まがいもの (勝間 おとう党)
しおりを挟む

まがいもの





 何故だ

 

 何故神は救ってくださらない

 

 こんなに尽くしたのに

 

 こんなにも祈っているのに

 

 これだけじゃ足りないのか

 

 それとも

 

 無駄だったということか

 

 それとも

 

 奴が言っていたことが正しかったのか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 神は死んだのか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 じゃあ

 

 なんだったんだ

 

 なんだったのだ!今までのことは

 

 

 祈りは

 

 奉仕は

 

 貢献は

 

 行動は

 

 全ては

 

 

 まやかしだったのか

 

 嘘だったのか!

 

 

 俺はなにに祈っていたんだ

 

 偶像に奉仕していたのか

 

 虚空に祈っていたのか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イタイ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんで俺は生きてるのだ

 

 なんで俺は生まれたんだ

 

 

 なんで俺は。なんで…………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 血が流れてる

 

 何処から流れてる

 

 俺から流れてる

 

 

 

 これ舐めたらどうなるんだろう

 

 

 

 楽になれるのか

 

 変われるのか

 

 やめられるのか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 嫌だ!

 

 

 

 

 

 

 

 嫌だ。嫌だ。嫌だ。

 

 

 

 死にたくない!

 

 人間をやめたくない!

 

 まだやり残したことがあるんだ!

 

 

 まだやりたいことがある

 

 まだ話したいことがある

 

 まだ託したいことがある

 

 まだ残したいことがある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 親父……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだ

 

 人間で居続けられないし

 

 化物にも成れないのか

 

 俺は………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 血

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!ARSIAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」

 

 

 イッセーが泣いている

 

 これな力に飲み込まれた者の成れの果てか……

 

 たぶん俺もこうなってたんだろう

 

 

 あのままじゃ命が危ない

 

 せめてのも手向けだ

 

 俺の手で沈めてやろう

 

 

 

 

 駆ける

 

 

 

 

 後ろで無謀や止まれやら聞こえるが、そんなものは知らない

 

 止める術も持たない弱者は黙ってろ

 

 

 

 

 

「よぉイッセー。ずいぶん無様な姿に成り果てたじゃねぇか」

 

 レーザーを避ける

 

「おっと。そんなに怒んなよ。ホントのこと言っただけじゃねぇか」

 

 バックステップ。噛み付きをかわす

 

「そんなにあの娘が大事なのかよ」

 

 裏拳。後ろにふっ飛ばす

 

「だったら守りきれば良かったじゃねぇか」

 

 追撃。攻撃する暇を与えない

 

「出来なかったからってそうやって暴走するか」

 

 しゃがむ。今のは危なかった

 

「そうやって無力を足掻くならよ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一生自分の無力さを嘆いてろ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほらよ。一応もとには戻ったぜ」

 

 グレモリーに満身創痍のイッセーを放り投げる

 

 踵を返し。行く場所もないがこの場を離れようと思った。

 その時。

 目の前の空間が光り輝き、数人が俺の征く道を阻む

 

「あーちょっと待てよ。いきなりで悪ぃが逃がすわけにゃいかねぇんだ」

 

 こいつは誰だっけか

 たしか堕天使の総督。アザゼルだったか

 

「お前さん誰だ?赤龍帝のジャガーノートドライブを力ずくで抑えたこともそうだが、そんなに力があるなら心当たりがあるはずだが、生憎お前さんのような奴。知らねえんだよ」

 

 なんだ。そういうことか

 前ならいざ知らず、今は身ばれしても困ることもない

 

 ゆっくりと被っていたフードを脱ぐ

 

 光をまとっている天使‐ミカエルや、リアス・グレモリーやその眷属の顔に驚愕がうかぶ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の名前はシドウ

 

 

 

 神を信じきれず

 

 人間でもいられず

 

 化物に成れない

 

 

 

 まがい者

 

 

 

 弱者の末路だ




ここまで読んでいただき、
本当にありがとうございます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

えられないもの

興が乗ったから書いた。

正直出来は良くない。


 学校までの道のりを歩いていると、後ろから聞き慣れた声に足をとめた

 

「よう!■■■」

 

「おはようございますシドウさん」

 

 声をかけてきたのは所謂幼馴染みのイッセーと、その家でホームステイをしてるアーシアさんだった

 

「あぁ。おはようイッセー、アーシアさん。あいかわらず仲が良いな」

 

 俺の台詞にイッセーはニッと歯を覗かせ、アーシアさんは少し照れる

 

 

 

 

 3人で他愛のない話しをしながら学校に向かう

 そうして学校の校門を通り過ぎた辺りで人集りが出来ている。

 

