魔法少女まどか☆マギカ Over the evolution (ACレイズバックル)
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prologue

初投稿ですよろしくお願いします


 

 

「…ん」

 

朝、目が覚めた

 

ベッドからなんとか努力して出た、季節は秋朝が寒くなってくる頃だ、洗面所に向かい顔を洗う、鏡に映る顔はイケメンでもなくかといって醜いわけでもない普通の顔だ、普通というのは分かりづらいかもしれないがアニメで言うモブ顔に近いかもしれない、濡れた顔をタオルで拭いてリビングに向かう、おはようを言う相手はいない両親は表上は海外で働いているという事になっているが実際はいない、何故なら俺は転生者だからである、転生者だからといって両親がいないというのは当たり前なのか当たり前ではないのかはわからないがこの世界だと個人的には面倒臭くなりそうだったから、神様と名乗る存在に頼んでこうしてもらったのである。

 

 

話をしよう

俺、天堂 雄介(元25歳)は上司に強制的に押し付けられた残業を終えて帰宅していた途中だった、その日の夜はかなりの大雨で帰るのが面倒だと思うくらいだった、だが会社に寝泊まるなど論外だったし、周辺にネットカフェなるものもなかった、だから傘を差して駅まで行くことにした、が信号待ちをしている時にスピードを出しすぎたのかトラックがスリップしてこちらに突っ込んできた、当然避けるなんて漫画やアニメじゃあるまいし出来るはずもなくトラックに跳ね飛ばされ俺は死んだ、正直言うとまだ死にたくなかった、ようやく買うことができたDXエボルドライバーでまだ遊んでもいなかったし、日課のネットサーフィンやまどか☆マギカ等の最近興味が出たアニメも完全に見きれていなかった、それ以外にもまだやり残したことや心残りがあったが今更考えたところで時すでに遅し意識が段々と薄れ、視界も暗くなってきて俺の生涯は完全に閉じる------はずだった

 

瞬間俺の意識は真っ白な空間に飛ばされた

 

 

 

「ここは…?」

 

「この空間は転生の間、貴方は別世界へと転生できる権利を得たのです」

 

夢なのだろうか?トラックに跳ねられて死んだら突然転生できるなどと言われた、ひょっとして二次小説でよく見る異世界転生なのだろうか?もっと別の転生方法を思いつかなかったのか作者よ

 

それはさておき

 

「すまない、質問をさせてもらう、貴方は誰だ?それと転生と言われてもどんな世界なのか?教えてもらいたい」

 

「私は転生の間の担当をさせてもらっている者です。貴方が元いた世界では神様と言うのが当てはまりやすいのかもしれません」

 

うわぁ…自分で神様言うのか…まぁわかりやすいしいいか、そして神様は質問の答えの続きを言う

 

「転生先の事ですが…貴方が死ぬ直前、もしくは死ぬ日に考えていた事、想像していた世界です、いわゆるアニメや、ドラマ、異世界などですね。特に考えられていなければ自動的に何処かの異世界へ転生します」

 

成る程…死ぬ直前に考えていた事…エボルドライバー…ネットサーフィン…まどか☆マギカ…ん?まどか☆マギカ?

 

まずい…非常にまずい、あの世界はインキュベーターとかいう変な生命体が宇宙の存続やらなんやら言って女子中学生やら小学生に詐欺まがいな契約を持ちかけてくるわ、なんか中学生の割には愛やら欲望が深かったり、妙に大人びた奴がいるわの兎に角、面倒臭さそうなところじゃないか…いや、むしろどうせ第2の生だしすきにやってみるか…?よし、そうしよう

 

「もう一つ聞きたいのですが…あー、と神様?転生する際に何かギフト…所謂、特典のような物はもらえないのでしょうか?」

 

正直無かったら詰む、もう(一度)、死ぬしかないじゃない!ってなってしまう

 

「安心を、要望があれば叶えますよ」

 

よし!よしきた!これでなんとかなるかも!(多分)

 

「では…要望を言わせてもらいます…一つ、【仮面ライダービルド】に登場する地球外生命体のエボルトの能力

 

二つ、今から言うアイテムもお願いします。 エボルドライバーとエボルトリガー、全種類のエボルボトル、そしてトランススチームガンとネビュラスチームガンとスチームブレードと全種類のロストフルボトル、ギアエンジン、ギアリモコン、無機物系のフルボトル全てとエンプティフルボトルを数十本、そして…ブラックパンドラボックスパネル

 

三つ、変身等に耐えられ、魔法少女や魔女の影響を受けない頑丈な身体

 

四つ、フルボトルの自動浄化装置やスマッシュ、ガーディアンの製造装置等、向こうの世界で暮らせる広い家

 

以上です」

 

まるで子供がクリスマスの夜にサンタさんへの手紙に書くような感じで言ってみたが、叶うのだろうか、というよりこれはやはり夢では?と思い始めてきた

 

「わかりました、そのようにしておきます、それと転生先の世界での金銭面の問題や、住む所は頼まれなくてもちゃんと手を回しておくので問題無いです、以上でよろしいですか?」

 

「あ、大丈夫です、すみません色々と」

 

つい仕事モードに戻ってしまった、やはり現実味がないな

 

「では、第2の生を謳歌してください」

 

 

 

その瞬間、意識は途切れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は赤ん坊になって転生した、転生したんだという認識がはっきりしてきたのは小学生になってからだ、そこからはジョジョの奇妙な冒険の吉良吉影のような学校生活を始めた、小学生の勉強なんてやろうと思えばテストで凡ミスでもしない限り全て100点くらい取れてしまう…なので敢えて間違えて点数を下げたりした、運動もリレー等では二、三位ぐらいの平均的な速さで走ってあまり目立たないようにした…はずである。そしてかれこれして現在小学6年生、原作開始は近づいてきている

 

 




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第1話 初めてのCombat!

第1話です
よろしくお願いします


〜地下室〜

 

 

俺はテーブルに現在持っているフルボトル、そしてアイテムを置いていた、エボルドライバー、エボルトリガー、無機物系のフルボトル、ロストフルボトル、エンプティボトル、スチームガン二つ、スチームブレード、ブラックパンドラボックスパネル…改めてこう揃えてみると圧巻されるなぁ、地下室はかなりの広さでスマッシュ、ガーディアンの製造装置や実験場などが設置されている。

特にガーディアンは便利だ、自宅警備にも使えるし家事もできる、そして地下室ではスマッシュ、ガーディアンの開発や整備などもほぼガーディアンにやらせている。

流石に家事は自分でやるが整備などはほぼガーディアンに任せ、自分はたまにやるぐらいだ、だがおかげで機械に少し強くなれた。

今までは実験場でスマッシュやデータのビルドと戦ってきたが実戦となると中々不安でもある。

ブラッドスターク、ナイトローグ、ヘルブロス、エボルと色々変身して訓練してきた…が正直エボルでスマッシュやデータビルドと戦うと全く相手にならず訓練にならなかったためブラッドスタークやヘルブロスで戦闘訓練をしている。

そしてもう一つの不安要素は───────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エボルトリガーが使用できないことである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別にハザードレベルが足りない訳ではない、だがエボルトリガーが起動しない、ということはエネルギーが足りないという事であると考える。

というかなんであの神様最初から起動できる状態でくれないんだちくしょう、でもエボルドライバーがバラされた状態で出されるよりマシかな…それに地下室に訓練場やその他諸々の機能付けておいてくれるのはありがたいちゃ、ありがたいが…

だがまあこの問題に関しては既に解決作が思いついているのでなんとかなりそうである。ふと時計を見ると日付を跨いでいた、考えすぎたか…明日は休日だが流石に寝る事にした。

 

 

 

 

 

次の日、当然かなり遅く寝た事もあり昼頃に起きた俺は朝食という名の昼食を食べ、特に今日はやる事がないのでバックに色々詰めて、見滝原をランニングがてら探索して見る事にした。

 

 

見滝原中学校、繁華街、歩道橋、駅とぶらりと歩いて探索し尽くした後に公園の近くのベンチで自販機で買ったお茶を飲みながら一休みをしていた、時間はあっという間に過ぎていき気がつけばもう日が沈みかけていた。

 

「そろそろ帰るか…あぁ〜〜…なんだ?」

 

ベンチから立ち上がり、身体を伸ばしてから帰ろうとしたがパトカーのサイレンが近づいて来たため、何事かとサイレンが鳴っている方向を見るとパトカーが公園の中に入って行った。

ちょっと気になったので、公園の中の様子を見に行く事にした。

 

 

 

 

公園の中に入るとパトカーが止まっていて、そこには警察官の人と女性が何か話していた、女性の方は顔が涙でぐちゃぐちゃになっていた。

 

取り敢えず聞いてみるか…

 

「あの〜、警察官さんなにかあったんですか〜?」

 

「あぁ…実はこのお母さんが…って君は誰だい?もう日が沈むからそろそろ帰ったほうが…」

 

「お願い!お願いしますコウちゃんを!コウちゃんを探してください!ぅぅ…」

 

「ちょっと、お母さん…はぁ〜、実はこのお母さんの子供がまるで何処かに吸い込まれるみたいに消えたって言うんだがな…竜巻とかじゃあるまいし…」

 

「本当なんです!!だからっ!お願いですから早く見つけて!」

 

「…う〜ん、わかりました俺、手伝います。探してみますよ」

 

「はぁ〜…もうすぐ日が落ちて暗くなるんだから君も気がすんだら直ぐに家に帰るんだよ」

 

「ありがとう…!ありがとう!警察の方も早く探してください!!」

 

 

 

 

 

興味本位で手伝うと言ったが、一体何処にいるのやら…それにしても吸い込まれるように消えた…ねぇ、それにコウちゃんって名前どっかで聞いた事あるような……

 

と考えながら公園の別の入口の方を探していると。

 

「ハァ…ッ、ハァハァ…ッ…!!」

 

と、金髪でしかもドリルヘアーというどう見ても目立ちそうな髪型をした少女が息を切らしながら走ってきた。

少女は突っ立てる俺には目もくれず走り去っていった。

ふと、その少女が走っできた方を見ると、その空間の部分が俺には歪んで見えた。

さっきの少女…あの髪の色、髪型、そしてコルセットやベレー帽を身につけていたあの姿…

間違えなく巴マミだ。

そして目の前の歪んだ空間…これが魔女の結界の入口だろう。

だとすれば恐らくコウちゃん…子供はこの中にいるってことか

 

俺は躊躇なく魔女の結界に飛び込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年はもがいていた、公園で母親と追いかけっこをしていただけだというのに、気づけば高速道路のような場所にいて、銀色の怪物に今、完全に取り込まれかけている。

 

「あ、…ま、ま…」

 

そして少年の命はもう消え────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『RIFLE MODE』

 

 

『スチームショット・ハンマー!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────ることはなかった。

 

もうダメかと思われたその時、とても強い衝撃に襲われた魔女は少年を吐き出した。

少年は吐き出された事によって地面に激突するかと思われたが、何者かによって受け止められた。

 

「だ、れ…?」

 

少年は自分を受け止めた者を見る

 

それは宇宙飛行士の服をモチーフにワインレッドのスーツに包まれ、胸部にはコブラを象ったチェストアーマーが装着されている。

 

そう、ブラッドスタークだ

 

少年はその容姿に怯え今にも泣きだしそうになったが

 

「大丈夫、もう安心しろ、お母さんのところへ戻れるから」

 

「ほんとう…?」

 

「ああ、でも悪い怪物が邪魔をして外へ出れないんだ…だから、お兄さんが倒してきてやるよ」

 

「あかいおにいさんが…?」

 

「赤いお兄さん…まぁいいか、あぶないからね、このお城さん達に守ってもらうんだぞ?」

 

スタークが指を鳴らすとゾロゾロとキャッスルハードスマッシュが四体出てきた。

何故指パッチンすると出てくるのは天堂でもさっぱりわからないがとても便利なので特にツッコマない。

そして謎のポーズを決めさせた

 

「か、かっこいい」

 

「え、え!?ああうんそうだね、このお城さん達が君を守るからね、俺は悪い怪物を倒すことにしよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて…緊張や恐怖心を和らげるためにスマッシュ達に変なポーズ取らせてみたものの…子供のセンスはよくわからないな…あ、俺も今は子供か。

助けた子供はキャッスルハードスマッシュによって四方を固められ守られているため心配は無い…筈、流石に使い魔ぐらいは倒せるだろう。

問題は目の前にいる魔女だ、名前は…なんつったけな…

 

「おっと!?」

 

スチームショットをくらったことにより大きく吹っ飛んでいた魔女は怒り、巨大な腕を叩きつけてきた。

それを避けて左手にトランススチームガン、右手にスチームブレードを持ち、スチームガンを連射しながら接近しその巨体にスチームブレードを叩きつけるように斬りつけた。

 

「¥$☆*^°€♪#!?」

 

かなり効いたようで堪らず後退する魔女

 

「へぇ…案外効くもんだなァ…まぁ最初にスチームショットをまともにくらってるんだからそりゃそうか…」

 

ふと子供の方を見ると案の定使い魔達に囲まれていたが、キャッスルハードスマッシュによって吹き飛ばされたり、ビームに焼かれたりと逆に蹂躙されていた。

 

「案外楽そうだ…ってうおおおおっ!?」

 

魔女に視線を戻したらなんとバイクに変形し突進してきた、間一髪転がって回避するが魔女はバイク形態のまま周囲を回転し始めた。

 

「何かする気か…?」

 

魔女に向かって、スチームガンを乱射するが、バイク形態の魔女には掠りもしない。

そして魔女はスタークの方に振り向きエンジンを唸らせ再び突進を仕掛ける

 

「ク、クソッ…なぁんてなぁ!、ォォ、ラァ!」

 

が、突進する瞬間、スタークのコブラ状のチェストアーマーから巨大なコブラが二匹飛び出てきて、バイク形態の魔女の前輪と後輪に絡みついた、それによって勢いあまった魔女は転倒する。

 

「さて、そろそろ終わりにしよう」

 

スチームガンとスチームブレードを合体、再びライフルモードに変形させ、コブラフルボトルを装填する。

 

『コブラ』

 

魔女の急所…はわからないがとりあえず胴体と思われるエンジン部分に狙いを定め、トリガーを引いた

 

「チャオ」

 

『スチームショット・コブラ!』

 

紫色のエネルギーを纏った弾は真っ直ぐ魔女のエンジン部分に命中し大爆発を起こした。

 

「やっ……たみたいだな、ん?」

 

爆煙が晴れると、そこには黒く尖ったものが床に刺さっていた。

 

「これは、もしかしてグリーフシードってやつか…取っておこう、お前ら、お疲れ様」

 

指を鳴らすとスマッシュ達は消えた。多分家に戻った…筈

そして変身を解除し、グリーフシードをバックにしまった。

 

「お、おわったの…?赤いお兄さん…」

 

「ああ、終わったよ、そうだ今回の事は俺達だけの秘密だ、約束できる?」

 

「え…う、うん…」

 

「そうか、ありがとう。そうだ!そんな事よりお母さんが君のことを探していたよ、行かなくちゃ!」

 

 

 

その後、子供を親に送り届けた俺は泣きながらめちゃくちゃお礼を言われ、無事家に帰宅した。

今回の実戦はかなり緊張したがいいデータが取れた、しかし、初めての実戦で精神的に疲れたのですぐにベットにダイブして深く眠りについたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕焼けの公園…

そこには一人の少女がただずんでいた。

 

「ごめんなさい…ごめんなさい…!ごめんなさいっ…!」

 

少女────巴マミは涙を流しながら、自分が助けられなかった命に謝罪を繰り返す。

そしてもう二度と犠牲を出さないと

もっと強くなって魔女を倒すと

 

「許してとは言わない。だけど待ってて……必ず、仇は取るから。」

 

そして彼女は街の人達を守る為に命を懸けると誓い、歩み出した。

 

 

尚、子供は天堂が助けたので当然死んでおらず、巴マミがそれを知ることになるのは2年後のことであった。




戦闘描写って結構難しいですね…
あと子供はマミさんが撤退するぐらいには飲み込まれてしまっているのですが、ここではまだギリギリ完全に飲み込まれてないことになっています。すみません
次回は見滝原中学校入学です。
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第2話 中・学・入・学

通算UA337…!?こんなに見てもらえるなんて思ってもみませんでした、精々50くらいなぁ…と考えていましたので…というわけで第2話です、よろしくお願いします!




