ドラゴンボールZ 真武道会2アナザー (アンドロイドQ14)
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0話 孫悟飯の遺児

この小説はPSPのドラゴンボールのゲーム、真武道会2のプレイ動画やTVスペシャル、未来悟飯とビーデルの悲恋を描いた小説を読んで執筆したくなった小説です。
GTと超はあまり評判がよくないようですが、その2作品でも面白そうな設定は取り入れ、面白くない設定は取り入れない方針なのでポタラは神以外が使っても時間制限が存在せず、17号と18号もパワーアップして参戦します。また、真武道会2の戦闘人形は登場しない代わりにクウラ以降の劇場版の敵がバビディ一味の主力となりますので登場をお楽しみに。



地球(未来)

 人造人間を倒して数年後、トランクスはある人物達と共に今は亡き師の悟飯の墓参りに来ていた。

 

ナレーション「人造人間17号と18号によって未来の地球は地獄そのものになっていた。しかし、過去の世界での戦いを通して強くなったトランクスによって17号と18号は倒され、トランクスのいた次元で誕生したセルさえも倒した事で遂に地獄の未来に平和が訪れた。それからトランクスは悟飯が自分を鍛えてくれたように、自分が倒れた時の事を考えて後継者となる戦士を育てていた」

 

トランクス「悟飯さん、あなたが亡くなってからもう10年経ちましたね。俺が悟飯さんの仇をとってこの時代を救いました。そして、あなたが死ぬ前に遺した子供のパンもすくすくと育って俺の後継者に相応しい戦士にすべく鍛えています。どうか、あの世で俺達を見守ってください…」

 

パン「トランクスはずっと私を鍛えてるけど、私のパパはそんなに凄かったの?」

 

トランクス「何度も言ってるじゃないか。悟飯さんはずっと絶望に抗い続け、俺を鍛えてくれた強い人だ。今は亡き悟飯さんに恩返しをするためにも、新しい脅威が来て俺が倒れた時を考えてパンを鍛えているんだ」

 

パン「でも、私は超サイヤ人になれるし、もう人造人間もいないのに何でまだ鍛えるの?」

 

トランクス「俺は過去の世界でこの時代の人造人間よりも恐ろしくて強い敵と戦ってきたんだ。だからこそ、その敵やそれ以上の強さの敵が来る事を考えて鍛え続けなければいけないんだ」

 

サタン「だがトランクス、鍛えるのもいいが、あまり気負い過ぎるのもよくないぞ。息抜きも必要だからな」

 

トランクス「サタンさん…」

 

サタン「今までわし達は悟飯に世話になりっぱなしで何もしてやれなかったからな…」

 

ビーデル「そうね…、もう十数年も前なのに初めて悟飯と会ったのも昨日の事のように思えてくるわ…」

 

 ビーデルはパンが赤ちゃんの時に3人で撮った写真を見つめながら、ビーデルは昔の事を思い出していた。

 

 

 

回想

 それは、悟飯が死ぬ数年前まで遡る事だった。第24回天下一武道会の優勝者であるミスター・サタンはオレンジスターシティで人造人間と戦ったが、普通の人間が超サイヤ人を超える強さを持つ人造人間に勝てるはずもなく、弄ばれるかのように殺されようとしていた。

 

サタン「あああああっ!!」

 

17号(未来)「まさか、お前みたいな身の程知らずがいるとは思わなかったぞ。この様子を中継したらどうなるんだろうな?」

 

18号(未来)「17号、いい加減に首をへし折って殺しちまいなよ。いつまでそうしてるんだい?」

 

ビーデル「パパ…」

 

 父親を助けたいと思うビーデルだったが、その気になれば人間をを遊びで簡単に殺せる人造人間相手では恐怖で動く事もできなかった。サタンが殺されようとしたその時…。

 

???「人造人間、お前達の好きにはさせないぞ!」

 

 サタンでは殴り飛ばせなかった人造人間をある男が殴り飛ばした。

 

17号(未来)「また孫悟飯か、楽しみの邪魔をするなよ」

 

悟飯「そこの君、すぐに逃げろ!」

 

ビーデル「あ…」

 

悟飯「何を立ち止まっているんだ!そのまま人造人間に殺されたいのか!?」

 

イレーザ「シャプナー、あんたはサタンをお願い!私はビーデルを連れて逃げるわ!」

 

 サタン親子はビーデルの友人に連れられていった。しかし、ビーデルは隠れ家まで目前の時に自分達を助けてくれた悟飯の事が気になって引き返した。

 

ビーデル「(やっぱり、あの人を放っておけない…!)」

 

 ビーデルが着いた時には人造人間は去っており、その場には怪我をした悟飯だけがいた。

 

ビーデル「大丈夫?しっかりして!」

 

 先走ったビーデルの後をついてきたイレーザとシャプナーも到着した。

 

イレーザ「この人、怪我してるわよ!」

 

シャプナー「人造人間に見つかったらまずい!さっさと隠れ家へ運ぶぞ!」

 

 急いでビーデル達は悟飯を隠れ家へ運んだ。

 

シャプナー「なぁ、こいつは以前、噂で聞いた1人で人造人間と戦い続けている男じゃないのか?」

 

イレーザ「嘘だと思ってたけど…、本当だったなんて…」

 

 軍隊も警察も歯が立たない人造人間にたった1人で戦い続けている男がいる噂はビーデルも聞いていた。いつか会いたい、そう思っていたビーデルにとって悟飯との出会いは絶望の未来でも運命的なものであった。隠れ家へ運ばれた悟飯は手当を受けてしばらくしてから目が覚めた。

 

悟飯「ここは…」

 

ビーデル「安心して。ここは私達の隠れ家なの。あなたが噂で聞いた人造人間と戦い続けていた人なの?」

 

悟飯「ああ。俺は孫悟飯。君は…?」

 

ビーデル「私はビーデル」

 

イレーザ「イレーザよ」

 

シャプナー「俺はシャプナーだ。俺とイレーザは両親を人造人間に殺されちまって、ビーデル親子と一緒に行動していたんだ」

 

サタン「わしはミスター・サタンだ。悟飯、あの時は助けてくれてありがとう。わしが人造人間の恐ろしさを知らないあまり、奴等に殺されかけた所を助けてくれたばかりか、お前に怪我までさせてしまってどうお詫びをすればいいのか…」

 

悟飯「お詫びなんていりませんよ。俺は人として当然の事をしたまでなんですから」

 

サタン「そうか…。だったら悟飯、たまにでいいからわし達の所に来てくれんか?大した事はできんが、せっかくビーデルやその友達と親しくなったんだ。そしていずれはお前にビーデルを嫁がせてやりたいのが私のお前に対してできそうな恩返しだ。いいかね?」

 

ビーデル「ちょ、ちょっとパパ、いきなりこんな話をするなんて!!」

 

サタン「ははははっ、いつまでも陰鬱になってては何も始まらんからな!」

 

悟飯「ははっ、サタンさんのお言葉に甘えてそうさせていただきます。結婚の事についても考えておきます」

 

サタン「そうかそうか、あっははははっ!!」

 

 ビーデルとの結婚を認めるという話は絶望の中でも娘とその友達に笑顔でいてほしいサタンのジョークであったが、悟飯は真面目であるが故に真に受けて結婚も考える事にしたのであった。悟飯はピッコロを始めとする大の大人達に囲まれて育ったが故に同年代の友達がおらず、ビーデル達が初めてできた同年代の友人であり、厳しい戦いの中で大人びていた悟飯も彼等の前では年相応な部分も見せるようになった。ビーデルの父親のサタンは笑って話せる父親みたいな存在であり、サタンにとっても悟飯は既に息子みたいな存在になっていた。たまに彼等に会う事がトランクスを一人前の戦士にする以外に悟飯に新しくできた楽しみであり、人造人間に立ち向かう原動力となっていた。

 

トランクス「同年代の友達と会う事が悟飯さんの楽しみだなんて思ってませんでした」

 

悟飯「俺にとって、彼等は太陽みたいな存在だ。彼等がいるからこそ、一刻も早く人造人間を倒さなければならないと闘志が湧いてくるんだ。さぁ、もっと行くぞ、トランクス!」

 

 トランクスを鍛えつつ、たまにビーデル達の元を訪れる悟飯はビーデルからある相談を受けていた。

 

悟飯「舞空術を教えてほしいだって?」

 

ビーデル「そうよ。少しでも人造人間から逃げきる可能性を高めたいから、どうしても空の飛び方を教えてほしいの」

 

悟飯「わかった。だが、あまり時間はとれないぞ。それでもいいか?」

 

ビーデル「ええ!」

 

 後にトランクスが向かった時代のビーデルに比べ、この絶望の未来を生きるビーデルは逃亡生活を続けている事もあって必死で練習し、1週間で舞空術をものにしたのであった。

 

悟飯「まさか、こんなに短期間で習得するとは」

 

ビーデル「悟飯、私はいつでも待ってるからね」

 

悟飯「ああ」

 

ナレーション「人造人間と戦いながら、悟飯は時折、ビーデル達の元を訪れていた。それからしばらく経ち……」

 

イレーザ「やっと赤ちゃんが生まれたわね、ビーデル。名前は考えたの?」

 

ビーデル「この子の名前はパン、パンよ」

 

サタン「悟飯は朝ご飯などのご飯が由来っぽそうだからそれを意識してパンか。可愛いこの子にピッタリな名前だな」

 

シャプナー「悟飯をビックリさせてやろうぜ」

 

 そう言ってると、悟飯が来た。しかし、いつもと様子が違っていた。

 

シャプナー「悟飯、左腕…どうしたんだ…?」

 

 そう、左腕は人造人間との戦いで弟子のトランクスを庇った際に失ったのであった。

 

イレーザ「悟飯、もう人造人間との戦いはやめて!今度は本当に死ぬかも知れないのよ!」

 

悟飯「…俺は死なないよ。たとえ、この体が滅んでも俺の意思を継ぐ者が必ず立ち上がり、人造人間を倒すんだ」

 

サタン「バカな事を言うな!悟飯、お前は嫁と娘を置いて死ぬ気なのか!!?」

 

悟飯「…娘…?」

 

 いつもとは違うサタンの真剣な説教と『娘』という言葉に悟飯は驚いていた。

 

ビーデル「悟飯、死んじゃ嫌よ!まだパンは生まれて間もないのにお父さんの顔を知らないままにさせてしまうなんて…」

 

悟飯「それでも俺は戦いをやめるわけにはいかない。パンのためにも…このような地獄は1日も早く終わらせないと…」

 

 悟飯は残った右腕でパンを抱きしめた。

 

悟飯「帰る前にやらなければならない事がある」

 

イレーザ「やらなきゃいけない事?」

 

 それは、ビーデルと生まれたばかりのパンと一緒に写真を撮りたいという事だった。もう娘とは会えなくなるだろうと悟った悟飯が自分の生きた証を残したいがために。2枚撮り、1枚はビーデルが、もう1枚は悟飯が道着の懐に入れた。

 

ビーデル「絶対に生きて帰ってくるのよ」

 

悟飯「……わかった。人造人間を倒したら、3人一緒に暮らそう」

 

 だが、現実は非情にもビーデルの願いは叶う事はなかった。1年後、悟飯は人造人間との戦いで戦死したのであった。それと同じ日、ビーデルは食料品の買い出しに行っており、隠れ家に帰ってきた。

 

ビーデル「ただいま」

 

 しかし、中から聞こえたのは父親の死を本能で感じ取ったかのように大声で泣くパンの泣き声だった。

 

イレーザ「パンちゃん、どうしたの?大人しくしてたのに急に泣き始めたなんて…!」

 

 パンの泣き声と同時に悟飯がここに来ていた時に使っていた食器にヒビが入っていたのを食器を片付けていたシャプナーとサタンが発見した。

 

シャプナー「悟飯の奴……まさか…!」

 

人造人間との戦いに敗れた悟飯は今にも命が尽きそうだった。

 

悟飯「もう……ここまでか……」

 

 そんな時、風に吹かれて懐に入れていた写真が目の前に来た。

 

悟飯「ビーデル…、パン…、約束…は……守れ…そう…にない…。俺の…分……まで…い………き……ろ……」

 

 最愛の妻と娘、そして最後の希望のトランクスの事を想い、悟飯の命は尽きた。シャプナーの抱いた悪い予想は的中して後日、ビーデルは悟飯は死んだと弟子のトランクスから知らされたのであった。

 

ビーデル「そんな…、人造人間を倒したら3人一緒に暮らすって約束したのに…私とパンを置いて死ぬなんて…、悟飯の嘘つき!!」

 

 最愛の悟飯の死にビーデルは泣き崩れ、それと連動するかのようにパンの悲しむような泣き声も響き渡っていたのであった…。

 

 

 

ビーデル「トランクス、悟飯や人造人間に殺された人達の仇をとってくれてありがとう…。もう、殺された人達は戻ってこないけど…」

 

チチ「悟飯ちゃん、大事な嫁さんと娘は元気だ。あの世で悟空さ達と一緒に暮らすだよ…」

 

 17号と18号が倒された後、ビーデルとパンは悟飯の実家に偶然立ち寄った際、悟飯の母親のチチと出会い、チチが悟飯の母親である事を知ったビーデルとパンはチチと一緒に暮らしていた。しかし、物心つく前に悟飯が死んでしまったために父親の顔を写真でしか見た事がないパンは普段は天真爛漫なものの、父親や父方の祖父のいない強烈な寂しさを抱えていた。

 

パン「ママ、おばあちゃん…。私、パパや悟空おじいちゃんに会いたい…」

 

チチ「でも、もう悟空さも悟飯ちゃんも死んじまっただ…」

 

パン「それでも会いたいの!だって…、私を鍛えているトランクスは以前、過去に行って今まで会った事がない自分のお父さんに会ったって話してたの!それを聞いたら私も過去に行ってパパや悟空おじいちゃんに会いたくてしょうがないのよ!」

 

 寂しさからくるパンの悲しむ姿にビーデルもチチも何も言えなかった。そんなパンの頭をトランクスはなでた。

 

トランクス「パン、俺も父さんがいない寂しさは痛い程わかるよ。いつか俺と一緒にタイムマシンで過去に行って悟空さんと悟飯さんに会いに行こう。だから、泣き止むんだ」

 

 パンを慰めた後、いつか一緒に過去に行こうと約束したのであった。

 

トランクス「皆さん、気持ちを切り替えて今夜はご馳走を食べましょう!」

 

 重い雰囲気であるため、トランクスが引率して雰囲気を変え、墓参りを終えたのであった。

 

 

 

???

 ある場所では怪しい影が蠢いていた。

 

???A「ひひひっ、前より人間共が増えてるぞ」

 

???B「そうですね、バビディ様。あの時は断念せざるを得なかった魔人ブウ復活も今度こそできるかも知れません」

 

バビディ「ダーブラ、確かに前は人間が少なかったから地球を離れるしかなかったけど、その間に色んな奴を僕の配下にできたからね」

 

 バビディとダーブラの背後には怪しい5人組がいた。

 

???「4人の界王に封印されていた所を封印を解いて我らを助けてくれて感謝します、バビディ様」

 

バビディ「御託はいいから、早速働いてもらうよ~」

 

???「はっ、仰せのままに…」

 

ダーブラ「必ずや魔人ブウを復活させましょう、バビディ様!」

 

ナレーション「なんと、絶望の地獄を乗り越えたはずの未来の世界に魔導士バビディとその配下達が現れた。このままだと未来は再び絶望の世界となってしまうのか?そして、強烈な寂しさを抱えるパンの願いも近いうちに叶おうとしていたのであった…」

 




これで0話は終わりです。
この話は未来悟飯の未来ビーデルとの出会いから未来悟飯の死までを回想で描いています。
未来悟飯と未来ビーデルの悲恋を描いた小説ではサタンが人造人間に殺されているものが多かったのですが、真武道会2では未来世界でサタンが生き残っていたので、それに繋げる形でサタンを生き残らせました。
真武道会2の未来サタンはGTのデザインだったので、未来ビーデルと未来パンもGTのデザインのイメージです。
未来パンがGTのパンと違って超サイヤ人になれる設定にしたのは、同人誌のマルチバースでパンの超サイヤ人化が描かれていたので、それを自分もやってみたかったからです。
GTのパンは祖父の悟空に懐いている描写が多かったのですが、今小説の未来パンは表面的な性格はGTのパンと同じであるものの、父親の悟飯がいない強烈な寂しさを抱えたキャラとして描いていくため、GTとは逆に悟空よりも悟飯との絡みを多くします。
最後に出てきた怪しい5人組は気づいた人はいると思いますが、正体は次で明らかになります。
次はバビディ一味が本格的に暴れ出します。


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1話 動き出したバビディ一味

???

 ある宇宙では界王神見習いのザマスは悟空らしき人物と合体したものの、ある人物には敵わずに逃げ回っていた。

 

合体ザマス「き、貴様、全王になぜ似ている!?」

 

先代の全王「似てるも何も、私は今の全王の父親なのだよ。君はタブーを犯した。よって、消えてもらおう」

 

 全王にひげを生やしたような姿をしている先代の全王は地球人の見た目をした武闘家の姿に変身した。

 

合体ザマス「な、姿が…」

 

先代の全王「私は決まった姿を持たないのだよ。気分次第で色んな姿に変身するのが趣味でね。おっと、君を消さないと。リバースビーム!」

 

 七色のビームを合体ザマスはよけようともしなかった。

 

合体ザマス「ふん、代々の全王が使えるという回復光線を浴びせた所で…」

 

 ところが、ザマスの体に異変が起こった。合体したザマスは分離してしまい、悟空らしき人物はザマスになってしまって時の指輪もポタラも消滅した上、2人共赤ちゃんになってしまった。

 

ベビーザマス「ば、ばぶばぶ!(な、なぜだ!?なぜ合体が!?)」

 

先代の全王「君、リバースビームの本当の威力を知らなかったようだね。リバースビームは対象の時間を逆行させる。つまり、時の指輪やポタラをできる前の状態に戻して消滅させたり、変身や合体する前や体を入れ替える前、不老不死になる前や子供とか赤ん坊の状態にも戻せるんだよ。回復はそれを応用したものに過ぎない。では、さようなら」

 

ベビーザマス達「ばぶ~~!(赤ちゃんにされて死ぬのは嫌だ~~!!)」

 

 リバースビームと破壊神も使える破壊の攻撃でザマスは時の指輪もドラゴンボールによる不老不死も失い、赤ちゃんにされるという辱めを受けてからあらゆる次元から消え去ってしまった。

 

先代の全王「これで息子の無駄な破壊を防げる。息子の破壊を1から元に戻すには骨が折れるからね。おっと、今日の仕事をしなければ」

 

 ザマスを始末した後、先代の全王はあらゆる次元の宇宙を映せる水晶を出してバビディ達が暗躍しようとしている未来世界を見つめた。

 

 

地球(未来)

 トランクスは各地の復興事業の合間を縫ってパンを鍛えていた。

 

トランクス「よし、今日はここまでだ」

 

パン「トランクス、数年ぶりに天下一武道会が開かれるけど私、出たい!」

 

トランクス「そうだな。そろそろパンにも実戦の経験が必要なのかも知れない。出るか」

 

パン「うん!」

 

 

 

天下一武道会会場

先代の全王『そして、天下一武道会当日…』

 

パン「トランクス、随分嬉しそうね」

 

トランクス「実は天下一武道会は一度出てみたかったんだ。母さんには黙って参加を決めちゃったけど、応援に来られても恥ずかしいし、久しぶりに実戦もいいかな」

 

パン「街のみんな、とっても楽しそうよ」

 

トランクス「そうだな。人造人間がいた時にはとても考えられなかった…」

 

パン「トランクス、そろそろ本選が始まるから移動するわよ」

 

 トランクスはブルマに黙って参加を決めていたが、ブルマはビーデルとチチと共に来ていた。

 

ブルマ「もう、トランクスったら、本当に隠し事が苦手なんだから」

 

チチ「パンは参加するってすぐに言ってくれただ」

 

ブルマ「チチさんも随分と元気になったわね」

 

チチ「こんなに可愛い孫娘を遺してくれた悟飯ちゃんのためにも、オラだっていつまでも沈んでいられねえだ」

 

ビーデル「お義母さんも以前は天下一武道会に出たそうですね」

 

チチ「あぁ、本選で悟空さとぶつかって、そして結婚して、ああ、あん時の事が今のように思えてくるだよ」

 

ブルマ「孫君も悟飯君も生きていたら、パンちゃんをとっても可愛がってたでしょうね」

 

ビーデル「ブルマさんとお義母さんもトランクスとパンを応援してあげましょう」

 

 昔の事を思い出しながら、母親達は語り合っていた。

 

観客A「おい、この前ダチから聞いたんだが、新しい人造人間が現れたらしいぜ」

 

観客B「おいおい、何かの冗談だろう?」

 

観客A「間違いないって。レッドリボン軍のマークをつけた服を着た男三人を見かけたって言ってたんだ。それも、とても人間とは思えねえ頑丈さとパワーを持ってたってさ」

 

観客B「マジかよ!でも、そいつらもトランクスの前では瞬殺だろうな」

 

 観客たちが話している不穏な噂を聞いたブルマは手持ちのカプセルに視線を向けた。

 

アナウンサー「皆さん、大変長らくお待たせいたしました~~っ!!ただいまから、天下一武道会を始めます!」

 

ブルマ「頑張れ、トランクス!」

 

トランクス「母さん、何でここに!?まいったなぁ、バレてたのか…」

 

パン「私なんかもうママとおばあちゃんに話したよ」

 

トランクス「(そう言えば、パンを鍛える時も一悶着あったなぁ…)」

 

 

 

回想

 トランクスはパンを自身の後継者にしたいためにチチとビーデルにこの事を話していた。

 

チチ「何でパンに武術を教えるんだ!?もう平和になったからそんな事はしなくていいだ!」

 

トランクス「あなたの言う事もわかります!ですが、万一、俺が倒れた時に誰がこの地球を守るのですか!?新しい敵が現れた時にあなたはまた地獄のような世界に戻ってもいいとおっしゃるのですか!?」

 

 悟空、そして悟飯を失ったチチは孫娘のパンに武術を教えたくなかったが、トランクスのいう事も間違っていないため、頼みを受け入れたのであった。そして、トランクスは自身の経験を元にパンの指導を始めたのであった。

 

トランクス「パン、パワーに偏った変身をしてはいけない。今から、パワーに偏った変身をするとどうなるのか教えよう」

 

 以前、完全体のセルに指摘された事をパンに教えるためにトランクスはパワーに偏った変身をした。

 

パン「そこのどこがダメなの?」

 

トランクス「今から俺の攻撃を回避するんだ」

 

 トランクスは攻撃を仕掛けたが、いつもよりスピードが遅かったためにパンは簡単にかわせた。

 

パン「なんか、いつもより遅い感じがする」

 

トランクス「その通り、パワーに偏った変身をするとスピードが落ちてしまうんだ。いかに強力な攻撃でも当たらなければ意味がない。過去の世界で戦った完全体のセルにそう指摘されたんだ」

 

パン「敵に指摘されちゃうなんて、トランクスって意外と抜けてる所もあったのね」

 

トランクス「それは否定しないが…。後、さっきの変身はエネルギーの消耗も激しいんだ。わかったね?」

 

パン「きちんと実例を見せてくれたからよくわかるわよ」

 

 

 

トランクス「(そもそも厳しい修行を積み、悟飯さんの死を経験して俺はようやく超サイヤ人になれたのに、まだ武術も習っていない5歳の時に超サイヤ人になれた上に今となっては完全体のセルをやや上回る強さになったパンの潜在能力は凄いものだ。もしかすると…、鍛え続ければすぐに俺や過去の悟飯さんを超えてしまうかも知れない…)」

 

アナウンサー「さぁ、天下一武道会の始まりです!今回も目が離せない熱い戦いになりそうです!」

 

 第1試合はパンとキビトの試合となった。

 

トランクス「パン、あの2人の雰囲気は普通じゃない。くれぐれも油断するな」

 

パン「キビトっていうおじさんとシンの2人の事ね。大丈夫よ、私の方が上なんだから!」

 

キビト「パンといったな、娘。超サイヤ人とやらに変身するのだ」

 

パン「ちょっとおじさん、どうしてなの?」

 

キビト「君とトランクスという青年が私達の助けになるのか試したい。詳しい事は超サイヤ人になれば教えよう」

 

パン「仕方ないわね。変身すればいいんでしょ?変身すれば。はああああっ!!」

 

 キビトに言われてパンは超サイヤ人に変身した。

 

チチ「パン、超サイヤ人は不良だから公の場で見せちゃダメだけろ!!」

 

 超サイヤ人を不良として嫌っているチチはパンが超サイヤ人に変身した事に我を忘れて叫び出し、ブルマとビーデルに取り押さえられた。

 

 

上空

 そんな中、バビディとダーブラが反応した。

 

バビディ「おほっ、み~つけた!」

 

ダーブラ「む?ほほう、なかなかいいエネルギーのようですね、バビディ様。早速、奪ってきましょうか?」

 

バビディ「そうだね~早くブウを復活させたいし、僕はここで待ってるから頼んだよ~ダーブラ」

 

ダーブラ「それとバビディ様、場合によっては彼等を使ってもよろしいでしょうか?」

 

バビディ「好きにするといいよ~」

 

 ダーブラは5人の怪しい者達と共に天下一武道会会場に乗り込んだ。

 

 

 

天下一武道会会場

 超サイヤ人に変身したパンと超サイヤ人2に変身したトランクスの強さに驚きと喜びを隠せない界王神とキビトだったが、突如としてダーブラが天下一武道会に乱入し、次々と武闘家達のエネルギーを奪っていった。

 

パン「あいつら、みんなが楽しみにしている天下一武道会をめちゃくちゃにして!!」

 

トランクス「許さんぞ!」

 

 ダーブラの行いに激怒したトランクスとパンはダーブラに戦いを挑もうとしたが、界王神に動きを封じられてしまった。

 

パン「何で動けなくしたのよ!私とトランクスを行かせなさいよ!!」

 

シン「行ってはいけません、トランクス君、パンちゃん!」

 

トランクス「お前達も奴等の仲間か!?」

 

シン「落ち着いてください、トランクス君、パンちゃん!我々はあなたの味方です!あなた達はあれと戦ってはいけない!とにかく、今はあれと戦ってはいけないのです!行きますよ、キビト!」

 

トランクス「ど、どこへ行く?離せ!」

 

 トランクスとパンは動きを封じられたまま、界王神達に連れられた。

 

バビディ「ちっ、邪魔が入ったか。界王神の奴、ここで逃げるとは面白くない事をするじゃないか!」

 

ダーブラ「逃がさんぞ!」

 

 トランクス達をおびき出すため、ダーブラは近隣の街を無差別に破壊し始めた。

 

パン「あいつら……!!」

 

トランクス「許さん…、絶対に許さんぞ!!」

 

 怒りがピークに達したトランクスとパンは界王神の拘束を破り、ダーブラに向かっていき、パンはダーブラを蹴り飛ばした。

 

ダーブラ「ふっはっはっはっ、飛んで火にいる夏の虫とはお前達の事だな。やれ!」

 

 次の攻撃を加えようとしたトランクスとパンだったが、突如として動きを封じられてしまった。

 

トランクス「な、何っ!?」

 

 動きを封じていたのはボージャックの部下のビドー、ブージン、ザンギャ、ゴクアだった。そして、ボージャックもいた。5人の額にはバビディに洗脳された証であるMのマークがついていた。

 

キビト「界王神様、奴等は…」

 

シン「間違いありません、奴等はかつて銀河を荒らし回ったヘラー一族!」

 

トランクス「バカな、バビディはボージャック一味の封印を解いて配下にしていたとでもいうのか!?」

 

ボージャック「その通りだ、小僧。さぁ、小娘共々魔人ブウ復活のためにエネルギーはいただくぞ!」

 

 バビディの洗脳で強化されたビドー達の結界はゴクアも加わっているために超サイヤ人2の力でも簡単に破れず、、トランクスとパンは体内のエネルギーを奪われ、敗れてしまった。

 

ボージャック「バビディ様、この小僧と小娘のエネルギーはすさまじいものです。他にもこいつらのような連中がいるのでしょうか?」

 

バビディ「僕の知っているレベルの戦士ではないね~。こいつらのほかにもそんな奴がいるのか、記憶をのぞいてみようか」

 

ダーブラ「それは面白いですな」

 

 トランクスはバビディに記憶を覗かれてしまった。過去の戦士やタイムマシンの事まで。

 

バビディ「ほほぉ~、これは面白い事になってきたね~!」

 

ダーブラ「この力、そして奴の記憶にあった戦士達…。この者達をこちらへおびき寄せる事ができれば、ブウ復活のエネルギー源として役立ちそうですね」

 

バビディ「くっくっくっ、面白くなってきたねー!ここはひとまず退却だよ。行くよ、ダーブラ、ボージャック達!」

 

 バビディ一味は退却した。

 

シン「このままではまずい!キビト!」

 

キビト「はっ!」

 

 キビトはエネルギーを奪われたトランクスとパンの力を元に戻した。

 

トランクス「力が…戻っていく…。ありがとうございます、キビトさん、それと…」

 

キビト「この方は界王の頂点に」

 

シン「今はそんな暇はありません。私はシンと言います。トランクス君、パンちゃん、一休みしてからバビディがどう出るか考えましょう」

 

 戦いの疲れもあるため、トランクスとパンは一休みする事にした。疲れがとれてから一同はバビディを探そうとしたその時…、

 

一般人「大変だぁ~~、人造人間が現れたぞ~~!!」

 

トランクス「じ、人造人間だと!?」

 

 未来の世界は人造人間17号と18号によって地獄と化していた。トランクスによって倒され、ようやく人造人間による恐怖の記憶が消えようとしていた矢先、新たな人造人間の出現で悪夢が蘇ろうとしていた。

 

トランクス「何でなんだ、俺が17号と18号を、セルを倒したはずなのに!?」

 

 人造人間に対する怒りが人一倍強いトランクスは向かっていった。街を破壊していた人造人間はかつてトランクスが過去の世界に行った時に戦った3体の人造人間だった。

 

トランクス「まさか…、13号と14号、15号が未来にもいただと…!」

 

13号「貴様はトランクスだな?孫悟空はもういないから残りの人間共々お前も消してやろう」

 

トランクス「13号、もうこの時代を地獄にさせてたまるものか!この場でお前達を破壊する!」

 

 トランクスの凄まじい怒りにパンは驚いていた。

 

パン「あんなに怒るトランクス、初めて見た…」

 

キビト「余程、人造人間に怒りを抱いているのであろう」

 

 過去の戦いを経験して強くなったトランクスの前には13号達は無力であった。14号と15号は一瞬で破壊された。

 

13号「なかなかやるようだな。だが、これならどうだ!?」

 

 13号は過去の世界の13号と同じように14号と15号の動力炉とデータチップを吸収して合体13号となったが、やはりトランクスには瞬殺されたのであった。

 

トランクス「これで終わりだ…!」

 

合体13号『終わりではないぞ、トランクス。お前が倒した俺と14号と15号は足止め用に作られた劣化コピーに過ぎん。オリジナルの俺達はこいつらとの強さは比較にはならんぞ。こうしている間にもバビディ様達はどんどん街を破壊しているぞ。は~っはっはっは~っ!!』

 

 オリジナルの13号の伝言を伝えた後、合体13号の頭部は爆発した。

 

シン「あれで足止め用ですって…」

 

トランクス「何てことだ!!せっかく長い時間をかけて復興してきたというのに!ちくしょう!どうすればいいんだ!俺とパンだけではどうにもできない…」

 

シン「トランクス君、しっかりしなさい!君が焦ってもどうにもならないんですよ」

 

キビト「そうだ。それに君達じゃない、我々だっているんだ」

 

シン「ブウの復活を止めるためには私達だけじゃダメなんです。君達の力が必要なんですよ!地球の人達をこれ以上失うわけにはいかないでしょう!」

 

パン「なら、話は早いじゃない。あいつらを倒せば済む事よ」

 

トランクス「パン、この状況はただ、敵を倒せば済む話ではないんだ!2人では街を守りながら戦えないし、仙豆もないし、俺達だけじゃ無理だ!俺達だけでは…」

 

 しかし、トランクスはある事が閃いた。

 

トランクス「そうか…、タイムマシンがあるじゃないか!過去の世界に行って、悟空さんや父さん達の力を借りる事ができれば…」

 

シン「タイムマシン?」

 

トランクス「はい!以前にタイムマシンを使って過去の地球に行き、そこで過去の強い仲間達と一緒に闘った事があるのです!あれから、タイムマシンの研究も進んで、たくさんの人を乗せる事もできるようになったし、皆さんにこの世界へ来てもらえれば…」

 

シン「た、タイムマシン!?君と同じように戦える人がいるというのなら、バビディ達を止める事ができるのかも知れない…」

 

キビト「し、しかし…、タイムマシンとやらを使う事は時間移動を行う事になります。その行為をビルス様と時の界王神様がお許しになるのか…」

 

シン「キビト、これは緊急事態です!そんな事は言ってられません!後でこの事はビルス様と時の界王神様に報告して許しをもらいましょう!トランクス君、そのタイムマシンは今、どこにあるのですか?」

 

トランクス「西の都に…はっ、もしかしたら母さんが既に帰っているかも知れない!母さんが心配だ…」

 

???「話は傍で聞かせてもらったわよ、トランクス」

 

 声がした方にはブルマ達がいた。

 

トランクス「母さん!今すぐ西の都へ」

 

ブルマ「その必要はないわよ。実は数日前から新しい人造人間が現れたっていう噂を聞いて、タイムマシンの往復分のエネルギーのチャージが済んだ所でホイホイカプセルに入れて持っていたのよ」

 

パン「ありがとう、ブルマさん!これで私も悟空おじいちゃんやパパに会える!」

 

トランクス「だが、その前に奴等を撃退しないと!界王神様達はカリン塔へ行って仙豆を持ってきてくれませんか?そして、母さん達を神様の宮殿にまで送ってください。地上にいるより、あそこの方が安全ですから」

 

シン「仙豆ですか?わかりました」

 

キビト「トランクス、パン、死ぬなよ」

 

 ブルマ達の事を界王神とキビトに任せ、トランクスとパンは過去へ行く前にバビディ一味の破壊活動を止めるため、急いだ。

 

ボージャック「ふん、また来たか」

 

トランクス「ダーブラ、ボージャック、お前達の好きにはさせんぞ!!」

 

 最初から超サイヤ人2に変身して全開で挑み、パンも最初から全開でボージャックの部下達と戦っていた。

 

ザンギャ「ここはお子様の来る所ではないのよ」

 

パン「あんたを見てると、無性にやっつけたくなるのよ!」

 

ゴクア「身の程知らずのようだな」

 

ビドー「顔がぐちゃぐちゃになるまでしてから殺そうか?」

 

ブージン「そうだな」

 

 パンが離れた所でザンギャ達と戦っている間にトランクスはダーブラとボージャックを圧倒していた。

 

ボージャック「ちぃっ、かなりやりやがる!」

 

ダーブラ「ボージャック、今はムキになる事はない。この場は撤収して、例の連中を連れてこさせるんだ」

 

ボージャック「それもそうだな。お前ら、この場は撤収だ!」

 

 ダーブラ達はボージャック一味と共に撤退した。

 

 

 

神様の神殿

 破壊活動が止まっている間にトランクスは一旦、神様の神殿に来た。

 

シン「トランクス君、仙豆をいただきました」

 

 界王神はカリンからもらった仙豆をトランクスに渡した。

 

トランクス「ありがとうございます、界王神様」

 

ブルマ「それと、タイムマシンよ」

 

 ブルマはカプセルからタイムマシンを出した。

 

パン「これで、悟空おじいちゃんやパパに会える…」

 

トランクス「さぁ行こう、パン!悟空さんや俺の父さん達が待つ過去の世界へ!」

 

先代の全王『トランクスはパンと共にタイムマシンで過去の世界に出発した。希望である悟空達を未来の世界に連れて来るために。果たして、未来はまた絶望の地獄に戻るのか、希望溢れるものになるのか…』




これで1話は終わりです。
今回は界王神とキビトの登場とバビディ一味が本格的に暴れ出す話になっています。
冒頭のザマスを赤ちゃんに戻してしまった先代の全王が放ったリバースビームはドラゴンボールによる不老不死で時の指輪を持つザマスをどうすれば全王の破壊以外で殺せるのかどうか考えた結果、幽遊白書の逆玉手箱やHUGっとプリキュアのトラウムのメカの時間逆行を参考にして時間を逆行させる事でアイテムを消滅させたり、変身や合体、体の入れ替えや不老不死さえ元に戻してしまう単純ながらも相手を無力化したり回復したりと応用も利く強力な時間逆行光線のリバースビームが思いつきました。
先代の全王は全王は宇宙破壊などというとんでもない事がホイホイできるので、間違って破壊した際のフォロー役が必要ではないかと思い、全王とは逆に再生を得意とする先代の全王を出しました。ちなみに、デジモンアドベンチャーシリーズのナレーションはタケルがやってたというオチだったので、それをドラゴンボールでもやってみようと思い、今小説でナレーションをしていたのは先代の全王という事にしています。
劇場版の敵はジャネンバとヒルデガーン、ブロリー以外は楽勝だろと簡単に思われないように、今回から本格的に暴れ出したボージャック一味みたいにバビディの洗脳で強化されている上、街を破壊するために街の防衛と敵の撃破を両立させなければいけないと描写していきます。
次の話はゲームの真武道会2ではあっさり流された未来トランクスと悟空達の再会をじっくりと描いていきます。


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2話 過去の世界

界王神界(未来)

 界王神はトランクスの時間移動を許してほしいためにビルスにこの事を伝えていた。

 

ビルス「なるほど、ブウ復活を目論むバビディ達を止められないからトランクスとかいう奴は時間移動したんだね?」

 

シン「はい。ビルス様、どうか時間移動という重罪を犯したトランクス君をお許しください!このままでは大変な事になるのです!罰は何でも私が代わりに受けますから!」

 

ビルス「うむ、いいよ」

 

 本来であれば重罪である時間移動をしたトランクスをビルスがあっさり許した事に界王神とキビトは拍子抜けした。

 

キビト「ほ、本当なのですか?」

 

