遊戯王5D’s〜遊城を受け継ぐ者〜 (遊斗)
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序章〜新たなる時代〜
運命の始まり
約1年ぶりの投稿になっちゃいました。
以前読んで頂いた方はお待たせしました。
それ以外の方はようこそ。
ブランクはありますが、楽しんで頂けると幸いです。
あと、不定期更新ですがよろしくお願いします。
では、どうぞ。
数年前、とある少年は様々な体験をした。
高校1年生の時に3幻魔と戦い、高校2年生の時に破滅の光と戦い、高校3年生の時に異世界に行ったり、ダークネスと戦ったり。
この3年間で少年は青年へと成長させた。
青年は卒業と共に旅に出た。
旅をするしている内に青年は運命の出会いを果たした。
とある女性と結婚し、子どもを出産した。だが、女性は子どもを出産したと同時に他界してしまった。
青年は今まで自分の目指してきたものと同じように、光り輝くものを目指す人になって欲しいと願い。名前を付けた。
そしてその子どもは将来、未来や異世界。別世界をも巻き込む大きな運命の渦の中に巻き込まれるのであった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
時は過ぎ、子どもは大きくなり、年は12歳へと成長していた。
そしてその子どもの名前は……
「キラ!」
「何?」
「準備は出来たか?」
父親に支度が出来たのか聞かれ、キラは荷物を鞄の中に入れ終えて答えた。
「うん、出来たよ。そろそろ時間だし、行って来るよ。」
「あぁ、行ってらっしゃい。っと……キラ!ちょっと待て!」
「どうしたの父さん?」
「こいつを持って行け。」
「?」
キラは御守りを渡されるのかと思ったが、思っていた物とは違う物を渡された。
「!?これって……『超融合』のカード!」
「御守りだ、持って行け。」
「良いの?これって大切なカードじゃ……」
「気にすんなよ。ほら、遅刻するぞ。」
「しないよ。父さんじゃああるまいし。」
「うるせえ!」
キラの頭を荒く撫でて、父親は息子を送り出した。
「ほら、行って来い!」
「うん、行って来ます!」
これが、2人のしばらくの間の別れになるのであった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今日行われるのはデュエルアカデミアの入学試験であり、会場へと向かっているキラ。
入学試験は2日間あり、1日目は筆記試験。2日目は実技試験。
筆記試験は終わっており、今日は実技試験……つまりデュエルだ。
会場に遅刻することなく到着する事が出来たキラは、自分の番が来るまでデッキ調整をやっていた。
デュエルアカデミアへの入学倍率は高い為、上手く回るように調整しなければ負け、下手をすれば無様な負け方をして不合格なんてのもありえる。
「最後に……このカード!」
家を出る前に父親から渡されたカード…『超融合』のカードをデッキに入れた。
「うん、完成かな。」
デッキが完成したと同時に放送があり、受験番号16番のキラは2番フィールドへと向かった。
フィールドに立つと、色んな視線がキラに向いている。だが、そんな事を気にせず決闘盤を腕に装着して、キラの相手をする先生も決闘盤を構えた。
そして、始まりのブザーが鳴るのと同時に、2人は決闘盤を起動させて叫んだ。
「「デュエル!」」
キラLP4000
先生LP4000
「先攻はお前からだ、受験番号16番。」
「楽しいデュエルをしましょうね、先生!俺のターン、ドロー!」
勢い良くドローをし、最初の手札を確認して今の最良の手を考えて、カードを掴んだ。
「俺は『未来融合-フューチャー・フュージョン』を発動!融合デッキから、『E・HERO フレイム・ウィングマン』を選択!そしてその素材となるカードをデッキから墓地に送る。」
キラはデッキからフレイム・ウィングマンの融合素材となる、『E・HERO フェザーマン』と『E・HERO バーストレディ』を墓地に送った。
「そして俺は『E・HERO スパークマン』を召喚!」
E・HERO スパークマン
ATK1600
「カードを1枚セットしてターンエンド。」
キラはスパークマンを攻撃表示で召喚し、カードを伏せてターンを終了した。
「ふむ、攻撃力1600のスパークマンか…攻撃力はそんなに高くはないな。成績が16位にしてはタクティクスはまあまあか。」
先生の一言にムッとするキラだが、デュエルに勝って見返してやろうと心の中で誓った。
「私のターン、ドロー!私は永続魔法『古代の機械城』を発動。更に『古代の機械騎士』を召喚!」
「アンティーク・ギア!?」
古代の機械騎士(アンティーク・ギア ナイト)
ATK1800
「この瞬間、アンティーク・ギアが召喚された事により、古代の機械城にカウンターが1つ乗る」
古代の機械城
カウンター0→1
「更にマジックカード、『二重召喚』を発動!このカードは通常召喚をもう1度出来るカードだ。古代の機械騎士をもう1度召喚し、デュアル召喚!そして、アンティーク・ギアが再びカウンターが乗る。」
古代の機械城
カウンター1→2
「モンスターを増やさなかった……(デュアルモンスターだから効果持ちになるけど…いったいどんな……)」
「バトル!古代の機械騎士でスパークマンに攻撃!」
古代の機械騎士がランスを振り回しながら突撃してきて、スパークマンはすかさず応戦した。だが、攻撃力の差でスパークマンが負けるのは目に見えている。
「リバースカードオープン!『攻撃の……』発動しない!?」
リバース宣言したのにも関わらず、キラが発動したかった『攻撃の無力化』が発動しなかった。
「古代の機械騎士のデュアル効果だ。このカードがデュアル状態の時、このカードがバトルを行う時に相手は魔法、罠が使えない。」
「そんな!?」
対策を打っていたが呆気なく回避されたキラに、更に畳み掛けるように効果が続く。
「更に!古代の機械城の効果で、『アンティーク・ギア』と名の付くモンスターの攻撃力は300ポイントアップする!」
古代の機械騎士
ATK1800→ATK2100
攻撃力が増した古代の機械騎士の猛威にスパークマンは劣勢を強いられ、隙を疲れて破壊された。
「くっ……スパークマン!」
キラLP4000→3500
「私はこれでターンエンド。」
「俺のターン、ドロー!」
