陰陽師が行く! (かたなあさはまな)
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基本的に管理局アンチです。
前々から言いたかったことを主に書きます。


注)適当にオリ主を陰陽師と決めただけで、特に意味ありません。


「あれ?」

月村すずかは友達と下校途中、すれ違った人物からそんな声を聴き思わず振り返った。

 

「どうしたのすずか?」

「ううん、何でもないよありさちゃん」

そう言って聞き間違いか何かだろうと、月村すずかは再び友達と3人で歩きだす。

 

声を発した人物が肩越しに月村すずかの背を見ているとも知らずに・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3日後

 

 

 

 

 

 

「君は、月村すずかちゃんだね?」

今にも雨が降り出しそうな天気の中、月村すずかは1人での下校中唐突に声をかけられた。

正面に立っているのは見ず知らずのスーツ姿の男性。

「えっと、何の御用でしょうか」

「君・・・吸血鬼、だろう?」

「っ!」

月村すずかは思わず息をのむ。

それは誰にも知られてはいけない秘密。

それは誰も知らないはずの秘密。

もはや一族も姉と二人きりで周囲にもれるはずがない秘密だった。

「ちっ違います」

後ずさりながら自身でも信じられないだろう態度・言葉で否定する。

「おかしいな、吸血鬼だと思うんだけど・・・ちょっといいかな?」

そう言いながらスーツの男は月村すずかに手を伸ばす。

「いやっ」

月村すずかは反射的に逃げ、男に背を向け走り出していた。

 

気が付けば、空から雨が降っており、その雨音は今までの平穏が流れ去る音に聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやーすいません月村さん、妹さんを脅かしちゃって」

「い、いえ」

正面で椅子に座りながらペコペコと頭を下げる男に、月村忍は戸惑いながら返事をする。

つい30分前、妹であるすずかが家に逃げ帰りながら途中で会った男の事を半ばパニック状態で説明され、警戒態勢でいたところチャイムが鳴り男がやってきた。

忍は怪しく思いながらも正面玄関から堂々と来られ、男が来た時点で晴れ間が広がっていた為外で対応していた。

「いやー、本当は外で身分を明かしてから話をしたかったんですがね?妹さんの態度からして外で話したらだめかなーと思いまして、こうして上がらせてもらった次第で」

「は、はあ」

忍はすずかから聞いていた怪しさはあるにはあるが、少なくとも自身達に危害を加えそうな存在ではなのではないかと思っていた。

「えーとですね、私は「忍っ無事か!」政・・・ん?」

「恭也!」

「連絡を聞いて飛んできたぞ!貴様っ何者だ!」

そう言いながら高町恭屋也は小太刀を抜き、スーツの男へ向けた。

「・・・日本政府の者ですが」

「「え?」」

 

 

 

 

「私は、日本政府直属組織・超常現象対策局・情報課行動部・宮治圭介と、申します」

そんな事が書かれた名刺を懐からだして月村忍・高町恭也によく見えるようテーブルの上に置き、高町恭也をチラッと見て、

「所で、その小太刀、許可、取ってますか?」

「いえ、その」

「困りますね~私、一応逮捕権も持っているんですけど、ね」

「そ、その」

「許可証、有りますか?はっきり言って人に向けた時点でアウトですが」

「・・・・す、すみませんでした」

頭をそっと下げた恭也隣に忍は慌てて立ち、

「そ、そのっ恭也に連絡したのは私でして!た、助けに来てくれたんです!」

「まあ、私の行動が怪しかったのは大変申し訳なく思ってますし、今回は見逃しましょう」

「「ありがとうございます!」」

そう言って忍・恭也は深々と頭を下げた。

「では、詳しい説明をいたしますので、屋敷内からこちらを伺っている者2名と妹さんを呼んでもらっても?」

「えっと、」

「何だったら、私の所属している所に連絡を取って私の身元を確認してもらってからでもいいですが?」

にっこり、そんな音が聞こえそうな笑顔で、『ゴトッ』と言う音と共に手錠を置いた為忍はうなずくしかなかった。

「はい、わかりました」

「すみませんねー、何度も説明しているほど余裕がありませんので」

 

実は吸血鬼等はそれほど珍しい存在ではない。

そんな説明を忍・すずかは目を丸くしながら聞いていた。

超常現象対策局とは、日本国内における超常現象発生時に置いて対応をする組織で、その中には所謂『人間以外の存在』を管理するのも仕事であり、この『管理』とは人間の住民登録、ひいては住民表を作成するのと同じであり今回、宮治圭介が月村家に足を運んだのは3日ほど前別件で海鳴市に訪れた際情報にないはずの人物『月村すずか』がいた為であり、本来組織の存在をあまり積極的には広めていないが人外のものは大抵組織を知っていて登録は済ませているはずなのだが、ごく稀に組織から情報が漏れ出ている者も存在する。

今日月村家に来た目的としては、なるべく早めに月村姉妹に登録を済ませてほしいと申請に来たとのことであった。

 

 

「あのっいいですか?」

「何だい?月村すずかさん」

「その、私たち以外のって例えばどんな人たちがいるんですか」

若干不安そうにすずかは圭介に尋ねる。

「ん~そうですね~」

そんな事を言いながらごそごそと、鞄にてを入れ私物のスマートフォンを取り出した。

「プリクラで悪いんですが、例えばこの方ですね」

そこには、圭介と共にピースサインをしている金髪の女子高生が映っていた。

「えっとこの方は」

忍は何とも言えない表情で圭介に尋ねる。

「この方は玉藻の前・九尾の狐・白面金毛九尾の狐等と言われる方です」

「・・・は?」

圭介以外の全員がそのプリクラを見つめる。

「約30年ほど前に全国規模で天候が荒れたのをご存知ですか、その原因が彼女でその際に殺生石から復活したんですよ」

全員がじっとプリクラを見て、忍が代表して発言をする。

「その、とてもそんな風には見えませんし、九尾って確か人食いの伝説が」

圭介はその問いににっこりと笑い、

「今の時代人権問題がありますし、例え人食いだろうと大量殺人犯だろうと流石に1000年経てば時効ですし、捜査しようにも証拠のしょの字も出ませんからね、復活した際に話し合いをいたしまして、今ではこの時代を大変謳歌されています」

「はあ、」

何と言ったらいいか、そんな事が顔に書いてある忍を尻目に圭介は書類を取り出した。

「では、月村忍さん月村すずかさんノエル・K・エーアリヒカイトさんファリン・K・エーアリヒカイトさんこちらの書類に必要な事を書いて市役所の総務課にお出しください」

圭介を除く全員がその書類を覗き込んだ。

「一応、この書類は特殊な術がかかっておりまして、一般のそう言った能力が無い方には裏面の一部は読めないようになっておりますのですが一応お気を付けください。もしわからない事がありましたら、県庁総務課か名刺に書かれている電話番号におかけください」