ビルス「ほんとだよ。本来だったらブウの破壊は僕の仕事だけど、生憎僕は結構厄介な邪悪龍が東の銀河に現れたんで、今からそいつを破壊しに行かなきゃいけないから君達がやる事になったけど、君に万一の事があったら僕も死んでしまうからね」

 

ウィス「時の界王神様にも今から伝えておきましょう」

 

シン「ありがとうございます!!」

 

ビルス「ただしっ!やった事はやった事だ。トランクスには後で僕と時の界王神がきつ~~い説教をすると伝えておいてくれ。それじゃあウィス、この事を時の界王神に伝えてから邪悪龍を破壊しに行くか」

 

ウィス「かしこまりました、ビルス様」

 

 ビルスはウィスと一緒に時の界王神に報告しに行った。

 

キビト「とりあえずは許してもらえましたね…」

 

シン「では、行きましょうか」

 

 

 

ブルマの家(現在)

 ここは、トランクスによって人造人間による地獄にならなかった時代、ベジータはいつものように己を鍛え続けていた。

 

先代の全王『魔人ブウとの戦いから1年後、その間にもジャネンバやヒルデガーンが現れた事もあったが、地球は平和な日々が続いていた』

 

ブルマ『ベジータ、そろそろ朝ご飯よ!』

 

ベジータ「わかった」

 

 朝食の時間のため、ベジータは朝の重力トレーニングを終えて朝食をとった。そして、ちびトランクスが外出した後にブルマと一緒に外を眺めていた。

 

ブルマ「未来から来たトランクスが帰ってもう8年も経つわね」

 

ベジータ「7年だ。セルゲームが終わった1年後にも来たぞ」

 

ブルマ「そうだったわね。あの子が初めて来てからベジータって変わったわね」

 

ベジータ「確かにな。ブルマ、なぜこの話を?」

 

ブルマ「いいでしょ?語るぐらい。未来のトランクスは未来で元気にしてるかしら…?」

 

 未来から来たトランクスが未来で元気にしているのかが気になるブルマだったが、そんな事を語っていると未来のトランクスが使っていたタイムマシンよりも大型のタイムマシンが突如として庭に出現した。

 

ベジータ「何だ!?あれは!」

 

ブルマ「未来のトランクスが使ってたタイムマシンに似てるけど…、随分大きいわね」

 

 ベジータ夫婦は外へ出るのと同じくしてタイムマシンからトランクスが出てきた。

 

トランクス「パン、勝手に出て行っちゃダメだぞ」

 

パン「わかったわよ…」

 

ブルマ「トランクスじゃない!遊びに来たの?」

 

トランクス「母さん、今はそんな場合じゃないんだ!今すぐに」

 

ベジータ「落ち着け、トランクス!」

 

 その後、トランクスはベジータ夫婦に事情を話す事にした。

 

トランクス「父さん、母さん、俺がこの時代に来たのは」

 

ベジータ「お前では手に負えない敵が来たから俺やカカロット達の助けを借りに来た。違うか?」

 

トランクス「流石だ。俺の言いたい事を先読みしたなんて…」

 

ベジータ「お前は俺の息子だからな。おまけにバカ正直だから表情とかを見ればお前が過去に来た理由ぐらい簡単に推測できる。(来た敵は順番が正しければ…バビディ達だな?)」

 

トランクス「(父さん、何だか初めて会った時より優しくなっているみたいだ…)」

 

 話をしてると、ちびトランクスが入ってきた。

 

ちびトランクス「パパ、ママ、その人…誰?」

 

ブルマ「この人は未来から来たトランクスなのよ」

 

ちびトランクス「ええ~~っ!!この人が未来の俺!?」

 

ブルマ「厳密には、この時代とは枝分かれした未来から来たトランクスよ」

 

トランクス「君とは既に会った事があるよ。と言っても、君がまだ赤ちゃんの頃だったけどね」

 

ちびトランクス「そうだったんだ…」

 

トランクス「そうだった、早くみんなを探さないと!」

 

ブルマ「トランクス、未来ではあなたしか戦士がいないからかも知れないけど、少し気張り過ぎよ。今日はゆっくり休んで、孫君達と一緒に未来に出発するのは明日にしなさい」

 

トランクス「しかし!」

 

ベジータ「お前は真面目過ぎるから熱くなりやすいんだよ。ブルマの言う通り、今日はゆっくり休め」

 

トランクス「…すみません、父さん、母さん…」

 

ベジータ「ところで、タイムマシンが出現した時にお前のほかに1人誰かいたみたいだが、そいつはどこだ?」

 

トランクス「パンの事ですね。それでしたら、俺が呼んできます」

 

 しかし、パンは父親に会いたいがためにトランクスの待っておくようにという言いつけを破って出て行ってしまっていた。

 

トランクス「パン…、軽率な行動はするなと言ったのに…!」

 

 

サタンシティ

 父親のいない寂しさを溜め込み続けていたパンはもうトランクスの言いつけを我慢できなくなっていた。過去の時代の父親を捜しに母親の実家がある現在のサタンシティに来ていた。

 

パン「パパはどこにいるんだろう…。この時代のママの実家がある所を探ってみよっと」

 

 サタンシティを探っていると、オレンジスターハイスクールで休み時間中の悟飯とビーデルを発見した。

 

パン「あの2人、写真より若くて髪型も違うけど…パパとママだ!」

 

 念願の父親と学生時代の母親を見つけたパンはオレンジスターハイスクールへ向かった。その頃、悟飯はビーデルに自身が経験した事を色々話していた。

 

ビーデル「へえ~、悟飯君は未来から来た人と会った事があるんだ」

 

悟飯「その人が来てくれたおかげでこの世界は地獄のような世界にならずに済んだんですよ」

 

ビーデル「未来か。未来の私ってどうしてるのかしら?」

 

悟飯「それは知らない方がいいと思いますよ。知っちゃったら、それに縛られちゃいますから」

 

ビーデル「未来の事は知りたいけど、知っちゃったら縛られる。本当に悩んじゃうわね」

 

???「パパ、ママ!」

 

 突然、パンがやってきて悟飯に抱き付いた。悟飯とビーデルとパパとママと言った事に当人達はもちろんの事、クラスメイトでさえ衝撃を受けた。

 

イレーザ「ビ、ビーデル…、あの子…さっき悟飯君とビーデルをパパとママっていったわよね…」

 

シャプナー「まさか…、隠し子か…?」

 

悟飯「え、ええっと……」

 

 嫌というほど視線が悟飯とビーデルに集まり、悟飯が狼狽えたためにビーデルは慌てて悟飯とパンを連れて教室から出た。

 

ビーデル「ちょっと、悟飯君と私をパパとママって言ったわよね。あなた、何者なの?」

 

パン「私はパン、未来から来たの」

 

悟飯「って事は…、君は未来の僕とビーデルさんの子供!?」

 

 驚いていたのと同じタイミングで慌ててトランクスが駆け付けた。

 

トランクス「パン、勝手に出て行っちゃダメだ!」

 

パン「別にいいじゃない!」

 

トランクス「悟飯さん、パンがご迷惑をおかけして申し訳ありません。詳しい話は今から悟空さんにしますので、悟飯さんは学校が終わって帰ってきてから悟空さんに聞いてください」

 

 せっかく過去の時代の父親に会えたのにトランクスに邪魔された事で不機嫌なパンを連れてトランクスは悟空の家に向かった。

 

トランクス「パン、安易に正体を明かしたりしてはダメだ!君の行動でこの時代の君が生まれなくなる可能性だってあるんだぞ」

 

パン「私達の未来とこの時代は直接つながってるわけじゃないからそれぐらいいいでしょ?」

 

トランクス「とにかく、この時代の悟空さんに会わせるから、安易な行動は慎むんだ。(やはり、女の子と男の子は考え方も違うのか…)」

 

 トランクスは師であり、父親みたいであり、兄みたいである悟飯がいてくれたからベジータがいなくても愚痴は言わなかったが、パンの姿を見て、男と女は違うものである事を痛感させられた。

 

 

 

悟空の家

 その頃、悟空はチチと悟天と一緒に畑を耕していた。そこへ、パンとトランクスが来た。

 

トランクス「(悟空さん、俺が未来にいる間に生き返っていたんですね)」

 

パン「悟空おじいちゃん、おばあちゃん、会いたかったよ!」

 

悟空「お、おじいちゃん?」

 

チチ「オラをおばあちゃんと言うんじゃねえ!まだ30代だぞ!」

 

トランクス「悟空さん、チチさん、パンが急にこんな事を言って困惑してるようですけど、パンは未来の悟飯さんとビーデルさんの娘であなた達の孫にあたるんです!」

 

 急におじいちゃん、おばあちゃんと言われて困惑した悟空とチチもパンの正体が未来から来た悟飯とビーデルの娘で自分達の孫だと知ってからは喜んだ。

 

チチ「おめえ、未来の悟飯ちゃんとビーデルさんの娘なのか!?こんなかわいい孫が未来から会いに来るなんてオラは嬉しいけろ!さっきはすまなかっただ」

 

悟空「(パンは結構鍛えてあるみてぇだな)」

 

パン「おばあちゃん、あの悟空おじいちゃんに似た子供は?」

 

チチ「この子は悟天ちゃんで、悟飯ちゃんの弟だからパンにとっては叔父さんだぞ」

 

悟天「お母さん、僕はまだおじさんじゃないよ」

 

トランクス「(過去の悟飯さんに弟が?これも、歴史が変わってしまったから起こったのか…)さっき、チチさんが言ったおじさんはお父さんの兄弟の人っていう意味なんだ」

 

悟天「ふーん、そうなんだ。お兄ちゃん、トランクス君と似た姿なんて不思議だね」

 

パン「実はね、この人もトランクスって名前で、未来から来たのよ」

 

悟天「こ、この人が未来のトランクス君!?じゃあ、未来の僕もいるの?」

 

トランクス「悟天君、俺のいた未来では君は生まれていないんだ」

 

悟天「何で未来では僕が生まれていないの!?」

 

 未来では自分もトランクスみたいにかっこいい大人になってると思っていた悟天はトランクスの言葉に不満だった。

 

悟空「割り込む形ですまねえがトランクス、過去に来たのは未来で何かあったのか?」

 

トランクス「はい、実は…」

 

 トランクスは自分の住む未来にバビディ一味が現れ、しかも人造人間13号達やボージャック一味まで配下にしているために自分とパンだけでは太刀打ちできす、悟空達を連れて来る事にしたと伝えた。

 

悟空「そっか。未来に出た人造人間がこの時代でも出たから、バビディ達が未来にいても不思議じゃねえな」

 

トランクス「悟空さん達の時代にもバビディ達が出たのですか?」

 

悟空「1年ぐれえ前にな。けど、そん時はサタンの助けもあってブウをやっつけたからな」

 

トランクス「この時代のミスター・サタンが…」

 

 トランクスは自分のいた未来にいる悟飯の義理の父親となったサタンはともかく、詐欺師も同然である現代のサタンにあまりいい感情を持っていなかったため、サタンの助けもあって未来のバビディ一味が目覚めさせようとしているブウを倒せた事に驚いていた。

 

トランクス「とりあえず、俺は未来にバビディ達が現れた事をみんなに伝えます。未来へ出発するのは明日にしますので!」

 

 仲間達に知らせるため、トランクスは飛び立った。

 

悟空「パンは行かねえのか?」

 

パン「せっかくパパや悟空おじいちゃんに会えたんだから、パパとママが帰ってくるまで組手とかをしたい!」

 

チチ「パン、悟空さと組手するなら、畑を耕すのを手伝ってくれねえか?終わらせたら組手をしていいだ」

 

 パンも畑仕事を手伝って終わらせた後、悟空と組手をする事にした。

 

パン「悟空おじいちゃんも超サイヤ人になれるでしょ?私もなれるから、変身してよ。はああああっ!!」

 

 早速、パンは超サイヤ人に変身した。

 

悟空「パン、いつぐれえから超サイヤ人になれたんだ?」

 

パン「そうね、5歳の時にはもうなれたわよ」

 

悟空「(パンの潜在能力は悟天とこっちのトランクスと同じぐれえか…、それ以上かもな…)」

 

チチ「そ、そんな……」

 

 その後、チチは言葉にならないすさまじい悲鳴を上げた。

 

チチ「うわああああ~~~ん!!!パンまで不良になっちまってたなんて!!オラの家系はずっと不良になっちまうのか~~!!!」

 

悟天「お母さん、泣かないで」

 

悟空「パン、組手を始めっぞ!」

 

 悟空も超サイヤ人に変身し、パンとの組手を行った。悟天とちびトランクスと違い、パンの動きはトランクスが厳しく鍛えてただろうと悟空には推測できた。

 

悟空「(思ったよりもやるな。セルやダーブラぐれえはあるぞ!)」

 

 しばらくしてから組手を終え、互いに変身を解いた。

 

パン「悟空おじいちゃんもなかなか強いじゃない!」

 

悟空「まぁな。パンもかなり強ええが、オラはあと2回変身できっぞ」

 

パン「私、まだパパと組手をやってないけど、パパはどれぐらい強いの?」

 

悟空「ああ、悟飯はオラよりも強ええぞ。パワーもスピードもスタミナもオラより上だ。あれから1年経ってっけど、まだ悟飯を超えちゃいねえ。オラもまだまだ修行が足んねえな」

 

 そう言ってると、チチは何やら出かける準備をしていた。

 

悟空「チチ、何してんだ?」

 

チチ「せっかく孫のパンが未来から来たんでな、今日はサタンの家でパーティーでもしようと思って電話しただ。そうしたら、サタンも喜んでくれたべ」

 

悟空「よし、パン。今日はサタンの家でパーティーだ!」

 

パン「うん!」

 

 

カメハウス

 一方、トランクスはカメハウスを訪れていたが、クリリンが18号と結婚していた事に驚いていた。

 

トランクス「クリリンさん、本当に18号と結婚したのですか!?」

 

クリリン「本当だってば。それに、マーロンっていう子供もいるんだ」

 

トランクス「子供まで!?人造人間が子供を出産できるなんて……!?てっきり、ドクター・ゲロは人間を素体に生体ロボットに改造したのかと…」

 

 未来ではクリリンは18号に殺されていたのでただでさえクリリンが18号と結婚していたのが衝撃だったのに、18号が子供を出産していた事にも更に驚いていた。

 

クリリン「ロボットじゃねえって、人間をほんのちょっと改造しただけだって」

 

18号「で、用件は何だい?」

 

 トランクスは事情を伝えた。

 

クリリン「バビディ達が現れたのか…」

 

トランクス「はい。なので、クリリンさん達にも来てもらいたいんです」

 

クリリン「放っておけばブウが出てくるからな…。武天老師様、マーロンをお願いします」

 

亀仙人「うむ、気を付けるのじゃぞ」

 

クリリン「よし、みんなに」

 

???「後はヤムチャとかぐらいだ」

 

 声がした方を向くと、ピッコロと17号がいた。

 

トランクス「17号、それにピッコロさん!」

 

ピッコロ「話はベジータから聞いている。説明する必要はない」

 

トランクス「(父さん、まだ説明もしてないのに俺のいた未来にバビディ達が来たとわかったなんて…)」

 

18号「17号、あんたも未来へ行くのかい?」

 

17号「ああ。だが、未来には強い奴がいるから精神と時の部屋でピッコロや18号と一緒に修行して実力をつけてから行く」

 

ピッコロ「お前達姉弟は服装を気にしているが、服が破けても俺が直してやるから安心しろ」

 

18号「助かるよ。服に使うお金を節約できて大助かりだ」

 

トランクス「17号と18号に忠告がある。未来の世界は未来の17号と18号のせいで人々は人造人間への恐怖が深く沁みついています。だから、未来で人前を歩く時は出来る限り帽子やサングラスなどで顔が知られないようにする事をお願いします」

 

17号「やれやれ、未来の俺達のせいで俺達が自由に未来で行動できなくなっちまうとはな」

 

18号「とんだ風評被害って奴だよ」

 

17号「言っとくけどトランクス、俺達は身だしなみが大切だから、帽子とかサングラスは俺達好みにさせてもらうぞ。いいな?」

 

 それにトランクスは了承した。

 

ピッコロ「よし、神殿に行ってすぐに精神と時の部屋で修行開始だ!」

 

 ピッコロと17号と18号は神様の神殿に向かった。

 

 

 

ブルマの家

 既に仲間達にはベジータが伝えてくれていたため、トランクスは現代の自分の家に帰ってきた。

 

トランクス「ただいま!」

 

ベジータ「トランクス、仲間への伝達は俺が済ませておいた」

 

トランクス「まだ話してもいないのにバビディ達が来たとわかったなんて、父さんは勘が鋭いなぁ」

 

ベジータ「ふっ。トランクス、お前の今の実力が気になる。今から組手をするぞ。全力で来い!」

 

 被害が出ないように上空に上がった後、互いに超サイヤ人2に変身した。

 

ベジータ「超サイヤ人2になれるとは、鍛錬を怠っていないようだ」

 

トランクス「未来では俺とパンしか戦士が残っていないんです。父さん、行きますよ!」

 

 2人はぶつかり合ったが、更に鍛錬を重ねて超サイヤ人3への境地に近づきつつあるベジータの方が優勢だった。そして、しばらく格闘戦に入った後に変身を解いて降りた。

 

ベジータ「ここまでトランクスが自分を鍛えていたとはな、俺の息子として誇りに思うぞ」

 

トランクス「ありがとうございます」

 

ベジータ「よし、ブルマとこの時代のお前も連れて寿司とかでも食べに行くか?」

 

トランクス「(父さんが一緒に食べに行こうとかいうなんて…)はい!」

 

 初めてベジータに会った時はあまりいい感情を持っていなかったトランクスだが、今となっては誇れる父親と思っていたのであった。

 

 

 

レストラン

 ベジータ一家はレストランで夕食をとった。

 

ちびトランクス「ママ、パパとでっかい俺は話をしてるようだけど…」

 

ブルマ「でかい方のあんたはこの時代に来るまでベジータに会った事がないのよ。男の親子同士で話させてあげましょう」

 

 ベジータは気になった事をトランクスに話していた。

 

ベジータ「あのパンとかいう奴、あいつは遠くからでわかりにくかったが、顔がビーデルにどことなく似てたな。何者なんだ?」

 

トランクス「パンは俺の師匠の孫悟飯さんとビーデルさんの娘、つまり悟空さんの孫にあたる女の子で、俺の弟子です」

 

ベジータ「(なるほど、高い戦闘力とビーデルの面影があったのはこのためか…)あいつも超サイヤ人になれるのか?」

 

トランクス「はい。俺が武術を教える前の5歳の時にはもうなれました。そして、俺が厳しく鍛えた結果、パンは超サイヤ人の状態で完全体のセルやダーブラ並の強さを得ました」

 

ベジータ「まだ超サイヤ人2になれないが、潜在能力の方は小さい方のお前と悟天と同じぐらいか…」

 

トランクス「あの時の悟飯さんの変身を超サイヤ人2と名付けたのですか…。後、父さんに聞きたかった事があるんです」

 

ベジータ「聞きたい事?」

 

トランクス「実は…パンは俺が鍛えている時に1度だけ、超サイヤ人を遥かに超えたとんでもない変身をしたんです。父さんが超サイヤ人2と呼んでいる状態の俺でも一撃でやられて…」

 

ベジータ「とんでもない変身?パワーを上げただけじゃないのか?」

 

トランクス「違います!俺はきちんとあの時に失敗を踏まえてパワーを上げただけの変身はダメだと実際に変身してみて教えました。あの時の変身はパン自身もどうやって変身できたのかよくわからないと言っていたので、何なのかわからずに父さんに聞いてみようと思って…」

 

ベジータ「(超サイヤ人3か?だが、まだ断定はできん。そもそも、潜在能力を解放する前の悟飯は怒りが限界を超えるとすさまじいパワーを発揮したからな。未来の悟飯は効果的な修行をしてないから弱いままだったとはいえ、遺伝でパンもそういう所を受け継いでてもおかしくないようだ…)今の所は俺もわからん。だが、変身のやり方を本人が知らん以上、その変身の力はあてにせん方がいい」

 

トランクス「はい…」

 

 

サタンの家

 その頃、悟空一家は孫のパンが未来から来た記念にパーティーをやるため、サタンの家に来ていた。

 

チチ「おめえ達、今日はとびっきりのお客さんが来てるから味に妥協すんじゃねえぞ!」

 

 サタンの家のコック達の指揮をとってとびっきりうまい料理を作るチチであった。悟飯とビーデルも学校が終わって帰って来て、悟飯は悟空から大体の事情を聞いた。

 

サタン「いやぁ、孫娘が未来から来るなんて驚きで」

 

パン「もう、おじいちゃんったら、この時代でも調子に乗りやすいのは変わらないわね。私のいた時代でなんか、その性格のせいで人造人間17号と18号に殺されかけたのよ。パパが助けに来なかったら死んでたって言ってたし」

 

サタン「(未来のわしは本気で殺されかけたのか…。まぁ、あの悪いブウを生み出す原因を作ったゴミの人間にやられた時もブウさんがいなかったら死んでたし…)」

 

悟飯「パン、この写真に写っている僕が未来の僕なんだね?」

 

パン「そうだってママが言ってたわ」

 

悟飯「(本当の歴史では僕はこんな風に育っていたのか…)」

 

ビーデル「未来の私は悟飯君がいなくなってから女手一つでパンを育てたでしょうね…」

 

パン「私とママがパパの実家で暮らすまではママの友達も手伝ってくれたわ。イレーザさんはママが買い出しから帰ってくるまで話し相手になってくれたし、シャプナーなんか遊び相手にもなってくれたのよ」

 

ビーデル「(あっちの2人も無事に生き残れたのね…)」

 

パン「言い忘れてた!パパ、私とトランクスがいる時代に」

 

悟飯「バビディ達が現れたんだろう?大体はお父さんから聞いてるよ。僕も一緒に行くよ」

 

パパ「やった~!パパと一緒に行けるんだ!」

 

 そんな時、通報が入った。

 

悟飯「ビーデルさん!」

 

ビーデル「わかったわ」

 

パン「待ってよ、パパ、ママ!」

 

 犯人を取り押さえるため、悟飯とビーデルはグレートサイヤマンの恰好にチェンジして向かった。

 

 

 

サタンシティ

 銀行強盗は車で逃げていたが、あっという間にグレートサイヤマン1号と2号に追いつかれてしまった。

 

強盗「き、貴様らは…!?」

 

Gサイヤマン「私は、悪を絶対許さない、正義の味方、グレートサイヤマン!」

 

Gサイヤマン2号「同じく、2号!」

 

パン「ええ~~っ、過去のパパとママってこんな恥ずかしいコスプレの趣味があったなんて~~!!」

 

トランクス「悟飯さん……」

 

 2人のダサい恰好とポーズをパンは直視できず、様子を見に来ていたトランクスも開いた口が塞がらなかった。そして、強盗はあえなく御用となった。

 

Gサイヤマン「パン、パパのこの恰好はかっこいいだろう?」

 

パン「パパもママもこんなコスプレは恥ずかしいから帰るわよ!!」

 

 

サタンの家

 帰ってきた時にはパーティーの準備は整っていた。パンは未来から来たばかりなため、ビーデルが小さい頃に着ていたパーティー用の服を着た。

 

チチ「パン、小さい頃にビーデルさんが着てた服は似合ってるだ!」

 

パン「そうかな…?」

 

チチ「オラの目に狂いなんかねえ!さ、美味しい料理をたくさん作ったからたくさん食べてほしいけろ」

 

悟空「サタン、オラ、腹減っちまってもう待てねえぞ。さっさと挨拶してくれ」

 

サタン「そうでしたね。では、未来からパンちゃんが来てくれたのを記念して、乾杯!」

 

 早速、食事の時間になったが、悟空達の食欲は半端ではない上、ブウも半端じゃない速度でお菓子の山を平らげていった。

 

悟空「相変わらずうめえなぁ!」

 

チチ「悟空さ、今回はパンが未来から来た記念のパーティーだからパンが食べる分もちゃんと残すだぞ!」

 

悟飯「パン、早くしないと食べたい物がなくなっちゃうよ!」

 

パン「それだったら私だって!」

 

 サイヤ人の血が4分の1になっているためか祖父の悟空や父親の悟飯、叔父の悟天には及ばないものの、パンの食欲はそれなりにあった。

 

パン「パパ、悟空おじいちゃん、未来へ出発するのは明日よ」

 

悟飯「トランクスさんのいた未来へ行くのは明日か…」

 

悟空「ま、今日はいっぱい食ってよく寝て明日に備えるしかねえだろ?」

 

悟飯「はい!」

 

悟天「お兄ちゃんもお父さんも僕を忘れないでよ!」

 

悟空「わかったわかった!ブウ、オラ達がいねえ間に敵が来た時はおめえが地球を守ってくれよな」

 

ブウ「わかった。俺、悟空達がいない間、しっかり地球を守る」

 

 その晩、悟空一家はサタンの家で寝る事となった。

 

ビーデル「パンったら、もう寝ちゃったわよ」

 

悟飯「はしゃぎすぎて疲れちゃったんだろう。それに、寝顔は気持ちよく寝てる顔だ」

 

ビーデル「学校に突然やってきたり、寝る前に私と悟飯君と一緒に寝たいとか言ってたし、よっぽど悟飯君に会いたかったみたいね」

 

悟飯「パンのためにも、未来のバビディ達をやっつけなければいけないな」

 

ビーデル「悟飯君、明日は気を付けてね。それと、未来の私にもよろしくと伝えて」

 

 次の日から始まる戦いが厳しいものになると感じた悟飯は明日に備えて寝たのであった。

 

 

 

神様の神殿

 翌日の早朝、ピッコロ達は修行を終えて精神と時の部屋から出てきた。

 

デンデ「ピッコロさん、ちょうどいい時間に出てきましたね。出発の日になりましたよ」

 

ピッコロ「そうだな」

 

17号「その前に変装用の帽子とかを買ってくるぜ」

 

ピッコロ「おっと、そうだったな。この時代の17号と18号が未来に来たら未来の世界を恐怖のどん底に叩き落とした未来の17号と18号に間違われてパニックになりかねないからな」

 

18号「それじゃあピッコロ、クリリンや17号と一緒に買い物をしてくるからな」

 

 変装用の帽子などを買いに行くため。17号と18号はお店に向かい、ピッコロも先に西の都へ向かった。

 

 

 

西の都

 出発の当日、z戦士達は集まっていた。

 

悟空「ヤムチャと天津飯も来たのか」

 

ヤムチャ「まぁな」

 

天津飯「正直言って俺とヤムチャは戦いについてこれるかどうかわからないが…、やれるだけの事はやってみる」

 

ヤムチャ「クリリン、最強の地球人としての意地を見せてやれよ」

 

クリリン「ヤムチャさん、俺が地球人最強だなんて…。俺なんかより天津飯の方がいいんじゃないか?」

 

天津飯「俺はそういうのは似合わんからな。地球人最強はクリリンでいい。新技も開発したと聞いてるから、活躍を期待しているぞ」

 

 そうしている間にピッコロが来て、しばらくしてクリリン、17号、18号も来た。

 

17号「待たせたな」

 

ヤムチャ「やけに遅かったな」

 

18号「変装用の帽子とかを買いに行ってたんだよ。似合うのを見つけるのに時間がかかっちまったよ」

 

天津飯「なぜ未来に行く前にそれがいるんだ?」

 

クリリン「仕方ないだろ。17号と18号を未来に連れて行けば未来の人々はパニックになるから、トランクスから街中で行動する時は変装しとけって言われたんだ」

 

ヤムチャ「もうあれから8年経ったから、未来の17号と18号は根っからのワルだといのをすっかり忘れてたな」

 

天津飯「実力の方は大丈夫なのか?」

 

ピッコロ「その辺に関しては精神と時の部屋で鍛えたから俺と17号は超サイヤ人2ぐらいの実力がついたし、18号もダーブラぐらいの実力はある」

 

17号「頼りにしてるぜ、ピッコロ」

 

ピッコロ「スタミナ切れがないお前達姉弟もな」

 

 以前、互いに全力で戦ったからこその信頼感があったのであった。

 

ベジータ「これで全員だな。早速、タイムマシンに乗り込むぞ」

 

 一同はタイムマシンに乗った。

 

チチ「悟空さ、悟飯ちゃん、悟天ちゃん、気を付けるだぞ!」

 

ビーデル「絶対に生きて帰ってくるのよ!」

 

パン「パパ、絶対に未来を救いましょう!」

 

悟飯「ああ」

 

トランクス「それでは皆さん、未来へ向かいましょう!」

 

 タイムマシンが起動し、未来へ出発した。

 

先代の全王『遂に悟空達が未来へ出発した。果たして、悟空達はバビディ達を倒し、未来に平和を取り戻す事ができるのであろうか?』




これで2話は終わりです。
真武道会2では未来トランクスが再び過去に来て悟空達との再会が端折られたので、今小説ではじっくり1話かけてやってから未来へ行く事にしました。
ドラゴンボール超では人間ベースの人造人間は鍛える事で実力を上げられるのが判明したため、それを取り入れました。今回の話には伏線と思えるような箇所もありますが、どうなるのかは秘密なので、色々予想してみてください。
今小説のz戦士のパワーバランスについてですが、一応単体では悟飯>悟空=ベジータ>トランクス=ピッコロ=17号≧18号=パン>ちびトランクス≧悟天>天津飯≧クリリン≧ヤムチャとしています。ピッコロと17号と18号の戦闘力を引き上げたのは、人造人間編までで劇場版も含めてピッコロさんが色々活躍していたのと、サイヤ人の戦士以外も活躍させたいためです。ベジータが悟空と同じぐらいにしているのは次の話辺りで超サイヤ人3覚醒をやろうと予定しているためです。
次の話で悟空達は未来に到着し、バビディ達と戦います。


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3話 到着、未来世界

地球(未来)

 過去の時代で仲間達を集めたトランクスとパンは未来に戻ってきた。

 

悟空「ここが未来の世界か~!何だか、あんまし未来って感じしねえなぁ」

 

17号「未来のトランクスの世界は未来の俺達が色々とぶっ壊しちまったからな。だから、未来って感じがしないのも無理はないんじゃないか?」

 

ピッコロ「確かに、俺も17号の言う通りだと思う」

 

ちびトランクス「おい悟天、あっちに何か面白いものがあるぞ!」

 

悟天「え、何々?ちょっと待ってよ~、トランクス君~!」

 

悟飯「悟天、あんまり遠くに行っちゃダメだぞ。それよりパン、いつまで僕にひっついているんだ?」

 

パン「だって、おばあちゃんとママに過去のパパと悟空おじいちゃんを紹介するのが楽しみだもの」

 

ベジータ「ふん、観光に来たんじゃないんだ!さっさとバビディ達を片付けてトランクスの世界を救うぞ!」

 

悟空「ベジータもほんとは未来のブルマに会ってみてえんじゃねえか?」

 

ベジータ「う、うるさい!今はバビディ達を片付けるのが先決だろ!」

 

 さっさと終わらせるべきと言ったベジータも未来のトランクスとの出会いを通して親バカにして愛妻家になったためか、やはり未来のブルマの事に興味津々であった。

 

悟飯「でも、僕達が存在しない世界ってのも興味がありますね」

 

ピッコロ「確かに、不思議な感覚だな。だがまぁもし、もう1人自分がいたらそれはそれで面白いかもな」

 

17号「そうか?俺と18号なんかこの時代の俺達のせいで迷惑してるんだよ」

 

18号「この世界じゃ変装しないとまともに街中を歩けないとトランクスが言ってるし、それだとショッピングも楽しめないし、もう未来のあたし達なんて最低よ!きっと地獄ではこの世界のセルに食われちまってるだろうよ」

 

クリリン「(そりゃあ、未来の18号達のせいで俺達の17号と18号が未来の自分達を最低と言うのも当然だな。未来の俺は結局、結婚できずに死んじまったけど、あの世でいい彼女見つかったのかな…?)」

 

トランクス「ちょっと待ってください!皆さんはバビディもブウの事も知ってるから余裕があるかも知れない。ですけど、この世界では過去の世界と違ってドラゴンボールがないんです。何かあってからじゃ取り返しがつかないんです!!もっと慎重に、もっと真剣にお願いします」

 

悟空「わりいわりいトランクス、別に余裕があるわけじゃねえさ。未来の世界で戦う事が出来っから、ちっとワクワクしちまっただけさ。よし!じゃ、早えとこバビディ達をぶっ飛ばして平和にしてから、トランクスにこの世界を案内してもらおうぜ」

 

ベジータ「それより、どこを拠点にする?」

 

トランクス「神様の神殿がいいと思います。バビディ達の破壊に巻き込まれる事を考慮して母さん達はあそこに避難させています」

 

悟空「よし、こっちの世界の界王神様の気も感じるし、行くか!」

 

17号「(ん?誰かに見られているような…)」

 

 奇妙な感じがした事に17号が違和感を持っていたが、z戦士達は悟空の瞬間移動で神様の神殿に移動した。17号が感じた違和感の正体は気がない事を買われて悟空達の行動をスパイしていた13号だった。

 

13号「孫悟空達が過去から来たか…。バビディ様に報告せねば」

 

 

 

神様の神殿

 トランクスとパンが不在の中、界王神とキビトがブルマ達を護衛していた。そして、悟空達が来た。

 

シン「トランクス君、遂に過去の悟空さん達を連れて来る事ができたのですね?」

 

トランクス「はい、界王神様」

 

悟天「それと、過去のカリン様から仙豆をもらったよ」

 

 悟天は仙豆が入った袋を出した。

 

悟飯「偉いぞ、悟天」

 

キビト「我々が預かっている分と君達の分を含めれば…結構仙豆があるぞ」

 

トランクス「ただいま、母さん!」

 

ブルマ(未来)「おかえり、トランクス。孫君達を連れて来る事ができたのね!」

 

チチ(未来)「パンも帰って来れて嬉しいだ!」

 

 母親達の視線の先にいたのは、この時代とは枝分かれした過去から来た悟空達だった。

 

チチ(未来)「…悟空さ…、悟飯ちゃん!!」

 

ビーデル(未来)「悟飯!」

 

ブルマ「ベジータ!」

 

 自分達の世界にいる家族ではないとわかっていても過去の世界から家族が来た事にブルマ達は涙を流して抱き付いた。

 

悟空「チチ、この世界のオラや悟飯が死んじまったせいで随分迷惑をかけちまったな」

 

チチ(未来)「オラ、過去の悟空さや悟飯ちゃんだとわかっていてもとっても嬉しいだ!過去の悟飯ちゃんは立派な学者さんに向かってくれててオラは嬉しい限りけろ!」

 

ビーデル(未来)「悟飯、パンはずっとあなたに会いたがっていたのよ。過去の世界で急にパンが来て迷惑をかけてしまったけど…」

 

悟飯「(未来のお母さんもビーデルさんもずっと悲しみを我慢してて苦労してたみたいだ…)」

 

チチ(未来)「この悟空さんに似た子、誰だ?」

 

悟空「オラに似た子は悟天って言って、オラ達の時代で生まれた悟飯の弟だ」

 

チチ(未来)「悟飯ちゃんの弟…。悟天、オラ、悟空さや悟飯ちゃんに会えて…、この時代で生まれなかったおめえにも会えてとても嬉しいだぞ!!」

 

悟天「お母さん…」

 

 悟空や悟飯に未来では生まれなかった悟天にも会えてチチは悟天を抱きしめてさらに涙を流した。

 

ブルマ(未来)「ベジータ、あんたも過去から来てくれたなんて…」

 

ベジータ「随分と苦労をかけさせたな、ブルマ…」

 

 嬉しい気持ちに浸っていたチチだったが、17号と18号を見た途端、表情を一変させた。

 

チチ(未来)「何で…、何でおめえ達がいるんだ!悟飯や多くの人を殺した悪魔がなんでここにいるんだべ!!」

 

 息子を、多くの人間の命を奪った悪魔と瓜二つな過去の17号と18号の姿にチチが忘れようとしていた人造人間に対する悲しみや怒り、憎しみが爆発して向かっていこうとしたが、悟空に止められた。

 

悟空「落ち着け、チチ!あいつらはこの時代で暴れた悪い奴じゃねえ!」

 

チチ(未来)「離せ、離すだ、悟空さ!」

 

ビーデル(未来)「お義母さん、落ち着いて!この時代の人造人間と過去の人造人間は同じじゃないの!」

 

ブルマ(未来)「私とビーデルもあなたと同じ気持ちよ。でも、無関係な過去の彼等にその気持ちをぶつけたって何にもならないし、死んだこの時代の悟飯君も帰ってこないのよ!」

 

 その指摘に怒りも憎しみもぶつけられないチチは泣き崩れた。ビーデルとブルマもそう言ってはいたものの、やはり頭ではわかっていても本心はチチと同じであるため、過去の17号と18号に対しては複雑な心境であった。

 

17号「トランクスの言っていた事は思っていた以上に深刻だな…」

 

18号「この世界で人前に出る時はきちんと変装する必要があるみたいだ」

 

 チチの様子を見ていかに未来世界の人間が人造人間に強い怒りと憎しみを持っているかが17号と18号にも嫌というほど理解させられたのであった。

 

 

 

バビディのアジト

 悟空達の行動をスパイしていた13号は悟空達が来た事をバビディに報告した。

 

バビディ「ふふ~ん、結局あいつらは来たか」

 

13号「バビディ様の予想通り、トランクスは過去の世界から孫悟空達を連れてきました」

 

バビディ「13号…だったっけ。お前は気配がないから諜報活動にもってこいだよ」

 

13号「ありがたきお言葉です」

 

ダーブラ「これは我らにとっても好都合じゃないですか?魔人ブウ復活に利用できるのですから」

 

13号「俺のメモリに記録されている奴等の映像をご覧ください。洗脳して我らの配下にできそうな奴はいますか?」

 

 特殊な機械でバビディは13号のメモリに記録されている悟空達の映像を見ていた。

 

ダーブラ「利用できそうな奴はいるのでしょうか?」

 

バビディ「いるよいるよ、特にあの2人は邪気がそれなりにある」

 

ダーブラ「量産型の13号達と奴等の戦いぶりを見てから判断なされますか?」

 

バビディ「そうしよっか。早くあいつらをおびき出してエネルギーを根こそぎ奪うよ!」

 

