりに高いビルから此方を見下ろす一人の男

飛び降り自殺?

そう思いかけたが、微かに伺える男の表情にはその様な感情は無いように見える

 

男「見つけた、クウガ!」

 

その時、悠介はその男と目が合ったように感じた、いや、狙いを定められたと言った方が正しいだろうか

次の瞬間、その男が鳥に似た怪物へと変身した

その様子を見ていた街の人達は恐怖し、逃げ惑う

曜「あれって…」

 

悠「くっ、こんな所にまで!」

怪物を見つめていた悠介の頭の中に、声が流れ込んできた

こっちに来いクウガ、俺と勝負しろ

悠「これは、テレパシー?」

あいつ、俺と決闘するつもりか?

仕方ない、行くしか…ない!

悠「曜、どこかに隠れてるんだ!後で必ず迎えに行く!」

 

曜「わかった…気をつけてね?」

 

悠「あぁ、大丈夫だ!」

 

曜と別れ、俺は怪物が待ち受けるビルの下に立った

俺を待っているのか?上等だ!

悠介は変身の構えをとる

悠「変身!」

仮面ライダークウガ ドラゴンフォーム

ク「いくぞ!」

クウガは大きくジャンプし、ブウロが待つビルの屋上に登った

ブ「お前を射抜き殺す、ブウロだ!」

クウガは素早くマイティフォームに変身し、ブウロを殴ろうとするが、間一髪の所で上空に飛び上がられた

ブウロは懐から吹き矢のような物を取り出し、クウガ目掛けて矢を何度も発射する

大量に飛んでくる矢に、反撃の糸口を掴めない

ク「厄介だな、どうすれば…」

その時、置き去りにされたレンチが目に入った

丁度このビルは改修工事中、きっと作業員が置き忘れたのだろう

そうだ、あれを使えば!

クウガは構える

ク「超変身!」

仮面ライダークウガ ペガサスフォーム

ブ「無駄だ、死ね」

更に吹き矢を飛ばす

前転しながらそれを交わし、レンチを手に取った

ク「今だ!」

その一瞬のうちに神経を集中させ、金の力を解放する

体に電撃が走り、金色の縁のボディ、ペガサスボウガンも巨大な銃へと変化する

仮面ライダークウガ ライジングペガサスフォーム

金の力は30秒しか使えない、これで決める!」

勢いそのままにブウロに狙いを定めて、必殺技を撃とうとした、その時

ブウロは力を貯めるために一瞬隙を作ったクウガを見逃さず、吹き矢を撃ち込んだ

クウガがボウガンを構えた瞬間、矢が命中し、クウガの腕と足を抉った

鮮血が飛び散り、クウガは倒れ込む

感覚を研ぎ澄ます姿故に、痛覚も倍以上に感じるのだ

想像し得ない痛みがクウガを襲う

ク「くっ、はあっ!」

痛みに苦しみながらもなんとか引き金を引き、必殺技を繰り出す

ライジングブラストペガサス

複数打ち出された弾をブウロは体を拗らせて避けるが、1発が羽に命中した

羽に封印の紋章が浮かび上がる

ブ「があっ!くっ、こんなもの!」

その時、ブウロは驚きの行動にでた

なんと自分の羽を引きちぎったのだ

 

お互いに深手をおう形となった両者

ブウロはクウガにトドメを誘うとせず、その場を片羽だけで逃げ去った

クウガは白い姿まで戻ってしまい、変身も解けてしまった

ク「ちく…しょう」

悠介は何とか立ち上がろうとするが、余程のダメージを受けたのかそのまま気を失ってしまう

 

曜「悠介君!大変!」

遠くからその状況を見ていた私は、彼のいるビルに急いだ




今回はここまでです!


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第24話 自分

今回も頑張って書きます!


誰かが手を伸ばしている

 

その人物は全身白い服装をしている

 

こっちにおいでよ、君は僕の物だ

 

違う、俺はお前の物なんかじゃない、物なんかじゃ…

 

いいや、君は人間達の道具さ、僕達を倒すためだけに造られた道具

だからこっちにおいでよ、僕が君を受け入れてあげる

 

男は優しく微笑むが、その笑みには狂気すら感じられる

 

嫌だ、来るな、来るんじゃない!

 

逃げても、無駄だよ?

 

次の瞬間、男が4本角を持った怪物に変身した

強い光に包まれてシルエットしか見えず、確認出来るのは4本の角

 

あれは、まさか…

 

怪物は悠介に近づき、悠介の腹を抉る

 

うわぁー!

 

 

その時、目が覚めた

悠「はぁ、はぁ…夢、か…」

俺はベットの上に寝かされていた、自分の家ではないようだ

曜「悠介君!大丈夫?」

 

悠「曜?ここは…」

 

椿「僕の家だよ、調子はどうだい?」

なんとか起き上がるが、まだ少し目眩がする

悠「まだちょっと…でももう大丈夫です!」

 

椿「…まぁ君がそう言うならいいだろう、でも無理はしないように、心配してる人もいる事を忘れてはいけないよ?」

 

悠「そうですね…ごめんな?曜」

 

曜「ううん、大丈夫、でも本当に無理はしちゃダメだよ?」

彼女は目に少し涙を浮かべていた

彼の傷つく所は、もう見たくない…

悠「そうだ、千歌達にはこの事は?」

 

曜「心配するだろうから言ってないよ、悠介君、本当に大丈夫なの?」

 

悠「あぁ、もうこの通り!」

悠介は元気を見せつけるかのように立ち上がった

悠「とりあえず、千歌達の所に戻ろうぜ」

 

曜「そうだね、今日3人で千歌ちゃんの家に泊まる事になってるんだけど、悠介君はどうする?」

 

悠「じゃあ俺も世話になるか」

悠介は椿の方へ向き直り

悠「椿さん、手当ありがとうございました!」

深々と頭を下げた

椿「いえいえ、気をつけて帰るんだよ、それと、少し話があるんだがいいかい?」

椿は真剣な表情になる

悠「はい、なんですか?」

 

椿「他でもない、君の体の事だ」

 

椿「実は、君のレントゲン写真を前の物と見比べてみると、アマダムの神経がより太く多くなっていた、これがどういう意味かわかるかい?」

 

曜「どういう事なんですか?」

椿は少し俯き、迷いがあるように声を出した

椿「悠介君の体が、人間じゃなくなってしまうかもしれないんだ…」

 

曜「そ、そんな…」

 

椿「このまま戦いを続ければ、戦うだけの生物兵器になってしまう可能性もある」

椿は深刻な表情で話すが、それを振り払うように悠介が声を出す

悠「大丈夫ですよ!俺は、」

 

椿「どうして、そう言えるんだい?」

 

悠「根拠は無いですけど…なんか、大丈夫な気がします!」

悠介はニカッと笑った

曜「悠介君らしいね」

曜もクスリと笑う

椿は難しい顔をするが、すぐ笑みを浮かべ

椿「まぁそう言っているうちは大丈夫だね、その気持ちを忘れない事だ」

 

悠「わかっています」

 

椿「話はそれだけだ、さっ、もう夕方だ、そろそろお帰り?」

 

悠「はい!ありがとうございました!」

 

曜「ありがとうございました!」

そう言って、2人は椿の家を後にした

 

静まり返った部屋で、椿はパソコンのディスプレイに映る文字を読み上げる

椿「聖なる泉枯れ果てし時、凄まじき戦士雷の如く出で、太陽は闇に葬られん…」

この碑文は、一体…

 

 

沼津 カジノ店廃墟

バ「羽をもがれたのか、ブウロ」

 

ブ「まさか、自分でちぎったのさ、これを読み終わる迄に治る」

ブウロは本のページをめくる

バ「優雅な事だな」

 

ブ「君も読んでみたらどうだい?この文学史、カミュを」

 

バ「随分人間に馴染んだようだな」

バルバは少し笑い、その場を去った

ブ「今日の夜が、クウガの命日だ」

また1つ、ページをめくる

 

 

俺達はいつものように並んで歩く

日は傾き、少し肌寒くも感じた

曜「悠介君、お願いがあるんだけど…」

真剣な表情で話し始める

悠「なんだ?」

曜は少し俯き、何かを決心下からのように顔を上げた

曜「私、悠介君にもう戦って欲しくない…悠介君が傷つく所を…もう見たくないの…」

彼は今まで、身を呈して私達の事を守ってくれていた、例え自分の体がボロボロになろうとも…私はその姿を見るのが辛かった…彼が戦いで消耗し、傷ついていくその姿を…

悠「…ありがとう、気遣い感謝するよ、でも、俺は戦わなければならない、自分のため、Aqoursのため、この街や学校のため、そして…皆の笑顔を守るためにな」

彼の背負っているものは、私には想像がつかない、それも運命なのだろうか…

曜「わかった、でも、絶対絶対、死んじゃダメだよ?悠介君が死んじゃったら、私は…」

私の心配を跳ね除けるように、彼はニコッと笑う

悠「大丈夫だ、俺は死なない、どんな事があっても…な」

 

曜「約束だよ?」

 

悠「あぁ、約束だ」

彼が戦うのは運命、私達が出会ったのも運命

人は自らの運命を背負って生きていかなければならない

ても、運命は変えることも出来る

どうなるかは、自分次第

 

 

千歌の家

家に着いた瞬間、雨が降り出す

秋の夕立なのか、かなり強い雨だ

千「おかえり!曜ちゃん悠介君!」

 

梨「遅かったわね、何かあったの?」

 

悠「いや、ちょっと…な」

 

曜「それより作曲は?」

曜は強引に話を変えた、俺を思っての事だろう

梨「うん、こっちも少しずつ出来てきてるよ」

 

千「果南ちゃん達は今日皆でお泊まりするってー今頃頑張ってるよね」

千歌は天井を見上げながら唸る

悠「じゃあ俺達も頑張らないとな!」

 

梨「そうね!気合い入れなきゃ!」

その時、部屋の扉が開いた

志「千歌ちゃん、みんなーご飯作ったけど今食べる?」

時刻は午後7時、丁度夕飯時か

悠「はい、頂きます!」

 

梨「ありがとうございます!」

 

曜「いつもありがとうございます!」

 

志「じゃあ下で待ってるからね」

そう言うと志満さんは降りていった

千「腹が減ってはなんとやらだからね〜」

 

ご飯を食べた後、風呂に入ろうと言う事に

混浴でもどう?と誘われたが流石に断った

入りたくないと言えば嘘になるけど…

とりあえず女3人で風呂に行き、俺は今部屋で1人だ

悠「と言っても、やることも無いからな…」

俺は自分の腕をさする

今日受けた怪我の痛みが残っているのか、少し顔が歪んだ

その時、部屋の扉が開く

千「はぁ〜いい湯だった〜」

 

梨「やっぱり温泉はいいわね!」

 

曜「気持ちよかったであります!」

曜は敬礼をした

悠「おかえり、じゃあ俺も入ってこようかな」

 

千「行ってらっしゃい!」

 

 

温泉に浸かりながら、俺は物思いに耽っていた

今日受けた傷も既に治っている、でも…

悠「体の傷が治ったとしても、心の傷は中々治らない…」

例え怪物だとわかっていても、この感触は…好きになれない

俺は自分の拳を見つめる

本当は暴力なんか振るいたくない、でも戦わなければいけない…

それが、俺の運命か

考えを振り払うように頭を振った

悠「考えるのやめた、なるようになればいい」

俺は、俺らしく生きてればいいよな

 

 

風呂から上がり、再び千歌の部屋に行ってみると3人とも机に突っ伏して寝ていた

今日ずっと作業をしていたのだ、流石に疲れが溜まったのであろう

悠「ったく、しょうがねえな」

俺はとりあえず千歌をベットに寝かせ、曜と梨子を下に敷かれていた布団に寝かせ、毛布をかけた

部屋の明かりを消し俺も寝ようかと思ったが、まだ目が冴えていたので外の風に当たることにした

 

外に出ると海特有の潮風が鼻腔をつき、なんとも言えない感覚に包まれる

雨は既にやんでいて、綺麗な星空が広がっていた

悠「本当に、いい街だな」

海が月明かりに照らされ、キラキラ光っていた

曜達がライブをしている時も、この輝きと似たような感覚を感じる

Aqoursの輝き、これからも俺が守り、手助けをしていく

そうやって生きて行くんだ、俺は…

 

その時、巨大な鳥の影が横切る

そこにはフクロウの様な怪物…

悠「来たか、いくぞ!」

悠介は先程取りに帰ったバイクに飛び乗り、走り出す

この場から怪物を遠ざけるためだ

バイクに乗りながら、変身の構えをとる

悠「変身!」

仮面ライダークウガ ペガサスフォーム

クウガはそのままバイクを走らせ、山の方へと向かった

 

私は大きなエンジン音を耳にして起きる

確か皆で詩を作っている最中で…そのまま寝ちゃったのか

体の上には毛布がかけられている、悠介君が掛けてくれたのだろう

曜「そうだ、悠介君!」

咄嗟に外を見る

悠「変身!」

彼はバイクを走らせ、夜の闇へと消えていった

その後を追うように、昼間見た怪物が飛んでいく

曜「どうか、無事で…」

私はただ、祈る事しか出来なかった

彼が無事に帰ってくるように…

 

 

クウガは全速力でバイクを走らせなんとか距離を取ろうとするが、簡単に追いつかれてしまう

次々と吹き矢が飛んでくる

ク「まともに戦っても勝てない、なら!」

バイクを方向転換し、海辺へ向う

ブ「逃げても無駄だよ?」

ブウロはゆっくりとクウガに標準を合わせる

月明かりに照らされたブウロの影が目にはいった

ブ「眠るがいい、クウガ!」

矢が放たれると同時にクウガはバイクから飛び降り、一瞬でライジングパワーを解放した

同時にトライアクセラーを引き抜き、ライジングペガサスボウガンへと変化させる

そのまま引き金を引き、必殺技を放つ

ライジングブラストペガサス

研ぎ澄まされた感度を活かし、敵を射抜いた

ブウロはあまりの素早さに不意をつかれ、まともに弾を喰らってしまう

ブ「があっ!」

そのまま海に墜落し、大爆発をする

ク「なんとか…勝てたな」

今回の敵は強かった、緑の力でもギリギリだったからな、これからもたくさんそんな奴が出てくるだろう

悠介は拳を握る

それでも俺は負ける訳にはいかないんだ!

皆の笑顔を、守るために…

 

 

悠介がバイクで千歌の家に戻って来た時には、うっすら明るくなり始めている

バイクを止めて降りると、急に誰かが抱き着いてきた

曜「良かった…帰ってきてくれて」

 

悠「あたりめーだろ、簡単には負けねえよ」

彼はこれからも戦い続ける、私はそれを受け入れなければならない

今はまだ無理かもしれないけど…少しずつ進んで行ければいいよね

 

その時、上で音がした

なんと千歌が屋根の上に立っている

悠「千歌?」

 

梨「そんな所で何してるの?」

梨子も起きていたようだ

千歌は少し俯き、顔を出し始めた太陽を見る

千「輝いてる、なんか、見えたんだ、今何を言いたいか、何を思っているのか、私が私に問いかけていた答えが」

千歌の隣には歌詞ノートがある

悠「千歌らしいな」

 

曜「そうだね!」

その時、声が聞こえてくる

果「千歌ー!」

 

千「あっ!みんな!」

そこには1年生と3年生

曜「曲は出来たー?」

 

ダ「バッチリですわ!」

そう言って自身げに歌詞ノートを見せる

千「ほんと?」

 

梨「じゃあ練習しなくちゃね!」

 

曜「2曲分あるから、頑張らないと!」

 

千「うん!学校とラブライブに向けて!」

 

悠「ここから頑張りどころだな!」

全「おぉー!」

やる気に充ちた顔で拳を突き上げる

その時、鞠莉の携帯が着信を知らせていた




今回はここまでです!


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第25話 波紋

今回も頑張って書きます!
感想、お気に入り、どんどんお待ちしております!


鞠「えぇー!でも、!」

電話を取った途端、鞠莉はびっくりしたような声を上げる

果「今度は何?」

 

悠「いい知らせではないようだな」

鞠莉は少し俯き、切り出した

鞠「実は、学校説明会が1週間延期になるって…」

 

ル「そんな…」

 

花「1週間延期って」

 

善「翌週の日曜って事?」

 

鞠「Yes.昨日の夕方に降った雨の影響で、道路の復旧に時間がかかるので、1週間後にした方がいいと…」

 

梨「確かに、その考えはわかるけど…」

 

曜「よりによって…」

その時、千歌が足取り良く屋根の上を歩く

千「どうしたのみんな!その分もっといいパフォーマンスになるよう頑張ればいいじゃん!」

 

ダ「どうやら状況が分かってないようですわね…」

 

曜「問題です!ラブライブの予備予選が行なわれるのは?」

 

千「学校説明会の次の日曜でしょ?」

 

梨「で、す、が、その説明会が1週延びるという知らせが届きました」

 

曜&梨「2つが開かれるのはさて、いつでしょう?」

 

千「そんなの簡単だよ〜!ん?ああっ!」

どうやらようやく気づいたようだな

朝っぱらからうるさくしたせいか、家の中から美渡さんが出てきた

美「ちょっと!うるさいわよ!」

片手にはお茶碗

次の瞬間、バランスを崩した千歌が美渡さんの上に落下する

千「同じ日曜だ!」

 

 

浦の星学院 体育館

とりあえず考えようと言う事になり、ステージの上で沼津の地図を広げている

果「ここが、ラブライブ予備予選が行なわれる会場」

果南が地図を指さす

千「ここ?」

 

善「山の中じゃない…」

 

ダ「今回はここで特設ステージを作って行われるのですね」

 

曜「それで、学校は?」

 

果「こっちの方角だけど、バスも電車も通ってないから…」

 

梨「じゃあそっちに向かって電車を乗り継いで…」

 

ダ「あぁ〜ごちゃごちゃごちゃごちゃしてきましたわ…!」

 

鞠「到底、間に合いまセェん」

 

花「空でも飛ばなきゃ、無理ずらね…」

その時、善子が後で笑い出す

善「クックック、なら、この堕天使の翼で!」

 

ル「おぉ〜その手があった」

 

花「堕天使ヨハネの翼で、大空から会場入りずら」

完全にからかってるなこの人達

悠「どうすりゃいいんだろな…」

 

 

沼津 カジノ店廃墟

ガドラとグレムはチェスをしている

戦局は同等と言った所か

ガドラ「ブウロを殺すとはクウガもやるな」

 

グ「ゲブロンさえ見つかれば…ゲームを開始できるのですが、次は誰にやらせるのです?」

 

バ「べミウに行かせた、やつなら…」

 

ガドラ「だが、クウガは新しい力に覚醒している、どうするんだ?」

グレムは相手のクイーンを取ると同時に声を出す

グ「彼女のムチは、さながらタクトです」

 

メ「人間の音楽に興味を持っていたな、あれは確か…」

 

 

内浦 船着場

薄暗い船着場に急に電気が灯り、5、6人の若者達が音楽をかけ始める

ラジオから鳴らしているようだ

若者達は思い思いに踊り、声を上げる

男「やっぱり踊るのは気持ちいいぜ」

 

女「だね!」

楽しんでいる彼らに、黒い影が近づく

髪の長い女で、暗い青色のドレスを着ていた

男は女を見て口笛をふく

男「姉ちゃん、活かす服装してんじゃん!一緒に楽しもうや」

女は男には目もくれず、無言でラジオのチャンネルを回し始めた

男「ちょっ、何勝手に変えてんだよ!」

それを無視し、ある音楽がなった所で手を止めた

 

ショパン 「革命」

 

男「何してんだよ!」

女の肩を掴むがあっさり振り払われ、逆に吹っ飛ばされる

女「ちょっと、やばいよこいつ…」

 

男「に、逃げろ!」

若者達は一目散に逃げ出した

女「安心しろ、命までは取らん、失せろ」

吹っ飛ばされた男も、その声を聞くやいなや逃げ出して行った

 

女はラジオに向き直り、静かに曲を聞いている

女「クウガ…お前は私が殺す、このべミウがな」

べミウはその場を立ち去った

 

 

曜の家

俺はいつものように帰った後、曜の誘いで彼女の部屋にいる

悠「しっかし、どうなるかな」

 

曜「うん、今回ばかりはね…」

 

悠「所で、何で俺を呼んだんだ?」

何気なしに聞いたが、曜は顔を俯かせた

曜「なんでって、2人きりに…なりたかったから…」

顔が真っ赤になっている

曜「ほら、最近練習とか色々で遊びにとか行けなかったじゃん?だから…」

曜は俺の肩に首を傾ける

 

胸の高鳴りが聞こえ、ドキドキがとまらない

曜「悠介君…私の事、好き?」

 

悠「あぁ、大好きさ」

 

私は心の中から充実した気分に覆われた

曜「私も、好きだよ?」

その言葉に嘘偽りはない

私は彼の背中に手を回す

曜「こうしてるとさ、なんか、温かいね!」

 

悠「そうだな、確かに温かい」

というかむしろ熱い、恥ずかしくて顔から火がでそう…

その時、曜が突然切り出した

曜「悠介君はさ、私と…キスしたいとか思う?」

 

悠「ええ!そりゃ…思ったり、?」

俺の言葉を聞くやいなや、曜は目を瞑り顔を近づけてきた

おちつけ俺、俺達は恋人同士なんだ、何もやましい事なんて…

キス待ちの曜の顔が可愛すぎて写真に取りたいくらいだった

 

ええい、もうどうにでもなれ!

そう決心した次の瞬間、俺の携帯が鳴り出した

悠「いい時に誰だよ」

ディスプレイにはじいちゃん

じ「悠介!夕飯が出来たぞ!早く帰ってこい!」

 

悠「分かったから電話越しで大声は辞めてくれ」

俺は電話を切った

悠「曜、続きは…また今度な」

曜は大きくうなづく

曜「うん、待ってるね!」

今日1のとびっきりの笑顔で答えてくれた

 

 

浦の星学院 屋上

私達はいつものように練習している

だが、いつもの様な活気は感じられない

皆それぞれ悩んでいるのだ

理由は1つ、学校説明会とラブライブ、どちらに出るかという事

果「それで、どうするか決まった?」

少し間を置いて、梨子が答えた

梨「二手に分かれて歌うしか無いんじゃないかな…」

 

悠「二手?」

 

千「うん、昨日梨子ちゃんと話し合ったんだけど、私達は9人いる、学校説明会とラブライブ、二手分かれて歌えば両方には出られる」

 

曜「でも、それって…」

 

ダ「全員揃っていない私達をAqoursと呼べるのか…」

 

悠「それに、4人でラブライブを突破出来るかも分からない」

 

千「あ〜ん、どうしたらいいのー!」

 

梨「幸い、まだ少し時間があるからもう少し考えてみよ?」

 

鞠「前途多難デスねぇ」

 

その時、急にピアノを引く音が聞こえてきた

 

悠「あれ?誰が引いているんだ?梨子はここに居るし」

 

梨「他に音楽室使う部活ってあるの?」

 

曜「吹部とか軽音とかあるけど、こんな時間まで練習はしてないはずだよ?」

 

果「じゃあ、だれ?」

 

梨「それにこの曲…」

 

悠「なんの曲だ?」

 

梨「ショパンの革命、難しい曲なのに、こんなに綺麗に引いてる…」

 

ダ「そんな逸材が学校に?」

 

千「見に行ってみよー!」

言い終わる前に千歌が走り出す

悠「ちょっ、千歌!」

俺達は2階の音楽室に向う

勢いよくドアを開けたその先にいたのは…

 

暗いドレスを着た、髪の長い女…

 

女はかなりの美貌で、スタイルも良かった

梨「それにしても上手ね…」

千「貴方もこの学校の生徒?」

千歌が近ずくが、「何か」を感じた俺は彼女を静止する

悠「待て千歌、何かが変だ…」

悠介は1人女に近づき、声を上げる

女はピアノを引く手を止めない

悠「お前は誰だ?」

 

次の瞬間、女は手を止め、ゆっくりと悠介を見た

口元が妖しく歪む

そして立ち上がり、なんと教室の空いた窓から飛び降りた

ル「そんな!」

 

花「まずいずら!」

 

善「ここ2階よ!?」

悠介が窓から下を見ると、そこには青黒い鱗に覆われた海蛇の様な怪物が立っていた

べ「来い、クウガ」

 

悠「舐めやがって!」

 

悠介は変身の構えをとる

窓から飛び降りながら叫んだ

悠「変身!」

仮面ライダークウガ ドラゴンフォーム

クウガが降り立つ前に、べミウは走って逃げ出す

ク「待て!」

 

曜「悠介君!」

 

果「曜!危ないよ!」

私は果南ちゃんに静止される

ダ「兎に角追いかけましょう!」

 

浜辺まで来た所で、べミウはこちらを振り向いた

べ「死のコンダクター、べミウだ、いくぞ!」

そう言うと胸の装飾品を1つちぎり、ムチに変化させる

クウガも落ちていた流木を手に取り、ドラゴンロッドに変化させる

ク「こい!」

ロッドを振り回すが、軽い身のこなしで避けられてしまう

動きは素早く、まるで攻撃を受け付けない

べ「無駄だ」

べミウはムチを振りかざしてロッドに巻き付け、一瞬で氷漬けにした

ムチから冷気が出ているようだ

ク「な、なんだと!」

クウガも負けじとべミウの腹にロッドを突き立てるが、体に当たった瞬間バラバラに砕け散った

ク「くそっ!」

ロッドを投げ捨て殴り掛かるが、簡単に避けられる

武器を壊された焦りか、フォームチェンジする事も忘れていた

べミウは一瞬の隙をつき、クウガの足を凍らせ、続けて腕も封じた

これでは身動きが出来ない

べミウは次にベルトに狙いを定める

べ「…トドメだ!」




今回より、登場した敵のちょっとした紹介をしたいと思います
べミウ 海蛇種 怪人
人間態は青黒いドレスを着た華麗な女性、冷徹で目的遂行のためなら手段を選ばない。自らを「死のコンダクター」と名乗る。ショパンの「革命」に興味を持ち、ピアノを弾く技術も身につけている
怪人態は鱗に覆われ、胸の装飾品を武器に変えることができる
武器のムチから零下130度の冷気を発して、敵を一瞬で凍らせる


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第26話 解明

お気に入りして頂いた方、ありがとうございます!
今日も頑張って書きます!