いよいよ…か、この時が来てしまった…小学校を卒業し、ついに今日、見滝原中学校の入学の日である。

前世で何度か見た男子用の白い制服を身にまとってバッグを持って家を出る。

鍵はちゃんと閉めた、忘れ物も無し…………前世は社会人だったが、今こうしてると中学生時代を思い出す…今も中学生だけどね。

そんな事を思いながら学校へ歩みを進めていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご入学おめでとうございます、今日から────」

 

やばい…どうしてこうなった…一体俺が何をしたっていうんだ…まさか、鹿目まどかと美樹さやかと同じクラスになるなんて…!

いや、普通に見れば幸運なのかもしれないが…クラスが同じになるなんて微塵も考えてなかったぞ…!しかもこの中学校マジで壁がガラス張りじゃねぇか!芸術学校かなんかか!てかよくよく考えたら周りの人達の髪の色、青やらピンクやら緑じゃん!!なるほど…前世の常識はここでは通用しないというわけか…うん、もう考えるのはやめよう……

 

そして放課後

内心ヘトヘトになりながら帰路に俺はついていた

 

 

 

 

そして翌日…ではなく一か月後、今日は中間テストが終わったので席替えをしよう、という話になった。

席替えかぁ…懐かしいな、前世の頃は同学年の女子が苦手な陰キャだったからめちゃくちゃ嫌だったからなぁ…このクラスは苦手そうな女子、男子はいないし別にいいんだが…てか一か月も経ってるのにまだ話し相手や友達作れてないって前世と全然変わってねぇじゃねぇか…!まぁ、適当に引いてみますかね。

 

 

 

 

 

 

 

数分後、俺は机に突っ伏していた、席は廊下側の後ろから2番目の所でまあまあいい席だとは思う、じゃあなんで突っ伏しているのか、だって?隣の!席が!鹿目まどかさんだからだよ!!!なんでだよガイ!なんなんだよぉぉぉぉぉぉぉ!?確かに同じクラスなら席が近くになる可能性はあるけど確率狙いすぎなんじゃないか…?いや、別に隣になることが嫌では無いんだが…この1年間で変な印象持たれたら確実に詰むと思うし、精神的にキツイからである。あっ、なんか気まづそうにこちらをチラ見した!いかん、序盤から変な奴かと思われるのはキツイ!どうする…!?ハッ!そうだ自己紹介だ、まずは自己紹介が大事だと前世でも教わった…

よし、行くぞ…

 

「「あっ、あの!」」

 

「「ああっ、すいません(ごめんなさい)、そちらからで…」」

 

「「あ、えっとじゃあ自分(わたし)から…」」

 

ぬぅぁぁあああ!見事に被りまくったぁぁ!しかもあちらさん顔が少し赤い!ま、まさか怒らせてしまったのか…?おち、落ちつけ鹿目まどかは流石にそんな短気な性格では無かった筈だ…落ちつけ…落ちつけ

 

「あの…」

 

「あっ、えと、すいません被ってしまって…えっとそちらからでいいですよ」

 

「わたし、鹿目まどかっていいます、これからよろしくね」

 

「あと、ええと自分は天堂雄介っていいます、こちらこそよろしくお願いします…鹿目さん」

 

ほっ…どうやら鹿目まどか…いや、鹿目さんも自己紹介をしようとしていたみたいだな、変な印象を持たれていないようで良かったぜ…今回は流石に緊張し過ぎだな、これから普通に過ごせるように家に帰って座禅でも組むか…

 

「それにしても…」

 

「?」

 

「天堂くんと同時にしゃべりだして被っちゃうなんて思わなかったよ」

 

「あ、ああ、確かにそうですね…考えてること一緒だったみたいですね…」

 

「うん!私達、友達になれそうな気がするなぁ」

 

「え、あ、本当ですか!?なら是非なりましょう、隣の席ですし、コミュニケーションもできるだけとりたいですから…」

 

「本当!じゃあ天堂くんも今日から友達だね!ティヒヒヒ」

 

う、ぐうぉぉぉぉぉぉぉぉ…なんだこの聖人!?だけど鹿目さんと友達になれたのはラッキーだったなぁ、この感じを維持できればいいが…

それにしても、先程は未来のことが色々心配だと思ったが、こうしてみると鹿目さんってほんと可愛いなぁ…見てるだけで癒されるって感じが…暁美ほむらがああまで守ろうとするのも理解できそう…でもあれは流石に…

 

「まーどか!」

 

「わっ、さやかちゃん!?」

 

と思考に耽っていると鹿目さんの頭に突然抱きついてきた女子、青い髪に活発そうな性格明るい声、さやかちゃんって事は多分美樹さやかだろう。

 

しばらく鹿目さんと戯れているのかなと思っていたら、急にこちらを向くと

 

「あたし、美樹さやか、よろしく!」

 

「え?ああ、天堂雄介です、よろしくお願いします」

 

なんかいきなり挨拶してきたぞ…もしやこのクラスの人達ってコミュ力かなり高いタイプなのか…?俺にも分けて欲しいよ(切実)

 

「あ、もしかして美樹さんって鹿目さんの友達ですか?」

 

とりあえずそう聞いてみると

 

「ふっふっふ…友達なんてあまい、あまい!まどかと私は大親友なのだ!」

 

と胸を張って言う美樹さん、流石だな…確か幼馴染だったんだっけ?

 

「そういえばさ、雄介〜?」

 

「はい?」

 

いきなり名前で呼んでくるとは…コミュ力53万ぐらいあるんじゃないのか?すると美樹さんはとんでもない事を言い出した

 

「あんたってまどかのこと好きなの?」

 

「ウェッ!?」

 

「ふぇっ!?」

 

「い、いきなり何を言ってるんだ美樹さん!?」

 

「そ、そうだよさやかちゃん!?」

 

「はっはっはー、いやぁさっき雄介がまどかのことじっと見てたからそうなのかなぁって思ってさ〜」

 

じっと見てた時…?あっ!もしかして可愛いなぁとか考えてた時に俺は知らない内に鹿目さんをガン見してたのか!?一難去ってまた一難、今度こそ変に思われちまう…!さらに追求される前に何か打開策を…そうだ!

 

「そ、そうだ美樹さん、いきなりですが自分、人間観察が得意だからちょっとわかったことがあるんですよ」

 

「ん?何々?あとあたしの事は美樹さんじゃなくてさやかでいいよ、敬語もなんか堅苦しいしタメ口で!」

 

「え…と、じゃあ、それでな俺は席替えの時見たんだよ、お前の視線がある人物に向かってるのをしかも随分熱っぽい視線でな…」

 

美樹さん…いや、さやかの肩がビクッと上がる

 

「さやか…もしかして、上条君のこと好きなのかい?」

 

その瞬間、さやかの顔はリンゴのように赤くなった

 

「うえぇ!?………わ、わたしはそんなんじゃ…」

 

「ほんとうにぃ?」

 

「ほ、ほんとだってば!!」

 

「ならここで大声でさやかは上条君が好きと言っても、大丈夫だよね否定できるし」

 

「え、ちょっと!?」

 

「みな「わああああぁぁぁ!!」おっとと…」

 

と、さやかは鹿目さんの机に突っ伏した。

そして、なんとか復活したさやかはこう言った

 

「もうやめよう雄介…この話はお互いにダメージを与えちゃう」

 

「ああ、そうだな…」

 

俺とさやかは堅い握手をし、この不毛な争いは終結したのであった。

 

尚、鹿目さんは机に突っ伏したままだった。やはり怒らせてしまったのだろうか?




はい、まどかとさやか、初登場です!表現力が欲しいなぁ…
言いづらいことなのですが作者はまどマギにわかです。至らぬ点があれば教えてもらえると嬉しいです(豆腐並のメンタルなので誹謗中傷はやめてください…お願いします)

ズバさん、戦極凌馬さん、artisanさん、ざうるすういろうさん、神様2001さん、花蕾さん
お気に入り登録ありがとうございます!!
artisanさん星10評価ありがとうございます!
ぼるてるさん星5評価ありがとうございます!

脱字誤字報告・感想あれば、よろしくお願いします


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第3話 昼食とお嬢様とバイオリン

通算UA754…?平均評価8.33…?どういうことだ?(戦慄)

こんなに高く評価されたり見てもらえるとは思ってもみませんでした…お気に入り登録や投票あ、ああ、ありがとうございます!(震え声)

というわけで第3話です
よろしくお願いします


ある日の昼、俺は学校の屋上で昼食を食べていた。

前世は当然学校の屋上は基本封鎖されているので、屋上で昼食を食べるというのは結構憧れていたりしたのだ…さわやかな風にあたりながら食べる飯は美味い…自分で作った弁当だが、この世界に転生してから家事能力も上がっている気がする。

そう思いながら弁当を食べていると

 

「あっ、天堂くん!」

 

「おっ、雄介じゃん、雄介も屋上でお昼食べるようになったの?」

 

鹿目さんとさやかが屋上にやってきた、確か今日は昼休みに保健委員の呼び出しがあったからすぐに屋上には来なかったのだろう。一緒に来たことから、さやかはおそらく鹿目さんに付き添っていったのだろうな。

 

「ああ、そうなんだよ屋上で昼食を食べてみたくってな。それにしてもこういうところで食べる飯はうまいなぁ…鹿目さんは保健委員、お疲れ様。」

 

「う、うん、ありがとう…」

 

「おやぁ、さやかちゃんには労いの言葉は無いのかなぁ?」

 

「さやかは多分ただ付き添ってだけだろう?」

 

と、卵焼きをヒョイっと口に放り込み、さやかの言葉を流す

 

「な、なんだとぅ!?そんなこと言う奴はぁ…こうだぁー!」

 

と、俺の弁当から卵焼きを奪い取り、食べた

 

「ちょ、おまっ」

 

「ふふ〜ん、どうだ〜…あ、おいしい」

 

「お前なぁ…まぁいいか」

 

「あ、じゃあよかったら私のお弁当の卵焼き食べる…?」

 

「いいんですか?」

 

「あーっ!ずるい!」

 

「さやかは俺の卵焼きを食べただろう」

 

全く…そう思いながら鹿目さんの弁当箱から一つ卵焼きを取って食べる。

 

「どうかな…?」

 

「………これは、鹿目さんが作ったのかい?」

 

「ううん、パパが作ってくれたの」

 

「まどかのお父さんは専業主夫だからどの料理も美味しいんだよね〜」

 

「すごいな…鹿目さんのお父さんは、こんな美味しい卵焼き食べた事が無いよ」

 

そうだった…確か鹿目さんの家族は母親がキャリアウーマンで、父親が専業主夫だったな…

甘い卵焼きは嫌いだが、この卵焼きは他の甘い卵焼きとは全然違うスゴ味があるッ!

 

「エヘへ、よかったぁ」

 

「まどか〜!私にも卵焼きちょうだい!」

 

「も〜、さやかちゃんってば…」

 

そんなこんなで楽しく昼食を食べ、いつも通りに授業を受け、放課後…

 

 

 

 

 

 

「へぇ〜…志筑さんは茶道に日本舞踏、ピアノ、色々やってるんですか…すごいですね、自分だったらお金があってもそんなに習い事できませんよ」

 

「天堂さんは何かやっていらっしゃいますの?」

 

「いえ…自分は特にやってはないですね」

 

「仁美はお嬢様だからねぇ、小市民なあたしらとは格が違うわ〜」

 

「仁美ちゃんはなんでもできちゃいそうだもんね」

 

学校の帰り道、鹿目さんとさやかに誘われ、志筑仁美…志筑さんを紹介してもらいこうして四人で帰り道を歩いていた。

前世での志筑仁美に対する感想はとんでもなく運がない人、だった。

美樹さやかと鹿目まどかの親友である彼女は上条恭介に恋をしていた、同じく美樹さやかもだ、つまりは三角関係である。

三角関係というと、とんでもなく複雑な関係だ、どちらかを選べばどちらかが必ず不幸になる。ハッピーエンドやどちらか決めずにそのままで終わるということもあるが、美樹さやか、志筑仁美、上条恭介の三角関係は違った。

原作では志筑仁美は上条恭介に告白する前に美樹さやかに対して、上条恭介に告白する、が横取りや抜け駆けはしたくないから丸一日待つけれどその間に後悔しないように決めてくれ、と言った、普通ならばただの宣戦布告であり、彼女なりのけじめだったのかもしれないが、間が悪すぎた、この事が一部の原因で美樹さやかは魔女になり、また最終的に鹿目まどかは円環の理となって存在は消え、概念になってしまうため、結果的に親友を二人失う事になった、美樹さやか程ではないが踏んだり蹴ったりの運命である。

 

そんな事を思い、これから先どうしようかと考えていると

 

「「「天堂くん(さん)・雄介!」」」

 

「…はい?どうかしまし、あいったぁ!?」

 

名前を呼ばれ意識を三人に戻すが時すでに遅し、電柱に思いっきりぶつかった

 

「いてて…歩きながら考えすぎるのは危ないな…」

 

「天堂くん、大丈夫…?」

 

「ええ、大丈夫です鹿目さん、えっとじ、自分家向こうなんで…それではまた明日!」

 

と、言うと天堂は足早に去っていった

 

「天堂さん、大丈夫でしょうか…」

 

「雄介も案外抜けてるところあるんだねぇ〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ…恥ずかしい、考えすぎで電柱にぶつかるなんて歩きスマホとなんら変わらないな…

 

〜〜〜〜♪

〜〜〜〜〜〜♪

 

なんだ?近くの公園から音が聞こえる…この音はバイオリンか?

ここらへんは住宅街に近いんだがねぇ

とりあえずバイオリンの演奏が聞こえるところへ行くことにした

 

 

 

 

〜公園〜

 

住宅街に近いすべり台とブランコと木が一本だけ生えているだけのあまり広くない普通の公園にバイオリンから奏でられる美しい旋律が周囲を満たしていた。

 

公園に着くと木の下でバイオリンを弾いている少年がいた

上条恭介だ

それにしても良い音色だな…そういえば確か彼は将来有望なバイオリニストだったな、しかし何故公園でバイオリンを弾いているのだろうか、とりあえず話しかけてみよう

 

上条恭介の方に向かうと彼はこちらに気づき演奏を止め

 

「………あ…君は確かさやかの新しい友達の…」

 

「天堂雄介…そういう君は上条恭介君、だね?よろしく…ところでえっと上条恭介君は」

 

「上条でいいよ」

 

「そうか…上条はどうして公園でバイオリンを弾いていたんだ?普通は学校とか家で練習するもんだと思っていたんだが」

 

木の下にいた上条と共に座り、疑問に思っていたことを聞いてみる

 

「帰り道の途中、この公園をみたら急にフレーズが思い浮かんできたんだ…だから、ここでバイオリンを弾いていれば形になるかなって思ったんだ」

 

「なるほどな…フレーズか、なぁ突然こんな事を聞くのもなんだが上条にとってバイオリンってのはどういう存在なんだ?」

 

「僕にとって…?そんなのかけがえのない存在に決まってるじゃないか!」

 

上条は自信満々に答える、ふむ…サッカーバカならぬバイオリンバカだなこれは

 

「かけがえのない存在、か確かにそれならあの良い演奏が弾けるわけだ」

 

そう言いながら頬を緩ませる

 

「…天堂君は」

 

「俺も天堂でいい、君はいらんよ」

 

「天堂は好きなクラシックの曲はあるのかい?」

 

「好きなクラシックの曲?あるにはあるが…もしかして弾いてくれるのか?」

 

「今考えてるフレーズの参考にもなるかもしれないからね…それに友好の印に、って」

 

「友好の印…そうか、俺の好きなクラシックか…ベートーベンの交響曲第9番だな、特に第4楽章の部分が好きだ」

 

正直好きなクラシックの曲は昔はなかったが…エボルドライバーの待機音が好きすぎて元曲の交響曲第9番を聴いて好きなっていた、という感じである

 

「交響曲第9番…第4楽章…うん!いいよ!フレーズが今、形が出来てきた気がする!」

 

そう言うと上条は交響曲第9番第4楽章の部分をバイオリンで弾き始めた

ああ〜、いい演奏だ本当に…確かにこんな熱心なのに医者に腕が治せないなんて言われたら自暴自棄になるのも分からなくもないな…だがそれでは色々困る、対策をなにか練らなくちゃなぁ…

 

その後上条は思いついたフレーズを完成させ、俺に披露してくれた。

辺りが暗くなるまで話し合って気づけばかなり打ち解けていた…

 

「それじゃあ、また明日、雄介!」

 

「ああ、また明日な恭介」

 

恭介と友人関係になれたのは思わぬ収穫だったな…さやかの魔女化阻止の鍵になるか…それとも…

魔女とかその他に対する実験もしないとなぁ…夏が始まる前ぐらいにはやるか…?