攻撃力2100の古代の機械騎士に勝つには不十分の手札だ。いきなり劣勢になっているが、チャンスを掴むために今は防戦しか無かった。
「『E・HERO クレイマン』を守備表示で召喚してターンエンド。」
E・HERO クレイマン
DEF2000
「私のターン!ドロー!」
先生は引いたカードを確認するとニヤリと笑った。
「残念だが、君はここまでの様だ。」
「どういう意味だよ。」
「君より前の受験番号の生徒達はこのモンスターを召喚する前に私達を倒している。だが、君は不運だ。見せてあげよう!教師に当て得られた最強のカードを!古代の機械城の効果を発動!『アンティーク・ギア』と名のついたモンスターを生け贄召喚する場合、必要な生け贄の数以上のカウンターが乗っていれば、このカードを生け贄の代わりにする事が出来る!」
「古代の機械城に乗っているカウンターは2個…じゃあ!」
「そうだ、上級モンスターを呼ぶ場面は整っている。私は古代の機械城を生贄に捧げ、『古代の機械巨人』を召喚!」
古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)
ATK3000
古代の機械騎士
ATK2100→1800
先生の後ろに古代の機械巨人が現れたと同時に、キラに哀れみの目が向けられた。あいつはもう負けたと……
「行け!古代の機械巨人、クレイマンに攻撃!」
「リバースカードは……」
キラは再びカードを発動出来るか確認するのだが……
「魔法・罠が使えないのは共通効果か!」
「さらにだ!」
古代の機械巨人にクレイマンは呆気なく踏み潰され、爆風がキラを襲う。
「貫通持ち…」
キラLP3500→2500
「そうだ。今君の場には君を守るモンスターはいない!古代の機械騎士でダイレクトアタック!」
古代の機械騎士がランスを振り回し、キラの体を貫いた。
「うわぁぁぁぁ!」
キラLP2500→700
「私はこれでターンエンドだ。さぁ、この場をどう切り抜ける?」
バトルを行っている間は魔法・罠を使えない効果を持っているアンティーク・ギア、更に攻撃力3000であり、貫通持ちの古代の機械巨人。先生の場の古代の機械巨人を何とか倒さない限りキラに勝ち目はない。だが、キラの場にはモンスターがいない。
「俺のターン、ドロー…」
「その様子じゃあ勝ち目はない。次の機会にまた来るんだな。」
確かに今のキラの様子は顔が伏せてあり、体が震えている。諦めムードと先生は判断したのだが、キラは違った。
「何言ってるんだよ…ナイスな展開じゃないか!」
「何?」
「このスタンバイフェイズ時に、フューチャー・フュージョンの効果が発動される!」
「今更フレイム・ウィングマンを召喚して何になる。」
「これで良いんだよ!現れよ『E・HERO フレイム・ウィングマン』!」
キラの場に、かつてキラの父のフェイバリットモンスターが姿を現した。
E・HERO フレイム・ウィングマン
ATK2100
「さらにマジックカード!『O-オーバーソウル』を発動!このカードは、墓地に存在する通常モンスターのヒーローを特殊召喚する!出でよスパークマン!」
E・HEROスパークマン
ATK1600
「バトル!フレイム・ウィングで古代の機械騎士に攻撃!『フレイム・シュート』!」
フレイム・ウィングマンが飛び上がり、空中から古代の機械騎士目掛けて炎を噴出し、破壊した。
「くっ…」
先生LP4000→3700
「さらに、フレイム・ウィングマンがバトルによってモンスターを破壊し墓地に送った場合、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える!」
「何!?」
フレイム・ウィングマンが先生の前に降り立ち、再び炎を噴き出した。
「ぐわっ!」
先生LP3700→1900
「良しもう一息!」
「残念だったな。君は私の古代の機械巨人を破壊出来なかった。メインフェイズにフレイム・ウィングマンとスパークマンを融合し、シャイニング・フレア・ウィングマンを召喚していればまだ勝負は分からなかった。だが、今はもうバトルフェイズだ!」
「アドバイスありがとう先生!だが心配ご無用だ!俺は手札1枚を墓地に送り、速攻魔法!『超融合』を発動!」
「何だそのカードは!?」
先生が驚くのも無理はない。この会場にいる全ての人達が驚いている。何故ならキラが発動したカード、『超融合』を見るのは初めてだからだ。
「俺はフィールドのフレイム・ウィングマンとスパークマンを融合!現れよ『E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン』!」
キラと先生の間に大きな渦が発生し、フレイム・ウィングマンとスパークマンを取り込んだのだが、様子がおかしい。キラが呼び出そうとしているシャイニング・フレア・ウィングマンが現れない。しかも、渦も消えないのだ。渦から突然突風や雷まで発生しだした。異変に気付いた教師達が皆避難勧告を出している。
「つっ!!」
キラの体にも異変が起きた。右腕に痛みが発生し見てみると、渦の様な痣が浮かび上がり、輝いているのだ。
「な、何これ!?」
「デュエルは中止だ!早く君も!」
先生から避難するように言われるのだが遅かった。キラの体は浮かび上がり、渦はの中に飲み込まれて行った。
「うわぁぁぁぁああ!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
どれくらい意識を失っていたのか分からない。その間キラは夢を見ていた。
誰かに呼び止められるように叫ばれているが、足を止めずに目の前にある光の扉に足を進めているのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
《クリリ〜ン》
目が覚めると、そこには尻尾にリボンを付けているクリボーがこっちを見ていた。
「(クリボー……?違…う……リボンが……あるから……)クリボン?」
「あ、目が覚めたのね。」
聞きなれない声が聴こえた。
楽しんで頂けたでしょうか?
続きは出来るだけ早く投稿したいと思います。
いつになるかは分かりませんが、すみません。
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出会い
すみません。遅くなりました。
言い訳をさせて下さい!