べ「…トドメだ!」

べミウが鞭を振り上げたその時…

 

曜「させない!」

曜がべミウの前に立ちはだかった

べミウの動きが止まる

 

千「曜ちゃん!」

今度は千歌が曜の前に立ちはだかる

他のメンバーも両手を広げて立ちはだった

べ「…人間め…」

9人に威圧されたべミウは逃げる様に海に飛び込んだ

果「逃げた…?」

 

ダ「そのようですね…」

クウガは変身を解いて立ち上がる

悠「ごめん、みんな…また危険な目に合わせてしまった…」

悠介は拳を強く握り締める

悠「俺は、俺は…なんて情けない…」

目から涙がこぼれ落ちる

敵に負けたからではない、自分が不甲斐ない故に彼女達をまた危険に晒せてしまった事が、悔しくて仕方ない

 

静かに泣く悠介の元にメンバーが駆け寄る

曜「悠介君は情けなくなんかないよ?だって、あんなに勇敢に戦えるんだもの」

 

梨「そうよ、あんなに恐ろしい怪物に向かって行けるなんて凄いことよ?」

 

ダ「そうですわ、自信を持ちなさい?」

 

果「そうだよ」

 

悠「みんな…ありがとう」

いっつも助けられてばっかだ、ほんと

 

 

沼津 カジノ店廃墟

暗い部屋の中、グレムは本を読みながら口を開く

本の名前は、カミュ

グ「クウガを取り逃したそうですね?べミウ」

 

べ「あぁ、思わぬ邪魔がはいった」

 

バ「失敗の代償は大きい、覚悟はできているな?」

バルバがグレムに合図をすると、彼はポケットの中から小さな機械を取り出した

グ「これはガリマの分身に使った物です、生物に埋め込むと宿主の精神を消し去り、戦うだけの戦闘マシンへと変化させる」

べミウはその機械に目をやるが、すぐ向き直る

べ「それを使った所で私の実力が変わるという証拠はあるのか?弱い連中にそれを使っても大差ないだろうが、もう少し考えてみろ」

バルバは不敵に笑う

バ「ふふっ、賢い奴だな、ならば必ずクウガを殺せ、そして魔石ゲブロンを見つけろ、いいな?」

べミウは部屋から出ていく

グ「それにしても、あの方は今どこに?」

 

バ「いるさ、すぐ近くに…な」

バルバはまるで遠くを見るような目をしていた

 

 

悠介の家

俺は家に帰りつくなり、自分の部屋のベットに飛び込んだ

枕に顔を埋め、溜息をもらす

悠「はぁ、また俺は…」

みんなを守ると誓ったのに、俺が助けられてばかりだな…

もっと、強くならなくては…もっともっと…!

 

その時、下の階のインターホンが鳴った

悠介は急いで下に降り、ドアを開ける

そこには曜が1人で立っていた

曜「悠介君、今平気?」

 

悠「あぁ、問題ない、どうした?」

 

曜「ちょっと話ししない?」

 

俺達は海沿いを並んで歩く

悠「話って、なんだ?」

 

曜「うん…ちょっと心配になって」

 

悠「大丈夫だって!ほらこの通り!」

悠介は胸を張って見せるが、曜には空元気にしか見えなかった

曜「悠介君…やっぱり私、悠介君が傷つく所、見たくない…」

曜は歩みを止め、俯かながら話す

曜「なんで悠介君が傷つかなきゃいけないの?」

悠介は少し考え、やがて決心したかのように言った

悠「俺だって本当は戦いたくなんかない、相手が怪物だといえど、殴りたくないんだ…」

自分の拳を見つめ、もう片方の手で包む

悠「本当に、この感触にはいつまで経っても慣れないんだ…」

優しい性格、本当は暴力なんか振りたくない…

彼は相当の重荷を背負って戦っているのだと私は感じた

 

私は彼の手の上から両手を包み込む

曜「ずっとずっと、苦しんでいたんだね…悠介君が戦い続けるなら、私はあなたの心の傷を癒し続ける、それが私の役目なんだって思うんだ」

 

なぜだろう、目から涙が溢れて止まらなかった

俺は1人じゃない、仲間がいる、そして愛する人も

悠介は涙を乱暴に拭い取り、向き直る

悠「ありがとう、本当にありがとう…」

 

皆の未来は、俺が守る

 

悠「これからも、ずっと一緒にいような」

 

曜「ヨーソロー!」

私は彼の言葉に応え、とびっきりの笑顔で敬礼をして見せた

 

 

時刻は午後6時

職場から自宅へ、学校からの帰りで行き交う人々で街は溢れていた

その中を、人らしからぬ物が歩く

外見は確かに人間の女だが、どこか普通の人間ではない雰囲気が漂う

 

女は人混みから外れ、裏路地に入った所で立ち止まった

頭の中に声が入ってくる

バルバ、待ってるよ…

次の瞬間、目の前に真っ白い服に身を包んだ男が現れた

バ「…ダグバ」

男が不敵に笑ったと思うと、まるで影に溶け込むように姿を消した…

 

 

悠介が居間で晩御飯を食べていると、部屋の奥からじいちゃんが沢山の資料を持ってきた

悠「なんだ、それ?」

 

じ「これはな、ここ内浦に伝わる伝説について書かれているものじゃ」

 

悠「そんなのあるんだ、どんなやつなんだ?」

じいちゃんは碑文が書かれた古文書の様な物を1つ取り出し、悠介に見せた、

そこに書かれていた物は…

 

心乱れし物、魔道の霊石を身に付け、究極の闇をもたらさん

 

悠「究極の闇…」

 

じ「まぁただの伝説じゃからな」

じいちゃんは笑っていたが、俺はただの伝説だとは思えなかった

碑文の中には地図の様な物も書かれており、下に文字が添えられている

地図が指し示している物は島のようで、下の文には

 

人々が崇める聖域、邪悪を封じ、闇を鎮めん

 

悠「聖域、邪悪を封じる…今度椿さんに聞いてみるか」

 

 

次の日の学校終わり、俺は千歌と梨子と曜の4人で歩いていた

梨「何か考えは浮かんだ?」

梨子が千歌に聞く

千「うん、やっぱり二手に分かれるしか…」

 

悠「他に方法はないもんかねぇ」

 

その時、千歌の目に沢山のみかんが目に入った

千「あ、みかんだ」

 

梨「こんなに沢山?」

 

曜「そりゃ、内浦のみかんは甘くて有名だもん」

 

千「そうだ、みかんだよ!」

 

悠「へ?」

 

千「みっかーん!」

千歌は大きく飛び跳ねた

 

 

ラブライブ 地区予選当日

結局、二手に別れることになり、俺、千歌、曜、ルビィ、梨子、ダイヤさんでラブライブの会場に来ている

梨「今前半が終わったって」

 

悠「いよいよだな」

その時、ルビィが心配そうな表情をしている

曜「だいじょーぶ!」

それに気づいた曜が、ルビィを元気づける

曜「花丸ちゃんも言ってたよ?練習通りにやれば、問題ないずら!ってね!」

ルビィの顔が笑顔になる

曜「それに、今回作ってくれた衣装、とっても可愛い!」

曜達が着ている衣装は、和服をモチーフにしたなんとも煌びやかな衣装

その時、ダイヤさんが姿を現した

頭に大きな飾りをつけ、端正な顔立ちに和服が最高に似合っている

ダ「お待たせしましたわ…」

その姿に全員が見とれる

千「うわぁ…!」

 

曜「ダイヤさん、綺麗…」

 

ダ「そっ、そうですか?」

ちょっぴり恥ずかしいみたいだ

ル「ルビィ、ずっと思ってたんだ、お姉ちゃん絶対似合うのにって」

そう言うと、ダイヤさんはルビィちゃんをそっと抱き寄せる

千「いい妹さんですね!」

 

ダ「もちろん、自慢の妹ですわ!さぁ、行きますわよ!」

 

エントリーナンバー24、Aqoursの皆さんです!

私達は舞台へ立つ

周囲からはパチパチと拍手がするが、圧倒的に少ない

浦の星学院の生徒達は説明会に行っているため、応援する人が余りいないのだ

その状況を見ていた志満さんと美渡さん

志「千歌ちゃん…」

とても心配そうにしている

千「あぁ…」

やっぱり皆がいないと…

 

その時、

勘違いしないよーに!

振り向くと、そこには果南さん鞠莉さん善子、花丸

果「やっぱり、私達は1つじゃないとね!」

 

善「ほらほら、始めるわよ!」

 

花「ルビィちゃん!この衣装、とっても可愛いずら!」

 

踊る、今全力で…会場に日本風の曲がかかる

私は舞踊り、会場もパフォーマンスに魅了されている

 

曲が終わり、最後のポーズを取ると、会場からは割れんばかりの歓声と拍手

一息つくこと無く、千歌が走り出す

千「さぁ行くよ!」

 

梨「ここからが勝負よ!」

 

曜「花丸ちゃん達、大丈夫?」

 

果「もしかして、学校説明会に間に合わせるつもり?」

 

私達は会場を出て、走る

悠介も慌てて着いて行く

悠「どういう事だ?」

 

ある日の夕方

悠「みかん?」

 

千「そう!あそこはずっとみかん畑!うちのクラスにやってる子がいたから!」

 

曜「そうか!あれを使えば!」

千歌が言っているのはみかんを運ぶ運搬機の事だ

 

梨「ほんと、諦めないね千歌ちゃんは!」

 

千「うん、道がある!」

 

その時、花丸が疲れて膝をつく

花「はぁ、はぁ…」

それを善子とルビィが助け、共に走る

 

着いた先には運搬用の小さなモノレール

梨「こんなのあったんだ…」

全員がそれに乗り込む

千「みんな乗ったー?」

 

曜「全速前進〜ヨーソロー!」

果南さんが勢いよくレバーを引く

しかし、モノレールは物凄く遅い

花「冗談は善子さんずら」

 

善「ヨハネ」

 

悠「いやツッコミ入れてる場合かい」

 

果「もっとスピード出ないのー!」

焦れったくなった果南さんが更にレバーを動かした

すると…バキン!

悠「あ…」

 

果「取れちゃった…」

次の瞬間、モノレールが坂に入り勢いよく走り出した

全員から悲鳴が上がる

まるでジェットコースターだ

蛇行しながら進み、みかんの木に入り込む

出てきた時には全員の口にみかんが入っていた

始めは怖がっていたメンバーも、次第に面白くなったのか笑顔になる

 

モノレールから降り、いよいよ学校に向けて走る

全員すでに息が上がっている

それでも前に進む

ダ「時間がありませんわ」

 

ル「間に合うかな」

 

曜「後少しなのに」

 

悠「もうすぐなのに」

 

果「ここまで来たのに」

 

鞠「このままだと」

 

善「ダメなのか…」

 

花「ずらぁ…」

 

梨「奇跡は、起こるのかな…」

 

千「私、思うんだ。奇跡を最初から起こそうなんて人、いないと思う、ただ一生懸命、夢中になって、何かをしようとしている、何とかしたい、何かを変えたい!それだけの事かもしれない…だから!」

千歌の走るスピードが上がる

千「起こせるよ奇跡、私達にも!」

 

梨「起こるかな、奇跡!」

 

千「起こるよ、だって、だって!虹が掛かったもーん!」

千歌の言う通り、空には綺麗な虹がかかる

私達は今を全力で生きる、君の心は、輝いてるかい?

 

全力でライブをやりきり、客席からは歓声があがる

千「どっちにするかなんて、選べないし、どっちも叶えたいんだよ!」

空には浦の星の生徒達が飛ばした沢山のシャボン玉

千歌は空に向かって手を伸ばす

千「だから行くよ、諦めず心が、輝く方へ!」

 

悠「千歌らしいな、お前がそう思う程、俺も頑張らなきゃって思うぜ!」

 

皆と感慨に浸っていた時、悠介の目にあの女が写った

悠「あれは…」

女は不敵に笑い、決闘だと言わんばかりに此方に来いとジェスチャーをした

Aqoursのメンバーも女に気づいたようだ

曜「悠介君、あれって…」

悠介は向き直り、決心したかのように言った

悠「皆、今日は本当に奇跡を起こしてくれたな、次は…俺が頑張る番だ!」

 

千「帰ってくるよね?」

 

悠「あぁ、もちろん」

 

梨「絶対だよ?」

 

果「嘘ついたら針千本だからね?」

悠介は大きくサムズアップをしてみせる

そのまま後を向き、走り出す

 

べミウは海岸に立っている

外から見れば、それは恋人を待っているようなロマンチックな画だが、彼女の目的は「闘い」なのだ

夕日が更に輝きを増し、彼女を照らしている

 

悠介は海岸のべミウの前に立つ

その顔は戦いを決心した顔だった

 

変身の構えをとる

悠「行くぞ、変身!」

仮面ライダークウガ ドラゴンフォーム

足元の流木を手に取り、ドラゴンロッドへと変化させる

べミウも怪人態へと姿を変え、装飾品を1つ取ってムチに変える

 

先に動いたのはべミウだった

物凄いスピードでムチを振る

それを前転しながら避け、ロッドでべミウの腹を狙う

べミウはロッドをもう片方の手で掴み、押し返した

力ではべミウの方が優勢なのか、クウガは押されてしまう

今度はムチをロッドに巻き付け、一瞬で氷漬けにした

ク「ちくしょう!」

ロッドで体を突くが、案の定バラバラに砕ける

攻撃をするが簡単に受けられ、ロッドも放り投げられてしまった

それでも一瞬の隙を付き、べミウに素早いパンチを叩き込む

べミウは少しよろけたが、すぐにムチを振り、クウガの肩アーマーを氷漬けにした

ク「ぐっ、まだまだ!」

素早く側転して距離を取り、海岸に向かって走り出す

べミウもクウガを追い、海岸へと走る

 

打ち上げられた海水が足に当たる

その時、水とは別の感触を足に感じた

ふと下を見ると、流木がある

クウガは何かを決心したかのように流木を蹴り上げた

べミウは素早くムチを放ち、トドメを刺そうとする

見事流木をキャッチすると、そのまま前転してムチを交わし、一瞬でライジングパワーを解放した

体に電撃が走る

肩と胸に金色のラインが入り、流木も先端が鋭くなったライジングドラゴンロッドへと変化した

仮面ライダークウガ ライジングドラゴンフォーム

べ「コケ脅しだ!」

べミウはもう一度ムチを振るが、クウガは高くジャンプして避け、そのままべミウの腹にロットを突き刺す

ライジングスプラッシュドラゴン

べミウの腹には封印の紋章が浮かび上がる

べ「ぐっ、があっ!」

クウガは更にロッドを押し込む

そして体を大きく回転させ、そのままべミウを海へと放り投げた

べミウは海へと沈み、やがて大きな水しぶきを上げて爆発した

 

夕日にクウガが照らされる

 

その時、後ろから声が聞こえてきた

曜「悠介君!」

そこにはAqoursのメンバー

梨「勝ったのね!」

 

ダ「あっぱれですわ!」

 

悠「今日、俺は決心した、これからも逃げずに戦い続ける事を、皆の笑顔を守り続ける事を、そして…Aqoursのマネージャーとして、皆と一緒にラブライブで優勝する事を!」

力ずよくサムズアップをして見せ、ニカッと笑う

それに応えるかのように、全員がサムズアップをする

 

それぞれ、とても良い笑顔をしていた




今回はここまでです!


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第27話 岐路

なかなか投稿できなくてすいません!
今回も頑張って書きます!


肌寒朝、温かな太陽が少しだけ顔を出している

海も街も静かで、なんとも心地よく感じる

梨「はぁ〜ぁ」

私は部屋の窓を開け、大きくあくびをした

今日も静かな朝、さぁて、千歌ちゃんを起こしに行こ…

 

そう思った瞬間

 

千「梨子ちゃんおっはよー!」

 

梨「へ?千歌ちゃん?」

あの寝坊助の千歌ちゃんが…早起き?

その様子を、しいたけの散歩に行こうとしていた志満さんと美渡さんもびっくりした目で見ていた

千「おはよーしいたけ!美渡姉も志満姉も行ってきまーす!」

 

美「うっそ…」

志満さんは空を見上げながら言葉を漏らす

志「今日は雨かしら?」

いや、雪が降るかも

 

 

スクールアイドル部 部室

千「ふんふんふん〜♪」

千歌はなぜか上機嫌で部室の窓を拭いている

ダ「よりによってこんな時に…」

 

善「もしかして、忘れてるんじゃない?」

 

鞠「really?」

 

悠「もしかすると、もしかするかもな」

 

曜「千歌ちゃん、今日何の日か覚えてる?」

千歌は自身げに答える

千「ラブライブ予備予選の結果が出る日でしょ?」

 

全「おぉ!」

 

花「覚えていたずら!」

 

ル「き、緊張しないの?」

 

千「ぜーんぜん!だって、あんなに上手くいって、あんなに素敵な歌を歌えたんだもん、絶対突破してる、昨日、聖良さんにも言われたんだよ」

 

悠「いつの間にそんな仲良くなったんだ…」

そうこうしていると、パソコンがメールの着信を知らせた

ル「来た!」

ラブライブ予備予選 結果発表

全「ゴクリ…」

 

花「緊張するずら…」

 

ル「い、いきますっ!」

意を決してルビィがボタンを押す

 

エントリーナンバー24 Aqours 予選突破

 

全「おぉ!」

 

梨「もしかしてこれ、トップってこと?」

 

花「やったずら!」

 

果「うむ、よきにはからえ!」

 

悠「よかったなぁ…」

思わず涙が零れる

曜「もー何泣いてるんだよー!」

曜が俺の背中をばしばし叩く

他のメンバーもそれぞれハイタッチをして喜ぶ

鞠莉さんと善子に至ってはお揃いの決めポーズ

 

しかし、ダイヤさんだけはその光景を浮かない顔で見つめていた…

 

 

その日の帰り道

曜「悠介君!一緒にかえろー!」

 

悠「悪い、今日はちょいと用事があるんだ、帰ったら電話するから、な!いいだろ?」

曜はあからさまに不機嫌な顔になるが、すぐ向き直り

曜「む〜、わかったよ、早く連絡してね?」

 

悠「了解っ!」

 

曜「じゃあ後でね!」

曜はそう言って帰って行った

 

 

沼津 カジノ店廃墟

グ「まさかべミウまでやられるとは…」

 

ガドル「クウガも侮れないな」

 

ガドラ「ったく、どいつもこいつも情ねぇ…所でグレム、今度は何で遊んでいるんだ?」

 

グ「これは賭けゲームの1つ、ルーレットです」

そう言いながら球を弾く

バ「お前も遊んでいる暇などあるのか?ガメゴ」

バルバはガメゴと呼んだ黒いハット、黒スーツに身を包んだ男を見下ろした

ガメゴは球を弾きながら答える

ガメゴ「問題ない、俺の手にかかればクウガなどすぐに倒せる」

 

バルバはニヤリと笑い、話し始めた

バ「お前達にダグバからの伝言を伝える」

ダグバ、という名前を聞いた瞬間、全員の表情が強ばる

バ「クウガを殺せ、魔石の場所も奴が握っている、クウガを仕留めた者は私と戦い、勝てば、究極の闇を手に入れるだろう」

ダグバの伝言を受け止め、全員が驚きの表情を隠せない

グ「…要するに、クウガを倒してあの方と戦い、力を手に入れるという事ですね…しかし…」

 

メ「ダグバに勝てる要素があるのか…」

 

ガドル「だからクウガを倒さなければならないのだろう?面白い事を考えつく」

 

バ「お前からだ、ガメゴ」

 

ガメゴ「サッサと終わらしてやる」

ガメゴはすくっと立ち上がる

バルバはニヤリと笑った

バ「セミファイナルゲームの始まりだ、私達の先祖の言葉を使うのなら…」

 

「ゲゲルゾ・ザジレスゾ…」

 

 

俺は曜と別れた後、その足で椿さんの家に向かう

理由は1つ、例の碑文の事だ

 

椿邸

椿「いらっしゃい悠介君、今日はどうしたんだい?」

 

悠「実は、椿さんに見せたい物があるんです」

 

椿「見せたい物?まぁ上がりなよ」

そう言っていつもの応接間に通された

椿「所で、見せたい物って?」

悠介にコーヒーを出しながら話す

悠「俺のじいちゃんが持ってたものなんですが…」

そう言って碑文の古文書を見せる

椿「これは…」

 

悠「一体どういう意味なんでしょう?」

 

椿「今はまだ分からない、けど、1つだけ言える事がある」

 

悠「なんですか?」

 

椿「詳細な場所は不明だが、ここ内浦に、グロンギの生き残りがいる可能性が…非常に高い」

 

悠「グロンギって…デモスの祖先の?」

 

椿「そうだ、デモスは、戦闘民族グロンギの遺伝子を受け継ぐ怪物だ」

椿さんは更に続ける

椿「グロンギは古代の戦士によって全て倒されたはずだが…こんな所に生き残りがいたとは…」

 

悠「もしかして、そいつを復活させるのが奴らの目的…?」

 

椿「そうである可能性は非常に高い、もしそんな奴が復活すれば、この街は…」

 

悠「そんな事させません!絶対に…!」

悠介の声が大きくなる

悠「俺が守ってみせます、何があっても」

椿は大きく頷く

椿「気合を入れるのもいいが、自分の体も大切にするんだよ?」

 

悠「わかってます!」

 

 

悠介の家

家に帰り、ご飯や風呂等を済ませ、自分の部屋にいく

時刻は21時半を回っていた

悠「はぁ、今日も疲れたな…」

そう思いながら携帯を開くと、メッセージが数十件来ている

悠「まさか…」

予想は的中、曜からだった

 

「今帰り着いたよ!悠介君はまだ帰ってないよね?」

 

「お風呂入ってくるよ」

 

「結構遅いけどまだ帰らない?」

 

「ひょっとして何かあった?今どこ?」

 

などなど、多くのメッセージが寄せられていた

これ、ほぼ母親じゃん…

俺は恐る恐る返信をする

「ごめん、今やっと余裕が出来た」

直ぐに既読が付き、返事が来た

「おかえり!よかった〜何かあったんじゃないかって心配してたんだよ?」

 

「大丈夫!心配かけてすまなかったな」

俺は返信と同時に電話をかけた

ワンコールで直ぐに出る

悠「もしもし、ごめん曜、心配かけたな」

 

曜「もぉ〜すっごく心配したんだからね?」

かなりの大声に、俺は携帯から耳を遠ざける

悠「何でもするから、許してくれ?な…?」

曜はうーん、と少し唸った

曜「なんでも?言ったからね…?」

うらめしそうな声で言う、ひょっとして俺やばい事言った?

悠「お、おう…」

 

曜「じゃあ、私のいい所…思いつく限り言って?」

とても恥ずかしそうな声が聞こえてきた

きっと顔真っ赤にしてるなこれ

そう言う自分の顔も少し暑く感じた

悠「わかったよ、まず笑顔だろ、あれ見ただけで1日の疲れが吹っ飛ぶよな、それと優しい所、気遣いが出来る所、あと少し甘えん坊な所、それから…」

 

曜「あ、甘えん坊はお互い様だよ…」

聞いた事がないような小さな声、そーとー恥ずかしがってるな…

悠「どうだ?満足したか?」

 

曜「うん、もうおなかいっぱいだよ…」

 

結局、話しているうちに日付が変わり次の日に2人揃って寝坊したのはいい思い出だ

 

 

沼津 商店街

悠「はぁ、やっぱ簡単には行かないよな…」

俺は今、いわゆるバイト探しをしている

別にお金が欲しくなった訳では無く、Aqoursの活動資金集めのためだ

この間のラブライブ予備予選、学校説明会のライブで資金を殆ど使い切り、手元に残ったのは…

悠「これだけだもんな…」

そう言いながら財布から5円を出す

 

ひとしきり探しては見たが、中々見つからない

気になったのは何個かあったけど

 

喫茶店

オーソドックスでいいが、時間がなぁ…学校終わりじゃ厳しいか

 

写真館のモデル

Aqoursの宣伝にもなりそうだし良いと思ったが、やはり時間が…

曜のモデル姿…

考えただけでも可愛いだろうな

 

いやいやいや、何考えてんだ俺は…

真面目にしないとまたダイヤさんに怒られちゃう

悠「今頃あいつらも頑張ってるだろうな」

Aqoursのメンバーはフリーマーケットに行っている

悠「もうちょい、頑張るか」

そう自分に気合を入れ、もう一度探し始めた

 

駅に行くために近道をしようと思い、人気のない路地に入った

その時、背中に殺気を感じる…

 

悠「なんだ?今の感じは…」

後ろを振り向くが、特に怪しい物はいない

気のせいか、そう思って前を向いた瞬間、ある男と目が会った

その男は、黒いハットを被り、黒いスーツを来ている…

男は悠介を見て不敵に笑う

悠「誰だ?」

思わず声に出すと、頭に声が流れ込んでくる

「お前がクウガ、俺と…戦え」

 

悠「お前は、誰だ…?」

 

次の瞬間、男は丸い頭に大きな体を持った怪人へと姿を変えた

ガ「俺にあたるとは運の悪い奴だな」

 

悠「あいにく、俺は運が良い方なんだ」

変身の構えをとる

悠「変身!」

仮面ライダークウガ マイティフォーム

 

ガメゴは指輪を1つ取り、巨大な鉄球に変化させる

鎖が付いていて、それを振り回しながら近づいた

次の瞬間クウガ目掛けて鉄球をぶつける

それを前転で交し、背中を蹴る

大きな体のせいか、ガメゴは動きが鈍い

ク「まだまだ!はっ!」

クウガは素早く立ち上がり、ボディを狙った

 

しかし、クリーンヒットしたのにも関わらずガメゴは平気だ

ガ「甘いんだよ」

ガメゴは腕を大きく回し、クウガの胸に鉄球がめり込んだ

ク「グゥっ…」

鈍い音と共に大きく吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられる

ガメゴは余裕の笑みを浮かべながら、再び近づく

ク「力じゃ勝てない…なら!」

アークルに手をかざすとアマダムが紫に色に変わり、体に力が漲る

ク「超変身!」

仮面ライダークウガ タイタンフォーム

 

ガメゴは尚も余裕の表情を浮かべ、クウガに近づく

次の瞬間上から鉄球を叩きつけた

 

その攻撃を肩で受け止め、そのまま鉄球を投げ捨てる

足元に落ちていた鉄の棒を拾い上げてタイタンソードに変化させた

意識を一瞬で集中し、ライジンパワーを解放

仮面ライダークウガ ライジングタイタンフォーム

ク「はあっ!」

武器を取られて、隙が出来たガメゴ目掛けて剣を突き刺す

剣は腹に深くめり込み、封印エネルギーを注入

ライジングカラミティタイタン

ガメゴの腹に封印の紋章が浮かび上がるが…




今回はここまでです!