 

そう考えながらゆっくりと帰りの道を歩いていった

 

…電柱に気をつけながら




スゴ味があるッ!の使い方が間違ってることについては触れてはいけない(戒め)

やばいよ…仮面ライダーを混ぜてる小説なのに2話、3話合わせてもライダー要素がエボルドライバーの待機音ぐらいしかないよ…ご、ご安心ください次回は出ますよ(仮面ライダーが出るとは言っていない)
それと誠に申し訳ありませんが諸事情により来週は投稿できないかもしれません。しかし失踪等は考えていませんので何卒待っていてくださると嬉しいです

変色柘榴石さん、深々さん、狼牙竜さん、コレクトマンさん、カイリードさん、夜叉音 鳳来さん、影行さん、すずめの枕さん、最弱の天丼さんお気に入り登録ありがとうございます!!

ロギア クロニクルさん、深々さん、コレクトマンさん星9評価ありがとうございます!
かげぬいさん星8評価ありがとうございます!

次回、正義の赤い魔法少女と黄色い魔法少女 登場!(あと淫獣も)

誤字脱字報告・感想あればお待ちしております


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第4話 赤と黄の交差→キュゥべえ・ファーストコンタクト

通算UA1600突破しました!ありがとうございます!

投稿が遅れて申し訳ございませんでした、テストやFGOのイベントやバイトの面接等があって中々小説に手がつけず…

今回は平均より結構長いです、読みにくいかもしれませんが…

それでは第4話どうぞ


見滝原市の工業地帯…その工業地帯にある廃工場にて肩に白い小動物を乗せ、槍を持っている赤い髪のポニーテールの少女と全身が血のように赤いワインレッド、胸部にコブラを象ったチェストアーマー、顔に緑色のバイザーを付けた怪人───ブラッドスタークと、それに仕えている数体の機械兵士(ガーディアン)が対峙していた。

 

どうも天堂雄介です。え?なんでこんなことになってるかだって?

 

『杏子、気をつけて相手は何をしてくるかわからない…僕も見たことがない相手だ』

 

白い小動物…いや十中八九キュウべえだろう

は、赤い魔法少女…こちらは佐倉杏子で間違えないないんだろう…どうしてこうなった

にそう注意を促す

 

「わ、わかった…!」

 

佐倉杏子は返事をして槍を構える、しかしその構えは初々しい

 

「………」

 

よ〜し、どうしてこうなったか思い出してみよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は土曜日…学校は休みで明日から夏、つまりテストが近い…が流石に中学1年の内容はまだ余裕を持てるので今日は色々と試したかった事と今まで避けていた人体実験を行うことにした。

荷物をまとめトランスチームガンを取り出す

 

『コブラ』

 

スチームガンにコブラフルボトルを装填し、銃口を顔の横に向ける

 

「蒸血」

 

『ミストマッチ!』

 

『コッ、コブラ……コブラ…ファイアー!』

 

煙と赤と緑の閃光がバチバチと迸り、煙が晴れると天堂はブラッドスタークになっていた

 

「さて、実験を始めるとしようか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見滝原市・都市部、大きいビルや様々な建造物が建ち並び、そこには数多くの人々が行き通っている。

その都市部のあるビルの屋上にてスタークはモニターと睨めっこしていた

 

「ガーディアン1、良さそうな実験体は見つかったか?」

 

『…………』

 

「見つからない…か、できれば普通の一般人とかじゃなくてひったくり犯とかクズみたいな人間にしたいんだがな」

 

人体実験をしようとしている俺もクズじゃないのか?と心の中で自分にツッコミを入れる

 

「日が完全に落ちるまであと4時間くらいか…今日はガーディアン数十体で魔女に勝てるかの実験だけを行おうかね…」

 

と、思った時

 

ピピピッ

 

「ん?ガーディアン5か、実験体が見つかったのか?」

 

『……!』

 

「見つけたのか!そうかそうか、ならそいつの映像、写真を送れるか?」

 

するとモニターに映像が映る

映っていたのは…ハゲで少し小太りなおっさん?

 

「ガーディアン5…確かに悪い事をしそうなイメージがあるちゃあるが見た目で決めるのは良くないぞ?」

 

『…』

 

すると映像が巻き戻る、そこには…

 

「うわ〜これは…ギルティこいつで決まりだな実験体」

 

女性会社員にセクハラをしようとするが、感付かれ逆ギレしているおっさんの姿があった…どの役職なんだろうか…あっ、見えた経理ね…やっぱ世界が変わっても腐ってる大人はいるもんだなぁ…あぁ〜やめとこ前世の会社を思い出しちまう

 

「よーし、よくやったガーディアン5、全ガーディアンに通達、実験体探しは終了だ。戻ってこい、光学迷彩は解除するなよ」

 

さて、あとは夕方になるのを待つだけだな

 

 

 

 

 

 

 

男は憤っていた、何故全て自分の思う通りにいかないのかと。

弱気な女性会社員へとセクハラを仕掛けた時、赤髪の気の強いもう一人の女性会社員に邪魔されビンタされる始末、口論に発展しそうになったものの弱気な女性会社員がなんとか止め、セクハラとビンタの事は無かった事にしその場は収まった。

危うくクビになりそうだったというのに男は女は黙って男の言うことを聞いてれば良い、男の望むままになれば良いと思うのをやめない。

よく経理の仕事に就けたものだと思う

 

「くそ…鹿目め、アイツの弱みさえ握れれば…」

 

「ごきんげんよう、おっさん?」

 

辺りは暗く一本道の路地に突然現れたブラッドスタークに腰を抜かす経理

 

「なな、なんだお前は!?」

 

「お前に名乗る必要は無いな…」

 

と言うとすぐに後ろに回り込み、経理の首に手刀を入れ気絶させる

 

「これでよし…と、うっし、お前ら行くぞ」

 

ブラッドスタークは気絶した経理を肩に背負って実験場へ向かう、実験場という名の工業地帯へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜工業地帯・廃工場〜

 

 

さてと…昼間、実験体探しの前に廃工場に設置しておいたグリーフシードの様子はどうかなぁ、っと

おっ、もうすぐ孵化しそうだな…

 

ピシッ

 

黒い球体部分にヒビが入り蜘蛛の顔が浮き出る

 

「全ガーディアン戦闘態勢!」

 

数十体のガーディアンが整列する

 

ピシッピシッ

 

「構え!」

 

前列はしゃがみ、中列は少し腰を低くく、後列のガーディアンは立ってセーフガードライフルを一斉に構える。

 

パキンッ

 

グリーフシードが割れ、魔女の結界が周囲の風景を一瞬で塗り替える

 

一面の青空を背景にロープが渡され、そこに洗濯物のように無数のセーラー服がはためいている

 

懐かしくは…ないな、初実戦の魔女…銀の魔女を倒した後、去年の冬休みに倒したんだったか。名前は確か…そう、委員長の魔女だったな

 

胴体から手が4本生えていて顔がない、しかしロープに捕まっているさまはまるで蜘蛛のようだ

 

そして魔女はスターク達の存在に気づき使い魔を出そうとする、が

 

「一斉掃射!」

 

合図と共にガーディアン達のライフルから一面の青空を埋め尽くすように銃弾が魔女に叩き込まれる

 

当然、魔女から召喚された使い魔や攻撃する為に出された椅子も魔女ごと弾幕の餌食になり消滅する

 

「案外呆気なかったか…って!?」

 

が、突如椅子が飛んできて数体のガーディアンに命中、当たったガーディアンは機能停止してしまった

 

椅子が飛んできた方を見るとボロボロだがまだロープに捕まっている魔女がいた

 

「チッ…死にきってなかったか、ガーディアンは集団での攻撃力が良いから使い魔の掃討にはちょうどいいかもしれないが決定力に欠けるな…だが良いデータが取れた、実験協力感謝するよ委員長の魔女」

 

『フルボトル』

 

スタークはライフルモードのトランススチームガンにタンクフルボトルを装填する

 

「ご苦労さん…チャオ」

 

『スチームアタック!』

 

重い砲撃音とともにスチームガンから放たれた特殊弾が魔女を貫き爆発する

 

煙が晴れると、魔女がロープに捕まっていた真下のところにグリーフシードが突き刺さっていた。そして魔女が倒されたことにより辺りの景色は青空から錆びれた廃工場に戻っていった。

 

 

 

 

ガーディアンだけで魔女を倒せるかの実験は失敗だな…拠点防衛型に合体できれば行けたかもしれないが今回はそこまでの数を連れて来なかったからな…さてと

 

「ガーディアン、水」

 

そう言うとガーディアンの一体がスタークにペットボトルを渡す

そのペットボトルをスタークは足元で気を失っている経理の顔にぶちまけた

 

「んご!?ゴホッ、ゴホッゲッホ!?」

 

「目、覚めたかな?おっさん」

 

「お、おお前はさっきの…!?こ、ここはどこだ!何がどうなっ」

 

慌て、錯乱する経理がそう質問する前にガンッとスチームブレードが地面に突き刺さる

 

「ごちゃごちゃうるさいぞ…取り敢えず落ち着け、俺はアンタに実験に協力してもらいたくてなぁ…なぁに、直ぐに終わる実験さ…人に戻れないかもしれないがな」

 

ガーディアンが男の両腕を掴む

 

「ああ、あ…や、やめろ!!一体何をするつもりだ!?金か!金なら幾らでもやる!そ、それとも女か!?い、命だけは!た、た助けてくれ!」

 

スタークはスチームブレードのバルブに手を掛け…

 

「それでは、チャ」

 

 

「待て!!」

 

ようとした瞬間、少女の声が廃工場に響き渡る

声の方向に顔を向けると、そこには赤い髪をポニーテールで纏め、肩には白い小動物を乗せ、槍を持った少女がいた

 

「こ、子供…?ングッ!?」

 

スタークは片手で経理の顔面を掴む、すると経理の顔は煙に包まれた

 

「な…!?やめろ!その人から手を離せ!」

 

と少女が向かってくるがガーディアンに阻まれる

経理の顔から煙が晴れると経理はキョトンとした表情をして

 

「…?何故ワシはこんなところに…?っひぃ!?ば、化け物!?うわああああああ!!」

 

スタークの姿を見た瞬間、経理は慌てて逃げ出した

その後をガーディアンは追おうとしたがスタークは手で制し、ガーディアンは追おうとするのを止めた。そして少女を止めていたガーディアンもスタークの元まで後退し、スタークと少女は向かい合う形になった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、回想終わり!

 

…いや、考え直しても分からないな、何故ここに佐倉杏子が来たんだ?佐倉杏子は見滝原ではなく風見野に住んでいるはず…あっ、そういえば佐倉杏子は巴マミの弟子になっている時期があったんだっけか。

なるほど、だから見滝原に来ているわけか…いやでもいくらパトロールとはいえ廃工場まで来るか…?

 

「キュウべえ…もしかしてあの赤いヤツは魔女の使い魔だったりするのか?」

 

『確かにそうかもしれないね、けど使い魔にしては形が出来すぎている』

 

魔女の使い魔…?魔女…魔女…?あっ…そうだったっあああああああ!!ソウルジェムには魔女の結界を探知する効果があったんだった!クソが…忘れていた…!佐倉杏子はさっきの実験の時にできた魔女の結界を探知して廃工場まで来たってわけか…!

 

天堂は決して外見には憤っている様子を見せずに内心とても憤っていた

 

しかしこうなっては仕方がない、幸いこの頃の佐倉杏子は原作の時よりはまだ弱い筈…、気絶か戦闘不能状態にしてさっさと立ち去ろう。

キュウべえは殺す、どうせスペアがあるだろうし問題はないだろう…とりあえず使い魔と誤認させないために喋るか

 

「…邪魔をしてくれたな」

 

「っ!喋った!?」

 

「当然だ、俺は魔女の使い魔などでは無い、それよりもダメじゃないか…子供がこんなところに来ちゃぁなぁ…」

 

「ふざけるな!お前はさっきあの人に何をしようとしていたんだ!」

 

「何って…実験だよ、実験、化け物を生み出す実験をな」

 

「化け物を…生み出す…?」

 

『君は一体何者なんだい?そもそもここにいるはずの魔女がいないということは…』

 

「俺が倒した、後ろにいるガーディアン…機械兵士で魔女を倒すことができるか?という実験を行なっていたのさ…」

 

そう言いながらスタークはグリーフシードを見せる

 

「グリーフシード…!」

 

佐倉杏子は驚愕する、何故目の前の者が持っているのかと

 

『君は…魔法少女なのかい?』

 

そこでキュウべえが衝撃的な質問を投げかけてきた

 

「え!?何言ってんのさキュウべえ!どう見ても女じゃないし声だって男じゃんか!」

 

と、佐倉杏子は当然の反応をする

 

「…フ…フフ、フッハッハ!アッハッハッハ!」

 

と、スタークは近くにあったドラム缶にもたれかかり、笑いながら叩く

 

「あぁ…悪いな、ツボに入ったものでな、俺はその魔法少女?という者では無い…が、そのお嬢さんは魔法少女ってヤツらしいな、このグリーフシードってやつを集めているのはある計画のため…その為に魔女や人間を使って実験してるのさ…もちろんある計画ってのは秘密だがな」

 

そんなもん無いんだけどねと心の中で思いながら

 

「人間を使って実験をしてるだって…?さっきの人みたいにか…!」

 

佐倉杏子は顔に怒りを浮かべながらそう問いかけくる

 

「そうだ…初の実験体だったんだがな…お前のおかげで逃してしまったよ、いやー残念だ」

 

「ふざけんじゃねぇ!人を…命をなんだと思ってるんだ!」

 

と、ついに槍を構え飛びかかってきた

 

それを床に刺していたスチームブレードを引き抜き受け止める

 

「…モルモットだよっ!っと」

 

そのままスチームブレードで切りはらう…のではなく蹴りを入れた

 

「うっ!」

 

蹴り飛ばされた杏子は廃工場の壁に叩きつけられた

 

そしてガーディアン達は追撃を入れようと銃を構える

 

「お前達は手を出すな、待機せよ」

 

そう言うと銃を下ろし、杏子が蹴り飛ばされた壁の逆側に整列し、待機状態になった

 

『落ち着くんだ杏子!ここは一旦引いてマミと合流を』

 

「うるさい!今コイツを逃したらまたさっきの人みたいに危険な目に遭う人が増えるかもしれない!そんなの絶対にあたしは許さない!!」

 

そう言って、再びスタークに飛びかかる

 

「魔法少女ってのはお前だけじゃ無いようだな…ならそいつが来る前にお前を片付けるとしよう!」

 

後ろに飛び退き、左手のスチームガンを杏子に何発か撃つ、が全て槍によって弾かれる

 

なるほど…銃弾に対応できるのか…魔法少女ってのはすごいな…

 

「はああっ!」

 

銃弾を全て弾いた杏子はそのままスタークに槍を突き出すが避けられ、弾かれを繰り返す

 

「どうした?許さないんじゃないのか?」

 

「っ!これならどうだっ!」

 

杏子は再び槍を突き出す、それをまたブレードで弾こうとする…が

 

「何!?」

 

突如槍の持ち手がバラバラになり槍の穂先が蛇のようにブレードを避けスタークを突く

 

「グッ…そうか…槍の持ち手部分が多節棍ってわけか」

 

流石にナメ過ぎていたな、だがその多節棍の攻略の仕方は簡単だ…!

 

「てぇやああああ!」

 

杏子は槍で突くのではなく、鞭のように振り回しスタークに攻撃を仕掛けて行く、そして防戦一方のスタークはついに壁際にまで追い詰められた!

