存在は核級、実際は癒し枠 (wiguza)
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1:経緯

頭空っぽにしてどうぞ
何か書きたかったんだ。許せ。







「らー!」

 

「……お、おう」

 

  いきなりなんだとかの質問はそれぞれ自粛してもらいたいが、今の状況を私が一番分かっていないので正直質問しないで欲しい。

 てか質問しないで。マジで。

 

 時は1時間くらい前(だったと思う)に遡ってみるのよ。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「いやーティアマトは強敵でしたね……」

 

「NKT……」

 

「エレちゃんの加護強すぎてワロタ。システム無しでもゴリ押せるってなんなん。あとファムファタールたんはエロい」

 

 時はそう、なんか徳あがったAUOとか糞みたいな性格のキングメーカーなんだけど性能高い! 悔しい! でも使っちゃう! むしろ酷使してやれ! と言わんばかりに使われる花の魔術師とかが出てくる「絶対魔獣戦線バビロニア」

 

 実際の所ティアマト戦よりも道中の大量のラフム君だったり、泥強化されて無限ぽんぽこする戦いの方が面倒だったんじゃ無いかと言われる、あのバビロニアだ。そこらへんの話は人理修復するとか言ってたカルデアなる者たちからある程度聞き及んでいた。

 

 聞き及んでいたと言う言い方をしていることからある程度察した人もいるかもしれないが、私はこの時代の人間だ。しかし転生者でもある。いわゆる無職転生に近い。千里眼と言うほどでは無いが、周りを見る目……詰まる所客観的に見るのが得意だと自負している。

 

 何者かによって特異点? だか何だかにされ、最終的に修復されたら「多分こんな感じでいいんじゃない?」って感じで世界の修正力によって戻される世界であるのだろう。知らんけど。

 

 正直今考えると特異点もロストベルトもあんま変わらなそう。しっかりとした考えなら別って言えるだろうけど、結果だけ見ると両方とも大差なくない? まぁロストベルトは完全に無かった物になるし、そっちの方が酷いんだろうけど。

 

 とまあそこらへんの私の解釈は別としてだよ。問題はここの事が解決された後なのよ。だって解決されたし私もう用無しじゃない?

 

 その戦いでみんなが加護もらってボッコしてたティアマトちゃんだけども。なんか体積めっちゃいっぱいのケイオスタイド? 混沌泥? だかなんだか出してたやん? ティアマトがちょうど倒された頃ね。私の頭…正確に言えば髪の毛かな。

 

 

 被っちゃったんだ。その泥。

 

 

 いやーもうダメかと思ったよね。ティアマトと戦ってるカルデアの誰だったかを遠くから見てたらザパァーンとね。もう波のようにね。飲み込まれたぁーと思ったら被った所で止まったんですよ。泥。

 

 訳わかめですよね。てか被ったら細胞レベルで変体すんじゃ無かったっけ。タッチの差でセーフ? むしろカルデアの召喚システムとかも結構何でもありのガバガバだからノーカン? そんなー。

 

 被ったらなんか髪の色がなんか銀色っぽいというか、艶のある感じというか。まぁ簡単に言えばファムファタールに近い髪の毛になった。ただロングにはなってないぞ。ほんとだぞ。私変なところで嘘つかない。

 

 まぁ被っちゃった系男子になった訳だけど。カルデアがいい感じに締めてさー帰るぞーってなるやん。修正力うんぬんで記憶とか操作されるはずやん。

 

 なんかカルデアの者がいた時のあの血生臭い戦いの記憶とか泥の感じとか。

 

 

 全部覚えてるのよね。

 

 

 うん。可笑しいわ。どうなんだろうね。若干ティアマト入っちゃって世界が手をつけられなくなった? わからん。

 

 でも私自身非力だし、そこまで重要視されてないのかな?こうなってから1年くらい過ごしたが、抑止力? 代行者? 的なのとは合間見えておりませぬ。

 

 まぁギリ生きてたというか、ギャグ路線のために急所外してた賢王からはちょっち睨まれてジゴワットの国外の監視塔に異動くらってひっそりと一人暮らしなう。楽でいいね。やることいっぱいだけど。

 

 そんなこんなで私は急にある事を思い出したのだ。

 

 カルデア名乗る一行は賢王から一件家をもらって過ごしてた。去ったあとその家を拝見したら何やら見慣れぬサークルがあったのね。なんか賢王が召喚どうこう言ってたけどこれのことかな? と勝手に納得してたのよ。

 

 監視塔でクッソ暇だったからその召喚サークル? 的なものをマネっこして遊ぼうと言う結論に至った訳さ。娯楽少ないからね。なんでも遊びにしようね。

 

 ん? 今何でもって(ry

 

 でもサークルとかよぐわがんねぇので、適当に円を描いて、間に文字入れる。文字はよーわからんけどこっちの言葉で「あなたと共に世界の行く末を見守りたい」って書いた。クサいね。野獣かな?

 

 そこで触媒をどうしようかと。年代物のツボとかそんな良さげなものはココには無い。泥と土と炭とまぁギリ送られてくる食材くらい。ってか食材だけでも送ってくれる賢王まじ賢王。

 

 そこで思いついた「髪の毛」なんか呪いとか儀式の触媒にもされそうな髪の毛さん。まぁあっても無くてもいいんじゃね? と思ったけど気持ちだよ。こう言うのは。

 

 そんなこんなでできたサークル。特に世界を救うとか願望はないので適当に言の葉を紡ぐ。

 

 

 「今! 私はとても暇だ! 私がこれをやった事で! 私がどんな結末になろうと構わない! 私の暇を満たせる何かを! 私に寄越せぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 ……………………………………………

 

 

 

 

 

 

 何も起きなかった。それもそうである。正確なサークルでもない。正確な言の葉でもない。どこかで縁を結んだわけでもない。泥被った髪の毛触媒にしてんのだ。むしろ出てこられても微妙だろう。

 

 だがまぁ少しだが暇を潰せた。次は何をするか…

 

 キィーン

 

「ん?」

 

 なんか変な音が……って!?

 

「サークルが……光ってる……!?」

 

 おぉ! なんだ、あんなテキトーな召喚でいいのか!? もうこうなったら叫ぶしかないじゃないか!

 

「やっぱりガバガバじゃないですかー! ヤダー!」

 

 そんなツッコミを入れている間も魔法陣は回り、光り、何かを形作っていく。そうそれはまるで角のような形を…

 

「……角……?」

 

 おっとぉ、おじさんなんだか嫌な予感がしてきたぞう!(キャラ崩壊)

 

 待ちたまえ。ちょっと。嫌な予感しかしない。

 

 これってあのファムなファタールのあれとか混沌泥海製造機女神が出てきちゃうんじゃないんですか。ビースト顕現とかちょとシャレならんしょ。リアルガチだよ。何やってくれてんだよ。

 

 そうこう言ってる間に光が収束。一つの影がそこには残っていた。

 

「……らー?」

 

「ん? ……ふぁ?」

 

 

 

 

 なんか少女が出てきた

 

 

 

 

 まぁ少女と言っても頭に角が2本、しかも見たことのある2回歪曲したあの角。あの際どい衣装もそのまま。しかし腕? にあったと思う拘束は無い。正直あれだね。ファムファタール形態のティアマトですね。はい。理解してます。ただなんかあの小学生っぽくなってるのはなんでしょう? 分からない? ちょっと首傾げられてもおじさんわかんないなぁ。

 

 正直この子がいるだけなら何とも言わんよ。暇潰せそうだし、いるだけで退屈しなさそうだ。だけどこの子の頭に乗っかってるのは多分やばい代物なんじゃ無いかなぁと。ってかやばいでしょ。ダメでしょう。

 

 

 

 

 何でこの子頭に聖杯乗せてんのさ。

 

 

 

 

 ちょ、おま、暇とは言ったがとんだ爆弾やぞこの子。なんだろ、爆竹で遊びたいって言ったら核爆弾渡されたこの感じ。正直勘弁してほしいんだけど。

 

「らー!」

 

「……お、おう」

 

 ちょっと何だろうな、この子。俺に子供は居なかったんだが、何というか、父性をくすぐるというか。ぶっちゃけ身長が俺の胸あたりまでしか無いし、背が低くなった影響かなんかオリジナルより舌ったらずな感じだし。なんか和む。可愛い。

 

「ら! らー、らー!」

 

「うん? 頭の聖杯? もらっていいのかい? って、そのまま突っ込むなや…!?」

 

 一般人、聖杯を女神(小)からもらう。どういうこっちゃねん。っていうか聖杯私の中に入っちゃったんだが。え、どうしろと。

 

「ら、ら、ら、ららー」

 

「えーっと? 私は君のマスターで? お父さん?」

 

 なんと。私はこんな可愛い娘が出来てしまったのか。(混乱)というか知らぬ間に手の甲に痣のような物が……甲だけじゃなかったわ、指絡めて握る感じに細かく小さい痣がびっしりと出来てる。いや何さこれ。

 

「んー聖杯どう隠すかの問題が解決したし。とりあえず何か起きたら臨機応変にでいいか」

 

「らー! うー!」

 

「おぉ、よしよし」

 

 いやぁ、うん。可愛いわこの子。今も私の膝の上に乗ってるんるんである。ニッコニコである。私の父性が目覚める。とりあえず誰もこないし、ぐーたらしながらこの子に言葉を教えていこう。その気になれば声帯くらいどうにでもなろう。だってこんな可愛くても女神だし。

 

「むにむに」

 

「らぅー」

 

 ほっぺをむにむに。ほんわかほんわか。多分聖杯出たってことはそのうちカルデアの者が来るでしょう。それまではほんわかしよう。もちろん言葉もしっかり話せるようにね。

 

 




書き貯めなど無い。また気が向いたらね。


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2:経過

どうカルデアと絡ませるか悩み。
こんなでも見る人はいるのね。
よければ続きをどうぞ。


「あー、いー、うー、……らー?」

 

「うーの次はえーだなー。おーまで行ければなでなでしてあげよう」

 

「うー! うー! ぇ…ぇえー! ぉ…ぉぉ…ぉおー! らー!」

 

「おー出来たなぁー。おー。偉いぞー」

 

「らぅー♪」

 

 いやぁ和む。何だろうね、とりあえず前世的な物で日本語教えちゃってるけど。そんなこと言ったらカルデアの者が言ってる言葉はどうやって理解してたんだって話だけども。まぁ母音からね。そこ覚えればニポンゴも英語も多分わかるよ。多分きっとメイビー。

 

 それにしてもなんだろうね。この子…いや、娘にこの子呼びはイカンね。ティアちゃんは、この姿だと父性が爆発しそうな可愛い感じなのね。成長した…というか、オリジナルの方はなんかもうクールビューティ的な感じだったと思うんだけど。

 

「まだカ行とかサ行とかあるけど、またあとでいいかぁ。でもラ行はすぐ言えそうよね。らは最初から言えてるし」

 

「らー。うらー。あうー?」

 

 ちょ、あうーって。クッソ可愛い。首かしげて若干見上げながら言ってるのがさらにGOOD。これを素でやってるんだからなぁ。父親キラーでも付くのかな? あっ、その前に人類特攻じゃ無かったっけか。まぁどうでもいいや(思考放棄)

 

「うりうり。顎ドリルじゃー」

 

「らうー♪」

 

 私の股座に座るティアの頭に顎をグリグリする。それに対して嬉しそうに手足をジタバタするティア(小)。

 

 あぁ…尊い。ティアとじゃれあってるだけでなんだろう、心が洗われる感じ。そこまでひどい人生じゃなかった気がするけど、無条件でふんわり、ほんわかするこの感じ。いいわぁ。ここまでのんびりできると聖杯だったり元々のティアと言う存在の核爆弾頭的な意味だったり。どうでもいいよねってなってくる。

 

 正直な話この事は賢王に知らせた方がいいかな? とは思った。でもティアが連れてかれたり、酷いことされるかもって思ったら後回しでいいかなって。

 

 と言うよりは多分賢王知ってると思うんだよね。この世界の事だったら全部見えてるんよって感じあるし。多分だけど分かったとしてもこっちにまで手を回せないんじゃないかな。ティアと契約? 状態のようだし、もしかしたら賢王の千里眼でも私の事を見通せるか怪しいかもだけど。それを理由にこっち来られても面倒だけど。

 

「ティアもねー。お外で遊ばせてあげたいんだけどねー」

 

「らーうー」

 

「そーなのよねー。ここ監視塔と言う名の牢屋みたいなものだしねー」

 

 実は最近ティアちゃんと契約してなんとなーく分かった事。実際私がいる場所ってこの監視塔の中の更に奥、牢獄みたいになっている所なんだけども。

 

 

 

 

 なんか結界張られてるっぽいんだこれ

 

 

 

 

 何でそんなの分かるのかってなぁ。そんなの娘愛が成せる技ってねぇ。いや、ごめんね。娘への愛は結構大真面目で、嘘ついてるわけじゃないんだけど、客観的に見て嘘だわ。ごめんね。

 

 んで話を戻すとだね。最近の私はティアちゃんの一挙手一投足を眺めてほんわかするのが日々の楽しみであるのだけども。私のそばを一定距離離れると、ティアちゃんが嫌そうな顔してぷるぷる震えるのよ。いやぁその姿を見たときに魂が震えそうになったけど、それ以上に心配だったのでいつものように股座に座らせたらね、なんかホッとした顔してたのよ。可愛い。

 

 んでだね。よくよく話を聞く感じだと、ティアちゃん的に良くない空気がこの中に充満してるんだとか。なんか存在否定されてるような、蝕まれるような感触がしていい気分ではないとは姫の談。ウチの姫は可愛いなぁ。(脱線)

 

 私の近くにいるとそれが無くなるから非常に安心なんだとか。どう言う事だいそれは。私の体にはアンチジャミングでも搭載されているのかね。もしくはこれも愛が成せる技か。

 

「あー、うー、るおー!」

 

「…あー、そういえばそうだった。可能性あるねそれ」

 

 そう言えばそうだった。ティアちゃんココに現れるとき、頭に聖杯乗せていらっしゃった。その時から私にパパになって欲しいと思っていたら、聖杯さんが叶えちゃおうするのでは?

 

「うー、うー、あうー」

 

「ウッソだろ、マジかよ。あの聖杯ケイオスタイド漬けしたものなんかい」

 

 

 衝 撃 的 真 実

 

 

 聖杯さんは狂っていらっしゃった。いや、違うか。世界のものとかじゃなくて、完全にティアちゃんの物になっていたでござる。

 

 私の 体は 聖杯と ケイオスタイドで 出来ている。

 

 ちょっと。まだ悪影響とかないけどさ。文字に起こしたらヤベー奴だってマジで。でもティアちゃんが可愛いからなぁ。許してあげちゃおう(麻痺)

 

「うーらー、あえあえうー、うりーおー」

 

「ふんふん。ティアちゃん的には無意識に聖杯さんにパパになって欲しいって思っちゃったのか。それでちょっと狂化入ってる聖杯くんが、私をティアちゃんのパパとして? というより最強のパパとして? 変成させちゃったかもと? いうことかな?」

 

「うー!えうー!」

 

 あえあえうーは可愛い。ノータイムで撫でた私は悪くない。

 

 あっ、ちょっと。話は聞いてたから。物投げないで。叩かないで。

 

 つまりはあれか。世界の父的な存在に変成されちゃってるのか。私。そんで、娘を守れるように、娘ができない事はとりあえず何でもできるし、娘が出来ることも大体できる。尚且つ娘をどんな事があっても護れる、帰る場所になれるように、私の周りには全てをブロックするシールド的なモノがあるんじゃないかと。ティアちゃん的にはそう思うわけね?

 

 そっかー。髪の毛ケイオスタイド被った時点で薄々思ってたけど。

 

 

 

 

 私一般人から逸般人にレベルアップしたのね。

 

 

 

 

 娘の愛故にじゃなくて、娘が私を愛する故にだったのがちょっと悲しいけど、まぁ卵が先か鶏が先かみたいなもんで。どっちにしろ私はティアちゃんを愛するのは変わらんかったでしょうし。今更気にしないよね。ティアちゃん可愛いし。

 

 うーん。そう考えると今の状況が色々分かってきたぞぅ。

 

 聖杯さんが起動して、私に入るまではとても短い時間だった。聖杯さん入ってからそれなりに時間が経っているし、カルデアの者も探知が大変なんじゃないかな。分かんないけど。

 

 賢王も聖杯感じたのも一瞬だったでしょう。それにティアちゃんの存在も私の近くにいれば気配が漏れたりしないでしょう。おそらく私のスキルは、家庭保護『EX』とかでしょう。追加効果でサークル内の子供達の気配遮断とかありそう。ケイオスタイド聖杯くんだもんね。ありえそうね。

 

 っというかケイオスタイド聖杯くんって呼びづらいよね。

 混沌泥聖杯くん… 泥聖杯くんでいいか! うん、一気に親しみと愛らしさが生まれたね。

 

「ふむ、泥聖杯くんのおかげで私は人でありながら、ティアちゃんを守護れる存在になったわけね。」

 

「うー… れうー…」

 

「怒ったかだなんてそんな事ないぞぉ? むしろありがとうと言いたいくらいだよ。私なんかを選んでくれて。可愛いティアちゃんの側にいられるだけで、私は幸せさ。これからもよろしくね。ティアちゃん」

 

「おうー! あうっ!」

 

「おー、可愛いなぁティアちゃん。ナデナデしてやろう」

 

 うん尊い。べらぼうにめんこい。(語彙崩壊)

 

 ほんとウチの娘は可愛いなぁ。ティアちゃん来る前は私も暇すぎて若干狂化入ってると自負していたがね。この子と戯れてるだけでねぇ、浄化されてくようですよ。本当に。

 

 ん? ちょっと待ちたまえよ。よく考えてみたまえ。

 

 私はこの子の…ティアちゃん(小)の父だ。そう、他でもない自分自身がそう願ってココに在る。だがしかしだ。我が娘の見解だとだね、私の存在はティアちゃんの父で在ると同時に、世界の父とも言えるとか言ってなかったっけ?

 

 言ったっけなぁ(すっとぼけ)

 

 言ったよなぁ(確信)

 

 このまま泥聖杯くん(狂)が私の体に馴染んだらどうなるんだろう。全人類が我が子に見えるティアマトさんばりの言い方すれば、全人類が息子、娘に見えるようになるのかな? なにそれ、すっごくほんわかしそう。

 

 ティアちゃんが全人類のママで、私が全人類のパパになると。そういうことか。つまりはティアちゃんの家族計画なのかな? 壮大。でも可愛い。

 

 つまりはあれか。お前が! お父さんに! なるんだよ! って事か。となるとお母さんがティアちゃん?あれぇ?事案かな?

 

 際どい服着た小学生くらいの女の子と夫婦やってる男が今後現れるんですね。(未来形)

 

 んまぁ、最悪別にいいかなぁ。実際こっちきてから暇だったし。一番のイベントであったろうカルデアの者の戦闘も終わってるし。

 

 そのうちカルデアの者がやってきて、聖杯回収だーとか来そうだけど。おそらくその頃には聖杯馴染んじゃってアウトやね多分。一応ティアちゃんの物だけど、多分私の体の大部分が、混沌泥と聖杯くんで出来てるからね。多分取ったら私の日常生活怪しくなるんじゃねレベル。そんな事したらティアちゃんが激おこスティックプンプンドリームして人理漂白まっしぐらなのでは?

