チート転生したらしいが熊本弁しか喋れない (祥和)
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覚醒せし魔王 第1話 覚醒の鼓動

なんか書きたくなった。


話は14年前に遡る。

 

俺は一度死んでいる。

こんな事を言うと頭がおかしい人だと思われるだろうが、事実なので仕方がない。

 

死因は脇見運転の車に巻き込まれて、とさして珍しくもない死に方だ。

免許取った時に日本では毎日誰かが交通事故で死んでるって言ってたしな。

即死だったのは唯一の救いだろう。

中途半端に意識が残って苦しみながら死ぬとか最悪だし、運が良かったと思う。

ん?悪いのか?

 

…まぁ、今では前世の出来事も死んだ時の事とか余程のイベント以外は余り思い出せなくなっているくらいなので、さして未練も無かったのだろう。

唯一の心残りは自分の部屋の本棚の裏に隠してある大量の変身ヒロインもののウ=ス異本コレクションくらいか…

それはもう基本のいちゃラブから触手系、闇堕ち系、百合物まで古今東西あらゆる食指に触れる物を集めに集めたものである。

こんなのが最大の思い残しとか我ながらロクでもないな…

 

という訳で、ごく普通の奴が普通に死んだ訳だ。

しかし、何故かここからが普通と違う所だった。

まぁ、死んだの初めてだからこれが普通なのかもしれんけどネ!

 

なんか死んだ、と思って気付いたら事務所みたいなところにいた。

 

『あ、お疲れさまです』

 

そこには、なんか妙に目に優しい黄緑の服を着た美人さんがいた。

死んだらお疲れさまと言われるらしい。

 

『残念ながら、貴方は死んでしまいました』

 

うん、そうみたい。

 

『でも諦めてはいけません!これは逆にチャンスですよ!』

 

え?死んでるのにチャンスとかあるの?

 

『はい!今回、特別に転生のチャンスが当たりました』

 

特別にをやたらと強調される。

ていうか、転生?

 

『はい!転生ですよ!プロ…じゃなかった、幽霊さん!』

 

幽霊か…

改めて言われると結構クる物があるな…

ところで、今何と言い間違えたの?

 

『そ、そんな事より転生する貴方のお供にライバルと差を付けるお得なスタートパックのドリンクセットは如何でしょうか?今なら3000コインと大変お得になってますよ?』

 

あ、結構です。

死んでんのに金持ってる訳ねぇじゃん…

というかライバルってなんなの?

 

『あ、それは言葉の綾といいますか…とにかく!お得なんでお一つどうでしょうか?』

 

あ、結構です。

そんなぁ…とか可愛い仕草されても無い物は無いです。

 

とりあえず、その見るからに怪しい商魂逞しい事務員?が言うには別世界でモブとして生きるか、俗に言うチート転生するかのどちらかを選べるとの事らしい。

ちなみにどちらを選んでも転生先は変わらないのと、確実に事件には巻き込まれるらしい。

 

転生しても波乱の人生とか生まれる前から絶望的なのもいいところなので、普通にあの世行きはダメか聞いてみたが、絶対裏しかない笑顔で返されたので辞めておいた。

あれは絶対いい事無いって顔だった。

 

そして、どうせ巻き込まれるなら…とチートの方を選んだのだが…

 

「煩わしい太陽ね」

 

「あ、蘭子ちゃんおはよー」

 

「おはよう、蘭子は相変わらずだね」

 

………この通り、コミュニケーション能力が著しく悪い…というより変なのだ…

より正確に言うと、発言に関する機能がバグっている。

 

先ほどの発言に俺の意志は介在していない。

普通に「おはよう」と言おうとするとこのように謎の厨二ワードに言語変換されるのだ…

後、精神的には男のままなのだが、なんか神崎蘭子という名前の女の子になってた。

TSとかこの謎翻訳フィルターとか色々聞いてないんですけどっ!?

 

更に言うと未だにチートらしいチート能力に目覚めてもいない。

この通り重度のコミュ障、体力は中の上くらい、学力は生前の知識のおかげでやや優等生といったところだ。

まぁ、見た目はかなりの美少女なのだが、このコミュニケーション能力のせいで色々と帳消しになっている感が否めない。

なんか色々と騙された感満載である。

どうやら、あの黄緑の事務員?は神様ではなく邪神の類だったらしい。

某凶悪ピエロもある意味邪神だし何かをオススメしてくる奴はだいたい邪神なのだろう。

ドリンク買わなかったから呪われたのかな…

 

…とまぁ邪神談義は置いといて、先ほど挨拶をしたのは最近友達になった立花響ちゃんと小日向未来ちゃんだ。

響ちゃんはやや茶色がかった癖っ毛の、見た目通り活発な美少女で、未来ちゃんは響ちゃんとは対照的にセミロングの黒髪で落ち着いたイメージの大和撫子を彷彿とさせる美少女だ。

二人とも何度も謎翻訳言語で翻弄したのだが、全く怯む素振りも無く、ついにはこの謎言語のニュアンスを解釈可能なレベルまで解読した猛者でもある。

ホント、めんどくさい友達でゴメンね…

 

「そういえば、響、蘭子、来週のライブはちゃんと行けるの?」

 

未来ちゃんが聞いてくる。

なんでも、未来ちゃんお気に入りのツヴァイウィングというユニットのライブらしいのだが、俺は音楽には疎いのであまり詳しくは知らない。

しかしまぁ、こういうものは友達と一緒に行く事自体が楽しい訳で、

 

「時の欠片を紡ぐなど我にとって容易なこと…来る日に魂の安息を味わうが良い!」

 

「私も大丈夫だよ!楽しみだなぁ!」

 

「良かった。当日は3人で集合ね?」

 

……ホント、予定は大丈夫、友達と遊ぶの楽しみってのが、なんでこんな不可解言語になるんだろうね…

ていうか、なんの質問も無くコミュニケーションが成立してるのがマジでスゴい。

チート能力者って実は俺じゃなくて、この二人なんじゃないの?

 

***

 

ライブ当日。

 

未来ちゃんが急に家の用事で行けなくなった。

なんでも叔母さんが怪我をしたらしく家族で行く事になってしまったとの事。

残念だがこればかりは仕方がない。

今度埋め合わせにお好み焼きを奢ってくれるらしいので、遠慮なくゴチになろう。

フッ、蘭子スペシャルを知らぬ事を後悔するといい。

あ、これなら翻訳されずそのまま言えそうだな。

 

しかし、問題なのは今日のライブの方だ。

俺も響ちゃんもよく知らないアーティストなので、楽しめるか少し不安…

まして俺コミュ障だしね…

 