圭介はそう言い、紅茶を飲みほした後椅子を立った。

「あの、すいません」

「何ですか?月村忍さん」

「その、別件ってお聞きしてもよろしいでしょうか」

圭介は笑顔のまま「ん~」と首を傾げ「まあ、いいでしょう」と言い、

「私これでも陰陽師でしてね、1年の始まりに占いをするんです。その際に『21の厄災海の鳴る町へ降らん~』とか『闇と夜5つの者主と共に現れん~』とかいろいろ出ましてね、まあ、経験上それほど大したことは無いとは思いますが、何か心当たりがありましたらご一報ください。それではお暇しますので」

 

そう言って宮治圭介は、月村邸を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

高町なのは、フェイト・テスタロッサが森の中ジュエルシードを巡りぶつかり合いそうな時だった。

「あのーすいませーん、話を聞きたいんだけどちょっといいかな?」

高町なのは、ユーノ・スクライア、フェイト・テスタロッサ、アルフ・スクライアがそれぞれ声のする方へ顔を向けた。

「僕は宮治圭介。ちょっと話が聞きたいんだけど」

それぞれが戸惑う中、フェイト・テスタロッサは隙を見てジュエルシードを手に取り飛び立とうとしたが、

「君が集めている者ってこれだよね?」

そう言って圭介が開いた掌の中には、ジュエルシードが2つ収まっていた。

「っ!それをください!」

と、フェイトがデバイスを構え圭介に言う。

「いいよ」

「へ?」

「だからいいよって言ったんだけど」

その言葉にフェイトは戸惑った。

前回と同様の様に戦って勝ち取るとおもったからだ。

「だけど条件がある」

その言葉を聞いたとき思わず身構える。

宮治圭介と名乗ったその男は見たところ、デバイス等の武器を持っていない。

油断は出来ないがだからと言って勝てないとも思えなかった。

「条件は何?」

フェイトは思わず手に力を込めてバルディッシュを握りしめた。

「話し合いをすること」

「え?」

想像とまるで違う条件に思考が停止する。

「そちらの2つのグループがこちらが指定する場所・時間にて話し合いをし平和的に解散すること。その結果の如何にかかわらずこの宝石を双方に一つずつ進呈する。ただし、こちらが認めない途中退席・話し合いの決裂による戦闘は私、宮治圭介を敵に回す行為とし又どのようなことがあろうとも双方を他者の危害から守ることを約束する。これが条件です」

「えっと」

フェイトは話し合いをするだけでも最低1つが争わないで手に入ると思わず悩みアルフを見るが、アルフも何とも言えない表情で圭介を見ていた。

「待ってください!」

「なにかな?フェレットくん」

声を張り上げたユーノに対し圭介はにこやかに返答する。

「このジュエルシードは危険な物なんです、それをこちらに渡してください」

その声にフェイトは思わず圭介をみる。

「何故だい?」

「何故って、危険なんです!」

「ん~これが危険なのはなんとなくわかるが、君に無条件で渡すメリットがこちらにはないんだけど?」

「メリットって・・・」

ユーノが絶句するのを見た後、圭介は自身の意見を言い出した。

「例えばそこの白い服を着た女の子、君は幼い子供が危険物例えばカッターなどを持っていたらどうする?」

「えっと、危ないから取り上げる?」

「そうだね、じゃあ私は大人で君たちは子供だこの場合この危険物をどうするのが正しいのかな?」

その言葉になのはは言葉を詰まらせ、他の者たちは圭介を警戒する。

「本来は危険物であるこのジュエルシードを君たちから取り上げるのが正しいんだ、だがそれをやろうとすると争いになることは目に見えているし、それはこちらの望むものではない。まあ、そんな事をやっている暇があるなら話し合いをして解決した方がはるかに速いし、取り上げようとしないのは私の誠意、つまりは争いを今はする気が無いと言う事をわかって欲しいからだね。わかってくれるかな?」

にっこりとしながら言う圭介にそれぞれが理解を示す。

それを確認した圭介は懐から紙をとりだし、なのは達に渡し始めた。

「地図に住所も書いてある、場所はこのビルの屋上で周囲にこのビルより高い建物が無くいざと言う時に私があなた達を逃がしやすい場所です。またこのビルは建設直後なので誰もまだ住んでいませんし日時は三日後の十四時で下見をしたいならば存分にどうぞ。最後にこちらからもう一人連れていくので、ご了承ください」

そう言い終わると「では」と言い残し圭介は去っていった。

圭介が去ったのを確認しなのははジュエルシードをもち去ろうとするフェイトに話しかける。

「フェイトちゃん!また三日後に!」

その言葉にフェイトは振り返りなのはを見た後一言

「三日後に」

と言い去っていった。

 

 

 

三日後

 

 

 

カンカンカンと階段を上る独特の音が下から響き、足音の主が現れる。

「おや皆さんお早い、どうやら私たちが一番遅かったようですねぇ。お待たせして失礼しました」

圭介がそう言い、若干ピリピリとした空気の中話し合いが始まった。

「ではまずは自己紹介から。私の名前は依然言ったように宮治圭介で、こちらの方は今回来ていただいた」

「タマモでーす、よろしくねっ!」

タマモと名乗った女子高生はパチリとウインクをし、空気を完全に無視した自己紹介をした。

「えっと、私は高町なのはで」

「ユーノ・スクライアと言います」

「フェイト・テスタロッサ」

「フェイトの使い魔のアルフだ」

それぞれの紹介を聞き圭介はうなずいた後懐からジェルシードを取り出す。

「では、今すぐ差し上げることは出来ませんが、この場に参加してくださった感謝の証として皆さんの前にいざと言う時取りやすいよう置いときますね。ただし、緊急時以外に手に取ることを禁止とし、何かあったとしても手に取ることは良いですが私の許可なく持っていくのは禁止としますいいですね?」