 バビディの背後には量産型の13号達がいた。

 

 

 

神様の神殿

 その頃、悟空達はいつでもバビディ達が行動しても動けるように待機していた。

 

ヤムチャ「ブルマ、何してるんだ?」

 

ブルマ(未来)「劣化コピーの13号達の残骸を解析してその動力炉に反応するためのレーダーを作っている所よ」

 

ベジータ「そう言えば、人造人間は気がないからな。自身を改造したゲロみたいに隠密行動をされたら俺達でも対応が遅れてしまう」

 

トランクス「どれぐらいで出来上がりそうですか?」

 

ブルマ(未来)「組み立てや配線とかの方は終わったわ。今、最終調整を行っている所よ」

 

天津飯「何事もなければいいのだがな…」

 

 そんな時、悟空達はボージャック一味の気を感じた。

 

悟飯「お父さん、この気はボージャックの気だ!」

 

悟空「よし、みんな行くぞ!」

 

ピッコロ「待て、ヤムチャと天津飯は待機だ。レーダーが出来次第、俺達と合流してくれ」

 

天津飯「わかった」

 

ヤムチャ「俺と天津飯はあまり役に立てそうにないからな。みんなは先に行ってくれ。俺達も後で来る」

 

トランクス「では、行きましょう!」

 

???『聞こえるか、悟空!』

 

 突然、声がしたが悟空には馴染みのある声だった。

 

悟空「この声…、界王様か?」

 

界王『そうじゃ、悟空。というか、下界におるお前は過去から来たのか』

 

悟空「それで、何の用だ?」

 

界王『バビディ達についてじゃが…今、暴れておるボージャック達は何か策でもあるかのようにのんびり街を破壊しておる。奴等ならもっと手っ取り早く破壊できるはずなのじゃが…』

 

悟空「どんな策だろうと、オラ達が破ってやっから、安心してくれ」

 

17号「(策?)」

 

 悟空達主力メンバーはすぐにボージャックが暴れている所へ向かった。

 

 

 

北の都

 北の都ではボージャック一味が破壊活動を行っていた。

 

ボージャック「お前ら、俺達がすべきことはわかってるな?」

 

ザンギャ「孫悟空達の陽動、でしょ?」

 

バビディ「ある程度陽動に成功したらあいつらの出番だよね~」

 

ダーブラ「はい。奴等が暴れれば人間共はあの恐怖心が蘇ってパニックになるでしょう」

 

???「バビディ、お前達の好きにはさせないぞ!」

 

 トランクス達が到着した。

 

バビディ「来たか」

 

トランクス「バビディ、破壊活動をやめさせろ!」

 

ダーブラ「はっはっはっ、そんなバカげた事をバビディ様が聞き入れる訳がなかろう」

 

トランクス「ならば…、戦ってでも止めるまでだ!」

 

 トランクス達が向かってきたのと同時にバビディ一味は破壊活動をやめ、離れていった。

 

トランクス「逃がすか!」

 

パン「私達に恐れをなしたみたいだけど、街を滅茶苦茶にしたからには逃がしはしないわよ!!」

 

 悟空達はバビディ達を追いかけたが、何か嫌な予感がした17号はその場に留まった。

 

18号「17号、どうしてあいつらを追いかけないんだい?」

 

17号「ちょっと何か嫌な予感がしてな…。さっきの悟空の会話を聞いてて、何か連中は策があるんじゃないかと思ったんだ」

 

クリリン「策?そんな事って…」

 

 

上空

 一方、バビディ達は逃げていたが、頃合いだと判断した。

 

バビディ「これくらい引きつければそろそろ例の作戦を始めてもいいだろうな」

 

ダーブラ「では、作戦開始だ」

 

 合図と同時に北の都に潜伏していた量産型の13号達が突如として破壊活動を始めた。その様子は結構離れていたトランクス達にもわかった。

 

トランクス「何っ!?急に街が!」

 

ボージャック「ひっかかったようだな。もうあの街は跡形もなくぶっ壊されるだろう」

 

ちびトランクス「どうしてなんだよ!気を感じないのに街が!」

 

ピッコロ「しまった!奴等が逃げていたのは俺達を街から引き離し、潜伏させていた人造人間で破壊活動を行うという罠だったのか!」

 

ベジータ「くそっ、気配を感じないからどれぐらいいるのかわからん!」

 

 そうしていると、大量の13号達が来た。

 

悟天「変な人造人間がたくさん出てきたよ!」

 

悟飯「お父さん達は北の都に戻ってください!この場は僕とパンとトランクスさんで何とかしてみせます!」

 

悟空「悪ぃ、悟飯!みんな、一旦戻るぞ!」

 

 その場でのダーブラ達の相手を悟飯とパンとトランクスに任せ、悟空達は北の都へ急いだ。

 

ボージャック「お前らだけで何とかなるのか?」

 

悟飯「ボージャック、戦う前に言っておく。勝てんぜ、お前は」

 

パパ「(何?パパが気を開放したらどことなく頼りなさそうな雰囲気が変わるなんて…)」

 

ボージャック「戦ってもいないのに随分とデカイ口を叩くな。俺の力を嫌というほど叩き込んでやる!」

 

 ボージャックは部下達や量産型の13号達と共に悟飯に襲い掛かった。

 

パン「パパ、あの女は私がやるわよ!」

 

悟飯「だが、無理はするな、パン!」

 

ザンギャ「あら、随分と可愛らしいお嬢ちゃんが私に何の用かしら?」

 

パン「決まってるわよ、あんたをぶっ倒すのよ!」

 

 パンは超サイヤ人に変身してザンギャに向かっていき、悟飯はボージャック一味と量産型の13号達相手に1人で互角以上の戦いを繰り広げ、トランクスは剣を手にダーブラと戦った。

 

 

 

北の都

 その頃、北の都では潜伏していら量産型の13号達が大暴れしていて大パニックになっていた。

 

市民A「じ、人造人間だ~~!!」

 

市民B「新しい奴なのか!?」

 

 逃げ惑う人々に何の躊躇いもなく建物ごと13号はエネルギー弾を放った。しかし、その攻撃は違和感を感じて北の都に残った17号に止められた。

 

クリリン「17号、お前の判断は正しかったな」

 

17号「ああ。嫌な予感がするからこの街に留まったが、お前達が違和感の正体だったのか」

 

13号「お前ら、17号と18号だな。まさか、あれほど人殺しを楽しんでいた奴等が人間共の味方をするとは」

 

18号「生憎、あたし達はこの時代のあたし達とは別人で無意味な人殺しに興味なんてないよ。それをしちまったら好みの服が買えなくなるじゃないか」

 

17号「それにしても随分と旧型のようだな。肩に埃が積もってるぞ」

 

13号「ふっ、先輩には敬意を払った方がいいぞ」

 

 量産型の13号だけでなく、14号と15号の量産機も身構えていた。

 

17号「こりゃ、精神的にちょっときついな。クリリン、開発した技は奴等に効きそうか?」

 

クリリン「やってみなきゃわからないけどな」

 

18号「今は口より先に体を動かしな!」

 

 17号と18号は量産型の13号達に向かっていき、圧倒的な力の差で破壊していった。

 

 

 

上空

 北の都へ急ぐ悟空達の元にキビトの瞬間移動で界王神とヤムチャと天津飯が現れた。

 

ヤムチャ「待たせたな、みんな!レーダーが完成したぞ!」

 

天津飯「使い方はだいたいドラゴンレーダーと一緒だ!」

 

 天津飯は見た目は赤いドラゴンレーダーともいえる人造人間レーダーを悟空に渡した。

 

悟空「サンキュー、ヤムチャ、天津飯!」

 

ピッコロ「これで奴等がどれぐらいいるのかが明らかになる。行くぞ!」

 

 悟空達も急ぐのであった。その頃、悟飯はバビディの洗脳で強化されたブージン達の結界さえものともせずに圧倒していた。

 

ブージン「な、なんて戦闘力だ!」

 

悟飯「得意の結界も効かずに策も尽きたのか?」

 

 女同士の戦いは熾烈を極めていた。

 

ザンギャ「やるじゃない。こんなに強い女を見たのは初めてよ」

 

パン「悪女に褒められたって嬉しくないわ!」

 

バビディ「ダーブラ、そろそろ時間だよ」

 

ダーブラ「そのようですね、バビディ様」

 

 ダーブラは唾をはいたため、トランクスは慌ててわかした。その隙をダーブラは逃さず、閃光弾で悟飯達の目を眩ませてバビディ達共々撤退した。

 

悟飯「しまった!」

 

パン「逃げられてしまったわね…」

 

トランクス「ここは悟空さん達と合流しましょう」

 

 悟飯達は悟空達と合流しに向かったが、ちょうどその後を隠れてやり過ごしていたバビディ達が追っていた。

 

 

 

北の都

 力では圧倒していた17号と18号だったが、数が多いために次第にうんざりし始めていた。

 

17号「こんなに多くてちょこまか動かれたら流石にうんざりするぞ…」

 

18号「何かあいつらの動きを止められたら…」

 

14号「無駄だ…」

 

15号「お前達では倒せない…」

 

クリリン「(今がチャンスかも知れない…)17号、18号、サングラスを持ってるならすぐにかけろ!!」

 

 クリリンの言葉通りに2人はちょうど変装用のサングラスを持っていたため、すぐにかけた。

 

クリリン「喰らえ、10倍太陽拳!!」

 

 太陽拳よりも眩しい輝きをまともに直視した量産型の13号達はセンサーが麻痺してしまい、動きが鈍くなった。一方の17号と18号はサングラスをかけたため、ちょっと眩しい程度で済んだ。

 

17号「今だ!」

 

18号「全員くたばりな!」

 

 動きが鈍くなった量産型の13号達はあっさりと破壊されたのであった。ちょうどその時に悟空達も到着した。

 

悟空「クリリン、まさかおめえがこんな技があったなんてすげえぞ!」

 

クリリン「そ、そうか?」

 

ピッコロ「無駄話はそこまでだ」

 

ベジータ「とっととガラクタ共を全滅させるぞ!」

 

 人造人間レーダーによって隠れている13号達の位置も容易にわかるため、あっさりと全滅したのであった。

 

悟天「何とかこの街にいた人造人間を全員やっつけられたね」

 

ちびトランクス「悟天、悟飯さん達が戻ってきたぞ!」

 

 悟飯達も戻ってきた。

 

クリリン「悟飯、ダーブラ達は倒せたのか?」

 

悟飯「それが、逃げられてしまいました。そろそろ時間だとかなんとか言って」

 

ヤムチャ「おいおい、悟飯達は強いから恐れをなして逃げ出したんじゃないのか?」

 

17号「いや、さっきもある程度引き離した所で量産型の13号達を一斉に暴れさせたんだ。何か」

 

悟空「おい、ピッコロ、ベジータ、どうしたんだ!?」

 

 量産型の13号達を倒してほっとしたのも束の間、突如としてベジータとピッコロが苦しみだした。

 

ベジータ「ぐああああっ!!」

 

ピッコロ「ぐおおおっ!!」

 

キビト「界王神様、これは…」

 

シン「バビディです、バビディの仕業です!ピッコロさん、ベジータさん、バビディはあなた達の悪の心を利用しようとしています!無心になりなさい!」

 

バビディ「無駄だよ、もうじきあの2人は僕の家来になるんだ」

 

 悟空達を嘲笑うかのようにバビディ達が現れた。

 

トランクス「バビディ!父さんとピッコロさんが操られる前にお前を殺すぞ!」

 

ベジータ「ふっ、俺はこの時を待っていたぜ!」

 

 苦しんでいるベジータは笑みを浮かべると気合を入れた。

 

ベジータ「バビディ、お前の洗脳を利用させてもらうぜ!はああああっ!!」

 

 気合を入れたベジータは超サイヤ人に変身し、2に変身した後、新たな変化が起こっていた。

 

悟飯「お父さん、これは…」

 

悟空「間違いねえ、ベジータはあの変身をしようとしてるぞ!」

 

ベジータ「はあああああっ!!」

 

 ベジータの髪が急に伸び始め、ある程度伸びた所で気が開放されてベジータの変身が終わった。新たな変身を遂げたベジータは髪が伸びていて眉がなくなっていた。

 

ダーブラ「そ、そんなバカな…」

 

バビディ「お、俺の洗脳を跳ね除けやがった…!」

 

悟空「間違えねえ、こいつは超サイヤ人3だ」

 

ベジータ「そうだ。俺はその領域に達するのにあと一歩の所で上手くいかなくてな、バビディの洗脳を利用して洗脳を跳ね除ける勢いでようやく変身を果たした。バビディさんよぉ、俺のパワーアップに協力してくれて感謝するぞ」

 

バビディ「ベジータの奴め、邪心があるようにしていたのは最初から俺の洗脳を利用するつもりだったのか!!」

 

ベジータ「ふん、俺はお前のような小物に操られるほどヤワじゃねえんだよ」

 

 変身が成功したため、ベジータは変身を解いた。

 

トランクス「(バビディに操られるどころか、逆にそれを利用するなんて、やはり父さんは凄いや…)」

 

悟天「お兄ちゃん、ピッコロさんの額に文字が出てるよ!」

 

悟飯「これは…!」

 

 ベジータは洗脳を跳ね除けたが、ピッコロは洗脳されてしまい、額にMがついていた。

 

バビディ「ひっひっひっ、ピッコロの方は操れるみたいだね。こっちに来るんだよ、ピッコロ」

 

パン「バビディ、ピッコロさんを元に戻しなさい!」

 

ピッコロ「ぬうううっ」

 

 ピッコロはバビディの方へ行ってしまった。

 

悟飯「ピッコロさん!」

 

バビディ「こいつは連れて行くよ~。仲間にしてお前達に絶望を感じてもらうからね~。行くよ~、ダーブラ、ピッコロ」

 

悟飯「ピッコロさん、行っちゃダメです!」

 

 バビディは洗脳したピッコロを連れて退却した。

 

ヤムチャ「どういう事なんだ!?」

 

天津飯「ピッコロが操られるなんて信じられないぞ!」

 

クリリン「いや、あり得ない事じゃない。ピッコロはもともと前の神様の悪の心の化身だ。いくら悟飯との交流や神様との融合を通して穏やかになったとはいえ、元は悪の心の化身だからそこをバビディに突かれて操られてしまったんだ!」

 

天津飯「俺達もそれをすっかり忘れてたな」

 

クリリン「俺も神様と融合したピッコロはバビディの洗脳は大丈夫だろうと思ってたけど、まさか操られてしまったとはな…」

 

トランクス「とにかく、バビディを追いかけましょう!」

 

悟空「そうだな、あいつを追いかけてオラ達でピッコロを止めねえとな!」

 

 悟空達は急いでバビディ達の後を追った。

 

 

 

宇宙空間

 サイヤ人の宇宙船が地球に向かっており、地球が目前まで迫っていた。

 

???「バビディめ、弟を殺して俺達兄弟が封じていた幻魔人を持ち去るとは絶対に許さんぞ!!」

 

 何者かもまた、バビディを倒すために地球に向かっていた。

 

先代の全王『バビディの魔術でピッコロが操られてしまった。悟空達はピッコロを元に戻す事ができるのであろうか?そして、地球に向かっている者は一体、何者なのだろうか?』




これで3話は終わりです。
今回は悟空達z戦士が未来に到着したのとバビディ達との初戦闘、ピッコロが洗脳されるまでを描きました。
北の都の戦いでクリリンが使った10倍太陽拳はドラゴンボール超の100倍太陽拳に繋がる太陽拳の強化版です。他にもクリリンは何か新しい技を隠し持っているかも知れません。
13号のスパイ活動については、人造人間は気配がないのでスパイは適任だと判断したためです。ちなみに、17号と18号が13号と初対面した時の会話はスパーキングメテオの17号と13号が戦う際の戦闘前会話を参考にして考えました。
次の話でピッコロは元に戻りますが、とんでもない奴が現れます。とんでもない敵の正体のヒントは今回の話の最後にあり、ある人物も参戦します。


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4話 激突!!幻魔人vs合体戦士

上空

 悟空達はバビディを追っていた。

 

ベジータ「ピッコロの奴め、世話を焼かせやがって…!」

 

悟空「そう言うな、ベジータ」

 

ちびトランクス「パパ、ピッコロさんを元に戻す秘策はあるの?」

 

ベジータ「一応は考えている。別にボコボコにする必要もない簡単な方法だ」

 

悟天「お兄ちゃん、ピッコロさんと戦わずに済むかも知れないよ」

 

悟飯「ありがとうございます(一体、ベジータさんの秘策ってどんなものだろう?)」

 

18号「クリリン、バビディ達の気とは別の気が宇宙からこっちに来ているよ!」

 

クリリン「何だって!?」

 

ちびトランクス「この気って……あの人だ!」

 

 近づいている気が知っている人の気である事に気付いたちびトランクスは喜んだ。それと同時に少し先に宇宙船が落ちてきた。

 

パン「誰があの宇宙船に乗っているの?」

 

 宇宙船が開き、ちびトランクスにとっては懐かしい人物が姿を現した。

 

シン「あの人は…コナッツ星の勇者、タピオンです!」

 

ベジータ「タピオンか」

 

ちびトランクス「やっぱり、お兄ちゃんだ!」

 

タピオン「お前達、なぜ俺の事を知っている?」

 

 そこはちびトランクスがタピオンに説明した。

 

タピオン「そうか、だから俺の事を」

 

17号「で、何のために地球に来たんだ?」

 

タピオン「弟を殺し、俺達兄弟が封じていた幻魔人ヒルデガーンとそれを手に入れたバビディを倒すために来た」

 

悟飯「あ、あのヒルデガーンをバビディが!?」

 

タピオン「奴は使える駒になるヒルデガーンを奪うためにホイを殺し、ヒルデガーンを洗脳してから持ち運ぶために封印して自分の駒にしたんだ」

 

悟空「ヒルデガーンまでいるとなれば…、ドラゴンボールのねえ未来で暴れられたらちっとやべえな…」

 

トランクス「俺達は魔導士ビビディが作った魔人ブウを目覚めさせようとするバビディを倒すために戦っている所です。あなたも協力していただけませんか?」

 

タピオン「バビディとブウもヒルデガーンと一緒に俺が倒す!手を貸す理由はない!」

 

トランクス「そこを何とかお願いします!俺達とあなたの目的は一緒のはず!一緒に戦う事はできないのですか!?」

 

 トランクスの真剣な態度で頼まれた事にタピオンはしばらく考えた後、ちびトランクスに弟の面影を見出してから決断した。

 

タピオン「そこまで言うのならばいいだろう、俺もお前達と一緒にバビディと戦おう」

 

ちびトランクス「やったぁ!」

 

 タピオンを加え、悟空達は再度出発した。

 

タピオン「さっき、ブウはビビディが作り出したと言っていたが、それは間違いだ」

 

シン「どういう事なのですか?」

 

タピオン「コナッツ星の伝承によれば、魔人ブウは太古の昔からずっと存在していて、大暴れと深い眠りのサイクルを繰り返しながら人間の悪い気を吸収し続けて凶暴になったそうだ。俺の故郷のコナッツ星も太古にはブウに襲撃されて壊滅的被害を受けたらしい」

 

キビト「ま、まさかこんな真実が…」

 

タピオン「それよりトランクスと言ったな。なぜ、弟の剣をお前が持っているんだ?」

 

トランクス「こ、この剣はあなたの弟さんのものだったのですか?」

 

タピオン「そうだ。トランクス、弟の剣をどこで手に入れたんだ?」

 

トランクス「この剣は悟飯さんが俺にくれたものです。何でも、人造人間との戦いに敗れて逃亡している時に偶然、壊れた宇宙船とそれに乗っていた宇宙人の遺体を見つけ、埋葬してからその剣を俺が悟飯さんぐらいの体格になってから扱えるように職人さんに鍛え直してもらったそうで…」

 

タピオン「(ミノシア、お前は地球できちんと埋葬してもらったのか…)」

 

 そう思っていると、悟空達が気を感知した。

 

悟空「ピッコロの気だ。もう近いぞ!」

 

 

 

東の都

 バビディ達は今度は東の都とその周辺の街を破壊していた。

 

バビディ「もっとやれ~、もっともっとだ!」

 

ボージャック「はい、バビディ様」

 

???「バビディ!」

 

 あっという間に悟空達が到着した。

 

バビディ「またお前達か」

 

ダーブラ「それに、タピオンも加えているようです」

 

タピオン「魔導士バビディ、暗黒魔界の王ダーブラ、お前達の悪行は勇者であるこの俺が断罪する!」

 

バビディ「お前達にそれができるかな?やれ、ピッコロ、ボージャック、13号達!」

 

 悟空達の前にピッコロとボージャック一味、13号と14号と15号が立ちはだかった。

 

悟飯「ピッコロさんまで…」

 

ベジータ「悟飯、ピッコロは俺に任せろ!」

 

17号「人造人間は俺とトランクスとパンに任せろ!」

 

18号「あのザンギャって女はあたしがやるよ」

 

悟空「オラと悟飯とチビ達はボージャック達だな」

 

 戦う相手を決めた悟空達はそれぞれの相手の方に向かった。

 

13号「17号が俺と戦うのか。だが、お前が倒したのと違ってこの場にいる俺達はオリジナルだ。戦闘力も桁違いだぞ」

 

17号「そうか。だったら、すぐに決めさせてもらうぞ!」

 

 17号は13号と、トランクスは14号と、パンは15号と戦った。

 

トランクス「パン、奴らは13号が言った通り、オリジナルだから今までの奴とは強さが桁違いだ!気を引き締めて戦え!」

 

パン「わかってるわよ!」

 

ザンギャ「あなたが私の相手なのね。結構美しい女じゃない」

 

18号「褒めてるのかい?あたしがあんたと戦うのは目には目を、女には女って奴だよ。最強の女はどっちか決めようじゃない」

 

ザンギャ「そうね。それじゃあ、行くわよ!」

 

 18号とザンギャの女同士の熾烈な戦いが始まった。そして、悟空と悟飯、チビコンビはボージャック一味と戦い、タピオンはダーブラと戦っていた。

 

ピッコロ「こんな気分は久しぶりだ!魔族だった頃の血が騒ぎ出したぞ!ベジータ、貴様も捻り潰してくれる!」

 

ベジータ「ピッコロ、随分と情けないな」

 

ピッコロ「何?」

 

ベジータ「お前はカカロット以上に悟飯に父親のように慕われていて、お前も悟飯を息子みたいに思っているはずだ。それなのに今のザマは何だ!?バビディに操られ、思うがままにされているお前のプライドはちっぽけなものだったのか!?悟飯に見せた父親みたいな姿はどこに行った!?お前のこのザマを見た悟飯はさぞかしがっかりしてるだろうな。俺にこんなにボロクソ言われているのが悔しいのならこんな洗脳ぐらい跳ね除けてみせろ!」

 

ピッコロ「悟飯……、うおおおおおっ!!」

 

 ベジータに情けないや悟飯ががっかりするなどのピッコロを怒らせるような発言をしまくった。ボロクソ言われた事でピッコロの怒りは頂点に達し、気を最大限に高めた。それと同時にMのマークも消えた。

 

悟飯「お父さん、ピッコロさんの額にあった文字が!」

 

悟空「ベジータの奴、徹底的に罵って怒らせるのがピッコロを元に戻す秘策だったのか」

 

ピッコロ「ベジータ、お前に言われて自分に腹が立ったぜ。バビディの洗脳に負けてしまった情けない俺自身にな」

 

ベジータ「そんな事より、バビディを叩き潰すぞ!」

 

 ボージャック達も悟空と仲間達に押されていた。

 

トランクス「バビディ、ピッコロさんが元に戻った今、お前達に俺達に有効な切り札は残されていない!今すぐにお前達を地獄行きにしてやるぞ!」

 

バビディ「おのれ!ピッコロの洗脳を解いたぐらいでいい気になりやがって!!」

 

ダーブラ「気をお鎮め下さい、バビディ様!この場は退いて新たな策を」

 

バビディ「ここまで台無しにされて退けるか!こうなればヒルデガーンを使うぞ!」

 

ダーブラ「お待ちください!奴等の実力はまだ測り切れておりません!ヒルデガーンを使うのであればもっと奴等の実力を確かめてからでも」

 

バビディ「黙れ、ダーブラ!あれからブウ復活のためのエネルギーをほとんど集められてないじゃないか!もう一気に一網打尽にしてやる!!いでよ、ヒルデガーン!1」

 

 完全に頭にきたバビディはダーブラの制止を無視してヒルデガーンを出した。

 

パン「ちょっと何よ、あの怪物は!」

 

タピオン「あれがヒルデガーンだ!しかも、以前よりも強くなっているみたいだ!」

 

 現れたヒルデガーンは最初から脱皮を終えた状態であった。しかも、洗脳されている証であるMのマークもあった。

 

ベジータ「カカロット、悟飯、ヒルデガーンが現れた以上、あの化け物から先にぶっ潰すぞ!さっさとボージャック達をぶっ飛ばしやがれ!」

 

悟飯「はい!とりゃああっ!!」

 

ボージャック「ぐああああっ!!」

 

 ヒルデガーンの排除を優先させるため、悟飯は一気にボージャックを部下達と一緒に遠くへ殴り飛ばした。

 

ちびトランクス「悟天、とうとう俺達の番だぜ!」

 

悟天「ヒルデガーンを今度こそ僕達でやっつけてやろう!」

 

チビコンビ「フュージョン、はっ!」

 

 悟天とちびトランクスはフュージョンしてゴテンクスに合体変身し、一気に超サイヤ人3に変身した。

 

ゴテンクス「ヒルデガーン、未来では俺様が叩き潰してやるぜ!」

 

悟飯「待て、ゴテンクス!むやみに突っ込むな!」

 

ベジータ「ヒルデガーンは俺とカカロットで一気に叩き潰すから引っ込んでろ!」

 

ゴテンクス「アニキやオヤジ達の出番なんかないぜ。なぜなら、この俺様がヒルデガーンを倒すんだからな!」

 

 悟飯とベジータの制止も聞かずにゴテンクスはヒルデガーンの前に来た。

 

ゴテンクス「これで一気に決めてやるぜ!連続しねしねミサイル!!」

 

 ヒルデガーン目掛けてエネルギー弾を連続で放ち、辺り一面は煙に包まれた。煙が晴れたら、ヒルデガーンはいなかった。

 

ゴテンクス「イェーイ!未来のヒルデガーンは大した事なかったな。俺が強すぎちゃったのかな?」

 

ベジータ「バカが、ヒルデガーンの特性を忘れやがったのか!?」

 

 そう、ヒルデガーンは攻撃時以外煙になれるのである。そのままヒルデガーンはゴテンクスの背後に現れ、右手で掴んでそのまま地面に叩きつけた。

 

ゴテンクス「いてっ!」

 

ヒルデガーン「グオオオッ!」

 

 ゴテンクスを掴んだままヒルデガーンはパンチを連続で打ち込み、火炎放射を放ったりした後に止めのプレス攻撃を行った。見事に返り討ちに遭ってダウンしたゴテンクスは5分経過して元のチビコンビに戻ってしまった。

 

ベジータ「あのチビ共が、調子に乗った挙句、返り討ちに遭いやがって!まるで成長していないじゃねえか!」

 

 ゴテンクスの無様で調子に乗りやすい上に学習しない姿に怒るベジータだが、フリーザに変身しろと言って圧倒的な実力差を知って恐怖で震えたり、セルを完全体にして返り討ちに遭ったりと事態を悪化させた事も多いベジータも人の事は言えないのである。

 

悟空「で、どうする?ベジータ」

 

ベジータ「決まってるだろ?カカロット、俺とフュージョンしろ」

 

悟空「おめえの方からフュージョンしろってのは珍しいな。雪でも降るんじゃねえのか?」

 

ベジータ「勘違いするな、ドラゴンボールがこの世界にない以上、手っ取り早くヒルデガーンを叩き潰すための方法がフュージョンだからだ!」

 

悟空「悟飯、タピオン、ちっとでいいから時間を稼いでくれ!」

 

悟飯「はい!」

 

タピオン「行くぞ!」

 

ピッコロ「ダーブラの方は俺に任せろ!」

 

 ダーブラの相手をピッコロに任せ、悟飯とタピオンは時間稼ぎのための攻撃を始めた。けん制のエネルギー弾に対してヒルデガーンは火炎放射で対抗した。火炎放射をかわした後、タピオンは少しでもヒルデガーンの動きを封じて時間を稼ぐためにオカリナを吹いてギリギリまで封じようとした。

 

タピオン「2人共今だ!」

 

悟空「ベジータ、タピオンがちっとでも封じている間に行くぞ!」

 

ベジータ「ああ!」

 

悟空&ベジータ「フュージョン!はっ!」

 

 悟空とベジータは合体し、合体戦士ゴジータが誕生した。それと同時にタピオンもオカリナを吹くのをやめた。

 

悟飯「凄い気だ…!」

 

ピッコロ「ゴテンクスとは比べ物にならんぞ…!」

 

ヒルデガーン「グオオオッ?」

 

ゴジータ「俺は悟空でもベジータでもない、俺は貴様を倒す者だ!」

 

 名乗った後、ゴジータはヒルデガーンの前に出た。

 

ヒルデガーン「グオオオン!!」

 

 急にゴジータが目の前に現れたのをヒルデガーンは挑発だと判断して襲い掛かったが、ゴジータに街からだいぶ離れた場所へ蹴り飛ばされた。そして、ゴジータの寡黙ながらも挑発しているかのような指の動きを見たヒルデガーンは挑発に乗ってゴジータを殴ろうとした。しかし、カウンターでゴジータのパンチとぶつかった途端、ヒルデガーンの腕の方が千切れ飛んでしまった。

 

ヒルデガーン「グオオオッ!!」

 

 腕を千切れ飛ばされて物凄く痛がったヒルデガーンは完全に頭にきてゴジータに攻撃を仕掛けたが、過去の世界でヒルデガーンと戦った悟空とベジータが合体したゴジータにはまるで歯が立たず、実体化しているわずかな時間の間でもカウンターで何発もゴジータの打撃を受けて体が凹むどころか、打撃を受けた箇所は穴が開いて血が流れるほどの凄まじいダメージを受けていた。

 

ヒルデガーン「グオオオッ!!」

 

ゴジータ「これで決める!ビッグバン龍拳!!」

 

 実体化した際に龍拳の強化版、ビッグバン龍拳を受けてヒルデガーンはあっけなく爆散してしまったのであった。

 

悟飯「これが…フュージョンの力…」

 

トランクス「悟空さんと父さんが合体するとこんなに強力な戦士になるなんて…」

 

 余計な被害を避けるために街からだいぶ離れた場所へ吹っ飛ばしてから戦闘に入ったのとヒルデガーンの特性上、速攻ではなくカウンター戦法をとったためにヒルデガーンを倒すのに多少時間がかかったせいで制限時間を迎え、元の2人に戻った。

 

バビディ「ちくしょう!!ヒルデガーンをあっけなく倒すなんて!!」

 

 ヒルデガーンがあっさりと敗れた事に憤るバビディだったが、配下のある連絡を聞いて落ち着きを取り戻した。

 

バビディ「ひっひっひっ、あのガキがフルボッコにされた際のエネルギーでもうすぐ魔人ブウが復活するもんね~。ダーブラ、13号、もういいからさっさと撤退するよ~!」

 

 配下から間もなくブウ復活の報告を聞いてバビディ達は閃光弾を放って撤退した。

 

ピッコロ「魔人ブウが間もなく復活するだと…?」

 

シン「そ、そんな!魔人ブウが復活してしまうなんて…」

 

ピッコロ「界王神様、今更嘆いても仕方ない。急いで向かうぞ!」

 

ベジータ「クリリン、仙豆を半分にしてからチビ共に食わせろ」

 

クリリン「は、半分?」

 

ベジータ「戦いはまだ終わりじゃないからな。無駄な消費を抑えるためだ」

 

 クリリンは一粒の仙豆を半分にしてチビコンビに食わせた。

 

悟天「いててっ…」

 

ちびトランクス「かっこよくヒルデガーンをやっつけようとしたのにカッコ悪くやられちゃうなんて……」

 

17号「無駄にカッコつけたがるなんて、あいつらは力が強いだけのガキそのものだな」

 

18号「そういう17号だって結構子供っぽい所は多いでしょ?」

 

17号「まぁ、否定はしないがそれでもあいつらよりは大人さ」

 

トランクス「皆さん、魔人ブウが復活する前に急いでバビディ達のアジトへ行きましょう!」

 

 膨れ上がる気を頼りに悟空達はそこにバビディのアジトがあると判断して急いだ。

 

先代の全王『幻魔人ヒルデガーンを倒してほっとしたのも束の間、なんとゴテンクスがやられた際に強大なエネルギーが生じて魔人ブウが今にも復活しそうになった。果たして、これからどうなるのであろうか?』




これで4話は終わりです。
今回はピッコロの洗脳を解くのとタピオンの加入、ゴジータとヒルデガーンの戦いを描きました。
ベジータがピッコロに悪口を言いまくって洗脳を解くのは、スパロボvでフルメタルパニックの相良宗介がかなめを元に戻すために色々言いまくるのを参考にしています。
ピッコロの弟子バカぶりを突いて元に戻したベジータですが、この弟子バカっぷりはある展開の伏線かも知れません。
ゴテンクスとゴジータが初登場しましたが、今小説のゴテンクスはベジータに代わって調子に乗ってはフルボッコにされるというかませになる事が多くなりそうです。ゴテンクスは悟空とベジータの事はゲームではパパとかオヤジと言っていたので、今小説では父親2人はパパかオヤジ、悟飯の事はアニキと言うようにします。
ヒルデガーンが出てくる映画で出たタピオンはどれぐらいの実力かはっきりしてませんが、ある程度戦闘力がないとヒルデガーンの半身を封じ込める事はできないので、少なくともデブブウぐらいの強さで描きます。
今回登場したヒルデガーンは腕が千切れ飛んだりしてあっけなくゴジータにやられたわけですが、ヒルデガーンは作中の描写とジャネンバより弱いというあるサイトの情報を参考にして攻撃力はかなり高いものの、防御力と知能などはジャネンバに大幅に劣るためにゴジータにフルボッコにされてやられたという風にしました。
次の話は遂に未来世界で魔人ブウが復活します。


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5話 魔人ブウ復活!