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第28話 運命

今回も頑張って書きます!
少し長めです


ク「おらァ!」

剣に力を込め、より深く斬り込む

ガ「…甘い、こんなもんで俺を倒せるか!」

ガメゴは大きな唸り声を上げ、封印の紋章を気合いで消してしまった

ク「な、なに…」

そう思ったのも束の間、ライジングパワーの持続時間は30秒…

力を使い果たしたクウガは、白い姿に戻ってしまう

仮面ライダークウガ グローイングフォーム

ガ「どうした?クウガ…!」

次の瞬間、渾身のパンチでクウガのボディを吹き飛ばす

ク「がぁッ…」

そのまま大きく吹っ飛ばされ、変身も解けてしまった

悠「ちく…しょ…」

もう一度戦おうと立ち上がるが崩れ落ち、そのまま気絶

ガ「次は、他の色で来い」

ガメゴは人間態に戻り、そのまま立ち去ろうとした

一瞬自分の腹を抑え苦しんだが、直ぐに立ち直る

 

悠介は1人、路地に倒れている

 

しかし、その姿に気付いた物が悠介に近づく

?「悠介?悠介じゃないか!おい、どうしたんだ!しっかりしろ!」

その少年は悠介の名を呼びながら彼を揺さぶるが、起きる気配はない

?「何だってこんな所に…お前はあの時、急にいなくなったってのに…」

その時、落ちていた悠介の携帯が着信を知らせた

ディスプレイには椿と表示されている

 

活動資金集めのため、私達はフリーマーケットに行った

結果、殆ど稼ぎにならなかったけど…

 

それにしても、今日のダイヤさんの躍動ぷりっといったら凄かった

曜「今日のダイヤさん凄かったねー!」

 

花「何者もよせなかったずら!」

 

果「それじゃダメでしょ…」

 

千「悠介君どうしてるかな?」

 

鞠「ちょうどいいから電話してみたら?」

 

曜「じゃあかけるよ!」

曜が携帯を取り出し、電話をかけた

 

 

目に見えるのは自分の家

東京にいた頃に住んでいた家だ

玄関の扉を開けると、そこには両親の亡骸…

その場で崩れ落ち、泣き叫ぶ

手には父さんから託されたアタッシュケース

何気なしにそれを開けると、中には真ん中に石が収まっているベルトと1枚の手紙

悠「なんだこれ…それにこの手紙は…」

手紙は父からのものだった

 

悠介へ

これをお前が見る時は俺が死んだ後だろう。このベルトは父さんが発掘した物だ、未知なる力を秘めている。これを奴ら…デモスに渡さないでくれ、奴らは世界を支配しようといている、それは何としても避けなければならない。最後までわがままな父親で悪いな、お前は父さんと母さんの誇りだ、お前の事はおじいちゃんに頼んであるから心配するな、元気でな

 

手紙を裏返すと

「悠介…信じて、進め」

俺は涙が止まらなかった

父の亡骸を目の前にして…

悠「父さん…俺は、俺は…!」

その時、後ろに恐ろしい気配を感じた

振り向くと、そこにいたのは白い服に身を包んだ細身の男

悠「お前…誰だ?」

 

?「いずれ分かるよ」

次の瞬間、男が白い怪物に変身した

その姿に言い知れぬ恐怖を覚え、目の前が真っ白になる

 

 

椿邸

…気がつくと、俺はベッドに寝かされていた

椿「やっと気がついたね、随分うなされていたけど」

 

悠「椿さん…俺は確か倒れて…」

 

椿「実はね、僕の電話を偶然取ってくれた人がいて、

 

?「俺が運んだんだ」

鋭い目付きの少年が、椿の言葉を遮る

悠「お前は、大樹…」

大樹と呼ばれた少年は悠介に近づいく

大「悠介…急に居なくなったと思ったら転校したとか聞くし、それにあんな化物に…ちゃんと話せよ!」

大樹は声を荒らげる

椿「訳を、聞かせてくれるかい?」

悠介は静かに頷いた

悠「彼の名前は一条大樹、俺と大樹は、幼稚園からの親友だったんです、高校も一緒でよく馬鹿やって怒られたっけ…でも、俺の両親が死んで、こっちに来る事になって…それっきり…」

 

大「お前のおじさんとおばさんの事は聞いた、辛かったのも分かる、でも…でも!何も言わずに行くとかありかよ?俺達、親友じゃなかったのか?」

声が大きくなる

悠「ごめん、本当に…」

 

椿「所で大樹君、学校はどうしたんだい?」

 

大「…家出してきたんです、何もかも嫌になって」

 

悠「…なんでだ?お前はそんな事するような奴じゃないだろ?」

 

大「誰も、俺を認めてくれない…親も学校も、だから…」

 

悠「お前も大変だったんだな…」

 

大「お前に何がわかる!」

大樹は机をドンと叩く

鈍い音が部屋の中に響いた

悠「わからない、でも…!」

その時、悠介の携帯が鳴る

ディスプレイには渡辺曜

曜「悠介君!フリマ終わったよー今どこ?」

 

悠「お疲れ様、椿さんの家だ、今からそっちに向かうよ」

 

曜「おっけー待ってるね!」

電話を切る

悠「大樹、椿さん、ありがとうございました」

 

椿「もういいのかい?」

 

悠「はい、大丈夫です、じゃあ」

そう言って家を出た

椿さんは見送ってくれたが、大樹は来てくれなかった

椿「所で大樹君、どこか行く宛はあるのかい?」

 

大「…ありません」

 

椿「じゃあうちに泊まりなよ、話したい事もあるし」

大樹は無言で頷いた

 

 

沼津 カジノ店廃墟

薄暗い中、グレム、ガドラ、ガメゴ、ガドルはテーブルを囲み、ポーカーをしている

グレムがニヤつきながらカードを出し、ガドラが引きつった顔をする

ガメゴは少し腹を抑え、苦しそうな顔をした

直ぐ向き直り、手札を見て不敵に笑う

ガメゴ「もらったぜ」

スペードのエースを出し、ストレートフラッシュを決めた

その状況を見ていたバルバが口を開く

バ「運は向いてきたか?」

 

グ「クウガを追い詰めておきながら、取り逃したのですか?」

 

ガメゴ「腹が痛かったんだよ」

 

バ「どうなるかな?」

ガメゴはニヤリと笑い、自身げに言い放った

ガメゴ「人間の言葉にこんなのがある、ケ・セラ・セラ(なるようになるさ)」

 

 

沼津 公園広場

曜「悠介くーん!」

 

悠「おう、どうだった?」

 

千「ダイヤさんが凄かったんだよ!お客さんにぐうの音も言わせないというか!」

 

果「お客さんと闘っちゃダメでしょ…」

 

梨「でも結局余り稼げなかったわね…」

 

鞠「そう言えば悠介、いいバイトは見つかった?」

 

悠「ああ、はい、やっぱり難しくて…」

 

千「だよね…あーもっと時間があればな〜」

 

ル「そればっかりはどうしようもないよね…」

 

果「まぁ今日は終わったし、とりあえず帰ろ?」

 

悠「そうだな!つっ…」

急に胸が痛む、戦いの傷が完全に治ってないのか…

曜「どうしたの?」

 

悠「いや〜何でもないぜ、さっ帰ろ!」

 

曜「(悠介君、また、戦ったんだね…)」

そこで流れ解散になったが、ダイヤさんだけはしばらく帰らずに夕日の方を眺めていた

 

 

椿邸

椿と大樹は面と向かって座り、コーヒを啜っている

椿「取引をしよう、君が知りたい情報と僕が知りたい情報、交互に話すってのはどうだい?」

 

大「…分かりました」

 

椿「先行は君だ、何が知りたいんだい?」

大樹は少し考え、決心したかのように口を開く

大「悠介の身に何が起きてるのか、教えて下さい」

 

椿「彼は、霊石アマダムの力で特別な力を得た、変身能力や驚異的な回復能力をね」

 

大「ちょっと待って下さい!それって、あいつが人間じゃなくなるって事なんじゃ…」

 

椿「私もそれを懸念しているんだが、大丈夫そうだよ、今の所は…」

大樹は下を向き、驚きの表情をしている

 

椿「攻守交代だ、じゃあ…なぜ君は家出をしたんだい?」

 

大「だからそれは周りの人達に認めてもらえなかったから…」

 

椿「本当にそれだけかい?」

真剣な眼差しで大樹を見る

大「俺は、自分が嫌いなんです…だから…」

 

椿「自分探しの旅、か…それもいいが、受け入れる事も大切だよ?」

大樹は俯いたまま何も答えない

 

わかってる、そんな事、わかってるのに…

 

 

次の日

Aqoursのメンバーは水族館のバイトに行っている

なんでも曜が前やっていたらしい

まさか水族館で働いていたとは…

 

で、俺はと言うと

本当は着いていく予定だったが大樹の事が心配になり、椿さんの家に向かっている

しかし、もう1つ理由がある

悠「またあのデモスが現れるかもしれないしな…曜達を危険な目に晒す訳にはいかない」

昨日の戦いで理解した、今までとは違う、本気で俺を殺しに来ていた…

悠「狙いはなんなんだ?もしかしてこれを…」

手に持っている古文書を見る

封印の場所を知るのが狙いか?それとも俺を殺すのか…

いや、両方かもしれない

悠「この間の相手、もう少しで勝てそうだったのにな…」

こうなったらあの力を…いや、危険かもしれない…

そんな事を考えていると、椿さんの家に着いた

 

大樹は1人、部屋でぼーっとしていた

昨日から電話がなりっぱなしだが、一向に出る気はない

恐らく両親からだろう

大「ふっ、惨めだな…俺って」

どうせ俺なんか…

ふと気づくと隣の部屋から話し声がする

誰か来たのか?

 

椿邸

椿「いらっしゃい悠介君」

 

悠「こんにちは、大樹は?」

 

椿「私の部屋にいるよ、呼んでこようか?」

 

悠「大丈夫です、あいつも疲れてるだろうし…」

 

椿「そうか、所で今日は?」

 

悠「はい、ちょっと気づいた事があって」

 

椿「気付いた事?」

 

悠「この古文書の地図、弁天島を指してるんじゃないかって思ったんです」

椿さんは古文書と内浦の地図を見比べる

椿「確かに似ている…じゃあこの文字の意味は」

 

悠「まず人々が崇める聖域、これは島の神社を指していると、そしてそこに邪悪を封じる…」

 

椿「つまり、その神社、もしくは近くにグロンギが封印されているという事か…」

 

悠「俺、今からそこに行ってみようと思います」

 

椿「危なくないかい?」

 

悠「いえ、大丈夫です!根拠はないですけど」

椿さんは優しく微笑む

椿「悠介君らしいね、じゃあ行ってら…」

 

その時、誰かが椿の言葉を遮った

大「どこに行くんだ」

 

悠「大樹…」

 

大「前もそうだ、急に俺の前から消え、勝手に出ていった、そうと思えば変な怪物は居るわお前まで怪物に…もう訳わかんねぇんだよ!」

 

大「少しは周りの気持ちも…考えろよ…」

悠介は大樹の言葉を重く受け止め、意を決したかのように口を開く

悠「確かに俺は、今までわがまま過ぎたかもしれない、昔は自分のためだった、でも今はそうじゃないんだ、守るべきもの、守るべき人が出来たから、俺は戦う、大樹、お前もその1人だ」

大樹は驚いたような顔で話を聞く

悠「だからもう少し、俺のわがままを許してくれ」

悠介は大樹に微笑みかけ、サムズアップをした

そのまま家を後にする

椿は大樹に近づき、声をかける

椿「彼の気持ち、理解出来たかい?」

大樹は無言で前を向く

大「好き勝手いいやがって…待やがれ!」

そう言って家を飛び出す

彼の横顔は、まるで鬼ごっこをしている子供のような、無邪気で楽しそうな顔をしていた

 

 

悠介は弁天島を目指してバイクを走らせる

その時、目の前に男が立ちはだかった

男は黒いハットに黒いスーツを身に付けている

悠「お前は…」

 

男「決着をつけるぞ、クウガ!」

次の瞬間怪物に変身する

悠介はバイクを降り、構える

悠「俺は負けない、絶対に…変身!」

仮面ライダークウガ マイティフォーム

クウガは走り、勢いよくパンチを繰り出す

ガメゴはそれを片手で受け止め、逆にボディを狙うが、クウガそれを交わし肩を掴んで一回転し、背中に蹴りをいれた

ガ「ちょこまかと…」

ガメゴは指輪を1つ取り、丸い武器に変化させる

投擲のようにグルグル回す

クウガは距離をとって構え直した

その目には恐怖の色は無く、立ち向かう勇気に溢れている

次の瞬間、ガメゴは武器を放り投げた

猛スピードで飛んでくる球を見極め、後ろ回し蹴りで跳ね返す

球はそのままガメゴに当たり、大きくぶっ飛ばした

 

その時、大樹が駆け付ける

大「またあの怪物、悠介…」

心配そうな顔で戦況を見守る

 

クウガは1歩下がり、必殺の構えを取る

意識を集中させ、力を引き出す…

全身に雷が走り、肩と腹、そして右足に金色の装飾が現れた

仮面ライダークウガ ライジングマイティフォーム

 

次の瞬間、大股で走り出す

右足には炎と雷が宿る

ガメゴは胸を大きく開き、受け止める姿勢だ

ジャンプからの宙返りで勢いをつけ、渾身の蹴りを繰り出す

ライジングマイティキック

 

蹴りはガメゴの胸に命中、大きく後方に吹っ飛ばした

ガ「ぐうっ…があっ!」

うつ伏せに倒れ込み、苦しみの声を上げる

封印エネルギーが中心に達し、大きな破裂音と共に爆発した

クウガは変身を解く

 

大樹は悠介に歩み寄る

大「悠介…俺はお前がなぜこんな事になったのかわからない、でも俺はそれを受け入れる事にした、俺もわがままだったんだよ、お前がいない毎日に寂しさを感じてそれを周りの人間や自分せいにして飛び出してきた、でも今、それは間違いだったと言える、これからお互いどうなるかわからんが、違う場所でも頑張っていこうぜ」

大樹は左手を差し出し、握手を求めた

悠「大樹…ありがとう」

彼の手をしっかり握り、友情を確かめ合う

大「それに、今は新しい仲間もいるんだろ?」

悠介が振り向くと、そこにはAqoursのメンバー

曜「おーい!悠介君!」

 

大「行け、仲間の元へ」

 

悠「おう…!」

悠介はメンバーの元へ駆け寄る

悠「おつかれ!バイトはどうだった?」

 

曜「大丈夫だったよ!」

 

千「楽しかったし!ねっ?…せーのっ」

 

全「ダイヤちゃん!」

ダイヤは後ろを向き、嬉しそうにはにかむ

悠「また見ないうちに妙に仲良くなりやがって、何があったんだ?」

メンバーは顔を見合わせ

全「なーいしょっ!」

 

悠「なんだよそれ~」

悠介は困った顔をしたが、どこか嬉しそうだ

 

大樹はその状況を見届けると、後ろを向いて歩き出す

大「悠介、お前は幸せ者だな、俺も頑張るぜ」

見ているか分からないが、大樹はサムズアップをし、その場から立ち去る

 

辺りは赤々とした夕日に照らされ、その情熱的な光は、悠介と大樹の友情を表しているかのようだった




今回はここまでです!
そしてら…次回より、ヤンデレ編のスタートです!


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第29話 予兆

今回より、ヤンデレ編のスタートです!


沼津 カジノ店廃墟

バ「ガメゴも死んだ、次のプレイヤーを選ばねば」

 

ガドル「クワガタを倒すのは、この俺だ」

ガドルは威厳のある声色で述べる

グ「はたして、誰がダグバへの挑戦権をえるのか…見物です」

その時、部屋にフィンガースナップが鳴り響く

?「なら、俺が行く」

急に声が聞こえたかと思うと、黒髪の若い男が部屋に入って来た

細身で不気味な風貌をしている

ガドラ「ジャラジか、お前みたいな奴が、クウガに勝てるのか?」

ジャラジは鼻で笑い、口を開く

ジ「確かに力じゃ君達に勝てないよ、でも知恵なら…あるよ」

自分の頭を指さしながら自信気な表情を浮かべる

バ「…いいだろう、行ってこい、ジャラジ」

ジャラジはニヤリと笑って踵を返し、部屋から立ち去った

 

 

放課後 帰り道

曜「そう言えば、この間来てた男の子、悠介君の知り合い?」

 

悠「あぁ、東京にいた頃の親友だよ」

 

曜「話したかったな〜昔のお話とかも聞きたかったし!もう帰っちゃうなんて勿体ないね」

 

悠「あいつも…自分の行くべき道を見つけたんだ」

悠介は遠い目をする

曜「なんだかよくわかんないけど、仲直りできてよかったね!」

 

悠「ありがとう、俺も頑張んなきゃな〜」

曜は悠介の腕をグイッと掴む

曜「もちろん!一緒に、頑張ろうね!」

 

悠「おう!」

 

これからどんな事があっても、みんなと一緒なら…大丈夫だよな!

 

 

バス 十千万前駅

私と梨子ちゃんはバスから降り、互いに手を振り合う

千「ばいばい〜梨子ちゃん!」

 

梨「うん、また明日ね!」

日も傾き、真っ赤な夕日に照らさせる

ふと立ち止まり、海の方を見た

千「やっぱり、綺麗だな〜」

生まれた時からこの街で暮らしていて、何度も見ている夕日

情熱的に染まる太陽はいつ見ても色褪せることなく、私の心をいつも勇気ずけてくれてくれた

この光を見る度に、まだまだ頑張れるというエネルギーを貰っているかの様に感じる

 

感慨に浸り、さぁ家に帰ろうとした時、横からフィンガースナップと共に声がした

?「いい景色だ、でも、君の方が何倍も美しい」

低い男の声だった

振り向くとそこには、黒い服に身を包んだ男

ジ「なぜ彼は、君じゃなくて他の人を選んだって思わないか?」

 

千「あなた…だれ?それに彼って誰の事を言ってるの?」

新手のストーカーか?そんな考えが頭をよぎる

ジ「自分の心に聞いてみなよ、君は一緒に行動している彼の事が好きだったはずだ」

 

千「もしかして悠介君のこと…?でも悠介君は曜ちゃんと…確かにいいなとは思ったけど、私は2人を邪魔したくない」

男は私に近づき、囁くように呟く

ジ「自分に嘘をつくのは辞めなよ?君は本能的に彼を愛していたはずだ、それは彼も同じだとは思わないかい?」

男の声は私の心に訴えかけているようだった

 

そのうち、ある感情が芽生え始める

私は確かに、悠介君の事が好きだった

優しくて正義感の強い彼を愛していた

それは彼も同じだったかもしれない…

でも…!

 

男は、まるで私の心の中を見透かしているかのように言った

ジ「憎いと思わないか?君から彼を奪った人物を」

私の心が揺らぎ始める

ジ「奪われたのなら、奪い返せばいい」

 

その時、私の心の中で何かが壊れた気がした

そうだ、奪えばいいんだ

彼の感情を私に向けさせ、私しか愛せないようにすればいい

だって、彼もそれを望んでいるはずだから

悠介君、待っててね、私が今すぐ奪い返してあげるから

心の中が黒い感情に支配され、ドス黒い何かが流れ出してくるのを感じる

 

彼は、私の物だ

 

千歌はそのまま家に入って行く

彼女の目は色を失っており、不気味な雰囲気を醸し出していた

ジャラジはその様子を見て不敵に笑い、その場から立ち去る

ジ「苦しむがいい、クウガ…!」

 

 

ホテルオハラ 桟橋前

日は傾き、太陽も顔を完全に隠しつつある

辺りが闇に包まれ、ちょっぴり寂しい気分になった

鞠「もう完全に秋ね…」

潮風も肌寒く感じ、急いで家に入ろうと思った

その時、後ろからフィンガースナップと共に男の声が聞こえる

ジ「寒いな、君の心は…どうなんだい?」

ハッとして振り返ると、黒い服に身を包んだ男

鞠「あなた…だれ?」

男は答えない

ジ「君、今のままで幸せなのかい?」

 

鞠「何言ってるの?そんなの…」

 

ジ「そうじゃないよね、本当は彼の事が欲しくて欲しくて堪らない、違うかい?」

彼…悠介のこと?

鞠「そう思った事はあるけど、悠介は曜といるの、それが悠介のため」

 

ジ「じゃあ、その子を消してしまえばいい、そうすれば彼は君の物…」

駄目、そんな事したら…

男は鞠莉に近づき、囁くように言った

ジ「奪われたのなら、奪い返せばいい」

その時、私の中でピキっと音がする

それまで留めていた感情が溢れ出し、私の心を支配していく

ドス黒い感情は留まることを知らない

鞠「悠介…私はあなたを、手に入れる」

鞠莉の目は色を失い、焦点が定まっていない

 

男はその様子を満足そうに眺め、やがて立ち去った

ジ「次は…」

 

 

次の日 バス停前

今日もいつもの様にバス停で曜を待っている

昨日遅くまで起きていたせいか、強い眠気に襲われている

なんで寝不足かって?実は…

 

昨日の夜を思い出そうとした時、曜の声がした

曜「悠介君〜おはヨーソロー!」

 

悠「おはよ〜」

力なく返事をする

曜「元気ないね、どうしたの?」

 

悠「実はな、昨日ずっと千歌と電話してたんだ、それで寝るの遅くなっちまってな」

 

曜「え、千歌ちゃんと?」

あからさまに不機嫌そうな顔をする

悠「何もやましい事はないぞ、それに千歌は俺たちの事を応援してくれてるじゃないか」

 

曜「うん、そうだよね」

千歌ちゃんが…どうしたんだろ

そんな事を考えていると、バスが来たようだ

 

いつもの様に一番後ろの席に腰を下ろす

かなり眠たかったのか、悠介君は直ぐに寝てしまった

彼の頭は必然的に私の肩に乗り、気持ち良さそうに寝息をたてている

曜「やっぱり悠介君、あったかいや…」

朝からドキドキが止まらない私だった

 

しばらくバスに揺られ、やがて千歌ちゃんと梨子ちゃんが乗ってきた

千「曜ちゃんおはよー!」

 

梨「おはよー」

 

曜「おはよー!」

 

千「あれ?悠介君どうしたの?」

 

曜「うん、ちょっと疲れてるみたい」

横を見ると、悠介君は目を覚ましていた

悠「すっかり寝ちゃってたな、おはよう千歌、梨子」

 

千「おはよっ!!」

 

梨「おはよー!」

心無しか千歌ちゃんの声が普段より大きい様に感じる

気のせいか…

しかし、おかしな事はまだあった

いつもなら悠介君から少し離れて座る千歌ちゃんが、かなり密着する形で彼の横にどっかり座ったのだ

悠「千歌…なんか近くないか?」

 

千「え?そんな事ないよ〜」

笑顔で答える、しかし心の底から笑っている様には見えない

何か、禍々しい思いを感じる

曜「千歌ちゃん、どうしたんだろ…」

私の心配と裏腹に、彼女は不気味な程に笑っていた

 

 

浦の星学院 屋上

悠「…おかしい」

俺はスポーツドリンクを作りながら、今日あった出来事を振り返る

最初の異変は朝のバス

千歌が俺の横にどっかり座り、必要以上に密着してきた

いつもなら気を使ってくれているのか少し離れているのだが、今日に関しては明らかに違った

 

そしてもう1つ

鞠莉さんが練習中にも関わらず、俺から離れようとしないのだ

確かにいつも手助けをしてもらってはいるが、あまりにもしつこく着いてくるので流石に奇妙に思う

悠「昨日はそんな事なかったのに…変だな」

まぁ彼女らも年頃の女子だし、他人に甘えたい時もあるだろう

それがたまたま俺だっただけだ

そう自分の中で答えを作り、スポーツドリンクを持ってメンバーの元へと戻る

 

悠「おまたせードリンクどうぞ〜」

 

千「わーい!ありがとう!」

千歌が飛んでくる

千「いつもありがとうね!大好きだよ」

そう言って俺の腕に抱き着いてくる

鞠「千歌っち、悠介が困ってるでしょ、離れなさい」

次の瞬間、千歌の目の色が無くなった

千「なんで?鞠莉ちゃんになんの権限があるの?私と悠介君の仲を邪魔しないで」

 

鞠「なんですって?」

鞠莉さんの目の色が無くなり、怒りの形相になる

悠「ちょっと、どうしたんだ二人とも!」

慌てて止めに入るが、二人は睨み合ったままだ

鞠「悠介は黙ってて、あなたは私の物よ」

色を失った目で俺を見る

ダ「ちょっと二人ともどうしたのです?」

ダイヤさんが間に入り、何とか収まった

ダ「今日はここまでにしましょう、二人とも頭を冷やしなさい」

千歌と鞠莉さんは、まだ睨み合ったままだった

 

 

バスから降り、いつもの駅に降り立つ

悠介はかなり疲れた顔をしている

悠「はぁ〜」

心配そうに曜が覗き込む

曜「大丈夫?具合悪い?」

 

悠「大丈夫だ、ちょっと疲れてるだけだよ」

そう言いながらため息をつく

悠「千歌も鞠莉さんもどうしたんだ?普段はあんなにくっついて来ないのに…」

俺の言葉を聞くなり曜は考え込み、1つの結論を出した

曜「う〜ん、はっきりした事はわからない、でも、これだけは言える、あれは私が知ってる二人じゃない」

友達の勘、とでも言うのだろうか

曜の目に迷いの色はなかった

 

 

その時、二人並んで歩く悠介と曜の背中を見つめている男がいる

ジ「ゲームは始まったばかりだ、苦しめ、クウガ…!」

二人を見つめる男の目には、狂気じみた意志が満ちていた

そして手を高らかに上げ、フィンガースナップを鳴らした

ジ「ゲームスタート、争奪戦の始まりだ」




針鼠種 怪人 ジャラジ
人間態は黒髪で短髪の青年。右耳にのみイヤリングを付けており、いつも触っている。怪人態は頭から白い棘が延び、体は黒一色、性格は低劣惨忍で命を玩具の様に弄ぶ。首飾りを短い針にして投げて戦う。力はさほどないが、高い知識を持ってる。


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第30話 崩壊

ついにこの小説も30話まで来ました!ここまで続けてこられたのも、いつも読んで頂いている皆様のお陰です!これからも頑張って行きますのでどうぞよろしくお願いします!


