ハリー・ポッターと機械好きの少女 (のっぺらぼう)
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プロローグ

駄文ですが良ければどうぞ


  イギリスの片田舎に住んでいるミーシャ・エメリーはただの少女ではない。

 魔法使いの父フェラルド・エメリーと魔女の母シェラ・エメリーから生まれた生粋の魔女である。

 だが、彼女はそれをまだ知らない。

 もしかしたら自分が周りの子達とは違う何かなのか?と気付いているかもしれない。

 だが、彼女の両親は、彼女が自分で聞いてくるまでは、教えないことにしていた。

 別に、彼女が嫌いなわけではないむしろ逆だ、彼らは愛しているからこそ何も話さなかったのだ。

 彼女が生まれたのは、魔法使いにとって最悪の日が終わった年。

 そうヴォルデモートがハリー・ポッターによって打ち倒された年だった。

 しかし、いくら倒されたとはいえ、あまりにもヴォルデモートの魔法界に残した傷は大きかった。

 少し、他の人より臆病な魔法使いの夫婦が、娘にそんな世界に行かせたくないと思うほどに…

 さらに、魔法使いは11歳になると、その地域に応じた魔法学校から招待状が送られてくる、本人が確認するまで何度もだ。

 そして、魔法学校は全寮制である…

 そう夫妻はこれが嫌なのだ、いくら安全が保証されている上に、世界最高峰の魔法使いが揃ってる学校といえども、自分たちの目の届かないところで、なにかあったらと考えると、それだけで卒倒してしまう。

 だから夫妻は、彼女の存在を隠した。

 シェラは、自らの母に魔法の力を抑え込むネックレスを、フェラルドもマグルの職に就き田舎ではあるがマグルの学校がちゃんとある村に住み多少不便だったが杖さえ箱にいれ小さな屋根裏部屋にしまいこんだ。

 これほどに魔法から離れればもしかしたら娘が魔法界に行くことはないかもしれない…そうすればあんな災厄にも巻き込まれないだろう。

 そう願って…

 そんな思いを知ってかしらずか2人の、愛娘ミーシャは、好奇心旺盛にすくすく育っていった。

 特に、マグルの使う機械に多大な興味を示し10になる頃には、誕生日にパソコンを強請るほどだった。

  そして、彼女が生まれてから11回目の夏が来た…。

「お父さん?何かあったの?」

 朝から少しピリピリした様子の父に戸惑いながらミーシャはフェラルドに問いかけた。

「ん?あー、おはようミーシャ、別になんでもないんだ。そう…何でもないんだ…」

 ミーシャの頭を軽くなぜながらフェラルドはやはり何処か不安気だ。

 その時、ガシャンと郵便受けが音を立てた。みるみるうちに顔色を変えたフェラルドはゆっくりミーシャから手を離すと

「ミーシャ。母さんを起こしてきてくれ父さんは郵便を取りに行くから」

とのったりとした動作で玄関に向かった。

 そんな父は初めて見たミーシャは心配になりながら母の寝室へ向かった。

 母は、ぼんやりした顔でこちらを見たあと、

「この日が、来たのね」

と、ベッドからスッと起き上がった。

 数分後、悲愴感溢れる顔から決意を決めた男の顔をしてフェラルドは居間へやってきた。

 目の下が少し赤く充血しているのがわかる。

 シェラと軽く目配せをし、深く息を吸いこむと深刻な表情で、ミーシャにこう告げた

「ミーシャよく聞いてくれ。実はお前は………魔女なんだ……。」

「へ?え?」

 頭の理解が追いつかずミーシャは呆然とする

「本当だ俺も母さんもアメリカのじいちゃんも日本のばあちゃんも魔法使いだ」

 驚愕の事実にミーシャは、声もでなかったが少し疑問に思うことがあった。

「なんで教えてくれなかったの?魔法が使えるだなんてとても素晴らしいことじゃない?」

「ああ、そうだな魔法が使えるというのは一見便利に見えるし実際かなり便利だ」

「ならどうして?」

 ミーシャはフェラルドがなぜこんなに悲しそうな顔をしているかがわからなかった

「それは……。」

 フェラルドは少し迷ったようだがしっかりミーシャの目を見ると

「お前が、生まれる少し前、ヴォルデモートと言う悪い魔法使いがいたんだ…そいつは、考えられる限りの悪虐を繰り返した。父さんもなんども被害に遭ったやつを見たし被害に遭った。そして10年前そいつはある魔法使いによって倒されたその名は、ハリーポッターお間と同い年の男の子だ」

 ミーシャは少しおどろいたがすぐにこう叫んだ

「じゃあ、今は何も怖くないじゃない、何も怯えることはないわ!それにそんな子が同級生なんて逆に頼もしいわ」

 ミーシャがそう叫ぶとフェラルドは薄く笑っただが、すぐに顔を引き締めると

「そうは言ってられないんだミーシャ、お前が生まれた時、ばあちゃんは一つの予言とおまじないをしてくれた」

「どんな…予言なの…」

ミーシャは嫌な予感がしていたが、そう尋ねた。フェラルドが大きく息を吐いた

「ばあちゃんの予言はこうだ『この子が、15になる時に闇の帝王は僕を率いて完全復活するだろう』」

 しかし、ミーシャはフェラルドの言ってる意味がわかりません

「復活するならなおさら戦う準備をしなければいけないんじゃないの?」

 フェラルドは首を振り

「ばあちゃんの予言はまだ続いてるんだ。しかも最悪な形でな…ばあちゃんは『この子は闇の帝王と戦う運命にあるね。それもハリーポッターや他の友達とね』これを聞いた時父さんはうそだと言って欲しかったね。だからお前を魔法から引き離して生きてきた。でも、それも今日までだ」

 フェラルドの顔が引き締まるそして懐から一枚の手紙を出すと

「お前は9月から、ホグワーツに行ってもらう。ホグワーツに行くか行かないかはお前が決められる。だが、この手紙がきたということはお前に魔法を教えた方が魔法に触れさせないよりまだ安全だ。ミーシャ、お前はどうしたい? 

 フェラルドは行って欲しくないのだろう。シェラもしばらく前にトイレに行ったきり帰ってこない。だが、ミーシャの心は決まっていた。

「私は、ホグワーツに行きたい」

 フェラルドは少し儚げに笑うと

「そうか、よし!なら、買い物に行かなきゃな!ミーシャ今日は忙しくなるぞ〜!40秒で支度しな!」

「うん!」

 一気にテンションを切り替えて朝ごはんの支度を始めた。

 ミーシャも元気に返事をし部屋に支度をしに行った

 

 

 キツネ色をしたトーストにカリカリに焼いたベーコンそして半熟の目玉焼き家族みんなで朝食を食べながらフェラルドは今日の日程を話した。

「今日は、ミーシャにローブと杖以外のものを今日は買おうと思う」

「えぇ〜!なんで〜!杖欲しいよ〜」

「安心しなさい。おばあちゃんがあなたのためにローブと杖を作ってくれていますから」

 駄々をこねる娘を優しくシェラは宥めた

「え?どういうこと?魔法の杖ってそんな簡単に作れるの?」

「いや、父さんたちには作れないな。きちんと杖作りに弟子入りして何年も修行しなきゃならないそれに本来杖というのは選ぶのではなく選ばれるものなんだ」

 ミーシャは首を傾げている

「そうね、ミーシャちょっと待っててね」

 そう言うと母は屋根裏から細長い箱を持ってきて中から2本の杖を出した。それを両手に持つと

「よく見ていてね【ルーモス,光よ】」

 右手側に光がついた、左手側は一拍置いてから右より淡い光がついた。

「この杖はね明るい方がお母さんの杖なのそして」

 今度は左手側だけをフェラルドに渡した。

「こっちがお父さんの杖だ」

 今までの淡い光が一気に煌々と輝きだした

「こんな風にね、杖は自分以外の所有者にはなびかないし本来の力を出さないの、だから本当はお店で一本一本試すのだけど…」

「何事にも例外があるのさ」

 後ろからしわがれた優しい声がした

「お邪魔してるよ、ミーシャ久しぶりだねぇ」

着物を優雅に纏ったおばあちゃん葛木三季がいた。

「おばあちゃん!久しぶり!もう来たの!私の杖は⁉︎杖は⁉︎」

「ミーシャ落ち着くなさい。お義母さんお久しぶりです。お早いお着きですねフクロウは今送ったばかりなのに」

「あの程度の抵抗で、この子が魔女になるのは止められないと知っていたからね。昨日飛行機でこっちについたばっかりさそこからの姿くらましでクタクタだよ。杖とローブの最終調整を後でするから買い物に行っておいで私はちょいと休む」