いよいよライブが始まるみたいだ。

やべ、緊張してきた…

 

~~~♪

 

結論から言うと、不安は全くの杞憂だった。

ステージに立つ二人の歌姫に俺も響ちゃんも魅了されていた。

今まであまり興味が無かったんだけど、歌ってスゴいんだなぁ…

気付けば、サイリウム二刀流ではしゃぎ回る女子中学生二人組がそこにいた。

ていうか、俺達だった。

 

「スゴいね!これがライブなんだ!」

 

「我に言の葉を紡がせんとは…やりおる!」

 

そんな話をしていた時だった。

会場の盛り上がりも最高潮、歌姫達が次の歌を歌い始めるその時に事件は起こった。

 

俺の元いた世界ではあり得ないモノ…

特異災害ノイズ。

その、人を炭に変えるバケモノ達が会場に現れたのだ。

 

混乱の中、逃げ惑う人々。

それを追う異形の群れ。

 

会場は一瞬で地獄絵図と化していた。

まずいな…なんとか響ちゃんだけでも避難させないと…

 

「我が友!撤退を!」

 

「蘭子ちゃん!?」

 

響ちゃんを強引に避難する人々の波に押し込む。

これで後は、時間さえ稼げれば安全な場所まで避難できる筈だ。

俺?まぁ、俺は一度死んでる身だし、死なないに越した事は無いが優先順位は下げてもいい。

やっと出来た友達だ。

絶対に死なせたりしない。

 

それに…なんとなくだが、今この時の為に転生したんじゃないかと思えるくらいなのだ。

その割には全然チート能力とか兆しすら無いんだけどね!

まぁ、無い物ねだりしても仕方ないので、自分に出来る範囲で頑張るしかない。

 

とにかく、混乱の渦の会場の中で俺は比較的冷静だった。

 

だから、気付いていた。

会場に鳴り響く歌声に。

 

***

 

改めて、会場を見る。

この混乱の最中、おかしな話なので、とうとう言語能力だけじゃなくて耳までおかしくなったのかと心配したのだが、聞き間違いじゃなかった。

やっぱり、誰かが歌っている。

そして、戦っている。

 

…訳がわからないよ…

なんで歌いながら戦ってんの?

 

しかも、あの二人ステージにいたツヴァイウィングじゃない?

変身ヒロイン的な何かかな?

それなら触手が足りないよ?

あ、これは絶対勝てなくなるフラグだから駄目だ。

 

ていうか、あの赤い方の人、ちょっと旗色が悪くないか?

 

その時…色々と極限状態の上に理解困難な事柄を見て、脳内がショートしそうになっていたのだろう。

言い訳はいくらでもある。

要するにロクに周囲を警戒もせず、ボーっとただつっ立っていたのだ。

 

「蘭子ちゃん!危ない!」

 

「え?」

 

気付けば響ちゃんに突き飛ばされていた。

何故?とか、避難したんじゃ…とか色々疑問に思ったのも束の間…俺を突き飛ばした響ちゃんは次の瞬間、何かの破片に胸を貫かれていた。

 

「良かった…無事…だった…」

 

「我…が…友?」

 

そのまま響ちゃんは胸から血を流し倒れ込む…

世界がスローモーションになったみたいだ…

 

赤い髪の人が響ちゃんに駆け寄り何かを言っている。

その光景にただただ立ち尽くす…

 

わかっている…

 

俺のせいだ。

 

こんな状況で不注意を働いたのもそうだ。

 

それに…わかっていた筈だ。

 

あの事務員は何と言っていた?

事件に巻き込まれると。

 

なのに何故、仲良くした?

 

知って貰えるのが嬉しくて。

わかって貰えるのが嬉しくて。

 

そんな自分本位な気持ちだけで…

()()()()()()()()()()()

 

沸々と怒りが込み上げてくる――

 

ノイズに。

そして、何よりも自分自身に。

 

その言葉は気付けば、口から出ていた。

 

「我が命火(トモシビ)(ウタ)を聞け!」

 

(アルマ)の牢獄に繋がれし、我が写し身、(カルマ)の化身を幽世(かくりよ)より解き放とう…」

 

こんな時まで謎翻訳機能は健在だが、胸から歌がこみ上げてくる。

イメージは先ほど戦っていたツヴァイウィングの二人。

あの二人みたいに、戦う力を()()()()()

 

「ブリュンヒルデの輝きよ!!」

 

***

 

瓦礫によって崩落したネフシュタンの鎧の起動実験施設。

既に本来の目的が何者かによって持ち去られた後のその施設の一つの計器が反応している。

瓦礫を押し退け、偶然その反応を見た風鳴弦十郎は目を見張る。

 

「新たなアウフヴァッヘン波形…だとぉ!?」

 

それは、起動実験をしていた完全聖遺物でも、ツヴァイウィングの二人が持つ物でもない、全く新しい反応パターンだった。




聖詠も熊本弁です。


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第2話 シンデレラの靴

2話目です。


胸に浮かんだ歌を歌い終わると、自分の姿もツヴァイウィングの二人のように変化していた。

 

「お…お前…」

 

赤い方の人に声を掛けられる。

そういえば、ライブに来てるというのに俺、この二人の名前すら知らないや…

 

「我が名は傷ついた悪姫、ブリュンヒルデ!」

 

「お…おぅ、なんか強烈な奴来たな…」

 

やめて!引かないで!そんな目で見ないで!

本人が一番良くわかってるから!

 

「この劇場(オペラ)の主役は我よ!紅き歌姫よ、我が友を頼む」

 

「あ、おい!?」

 

言い終わると同時にノイズ達に向けて走り出す。

早い所事態を解決して響ちゃんを病院に運ばなきゃいけないのもあるし、正直、もうあの残念な人を見る目に耐えきれそうにない。

 

♪華蕾夢ミル狂詩曲~魂ノ導~

 

人型のノイズ達が迫ってくる。

 

「我に刃向かうか!慮外者!」

 

「封書!」

 

叫ぶと同時に黒い紙の束がノイズ達を拘束し、そのまま収束してノイズ諸共消えてゆく。

しかし、今の所無意識に使えているけど、この能力なんなんだろう…

ツヴァイウィングの二人が何で戦ってるかも不明だし、わからない事だらけだな…

 

そう思ってたら芋虫みたいなのが、粘液みたいなのを吹き掛けてくるので横っ飛びで避ける。

うわっ、きちゃな!

 

改めて向きなおし、反撃しようとすると…

 

―蒼の一閃―

 

青い方の人が芋虫を一刀両断にしていた。

 

「呆けない!死ぬわよ!」

 

す、すいません。

ここは俺に任せろ(ドヤァ)とかしながら情けない…

 

「ならば我も戒めを解き放とう」

 

「え?」

 

ん?何か青い方の人がキラキラした目でこっち見てるような…

おっといかん。集中集中…

 

「我が憤怒、煉獄の業火を味わうがいい!」

 

辺り一面を極大の炎が包み込む。

 

―Laevateinn―

 

その炎で大方のノイズは焼き尽くせたらしい。

やっぱり人を炭に変えるだけあって、よく燃えるみたいだ。

 

よし、それじゃあ響ちゃんを急いで病院に…

 

「待ちなさい!」

 

青い方の人に剣を向けられる。

 

「貴方には私達と一緒に来て貰う」

 

「おい!翼!助けて貰ったんだから礼が先だろ」

 

いや、今そんな事してる場合じゃないの!

響ちゃんが…友達がピンチなの!

 

「裁きよ!」

 

号令と共に二人との間に炎の壁が立ち上る。

 

「待て!くっ!奏!放して!」

 

赤い方の人、奏さんっていうのか…

青い方の人を抱き寄せる形で止めている奏さんがウィンクしてくる。

任せろって事か、美人は何しても様になるなぁ…

 

そんな事を考えながら、今度こそ、俺は響ちゃんを抱えて病院へと向かうのだった。

 

***

 

銀髪の謎の少女が去った後、天羽奏は風鳴翼を宥めながら周囲を見渡す。

 

「こりゃまた、派手にやりやがったなぁ…」

 

周囲には逃げ遅れた人や大切な誰かの為にその場に残った人などが見受けられる。

そう、あの銀髪の少女が放った炎は完全にノイズだけを識別して殲滅していたのだ。

自分達、シンフォギアの力は研鑽した技とフォニックゲインに聖遺物が呼応して、発現する。

しかし、彼女のそれは、まるで彼女のイメージするままに能力が発現しているように見えた。

あり得ない程の規格外の力だ。

あれが敵に回れば、厄介どころの騒ぎではない。

だからこそ、翼は彼女を引き止めたのだが…

 

「傷ついた悪姫か…」

 

彼女の口上を思い出し、笑いを堪える。

奏にはどう転がっても、彼女が人に害を為す存在には見えなかったのだ。

 

「アタシもそろそろ潮時って事かねぇ…」

 

無茶をして来た事は自分でも理解している。

度重なるLiNKER投与による薬害で何度も地獄を見てきた。

既に、自身の身体が限界である事も悟っていた。

 

正直言うと、今でもノイズ達は憎い筈だ。

 

だが、何故か今はとても穏やかな気持ちだった。

 

「ま、後は若い者に任せますか」

 

そうして、天羽奏はシンフォギア装者を引退する事を決意したのであった。

 

***

 

結論から言って、響ちゃんは何とか一命を取り止めた。

後少し遅ければ命は無かったと言われ、肝が冷えた。

しかし、胸を完全に貫通された傷がすぐに良くなる訳もなく、傷が癒えてからも長いリハビリ生活が必要となった。

 

あの事件から3ヶ月が過ぎた今でも、退院出来ず未来ちゃんと二人で週3回お見舞いに足を運んでいる。

本人曰く『へいき、へっちゃら』らしいが、やっぱり見ていて痛々しい。

 

あの後、ツヴァイウィングの二人から何かしらのアクションがあるかと思っていたが、特にそんな事もなく、平穏に過ごせている。

 

あんな事件があったのに、世間は不自然な程に穏やかだった。

やっぱりこの世界は異常だ。

少なくとも、数百、数千人単位の人が亡くなった筈なのに、()()()()()()()()()()で済んでしまうのだ。

 

あの事務員め!

こんな世界にモブで転生したら確実に2回目の死がすぐ来てたじゃないか…

 

そんな事を考えていると、いきなり周囲の景色が変わる。

あれ?ここは…

 

『お疲れさまです。蘭子ちゃん』

 

出たよ…邪神(仮)。

 

『もぅ!誰が邪神ですか!?』

 

…じゃあペニー◯イズ(女)?

 

『違います!私をあんな節操無いピエロと一緒にしないでください!』

 

まぁ、冗談はさておき、今日は何の用ですか?

ドリンクは買いませんよ?

 

『会話を先読みしないでください!』

 

買わせるつもりだったのかよ…

 

『コホン、覚醒おめでとうございます!蘭子ちゃん』

 

覚醒?あぁ、あのチート能力ね。

あの能力なんなの?

 

『説明が要ると思って、こちらに呼んだんです。ところで、ついでにドリンクは如何でしょうか?』

 

あ、結構です。

ついでじゃなくてそっちが本命では?

 

『そ、そんな事無いですよ?』

 

あんまり信用出来なくなるから目を逸らさないでくれます?

 

『じ、じゃあ能力の説明しますね!』

 

やや早口でまくし立てられる。

誤魔化しやがった…

 

この能力だが、名前は『シンデレラの靴』というらしい。

何故にシンデレラなのかは聞いても答えてくれなかった。

大人は質問に答えないという某ブラック企業重役のスタイルなんだろうか?

 

で、肝心の能力だが、簡単に言うと『何でも出来る』らしい。

まぁ、死者蘇生みたいな自然摂理とか物理法則を無視した事は無理らしいが、俺のイメージと、込める力…なんかフォニックゲインとか何とか言う力次第で本当に何でも出来てしまうらしい。

さすがにチート過ぎない?って言うと…

 

『夢見る星達の頂点、その二代目の証です。それ位出来て当然です』

 

との事だ。

まったく訳がわからないが、こんなチートが少なくとも後一個ある事の方が恐ろしいんだけど…

 

『ではその力、貴女がどう扱うか、見せて貰いますね』

 

そう結び、辺りが元の現実に戻った。

………やっぱり邪神だわ、アレ。

 

***

 

響ちゃんが退院した。

 

まぁ、あの日以来バレない程度に力を使って回復をサポートしていたので、医者の予想よりずっと早く完治まで至った。

 

しかし、退院した響ちゃんを待っていたのは、心無い人々の迫害だった。

 

ノイズ被害に対して世の中が穏やかなんていうのはまやかしだった。

ずっと…責める相手が責める事が出来る状態になるのを待っていたのだ。

完治して間もない響ちゃんに押し寄せるマスコミの人々。

あまりにしつこいので、直接来た人は全員響ちゃんの事だけ記憶喪失になって貰った。

しかし、それでももう止めようが無かった。

個人のチートが無力になる程の数の暴力という奴だ。

 

大勢の人が死んだ。

その責任を皆が皆、生死の境から生還した響ちゃんに問うのだ。

 

ノイズに対して消極的な異常な世界と思っていたが、甘かった…

 

俺が思ってた以上に、世界はこのノイズ災害に疲弊していたのだ…

本来何の罪も無い筈の響ちゃんに己を守る術などある訳が無かった。

あの優しい感じのおじさん…響ちゃんのお父さんも出て行ったまま帰って来なくなってしまったらしい。

 

今日も、響ちゃん、未来ちゃんと3人で響ちゃんの机に書かれた落書きを掃除している。

それを周囲で嗤いながら見るクラスメイト達…

 

もう自分自身、我慢の限界だった。

 

「我が友を嘲笑うな!」

 

「蘭子ちゃん…?」

 

気付けば、涙が流れていた。

それでも構わず、もう一度言う。

 

「我が友を侮辱するな!貴様等に輝き持ちし我が友を蔑む資格などありはしない!」

 

周囲からクスクス笑いが強くなる。

やっぱりこの謎翻訳は逆効果なのか…

 

仕方ない…こうなったら実力行使しかないよね?

仄暗い感情に支配されつつ、力を使おうとしたその時、不意に肩を掴まれる。

 

「ありがとう、蘭子。勇気、貰ったよ」

 

未来ちゃんだ。

未来ちゃんも目の端に涙を溜めている。

 

「私から響も蘭子も奪わないで!あの明るかった響を返して!返してよ!!」

 

周囲に動揺が走った。

それはそうだ。

迫害の対象となった響ちゃんやキワモノの俺ではない、あの陸上部のエースでクラスでも人気者の未来ちゃんが心から叫んだのだ。

 

未来ちゃんはそれだけ言って、響ちゃんと俺を連れて外へと飛び出した。

 

***

 

「ハァ…ハァ…ハァ…言っちゃった」

 

未来ちゃんが悪戯っぽく笑う。

俺の身体が男のままだったら今ので確実に陥落している。

 

「未゛来゛ぅ、蘭子ち゛ゃん、私のぜいでごべんね゛ぇぇ」

 

響ちゃんが泣き出してしまう。

 

「響のせいじゃないよ…泣かないで…泣かないでよ」

 

ついには未来ちゃんも泣き出してしまう。

俺?俺は未来ちゃんが叫んだ時から泣きっぱなしだ。

 

あの事務員が何を企んでいようとこれだけは決めた。

この先何があっても、俺はこの子達の友達でいよう、と。




という訳で2話でした。

以降は不定期更新になります…

おまけというか設定の一部

レーヴァテイン
北欧神話の神の炎をオリ主の元となった人物がイメージした疑似聖遺物。
前回、OTONAが見たアウフヴァッヘン波形はこいつのせい。
シンデレラの靴はガチチートなので、アウフヴァッヘン波形とか周囲にバレるような反応は一切発生しない。

奏さん生存
特にSAKIMORI関連が諸々大丈夫?って感じですが、全ての宿業をオリ主が背負うので大丈夫…な筈…たぶん…


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第3話 混沌への誘い

ルーキー日間6位…だとぉ!?
ノリと勢いだけで書いてるので皆さまの満足できるものが書けるかどうか…ゴクリ

とはいえ感謝。圧倒的感謝。


あれから2年の月日が経った。

 

最近の専らの悩みは、自分の身体の一部分のせいでやけに肩が凝る事だ。

しかし、男時代は見るだけでもあんだけ興奮した禁断の果実が自分の身体に付いてる物となると途端に興味が薄れるから不思議な物である。

なので、ここまで成長したのは、自分の知的好奇心の結果というよりは、響ちゃんや未来ちゃんが挨拶代わりに揉んでくるせいだろう。

最近に至ってはやけに手馴れてきている感まである。

特に未来ちゃん。

この前のは危うく雌の声が出るところだったってばよ…

さすがに高校では控えて貰おう。

 

とまぁこのように、俺のおっぱいを犠牲にして、響ちゃんと未来ちゃんにとってもようやくあの事件が過去になりつつある。

しかし、将来の事もあるので、進学だけは過去にする訳にもいかず、他の連中が行く地元の高校ではなく、東京の高校に行く事になった。

 

えっと、リリアンだったか、なんかそんなところだ。

百合を冠する女子校とか今から胸がワクワクしてくる。

 

「でね、リディアンにはなんと!翼さんが通ってるんだよ!!」

 

「響、それもう今日5回目だよ…」

 

あ、そうそう、リディアンだ。

百合じゃなかった…残念。

…ん?今なんて?

 

「輝き持つ者よ、今なんと?」

 

「だから、リディアンには翼さんが通ってるんだよ!!」

 

………What?

ツバササンってあの翼さん?風鳴の?

ズバババンとかじゃなくて?

 

………ダメじゃん。

あの元ツヴァイウィングの青い方の人でしょ?

絶対一波乱あるじゃん!!

 

「蘭子どうしたの?」

 

「さぁ?翼さんと会うのが楽しみなんじゃないかな!?」

 

「それは響の事でしょ?」

 

そうやってウキウキしてる響ちゃんややや呆れ気味の未来ちゃんを脇目に、また事件に巻き込まれる可能性が非常に高い憂鬱とか、そういや奏さんの引退ライブさすがに行けなかったな、とか色々な感情がごちゃ混ぜになって一人悶絶するのであった…

 

「くっ、魔力が足りぬか…鎮まれ我が右手よ!」

 

「蘭子もノリノリだよね…悩んでるのか遊んでるのか私時々わからないよ…」

 

「うん…私もわかんない」

 

***

 

今さら一人だけ学校を変えるなんて訳にもいかず、ついに東京まで来てしまった…

 

まぁ、これ以上悩んでもなるようにしかならないので、今日は街を散策してみるか。

ちなみにだが、響ちゃんと未来ちゃんはルームシェアをして広めの家に住むらしく、当然俺も誘われたのだが、俺は一人暮らしの家の方を選んだ。

 

こんなコミュニケーション能力なのに、両親ともに俺への愛情をちゃんと注いでくれていて、大学を出るまでの学費と生活費は見てくれるとの事で、最低限、女の子が一人暮らしを不便無く出来る家を借りると張り切って両親同伴で契約したんだが…

あの…お父様、お母様?

女の子の一人暮らしに3LDKはやり過ぎじゃないですかね?

ウチの親、親バカにも程があんよ…

 

…まぁ、一人暮らしの方が能力の検証とかがやり易いとか、色々あったんだけど…

なんか改めて家の広さ見たら色々吹き飛んだわ。

 

気を取り直して、能力については現状、この能力に頼るしかない訳で、いざ事が起きた時に柔軟に対応する為にも、何が出来て、何が出来ないかを早急に知っておく必要があるにはある。

さすがに邪神の言う事を丸まま鵜呑みにする訳にもいかんしね…

 

おっ、あの銀髪の子スッゲー美少女。

しかもおっぱいでけぇ…

でも何か強面のスーツのお兄さんに絡まれてら…

 

「だから何でアタシがっ…!」

 

「笑顔です」

 

「笑顔なんてしてねぇっつうの!」

 

「しかし…名刺だけでも!なんとか検討をお願いできませんか」

 

「ちょせぇ!ついてくんな!」

 

……なんだ、ただのスカウトみたいね。

あんな強面だからてっきり危ない感じの人かと思ったけど、どうやらアイドルのスカウトさんらしい。

 

なんでわかったかって?

能力で名刺の内容見たからね。

 

しかし、あんな飛び込み営業みたいなスカウト方法でやっていけるんかね?

あ、今度は如何にもクールそうな黒髪ロングのJKに声掛けてら…結果はお察しだけど。

 

そうやって、人間観察がてらそのスカウトさんの撃沈っぷりを眺めていると…

 

「あの…少しお時間よろしいでしょうか?」

 

「…………我?」

 

いつの間にか目の前にいた。

 

***

 

「………」

 

「………」

 

何故か無言が続いている。

アイドルとか普通に無理だしどうにかして逃げたいんだけど…

 

「あの…アイドルに興味はありませんか?」

 

アイドルね…

見るのは好きよ?見るのは。

でも、響ちゃんも未来ちゃんもいるし、俺だけアイドルになるとか無理。

特に響ちゃんをメディアに出すとか論外だ。

 

そもそも、元男に群がる男性達とか見たら人間不信になりかねん。

よって却下だ。

がんばって仕事してるのにゴメンね?

 

「輝ける星を目指すなどに紡げる時は無い」

 

まぁ、そもそも断る云々以前にコミュニケーションが成立しないから、絶対無理なんだけどね。

 

「す…素晴らしい…」

 

…ゑ?

 

「素晴らしい個性です!貴女なら、必ずトップアイドルを目指せます!是非!是非検討をお願いできませんか?」

 

………ゑ?

 

「これは私の名刺です。気が向きましたら是非ご連絡ください」

 

……………え?

 

訳もわからぬまま、お兄さんは去って行った。

………あの人プロデューサーなのかよ…

プロデューサーが外回りのスカウトって…

どんだけ人手不足なんだよ…

 

***

 

あれから少しして、無事に私立リディアン音楽院に入学した。

あの名刺には当然連絡していないが、何故か捨てるに捨てられずにいる。

今のところ、翼さん側からのアクションも特に無い。

はぁ…このまま穏やかに過ごせないかなぁ…

 

「でね!蘭子ちゃん!!」

 

目の前で響ちゃんがカツ丼を頬張りながらハイテンションで語っている。

よく食うなぁ…

 

何故こんなにハイテンションかというと…

 

「今日、翼さんのCDの発売日なんだ!」

 

そう、今日でもう8回目になる説明だが、翼さんのCDの発売日らしい。

放課後はダッシュで買いに行くみたいだ。

そんなに急がなくても予約してるなら普通に買えるんじゃないかなぁ?

と思うが、あのライブから本当にファンになったみたいなので、まぁ水を差すのは止めておこう。

絶対変な単語になるしね!

 

と思っていると…

食器を返そうとしてた響ちゃんが当の本人とぶつかっていた。

なんか頬っぺたのおべんとうを指摘されてら…

いつも未来ちゃんにゆっくり噛んで食べろって言われてるのになぁ…

 

そんな感想を脳内で溢していると…

 

「放課後…屋上で待ってるわ」

 

すれ違い様に翼さんに声を掛けられる。

さすがに見逃してくれませんか…

 

***

 

放課後、屋上に行くと、翼さんが一人で待っていた。

 

「来たわね」

 

「我に何用か?」

 

そう答えると心なしか目がキラキラしたような…

さすがに気のせいかな?

 

「立ち話もなんだし、場所を変えましょう。ついて来て」

 

まぁ、ここでバックれると後が面倒そうだし、素直について行くか。

俺はただ平穏に響ちゃんと未来ちゃんと過ごせればいいんだけど、説明しても伝わらないだろうしなぁ…

 

しばらく歩くと、学生寮と思しき一室に通される。

 

()()散らかってるけど、上がって頂戴」

 

足を踏み入れた先は…

 

「混沌の魔境か!?」

 

「す、()()散らかってるだけよ!()()

 

何処が少しだよ!

超汚部屋だよ!足の踏み場無いじゃねぇか!

これが少しだったら何でも少しになるわ!

ていうか、よくここに人を招こうと思ったね?

 

「くっ、私は戦う事しか知らないのよ…」

 

うん…言うタイミングが全然違うし、今言われても言い訳にしか聞こえない。

 

「蒼の歌姫よ…」

 

翼さんの肩に手を置き、ニッコリと笑う。

 

「我と共に静謐を創り上げようぞ」

 

「ヒッ」

 

お片付けタイムが幕を上げた。

 

***

 

結果から言うと、翼さんはまったくの戦力外だった。

片付けようと思って行動してるつもりみたいだが余計に散らかるのだ。

なので、早々に戦力外通告を出してベッドの上でいじける作業に入ってもらい、途中から参加した奏さんと一緒に片付けをしている。

しかし全然終わらんな…

 

「いやー、一人でこれやると大変だから助かるわ」

 

奏さんはいつもこれを一人でやってるらしい…

素直に尊敬するわ。

 

「で?ちゃんと言えたのか?翼」

 

「それはっ!………今から言うのよ」

 

ん?どゆ事?

俺の能力とか色々洗いざらい話して貰うぜって場じゃないの?

翼さんが居住まいを正す。

 

「あの時は助けてくれてありがとう。君がいなければ、私か奏、どちらかが欠けていたかもしれない」

 

「アタシからも、ありがとな!また改めて礼はさせてくれ」

 

二人の急な畏まった態度にポカンとしてしまう。

 

そういや、両親と二人の親友以外に礼を言われるなんて初めての事だ。

何か熱い物が込み上げてきそうになるが…

 

急にけたたましいサイレン音が鳴り響く。

 

「これは…」

 

「ノイズ!」「禁忌の狩人!」

 

………久しぶりに刺さる視線が痛かった。




完全にタイトル詐欺。

混沌=翼さんの汚部屋


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第4話 機関との邂逅

日間3位…

何があった…ホントに

とはいえ、拙作を読んで頂き感謝です。
という事で第4話、お納めください。


恩人の銀髪の少女の相手を奏に任せ、別室で翼は自分の組織である特異対策機動部二課と通信を行う。

 

「翼です。え?ガングニール!?…はい、奏は一緒です」

 

本部の通信によると、ノイズの出現ポイントにガングニールの反応があるという。

しかし、奏は自分と一緒にいる。

 

一体どうなっているのか?

訝しむ翼に指令が与えられる。

 

「了解しました。出撃します」

 

ノイズの殲滅を優先しつつ、現れたガングニールの反応を調査すること。

その内容を了承し、一瞬逡巡した後、

 

「…いえ、コードネーム:ブリュンヒルデと接触しました。同行を依頼します」

 

そう言って、一方的に通信を切る。

報告の義務は果たした。

それ以上の追及は、恩人に失礼だと思ったから…

 

剣であるはずの少女は、自分の些細な心境の変化に気付く事無く、恩人の待つ部屋へと戻った。

 

***

 

ノイズ警報が鳴ってから少し待ってて欲しいと言われて、翼さんは別室に行ってしまった。

 

ていうか、まだ別室があったのかよ!?

そっち全然掃除出来てないよ…

 

結構な時間奏さんと二人で掃除したのにまだ未開の地が残されてるとか、どんだけだよ…

ん?メール?未来ちゃんから?

 

『避難場所に響が見当たらないの。蘭子と一緒?』

 

……………え?

 

落ち着け、落ち着け俺。

 

響ちゃんは何処に行くと言っていた?

 

翼さんのCDを買いに、だ。

 

じゃあ響ちゃんがよく行くCD屋は?

 

………

 

「紅き歌姫!我は…!」

 

「お、おぅ、急にどうしたんだ?」

 

戸惑う奏さんを置いて、響ちゃんを探しに向かおうとした時…

 

「待たせたわね」

 

翼さんが戻ってくる。

翼さんには悪いが、今は響ちゃんを探さないと!

 

「行きましょう。たぶん君の行き先と同じだと思うわ」

 

……へ?

もしかして翼さんは響ちゃんの居場所がわかってんの?

 

***

 

「ではこれを被って」

 

翼さんにヘルメットを渡される。

 

そう、翼さんは現地までバイクで向かうみたいなので、後ろに乗せて貰う事になったのだ。

 

なったのだが……

 

風神(ノルズ)の息吹が我を襲う!?」

 

翼さん、めっちゃ飛ばすんですけど…

さっきから翼さんに抱き付いてるだけで精一杯なスピードだ。

ていうか、そういえば俺今スカートなんですけど!?

 

「あ、蒼の歌姫!我がっ!我が禁断の花弁がっ!!」

 

「しっかりつかまってなさい。振り落とされるわよ!」

 

駄目だ…全然通じてねぇ…ていうか、たぶん風圧で聞こえてねぇ…

 

そうして、ノイズ警報で皆避難している為、人の居なくなった公共の道路をパンツまる出しで高速移動する女子高生の姿がそこにあった…

 

ていうか、俺だった…

 

人居なくて良かったよ…マジで。

 

***

 

翼さんの後ろにしがみつく事、数十分。

周囲を見渡すと、どうやら工場地帯の方まで来ているようだ。

こんな所に響ちゃんが居ると思えんのだけど…

 

「居た」

 

え?響ちゃん!?

…ってなんだデッカいノイズじゃん。

今ノイズなんて相手してる暇は…

 

「飛ぶわよ!」

 

ゑ?

 

翼さんがトップスピードのままデカいノイズの方向に突っ込みながら器用に俺をお姫様抱っこして、座席の上に立つとそのまま宙にジャンプした。

 

うわぁ…俺今空飛んでるよ…

 

~Imyuteus amenohabakiri tron~

 

翼さんが歌を口ずさむ。

 

何で歌?

もしかして急に歌うの流行ってんの?

 

そんな事を考えていたら至近距離で翼さんの格好がみるみる変わっていく。

 

「ここで待っていて」

 

完全に変身が終わって、お姫様抱っこから解放される。

 

「すぐに終わらせるから!」

 

ヤダ!カッコいい!

 

♪絶刀・天ノ羽々斬

 

「はぁっ!」

 

―蒼ノ一閃―

 

翼さんの手に持つ剣が大刀型に変わり、斬撃を飛ばす。

 

―千ノ落涙―

 

次は上空に跳んだと思ったら無数の剣の雨がノイズ達に襲いかかる。

 

スゲーな…

俺みたいなズルの力じゃなくて研鑽された技って感じだ。

 

「蘭子ちゃん!!」

 

後ろから声が聞こえる。

知っている声…

聞き間違える筈が無い親友の声に安堵し、振り返る。

 

「輝き持つも…の…よ?」

 

「ほぇ?どしたの?」

 

なんか響ちゃんまで変身ヒロインになってんだけど…

何故か幼女抱えてるし…

 

てか、改めて見るとえっろ!

何でそんなキワどいカッコしてんの?

 

え?翼さんもじゃないかって?

翼さんは…まぁ…ね?

響ちゃんとはとある一部分がだいぶ違うし、翼さんはどっちかというとカッコいいだから…

わかるよね?

 

―天ノ逆鱗―

 

そんな事を思っていたら翼さんが丁度ノイズを殲滅し終わったみたいだ。

マジですぐだったな…

 

しかし、翼さんのあの歌…

俺の謎翻訳とめっちゃ噛み合っちゃう気がしてきた…

もしかして、あのキラキラした視線ってやっぱ気のせいじゃなかったの?

 

「はい。終わりました。ガングニールの反応と思しき装者も一緒です」

 

ん?どっかと通信してんのか?

て事は、なんかの組織が後ろにいるって事で…

 

「はい、あったかいものどうぞ」

 

「はぁ、あったかいものどうも」

 

響ちゃんが何処からか現れたキャリアウーマンっぽい美人のお姉さんから飲み物を受け取っていた。

 

おいおい…これはちょっとまずい状況じゃね?

 

最悪、響ちゃんだけでも…

周囲を見渡して逃げ道を探そうとすると…

 

「抵抗しないように。貴女達には特異対策機動部二課まで同行願います」

 

翼さんに背後から声を掛けられる。

 

………はい。

 

正直に言うと、形振り構わなければ逃げようと思えばいつでも逃げれるのだが、ここに来る前に見た翼さんと奏さんの姿をふと思い出し、彼女達をもう少しだけ信用してみようと思ったのだった。

 

***

 

翼さん達に連れられて来た先は、何故か我らが母校、私立リディアン音楽院だった。

 

「ついてきて」

 

先生達がいる中央棟のエレベーターに乗せられる。

 

「危ないからつかまってなさい」

 

翼さんに声を掛けられる。

わかりました。

 

「蘭子ちゃん!?何で翼さんに抱き付いてるの!?」

 

あれ?違うの?

だって翼さんがつかまってろって…

 

「はぁ…別にいいわ、このままで」

 

次の瞬間エレベーターが凄いスピードで動き出す。

あまりのスピードに響ちゃんとか「ほんぎゃぁぁ!」とか言っている。

女子が出していい声じゃないと思うよ…

 

かく言う俺も俺でかかるGが半端ないから、また翼さんに力いっぱいしがみつく形になっている。

うぉっ、結構キツいな…

 

ようやくエレベーターの最下層に着いたみたいだ。

 

どうやら一本道みたいなので、響ちゃんと二人で手を繋ぎながら恐る恐る先に進む。

 

翼さん?

翼さんなら何か思う所があるらしく、なんかブツブツ言いながら後ろをついてきてる。

時たま「サイズが…」とか、「年下なのに…」とか聞こえてくるけど一体何なんだろうね?

案内役を放棄して大丈夫なのかな?

 

お、あそこでいいのかな?

 

一番奥の突き当たりにあった扉を開くと…

 

「ようこそ!特異対策機動部二課へ!」

 

「輝き持つ者よ!あれに見えるは災厄の獣!仮初めの死を!」

 

「え!?熊!?死んだふりすればいいの!?」

 

俺と響ちゃんが即座に死んだふりをする。

割と覚悟して来たっていうのに熊をけしかけるなんて聞いてねぇよ!

 

「何!?熊だとぉ!?一体何処から!?緒川ぁ!セキュリティはどうした!?」

 

「いや…あの…言いにくいんですが…たぶん司令の事だと思います」

 

「何ぃ!?俺が熊!?」

 

「アハハハハ!ヒィ!ヒィ!お腹痛い…」

 

「はぁ…何やってんだよお前らは…」

 

奥から奏さんの呆れた声が聞こえる。

ていうか、一人爆笑してる人いるな…

 

聞く限り司令って事はトップって事だけど、あんな態度で大丈夫なんだろうか?

 

熊扱いして死んだふりした俺が言える立場じゃないけどね!

 

***

 

熊改め風鳴弦十郎さんから、響ちゃんが発現した能力について説明を受ける。

ん?風鳴?翼さんの血縁者かな?

全然似てないけど。

 

っと、話逸れたけど響ちゃんとか翼さんの能力の話ね。

 

シンフォギア。

 

簡単に言うと、過去の聖遺物の力を使って、ノイズと戦う為のシステムらしい。

その力を使う為には、フォニックゲインという力が必要になるので、ああやって歌っているらしい。

急に歌ってる訳じゃなかったのね…

 

しかし、何処かで聞いた話も何も発動条件とかまんま俺の力と一緒なんだけど…

偶然…というには出来すぎてるよなぁ…

次に事務員に会った時に聞いてみよう。

答えてくれるかは知らんけど。

 

どうやら響ちゃんのメディカルチェックも終わったみたいだ。

 

「これが、ガングニールの欠片ね」

 

あの場で、ただ一人爆笑してた櫻井さんから説明を受ける。

どうやら響ちゃんの胸に埋まった聖遺物は現代医学で取り除くのは難しいとの事らしい。

 

「アタシの不手際のせいで、すまねぇ…」

 

「そんな!?頭を上げてください!」

 

奏さんが響ちゃんに頭を下げる。

後で聞いた話だが、奏さんはツヴァイウィングだけじゃなく、シンフォギア装者も既に引退してるらしい。

 

しかし、いかんな…色々ありすぎて頭がついていけなくなってきた。

そして、それは響ちゃんも一緒だろう。

そろそろ何とかして帰りたい所なんだが…

 

…ん?帰る?

………そういえば未来ちゃんに返信してねぇわ…

 

恐る恐る携帯を見ると…

 

着信83件、メール393件という恐怖の数字が映し出されていた…