沼津 カジノ店廃墟

グ「ジャラジはいったい何をしているのでしょう?クウガとも戦っていないようです…」

バルバはグレムを見下ろす

バ「お前は何も分かっていない、奴がしようとしている事を」

グレムは苛立ちをあらわにし、バルバを睨んだ

グ「なんですって?私があいつよりも劣っているとでも…?」

次の瞬間、コブラのような頭と鋭い鉤爪を持つ怪物へと変身した

バルバに詰め寄り、鉤爪を振り上げる

グ「ふざけるな…!」

 

バルバを切り裂こうとした瞬間、軍服の男が立ちはだかる

ガドル「やめろ、お前はバルバに勝てない」

 

グ「ガドル…くっ!」

変身を解き、ガドルを睨む

ガドル「落ち着け」

グレムは椅子に座り直し、机を叩く

やがて冷静さを取り戻したのか顔から怒りが消えていった

グ「私とした事が…」

バルバはグレムを見下ろす

バ「まぁ今に見ていろ、クウガは、地獄を見る…!」

その目は冷徹そのもので、恐ろしい雰囲気を醸し出していた

 

 

スクールアイドル部 部室

穏やかな陽の光が射し込む部室

温かい空気を満喫したい所だが、そうはいかない

千「ゆ〜すけく〜ん、今日放課後遊び行かない?部活も休みだし!」

 

鞠「なに勝手な事言ってるの?お子様はお家で大人しくしてなさい、変わりに私が遊んであげるわ、悠介!」

千歌と鞠莉さんが色のない目で此方を見つめる

悠「まぁ二人とも…俺も今日は用事があるし」

穏やかに止めたつもりだが、二人はそうはいかない

鞠「なに?私と一緒にいるのが嫌なの?ふざけないで!」

ものすごい剣幕で悠介に詰め寄る

ダ「二人ともおやめなさい!一体どうしたんですの?」

 

曜「そうだよ、どうしたの?」

曜とダイヤさんが止めに入る

しかし、ほかのメンバーはそうはいかない

善「ほっとけばいいじゃない、興味無い」

明らかに目が違う

花「なにいってるずら、悠介さんは丸のものずら」

ルビィは変わり果てた2人の姿に恐怖を感じている

ル「二人ともどうしたの…?なんか怖いよ…」

 

悠「一体どういう事だ?昨日とまるで別人だ…梨子?」

梨子の方を見ると、彼女も驚きの表情を隠せないでいた

梨「私…怖い」

そう言いながら悠介に近づく

よかった、梨子は普通みたいだ…

安心する悠介だが、近づいた瞬間の梨子が不敵な笑顔を見せていた事など、知る由もなかった

果南は未だ黙ったままだが、こちらを見る目に色はない

 

一体…なにが起きているんだ…?

 

悠介の言葉に答えるものは、いなかった

 

 

放課後 2年生教室

Aqoursの練習も終わり、悠介は教室で帰り支度をしていた

彼の顔は酷く疲れている

悠「はぁ、本当にみんなどうしたんだ…」

まるで自分を取り合っているような言動、俺と曜が付き合ってる事はみんな知ってるはずだし、後押しもしてくれていた

なのになぜ…?

思考に疲れ、気持ちを落ち着かせようとゆっくり息を吐いた

 

その時、誰かが教室に入ってくる

曜「悠介君大丈夫?」

心配そうな顔でこちらを見る

悠「大丈夫…じゃないな、正直キツイ、千歌達はどうした?」

 

曜「他のみんなには悠介君は先に帰ったって言ってるよ、ダイヤさんが気を利かせてくれたみたい」

曜の顔が曇る

曜「みんなどうしちゃんたんだろ?私、怖いよ…」

 

悠「何が原因かはわからない、でも、ダイヤさんとルビィちゃん、梨子は恐らく大丈夫だ」

 

曜「うん、でも私…」

曜が何かを言おうとした瞬間、鞠莉さんが教室に入ってきた

鞠「こんな所にいたのね悠介、私を置いて二人でお喋り?どういうつもりなの?」

顔は笑っていたが、恐ろしい雰囲気を醸し出している、そして色のない目…

悠「鞠莉さん…一体どうしたんですか!」

 

鞠「どうもしてないわ、私は私よ、悠介、今日は私と一緒に帰りましょう、おいで」

最後の「おいで」という言葉に殺気を感じる

俺は曜にアイコンタクトを送り、曜もそれに頷く

鞠莉さんと話し合ってみる、もしかしたら原因が分かるかもしれない

悠介は立ち上がり、鞠莉と一緒に教室を出た

 

曜は二人を見送り、心配そうな表情を浮かべる

曜「悠介君…気をつけて…」

 

 

バルバはグレムを連れ、スクールアイドル部の部室の惨状をみせる

部屋の中ではメンバーが言い争う声

バ「見ろ、これがジャラジのやり方だ」

グレムは不機嫌そうな顔をするが、バルバの言わんとする事を理解していた

グ「なるほど、クウガの周りの人間に接触し人格を操作する、ストレスをかけ続け次第にクウガを弱らせる、という事ですか」

 

バ「既にクウガは弱り始めている、このまま行けばファイナルゲームに進むのは…」

その時、グレムがバルバの声を遮る

グ「どうでしょう?今のクウガは強い、私達の祖先が戦っていた頃よりずっとね」

 

バ「ほう、自分を過信しているやつから出る言葉とは思えんな、もしかしてクウガの強さを認めているのか?」

バルバは不敵に笑みを浮かべる

グ「さぁ、どうでしょうねぇ」

 

バ「ふ、相変わらず不思議な奴だ」

二人は踵を返す

部室の中では、未だに言い争いが続いていた

 

 

帰り道

俺と鞠莉さんは二人並んで歩く

普通、こんな美人な人と歩いていたら胸が高鳴るものだが、俺の中の高鳴りは、それとは全く別物だった

悠「あの、鞠莉さん、何かあったんですか?」

俺はなるべく気に触らないように質問する

鞠「悠介、私の家に来ない?」

ダメだ、聞いていない

悠「で、でも明日も学校ですし…」

鞠莉さんの目の色が無くなる

鞠「なんで?私に逆らうの?」

 

悠「い、いえ、決してそういう意味では…」

今度は不気味なほど笑顔になる

鞠「じゃあいいでしょ?」

再び目の色が無くなる

鞠「それとも、曜がどうなってもいいの?」

今の鞠莉さんなら誰だろうと手にかけてしまう

ここは従うしかない…か

悠「わかりました…」

鞠莉さんは弾けるような笑顔になり、俺の手を掴む

 

骨が軋むほど、かなり強く掴まれた

 

まるで、もう二度あなたを離さないと言わんばかりに…

 

鞠「ふふっ、Rock on…」

鞠莉の手には、得体の知れない小瓶が握られていた

 

 

曜の家

曜「悠介君大丈夫かな…」

彼は鞠莉ちゃんに連れられ、何処かに行ってしまった

何かあれば連絡があるはずだが、音信不通のままだ

 

その時、私は感じた

虫の知らせ、とでも言うのだろうか

彼と私が写っている写真立てが倒れたのだ

悠介君の見に何か起きている

 

気がつくと、考えるより先に体が動いていた

自転車に跨り、船乗り場を目指す

今ならギリギリ最終便に間に合うはず

曜「待ってて、悠介君!」

 

慌てて駆け出す曜の後ろ姿を、1人の男が見つめる

ジ「へぇ、あれがクウガの、あいつを壊せばチェックメイトか」

ジャラジは不気味に笑い、ゆっくりとその後を追った

 

 

ホテルオハラ 鞠莉の部屋

気がつくと俺は、どこか分からない部屋のベットに寝かされていた

頭がぼんやり重い

記憶を辿り、情報を整理する

 

俺は確か鞠莉さんに連れられて…それで…

その時、脳裏に浮かんだのは何やら液体を染み込ませたハンカチを俺に押し付けてきた鞠莉さん…

悠「まさか、あれで眠らされてここに…」

なんのために?

悠「ここはどこだ?鞠莉さんもいないし」

何気なく窓を見ると、不気味なほど青白い月が浮かんでいる

悠「夜になっている…兎に角帰らなきゃ」

そう思いベットから体を起こすが、右手に違和感を感じた

悠「なんだ?」

ガチャガチャと金属音が鳴る

 

俺の右手は手錠に繋がれ、ベットに固定されていた

悠「な、なんだこれ…!」

 

その時、部屋の扉が開いて鞠莉さんが入って来る

鞠「お目覚めかしら、気分はどう?」

目に色はない

悠「鞠莉さん…どうして…」

 

鞠「決まってるじゃない、あなたを私のモノにするためよ」

彼女の言葉からは狂気さえ感じられた

鞠「もうあなたは私のモノ、これからはずっと一緒に暮らすのよ、身の回りの事は気にしないで、私が全部してあげるから」

鞠莉さんの顔は紅潮し、何かに取り憑かれているようだった

悠「鞠莉さん、お願いします、この手錠を外してください!」

必死に訴えるが、届かない

鞠「ダメよ、だって逃げるでしょ?あなたはもう私のモノなの」

 

鞠莉さんが俺に近づいた瞬間、扉がノックされた

どうやら使用人のようだ

使「鞠お嬢様、お客様がお出でです」

 

鞠「いい所だったのに、誰?」

 

使「はい、桜内梨子と言っておられました」

 

悠「梨子?どうして…」

なぜ梨子が?時間的に部活の相談でもなさそうだし、どういう事だ…

鞠莉は部が悪そうな顔をする

鞠「悠介、すぐ戻るから待ってて」

俺に不気味な笑顔を向け、部屋を出て行った

 

今がチャンスだ、何とかこの手錠を…

俺は必死に外そうとする、が、そうはいかない

悠「くっ!…なんでこんな事に…」

その時、ふと気がついた

今の鞠莉さんは危険だ、梨子に何をするか分からない

その考えが脳裏を過り、俺は恐怖を感じた

急がなければ、梨子が危ない…!

俺は覚悟を決め、手錠をしっかりと握りしめた

 

この方法しか、ない…!

 

気合いと共に、手錠と己の手を反対方向に引っ張っる

 

 

内浦 連絡船乗場

曜「間に合った…急がなきゃ!」

淡島までの連絡船は残り2本ある

 

船に乗り込もうとした瞬間、甲高いフィンガースナップが鳴った

低い男の声…

ジ「君、今のままでいいのかい?」

振り向いた先には、細身の男が立っていた

曜「あなた…誰?」

理由はわからない、ただこの男からはただならぬ脅威を感じる

ジ「君の彼、このままだと取られちゃうかもしれないよ?」

 

曜「悠介君の事?そんなこと…」

その時、千歌ちゃんや鞠莉ちゃんが頭を過る

もしかして本当に悠介君は…

 

ジ「今の疲れ果てている彼を見て、そうさせた奴らを憎いとは思わないか?」

 

曜「憎いなんてそんな…」

 

ジ「表ではそう思っていても、心の奥底は正直だ、誰よりも愛している彼を取り戻さなくていいのか?」

男の言葉が、私の胸に刺さるように入ってくる

次の瞬間、何かが壊れた音がした

私は奪い返さなければならない、それは私の義務…

だって彼は私の物なのだから

 

曜の目は、かつてのようなマリンブルーではなくなっていた

 

ジャラジは満足したかのように笑い、その場から立ち去る

ジ「チェックメイトだ、クウガ…!」

 

 

鞠莉が玄関に出ると、そこには梨子が一人で立っていた

鞠「梨子、なんの用かしら?」

笑顔で語り掛ける

梨「悠介君、どこにいるか聞こうと思って」

梨子は真剣な表情だ

鞠「ここに悠介はいないわ」

 

梨「嘘、本当の事を言って」

 

鞠「諦めが悪いわよ、悠介はもう私のモノ、余計な手出ししないで」

鞠莉はあからさまに不機嫌な表情になった

梨「彼が本当に好きなのは…」

そこまで言いかけた瞬間、鞠莉が梨子に掴みかかる

鞠「戯言はそこまでよ、私と悠介の関係を邪魔するものは、誰だろうと許さない…!」

あまりの剣幕に梨子は怯え、為す術もない

鞠「綺麗な指、私と悠介の邪魔をした代償は大きいわよ?」

鞠莉は梨子の可憐な指に手をかける

まさか私の指を…?

もうダメかと思い、梨子は目を瞑る…

 

誰か、助けて…

 

その時、鞠莉の手を誰かが掴んだ

梨子はゆっくりと目を開け、その人物を見る

鞠「ど、どうしてあなたが…」

その人物の手からは、流血と共に痛々しい傷跡が残っていた

梨「どうしたの?その傷…」

 

鞠「…悠介…」

 

悠「もう辞めるんだ、鞠莉さん!」

鞠莉は驚きの表情を隠せない

鞠「なぜ…手錠はどうしたの…」

 

悠「無理やり引き抜いた」

悠介は冷静に答える

どれほどの痛みだっただろうか

手の傷はあまりにも生々しく見えた

鞠「どうしてそこまでして…」

 

悠「もうこれ以上、誰かの涙は見たくない、皆に笑顔でいて欲しいんです、この街の人も、Aqoursも、そして…鞠莉さんにも」

鞠莉は頭を抱え込む

鞠「私は…私はなんて事を…」

色を無くしていた目に少しずつ色が戻り、心にこびりついていたドス黒い何かが剥がれていく

悠介は鞠莉の肩を優しく包み込み、声をかけた

悠「いつも優しくて、みんなのお姉さんみたいな存在で、頼りになって、俺、そんな鞠莉さんが好きでした、だから…これからもずっと笑顔でいてください…!」

鞠莉の目からは、留めなく涙が溢れ出る

 

彼女の目は、以前のような輝きを取り戻していた

 

 

鞠莉さんと別れ、俺は梨子と一緒に連絡船に乗っていた

あの後、鞠莉さんはずっと謝っていたが、彼女の目はいつもの澄んだ瞳に戻っていたのでもう大丈夫だろう

悠「鞠莉さん、元に戻ってよかったよ」

 

梨「そうね」

心做しか、梨子が悔しそうな顔をしていた

梨「(もう少しだったのに…絶対に彼を手に入れなければ、でなきゃ1年生をけしかけた意味がない)」

 

私は彼の事がずっと好きだった

これまで抑えていたこの感情は、ある男によって開かれた

あの細身の男に…

私は彼を手に入れるため、花丸ちゃんと善子ちゃんを壊した

彼に取り入らせ、彼を疲れ果てさせるために

そして、私という餌を与える

そうすれば彼は私のモノ…

ダイヤさんとルビィちゃんは落とせなかったが…まぁ十分だろう

私は必ず、彼を手に入れる…!

 

悠「ん?梨子どうした?難しい顔して」

 

梨「うんん、なんでもない」

 

船乗り場に着き、船から降りる

その時、誰かが悠介の懐に飛び込んできた

その人物はショートボブで銀髪の少女…

しかし、目からは色が消えていた

曜「おかえり!悠介君!」

 

悠「ただいま、急にどうしたんだ?」

曜は少しはにかみ、彼の手を強く握る

手が軋み、悠介は表情を歪めた

曜「悠介君は私のモノだよ、永遠に…」

彼女の瞳は以前のように澄んでなく、漆黒の闇に支配されていた




今回はここまでです!


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第31話 愛失

今回も頑張って書きます!


悠「曜…一体どうしたんだ?」

 

曜「どうって、私はいつもと一緒だよ」

そう言う彼女の瞳に前の輝きは見当たらない

曜は俺の隣にいる梨子に目を向け、少し苛立った表情になる

曜「ところで、今まで2人でなにしてたの?」

 

悠「鞠莉さんのところにいたらな、偶然梨子が…」

 

曜「ふーん、偶然ね」

曜は梨子に詰め寄る

曜「梨子ちゃん、一応言っておくけど、私の悠介君に何かしたらただじゃ置かないからね?」

梨子は何も答えず、曜と対峙し続ける

そして悠介の方に向き直り

曜「悠介君も、次こんな事があったら…」

息を呑む

曜「お仕置きだからね?」

彼女の目は漆黒に染まり、独特の雰囲気を醸し出していた

吸い込まれそうな瞳と、いつもとは違う声色は、悠介の心に言い知れぬ恐怖をもたらした

 

 

 

 

浦の星学院 屋上

辺りは夕焼けに包まれ、オレンジ色の夕陽に照らされている

辺り一面が絵の具で塗られたような光景は、とても美しく見えた

これを黄昏時、とでもいうのだろうか

 

悠「はぁ、今日も疲れたな…」

悠介は疲れた顔でスポーツドリンクを運ぶ

千「疲れた〜、ありがとう悠介君!」

そう言いながら抱きついてくる

例により、目に色はない

花「またやってるずら、無駄ずらよ」

 

善「リトルデーモンは我が下僕、私のモノよ」

 

ダ「二人ともおやめなさい!」

 

ル「どうしちゃったの…」

千歌は悠介から離れない

千「悠介君〜今日私のうちに来ない?」

 

悠「いや…今日もちょっと疲れてて…」

 

千「なに?私といるのが嫌なの?」

形相が変わり、悠介を睨みつける

悠「そういうわけじゃな…」

言い終わる前に千歌が悠介の頬を叩いた

バチン、と痛々しい音が響いた

千「ふざけないで…!」

千歌は暴走したかのように悠介の上に乗り、更に頬を叩く

悠「ち、千歌…やめ……ろ」

 

千「私より大事な人がいるの?なんでなんでなんで…!」

 

その時、鞠莉が二人の間に割り込む

鞠「そこまでデース、みんなも早く着替えなさい?風邪ひくわよ?千歌っち、汗臭いって嫌われるよ?」

 

千「むー、それは嫌だな」

ぶつくついいながらも悠介から離れる

千「じゃあ早く着替えるから待っててね!」

そう言いながら屋上から出ていった

 

悠「鞠莉さん、ありがとうございます、助かりました…」

 

鞠「ノンノンノン、これくらいじゃ、私がした事は償えないわ」

 

悠「でも、鞠莉さんが元に戻ってよかったです」

その言葉に嘘偽りはなかった

鞠「じゃあ私も着替えてくるから」

そう言って下に降りて行く

悠「鞠莉さん、元に戻って本当によかった…でも花丸ちゃんと善子、そして千歌と曜、一体どうしたんだ…」

悠介の心は、未だに蟠りが取れないままだった

 

 

浦の星学院 校門前

俺は疲れていたので、早く帰ろうと校門を出る

千歌と曜を待ったとしても、また揉め事になるだろうな

 

そう思っていると、誰かから急に抱き着かれる

曜「悠介君!待ってたよ!」

俺の腕に頬ずりする

目に色はない

悠「あ、あぁ…待たせたな」

遅かったか…

曜「もちろん一緒に帰るよね?」

曜の言葉にはどこか迫力があった

悠「わかった、一緒に帰ろ」

 

曜「そこで1つお願いがあるんだけど」

 

悠「なんだ?」

 

曜「今日私の家に来ない?」

いつもなら恥ずかしがってこんな事言わないのだが、曜の声はどこかいつものそれとはトーンが違った

断ればまた面倒な事になる

そう思った俺に選択の予知はなかった

 

 

曜の家

家に着くなり、曜の部屋に通された

俺の心臓が、これから何をするのかという緊張で高鳴っている

その時、部屋の扉がガチャリと開いた

そこにはコーヒーカップを載せたお盆を持っている曜が立っている

曜「コーヒーいれてきたよ!飲むよね?」

目が断るなと言っている

俺はカップを1つ手に取り、口へと運ぶ

悠「ありがと、でも珍しいな、お前がコーヒーなんて…」

言い終わらないうちに、悠介の視界がグニャリと歪む

それと同時に強い眠気に襲われ、そのまま倒れた

曜「やっぱり、すごい効き目だね」

そう言いながらポケットから小瓶を取り出す

曜は眠った悠介を見下ろしながら呟いた

曜「悠介君が悪いんだからね?私と別の女の子の部屋に行くなんて、これはお仕置きだよ」

彼女の口元は妖しく歪んでいた

 

 

悠「うっ、頭いてぇ…」

眠っていたのだろうか、体が重い

ゆっくりと立ち上がろうとするが、手足が動かないことに気づいた

両手両足がロープで縛られていたのだ

悠「な、なんだこれ…」

驚きと恐怖で頭がパニックになる

何とか立ち上がろうとするが失敗し、盛大に転けてしまった

すると、その拍子に1冊のメモ帳が落ちてきた

それはどうやら日記のようで、あるページが悠介の目に止まる

 

4月3日

今日から2年生!

私の今後の目標は、千歌ちゃんとすっごいスクールアイドルになる事!それに、可愛い転校生も入ってきた!

頑張ろう〜

 

5月6日

新入部員!可愛い1年生が入ってきてくれた!その名も花丸ちゃんとルビィちゃん、どっちも美少女!

 

ページをとばす

 

7月5日

転校生がやってきた!しかも男の子

でも、彼はどこか寂しそうな眼をしている

何かあったのかな?

 

7月29日

悠介君がやっと心を開いてくれた

本当にいい友達になれそう

いや、友達以上にも、なれるかも…

 

悠介は涙が出そうになる

純粋な心、本当にいい奴だな…

 

そして、何気なく次のページをめくった瞬間、背筋がゾワリと震える

悠介の目に映ったのは、ページいっぱいに書かれた文字

大堂悠介大堂悠介大堂悠介大堂悠介大堂悠介大堂悠介大堂悠介

大堂悠介大堂悠介大堂悠介大堂悠介大堂悠介大堂悠介大堂悠介

そこには血迷ったような文字で悠介の名前が書き殴られていたのだ

 

悠「な、なんだこれ…」

大きな虫が背中を這い回っているかのような感覚に襲われる

 

次の瞬間、部屋の扉が開く

曜「あーあ、見ちゃったんだ」

そこには色のない目をした曜が制服姿で立っていた

悠「曜…これはいったい…?」

悠介は恐る恐る質問をする

曜「決まってるじゃん、あなたが好きだからだよ」

その声は本心だろうが、まるで心がこもっていないようだった

悠「なんで、なんでなんだよ…」

なぜだ…一体曜に何があったっていうんだ…

曜「これで私の気持ちはわかったでしょ?じゃぁ…」

曜は横たわる悠介に近づき、唇を近づける

悠「お、おい、ちょっとまっ…」

顔を動かそうとするが、まだ痺れていてビクともしない

曜は悠介の唇に自分の唇を重ね、長い長いキスをした

彼女の体温が上がっている事が肌身を通じて伝わってくる

曜「ぷはっ…悠介、好きぃ」

頬は真っ赤に染まり、熱気を放っていた

悠「曜…俺は…」

 

曜「悠介、私がもっといいことしてあげるからね」

 

悠「こんな事してなんになるんだ…!」

必死に抵抗するが、未だに体は動かない

曜「体は正直なんだから」

悠介の体を指で妖しく撫でる

曜「このまま最後まで…」

悠介の服に手をかけようとした瞬間、彼の手が曜の手を掴んだ

悠「やめ…るんだ…」

 

曜「辞めないよ、だって…」

少し下を向いて再び向き直り、悠介に顔を近づける

曜「あなたはもう、私のものなんだから」

悠「くっ、やめろぉ!」

悠介は気合いと共に、無理矢理体を動かす

彼女を遠ざけようと手を振り回した

 

次の瞬間、悠介の手が曜の頬に強く当たる

悠「もうやめろ、こんな事してなんになるんだ!」

曜の瞳から一筋の涙が流れ、悠介に向き直る

 

曜「わかった」

彼女の目付きが、あからさまに変わる

曜「悠介君がそこまでいうのなら…」

二人の間に淀んだ空気が流れる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曜「別れよ、私達」

悠介を見下ろしながら、曜は冷たく言い放った

悠「えっ…」

心臓の鼓動が、どんどん大きくなっていく

その音は、悠介に警告を鳴らしているかのように大きく波打っていた




今回はここまでです!
次回もお楽しみに!