 

「これで…!」

 

トドメと言わんばかりに槍を上から振り下ろす、が

 

「やはり甘いな」

 

『アイススチーム』

 

槍を振り上げた瞬間、スタークはすぐさまスチームブレードのバルブを2回回す、するとスチームブレードが冷気を帯び、そのまま槍を受け止めた

 

「なっ!?」

 

瞬間、杏子の槍は一瞬にして凍りつく

 

「これで多節棍は使えないなぁっ!」

 

反応が遅れた杏子から凍った槍を奪いとりそれをスチームブレードで粉砕した

 

「うあああっ!」

 

凍った槍の破片が杏子を襲い、肌を切り裂く

 

「良いダメージじゃないか?ん?」

 

キュウべえがいない…どこ行ったんだあの淫獣…

 

「まだだ…!これなら、どうだッ!!」

 

新しい槍を取り出した杏子は飛び上がり、再びこちらに向かって突撃を仕掛ける

 

「「あたしが二人ぃっ!どっちが本物か当ててごらんよ!!」」

 

「分身…いや幻惑か?」

 

杏子が二人に増え、向かってくる

どちらかが幻…かは分かる、特典によりその手の魔法は俺には無意味なのだから、だがあえて幻の方をスチームガンで狙う

 

『コブラ』

 

『スチームショット・コブラ!』

 

スチームガンから紫色のエネルギー弾が放たれるが、当然本物の方ではないのですり抜ける

 

「残念!それは偽物さ!本物は…こっ」

 

相手が自分の幻惑に騙され、勝利を確信した瞬間

 

「あっ…ぐっ!?」

 

突如、杏子の横腹に針が突き刺さった。

そのまま体勢を崩し地面に倒れる

 

「俺の武器は銃や剣だけじゃないんだぞ?」

 

針は杏子の横腹から外れスタークの腕部に収納された

 

伸縮ニードル、スティングヴァイパー…わざと幻を狙ったのは射出したコレから注意を逸らすためだったというわけだ、もちろん打ち込んだのは麻痺毒である

 

「それじゃあな、チャオ〜」

 

そう言って立ち去ろうとしたが、ある考えが突如浮かんだ

 

「(魔法少女にデビルスチームを打ち込んだらどうなるんだ…?スマッシュになる?ソウルジェムが穢れる?逆に浄化される?……いいや、いかんいかん今日はもう切り上げるんだよ!……あ〜だけど…)」

 

スタークは回れ右して倒れ伏している杏子の前まで戻るとスチームブレードを向ける

 

「や…め、ろ…」

 

「…すまんな」

 

が、その時!

 

 

待機していたガーディアンが一斉に撃ち抜かれ爆散した

 

「ッ!?なんだぁ!?」

 

 

「…そこまでよ」

 

爆煙が晴れるとそこには、コルセットやブラウスなどのクラシカルな服装にベレー帽を被り花形の髪飾りを身につけ、こちらに銃を向ける少女─────

巴マミがいた

 

「マミ…さん」

 

「新手の登場ねぇ…」

 

スタークは杏子から離れ、巴マミから距離を置く

 

「佐倉さん!大丈夫!?」

 

スタークが離れた事により杏子に駆け寄る

 

「マミ、さん…ごめん」

 

「佐倉さん、キュウべえから全部聞いたわ…大丈夫、もう安心して」

 

マミはそう語りかけると杏子を守るように立ちはだかる

 

「よくも佐倉さんを…!」

 

「ふむ…成る程な」

 

スタークは考える仕草をするとこう言った

 

「お前達魔法少女はどうやら身体の傷を治せても、毒までは治せないらしいな」

 

「…?何を言って」

 

マミは杏子の方を見ると、確かに身体の傷は治っているというのに未だに杏子は動けないでいた、手足が少し痙攣しているところから疲れではないという事がわかる

 

「そんな…!?」

 

「良いデータが取れたな、それっ」

 

スタークから黒い物がマミに向かって投げ渡される

 

「これは…グリーフシード!?」

 

「マミさん!」

 

「佐倉さん!?毒はもう平気なの…?」

 

「それが…」

 

杏子はスタークの方に顔を向ける

 

「敵に塩を送るなんて、優しいだろう?さて…楽しい宴をありがとう!今日はこれにて失礼するよ、そのグリーフシードはやろう、実験の礼にな…チャオ」

 

そう言うとスタークはスチームガンから煙を撒いて消えて行った

 

「アイツはいったい…」

 

「わからないわ…でもあの怪人も魔女と同じ、街の人たちを脅かす存在だということよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あるビルの屋上、そこには赤い怪人と白い生物が対峙していた

 

『君は本当に何物なんだい?君のあの毒は地球上の物ではない特殊な毒だ、魔法少女の治癒力でも治せないなんて僕達は聞いたこともない』

 

「さぁ…なんのことやら…ああ、そうだ俺が何物か、って話だが…名前だけは教えてやろう…」

 

そう言いながら、白い生物…キュウべえにスティングヴァイパーを突き刺す

 

「俺の名はスターク、ブラッドスタークだ」

 

そう名乗ると同時に崩壊毒を打ち込まれたキュウべえはボロボロになって崩壊した

 

 

「今日は疲れたな…実験も簡単ではないって事だな」

 

そうぼやくと再びスチームガンから煙を巻いて家に戻って行った




戦闘シーン読みにくかったらすみませんでした…
キュウべえ書くの難しいなぁ…あとマミさんとかも(致命的)

誤字脱字報告・感想お待ちしております

K'kさん、Nano助さん、Luna Wolfさん、剣崎さん、グングニールゲートさん、ソレスタルなんたらさん、メメタリカさん
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第5話 真夏のT/海に行こう

通算UA2700&お気に入り登録50人突破本当にありがとうございます!

遅くなり申し訳ありません!なんとか年内に投稿することができました…今回は前編後編に分かれています、まぁ正直分ける必要が無いくらいの文章量なのですが参考にしているサブタイトルも2話セットだったので…くだらない拘りですがご了承ください

それでは第5話、どうぞ!


見滝原市の街外れ、そこには建設途中で放棄された施設やビルが建ち並んでいる。

今、その一角で銃声が鳴り響いていた…

 

 

「おっと…危ない危ない、良い腕だな、だが無意味だ」

 

「くっ…!同じ条件ならこっちが有利のはずよ!」

 

そういうと巴マミはまた複数銃を召喚すると一斉に発射してくる

 

「全く…だが、その通りかもなっ!?っと…いてて」

 

2発程命中したが、特に致命傷になるわけでもなくビルからビルへと乗り移って逃げる。

 

ちなみにこうなっている原因は魔女の結界を見つけたら偶々鉢合わせてしまったためである。魔女はすでに巴マミに倒されており、なら目的は無いと立ち去ろうとした瞬間、銃が顔を掠めた

 

「貴方を見逃すわけにはいかないわ…!」

 

そういって戦闘に発展、現在に至るという訳である

 

「…(明日は学校だしな…そろそろ切り上げるか)」

 

そう判断すると跳びながらトランススチームガンをライフルモードにする

 

「全く、あの赤い魔法少女…杏子だったか?と同じぐらいの実力と思えば全然違うとは…計算外だったな」

 

もちろん嘘だ、巴マミの戦闘センスは群を抜いている。原作開始前だというのにこの強さ…流石だなぁ…

 

「だが今日、杏子はいないということはあいつは何か予定があるのか、それともこの見滝原市には住んでいない魔法少女ってところか?」

 

「っ!?」

 

「お?図星だったみたいだな…だが今日はここでお暇させてもらおう」

 

「逃がさないわ!」

 

巴マミの周囲に先程よりも多く銃が召喚される

 

「ならこっちは、っと」

 

ガトリングフルボトルをスチームガンに装填する

 

『フルボトル』

 

「ティロ・────」

 

『スチームアタック!」

 

「ボレー!」

 

スチームガンからガトリングのように連射された弾丸がばら撒かれ、巴マミの大量のマスケット銃から放たれた弾丸が衝突する

 

「五分五分といったところか?それでは、チャオ〜」

 

「あっ!待ちなさい!」

 

もちろん巴マミの言うことを聞くはずも無く、スチームガンから出した煙に巻かれてスタークはその場から姿を消した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜家・地下室〜

 

「ふぅ、今回も良い戦闘データが手に入ったな…おい、ハードガーディアンやクローンスマッシュの完成まであとどのくらいだ?」

 

『……………』

 

「ふむふむ、原作開始前までには導入できそうだな、よしいいぞそのまま開発を続けろ」

 

ガーディアンやスマッシュだけでも十分かもしれないがワルプルギスの夜が予想以上に強かったり、またその他の予想外の事態が起こるかもしれないと考えると予防線や対策はいくらでもあった方が良いしな…

さて今週終われば夏休みだ、明日に備えて寝るとしよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日…ではなく終業式が終わり放課後

 

 

さて…ついに夏休みか、この期間の間になるべく実験や戦闘データの収集を行いたいが…それに夏休みの宿題も侮れないしな…何気に考えると転生とか人生もう一回やり直すと夏休みの宿題やらないといけないっていうのも苦痛だな〜、小学校は楽だったから別に良かったが…

 

「…ぉーぃ」

 

いやそんなことよりも、だ…魔女を実験体にした実験は高確率で巴マミか佐倉杏子に遭遇してしまう。いっそのこと擬似的な魔女結界でも開発するか…?

 

「……くん」

 

いや、そんな物データがあっても作れるのか?うーむ、以外と悩むなぁ…

 

「天堂くん!」

 

「はい!?あっ、鹿目さんか…すいません考えごとをしていたもので…」

 

「ちょっと雄介、また考えごとしてたの?」

 

「ん、さやかもいたのか…お二人揃ってどうしたんだ?」

 

「実はね、仁美ちゃんが夏休みのことで皆に話したいことがあるって言ってて…」

 

「仁美とあたしとまどかと恭介と雄介の皆で放課後ショッピングモールに集まろうってわけ」

 

「なるほどな…よし、わかった」

 

話したいこと…?勉強会とかかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ショッピングモール・カフェ〜

 

 

 

「と、言うわけで…皆さん予定は空いておりますか?」

 

と、志筑さんがそう聞いてくる。

どうやら勉強会の話ではなく旅行へのお誘いだった。志筑さんは日々の習い事で溜まったストレスを発散するために旅行を計画したらしいのだが、どうせならば友達と一緒に行ったほうが良いとのことで今日、皆を集めたらしい。

 

何気に友達認定されているのを嬉しく思っている自分がいる

 

「うーん、僕はこの日とこの日なら空いてるかな」

 

「あたしはいつでも大丈夫だよ!」

 

「私も大丈夫…かな?」

 

「自分も今のところ予定が無いので大丈夫だと思います」

 

「わかりましたわ!ならこの日に皆さんで一泊二日の旅行に行きましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして旅行へ…では無く、旅行へ行く前日、俺は恭介と一緒に水着を買いに来ていた。旅行先は海…しかもなんの因縁か、前世の生まれ故郷の場所にある海だった。いわゆる地元である

転生してからは一度も海やプールに行ったことが無かったので結構楽しみだ…

 

「雄介、どんな水着がいいと思うかな?」

 

「そうだな…サーフ型とかいいんじゃないか?それに俺はサーフ型にしようと思ってるしな…お前の事だ、あまり泳がずに海を見ながらバイオリンの曲のフレーズでも考えようとしてるんじゃないか?ええ?」

 

「僕だって流石に泳ぐさ、海なんて滅多に行かないしね、でもそれも悪くないかな…!」

 

そう二人で話していると

 

「あれ?恭介!と雄介も来てたんだ!」

 

「お〜、鹿目さんにさやかに志筑さんじゃないですか、そちらも水着を買いに来たんですか?あとさやかは後でアイアンクローかますからな」

 

「ちょ!?ごめんごめん!あれは洒落にならないからやめてぇ!」

 

「そうなんですの、お二人も今日水着を買いに来たんですの?」

 

「あはは…」

 

いきなり騒がしくなったな…鹿目さんなんか苦笑いしちゃってるよ…全く…

 

その後また別れて、女子男子別に水着を選び始めた。ちなみに恭介は旋律の柄が入っている水着、俺はヤシ柄の白黒の水着を買った…

鹿目さん達の水着は行った時のお楽しみ、らしい

 

 

そして翌日

 

「それでは海に行きますわよ!」

 

「「「「「おー!」」」」」




よくよく考えたら今真冬なのになんでこの投稿者水着回投稿してるんですかね…
あ、ちなまに真夏のTのTはTravelのTです。

それでは皆様来年もよろしくお願い致します!こんな投稿者ですが、この小説を来年もよろしくお願い致します!
それでは良いお年を!

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第6話 真夏のT/海のメモリー

通算UA3600突破&お気に入り登録60人突破!
本当にありがとうございます!

遅くなりましたが…あけましておめでとうございます!!今年もよろしくお願い致します!
1週間に1話投稿を目指しているのですが最近忙しくなって来てしまい…不定期更新のタグをつけるかどうか悩んでいます。

それでは第6話どうぞ!


 

 

「夏だ!」

 

「海だ!」

 

「遊ぶぞぉぉ!」

 

朝早くから見滝原駅から何回か電車を乗り変えて数時間、目的地に着いた俺達は荷物を旅館の人に預けて海に飛び出した

 

「って、あれ?鹿目さん達は?」

 

「まだ着替えてるみたいだね」

 

やべえ…めちゃくちゃテンション上がってたから見られなくてセーフセーフ、てか恭介…バイオリン以外に興味がないと思っていたが案外そうでもなさそうじゃないか…前世では結構ボロクソ言われてたから以外だな…

 

「お待たせ〜!」

 

「あっ!来たみたいだよ」

 

「お待たせしました…」

 

「おっ待たせ…」

 

そう恭介と話していると鹿目さん達が来た

おお…鹿目さんの水着はやはりというべきかピンク色のフリルの水着だった。かわいい、とてもかわいい…もちろん声には出さない、出したら色々な意味で終わる。というよりいくら女子中学生だからと言ってもお洒落過ぎないだろうか、この世界は前世とは違い建築物や人のセンスのレベルが高い。

さやかの水着は…オレンジ色のビキニにホットパンツを身につけていた。

以外だな…鹿目さんや志筑さんのように自分の髪の色に合わせてくるかと思ったが…以外だったな、それにホットパンツって…やっぱりこの世界の人達はファッションセンス高すぎないか…?いや、俺がオシャレに興味が無いだけで普通なのだろうか?

そして志筑さんの水着は…さやかと同じビキニタイプだ、色は緑、さやかと違い普通に水着だけを着ている。うむ…ある意味安心した。それが普通なんだよ…というかなんで、さやかと志筑さんは息切れしてるんだ…?

 

「そういえばどうして二人とも息を切らしているんだい?」

 

と恭介がさやかと志筑さんに聞く

 

「あ、あはは…実は仁美が…」

 

「あ、あれはさやかさんが…!」

 

「なんだなんだ?ちょっかい出し合ってキャットファイトみたいなことしてたのか?」

 

「「ぎくっ」」

 

「ええ…図星…?」

 

「雄介、キャットファイトってなんだい?」

 

「ん?ああ、それは…「わー!わー!」」

 

「ちょっと、雄介!恭介に変な知識を入れようとしないでよ!?」

 

「すまんすまん…あれ?鹿目さん顔赤いけど大丈夫?」

 

「へえっ!?う、うん大丈夫だよ!」

 

「あんたが原因のくせに何言ってるんだか…」

 

「えっ…もしかしてまた心の声みたいなの出てた?」

 

「さっき、まどかさんの方を見てかわいい…と何度か仰っていましたよ?」

 

「oh…」

 

馬鹿野郎ぉぉぉぉ!俺は某29歳独身心火を燃やすライダーじゃねぇんだぞクソッタレぇぇぇぇぇぇ!心の声ダダ漏れってもうこいつ終わってんな…いかん!なんとかしてこの状況を打開しなければ……

 

「えと、あのすみませんいきなりかわいい、かわいいって…いや本当にかわいいんですけど、気持ち…悪かったら本当にすみません…」

 

「う、ううん!全然!か、かわいいって言われて嬉しかった、かな…」

 

と、頬赤らめて言ってきた

 

「」

 

やめてくれ鹿目さん…その表情は俺に効く…

 

「おやおや〜?お二人さんお熱いですな〜」

 

「か、からかわないでよ!さやかちゃん!」

 

ものすごく自分の体温が上がっていくのを感じる。前世でもこんなに上がったことは無かったな…

 

「じ、じ自分!海入ってきます!」

 

そうだ、海に、逃げよう

 

「あっ、待ってよ雄介!僕も!」

 

「準備運動しないと危険ですよお二人ともー!」

 

「いこっ!まどか!」

 

「うん!」

 

こうして、真夏の海での遊びが始まった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それそれ〜!」

 

「きゃっ!、お返しだよ!」

 

「お二人とも隙あり!ですわ!」

 

「うわぁっ!」

 

女性陣は水を掛け合って楽しみ、男性陣は…

 

「〜〜、〜〜〜〜〜」

 

「〜〜…!ぶはっ!」

 

「俺の勝ちだなぁ、よく我慢したほうだったぞ恭介?」

 

「よくそんなに息を止めて潜れるね…コツとかがあるのかい?」

 