バビディのアジト

 ゴテンクスがボコボコにされた事でエネルギーが満タンになり、今にもブウが復活しようとしていた。

 

バビディ「ふ、フルパワーだ!魔人ブウがフルパワーで目覚めるぞ!ヒルデガーンを倒されたのは痛かったが、ブウさえ目覚めれば穴を埋められるぞ!」

 

 実際はブウは吸収しなければ潜在能力開放後の悟飯はおろか、ゴテンクスにも勝てないので、素の状態のブウよりも強いヒルデガーンを失ったのはバビディの短絡的な行動による失策なのであった。

 

ダーブラ「これで我らの野望がさらに進みますな」

 

 魔人ブウが封じられた玉から煙が出た。ちょうどその時に悟空達が到着した。

 

バビディ「い~っひっひ~っ!魔人ブウ復活だぁ!」

 

シン「ああ、なんて事だ!魔人ブウの復活を阻止できなかったなんて……」

 

悟空「界王神様、もう復活しちまったからにはしょうがねえ」

 

 そして、玉が割れたが、魔人ブウの姿はなかった。

 

バビディ「そ、そんな…そんなはずはない…。何でなの…?」

 

キビト「界王神様、これはまさに不幸中の幸いというべきですな!」

 

シン「はい!恐らく魔人ブウは長きに渡る封印の影響で干からびてしまい、どんなにエネルギーを注いでも復活しなくなってしまったのです!これで地球、いや、宇宙は救われます!」

 

バビディ「そ、そんな…」

 

ダーブラ「バビディ様、魔人ブウなどいなくとも私達がいるではありませんか」

 

バビディ「パパの作った魔人ブウが…。あいつらをやっつけてしまえ!」

 

シン「皆さん、ラストスパートです!バビディ達をやっつければすべてが終わります!」

 

 しかし、悟空達の表情は真剣そのものだった。

 

シン「どうしたのですか?皆さん。魔人ブウ復活は失敗に終わったのです!後はバビディ達を倒せば」

 

ベジータ「魔人ブウと一度戦った事がある癖にお前はバカか?魔人ブウは復活に失敗などしていない!まだ生きているぞ!」

 

トランクス「凄まじい気が膨れ上がっています!」

 

 煙は集まって形作り、魔人ブウとなった。

 

ブウ「ブウ~~~ッ!!」

 

トランクス「あれが…魔人ブウ…?」

 

シン「その通り、あれが魔人ブウです!忘れもしませんよ…、あの恐ろしい顔…!」

 

タピオン「だが、伝承と姿が違うな。伝承ではチビと言われていたが、太ってはいなかったぞ」

 

シン「例え違ってても恐ろしい事に変わりはないのです!」

 

バビディ「魔人ブウ!僕はお前を作ったビビディの子供のバビディだよ。早速だけど、あいつらを全員殺してしまえ!」

 

 しかし、ブウからの返事はなかった。

 

バビディ「お~い、どうしたんだ~?」

 

ブウ「バアアッ!!」

 

 なんと、ブウはバビディを脅かしたのであった。

 

ダーブラ「ただのバカではないか。バビディ様、どうやら魔人ブウは復活に失敗したようですな」

 

 一方のz戦士一同は過去から来たメンバーとパンは真剣な表情が緩んでいた。

 

パン「へえ~、私が過去の世界で見たブウと全く同じ姿だし、性格も同じようだし無害そうじゃない?」

 

トランクス「パン、ブウを過去の世界で見たのか?」

 

パン「おじいちゃんの家でね。パパ、ブウは結局、私のいる時代でも復活しちゃったけど、過去のブウは無害だったから、こっちもほっといていいんじゃない?」

 

シン「何を言っているのですか!?魔人ブウは恐ろしい魔人なのですよ!無害などとはあり得ません!有害でしかないのですよ!」

 

パン「界王神の言ってる事は大袈裟すぎて信用できないわ。パパ、ブウはほっといていいでしょ?」

 

悟飯「いや、見極める必要がある。僕のいた時代のブウだって初めは界王神様の言う通り人を平気で殺したりする悪い奴だったけど、ミスター・サタンのお陰で改心できて今に至るんだ」

 

ピッコロ「人造人間の性格と実力がこの時代と俺達の時代では違っていたというケースもあるからな。ブウの場合でも違っている可能性もある」

 

ベジータ「実力の方は俺が確かめる」

 

ちびトランクス「パパも超サイヤ人3になれるようになったし、魔人ブウなんてイチコロだ!」

 

悟空「いや、オラとしては戦ってみなきゃわかんねえ。ベジータ、あんまり無理はすんな」

 

ベジータ「わかってる」

 

クリリン「悟空、ベジータがやばそうになったら急いで助けに行けよ」

 

悟空「そんぐれえ言われるまでもねえさ、クリリン」

 

 ブウの実力を確かめるため、ベジータは前に出た。

 

ベジータ「おい、風船野郎!お目覚めで強い奴と戦いたいか!?」

 

ブウ「お前、とっても強いのか?」

 

ベジータ「ああ、強いぜ。お前を満足させられるほどにな!はああああっ!!」

 

 早速、ベジータは超サイヤ人3に変身した。ベジータは未来世界でようやく変身できるようになったために変身に慣れておらず、終わるのに時間がかかった。

 

キビト「ま、魔人ブウに負けず劣らずの気だ!!」

 

ベジータ「行くぞ!」

 

 いきなりのベジータのダッシュパンチをブウはまともに受けた。

 

ベジータ「だだだだだだだだっ!!」

 

 続いて打撃のラッシュを仕掛けた。ラッシュをブウはかわせずにまともに受けた後、締めのストレートパンチを受けて吹っ飛ばされた。

 

ベジータ「この程度で終わりなわけないだろう?さっさと起き上がってこい!」

 

 何事もなかったかのようにブウは起き上がった。

 

ブウ「結構痛かったぞ。お前、なかなか強いな俺も本気で行くぞ!」

 

ベジータ「さっきのはウォーミングアップでやったものだ。俺も全力で行かせてもらうぞ!」

 

 体の穴から蒸気を出した後、ブウは全力を出してベジータに向かい、ベジータもブウに向かって格闘戦に入った。

 

ブウ「ブウッ!」

 

ベジータ「ぐあっ!(何だ、このパンチの重さは最後に戦ったチビのブウぐらいはあるぞ!)」

 

 戦っている未来のデブブウのパンチの重さが自分達の時代にいるデブブウのパンチより重い事をベジータは感じ取っていた。そして、距離を取った後、ブウは腹の肉をちぎってから伸ばした肉片でベジータを拘束しようとした。

 

ベジータ「その手は既に見切っているぞ!」

 

 エネルギー弾で肉片を消滅させた。

 

トランクス「凄い!父さんはブウと互角に戦っているぞ!超サイヤ人3のパワーはとんでもないものだ!」

 

ちびトランクス「きっとパパはブウをやっつける事ができるぞ!」

 

悟空「(確かに今は互角だ。だが、超サイヤ人3の弱点は気の消耗が激しい事だ。ましてや、ベジータはまだ変身できるようになったばっかで余計に消耗が激しいはず!)悟飯、準備をしとけ!ベジータはもうそろそろ持たねえ!」

 

悟飯「はい!」

 

シン「何を言っているのですか?このまま行けばベジータさんはブウに勝てますよ!」

 

17号「あんた、ベジータの様子が全くわかってないのか?ベジータの息があがってきている。長くは持たないぞ」

 

 17号の指摘した通り、超サイヤ人3の急激な気の消耗によってベジータの動きが鈍くなってきていた。

 

ベジータ「(ちっ、思った以上に持たねえぞ!カカロットはこれ程の消耗の中でブウと戦っていたというのか!?)」

 

 元の時代でのブウとの戦いで見た超サイヤ人3で戦い続けた悟空の消耗の凄まじさを今度は自分の身で知る事となった。そして、ブウに弾き飛ばされた際に変身が解けてしまった。

 

トランクス「父さん!」

 

ブウ「ブウ~~ッ!」

 

 そのままブウは突進したが、悟飯に止められた。

 

悟空「でえじょうぶか?ベジータ」

 

ベジータ「はぁ、はぁ……。カカロット、超サイヤ人3の消耗の凄まじさをようやく俺自身の身で知る事ができたぜ…。それに…、奴はデブの状態でも俺達の時代のチビのブウぐらいはあるぞ…!」

 

悟空「ああ、人造人間とは逆で未来のブウはオラ達の時代のブウより強えみてえだ」

 

 悟空の思った通り、未来のブウは見た目は同じではあるものの、実力は過去の世界のブウ以上だった。

 

ダーブラ「まさか、これほどのものだったとは…。どうやら復活は成功のようですな、バビディ様」

 

バビディ「いいぞ、魔人ブウ!この調子で残りの奴等も殺しちゃえ~!」

 

 しかし、ブウは戦おうともせずにどこかへ行こうとした。

 

バビディ「どうした?行かないのか?」

 

ブウ「やーだもん!俺、殺すとか壊すよりもお菓子を食べる方が好きだも~ん!」

 

 ベジータとの戦いでお腹が空いたのか、ブウはお菓子を食べに行ってしまった。

 

ダーブラ「な…!」

 

バビディ「待て~~っ、魔人ブウ~~!!」

 

 ダーブラに掴まってバビディはブウを追いかけた。

 

クリリン「あいつら…どうしたんだ…?」

 

18号「腹が減っては戦はできぬというからね。ブウも腹が減って戦いどころではなくなったんだろう」

 

悟天「お父さん、どうするの?」

 

悟空「ブウがあんな調子だし、ここは神殿に戻って休むとすっか!」

 

17号「一応、ブウがどこに行ったのか俺が見てくる。気がない人造人間は隠密行動にうってつけだろ?」

 

クリリン「17号、あのブウの実力は超サイヤ人3クラスだ。見つかるんじゃないぞ」

 

 過去の世界から来た悟空達は未来のブウを倒さなければならないのか見極めたいため、ちょうどいいタイミングという事もあり、ブウの偵察を行う17号以外は神殿に戻る事にした。

 

 

 

上空

 ダーブラに掴まった状態でバビディは考え事をしていた。

 

バビディ「(そう言えば、この後僕は魔人ブウに殺されてしまうってことがピッコロの記憶にあったな…。記憶を覗くという事はこういう時にも役に立つねえ。うーん…、でもそうなると、このままではまずいよね。その前に何とかしてブウをコントロールしないと…)ん?そうだ!」

 

 バビディはどんな願いも叶うドラゴンボールがナメック星にもあるという事もピッコロの記憶にあった事を思い出した。

 

 

 

 お腹が空いたブウはお菓子を探し回っていたが、お菓子の匂いがしたためにそれを頼りに行ってみると、そこは街があり、お菓子屋さんがあった。

 

ブウ「パアッ!」

 

 ブウはお菓子屋さんに入ろうとしたが、自動ドアが開くのを待たずに入ろうとしたためにドアが割れてしまった。

 

店員達「きゃあああっ!!」

 

店員A「お、お客様…お怪我はありませんか…?」

 

ブウ「あははははっ!」

 

店員B「い、いらっしゃいませ…。何を差し上げましょうか…?」

 

ブウ「全部」

 

店員B「は?全部って、えっと…」

 

 そのままブウはガラスをブチ破ってお菓子を食べ始めた。それを一般市民に紛れて見ていた17号は驚いていた。

 

17号「おいおい、ここまでするなんてあいつのお菓子を食べたい願望が半端じゃないな…」

 

 一方のダーブラとバビディはブウを探していた。

 

バビディ「どこだ~~!どこにいる~!?魔人ブウ~~!」

 

ダーブラ「早く戻って来ないとバビディ様が玉に封じ込めるぞ!さっさと戻って来い!」

 

 お菓子屋ではまだブウが食べ続けていた。

 

ブウ「おいしい!でも、まだ食べた気しない」

 

 店のお菓子を全部食べても満足しないブウは壁を突き破りながら奥の工場へ行き、ケーキが作られる所を目撃した。

 

店員C「な、何だお前は!?」

 

 ブウは腹で近づいた店員を吹っ飛ばした。残りの店員達は怯えて逃亡するのにもブウは気にせず、機械のスピードを上げてケーキを食べまくった。ちょうどその時にダーブラは街に人の集まりがある事に気付いた。

 

ダーブラ「バビディ様、魔人ブウはあそこにいるのではないでしょうか?」

 

バビディ「さっさとそこへ行くぞ!」

 

 一方、ブウはまだケーキを食べていた。そして、腹がいっぱいになったので機械を止め、店を出ようとした時にバビディ達が来た。

 

バビディ「魔人ブウ、もう腹がいっぱいになったのなら、さっさと行くぞ!」

 

ブウ「もうお腹いっぱいだから帰って寝る!」

 

 お腹いっぱいになって寝るためにアジトへ戻るブウの姿に唖然としていた女性店員はバビディとダーブラをブウの保護者と判断し、バビディのマントを踏んだ。

 

バビディ「何をする?無礼者!」

 

店員B「無礼者はおじさん2人の方でしょ!?」

 

バビディ「ありゃ、おじさんだって…?」

 

店員B「ケーキ代払ってください!ドアとショーウインドー、そのほかの修理費もぜ~んぶ込みでお願いします!それまで放しませんからね!」

 

ダーブラ「小娘、この私やバビディ様をおじさん呼ばわりするとは失礼な奴だな。私を怒らせたらどうなるのかを思い知らせてやる!」

 

 ダーブラはバビディのマントを踏んでいる女性店員目掛けて唾をはいた。

 

店員B「きゃっ!あなた、唾を吐くなんてどういう神経を」

 

 ところが、唾をかけられた女性店員は唾がついた部分から石化していた。

店員B「きゃああああっ!!ど、どうなっているのよ!」

 

ダーブラ「どうだ?これがバビディ様に無礼な態度をとった者の末路だ。お前も私に唾をかけられた女と同じ目に遭いたいのか?」

 

店員A「い、いえ…」

 

ダーブラ「お前、これ以上石になりたくないのなら、バビディ様にごめんなさいと謝れ。そうすれば、この石化を解く水をかけて元に戻し、金を払ってやろう」

 

店員B「……ご、ご……ごめんなさい!だから、私を元に戻してください!」

 

ダーブラ「わかったのなら、最初から無礼な態度をとらなければよかったのだ」

 

 石化の恐怖もあって女性店員が謝ったのを確認したダーブラは石化を解く聖水をかけて石化が進みつつある女性店員を元に戻し、どこからともなく大量の札束が入った袋を置いた。

 

ダーブラ「この金全部をケーキ代他として置いて行く。またバビディ様に無礼な態度をとったらもう石化を解除などしないからな」

 

警官「犯人に告ぐ!無駄な抵抗はせずに大人しく出てきなさい!」

 

バビディ「面倒な事になってきたな。ダーブラ!」

 

ダーブラ「かしこまりました、バビディ様」

 

 ダーブラはバビディを肩に掴まらせ、アジトへ戻っていった。

 

17号「よし、この事を伝えるか」

 

 

 

神様の神殿

 偵察を終えた17号は悟空達の元に来た。

 

18号「どうだった?17号」

 

17号「ブウの奴、スイーツショップを襲ってたらふくスイーツを食った挙句、帰っちまった。しかも、誰も殺していない」

 

パン「この時代のブウもいい方なのかな?」

 

ピッコロ「いや、あのブウは殺すのとか壊すのよりもお菓子を食いたいと言っていたから、単に殺すのも壊すのも積極的にしないだけだろう」

 

トランクス「皆さん、今の内にブウを倒しましょう!」

 

ピッコロ「今はまだブウは大規模な被害を出していない。それに、迂闊に全員でブウと戦うとブウは誰かを吸収してパワーアップする可能性がある。だから、今は休みながら敵の出方を伺うんだ」

 

 迂闊に行けばブウに吸収されるというピッコロの言う事もわかるため、一同は休みながら敵の出方を伺う事にした。

 

 

 

バビディのアジト

 ぐっすり寝ているブウを見て、バビディはある行動をとる事にした。

 

ダーブラ「どちらへ行かれるのですか?バビディ様」

 

バビディ「僕はボージャック達を連れてナメック星に行くんだ。あそこは僕も行った事がないから、宇宙船で行くよ。それとダーブラ、僕がいない間はブウの事をよろしく頼むよ」

 

ダーブラ「かしこまりました、バビディ様。お気をつけて」

 

 自分がこれからどうなるのかを知ってしまったバビディは自分の運命を変えるべく、ボージャック達を連れてナメック星へと飛び立った。

 

 

 

神様の神殿

 数日後、悟空達はいつでもダーブラ達の攻撃に備えられるように待機していたが、ブウが復活してから急にダーブラ達の攻撃が止まった事を疑問に思っていた。

 

シン「おかしいですね…。ここの所、バビディの姿を全く見ませんね。一体、どうしたのでしょう?」

 

18号「またくだらない事でも考えてるんじゃないの?どうせあいつの事だから」

 

ピッコロ「どうやらバビディはもうこの星にはいないようだな。奴の気を地球から遠く離れた場所から感じる」

 

シン「本当だ…!この方角の先には…ナメック星人たちが移り住んだ新しいナメック星がありますね」

 

ベジータ「あの野郎、まさかドラゴンボールを狙っているのか?」

 

ピッコロ「そうかも知れんな。あいつは自分がブウに殺される運命を何らかの方法でしったのかも知れん」

 

クリリン「それでボージャック達もいなくなった上にダーブラ達の攻撃が急に大人しくなっているのか。ダーブラもあのブウには手を焼いてるって事だな」

 

パン「だったら、バビディをやっつけてドラゴンボールが悪用されないようにしよう!それに、ナメック星人を連れて来てドラゴンボールを復活させてもらえば万一の時にも万全よ!」

 

悟飯「パン、それを誰から聞いたんだい?」

 

パン「ミスター・ポポが言ってたの。過去に行く前に前のナメック星人の神様が死んだせいでドラゴンボールが消えてしまったって。ブウは人殺しと破壊にやる気がないみたいだし、そっちを優先させましょう」

 

悟空「確かに今のブウは大人しいから、パンの言う通りにすっか!」

 

シン「お待ちください!魔人ブウはいつ殺戮を始めるのかわからないのです!ブウを今、倒さないと犠牲が増えますよ!」

 

ピッコロ「お言葉ですが界王神様、俺としては今、復活したばかりの無邪気なブウを下手に刺激するのは得策だとは思えません」

 

キビト「何を言っているのだ!?あんな魔人の存在は許してはなりませんぞ!」

 

ピッコロ「これには過去の世界でのある出来事があったからです」

 

 ピッコロは過去の世界で極悪な地球人がブウの友人であるサタンや愛犬のベエを傷つけた事でブウを刺激してしまい、ブウが善悪に分かれ、悪メインで統合された悪のブウによる更なる被害が出た事を伝えた。

 

トランクス「ですけど、いつ人々や都市に被害を与えるようになるのかわかりません!あいつらをこのままにはできませんよ!」

 

タピオン「トランクス、人々と街の事がどうしても心配なら、俺が地球に残って奴等の監視をする。そして、お前達はナメック星に向かうんだ」

 

トランクス「タピオンさん…」

 

ちびトランクス「それ、名案だぞ!兄ちゃんはダーブラを簡単にやっつけられるぐらい強いんだ!ブウはお菓子で手懐けちまえばいいし、もってこいだよ!」

 

悟天「おっきい方のトランクス君もタピオンさんが地球に残ってくれたら安心するよね?」

 

トランクス「……わかりました。タピオンさん、俺達がいない間の人々と都市の防衛をお願いします」

 

シン「申し訳ありませんが、バビディは皆さんにお任せして私達はタピオンさんと同じくこちらに残る事にします」

 

悟空「え?界王神様行かねえのか?」

 

キビト「我々はブウを倒すのに役立つ手段に心当たりがあるので、一度神界に戻る事にする」

 

ピッコロ「そうですか。バビディの方は我々にお任せください」

 

???『地球の皆さん、急いでナメック星に向かってください』

 

 突如、声がしたので悟空達は警戒したが、悟飯とクリリン、ピッコロはその声が懐かしかった。

 

クリリン「ピッコロ、この声って…」

 

ピッコロ「間違いない、亡くなられた最長老様だ!」

 

パン「最長老って人は誰なの?」

 

クリリン「ナメック星人を取りまとめている最も年上のナメック星人の指導者なんだ。前の最長老様は寿命で亡くなって、新たにムーリって人が新しい最長老様になったんだ」

 

18号「という事は、今の声は亡くなった前の最長老って事になるわね」

 

最長老『その通りです。私は寿命を迎え、今はあの世にいますが、私の子供達やあなた達の事はずっと見守っておりますよ。今、話をしている人達の多くはどうやら途中から枝分かれした未来から来た人達のようですね』

 

悟飯「そうです。最長老様、急いでナメック星に向かってほしいとおっしゃるのはバビディが来ているからなのですか?」

 

最長老『それもありますが、私が恐れているのは伝説の超サイヤ人が新しいナメック星に向かっているからです』

 

パン「伝説の超サイヤ人?」

 

トランクス「まさか…、ブロリーが来ているのか!?」

 

悟空「だろうな。未来ではまだあいつは倒されちゃいねえ」

 

18号「これは大変な旅になりそうだね」

 

クリリン「そうだな…。フリーザ一味とのドラゴンボール争奪戦以来の大変な戦いになりそうだ…」

 

最長老『どうか皆さん、伝説の超サイヤ人を倒し、ナメック星を救ってください』

 

トランクス「任せてください、最長老様!」

 

ヤムチャ「こう頼まれると、もたもたしてられないな」

 

天津飯「急いでナメック星に向かわねば」

 

クリリン「で、俺達はどうやってナメック星に行くんだ?」

 

 肝心のナメック星に行く手段を悟空達は考えていなかった。

 

ブルマ(未来)「それだったら、自宅の地下に宇宙船があるわ。それに乗って行きなさい」

 

トランクス「母さん、いつの間に!?」

 

ブルマ(未来)「ずっと前からよ。死んだ悟飯君がどうしてもドラゴンボールが必要になってナメック星に行くと言い出したらって時を想定して作っていたの。孫君の瞬間移動の方が早いかも知れないけど、万一って事も考えれば宇宙船の方が行き来が安定するでしょ?」

 

ベジータ「悪いな、ブルマ」

 

トランクス「それではタピオンさん、俺達が帰ってくるまで母さん達や地球の事をお願いします!」

 

 タピオンに頼んだ後、悟空達は西の都に向かった。

 

 

 

ブルマの家(未来)

 ブルマの言った通り、地下に宇宙船があり、点検もシステムもオールグリーンだったため、悟空達は乗り込んだ。

 

悟空「みんな、ナメック星に出発だ!」

 

一同「おお~~~っ!!」

 

 宇宙船は新ナメック星に向けて出発した。

 

先代の全王『悟空達は伝説の超サイヤ人討伐とバビディの野望を阻止するため、新ナメック星に向かった。果たして、そこでは何が待ち受けているのか?』




これで5話は終わりです。
今回は超サイヤ人3のベジータとデブブウの戦闘やデブブウのお菓子屋襲撃、ナメック星への出発を描きました。
真武道会2では未来のブウは過去のブウ以上の強さとあったので、未来のデブブウは過去のチビブウと同等の実力であるため、超サイヤ人3と互角という風に描写しました。
ベジータとデブブウの戦いの後に描いたデブブウのお菓子屋襲撃はアニマックスで見た時にとても笑えたので今小説でも描いてみました。アニメ本編では女性店員の1人がバビディの魔術で別の場所に転送された所を今小説では初のダーブラの唾による石化の被害者にしました。
ちなみに、お菓子屋の女性店員二人はアニメ本編と全く同じ姿です。
最後の最長老の登場は最長老はきっとあの世では天国行きだと思うので、天国からナメック星人達を見守っているという風にしています。
次の話は新ナメック星での戦いになります。


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6話 ナメック星のドラゴンボール争奪戦(前編)

バビディの宇宙船

 バビディはボージャック達を連れてナメック星に向かっていた。

 

バビディ「ひっひっひっ、もうすぐナメック星だ。ちょっと寄り道したから予定より遅くなっちゃったけど、その寄り道で面白い物を見つけたしね~」

 

???「サイヤ…人…!」

 

 静かながらも憎悪に満ちた声がバビディの宇宙船に響いた。

 

???

 そして、ナメック星に来ている影がもう一つ…。

 

ドーレ「ここが新しいナメック星か」

 

サウザー「前のナメック星はフリーザ様が破壊したからな」

 

ネイズ「それにしてもしけた星だな。こんな星に伝説のドラゴンボールがあるのか?」

???「ある。フリーザもドラゴンボールを求めてナメック星へ行ったんだ。ナメック星人が所有しているのは間違いない」

 

ネイズ「クウラ様、ドラゴンボールを手に入れたらこの星はどうしますか?」

 

クウラ「決まっているだろう?こんな星など、このビッグゲテスターに吸収させてしまえばいい。邪魔者がいても、あれのテストも兼ねて排除すればいいだけの事だからな」

 

サウザー「あれか…」

 

ドーレ「あれはほんと、怖いぐらいにクウラ様そっくりにできてるな。しかも、あんなに強い奴が量産できるなんて思ってもいなかったぜ」

 

 クウラ一味の背後には機械のクウラがたくさんあった。そして、ビッグゲテスターの中心部には不気味な人影があった。

 

 

 

宇宙船

 悟空達はブルマが何年も前から用意していた宇宙船で新ナメック星に向かっていた。

 

ピッコロ「パン、お前はナメック星人を地球へ連れてきてドラゴンボールを復活させればいいと言っていたな」

 

パン「そうだけど、連れて行くナメック星人をもう決めてるの?」

 

ピッコロ「ああ。新ナメック星には未来世界のデンデがいると思ってな、デンデがいいと思っている」

 

クリリン「そうだよ!俺達の世界みたいにデンデに神様になってもらえばドラゴンボールも復活するし、みんな助かるんじゃないか!?」

 

トランクス「そうですね。ただ…、バビディやブロリーがいる以上、そんなにうまくいくかどうか…」

 

悟飯「大丈夫だよ。僕達がいるんだし、もう少しリラックスして進めて行かないと」

 

トランクス「悟飯さん…そうですね!デンデさんを探して地球に来てもらって、ドラゴンボールを復活してもらいましょう!」

 

 新ナメック星に近づきつつある中、悟空とベジータはわずかだが、ある気を感じていた。

 

ベジータ「カカロット、クウラの気を感じるぞ」

 

悟空「クウラも来てるのか…。おまけにオラ達の世界のクウラより気が大きいぞ(それに、なんか嫌な感じがすっぞ…)」

 

 一方、悟飯はある事を疑問に思っていた。

 

悟飯「トランクスさん、未来の僕が死んでから1日だけあの世から帰って来た事ってありますか?」

 

トランクス「えっ?死んだ人でも1日だけ帰ってくる事ができるのですか!?」

 

クリリン「知らなかったのか?占いババの力で死者は1日だけこの世にいる事ができるんだ。俺達の世界の悟空も死んでいる時にそれを使って1回帰ってきたんだ」

 

トランクス「そうだったのですか。俺は占いババって人に会った事もないので、それは知りませんでした」

 

悟飯「じゃあ、人造人間を倒しても未来の僕は会いに来なかったのですか?」

 

トランクス「はい。そもそも俺もそんな事は知らなかったので、来なくて当然だと思っていました」

 

クリリン「未来の悟飯はトランクスを可愛がっていたし、愛娘もいるのに、一度もパンとトランクスに会いに来ないなんて不自然じゃないのか?余程の事態じゃない限り死人が干渉するってのはよくないにしても、ただ、会いに来るだけなら問題ないはずなのに来ようともしないなんておかしいぞ」

 

悟飯「確かに僕もそう思います」

 

クリリン「地球に帰って来れたら未来の武天老師様に聞いてくる。占いババの弟であるあの人なら、何か知っているかもしれない」

 

 

 

新ナメック星

 バビディは一足先に到着したが、ある事で困っていた。

 

バビディ「くっそー!ナメック星の奴等を操って簡単にドラゴンボールを集めてやろうと思ったのに、ナメック星の奴等は悪の心を持っていないのか?」

 

 ナメック星人は地球人の影響で悪の心が芽生えた神の分身であるピッコロや突然変異で悪の心しか持たないスラッグのような例外を除けば宇宙でも指折りの生真面目で悪の心を持たない種族であるため、バビディの洗脳が効かないのであった。

 

バビディ「ちょっと計算が違っちゃったかな~。これじゃあドラゴンボールがどこにあんのか探せないよ。めんどくさいなぁ~。ん?あいつらは?」

 

 バビディに続き、クウラ一味も新ナメック星に到着していた。

 

ドーレ「在り処がわからねえなら、片っ端からナメック星人達のいる村を襲撃して奴等を皆殺しにしてドラゴンボールを集めてみるか?」

 

ネイズ「けどよ、どうすりゃドラゴンボールで願い事が叶うんだ?」

 

サウザー「暗号なり、その星の言葉で言うなりの事をしなければならんだろうな」

 

クウラ「サウザー、お前はナメック語は話せるか?」

 

サウザー「勿論です」

 

クウラ「よかろう。俺そっくりのロボット、メタルクウラを使って片っ端からナメック星人の集落を襲撃してナメック星人を皆殺しにし、ドラゴンボールを奪い取れ!」

 

 そして、悟空達を乗せた宇宙船も到着した。

 

クリリン「いやぁ、前よりも早く着いたなぁ」

 

悟飯「そうですね、一瞬で着いちゃいましたね」

 

ピッコロ「おい、お前達、さっさとデンデを探しに行くぞ」

 

悟飯「は、はい!」

 

 未来の新ナメック星で悟空達は気を探りながら移動してデンデを探していた。

 

パン「パパ、あいつらは?」

 

悟飯「あいつは……メタルクウラだ!」

 

ベジータ「相手が誰であれ、とっとと片付けるぞ!」

 

17号「あいつら、ナメック星人の集落に行くんじゃないのか?」

 

トランクス「それはまずい!バビディだけでなく、奴等にドラゴンボールを奪われる訳にもいかない!急ぎましょう!」

 

 悟空達は急いだ。メタルクウラはドラゴンボールの在り処がわからないため、片っ端からナメック星人の集落を襲っていた。そこへ、悟空達が来た。

 

メタルクウラ「ほう、サイヤ人に生き残りがいたのか。それに、ナメック星人1人に地球人が5人もいるのか」

 

悟空「みんな、メタルクウラを倒す時はチマチマ攻撃したら再生しちまうぞ!一撃で仕留めるか、再生中に攻撃しろ!」

 

 メタルクウラの特徴を伝えた後、悟空達はメタルクウラ軍団に向かっていった。

 

悟天「トランクス君、一撃で仕留めちゃおうよ!」

 

ちびトランクス「そうしようぜ!」

 

チビコンビ「フュージョン!はっ!」

 

 チビコンビはフュージョンした。

 

ゴテンクス「へっ、機械野郎になんか負けねえぜ!スーパーゴーストカミカゼアタック!オバケ纏めて100人!」

 

 ゴテンクスは一気に100体ものオバケを出し、メタルクウラを跡形もなく破壊し尽くした。

 

17号「頼むぞ、クリリン!」

 

クリリン「ああ。10倍太陽拳!」

 

 17号と18号はサングラスで強い光をガードしたが、メタルクウラ達は強い光を直視したために視界を遮られてセンサー等に異常が発生した。

 

18号「気円斬!」

 

 動きが止まったメタルクウラ達を18号は気円斬で滅多切りにしてから、17号と一緒に連続でエネルギー弾を放って再生する間もないほど攻撃して破壊した。

 

悟空「か~」

 

悟飯「め~」

 

パン「は~」

 

悟空「め~」

 

悟空親子孫「波~~!!」

 

ベジータ親子「ギャリック砲!!」

 

 父親の悟飯と祖父の悟空のかめはめ波を見てから覚えたのか、パンは悟飯と悟空の2人と一緒に親子孫三代かめはめ波を放ち、メタルクウラ達を消滅させた。同じようにトランクスもベジータと一緒に精神と時の部屋に入った時に覚えたのか、ギャリック砲をベジータと一緒に放ってメタルクウラ達を消滅させた。

 

ピッコロ「激烈光弾!」

 

 ピッコロは激烈光弾でメタルクウラを1体ずつ確実に葬っていった。

 

ヤムチャ「天津飯、俺達…あいつらの戦いについて行けそうにないな…」

 

天津飯「そうだな…」

 

 無茶苦茶な強さとサイヤ人と人造人間、ナメック星人の戦いぶりと非力ながらもサポートで頑張っているクリリンの様子を見て自分達はついていけないと悟る2人であった。そして、メタルクウラ軍団は全滅したのであった。

 

トランクス「何とか全滅させる事ができましたね」

 

ベジータ「気を抜くな。まだクウラ本人が出ていない。そして、バビディもいるんだぞ」

 

ピッコロ「急いでデンデの村に向かうぞ!」

 

 自分の同胞の新しい故郷の危機と融合しているネイルの影響もあり、ピッコロは仲間の中では人一倍気合が入っていた。

 

 

 

ビッグゲテスター

 ベジータの言った事は的中していた。遠くでメタルクウラ軍団を見ていたクウラ機甲戦隊はその一部始終を目撃しており、報告のためにアジトであるビッグゲテスターに戻っていた。

 

サウザー「メタルクウラ軍団を全滅させたのはサイヤ人とその仲間達です」

 

クウラ「まさかこんな所にサイヤ人がいたとはな。孫悟空という奴は確かあの時のガキ…、弟のフリーザを倒したという…。ふっ…、ドラゴンボールを回収し、弟の仇もこの兄であるクウラ様がとってやるとするか…」

 

ドーレ「クウラ様も最近はトレーニングなんかするようになりましたね」

 

クウラ「当然だ。魔人ブウが復活したらしいからな。親父はブウとビルスには手を出すなと俺とフリーザにうるさく言ってたが、俺は甘い弟や情けない親父とは違うぞ。俺達は栄光の血をひく一族だ。サイヤ人共がトレーニングを重ねて強くなったのなら、俺もトレーニングしてブウやビルスを超えてやるまでだ!」

 

ネイズ「ところで、例の奴はどうするんですか?万一、リモコンが効かなくなったら…」

 

クウラ「その時は捨てておけ。奴を捨てた後はまた新しいビッグゲテスターのエネルギー源を探せばいいだけの事だからな」

 

 怪しい人影はメタルクウラが共有している映像データを見て、蠢こうとしていた。

 

???「カカロット…、カカロット……!」

 

 今にも謎の男は悟空への憎しみで制御装置という枷を外そうとしていた。

 

 

 

新ナメック星

 悟空達はデンデのいる村に降り立った。

 

クリリン「おーい、デンデ~~!!」

 

デンデ「あ、地球の皆さん!お久しぶりです。いったいどうされたんですか?…こちらの方は?」

 

トランクス「あ、トランクスです。そうか、はじめましてになるんですよね」

 

ムーリ「おお!地球のみなさん、お久しぶりです。ようこそいらっしゃいました。話は先程、あの世におられる最長老様から聞いております」

 

 大体の事情はあの世の最長老がムーリにあらかじめ伝えており、ムーリは事のいきさつをトランクスの頭に手を当てて読み取った。

 

ムーリ「ふむ…、こんな事が起こっておったのか…」

 

デンデ「地球がこんな事に…」

 

ムーリ「デンデ、地球の皆さんに恩返しをする時が来たようじゃな」

 

デンデ「そうですね…、ドラゴンボールを復活させないと…。是非、私を地球のお役に立たせてください!」

 

悟空「さすが最長老は話が早ぇな!」

 

トランクス「ありがとうございます!」

 

 ベジータを見て、クリリンは考え事をしていた。

 

悟飯「クリリンさん、何を考えていたのですか?」

 

クリリン「いや、ナメック星人のみんなはまだベジータの事を許してないのかなって思って…」

 

デンデ「いえ、今のベジータさんは以前のような邪悪さをほとんど感じません。なので、みんなも許しているのでしょう」

 

クリリン「ま、深刻な禍根が残らなくて何よりだ」

 

パン「でも、メタルクウラ達はどうするの?あいつらの狙いはドラゴンボールで、さっきいた奴等は全滅させたけど、パパ達の話ではまだいっぱいいるって言ってたし…」

 

ベジータ「別に悩む必要はない。ドラゴンボールを俺達が先に集めて、邪魔をする奴は片っ端から消せばいいだけの事だ」

 

悟空「確かにそうだな。あいつらにドラゴンボールを渡すわけにはいかねえからな」

 

ちびトランクス「俺、ドラゴンレーダー持ってまーす!」

 

悟空「お、準備がいいじゃねえか!」

 

ちびトランクス「未来のママがナメック星に行く時に持っていけって言ってくれたんだ」

 

17号「よし、メタルクウラ達をやっつけながらドラゴンボール探しができるな」

 

デンデ「私もお供します」

 

ムーリ「デンデ、気を付けるんじゃぞ。お前が死んだらこの人達が来てくれた意味がなくなるからな」

 

デンデ「わかりました、最長老様!」

 

ピッコロ「おい、早速お出ましのようだ!チビ達、お前らは天津飯とヤムチャと共にドラゴンボールを探せ!メタルクウラ達は残りの俺達で片づける!」

 

ヤムチャ「俺達はこの中じゃ一番役に立たないからな。そこは任せてくれ」

 

一番役に立ちそうにないというヤムチャと天津飯はチビコンビと一緒にドラゴンボールを探し、残りのメンバーがメタルクウラ達を迎撃する事となった。

 

17号「敵は全く学習能力がないみたいだな。そんなガラクタで俺達を倒せると思うなよ」

 

???「言ってくれるな、地球人!」

 

 現れたのはクウラ機甲戦隊だった。

 

クリリン「お前ら、ギニュー特戦隊か!?」

 

ドーレ「へっ、俺達をあんなふざけた連中と一緒にするんじゃねえ」

 

ネイズ「だが、これから死ぬお前らに名乗ってやろう」

 

サウザー「クウラ機甲戦隊!はっ!」

 

 ギニュー特戦隊と同様にファイティングポーズをとった後、サウザー達は向かってきた。

 

トランクス「そこの青い奴、お前の相手は俺だ!」

 

ピッコロ「一番背の高い奴は俺に任せろ」

 

17号「あのマッチョは俺がやる」

 

 サウザーにはトランクスが、ネイズにはピッコロが、ドーレには17号が向かっていった。

 

サウザー「ちあっ!」

 

 サウザーは手刀に気で形成した刃を纏わせて斬る技、サウザーブレードでトランクスの剣と斬り合っていた。

 

サウザー「なるほど、その剣にエネルギーを集中させて私の技と斬り合っているのか」

 

トランクス「お前はコルドと違って剣の力によるものと思っていないようだな」

 

サウザー「当たり前だ。フリーザ様とクウラ様の父君のコルド大王様は情けなさとろくに力の差などもわからんからクウラ様は疎んでいたのだからな。それに、私も似たような技があるからそれぐらいわかる!」

 

 ネイズはピッコロと格闘戦に入っていた。キックを受けて怯んだ所をピッコロは顔面にパンチを打ち込もうとしたが、ネイズは首を引っ込めてかわした。

 

ネイズ「ちっ、もう少しで当たる所だったぜ!」

 

 ドーレは持ち前のパワーで17号を捻り潰そうとしたが、17号にはことごとくかわされていた。

 

ドーレ「ちっ、ひ弱な見た目通りの素早さだぜ!」

 

 苛立ったドーレは渾身のパンチを繰り出そうとしたが、その隙を突かれて17号に蹴られた。

 

17号「悪いがあまり時間はかけられないんでな、この一撃で消えちまいな!」

 

 そのままドーレ目掛けてエネルギー弾を放った。

 

ドーレ「こんなもの!うわ、うわああっ、ああああっ!!」

 

 そのままドーレは防ぎ切れずに消滅してしまった。

 

ネイズ「ドーレ!!おのれ!喰らえ!!」

 

 ドーレが倒された事に怒ったネイズは先にピッコロを始末するために電撃で攻撃した。

 

ピッコロ「ぐあ、ああああっ!!」

 

 電撃を受けたピッコロは苦しんでいた。

 

ネイズ「これでお前も終わりだ。さぁ、あと何秒持つかな?」

 

ピッコロ「さあな」

 

ネイズ「ぐあああっ!!」

 

 しかし、電撃で苦しむ姿は演技に過ぎなかった。それに引っかかったネイズは頭を掴まれ、自分の電撃で自分が死んでしまうのだった。

 

サウザー「ネイズ!ドーレ!」

 

トランクス「終わりだ~~っ!!」

 

 サウザーはトランクスに一刀両断され、そのままエネルギー弾を受けて倒されたのであった。そして、メタルクウラ達も悟空達に倒されてドラゴンボールは悟天達が無事に確保する事に成功したのであった。

 

悟空「ドラゴンボールも村も何とかなったな」

 

クリリン「しっかし、トランクス、お前んとこの未来はほんと大変な事になってるな。クウラ機甲戦隊とメタルクウラが一緒にいる上にクウラが控えているとかちょっと考えられねえよ」

 

トランクス「とりあえず、追い払えましたね…」

 

ちびトランクス「最長老のおっちゃんー!大丈夫かー!?」

 

悟飯「こら!そんな口の利き方をしちゃダメだろう!」

 

ムーリ「はっはっは!わしは気にしとらんよ。それにしても、前の最長老様の言った通り、恐ろしい奴等がナメック星に来ているようじゃな。またいつこの村に戻ってくるとも限らんし、私どもは安全な場所に避難しておいた方がよいでしょうな」

 

トランクス「そうでしょうね。何かと不便をおかけしますが、よろしくお願いします」

 

ピッコロ「そろそろ他のドラゴンボールも探しに行くぞ」

 

トランクス「ええ、そうしましょう。こうしている間にも他の村が心配です」

 

 その頃、バビディがボージャック達と共にこの戦闘の様子を見ていたのであった。

 

バビディ「ふーん、操るのに最適な連中がいるじゃないか。あいつらにやられたあの3人は邪心まみれだったし、そいつの主もきっと邪心に溢れているに違いない」

 

ボージャック「我々も行きましょうか?」

 

バビディ「いや、お前達は僕の身を守ってもらうよ。あいつらの相手は量産機に任せればいいし、あと」

 