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第32話 憎悪

連休の疲れが未だにとれない…
完全に体がおやすみモードです
頑張って書きますのでよろしくお願いします!



曜の家を後にし、悠介は自分の部屋でいわゆる放心状態に陥っていた

 

曜「別れよ、私達」

冷たく言い離れたその言葉が悠介の脳裏に蘇り、更に心を締め付ける

悠「なんで…なんでこんな事に…」

あんな事を言い出すなんて…俺はやっぱり曜に相応しくない男だったってことなのかな…

そうなのであれば、俺と一緒にいるよりもっといい人を見つけた方が曜のためになるだろう

悠「俺は、曜に相応しくない男…」

その考えが悠介の心を更に締め付けた

 

胸の奥がズキリと痛む

その痛みは収まることを知らず、悠介の心を更に攻撃する

悠「女々しいな、俺って…」

何がみんなを守るだ、何がこの街を守るだ、何がみんなの笑顔を守るだ…

たった一人の少女を守れない男に、そんな事が出来るわけないじゃないか…

 

悠「ちっくしょー!」

悠介は泣く、まるで赤ん坊のように

しかし、彼の心の叫びを聞いてくれる人は、もういなかった

 

 

沼津 カジノ店廃虚

薄暗い部屋の中で、トランプをする4人の影

バ「いつまで遊んでいるつもりだ、ジャラジ」

鋭い口調でバルバは問い詰める

ジ「ねぇバルバ、人間っていう生き物は本当におもしろいね」

 

バ「何?」

 

ジ「様々な感情を持ち合わせ、自分が思うがままの行動をとる、稀に同種族の生命でさえ簡単に奪ってしまう」

 

バ「何が言いたい?」

バルバは苛立ちを隠せない

ジ「戦いの先には何があると思う?醜い争い…僕達とクウガのような…」

 

バ「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジ「死だよ」

ジャラジの冷徹な言葉が、部屋に響く

その場にいた全員がジャラジの方に目を向け、戸惑いの表情をしていた

 

内浦 海沿いの道

悠介は途方もなく歩く

行き先など無い、ただただ1人でいたかった

愛する人を失い、彼の心は荒み切っていた

悠「俺って…生きてる意味あんのかな…」

いっそ、死んでしまった方が楽なのかもしれない

 

そんな考えが頭をよぎった時、目の前に黒服の男が現れた

男はニヤニヤと笑いながらこちらに近づいてくる

ジ「全てを失ったなクウガ、もうお前を必要とする人間など誰もいない、そうは思わないか?」

悠介は俯いたまま何も答えない

ジ「心配するな、俺が今…楽にしてやる…!」

次の瞬間、男はハリネズミのような怪物に変身した

ジ「さぁ、俺と楽しく遊ぼうぜ…!」

戦意を喪失してしまった悠介に、戦う意思など皆無に等しかった

彼は文字通り、色の無い目をしていた

 

ジャラジは悠介を殴る、彼の顔からは鮮血が流れ出している

ジ「楽には殺さん、ゆっくりといたぶりながら殺してやる、そうでなければ今まで死んでいった同士達は浮かばれんのだ」

 

俺はもう誰からも必要とされていない…もうこのままいっその事楽に…

そんな考えが頭をよぎった時、ジャラジが話し出す

ジ「お前の仲間を壊していくのは実に楽しかったぞ、人間は不完全な生き物、それゆえに心の中に嫉妬という魔物を飼っている、特にお前のガールフレンドを壊してやった時は本当に楽しかったぜ…?」

 

悠「何?」

悠介の目の色が変わる

悠「まさか…お前が皆を…?」

ジャラジは不敵な笑みを浮かべながら答える

ジ「あぁ、俺の体から排出される特殊な体液が空気に溶け込み、近くの人間の心に異変をもたらすっていう寸法だ」

 

悠「そんな…」

悠介は項垂れ、苦痛の表情を浮かべる

悠「お前が死ねば、その洗脳は解けるのか?」

 

ジ「そうだな、確かに俺が死ねばその人間の心の闇は取れるだろう」

ジャラジは笑いながら続ける

ジ「おもしろかったぜ、お前の仲間を壊していくのは…!」

悠介の目付きが変わっていく

悠「……まれ…」

 

ジ「本当に人間は愚かな生き物だな」

心の奥底から、何か禍々しいものが込み上げてくる…

悠「…だまれ」

 

ジ「やはりこの世界は、我々デモスが支配するに等し…」

ジャラジが言いかけた瞬間、悠介がそれを遮る

悠「だまれ…だまれだまれぇぇ!」

 

その迫力に、ジャラジは口を噤んだ

悠「貴様…貴様だけは……絶対に許さん!」

 

悠介の体が、変わっていく…

仮面ライダークウガ マイティフォーム

ジ「上等だ…こい!」

ジャラジは戦う姿勢をとり、クウガに襲いかかる

ジャラジは向かってくるクウガの腕をつかみ、そのまま投げ飛ばした

ク「ぐうっ…」

 

ジ「ふん、所詮お前は負け犬だ、クウガ…!」

 

ク「ふざけんなぁぁ!」

クウガはジャラジに掴みかかり、力任せに投げ飛ばす

ジャラジは大きく宙を舞いながら地面に叩きつけられた

苦痛の表情を浮かべる

ジ「ぐうっ…」

苦しみながら横たわるジャラジに馬乗りになり、そのまま顔面を殴り続ける

ク「はぁぁ!」

彼の拳は止まらず、ジャラジは鼻から血を吹き出した

まるで、1発1発殺意を持って殴っているかのようだった

クウガの怒りは治まることを知らない

ク「お前が…お前がぁぁ!」

 

ジャラジを無理矢理立たせ、そのまま腹部に蹴りをいれた

ジ「ぐぁ…」

大きく吹っ飛ばされ、激しい水しぶきを上げながら浜辺に倒れ込む

ク「超変身…!」

 

仮面ライダークウガ タイタンフォーム

浜辺に落ちていた流木を拾い上げ、タイタンソードに変化させる

ジャラジは自身に迫り来るクウガの姿に、大きな恐怖心を抱く…

ジ「ぐっ…くそ!」

自身の胸飾りを1つちぎって小さな針に変え、クウガに次々と投げつけた

しかし、硬い外骨格の鎧に身を包んだクウガには全く効かない

細い金属音を上げながら、槍は全て跳ね返される

 

クウガの頭の中には、変わってしまったAqoursのメンバーの姿が浮かび上がっていた

 

普段からみんな仲もよく、夢に向かって走り続けていた彼女達の絆をこいつは壊した

 

許さない、絶対に許さない…!

 

ライジングパワーを解放する

仮面ライダークウガ ライジングタイタンフォーム

ク「はぁっ、はぁっ…」

体を怒りで震わる

息が上がり、心臓の鼓動も高鳴る

ライジングタイタンソードを天高く構え、勢いよくジャラジを斬りつけた

 

何度も、何度も何度も…

 

ジ「ぐああぁ…」

ジャラジは苦しみながら倒れ込む

クウガはジャラジの前に立つと、剣をジャラジの腹に思い切り突き刺した

ク「おらぁぁぁぁあ…!」

腹に封印の紋章が現れ、ジャラジは激しく苦しむ

クウガは突き立てた剣を動かし、ジャラジの体を斬りさいた

苦悶の声を上げながら、ジャラジは大きな音と共に爆発した

 

今のクウガの心は、ジャラジに対する憎しみの炎…憎悪に完全に支配されていた…

 

 

沼津某所

暗がりの路地を、1人の中年の男が走っている

その男は、まるで何かに怯えているかのようだ

「あいつに見つかれば…命は…ない…」

咄嗟に廃虚に逃げ込み、固くドアを閉ざした

 

するとそこに、白い服を身にまとった男が立っていた

男は無邪気な少年のように笑っている

「や、やめてくれ!見逃してくれ!」

 

?「そうはいかないよ、弱い奴には…興味がないんだ」

冷たく言い放つと、男はクワガタに似た白い怪物へと変身する

「そ、その姿は…」

男は覚悟を決め、コウモリに似た怪物へと変身した

「こうなったら、俺がお前を殺す!」

 

?「上等だ、ゴオマ…!」

 

ゴ「ダグバ…行くぞ!」

ゴオマはダグバの首筋に噛み付こうとしたが避けられ、逆に顔面を強く殴られる

ダ「さぁ、もっと僕を楽しませてよ…!」

 

ゴ「ち…調子に乗るな!」

ゴオマがこちらに向かってくる

ダグバはニヤリと笑い、体に力をためる

次の瞬間、向かってくるゴオマに渾身の蹴りを叩き込んだ

ゴ「がはっ…」

ゴオマは壁に叩きつけられ、周囲に赤黒い液体が飛び散る

ダ「僕の…勝ちだね」

ダグバは不敵に笑う

ダ「君だけじゃない、僕はこれから弱い奴らを全て粛清し、最後にはクウガを……もう絶えたか」

彼の足元に横たわるゴオマの目から、以前のような輝きが消えていた

 

ダグバは飛び散った血で、部屋の白い壁に自身の紋章を描く

ダ「待っていろ…クウガ……!」

強く拳を握りしめ、その場を立ち去った




今回はここまでです!
ちなみに、ダグバの紋章とはクウガ本編に出てくるン・ダグバ・ゼバの紋章の事です!
気になったらググって見てください!
では、次回もお楽しみに!


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第33話 再来

絶賛五月病でございます…

皆さんも体調には気をつけてくださいね!

それでは、どうぞ〜


人は誰しも、負の感情を奥底に抱えている

 

憎しみに支配された拳は、もはや正義ではない

 

誰かを守るための力も、使い方を間違えば脅威となる…

 

 

灼熱の炎が渦巻き、辺りを深紅に染める

悠「なんだ…これは…」

悠介は、豪炎の渦の中にいた

しかし、不思議と熱さや痛みは感じない

 

その時、ふと気配を感じ後ろを向く

そこには1つの影があった

 

影は悠介に近づき、その姿を表す

彼の目に、豪炎と共に影の正体が映し出される

 

4本のツノ、金の装飾が入ったアークル

 

そして…

 

光を失い、黒く沈んでしまったアマダムと、漆黒の黒い目……

 

なんだ…こいつは…

 

クウガ、なのか…?

 

その戦士は悠介に手を伸ばし、こちらに引きずり込もうとした

やめろ、やめてくれ!

俺はこんな風にはなりたくない!

 

必死に抵抗する悠介の脳裏に、ある言葉が流れ込んできた

 

 

これが…究極の闇…

 

 

目を開けると、自分のベットの上だった

開けっ放しのカーテンから、暖かな陽射しが流れ込む

その光は悠介の顔を照らし、体温を上げる

悠「夢…か」

 

ゆっくりと起き上がり、夢の中での事を思い出す

あのクウガは一体…

いや、あの姿、1度どこかで見たことがある

 

悠介の頭に、昨日の出来事が甦ってくる

ジャラジを倒した時、俺はその姿をみた…

灼熱の炎の中で暴れ回る、4本のツノを持った黒い目の戦士…

 

額から汗が流れ落ちる

 

悠「椿さんに相談するか…」

重い体を引きずり、悠介は学校へ行く準備をする

 

 

沼津 カジノ店廃虚

グ「ジャラジ…結局彼も死ぬ運命でしたね」

グレムの低い声が、暗い室内に響く

ガドル「口ほどにもない奴だ」

 

バ「さて、次の刺客は…」

バルバが言いかけた時、机を叩く音が鳴り響いた

ガドラ「…もう我慢ならねぇ…俺が行く!」

鬼のような形相でバルバを睨みつける

ガドル「お前に、やれるのか?」

ガドラを見下したように笑う

ガドラ「クウガには貸しがある、それを返しに行くだけだ」

 

バ「本気か?」

 

ガドラ「任せろ、クウガは俺が…殺す」

ガドラは自分の拳を高く挙げながら、自身げに言ってみせた

 

 

浦の星学院 屋上

今日もいつもの様に練習をしている

メンバーの顔は前と違い、活き活きとしたものだった

悠「あんな事があったのに、もう仲直りしてる…流石だな」

 

そう思っていると、千歌がこちらに近づいてくる

千「悠介君…今までごめんね?私、どうかしてたみたい…」

 

梨「私も…」

 

花「おらも…ごめんなさいずら!」

 

善「一応、謝っておくわよ…」

 

悠「いいんだよ、皆が元に戻ってくれた、それだけで充分さ」

 

鞠「That's Right!ラブライブの地区予選も近いから、油断出来ないわよ!」

 

果「そうだね!」

 

ダ「そうと決まれば、みっちり練習しますわよ!」

 

ル「がんばルビィだね!」

 

各々に気合が入っており、意気込みを感じた

しかし、曜だけはその輪に入らず、俯いたままだった…

 

 

帰り道

日暮れが早くなり、辺りは夕焼けに包まれている

深紅に染まるアスファルトを、曜はとぼとぼと歩いていた

曜「はぁ…今日も話せなかった…」

私は昨日の出来事を頭の中で再生させる

 

その場の勢いとはいえ、最愛の人に私は自ら別れを告げてしまったのだ…

なんとか仲直りをしようと、今日も一緒に帰ろうと誘ったのだが、用事があると言われて断られてしまった

当然かな…私は、嫌われて当然の事をしたんだから…

 

曜「私って…ほんとサイテーだな…」

目の縁に涙が溜まり、溢れ出しそうになる

曜「どうしたらいいんだろ…」

拭えど拭えど、涙は溢れ出してくる

 

自暴自棄になっていたその時、後ろから肩を叩かれた

振り向くと、そこには千歌ちゃんと梨子ちゃんが立っていた

曜「千歌ちゃん…梨子ちゃん、どうしたの?」

2人はニッコリと笑顔になり、曜に近づく

千「曜ちゃん、悩んでる事あるでしょ?」

 

梨「私達が相談にのるよ!」

 

曜「でも…私…」

 

千「だいじょーぶ!絶対元に戻れるから!悠介君と!」

 

曜「千歌ちゃん…」

あんな事があったにも関わらず、私の事を思ってくれている

 

私って、幸せ者だな…

 

曜「ありがとう、でも、やっぱりこの事は自分で蹴りをつけるよ」

 

梨「うん、曜ちゃんらしいわね!」

 

千「わかった、じゃあ応援してるから!」

 

曜「うん!頑張るよ!」

曜は元気よく、敬礼をして見せた

 

 

椿邸

悠介は玄関の前に立ち、インターホンを鳴らした

くぐもった機械音が聞こえる

悠「悠介です、椿さん、今大丈夫ですか?」

 

椿「悠介君か、うん、大丈夫だよ」

扉の鍵が開く音がして椿さんが出てくる

椿「久しぶりだね、元気にしてたかい?」

 

悠「おかげさまで、今日は少し相談があって…」

 

椿「そうか、とりあえず入りなよ」

 

椿さんに連れられ、いつもの部屋に通された

椿「ところで、相談ってなんだい?」

悠介は少し俯き、迷いのある表情になったが、直ぐに顔を上げて話し始める

悠「俺…見たんです…」

 

椿「見た?何をだい?」

 

悠「炎の中で暴れ回る、黒いクウガを…」

悠介の言葉を聞いた瞬間、椿は血相を変えて自分の机に向かった

引き出しから何やら資料を取り出し、それを悠介に見せる

椿「恐らく、悠介君が見た物は、この碑文に答えがあるはずだ…」

悠介は、意を決してそこに書かれている文字を追う

 

 

「…聖なる泉枯れ果てし時、凄まじき戦士雷の如く出…太陽は、闇に葬られん…」

 

 

悠「凄まじき…戦士…」

自然と顔が強張り、額から汗が流れ落ちる

椿は汗を拭い、思い口を開いた

椿「…まだこの碑文の意味は僕も理解出来ていない、ただ、一つだけ言えることがある…悠介君が見た者は、ただの幻影や妄想じゃなかったってことだ…」

 

悠「俺は…どうしたらいいんですか?」

 

椿「分からない…でも、」

 

悠「でも…?」

 

椿「今回の戦いのように、君が我を忘れれば、黒い戦士になってしまう可能性もある…」

暗い言葉が、静かさに包まれた部屋に響き渡った

 

 

どうしよう…結局来ちゃった…

曜は悠介の家の前で彼の帰りを待っている

 

曜「いつ帰ってくるかな悠介君…」

 

千歌ちゃんと梨子ちゃんに言われて、私ははっきりと理解した

私は彼の事が好き、だからこそ、この問題は私が蹴りをつけなければならない…

 

許してくれるかな?

 

あんな仕打ちをした私を、彼を傷つけてしまった私を

 

彼はもう一度、受け入れてくれるのだろうか…

 

曜「ダメダメ、弱気になっちゃ!」

自分の顔をパンパンと叩き、気合を入れる

 

もう一度戻ろう、彼の事が好きだった頃の自分に

 

 

悠「曜…?」

 

曜「ゆゆゆ悠介君!」

不意に声をかけられ、私の心臓がドクンと跳ねた

悠「こんな所で…何してんだ?」

悠介君は少し暗いトーンで話をしている

きっと、私との事を引きずっているのだろう

曜「えっと、その…」

 

悠「…他に好きな人ができたんだよな?だから、俺なんかとはもう関わらない方がいいんだよな…だから…」

悠介が言い終わる前に、曜が彼の言葉を遮る

彼女の顔は決意を顕にし、真剣な表情をしていた

曜「私、ずっと考えてたんだ、私が本当に一緒に居たいと思う人は誰なのか…」

悠介は少し顔を上げる

曜「…そしたらね、直ぐに答えは出たんだ…私の本当に好きな人は…」

 

曜は悠介に近づき、彼の手を優しく握った

曜「私と……付き合って下さい」

 

鼓動が大きくなってくるのが聞こえる

顔が熱くなり、感情が高ぶる

 

悠介は泣きながら声を絞り出し、彼女の質問に答えを出した

 

 

 

 

悠「よろこんで」

彼の言葉を聞くなり、曜は彼の背中に手を回した

目から涙が溢れ出てくる

曜「ありがとう、ありがとう…」

気づけば悠介も涙を流していた

 

 

情熱的に燃える夕日に照らされ、私達はとても暖かな感情に包まれる

 

文字通り、私と悠介君は「恋人」になった




今回はここまでです!

次回もお楽しみに!


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第34話 約束

お待たせ致しました〜
最近暑いですね!
熱中症にお気をつけください!

今回はとても重要な話です!

では、どうぞ〜!


浦の星学院 理事長室

机の上のパソコンに、現在の浦の星学院入学希望者の人数が表示されている

果南、鞠莉、ダイヤの3人はその数字を深刻な顔で見つめる

だから「57人?」

 

鞠「そう、今日現在、入学希望者は57人」

 

ダ「そうですか…」

 

果「あんまり増えてない…か…鞠莉のお父さんが言ってた期限まで、あと1ヶ月もないよね」

 

鞠「そう、ラブライブの地区予選が開催される日の夜、それまでに100人を突破しなければ、今度こそ、あとはNothingです…」

 

果「つまり、次の地区予選が…」

鞠莉は椅子から立ち上がり、窓の方を見る

鞠「Yes. last chance…」

 

ダ「そこにかけるしか…ないということですね…」

 

果「正念場…だね」

果南は拳を強く握りしめた

 

 

ホテルオハラ前 桟橋

漆黒に染まる海を、月明かりが青白く照らす

 

果南は開けた場所から海を見つめていた

風で彼女の長い髪が靡く

 

彼女の手元には、1冊のノートが握られている

それを複雑な表情で見つめ、ノートを握る手に力をこめた

 

鞠「やっぱりそれしかないかもね!」

振り向くと、そこには鞠莉とダイヤ

ダ「ですわね!」

 

鞠「懐かしい、まだ持ってたんだ、それ」

そう言いながらノートを見る

果「まさか、やるとか言うんじゃないよね?」

 

鞠「まさか、やらないなんて言わないよね?状況は分かってるでしょ?今はそれに、かけるしかない」

 

ダ「今回は私も鞠莉さんに賛成ですわ、学校の存続のためにやれる事は全てやる、それが生徒会長としての義務だと思っていますので」

凛とした表情で話す2人を、果南は複雑な表情で見つめる

果「でも、できるものじゃない、これはできないこと…」

 

鞠「そんなことはない、あの頃ももう少しだった、もう少しで…」

 

果「でもできなかった、それ所か、鞠莉の足まで…」

 

鞠「あの怪我は私がいけなかったの、果南に追いつきたいって、頑張りすぎたせいで…」

 

ダ「それに今は9人、私達だけではありませんわ」

 

果「ダメ…ダメだよ、届かないものに手を伸ばそうとして、そのせいで誰かを傷つけて、それを千歌達に押し付けるなんて…」

果南の目から涙が零れる

果「こんなの!」

次の瞬間、持っていたノートを海に向かって投げ捨てる

 

ノートは中を舞い、海面に消えていく…

 

その時、鞠莉が海に飛び込み、ノートに手を伸ばした

果「鞠莉!」

鞠莉はひょっこりと顔を出し、笑顔で手を振る

 

ダイヤに助けられながら、陸へと上がる

鞠「否定しないで、あの頃のことを、私にとっては大切な思い出、だからこそ、やり遂げたい、あの時夢見た私達のAqoursを完成させたい!」

彼女の瞳は、覚悟を決めたかのように凛々しく輝いていた

 

 

十千万旅館 千歌の部屋

お風呂上がりで髪の毛がしっとりと濡れている

私はベットに寝転がりながら聖良さんと電話をしていた

 

地区大会は会場とネット投票で順位が決まる

という事は…

 

千「ネット投票があるとはいえ、生徒数が多い方が有利…」

 

聖「ええ、それだけはどうにもなりません、だから、圧倒的なパフォーマンスで生徒数のハンデを逆転するしかない…」

 

千「ですよね…でも、圧倒的って…」

 

聖「それは、うまさだけではないと思います、今の出演者の多くは先輩達に引けを取らない歌とダンスのレベルにある、ですが、肩を並べたとは誰も思っていません、ラブライブが始まって、その人気を形作った先駆者達の輝き、決して、手の届かない光…」

 

千「手の、届かない光…」

 

千歌は自分の手を見つめ、何かを掴むかのように握りしめた

 

 

浦の星学院 屋上

善「ん?Aqoursらしさ?」

千歌の唐突な質問に、戸惑うメンバー

千「うん、私達の輝きってなんだろう、それを見つけることが大切なんだって分かったのに、まだ言葉にできない…形にしてない…だから、形にしたい!」

 

ダ「このタイミングでこんな話が千歌さんから出るなんて、運命ですわ!あれ、話しますわね」

ダイヤは果南の方をむく

果「えっ、でもあれは!」

 

千「何それ?」

 

ダ「2年前、私達3人がラブライブ決勝に進むために作ったフォーメーションがありますの」

 

千「そんなのがあるんだ!教えて!」

 

果「それをやろうとして、鞠莉は足を痛めた、それに…みんなの負担も大きいの、今そこまでしてやる意味があるの?」

 

千「なんで?」

千歌は果南の手を掴む

千「果南ちゃん、今そこまでしなくていつするの?約束したよね?精一杯足掻こうよ!ラブライブはすぐそこなんだよ?今こそ足掻いて、やれる事は全部やりたいんだよ!」

 

果「でも、これはセンターを努める人の負担が大きいの…あの時のは私だったけど…千歌にそれができるの?」

手を振りほどこうとした果南を、千歌はとめた

千「大丈夫、やるよ?私」

 

果「千歌…」

 

ダ「決まりですわね、あのノートを渡しましょ、果南さん」

 

鞠「今のAqoursをBreak throughするためには、越えなきゃいけないwallがありマース!」

 

ダ「今がその時かもしれませんわ!」

果南は少し渋りながらも、千歌にノートを渡す

果「言っとくけど、危ないと思ったら、大会を棄権してでも千歌を止めるからね」

 

千歌は大きく頷き、果南からノートを受け取った

 

帰り道

真っ赤な夕陽が、辺りを紅蓮に染める

とても情熱的に見えた

 

曜「千歌ちゃん、大丈夫かな…」

曜は俯き、心配そうな表情になる

悠「あの果南さんも出来なかった演技…なんだよな…」

 

一般的に見ても、平均よりもかなり上のレベルに位置する果南さん

そんな人でさえクリアできなかったなんてな…

 

悠「でも、俺達はサポートするしかない、だって、やるのは千歌なんだから、あいつがやりやすいように出来ることはなんでもするさ」

 

曜「うん、そうだね!頑張らなくっちゃ」

俺達は見つめ合い、笑いあう

お互いに照れくさくしていたが、とても幸せそうだった

 

その時、鈍器を叩きつけるような音が鳴り響いた…

 

振り向くと、そこには…あの時の大男が立っていた

ガ「久しぶりだな、クウガ」

ガドラはニヤリと笑う

曜「あれは、あの時の…」

悠介は曜の前に立ち、身構える

悠「なんのようだ!」

 

ガ「待てよ、今日は戦いに来たんじゃない、お前と約束をしに来たんだよ」

 

悠「約束だと?」

 

ガ「あぁ、俺の目的はただ一つ、お前を殺す事だ、奇襲でもすればそんなこと簡単だが、フェアじゃねぇ、そこでだ」

ガドラの口元が妖しく歪む

ガ「俺と、決闘しろ!」

 

悠「決闘…」

ガドラの強さは圧倒的だ、俺が勝てるのか…

曜「悠介君…」

曜が此方を心配そうに見つめる

 

そうだ、俺は負ける訳にはいかない

曜達の輝きを守る、そう心に誓ったんだ!