引越しをしていたのと、今年が厄年並みに嫌なことがたくさん起こり、次話の書き方が分からなかったりで、こんなになってしまいました。
あと、書いてなかったり………………
今回ヒロインの登場です。
「あっ、目が覚めたのね。」
そんな声が聞こえた。
寝かされていたソファーから体を起こすと、隣には緑色の髪をし、前髪を二つ結びにした可愛らしい少女が居た。
「…誰?」
「私は龍可。この家に住んでるわ。」
少女の名前は龍可のようだ。キラは辺りを見渡すと、全く知らない部屋に居る事に気付いた。そして、強く疑問に思う事もあった。
「そういえば入学試験はどうなったの!?」
「入学試験?」
「そう!デュエルアカデミアの!」
「ちょっと何を言ってるのよ。今はそんな季節じゃないわよ。」
「いやでも確かにさっき俺は……」
そう、さっきまでは受けていたのだ。だが、今自分が居る場所すら分からない。本来なら目が覚めれば周りに大人が居る可能性の方が高い。でもそうではなかった。
あまりに詰め寄った所為か、龍可は驚いた表情をしていた。
「ご、ごめん…」
「ううん、良いの。」
「ここって何処なの?」
「ここはトップス。ネオドミノシティのトップスよ。」
「ネオドミノシティ?トップス?」
「え、分からないの?キラはサテライト出身なの?」
「……サテライト?…」
お互いに話が噛み合っていない。そのズレはお互いに感じていた。
「じゃあキラは何処に住んでるの?」
「俺はドミノシティだけど…ちょっと待ってネオドミノシティって事は…」
ここはキラの知っている街ではない。その可能性が生まれてしまった。
「外、見せてもらっていい?」
「うん、良いよ。」
ベランダに出て外を眺めると、そこにはキラの知っている街並みではなく、かなり発展している街並みだった。
「なんだよこれ…」
キラは一つの予想を立ててしまった。それはここは未来のドミノシティなんじゃないかと。
「大丈夫?」
「……あぁ、うん。大丈夫、大丈夫だよ。」
「そうは見えないけど…とりあえず何か飲む?」
この龍可という女の子の存在は今のキラにとっては唯一の情報源であり、救いだった。
一旦部屋に戻り、麦茶を貰い落ち着きを取り戻した。
「ねぇキラ、何か手伝える事ってある?」
「手伝える事って言われても……」
ここでふと思った。キラは龍可に自己紹介をしていない。だから龍可はキラの名前を知らない筈だ。なのに知っていた。
「ちょっと待って、何で俺の名前を知ってるの!?」
変に警戒心を持ってしまい、龍可離れるように下がった。
「何でって…」
「それに何で見ず知らずの俺にそこまで親切にするんだよ!」
敵意の目を向けられ、龍可は少し悲しい表情になったが、すぐに優しい笑顔になって話だした。
「私ね、デュエルモンスターズの精霊が見えるの。」
「え?」
「それはキラも一緒でしょ。」
「どうして……それを…」
「この子達が教えてくれたの。」
龍可の指すこの子達とは、机の上に置いてあるキラのデッキの事だった。
「俺のデッキ…じゃあ!」
「そう、キラの名前も精霊と会話が出来るのも、この子達が教えてくれたの。だからそんなに警戒しないで。」
「……分かった…信じる。」
「良かっ…」
「でも…」
「え?」
「俺はまだそんなに君を信じられない…」
キラは警戒心を解くことが出来なかった。2人に少しだけ溝が出来てしまったのだ。
だけど、龍可は違った。
「ごめんね、つい嬉しくて…」
「嬉しい?」
「うん。同じ事が出来る人が他に居るのが嬉しくて…精霊と会話出来るのって私だけだと思ってたから。だから貴方と仲良くなれたらなって…」
「そう…か…俺の方こそごめん。」
「ううん、良いの。この話はここまでにしよう。キラの今の状況を教えて、力になりたいから。」
龍可の協力的な姿勢にキラの態度も柔らかくなっていった。
とにかく、キラが過去から来たと言う事を話した。キラがいつの時代から来たのか…そして今は何年なのか…あらゆる事を2人で考え結論が出たのだが、先程思い浮かんだ最悪の結果となってしまった。
「未来…か。」
「どうやって来たか覚えてる?」
「ただデュエルをしただけなんだよ。」
「そう。とにかくキラはこれからどうする?」
「どうするって…どうしよう…どうしようか?」
キラの頭の上に乗っているクリボンに聞いてみるのだが、クリボンは頭に?を浮かばせていた。
「家に居なよ…ううん、居てよ。」
「え?」
「行く当て無いでしょう。」
「それはそうだけど…良いの?親とか。」
「両親は大丈夫よ。海外に居てなかなか帰ってこないから。後は龍亞っていうお兄ちゃんが居るくらいだから。あっ、龍亞は大丈夫よ。キラがデュエリストだから。」
「本当に大丈…」
「ただいま!」
本当に大丈夫なのかと聞こうとしたら、丁度龍亞が帰ってきたのだ。
「ねえねえ龍可聞いてくれよ!今日ね、黒薔薇の魔女に会って来たんだよ!後ね、遊星にも会ったんだ!」
龍可にマシンガントークばりに自慢話をする子ども、龍可にややそっくりな少年、この子が龍亞だ。
キラは似てると思った。
「そう、良かったね。」
「でもね、黒薔薇の魔女はやっぱり怖かったよ……って誰この人!」
「この人はキラよ。ほら龍亞、ご挨拶。」
「おぉ、よろしく。……じゃなくて!」
「色々あったの。それで、今日からキラはここに住むことにしたの。」
「待って、俺はまだ…」
「ダメだ!」
キラはまだ決めてない、と言おうとしたら龍亞に遮られてしまった。
「どうして?」
「ダメなものはダメだ!こいつが龍可に何かしたらどうするんだよ!」
「キラはそんな事しないわよ。第一行く当てが無いのよ。」
「どういう事だよ。」
「キラはね、過去から来たのよ。」
「過去からぁ?そんな話信じるの?」
「信じるよ。」
「そうだよね。信じないよね……って本当に信じてるの!?過去からだよ!ありえないよ!」
「だって嘘ついてないもん。」
「絶対に嘘だよ!ありえないよ!」
いつの間にか兄妹喧嘩にまでなってきて、キラは止めようとしようとは思っているのだが、入り方が分からなかった。
「どうしてそこまで否定するのよ…」
龍亞にとってはいきなりの事、しかも現実味が無い事を信じろと言われてるのだから信じれなかった。
「だったら俺とデュエルだ!そうしたら何でも来いだ!」
「良いわよ。龍亞は私に勝てないでしょ。」
「…………………お、お前とデュエルだ!」
龍亞と龍可がデュエルするのと思いきや、対戦相手が変更された。
龍亞は龍可に勝った事があまり無いのだ。
だからまだ未知数であり、勝てそうな感じがしたからキラを対戦相手に選んだ。
「俺?」
「そうだ!俺とデュエルだ!」
やや困った顔になるキラ、助け舟を出してくれると思って、龍可の方を見ると……
「絶対に勝ってね。」
龍可は満面の笑みで応援していた。
リメイク前とはやや違います。
前回書いていた時に思ったのは、キラにとって龍可の印象が薄かった気がします。
だから、龍可の存在感を大きくさせる為にこんな感じになりました。
次は、キラと龍亞のデュエルです。
ではまた次回!
