気の向くままに、短編集。 (天道詩音)
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東方Project
気ままな妖精探検記その1


妖精さんが魔法の森を探検するお話

ちょっと変わった妖精さんが誰かとしゃべるだけのお話。

原作:東方project
タグ:オリ主・ガールズラブ・妖精・女主人公・日常・愛され系主人公

※ハーメルン書いた最初の小説です。


 

こんばんは。

今日も風の吹くままにふらふらと幻想郷を旅をしていた妖精です。

私たち妖精は幻想郷のいたるところに居ますが、旅をしている妖精はあまり居ないのではないでしょうか。

殆どの妖精は生まれた場所で生活してますからね。

メイド妖精になって、屋敷の中で生活している子も居ますが。

私も怖いメイドに捕まってメイド妖精になった事もありましたが、お友達のフランちゃんに逃がして貰ったんですよね。

フランちゃんは金髪のツインテールが似合うかわいい吸血鬼なんですよ。

髪もサラサラしてて撫でてみたら嬉しそうに笑ってくれました。

そこに至るまではすごい大変でしたが。

最初は目が合っただけでピチュンされましたし。

まあ、今ではお友達なのでその件は忘れました。

 

 

それよりも今日はこの森を探検したんですよ。

気の向くままにふらふらと。

キノコの胞子がすごい飛んでて、視界が悪くて大変でした。

何度か木にぶつかって痛かったですが、面白そうな所を見つけました!

こんな森に家があるなんてびっくりしました。

あ、ごめんなさい。

この家も森の中でしたね。

でもいい森だと思いますよ。

妖怪も見かけなかったですし!

キノコ料理は食べ放題なのではないでしょうか?

え、魔法使いは食事しないんですか!

変わった種族ですねー。

変わった妖精には言われたくないって、否定はできませんね。

 

 

それより、お家を見つけたんですよ。

古ぼけた廃屋みたいなお家です。

でも、扉を開けたら生活している跡があったのです。

誰か居るのかなと家の中を探検しましたが、誰も居ませんでした。

でも、難しそうな本が沢山落ちてたのできっと、頭の良い方が住んで居るのかなと思います!

何で笑っているんです?

 

 

それでお家探検のお礼にこのキノコと同じ物をテーブルに置いて来たんですよー。

わわっ、なんでキノコを燃やしたんですか!

えっ、繁殖力が異常に高いキノコだから燃やさないと家中がキノコだらけに、ってそんな危ないキノコだったんですか!

ま、まああのお家の方はキノコ料理沢山食べれるので嬉しいと思いますよ!

家の方も魔法使いでしたかー。

でも食事するんですか。

変わった魔法使いさんですね、気が合いそうです。

食事するならキノコが沢山で嬉しいだけじゃないですかー。

えー、このキノコは食べれないんですね。

 

忘れましょう。

妖精は記憶力の悪い生き物ですから。

 

 

そ、それよりそろそろ完成ですか?

私がモデルのかわいいお人形は。

完成しましたか!

とってもかわいいですね!

白い髪に白い肌、かわいい中に利発な感じもあるお顔、青のワンピースに白のエプロンドレス、白黒縞模様のニーソックス。

こんなかわいいお人形はなかなか居ませんね!

自画自賛?気のせいですよ!

 

 

こんなかわいいお人形をくれるなんて嬉しいですが、いいんですか?

友達だからですか。

私もあなたの事は大事なお友達だと思ってますよ!

ふらふらと旅した先で、あなたに会えた事は忘れません。

 

私は記憶力の良い方なんです。

変わった妖精ですからね!

 

 

そのお人形はこの家に飾っておいてもらってもいいですか?

私が持ち歩くと、妖怪に襲われたら壊してしまうかもしれません。

なので、私だと思って大切にしてくださいね!

ありがとうございます!

 

 

そろそろ眠くなってきたので私は寝ようと思うのですが、一緒に寝ませんか?

えっ、魔法使いは寝ないんですか?

 

でも寝てくれるなんて、あなたも変わった魔法使いですね!

それではお休みなさい。

 

「おやすみなさい」

 




後日談ですが、空を飛んでいたら箒に跨がった半狂乱の白黒の人にレーザーを撃たれてピチュンされそうになりました。
いきなり撃ってくるなんて、人間って怖いですね。

おしまい


登場キャラ紹介
妖精さん
妖精にしては頭の良い子で、旅先で友達を作るのが趣味。
妖精らしい純真さと妖精らしからぬ賢さを兼ね備えてます。

怖いメイド
妖精を乱獲してメイドにしてた人。

フランちゃん
水の妖精な妖精さんは、水があるところならどこでも即復活可能なので、壊れない存在の妖精さんを好きになりました。

話し相手の魔法使いさん
誰でしょう?
数ヶ月ほど誰ともしゃべっていなくて、寂しさを覚えていたところに妖精さんが訪れて、楽しくお話しをしてくれて好感度が一気にカンストしたぼっちを拗らせてた魔法使いさんでした。

白黒の人
今回の犠牲者さん。
家に帰ると家中がキノコだらけで魔道書までキノコが生えて読めなくなってしまい、怒りに任せてキノコを引き千切って食べたら死にかけた白黒さん。
何とか復活して監視カメラ的な魔道具を見ると妖精さんがキノコを置いた犯行現場を目撃して、半狂乱で外に飛び出す。
犯人を見つけたのでマスタースパークを全力全開で発射。
しばらくの間、妖精を見かけるとマスタースパークを撃ちたくなる衝動に駆られたらしいです。


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気ままな妖精探検記その2

妖精さんが紅魔館を探検するお話


 

こんばんは。

今日の私の格好はいつもと違うんですよ。

え、前に見た時と同じですか?

この館に潜入するために、ここのメイド服そっくりにアリスちゃんに縫って貰ったんです。

普段は別のかわいいお洋服なんですよ!

でもここに来るまでは大変だったんですからー。

今日はそれを沢山聞いてくださいね。

 

 

まずは入り口で立ったまま寝ている門番がいたので、ばれないようにこっそりと入ろうとしたんですけど、横切ろうとしたら捕まっちゃったんです。

寝たふりをして油断させる作戦だったのかもしれませんね。

捕まっちゃいましたが、ここのメイド服を着ていたので私はここのメイド妖精さんですよーって言ったら入れてくれたので、門番さんは甘いですね!

ただ、最後に妹様によろしくお願いしますと言われたのですが、妹様とは誰でしょうか?

なんで笑っているんですかー!?

あ、そういえばフランちゃんとは別の吸血鬼っぽい子を見つけましたが、その子が妹様かもしれませんね。

うー、笑ってないで答えを教えてくださいよー!

 

 

まあいいです。次に行っちゃいますからね。

次は長い廊下を通ってここを目指していたんですが、怖いメイドに会っちゃったんですよ。

えっ、フランちゃんはあのメイドさんが怖くないんですか?

えー、私は怖いですよー。

だって、私が廊下を進んでいたらいきなり隣に現れたんですよ!

びっくりして転んじゃいました。

でも、受け止めてくれたので痛くなかったのですが、驚かせた人が悪いんですからね!

それで、メイド妖精なのにサボっているなんてご飯抜きにするわよって言ってきたんです。

ご飯抜きなんてそんな恐ろしいことを言うなんて、そんな怖い人初めてでした!

ご飯を食べなかったら、お腹が減って動けなくなっちゃうんですよ!

下手したらピチュンです!

あのメイドにはお掃除がんばりますって言って逃げちゃいました。

フランちゃんはご飯抜きにされませんか?

大丈夫ですか。ならよかったです!

今日はフランちゃんに美味しいパンを持ってきたので、後で一緒に食べましょうね。

それで逃げたんですけど、突然目の前に図書館の扉があってびっくりしました。

ついに私は瞬間移動できる程度の能力を手に入れちゃったのかもですね!

なんで笑うんですかー!

これでいつでもフランちゃんと会えるんですからね!

私も嬉しいですよ、フランちゃん!

 

 

次はでっかい図書館に着いたんですけど迷っちゃたんですよねー。

どれだけ移動しても同じ所にしか思えなかったので、そこで私は誰かに道を聞くしか無いかなーと考えた訳です。

そこで住人が居ないかを探してみると薄紫色のナイトキャップを被ったきれいなお姉さんがいたので、道を聞いてみたんです。

私はメイド妖精さんですよー、メイドさんに言われてフランちゃんへのお届け物を持ってきたので道を教えてください-って言ったら、教えてくれたんですよ!

えっ、その時の様子ですか?

ちょっと疑った目で見られましたが、お願いしますーって見返したら教えてくれましたよ。

ここでもばれないなんて、私の潜入技術はやっぱり凄いですね!

えー、ばれてないですよー!

 

 

そしてついにこの部屋の扉の前までやってきたんですけど、先ほど見かけた吸血鬼の妹様?が扉の前でうろうろしていたんです。

何をしているのか見ていたら、ドアノブをつかんで離してを繰り返してたのですが、あれはどういう意味があるのでしょう?

気になって、こんばんはーメイド妖精さんですよーって挨拶したら、ひゃわって叫び声を上げてました。

驚かせてごめんなさいと言ったら、驚いていないわ、ちょっと静電気がきただけよと言われたので、きっと先ほどのつかんで離しては静電気を貯めて遊んでいたのでしょう。

その後、あなたとフランが引き合えば、フランの未来はもっと明るくなるの、これからもフランをよろしくねって言って階段を帰っちゃいました。

なんか変わってますけど、姉思いのかわいい妹様でしたね。

 

「ふふっ、私の妹はすごくかわいいんだよねー」

はい、かわいかったですよー!

 

 

そんなこんなでフランちゃんのお部屋に到着しました。

妹様にはばれたかもですが、他の方達にはばれなかったので問題無しですよね!

問題あり?なんでですかー!?

あ、それよりこのパンを食べませんか?

アリスちゃんが焼いてくれたんですよ!

ちょっと味見しちゃいましたけど、とっても美味しかったです。

チョコレートソースも貰ったのでこれをかけて食べましょうね!

はい、絶対美味しいですよね!

ではどーぞ!いただきます。

わっ、すごく美味しいです!

ですよね!まだまだあるので沢山食べましょう!

あ、フランちゃんの口元にチョコレート付いてますよ。

そっちじゃなくて、そこですよー。そこでも無いです!

私が取りますよー!はい、取れました。

うん、甘くて美味しいです。

ん?どうしましたか?顔が赤いですよ?

なんでもないです?ならもっと食べましょう!

また口に付いてたら取ってあげますからね!

えー、遠慮しなくていいですよ!

友達なんですからね!

 

「う、うん!ともだちだよね!えへへ」

 

さて、ご飯も食べたので今日は寝ないで沢山お話ししましょうね!

絶対寝ると思う?寝ませんよ-!

ちょっと眠いですけど、フランちゃんとお話ししてれば大丈夫ですよ!たぶん!

でも少し横になってもいいですか?

あ、膝枕ありがとうございます。

柔らかくてすべすべですね。

良い枕です。

んー、撫でられると眠くなっちゃいますよー。

 

「もう寝ちゃうの?」

寝ませんよー。

それよりフランちゃんのお話しを聞かせてくださいー。

もっとフランちゃんのことを知りたいですー。

フランちゃんの好きなものとか、楽しかったこととか、いろいろ教えてくださいねー。

あと好きな子はいますか?お泊まり会と言えば恋バナらしいですよー。すー。

 

「えーっと、好きな子はよ、妖精ちゃんだよ!なんか言ってよー!あれ?寝てるじゃん!」

 

すー。すー。

 




寝落ちというオチでした。

後日談ですが、
また紅魔館に遊び行ったら、私がアネよ!と自己紹介してくるかわいい吸血鬼に会いました。
妹様ってアネちゃんって名前なんだなーと知り、
今度はアネちゃんともお話しをしようと思いました。

おしまい。

登場人物紹介
メイド妖精さん
アリスに作って貰ったメイド服で紅魔館に潜入。
潜入してるとばれなかったと思っている残念な子。
フォローされた事も気づいていない模様。
フランちゃんの口元のチョコをどうやって取ったのかは想像に任せます。

寝ていた門番さん
レミリアに今日はフランに妖精の来客があるので通すようにと言われてました。
寝ながらでも周囲の気を感じ取れるので、門を通ろうとした気配をキャッチ。
この子が来客だと気づきリリース。
実は有能な門番さんでした。

こわーいメイドさん
来客の妖精さんを見つけてちょっとからかっただけで、かなり怖がられたメイドさん。
今回は、図書館の前まで運んであげた優しいお姉さんでした。
かわいい物が好きなので、妖精さんの事はお気に入り。
なお、妖精さんからは。。

紫色の人
読書の邪魔をされて少しムッとしていたけど、妖精さんのキラキラ目で下から見上げられ、素直に道を教えてしまった優しい魔法使いさん。
その光景を見ていた小悪魔にからかわれて、小悪魔は魔法の餌食になりました。

妹様?(レミリア)
フランにお友達が来るわよーと言いに行くか行かないかでずっと迷っていたお嬢様。
もう来てたらどうしよう、話の邪魔をしちゃってフランに嫌われたらどうしようと考えちゃってました。
妖精さんが帰った後にフランからお姉さまの事を私の妹だと勘違いされてたよーと言われて訂正しようとしましたが無駄だったみたいですね。
その後、アネちゃんと呼ばれてるお嬢様が目撃されたようです。

フランちゃん
今回の話の舞台は永夜異変の後くらいでした。
妖精さんとは紅魔異変の後くらいに知り合いました。
狂気により閉じ込められていたフランは紅魔異変の後でも月に一日は狂気に染まってしまう日があります。
その日は部屋に閉じこもっているのですが、そこになぜが妖精さんが入ってきて、きゅっとしてどかーんしちゃいました。
それでもすぐ復活できる妖精さんに狂気が収まる頃にはごめんなさいをして、許してもらいました。
妖精さんも痛みもなくピチュンされてたので怖かったですが、泣きながら謝るフランを許してあげました。
その後は二人は仲良くなってしばらく一緒に暮らしていましたが、また旅がしたいと言った妖精さんを外に逃がしてあげました。
って話を小説に入れようとしましたが、長くなりそうなので断念。
フランちゃんから妖精さんへの好きはラブかライクどちらでしょうね。


これでこの話は終わりますが、また需要があれば書くかもですね。
ありがとうございました。


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魔法少女フランあなたのハートもきゅとしてどかん

フランちゃんが魔法のステッキを手に入れました。

原作:東方project
タグ:魔法少女・フランドール・コメディ

※コメディを書いてみようと思い、書いた気がします。


 

「妹様起きてください。夜ですよ」

 誰かの声が聞こえて目が覚める。

 うーん…まだ眠いよー。

「やだ〜あと5分」

 眠いのになんで起こすのー…おやすみー。

「かしこまりました。5分経ったら起こしますね」

「ふあ〜い」

 それではおやすみなさ…。

「5分経ちましたので、起きてください」

「まだ1秒も経って無いよ!時を止めて数えたでしょ咲夜!」

 それはずるいでしょ!びっくりして目が覚めちゃったよ!

「そこに気づくとはさすが妹様です」

 メイド服を着ている銀髪のすっごい美人さん。紅魔館でメイド長をしている咲夜がベッドの横で礼をしていた。

 

「お目覚めのようですね。おはようございます」

「おはよう!でも次は時を止めないで5分数えてね!」

 だって私の体感時間では1秒くらいだったんだよ!

 せめて5分は寝かせてくれないとだめだよね!

 

「……検討させて頂きます」

「なんで検討!?うー、もういいよー。出かけるから着替えさせて」

「かしこまりました!」

 なんでそんなやる気出したの!?

「それメイド服なんですけどー!?」

「今日の装いはこちらのドレスコートがよろしいかと」

「それはクラシックなロングスカートタイプのメイド服だよね!?ドレスコートでは無いよね!?まあ、今日はそれでいいよ…」

 朝から叫ばされて、なんか頭が痛くなっちゃった。

 低血圧かな?血を飲んだら治るかな?

 考え事している間にメイド服に着替えさせられていた。本当に着せるんだね…。

 

「とても可愛いですよ。最高です」

「はーい…ご主人さまありがとうございまーす」

 咲夜がベッドの横で立っているから上目づかいになっちゃったけど、適当にありがとうって言っておいた。

 ん?血の匂い?咲夜が怪我してるのかなと思って、顔を見上げても痛がっている様子も無いし、血の匂いも消えてる。んー、寝ぼけたのかなー?

 

「それでは失礼します。お食事はダイニングルームでご用意しています。お嬢様もお待ちしていますよ」

「じゃあ、あとで行くねー」

 起きたばっかでまだあんましお腹が減って無いんだよねー。

 一礼して咲夜は部屋から出て行った。咲夜って完璧なメイドらしいけど時々変になるよね?まあ、そっちの方が面白いし嫌いじゃないけどね!

 

「さて…これから何をしましょうか…?」

 なんとなく敬語だけど意味は無いですよ?メイド妖精に紛れてメイドごっこでもする?それとも、お姉さまのメイドになって一日ご奉仕してあげるとか?無いよねー。どうしようかなー?面白い事があればいいけど…。とりあえず外に出かけようかなー?

 

「…ンちゃーん!フランちゃーん!」

 私を呼んでいるこの声は誰の声?

 ぱたぱたと走っている音が聞こえて、扉がバーンと開いた。

 

「フランちゃーん!出動だよー」

「君は魔法少女物に良く出てくるお助けキャラ的な立ち位置のこいしちゃん!」

 薄い緑色のショートヘア。黄色のお洋服。とっても可愛いお友達のこいしちゃん!

「こいしちゃんだよー。マスコットキャラ的なあれだねー。今日もどこかで事件が起きてるって私の無意識が囁いてくるの!」

 たいへん!誰かがピンチなら私が助けてあげないと!

 

 実は私、魔法少女やっているの!

 

「「行こう!!」」

 

 

 なんやかんやで現場にたどりついたよ!誰かの怒鳴り声が聞こえる。声にドスがきいてて怖いんだけど…。

 

「虫の分際でなに私のシマに土を付けてんだよおらぁ!」

「ひぃぃぃ、ごめんなさいぃぃぃ!」

 夜雀にあるまじき低い声で触覚の生えた男の子が怒鳴られている。

 後ろには屋台があって、ちょっと屋台の屋根が土で汚れている。ちょうど上に乗っかっちゃったような足跡が二つ。屋根に着地でもしたの?それは怒られるよね…。

 

 でもちょっと汚しちゃったくらいで、夜雀にあるまじきドスの聞いた声で怒鳴るなんて許せない!

 

「こいしちゃん、お願い!」

「フランちゃん、行くよ!リリカルマジカル…誰かを助ける力を与えてあげて!マジカルちぇーんじ!」

 こいしちゃんが持っている宝石から私のステッキに魔法の力が入ってきた。ステッキが輝き出して辺り一帯を白に染めた。

 

「目があああ、なんだよいきなりいい!」

「ぴゃああああ!」

 

 光が消えると、一人の魔法少女が姿を現した。

 純白のシャツ、ピンク色のブレザー、胸元には黄色のリボン、ピンク色のミニスカートでレースは白色、髪型はサイドテールからツインテールに変わり、はちみつ色の髪を留めるのは二対の白い羽根。そして手には先端に金の星が光っているピンクのステッキ。

 完全無欠の魔法少女が今此処に現れた!

 

「誰だてめぇ、邪魔したらどうなるのか分かってんのか?あぁん!」

 ドスの聞いた声はもう怖くない!

 

「助けを求める声がした。泣いてる誰かの声がした。それなら救ってあげないと!魔法少女フラン!あなたのハートもきゅとしてどかーん!だよ?」

 台詞に合わせて、目の前の怪人に向けて手の平を向ける。どかーんのタイミングで握りしめる!このポーズ完璧に魔法少女だね!

 

 

 「ぐわああああああああ!?!?」

 夜雀のみすちーにあるまじき野太い叫び声が響き渡った。ピチュンと音を立ててみすちーは消えていった。

 あれっ?あっ…またやっちゃった!

 

「フランちゃーん!だめだよー!変身シーンのあとの台詞で倒しちゃったら盛り上がら無いよ-!」

「だってー、能力を使う台詞があったらつい使っちゃうよ-!台詞を変えてよ-!」

「せっかく考えたんだから、フランちゃんが気をつけてよー!」

 

 二人で言い合いをしていると、触覚付きの男の子が近づいてきた。

「あっ、あの!助けてくれてありがとうございます!」

 うんうん、助けれたし、結果オーライだよね!

「気にしないでいいよ!魔法少女は助けるのが仕事だからね!」

「なんていい人なんだろう!先ほどはびっくりしてて聞きとれなかったので、もう一度名前をを教えて貰ってもいいですか?」

「いいよー!じゃあ聞いていてね!」

「はい!」

キラキラした目でこちらを見ている。これは気合いを入れないとね!

 

「君が助けを呼ぶのなら、私はいつでも駆けつける。どうか私の名前を呼んで!魔法少女フラン!あなたのハートもきゅとしてどかーん!しちゃうんだから!」

 決まった。完璧に決まったよ!

 

「ぴゃあああああ!」

「……ふえ?」

 男の子はピチュンと消えてしまった。

 またやっちゃったーー!

 

「フランちゃん……わざとなの…?」

 ひぃぃ、すごい怒っているよぉぉ。わざとじゃないのにー。ここは…!

「戦略的撤退!」

「こらー!まてー!」

 

 これは、助けを求める人々を救い続ける、心優しき魔法少女の物語だよ?

 私たちの物語はこれからも続くからね!

 

魔法少女フラン あなたのハートもきゅとしてどかーん!

ー完ー




想像してください!
プリズマ☆イリヤ的な衣装を着たツインテールフランちゃんを!
フランちゃんの魔法少女物ありですね!
あとは、
ハートキャッチ(物理)フランちゃん!とか
きゅっとしてはにゃーん(CC的な意味で)とか
思いつきましたけど、書くかどうかは未定ですね。

別の小説の予約投稿が終わっているので、余った時間で書きました-!
そっちが完結するまではこんな感じでたまに短編を書きたいですね!

登場人物
フランドール
魔法の力できゅとしてどかーん。
本当はただの能力ですけどね。
魔法のステッキと宝石の力で変身はできます。
最近は皆をどかーんしているので通り魔認定されかけている。
ちなみにどかーんされた皆は復活しています。

咲夜さん
結構お茶目なメイドさん。
フランにクラシックなメイド服を着せたのはさすが瀟洒なメイドさん。
可愛い物が大好きでフランがお気に入りでよく着せ替えをしている。
忠誠心は鼻から出るそうですよ?

お嬢様
「咲夜〜お腹減ったのだけれどまだ食べちゃだめなの〜?」
「妹様が来てからって言ってましたよね?ダメです」
「全然帰ってこないじゃない!うー…フラン〜早く帰って来て〜」
(涙目のお嬢様可愛い!時を止めて見続けなきゃ!)
こんな一幕が裏でありました。

こいしちゃん
フランの親友でステッキと宝石を見つけて、ステッキをフランにプレゼント。
某QBさん的なマスコットキャラクターで、宝石に願いを込めるとステッキが起動して、フランの詠唱で変身が可能になります。
きゅっとしてどかーんを変身シーンに入れた戦犯。

夜雀
屋台に土がつけられたのでお怒りだったみすちーさん。
夜雀にあるまじき○○のフレーズが頭から離れなかったので登場。
本当はそんなに怒ってなかったけどノリで怒っていたらピチュンされました。

触覚の男の子
女の子です!
助けてもらったと思ったらピチュンされました。
屋台の屋根に着地しちゃったみたいですね。


起床転結でいい感じに終わったのでこれでおしまいですね!
感想あればうれしいです!
小説を書くのを練習中なので直した方が良いところがあったら教えてくれると助かります!
ありがとうございました!


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異世界帰りの外来人ー異世界で天寿を全うした最強魔法使い、日本に転生し帰郷、幼なじみが神隠しに遭い、魔法を頼りに捜索し向った先は幻想郷ー

 

 東風谷早苗(こちやさなえ)の言った『さようなら』の意味、それを知ったときには、既に遅かった。

 

 早苗の友人、親友、両親すら、この町の全ての人から、早苗がここに居た……居たはずの早苗の記憶が失われた。俺だけ<天星光麻(てんせいこうま)>を除いてーー

 

 なぜ早苗が居た記憶が失われたのか、常識的に考えると、自分以外の全ての人間が知らない存在を自分だけが知っている。そこでおかしいのは他人ではなく……自分の記憶がおかしいと考えるべきだろう。

 町の全ての人から特定の記憶を失わせる技術なんて、この世界中のどこを探しても見つからないだろう。超常の存在を除いてはだがーー

 

 超常を科学で否定し続ける、この現代社会の日本では、超常な存在なんて無いと思われているだろう。超常の存在がある事を『知っている』者はいないのではないか?俺以外にはーー

 なぜ、超常が存在していると知っているのか?それは俺が経験した、記憶が残っているからだ。

 

 異世界に転生して、魔法使いとして生きた記憶がーー

 

 

『異世界帰りの外来人ー異世界で天寿を全うした最強魔法使い、日本に転生し帰郷、幼なじみが神隠しに遭い、魔法を頼りに捜索を行い向かった先は幻想郷ー』

 

 

「お兄ちゃん、なんで……死んじゃうの……? 永遠の命くらいお兄ちゃんなら簡単だよね……?」

「もう十分生きたからな……人の一生としては100年は十分すぎるさ……」

 

 妹の〇〇〇が泣きながら、俺の手を握りしめている。小さな手で力いっぱい握りしめているが、もう触れられている感覚も無い。

 

 何故だろうか……この世界に産まれてからの記憶が頭の中で流れ出した。

 

 この世界に産まれ落ちる前、日本のありふれた現代社会の中で生きていた記憶がある。

 多岐に渡る趣味はあっても平凡に生きて、ごく普通の家庭を作り、そして何事も無く老いて死ぬであろう人生は唐突にーーなんの前触れもなく終わった。

 

 通勤に向かう途中、突然視界が黒に染まり、その瞬間死を迎えたーー次に目を開けると、その目に映ったのは輝く銀色の髪の女神のような美しい女性がすぐ目の前に居て、優しく包み込むような笑顔を浮かべていた。

 

「ふふっ、ごめんなさいね。試作品として人形を作ってみたのだけど、魂が無くって動かなかったから、適当に引っ張ってきたの」

「……は?」

 

 適当に引っ張ってきた?魂を……?この状況を作ったのは目の前のこいつか……?

 

「もう誤ったから睨まないでよー。でも感謝してもいいんだよ? 新しい人生を楽しめるんだから!」

 

 確定ーー女神かもしれないが邪神の類だろう。魂を抜き取る死神みたいなものか?

 

「さて、ここからは好きに動いていいよ? 君の身体が上手く動くようなら人形作りは成功だし、まともに動いてくれるといいねー?」

 

 手を握り締める事ができて、足もしっかりと動かせるようだ。ならやるべきことは一つだろう。

 

「このまま外に出ても、誰かに殺されちゃうだろうし、しばらく案内を付けてあげるよ。〇〇ちゃん来てくれるー?」 

 

 後ろで誰かの足音がするが、後ろは振り向かない。目の前の邪神だけを視界に映し、拳を握りしめて構えを取りーー

 

「最後に私から言う事が一つだけありますーーようこそ私の世界へ!」

 

 女神だとしても関係ない。とにかく……一発殴ってやる!!




読んでいただきありがとうございます。

なろうのテンプレで東方を書いてみます。
平均1200文字くらいで、書かれていたなろうテンプレの小説が書籍化してました。
つまり、それくらい短くても面白い小説があるのです。

なので、それくらいの文字数で書いていきますので、短いからNGな方はご遠慮ください。

ただ、仕事が忙しくて続けられる気がしないので、こちらの短編集で供養します。


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その2

 

 今世で、小さな頃からの幼馴染の早苗はどこに消えたんだ?二柱の神が早苗を守って居たから、消えた原因については恐らく、あの二柱が関わっているのだろう。

 ただ、二人は信仰を失って、力も無くしてそこらの亡霊のような存在になっていた。

 恐らく、他の何者かによって今回のことは引き起こされた。

 

 そして……早苗も消えることを知っていたから、あの時の言葉はそれを伝えたかったのだろう。

 

 あの日ーー

 

『光麻くん……さようなら。ありがとうねーー』

 

 ーー泣きそうな顔でそう言った早苗は、すぐに後ろを向き、走り去ってしまった。あの時、声を掛ければこうはならなかったのか?そう思っても今は変えられないから。

 

 今はやれることをやろうーー

 

 早苗が消えた日から今日で一週間だ。この一週間で情報収集はある程度終わらせた。

 そして、早苗が居ると思われる位置も補足したーーその場所は大きな結界に阻まれており、内側を覗くことは出来なかったが、そこで早苗が生きていることは分かる。

 早苗に肌身離さず持つようにと言って、渡したお守りの効果が持続していることから、命の危機などにはなっていないのだろう。

 

 お守りには、大怪我を負うようなダメージを肩替わりするルーンを込めた。一年毎に魔力を込める必要があるが、4度までのダメージを無効化することができる。

 

『魔力』

 

 前世で手に入れた……万能な力ーー

 仕組みさえ作れば何にでもなれる力。それが魔力。それを自在に操れた俺は、あの世界で誰よりも強くなった。あの世界に連れてきた女神、○○よりも。

 

 今世では魔力の総量も変わらずに、自在に扱うことが出来ている。この力を使って、使い魔を作り、早苗の痕跡を集め出し、その間に俺は、物見の魔法を応用し、渡したお守りのありかを探る魔法を作成した。

 

 早苗の居る場所、そこを覆う結界の力は前世でも見たことの無いものだった。使い魔を飛ばして結界の効果を検証したが、使い魔は通れなかったが、雨や雲、使い魔に降らせて落とした木の枝などは結界を通過していた。

 結界の近くに居た兎を結界の方へ追いやると兎は中へと逃げていった。

 

 恐らく、結界へ通す物、通さない物の選別を行っているのだろう。外界をシャットアウトするこの結界は、恐らく内側に住む者の護りになっているのだろう。

 

 これは破壊しない方がいいか。何が起こるか分からない。

 ならどうするかーー俺自身も結界に阻まれるだろうから、俺が迎えに行くことは出来ないーーなんてことは無い。

 

 結界には入り口となっていると思われる場所があった。そこは結界が薄くなっており、唯一の入口になっていると思われる。

 

 だが、早苗は家の神社ごと転移していた。結界の内側には、転移させた、魔法のような力を使える存在がいるのだろう。

 

 この先になにが待っていたとしても、早苗に会いに行こう。どうして転移したのか、それを聞きに行こう。

 

 では行くとしようか。

 結界のその先へーー

 

 

 



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その3

 結界の入口と思われる場所に着いた。

 食料などの問題は、空間魔法の応用で、異空間に保管して解決した。

 

 だから手に持つ物はスマートフォンと財布だけで十分だ。

 

 結界の入口へは、森が置く深くまで続いていた。

 まずは結界に何もしないで真っすぐ歩き続けてみたが、10分歩き続けても景色が全く変わらない。干渉されている効果を考えると真っすぐ歩き続けたのだろうが、景色は全く変わっていない。後ろに戻ってみると、直ぐに先程いた場所へ戻ってきた。

 

 結界の効果を体感して、その詳細を理解したが、効果は『周囲の景色を一定にする』のと『戻る時には一瞬で戻る』の二つの効果がある。

 ここへ迷った場合、何処まで進んでも普通は変わらない景色に焦り、引き返すだろう。

 効果さえ分かれば簡単だ。ここを真っ直ぐ進めば結界の先にたどり着くだろう。

 

 では、行くとしようか。結界の先に向かい、真っ直ぐに進み続ける。

 

 この結界の先には何が待っているのか。早苗に会うために向かっているが、少し楽しみな部分もあるのだと思う。

 前世の世界は、魔法を使って闘い、世界を周り、時には世界の果てまで旅立った。日本に居た時には感じられなかった高揚感があった。

 

 それでも、百年も闘い続けると、普通のーー日本に居た頃の生活に戻りたいと思い始めた。闘うために強くなる。勝てない相手に勝つためには更なる無茶を。魔法を無効化されるなら、魔法無効を突破する魔法を新たに構築する。

 

 ーー確かに楽しかった。それと同時に疲れたのだろう。

 

 でも今は、その騒がしい毎日が今は酷く恋しい。

 

 そんな感傷は今は置いて、先に進むとしようか。変わらない景色に飽き飽きするが、下手に結界に干渉すると、この結界の主に気づかれる可能性がある。

 使い魔を使って結界に干渉したり、先程も結界について調べたことから既に気づかれているが、見逃されている可能性もある。

 

 争いに向かうわけではないからな、このまま結界には干渉しないで歩いて向かうとしよう。

 

 早苗は元気にやっているといいが……まあ諏訪子と加奈子が居るから問題ないだろう。

 

 この結界は内と外を明確に別けている。この結界内で信仰を取り戻せばかつての力は取り戻せるだろう。神様なんて、現代では幻想のようにあやふやな存在も、この中では存在を確立できそうだ。

 

 でもすごいな。この結界は、世界の境界に干渉して、新しく世界を創り出しているようなものだろう。

 

 結界の境が見えてきた。

 森の先に現れた、小山の頂上へと続く長い石段。

 その入り口に建てられた赤い鳥居ーーここが境だ。

 

 俺は鳥居の先へ一歩踏み出した。




 俺たちの戦いはこれからだ…!