水中でどっちの方が長く潜れるかを競っていた、またある時は…

 

「左だよまどかー!」

 

「行き過ぎですわ!まどかさん、もう少し右です!」

 

「ふ、ふらふらするよ〜、スイカこっちじゃないの〜?」

 

「もう少し左寄りじゃないかな?」

 

「ちょ、鹿目さん!そっち海ですよ〜!」

 

「え!きゃっ!冷たい…えへへ」

 

スイカ割りを楽しんだり

 

 

 

 

 

 

 

そして夜、旅館では…

 

 

 

「さあ、さやか…どっちを取る?」

 

「こっち….いや!こっち…?」

 

「さぁどうする?どっちか二つ…当てれるかな?」

 

「くっ…!これだぁー!」

 

「…残念でした!くぅ〜お疲れ様です!」

 

「また負けたぁぁぁぁ!!」

 

「これで5連敗目ですわね…」

 

「あはは…(さやかちゃん顔に出やすいんだよね)」

 

「さやかはババ抜き弱いからなぁ…」

 

「何をー!だったら今度は全員でいざ、勝負!」

 

定番のトランプで遊んでいた、ちなみにこの後もさやかはビリだったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皆が寝静まった時間、俺はあまり寝つけず砂浜に来ていた。

理由は元々、前世でもそうだったのだが自宅以外の寝床だとあまり眠れないのだ、理由はわからない。

懐かしいな…前世だとよく海が見えるホテルや旅館だと窓から夜の海を見て黄昏たり、砂浜に散歩したりしたもんだ…今もしてるけど。

そう昔の思い出に浸っていると。

 

「あ…天堂くん」

 

そう声をかけられて振り向くと、パジャマ姿の鹿目さんがいた

 

「ああ、鹿目さんでしたか、鹿目さんも寝つけれなかったんですか?」

 

「うん、家以外だとちょっと…」

 

「あー、わかります!自分もそうなんですよね〜」

 

そう鹿目さんと砂浜に座りながら他愛無い話をしていたら

 

 

「取り柄?」

 

「うん、ほら私って鈍臭くてなんの取り柄も無いじゃない?…さやかちゃんは元気で明るくて優しいし、仁美ちゃんは美人で大人っぽくて、上条くんだってバイオリンがとっても上手だし、天堂くんだって頭が良くてさやかちゃんみたいに優しい、けど私は…」

 

突然、そんな事を話してきた

その事に俺はこう反応した

 

「ははっ、鹿目さんは中々面白い事を言うね」

 

「ええっ!?ひどいよぉ〜私だってとっても悩んでるんだよ?」

 

「ああ、すいません、鹿目さんに何の取り柄も無いというのがちょっと面白くて…いいですか、鹿目さん。確かにさやかは明るくて接しやすい奴ですし、志筑さんも美人で上品で大人っぽさがありますね、恭介は逆にバイオリンぐらいしか取り柄がないかもしれないけど…、俺は…まぁ鹿目さんがそう言ってくれるならそうなのかもしれません。でも俺からすれば鹿目さんだって誰にも負けない取り柄、持ってるじゃ無いですか!」

 

「そう…かな?」

 

「鹿目さんの取り柄…俺から言わせてもらうならずば抜けた優しさです、確かにさやかや志筑さん、恭介だって優しいですが、鹿目さんはその中でも随一です。相手を常に気遣ったり、心配したり…それにクラスで初めての席替えをした時に友達になろうと言ってくれたりしましたよね?」

 

「うん!でも…きっとさやかちゃんとかでもそう言ったと思うよ?」

 

「そうかもしれませんね、けれども俺は鹿目さんにそう言ってもらった時、とても嬉しかったです。きっとあの時、友達になろうと言ってくれなければ俺はここには居なかったでしょう」

 

「そんなことないよ!天堂くんなら…」

 

「ありません」

 

「あるよ!」

 

「ありません!」

 

「あるよっ!」

 

「「………」」

 

「ふふっ…」

 

「ははっ…」

 

「まぁ…俺が言いたいことってのは結局、鹿目さんはもっと自信を持っても良いということです、言われてすぐ持てるものでもないし俺が言えたことでもないかもしれませんが…俺はそう思います」

 

「天堂くん…うん、ありがとう!私も自信持てるようがんばるね!」

 

「はい…、おっ、今日は月が綺麗ですね…海に反射、して、道みたいに…じ、自分戻りますね!鹿目さんもそろそろ寝たほうがよいですよ!それでは!」

 

「う、うん!おやすみ!天堂くん!」

 

その時、二人の顔は少し赤かった

 

 

 

 

 

 

ヤバイな…自分で言ってて恥ずかしくなってつい逃げてしまった…もうダメだ今日は寝よう…

 

 

 

 

 

 

二日目、チェックアウトをし、荷物を持ちながら駅までの道を歩く

 

「一泊二日、一瞬だったな…」

 

「そうだね…でも良いフレーズが思いついたよ」

 

「やっぱり考えてたんだな、お前」

 

そう駄弁っていると、さやかから声がかかる

 

「おーい!二人とも〜!置いてくよ〜?」

 

「そうだ!皆様最後に記念撮影致しませんか?」

 

と、唐突に志筑さんが提案する

 

「お!いいねぇ〜、なら、まどか!隣に来て!」

 

「うん!」

 

「なら、俺ら後ろだな」

 

この真夏の旅行…転生してこんなに楽しい思い出を作ることができて本当に良かった…さてと!

 

「では撮りますわよ!」

 

「「「「「はい、チーズ!」」」」」

 

 

 

 




ぐぬぬ…やはり原作キャラを書くのは難しいですね…違和感あったかもしれませんが現状の主にはこれが限界です…!語彙力なくてすみません!ですがこれからも皆様に見やすく違和感がないようにキャラを書いていきたいとも思っています!

誤字脱字報告・感想お待ちしております!

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第7話 改変・小さき少女は生き延びた

通算UA4900人&お気に入り登録者数70人突破ありがとうございます!!

大変遅れて申し訳ございませんでした!!!!
学校、バイト、ゲームのイベント等で忙しく中々小説が書けず…一週間に1話どころか3週間に1話になってしまいました…

今回は急展開?&多分シリアスです
それでは第7話どうぞ!


 

 

 

 

 

 

 

 

〜家〜

 

天堂は顔面を真っ青にして、洗面台に這い蹲るように顔を突っ込んでいた

 

「うっ、うっ…ぁ、ぁあ、かっ、おごっ、おええええええええええ…、ごほっ、げはっ!」

 

風邪や病気にかかったわけではなく、変なものを食べたわけでもない。

 

何故こうなっているのか、それは今日の朝にさかのぼる…

 

 

 

 

 

 

 

夏休みが終わり、9月のテストなどを終え、それからまた色々あって現在は10月の中頃、この日は偶々ラーメンが食べたいなと思い、ふと、そういえば風見野市には美味いラーメン屋があった、という話を思い出したのが始まりだった。

 

「よし、これでいいかな…」

 

と荷造りをして風見野市に行く準備を終え時

 

プルルルルル

 

と電話が鳴った

 

「はい、もしもし天堂です」

 

『あっ、雄介かい?』

 

電話の相手は恭介だった

 

「おおっどうした恭介、何か用か?」

 

『うん、実は今日良いフレーズが思いついたんだけど今家に誰もいなくてね…良かったら聴いてくれないかい?』

 

「ふーむ…なるほどな、嬉しい誘いだが申し訳ないけどまた今度の機会にしてもらいたいな、今日は予定があるんだ」

 

今思えばこの誘いを受ければ良かったのだろうか…しかし受けていればあの子は…とりあえずその時の俺は恭介にこう返した

 

『そっか…それじゃあ仕方ないかな…』

 

「おっと待て待て、ならさやかに聴かせてみたらどうだ?」

 

『さやかに?でもなんか申し訳が…』

 

「俺を誘っておいてよく言うよ、確かに男同士のが話しやすいかもしれないが、お前とさやかは幼馴染なんだろう?たまには構ってやれよ、それにさやかなら多分喜んでお前の家に行くと思うぞ?」

 

『そうかなぁ…、うん、わかったよ!ありがとう雄介!じゃあ明日学校で!』

 

「おう、じゃあな」

 

ガチャ

 

原作の恭介は確か恋愛とかよりもバイオリン一筋って感じだったからなぁ…今のうちに少しでもバイオリン以外に意識を向けさておきたいところだ…

さて、じゃあ今度こそ、出発だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見滝原市からバスに乗り、数十分…というか今更ながらバスのデザインもすごいな…ロンドンバスのような二階建てでしかも二階部分は屋根が無いオープンタイプだ、近代化都市とはいえ幾ら何でも混ざりすぎやしないか?そう思いながらバスに揺られていると、次は風見野というアナウンスが流れ、ボタンを押し、下車した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて…ラーメン屋を探さなきゃな、多分チェーン店では無いだろうからどうしたものか、とりあえず風見野市を散策しながら見つけるか…

 

 

 

 

 

数時間後…

 

 

 

 

 

 

 

天堂は公園のベンチでチョコ菓子を食べながらぼやいていた

 

 

「あぁ〜見つからねぇ…」

 

もうかれこれ数時間探してるがそれらしき店が全然見つからないぞ…ないことは無いとは思うんだがな…あん?

 

そう考えていると視線を感じ、そちらに顔を向けると

 

髪を頭頂部で結びおっとりした目つきの女の子がこちらをじっと見ていた。

いや、俺を見ているというよりは俺が食べようと思って取り出した二つ目のチョコ菓子…チョコサンダー、まぁ所謂前世でいうブラ○クサンダーだろう…に目が向いていた。

 

チョコサンダーを持った右手を上、下、左、右と動かすと女の子の目も上、下、左、右と動く

 

「…これ、食べる?」

 

「いい…の?」

 

「どうぞどうぞ」

 

そういうと女の子は俺の右手からそっとチョコサンダーを取り、食べ始めた

 

「おいしい!」

 

「ほ〜、いい食いっぷりだねお昼食べてなかったのかい?」

 

「ううん、ひさしぶりに食べたの!」

 

「そ、そうなの?」

 

「うん!」

 

 

おうふ…確かによく見て見ると服が所々汚れているし髪もかなり痛んでるな…聞く前に気付くべきだったな

 

「なんか…ごめんね、ところで美味しいラーメン屋が風見野にあるって聞いたんだけど知らないかな?お兄ちゃん見滝原から来たからこの辺りの事知らないんだ」

 

話題を変える為に言ったけど多分知らないよな…

 

「そーなんだ!らーめん屋さんならむこうの方に行けばあったよ!」

 

と、ラーメン屋がある方へ指を指す

 

「本当かい!?そうか、向こうの方だね?助かったよ…じゃあ残りのチョコサンダーは君にあげよう!」

 

そういってチョコサンダーが入っているビニール袋を渡す

 

「いいの!?」

 

「ああ、結構多く買っちゃったし余ったら家族と一緒に食べるといいよ」

 

そういうと女の子はベンチから飛び降り

 

「ありがとう、お兄ちゃん!」

 

と言うと走って公園から出ていった

 

「よし、俺もラーメン食いに行くか」

 

そして俺もベンチから立ち上がり、ラーメン屋に向かう。

それにしてもあの女の子…どっかで見たような…まぁ、あとで考えるか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ〜!」

 

ようやくラーメン屋に辿り着くことができた…さっさと注文頼もう

 

「お客さん、何にします?」

 

「あー、塩…いや、醤油一つお願いします」

 

「はーい!醤油一丁!」

 

塩でもいいが、とりあえず醤油にしておこう。店内は丁度昼時なのでやはり混んでいるが、チェーン店程では無い…いや、混み具合で味は決まらないまず食べて見なければ…

 

数十分後

 

「ど〜ぞ!」

 

と頼んだ醤油ラーメンが運ばれてきた

 

「よし!いただきます」

 

割り箸を割り、麺を啜る

 

ッ!?この麺…スープに良く絡んで…いや、それだけじゃ無い!この独特のスープの麺の相性がまさにベストマッチ!前世でもこんな美味いラーメン食べたことねぇ…麺が、麺が喉に吸い込まれていくッ!これは…マジヤベーイ!としかいいようがない!美味すぎて頭がオーバーフローしそうだッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございやした〜!」

 

ふぅ…美味かった、しかしもうちょいラーメンの値段上げても良いと思うんだがな…う〜ん。このまますぐ変えるのもなんかな〜夕方ぐらいまで適当に散策して帰るとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時は過ぎ…

 

〜風見野市〜夕方〜

 

よし…そろそろ帰るか、しかし少し町外れの方に来たな…それに風見野だってのに佐倉杏子を一度も見かけなかったな…まぁいい、さて、バス停に向かうか…

 

「ーーーー!」

 

「ー、ーーーーーー!」

 

「ーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 

……なんだ?怒鳴り声?向こうの方からかな?

 

と、少し小走りで怒鳴り声がする方へ向かっていく、すると

 

「あれは…教会…か?」

 

左右に木が並ぶ一本道の向こう側に少し大きめの教会があった。

急ぎ足で並木道を駆け抜ける

近づくにつれ教会の全容が見えてきた、見た目はかなりボロボロで掃除されてはいないのだろう…いや、この教会を俺は知っている。

間違いない、佐倉杏子の家族が住み、営んでいる教会だ

 

教会の中の様子を割れている窓から覗く

 

そして俺の目に飛び込んできたのは

 

 

 

 

赤、赤、赤、赤、赤

 

入り口の付近の床に、壁に、倒れている女性から噴き出たのか、その女性を中心に血だまりが出来ていた、そしてそれを見下ろす神父の服を身に纏い、右手に包丁を持った男性、その顔は人を殺したというのに狂った笑みを浮かべていた

 

「うっ…おえぇ」

 

急な吐き気に襲われる

当たり前だ、前世は昼間から酔っ払ってぶっ倒れて頭から血を流し救急車に運ばれる奴を見たことがあった、しかしその時は恐怖よりもバカだな、とかアホなのか?という感情があって特に何も思わなかった

 

しかし今はどうだ、今、目の前で殺人が行われている。アニメやニュースでは何も感じなかったというのにいざ目の前で起こると恐怖で足が動かない。

 

どうする…?いや待て…確かこの後佐倉杏子の父は首を吊って自殺してしまう筈だ…止めなければ…いやでも止めてどうすれば…?

 

 

「ひっ…ひっぐ、たすけて…」

 

この声…公園のいた…あああ…そうか、そうだ佐倉杏子に妹がいた、ようやく思いだした!

 

もう一度窓から中を覗き見る

 

そこには泣きながら扉にふらふら向かう杏子妹と狂笑しながら包丁をふりかぶる杏子父がいた

 

まずいまずいまずいまずい!どうする!?あの子を救う方法は…ッ!

 

……………

 

いや待て、いけるいけるぞこの身体とこの方法なら!

 

よし…行くぞ、行くぞォッ!