今回はタメ回。

次はみんな大好きやっさいもっさいなあの子の出番です。
奏さん生存なのでビッキーとSAKIMORIの確執はスキップされます。
今回のタイトルはどストレートです。
蘭子より飛鳥の方が好きそうですが(笑)


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第5話 豊穣の女神

心地の良い夜ね(こんばんは)

昨日オンリーのお気に入り追加数…1612…だとぉ!?

マジっすか…ありがとうございます!

読んでくれる皆さまへの感謝がある限り、俺は止まらねぇからよ!


やべえ…

 

何がやべえって未来ちゃんがやべえ…

どう考えても心配させ過ぎたよな…

 

とりあえず返信だけしとこう。

翼さんをダシに使う形だけど、別に間違いでもないから仕方ないよね。

 

『我、輝き持つ者と共に蒼の歌姫の居城に招かれん』

 

ん?何でメールまで謎翻訳かって?

俺が聞きたいよ…

 

どうやら、コミュニケーション目的の行動は全てこのフィルターが掛かるらしい。

 

学校の筆記試験とかは普通に書けるのにね…

ホント、徹底してやがるよ、あの邪神…

 

よし、送信っと…

 

『良かった、無事だったんだね?でも今度からはもっと早く返事が欲しいかな?電話までしてるのに全然出てくれないから、蘭子にもしかしたらって思っちゃうでしょ?後、翼さんにあまり迷惑掛けないようにね』

 

返信早っ!!

普通にメール待機してたとしても、こんな早くそこそこの文章返せるもんなの?

女子高生ってスゲーな…

なんちゃっての俺には絶対無理だよ…

 

はぁ…帰ったらちゃんと謝らないとなぁ…

 

***

 

立花響と神崎蘭子が帰宅した後。

 

特異対策機動部二課の研究室にて、櫻井了子は二人のプロフィールに目を通す。

 

name : 立花響

age : 15

profile: 人類初となる聖遺物との融合症例。

第3号聖遺物ガングニールをその身に宿す。

 

name : 神崎蘭子

age : 16

profile: コードネーム:ブリュンヒルデと思しき少女。

完全聖遺物レーヴァテインを所持していると思われるが、聖遺物の使用により外見が変異したとの記録もあり、詳細は不明。

特異な言動からも察せる通り、何かしらの秘密を持っていると思われる。

 

「面白いわね…特にこの娘」

 

画面には、銀髪の少女の写真が映し出されていた。

 

***

 

どうしてこうなった…

 

まずは順を追って整理してみよう。

 

あの後、響ちゃんを家まで送り、帰ろうとしたところで未来ちゃんに呼び止められた。

 

お茶でも飲んでいったら?と。

 

それならば、とお邪魔する事になって今に至る。

よし、おかしな所は無いよね?

 

なら、なんで仁王立ちの未来ちゃんの前で響ちゃんと二人正座させられてるのかな?

 

過程と結果があべこべだよ!

 

「…で?私に隠してる事は何?」

 

鋭い…鋭すぎるよ!

あまりにも鋭すぎて鉄の塊にすら穴開けそうだよ…

 

響ちゃんと目を合わせる。

ちょっと!?響ちゃん目が泳ぎ過ぎ!

ホント、嘘吐けない娘だよ…

 

はぁ…未来ちゃんまで巻き込みたくないんだけどなぁ…

こうなりゃ一か八か…

 

「輝き持つ者、大神(オーディン)の加護受けし歌い手となり、禁忌の狩人討ちし光とならん」

 

「蘭子ちゃん!?」

 

本当の事を言う、だ。

ただし、謎翻訳付きでな!

 

「???えっと…響がカラオケで歌を歌ったら、何故かノイズが逃げて行った…かな?響、本当なの?」

 

「え?う、うん、まぁ間違ってはないかなぁ…アハハ」

 

よし!普段の謎翻訳なら日常会話ばかりだから未来ちゃんも理解してるみたいだが、こういう専門用語が混じると何が何やらわからなくなる。

そうなると、わかる単語から流れを把握するしか無くなるから、ああいう伝わり方になるのだ。

うまくいって良かった…

 

「むぅ、何か釈然としないけど、話せるようになったら話して貰うからね」

 

まぁ、疑問は残るだろうがそれは仕方ない。

 

要するに、バレる前に終わらせてしまえば問題無しだ。

チート能力フルに使えば何とかなるだろ…

 

***

 

なんか新型のノイズが出たらしい。

ていうか、連日連夜出過ぎじゃない?

 

ノイズって確か通り魔より出現率低いとか言われてなかった?

 

翼さんは運悪く別の場所に現れたノイズの駆除に当たっているし、さすがに響ちゃんを出撃させる訳にもいかんので、

 

「この劇場(オペラ)は我の独壇場よ!」

 

と、大見得切って出撃したのだが…

 

「………」

 

「………」

 

なんか白タイツの女の子とにらめっこしている。

ん?新型ノイズはどうしたって?

あのブドウみたいな奴なら瞬殺したよ。

 

ていうか、この女の子どっかで見た事あるような…

 

「ハッ、ちょいとばかし強えみたいだが、運が悪かったな?てめえを連れて来いって命令なんでな!悪く思うなよ!」

 

あっ!この娘、あの時の強面お兄さんにスカウトされてた娘だ。

俺が一度見たおっぱいを見間違える筈が無いから間違いない。

 

「って何処見てやがんだよ!!」

 

「…禁断の果実?」

 

「訳わかんねえ事言いやがって!妙に余裕ありやがるな、てめえ!気に食わねえ!」

 

いや、そう言われましても…

そんな立派な物持ってんだから見ない方が失礼だよね?

 

「おら!ちょいとばかしネンネして貰うぞ!」

 

―NIRVANA GEDON―

 

おっぱいちゃんが肩についてる刺の鞭を振り回した衝撃でエネルギー波を飛ばしてくる。

 

「こちとら完全聖遺物を使ってんだ!てめえの貧弱な装備で何とか出来るならやってみな!」

 

「裁キヲ……」

 

炎の壁が立ち上がり、みるみるエネルギー波を呑み込む。

 

「な!?今何しやがった!てめえ!」

 

おっぱいちゃんに動揺が走るが、まだまだこんな物で驚いて貰っては困る。

 

「我が名は傷ついた悪姫、ブリュンヒルデ!」

 

「またぞろ訳わかんねえ事言いやがって…」

 

「刮目するがいい!我が第2形態!」

 

そう、新必殺技のお披露目といこうじゃないか。

 

***

 

「拘束術式!解放!」

 

…まぁ、喋らなくても出来るんだが、気分の問題だ。

出てくるのは残念な単語だけど…

というのも、この技、直撃するとヤバいのでわざとタメを長くする為にこうやって残念ワードを口にしている。

 

「覚醒せし魔王の怒りに触れし事、後悔するがいい!」

 

右手に炎が集まり、剣の形を取る。

ただし、サイズがどう見てもおかしい。

どれ位おかしいかというと、この前出てきたデッかいノイズを3体くらいまとめて包み込めるくらいの大きさだ。

相変わらず意味わからん。

 

この間見た翼さんの技がカッコ良かったので、なんとなく真似してやってみたらとんでもない技が出来てしまったものだ。

 

「チクショウ!なんでこんな訳わかんねえ奴がデタラメな力持ってやがんだよ!!」

 

うん、ホントにね…

俺にもわからん。

 

「破邪なる刃、その身に受けよ!」

 

「破邪っててめえ、魔王じゃなかったのかよ!?」

 

そんな事言われても、オートで出てくるので知らん。

 

―煉獄ノ一閃―

 

炎の刃がおっぱいちゃんに向かっていく。

 

「チィ!こいつだけでも!」

 

おっぱいちゃんが手に持ってた槍みたいな物を明後日の方向に投げる。

ん?俺こっちだけど、何がしたかったんだ?

 

「ヘッ、アタシがやられてもフィーネがきっと!」

 

そう言っておっぱいちゃんが目を閉じる。

 

…そして、極大の炎の刃がおっぱいちゃんを包み込み、辺りに静寂が戻る。

 

「神崎!無事……だな。君には無用な心配だったか」

 

どうやら翼さんが救援に来てくれたようだ。

 

「しかしまた派手にやったな…」

 

翼さんが周囲を見渡す。

辺り一面焼け野原である。

 

火力に関してはもうちょい改善が必要だな…

 

***

 

「襲撃者に関する情報は無し…か」

 

風鳴弦十郎が呟く。

神崎蘭子の活躍により、襲撃者は撃退出来た物の、彼女の規格外の力により、襲撃者の生死すら不明の状態で完全に頭打ちになってしまったのだ。

 

「しかし、最近のノイズの出現頻度を考えると、無関係とは考えにくいですね」

 

緒川慎次が答える。

そう、ここ数日のノイズ出現頻度ははっきり言って異常である。

そもそも、十年に一度あるか無いかの災害でしかなかったのだ。

この未曾有のノイズ大量発生はそこに何者かの意図が込められていると考えるのが普通だろう。

 

「デュランダルの護送…見送った方がいいのかしら?」

 

櫻井了子が今後の予定について確認を取る。

 

「いや、黒幕が居るのなら、炙り出す丁度いい機会だ!予定通り行うが…護衛は翼から蘭子君に変更する」

 

そう言って、風鳴弦十郎は不敵に嗤うのであった。

 

***

 

あー疲れた。

 

あの後、響ちゃん経由で軽く報告して通訳して貰い、疲れているという事で早めに家に帰して貰った。

 

何故なら…

 

「何のつもりだ!てめえ!こいつを解きやがれ!」

 

おっぱいちゃんを拘束した状態でマイホームに転送しといたのだ。

わざわざあんなド派手な技使った甲斐があったね!

フッフッフ、このおっぱい、どうしてくれようか?

 

「くっ、殺せ!」

 

くっころ頂きました!本当にありがとうございます!

でもおっぱいちゃんは女騎士には程遠いんだよなぁ…

 

どうせなら翼さんに言って欲しいんだけど…

ダメだ、社会的地位が傷付かずに言って貰えるシチュが思い付かん。

でもいずれは言われたい。

心の目標ノートに書いておこう。

 

「何か喋れよ!無言が一番怖えんだよ!」

 

おっといかんいかん。

今は目の前の女の子(おっぱい)に集中だ。

まずはこの邪魔な白タイツ脱ぎ脱ぎしましょうね!

 

「あっ!てめえ!何か手つきがいやらしいぞ!?ぐっ!」

 

あ、ゴメン、痛かった?

ていうか…

 

「豊穣の女神よ!?これは如何なる事か!?」

 

そう、白タイツが肉に貼り付いて侵食している。

何コイツ?無機物の癖してそんなにおっぱい好きなの?

 

「ヘッ、相変わらず何言ってるか訳わかんねえな…驚いたかよ?この鎧の特性だ。こうやって、着けた奴を最後には喰い殺す呪われた鎧なんだよ」

 

つまり、おっぱいちゃんは半ば取り込まれてるという事か。

良かった…()()()()()()()()()()()

 

♪Star!!

 

「歌?何のつもりだ!?てめえ!」

 

おっぱいちゃんが喚き散らす。

そうは言っても、今から奇跡を起こすのだ。

ちゃんと歌わないとフォニックゲインが足りない。

 

「やめろ!今すぐやめやがれ!アタシは歌が大っ嫌いなんだ!」

 

まぁ、拘束は解いてないから何を言っても俺の歌を聴いてもらうんだけどね。

中身はこんなんだけど、見た目は美少女だから大丈夫でしょ。

 

そうして、歌を歌い終わる。

 

「我が希望の星よ!豊穣の女神に祝福を!」

 

ホント、締まらねぇ…




豊穣の女神=クリスちゃん

意味はわかるよね?

おまけのような本編の補足コーナー

Q:†終焉の巫女†さんは何でビッキーよりランランに興味持ったの?
A:完全聖遺物に変身機能は無い。
でも何故か自分が作った覚えが無いシンフォギアに近い機構を持っているように見える。
真実なら彼女の計画が第3者の介入によって根底から覆ってしまうので、ランランを調べる必要があるのです。

Q:OTONAは気付いてないの?
A:現時点では気付いてません。ただ、手駒のクリスちゃんとネフシュタンが行方不明の†終焉の巫女†さんは内心だだ焦り状態なので、延期する?みたいな事聞いてます。

Q:何故『Star!!』?
A:作者の趣味です。クリスちゃんとの距離を縮める為の魔法なので、ランランの持ち歌より、明るい歌にしたかった。


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第6話 不滅の聖剣

闇に飲まれよ!(お疲れさまです!)

お気に入りがスゲー数に…
ありがてぇ。

これからも我が魂の赴くままに!


「てめえが勝手にやったんだ。礼は言わねえぞ」

 

無事、おっぱいちゃんとドスケベ聖遺物の分離には成功したんだが…

うーん、このツンツンっぷりがたまりませんなぁ!

 

「ていうか、さっきのアレは何だよ?あり得ねぇだろ!」

 

何だと言われても、俺にも良くわかってないし、説明しても伝わらないだろうしなぁ…

 

まぁ、そんな事より、

 

「我が現世での仮初めの名は、神崎蘭子という」

 

自己紹介もまだだったしね。

あのツンツンぶりだと答えてくれそうにないだろうけど、こういうのはこっちからはちゃんとやっとかないとね。

 

「………雪音クリスだ」

 

おや?意外と素直だな…

 

「んだよ、こっち見んじゃねぇ!」

 

うーん、まだまだ雪解けには時間が掛かりそうだなぁ…

 

***

 

あれから1週間。

次の任務まで特にやる事も無く、ノイズもピタリと出てこなくなったので、平穏な日常を満喫している。

 

「でね、蘭子!こういう時アニメだと、スゴい超展開になるんだよ!」

 

この娘はクラスメイトの板場弓美ちゃん。

アニメをこよなく愛する女の子だ。

俺の残念言語にいたく感銘を受けたらしく、こうして良く話しかけてくるようになった。

 

「魂の友よ。神が(したた)めし預言書は我も好ましく思う」

 

「相変わらずランランの言う事は難しいなぁ…」

 

この娘は安藤創世ちゃん。

個性的なアダ名を付けるのが好きな娘だ。

例に漏れず俺にも名付けられた結果、なんかパンダみたいになっている。

 

「何を言っているかわからないからこそ、ナイスです!」

 

この娘は寺島詩織ちゃん。

お嬢様っぽい感じで、どんな事でも褒めてくれる。

この娘が「ナイスじゃないです」って言う事あるんだろうか?

嫌われたくはないけど、一度でいいから言われてみたい。

変な扉開けちゃいそうだけど。

 

「では、魂の友よ!来るべき時に備え、魔力を蓄えようぞ!闇に飲まれよ!」

 

「じゃあねぇ蘭子、やみのま~」

 

「ランラン、やみのま~!」

 

「やみのま、ナイスです!」

 

みんなと別れる。

ちなみにさっきの「やみのま」は俺の挨拶の略語だ。

「お疲れ」とか「さよなら」を言おうとした時に出てくる「闇に飲まれよ」が元で、数ある俺の残念言語の中でもトップクラスの意味不明さなのだが、利用頻度が高いので割と浸透されており、最近ではクラスの流行語になってたりする。

とりあえず、今日も平和で何よりだ。

 

それに、最近は日々充実しているのだ。

なぜなら、

 

「楽園からの帰還よ!」

 

「おう、おかえり。きょ、今日は煮物作ってみたんだ…か、勘違いすんじゃねぇぞ!テレビで見てアタシが食べたかったから作っただけだからな!」

 

ツンデレな嫁が出来た。

 

***

 

『では続いてのニュースです。黒木防衛大臣が昨夜未明、何者かに殺害されているのが見つかり…』

 

おっぱいちゃん改めクリスちゃんと二人、夕食を食べながらテレビを見る。

うわっ、この近くじゃん。

物騒だなぁ…戸締まりしっかりしなきゃ。

 

ていうか、

 

「豊穣の女神よ…」

 

「ん?どうした?…も、もしかして口に合わなかったか…?」

 

いや、そういう事じゃない。

俺は女の子の手料理なら、響ちゃんの物体Xや未来ちゃんの全く味のしないハンバーグでも完食した実績がある。

むしろ無茶苦茶美味しい。

 

問題は…

 

「魔力濁り混沌せし円卓!」

 

そう、クリスちゃんは食べ方がもんのスゴく汚いのだ…

それはもう大惨事レベルで…

 

「し、仕方ねぇだろ!?食事マナーなんて習っちゃいねぇんだよ!」

 

ほほう、毎日口酸っぱく言ってんのにまだ言い訳するか…

そっちがそういう態度ならこちらにも考えがある。

 

「ならば今宵は我が魔力の波動は…」

 

「だぁぁ、アタシが悪かったよ!これでいいんだろ!」

 

うん、一緒に寝てあげないってだけなんだけどね。

なんかしらんが寝る時だけは普段ツンデレなのが嘘みたいにデレッデレになるのだ。

 

ん?不健全?

やだなぁ、至ってKENZENだよ?

 

「じゃあ、おやすみ…なぁ、いきなり居なくなったりしねぇよな?手、握っててもいいか?」

 

だって本当に寝るだけだからね…

チクショウ…

 

***

 

「では了子君、蘭子君、頼んだぞ!」

 

次の任務の日が来た。

なんかデュランダル?とかいう完全聖遺物の移送の護衛だ。

この前テレビで見た防衛大臣殺人事件で他国の介入が濃厚になり、二課で預かっているコイツを別の場所に移すというのが建前らしい。

 

というのも、直前に弦十郎さんから呼び出されて、黒幕を炙り出す為のおとり任務なので、相手が人間なら撤退して欲しいと言われている。

ノイズなら問答無用で殲滅でいいらしいが。

 

女子高生を人間同士のいざこざに巻き込みたくないとの事だ。

見た目はゴツいのにいい人なんだな。

 

てな訳で早速了子さんの運転する車にデュランダルを持って乗り込んだ訳なんだが…

 

「輪廻せし世界!?」

 

「しっかりつかまっててね!舌噛むわよ!」

 

運転粗いよ!この人!

もう絶対に二課の人が運転する乗り物には乗らない!

 

***

 

なんとか発砲しながら追跡してくる車を撒いたみたいでようやく、少し落ち着いた。

 

「ところで蘭子ちゃん」

 

ん?どうした?

 

「蘭子ちゃんの力、私が作った覚えが無いんだけど、どこでどうやってそれを手に入れたのかしら?」

 

まぁ、この人も研究者だしそりゃ気になるよね…

 

「我が魔力は生来の物故、何処(いずこ)かで手に入れし物ではないわ!」

 

でも、こう答えるしかないんだよね。

 

「そんな…それこそあり得ないわ?だって貴女、聖遺物を使ってるじゃない?メディカルチェックでも響ちゃんみたいな反応は無かったわよ?」

 

うーん、やけに追及してくるな。

しかし、本当の力(シンデレラの靴)の方は話すつもり無いしなぁ。

聖遺物すら自由に生み出せる能力なんて信じられないだろうしね。

 

「我にも解らん。我が目醒めし時にはあった故」

 

こう答えるしかない。

 

「謎は深まるばかり…ね。…まずいわ」

 

気付けば周囲から次々と異形が現れる。

 

「ノイズよ」

 

***

 

とりあえずノイズを殲滅したのはいいが、俺の歌によってデュランダルが起動してしまったらしい。

 

んで、デュランダル起動と共に銃を携行した団体さんのお出ましである。

撤退していいと言われているものの、下手に動くと人質にされている了子さんが撃たれかねない。

さて、どうするかね?

 

「そいつを渡して貰おうか、人質と交換だ」

 

俺の手にあるデュランダルを要求される。

まぁ、当然だよね。

仕方ない。とりあえず渡して、了子さんが解放された後にフルボッコなら弦十郎さんも許してくれるよね?

 

デュランダルを渡す。

 

「禁忌の追求者を解放せよ!」

 

「では、君は用済みだ」

 

男が俺に向けて発砲する。

まぁ、防ぐのは余裕だ。

余裕なんだが…

 

「雄ォォォォォ!!!!」

 

防ぐまでも無かった。

急に空から弦十郎さんが降ってきて、地面をパンチした衝撃で地面が隆起し、銃弾を防いだ。

コンクリート畳返しである。

 

………なにそれ?

 

「てめえら!子どもに銃を撃つなんざ外道のやる事だ!」

 

お次は大地を強く踏むと、衝撃波で数人が行動不能になっている。

中国拳法の震脚だったっけ?

威力とかなんか色々とおかしいけど…

そもそもなんで攻撃判定出てるの?

 

そう思っている間にもまるで竜巻みたいに人間を投げ飛ばしたり殴り飛ばしたりしている。

全部飛距離がおかしい。

 

え?これ全部生身でやってんの?

なんか俺の中で人間のカテゴリーに入れたくなくなってきてるよ?

本日は快晴、ところにより風鳴弦十郎が降るでしょう。アハハハハ

 

俺が現実逃避してる間に相手は虚しい抵抗の甲斐もなくほんの数秒で全滅していた。

 

ヤバいな…俺、チート持ってる筈なのにいざ戦ったら全然勝てるビジョンが見えねぇよ…

 

***

 

弦十郎無双が終わって、デュランダルも回収出来たし、任務完了かな?

まぁ、こんなお粗末な奴らが黒幕とは思えんけど。

 

「蘭子君」

 

ジャパニーズ呂布に呼び止められる。

 

「む、無双の戦神、何用か…?」

 

先ほどの恐怖映像が思い出され、少し声が上擦ってしまう。

 

「む?俺の事か…?いや、すまなかった。君たち子どもに大人の醜いやり取りを見せるつもりは無かったんだがな」

 

…ホントにいい人だな。

司令が軽く頭を下げるのはどうかと思うが…

 

「些末な事よ…我は楽園に帰還する!闇に飲まれよ!」

 

「やみ…?う…うむ、許可しよう。お疲れさん」

 

はー疲れた。

ノイズ瞬殺しただけだからそんなに働いて無い筈なんだが、色々と精神的疲労がキツい。

早く帰ってクリスちゃんのおっぱいに癒されよう。

 

「蘭子ちゃん」

 

今度は了子さんか…

てか妙に近い。

 

「どうやらバレてるみたいだから言うわね?単刀直入に言う。私に付く気は無いか?」

 

………はい?




今回はそのまま
不滅の聖剣=デュランダル

フィーネさん、痛恨の勘違い。
勘違い発生箇所は何処かな?

今回のおまけ

各々の固有名詞はランランの心境によって変化します。

響:我が友→輝き持つ者
未来:我が友→???
翼:蒼の歌姫
奏:紅き歌姫
クリス:豊穣の女神
三人娘:魂の友
OTONA:災厄の獣→無双の戦神
了子:???→禁忌の追求者


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第7話 終焉の巫女

感想欄が熊本弁で埋まっててヤベーです(笑)

お気に入りが3000を突破しました…
マジで困惑してます…


ちょっと待って?

いきなり何言ってんの、この人?

 

「禁忌の追求者よ、如何なる…」

 

「そう、それだ」

 

どれだよ!?

 

「禁忌の追求者か…どうやってそれを知ったか興味深いところではあるが…ハッ、もはやバレているのであれば取り繕う必要も無い」

 

了子さんが超めんどくさそうな髪をほどいて、眼鏡を外す。

わぉ、ちょっとばかし歳はいってるが、超美人さんだ。

そのワガママボディも合わさって、是非おねショタとかやって欲しいです!

 

「バラルの呪詛を解き放つ直前まで、この姿を晒すつもりは無かったのだがな」

 

ところで、さっきから何言ってんの、この人?

全然訳わからんのだけど、もしかして実は黒幕でしたパターン?

え?何?俺の残念言語で勝手に勘違いして、自分から暴露しちゃってる感じ?

なんかちょっと申し訳ないし、気の毒になってきたな…

 

「では交渉といきましょうか」

 

了子さんの酷薄な笑みが濃くなる。

いや、別に俺にメリットなさそうなんだよなぁ…

おねショタをやってくれるなら一考の余地はあるが。

 

***

 

「まずはこちらの要求から」

 

了子さんがなんか勝手にべらべら喋りだした。

なんでも、ネフシュタンとイチイバル?が無くなって、了子さんの現状の手持ちはノイズを呼び出せる道具だけになってしまったらしい。

 

オカシイナー、ダレノセイカナー?

 

イチイバルってのはよくわからんけど、ネフシュタンってあのドスケベ聖遺物だよね?

ソイツならウチの漬け物石にジョブチェンジしてるけど、アレってそんなに大事だったの?

 

んで、最終的には月を破壊して、統一言語とかいうコミュニケーション手段を手に入れたいので協力して欲しいとの事だ。

 

なるほど、わからん。

 

ただ言えるのは、

 

「我に栄誉が見当たらんではないか」

 

そう、ぶっちゃけ何のメリットもない。

メリットもなく手伝ってなんて労働基準法違反も甚だしい。

だから…ね?おねショタしよ?

 

「メリットは無いかもしれんが、デメリットならあるではないか」

 

………おい、もしかして…

 

「断った場合、大事なお友達がどうなるかしらね?」

 

「我が同胞に手を出すな!我が(さか)(うろこ)に触れれば、百度輪廻しようと消せぬ業火でその魂を焼き尽くしてくれようぞ!」

 

強い口調でそう返す。

()()だけは絶対に許さない。

 

「…まさかそこまで知っているとはな…ホントにお前は何処まで知っているのだ?」

 

…おや?またなんか勝手に勘違いしてない?

 

***

 

「かつての先史文明時代…私は神に仕える巫女の役割を持っていた」

 

またなんか聞いてもないのに勝手に語り出した。

自分の事をフィーネと名乗り出した彼女は、自分の動機について話しだした。

 

…うん、簡単に言うと、神様に1万年と2千年前から恋しちゃってるから告白するの手伝って?って事らしい。

 

えぇ……どんだけ重いんだよ…

ドヘヴィじゃねぇか…

愛が愛を重すぎるって理解を拒んじゃうよ?

…さて、この神という存在に心を奪われた巫女さんどうするかね?

 

なんか色々と同情の余地はあるし、可哀想ではあるんだけど、ノイズとか色々使って悪い事してるしなぁ…

 

「断る」

 

結局出した答えは否、だ。

たとえ俺の周りが無事でも、それ以外への被害が大きすぎる。

それに、まだ見ぬ美少女が出逢う前から死ぬかもしれないような事に手を貸すつもりはない。

 

「交渉決裂…ね。で、見逃してくれるのかしら?」

 

そうだな…今ここで捕まえてしまうのが正解なんだろうが…わざわざ自爆して気の毒なのもあるし…

 

顎でさっさと行けとジェスチャーする。

 

「甘いのね、私を見逃した事を後悔しなければいいがな!」

 

そう言い残して了子さん改めフィーネさんは去って行った。

 

まぁ、確かに甘いんだろう。

だけど…どれだけ悪事を働こうが、たとえ数千年生きていようが、彼女は紛れもなく、()()()だった。

相手が女の子なら…出来る限り応援してあげたいじゃないか。

 

***

 

はぁ…なんかどっと疲れたな…

早く帰ってクリスちゃんに癒して貰おう。

 

そう思いながら帰路につくのだが…

ん?家の電気消えてら…クリスちゃんは買い物かな?

クソ、おっぱいはお預けか…

まぁ、いつもお預けなんですけどね。

 

おや?…おかしいな。鍵が開いてるぞ。

もしかして…

 

嫌な予感を押し殺しつつ、急いでリビングに駆け込み電気を付けると…

 

「豊穣の女神よッ!!」

 

「おかえり、蘭子」

 

「蘭子ちゃん、おかえり」

 

「ムグゥゥ!ムグ!ムグ!」

 

手足を縛られ猿轡を噛まされた我が嫁と、目からハイライトさんがお留守になった親友二人が待っていた…

 

…え?どういう状況?

 

***

 

なんかクリスちゃんと二人、正座させられている。

目の前の二人の威圧感がヤバい。

浮気がバレて愛人と一緒に正座させられている世の既婚男性の気分だ。

結婚した事無いからよくわからんけど、きっとこんな感じなのだろう。

 

「で?説明してくれる?」

 

「この娘とはどういう関係なのかな?」

 

嫁です…とはとてもじゃないが、言えそうにない。

ていうか、さっきから視線が痛い。

 

「だからアタシは…!」

 

「黙って?私は蘭子の口から聞きたいの」

 

oh…未来ちゃんが怖いよ…

いつもの天使みたいな笑顔は何処に?

 

はぁ…答えるしかないか…

 

「豊穣の女神は…我が眷属よ」

 

「ハァッ!?お前ッ、こっ恥ずかしい事言ってんじゃねぇよ!」

 

クリスちゃんが一瞬で真っ赤になる。

うん、仕草含めて大変可愛いんだけど、ちょっとタイミングが悪いかなぁ…

と思ってると、俺とクリスちゃんの間を包丁が通り過ぎる。

 

………

 

「ねぇ、余り目の前でイチャイチャしないでね?我慢できなくなるから」

 

響ちゃんまでそんなドスの利いた声出してどうしたの?

というより、これは一体どんな状況なの?

 

「響、これは…」

 

「うん、そうだね…」

 

と思ったら、なんか二人でひそひそ話を始めた。

所々、「距離が…」とか「作戦は…」とか聞こえるけど、何の相談だろうね?

足痺れてきたし、そろそろ解放してくれないかなぁ?

 

結局二人の出した結論は…

 

「今日は私達も泊まるから!」

 

「蘭子の嫁に相応しいか、私達がチェックするからね?」

 

という事らしい。

はぁ…友達想いを感謝すればいいのか、やり過ぎを指摘した方がいいのか、よくわからんな…

 

結局、夜一緒に寝ているのが二人にバレて、また一悶着あったのだが、なんとか二人にもクリスちゃんを受け入れて貰えそうな感じだった。

 

***

 

あれから数日、姿を晦ましたフィーネさんは特に行動を起こしていないので、平和な日常が続いている。

 

変わった事と言えば…

 

「よし!響君!次はこの映画の特訓だ!」

 

「押忍ッ!!」

 

「あいつらも毎度良くやるよなぁ」

 

「あぁ、だが立花らしい」

 

「輝き持つ者の魂が滾っておるわ」

 

響ちゃんが地上最強の生物(仮)に弟子入りした。

そんで、その様子を奏さんと翼さんと三人で眺めている。

 

なんでも、守られるばかりはもう嫌だ、という事らしいんだが、ちょっと目指す高みが高すぎる気がする。

その人、たぶん俺でも勝てないよ?

 

「さぁ!こいつら相手に組み手だ!」

 

「押忍ッ!!よろしくお願いしますッ!!」

 

今日のは木○拳かな?

ホント…毎回何処から特訓セット持ってくんのかね?

 

まぁ、向こうさんは簡単には諦めないだろうし、戦いに備えるのは悪い事じゃない。

ただ、戦う事になったとしても、響ちゃんに戦わせるつもりが俺にないだけで。

 

「しかし、立花もなかなか様になってきたな」

 

翼さんが響ちゃんを褒める。

おぉ、翼さんに褒められるって事は相当だな。

努力してるって事か。

 

やっぱり、がんばってる女の子はキラキラ輝いていて、見ていて応援したくなるものだ。

特に、特訓中は凄い揺れるしね!

何処がとは言わないけど。

 

「そうだ、神崎。これを渡しておこう」

 

翼さんからチケットを渡される。

 

「私の次のライブのチケットだ。神崎には是非聴いて貰いたい」

 

おぉ、久しぶりのライブだ…

クリスちゃんと一緒に行こう。

なんか歌は嫌いとか言ってたけど、最近のクリスちゃんなら押せばいける気がする。

 

「そんな事言って、昨日までどうやって渡そうか散々悩んでたんだぞ?」

 

奏さんに抱き寄せられて、耳打ちされる。

軽く当たるおっぱいが最高です。

 

「ちょっと、奏!?それは言わないで!!」

 

「アハハ、後輩の前でカッコつけたかったみたいだけどな!翼は翼だ」

 

「むぅ、やっぱり奏は意地悪だ」

 

かわいい(かわいい)。

 

やっぱりこの二人の距離感はいいなぁ…

なんと言うか二人共全然遠慮が無い。

 

「蒼の歌姫、紅き歌姫…感謝する」

 

「来る日に備え、我も魔力を蓄えよう!闇に飲まれよ!」

 

「おぅ、やみのま~」

 

「闇に…?え?え?」

 

「やみのま」と返す奏さんと戸惑いながらも目をキラキラさせる翼さんと別れ、俺も色々と準備に向かうのだった。

 

この日常を壊さない為にも、やれる事はやっとかないとな。




今回もストレート
終焉の巫女=フィーネさん


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第8話 解き放たれし蒼き翼の独奏歌

闇に飲まれよ!(お疲れさまです)

今さらながら今週の週間4位という多大な評価を頂いている事に心から感謝を申し上げます。

皆さまの愛する熊本弁を表現できるように精進していきます。

後、誤字修正報告頂ける皆さまもありがとうございます。


某所。

 

神崎蘭子によって、計画の中断を余儀なくされたフィーネは、次なる計画の準備の為、奔走していた。

 

「やはり戦力が足りないか…」

 

目下最大の問題は、風鳴弦十郎、神崎蘭子の両名と対峙した場合に、突破できる戦力が無い事だ。

百歩譲って風鳴弦十郎に関しては、唯一の手持ちであるソロモンの杖を使えば、打倒は不可能でも撤退に追い込むくらいは出来る。

しかし、神崎蘭子だけはどうにもならなかった。

やはり、ネフシュタンの鎧を失ったのは痛い。

そもそも、ネフシュタンを纏った雪音クリスが全く歯が立たなかった相手なので、たとえネフシュタンが手持ちにあったとしても、雪音クリスより純粋な戦闘能力で劣るフィーネにとって、必ずぶち当たる問題でもあった。

任意対象識別可能な広域殲滅能力とネフシュタンをも融解させる一点特化の超火力も持ち合わせている為、数は意味を成さず、質においても巨大ノイズですら相手にならない。

更に言うとあの少女はまだ力の底を見せた訳ではない。

自らの正体すら曝かれたフィーネにとっては悪夢のような存在だ。

 

「忌々しい!この小娘のおかげで全ての計画が狂っている!」

 

元を辿れば、天羽奏、風鳴翼のどちらかは、2年前の時点で死亡する予定だったのだ。

それもまた、神崎蘭子という規格外の特異点によって阻止されている。

今に至るまで誰一人絶唱すら口にしていないのが、彼女の能力の異常性を示している。

 

「クソッ!!後少し!後少しなんだッ!!カ・ディンギルだ!カ・ディンギルさえ我が手中に収めれば…!」

 

終焉の巫女の慟哭と睡眠不足の日々は続く…

 

***

 

よし、今日の日課も終了だ。

 

あれから、クリスちゃん、響ちゃん、未来ちゃん、弓美ちゃん、創世ちゃん、詩織ちゃんには監視を付けて何があっても即対応できるようにした。

まぁ、監視というか…

 

『やみにのまれよ!』

 

『われはまりょくをもてあましておる!』

 

『きんだんのかじつ、しんくのひやくがまりょくをたかめるわ!』

 

ちっちゃい俺だ。

相変わらず残念言語は健在なので、報告を受けた俺がいまいち理解できないのが難点だが、意識すれば視覚を共有できるので、意外と便利だったりする。

これを駆使すれば禁断の花園、女子更衣室や女湯も見放題…といっても普通に俺も入れる場所なので、ワクワク感が激減してるんだよなぁ…

 

とはいえ、明日は翼さんのライブだし、厄介事が起きるなら起きる前に叩き潰さないと楽しめないからね!

だからね?皆の着替えとかが見えちゃったりするのはあくまで不可抗力であって、仕方のない事なんだよ!

断じて俺の趣味ではないよ?ホントダヨ?

 

そうそう、ライブと言えば、やっぱりクリスちゃんには最初はライブに行くのに難色を示された。

無理のある話題転換?何の事かね?よくわからないな。

 

「だからアタシは歌が嫌いだって言ってんだろ!」

 

「左様か…ならば輝き持つ者と陽光受けし者と…」

 

「ッ!?そ、そういや、丁度ちょっとばかし歌を聴いてやってもいいかと思ってた所だ!仕方ねぇから付き合ってやるよ!」

 

しかし、ちょっと落ち込む素振りを見せて、じゃあ響ちゃんと未来ちゃんと一緒に行くと言おうとしたらコロっと手のひらを返した。

 