 そう言うと三季は客室へと向かった。

 しばし、固まった一同だったが、あとは移動しながら話そうと決まりエメリー一家はダイアゴン横丁へ向かった




どうでしたでしょうか。一生懸命に書いたので読んでくれると幸いです。
ちなみに三季さんはシェラの母でシェラはハーフです。せいら→シェラって感じです。三季+シェラ ミシェラ→ミーシャって感じです
リアルで時間がある時にちょいちょい進めていこうと思います


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一話 

第一話です頭のいいあの娘と出会います。後、杖に関することでてきます


〜ダイアゴン横丁〜

 

 ロンドンの町中にある、小さなパブ“漏れ鍋”そこにある、石造りの壁から変化したアーチをくぐると、そこにはミーシャが初めて見るものばかりだった。

 

「凄い…すごい…すご〜い!あの人頭から虹色の煙出してるし!あの人は杖から花火出してるよ!凄い!」

 

「落ち着きなさいミーシャ…周りの迷惑でしょ」

 

「そうだぞミーシャそんなん風なら一人でお使いは任せられないな」

 

 そうフェラルドが言うと、ミーシャはすんっとおとなしくなった。

 そんな姿が愛らしくて、フェラルドとシェラはミーシャに優しく微笑むと

 

 「父さんと母さんは大鍋なんかの学用品を買ってくるからミーシャは教科書を買ってきなさい」

 

とフェラルドは巾着から金貨を2枚渡すとそのまま二人で、ポンッと音を立てて消えていった。

 

 ミーシャは、おいていかれたことにちょっとショックを受けたが、それを感じさせないほど高揚していた。

 

 ぶらぶらと道行く人にお店の場所を聞いたり、同年代の娘と軽くおしゃべりしてみたり、そんなふうに初めての魔法界を楽しんでいると、目的地のフローリッシュアンドブロッツ書店に到着した。 

 

「ありがとう、入学したら、今度はホグワーツの案内お願いしてもいいですか?」

 

「どういたしまして。そんなのもちのロンさ。僕は監督生だからね新入生の面倒を見るのは僕の仕事さ」

 

 ここまで案内してくれた親切な赤毛の青年にお礼を言うと、店の門をくぐった。

 

「あら、あなたも新入生?」

 

頭上から可愛らしいでもどこか威張った感じの声が聴こえた。

 

「私はハーマイオニー・グレンジャー。あなたは?」

 

「わたしは、ミーシャ・エメリー。仲良くしようね」

 

「そうね。私、あなたが初めて出会う同年代の魔女なの。こちらこそよろしくだわ。あなた教科書を買いに来たんでしょう?私は全部買ったから、どこにおいてあるか案内してあげる」

 

 ハーマイオニーの言う少女は、少し上から口調で、一息に言い切ると、話しかけて来るが、初対面の人間にいきなり声をかけてこんな提案をしてくるあたり相当なお人好しの世話好きなんだろう。

 ミーシャはハーマイオニーに好感を持ちつつ自らの人運の良さを神に感謝した。

 

「そうなの?すっごく嬉しい!私、魔法界に初めて来たから少し心配だったの!」

 

「え、そうなの?ならあなたもマグルの生まれ?」 

 

「いいえ、違うわ。両親ともに魔法使いよ」

 

「なら、どうして?」

 

「家の方針で…少し長くなるけど聞いてくれる?」

 

「もちろんよ!でも、ここで立ちっぱなしも大変だし先に本を買いましょうか」

 

 彼女に、進められるままに、教科書を買い揃え、余ったお金を使ってアイスを食べながら二人でいろんな話をした。

 ハーマイオニーはマグルと呼ばれる非魔法使いの家庭からたまたま生まれた魔女らしい。

 血筋や家柄を重んじる家が多い魔法界の学校で上手くやっていけるか心配なのだという。

 

「それなら、心配ないんじゃない?」

 

「え?」 

 

 ハーマイオニーは少し混乱しているようだったがミーシャは構わず続けた。

 

「だってハーマイオニーは、一人で上手くやっていけるか心配なんでしょう?私も、魔法の知識はマグルと変わらないしそれに私がいるから二人でしょ?」

 

むちゃくちゃな理論だった。でも、1ヶ月後には知りあいが誰もいない環境で親元を離れて暮らさなきゃいけない、そんなとき気持ちをわかってくれる人が、もう一人いたらどんなに幸せだろうか。

 ハーマイオニーはミーシャに抱きつき 

 

「私達、今日からズッ友ね!」

 

と宣言した。

 ミーシャはこんな可愛い新しい友達ができたことに歓喜し小さく握り拳を作った。

 後は、もう止まらなかった。

 最近見た映画の話をしたり(ハーマイオニーはロードオブザリングがお気に入りらしい)、ホグワーツで楽しみなこと、互いの趣味についてハーマイオニーに迎えが来るまで存分に語り合った。

 

「ハーマイオニー、あなたがいなかったら教科書買うのにもっと時間がかかってたと思う…本当にありがとう」

 

「ううん、こちらこそあなたはこれからどうするの?」

 

「親と合流してそのまま帰るかな…」

 

「そうなの…寂しいわね」 

 

 そんな顔をされると慰めずにはいられないミーシャは、ハーマイオニーにハグすると、1ヶ月後また会いましょうと耳打ちした。

 ハーマイオニーは頬を真っ赤にするとすぐ離れて耳は駄目!と叫び  

 

「じゃ、じゃあね!」

 

とミーシャの姿が見えなくなるまで手を降った。

 ミーシャは上機嫌で手を振り返すと両親のもとに急いだ。

 両親はすでに“漏れ鍋”に居りコーヒーを飲んでいて

 

「お、ミーシャ戻ったか、ちゃんと買えたか?」

 

「うん!ねえ聞いて聞いて!新しい友達ができたんだよ!それも女の子!」 

 

「お、おうおう分かった分かったからミーシャ一旦落ち着いてくれ」 

 

 ミーシャは興奮した様子でフェラルドに話し続けている。

フェラルドは、ミーシャをなだめると、

 

「ミーシャ、帰りは“煙突飛行”を使う。すごく煤が舞うけど我慢しなさい」

 

「はーい」 

 

 そして、家族三人で古ぼけた暖炉に入り込み

 ミーシャは幸せな気分から一転重度の車酔いの症状と煤に見舞われた……

 

 

 

 

 

 

〜エメリー家〜

 

 

 

「さあさあミーシャ、ここに立って利き腕をまっすぐにしなさい」

 

 やっとのことで家に帰りついたミーシャを待っていたのは祖母からの採寸地獄だった。

 

 ありとあらゆる場所を約3時間に渡り図られ続け、終わったと同時にお婆ちゃんは、地下室の開かずの間と教えられていた部屋に飛び込んでそこから2時間出てこなかった。

 やっと出てきたお婆ちゃんは、やり遂げたという顔をしていて私に杖とローブを渡してきた。

 

 「その杖は、鬼桜にミーシャの生まれたての髪から今のミーシャの髪を使ってある。25センチよくしなり丈夫。本来、杖が選ぶ持ち主を特定の人間に調整するにはその子本人の生まれたときから数えて17まで計17本の体毛一年ごとに集めて一本の束にするか、本人の心臓の琴線を使うしかないからね。ただ、大変な分、それ以上にミーシャにピッタリの杖はないはずさ。さ、降ってご覧?」

 

「これが私の…」

 

 ミーシャは、少し緊張しつつ杖を手にとった。

 杖から、手に向かって干したての布団のような母の胸の中のような安心する暖かさが溢れてきた。

 

「暖かい…」

 

「なら、良かったさ。でも、それにはまだ6本の髪が足りてない。毎年ちゃんと私のところに見せにきな」

 

 ミーシャは祖母の言葉にしっかり頷くと、魔法を封じているというネックレスを外し、軽く杖を振った。

 すると、部屋いっぱいに幸せな光が溢れた。

 

「これが魔法…」

 

 ミーシャは初めて使う魔法に、心が震えているのを感じた。

 

 フェラルドは感動で声も出ないミーシャの肩を叩き

 

「ミーシャおめでとう。朝から色々あって忘れていたかもしれないが、今日は君の誕生日だ。君が素晴らしい魔女になることを祈ってこんなことをしてみた。」

 

 フェラルドが指をパチンッと鳴らすと、山のようなご馳走と各地方の親戚が一気に現れた。 

 

「さあさあみんな席に着いて、未来の大魔女様の誕生会だ!グラスは持ったね?では…………」

 

 

 

「「「未来の大魔女に乾杯!!!」」」

 

 

 