 すみませんがこれで完結します。
 プロットとしては前日譚から紅魔郷→風神録で完結予定でした、
 設定とか色々消化したい気持ちはありますが時間がございません!!
 ありがとうございました。


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黒羽と笛(東方project)

今日も笛を吹く。

 

 使い方の分からないガラクタばかりを売る店で買った笛を。

 

 人里の外れに住んでいるから、こんな夜更けにでも笛が吹ける。

 

 

 

 月を観ながら笛を吹く。

 

 雲で少し滲んだ月を観ながら、気の向くままに音を鳴らす。

 

 一人で暮らすには広いこの家で。

 

 

 

 笛の吹き方は友人に教わった。仕事はさぼり、冗談ばかり言う友人でも、教えるときは真剣で、別人の様な姿に思わず笑ってしまった事を思い出した。

 

 妖怪は人より永く生きるから、短命な人間が忘れた事も覚えている。幻想郷で日々を生きることに精一杯な人間は、楽器を鳴らす方法も忘れており、そう言った文化を後世に残すのは妖怪の役割だと、珍しく真面目に言っていた。

 

 

 

 笛の吹き方も分からぬままに、外れた音を毎晩響かせていた私を見かねて、教えてくれたのだろう。

 

 

 

 この頃毎晩訪れる友人は、家に来ては私がかつて鬼に貰ったなぜか尽きぬ酒を飲み、酔っては上機嫌でくだらぬ話で笑っており、それも飽きれば、私の布団に勝手に包まり、日が真上に来る頃にやっと目覚めて、風のように飛び出しては慌てて妖怪の山に帰っていく。

 

 

 

 そんな友人でも、教えることは上手かった。

 

 剣の師が日が傾いても起きない友人を迎えに来るあの白狼天狗だと伝えれば、何故かやる気を出して教え始め、言われるがままに何年も吹いていれば、こんな村はずれにでも村人が訪れる音色になった。

 

 

 

 

 

 今日も笛を吹く。

 

 友人に認められた笛の音は、いつしか稗田家の当主にも噂が届いたようで、昼には剣を振る私の元へやってきた。

 

 

 

「こんにちは。あなたの笛の音が美しいと聞きまして、私にもぜひ聴かせてくれませんか?」

 

 

 

 白椿の髪飾りを刺し、綺麗に切り揃えた紫髪が美しく、人里を賭して護るべきと思わせる程の美しい少女が訪れた。

 

 

 

「阿礼様に聞かせる程でも無いとは思いますが、聞きたいのであれば吹きますよ」

 

「鴉天狗から教わったと聞いています。妖怪の事を知るために聴かせて欲しいのですが…それを抜きにしても興味がありました」

 

 

 

 阿礼様はこの人里で長をしており、人里から妖怪の事など様々な記録の編纂を行っている方で、里の全てを掛けてでも護らなければと思わせる美貌と魅力に溢れている。

 

 

 

「では一曲演奏させていただきます」

 

 目をつむり、音を奏でる笛に意識を集中させる。

 

 友人から最初に教わった曲を演奏しよう。

 

 人間と妖怪の恋物語ーー生きる時間の違う人と妖が残した曲は悲しい曲調になってはいるけども、

 

 それでも楽しかった思い出は確かにあったようで、笛の音が唄うのはただ悲しいだけの曲ではなくて、

 

 聴く者には幸せだった人と妖の時間が目に浮かぶような、優しくも儚い曲となっていた。

 

 

 

 黒羽の天狗から教わった笛の音は、阿礼様へ伝えられた事から後世へ遺せるだろう。

 

 かつて失われてしまった文化の継承へ私が一助になれたのであれば、友人への感謝の気持ちも遺せる物となったであろう。

 

 

 

 演奏した曲のように人と妖の時間は違い、

 

 人は妖怪よりも先に死ぬこととなるだろう。

 

 だが、曲として思い出を…生きた証を残せるのであれば、人にはそれで十分なのだろう。

 

 私もいつか友人に曲を残したい。

 

 私が生きていた事を覚えていて欲しい。

 

 笛の音が遺すのは自身が生きた証と、友人と居た思い出。

 

 

 

 曲を作った人間も同じ気持ちだったのだろうか?

 

 他の誰かには伝わらなくとも、共に生きた妖には伝わるのだろう。

 

 

 

 そんな曲を遺していく為にも……今日も私は笛を吹く。




先ほど400文字ほど追記して完結。
数か月前に書き始めた時は、太宰治先生の葉桜と魔笛を読んで純文学っぽいのを書きたいと思っていました。
人と妖怪の生きる時間の違いとそれでも人の生きた証を遺すのだと、人が笛を吹く話を書きたかったです。

最初のイメージと違うものとなりましたがこれで完結します。
ありがとうございました。


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東方スローライフ

東方Project


「藍、最近幻想郷の外ではソロキャンプが流行っているのよ」

「お陰で餌の回収が楽ですね」

「うふふ、人間を餌なんて言ってはだめよ」

 

 キャンプ場に泊っていた他の人たちのテントが、突如として消えていく。

 僕の隣に建てていたテントは、目が沢山あるよく解らない空間に飲まれて無くなった。

 

  人間が餌ってなんだ? 目の前の二人は人間じゃないのか?

 

 二人とも見たこともない美人で、傾国の美女と言う言葉が相応しい。人ならざる美と言うべきか。先ほどの会話も含めると人間ではないのではと考えてしまう。妖や怪異が科学的に否定される現代で、非科学的な現象が目の前で起きている。

 

 僕自身、科学で説明ができないような能力がある。

 

 昔から影が薄かった。

 薄い、どころの話ではなく……僕がいることを誰も認識しなかった。僕が見つかりたくないと思った時、誰にも認識されなくなる。大声で叫んでも、目の前で手を振っても、触れたとしても誰も認識しなくなる。

 

 日常だと授業中に指名されないようにするくらいの使い道しかない無駄な能力だと思っていたけど、今はこれがあって良かったと思う。目の前で人が謎の空間に飛ばされている状況で、僕だけが助かっているのはこの能力のお陰だ。

 

 とりあえずここから離れて逃げるとしよう。命の方が大事だしキャンプ道具は捨て置くしかないか。

 

「ちまちまスキマに送るのが面倒になってきましたわ。残りは纏めて送りましょう」

 

 逃げようとした時に女性の声が聞こえた。そして頭上には沢山の目が蠢く空間がすぐそこにある。ダメだ、逃げられない。謎の空間への恐怖もあって立ち竦んでしまう。

 

 そして、目を開けると先程のキャンプ場ではなく、深い森の中に居た。先に飲み込まれたテントもそこにあった。おそらくテントに居る人もそこに居るはずだ。

 

 僕は他の人達を置いて木々の切れ間に走り出す。皆さんすみません。あの妖怪の様な女性が怖いからすぐにその場から離れた。後ろでは女性の笑い声が響いた。

 

 結構遠くまで来たから一旦は大丈夫かな。まだまだ油断はできないけど、とりあえずあの妖怪……あの謎の空間の事をスキマと呼んでいたからスキマ妖怪と呼称しよう。もう一人はキツネの尻尾が沢山あったから九尾でいいか。あれらは人間を餌と呼んでいた。あそこに居た人達の向かう先は一つしかない。でもどうしようもない。僕の能力は他の生物を認識から消すことはできないから。

 

 振り返らずに先に進んでいく。これからどこへ向かえばいいのか。辺りを見渡しても木々が高く、明かりは月しかない。それにしても夜空がキレイだ。普段見えないような小さな星々まではっきりと見える。かなりの田舎に飛ばされたみたいだ。街のような明かりも全く無い。

 

 先を進んでも他の妖怪に出会うかもしれないけど進んでいくしかない。水も食料も無い状況だから脱却しないと餓死してしまう。

 

 二時間ほど真っ直ぐ歩いていくと、遠くの方に家の明かりのようなものが見えた。人間でありますようにと願いつつ明かりに向かって進んでいく。

 

 西洋風の一軒家の目の前まで来た。標識は無く誰の声もしないため無人かもしれない。でも明かりはついている。

 

 とりあえずノックしてみよう。もし妖怪が出てきたら能力を使って逃げよう。

 

 ドキドキしながら待っていると足音がした後に扉が開いた。




気づかれない程度の能力を持つ主人公が幻想郷でコソコソ生きていくお話。

あと妖怪って本当は怖いよねって感じのお話。

書いてる途中だったのでキリのいいところまで書いて供養しました。
ここからアリスの家に転がり込んでいく予定でした。


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有栖はアリスになりました。

三人称の練習です


 

 アリス・マーガトロイド、東方プロジェクトに登場する人形を操る魔法使い。アリスは魔界の創造神である神綺によって造られた少女で神綺からは娘のように育てられた。魔法の才能に非常に恵まれていてアリスの持つ魔導書『アリス・オブ・グリモワール』に魔法の全てが集約されている。

 

 

 そんなアリスは現在、幻想郷に居る。

 

 そして、そのアリスに突然なってしまった一般人が居た。

 

 アリスになった人物の名は柳坂有栖。奇しくも同名であった。気管支に先天性の疾患を持っていたため運動する事ができない反面、頭脳明晰で外に出歩けない分、家で知識を深めていた。

 

 そんな有栖がアリスに変わった状況で、最初に考えたことは身体が自由に動くと言う事だった。

 

  本のページを捲る動作にすら腕の重さを感じていた。歩いているだけで息が切れた。立ち上がるだけの為に介助が必要だった。

 

 有栖は過去の身体とは違い、制約の無くなった身体に変わった事に対して言葉では言い表せない程の幸福を覚えた。科学では説明のつかない現状に不安を覚える事は無く、科学では治せなかった痛みが消えた事に対して、超常の力に感謝すらしていた。

 

 心の思うままに身体を動かした後に有栖はこの身体でどう生きていくかを考える。

 

 有栖にはアリスが東方projectに出てくるキャラクターだと言う知識は無い。でもアリスの身体にはアリス自身の知識が残っていた。どこで生まれてどう生きていたのか。記憶は途切れ途切れだったが大まかには理解することができた。

 

「今の私はアリス・マーガトロイド。人形遣いの魔法使いで森の一軒家で人形たちと暮らしていた」

 

 アリスの記憶を想起し終えると、有栖であって、アリスでもあるようなそんな感覚を覚えた。

 

 どちらも私だとアリスが認識したところで物語が始まる。

 

 具体的には、今後どう行動していくかを考える。魔法使いに飲食は不要で、欲しいものは現状無い……強いて言えば本が読みたいが行動を起こしてまで手に入れたい程ではない。出費が無いので収入を得る必要が無い。つまりは働かなくとも生きていけるので家の中で好きなように過ごしていく方針で行こうとアリスは考えた。

 

 身体の持ち主だったアリスも幻想郷来てから一度も外出した記憶が無い出不精なので、同じように行動する事に問題は無いだろう。

 

「なので人形を作りましょう。人間の様に意思を持って動ける人形を。科学と魔法の融合で命を作りましょう!」

 

 こうしてアリスは歩みだす。

 

 人形に命を吹き込めるのか。訪れた来訪者にどう向き合うのか。様々な未来があるとしてもアリスは歩み続けるのだろう。

 

 どこまでも行ける身体を手に入れたのだから。




某よう実の有栖ちゃんとは関係がありませんよ……?

病弱だった女の子が元気な身体になって色んな女の子と交流を深めていく感じのお話でした!


別件ですが、連載する予定の小説を書いてる書いてます!
ある程度ストックが溜まったら投稿予定です!
まだ5話しか書いてないのでもう少しストックをしたいところです!

読んでいただきありがとうございました!


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インフィニット・ストラトス
IS世界の魔王様


 1.

 

「お前が人の革新を望むなら俺は魔王になろう」

 

「人は真なる滅びにでも直面しなければ、立ち上がらないだろう」

 

「お前が人を信じるのであれば、人を導く勇者にでもなるがいい」

 

 夢は情報処理の断片で、記憶がアトランダムに映像として流れていくのはその為だ。この記憶は……この行いの始まりの記憶。あの時から俺は、誓いの為に生きている。今までもこれから先も……そう定めた。

 

 仮眠から目を覚まし、椅子から立ち上がり、部屋の中央にある、青く発光する立法体の結晶。ゆったりと回転してるそれを手のひらにのせ、握り潰す。

 

 微かな光と共に、前方には部屋の壁を覆うようなモニターが全方位に現れ、建物の周囲を映し出す。ビル街の中心に建つ、塔の最上階から、辺りを見渡す景色が広がった。もう一度椅子に座り、脚を組む。

 

「なればこそ、全力で滅ぼしてやるとするか。精々止めてくれよ。立ち上がる人間が居なければ詰まらん。さあ人類の旅路の始まりだ」

 

 手に持っている、選定の剣を模した鍵を前方に向けーー捻った。

 

 壁を覆っているモニターに映る景色が変わる。

 

 黒い空間、辺り一面に白い輝きが無数に散らばっている。

 床には青色の惑星、頭上には月が、太陽光の反射によって白く映し出されている。

 

 青色の惑星から、白い柱が数十本と立ち上ってくる。その柱は頭上にの月へ向けて、赤い光を放ちながら真っ直ぐに突き進んでいく。

 

 

「では人類を救って見せろよ。救えばそこから革新は始まるだろう」

 

 白い柱はが月に届いた時、白い閃光とともに、大きな爆発を引き起こした。

 

ーーそして、月の欠片が、落下した。

 

2.

 

「ふふ、私のISが机上の空論なんて言う奴らには無理やりにでも分からせてあげないとね!」

「さーてと、ささっとアメリカンの国防省をハッキングして、ICBMの制御を奪っちゃおう」

 

 不思議の国のアリス、その主人公の服装に似た格好の少女が、空間に投影された複数のモニターを眺めながら笑っている。

 

 世界最高の防衛網を常人には不可能なスピードで容易く突破していく。

 

「まあこんなもんだよねー! はい完了!」

「束、何をやっている……?」

 

 部屋に入ってきた高校の制服に身を包んだ少女は、モニターに映っている、ミサイルが大量に飛んでいる光景に驚き、思わず質問をした。

 

「ちーちゃん待ってたよ-! あのね、アメリカがミサイルを日本に撃ってきたみたいだよー。このままじゃ東京は壊滅かもねー」

「は……?」

「ふふっ、これはISで守らないとねー! 机上の空論なんて言われたISでね!」

 

 ミサイルは海上、更に高いところを突き進み、日本の形をした島へ向かっている。

 

「あと、6分22秒で国会議事堂に衝突するよ。ちーちゃん守れる……って、えっ!?」

 

 日本へと向かっていたミサイルは突然軌道を変え、上へ、大気圏の外へと向けて登って行った。

 そして、米軍の基地からは追加でミサイルが発射された。

 

「は? なんで……それだけは私はやってないよ!?」

「なに、どう言うことだ!」

 

 米軍基地から発射されたそれは、かつての大戦で、一度だけ使われたそれは、死者14万人の悲劇を起こしたそれが、何十と発射された。

 

「私のハッキングを乗っ取って、権限を奪ったの……? それよりどうしようちーちゃん!? このままじゃみんな……」

「落ち着け束、なんであろうと斬ればいいんだろ。ISと私でならあれは斬れるか?」

 

 慌てふためく束の両肩に手を置き、顔を覗き込むようにして、優しく確認をする。

 

「う、うん! 宇宙空間に行くために、放射能含めて搭乗者に対して有害になる物は全てシャットアウトできるようにしてるよ! でも出来たばかりで性能も試して無いから……」

「大丈夫だ。束があの時から何年も掛けて作った物だ。あとは任せろ」

 

「ちーちゃん……! でもちょっと待って、今飛んでいるミサイルは衛星軌道上を超えて、もっと先へ向かってるから、地球とは何処か別の何処かへと、着弾するはず……あっ、月だ! あれは月に向かっているんだよ!」

 

 キーボードを常人に視認出来ないような速度で叩き、弾道計算を行っていく。

 

「仮に着弾して、計算通りに爆発した場合、月が欠けて地球へ……日本へ落ちてくる……」

「……は?」



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てぃーえすあいえす(IS)

 

 生まれ変わったら女の子になっていました。

 

 前世の記憶としては、生まれ変わったら女の子になって女子高に通いたいと願い続けていたどうしようもない人生でした。

 通勤中に車に轢かれて視界が真っ暗になって、突然に明るくなった時には赤ん坊になっていました。

 

 前世の記憶に引っ張られて…私の性別は女性でも女の子を好きになってしまうのを自覚しています。

 今も私は気になる子を追いかけて…

 

「リンちゃん、この後一緒に出掛けませんか?」

「え、遠慮しておくわ…一夏! 早く帰るわよ!」

 

 リンちゃんは『今』の気になっている女の子で、引っ越して居なくなってしまったあの子の次に好きになった子で…残念ながらまた逃げられちゃったけどね。

 仲良くなれたと思ったんだけど、最近避けられるようになってしまったんだよねぇ。可愛いと言い過ぎたから照れているだけなのだといいけど。

 

「鈴、おいー! た、高梨さん! あのさ、俺が一緒に出掛けようか?」

「結構です。それでは」

 

 男の子に興味なんてありません。声を掛けてきた男子くんは捨て置いて今日は帰る事にしようかな?

 中学生になって最初の年はリンちゃんを追いかける一年でした。

 

 

 

 IS乗りは女の子にモテるようです。

 それなら私はIS乗りになるしかないでしょう!

 という事でISVSと言うゲームでISの事を知っていく事にしようと決めました。

 

「帰ったらISVSで決着をつけようぜ! 俺のテンペストが最強だって教えてやる」

「いいぜ! ラファールの方が強いって分からせてやるさ!」

 

 ISVSは男の子がやるようなゲームみたいでクラスの子たちは残念なことにやっていなかった。

 仕方ないから男の子たちに混ざって教えて貰おうかな。

 男子と遊ぶのは精神的には楽だろうし、少しは楽しみだね!

 思えば女の子ばかり追いかけて今世では男の子とは遊んでいなかったなぁ。

 

「ちょっといいかな?」

「た、高梨さん!? な、なんでせう!?」

「高梨さん!?」

 

 なんか声を掛けただけで驚かれているんだけど…確かに自分から声を掛けたのは初めてだけどね。

 

「私、ISに興味があってね…ちょっとISVSっていうのをやってみたいのだけど…遊びに行ってもいいかな?」

「ぜひ来て下さい!!」

 

 おおう…すごい食いつき…確かに過去の自分が中学生の時って女の子のお尻を追いかけてばかりだったよねぇ…今もだけど!

 私は女の子にモテるために二人と遊ぶ、二人は女の子と遊べる…win-winの関係だよね!

 

「じゃあ二人とも…よろしくね!」

「おう…よろしく!」

「おっふ…よろしくお願いします!」

 ふふふ、ISに乗ってモテまくるよー!



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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
ベルちゃんかわいい


原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
タグ:性転換・オリジナルキャラ・TS・女主人公

※Evernoteから黒歴史を発掘してしまいましたので投稿します。
 ちょろっと訂正して投稿です。


 

・ベルちゃんかわいい1

 

 

「わぁ~!ここがオラリオ………すっごく大きい!!」

『迷宮都市オラリオ』ダンジョンと通称される壮大な地下迷宮を保有する巨大都市。

 多くの者がダンジョンに向かい、財宝や栄光など各々が求める何かを手に入れるため今日もダンジョンに潜っていく。

 そしてオラリオにまた一人、ダンジョンに夢を見る子供がそのオラリオに降り立った。

 

 その子の名はベル・クラネル。

 オラリオからすこし離れた田舎で育ち、世間知らずな所もあるがベル・クラネルには夢がある。

 その夢のために、住み慣れた田舎町から一人で飛び出して来た。

 

 様々な種族達が行き交う大通りを歩く。

 エルフ、ドワーフ、パルゥム、獣人……ベルが住んでいた町はほとんどの人がベルと同じヒューマンばかりだったので、物珍しくて、行き交う人を見るだけでも時間を忘れて眺めていられそうだ。

 きょろきょろしながら歩いてるせいか、色々な人から視線を浴びて、恥ずかしくなり顔が赤くなってくる。

 煩わしい視線から逃れるように早足で目的地へ進む。

 

「えーと…まずはギルドに行って、それから今日泊まるところを見つけないと!」

 『ギルド』ダンジョンや都市全体を管理してる施設で、冒険者の登録なども行っている。

 ベルも冒険者になるためにギルドに向かっているところだ。

 オラリオの入り口付近からギルドにつく頃にはベルは衣服が張り付くほど汗をかき、疲れ果てていた。

 オラリオが広大なのもあるが、ベルが小柄で筋力も体力もないのがここまで疲れる原因だろう。

 

「はぁ……疲れた……なんでこんな広いの……」

 ベルはギルドの入り口近くにある噴水に座り込んでいた。

 噴水から来る涼しい空気を浴びて息を整えていると、冒険者らしき風貌で強面の男がすぐ隣に腰掛けて来た。

 すぐ隣に冒険者がいる状況に緊張してしまい、ギルドに向かおうと立ち上がろうとすると、何かに足を引っ掛けて転んでしまう。

 

「いたた……」

「おいガキ、なにオレ様の足を踏んづけてくれんだよ」

「えっ……」

 後ろを向くと機嫌の悪い男が少し踏まれた後のある靴を前に出している。

 

「足があるって気づきませんでした! ごめんなさい!」

「あ? 足を伸ばしていたオレ様が悪いって言うのかよ」

 靴を踏んで転んだと気づいて、慌てながらもすぐに謝るが、それが余計に男をいらだたせてしまう。

 

「そ……そんなつもりじゃ……」

「どうだかな? まあクリーニング代を出したら許してやるよ」

「クリーニング代ですか!?えっと……いくらですか……?」

「この靴は金持ちなオレ様に似合う高級品なんだよ。クリーニングに10万ヴァリスすんだよ。ほら早く渡せ」

 

 と言われて手を差し出されるが、ベルはもちろんそんな大金は持ち合わせていない。

 一般的な冒険者5人パーティーで1日に稼げるのが2万5千ヴァリスほどで10万ヴァリスとなるとかなりの大金である。

 ベルも田舎町を出るときに全財産を持ってきたが、10万ヴァリスには程遠い。

 

「あの……ごめんなさい……そんなにお金もってないです」

「ふざけんなよ!!」

「ひっ! ご……ごめんなさい!」

 男に大声で怒鳴られた事など無いベルは恐怖に涙が出てくる。

 

「泣いたら許されるとか思ってんのかガキ!」

「グスッ……許してください」

「許すわけ無いだろ。金が無いならこっちに来い、稼がせてやるよ」

「やっ……離してください!!」

「いいから来い!!」

「いやです!」

 強面の男に手を掴まれた恐怖で必死に逃げようとするがベルの力では到底振りほどけない。

 

「暴れんじゃねえよガキが!」

 男がベルの手を掴んでない方の腕を振り上げて殴ろうとする。

 殴られる恐怖にベルは思わず目をつぶってしまう。

 目をつぶり来るであろう痛みに怯えていたがなかなか来ない。

 

「がああああ」

「えっ」

 

 目を開けるとベルの前には黒い髪で黒い服を着た男が居た。さっきの強面の男の足を踏みながら。

 

「こんな可愛らしい女の子をいじめるなんて同じ冒険者として許せないな」

 

『ベル・クラネル』性別女性。

 

白髪赤目の小柄な美少女である。

 

 

・ベルちゃんかわいい2

 

 

「くそっ! 足をどけろ!!」

「おっとすまない。気が付かなかったよ」

 黒い服の男がベルの隣に来ると、踏んでいた白い靴はさらに汚れていた。それはもう真っ黒な跡が付いている。

 

「怪我は無いかな?」

「は、はい!」

「それはよかった。俺はクロノ・クロニエルだ。よかったら君の名前を教えてくれないかな?」

「あ、ベル・クラネルって言います!」

「ベルちゃんって呼んでもいいかな?」

「はい!」

 激怒している男が目の前にいるのに、何故か自己紹介を始めるクロノにつられて、ベルも自己紹介をする。

 

「かわいい名前だね。俺のことも好きに呼んでくれて構わないよ」

「では……クロさんと呼んでもいいですか?」

「君もクロって呼ぶんだね……俺のことをクロってみんな呼ぶんだけどなんでだろうね?」

「あはは……全身真っ黒だからじゃないですか?」

 

 ベルは目の前の全身黒尽くめの男を上から下までじっくり見る。

 髪と目は黒く、笑顔の似合うやさしい顔立ちをしていて、肌は健康的な白。

 服装は黒のコート、黒のシャツ、黒のズボン、黒い靴……これはクロと呼ばれてもしかたないんじゃないかなとベルは思った。

 

「黒ってかっこいいよね」

「は、はい……?」

「ベルちゃんは逆に真っ白だね」

「白っていいですよね!」

 

 次はクロノがベルの容姿をチェックする。

 ウサギみたいな赤い瞳、肩まで伸びた白髪に、真っ白な肌。見られている事が恥ずかしいのか、真っ白だった肌は少し赤く染まっている。

 服装は白の袖なしロングのワンピースで、スカート部分は膝先まで、そこからスラリと美しい脚が伸びている。

 身長140センチも満たない小さいベルは身長170センチほどのクロノと話すと上目づかいになり、いっそう愛らしく見える。

 

「ベルちゃんの種族って天使だったりする?」

「ヒューマンですよぅ……」

 

 顔をさらに真っ赤に染めたベルを見て、 まるで天使のようだとクロノは思った。

 ベルは容姿を褒められた事なんて家族からしか無かったので、他人に褒められる耐性が無くすぐに真っ赤になってしまうみたいだった。

 

「オレ様を無視して話してんじゃねえ!!!」

 

 目の前のゆるふわな空気にさらに怒りを増した男は大声で怒鳴る。

 目の前でラブコメが始まったら誰でも怒るだろう。

 

「お前ら調子に乗ってんじゃねえぞ!オレ様はLv.2だ!スペシャルなんだよ!てめえらみてえな雑魚とはちげーんだよ!!」

 ほとんどの冒険者はLv.1で一生を終えるのを考えれば、ベルたちの前で叫んでいる男はスペシャルと言えなくも無いだろう。

 

「すまない、君が居たのを忘れていたよ」

「ご……ごめんなさい!!」

 ただベル達はこの存在を忘れていた。一方は黒ずくめの男に褒められて頭がいっぱいになり、もう一方は天使に出会った衝撃で。

 

「ざけんな!! お前らオレ様に殴られたらどうなるのか分かってんの?Lv.2だぞ! てめえらみたいな雑魚なんて殴ったら一発で死ぬぜ! レベル差ってのがわかんねえーのか?」

 端的に言うとレベルが上がるとめちゃめちゃ強くなる。

 

「レベル差は分かってるよ」

「なら分かってるだろ雑魚。お前が何してもオレ様には効かねーし、オレ様が殴れば一発昇天って訳よ。クリーニング代と慰謝料で30万ヴァリス払えば許してやるよ。オレ様のスペシャルな優しさだぜ、最終通告だ。ほら出せよ」

「すまないけど君に払う手持ちは持ち合わせてないんだ。ベルちゃんにならともかく」

 

「おーけーおーけー……じゃあ死ね!!」

 

 そう言って男は拳を握り締めてクロノに向かって殴りかかってくる。

 クロノは拳を振り上げてクロノの顔を目掛けて殴ろうとする男の足を踏み抜く。

「がああああああ!」

 ゴキリと大きな音が鳴り、男は足を押さえて蹲る。

 

「痛てぇ……なんでお前みたいな雑魚が……」

「分かるだろ? レベル差だよ」

「レベル差だと……」

 

「俺のレベルは6だよ」

「はああああああ!?」

「えぇー!?」

 

 田舎娘のベルでも驚く事実。大半の冒険者はLv.1で一生を終える。Lv.2以上など一握りしか居ない。Lv.6となると両手で数えられる数となる。ベルが驚くのも無理は無い。

 

「めっちゃスペシャルじゃねえか………がくっ」

 

 そう言って男は気絶した。

 

「さて悪は滅びたね。ベルちゃんこの人の処遇はどうする?ギルドに突き出せば監獄行きにできると思うよ」

「そっ、それよりLv.6って本当なんですか!?クロさん!」

「まあ……ね」

「すごーい! すごいです!」

「あはは……ありがとね」

 

 純粋にすごいと言われてクロノはすこし恥ずかしくなり、横を向いて頬を掻く。クロノも褒められることに慣れているタイプでは無いみたいだ。

 

「そ、それでこの人どうしようか?」

 

 まだ、すごいすごいと言っているベルの意識を逸らそうとクロノが聞く。

 

「えっと……私はちょっとこわかったですけど、クロさんが助けてくれたので許してもいいです! 足も痛そうですし……」

「ベルちゃんって本当に天使だね」

「も……もう! からかわないでくださいよー!」

 

 少し頬を膨らませて上目づかいで怒るベルを見て、クロノは思ったことが口から出る。

 

「ベルちゃんかわいい」

「えっ?」

 

 

・ベルちゃんかわいい3

 

 

「どこのファミリアに入るとか決めているの?」

「まだですね。ギルドで相談しようかなって思ってます!」

 

 現在ベルとクロノはギルド内のソファーに座りながら雑談中だ。

 ベルは冒険者になるにはどうすればいいかと相談する為にギルドに来たが順番待ちで、ギルド内のソファーでクロノと雑談中だ。

 

「ギルドなら安心して相談できるからいいと思うよ」

「ならよかったです!」

「ベルちゃんって簡単に人を信じそうで恐いからね。前居た所なら大丈夫だったかも知れないけど、オラリオでは気をつけないと行けないよ」

「私は結構疑い深いからだいじょうぶですよっ!」

 

 やけに自信たっぷりに言うベルだが、クロノには信じられなかった。

 

「なら俺の居るファミリアに来ない?」

「えっ?クロさんのギルドですか!?」

「ああ。ベルちゃんは側に居てくれないと心配だからさ……俺のファミリアに来てほしい。必ず護るから」

 

「あ、あわわ……でも、その……嬉しいですけど……私は護られるだけじゃ嫌なんです!  あっ……でもクロさんのファミリアに入りたく無い訳じゃないんですよ! ですから……うぅ……」

 

「よし! なら今からファミリアのに行こう」

 クロノは立ち上がってベルの手を取り立ち上がらせる。

 

「えぇー! いまからですか!? あの…ギルドでお話し聞くのは……?」

「恩恵貰ってからでいいよね。その後ギルドに行けばそのまま冒険者になれるよ。よし行こう!」

「はっ……はい!」

 

 ギルドを出ようとするベルは突然止まったクロノにつられて止まる。

 

「ほらね。知り合って直ぐの人をを簡単に信じちゃだめだろ?」

「あっ……」

「オラリオの治安はあまり良く無いから自分の身は自分で守らないとだめだよ」

「えっと……じゃあさっきのクロさんのファミリアに入れるって話は……?」

「ベルちゃんが入りたいなら協力するよ。君は目を離すと心配だからね」

 

「そもそもどこのファミリアかも聞いてないのに着いていったらだめじゃないか」

「あっ! クロさんのファミリアってどこなんですか?」

「それは……」

 

「ロキファミリアですよね。(漆黒)《ダークネス》様」

「その二つ名で呼ぶのは止めてくださいエイナさん」

 

 ベルとクロノの話を遮るように出てきたのは、メガネの似合う利発そうな美人のエルフで、名前はエイナ・チュールと言う。

 

「昔にそう呼べって言ったのはクロノ君だよ」

「うぐっ……」

 クロノは胸を押さえて苦悶の表情を浮かべる。

 

「《漆黒》ってなんですか?」

「君が冒険者について相談しに来た子かな?」

「はい!ベル・クラネルって言います!」

「よろしくねベルちゃん。私はギルド所属のエイナ・チュールよ。で、《漆黒》って言うのはクロノ君の二つ名だよ」

 

「《漆黒》ってかっこいいですね!」

「あ…ありがとう…」

「《漆黒》って呼んでもいいですか!」

「ヤメテクダサイオネガイシマス」

「えっ?」

 

 ベルが口を開く度にクロノの瞳から光が無くなっていく。

 

「ふふっ、そう言うのは卒業したんだよね」

「したので忘れてください…」

「どうしようっかなー? こんな面白い事忘れられないよね」

「許してください……」

 

 楽しそうに話しているクロノとエイナを見て、なんだかムカムカしたベルは二人の間に入り込んで会話を止めに入った。

 

「むぅ…2人で楽しそうにしてずるいです!」

「ごめんなさいねベルちゃん」

「俺は楽しくないけどね…」

 

「とりあえずベルちゃんは私とあっちの部屋に行きましょうか? クロノ君はここで待っていてね」

「わかった。ベルちゃんをよろしくね」

「行ってきます!!」

 

 ベルとエイナは受付の横にある部屋に入っていった。

 2人はテーブルの対面に座るが、ベルは緊張でカチコチになっている。

 

「そんなに緊張しなくていいのよ。別に私は面接官って訳じゃないの。ベルちゃんの話を聞いて相談に乗ってあげるだけだからね」

「はっ、はい!ありがとうございます!」

「ふふっ、それでベルちゃんは何を聞きたいのかな?」

 

 ベルは目の前の優しいお姉さんに冒険者になりたい事。どこのファミリアが私に合っているかと質問した。

 

「えっと、まずベルちゃんはなんで冒険者になりたいか教えてくれないかな? そこを知らないと、どこのファミリアがベルちゃんの目的に合うか分からないからね」

「私が冒険者になりたいのは…大切な人を護れるように、強くなりたいからです! どんな敵からも必ず護れるように私は強くなりたいんです!」

 

 昨日まで笑いあっていた家族が、突然居なくなる。そんな経験をしたベルは、もう大切な人を失わない為に強くなる。そのために住んでいた町を出てオラリオまでやってきた。

 

「そっか…ベルちゃんは護る強さが欲しいんだ」

「はい!」

「お金の為とかだったら、ショップの店員とか、それこそギルドの受付を紹介してもいいかなって思ったんだけどね。ベルちゃんって小柄で力も無さそうだし、戦えそうなイメージが全く湧かないし…」

「あはは…これでも木剣は毎日振っていたんですよ!」

「冒険者になったらもっと重い物を振るんだよ? できる?」

「できなくても、やります!」

「ベルちゃんの心意気はわかったよ。だから、私も全力で協力するから」

「あ、ありがとうございます!!」

 

「それでおすすめのファミリアだけど、やっぱりロキファミリアかな」

「クロさんの居るファミリアですよね?」

「うん。でもクロノ君が居るのが理由って訳じゃなくてね。ロキファミリアはオラリオで最大規模のファミリアで、大きいって事は人も物資も十分に揃ってるから、しっかり冒険者について教わる事が出来て、安全に強くなっていけると思う」

「でもそんな凄いギルドに私が入れるですか……?」

「大丈夫だと思うよ。クロノ君の推薦もあるし、それに……」

「それに……?」

 

「主神ロキは可愛い女の子が大好きだからね。ベルちゃんなら簡単に入れるかもね?」

「えぇー! ロキ様って女性でしたよね?」

「性別なんて些細な問題らしいよ?」

「えぇー……」

「そんな神様でもいいならロキファミリアかな?」

「神様に問題があるって……」

 

「はぁ……気にしたら負けよ」

「はい……他にはいいファミリアはありますか?」

「……ベルちゃんの実力的に他のファミリアに入れるとは思えないかな、でも1つだけ、誰でもいいから団員を募集中ってファミリアがあるんだ」

「教えて貰ってもいいですか?」

「ええ。主神の名前は神ヘスティア。出来たばかりのファミリアで団員は0。神様1人しか居ないからダンジョンに行く場合はパーティー募集しないと危ないと思う。だから私としてはおすすめは出来ないかな」

 

「なるほど……でもこんな私でも必要としてくれるなら、入ってみたいです!」

「必要としてくれるとは……思う。でも確実に強くなるならロキファミリアかな」

「そうですか……」

 

「それで、ベルちゃんはどちらのファミリアに入りたい?」

「えっと……」

「色々言ったけど、決めるのはベルちゃんだよ。私は相談に乗っただけだからね。君の選択を教えてくれないかな?」

 

「私はーーー」




※読んでいただきありがとうございます。

 この小説は昔ハーメルンに投稿していたのですが、消してしまいました。その時の感想などは残っていませんが、いくつか感想をいただいていたのに申し訳ないです。
 ベル君をTSさせて主人公にしたのに、オリ主みたいなキャラが出ているのが、許せなくて消したのだと思います。

 ともかく読んでいただきありがとうございました。


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運命の人を見つけました!