 

 

手にはトランススチームガンを持ちもう片方の手にはライトフルボトルを持つ天堂の身体がほのかに赤く光り始める。すると目にも留まらぬ速さで赤い残像を残しながら教会の扉の前まで移動し

 

『フルボトル』

 

ライトフルボトルをスチームガンに装填

そして扉を蹴り開け

 

『スチームアタック!』

 

床に向かってスチームアタックを放つ、その瞬間教会が閃光に包まれた

 

「アアッ!?」

 

「ま、まぶしい…きゃっ!?」

 

杏子父が目を眩ませている隙に杏子妹を抱え、すぐ様教会から脱出、そして天堂の足元からアメーバ状の赤い何かが出された、それは段々と人の形に変形し杏子妹になった所謂擬態である

 

「はあっ…はあっ…うわあああああ!!」

 

俺はスチームガンから煙を撒き家と戻った…

 

エボルトの能力を利用して、杏子妹を救出、杏子父は俺が作った杏子妹の擬態をおそらく殺すだろう。それを見届けて家へ撤退する計画だったが…今回はかなり焦っていたため思い通りにはいかなかったな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

回想終わり、これが今日起こった出来事だ…結局俺は佐倉杏子の父の自殺を止めることはできなかった。それどころか佐倉杏子の母が殺されるのも止めることができなかった

 

「なんの為の転生特典だ…なんの為の前世の記憶だ…こんな事ならばもっとまどマギについて知ってから死にたかった…いや、それだけじゃない…親孝行だってしたかった…!あと…」

 

だめだめだ、前世の未練や後悔が蘇ってくる。切り替えなけば…

 

口を洗って洗面所を出て、一階にある空き部屋に向かう

 

ドアを開けると助けてきた杏子妹が寝息をたてて寝ている。助けた後すぐ眠ってしまったからだ

 

この子はどう過ごしていたのだろうか、佐倉杏子の父は酒に溺れ、家族に暴力を振るっていたと聞く、昼の時に久しぶりに食べた、といっていたのは菓子ではなく食べ物を久しぶりに食べたという意味かもしれないな…

 

「ぅ…ぅん?ここ…どこ?」

 

「目が…覚めたかい?」

 

杏子妹が目を覚ました、しばらくボーッとしていたが、だんだんと目が潤み、涙をポロポロとながし始めた

 

「ぁ…あぁ…ひっ、ぐ…うわぁぁぁん!!」

 

杏子妹は大きく泣き出した、暴力を振っていたとはいえ家族は家族、そして目の前で母親を殺されたのだ、この年齢なのに泣かない方がおかしい

俺ができることは泣いているこの子の涙を拭いてやることぐらいだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「落ち着いたかい…?」

 

「……うん」

 

現在は空き部屋…ではなくリビングに移動していた。

 

「ホットココア…飲めるかい?」

 

「うん、ありがとう…」

 

ホットココアをつくり、テーブルにおく

 

「……」

 

「……」

 

沈黙が痛い

だが俺はカウンセラーでもなければ相談センターで働いていたわけでもない、ただの社会人だ…孤独になってしまった子供のケアの仕方など全くわからない…いや正確には佐倉杏子がいるから孤独になってしまったわけではないが…これからどうする…この子をずっとこの状態にさせておくわけにはいかない…元気を出させなければ…

 

「どうして…」

 

「ん?」

 

「どうして…お兄ちゃんは私をたすけてくれたの?」

 

「どうして…どうして、か…本当に偶然だったんだ、帰ろうと思ったら…怒鳴り声がして、それでその声がするところに行ったら君がいたんだ、俺は怖くて足がすくんでたのに君の、助けて、という声を聞いたら、助けなければって思って…誰かの命が目の前で失わそうになると、自然に身体が動いちゃう感じの人なのかも知れないね…俺は」

 

「…ありがとう」

 

「え?」

 

「お兄ちゃんがいなかったら私しんじゃってんたんだよね、しんじゃうってとてもいたくて…悲しいんだよね…だから、ありがとう」

 

……この子強すぎないか?俺だったら親が死んだら一週間、一ヶ月ぐらい立ち直れなさそうっていうのに…俺にお礼を言ってくれるなんて…よし、なら俺もこの言葉を送ってみよう

 

「ええと…君の名前聞いてなかったね、良ければ教えてくれないかい?」

 

「モモ…佐倉モモ、お兄ちゃんは?」

 

「俺は天堂雄介、ところでモモちゃん…本当に酷いことを聞いてしまうのだけれど、モモちゃんの家族は教会にいたお母さんやお父さんだけなのかい?」

 

「ううん、お姉ちゃんがいるよ」

 

「そっか…まだ、お姉さんが残っていたんだね…良かった…モモちゃん、君にお願いがあるんだ」

 

「おね…がい…?」

 

「できればすぐにでも君のお姉さんを探して、合わせてあげたい、でももうこんな時間だ流石に夜に君を連れて行くわけにはいかない危険だからね…だからお姉さんが見つかるまでこの家で暮らしてくれないか?」

 

「え…いいの?」

 

「ああ、もちろん…」

 

ぐぅぅぅぅぅぅ…

 

と、お腹が鳴る音がした、音の主は…モモちゃんだ

 

「あ…」

 

「あはは、お腹すいてるよね?材料もあるしハンバーグでも作ろうか」

 

「ハンバーグ…?それってお肉!?」

 

「ああ、もちろんさ、お腹いっぱいにしてあげるからね」

 

「お肉…!やったー!」

 

……杏子父も杏子母も救えなかったが、それでも杏子妹…モモちゃんは救うことができた、今はそれで良しとしよう…もう二度と誰も失わせないと、改めて俺は決意を固めた

 

 

 




ということで、杏子妹こと佐倉モモちゃん生存ルートです、良かったね杏子ちゃん!まだ家族がいるよ!
それはそれとして、当小説ではモモちゃんの書き方はこのように書いていきますご了承ください
シリアスを書くのって難しいですね…本当に、まず書けているかが一番不安というところですが…
さて…これからは一週間に一度の投稿が厳しくなっていきそうなので不定期更新にさせていただきます、見てもらっている皆様、お気に入り登録、投票をしてくれている皆様大変申し訳ございませんのですが、どうかご了承を

ゆっくりシロッコさん 第四真祖さん エグゼさん 笑う男さん 冷めた月さん 三三さん Neo-aspectさん アーペさん GONさん XILLIAさん 勉強しないやつさん
お気に入り登録ありがとうございます!!

誤字脱字報告・感想等お待ちしております


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第8話 エボル・ウィズ・ローズガーデン

サブタイトル考えるの難しいぃ…

さて、今回はようやく待ちに待った(?)エボルの登場です!

通算UA5000人突破(現在6200)&お気に入り登録者数100人突破ほんっっっっっっっとうにありがとうございます!こんなに見てもらえると思ってもいなかったです…!

それでは第8話どうぞ!


 

 

 

 

佐倉モモを保護してから一週間が経った、未だ佐倉杏子を見つけることが出来ていない…というのもこの1週間色々大変だったのだ…

 

モモちゃんの孤独をどうにか埋められないかと悩んだ末、俺は何を血迷ったのか地下室にモモちゃんを連れ出したのだ、もちろんだが地下室にはガーディアンやスマッシュがいる。

しかし彼女は今孤独だ…だからその孤独を埋められないかと考えついたのがこの策だった。ほ、ほらスマッシュとかにも可愛い感じのいるでしょ?(個人的な視点)

 

結果は怖がって大失敗…と思いきや驚くことにそうでもなかったのだ

最初の方は怖がっていたが、俺がガーディアンやスマッシュに組体操させたり変なポーズさせたりと、こいつらは全然怖くないぞ、というアピールをさせていくうちに段々と打ち解けてきたのだ…打ち解けたんだけど…

 

「すすめー!はいやー!」

 

「ーーーーー…!ーー…」

 

モモちゃんに馬乗りにされているストレッチスマッシュ、声にならない抗議の声を上げるが哀れ、当然逆らえない…まぁ別にもはや日常茶番時だから気にしないようにした。

 

モモちゃんの孤独感や寂しいという気持ちを紛らわせることが一番大変だったことだが、個人的にとても大変というかドキドキしたのは鹿目さんが家に来たことである。

当然だが家の中には入れていない。何しろ佐倉杏子を探す時間、モモちゃんのケアの為の時間を確保する為に担任の早乙女先生に

 

「すみません先生ゴホッ少し早めのインフルエンザにかかってしまい…ゴホッゲホッ…ですから…」

 

と、仮病を使って学校を休んでいたのだ…鹿目さんが来た時は仮病がバレたか…!?と思ったがどうやら違うようで

 

「本当は皆でお見舞いに行きたかったんだけど、仁美ちゃんは習い事で、恭介君は今日どうしても外せない事があるって…さやかちゃんは珍しく家の用事があって来れなかったの…だから私だけでもって思ったんだけど…ほ、ほら!私保健委員だから…、そのっ…迷惑…だったかな?」

 

「ゴホッいえいえ、むしろとても嬉しいです、移ってしまうかも知れないのにわざわざ俺なんかの為に来てもらってしまって…申し訳ないです。」

 

「そんなことないよ!あ、これ皆からだよ!お大事にって」

 

といって、お菓子や冷えピタ、清涼飲料水の入ったカゴを渡してきた

 

「おお…ちょうど切らしていたんですよ、ありがとうございます…ゲホッ、あぁそうだ、鹿目さん治ったら俺がいない間の授業の内容とノート見させてもらえませんか?」

 

「うん、いいよ!私に出来る事があったらなんでも言ってね、それじゃあお大事に、天堂くん!」

 

と言って帰っていった

 

……前世でも仮病を使って休んだことはあるが罪悪感を覚えるのは初めてだなぁ…今度埋め合わせでもしようかな、皆に

と思っていると

 

「お兄ちゃん、さっきの人お兄ちゃんのお友だち?」

 

「え?ああ、そうだよ」

 

「私もあの服と同じ服きた人が家にきたことあるよ!お姉ちゃんのお友だち?のマミさんって人!」

 

「へぇ〜そうなのか、マミさん、ねぇ〜いやー、見たことないなぁ〜(マジか…そんな展開あったけ?いや、多分俺が知らないだけだろうな)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、まぁ色々?あった1週間だったわけなのだが…え?結局佐倉杏子は見つけたのか?だって?

見つからないんだよ!!ガーディアン配備させても!見滝原か風見野にいるかわからないんだよ!

 

だから…今は腹いせに魔女を探しています。

最近色々ありすぎて訓練や魔女退治なんてしていなかったからそろそろ再開しないと…と思ったしね、ちなみにモモちゃんは地下室でスマッシュとかと戯れている。一緒に行きたいと言われた時はヒヤヒヤしたが明日メンチカツや色々作るから許してくれと言ったらなんとか収まってくれた…やはり食べ物は偉大ってはいっきりわかんだね

 

さて…15時ぐらいから歩き回って今は夕方、以外にもショッピングモールにあったりしそうなんだが…

 

「お…あれかな…?って、ああっ!?」

 

魔女の結界の入口を見つけたが同時にその中に見滝原中の制服を着た人が入口に吸い込まれるように入って行ってしまった、ヤバいヤバい!急がないと…!

俺は急ぎ足で魔女の結界の入口の前まで行き、躊躇なく飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

〜魔女の結界内〜

 

魔女の結界内は余り外の廃ビルと対して変わらなかった、強いて言えば辺りに進入禁止!と英語で書いてある事ぐらいである。

そうやって魔女の結界内を見回していると

 

「きゃああああ!!」

 

向こうから悲鳴?まさかもう魔女に捕らわれたのか…?しかもこの声…まさか鹿目さんか!?

 

「クソッ!」

 

ふと、周りを見ると使い魔が少ない、もしかして鹿目さん結構奥の方まで行ってしまったのだろうか…?

急がなければ…!

 

鞄からトランススチームガンを取り出し…出し…ん?なんかこのトランススチームガン銃ぽく無いぞ…?

 

と思いそれを鞄から取り出す。その正体は…

 

「エボルドライバーじゃねぇか!!!!」

 

何をどうしたらトランススチームガンとエボルドライバーを間違えるのだ俺よ…いや、まぁいいか、どちらにしろ今は急がなければいけないし将来的にも使うのだから好都合だ…エボルボトルは…あったあった

深く息をする…行くぞ!

 

『エボルドライバー!』

 

勢いよくエボルドライバーを腰に巻きつけ…

 

『コブラ!ライダーシステム!エボリューション!!』

 

コブラエボルボトルとライダーエボルボトルをセットする

レバーを回すと同時に交響曲第9番第4楽章が響き、エボルボトルからパイプが伸びその中をボトルの成分が通り、俺の前と後ろに靄がかかったボディを生成する

 

『Are you ready?』

 

「変身!」

 

『コブラ!コブラ!エボルコブラ!!』

 

『フッハッハッハッハッハッハ!』

 

「エボル、フェーズ1…完了」

 

そこには全身の装甲の一部に天球儀や星座早見盤等の宇宙関連器具のようなものがあしらわれており、その顔はコブラが口を開き牙を剥く様子がモチーフの怪人の様な戦士…仮面ライダーエボルが立っていた。

 

さて、行くか…っとその前に

 

指を鳴らしガーディアンを2体程呼び出す

 

「お前らはここで誰かが入らないように見張っておけ、いいな?」

 

「「…!」」

 

「任せたぞ…!」

 

そう言うと天堂は赤い残像を残しながら結界の奥へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女は恐怖に顔を歪めていた、友人と共にショッピングモールに来た筈なのに、いつの間にかはぐれ、ボロボロの建物のような場所に迷い込み、たった今、体は棒人間のようで顔は綿に髭が生え、鋏を持っている謎の怪物に殺されかけていた

 

「あ…ああ……っ!だ、誰か…」

 

少女は助けを求める、しかし無慈悲にも鋏は少女に向かって──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────いく事は無かった。

 

謎の怪物が一瞬にして消し飛んだのだ、少女は恐る恐る目を開け、目の前にいる人型を見た

 

「うぅ…だ、誰…?」

 

「………安心して鹿目さん…今は…お休み…」

 

と、その人型は優しく語りかけてきた

 

「天…堂くん…?………。」

 

「鹿目さん…!?…気絶したのか」

 

ふぅ…なんとか間に合った、しかし使い魔を思いっきり蹴り飛ばしただけで消し飛ぶとはな…まぁこんなもんじゃ気がすまないけど

 

ワラワラと魔女の使い魔が沸いて出てくる…こいつら…確か薔薇園の魔女ってやつの使い魔だったか、だったら消すのは不味いか…?いや、グリーフシードを巴マミか佐倉杏子に渡せば使った後キュウべえに渡してまたキュウべえが振りまくだろう…だとすれば問題無しだな、心置きなくやれる。今更だが魔女が元々は魔法少女、ということは知っている、しかし魔女から魔法少女に戻す方法なんて分からないし、出来たとしてもその魔法少女の身体は既に無いだろう…嫌な事に俺もキュウべえと多少は同じ考えなんだな…魔女になってしまった以上はもう人では無いんだ、きっと。

それにそうだろうがそうじゃ無かろうが、友達を…鹿目さんを殺しかけた罪は重い…確か、この魔女は自分の結界を荒らされるのが大嫌いなんだったか…良い事を思いついた

 

指を鳴らし、何時ぞやの時のようにキャッスルハードスマッシュを4体呼び出す。

 

「いいか?鹿目さんを絶対に死守しろ、少し余裕ができれば、この周りを適当に攻撃して荒らしておけ」

 

そう言うとスマッシュ達は鹿目さんを囲むように座り防御体制に入った

 

よし…さてと、宴を始めるとするか…!

 

 

 

 

 

向かってくる使い魔達をスチームブレードで斬り払いながら魔女の結界内を進んで行く

 

「面倒だな…あぁ、そうだ」

 

コブラエボルボトルを一旦抜き、ガトリングフルボトルを代わりにセットする

 

『機関砲!ライダーシステム!クリエーション!!』

 

すると二つのボトルからエボルの手元にパイプが伸び、タカの意匠が取り入られた、銃型の武器が形成された。

 

『Ready go!』

 

『機関砲フィニッシュ!!』

 

『チャオ!』

 

「失せろ」

 

10!(テン) 20!(トゥエンティ) 30!(サーティ) 40!(フォーティ) 50!(フィフティ) 60!(シックスティ) 70!(セブンティ) 80!(エイティ)90!(ナインティ)

 

100!(ワンハンドレッド)フルバレット!!』

 

ホークガトリンガーの銃口部分に光が収縮していく、そしてトリガーを引くとタカの姿のエネルギー弾が大量に放たれ、魔女の使い魔達を蹂躙して行った。

 

「次だ、次…ん?あれか」

 

使い魔を全滅させ、走っていると扉が見えてきた。

 

そのまま扉を蹴り壊して、中に入る…そこには

 

「¥%☆°〆#€*°♪!!」

 

怒り狂った魔女がいた、侵入者に気づいた魔女は自分の結界を薔薇園を荒らした俺を今にも殺さんと緑色に薔薇をいくつか着けたデロンとした顔面をこちらに向けている。

 

「おいおい…まだ怒るなよ…もっと怒らせてやるからよ…」

 

『ドライヤー!ライダーシステム!クリエーション!!』

 

『Ready go!』

 

『ドライヤーフィニッシュ!!』

 

『チャオ!』

 

エボルの右手に高熱が纏われ、勢いよく薔薇園の魔女に向かって振り下ろされる。

放出された熱線は魔女、そして周りにある薔薇や草を燃やして行く

 

「/#%○¥☆$%#@<×¥1¥€€!!?」

 

熱線に焼かれながらも魔女は怒かり狂いながら、触手を伸ばして反撃をしてくる、が

 

「フンッ!」

 

魔女の元へ飛び降りながら触手をスチームブレードで捌き、手につかんだ触手を崩壊毒で滅していく。

そして魔女の前へ降り立つと、ついに魔女はその巨体をながら跳び上がり、突進をしてきた…が、それがその魔女の運命を決めてしまった。

 

「終わりだな…」

 

ベルトのレバーを回しながらそう言った。

 

『Ready go!』

 

『エボルテックフィニッシュ!!』

 

『チャオ!』

 

飛び掛かってきた魔女はそのまま膨大なエネルギーを纏った蹴りによって壁に激突、大爆発を起こし、跡形もなく消し飛んだ…グリーフシードを残して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うんしょこらしょっと…ふぅ…」

 

人気のありそうな場所まで鹿目さんをおぶって連れて行き、近くにあったベンチに寝かせる…あとは誰か同じ中学校のやつを見つけて引き渡す…前にやらなければいけない事があった。

 

「ごめんな…鹿目さん、君はまだ魔女を知っちゃいけないんだ…あと俺がエボルってことにも…ね」

 

鹿目さんの頭に触り、魔女に襲われた出来事等の記憶を消しておく…やっぱ便利だなエボルトの能力は。

さてと…あとは同じ中学校のやつを見つけるだけ…なんだが…

 

「まどか、まどかー!どこー!?」

 

お…思ってる側から来てくれたか…よし、こっちに気づいた!