 皆さんこんばんは、短いですがミーシャの友達作り編でした
 機械要素ないですね…タイトル変えよっかな…

 今回のオリジナル要素としてはやっぱり杖ですね
持ち主が杖は持ち主の魔法使いを選ぶという法則は無視したくなかったんですけど、杖に魔法使いの髪って使えないのかなって言う思いが初めてハリポタを読んだときから消えなくて、でもその分難易度高めにしてあります。あと、お婆ちゃんに作ってもらいたいっていうただの性癖が混ざり合ってこうなってしまいましたファンの皆さんごめんなさいm(_ _;)m



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2話

ウィーズリー家と絡ませたいなぁ


 

 

「ミーシャ、君に伝えなきゃならないことがある」

 

「な、なーに?お父さん」

 

 宴会が終わってすぐ、フェラルドはミーシャを呼ぶと、重々しく口を開いた。ミーシャは、少し嫌な予感がしていたが、平静を装って返事をした。

 

「今まで、君には魔法のことを1つも教えてこなかった。だが、魔法学校に行くということは他の魔法使いや魔女とともに生活することになる」

 

「そうだね。それがどうしたの?」

 

「魔法使いというのは、マグル生まれの魔法使いを、馬鹿にする人間もいる。そういう人間はたいてい魔法界で幅を効かせている。これが今の魔法界だ。だから、とりあえずの魔法界の常識と簡単な呪文を百ほどあと一月で完璧にしてもらう」

 

 ちょっぴり決め顔で、宣言する父の姿は少し可愛かった……がしかし、それとこれとは別である。

 確かに魔法は、使ってみたいが、一月で百の呪文をマスター+魔女としての常識は、勉強を好んではやりたくないミーシャにとって鬼畜と言う他ない。

 ミーシャはせめて70くらいにならないか交渉しようと、父の顔をまっすぐに向き…!

 

「因みに、全部出来たら好きなもの買ってやろう。お偉いさんが使うような超高性能インターネット接続可能パソコンでも何でも買ってやろう」

 

「やり遂げさせていただきます。お父様。何なら二百ほど覚えて見せましょう」

 

「よろしい」

 

 さすが、親というべきか、ミーシャは、燃えに燃えていた。

 その様子を見て、フェラルドは声を殺して大爆笑していた。

 

 

 

 

一週間後〜

 

 

予想以上に早いな…

 

 フェラルドはミーシャの頑張りを見ながら、そう思った。

 すでに、一年の教科書に出てくる呪文約210スペルのうち、約3分の2の140スペルを覚えたのだ。

それも、一週間でだ。

 ついでに、常識の方も十分になったため昨日から終了となった。

 そんなミーシャの姿を見て、もう少し増やしても大丈夫と判断したフェラルドは、明日から魔法薬学と護身術をレッスンに加えよう。とミーシャの、祖父母を再び呼び寄せた…

 

 

「ウゲ…」

 

 祖母たちは嫌いではないむしろ好きだ、だからこそこんな表情出迎えたくはなかったのだが…

 

「今日からお前に、お婆ちゃんとおじいちゃんが護身術と魔法薬学を教えてくれる。頑張れ!」

 

 フェラルドをいつか呪ってやると考えながら、パソコンのためミーシャは、なんとか頑張った。

結果……入学一週間前に呪文300スペル魔法薬レシピ10個護身術の免許皆伝を自分のものにできた。

 多少オーバーじゃないかと自分の親を訝しむが、めんどくさいので考えるのをやめた。

 そしてまた、今朝もフェラルドに呼ばれているのである。

 新しい課題を申し付けたときと同じ顔をしてたため、絶対に新しいめんどくさいと思いつつも、フェラルドの言うとおり動きやすい格好で、フェラルドの車に乗り込んだ。

 

「なんだかご機嫌斜めだな?ミーシャ今日のは絶対楽しいぞ〜」

 

 なぜかすごい上機嫌で、車を飛ばすフェラルドに少し冷めた目を向けながら、 

 

「また新しい何か仕込もうとしてるでしょ。お見通しなんだから!というか、お父さん私が魔女になるの反対だったからここまで何も教えなかったんでしょ?なんでそんなに、魔女になろうとするの手伝うの?おかしいじゃない」

 

と今日までの疑問もまとめてぶつけてみた。

 そしたら、少し悲しい顔をして、

 

「正直、まだ行ってほしくないって思ってる「なら、どう」でも、娘のやりたいことを邪魔したくない」

 

 フェラルドはミーシャを見つめて

 

「お前の邪魔はしたくない、でも危ない目にもあってほしくない。だから、半年間姿が見れなくなる前に、やれることやってあげたくなるのさ」 

 

と、最高の決め顔でウインクしてきた。

 今、不覚にもうるっと来たところだったのが最後の決め顔で台無しである。

 ミーシャは、赤面して

 

「ありがと、お父さん」

と、消えゆきそうな声で言った。

フェラルドは満足そうに頷くと

 

「ほらミーシャ見てご覧あそこが目的地だ!」

と言われミーシャが顔を上げると…

The魔法使いといった風格の建物が立っていた。

 

 近くに車を止めると、中からふくよかな女性が駆け寄って来た。

 

「あらあらフェラルド久しぶりね〜少し太ったかしら?いきなりふくろうなんてよこしてビックリしたのよ?あらこちらのお嬢ちゃんがあなたの?」

 

「あ、ああ娘のミーシャだ。君は変わらないようだねモリー」

 

「は、初めまして、ミーシャ・エメリーといいます…」

 

初対面でここまでテンションの高い人を相手にするのは初めてだったので、かんでしまった。

それを気にした様子もなくモリーという女性は

 

「はい、初めまして、モリーウィーズリーよ。気軽におばさんとでも呼んで頂戴なお昼ご飯はもう食べた?まだなら家で食べなさいな。さあさ、行くわよ」

 

サラリと流して半ば強引にミーシャたちをテーブルにつかせた。

そして、喉を杖で叩くと外に向かって 

 

「あなた達ー!!!!!お昼ごはんですよー!!!!!!」

 

と人間では、出せないような声量で叫んだ。 

2回ほど咳払いをして喉を調整したのか、モリーは先程と変わらない優しい声でミーシャに

 

「もう少し待っててね、すぐ帰ってくると思うから」

とウインクすると、料理に戻って行った。あまりの衝撃に、上の空だった意識を、ミーシャは首を振って取り戻すと

 

「あ、私手伝います。お皿の位置どこですか?」

 

とモリーに訪ねた。

 モリーは、ミーシャの顔を見、フェラルドの顔を見、口をあんぐりと開けると、すぐに閉じミーシャに、優しく微笑み

 

「ありがとうでもあなたは、お客様だから大丈夫よ」

 

と優しく断った。

 しかし、ミーシャはどちらかと言うと世話焼きな方なのだ。

 だから、こっそり席についた瞬間杖を振り

 

【ロコモータープレート,食器よ動け】

 

とすでに確認していた食器棚から、食器を並べておいた匂いやさっき覗き込んだ見た目などから必要な食器はモリーの手元に忍ばせておいた。

 

 モリーはまだ気づいていないようだから、何か言われたらしらばっくれようと、思いつつふと、窓の外を見てみたら、赤毛の全く同じ顔の二人がいた。

 

 おそらく、双子だろうか?全く同じ顔をした二人が、こちらを見つめ目があった瞬間に、しゃがみこんでコソコソ何かを話している。

 

 気になるので、耳に強化魔法をかけて盗み聞きしてみた。 

 

「おい、見たかフレッド?あの嬢ちゃんあんななりでもかなりの使い手だぞ」 

 

「同意見だ。ジョージ、ママに聞こえない程度の小声でなおかつ、あの小さいフリでママのサポートになる位置まで計算して食器を選び出したぞ」

 

「あの嬢ちゃん何者だよ。食器一枚も割らずにあの芸当は相当むずいぞできるか?フレッド」

 

「無理無理パーシーの頭に直撃で大目玉が関の山だ」  

 

「違いない」

 

「あの…褒めてもらえてとても光栄なんですけど…恥ずかしいのでやめてくれますか?」

 

双子がぎょっとして上を向くと、先程の話題の少女が・こちらを見てもじもじしているじゃないか。

 急いで立ち上がるともうすでに、一家集合している。

 

「これは、失礼お嬢さんこの責任は、隣のジョージが取りますゆえ……おい、ジョージこの娘」

 

「いやいや、お嬢さんこの責任は、言い出しっぺの隣のフレッド・ウィーズリーが取りますゆえああフレッドこの娘」 

 

「「超かわいいぞ」」 

 

と軽薄に、ヘラヘラと二人して席についた。

結局、ミーシャが最後に座ることになってしまいモリーが申し訳なさそうな顔をしていたので、とりあえず苦笑いをし赤毛の女の子の隣で料理に舌鼓をうった。

 

「所で、そこのお嬢さんはどなたなのか説明がほしいね」 

 

「そうだそうだ〜」

 

 さっきの双子フレッドとジョージがしびれを切らしたかのように騒ぎ出した 

 