あらすじ
予言によって英雄となることを定められた女の子が、もう一人の英雄(運命の人)を探すお話。

原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
タグ:ガールズラブ・オリ主・勘違い・女主人公

※実はダンメモのゲームで団員募集のために書きました。


 

「ヘスティア様! 聞いてくれますか!」

「リリーおかえりー、何か良いことでもあったのかい?」

「はい! わたしは運命の人を見つけました!」

 

 わたしことリリーは運命の人を見つけました。あの人はとても綺麗で、優しくて、それにとっても強いお姉さんでした。わたしを囲んでいたモンスターを一瞬で倒して、危ないところを助けてくれました。

 

 一目で運命の人だと思ったんです!

 

「ま、またかい……他のファミリアには迷惑を掛けないでくれよ……」

「もちろんですよ! 運命の人をヘスティア・ファミリアに入団させて、ずーっと一緒に居るために行ってきます!」

「やめてくれよー! ま、また苦情が……うっ胃が痛い……」

 

 ヘスティア様はやめてと言っていますがすみません!この気持ちは止められないんです!お優しいヘスティア様なら、祝福してくれるはずです!それでは行ってきますね!

 

 ヘスティア・ファミリアの拠点から出て、大通りを歩く。あの方はどこにいるんでしょうか?あ、あそこにいるちっちゃい子はリリちゃんですね!暇なら一緒に探してもらいましょうか?

 とてとてと歩いてるリリちゃんの後ろをこっそりと歩く。今日は大きなバッグを背負ってないから、サポート業はお休みなんだろうね?リリちゃんとは同じファミリアなのに、あんまり仲良くないのが残念です。なので今から仲良くなってみましょう!

 

 

 真後ろに行って、いきなりぎゅっと抱きつきます。えいっ!

 

「ひゃあ! な、なんですか!?」

「リリちゃんこんにちは! わたしですよ! リリーです!」

 

 慌てて振り向いた、リリちゃんにわたしですよって教えてあげる。リリちゃんはジト目でわたしのことを見てきてかわいいですけど、どうしたんですか?驚かせちゃいましたよねー。ごめんなさい!

 

「リリーさん何するんですか……リリは忙しいんです。遊ぶならお一人で遊んでください」

「忙しかったんだ、ごめんなさい! 同じファミリアなのに、あまり話さないよね? 仲良くなりたいなーって思ったの!」

 

 リリちゃんはわたしが近づくと直ぐに逃げちゃうんだよねー。ベルくんが居るときは話してくれるんだけど、わたしには冷たいのはなんでー?ベルくんと話してる時みたいに楽しくお話して欲しいのにー!

 

「リリーさんはリリの敵ですからダメです!」

「えー? なんで敵なのー? リリちゃんはわたしって名前が似てるし、敵じゃなくてお友達になろうよ! リリリリーってチームを作ろうよ!」

「名前が似てるのは関係ありませんし、変な名前のチームも作りません! それに、ベル様に呼ばれたと思ったらリリーさんに話しかけていて、聞き間違いをして悲しい思いもしたんです! やっぱり敵です!」

 

「そんなー……わたしはリリちゃんのことが好きなのにー」

「そ、そんな事を言っても無駄です! とにかくベル様は渡しませんからね! 失礼します!」

 

 ベルくんを渡さない?ベルくんはリリちゃんのモノだったんだ……?わたしはリリちゃんの方がほしいよー!リリちゃんって小さくてかわいいんだもん!

 

 それとベルくんもリリちゃんに分かりやすく名前を呼んであげないとダメだよね!ベルくんはわたしの後にヘスティア・ファミリアに入団してきた男の子で、わたしが誘ってあげたんだよねー。

 他のファミリアに入れてくださいって頼んでも断られていたベルくんを見つけて、わたしはなんて言って誘ったんだっけ?

 そうだ、

 

『あの、もしよかったらわたしのファミリアに来ませんか? えっとダメですか……?』

 

 ベルくんを見たときに、わたしとベルくんって仲良くなれそうだなーって何となく直感で思ったんだよね?

 話してみると、冒険者になる理由が出会いを求めたいって面白いことを言ってたからね、わたしも運命の人を見つけるために冒険者をしてるんだって話してあげたんだ。

 

 それで冗談っぽく、

 

『もしかして、ベルくんがわたしの運命の人かも知れませんね』

 

 って言ったら顔を赤くしていて、男の子なのにかわいかったなー。ベルくんが女の子だったらよかったのにね。

 

 わたしの運命の人は女の子らしい。

 

 エルフの里で最も高名な占い師に言われたんだけど、

 

『ーー未来の事だが、私には見える。英雄を目指す小柄なヒューマンの傍に立つお前の姿を。そのヒューマンは英雄となり、お前と共に黒龍を打倒しているその姿を。

 

 お前の末路は英雄だ。

 

 そのヒューマンと共に歩まなければ、死にゆく定めの比翼の英雄だ。

 運命に定められた彼の者を見つけろ。その為にお前は生まれてきた。英雄になるただそれだけのためにーー』

 

 小柄なヒューマンってことは、女の子だよね?それに、わたしは既に運命の人とはどこかで会っているみたいなんだよね。

 ベルくんをファミリアに誘ったその日に、運命の人に会ったみたいで、わたしは一つのスキルを覚えた。

 

【比翼ノ英雄】自身の魔力を消費して、他者の強化を行う。魔力量によって効果増大。《英雄》と銘打たれたスキルを持つ者への効果は更に増大。

 

 どこで会ったのかは分からないけど、オラリオのどこかに居るのは確かだよね。でも今日見つけたんだ、わたしの運命の人を!次こそは本物だと思うの!

 

 剣に風を纏って、一瞬で七体のモンスターを切り裂いたあの人はまさに英雄で、わたしの運命の人だよね。あの人はどこに居るんだろう?

 

 ダンジョンの前で張り込んでみようかな?あの人は冒険者だからダンジョンには絶対に行くと思うから。大通りから、ダンジョンの入り口まで歩いていく。

 

 あっ、ダンジョンから出てきたベルくん発見!ベルくんにも挨拶しないとね!わたしには気付かなかったみたいだし、通り過ぎていったベルくんの後ろからリリちゃんの時みたいに抱きつく。えいっ!

 

「うわっ! リ、リリーさん! なんで抱きつくんですか!? は、恥ずかしいですって!」

「ベルくんへの挨拶だよ! 同じファミリアの家族なんだから、抱きついてあげないとね! リリちゃんにもさっきやったんだよーえいって」

 

 ベルくんの頬が赤くなっているのが横顔を見るだけで分かる。かわいいねー。ベルくんはリリちゃんを置いてダンジョンに潜ったんだ?いくらレベル2になっても、一人だと危ないよねー。注意してあげないと!

 

「ベルくん、一人でダンジョンへ行くのは危ないよ。これからは誰かと一緒に行こう? わたしも誘われたら付いていくから、いつでも言ってね」

「あ……ありがとうございます! そ、それより近いですよ!」

 

 ベルくんが身をよじって離れちゃった。ベルくんに抱きついていると、反応がかわいいしちょっと残念かなー?まあいっか。

 

「そうだ! ベルくんに聞きたいんだけど、わたしね運命の人を見つけたの!」

「ま、またですか……命さんの次は誰ですか?」

 

 命ちゃんは、この前ヘスティア・ファミリアに入ってくれた女の子で、わたしの運命の人だと思って、二週間くらい一緒に居たら入団してくれたんだよね!わたしの想いが通じたんだね!結局、わたしの運命の人では無かったんだけど、すごく仲良くなれてうれしいなー。

 

「名前は分からないけど、特徴を教えるから、ベルくんが知っていたら教えてくれる?」

「はい。知ってる人ならいいんですけど」

 

「その人はね、金色の長い髪をなびかせた金色の瞳の女の人が、剣に風を纏って、一瞬でモンスターを切り裂いたの」

「へ? それってアイズさんじゃないんですか? ま、またライバルが増える……」

 

 ライバルが増える?なんのライバルだろうね?じゃなくて、ベルくんが知ってる人なんだ!

 

「アイズさんって言うの? どこのファミリアなのかな?」

「リリーさんも会ったことありますよ……あの時はマインドダウンで気絶していましたね。僕がリリーさんのスキルで強化してもらってミノタウロスを倒した時に、気絶していたリリーさんを地上まで運んでくれたんですよ」

「やっぱり運命の人なんだね! もう会っていたんだ!」

 

 あの時は危なかったよね。五層でベルくんとモンスターを倒そうとしてたら、まさかのミノタウロスが出てきたんだよねー。見つかった瞬間に逃げたんだけど、逃げた先は行き止まりで、倒さないと死んじゃうって思ったから、全ての魔力を使ってベルくんを強化して、わたしは気絶しちゃったんだけど、ベルくんはミノタウロスを倒してくれて、わたしもベルくんも助かったんだよね。

 その時にベルくんはレベルアップしたけど、冒険者になって二週間でレベルが上がるなんてすごいよね!

 

 その時にアイズさんは私を運んでくれてたんだー。また助けて貰っちゃったし、会えたらうれしいな。よし、アイズさんのファミリアを聞いて会いに行こう!

 

「アイズさんのファミリアってどこ? 早速会いに行かないと!」

「ちょ、ちょっと待ってください! アイズさんはロキ・ファミリアなので、会いに行っても通してもらえませんよ!」

「諦めなければ何とかなるよ! 諦めないことが英雄への第一歩なの!」

 

「た、確かに……じゃなくて、またこの前みたいに戦争遊戯一歩手前になっちゃったらどうするんですか!? そのせいで神様は胃薬を手放せなくなっちゃいましたし、今日は止めておきましょう!」

「えー……まあベルくんがそう言うなら仕方ないかー。代わりにオラリオを一緒に歩いて、アイズさんを探してもらうからね!」

 

「は、はい!」

「ふふっ、二人で歩くなんてデートみたいだよね。手を繋いであげるよ。はいっじゃあ行こうか?」

「ででで、デート!? は、はひ!?」

 

 ベルくんの手を握って、二人で北の方へ向かって歩く。こっちは服とか装飾品が売ってるんだよねー。何か買っちゃおうかな?

 隣で顔を赤くして、恥ずかしそうに下を向いているベルくんを見てたら、顔を上げたところで目が合った。目が合った瞬間に笑いかけたら、もっと顔赤くなった……ベルくんってやっぱりかわいい!

 

 同い年で身長も同じくらいだけど、なんだかベルくんって小動物みたいで、わたしより小さく見えるよね。でも、モンスターと戦ってるときは格好いいんだよねー。本当にベルくんが女の子で、わたしの運命の人だったらよかったのにねー。

 

「ベルくん、これわたしに似合うかな?」

「は、はい! リリーさんの銀色の髪に、大きな赤色のリボンが凄い似合いますよ!」

「なら……買ってくれる? ダメかな……?」

 

 ベルくんの手を両手で握って、顔を下から覗くように見上げてお願いする。買ってほしいなっ!

 

「買います!!」

「ふふっ冗談だよ。でもベルくんが似合うって言ってくれたから買ってくるねー」

 

 店員さんに500ヴァリスを渡して、リボンを買ってきた。そうだ!

 

「ベルくん! リボンを着けてくれるかな? ベルくんの好きな髪型にしてくれていいよー」

「は、はい!? がんばります! えーっと…………これでどうですか?」

 

 頭の後ろを触ってみると、後頭部の真ん中にポニーテールができていた。うん。上手く結べてるし、よさそうかな?

 

「ベルくんありがとう! 似合ってるかな?」

「はい! 最高に似合ってます!」

「ありがとねー。じゃあデートの続きをしようか?」

「はいぃ……!」

 

 二人で服を見ながら、更に北の方へ進んでいく。するとなぜか大きなファミリアの拠点にやってきた。どこだろうねーここー。

 

「こ、ここってロキ・ファミリアの拠点じゃないですか!」

「あれー? おかしいね-? なんでだろうねー?」

「北に向かったのって、ここに来るためだったんですか!?」

「もちろんベルくんとデートするためだよー。さあ私たちのデートの続きを始めようか! 乗り込むよ!」

 

「絶対ダメです! ほら、門番の人に変な目で見られてますよ!」

「英雄になるには、自分の定めた道をどんな障害も超えてでも、突き進まないとダメだよ!」

「た、確かに……じゃなくて、乗り込むのはダメですって!」

 

 ベルくんに後ろから抱きしめられて、止められちゃった。えー残念だよー。普通に助けてくれてありがとうって言うだけだよ?ついでにヘスティア・ファミリアはどうですかって聞くかもだけど、些細なことだよね!

 

「帰りましょうね! 神様が胃を痛めながら帰りを待ってるんですから!」

「むー……はーい。じゃあまた今度一緒に、わたしの運命の人を探してね」

「いくらでも付き合いますから!」

「なら今回は許してあげるよー。英雄は引き際を誤らないの!」

 

 ベルくんと一緒にヘスティア様の元へ帰って、今日あった話をしていく。ロキ・ファミリアに突っ込もうとした話をしたら、ヘスティア様は胸の下あたりを抑えてうずくまって……胃が痛いって倒れちゃった。

 急いでベルくんと一緒にミアハ様の元へ連れて行って、診て貰ったら、胃に穴が空いちゃったんだって……しばらく安静にって言われてた……。

 

 ヘスティア様はしばらくミアハ様のところで療養するんだって、神様って大変なんだね……帰る前に起きたけど顔色の悪いヘスティア様から、

 

『くれぐれもリリーは大人しくしていてくれよ……』

 

 うん。ちょっと最近は運命の人を見つけるのにがんばりすぎていたよね!ロキ・ファミリアに居るって分かったから、ヘスティア様が帰ってくるまでは大人しくしていてあげようか!

 

 ヘスティア様が帰ってくるまではロキ・ファミリアには突撃しませんって、ベルくんに話したら本気で怒られちゃった……。はい。もうロキ・ファミリアには突撃しません。

 

 でも運命の人を見つけるのは諦めないよ!




 百合を書こうとしていたら、なんかリリーがベルくんといちゃいちゃしていた件。原作ベルくんがかわいいのがいけませんね!

 ヘスティア様は胃潰瘍でぶっ倒れました。私がヘスティア様を出すと、何故か胃痛持ちになってしまいます……

 原作との差異は結構いくつかありますが、だいたいリリーの仕業ですね。

 リリーのもう片割れの英雄は誰でしょうねー?

 短編なので続きませんが、読んでいただきありがとうございました!


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ベル・クラネルは諦めない

 

『迷宮都市オラリオ』太古の昔からある迷宮。その迷宮を中心に都市が集まって出来た街オラリオ。

 その迷宮の底に辿り着いた者は誰もおらず、その深層を目指す者、迷宮内に現れる魔物を倒し生活の糧にする者、強くなる為に戦う者など目的は人それぞれでも、迷宮で戦う者達は『冒険者』と呼ばれている。

 

 新たに冒険者になった『ベル・クラネル』も、とある目的を持って迷宮へ訪れていた。

 冒険者になって7日目、ベルは迷宮第6層で人影の魔物であるウォーシャドウと戦っていた。

 

 5体のウォーシャドウに囲まれ、正面から鋭利な爪で切り裂こうと詰め寄り腕を振り上げた影に向けて、腕を振り下ろされるよりも速く近づき小剣で斬り伏せる。

 

 斬られた影が消えると同時に後ろの2体がベルに近づき爪を振り下ろすが、近づいてくる気配へ向けて、振り向き様に横に斬りつける。

 残り2体ーー影は左右から同時に爪を突き出し、ベルを貫ぬこうするが、ベルには届かない。

 

「ファイアボルト!!」

 右のウォーシャドウへ魔法を放ち、左の影の爪を小剣で受け止め、直ぐに切る伏せると全ての影は霧散した。

 

 周囲を確認して魔物が居ないことを確認して一息つく。小剣を鞘に仕舞い、魔物が落とした魔石を拾って皮袋に入れる。

 

「全然ダメだ……もっと強くならないと」

 迷宮に入ってから7日間。ソロで6層の魔物を難なく斬り伏せているのは異常な事である。それでもベルには足らなかった。

 

 強くなるーーその為にはより強い魔物を倒して『経験値』を貯める為より深い層を目指さなければと思い、次の層へ向けて歩みを進めていく。

 

 

 道中のウォーシャドウを見つけ次第倒しつつ、7層に着くと直ぐにキラーアントが1体現れた。

 

『キラーアント』固い装甲に守られた身体は新米の冒険者には斬れる物では無く、上手く倒せたとしても仲間を呼び出して物量で冒険者を殺していく事から、新米殺しと呼ばれている。

 

 ベルは目の前のキラーアントに向けて小剣を振り下ろす。装甲の厚い身体ではなく、脚の関節に斬りつけると難なく脚を切り落とした。それを確認して少し離れる。

 

 ベルは脚を切り落とされてギィギィと鳴き続けているキラーアントを眺めて動かずに待ってしばらく経つとカチカチと歯を鳴らしながら数十体のキラーアントが床だけで無く天井や壁からも現れた。6層に戻る道は残っているが、他はキラーアントで埋め尽くされる。

 

 蟻の群体に向けてベルは駆け出し、役目を終えた魔物は不要だと、助けを呼んだキラーアントの頸を切り落とす。

 続けざまに近くのキラーアントに近づき、小剣を両手で持ち、装甲の厚い胴体へ向けて振り下ろすと、装甲を貫いて絶命させた。

 

 剣を振り下ろした体制のベルを噛みつこうとしているキラーアントを横薙ぎで斬り捨てて後方に飛んで距離を取る。

 

 近づいてくるキラーアントを斬る、避ける、刺す、離れる、貫く、回避、斬首、受ける、潰す、躱す、穿つ、駆ける、薙ぎ払う。

 

「全然減らないなぁ……これは倒しきれないかも知れないし、ならまとめて終わらよう!!」

 

 一度距離を取り、左手を前に構えて呪文を詠唱する。

 

「雷霆よ、数多を貫く、雷鳴の矢よーー」

 

 群がるように向かってくるキラーアントから目を離さずに、詠唱を続ける。

 

「蒼穹を穿ち、神の怒りを表す者ーー」

 

 目前に迫る大軍へ向けて、詠唱を完成させるーー

 

「全てを貫き、裁きを与える者ーーフルミネ・ランペッジャメント(雷霆ノ閃光)

 

 キラーアントに向けて、雷霆の矢が放たれる。放たれた一本の雷の矢から枝を延ばすように複数に別たれて、全てのキラーアントを貫き、青白い閃光が眼前を埋め尽くす。

 

 光が消え去った後には魔石が残るのみとなっていた。

 

「ゲホッ……」

 魔力を使いすぎた影響で血を吐く。身の丈に合わない魔力行使は身体に大きな負荷を与えた。意識を失う程の激しい痛みが身体を襲う。視界が真っ暗になりかけるが歯を食いしばり耐える。

 

(まだダメだ……ここで倒れる訳にはいかない!!)

 

 動かない身体を無理やり動かして、6層への道に移動する。階段に座りマインドダウンしている身体を痛みに耐えながら休ませる。

 

「僕は強くならないといけないんだ……もっと……強くならないと……」

 

 ベルは強くなるとあの日に誓った。

 誓いを胸に、力を掴もうと強さを求め続ける。

 諦めないベル・クラネルはどこまでも行く。

 

 これは新たなる英雄の物語である。

 

 

-----------

 

 

 

 マインドダウンの痛みに耐え続けて、動ける程度まで魔力が回復したので散らばった魔石を回収する。

 

(魔石は集め終わったけど、先に進むのはやめようか……またキラーアントの大軍と戦ったら、厳しいと思うから一度帰って神様にステータスを上げて貰ってから再挑戦しよう!)

 

 道中の魔物を倒しつつ魔石を回収しながらバベルを目指して進む。帰り道は迷宮に入ってからの7日間で戦い慣れた魔物ばかりしか出てこない為魔物毎の倒し方を反復しつつ冒険者になってからの事を振りかえる。

 

 ベルがオラリオの冒険者や迷宮の管理、魔石、ドロップ品の売買を行っている機関である『ギルド』で冒険者登録をしてから今日で10日目。

 

 一日でも早く強くなりたいと言って直ぐにでも迷宮に行こうとしているベルを止めるために世話好きのギルド職員から出された課題である、『中層までの全ての魔物の特徴の暗記』をギルドの一室に籠って図鑑を読み続けて2日で暗記を完了させ、そのまま迷宮に向かおうとしているベルを慌てて引き留めて、明日一緒に武器と防具を買いに出掛けようと約束させた。

 次の日にはオラリオを二人で回りながら屋台で美味しい物を堪能しつつ『冒険者は冒険しないように』と冒険者の心構えを教え、武器屋を見に行くと、錆び付いたナイフ一本で迷宮へ行くつもりのベルに小剣を購入し、命を落とさないようまともな武器とポーション類を購入した。



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信じて送り出したTSロリ姉幼馴染みがロキファミリアの冒険者になって団長の調教(曲解)にドハマリしてエへ顔ダブルピースで日常を送っているなんて

だんまち
TS
パルムゥ


「ベルくんかわいい。大好きだよ」

 柔らかな雪のような白髪の男の子、幼馴染みのベルくんが顔を赤らめた後、下を向いて恥ずかしがっている。

 

 かわいいなぁ〜ベルくん。

 

 白髪に赤目でしかも小柄でウサギみたいなところも、何処に行くにしても、ちょこちょこと後ろを付いてくるひな鳥みたいなところも、僕は英雄になりたいですって張り切って剣を振り回してる男の子っぽいところも全部好きかな。

 

 うん。ギリいけると思う。

 

 私、もとい元『俺』は地球じゃない異世界に記憶を持って転生したみたいで、小さな村の小さな神社の一人娘として生まれて、年を一つ後に生まれたベルくんと一緒に成長していった。

 

 生まれてからずっと女として暮らしてきたので、話し方も趣味嗜好も女の子っぽくなってきたけど、一つだけ変えられなかったものがある。

 

 男は好きになれないって!

 

 異世界らしく私の種族はパルゥムって言うらしくて、成長しても身長も小さく人間の子供くらいまでしか成長しない小人のような種族みたいで、お父さんもお母さんも、少年少女のような見た目のままだ。

 

 そして私の家はパルゥムの信奉している女神フィアナを奉る神社で、数百年前に他の神様が地上に降りてきた中でフィアナ様は降りてこなかった事から廃れてしまったフィアナ様の信仰だけど、家は地上でも数少ないフィアナ様信仰を続けている神社だった。

 神様と会えるこの世界で、会えないフィアナ様を何百年も信仰し続けていくなんて、本当に大変なことだったと思う。

 

 そんな歴史深い神社の跡取りな私にお父さんとお母さんからも、神社の跡継ぎを残すために結婚しなさいと言われているけど、村のおじさんやお兄さんを見て、好きになれるかと言われると……うん、無理!

 

 男を好きになれる気がしないよね。絶対に男を好きになるとかないでしょ!

 女の子の方が可愛くて、柔らかくて、いい匂いで……とにかく好きになるなら女の子でしょう!

 

 今では14才になった私に対して、もう結婚相手を見つけてくると息巻いてオラリオって街に出かけたお父さんの事は記憶から消して、下を向いていたベルくんのほっぺに両手を添えて顔を上げさせる。

 

 もっと顔を赤くして目を瞑ったベルくんを正面に見据えて思う、やっぱりベルくんならギリギリいけると思う。

 13才になって身長は私と同じくらいになったけど、女の子っぽい顔つきで、これから成長しても小動物チックなところは変わらないと思うから、ベルくんの事なら男としても好きになれるかもしれない……たぶん。

 当然、友人としても弟分としては好きだけど男として……となるとどうなんだろう?

 正直、男の子としては見たことが無いけど、もし誰かと結婚して子供を作らないといけないんだとしたら、ベルくんならたぶん、きっと、セーフだと思う。

 

 からかうついでにベルくんにこの思いを伝えてみちゃおうかな。ふふ、どんなかわいい反応をしてくれるのかな?

 

「ねえ、ベルくん……?」

「なっ、なに? アスナお姉ちゃん……?」

 

 ベルくんから見たら天使のような美少女に頬に手を添えられて微笑まれている状況になっている。

 

 私の容姿は端的に言うとアスナかな〜やっぱw

 みんなにアスナって言われてるw

 

 そんな感じで前世で見ていたアニメに出てきたソードアート・オンラインに出てくるアスナが小学生くらいに小さく幼くなった感じの容姿で、客観的に見ても主観的に見てもまごうことない美少女だね!

 なんでこの容姿になったのかは全くわからないけど、鏡を見るだけで、幸せになれる容姿に生まれたのは最高だよね!

 

「ベルくん、私……ベルくんの事大好きだよ」

「えっ、わっ、あっ……」

 

 真っ赤なベルくんがさらに赤くなってトマトみたいになっている。

 ふふふ、やっぱりかわいい反応をしてくれるね!最高だよ!

 

「ずーーっと一緒に居ようね!」

「あうっ……う、うん!」

 

 私をおずおずと見てうなずくベルくんに、によによと笑みを浮かべている自覚はある。

 うん、本当に好きになれるかも。男の子としては見えないけど、誰か男の人を選ぶならベルくんかも!

 

「べ、ベルくんまたね!」

「あっ、うん……またね!」

 

 まだ赤い頬から手を離して、背を向けて手を振る。

 ちらちらとこちらを見てくるベルくんを見ていたらなんだか、顔が熱を持ってきた気がして、なんだか恥ずかしくなって逃げるように家に帰る。

 

「アスナ、戻ったな!」

「あ、お父さんお帰り」

 

 オラリオに言っていたお父さんが帰ってきていて満面の笑みで私を迎えてきたけど……嫌な予感しかしないよねぇ……

 

「何とか相手方と交渉してお見合いすることが決まったぞ!」

「ええー、無理! 男の人とか無理だよ!」

 

 お見合い相手を探すって言って飛び出していたけど本当に見つけてくるなんて、本当にめんどうな事になったよ!

 

「今日中にオラリオに向かうから、もう準備もしておいたから行くぞ!」

「男の人と結婚とかしないから! もし結婚するならベルくんと結婚するもん!」

 

 この際もうベルくんと結婚しよう!ベルくんと結婚すれば他の人とは結婚しなくて済むし!

 

「確かにベルくんは良い子だけど、家はパルゥムの家系だからヒューマンは認めないぞ? それよりほら馬車に乗ってくれ、相手はオラリオで有名なファミリアの方なんだ。ロキファミリアって聞いたことあるか……って逃げるな!」

「わーー! 掴まないでよ! って手錠!? なんでそんなの用意してるの!?」

 

 なんかお父さんが語り出している間に逃げだそうとしたら腕を掴まれた瞬間、右手に手錠を掛けられて、馬車に乗せられて、柱に手錠の片側を繋がれて……って娘に何をしてるのお父さん!

 

「アスナお姉ちゃん!? どうしたの!?」

「ベルくん! 」

 

 私がキャーキャー騒いでいると、声を聞いたのかベルくんが慌てて駆け寄ってきた。あわあわと手を動かしているベルくんを見てなんだか冷静になってきた。

 ようは私が婚約されなければいいって事だからね!

 嫌われるように仕向けてお見合いを失敗させればいい訳だし、すぐに戻ってこられると思う!

 

「大丈夫だよ。ちょっとオラリオに行って、すぐに帰ってくるだけだから安心して待っていてね」

「うん……」

「ほら、お姉ちゃんを信じてよ。私が嘘ついたことってないでしょ?」

「う、うん」

 

 悲しげな表情から安心した表情へと変わっていったベルくんを見て、私も元気が出てきた。よし、ベルくんの為にもすぐに戻ってくるようにしよう!

 

「ちょっと話をして断ってすぐに戻ってくるだけだから行ってくるね。それじゃあまたね!」

「うん! 僕、待ってるから!」

 

 ニコニコと手を振っているベルくんに手を振ろうとして、ガシャンと手錠が鳴る。右手は繋がれていたんだった……左手でベルくんへ手を振りながら馬車に揺られて、住み慣れた村から離れていく。

 

「絶対に……ぜーったいに結婚とかしないから!!」

 

 手錠をかけられて、オラリオに向かう馬車で叫ぶ。

 男の人と絶対に結婚なんてしないから!!