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E・HERO ゼクス
遅くなりました。
待って頂いた皆さんすみません。
不定期で更新なんですが、出来るだけ1ヶ月に1回は更新します。早かった場合は1ヶ月に2回とかもあるかもしれません。
今回はキラVS龍亞です。
では、どうぞ。
龍亞とデュエルをする事になったキラ。本当に良いのかと不安になりながらもベランダに出て龍亞と距離を取り、デッキをシャッフルした。
その様子を龍亞は不思議そうに見ていた。そして、ここからがキラにとって衝撃的だった。
何故なら龍亞がデッキを決闘盤にセットした瞬間に、自動でシャッフルされているからだ。
「おぉ、龍可!遊星のカスマタイズで決闘盤が軽くなってるよ!」
「カスマタイズじゃなくてカスタマイズよ。」
「凄ぇ!何その決闘盤!?」
「え?何って…普通の決闘盤だよ。そっちこそデッキをセットしたらシャッフルされるのに。もしかして初心者?」
これは勝てるんじゃないかと龍亞は思った。
「そっか、その辺の事も知らないんだ。あのね、簡単に説明するけどこれが私達の時代の決闘盤なの。キラが使ってるのは古いタイプなんだけど……私のを使う?」
「ありがとう。でも、俺はこの決闘盤が良いんだ。」
キラが持っているもの決闘盤、それはかつてキラの父親…遊城十代が使っていた決闘盤だから大切に使っているのである。
「じゃあ、始めるぞ!」
「「デュエル!」」
龍亞LP4000
キラLP4000
「俺から行くぜ!俺のターン、ドロー!」
最初は龍亞のターンからだ。手札を確認し、ニヤッと笑った。
「おぉ、最初にこいつが来てるじゃん!俺は『D(ディフォーマー)・モバホン』を召喚!」
D・モバホン
ATK100
龍亞の場に携帯が現れ、そこから変形して人型になった。
ディフォーマーを見て、キラは感動した。
「か…格好良い…」
「だろ!モバホンの格好良さはそれだけじゃなぞ!モバホンの効果を発動、ダイヤルゥ…オ〜ン!」
モバホンのダイヤルにある1〜6がランダムに点滅し、3で止まった。
「よし、3だ!俺はデッキの上からカードを3枚めくり、その中にディフォーマーが居れば特殊召喚出来る!俺が選んだのは『D・ボードン』を守備表示で特殊召喚!」
D・ボードン
DEF1800
今度はスケートボードが現れ、変形は無かった。
「他のカードはデッキに戻しシャッフル。これでターンエンドだ!どうだ俺のディフォーマーデッキは!」
「面白いし格好良いよ!だったらこっちも見せてやる!俺のターン、ドロー!」
キラにターンが移り勢い良くドローし、引いたカードを一瞬見て、即座に決闘盤に置いた。
「俺は『E・HERO(エレメンタル・ヒーロー) スパークマン』を召喚!」
E・HERO スパークマン
ATK1600
「バトルだ!」
「ええ!?早速!?」
「スパークマンでモバホンに攻撃!『スパーク・フラッシュ』!」
スパークマンが手と手の間に雷を作り、モバホンに向かって放った。
モバホンに直撃し、爆風が上がった。
「モバホンがぁ!?」
龍亞LP4000→2500
ショックを受けている龍亞だったが、煙が晴れるとそこにはモバホンの姿があった。
「あれ?生きてる。」
「当たり前よ。ボードンの守備表示の効果でボードン以外のディフォーマーは戦闘破壊されないのよ。」
「そうだったっけ?」
「自分のモンスターの効果くらい把握しときなさいよ。」
「たはは…ま、まぁあれだ!不幸中の幸いってやつだよ!これも想定内だよ!うん!」
「「(絶対に嘘だ…)」」
っと、同時に思う龍可とキラだった。
龍可の説明をした中で、キラはふと思った。
「(守備表示の効果って事は、ボードンは表示形式で効果が変わるのか……)カードを2枚セットしてターンエンド。」
「じゃあ俺のターンだ!ドロー、シャキーン!ボードンを攻撃表示形式に変更!さらに、ダイヤルゥ…オ〜ン!」
ボードンが人型に変形したのを見て、キラはまた感動していたのを他所に、モバホンのダイヤルは5で止まった。
D・ボードン
ATK500
「来た!5だ!」
デッキから5枚めくり、手札のカードと見比べて、ある秘策が出来上がった。
「決めた!『D・マグネンU』を特殊召喚!さらにもう1体のマグネンを守備表示で召喚!」
D・マグネンU
DEF800
D・マグネンU
DEF800
今度はU字型の磁石が現れ、2体のマグネンの間に居るモバホンとボードンを守るように電気の壁を作り出した。
「これでお前は攻撃出来ないぜ!」
「どうして?」
「マグネンUは守備表示の時、このカード以外のモンスターに攻撃出来ないのよ。」
「なるほど、お互いのマグネンUが守るあっているのか…」
「そういうこと!行くぜ、バトルだ!ボードンで攻撃!」
「攻撃力の低いボードンで攻撃、何で!?」
ボードンが滑り出し、スパークマンも迎え撃とうと駆け出した。攻撃力が高いスパークマンが勝つのは分かっている。スパークマンがボードンに向かって雷を放つが、あっさりと避けられ、尚且つスパークマンを追い越してキラに向かって来た。
「ボードンが攻撃表示の時はディフォーマーは全員ダイレクトアタックが出来るんだ!行け!」
「くっ…」
ボードンに攻撃され、ライフを減らされた。
キラLP4000→3500
「続いてモバホンもダイレクトアタック!」
モバホンの攻撃も受けて、更にライフが減った。
キラLP3500→3400
「ふふん!攻撃も完璧、防御も完璧!これは俺の勝ちだね!」
龍亞はもう既に勝ちを確信していた。
「そんな事は無いでしょ。昨日その防御はあっさり崩されたじゃない。」
「うっ、煩いな。じゃあ念のためにカードを1枚セットしてターンエンド。」
確かに完璧な攻撃と防御だ。だが、弱点は存在する。キラは手札のカードを確認しつつ、デッキの上に手を置いた。
「俺のターン、ドロー!」
引いたカードを見ると、笑みを浮かべた。
「その防御は確かに硬い。でもね、戦闘破壊が出来なくても方法は幾らでもあるさ!俺は手札からマジックカード、『融合』を発動!手札の『E・HERO クレイマン』とフィールドのスパークマンを融合!」
スパークマンのクレイマンが渦の中に吸い込まれて行った。
「現れよ!『E・HERO サンダー・ジャイアント』!」
E・HERO サンダー・ジャイアント
ATK2400
「か、格好良いじゃん…でも、何で今時融合デッキなんだよ。」
「だから言ったでしょ、キラは過去から来た人だって。」
「そんな訳ないだろ…」
龍亞はボソッと呟くのだが、デュエルは続いている。
「サンダー・ジャイアントの効果を発動!手札のカードを墓地に送り、サンダー・ジャイアントより攻撃力の低いモンスターを破壊する!」
「嘘!?」
「俺はマグネンUを選択!『ヴェイパー・スパーク』!」
サンダー・ジャイアントがマグネンUの前に立ち、スパークマンよりも巨大な雷を放って破壊した。
これにより、電気の壁が消滅した。
「これで攻撃が可能だ!行け、サンダー・ジャイアント!『ヴォルティック・サンダー』!」
もう1体のマグネンUに攻撃をしかけるのだが…
「と、トラップ発動!『ディーフォーム』!ディフォーマーが攻撃される時、その戦闘を無効にして、攻撃対象になったディフォーマーは表示形式を変更する!」
マグネンUが人型に変形し、サンダー・ジャイアントを跳ね飛ばした。
D・マグネンU
ATK800
「止められたか…ターンエンド。」