「あら、まだ紹介してなかったわね。隣村のカーリトンに住んでるエメリーさんよ」

 

「フェラルド・エメリーだ娘と仲良くしてやってくれ」

 

「ミーシャ・エメリーです。よろしくお願いします」

 

すると、双子が、

ぱっとじゃんけんを始めた。

じゃんけんが終わるとどっちかわからないが勝ったほうが

 

「よろしくな、ミーシャ。俺はフレッド、さっき負けたやつが」

 

「ジョージだ。よろしくな」 

 

次は、また赤毛の同年代の子が、

 

「僕は、ロン。よろしく」

 

さらに赤毛の小さい子が、

 

「ジニーよ。さっきの魔法どうやるのか教えて?」

 

「さっきの魔法って?」

 

 ミーシャが尋ねると、 

「だって、二人が、あんなに驚くことめったにないもの」 

 

リビングに笑い声が響いた。

 昼食が終わるとジニーの部屋に呼ばれた、男の子達は、箒に乗ってくるそうだ、そちらも楽しそうではあるけれど、一つ下の女の子のお誘いを断れるほどミーシャは、神経が太くはなかった。

 

「でね、パパもママも私が箒に乗るのはまだ早いっていうのよ。フレッドもジョージもロンだって私の年には箒に乗ってたのよ!不公平だわ!」 

とりあえず、ジニーはかなりお転婆ちゃんのようだ。

 さっきから、窓から見える三人の飛ぶ姿を見ては、同じことを言っている。

 

「ねぇジニー、杖を使わない面白い魔法を教えてあげましょうか?そしたら、少しは気が紛れるんじゃない?」

 

このままじゃ愚痴を聞くだけで家に帰る時間になりそうだと考えたミーシャはやや強引に話を切り替えた。

 

「杖無しの魔法?それってすっごい難しいんじゃないの?」

 

訝しげにジニーは、でも興味津々といった感じで、こちらによってきた。

 

「そこまで難しくないよ。大事なのはイメージなんだから」

 

 話しながらミーシャは、自分の指を魔法で切るとその場所を片方の手で抑え、

 

【ドロル・ドロル・アーウォラート】

 

と唱えると、もとの手は傷が塞がり傷跡すら残っていなかった。

 

「すごいすごい!傷が治せる魔法ってすごく難しいのにこんなにかんたんにしちゃうなんてすごいよミーシャ!」

 

「これは、そこまで難しくないよ。でも、そう言ってくれると嬉しい」 

 

 そして二人は、時間も忘れて魔法の練習をした。

 そして、三人が帰ってくる頃には…

 

【ドロル・ドロル・アーウォラート!】

 

「まあ、ジニーちゃんに魔法を教えてくれたの?しかもこんな素敵な…ミーシャありがとねぇ」

 

「いえいえ、これを覚えられたのはジニーの頑張りですよ」

 

モリーの肩コリにも聞くくらい完璧な魔法が使えるようになっていた。

 ミーシャもまさかここまで、一気に成長するとは思っていなかったため少し引きつった笑みを浮かべた。 

 

 

「ミーシャ、また魔法教えてね」

 

「いつでも遊びに来ていいからね」

 

「今度は、クィディッチについて教えてやるよ」

 

「右に同じく」

 

「次はもっと喋れると良いな…また遊ぼうね」

 

そんなこんなでウィーズリー家と別れを告げ、家路についたミーシャは、まだみぬホグワーツへの期待をさらに大きく膨らませ眠りについた。




もっと絡ませたかったけど諦めた。 
次、ハリーにあいます、ホグワーツまで行けるといいな


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3話

ホグワーツ到着までは行きます


 

 

9月1日 

 

 ついにこの日がきた… 

 ミーシャは、平静を装いつつキングズ・クロス駅に家族で向かった。車の中ですでに5回は、荷物を確認している。 

 結局、やることがないので、ミーシャは、フェラルドに教わった。ホグワーツでパソコンを使うために必要な下準備を始めた。

 

 

 

 

 

 

  〜キングズ・クロス駅〜

 

「やあ、アーサー久しぶり」

 

「フェラルドかい?久しぶりだね。モリーに聞いてはいたんだが久しぶり過ぎてわからなかったよ。そちらが娘さんかい?」

 

「ミーシャ・エメリーです。よろしくお願いします」

 

「丁寧にどうも。アーサー・ウィーズリーだ。息子をよろしくね。そうそう今、こんな仕事をしててね」

 

仕事の話をしだした大人たちを、放置してミーシャは他のウィーズリー家のいる場所に向かった。 

 見覚えのある赤毛の一団を発見したとき、その近くに困り果てた顔の黒髪の少年を見つけた。

 

「こんにちは、君もホグワーツ?」

 

「あ!あぁ!9と4分の3番線はどこか知らないかい?」

 

少年は、心の底からホッとしたという顔でミーシャを見つめる。

 

「ええ、でも私も不安だからあそこの赤毛の方たちと一緒に行こうと思っていたのだけど…どうかしら?」

 

「うん、よろしく僕は、ハリー。君は?」

 

「私はミーシャよ。よろしくハリー」

 

ミーシャは少年を連れてウィーズリー家と合流した。壁をぬける瞬間は少し緊張したが、何事もなく抜けた。

 

「ミーシャ、なにかあったらすぐふくろうを飛ばすんだよ。何があっても迎えに行くからね」

 

「お父さんそれは、逆に出したくなくなるわ…でも大丈夫よ。きっと何も起こらないわよ。じゃ、行くわね」

 

 ミーシャは楽観的にフェラルドと別れた。汽車の中を歩いているとロンが一人でフラフラしているのを見つけた。

 

「あら?ロンあなたもコンパートメント探し?」

「あ、あぁ座れそうなとこはあるんだけど…」

 

 言葉を濁すロンの視線の先を見ると、さっきの黒髪の少年がいた。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれよ〜さっきフレッドとジョージから聞いたんだけど彼、ハリー・ポッターらしいんだ」

 

「だからジニーがあんなに興奮してたのね納得したわ。でも…」

 

「でも?」

 

「有名人だからって拒むなんてことはないでしょうし、行きましょうか」

 

そういうと、ガラガラっと扉を開けて

 

「一緒でも大丈夫?」

 

「ん?あ、ああ!大歓迎さ」

 

「そう?さっきぶりねハリー。途中でいなくなったから線路に落ちたかと思ったわ」

 

「おかげさまで、きちんと乗れたよありがとう…ところでそっちの人は座らないの?」 

 

「ロン、あなたよ。早く座りなさい」

 

軽口を叩きあう二人に気圧されつつ、ロンはぎこちない動きで座りハリーを見、

 

「君本当に、あのハリー・ポッター?えっと…その…額に傷がある?」

 

「ああ、これね!」

 

ハリーは若干手慣れた様子で髪をかきあげ傷を見せてくれた。 

 本当に稲妻のような傷がおでこにあり、ロンは興奮して

 

「おったまげー、まさかこんなとこでハリー・ポッターに出会えるとは思えなかったよ。僕はロナウド・ウィーズリー。ロンってみんなから呼ばれてる」

 

「よろしく、ロン。僕は、ハリーって呼んで」

 

しっかりと二人は握手を交わした。

 その後、車内販売で買ったお菓子をシェアしながら、いろんな話をした。

 

「おったまげー、君って本当に魔法界について知らないんだね?」

 

「ずっとマグルと暮らしてたから誰も教えてくれなかったからね」

 

ハリーの話は、7月末までマグルとして暮らしたミーシャにとって共感できる話が多かったため思わず聞き入ってしまった。

 ロンにマグルの常識を話したり、ハリーに今度は、魔法のことを教えたりしていると、急にドアが開き

 

「ねぇ、誰かヒキガエル見なかった?この子のなんだけど…」

 

ハーマイオニーが、ぽっちゃりした丸顔の男の子を連れて訪ねてきた。

 ハーマイオニーは、今ロンの方を向いていてこちらに、注意が向いていない。

 そう判断したミーシャは、足の力をほんの少し魔法で強くすると座った状態から、挨拶をすっ飛ばして、直接ハーマイオニーにダイブした。

 

「な、何よ!いきなり抱きついて!あなた誰よ!ってミーシャ!?」

 

「そうよ、あなたの魔法界初のお友達ことミーシャ・エメリーよ!あえて嬉しい!ハーマイオニー。あなた、どこのコンパーメントにいたのよ。少しだけだけど探したのよ?」

 

「3両先のコンパートメンとだけど…そう…探してくれたのね…………私も少し探したんだから…」

 

「なにか言った?」

 

「……っ!なんでもないわ!それよりヒキガエル見てないかしらネビルのがいなくなったの」

 