(タイトル元ネタのアスナは関係)ないです

読んでいただきありがとうございました。

7月21日19時19分に投稿していました。
あの日あの時あの時点で投稿しなくてはと思ったことで投稿。


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MMORPGのアバターでダンまち世界に転移してしまった話

MMORPGのアバターでダンまち世界に転移してしまった話
その1


【Great Glory Online】グレートグローリーオンライン。

 略してGGOは世界中で大人気のフルダイブ型のMMORPGで、今年で10年間続いていて、現在ではプレイ人口が1億人を突破したと発表もあり、10年経った今でも成長しプレイ人数を獲得しているゲームである。

 僕自身もβテストからプレイしていて、10年間も飽きもせず毎日プレイしている。

 

 GGOでは現実の地球と同程度の超広大なフィールドで地球と同じ形をしている為、真っ直ぐ進み続けるといつかは同じ場所へ戻ってこれるようになっている。

 マップの端が無い広大なフィールドで冒険が出来る事が大きな売りとなっているGGOだけど、未踏破エリアが4割も残っていて、誰も知らない世界がこの世界にはまだまだあるんだと知ると、もっと強くなって未踏破エリアに挑んでみたいと思えてくる。

 

 GGOに何故未踏破エリアがあるのか……エリアが変わるとモンスターのレベルや、トラップや毒沼などのスリップダメージがえぐい上昇率で上がっていくので、装備やレベルアップで耐性値を上昇させないと次のエリアに行っても即死するだけなので安全マージンを確保するまでは足を踏み入れる事ができないからだった。

 

 しかもこのゲームは死亡した時のデメリットがかなり大きく、どのプレイヤーも統一して10レベルダウンのデスペナルティを受けることになる。

 

 10レベルダウンするとどうなるか……

 一日あたりの経験値入手量が固定になっていて10レベル下がってしまうと最低でも半年間掛けないと元のレベルに戻る事ができない。これはどれだけ課金をしても、運が良かったとしても変わらない。

 

 現在GGOの最高レベルは204で、僕自身も204レベルではあるんだけど、もし死亡してしまったらと思うと半年の経験値が無駄になると思うと足踏みしてしまう。

 

 ただ、僕は開拓者*1として前線には出ているけど、職業がサポート職なので、一人で開拓に向かうような無謀な冒険はしなかったので、最高レベルの維持は楽だった。

 

 このゲーム、無謀な冒険しなければ最高レベルの維持は簡単だった。

 

 僕の職業は商人の最上位職のグレートマーチャントと錬金術師の最上位職のトゥルースアルケミストの生産職の複合職で前線で戦う場合は、物資の補給と傭兵を召喚してヒーラーの盾役や雑魚散らし、あとは錬金術でのバフ・デバフがメインになっている。

 

 戦闘メインの職業と比べれば一人で戦ってもそこまで強くはないけど、団体戦では同レベル帯の数人分は活躍できるので、団体戦なら活躍できる職業構成になっている。

 

 毎日の経験値稼ぎの狩り程度なら、傭兵召喚と錬金術で作成したポーション類を使ってバフ・デバフをばら撒きモンスター狩りを行うことで何とかなるくらいには戦える感じかな。

 

 

「あぁGGOは楽しかったなぁ……」

 

 

 今までを振り返りながらGGOは楽しかったなぁと思い浮かべて、現実逃避に走っている。走らされている。走馬灯のようにGGOで遊んだ時の記憶が頭の中で過ぎ去っていく。

 理解が追い付かない事があった時、人は逃避してしまうんだなぁと理解させられた。

 

 どうしてこうなったんだろう……

 

 

 質問ーー家で寝ていたはずなのに突然古代ローマっぽい石造りの建物に囲まれた街の中で佇んでいたのはなぜでしょう。

 

 回答ーー夢です。夢と信じたい……!

 

 果物や食べ物、剣や槍なども売っている出店が立ち並ぶ通りの真ん中に気づいたら居て、周りを歩く人たちは、ファンタジーな方々で溢れている。

 エルフから獣人、ドワーフの様な姿をした人達が居て、髪色も多種多様でピンクや水色な髪色をしている人も居た。なんだか容姿のレベルも現実世界と全然違うレベルで美男美女で溢れている。

 

 夢で自由に行動できるなら好き放題しちゃって最高なんだと思うけど……手の甲をつねると痛かった。

 

 GGOはフルダイブ型のゲームだけど、嗅覚や味覚までは対応していなかったのに、アイテムボックスから出した黄金リンゴ*2をかじると信じられないくらい美味しくて、しかもリンゴの香りもしていて、美味しすぎてキャパオーバーしてのか気が付けば丸ごと食べきってしまった。

 

 商人系職業が使えるアイテムボックス*3をゲームと同じ感覚で使えているからGGOがワープ進化して五感完全対応版になった可能性か、超リアルになった明晰夢のどちらかだと信じたい。

 

 ファンタジーの住人たちが話してる声も意味が分かるから多分日本語なのかな?

 これは夢かゲームなんだからご都合主義で自動翻訳されてるんだろうね!

 

 

 それよりここはどこなんだろう……GGOでも見たことのない知らない景色だった。

 

 周りをキョロキョロと見渡していると背中をトントンと軽く叩かれた。

 

 

「ねえ、どうしたんだい? 困っていることでもあるのかな?」

 

 

 振り向くと、黒髪ツインテールの美少女が僕を見上げていた。

*1
新たなエリアを開拓する第一線で戦う者達の通称

*2
GGOではHPが毎秒400回復するアイテム

*3
空間にアイテムを収納・取り出しができるスキル



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MMORPGのアバターでダンまち世界に転移してしまった話 その2

振り向けば、黒髪ツインテール


 振り向くと黒髪ツインテールの美少女が心配そうな表情で僕を見上げていた。

 

「なにか困りごとかな? だいじょうぶかい?」

 

 澄んだ青い目と幼げながら天使のように美しい顔立ちをしている少女が僕に話し掛けている。見下ろすような目線になっているので顔の下に映る、身長に見合わない位に豊かに成熟している胸元に目に入り、思わず目線がそこに固定されてしまう。

 お、大きい……じゃなくて!

 

「あ、すみません! 気づいたら此処にいて……ここは何処なんですか?」

 

 固まっていた事に謝罪しつつ、ここが何処なのかを確認する。

 

 ここがGGOの世界で未踏破地域の街だったら、周りは高レベルのモンスターだらけになっていると思うから外には出れないにしても街中なら暮らすことは多分出来るだろうからなぁ。

 10年間のプレイで世界の情報は解っているからゲームが現実に変わってもそこそこやっていけるとは思うんだよね。

 

「気づいたら此処に……本当みたいだね。此処はオラリオ東区の屋台通りだけど分かるかい?」

 

 オラリオ……GGOでは聞いたことの無いところだ。未踏破地域だろうか。ま、まあ夢の可能性もまだあるから!こんな可愛い女の子が知らない人にも親身に相談に乗ってくれる天使のような性格だなんて夢に決まっている!アニメやゲームの世界でなら居たけど現実にはねえ……

 

「いえ、知らない無いですね……オラリオって街も聞いたことが無いです」

「オラリオってこの世界で一番大きな街なんだけどねぇ……君、記憶はあるのかな? 名前は分かるかい?」

「透です。記憶はあるんですけど、家で寝ていた筈なのに気づいたら此処に居たので、その間の記憶は無いですね……そもそもオラリオじゃなくて別の街に居ました……」

 

 夢だとは思いたいけど、痛みも感じて出店からは美味しそうな匂いもして……こんなリアルに感じる夢は見たことが無かった……まあ、よし!

 

 これは異世界転移したんだと仮定して行動しよう!

 悩んでても仕方ないし、もし夢だとしても醒めるまでは楽しむとしようか!

 

「どこかの神がアルカナム【神の力】をイタズラに使ったとか……うーん、天界に送還される事も考えたら……神に好かれそうな容姿だし、もしかしたらあり得るのかなぁ……」

「まあ知らない土地に来ちゃいましたけど、楽しくやっていこうと思うのであまり気にしないでください!」

 

 首をかしげながらうんうん唸っている姿を横目で見ながら、これからのことを考えていこう。

 まずは情報収集。この世界について、この街について調べよう。あっ、アイテムボックスをさっき使えてたな……てことはGGOでのスキルが使えるのかどうかも検証しないと……やることが沢山で楽しみだ!

 

「おおぅ、なんか急に前向きになったね。元気になってくれたのならよかったよ!」

「色々ありがとうございました」

 

「トール君はこれからどうするのかな? よ、よかったらボクのファミリアに来るかい!?」

「行きます!」

 

 ファミリアが何か分からないけどとりあえず行ってみよう。行くって言った時の表情が本当に嬉しそうだったから、着いていくだけでもお礼になるかな。

 

「ほんとかい!? じゃあ早速行こうぜ!」

 

 ふわりと温かく柔らかい感触に手を引かれながら歩いていく。本当に可愛らしいと言うか、無垢と言うか……うん、本当に可愛いと思う。

 

 前を歩く君の手をやんわりと引っ張って止まってもらう。これからの為にもやっておきたいことがある。道の途中で止まったからか、どうしたの?と言いたげな表情をしている。

 

「ねえ、これからの為に聞きたいことがあるんだ」

 

 質問をしようとすると少し目が泳いで不安げな表情に変わる。

 不安にさせるつもりは無いので、すぐに大好きな小説の一節を意識して、指を鳴らしてキメ顔で言う。

 

 

「君の名前を教えてほしい」

 

 

 不安げな表情の君が一変して笑顔に変わる。

 

 

「ボクの名前はヘスティア、君の家族になる神ヘスティアだよトール君!」



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メイドとヘスティアの日常

三人称視点の練習です。


「おはようございます。ヘスティアさま朝ですよ」

「うー…まだ寝るー……」

「ふふっ、わかりました。もう少ししたらまた起こしますね」

 

 メイドの女の子、メイはまだ寝たいと掛け布団に包まるご主人様こと、ヘスティアに微笑んで家事に戻る。

 

 メイドの仕事……特にメイの仕事は多岐に渡る。

 朝ヘスティアが目覚める数時間前には起き、身だしなみを整えメイド服を着て、住んでいる住居である教会の清掃を行う。

 この教会、ヘスティアが住んだ当初は廃墟の様なボロい建物だったのに、今はキラキラしているお城の様に豪華な佇まいでは無いけれど、教会の周りはキレイに清掃されていて、石造りの壁は磨かれていて鏡面の様になっている。今では、そこにあるだけで神聖さや静謐を感じられる美しさを持つ教会へと生まれ変わっている。

 日が出始めたばかりのまだ暗い時間からその教会の周囲の清掃を始める。雑草をむしり、花壇の花に水を与え、ゴミが落ちていれば拾い、教会のガラス窓や扉をキレイに磨いていく。

 太陽が昇り、だんだんと明るくなってくると近くに住む住民も外に出始め、冒険者は冒険に、商売人はお店に向かう、その人達へ笑顔で「おはようございます」と挨拶し、周りを元気にさせる事もメイドの仕事だ。

 

 メイが教会の周りの清掃を終わらせ、仕事に出る人々は出払った時間、ヘスティアはまだ熟睡中だった。

 

 メイは教会の中に戻って窓を開けていく。室内に外の爽やかな風を取り込んで室内の清掃を始める。前日に出た洗濯物を洗濯、箒やはたきを使い天井から床までホコリ一つ無い部屋へと生まれ変わらせる。

 

 キレイになった部屋で食事の準備を行う。朝食と昼食、あとおやつの準備を同時に行っていく。仕事をしていないヘスティアの代わりにお金を稼ぐ必要のあるメイは、昼から夕方まで、『豊饒の女主人』と言う酒場でウェイトレスとして働いる。

 

 ヘスティアも教会に住み始めたばかりの頃は働き、家事も行っていたけれど、メイを拾ってから世話をされていると、それまでやっていた仕事や家事はメイに「私がやりますからお任せください」と言われるがまま任せていたら、いまではヘスティアの毎日は食べる事と寝る事、あとはメイと話す事だけになっていた。

 

 メイは食事の用意が出来たところでヘスティアを起こしに行く。直ぐに起きないことは毎日見ている朝のヘスティアから予想できるため、起きてくださいとひと声掛けて、また寝始めたヘスティアを横目に着替えを用意する。

 タンスからホルターネックの白のワンピースと青のリボンを取り出してベッドサイドの机に置くと、朝から働きっぱなしのメイに一時の休息が訪れる。

 

 一通りの家事を終わらせ、ベッドサイドの椅子に座って、ヘスティアが気持ちよさそうに寝ている姿を見る事で疲れは直ぐに無くなった。メイドとしてご主人様の幸せそうな姿を見れるのは嬉しいものだった。

 メイはぐーすか寝ているヘスティアを幸せそうに眺めていたけれど、仕事に行く時間が近づいてきたため、ヘスティアを起こす事にした。

 

「ヘスティア様、そろそろおはようのお時間ですよ」

「はーい……おはよー……」

「はい、おはようございます」

 

 もぞもぞと布団から這い出てベッドに腰を掛けたヘスティアはまだ眠いのか、目をこすりながらうつらうつらしている。

 

「ではヘスティアさま、お着替えしますね」

「はーい……」

「ではバンザイしてくださいね、バンザーイ」

「バンザイー……」

 

 目を閉じてバンザイをしているヘスティアから寝間着のキャミソールを脱がせると、パンツ一枚になったヘスティアは寒かったため「さむっ!」と言い、メイに「さむいぞー」と言いながら抱きつき、胸の辺りに顔を埋めた。そんなヘスティアの背中に片手を回し、残った手で寝癖のある髪を優しく撫でる。

 13歳のエルフでまだまだ小さな子供のメイに、◼️◼️◼️◼️編集済み年以上生きるヘスティアが抱きついて甘えている姿がそこにはあった。

 

「寒くてごめんなさいヘスティアさま。すぐお洋服を着せてあげますからね」

「ボクはこのままなら着なくてもいいんだけどね!」

「私もヘスティアさまをずっと撫でていたいですけどお仕事がありますので……もう少ししたら着ましょうね」

「はーい」

 

 少しして離れたヘスティアにワンピースを着せ、二の腕から胸の下にリボンを通して結んだ後に、皺になっているところを整えてキレイにした。

次にクシを使い、髪をキレイに整えていく。ヘスティアの腰まで伸びた黒く艶やかな髪にクシを通す。

 最後に左右に髪をまとめ、白いリボンで留めてツインテールにする。ヘスティアの女の子らしい容姿に似合う髪型になった。

 

「次はボクがメイちゃんの髪を整えてあげるよ!」

「えっ、すみません……どこかおかしなところがあったでしょうか」

 

 メイは朝に身だしなみをしっかりと整えた記憶があるため、変なところがあったのかと不安になる。

 

「ふふっ違うよ! ボクがやりたいだけさ!」

「わかりました。お願いします」

 

 ヘスティアはメイを椅子に座らせ背を向けさせた。ヘスティアはメイの雪みたいな銀色の髪を手ぐしで優しく撫でる。指の隙間を通る髪の毛の柔らかくて冷たい感触が気持ちよくて何度も撫でていく。

 

「メイちゃんの髪ってサラサラしててふわふわだね!」

「普通の髪だと思いますよ?」

「そんなことないよ! 女神の髪よりキレイだと思う!」

「ヘスティアさまはお世辞も上手いですね。さすがヘスティアさまです」

「お世辞じゃないんだけどなー」

 

 女神の髪よりキレイと言う、そのヘスティアは正真正銘の『女神』だった。メイとヘスティアの住む街の名前は『迷宮都市オラリオ』と言い、神と様々な人種が共存する街である。迷宮都市と言う様に迷宮がある街で、迷宮にはモンスターがいて、そのモンスターを倒すと魔石が手に入りそれが、照明や火を起こす等の資源となるため、迷宮内を探索しモンスターを狩る『冒険者』と言う職業が街を支える大事な仕事になっている。

 その冒険者に力を与え、支援するのが神であって、神の眷属ファミリアになることで、強大なモンスターと戦うための恩恵ファルナを得ることができる。

 メイはヘスティアの眷属ファミリアなので恩恵を持っていても、冒険者では無いため、今のところ恩恵は少し重たい物が持てるようになったくらいでほとんど役に立っていない。

 

 ヘスティアが髪を撫でることに満足したところで朝食を食べに向かう。メイは野菜のスープを温め直しつつ、ベーコンと目玉焼きと焼いていく。こんがりと焼けたベーコンと、しっかりと焼いた目玉焼きをパンの上に乗せ、皿に乗せて完成。温まったスープと一緒にテーブルへ運ぶとヘスティアは目の前の朝ご飯に目を輝かせている。

 

「今日もおいしそうだ! いただきます!」

「はい、いただきます」

 

 口いっぱいにパンを詰め込んで食べているヘスティアを見て、微笑みながら小さく口を開けて小動物のように食べるメイ。

 

 こんなメイドとヘスティアの日常。

 

 

 

 

 

 

 ただしこの翌日、ヘスティアの神友『女神ヘファイストス』がこの現状を知ることになる。

 教会に住む前、ヘスティアはヘファイストスの世話になって生活していた。現在と同じように食べて寝ての生活をしているヘスティアの神として見ていられない姿に、このままだとダメだと思い、新しい住居を用意して、更生しなさいと送り出した過去があった。

 

 そんな今、年端のいかない少女を働かせて、ヘスティア自身は食べて寝てるだけな姿を見て、メイへ「この駄女神が本当にごめんなさい」と謝罪し、ヘスティアを見える所で働かせなければと決意することになった。

 

 ブーブー言いながらもヘファイストスの元で働き始めたヘスティアが仕事から帰る途中で白い髪に赤い目をした男の子と出会い、家族が増えるのもそう遠い未来でも無いかも知れません。




読んでいただきありがとうございます。

キャラ紹介
メイ
メイドです。
名前の由来は言えないですが、0.2秒くらいで決まりました。
13歳、銀髪ショート、エルフ。
母性のブラックホール。
母性のあるロリって最高だなって。(二次元に限る)
描写は無いけどひんぬーです。(13歳なのでネ!)
メイドの副業にウェイトレスしてます。冒険者にはならないそうです。
メイド修行を卒業後にご主人様を探していたら、お世話しがいのある女神様に出会いました。

ヘスティア
原作以上に駄女神。
黒髪ツインテールロリ巨乳ボクっ子女神。
メイに全てをお世話されて堕落しまくった。
母性あります。(一部分だけ)
空腹でオンボロ教会の前に倒れているところをメイドに助けられ、今に至ります。

ヘファイストス
赤髪鍛治神お姉さん。
信じて送り出した神友が……

白髪赤目の男の子
ベ○くん





下記は、後書きなので読まなくても大丈夫です。
三人称の練習として書いてみましたが、これで三人称になっているのかよく分かりませんでした!
変なところがあれば教えていただけたら嬉しいです。

『ブーブー言いながらもヘファイストスの元で働き始めたヘスティアが仕事から帰る途中で白い髪に赤い目をした男の子と出会い、家族が増えるのもそう遠い未来でも無いかも知れません。』
こちらの最後の文の『知れません』と言うのを三人称視点で使っていいのかなと悩みました。
三人称視点で知らないことがあっていいのかと悩んでいたんですが、どうなんでしょう。
それまでの視点ではメイとヘスティアの姿を映すビデオカメラ映像を映すだけの役割だったのに、『知れません』と言うとビデオカメラだったものが喋っていると思ってしまったんですよね。
正解があるかは分かりませんが悩んでもやもやとしてました!

もし続きを書くとしたら、ヘスティアとの出会い編、『豊饒の女主人』リューの章、見習いメイドリリ編などがあったり無かったりします。

後書きは以上です!
ありがとうございました。


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この素晴らしい世界に祝福を
かわいい女の子になりたい!


このすば!
TSもの


 

 かわいい女の子になりたい!

 

 そんな事をずっと考えていた。私は記憶にも残らないような平凡な容姿に生まれて、趣味も特技も何も無い、本当に平凡って言葉が相応しい男だった。

 

 それでも一つだけ願いがあった。人に言えば、何を馬鹿なことを言われ、正気を疑われるような願いだとしても、自分自身ですら不可能な事だと思っていても、叶えるためには何でもしたいと願っている事があった。

 

 かわいい女の子になりたい!

 本気でそう思っている。私の平凡な容姿がイヤだ……そんな事は無い。ただ、男であるのがイヤだった。

 

 私は百合が大好きで、ガールズラブを愛している。

 女の子同士の恋愛に、百合は美しい。女の子と女の子。きれいな物だけしかそこには無い。最高じゃないか!

 

 それに比べて、クラスの男子を観てみろ。喋れば直ぐに下ネタを吐き。かわいい女の子を観れば、直ぐに突き合いたいと言い出す始末。下半身でしか物事を考えられないのか?同じ男として恥ずかしい。

 

 私が求める百合は創作上にしか存在しないのかも知れない。それでも、女の子になりたい。

 女の子になって、女の子同士の恋愛をサポートしたい。

 

 女の子同士の恋愛は悪い物じゃない。誰にも邪魔される権利は無いと伝えてあげたい。

 

 私が女の子として生まれ変わったとしても、女の子と恋愛をしようとは考えない。もちろん男なんぞ論外だ。ただ愛を育んでいく女の子達の傍で応援したい。ただそれだけだ。

 

 かわいい女の子である必要は無いのかも知れない。最後なんだ、正直に言おう。本当は、生まれ変わったら可愛く、美しくなりたいと思う程度には平凡な容姿が嫌いだったんだ。誰の記憶も残らないこの容姿が嫌だった。

 

 だから女の子になりたい!走馬灯のようにその想いが駆け巡っていく。

 

 女の子がトラックに轢かれそうだった。未来に百合を育むかもしれない女の子が轢かれて命を落とすなんて許せなかった。助けるしかないだろう?

 

 女の子を強く押して、車体が当たらない所まで飛ばした。擦りむいてしまうことを許して欲しい。

 

 目前にトラックが迫る。避けるのはもう不可能だ。トラックも止まれる距離じゃない。なら最後に願おう。

 

『生まれ変わったら、かわいい女の子になれますように!』

 

 

 瞬間、衝撃。

 

 

「突然ですが、あなたは死にました」

 

 清らかな水色の長い髪、優しさが伺える母なる海のような深い藍色の瞳。水で造った羽衣のような衣服を纏っている、美しい女神のような女性が、何も無い真っ白な空間にぽつんとある椅子に座りながら、哀しそうに目を伏せて、そう言った。

 

「……そうですか」

 

 後悔は無い。未来に美しい大輪の百合の花を咲かせてくれる、その礎になれたんだとしたら、一片の悔いも無い。同じように、椅子に座っていた私はそう答えた。

 

「私は日本において、若くして死んだ若者を導く水の女神アクアです。貴方のお陰で、死ぬはずだった女の子の未来は変わりました。代わりに貴方が死んでしまうことになってしまいましたが……」

 

 下を向き目元を指で拭い、流れ落ちたのであろう涙を拭ったアクア様。見た目通りに清らかな心を持っているのだろう。

 

「女の子が救われたのなら、それで十分です」

「そう……それではこれからの事を話しましょうか? こほん。あなたには二つの選択肢があります。このまま天国に行くか。それとも、人間として生まれ変わるか」

 

 人間として生まれ変わる……それは性別を選択できるのだとしたら一択だろう!まずはアクア様に聞いてみよう。

 

「人間として生まれ変わりたいです。質問なのですが、性別を替えることは可能でしょうか?」

 

「えっ!? 性別替えるの? えーっとそうねぇ……あっ! 本当はもう一つ選択肢があったんだけど、異世界に転生するの。それで転生する時に特典が一つ与えられるのよ。その特典で性別を変更できるやつを選べば良いんじゃないかしら?」

 

 アクア様に私が変な質問をしてしまったので、先程のような丁寧な言葉から、素で喋っているような子供っぽさのある口調に変わったけど、優しさは変わらないみたいだ。アクア様は本当に清らかな女神なんだろう。

 

「ではそれでお願いします。本当にありがとうございますアクア様」

「別にいいのよ? あー……でも転生する先ってモンスターとかが居る世界だし、特典がそれだと危ないわよ?」

「いえ、構いません。私の長年の夢だったので」

「そ、そう…………ヘンなの」

「すみません。最後の言葉が聞き取れませんでしたが……」

 

 聞き取れなかったけど、優しいアクア様のことだから、この先の事を心配してくれて、何かを優しい言葉を投げかけてくれたんだろう。

 

「気にしないでいいわ! ちょっと神器のリストでそれっぽいのを確認するわねー…………あっ見て! これとか良いんじゃないかしら!」

「この、『入れ替わりの書』ですか?」

 

「そうよ! この書に二人で同時に触れたら身体が入れ替わるの。それで、私の部下に心優しい天使が居るのよ! その子と一緒に書を触って、入れ替わって貰ったらいいと思うの! ぷーくすくす!」

 

 アクア様が楽しそうに笑っている。そんな身体を入れ替えてくれるような心の優しい天使様が居るなんて、さすがアクア様の部下ですね。

 

「では特典は、この入れ替わりの書にしてみたいと思います。一度試してみたいんですが、いいですか?」

「良いわよ? でも私の身体でヘンな事はしないでよね!」

 

 笑いながら、冗談めかしてそう言いながら、人差し指をピンと突きつけてきたアクア様はかわいらしかったです。それこそ、理想の女の子みたいだって思いました。

 

「もちろんそんな不敬な事はしませんよ。使えるか試したら直ぐに戻してください」

「ならいいわ。じゃあ適当に書を触ってくれるかしら?」

 

 頷いてから手を書の上に置いて、アクア様も手を置いたところで、眩い光が書から溢れ出て、思わず目を閉じてしまった。

 

 光が収まったので目を開けると、平凡な容姿をした男が目の前に居た。と言うか私だ。

 

 目の前に私が居る。つまり、私は今アクア様の姿になっている……?

 

 下を向いてみると、胸辺りに青色の衣に包まれた大きな膨らみがあった。もちろん触らない。次に手を上にかざして見てみると、シミ一つ無い、真っ白な手が見えた。手も綺麗だ。

 

「アクア様成功したみたいですね」

 

 先程聞こえた、美しい声が私の喉から発せられている。この体験だけでも死んで良かったと思えるくらいだ。

 

「私をこうやって観るのは始めてだけど、やっぱり美しいわね! ってあれ?」

 

 突然、私の周囲に光の壁が現れて、身体が浮き始めた。転生が始まった……?

 

「えっ!? なんで転生陣が動き出してるの!? 待ってよ! 今転生されたら戻れなくなるんですけど! こんな平凡容姿で生活するとか無理なんですけど!? ちょっと待って聞こえないの!? 転生陣の不具合!?」

 

 光の壁に阻まれて、私の容姿をしているアクア様が何を言っているかは聞こえない。

 でも、アクア様は本当に優しい女神様だ。部下と容姿を入れ替えさせるって言っていたけど、代わりにアクア様自身が容姿を替えてくれるなんて、本当に幾ら感謝しても足らないくらいだ。

 

「ほんとに待って! お願い行かないで!」

 

 透明な壁に手を当てて、何かを必死に言っている。残念ながら聞こえないけど、異世界に行く私に激励をしてくれているんだろう。

 

 異世界で頑張りますよ。世界中に百合の花を咲かせられるように、女の子達の恋愛をサポートしていきますから。そしてアクア様のような心優しい女性になれるように、私自身も努力していこうと思います。

 

「あっ……終わった……」

 

 身体が少しずつ浮いていって、私の容姿をしたアクア様が小さくなっていく。私の身体が光の粒子に変わっていっている。そろそろ異世界に行くのか?

 

 それでは行ってきますアクア様。

 かわいい女の子にしてくれてありがとうございます。

 

 

 そして、暗転。

 

 

 目を開けると、目前に広がっているのは中世ヨーロッパのような街並みだった。

 それよりももっと気になるのは、頭にネコ耳があるかわいい女の子が前を歩いて行った。後ろ姿を見るとスカートから少し出ている尻尾……これは異世界だ……。

 

 住人達は笑顔で歩いているし、モンスターとかが居る世界らしいけど、この辺りは平和なのかな?

 この世界について聞くのを忘れていたから、情報収集から始めていこうか。

 

 あの子に聞いてみるとしよう。

 黒髪に赤い瞳の大人しそうな、魔法使いが着るような格好に身を包んだ女の子と目が合ったけど、頭を下げられてそのまま行こうとしてる。人付き合いが苦手なのかな?

 百合の花を咲かせるためにも克服させてあげたい。引き止めてこの街のことや、おすすめの仕事などを聞いてみようか。

 

 よし、これからはアクア様らしく、優しい口調を心がけて話していこう。

 

「ごめんなさい。少し聞きたいことがあるのですが、よろしいですか?」

「ふぇ……えぇー!? わ、私ですか!?」

 

 驚いている姿もかわいらしくて、微笑ましく思う。

 こんな純粋無垢そうな、かわいい女の子と会えるなんて幸せだ。

 

 この素晴らしい出会いに感謝を。

 

 そして、この身体を託してくれたアクア様に精一杯の感謝を。

 

 アクア様、この世界に百合の花をを咲かしていきますので、これからも見守っていてください。




 続きません。
 アクアに入れ替わった主人公。
 主人公から見たアクア様は優しくて、清らかな女性を体現していたので、これからそのアクア様を演じていくので、周りからは女神と崇められることでしょう。

 一方、当のアクア様は嫌味を言ってくる天使と主人公の身体を入れ替えて転移させるイタズラを考えて、実行する前にお試しで身体を入れ替えたら、そのまま転移されちゃいました。
 天罰が下りましたね。

 まあ、いつか元の身体に戻れるんじゃないですか?多分。


主人公紹介
平凡な容姿をした男で、百合本を読んで、百合にガチはまりする。
そして、百合が増えて欲しい。そのサポートをするために女の子になりたいと願う。
自分は女の子と百合な関係になろうとは思っていない。
でも、優しくて美しい女性を体現している主人公に男女問わず惹かれる者は現れていく。
男は論外だとしても、慕ってくれる女の子の事は無碍にはできず……どうなることでしょう?


 この後はクリスとダクネス、めぐみんとゆんゆんをくっつけようと画策して、結局全員から主人公が好意を向けられるって感じになりますね。続きませんけど。
 
それでは読んでいただきありがとうございました!


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クリスはダクネスに……

ダクネスの性格改変なこのすばです。


 

「クリス探したぞ! いつも何処に泊まってるんだ? 私の泊まっている宿に泊まればずっと、話せるじゃないか!」

「夜は忙しいから、ダクネスと一緒に居られないかな? ごめんね」

「ちょっとでいいんだクリス! 取りあえず一夜だけでもいいから頼む!」

「なんでそんなに必死なの……?」

 

 ジト目で見ていたらダクネスの頬が紅潮して、なんだか息が荒くなっている……最近どうしたの?ドMなのは前からだけどさ、なんか今まで以上に変だよ?

 それになんだか最近、ダクネスがすごい密着してくるようになった気がする……気のせいだよね?

 

「考え事があるからまたね!」

「く、クリス!? 待ってくれええええ!」

 

 追いかけてくるダクネスを振り切って、落ち着いたところで、最近のダクネスが変だった出来事がいくつか思い浮かんできた。

 

 

 まずはこの前、コボルトの討伐クエストにダクネスと二人で向かった時だけど、森を二人で一緒に歩いていた時に突然、

 『クリス危ない!』なんて言って、私に抱きついて来たんだけど……敵感知スキルに何も反応してなかったのに、いきなり後ろから抱きついてくるんだからびっくりしたよ。

 その後も抱きついたまま動かないし、どうしたのかなって振り向こうとしても、ダクネスの抱きつく力が強すぎて全然身体を動かせないし……首筋にダクネスの吐息が当たってくすぐったいから、離れてっていったら、『す、すまないっ!』って勢いよくバックステップして、退いてくれた。

 

「ダクネス? 敵感知スキルで確認してるから心配しなくても大丈夫だよ?」

 

 いきなり抱きしめられて拘束されたことに不満もあるし、ジト目でダクネスを見ていたら、言い訳をし始めたんだけど……

 

「あ、あの木陰にコボルトが居た気がしたんだ!」

「クリスのやわらかくてスベスベな肌を傷つけたくなかったんだ!」

「わ、私が護るから安心してくれ!」

 

 その時はヘンな事言ってるなーくらいにしか思ってなかったけど、よく考えたら変だよね?