 

「あっ!雄介っ、聞いて!まどかが…」

 

「落ち着け…鹿目さんならさっき倒れていたところを見つけて、さっきそこのベンチに運んだぞ」

 

「これが落ち着い…え?本当!?」

 

「本当だ、早く行ってやれ、多分そろそろ目覚ましそうだったし、男がいるより女が近くにいた方が良いだろ?俺は申し訳ないが、少し急ぎの用事があるんだ…じゃあな」

 

「う、うん…?わかった、あっちにいんのね!?………って!あんたインフルエンザじゃなかったの!?」

 

「あー、いやもう治りかけだし、大丈夫かなぁって思ってな、あははは…」

 

「ったく…でもあんたがいて助かったわ…それじゃ!」

 

「ああ、じゃあな」

 

 

 

と、さやかはベンチの方に走り去っていった

………今日はもう少し探索するか、エボルの実戦データがもう少し欲しいしな。

 

 

そんな事を思いながら、天堂は夜の街を歩いていった。

 




というわけで!第8話いかがだったでしょうか…?


psp版のマミルートから
まどかが魔女の結界に入り込んでしまい、マミさんに助けられるというこの展開はマミさんが3年生の時なのですが、時期を早める&内容を少し改造&天堂にすり替えてしまいました。不快に思われたら申し訳ありませんがご了承ください…

次回…マミさんと杏子の決別…がそこにスターク/エボルが現れ…!?どうなる第9話!?
(ちょっとやってみたかった)

誤字脱字報告お待ちしております!
感想等も書いてくれると嬉しいです!



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第9話 戦場のエクスペリメント

通算UA7900突破&お気に入り登録者数120人突破
ありがとうございます!!

やっとテストが終わりましたよ…疲れた…

今回は平均よりかなり長めの文字数となっております(まとめるの下手でほんとすいません)読みにくかったらごめんなさい。

それでは第9話どうぞ!


 

 

 

 

鹿目さんを魔女の結界から救って、さやかと別れた後、俺は適当に魔女がいそうな場所を巡って歩き続けていた…廃ビルや人気のない通り等行ってみたが中々見つからず、後は俺とは別の場所を探させているガーディアン2機からなんの報告も無ければ今日のところは切り上げようと思っていた。

 

「今は20時か…そろそろガーディアンから連絡が来ても良いはずなんだが…」

 

ピピピッ

 

「おっ、ガーディアン2か、そっちの方には何かあったか?」

 

『……………』

 

「特に何も無し、か…」

 

天堂は今纏っている外装ーーーーーー、エボルの角部分を指でなぞりながらそうぼやく、が

 

ピピピッ

 

「ん、ガーディアン1か、お前の方は何かあったか?」

 

『ーーーーーー!ーーー!』

 

「郊外近くの公園で魔女の結界を発見した?おおそうかでかしたぞガーディアン1!よし、今からそこに向かう、お前はその場所で待機、ガーディアン2は戻れ」

 

そう言うと天堂は今いた廃ビルから飛び出し、ガーディアン1の場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから、もうあんたとは一緒に戦えない。コンビは解消だ、じゃあな」

 

「待ちなさい!」

 

「掴むなっ!、離せっ!」

 

 

見滝原郊外近くの公園…昼はまあまあ人はいるが夜になると、全く人気のない場所と化す。

その場所で今、二人の魔法少女が対立していた…

 

「嫌よ、今のあなたを放っておくことなんて私にはできない」

 

「…なら、あんたをぶっ飛ばしてでも行く」

 

そういうと二人の内の一人、赤い髪をポニーテールの少女…佐倉杏子は槍を構えた

 

「容赦はしないわ……これでも真正面から突進できるかしら?」

 

そしてもう一人…クラシカルな服装に、金髪の少女……巴マミが空中にマスケット銃を数本出現させ、自身もマスケット銃を持ち、佐倉杏子に向かって弾丸が放たれる…が

 

「笑わせんなっ!そんな殺す気のないナマクラ弾、避ける必要すらないんだよっ!!はぁああああああああああっっ!」

 

巴マミが放った弾丸は佐倉杏子には全く当たらず佐倉杏子は巴マミに向かって真っ直ぐ突き進んでいき…

 

「……っっ!そんなっ……!!」

 

佐倉杏子が突き出した槍は巴マミを貫く………事は無く、首に突きつけられ、止まっていた。

 

「…次はかすり傷じゃ済まないよ。首が飛ぶからね……もうあんたとは覚悟が違うんだ」

 

そして槍を戻しクルリと巴マミに背を向け

 

「世話になったね。私は元の街に帰る」

 

「どうして…?どうしても行ってしまうの?」

 

佐倉杏子は巴マミに向けて話す、自分は誰かの為にもう魔法は使わないと、それでも自分になにかあったら自分にも巴マミはグリーフシードを分けようとすると、そしてその優しさに傷つくのは真っ平なのだと。

 

 

「あなたは独りで平気なの?孤独に耐えられるの!?」

 

巴マミは悲痛に佐倉杏子にそう問いかける

 

「あんたと敵対するよりずっとマシさ…さよなら、巴マミ…。」

 

 

そう言って佐倉杏子は巴マミに背を向け、一歩踏み出し立ち去っていく

 

巴マミは意気消沈し、膝から崩れ落ちる

 

 

この二人はこの一件以降もう永遠に会う事は無いだろう…中学3年生になった巴マミはお菓子の魔女に首を喰われ、人生を終える。もちろん佐倉杏子はそんな未来を知る由も無い。

 

 

 

 

 

 

 

そう、それが原作通りの話なのだから。

しかし必ずしも原作通りの展開になるとは限らない、既にこの物語にはイレギュラーが存在しているからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『スチームショット・コブラ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っっ!?マミ!危ない!」

 

「え?」

 

佐倉杏子はいち早く、ソレ、に気づき直ぐさま回れ右して巴マミを押し倒す、すると巴マミの頭があったところを紫色のエネルギーを纏った弾丸が通過していった。

 

「おぉ〜、よく避けたなぁ」

 

そんな声と共にパチパチと拍手が聞こえる

 

 

「誰だ!?出てこい!」

 

「…この声はまさか…ブラッドスターク!?」

 

 

「正解!っと言いたいところだが少し違うんだなぁ、これが」

 

と、声がした方向に顔を向ける、するとうっすらと人影が街灯が届かない暗いほうから歩いてくる。そしてその人影は街灯の明かりが届く場所まで来た。

 

そして佐倉杏子と巴マミは目を見開く

 

そこにいたのは全身が血のように赤いワインレッド、胸部にコブラを象ったチェストアーマー、顔に緑色のバイザーを付けた怪人…ではなく、全身の装甲の一部に天球儀や星座早見盤等の宇宙関連器具のようなものがあしらわれており、コブラが口を開き牙を剥くような顔をしたの怪人の様な戦士が居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、ガーディアン1に魔女の結界があると報告を受け、郊外の公園には来てみたものの既に魔女の結界は無くそこに居たのは何やら険悪な雰囲気の巴マミと杏子…まあ多分、原作でもあった、巴マミと杏子の決別する場面なのだろう…しかし先に魔女を倒されてしまったが良いことを思い出した…この決別後、杏子は巴マミが死んでしまう来年まではずっと風見野にいるということだ、これなら来週の週末に風見野の街を探し回ればなんとか見つけられる…と思う、多分、と考えていたらいつのまにか決着してしまい、杏子が巴マミに背を向けて去って行こうとしたので、スチームショットを打ち込んだわけだ、エボルの実戦データを収集する為にもここで原作通り決別してもらっちゃ困るからな…え?なんでスチームガンを持っているのかって?公園に向かってる途中にガーディアンに持ってきてもらったんだよ…、え?なんで巴マミの頭を狙ったのかだって?いやいや、杏子が庇わなくても弾の軌道をこっちからずらして普通に外すつもりだったんだよ…

と…そんなことより

 

 

「久しぶりだな…巴マミ、佐倉杏子…廃工場の時以来か?いや、巴マミは夏の前に街外れで一度やりあったなぁ…」

 

「てめぇ…今更何しにきやがった!」

 

「今度は一体何を企んでいるの?」

 

「おいおい…こちとら魔女を狩りに来たらビックリ…お前らが仲間割れしてるときたもんだ、何があった…かはどうでも良いが、こっちはグリーフシードとデータを集めてるんでね…悪いが実験に付き合ってもらうぞ?」

 

そういうと、スタークは近くのベンチに座り指を鳴らす、するとその背後から2体の怪物が現れ杏子達に襲いかかる

 

「なんだコイツら!?」

 

「前に化け物を生み出す、実験をしているって言っただろう?こいつらはコピー体…まだ人間が入った状態よりは強くないが戦闘力は十分…廃工場で俺に手も足も出なかったお前に勝てるかな?」

 

「あの時の私と一緒にすんじゃねぇ!」

 

と、杏子は自分に向かってきたスマッシュに向かって突進する

 

「佐倉さん!くっ…!」

 

杏子に意識を向ける巴マミ、その隙を狙って接近してきたスマッシュの攻撃を飛び退くことでなんとか避ける

 

 

「……(さて、杏子にはミラージュスマッシュ、巴マミにストロングスマッシュを仕向けたが…どう対処していくのかねぇ、確か杏子は幻惑の魔法…分身はもう使わない、と言っていたが…)」

 

 

突進してくる杏子の槍をミラージュスマッシュは両手の剣、スライスマッシャーをクロスさせ、ガードしそのまま弾く、が

 

「てぇぇぇやああ!」

 

「ーーーー!?」

 

直ぐさま槍の持ち手を多節棍に変え、鞭のように槍を振り回してミラージュスマッシュに叩きつける。

 

「ーーーー…」

 

槍で叩きつけられた事によって吹っ飛び、地面を転がるミラージュスマッシュ、だが直ぐに体制を立て直す

 

「このまま決める!!」

 

「ーーーーーー!」

 

そう言い、再び槍を構え突進しようとするが…

 

「なっ!?」

 

ミラージュスマッシュが突如6体に増え、杏子の周りを囲む

 

「分身…!」

 

ギリッ、と歯を鳴らし何処か憎しげにそうぼやく

 

「ーー!!」

 

そんなことは御構い無しにミラージュスマッシュは分身を駆使した連携攻撃で杏子に攻撃を仕掛けていく

 

「ちぃっ…!くっ、こいつら…うあっ!?」

 

6方向から襲いかかる攻撃を回避したり、槍で捌いて行くが、本体のタックルが決まり杏子は弾き飛ばされる。

 

「佐倉さん!!っ…!邪魔よ!」

 

追い詰められている杏子を心配するマミだが、その隙をストロングスマッシュの剛腕が突こうとする、が…回避されその剛腕は地面に突き刺さり砂埃が舞う。

 

「そこよ!」

 

逆にその隙を突いた巴マミは何十本ものマスケット銃を出現させ、ストロングスマッシュに弾丸を浴びせる

 

「ーーーーーーーー!!?」

 

堪らず、ダメージを受けながらもその剛腕を自分の身体の前に持ってきてなんとかガードしていく…

 

 

 

ふーむ…巴マミは本調子では無さそうだからストロングスマッシュでもまぁ良い線行けるかな?と思ったがそうでも無さそうだなぁ…でも杏子の方は…ん?

 

巴マミから杏子の方へ視線を戻す、そこには

 

 

6方向からの剣による同時攻撃を棒高跳のように槍を使い回避している杏子がいた

 

「おらっ!」

 

そこから分身体を踏み台にし、勢いをつけ本体を槍で突き飛ばす

 

「ーーーー!?」

 

大きくブッ飛び地面を転がるミラージュスマッシュ、そして本体に大きなダメージが入る事により、ミラージュサモナーによって作られた分身体が消える

 

 

「こっちも!」

 

巴マミに接近しようとするストロングスマッシュだが、弾丸の雨の前に怯み、突如地面から発生した赤いリボンに巻きつかれ拘束される

 

「ーー!?」

 

「終わりよ!」

 

ストロングスマッシュにマスケット銃を向ける、すると段々とマスケット銃が巨大化し大砲サイズになっていった。

 

「ティロ・フィナーレ!!」

 

そう叫ぶと同時に大砲から重砲撃音ともに放たれた砲弾はストロングスマッシュを貫き爆散させた。

 

 

「ちっ…マミに先越されちまったな…」

 

「ーーーー」

 

そう言いながら、向かってくるミラージュスマッシュの攻撃を受け止め、逆に槍で突いていく。

 

「ーーーーーーー!?」

 

「てぇぇぇぇやあああ!!」

 

巴マミの時とは違いミラージュスマッシュの周りにリボンではなく、数多の槍が現れ逃げ道を無くす

 

「ーーー!」

 

足掻きと言わんばかりにミラージュスマッシュの頭頂部にある六角形の小さな鏡からエネルギー弾を放つ、が

 

「よっ、と」

 

杏子は高く飛び上がることによりそれを難なく回避、そしてそのまま落ちる重力を利用し、槍を前に構えミラージュスマッシュに突撃する

 

「これで…終わりだぁぁぁっ!」

 

「ーーーーーーーーーーー!!!!」

 

急降下突撃を受けたミラージュスマッシュ見事に貫かれ、ストロングスマッシュと同じように爆散した。

 

 

「佐倉さん!」

 

「…マミ」

 

ミラージュスマッシュを倒した杏子の所へ、巴マミが寄ってくる。

 

「(……巴マミにストロングスマッシュをぶつけるのは失敗だったな…まぁいい、スマッシュの実戦データは十分記録できた…が、まだやる事はある。)お〜、ブラボー!!スマッシュを倒すとはなぁ…まぁ魔女退治なんてしてるぐらいだからコイツらはちと簡単過ぎたかな?」

 

「っ!そうだった、まだコイツが残ってるんだったな…!」

 

再び杏子は槍を構える

 

「気をつけて佐倉さん、コイツは魔女やさっきのとは比べ物にならないわ!」

 

「わかってるよ!」

 

「そこまで脅威的に見なくても良いだろう?俺だってお前達とやってることは同じじゃないか…魔女を倒して、グリーフシードを回収している…変わらないだろう?」

 

「ふざけないで!あなたは街の人達を危険な目に合わせていたじゃない!!」

 

「あぁ〜…そういえばそうだったなぁ、忘れていたよ」

 

とスターク(エボル)が煽る

 

「っっ…!」

 

「おおっと、それよりも…だ、おい佐倉杏子、お前…確か巴マミとコンビは解消する…とか言ってたよなぁ?方針が気に入らないかどうとかって…どうだ、俺のバディにならないか?手駒…ゲフンゲフン、パートナーが欲しくってなぁ…グリーフシードなら補充は十分あるし、悪くはないと思うぞ?どうする?」

 

と、突然言い出した

 

「なっ…」

 

「お前達の間に何があったかは知らないが…俺にとっては好都合だからな、さぁどうする?」

 

「いくらなんでも駄目よ佐倉さん!スタークの言葉に耳を貸さないで…!」

 

巴マミは佐倉杏子を止める…が、杏子の口から出てきた言葉は…

 

「あぁ…それも良いかもな…」

 

「ほぉ?」

 

「佐倉さん…!?」

 

「ならば…」

 

信じられないと目を見開き杏子を見る巴マミ、が、杏子は言葉を続けた

 

「けどな…マミの方針は気に入らねぇ…甘すぎるんだよ…だけどなスターク…てめぇはマミなんかよりも、もっと気に食わねえんだよっ!!」

 

と、いうと同時に杏子はスターク(エボル)に接近し槍を振り下ろすが、簡単に受け止められた。

 

「佐倉さん…」

 