???「サイヤ…人…!」

 

 これまでバビディに従順だった何者かはサイヤ人を見た途端、向かおうとしていた。

 

バビディ「おい、ハッチヒャック!急にどうしたんだ!?まだ僕は向かえと一言も言ってないぞ!」

 

ハッチヒャック「サイヤ……人……!!」

 

 ハッチヒャックはサイヤ人に殺された者達の怨念増幅装置が怨念を吸収しすぎたが故に人型になってしまった。ナメック星に来る途中でバビディが洗脳したため、バビディの命令はきちんと聞くものの、怨敵であるサイヤ人が相手となれば例外のようであった。

 

先代の全王『なんと、バビディはハッチヒャックをも家来にしていた。怨敵サイヤ人を前にして、バビディの命令を無視して迫るハッチヒャック、そして今にも暴走しそうな謎の男、果たして、悟空達は奴等を倒し、ナメック星の危機を救う事ができるのであろうか?』




これで6話は終わりです。
今回は悟空達の新ナメック星での戦いの前編を描きました。
真武道会2では生身のクウラとメタルクウラが同時に出るというのがあったため、クウラ機甲戦隊とメタルクウラが同時に出るにも描きました。
クウラ一味とハッチヒャックが出ましたが、台詞でもう気付いた人もいると思いますが、あいつも次の話で本格的に大暴れします。
次の話は新ナメック星での戦いの後編になり、トランクスの言ったパンのとんでもない変身も明らかとなります。


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7話 ナメック星のドラゴンボール争奪戦(後編)

新ナメック星

 悟空達はチビコンビとヤムチャ、天津飯の4人がドラゴンボールを集め、残りのメンバーが敵の襲撃に備えていた。

 

ちびトランクス「後は1個だけだな」

 

悟天「この調子ならすぐに終わりそうだよ」

 

ピッコロ「(何だか、嫌な予感がするな…)」

 

悟空「そういや、バビディは全然見つからねえなぁ」

 

クリリン「でもさ、ドラゴンボールはこっちにあるし、むしろバビディの方から出てくるんじゃないのか?」

 

ちびトランクス「よーし、ラストスパートだ!」

 

ピッコロ「待て!」

 

 チビコンビをピッコロが制止した直後、巨大な気が近づいてきた。その正体はハッチヒャックであった。

 

トランクス「ハッチヒャックだと!?」

 

ベジータ「未来にもいたか!」

 

???「ハッチヒャック、何で急に僕の命令を無視するんだよ~!!」

 

 慌ててバビディ達も来た。

 

トランクス「バビディ!」

 

バビディ「お前達、ちょうどいいからドラゴンボールを奪うとするか。ボージャック、13号、クウラ!」

 

 ボージャック一味と13号達とクウラも出てきた。

 

17号「あいつらまで出てきたとはな」

 

トランクス「父さん、あのロボットに似た奴が本物のクウラなのですか?」

 

ベジータ「ああ、そうだ」

 

悟空「クウラまで配下にしてたとはな…」

 

バビディ「こいつらは悪の心でいっぱいだったから、僕の家来にしてやったんだよ~」

 

クウラ「お任せください、バビディ様。奴等を蹴散らしましょう」

 

 他にも巨大な気が悟空達の方に来ていた。

 

悟空「おめえはブロリー!」

 

ブロリー「カカロット…、カカロット…!!」

 

悟空「ブロリーはやべえ!本気で行かねえとあっちゅう間にやられちまう!」

 

クリリン「だけど、どうしてブロリーがクウラと一緒にいるんだ?」

 

クウラ「はっはっはっ、こいつはビッグゲテスターのエネルギーにちょうどよかったのだよ。パラガスとかいう猿の持っていた制御装置もあって、過剰供給にならないようにもできるしな」

 

バビディ「ブロリー、お前もドラゴンボールを奪え!」

 

 しかし、ブロリーはいう事を聞かなかった。

 

ブロリー「カカロット……、うおお、うおおおおおおおっ!!!」

 

 ブロリーは悟空への憎しみを全開にして気を開放した。そのパワーは制御装置さえ破壊し、伝説の超サイヤ人へと変身を遂げたのであった。

 

ベジータ「伝説の…、超サイヤ人…!」

 

ブロリー「カカロット、まずお前から血祭りにあげてやる…」

 

悟空「チビ達、ヤムチャ、天津飯、クリリン、おめえ達はデンデを連れてドラゴンボール集めを続けろ!こいつらはオラ達で何とかすっからな!」

 

クリリン「わかった!悟空、みんな、絶対に死ぬんじゃねえぞ!」

 

 5人はドラゴンボール集めを続けた。悟空がブロリーと、ベジータがハッチヒャックと、悟飯がクウラと、トランクスとパンとピッコロがボージャック達と、17号と18号が13号達と戦う事となった。悟空とベジータは超サイヤ人2でそれぞれ挑んだが、やはりパワーに差があった。

 

ブロリー「その程度のパワーで俺を倒せると思っていたのか?」

 

ハッチヒャック「滅びよ…!」

 

 ブロリーは気弾を放ち、ハッチヒャックもリベンジャーカノンを放ったが、悟空とベジータはガードしていた。

 

悟空「流石に2ではきついな…」

 

ベジータ「カカロット、ブロリーもハッチヒャックも一気に片付けるぞ!」

 

悟空「そうだな。はああああっ!!」

 

ベジータ「はああああっ!!」

 

 2人は一気に超サイヤ人3へと変身した。

 

ハッチヒャック「な、何……!?」

 

ブロリー「な、なんて奴だ…!」

 

 超サイヤ人3の悟空とベジータにブロリーとハッチヒャックは思わず怯んでいた。

 

ベジータ「気を付けろよ…、こうなってしまったらもう手加減はできんぞ…!」

 

ハッチヒャック「サイヤ…人…!!」

 

 凄まじい力に震えながらもハッチヒャックは力を全開にして向かっていったが、そういった行動をとった時点でベジータは迫っていた。

 

ベジータ「てやあ~~っ!!」

 

 ベジータのキック1発で超サイヤ人2ではビクともしなかったハッチヒャックを大きく吹っ飛ばした。

 

ハッチヒャック「ぐぬっ!」

 

ベジータ「だだだだだだっ!!」

 

 吹っ飛ばしてからのベジータのラッシュにハッチヒャックは抵抗する事もできず、受け続ける一方で締めに一撃を受けて吹っ飛ばされた。

 

ハッチヒャック「滅びよ…!」

 

 冷静さを欠いたハッチヒャックはリベンジャーカノンでベジータを倒そうとした。

 

ベジータ「ツフル人のガラクタ風情が俺達サイヤ人に勝てると思ったら大間違いだ!この一撃で消えてなくなれ!ファイナルフラァ~~ッシュ!!」

 

ハッチヒャック「ぐおおおおおっ!!」

 

 ファイナルフラッシュをまともに受けたハッチヒャックは抵抗する事もできずに消滅したのであった。

 

悟空「オラをここまでさせたのは、魔人ブウとジャネンバとヒルデガーンに続いておめえで4人目だ」

 

ブロリー「ふははっ、いくら髪型が変わった所で、この俺を超える事はできぬ!」

 

悟空「そうかな?やってみなきゃわかんねえ!」

 

 お互い全力で行ったが、超サイヤ人3となった悟空の攻撃はそれまでの攻撃ではビクともしなかったブロリーを吹っ飛ばした。

 

ブロリー「ぐおっ!」

 

悟空「でりゃりゃりゃりゃっ!!」

 

 ハッチヒャックと同様にブロリーも悟空のラッシュに抵抗する事ができずにまともに受けた。そして、強烈な一撃を受けて地面に落とされた。

 

悟空「でりゃあああっ!!」

 

ブロリー「うおおおおおっ!!」

 

 悟空は両手に気弾を作ったまま突撃し、ブロリーに直接叩き込んだ。叩き込まれたブロリーは大ダメージを受けた。

 

ブロリー「カカロット…」

 

悟空「やった…!」

 

クウラ「何!?ブロリーがやられただと!?」

 

悟飯「よそ見をする暇があるのか?ウスノロ!」

 

 トレーニングとバビディの洗脳で変身後は超サイヤ人3に若干劣る戦闘力を身に付けたクウラだったが、メタルクウラと複数がかりで戦っているのにも関わらず、潜在能力を限界以上に引き出された悟飯には敵わずに一方的にやられていた。そして、残りの敵達も押されていた。

 

パン「トランクス、パパ達が悪い奴等を圧倒してるわよ!もうあと一息よ!」

 

トランクス「パンこそ後少しだからといって油断するな!」

 

ピッコロ「どうやら、悟飯達の勝利は確定のようだな」

 

バビディ「もう、みんなだらしないじゃないか~!こうなったら、潜在能力が一番ありそうなブロリーの潜在能力を引き出してやる!パッパラパ~!!」

 

 ブロリーがやられたのは洗脳が不十分な上に潜在能力を引き出せていないと判断したバビディは洗脳を強化した上でブロリーの潜在能力を引き出した。

 

ブロリー「カカロット……!うぅっ、うおおおおっ!おおおおおおっ!!」

 

ベジータ「な、何だ!?」

 

悟空「ブロリーの気が…膨れ上がってる…!」

 

 バビディによってブロリー自身が引き出せていない潜在能力が開放されて気が膨れ上がっていき、さらに膨れ上がるとブロリーに変化が生じ始めた。その邪悪ですさまじい気はナメック星人達も感じ取っていた。

 

村人「最長老様、この気は…」

 

ムーリ「間違いなく、この気の持ち主こそ、前の最長老様のおっしゃっていた伝説の超サイヤ人なのかも知れん…」

 

村人「だとしたら、地球から来た方々では勝ち目は…」

 

ムーリ「諦めてはならない!彼等はフリーザという絶望的な敵に対しても粘り強く戦い続け、ついには勝利したのだ。我々も彼等を信じるしかない!」

 

 ブロリーの凄まじい気は悟飯達やボージャック達も気付いていた。

 

パン「パパ、あいつが…!」

 

悟飯「(ブロリーの気がお父さんとベジータさんより膨れ上がった上に何か変化し始めたぞ!あの変化はもしや…、超サイヤ人3!?)」

 

ブロリー「らあああああっ!!」

 

 悟飯の予想通り、ブロリーの変化は超サイヤ人3への変身と同じものであった。そして、超サイヤ人3への変身を遂げたのであった。

 

ベジータ「チビ達より簡単に超サイヤ人3になりやがって…」

 

ピッコロ「化け物め…!」

 

ブロリー「俺が化け物?違う、俺は大悪魔だ!」

 

バビディ「ブロリー、さっさとあいつらを殺してしまえ!」

 

 しかし、ブロリーは相変わらず命令に背き、バビディに狙いを定めた。

 

ブロリー「お前も親父と同じだ…。俺に命令するな!!」

 

クウラ「バビディ様!」

 

 ブロリーがバビディに向かってきたため、クウラが悟飯との戦闘を放り出して駆け付けたが、パンチ1発で地平線の彼方まで飛ばされてしまった。

 

バビディ「ひぃいいっ!!この場から逃げろ~~!!」

 

 暴走したブロリーに勝てないと判断したバビディはメタルクウラ達を置き土産にしてボージャック達と共に逃げた。

 

18号「逃げたみたいだね」

 

17号「とんでもない奴を残してな…」

 

 メタルクウラ達の相手は17号と18号、トランクスの3人がする事となった。超サイヤ人3と化したブロリーの前に悟空達は蛇に睨まれた蛙のようだった。

 

ブロリー「カカロット、第2ラウンドだ…!」

 

悟空「ベジータ、ここは腹括ってやるしかねえぞ…!」

 

ベジータ「くそったれ…、くそったれが~~!!」

 

 以前も感じた恐怖に負けじとベジータは悟空と一緒にブロリーに突っ込んでいってラッシュをかけた。しかし、超サイヤ人3と化したブロリーは腕を組みながら軽々とかわしていた。

 

悟空「(超サイヤ人3になった途端、スピードもパワーも桁違えになったぞ!)」

 

 ブロリーはかわしてる途中でラッシュをかわすのをやめ、両手に気弾を作り、悟空とベジータに撃ち込んだ。

 

悟空「ぐあっ!」

 

ベジータ「くそったれ!ファイナルフラァ~~ッシュ!!」

 

 ベジータは全力のファイナルフラッシュを放ったが、ブロリーはよけるどころか突っ込んでいき、そのままファイナルフラッシュを突っ切ってきた。

 

ベジータ「バ、バカな!ふおおおっ!!」

 

 そのままの勢いでブロリーはベジータにラリアットを叩き込み、一気に岩盤にクレーターができるほどの勢いで叩き付けられてしまった。

 

ブロリー「貴様もカカロットと同様に簡単には死なさんぞ!」

 

 ブロリーは岩盤に叩き付けたベジータに凄まじく重いパンチを連続で打ち込んだ後、締めの1発で大きく吹っ飛ばした。吹っ飛ばされたベジータは超サイヤ人3の消耗とブロリーの凄まじい攻撃で変身も解けて倒れてしまった。

 

悟空「ベジータ!」

 

ブロリー「所詮、クズはクズなんだ…!カカロット、次はお前の番だ……!」

 

 ベジータを叩きのめした後、次のブロリーの標的は最も憎んでいる悟空であった。突っ込んできたブロリーに悟空は挑んだものの、力の差は歴然であり、一気に追い込まれてしまった。

 

パン「パパ、悟空おじいちゃんはあいつに勝てるの?」

 

悟飯「ダメかも知れない…!あいつは超サイヤ人3の消耗の激しさが全くない…。タフさとスタミナはお父さんより遥かに上だ…!」

 

 悟空とベジータのピンチをチビコンビは気の大きさで知った。

 

ちびトランクス「悟天、パパ達が大変な事になってそうだよ!」

 

悟天「急いで行かなきゃ!」

 

クリリン「お前達、どこに行くんだ!?」

 

ちびトランクス「ブロリーをやっつけに行くのさ!」

 

悟天「だから、後はクリリンさん達でドラゴンボールを集めて!」

 

 ドラゴンレーダーをクリリンに渡した後、チビコンビは悟空達の元に向かった。

 

デンデ「皆さん、急ぎましょう!」

 

クリリン「ああ。今の俺達がやるべき事は、ドラゴンボールを集める事だ!」

 

 自分達が行っても助けにならないとわかっているクリリン達はドラゴンボールを集める事を優先させた。ブロリーと戦っていた悟空はブロリーの圧倒的なパワーには敵わなかった。

 

悟空「こうなったらいちかばちかだ!」

 

 悟空はブロリーの後ろに瞬間移動した。

 

悟空「龍拳~~!!」

 

 ブロリーの背後から悟空はかつてピッコロ大魔王とヒルデガーンを葬った技、龍拳を放った。爆発の後に黄金の龍がブロリー目掛けて襲い掛かっって大爆発が起こった。

 

パン「やった、やったわ!悟空おじいちゃんがあの筋肉ダルマを倒したのよ!」

 

ピッコロ「いや、まだだ!」

 

悟飯「ヒルデガーンを倒した龍拳が…!」

 

 煙が晴れると、振り向いて悟空の龍拳を片手で受け止めたブロリーの姿があった。

 

悟空「嘘だろ…?龍拳を片手で受け止めちまうなんてよ…!」

 

ブロリー「今のをまともに受けていたら俺でも多少はダメージを受けていただろうな…!」

 

 そのまま悟空は気弾を何発もぶつけられてからラリアットをまともに受けて吹っ飛ばされ、掴まれてサマーソルトキックで蹴り飛ばされ、顔を掴まれて地面に叩きつけられた。

 

悟空「ブロリー、おめえしつけえぞ。ちったぁ手加減しろ…!」

 

ブロリー「手加減って何だぁ?」

 

 龍拳も通じずに悟空は圧倒的なブロリーとの力の差を悟って半ば笑いながらブロリーの強烈なパンチを受けて吹っ飛ばされたのであった。吹っ飛ばされた後に変身も解けてしまった。

 

ブロリー「次はカカロットの息子と孫だ…!」

 

 次の狙いは自分とパンであると悟った悟飯は構えた。

 

???「ブロリー、オヤジ達をよくもやってくれたな!」

 

 そこへ、ゴテンクスが超サイヤ人3の状態でやってきた。

 

ゴテンクス「ブロリー、今度はこの正義の死神、スーパーゴテンクス様が相手だ!」

 

ブロリー「また1匹、虫けらが死にに来たか」

 

ゴテンクス「へっ、同じ超サイヤ人3でも俺様の方が強いに決まってるぜ!」

 

悟飯「ゴテンクス、俺と一緒に」

 

ゴテンクス「アニキの出番なんかねえぜ!なぜなら、俺様がブロリーを倒すんだからな!」

 

ピッコロ「待て、ゴテンクス!」

 

 悟飯とピッコロの制止も聞かず、ゴテンクスはブロリーに突っ込んでいった。しかし、戦闘経験が少ない悟天とちびトランクスが合体したゴテンクスのラッシュは力の差もあり、簡単にブロリーにかわされていた。

 

ブロリー「動きが単調すぎる。所詮は力だけ強くてまともな戦闘経験もないただの子供だ」

 

ゴテンクス「舐めるなよ!ギャラクディカドーナツだ!」

 

 リングでブロリーを拘束しようとしたが、その前にブロリーの気弾で破壊された。

 

ゴテンクス「さっきのは小手調べだ!スーパーゴーストカミカゼアタック!オバケ纏めて100人!」

 

 一気にゴテンクスはオバケを100体出した。

 

オバケ「オバケだぞ、怖いぞ!」

 

ゴテンクス「オバケ達を全員かわせるか?かかれ~~!」

 

 オバケたちはいっせいにブロリーに襲い掛かった。

 

ブロリー「所詮は子供騙しの技だ。うおおおおおおっ!!」

 

 ブロリーが気を開放しただけでオバケ達は吹き飛ばされ、オバケ同士がぶつかって爆発し、爆発の連鎖で大爆発が起こった。それからゴテンクスは色んな技を出したが、どれもブロリーには効かなかった。

 

パン「どれもこれもあの筋肉ダルマには全然効いてないわね!ゴテンクスの技って全然実用性がないものばかりじゃない!」

 

ピッコロ「パンの言う通りだ。悟空やベジータなら、そんな技は使わんだろう」

 

ゴテンクス「これならどうだ!?連続しねしねミサイル!!」

 

 追い詰められたゴテンクスは気弾をブロリーに連射した。

 

ゴテンクス「どうだ?まいったか!?」

 

ブロリー「お前のした攻撃は…これか…?」

 

 連続しねしねミサイルはブロリーには効いておらず、逆にブロリーは片手で連続しねしねミサイルをマネしてゴテンクスの以上の威力で放った。

 

ゴテンクス「嘘だろ!?連続しねしねミサイルをコピーしやがった!!」

 

パン「(あんなの、誰でもマネできるわよ。あいつ、調子に乗りやすいし、バカを通り越して大バカじゃない!)」

 

 叔父と過去の師が合体したゴテンクスをパンは心の中で酷評していた。ブロリーの連続しねしねミサイルを何百発も受けてゴテンクスはダウンしたのであった。

 

ブロリー「終わったな。所詮、ガキはガキなんだ!カカロットの息子、お前も今から血祭りにあげてやる…!お前も俺を倒すのだろう?」

 

悟飯「違うな。ブロリー、俺は貴様を殺すつもりだ!」

 

 ブロリーと悟飯は向かっていった。悟飯のパンチは他の戦士と違ってブロリーに効いていた。そして、悟飯はラッシュをかけた。

 

パン「凄い、凄いわ、パパ!パンチが筋肉ダルマに効いたし、あのバカとは大違いでかっこいいわよ!」

 

 悟飯の攻撃はブロリーに効いていた。しかし、ブロリーのパワーとタフさはとてつもないものであり、同時にブロリーの攻撃も悟飯に効いていたため、タフさで劣る悟飯が次第にブロリーに押され始めた。

 

パン「どうしたのよ、パパ!さっきの勢いはどこに行っちゃったの!?」

 

ピッコロ「ブロリーのタフさに押され始めているんだ!奴はまさに化け物だ…!」

 

悟飯「この野郎!」

 

ブロリー「ふははははっ!!」

 

 タフさでブロリーは悟飯を押し、一気にラッシュをかけた。劣勢になった父親を見て、パンの怒りが溜まっていた。

 

パン「あの筋肉ダルマ…!」

 

ピッコロ「よせ、パン!」

 

 父親の危機にパンは変身して制止を振り切り、ブロリーを殴った。

 

ブロリー「カカロットの孫よ、その程度のパワーで俺を倒せるとでも思っていたのか?」

 

 そのままパンはブロリーに掴まれて過去のビーデルがスポポビッチに痛めつけられた時以上にブロリーに殴られるなりして痛めつけられた。

 

パン「ああっ!(痛い…、とっても痛い…!パパ達はこんな化け物と戦っていたなんて…!)」

 

ブロリー「とっておきだ!」

 

 パンを投げ捨てた後、ブロリーは大きな気弾をパン目掛けて投げつけた。

 

悟飯「パン!」

 

 娘の危機に悟飯はかつてピッコロが自分を庇った時のようにパンを庇ったのであった。

 

悟飯「うわああああっ!!」

 

ブロリー「カカロットの息子、娘がかわいいか?ふははははっ!」

 

パン「パパ、どうしてこんな目に遭ってまで私を!?」

 

悟飯「決まってるじゃないか…、子供を守るのが親なんだ…。まだ、僕にいる時代ではパンは生まれてないけど…、パンは僕とビーデルさんの娘だ。死なせてしまったら、未来のビーデルさんに会わせる顔がなくてね…」

 

ブロリー「カカロットの息子よ、もう苦しむ事もない。今、楽にしてやろう…!」

 

パン「筋肉ダルマ…、パパを……、パパを…みんなを…これ以上傷つけるなぁ!!!」

 

 父親を傷つけられた事でパンの怒りは限界を超え、更なる変身を果たしたのであった。

 

18号「何だい!?あれは!」

 

トランクス「間違いない!パンはあの時のとんでもない変身をしたんだ!」

 

17号「とんでもない変身だって!?」

 

 更なる変身を遂げたパンは髪がさらに逆立ち、スパークも超サイヤ人2より激しいものとなっていた。

 

悟飯「あれが…、パン…?」

 

ベジータ「(気の大きさが悟飯ぐらいはあるぞ…、あれが…トランクスの言っていたとんでもない変身なのか…?)」

 

 ボコボコにされたベジータは遠くから更なる変身を果たしたパンを目撃したのであった。

 

ブロリー「カカロットの孫よ、父親より早く死にたいようだな」

 

パン「死にはしないわ。死ぬのはあんたの方よ、筋肉ダルマ!」

 

 パンはブロリーと攻防を繰り広げた。ボロボロの悟飯の元へデンデが来て、治療を行っていた。

 

悟飯「デンデ、もうボールは全部集まったのかい?」

 

デンデ「はい。後はタイミングを見計らってポルンガを呼び出して願いを叶えるだけです」

 

ピッコロ「デンデは今の内に戻れ!悟空達には俺が仙豆をやる!」

 

 悟飯の治療を終えた後、デンデはクリリン達の所へ戻った。パンとブロリーの攻防は続いていたが、やはりブロリーのタフさとスタミナに押され始めた。

 

パン「何てスタミナとタフさなのよ!」

 

ブロリー「とっておきで楽にしてやる!」

 

 しかし、治療が終わった悟飯にブロリーは殴られたのであった。

 

ブロリー「何っ!?」

 

パン「パパ!」

 

悟飯「パン、1人でよく頑張ったな。僕も一緒に戦うぞ!」

 

 ブロリーは猛攻をかけたが、悟飯とパンの親子の連携に翻弄されていった。

 

トランクス「何て連携なんだ!?」

 

悟空「オラでもあんなのはできっこねえぞ…」

 

ピッコロ「悟空、仙豆だ」

 

 ブロリーにボコボコにされた悟空は仙豆を食べた。悟飯がブロリーと正面からぶつかり、体の小さいパンがその死角から攻撃するという連携に流石のブロリーもダメージが蓄積していった。

 

ブロリー「カカロットの息子が図に乗って…!気が高まる…、溢れる…!うおおおおっ、おおおおっ!!」

 

 ブロリーは怒りと共に高まる気を抑えられなくなり、辺り一面にエネルギー弾を発射した。

 

パン「メチャクチャすぎるわよ、あの筋肉ダルマは!」

 

悟飯「パン、一気に勝負を決めるぞ!か~め~」

 

パン「は~め~~」

 

悟飯親子「波~~~~っ!!」

 

ブロリー「カカロットの息子と孫よ…、この星諸共、破壊し尽くしてやる!!」

 

 一気に勝負を決めるため、悟飯親子はかめはめ波を放ったが、流石のブロリーも怒ったのか、最大限にエネルギーを凝縮させた気弾、ギガンティックミーティアを発射した。気弾はかめはめ波にぶつかると巨大化して押した。

 

パン「パパ、あの気弾が押してるわよ!」

 

悟飯「全力を出すんだ、パン!気を爆発させろ!」

 

悟空「悟飯、パン、オラも忘れるんじゃねえぞ、波~~~っ!」

 

 悟空も超サイヤ人3でかめはめ波を放った。

 

ブロリー「カカロット!!」

 

悟飯「ブロリー、サイヤ人そのものの気性のお前にはわからんだろう!大切な家族や仲間がいるから強くなれるんだ!それがないお前は俺達には勝てない!はあああっ!!」

 

 親子孫3代かめはめ波は3人がフルパワーで放出した事でブロリーの気弾を打ち破り、ブロリーに命中した。

 

ブロリー「バカな~~っ!!カカロット~~!!」

 

 そのままブロリーは宇宙へ飛ばされ、かめはめ波は新ナメック星の近くにある太陽に向かっていった。

 

パン「パパ…、私達、あの筋肉ダルマを倒したのね!」

 

悟飯「そのようだ。よくやったな、パン!」

 

 全力を出してパンは変身が解けていた。そんなパンは悟飯に抱き付いたのであった。

 

悟空「それにしても、パンにこんな力があったなんて思ってなかったぞ」

 

悟飯「怒りが限界を超えるとあの変身ができるんか…」

 

 ブロリーの気が消え、メタルクウラ達が全滅したのをクリリン達は確認した。

 

天津飯「ブロリーの気が消えたぞ!」

 

クリリン「今だ、デンデ!」

 

デンデ「はい!タッカラプト・ポッポルンガ・プピリット・パロ!」

 

 デンデの呪文でポルンガが呼び出された。それを隠れていたバビディが目撃した。

 

バビディ「あっ、僕を差し置いて呼び出しやがって…!行くぞ!」

 

 しかし、何者か気弾を発射してバビディ達を邪魔した。

 

ポルンガ「さぁ、願いを言え。どんな願いも3つ叶えてやろう」

 

ヤムチャ「デンデ、願い事はわかるな?」

 

デンデ「はい!」

 

 デンデはポルンガに殺されたナメック星人の蘇生、ビッグゲテスターの消滅、そして村の建物を元通りにする事を伝え、ポルンガはそれを叶えてくれた。

 

ポルンガ「では、さらばだ!」

 

 願いを叶え終わったポルンガは消えていった。

 

バビディ「ちくしょう、ちくしょう、ちくしょおおおおお~っ!!お前達、もうこの星に用はないから地球へ帰るぞ!」

 

 思い通りにならない上にドラゴンボールを先に使われたバビディは機嫌を悪くして新ナメック星を去って行ったのであった。

 

17号「ここでの戦いは大変だったな」

 

18号「バビディにクウラにブロリーの大暴走。でも、何とかなったわね」

 

デンデ「皆さん、地球へ行きましょうか」

 

トランクス「はい。急いだほうがいいでしょう。ブウが暴れ出しているかも知れませんから」

 

 悟空達はデンデをつれて地球へ向かうのであった。その様子を天使の輪っかがあるもう1人の悟空が見ていた。

 

 

とある星

 親子孫3代かめはめ波で太陽に撃ち込まれたと思われたブロリーであったが、途中で脱出してとある星に不時着していた。

 

ブロリー「カカロット、カカロット~~~ッ!!!」

 

 悟空達に負けた悔しさ故にすぐに地球に向かおうと思ったよりも傷が深いため、休む事にした。

 

先代の全王『遂にドラゴンボール争奪戦を制し、デンデを地球に連れて来る事に成功した悟空達。しかし、ブロリーはまだ死んでいなかった。そして時を同じくして、地球にいる魔人ブウに異変が起ころうとしているのであった』




これで今回の話は終わりです。
今回はドラゴンボール争奪戦の後編ですが、実質的にブロリーとの戦いになっています。ブロリーは操られるよりは制御が外れて大暴走するのが合ってると思い、バビディの洗脳さえ振り切って大暴走している姿を描きました。
今回登場したトランクスの話でもあったパンのとんでもない変身ですが、神と神に出たすげえ超サイヤ人と判断してかまいません。一応、2と区別ができるようにスパークはより激しいという風に描写しています。
まだ死んでいないブロリーですが、映画と違って次は生身で地球にやってきます。
次の話はブウがある人物と運命的な出会いをする話となります。


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8話 魔人ブウの異変

宇宙船

 新ナメック星での戦いが終わって悟空達は地球への帰路についていた。

 

クリリン「驚いたな、パンにあんな力があったなんて。流石は凄まじい潜在能力を秘めた悟飯の娘だな」

 

パン「どう?凄いでしょ?」

 

ベジータ「だが、あの変身は自由にできんのだろ?あてにしすぎるな」

 

パン「はーい…」

 

ベジータ「(あの変身は確かに超サイヤ人2はおろか、3さえ超えていたぞ。もしかすると、本当の超サイヤ人3は負担なども考慮すればパンが変身したものなのかも知れん…)」

 

ヤムチャ「パンの隠された実力が悟飯と同じぐらいなら、案外ブウも簡単に倒せるんじゃないか?」

 

天津飯「言われてみれば、そうかも知れない…」

 

 チビコンビがはしゃいだりしてる中、ピッコロは注意深い様子を見せていた。

 

悟飯「ピッコロさん、どうしたんですか?」

 

ピッコロ「地球に存在している気を探っていた所だ。今の所は何も異常はないようだ」

 

悟空「そういや、オラ達の世界の太っちょのブウは極悪な人間のせいで痩せた悪のブウになっちまったからな」

 

ピッコロ「悟空の死などのトランクスのいる未来で起こった事は色々な形で俺達の世界でも起こったんだ。逆に俺達の世界で起こった事がトランクスのいる未来で起こってもおかしくない」

 

悟飯「僕達が着く前にブウに何もなければいいんですけど…」

 

 何事もない事を祈る悟空達だったが、皮肉にもその危惧していた事が起ころうとしていた。

 

 

 

神様の神殿

 地球に残っているタピオンと神様の神殿に避難したブルマ達は悟空達の帰りを待っていた。

 

チチ(未来)「悟空さ達はまだ帰ってこねえだか…?」

 

タピオン「彼等は帰ってくる。だから、俺は彼等の頼み通りに地球に残って街や人々を守っている」

 

ビーデル(未来)「パパ、魔人ブウに殺されたりしてないのかしら…?」

 

ブルマ(未来)「そう言えば、人造人間が倒された跡はサタンはどこにいるの?」

 

ビーデル(未来)「私の実家があるオレンジスターシティに住んでいます。もう年なので17号と18号が倒された時に武闘家を引退したけど、天下一武道会優勝者だから、未だに格闘界での影響力もかなり強くて武道大会の解説とかテレビにも色々出演したりしてはお金を稼いでお義母さんと一緒に住んでいる私達に仕送りを送っているんです」

 

 未来世界のサタンは過去の世界のサタンと違って英雄ではないものの、本人の持つカリスマ性と人気は変わらなかった。

 

ブルマ(未来)「目立ちたがり屋だけど、家族想いの優しいお父さんね」

 

ビーデル(未来)「オレンジスターシティには私の友達もいるから、ブウが来てなければいいけど…」

 

 

 

オレンジスターシティ

 悟空達が新ナメック星に行っていた頃、ダーブラはバビディの命令通りにブウに破壊活動をさせていたが、肝心のブウはやる気がない上にお菓子屋を襲撃する事が多く、タピオンの妨害も入って進んでいなかった。ちなみに、ブウは人を殺してはいたが、殺した人間の大半は身の程を知らずにライフル銃などで殺しに来た悪人たちばかりであり、全員ブウにお菓子にされて食べられたのであった。そして、ブウはオレンジスターシティに来た。

 

先代の全王『悟空達がナメック星で戦いを繰り広げていた頃、地球では大変な事が起こっていた』

 

ダーブラ「おい!どこへ行く!!バビディ様の言いつけを守らないか!おい!」

 

ブウ「お前うるさいな、お菓子にして食べちゃうぞ!」

 

ダーブラ「この風船野郎、バビディ様の命令がなかったら殺していた所だ。待て、バビディ様に逆らう事になるぞ!」

 

ブウ「お前とってもつまんない奴だ。食べてもまずそー」

 

ダーブラ「ふん、付き合ってられんわ!そこで大人しくしておくんだな!」

 

 ブウに手を焼いたダーブラはその場から去って行った。

 

ブウ「行っちゃった…。うるさいのがいなくなってよかったな。ん?」

 

 風の噂でブウの脅威は世界中の人々が知っているため、多くの人が逃げ出したが、サタンは逃げ遅れてしまった。

 

サタン「ふがっ!ちくしょう!なんでこんな所に石ころがあるんだ!逃げようと思ったのに、ちくしょう!」

 

ブウ「何でお前は石ころを踏みつけているんだ?」

 

サタン「いいいっ!!ま、ままま、魔人ブウ!」

 

ブウ「人間か、ちょうどお腹がすいたなー。お前、どんなお菓子になって食われたいか?アメか?ビスケットか?グミか?」

 

サタン「い……いやいやいや、ちょっとお待ちください!!ま、魔人ブウ様に素敵なプレゼントがあるんですよ!どうぞどうぞこれ、つまらないものですけど」

 

ブウ「俺、つまらないものいらない。つまらないもの殺すぞ」

 

サタン「いや、この石ころ自体はつまらないものですけど、なぜかこの石ころに私めは躓いて転んでしまうんですよね~。あー痛いー…ね?いかがです?」

 

 実際にサタンは石ころを置いて転んでみた。

 

サタン「ほら、こう置きましてね、歩いているだけなんですけど…あー!!」

 

ブウ「お前、面白いな。石ころはいらないから家来にしてやる。もっと遊ぶぞ!」

 

サタン「え!?どっ、どうもありがとうございます…。(ふいー、助かったー!)」

 

???「クゥ~ン」

 

 すると、とある子犬がブウの足にすりすりしてきた。

 

ブウ「何だ?こいつは全然俺を怖がらないぞ」

 

サタン「懐かれちゃったんですよ。尻尾を振ってるのが何よりの証拠ですよ」

 

ブウ「お前、俺の事が好きなんだな?」

 

子犬「アン、アンアン!」

 

 子犬は嬉しい様子でブウを舐めた。未来においてもブウはサタンと愛犬のベエと運命的な出会いをしたのであった。それから、ブウはサタンやベエと一緒にオレンジスターシティを巡った。

 

ブウ「サタン、その持ってるお菓子は何だ?」

 

サタン「これは私の娘と孫に渡す予定のお菓子なのですけど、ブウさんは食べたいですか?」

 

ブウ「食べる食べる!」

 

サタン「じゃあ、一緒に食べませんか?1人で食べるより、友達や家族などと一緒に食べた方がお菓子も料理もおいしいですよ」

 

 サタンに言われた通りにブウはサタンと一緒にお菓子を食べた。

 

ブウ「確かにうまいぞ!」

 

サタン「ですよね!」

 

 それから、お菓子屋にも寄り、お店の人はブウに怯えたためにサタンがお金を払ってお菓子を買った。

 

サタン「どうですか?」

 

ブウ「このお菓子、美味しいぞ!」

 

サタン「それとブウさん、お願いがあるんですけど、人間を殺すのをやめていただけませんか?」

 

ブウ「どうしてなんだ?」

 

サタン「人間の中にはお菓子などの食べ物を作っている人もいましてね、その人達を殺してしまうとおいしい食べ物が食べられなくなってしまうんですよ。だから…、殺したり壊したりするのはやめてくれませんか…?」

 

 その言葉にブウはしばらく考えた後、サタンに顔を近づけた。

 

サタン「ひぃ~っ!口答えしてごめんなさい!」

 

ブウ「お前、やっちゃいけないと思うか?」

 

サタン「…は、はい…」

 

ブウ「ちょうど俺も街を壊したり人を殺すのも飽きてきたんだ。殺すのも壊すのもやめたぞ!」

 

 飽きてきた事もあってブウはサタンのいう事を聞いて人殺しをやめる事にし、サタンと一緒に遊んだ。しかし、その様子をダーブラに見られてしまった。

 

ダーブラ「ちっ、様子を見に帰ってきたと思えば、よりにもよって人間と一緒に遊んでいるだと!?」

 

 主の命令を聞かないブウにダーブラは怒り心頭になって降りてきた。

 

ダーブラ「おい、風船野郎!そこで何をしている!」

 

ブウ「お前、うるさいな!楽しく遊んでいるのに!」

 

 サタンやベエと楽しく一緒に遊んでいるブウを見かねたダーブラはサタンに攻撃してしまった。

 

ブウ「!?サタン?」

 

ダーブラ「ふははははっ!お前が人間や犬如きと遊んでいるからだ!」

 

ブウ「ブウッ!!」

 

ベエ「グルルルッ……!」

 

ダーブラ「何だ?このダーブラ様とやろうっていうのか?身の程知らずが!」

 

 悟空達の世界と同じような事が未来世界でも起こってしまった。

 

ブウ「うぎぎぎっ!!」

 

ダーブラ「ふんっ!やはりバカな人間と犬を始末しなければ話にならんな!」

 

 

 

宇宙船

 ブウの異変は気の変動を通して悟空達も感知した。

 

ピッコロ「まずいぞ!ブウの気が乱れている!俺達の世界の時と同じ事が起こったみたいだ!」

 

悟空「サタンを傷つけた奴はダーブラだな」

 

ベジータ「くそったれが!事態を悪化させやがって…!」

 