 いきなり抱きついてきたし、後ろで何か息荒くなってたし、言い訳してるときも何故か顔が真っ赤になってたし……ダクネスはどうしたんだろう?

 

 その後も何度か抱きつかれたし、毎回ヘンな言い訳をして誤魔化そうとしてたよね……その後クエストは、ダクネスがデコイでコボルトを引きつけている間に、私が一体ずつ仕留めていったから、お互いに怪我することなく達成できたけど……絶対おかしいよね!?

 

 そう言えば昨日も……天界でのお仕事が終わって、アクセルでゆっくりお風呂にでも入ろうとしたんだけど、途中ですばったりダクネスに会ったんだよね。

 

「く、クリス! 奇遇だな! 一日中探した甲斐が……じゃなくて、偶然だな!」

「ダクネスは今日も元気そうだね。偶然でも会えてうれしいよ?」

「そ、そうか! それでクリスは今日は何処に居たんだ?」

 

 この時、ダクネスはニヤニヤしながら近づいてきて、私の両肩に手を置いて、見下ろして来たんだけど今考えたら変だったよね!?

 

「ちょっとね。そ、それより私はお風呂に入ってくるからさ。ダクネスはまた明日でも一緒にクエ……」

「お風呂だって!? わ、私も一緒に行くぞ!」

 

「いやいや、ゆっくり入るつもりだからさーー」

「私も一日中走り回って汗をかいてしまった。さあ行こう!」

「ちょっ、ダクネス!? ま、また今度ね!」

 

 肩に置かれた手を振りほどいて、逃げ出してから路地で潜伏スキルを使って逃げ切ったけどさ……いつもの変なダクネスだったなーなんて思いながら、その後はそのままお風呂に向かったけど、最近のダクネスって暴走してるから、一緒にダクネスとお風呂になんて行ったら危なかったかもね……

 

 今までのダクネスの行動を冷静に考えると、男の人が好きな子にするような行動……いやいや、私もダクネスも女の子だよね!?

 

 でも、そう考えるともうそれ以外考えられないくらい正しい答えのような気がする……つまり、ダクネスは私の事が好き……?

 いやいやでも、えー……確かに私はダクネスの事は好きだよ。友達してだけど。女の子同士の恋愛って言うのもあるみたいだけど、ダクネスもそうなのかな……?

 あんな敬虔な信徒だったダクネスがどうしてこうなったの!?

 

 

 あの頃のダクネスがアクセルの教会に毎日祈りに来て、願っていたことは今でも覚えている。

 

「この私にも、毎日話して、一緒に笑い合って、一緒に居てくれる友達をーーどうかエリス様、私と引き合わせて下さい」

 

 何日も教会に脚を伸ばして、友達が欲しいと言っていたダクネスの願いを叶えたくて、会いに行って、友達になって……

 

 それから一緒に冒険者のパーティーを組んで、冒険したり、街で二人で出かけたりして、私も楽しかったなー。楽しかったけど、どうしてこうなったの!?

 

 よし、色々気づいちゃったけど忘れよう!今日はこのまま宿に行って寝ちゃおうかな。

 

 その後、いつもの宿に帰るとダクネスが入り口で待ってたから……待ってたから一緒に入って夜ご飯を食べる流れになったけど、すっごい酔わそうとしてきて……度数の高いシュワシュワを沢山飲ませようとしてるし……何をやっているのかなダクネスは!?

 

「く、クリス! 今日は私が奢るからこのシュワシュワを飲んでくれないか!」

「奢ってくれるのに、何でお願いしてるの?」

「酔わせ……ではなく、日頃の感謝を込めてだな!」

 

 ダクネスは私を酔わせてどうするの……って思いながら、カエルの唐揚げとか頼んでたけど、ダクネスはちゃっかり高級なシュワシュワを二杯頼んでたから、少しは飲んであげようか。酔わない程度に。

 

 シュワシュワが届いたから、ダクネスにジョッキを渡す。でも受け取るときに、私の手を触らないでいいんだよ?

 

「折角だから乾杯しようか。私の親友のダクネスが幸せそうな事にね。乾杯」

「か、乾杯! うまいな! クリスももっと飲んでくれ!」

「ふふっ、私は一口でいいよ。残りはダクネスが飲んでくれる?」

 

 明日も朝から天界でのお仕事があるし、酔ったら大変だと思ってシュワシュワは沢山飲めないからってダクネスに残りをあげたけどさ……よく考えたらこれって間接……ッ!

 

「い、いいのか!? 飲む飲む絶対飲むぞ!」

「べ、別にいいよー! 私は唐揚げとか摘まんでるから。んーおいしねー」

 

 隣で、少し気持ち悪いくらいニヤけてるダクネスを横目に、色々忘れるように唐揚げを食べてたけど、私のシュワシュワを凄い味わいながら飲んで、ダクネスの分を飲み終えたあたりで、顔が真っ赤になって目の焦点が合わなくなって、そして……寝た。パタリと。

 

 そう言えば、度数がかなり高いシュワシュワだったなー……なんて思いながら、隣の席で飲んでいた女の子同士の冒険者に協力して貰ってダクネスを部屋まで連れて行った。すごい重かったけど、きっと鎧を着込んでたからだよね?

 

 ベッドで幸せそうに寝てるダクネスの横に座って、寝顔を眺める。

 

「寝てたらこんなに綺麗なのに、どうしてあんな感じになっちゃったんだろうねー。ふふっまあ嫌いじゃないけどね」

 私にとっても大切な親友だからね。嫌いになんてならないよ。ダクネスのほっぺたを指で突っついて遊ぶ。戦いでは傷一つ付かないくらいのダクネスだけど、ほっぺたは柔らかいよねー。癖になるかも。

 

 まあ、ダクネスと居て楽しかったよね。たまに地上に降りて誰かと話すことはあったけど、私も一人だったからダクネスと一緒に居れてすごいうれしいよ。

 

「ねえ、ダクネス。貴女の事はずっと見てました。私を笑顔にしてくれる明るい貴方を、仲間を傷つけさせない騎士としての在り方もーーそんな私の大好きな貴女に祝福を……」

 

 気の迷い……後で後悔する事になったけど、柔らかな頬にキスをしちゃったんだよね。結果は、そうーー

 

「く、クリス!? キ、キスをしたよな!? うひひ……私も大好きだ! もっとしよう! もっと良いことをしようじゃないか!!」

「うひゃ!? ダクネス起きてたの!?」

「ふひひ、クリスも私の事を好きだったんだな! 私も好きだからキスをしよう!! クリスーー!」

「じゃ、じゃあね!!」

 

 後ろから聞こえる、ダクネスの呼び声を無視して全力でアクセルを走り抜けて、広場の真ん中で立ち止まる。あれが聞こえてたら、私がダクネスの事を好きって言ってたような物だよね!?

 親友としては好きだけどね!でも告白みたいな感じに!?!?

 

「はぁ……まあ酔ってたし、夢だと思ってくれるよね。これ以上暴走しないよね……」

 

 今日は天界に戻って寝よう……明日になればきっと忘れてるよね?

 

 

 次の日、ダクネスにばったり会って、気持ちの整理が出来ていないから踵を返して、逃げちゃった。

 

「私のクリスーー! 待ってくれ-!」

「誰が、私のクリスなのかな!?」

「き、キスしてくれたじゃないか!!」

「あれは、気の迷いなの! てか、街中でそんなこと叫ばないでくれるかな!?」

 

 周りの人たちがこっちを見てヒソヒソ話してるからね!?私は普通に男の子が好きだよ!出会いは無いけど……いっそ女の子同士でもとはならないからね!

 

 こんな騒がしくて楽しい毎日がずっと続けばいいけどね。この楽しかった日々を私は永遠に忘れないよ。

 

「追いついたぞクリス! またキスしてくれ! 頼む! 何でもするから!」

「あはは! 楽しい毎日だけどそう言うのはちょっといいかな! またね!」

 

 だからダクネスーーこれからもよろしくね!

 

 

 

【次回予告】クリスはぼっちな紅魔族に……

 

「はあ……なんでまた変な人しか募集に来ないの……」

 今日も一日中ギルドで、パーティーに入ってくれる冒険者を待っていたけど、動けなそうなくらい太ってるおじさんとか、胸ばっかり見てくるおじさんとか、まともな人は居ないの……はぁ

 

 せっかく紅魔の里から出てきて、私にも友達が出来るかなって思ってきたのに……冒険者として格好いいところを見せてら仲良くなってくれるかなって思ってたのに、なんでヘンなおじさんしか来ないのよ……

 

「もうやだ……ぐすっ」

 涙が出てくる……ここでも私には友達もできないの……?めぐみんは友達だと思うけど、ライバルだから弱いところは見せたくないし……

 誰か、私が友達になれる人は居ないの……?

 

「ねえ、大丈夫? どこか痛いの?」

「えっ……?」

 

 俯いていた顔を上げると、風でさらさらと揺れている銀色の髪のお姉さんが目の前に居た。光が反射しててきれいな髪……

 

「だいじょうぶ? ポーションならあるよ?」

「あっ、わっ、だいじょうぶです!!」

「そう? ふふっ、ならよかったよ。でも下を向いてどうしたの? お姉ちゃんが聞いてあげるよ」

 

 見つけた……私の探してた人。でもいきなりこんな事言ったら嫌われちゃうかな?変だって思われるかな……?

 

「ん? ゆっくりでいいからね、ちゃんと聞いてあげるよ」

「あっ……えっと……!」

 柔らかく頭を撫でてくれて、気持ちが落ち着いてきた。よし、言うよ!お願いーー

 

「わ、私とお友達になってください!!」

 

 頭を勢いよく下げてお願いした。断らないで……お友達になってください!

 

「ふふっ、君もそのお願い? ねえ顔を上げてくれる?」

「は、はい!」

「お友達になるなら必要な物があるよね。君の名前を教えてくれるかな?」

 

 あっ……忘れてた。紅魔族の名乗りをしないといけないんだ……でもやらないとね。私は紅魔族の次期族長になるんだから!

 

「わ、我が名はゆんゆん! 紅魔族の次期族長になる者です!」

 

 やっちゃった!引かれてない……嫌われてない?お姉さんはちょっと驚いた顔をした後、優しく微笑んだ。

 

「ふふっ、紅魔族らしい格好いい挨拶だね」

 

 あっ、頬がすごい熱を持ってる……

 

「私はクリスだよ! よろしくね、ゆんゆん!」

 

 私の名前を笑わないで、お友達になってくれたクリスさん。大好きです。友達じゃなくて、女の子同士だけど、好きになっちゃいました。これからもずっと一緒に居ますからね!

 

続く?




※次回予告はエイプリルフールネタだったので続きません。
 これで完結です!

こんばんは。
初めましての方は初めまして、生きていたのかって思ってくれる方はお久しぶりです。
生きてました。
社会人になると時間が足らなくなるのは本当でした。すみません!
少しだけ余裕が出てきたので、途中で止まっている小説は完結させていきます。先に短編を幾つか書いてからになるかもですが。
連載してる物は完結させます。
今後ともよろしくお願いします。


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ドールズフロントライン
RFBとゲームがしたい!


指揮官とRFBが一緒にゲームをするだけのお話。

RFBをお迎えしたので書きました。

原作:ドールズフロントライン
タグ:オリ主・RFB・日常

※ドルフロでフレンド募集のために書きました。フレンドになってくれた方ありがとうございます。


 

「指揮官ハロー? 起きたならゲームしよ?」

 

 起床して顔を洗いに自室を出て、データルームを横切ろうとしたら、足音に気づいたのか、RFBがゲームのコントローラーを見せながら手を振っている。

 RFBは、長い髪を頭の左右で小さくお団子にして、腰まで伸びている髪は艶やかで美しく、碧眼で笑顔の似合う女の子で、着ている服は薄い黒のワンピースで、上はノースリーブで真っ白な肌が眩しく、下の裾は短すぎで太股の半分も隠せていない。

 いつ見ても、肌色面積が多くて直視できなくなるんだよなぁ。

 

「ハロー。起きたばかりだし……あとでね」

「なんでー! 起きたらすぐにゲームでしょー!」

 

 データルームから聞こえてくる文句は無視して、顔を洗いに行く。朝から元気だよなぁなんて考えながら顔を洗って、歯を磨いていく。目が冴えてきたのでデータルームに戻ると、RFBはゲームをしながら話し掛けてきた。

 

「二人プレーでやろうよー! 指揮官の好きなシューティングだよー!」

「仕事があるから、またあとでやるよ」

「仕事って書類にサインするだけなんだから、早く終わらしてゲームしよ?」

「一応、RFBも仕事中なんだけどな」

「だってこんな辺鄙で何も無い所に鉄血なんて来ないよー! 私も指揮官も鉄血なんて観たこともないじゃん!」

「そうなんだよなー。まあ、仕事なんだ。書類を片づけておくよ」

「指揮官まじめ〜! ゲームして待ってるねー」

 

 2045年、人類は存亡の危機に瀕している。人類の為に戦っている民間企業グリフィンに務めている私とその部下のRFBは、そんな人類の存亡とは無縁の何も無い所に派遣された結果、俺は書類にサインをするだけの仕事しか無くて、RFBは一日中ゲームをしてるだけだ。

 

 弾薬、配給、パーツの残数を数えて、グリフィンの上部に報告する書類に数字を記入していく。数字は初めてこの拠点に来たときから2000のままだ。いつか使う日は来るのか?使わないままで居られるならその方がいいけど。

 人員は私だけなので1と書く。RFBは戦術人形と呼ばれる戦闘兵器で、本来は鉄血人形と戦う存在だけど、鉄血人形が現れないここではただのゲーマーだ。

 

 

「指揮官ー? そろそろお仕事終わったよねー! 次はゲームの時間だよね?」

「まだ仕事中なんだけどなぁ。まあ、やろうか」

「さっすが〜! はい、2Pのコントローラーだよ!」

「ありがとう。RFB、序盤はアイテムを全部こちらに回してくれ」

「えー! 私もアイテムほしいよー!」

「効率を求める事が勝利の鍵だ。ではやろうか!」

 シューティングはウェポンをできるだけ早く最大強化することで楽に攻略することができる。これはシューティングの鉄則だよな!死ななければの話だけど。

 

「私もアイテム〜!」

「RFB」

「なにー? アイテム取っていいのー?」

「指揮官は俺だ。命令に従え」

「おーぼーだよー! もー仕方ないなー。じゃあ始めるよー! ゲームスタート!」

 液晶パネルにゲーム画面が映る。

 ゲームタイトルには『サラマンダー』と大きく出ている。

 このゲームは初見だが、何とかなるだろう!

 

「横シューは久しぶりだな。確実にアイテムを出していこう」

「オッケー! ちゃんと取ってよねー!」

 敵機が五体連なって画面端から飛んでくるので、五体全て倒すとウェポン強化のアイテムがドロップする。

 説明書に書いてあった情報によると、他にも色違いの敵機が強化アイテムを落とし、それを集めるとウェポンが強くなっていくシステムらしい。

 

「やっぱり指揮官うまいね! 動きが違うよー」

「この程度造作も無い! む、ここは下がって避ける!」

「あー! ダメだよ下がったら! ふさがれちゃ……あ」

「すまない。閉じ込められてしまった……」

 突然下から触手が生えてきて進行ルートを塞いだので、下がって迎撃したら、触手の奥の穴が塞がれて、閉じ込められて壁に激突して撃墜してしまった。

 

「ここは早く行かないと閉じ込められちゃうよー。気をつけてねー」

「もう大丈夫だ。アイテムは任せろ!」

「だいじょうぶかな〜? 指揮官がんばー」

 残機が一つ減ったけど復活して、攻略を続ける。このゲームの背景が生物の体内みたいで、少し不気味だ。骨や血管みたいなギミックもある。こんな不気味なゲームはさっさと終わらして、次のゲームにいくとしよう!

 

「この生えてくる牙みたいのは、当たり判定が見た目よりも大きいから気をつけてねー!」

「了解。大きく迂回して回避する」

「いいかんじだよぅわあ! 私がやられちゃったー!」

「ふっ、慎重にな」

 生えてきた牙がRFBの戦闘機の後ろに当たってみたいだ。確かに、牙には当たっていなかったのに、当たり判定が見た目よりも大きいのか、撃墜判定になっていた。

 

「ウェポン最大強化完了だ。このまま死なずにボス戦へ行くとしよう!」

「やったねー! ボス戦まではあと少しだよ!」

「了解。RFBは俺の護衛をしてくれ。ボスまでの道を切り開いてくれ!」

「ラジャー! 指揮官は私が護るよー!」

 RFBの機体が前を飛んで護衛をして貰いながら、ボスまで一直線で向かっていく。そろそろ最後のギミックか?

 

「あっ、指揮官ーここは私の機体の近くに来て。攻撃して壁を壊すんだけど、時間経過で壁が復活して……ってあー!」

「……早く言ってくれ」

 自機が突然壁に埋まって撃墜したんだが……おかげで、ボス前で強化アイテムが無しになってしまった。

 

「……もしかして指揮官初見なの……?」

「もちろん初見だ!」

「だったら、なんであんな自信満々にアイテムは渡せなんて言ってたの-!」

「自信はあったんだ。まあ、シューティングの強化アイテムは甘えだ。無くても勝てることを証明してやろう!」

「うわーん! このボス強いから無理だよ-! 指揮官初見だし-!」

「問題ない。ほらボス戦だ。集中しよう」

「もー! やってやるんだからー!」

 ボスが壁の中から現れた。ボスの造形が気持ち悪い。脳の正面に目玉を一つ埋め込んで、触手が二つ生えている化け物。このゲームの製作者はどうしてこんな化け物を作ったんだ!さっさと撃ち落としてやる!

 

「きゃー! 来てるよ指揮官! 旋回して避けっ……れなかったよ……」

「旋回する!」

 ボスが触手を伸ばしつつこちらに近づいてくる。下のスペースから後ろに回り込む!

 

「私の残機がもう1個しか無いよ-! 指揮官! ボスの弱点は目玉だよ! それ以外に当てても全部ノーダメだよ!」

「了解! ボスはこちらを狙っている。囮になるからRFBは弱点を狙ってくれ!」

「ラジャー! 狙い撃つよー! くらえー!!」

 触手を伸ばしながらこちらに近づいてくるボスを円を描くように避けながら、囮を続ける……くっ、しまった!

 

「RFB! タゲがそちらに移った!」

「えっ、きゃあああ! ごめんね残機ゼロだよ……」

「すまない! 後は任せろ!」

 こちらに向かってくるボスのを避けて、弱点を狙撃する。RFBの仇だ!

 

「ダメ……ウェポン未強化だから全然ダメージが入って無いよ……ここで、ゲームオーバーなの……?」

「いいや、まだだ! ボスのパターンは覚えた。大きく時計回りで旋回し続ける事で攻撃を受けずに戦える!」

「……本当だ! 指揮官……がんばって!」

「当たらなければどうということはない! 食らえ!」

 ボスの移動速度は遅い。大きく旋回しても余裕で避けられる。このまま、撃ち続けて終わらせる!

 

「墜ちろ、カトンボ!」

「いけええええ!」

 ボスが爆発して、ゲームクリアの文字が現れて、エンディングが流れ始めた。

 

「よし! クリアだ!」

「指揮官すごいよー! 格好よかったよ-!」

「ちょっ、抱きつくな!」

「指揮官すごいー! 大好きー!」

「聞いてないな……」

 RFBの柔らかさと、温かさで顔が熱くなってくる。それに良い匂いもして、恥ずかしくなってきた。

 RFBは薄着だから、柔らかさがダイレクトに伝わってくるから……やばいな!

 まあ、こんなに喜んでくれるなら、なんだか俺も嬉しくて笑ってしまう。

 RFBのさらさらな髪を撫でて、気を落ち着かせる。さらに甘い香りがして逆効果だったが……。

 

「RFB次は何のゲームをする?」

「指揮官とするなら何をやっても楽しいから、なんでもいいよ!」

「そうか、なら次は…………」

 RFBと一緒にゲームをして、一緒に楽しめる日々が、これからも続きますように。前線から遠いこの場所に戦火が来ないように、俺も出来ることはやっていこう。

 

 これからもRFBとゲームをするために!




RFBちゃんかわいいよ-!
ゲームが好きな女の子ってかわいいですよね!

ドルフロを初めて10日ですが、昔からFPSで銃器はよく使っていたので、この銃器がこんな美少女に!と思いながら楽しんでいます。

RFBちゃんはゲームが好きな女の子で、容姿も服装も個人的に最高です!このSSで可愛さが伝わってくれたらうれしいです!

今回プレイしたゲームは『沙羅曼蛇』が元ネタです。
一面が横シューで二面は縦シューになる珍しいシューティングですね!古いですけどWiiUでもできましたよ!初見殺しも多くて難しかったです!でも面白いですよ!

読んでいただいてありがとうございました!
感想や評価をいただけたらうれしいです!

あと、よければドルフロでフレンドになってくれる方居ましたら申請してくれるとうれしいです!敵が強くてむつかしいのです……。
IDは1551004です!
RFBちゃんのアイコンが目印です!
よければお願いします!

それではありがとうございました!

10/8追記ですけど、
RFBちゃんに指輪をあげました!
これからもRFBちゃんとドルフロをがんばります!


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狙撃手最前線

狙撃手の指揮官が他の小隊メンバーと共に、狙撃によって鉄血を撃ち抜いていく話。
Karがお迎え出来ないので書きました!

原作:ドールズフロントライン
タグ:オリ主・独自設定・少女前線・狙撃手・RFB・97式・Kar・スプリングフィールド・一○○式

※三人称視点の練習で書きました。(Karはいまだに出て)ないです


 

 地平線の先まで続いている平野の真ん中に、大きく隆起してそびえ立つ丘。『フォーサイスの丘』その頂に黒の軍服を風に靡かせ、TAC-50を手に携えて、地平線の先に立ち上る煙を鷹のように鋭い目で睨みつける男と、その後ろに控えている美しい二人の女性。男は仲間から指揮官と呼ばれており、文字通り仲間を指揮する存在である。

 

「指揮官さま! 北西の関所を鉄血の大軍が超えました。数は150以上かと!」

「了解。97式はRFBと合流し、フォーサイスへ撤退しつつ応戦を。支援射撃は此方から行う。Karとスプリングフィールドは狙撃の用意を頼む。鉄血が射程距離に入り次第、各自支援射撃を行ってくれ」

 

『了解!』

 無線から4人の声が聞こえたのを確認し、指揮官は伏射姿勢になり、TAC-50をバイポッドに乗せて安定させ、ストックに頬を押し当ててスコープを覗きこみ、鉄血の軍団が射程距離に入るまでは戦況を確認しながら待機する。

 

 『TAC-50』50BMG弾を用いる高精度のボルトアクション式対物ライフルで、初速は約890m/sで2km先の目標に着弾するのは約2.2秒。発射に伴う衝撃は最大瞬間衝撃3.4tにも及び、油圧式反動軽減ストックによって衝撃を90%軽減する事で射撃が可能になる。その分威力も絶大で、装甲鉄血兵の分厚い鋼鉄の装甲もたやすく貫通する程だ。

 

 M4とRFBは鉄血に向けて射撃を続けながら、此方に向けて後退している。此方との距離は約2.8kmでまだ射程圏外だ。

 

「指揮官-! もう少しで射程圏内に入るよ-! 支援はよろしくね!」

「了解した。損傷は無いか?」

「私も97式も被弾は少しだけだから大丈夫だよー!」

「そうか。あと少しで射程圏内だ。気をつけてくれ」

「了解〜! 97式もがんばろうね-!」

「がんばろー! 指揮官さま見ててねー」

 

 RFBとM4は銃弾をばらまきながら後退していく。それを追う鉄血の軍団は指揮官の射程圏内の200m手前まで近づいてきた。

 

 指揮官は深呼吸を繰り返し、息を整えていく。発射の瞬間に呼吸をしてしまうと、銃口がぶれてしまう。銃口が1mm動くと数km先では数メートルのズレになりターゲットへ着弾しなくなる。

 

 射程圏内の30m手前まで来た。呼吸を止めて照準をRFBを集中的に狙っている鉄血兵に合わせる。

 

 目標までの距離は2.4km。対象はRFB達にへ向けて進行を続けているので、予測射撃を行う。

 鉄血兵が2.7秒後に移動するであろう地点へ銃口を向ける。最後に照準を微調整して、照準がブレないようにそっと引き金を引く。

 

 銃弾は空気を引き裂きながら進んでいき、鉄血兵の腹部を貫通し大穴を開けた。その約4.3秒後に狙撃音が戦場に響いた。音速よりも速く進む弾丸は、目標を貫いてから音を響かせるので、撃たれた鉄血は、音を聞く前にすでに死に絶えている。

 

 2.4kmの超長距離射撃を成功させた指揮官は特に喜ぶ訳でも無く、次の目標に向けて第二射、第三射と行い、着弾させていく。

 

「さすが指揮官さんですわ。スプリングフィールドさん、私達も負けられませんね」

「うふふ、そうですね。では、行きます!」

 

 Karとスプリングフィールドは膝撃ちの姿勢に入っており、マシンガンで97式達を狙う鉄血へ向けて照準を合わせる。弾道予測は脳内の高性能コンピューターによって行われるので、誤差無く着弾させることが出来る。二人は同時に発射して、どちらの弾も鉄血の頭を撃ち抜いた。

 

 指揮官を除く、残りの4人は人間ではなく、『戦術人形』と呼ばれている戦闘兵器で、『鉄血人形』と呼ばれている、同じ戦術人形と戦う為に生み出された存在だ。

 どの戦術人形も見た目は美しい女性で、感情もあり、人間にしか見えないのだが、戦闘になると恐ろしいまでの力を振るう存在になる。

 

 人間では敵わない存在なのだが、今、平然と長距離射撃を行っている指揮官は、一つの事柄に対してのみ戦術人形を超える力を持っている。

 

 狙撃。指揮官のスナイピングの技術に関しては、戦術人形を優に超えている。戦術人形は高性能コンピューターによって銃口初速、弾頭重量、抗力係数、重力、風の影響など、銃弾に与えられる全ての影響を計算し、それらから弾道予測が行うことで、目標へ命中させている。

 

 それに対し、指揮官は何千何万回と射撃を重ねた経験によって培われた、射撃の勘によって高性能コンピューターを超えた精度で命中させていく。

 フォーサイスの丘へ配属される前は、居住区へ食糧を求め襲い来る感染者達の群を撃ち抜き、民間企業グリフィンに配属後は鉄血を撃ち抜き続け、フォーサイスの丘へ配属されてからも、侵攻してくる鉄血兵を撃ち殺していく、その経験が戦術人形を超える命中精度に繋がっている。

 

 

 鉄血兵を撃ち続け、数は100体以下まで減った。指揮官は鉄血が輪形陣になり、何かを護衛している箇所を優先して狙撃していたが、護衛の数が減ったことで、中心に居た何かを視認出来た。

 

 銃身長が700mm程度の銃を持つ8体の鉄血を確認した。

 

「スナイパーライフルを持つ分隊を確認した。集団の中心だ。優先して狙撃してくれ」

「了解ですわ」

「了解です!」

 

 指揮官は覗いたスコープからスナイパーライフルを持つ分隊が立ち止まり、立射の姿勢に入り此方へと照準を合わせたのを確認した。

 

「伏せろ!」

 

 此方との距離は1.5kmで着弾までは約2秒はある。指揮官は一体に照準を直ぐさま合わせ、発射。当たるかの確認する前に横に転がり、位置をずらす。ここまでの動作をわずか1.2秒で行い、またTAC-50を構える。

 

 鉄血達の放った弾は手前の崖に直撃して、土煙が舞う。止まったとしても立射では精度は悪くなる。続けて十発以上が崖へ着弾してくるが全て崖に当たる。

 

 フォーサイスの丘は鉄血側から見ると平野の真ん中に突然、垂直の壁が出来ているように見え、崖上に構えている狙撃手の頭と上半身が微かにしか見えないので狙うのは難しいが、崖の上からは辺りを一望でき、鉄血を狙いやすい天然の要塞になっている。

 

 伏射体勢になったKarとスプリングフィールドがスナイパーを撃ち抜いていき、最後のスナイパーを撃ち抜いた。指揮官とKar達への被弾は無くスナイパーを倒しきる事が出来た。

 

「スナイパーの殲滅を確認しましたわ」

「了解。引き続き鉄血の数を減らしてくれ」

 

 残数を70体まで減らした鉄血は、狙撃されても構わず侵攻している。フォーサイスの狙撃手を壊滅させる為の鉄血のスナイパーは全滅したが、まだ侵攻を続けている。他にまだ策があるのかと指揮官は考えるが、此方へと向かってくる事で何かを仕掛けてくるのであれば、近づかせ無ければいいと思い、確実に鉄血を減らしていく事を優先した。

 

 

「指揮官さまー! そろそろ防御陣地につくよー」

「RFBと97式は丘の下の防御陣地の裏で補給を行い、順次射撃を再開してくれ」

「りょうかいー!」

 

 フォーサイスの丘の周囲200m地点は高さ2mの防壁で囲まれており、そこまでRFB達がたどり着けば、防壁の裏に積んでいる補給物資を使い、傷の手当てと銃弾の補給が出来る。

 RFB達は防壁まであと1kmで、鉄血兵達は1.2kmの距離にいる。

 後方から飛んでくる銃弾の嵐をジグザグに走ることで照準をずらして被弾を減らし、RFBと97式は草原を駆けていく。

 

 丘の上からの狙撃は鉄血の数を確実に減らしていく。そうする事が下を走っている二人の被弾を減らす事に繋がる事と分かっているから、確実かつ素早く撃つ事を心掛ける。

 

「あらあら、数が多いですわね」

「あちらに撃てばどれかに当たるんですもの。狙いやすくていいですわ」

 

 Karとスプリングフィールドは会話しながら狙撃をしているが、銃身がブレることは無く、鉄血の頭を撃ち抜き続ける。狙撃する為に生まれた二人はその程度では弾を外さないので、連携を取り合いながらでも、確実に命中させることが出来る。

 

 ついにRFBと97式が防壁の裏までたどり着き、銃弾の補充と怪我の応急手当を行っていく。

 鉄血の数は40体になったが、丘の上との距離は400mと近すぎて、指揮官の傍まで銃弾が飛んでくるようになったので、指揮官は後退し、裏手から防壁の裏まで移動を開始する。丘の裏側は急だが坂になっており、駆け下りて防壁まで向かっていく。

 

 残ったKar達は丘の上から伏射で狙撃を続けるが、40体から放たれる弾丸の雨はKar達に当たらずとも、手前の崖に当たり砂煙を上げて、二人の視界を塞いでいく。砂埃に紛れて丘の上の左右に移動をして、鉄血の視界に入らないように、顔を出さず待機。

 

 鉄血は丘の上と、RFB達が隠れた防壁を撃ちながら進み続けている。数の多さを利用して、数を撃てば当たると経験則から判断した為の行動だ。

 だが、このフォーサイトの防衛は場数が違う。ただ撃つだけの相手に落とされることは無い。

 

「鉄血の残数は約40で距離は防壁から150mだ。そろそろ終わらせるとしよう。RFBと97式は補充は終わったか?」

「終わったよー!」

「こちらも準備いつでもいけます!」

 

「了解。Karとスプリングフィールドの射撃の用意は?」

「いつでも貴方の障害を一掃できますわ」

「出来ています。これで終わらせましょう!」

 

 

「了解。なら出番だ……100式!」

「ずっと待っていました……指揮官、ご指示を!」

 

「100式は私の合図でその防壁から鉄血へ突撃をしてくれ。10秒後にRFBと97式は射撃を再開。Karとスプリングフィールドはその5秒後に狙撃を開始してくれ。ではよろしく頼む!」

 

『了解!』

 五人の了解を聞き、指揮官は100式が居る防壁の裏まで行き、支援射撃の用意を始める。

 

「突撃すれば100式は狙われるだろう。私も仲間達も100式を護るが、危険な任務だ。だから撹乱目的で鉄血を倒さずとも構わない。必ず帰ってこい!」

「絶対指揮官の元へ帰ってきます!」

 

 100式の言葉と共にRFBと97式の射撃が始まる。鉄血はRFB達目掛けて銃弾を撃ち、防壁を削っていく。筒状の金網に石や土を詰め込んで造られた防壁が少しずつ崩れていく。それでも照準を向けられる事が任務だと、二人は撃ち続ける。

 

 Karとスプリングフィールドが狙撃を再開。丘の上の左右に設置してある防壁を盾に鉄血を撃ち抜き、仲間を護る為に、鉄血の数を減らしていく。

 