 

 やっぱり可愛い核弾頭やティアちゃん。首傾げながら見上げないの。鼻血出ちゃうでしょ。もう。

 

 コンコン

 

「うー?」

 

「おっ、もう一週間か。食料だ。取りに行こう」

 

「えう!」

 

「離れると寂しいもんなー。一緒に行こうなー」

 

「あうー♪」

 

 うん。言わんでも分かるだろうが。可愛いなぁ。

 

 そしてこの監視塔の配給窓から食料が出される。この牢獄? の中は結構な広さがある。それなりに激しい動きをしても支障はない程度には大きい。これも賢王の気配りだろう。囚人、罪人であれ、狭いところに押し込めばストレスが溜まるしね。まぁこの監視塔には私1人だからね。実質独り暮らしみたいなものさ。今は可愛い娘がいるけども。

 

「まぁなんか変体してきてるし、そのうち何も食べなくても生きていけるようになりそうね」

 

「えいー! うっうー!」

 

「おっと。そうね。まだ一応人間だし、健康には気を付けないとね。ティアもちゃんとよく寝て育つんだぞー?」

 

「えいっ! おー!」

 

 …なんだろうね。動きの全てが可愛いよほんと。

 娘に心配されてるようじゃダメだね。体調だけは崩さないようにしよう。

 

 さて、食べたら今日も寝よう。明日は言葉を教え切れるといいなぁ…。

 

 さっ、ティア。今日も一緒に寝よう。

 夜は寒いからね。くっ付いて寝ようか。

 ティアはあったかくて抱きしめてるとすぐ寝れるんだ。

 




書き貯めないのはガチ。
まぁ気力があるうちに。


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3:出現

いいか、深く考えるな。
このSSに出てくる要素はティアちゃんに萌えるための要素だ。
因果とか実際は…とか。考えちゃいけない。
そーいうこともあるよねって流せ。そしてみんなで言うんだ。

ティアちゃん可愛い。 とな。


 目が覚めたら目の前に超絶可愛い女の子がいた。

 

 

 あっ、私の娘だ。

 

 

 私の娘は可愛い。お世辞、贔屓目抜きにしても可愛い。100人中99人の男が振り向くだろう。残り1人はホモでしょ。

 

 ところでだ。彼女が最初出現した時に「際どい服装、尚且つ腕の拘束は解かれている」って言ってた覚えがあるんだけど。

 

 うん。なんか大事な部分だけ隠れてるんだけど、特に胸の部分かな。サラシみたいなっていうか。体操競技のリボンみたいな紐が一本巻いてあるだけなんだよね。

 

 まだティアちゃんは(小)だからね。大丈夫なんだけども。今後のことを考えたら大至急服を着せるべきかなって。抱き枕にしながら思った。

 

 んでだ。私は今から能力の悪用… 言い方が悪いな。有効活用をしようと思ってだね。

 

 私の意思に関係なく、泥聖杯くんのおかげで私は全ての子供達のお悩みを解決できる、文字通りみんなのお父さんだ。(意味不明)

 

 娘がほぼ半裸に近い状態で出歩く事になるなんて可哀想じゃないか。(独断)ここはひとつ使ってない泥聖杯くんの魔力を散らす意味合いも込めて、ティアちゃんの服を「能力」で作ってしまおうという算段である。

 

 とりあえず上着は例のダサTでいいんじゃないかな。あの「人類悪顕現」って書いてあるやつ。ダサTとは言ったけど、個人的にはセンスの塊だと思うんだよね。あれ考えた人は凄いと思う。(語彙力喪失)

 

 というわけで、寝てるところにいきなりやってもビックリして起きるかもだし。起きるまではぎゅーってしておこう。ぎゅー。

 

 

「うりゅぅー…」

 

 

 ……ほーん!なんですかその反応ー!可愛いー!

 待って。やばい。鼻から愛が溢れるから。ちょっと不意打ち過ぎていつも我慢してるのがー!

 

 ふぅ。それなりに一緒に過ごしているはずだが、私の方の可愛さ耐性が全然上がらない件について。むしろ弱体化しているのでは?私お父さんだし、子供には弱いって所で一つ。(謎)

 

 そんなこんなで悶えていたらティアちゃんが起きたので。脱ぎ脱ぎはしないけどお着替えタイムと行こう。

 

 ちょっと私のお父さんサークル(私命名)に入る所まででいいので、ティアちゃんに自然体で立ってもらう。そこからティアちゃんに今の状態から服を着せる感じで、「あの」Tシャツをイメージ。しっかりと思い浮かべる。

 

 多分ここしっかりやらないと最悪服が全部消えるかも。分からんけど。そんなヘマしてはいけない。しっかりとイメージ。サイズもキツすぎずユルすぎず。思い描くは服着たウチの可愛い娘。

 

 そのままティアちゃんに纏わせるように魔力を放出。イメージに必要なだけの魔力は最低限纏わせる。さぁ、あとは手拍子なり指パッチンなりすれば、あら不思議。ウチの可愛い娘が「あの」Tシャツを着ているではありませんか。

 

「あぁ… やっぱりウチのティアちゃんは可愛い…」

 

「あうあう〜、うい〜」

 

「お礼なんていいんだよティアちゃん。むしろ今までそんな格好でいさせてごめんねぇ」

 

「ら!えうー」

 

「それでもありがとうって?お礼が言えるいい子は好きだぞー。わしゃわしゃー」

 

「えうえうー!」

 

 やはりやばい(子煩悩)

 絶対どんな格好でも似合うってハッキリわかる。

 

 色々着せ替え人形にしたい所だけど、初の魔力行使でなんだか体がダルいし重い。これを息するように行うには相当な時間が必要そうだ。これは修行が必要ですかね。泥聖杯くんと混沌泥で出来た私の体だが、私自身が使いこなせるようにならなくては元も子もない。可愛い娘のために、パパ頑張るぞー。

 

 そういえば、ティアちゃん能力の方はどれ程扱えるのでしょうか。気になってきました。ですが!その前に言語でしょう。あかさたな、はまやらわ、ぐらい覚えないとね。そこ覚えれば私と会話してるうちに文章は覚えるでしょう。

 

 さぁ。お勉強の時間だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーー獣少女勉強中ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 約30分後

 

 

「わた……わ……わタし……は……ふぁ……あム? ファーム……ファたーぅ……うーでス!」

 

「おー、凄い凄い。まだつっかえてるけど、もうすぐ自己紹介は出来そうだね。えらいぞー。」

 

「うー! あム! えらイぞー!」

 

「わしゃわしゃー」

 

「うきゃー♪」

 

 可愛い(枕詞)

 まだ文字が連なると発音につっかえが見られるけど、1文字ずつだったら問題なく発声できるし、元々私の言葉を理解できていたから、喋れるようになるのも時間の問題だろう。

 

 もともと「La」だけでみんなにデバフマシマシの歌を歌ってたくらいだし。言葉くらい楽勝でしょう。このまま順調にいけば綺麗な声で喋る娘になるね。わっくわくだよね。踊りも覚えさせたらアイドルに……。いや、みんなに見せるのは嫌かな。お父さん独占欲湧いちゃう。でもティアちゃんがダンス……。アリだな。お前どう?

 

「パパー!」

 

「おーう、なんだー?」

 

「この子! こノ子ってなんテおなまえナのー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラフムがあらわれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちょちょちょちょちょ、待ちなさいってティアちゃん。えっ、ちょまっ、エンカウントが急すぎてお父さん付いていけない。

 

「ティアちゃん? それどっから来たのさ?」

 

「パパのいってル、けいおすたいど? の中? かナ? でたいっていったからだしタ!」

 

 出たいって言ったのか。そして出しちゃったのか。(計算外)

 

 ウチの娘は純粋な娘でした。(逃避)いやちゃうねん。んなこと言ってるばあいじゃねぇ! 今お外は平和になったってわちゃわちゃしてる(してない。みんな記憶ない)はずなのに! この子を1人放つだけで大災害やぞ! 確実に抑止力の代行者名乗る方々がヘー◯ルハウスするぞ! 「ハァイ」

 

『久しぶりの外……だけど……母さん、ちっちゃくなった?』

 

「むー! ちっチャくてもママなんダよ! もう!」

 

「えっ、君喋れるんかい」

 

『おっと、初めまして。名前は……何でしたっけ? まぁ自分の存在も何とも説明し難いモノですが、母ティアマト神の子供の1人です。以後よろしくです』

 

 なんと。この個体喋れるらしい。いや待ってどういうこっちゃねん。

 

「あー、こちらも初めましてだな。私の事はまぁお父さんとでも呼ぶといい」

 

『お父さん……。何となく母さんの状態と状況は泥の中から知ってたので、まぁ分かりました、お父さん』

 

「うん、よろしくね。あと、なんで君はそんなに流暢に喋れるのかね。私の記憶が正しければ、一部個体が片言で喋ってた覚えがあるんだけど」

 

 末端個体なんて文字化けみたいな感じで言ってる事がワケワカメだった気がするし。正直マスター補正やらなんやら掛かってたとしても、ここまでしっかり自分の個を主張できて、しっかり言の葉を紡げる奴がいるとは。

 

『あぁ、私はですね……簡単に言ってしまえば統率個体ってのが早いですかね。私1人で幹部から末端まで私達の大まかな動きの指示をしています』

 

 結構優秀な奴だった。正社員個体か。社畜かな?

 

「パパ! コのこのおなまエはー?」

 

「おー、ティアちゃん。この子はね。ラフムって言うんだよー。強くて耐久力があって、いっぱいいるんだよー」

 

『ははっ。母さんがとても気を許している。ここまで素直な母さんも珍しいね』

 

「まぁその辺はちっちゃくなってる影響もあるんじゃないかな?」

 

 実際私が知ってた彼女より幼く、体に精神が引っ張られているのか、行動も言動も中々に幼いものとなっている。(可愛い)

 

『お父さんの雰囲気が母さんを安心させているのも1つの要因かと思われますね。あぁそれと、私の他個体は今在庫切れですので、あしからず』

 

 むっ、数で攻めるラフム君が本体のみしか居ないのかね。ってか在庫切れって。量産みたいな感じだし感覚的に違和感がない。しかしそれって(必要ないけど)戦力的に問題じゃないかね。まぁ今回ラフム君が出てきた事で、ほかの魔獣達も普通に出せるであろう事が判明した。

 

 言葉に関しての勉強は一段落したし、私含めて今のティアちゃんがどれだけの能力を振るえるのか、本格的に把握する必要がありそうな。それはそれとしてだ。

 

「在庫切れ?ティアちゃんの泥の中にいっぱいいるんじゃないかね? その子らはどうしちゃったんだい」

 

『少し前に大きい方の母さんと、結構派手にわっしょいしまして。最終的にやられちゃったんですけど。末端、幹部含め現在母さんがやられた時に全滅しました。私は母さんの中から指示出しオンリーでしたが、他個体との感覚は共有していたので、全滅した時にブワッと色々集まってショートを起こしてしまい……私だけ残った感じですね』

 

 あぁ、あの魔獣戦線の。あの時彼? 以外は巻き添えで全員オジャンになったのか。感覚共有も状況次第じゃ考えものですね。でも彼がいればまた生み出せそうだし、結果良かったのではと思うけども。ティアちゃんだって子供達がやられちゃったら悲しむだろうし。

 

 うん。死ななきゃ安いとはこの事か。1人でも残ってれば増殖可能とは流石ですね。ラフム君。

 

「うちのコはすごいんだぞー!」

 

『あぁ… 母さんがとても無邪気で可愛いですね… 大きい方の母さんはだいぶ中身が怖いと言うか。人類殺すべし慈悲はないって感じがヒシヒシとしていたので。他の兄弟もいまは中でゆったりしているでしょう。私は外の状況を見るのも兼ねて出てきましたが』

 

 子供達ってなんか私と性格似てないかね。みんなマザコンなんでしょう。神話的にはフツー? 個人的には仲よさそうで大変よろしい。

 

「他の兄弟は大丈夫そうかね。確か種類的には11人だったか?」

 

『えぇそうです。中々お詳しい。まぁ中の状態は外次第でガラリと変わりますから。兄弟は皆お父さんに感謝していますよ。平和な母さんを感じられて』

 

 いやぁ、思った以上に兄弟達が母親思いでお父さん嬉しい。みんな家族だからね。しっかり母さんを支えて愛でなきゃね。……愛でなきゃね!(大事な事)

 

『それでは、他の兄弟と情報共有するので、私は戻ります』

 

「こどもたチにによろシくね!」

 

「おう、お父さんはいつでもお前たちを歓迎するぞ。ただティアちゃん、次回は事前に誰を出すか俺には言ってくれな? お父さんビックリしちゃうから」

 

 他の人の時は許可得なくていいよ。(ニッコリ)そっちの方が面白そうだし。(ゲス顔)

 

 さてと、ティアちゃんは結構全盛期ばりに色々出来そうだとしてだ。

 

 差し当たって私の体+能力がどんなもんかもそろそろ調べておかないとね。できない事はあんまりなさそうだけど、現状把握は大事ね。とりあえずお父さんサークルを広げる方法とかあれば強そうだけど、どんなもんだろうか…。




アニメも3話で視聴を決めるとかどっかで聞いた。

3話を頑張って書いた。

じゃあ1クール(12話)が次の目標かな(遠い目)

待て、しかして希望せよ。

書くとは言ってないぞ?


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4:把握

ぐだぐだ
もうちょいしたら決戦に召喚させて無理矢理ぐだーずに絡ませても良さそう
でもその前にオリ主のメインウェポンがそろそろ欲しい


 

 さて。場所は変わらず監視塔、牢獄内。

 

 最近ですが私は身体変成の影響か、あまり食事が必要ではなくなりました。空腹感が起きませんね。食べても食ってるものが食ってるものなんで、あまり幸福感? も得られません。なんなら食わなくて良いかなって。

 

 そのうち料理とかも出来るようにしていきたいなぁ。クッキングパパ的な。料理できるお父さんは素敵やん? 男で料理できる人って中々いないと思うんだよね。だからオリーブオイルはオリーブオイルしてられるんだね。

 

 

 ところでスキルといえば。

 

 私自身のスキルに関してだが。ティアちゃんが言う私の変成に関しては「お父さんとして結構際限なく色々できる」存在になっている感じ。実際服を魔力で生成はできた。その時もそうだったが、恐らく「お父さんとして」子供に何かやってあげるという目的であれば、「ほぼ」何でも出来るのだと暫定的に考えている。

 

 実際どこまで出来るのかは分からないし、場所が場所なので派手に動けないのがつらみ。でもティアちゃんが可愛いのでセーフ。(謎)

 

 そこで一つ思いつきました。今現在私はティアちゃんのお父さん兼マスターとなっています。つまりティアちゃんは私の娘です。(異論は認めない)そしてティアちゃんが出来ることの1つ。そう混沌泥(ケイオスタイド)である。

 

 娘(ティアちゃん)が混沌泥(ケイオスタイド)出せるんなら、「お父さんとして」私も混沌泥(ケイオスタイド)出せるやろ! というゴリ押し。これが出来るんなら殆ど何でも出来るでしょう。可能性は無限大。私の人間性というか、人間らしさは激減するんですけど、娘の為なら人間性なんて捧げてやるさ。(ダクソ並感)

 

 黒い泥出してるだけで混沌泥(ケイオスタイド)じゃねぇじゃんとか言われてもあれなので、判定人? のラフム君に出てきてもらいました。混沌泥(ケイオスタイド)に実際に入ってもらって、確認してもらいます。

 

 

 

『あはは……お父さんも面白いことを考える。そんな事しようと思うのは今後貴方だけでしょうね』

 

 それは褒めているのかな? 褒めていないな? まぁ言いたい事は分かるが、ティアちゃんのパパである以上、越えるべき壁なんだ。超えてやるさ。

 

 さあ、イメージするは無限に広がる自分自身。自身の中身は混沌泥(ケイオスタイド)と聖杯で出来ている。イケるさ。もう既に自分自身混沌泥(ケイオスタイド)でできているようなものだ。出来ない道理はない。

 

 

 

 ふんぬぅ!

 

 

 

 スゥー……

 

 

 

 

 おぉ……。おぉぉぉーー!

 

 お父さんサークル内を満たす感じで黒い泥が広がっていくぅ!

 

「パパすごーい! それわたしの! わたしがやってるやつー!」

 

『これは……予想以上かもしれませんね……』

 

 自分もビックリ。そしてティアちゃんは可愛い。(定期)

 

 しかしまだ確定したわけではない。もしかしたらなんちゃって混沌泥(ケイオスタイド)かもしれない。ラフム君に鑑定してもらわないと。

 

「というわけでラフム君。ちょっと中を見てきてもらえるかな?」

 

『ふむ、これなら行けるかな……。じゃあちょっと失礼しますね』

 

 と言ってお父さんサークルに入り、泥経由でスルスルと地面の下へ。とりあえず混沌泥(ケイオスタイド)かどうかは別として、彼らが潜れる何かではあるね。

 

 

 

 そして数分後、戻ってきたラフム君。

 

『はい、間違いなくケイオスタイドですね。出した人によって若干雰囲気は異なりますが、中の感じや気配などからケイオスタイドと断定できます』

 

「やったぜ」

 

 

 成し遂げたぜ。

 

 おそらく混沌泥(ケイオスタイド)が出せるレベルならほとんどの事はできるでしょう。(多分)

 

『あっそれと、面白そうなので中に私の分体を1人置いときました』

 

 

 

 

 

 

 ち ょ っ と 待 っ て

 

 

 

 

 

 

 なんかウチのファミリーは私をビックリさせるって言うか、私のあずかり知らぬ所でアグレッシブに動きすぎじゃないかね。それにラフム君、面白そうなのでってちょっと。異物混入じゃないですか。混沌泥(ケイオスタイド)と聖杯だけでもそれなりに闇鍋感あるのに、+ラフム君とか。私の体が色んなもので侵されてるんだが。

 

『お父さんがケイオスタイドを出した事でちょっと思いついたんですが、ケイオスタイドが出来るって事は魔獣創造も可能なのではと。しかし母さんのように1から作って育てるのは少々難しいかと。なので、私の分体置いておけば、お父さんのケイオスタイドに合った子供が出来上がるかもと思い、分体を置かせてもらいました』

 

 

 ……ふむ? つまり……混沌泥(ケイオスタイド)の中にラフム君を入れておく事で、ティアちゃんの11の子供達のような子供達を、私も作れる可能性があるって事かね? そしてそれのサンプルというか……何になるかは私次第だけど、元となる者としてラフム君(分体)を置いてきたってことね。

 

 ……やっぱり私の体を闇鍋として楽しんでないかなラフム君。うーん、でも実際どうなるのか分からないし、面白そうなのは確か。

 

 

「えー! パパにこどもができちゃったら、わたしがパパにあまえられないじゃない! パパはわたしとずーっといっしょなのー!!」

 

『あわわわ、母さん。別に母さんとお父さんを引き剥がしたくてやったわけじゃないんですよ。ちょっと、落ち着いて……』

 

 あらま、ティアちゃんご乱心。(可愛い)ちょっと落ち着かせてあげないとダメかなぁ。と思いつつティアちゃんを膝の上へ。

 

「ふぇ?」

 

「大丈夫ティアちゃん。私は子供が増えたぐらいで、ティアちゃんを蔑ろにしたりするわけないよ。こんな事が出来るのもティアちゃんがいるお陰だし、子供ができても1番はやっぱりティアちゃんだからね。それに、私の子供って事は、ティアちゃんの子供でもあるでしょ? ならその子もちゃんと愛してあげなきゃね。分かった?」

 

「……ぶー。ちゃんとわたしのこともみてよね?」

 

「もちろん」

 

 あぁ……やっぱりウチのティアちゃんは可愛いねぇ。嫉妬しちゃうところもとてもGOOD。

 

 

 今更なんだけど、ティアちゃんと私の関係ってだいぶ(こじ)れている気がするのは私だけかね?だってティアちゃんは私の「娘」であり、「妻」である感じになってきているよ最近。(恐らく私の中での扱いがだんだんおかしくなってきている)

 

 まぁどっちであろうとティアちゃんを愛することに変わりはありましぇん! なので気にしない! というか問題ない!