ホント、チョロ可愛い。

ちょっとこの娘の将来が心配になるレベルだけど。

 

***

 

さて、昨日も結局何も無かったし、今日は待ちに待ったライブの日だ。

楽屋へのフリーパスも貰ったし、クリスちゃんを紹介がてら挨拶しとくか。

翼さんの楽屋にお邪魔する。

 

「神崎!来てくれたか」

 

「闇に飲まれよ!蒼の歌姫よ!今宵は我が魔力が昂っておる!魔王たる我にその天上の奏を供する栄誉を誇るが良い」

 

はぁ…相変わらずだな、この残念フィルター…

妙に上から目線なのが腹立たしい。

 

「あぁ!今日は是非、防人ではない歌女としての私の歌を聴いてくれ!」

 

ん?サキモリとかウタメとか何かあまり日常会話で聞き慣れない単語が…

完全にお前が言うなだけどね!

 

おっと、そうだそうだ、翼さんにクリスちゃんを紹介しないと。

クリスちゃんは…なんか借りてきた猫みたいに背中にピッタリくっついて俺の服の端をちんまり摘まんでいる。

大変可愛くてもうずっとこのままいて欲しい気分だが、紹介しないと話が進まんしね。

 

「我が眷属、豊穣の女神よ!」

 

「オイ!?お前毎回それでいくのかよ!?…雪音クリスだ」

 

「風鳴翼だ。神崎には世話になっている。今日は私のステージを楽しんでいってくれ」

 

「お、おぅ…まぁ…聴いていってやるよ」

 

「では蒼の歌姫よ!我は劇場にて福音の時を待とう!闇に飲まれよ!」

 

「あぁ!そ…その…や…やみのま?」

 

かわいい(かわいい)。

さて、挨拶も済んだ事だし自分達の席に戻るか…

 

ん?あの人は…

 

「!!貴女達は!」

 

ヤベー、あの強面お兄さんだ…

 

***

 

「アイドルの話、ご検討頂けたでしょうか?」

 

開口一番そんな事をどストレートに聞いてくる。

もうちょい駆け引きとか考えた方がいいと思うよ?

残念言語しか喋れない俺が言うのもなんだけど。

 

「我に輝ける星を目指す志は無い」

 

「アタシはこいつの世話で忙しいんだよ!」

 

「そうですか…残念です」

 

お兄さんが右手を首に当てながら肩を落とす。

なんとなく罪悪感を感じるけど、さすがにアイドルはちょっと無理だ。

 

「して、瞳持つ者は如何にして、この場に?」

 

まぁ、芸能関係者だから居てもおかしくはないんだろうけど、翼さん達の事務所とは少しばかり毛色が違う感じがするし、素直な疑問を口にする。

まぁ、翼さんの事務所って中身二課だから毛色が違って当たり前なんだけどね。

 

「私ですか?私はその…これは内密にお願いしたいのですが、今回風鳴翼さんに我が社のアイドルと一緒に世界進出を考えて頂けないかと思い、ご提案に参りました」

 

おぉ!世界進出!翼さんスゲー…

てか、何故かこのお兄さんには残念言語が齟齬無く伝わってるな…

地味に初見で対応されたのは、フィーネさん以来だ。

いや、このお兄さんの方が先だったか?

 

「その第1段として、我が社が誇る世界レベルのアイドルとの共演を考えて頂けないかと」

 

おぉ…プロデューサーがスカウトしてるからてっきり人手不足で火の車の事務所かと思ってたけど、世界レベルのアイドルがいるのか…

 

「おっと、そろそろ時間ですね。私はこれで。心変わりが御座いましたら是非ご連絡下さい」

 

ほぇー…あのお兄さん、口下手だからあんま仕事出来なさそうなイメージがあったんだけど、仕事はきっちり出来るタイプなんだな。

 

***

 

いよいよライブが始まる。

 

♪FLIGHT FEATHERS

 

…圧巻だ。それ以外に言葉が出てこない。

いや、勝手に翻訳されて意味不明な言葉は出てくるけどね?

そういうんじゃないんだよ。

なんっていうか、本当に心に響いてくるというか…あんまり上手い表現が見当たらん。

 

まぁ、一つ言える事はやっぱり翼さんは凄い。

 

「この魂の波動…我が魂をも魅了する!」

 

お?なんだろう…残念フィルター掛かった方が上手い事言えてない?

おいおい…さすがにこの残念フィルターに負ける事なんて絶対に無いと思ってたから、地味にショックが大きいんだけど…

 

「ま、まぁ…悪くはねぇんじゃねぇか?」

 

俺の言葉に対して、クリスちゃんがそう返す。

素直じゃないなぁ…

でも、さっきから控えめながらもリズムに乗っているのを見逃す俺じゃない。

どうやらクリスちゃんも気に入ってくれたみたいだ。

 

「なんだよ!?その目は!?」

 

「豊穣の女神よ!今こそ秘められし魔力を解き放ち、魂を共鳴する時よ!」

 

「!?」

 

そうやって無理やりクリスちゃんの首に腕を回し、サイリウム二刀流ではしゃぎ回る。

こういう時こそ楽しまなきゃ損だしね!

 

「ちょっ!?ちょっと待てって!当たってる!当たってるからッ!!」

 

ん?なんだろう?

急に顔真っ赤にして、一体どうしたんだろうね?

 

***

 

『ありがとう!みんな!』

 

歌い終えた翼さんが歓声に応える。

 

『もう知っているかも知れないけど、海の向こうで歌ってみないかって、オファーが来ている』

 

『自分がなんのために歌うのかって…ずっと迷っていたんだけど…』

 

『今の私は、もっと沢山の人に歌を聴いてもらいたいと思っている』

 

『言葉は通じなくても、歌で伝えられる事があるならば、世界中の人達に私の歌を聴いて貰いたい』

 

今まで以上に盛大な歓声が巻き起こる。

そうか…それが翼さんの夢なんだな…

 

やっぱり夢に向かってがんばる女の子は誰だって輝いている。

 

それに、今日は一つ翼さんに教えて貰った。

 

そうだ…言葉は通じなくても、歌で伝えられる事だってあるんだ!

想いを伝える術は何も言葉だけじゃないんだな…

 

俺の場合、身近な人以外ほとんど言葉が通じないから、マジで切実な悩みなんだよ…

 

しかし、翼さん海外進出って事は今後もあのお兄さんとは、微妙に関わりがありそうだな…

一応、監視付けとくか。

 

翼さんの夢は、誰にも邪魔なんてさせない。

 

今日のステージを見て、より一層強くそう思ったのだった。

 

そういえば…

 

「キュゥゥゥ…」

 

会場の熱気に当てられたのか、クリスちゃんは赤面して倒れてしまった。

 

さすがに、いきなりこんな人がいっぱいいる場所はキツかったかな?

 

仕方ない、おぶって帰るか…

 

ハッ、これは合法的にクリスちゃんのおっぱいを堪能するチャンスなのではッ!?




今回は
解き放たれし蒼き翼の独奏歌=夢に向かって進み始めた翼さんの歌
つまり1期9話サブタイ、防人の歌です。
蒼いけど3代目は関係ありません(笑)

ちょっと奏さんによって抑止されていた翼さんの中のSAKIMORIがランランとの絡みが増えた事で抑えきれなくなってきてますネ!
完全に解放される日も近いでしょう(笑)

途中に出てきたミニランランはぷちデレラのランランをイメージして頂ければ。


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第9話 幽世に囚われし堕天使

闇に飲まれよ!(お疲れさまです)

無事、1週間毎日投稿いけました。
割と執筆活動が仕事の忙しさに左右されるので、書けるうちに書いてます。

想像以上に楽しんで読んで頂ける方が多いみたいなので、励みになります。


『さて、それでは歌って貰いましょう。風鳴翼さんの特別ユニットで、"つまり、そういうこと"です』

 

クリスちゃんと二人で夕食を食べながらテレビを見る。

あのライブ以来、クリスちゃんは歌が嫌いと言わなくなったため、晴れて我が家のチャンネルの幅に音楽番組が追加された訳だ。

翼さんが出るって話なので、見たかったんだが、すんなりOKが出て良かった。

うわっ、何あの動き!?

言葉で表現するのは難しいが…なるほど、これが世界レベルという奴か…

 

「ところでさ、ちょっとお願いがあるんだ」

 

ん?急に畏まってどうしたんだクリスちゃん。

もしかして、夜のお誘い?

YesNo枕用意した方がいい?

 

「その…フィーネの動きもねぇみてぇだしさ。アタシもお前と一緒の学校に行きたいな…って」

 

と、顔を真っ赤にしながら言ってくる。

かわいい、かわいいよクリスちゃん。

よし、リディアンに通いたいなら一度弦十郎さんに相談するか。

 

***

 

「雪音クリスだとぉ!?」

 

早速弦十郎さんに相談に行ったんだが、何故か物凄く驚かれている。

クリスちゃんは俯いちゃってるし、どうしたんだ?

 

「蘭子君、彼女とどうやって知り合ったんだ?」

 

うーん、実は襲撃者がクリスちゃんでした、とは言えないしなぁ…

仕方ない、適当にぼかすか…

 

「我が魔王城の裏にて忘れ去られし豊穣の女神に我が祝福を与えん」

 

「???それは一体どういう…」

 

ぼかす必要なかったかなぁ…

まったく訳わからん単語のオンパレードで弦十郎さん戸惑ってら…

 

「ハァッ!?お前ぇ、アタシは猫かなんかかよ!?」

 

あっ、そういや優秀な通訳いたわ。

良かった、ぼかしといて。

でもクリスちゃんって動物に例えると絶対に猫だと思うんだ。

一部、猫ではあり得ない部分があるけど。

 

「う、うむ…それで、リディアン編入の件は何とかしよう。ただ、手続きの関係で2学期からになるだろう。それで住居の手続きなのだが…」

 

おっと、そうだな。

正式に二課の外部協力者枠になれば給料も出るだろうし、一緒に住む必要は無いのか…

またあの広い家で一人暮らしになるのは少し寂しいけど…

 

「アタシはこいつの世話しねぇといけねぇから、住居の手配はいらねぇよ!」

 

少し驚いてクリスちゃんを見る。

 

「んだよ?一緒に学校に行きたいのに別々に住むんだったら………意味ねぇだろ」

 

……これもう我慢する必要ある?無いよね?

かの高名な登山家の言葉に『そこに山があるから』という言葉があるらしいが、そうだよな。

山があるならば、登らないとね?

 

「オッホン!わかった、それでは編入の件だけ手配しよう」

 

あっ、弦十郎さん忘れてたわ。

危うく人の目の前でクリスちゃんのお山に登山するところだったぜ…

 

***

 

神崎蘭子と雪音クリスが立ち去った後、風鳴弦十郎は独り言ちる。

 

「雪音クリス、か…今になって2年前の任務が完遂されるとは…な」

 

風鳴弦十郎の公安としての最後の任務になったのが、雪音クリスの保護だった。

多くの仲間を失った。

弦十郎以外に関わった全ての人間が死亡、または行方不明となり史上最悪と言われた任務だった。

しかし、完全に凍結された後も一度請けた任務を投げ出すなど彼には出来ず、個人のつてを使い独自に調査を続けていたのだ。

それが今ようやく完遂された。

 

弦十郎は瞑目する。

 

「蘭子君を通じて、点と点が繋がってきている…いや、元々繋がっていたという事か?了子君、君は一体…」

 

行方不明の元部下の事を考える。

部下の不始末は己の不始末。

彼はそういう風に考える。

ならば、たとえ敵対したとしても、最終的に本人に復帰の意志があるならば暖かく迎えてやるのが、大人としての務めだろう、とも。

 

「俺も責任を取るような立場になっちまったか…まったく…年ばっか食ってる大人なんてみっともなくて仕方ないな…」

 

それは己自身に対する皮肉か、それとも己の置かれた状況やしがらみに対する不満なのか…

しかし、それも束の間、

 

「よしっ!2年越しの任務完遂祝いに今日はTATSUYAで名作を借りていくか!」

 

ストレスを巧くコントロールするのも大人の務めだと言わんばかりに弦十郎は気持ちを切り替えるのだった。

 

***

 

「あれ、蘭子ちゃん、クリスちゃん、どうしたの?」

 

「クリスが学校まで蘭子に会いに来るなんて珍しいね」

 

二課からの帰り道、中央棟を出たところで響ちゃんと未来ちゃんに呼び止められる。

やべっ、未来ちゃんに二課の事は内緒だしどうやって誤魔化そう…

いや、ここ中央棟だから普通に転入の手続きでいいのか…

 

「ハッ、アタシはコイツの()()らしいからな?会いに来んのは別におかしかねぇだろ?」

 

と思ったら、クリスちゃんがドヤ顔で先にそう答えてた。

 

「ぐぬぬぬぬ…」

 

「むぅ…」

 

ん?3人共どうしたんだ?

なんか不穏な空気が流れてるっていうか、響ちゃんは警戒してる犬みたいに唸ってるし、未来ちゃんは超不機嫌そうだ。

 

「ねぇ?丁度近くにいいお店あるし、お茶していかない?」

 

え?未来ちゃんこの空気でお茶に誘うの?

まぁ、二課の事とかどうでも良さそうだから俺的には助かるんだが…

 

「ま、いいんじゃねぇか?お前らとは、一度ゆっくりと話をしなきゃいけねぇと思ってたしな」

 

「うん、私も賛成」

 

まぁ、3人がいいなら俺も別に構わないんだけどね。

ちょっと小腹も空いてきたしな。

 

「ならば我も…」

 

「あっ、蘭子以外でって話だから」

 

「蘭子ちゃんはお留守番しててね?」

 

「ま、夕飯時には帰るから大人しく家で待っててくれよ」

 

行ってしまった…

何?こんな露骨なハブり方あんの?

チクショウ…こうなったらクリスちゃんの楽しみにしてた冷蔵庫のプリン食っちゃうからな!

 

***

 

とある喫茶店。

 

「お帰りなさいませ、お嬢様」

 

「ほぇぇ、こんな所にお店あったんだ…」

 

立花響がそう漏らす。

それもそうだ。

どう見ても、普通の会社にしか見えないビルの中に所謂メイド喫茶があるとは外から見るだけではわからない。

経営事情が心配になる所だが…

カウンターで無表情のまま、珈琲を口に運ぶミステリアスな女性…本当に飲んでいるのだろうか?

「ボンバー!」などと叫んでいる同年代くらいの女の子…個人的には割と仲良くなれそうな気がするがあそこだけ周囲と物理的に温度差がありそうだ。

はたまたタブレット片手にピンク色のパスタを横にいるスーツ姿の青い顔をした男性の口に押し込むどう見ても小学生の女の子…親子には見えないし、一体どういう関係だろうか?

など、意外にも男女問わず利用されているようだ。

 

こういうお店は男性客の方が多いという響の先入観とは裏腹に、意外にも女性客の比率の方が多いようだった。

 

「うん、割と穴場でしょ?」

 

未来が返す。

穴場は穴場なのだろうが、客層に統一性がなく、カオスに感じる。

そんな中、席についた3人に兎の耳を着けたメイドがやってくる。

 

「お嬢様、ご注文はお決まりですか?」

 

「あっ!ウサミ…」

 

そう、そのメイドは響も見た事がある女の子だったのだ。

 

「響、そういうのは無粋だからやめようね?」

 

「な、なんか慣れてんな、お前…」

 

しかし、すかさず未来が止める。

確かにこういった場所で店員の素性を問うのは無粋だろう。

誤解されがちだが、こういったコンセプトを持つ飲食店では、客側にもそれ相応のマナーが求められるのだ。

とはいえ、クリスの言う通り、弁えているにしろ、未来は他二人に比べて慣れ過ぎている。

 

「未来お嬢様は3年前から来て頂いてる常連様なんですよ」

 

兎耳メイドが説明する。

その説明で響とクリスも納得するが…

 

「アレ?17歳の3年前って…」

 

「そそそそれじゃあ、ご注文の品を持って来ますね!!ご、ごゆっくりー!」

 

「もう、響!あんまりメイドさんを困らせないの!」

 

「ほぇ?私なんか悪い事言ったかな??」

 

「お前…ホントのバカだな」

 

ため息を吐く未来と本当にわかっていない様子の響を見て、クリスも少しだけ力を抜いて微笑むのだった。

 

***

 

はぁ…凹む。

まさか嫁と親友にハブられるとは思ってもみなかったわ…

チクショウ…今ごろ3人で俺抜きでガールズトークしてるんだろうなぁ…

俺だって見た目はガールの筈なのにね…

中身はアレだけど。

………もしかしてバレた訳じゃないよね?

それとなく探り入れた方がいいかもな…

 

「久しぶりね」

 

ん?目の前の女性に急に声を掛けられる。

 

「この禁断の果実…終焉の巫女!!」

 

「何処を見て人を判断している!!」

 

いやぁ、ね?

仕方ないよ。

そんな立派な物、見ない方が失礼だと思うよ?

 

で、どうしたんだ?

もしかして、おねショタやる気になった?

 

にしてはショタいねぇし、違うんだろうなぁ…

 

「少し話をしましょう」

 

はぁ…これは、まだ俺の勧誘を諦めてないって事なのかね?

 

***

 

とりあえずフィーネさんを家に上げてお茶を出す。

紅茶とかは専らクリスちゃんにお任せなので、淹れ方良く知らんし緑茶でいいか。

 

「…渋いな」

 

文句言うなら飲むな。

で、今回はどんな魅力的な提案をしてくれるんですかね?

 

「我とて闇に漂う魔力を高めし御業がある故、手短に願おう」

 

「ごめんねぇ、夕食の支度時にお邪魔しちゃって」

 

わかってんじゃねぇか…

今日は旨い飯作ってクリスちゃんを驚かせてやらんといかんのだ。

そういや、響ちゃんと未来ちゃんも来るかもしれんし、一応、4人分作っといた方がいいのかね?

余ったら明日の弁当にすりゃいいんだし。

 

「だが!ノコノコ敵を自分の本拠地まで上げるとはな!その油断がこういう結果を招くのだッ!!」

 

フィーネさんがいきなり杖のような物を振りかざす。

 

なんだこの光!?やべっ…………

 

……

………

 

生きてる…よね?

一体何がしたかったんだ?

ただの目眩まし?何の目的で?

 

しかし、急な出来事に混乱する俺を余所に、光が完全に収まって目に入る風景は、慣れ親しんだクリスちゃんとの愛の巣ではなく、なんか古代感漂う空間と…

 

見渡す限りのノイズの群れだった。




今回は
幽世に囚われし堕天使=バビロニアの宝物庫に飛ばされた蘭子
です。

原作では2期ラストにエクスドライブでクリスちゃんが機能拡張する流れですが、本作ではフィーネさんが改造する形に。
フィーネさん渾身の反撃は功を奏するのか…?


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第10話 魔弾の射手

闇に飲まれよ!(お疲れさまです)

今回はらんらん封印中のため、熊本弁成分薄めなんだ…
本当にすまない。


ここからは時間との勝負だ。

あの規格外の娘なら自力で脱出してきたとしてもおかしくはない。

 

故に彼女は恥も外聞もかなぐり捨てて走る。

何故か仇敵の自宅で発見した失った筈の完全聖遺物を回収し、走る。

その完全聖遺物は何故か強烈な匂いが染み付いているが、ひとまずは気にしない。

彼女にとって、悲願を達成する事の方が重要だから…

 

神崎蘭子をバビロニアの宝物庫に送った後、すぐに飛行型の大型ノイズを都心に向けて放った。

小型ノイズを生み出すため、時間稼ぎには丁度いい。

これでシンフォギア装者は引き離せるだろう。

 

後は神崎蘭子が宝物庫の中のノイズを全滅させるなどという馬鹿げた…しかし否定しきれない事を仕出かす前にソロモンの杖を使い風鳴弦十郎を排除し、カ・ディンギルを押さえる。

 

これが彼女の立てた最も現実的かつ成功率の高いプランだった。

ネフシュタンの鎧が手元に戻ったのは嬉しい誤算だ。

少し匂うが…

 

だが、常識で測れない相手を二人同時に相手にしている故か。

彼女は、無意識にその二人以外を甘く見る。

 

自らが造り出した筈のシンフォギアという力を。

 

そして、死亡したと認識している故、完全に計算の外にいる一人の少女の事を彼女はまだ知らない。

 

***

 

「豊穣の女神よ。今こそ秘められし魔力を解き放ち、魂を共鳴する時よ、だ」

 

「ぐぬぬぬぬ…」

 

「チッ…」

 

「我が友を侮辱するな!貴様等に輝き持ちし我が友を蔑む資格などありはしない、だよ」

 

「クッ…やるじゃねぇか」

 

「次は私ね…」

 

その時、辺りにノイズ警報が鳴り響き、同時に立花響の端末に着信が入る。

 

「そんな…こんな時に…」

 

「響…?どうしたの?早く避難しなきゃ!」

 

未来がいる故に着信に出るかどうか迷う。

しかし、そんな響の肩にクリスが手を置く。

 

「お前はお前の大事な(モン)を守ってやんな」

 

「クリスちゃん…?」

 

「アタシが行く!」

 

~Killter Ichaival tron~

 

歌と共にクリスが真紅のシンフォギアを纏う。

 

「え?クリス!?」

 

「えぇぇ!?ウソー!?」

 

♪繋いだ手だけが紡ぐもの

 

左右に搭載したガトリングガンを両手に携え狙撃ポイントまで跳ぶ。

あの空を飛ぶ大型ノイズを倒さなければ、この混乱は収まらない。

着地と同時に空にいる飛行型の小型ノイズに向かってガトリングガンを放つ。

 

―BILLION MAIDEN―

 

「オラオラオラァッ!!」

 

次は腰部アーマーから小型ミサイルを発射し、地上にいる人型ノイズを一掃する。

 

―MEGA DETH PARTY―

 

「チッ、さすがにあそこまでは届かねぇか…」

 

しかし、遥か上空を飛ぶ大型ノイズには小技では届きそうにない。

大技を放つ必要があるが、どんどん生み出される小型ノイズがそれを許さない。

単独での戦闘ではジリ貧だった。

 

しかし、これでいい。

時間さえ稼げれば、後は愛……頼れる同居人が駆け付けてくれる筈なのだから…

そんな一瞬の気の緩みに対して飛行型ノイズが一斉に変形突進を敢行する。

 

「しまっ…!」

 

しかし、そんなノイズ達の決死の突撃は、突如現れた無機質の壁に阻まれていた。

 

「なんだこりゃ…盾?」

 

(つるぎ)だ!!」

 

見上げると、アームドギアを大型の剣に変形させた風鳴翼が柄部分に立っていた。

 

***

 

「何処の誰かは知らないが、助太刀感謝する!って、お前…雪音か?」

 

アームドギアから降りてきた翼が見知った顔に驚く。

 

「話は後だ!団体さんのお出ましだ!!」

 

翼の背後より一斉に人型ノイズが襲い掛かってくる。

 

「露は防人の剣が払おう!」

 

そう言うと逆立ち状態になり、巧みに移動しながら足に搭載されたブレードで周囲のノイズを切り払う。

 

―逆羅刹―

 

「へっ、頼む!背中は預けたぜッ!!」

 

今ならば上空のノイズに届く。

そう確信し、4基の大型ミサイルと全砲門を開く。

 

「特別サービスだ!全部持っていきやがれぇッ!!」

 

―MEGA DETH QUARTET―

 

放たれた銃弾と砲弾は、3体の大型飛行ノイズに直撃し、その全てを撃滅したのだった。

なんとか2人で対処出来たものの、クリスは疑問に思う。

アイツは…あの少女はどうしたのか?と。

 

「なぁ…アイツは?」

 

「む?神崎は一緒では無いのか?連絡がつかないからてっきり一緒にいるものと思っていたのだが…あっ!おい、雪音ッ!?」

 

………嫌な予感がする。

クリスは己の直感を否定しきれず、自分の帰るべき場所に向かって走り出すのであった。

 

***

 

いやぁ、参ったなぁ。

なんか、ノイズうじゃうじゃいるからとりあえず近寄って来る奴ら倒してんだけど、これ減ってんのかね?

割と倒したと思うけど、単調作業過ぎて飽きてきたし、なんかチマチマ倒してても不毛な感じがしてきた。

こう、砂漠で砂掘ってるみたいな感じ。

 

帰ろうにも転移するには座標をイメージしないといかんので、ここが何処なのか把握しないと無理っぽい。

とりあえず今のところ飽きてきたとはいえ、ノイズ倒すくらいしかやる事が無い訳だが…

 

うーん…飽きが来ないように趣向を変えるか…

普段なら外でも全力とか絶対できんし、丁度いいな。

 

よし、色々やってみよう!

 

***

 

小日向未来の手を引き立花響は走る。

自分も戦うにしろ、まずは未来を避難させないとそれすらも出来ない。

 

既に市街地には、大量のノイズが蔓延っており、ノイズに見つからないよう、迂回しながらシェルターを目指す。

 

「ハァッ、ハァッ、未来!もうちょっとだから!」

 

「………響、行かなくていいの?」

 

どきりと胸が締め付けられる。

そうだ。自分の力はこんな時にこそ、必要な力だった筈だ。

でも、未来を守るためと言い聞かせて、ここまで来たのだ。

未来を置いて行く訳には…

 

「正直に言うとね?私は響にも蘭子にも危ない事なんてして欲しくない」

 

「未来…」

 

「でも…私のせいで助けられる人を見捨てる響なんて響じゃない!私も、みんなも!一緒になんとかして!私の全部を任せられる相手なんて、響と蘭子しかいないんだから!!」

 

~Balwisyall Nescell gungnir tron~

 

未来の発した大きな声に反応し、ノイズが襲い掛かってくる。

 

「ありがとう、未来…」

 

しかし、次の瞬間ノイズ達は全て炭の塊に姿を変えていた。

 

「難しく考えるなんて私らしくなかった!もう迷わない!!」

 

解き放たれた少女はまるで竜巻のようにノイズの群れを処理するのであった。

 

「でも、ちゃんと説明はして貰うからね?」

 

黒い笑顔で未来が言う。

こういう時の未来はだいたい怒っている。

 

「………はい」

 

後日、確実に起こる未来の説教(災難)に響は今からげんなりするのであった。

 

***

 

ついに私立リディアン音楽院に辿り着く。

ソロモンの杖を翳す。

 

己の意志に従って、次々にノイズが現れる。

賭けに勝った。

あの化け物はまだノイズを全滅させていない。

 

「フハハハハハッ!!私の勝ちだッ!!」

 

勝利を確信し、念のためネフシュタンの鎧を纏い終焉の巫女は歩みを進める。

 

研究室に保管してある筈の不滅の聖剣へ…

 

………やっぱり臭い。

しかし、悲願さえ成就出来れば良い。

その為の力であれば何であれ使うのみだ。

 

後一歩…

 

「そこまでだ、了子君」

 

背後から見知った声が掛かる。

やはり来たか…

あの程度のノイズなら突破してくるか…忌々しい。

 

「そこから先に行かせる訳にはいかん!!」

 

「行かせて貰う!!」

 

振り向き様にソロモンの杖を翳そうとするが…

 

「させん!!」

 

弦十郎の鋭い蹴りがソロモンの杖を弾く。

 

「チィッ!!」

 

フィーネもネフシュタンの刺の鞭ですかさず応戦するが、その攻撃は読まれており、ジャンプで避けられる。

 

空中ならばと鞭の指向を変えて追撃を狙うも、相手は天井のパイプを掴み直ぐ様軌道を変えてこちらに突っ込んできた。

重い拳撃が通路に突き刺さる。

咄嗟に回避するも拳圧だけで完全聖遺物である筈のネフシュタンの鎧が軋む。

 

「完全聖遺物を圧倒するだと…やはりその力」

 

厄介だ。

わかってはいたが、やはりソロモンの杖を手放したのは痛い。

 

「知らいでかッ!!飯食って、映画見て、寝る!!男の鍛練はそれで十分よッ!!」

 

この男と正面から戦っても勝てる見込みは薄い。

 

「さぁッ!!反省の時間だ!了子君!!」

 

弦十郎が迫る。

こうなれば一か八か。

 

「弦十郎君!」

 

「ッ!!」

 

目に見えて弦十郎の動きが鈍る。

私の勝ちだ!!

 

次の瞬間、ネフシュタンの刺の鞭が風鳴弦十郎の腹部を貫いていた。

 

***

 

うーん、やっぱりちょっと趣向変えただけじゃすぐ飽きるな。

 

だって結局やってる事は変わらんしね。

向こうの被害規模がちょっとシャレにならん位上がっただけで。

 

辺りを見回すが、もう自分に襲い掛かるノイズはいないみたいだ。

途中、なんか妙に黒いノイズも交じってたけど、何だろうね?新種?

どっちにしろ瞬殺だったから、あんまり他と変わらんかったけど、ちょっと動きは速かったかな?

 

うーん、気配は感じるから全滅はしてないっぽいけど、こっちに来る気は無いみたいね。

ほっとくか。

 

ん?あっちの方のノイズの気配が一気に消えたような…

もしかして、俺以外にも誰かいるんかね?

 

やる事なくなっちゃったし行ってみるか…




今回は
魔弾の射手=イチイバルクリスちゃん

これでも駆け足なんだが、らんらん復活はもう少し話が進むまで待って下さいませ。
明日は更新できないかも…すまない。

おまけ
ニヴルヘイム
宝物庫の中でちゃっかり発現した疑似聖遺物。
左手で使用し、氷の力を操る。
途中で出てきた黒いノイズとかをこれで軽く氷漬けにしたりした。


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第11話 魂の波動纏いし聖衣

闇に飲まれよ!(お疲れさまです)

そして、お久しぶりです。


とりあえず、ノイズの気配が次々に消えてる所に行ってみたが…

 

なんか次々に門みたいなところに入って消えて行ってる。

もしかして、アレ通れば外出られるんじゃね?

 

よし、そうと決まれば行ってみよう。

 

あっ、消えちゃった…くそぅ…

 

仕方ない、次に出てくるの待つかね…

とりあえず、邪魔も無くなったし待ちながら座標把握できるか試してみるか。

 

***

 

自宅に戻った雪音クリスは呆然とする。

 

鍵の掛かっていない玄関のドア、中身が入ったままの二人分の湯呑み、無くなっているネフシュタンの鎧…そして、玄関に残っている同居人の靴。

しかし…何処を探しても、肝心のヘンテコな言葉を話すあの同居人の姿が見当たらない。

 

確かにそれら一つ一つは状況証拠でしかない。

入れ違いの可能性だってもちろんあるだろう。

 

しかし、それら全てをまとめて連想される一つの結論について、良い方向に受け取れる程、雪音クリスは楽観主義者では無かった。

 

「……赦さねぇ」

 

「赦さねぇぞッ!!フィーネェッ!!!!!」

 

夕日が赤黒く変色する少女の鎧を照らしていた。

 

***

 

雪音クリスを見失った翼は、ひとまず帰投のため、特異対策機動部二課、つまり私立リディアン音楽院へと向かっていた。

 

「まもなくリディアンの筈なのだが…」

 

「ッ!?何だ、これは!?」

 

そう、リディアン音楽院があった場所は確かにここだ。

しかし、そこに慣れ親しんだ学舎は無く、代わりに天を突くかのような異様な塔が立っていたのだ。

 

「シンフォギア装者か…ご苦労な事だ」

 

声の主の方に振り返る。

 

「まさか…櫻井女史!?」

 

そこには、ネフシュタンの鎧を纏う終焉の巫女の姿があった。

 

「間もなく私の悲願は成就される。大人しくそこで見ていなさい」

 

「何を言っている!?櫻井女史!?」

 

「月を穿つ!!」

 

塔が発光を始める。

状況は飲み込めていないが、間違いなく善からぬ事が起きようとしている。

 

~Gatrandis babel ziggurat edenal~

 

「この歌…まさか!?」

 

翼が歌の正体に気付く。

 

~Emustolronzen fine el baral zizzl~

 

この歌は…絶唱だ。

 

~Gatrandis babel ziggurat edenal~

 

「でも…一体何処から…」

 

~Emustolronzen fine el zizzl~

 

「させるかよォォォォッ!!」

 

翼の遥か後方、今まさに放たれた月を破壊する為の砲撃に対して、丁度横合いになる形で一筋の流星が放たれる。

 

ガングニール。

 

何物をも貫き通す無双の一振り。

完全聖遺物として在れば、まさにその名に偽りなく、全てを貫いたであろう。

しかし、欠片を残すのみとなったその力では、たとえ使い手の命掛けの一撃であったとしても不滅の聖剣を動力源とする超級の砲撃に対しては、僅かばかり軌道を逸らすに留まる。

しかして、逸らされた軌道は誤差の範囲に収まらず直撃軌道から外れ、月の一部を損壊させるのみに留まった。

 

「へっ、ざまぁみやが…れ」

 

そう呟いて天羽奏は地に臥せる。

 

「奏っ!!」

 

翼が奏に駆け寄る。

 

「どうして…?」

 

「翼ががんばってんのに、アタシだけ休んでる訳にいかねぇだろ?」

 

「でもっ!!そんな身体で歌ったら…!」

 

「大丈夫…少し休んだら、アタシも行くからさ…翼、頼…んだ」

 

かつての相棒にエールを託し、天羽奏は意識を手放した。

 

***

 

「ハッ、無駄な事を」

 

「………無駄だ…と?」

 

「そう、無駄だ。一撃で終わるなど兵器としては欠陥品。何度でも撃てるからこそ兵器足りえるのだ。一度凌いだ所で所詮は時間の無駄に過ぎん」

 

「無駄と…言ったか?命を賭して、大切な物を守り抜く事を!お前は無駄とせせら嗤ったか!!」

 

翼にとって、これ以上己の半身を侮辱される事は、我慢ならなかった。

今まさに、怒りに身を任せ終焉の巫女に斬りかからんとしたその時に…

黒い影が割り込む。

 

「ミツケタゾ!!フィーネェェェェッ!!!」

 

「なっ!?」

 

突然の乱入者に対して、フィーネも刺の鞭を放つが、乱射される銃弾に悉く軌道を逸らされる。

 

「お前…雪音?」

 

「バカな!?死んだ筈では…」

 

今度は翼が混乱する。

何故、櫻井了子が雪音クリスを知っていて、その上で死んだなどと認識しているのか?

 

「テメエダケハユルサネェッ!!アイツヲ…アイツヲォォォォッ!!」

 

そんな周囲の混乱などお構い無しにクリスはフィーネに向けて突撃する。

 

「クッ、もはや人に非ずかっ!!」

 

フィーネもネフシュタンの鞭で応戦するが、クリスの獣染みた動きに翻弄され、有効打が与えられない。

 

「チッ、こんな事をしている場合では…」

 

クリスの無差別砲撃でカ・ディンギルに無視できないダメージが与えられている。

早急に対処しなければ、二射目の砲撃に耐えきれない。

しかし、裏を返せば、二射目が放たれさえすれば己の勝ちは確定するのだ。

クリスは明らかに己を狙っているのだから、カ・ディンギルから引き離せばいいのだが、当然翼も無視できない。

 

少しずつ、フィーネは焦り始めていた。

神崎蘭子に風鳴弦十郎。

計画の最大の障害は既に排除し、己の勝利は確実だった筈なのだ。

しかし、結果として、カ・ディンギルの一射目は天羽奏によって逸らされ、今まさに雪音クリスによって、二射目が危うい状況まで追い込まれている。

己にとって、取るに足らないと侮っていたシンフォギアによって。

あり得ない。

己の造り出した玩具にそこまでの力は想定されていない。

一体何がここまで自分を追い込んでいるのか?

 

とにかく、今は雪音クリスを排除しなければ…

 

しかし、そんな中、クリスの前に立ちはだかったのは、フィーネでも翼でも無かった。

 

「クリスちゃん…クリスちゃんが何で怒ってるのか私には解らないけど…たぶん蘭子ちゃんの事だよね?」

 

立花響だ。

敵味方問わぬクリスの銃撃は響にも襲い掛かる。

 

「でもね?クリスちゃん」

 

しかし、その身に銃撃を受けて傷だらけになりながらも、全く怯む事無く、最速で、最短で、真っ直ぐに、一直線に向かっていき、ついにはクリスを抱き締める。

 

「蘭子ちゃんを…信じてあげよ?」

 

涙を流しながら、クリスの暴走が解ける。

そのまま、クリスは意識を失い、響に身体を預ける。

 