「ごめんなさい…私は知らない…でも、見つける手伝いはできるよ」

 

「ほんと!?ありがとう!ネビルもお礼言いなさい」

 

「ありがとう。手伝ってくれるなんて嬉しいよ」

 

「いいよ。困ったときはお互い様。じゃあ、二人は、おとなしく着替えて待っとくこと、いい?あとロンは、私の荷物お願いね」

 

「「あ、はい」」

 

女の子たちの姦しさに押し負けて居心地の悪そうなネビルを見ながら、ミーシャの言葉に素直に従ってしまう自分たちも似たようなものか…と男ふたりは絆を深めた…

 

「まぁ、探すと言っても、その必要はないんだけれどね」

 

「どういうことミーシャ?」

 

「呼び寄せ呪文という呪文があるの。まだやったことないから不安なんだけど…」

 

ミーシャは、あるコンパートメントの扉を迷いなく開くと、 

 

「フレッド、ジョージどっちでもいいから呼び寄せ呪文使える?」 

 

「おいおい、ミーシャいきなりご挨拶だな」

 

「先輩に対する敬意とか持ったらどうだ?」

 

「そのいたずら癖治したら考えてあげる」

 

箱いっぱいのタランチュラを鑑賞する。青年三人組がいた。

 そして、上級生相手に、構わずタメ口で、何なら少し命令気味に話すミーシャの姿にネビルはすっかり腰を抜かしてしまっていた。

 

「てか、学校はじまるまでは俺ら魔法使っちゃいけないんだけど」

 

「へー、そうなのところで、今私の手が滑ってその箱叩き壊したらどうなるのかしらね?」

 

「あー!待った待った!使ってやりたい気持ちはあるが!俺ら、まだそこまで教えてもらってないんだ。なぁ?ジョージ!」

 

「あぁ、そうとも代わりに、占いしてやるから!」

 

「占い?」

 

「あぁ、三年生からは選択で占い学が取れるんだ」 

 

「教科書パラ見して出来そうなやつだったから効果は保証しないけどな」

 

フレッドは慌ててビー玉を取り出しジョージが杖をかざした。

 

「よし、じゃあミーシャ何も探してたんだ?正確に思い浮かべてくれ」

 

「あ、なくしものをしたのはこの子よ」

 

とネビルを前に出すとミーシャはフレッドの近くに座り込みビー玉を覗き込んだ。

 

「ねぇなんで、ビー玉なの?普通水晶玉じゃない?」

 

「水晶は結構するからな。学校に揃ってるんだよかんたんなのならビー玉でも十分だから今はこいつだけどな」

 

「へー?」

 

 フレッドがミーシャに説明をしてる間に、ネビルの占いは終わっていて、ジョージは文句を言いながらも占い結果を噛み砕いて教えていた。

 

「困難の相が出てたから今探しても見つかりそうにないな。でもその後、モヤが晴れてるからいずれヒョイっと出てくるって感じだな」

 

「ありがとうジョージとりあえずあなたの占いを信じるわ。それと、フレッド面白いことを教えてくれてありがとう。また後で」

 

そういうと、ミーシャは手を振ってコンパートメントから出ていった。

 

「俺、終始空気だったんだけど…」

 

と、双子の大親友がツーっと涙を流した。

 

 

「じゃあ、ハーマイオニー、ネビル。また後で、できれば同じ寮になれたらいいわね」

 

「そうね、あなたと一緒の寮なら、初めてのことでも怖くないもの」

 

「僕も、君たちと同じ寮だといいななんだか楽しいことがありそうだし」 

 

三人で笑いあうとそれぞれ元のコンパートメントに戻り、ミーシャはロンとハリーを追い出してローブに着替えた。

 

 

 

 

 

 

 



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4話

やっと組分けです…
テンポよく進めたい……


 その後は何事もなく、ホグワーツについたミーシャが他の新入生とともに、小さな部屋で待機していると、とても怖そうな雰囲気の魔女が現れた。おそらくここの教師だろう、ミーシャは緊張でガチガチだった身体をぶるりとさせると、背筋を伸ばした。

 

「皆さん、こんにちはこの学校で変身術の教師と副校長を努めています。ミネルバ・マクゴナガルです。みなさんはこれから映えあるホグワーツの生徒となり、それぞれの寮に組み分けられます。どの寮も、様々な分野で活躍する魔女や魔法使いを排出してきました。皆さんがその寮の誇りとなれるよう努力することを私は、望みます。まもなく組分けの儀式です。できるだけ身なりを整えておきなさい。」

 

 マクゴナガル先生は、何人かの生徒をちらりと見るとどこかへ歩いていった。

 不安そうな同年代の中に不遜な顔をした、男の子を見つけた他の子はみんな不安げに髪をいじったり足元を見ているのに、一人だけ堂々と威張り散らすかのように、胸を張っていた。

 というか、実際取り巻きのような二人の男の子に、威張っている、興味が湧いたミーシャは、その子に話しかけようと近づこうとすると

 

「ミーシャ、マルフォイに関わるのはやめときなよ」

 

「どうして?ロン」

 

「あいつ、汽車の中でも突っかかって来てさ…めんどくさいことになると思うよ」

 

「あら、そんなのまだわからないじゃない。私とあなたは違うし、あなたと彼も違う、人が違うなら同じことはおこらないわ」

 

 自信満々にそう言い切ったミーシャは、マルフォイに声をかけると二言三言喋ってマルフォイの向う脛を蹴ったあと、こちらに帰ってきた。

 

「何なのかしら、何なのかしら!あの言い草!何が純血よ!血なんて血液型以外みんな大体一緒よ!」

 

「あ、うん何も言わなくていいよ。まぁ言わせてもらうなら…ね、言ったでしょ?って感じかな。ほら先生が戻ってきた」

 

 ロンの言葉に若干ムッとしつつも落ち着きを取り戻したミーシャは、マルフォイとファーストネームで呼び合う仲になってやると心意気を新たに大理石でできた、大広間の扉をくぐった……

 

 そこには、室内では見れないはずの満点の星空や宙に浮いたたくさんのろうそく、ゴーストなどミーシャの心を魅了するものばかりだったが…一つだけ…一番真ん中の一番前に置かれた椅子に古ぼけた帽子があったのだ…豪華な広間には似つかわしくない帽子は否応にもミーシャの視線を、引き寄せた。 

 しばらくすると帽子のシワだと思っていた部分が、大きく開き歌を歌い始めた。

 曲としてはうまいものではなかったが独特の味があって歌詞の内容は新入生にピッタリのものだった。

 

「それでは、組分けを始めます………アボット・ハンナ!」

 

マクゴナガル先生に名前を呼ばれた少女が、前に出て子に座った、その頭に帽子を乗せると一瞬の沈黙後 

 

「ハッフルパフ!」と帽子が叫んだ、その後ABC順に組分けは進み、友達と同じ寮だと色々と楽しそうだなぁと、思っていると、

 

「エメリー・ミーシャ!」

 

ついに自分の番が来た。椅子に座り帽子をマクゴナガル先生が被せようとした…………多分今のところ最速だったと思う、触れるか触れないかどころか頭上5センチですでに、

「レイブンクロー!!」

組分けが終わっていた………。

 

 先生も唖然として、帽子を取り落としてしまうほどだった。ミーシャは沈黙の広間をゆっくり歩きレイブンクロー席についた。予想打にしなかった注目のされ方に顔が真っ赤である。沈黙はダンブルドアが咳払いをするまで続き…。

 ミーシャは居た堪れない気持ちのまま組分けの儀を終えた。

 その後は、特に何事もなくハリーのときにグリフィンドールが一際湧いた程度で、すべての組分けが終わり…

ダンブルドアが立ち上がった

 

「色々あったが…ともかくおめでとう!ホグワーツの新入生!おめでとう!歓迎会の前に、二言三言、言わせてもらいたい。では!そーれ!わっしょい!こらしょい!どっこらしょい!以上!」

 

バカと天才は…ととんでもなく失礼なことをミーシャが考えている間に、ミーシャの前にはたくさんの食べ物があった。

 あっけに取られているミーシャに、

 

「驚いたでしょ?私も初めてここに来たときはびっくりしたなぁ…」

 

と、アジア系の顔立ちの女の子が声をかけてきた。

 

「あ、私は、チョウっていうのチョウ・チャンよろしくね2年生だからあなたの先輩ね!エメリーちゃん」

 

「あ、はいよろしくお願いしますチョウさん」

 

 グイグイ来るなこの人、と思いつつも、嫌いにはなれずにこれがこの人の魅力か…と一人納得し、

 

「チョウさんは…きゃあ!」

 

 チョウに話しかけようとした瞬間、横を撫でるように一人のゴーストが通った。驚いたミーシャは、思わずチョウの手を握って、

 