 

 ラフム君が私の中にラフム君αを置いてきてしまったのだが、実際どんな子になるのだろうか。ティアちゃんみたいに細胞レベルで私の眷属的な感じに? 塩基契約(アミノギアス)したら何のスキルが加わるのか……。パッシブスキルで家族『EX』とか?

 

 

 詳細が全くわからないけど、お父さんサークルの効果をサークル外でも受けられるとかそんなもんかなぁ。スキルの詳細が分からんのもそうだし、お父さんサークルがどこまで色々出来るかも全然把握できてないのよね。効果を検証できないのがね。多分まだカルデアの者とか来ないって事は、サークル内にいればジャミングとか、気配遮断とか、後は家族以外に対する高い耐性を持つシールド的な効果だったり……は考えられそう。(確証はない)

 

 まぁ正直な話、ティアちゃんがちょこっとサークル外に出てた事があったので、時間の問題でしょうな。というか今現在カルデアの者達はどこら辺攻略中? まだあの目玉いっぱいの枝をポコポコしてるのかね? まぁティアちゃん敵側だったし、最終決戦には呼ばれないでしょうね。

 

「ふーむ、別段体に変わった感じはないし、いつかラフム君α(アルファ)がラフムβ(ベータ)になって出てくるのかな? 想像がつかないねぇ。どうなるのかな」

 

「んー、でもでも、パパのこどもーってなると、まっくろじゃないかも?わたしのこどもは、みんなまっくろくろになっちゃうからねー」

 

『それもそうですね。言ってしまえば前例が母さんだけなので、どうなっても不思議じゃないです。完全な変体を遂げるか、元のラフムとしての性能を持ったまま別のスキルを持って出てくるか……』

 

「どんな風になって現れたとしても私達の家族だからね。暖かく迎えてあげようね」

 

「げんきにでてくるんだよー」

 

 ティアちゃん……。(可愛い)

 

 

 でもティアちゃんも中々凄いよね。元々のティアマト神は子供達を産み続けてたら、先に生まれてた子供達が、その後生まれてくる子供達による変化を嫌って、子供達から殺されちゃった女神様だからね……。本当だったら召喚出来た私自身も、彼女にとっては殲滅対象でしかなかったはずなんだけどね……。

 

 でも今のティアちゃんは何て言うかな……。元々彼女が女神の権能として持ってた「産み、育み、愛でる」がちょっと変わって、「育み、愛でつつ、甘える」に変わった感じ? うーん、良く言い表せない。

 

 まぁ簡単に言えば、「産む」概念が弱まって、お父さん(私)に甘える気持ちが強くなった感じって言えば分かるだろうか。恐らくは(小)になった影響で「甘える」気持ちに傾いていったのかな? と推察している。

 

 正直彼女は神話上の創生の女神だから、他者に甘えるって事はした事ないだろうし、出来る相手も居なかっただろうから。今の状態を楽しんでほしいと言う気持ちが大きいかな。私がお父さんとして変成してきている影響もあるのか、父性が溢れる。ウチの娘が可愛くてなぁ。(思考停止)

 

「まぁいつ出てくるか、私自身中の変化が分からないし、気楽に待つよ」

 

『それもそうですね。全盛期の母さんなんか生成速度が凄かったですからね……。さっきも言ったように前例がないので、数日か……、数ヶ月か……。早ければ明日にでも出てくるかも?』

 

「かわいいこだといいねー!」

 

 ティアちゃんの方が可愛い。(多分ラフム君もそう思ってる)

 

 どんな子が出てくるのだろうか……。私の父性が刺激される感じの子なのか、それとも私のような家族が大好きな人が出てくるのか。(ファミパンおじさんは帰ってどうぞ)出てくるまでは保留かな。

 

 

 早めにお父さんサークルの詳細を検証したいけど……。ティアちゃんの子供達に頼むか……ティアちゃんに直接お願いするか……。最終手段……賢王? それは本当の最終だね。何を条件に出されるか分からない。まぁ面白そうだって普通に手伝ってくれそうだけど。

 

 早めに検証の機会を設けたい所だね。




うーん、メインウェポン……
ディソードとか?虚数空間とディラックの海って似てない?
似てないか……
真面目に考える。
次話?……書き貯めはない、イイネ?


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5:外出

ティアちゃんは可愛い(挨拶)

そうか…うちのティアちゃんは元を考えるとオルタとも言えるか…

ん? (小)になってるんだしリリィでもあるのでは…?

ティアマト・オルタ・リリィ?

盛り盛りやね。

感想はニヤニヤしながら読ませてもらってるゾ。こんな小説読んでくれてありがとナス!


 監視塔からおはこんばんにちは。今日もティアちゃんは可愛いぞ。私の娘だからね。当然だよ。

 

 

 さて、突然だが今日は外を見に行こうと思う。

 

 お父さんサークルは、なんか分からんジャミング&気配遮断が搭載されてそうな事は分かっているので、外に行くにしても私の周りから離れなければ(多分)大丈夫。

 

 まぁ検証してないから(多分)が抜けないんだけども……。

 

 あぁ、ティアちゃん何だけど。結構上手に喋れるようになってきました。まだ舌ったらずな感じのところもあるけども。まぁ比べるまでもないけど人間よりもはるかに上達が早いよね。流石はウチのティアちゃん。(子煩悩)

 

「じゃあティアちゃん! お外へ行く時の注意事項ー!」

 

「注意じこー!」

 

『おー』

 

 ここに集うはいつものメンバー。私、ティアちゃん、ラフム君(統)。

 

 ちなみに最近ラフム君はまたティアちゃんの混沌泥の中で静かに増殖中らしい。私的には戦力なんて持ってても目を付けられるだけだから、増やさなくてもって言ったんだけどね。本人が念には念をって聞かなくてね。

 

 まぁ本人がこの関係を壊したくない思いで行動しているだけだし、動機がかわいいから承諾してるけど。どれくらい増やすつもりなのやら。お父さんには分からないです。

 

 

「では注意事項! 1! 私のそばを離れない事! 具体的には1㎞以内には居てください!」

 

「分かりましたー!」

 

『1㎞……ってぇ!?そんなに離れても大丈夫なのか!?』

 

 はい、ラフム君。いいツッコミ&いい質問をありがとう。そう、それは最近のことである。

 

 

 

 

 

 

 

 

「サークル型にするのめんどくさい。対象者指定で纏わせる感じにできないのか」

 

 そう。私はふとそう思った。試しに隣に寝ていたティアちゃんを対象にお父さんサークル(纏)発動!

 

 そしてティアちゃんからソォーっ……と離れる。そしてサークル外に出たティアちゃん。結果は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「問題なかった。1㎞までなら行ける。もし範囲外になったとしても、サークル効果自体は4時間くらいは多分持つ」

 

 今はこの姿のティアちゃんだが、元々持ってる魔力量は魔術王が持ってる聖杯合わせた魔力量よりも多く、星間飛行が可能なレベルの魔力炉心だ。マスターになった+聖杯製の体+彼女の本質とも言える混沌泥も被ってる。私自身の魔力量も、彼女ほどではないとはいえそれなりの量がある。

 

 しかも彼女の権能も少々影響していた。彼女のその権能が魔力に付与されたのか、地球上に生命が存在する限り、魔力の方も近くで生き物が僅かでも存在すれば、魔力自体が自立する。まぁ単独行動付き魔力とでも思って貰えれば簡単かな。

 

『……いやぁ、私が言うのもアレだと思いますが、だいぶ魔物に近い感じになってますね。それも容易に手が出せないタイプの』

 

「ティアちゃんをひとりぼっちにするわけにはいかないからね。ティアちゃんと一緒に入れる時間が増えるのなら、私は人間をやめることも厭わないさ。ただティアちゃん自身は、今この状況だからこそ私を通して人類種を克服したいと思っているかもだけど……ね」

 

「……うー……」

 

「そんなにしょんぼりしないの、ティアちゃん。私は【人型である】という一線は超えないつもりさ。どこまで言っても人間【もどき】。ティアちゃんが悲しむ事はない。むしろ僕を通してほかの人類種とも仲良くできるといいかな。だってティアちゃんはこんなにも可愛いのだから」

 

「……わたしは……まだパパに甘えてても……いいの?」

 

「もちろん! むしろもっと甘えてくれていいんだよ!」

 

 

 だってティアちゃんは、私の娘なのだから!

 

 

「……パパは何でもおみとおしなんだね」

 

「そうさ、君の父親なのだからね」

 

「……じゃあもっと甘える!」

 

 そう言って私に抱きつくティアちゃん。あぁ……浄化される。かわゆいのぉ……。(思考老化)

 

 

『……このタイミングで切り出すのもアレですが、まだ外出注意事項が1つしか上がってないのですが……』

 

 

 おっと、大きく脱線してしまった。ラフム君、グッジョブ。

 

「まぁティアちゃんは基本的に私と手を繋ぐか、肩車かどちらかで行こうか」

 

「うん!」

 

『おぉう、そう来るのか』

 

 そうしておけばはぐれないだろうし、目が届くところに居られるだろうからね。そしてラフム君は……

 

 

「んで、ラフム君はティアちゃんの混沌泥を少量でいいので持ち歩く事」

 

『ケイオスタイドを……ですか? あぁ、なるほど』

 

 ラフム君は最悪はぐれても混沌泥に入れば合流できるでしょう。各自それらのことに気をつければとりあえず問題はない。あとはそうだね。

 

「項目2! 基本他の人がいたら声は上げない事。正直お父さんサークル(纏)がどこまで優秀か分からないけど、気配遮断とか使ってるのに声出しちゃダメね?」

 

「うっ。私まわりみてはしゃいじゃうかも……」

 

「それを防止する上でも、手を繋ぐか肩車は必須ね。ティアちゃん」

 

「うー……わかったー……」

 

「ラフム君は基本自由でいいよ。恐らく君の言語はそこらの人には理解できないだろうし」

 

『承りました。まぁ基本お2人の護衛として動きますよ。気をつける人物はあの賢王くらいですかね?』

 

 おっとそうだった。かの賢王がそこらを歩き出すとは思えないけど、もしもの時の事は考えておいた方がいいか。

 

「もしラフム君が賢王を見つけた時は、すぐに混沌泥に避難する事。家族は失いたくないからね。慎重に行動して欲しい」

 

『お父さん……。分かりました。その方向で動きます』

 

 大まかな方針は以上の2点ぐらいかな。

 

 

「後は臨機応変かな! 基本的にはぐれなければどう行動しても構わないよ。まぁ大人数で動くわけでもないし、そこまで大変ではないだろうけどね」

 

 

 後はまぁ私がティアちゃんを召喚(謎)をした影響で、その他にも召喚されてたり、私が知り得る限りの正史と違った方がいらっしゃるかも。なのでそこら辺は全くの未知数。予想がつかないので、どうしても臨機応変になってしまう。あぁでも、金星の女神は確か召喚が聖杯によるモノじゃないんだっけ。居残り組なんだよね確か。出会いたくはないなぁ。

 

 ちょっと今現在の地理というか、周りの町や市が分からないから、クタ市とかの金星の女神支配圏内に行くとかなると誤魔化せるか分からない。……まぁあの女神だったら大丈夫かもだけど。

 

 

 まぁ本来の正史だと賢王も体が無くなっちゃって、神が必要ない時代へと全速前進DA!! ってしてるはずだからね。だから出会うとすれば無理矢理召喚されたあの女神だけの筈……筈!

 

 正直な話ギャグ時空の風を受けて賢王がいる時点でまぁ正史ではないし。他の女神が「やっぱ残るわー」とか、「ん? なんか消えなかったし、もうちょい楽しむか♪」とかで残ってる可能性は捨てきれない。

 

 でも女神関係出現してたら絶対賢王が動くと思うのよ。大丈夫かな賢王。普段仕事量パないけど、エナドリいる?

 

 

 あっ。でも冥界の方の女神様は会ってみたい。最終決戦で権能をカルデアの者に掛けた事もあって、元の女神様が消えかかってるかもだけど。家族認定して引き上げてあげるのも悪くなさそう。彼女は冥界の為に尽力した訳だし、他者に責められる謂れはないはず。むしろバビロニア内で1番不憫だったかも?

 

 状況がアレだったし、不憫比べしたら他の方々もだいぶ不憫ではあるけど……冥界の女神様に関しては群を抜いてる気がするしね。

 

 

 あー、でもそう考えると今の時期ってカルデア的には冥界のアレでみんな熱病が出てるのかな? じゃあティアちゃん案件以前に冥界にサンタさんとやってくるのか。

 

 やっぱりカルデアの者達が来る前に、(行ければ)冥界に行って女神様助けておくのもアリかも? 肝心の降りる方法が分からんね。やはり行ければって所かな。

 

 

「まぁここら辺は何が起きてもおかしくないので。私の周辺から離れないようにね」

 

「分かったのー!」

 

『了解です』

 

 可愛いのー。(思考放棄)

 

 監視塔からの出方は簡単。「娘のために」ドアを開けたいと考えれば自然と鍵は開くのだ。私の能力便利ねー。

 

 

 さて、時間にすると約2年ぶりなのかな?お外に出て参りました。ですが……

 

「夜だね」

 

「よるー」

 

『暗いですねぇ』

 

 お外は夜でしたん。まぁこっそり移動する関係上、好都合であるのだけども。周り暗いねー。遠くの方に町の灯り? がポツポツ見えるくらいかな。

 

 地理の詳細が曖昧になっているので、明るい状態で頭の中と照合というか。記憶と実際のズレを合わせておきたかったけど。まぁ後でも出来るかね。最悪は監視塔内から魔力飛ばせばワンチャン? でもそれだと他様々な方面から私の方が感知されそう。やめとこうか。

 

 

 んー……でもなんか遠くに見える光が妙に青っぽいような……?

 

 まぁウルクの夜だし、若干霊っぽいの……正確にはガルラ霊辺りかな? そこら辺に現れても不思議じゃないのかな。この時期のウルクってたしか冥界と中々に近い状態だった気がするし。

 

 

 

 

 

 

 shaaaaaaa ……

 

 

 

 

 

 

 にしてもなんか多くない? ってか近くない?

 

 

『あっ……お父さん、これ……』

 

「んー? ラフム君、どうしたって……あぁーマジかー。それあるのかー」

 

 うーん、これってどう見てもアレだよねー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 槍檻だねぇこれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 監視塔の扉を開けた先は、冥界であった。

 

 何を行ってるか分からねえと思うが、正直私もよくわがんね。何が影響して繋がってしまったのか。でもまだ冥界が横に広いからまだ熱病の異変前ですかね。でも徐々に冥界自体が変化していますね。それで境界部分があやふやになって繋がったとか? 納得。いや納得してる場合じゃねぇ!

 

 

 つまり今の状態は冥界の女神様がガルラ霊(強)くんから誑かされる? 前って事じゃろ? つまりまだ冥界の女神様の管理下という事。詰まる所……

 

「うん、これそのうち冥界の女神様来るね。恐らく確定で」

 

 やばいわー。最初に気づかれたのが彼女って無いわー。正直一番可能性低いと思ってたのになー。あぁでも、冥界に来れたって事はその他の賢王、カルデア勢に見つかる可能性がグンと減るのか。もうしばらくティアちゃんとの絆を深めつつ自分の体を馴染ませたいし、しばらく女神様にお願いしてここに居させて貰えないかな……。

 

 

「あー! エレちゃんだー! エレちゃーーん!」

 

 

 あっ、ティアちゃんが女神様見つけたっぽい。こっちから声かけるのか。(困惑)一応招かれざる客だと思うんだけど。てかエレちゃんて。軽く呼ぶねぇ。大きな声で呼びつつ全身を使って手を振るティアちゃんは萌える。

 

「あら?私を呼ぶのは誰なのだわ……てぇ!? お母様!? なぜ生きて!? というか小さい!?」

 

 おぉう。向こうも気づいた。あぁでも、あの反応も可愛いのぅ。(老化)可愛いに対する耐性が日々下がっていく。が、私は一向に構わん。だが一番はティアちゃんだ。異論は受け付けるが認めんぞ。

 

 まぁこれが個人での初対面になるが、うまく話が進められるかなぁ。

 

 正直お父さん自信ないぞー。




本編がタイムリーにイベントやってるから突っ込んでやる(鋼の意思)

塩基契約とまでは行かずとも家族契約(主観かつ強制、本人にやられたかどうか分からない)はするぞ。俺はやるんだぁ!

あっ、そうだ。いつも通り書き溜めは(ry


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6.説明

約一年ぶり?
ROM専にもどってました
最近また書きたい欲求が…
不定期更新タグがいるかなこれ。


「エレちゃん、久しぶり! 私かえってきたよ──!」

 

「えぇ!? ちょっと、どういうことなのだわー!?」

 

 おぉう。大騒ぎだねこりゃ。でもじゃれあってる2人は可愛いなぁ。見てるだけで生きててよかったって思えるんじゃよ。(老化進行)

 

 

 そんな訳で(どんな訳だ)やってきましたは冥界。ちょっとラフム君には潜って貰っています。私はマスターだしそのまま眺めています。うん、役得役得。

 

 可愛い女の子が2人、百合百合しくじゃれ合ってたら誰だって癒されるに決まってんだろオラァン! お前ら可愛すぎなんだよオォン! (謎の咆哮)

 

 

「ちょっと母さん! なんで居るのかは置いておくけど、落ち着いて欲しいのだわ! これじゃあ訳がわからないから、誰か説明して欲しいのだわー!」

 

 おっと、お呼びかな。(違う)説明しつつ私の事も切り出さないと、ずっとイチャイチャしてそうだねこの子たち。まぁ役得だしいいんだけど、話が進まないし。ぼちぼち軌道修正しましょうか。

 

 

「はいはいティアちゃん、戻っておいでー」

 

「はーい!」

 

「やっと離れた……ってちょっと、貴方は誰なのだわ?」

 

 あぁ、そうか。私は誰とな? そう聞かれたらこう言わねばなるまい。これからはこう名乗ると決めていたんだ。

 

「ティアちゃんのお父さんです」

 

 

 

 

 

ド ヤ ァ ァ ァ ァ

 

 

 

 

 

 

「……いや、誰?」

 

 おっと、通じなかった。まぁ当たり前か。名前を聞いたのにジョブを返してくるどこぞのRPGゲームみたいなことしてるんだし、まぁ反応は頷けるけども。けれど、けれどね……(檻頭風)

 

「すまないねぇ、名前はどっかに忘れてきちゃってね。今はティアちゃんのマスター兼お父さんなので、どうかお父さんと呼んでいただけると。というよりこれからはお父さんという名前でもいいかなと思ったりしております」

 

「だいぶ濃いわね貴方……むしろ私のお母様のお父さんということは、お祖父さんになるんじゃないかしら?」

 

 

 おうふ、思ってて無視していた問題を指摘されてしまった。とっても的を射る答えなのだが、私はお父さんである。そう、お父さんなのだよ。ティアちゃんが私をパパと言うのだから、私はお父さんである。(暴論)

 

「んー、できればお父さんと呼んでいただきたいかなーと……」

 

「あら、どうかしましたの? お祖父さん?」

 

 

 ぐっはぁ!! 

 

 

 お父さんに9999のダメージ! 

 

 カンスト! 

 

 お父さん死にそう! 

 

 

「エレちゃん! パパをいじめちゃダメ! 私怒るよ!」

 

「ふふん! いくら母さんでも、ここは冥界。私のホームよ! どんな存在であれ、この冥界で私の権能を受け付けない者なんて……あれ? 母さんに権能が効いてない!? ちょっと、どういうことなのだわ!?」

 

 あっ、多分お父さんサークルですね。権能すら効かないとかドユコト……

 

「ふふーん! それは貴女のお母さんだからなのです!!」

 

 

 

 

 

ド ヤ ァ ァ ァ ァ

 

 

 

 

 

 あ、なんか分からないけど後光が射してる。

 

 女神様かな? 