「ふぅ、危ねえ危ねえ。」
「ほら言わんこっちゃない。」
「でも、守り切ったさ!」
「はいはい、そうね。次は龍亞のターンよ。」
「分かってる!俺のターン、ドロー!シャッキーン!来た。行くぜ、お前に俺のエースモンスターを見せてやる!『D・スコープン』を召喚!」
今度は顕微鏡のモンスターが人型に変形した。
D・スコープン
ATK800
変形に感動があるのだが、スコープンがエースモンスターなのかと思い、疑問になった。
「そのモンスターがエース?」
「そんな訳ないだろ!行くぜ、レベル1のモバホンとレベル3のマグネンUに、レベル3のスコープンをチューニング!」
キラには何が起きているのか分からなかった。スコープンから光の輪が3つ飛び出て、モバホンとマグネンUから光の球が4つ飛び出し光の輪の中に入って行った。
「世界の平和を守る為、勇気と力をドッキング!シンクロ召喚!現れよ!『パワー・ツール・ドラゴン』!」
パワー・ツール・ドラゴン
ATK2300
感動よりも驚愕だった。未来のデュエルではこんな技を使うのかと驚きを隠せなかった。
「な、何その技!?」
「これも知らないの?う〜ん…龍可、頼んだ。」
「もう…あのね、今居るこのモンスター、パワー・ツール・ドラゴンはシンクロモンスターって言うの。シンクロモンスターの召喚条件は、チューナーモンスターっていうのが必要なの。」
「つまり、融合モンスターで例えると『融合』って事?」
「そうよ。さっき龍亞が出したスコープンがチューナーモンスターなのよ。それで、後は足し算なの。出したいシンクロモンスターのレベルになるように、チューナーモンスターのレベルとチューナーモンスター以外のモンスターのレベルを足すのよ。」
「じゃあ、足したモンスター達は?」
「墓地に行っちゃうの。でもね、チューナーモンスター同士じゃあシンクロは出来ないルールなの。例外は居るんだけど、ここは省略するね。それで墓地に送った後、エクストラデッキ……キラの時代で言うと、融合デッキから特殊召喚するの。」
「…………つまり新しい召喚方法なのか。」
「そういう事。」
龍可は気づいていないが、キラは半分以上がちんぷんかんぷんであった。
「デュエルを続けるぞ!俺はパワー・ツール・ドラゴンの効果を発動!デッキからランダムに装備魔法カードを1枚手札に加える!」
デッキがシャッフルされ、ランダムに選ばれた1枚のカードがデッキから飛び出した。そのカードを引いて、また龍亞はニヤけた。
「来たよ来たよ!俺は『ダブルツールD&C』をパワー・ツール・ドラゴンに装備!」
パワー・ツール・ドラゴン
ATK2300→3300
ダブルツールD&Cは自分のターンの時、装備モンスターの攻撃力を1000ポイントアップさせ、更に攻撃した時、攻撃対象となったモンスターの効果を無効に出来る効果だ。逆に相手のターンの時は、他のモンスターに攻撃出来ない。そして、ダメージ計算を行った後に攻撃して来たモンスターを破壊する効果だ。
「サンダー・ジャイアントを上回った!?」
「行け!パワー・ツール・ドラゴン!『クラフティ・ブレイク』!」
「リバースカードオープン!『融合解除』!」
パワー・ツール・ドラゴンの攻撃が当たる前に、サンダー・ジャイアントが消え、左右にクレイマンとスパークが現れた。
E・HERO クレイマン
DEF2000
E・HERO スパークマン
DEF1400
「当たってない!?だったらスパークマンに攻撃!」
攻撃力が高いパワー・ツール・ドラゴンに勝てるはずも無く、呆気なくスパークマンは破壊されてしまった。だが…
「リバースカードオープン!『ヒーロー・シグナル』!このカードはヒーローが戦闘破壊された時、デッキからレベル4以下の新たなヒーローを呼べる!来い!フェザーマン!」
E・HERO フェザーマン
ATK1000
「何体出たって同じだ!ボードンでダイレクトアタック!」
「くっ…まだだ!」
キラLP3400→2900
「これでターンエンド!どうだ!パワー・ツール・ドラゴンが出た時点で俺の勝ちだ!ターンエンド。」
パワー・ツール・ドラゴン
ATK3300→2300
「いいや、まだ分からないよ。」
「分かるよ、だって俺の場にはダブルツールD&Cが装備されてるパワー・ツール・ドラゴンが居るんだ。他のモンスターには攻撃出来ない、例えパワー・ツール・ドラゴンの攻撃力を越えたしても、パワー・ツール・ドラゴンには装備カードを墓地に送る事で戦闘破壊を無効に出来るんだ!」
「確かにその後、また装備カードを引いたら返り討ちだ。」
「そうだよ!だから俺は負けないね!」
龍亞はもう勝負は決まっていると思っている。逆にキラはまだ諦めていなかった。
「俺には勝利のカードが手札にあるんだ。」
「嘘っ!?」
「だけど、そのカードを使うには俺のエースが必要なんだよ。」
「だ、だったらなんだよ!お前の手札は1枚!それが勝利のカードだとしても、そんな都合良くエースを引けるなんて…」
龍亞が最後まで言い切る前にキラは遮った。
「最強デュエリストはカードを想い、デッキを信じる。俺のターン!ドロー!」
緊張の一瞬の時だ。龍亞と龍可はキラが引いたカードが何か凄く気になった。
キラは引いたカードを見ると、笑った。
「ナイスな展開だ!俺は、フェザーマンとクレイマンをリリース!マントを靡かせ、正義の闇で悪を裁くヒーロー!『E・HERO ゼクス』、見参!」
E・HERO ゼクス
ATK2500 DEF2000
闇 戦士族 星7
通常モンスター
キラの場に、仮面を被り、変身ベルトを付け、マントを風で靡かせているヒーローが現れた。
「格好良いじゃん…」
「これが、勝利のカード!『ラスト・アタック』発動!フィールドに存在するゼクスはこのターン、攻撃力が2倍になる!」
「2倍って事は…」
E・HERO ゼクス
ATK2500→5000
「行け、ゼクス!パワー・ツール・ドラゴンに攻撃!『ラスター・オブ・ゼクス』!」
天高く飛び上がり、ゼクスは落下速度を上げてパワー・ツール・ドラゴンを蹴飛ばし、破壊した。
「うわぁぁぁぁ!!」
龍亞LP2500→0
「ま、負けた…そんなぁ!」
「デュエルは最後まで分からない。カードを信じてれば、デッキは必ず応えて、デュエリストを導いてくれるよ。」
龍亞と龍可はキラの言葉に感動した。それと同時に先日の事を思い出した。
「遊星と似てる…」
「え?」
「遊星と似た言葉だ。」
「遊星?」
龍亞が誰の事を言っているのか、キラには分からなくて当然だった。
「昨日ここに居たの。龍亞とデュエルをして、龍亞は負けたんだけど、その後に龍亞に言ったのよ。デッキを信じる事が大切だって。」
「へぇ、そんな良い事を言う人が居たんだ…」
「それはあなたもよ。」
「……」
照れ臭くなって、咄嗟に顔を背けたキラだった。
「ねぇ龍亞、キラが勝ったんだから良いでしょ。」
「あぁ、良いぞ!何でも来い!キラが過去の人だって何だって信じてやる!だけど俺とまたデュエルしろ!」
「良かったね、キラ。」
「ははは……」
龍亞と龍可の家に住む事になったキラ。その日何度も龍亞とデュエルしたのだが、結果は龍亞の全敗だった。
いきなり妹が知らない人を連れ込んで、尚且つ現実味の無い話を信じろって言われても無理だと感じる事も出来ます。だから、龍亞は龍可を守りたい一心で、キラを追い出そうとしたんです。知らない人だから何をしでかすか分からないですしね。
どうでしたか?