圭介はそれぞれが頷いたのを確認し、ジュエルシードを一個ずつ置いていき、元の位置に戻る。

「さて、この場を私が取り仕切りますが実は情けない事にジュエルシードの碌な情報すらないんですよ。そこからお聞きしてもいいですか?」

圭介がそう言い、説明するためにユーノが一歩?前に出た時だった。

「時空管理局クロノ・ハラオウンだ!詳しい事情を聞かせてもらおうか」

フェイトは

「管理局!」

と叫ぶと目の前のジュエルシードを手に取り、宙に浮くクロノと名乗った少年をみた。

「動くな!」

黒野はそう言いデバイスをフェイトに向けた時、圭介がフェイトとクロノの間に割り込んだ。

「フェイトさん、それを手に取るのは良いですが撤退はまだ待ってくださいね」

圭介は背後にいるフェイトに向け言い放つ。

「フェイト!管理局だよ、逃げよう!」

アルフは焦るがフェイトは圭介の背中を見て迷う。

「フェイトさんアルフさん、私があなた方を守ります。いざと言う時も安全に逃がしますので、まだその場にいてもらってもいいですか?」

フェイトは構えていたデバイスをゆっくりおろした。

「さて、あなたはどこのどなたですか?」

「僕はアースラ所属・時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ」

圭介はクロノを見ながらつぶやいた。

「時空管理局、ねえ。ま、この場は話し合いの場です。話し合いに参加すると言うなら歓迎しますが?」

「いいだろう、話を聞かせてもらおう」

そう言ってクロノは、ゆっくりとビルの屋上へと降り立った。

「さて、ではまず最初からと行きますか。まず、ジュエルシードについて説明しようとしてくれたユーノさんから順に口を挟まず最後まで聞くこととしましょう。皆さんいいですね」

それぞれが頷く中、クロノが前へと出る。

「長くなるようなら僕が場所を進呈するが」

クロノの言葉に圭介が答える。

「却下で。まず、途中、参加、で知らないと思いますがこの場は私が最も公平だと思い用意した場所です。残念ながらあなたを信用できませんし、あなたがどこかへ連れて行くと言う事は貴方にとって最も有利な場所となります。この場を取り仕切る者としては許可は出来ません。どうしても嫌だと言うならお引き取りを」

「なっ僕は「お引き取りを」っ!」

クロノが黙ったことを確認し圭介はユーノに促した。

ジュエルシードの説明の後ユーノの行動でクロノが口を挟もうとしたのを圭介が視線で制し、なのはのユーノに頼まれたと言う説明は問題なかったが、フェイトの言葉に圭介・タマモ以外が困惑した。

「つまり君は『お母さんに頼まれた』と?」

「はい」

「なるほど」

圭介が頷くとクロノが

「それだけなのか?ほとんど何も知らないのと同じじゃないか」

と言うのに対し、圭介は

「つまり危険物だから安全のために集めるよう頼まれた『可能性がある』と言う事ですね」

フェイトが戸惑いながらうなずいたのを確認すると、クロノがまたも口をはさんだ。

「詭弁だ!危険物だと知りながら利用すために集めるよう言った可能性がある」

「さっきから何なんですかあなたは。口をはさんで、取り仕切っているのは私だと先ほども言ったでしょう?」

「僕は監理局だと言っただろう!」

「ふむ。残念ながら私は生まれてこの方『時空管理局』何て組織は聞いた事もありませんが?」

「そんな馬鹿な事があるか、魔法技術を持ちながら管理局を知らないなんて言わせないぞ!」

「ふう、やれやれそこまで『管理局』を強調するなら仕方ありませんね」

そう言いながら圭介は懐に手を入れ手帳を取り出し、

「本当は何もこんな物見せず、終わらせるつもりだったんですがねぇ」

開き個々に見せた。

「改めて自己紹介を。私は『日本政府直属組織』・超常現象対策局・情報課行動部・宮治圭介、で。今回この惑星にある日本に降ってきた異物、正式名称『ジュエルシード』の対処をする為ここに来ています」

「なっ!?」

クロノが驚くなかなのはは首をかしげた。

「えっとつまりどういうことですか?」

「まあ、簡単に言えば今回の件を解決するために来た日本のお巡りさんって所かな」

「お巡りさん・・・」

それぞれが驚き圭介を見るなか、圭介はクロノに改めて顔を向けた。

「さて、改めて問いましょう。貴方は『何処の』『どなた』ですか?」

「日本政府、か。対面したならしょうがない。先ほども言ったがアースラ所属・時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ」

「そうですか。では貴方は『何処』の組織のもので?」

「だから時空管理局だと言っているだろう」

「私もこの国に生まれて長いですがあいにく、時空管理局等と言う組織は聞いたことも見たこともありませんねぇ。改めて聞くが一体何処の組織のものだ?日本政府には『管理局』等と言う組織はなく、日本国は国内にて海外の組織の活動を基本的には認めてない、が、あくまでも基本的にであり例外もある。では、超常現象対策局の者として求めます。自称クロノ・ハラオウン、貴方の身分証明書を提示しなさい」

辺りに緊張感が漂う中、クロノはデバイスから映像を投影する。

「これが、第一世界ミッドチルダ時空管理局の照合紋だ」

圭介はまじまじと空中に投影された映像を見て首を傾げる。

「ふーん?見た事は無いですね。それで、皆さんの中でこれを見たことがある人、挙手してもらっていいですか?」

突然話を振られたなのは達は戸惑いながら、唯一ユーノだけが手?を上げた。

「ユーノさんだけですね。少なくとも我々の中ではただ一人だけが知っている、と。まあ、結論からして信憑性はゼロ、と言う事で」

「な、なに!そんなはずがないだろう、少なくともそこの彼女たちは管理局を知っているはずだ!」

「うーん、そうですねぇ、フェイトさんは聞いた事はあるけど見たことが無いということでは?」

「え、はい。その、聞いた事はありますけど」

「だ、そうですよ?『自称』管理局さん」

「くっ、だが、それが何と関係があるんだ!」

それを聞いた圭介は目を細めにっこりと笑いながら答える。

「関係があるに決まっているでしょう?先ほどもいいましたがこの世界には管理局などと言う組織は無く、ミッドチルダと言う国はない」

「それは「それと、もし私が管理局とやらの許可なくミッドチルダに渡ったらどうなりますか?」・・・不法入国により審査の上場合によっては逮捕だ」

「そうですね、そしてそれはこの国にも当てはまるんですよ?『不法入国者』の罪で『犯罪者』であるクロノ・ハラオウン」

「っ!」

「それと、あなたさっきなのはさんたち未成年者を自分の領域に連れ込もうとしましたね?それも未成年者誘拐未遂の罪で犯罪です。ちなみに私は捜査権・逮捕権を持っていますが不当に捜査しようとした貴方は持っているんですか?」

「だ、だが我々は管理局・・・」

「そんな組織は無い!いい加減にしろ犯罪者。だが、現状ではあなたを先ほど言った罪では厳しいので、貴方は先ほどこちらに危険物を向けたと言う事で銃刀法・危険物所持もしくは傷害未遂の罪で逮捕します」