 

 女神様だわ。みんなのお母様だわ。

 

 女神を崇めよ。母を崇めよ。(個人差あり)

 

 おぉぉぉぉぉ…… マジェェスティィィィック! 

 

 

 

「訳がわからないのだわ! 前は効いていたじゃない!」

 

 

 

 ん? 前は?

 

 ……ふーん。つまり彼女はまだ浄化し始まってない状態なのね。記憶が落っこちる前と。バビロニアの時は効いてたけど、今は聞かない。つまりその時の記憶はまだ残っている、イコールまだガルラ霊君は手出ししてない、もしくは出来ていない状態なのかな? 

 

 これは好都合。この状態なら話も進みやすいし、ここから私がエレちゃんを家族として認めれば、浄化を受け付けなくする事も可能でしょう。まぁ本人の性格からして自分から浄化されちゃう子だし、どうにか別のベクトルで説明できないかなぁ……。

 

「むっ! エレちゃん! なんかいつものエレちゃんじゃない!」

 

 ティアちゃん? 

 

「……えぇそうよ。今は深淵にて会議の真っ最中。今はモラトリアムの期間みたいなものかしらね。ほんの一部だけど権限を他の者に与えてるわ。母さん覚えてるでしょ? あの戦いで、私は禁忌を犯したの。私は冥界を治める女神として、その代償を償わないといけないのだわ」

 

 

 ほほぉん。まだガルラ霊くん(強)が手をつけていませんねぇ! つまりどうにかして(ティアちゃんも総動員して)言いくるめるなりなんなりすれば、こちらに引き込み&家族認定できますねぇ! 

 

「代償? エレちゃんなんかやらかしちゃったの? お母さんにおしえてごらんなさーい!」

 

 ちょちょちょ。ティアちゃんそれ地雷踏み抜いてるから。原因ティアちゃんだからね。まぁでも今のティアちゃんに察する力を期待する方が無理ゲーかなぁ。

 

「やらかしちゃったも何も、元はと言えばお母様が復活しなければ……! 本気を出したお母様に並みの神々が太刀打ちなんかできないわ! わざわざ招かれざる人間達に加護を与えて、あまつさえ冥界と現世の境界を一時的にでも無くして……。そこまでしてようやくお母様を倒し切れたと! 思っていたのに!」

 

 おぉう。すごい剣幕。

 

 でも多分ティアちゃんは何も考えなしに地雷踏んだわけじゃなさそうだし、お父さんは静かにステイステイ……。

 

 

「……そっかー。エレちゃんごめんね? 私のせいで色々迷惑かけちゃったんだね」

 

「そうよ!! 元はと言えばお母様が……!!」

 

「そうだよ。私が悪いの。だから教えて? なんでエレちゃんがそこまで思い詰めて、そこまで償う必要があるのか。そこだけはお母さん分からないかなぁ」

 

「あっ……」

 

 

 うん。それもそうやね。

 

 やってしまったことは仕方がない事なんだよね。ティアちゃんがわっしょいした事が原因なんだから。だけど、責任を負うべきその事を起こしたティアちゃん自身が居ないからってエレちゃんが償う? バカ言っちゃいけないねぇ。

 

 いくら責任感が強くて頭でっかちだとしても、その人が良かれと思ってやった事を、何も知らない他者が叩いて良いなんて理由はない。多少冥界に危機はあったとはいえ、そうしなければ冥界はおろか現世、その他宇宙レベルでの損壊が起きうる可能性があった訳で。

 

 そこら辺の理解が冥界内で浸透していないようだ。やった事の原因、詳細をあまり話していないエレちゃんも悪いけど、なぜその事をやったのか委細確認していないガルラ霊君たちもギルティ。

 

 

「お母さん今その件については償う必要のある人はいないと思うな? よく考えたらその時悪さしてた大きい私はもう倒されちゃったし。むしろ現世で同じようなことやったら色々丸く収まってパーティしてると思うなぁ。そこら辺はこっちでの色々な鬱憤を晴らすリフレッシュができてなかったエレちゃんが悪い!」

 

「そんな話だったかしら!? え? 今の流れって私の代わりにお母様が償うとかそういう流れじゃなかったのかしら!?」

 

「お母さん痛いの嫌です! それに! そのやっちゃいけないルールとか主に決めたのエレちゃん自身でしょ! 冥界の女主人なんて肩書きあるんだから! メリットデメリットしっかり話してうまく言いくるめてやっちゃいなよ! 私の娘ならそれくらいやりなさーい!」

 

 

 おぉう、ぶっちゃけたな。

 

 正直彼女の性格上こういう事を面と向かって話せる相手も限られてくるだろう。正直な話こんな事はティアちゃんでなければ出来ない事じゃないかと後々ながら思う。

 

 

「なのでー! お母さんは冥界でのクリスマスを決行します!」

 

「ちょっと!? 勝手に決めないでほしいのだわー!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────────────────────────

 

 

 

 

 

 という訳で。(どういう訳だ)

 

 ティアちゃんの全面的な魔力提供、および指示出しにより、ガルラ霊君総出で冥界の飾り付けが行われました。

 

 まぁでも手伝ったのは比較的幼い子供の霊たち。ツリーの飾り付けとか嬉々とした? 動きでやってた。

 

 うん。側から見ると結構シュール。

 

 そして今更だけど冥界全土の飾り付けを、ティアちゃんが己が内にある魔力のみで行ったという事実。魔力と才能をばら撒くスタイル。お父さん嫌いじゃないよ。(むしろ好きだよ)

 

 

 そして色々裏で動いてやってたガルラ霊君は、冥界の奥底で引き気味にこちらの事を見ていたので分かりやすかった。エレちゃん悩ませていたのが気に触ったのか、ティアちゃんが容赦しませんでした。

 

 権能を戻してガルラ霊君たちに事の詳細資料(私作成)を渡して映像中継(私撮影、私放映)でバビロニアでの事を事細かに説明。ガルラ霊君達もティアちゃんの気迫に消滅の危機を感じたのか、震えながら謝ってた。別に殺しはしないよ。そういう問題じゃないし。

 

 色々事が終わって冥界。クリスマスもつつがなく終わり、後片付け(私魔力吸収)して今後もエレちゃんが冥界の女主人としてやっていくことに。

 

 

「ほらね! みんな騒げばなんとなく収まるの! エレちゃんの性格的に絶対やらないだろうけどね!」

 

「うぐ…… 全く否定できないのだわ……」

 

「まぁちょっとティアちゃん的にアウトだったのか、だいぶティアちゃんもはしゃいでた感じあるけどね」

 

 そこは(可愛いので)大目に見ようじゃないか。

 

 

「けど、ティアちゃんがいなかったら、多分だけど自分のやらかした記憶と一緒に、それを記憶しているカルデアの人たちも消すみたいな事やらかすつもりだったんじゃない? エレちゃん」

 

「……そうですね。おそらく少し前の私だったらそういう結論に辿り着いたかもしれません。でも今はもう色々どうでもいいかなって思うのだわ。今更だけど、やっちゃった事についてあれこれ考える時間があるなら、今冥界にいる子たちのケアとか、より良くするのにはどうしたら良いとか。そういう事を考えた方が、何倍も有意義で、意味のある事だと思うわ」

 

「そーだよ! 色々考えさせる原因になっちゃった私が言うのもアレだけどね、エレちゃんはどーんと構えてれば良いの!」

 

 

 そう言って胸を張るティアちゃん。立派にお母さんしてるなぁ。あとでなでなでしてあげよう。いっぱい褒めてあげないとね。

 

 

「お母様。……お父様も。恥ずかしい姿を見せてしまいました。ですが、こうでもしなければもっと恥になりそうな事をやっていたかもしれないのだわ。だから、ありがとうございました」

 

「いいのいいの! エレちゃんは私の家族なんだから気にしないの!」

 

「お父さんと呼んでくれた……我が生涯に一片の悔いなし……!!」

 

 

 あっ、そうだ。(唐突)

 

 

「じゃあエレちゃんも私の家族って事で。決定でーす。パンパカパーン。おめでとうございまーす! エレちゃんの権能をも防いでいたお父さんサークルをエレちゃんにもプレゼントー! パチパチー」

 

「わーい! ぱちぱちー!」

 

「えっ、ちょっ、どういう事?! 権能をも防ぐって何?! アレはお母様の力じゃなかったの?!」

 

 

 おーう、わたわたしてる。良い反応ダァ。撫でたくなっちゃう。撫でたろう。ナデナデ。

 

「ちょっと! 気安く触らないで! ……もうちょっと優しくするならいいけど……」

 

 落ちたな(確信)

 

「エレちゃん、顔まっかっかー」

 

 私の肩に乗ってるティアちゃんがエレちゃんのほっぺをつんつんしてる。

 

 なでなで。つんつん。

 

 まぁこんなモブ顔(自己評価)の奴に権能防ぐ力なんてありゃせんわな。どっちかっていうとティアちゃんから貰った泥聖杯くんの力で、権能に浸食して防いだって感じが強い。そこら辺噛み砕いてエレちゃんに説明。かくかくしかじか。まるまるうまうま。

 

「お父様も大概ですわね……でもそれってお父様の身体的に大丈夫ですの?」

 

 おっ、心配してくれるのか。やっぱり根は優しいのねこの娘は。

 

「モーマンタイ。娘がお父さんのこと気にしなくてもいーの! 子供たちのことを一番に考えるのは当たり前なんだから、いっぱい甘えて、いっぱい困らせなさい! むしろその方がよき。いいぞもっとやれ」

 

「あー! パパがエレちゃんばっかりかまってるー! 私もかまえー!」

 

「……(無言のなでなで)」

 

「むふー! (満面の笑み)」

 

「ほんとに仲良いわね母さんたち……」

 

 エレチャンが頭抱えつつ、ティアちゃんは満面の笑み。どうだ可愛いだろう? 可愛いは正義なんじゃよみなの衆。

 

 偶然とはいえエレちゃんサルベージ作戦がうまい具合にできてしまった。一番常識的な女神様が最初でホッとしてる半面、また何かしらの影響が違うところで出てこないかお父さん心配です。

 

 ところで。

 

「ちなみにエレちゃん」

 

「もうあなたもエレちゃん呼びは確定なのね……」

 

「そりゃもちろん。というよりさ、私とティアちゃんは別に冥界に来ようと思って来たわけじゃなく、迷い込んだ感じなんだけどさ。そこらへんの境界とか結界とかって大事なん?」

 

 結構スルッとこっちに着ちゃったけど、そこらへんの修復は済んじゃってるのかね? 

 

 ビースト特有の「単独顕現」スキルで移動関係は場所さえ分かればどこにでもって感じあるしいいんだけど、境界面あやふやならわざとランダムに飛ばされたほうが、自分の知らない場所とか行けそうだから、今どんな常態か一応確認してみる。

 

「そうね、まだ境界に関してはデリケートなものだし。多めに見積もっても40%程度じゃないかしら。今そこらへんの足場のないところに飛び込んだりしたらその後の保障はできないわ」

 

 ビンゴ。つまるところランダムワープ可能。

 

「よし、ティアちゃん! あとはエレちゃんに任せても問題なさそうだし、こっから飛び降りて違うところに行こう! もしエレちゃんに何かあったとしてもエレちゃんにあげたお父さんサークルとティアちゃんの単独顕現スキルがあれば問題なし!」

 

 

 

 

 

ここをキャンプ地とする! 

 

 

 

 

 

「よーし、れっつごー! エレちゃん! 私パパと旅行に行ってくるね!」

 

「また随分と急な話なのだわ……。ええ行ってらっしゃい。お土産楽しみにしてるわ」

 

「まっかせてー! パパ! 行くよー」

 

 そのまま足場のないところへ飛び出す。行き先は完全にランダム。新婚旅行へと参りますか!




うーん…
botwのリンミファSS書きたい…
でも需要なさそう…

千恋万花のSSも書きたい…
こっちはもっと需要なさそう…


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7.行先

ごめん。モンハンワールドやってた。


 冥界での一件を経て、ランダムワープで行先の分からぬ新婚旅行へ。ガチランダムで考えると岩の中、水の中、マグマの中etc.etc.etc……。ちょっと博打が過ぎる感じがするけど、本家ビーストと、そのビーストの権能にがっつりあやかってる聖杯取り込んだ特異点もどきにとっては特に問題なし! いつもどおりの平常運転で行きましょう。

 

 そして現在。

 

 

 猛スピードで落下中です。

 

 

「なぁティアちゃん。かれこれ落ち始めてどれくらいよ? これ」

 

「んー? わたしにもわかんなーい」

 

「ですよねー」

 

 なんてほのぼのしながら落下中。

 

 そして徐々に行き先が明るくなっている。そろそろ目的地に着くらしい。

 

「ティアちゃん掴まって。もうすぐ着くよ!」

 

「りょーかいー!」

 

 

行き先は未定! これより新婚旅行を開始する!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっと」

 

 やってきました旅行先1つ目。とりあえず水の中とかマグマの中は避けられたらしい。ダメージ云々は置いといてそんな状態になりたくないしね。幸先は悪くなさそうです。

 

「ティアちゃんは大丈夫?」

 

「もーまんたい」

 

 ビシッとはにかみながら敬礼してくるティアちゃん。可愛い(脳死)

 

 さて周囲の確認。なにやら建物内の長い通路。通路の先は遠すぎて先が見えない。通路の両脇は華やかな絵が施された壁……いや、これって(ふすま)じゃないですかね? WASITSUによくあるFUSUMAじゃないですかね? 

 

 なんせ自分バビロニアに転生した一般人。一応転生前は日本人だったんでっせ。日本特有のものをわざわざ英語(大文字)表記にする書き方結構好き。

 

 それはそれとして。

 

「……何か近づいてくるな……。ティアちゃん。肩車しておくからこっちおいで」

 

 キョロキョロと周りを見渡していたティアちゃんをいつでも守護れるように(する必要があるかは置いておいて)肩車しておく。おいでおいで~。

 

「はーい」

 

 ぽてぽてとこちらに歩み寄ってくるティアちゃん。うーん、ベネ(良い)

 

 そんなティアちゃんからこんな一言が。

 

「んー、なんかねー。今近づいてる子をねー。うんと甘やかしてあげたい感じする! よしよししてあげたい!」

 

 なんてことをウチの小さな女神様が仰っております。なに、なんかセンサーでも付いてんの? って感じ。っていうか私がティアちゃんをよしよししてあげたい。(よしよししながら)

 

「ん、おっけ。何が来るかも分からんけどティアちゃんが言うには間違いないでしょう」

 

 家族が増える(暫定)よ! やったねティアちゃん! (おいやめろ)

 

 何がやってくるんでしょうか。ちょっとウキウキしながら待っていると。

 

 

「ハァ……ハァ……!」

 

 

 なんかちっちゃい子が息を切らせながら走ってきてる。なんだろう、何かに追われてるのかな? どちらにせよそのまま行くと私の方に追突するルートなんだけども。

 

「パパ、けはいしゃだん? してるんじゃない?」

 

「あっ、そっかぁ」

 

 お父さんサークル発動してましたわ。ランク分からん気配遮断が仕事してるのか、それとも走っている子が前見えていないのか分からんけど、こちらに気付いていないのは確定っぽい。

 

「ティアちゃん。あの子がさっき言ってたなでなでの子?」

 

「そう! あの子! なんかね、なんかね、うーん良く分かんないけど、さびしいよーって気持ちがビンビンくるの!」

 

 かわいいよー(脳死)。

 

 追われている(暫定)彼女の後ろに追手の姿は見えない。ならばこのまま迎え入れて自分のサークル内に入れて気配遮断を付与してしまえばいいのでは? という安直な考えによって、お父さんはあの子をそのまま抱きしめてあげようと思います。

 

 頭の位置がちょうどお腹辺りに来るから、パニックになってもちょっとだけ顔をお腹に埋めて声を殺せば行けるはず。

 

「じゃあティアちゃん、ちょっとだけ静かにね」

 

「はーい!」

 

 よしよし、ではカモン! 謎の少女よ! 

 

 

 ボフッという音と共に「あうっ」という可愛らしい悲鳴が。そのまま手を背中に回し抱え込む形で彼女の耳に囁く。

 

「大丈夫、少し静かにしててね」

 

「……!! ……!?」

 

 少し錯乱しているようだが声は聞こえてるようで、もがもがとしているが手は腰に回して離さない。手を離さないのはなんかおかしい気がするけど、恐らくティアちゃんの仕業でしょう。徐々に抵抗も少なくなってきている。こっちの問題は無さそうだ。後の問題としては……

 

 

「……全く……どうしてこうイレギュラーが発生するんでしょうか……本当にイライラする」

 

 彼女の後ろの通路からゆっくりと姿を現したのは、今抱きかかえている彼女をそのまま大人にしたかのような女性だった。表情を見るに少し苛立っているようにも見える。

 

「いくら私から逃げようとしても所詮は私の分身。何人もいるコピーの一人。元となった私が、貴方の逃げ場所を分からない訳がありません。こちらに逃げたのでしょう? 観念して姿を現しなさい」

 

 彼女は分身だのコピーだの言いながら真っ直ぐとこちらに歩いてくる。心なしか腰にいる小さな彼女は少し震えているようにも感じる。

 

 大きい方の彼女が目を閉じる。気配で探っているのだろうか? 

 

「……おかしいです……この辺りで完全に気配が途切れている……どういうこと……?」

 

 ……こちらの気配遮断が破られる心配は無さそうだが、どうにもここを離れてくれそうにない。少し離れたところで小さい彼女に事情を聞いてみたいのだが……。

 

 初めてでできるか分からないが、少し動いてみるか……。

 

 気配遮断をしながら抱えた小さい彼女はそのまま、襖の近くまで移動する。さっき襖の奥は確認済み。この通路と同じような形で延々と通路が続いている。襖を挟んで通路が大量に並んでいた。であれば、うまく力をコントロールできれば……

 

 

 ガシャァン! 

 

 

「……ふふふ。自分から音を出してくれるなんて哀れですねぇ。すぐに捕まえてあげますから、震えてまってなさい」

 

 

 そう言いながら大きい方の彼女は音がした方の襖を(おそらく魔法でやってるんだろうけど)自動ドアのように手を使わずに開けながらズンズンと進んでいく。気配探りながらで動いてたみたいだから動いてくれるか分からんかったけど、意外にも素直に誘導されてくれた。

 

 分身やら自分と同じやら怪しい単語がいくつか聞こえたけど、そろそろこの子から詳しい話を聞出さないといけないなぁ。

 

「パパー、下見てみてー?」

 

 ん? 下? 

 

「下がどうしt……」

 

 

 

 

「スン……スン……」

 

 

 

 

 ……ん? なんかこの子匂い嗅いでない? 嘘、お父さん臭ってる? マジで? 

 

「パパのにおいはねー、なんかこう、ほわほわーって感じでね。とっても安心できるにおいがするんだよー! その子もー。においかいで、安心してるんじゃないかなー?」

 

 な、なんだってー! お父さんはマイナスイオン発生器だった……? 