 

決心の表情を浮かべ、ガドラを睨みつける

悠「いいだろう、受けて立つ!」

 

ガ「1週間後、千本浜で待っている、楽しみにしてるぜ」

そう言い残し、ガドラは去っていった

 

 

浦の星学院 体育館

千「いきまーす!」

そう言って手を大きく上げる

 

勢いよく走り出し、マットに向かって…

 

バランスを崩し、顔からマットに倒れ込んだ

 

千「だ、大丈夫、大丈夫…」

彼女の顔には、無数の傷と絆創膏がある

千「もう1回!」

 

梨「少し休もう?5日もこんな調子じゃ、体壊しちゃうよ?」

 

千「ううん、もうちょっとで、掴めそうで…」

 

曜「地区大会まで、あと2週間なんだよ?ここで無理して怪我したら…」

 

千「うん、分かってる、でも、やってみたいんだ!私ね、1番最初にここで歌った時思ったの、皆がいたのに何も出来なかったって…ラブライブ地区大会の時も、この間の予備予選の時も、皆が一緒だったから、頑張れた、学校の皆にも、街の人達にも助けて貰って、だから!1つくらい恩返ししたい、怪我しないように気をつけるから、もう少しやらせて!」

 

そう言って、また走り始める

 

悠「千歌…」

 

 

十千万前 砂浜

千「いったぁ…」

尻餅をつき、顔を顰める

曜「大丈夫〜?」

 

千「平気だよ〜」

 

練習する千歌を曜、悠介、梨子、果南の4人はひっくり返されたボートに腰掛けながら見つめる

 

梨「気持ちは分かるんだけど、やっぱり心配…」

 

果「じゃ、2人で止めたら?私が言うより、2人が言った方が千歌、聞くと思うよ?」

曜と梨子は考えるように唸った

果「いやなの?」

 

梨「言ったじゃない、気持ちは分かるって」

 

悠「それに、あんなに頑張ってる千歌を止めるなんて、根気がないとダメだな」

 

果「それもそうだね…」

果南はふぅっとため息をはく

梨「千歌ちゃん、普通怪獣だったんです」

 

果「怪獣?」

 

梨「普通怪獣チカチー、なんでも普通で、いつも輝いている光を遠くから眺めてて…本当はすごい力があるのに」

 

曜「自分は普通だって、いつも1歩引いて…」

 

梨「だから、自分の力で何とかしたいって思ってる、ただ見ているんじゃなくて…自分の手で」

 

山々に消えていく太陽

その情熱的な光を掴むかのように、千歌は手を伸ばした

 

その時、果南が立ち上がり千歌の元へと向かう

果「千歌」

 

千「果南…ちゃん」

 

太陽は完全に沈み、輝きが失われて辺りを闇に包んでいく




感想やお気に入り、大歓迎です!
皆さんの意見が私の励みです!

これからもよろしくお願いします
次回もお楽しみに!


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第35話 輝波

今回はとても重要な話です!

あの曲との掛け合いが…

では、どうぞ〜!



十千万前 砂浜

早朝でまだ寒さが残る時間

太陽も顔を出さず、月が西の空に輝いている

 

千「たぁぁぁ!」

千歌は気合いの声を上げ、大きく飛んだ

 

しかし、上手くいかずに転んでしまう

 

その様子を、曜と悠介は心配そうに見つめていた

悠「千歌…」

その時、不意に声をかけられた

梨「やっぱり、やってたんだね」

どうやら心配して来てくれたようだ

曜「うん…梨子ちゃんに頼んでも、止められるからって」

 

悠「果南さんにあんなこと言われたらな…」

 

夕方の砂浜

何度やっても転んでしまう千歌

彼女のため、今後のAqoursの活動の為にも、果南さんは気遣ってくれたのだろう

 

でも…

 

果「千歌、約束して、明日の朝までに出来なかったら、諦めるって」

 

 

曜「2年前、自分が挑戦してたから、尚更分かっちゃうのかな…難しさが…」

 

果南の言葉を受け止め、千歌は決意の表情を浮かべ、拳を力強く握っていた

 

もう一度走り出し、飛ぶ

しかし、またも上手くいかずに転んでしまう…

 

曜「あと少しなんだけどな…」

 

梨「うん、あと少し…」

 

千歌は疲れてしまったのか、地面に寝転がってしまった

拳で地面を思い切り叩く

千「あぁ、もう!どこがダメなんだろう、私…」

 

耐えきれず千歌の元へ行き、その手を握る

梨「焦らないで、練習通り、力を抜いて」

 

千「梨子ちゃん…」

 

曜「できる、絶対できるよ!見てるから!」

 

千「うん!」

悠介はあえて近づかず、その様子を見つめる

 

もう一度やろうと立ち上がった時、明るい声が聞こえてくる

花 善 ル「千歌ちゃ〜ん!ファイトォー!」

 

花「頑張るずらー!」

 

1年生の後押しも受け、再び走る

 

しかし、またも転んでしまう

千「あぁ!も〜できるパターンだろーこれぇー!」

 

千「なんでだろ、なんでできないんだろ、梨子ちゃんも曜ちゃんも、こんなに応援してくれてるのに…」

千歌の脳裏に、去っていく果南が映る

千「いやだ、いやだよ!私、何もしてないのに、何もできてないのに!」

無力な自分が悔しくて、目から涙がこぼれ落ちる

 

何がダメなんだろう、私は一体…

 

目が熱くなり、瞳から雫がこぼれ落ちる

その時、千歌の耳に明るい声が届いてきた

梨「ビードッカーン、ズビビビ〜!」

 

曜「普通怪獣ヨーソローだぞー!」

 

梨「おっと、そうはさせぬ、梨子っぴーもいるぞー!」

まるで子供のようにじゃれあう2人

 

普通怪獣…自分がいつも言っているフレーズに反応し、千歌は立ち上がった

 

曜「まだ自分は普通だって思ってる?」

 

梨「普通怪獣チカチーで、リーダーなのに皆に助けられてここまで来たのに、自分は何も出来てないって、違う?」

 

千「だって、そうでしょ…」

千歌は俯きながら答える

曜と梨子は笑い合った

曜「千歌ちゃん、今こうしていられるのは、誰のおかげ?」

 

千「それは、学校の皆でしょ…街の人達と、曜ちゃん、梨子ちゃん、みんな…悠介君も…それに…」

千歌の言葉を曜が遮る

曜「一番大切な人を忘れてませんか?」

 

梨「今のAqoursが出来たのは、誰のおかげ?最初にやろうって言ったのは誰?」

 

千「それは…」

 

曜「千歌ちゃんがいたから、私はスクールアイドルを始めた」

 

梨「私もそう、きっと、みんなだってそう、悠介君も」

悠介は大きく頷いた

 

東の空が少しずつ明るくなり始め、暗闇が照らされていく

 

曜「他の誰でも、今のAqoursは作れなかった、千歌ちゃんがいたから、今があるんだよ?」

曜は少し俯き、直ぐに顔をあげる

曜「その事は…忘れないで!」

 

梨「自分の事を普通だって思っている人が、諦めずに挑み続ける、それが出来るって、凄いことよ?凄い勇気が必要だと思う!」

 

曜「そんな千歌ちゃんだから、みんな頑張ろうって思える、Aqoursをやってみようって、思えたんだよ!」

 

梨「恩返しなんて思わないで!皆ワクワクしてるんだよ!」

 

当たりが少しづつ明るくなっていく

 

梨「千歌ちゃんと一緒に、自分達の輝きを見つけられるのを…!」

 

千「みんな…」

目頭が熱くなり、涙が溢れそうになる

私は…皆にここまで思われて…

 

鞠「新しいAqoursのwaveだね!」

気がつくと、そこには3年生が揃っていた

果「千歌、時間だよ、準備はいい?」

果南さんは真面目な顔だったが、直ぐに笑顔になる

 

それに応えるかのように、千歌は大きく頷いた

 

最後の力を振り絞り、走る

 

同時に太陽が顔を出し始め、辺りを明るく灯していく

暗い海も輝きを取り戻し、闇が晴れていく

 

果南は、とても優しい顔で千歌を見つめていた…

 

果「ありがとう、千歌…!」

 

地面を強く蹴り、大きくジャンプする

 

その姿はまるで…

 

大空を舞う、鳥のようだった

 

 

悠介はバイクに跨り、約束の場所へと向かう

 

千本浜

バイクを降り、ヘルメットを脱ぐ

彼の顔は、戦いを前にした決意に満ち溢れていた

 

必ず勝つ、笑顔で曜達の所に戻るんだ!

 

その時、悠介の目の前に大男が現れた

ガ「来たな、クウガ…!ビビって来ないかと思ったぜ」

ガドラは不敵に笑みを浮かべる

 

悠介は真っ直ぐな瞳で敵を見据えた

迷いは感じれない

 

悠「俺は負けない…負ける訳にはいかない、仲間とこの街と、そして…愛する者のために…」

全身に力を漲らせ、気を上げていく

ガ「…望むところだ」

ガドラも気合いの声を上げ、怪人態に変身した

悠「勝負だ!…変…身!」

仮面ライダークウガ マイティフォーム

 

 

ラブライブ 地区予選ライブ会場

彼は今、戦っているだろう

 

私達も戦う、以前突破できなかった壁を乗り越えるために

 

学校や街や家族、全てに感謝して、この歌を歌う

 

景気のいいイントロが流れ始め、曲が始まる

お揃いのピンク色の衣装に身を包んだ私達は、心も1つだった

 

届けよう、今の私達の全力を…!

 

MIRACLE WAVE

 

限界までやっちゃえ 最後まで!

 

クウガは大きくジャンプし、ガドラに殴りかかる

ガドラも大きく前に出て、その拳でクウガを狙う

 

じれったい自分 超える時だよ!

 

お互いのボディに拳がめり込み、その場に倒れ込んだ

両者とも直ぐに立ち上がり、構える

 

他のこと 考えられない

 

ク「はぁっ!」

クウガは渾身のパンチを叩き込んだ

ガドラは少し怯んだが、直ぐに同じように殴り返す

 

ひとつになった夢よ走れ!

 

両者、激しく殴り合う…

鮮血が白い砂浜を赤く染めていく

ガトラの渾身の一撃がめり込み、クウガは腹を抑えて倒れこむ

ク「がぁっ…」

 

ガ「その程度か、クウガ!」

 

ク「ちく…しょう…」

 

メンバーが横一列に並び、千歌1人が前に出る

 

いよいよだ…

 

悔しくて じっとしてられない

そんな 気持ちだった みんなきっと…わかるんだね!

 

祈るように見つめる8人…

 

千歌はステップするように助走をつけ、そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロンダートからのバック転を見事に決めてみせた!

 

それは今までにないほど綺麗で、文字通り、観客を魅了していた

 

奇跡が…起きた!

 

倒れ込んだクウガを足で踏付ける

ガ「もう終わりなのか?つまらん」

 

くそっ、体が動かない…

 

その時、クウガの耳に声が届く

 

できるかな?できる!叫ぶ心が 欲しがる輝き

目の前で 君に見せるんだ!

 

そうだ、俺は負ける訳にはいかない

あいつらだって、頑張ってるんだ!

 

ク「おらぁぁぁ!」

闘志を燃やし、気合いでガドラを跳ね除けて立ち上がった

ガドラはバランスを崩してその場に倒れ込む

 

少し距離を取り、必殺の構えをとった

脳裏に、メンバーの声が鳴り響く…

 

できるかな?できる!

それしかないんだと 決めて 熱い熱いジャンプで!

 

ガ「最後だ…こい!」

ガドラも距離をとり、構える

 

意識を集中させ、力を溜める…

 

両者一斉に走り出し、距離を詰めていく

クウガの右足には炎が灯る

 

新しい光 掴めるんだろうか?

 

大きくジャンプし、相手に蹴りかかる

 

信じようよ!

MIRACLE WAVEが〜MIRACLE呼ぶよ〜!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クウガの蹴りが、ガドラの胸に直撃し、大きくぶっ飛ばした

マイティキック

 

 

腕を大きく回して最後の決めポーズをとる

 

やりきった…全力をだしきった!

心中が充実感で満たされていく

他のみんなも、とてもいい笑顔をしている

 

会場は歓喜と拍手に包まれ、独特の雰囲気を醸し出していた

 

 

胸にクウガの紋章が浮かび上がり、ガドラは苦しむ

 

気合いで消しさろうとするが、紋章は濃く、歯が立たなかった

ガ「いい…腕だな……やはりお前は…強い…」

体に亀裂が入る

ガ「じゃあな…ライバルよ…」

大きな破裂音とともに、ガドラは跡形もなく砕け散る

 

爆発する寸前、彼の口元が笑の形になっていた様にみえた

 

クウガは変身を解き、雲一つない空を見上げる

 

どこまでも澄み渡る空は、永遠に続いているかのように思えた

 

俺は今まで、1人で戦っているつもりだった

 

でもそれは間違い

 

ずっと、助けられていたんだな…

 

楽しい時も嬉しい時も、辛い時も悲しい時も、俺は1人なんかじゃなかった

 

これからも彼女達の輝きを守り続ける

 

悠介は、その願いを、どこまでも澄み渡る空に誓った




お楽しみ頂けましたか?

いつも見ていただきありがとうございます!

次回もお楽しみに!


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第36話 前進

遅くなりました!

課題とか課題とか課題とか…

でも、その間に4thのメモリアルが来たのでひたすら感慨に浸っておりました(^^♪
サボってばっかですね笑

楽しんで頂けると幸いです!

では、どうぞ〜!



それでは〜!ラブライブファイナリストの発表です!

 

いつにもなくハイテンションなDJがマイクを持って左手を高くあげる

 

千「いよいよだ」

みんな真っ直ぐにモニターを見上げる

悠介も会場に駆けつけ、メンバーと合流していた

悠「大丈夫、大丈夫だ」

そう自分に言い聞かせる

やれる事は全てやった、後は神のみぞ知る…

 

決勝に進む上位3グループは〜!

 

心臓が高鳴る

 

このグループです!

 

モニターを凝視するメンバー

 

9人の瞳には、「Aqours」の文字がくっきりと映っていた

 

悠「やった…やった!」

 

曜「千歌ちゃん!」

曜が千歌なか抱きつく

千「夢じゃないよね?ハッてならないよね?」

 

梨「ならないわ」

 

千「ほんと?だって決勝だよ?ドームだよ?本当だったら奇跡じゃん!」

果南はサムズアップを千歌に向ける

梨「奇跡よ、奇跡を起こしたの、私達!」

 

テンションがMAXになったのか、曜が前に躍りでる

曜「さぁみんな行くよ〜!」

 

全速前進〜

 

ヨーソロー!

 

からの〜敬礼っ!

 

 

果「それにしても、秋葉ドームかぁ〜」

 

千「どんな場所なんだろ〜」

 

梨「いい曲を作りたい!」

 

曜「ダンスも、もっともっと元気にしよ!」

それぞれが感慨に浸っていた時、公園に設置されたモニターの声が聞こえてきた

ル「あ、みて!」

ルビィが指を指す

 

そこに映っていたのは、千歌達、Aqours

先程のライブの映像のようだ

 

画面の下にはグングンと伸びる視聴回数が表示されている

千「こんなに沢山の人が…」

 

悠「すごいな」

 

ダ「生徒数の差を考えれば当然ですわ、これ程多くの人達が、私達を応援してくれた」

しみじみとダイヤは語る

 

千「あっ、じゃあ生徒数も!」

全員、一斉に鞠莉の方を見た

鞠莉は携帯を握り締めながら泣きそうな目をしている

善「どうしたのよ!」

 

梨「うそ…」

 

ダ「まさか…」

全員の表情が曇り始めた

鞠「携帯、フリーズしてるだけだよね?昨日だって何人か増えてたし、全く変わってないなんて…」

 

ル「鞠莉ちゃんのお父さんに言われてる期限て、今夜だよね?」

ルビィの声は震えている

 

ダ「大丈夫、まだ時間はありますわ!学校に行けば正確な数は分かりますよね?」

うん、と鞠莉は力なく答えた

 

千「じゃあ!帰ろう!」

そんな心配を吹っ切るように、千歌は晴れるような笑顔になった

 

 

浦の星学院 理事長室

鞠莉は神妙な面持ちでパソコンを開く

 

時刻は夜の8時を示している

鞠「ちょっと待ってて」

画面を操作し、入学希望者募集のページを開いた

果「どう?」

 

鞠「変わってない…」

 

曜「そんな…」

 

悠「募集終了まで、あと4時間しかないよな?」

 

鞠「Aqoursの再生数は?」

 

ル「ずっと増え続けてるよ」

ルビィがパソコンを見ながら答える

 

鞠莉は覚悟を決めたかのように立ち上がり、扉を開ける

鞠「パパに電話してくる」

そう言って、硬い表情で部屋を後にした

 

 

1時間が過ぎる

曜「遅いね、鞠莉ちゃん…」

 

果「むこうは早朝だからね、なかなか電話が繋がらないのかもしれないし…」

 

悠「そうか、鞠莉さんの両親は外国なのか…」

もし電話に気づいていないんだとしたら、もうこのまま…

 

その時、扉がゆっくりと開いた

鞠「Waittingだったね」

 

千「お父さんと、話せた?」

 

鞠「うん、話したよ、決勝に進んで再生数が凄いことになってるって」

 

ダ「なんとか明日の朝まで伸ばしてもらいましたわ、でも、日本時間で早朝の5時…それまでに集まらなければ、募集ページを停止すると…」

 

果「最後通告ってことね…」

 

千「でも、あと3時間だったのが、8時間にのびた!」

 

悠「そうだな、可能性は、まだある!」

 

ル「わぁっ!みて!」

ルビィが嬉しそうな顔でパソコンを差し出した

どうやら一人増えたみたいだ

梨「やっぱり、私達を見てくれた人が、興味を持ってくれたんだ!」

 

曜「このまま増え続ければ!」

 

その時、千歌が急に部屋を飛び出そうとした

善「ちょ、どこ行くのよ!?」

 

千「駅前で、浦の星をお願いしますって、みんなにお願いして、それから、それから…」

 

梨「今からじゃ無理よ…」

 

千「じゃあ!今からライブやろ?それをネットで!」

 

果「準備してる間に朝になっちゃうよ?」

 

千「そうだ!」

 

言いかけた千歌に、曜が抱きつく

曜「落ち着いて!大丈夫、大丈夫…だよ」

 

千「でも、何もしないなんて…」

 

果「信じるしかないよ、今日の私達を」

 

千歌は部屋の中のメンバーを見つめる

みんな、優しく微笑んでくれていた

千「そうだよね…大丈夫…だよね…」

 

ダ「さっ、そうと決まれば皆さん帰宅しましょ?」

 

善「なんか、一人でいるとイライラしそう…」

 

曜「落ち着かないよね…気になって」

 

果「だって?」

果南はうらめしそうにダイヤを見つめる

ダ「仕方ないですわね…」

 

千「じゃあ、いてもいいの?」

 

ダ「皆さんの家の許可と、理事長の許可があれば」

横目で鞠莉を見る

鞠「もちろん、みんなで見守ろう」

 

鞠莉さんは、優しい声でそう言った

 

それに釣られるかのように、ルビィも声を出す

ル「わぁ!また一人増えた!」

 

 

日付は変わり、午前1時

ル「あれっきり、全然増えない…」

 

善「ううっ、やっぱりパソコンがおかしいんじゃないの!」

善子は乱暴にパソコンを振った

鞠「stop…壊れてないよ」

 

ダ「これが現実なのですわ…」

 

果「たとえ街が綺麗で、人が優しくても、わざわざここまで通おうとは思わない…」

3年生の3人は、とても悲しげな表情で答える

 

 

ル「94人…」

 

悠「あと6人…」

時間は午前4時10分を過ぎたところだ

果「1時間も…ない」

 

千「お願い、お願い!増えて…」

千歌はパソコンを両手で掴んだ

 

部屋の隅では、疲れたのかように曜が座り込んでいた

千「流石の曜ちゃんも、睡魔には勝てないか」

 

曜「寝てないよ、でも、待ってるの、疲れちゃって」

 

太陽が登り始め、辺りを輝きで照らしていく

気分転換でもしようと、外に出たのだ

悠「やっぱり、綺麗だな」

 

曜「うん、本当に…」

 

突然、果南さんが立ち上がった

果「お〜い!浦の星は、いい学校だぞ〜!」

 

曜「絶対後悔させないぞ〜!」

 

千「みんないい子ばっかだぞ〜!」

無邪気な声に、自然と悠介の頬が緩む

 

梨「私が、保証する〜!」

いつの間にか、梨子も来ていたようだ

千「保証されちった」

 

梨「私の保証は間違いないわよ」

ドヤ顔で言ってのけた

また、悠介は頬を緩める

 

やっぱ、楽しい奴らだな、できるなら、ずっとこのまま…

 

 

時刻は、午前5時に迫っていた

千「あと3人…」

 

ダ「でも、時間はもう…」

約束の時間まで後10分…

 

千「お願い、お願い!」

 

果「98…」

 

千「大丈夫、大丈夫、絶対に届く、大丈夫…届く!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、願いは通じず、無残にも募集は打ち切られてしまった…

募集終了の赤字が、パソコンの中で不気味に目立っていた

千「募集、終了…大丈夫だよ!あと1日あれば、いや、半日でもいい、1時間でも…」

 

ダ「それが約束ですから、何度も掛け合いましたわ…ですが、もう2度も期限を引き伸ばしてもらっているのです…」

 

鞠「いくらパパでも、全てを自分1人の権限で決められない…」

 

善「でも、この前だってそれで…」

 

鞠「既に、統廃合の手続きに入ってる…だから…」

 

梨「じゃあ、本当にもうダメってこと?」

 

千歌は目元に涙を抱えていた

千「いやだ、いやだよ…だって、私達まだ足掻いてない、精一杯足掻いて、やれることを全部やろうって言ったじゃん…」

 

果「全部やったよ、そして、決勝に進んだ…」

 

千「ううっ!」

悔しさのあまりわ千歌は両手の拳をパソコンに叩きつけようとした

果「千歌!」

果南さんは声で千歌を止める

千「じゃあなんで、学校が無くなっちゃうの?学校を守れないの…」

虚しい声が、静かな部屋の中に響き渡った…

 

 

帰り道

太陽はすっかり登り、暖かな日差しを与えてくれる

 

しかし、その光でさえも沈んだ心を癒してはくれなかった…

 

曜「学校がなくなる…まだ信じきれないな…」

 

悠「俺もだよ、第一まだ転校してきたばっかだしな」

 

なんのために来たんだ、俺は…

 

曜は歩くのをやめ、その場で顔を俯けた

瞳には涙を浮かべている

 

曜「なんで、こんなに悲しいのかな?決勝にも進んで、みんなを笑顔にして、せっかく夢が叶いそうなのに、なのに…」

 

悠介は彼女を見つめることしかできない

 

曜「だめだめ!私がこんなんじゃぁみんなに笑われるよね!」

乱暴に涙を拭い、無理矢理に笑顔を作る

 

曜「ねっ、悠介…君」

悠介は耐えかね、曜を強く強く、抱き締めた

悠「無理しなくていいんだぞ?俺だって辛いんだ…でも、無理に平常を装ってる、ここでも仮面を被ってんだよ…それに曜は女なんだから、泣きたい時は、泣いていんだよ」

 

その言葉を聞き、曜の涙腺は崩壊した

赤ん坊のように泣く

 

曜「やっぱり私…悔しいんだよ…」

寂しさを紛らわすように、曜は悠介の身体を強く抱きしめていた

 

 

屋上

ダ「学校は無くなりますが、ラブライブは待ってくれませんわ!」

 

ル「それに、お姉ちゃん達3年生は最後のライブだし!」

 

気合を入れ直し、今日も同じように練習を始める、しかし…

 

千歌は1人、涙を流していた

果「今日は、やめとこうか」

 

千「なんで?私、大丈夫だよ?」

 

ダ「ここにいる全員、そう簡単に割り切れたわけではありませんわ」

 

果「私はちゃんと考えた方がいいと思う、本当にこのままラブライブの決勝に出るのか、それとも…」

 

 

その夜、Aqoursのメンバーはそれぞれの考えを頭に描いていた

 

いつものように過ごした人

 

思い出に胸を馳せた人

 

無理にでも笑顔を作ろうとした人

 

そして、涙を流した人…

 

 

でも、いる場所は違っても、答えはひとつだった

 

階段を登り、いつもの屋上へと向かう

曜「やっぱり、みんなここに来たね…!」

 

梨「ラブライブ、出た方がいいのは分かる、でも」

 

悠「学校は救えなかった」

 

善「それでも決勝で歌って、それで優勝しても…」

 

曜「私達は、輝きを探すためにAqoursを始めた」

鞠「みんなそれぞれ、自分達の輝きを見つけるため、でも、」

千「見つからない…だってこれで優勝しても学校は無くなっちゃうんだよ?奇跡を起こして、学校を救って、だから輝けたんだ、それも出来ないで輝きが見つかるなんて思わない!」

 

珍しく声を荒らげる千歌

 

千「私ね、今はラブライブなんてどうでもいい、ただ学校を救いたい、みんなで頑張って来たここを…」

 

その時、

 

じゃあ救ってよ!

 

それは、校庭に集まった浦の星の全校生徒の声だった

 

ラブライブに出て、優勝して!学校を救って!