「立花っ!…まったく、無茶をし過ぎだ」

 

「翼さん…すみません。後…頼みます」

 

「あぁ、任せておけ」

 

そのまま力尽きたのか、響もまたクリスを庇うようにして倒れ込むのであった。

 

***

 

ついにこの場で剣を携えるのは自分1人となってしまった。

しかし、託された想いが、独りでない事を教えてくれる。

 

♪絶刀・天ノ羽々斬

 

「…待たせたな」

 

フィーネに向けて歩みを進める。

 

「どこまでも剣、か…」

 

「今日に折れて死んでも…明日に人として歌う為に」

 

そうだ、もはや己はただの剣に非ず。

 

「風鳴翼が歌うのは…戦場(いくさば)ばかりでないと知れッ!!」

 

「人の世が剣を受け入れる事などありはせぬ!!」

 

ネフシュタンの鞭を回避し、最速の斬撃を繰り出す。

 

―蒼ノ一閃―

 

そのまま返す刀で空中に飛び、巨大化させたアームドギアと共に渾身の一撃を叩き込む。

 

―天ノ逆鱗―

 

その一撃は多重に繰り出される鞭の結界によって阻まれるが、翼の狙いはそこにあった。

 

巨大化したアームドギアを足場に臨界に達さんとする塔に向けて飛び立つ。

 

―炎鳥獄翔斬―

 

「狙いはカ・ディンギルか!!」

 

フィーネの追撃が迫る。

数度躱すも、執拗に鞭は追い迫り、まさに翼を討たんとした次の瞬間…

 

「へっ…一度当たっちまえば、追撃は出来ねえよな!」

 

「奏!?」

 

天羽奏が身体を張って鞭を受け止めていた。

 

「翼、両翼揃ったツヴァイウィングならさ…」

 

「あぁ!どこまでだって翔んでいける!!」

 

「やめろォォォォっ!!」

 

そうして、風鳴翼と天羽奏。

ツヴァイウィング二人の捨て身の一撃によって、天を穿つ筈の塔はついにその役割を果たす事無く崩壊していくのであった。

 

***

 

「クソッ!!私の計画が、まさかこんな奴らに!!」

 

フィーネが呪詛を振り撒きながら周囲に当たり散らす。

 

「それもこれも貴様等のせいだッ!!」

 

満身創痍でギアすら解除された響とクリスを蹴り飛ばす。

自身の計画を台無しにしてくれたのだ。

もはや楽に死なせるつもりなど毛頭無い。

 

「月を破壊し、統一言語を取り戻し再び世界を一つに束ねる筈だった…だったのに!!」

 

フィーネが二人に迫る。

 

♪私立リディアン音楽院校歌

 

破壊された校舎のスピーカーから音が発せられる。

 

「何だこれは…?」

 

音の発生源を探し、辺りを見渡す。

 

「何が聞こえている?この不快な…歌…」

 

「歌…だ…と!?」

 

気付けば長い夜は終わりを告げ、辺りに朝日が射し込んでいた。

 

「聴こえる…」

 

「皆の歌が…」

 

♪Synchrogazer

 

無言で響とクリスは見つめ合い、頷く。

 

「私達を支えてくれてる皆はいつだって側に…」

 

「皆が歌ってるんだ…だからッ!!」

 

「まだ歌えるッ!」

 

「頑張れるッ!!」

 

二人で叫ぶ。

 

「「闘えるッ!!!」」

 

立花響と雪音クリスが手を繋ぎ、立ち上がると同時に二人の纏うアウフヴァッヘン波形にフィーネが弾き飛ばされる。

 

「まだ闘えるだと!?」

 

「何を支えに立ち上がる?何を握って力と変える?」

 

「鳴り渡る不快な歌の仕業か?そうだ、心は確かに折り砕いたはず…なのに、何を纏っている?」

 

「それは私の造った物か?お前の纏うそれは一体何だ?なんなのだ?」

 

破壊された天を穿つ塔の跡地からそれぞれ()()の光の柱が昇る。

 

「―傷ついた悪姫―」

 

「シ・ン・フォ」

 

「第二形態!」

 

「ギィィッ――ヴウゥワアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 

「我が名はブリュンヒルデッ!!」




今回は
魂の波動纏いし聖衣=シンフォギア

フィーネの質問責めからのシンフォギィヴゥワアァに空気読まずに割り込むらんらん。
これがやりたかった(笑)



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第12話 傷ついた悪姫

闇に飲まれよ!(お疲れさまです)

1期ラストです。


アレー…なんか出てくるタイミング間違えた?

 

完全に響ちゃんと被っちゃったよ…

 

あの後、座標把握とか、門が開くの待つより、門が無いなら作った方が早えなと思って、早速作って出てきたんだけど…

 

コレ、どういう状況?

 

なんか皆に信じられない物を見る目で見られてる気がするんだけど…

 

『お前、今どこから出てきたんだよ…』

 

ん?頭にクリスちゃんの声が響いてくる。

ナニコレ?テレパシー?

ていうか、クリスちゃんはなんでシンフォギア着けてんの?

 

まぁ、聞かれてるし、とりあえず返してみるか?

もしかしたら、普通にコミュニケーション出来るかもしれんし…

 

『隔絶されし幽世からの帰還よ!』

 

やっぱりな!チクショウ…

 

『お前…念話でもソレなのかよ…』

 

『ちょっとはまともなやり取りを期待したんだけどなぁ…』

 

『あぁ、だが、神崎らしい』

 

『まぁ、蘭子ちゃんはいつも通りって事で…』

 

まぁ、そんな気はしてたから、置いとこう。

なんか、皆シンフォギアの形変わってるし、そもそも空飛んでるし、一体どうなってんのさ?

 

まぁ、それは後で聞くとして…今はあっちが先だな。

 

***

 

それは、フィーネにとって、絶望が具現化したような存在だった。

 

あの小娘は自身の使うリィンカーネイトシステムにすら介入しかねない。

バビロニアの宝物庫から自力で脱出してくるなど、はっきり言って非常識極まる存在だ。

可能性は考慮していたものの、実際に見るとそのあり得なさが改めて際立つ。

 

彼女の最善は計画が頓挫した時点で、次に託して転生するべきだったと悟るも今となっては後の祭り。

 

勝ち目は限りなく薄いが戦うしかない。

そう覚悟し、ソロモンの杖を翳す。

 

「堕ちろォッ!!」

 

まずは街中にノイズを放ち、時間を稼ぐ。

筈だったが…呼びたかった半分もノイズが出てこない。

まさか、あの小娘がここまで減らしたというのか?

 

化け物め…

内心焦るも、期待通りノイズ殲滅に向かってくれたようだ。

あの数では大した時間稼ぎにならないだろうが、今のうちにデュランダルを…

 

***

 

とりあえず、まずはノイズ倒そ?って事になったんだが、なんかもうノイズは見飽きたな…

 

♪FIRST LOVE SONG featuring 神崎蘭子

 

さっさと終わらすか。

 

「覚醒せし魔王の魔力を解放する時よ!!」

 

左手を広げて天に翳す。

あっちで使ってて割と便利だった使い方だ。

 

―Niflheimr―

 

辺りが冷気に支配され、ノイズが次々と凍っていく。

続いて、左手を握り締めると同時に凍りついたノイズ達が一斉に粉々に砕け散る。

うーん…とりあえず出てきた分は今ので全部倒したかな?

この技…火より範囲が広い分、敵識別が曖昧だから、今回みたいな皆避難してて味方全員の位置把握してる状況じゃないとなかなか使えんのが玉に疵だけど、ノイズいっぱいいるとかめんどくさい時はかなり便利だ。

 

「えぇ…」

 

「お前…」

 

なんか皆からジト目で見られてるけど気にしない。

いや被害とか考えたら、これが一番手っ取り早いからね。

 

「なっ!?」

 

あっ、フィーネさんめっちゃ驚いてら。

なんかするつもりだったみたいだけど、空気読まなくてゴメンね?

嫁とか親友を散々痛め付けてくれたみたいだから、こう見えて結構怒ってるからね?

 

「貴様!?貴様の聖遺物は炎では無かったのか!?」

 

「フッ、魔王たる我にかかれば複数の魔力を操る事など造作も無い事!」

 

ま、チートだし多少はね?

でもまぁ、今回もなんか急に使えるようになったから、相変わらず仕組みはイマイチよくわからんのだけどね…

今はそんな事より…

 

「終焉の巫女…懺悔の時よ!!」

 

とりあえず、迷惑掛けた皆にごめんなさいして、その後おねショタな?

 

「私の…敗けだ…」

 

今度こそ、疲れ果てた顔でフィーネさんは崩れ落ちた。

 

「アレ?私達が変身した意味は?」

 

響ちゃんがそんな事を呟く。

みんな無事で終わったんだし、いいでしょ?

 

「まぁ、らしいと言えばらしいが…」

 

翼さんまで引きつった顔してどうしたの?

 

「ま、アタシはこいつが無事なら別に…」

 

やっぱり我が嫁は世界一可愛い。

 

「おいしいとこ全部持っていきすぎだろ」

 

締めとばかりに奏さんに頭をわしゃわしゃされた。

 

***

 

あれから1週間。

 

フィーネさんは捕らえられて、余罪の取り調べとか色々、弦十郎さんと緒川さんを中心にやっているらしい。

敵対してたのが嘘みたいにスラスラ喋っているらしいが、やっぱり相当悪い事してたらしく、生きてる内に釈放されるのは絶望的との事。

本人曰く転生出来るらしいので、極刑よりこのまま罪を償わせるのが彼女にとって罰になるだろうというのが弦十郎さんの考えみたいだ。

 

弦十郎さんと言えば、あの日フィーネさんに腹に穴開けられたらしいんだけど、完全に貫通してた傷がその日のうちに自力で歩けるまで回復して、次の日には普通と変わらんかった。

なんか発勁とかなんとか言ってたけど、あの人、本当に人間なの?

俺の知ってる人間の怪我の治り方じゃないんだけど…

 

とりあえず、学校の校舎自体が無くなっちゃったので、新校舎の手配が終わるまでは生徒は休みという事で、俺やクリスちゃんまで遠慮なく後始末に駆り出されている。

 

そんで、今日はその最後の後始末の日。

 

藤尭さんの話では、あの日割れた月の欠片は緩やかにだけど、着実に地球に近付いて来てるらしい。

最初は絶唱?とかいうので破壊するとか言っていたんだが、なんか半端ないリスクがあるみたいなので、「我に任せよ」と言って、俺が何とかする事になった。

 

で、今息出来る限界近くまで飛んで来ている状態だ。

まぁ、あまり機会の無い全力出せるシチュなので、遠慮なくやらせて貰おう。

 

炎を集中させて、こう、ビームを出すイメージで…

 

「魔力束ねし、灼熱の焔よ!!」

 

―Aurora―

 

……うん、確かにね?ビームをイメージしたんだけどさ…

だってビームだよ?精神は男な訳だしさ、ロマンじゃん?

 

…でもさ、その結果、月の欠片一瞬で蒸発しちゃうと思わないでしょ…

なんか達成感とか全然無いな…

 

『お疲れさまです。蘭子ちゃん』

 

油断してたらいきなり邪神とエンカウントした…

何このクソゲー…

ていうか、ずいぶん久しぶりだけど…

 

『そうですね。はい、こちらログインボーナスの無料ドリンクです』

 

はぁ、どうも。

どういう風の吹き回しかな?

無料をやたらと強調してくるし…

 

『や、やだなぁ…お試しで使ってみて気に入れば購入、なんて事考えてないですよ?善意!100%善意です!』

 

語るに落ちるとはこういう事を言うんじゃないだろうか?

で、今日は何の用事?

 

『そろそろ説明が要るかな?と思ったんですけど、要らないですか?』

 

要る。めっちゃ要る。

 

『ですよね?ところで蘭子ちゃん、哲学兵装ってご存知ですか?』

 

て、哲学兵装だって!?

 

『はい、その哲学兵装です』

 

で、その哲学兵装って何ですか?

 

『もう!知らないなら大袈裟にリアクション取らないで下さい!』

 

で、哲学兵装の説明受けたんだけど、なんか簡単に言うと()()()()()によって、概念が追加されて、本来持ち得ない能力だったりを獲得した物らしい。

で、それが何か関係あんの?

 

『ご自分の使ってる能力の正体ですよ』

 

え?そうなの?これ、そんな能力なの?

 

『はい、その靴は元々少女達の夢の一つの到達点、そう定義されていた物です。それが、不特定多数の人々の想いによって、夢を叶えるという能力を後付けで獲得したんです』

 

ほぇー、そうなんだ。

 

『夢を叶える能力を使っている、この事を努々忘れないようにして下さいね?』

 

『あ、そうそう、めんどくさいストーカーさんを懲らしめてくれてありがとうございます。あの人、ちょっとガチすぎて苦手だったんですよねぇ』

 

ん?誰の事だろう?

邪神の笑みが濃くなる。

 

『それでは、また必要が出てきたら呼びますね』

 

…ホント、一方的だよなぁ。

 

ちなみに貰ったドリンク飲んだら元気になり過ぎて2日くらい寝れなかった。

なんかヤバい成分入ってんじゃねぇの?

おかげで寝てるクリスちゃんを目の前に生殺し状態を2日も味わう羽目になったし、二度と飲みたくない。

 

***

 

とりあえず、学校は休校のまま、夏休みに突入した。

なんか、休校期間中、毎日響ちゃんと未来ちゃんが遊びに来てる気がする…

おかげでクリスちゃんとのスキンシップが減る一方なんだけど…

俺の見立てでは、そろそろ添い寝から抱き枕にランクアップしてもいい頃合いだと思うんだけど、なかなか二人きりになる機会が無い。

 

ちなみに二課とかシンフォギアとかを未来ちゃんに隠してた結果、むっちゃ怒られた。

 

「狭間の世界に住まいし我と陽光受けし者は…」

 

「そういうのいいから」

 

アッハイ。

マジで怖かった。

 

んで、今度お詫びに未来ちゃんと遊びに行く事になった。

二人で。

 

何故こんなのがお詫びになるのかよくわからんけど、まぁそれで未来ちゃんがいいなら構わんけどね…

でもやっぱり友達多い方が楽しいだろうし、響ちゃんとクリスちゃんも誘おうかな?

サプライズ的な感じで。

 

こういう時、ハブられるとハブられた方は悲しくなってくるからね、マジで。

クリスちゃんと響ちゃんと未来ちゃんの3人で遊びに行ったりされた時とか、ホント泣きそうになったからな…

んー、それなら翼さんと奏さんも誘った方がいいか?

6人で遊ぶとなると結構大がかりになってきたな。

 

♪逆光のフリューゲル

 

よし、みんなの分の弁当作ったり張り切っちゃおうかな!

 

「…で、なんでみんないるのかな?」

 

「アハハ…蘭子ちゃんは相変わらずだなぁ…」

 

「ま、こんな事だろうと思ったけどな…」

 

「奏、私達邪魔だっただろうか?」

 

「邪魔…つうか…ま、こうなったら楽しもうぜ」

 

「陽光受けし者よ!?わ、我が禁断の果実は…」

 

「うるさい!こうでもしないと気が済まないんだからっ!!」




1期終了です。
今回のタイトルは説明不要ですよね!

おまけ
シンデレラの靴
夢を実現する哲学兵装。
使用者のイメージをそのまま現実世界に再現させる極めて強力な力を持つが、夢を実現するという概念上、人の悪意を集めるなどといった負の方向の使い方は出来ない。
使用するにはフォニックゲインが必要になるが、某事務員曰くアイドルは歌ってなんぼとの事。


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戦姫絶唱しないシンフォギア

闇に飲まれよ!(お疲れさまです)

とりあえず1期終わったので、区切りと少し本編の補完に戦姫絶唱しないです。
小ネタ集なのでいつもより短め。


*** 取調室にて ***

 

ここは、特異災害対策機動部二課の仮設本部の取調室。

今日は司令である風鳴弦十郎と、シンフォギア装者の立花響、雪音クリスという面々で櫻井了子、フィーネの取り調べを行う。

 

「了子君、君の目的についてだが…」

 

まずは弦十郎が質問する。

室内が妙に匂うが、気のせいだろうと無視をする。

 

「私をまだその名で呼ぶか…まぁいい。私の目的はバラルの呪詛から人類を解放する事だ」

 

「そのバラルの呪詛って、なんなんですか?」

 

バラルの呪詛、という聞き慣れない単語に響が質問を投げ掛ける。

少なくとも、学校の授業では聞いた事が無い。

もっとも、彼女は学校の授業自体をあまり聞いていないのだが。

 

「人同士の完全相互理解、すなわち統一言語を阻んでいる呪いだ」

 

人の完全相互理解に統一言語。

また響にとって難しい単語が出てくる。

なんとか自分なりに噛み砕いて理解しようとするが…

 

「つまり蘭子ちゃんの言葉が統一言語って事ですか!?」

 

「何故そうなるっ!!?」

 

いきなり話が飛躍した。

 

「え?だってわかるし…ねぇクリスちゃん?」

 

「おう…まぁ、あいつはヘンテコな言い回ししやがるけど、言いたい事はだいたい解るな」

 

「…君たちが特殊なんじゃないか?」

 

自分は普通に解らないぞ、と思い弦十郎は嘆息したのであった。

 

『あながち間違いでもないんですけどねぇ』

 

聞こえる筈も無いが、その様子を見ていた緑の事務員は微笑むのだった。

 

*** 覚醒魔王と防人 ***

 

「魂の波動に魔力が昂るわ!」

 

「ふむ…常在戦場」

 

「っ!?我が深淵を覗くのであれば、我に魅入られる事も覚悟するのだな!」

 

「フッ、友の危難を前にして、鞘走らずにいられようか?」

 

「っ!!?黒く染まる堕天使の翼は、輝きを戻し天上高く舞い上がるであろう!!」

 

「話はベッドで聞かせて貰おう!!」

 

「っ!!!?闇に飲まれよっ!!」

 

「や、やみのま!」

 

その場を通り掛かった奏が一部始終をニコニコしながら見ていた未来に声を掛ける。

 

「なぁ…あいつらは何をやってんだ?」

 

「…さぁ?」

 

どうやらやり取りが高度過ぎて未来にも理解できなかったようだ。

 

*** マネージャーのお仕事 ***

 

「奏さん、来週の翼さんのスケジュールですが…」

 

「木曜日なら空いてるんじゃねぇか?」

 

緒川慎次と天羽奏が話し合う。

二人は風鳴翼のマネージャー業を分担しており、主にビジネス面を緒川が、プライベート面を奏が担当している。

 

「次にこれです。復興ライブQUEENS of MUSICへの出演オファーが来てます」

 

「アメリカで期待の新人歌姫との共演だったか?アタシとしちゃ、翼が別の誰かと歌うってのに複雑なんだが、仕事だしなぁ…」

 

かつての相方が自分以外の人間と歌う。

奏にとっては、少し面白くないが、ノイズ被害で疲弊した人々に勇気を与えるのも翼の大事な仕事だ。

私情は抜きにするべきだろう。

 

「ま、翼の本当の姿を知ってるのは、アタシと蘭子だけって事で我慢するか」

 

帰ったら、蘭子を誘って、翼の部屋を掃除しよう。

そう思って、奏は気持ちを切り替えるのだった。

 

「翼さん…散らかし癖、まだ直ってないんですね…」

 

「あれは一生直らねぇんじゃねぇか?」

 

そういえば、ここにも本当の翼を知る人間が居た。

最近は奏がやるので出番が無いが、一時期は緒川も翼の部屋を掃除していた時期がある。

下着まで緒川に片付けさせて何も思わないのはどうかと思う。

 

*** いきのこれ!社畜さん ***

 

「はぁ…今日も残業か…」

 

神崎蘭子の活躍により、概ね後始末も終わったかのように見えるが、それは現場に出る人間の仕事であり、彼…藤尭朔也のような事務職には適用されない。

何せ、処理すべき書類や櫻井了子から押収した聖遺物の解析など、仕事は山のようにあるのだ。

 

「ボヤかないの…口より手を動かして」

 

それは、隣で端末を操作する友里あおいも同様だ。

既に目にくっきりと隈が出来ており、寝る間を惜しんで事務処理を優先している事が窺える。

期限が近い書類から処理しているが、一向に無くなる気配は無い。

 

『我が眷属よ!魂を猛らせよ!』

 

藤尭の端末から、元気の良い美少女の声が発せられる。

それは、藤尭朔也が比較的仕事が少ない時に彼の情熱の全てを注ぎ込んで作った人工知能プログラムだ。

神崎蘭子の言語パターンを解析し、本人のように喋るサポートオペレーター。

 

「はぁ…らんらんがいるから頑張れるようなもんだよ」

 

それを横目に友里は気持ち悪っ、と思うが口には出さずスルーする。

藤尭が神崎蘭子の隠れファンである事は友里も知っているので、あまり言わないようにしている。

そもそも、二課内でも非公式に隠れファンクラブが出来るくらい、神崎蘭子は人気なのだ。

下手にツッコミを入れてファンクラブ会長藤尭の蘭子愛に火を付けてしまうと、ただでさえ終わりの見えない仕事が一向に進まなくなる。

 

『闇に飲まれよ!』

 

後日、その人工知能が響や未来に見つかり、彼女達に嘆願され、端末用に改修を加える等の余計な仕事が増える事になるのだが、それはまた別の話。

 

*** 笑顔です ***

 

都内にあるメイド喫茶。

 

響、未来、クリスで集まる時はここを使うのがもはやお馴染みになっていた。

 

響が周囲を見渡す。

今日の客層は…

 

よく見る無表情のミステリアスな女性…アンドロイド疑惑がある。

何故か大量の眼鏡をテーブルの上に置いてうっとりしてる女の子…ちょっと関わりたくないかな…

入った瞬間からクリスちゃんをガン見してる女の子…なんか手つきがいやらしいなぁ…

周りは珈琲とか紅茶なのに1人緑茶とお煎餅を食べている女の子…迷子じゃないよね?『違いましてー』っ!!?直接脳内に!?

 

と、相変わらずのカオスな客層だ。

 

今日も今日とて、蘭子に関する話が白熱してきた所なのだが…

 

「お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様」

 

「あの…やはり私にはこういった場所は…」

 

「えー?P君のケチ☆いいじゃん!ね?」

 

「ん?あー、別にいいんじゃない?飴くれるし」

 

新しい客が来たようだ。

随分賑やかそうだが、よく見ると金髪のギャルっぽい女の子とそれ以外の温度差がかなり激しいようだ。

男性がクリスの方を見て、少し驚く。

もっとも、表情の変化が乏しい彼が驚いているとは、よほど身近で信頼している人間でなければ察せないが。

 

「P君どうしたの?なんかあっちの女の子見てビックリしてたけど」

 

「まー、プロデューサーはプロデューサーだからねー。ビックリするアイドルの卵でも見つけたんじゃない?」

 

「あっ、いえ。知り合いを見かけたもので」

 

「そうなの?挨拶とかしなくていいの?」

 

「はい、お友達とご一緒のようなのでお邪魔しては悪いでしょう」

 

「ふーん。まぁプロデューサーがそれでいいならいいんじゃない?」

 

最後にポツリとプロデューサーと呼ばれた男性が微笑みながら呟く。

 

「いい…笑顔です」




またネタが貯まってきたら、ちょくちょく書く予定。


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堕天せし漆黒の翼 第13話 独奏歌の女王

闇に飲まれよ!(お疲れさまです)

今回からGに入ります。


あれから、夏休みが終わって新学期。リディアン音楽院も無事新校舎に移設が終わって、初日から学校に通える事になった。

 

はぁ、夏休みは楽しかったなぁ…

皆で海行ったり、プールで遊んだりしたので、遠慮無く皆の果実を合法的に拝む事が出来たし。

クリスちゃんはやっぱりG級だったし、奏さんと響ちゃんの自己主張も素晴らしかった。

 

翼さんと未来ちゃんは…うん、やめておこう。

おっぱいはみんな違ってみんないい、だからね。

 

で、そんな新学期も平和に過ぎて、今日は夜から翼さんの復興ライブに行く予定なんだけど、間が悪い事に任務が入った。

なんか、アメリカから来た生医学の権威かなんかの人がソロモンの杖を研究したいから、岩国基地まで輸送する事になったんだが、俺をご指名で護衛してくれだと。

て事で、みんなには先に会場に行って貰って俺だけ後から合流する事になってるんだけど…

 

またノイズが出た。

まぁ、瞬殺したけど。

 

一緒に居た博士が素晴らしいとか散々喚いてたけど、野郎に褒められても嬉しくないんだよなぁ…

あ、でも一緒に来てた友里さんにさすが蘭子ちゃんねって言われたのは嬉しかった。

奏さんとも違う大人の色気があっていいよね。

合コンの成果はイマイチらしいけど。

 

「ソロモンの杖の輸送中に指向性のあるノイズの襲撃…嫌な予感がするわね」

 

一息ついた友里さんが、そんな事を言うが…

 

「魔王たる我に掛かれば、如何なる敵をも撃滅してくれようぞ!!」

 

と返す。正直、響ちゃんやクリスちゃんはもちろん、翼さんにも戦って欲しくないのだ。

これからは、俺1人で全部片付けるつもりで臨まんとな。

 

「ホント、頼もしいわね。頼もし過ぎるくらい」

 

友里さんが微笑む。

大人の色気ってスゲーな…クリスちゃんという嫁がいながら今のはクラッときてしまった。

 

その後は、特に襲撃も無く、モヤシっぽい博士とソロモンの杖を無事に岩国基地まで送り届けて任務完了だ。

 

「お見事です。さすがはルナアタックの英雄!!」

 

モヤシがまたおべっか使ってくる。

まぁ、パフォーマンスもサービスの一環だし、適当に相手しとくか。

 

「我は覚醒せし魔王故、我に不可能などないわ!」

 

まぁ、あんまり嘘でもないのが、この能力の怖いところよね…

 

あ、そうそう、この前のフィーネさんの一件は世間的にルナアタックと呼ばれている。

んで、月の欠片とか処理した結果、俺だけなんか隠し切れなくなったので、事件解決の立役者という事になっているが、早い話、海外旅行とか気軽に行けなくなった。

さすがに報道とかはされてないから、一般の人は知らんけど、政府関係者とかはみんな知ってると思った方がいいと言われた。

なんでも、俺と弦十郎さんの扱いについては、新しい国際法を検討中らしい。

主に危険物取扱的な。

法案が可決されたら晴れて核兵器と同レベルの扱いになるらしい。

新婚旅行は海外にしたかったんだけどなぁ…

 

あっ、なんかモヤシはずっと英雄英雄連呼してたけど聞いてなかったわ。

割と本性は危ない人の匂いがするし、出来れば今後は関わりたくないかなぁ…

 

***

 

任務完了したと思ったら、速攻で基地にノイズが襲いかかってきた。

マジでライブ間に合わなくなるから勘弁して欲しいんだけど…

自衛隊の人とかいっぱいいるから氷の方は使えないし、チマチマ炎で殲滅してたら、ギリギリ間に合わなそうな時間になってしまった…

せっかく運んだソロモンの杖とモヤシが行方不明らしいし、踏んだり蹴ったりだ。

 

とりあえず、弦十郎さんがヘリ出してくれるらしいけど、自分1人で転移した方が早い。

後は友里さんをどう説得するかだけど…

 

「我が跳躍ならば、福音の時を待つ間を作れよう!!」

 

「?どうしたの、蘭子ちゃん?もうちょっとでヘリ来るわよ」

 

やっぱりな!チクショウ…

とりあえず、クリスちゃんに間に合わなそうってメール送っとくか…

 

***

 

「チッ、あのバカ…」

 

端末のメッセージを見たクリスが呟く。

 

「どうしたの?クリスちゃん」

 

響がクリスの様子を見て、声を掛ける。

明らかに苛立っているクリスを見て普段と変わらない態度で接する事が出来るのは、一種の才能と言ってもいいだろう。

 

クリスが無言で端末のメッセージを響に見せる。

 

『香り高き漆黒の生命淹れし者に跳躍の真意を伝える秘術を持たず。我は福音の時を終末に迎えよう』

 

「あぁ…なるほど…蘭子ちゃん、遅れるんだ」

 

横から未来が覗き込む。

 

「友里さんを説得できなかったって書いてるけど、この跳躍って…」

 

「ま、簡単に言うとテレポートだな」

 

「蘭子って何でもアリだね…」

 

そのやり取りを見ていた弓美、創世、詩織が呟く。

 

「ビッキーとヒナだけじゃなく、キネクリ先輩もランランの言葉わかるんだ…」

 

「言葉の壁を越えて通じ合う心、ナイスです!!」

 

「ねぇ、なんで3人共、普通にあの怪文書が読めてるの?アニメじゃないんだよ?」

 

それに対して未来が答える。

 

「わからないの?」

 

「普通にわからないよ!!」

 

「わからないの?」

 

「え?だからわからないよ…」

 

「まぁ、ランランは仕方ない…と、始まるみたい」

 

♪不死鳥のフランメ

 

ステージの上に、ピンクの髪の歌姫と、青の髪の歌姫が登場する。

 

『見せて貰うわよ!戦場(いくさば)に冴える、抜き身の貴女を!!』

 

ピンクの歌姫の挑発的な言葉と共に観客を熱狂させるステージの幕が上がる。

 

誰もが魅入られていた。

登場から僅か2ヶ月で全米のヒットチャートを席巻した、稀代の歌姫マリア・カデンツァヴナ・イヴとその圧倒的歌唱力とパフォーマンスで根強い人気を誇る日本の歌姫風鳴翼の共演だ。

一夜限りの特別ユニットというのは、誰しもに惜しまれるだろう。

 

会場は歓喜の渦に包まれていた。

気付けば、先ほどまで不機嫌な顔をしていたクリスも素直に歌に聴き入っている。

 

「やっぱり、生の迫力は違うねぇ!!」

 

弓美が興奮した面持ちで語る。

先ほどから彼女が持つ2本のサイリウムは忙しなく動いている。

 

「ま、悪くはねぇんじゃねぇか?」

 

クリスがそっぽを向く。

 

「素直じゃないね、クリスは」

 

それを未来が微笑ましく見守る。

 

「あ、MCが始まるよ」

 

壇上の翼が一歩前に出る。

 

『ありがとう。みんな』

 

『私はいつも、沢山の勇気をみんなに貰っている』

 

『だから、今日は私の歌を聞いてくれる人達に、少しでも勇気を分けてあげられたらと思っている』

 

それが、風鳴翼が定めるアーティストとしての己の在り方なのだろう。

奏が引退し、たとえ片翼になったとしても、何処までも高く飛び続けようという、強い意志を皆が感じていた。

 

『私の歌を全部世界中にくれてあげる!!』

 

『振り返らない!全力疾走だッ!!ついてこれる奴だけついてこいッ!!』

 

続けてマリアのMCが始まる。

挑発的な力強い言葉に、観客の一部と生中継を見ている他国の人々の一部は涙を流して拝んでいる人までいる。

当然これは彼女の高いカリスマ性の為せる業である。

某覚醒魔王がこの場にいれば、彼女の呼び名は被虐主義者の誘蛾灯に固定されていただろう。

 

『今日この日に、日本のトップアーティスト風鳴翼と共演出来た事を嬉しく思う』

 

ステージ上の二人が握手を交わす。

 

『私達が伝えていかなきゃね、歌は力になると』

 

『あぁ、それは世界を変えられる力だ』

 

二人の言葉に一層大きな歓声が巻き起こる。

 

『そしてもう一つ…』

 

マリアが前に出る。

翼が困惑している所を見るにリハーサルには無かったアドリブのようだ。

しかし、そんな事を知る由も無い観客達は、次はどんなパフォーマンスを魅せてくれるのか、と期待の眼差しでマリアの一挙一動を見守る。

 

そして、マリアの次の行動と起きた現象に熱狂していた会場は阿鼻叫喚の地獄へと姿を変えられるのであった。

 

***

 

なんか、ライブ会場にもノイズが出たらしい。

まずいな…あの会場には運が悪い事にクリスちゃん達がいる。

起きた問題に対処可能な人がいると、観客に犠牲が出かねん。

まぁ、弦十郎さんならそんな安易な指示を出すとは思えんけど。

 

「はい、はい、現場介入まで後40分という所です」

 

友里さんが本部と通信しているようだ。

とりあえず、このマリアっておっぱいがクリスちゃん並の人が首謀者っぽいけど、さっきのノイズ襲撃とも関係あるんかな?

 

しかし、ノイズが出たなら悠長な事してられんな…

事態は一刻を争うだろうし、友里さんに一言言って先に転移させて貰おう。

 

「香り高き漆黒の生命淹れし者よ、我は先に跳躍せん」

 

「え?蘭子ちゃん、何を…」

 

友里さんの返事を待つ前に転移する。

 

『私達はフィ…』

 

「傷ついた悪姫、我が名はブリュンヒルデ!!」

 

……

………

 

アレー…??なんか刺さる視線が痛いなぁ…




今回は
独奏歌の女王=マリアさん

まぁ、らんらんは空気読まないからね…(笑)

この話を書くのに、G1話を視聴したんですけどね?
気付いたらG13話まで完走してたんだ…

何を言っているのか解らないと思うが、何が起こったのか作者にもわかりません(笑)


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第14話 貶められし堕天使

闇に飲まれよ!(お疲れさまです)

G2話です。
らんらんのせいでカオスです(笑)


『最新の情報が来ました!ノイズを用いたテロ組織の名称は"傷ついた悪姫"!"傷ついた悪姫"です!』

 

アレー?どういう事?

なんか中継のキャスターが興奮しながらよくわからん事言ってるけど…

俺、もしかして名乗ったらまずかった?

 

『ただ今、ブリュンヒルデと名乗る組織のメンバーが登場した事について、各国首脳による緊急会議が開かれるとの事です!』

 

『え?もう!?今、会議の結論が出ました!異例の早さです!各国は"傷ついた悪姫"の要求を全面的に受け入れるとの事です!』

 

『これについて、各国首脳から多数のコメントが寄せられています!"勘弁して下さい"、"何が不満なんですか!"、"考え直して下さい"など様々ですが、どうやら各国首脳にとってこのブリュンヒルデという人物は無視できない存在のようです!一体何者なのでしょうか!?』

 

えぇ…仕事早すぎだろ各国首脳…

しかも勘違いだし…

 

『依然、"傷ついた悪姫"は沈黙を貫いています!今後の声明が待たれます!』

 

いや、俺問題解決しにきた方なんだけど…

なんで今俺待ちみたいになってんの?

 

『そ、そうね…差し当たっては、国土の割譲を求めようかしら』

 

うわっ…ずっる!?乗っかってきやがったよ…

 

『国土割譲!"傷ついた悪姫"の要求は国土割譲です!おっと速報です!全世界各国首脳はこの要求に可能な限り応えるとの事です!』

 

いやいやいや待って待って待って!

本当に待って!

うわっ、クリスちゃんと響ちゃんと未来ちゃんからスッゲージト目で見られてる…

 

やっべ、早くなんとかしないと…

とりあえず、まずはノイズの処理だ。

 

―Laevateinn―

 

炎と共にノイズを殲滅する。

 

「我を謀ろうとは不届者よ!」

 

よし!これで巻き返せる!

 

『無用になったノイズを処理してくれるなんて、助かるわ、ボス。さぁ!オーディエンスの諸君にはご退場願おうか!』

 

おい!ボスって何だよ!?

全力で乗っかってんじゃねぇよ!!

あ、待って!みんな!違う!違うから!

そんなゴミを見るような目で見ないで!

あっ、でもコレなんかゾクゾクしちゃう!

ナニコレナニコレ!?

俺今、絶対開けちゃダメな扉開こうとしてる!!

 

そんなこんなで混乱してる内にいつの間にかみんな出て行っちゃってたんだけど…

 

『どうやら観客は無事解放されたようです!さぁ、次なる"傷ついた悪姫"の行動はどうなるのでしょうか!?』

 

お前もううるせぇよ!!

おかげ様で社会的に死んだよ!!

 

『さぁ!首謀者と見られるブリュン…』

 

急に回線が切れる。

まぁ、こんな中継ずっと流してもいい事無いけど…

え?待って?もしかして、これ、俺世間的にテロリストのままじゃない?

 