面白かったですか?
次回はフォーチュンカップ編に行くと思います。行かなくても、フォーチュンカップの前日の話を書くと思います。
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第1章〜フォーチュンカップ〜
セキュリティ
遅くなって申し訳ありません。
遅過ぎにも程があると罵って貰っても構いません。罵倒しても良いです。
全て受け止めます。
以前とは少し流れが違います。では、どうぞ。
「………」
ぼんやりと天井を眺めているキラ。昨日の事を思い返しているうちに眠っていたのだが、隣のベッドで寝ている龍亞の凄まじいいびきで起きてしまった。
時間的には朝だから、有る意味目覚まし時計になっていた。
布団から出て、部屋から出た。階段を降りてリビングのソファーに腰掛け周りを見渡すと、ある物が目に入った。
「なんだろう?」
そのある物の前まで行って、マジマジと眺めた。
「それはね、キングとレッド・デーモンズ・ドラゴンよ。」
突然声がしたのでびっくりして、振り向いたらそこには龍可が居た。
「びっくりした…起きたんだ。」
「おはよう。キラこそ早起きね。」
「おはよう。まぁ、龍亞がね……これ、ファンなの?」
キングとレッド・デーモンズのフィギュアの事を言うと、龍可は首を横に振った。
「私じゃなくて龍亞がファンなの。」
「じゃあこっちは?」
「それは招待状。」
封筒から中身を取り出すと、フォーチュンカップの参加券が入っていた。しかも参加資格を持って居るのは龍可のようだ。
「フォーチュンカップ?」
「そう、今日行われるデュエル大会の事よ。でも私は参加しないけどね。」
「どうして?」
「嫌よ、大舞台に立つのが。」
参加券を封筒の中に入れ元の位置に戻した。
「でもね、龍亞が参加するのよ。」
「え?招待されてるのは龍可なんじゃあ……」
「さぁ?多分無理なんじゃないかな。とにかく、朝ご飯食べない?」
龍亞が起きるまでに、朝ご飯の準備を始める龍可。キラが手伝おうとしたが、「座ってて良いよ。」っとの事でソファーに座った。
そこで、ふと気になった。この時代に来る前に行ったデュエルを……。シャイニング・フレア・ウィングマンを出す前に使ったカード、『超融合』。このカードは凄い力が秘められていると、以前ユベルや父が言っていた事を思い出す。ユベルに至っては「僕と十代の愛を再び結んだカードさ。」とも言っていた。
そしてもう一つ。超融合を使った時に右腕に現れた渦状の痣があった筈なのだが、今は消えている。確かにそこにあった事は覚えていた。
超融合のカードを手に取り、キラは考えていた。
「そのカード初めて見たけど、凄いね。」
朝ご飯の準備が終わったのか、キラの隣に龍可は腰を下ろした。
「凄いって?」
「何か…禍々しくて、嫌な感じがするんだけど……そうじゃない感じもするの。でも、とてつもない力を感じる。」
「やっぱりそう感じるんだね。」
「そういえば昨日のデュエル凄いね。龍亞に全勝しちゃうなんて。」
「偶々かもしれないよ。でも、龍亞はまだ自分のデッキを使いこなせてないんだよ。」
「ふふっ、龍亞は勉強不足だからね。」
「やっべ〜!早く起きるんだった!」
どうやら龍亞が起きた様だ。龍亞のおかげで騒がしい朝になり始めた。
「まだ大丈夫よ。朝ご飯出来てるから食べよう。」
「おはよう、龍亞。」
「おう、おはよう!」
フォーチュンカップを観に行く為に、早起きしようとしたのだと2人は思っていたのだが、龍亞は本気でフォーチュンカップに参加するらしく、朝ご飯をすぐに食べ終え、とある準備をするのだった。
キラはどうしようかと思ったのだが、龍可の誘いにより一緒に同行する事になった。
そして、出発する時に龍亞の荷物が大きい事が気になったのだが、聞かないことにした。
フォーチュンカップの会場はトップスから離れた所にあるようで、タクシーを拾う事にしたのだが……
「あっ、やっべ!忘れ物した!」
「デッキとデュエルディスクは持ってるでしょ。」
「いや、あれがないとダメなんだよ!ごめん、一回戻るから待ってて!」
「もう、早くしてよ。」
龍亞が家に戻り、龍可とキラは待つ事になった。
フォーチュンカップに間に合えば良いのだが、そこで事件は起こった。赤信号で一台のDホイールが止まり、キラ達の方を向いていた。
「(あの制服懐かしいな…あれを着たのは何年前だっけか……)あん?何年前?」
キラが着ている服は、過去の世界で小学生の時に着ていた制服のままだ。その制服に男は気になった。このご時世でこの制服はありえないと。
Dホイールに乗っていた男がDホイールから降りて、キラ達の方に向かって来た。
「おい、そこの坊主!」
龍可は不味いと思った。何故ならその男はセキュリティ…つまり警察だからだ。
「はい?」
「お前、学生だよな?学生証を見せろ。」
「龍可、この人は?」
「不味いかもしれないわ。この人はキラの所で言うと警察なのよ。」
「え゛……」
「おい!何ひそひそと話してるんだ?さっさと出せ。」
子ども相手にこの威圧的な言動。一見恐喝にも見えるこの行動に、後々強行手段になるんじゃないかとキラは思い、龍可の手を掴んだ。
「龍可、行くよ!」
「え!?」
「あっ、おい逃げるな!」
龍可の手を掴みながら全速力で走った。ドミノ町よりはるかに発展している町…ネオドミノシティ。ビルが増えている事に思いの外逃げやすかった。
何分か走り続けた結果、男が後ろにいない事を確認すると、止まった。
「ハァ…ハァ…大丈夫?」
「もう…ハァ…ハァ…走れ…ない……」
一旦息を整え、無闇に走った為に何処に居るのか分からないキラだったが、龍可が居るため迷子にはならずに済むようだ。
「ごめんね。こうなる事は予想してたけど、早すぎたわ。」
「分かっていたとはいえ、流石にね……」
「また見つかる前に、さっさと戻ろ……さっきの場所に居るかもしれないわね…」