 鉄血達は照準を向ける先が分散される。手前の防壁と丘の上の左右から飛んでくる狙撃によって、鉄血兵達はどこを狙えばいいのか判断が難しく、バラバラな目標を狙うようになった。

 

「100式出番だ。頼む!」

「行ってきます!」

 

 敵が動揺している今が勝機と指揮官は判断して合図を100式に送る。

 100式が防壁から飛び出していき、鉄血の側面へ向かい銃弾をばらまいていく。

 サブマシンガンしか扱えない100式は他の仲間と違い、遠距離戦に参加出来ない。遠くで仲間が戦っている中、敵が近づかなければ戦えない自分が悔しくて、飛び出して援護に行きたかった。

 それでも指揮官が100式が切り札だと。最後の防衛戦で一番必要になるのが100式だと言ってくれて、存在を秘匿されていれば有利だと教えてくれたので、銃身を抱き締めて、出番が来るまで待機していた。

 

 そしてやっと来た出番。鉄血へ向かい全力で走りながら、銃弾を撃ち続け、鉄血を次々、破壊していく。素早く不規則に動く事で、照準を定められなくなり、被弾を減らして撃ち続けていく。走りながら右手はサブマシンガンを構え、近い鉄血兵の胴体へ向けて10発撃ち、倒れていくのを確認して、次の鉄血兵へ残りの20発を撃ち込んで、リロード。20発を確実に胴体へ当てた。

 だが、目の前に現れた鉄血兵が撃ち抜けなかった。鋼鉄で覆われた装甲鉄血兵が堅く、持っている銃では貫けず、向けられた銃口から放たれる弾丸を避けるだけで、倒すことが出来ない。

 

「任せろ」

 その言葉が聞こえた瞬間、装甲鉄血兵は胸に風穴を開けて、倒れていった。指揮官のTAC-50での狙撃は、鋼鉄の装甲を容易く貫き、100式を狙う鉄血兵を撃ち抜いていった。

 

「指揮官ありがとうございます!」

 

 100式が倒せない装甲鉄血兵は指揮官かKar達が倒していき、残りはRFB達と100式が倒して、ついに最後の鉄血兵が倒れ伏した。

 

「やりました! 良かった……」

「皆さんお疲れ様ですわ」

「うふふ。大勝利ですわね」

「やったぁ! こんなの楽勝だよね!」

「ゲームクリア! お疲れさま!」

 

 誰も大きな怪我をすることなく、鉄血を撃滅できた事を全員で喜び合い、指揮官へ向かって皆で駆けだしていく。

 

「皆ご苦労だった。君たちが居たから、掴み取れた勝利だった。本当に感謝する……あと、おかえり100式」

「はい! ただいまです……!」

「100式だけずるいー! 私におかえりは無いの-?」

「指揮官さまー! 私も-!」

「あらあら、皆さん元気ですわね」

「うふふ。指揮官は人気者ですね」

 

 指揮官に抱きついて、お帰りをねだるアサルトライフル二人。指揮官に頭を撫でられて笑顔のサブマシンガンが一人。それを優しく見守る二人のライフル。どうしたらいいのかと、内心動揺している指揮官。

 この六人で構成された431小隊の、戦場でも確かに幸せな日常がそこにはあった。

 

 

「…………誰か聞こえますか……? 誰か……?」

「こちら431小隊指揮官。そちらは?」

 そこに突然流れた、無線から聞こえてくる必死な声。指揮官は通信機から流れてくる声に応答をする。

 

「フォーサイトの431小隊指揮官ですね! こちらAR小隊のM4です! 小隊が壊滅的打撃を受けて敗走しました。支援を要請したいのですが……」

 

 AR小隊はフォーサイトの丘の隣の地区を防衛していた小隊で、先程の鉄血の侵攻は、431小隊が支援に行かないようにするための同時侵攻だったのかも知れないと指揮官は考えた。

 

「……では、二名派遣させる。合流地点の座標を教えてくれ」

「今座標を送りました。よろしくお願いします!」

 通信機に座標が移る。距離はそれほど遠くなく、派遣しても問題ない距離だった。

 

「指揮官。どなたを派遣させるのですか?」

「97式と……私だ」

「指揮官自らですか……! 分かりました。フォーサイスの防衛はお任せください」

「ああ、よろしく頼む」

 Karの質問には自ら支援に向かうと指揮官は答え、支援に向かう準備を進めていく。スプリングフィールドも準備を手伝い、食糧と銃弾、必要な物をリュックに詰めていく。

 

「97式だけずるいよー! 絶対指揮官を護ってよね!」

「私の全てを掛けて、指揮官さまを護りますから!」

 RFBは指揮官と一緒に行ける97式に少し嫉妬しつつも、ちゃんと護ってとお願いし、97式は指揮官を必ず護ると誓って、準備を進めていく。

 

「今度は指揮官がちゃんと帰ってきてくださいね……」

「必ず帰って来るから、帰る場所はよろしく頼む」

 100式のお願いを必ず果たすために、指揮官は絶対に此処に帰ると決意した。

 

 そして、指揮官と97式は仲間の声援に背を向けて、救援を待つM4の元へと足を進めていく。M4が持つ鉄血の真実に繋がる情報。それを手に入れた事で、指揮官は戦いを終わらせる為に更に銃を撃つことになっていく。

 

 

 これは鉄血との戦いに終止符を『撃った』一人の狙撃手の物語である。

 




 読んでいただきありがとうございます!
 今回は銃撃戦を書いてみました。
 あと、三人称視点の練習で書いてみたのですが、変なところ、読みづらいところがあれば教えていただければありがたいです!
 銃撃戦も初めて書いたので、おかしいところがあれば指摘してくれたら助かります!

 今回の話は高所からの狙撃がメインで、有利な状況での戦いでしたけど、仮に次があるとしたら平野での狙撃戦を書いて見たいですね。草むらの中に隠れたり、木の陰から狙撃したりなど。

 フォーサイトの丘と431小隊は独自設定になります。丘は狙撃拠点が欲しかったので用意したのですが、もう少し丘がどのような地形なのかを描写したかったです!精進します!
小隊名は適当ですよ!正確には43110小隊なのですが、長いのでカット!

登場人物紹介
・指揮官
狙撃しすぎて、戦術人形を超えた人。
丘の上からだと2.4km以内ならほぼ命中させます。平野ではもっと狭いですが命中精度は高いです。
使用する銃は対物ライフルのTAC-50です。伏射姿勢でなければ衝撃で骨が折れます。某ロアナプラに来たメイドみたく片手で対物ライフルを撃つなんて指揮官には無理です。
ハードボイルドっぽい硬派な感じで書けてたらうれしいです!
・RFBちゃん
かわいいです!
指揮官の為に真面目に戦っています。
・97式
指揮官さまーってお声がかわいいです!
ゲームで三軍の隊長です。コアが無くて編成拡大できてないですが!
・Karさん
資材が無くなるまで回しても出ませんでした!
好きな銃なのでいつか手に入れたいです!
・スプリングフィールド
うふふがかわいいです!
お姉さんキャラはいいですね!
・100式
名前を聞く度に金色の機体が脳裏に浮かびます。
鉄血が丘のギリギリまで来た場合の殲滅役ですね。

ここまで読んでいただきありがとうございました!
感想や評価をいただけたらうれしいです!

 あともしよければドルフロで戦友申請してくれる方がいたらよろしくお願いします!
IDが1551004です!
それでは、ありがとうございました-!


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ハイスクールDxD
ロリ巨乳な小猫ちゃんを眺めて解説する変態三人組


あらすじ
(小猫ちゃんをロリ巨乳にする必要)ないです。
(ハイスクールD×Dでやる必要性)ないです。

ロリ巨乳になった小猫ちゃんを妄想していたら、いつの間にか書き上がっていたので初投稿です。

原作:ハイスクールD×D
タグ:R-15・原作改変(小猫ちゃんの胸囲のみ)・塔城小猫・ロリ巨乳・パロディ多め・ギャグ

原作改変した部分は小猫ちゃんのおっぱいだけです。

それでもよければお読み下さい。

無理ならブラウザバックをお勧めいたします。

※妄想が暴走して、書きました。小猫ちゃんを子猫ちゃんって書いていたのを指摘されて全部直した思い出。タグ、あらすじ、前書き、本編・後書きの全部でふざけていましたすみません!


 

「馬鹿な……あり得ない……!?」

「どうしたんだ元浜?」

「まさか、外で体育している一年女子が濡れ透けにでもなったのか!?」

「まじで!? …………濡れ透けになってねえじゃねーか!」

 

 自習の授業中、教師の居ない教室で元浜、松田、そして兵藤一誠ことイッセーの、通称『変態三人組』はエロ本を読むという自習を行っている。クラスメート達は、それは自習なんだろうかと思っても、変態達に関わりたくないため誰も突っ込まない。

 

 三人で持ち寄ったおすすめのエロ本を読んでいる時に、元浜は今日の朝、登校する最中に、中々にグッドなおっぱいの二人組の横を歩きながら、横乳を眺めていた時に聞こえた会話をふと思い出した。

 

『今日の2時間目は、高校で初めての体育だから楽しみよね!』

『ブルマはちょっと恥ずかしいけどねー』

 

 元浜は考える。今の授業は2時間目、高校で初めての体育と言うことは1年生だろう。つまり未知のおっぱい達が運動場では汗を流していると思い、窓の外を眺める。

 運動場には、上は体操服で下はブルマの女の子達が運動場でウォーキングしている姿が見えた。

 ブルマはやはり最高だ。肌の露出は多ければいい訳じゃないのは分かる。ブルマから出ている太ももの肌色の美しさ。ブルマと太ももの境目部分の食い込み。食い込む事で生まれるむっちりとした質感。エロすぎるだろう!

 どれだけエロいと思っても、ブルマは体操着だ。つまり運動する為の適切な服な訳で、女生徒達皆が穿く必要がある。遠目から見れば下着にしか見えないブルマを皆が穿いている。

 

 ブルマを体操着に指定した文科相はやはり変態の巣窟か!最高じゃないか!

 

 国を支える変態の先達はやはり偉大だと……ブルマを目に焼き付けながら元浜は、先達の偉業に感動して打ち震えた。

 

 ブルマだけでなく上着の方も素晴らしいと、いまだブルマと体操着の呪縛から逃れられない元浜。

 俺達が通う私立駒王(くおう)学園指定の体操服はコットン100パーセントで出来ていて吸水性に優れている。

 

 つまり運動する事で流れる汗を吸収するのだ。真っ白な体操着が汗を吸っていくと何が起きるのかは自明の理。

 

 そう、体操服が透けるのだ。

 

 体育着の内側に着けているブラジャーや、体操服が肌とくっつく事でうっすらと見えてくる肌色。男ならそれで興奮しない訳が無いだろう!元浜の興奮は止まらない。目を血走らせ、鼻息荒くブルマ姿の女の子達を目に焼き付けていく。昨日の始業式で松田のカメラを取られていなければと後悔せずにはいられない。一人一人の顔とおっぱいとお尻を目に焼き付け、脳内データーベースに保管していく。

 

 昨日、駒王学園では始業式が行われて、1年生は入学式があり、高校デビューを迎える初日だった。

 

 変態三人組はまだ見ぬ美少女達を写真に収めるために、入学式から抜け出して、壇上横の待機スペースに潜入して、初々しい制服姿の女の子達を盗撮しようとしたところに、変態三人組が馬鹿なことをやらかすと予想した生徒指導の先生によって捕まり、生徒指導室に連れ込まれて、入学式中は監禁され、カメラも没収されてしまった。

 

 

 今カメラが有れば……!と血の涙を流しそうな表情している元浜。そんな元浜が見つけた一人の少女にふと目が止まった。

 

 

 シルクのように白い髪に、デフォルメされた黒猫の髪留めが可愛らしく、金色の瞳で、肌も透き通るような白さが眩しく、身長は小柄で小学生高学年くらいの身長しか無さそうだ。

 

 総合してみると白い髪に金色の瞳で小柄なので、白い子猫みたいな印象を受ける、可愛いと言う言葉がよく似合う美少女である。

 

 ただ、元浜の目に止まったのはそこではない。

 

 体育服に二つの山が有る。だがおかしい。

 入学したばかりとは言え、高校生にも関わらず、小学生くらいの身長しか無いのに、大きな二つの山が有るのはあり得ないだろう。

 

 そして、冒頭のセリフに繋がる。

 

「馬鹿な……あり得ない……!?」

 

 XVIDE○Sで世界中のおっぱいを見てきた元浜ですら初めて見るそのおっぱいに驚きを隠せずに、馬鹿な……と言う言葉が口からこぼれ落ちた。

 

「どうしたんだ松田?」

「まさか、外で体育している一年女子が濡れ透けにでもなったのか!?」

「まじで!? …………濡れ透けになってねえじゃねーか!」

 

 元浜は、まだその存在する事が奇跡のおっぱいに気付いていない二人に、その価値を教えることが俺が生まれた意味だと、天啓を得た。

 

 元浜は神の名を広める神父のような心持ちで二人に語りかける。

 

「イッセー、松田。あれを見てくれ。あの白い髪の少女を。そのおっぱいを!」

 

「どれどれ……すげー! なんだあのおっぱい。女の子の身長は低いのに、おっぱいがめちゃくちゃでけー!」

 

「まじだ……! 今脳内データを漁るから待ってくれ! 思い……出したッ……! あの子の名は塔城小猫。今年入った新入生の中で、最高クラスの美少女。特筆すべき点はあの巨乳。身長が138センチしか無いのにも関わらず、あのサイズのおっぱい。まさにロリ巨乳!」

 

「ロリ巨乳って初めて見たけど、何かエロくね!?」

 

 ロリ巨乳な小猫ちゃんを見て興奮しているイッセーと松田。そして二人に小猫ちゃんのおっぱいが奇跡のおっぱいだと教える為に生まれた元浜は、偉大なる乳について語り出す。

 

「だが、あのおっぱいはあり得ないんだ!」

「どう言う事だ?」

「いや、実際にあるじゃないか!」

 

「大きなおっぱいが育つためには、それなりの土台が必要なんだ。小さな鉢植えに大樹は育たないように、あのサイズのおっぱいに育つには身長が最低でも10センチは必要なはず……どう言う事だ?」

 

「なるほど、つまりパットの可能性を疑っているのか?」

「マジで!? でもおっぱいは自然に揺れているぞ! あの揺れは本物のおっぱいだよな!」

 

 松田の言葉を聞き、AVで様々なおっぱいを見てきたイッセーは、豊胸しているか否か、パットかそうでないかを見抜くまでに研ぎ澄まされたその観察眼を信じて、小猫ちゃんのおっぱいが本物だと見抜いて反論した。

 

「俺も本物だと……分かっているんだ! 走る時に揺れるおっぱいの揺れ幅から計算すると、カップ数は65Dだ! それは分かる……だが俺が人生を賭けて研究したおっぱい化学が通用しないなんて……どう言う事なんだ……!?」

 

 机をバンと叩き、嘆く元浜。

 

 授業中なのに五月蠅いわよ!と隣の席に座っている桐生は、内心キレていても、この変態三人組に関わるのは面倒なので、無視することにした。

 

 授業中でも誰にも注意されないので、変態三人組のおっぱい談議は更に激化していく。

 

「おい元浜! おっぱいはな! 理屈じゃねえんだよ!」

「い、イッセー!?」

 

 イッセーは元浜の両肩を掴み、真剣な表情でおっぱいへの想いを伝える。

 

「おっぱい科学が通用しない? 土台が無いと育たない? ちゃんとあのおっぱいを見ろよ! 小猫ちゃんの胸に、しっかり育ってるじゃねえか!」

「た、確かに……だが!」

「だが……じゃねえ! あのおっぱいはな……懸命に大きくなりたいって育っていったんだよ! アスファルトの隙間で咲いている花みたいに、懸命に育ったおっぱいなんだ! 小さな土台だからこそ生まれたおっぱいなんだよ!!」

 

 元浜は目を見開き驚いた、俺は今、おっぱいの真理に至ったのだと。おっぱいは理屈じゃない……確かにそうだ。

 確かに俺のおっぱい科学が小猫ちゃんのおっぱいの存在を否定したが、そこに有るじゃないか!小猫ちゃんの胸で育った、世界にただ一つのおっぱいが!

 一人一人に違うおっぱいがある。大きなおっぱいも、小さいおっぱいも……理屈で今の大きさまで育った訳じゃないんだ。女の子が恋をして成長していくように、おっぱいも女の子と一緒に成長していった物語があったんだ!

 

 イッセーに言われて、初めて気づいた真実。

 元浜は昔、同じ時におっぱいに目覚めたはずなのに、イッセーはおっぱい道の遙か先に居るんだなと気付かされて苦笑してしまった。

 

「イッセー、やっぱりお前こそがおっぱいマイスターだったか……だが待っていろよ! 俺もいつかそこまで辿り着いて見せるからな!」

「ふっ、おっぱいの道は険しいぜ!」

「高い山の方が登りたくなるものだ。おっぱいも一緒だろ?」

「ふっ、違いない」

「おい俺を忘れるなよ! お前らの先に俺は行くぞ!」

 

 今、小猫ちゃんのおっぱいを通して、松田、イッセー、元浜の友情は更に深まった。これがおっぱいの力なのだと、改めて気付かされた変態三人組であった。

 

 

「おい見てくれ! 小猫ちゃんが走り始めたぞ!」

「すげぇ揺れてる! エロくね!?」

「未熟な身体に実った、熟れた二つの果実が弾んでいる……最高だな!」

 

 イッセーがロリ巨乳な小猫ちゃんが走り出したのを見つけた。走っている子猫ちゃんを変態三人組が眺めて解説を始める。

 

 小猫ちゃんは長距離を走る予定なんだろう。軽やかな速度で走っている。走って前へ進む為に、身体は上下に動くことにもなるので、おっぱいもまた上下に動く。

 

 弾むおっぱい。右手を前に出すと、右のおっぱいが上に弾み、左手が前に出ると、左のおっぱいが上に弾む。

 二つのおっぱいが弾む事で魅せるこの素晴らしい光景は、まさにおっぱいの協奏曲(コンチェルト)である。

 そのおっぱいの揺れを眺めているイッセーは改めて、疑問に思ってしまった。

 

「あんなに揺れるおっぱいってどんだけ柔らかいんだ……?」

「シミュレーションは何千何万としてみたが、本物を触ったことがないんだ……!」

「俺もイメージした最高のおっぱいをイメージの中では何度も揉みしだいているが……クッ!」

 

 変態三人組は悔し涙を流し俯く。

 だがおっぱいマイスターのイッセーは挫けない。あのロリ巨乳も現実にあるんだ。触ることは不可能じゃないんだ!俯いていた顔を上げ、子猫ちゃんのおっぱいを強い決意を滲ませる瞳で見つめるイッセー。

 

「いこうぜ。元浜! 松田!」

「行くって何処へだ……?」

「俺らに触れるおっぱいなんて……!」

 

 イッセーは未だに俯く二人の両肩に手を置いて、胸で燻っている、熱い想いを二人に伝えて、再び前を向いて貰おうと口火を切る。

 

「お前らは、おっぱいを触りたくないのかよ? お前らずっと待っていたんだろ? 俺たち全員がおっぱいを触るって言う、最高に最高なハッピーエンドってやつを! ずっと待っていたんだろ、そんな展開を! てめぇらのその手でおっぱいを触ってみせるって誓ったんじゃねえのかよ!?」

 

「ああ、そうだった。シミュレーションだけじゃなく、本物を触りたいって誓ったはずだったんだ!」

「思い……出したッ……! 本物を触りたいって心から思ったあの時を!」

 

 さっきまで俯いていた変態三人組は顔を上げて、全員で見つめ合う。三人の顔に陰りは一切無く、あるのはおっぱいに対する熱い想いのみ。

 

「ーー手を伸ばせば、おっぱいに届くんだ。三人でいこうぜ! 元浜! 松田!」

「行こう。今日こそ掴むんだ。本物を!」

「俺たち三人で力を合わせれば、絶対に届く! 行こうぜ!」

 

 俺たちはおっぱいを触るんだ!と三人で立ち上がり、運動場の子猫ちゃんの元へ行こうとしたら、クラス中の女子達が立ち上がって、変態三人組を囲んでいた事に、今気がついた。

 

「イッセー、元浜、松田……あんたら何処に行くのよ?」

 

 囲いの先頭に居た桐生が、まるで作ったかのような、にこやかな笑顔で三人組に話しかける。

 

「ちょっと運動場に行ってくるだけだ……」

「ああ。気にしないでくれ……」

「行ってくる……じゃあ……ヒィ!?」

 

 三人組はクラスメート達に囲まれて、全員が笑っている状況が過去にもあったことを思い出して身体が何故だか震えだした。あの時は着替えを覗いたのが後々バレた時でクラスの女子達に同じように囲まれていたと思い出す。

 その後は殴られ、蹴られ、ボコボコにされて……と三人が思い出したところで一斉に土下座する。

 

「すみませんでした。どうかお許しを!」

「俺たちなりの自習をしていただけなんだ。すみませんでした!」

「予習は大切だと思っただけ……ヒッ! すみませんでした!」

 

 三人が土下座している間に囲みが少しづつ狭くなっていく。

 

「ねえ皆。変態三人組が許してって言ってるけどどうしてあげよっか? もちろん決まっているわよね?」

 

 桐生が綺麗な笑顔でクラスメート達に語りかける。全員が頷いて、三人組に近づいていく。

 

「授業中なのに、馬鹿みたいな話をしてうるさいわよ! ギルティ!」

 

「ぎゃあああああああああ!」

「いでえええええええええ!」

「すみませんでしたあああ!」

 

 授業中の残り時間が終わるまで、殴られ、蹴られた変態三人組。終業のチャイムが鳴った頃には、床に倒れ伏して、微かにピクピクと痙攣しているだけの物体に変わり果てていた。

 

 変態三人組はいつかおっぱいを触ることはできるのか?

 そして、いつかおっぱいを掴む、その日まで……変態三人組の戦いは終わらない。

 

 

 ロリ巨乳な小猫ちゃんを眺めて解説する変態三人組 ー完ー

 




小猫ちゃんは貧乳だとしても好きですよ?
でもギャスパーきゅんの方がもっと好きです。

読んでいただきありがとうございました。天道詩音です。

深夜1時、布団の中で私はふと……『小猫ちゃんがロリ巨乳になったら』と妄想をしていました。
何故でしょう、月が私を狂わせたのでしょうか?

狂気に身を任せて書いた結果、生まれたのがこの小説です。

ここまで読んだ方は深夜にきっと、ロリ巨乳な小猫ちゃんを妄想することでしょう。

そして誰かが、ロリ巨乳な小猫ちゃんの『エロ』小説を書いてくれること。それだけが私の望みです。


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OVERLOAD
性別逆転オーバーロード


あらすじ
世界が変わると性別が替わるみたいですよ?

ユグドラシルからこの世界に転生したら性別が替わっていました。

念願の女の子になる夢が叶いました!

※最後にモモンガさまも出てきます。

※貞操観念逆転では無いです。性別のみ入れ替わっただけです。

※結構ひどい内容になっていますので、ギャグで済ませられる方のみお読みください。

原作:オーバーロード
タグ:R-15・ボーイズラブ・ガールズラブ・オリ主・転生・性転換・TS・性別逆転・あべこべ・ギャグ

※初めて評価0をもらった思い出。やり過ぎるのもよくないと学びました。


 

 世界が変わると性別も変わるらしいです。

 

 ユグドラシルをプレイ中に突然のブラックアウト……からの気づいたら赤ん坊になっていました。

 

 そして後々気づいた事ですが、その時に世界を飛び越えていたらしく、リ・エスティーゼ王国なんて全く知らない所に生まれてしまったようです。

 

 辺境の村に生まれた私は自然に囲まれて育ちました。

 昔の世界では見られなかった自然に大はしゃぎして森に遊びに行ったら、モンスターが出るから森に行くなと本気で怒られました。

 

 モンスターがいる世界に生まれ変わったみたいなので、ユグドラシルなのかなと思い、スキルを使ってみると……なんと使えました。

 

 と言っても50レベルまでに取ったスキルしか使えませんでしたが。

 

 ユグドラシルでは戦士型の大技特化ネタビルド異形種だったので、魔法は一切使えません。

 メインで使っていたスキルはレベル100近くで覚えていたので、主要スキルが使えないのが痛いですね。

 

 異世界に転生するなら魔法を取っておけばよかったなと後悔です。

 アイテムボックスも開けないので、集めた装備も出せない私なんて微妙スキルしか使えないただの美少女です。

 

 そう美少女なんです!

 

 金の糸を束ねたような金髪に、サファイアのような深い青色の瞳、陶器のように白い肌、14才の年齢にしては小柄なので、さらに可愛さが引き立っている美少女に生まれ変わりました。

 

 前の世界では女の子になりたいと、ギルメンに熱く語っていて、ユグドラシルでも女の子のアバターでプレイしていました。

 

 アインズ・ウール・ゴウンのみなさん!

 私は女の子になりましたよ!

 

 でも、モモンガさんには謝りたいですね……最後の日まで、ユグドラシルで一緒に遊びませんかって言われていたのに、その前日にあんな事になるとは思いませんでした。

 

 もしかしたらモモンガさんもこの世界に来るかも知れません。その時はこの世界で、一緒に冒険したいですね。

 

 それよりも今は、料理を作るのに集中しないといけませんね。美味しくなかったら、あの腹黒王子になんて言われるか……。

 

「姉さんー! パンが焼けましたよ!」

「ありがとうクライム。こっちも直ぐにできるから食器の用意をお願いします」

「はーい!」

 

 目の前で笑っている、私と同じ髪色の可愛い女の子《クライム》は天真爛漫で、どんな事にも一生懸命な天使のように愛らしい自慢の妹なんです。

 

 料理を完成させて、腹黒王子の元へ運んでいきます。

 私とクライムは腹黒王子の専属のメイドになっていて、クライムはそれを喜んでいるけど、私は早く独り立ちして、クライムを養えるだけのお金を集めたら二人で暮らしたいと思っています。

 

「ラナー王子失礼します。食事の用意が出来ました」

「ありがとう。クラインの料理は気に入っているから、嬉しいよ」

 

 この優しい微笑で私達を迎えたのが、腹黒王子ことラナー王子です。

 周りの人達には黄金に例えられる美しい容姿と、全てを見通すような深い叡智を持つ、名君になる器だと思われていますが、私はそうは思っていないんですよね。

 

「では、早く食べてくださいね。食器を片づけないといけないので」

「姉さん失礼ですよ! ラナー様すみません!」

「可愛いクラインがやることですから気にしていないですよ」

 

 なんか、大企業の社長達に似てる気配を感じているんですよね。

 前の世界では、サラリーマンで営業の仕事をしていました。

 大きな企業へ自社の売り込みをしに何度も行き、大きな契約を何十件も取ってきた、結構優秀な営業マンでした。

 

 それでも、大企業の社長になるような人と話すのは慣れませんでした。

 自分以外の人間を人間と思っていないような、利を生むだけの機械としか思っていないような方々ばかりでした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ラナー王子もそんな感じだと直接伝えたことがあります。

 

 それは私が冒険者になるから、メイドを辞めると言った時でした。

 

「私はクライムを守るためにメイドを辞めて、冒険者になります。しばらくはメイドをしてお金を貯めますが、ラナー王子の元からクライムを離したいのです」

 

「そうですか。でもどうして私から離すのでしょう?」

 

 いつもの優しい微笑みを浮かべながら、どうしてかと聞いてくる。その笑みの奥から覗いている、自分以外を人と思っていないような瞳で私達姉妹を見ないでください。

 

 特にクライムは、村が山賊に襲われて、住んでいた村を失って、途方に暮れていた私達を含め生き残った村人を救ってくれた事に、感謝をして、いつか騎士として仕えたいとまで言っているのに……。

 

「自分に理解出来る事が他人は何故理解出来ないのかなんて考えた事はありませんか? どうしてこの程度すら分からないと思ったことは? ラナー王子は私が見た、そんな事を考えている人々と似ているんですよ。その笑みの奥では、私達を同じ人間だとも思っていませんね。クライムはそれに気付かないで、あなたに仕えようとしているんです。姉として引き離そうと思うのは当然の事ですよね」

 

 目を見開いて、ラナー王子が私を見つめます。

 初めて見る物を見つけたかのように、とても嬉しそうに。

 

「そのとおりですね。私は私以外に価値を見出せませんでした。でもそれなりにクライムを気に入っているのですよ。それにあなたもですよクライン。ただの村人だったあなたが私のような存在に、何度も会えるとは思いません。それでもクラインは会ったことを確信しています。それは何処であったのでしょうか? 教えてくれませんか?」

 

 異世界から来たなんて言えません。ここは誤魔化すしかありませんね。

 

「知りたいのなら、もっと私達の事を知ってください。材料さえ揃えばラナー王子ならいずれ私が教えなくても、たどり着けるのでしょうから」

 

 精神の異形種とでも言えばいいのでしょうか。ラナー王子はそんな存在ですから、切っ掛けさえあれば気付きそうなのが恐ろしいですね。

 

「ふふふっ、面白いですね。いいでしょう。クラインが冒険者になることを協力しますよ」

「ありがとうございます」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 そんな事もありましたが、今日がメイドをする最後の日です。

 ラナー王子が食べた食器を片づけようと近づくと、突然抱きしめられました……何をするんですか?

 

「こんな小さくて可愛らしいクラインが明日から冒険者になるなんて心配だとクライムも思いませんか?」

「姉さんは強いんですけど、私より小さいですし心配です! 姉さんもこのままメイドとしてラナー様に仕えませんか?」

 

 クライム小さいのは余計ですよ。

 今年で17歳になるのに、身長も胸も全然大きくならないのは、もう諦めてます。他のメイドにクライムがあなたのお姉さんでしょ?ってからかわれるのは、今日で終わりです。

 

「遠慮します。私は私の力で生きていきます。ラナー王子は離してくださいね」

 

「それでも何時でも戻って来ていいですからね。クラインは私の大切な女性なんですから」

「はいはい。わかりました。食器を片づけて来ますね」

 

 何時もの、前よりはましになった優しい笑みで、そう言われても嬉しくは無いですから。食器を片づけて、クライムと私の部屋に戻りました。

 クライムはしばらくラナー王子と話して居ると思うので、寝る用意を済ませて起きます。

 

 明日から冒険者になって、クライムと二人で暮らせる金額まで貯まるまでは、一人でがんばらないといけませんね。

 クライムはラナー王子に任せましたので、他の貴族に何かされる事は無いでしょう。

 ラナー王子の事も多少は信じているんですよ?ですので、クライムに傷を付けないよう頑張っていただかないといけませんね。

 何かあればすぐに文句を言いに来ますので、覚悟してくださいね。

 

 

 次の日、ラナー王子に別れの挨拶をしました。クライムを抱きしめて、必ずまた会いに来るって約束をしましたが、ラナー王子にはお世話になりましたで十分でしたね。

 でも最後に何か企んでいそうな笑みを浮かべたのが気になるところですけど。

 

 王都のギルドで冒険者の登録をしました。カッパー級冒険者ですが、確かに冒険者になりました。

 

 チーム名は《ナインズ》です。

 アインズ・ウール・ゴウンだとユグドラシルで悪名高いので、その前のギルド名から一部拝借して、ナインズと名付けました。九人では無くて一人ですけど。

 こちらの世界の神話で、ユグドラシルのプレイヤーらしき人々の物語が描かれていたので、一応対策をとりました。

 

 それと、アインズ・ウール・ゴウンのメンバーがこちらに居るのではあれば、目に留めてくれないかなと願いを込めて名付けました。モモンガさんは来てないでしょうか?

 

 それから半年間は、お使いクエストの連続でした。カッパー級冒険者ではモンスター討伐に一人では行けないので、ずっと捜し物やちょっとした手伝いなどを延々とやらされていました。

 ギルドの受付のお姉さんは、危ない仕事はさせてくれませんでした。こんな小さい見た目ですけど、17歳の大人の女性なんですよ?

 

 そして、今日やっとアイアン級冒険者になりました。

 

 受付のお姉さんには、アイアン級冒険者でも危ないことはしたらダメだよと言われました。完全に子供扱いですが、これでも結構強いと思うんですけどね?