「神崎…お前…」

 

翼さんが声を掛けてくる。

 

「蒼゛の゛歌゛姫゛よ゛ぉォォォッ!!」

 

この日、俺は久しぶりに人目を憚らずガン泣きした。

翼さんのおっぱいは柔らかかった。

 

***

 

「よしよし、落ち着け神崎、な?後で私も一緒に弁明してやるから…」

 

「ヒック、グスッ」

 

翼さんにあやされて、ようやく落ち着いてきた。

ジロリとマリアとかいう奴を睨む。

お前…おっぱい揉むくらいで赦されると思うなよ?

 

「う…わ、悪かったわよ…でも、こちらだって口上を邪魔されたのよ!?」

 

謝られても、もう遅い。

ていうか、口上なんて知らん!

 

「ゆ゛る゛さ゛ん゛!」

 

まだ鼻声だな…

でも丁度こいつのせいで、周りに人いないし、気にしない!

とりあえず、拘束しておっぱいを堪能してくれるわ!

 

「封書!!」

 

「クッ、体が…動かない!?」

 

黒い紙の束が現れてマリアを拘束する。

 

エロいおっぱいしやがって…

コイツはドスケベ聖遺物着たクリスちゃんですら拘束から逃げられなかった技だ。

さぁ!お前の罪を数えろ!

 

「ちょっと!?何よ!?そのいやらしい手つきは!?」

 

♪鏖鋸・シュルシャガナ

 

いきなり横から飛んできた円盤みたいなのをジャンプで避ける。

 

「危機一髪」

 

「ホントに色んな意味で危なそうな奴デスね…」

 

なんかよくわからんけど、チビッ子二人組が乱入してきた。

邪魔するならいくらチビッ子だろうとおっぱいを…

 

……

………

うん、なんかごめん。

無い物は、揉めない。

 

「何か赦せない波動を感じた!」

 

「し、調!?どうしたデスか!?」

 

貧しい方のチビッ子が大量の円盤みたいなのを投げてくる。

うわっ、危なっ!

 

「翼さん!蘭子ちゃん!」

 

「お前一体何やってやがんだよ!」

 

後ろから響ちゃんとクリスちゃんが来たようだ。

うわぁ…なんか気分的に前門の(貧乳)、後門の(巨乳)って感じなんだけど…

 

***

 

「もうやめようよ!今日出会った私達が争う理由なんて無いよ!」

 

響ちゃんが叫ぶ。

いや、俺にはあるけどね?

マリアだけは絶対に赦さんよ?

 

「…偽善者」

 

しかし、そんな軽い事を考えてた俺に…聞き捨てならない言葉が聞こえてくる。

 

「偽善だなんて、私…そんな…私はただみんなを助けようと…」

 

「それこそが偽善!」

 

「痛みを知らない貴女に…」

 

次の言葉が出てくる前にパァン…と乾いた音がした。

 

「蘭子…ちゃん?」

 

頭に血が昇りすぎて、気付けば体が勝手に動いていた。

赤い頬のチビッ子がこちらを睨み付ける。

 

「いきなり何を…」

 

「貴様に輝き持ちし者の何が解るッ!!」

 

もう怒りに任せて体が勝手に動くのを止めるつもりも無かった。

そのまま、チビッ子を膝に抱き抱えて、お尻に手を当てて…

 

「ちょ!?何を…」

 

「悪しき小童には、獄刑をくれてやるわ!!」

 

そのまま、お尻ペンペンの刑に処す。

パァン、パァンと何度もリズミカルにチビッ子のお尻を叩く。

 

「やめっ、痛ッ…あう!」

 

出てくる言葉が違う。

叩く手を強める。

 

「お前!クッ…ゆるさ…ウグ」

 

まだ叩かれ足りないみたいだね?

よし、もっといっちゃおう。

 

「ヒグ…うぅ…ごめんなさい!ごめんなさい!」

 

ようやく謝ったか…

………ん?

 

「うわぁ…」

 

「お前…」

 

「神崎…」

 

「………」

 

「ちょ…ちょっとやりすぎデスよ…」

 

気が付けば周りのみんなが敵味方問わずドン引きした目で見ていた…

アレ?もしかしてやり過ぎた?

 

***

 

「し、調!大丈夫デスか!?」

 

「大丈夫じゃないよ、切ちゃん…まだお尻が痛い…」

 

豊かな方のチビッ子が貧しい方に駆け寄る。

まぁ、やり過ぎたかも知れんが、俺だって親友を侮辱されたんだ。

そもそもマリアに対しては俺、完全に被害者だし。

よってマリアもお仕置きするべきだと思います。

 

でも何だろう?

なんかさっきから、貧しい方のチビッ子に熱を帯びた目で見られてる気がする…

 

「じー」

 

気がするも何も目の前まで来てたわ…

しかも、自分で効果音出しちゃうんだ…

 

「ど、どうしたデスか、調!?そいつは危ないから離れるデスよ!!」

 

「調!そいつは何をするかわからないわ!早く離れなさい!!」

 

おい、二人揃って人を危険人物呼ばわりするな!

俺はちょっとおっぱいが好きでチート能力持ってるだけの至って普通の女子高生だよ?

自分で言ってみてなんだけど、ビックリする位普通要素無かったけどね!

 

「我に何用か?」

 

「名前…教えて?」

 

「我が現世での仮初めの名は神崎蘭子という」

 

「蘭子…うん、覚えた。私は月読調。調って呼んで?」

 

「おい!調子乗ってんじゃねぇ!名前呼びなんてアタシだって!」

 

いや、呼びたくても謎フィルターで翻訳されちゃうからね?

後、クリスちゃんは何でそんな怒ってんの?

 

「そんな事より、この状況どうするの!?」

 

うん、響ちゃんの言う通りだ。

 

「………」

 

「………」

 

マリア達と睨み合う。

若干一名妙に熱い視線を送ってきてる気がするが、気のせいだろう。

お尻ペンペンの加害者と被害者だし。

 

「…今回は退かせて貰うわ」

 

「逃がすとでも?」

 

翼さんが凄むが…

 

「逃げられないとでも?」

 

マリアがそう返す。

うん、お前だけは絶対に逃がさんけどね?

 

「封書!!」

 

もう一度マリアを拘束する。

 

「何なのよ!?コレ!?初動が速すぎて反応できないし…こんな事ってあり得ない!」

 

「調!!マリアを抱えて逃げるデスよ!!」

 

「うん、切ちゃん…蘭子、またね」

 

「クッ、待て!!」

 

翼さんが追いかけようとするが、間にまたしてもノイズが立ち塞がったため、みすみす逃してしまったようだ。

まぁ、あの拘束してる時点で無駄なんだけどね!

 

「跳躍せよ!」

 

遠くから…

 

「ギャー!?マリアがいきなり消えたデスよ!?」

 

という声が聞こえるが、今は放っておこう。

 

じゃあ、さっさとノイズ片付けよっか!

後にお楽しみタイムが待ってるからね!

 

…今何やったのか察してるっぽいクリスちゃんの視線が物凄く痛いなぁ…

 

***

 

色々あって疲れたが、ようやく帰ってきたマイホーム。

冤罪の件はあの後、響ちゃんとクリスちゃんと翼さんが必死で説得してくれて、なんとか弦十郎さんの方で便宜を図って貰える事になった。

 

んで、その首謀者だが…

 

「何なのよ、これ!?私に一体何をした!?」

 

「はぁ…やっぱり家に送ってやがったのかよ…」

 

我が家に転送しておいた。

一応、我が家は防音完備の筈だが、喚かれてただのやかましいマリアとか誰得なので、口にガムテープ貼っとこう。

 

「ムグ!?ムグムグ!!」

 

「お前…なんか妙に手馴れてやがんな…んで?コイツどうすんだ?」

 

それはもちろん、このエロいおっぱいを…

 

…ちょっと待て、クリスちゃんいるじゃん…

未だに添い寝から発展しないくらい純心なクリスちゃんが横にいたら転生前に持ってたウ=ス異本直伝の変身ヒロイン凌辱フルコースとか絶対出来ないじゃん…

せっかく触手とか用意しようと思ったのに…

 

え?普通にどうしよう…




今回は
貶められし堕天使=冤罪ふっかけられたらんらん

途中からかなり不可抗力もあるけど、元を辿れば自業自得という(笑)
どうやら、国際的に核兵器と同等扱いという事をかなり甘く見ていたようです。
転移で神出鬼没で広範囲殲滅能力アリとか考えたらジッサイ、核よりも質悪いしネ!


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第15話 沈黙の魔王

闇に飲まれよ!(お疲れさまです)

G3話です。
ますますカオスです(笑)


あれから1週間経った。

 

あの全世界生中継のせいでしばらく学校には行かない方がいいだろうというお達しが出たので、自宅待機してるんだが…

 

「暇を持て余した神々の遊び…」

 

特にやる事も無いので、こうやって一日中ぐうたらしている。

それもこれも…

 

「どうしてそんなにだらけられるのかしら!?ホラ、お菓子のゴミくらい自分で捨てなさい!あっ、もう口の周りこんなにして!寝転びながらお菓子食べるのやめなさい!」

 

全自動家事ロボットがいるせいだ。

なんでこんなに世話焼いてくんの?

なんなの?オカンなの?

思わず転生する前のオカン思い出したわ…

 

「慈愛の聖母よ…」

 

「なにかしら?ようやく私を解放する気になったのかしら?」

 

うん、それは無い。

正直、今の生活を知ってしまうと前に戻れる気がしない。

 

「渇きを潤せし、生命の雫を所望する」

 

「ふふ♪はいはい…紅茶でいいかしら?」

 

「善きに計らうが良い」

 

あぁぁぁ…どんどん人間が駄目になっていく…

言ったらだいたい何でもやってくれるし、言わなくてもだいたいやってくれる。

快適過ぎて駄目になる…

 

…もしかしてコイツ…世に出すとダメ男量産機とかになるんじゃない?

 

「はい、できたわよ。ミルクはたっぷり、砂糖は少なめで良かったわよね?」

 

…うむ、これは世の殿方達の為にも、我が家に常駐してもらうべきではないだろうか?

そうだよね?それがいい。

 

「たでぇま…」

 

ん?クリスちゃんが帰ってきたみたいだ。

て事は…はぁ…また始まるのか…

 

「あっ!!おいっ、てめえ!!何度も言ってるだろ!勝手に物動かしてんじゃねぇよ!!」

 

「あら?私はただ、より使いやすくしただけよ?それに貴女、キッチン周りの掃除が甘いのよ」

 

「なんだとてめえ!!」

 

相変わらず仲悪いなぁ…

仕方ない。そろそろ仲裁を…

 

「豊穣の女神、慈愛の聖母よ…」

 

「お前は黙ってろ!!」

「貴女は黙ってなさい!!」

 

はい…

こういう時は仲良く二人揃うのに、なんで普通に仲良くできねぇんだよ…

はぁ…毎回喧嘩を横で見せられる立場にもなって欲しいわ…

 

***

 

『続いてのニュースです。先日樹立した新国家「傷ついた悪姫」ですが…』

 

『今話題沸騰中の風鳴翼さんの防人式ダイエットを徹底取材してきました』

 

クリスちゃんに露骨にチャンネルを変えられる。

あの事件以来、この話題は我が家ではタブーになっている。

 

まぁ、だいたいの国家情勢とかは響ちゃんとかから聞いてるから、ある程度知ってはいるんだけどね。

どうやらマリアのお仲間は何故か知らんけど日本の近畿地方から東海地方の西部あたりを指定して新国家を樹立したらしい。

国家名に傷ついた悪姫とか付けるのやめて欲しいんだけど…

各国政府は、向こうに俺がいると思ってるみたいで、当面は不干渉を貫くみたいだし、膠着状態が続いている。

まぁ、こっちは本当の首謀者っぽいマリアを押さえてるので、すぐに動く事は無いだろうと思う。

なので、今は完全に弦十郎さん達が事態を収拾してくれるのを待ってる状態だ。

気軽に外も出歩けんので、マジで早くなんとかして欲しい。

 

あれ?そういやあれだけ騒ぎになって、ネット上とかどうなってるんだ?

まぁ、全世界生中継されてるし、新しい国出来てるから割と騒ぎになってそうな気はするけどね…

明日クリスちゃんがいない間にちょっと見てみようかな。

 

というか…

 

「おいっ、こっち狭いんだよ!もっと向こう行けよ!」

 

「こっちこそ狭いのよ!そんなに狭いなら貴女は床で寝たらどうかしら!?」

 

「てめえこそ床で寝ろよ!!」

 

「混沌せし閨よ…」

 

寝る時まで俺挟んで喧嘩すんのはマジで止めて欲しい…

まぁ、クリスちゃんとマリアのおっぱいに挟まれてるので絶景ではあるんだけどね?

右見ても左見てもおっぱいがあるとか、マジで贅沢なんだが、もうちょっと仲良くしてくれたら最高なんだけどなぁ…

 

***

 

次の日。

さて、クリスちゃんが学校に行って、マリアはせっせと掃除してるので、今のうちにネット見てみるか…

ノートパソコンを開き昔暇だった時によく見てた某大手掲示板のurlを叩くと…

 

【傷ついた悪姫】ブリュンヒルデちゃん総合スレpart43(393)

ブリュンヒルデちゃん可愛い過ぎワロタw(68)

ブリュンヒルデちゃんについて語ろう(721)

ブリュンヒルデちゃん特定を目指すスレ(45)

大天使ブリュンヒルデちゃんをすこれ(124)

マリアさんについても語ろうぜ?(84)

可愛い過ぎる大統領がいるらしい(999)

【ぐぅかわ】ブリュンヒルデちゃん画像スレ(830)

 

えぇ………ナニコレ……

とりあえず、嫌な予感しかしないけど総合スレ見てみるか…

 

1:名無し XXXX/10/11 ID:3daimecgsisters

 

ふーん、この娘が大統領?

まぁ、悪くはないかな

 

2:名無し XXXX/10/11 ID:hshs4knyan

 

ブリュンヒルデちゃんマジ天使w

hshsしたい、絶対いい匂いするわwww

 

3:名無し XXXX/10/11 ID:kwsmsn

 

>>2

わかるわ

 

4:393 XXXX/10/11

 

ブリュンヒルデちゃんは俺の嫁だからwww

お前らはマリアさんの話でもしてろよw

 

5:名無し XXXX/10/11 ID:superzangetime

 

まーたクソコテ湧いてんよ…

大天使ブリュンヒルデちゃんがお前みたいなキモオタ相手にするわけないだろ

 

6:名無し XXXX/10/11 ID:gungnirgirl

 

ブリュンヒルデちゃんはどちらかというと俺の旦那だからwww

 

7:名無し XXXX/10/11 ID:3daimecgsisters

 

どういう事だよ…

 

8:名無し XXXX/10/11 ID:zababas

 

ブリュンヒルデちゃんに踏まれたい

 

9:393 XXXX/10/11

 

愛の前に性別とか無意味

はっきりわかんだねww

 

10:名無し XXXX/10/11 ID:superzangetime

 

>>9

お前もしかして女かよw

ま~ん(笑)

 

11:名無し XXXX/10/11 ID:atsumix

 

ブリュンヒルデちゃんのお山に登りたい

 

12:名無し XXXX/10/11 ID:sogebu3

 

ブリュンヒルデちゃんに眼鏡掛けさせたい

 

13:名無し XXXX/10/11 ID:carolnine

 

ブリュンヒルデちゃんの事を考えると臍下あたりがむず痒くなるわ

 

14:名無し XXXX/10/11 ID:zababas

 

ゴミを見るような目で蔑まれたい

 

15:名無し XXXX/10/11 ID:gungnirgirl

 

お前ら欲望に忠実過ぎだろww

 

……

………

そっとノートパソコンを閉じる。

うん、俺は何も見なかった。

 

クリスちゃんが話題にしたがらない訳だよ…

 

***

 

某所。

 

「それで、マリアは見つかったのですか?」

 

新国家『傷ついた悪姫』の大統領代行、ナスターシャ教授が偵察に出ていた月読調と暁切歌に問いかける。

 

「わからない。けど、蘭子に捕まってる可能性が高いと思う」

 

「近くまでは偵察出来たデスが、特異対策機動部二課のマークが厳しくて、なかなかチャンスが見つからないデスよ」

 

調と切歌が答える。

自分達の姉代わりでもあるマリアを純粋に心配しているが、なかなか成果は出ていないようだ。

 

「最悪、死亡している事も視野に入れるべきですねぇ…その場合、次のフィーネの器はお二方のどちらか、という事になりますね」

 

最後の1人、ウェル博士がそう発言するが…

 

「縁起でも無い事言うなデスッ!!」

 

「蘭子はそんな事しないッ!!」

 

即座に二人が否定する。

二人はウェル博士に対して明らかに敵意を向けている。

どうやら、組織として一枚岩という訳でも無いようだ。

 

「しかし、肝心の大統領も新生フィーネも不在では手の打ちようがありません。ネフィリムの餌の聖遺物だって底をつきかけているのですよ?そろそろ我々も動くべきでは?」

 

「……わかりました。では、マリアの捜索は現時点を以て打ち切り、次の作戦行動はネフィリムの餌となる聖遺物の調達を優先としましょう」

 

「マム!?そんな…それじゃあマリアは…」

 

「そんなの絶対に納得いかないデスよ!!」

 

「お黙りなさい。我々の目的をはき違えてはなりません」

 

ナスターシャ教授の言葉に二人が押し黙る。

 

「そう、人類の未来は我々の双!肩!にかかっているのですからッ!いつまでも生きてるか死んでるかわからない女に固執していては、英雄にはなれませんからねぇッ!!うふふふ、うひゃひゃひゃひゃひゃっ!」

 

静寂の中、狂気染みたウェル博士の嗤い声だけが辺りに響いていた。




今回は
沈黙の魔王=大人しくしてるらんらん

おまけ
唐突な現時点の好感度チェック
■立花響
らんらんLOVE勢1号。
中学時代に助けて貰ったと感じており、らんらんを旦那と認識している。
熊本弁検定1級

■小日向未来
らんらんLOVE勢2号。
中学時代から保護対象として見ており、らんらんを嫁と認識している。
熊本弁検定準1級

■風鳴翼
らんらんのセクハラ被害者。
絡む度に高確率でセクハラされているが、本人にセクハラされている自覚は無い。
防人語免許皆伝

■天羽奏
らんらんは可愛い後輩。
特に恋愛感情は無いが、相方をいい意味で変えつつあるらんらんに感謝している。
熊本弁はニュアンスはわかる程度

■雪音クリス
らんらんLOVE勢3号。
唐突に頭角を現した嫁。
エロに耐性は無いが、知識はある模様。
らんらんの視線などには気付いてるし、むしろ響や未来に対して優越感すら持っていたりする。
熊本弁検定1級

■マリア・カデンツァヴナ・イヴ
らんらんはなんかほっとけない。
エロに関しては純白イノセント(笑)
何故かクリスとは日夜嫁姑みたいな言い争いをしている。
熊本弁検定2級

■月読調
らんらんLOVE勢4号。
お尻ペンペンされて色々と目覚めてしまった。
ある意味被害者。
熊本弁検定初級

■暁切歌
普通にらんらんは敵。
やはり常識人は違うらしい。
熊本弁理解不能


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第16話 魔王の天敵

闇に飲まれよ!(お疲れさまです)

少し空いてしまいましたが、G4話です。


なんかクリスちゃんが出張任務とか言って、数日家を空ける事になった。

えぇ…マリアと2人とか絶対にヤバいじゃん…

確実にダメ人間になれる自信がある。

 

「いいか、てめえ!絶対に勝手な事すんじゃねぇぞ!」

 

「ふん!蘭子の面倒は私が見るから貴女は早く行きなさい」

 

「全っ然わかってねぇじゃねぇかッ!!いいか!?3日で帰ってくるからな!」

 

そう言って、クリスちゃんは行ってしまった…

 

「ふふ♪二人きりね」

 

お前、捕虜の自覚ある?

なんでちょっとテンション上がってんだよ…

 

***

 

当時の状況について、元暴走族メンバー、只野茂武雄(19)は語る。

 

「なんかその日はァ、新入りの肝試しってヤツで近所でも有名な心霊スポットの廃病院に行ってたんスよ」

 

「そしたらネ?なんかいきなりノイズとかが出てきてェ、あっ、コレ俺死んだわって…こんな時に幽霊じゃなくてノイズに遭うなんて、マジついてないっスよ」

 

「もうノイズに迫られて、今から死ぬんだなぁって時にね、走馬灯って言うのかなぁ…短い人生だけど色々思い出したんスよ、そういや、お袋にキツい当たり方して、暴走族なんてやってたなぁ、とかね?まぁ、もう死ぬ間際の最後の後悔って言うんスかね?」

 

「でもね?いるんだなぁ、天使って…もうノイズに囲まれてダメだぁ…ってなった時にサ、なんかピンクと緑の派手な服着た二人組の女の子達に助けられたんすよ」

 

「ア…コレ言っちゃマズイ奴っすかね?とにかく、その子達にはマジで感謝っすね。なんか、同じような服着た女の子達とランコ?がどうのこうの言い争いしてたけど、大丈夫かなぁ…ま、その子達に助けられてから、暴走族なんて足を洗いましたよ」

 

「今?今はお袋と一緒に新しい国に国籍変更の申請出しながら、勉強中っスね。あの子達、あっちの国の重役みたいなんで…あ、別に恩返しとかそういうんじゃないんスよ。ただ、単純に力になりたいなって…」

 

「絶対絶命のピンチの時に歌が聞こえてくるなんて…そんなの諦められなくなるじゃないっスか」

 

***

 

ヤバい…マジでヤバい。

何がヤバいって…

 

「はい、アーン♪」

 

この駄目人間製造機だ。

今日1日、気付いたら晩飯の時間になってたくらいに何もやってない。

食事すら口を動かすだけで終わるとかどうなってんの?

このままでは、ヒモにジョブチェンジしてしまう…

一番ヤバいのは、それでも別にいいか、と思い始めてる事なんだが…

 

「それじゃあ、お風呂入りましょう♪私が洗ってあげるわ♪」

 

…それだけはアカン。

それを受け入れてしまうと、もう戻れなくなる予感しかしない。

 

「慈愛の聖母よ!我が湯浴みは魔力を高める儀式故、余人には…」

 

「いいから行きましょ♪」

 

…こうして、マリアに引き摺られて全身くまなく洗われたのだった…

最後の抵抗でその豊かなおっぱいを堪能させてもらったが、全くエロい反応無くて悲しくなるだけだった。

洗ってる時の手つきも普通だったし、もしかしてコイツ…

 

「ほらっ、髪乾かすわよ」

 

うん、確定だわ…

今も後頭部におっぱい当たってるけど、反応普通だし、たぶん完全にオカンになってる。

おっぱいは女の子の反応ありきで楽しむものなのに、これじゃ台無しだよぉ…

 

***

 

「ただいま…やっぱここがアタシの帰る場所だな」

 

クリスちゃんが帰ってきた。

この日をどれだけ待ち望んだか…

 

「豊穣の女神よぉォォォォッ!!」

 

感極まってクリスちゃんに抱き付く。

もうあの世話焼きモンスター嫌だ。

 

「ちょッ!!?おま、どどどうしたんだよ!!?」

 

「蘭子待ちなさい!!まだ髪のセットの途中よ!!」

 

モンスターが後ろからやってくる。

やだ、怖い。世話焼かれるの怖い。

 

「おい!!てめえッ!!怯えてんじゃねぇかッ!!何してやがんだよッ!!」

 

「あら?帰ってたのね?今蘭子の髪をセットをしてる途中なの。邪魔しないでくれるかしら?」

 

「ほたえてんじゃねぇぞッ!!本人が嫌がってんのに邪魔もクソもあるかよッ!!」

 

さすがクリスちゃん、我が嫁だ。

モンスターにまったく怖じ気付く素振りもない。

 

「あら?せっかくキレイな髪をしてるのに、お手入れしないなんて勿体無いと思わないかしら?」

 

「うっ…それはまぁ…」

 

おや?なんか雲行きが怪しく…

 

「こう言えばいいかしら?1人でやれば時間が掛かるし本人も嫌がる。では、二人でやれば?」

 

「…時間は半分って事か」

 

クリスちゃんにホールドされる。

アレ?もしかして…

 

「大丈夫、痛くしないから、ね?」

 

「ちょいとばかし我慢してくれよな?天井の染みでも数えときゃ終わるからよ?」

 

この後めちゃくちゃ髪のセットされた…

 

***

 

さて、クリスちゃんもマリアも寝たので、ようやく解放された。

寝る前までがっちりロックされてたので、抜け出すの大変だった。

 

外には出れんけど、情報収集くらいはやっとかんとね…

あまり見たくはないんだけど…口コミレベルの話でないと二課の隠蔽工作のせいで、情報集まらんから仕方ない。

再び某掲示板のurlを叩く…

 

また総合スレでいいか…part83ってどんだけ増えてんだよ…

 

1:名無し XXXX/10/21 ID:darkilluminateA

 

ボクのツガイは非日常セカイの住人になってしまったようだね…

悲しめばいいのか、喜ばしい事なのか…

それこそ神のみぞ知るって事なのかな?

 

2:名無し XXXX/10/21 ID:lockgirl

 

なんかやべー奴来たww

マジこの板ロックな奴大杉ワロタww

 

3:名無し XXXX/10/21 ID:noanyan

 

彼女は私と同じく星を観る者

月の光が人を惑わせるように、彼女の光もまた人を魅了する、それだけの事

 

4:393 XXXX/10/21

 

ご本人の真似事とか草ww

ブリュンヒルデちゃんはもっと高度な言語だからww

 

5:名無し XXXX/10/21 ID:zababas

 

この豚って罵られたい

 

6:名無し XXXX/10/21 ID:39nyannyan

 

この板、いつもカオスですよね

 

7:風鳴翼 XXXX/10/21

 

みんなに人気なのだな

先輩として誇らしく思う

 

8:名無し XXXX/10/21 ID:lockgirl

 

>>7

こマ?

ご本人?

 

9:名無し XXXX/10/21 ID:39nyannyan

 

さすがに無いんじゃないですか?

 

10:風鳴翼 XXXX/10/21

 

信じてもらえないかもしれないが、私は…くぁwせdrftgyふじこlp

 

11:名無し XXXX/10/21 ID:lockgirl

 

翼さんご乱心www

 

12:名無し XXXX/10/21 ID:39nyannyan

 

落ち着いてww

 

13:風鳴翼 XXXX/10/21

 

すまない。

奏に止められて途中で送ってしまった。

 

14:名無し XXXX/10/21 ID:lockgirl

 

なんかマジでご本人っぽいww

 

15:名無し XXXX/10/21 ID:39nyannyan

 

え?じゃあ、翼さんの後輩って事は…

 

急に掲示板がエラー画面に変わる。

あ、コレ藤尭さんあたりの仕業かな?

 

ていうか、翼さん何してくれてんの!?

短い期間だけど割と濃い付き合いしてるからわかる、アレ絶対ご本人だよ…

 

***

 

翼さんのおかげで、ますます学校に行けなくなった。

まぁ、本人に悪気がまったく無いのと、目が死にかけてる藤尭さんと友里さんのおかげですんでのところで致命的な情報漏洩は食い止めて貰えたみたいなので、怒るに怒れない。

チクショウ…せっかくクリスちゃんと学祭回るの楽しみにしてたのに…

いっそ開き直って堂々と学祭を満喫してやろうかと思わんでもないが、弦十郎さんが必ず何とかすると言ってくれているので、大人しくしておく事にした。

んで、せっかくの学祭だが、行けなくなってしまったので…

 

「~♪」

 

「我が魔力が喪われていく…」

 

家でマリアに膝枕で耳掃除されている。

もう、完全に世話焼かれる事を諦めている。

他人から見たら今絶対レイプ目してると思うわ…

 

***

 

私立リディアン音楽院の秋桜祭特別ステージ。

 

優勝すれば、生徒会権限で願い事が一つ叶えられるという事で、沢山の生徒が参加している。

 

先ほど、アニメ大好きな女の子を中心とした、電光刑事バンの主題歌が終わったところだ。

結果は残念だったが…

 

『さて、続いての挑戦者です!』

 

♪教室モノクローム

 

次の挑戦者が壇上に現れると、それを見ていた響と未来が驚愕する。

 

「響…あれ…」

 

「うっそぉぉっ!!?」

 

翼が響の横に座る。

 

「雪音だ、私立リディアン音楽院2回生の…雪音クリスだ」

 

―少女の胸に色々な想いが込み上げる。

 

思えば、散々な出会いだった。

敵として戦って、コテンパンにやられて…

話しても意味わからない言葉ばかりで…

でも…命を救って貰った。

手を差し伸べて貰った。

 

それから、色々な事を二人でやって、色々な想い出をくれて…

日陰でしか生きてこなかったアタシにとって、ここは暖かすぎる…

でも、悪い気はしない。

 

ありがとう。心から…

 

はっきり気持ちを聞いた訳じゃないけど、アイツもアタシを好きでいてくれると嬉しいな…

だから、アタシの帰る場所は…いつだって、どうしようもなく、アイツの隣なんだ。

 

クリスが歌い終わると、会場からは割れんばかりの盛大な拍手が巻き起こるのであった。




今回は
魔王の天敵=世話焼きモンスターと化したたやマさん

マリアさん、まさかのらんらんを完全封殺するという超活躍ぶり。

おまけ
らんらんプロフィール

名前:神崎蘭子
年齢:16
BWH:闇に飲まれよ!
使用聖遺物:レーヴァテイン、ニヴルヘイム
好きな物:ハンバーグ、おっぱい
嫌いな物:自分を性的に見てくる男性
天敵:マリア・カデンツァヴナ・イヴ、風鳴弦十郎、プロデューサーのお兄さん


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第17話 憤怒抱きし魔王と禁忌の少女

闇に飲まれよ!(お疲れさまです)

G5話です。


何故かクリスちゃんが張り詰めた顔をしている。

声を掛けても「なんでもねぇ」の一点張りでよくわからん。

あのチビッ子達に挑戦されてたのと、何か関係あるんかな?

ん?何で知ってるかって?

見てたからね?

 

『やみにのまれよ』

 

久々登場のちっちゃい俺だ。

クリスちゃんや響ちゃん、未来ちゃんなど主要メンバーにはいつも監視を付けてるのだ。

まぁ、相変わらず報告内容はよくわからんのだけどね…

 

んで、視覚共有して見てたけど、なんかチビッ子達に決闘とか言われてたっぽい。

んー、さすがにそれは介入した方が良さそうかな?

響ちゃんの様子もなんか元気無くてちょっと心配だしね。

それに、女の子同士なんだから決闘みたいな血生臭い事やるより、キャッキャウフフな百合の花を咲かせたらいいと思うの。

その光景が見れるなら、俺は全力で応援するのも吝かではない。

 

「じゃ、アタシはちょっと散歩してくるわ」

 

「そ…じゃあ私は蘭子をお風呂に入れるわね。さ、蘭子行きましょ♪」

 

マリアに有無を言わさず引き摺られていく…

もはやこの扱いにも慣れてしまったな…

 

***

 

神崎蘭子に散歩と言って家を出た雪音クリスは、そのまま特異対策機動部二課へと足を運ぶ。

丁度、風鳴翼が敵性装者が申し出てきた決闘について、報告しているところだった。

 

「あ、クリスちゃん…」

 

「シけた面してんじゃねぇよ、お前はバカみたいに底無しに明るいのだけが取り柄じゃねぇか」

 

元気の無い立花響にクリスが言う。

不器用ながら彼女なりの同僚への激励なのだろう。

 

「うん…そうだね…くよくよするなんて私らしくなかったかも…でも、決闘なんて…私達、ホントに解り合えないのかなぁ?」

 

「立花…」

 

「通じないなら通じ合うまでぶつけてみろ!言葉より強い力がある事を知らぬ君たちではあるまい」

 

響の頭に手を置き、風鳴弦十郎が檄を飛ばす。

 

「師匠…言ってる事、全然わかりません…でも、やってみますッ!!」

 

その光景を天羽奏は何も言わず微笑みながら見守る。

あぁ、きっとこの子はもう大丈夫だ、と。

その時…

 

「ノイズの反応パターンを検知!この場所は…」

 

藤尭朔也がノイズ出現を報告する。

 

「狼煙とは古風な真似を…」

 

「特別封鎖地域、カ・ディンギル跡地です!」

 

***

 

カ・ディンギル跡地。

 

先日、フィーネのルナアタックによって崩壊した地域だ。

そこに赴く3人を待ち構えていたのは…

 

「ようやく来ましたねぇ!待ちくたびれて眼鏡がずり落ちるところでしたよ!!」

 

「…誰?」

 

「さぁ?おめぇ知ってるか?」

 

「いや、私も初対面だ」

 

「それよりも、調ちゃんと切歌ちゃんは!?」

 

「英雄であるボクをそれよりも呼ばわりは納得いきませんが…彼女達なら謹慎中ですよ、だからボクがこうして出張ってきてるワケです!!」

 

ウェル博士がソロモンの杖を翳すと大量のノイズが現れる。

 

「チィッ!!誰かは知らねぇがソロモンの杖をッ!!」

 

「英雄になるボクを知らないなんて、無知なお子さまには、ここで我々の糧になって貰いますよ!!」

 

「何を企てるF.I.S.!!」

 

ノイズを処理しながら、翼が問う。

 

「企てるゥ?人聞きの悪い」

 

「我々が望むのは人類の救!済!月の落下にて損なわれる無辜な命を可能な限り救い出す事ですよッ!!」

 

「月が…落ちる…?」

 

「馬鹿な!?そんな事を各国政府が黙っている筈が…」

 

「黙ってるに決まっているでしょう!自分達で処理できない極大の災厄を前に一体何が出来るというのですか?」

 

「さぁ、お話はここまでです!我々の人類救済の礎となりなさい!」

 

「なッ!!?ぐぁっ!!」

 

突如、地中から現れた黒い自律型聖遺物、ネフィリムの攻撃がクリスに直撃し、クリスが意識を失う。

 

「雪音!?くっ!?」

 

駆け寄った翼もノイズの粘着性の糸に絡まれる。

続いて唯1人自由に動ける響にネフィリムが襲い掛かるが…

 

―Laevatein―

 

炎の柱がネフィリムと周囲のノイズを包み込む。

 

「ヒィィッ!!?な、何者だぁッ!!?」

 

「傷ついた悪姫」

 

「我が名はブリュンヒルデ!!」

 

漆黒の衣を纏う堕天使が舞い降りた。

 

***

 

よし、やっとマリアが寝てくれたから出て来れたわ…

さ、我が嫁クリスちゃんを助ける為に早速…

ん?あのモヤシ生きてたの?

チビッ子達は出てきてないみたいだし、状況どうなってんの?

ってクリスちゃんが倒れてる!?

 

「…誰だ」

 

「神崎?」

 

「蘭子…ちゃん?」

 

「我が眷属に不敬を働きし不届者は誰だッ!!!」

 

俺の怒りに呼応して、炎の渦が巻き起こる。

 

「ヒィィッ!!?貴女はこちら側じゃ…仕方ない!!ネフィリム、アイツを…神崎蘭子を排除しろォ!!」

 

狼狽えるモヤシの号令で黒い変な奴が襲い掛かってくる。

…お前か?

まぁ、許すつもりなんて欠片も無いし、どうでもいいか。

ただ、消えろ。

 

―獄炎ノ一閃―

 

炎の刃で切り裂く。

が、あまり効いていないのか、斬った先から再生しているみたいだ。

 

「うひ、うひひひひ…ネフィリムは暴食の力で炎を操る完全聖遺物ゥ!そう!貴女の力は、ネフィリムにとってエサも同然ッ!!」

 

「この力が…ネフィリムがあれば!ボクこそが英雄だぁァァァッ!!」

 

―Absolute Zero―

 

「うひ?」

 

炎が駄目なら、凍らせるだけだ。

強制的に対象の温度を絶対零度にする技を受けて、黒い奴は凍り付く。

人に向けて撃つのはさすがに気が引けるけど、コイツなら遠慮無しだ。

 

「な…なんですかァ!!?その技は!!?聞いてない、聞いてないですよォッ!!?」

 

知るか。

こっちは今頭にキてんだよ!

 

「穿て!」

 

「止めろォォォォッ!!」

 

合図と共に黒い奴が砕ける。

 