「どうしようか……あの人が居る場所には戻れないし。でも、龍亞があそこに来るし…」
「誰が何処に居るって?」
「「っ!?」」
2人の後ろから声がして、ゆっくりと振り返ると先程の男がDホイールに乗っていた。
「さて、逃げたって事は何かやましい事があるって事だよな?だから今から拘束させて貰うぜ。」
「ど、どうしよう……」
もう逃げられない。必ず追いつかれてしまう事は、分かった。だから、やる事は一つだ。
「お、俺とデュエルしましょう!」
「お前とデュエル?」
「俺が勝ったら、このまま見逃して貰います。」
「良いぜ。俺が勝ったらお前を拘束させてもらう。」
相手が挑発にのってくれた事により、僅かに希望が見えた。
「ねぇ、大丈夫なの?」
「大丈夫。勝てば良いんだから。」
「ハッ、言ってくれるじゃねえか!ギッタンギッタンにしてやるぜ。」
2人は睨み合って距離を取った。
次はセキュリティの人とデュエルです。
読んでくれる人といるかなぁ……
まっ、ね。
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ゴヨウ
今更ですけど、この小説はOCG効果とアニメ、もしくは漫画効果をごちゃ混ぜにしています。
いろいろと書きやすい所があるのでそこはご了承下さい。
お互いに距離を取り、決闘盤を起動させた。
やはりと言うべきか、セキュリティのデッキは自動でシャッフルされた。逆にキラの決闘盤は自動ではないため、手動でシャッフルをしデッキをセットした。
これにセキュリティは疑問に思った。
「おい、いちいちシャッフルしなくて良いだろう。セットすりゃあ自動でしてくれるんだから。」
「俺の決闘盤は古いですからね。お気になさらず。行きます!」
「「デュエル!!」」
セキュリティLP4000
キラLP4000
「先攻は貰うぜ、ドロー。『アサルト・ガンドッグ』を召喚!」
アサルト・ガンドッグ
ATK1200
セキュリティの場に武装した犬のモンスターが出現した。
「俺はこれでターンエンドだ。さぁ、お前のターンだ。」
セキュリティのターンは終わり、キラのターンに移った。
「俺のターン!」
勢い良くドローをし、すかさず手札を確認し、1枚のカードを掴んだ。
「来い!『E・HERO スパークマン』! そのままバトル、スパークマンでアサルト・ガンドッグに攻撃!『スパーク・フラッシュ』!」
E・HERO スパークマン
ATK1600
キラの場にスパークマンが現れたと同時に、アサルト・ガンドッグに向かって飛び出した。
スパークマンの手から閃光が放たれ、なす術もなくアサルト・ガンドッグは破壊された。
セキュリティLP4000→3600
「最初にしてはまあまあじゃねぇか。だが、アサルト・ガンドッグの効果を発動!このカードが破壊された時、デッキからアサルト・ガンドッグを特殊召喚出来る。来い!」
アサルト・ガンドッグ
ATK1200
「っ、!?」
「せっかくの攻撃が無駄になっちまったな!」
「でも、ダメージは与えたよ。カードを1枚伏せてターンエンド。」
「はんっ、減らず口を!俺のターンだ、ドロー。」
セキュリティは手札を確認すると、口元が上がった。
「良いカードが来たぜ、『ジュッテ・ナイト』を召喚!」
ジュッテ・ナイト
ATK700
「攻撃力が700?効果か…」
「違うな、まぁ見てろ。俺はレベル4のアサルト・ガンドッグに、レベル2のジュッテ・ナイトをチューニング!」
ジュッテ・ナイトから2つの光の輪が放たれ、アサルト・ガンドッグを包み込んだ。
4+2=6
「シンクロ召喚!現れろ!『ゴヨウ・プレデター』!」
ゴヨウ・プレデター
ATK2400
「シンクロ!?」
「何驚いてんだよ、驚くのはこれからだぜ!バトルだ!ゴヨウ・プレデターでお前のモンスターに攻撃!」
ゴヨウ・プレデターとスパークマンが肉弾戦が始まった。
「ヒーローが警察に盾突いてんじゃねぇよ!警察の下で働きやがれ!」
セキュリティの一喝により、スパークマンが一瞬怯んだ。その隙を逃さなかったゴヨウ・プレデターがスパークマンを破壊した。
「くっ…」
キラLP4000→3200
「この瞬間にゴヨウ・プレデターの効果を発動!ゴヨウ・プレデターが戦闘で破壊したモンスターを俺の場に特殊召喚する!来やがれ、スパークマン!」
ゴヨウ・プレデターが縄をキラの決闘盤に投げ付け、墓地のスパークマンを縛り付け、セキュリティの場に引っ張り出した。
E・HERO スパークマン
ATK1600
この行動にキラと龍可は驚いた。
「何その効果!?」
「えっ!?ちょっと!」
「何だよ、文句があるのか?ヒーローと警察は町を守る仕事だから一緒に行動するのはおかしい事じゃないだろう?バトル続行だ!ダイレクトアタック!」
ゴヨウ・プレデターが縛り付けたスパークマンを投げ付け、キラにぶつけた。
「んぐっ!」
キラLP3200→1600
「俺はこれでターンエンドだ。ほれ、文句があるなら言ってみな。」
「文句も何も警察が人のカードを奪って良いのかよ!」
「ぐっ。」
早速正論を言われた為、セキュリティは反論が出来なかった。
「確かにカード効果だとしても、セキュリティがねぇ…」
「龍可もそう思うでしょ。」
「う…うるせぇぞてめぇら!」
2人にジト目で睨まれ、この空気に耐えられなかったセキュリティが怒鳴った。
「まぁ、仕方ない。ドロー!良し、手札からマジックカード『融合』を発動!」
「融合だと!?」
「手札のフェザーマンとバーストレディを融合し、現れよ!『E・HERO フレイム・ウィングマン』!」
キラの場に父のフェイバリットモンスター、フレイム・ウィングマンが降りてきた。
E・HERO フレイム・ウィングマン
ATK2100
「融合を使って来たかと思えば攻撃力2100かよ。焦らせやがって。」
「まだだよ。フィールド魔法『摩天楼 -スカイスクレイパー-』を発動!」