 

 匂いなんて相当相性が良いとかでもないと、いい匂いだなんて感じないでしょうに。あれか? これも全人類のお父さんになった影響なのかしら? きっと私やティアちゃんが自分の子供と認めた人には安心する匂いになるとか。

 

 今度エレちゃんにもやってみよう。なでなでとぎゅーを。それで分かるべ。(やりたいだけ)

 

 このままでは話が進まないので、良い気分になっている(であろう)彼女を一旦離して……。

 

 

「うぅー、やです。もっとにおい嗅ぐんですぅー」

 

 

 あらやだ、なにこの娘可愛い。(何かが崩れた音)

 

 ていうか既に若干中毒症状みたいなの出てません? ちょっと症状が出るの早すぎないですかね。んーでも安心できるならいいか! (やけくそ)

 

「パパー? なんかよくわかんないけど、この子私たちに似てるー……かもー?」

 

「似てる……?」

 

 ちょっと首をかしげながら言うティアちゃん。若干角が体に当たってるけど気にしない。にしても似てる……とな? ティアちゃんに似てるとなるとなんだ……。ロリっ子っぽいのはまぁ見た目だし、その場合はよくわかんないけど、なんて言葉は出てこないはず……。

 

「んー、もしかしてビースト的な?」

 

 

 もぞもぞ

 

 

 んーこの子の反応でわかるかと思ったけど、お父さんの匂い中毒になってて顔を擦り付けてて反応しないね。

 

 

「もしもしー? 匂い嗅いでていいからさ? ちょっとお父さんにお話し聞かせてもらっていいかなぁ?」

 

 なるべく刺激しないように優しく声をかけてみる。中身がどうであれ見た目は幼い少女だ。(ティアちゃんとサイズ感変わらない)コミュニケーションは慎重にいった方がええやろ。

 

 

「……お父さん?」

 

 

 上目遣い。首傾げ。童顔。匂い中毒? により若干赤みがかった頬。うん。この子を娘にしよう。絶対にだ。

 

 狙ってやってる? えっ? 素ですか? 弱点特攻なんですが? お父さんのこと狂わせに来てるでしょこんなん……。 こんなん……!! 

 

「ティアちゃん。この子を娘にします」

 

 無言でサムズアップするティアちゃん。さすが私の嫁。話がわかってるぜ。顔見えてないけど鼻血出てるでしょティアちゃん。ぷるぷる震えてるし、母性くすぐられてるの丸わかりでっせ。

 

「娘とか、何言っちゃってるんですか? 私が今どんな状況なのか分かって言ってます?」

 

 お腹に顔をうずめながらモゴモゴとした感じで言う謎の少女。言っちゃアレだけどそれブーメランやで。セリフと行動が乖離してるんですが。まぁ可愛いから問題はないけどさぁ。

 

「君がどういう状況であろうと私が娘にすると決めてティアちゃんがゴーサイン出したからには、ガイアに拒まれようとも因果を捻じ曲げてでも娘にします。決定事項です」

 

「あきらめなさーい!」

 

 ティアちゃんいいぞ。もっと言ってやれー。

 

「そもそもなんで追いかけられてたのさ。そこらへん教えてもらってもオーケー?」

 

「おーけー?」

 

 へい、そこんとこどうなのよ幼女。

 

「……頭では言いたくないのですが……体がもう言うことを聞きません……。仕方ないです。非常に不本意ではありますけど、事の一部始終教えてあげます。いっぱい私に感謝してください。咽び泣いて喜んでください」

 

 あらツンツンしちゃって可愛い。抱きついてクンクンしながらいっても形なしだぜ。やだもう最高。可愛い。

 

 

 

 

 幼女説明中

 

 

 

 

 色々と事情を聞いて数分。なんとこの幼女カーマという愛の神様(の分身体の一人)らしい。元の原典は男性神とか依代的な問題で女性になってるとかはこの際置いといて、この子は本来のマーラ/カーマとしての本体の分身として生まれるはずだった。しかし何が間違ったのかこの子は本体に有るはずの「シヴァにとばっちりで焼き殺されてグレた暗黒面」が無く、純粋なカーマちゃんとして生まれてきちゃったとの事。(捻くれててどうにかしてマウント取ろうとするムーブするのは素で言ってるっぽい)

 

 なんだただの良い子か。お父さん納得。

 

 話してる間膝の上から離れてくれません。ちょっと体制がよろしくない。これって対面座位ですよね。これは狙ってやってるな? マセガキちゃんめ。しかし私は君のお父さんだからね。父性が湧くことはあっても欲情はしないぞぉ。

 

「ん? でもこっちのカーマちゃんが私の娘になったって事はカーマちゃんの本体も姉妹って事で娘では?」

 

「何言ってるんですか。あんな拗らせまくって面倒臭くなったイタイ女と一緒にしないで下さい。お母さんもそういえばそうだね! みたいに指刺してこないで。あぁもうそんな悲しそうな顔しないでよ! こっちがやりづらい!」

 

 おぉう激しいなカーマちゃん。どうどう。

 

 ティアちゃんも子供達が増えるのはいつでもバッチコイな為、肩の上でサムズアップしながらニッコニコで鼻血垂らしてる。(実際に見たわけじゃないけど多分確定)

 

「とりあえずカーマちゃんを家族として迎えて可愛がるのは確定事項なので」

 

「……まぁ今はあんなヤツと一緒にいるよりこっちにいる方が何倍もマシです。というよりなんかお父さんから離れたくないんですけど。なんでこんな全身の力が抜けそうになる匂いしてるんですか。責任取ってください」

 

「もちろん。カーマちゃんから嫌われて愛想尽かされるまでは、いつまでも私はカーマちゃんのそばに居るよ。そんな時がこない事を願うけどね。分身として現界する以前も含めて、今までの重荷を癒せる存在になりたいかな」

 

 そう言いながらゆっくりとカーマちゃんの頭を撫でる。

 

 さっき追われていた時もそうだし、彼女の境遇を聞く限り座に刻まれる前もロクな人生じゃなかっただろう。彼女の苦労を自身が推し量る事はできないかもしれない。けれど、彼女が自分と居ると安心すると言ってくれるのであれば。彼女にとっての止まり木になれるのであるのならば。私は彼女のことを愛そう。

 

「愛の神を愛する……ですか。愛がどういうものか。分かって言ってます?」

 

「明確にコレっていう答えは出したくないかな。でも私が与えられる愛を君が嫌って言うまで押し付けてあげるから。私が言わなくてもいつか分かるって信じてる」

 

 私がそう言うとカーマちゃんは少し頬を赤くしながら私の胸に顔をうずめてくる。彼女の過去はそのまま彼女の存在をそうたらしめるもの。そう簡単に心を開いてくれるなんて思っちゃいない。だけど彼女が何の打算もなしに甘えられる相手として、私が存在できたらいいなって。そう願わずにいられなかった。

 

 

 




MHWやってて思いついたやつ。
ゼノ・ジーヴァの擬人化幼女が生まれる瞬間にその場にいた導きの青い星じゃない一般ハンター君が、刷り込みによってゼノ(幼女)にお父さん認定されてついて来ちゃって結局可愛がる話。
需要は(私以外)無さそうなので書いたとしても上げないと思います。


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8.今後

遅くなりました。
モンハンやったりCytusやったり美少女万華鏡やったりしてたので。(正直者)

モンハンの方も導入は書けてきたから流れのプロット固めたら出すかも。

気長に待って……。


 

 

 

「お父さんと!!」

 

「お母さんの!!」

 

「「家族ルールのコーナー!!」」

 

「……(クンクン)」

 

さぁ! 未だ匂いを嗅ぎ続けるカーマちゃんだけども! そんなことは置いといて家族になるにあたってのルール説明の時間だオラァン!!

 

というわけで、カーマちゃんを家族に(強制)したのでいつも通り(今回初)最初の家族ルール説明を行いたいと思います! Yes! 強行です!

 

「その1! 基本的にお父さんとお母さんであるティアちゃんと一緒に行動してもらいます! じゃないとお母さんが泣きます!」

 

「うおー! 泣くぞー! 色々暴れるぞー!」

 

「……それってもはや強制じゃないですか? 迂闊に離れられないじゃないですか」

 

「もしそばを離れる場合は何か一言お父さんに言ってくれればいいよ。言いたく無ければ理由も言わなくていい。ただ一言だけ離れる旨を伝えて欲しい。最悪勝手に居なくなったらお母さんが癇癪を起こして空の星が一つくらい消えるかも知れないけど、まぁそれくらいだよ」

 

「えへへー」

 

「言ってる事とお母さんの顔のギャップが激しすぎでしょう……」

 

まぁ勝手にどっかいってもお父さんはお父さんサークルの効果で何処にいるか把握できるんですけどね。

 

ティアちゃんが星一つ消すかもってのはちょっと盛ったかもしれない。だけどエレちゃんの件でティアちゃんが「エレちゃん!まただれかにイジメられたらすぐお母さんに言ってね! そんなやつお母さんが消し炭にするから!」って言っておりましたので……。

 

星一つ消えるかもってのは、文字通り地球()一つ消えるかもって所だけども、そこは詳しく言う必要はないでしょう。

 

「その2! これからカーマちゃんは私たちの娘です! 必ず[お父さん][お母さん]呼びをする事! 言われないと拗ねます。お父さんもお母さんも」

 

「拗ねるよー。超拗ねるよー」

 

肩の上でお父さんの髪をわしゃわしゃしながらニッコニコで言うティアちゃん。やはりウチの嫁が1番かわいい。娘も可愛い。異論は認めるけど否定はゆるさん。

 

「……ちなみに拗ねるとどうなるんですか」

 

「最終的に泣きます。お父さんは泣かないけど、泣いてるティアちゃんをあやしてあげないといけないので、カーマちゃんに構ってあげられなくなります。結果カーマちゃんはお父さんの匂いを嗅げなくなります」

 

「お母さん、絶対泣かないでください。私の癒しを取り上げるなんて許しませんよ」

 

「にひひー」

 

お母さんって言われて満面の笑み(予想)のティアちゃん。想像に難しく無い。ティアちゃーん。嬉しいのは分かるけど、抑えないとまた鼻血出るよー。そしてカーマちゃんはだいぶチョロくなりました。やっぱり中毒じゃないか!

 

「ルールその3! 家族となって3日〜1週間ほどですが、特訓をしてもらいます!」

 

「特訓?」

 

お腹から顔を離してこちらを見上げつつ首を傾げるカーマちゃん。おう、その仕草やめて。お父さん特攻だからお父さん尊死しちゃう。嘘、何回やってもいいよ。もっとやってもっと。

 

「カーマちゃんは私たちの家族として、分かりやすくいうと()()()()()()()()()()的な契約状態にあります。カーマちゃん。君が今契約しているのは誰でしょーか?」

 

「誰って、お父さんとお母さんでしょう?」

 

おうふ、不意打ち来ました。良い。良いよこれ。なんか呼ばれるだけで多幸感。ティアちゃんはエレちゃんで呼ばれ慣れてるはずなのに、私の髪に顔をうずめてビクンビクン悶えている。分かる……分かるぞティアちゃん!

 

「その回答はとっても嬉しいんだけど、問題はそこじゃないんだ。よく思い出して。ティアちゃんは何者?」

 

「……ビースト?」

 

「じゃあお父さんは?」

 

「ビーストの眷属? もしくは(つがい)? 尚且つ聖杯を体に取り込んでいて……あっ。魔力量」

 

基本マスターとサーヴァントの主従において、サーヴァントがどれだけ能力を引き出せるかは、マスターの生まれ持った魔術回路、魔力量。それらによって出せる出力、宝具の回数などが決まってくるもの。しかしカーマちゃんが契約しているのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のティアちゃんと、聖杯という()()()()()()()()()()()()()()()()半人半ビーストのお父さんである。

 

ぶっちゃけた話前にいたあの成長した方のカーマちゃんの所にいた時より色々動きやすくなっている。さらにプラスでいろんなバフかかってるような状態なのだ。

 

「多分今までできた動きとこれからできる動きに差がでまくるから。それに慣れさせるための訓練って感じかな。しっかり定着させれば君の本体を倒すのくらい片手でできるようになる。多分、きっと、メイビー」

 

「めいびー!」

 

「いや、後半自信なさ過ぎじゃないですか……」

 

んまぁそこはぶっちゃけカーマちゃん本人次第。カーマちゃんが本体を越えようとする思いが強ければ、それを叶えるためにお父さんとお母さんは精一杯フォローもするし、手助けする。あくまで私たちは支えるだけ。強くなるか。或いはこのままで私たちの愛を甘受するか。カーマちゃんの思いを尊重し、私たちからの押し付けはするつもりはない。

 

しかしお父さんとお母さんと契約した以上、その力はとてつもない。力をコントロールするのに必要最低限必要なのが3日間。もし()()()()を望むのであれば1週間(かそれ以上)になるのだ。

 

まぁ強くなりたいかー! って聞くのは力をコントロールできるようになってから聞くとして。

 

「とりあえず特訓は必須事項だよ。多分何もせずこのまま何かしら戦闘とかに巻き込まれたら絶対扱いきれないから。お父さんの名誉にかけて娘を死なせるなんてことはしないけど、それでも最悪の場合は死ぬかもしれないからね。お父さんの子である以上死んでも死なせないけど」

 

「サラッととんでもないこと言ってますよね……」

 

The・自分勝手。お父さんとお母さんが悲しくなるので、本人意思に関係なく復活させるぞい。仮でも家族になっちゃえば、座から呼んだ英雄よろしく魔力次第で復活させるなんて事は簡単なのです。こう言うことができちゃう辺りビーストに染まってる感ある。

 

「特訓とは言いましたが、ぶっちゃけた話特訓場所も特訓相手も決まってません!」

 

「かなりぶっちゃけましたね」

 

「んー、ラフム君とかにお願いするー?」

 

『呼びました?』

 

ティアちゃんが名前を出した瞬間に姿を現したラフム君。しかもカーマちゃんの視線に入る形でぬるっと。

 

「キャアァァァ!!?? なに!? 何ソイツ!?」

 

おぉう、なかなかヒステリックな反応。ビックリして怖かったのは分かるけど、お父さんの胸に顔埋めて目を逸らすんじゃないの。中毒酷くなるよ? もう手遅れだろうけども。

 

ラフム君が私の背後から現れたのは特訓の成果である。この場所に落ちてくる途中でティアちゃんの混沌泥(ケイオスタイド)と私の混沌泥(ケイオスタイド)をリンクさせたので、そこから経由してお父さんサークル内で単独顕現できるようにしました。これで混沌泥(ケイオスタイド)を使わなくても私の能力範囲内であれば自由に出入りできるようになったのだ。

 

「よしよーし。怖くないよー」

 

「……泣いてなんかないです……」

 

泣き出す3秒前ぐらいの表情で強がるカーマちゃんとそれをなでなでするティアちゃん。いつの間に降りたんだいティアちゃん。ちゃっかりカーマちゃんと一緒にお父さんの膝の上に乗ってるし。目の前でほんわかされるとお父さん和んじゃう。

 

「ラフム君なんかゴメンね。登場と同時に悲鳴を上げられて。めっちゃ特訓した成果出てるから、あんまり落ち込まないでね」

 

『まぁ見た目からしてそこらへんは諦めついてますよ』

 

まぁ頭に向きがおかしい大きな口が付いてるだけでも結構SAN値削られそうな感じあるよね。足2本! 謎の節足が4本! うーん不気味! でもなんか触り心地良さそうなツルツル感あるのがセクシー?

 

「うーん個人的にそのフォルム嫌いじゃないけど」

 

『それ、結構少数意見なんですよ?』

 

「ちなみにあたしもすきー!」

 

元気に返事するティアちゃん。あなたが生み出した子でしょうに。というより自分以外の生きる物全てを愛してそうなティアちゃんの好きはアテにならんぞ。お父さんはそういうティアちゃんも好きです。

 

『まぁ特訓相手なら是非。それなりに個体数も増えたんで、サンドバッグには持ってこいかと。あとは場所ですね』

 

サークルで気配遮断出来てるとはいえ、あまり大きい音を出すのはよろしくない。となるとどうしたものか……。

 

「一回冥界にもどるー?」

 

「まぁそれが1番選択肢としては妥当かな」

 

「えっ、サラッと言ってますけど、冥界?」

 

よしっ。そうと決まれば善は急げ。カーマちゃんを連れて冥界へ帰るぞー。

 

しかし、このまま帰ると元のカーマちゃんに変な違和感を与えることになりかねん。家族認定してこっちのパスとは繋がってるとは言え、まだ向こうとも繋がっているはず。そのパスを外しつつ、カーマちゃん1人分の魔力をパスから戻してあげながら消えるしかない。

 

うっわ、めんどくさい。

 

しかし、愛する娘のためだ。お父さん張り切っちゃう。

 

「ほいじゃカーマちゃん。そのままお父さんに抱きついてて。ちょっと向こうのカーマちゃんとのパスを切るから」

 

「……そんなこと簡単にできるんです?」

 

「まぁ魔力をお父さんの方に入れ替えるだけだから。パスの繋がったカーマちゃんの魔力のガワを取り出して、足りない分の魔力をお父さんの魔力で補う感じ。ちょっと体がふわっとするだろうから、しっかり捕まってね」

 

半信半疑といった感じのカーマちゃんがぎゅうっとお父さんにしがみつく。

 

おーけーおーけー。イメージは固まった。そのままカーマちゃんの魔力だけに皮を被せるイメージで後ろに2歩ほど下がる。向こうとのパスが繋がったカーマちゃんの形を持った魔力塊の完成。今こちらが抱えているカーマちゃんの魔力が少なくなるので、お父さんの魔力で補強する。あとはカーマちゃんの中に残った魔力を一つ残らず外に出して……。

 

「ほい、終わり。どう? どこか不具合とか無いかな?」

 

「……(クンクン)」

 

「おーい、戻ってこーい」

 

あるぇ? これ悪化してない?