 

千「私も出来ればそうしたい、もっと足掻きたい!でも…」

 

それだけが学校を救うってこと?

千歌の目の色が変わる

 

私達のために、学校のために

 

浦の星学院スクールアイドル、Aqours

 

その名前を、ラブライブの歴史に、永遠に残してきて欲しい

 

Aqoursと共に、浦の星学院の名前を、一生消えない思い出を!

 

だから、だから!

 

 

 

輝いて!

 

 

優勝して、学校の名前を…ラブライブに!

 

 

曜「千歌ちゃん」

ジト目で千歌を見る

梨「やめる?」

 

千「辞めるわけないじゃん…決まってんじゃん!」

しっかりと前を向き、真っ直ぐに空を見上げた

千「優勝する、ぶっちぎりで優勝して!相手とか秋葉ドームとか関係ない、優勝して、この学校の名前を、一生消えない思い出を作ろう!」

 

テンションがMAXになり、曜を先頭に走り出す

 

新たな目標を携え、次の1歩を踏み出した瞬間だった

 

輝く太陽に目を向け、千歌は弾ける笑顔を見せた




今回はここまでです!

次回もお楽しみに!


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第37話 接近

どうもこんにちは!
5thライブも終わって全国ツアーも発表されましたね!
行きたすぎる…

今回も頑張って書きます!
それでは、どうぞ〜!


浦の星学院屋上

日照時間も短くなり、辺りから光が失われていく

暖かな秋も過ぎ、すっかり冬の空気に支配されている

 

悠「もうすっかり寒いな…」

 

曜「風邪ひかないようにね?」

悠介からドリンクを受け取りながら、曜は彼の顔を覗き込んだ

鞠「ダイジョーブだよ〜悠介なら!」

 

果「なんとかは風邪ひかないってね〜?」

 

悠「なにかいいましたか?」

悠介はジト目で2人を交互に見る

鞠「It’s joke!」

 

ダ「冗談はそれくらいにして、悠介さんも皆さんも体調には気をつけてくださいね?決勝も近いんですから」

 

花「マルは体力を付けるためにしっかりご飯食べてるから大丈夫ずらぁ〜」

 

善「あんたはいつも食べてばっかじゃない!」

 

ル「ルビィはお家に帰って手洗いうがいしてるから大丈夫!」

 

梨「練習で汗かいた後は、特に注意しないとね」

 

千「そうだね〜なんだか寒くなってきたよ…」

 

果「よし、じゃあ後もう一回だけ通して、今日は終わりにしよ!」

果南は胸元で手を叩く

 

メンバーは果南に元気よく返事を返した

 

 

スクールアイドル部 部室

悠「これで終わり、と」

ドリンクシェイカーやラジカセを片付け、悠介は一息を着く

 

思うと、ここに引っ越してきた時には自分がこんなことをするなんて夢にも思っていなかった

ずっと一人でいるものだと思っていた…

 

俺も、変わったんだな

 

部室の扉が開き、曜か顔を覗かせる

曜「悠介君〜ごめん!今日ちょっと衣装の生地を買い出しに行かなくって…先に帰って大丈夫だよ!」

 

悠「それなら俺も手伝うぞ?」

 

曜「それがね〜今日は沼津とは違う所に行くんだ、それにちょっと遠いし…ルビィちゃんとダイヤさんも来るから大丈夫だよ!」

 

悠「そうか?わかった、気をつけてな?」

 

曜「ありがと!帰ったら電話するから〜!」

そう言って曜は行ってしまった

廊下からダイヤさんとルビィと話す声が聞こえてくる

 

悠「ほいじゃあ俺も早めに帰りますか」

鞄を持ち上げ、部室を出ようとした時

 

善「先輩!」

扉のすぐ横に善子が立っていた

悠「善子?どうしたんだ?忘れ物?」

 

善「違うわよ!え〜っと、その…」

いつもと違う態度に悠介は困惑する

若干頬を赤く染めた善子は、もじもじしながら答えた

善「先輩って…今からヒマなの?」

 

悠「まぁ暇っちゃ暇だな、どうした?」

 

善「着いてきて欲しい所があるの…」

 

悠介の頭の中にクエスチョンマークが浮かび上がる

 

特別やることも無いし、まぁいいか

悠「いいぞ、一緒に行ってやるよ」

 

善「ほんと?やったー!さっすが、私のリトルデーモンね」

いや違うわ、と心の中でツッコミを入れながら悠介は善子に手を引かれて行った

 

 

暗がりの路地を、1人の女が歩いていた

女の額には白いバラのタトゥーが彫り込まれている

彼女、バルバは殆ど無表情なまま、暗い路地をただただ歩いていた

 

その時、女は足元に落ちていた週刊誌を取り上げページをめくった

その週刊誌には、芸能人のスキャンダルや政治家の裏の顔など様々な社会の闇にまみれた報道が書かれている

 

有名資産家の長男、夜な夜な親の金で遊ぶ

 

某チームのエースピッチャー、深夜の街で

 

元大臣、薬物取引か?

 

醜い報道の数々に、バルバは静かに声を漏らした

バ「人間とは惨めだな、他人の行いをこのように吊し上げて世間に晒し、当人の誹謗中傷をする…滅亡した方が幸せだろうな」

 

パラパラとページをめくり、ある特集ページでバルバの手が止まる

そこに書かれていた記事は、

 

未確認生命体、現る

 

仲間同士で殺し合いか?血だらけの現場

 

中でも1番大きく書かれていた文字を見た瞬間、バルバの足が小刻みに震えた

 

血で書かれた謎の紋章、殺害現場に多数

 

その紋章は、忘れもしない「あの人」のものだと、バルバは確信していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バ「ダグバ…」

 

 

沼津 カジノ店廃墟

グ「ガドラも負けましたか…」

誰も口を開かない

 

グレムはふっと息を吐いた

グ「さて、次は誰が…」

 

?「私が行こう」

誰かがグレムの言葉を遮る

グ「ジャーザ…いいでしょう」

ジャーザと呼ばれた女は、長身で長い髪をポニーテールにしておりいかにもOLのような服装をしていた

 

その時、入り口の扉が開いてバルバが入ってくる

バ「…粛清が終わったようだ、よって、ここにいる者だけが我々の生き残りという事だ」

 

部屋にはバルバを含めて5人ほどの人がいる

 

グ「そう、ですか…」

冷たいバルバの声が、静まり返った室内にこだました

 

 

沼津

悠「おい善子!どこまで行くつもりなんだ?」

 

善「いいから!黙ってついて来なさい!」

あれから善子についって行ったと思えば、バスで沼津まで行きそこから15分ほど歩いて商店街の奥の方まで来ている

 

そこまで変な所には行かないだろうと思っているが、奇想天外な善子の性格にその可能性もゼロではないと思えてくる

 

そんな事を考えていると、善子が急に立ち止まる

悠介は勢い余って追突してしまった

悠「びっくりした…急に止まんなよ」

悠介の注意を他所に、善子は目を輝かせて目の前の店の看板を眺めている

善「ついに来た…ここに!」

文句を垂れながらも、悠介は店の看板に目をやる

 

 

そこには…

 

 

善「魔界カフェ…約束の地…(カップル限定)

 

悠「なに、これ?」

悠介は目が点になる

善「読んで字のごとく、魔界カフェよ!」

その店はまさに地獄っぽく、魔界っぽく、悪魔っぽかった

悠「まてまて!カップル限定って書いてあるぞ?」

 

善「だから!先輩を連れてきたんじゃない!」

 

悠「で、でもなぁ」

悠介は頭をポリポリとかく

脳裏に映るのはショートカットの少女

 

いいのか、これ?

 

善「私と一緒じゃ、イヤなの?」

狙ったような上目遣いを見せる

 

悠「し、仕方ねぇな、今日だけだからな!?」

 

善「やったー!(曜に頼み込んだ甲斐があったわ!)」

 

悠「ん?今なんか言ったか?」

 

善「なんでもないわよ!」

 

善子は頭の中で屋上での話を思い出す

善「お願い!どうして行きたい所があるの!」

必死に頭を下げて頼み込む

 

曜は可愛らしくう〜んと唸り、答えを出す

曜「しょうがないな〜いいよ」

 

善「ありがとう!さっすが、私のリトルデーモンね!」

 

曜「あははっ、まぁ私も今日用事あるし」

玉には、いいか

 

ということで、曜から悠介を借りた善子だった

 

 

善子は待ってましたとばかりに店内へと入って行く

その後ろ姿はとても嬉しそうに見えた

 

まぁ、俺なんかと一緒に行って嬉しがられるんならそれはそれで、よしとするか

 

自分なりに納得し、悠介は善子の後を追って入る

 

 

店内は薄暗く、まるでお化け屋敷のようだ

すると、小悪魔衣装の店員が現れ、席に通される

 

ご注文がお決まりになりましたら、お呼び下さい!

 

なーんだ、意外と普通のカフェじゃないか

そう思ってメニューを目にした悠介の表情が固まる

 

悠「なに、これ…」

 

激辛!魔界パスタ

 

漆黒のイカ墨パスタ

 

業火のピッツァ

 

マグマパフェ

 

メニューの中に書かれてある料理は、どれも普通の料理ではなく、別の世界の食べ物のようだ

 

善子は目を輝かせながらメニューを眺め、呼び出しボタンを押す

 

善「料理は私が頼むから、先輩は待ってるだけでいいわよ」

 

あぁ、俺の胃袋、持つかなぁ

 

 

魔界の料理、と表記されている割には意外と味は悪くなかった

どれもこれも魅力的で、チェーン店で食べるものよりも格別にいい味をしている

 

悠「悔しいけど、今回は善子に感謝だな」

 

善「あったり前じゃない!」

善子は満足そうにお腹を抱え、行くわよっと悠介に言う

 

会計を済ませ、外に出る

短くなった日が完全に沈み、辺りは闇に包まれている

 

悠「よし、帰るか」

うん、と善子は寂しそうに頷く

 

来た道を後戻りし、駅を目指す

善「はぁ〜満足満足!」

 

悠「意外と悪くなかったな」

 

善「もっと素直に喜びなさいよ!この堕天使ヨハネと晩餐なんて、全てのリトルデーモンの望み!ギラン」

 

悠「まぁ、確かに面白くて退屈しなかったな」

ピザの上に乗っていたハバネロを、思いっきり丸呑みした善子の姿が頭に浮かんだ

善「今絶対馬鹿にしたでしょ!」

 

悠「ばれた?」

んぎゃあぁぁ、っと善子は叫ぶ

 

でも、直ぐに向き直り

善「でも、今日は本当に楽しかった、ありがとう」

素直な心なのか、とても満足そうな顔をしている

悠「おう、俺も楽しかった、また行こうな」

 

悠介は何気なく言ったつもりだが、善子は目を輝かせる

善「え?また行ってくれるの!?」

 

悠「許可があれば、な」

 

善「なんなのよー!」

そんな事をしていると、いつの間にか駅が目の前にあった

 

善子は少し寂しそうに俯く

それを吹っ切るように、直ぐに笑顔になった

 

善「今日は本当にありがとう、楽しかった」

 

悠「おう、気をつけて帰れよ」

悠介は善子にサムズアップを向ける

 

善子は目を輝かせて、同じようにサムズアップをした

 

2人とも、いい笑顔をしていた

 

 

悠介は善子が見えなくなるまで見送り、反対方向へと歩き出す

 

帰って曜に電話するか

 

そんな事を思っていた

 

 

その時…

 

楽しそうにデートとは、呑気だな

 

心に響くような声を聞き、悠介は後ろを振り向く

そこにはスーツに身を包んだ女が立っている

 

悠「お前…まさか…」

 

女はニヤリと笑い、海岸の方へと走って行った

 

走り去る太腿には、サメのようなタトゥーが彫り込まれている

 

悠介は懸命に追い、防波堤の所で女は立ち止まった

 

?「クウガ、こここがお前の墓場だ」

女の姿が変わり、硬い鎧に纏われたサメのような怪物へと変身した

 

悠介は身構え、構える

 

悠「やれるものなら!…変身!」

仮面ライダークウガ マイティフォーム

 

勢いよく殴りかかるが、片手でパンチを受け止められる

?「残酷の戦士、ジャーザだ」

掴んだ手をそのまま投げ飛ばし、クウガは身体を打ち付ける

 

ク「くっ、なんて力だ…」

 

ジ「まだまだだ」

ジャーザは気を溜め、体の鎧を変化させる

 

ジャーザ 俊敏体

 

ネックレスを1つちぎり、槍に変化させる

 

頑丈な鎧を纏っている割には俊敏に動くジャーザに、クウガは悪戦苦闘する

 

あまりのスピードに、クウガは避けるので精一杯だ

 

ク「早いな、なら!」

アークルに手を当てる

ク「超変身!」

仮面ライダークウガ ドラゴンフォーム

鉄棒を取り上げ、ドラゴンロッドに変化させると、ジャーザの腹を目がけて突きを繰り出す

 

ジャーザはその攻撃を避け、そのまま海へと沈んでいった

 

ク「逃がすか!超変身!」

仮面ライダークウガ ペガサスフォーム

ペガサスボウガンを携え、意識を集中させる

 

敵はどこだ?まだこの近くにいるはずだ…

 

脳裏の中に海中の景色が映る

 

波の音、海流のざわめき…

 

その時、暗い海の中を滑るように泳ぐジャーザの姿を見た

 

ク「そこか!」

ペガサスボウガンを構え、必殺技を打とうとした、しかし!

 

それよりも早いスピードで、鋭利な槍が飛んできた

クウガが引き金を引く前に、槍がクウガに命中し、コンクリートの壁にクウガ諸共串刺しにする

 

左肩に刺さった槍は深く、患部からは鮮血が流れ出し槍を伝って地面に落ちる

 

ク「ううっ…があっ…」

 

感覚を通常の何百倍も鋭くするペガサスフォーム

異常な程の痛覚がクウガを襲う

 

ジ「ふん、そこで息絶えるんだな」

クウガを嘲笑った後、ジャーザは再び海に潜り、どこかへと消えてしまった

 

クウガの肩から流れる血は、留まることを知らない




今回はここまでです!
皆様からの感想、意見、お気に入り、非常に嬉しく思っています!
いつまで続くか分かりませんが、これからもどうぞよろしくお願いします!

次回もお楽しみに!


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第38話 変転

蒸し蒸しして暑いですね〜
雨が嫌いなので嫌な季節に突入です笑

頑張って書きますのでよろしくお願いします
では、どうぞ〜!


曜の家

ダイヤさんとルビィちゃんと別れた後、私は真っ直ぐに家に帰った

今日は善子ちゃんの頼みに折れちゃって悠介君を貸しちゃたから、1人で帰るのは久しぶりに感じる

 

自分の部屋に入り、ベットに体を投げ出す

仰向けになりながら携帯を操作して、悠介君にLINEを送った

 

今帰ったよー!大丈夫?

 

何分か待ったが、返事は来ない

曜「ひょっとして、まだ帰ってないのかな?」

 

自分でそう納得して、またメッセージを送る

 

もしかしてまだ?ごめんねー?

帰ったら連絡してね!

 

はぁ〜っと息を吐き、ベットから立ち上がる

 

曜「お風呂にでもはいろかな」

 

上がる頃には返事が帰ってきているだろう

私はそう思って疑わず、1階へと降りていった

 

 

その頃、彼が苦痛に耐えていたことも知らずに…

 

 

暗闇の中、クウガのうめき声が静まり返った空気に響いてはすぐ消える

血は未だに流れ出ている

 

ク「くそっ!」

首筋に汗が流れる

 

ここが俺の、死に場所なのか?

こんな形で…

 

脳裏に笑顔で此方を向く曜の姿が浮かび上がる

 

曜……そうだ、負けてたまるか!

 

最後の力を振り絞り、肩の槍を渾身の力で引っ張る

少しずつ槍が動き、やがて抜け落ちた

 

大きな音を立ててクウガは転がり落ちる

その瞬間にクウガの身体が白い物へと変わった

仮面ライダークウガ グローイングフォーム

 

その姿も長く続かず、直ぐに変身は解けてしまった

悠「はあっ、はあっ…なんとか…助かったな」

荒い息を繰り返し、右肩を抑える

傷は深く、普通の人間なら当に死んでいてもおかしくない

それだけの血が地面に流れ落ちていた

 

悠「さぁ、早く家に、帰らなく…ちゃ…」

段々と意識が薄れていき、その場に倒れ込んでしまう

 

なんだ、これ?俺…死んじゃうのかな?

 

悠「曜…ごめん、俺もうダメ…かも…」

ポケットの中に手を入れ、携帯を取り出す

 

しかし、上手く操作できずに落としてしまう

 

そこで悠介の意識は途切れてしまった

 

 

その時、悠介の元へ1人の女が駆け付けた

女は悠介の心臓の鼓動を確認し、抱き上げる

 

女は悠介を担ぎ、善子が帰った方を見て、その方向に向かって走り出した

 

 

女の太腿には、豹のタトゥー柄彫り込まれていた

 

 

目の前に砂浜が広がっている

 

白い景色の中に、硬い鎧に纏われた怪物が立っていた

 

クウガは殴りかかるが、いとも簡単に避けられ、逆に地面に倒される

鎧の怪物は不気味な笑みを浮かべ、クウガの肩に槍を突き立てる

 

苦痛に顔を歪める

 

その表情を狂気じみた顔で見つめ、怪物は槍をもう1本取り出す

それをクウガの胸に向けた

 

ドスの効いた低い声で、その怪物は呟く

 

「ここがお前の、墓場だ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠介は右肩に鋭い痛みを感じ、目を覚ました

 

額から冷たい汗が流れ落ちる

 

体を起こそうとするが、力が入らない

どうやらベットに寝かされているようだ

 

誰が巻いてくれたのか、自分の身体には包帯がしてある

所々不格好だが、一体誰が…?

 

悠「縁起でもない夢だな…それに、ここは一体?」

自分の部屋…でもない

 

部屋の雰囲気はいかにも女の子の物で、至る所に小悪魔のぬいぐるみが飾ってある

それに嗅いだ事のある甘い香水の匂い

 

まさか…

 

部屋の扉が開き、この家の「住人」が姿を現す

 

善「あら、起きたの?」

 

悠「善子…俺はなぜ…?」

 

善「何故って、先輩が私の家の前に倒れてたんじゃない、それで私がここまで先輩を運んだのよ」

善子の言葉に、悠介は困惑する

 

俺がここに、倒れていた…?

 

善「びっくりしたわよ!コンビニに行こうと思って外に出たら、先輩が倒れているんだもん」

 

悠「そうか…お前が助けてくれたのか」

 

誰だ?誰が俺をここまで?

 

善「もうちょっと感謝しなさいよ!このヨハネが直々にあなたを手当してあげたんだから!」

 

そう言って腕を組む

よく見ると、善子の指には幾つかの切り傷があった

床にもちぎれた包帯が少しちらばっている

 

不器用な彼女なりに頑張ってくれたのだろう

 

悠「ありがとうな、手がそんなになってまで手当してくれて」

 

善「べつに、こんなの大したことないんだから!先輩が居なくなっちゃう事に比べたら…こんな傷、幾らでも献上してあげるわよ」

彼女はぷいっとそっぽを向いていたが、頬をかすかに赤らめていた

 

悠「善子のおかげで、俺は今生きている、本当にありがとう」

 

善「と、当然よっ!あなたは私の、リトルデーモンなんだから…」

 

悠介はクスリと笑い、現実に戻る

 

悠「そういえば、練習はどうしたんだ?」

 

時計は午前10時を示している

今日は土曜日だから学校は無いはずだ

 

善「果南が休むのも大切だから今日は休みにするって、だから今日は何もないわよ」

 

その事を聞いて、悠介はほっと胸を撫で下ろす

決勝も近いこの時期に、皆に迷惑をかける訳にはいかない

それくらい大事な時期なのだ

 

その時、悠介の携帯が電話の着信を知らせた

善子は通話ボタンを押し、悠介に携帯を手渡す

 

スピーカーから聞こえてきたのは、心配そうな声だった

曜「悠介君?今どこにいるの?」

 

悠「曜か…自分の家だ!今起きた所だよ」

 

悠介はわざと元気な声で答える

善子には、その声は空元気のようにしか聞こえなかった

 

曜「……嘘、だって私、今悠介君の家の前にいるんだ、いるなら出てきてよ」

 

悠「そ、それは…」

 

曜「教えて?今、どこにいるの?昨日何かあったの?」

 

善「諦めて正直に言った方がいいわよ」

 

悠「分かった…実はだな…」

 

 

沼津 カジノ店 廃墟

ジ「バルバ、条件は満たしたぞ、私はセミファイナルゲームに進む」

 

バルバはジャーザを見つめ、不敵な笑みを浮かべる

 

バ「クウガはまだ死んでいない」

 

ジ「バカな、私はこの手で!」

 

バ「死体は、確認したのか?」

 

ジ「そ、それは…」

ジャーザは下を向く

バ「奴の気配はまだ消えていない、自慢をするのは功績を上げてからにしろ」

 

バルバの威圧的な言葉に、ジャーザは歯ぎしりをした

 

沼津港前

悠介と善子は、曜と合流し、昨日の出来事を話す

 

曜「無茶しないでって、言ったでしょ?善子ちゃんが助けてくれなかったら今頃どうなっていたと思ってるの!」

 

悠「…ごめん、」

 

曜「私がどれだけ心配したか…分かるの?」

 

曜は目から大粒の涙を流す

 

悠介は曜をそっと抱き寄せ、強く抱き締めた

悠「悪い、曜の気持ちを考えてやれなくて…ごめんな」

 

曜「悠介君が居なくなったら、私…」

 

悠「分かってる、大丈夫だ、俺はずっと、お前の傍に居るから」

 

そう言って、お互いを更に強く抱き締めた

 

善子はその様子を、穏やかな表情でずっと見つめる

 

 

その時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3人の目の前にサメのような怪物が立ちはだかる

 

ジ「見つけたぞクウガ、やっぱり生きていたか」

 

悠介はジャーザを睨みつける

悠「悪いな、オレは往生際が悪いんだ」

 

ジャーザは不気味な笑みを浮かべる

ジ「いい度胸だ…!」

耳の装飾品を1つちぎり、槍に変化させる

 

悠介はジャーザと正面から対峙する

悠「曜、確かに時には逃げることも大事だ、それも1つの勇気かもしれない、でも…守りたい者のために拳を奮う、それもまた、勇気なんだと俺は思う」

 

曜は微かに頷き、涙を拭う

 

曜「私、信じてるから」

 

悠介は前を向きながら、サムズアップをして見せた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠「俺は逃げない、変身!」

仮面ライダークウガ マイティフォーム

 

ジャーザは槍を振り回しながらクウガに近づく

クウガは槍を避けながらジャーザに近づき、懐に潜り込んだ

 

ク「超変身!」

仮面ライダークウガ タイタンフォーム

ジャーザの腹に思いきり肘打ちをし、槍をもぎ取った

腹を押さえ、後退するジャーザ

 

槍をタイタンソードに変化させ、剣先を向ける

ジャーザはまた不敵に笑う

 

ジ「そうでなくては面白くない、しぶといからこそ…殺しがいがある!」

ジャーザは気合いを入れ、体を変化させる

体の線が太くなり、鎧も巨大になる

 

ジャーザ 剛力体

 

装飾品をちぎり、大剣に変化させた

 

ジ「また串刺しにしてやる」

ジャーザはクウガの肩を目がけ、真っ直ぐに剣を伸ばす

間一髪で避けるが、右肩に激痛が走る

ク「ぐっ…」

 

まだ怪我が治ってないのか…くそっ!

 

剣と剣が激しくぶつかり、甲高い金属音が鳴り響く

ジャーザは腕をクウガの首に回し、動けないようにした

そして、もう片方の手で剣を構える

 

ジ「終わりだ、クウガ!」

 

ク「くっ、まだだ!」

ジャーザの腹に思いきり肘打ちをする

相手が怯んだすきにクウガは剣をもう1つ奪い、タイタンソードへと変化させた

 

ジャーザは腹を抑えながらクウガと対する

 

ジ「舐めた真似を…!」

 

クウガは意識を集中させ、気を高めていく

 

電撃が走ると同時に鎧に金色の筋が入り、剣も巨大化する

仮面ライダークウガ ライジングタイタンフォーム

 

ジャーザは大きく前に出、その体目掛けてクウガは2本の剣を突き刺した

強化された剣は硬い鎧を突き破り、深々と体に刺さる

突き刺した箇所には封印の紋章が浮かび上がり、ジャーザを苦しめる

ライジングカラミティタイタン

 

ジャーザは苦しみの声を上げながら、力を失っていく

ジ「バカな…この私が、クウガなどに…」

 

次の瞬間、クウガは大きくスイングして、自身の体ごとジャーザを海へと落とす

 

高い水しぶきが上がり、曜と善子は直ぐに駆け寄る

2人がが海に落ちるのと、その体が爆発するのはほぼ同時だった

 

曜「悠介君!」

 

善「うそ…」

かなりの爆発、普通の人間なら絶対に助からない

 

曜は瞳から涙を流し、俯く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曜「………ばか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、2人の背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた

 

悠「おい、なに泣いてんだよ」

曜は充血した目で悠介を見つめ、その懐に飛び込む

曜「悠介君のバカぁ…無茶しないって、約束したでしょ…」

 

曜は大粒の涙を流す

 

善「もう!びっくりさせないでよ!死んだかと…」

善子の目にも光る物がある

 

悠「悪かったな、ああするしか考えつかなかったんだよ」

 

悠介は曜を慰めながら、赤く染った太陽に目をやる

 

今度の敵は強かった…これからももっと強い奴が出てくるだろう

 

でも俺は負けない、例えこの身が壊れようとも、彼女達を守り続ける

 

それが俺の義務であり、本当にやりたいことなんだ




お気に入りしてくれた方、本当にありがとうございます!
これからもよろしくお願いします!