クロノはデバイスを圭介に向け一歩下がった瞬間、いつの間にか後ろにいたタマモに地面に押さえつけられた。

「さて、十四時三十分逮捕、と」

そう言いながら圭介は後ろに回されたクロノの両手に手錠をかけデバイスを取り上げた。

その瞬間

【待ってください!】

空中に画面が現れ女性が映し出される。

圭介は若干気だるげに画面に目を向けた。

「今度は誰です?」

【私は、時空管理局提督で巡行艦アースラの艦長リンディ・ハラオウンと申します】

「また、管理局、ね」

【その、今回は私共の執務官であるクロノ・ハラオウンがご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした】

圭介は目を細め、黙ってリンディイと名乗った女性を見つめた。

【あ、あの】

「で?何のご用ですか?」

【えっと、単刀直入にいってクロノ・ハラオウンを解放してほしいのですが】

「ふっ、出来るわけがないでしょう?それに先ほどの発言からいきさつはすべて見ていたように思えますが?」

【そ、それは】

「現れた直後から、なんの権限もないのに常に上から目線。何を勘違いしてか、自分が正しいと言わんばかりの発言。最初から会話ができるのにもかかわらず監視していて、自分たちの立場が悪くなった直後に最高権限者の登場。挙句の果てには画面越しで、現場には顔も出さず正式な謝罪すらない。ふざけているのですか?」

【・・・】

「ああ、そうそう。この星では基本、少年兵を使う組織は絶対に信用されないので悪しからず」

その言葉にクロノが反応し

「ぼ、僕は子供じゃない十四歳だ!」

と言うクロノを圭介は一瞥する。

「一緒だ、自身で会社を立ち上げた等の例外を除き、十八歳未満の未成年者は人生経験が少なく交渉時等に正常な判断がなされないとみなされ、高い地位には就けないのが基本であり。当然ながらそれは国営・民営問わず適応される。現に君は現れてから今の今まで判断を誤ってばかりだろう?」

リンディは暫く黙った後、頭を下げた。

【申し訳ありませんでした。今からそちらに出向きたいと思いますがよろしいでしょうか】

「はっきり言って迷惑なので必要ないと言いたいところですがそれでは話が進まないので、一人で来ること。一見して未武装であると解る格好を常識内でしてくる事。少しでも怪しい行為をした場合において直ちに拘束をされることを許諾すると言う事を条件に許可しましょう」

【わかりました】

そう即答したリンディに対しクロノは驚き

「かあさ・艦長!相手に有利過ぎます!」

そう叫ぶがそれに対し圭介は

「今、君には発言出来る立場ではないのを解らないで発言する辺りが、人生経験が無いと言う事なんだよ?」

と言った。

 

 

 

数分後

 

 

 

リンディが圭介たちから少し離れた所で、事前に通告したのちに現れた。

「見たところ特に武装したようには見えないが、許可なくそこから動かないように。それとタマモさん、クロノ・ハラオウンを少し離れたところへ、協力して抵抗されたら厄介ですからね」

タマモがクロノを移動させたのを確認し、なのは達に向き合った。

「さて、まずはこちらの話を終わらせましょうか。まずは高町なのは並びにユーノ・スクライアの両名に言える事は自由にしなさい」

何を言われるのかと身構えていたなのは達は驚いた。

「まず、日本国内において隕石などと言った地球外からの飛来物には第一取得者に所有権が、あー、つまり一番最初に拾った人の物になるんだ。また、どうしてかと言うと現状残念ながらジュエルシードが爆発物みたいな危険物であると言う事が正確に確認されてない以上許可証・命令書が無い状態で無理やり君たちからとると言う事は、犯罪行為になってしまうんだ。そして、地球ひいては日本国には魔法技術と言った物は表向きには存在しない事になっていて君たちを逮捕や連行は出来ない、今の様に簡単に話を聞くのが限度だね、なのはさんフェイトさんのどちらかが今回の一件で障害を受けたと訴えるならまた話は別ですけれど。あと、今回の件が解決してから君のご両親にはもしかしたら連絡がいくかもしれないですね。それと、当たり前だけど無理やり他の人から奪い取るのは禁止だ、いいね?」

説明途中になのはが首を傾げたので解りやすく説明した後、フェイトの方へと向いた。

「続いてフェイト・テスタロッサ並びにアルフ、君たちは不法入国と言う疑いがあるがクロノ・ハラオウンに先程言ったようにそれに対して現状罪には問えないので不問、今君たちが持っているジュエルシードに関しては現状君たちが所持者であるので今は別に構わないのですが、他のジュエルシードについては管理局勢と話が終わった後で詳しく説明しよう」

そう言い終わると、それぞれが不満の声を上げない事を確認したのちリンディに向き直った。

「さて、四人を待たせているので部外者との話はさっさと終わりにさせてもらおう。まず、簡単な自己紹介と日本政府とのつながりを言ってもらおうか」

圭介による今まで受けた事もないぞんざいな扱にリンディは驚いたが、顔に出さずに頭を下げた。

「私は、第一管理世界ミッドチルダ出身時空管理局提督で巡行艦アースラの艦長リンディ・ハラオウンと申します。まずは、我々の何も権限のない世界において横柄な態度をとったのを管理局を代表して正式に謝罪します。申し訳ありませんでした。続いて日本政府とのつながりですが現在、我々時空管理局としては技術レベルの差から時期尚早と見なしており地球の各政府との接触はしておりません」

圭介はうなずき

「それで、今回はどうして地球・日本国へ」

と促した。

「はい。今回我々時空管理局はジュエルシードが運搬中に事故により拡散し、次元振の発生を確認。エネルギーの逆探知により地球・日本国へと落下したとの予測をしやってまいりました」

「それで、我々に対してあなた方はは何を望むので」

「はい。ロストロギア・ジュエルシードは大変な危険物なので捜査権とクロノ・ハラオウンの解放を願います」

思わず圭介はリンディの言葉に鼻で笑い

「こちらとしては、あなた方は傷害を起こす危険物を平気で人に向ける危険人物と認定しており、両方とも聞けませんな」

突っぱねた。

圭介の態度にリンディイは慌て

「デ、デバイスには非殺傷設定と言う物があり絶対に安全で決して人に危害を加える物ではありません」

そう述べたが圭介は

「では、その殺傷設定・非殺傷設定とやらはデバイスの外見から我々はどう、見分ければいいので?」

そう問いかけた。

その問いにリンディは押し黙った。何故なら非殺傷設定は管理『内』世界では常識であり、デバイス外見から見分ける方法などなく不可能だからだ。

黙ったリンディに対し圭介はさらに畳みかける。

「それに決して危害を加えるものではないと言いますが、このクロノ・ハラオウンが所持したデバイスを一時返却するのでこちらが指定したターゲットに当ててみてください」

「っ!ターゲットと言うのは」

「そこからも見えるでしょう?今下の道路で暴走族がバイクに乗り猛スピードで走っています。誰か一人にその決して危害を与えない魔法技術とやらで攻撃したのちその後の関係者が無傷ならばそれを認めましょう」