 

ガッチリホールドした状態で、顔を擦り付けながら、顔は若干赤くなっている。重症じゃね? ってかティアちゃんまだなでなでしてたん? いいなそれ。私もなでたい。

 

「ちょいちょいカーマちゃん。お父さんの匂いは好きなだけ嗅いでいいから。体に違和感とかないか教えてちょーだい」

 

「なんですかなんですか。魔力の量というより質が変わったというか、全部変えられたらなんかお父さんに包まれた感じがして一瞬イキかけたというか、もう訳わかんないです。なんなんですか。もうお父さん好きです。絶対離れないですからね。私を虜にしたこと後悔しないでくださいね」

 

Oh……。めっちゃ早口。しかもちょっとモゴモゴしてる。でもお父さんスペック高いから全部聞こえるんやで。私もカーマちゃん好きだよ。

 

なんか魔力が全部お父さんので入れ替えした弊害か、匂い中毒が悪化したのか? 有り体に言うと同調? だろうか。どちらにせようまく行ったようで何より。

 

「じゃあ冥界もどるー?」

 

「そうね。後は戻りながらおっきいカーマちゃんの方に魔力戻してあげるだけだから、そろそろ行きますか」

 

 

一段落したところでお早いお帰りだ。余計に居座る必要も無いしね。

 

帰ったらエレちゃんにもハグしてみよう。この匂い中毒がカーマちゃん特有なのかちょっと調べてみたいし。

 

 

 




尊いが補給できる作品を目指したい……。

ついったとかでも尊い絵とかあるけど、模写絵くらいしか得意じゃないから僕はSSで尊い気持ちにさせたい。

そんな願望。

いつも感想ありがとうございます。


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9.確認


どんどんカーマちゃんがチョロくなっていく……






 

 

 

 さぁ帰ってきました、ホーム冥界。どうやって帰ったかはとりあえず[単独顕現]って言っとく。便利だね。このスキル。

 

 

「エレちゃーん! ただいまー!」

 

「きゃっ! もう、お母様。飛び付いてきたら危ないでしょう」

 

「えへへー」

 

 もうね、この光景だけで生きてる実感湧く。帰ってきた感じする。

 

「あれが冥界の女神様ですか……。どちらかというと私とは正反対なマジメちゃんな気がするのですが」

 

「そうだねぇ。性格的にはだいぶ真逆じゃないかなー」

 

 

 

 

 片方は冥界を管理する女主人として、自らを律して自分に厳しく、他人にも厳しくを地で行くエレちゃん。

 

 

 

 

 もう片方はその弓矢を持って人の恋情を呼び起こす、どちらかといえば規律を乱すタイプのカーマちゃん。

 

 

 

 

 うん。真逆だねこれ。

 

 人間だったら自分の持ち得ないモノに惹かれるとかそういう話もあるし、何処かしかで繋がりが持てそうな感じするけども……。それぞれ権能持ちの神様同士で性質が違うと流石に仲良くは無理かなぁ……。

 

「まぁ私に嫌なことしない限りは仲良くしますよ」

 

「おっ、意外と前向き」

 

 意外や意外、カーマちゃん様が突っぱねる事はないとの事。

 

 これが……成長ってモノなんですかっ! (早い)

 

「それに私はどっちかっていうとお父さん派です。あちらは見るからにお母さん派でしょう。お父さんの匂いが嗅げるなら別にどうでもいいです」

 

「だから私の背中から離れないのねカーマちゃん」

 

 台無しである。むしろ成長して無かった。

 

 

 というか可愛いなカーマちゃん。抱っことか横抱きじゃなくておんぶを選択する事によって、お父さんの両手が空くように考えてるでしょ? お父さんにはお見通しなのです。お父さんの事も考えつつ、自分に最大限メリットのある行動をしている。もしかしなくても悪女ちゃんですね。可愛い。

 

 とりあえず私もエレちゃんに挨拶しておかないとね。挨拶は大事。家族のコミュニケーション。

 

 

「ただいまエレちゃん」

 

「おかえりっお父様! 申し訳ないけれど、お母様をどうにかしてくれませんこと!?」

 

「うおー、かわゆいぞー!」

 

 

 頭に登ってエレちゃんの髪をわしゃわしゃしてる。ティアちゃんは基本娘に嫌われるような事しないし、エレちゃんも存外悪いようには感じてないでしょうに。ウチの嫁さんは甘えるのと甘やかすのは得意分野だからね。

 

 とはいえこのままだと話が進まんのよティアちゃん。

 

「ティアちゃーん。帰ってきた目的忘れてるぞー」

 

「むっ! そうだった!」

 

 そのままトテトテとこちらに寄ってくるティアちゃん。ティアちゃんにとってはここはホーム。居心地がいいのだろう。他所へ行くと私の肩からなかなか降りないからね。

 

 

 

 

「さてエレちゃん。こちらお持ち帰りした新しい家族! カーマちゃんです! 仲良くしてね!」

 

「カーマでーす。インドの愛の神でーす」

 

 私の前に立つカーマちゃんが心底やる気なさそうに自己紹介。とってもダウナー。思わずこっちもあんな感じになっちゃいそう。

 

「……お持ち帰りですか。まぁお父様の奇抜な行動は今に始まった話じゃありませんし、そこまで驚きはしないのだわ。こちらも初めまして。あなたの紹介に倣うのであれば、私は古代メソポタミア神話の冥界の女神ですわ」

 

 

 対峙するカーマちゃんとエレちゃん。

 

 初手喧嘩カードは勘弁してね……? 

 

 

「なんか第一印象とは違いますね。とっても苦労してそうな感じがします。苦労人気質な感じが。ちょっと共感しちゃいますね」

 

「あら、あなたもそう思ったの? 奇遇ですわね。同じ親を持って振り回されそうな感じがすごくシンパシーを感じるのだわ」

 

 

 そこからは無言で近寄り、静かに握手していた。

 

 うん。仲良ければそれでいいや! 

 

 っとカーマちゃんが離れた隙にティアちゃんが私の肩にっ。

 

 振り返りそれを見たカーマちゃん。

 

 

「ちょっとお母さん!! そこに乗ったら私はどこに乗ればいいのです! 今すぐ退いてください!」

 

 

 おぉう、すごい剣幕。っていうか乗るって。私は乗り物か何かか。対するティアちゃんは。

 

 

「カーマちゃーん。今から特訓だよー? お父さんとはしばらく離れるのよー?」

 

 

 特訓をダシにして独占し始めましたよこの嫁。可愛いなぁ。もしかして独占欲出ちゃいました? ティアちゃん。

 

 言われて顔を歪ませて「ぐぬぬ……」と呟くカーマちゃん。可愛いかよ。

 

 あっ、そういえば。

 

 

「エレちゃんエレちゃん」

 

「? なぁにお父様?」

 

「ちょっと調べたいことがあるからちょっと近くに寄ってもらえるかな」

 

 首肯して近付くエレちゃん。そのまま軽く抱きしめてみる。

 

 

「ちょ、ちょっと!? お父様っ急にどうしたのだわ!?」

 

 

 慌てるエレちゃんに耳元で囁くように説明する。

 

「実はカーマちゃんがお父さんの匂いを気に入っちゃったみたいでね。中毒みたいな症状になってるんだ。これがカーマちゃんだけなのか、家族共通なのか調べたくてね。個人差はあると思うけど、この状態でどう感じたか教えて欲しいんだ」

 

 あくまで落ち着かせつつ。

 

 ティアちゃんはなんとなく安心できる匂いと言っていた。

 

 安心感を与えるだけなのか、それとも人によって感じ方が違うのか。

 

 そもそも匂い自体が嗅ぐ人によって[いい匂い]か[くさい]かが如実に現れるものだ。世の中に[匂いフェチ]という言葉があるように、いい匂いであるかどうかは人によって千差万別なのである。

 

 今回の場合、若干どころじゃなく匂い中毒なカーマちゃんとの匂いに関して対比検証のためエレちゃんに抱きついてみた。

 

 

 さて、ここまで理屈っぽく説明しましたが。実のところ結果は囁き途中で出てるのです。

 

 

「エレちゃんにとっても、臭い匂いって訳じゃないみたいだね……」

 

「……(すんすん)」

 

 

 囁いてる途中で背中に手を回し始めたので、半ば確信していた。コレはもう子供たち限定の魅了スキルに他ならないレベルなのでは? エレちゃん結構強めに抱きついてるし。

 

「むぅぅぅ! ライバルが増えるぅぅぅ!」

 

 後ろでプンスカ怒るカーマちゃん。ティアちゃんにお預け食らっちゃったからね。

 

 でもエレちゃんを中毒化させる訳にもいかない。エレちゃんは冥界の女主人。私たちの家を守る娘なのだ。

 

 悪い意味合いで言えば常にお留守番の係なのだ。

 

 もし中毒になってしまって、お留守番をさせられ続けたらどうなると思う? 

 

 考えるまでもない。ぶっ壊れる。下手したら廃人コースだ。

 

 タバコ中毒然り、アルコール中毒然り、ヤク中毒然り。強制的に取り上げた所で辞められないモノ。

 

 上記挙げたものはそれなりに数がある分、1種類取り上げても違う種類で……となり基本止められない。

 

 しかし今回検証している[お父さんの匂い]に関しては、今後どうなるかは別として、現状お父さんしか出せないモノであり。代替が効かない。

 

 なので多少手遅れかもしれないが、エレちゃんには早々に離れてもらう。

 

 

「ありがとうエレちゃん。よく分かったよ」

 

「……(ぽー)」

 

「おーい、エレちゃーん?」

 

 

 あれ? もしかしなくても重症じゃね? 即効性高すぎるなぁ。(現実逃避)

 

「はっ!? ……今ちょっと意識が……」

 

「いや、もうそれ怪しい薬レベルだよね。大丈夫? 匂い嗅ぐ?」

 

「……ちょっとだけいいかしら?」

 

「ダメに決まってんでしょ。これ以上酷くなったら取り返しが付かなくなるよ」

 

 約一名取り返しがつかなくなって嫉妬でプンスカしてるけど、この症状を知らなかったからノーカウントでお願いします。

 

 

 さて、脱線しまくったけど、本来の目的を達成しないとね。

 

「エレちゃん。この周辺で被害が出ても大丈夫そうな場所とかある? 被害はなるべく抑えるけど、万が一って事もあるし」

 

「そうね……じゃああの辺りの暗い所周辺だったら構わないのだわ。最近空いた所だし、槍檻置くのにもまだ土地が悪いから好きにしてもらっていいわよ」

 

 そう言って遠くの方を指差すエレちゃん。

 

 さすが冥界の女主人。冥界の事なら土地の状態から、流れ着いた死者の魂の状態まで把握しているだけはある。これだけ頑張ってるのに自分は後回しでこの地に住う魂の事を優先に考えてる。凄い。もうとにかく凄い(語彙力)。

 

 なんか頭撫でてあげたくなってきた。でもさっきの一件もあるし自重しないとね……。

 

 そうだ。こういう時こそ。

 

「ティアちゃん。ゴー」

 

「らじゃー!」

 

 トテトテと駆けていくティアちゃんそのままエレちゃんの身体を登っていく。

 

「ちょっと!? お母様!? ど、どうしたのだわ!?」

 

「なでなで……むふー。頑張ってるエレちゃんにいいこいいこなのです。なでなでー」

 

 私が甘やかしたいと考えた時、ティアちゃんも甘やかしたいと思っているのだ……。

 

 エレちゃんは元々ティアちゃんがお母様だからね。甘えたいし甘やかしたいティアちゃんが大好きな自分の娘の頑張りを褒めない訳がない。

 

「が、頑張ってると言っても……私にとっては当たり前の事なのだわ」

 

「その当たり前を当たり前に出来ることは中々出来るモノじゃないさ。大人しく撫でられなさい。撫でさせないとティアちゃん拗ねちゃうし」

 

「そうだぞー。私もプンプンぶいーってなるからなー」

 

 なにそのプンプンぶいーって。なんとなく伝わるけども。可愛い。

 

 だけどこうやってイチャイチャしてるとね……。

 

「ぐぬぬぬぬぬぬ……。私もお父さんに撫で撫でして欲しいですぅー!! 匂い嗅いで生きていたいんですぅー!! えこひいきは良くないと思いますぅぅぅ──ー!!!」

 

 欲望と嫉妬がダダ漏れのカーマちゃん(愛の神)がおこでいらっしゃるよ。こうなっちゃった原因の私が言うのもアレではあるけど、重症だなぁこの子も。どっぷり浸かっちゃってるね。

 

「じゃあカーマちゃん。一つ提案をしよう」

 

「う゛う゛う゛う゛う゛……なんですかぁー!!」

 

「カーマちゃんがこちらの課題を1つクリアする度に10分、私からの撫で撫でタイムを」

 

「早くしてください。お父さんから貰った力です。3日と言わず1日でモノにしてみせます。だからモノに出来たらお父さんの背中に抱きつく権利は私のものですよ! お母さん!」

 

 クワっとティアちゃんを見るカーマちゃん。

 

「私は肩車だからいーよー。1日でできるかなー? お母さんも期待しちゃうぞー」

 

「ふふふふ……速攻でモノにしてみせますよ……」

 

 わお。これが中毒患者かぁ。傍から見ればチョロっチョロの駄女神なのに、娘だと思うだけで可愛く見えてきちゃう。私も大概親バカしてるなぁ。

 

 んじゃぁご褒美も決まった所で、特訓しに行きますかぁ。

 

「じゃあエレちゃん、これからカーマちゃんの特訓に行ってくるね。ティアちゃんはどうする? そこからでも見えるだろうけど……」

 

「むふーん。私はエレちゃんとイチャイチャするのです! カーマちゃんはお父さんが好きみたいだし、2人で行ってらっしゃーい」

 

「お母様もこう言ってますし、行ってらっしゃいまし」

 

「やりました! 2人きりですよ! こっちも負けずにイチャイチャしますよ!!」

 

「はーい、本筋忘れないようにねー。2人きりって言ってもラフム君も一緒だけどねー」

 

『ハーイ』

 

「がっでむ!!」

 

 隙あらばお父さんの匂いを嗅ごうとするカーマちゃん。しかしメインは能力制御の訓練だ。

 

 まずは魔力に馴染む所からかな。こちらにお持ち帰りする時に完全に中身を挿げ替えてしまっている。今の状態で十全に身体を動かせるようにならなければ話にならない。

 

 それからは新しく出来ることの確認。今までできたことに加えて、今まで以上の魔力量があることで、出来ることが増える、或いは新しく何かできるようになるかもしれない。

 

 そこら辺の確認とカーマちゃん本人の調整が今回の目的である。

 

 カーマちゃんも言ってるけど、早く終わるならそれに越した事はない。あまり長くなるとティアちゃん……はエレちゃんと一緒にいるだろうけど、エレちゃんの方が保たないかもしれない。主に心労的な意味合いで。

 

 

 〔お母様!? ちょっとそっちには行かないでくださいます!? 〕

 〔うおー! こっちでエレちゃんをバカにする声が聞こえたぞー! 出てこーい! ボコボコにするぞー! 〕

 〔お母様がまともに暴れたら冥界が大変なことになるのだわー!? 誰か助けてー!? 〕

 

 

 うん。ここまで幻視した。真実にならないことを祈るばかり。

 

「よしじゃあカーマちゃん。背中に乗る事をお父さんが許可します。代わりにお父さん現地まで飛びます。しっかりお父さんの魔力の流れを覚えて訓練に活かすように。匂い嗅ぐのに夢中で覚えてないとかはナシだよ?」

 

「うぅぅ、そんなの生殺しじゃないですかぁ! お父さんの匂い嗅いでて集中なんてできるわけないですよぉ!」

 

 って言いながら背中にはしっかり乗るカーマちゃん。

 

 欲望に正直だなぁ。お持ち帰りする前はだいぶ捻くれてた感じだったのにねぇ。これも成長なのかなぁ。(親バカ)

 

「あれだけの啖呵を切ったのだし、頑張るしかないぞ。さぁ、訓練の始まりだ!」

 

「はぁ……。吐いた言葉は戻せません。潔く頑張りますよ」

 

 

 さて、何日かかるか。言葉通り、頑張ってもらいますかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────────……少女訓練中……────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




モンハンの方と交互がいいのか…
あくまでこっちメインであっちは息抜きにするのか…

悩みます…


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10.結果



遅くなったぞ……。
FGOでは大奥イベが復刻しましたね。
カーマちゃん当ててみんなでケーキを与えようね。

誤字報告もらうと「ファッ!?」ってなって「ありがとナス!」ってなるんで、いつもありがとう。

モンハンの方も頑張って更新する。




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かくかくしかじか。

 

 まるまるうまうま。

 

 カーマちゃんの訓練が最終段階です。カーマちゃん本人が[餌に釣られて]本気で頑張っていたので、魔力関係の習熟とカーマちゃん魔改造も含めて3日で終わりそうです。

 

 

 

 啖呵を切った通りに、お父さんの魔力の順応に関しては1日で習得。追加で出来そうなことの洗い出しに1日。それらの習得に1日。最後に残った時間で今しがた最終訓練前の詰めだ。やっぱりカーマちゃんはご褒美があるととっても動けるタイプのようだ。

 

 事実ご褒美が無かったら多分1週間かかっただろうね。元々のダウナーな性格と捻くれも混じって四苦八苦したに違いない。

 

 こちらにお持ち帰りしてからとっても欲望に素直になってたけど、訓練中にチラッと聞いてみたらこんな事を。

 

 

「だってっ!! お父さんとっ! お母さんにっ! そもそもぉ! マウントっとかっ! 取れるっ訳っないしっ! お父さんとっお母さんがっ! 愛をくれるってっ! 言ってくれたからぁぁ! 信じるぅぅぅ! ラフムさぁん! もうちょっと手加減してよぉぉぉ!」

 

『はーい。文句が出たので10体追加でーす』

 

「グゾがぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!」

 

 

 いやぁ。ラフム君×100(さっき10体追加された)を相手に覚えた技術を全て駆使して生き残る、最終訓練中に息を切らしながら言ってくれた時は思わず抱きしめたくなっちゃったよね。訓練中だから抑えたけど。

 

 この訓練の前に今まで覚えた技術は習得済みだ。しかし実戦になるとどうしても慣れた技術、やり方を選択しがちだ。それは座に登録される英霊とて同じ。むしろ英霊だからとも言えるか。この方法ならっ、という文字通り[必殺]の技、方法があるものだ。

 

 しかしカーマちゃんに教えた、もしくは生み出したものはそれらの[必殺]に比類する力であることは間違いない。しかし力を得ても適所で発揮できなければ意味がない。

 

 そこで極限状態を作り上げる。今までの技術プラス得た技術を駆使しなければ切り抜けられない窮地。絶体絶命。それが現在のラフム100体組み手なのだ。

 

 ちなみに鬼教官と化したラフム君の采配によって、弱音を吐くごとにどんどん体数が追加されていって今現在110体です。おかしいなー。最初は30体だったんだけどなー。

 

 でもラフム君も考えなしに追加してるのではなく、カーマちゃんがギリギリ対策できるであろう隙間を縫って追加、攻撃を繰り出している。

 

 対するカーマちゃんは対応する中で得てきた技術を、息をするのと同然のレベルで昇華してきた。だからこそ今対応できるラフム110体。魔力は私譲りとはいえ、ここまでできるようになったのは彼女自身の素質、努力の賜物である。

 

 とはいえここまで来ると動き云々は関係なくなってくる。単純に身体一つだと対応出来なくなってくる頃合いだ。そろそろか。

 

「カーマちゃん。最終テストだ。身体無き者(アナンガ)混沌泥(ケイオスタイド)の使用を許可する。ラフム君300体相手に1時間以上持たせること。倒して数を減らしてもOK。スタートは1分後。いつでも動けるように準備しておいてね」

 

「ふっ、ふっ、ふ、ふぅぅぅっ!!! お父さん! 30秒! 抱きつく許可を下さい!」

 

「よしっいいぞ! ばっちこい!」

 

 ガバッ「(ほわぁぁぁぁぁぁぁ!!!)」(籠もった声)

 

 禁欲からの解放(30秒)である。若干発狂じみてるけど、この後1時間以上確定でお預けだ。しっかり嗅いでおくんだぞカーマちゃん! 

 

「カーマちゃん頑張ってるねー。よしよーし」

 

 様子見してたティアちゃんも、懸命に頑張るカーマちゃんを見て嬉しそうだ。ちゃっかりこっちまできてカーマちゃんをなでなでしている。いつ見ても癒されますなぁ……。

 

「さすがの私でもこの訓練はムリですわ……。順調に人外に足を踏み入れてきてますわね……」

 

『ふむ。300体ともなるとこちらもしっかりと動きを統率しないと共倒れするかもしれませんね。ちょっと訓練中は統率に集中するので、しばらく動けなくなりますね。お母さん。魔力も少し回していただきたいので、中に入りますよ』

 

「ばっちこーい!」

 

 そういってティアちゃんの中に入っていくラフム君。現場に残り静かに佇むラフム君×300体がとってもシュール。あれだけの数を任意で干渉のないように動かそうってんだからラフム君も大概ハイスペックだよね。

 

 そんなこんなで30秒。カーマちゃんの方も準備の時間だ。

 

「さて30秒経ったよカーマちゃん。しっかり出来たら膝枕でこっちに顔向けて眠らせてあげよう」

 

「なんですかその欲張りセット!! 私をイき殺すつもりですか!! 超頑張ります!!」

 

 カーマちゃんにとっては欲張りセットらしい。お父さんキメてるなぁ。(遠い目)

 

 ちなみに。

 

 カーマちゃんが現在身体無き者(アナンガ)で扱い切れる分体は、本体含め()()までである。なぜ3体なのかと言うと、カーマちゃんの見てない所でお父さんに甘えてきて使い物にならなくなるのである。なんだよ。可愛いかよ。

 

 ラフム君がどういう戦法を取るかは分からないが、下手すれば操れる分体を増やさないと対応しきれなくなる可能性はある。数の暴力とは恐ろしい物で、3対300と5対300でも雲泥の差だ。それがカーマちゃんのような1人あたりの戦力が高いのであるなら尚更。

 

 ちょこっとだけ、そこら辺の強化も出来ないかという期待もしてる。まぁ増やしすぎるとマーラ側面がいつ浮上するか分からないってのもあるみたい。(カーマちゃん談)マーラ側面が無いとは言っても、不純物程度に0.00……01%くらいの低い確率で出る可能性はあるから、制御できない内に出したく無いとの事。

 

 ぶっちゃけ出てきてもお父さんとお母さんならどうにかできるし、どうにかなるだろうけど。ってかその確率だとほぼ出ないでしょう。えっ? お父さんがティアちゃんに選ばれた時点で幸運EXの可能性がある? あとビーストだから惹かれやすい? んーそう言われるとぐうの音も出ない。思い当たる節が多すぎる。

 

『よいしょっと』

 

 およ? 