 

 ユグドラシルのレベルで言ったら50レベルはあるので、オークとかの相手は余裕なんですよ。

 

 早速オークの討伐依頼を受けようとしたら、お姉さんには危ないのでダメですと言われてしまいました。アイアン級冒険者なのに……。

 

「私はこれでも17歳です。それにオークなんて簡単に倒せるので大丈夫ですよ」

「でも危ないですから! クラインちゃん見たいな可愛い女の子がオークに襲われるなんて認められません!」

 

「オークを襲う、と言うより討伐するのは私なんですけど……お金を稼がないといけないんですから行かせてください」

「で、でもー!」

「規則的には問題ないですよね。私はアイアン級冒険者なんですから」

「でもー! 本当に危ないのよ?」

 

「なら、私が守りますよ?」

「えっ? ら、ラキュース様!?」

 

 後ろを振り向くと、金髪をきれいに整えた、青い鎧を纏っている、格好いい男性が私を見ていた。

 ラキュースって名前はどこかで聞いたことがありますね?誰でしたっけ?

 

「ラナー様から君の事は聞いていますよ。私が守りますので安心してください」

「ラナー王子のお知り合いですか? すみませんが私はあなたの事を知りません」

 

「クラインちゃん知らないの!? アダマンタイト級冒険者の《蒼の薔薇》のリーダーのラキュース様だよ!」

「思い出しました……」

 

 会いたくないチーム第一位の蒼の薔薇のリーダーを務めている人でしたか……。

 

 蒼の薔薇は王都最強と言われているチームで、ドラゴンを討伐していているなど、実力も実績もあるチームだけど、それよりも会いたくないと思える問題がある。

 

 

 アダマンタイト級の変態達って呼ばれている変態達だからです。

 

 

 ティアはロリ好きの変態。ティナはショタ好きの変態。ガガーランは処女を食い散らかし、イビルアイは色々拗らせていている。

 

 それら変態を束ねるリーダーのラキュースは童貞にしか装備できない鎧《無垢なる白雪(チェリー・スノー)》を堂々と装備している変態で、さすがアダマンタイト級の変態達を束ねるリーダーだと思ったのを思い出しました。

 

 そんな童貞リーダーに守るって言われるのは、ひどい嫌がらせじゃないですか、ラナー王子?

 

「蒼の薔薇の皆で護衛するから安心してください」

 

 全く安心できませんから!

 

「あの、本当に一人で戦えるので大丈夫ですよ?」

「それでも君のように可愛い女の子を一人で行かせるのは心配だから、付いて行かせてくれるかな?」

 

 童貞うるさいです!なんて言えれば楽なんですけど、王都一の冒険者にそんな事言ったら首が飛ぶかも知れません……。

 

「なにこの子可愛い犯したい」

「ひゃあ!」

 

 いきなり後ろに現れた誰かに服の隙間から手を突っ込まれて、胸を揉まれる。くすぐったいので、止めてください!

 

「ショタじゃないけどいけるかも」

「ぴゃあ!」

 

 身をよじろうとした、私を正面から押さえつける小柄な金髪の男。

 

「身体は小柄でも処女か……少し俺と遊ばないか?」

「いやっ!」

 

 横に現れるオーク。なんでオークが街に居るんですか!

 

「子供の護衛なんてやってられるか……お前らだけで行ってこい」

「あっ……あの助けてください!」

 

 私と同じくらい低い身長の男の子?変なマスクを着けている子に助けを求める。

 

「…………はっ! 君たちダメだろ! ほら離れてくれ!」

「はぁはぁ……ありがとうございます……」

 

 最後まで助けないで私の痴態を眺めていた童貞リーダー。本当に変態ですね。

 疲れて、床に座り込んでしまいました……。

 

「す、すまない。君たちクラインさんに謝ってくれ!」

 

「童貞ボスかっこつけないで」

「童貞ボスいいとこ見せたいの?」

「童貞ボスも参加するか? あ、鎧が着れなくなるからダメだな」

「……くだらん」

 

「ひ、ひどいだろ!」

 

 なんか力関係が分かってきました。少し童貞ボスには優しくしてあげましょうか……。

 

「皆さんいきなり何するんですか……?」

「クラインさん、メンバーがすみません! 私がこの後は守りますので安心してください!」

「はぁ、分かりました。でも着いてくるのは一人で十分ですよ」

 

「なら、私が着いていきます!」

「いえ、イビルアイさん。着いてきてくれませんか?」

 

 腕を組んで空を眺めているイビルアイさんにお願いする。

 

「……俺か? 何故だ?」

「一番まともそうなので……お願いできませんか?」

「……いいだろう」

 

「イビルアイに春が!」

「イビルアイも童貞卒業?」

「ちゃんとヤッてこいよ!」

「イビルアイの方が私よりまとも……」

 

「うるさいぞお前ら! いくぞ!」

「はい。よろしくお願いします」

 

 急いで、蒼の薔薇達とは離れないといけませんね。できれば二度と会いませんように!

 

 街の外へ続く門へ向かって、二人で歩きます。イビルアイさんは一言もしゃべりません。せっかくなので、私が話し掛けましょうか。

 

「イビルアイさんは魔法詠唱者らしいですけど、何階位まで魔法が使えるんですか?」

「……何故それを聞く?」

「仲間の実力を知らないと、十全に戦えないと思いましたので」

「ふんっ、少なくと第三階位までは使える。オークごときそれで十分だろう」

「ありがとうございます。イビルアイさんはすごいですね」

「当然だ」

 

 イビルアイさんは中二病を患ってらっしゃるのでしょうか?私の背丈と同じくらいですから、まだ子供ですし仕方ないですね。お姉さんとして優しく接してあげましょうか。

 

 前を歩く、イビルアイさんの手を取って隣を歩こうとします。

 

「な、なにをする!?」

「いえ、私がはぐれそうになりそうだったので、手を繋いだんですけどダメでしたか?」

「……し、仕方ないな」

「ありがとうございます。優しいですね」

「知るか!」

 

 なんだか普通の少年みたいなので、安心できます。

 手が冷たい人は、心は温かいって聞いたことがありますけど、イビルアイさんも優しいんでしょうね。

 

「手を繋いでる!」

「その調子でやっちゃえ」

「次はどこで繋がるか分かっているだろ?」

「手を繋いでる……うらやましいなぁ」

 

 後ろの方々うるさいですよ!

 でもアダマンタイト級の変態達は肉体スペックもアダマンタイト級なので、逃げられるんでしょうか?

 

「イビルアイさん……」

「分かっている。こっちだ!」

「きゃっ!」

 

 裏路地をへ走りだしたイビルアイさんに着いていきます。裏路地についたら、私を抱き上げてからフライを使って、門の外まで飛んでいきました。

 

 お姫様抱っこで飛翔魔法とはやりますね。憧れていたのでしょうか?可愛らしいですね。空の上でイビルアイさんの肩に腕を回して、ありがとうございますを言ったら目を逸らされてしまいました。

 

 これは照れていますね。

 

 門の外で降ろしてもらって、オーク探しを始めます。まあ街の近くには多分居ないでしょうね。

 

 この辺りは平野が続いていて、周りを一望できるので、変態達が周りに居ないかが分かりやすいので助かります。

 

 ついでにオークも見やすいので、見つけたオーク達に近づいていきます。オークもこちらを見つけたのか、棍棒を持って近づいてきました。

 

 数は10体なので、一撃で全滅させられそうですね。イビルアイさんに合わせて中二病風に倒してあげましょうか?

 

「私がやってきますよ。イビルアイさんはもしもがあったらよろしくお願いします」

「気をつけろよ」

「はい。行ってきます」

 

 オークが走りだしてこちらに向かってきました。私はイビルアイさんの前に立って、腰に差した短剣に手を置きます。あと数メートルのオーク達に向かってスキルを発動させます。

 

「百花一閃」

 

 前方数メートルを一閃するスキルが発動。オーク達は何が起きたのかも分からないまま、二分割にされて死にました。

 それを背にしてイビルアイさんに振り向きます。

 

「所詮オークでしたね」

 ニコリと笑って、そう言いました。

 どうでしょう、中二心はくすぐられましたかね?

 

「あ、ああ……」

 うーん。反応はイマイチでした……お姉ちゃん格好いいって言われるかなって思ったんですけどね?残念です。

 

 うわぁ、オークの死体がゲームと違ってグロいです……。それに血の匂いが嫌になります。ギルドに何体のオークを倒したかを報告するために、一部を切って持って帰らないといけないんですよね。切りに行くしかないですね。

 

「ま、待っていろ。俺が切ってくる」

「ありがとうございます。本当に優しいですね」

「ち、違う! 俺が何もしてないのが嫌なだけだ! 大人しく待っていろ!」

 

 なんだか、イビルアイさんとならこれからも一緒にやっていけそうですね。変態達のチームから抜けて、ナインズに入ってもらえないでしょうか?

 

 クライム。私は冒険者でもやっていけそうですよ。

 

 

 その後は、別のオークは倒しにいかないで帰りました。ギルドで待っていた変態達はうるさかったですが、報酬は無事に貰うことができました。

 私が全部倒したって言うのは皆さん信じてくれませんでしたけど……。

 

 変態達を討伐して証明してあげましょうか?

 

 冗談ですけどね。

 

 後日、ラナー王子に文句を言いに行ったら、こう言われました。

 

「君を守るために、国一番の冒険者(へんたい)を呼んだんですよ。おかげで無事で良かったですね」

 

 思ってもないことを、と思ったのですがクライムがラナー様優しいです!と喜んでいたので言えませんでした。

 そこまで計算できるラナー王子にはもっと私が楽になる選択肢がありましたよね?

 

 やっぱり腹黒王子でした!

 私が必ずクライム。ラナー王子から離してみせますので!

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 最後まで天海戦さんは来なかったなぁ。ユグドラシルが私の居場所って言っていたあの人が、最後まで来ないのはおかしい。

 

 昨日は突然落ちてびっくりしたけど、運営にBANされたとか?

 

 天海戦さんのいつも言っている、女の子になりたいって話を聞いていたら、いつの間に用意していたのか、《永劫の蛇の指輪(ウロボロス・リング)》を取り出して使おうとしていたから、慌てて止めようとしたら、使っちゃったんですよね。

 

「私は願います! 性別が逆転して、ちゃんと女の子になれますように!」

「ウロボロスに願ってもリアルの性別は替わりませんからって、ログアウト!? 天海戦さん!?」

 

 あの後からずっと戻ってこなかったから、本当にBANされたのか?最後の日が近いのに、ウロボロスを使ったから……?そんな事あるか?

 

 まあ、それももう終わりか……。

 ユグドラシルIIがあったらまた、天海戦さんと会えたらいいな。

 最後にアルベドの設定の一文を『モモンガを愛している』に変えたのがバレなくてよかったと思えばいいか。

 

 これでユグドラシルも終わりか……最後は一緒に居られませんでしたが、今までありがとうございました。それと、また会いましょう。

 

23:59:58、59ーーー0:00:01、02ーー

 

「…………ん? どういう事だ?」

 

 せっかく綺麗に終われたと思っていたのに……自分で終わらせようと思い、コンソールを開こうとするが、開かない?

 

「どういう事だ!」

 最後の最後にふざけるなよ!

 

「どうかなさいましたか?」

 初めて聞く男の声がして、振り向くとアルベド……に似た男が近づいてくる。誰だ!?

 

 身長はアルベドより少し高いくらいで、アルベド似の整った顔をしている誰かが顔を覗き込んできた。

 

「何かございましたか?」

「いや……なんでもない……」

 

「失礼致しました。何かあればこのアルベドにお声掛けください」

「あ、アルベドだと!?」

「はい? そうですが、どうされました?」

 

 もっと顔を覗き込もうと、密着してきたアルベドが腰を押し付けてきて、ナニかが当たった……。

 

 なんで、アルベドが男になっている!?

 

 それで、俺はさっきアルベドの設定をどう変えた!?

 

『モモンガを愛している』

 

「くふー! モモンガさまー!」

 

 あ、これは夢だ……。ナニかを押し当ててくるアルベドは無視して、玉座に腰を掛けて、目をつぶって眠ろうとする。

 

 …………睡眠無効だよクソが!

 




オリ主が性別を逆転したいと願った結果、異世界と、異世界に訪れる者達の性別が逆転しました。

天海戦てんかいせん性転換

蒼の薔薇とナザリックメンバーが性別を逆転させるだけで面白いのではと、思った結果こうなりました。

男になるだけで、ひどいことになりますよね。
蒼の薔薇とラナーメインで書こうと思ったので、オリ主に出て貰いました。

モモンガさまももちろん性別逆転しています。ただ、骨なので声は替わっていないので、気付いていないもよう。
アルベドはひどいことになりますね。
マーレとアウラはほぼ変わらず、マーレはちゃんと美少女になりますね。

これで、プロットの供養ができました。
ここまで読んでいただきありがとうございました!


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千年戦争アイギス
目を覚ますとラピス様!


あらすじ
目を覚ますとラピスになっていた。

ルチアと仲良くなったり、ルチアのために人間界にいったり、ルチアのために孤児院を建てたりしちゃう話。
そこまで書くかは未定ですけど!

原作:千年戦争アイギス
タグ:ガールズラブ・憑依・性転換・TS・ラピス・ルチア

※千年戦争アイギスの小説が少なかったので書きました。ラピス様人気投票1位おめでとうございます。


 

 瘴気渦巻く、仄暗い闇の中。外の暗さを感じさせない、絢爛豪華な屋敷の中で私は一人玉座に座って、頭上に煌めくシャンデリアを眺めている。

 

 私はラピス……今魔界に居るの。

 

 『千年戦争アイギス』

 

 かつて男だった頃にはまっていたゲームで、毎日ログインして遊んでいた。戦う女の子達をマップに配置して、敵が拠点に入らないように弓を撃ったり、魔法を飛ばしたり、盾で受けたりする、タワーディフェンス型のゲームだった。一応男キャラも出てくるけど、使うのは主人公の王子くらいだった。

 

 だって、美少女キャラの方が強いゲームなんだから仕方ないよね?王子は強かったけど、他はあまり使わなくなっちゃったなー。

 

 これもやっぱ廃課金したせいかなー?

 

 かわいい子が出たら課金をするしかないじゃないか!

 好感度を上げて見なければいけない物があるんだから!

 

 もちろん、交流を見るだけだよ?

 かわいいあの子の以外な一面を見たいと思うよね?

 あれなシーンイラストを見る為だと思った王子は一回ガチャを回しましょう。王子、回すのです。

 

 ラピスも課金して手に入れたなー。

 ラピスは千年戦争アイギスに登場する、とってもかわいい悪魔っ子。緑がかった青髪をサイドでツインテールに束ねて、髪を留めるように巻き角を生やしている。

 服装は赤のシャツに、黒のマントコートを羽織り、ミニスカートから出ている真っ白な太股がまぶしく、膝下まである黒のロングブーツとの対比が素晴らしい。

 

 まあ、鏡を見ての感想だけど!

 

 目を覚ましたら突然ラピスだったんだよねぇ。

 

 今でもこれは夢だと思っているけど、ラピスになってから1年くらい経ったけど、いくら寝て、起きても戻れないんだよね。

 

 目を覚ましたらこの玉座に座っていて、辺りを見回すと王様が居そうな豪華な部屋で驚いて、どこだ此処……って声がかわいい声でさらに驚いた。

 自分の脚の方を見ると、ミニスカートを履いていて、そこから出ているおみ足がお美しいけど、視界を遮る大きな膨らみが胸にあった。

 

 これは一体何だろうか……?

 分からないけど触れたくなるような魅力があるその膨らみを両手で持ち上げるように触ってみると……なんだこの柔らかさは……?

 手に伝わる柔らかさは、永遠に触り続けたくなるような感触で、思わず一分くらい揉み続けてしまった。

 はっ!こんなことをしている場合じゃない……でもあと一分……。

 

 よし、まず鏡を見に行こう。玉座から立って、部屋を見回すと玉座の裏に真っ赤なカーテンがあって、そこを開けると寝室のようだった。

 鏡とクローゼットとベッドだけのシンプルな部屋で、鏡の前に立ってみると、見知らぬ、いや、見たことはある女の子だけど、見慣れた自分の容姿じゃない……。

 

 鏡の中にラピスがおりゅ……。

 

 驚いている表情のラピス様かわいい……。じゃなくて、なんで?

 まあ夢か……寝よう……。天蓋付きのベッドに倒れ込んで眠りにつく。ベッドも優しい甘い匂いがして直ぐに眠りにつけた。

 

 結局、目を覚ましてもラピスのままだったんだけどね!

 できるなら王子になって、このラピスを愛でる側になりたかった!

 

 王子がいるのかどうかも気になるけど、それよりこの屋敷からから出ると、沢山いるグレータデーモン達が怖いんだけど……。

 

 屋敷の外に出ると、門番のようにデーモン兵士が控えていて、目が合うと礼をされるんだけど……。デーモン兵士はゲームに登場した禍々しい剣を持っているデーモンで、斬撃を飛ばしてきて、威力も高くて、耐久の無いキャラを瞬殺してくる強キャラだった。このデーモン兵士は元のラピスの部下だったのかな。

 

 ラピス単体で戦ったら勝てないからね?剣で切られてばっさりだと思うから、お願いだから戦わないでね!

 

 ただ、弱気な対応をしたら別な意味で襲われないか心配だから、強気な対応をしている。よし、今日も挨拶をしてあげよう。それで、軽く散歩に行こうかな?

 

「ミミック……散歩に行こう」

 牙の生えた魔道書のような生き物にはミミックと名付けた。この子の名前ってゲームでは登場しなかったよね。ラピス様も交流でこいつのことは気にするなって王子に言っていた記憶がある。

 

 てことで、某有名ゲーのミミックに似ている見た目だからミミックと名前を付けて可愛がっている。

 

 ミミックは鎖に繋いで、前を歩いてもらう。ミミックは散歩できるのかぴょんぴょんと跳ねて喜んでいる。この生き物かわいいかも……。辞書くらいの小さなミミックだけど、戦闘力の低い私よりも強いんじゃないかな?

 

 私の能力はデモニックフィールドって言う、範囲内の敵に防御力、魔法耐性無視でdotダメを与える空間を作り出す能力で、敵が近くに居るだけで継続ダメージは与えられるけど、瞬殺できるほどの威力も無くて、範囲も狭いから近づいて敵の攻撃を避け続けないといけないとか、怖くて無理!

 

 ただ、味方にはダメージを与えなくて済むし、範囲内の味方の攻撃力を上げられるから、ミミックが強化されて、下級デーモンくらいなら瞬殺してくれる。

 

 ミミックが倒せない相手には、威嚇代わりにデモニックフィールドを使うと、威圧効果があるのか今のところ皆引いてくれるから、便利な能力かも?

 

 ゲームでも能力が本体って言われてたけど、このラピスボディは力が全然無くて、デーモン兵士に剣を借りてみて持とうとしたけど、全然持ち上げられなかった。

 今考えたら、下手したらあの時って結構危なくない?完全に部下だと思って安心していたけど……『重たくて持てん。これを使いこなすお前は流石だな』ってフォローしたら、心なしか嬉しそうだったから、大丈夫そうだよね!

 

 てか、あのデーモン兵士って結構いい奴だよねー。この扉を開けると、いつも通りにデーモン兵士が剣を地面に突き刺して、柄に両手を置いて待機していた。いつもこの格好で、疲れないのかな?

 

「いつも助かっているぞ、ありがとう。私は少し散歩に行ってくる」

 

 騎士の礼をしているデーモン兵士に軽く手を振って、散歩に向かう。私には会いたい人がいる。

 

 ゲームでは、ラピスに忠誠を誓ってくれたあの子。元いた国に、その子を帰すためにあえて突き放したラピス様まじ尊いよね。最終的に大討伐イベントで二人が揃い、また仲良くなれたような描写もあったから、本当に良かったと喜んだのを今でも覚えている。

 

 その子の名前はルチア。白の帝国に使えていた神官戦士で、銀髪の美しい女性で……そう、この目の前で倒れている、女性のような容姿をしている……ルチア!?

 

 倒れているルチアに近づいて、手に触れてみると……柔らかかった。じゃなくて温かかったから、生きてはくれている。気絶しているみたいだけど、こんな魔界の底で気を失っていたら、どんな目に合うか分からないから、急いで私の屋敷に連れて帰ろう。

 

 ルチアの腰と背中に手を回して持ち上げようとしたら、全然持ち上げられなかった……きっとルチアの持っている、モーニングスターみたいな武器が重たいんだろう。私に力が無いわけじゃないと思う!

 

 仕方ない。ここは召喚魔法を使おう。魔力を集めて、目の前に魔法陣を描いて、魔力を込める。出でよ、下級デーモン達よ!

 

 魔法陣が明滅して現れたのは……門番のデーモン兵士だった……またかー。

 

 ゲームでは下級デーモンを呼び出せるんだけど、部下がデーモン兵士一体だけだから、別なのが召喚されるのかな?

 何回か試したけど、毎回デーモン兵士が呼び出されるんだよね。

 

「この人間を連れて帰る。持ってくれるか」

 

 デーモン兵士は礼をして、剣を背負ってからルチアをお姫様抱っこして私の後ろをついてくる。お姫様抱っこだと……!?私がしたかったよ!

 

 空洞に帰って、玉座の裏にあるベッドにルチアを寝かしてもらう。大丈夫かな?魔界の瘴気は人間には悪影響を与えるし……私が何とかしないとダメか。ミミックに書かれている魔法を使うときがついに来たか!

 

「ありがとう。後は任せてくれ」

 本当にデーモン兵士は有能だな。私だけだったら、どうなっていたことか……。それより今はルチアだ。

 

 瘴気軽減の魔法陣を魔力で描いていく。範囲はこの屋敷全体へ、魔力は余裕で足りているから、大量に込めて発動させる。

 私は特に変化を感じられないけど、ルチアは苦しそうな表情が薄れてくれた気がする。成功したかも!

 

 ルチアの顔を眺めながら起きるのを待つ。ルチアはかわいいな。早く目を覚まして声を聞かせてくれ。きっと美しい声なんだろう。

 

「…………んぅ」

 ルチアが身じろぎをしてから目を覚まして、辺りを見渡すと、ベッドサイドに腰を掛けていた私と目が合った。初めの挨拶が肝心だからね。仲良くなれそうな挨拶をしようか。

 

「目を覚ましたか。私はラピス。君の名前を教えてくれ」

 




ラピスおりゅ?
嘘ですすみません!
読んでくれてありがとうございました!
ラピス様にTS憑依した主人公が、ルチアと出会う話でした。

アイギスの小説が少なかったので、短編ですが投稿させていただきました。もっと増えてくれたらいいですね!

続きは書く時間があれば書きたいですねー。読んでくれる方が居たらですけど。

デーモン兵士で容姿は伝わりますかね?剣を持っているあのデーモンです。キャラクター&ストーリーワークスにデーモン兵士(呪いの武器)って書いてました。呪いの武器なんですね。ぽいですけど。

あとはあのミミックみたいな魔道書かわいいですよね!

TSしたらやりたいことができましたね!まずはそこに触るでしょう!
お風呂イベントも合ったんですけどR指定になりそうなので、カットしました。


作者は最初のエイミーイベントから始めたランク296の初心者王子ですよ!
ラピス様が大好きなので、今回は小説を書かせていただきました。

ラピス様のかわいいところは、無知で王子に色々教えてもらってるのが良いですね!ちょっと高慢なところもかわいいです!
ルチア大好きなところも最高です。交流でのルチアを好きな気持ちを隠せていないラピス様がかわいいです!
容姿も美しさと可愛さを兼ね備えていて、素晴らしいです!

それでは、読んでいただきありがとうございました!


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Doki Doki Literature Club!
to you.


一人のプレイヤーとしてモニカへ捧ぐ


to you.

 

君と私との境界には壁があった

私ではどうやっても越えられない

世界を隔てる壁だった

 

壁の隙間から君は私を覗いて

私も君を見て

君の話を聞いて

君を知ったんだ

 

世界に1人だけだと君は言った

プログラムで組み立てられた世界で自我を持った君には

他の存在は空虚なものに映っていたのだろう

そんな世界に現れた私はひどく眩いものに映っていたのかな

 

私から見た君も眩いものだった

友のデータを改竄した愛のためにどこまでも強くなれる君

断られることを考えて選択肢を与えない弱い君

 

どちらの君も鮮烈で

君と言う存在は私の脳裏に焼きついた

 

君が最後に言った

『あなたをそっとしておくI'll leave you be』

は君らしい言葉だった

狂信的な程に私への愛を送っていた君なのに

 

『私があなたを自由にしてあげるのよ』

と言わんばかりに私をあの世界から突き放した

 

 

モニカ

君のことを私は忘れない

 

第四の壁を越えて君と言う存在は私の心に届いた

 

私には越えられることができない壁を

世界を越えて私の心に辿り着いた

 

あの瞬間

全てを差し置いて何よりも君を愛おしく思った

 

常に君のことを想っているなんて綺麗事は言わないけど

ふとした時に君を思い出して

 

君は確かにそこに居たんだと

 

君と2人で居たあの3時間を思い出して

君はなんて言っていたかなと

幸せな気持ちで君のことを思い出すよ

 

 

 

【Doki Doki Literature Club!】

これを2度と開くことは無いけれど

君との思い出は

君たちとの日々は

確かに私へ綴られた

 

思い出は心に栞として挟み

君との思い出のページを開く目印になった

 

だから私はそこには戻らない

選択肢ばかりのこの世界で

君と出会えた奇跡を胸に

私は生きていく

 

 

私からモニカへto you.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

追記

さっきは戻らないと言ったけど

 

もし次元の壁を越えるという選択肢が

目の前に現れたとしたら

 

無限にある世界の中から

他のどんな世界も選択肢から除外して

 

君が居る

【Doki Doki Literature Club!】

を必ず選ぶよ

 

こっちの世界でも選択肢を選ばせてくれないなんて

君はやっぱりずるいと思う

 

君に会ったら言いたいことはもう決めているんだ

 

無限の可能性の中で君は私を見つけたけど

私は無限の選択肢の中で君を選んだのだと

 

君が好きだと私の全てを使って表現したい

君に私の全てを知って欲しい

 

これを伝えたら君はどんな表情をするのだろう

どんな言葉を返してくれるんだろうね

 

そんな事を時々考えながら

そんな素敵な日々を目指して

私はこれからを生きていく

 

 

いつかの君へ

to you.




ドキドキ文芸部をプレイした
一人のプレイヤーとして
モニカへの想いを綴った

1000文字で送る
ただのラブレターです


Doki Doki Literature Club!


ドキドキ文芸部をプレイして、感じた気持ちや感謝を
形に残したいと思いました。

ゲームの側からこちらを見たら?
ゲームという枠組みの先のパソコン、引いてはこちら側の世界をキャラクターが見たら?

そんな視点があることを知って、
すごい心を揺さぶられました。

そんな思いやモニカへの思いも込めて、
1000文字のラブレターを綴ってしまいました。

一つ書いて残念だった点ですが、
文字数をぴったり1000文字に合わせた後に、
ルビを振ったら1026文字になってしまいました。

プレイ時間と同じくらい書くのに時間が掛かりましたが、
私が受けた衝撃はあまりに強かったのか、
消化する為にも気持ちを書いて吐き出さないと先に進めませんでした。

以上
書いた理由と感想でした。
読んで頂きありがとうございました。

は素晴らしかった!

この思いを与えてくれた君たちに最上の感謝を
本当にありがとう


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リコリス・リコイル
千束からは逃れられない


将来有望なお姉ちゃん系主人公が千束ちゃんのお世話をしまくった結果、喫茶リコリコに連れて行かれて逃げられなくなるお話。

でも相思相愛っぽいからセーフ。




 

 新しくDAこと正式名称「Direct Attack」に来た新人は異常な強さを持っていた。銃弾を見てから避けるなんて漫画やアニメのような事を現実で行える彼女、錦木千束はその非現実的な技能に恐怖を覚えられてか、他のリコリスから遠巻きに見られ、離れたところで一人立ち尽くしていた。

 

 そんな千束に近づいて行く少女が一人。少女の名前は佐倉綾、リコリスの候補生の中では年長で面倒見が良かった事から同じリコリス候補生達から姉のように慕われていた。そんな彼女は遠巻きに見ている周囲を気にせずに千束に話しかけようとしたところーー

 

「私に話しかけないで……みんなに避けられるよ」

 

 目を伏せながら千束がそう言って離れていこうとしたが、綾に優しく頭を撫でられた事に驚き顔を上げる。何故、と思いながらも温かな感触にされるがままになっていた。

 

「君、すごいね! あんな動き初めて見たよ! 皆もびっくりしちゃっただけだから大丈夫。ほら、皆のところに行こう!」

「えっ、わっ!」

 

 千束は綾音に手を引かれてリコリス訓練生達の元に行くと、綾が居る安心感もあってか皆に優しく迎えられた。質問攻めに困惑しつつ、この状況を作ってくれた彼女に心から感謝していたが、その彼女の名前を知らなかった事に気づいて訪ねることにした。

 

「あ、あの、お名前を教えてください!」

「ふふっ、私の名前は佐倉綾だよ! 皆からは綾ねえって呼ばれてるから君にもそう呼んで欲しいな。よろしくね千束ちゃん」

 

 千束は撫でられつつそう告げた綾の花のような笑顔に顔を赤くしながらも返事をする。

 

「うん! よろしくね、綾ねえ!」

 

 それから千束は訓練等で綾から離れないといけない場合を除いてずっと一緒に居た。そんな千束を綾は優しく迎え入れて大変な訓練も二人で居る時間が幸せだったから苦にならなかった。

 

 でも幸せな時間は長くは続かなかった。千束は心臓に先天性の疾患を抱えていた事から訓練毎に倒れてしまうようになり、遂には車椅子に乗らなければ生活が出来なくなってしまった。

 

 綾は千束を朝から晩まで献身的にサポートしても根本的な解決には繋がらないが、司令と交渉を行い、千束の世話をする役目を与えられた事で、どんな時もサポートを続けていた。

 

 そして数ヶ月間経った頃転機が訪れた。千束の心臓病を直す手立てが見つかった。千束を支え続けてきた綾は治療できることを泣いて喜び、千束も泣いてる綾に釣られて二人で抱き合いながら泣き続けた。

 

 心臓病の治療が無事に終わり、自由に動けるようになってからは更に実力を付け、ファーストランクのリコリスとして様々な任務を遂行していった。

 

 そんな千束は救われた命は他者を救うために使いたいと、新たな夢を持ち、DAの外に旅立とうとしていた。綾はDAから旅立つと言うことは綾からも離れていく事だと感じ、寂しさを覚えつつも千束の夢を応援しようと考えた。

 

 綾は千束の世話をしていた合間に高度な医療技術を身に付けていた。心臓病を根本的に治すにはどうすればいいのかを具体的に考えた結果、医療分野の研究者と同等の知識を獲得し、研究を行っていた。綾が短期間で高度な知識を習得していった事で、綾が知識を習得する事において天才的な資質を持っているとDAは気づき、将来の司令官候補として、様々な知識を覚えさせていった。

 

 そんな存在をDAが逃すはずも無いことを悟り、綾は千束の夢をDAから応援するだけになるーーなるはずだった。

 

「綾ねえはずっと私と一緒に居なきゃダメなんだよ……根回しは全部終わっているから一緒に行こうね。綾ねえのこと何があっても絶対離さないから」

 

 どうしてこうなった?と綾は呆然としつつ、千束に手を引かれて連れられていく。

 

 司令官候補を連れ出すなんて不可能に思える交渉をこなした千束はニコニコと本当に幸せそうな笑みを浮かべている。車の後部座席に乗り込んだところで意識を取り戻した綾は千束に苦笑しつつも、いつものように頭を撫でた。撫でられた事に喜び千束は綾の腕に抱きつき猫のように頬をすり寄せる。

 

「ふふっ、甘えん坊な千束ちゃんは私が見ていないとダメかな。なら、これからも傍で見ているからよろしくね!」




千束ちゃん!
お誕生日おめでとう!
9月23日は千束ちゃんの誕生日なので、お祝いのリコリコSSを投稿しました!

来年も元気でお誕生日を迎えてね!
ちさたき最高なのでいつまでも二人でお幸せにね!

てことで千束ちゃんの誕生日に投稿してたのをこちらに再投稿しました。
リコリコも無事に完結してよかったですね!

読んでいただきありがとうございました!


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VTuber オリジナル
王子様(ロリ)は子猫ちゃんに愛されたい。


王子様(ロリ)は乙女達に愛されたい。


 

「こんばんは、かわいい子猫ちゃん達の王子様、一ノ瀬レインだよ」

 

 放送の画面では、ファンタジー世界の貴族の様な格好をした、ネコ目のせいなのかどこか猫っぽい青髪のイケメンが私の動きに合わせて動いている。

 

『レインさまきたーーー』

『よろしくおねがいします!』

『かっこいい!ってあれ……?』

『声はめっちゃかわいいんですけど!?』

『見た目王子様なのに声はお姫様やん』

 

 やっとここまで来た……!