そう言って圭介はリンディに対しデバイスを放り投げた。

だが、デバイスを受け取ったリンディは困惑することしかできなかった。

何故なら非殺傷設定とは言えダメージがあり、バイクに乗って猛スピードで走っている以上普段からダメージを負いなれている人ならともかく、この星の一般人では最低でも転倒しけがを負う事は必須だからだ。

「さあ、どうしたんですか?ちなみに、あの暴走族に対し何もせず視界に移らなくなった場合、その武器は人に対し危害を加えられる武器だと認めたと判断しますよ?」

そして、リンディはデバイスを向けることは出来ても攻撃は出来なかった。

「さて、当たり前ですが持てる物で危害を加えられない物などこの世にはありませんな。極論を言えば小さな小石でもやり方によっては人を殺せますし、この世に絶対安全などと言う物はない、そんなこともわからないとは。それとそのデバイスを地面に置き滑らせて返却を」

リンディは押し黙ったまま、デバイスを返却した。

「我々としても極力犯罪組織とは関わり合いになりたくはありません。出来ればそのまま撤退してほしいのですが?」

圭介は暗にクロノを置いたまま撤退しろと言ったが、リンディにはそれは飲めなかった。

「そ、それは。それに我々は犯罪組織ではありません!」

「現状あなた方はわが国で犯罪行為しかしておりませんが、それはどう釈明するので?」

「き、危険物であるジュエルシードの探索を、あなた方では探索するのに時間がかかると愚考いたします」

「ふーん?話が変わったような気がしますがまあいいでしょう」

圭介はぞんざいに返事をし右手で円を作り左手を当てた。

「こちらとしては、占星術でジュエルシードの落下は約四ヵ月ほど前に予測しておりました」

そう言いながら左手を離していくとその間からジュエルシードが十六個つまりなのは・フェイトが所持している物を除いたすべてのジュエルシードが出てきた。

「それで、我々よりも進んだ技術を持つ管理局とやらは何ができるので?」

「なっ!」

その反応をみて、圭介はジュエルシードを戻した。

「未来観測すらも出来ない未熟な組織に頼ることなど何もありませんな。あと私が死亡した場合永久にジュエルシードは取り出せないので悪しからず」

圭介はそう言い切ると、そのままリンディに背を向けた。

「まってください!」

「何ですかな?リンディ・ハラオウン」

「わ、我々はジュエルシードを持ち帰ることを使命とし、クロノ執務官を置いて帰ると言う事はもう一度この世界に来訪しなくてはいけないと言う事です」

「それで?」

「そ、その結果この国の一般人に対して、魔法技術の公開をする可能性があります」

「それは、私、もしくは日本国に対する脅しですかな?」

「い、いいえ。その、双方に対して不利益になるかと」

「ふーん?まあいいでしょう。もし仮に、仮にですよ?日本国に我々の様な組織が無かった場合大規模な災害が発生していた可能性があるのは、まあ、認めましょう。ですが、それだけだ。あなたが派遣した執務官とやらが未熟なせいでここまで事態があなた方にとって問題となったのはわかりますかな?」

「それは、はい。認めます」

「最終的にジュエルシードをそちらに渡せるのは、状況判断にもよりますが三つまでとしクロノ・ハラオウンが所持していたデバイスはこのまま没収、今回の件が解決したのちクロノ・ハラオウンを解放、そのまま撤退してもらいあなた方がこのまま今回の件に関わり合いになるもしくはこの地にとどまるのであれば指揮権は私持ちとします。いいですかな?」

「そっそれは!」

「あとの十九個は手の届かない所に、デバイスはジュエルシードのせいで使用不可能とでも報告しとけばいいのでは?あながち虚偽ではありませんし、この地に来るまで、私が見せるまでジュエルシードの総数がこの星に何個あるのかすら知らなかったのでは?そして最後に関しては信用も信頼も皆無であるあなた方を自由に行動させるわけにはいかない、当然の処置ですよ」

「・・・」

リンディが黙ったのを確認し、圭介は懐から紙を一枚取り出す。

その紙は不思議なことに宙に固定されピクリとも動かなくなり、圭介はそこに何かを書いていった。

「さて、一応書面で残すべく書いておきました。リンディ・ハラオウン、クロノ・ハラオウン両名はここに署名を」

そう言って差し出された文章を見て、リンディは息を詰まらせた。

「あ、あの。何が書いてあるのか読めないのですが」

「まあ、日本語で書いてありますからねぇ別に嫌ならいいのですよ?そのまま撤退してもらっても」

「解りました」

そう言ってリンディ・ハラオウンが署名した後クロノ・ハラオウンにかけられた手錠を開錠、署名した後ユーノ、フェイト両名にその署名が正しいか確認をし、圭介は改めてフェイトと向き合った。

「さて、では、フェイトさん。残念ながら今すぐ残り十七個を渡すことは出来ませんが、貴方のお母さんとの交渉次第では別です。どのような利用方法・それに対して危険が無いか等を確認の上問題が無ければ貸出、もしくは譲渡が可能ですどうしますか?」

「えっと」

「まあ、今すぐ答える必要はありませんが」

圭介の問いにフェイトが戸惑っていると、圭介と管理局とのやり取りを見ていたアルフがフェイトに意見を言い出す。

「フェイト、今すぐ連れてった方がいいよ」

「えっアルフ?」

違和感、何か焦っている?圭介はそんな疑問を持つがアルフの意見は圭介にとって都合がよく

「何でしたら、少し離れて話し合いをしてもらってもいいですよ?」

そう言って一歩下がった。圭介がしばらく待っているとフェイトとアルフの話し合いは終わったらしく、圭介に近寄って来る。

「その、母さんの所へ一緒に来てくれますか」

「いいですよ。もちろん今回は、話し合いをするのが目的であり自身の身を守る以外の敵対行動をしないと約束しましょう」

「はい、お願いします」

そう言ってフェイトは頭を下げた。

着替えなどの準備があるとフェイトは一人マンションへと向かい、アルフを残したがフェイトが去った後アルフが圭介に視線を向かる。

「それでアルフさん?話は何ですか?」

アルフは圭介の問いに驚いた。

「何で話があるってわかるんだい?」

「私は今すぐでなくても良いと言いましたがそれをあなたは拒否しました、今現状この状態の方があなたにもしくはフェイトさんにとって都合が良いのでしょう」

「そうだね、あんたは管理局とは無関係だ。だが、わたしやフェイトは管理局の法律を破ってこっちで活動しているそれについてはどう思うんだい?」

「先ほども言いましたが日本国には管理局と言う組織は存在しません。また、管理局の法と言うのもございません。もし仮にこちらにいる自称・管理局の方があなた方を連行しようとする場合は、日本国憲法にのっとり日本国内にいる犯罪者を自国に引き取りたいのであれば、日本政府に許可を取っていただかないといけない事になります」