「あ、あのチョ、チョウさん…あれは…」

 

「あれ?あぁ灰色のレディね。レイブンクローのゴーストなのこういう催しにはいつもどこか行っちゃってるからあなたついてるわよ!」

 

「そ、そうなの?一周回ってラッキーだったのかな?………あ…すいません、手を掴んでしまって…」

ビクビクしながらミーシャは、自分が手を掴んでることに気付き、謝ったが

「ううん、気にしないで!むしろ頼られてる感あってすごく嬉しかった!ミーシャちゃん可愛すぎ〜!もっと頼って〜ほらどんどん食べて!」

「はぁ…そうですか…ありがとうございます…」

 このテンションの高い先輩に、ついていけるか初日から心配になるミーシャだった……

 

 

 

 

 

 みんなのお腹がいっぱいになり、思い思いにまわりと雑談に興じている頃に、ダンブルドアが立ち上がり最初の挨拶とは打って変わって真面目に注意事項を発表した。

 とても痛い死に方をしたくなかったら4階の廊下に近づいてはならないという注意だけは、満腹で鈍くなった頭を冷やすかのようにミーシャの耳に入ってきた。

 その後は、ホグワーツの校歌を、みんな自由なテンポで歌い、各寮へ向かった。

 寮に入るためには合言葉と何かが必要ならしいのだが、もう何も考えられないほど眠気のピークに達していたミーシャは、辛うじて自分の荷物を確認すると、そのままベッドに倒れ込んだ………

 途中で見たハリーやロンの仲の良さそうな様子が少し羨ましくて一人だけ違う寮なことをちょっとだけ哀しんで枕を濡らすとすーっと眠りに落ちて行った。

 

 

その日は、夢すら見ずに爆睡できた。




変なとこないですよね?
誤字脱字の報告でも、とても嬉しいのでどんどんください


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5話

話を進めたい…切実に…


 

「起きてーミーシャちゃん朝だよー」

 

 揺り起こされて最初に目に入ったのは昨日仲良くなったばかりの先輩、チョウだった。

 

「やっと起きたー、おはようミーシャちゃんそろそろ起きて準備しないと初授業から遅刻する羽目になるよ?」

 

そう言われて慌てて時計を確認するとまだ6時だったのでちょっとムッとして

 

「9時始業なんだからまだまだ時間あるじゃないですか!」

 

反論するとチョウは、少しだけ得意げな顔でフフンとばかりに

 

「今からシャワーを浴びて身支度して朝食を取ってこの広いお城を歩き回って教室を探さなきゃいけないのにそれでもまだまだ時間があるかしらね?」

 

と心底楽しそうに返して来た。

 

「ついでに、まだ入学したての新入生が一人で教室わかるかな?おとなしく先輩の言うこと聞いてたほうがいいんじゃない?」

 

ぐぬぬと唸るミーシャを見てさらに得意げになるチョウ

二人の無言の攻防はしばらく続き秒針が一周するくらいの時間を経てミーシャが目をそらした。

 チョウは勝ち誇ると自分のトランクから服を取り出し

 

「じゃあ、シャワールームに行きましょうか。あと三十分もしたら混み合って下級生は追い出されちゃうから」

 

「わかりましたよ。先輩」

 

と渋々ながらも着替えを用意してチョウについて行く。

 イキイキとした表情のチョウとそれについていくげっそりした表情の新入生の組み合わせは早起きをしていたレイブンクロー生の間でしばらく妄想の種となるのだがそれを二人は知らない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 確かにチョウの言うとおりだったとミーシャは一人一時間目の教室で席について自習をしてそう思っていた。

 シャワーを浴びて8時に朝食が並ぶからということで、朝食が並ぶ時間まで校内の案内をしてもらった、さすがは、知性を特徴とするレイブンクロー生だな、というくらい簡潔でわかりやすくスムーズな学校説明のおかげで、先生よりも先に妖精の呪文学の教室に入ることができた。

 

「驚きましたよ。ミーシャ・エメリーその勤勉さに、レイブンクローに5点!」

 

 点数がもらえたのは嬉しい誤算だったがこれを土産にチョウにありがとうと言おうとミーシャは、心に決めた。

 

 

 

 次の時間も、その次の時間も一週間毎日一番に教室で自習をしながら先生を待つということをしていると。大体先生の傾向がつかめてきた。 

 薬草学のスプラウト先生は、褒めてはくれるが点数まではくれない。

 魔法史のビンズ先生は、自身も始業ぎりぎりか少し遅刻してくるので、誰が最初に来たかがわかっていない。

 防衛術のクィレル先生は始業になるまで、教室のドアを開けてはくれなかった。

 予想外だったのがマクゴナガル先生とスネイプ先生で、てっきりスプラウト先生と同じタイプだと思ったのだが…

 

「一年生でここまで勤勉な生徒は久しぶりに見ました。さすがは、レイブンクローですね。レイブンクローに5点与えましょう。それと、その勤勉さをたたえ今日の授業のコツをお教えしましょう。」

 

と、他の生徒が入ってくるまでみっちりと変身術の心得を仕込まれた。

 

 スネイプ先生は、おそらく無視するつもりだったのだろうが、魔法薬の教科書と黒板を交互に見ながら羊皮紙にレシピをまとめるミーシャにボソッと 

 

「黒板には書いていないが角ナメクジは沸騰した湯に5分が一番綺麗に茹で上がる。ついでにヘビの牙は一通り砕いたあと小刀でみじん切りにしたほうが良いものが作れる。それとその闇の魔術に対する防衛術の教科書闇の力ーーー護身術入門は258項の護身魔法陣は不完全だ。この五芒星の下の印をこちらにするとさらに効果が上がる」

 

と教科書の隅に図解で説明してくれた。

 良い先生なんだなと思いつつ

「でも、クィレル先生は、この教科書に間違いはないと…」

 

「元マグル学の専門教師より我輩の魔術理論が間違っていると?その無礼な態度に一点減点だ。ミーシャ・エメリー」

 

と、とたんに不機嫌になったスネイプ先生にやっぱわかんない先生だな。と思いながら、ミーシャは自習に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなでその次の日。

 魔法薬学でグリフィンドールとの初の合同授業だった。

 久しぶりに友達に会えるのが自分の得意教科ということもあってミーシャはウキウキしながら席についた。

 始業ぎりぎりに到着したハリーとロンは、最後列の一番出口に近い席に陣取りスネイプを敵視しているようだった。

 確かにスネイプは自分の寮を贔屓するところがあるがなにもそこまで敵視しなくとも…と思ったミーシャの感想は、一瞬で塗り替えられた。

 

「ポッター、角ナメクジは何分間茹でると最もきれいに茹で上がる?前回の我輩の授業をしっかり復習していればこれくらいは余裕であろう」

 

 ハーマイオニーが手を上げる。それを見ないふりをしてハリーだけを見つめる…その瞳には強い憎しみとほんの少しの愛情が入り混じっているような気がした。

 

「わかりません」

 

「そうかそうかつまりポッター、君は前回の復習もせずとも、魔法薬学程度余裕と思ったのかその無礼な態度に一点減点だ。ついでにハーマイオニー・グレンジャー君もそろそろ手をおろし給え。正解は、5分だ」

 

 流石に理不尽すぎるとレイブンクロー生全員が硬直していると…

 

「なぜ今のを全員ノートにとらん

のだ?」

 

 一斉にノートを取り出しメモを取る。

 ミーシャとハーマイオニーはすでに知っているため次の作業の準備に入る。

 そのままいつもより長く感じる魔法薬学が始まった…

 

 

 授業後ハリーのところに行くとハリーとロンはすっかり仲良くなったようで、スネイプについて愚痴りながら次の授業へと向かっていた。

 

 

「ハリー元気出せよ。次の授業は、飛行訓練だ!それに今回の魔法薬学はレイブンクローと一緒だっただけマシだと思おうぜ」

 

「そうだねロン…。………あれ?確かレイブンクローってミーシャのクラスだったよね…!」

 

「そうね、まさかやっと友達と同じクラスで授業が受けれると思ったらまさか、忘れられてるなんて思っても見なかったわ」

 

「「ミーシャ!」」

 

 二人は驚いて階段を踏み外しそうになったがすんでのところで踏みとどまった。

 驚いてる二人をよそに、そのまま次の教室ヘ向かおうとするハーマイオニーも捕まえてミーシャは、般若面だった。

 

「で、スネイプ先生相手に何やらかしたらあんな理不尽食らうのよ。スネイプ先生結構優しいのに、ついでに、私のことを忘れてた言い訳を聞かせてもらえるかしら?」

 