周りのビルより更に高いビルが形成されていき、その天辺にフレイム・ウィングが立っていた。
「バトル!フレイム・ウィングでゴヨウ・プレデターに攻撃!」
「はっ、何を血迷ったか知らねぇが返り討ちだ!」
「この瞬間!スカイスクレイパーの効果を発動!」
「あん?」
「E・HEROが攻撃する時、相手モンスターより攻撃力が低い時、攻撃力を1000ポイントアップする!」
「はああ!?何だと!?」
E・HERO フレイム・ウィングマン
ATK2100→3100
「くらえ!『フレイム・シュート』!」
空高くから炎を放ち、ゴヨウ・プレデターはその攻撃に耐え切れず爆発と共に破壊された。そしてそれが合図なのか、フレイム・ウィングマンはすぐに移動した。
「ぐ、くそ!」
セキュリティLP3600→2900
「さらに!フレイム・ウィングマンが戦闘で相手モンスターを破壊した場合、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える。」
「何ぃ!?うわっ!」
セキュリティはいつの間にか目の前にいたフレイム・ウィングマンに驚き、炎を浴びせられた。
セキュリティLP2900→500
「俺はこれでターンエンド。」
子どもにここまで追い込まれたのが悔しいのか、セキュリティはイライラしていた。
「ちくしょー!生意気な小僧め、俺のターンだ!へっ、そのモンスターも奪ってやるよ。俺は『トラパート』を召喚!そしてレベル4のスパークマンに、レベル2のトラパートをチューニング!」
「またシンクロ!?」
キラはここでやっと実感した。龍可に説明をされてのだが、シンクロ召喚が主流となっているこのシティの事を。
4+2=6
「現れよ『ゴヨウ・ガーディアン』!」
ゴヨウ・ガーディアン
ATK2800
セキュリティのエースモンスターであるゴヨウ・ガーディアンが現れた。
「バトルだ!ゴヨウ・ガーディアンでフレイム・ウィングマンに攻撃!『ゴヨウ・ラリアット』!」
ゴヨウ・ガーディアンが十手を投げ付け、フレイム・ウィングマンを縛り上げ、壁や地面に叩け付けた。
「フレイム・ウィングマン!」
キラLP1600→900
「ゴヨウ・ガーディアンの効果を発動!お前のモンスターを守備表示で貰うぜ!」
「まずい、このままじゃあフレイム・ウィングマンも取られちゃう!」
「そうさ!結局ヒーローは警察の下で働くしかないんだよ!来やがれ!」
フレイム・ウィングマンは力尽き、倒れたままゴヨウ・ガーディアンに引き摺られて行き、セキュリティのフィールドに辿り着いた。そして……
「それはどうかな?」
キラのその一言が場を変えた。
「え?」
「何?」
フレイム・ウィングマンは爆発し、破壊された。
「ど…どういう事だ!?テメェ何をしやがった!」
「ヒーローは正義の為に戦う。決して警察の為でも、町の為でもない!己が正義の為に!フレイム・ウィングマンは融合召喚以外では特殊召喚出来ない!そしてリバースカード、オープン!『ヒーロー・シグナル』。ヒーローが破壊された時、デッキからレベル4以下のE・HEROを呼び寄せる。来い、クレイマン!」
E・HERO クレイマン
DEF2000
「ちっ、モンスターを残しやがったか。ターンエンドだ。」
「俺のターン!マジックカード『O-オーバーソウル』。墓地の通常モンスターのヒーローを特殊召喚する。現れよ!フェザーマン!」
E・HERO フェザーマン
ATK1000
「シンクロか?はたまた融合で来るのか?」
「いいや、来るのはエースさ。舞台は整った!フェザーマンとクレイマンをリリース!『E・HERO ゼクス』!見参!」
E・HERO ゼクス
ATK2500
マントが風に靡き、ベルトが光る。キラのエースであるゼクスが現れた。
「(凄い。追い込まれてる様に見えたけど、全然そうじゃない。)」
キラのデュエルセンスに龍可は驚いていた。
そして、場は動いた。
「バトルだ!行け、ゼクス!ゴヨウ・ガーディアンに攻撃!」
「攻撃力が低いモンスターで……まさか、また!?」
「そういう事!」
周りのビルの光が全てゼクスの右足に集まり出し、そのままゼクスは駆け出した。
E・HERO ゼクス
ATK2500→3500
「必殺!『エレメンタル・キック』!」
ゴヨウ・ガーディアンが十手を突き出したのだが、ゼクスの右足で払われ、そのまま回し蹴りをされ破壊された。
「ぐおぉぉぉ!!」
セキュリティLP500→0
爆風に押され、そのまま膝を着いた。
子どもに負けた悔しさに顔を歪ませたのだが、負けは負け。約束を果たさなければならない。
爆風が晴れて一声掛けようとしたのだが……
「俺の負けだ。さっさと……って、いねぇじゃないか!」
キラと龍可の姿はそこには居なかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はぁ〜、何とか逃げ切れたね。」
「はあ……はぁ…も…もう走れ……ない……」
勝ったと同時に龍可の手を掴んで全力疾走をしたのだった。
先程龍亞と別れた所まで戻って来て、一休みしている所だった。
「いや〜、楽しいデュエルだった。」
「た…楽しいって……はあ…」
「大丈夫?」
「ごめん…私、疲れ易くて…」
「いや、そこは良いんだけど…ごめんね。」
「大丈夫よ。後は龍亞とタクシーを待つだけだから。」
無理をさせたのか、龍可は結構疲れていた。
数分後に龍亞が来て、その後タクシーを拾い、フォーチュンカップの会場に向かった。
何を忘れたのかを聞くと、口紅だそうだ。この答えにキラと龍可は苦笑していたのだった。
ゴヨウ・プレデターはアニメ効果です。
OCGでは奪ったモンスターの与えるダメージが半減するんです。
アニメではその効果は無いようです。
次回からフォーチュンカップが始まります。
では、また。
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