 かつて、ライフル銃の男の行動が原因でブウが邪悪になってしまったため、未来世界でもダーブラの行動によってブウが邪悪になってしまう事が容易に想像できた。

 

 

 

オレンジスターシティ

 サタンを攻撃された事に怒るブウだったが、いつもと違って様子がおかしく、頭から大量の煙を出した。放出された煙は集まっていき、悟空達の世界でも出たガリガリの純粋悪のブウが誕生してしまった。

 

ダーブラ「な、何だ!?」

 

ベエ「グルルルッ……!」

 

 驚くダーブラとは対照的にベエはガリガリのブウを睨み付けていた。善悪ブウ対決が始まったが、結果は悟空達の世界と同じで純粋悪のブウが分離時に力の大半を持っていった事で優位に立ち、善ブウのお菓子化光線を跳ね返したチョコにした後、食べてより戦闘的な姿に変貌した。

 

ダーブラ「な、何が起こったんだ…?ブウをチョコにして食べやがった…!」

 

悪ブウ「ガアアアアッ!!」

 

ダーブラ「風船野郎を食ったかと思えば今度は姿まで変わりやがった…!バビディ様の命令があるがまぁいい。どちらにしろ言う事を聞かない愚か者は殺してやる!このダーブラ様を甘く見るなよ!」

 

 ダーブラは戦闘の構えに入ったが、ブウはサタンを傷つけられた恨みもあってすぐに伸びるパンチで攻撃した。急な攻撃にダーブラは対応できずにまともに受けてしまい、パンチが体を貫通したのであった。

 

ダーブラ「ごはっ!!」

 

悪ブウ「お前、弱い。そして許さない!」

 

 ブウは恨みも込めてダーブラをボコボコにした。

 

悪ブウ「チョコになれ!」

 

 締めにブウはダーブラをチョコにして食べてしまった。

 

サタン「う…う……」

 

悪ブウ「サタン…?まだ…、死んでない…」

 

 サタンがまだ生きていたため、ブウはベエに吠えられながらもサタンを治療した。

 

サタン「ん……あ、あれ…?治った…?」

 

悪ブウ「カカカカカッ!」

 

サタン「あれ?ブウさん、なんかスリムになりましたか?」

 

悪ブウ「ホゥ~~ッ、ウホホホホ!腹減った!人間、チョコにして食べるホゥ~~~ッ!」

 

 お腹が空いてお菓子を食べるため、ブウは飛び立っていった。

 

サタン「ブウさ~~ん!どこに行くのですか!?もう人間は殺さないと約束したじゃないですか~~!」

 

 ブウの変貌に驚くサタンとベエであった。

 

 

 

神様の神殿

 ちょうどその頃、悟空達は地球に到着し、デンデが新しい神に就任してドラゴンボールを復活させた。

 

トランクス「タピオンさん、俺達が帰ってくるまで人々の防衛をしてくれてありがとうございます」

 

タピオン「それよりも、嫌な予感がする…」

 

ピッコロ「それは的中しているぞ。それと、ドラゴンボールを集める奴を決める必要がある」

 

ヤムチャ「だったら、俺と天津飯に任せてくれ。俺達が一番戦いで役に立ちそうにないからな」

 

天津飯「ドラゴンボールは責任を持って俺達が全部集める」

 

クリリン「頼む、天津飯、ヤムチャさん。それと悟空、今から俺を瞬間移動で武天老師様の家に送ってくれないか?」

 

ピッコロ「この時代の悟飯の件でだな?」

 

クリリン「ああ。どうしても気になってな…」

 

悟空「じゃ、行こっか。なんかあったら気を大きくして知らせてくれ。すぐに瞬間移動で来っからな」

 

 クリリンを連れて悟空はカメハウスに瞬間移動した。

 

 

 

カメハウス

 悟空はカメハウスの前に瞬間移動した。

 

クリリン「ありがとな、悟空」

 

悟空「じっちゃんから未来の悟飯について聞いてこいよ」

 

クリリン「武天老師様、家にいられますか!?」

 

亀仙人「懐かしい声じゃのう…」

 

 クリリンに呼ばれて亀仙人は扉を開けた。

 

クリリン「ご無沙汰しています、武天老師様」

 

亀仙人「お主…、誰じゃ?」

 

 クリリンは18号との結婚後、髪を伸ばしていたために未来の亀仙人は目の前にいるのがクリリンだとわからなかった。

 

クリリン「俺ですよ、俺。クリリンですよ」

 

亀仙人「おお、すまんすまん!髪を生やしとったからクリリンだとわからんかったぞ。ところで、どうして生き返ったのじゃ?」

 

悟空「実を言うとな、じっちゃん」

 

 悟空は自分達は過去の世界から来た事を教えた。

 

亀仙人「生き返った訳ではなかったのか。ところで、クリリンは元の時代では結婚できたのか?」

 

クリリン「はい。とびっきりの美人と結婚した上、娘もいます」

 

亀仙人「そうかそうか。こっちの時代のクリリンもあの世で彼女が見つかっておればいいんじゃがのう…」

 

クリリン「武天老師様にお聞きしたい事があって来ました」

 

亀仙人「聞きたい事じゃと?」

 

クリリン「俺、トランクスの師匠のこの時代の悟飯が1日限りでトランクスやパンに会いに来てないのが気になってしょうがないんです。占いババは死んだのですか?」

 

亀仙人「安心せい、姉ちゃんは死んどらんし、元気じゃぞ」

 

クリリン「じゃあ、悟飯が来ないのはなぜか聞いてますか?」

 

亀仙人「……それなんじゃが…、姉ちゃんの話によれば悟飯がこの世に来ないのは、とても弟子や家族に会いに行ける状態ではないそうじゃ」

 

悟空「来れる状態じゃねえってどうしてなんだ?じっちゃん」

 

亀仙人「すまん、姉ちゃんからはそれぐらいしか話してくれなかったのじゃ…。それ以上の事はわしにもわからん…」

 

クリリン「そうでしたか…。わざわざありがとうございます」

 

 お礼を言った後、クリリンは悟空に瞬間移動で神殿に送ってもらった。

 

 

 

バビディのアジト

 一方、バビディも地球に帰ってきていた。

 

バビディ「ん?お前ブウか?ピッコロの記憶にある通り、随分スリムな姿になっちゃったな。ダーブラ!ダーブラ!おいブウ、あいつどこ行っちゃったの?」

 

悪ブウ「チョコにして食ってやった。カカカカ!」

 

バビディ「ま、まぁいい。ダーブラを簡単に倒せるその力!実にいいよ~!ん?これは?ド、ドラゴンボールじゃないか!なんかちっこいけど、確かにドラゴンボールだ!おい、ブウ!これはどうしたんだ?」

 

悪ブウ「サタンにもらった石だ。…だったと思う…忘れた。いいだろう、でもやらないぞ」

 

 なんと、ブウがサタンからもらった石はいつの間にかドラゴンボールになっていた。これにより、バビディは地球のドラゴンボールが復活したのを知ったのであった。

 

バビディ「くっくっくっ!地球にもドラゴンボールがある!これは面白くなってきたぞ~!ハッチヒャックの2号機もあるからね。ゴースト戦士のテストもやらなきゃね~」

 

ボージャック「ドラゴンボールは俺達が探しましょうか?」

 

バビディ「そうだね。お前達に探させるとするか。ブウ、お前はトランクス達と遊んでこい」

 

 自分の野望を叶えるため、バビディはドラゴンボールを探す事にした。

 

 

 

神様の神殿

 事情を聞いた悟空とクリリンは神殿に帰ってきた。

 

悟飯「どうでしたか?」

 

クリリン「未来の悟飯はとてもこの世に行けるような状態じゃないから来れないそうなんだ」

 

トランクス「だから、悟飯さんは俺やパンに会おうとしなかったのですか…」

 

 すると、足止めを命令されたブウが神殿に向かっている事に気付いた。

 

17号「おい、ブウがこっちに向かってるみたいだぞ!」

 

トランクス「まずい!デンデさんは母さん達と一緒に隠れてください!こちらには近づかせません!」

 

デンデ「わかりました!」

 

ブルマ(未来)「さぁ、避難するわよ!」

 

18号「ここで戦闘はできないよ」

 

トランクス「だったら、少し離れた所で逆に待ち伏せしましょう!」

 

 悟空達は神殿から少し離れてブウを待ち伏せした。そこへ来たのは邪悪なブウだった。

 

トランクス「こ、こいつ、あの無邪気なブウではない!なんて悪に満ちた強大な気なんだ…!」

 

ピッコロ「トランクス、この姿のブウは前とは比べ物にならん程、厄介だ!各自、吸収されんように戦え!」

 

 すると、今度はある5人組と3人組の戦士がやってきた。

 

クリリン「あいつら…」

 

ベジータ「あのおちゃらけ野郎共か…!」

 

悟飯「もしかしたら、ゴースト戦士じゃないでしょうか?」

 

悟空「間違えねえだろうな」

 

リクーム「リクーム!」

 

バータ「バータ!」

 

ジース「ジース!」

 

グルド「グルド!」

 

ギニュー「ギニュー!」

 

特戦隊「みんな揃って、ギニュー特戦隊!!」

 

 ファイティングポーズを決めたギニュー特戦隊だったが、悟飯以外からの反応は散々なものだった。

 

18号「ダサッ!」

 

ちびトランクス「ノーコメント…」

 

悟天「カッコ悪い」

 

17号「ポーズのセンスが全くないな」

 

悟飯「いえ、結構センスがありますよ」

 

パン「ピッコロさん、パパのあのグレートサイヤマンのポーズとかって、ギニュー特戦隊の影響でもあるんじゃないの?」

 

ピッコロ「俺は奴等と戦ってないが、あの悟飯のおかしなポーズはそいつらの影響という可能性は高いだろうな」

 

ギニュー「貴様ら、我らのスペシャルファイティングポーズをバカにしたな!」

 

サウザー「所詮、貴様らおちゃらけ集団などそんな目でしか見られんのだ」

 

リクーム「お前ら、フリーザ様の兄貴の部下の癖になんて態度をとりやがるんだ!」

 

ドーレ「お前らの下らんポーズはフリーザ様なら許しているが、クウラ様だったらお怒りになられるだろうな」

 

バータ「冗談じゃない!」

 

ジース「ファイティングポーズは俺達の生命線なんだ!」

 

ネイズ「つまらんポーズばかり気にして仲間の死を悲しまねえ奴にロクな奴はいねえな」

 

グルド「お前、俺達のポーズをつまらんポーズだと!?」

 

 敵そっちのけでポーズや仲間想いの差などについての口論を始めたギニュー特戦隊とクウラ機甲戦隊に一同は呆れていた。

 

悟空「オラ達を無視して喧嘩してんなぁ」

 

ベジータ「やらせておけ。それよりも、あいつら雑魚よりブウの方が脅威だ」

 

悟飯「ブウの相手は僕に任せてください。お父さん達はギニュー特戦隊とクウラ機甲戦隊を!」

 

ベジータ「言っておくが、ブウとの戦いでは気を抜くと吸収されるぞ。絶対に注意を怠るな!」

 

 ブウの相手を悟飯に任せ、悟空達はギニュー特戦隊とクウラ機甲戦隊と戦う事になった。

 

グルド「へへへっ、誰からぶったお」

 

 誰と戦おうと迷うグルドの近くにクリリンがいた。

 

グルド「と、とま」

 

クリリン「かめはめ波!」

 

 クリリンのかめはめ波でグルドはあっけなくやられてしまった。

 

ネイズ「グルド~~!」

 

リクーム「あいつ、情けないなぁ。こうなったら、リクームウルトラ」

 

タピオン「遅い!」

 

 隙を突かれてリクームはタピオンの剣で両断され、復活しないように破片ごと気弾で消し飛ばされた。

 

ジース「リクームまで!?」

 

バータ「こうなったらジース、パープル」

 

17号「どこ見てんだ?」

 

 ジースとバータはあっさりと17号に倒された。

 

ギニュー「おのれ…ジース達を…!」

 

18号「死人はあの世へ帰りな!かめはめ波!」

 

 クリリンから気円斬と共に教えてもらったかめはめ波でギニューは倒された。そして、クウラ機甲戦隊はピッコロ一人に倒されたのであった。

 

悟天「ピッコロさん、強い!」

 

ピッコロ「まぁな」

 

ベジータ「カカロット、どうやら悟飯との力の差を知ってブウは逃げたみたいだな」

 

悟空「ああ、そうみてえだ」

 

 ブウは悟飯との実力の差を知ったのと、十分遊べたために満足して帰っていった。

 

 

 

地球(未来)

 その頃、バビディはドラゴンボールを探していたが、ドラゴンレーダーがないので見つける事ができず、イライラしていた。

 

バビディ「ん~もう!ドラゴンボールはどうやって探すんだよ!」

 

13号「バビディ様、イライラしてても何も解決しませんよ」

 

バビディ「あ~、どうしたらいいんだ~~~もう!!」

 

 

 

神様の神殿

 一方、悟空達が神殿に戻ると一度界王神界に戻っていたシンとキビトが待っていた。

 

シン「皆さん、魔人ブウを倒す切り札は」

 

悟飯「Zソードでしょう?」

 

シン「ご存知なのでしたら話が早い!では、さっそくZソードを抜きに行きましょう!誰が一緒に行ってくれますか?」

 

悟空「悟飯、お前ぇもっかい抜いて来いよ。老界王神のじっちゃんによろしくな!」

 

キビト「(老界王神様?)」

 

悟空「そういやじっちゃんとの約束のあれ、忘れてたなー!」

 

 その言葉に反応したベジータは即座に悟空に制裁を加えた。

 

ベジータ「カカロット、貴様という奴は人をダシにしやがって!!」

 

悟飯「ええーーーっ!!また僕ですか…。今度は何をさせられるんだろう…」

 

パン「私も行く!」

 

トランクス「パン、わがままを言っちゃダメだ!」

 

パン「何よ!あの世にいるパパに会いに行っていいじゃない!」

 

トランクス「俺達はブウの脅威から地球を守るために戦っているんだ!だから、悟飯さんに会いに行くのなら、ブウを倒した後でいいじゃないか!」

 

パン「何と言われよとも私は行くわよ!」

 

 パンも界王神界に行くと言い出して師のトランクスと口論になってしまった。

 

ピッコロ「トランクス、パンを悟飯と一緒に行かせてやれ」

 

トランクス「しかし、ピッコロさん!」

 

ピッコロ「俺が死んだ際、悟飯は親の反対を押し切ってナメック星へ行ったんだ。お前が何と言おうと、パンはあの世にいる未来の悟飯に会いに行くだろう」

 

チチ(未来)「オラからもパンを行かせるだ。あの子の寂しさはおめえにもよくわかるだろ?」

 

 いくら自分が反対しても悟飯は反対を押し切った姿を見たチチは今のパンの姿を当時の悟飯と重ねて、トランクスを諭した。

 

トランクス「…やはり、俺は師匠としては悟飯さんに及びませんね…。悟飯さん、パンの事を頼みます」

 

悟飯「はい。パン、お前の親である未来の僕に会いに行こう」

 

パン「うん!」

 

ビーデル(未来)「写真は持ったかしら?」

 

パン「持ってるよ!」

 

 悟飯親子はシンと共にキビトの瞬間移動で界王神界へ向かった。

 

先代の全王『悟飯とパンは界王神界へ向かった。一体、あの世で未来の悟飯に何があったのか?』




これで8話は終わりです。
今回はブウとサタンの運命的な出会いとダーブラによってサタンが傷つけられ、ブウが悪ブウに変貌してしまう話です。
原作では最低最悪の地球人、ライフル銃の男によってブウが悪ブウに変貌しましたが、未来世界での魔人ブウ編を描いた真武道会2ではダーブラによってブウが悪ブウに変貌したため、そっちを描きました。
当初はギニュー特戦隊とクウラ機甲戦隊の再登場は次のあの世での話で再登場させる予定でしたが、悪ブウだけじゃちょっと物足りないので、ゴースト戦士として再登場させました。
パンは大体の性格はGTの時と同じにしているので、強引についてくる形となりました。
次はあの世での話となります。


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9話 地獄での悪人退治

神様の神殿

 悟飯親子はシンとキビトと共に界王神界へ向かった。

 

ベジータ「トランクス、お前も本当はこの時代の悟飯に会いたかったんじゃないのか?」

 

トランクス「……実を言うと、占いババという人がいれば死人でも1日だけこの世に帰って来れると聞いてから、俺もパンと同じで悟飯さんに会いたいんです」

 

ベジータ「だろうな。パンの反論にお前は割と堪えていただろうから、そう予想はしていたがな」

 

クリリン「だったら、パンに反対しなくてもよかったじゃないか」

 

トランクス「ですが、今の地球は魔人ブウの脅威に晒されています。ブウをほったらかしにして悟飯さんに会いに行けば、悟飯さんは俺を叱ると思いますので、俺の本心を言う訳にはいかなかったのです」

 

17号「お前ってば、いつもクソ真面目だな」

 

18号「少しぐらい肩の力を抜かないと、心が持たないよ」

 

クリリン「仕方ないだろ?1トランクスのいるこの世界は十数年間も人造人間の脅威に晒された地獄の世界なんだ。そうなるのも無理はないさ」

 

タピオン「だが、今の状況では私情より使命感を優先させるという判断は間違いではない」

 

トランクス「そうですね」

 

悟空「しっかし、パンはよっぽど自分の父ちゃんに会いたかったんだろうなぁ」

 

ピッコロ「そりゃそうだ。性別の違いもあるが、パンは赤ん坊の時に未来世界の悟飯が死亡した事で父親からの愛情に飢えていたんだ。だから、過去の世界に来た時に父親に会えるうれしさのあまり、トランクスの忠告を無視して勝手な行動をとるほどになったんだろう」

 

悟空「ピッコロもベジータも鋭えなぁ」

 

ベジータ「そうカカロットが思うのは子供の事に関心がなさすぎるだけだ」

 

ピッコロ「そういう悟空こそ少しは父親らしく子供の将来などに関心を持ったらどうだ?悟飯は父親としての自覚はお前を超えた上に学者としての進路が決まってるから、次は悟天の将来を家族一緒に考えてみろ」

 

 4歳の頃の悟飯の修行をみてから保護者の貫禄がついたピッコロと未来のトランクスとの出会いを通して父親として成長したベジータに言われて図星を突かれた悟空は笑うだけで反論できなかった。

 

 

 

界王神界

 界王神界に瞬間移動した後、界王神界の聖域にあるZソードの前に降り立った悟飯は未来世界のZソードを抜こうとした。しかし…

 

悟飯「ぬ、抜けませんねー。前抜いた時より、ずっと力を入れてるんですけど…」

 

パン「だったら、私が抜くわ!」

 

 次はパンが抜こうとしたものの、パンでも剣を抜く事ができなかった。

 

パン「ちょっと、抜けないわよ!パパは本当に過去の世界でこの剣を抜いてあんなに強くなったの?」

 

悟飯「そうだよ」

 

シン「やはり選ばれた人にしか抜けないようになっているのでしょうか?」

 

悟飯「…とすると、この世界の僕になるんでしょうか?パンの父親で、人造人間との戦いに敗れ、死んでしまった僕…」

 

シン「それは一理あるかもしれませんね、探してみましょう!悟飯さんくらい強い人なら、天界で修行を許されていて、どこかにいるかも知れません!」

 

悟飯「よかったな、パン。この時代の僕を探す事になったから、嬉しいだろう?」

 

パン「わーい!パパに会える~!」

 

キビト「どういう人なのかわかるのか?」

 

パン「私のいる時代のパパは写真でしか顔を知らないの」

 

 パンは自分が赤ちゃんの時に悟飯とビーデルが撮った写真を見せた。

 

キビト「ふむ、過去から来た悟飯に比べると目つきや顔の古傷などでいくらか雰囲気が違うな」

 

シン「では、探しに行きましょうか!」

 

 こうして、悟飯達は天界で未来世界の悟飯を探す事となったが…

 

悟飯「!?何だ?この邪悪な気は…!近いぞ!この界王神界にとんでもない奴が紛れていますよ!」

 

キビト「では、調べてみよう。…な、なに!!こ、こいつはジャネンバ!!」

 

シン「なんですって!!どうしてあいつがこんな場所に!…このままにはできませんね。悟飯さん、パンちゃん、申し訳ありませんが少し付き合っていただけますか?あれは魔人ブウと並び、倒さなければならない危険な者です。悟飯さんとパンちゃんの力を私に貸してください」

 

パン「勿論よ。私の新しい力を披露する時よ!」

 

悟飯「パン、自由にあの変身ができないだろう!あの力をあてにしすぎるな!」

 

パン「はあい…」

 

悟飯「ではキビトさん、お願いします!」

 

キビト「では、さっそく行くぞ!カイカイッ!!」

 

 キビトの瞬間移動で悟飯達はジャネンバの近くに来た。

 

ジャネンバ「グギギギッ!」

 

シン「悟飯さん、パンちゃん、あの赤い色をした奴がジャネンバです!」

 

悟飯「お父さんとベジータさんがフュージョンして倒したというジャネンバがあいつか…!確かに、とんでもなく邪悪で強力な気を感じます」

 

パン「だったら、倒すまでよ!はあああっ!!」

 

 ジャネンバを発見した悟飯とパンを気を全開にしてパンは超サイヤ人に変身した。ジャネンバも気付いて向かってきたため、悟飯が向かった。ジャネンバと悟飯のパンチはぶつかった際、互いに押し負けなかった。

 

悟飯「パワーは五分と五分か」

 

ジャネンバ「ウケケケケッ!」

 

 一度距離をとってから悟飯はジャネンバに気弾を撃ち込んだが、ジャネンバは異空間を使って気弾をワープさせ、悟飯に当たるようにした。

 

悟飯「何っ!?」

 

 間一髪で悟飯は気弾をかわした。ジャネンバに翻弄されて追い詰められた悟空と違って悟飯はしっかりと対応した上で応戦し、互角に持ち込んでいた。パンはすげえ超サイヤ人に変身しようとしたが、変身できなかった。

 

キビト「パン、新しい力を見せるんじゃないのか?」

 

パン「さっきからやってるけど、ナメック星の時と違って変身できないのよ!」

 

シン「困りました…、何か、何か変身できるきっかけでもあれば…」

 

パン「きっかけって…あ!」

 

 ふと、パンは修行していた時にトランクスが超サイヤ人に変身できたきっかけが怒りだと聞いて、ある事を閃いた。

 

パン「界王神、おじさん、私に悪口を徹底的に言って怒らせて!」

 

シン「そ、そんな事を急に言われても…」

 

パン「早くして!」

 

キビト「パン、界王神様を呼び捨てにするとは…、無礼者!礼儀知らず!田舎育ち!」

 

 パンが界王神に敬意を払わない事に腹を立てたキビトが思わず悪口を次々と連発した。ちょうどいいタイミングでキビトが悪口を連発した事でパンの怒りが限界を超えた。

 

パン「はああああっ!!」

 

 悪口を言われる事で怒りを溜めるというパンの作戦は成功し、再びすげえ超サイヤ人に変身した。

 

パン「よーし、また変身できた!」

 

 一方、悟飯はジャネンバのトリッキーな空間系の技に苦戦していた。

 

悟飯「(お父さんが超サイヤ人3でも勝てなかったと言った通りだ。ジャネンバはこの世界や僕達の世界のまだ吸収していない悪のブウ以上に強い!気を抜くとすぐにやられる…!)」

 

ジャネンバ「シェエエエッ!」

 

パン「パパ、助けに来たわよ!」

 

 ジャネンバが攻撃しようとした時にパンが妨害した。

 

悟飯「パン、またあの姿に変身できたのか?」

 

パン「そうよ。界王神とおじさんに悪口を言ってもらって変身できたの?パパ、あのジャネンバに弱点はないの?」

 

悟飯「弱点か…!」

 

 ふと、悟飯は悟空から知り合いが悪口で動きを封じる事ができたと言った事を思い出した。

 

悟飯「あるぞ、ジャネンバの弱点が!あいつの弱点は悪口だ!」

 

パン「だったら話が早いわ!このバカ!アホ!マヌケ!」

 

 悪口の連発でジャネンバは動きを封じられた上にダメージも多少受けた。

 

悟飯「一気に決めるぞ、パン!か~め~」

 

パン「は~め~~」

 

悟飯親子「波~~~~っ!!」

 

ジャネンバ「ギエエエエエッ!!」

 

 悪口で動きを封じた後に親子かめはめ波でジャネンバを消し去ったのだった。

 

パン「やったぁ!ジャネンバをやっつける事ができたわよ!」

 

悟飯「悪口で変身して、悪口でジャネンバの動きを封じて倒せたとはな」

 

シン「悟飯さん、す、すごいです!まさかあのジャネンバを倒す事ができたとは…!」

 

悟飯「いえ、あいつは遊んでいたようなので、パンが加勢しなければ僕の方が負けていたでしょう」

 

パン「パパ、早く天界へ行こうよ!」

 

悟飯「そうだな。パンもこの世界の僕に会いたがってるし、急ぐか!」

 

 

 

天界

 悟飯達は大界王星に来た。

 

悟飯「ここが、大界王星か…」

 

パン「パパってどこにいるのかしら?」

 

???「お前、相当できる奴だな。名前は何って言うんだ?」

 

 声をかけてきたのは悟空達の世界でのあの世での悟空のよきライバル、パイクーハンだった。

 

悟飯「孫悟飯と言います。あなたは確か、パイクーハンさんじゃないですか?」

 

パイクーハン「よく知っていたな。お前、孫悟空の息子じゃないのか?」

 

悟飯「ええ、僕は孫悟空の息子で、傍にいる女の子は娘のパンです。と言っても、僕は過去から来たんですが…」

 

パン「パイクーハン、悟空おじいちゃんの知り合いなら、パパはどこにいるのか知ってる?」

 

パイクーハン「パパ!?」

 

シン「実は、ここにいる悟飯さんは過去から来たのです。私達はある事情でパンちゃんの父親であるこの時代の悟飯さんを探しているのですが、どこにいるか知りませんか?」

 

パイクーハン「あなたは…」

 

キビト「この方は大界王の上に立たれる界王神様だ」

 

パイクーハン「お会いできて光栄です、界王神様。あなた方の探している」

 

???「パイクーハンちゃん、ちょっと用事があるよ~!」

 

 すると、どこからともなく大界王が現れた。

 

パン「誰?このおじさん」

 

パイクーハン「パン、大界王様に失礼だぞ」

 

悟飯「この人が大界王様ですか」

 

大界王「おやっ?悟空ちゃんに似てるね」

 

シン「この人は孫悟空さんの息子の悟飯さんで、女の子の方は悟飯さんの娘のパンちゃんです」

 

大界王「も、もしかしてそこにいる人って…界王神様!?」

 

シン「そうです。あなたの用事というのは、地獄でまた悪人が暴れた事ですね?」

 

大界王「その通りじゃよ」

 

悟飯「でしたら界王神様、僕達も地獄の悪人達の退治を手伝いましょうか?」

 

シン「私もそうするべきです」

 

悟飯「パイクーハンさんはどうですか?」

 

パイクーハン「お前とパンから戦っていなくても強い力を感じる。手伝っていいぞ」

 

パン「じゃあ、おじさん、頼むわよ」

 

キビト「パン、私の事はおじさんじゃなくてキビトと言いなさい!それでは…、カイカイッ!」

 

 悟飯達は未来の悟飯捜索を一旦中断して地獄の悪人退治に向かった。

 

 

 

地獄

 未来の地獄では現代と同様にセルがフリーザ達を従えて暴れていたのであった。

 

ラディッツ「ふはははっ!!」

 

ナッパ「こんなクソみたいな所なんてとっとと脱出したいぜ!」

 

セル「どうだ?これから誰に従えばいいかよーくわかっただろう?ここのボスは誰だ?え?」

 

鬼「セ…、セル…」

 

セル「セル様、だろう?」

 

 ところが、瞬間移動してきた悟飯達が現れた。

 

パイクーハン「またお前か、セル。何度倒されても反省の色もないな」

 

セル「パイクーハンか。それに、見慣れん奴もいるな」

 

悟飯「久しぶりだな、フリーザ。そしてセルはこの時代では初めて会ったな。セル、貴様はトランクスさんに殺されたはずなのに、なぜ完全体の状態なんだ?」

 

セル「お前達はどうせここで死ぬ運命だ。質問に答えよう」

 

 

 

回想

 それは、トランクスとの戦いからだった。

 

セル『私は17号と18号が既に破壊されたと知り、トランクスからタイムマシンを奪おうとしたが、返り討ちに遭って死亡した』

 

トランクス「完全に消えてしまえ、セル!!」

 

セル「ぶるぁああああっ!!」

 

 トランクスの放ったエネルギー弾でセルは跡形もなく消滅した。

 

セル『奴との戦いで死んだ後、私は地獄へ送られた。そこには、3年前にトランクスに敗れ、地獄へ送られた17号と18号が暴れていた』

 

17号「クソ閻魔が!俺達をこんな場所に送り込みやがって!!」

 

18号「度々邪魔者も来るし、こんな所なんか全部ぶっ壊してしまえ!!」

 

セル『完全体になれずに死んで失意のどん底にあった私にとって、死んだ後でも奴等を見つける事ができたのは好都合だった。そして17号と18号を吸収し、あの世で完全体となった』

 

17号「じゅ、18号!!」

 

セル「17号、お前も私の一部となれる事を光栄に思え」

 

17号「だ、誰がお前みたいな化け物の一部になってたまるか!!」

 

 現代とは逆に18号から先に吸収され、17号はその後に吸収された。

 

 

 

悟飯「そうやって貴様は完全体となったのか」

 

セル「さて、話は終わりだ」

 

フリーザ「セルさん、ちょっと私にも話をさせてくださいよ」

 

セル「よかろう」

 

フリーザ「そこのあなた、誠に光栄です。見もしないこの私の名をご存知とは。お礼に殺してさしあげましょう」

 

悟飯「子供の頃に会っただけだから、覚えていなくても無理ないかな」

 

コルド「フリーザ、あいつと会った事があるのか?」

 

フリーザ「あいつとは…ま、まさか孫悟空の!!」

 

 悟飯の顔を凝視したフリーザは目の前にいるのがかつてナメック星で戦った事のある悟飯の成長した姿であると理解した。

 

悟飯「そう、孫悟空の息子、孫悟飯だ」

 

パン「パパ、サクッと片付けちゃおうよ!」

 

フリーザ「パパ!?あの小娘は孫悟飯の娘で孫悟空の孫だとでもいうのか!?」

 

パン「そうよ。あんた達なんてパパと私で蹴散らしてやるんだから!」

 

フリーザ「親の因果が子に報い…たっぷりとお返ししてあげましょう!」

 

悟飯「さぁ、どうかな?」

 

フリーザ「セルさん、あの生意気な孫悟空の孫をやらせてください。孫悟飯の方はセルさんに譲りますから」

 

セル「いいだろう」

 

フリーザ「機甲戦隊と特戦隊の皆さん、たっぷりと孫悟空の孫を痛い目に遭わせてあげなさい!」

 

 クウラ機甲戦隊とギニュー特戦隊がパンに襲い掛かり、セル、ナッパ、ラディッツが悟飯と対峙した。

 

セル「孫悟飯、お前は人造人間17号と18号に倒されているんだ。そんなお前がこの完全体となった私には勝つ事などできんのだ」

 

悟飯「…ふふふっ…」

 

セル「どうした?恐怖で気でも狂ったのか?」

 

悟飯「セル、貴様が俺の知るセルではないように、俺も貴様がデータで知っている孫悟飯ではない。今から俺の力をみせてやろう。はあああっ!!」

 

 悟飯は抑えていた気を開放した。

 

パイクーハン「(何て気だ!悟空を凌駕しているぞ!)」

 

セル「バカな、孫悟飯にこれ程の力が…!?」

 

 瞬きをした時には悟飯は後ろにいた。そして、セルに何発もの打撃を受けた跡があった。

 

セル「そんな…、俺が負けてるなど…!ぶるぁあああっ!!」

 

 激怒したセルは全力を出して悟飯に襲い掛かった。しかし、セルの攻撃は全て片手でいなされていた。

 

悟飯「お前の実力は俺のいた世界で一度自爆から復活したセルと同レベルか…」

 

セル「この完全体となった俺が負ける筈がないんだ!!」

 

悟飯「甘いぞ、セル!世の中には上には上がいるんだ!完全体になれば無敵と思っている時点で貴様の負けだ!」

 

 超サイヤ人2クラスの実力のセルが超サイヤ人3すら凌駕している悟飯に勝てるはずもなかった。

 

セル「ちきしょう……、ちきしょう~~~っ!!!」

 

 逆上したセルは過去のセルと同じようにパワーに頼った変身をした。そして悟飯に殴りかかったが、悟飯の方がはるかに上だった。

 

セル「ちきしょう!!こうなったら、これで吹っ飛べ!か~」

 

 フルパワーのかめはめ波を撃とうとしたセルだったが、悟飯はセルがかめはめ波を撃つ前に何発も攻撃してダウンさせた。

 

ナッパ「な、なんて奴だ…」

 

ラディッツ「ご、悟飯!俺が」

 

 悟飯は最後まで話を聞かずにラディッツをワンパンでダウンさせた。

 

悟飯「俺は貴様のような邪悪で弱虫な奴など叔父とは認めん」

 

ナッパ「貴様、あの時のガキだな…!俺を弱虫ラディッツと一緒だと思ったら」

 

悟飯「ナッパ、貴様は念入りに叩きのめしてやろう」

 

 いきなり悟飯はナッパの顔面を殴った。

 

悟飯「これはヤムチャさんの分だ!」

 

 次はナッパの腹に強烈なパンチを打ち込んだ。

 

悟飯「餃子さんの分!」

 

 そして、強烈な蹴りでナッパの左腕を使いものにならなくした。

 

ナッパ「ぐあああっ!!う、腕がぁああああっ!!」

 

悟飯「これは天津飯さんの分!」

 

ナッパ「ガキが…、調子に乗るんじゃねえ!!」

 

 最後の手段として、ナッパは口からビームを発射しようとした。

 

悟飯「そしてこれは…、あの時、討てなかったピッコロさんの仇だぁあああっ!!」

 

 悟飯は怒りのかめはめ波でナッパを遠くへ吹っ飛ばした。その頃、パンは機甲戦隊と特戦隊の計8人全員と戦っていた。

 

ジース「小娘、可愛がるってのは、よしよしするもんじゃねえぞ!」

 

ギニュー「いちいち説明せんでもいい!」

 

パン「あら?だったら、私の力を見せてあげるわよ。はあああっ!!」

 

 一気に勝負を決めるためにパンは超サイヤ人に変身した。

 

フリーザ「な、何だと!?孫まで超サイヤ人になれるのか!?」

 

パン「当然じゃない」

 

サウザー「怯むな!かかれ!」

 

 8人いっぺんにパンに襲い掛かったが、全員パンに瞬殺された。

 

フリーザ「な、なんて強さだ!」

 

コルド「これが孫悟空の孫の強さだとでもいうのか!?」

 

 呆然としている間にフリーザ親子もパンに瞬殺されたのであった。

 

パイクーハン「(あの親子は恐ろしく強いな。流石は悟空の血を引いているだけの事はある)」

 

 地獄での悪人退治はいつもはパイクーハンの仕事だったが、今回は悟飯親子に譲る事にした。

 

パン「鬼さん、フリーザ達はみんなやっつけたわよ」

 

悟飯「パンも終わらせたのか」

 

パイクーハン「悟飯の方は随分と派手にやったな」

 

悟飯「少し、恨みがある敵がいましてね…」

 

鬼「ありがとうオニ。フリーザ親子とセルは新しくできた地獄へ送るオニ」

 

パン「新しい地獄?」

 

 そこは、ある洞窟を抜けた先にできた新しい地獄だった。そこは今までの地獄と違って明るくて草木も生い茂っており、天使や動物たちが陽気なパレードをしており天国にしか見えないが、極悪人のフリーザ親子とセルにとっては今までの地獄よりも辛い地獄であり、凄まじい精神的苦痛だった。

 

フリーザ「ぎゃああああっ!!」

 

コルド「あああああっ!!」

 

セル「ぶるぁあああああっ!!!」

 

 新しい地獄で極悪人の悲鳴が木霊するのであった。

 

悟飯「新しい地獄は天国にしか見えませんね」

 

パイクーハン「閻魔大王の考案で新しくできたからな。ただ、苦痛を与えるよりもそっちの方が効果的な悪人もいると判断しての事らしい」

 

パン「早く展開に戻ってパパを探そう」

 

シン「はい、そうしま」

 

???「人様の獲物を横取りしたのはてめえらか?」

 

 そう言って現れたのは、孫悟空の父親のバーダックだった。

 

悟飯「(お父さん?いや、雰囲気が違う!)」

 

パン「ちょっとあんた、悟空おじいちゃんに似てるけど何者なの!?」

 

バーダック「俺の名はバーダックだ。フリーザ達が暴れてると聞いて張り切って来てみりゃ、勝手に倒しちまってるなんてよ!」

 

パイクーハン「俺達は大界王様の頼みで暴れている悪人達を倒したんだ」

 

バーダック「そいつらは俺の獲物だ!勝手に横取りするんじゃねえ!」

 

 フリーザを倒そうとしたバーダックは先を越されて機嫌を悪くしたため、超サイヤ人2に変身してパイクーハンを一蹴し、悟飯に襲い掛かってきた。

 

悟飯「(この人も超サイヤ人2になれるのか?それに、太ったブウと同じぐらい強い!)」

 

 悟飯はバーダックと応戦し、しばらく格闘戦を繰り広げてから距離をとった。

 

バーダック「坊主、なかなかやるな!最近はセルでさえ物足りなくなってきたからこんなに強い奴は久しぶりだ。名はなんだ?」

 

悟飯「孫悟飯です。サイヤ人の父親と地球人の母親から生まれたハーフです。近くにいる女の子は僕の娘のパンです」

 

バーダック「そうか、どうりであんなに強かったわけか」

 

 獲物を横取りされて機嫌が悪かったものの、悟飯の強さ等でバーダックは機嫌が良くなった。

 

パイクーハン「お前、肉体を与えられているな?なぜおまえのような悪人が肉体を持っている?」

 