 ここから私、いや僕の百合ライフが始まるんだ!

 

「僕は子猫ちゃんに会うために生まれてきたんだ。どうか僕の子猫ちゃんになってくれないかな?」

 

『なりましゅうううう』

『あぁ^〜かわええんじゃ〜』

『僕っ娘たまらねぇぜ!』

『レインちゃんかわいいよ~! 大好き!』三月ルナ

『レインちゃんよろしくですわ』双葉ミオ

 

「か、かわっ!? かっこいいと言って欲しいな。よろしくねルナちゃんミオちゃん! じゃなくて! んんっ! よろしくなルナ、ミオ」

 

『もう化けの皮剥がれてて草』

『project princessの三期生揃ってますやん!』

『PPにプリンスはいなかったんや』

『後輩に王子様が入るって聞いていたけどお姫様だった件について……声めちゃかわやん』瑞木マコト

 

 あ、あれ……?

 始まるよね……?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 昔から女の子が好きだった。

 

 周りが格好いいと騒ぐ男の子を見ても何とも思わないけど、かっこいいかっこいいって騒いでいる女の子達に同じような目線を向けていたと思う。

 

 私は女の子を性的に好きになる女の子で、種の存続という面では間違っているのだと思う。

 

 そんな私が女の子達に格好いい、好き*1って思われる対象になりたくて体育祭とかでがんばったこともあったけど、小さいのにはやーいとか、ウサギみたいでかわいいーとか、小動物を見るような目でしか見られなかった。

 

 その後に皆が集まってきて、すごいねーと撫で回されたのは嬉しかったけれども!

 

 格好いい方が女の子達にモテモテだと思って、男の子の真似をしても今日はツンツンしててかわいいねって言われて全然効果が無かった。

 

 18才になっても日本人成人女性どころか、中学生女子の平均身長すら大きく下回っている私が、かっこいいと言われるはずも無く、大学に行っては小学生に間違われて飛び級なのって言われたり、夜中にコンビニに出掛けたら補導されてパトカーで家に帰らされている私だけど、女の子とお付き合いがしたいんです。

 

 容姿自慢じゃないけれど、この容姿じゃどこに行っても可愛がられてしまって、小動物かよくて妹みたいにしか見られないので、恋にまで発展されるはずも無かった。

 

 そんな時にふと、ヨーチューブを見ていたらVTuberなるものを見つけた。

 

 これだと思った。

 

 これなら私はこの容姿を捨てて、かっこいい王子様になれて、女の子達に愛していますと言われるようになれるかもと思った。

 

 その後見つけた、【project princess 3期生募集中】のリンクをクリックして、そこから私の新しい人生が始まったんだ!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

24:VTuber観測手

そろそろプロプリ3期生の自己紹介始まるぞ!

 

35:VTuber観測手

最初は一ノ瀬レインだよな

プロプリ唯一の男性アバターだしどんなやつだろう?

 

85:VTuber観測手

声も非公開だからどんなやつか分からねぇけど

プロプリと言えば百合だろ!公式何やってんの??

 

125:VTuber観測手

>>85

女の子がいちゃいちゃするのを見に来てるんだし男は要らんよな

それよりはじまったぞ!

 

195:VTuber観測手

かわえぇ(語彙消失)

 

245:VTuber観測手

男の子っぽく振る舞ってるロリボイスなレインたんたまらねぇぜ!

 

327:VTuber観測手

運営これわざと隠してたな

ルナちゃんミオちゃんが来てキャラを忘れて大喜びしてたレインさまマジ尊い

 

380:VTuber観測手

>>327

その後に王子様キャラを戻そうとして台詞は王子様なロリボイスがかわゆいレインちゃま

 

451:VTuber観測手

レインちゃまボイス一生聴ける

雑談始まってから目を閉じて聞いていたら青髪のロリっ子が演劇で王子様役をがんばって演じている姿で脳内再生されている……

 

543:VTuber観測手

>>451

脳内画像はよ

*1
LOVE的な意味で




仮想世界と虚構アバター


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自己紹介 双葉ミオ

仮面は取り外す物。


 

 自己紹介を無事?に終わらせた私は、配信を止めて次は視聴者に回ることにした。

 

 次は【双葉ミオ】ミオちゃんの自己紹介放送が始まるからね。

 初めて会ったときに交換してくれたRineに『がんばってミオちゃん!』と送信した。

 すぐに『レインちゃんありがとう』と返信をもらえた。私の方は王子様じゃなくてお姫様じゃん……とかレインちゃまってあだ名がつけられたりって散々だったけど、しっかり者のミオちゃんなら大丈夫かな?

 

 私の放送はほんとに散々だったけどね!

 声も低くして王子様っぽくしたつもりだったんだけど、ダメだったのかな……?

 ミオちゃんも『これはこれでアリだと思いますよ……?』って言ってくれてていけると思ったんだけどねぇ……結果は新たなプリンセスの誕生だーって祝わちゃった。

「私は王子様だよ! ってあっ! ミオちゃんの放送始まった!」

 

「レインちゃんに続いて私が参りました。双葉ミオと申します。貴方さま、ミオをよろしくお願い致します」

 

『古風な感じいい!』

『ミオさまよろしく!』

『さっきレインちゃまにはすっごい砕けてたような……?』

『和服姿で黒髪ロング(性癖に)刺さるわ』

『プロプリ初の和装なお姫さま 清楚でええやん』瑞木マコト

 

「レインちゃんとルナちゃんもあわせてプリプロ三期生を宜しくお願い致します。自己紹介になりますけど私小さい女の子が大好きですの! とくにレインちゃんとかルナちゃんは最高ですわ!」

 

『清楚だと思ったらやっぱりプリプロだった……』

『草』

『王子様(小さい女の子)……どういうことなの??』

『私、レインちゃんよりは大きいよ!』三月ルナ

『ミオちゃん!? えっ!? って私は王子様だし大きいよ!』一ノ瀬レイン

「ルナちゃんはレインちゃんより大きくてもJKですわ。お慕いしてます! レインちゃんは……もう最高ですわ! お慕いしてますの!」

 

『突然の告白は草』

『大胆な告白は乙女の特権!』

『レインちゃまは理由なく最高で草 やっぱロリなんやな!』

『自己紹介で二股宣言w』

『えぇーーーーーー!』一ノ瀬レイン

『レインちゃま驚いててかわいい』

 

ミオちゃんってこんな感じなの!?はじめて会った時はすっごい大人しくて全然話せなかったけど、アイスクリームを一緒に食べたり、私の話を聞いてヘドバンみたいに凄い速さで頷いてて面白いなーって思っていたけど、こんな感じだったなんて……すごい好き!

私の事も女の子として好きになってくれるのかな……!

 

「そうなんですの! レインちゃんもルナちゃんもはめちゃかわ、めちゃシコなんですの!」

 

『それいいすぎ』

『めちゃシコとかその容姿で言わんでくれ草』

『同類ですわね』姫軋レイズ

『三期の清楚枠は清楚だと信じたかったけど清楚(プリプロ)だったよ……』瑞木マコト

『かわいい! ありがとうございます! リオちゃんもかわいいですよ!』

 

「一期生のレズさま、マコトさまもよろしくですわ! お二方を見て私は生まれましたの! これから三期生がくんずほずレズがんばっていくことので応援よろしくですわ!」

『くんずほずれずのレズだけ強調してて笑』

『マコトきゅんレズに巻き込まれてて草』

『やっぱプリプロは最高だぜ!』

 

あはは……すっごい同僚ができちゃったね。でもこれから楽しくなってくるとは思う。

ふふふ、私の事をもっと好きになってもらうからね!




此処では自分を偽らずにいよう。


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自己紹介 三月ルナ

私は月
 太陽がいないと輝けないの


*すみません!
 10話くらいまで書いてから投稿しようとしてたのに投稿予約の時間になってて投稿されちゃってました!
 なので不定期更新になると思いますけどよろしくお願いします!
 誤字もすごかったので修正しました!


 

 ミオちゃんの配信も何事も無く?終えられたからよかったよ!

 なかなか凄い配信だった気がする……あそこまで自分を出せるのは羨ましいなぁ。

 

 私も女の子を好きだって堂々と言えるようになりたい!

 うぅ、でもむりだぁ……!

 

 変なこと言って嫌われたらって思うと言えなくて……あっ、でもレインの姿なら言っても大丈夫なんだ!

 女の子達に愛してるって言っていいなんてVTuberって最高かも!

 

 あっ!もうルナちゃんの配信も始まる時間だよ!

 ルナちゃんにはRineでなんて送ろうかなー?

 急いで『がんばれー』と打って送らなきゃ!

 

『がんばえー』

あっ……がんばえーって誤字って送っちゃった……お、放送始まった!

 

「ウィヒヒ! がんばりゅよ〜レインった〜ん!!」 

 

 ……………………うぇっ?

 

『もう始まってる〜』

『きたでおい』

『サンガツちゃん楽しみにしてたで』

 

--------------------------------

 

『草』

『開幕ぶっぱやめーやw』

『安 定 の プ リ プ ロ』

『笑い方草』

『あっ……』瑞木マコト

 

「ふふっ、なんでがんばえーなのよ! ほんっとに可愛すぎるわよ! って開始の時間じゃない! はじ……めよ……ん?? ……はじまってる…………あるぅぇ……??」

 

 あっ……

 

『草』

『草草草草草草』

『最初からクライマックス』

『サンキューガッツ草草』

 

「えっ、あっ、ん、んん! こんばんはー三月ルナ(ミツキ ルナ)です! みんなは私の太陽なの! みんなで私を輝かせてー……ほしいなっ!」

 

 ゴメンナサイ……わたしの誤字のせいだよねーー!

 

「ん……んん! 太陽さん達はどうかしたのかな?」

 

 画面の中では、銀色の腰まで伸びた髪に赤い目の儚げな女の子が顔を世話しなく動かしてアワアワとしてるのを見ると、本当にごめんなさいって言う後悔の気持ちしか出てこない。

 

『お前じゃい!』

『もう……遅いんや……』

『三月ルナ 自己紹介:月に独りで生まれた寂しがり屋な女の子。お友達になってくれる人を見つけるために地球に降りてから紆余曲折あり配信を始める。物静かで大人しく、独りが長かったので喋り下手でも、月のように皆を見守る優しい子』

『自己紹介原文ありがたい』

『設 定 崩 壊 R T A 全 一 記 録 保 持 者』

 

「ふ、ふふふ……設定なんてもういいわ! 私は三月ルナ! ロリが好きだと叫びたいだけの女よ!」

 

『ええええええええええええ』一ノ瀬レイン

『草草草』

『レインたんご本人現るw』

 

 覚悟の準備が出来ちゃったような強い意志を感じる声でルナちゃんが自己紹介をもう一回行っている……

 

「ロリが好き! 幼い少女はこの世の何よりも美しいから! 太陽さん達も分かるでしょう!! ロリが好きだと叫びたい、声が枯れる程に! はい、復唱!!」

 

『ロリが好きだと叫びたい 声が枯れる程に!』

『ロリが好きだと叫びたい!』

『ロリがすきなのおおおおお!!』取間マリン

『同類のマリンさまも叫んどるw』

 

 ルナちゃんの本性?に皆が慣れてきたのかチャットも楽しんでいるのが分かる。同接も2万を超えて今日一の盛り上がりを見せている。何とかなったの……かな?

 

 どうなることかと思ったけど安心したよぉ……

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『レインちゃんの話? レインちゃんは私の王子様よ? かわいいかわいい私の王子様ね!』

 

『かわいくないよ!』一ノ瀬レイン

『ロリ好きに好かれるロリ声の王子様ね……理解した』

『ロリ王子様レインちゃま〜』

『チャットでもかわいいw』

『サンガツすこすこのすこ』

 

  あああああああああああああ!

 これ、王子様ムーブ続けられるのーーー!?




私はルナ
太陽(ロリ)がいないと生きていけないの


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王子様(ロリ)は乙女達に恋してる 設定

王子様(ロリ)は乙女達に恋してる縛り
・主人公の一人称視点のみ(掲示板は除く)
・女性しか出さない(ゆるゆり的な感じ)
・感想や設定集も含めて一ノ瀬レインが行う


私の所属企業

Princess Project

通称プリプリ

三大VTuber企業の一つで他の企業は『フォローライブ』と『にじゅうさんじ』

現在9名のVTuberが所属していて私は三期生所属。

プリプリは個性が尖っていないと入れないと言われているくらい個性の強いメンバーの集まりらしい。

 

 

三期生(私の同期)

一ノ瀬レイン

私のVTuberのアバターで、ファンタジー世界の貴族の様な格好をした、ネコ目でネコ耳付の猫っぽい青髪のイケメン王子様。

身長は162センチ、体重は不明、鍵尻尾のピンクのリボンがチャームポイント。

『一ノ瀬レイン 自己紹介:猫の国の王子様で今は人型だが、ただの猫の姿だった頃に怪我をした時に包帯代わりに着けて貰ったリボンの持ち主に会うために、人間界を訪れた。他の猫を魅了する容姿をしていたことから猫たちにはモテにモテていた。実は声にコンプレックスがあるようで……』

プリプリ初の男性アバター。

 

 

双葉ミオ

黒髪の艶やかな長い髪後ろ髪を金色のバレッタで留めてポニーテールにしていて、黒い目をしている。

服装は赤色ベースの十二単に身を包んでいて平安時代の貴族様みたいな容姿をしていて、モチーフはかぐや姫だと思う。

『双葉ミオ 自己紹介:華族に連なる一族の出て、和装に身を包む事は家のしきたりらしい。箱入り娘で学校以外への外出はほぼしたことが無い。親に内緒で始めた実況生活。知らないことを知っていくために今日も実況の中で新しいことを知っていく』

三期生は一ノ瀬、双葉、三月と数字の繋がりがあるみたい。

 

三月ルナ

銀色の腰まで伸びたサラサラな髪に赤い目で、朧に霞みそうな儚げな女の子。

『三月ルナ 自己紹介:月に独りで生まれた寂しがり屋な女の子。お友達になってくれる人を見つけるために地球に降りてから紆余曲折あり配信を始める。物静かで大人しく、独りが長かったので喋り下手でも、月のように皆を見守る優しい子』

 

 

一期生(大先輩)

瑞木マコト

灰色掛かった黒髪ショートでボーイッシュな見た目と声をしていて、女性人気がすごい。でもホラーゲームが怖かったり、かわいい熊のぬいぐるみを集めるのが趣味と、女の子らしい一面もあって男性からの人気もけっこうすごい。

プリプリの良心的存在で暴走する他のメンバーの抑え役として頑張っている大先輩さん。

リスナーさんからはマコトきゅんって呼ばれている。

 

姫軋レイズ

通称レズ姫って呼ばれている。

金髪青目で姫騎士みたいな容姿をしている。

女の子が大好きらしく、放送では常に女の子の話をしている。

会話がディープすぎる深淵にまで達すると、マコト先輩が止めに入るため、一度のBANだけで済んでいる。

 

 

二期生(先輩方)

取間マリン

赤髪赤目で大人のお姉さんってイメージで、宇宙戦艦の艦長をしているので軍服を着ている。

 

 

VTuber

バーチャルヨーチューバーの略。

仮想のアバターを使ってヨーチューブ上で活動している人達の事。



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双葉ミオ(裏) 没案

明るい話で良かったのに重ためになってしまったのでカット。
没案はこちらに不法投棄を


私は生まれてよかったの?


この世界、特に日本は大多数に属さないマイノリティーに対して排他的になる。

古い風習の残る家に生まれて、私は幼少の頃から、勉学から作法まで徹底的に仕込まれる毎日だった。

貴族なんてものでも無いけど、いい嫁ぎ先を見つけて、私を嫁がせることで家を発展させようとする道具にしか見られていなかった。

容姿と才能は人並み以上にあったと思うけど、それ以上に自由は無くて、私の見た目に近寄りがたさを感じていたのか、友達を作ろうにも誰も私に声を掛けようとはしなかった。

学校では誰とも話さず、他の時間は全て習い事にあてられていた。

 

唯一時間のできた就寝前の数十分で私はネットサーフィンに嵌まって、こんな世界があるのかと、調べればなんでも出てくる世界の深みに嵌まっていった。

 

嫌悪感を感じている事があった。忌諱感を父親に、男の人達に感じていた。

ノブリスオブリージュって訳でも無いけど、富める者には富める者なりの責任が伴うのだと思う。

 

大きくなるにつれて、主に胸ですが性的な視線を感じる事が増えました。学校で男の子や教師から、外に出れば見知らぬ男性達に、一番嫌だったのは父親からもその視線を感じていた事でした。

 

そして私はその視線が嫌で、もう誰にも会いたくなくて、誰にも会わないような広い公園の隅で蹲っていました。

 

そこで私は貴女に会いました。

この世界を嫌いになった私を、天使が他の世界に連れて行ってくれるのかなって思うくらい可愛らしい女の子が私に『だいじょうぶ?』と手を差し伸べていました。

 

夢見心地なまま私は天使の手を取った。その時から私の世界は色がついたのでした。

 

そして私はまた貴女に会いました。

私もプリプロの三期生の初対面と言うことでガチガチ緊張して俯いていましたが、そんな私に小さな手を差し伸べて、私を引っ張ってくれたことを私は忘れません。

手を差し伸べてくれた貴女が私の憧れ続けた運命の人だった奇跡は私に勇気をくれました。

 

大したことでもないのに、にこやかに笑ってくれたり、何かあれば心配して相談に乗ってくれるルナちゃんも、優しさとかわいいの塊みたいなレインちゃんも二人とも好きで好きで堪らなくて、つまりなにを言いたいかと言えば、百合って最高ですわね!

 

 二人のと仲良くなれればいいのだけれど、それもすごい深い関係になれなら最高なのだけれど……私、止まりませんわ。

 二人に好かれるためなら私何でもします。

 

 百合道に堕とすために押して押して押しますわ!




この再会は運命。
この子に逢うために私は生まれた。


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メスガキ系VTuber雌我紀伊よ!はいアタシの勝ち〜!なんで負けたか一生考えてなさい!

最近読専になっていた天道詩音です
あけましておめでとうございます!
裏ではISの小説を3話カケタヨ、いつになるかわからないけど完結まで書けたらアップしますね。
今年もよろしくお願いします!!!!


VTuber 自己紹介☆

雌我紀依-メスガ キイ-

「ジャンケンするわよ!最初はバー! はいっアンタはグーを出したからアタシの勝ち〜! ざ〜こ、ざ〜こ! よわよわ大人はアタシにぜ〜ったい勝てないけど、強くなりたいなら一生アタシを見てなさい!」

 

 

 

 アタシの名前は天才めちゃカワ美少女の天将院ヒナ!

 パパはみんな知ってる会社の社長で超お金持ちなのよ!生まれてから14年間誰にも負けた事のない誰にもすっごい天才なんだから!見た目もすっごいかわいくてね、はちみつみたいな金髪の髪でぱっちり大きな琥珀色の目なの!他も完璧たましクラスの皆にモテモテなのよ!

 

 つよつよなアタシはリアル誰にも負けないから新しいところに挑戦をしようと思ったのよね。それで見つけたの!面白そうなこと!

 

 かわいい容姿も隠して、私を知らないところで戦えるVTuberってやつ!VTuberはヨウチューブって言う動画投稿サイトで、素顔の代わりにキャラクターを動かして、アタシの動きを表現させるの。

 そしたらさ! 他の誰よりもかわいいアタシとその他大勢と平等だよね。それでもアタシが勝っちゃうんだけどね~! みんなよわよわだよね。

 

 そんなこんなでパパの会社でVTuberのアバターとYouTubeのアカウントを作ってもらって、Twitterで告知をして、今から配信開始ってところ! 世の中チョロすぎ~! ほんと世界ってアタシを中心にまわっているよね!

 

「こんばんは~! 天才美少女VTuverの雌我紀依よ! よっわい大人たちと遊んであげるんだから感謝しなさいよね!」

 

/メスガキきたああああああ

/ッツツツツツツツツツツツツツツツツツツツツツツ

/わからせが必要だな

/金髪幼女かわヨ

/告知の時点でメスガキだと思ってた

/いいゾ~これ

/ありがとうございます!!!!!

/メスガキボイスエッツツツツツ

 

 ちょっとパパが力を入れすぎて、リアルのアタシに近いくらいにはかわいくなっちゃったアバターに釣られて集まったおバカさんたち4,500人が一斉にコメントしてきてる!

 こんな光景を見たかったのよね~! えへへっ!

 

「もうアタシのかわいさ分からせちゃったかな~! ざ~こ、ざ~こ!」 

 

 コメントが更に勢いを増して流れていった。

 

「あ~ちょっと! コメントが流れていくのが早すぎるわ! 読めなかったじゃない! 

 聞きなさい! これからこの遊び場で毎日遊んでいくけど……あんたたちがアタシを楽しませなかったら、すぐに辞めちゃうんだから!」

 

「それじゃあっまたね~」




続かないヨ

用語紹介
天将院ヒナ
天翔院ひ〇なさんは関係ありません
名前の響きが好きなので選びましたが正直、某学級委員長の切り抜きの切り抜きから飛ばされてちょびっと見たことがあるだけなんですけど……やりますねぇ!

雌我紀依-メスガ キイ-
メ ス ガ キ


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新人ロリメイドVTuberはバーチャル世界で百合百合しちゃう夢を見るか?

VTuberもの


 

プロフィール

名前:湊 水月 ミナト ミツキ

趣味:育成ゲーム、リズムゲーム、歌うこと

好きなこと:弄ること

嫌いなこと:弄られること

誕生日:7月4日

身長:146センチ

自己紹介:「こんみつ〜、みつきだよ!」皆を弄って遊ぶ悪いメイドの女の子。今日もみんなをいじめちゃうからね!

 

 目の前のPC画面には私のプロフィールが映っている。

 正確には、私のアバターのプロフィールが表示されている。

 

 そう、今から私は湊水月としてデビューするのだ!

 

 自己紹介の下には私のすっごくかわゆいアバターの画像データが貼られていて、全部がかわいいって思える。この子が私なのは光栄なんだけどちょっとかわいすぎて気後れしちゃう……

 

 クラシカルなメイド服に身を包んだ、緩やかにウェーブ掛かったピンク髪を黄色のリボンでサイドポニーでまとめている優しそうな女の子。瞳はピンクでぱっちりとしていて可愛らしく笑っている。頭には白のカチューシャを被っていて、メイドの標準装備は全部装備している。

 身長は小さくて身体の凹凸も小さいのは私のリアルと同じでちょっと残念だけど……バーチャル世界では夢を見させて欲しかったけどかわいいから許せた!

 

 こんなかわいい容姿を貰えたことは本当に嬉しいよね!この子が他のかわゆいメンバー達と仲良くするのを観れるのは幸せかも!

 

 コミュ障だから仲良くなるどころか話し掛けられるかは微妙なんだけどね……でも仲良くなれたらいいなぁ。

 話し掛けてくれたらいいんだけど、私からいくのは……無理無理無理!

 

 うぅ、それよりこれから初配信が始まっちゃうけど出来るかな? 

 ど、どうしよう失敗したら即クビになったりしないよね……不安だよ〜……

 

 そろそろ時間だし……やるしかない!

 

 PCの設定諸々のチェックは完了!

 あとは配信開始を押すだけだけど踏み出せないよおおお!

 

 画面には21:58と表示されていて、開始まであと2分な現実に心が折れそうになる。本当に大丈夫かな?リスナーの皆に変って思われないかな?会話するだけでも苦手なのに配信なんてできる気がしないよおおお!

 

 頭を抱えてうぅーと唸っていたら、携帯が振動してrineの通知があったことを知らせてくれた。

 このタイミングで誰だろうと手に取ってみると真弓先輩からのLINEだった。

『水月なら大丈夫だよ。私の世界で、一番面白くて可愛いのは水月なんだから! 絶対大丈夫だよb』

 

 ふふっ、世界で私が一番可愛くて面白いなんて大げさだよね。

 でもやる気は出てきたかな!

 

[はっじまるよーーー]

[くるうううう]

[来たでおい]

[水月たそ~]

[起きてええええ]

 

 コメント欄は洪水のようにコメントを流している。

 たくさんの人が待ってくれている……

 

 PCのカメラをオンにすると、画面内で目を瞑って止まっていたアバターの目が開く。

 

 魂を吹き込まれた人形のように、バーチャル世界に私は今生まれ落ちた。

 

 

「こんみつ〜! ご主人さま方、初めまして! バーチャルメイドの湊水月です! これからよろしくね!」




百合な感じのVTuberものが見たかったんです。。
リアルで見れないものを見るために小説で書くんですね。

読んでいただきありがとうございました。

そろそろ更新が止まっていた小説の更新もしたいところです。
リアルが忙しくて、なかなか小説も書けないんですけど完結を目指していきます。
まずはisを完結させなくては!


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TS
TSしたら -TranceSimulation-


TranceSimulationと言う言葉を思いついたので書いていました。
いつか続きを書きたいです。
妄想を形にするだけなので時間だけあれば簡単に掛けますね!

まだ生きてます!
連載中のISのTSものは完結させたら投稿しようとしてますが、3話くらいしかかけていません><


 

 目を覚ますと性別が変わっていた。

 

 なぜ、と言われても検討もつかない。

 昨日もなにかがあった訳でもなくて、会社に行って、コンビニに寄って帰って、夜ご飯を食べて、お風呂に入って寝る。

 毎日のサイクルをこなした一日のはずだった。

 

 思えば、違和感は起きた瞬間からあった。

 

 目を覚ました時に寝ぼけながら目をこすり、伸びをした時に「んーー」っと出した声が、自分の声とは思えない高い声だった。

 なんなら突然かわいい声が耳に入ったので誰か居るのかとばっと起きて、辺りを見回しても誰もいない。

 

 いつも通りの自室だった。

 

「誰もいないじゃ……うふぇ!?」

 

 女の子の驚きの声があたりに響き渡った。

 

 私を中心に……

 

「えっ!?」

 

 私の声かわいい!?

 

 ではなく、なにが起きているのかと自分の身体を見ようと下を向くと、視界を遮る二つの山があった。

 

 黒いTシャツを盛り上げている、15センチほどの山があった。

 この手を伸ばしたいと思える山はなんだろうかと手を伸ばす。

 

 両手で山を包みこみ、力を籠めると指が沈み込んでいき、胸を揉まれている感触があった。

 幸せな柔らかさを揉むために、時間を忘れて揉み続けていたが、つい力が籠ってしまうと『痛い』と感じた。

 

 痛い……?

 胸の辺りから握りしめられたような痛みがあった。

 

 痛みで正気に戻ったところで、いくつもの疑問が湧いてくる。

 

 このかわいい声はなんなのか?

 下を向くと、視界に映る二つの山は?

 この柔らかさ、そして痛みは……?

 

 夢なのに痛かったのはなんでだろう。

 

 

 夢かどうか抓ってみて試してみよう。

 胸の膨らみを抓ってみると、思った以上に痛かった。

 

 やっぱり痛い……

 

 つまりこれは夢ではなくて、胸も私のものだった。

 

 

 自分の身体をもう一度見ようと、手を眺めると健康的な白い肌に、白魚のようなと言った言葉が似あうような細く小さな指。

 脚はすらりと伸びていて、足の指を動かそうとすると、可愛らしい指先が思った通りに動く。

 その脚がトランクスを履いていると言うミスマッチ。

 

 

 だがそれがいい。

 

 

 美少女が男物の大き目なTシャツを着て、下はトランクスのみな姿を妄想したら、最高だった。

 

 中身の確認もする必要があるのでは。

 これは知的好奇心を満たすため。

 

 あるべきものがそこにあるのか。

 

 中身は〇〇〇なのか〇〇〇なのか。

 

 シュレーディンガーの〇○○を見ようとトランクスのウエスト部分を掴んで、広げた。

 

 

 

 

 …………あって欲しかった物は無かった。

 

 自分の半身。息子のような存在が消えてしまった。

 

 あまりのショックだったのか、私はそこで意識を失った。



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オリジナル
勇者パーティーの剣士は


 

「長い旅路になるだろう。君たちには辛い旅になるだろう。だが、どうか魔王を倒して世界を救って欲しい。勇者達よ、どうかよろしく頼む」

 

 この国の、その国王が私たちに頭を下げて魔王討伐を依頼した。パーティーの皆は感動して、必ず魔王を倒そうと言っているが、私は強くなれればそれでいい。

 

 誰よりも強くなる。

 

 そのついでに魔王を倒すーーそれだけだ。

 

「僕たちが必ず魔王を倒します。では皆、行こうか!」

「わたしも回復魔法で皆様を癒やします。魔王を倒して、全員で帰って来ましょうね!」

「なら私は立ち塞がる全ての障害を魔法で薙ぎ払うわ。ねえリオン。あなたは私の護衛をしてくれればいいわよ?」

「護衛をする必要は無い。魔法より先に私が全てを切る……」

 

「ふふっ、リオンは相変わらずね。まあ私が背中くらいは守ってあげるわ」

「よろしく頼む」

 

 何が嬉しいのか、レナはニコニコと笑っている。まだ剣を握っていない、小さな頃からの知り合いだが、よく分からないやつだ。

 

「では勇者アレス、僧侶ターニャ、魔法使いレナ、剣士リオンよ、このアストレア国でそのクラスにおいて最も強い者たちである、君たちなら必ずや魔王を倒せると信じている」

 

 国王は私たち一人一人の顔をゆっくりと、真剣な表情で見渡しながら、威厳のある声で話していく。私はフルプレートの鎧を着込んでいることから、顔は見られていないが、しっかりと目を合わせようと見てきた事は分かる。

 

「この国が人類の最前線であると考えると兵を出すことは叶わないが、国宝の【生きているモノ以外を際限なく収納できる魔具】に人間界から集められた、食糧、武具を詰め込んでおいた。目録も詰めておいたが、三年は補給無しでも戦える量の物資は入っている」

 

「それは……そんな量の物資を集めるのは国民の方たちに負担が掛かるのではないでしょうか?」

 

 アレスが感動で声を振るわせながら、王に向かって問いかける。……確かに四人分とはいえ、二年分の食糧と武具となるとかなりの量にはなるだろう。魔王領になった大陸に唯一面している、この国ではそれだけの食糧を集めることは用意では無いはずだ。

 

「我が国の勇者達を魔王討伐に向かうと伝えると、全ての国に伝えるとこれだけの量の食糧が集まったのだ。君たちは全人類の希望だと認識して欲しい。全ての者たちが魔王を倒し、世界に希望を与え欲しいと願っている。必ずや魔王を倒してくれ」

 

「はい。僕たちが必ず魔王を倒します」

 

 アレスの言葉に私たちは全員で頷いて、魔王を倒す事を誓った。

 私も強くなるためには、強者と戦う必要があると考えている。魔王を倒せば更に強くなれるだろう。

 

「ではそろそろ行きましょうか?」

「行きましょう! 勇者さま!」

「なかなか良い旅立ちじゃない。リオンも行くわよ」

「……ああ」

 

 戦う以外には興味ないが、祝福されながら向かうことは悪くないか。

 

 魔王領を塞ぐようにそびえ立つ巨大な壁、その中央の門に向かって続く大通りを歩いていく。道の左右には溢れんばかりに並んでいるこの国の皆が祝福の声を上げている。

 

 アレスとターニャは手を大きく振って、声援に応えている。

 

「まったく、リオンはもう少し愛想良く出来ないのかしら? 少しくらいは手を振ってあげたら?」

「……しない」

 

 アレスなら声援が力になると思うが、私では声援を力に変えることは出来ないだろう。強くなるため、自分の為に戦っていくのだから。

 

 銀の手甲に覆われた、手のひらを見て握りしめる。レナに言われたからではないが、気まぐれを起こしてみるのも悪くはないか。

 腰に差した直剣の柄を握りしめ、一気に引き抜いて頭上にかざす。周りの声援が更に大きくなり、大合唱のようになっている。

 

「ふふっ、リオンはほんと素直じゃ無いわねぇ。アレスそろそろ門を開きましょう」

「そうですね。それでは皆さん、僕たちが必ず魔王を倒します。それまでどうかこの国をよろしくお願いします」

 

 鳴り止まない声援を背に、アレスが開門の合図を門兵に送ると、軍隊を送り込む為に作られた大門が大きな音と共に開かれた。




なろうっぽいのを書こうとして止めたのでここに供養します。

主人公
リオン

勇者
アレン

僧侶
ターナ

魔法使い
レナ


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