次回もお楽しみに!


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第39話 過去

こんにちは!

今年の8月に沼津に行ってみようかと思います!
みかんどら焼き食べたい…

また、今回より、主人公の過去編を少しだけしようと思います!

それでは、どうぞ〜!


人が行き交う夜の街

その中を、1人の女が歩いていた

 

女の太腿には、豹のタトゥーが彫り込まれている

 

すると、路地からまた1人女が現れ、対峙する

女の額には、白い薔薇のタトゥー

 

バ「今までどこにいた……メビオ」

 

メビオは表情を変えずに答える

 

メ「別に、少し遊んでいただけだ」

 

バルバはふっと息を吐き、前を向く

 

バ「自由気ままな奴、あまり勝手に動くんじゃない」

 

メ「悪かった、次からは気をつけよう」

 

バルバは、メビオを威圧するように睨みつけた

 

 

朝のまどろみに、心がなんとも言えない気持ちに支配される

別に理由もなく心が癒されていくような感情になっていく

 

悠介はベットにからゆっくりと体を起こす

少し背伸びをして、無理矢理に眠気を払う

 

携帯見ると、メッセージが何件か来ていた

アプリを開いてメッセージを確認すると、Aqoursのメンバーからのものだった

 

起きたー?今着いたよ!

めちゃくちゃ寒い…

 

そう、俺がマネージャーを務めるAqoursは只今、北海道は函館に旅行中なのだ

 

なんでもあの Saint snow に招待されたんだとか

 

悠「いいなぁ、俺も行きたかったな」

携帯から目を離し、天井を見上げる

 

この時期の北海道は、既に白銀の雪に覆われているものだが、ここ内浦はそうでもない

 

同じ国でこうも気候が違うものなのか

 

窓の外で、冷たい浜風が通り抜けている

その風景を眺めながら、悠介は自身の脳裏に眠る「過去」の記憶を呼び覚ます

 

悠「あれから…もう半年も経ったのか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

半年前 東京

 

荒い息が漏れる

体は疲れ果てていて、もう歩く気もしなくなっていた

 

悠「はぁはぁ……ここまで来れば…大丈夫…だろ」

小脇なか中くらいのアタッシュケースを抱え、額についた汗を拭う

 

悠「父さん…母さん…」

目から涙が零れ落ち、乾いたアスファルトを濡らす

 

頭の中に、血を流しながら倒れている父の姿が浮かび上がる

母さんの姿までは見なかったが、あの状況であればもう…

 

また、涙が零れ落ちた

 

悠「ちくしょう…なんでこんなことに…」

 

兎に角、夜が空けるのを待って、それからじいちゃんの所へ行こう

そのための資金もアタッシュケースの中に入っていた

それに、昼間になれば奴らもそう簡単に行動は出来ないはずだ

 

脳裏に、両親を襲っていた怪物の姿が浮かび上がる

 

なんなんだ…あいつらは…

 

そのおぞましい姿を思い出しただけで、背筋に悪寒が走る

 

 

その時、後ろから声をかけられた

 

?「坊や、こんな所で何をしてるんだい?」

振り向くと、背の高い男が心配そうにこちらを見つめている

 

悠「いや、ちょっと…」

 

?「こんな時間に一人でいたら危ないぞ?俺と一緒に来なよ」

そう言いながら、男は近づいてくる

 

?「いいから、そのアタッシュケースを渡せ!」

急に語尾を強め、悠介に掴みかかろうとした

 

悠介は男の手を間一髪で避けると、アタッシュケースを握りしめたまま全速力で逃げ出した

 

?「ちっ、逃がしたか」

 

男が踵を返すと、そこには1人の女が立っていた

?「グムン、しくじったな」

グムン、と呼ばれた男はふっと息を吐く

グ「違う、少し泳がすだけだ…そうしないと面白くないだろ…?…バルバ」

バルバは呆れたような顔をする

バ「まぁ…なんでもいい、あいつを捕まえて「ベルト」を奪え」

 

グ「任しとくんだな、直ぐに終わるさ」

グムンは舌を妖しく動かし、悠介が逃げた方向に駆け出して行った

 

バ「もしも奴がベルトを使い、「アレ」が復活するような事になれば…」

 

バルバは気を引き締めるように、唇を真一文字に結んだ

 

 

裏路地

悠介は兎に角、走る

 

奴らに捕まれば…絶対に殺される…

 

後ろから追ってくる者の姿はないが、悠介は見えない何かにずっと追われているような感情に支配されていた

 

背筋に冷たい汗が流れる

額からも大量の汗が落ち、Tシャツにポタポタと染みた

 

やがて、表通りの光が見え始め、路地から出ようとした…その時

 

?「悠介君?何してるの?」

声をかけてきた少女は、悠介と同じ位の年齢で、長い髪をポニーテールにしている

 

クラスメイトの高松由奈だった

悠「由奈か…ちょっと事情があってだな…お前こそこんな時間に何してんだよ?」

 

由「ちょっとおつかいにね、悠介君こそ何してるの?汗びっしょり出し風邪ひくよ?大樹君も心配してたし」

 

悠「大樹か…そう言えば今日学校にも行ってなかったな」

頭の中に親友の顔が浮かび上がる

 

悠「由奈…実は、俺の両親が…」

言いかけた時、背後からおぞましい声が聞こえてきた

 

グ「見つけたぞ、さぁ…鬼ごっこは終わりだ」

そう言って、グムンは蜘蛛のような怪物へと変身した

 

悠「くっ、そう簡単に捕まるかよ!由奈!逃げろ!」

由奈は頷くと、表通りへと走って行った

悠介は路地に逃げ込もうとするが、直ぐに行く手を阻まれる

 

グムンは右手を爪を伸ばして鉤爪にし、深く切り込んだ

悠介は間一髪で避けるが、アタッシュケースは真っ二つに割れてしまう

 

アタッシュケースの中に入っていたものが地面に落ちた

 

それはベルトのような物で、完全に石化している

悠「なんだ、これは?」

 

その時、悠介の脳裏にある景色が映り込んできた

 

 

 

 

ベルトを腰に身に纏い戦う、2本角の赤い戦士…

 

 

 

 

そうか……父さんはこれを俺に託して…!

 

「悠介、戦え!」

 

そう父さんの声が聞こえたような気がした

 

グ「これだ、これさえ壊してしまえば…!」

グムンがベルトに手をかけようとした時、悠介はグムンの腹に蹴りを入れ、ベルトを守る

 

グ「ぐっ、このガキがっ!」

怒りで体を震わせる

 

悠介はベルトをしっかりと手に持ち、自分の腹に近づけた

すると、みるみる内にベルトは悠介の腹に吸い込まれる

 

その瞬間、腹にこれまで感じたことの無いような痛みを感じた

悠「ぐっ、がぁぁ…」

 

グ「バカな?ベルトが…吸い込まれただと?」

 

悠「これは絶対に壊させない!これは大切な、父さんが……父さんが守ったものだから!」

 

グ「ほざけ!お前ごと殺してしまえば終わりだ」

グムンはそう言って、悠介に向けて鉤爪を振る

 

悠「負けてたまるか!」

悠介は腕で鉤爪を受けると、その箇所が鎧を纏ったように「変化」した

 

悠「変わった…!」

そう言って自分の腕を見る

 

続けてグムンの胸にパンチをすると、みるみる内に身体が変わって行った

腰にはアークルが浮かび上がってくる

 

仮面ライダークウガ グローイングフォーム

 

グ「な、なんだと…?」

 

クウガはその場に膝を付き、肩で息をする

最初の変身、身体のエネルギー消費は計り知れない

 

グ「角が小さいな、所詮その程度の力だ!」

グムンは鉤爪を突き立て、クウガのボディを切り裂く

 

その攻撃を両手で受け止め、グムンの腹に蹴りを入れる

しかし、力が足りないのかグムンはビクともしない

 

クウガの拳を掴み、そのまま軽々と投げ飛ばした

 

グ「弱い、弱い弱い…!それでも戦士か!」

 

クウガは激しく身体を打ち付け、苦痛に表情を歪める

 

弱い…確かに俺は弱い…でも

 

クウガは立ち上がり、グムンと対峙する

ク「そんなの…俺が1番分かってる……俺の弱さ、不甲斐なさ…今はそんなのどうでもいい!」

 

グ「ほざけ!弱者は強者の前に砕け散れ」

グムンは大きく前にジャンプし、クウガを狙う

 

クウガはグムンの攻撃を受け止めると、そのまま地面に叩きつける

 

グ「舐めた真似しやがって…!」

 

グムンは気合いの声を上げながらクウガに殴り掛かる

攻撃をもろに食らい、クウガは大きく飛ばされた

 

負けて…たまるか!

 

クウガの脳裏に死んだ両親の顔が浮かび上がる

 

ク「俺は負けられない、うぉぉぉ!」

 

勢いよく走り出す

グムンも同じように走り出した

 

クウガは次の瞬間大きくジャンプし、グムンの胸に蹴りを入れた

 

グローイングキック

 

胸に封印の紋章が浮かび上がるが、直ぐに消えた

グムンは苦しみの声を上げながら、その場に膝をつく

 

グ「ぐうっ…今日は冷めた、次は必ず殺す!」

そう言い残して、グムンは去っていった

 

クウガは変身を解く

体は汗でびしょ濡れだった

悠「はぁはぁ……なん…と…か……」

 

悠介は何とか歩こうとしたが、その場に倒れ、気を失ってしまった




今回はここまでです!

次回もお楽しみに!


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第40話 復活

この小説も40話まで来ました!

本当に皆さんのおかげです!

話数も残り少ないですが、皆様に楽しんで頂ける小説になるよう日々頑張っていきます!

それでは、どうぞ〜!


暗い路地に、朝の太陽の光が差し込む

 

悠介は壁に持たれて眠ってしまっていた

悠「そうか…俺、気を失って……」

 

ゆっくりと立ち上がろうとしたその時、急に声をかけられた

由「悠介君!大丈夫?」

 

声がした方に目を向けると、由奈と大樹が立っている

悠「大樹、由奈、お前達が助けてくれたのか?」

 

大「いや、俺は由奈に連れられてここに来てみたら、倒れているお前を発見したって訳だ」

 

由「何かあったの?怪我してるみたいだけど…?」

 

悠介は腹を抑え、昨日の出来事を思い出す

2人に心配をかける訳にはいかない

 

それに俺の身体のことも…

 

悠「少しだけだ、これくらいなんともないさ」

悠介は足を引き摺りながら歩き出した

 

悠「由奈、大樹、もう大丈夫だから、家に帰るよ、ありがとう」

 

大「大丈夫って、お前傷だらけじゃないか!」

 

由「そうよ!とりあえず病院に行った方が…」

 

悠「本当に大丈夫だよ、やらなきゃいけないこともあるしな」

 

昨日の怪物はまだ死んでいない…

2人にもしもの事があれば…

 

悠介は心配する2人を吹っ切り、自分の家に向けて歩き出した

 

 

東京 無人トンネル

薄暗いトンネルを、オレンジ色のライトが照らしている

都会から少し離れた所にあるこのトンネルは、ほとんど誰も通らない

 

その中で1人、胸を抑えてうずくまる男がいた

 

グ「はぁはぁ…ちくしょう、クウガめ…!」

 

グムンは荒い呼吸を繰り返しながら、苦しんでいる

グ「ははっ、奴が白い姿で助かったぜ…完全に復活する前に殺しちまえば、今度こそ…!」

 

バ「お前に出来るのか」

 

不意に声を掛けられ、グムンは身をぶるりと震わせた

 

グ「もちろんだ、これくらいなんともない」

バルバは疑い深い目でグムンを見つめる

 

バ「まぁいい…気を入れることだな、奴が完全に復活すれば、我々の動きもかなり制限されることになる」

 

グ「わかってるよ、クウガが復活する前に、俺が切り刻んでやるさ」

グムンは乾いた唇を舐めた

 

 

太陽もすっかり登りきり、身体の体温を上げる

 

額に汗が滲み、洋服を濡らした

悠「これからどうするか…父さんの言う通り、じいちゃんの所に行くにしても、派手に動けばまた怪物に狙われる…」

 

悠介は頭をくしゃくしゃと掻いた

 

悠「もう訳わかんねぇよ…何なんだよ…なんで俺が狙われなくちゃいけないんだ!」

 

溜まっていた気持ちを大声として吐き出す

 

その時、目の前に人混みがあるのを見つけた

悠「あそこは…まさか!」

 

人混みにわけ入り、家へと近づいていく

 

悠介がこの世界で1番見慣れたこの場所

表札には「大堂」と書かれている

 

そう、紛れもない悠介の家だった

 

家の前には keepout のテープが引かれており、警察らしき人が家の中に入って行く

 

悠「すみません!通してください!」

 

何とか門の前まで行き着いた

家の中は見えない

 

その時、1人の警官が悠介の元へ寄ってきた

警「君、この家の住人かい?」

 

悠「はい…大堂悠介です」

警官は少し気の毒そうな顔をして、口を開いた

 

警「君の両親がここで殺された、辛いとは思うが、少し話を聞かせてくれないか?君の保護先のこともあるからね」

 

悠「その心配はいりません、僕は祖父の家に行きますから、そして…話すことは何もありません…じゃあこれで」

 

後ろから警官が呼び止める声が聞こえたが、悠介は止まらずに歩く

 

周囲の人からの哀れみの声が、耳に届いてくる

 

かわいそう、あの子どうなるのかしら

 

気の毒ねぇ、奥さんいい人だったのに

 

その声を振り切るかのように、悠介は頭を振った

 

その姿を見ていた物がもう1人、そこには居た

長身の女で、額には薔薇のタトゥーが彫り込まれている

 

バルバは握っていた手を開き、その中にある小さな機械を見つめた

 

バ「これを使って、あるいは…」

バルバは不敵な笑みを浮かべ、悠介を見た

 

 

悠介は行く宛もなく、とぼとぼとただ歩いていた

 

悠「俺は…何を信じて生きればいいんだ…」

 

また、涙が零れ落ちた

 

しかし、直ぐに向き直り、前を向いた

悠「いつまで挫けても仕方ないよな、またあいつが襲ってくるかもしれない」

 

悠介の脳裏に、蜘蛛のような怪物が浮かび上がる

 

その時、ある事を思い出す

 

悠「そうだ、俺の頭の中で見た戦士は赤い姿をしていた…でも、俺が変身した戦士は…白かった」

 

何が足りないんだ?

 

悠介は少し笑うと、自分の拳を見つめた

悠「逃げんな、って事か…上等だ!」

 

心の中に「赤い炎」を滾らせる

もう誰も、あんな奴らに襲わせない!

 

 

都内病院 安置所

部屋の中は、不気味なほど静まり返っている

 

悠介の両親は、司法解剖のため安置所に運ばれたのだ

 

その時、突如扉が開き、女が1人で入って来た

額には薔薇のタトゥーが彫り込まれている

 

バルバは室内を見て周り、ある人物の所で止まった

 

大堂陽子

 

悠介の母親だった

 

バ「こいつか…」

バルバは例の機械を取り出す

それを陽子の胸に近づけ、そのまま埋め込む

機械はみるみる内に吸い込まれ、完全に消えてしまった

 

すると、陽子の白かった肌にだんだんと色が戻り、体温も上がってきた

 

その時、部屋の扉が音を立てて開き、ある人物が入って来た…

 

バルバはその人物を見つめ、朗らかな表情になる

 

そして、その人物の名前を呟いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バ「椿…私達の産みの親…」

 

椿「こんな所で何をしている?」

椿はバルバを睨みつける

 

バ「ちょっとした実験だ」

 

バルバの言葉を聞いた椿の顔がみるみる内に青ざめた

 

椿「まさか…復元細胞を人間に?」

 

バ「あの機械、そんな名前なのか…まぁいい、その通りだ」

 

椿「なんて事を…」

 

椿はまたバルバを睨みつける

 

椿「お前達は私が作り出した生物…失敗作だ!」

 

バルバは椿を嘲笑うように睨みつけた

 

バ「いい加減現実を受け入れろ、私達はお前に造られた…あの機械はその恩恵でもあるのだろう?」

 

その時、横たわっていた陽子が立ち上がる

太腿に、豹のタトゥーが浮かび上がってきた

 

バ「新しい兄弟の誕生だ、お前の名は…メビオだ…!」

 

メビオは静かに頷き、椿を見つめる

次の瞬間、豹のような怪物に変身し、椿の顔面を殴りつける

 

バ「おやおや、元気な奴だな」

 

椿は顔を抑えながら、バルバとメビオを睨みつける

 

椿「大堂先生の妻をこんな事に…」

 

バ「お前がまいた種だ、悪く思うなよ」

そう吐き捨て、2人は部屋を後する

 

椿は何とか追おうとしたが、もう体が動かなかった

 

 

裏路地

悠介は歩く、宛もなくずっと

目的は1つ、怪物を倒すためだ

 

奴の狙いは俺だ、こうしていれば必ず姿を現す…その時は…!

俺はもう逃げない、そう心に誓ったんだ!

 

その時、後ろから声をかけられた

由「悠介君!」

由奈が息を切らしながら此方に近づいてくる

 

悠「由奈…どうした?」

 

由「どうした?じゃないよ!どこに行ってたの!心配したんだから…」

 

悠「悪い、ちょっと…な」

 

由「とにかく!大樹君の所に行こ?心配してるし…」

由奈は悠介の腕を掴み、連れていこうとした

 

しかし、悠介は動こうともしない

 

悠「ごめん、俺はもう…」

悠介は、変身した自分の姿を思い出す

こいつらを、危険な目には晒せない…

 

由「どうして?何かあったの?」

 

悠介が口を開こうとした、その時!

 

 

 

グ「ここに居たか、やっと見つけたぞ…!」

グムンは妖しい笑みを浮かべながら、此方に近づいてくる

身体を変化させ、怪人態へと変身した

 

由「か、怪物…」

由奈は足を震わせる

悠「こんな時に…由奈!逃げろ!」

 

由「あ、足がすくんで…」

 

悠介はグムンを睨みつける

その時、あの赤い戦士の姿が脳裏に浮かんだ

 

そうだ、逃げてちゃダメなんだ…立ち向かうんだ!

静かに目を瞑り、覚悟を決める

 

由「悠介…君?」

由奈は心配そうな顔で悠介を見た

 

悠「由奈、俺は戦う…お前はそこにいろ」

 

由「無茶だよ!殺させちゃうよ!」

由奈の目からは一筋の涙が零れ落ちる

 

悠介はその涙を見て、闘志を滾らせた

 

悠「こんな奴らのために、これ以上誰かの涙は見たくない、皆に笑顔でいて欲しいんだ!だから見てろ!」

 

グムンの前に仁王立ち、大きく息を吸った

 

悠「見てろ!俺の…変身!」

 

 

自分の腹に手をあてる

すると、身体からアークルが現れた

 

ゆっくりと手を回しながら変身の構えを取る

悠介の瞳は、決意の色で満ち溢れていた

 

悠「おらァ!」

 

勢いよく走り出し、グムンの腹にパンチを喰らわせる

腕が変化し、鎧を纏った

次々に身体が変化していき、悠介の姿を変えていく

 

頭に2本の角、大きな赤い目の戦士に「変身」した

 

仮面ライダークウガ マイティフォーム

 

グ「くっ、完全に復活したか…」

 

由「そんな…悠介君が…」

 

グムンは大きな声を上げ、クウガに掴みかかる

しかし、軽々と投げ飛ばされてしまった

 

怒りの声を上げながら立ち上がり、クウガを睨みつける

グ「クウガ…お前だけは、俺が倒す!」

鉤爪を伸ばし、クウガに向けた

 

ク「クウガ…そうか、クウガか!」

 

クウガ…この戦士の名前は……クウガ!

 

グムンは口から白い糸を吐き出し、クウガを拘束する

あっという間にぐるぐる巻きにされ、その場に倒れ込んだ

 

しかし、全身に力を漲らせ、次の瞬間糸を真っ二つに切る

 

グ「な、なに…?」

グムンは驚きの表情を隠せない

 

クウガはそのまま前に飛び出し、グムンの胸に力強い蹴りを入れた

 

マイティキック

胸には、封印の紋章が浮かび上がる

 

グ「ぐっ…そ、そんな…この俺が、クウガなんぞに…」

 

グムンは胸を抑えて苦しみ、小さな破裂音と共に砕け散った

ク「勝った…」

 

クウガは座り込んだ由奈の方を向き、手を差し伸べる

 

しかし、彼女はその手を取ろうとはしなかった

怯えた目でクウガを見ている

 

ク「由奈?どうした?」

 

由「いや…」

ゆっくりと後退りをする

 

ク「由奈?」

 

由奈は次の瞬間、おおきな声でクウガに言いつける

由「怪物!こっちに来ないで!」

 

ク「ま、待て!俺はただ…」

 

由「嫌!近寄らないで!」

 

昔から仲良くしてきた友達

激しく罵られ、悠介の心を壊すのに、それは十分な程だった

 

由奈はふらつきながら立ち上がり、クウガに背を向けて走り出した

クウガは由奈を追おうとしたが、直ぐに立ち止まる

 

自分の腕に目を向ける

 

醜く変化した腕、人間のものでは全く無い

由奈が逃げ出したのは自分のせい、そう思い込んで疑わない

 

ク「ちくしょう…ちくしょう!」

拳を地面に叩きつける

アスファルトには、ヒビが入った

 

クウガは変身を解くと、暗い路地に差し込む太陽を睨みつける

いつも暖かな日差しをくれる太陽、しかし今はその光でさえも忌まわしく思う自分がいる

 

悠「もういい、もう誰も信じられない…皆俺の敵なんだ…俺は、俺は醜い怪物…うわぁぁぁ!」

 

吹っ切れるように叫び、悠介はゆっくりと立ち上がる

もう誰にも頼らない、誰も信用しない

 

そう深く、心に誓った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠介は、目を覚ます

 

Aqoursのスケジュールやら大会の準備やらをしていた途中に、どうやらうたた寝をしてしまったようだ

大きく背伸びをして、眠気を取る

 

悠「変な夢、見ちゃったな…」

忌自分の々しい過去、消したくても消せない記憶

心にこびりついて取れない錆が、久しぶりに浮き上がってきた感覚がした

 

時刻は午後2時を示している

 

この記憶を何とか払拭したいとずっと思っているが、嫌な記憶ほど心に残るものだ

 

悠「俺もまだまだってことか…」

 

その時、携帯が電話の着信を知らせる

 

電話に出ると、せった声の曜が出てきた

 

曜「悠介君!いまどこ?」

 

悠「どこって、自分の家だけど…なんかあったのか?」

 

曜は、何かイタズラを思いついた子供のようにニシシと笑った

 

曜「実はね!函館でライブをやる事になったんだ!お金は鞠莉ちゃんが出してくれるらしいから悠介君も手伝ってくれない?」

 

悠「ライブ?いつやるんだ?」

 

曜「今日の夜8時!」

自身げに言う

 

悠「はぁ?えっ、今日!?さすがに厳しいだろ?曲は?歌詞は?衣装は?っていうか俺間に合うのか!?」

 

悠介はマシンガンのように疑問をぶつけ、肩で息をした

 

その時、電話口の声が急に変わる

 

鞠「ダイジョーブデース!飛行機は既に手配してあるから、早くこっちにいらっしゃい?早く来ないと、置いてかれちゃうわよ〜」

 

悠介は頭をくしゃくしゃと掻き、考えるのを辞めた

悠「あ〜もう!行きゃあいいんでしょ?分かりましたよ行きますよ!」

 

若干半泣きになりながらも、鞠莉さんが指示してくれた空港へ向かう

秒で用意を終わらせ家の出ると、なんとタクシーまで用意してあった

さすが金持ち

 

訳が分からないまま函館に向かうことになったが、悠介は少し穏やかな気持ちになる

 

こんな事でも、素直に毎日が楽しいと思えてる自分がいる

今はそれを大切にして行こう

 

そう心に刻み、北の大地へ向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頑張るって決めたら、絶対、負けないんだ

一緒に頑張ってきた

 

できないんて、やんなきゃ分からないね

 

自分のPOWER

目覚めるのは新しい…力

 

 

強い力を持っているものが強い訳では無い

その力をどう使うかが大切なんだ

 

 

人のために使う?自分のために使う?

 

 

彼はもう迷わない

なぜなら、素晴らしい仲間に囲まれているから

 

それは、彼らが手に入れた新しいPOWER

 

その名は…

 

 

 

 

Awaken the power

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗がりの路地に、一人の女が立っていた

女の額には薔薇のタトゥー

 

バ「グムン…自業自得だな」

バルバはグムンの死骸を見て一啓する

そして、懐から小さな機械を取り出し、死骸に向けて投げた

機械はみるみる内に吸い込まれていく

 

バ「悪く思うな、ここまでしたからには最後まで働いてもらう」

次の瞬間、グムンの体が元に戻り始め、ゆっくりと立ち上がった

しかし、その目にはまるで生気がない

 

バ「グムン…いや、もう人形のようなものだからな、スパイダーでいいだろう」

 

その時、バルバの横からもう1人の女が現れる

 

バ「メビオ、お前には人形共の指令役になってもらおう」

 

メ「他にもいるのか?」

 

バ「あぁ…これから沢山増えるさ…」

バルバは握っていた手を開く

 

そこには、少なくとも100個近くの機械が握られていた




いかがでしたか?
最後は少し私が思っていることを書かせていただきました

強い力があっても、それをどのように使うかは人それぞれだと思います
力も、使い方次第では正義にも悪にもなります


皆さんはどんなPOWERを持っていますか?

今回はここまでです!
次回もお楽しみに!


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