ゴゴゴっと音がしそうなほどの迫力のミーシャを前に3人は,遅刻ギリギリの時間になるまでミーシャの機嫌取りに終始していた。

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夕食時、事件は起こった…みんなより早めに食べ終わったミーシャは部屋で明日の準備をしようと席を立ったが途中言い争っているハリーたちを見つけた。

 

「ハリー!………」

 

「バイバイ」

 

 そう、ロンがハーマイオニーに告げて離れた席に座る。どちらも、ミーシャに気づいてはいない。

 虚しくなったミーシャは、トボトボと自分の寮へと戻っていった。

 

 「あー、ミーシャ?君ってハリー・ポッターやロン・ウィーズリーと友達だよね?」

 

「そのつもりだけど?」

 

 突然、杖の調整をしていたミーシャに声をかけてきたのは同じクラスのマンディだった。あまり仲良く話す間柄でもないし声色が深刻そうだったので少し訝しがりながら話を聞くと…どうやらハリーとロンは今夜寮を抜け出しマルフォイと決闘をするらしい。

 

「で?なんで私にそれを言いに来たの?」

 

 さっきの気づかれなかったという怒りがグリフィンドールのことを考えるだけで湧いてきて少し強い言い方になるマンディは少し引いて

 

「いや、教えといた方が良いかなって思っただけだからそんだけだからじゃあね!」

 

 一息にそれだけ言うとマンディは階段を駆け上がってしまった。

 ミーシャは申し訳ないと思ったが、それ以上に決闘のことが気になってしまい校内の散策出ることにした。

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、一晩中歩いても見つからず立入禁止の4階の廊下以外を歩き回った所で自分の寮に戻ることにした…次の日、寝不足のミーシャは自分の行動を深く後悔することになった…

 



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6話

 真夜中の学校探索を終えたミーシャを待ち受けていたのはチョウからの2時間にも及ぶお説教でした。

 

 お説教と一人で夜の校舎を歩き回った興奮感とでなかなか寝付けなかったミーシャは酷い寝不足で軽くハイになっている心を抑えつつ飛行訓練に向かった。

 

「流石!レイブンクローですね。行動が早いです」

 

 マダム・フーチがせかせかとやってきた。

 

「右手を箒の上に突き出して!そして【上がれ】と言う!どうぞ」

 

 「【上がれ!】」

 

 マダム・フーチが掛け声をかけるとみんな一斉に叫んだ。

 

 何が悪かったのかミーシャの箒は膝まで飛び上がり思い切り旋回し膝カックンを食らわせ地面に戻った。

 

 おそらく、フレッドとジョージが言っていた、クセのある箒の一つなんだろう。 

 

 普段のミーシャであれば冷静に、もう一度普通に挑戦していただろう。

 

 しかし運の悪いことに今日のミーシャは、深夜テンションに近い徹夜テンションとも言えるハイテンションモードなのだ、そんな彼女が箒ごときになめた態度をとられたらどうなるかと言うと………

 

「【上がれ(怒)】へし折るよ」

 

 無機物に対して脅しをかけ始めた。

 

 まあここまでは探し物をするときに物の名前を呼ぶや、ゲームなどにイライラしたときの悪態と同じような意味のない行為だったろう…しかし、所詮無機物、脅しをかけたところでうんともすんとも言わない。

 

 

「そう。そんなにへし折られたいの?なら真っ二つにして上げる!【フリペンド】!」

 

 パンっと乾いた音がグラウンドに響いた。

 

 ただの八つ当たりである。私物に当たるなら誰にも咎められなかっただろうしかし、これは学校の箒である。

 

「何をしているのですか!?ミーシャ・エメリー!?」

 

「箒が膝カックンしてきたので仕返ししようかなって思って……やりすぎたと反省はしていますが後悔はしていません…気持ちが良かったです」

 

「なぜ、そんなに自信たっぷりなんですか!」

 

 さも、自分は正しいことをしたかのように堂々とした態度に呆れた様子のマダム・フーチは、やれやれと肩をすくめ

 

「レイブンクローから5点減点です。そしてこのことは校長に報告します」

 

 「エメリー、こちらに来なさい。校長室につれていきます」

 「はい…」

 

 アチャ〜っと思いつつ、マダムフーチについて行く。

 

「こんなことをした生徒を見たのは初めてですよ!」

 

 歩いている間、ずっとこの調子で怒鳴られ続けられると流石に眠気も取れて自分の置かれている状況が認識できてくる。

 

 流石にやばいかもな〜、退学とかあり得るのかな…などと考えている間に、校長室の前についてしまった。

 

「レモンキャンディー」

 

 校長室の合言葉を唱え螺旋階段を登っていく。

 

「おお、これはこれはフーチ先生、珍しいですの先生がここまでいらっしゃるのは、どうかしましたかな?」

 

「えぇ、大事件ですよ、校長先生。この子が授業中箒が膝カックンしたとかいう理由で、箒を真っ二つにしたんですよ。このとおり!」 

 

 マダム・フーチはミーシャの折った箒を取り出してみせた。

 

 我ながら惚れ惚れするほど綺麗に真っ二つである。何なら粉々にすべきだったかと、考えてしまうほど案外余裕のあるミーシャをちらりと一瞥してダンブルドアは、杖を振った。

 

 ダンブルドアは椅子を一つ取り出すとそれをミーシャに勧め

 

「フーチ先生、先生は授業に戻ってくださるかなこの子への指導はわしが代わりにやっておくから、ほれ行ったいった」

 

 と半ばむりやりマダム・フーチを校長室から出すと校長席に座りこっちを見てニコニコとしている。

 

「で、一体どうやって折ったんじゃ?一応、そう簡単には折れないようにいろんな魔法が重ね合わさって一年生フリペンド如きで壊れるはずないんじゃがのう」

 

「いや、普通にフリペンドでポキっと行きましたよ?ポキっと老朽化ですよ、きっと」

 

 嘘である、呪文こそ普通のフリペンドだが、ミーシャが今まで習ってきた今までの魔法技術の髄の結集させた通常の3倍の破壊力を持つハイパーフリペンドと呼べるレベルのものである。

 

「老朽化か、そうかもしれんのう…ほれ」

 

 ダンブルドアは、折れた箒の柄をポイッと放ると箒に向かってフリペンドを放った、それは綺麗な弧を描きミーシャの隣に突き刺さった。

 

「やっぱり簡単に折れないのうそこそこ力込めたんじゃが?」

 

 あくまでニコニコと追求してくるダンブルドアに冷や汗ダラダラである。

 

「当たりどころが悪かったんじゃないんですかね?ハハハ…」

 

 もはや拷問であるダンブルドアは何も言わずニコニコとしているが、とても鋭い目でこちらを見ている。

 

「ハハハ…」

 

 愛想笑いをしてもただ何も言わずにこちらを見つめるだけで

 

「ハハハ…ハハ…はぁ【フリペンド】」

 

 ミーシャはプレッシャーに負けて突き刺さった箒にハイパーフリペンドを打ち込んだ。今度は縦に真っ二つどころか4等分になってカラカラと地面に転がった。

 

「ほう?ただのフリペンドではないようだの」

 

「家族から教えてもらった威力向上の方法を古今東西問わず組み合わせた、おそらく世界最強のフリペンドですからね。ご満足いただけましたか?」

 

「うーむ、合格じゃ。ミーシャ・エメリー」

 

「はい?」

 

 頭に疑問符を3つくらい乗せ、ミーシャは説明を聞く

 

「君には、わしの特別レッスンを受けてもらう。ちなみに断った場合は退学じゃ」

 

 やはり訳がわからない、これは夢なのだろうか。少なくとも悪夢にうなされていて起きたら飛行訓練の前だったという方がまだ真実味がある。

 

「沈黙は肯定受け取るが良いかの?ではさっそく今夜十時から授業開始じゃ良いの?では授業に戻るといい」

 

「あ、はい失礼しました」

 

未だによくわかっていないミーシャはふらふらした足取りで、次の授業に向かう幸いにも次は魔法史の授業だ。頭をまとめるにはぴったりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日一日を考えごとに当ててすべての授業を上の空で受けやっとたどりついた談話室だったが

 

 

[ミーシャエメリーは十時には校長室について置くこと、遅刻は寮の点数から50点マイナスとする]

 

という張り紙を見つけ一連の夢説を全否定し質問攻めするチョウにくじに起こすように頼んで仮眠を取ることにした。

 

 これから何が起こるのか一抹の希望とそれ以上の不安を胸に

 

 

 

 

 

 

 



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7話

珍しくやる気が復活したので3年のときを経て復活しました


校長室

 

「おぉ、よく来たの!さ、入った!入った!」

 

 脅しといて、よく言うこの白爺、と心の中で呟き、おもむろに、嫌そうに、ダンブルドアの方へ歩く。

 もし、この場にマクゴナガル教授がいたなら、とてつもないお叱りを受けそうなほど、ふてぶてしく校長室に入っていく。

 