リンディ・クロノが顔をしかめているが、圭介はまるで視界に入ってないように見解を言っていく。

「そして、我々は魔法行使を罪とは認めてはいません。よほどのこちら側のメリットが無ければそれに対して許可は下りなく、私の立場は発言権と言う意味ではそこそこ上位になりますので早々許可は下りないでしょう」

「そうかい。あんたはフェイトの味方と思っていいのかい?」

「残念ながら断定は立場上ちょっと、今後の展開次第ですが、まあ敵対することは少ないと思います」

「まあ、それでいいさ。フェイトの事頼んだよ」

そう言いながらアルフは頭を下げた。

その行動にアルフはこれ以上何かを言うつもりはないと判断した圭、介はこれから向かう先に何かがある、そうは思うが情報が何もないと言う若干厄介な状況に圭介はうなずくしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

数分後

 

 

 

 

 

 

 

フェイトが戻り準備が出来たとのことで圭介は周囲にいる今回の関係者に問いかけた。

「さて、私はこれからフェイトさんのお母さんの所に向かいますが、付いてこられる方はいらっしゃいますか?」

「私も行きます」

「私たちも付いて行きます」

なのはとリンディが付いて行く意思を表明する。

「フェイトさんの許可次第と言う前提がありますが、なのはさんはまだ未成年ですので親御さんの許可を取ってください。あと、リンディ・ハラオウン、クロノ・ハラオウンの両者は絶対に私の指示に従う事。いいですね」

少し離れたところでなのはが両親に携帯で確認を取っている間に、圭介はフェイトに話しかける。

「先に話を進めてしまって申し訳ないんですが、なのはさんは別にして管理局の皆さんは連れていきますか?私個人としては連れて行った方がいいと思いますが」

「えっと、何故ですか?」

「後々目の届かない所で接触されたら私がフォロー出来ないからです」

「えっと」

フェイトはどうしたらいいかわからずアルフを見る。

「フェイト連れて行こう」

「わかった。圭介さんお願いします」

「はい、お願いされました」

フェイトと圭介が話し終わったころなのはの方も許可が下りたらしく、嬉しそうに近寄って来る。

フェイトが転移魔法を展開し、時の庭園へと移動する。

それぞれが周囲を確認しフェイトを先頭に前へと進みだす。

 

暫く進むと遠くから、何か重い足音の様な物が聞こえて来る。

「フェイトさんこの音は?」

「傀儡兵の歩く音だと思いますけど」

その足音は近づきながら数が増えているように聞こえて来る。

「・・・フェイトさん、普段からこの数が?」

「いえ、そんな事は無いと思いますけど」

圭介はタマモに視線を向ける。

「だいたい、50くらいだと思う」

「少し多いいですね、フェイトさん広場はありますか?」

その言葉に一同は驚き、タマモ・圭介に視線を向ける。

「えっと、少し進んだところにありますけど・・・」

圭介はうなずき、視線を前へとむける。

「ちょっと待ってくれ、それほどの数がこちらへと来ているようには聞こえないんだが」

「はあ、クロノ・ハラオウン。この場の指揮権は誰が持っているのかな?」

「え、それは・・・」

「私は君に意見を求めてはいない、黙っていなさい」

俯いたクロノにもう用はないと言わんばかりに視線を外し、フェイトに案内を頼み歩き出した。

広場に出て、一体二体と傀儡兵が姿を現すのを確認したのち、先頭にいたフェイトの前に圭介が出る。

「こちらに近寄ってきますね、フェイトさんあれが何をするか解りますか?」

「えっと、ちょっと解らないです」

フェイトの返答を聞いたのち圭介は前へ出て、両手を上げ呼びかける。

「私は日本政府の者です。こちらに敵対意思はありません、話は聞いてもらえますか?」

傀儡兵達は問いに何も答えず進んでくるが、圭介とタマモは一瞬だが傀儡兵が止まったのを見逃さなかった。

脈ありと圭介は推測し、ジュエルシードを取り出し傀儡兵に見せる。

「私は争いに来たのではなく交渉に来たのです。利用目的によっては貸出、譲渡を考えております。どうか話を聞いていただけませんか?」

そう言うと傀儡兵は完全に止まり、道を開けた。

戦闘をこの場で行うと言う事はジュエルシードを危険にさらす事であり、フェイトの母親の目的として一致していないからだ。

 

 

傀儡兵達に見送られしばらく歩くと、フェイトの母親が座りながら出迎える。

「ようこそ、時の庭園へ」

まるでラスボスだな、と思わずつぶやきそうになった圭介は最初にフェイトに出会った時から持っていた違和感を強めていく。

「急な訪問を失礼いたします。私は日本政府直属組織・超常現象対策局・情報課行動部・宮治圭介と申します。今回ジュエルシードについての相談に参りました。右に控えているのは私の同僚に当たるタマモと申します。」

タマモが頭を下げ、圭介はナノハ達に視線を向ける。

「彼女たちは今回ジュエルシードの回収に回っていた別グループの2名で・・・ほら、自己紹介」

なのはは慌てて頭を下げ、

「私立聖祥大附属小学校3年生、高町なのはと言います」

「ユーノ・スクライアです」

「・・・」

圭介・タマモから見てフェイトの母親は若干動揺を起こし、返答もなく時空管理局組へと視線を向ける。

「彼らは今回の件に関して無関係に近い立場にありますが・・・君たち、自己紹介を」

「時空管理局提督・巡行艦アースラ艦長リンディ・ハラオウンと申します」

「同じく、アースラ所属・時空管理局執務官クロノ・ハラオウンと申します」

フェイトの母親は『時空管理局』と言う名前に若干の動揺を起こす。

「失礼ながら、貴方様の名前をお聞きしても?」

「・・・プレシア・テスタロッサよ」

自己紹介と共に立ち上がり何かを考えている様子のプレシア・テスタロッサに、圭介は視線での問いかけを行った。

「・・・時空管理局、時空間管理局、ね。ふぅんフェイト私を裏切ったのね」

「え?」

「な、何でそうなるんだい」

 

 

 