「ヒ、ヒィィィィィッ!!?」

 

モヤシが何回も転けながら逃げて行く。

まぁ、逃がさないけどね?

 

「封書!!」

 

とりあえず、拘束しといて後でお仕置きだ。

そんな事より、今はクリスちゃんだ。

 

「豊穣の女神よ!!」

 

「ん……はは、お前なんでいんだよ…黙って終わらせようと思ってたアタシがバカみてぇじゃねぇか…」

 

良かった…怪我はしてるけど無事みたいだ。

さて、それじゃあクリスちゃんを傷つけた奴に報いを受けさせないとな。

でも相手男だし、テンション下がるなぁ…

男の娘なら一考以上の価値があるんだけど、どう見てもヒョロガリのモヤシだしなぁ…

 

♪獄鎌・イガリマ

 

とかなんとか拷問方法を考えてたら、モヤシを拘束してた紙が切り裂かれる。

 

「下手打ちやがって、このキテレツ!!さっさと撤退しやがれデス!!」

 

「蘭子…」

 

えぇー、ここでチビッ子出てくんのかよ…

 

「調、やるデスよ!!」

 

「蘭子…」

 

ん?なんかピンクの方のチビッ子…調ちゃんだったか?

見るからに赤い顔してるし、どうしたの?

熱でもあんの?今日はもう帰ったら?

 

「どうしたデスか、調!?」

 

「蘭子に敵意を向けられるのも…いい」

 

………はい?

ちょっと待って?俺の聞き間違いかな?

 

「ハァ…ハァ…敵なら蘭子に罵られ放題…これはいい…すごくいい」

 

「し、調!?なんでそんなに息が荒くなってるデスか!!?大丈夫なんデスか!!?」

 

…なんかしばらく見ない間にロリっ娘が開いてはいけない扉を開いてたんだけど…

マリアはオカンだし調ちゃんはMだしモヤシはマッドだし、もうヤダこの集団…

まともそうに見える切歌ちゃんも語尾がちょっと変だし、なんかありそうって疑っちゃうわ…

 

***

 

「と、とにかく仕切り直すデス!!」

 

切歌ちゃんがそう言う。

まだモチベ続くのすごいね!!

俺もう戦う感じじゃないんだけど…

 

「な、何してやがるデスか!!さっさと構えるデスよッ!!」

 

え?ヤダよ…だって…

 

「蘭子のオシオキ…ハァ…ハァ」

 

どう見ても攻撃がご褒美にしかならなそうじゃん…

そういうプレイを否定するつもりはないけど、俺はまだノーマルでいたい。

え?百合はノーマルに入るのか、って?

精神的に男だからセーフだよ!

 

しかし、どうやって切り抜けようかね…

俺的にはクリスちゃんが無事だったし、元凶は倒したからもう帰りたいんだけど…

 

「やるデス!!」

 

「蘭子!今行く!!」

 

チビッ子達はやる気みたいだし…

ん?翼さん、何して…

 

―影縫い―

 

「な!?動けないデス!!」

 

「くっ!?蘭子(ごほうび)が目の前にいるのにッ!!」

 

「蒼の歌姫…」

 

「いや…あまりにも隙だらけだったのでな、もしかしてまずかっただろうか?」

 

…うん、なんかしっくりはこないけど、俺の精神衛生的にはグッジョブかな…

ていうか、Mっ子は人の名前に変なルビ入れるのやめてくれる?

 

「しかし…対人戦技がこのような形で役に立つとはな…」

 

うん…なんか感慨に耽ってるけど、扱い困るし助かったよ…

うまい具合に拘束して無力化できたし。

………ん?拘束?

 

「私を縛り付けていいのは蘭子だけッ!!」

 

「し、調が遠くに行っちゃってる気がして怖いデスよ!!?」

 

なんと驚く事にロリっ娘は精神力だけで拘束の中、動いていた…

うん、切歌ちゃん…一緒に居たいなら、たぶん調ちゃんと同じところに行かないともう手遅れだと思うな…

 

「その…神崎?ご指名みたいだし任せてもいいか?」

 

やだなぁ…怖いなぁ…

 

「………封書」

 

「あぁ!!私今蘭子に…蘭子に拘束されてる!!」

 

1人で盛り上がるロリっ娘以外、その場にいた全員が疲れた目をしていた…




今回は
憤怒抱きし魔王と禁忌の少女=激おこらんらんと扉を開いた調です(笑)

相変わらずタイトルと内容のギャップが…
まぁ今さらですが(笑)


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第18話 再臨せし終焉の巫女

闇に飲まれよ!(お疲れさまです)

G6話です。


とりあえず、切歌ちゃんと調ちゃんも捕まえたし、もう疲れたから帰りたい。

 

「デェェェスッ!!」

 

ん?なんか切歌ちゃんが叫んでるな…

 

―切・呪りeッTぉ―

 

拘束されながら鎌だけ飛ばすとか器用な事するなぁ…

って、調ちゃんの拘束が解けてる!?

 

「調!!キテレツ連れて逃げるデスよ!!」

 

「そんな…それじゃあ…」

 

「アタシより、ソイツがいないとマムが…」

 

「切ちゃんが蘭子の鬼畜拘束プレイの餌食に!!」

 

「うん、調が何を言ってるかわからないデスよ…」

 

うん、切歌ちゃん…俺も同感だよ…

やっぱり、まともに会話が成立しそうなのは切歌ちゃんだけかな…

残念フィルター付きの俺が言うのも何なんだけどネ!

 

「逃がすか!!」

 

翼さんが追おうとするが、手で制止する。

 

「神崎!?何故…」

 

「禁忌の少女と対峙するには、我が魔力に静謐を欲す…」

 

「えっと…調ちゃんと向き合うのは心の準備が欲しいみたいです」

 

響ちゃんが通訳してくれる。

 

「そ、そうか…その、心中察する…」

 

うん、なんだろうね…

その同情の目は俺の心にクリティカルだなぁ…

 

***

 

とりあえず、捕まえた切歌ちゃんを二課の仮設本部まで連行する。

俺としては、マリアもいるし、家に連れて帰りたいところなんだが、さすがに交戦がバレてるので、マリアみたいなこっそり転移は難しいからな…

まぁ、後でダメ元で弦十郎さんにお願いしてみよう。

 

「さて、では暁切歌君、君には聞きたい事がある」

 

「黙秘するデス!!何も喋らないデス!!」

 

「え?でも今喋ってない?」

 

「バカ!!話の腰を折るな!!」

 

響ちゃんの素朴な疑問に、クリスちゃんがツッコミを入れる。

相変わらず仲良いなぁ…

さすが、未来ちゃんと3人で俺をハブって週2回遊びに行く仲なだけある。

別に悔しくなんかないやい!!

 

「ななな何の事デスか!!?アタシは喋ってないデスよ!!」

 

この娘も大概チョロそうだよなぁ…

 

「いや、聞きたいのは一つなんだが…こちらでも今裏を取らせている所だが、ウェル博士の言っていた月の落下は本当の事だろうか?」

 

弦十郎さんが軌道修正する。

色々とチャチャばかりで、イラつくだろうに大人って凄いなぁ…

 

「…本当デス!!でもそれ以上は喋らないデス!!」

 

頑なになっちゃったか…

これ以上喋らすには触手の出番かな?

 

「いや、それだけ聞ければ十分だ」

 

え?もうちょっと尋問とかしないの?

まだ触手出てないよ?

 

「師匠、何かいい案があるんですか?」

 

「了子君のところに行く。蘭子君と…切歌君は一緒に来てくれ」

 

え?フィーネさんのところ行くの?

だったらさ?いい加減ショタ連れていこうよ…

おっさんと美少女と謎言語女じゃおねショタできないじゃん…

 

***

 

「ヒッ!?ソイツを私に近付けるなッ!!」

 

「ギャーッ!!?オバケがいるデスッ!!?」

 

もう…入っていきなりなんでこんなにカオスなの?

てか、フィーネさんの反応はわからんでもないけど、切歌ちゃんはどうしたの?

 

「櫻井了子は死んだ筈デスよッ!!?じゃないとマリアが…」

 

ん?なんで今マリアの名前が…

 

「ん?どういう事だ?」

 

「マリアには…フィーネの魂が宿っているデスよ…それで月の落下を察知できたってマムが…」

 

「ハッ、F.I.S.の考えそうな事だな。大方、私が死んだと思って体よく次の指導者を担ぎ上げたんだろう」

 

うーん…よくわからんな。

まぁ、それは帰ったら本人に聞いてみるか。

割と長時間置いてきぼりだし、逃げてなきゃいいけど…

 

「しかし、了子君。君以外の人間にフィーネの魂が宿る可能性は?」

 

「あり得んな。私の使うリィンカーネーションは謂わば魂の転移。分割は出来んよ」

 

いや、こんな愛が重い人が何人もいたら普通に嫌だよね。

ん?て事はこの人がここにいる限り、他にフィーネは現れないって事か。

まぁ、あんなオカンが実はフィーネさんでしたとか言われてもそれはそれで嫌だしね…

 

「で?私に聞きたいのはそんな話じゃないだろう?話すからソイツを私の視界に入れないでくれ」

 

ずいぶん嫌われたものだ…

俺はただおねショタして欲しいだけなのに…

 

「わかった。聞きたいのは月の落下とその対策について、だ」

 

…弦十郎さんの問いにフィーネさんが考え込む。

 

「…おそらく、カ・ディンギルの砲撃によって、バラルの呪詛を司る月遺跡に何らかの不具合が生じているのだろう」

 

つまり元凶アンタかよ…

 

「そして、F.I.S.が掲げる対策は十中八九フロンティアだ。カストディアンが残した恒星間航行船で月が落下する前に地球より脱出する手筈だった筈だ。フロンティア起動の鍵、ネフィリムと神獣鏡は私があそこに持ち込んだからな」

 

それも元凶アンタかよ…

アレ?なんか今さらっと重要ワード言わなかった?

 

「…他に考えうる対策は?」

 

「…そこにいるだろう。その忌々しい小娘なら、月を破壊する事も月遺跡を修復して公転軌道を正常に戻す事も容易い筈だ。というかソイツに関しては何が出来ても不思議じゃない」

 

…え?俺?

 

「いや…蘭子君の聖遺物では破壊は出来ても修復は…」

 

「フッ、炎と冷気を操る聖遺物だけで、バビロニアの宝物庫からの脱出など可能なものか。その小娘は、もっと大きな…そう、神の寵愛でも受けているかのような力を持っている」

 

……まさかここまで分析されてるとはな…

まぁ、神というか変な守銭奴の邪神に付きまとわれてはいる。

ほぼ当たりじゃねぇか…

 

「まぁ、どうやるかまでは、力を与えた本人にでも聞いてみるんだな。さぁ、話す事は話したぞ?早々に帰ってくれ」

 

半ば追い出される形でフィーネさんとの話は終了した。

いや、あの事務員一方的だし、会いたい時に会える訳じゃねぇんだよ…

 

***

 

簡単に事務員に会う手段も無いので、とりあえず切歌ちゃんを家で預かってもいいか弦十郎さんに聞いてみたら意外とすんなりとOKが出た。

捕まえたはいいが、年頃の女の子をどう扱っていいか、弦十郎さんにもわからなかったらしい。

うーん…不自然なくらい女っ気無いもんね。

誰か心に決めた人でもいるんかね?

 

まぁ、それはさておき…

 

「アタシをどうするつもりデスか!!ガルルルル!!」

 

めっちゃ警戒されてる。

まぁ、無理もないよね…

俺自身あまり意味わかってないけど、調ちゃんがどMになった原因俺らしいし…

でも、比較的マトモそうに見えるし、美少女だし、この娘にはあんま嫌われたくないなぁ…

 

「普遍の識者よ…我が魔王城に誘おう」

 

「ままま魔王城デスかッ!!?そんな…まままさか拷問するつもりデスかッ!!?い、痛いのはちょっと遠慮したいデスよ」

 

つまり痛くなければいいと?

これは触手の出番かな?

 

「クックックッ、魔王城に帰還した暁には贄を供してくれようぞ」

 

「ギャーッ!!捕虜虐待反対デスよッ!!?」

 

うん、ちょっとリアクション面白いからなんか楽しくなってビビらせすぎた。

まぁ、普通に喋っただけなんだけどね…

いやぁ、どうやって説明するかな…

と思ってたら、クリスちゃんに後ろからチョップされる。

 

「コラ、あんまビビらすんじゃねぇよ。コイツが言ってんのは、家に連れて行って飯でも食おうってだけだ」

 

「…え?ゴハン…デスか…?」

 

さすがクリスちゃん。

何処に出しても恥ずかしくない、出来た嫁だ。

 

「おう、一晩中戦闘だったからな、朝飯にベーコンエッグでも作ってやるよ」

 

「べ、ベーコンエッグ…す、既に美味しそうな予感がするデスよ…ハッ、まさかそうやって油断させておいて…」

 

「お前普段何食べてんだよ…ま、こちとら疲れてるし、眠くて仕方ねぇんだよ。飯食ったらアタシもコイツも寝るから外出以外は好きにしてくれて構わねぇよ」

 

「ムムムム…し、仕方ないデスね、そこまで言うなら食べてやるデス!!」

 

やはりチョロい。

クリスちゃんも大概だけど、この娘もちょっと将来が心配になるレベルだよね…

 

とかなんとか言いつつ、家の鍵を開けてドアを開けたら…

 

「…随分と遅かったわね?朝帰りとは恐れ入るわ?」

 

青筋を立てたマリアがガ○ナ立ち、もとい仁王立ちで待っていた。

なんか未だかつて無いプレッシャーを感じるんだけど…

 

***

 

「…で?一晩中一体何処をほっつき歩いてたのかしら?」

 

「いい?装者だなんだ言っても貴女達はまだ高校生なのよ?」

 

「夜中に目が覚めた時、散歩すると言ってた雪音クリスどころか蘭子までいなかった時の私の気持ちがわかるかしら?」

 

「だいたい貴女達はねぇ…」

 

マリアの説教は続いている。

いい加減正座解いちゃダメ?足痺れてきたんだけど…

 

「聞いてるのッ!!?」

 

はい、すみません。

 

「ていうか、お前…アタシもコイツもいなかったのに、逃げなかったのかよ?」

 

うん、それは俺も思った。

 

「え?……………………………ハッ!!?」

 

「おい、アホだ、アホがいるぞ…」

 

どうやら、隙を見て逃げるよりも、溢れんばかりの母性が完全勝利してたらしい。

 

「ま、まぁ、逃げようと思えば逃げられたわよ?って何よ!?その目は!?」

 

ウン、ソウデスネー…

今の今まで逃げる気が無かったもんね…

 

「ていうか、何でマリアがいるデス?」

 

「え!?嘘!?切歌じゃない!?まさか貴女も捕まったの!?」

 

ホント、今さらダヨネー…




今回は
再臨せし終焉の巫女=再登場のフィーネさん

割と核心まで推察してたフィーネさん。
伊達に数千年生きていないという事ですね。

そして着々とらんらんの天敵の座を固めていくたやマさん(笑)


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第19話 堕天使の休息

闇に飲まれよ!(お疲れさまです)

少し時間空きましたが、G7話です。


「よし、そんじゃあ飯にしようか」

 

クリスちゃんが朝食を作ってくれる。

献立は、宣言通りのベーコンエッグにサラダとロールパン。

メインのベーコンエッグは、卵はオーソドックスに片面焼きの目玉焼き、ベーコンはカリカリ、調味料は塩、醤油、ソース、マヨネーズ、ケチャップをお好みで。

サラダはレタス、きゅうり、キャベツと人参の千切りにドレッシングは和風とフレンチをお好みで。

ロールパンは少しオーブンで焼いてバターが馴染んだところに自家製のポンカンマーマレードか苺ジャムで。

なんかポンカンは熊本のおばあちゃんから大量に送られてきたので、二人では食べきれずマーマレードにした奴だ。

 

うむ、さすがはクリスちゃん、今日のご飯も大変美味しそうだ。

 

「な、なんデスか、このゴチソウはッ!!?」

 

切歌ちゃんの目が輝いている。

 

「いや、別にありあわせで作っただけだぞ?」

 

「フ…切歌も驚いているようね?これが日本の中流家庭の平均的な食卓らしいわよ…」

 

まぁ、そんなもんじゃね?

今日は洋風だけど、和食だとご飯、味噌汁、サラダに一品で焼き魚とかくらいだし。

 

「そ、そんな…それじゃあアタシ達は…」

 

「切歌、それ以上はダメよ…それ以上は…」

 

悲しいなぁ…

 

「マリア!アタシ悔しいデス!!これからアタシはアタシ達の食料事情改善の為に戦うデス!!」

 

「その意気よ、切歌!!もちろん私も一緒に戦うわ!!」

 

食卓戦士キリマリ誕生の瞬間だ。

食卓戦士ってなんだよ…

いかんな…ちょっと徹夜明けのせいでテンションがヤバいわ…

 

「いいから早く食えよ、お前ら…」

 

「そ、そうね。じゃあ蘭子の玉子にお醤油かけてあげるわ!」

 

「ハァッ!!?何言ってんだ、てめえ!!コイツの玉子には塩に決まってるだろッ!!」

 

「目玉焼きに塩だなんて、それこそあり得ないわよ!!蘭子は日本人なんだからお醤油が好きに決まってるでしょ!!」

 

いや、俺マヨネーズ派なんだけど…

 

「マリア達は何で喧嘩してるデスか?どっちで食べても美味しいデスよ?」

 

「我が魔王城での喧騒は常たる事よ…」

 

「???まぁ、マリアが元気そうで良かったデスよ」

 

ええ子や…

喧嘩してる二人も少しは見習って欲しい…

 

結局その後も、玉子の黄身をいつ潰すかとかどうでもいい事でずっと小競り合いが続いた…

この二人、どうやったら仲良くしてくれるんだろうね…

でも、切歌ちゃんはマリアが元気なのが余程嬉しいのか、それをずっとニコニコしながら眺めていた。

 

***

 

あの後、またベッドの上でもクリスちゃんとマリアに一悶着あって、ようやく寝たら昼過ぎまで寝てしまった…

切歌ちゃんも誘ったのだが、顔を真っ赤にしながら断られて、もはや名ばかりのクリスちゃん用の寝室に行ってしまった。

まぁ、来たばっかりで一人になりたい事だってあるだろうしね。

それに、このベッド、キングサイズで女の子ばっかりとはいえ、四人で寝るには少し狭いしな。

まぁそれはいいとして、なんかみんなより早めに目が覚めたし、今度は俺が昼飯でも作ろうかと思ったんだが…

 

「封印されし我が両の手…」

 

クリスちゃんとマリアに両側からがっちりロックされてて動けねぇ…

両腕に掛かる弾力と柔らかさを両立させた素晴らしいシンフォニーのせいもあって、ここはもうしばらく大人しくしといた方がいいと思うな、うん。

 

「マリア…おトイレは何処デスか?」

 

しばらく幸せな感覚を堪能していると、どうやら切歌ちゃんが起きてきたみたいだ。

トイレの場所、教えてあげたいが、言葉は通じないだろうしなぁ…

 

「わわわ///…や、やっぱり…」

 

ん?何がやっぱりなんだろ?

でもトイレなら仕方ないか…

クリスちゃんもマリアも起きそうにないし名残惜しいけど、そろそろ起きるか…

二人が起きないようにそっと腕のロックを外して起き上がる。

 

「わッ!!?お、起きてたデスかッ!!?」

 

「普遍の識者よ、我に続け」

 

「な、なんデスか!!?クリスさんやマリアだけじゃ飽きたらずアタシまでッ!!?」

 

切歌ちゃんの手を引き、トイレに連れていく。

えらく慌ててるが、よっぽど我慢してたんだろう。

すぐそこだから、もうちょっとだけ我慢してね?

 

「あ、アタシをトイレに連れ込んで、ナニするつもりデスか…?」

 

ん?トイレに用があるのは切歌ちゃんの方の筈なのに何言ってんだ?

顔真っ赤だしなんかモジモジしてるし、早くした方がいいんじゃない?

あ、早くどっか行けって事か、そりゃそうだわな。

まぁ、せっかく起きたし、俺は昼飯の用意でもしとこう。

 

「…我は謁見の間にいる故」

 

「え?え?………も、もしかしてアタシの勘違いデスかッ!!?」

 

なんかトイレから切歌ちゃんの絶叫が聞こえてくるが、ほっとこう。

別にそんな事しなくても音気になるなら音姫付いてんのに。

今度使い方教えてあげよう。

 

***

 

「フッフッフ…ようやく油断したデスね!!覚悟するデス!!」

 

「ギャーッ!!?なんでバナナなんかで赤甲羅がッ!!?」

 

「フッ、我が黄金の果実は追撃の矢を容易く防ぐ!!」

 

切歌ちゃんと二人でマ○カー中。

この甲羅ぶつけられる直前にバナナ置くのスッゲー練習したからな。

家ではクリスちゃんもマリアもやらないから練習の成果発揮する機会無くて悲しかったんだが、練習しといて良かった。

やっぱゲームって偉大だわ。

あんだけツンツンしてた切歌ちゃんだが、ゲームやり始めてから、すっかり我が家に打ち解けたみたいだ。

 

「貴女達!そろそろ晩御飯の時間だからゲームはほどほどにしなさい!!」

 

「グムムム…次こそは蘭子さんに勝つデスよ」

 

すっかりオカンと化したマリアのお小言でゲームの時間は終わりを告げる。

 

「フッ、せいぜい腕を磨いておくが良い。尤も我は更にその先を往くであろう!」

 

「く、悔しいデス!!」

 

切歌ちゃんが来て今日で3日くらいだが、すっかりこの残念言語にも慣れたみたいだ。

なんか心なしかたまに目がキラキラしてる気がする。

これはアレか…翼さんパターンか…

 

「おーい、出来たぞ」

 

クリスちゃんがキッチンから料理を持って出てくる。

今日は鍋か。

 

「最近寒ぃからな」

 

まぁ、もう季節的に冬だしな。

今日の鍋はシンプルな昆布出汁ベースに、具は白菜、水菜、豆腐、えのきに…メインは牡蠣か!

牡蠣といえば、とても栄養価が高く、精力増強の効果もあるのだとか。

つまりクリスちゃん…そういう事ですね?

これは沢山食べてスタミナ付けなきゃ!!

 

「今日も美味しいデス!このお家の料理は何を食べても美味しいデスよ」

 

切歌ちゃんも喜んでくれたようだ。

 

「四人で食べるとあっという間ね…じゃあ、シメに雑炊作るわね?」

 

「…は?鍋のシメといやぁ、うどんに決まってんだろ?」

 

またか…

 

「ハハハ…また始まったデスね…」

 

切歌ちゃんもすっかり慣れたようだ。

 

「雑炊よ!!」「うどんだ!!」

 

ホント、なんなんだろうね?

 

「こうなったら蘭子に決めて貰いましょう!」

 

「上等だ!」

 

なんでそこで俺に振るかな…

 

「蘭子はどちらがいいのかしら?」

 

「もちろん、うどんだよな?」

 

正直もうどっちでもいいよ…

 

「ゴクリ…これが修羅場デスか…」

 

うーん…ちょっと違う気がするけどね?

まぁ、そんなんで喧嘩するくらいなら…

 

「双方持ってくるが良い。今宵の我は魔力に餓えておる」

 

いっそのこと、出汁を分けて両方作ればいいのだ。

 

「くっ…それだけは避けてたのに…」

 

「お前…」

 

ん?二人ともどうしたんだ?

いい案だと思うんだけど。

 

「…最近、明らかにお腹周りがキツいのよ…」

 

「お前は全然太らねぇからいいよな…食っちゃ寝しかしてねぇ筈なのに不公平だ…」

 

…なんか悪い事言っちゃったな…

女の子しかいないのに、炭水化物ダブルをリクエストしたらそりゃそうなるわな…

まぁ、二人とも全然気にする必要無いレベルだと思うけど…

ハッ!!これはなおのこと夫婦の営みという名の運動をするべきじゃないかなッ!!

いっそのこと4人でベッドの上でエクササイズはどうかな!?

ダメ?ですよねー…

 

***

 

「それで…ネフィリムは破壊され、切歌も捕まってしまったのですか…」

 

新国家『傷ついた悪姫』政務官邸の一室で、ナスターシャ教授は月読調から報告を受ける。

 

「うん…ネフィリムの残骸も調べたけど、まだ使えそうなのはこの心臓くらい」

 

「…ずっと沈黙を守っていた神崎蘭子がこのタイミングで介入してくるとは…まさか成長途中だったとはいえ、ネフィリムすら歯牙にも掛けないとは想定外でした…」

 

「まだ余力はありそうだった。もしアレが私に向けられたら…」

 

調が小刻みに震えながら呟く。

 

「たしかにこちらの予想を遥かに超える脅威です。恐ろしいのですか?」

 

ナスターシャ教授の目が少し優しくなる。

心優しい少女達に十字架を背負わせようとした挙げ句、切歌は捕縛され、マリアは依然として行方不明、残された調も強大すぎる相手に対して恐怖で震えている様子。

彼女の信念を以て始めた戦いではあるが、最近ではもっと良い方法があったのではないか、と考えない日は無い。

 

「…ううん、大丈夫。うん、大丈夫」

 

調が少し慌てたように首を横に振る。

やはり、かなり無理をしているように見える。

 

「そうですか…それで、ドクターは?」

 

「神獣鏡の方をなんとかしようとしてるみたい」

 

「…しかしあちらは装者候補すら見つかってない状態です」

 

ナスターシャ教授が瞑目する。

 

「もはやここまで…ですね」

 

「そんな!?それじゃあ弱い人達を守れない!!」

 

「しかしこちらの戦闘員は調のみに対して、あちらは万全の装者が3人、その上で神崎蘭子まで出てきたとなると…」

 

調に死ねと言っているようなものだ。

それによって計画が成せたとしても、それはナスターシャ教授にとって、到底許容できるものではない。

先の短い自分だけならまだしも、未来ある若者の命を無駄に散らせるなど以ての外だ。

 

「私一人でもやれる!!やってみせるッ!!」

 

調が強く反論するが、やはりここは投降するべきだろう。

その時…

 

「戦力が足りないなら、補充すればいいんですよ」

 

そう言いながらウェル博士が入室する。

 

「しかし、算段はあるのですか?」

 

「聞けばシンフォギアの装者候補が沢山いるらしいじゃないですか」

 

「まさか…」

 

「そうです!次の目的地は私立リディアン音楽院ですよ!!」




前半は俗に言う日常回です。
え?らんらんは今回に限らずずっと休んでるじゃんって?
まぁね!
らんらん特効のダメ人間製造機がいるからね!


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第20話 翳りし陽光

闇に飲まれよ!(お疲れさまです)

忘年会シーズンのおかげでちょっと更新不安定です…


私立リディアン音楽院。

 

そこに通う1回生、小日向未来は憂鬱だった。

授業中、ふと右端の席を見る。

 

その席には今は誰も座っていない。

その席の主、神崎蘭子は、あの事件以降ずっと休んだままだからだ。

 

「…さん、小日向さん」

 

「え?あ、はい!」

 

どうやら、教師に当てられていたようだ。

未来は慌てて意識を授業に戻すが…

 

「どうやら心ここにあらずみたいですね、では、その悩みは次の講義までに晴らしておいてください」

 

「は、はい、すみません」

 

「うえぇ…先生の対応、私の時と全然違う」

 

響が不満を漏らすが…

 

「当たり前です!立花さんはいつもいつもいつもいつもいつもいつも私の授業を聞く気自体が無いんですから!!」

 

「うぇぇっ!!?いやぁ…そんな事は無いというか…ちょっとはあるというか…」

 

「立花さん!!」

 

教室が笑い声に包まれる。

授業を聞いていない響が先生に怒られる。

実にいつも通りの光景だ。

 

だが、そのいつもと変わらない筈の光景の中に無くてはならない親友の姿は、何処を探してもずっと見当たらないままだった。

 

***

 

「運動をしましょう!食べたら食べた分消費すればいいのよ!」

 

「さ、さすがマリアデス!」

 

マリアがなんか言い出した。

昨日の鍋のシメ事件をまだ引き摺ってるみたいだ。

こいつ、クリスちゃんが学校行ってていないからってやりたい放題だよな…

まぁ、別に勝手にやればいいんじゃない?

 

「じゃあ、動きやすい格好に着替えましょう」

 

「デスデスデース!」

 

マリアと切歌ちゃんに引き摺られていく。

えぇ…なんで俺もやる事になってんの?

 

「じゃあ、まずは腹筋から。お腹周りに効く運動と言えばコレよね!蘭子は私の足を押さえてて頂戴」

 

はぁ…めんどくさいけど仕方ないなぁ…

と最初はあんまり乗り気じゃなかったんだが…

 

「19…20!」

 

正直、腹筋という運動を侮っていたと言わざるを得ない。

考えてみれば、身体を上下に起こす運動なのだ。

 

つまりそれは…足を押さえている俺の目の前でマリアの豊かな双丘がこれでもかという位に暴れ回っているという事だ。

しかもそれが一定間隔で近付いてくるのだ。

これは…なんというか…凄い、癖になりそう。

今度クリスちゃん、響ちゃん、奏さんも誘ってみよう。

翼さんと未来ちゃんは…うん、まぁ…ね?

いや、おっぱいに貴賤なんて無いんだけどね?

あまりこういう趣旨には向かないかなぁって…

いや、仲間外れは良くないな。

俺はいつもクリスちゃん達に仲間外れにされてるけど仕返しみたいで気分悪いし。

やっぱりみんな誘ってやるのが一番だな!

 

「次はアタシデス!」

 

次は切歌ちゃんか。

 

「デース…デース!」

 

うん、マリア程のインパクトと暴れ具合では無いけど、しっかりと自己主張している。

美乳って言葉が良く似合う感じだ。

割と幼い感じがするし、中学生くらいだろうか?

今からこれだと今後の成長がとても楽しみだ。

しかし、数が全部デースだから今何回やってんのか全然わからんな…

 

「1セット終わったデース!」

 

「じゃあ、次は蘭子ね?私が足を持っていてあげるわ」

 

俺?俺はいいよ…

いや待てよ…足を押さえる為に前屈みになっているこの体勢で俺が上体を起こすと…丁度谷間が目の前に来るような…

………仕方ないな、頑張るか。

 

「よし、じゃあ次はスクワットよ!私についてこれるかしら!!」

 

「負けないデース!」

 

マリアと切歌ちゃんが競争と言わんばかりに高速でスクワットを始める。

流れる健康的な汗、高速の上下運動によって激しく揺れる果実。

絶景はまだまだ続くのだった。

あぁ…ここが天国だったか…

 

***

 

「いやぁ、私達女子高生なのに粉物食べ過ぎでしょ」

 

「ふらわーのおばちゃんのお好み焼きは別腹だからね!!」

 

「でも、新校舎になって、ふらわーにも行きにくくなっちゃったね」

 

「たまに食べるからこそ、ナイスです」

 

元気の無い未来に気を使った響が企画したお好み焼きパーティーの帰り道。

尤も、名目こそ未来を元気付ける為なのだが、お好み焼きを3枚平らげた響が一番楽しんでいたのは言うまでもない。

自分が楽しくないのに、一緒にいる人が楽しい訳がない。

だから、彼女はいつでも自分が楽しむ事にも全力なのだ。

 

しかし、そんな和気あいあいと歩いていた響達の前に一人の少女が立ちはだかる。

 

「やっと見つけた」

 

「調ちゃん!?未来達は逃げ…」

 

「用があるのは貴女じゃない。貴女はこいつらと遊んでて」

 

響の周りにノイズが現れる。

即座にシンフォギアを纏う響だが、ノイズの処理を余儀なくされる。

 

「じー」

 

調が未来達を品定めするように見る。

 

「な…なにかな?私達は響が心配なんだけど…」

 

未来が代表して調に話し掛ける。

 

「うん、やっぱり貴女だと思う」

 

「一体何を…」

 

「私達に力を貸して欲しい。弱い人達を守る為の力を」

 

「どういう…こと?」

 

調のいきなりの申し出に未来が困惑する。

しかし、そのような力が…親友を守れるような力が自分にあるのなら、それは…

 

「一言で言うなら、愛」

 

「何故そこで愛!?」

 

いきなりの突飛な言葉に訳がわからなくなる。

だが、調の言葉に何故か心が惹かれている。

愛…その言葉一つで全て見透かされたようにさえ思えた。

 

「私にはわからない。でも、大事な事みたい」

 

「それは…たしかに大事だろうけど…」

 

何故自分なのだろうか?

確かに、響や蘭子は戦っている。

自分だけが守られている現状にずっとやきもきしていた。

 

「貴女に…自分を変えたいという想いがあるなら、手を取って?」

 

「私は…」

 

わからない。

常識的に考えれば、認定特異災害とまで言われているノイズを扱うような危険な集団だ。

手を取れる訳がない。

しかし、愛という妙に刺さる言葉と大切な人に守られるだけの自分という現状…考えると心が落ち着かない…

そういった迷いが未来を立ち止まらせていた。

 

「残念、時間切れ」

 

調が呟いた次の瞬間、炎の柱が立ち上ぼり、響を囲んでいたノイズ達が消滅する。

 

「やっぱり来たね、蘭子。これもまた愛」

 

「我が至宝に手を出そうとは不届き者よ!!」

 

***

 

いやぁ焦った。

マリア達のおっぱい観賞してたらいきなりちっちゃい俺が響ちゃん達がノイズに襲われてるって言うから急いで来たって感じなんだが…

 

「あぁ…睨む目もいい。蘭子、もっとウジ虫を見るような目で私を見て」

 

上下に揺れる絶景を手放して来たってのに、またMっ子の相手しないといかんのかよ…

この子の相手、俺の精神が物凄く疲れるんだよね…

 

「でも、残念だけど今日は蘭子の相手はしてられない。貴女、一緒に来て」

 

調ちゃんが未来ちゃんに手を差し伸べる。

未来ちゃんを人質にするつもりか?

それだけは許さないよ?

あ…でも、これ逆効果なのか…

Mってどうすれば勝てるの?

優しくしても厳しくしても何やっても喜ばれる気がするんだけど…

 

「でも…私は…」

 

とりあえず、向こうの狙いは未来ちゃんみたいだから、それは阻止しよう。

 

「陽光受けし者よ!」

 

「蘭子…その…久しぶり…」

 

ん?なんかモジモジしてるけど、どうしたんだろう?トイレ?

まぁ、俺の方は未来ちゃんをいつも見てるからあんま久しぶりって感じはしないんだけど、一応そういう事になるのかな?

 

「フッ、我が魂は悠久の時を統べる故、久しきとは思わぬが…」

 

「………は?」

 

アレ?なんか間違えちゃったかなぁ…

この残念フィルター、狙って出てくる訳じゃないからなぁ…

ちょぉっと未来ちゃんの目が怖いんだけど…

 

「わ、我が魂は陽光受けし者と共にある故、紡がれし時など無価値よ」

 

「うんうん、そうだよね?それで?」

 

良かった…持ち直した…

なんだったんだろう…今一瞬物凄いプレッシャーを感じた…

 

「ここは我に任せて撤退を!」

 

「……それで、また隠し事するのかな?」

 

全然持ち直せてませんでした…

スッゲー冷えきった目で見られてる。

あっ、でもなんかゾクゾクするかも…

ヤバい、調ちゃんの気持ちがちょっとだけわかる気がする。

いや、俺はノーマルだよ?ノーマルだからね!

 

「…調ちゃんだったよね?行こう」

 

「え?でも、いいの?」

 

「いいよ、()()()()は私と会うのなんて、久しぶりでも何でもないみたいだし相変わらず隠し事ばっかりだし、行こう」

 

ちょっと待って!

なんでそんなムキになってんの?

 

「陽光受けし者よ!」

 

「………何?まだ何かあるのかな?」

 

「陽光受けし者が闘争に身を置く必要などない!」

 

「我が守る…我が全て守護する故、陽光受けし者は安寧と平穏を享受せよ!」

 

これは嘘偽りない本心だ。

親友の安全と日常の為にここまでやっているんだ。

未来ちゃんが平穏に暮らせるなら、俺はがんばれる。

月の落下も事務員次第だけど絶対に止めてみせる。

事務員と会えないなら最悪、破壊しちゃえばいい訳だし…

 

「……そんなの嫌…嫌だよ…蘭子は全然わかってない!行こう、調ちゃん」

 

しかし、俺の想いは未来ちゃんには届かず、未来ちゃんは調ちゃんと一緒に行ってしまうのだった。

その後ろ姿をただ呆然と見ているしか無かったのだった…

 

最後に見せた未来ちゃんの涙の意味はわからないままだった。




今回は
翳りし陽光=闇に飲まれる393

調勧誘時点で揺れてたのに、らんらんが後押ししちゃいましたね。