「さて、まぁまずは、座るといい。ほれ、レモンキャンデーをやろう」

 

 そんなミーシャの態度に、一切かまうことなく、ダンブルドアは、マイペースにいすと飴を差し出す。

 ミーシャは、差し出されたいすに座り、飴を拒む。

 

「それで、校長先生。合格って何のことですか?そもそもなんで私は、特別レッスンを受けなければならないんですか?」

 

「それは、君がほうきを壊したから…と言いたいところじゃが、もちろん、ほかにも理由がある。だからそんなにに、睨みつけるでない。」

 

 

 ニコニコとした相貌は崩さないままだが、笑顔の奥の瞳が一切ぶれることなくミーシャを見つめる。

 

「君のおばあさんの予言はもう聞いておるの?わしは、あの予言が本物だと確信しておる。じゃから君とハリーは様子を見つつ、この学校で守っていこうと思うとったのじゃが……今回の箒を見て、気が変わった。ミーシャ、君は充分、自衛の技を得ている。それも、恐ろしく威力の高いものをじゃ。学校までの1月弱よほど密度の濃い、効率的な訓練をしたんじゃろう。よぉく、この壊れた箒から伝わってくる。」

 

 ミーシャはここまで聞いて、少しダンブルドアを侮っていたことに気づいた。魔法界とのつながりを絶って生きてきたミーシャにとってダンブルドアというのは、ちょっと有名な爺さんでしかなく、凄い人というイメージがない。

 そんなおじいさんの言うことなど、所詮老人のたわごとと思っていたのだが、あの初級魔法ひとつでここまで自分の秘密にしている自衛の魔法のことをいともたやすく見通してきたことに対し、ミーシャは素直に評価を改めた。

 

「しかしじゃ、その技も闇の魔法使い相手に通じるかといわれると、微妙といわざるをえんじゃろう。そこでじゃ、わしと個人レッスンをすることで、お主の魔法を更に磨いて実用性を高めていこうと思っての、守る体操が自衛ができれば、わしはもっと大掛かりな保護ができるし、もしものときに動ける力は君もほしいじゃろう?」

 

「それは………」

 

 確かに、ミーシャの魔法はとても高威力。だが、まだ隙や、無駄が多く、学生同士ならともかく、経験をつんだ大人の魔法使い相手、とくに、人を傷つけ楽しむような傷つけることに長けた魔法使いには、まだまだ及ばないのだ。

 ミーシャは悩み、いろんなものを天秤にかけた末に、

 

「ほしいです。力が」

 

その答えを聞いたダンブルドアは、顔のしわを更に深くすると大仰にうなづき。

 

「よし、それなら善は急げじゃ!ほれっ!」

 

ダンブルドアが杖をひょいッと振ると、校長室の本棚が回転し、扉がせり出てきた。導かれるまま扉をくぐると、そこには、だだっ広いスタジアムが存在していた。

あまりの衝撃に、ミーシャが固まっていると、

 

「製作期間は丸二十年。ここで校長をやる前から作っていた、拡張空間移動扉を利用した特設訓練施設じゃ」

 

 




また次登校する時会いましょう


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8話

ハリポタアモアスがとても面白くて再燃しましたハリポタ熱


〜ダンブルドアの部屋〜

 

「おっと、もうこんな時間か、そろそろ終わりにするかの」

 

ハアハアと肩で息を切らすミーシャに息を切らすどころか冷汗ひとつかかずにダンブルドアはそう言った。

 

「はい、ダンブルドア先生ありがとうございました。」

息も絶え絶えにミーシャは礼を言いながら今日のおよそ2時間にも及ぶ特訓について振り返った。

 

{回想}

 

「特別訓練施設ですか?」

 

目を丸く開き施設とやらをぐるっと見渡す。右を見れば1面の雪景色と猛吹雪が左を見れば、1面の緑と豊かな森が、ダンブルドアの後方、ミーシャの前方には大きなコロッセオがあり、天井には1面の星空が映し出されていた。

恐らくこれは魔法でそう見せているだけであって本物では無いのだろうが全てが迫力に満ちた本物とそうかわりのない魔法の産物であることがよくわかった。

 

「そうじゃ、ここでこれから…そうじゃの毎週土曜のこの時間に2時間わしに個人レッスンを受けてもらう。ほっほっほっ、校長になってからというもの人に教える機会がなくなっとったからの血が滾るわい」

 

滾らせなくとも充分すごい魔法使いだよ。とミーシャは思い少し呆れるががこんなものを時間はかかるとはいえ作り出せてしまうダンブルドアという男の恐ろしさを再確認し、身震いが起きる。

 

「まあまあそんなに緊張せんでも良い、今年中に今見えている施設を使うことはないからの、そんなことより今日のレッスンを始めようミーシャ、時間はないからの、ほれこっちに来なさい」

 

そういうとダンブルドアは自分の周囲に丸く半径50cmほどの小さな円を描いた。

そんな施設よりあんたが1番怖いよ、と思いながらミーシャはダンブルドアに近づく。

 

「今からわしはこの円の中から出ないし、杖も振らず、呪文も無言でしか唱えない。もちろん君への妨害もしない、条件でわしに呪文を当てなさい。簡単じゃろ?」

 

「手加減のつもりですか?さすがにそれくらいは多分余裕ですよ?10分で終わっちゃいます」

 

ミーシャは少しむっとしながらも好々爺といった笑みを浮かべ続けるダンブルドアを睨んだ。

 

「やってみないことには分からんよ。ミーシャとりあえず1発打ってきなさい」

 

その余裕綽々といった態度はミーシャのプライドを大きく損ねミーシャの意地っ張りな部分を大きく刺激した。

 

「後悔しても知りませんよ!」

 

そういうが早いかミーシャは杖を抜きダンブルドアにフリぺンドを撃ちはなった。

 

{回想終了}

 

 

結果として、ミーシャの持ちうる全ての呪文は、ダンブルドアに当たるどころか、その場から1歩たりとダンブルドアを動かすことすら出来なかった。

 

強化されたフリぺンドも、上半身を軽く捻るだけで躱され、避けれないように風を操り、広い範囲に突風を起こしても、ダンブルドアに届くまでに無言呪文でかき消され、がむしゃらに魔法を使って強化した肉体での物理攻撃もダンブルドアに触れる前に見えない壁に全て受け止められた。

 

しかしミーシャは諦めなかった持ちうる呪文も魔法も全て30分で出し切っても今まで試してこなかった組み合わせや魔法薬なんかも使い文字通り2時間全てをだしきったそのうえでダンブルドアには届かなかったのだ。

 

今までも学校の競技や順位で負けた事はあった悔しかったこともあった、しかし今までにないほど頑張りそして、結果が着いてきていた魔法という分野で大人と子供とはいえ、ものすごいハンデを貰った上でここまで何も通じないと言うのはミーシャの心に大きなダメージを与え、気づくとミーシャの目からは大粒の涙がポトリポトリとまた落ちてきていた、ダンブルドアはゆっくりミーシャに近づくと訓練前の好々爺としていながら少し胡散臭い笑顔ではなく本当に優しいおじいちゃんとしての笑顔を見せながら近づき

 

「悔しいかね。なら君にはやはり素質がある。わしの見込んだ通りじゃ、悔しさをバネに君は成長できる。悔しさをその悔しさを忘れるでないぞ。いつか必ず君の力になってくれる。じゃから今は泣くといい、思いっきり泣いて泣き腫らして前を向けば明日の君は今日より強くなれる」

 

その言葉を聞いたのがスイッチになったのかミーシャはこれまで生きてきた中で2番目に泣いた。悔しさから這い上がるためにこの悔しさを忘れぬために…

 

 

 

 

目を腫らして赤く染まった顔をあげたミーシャは悔しさを湛えながらも前を向いた

 

「ダンブルドア先生ありがとうございました。次の土曜はもっと策をねってあなたをあっと言わせてみせます」

 

そう宣言するミーシャにダンブルドアは驚いた表情をした後、優しく微笑み

 

「そうか、楽しみにしておるぞ、さあ今日はもう遅い早く帰るといいフォルチ先生に見つかると大変じゃからな、しかしその顔とその汗とホコリに塗れた身体を休めなければならんの。確か、ほれ」

 

そういうとダンブルドアは杖をひょいと軽く振ったするとまたしても本棚や戸棚が移動し始めひとつのドアが現れた。

 

「そこをくぐっていくといいきっといいことが待ってる」

 

ダンブルドアはそう言って、ウインクをすると手を振り部屋の奥へと消えていった。

「本当にありがとう、ダンブルドア校長、これからもよろしくお願いします」

 

ミーシャは小さくそうつぶやくと徐にドアをくぐった。



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