フェイト達が動揺している中、圭介は一歩前に出た。

「あの~お話をよろしいでしょうか?」

プレシアは圭介を睨み付ける。

「あ、あなたは・・・」

「日本政府の宮治圭介と申します」

「・・・関係ない者が口を挟まないで」

「その、申し訳ないのですが、フェイトさんが活動していたのは日本でして、無関係で終わらすわけにはいかないのですよ」

プレシアリンディとクロノに目をやる。

「時空管理局は・・・」

「今回の件についての時空管理局ですが、我々が解決のためにフェイト・テスタロッサ、アルフ、高町なのは、ユーノ・スクライアの四名と渡りを付け、話し合いの場を設けたところに突如乱入。結果、不法入国者又は危険物所持者による犯罪者、もしくはこう留予定者となっておりますが、我々としても犯罪組織とのつながり等極力持ちたくなく妥協の案としてジュエルシード全21個中3個を事件解決後に譲渡する予定となっております。現在、時空管理局は日本政府直属である私、宮治圭介の監視下・指揮下にあり、今回の件に関して何の発言権・権利はございません」

そう言い切った圭介はリンディイに振り返ると、

「そうですね?第一管理世界ミッドチルダ出身時空管理局提督・巡行艦アースラ、艦長リンディ・ハラオウン」

そう尋ねた。

「・・・その通りです」

そう返答したリンディは頭を下げた。

 

「さて、私としては何故あなたがジュエルシードを求めたのかを知りたいのですが?」

「・・・」

「プレシア・テスタロッサさん、お答えしてほしいのですが」

プレシアはリンディに目線を向けたのち、圭介の目を見た後口を開いた。

「私の目的は、ジュエルシードを利用し次元断層による虚数空間を作り出しアルハザードに行くこと」

思わず首をひねる圭介が口を開く前に、クロノが一歩前に出る。

「ば、バカな!アルハザードなどない!第一周囲の次元世界にどれほどの被害が起こるかわかっているのか!」

その言葉を聞き圭介はクロノを思わず見、言葉を発した。

 

 

「・・・だまれ、クロノ・ハラオウン。先ほども言ったが貴様に口を開く権限も権利もない!」

 

 

「なっ!あなたは何を言っているのかわかっているのか!」

「ああもちろん。無知でバカな輩が何やら勘違いして言葉を発していると言う事実を理解しているが?」

圭介の言葉にクロノはひるみ一歩下がると、リンディイがクロノの代わり意見を言い出す。

「もはや、あなた方日本政府では手に負える事態を超えています。黙っていなさい!」

その言葉を聞き、圭介は黙った。

それを見たリンディはプレシアを睨み付けるが、圭介は自身の懐から一枚の紙を取り出す。

その紙はリンディ・クロノが署名した紙だった、リンディは視界内にそれを確認したが構わずプレシアを見た。

圭介はその紙を掲げ右手で印を組み一言言った。

『宮治圭介が書にのっとりリンディ・ハラオウン並びにクロノ・ハラオウンに命ず、我が命があらぬ限り黙り動くな』

その言葉と共に、リンディ・クロノはぴたりと、まるで彫像のように固まり、きょろきょと目だけが動いていた。

「【世の理】もろくに知らぬ馬鹿者が、黙っていろ」

その声は低く冷たかった。

 

 

 

 

 




基本的に私は読み手側なんですが、以前からこういうのが読みたいな~と探していたのですが、何故か見つからないので自分で書くことにしました。
ぶっちゃけ自己満足小説です。

よくオリ主が無印で「リンディ・ハラオウン!なぜおまえはなのはをなんだかんだで自営側に誘っているんだ!」と言っているのに多いに疑問を持っていました。

それを言うならもっと前から突っ込め!と

管理局側が言っている事の極論を言うと
日本に不法入国した海外の警察が日本の民間人に対していきなり
「その行為はわが国では違法だ!逆らうなら我が国へ強制連行だ(不正出国で)」
って言っているのとほぼ同じ何ですよね。

だけど、どんなに探しても見つからない。
見つかってもちらっと出てるだけ。
と、言う訳で書きました。

ちなみに管理局が嫌いなわけではありません。
本当はサイヤ人のほうでこの内容を入れようと思ったのですが、途中であるスレを見てサイヤ人の方では都合が悪いと言う事に気が付いて変更しました。

書きたいことを書いていったらたった一行で済むような事が2万時近くに、しかもこれでも穴だらけ。
今作品の突っ込みどころはスルーでお願いしますwww


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2

あっと気が付いたら、まだ手を入れるつもりだった1話目が投稿されていた。
本当は3つぐらいに分けて投稿するつもりだったのにwww

まあ、いっか!

と言う訳でりりなのについて言いたいことを言う為の2話目です。


彫像、又はマネキン。

そんな言葉が圭介・タマモ以外の皆の脳裏に思う浮かぶ。

プレシアは震えた声で圭介に尋ねた。

「そ、その二人に何をしたの」

圭介は固まったままの二人を一瞥した後プレシアの問いに答える。

「我が国の古より伝わる秘術、と言うやつです。ご安心くださいこれは特殊な紙に特殊なインクにて自身の手で自身の名を署名しない限り効果は発揮しませんし、現在二人は私の命により【喋ること・動くこと】を禁じているだけですので」

プレシアは、二人の状態を正確に理解し思わず喉を鳴らした。

圭介は二つの行動を禁じたと言ったが、それ以上のことは出来ないとは言っていない。

つまりやろうと思えば、それ以上の事をいくらでも強制出来る可能性があり、圭介は事実上リンディ・ハラオウン、クロノ・ハラオウンの命を握っていると言う事。

圭介はプレシアに質問をする。

「プレシアさんあなたはアルハザードに行くと仰いましたが、その、それは目的ではなく目的を叶えるための手段ですね?改めて目的をお聞きたいのですが」

「・・・それは、アリシアをよみがえらすためよ」

圭介は黙って続きを促す。

「昔、事故があったのその時に私の最愛の『一人娘』であるアリシアが死んでしまったの」

プレシアの後ろの床からカプセルが出て来る、その中にはフェイトよりも一回り幼いアリシアと思われる少女が入っていた。

「私はアリシアを蘇らすためアルハザードに行って、失われた時を取り戻すのよ。誰にも、そう、誰にも邪魔はさせないわ」

アリシアを見たフェイトは思わずよろめく。

「え・・・私?」

プレシアは、呆然とするフェイトを見る。

 

「昔、私がまだ研究員だったころ事故があったの。その事故は凄まじく私の最愛の一人娘であるアリシアが犠牲になってしまったわ」

フェイトはプレシアを見ながら、顔を青ざめさせていく。

「私はこの子を蘇らせる為に何でもやったわ、その研究途中である開発コードを見つけるの。その名は『プロジェクトF.A.T.E』クローン技術とクローンに対しての記憶転写技術・・・」