「お、部長たちだ。スゲーよな、あんなに人集りができるなんて」

 

「しかも毎日ですよね。私なんか、あんなに見られたら緊張しちゃいます」

 

 どこか他人事のような感想を2人が言う

 そんな2人の背中を人集りの中心に向かうように押す。

 

「俺は先に教室に行ってる」

 

「は?なんでだよ。同じクラスなんだから一緒に行けばいいだろ」

 

「なにを言ってるんだ。お前達は」

 

 ため息が出そうになる

 

「同じ部活の仲間だろう?だったら挨拶ぐらいしに行け。なっ?」

 

「でっでもよ」

 

「なに躊躇してるんだ。お前たちはあの人達に選ばれてオカルト部に入ったんだろ。だったら周りの人のことなんか気にするな」

 

 教室で正々堂々と不埒なことを話してるのに、変なところで臆病だな

 

「お前達なら大丈夫だ。俺が保証する」

 

 朝のイッセーを真似て、ニッと歯を見せるように笑う

 そんな俺を見てか、イッセーはうんと覚悟を決めたようにアーシアさんの方を向いた

 

「そうだな!じゃあまた後でな。ほらアーシア。部長たちのとこに行こう」

 

 仲睦まじく手を繋いで人集りの中をかき分けていく

 

 

 

 

 

 思わず口角が上がる

 

 俺は多分笑ってるのだろう

 

 

 でも………

 

 

 何故だろう

 

 いつも通りの風景だ

 

 ありふれた日常だ

 

 そんな当たり前なこの瞬間に

 

 無性に涙が出そうになる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日も授業が終わった

 何故か今日の授業は新鮮に感じて、何故か楽しく感じられた……

 

 何故?

 

 ………………………………………………………………

 

「おい。なぁ。どーしたんだよ■■■」

 

「ん?なんだ?」

 

「なにがなんだだよ」

 

 イッセーに呆れた顔をされる

 

「もう授業は終わってるのにボーとして。どこか調子でも悪いのか?」

 

「いや、大丈夫だ。少し違和感があってな」

 

「なんだよ違和感って」

 

「それが自分でもわからない」

 

 そんなに怪訝な顔をするな。

 俺だって変なことを言ってる自覚はある

 

 だけどどうにか引っかかる

 朝からやたら喉が渇いてしょうがない

 

「だったら良いものがあるぜ」

 

 急にパッと笑顔になって自分の鞄を漁る。

 そして一冊の雑誌を渡して来た

 

「今日発売のエロ本。俺はもう読んだからやるよ」

 

 表紙の女性の胸が大きくてヤバいだの、新しい娘が豊作だと嬉しそうに言う。

 そんな親友の姿を見ていると、この違和感が取るに足らない些事だと思えてくる。

 

「残念だかこれは受け取れん。俺は牧師だからな」

 

 自分の鞄を持ち、立ち上がる

 

「今日も部活だろう?俺も教会に行くからここまでだ」

 

「おう。また明日な」

 

「…………さよなら」

 

 

 イッセーと別れる

 

 また明日と言えなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉシドウ。やっと来たか」

 

 学校近くの教会に着き、門をくぐると声をかけられた

 

「ゼノヴィアか久しぶり」

 

「…………………………?」

 

 普通に挨拶をしただけだが、怪訝な顔をされた

 今日は変に見られることが多い

 

「なにをいってるんだ。毎日会ってるのに」

 

「?………なにを言って……………」

 

 

 毎日…………毎日?

 

 まて。俺は昨日なにをした?

 

 誰と何処でなにをやっていた?

 

 

 

 

 

 ………俺は…………血を……………………

 

 

 

 

 

 

 なんだ………そうだったのかよ

 

 どおりで喉が渇くわけだ

 

 やっぱり中途半端だな。俺は

 

 

 

「ゼノヴィア。ありがとな」

 

「んっ?なんだ藪から棒にぃぃぃぃっ!」

 

 ゼノヴィアを押し倒す

 

「シドウ⁉急にどうしたんだ!今日のお前はおかしいぞ。怒らないから今すぐやめろ!」

 

 押さえつけてるゼノヴィアが暴れるが、そんなものは知らん

 

 俺は喉が渇いたんだ

 

 

 

 

 

 

 俺は……………

 

 

 

 

 

 

 

 ゼノヴィアの喉元を……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだよ。最悪なもんを」

 

 結局全部夢だった

 

「なんだよ畜生が」

 

 

 泣けねぇのに涙がとまらねぇよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 あぁ。喉が渇いた……




読んでいただき、ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。