 

「ラフム君、出てきて大丈夫なの?」

 

『えぇ。ちょっと考え方を変えてみようかと。何も全部自分でやる必要ないかな、と思いまして』

 

 ラフム君悪い顔してる。(当社比)

 

『まず300もいるので、30体ずつ分けて統率個体を置きます。10の班に分けられるので、内5班は通常個体、内4班を飛行形態にします。これで攻撃の干渉を抑えます』

 

「うわぁ、考えたくもない布陣。残り1班は?」

 

『デ バ フ 班 で す』

 

 うわぁ。いい顔してんなぁ。イキイキしてるぜラフム君。

 

『常に相手の動きを統率個体で共有。動きの干渉を防ぎ、相手がノってきた所でデバフを撒く。デバフ班はピンポイントデバフ以外では常に()()()()()()させときます』

 

 

 

 うん。無理ゲーじゃね? 

 

 さすがラフムメインAI。考えることはえげつない。

 

 

 

『xZgkfうdfげwえqう? 6j5qあkfqおぎgqえr.c@』

 

『6j5fういsqqtZwえ.kq@9』

 

『えgjr9〜。えgjr9〜えへh』

 

 

 

 あっちではラフム君達が会議中だ。話していた通り、内4割の120体が変形して飛行形態をとっている。正式名称で言うところのベル・ラフム君か。

 

 対するカーマちゃん陣営は。

 

 

 

 

「…………。(ゴゴゴゴゴゴ……)」

 

 

 

 

 なんか分体含めオーラがハンパない。そんなにお父さんの膝枕が良いのか。カーマちゃん分体は、本体カーマちゃんがアレ(匂い中毒末期患者)なので、例に漏れず分体もその影響を受けている。

 

 そりゃもうとっても。

 

 試しに10人になったら、元本体のカーマちゃん以外全員でお父さんにアタックしてきたくらいである。とっても欲望に忠実。

 

 1人出遅れてベソかいてたカーマちゃん可愛かった。それを慰めてたティアちゃんも可愛かった。

 

 基本的にカーマちゃんの分体といっても、分かれた分体もカーマちゃんと同じような物で、分身の方が近いかもしれない。全く同じ人間が1人増えるような感じなので、元々増やしたら自由に動き出してしまうのだ。

 

 それに待ったをかけて、本体と同じ目的を持たせられるのが、前述した通り3人(カーマちゃん含む)なのである。

 

 その3人が考えうる最高のご褒美目の前にぶら下げられたのだ。やる気に満ち溢れてらっしゃる。

 

 

 さて両者準備が整った。

 

 ルールは簡単。1時間耐久デスマッチ。

 

 カーマちゃん側の勝利条件は生き残る事。戦闘中に頭数が増えた場合は、増えたカーマちゃんが残っても勝利とする。最終的にカーマちゃん側が1人でも残っていればOK。

 

 敗北条件はカーマちゃん側の全滅。全員戦闘不能になった場合負けとなる。

 

 ラフム君側の勝利条件は1時間以内にカーマちゃん側を全滅させる事。増殖増減数は300上限。カーマちゃん側に数を減らされた場合上限値まで追加投入OK。頭数が変わらなければ形態変化も可とする。

 

 敗北条件はカーマちゃん側が1時間生き残ってしまった場合と、ラフム君側が増殖出来なくなる状況に陥った場合。何かしらの可能性で全滅した場合はその時点で負けとなる。

 

 増殖可ではあるが、外からの追加投入は無しとする。戦闘中の300体の誰かが増殖して増える場合のみOKとなる。

 

 うーん、耐久の時点でラフム君側が若干不利? でもカーマちゃん側の耐久するだけのスキルは今の所無いし、唯一耐久で使えそうな混沌泥(ケイオスタイド)に潜って潜伏するのも、ラフム君も潜れる時点で意味を為さないから五分五分くらいか。

 

 いずれにせよ一筋縄ではいかない。ラフム君が飛行形態を取るのもカーマちゃん戦では初だし。ここからの戦いでカーマちゃん側にとって初めての動きをされると考えると、1回のチャレンジで終わる気がしない。

 

 もしカーマちゃん側が全滅した場合は、カーマちゃん陣営が復活後、5分経ったら再開のルールも追加しよう。是非とも1発突破して欲しいけども、念には念を入れて、ね? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────ー少女最終試練中────ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結論。ラフム君鬼畜でした。

 

 

「はぁ!? デバフなんて聞いてないですよ!? そんなの反則ですってぇ!!??」

 

『ルールには反してませんよ』

 

「余計にタチが悪いですぅ!!!!」

 

 ──────────────ー

 

「飛行形態ウザすぎです! 地上の隙間を縫うように攻撃されたらどうしようもないじゃないですか!」

 

『人の形を保っているから避けれないんですよ。体に当たりそうな部分を混沌泥(ケイオスタイド)で補完すれば幾らでも避けれますって』

 

「それは人間としての最後の一線超えてるんで遠慮しますぅ!!!」

 

 ──────────────ー

 

「なんで単体から増殖するんですか! 数増えてません!?」

 

『状況に合わせて通常形態と飛行形態の数は変動してますけど、総数は変わってないのでルール違反ではないですよ』

 

「倒しても倒してもキリがないんですけどぉぉぉ!!!」

 

 ──────────────ー

 

「……………………」

 

『あぁ、到頭喋る暇さえ無くなりましたか。デバフ班は音量上げて、どうぞ』

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」

 

 ──────────────ー

 

 

 

 

 

 

 ラフム君のブートキャンプも何回目になっただろうか。

 

『今87回目ですね。日付で言うと4日目になります。そろそろ行けそうですが』

 

 ちゃんと数えてたのね。

 

 長くなったからちゃっかりティアちゃんが先にお父さんの膝枕堪能中ですけども。ツノはどうしたん? あっ、魔力で一時的に消してる? そこまでして膝枕して欲しいか。

 

「カーマちゃんがして欲しい理由がなんか分かるね〜」

 

 とはティアちゃん談。

 

 そして今現在経過時間は57分弱。もうすぐ1時間である。

 

 速攻でやられちゃったり、気絶してる時間が長かったりでかかった時間がバラバラだったけど、ようやくここまでこぎ着けたって感じ。

 

 ぶっちゃけラフム君相手だと本来彼女のメインウェポンである弓矢の効果は完全に無効化されている。なので今回手に入れた混沌泥(ケイオスタイド)を経由した瞬間移動と、移動先を増やす為に編み出した、矢尻に混沌泥(ケイオスタイド)を付与させて放つ技。

 

 あと一つが途中ラフム君が言ってた、体を混沌泥(ケイオスタイド)で換装する技。こちらは本人が嫌がってた。

 

混沌泥(ケイオスタイド)に潜るだけならまだしも、体そのものを変換するなんてどうかしてるんじゃないですか!?」

 

 って叫んでた。うん、言いたい事は分かるんだけどね? そもそも混沌泥(ケイオスタイド)に触れるだけでもクッソ危ないのは理解してるのかな? 

 

 そう。お父さんの魔力経由とはいえ、カーマちゃんは擬似的に混沌泥(ケイオスタイド)を操る事が可能になっている。普通の相手だったらコレ使うだけで大体どうにかなるからここまで訓練する必要あるかな? って感じなんだけど。カーマちゃん曰く。

 

「私がお父さんの1番になるんですぅー。どうせお父さんの事だから、私と同じようにお持ち帰りしてくるんでしょうし。私が1番最初にお父さんの娘になったんですから、今後誰が妹になろうと私が1番ってマウントとってやりますっ」

 

 って言われました。おいおい。お父さん嬉しくて泣いちゃうんだけど。

 

 そして色々人外に足を踏み入れて、色々吹っ切れたカーマちゃん。ラフム君のほぼ全ての攻撃を混沌泥(ケイオスタイド)透かしできるようになった模様。それも常時発動である。そう、パッシブスキルで無限回避みたいなもんだ。

 

 しかもラフム君だからそれを切り裂きに行けるけど、普通の人だったら手を出した途端混沌泥(ケイオスタイド)に侵されて終わりっていうね。それを1時間近く保てるって……。

 

「立派になっちゃってぇ……」

 

『むしろドコに向かってるんですかね彼女。方向性見失ってません?』

 

 それを推奨してた君が言うのか……。

 

 そんな話をラフム君としてたら。

 

『1時間経過ですね。おめでとうございます』

 

 ようやく最終試験が終了しました。カーマちゃんは大丈夫? 

 

 

 

「……オトウサン…………オトウ……サン……?」

 

 

 

 逝きかけてらぁ!? ちょ、待てよ。(動転)

 

 

「へい! カーマちゃーん! こっちこっち! come on!」

 

「オトウサン……? ……おとうさん……お父さんお父さんお父さん!!!」

 

 

 虚な目でフラフラとしていたカーマちゃんは、お父さんの声が聞こえたのかこちらに向かって一心不乱に走り出してくる。

 

 

 ボフっ

 

 

「お父さん……お父さん……えへへぇ……私ちゃんと出来ましたよね……? お父さんから貰った力……ちゃんと使えてましたよねぇ? ふへへぇ……」

 

「よしよし。ちゃんと使えてて偉いぞー。今日は思う存分甘えていいからなー」

 

 壊れたラジオの様に「お父さん……」と「ふへへぇ……」を繰り返すカーマちゃん。極度の疲労と匂い中毒が相まってヤバい事になってる。

 

「……このまま寝てもいいですかぁ?」

 

「頑張ったご褒美だしね。思う存分甘えていいんだぞ〜」

 

 そのまま静かに寝息を立てて寝てしまったカーマちゃん。流石に約4日間ぶっ通しは辛かったんだろうね。頑張った分しっかり休んで欲しい。

 

 

 カーマちゃんが起きたらどうしようか。またティアちゃんを連れてどこかに行こうか。カーマちゃんも連れて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……あれ? よく考えたらお父さんの1番最初の子って私が置いてきたラフムαなのでは?』

 

「あるぇ?」

 

 

 

 

 

 





今回ちょっと長くなっちゃった。

ごめんね。

巨人と◯女ってゲームが最近好きなのよ。雰囲気とかワ◯ダと巨像に近くて。

関係ない話でごめんね。


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11.顕現




誤字報告いつもありがとうございます。

自分でもある程度推敲、加筆しますが、それでも抜けるのは悔しいです。

話が変わりますが、反芻って「はんすう」って読むんですね。見たことあるけど読み方知らなかった作者です。(形ではんだく?って読んでました)意味は合ってたけど読み知らないとか恥ずかしい。思わずルビ振っちゃったよ。

遅れてしまい申し訳ない。

出したかった子を出すのにウンウン唸ってた時間が長すぎた。





 

 

 

 

 

 

 

 

 ラフム君に言われるまで完全に忘れてた。

 

 そう、私の体の中にラフム君が1体いるんです。

 

 ネタじゃないぞ。まだ能力のコントロールが下手なのか自分の中にいるラフムαの存在を自分で感じ取れてないけど、ラフム君が居るって言うには居るんでしょう。

 

 そして私の体の中にいる以上その子も私の魔力の影響を受けるわけでして……。

 

 ラフム君の言う通り、おそらく私の中にいる子も十中八九私の魔力でできた、ティアちゃんの子とはまた違った子になっているはず。

 

 その進化の先というか、この子がなるかも知れない未来の姿はまだ未知数。ラフム君の特性を受け継いで、尚且つ私の魔力に影響された何かになるのか。又は私達が想像していない全く別の何かになるのか。

 

 考えてきたら気になってきた。

 

『私達は多かれ少なかれ、母さんの影響を受けてます。その時の感情、記憶、環境、その他色々。それに加えて塩基契約(アミノギアス)によって母さんから固有のスキルを与えられて生まれています。母さんの中では今母さんが見ている光景と、昔の記憶などが映画の様な感じで見ることが可能です。新しく成形される子達はこれらの周囲環境によって様々に変化しています』

 

「要するに映画館?」

 

『まぁ環境だけ言えばそれが1番近いかと。父さんが前世の記憶を持ってる事も、最初入ったときに把握してますよ』

 

 あら知ってたのね。隠してるつもりは無かったけども。

 

「ん? つまりさ。私の中に居るラフムαが、私の前世の記憶から誰かの姿を模倣して出てくる可能性があるってこと?」

 

『……あー。それはありそうですね。父さんに好かれたくて、思い入れの深い人だったり、キャラクターだったりに寄った姿。或いはそれとほぼ同じレベルのコピーをしてくるかもです。さっきカーマさんが1番1番騒いでたのは絶対聞いてたと思うので、嫉妬というか。好かれやすいキャラになって出てくる可能性はめちゃくちゃ高いです』

 

 おうふ。つまりあれだ。前世でやってたゲームのキャラとか、そういうところから姿を引っ張ってくるかも知れないわけだ。

 

 しかも自分が好きだったキャラ確定で。

 

 限定確定ガチャとか何それ。インフレじゃん。

 

 

 

 さて、そんな話をしている最中、宣言通り膝枕(お父さんのお腹に顔埋め中)されながらティアちゃんになでなでされてるカーマちゃん。寝息の筈なのに結構大きめに息をスーハーしてるからなんかモゾモゾする。ちなみに右太ももを占拠中。

 

 さらに言うとその反対側の左太ももの方には、いつの間に居たんだかティアちゃんが。こちらはお腹に顔を埋めたりとかはしていないが、とても幸せそうな顔をしている。

 

 目の前で2人の娘が膝の上に座り、片方が片方を慈愛の表情でナデナデする。なんで私の膝の上でやってるんだい。いいぞもっとやってくれ。

 

 話が逸れた。問題のラフムαの事ですが、ラフム君にお願いして引っ張り出してきてもらう事に。

 

 私の中に居るのは全然構わないんだけど、今現状私が中の状況を把握できないって所が問題。今後増える可能性があるし、私の中の確認ができる様にしておかないと、今後何かと不便になると思われる。なので、今居るラフムαに協力してもらおうと思ったのです。

 

 おっ出てきた……けど? 

 

 

 

『いやぁ……うん。分かるんだけど、難しいというか……』

 

「どしたのラフム君」

 

 何やら神妙(当社比)な顔して出てきたラフム君。どしたん。説得失敗? 

 

『……父さんには名前をあげた方が分かりやすいかもしれないので言います。中に居るラフムαは()()()()()()()()()()()になってます』

 

「……あー……あぁぁー……」

 

 切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)。生まれる事を許されなかった子供たち、その集合体。そして彼女が聖杯へ望む願いは胎内への回帰。……ある意味お父さんやお母さんの混沌泥(ケイオスタイド)の中に居るって事は胎内に居るのと近いのでは……? つまり……。

 

 

「願い叶っちゃったじゃん」

 

『中の彼女的には父さんの中こそが自分の居るべき場所だとの事で、出たくないみたいで。どうにも説得しようがないんですよね……』

 

 わぁお。どおりで出てこない訳だ。だがしかしその話を聞いた私がそれを許すと思っているのかなぁ? 

 

 お父さんはお父さんです。お父さんとして子供たちを甘やかす責務があります。責務ってなんか言い方がアレだから、[甘やかさないと死んじゃう]とでも言っておこうか。

 

 生まれる事を許されなかったと? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふざけるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生まれた子達に責任なんてない。生まれたからにはこの世に生きる権利、生を謳歌する自由がある。それを私たち大人が捻じ曲げてはならない。

 

 ジャックちゃんの存在として中が良いのは構わない。だがこちらも[子供達を愛する事]が存在理由であるのだ。今までは自分の中の様子が分からなかったので仕方ないかもしれないが、中の様子が分かった今、ジャックちゃんを愛し、ジャックちゃんが生まれてきて良かったと思えるようにするのが私の役目だ。

 

 中の様子が分からないから手が出せない? ジャックちゃんが望んで居ないから出てこない? 

 

 良いでしょう。それがジャックちゃんの選択でありやりたい事なのであれば咎めはしないさ。

 

 でもね? ジャックちゃんは自分の望みを叶えて好きにやってるんだろう? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 じゃあ私も好きにやろうじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ティアちゃんティアちゃん。ちょっとカーマちゃん預けていいかな?」

 

「うーん? ……あー、なるほどね! りょーかいなのです!」

 

 さっすが私の嫁(娘)言葉に出さずとも思いが伝わる。以心伝心ってやつだ。

 

「もしもの時はよろしく」

 

「あいあいさー! っとと、大きい声出したらカーマちゃん起きちゃうね。よしよーし。良い子はねんねだよー」

 

「……むにゃ……んむぅ……」

 

 モゾモゾしながらむにゃむにゃするカーマちゃんと、それを慈愛の表情でなでなでするティアちゃん。いいなぁ。ずっと眺めてたい。

 

 しかし私の仕事はこれからです。

 

 

 

 

 自分の中の存在を強くイメージ。そして、徐に自分の体の中に手を突っ込む! 

 

『わぁお、躊躇しませんねぇ』

 

 イメージするのは自分の中にいるであろうジャックちゃんの姿。このまま引っ張り出してもいいんだけど、それだとジャックちゃんに悪影響しかなさそうなので、とりあえずなでなでします。

 

 

 なでなで。わしゃわしゃ。ぷにぷに。むにー。

 

 

 そしてしばらく続けて食い付くのを待つ。なでなで。

 

 そうすると……おっ! 

 

 お父さんの手を僅かにだが自分に押し付ける様に掴んだのを確認。そのままお父さんの方に引っ張り上げる! 

 

 

 ぬるぅ。

 

 

 ポンッ! 

 

 

「うひゃぁ!?」

 

 飛び出してきた(おそらく)ジャックちゃんと思われる女の子! すかさずお父さんの方に抱きかかえてなでなでを再開するっ! なーでなーで。ついでに抱きしめておく。

 

「サルベージ成功。初めましてだね、ジャックちゃん」

 

「えぇ!? なんでお外!? なでなで……はきもちぃけど、お外はヤだよぉ!?」

 

「はーいはい落ち着いてー。お父さんが居るよー。怖くないからネー」なでなで

 

 若干錯乱しているジャックちゃんを暴れないように抱きしめ+なでなでで落ち着かせる。私の中の居た以上、問答無用でこの娘は私の娘です。そしてっ! 私の娘である以上、こうされて落ち着かない娘など居ないのです! なでなでわしゃわしゃ。

 

「おとう……さん……? おかあさんじゃ……ないの……?」

 

 あるぇ? ちょっと震えてらぁ。ちょっとお勉強の時間かなぁ? 