「ッ!」

フェイトがビクリと体を震わせる。

「ふふ、せっかくアリシアの記憶をあげたのにそっくりなのは見た目だけ。役たたずでちっとも使えない、私のお人形」

重くなる空気の中でフェイトが口を開く。

「そ、それが」 

「そう、そうよその通りあなたよ、フェイト」

プレシアが言葉をつなぐ

「結局は、上手く行かなかった。作り物の命は所詮作り物・・・あなたはアリシアとは違ったわ」

フェイトは無意識に涙を流し

「やめて」

と、つぶやく。

「ふふ、私のかわいいアリシア」

アリシアの眠るカプセルを撫で、プレシアは言葉を続ける。

「フェイト、貴方はアリシアの偽物。せっかくあげたアリシアの記憶も貴方ではダメだった」

フェイトは耳を塞ぎ取り乱し叫ぶ。

「やめて、やめてよ!」

だがプレシアは止まらない。

「アリシアを蘇らせるまでの間に私が慰みに使用するだけのお人形。だから貴方は、もういらない。どこえなりとも消えなさい!」

 

 

 

その言葉と共にフェイトは崩れ落ちた。

 

 

 

「フェイト!」

アルフが駆け寄り抱きしめ呼びかけるが、まるで精神を喪失したように、目を見開いたままピクリともしなかった。

「こ、この鬼婆!」

アルフが吼えるが、プレシアはアルフに視線すら向けず圭介に言葉を投げかける。

「さあ、私の大事なアリシアを蘇らせるために、アルハザードへ行くために・・・ジュエルシードをよこせ!」

ユーノ、そしてなのはがデバイスを構え憎しみすら込めてプレシアを睨み付ける。

圭介は、黙り一歩進み出た。

 

 

 

 

 

「えっと、その、私は芝居を見に来たのではないのですが」

 

 

 

 

 

「・・・は?」

 

 

誰かが、いや、圭介・タマモ・アリシア以外の全員が(一部心の)声を発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「し、芝居?何言ってんだい!あんた!」

アルフは怒鳴るが、圭介は困った顔をして頬を掻く。

「あのですね?私は『日本政府』の者なのですよ?プレシアさん」

困惑し圭介を見るプレシア。

「えっと、貴方にはまだ仰ってなかったのですが日本には、占星術と言う特殊な術がありましてね?ジュエルシードの落下を約四ヵ月前に予測していたんですよ」

そう言いながら圭介は紙を取り出す。

『宮治圭介が書にのっとりリンディ・ハラオウンに命ず、我が質問に応えよ』

「リンディ・ハラオウンもし仮にこの事件が管理局によって解決され、フェイト・テスタロッサが保護されたらどうなりますか?」

リンディは指一本動かせないまま、自分の意思とは関係なく口が動き出す。

「裁判にかけられますが、恐らく責任能力無しとされ管理局に従事することで減刑処分とし一定期間の保護観察処分になると思われます」

「子供を働かせるとは」

そうつぶやいた後、圭介はプレシアを見る。

「普通に考えれば、管理局側の方が戦力・人員は多くあなたは不利な状況になりますね」

プレシアが何も言わないのを見た後、圭介がしゃべりだす。

「なのはさんフェイトさんがそれぞれ2個持っていますがね、正直な所こちらで全部確保しようと思えばできたんですよ。だけどしなかったのは正体不明の勢力が動いている以上、はいそうですかといきなり接触すわけにはいかないんですよ。そしてしばらくの間情報収集にあたってたわけです」

なのは達がその話に驚いている中、圭介は話を続ける。

「情報収集の結果高町なのはさんの住所・家族構成、地球外生命体と思われる存在が動物病院に運び込まれたこと、そして『フェイト・テスタロッサ』の住居等が判明した後接触したわけです」

プレシアが困惑したまま、圭介に声をかける。

「そ、それが何だと言うのよ」

「不思議ですねぇ、何故か日本にフェイト・テスタロッサと言う名の子供の戸籍に住所があり、銀行に十分に資金があり、保護者がプレシア・テスタロッサと登録されている。もちろんフェイト・テスタロッサなどと言う名の子供が地球上に確認されたのはつい最近のはずなのに、出生届までされてある」

「っ!」

プレシアが息をのむが、圭介は構わず話を続ける

「もし仮に私が嫌いな相手に命令するなら、住処と資金は自分で調達しろと言いますけどねぇ。所でフェイトさん。それらを調達したのは誰ですか?」

そう言いつつフェイトを見ると、フェイトは目に光を取り戻しプレシアを見ていた。

「母さん」

「わ、私を母と呼ばないで!それに、住所を揃えたのもそれの方が効率がいいからよ!」

うろたえ叫ぶプレシアに、圭介は追い打ちをかけていく。

「周囲にいくらでも住むところがあるのに随分といい所を選んだようで、もっと隠れ家に向いている所があったでしょうに。ハッキングの痕跡は見られなかったようですがどうやって日本の通貨である円を手に入れたので?苦労したでしょうに」

「そ、それは」

圭介は書類を取り出し、パラパラとめくっていく。

「そうそう、日本ではガスを通すのに立ち合いが必要なんですがプレシアさん、貴方が立ち合いに立っているのがばっちり監視カメラに写っていましたよ。まあ、フェイトさんでは立ち合う訳には行きませんからねぇ」

そう言いつつ書類の中から写真を一枚取り出しプレシア・フェイトにそれぞれ見せていく。

「それで?私が芝居と言ったことへの反論は?」

何も言わず俯いたプレシアしフェイトが近寄っていくのに対し、圭介は距離を取っていく。

「その、いつから変だと思っていたんだい?」

アルフが尋ねると圭介は苦笑しつつ。

「最初からですよ」

と答えた。

 




と言う訳で

フェイトは一体どこにどうやって住んでいるんだ!

と言う突っ込みです。


仮に、私が大嫌いで隠密性に優れた武器を持っているフェイトに命令するなら、
「住処は自分でどうにかしろ、資金・生活物資は他者から奪いかつ迅速にジュエルシードを集めろ」
ついでに
「管理局に捕まった?フェイト私はあなたが大好きよ。だから殺傷設定で周囲にいる奴らを攻撃して時間を稼ぎなさい?」
とかってなりますよね?
わざわざ犯罪者である自分から数少ない戦力を手放し、敵対組織に保護させるとか。
突っ込みどころが多いいなぁと思っていました。

一応言っておくと、アニメが嫌いな訳ではありませんし、創作物である以上ご都合主義は仕方がないと思っております。


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