バーダック「閻魔大王との取引さ。俺は仲間や妻のギネの5人分の苦しみも受けるからそいつらに苦痛を与えるようなマネをするんじゃねえと言った所、閻魔大王はそれを考慮して俺に肉体を与えて仲間達とギネに苦痛を与えない代わり、地獄の悪人共が暴れたら退治しろっていう契約を提示したのさ。それを俺は引き受けたって訳だ」

 

シン「それで、獲物を横取りされたと思って機嫌を悪くしていたのですか」

 

 バーダックの強さに悟飯達は協力を申し出た。

 

バーダック「そうか、お前みたいに強い奴と戦えるのなら楽しめそうだな」

 

キビト「だが、悪人達を押さえる武闘家がいなくては…」

 

バーダック「それなら、ベジータに任しとけばいいだろう」

 

悟飯「未来のベジータさんもバーダックさんと同じように肉体を与えられたのですか?」

 

バーダック「何でも、浄化する装置がお釈迦になっちまったから、そういう処置をとったそうだ」

 

シン「バーダックさんも加わった所で天界に戻りましょうか」

 

 

 

閻魔界

 悟飯達は閻魔大王にバーダックを同行させてほしいと頼んでいた。

 

閻魔大王「なるほど、魔人ブウの脅威故に同行させてほしいか…。確かに界王神様が動くとなれば余程の事態だ。同行を認めよう」

 

悟飯「ありがとうございます!」

 

シン「許可をもらった事ですし、この時代の悟飯さんを探しましょう!」

 

閻魔大王「ちょっと待て!孫悟飯は」

 

 閻魔大王の話を聞かずに悟飯達は行ってしまった。

 

閻魔大王「孫悟飯は死んでからはとても話のできる状態じゃないんだぞ…」

 

 

 

天界

 閻魔大王にバーダックを同行させてほしいと許可をもらった後、悟飯達は捜索を再開していると、突如として未来で死んだ悟空が現れた。

 

未来悟空「おっす!」

 

悟飯「父さん、お父さんですか!」

 

未来悟空「お~、久しぶりだなぁ!やっぱ悟飯の気だったんか!地獄で強い気のぶつかり合いはなかなかねえから、誰かなって嬉しくなって来てみたらやっぱり悟飯か!あれ?でも悟飯お前ぇ、あんなに暗い感じになってたのに、すっきりした顔をしてどうした?」

 

悟飯「それは…」

 

パン「私の生まれた時代の悟空おじいちゃんだ!」

 

 パンが生まれた未来世界での悟空に会えたパンは悟空に抱き付いた。

 

未来悟空「悟飯、こいつ誰だ?」

 

悟飯「この子はパン、この時代の僕とビーデルさんの娘です」

 

未来悟空「つー事は、オラはじいちゃんになった訳か!」

 

バーダック「(あいつは間違いねえ、カナッサ星人の技で未来を見てしまった際に見た成長したカカロットだ!とすりゃ、悟飯とパンは…)おいカカロット、ちょっと俺と手合わせ願えるか?」

 

未来悟空「な、何でオラのサイヤ人としての名前知ってんだ?」

 

バーダック「聞きたかったら…、俺と手合わせしてみやがれ!」

 

未来悟空「そんじゃ、そうさせてもらおっか!」

 

 挨拶代わりに悟空とバーダックは戦った。

 

シン「戦いが挨拶代わりですか…」

 

 それからしばらくして互いに満足して戦いをやめた。

 

未来悟空「なぁ、どうしてオラの名前を知ってんだ?」

 

バーダック「知りたいか?俺の名はバーダック、お前の父親だ」

 

 バーダックが悟空の父親だという事に衝撃が走った。

 

シン「ば、バーダックさんが悟空さんのお父さん!?」

 

パイクーハン「とすれば、悟飯はバーダックの孫でパンは曾孫になるな」

 

悟飯「まさか、こんな所でお父さんの方のおじいちゃんに会ってしまうなんて…。おじいちゃんの言っていたギネって人は僕からすればおばあちゃんになるんですか?」

 

バーダック「ああ、そうだぜ。それにしても、たった戦闘力2のガキがあんなに強くなっちまうとはな。孫も曾孫も強い奴で俺は誇りに思うぜ」

 

未来悟空「悟飯、おめえはなんか様子が違うな。どうしてだ?」

 

悟飯「実は…」

 

 悟飯は仲間達と共に過去から来た事を明かした。

 

未来悟空「へえ~、オラが死んでからブルマもすげえもんを作ったか」

 

 意外な形で4世代集まった悟空一家の会話で和んでいると、キビトが反応した。

 

キビト「界王神様、気の乱れを感じますぞ!」

 

悟飯「とても怒りに満ちた禍々しい気ですね…」

 

シン「とにかく、行きましょう!」

 

 大暴れしている禍々しい気の持ち主の元へ向かってみると、一同は衝撃を受けた。

 

悟飯「そ、そんな…」

 

パン「間違いないわ…、あそこにいるのは写真に写ってる通り、パパよ!」

 

 そこにいたのは、パンの父親である未来世界の悟飯だった。

 

先代の全王『遂に未来世界の孫悟飯を発見する事ができた悟飯達。しかし、未来の悟飯はなぜ大暴れしているのであろうか?』




これで今回の話は終わりです。
今回はジャネンバとの戦いやアニメのあの世一武道会開幕前でもやった地獄での悪人退治、バーダックと未来悟空登場を描きました。
真武道会2ではバーダックはパイクーハンを叩きのめせていたので、普通の状態では説得力がないと判断し、超サイヤ人2にまで変身可能な状態としました。
未来の地獄でセルが完全体になっていたのは、どうせ未来の17号と18号は地獄行きが確定してるので、虐殺した末路として未来世界のセルが地獄に落ちた後に吸収されてるだろうと思ったためです。
ようやく見つかった未来悟飯ですが、次の話で亀仙人が言っていたトランクスやパンに会いに行けなかった理由が明らかとなります。


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10話 未来悟飯復活!

神様の神殿

 ビーデルは亡き夫の悟飯がまだ生きていた時に生まれたばかりのパンと一緒に撮った写真を見つめていた。

 

ピッコロ「ビーデル、あの世にいる悟飯の事が心配か?」

 

ビーデル(未来)「はい。あの人はどうしてもトランクスには見せられない弱さを私やイレーザとシャプナー、そしてパパに見せたんです。お父さんが生きていればとか、もっと子供の頃に力があればピッコロさんや他の人達を死なせずに済む事ができたのにって」

 

ピッコロ「俺達の時代でも未来でも悟飯は真面目な奴だな」

 

ビーデル(未来)「だからこそ怖いんです。とても真面目な人ほど自分で自分を追い詰めやすく、道を踏み外しやすいと。悟飯は弟子のトランクスや妻の私に娘のパンを残して死んでしまったせいであの世で更に自分を追い詰めていないかと心配で…」

 

ピッコロ「確かに、真面目な奴はそういう傾向もみられる。そうならないでほしいと思いたくなるな…」

 

 

 

 

天界

 遂に未来世界の悟飯を発見した悟飯達だったが、未来世界の悟飯は様子がおかしかった。

 

パン「あの人は間違いなく写真に写っている通り、パパよ!」

 

悟飯「あれが…、未来での僕…」

 

悟空「そう、あれがこの世界での今の悟飯だ。だからさっきお前ぇに会った時は、ほんとにおでれえたんだ」

 

悟飯「…なにかと戦っているみたいです。しかし、相手がいません」

 

悟空「あいつは人造人間の幻影と毎日のように闘っている。オラ達の声も聞こえちゃいないらしい…」

 

悟飯「(まさか、クリリンさんが亀仙人さん経由で聞いた占いババさんが言ってたとても呼べるような状態じゃないはこの事だったのか!)」

 

 

 

???

 死んだ未来の悟空達はあの世で第二の人生を歩んでいるが、未来の悟飯は死んだ後も人造人間の呪縛から逃れられず、あの世でも未だに人造人間の幻影と戦い続けていた。

 

17号(未来)「懲りない奴だな、まだ生きていたのか?」

 

未来悟飯「当たり前だ!お前達を倒すまでは俺は死なない!」

 

18号(未来)「17号、こいつはもう殺してしまわない?」

 

17号(未来)「そうだな。うっとうしいし、ここで殺すか!」

 

 未来悟飯は人造人間に向かっていったが、二人一組を活用したフェイントなどの連携の前には歯が立たなかった。

 

未来悟飯「まだだ!」

 

 気弾を放ったが、17号と18号はエネルギー弾を放って相殺させた。その後、2人は再び二人一組のフェイントで襲い掛かってきて、悟飯は対応しきれずに蹴り飛ばされた。

 

未来悟飯「まだだ、まだ俺は戦える!」

 

 すぐに立ち上がり、未来悟飯は向かっていった。

 

 

 

 

天界

 しかし、未来の17号と18号は死んで地獄行きになった後にセルに吸収されたため、未来の悟飯が戦っている17号と18号は幻影に過ぎなかった。

 

未来悟飯「でりゃあああっ!!」

 

パン「パパ…!」

 

キビト「パン、迂闊に近づくんじゃない!」

 

 キビトの言う事も聞かずにパンは未来の悟飯に近づき、念願の父親との対面を果たした。

 

パン「やっと会えたね、パパ!私、ずっと会いたかったよ!」

 

 しかし、未来の悟飯はパンに襲い掛かってきた。

 

未来悟飯「でやあああっ!」

 

パン「パパ…?」

 

 父親が自分を娘と認識せずに攻撃しようとした姿にパンはショックを受けて呆然と立ち尽くしていた。そんな未来悟飯の攻撃を悟飯が防いだ。

 

悟飯「やめろ!その子は君の娘なんだ!」

 

パン「そんな…、パパが…パパが私を攻撃しようとしたなんて…」

 

悟飯「何をしてるんだ!?パン!僕が未来の僕を押さえるから自分は娘だと呼びかけるんだ!」

 

 悟飯は力の差で未来の悟飯の攻撃を簡単にいなして隙ができた所を取り押さえた。

 

未来悟飯「うぐぐぐっ!!」

 

パン「パパ、聞いて!私はパパの…、孫悟飯の娘のパンよ!パパの事はママが教えてくれたのよ!とっても強くて優しい人だって!だから、私もずっとパパに会いたかったの!パパ、暴れるのはやめて!!」

 

 パンの悲しい叫びも人造人間の呪縛に捕われ続けている未来の悟飯には届かなかった。

 

パン「なんで…、なんでパパは私の声が聞こえないの…!?」

 

 父親に自分の声が届かない事にパンは遂に心が折れて泣き出してしまった。

 

悟飯「なんで君にはパンの悲痛な声が聞こえないんだ!?パンはずっと父親がいなくて寂しい想いをしたから、ずっと君に会いたいと思い続けてきたんだぞ!そんなパンの気持ちを裏切るのか!?」

 

未来悟飯「がっ、ぐがあああっ!!」

 

 悟飯の怒りの言葉も届かなかった。

 

未来悟空「いい加減にしろ、悟飯!!」

 

 娘の声が届かない未来の悟飯を悟空は殴りつけた。

 

未来悟空「悟飯、修行ばっかして働かねえ上、チチを困らせたりしてろくに父ちゃんとしてやるべき事さえできてねえオラが言うのも何だが、おめえはそれでも父親か!?パンはずっとおめえに会いたがってたんだぞ!おめえはチチやパンを泣かせるオラみてえなダメな父ちゃんになりたかったのか!?」

 

 未来の悟空の説教さえ未来の悟飯には届いていなかった。

 

未来悟空「悟飯、手を放せ。子のしつけは親がやんねえとな」

 

悟飯「わかりました…」

 

 悟飯は手を放した。そして、未来の悟空は超サイヤ人3へと一気に変身した。

 

バーダック「カカロット、遠慮なんかいらねえ、思いっきりやれ!」

 

シン「バーダックさんまでそんな事を言わないでくださいよ!ここは家族の情で…」

 

パイクーハン「しかし界王神様、言葉が伝わらないのは事実です。実力行使もやむを得ないでしょう」

 

 未来の悟空と未来の悟飯の親子対決に困惑する界王神をパイクーハンは実力行使もやむなしと話すのであった。

 

未来悟空「悟飯、オラが相手だ!全力で闘ってやる!かかってこい!」

 

 超サイヤ人3に変身して全力で戦う悟空に対して、未来の悟飯も超サイヤ人2に変身して両者は激突した。未来の悟飯の戦い方はピッコロ寄りのスタイルであった。

 

未来悟空「(この動き、ピッコロの動きに似てっぞ)」

 

未来悟飯「だあああっ!!」

 

 未来の悟飯はピッコロの技、魔貫光殺砲の構えをとって気を溜め始めた。

 

悟飯「あれはピッコロさんの技の魔貫光殺砲だ!未来の僕はあの技まで習得していたのか!?」

 

 チャージが終わって未来の悟飯は魔貫光殺砲を放ったが、威力を出すためには溜める必要があるという弱点故、未来の悟空にかわされた。

 

未来悟空「やるな、悟飯。だが、そんな隙だらけの技は工夫しねえとオラに当たりはしねえ!」

 

 未来の悟空は格闘戦に入り、力の差で未来の悟飯を圧倒した。次に悟飯は魔閃光の構えをとった。

 

未来悟空「か~め~は~~め~~!」

 

 未来の悟飯に対し、未来の悟空はかめはめ波の構えをとったが、溜めている最中に消えてしまった。

 

シン「悟空さんが消えた!?」

 

悟飯「あれはセルに放った瞬間移動かめはめ波だ!」

 

 セルゲームの際に悟空の瞬間移動かめはめ波を見たため、悟飯には未来の悟空が消えた理由がわかった。消えた未来の悟空は未来の悟飯の前に現れた。

 

未来悟空「波ぁああああっ!!」

 

未来悟飯「ぐああああっ!!」

 

 一応、加減はして未来の悟空はかめはめ波を放ち、未来の悟飯を吹っ飛ばした。

 

キビト「おお、これで暴走は止まったのか!?」

 

 悟空の圧倒的な力で未来の悟飯の暴走は止まったかのように見えたが、また暴れ始めようとしていた。

 

パン「そんな…、悟空おじいちゃんでもパパを止められないなんて…」

 

悟飯「何か…、手はないのか…?」

 

シン「パンちゃんでも悟空さんでもダメだとすると……あっ!!」

 

 ふと、界王神はベジータがピッコロの洗脳を解くために悟飯の事も交えながらの悪口を言った事を思い出した。

 

シン「(それだ!あの時、ピッコロさんの洗脳を解いたベジータさんの作戦を応用すれば…!)」

 

パイクーハン「界王神様、何を思いついたのですか?」

 

シン「悟飯さん、しっかりしてください!人造人間はトランクスさんが倒しました!そして今、地球ではトランクスさんが危険な目に遭ってるんです!悟飯さんの力を貸してください!」

 

未来悟飯「!?ト、トランクス!?トランクスは無事なのか!?」

 

 界王神がトランクスの危機を知らせると、今までパンや未来の悟空の声が届かなかった未来の悟飯は反応し、正気に戻った。

 

悟飯「パン、界王神様の言葉で未来の僕は正気に戻れたみたいだ」

 

パン「…パパ…!」

 

 父親が正気に戻った事にパンは泣き止んだ。

 

未来悟空「悟飯、正気に戻ったか?」

 

未来悟飯「え?お父さん?お、俺は今まで何を…。ここは…、俺は死んだはずじゃ…」

 

未来悟空「悟飯、おめえにずっと会いたがってた奴がいっぞ」

 

未来悟飯「会いたがってた人?」

 

パン「パパ~~~っ!!」

 

 ようやく父親が正気に戻った事でパンは大喜びして未来の悟飯に抱き付いた。

 

パン「パパ、やっと…、やっと会えた…!!」

 

未来悟飯「パパ…?」

 

 パパと言われて未来の悟飯は困惑したものの、抱き付いている女の子が自分が死ぬ前にビーデルが産んだ娘のパンの成長した姿である事に気付いた。

 

未来悟飯「そうか、あの時、赤ちゃんだったパンの成長した姿が君なのか?」

 

パン「そうだよ。パパ、私ずっと、ずっと会いたかったの!ママからパパの事を聞いてからずっと会いたかった…!」

 

未来悟飯「パン、俺が弱くて不甲斐ないばかりに死んでしまってお前とビーデルには寂しい想いをさせてしまったな。おまけに正気を失っていたせいで会いに行けなかったばかりか、お前を泣かせてしまった。すまなかった!」

 

 うれしさのあまり涙を流す愛娘を未来の悟飯は死んだ際に戻った左腕も含め、今度は両腕で優しく抱き締めたのであった。そして、悟飯達は未来の悟飯に今までの経緯を話した。

 

未来悟飯「そうか、俺が死んでしまったばかりにパンは過去の俺に迷惑をかけていたのか…。そもそもの責任は弱かったから人造人間に殺された俺にある」

 

キビト「過去の悟飯はパンが迷惑をかけたとは思っていない。それに、今はそんな時ではないんだ」

 

未来悟飯「そうでしたね。先程の説明で事情はよくわかりました。皆さんが俺の力を必要としている事も。俺は皆さんの役に立ちたい…、さっそくそのZソードを抜きに向かいましょう!今度こそ地球を守ってみせる!」

 

 

 

界王神界

 キビトの瞬間移動でZソードの前に悟飯達は来た。そして、未来の悟飯がZソードを引っ張ると、あっさりと抜けたのであった。その次の瞬間、一度Zソードを抜いた事のある過去の悟飯が何のためらいもなく、抜いたばかりのZソードを砕き割った。

 

シン「なっ、何をやってるんですか!?ブウを倒せるかも知れない唯一の希望が!!」

 

悟飯「それなら大丈夫ですよ、界王神様。その剣は何の役にも立ちませんから。それに界王神様が探しているものならそこに」

 

シン「何をおっしゃってるんですか悟飯さん!ブウを倒せるような強力な力なんてどこにあるんですか!?」

 

???「それはわしの事なんじゃな~これが。お主、よくこの秘密を知っておったのう?」

 

 Zソードが破壊された事でビルスに封じられていた15代前の界王神、老界王神が姿を現したのであった。

 

未来悟空「な、何だ?あのじっちゃん」

 

老界王神「ふう、あのワガママ放題の破壊神に封じられてもう何千万年もたったが、ようやく出られたわい」

 

悟飯「あの人は15代前の界王神様です。性格に難はありますけど、あの人は人の持つ潜在能力を限界以上に引き出して強くできる人なんです」

 

キビト「とすれば、君のあの圧倒的な力は過去のあの界王神様によって引き出された力という事になる!」

 

悟飯「その通りです。お父さん、おじいちゃん、老界王神様に余計な事をしてはダメですよ!」

 

未来悟空「わかったわかった、てっきりすげえ奴かと思って試そうと思ったけどな」

 

老界王神「で、剣を抜いたのはお前さんか?」

 

未来悟飯「はい。老界王神様、俺の潜在能力を限界以上に引き出して強くしてください!今、地球には魔人ブウによって俺の家族や弟子が危険に晒されているんです!どうかお願いします!」

 

老界王神「……よかろう。お前さんの潜在能力を引き出してやろう」

 

未来悟飯「ありがとうございます!」

 

老界王神「その代わりと言ってはなんじゃが、生の美女の尻と胸を触らせてくれんかのう?」

 

 悟空達のいた時代の老界王神と同じく、未来の老界王神のスケベな発言に一同は未来の悟空以外は思わずコケてしまった。

 

パイクーハン「な、なんて界王神とは思えない下品な性格なんだ!?」

 

バーダック「ろくでもない爺さんだな」

 

シン「ご、ご先祖様、何と言う事をおっしゃるのですか!?」

 

キビト「あなたはそれでも界王神なのですか!?」

 

老界王神「お前さん達だって自分の趣味は大切にしたいじゃろう?で、心当たりはあるかのう?言っておくが、そこの子みたいな小さな子供はお断りじゃからな」

 

パン「子供で悪かったわね!!」

 

老界王神「子供に興味なんかないわい。わしに触ってほしいなら、もっと背と胸と尻が大きくなってからおいで」

 

パン「そもそも頼みなんかしないわよ!!」

 

 幼いパンには老界王神は一切興味を示さなかったが、ふとパンの持っている写真が風で飛んで老界王神の元に来た。

 

パン「あっ、写真が!」

 

老界王神「ん?この女子は悟飯とやらの妻とみた。この女子の尻と胸を触らせてくれんかのう?」

 

 

 

神様の神殿

 悟飯達を待つビーデル達だが、ビーデルはある違和感を感じた。

 

悟天「お姉ちゃん、どうしたの?」

 

ビーデル(未来)「さっき、寒気がしたのよ…。なんか、嫌な感じがして…」

 

ベジータ「カカロットだ!未来のカカロットがお前をダシにしようかと交渉してるに違いない!!ブルマに手をださせようなら、ぶっ殺してやる!!」

 

 ビーデルが感じた寒気をベジータは未来の悟空がスケベな奴にビーデルをセクハラさせる交渉をしていると断定し、怒りを露わにした。

 

悟空「ベジータ、おめえの勘違いじゃねえのか?」

 

ベジータ「勘違いなわけあるか!!自分の妻にさえダシにするお前のそういった言葉は信用できるか!!」

 

チチ(未来)「悟空さ、過去の時代で武天老師様みたいなスケベな奴にオラを触らせていいと勝手に許可を出したりしたのか!?」

 

ブルマ(未来)「やっていい事と悪い事があるでしょ!?いい歳してそんな区別もつかないの!?」

 

 話にチチとブルマも加わり、3人の説教に悟空はタジタジにされてしまった。

 

ピッコロ「(やはり、あの2人は未来でも超宇宙最強の妻だ…!)」

 

クリリン「悟空も大変だなぁ…」

 

17号「クリリンこそ女好きは大概にしとけよ。そこを18号に見られたら、死ぬのが楽に思えるぐらいの苦しみが待ってるぞ」

 

 17号の警告にクリリンも頷くのであった。

 

 

 

界王神界

 老界王神が未来の悟飯の潜在能力を限界以上に引き出す代わりにビーデルの尻と胸を触らせろという発言にはパンと悟飯は大激怒した。

 

悟飯「な、なんて事をしようとするんですか!!」

 

パン「私のママになんて事をしようとするのよ!!このエッチ!!」

 

 激怒したパンは老界王神をボコボコにしてしまった。

 

老界王神「ううっ…、少しは年寄りを労わらんかい…!」

 

シン「ご先祖様こそそういった事を慎んでください!」

 

未来悟空「パン、そんぐれえさせてもいいんじゃねえのか?」

 

パン「悟空おじいちゃんまでなんて事を言うのよ!!」

 

パイクーハン「見損なったぞ、悟空!少しはやっていい事と悪い事の分別ぐらいつけろ!」

 

老界王神「悟飯はどうなんじゃ?」

 

 未来の悟飯は過去の悟飯と違って言葉に出さなかったものの、明らかに激怒した目つきで威嚇した。

 

老界王神「わ、わかったから、潜在能力を開放する儀式を執り行おう」

 

未来悟飯「わかってくれたのなら結構です」

 

老界王神「言っておくが強くなるための道は険しく遠いぞ!」

 

未来悟飯「はい、何だってやります!」

 

老界王神「うんうん、若いもんはそうでなくてはのう」

 

悟飯「うう…、あれはとても大変なんだ…。自分に同情するみたいでなんか変だけど、と、とにかく、頑張ってね…」

 

未来悟飯「ん?あ、ああ。ありがとう…」

 

老界王神「それじゃ行くぞい!」

 

 老界王神の儀式は悟空達の時代と同じで儀式に5時間、パワーアップに20時間かかった。その間、悟空はある事を閃いた。

 

未来悟空「オラ、ちょっと用事あっから、大界王星に向かっとくぞ」

 

 そのまま悟空は瞬間移動していった。

 

悟飯「パイクーハンさん、お父さんはどこに行ったのでしょうか?」

 

パイクーハン「俺の予想が正しければ多分、大界王星だと思う。あそこには悟空の仲間達もいるからな」

 

パン「過去のパパもあの儀式を受けたの?」

 

悟飯「そうだよ。とっても辛かったんだ…」

 

パン「パパは何時間も突っ立ってるのに何一つ嫌な顔をしてないよ」

 

悟飯「多分、人造人間との辛い戦いを続けていたから我慢強くなったんじゃないかな?」

 

 過去の悟飯と違って未来の悟飯は何時間立ち続けても、十時間以上も座って特定の姿勢を取り続けても嫌な顔をせずに姿勢を保ち続けていた。そして25時間後…。

 

老界王神「よくやったのう、これにてわしの儀式は終わりじゃ」

 

悟飯「超サイヤ人に変身するような感じで気を入れてごらん」

 

 言われた通りに未来の悟飯は気を入れた。すると、過去の悟飯にもひけをとらない凄まじい気を放っていた。

 

バーダック「あいつ、かなりパワーアップしたみてえだぜ」

 

パイクーハン「あの界王神様の儀式は嘘っぱちではなかったのか…!」

 

老界王神「それで強くなったはよいが、どうやって現世に戻るんじゃ?お主らの頼みのドラゴンボールも死後1年以下じゃないと復活できんかったじゃろ」

 

悟飯「厳密には、1年以上経過すると生き返る保証ができなくなるそうです」

 

老界王神「ほんとに世話の焼ける救世主じゃのう…。わかった。ついでにわしの命もお前にやるわい」

 

未来悟飯「え?」

 

シン「いけません!大界王神様の御命をよりによって人間に与えるなどと!」

 

老界王神「気にせんでええ…。どうせわしはあと1000年ぐらいしか生きれんのじゃから…。それに、この者の世界のわしもそうしたんじゃろ?ここでわしがやらんと恰好がつかんじゃないか。では、さらばじゃ…」

 

 老界王神の命を得て未来の悟飯は遂に生き返った。

 

パン「パパ、これで私やママにおばあちゃんと一緒に暮らせるわ!」

 

未来悟飯「気を抜くな、パン。まずは魔人ブウを倒さなければいけないんだ」

 

バーダック「パイクーハン、俺達はどうしようか?」

 

悟飯「それでしたら、占いババに頼んで1日だけこの世に行く事ができますよ」

 

パイクーハン「そうだったな、そうさせてもらおう」

 

 すると、未来の悟空が人造人間に殺された仲間達を連れてきた。

 

未来悟空「悟飯、おめえは生き返ったんか?」

 

未来悟飯「はい、あの界王神様が自分の命をやると」

 

未来悟空「だったら、おめえが下界に行く前にオラが技をいっしょ教えてやっからな。時間がねえから、厳しく行くぞ。覚悟しとけ!」

 

未来悟飯「はい!」

 

 この世に行く前に未来の悟飯は未来の悟空からある技を教えてもらい、習得した。

 

クリリン(未来)「すげえぞ、悟飯!お前があの技を習得するなんてな!」

 

ヤムチャ(未来)「俺達も驚いたよな?天津飯」

 

天津飯(未来)「ああ。それに、見違えるほど強くなった感じがする」

 

未来悟飯「クリリンさん…、ヤムチャさん…、天津飯さん…」

 

ピッコロ(未来)「俺もお前の強くなれた姿を見る事ができて本当に嬉しいぞ。地球の未来はお前にかかってるんだ。今度こそ救って見せろ、悟飯!」

 

未来悟飯「はい、ピッコロさん!」

 

未来悟空「悟飯、オラは既に元の世界に戻った事があっから行くこたぁできねえ。ほんとは過去の時代のオラと勝負したかったけど、仕方ねえしな。それに、ピッコロ達はおめえを見送るために呼んだからな。もう生き返る事のできねえオラ達に代わって地球はおめえと弟子のトランクス、娘のパンが守れよ!」

 

未来悟飯「お父さん…、ピッコロさん…、みんな…!」

 

 未来の悟空達に見送られてこの世へ向かう未来の悟飯は思わず涙を流した。

 

ピッコロ(未来)「泣くな、悟飯。泣きっ面は似合わんぞ」

 

老界王神「それと、ポタラも持っていけ!これを使えば合体できるが、基本的にずっと合体したままになるからよく考えて使うんじゃぞ」」

 

未来悟飯「はい!そして見送りに来てくれてありがとう、お父さん…、ピッコロさん…、そしてみんな…!」

 

パン「行こう、パパ。魔人ブウを倒して地球を救いに!」

 

キビト「では、行くぞ」

 

未来悟飯「はい!」

 

 悟飯達はキビトの瞬間移動で現世に戻った。

 

先代の全王『潜在能力を開放してもらった未来の悟飯は過去の悟飯達と共に現世に向かった。今度こそ地球を守るという強い決意と共に』




これで今回の話は終わりです。
今回は悟飯達が未来悟飯の暴走を止めてから、未来悟飯が老界王神の儀式を経てアルティメット化するという流れになっています。
未来悟飯が死んだ後に精神が崩壊して暴れているというのは、真武道会2で未来悟飯は死後、あの世でずっと人造人間の幻影と戦っていたというのがあったからです。そして、愛弟子のトランクスの危機を聞いてピッコロ譲りの弟子バカぶりで正気に戻る展開は、ピッコロがバビディに洗脳された際にベジータがピッコロの弟子バカぶりを突いて暴言を連発して洗脳を解いたのが伏線となっています。
そして、待望のパンと未来悟飯の対面も描きました。
未来悟飯の老界王神のスケベな態度に対する反応は現代の悟飯に比べると直接言葉には出さないものの、目つきで威嚇するという形にしましたが、それは未来悟飯の物静かな性格故にそっちの方が合うだろうと思ったためです。
未来の人造人間に殺されたピッコロ達が見送りに来るというのはせっかく未来の悟空が出たので、未来のピッコロ達も見送りに来るぐらいいいだろうと判断したためです。なお、未来悟飯が現世に行く前に未来悟空から教えてもらった技はまだネタバレになるので言えませんが、凄い技を習得しました。
次は未来悟飯達が合流します。


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11話 大決戦の幕開け

とある惑星

 未来の悟飯が儀式を受けていた頃、悟空一家に敗れて死にかけたほどの深い傷を負ったブロリーは普通のサイヤ人と比べても非常に驚異的な早さで完治し、復活を果たしたのであった。

 

ブロリー「カカロット…、カカロットォ……!!」

 

 憎んでいた悟空と息子の悟飯、孫のパンに負けたブロリーの怒りはすさまじいものであり、理性は欠片も残っていなかった。そして、超サイヤ人3となって生身で地球へ向かったのだった。

 

 

 

神様の神殿

 界王神達は瞬間移動で神様の神殿に戻ってきた。ちょうどヤムチャと天津飯がドラゴンボールを6個手に入れており、残るは一つとなった。

 

占いババ「バーダック、パイクーハン、この世にいられるのは24時間だけじゃぞ」

 

バーダック「わかってるぜ、婆さん」

 

 そう言って占いババは閻魔界に戻った。ちょうどその場にはトランクスがおり、師である悟飯との再会が遂に叶ったのであった。

 

トランクス「悟飯さん…、生き返ったのですか!?」

 

未来悟飯「ああ、お前の助けになるために15代前の界王神様に潜在能力を開放してもらって、命ももらって生き返る事ができたよ」

 

トランクス「悟飯さん…、悟飯さん!!」

 

 もう会えないと思っていた師との再会にトランクスは涙を流したのであった。

 

未来悟飯「泣くな、トランクス。それにしても、見ないうちに随分と逞しくなったものだな。やはり、俺の思った通りだ。それに、俺の娘のパンを鍛えたのはお前じゃないのか?」

 

トランクス「はい。ですが、俺はパンの心の支えになってあげられなくて悟飯さんのようにはいきませんでした。まだ俺は未熟だ…」

 

未来悟飯「そう自分を責めるな。人によって感性も違うし、男と女では考えも違うのは当然だ。誰だって最初から上手く行くわけでもないから落ち込む事はない。それに、パンを鍛えたのはトランクスが倒れた時の事を考えて鍛えたんだろう?お前も厳しい戦いを乗り越えて随分と成長したな。俺は誇りに思うぞ」

 

トランクス「はい!」

 

???「悟飯…、本当に悟飯なの!?」

 

 声がした先には未来の悟飯の最愛の妻であるビーデルと母親のチチがいた。

 

ビーデル(未来)「悟飯、本当に生き返ったのね…?」

 

パン「そうよ、ママ。パパは生き返ったのよ」

 

未来悟飯「ただいま、ビーデル、母さん」

 

チチ(未来)「悟飯ちゃん…、悟飯ちゃん!!」

 

 生き返った悟飯にビーデルとチチは涙を流して抱き付いたのであった。

 

悟飯「お父さん、未来の僕はやっと家族と暮らせますね」

 

悟空「その前にブウを何とかしなきゃならねえけどな」

 

 地獄のような世界にならなかった過去の悟空と悟飯は地獄の未来を生きたチチとビーデルの涙の重さを感じ取ったのであった。

 

チチ(未来)「悟飯ちゃん…、生き返ってくれてオラは嬉しいけろ!悟飯が死んだときはビーデルとパンに会うまで自分が生きてる感じさえしなかっただ!!」

 

未来悟飯「心配をかけてごめん、お母さん、ビーデル…!」

 

ビーデル(未来)「これで…、これで悟飯と一緒に暮らせるのね…」

 

未来悟飯「その前に魔人ブウを倒すのが前提だけどね…」

 

 感動の再会の最中、ちびトランクスと悟天が来た。

 

悟天「お兄ちゃん、あの人は誰?」

 

悟飯「あの人はこの時代の僕なんだ」

 

ちびトランクス「なんか、同じ悟飯さんなのにあっちの悟飯さんは雰囲気が違う…」

 

 未来の悟飯は違う時代のトランクスと自分のいる時代では生まれなかった弟と対面したのであった。

 

未来悟飯「過去の俺、そこの子は…俺のいた世界とは違う時代で生まれた俺の弟なんだね?」

 

悟飯「そうだよ。僕の弟の悟天だよ。悟天、未来の僕にあいさつするんだぞ」

 

悟天「未来のお兄ちゃん、とてもかっこいい!」

 

未来悟飯「そうか、悟天、違う未来では弟がいたなんて、俺は嬉しいよ」

 

 何かが違っていれば生まれるはずだった弟の悟天と対面した未来の悟飯は悟天を抱っこした。育った環境は違っても本質は同じである未来の悟飯に悟天は懐いたのであった。

 

未来悟飯「そっちが過去の俺のいる時代から来たトランクスだね?」

 

ちびトランクス「ダサい恰好をする悟飯さんより、未来の悟飯さんの方がかっこいい!」

 

未来悟飯「ダサい恰好?過去の俺はそんな事をしたのか?」

 

ちびトランクス「そうだよ。カッコ悪いポーズをかっこいいとか言ってたし…」

 

 ちびトランクスは未来の悟飯にグレートサイヤマンの恰好をしている悟飯の写真を見せた。

 

ちびトランクス「未来の悟飯さんもカッコ悪く思う筈だよ」

 

未来悟飯「いや、それは人それぞれの感性の差じゃないのか?ある人の感性ではカッコ悪いと思っても、別の人はかっこいいと思うじゃないのか?」

 

ちびトランクス「そうかなぁ…?」

 

 もっともらしい事を言う未来の悟飯だが、グレートサイヤマンの恰好を密かに気に入っていたのであった。そんな中、バビディ達が大きな動きを見せないために未来の神様の神殿で再び精神と時の部屋を利用してさらに実力を上げた17号と18号、ピッコロが出てきた。人造人間を見た未来の悟飯は一気に表情を変えた。

 

未来悟飯「人造人間、復活したとでもいうのか!?」

 

 人造人間への怒りで未来の悟飯は突っ込もうとしたが、すぐにトランクスと悟飯とパンに取り押さえられた。

 

悟飯「人造人間に対する怒りはわかるけど、落ち着いて!」

 

ピッコロ「落ち着け、悟飯!俺達と一緒にいる人造人間はお前の戦った殺人鬼ではない!過去から来た悪人ではない方の人造人間だ!」

 

未来悟飯「……すみませんでした、ピッコロさん…」

 

 慕っているピッコロの言葉もあり、未来の悟飯はすぐに落ち着いて取り乱した事を謝罪した。

 

ピッコロ「まぁ、未来の悟飯はずっと人造人間と戦い続けてきたから、人造人間に対する怒りもわかる。反省する心があればそれでいい」

 

17号「お前も未来の俺達にひどい目に遭わされたんだって聞いたよ。お前も苦労したな」

 

クリリン「自分を殺した敵と同じ顔の奴と一緒に戦うっていうのも嫌だと思うけど、あの2人はいい奴で18号は俺と結婚したんだ。だから、俺からも一緒に戦ってほしい」

 

未来悟飯「か、過去のクリリンさんは結婚したんですか!?」

 

 トランクスと同じく、未来の悟飯も過去のクリリンが結婚していた事に驚いていた。

 

18号「そうだよ。それに、子供もマーロンもいるわよ」

 

未来悟飯「こ、子供まで!?」

 

 過去の人造人間と共闘する事になり、クリリンは既に18号と結婚しており、子供もいるという事実で未来の悟飯は驚きの連続だった。一方、悟空もバーダックが自分の父親である事に驚いていた。

 

悟空「いい~~っ!?おめえがオラの父ちゃんなのか!?」

 

バーダック「ああ、そうだぜ」

 

チチ(未来)「悟空さのおっとうだって!?オラは悟空さの奥さんのチチだ。よろしくだ」

 

バーダック「お前がカカロットの妻だって?地球人でありながら、サイヤ人の女みたいになかなか気の強そうな女だな。気に入ったぜ」

 

パイクーハン「(そう言えば、悟空は生きていた頃はよく奥さんに叱られてたって言ってたな。それは過去の世界でも同じなのか…)」

 

チチ(未来)「悟空さのおっとうも悟空さと同じぐらいかっこいいだ…」

 

バーダック「義理の娘にそんな事を言われるとちょっと恥ずかしいぜ…」

 

ベジータ「カカロット、トランクスが呼んでいるぞ」

 

 ベジータに呼ばれて一同は集まった。

 

トランクス「皆さん、魔人ブウを倒すために集まり、力を貸してくれてありがとうございます!俺とパンだけではブウはおろか、ダーブラにも勝てなかったかも知れません。ですが、皆さんの力を貸していただければバビディ達を確実に倒せるでしょう!そして、絶対に誰1人死んではいけません!」

 