 

「そうだよ? お父さんはお父さんだ。子供が生まれるにはね? お母さんと一緒にお父さんっていう人がいるんだ。ちなみにジャックちゃんのお母さんはあそこにいるティアちゃんだ」

 

 と言って私はティアちゃんの居る方を指差す。ジャックちゃんはその方向を向くと、笑顔で小さく手を振るティアちゃん。

 

「おとうさんはおとうさんで、おかあさんはおかあさん?」

 

 指差ししながら自分の中で得た情報を反芻(はんすう)するジャックちゃん。ゆっくりと飲み込ませるように伝える私。

 

「そうだよー。お母さんはお母さんで、お父さんはお父さんだ。私達はジャックちゃんが生まれてきてくれたことをとっても喜んでいるんだ」

 

「……そんなことないもん。おかあさんは私は生まれても喜んでくれなかった。だから私は……私達は、生まれてきちゃダメなんだよ……」

 

 

 そういって悲しそうに顔を伏せるジャックちゃん。

 

 違うんだよジャックちゃん。

 

 君はもっと自分に素直になっていいんだ。

 

 

 脇の下からジャックちゃんを持ち上げてこちらへ向かせる。ジャックちゃんの目を見て静かに言葉を紡ぐ。

 

「……ジャックちゃんが初めて生まれた時、最初のお母さんは君を拒絶したかもしれない。でも今のお母さんは、その時のお母さんとは違うんだよ。お母さんも、そしてお父さんも。君が生まれてきたことにとっても感謝しているんだ。だからね? 私の中に居るだけじゃなくて、お母さんとお父さんにその可愛い顔をいっぱい見せて欲しいんだ」

 

「……私……ここにいても……いいの……?」

 

 おそるおそるといった感じでこちらに聞き返してくるジャックちゃん。

 

「もちろん。いつでも私達に甘えていいんだよ? なんならお母さんの所に行ってみて。そしてジャックちゃんから呼んであげてよ。お母さん、てね?」

 

 そっと。ジャックちゃんの背中を押してティアちゃんの方へ向かわせる、カーマちゃんは静かにこちらへと引き取っておく。

 

 

 

 

 

 

 おっかなびっくり。

 

 

 

 しかしジャックちゃんは何より愛に飢えている。

 

 

 

 少しずつ……少しずつ……。

 

 

 

 そして。手を伸ばせば届く距離。おそるおそる。言葉を紡ぐ。

 

 

 

「おかあ……さん……?」

 

 

 

 静かに両手を広げるティアちゃん。

 

 

 

「おいで」

 

 

 

 その一言で飛びつくようにティアちゃんへ抱きつくジャックちゃん。

 

「おかあさん……おかあさん! おかあさん!! えへへ……。好き! 好きぃ!!」

 

「ジャックちゃん、生まれてきてくれてありがとう。私も好き。大好き。嫌だって言っても一生離してあげないんだからね」

 

「うんっ。うんっ! 離れないもん! おかあさんも、おとうさんも、絶対離さないもん! えへへへ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今のティアちゃんの「おいで」めちゃくちゃバブみ天元突破してない? そりゃジャックちゃん即落ちしますわ。

 

 でも角で誤魔化されてるけど、あの子達身長あんまり変わらんぞ……。ティアちゃんの方が若干大きい……くらいかな? 

 

 

『また1人、家族が増えましたね』

 

 静かに呟くラフム君。

 

 ジャックちゃんの生まれを考えれば元々相性が良かったって事もあるだろうけどね。何にせよ家族が増えるのは良い事である。

 

「そういやあの子の場合特訓は要らないかな」

 

 既にお父さんの魔力と順応済みだ。

 

 最初一瞬ジャックちゃんか分からなかった。恐らくお父さんの魔力と順応した事で見た目に影響が出たのだろう。なんか全体的に白色がメインになって、髪の色がティアちゃんと同じになってる。私も髪の毛は色変わってるし、家族でお揃いだね。

 

 

 

 

 それにしてもだよ。

 

「自分で自分の中が確認できないのは問題だなコレ」

 

『……確かに。今回の様なパターンは避けたいですね』

 

 たまたま他の子達が居なかったというのもあるが、ジャックちゃん1人しかいないと色々と不便そうではある。

 

 中に居る子を増やしてお父さんと意思疎通取れるようにするべきか。

 

 もしくは中の管理が出来そうな存在を調達するか。むむむ。

 

 

「ちなみにティアちゃんはそこら辺どうしてたの?」

 

『私が生まれる前は特にそこら辺気にして無かったっぽいですね。他の子供達に聞きました。私が生まれてからは私が伝える形にしてます。外に出てても他個体から中の様子が見れるのでやりやすいです』

 

 なるほど。ラフム君の仕事量半端ないね、それ。

 

 こちらも伝える要因というか。中の現状を知る(すべ)が欲しい所。

 

 今回の様な子供を寂しくさせる要因は起こしたくない。

 

 ラフム君の分身が私の記憶を模倣出来るなら、ラフム君から分身を何人か貰って私の記憶を元に何処か他のキャラクターを持って来れないかな? 

 

 

 

 

 

 記憶を探る。何か適切なキャラクターは居たっけか……? 

 

 

 

 

 

「……ラフム君。ちょっと2人……いや、今後を考えて3人かな。ラフム君の分身をこっちに頂戴な。良い案がある」

 

『お安い御用ですよ。なんなら中で増やせる様にしときましょう』

 

「それ、いいね。こっちが要望した時に増えるようにしてもらえるといい感じ」

 

 そうしてラフム君に分身×3を貰い、中に入ってもらう。すっごいモゾモゾする。

 

 うち2人は誰にするか決まっている。残りは今後増やす時の予備要員である。

 

 

 

 

 

 

 

 さぁて、あの子達を生み出しましょうかね?

 

 

 

 

 







生み出す予定の子は決まってます。私が最近やったゲームでガチ泣きした作品の子がそういうのできそうだったので……。

形だけつけてた「クロスオーバー」タグがようやく仕事するかとアップしてます。なるべくFateの世界観が崩れないようにはしたいですが……。

出てくるキャラがどこまで増えるか予想できないので、基本的にタグはこのままで行く予定ですが、コレは追加しないとマズイ、などあれば教えてもらえるとありがたいです。

感想等、お待ちしております。




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12.管理

お久しぶりです。

すげぇ久々すぎて内容覚えてない。

基本ROM専なせいで亀さんびっくりな速度。


 

 

 

 

 

 生み出す子達は2人決まっているので、中に入った内2人は私の記憶から特定タイトルの特定キャラの動き、在り方、言動などを覚えてもらって模倣してもらう事にする。

 

 前世で感動したゲームのとあるキャラで、私の中の状態を管理、報告、都度対応できそうなキャラが居たのでそれを模倣してもらう予定。

 

 ちょっと性格に難ありだった気がするけど、お父さんの魔力に適応するだろうし、お父さんの子が他の子をいじめるとか考えられないので問題なし! リスク確認、ヨシ! 

 

 

『父さんも結構思い切った事しますよね』

 

「結果よければ問題なし。コレが実現すれば得る物も大きいし、全然イケる」

 

 

 実際本当にこの2人が生み出せれば心強いし、何より私が嬉しい。

 

 1人目のジャックちゃんがどれくらいの期間でジャックちゃんになったのか分からないのがなぁ。そこら辺の時間感覚も中と外で弄れないかしら。

 

 とりあえず効果があるか分からないけど加速しろと念じておく。倍プッシュだ! 

 

 そして件のジャックちゃんですけども。

 

 とりあえず中の管理者というか、伝達係ができるまでのしばらくはティアちゃんとイチャイチャしてもらう事に。ジャックちゃんの在り方的な意味でも相性は抜群。ですがこちらに問題ががが。

 

「……あの子なんなんです?」

 

 むすーっと。お父さんの膝でむくれている愛の女神が1人。

 

 事情は説明したし、ジャックちゃん自身お父さんの1番とか気にしない性格だから大丈夫かなーっと思ったんだけど、愛の女神様的にはそういう話じゃないらしい。

 

「あんなにはしゃいで1番1番言ってたのがバカらしいじゃないですか。恥ずかしいです。傷ついたのでお父さんの慰めを希望します」

 

 既に撫でてるんですがこれ以上を希望しますか。欲張りさんめ。

 

 しかしこの女神様を満足させるのにはどうしたらいいのだろうか。ハグじゃ足りなさそうだし。かと言って膝枕も現在進行形でやってるし。

 

「じゃあカーマちゃんが好きかどうか分からないけど、お父さんが耳かきしてあげよう。あとは何か希望があれば耳元で囁いてもいいぞ」

 

 あっ、ちょっとカーマちゃんの体がビクンって震えた。

 

「…………じゃあ私のこと愛してるって、出来るだけお父さんが知りうる限りのイケボで囁いてください」

 

 若干頬を赤らめながら言うカーマちゃん。本当にこの子は欲望に素直になりましたねぇ。

 

 前までのカーマちゃんだったら「はぁ? そんな事で私が喜ぶと思ってるんですかぁ? 自意識過剰過ぎません?」とか言いそうだったけど、今やそんな物見る影もなく。

 

 じゃあご希望にお応えして。

 

「カーマ」

 

「ひぅっ! は、はい!」

 

「お前は本当に可愛い奴だな……愛してるぞ……」

 

「…………きゅぅ」

 

 あらまぁ。キャパオーバーしてフリーズしちゃいましたよこの子。流石にイケボといってもねっとりボイス過ぎたかな? 

 

 ……気絶しちゃったけど、このまま耳かき続けますか。意外と楽しいねこれ。クセになる感触と小さな達成感の積み重ねが心地よい。今度他の娘達にもやってあげよっと。

 

 カリカリ……カリカリ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────────ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カーマちゃんの耳かきも終わったけど、カーマちゃんは私のお腹に顔を埋めて離れないのでそのままに。ティアちゃんとジャックちゃんは2人して寝てしまった。ちょうどティアちゃんがジャックちゃんを膝枕してなでなでする感じ。その状態でどっちも眠っていた。

 

 とても平和なひと時だ。エレちゃんは冥界管理で今この場に居ないけど、子供達と並んで川の字で寝るのも良いかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふ……。おとぅさん……それ、ボクも混ぜてくれるかなぁ?」

 

「そうじゃのぅ。ワシらも混ぜて貰わねば拗ねてしまうやもしれんなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふと誰もいないこの場に響く2つの音色。

 

 私はこの声を知っている。っていうか、もう2人共模倣し終わったのね。結構早かった気がする。

 

 よぅし! いらっしゃい! メフィス! フェレス! 

 

 念じた瞬間に現れた、赤と緑、2つの影。

 

 

 赤い瞳、知性を窺わせる眼鏡を掛け、頭には小さな赤いクラウン、髪は右に流すサイドテール。顔の左半分を前髪が覆う所謂メカクレ属性を携えた全体的に赤色な子がメフィス。

 

 緑の瞳、可憐さを見せる緑のイヤリングを付け、頭には緑色を基調としたブリム。メフィスと対照的に左に流すサイドテールに、右半分のメカクレ。全体的に緑色な子がフェレス。

 

 彼女らは違う世界で創造主によって作られた存在。「辺獄」という死後の世界の管理を行なっていた経緯があるので、私の混沌泥内の管理も出来そうと判断し、私なりの方法で生み出す事にした。この世界の「メフィストフェレス」とは全くの無関係である。……無関係だよね? でも「悪魔」である点は一緒なはずなので、偏在する者としては同一である可能性もあるのか? 

 

 この娘達は私の知ってるストーリーだと主人公にちょっかい出して、主人公を泣かせて「理念」という、辺獄で涙が結晶化した物を集めるという、嫌がらせキャラだったが、ここに現れた時の第一声で確信。そんなことしないよこの娘達! 今もちょっとうずうずしてる感じするし! 

 

 でもその前にごめんねカーマちゃん。ちょっとティアちゃんの所に行っといてね。

 

 ティアちゃんの所へ混沌泥を繋いでティアちゃんの膝に行くように調整。イメージはベルトコンベア。カーマちゃんが分からないレベルで静かにティアちゃんのもう一方の膝へ運ぶ。

 

 ティアちゃんもカーマちゃんも起きなかったけど、ティアちゃんは寝ながら何か察したのか、少し微笑みを浮かべて静かにカーマちゃんの頭を撫でてる。ティアちゃんの母性スキルはパッシブスキルなんやね……。

 

 さて! カーマちゃんも離れた事ですし。2人もウズウズしているようですし。

 

「おいで!」

 

 と一言。その言葉を皮切りにこちらに飛び込んで来る2つの影。おぉう突進速度半端ない。でも大丈夫。お父さんですので。

 

 ボスッと鈍い音と共に両側からお腹の辺りに抱きつく2人。感無量と言った感じで擦り付いている。そのまま2人の頭をなでなで。2人ともちょっとビクンビクンしてる気がするけど、今は好きなようにさせておこう。

 

 なでなで。

 

「……ふふふ……。このまま死んだらスッゴく幸せになれそぉ……」

 

「中で少々見ておったが、これ程までとはなぁ……。確かに中毒になるのも頷ける。魔性じゃな? 父様」

 

 なでなで。わしゃわしゃ。なんで他人の髪って触ってると気持ちいいんだろうね? お父さん的にも楽しいのでwin winの関係なんですが、お父さんの場合中毒性が高すぎてやり過ぎるとダメになっちゃう(物理)ので、加減はしっかり考えないといけない。

 

 ……ちなみにある方向から恨めしそうな視線が1つ。

 

「むぅぅぅぅぅぅぅぅ……」

 

 あんれまぁ、カーマちゃん起きてらっしゃるー。私に構ってオーラ全開でいらっしゃるー。

 

 あえて気付かないフリをしましてー。

 

「思ってたより早く終わったねぇ。1日2日くらいかかると思ってたんだけども」

 

 実際ジャックちゃんがそれなりの時間経ってると思うから自然とそっちを基準に考えていた。それとも最初に念じた加速が通じたのかな? 

 

「ふむ。父様の記憶でジャックの生まれも認識しておる。しかし、ワシ等がはよぅ生まれて欲しいと思っとったのは父様じゃ。多少早くてもおかしくは無いじゃろう」

 

「ボクたちもねぇ……おとぅさんの思いに応えたい一心で、なるべく早く出てこれるよぅに頑張ったんだよぉ……? もっといぃぃっぱい褒めてぇ?」

 

 お父さんの為にとは、なかなか嬉しいことを言ってくれるなぁ。現在進行形で独占欲を刺激された愛の神様がいるけど、そのうち爆発しないかとても心配なのですが、それはそれとしてこの子達も私の知ってる原作と比べて随分素直になっている。

 

 お父さんの混沌泥(ケイオスタイド)内部はお父さんに対する愛が自然と高まるようにでもできているのだろうか? でもジャックちゃんは最初怖がってたし。そこら辺はその子毎に相性みたいなのがあるのかな? 

 

 あと気になる点として、お父さんが望めば内部時間の加速が可能な点。内部時間加速だけなのか、他の時間変動系もできるのかは定かじゃ無いけども、やってる事は結構やばい事。

 

 今回カーマちゃんに施していた訓練自体を混沌泥(ケイオスタイド)内でできるかもしれない上に、時間加速すれば数時間、あるいは数分でコレを終わらすことが可能かもしれない。

 

 戦闘に関して言っても相手を隔離した空間内に閉じ込めて時間の流れを加速させれば、普通の人間だったら餓死するだろうし、サーヴァント等の存在でも単独行動系スキルが強く無い限りエネルギー切れに陥る事だろう。

 

 どんどんお父さん自身が戦わずして無力化する方法が増えていってる気がする。おぉ怖い怖い。

 

「そうだなー。メフィスとフェレスはこれからみんなのお姉さんとして中の管理をして貰う予定だしね。他の子と違って構ってあげられる時間が少なくなるだろうし、いっぱい甘えていいんだぞ?」

 

 なでなで。わしゃわしゃ。さらさら。

 

 2人して「むふー」とした顔が可愛らしい。

 

 しかしコレをよく思わないのが約一名。

 

 

「ちょっと! お父さん! コイツらがお姉さんってどう言うことですか!? 説明を要求します!」

 

 

 とうとう爆発した愛の女神様。もといカーマちゃん。

 

 今の声で目が覚めたのかティアちゃんとジャックちゃんももそもそと起き上がっている。ジャックちゃんは寝ぼけてティアちゃんのお腹に抱きついてスリスリしてるけども。自然と甘えてらっしゃる。尊いが過ぎるぞ。私が死んじゃう。

 

 ちょうど起きたし紹介しておこう。

 

「はい、こちらの2人がお父さんの混沌泥(ケイオスタイド)内部の管理を担ってもらうメフィスちゃんとフェレスちゃんです! 生まれた順番に関係なくみんなのお姉さんとして今後増えるであろう妹等のお世話などをしてもらうと思います! と言うわけでサクッと自己紹介でも」

 

 お父さんから離れ、左右対象に浮遊する2人。

 

「ふむ、ワシがメフィスじゃ。主に内部の部屋割りと父様との伝達を担当する予定じゃ。父様の内部は宇宙ほどとは言わんが、中々に広いのでなぁ。妹等が迷子にならんようにするのじゃ。よろしくなぁ」

 

「ふふふ……。ボクがフェレスだよぉ? 基本的にはジャックちゃんのお世話係になるかなぁ。妹が増えたとしても基本ボクが面倒見るからねぇ。部屋に欲しいものとかあればボクが色々融通する予定かなぁ……。おかぁさんも、よろしくねぇ」

 

 自己紹介が終わったのも束の間。

 

 

「私はコイツらがお姉ちゃんだなんて認めませんからね! 第一私より後に生まれてるじゃないですか! 順番は順番ですぅー!」

 

 

 そう言って癇癪を起こしたカーマちゃんが訓練によって体得した音速の一矢にて両方の脳天を狙う一撃を放つ。

 

 放たれた矢の速度は音を置き去りにする速度で数百メートルもない距離に浮遊する2人へと飛来する。

 

 しかし、カーマちゃんが訓練を経て得た力であっても、今回生み出した2人はすでに訓練するまでもなく元からしてお父さんの魔力でできた子達。それで落とせるほどヤワでは無かった。

 

 メフィスは眼前に迫った矢を地面から突如出現させた黒光りする鎖で受け、フェレスはどこからとも無く取り出した長剣を出現させ飛来する矢を先端から真っ二つにして見せた。

 

 お父さんから生み出されたとあって半ば予想していた結果なのか、地団駄を踏んで威嚇するカーマちゃん。いつから君はネコになったんだい。「フシャー!」じゃないの。メフィスもフェレスも困った顔してるじゃないの。

 

「はいはーい怒らない怒らなーい。落ち着いてねー」

 

 それを見てポンポンと慰めるティアちゃん。出会ってそこまで時間経ってないけど、カーマちゃんもティアちゃんとの親和性高いよね。撫でられながらキッとした目を向けられても可愛いだけだぞカーマちゃん。

 

「まぁまぁカーマちゃんも落ち着いて。基本この子達は内部管理がメインになるから、カーマちゃん自身のお父さん占有率は高めを維持してるからね。むしろメフィスちゃんとフェレスちゃんの方がカーマちゃんに嫉妬しそうなレベルなんだよ?」

 

「そうじゃなぁ。今後はいつ出てこれるかも定かではないし、ずっと外で出ていられるお主が羨ましくて仕方がないのぉ」

 

「くふふ……欲張りさんだねぇカーマちゃぁん?」

 

 なんて事を言いながら空中で寝転がる姿勢でカーマちゃんの頭を撫でる2人。眼前に癇癪を起こした妹扱いでカーマちゃんがプルプルしてらっしゃる。

 

 

 

 

 

「子供扱いするなぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 

 

「ほれほれ。そうやって癇癪を起こすようでは、いつまで経っても姉は名乗れんぞ?」

 

「可愛いねぇ、カーマちゃぁん? くふふふふ……」

 

 完全に2人の掌の上である。自分で言った手前どうかと思ってたけど、カーマちゃんが子供状態でお姉ちゃんはやっぱりダメみたいですね。

 

 カーマちゃん的には不本意だろうけど、娘達の相性は悪くないようで何より。

 

 これで今後の混沌泥(ケイオスタイド)内部の事は彼女達にお願いして色々やってもらう事に。内部構造に関しては彼女達に一任することにする。好きにやっちゃっていいぞー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




終わり方があれだけど、投稿しないと一生上げなくなりそうだしとりあえずコレで1つ。

自分で自分の作品の続き気になっちゃったし書くしかねぇ。

今回生み出された2人は「crystar」という作品のキャラクターです。ダークな雰囲気のRPG作品です。トロコンして何度か泣いた作品なので、とても印象に残ってます。

そういえば「11月22日」は「いい夫婦」の日です。

縁起は良さそう。


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