まぁ、人の感情に疎いらんらんが顕著に出てしまったので、仕方ないですね。


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第21話 堕天使の黄昏

闇に飲まれよ!(お疲れさまです)

G9話です。


小日向未来が去って1週間の時が過ぎていた。

 

立花響は一人、傷ついた悪姫の首都、名古屋に来ていた。

未来と蘭子、大切な友達…いや、友達以上の感情を持つ二人がぶつかっているのに、何も出来なかった事に責任を感じていたからだ。

 

私が未来を連れて帰らないと…蘭子ちゃんにも、未来にも、もう友達だと胸を張れない。

 

その一心でここまでやって来たのだが…

 

「未来が何処にいるのかわからないよ…」

 

そう、一念発起して来たはいいが、情報がまるで無い為、路頭に迷っていた。

行動を起こす気になったら即断即決の為、事前調査などという言葉は彼女の辞書に存在しないのだ。

 

「困ったなぁ…誰か知ってる人がいればいいんだけど…」

 

辺りを見回しても誰も人が見当たらない。

尤も、響の行為は厳密には不法入国であるため、都合はいいのだが。

 

「仕方ない、探してみよう」

 

とにかく、動かない事には始まらない。

響は未来を探して、行動を開始するのだった。

 

***

 

「やっぱりおかしい…誰もいない」

 

辺りを探し回るも、市街地の真ん中だというのに人っ子一人見当たらない。

さすがに異常である事に気付いた響だが…

 

「ようやく気付きましたね!どぁが、今さら気付いても、もう遅ぉいッ!!」

 

声の主、ウェル博士がソロモンの杖を翳す。

響に向かって大量のノイズが襲いかかるが…

 

~Balwisyall Nescell gungnir tron~

 

シンフォギアの起動キーとなる聖詠を歌いながら、襲いかかるノイズを殴りつける。

 

「ぬぁッ!?人の身でノイズに!?」

 

♪正義を信じて握り締めて

 

しかし、何故かノイズの炭素分解は発動せず、次の瞬間、撃槍のシンフォギアが響の身を包む。

 

「この拳も…命も!」

 

「シンフォギアだッ!!」

 

「バ…バカな…あり得ないィィィィッ!!」

 

ウェル博士の絶叫と共に次々にノイズが現れるが…

 

「うぉぉぉォォォッ!!」

 

拳一つ、蹴り一つで次々に現れた先から、炭となって崩れゆくノイズ達。

ノイズを放ちながら徐々に後退していくウェル博士だが、呼び出すより撃破される数の方が多くジリ貧だ。

 

「そんなバカなッ!!ボクは英雄、英雄だぁァァァッ!!」

 

最後とばかりに巨大ノイズを放ち撤退しようとするが…

 

「とりゃぁぁッ!!」

 

その巨大ノイズも蹴り一つで崩れ去る。

 

「ひぃィィィィッ!!?」

 

「さぁ、未来の所まで案内してッ!!」

 

***

 

ウェル博士を捕らえ、未来の元へと案内させる響。

まったく人の気配のしない街中を抜け、気付けば港の方まで来ていた。

 

「未来は何処ッ!?」

 

「あそこですよ」

 

ウェル博士の指差す方向を見ると船が1隻、沖合いに出ようとしているところだった。

 

「クッ、未来!今行くッ!!」

 

ウェル博士を投げ捨て、助走を付けて船に向かってジャンプするが…

 

♪歪鏡・シェンショウジン

 

―流星―

 

丁度空中であった事と、船に辿り着く一心で周囲に気が回らなかった事で、船の甲板から発せられる光の帯を避け切れずに直撃してしまう。

 

「クッ、こんなのッ!!」

 

咄嗟にガードして抗おうとするが…

 

「…え?ギアが…溶けて…」

 

そう、響の纏うシンフォギアがどんどんと分解されていく。

 

「そんな…後少しなのに…未来ゥゥゥッ!!」

 

シンフォギアが完全に解除されてしまった響は、そのまま海へと落ちて行くのだった。

 

***

 

一方その頃。

 

未来との事にショックを受けた神崎蘭子は塞ぎ込んでしまい、自らの部屋からすら出てこず、同居している雪音クリス、マリア・カデンツァヴナ・イヴ、暁切歌は蘭子の事を心配していた。

 

「どうするデスか…?さすがに蘭子さんが心配デスよ…」

 

「いつの間にか居なくなってたと思ったら、帰ってきたらあんな状態になって…蘭子…」

 

「てか、お前らまた逃げなかったのかよ…いい加減アイツはアタシが何とかするからお前らは余計な事すんなよ」

 

そう、蘭子が響達の元に転移した際、この家には名目上の捕虜であるマリアと切歌の二人だけだったのだが…

 

「べ、別にスクワットに夢中で気付かなかった訳じゃないデスよ!?」

 

「そ、そうよ!あえて残ってただけだから!」

 

「いや…別に聞いてねぇよ…じゃ、アタシはアイツの部屋行ってくるわ」

 

「えぇ…頼んだわよ」

 

「お任せするのデス!」

 

クリスが蘭子の部屋の中に入る。

相変わらず電気が消えているので、まずは電気を付ける。

 

「…煩わしき光よ」

 

「よぅ…ちょっとは元気出たか?」

 

「我に構うな」

 

あの日以来ずっとこの調子である。

それこそ、クリス、マリア、切歌が何をやっても一向に変わらない。

 

「んな事言われていつまでも引き下がってると思うか?」

 

しかし、今日のクリスは少し違った。

一歩近付く。

 

「…彼方へと去るがいい」

 

もう一歩。

 

「我に構うな」

 

更に一歩。

 

「我に近付けば…」

 

「やってみろよ!お前なら出来んだろ!」

 

そのままクリスが蘭子を抱き締める。

 

「全部受け止めてやるからさ、お前はお前のままでいてくれよ、な?」

 

部屋からは誰とも解らぬ嗚咽だけが洩れていた。

 

「グスッ…グスッ…良゛か゛っ゛た゛デス!!もう後は蘭子さんにお手紙書くくらいしか思い付かなかったデスよ!」

 

「いや、お前かよっ!!?台無しだよ!!」

 

クリスが切歌を追い出す。

 

「…ったく、余計な事すんなっつっただろ」

 

「グス…豊穣の女神よ、感謝する」

 

「へッ、やっといつものヘンテコなのに戻ったな、お前、暗いの似合わねぇんだよ」

 

「今、あのバカが柄にもねぇ責任感じて未来を連れ戻しに行ってる…でも、聞いてる限り、お前が行くのが筋じゃねぇか?」

 

「未来が未練だっつうんなら、さっさと連れ戻して来い!!」

 

クリスの追い討ちの激励で、蘭子の目に完全に光が戻る。

 

「へっ、いい顔になったじゃねぇか、それでこそアタシの…」

 

何故かその先をクリスが言い淀む。

 

「?豊穣の女神の…?」

 

「なななんでもねぇっ!!ほら、お前一人の方が速いんだから、さっさと行って来い!!後でアタシも追い付いてやるよ!」

 

***

 

未来ちゃんの事でだいぶ落ち込んでたんだが、クリスちゃんに元気を貰った。

やっぱり我が嫁は出来が違うなぁ…

抱き締められた時、大変柔らかかったし。

まぁ、こんな時に何言ってんだなんだが、これが俺だ。

隠し事というか、二課の事をあんまり喋らなかったりとかが未来ちゃん的にも不満だったみたいだし、今後はもっとオープンに行こうと思う。

いや、伝わらないだけでこれでもだいぶオープンだとは思うんだけどね?

…さすがに今おっぱい見てますとかは言わなくてもいいよね?

そこまでオープンにしろと言われるとちょっと厳し過ぎるよ?

まぁ、こればっかりは話してみんとわからんな。

 

じゃあ、早速未来ちゃん連れ戻しに行こうと思うんだが…何処に行けばいいんかね?

未来ちゃん担当のちっちゃい俺、あの日以来行方不明なんだよな…

 

あ、そういやクリスちゃんが響ちゃんが先に行ってるって言ってたな。

とりあえず響ちゃんの所に行けばいいか。

 

と、気軽に転移したんだが…

 

「ッ!!!?あ、貴女はッ!!?いや…これはその、誤解、誤解です!!」

 

上半身裸の上に水浸しで酷く慌てているプロデューサーのお兄さんと毛布にくるめられて推定全裸で寝ている響ちゃんがいた…

 

…すいません!お巡りさん!コイツです!!

 

***

 

「して、如何なる狼藉か?」

 

咄嗟に正座したプロデューサーのお兄さんを見下ろしながら状況を聞く。

まぁ、俺じゃないんだし、このプロデューサーのお兄さんの事だから何か理由があるんだと思う。

無かったら?そのまま警察に直行だネ!

 

「いえ、あの…海を見ていましたら、この方が海に落ちていくのが見えた、とアイドルの方に言われまして…」

 

「…纏いし衣を剥ぎ取った、と」

 

「いえ!?違います!!誓って、この方は初めから何も着ていなかったんです!」

 

えぇ?ほんとにござるかぁ?

いくら響ちゃんがちょっと変わった子だからって全裸で海中水泳は無いと思うよ?

やっぱり悪戯目的?

まぁ、いつものように困った時の仕草の首に手を当ててるから違うんだろうけど…

しかし、このお兄さんがここまで慌てるのも珍しいのでもうちょい観察したいんだが…

 

「プロデューサー、季節外れの海はたのseaかったですか?ふふっ…あら?」

 

え?何このお姉さん…

さらっとしょーもないダジャレというかオヤジギャグみたいなの言ってたけど…

でもおっぱいは控えめだけどすっげぇ美人。

やっぱアイドルかな?

 

「プロデューサー、またスカートはいた女の子をスカウトですか?ふふっ」

 

もうなんなの?この人…

ダジャレ言わないと気が済まないの?

フリーダムすぎんだろ…

 

「いえ、あの…間違いではないんですが、今回は不可抗力といいますか…恐縮です」

 

頼むから途中で説明を諦めないで!

 

「大方この子のお友達ってところでしょうか?この子、こんな真冬に全裸で海に落ちて危なかったんですよ?」

 

そうなのか…クソッ、俺が目を離してる間に…

 

「だから、さっきまで私が人肌で暖めてあげてたんです」

 

俺のバカッ!!なんで目を離したッ!!

響ちゃんと中身はともかく超美人のお姉さんの百合空間とか永久保存版じゃねぇか!?

脳のリソース80%使うと言われても目に焼き付けるわ!

とまぁ、半分冗談は置いといて、そろそろお礼言って響ちゃんを引き取るか。

 

「瞳持つ者よ、感謝する」

 

お兄さんとお姉さんが目を見開く。

ん?どうしたの?

 

「貴女にどのような心境の変化があったのか私にはわかりません。ですが…」

 

「いい、笑顔です。今までより、ずっと」

 

そうなの?いや、自分ではよくわからんけどね。

まぁ、人を見るプロがそう言うのなら、それはきっと我が嫁のおかげだと思う。

 

「左様か…では我は覇道を往く、闇に飲まれよ!」

 

「えぇ、またその笑顔を見せてください」

 

そうして、響ちゃんをお姫様抱っこして、お兄さんと別れて少ししてからすぐに二課の仮設本部に転移したのだった。




堕天使の黄昏=落ち込むらんらん

世界レベル夫婦喧嘩ラウンド1は393の圧勝で終わりました。
久しぶりに登場のプロデューサーさんですが、アイドルの出身地巡業の付き添いで帰りだった模様。
まぁ、ダジャレお姉さんの出身地、らんらんの領土なんですが(笑)


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第22話 女神の双刃

闇に飲まれよ!(お疲れさまです)

だいぶお待たせして申し訳ない。
仕事でトラブルが発生して、ようやく休み取れました…


「帰ってきたか…ってこのバカどうしたんだよ!?」

 

二課の仮設本部に戻るとクリスちゃんが出迎えてくれる。

口ではなんだかんだ言ってるけど、やっぱり響ちゃんとは仲良いみたいだ。

 

「大海に彷徨える輝き持つ者を瞳持つ者が救済せん」

 

「あぁ、あのちょせえオッサンか…今度会ったら礼言っとかねぇとな」

 

いや、オッサンはやめてあげた方がいいと思うな…

強面ではあるけど多分20代だと思うし。

 

「立花!?大丈夫か!?しっかりしろ、立花!!」

 

翼さんも来たみたいだ。

すごい狼狽えようだけど、どうしたの?

 

「ていうか、んー…?」

 

やっぱりクリスちゃんも心配なんだな。

さっきから俺がお姫様抱っこしてる響ちゃんの顔をまじまじと見てるし。

 

「なぁ、コイツ…起きてねぇか?」

 

いや、そんな訳無いと思うよ?

起きてたら、毛布あるとはいえ、全裸で俺にお姫様抱っこされてるのとか普通に嫌だろうし。

 

「立花!!おい、返事をしてくれ!!立花ァァッ!!」

 

「だぁぁ、うっせえなッ!!オッサンもすぐにどうこうなる話じゃねぇって言ってたし、コイツならなんとかできるって説明しただろ!!」

 

「しかし雪音、たとえ神崎にそのような力があったとしても、立花は現在進行形でガングニールに侵食されているのだぞ!?もしも今目が覚めないのもそのせいだとしたら…」

 

え?何?響ちゃんもドスケベ聖遺物に憑かれてんの?

聖遺物使えるの女の子ばっかりなのってそういう…あ、どう見ても関係無いモヤシいたわ。

 

「…てい!」

 

翼さんを制止してたクリスちゃんが不意討ちで響ちゃんの脇をつつく。

いや、気を失ってるのに、そんな事しても…

 

「ひゃんッ!!」

 

……

………

沈黙が続く。

 

「……いやぁ、あの…起きるタイミングを逃しまして…も、もうちょっとお姫様抱っこを堪能したかったとか考えてないから…だからクリスちゃん、まずは落ち着いて!?今ギアはやめて!?やめて止めてやめて止めてやめて止めてッ!!?」

 

つまり、どういう事だってばよ…

 

***

 

「響君!!無事だったか!?」

 

とりあえず、響ちゃんに服を着てもらい発令所に行くと、弦十郎さんが心配そうに響ちゃんに駆け寄ってきた。

ていうか…

 

「ようやく役者が揃ったようね?」

 

「アタシ達も居ても立っても居られなかったデスよ!!」

 

え?なんでいんの?

未来ちゃんの相手は俺がするし、普通に家に居て欲しかったんだが…

 

「調達はアタシ達が説得するデスよ!!」

 

…うん、それはホントにお任せしたい。

ん?達って事は他にも誰かいんの?

もしかしてモヤシ博士?

…じゃないよね、たぶん。

 

「まったく、無茶しやがって」

 

「心配したんだぞ、コイツ!」

 

こっちはこっちで弦十郎さんと奏さんに響ちゃんがワシャワシャされている。

 

「とりあえず、状況を整理しましょう。響さん、何があったのか、説明してくれませんか?」

 

緒川さんが仕切ってくれる。

まぁ、俺が口出しても一部の人以外はハテナだろうしね…

 

「はい!えぇっと…何処から話せばいいのかな?」

 

響ちゃんの話は衝撃だった。

モヤシはいつも通りだけど、シンフォギアを纏う未来ちゃんか…

しかも、未来ちゃんのビームで響ちゃんのガングニールが溶けたらしいし…

 

「…て訳で、未来にコテンパンにやられて…私、未来と話すら出来ませんでした」

 

響ちゃん…悔しそうだ。

親友だもんな…

 

「他におかしな事は無いか?身体の調子が悪いとか…」

 

翼さんが心配しながら聞いているが、ちょっと大袈裟過ぎない?

まぁ、後ですぐにドスケベ聖遺物は剥がすけど。

 

「……胸の歌が響いてきません」

 

…え?それってつまり…

 

「メディカルチェックの結果が出ました!響ちゃんの身体のガングニールが…無くなってます!?」

 

友里さんが響ちゃんのメディカルチェックの結果を報告するけど…え?無くなったの?

 

「…神獣鏡ね」

 

「デス…」

 

マリアが呟く。

シェンショウジン?どっかで聞いた気が…

 

「人を惑わす鏡の光…人の身に纏わせたのね…マム…」

 

「マリア!まだマムと調がやったとは…きっとあのキテレツの仕業デスよ!!」

 

落ち込み気味のマリアを切歌ちゃんが励ます。

ていうか、マムはマリアじゃないの?

マリアの上に更にマムがいるとか…この組織どうなってんの?

マム、ママ、マッドに…4M集団か…

切歌ちゃんが唯一の良心かな…

 

「ていうか、お前…ちょっとコイツに言動似てきてねぇか?」

 

「ななななんの事かしら!?」

 

いや、クリスちゃん?

気持ちは解るし、俺も脳内では別の事考えてたけど、今ちょっとシリアスだったのが、いきなり急降下したよ?

俺…すっかりオチ要員だな…

 

「ま、細けぇ事気にする暇があったら、会って直接聞いてやるくらいの気概でいいんじゃねぇか?」

 

ホント、出来た嫁だなぁ…

俺をダシにするのはやめて欲しいけど。

 

「えぇ…そうね、ありがとう()()()

 

ま、女の子を笑顔に出来るのなら、ダシになった甲斐があるというものだ。

 

***

 

「南方海域より高エネルギー反応を検出!」

 

「同時に付近の米国の哨戒船から救援信号が出ています!」

 

響ちゃんの話を聞いて、さて次はどうしたものかと思っていた矢先に友里さんと藤尭さんが、周辺に異常が出たらしく報告してくる。

 

「これは…」

 

「無関係じゃなさそうですね」

 

「ならば我が出る!!」

 

「神崎!!微力ながら、この防人の剣も手を貸そう!!」

 

そこに未来ちゃんがいるなら、俺が行くしかない。

…翼さんの言動が日に日におかしな方向に行ってる気がするんだけど、大丈夫かな?

奏さん?しっかり見ててあげてね?

 

「よし!行ってこい!」

 

「蘭子ちゃん…未来を…お願い!!」

 

クリスちゃんと響ちゃんに見送られる。

 

「帰って来たら好きなもん作ってやるよ、未来も一緒にな!何が食いてぇ?」

 

「…ならば、禁断の果実を所望する!!」

 

「ハンバーグな!とびきりのを作ってやるよ!」

 

禁断の果実か…

俺の好きな食べ物はハンバーグなんだが、ハンバーグと言おうとするとこの言葉が出てくる。

ちなみにもう一つの大好物でも同じ言葉が出てくるので、割と伝わらないのをいい事にこっちのニュアンスで言ってたりする。

だってご褒美なら是非ともそっちにむしゃぶりつきたいじゃん?

…あれ?なんか響ちゃんが顔赤いような…

 

「蘭子ちゃん…人前でそういう事言うのはやめた方がいいと思うよ?」

 

………え?ナンデ?

…もしや、あっちで伝わった?

嘘だろ!?現にクリスちゃんにはハンバーグで伝わってるのに…

 

「?お前、何トンチキな事言ってんだ?」

 

「え?いやぁ、なんでだろうね?蘭子ちゃんがおっぱい食べたいって言ってるような気がして…」

 

みるみるクリスちゃんの顔が赤くなる。

 

「お、おまッ!!?何バカな事言ってやがんだッ!!やっぱお前、ホントのバカだなッ!!」

 

ゴメン、クリスちゃん…

俺、そっちのニュアンスで言いました…

でも、伝わらないとタカを括ってたから出た発言であって、決してセクハラではないのです。

あ、でもクリスちゃんのおっぱいに興味があるのはホントだよ?

 

「…いや、別にそっちがいいならアタシも考えなくも…」

 

ん?なんか言った?

響ちゃんにバレたのがショックで聞いてなかったけど…

 

「いいからお前は早く行ってこいッ!!!」

 

いや、なんでそんな顔真っ赤にして怒ってんのさ?

まぁ、行くけどね?

 

そんなこんなでバタバタしながら、ミサイルに乗せられて出撃するのだった。

 

「神崎?逆側が空いてるのに何故同じ区画に?まぁいい、神崎の不安も全てこの防人の剣が払ってみせよう!!」

 

一緒に乗った翼さんのおっぱいはやっぱり柔らかかった。

柔軟剤でもこんなに柔らかくはならないから、おっぱいはやっぱり偉大だ。

 

***

 

翼さんのおっぱいを堪能しながらミサイルに揺られてしばらくして、問題の海域まで到着したんだが…

 

「なんだ!?これは…」

 

翼さんが驚くのも無理は無い。

だって、知らんうちに地図に無い島があるんだもん…

しかも、中央の遺跡みたいな所からヤバい雰囲気の光が出てるし、早くなんとかした方が良さそうだ。

 

と、思っていたら…

 

「やっぱり来てくれたね、蘭子!」

 

4M集団の一角、というか俺の中ではトップのご登場だ。

この娘、精神的に凄く疲れるから一番相手したくないんだけどね…

 

~Various shul shagana tron~

 

調ちゃんが歌い始める。

やだなぁ…怖いなぁ…

 

~Zeios igalima raizen tron~

 

ん?

 

♪Edge Works of Goddess Zababa

 

「調を止めるのは、アタシの役目デスッ!!」

 

切歌ちゃん?いつの間に…

 

「なんとか忍び込もうとしたら、片側が空いててラッキーデスよ!!」

 

あぁ…俺が翼さんと一緒の区画に入ってたから、空いてたのか。

ふむ…つまりあのミサイルは翼さん一択ではなく、実は切歌ちゃんとの二択だったのか…

割と惜しい事をした気がしなくもないが、やはり翼さんのおっぱいも素晴らしかったので良しとしよう。

 

「切ちゃん、どいて!!私は蘭子からオシオキを貰いたいの!!」

 

―γ式・卍火車―

 

「そうは問屋が卸さないデスよ!!」

 

―双斬・死nデRぇラ―

 

「調はアタシが絶対に止めるデスッ!!蘭子さん達は先に行くデスよ!!」

 

…まぁ、切歌ちゃんが止めてくれるなら有り難いし、お言葉に甘えたい気持ちはあるんだが…

この娘に関しては、たぶん物理的な争いいらないんだよなぁ…

俺が心を殺せばの話だけど…

 

「クッ、切ちゃんの分からず屋ッ!!」

 

―裏γ式・滅多卍切―

 

「分からず屋はどっちデスかッ!!調にだけは言われたくないデスよッ!!」

 

―対鎌・螺Pぅn痛ェる―

 

ヒートアップしてんな…

まぁ、会ってしまったものは仕方ないか…

 

「禁忌の少女よ…」

 

「…蘭子?」

 

「!?蘭子さん、まだ行ってなかったデスか!?」

 

「我は傷ついた悪姫、ブリュンヒルデ!!禁忌の少女よ!我に跪けッ!!」

 

「「戦場(いくさば)で何を馬鹿な事をッ!!?」」

 

翼さんと切歌ちゃんの言葉が重なるが…

 

「はいッ!!」

 

当のロリッ娘は凄くいい返事をして物凄いスピードで平伏すのだった…

妙に息が荒いのは、さっきまで切歌ちゃんと喧嘩してたせいだと信じたい…

ていうか俺、跪けとは言ったけど、そこまでしろって言ってないんだけど…

 

困惑する翼さんと何とも言えない表情の切歌ちゃんの視線がとても痛かった…




今回は
女神の双刃=切ちゃんと調

まぁ、夫婦喧嘩前哨戦はらんらんがプレイに徹したら瞬殺だからしょうがないよね?
次の更新も怪しいんですが、なるべく早めに書きたいです…
皆さん、精神的に辛くなる事とか色々あるとは思いますが、急に無断で仕事に来なくなるのはやめましょう…
作者との約束デス!!


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第23話 緑衣の悪魔

闇に飲まれよ!(お疲れさまです)

ようやく落ち着いて、休み取れました。
年内最後の更新です。

年内にG完結したかったのになぁ…


さむっ…

 

いや、いきなりこんな感想言われても訳わからんと思うけど、マジで寒いんだ…

 

あの後、息遣いが妙に荒い調ちゃんには待てを命令して、切歌ちゃんに任せた。

「これが放置プレイ…」とか言う斬新な発言は、俺への風評被害もいいところなので止めて欲しい。

 

んで、先に進もうとした矢先にノイズの団体さんが現れて、翼さんが「防人の生き様、覚悟を見せてあげるッ!!」とか言いながら突撃して行っちゃったので、1人で未来ちゃんを探す羽目になったんだが、いきなり後ろからビーム食らって気付いたら服溶けてて今に至る。

 

12月の寒空の中お外で全裸とかマジで死ねる。

これが響ちゃんの言ってた未来ちゃんのシンフォギアの力っぽい。

まさか俺の能力で出た服にも有効とは思わんかったけど。

まぁ、普通にビーム食らったら服は燃えるか…

でも、熱さとかあんま感じなかったし、身体は無傷だし、よくわからんのだよなぁ…

 

しかし、寒い…かなり寒いんだが、また何処から未来ちゃんが狙ってるかわからんので、こうやって歌も歌わずに隠れている訳だ。

こんな時、未来ちゃん担当のちっちゃい俺が居れば…ホント、何処行ったんだ、アイツ…

このままでは風邪引きそうだし、早く未来ちゃんの隙を突いて服作れる位のフォニックゲインは補給したい。

とりあえず、確証は無いんだが、出した服とか力は消せるみたいだけど、大元のシンデレラの靴には効かんみたい。

最悪ゴリ押しすれば何とかなりそうではあるんだけど、あくまで俺は未来ちゃんと話をしに来てるのだ。

 

♪歪鏡・シェンショウジン

 

歌……?ヤバッ!!

 

咄嗟にビームを躱す。

なんでここがバレて…

 

「無駄だよ、蘭子…」

 

「蘭子の居る場所なんて…私には手に取るようにわかるの…」

 

ヒェッ…ヤンデレソング歌いながらビーム乱発してくる親友とか、何処に需要が?

あぁ、大きいお友達はそういうの好きそうですね…

中身はそっち寄りだけど、見た目はうら若きJKなので、ノーセンキューですよ!

ともかく、今は逃げの一手だ。

 

「逃がさないよ…何処に居ても…必ず見つけ出してあげる!!」

 

ヤバーイッ!!説明不要ッ!!

どう見てもスト…いや、落ち着こう、まだ慌てるような時間じゃない!!

そもそも、俺は未来ちゃんを性的に見てるけど、向こうはそんな訳無い。

見た目は女の子同士だしね!!

まずは対話だ、対話を試みるんだ。

 

「や、闇に堕ちし日輪よ!」

 

オォイッ!!?この残念フィルターいい加減にしろよッ!!

このタイミングで呼び名変えて刺激与えるような事してんじゃねぇよッ!!?

 

「それ…私の事かな?」

 

もうヤダ…お家帰りたい…

 

「現世はウンディーネの息吹の如く我が身を凍てつかせし、漆黒の衣纏いし時を紡がせん」

 

どうだ?情に訴える作戦…いけるか?

 

「寒いなら…温めてあげるね?」

 

デスヨネー…

 

―流星―

 

未来ちゃんが放つ光に包まれ、俺は意識を手放した。

 

***

 

「蘭子ちゃんッ!!?」

 

戦いの様子をモニターで見ていた響は、完敗したように見える蘭子に思わず声を大きくする。

居てもたってもいられなかった。

 

「おっさん!!アタシも出るぞッ!!四の五の言ってられねぇッ!!」

 

「クリス、私も出るわッ!!」

 

クリスの言葉にマリアが呼応する。

 

「師匠ッ!!私もッ!!」

 

「響君の出撃は許さんッ!!」

 

「でもッ!!」

 

「でもも何も無いッ!!戦う力を失っている君をノイズが居る場所に送る訳にはいかん!!むざむざ死にに行く子供を諫めるのも大人の仕事だ」

 

弦十郎と響の間に奏が立つ。

 

「何だ、奏?お前まで…」

 

「まぁ、待てよ旦那。結論を急ぎ過ぎる大人は嫌われるぜ?」

 

そう言って、自分の胸のネックレスを外し、響に付ける。

 

「奏さん…?」

 

「バトンタッチさ」

 

微笑む奏に涙がこみ上げる。

 

「蘭子も未来も助けたいんだろ?」

 

「行って、全部漏れなく救ってこいッ!!恋する女なんてのは、欲張りくらいで丁度いいのさ」

 

「…はいッ!!絶対の、絶対にッ!!二人を連れて帰って来ますッ!!」

 

そう言って飛び出していく響を見送る奏に緒川が声を掛ける。

 

「…良かったのですか?」

 

「いいのさ…アタシの魂は、キッチリアイツが継いでくれてるよ」

 

今度こそ、本当に引退だな、と誰にも聞こえないように呟くのだった。

 

***

 

気付いたら、例の事務所だった。

 

『おぉ、蘭子ちゃんよ…しんでしまうとはなさけない』

 

出たよ…てか、俺死んだの?

 

『死んでませんよ?』

 

いや、死んでないのかよ!?さっきのはなんなの?

 

『あれは演出ですよ、雰囲気出るかな?と思って』

 

いや、はじめて死んだ時ここに来てるから割と冗談にならんのだけど。

で、何の用?俺忙しいんだけど。

 

『あ、それは失礼しました。いやぁ、蘭子ちゃんお困りかな?と思いまして』

 

色々困ってるよ?

月を元に戻せとか無茶な事言われるし、アンタの呼び方わからんし、親友は闇堕ちしてヤンデレになってるし、そもそも一部以外に言葉通じないし…

 

『あぁ、色々溜まってるんですね…そんな貴女に…』

 

あ、ドリンクは結構です。

 

『せめて最後まで言わせてくださいッ!!?』

 

いや、結論変わらないし無駄かなぁ…と。

 

『もう!で、月と親友については、対処法ありますよ?』

 

でもお高いんでしょ?

 

『月は無料です。直して貰わないと私も困りますので』

 

親友は?

 

『ドリンク初回購入の特典という事で』

 

クッ、足元見やがって…

 

『まぁ、どうするかはお任せしますよ?あくまで私は蘭子ちゃんの意志を尊重しますので』

 

鬼!悪魔!邪神!

 

『……蘭子ちゃんの中で私の認識がどうなっているかわかったところで、無料分の月について先に説明しますね?』

 

あ、考える時間与えないつもりだな?

そういう所だよ?

 

『え…?そうだったんですかッ!!?まさか、敏腕事務員らしくテキパキやっていた態度が裏目に出てたなんて…』

 

いや、ショック受けてるところ悪いけど、月の対処法は?

 

『あぁ、すみません。簡単ですよ、そのシンデレラの靴に願えば大丈夫です』

 

……え?そんだけ?

 

『はい…あ、でもその代わり、今までのフォニックゲインでは全然足りないです』

 

ちなみにどんくらい?

 

『たぶん、蘭子ちゃん1人では無理ですねぇ。全世界から歌を集めるくらいしないと』

 

…は?いきなりスケールがデカ過ぎない?

 

『月ですからねぇ…こればっかりは、なんとか方法を考えて貰うしかないですね、オマケに時間もあまり無いです』

 

なんで?たしか藤尭さんの話だと、後10年くらいって話だった気がするけど…

 

『あのモヤシみたいな人…ウェルキンゲトリクスさんでしたっけ?が余計な事したので、後数日で地上に墜ちますね』

 

あのモヤシ…何してくれてんだよッ!!

 

『月に関してはこんなところですね。それで、ドリ…親友の方はどうします?』

 

欲望が隠し切れてないよ、この事務員…

クッ、背に腹は替えられんか…

 

『毎度ありぃ♪じゃあ、コインでお支払いになるので、蘭子ちゃんの口座から引き落としさせて頂きますね♪』

 

ついに…ついに悪魔の契約を結んでしまった…

 

『もう!ちょっとは遠慮してくれないと泣いちゃいますよ!?』

 

いや、そう思うならもう少し自重してくれない?

で、対処法は?

 

『それでは、まずはこの衣装をどうぞ』

 

え…今何処から出して…?

 

『この衣装は、特別な衣装…シンデレラの靴と対になる衣装です。簡単に言えば、この衣装を着る事でパワーアップ出来ます。もっとも、相応のフォニックゲインは必要ですけど』

 

答える気無しか…

しかし、何をやるにもフォニックゲインか…世知辛い世の中だなぁ…

 

『まぁ、歌が力になる世界なので、仕方ないですね。その衣装の力で、親友さんの放つ光に親友さん自体を放り込んでください』

 

いや、意味がわからん。

 

『あの光は、聖遺物の力を無力化する凶祓いの力です。その効力は己に対しても例外ではありません。なので、ポーイと放り込んじゃえば、とりあえず大人しくさせられます』

 

なんか月と違って色々雑じゃない?

 

『その衣装を使えれば、それだけの力量差があるって事ですよ。で、ここからが肝心なんですが、その後なら()()()()()()()()()()()()()()()()()。口説き文句を間違えないようにして下さいね』

 

え…?なんで…

 

『それでは、今日はここまでです』

 

これも答える気無しか…

ホント、一方的だなぁ…

 

『あぁ、ここまで頑張ってくれた蘭子ちゃんに一つご褒美を』

 

え?なんですか?もしかして、水着でお触りし放題とか!?

 

『違います!!なんでこんな寒い時に水着なんですか!?』

 

いやぁ、なんとなく?

 

『もう!!夏場に考えときます!!』

 

考えてくれるんだ…

 

『コホン、では気を取り直して。私の名前は千川ちひろです』

 

……

………

ん?そんだけ?

 

『なんですか?その残念そうな目は?晴れてお得意様になったので、名乗らせて頂いたんですよ!?もっとこう』

 

いやぁ、もう緑の事務員で定着してるし、今さら名乗られても…

 

『あぁッ!!?もしかして、私、ファーストコンタクトを間違えました!!?』

 

そういう意味ならずっと間違いっぱなしのような…

 

『という事は、ドリンクが全然売れないのも、初めてのお客様が蘭子ちゃんなのも…そうだったんですね…』

 

え?俺が最初なの?

 

『それでは蘭子ちゃん…また…何かあったら呼んで下さい。その名前を呼べば、ここに来れるようにしておきます…』

 

酷いショックを受けたみたいの事務員の姿はそのまま消えて辺りが元の島の景色に戻っていく。

 

しかし、千川ちひろか…

まぁ、ドリンク押し売りされそうだし、あんま呼ぶ機会無いとは思うけど、一応覚えておこうか…

 

とりあえず、今は月と未来ちゃんが優先だな。




今回のタイトルは説明不要ですね?

世界レベル夫婦喧嘩ラウンド2もまさかの393勝利。
相当、愛が重い模様(笑)

唐突なオマケ
登場人物の料理のワザマエ

神崎蘭子
普通に作れる。
気が向いたらやたらと手の込んだ料理を作るが、専ら嫁とオカンにお任せのため、めったに台所に立つ事は無い。
堕落の極み、ここにあり。

立花響
食材を物体Xに変換する錬金術師。
にも関わらず、らんらんに対しては作りたがる。
この結果、らんらんは耐毒の能力を生み出した。
無慈悲なる味覚の破壊神。

小日向未来
料理は苦手。
でも、らんらんには作ってあげたい。
初心者にありがちなやけに難しい料理を作りたがるので30%の確率で失敗する。
だいたいらんらんが食べるのは失敗作…

雪音クリス
らんらんハウスの台所を預かる主婦。
作る機会が多いのでメキメキ腕を上げている。
アタシはただ、アイツが喜ぶ顔が見てぇだけだよ…

風鳴翼
料理どころか家事全般何一つできない。
本人曰く戦う事しか知らないとの事。
しかし、緒川の作った料理には何故か上から目線の批評をする。
それでいいのか、防人の剣…

天羽奏
得意料理はモヤシ炒め。
炒める、茹でる以外はあんまり作らない。
メシなんて適当に作ってそれなりに旨けりゃいいんだよ。

マリア・カデンツァヴナ・イヴ
クリスのサポート役のオカン。
クリスが上達してるので、彼女も上達している。
しかし、どちらかというと他の家事の方が得意。
とにかく蘭子を世話したい。

月読調
実は凄く得意。
らんらんに振る舞いたいが、自分の作った失敗料理を冷めた目で見られるのも捨てがたい。
溢れる想いはどんどん加速していく…

暁切歌
得意料理は298円。
お湯を注ぐだけでこのクオリティはヤバいデス!!との事。
常識人とは一体…

EX 藤尭朔也
上記女性陣全員を遥かに凌ぐワザマエ。
しかし、基本ぼっち飯で披露する相手はいない。
食戟の無駄遣い。

それでは皆さま、良いお年を。


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