ピッコロ「だが、最後まで気を抜くな!魔人ブウは簡単に勝てる相手ではないのだからな」

 

タピオン「そうだ。奴は完全に邪悪になった事で更に力をつけた。気を引き締めて戦わなければならない」

 

トランクス「はい!」

 

???「そういうわけには、いかないんだなぁ」

 

 声をかけたのはバビディだった。

 

トランクス「バビディ!」

 

バビディ「君達さぁ、何を勘違いしてるかわかんないんだけど、あまりおかしなこと言ってたら僕怒っちゃうよ?まぁいいや、ドラゴンボールあるんでしょ?ちょうだい」

 

ベジータ「わざわざ俺達の本拠地まで来て余裕じゃねえか。だが、貴様のような奴にドラゴンボールは渡さん!渡さないから報復として街をぶっ壊すとか言っても、今度は俺達が貴様らを全員ぶっ殺すからな!」

 

バビディ「お前~、言いたい事を先に言った上、全員ぶっ殺すだと!?生意気だぞ!こうなったら、今までより積極的に街を破壊してやる!!どうしてもやめさせたかったらドラゴンボールを全部渡せ!」

 

 ベジータの挑発にバビディは今までよりも街を破壊すると宣言して去って行った。

 

ヤムチャ「まさか、最後の1個はバビディが持っているのか!?」

 

タピオン「だろうな。そうでなければ、俺達にドラゴンボールを渡せと言わんだろう」

 

悟空「トランクス、バビディの横暴に対しておめえがやる方法は一つだけだろ?」

 

トランクス「はい、今回がチャンスです!みんなと一緒にバビディ達を全員倒し、この戦いに終止符を打ちます!」

 

 バビディを倒そうと意気込む悟空達だったが、何者かがヤムチャからドラゴンボールを奪っていった。

 

ヤムチャ「しまった!ドラゴンボールが!」

 

パン「パパ、あいつは…!」

 

悟飯「間違いない、ジャネンバだ!」

 

ジャネンバ「シャシャシャシャッ!」

 

 そのままジャネンバは逃げて行った。

 

パン「あいつ、逃げたわよ!それに、あいつは私達が倒したはずなのに…!」

 

悟飯「多分、やられていなかったんだろう」

 

パイクーハン「急いで追いかけるぞ!」

 

ピッコロ「待て!バビディ達が街を襲っているんだぞ!ドラゴンボールは後で取り返せばいいが、街はすぐに守らないとダメだ!」

 

トランクス「ちくしょう!どうすればいいんだ!?」

 

ベジータ「何を悩んでいる、トランクス!お前の正義感と硬い頭を直列繋ぎにしてもいい案は思いつかんぞ!少しは冷静になれ!」

 

トランクス「父さん、こんな状況で俺は冷静になんてなれない!」

 

ベジータ「こっちの人数は多いんだ!何人かがジャネンバを追って、残りはバビディ達をぶっ飛ばせばそれで済む話だろう!」

 

 説得力のあるベジータの機転にトランクスも納得した。

 

トランクス「そうか、父さんの言う通り、その手があった!」

 

未来悟飯「ベジータさんらしい機転の利き方だ!確かに、ジャネンバを追うチームとバビディ達と戦うチームに分ければ被害を最小限に留める事ができる!」

 

ピッコロ「だが、生半可な実力の奴ではジャネンバは倒せんぞ」

 

悟飯「ピッコロさん、僕と未来の僕にパンと界王神様達でジャネンバを追います!なので、ピッコロさん達はバビディ達を倒してください!」

 

ピッコロ「よし、わかった!」

 

未来悟飯「父さん、ベジータさん、これを!」

 

 未来悟飯は老界王神からもらったポタラを悟空とベジータに渡した。

 

悟空「これはポタラじゃねえか」

 

未来悟飯「15代前の界王神様からもらったものです。俺より、父さんとベジータさんが使った方がいいと思って」

 

ベジータ「あの時、俺達はブウの力を見誤ったせいで大変な目に遭ったからな。今回は使えるものは最大限に使うぞ!」

 

悟空「未来でヒルデガーンが出た時といい、ベジータが合体を拒否しねえのは珍しいなぁ。もしかすっと、でっけえ氷でも降ってくるんじゃねえのか?」

 

ベジータ「勘違いするな、合体するのが敵を手っ取り早く倒せる最善の手だからだ。幸い、ブウの体内で合体は解除できるから、こっちのデブのブウをひっぺがすか、過去に帰ってからブウに吸収されるなりすればいい」

 

トランクス「悟飯さん、お気をつけて。それと、仙豆を」

 

 トランクスは仙豆を3粒悟飯に渡した。

 

未来悟飯「トランクスこそ、気を付けるんだぞ!」

 

 過去と未来の悟飯とパンは界王神と共にジャネンバを追い、残りのメンバーはバビディ達と戦う事となった。

 

ヤムチャ「俺と天津飯は神殿に残る」

 

天津飯「正直言って、戦いについていけそうにない」

 

トランクス「2人は母さん達を守ってください。では、行ってきます!」

 

 トランクス達は出発した。

 

チチ(未来)「悟飯ちゃん、今回は無事に帰って来れるのか…」

 

ブルマ(未来)「今の私達にできる事はみんなが無事に帰ってくる事を祈るだけよ」

 

チチ(未来)「だけど、オラはどうしても心配で…」

 

ヤムチャ「大丈夫だって、悟飯は俺達の時代にいる方も未来にいる方も潜在能力を開放してもらって合体なしじゃ最強だし、いざとなればフュージョンやポタラもある。最強クラスの実力者達が集まったあいつらなら、きっとやれるさ」

 

ブルマ(未来)「ヤムチャったら、不安になってる人を励ましたりして過去にいる方でも人の良さは変わらないわね」

 

ビーデル(未来)「お義母さん、希望を持って悟飯達の勝利を祈りましょう」

 

チチ(未来)「そうだな。オラ達にできる事は待つ事だけだべ」

 

 

 

オレンジスターシティ

 バビディ達はオレンジスターシティから破壊していた。しかし、ブウは吸収した善のブウの影響でサタンがいるこの街を破壊するのに消極的だった。

 

バビディ「ブウ、何をやってるんだ?お前もこの街を破壊しろ!」

 

悪ブウ「…サタン、この街にいる。だから、破壊したくない…」

 

バビディ「そんな事がサボる理由になるか!玉に」

 

 それを言おうとしたバビディはふっと、話すのを止めた。

 

バビディ「(おっと、思わずブウを刺激してしまう所だった。このまま暴言をブウに吐き続ければ…)」

 

 

 

 バビディはピッコロの記憶を見た際にブウに殺される運命を知ったため、自分が下手をした場合にブウに殺されるのが容易に想像できた。

 

悪ブウ「こうしてしまえば俺を封じ込める事、できない!お前、弱いくせに俺に偉そうに命令して嫌い!ぶっ殺す!!」

 

 ブウはバビディが呪文を唱えられないように首を掴んだ後、頭を殴り潰したのであった。

 

 

 

バビディ「(さっさとドラゴンボールを集めてブウの制御を完璧にしないと、いつブウの反逆されるかわからないしな~)」

 

 そう言っていると、悟空の瞬間移動でz戦士達が目の前に現れた。

 

バビディ「わわっ!急に現れたら心臓に悪いじゃないか!それより、ドラゴンボールは渡すのかい?」

 

トランクス「違うな、俺達はドラゴンボールを渡しに来たんじゃない。バビディ達を殺しに来たんだ!」

 

バーダック「あのひ弱なジジイがバビディだって?強い奴だと思ってきてみれば、弱そうじゃねえか。がっかりしたぜ」

 

パイクーハン「バーダック、相手を見た目で判断してはならない。厄介な力を持ってる可能性もあるぞ」

 

17号「とにかく、こいつらを全員地獄送りにしないと大変な事になるからな」

 

バビディ「お前ら、生意気な口を叩きやがって!!」

 

ボージャック「バビディ様、我らにお任せを。今日こそ奴等の命日にしてやりましょう!」

 

ハッチヒャック「野蛮なサイヤ人を根絶させる絶好のチャンスです」

 

ベジータ「ハッチヒャックの2号機か?随分とお喋りな奴だな」

 

ハッチヒャック「そう、我らはハッチヒャックの2号機に宿るツフル人達の怨念だ!サイヤ人を根絶やしにしたくてうずうずしていたぞ!さらにゲストも出そう!」

 

 ハッチヒャック2号機は生命体状態のままでウイロー、ターレス、スラッグ、フリーザ、セルをゴースト戦士として蘇らせた。ゴースト戦士達にもバビディに洗脳された証のMがあった。

 

ベジータ「何っ!?戦闘形態の状態でゴースト戦士を出しただと!?」

 

スラッグ「ふはははっ!サイヤ人は皆殺しだ!」

 

ピッコロ「ナメック人の面汚しめ!」

 

スラッグ「ピッコロ、サイヤ人の味方をする者は例えナメック星人であろうとも、容赦はせんぞ!」

 

ピッコロ「けっ、何回蘇ろうとも、今回はバビディ達と一緒に再び地獄に送り返してやるぜ!」

 

 ピッコロはスラッグと戦う事になった。

 

ターレス「久しぶりだな、カカロット。相変わらずの甘ったれだな」

 

悟天「お父さんの偽者め!」

 

ターレス「カカロットにもう1人ガキがいたのか。小僧、痛くないようにあの世に送ってやるから心配するな」

 

ウイロー「サイヤ人は殺した後にゆっくり研究してくれるっ!」

 

ちびトランクス「悟天、あのおじさんの偽者とロボット野郎は俺達でやっつけようぜ!」

 

悟天「うん!」

 

 ターレスとウイローの相手はチビコンビがした。

 

フリーザ「これは久しぶりだね、クウラ」

 

クウラ「挨拶はどうでもいい。今はバビディ様の命に従い、猿共を皆殺しにするのが先だ」

 

バーダック「カカロット、あのフリーザに似た奴は誰だ?」

 

悟空「あいつはクウラと言って、フリーザの兄貴だ」

 

バーダック「そうか、フリーザが兄貴と一緒に来るのなら、俺達は親子で行こうぜ!」

 

悟空「父ちゃん、そうすっか!」

 

 フリーザ兄弟は悟空親子が戦う事となった。

 

セル「トランクス、貴様に殺された私の怒りを思い知るがいい!」

 

トランクス「そんなものは知りたくもない!お前は再び俺が殺して地獄行きにしてやる!!」

 

ハッチヒャック「セルと我らの相手はあの憎きサイヤ人の王家の親子だな」

 

ベジータ「ふん、俺達に殺された奴等がノコノコと蘇りやがって、俺達の方がはるかに上である事を嫌という程、叩き込んでやる!後に続け、トランクス!」

 

トランクス「はい、父さん!」

 

 セルとハッチヒャックはベジータ親子が相手をする事となった。

 

13号「さて、俺は孫悟空を」

 

17号「待ちな、人造人間のお前達の相手は同じ人造人間の俺が相手だ!」

 

13号「邪魔をするのか。まぁいい、俺達の方が上である事を証明してやろう」

 

クリリン「17号だけでは不安だ。力不足だと思うが、俺も加わるぞ」

 

 13号と14号と15号の相手は17号とクリリンの義兄弟コンビが戦う事となった。

 

ザンギャ「18号、あなたとの勝負もこれで終わらせましょう」

 

18号「ちょうどよかったね。あたしもあんたとの因縁を終わらせたかったんだよ!」

 

タピオン「パイクーハン、俺達は共にボージャックを叩きのめすぞ!」

 

パイクーハン「そうだな!」

 

ボージャック「お前達だけで勝てると思うとは大した自信だな。皆殺しにしてやるからかかってこい!」

 

 ボージャック一味とは18号がザンギャとの女同士の因縁で、タピオンとパイクーハンは残りの4人と戦う事となった。

 

先代の全王『遂にz戦士とバビディ一味の地球の未来をかけた大決戦が繰り広げられようとしていた。しかし、それにも関わらずブウは動こうとはしない。そして、悟空への復讐を目論み、ブロリーも地球へ向かってきているのであった』




これで今回の話は終わりです。
今回は短めで未来悟飯とトランクスの再会とバビディ一味との決着を着ける戦いの火ぶたが切って落とされるまでを描きました。
最初はゴースト戦士は出す予定はなかったのですが、ハッチヒャックを出した事で再登場させる事にしました。ガーリックJrが蘇っていないのは、まだデッドゾーンの中にいるからです。
次の話は悟空達とバビディ一味の戦いになりますが、冒頭でもあった通り、ブロリーも地球に来ようとしています。


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12話 悪魔再び!

オレンジスターシティ

 まず、先陣を切ったのはターレスとウイローだった。

 

ターレス「喰らいやがれ!!」

 

 ターレスとウイローはエネルギー弾を連続で放った。

 

悟天「わわわっ!!」

 

ちびトランクス「悟天、変身してカタを着けるぞ!」

 

 チビコンビは超サイヤ人に変身して挑んだが、ゴースト戦士となっているが故にターレスとウイローの強さはオリジナルを遥かに凌駕し、チビコンビと互角に戦えた。

 

悟天「お父さんの偽者はめちゃくちゃ強いよ!」

 

ターレス「当たり前だ。サイヤ人に殺されたサイヤ人である俺の恨みは強いからな」

 

ウイロー「サイヤ人は根絶やしにしてくれるっ!」

 

 戦闘経験の少ないチビコンビは簡単にターレスとウイローに翻弄されてふっとばされてしまった。

 

ちびトランクス「くそおっ!こうなったら悟天!」

 

悟天「うん!」

 

チビコンビ「フュ~~ジョン!はっ!」

 

 チビコンビはフュージョンしてゴテンクスに合体変身した。

 

ゴテンクス「お前ら、この俺様が出たからには瞬殺してやるぜ!」

 

 ゴテンクスは変身せずにターレスとウイローでは反応できないスピードで迫り、格闘戦で倒してしまった。

 

ターレス「く、くそっ…!」

 

 ターレスとウイローはスライム状になって消えた。

 

ゴテンクス「へっ、大した事なかったな!」

 

ベジータ「このクソガキが!ゴースト戦士は魔人ブウと同じように完全に気で消し飛ばさんといくらでも復活するぞ!」

 

 ベジータの言った通り、ターレスとウイローは復活してゴテンクスに襲い掛かった。

 

ゴテンクス「マジで復活したぞ!」

 

ターレス「俺達を倒す事なんざ不可能だぜ」

 

ゴテンクス「だったら、跡形もなく吹っ飛ばしてやる!スーパーゴーストカミカゼアタック!超ビッグオバケ!」

 

 ウイローとターレスを完全に消し飛ばすためにゴテンクスは今まで出したオバケよりも遥かに大きなオバケを出した。

 

ウイロー「ふん、こんな子供騙しの技で我らを倒せるとでも思っているのか?」

 

 事前情報がないためにウイローはオバケを殴った。

 

ゴテンクス「バーカ!引っかかったな!」

 

 すぐにゴテンクスはターレスをオバケの方へ蹴り飛ばした。オバケが怪しく輝いたのをターレスは見逃さなかった。

 

ターレス「お前、すぐに離れ」

 

 気付いた時にはすでに遅く、ターレスとウイローは巨大オバケの大爆発に巻き込まれて完全に消滅した。同時にゴテンクスも巻き添えになって黒焦げになっていた。その様子をフリーザ兄弟と戦っている悟空親子は目撃していた。

 

悟空「チビ達の方は片付いたみたいだな」

 

バーダック「カカロット、フリーザは俺にやらせろ!惑星ベジータの時にリベンジをやりたいからな。兄貴の方はお前がやれ」

 

悟空「わかった。リベンジを果たせよ、父ちゃん!」

 

 バーダックはリベンジも兼ねてフリーザと戦い、悟空がクウラと戦う事となった。

 

フリーザ「おやおや、俺に殺されたサイヤ人がむざむざとまた殺されに来たのかい?」

 

バーダック「違うな、俺は今度こそお前をぶっ殺しに来たんだ。お前の恐れていた姿にもなれるぜ。はあああっ!!」

 

 一気に勝負を決めるためにバーダックは超サイヤ人2に変身した。

 

フリーザ「な、何だと!?貴様が超サイヤ人に!?」

 

バーダック「地獄で色々と戦い続けてきたからな。自然となれちまったぜ。手加減なしで最初から全力で行かせてもらうぜ!!」

 

 バーダックのスピードにフリーザは反応できずに殴り飛ばされた。

 

フリーザ「猿如きが超サイヤ人になれたからと言っていい気になるなよ!!」

 

バーダック「おっと、俺の攻撃は終わりじゃねえぜ!!」

 

 まだバーダックの攻撃は終わっておらず、一方的にフリーザは殴られ続けていた。一方のクウラも超サイヤ人3に変身した悟空に押されていた。

 

クウラ「バカな!この俺が負けるというのか!?」

 

悟空「当たり前だ!プライドが高えのにバビディに簡単に屈しているおめえはオラに勝てねえ!悪ぃが、すぐに勝負を決めるぞ!」

 

クウラ「何だと!?すぐに着くと思ったら大間違いだ!」

 

 すぐにクウラは凝縮させたビームを指から放とうとした。

 

悟空「か~め~は~め~~!」

 

クウラ「そんな位置で俺を」

 

 ところが、悟空は瞬間移動でクウラの前に来た。

 

クウラ「い、いつの間に!?」

 

悟空「波~~~っ!!」

 

 クウラはかめはめ波をまともに喰らって吹っ飛ばされた。その頃、フリーザはバーダックに圧倒され続けていた。

 

バーダック「情けねえな、それでも貴様は俺達をこき使ってきた宇宙の帝王なのか?」

 

フリーザ「ふざけやがって!!この星ごと消し飛ばしてやる!!」

 

 激怒したフリーザは特大のデスボールで地球ごとバーダックと悟空達を消し飛ばそうとした。

 

バーダック「へっ、頭に血が上ったら星ごと吹っ飛ばすか。だったら、決めてやるぜ!」

 

 生前、バーダックがフリーザに向かって放ったファイナルスピリッツキャノンの特大バージョンを放つために気を溜めた。

 

フリーザ「吹っ飛べ~~っ!!」

 

バーダック「フリーザ、これで最後だぁ~~っ!!」

 

 特大デスボールとファイナルスピリッツキャノンがぶつかったが、特大ファイナルスピリッツキャノンがデスボールを打ち破り、フリーザを飲み込んだ。

 

フリーザ「そ、そんな!!この宇宙の帝王の俺が下等な猿如きに~~っ!!」

 

 断末魔を叫んだ後、フリーザは跡形もなく消滅した。ピッコロとスラッグは神と融合した事による知識と頭脳でピッコロが圧倒的に優位に立っていた。

 

ピッコロ「再生した如きが例え生前より強くなろうとも、弱点や戦い方を知り尽くしている俺達に勝てるわけねえだろ!!」

 

スラッグ「お、おのれ…!!」

 

ピッコロ「消えてなくなりやがれ!激烈光弾!!」

 

スラッグ「ぐ、ぐおおおおっ!!」

 

 激烈光弾を受けてスラッグは消滅した。ハッチヒャックとセルはベジータ親子に押されていた。

 

セル「そ、そんなバカな!?完全体となったこの私があんな青二才にまたしても負けるだと!?」

 

ハッチヒャック「サイヤ人が我らの怨念の力を凌駕しているほどにまで力をつけていたとは…!」

 

ベジータ「恨みつらみしか言わん亡霊如きに負ける俺じゃねえんだよ!」

 

トランクス「父さん、一気にカタをつけましょう!」

 

ベジータ「そうさせてもらおうか」

 

ハッチヒャック「我らを道端の石ころ程度にしか扱わんだと!?おのれ、野蛮なサイヤ人が思い上がりやがって!!喰らえ、リベンジャーカノンフルパワー!!」

 

セル「太陽系ごと吹っ飛べ!!か~め~は~め~~波~~~っ!!」

 

 ハッチヒャックとセルは地球はおろか、太陽系まで破壊しかねない威力の最終手段の技を放った。

 

ベジータ「ツフル人のガラクタとの縁もここで終わりにしてやるぜ!!」

 

トランクス「セル、再び完全に消えてしまえ!!」

 

ベジータ親子「ファイナルフラァ~~~ッシュ!!」

 

 ベジータ親子のファイナルフラッシュはセルのかめはめ波とハッチヒャックのフルパワーリベンジャーカノンを打ち破って2人に直撃した。

 

セル「そ、そんなバカな、ぶるぁあああっ!!」

 

 セルは完全に消滅したが、ハッチヒャックは何とか耐えはしたものの、完全にボロボロになって倒れたのであった。17号は13号と互角の戦いを繰り広げ、クリリンは14号と15号に数と力の差で押されていたが、持ち前の頭の良さで何とか戦っていた。

 

13号「死ねい!」

 

 13号は17号目掛けて指からビームを放ったが、17号は軽々とかわした。

 

17号「所詮は旧式のようだな。これくらいしか能がないのか?」

 

13号「ふふふ、今までの戦いは街での破壊活動も含めてほんのお遊びに過ぎんからな。俺の必殺技を見せてやろう。SSデッドリィボンバー!!」

 

 17号目掛けて13号は赤い気弾、SSデッドリィボンバーを放った。直進してきたSSデッドリィボンバーを17号はかわした。

 

17号「バカか?もっと工夫して」

 

 しかし、SSデッドリィボンバーは17号を追跡してきた。

 

17号「追跡してきた?」

 

13号「工夫して当ててみろと言いたかったのか?お前の言いたかったように工夫したぞ。さぁ、この地球の半分を吹き飛ばすパワーがあるこの技にどう立ち向かう?」

 

17号「へえ~、地球を半分しか吹っ飛ばせないのか。だったら、俺はまともに撃ち込んだら地球そのものを消し飛ばすエネルギー弾でぶっ飛ばしてやる!フラッシュボンバー!」

 

 SSデッドリィボンバーを見た17号は追跡機能と威力以外をマネした技、フラッシュボンバーでSSデッドリィボンバーを消し飛ばした。

 

13号「何っ!?」

 

17号「お前の切り札も破られたぜ」

 

 一方、クリリンは14号と15号に苦戦していた。

 

クリリン「やっぱり、未来でもこいつらはとんでもねえ奴だ。おまけに今まで遊んでたってなりゃ、ほんとは俺では勝てねえのかもな…」

 

 14号と15号は勝利を確信して笑みを浮かべ、クリリンへの攻撃を続けた。

 

クリリン「だが、俺だって今までいろんな戦いを潜り抜けてきたんだ!やってやるぞ!10倍太陽拳~~!!」

 

 あまりにもまばゆい光は14号と15号の光を感知するセンサーに機能障害を負わせ、レーダーなどにも異常が出た程であった。そして、クリリンは今まで作った事もないほどの巨大な気円斬を作り出した。

 

クリリン「これで終わりだ!気円斬!」

 

 10倍太陽拳で14号と15号が動けない間にクリリンは特大の気円斬を放った。気円斬はしばらく進んだ後、二つに分かれてそれぞれ14号と15号を両断した。

 

クリリン「まだだ!」

 

 そのままクリリンは気円斬を操作し、14号と15号をさらに両断して破壊したのであった。

 

17号「やるじゃないか、クリリン!流石は最強の地球人にして、俺の義理の兄とだけあるな!」

 

クリリン「へへへっ…、さっきので力を使い果たしちまったぜ…」

 

17号「クリリンは休んでな、後はこいつを片付けるだけだ」

 

13号「14号と15号がやられたか…。ふふふ……」

 

 過去の世界と同様に14号と15号がやられても13号は余裕を見せ、2体のデータチップと動力炉を吸収して変身し、合体13号となった。

 

13号「さぁ、続きを始めるか!」

 

クリリン「あいつ、俺達の世界の13号と違って合体しても喋ったぞ!」

 

17号「パワーアップしたみたいだな」

 

13号「17号、お前はパワーアップした俺に勝てはしない。先輩に敬意を払わなかった事を後悔するんだな!」

 

 そのまま13号は攻撃を仕掛けた。13号の猛攻に17号は太刀打ちできず、そのまま重いパンチなどを連続で受け、吹っ飛ばされた。

 

13号「SSデッドリィボンバー!」

 

 17号が吹っ飛ばされた方へ13号はSSデッドリィボンバーを放った。

 

クリリン「17号!!」

 

13号「奴は死んだ。次はクリリンの番だ…!」

 

???「なるほど、それがお前の実力か」

 

 声がした方には17号がいた。

 

13号「よくSSデッドリィボンバーの直撃を受けて無事でいられたな」

 

17号「バリアーを張って防いだのさ。それに、お前は俺を超えたと思っているようだが、早とちりしてしまったようだな。俺は全力なんて出してないぞ」

 

13号「何っ!?では、お前はずっと手を抜いていたとでも言うのか!?」

 

17号「その通り、お前の実力を確かめるために追い詰められたふりをしていたんだ。今度は俺も本気で行くぞ!」

 

 13号の実力を確かめ終わった17号は全力を出して13号に突撃した。全力を出した17号に13号は押されていき、一気に追い詰められていった。

 

13号「ぐはっ、ごほっ、ごはっ!」

 

 そのまま17号は13号を蹴り飛ばした。

 

17号「これで終わりだ!フラッシュボンバー!!」

 

13号「おのれ!!」

 

 フラッシュボンバーとフルパワーのSSデッドリィボンバーがぶつかったが、フラッシュボンバーがSSデッドリィボンバーを打ち破ってそのまま13号に直撃した。

 

13号「うわあああああっ!!」

 

 そのまま13号はふっとばされた。ボージャック一味の方は18号が永久エネルギー炉による無限のスタミナと力の差でザンギャを圧倒し、パイクーハンとタピオンも押していた。

 

ボージャック「お前ら、俺達の全力を見せてやれ!」

 

 劣勢を覆そうとボージャック一味は一斉に緑色の肌と赤い髪の姿に変身した。

 

タピオン「なるほど、その緑の肌、赤い髪、お前達があの噂のヘラー一族か」

 

パイクーハン「そんな事はどうでもいい。とっとと片付けるぞ!」

 

ゴクア「野郎、俺達を道端の石ころ程度にしか思ってないぞ!」

 

ビドー「なら、恐ろしさをたっぷり味あわせてやろう」

 

ブージン「俺達の結界の力を見せてやる!」

 

 ゴクア達はタピオンの動きを結界で封じようとしたが、タピオンはすぐにオカリナを奏でてガードした。

 

ブージン「俺達の結界が!」

 

タピオン「無駄口を叩いている暇でもあるのか?」

 

 タピオンはゴクア達に迫り、ゴクアは剣を抜いて斬りかかろうとした。しかし、タピオンの太刀筋の方が速く、あっという間にゴクアは微塵切りにされてしまった。

 

ビドー「い、いつの間に…!?」

 

 すぐにビドーとブージンもタピオンに切り刻まれたのであった。

 

ザンギャ「3人いっぺんに…?」

 

18号「よそ見をしてる場合かしら?」

 

 注意が逸れた隙に18号はザンギャにパンチを打ち込んだ。そして、パワーアップしたザンギャと18号の互角の戦闘となった。

 

ザンギャ「(な、なんて女なの!?あれからずっと戦い続けても息一つ切らしてないなんて…!)」

 

 いつまで経ってもスタミナが減らない18号にザンギャが焦りを募らせていると、その隙を突くかの如く、18号から攻撃を受けた。

 

18号「どうやらあんたのスタミナは尽きてきたようだね。一気に決めさせてもらうよ!」

 

ザンギャ「舐めるんじゃないわよ!!」

 

 焦りが出たザンギャはエネルギー弾を連射した。ある程度連射した後、煙が晴れたら18号の姿はなかった。

 

ザンギャ「やったの…?」

 

???「終わりだよ!」

 

 声がした方には無傷の18号がかめはめ波の溜めをしながら近くにいた。

 

18号「かめはめ波!!」

 

ザンギャ「そ、そんな!!」

 

 まともにかめはめ波を受けたザンギャは消し飛んだ。パイクーハンとボージャックの戦いは死後もずっと鍛え続けていたパイクーハンがボージャックを圧倒していたのであった。

 

ボージャック「お、俺が負けるだと…!?」

 

パイクーハン「お前の部下は全員倒された。残りはお前だけだ」

 

ボージャック「おのれ!」

 

 部下を全員倒されて焦ったボージャックはパイクーハンに殴りかかったが、パイクーハンは軽々とかわし、カウンターとして強烈な蹴りで返した。

 

ボージャック「くそっ!こうなったら、こいつで終わりにしてやる!」

 

 もう後がないボージャックはギャラクティックバスターで終わりにしようとした。

 

パイクーハン「俺もここで終わりにしてやるぞ、サンダーフラッシュ!!」

 

 対するパイクーハンもサンダーフラッシュで迎え撃ち、ギャラクティックバスターを打ち破ってボージャックを吹っ飛ばした。

 

ボージャック「ほわあああっ!!」

 

バビディ「もう、みんなだらしないじゃないか!!」

 

 結局、バビディ一味はオレンジスターシティの破壊に消極的なブウ以外は全員倒されたのであった。

 

ピッコロ「お前達も片付いたか?」

 

17号「ああ、ピッコロ達も片付いたようだな」

 

18号「残るはブウとバビディだけだな」

 

トランクス「バビディ、残るはお前と魔人ブウだけだ!お前達を倒せば平和は戻る!」

 

バビディ「いい気になりやがって!!ブウ、お前も戦え!」

 

 なかなか戦おうとしなかったブウが立ち上がった。

 

ベジータ「ブウが動くか…!」

 

ゴテンクス「俺達でかかればブウも楽勝だぜ!」

 

バビディ「魔人ブウ、さっさとあいつらを殺せ!」

 

悪ブウ「……強い奴、来る!」

 

バビディ「強い奴?そいつらは目の前にいるじゃないか!何をボケた事を」

 

 ブウの言った事はバビディにはわからなかったが、悟空達には理解できた。

 

パイクーハン「悟空、ブウより遥かにでかい気がこっちに来ているぞ!」

 

ベジータ「カカロット、この気は…!」

 

悟空「間違えねえ、ブロリーだ!」

 

 巨大な気の持ち主はブロリーであった。そして、ブロリーは大気圏に突入して地球に到着した。

 

ブロリー「カカロット…、カカロットォ…!」

 

トランクス「ブロリーだと!?ブロリーは悟飯さんとパンと悟空さんのかめはめ波で倒されたはずなのに!!」

 

ピッコロ「あいつは伝説の超サイヤ人だ!頑丈さも生命力も悟空達とは比べ物にならん!ましてや、ナメック星の時より気が増大しているぞ!」

 

ベジータ「ブロリーはカカロットと悟飯とパンのかめはめ波を受けて死にかけてから蘇ったんだ。死の淵から復活した際に増大する戦闘力も俺達やセルとは比べ物にならん程に上がってやがる…!」

 

 腕を上げた悟空達はもはや死にかけてからの復活で上がる戦闘力は微々たるものになっていたが、ブロリーは凄まじいものであった。

 

悪ブウ「あいつ、俺より強い。そんなの、絶対に許さない!」

 

バビディ「ちょ、ちょっと待て!僕の命令を無視してどうするんだ!?」

 

 ブロリーの気を感じ取り、ブロリーの方が自分より強いのが気に食わないブウはブロリーと対峙した。

 

ブロリー「クズが死にに来たか」

 

悪ブウ「お前、許さない!」

 

ブロリー「邪魔だ…、うおおおおっ!!」

 

 悟空達そっちのけでブウとブロリーは互いに気を高めた。

 

トランクス「ブウもブロリーも許さんぞ!!」

 

ピッコロ「トランクス、今の状況でブロリーとブウの戦いに介入してはならん!勝負が着くのを待て!」

 

トランクス「しかし、あいつらが思いっきり暴れたら被害が甚大になりますよ!!」

 

クリリン「ピッコロの言う通りにしよう、トランクス。お前の気持ちもわかるけど、俺達の時代の悟飯と未来の悟飯にパンがいない今ではブウとブロリーを同時に相手にして倒せる保証はねえからな…」

 

 クリリンの言葉にトランクスは下手に手出しができない事に拳を震わせていた。そして、痺れを切らした双方とも突撃し、格闘戦に入った。

 

ブロリー「ふん…」

 

悪ブウ「グゥ…、カカカカカッ!!!」

 

 挑発に激怒したブウはエネルギー弾をブロリーに連射した。しかし、ブロリーはまともに全弾受けても全くの無傷であった。

 

ブロリー「終わりか?うおおおおっ!!」

 

 ブウが動揺した隙にブロリーは攻撃に入り、凄まじく重いパンチのラッシュと圧倒的な威力の気弾の連射で一方的にブウを叩きのめしてしまった。

 

悪ブウ「グガガガガッ!許さない、絶対に許さない!!」

 

 このままでは勝てないと判断したブウは倒れているクウラ達に目をつけ、密かに自分の肉片をクウラ達の元へ行かせた。

 

バビディ「何をやってるんだよ、魔人ブウ!お前が倒されたら僕の計画が完全に台無しになってしまうじゃないか!絶対に勝て!!」

 

 バビディはブロリーが圧倒的にブウを凌駕している力を持っているのにも関わらず、無茶苦茶な命令をするのであった。その頃、クウラ達は起き上がろうとしていた。

 

クウラ「俺達を舐めやがって……!」

 

13号「叩き潰してやる…」

 

 悟空達へ襲い掛かろうとしたクウラ達だったが、突如としてブウの肉片が襲い掛かった。

 

ハッチヒャック「な、何だ!?これは!」

 

ボージャック「は、離れない!」

 

 肉片がスライムのようになって纏わりつくためにクウラ達は振り払おうとしたが、振り払う事はできずにスライム状のブウの肉片に取り込まれてしまった。そして、ブウが指で合図をすると肉片はブウに吸収された。

 

ピッコロ「ブウの奴、クウラ達を吸収したぞ!」

 

悟空「ブロリーに敵わねえと判断してあいつらを吸収したんだろうな…」

 

 クウラ達を吸収したブウはムキムキのボージャックと13号の影響のためか、上半身がさらにムキムキになった。

 

ブロリー「無駄な事を…」

 

悪ブウ「俺、強くなった。お前、殺す!」

 

 吸収によってパワーアップしたブウはブロリーに向かっていったが、それでもブロリーには歯が立たずに返り討ちにあった。

 

ブロリー「無駄だ……、うおおおおっ!!」

 

 ブウは分裂してあらゆる方向から襲い掛かったが、ブロリーは雄叫びと共に体から無数の太いレーザーを発射して分裂したブウを一気に薙ぎ払った。そして、特大の気弾でブウを吹っ飛ばしたのであった。

 

トランクス「吸収したブウを…、あっけなく倒した…?」

 

ブロリー「気が高まる…、溢れる…!うおおおおっ!!」

 

 またしてもブロリーは自分の気を抑えられないために気弾をあちこちに発射した。その気弾の威力も半端ではないため、悟空達は必死でよけていた。

 

17号「相変わらずの化け物め…!」

 

ゴテンクス「よーし、この俺様が蹴散らしてやる!」

 

ピッコロ「待て、ゴテンクス!ブロリーはお前の敵う相手ではない!」

 

 まるで学習しないゴテンクスは一気に超サイヤ人3に変身してブロリーに向かっていった。

 

バーダック「あの合体したバカガキ、状況を考える能力が全くねえな」

 

パイクーハン「力はかなりあるが、肝心の経験が不足していては格上には勝てないし、下手をしたら格下にも足元をすくわれかねないぞ」

 

 パイクーハンの指摘通り、ゴテンクスは経験が不足していたためにブロリーにいいようにあしらわれていた。

 

ゴテンクス「舐めんなよ、ナメック星の時はほんの小手調べだ!喰らえ、スーパーゴーストカミカゼアタック!オバケ纏めて1000人!」

 

 追い詰められたゴテンクスはオバケを1000体も出した。

 

ゴテンクス「これだけ出せばお前もイチコロだぜ!かかれ~!」

 

 オバケたちはブロリーに一斉に襲い掛かり、一斉に爆発して大爆発を起こした。

 

ゴテンクス「はっはっは~~っ!これならブロリーも」

 

 ところが、特大の気弾が煙の中からゴテンクス目掛けて発射され、ゴテンクスは吹っ飛ばされた。

 

ゴテンクス「いてっ!」

 

ブロリー「邪魔だ…、合体雑魚が…!」

 

 煙から出たブロリーはゴテンクスのスーパーゴーストカミカゼアタックをまともに受けても無傷だった。そして、ゴテンクスに特大のしねしねミサイルを連射してダウンさせたのであった。

 

ピッコロ「あのクソガキめ、まるで成長してないではないか!」

 

タピオン「奴を倒す手段はないのか…?」

 

パイクーハン「今こそポタラを使う時だ!」

 

ベジータ「そのようだな。フュージョンでは倒しきれん可能性も高い」

 

悟空「もう手段を選んでる暇もねえ。行くぞ、ベジータ!」

 

ベジータ「ああ!」

 

 フュージョンではブロリーとブウを仕留めきれないと判断した悟空とベジータは耳にポタラを着け、合体戦士ベジットが誕生したのであった。

 

ベジット「よっしゃ!」

 

17号「今度はフュージョンした時とは違う姿になったぞ!」

 

クリリン「おまけに、気も爆発的にでかくなりやがった」

 

ベジット「カカロットとベジータが合体してベジットって所か。ブロリー、お前の憎い奴が合体して個別に倒す手間が省けただろ?相手になってるからかかってこい!」

 

ブロリー「カカロット…、カカロットォ!!!」

 

 ベジットの挑発にブロリーは気を高めたのであった。

 

先代の全王『遂に合体戦士ベジットが再び誕生した。果たして、ベジットはブロリーとブウを倒す事ができるのであろうか?』




これで今回は終わりです。
今回は悟空達とバビディ一味の決戦を描きました。
基本的に因縁のある奴は因縁のある奴同士で戦うという流れにしています。
18号が14号と15号ではなくザンギャと戦わせたのはドラゴンボールでは女同士の戦いがないのと、スパーキングメテオなどのゲームで18号とザンギャには特殊な戦闘前の会話があるからです。
大決戦の最中に現れたブロリーはナメック星の時よりも更にパワーアップしており、だいたい原作のゴテンクス吸収ブウと同じぐらいの強さとなっています。
次の話はベジットとブロリーの戦いとなります。


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