「ハァ…交渉決裂か、いいだろう、なら二人まとめてここで消えて貰おう…!」

 

「何ボサっとしてんだよマミ!コイツを倒すんだろ!!」

 

「ええ!そうね!」

 

巴マミは、銃を再び構え杏子を援護する

 

 

 

 

よぉし…ここからが本番だな、煽る必要は無かったも知れないが戦闘に持ち込むことはできた…エボルでの対人戦は初だがうっかり毒を纏わせたまま攻撃しないようしなきゃ

 

「な!」

 

受け止めていた杏子の槍を押し返し、連続でスチームブレードを振るう

 

「っ…」

 

スチームブレードでの連撃を槍で弾くも押され気味になる杏子だが…

 

「今だ!」

 

「ん?」

 

「ええ!」

 

スチームブレードを受け流し、突如杏子が上へジャンプする、そして杏子がいた位置を数十発の弾丸が通り過ぎ、エボルに襲いかかる

 

「(そうきたか…避けるのもアリだがあえて受けてみよう…)ッッ!」

 

襲い来る弾丸を腕を交差させることにより防ぐ

 

「やはり、弾丸を受けても怯むどころか何も問題ないな…おっとっと!」

 

そうぼやいていると、追撃と言わんばかりに銃撃をしてくるが飛び退くことで回避していく

 

「場所を移すか…!」

 

トランススチームガンを撃ちながら、公園の郊外よりの出口の方へと移動して行く

 

「追いかけるわよ!」

 

「ああ!」

 

そして巴マミと杏子はエボルを追いかけて行く

 

 

 

そのまま銃撃戦を繰り広げながら街外れの開発中止となり廃墟と化した地帯へと入っていった。

 

「くっ…当たらないわね…!」

 

巴マミはエボルを追いかけながらも、周囲に連続でマスケット銃を召喚し、絶えず攻撃を行っている、が、暗闇の中だというのにエボルには全く弾が当たらない

だがこれは巴マミの射撃精度が悪いというわけではない、仮面ライダーエボルの高スペックに加え、変身者の天堂雄介もまた訓練や魔女、魔法少女との戦いで進化しているのだ

 

 

「(やはり、エボルは凄まじい性能だ…!暗闇だというのに巴マミの動きや周囲に浮かんでいるマスケット銃の動きが分かる…あとは銃口の向きを見れば避けられる…!)」

 

再び巴マミの周囲のマスケット銃から弾丸が放たれるが、ビルの柱を盾にすることで防ぐ

 

再び建造物の屋上へと跳び、巴マミの攻撃を避けながら考える

 

「(もう少し移動するか…?よし、あの廃ビルにしよう…そういえば杏子が見当たらないな…この地帯に入った時に多分別れたな…?だとしたらどう来る?ん、あれは…)」

 

周りを見回していくと、EVO-ツインコブラアイの機能の一つ、検知機能に引っかかったのか、モニターの隅に何かの痕跡が表示される。

 

「(多分人間の痕跡だな…あの廃ビルの手前の建物の影か…となるとやはり…!)」

 

次の建造物へ飛び移ろうとした瞬間…!

 

「はあぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

目の前にあった建造物の影から槍を突き出した杏子が飛び出してくる、が

 

「そうくると思ったッ!」

 

「なっ!?」

 

体をズラして槍の穂先を回避し、持ち手の部分をがっしりと持ち、槍を力の差で奪い取り杏子を突き飛ばすと

 

「フンッ!!」

 

「あ、がッ!?」

 

目標の廃ビルの方へと杏子を蹴り飛ばした。

そしてそのままエボルも廃ビルの中へと入って行く

 

「佐倉さん!!」

 

巴マミもその後を追い、入っていった

 

 

 

〜廃ビル内〜

 

 

ビルの中へ入ると、少し砕けた壁の下に杏子が倒れ伏していた。

 

やばい…少しやり過ぎたか…?そう思っていると突如背中にまるで大量の豆でも投げつけられたような衝撃が走る。

 

「んぅ?」

 

「くっ…!」

 

振り向くとそこには先程よりは召喚している銃を増やした巴マミが立っていた、苦虫を噛み潰したような顔を浮かべこちらを見ている

 

「お前の攻撃は俺には通用しない…もう諦めたらどうだ?」

 

「それはどうかしら?」

 

「何…?っ!?」

 

巴マミがそう言うと足元から無数の赤いリボンが飛び出し、エボルを拘束する。

 

「まだまだっ…!」

 

足や腕だけでなく、リボンがエボルにさらに巻きついていき、大きな毛糸玉のようになっていく

 

「これで…っ!」

 

巴マミはリボンを力一杯振り回しビルの外へと投げ出す、そして手元のマスケット銃を巨大化させ…

 

「ティロ・フィナーレ!!」

 

空中のエボルを拘束した赤いリボンの玉に巨大な弾丸が当たり爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ…あ、マミか…?」

 

「よかった…目が覚めたのね、体は大丈夫かしら?佐倉さん」

 

「あ、ああ……っ!そうだ、アイツは!?倒したのか!?」

 

「倒した…かは分からないわ…普通の使い魔や魔女ならかなりのダメージを負うか、倒されるかもしれないけれど、スタークの場合は…もしかしたらまだ近くに」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、いるよ?」

 

「っ!!?、ぁぁっ…さ、くらさん…逃げ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふ〜…ほんとダメダメだなぁ…俺、エボルになって少し慢心しすぎていたな、リボンでダルマみたいにされてティロ・フィナーレの直撃を受けちまうなんて…まぁダメージは全く無かったから良かったものの……慢心、ダメ、ゼッタイだなぁ…

 

まぁエボルの実戦データは収集できたし、こうして隙を突いて巴マミに睡眠毒流し込んで戦闘不能状態にできたし結果オーライ…なのかな?

 

「てめぇ…マミに何をした!?」

 

「廃工場の時にお前に流した毒とはまた別の毒を流してやったんだよ…安心しろ、睡眠毒だ…まぁ明日の朝までは起きないだろうがなぁ、手刀でも良かったが力加減を間違えて首を跳ばすわけにもいかなかったしな…ん?」

 

睡眠毒によって強制的に変身が解けた巴マミの手の平に卵型の光るモノがあった…あれがソウルジェムか…しかしなんか黒い靄見たいのが見えるな、穢れってやつかな………そういえば自動浄化装置に穢れを溜めたグリーフシードを入れたらどうなるのだろうか………試す価値アリ、か?

 

エボルは先程倒した薔薇園の魔女とは別にとっておいたグリーフシードを巴マミのソウルジェムに押し付けた、すると黒い靄がグリーフシードに吸われていき、巴マミのソウルジェムからは黒い靄がなくなり美しいオレンジ色の光を放っていた

 

「ほぉ〜、お前らはこうやってやりくりしてるわけか…それっ」

 

そして杏子の手元へ薔薇園の魔女のグリーフシードを投げる

 

「なんのつもりだ…?」

 

「一つ言っておくが、俺がお前達と戦うのはお前達を殺す為に戦っているんじゃない、俺は実験や戦闘データを集める為に戦ってるんだよ…だからそのグリーフシードは実験の礼だ、廃工場の時にも同じような事をしただろう?」

 

「ふざけんな…」

 

「まぁお前達が俺をどう思おうと知ったことじゃない、それではな、チャオ」

 

「待ちやがれ!ぐっ…!」

 

槍を持ち、エボルに攻撃を仕掛けようとする杏子だったが、ダメージが残っているのか立ち上がれず、槍を杖に膝をつく

 

「お前も連戦でソウルジェムが穢れているんだろう…今俺を倒すことはお前では絶対不可能だ、それじゃ今度こそ、チャオ〜」

 

そう言うとエボルはトランススチームガンから煙を吐き、去っていった

 

「………くそッ…」

 

杏子は変身を解き、グリーフシードで自分のソウルジェムを浄化した後、眠らされている巴マミを抱いて郊外から巴マミの家の方へ向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま〜」

 

「おかえりー!」

 

「ごぉへっ!?」

 

時刻は今21:30、地下室に戻ってきた俺はモモちゃんに出迎えられた…そしてそのままモモちゃんは俺のお腹に頭突きをかましてきた

 

「お腹空いたよ〜!お兄ちゃん〜」

 

「えぇ…晩御飯なら作り置きしておいたはずだけど…」

 

「でもお腹空いた〜…」

 

実はこうねだってきたのは、今が初めてではない2日前も今まで暗かったり遠慮しがちな態度から本質を表してきたのか御飯の量を増やす要求をしてきたのだ、それだけならまだしも今度は夜食を要求してきたのだ…その時は健康に悪いからダメと押し切ったが……

 

「作ってくれないなら、ここの色々なもの触っちゃうよ!」

 

「えっ」

 

と、モモちゃんは手をワキワキさせる

全く…元気が出てきたのは良いことなんだけどなぁ…

 

「いやいや〜ダメだよモモちゃ」

 

「触っちゃうね!!」

 

「あぁああ!!待って!わかったよ!作るから待って、止まれ!ああああああぁぁぁぁっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、適当にピザトーストを作ってなんとか場を収めることができた…その後すぐ寝たモモちゃんをモモちゃんの部屋に連れて行ってベッドに入れさせ、ガーディアンには戦闘データ等のチェックをさせるように指示して、俺も寝ようと思ったその時、電話が鳴った。

 

「誰だこんな時間に…はい、天堂です」

 

『あ…天堂くん…?』

 

「あれ?鹿目さん?どうしたんです?こんな夜遅くに」

 

あんまり電話使わないから何処の電話番号かと思ったわ…にしてもなんでこんな時間にかけてきたんだ?

 

『ごめんね、夜遅くに…今日のことお礼を言いたかったの』

 

「お礼?…………あぁ〜!今日の夕方のですか!心配したんですよ?ちょっと散歩がてらに適当にショッピングモールを歩いてたら鹿目さんが倒れててしかも気絶してるんですから…体とか大丈夫なんですか?」

 

一瞬ド忘れしていた…いちいちお礼の電話を寄越してくれるなんて…健気だなぁ…

 

『うん、大丈夫だよ!特になんとも…』

 

ふぃ〜良かった〜…あぁ、そうだ一応確認しなきゃ

 

「そうでしたか…良かった…そういえば、どうして気絶してたんですか?」

 

『えっと…その…可愛い猫がいてつい追いかけちゃった。』

 

「ふむふむ…」

 

『それで、追いかけるのに夢中で…そうしたらいつのまにか壁にでもぶつかってたみたいで…』

 

そんなはずは無い、隠してるな…まさか、記憶を消せていなかったのか…!?

 

「本当にそうなんですか?」

 

『ええっ!?ほ、本当だよ!』

 

「う〜ん…」

 

『………ごめんね、天堂くん。実は本当の理由があるんだけど誰も信じてくれないって思っちゃって…』

 

『あ〜…いや、全然大丈夫ですよ。鹿目さんの言う事、信じれますから…もしよければ話してくれませんか?』

 

『……実はね、覚えてないんだ…どうして気絶しちゃってたのか。』

 

「覚えてない…?うーむ…それって思い出そうとすると靄がかかっちゃうって感じですかね?」

 

『…!うん!そうなの…さやかちゃんにはさっきの嘘の事を言っちゃったの…もっと心配かけちゃうかな、って思って』

 

靄がかかる感じか…何かが引き金になると思い出されそうだなぁ…まぁ、原作突入するまではそんなに引き金になりそうな事は起こらないと思うけど…

 

「そうでしたか…でもまぁ楽観的になってしまいますけど、次から気をつければ良いんじゃないですかね?あの…その、自分で言うのもアレなんですが自分だって、鹿目さんの友達ですから…声かけてくれればいつでも駆けつけますよ、さやかだって、多分そう言うと思いますよ…?」

 

『ふふっ、さやかちゃんも同じようなこと言ってたよ。』

 

「そ、そうでしたか…、あ、自分そろそろ寝ますね…それでは…」

 

『あっ…天堂くん!』

 

「はい?」

 

『ありがとね!……それじゃ、おやすみ。』

 

ガチャ、ツーツー

 

 

…ありがとう、か…

 

「ふわぁ〜ぁぁ…」

 

あぁ、眠い…今日は色々ありすぎたな、明日は家でのんびりしてよう…

 

 

「おやすみなさい…」

 

そう呟いて、俺は眠りについた




というわけで第9話いかがだったでしょうか…?

杏子とマミさんは原作通り、ここで別れます、マミさんは一人となり、杏子は風見野に籠ります…ですが、ここから先…どうなることやら

誤字脱字報告お待ちしております!
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第10話 学・校・復・帰

通算UA9500突破&お気に入り登録者140人突破
ありがとうございます!!
まさかの通算UA10000まであと少し…!?
相変わらず不定期更新ですが、読んでいてくれる皆様本当にありがとうございます!

今回は日常回です。
日常回は久々すぎて(個人的に)書くのに手間取ってしまいました…違和感あったらすいません。

それでは第10話どうぞ!



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日曜日はダラダラするつもりだったが、少し忙しかった…モモちゃんが元気になってきたため、とりあえず保護した数日後にやろうとしていたこと今更思い出したのだ…そのやろうとしていたことは、モモちゃんを学校に通わせることである。

とりあえず様々な書類を用意し、俺の保護者は自分の擬態で作った前世の父親で代用した…ちなみに自分で作ったにもかかわらず前世の父親を見た瞬間申し訳ないという気持ちが溢れ、顔を抑え涙を流したのは秘密である。だが転生の時にこの世界での親を用意してもらえば良かったとは微塵も思わなかった、俺を産み、育ててくれた親は前世の家族だけだ…早死にしてただでさえ親不孝者なのに、この世界でまた別の親を用意するなんてことは絶対に思わないしなにより前世の家族への侮辱になるからだ。

 

 

 

 

おっとっといかんいかん、話が逸れる。

 

そして様々な書類を処理、そして小学校の方へ話を済まし、早くても今週には見滝原第二小学校へ登校できるとのことだ、学校側の対応が早くて良かった…ちなみにこの事をモモちゃんに伝えると

 

「学校に行けるの!?やったー!」

 

とのこと、嫌がるかと思ったが…どうやらモモちゃんは学校に行くことが好きなタイプらしい、前世の俺とは大違いだな……

 

そしてそんな日曜日も終わり月曜日、表向きは俺は学校に復帰する…1週間休む理由をインフルエンザにしちまったからなぁ…まぁ書類の偽装は完璧だし問題ないんだけどね。

 

「それじゃあ、行ってくるよ…変な事したら駄目だからね?」

 

「はーい!いってらっしゃーい!」

 

モモちゃんの笑顔を背に玄関から出て学校へ向かう……うん、やっぱりいってきますを言う相手がいるってのは良いことだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

学校に着き、昇降口で上履きに履き替え教室…ではなくまず職員室に向かう。

 

「ん?あれは…」

 

職員室からちょうど出てくる早乙女先生を見つけた。

 

「早乙女先生〜!」

 

「あ、天堂君!インフルエンザはもう平気なんですか?」

 

「ええ、治りましたよ!もう大丈夫です。あ、これ書類です、確認お願いします」

 

「はい、確かに受け取りました!あ、もうすぐHRだから教室に行った方が良いですよ?」

 

そう言われて廊下の時計を見ると、HR開始まであと5分だった。

 

早めに出たつもりだったんだがなぁ…見間違えたか?

 

「あ本当だ…それでは先生、また後で!」

 

俺は先生にそう言って教室の方へ歩いていった。

 

 

 

 

 

 

〜教室〜

 

「お、おはよう!天堂くん!」

 

教室に入ると最初に挨拶をしてくれたのは鹿目さんだった、身体の方は…外見上は特に問題無さそうだな…ちょっと聞いてみるか

 

「あ、おはようございます鹿目さん…土曜日ぶりですね…あれから特に体とか異常とかありませんか?」

 

「うん、大丈夫だよ!」

 

よし、良かった…

そう安堵していると

 

「あ、雄介おはよう!もう病気は大丈夫なのかい?」

 

恭介が話しかけてくる。1週間しか経っていないのになんだか久しぶりな感覚だな〜

 

「おお恭介か、すっかり治ったよ…心配してくれてありがとな」

 

「おっ、雄介〜!」

 

「さやかか、お前も土曜日ぶりだなぁ〜…あ、そうだあの後鹿目さんにちゃんと付き添っていてくれたみたいだな、改めて礼を言う」

 

「当たり前だっての!あんたこそあの後急ぎの用事ってのは終わったの?」

 

「ああ、終わったよお陰様でな」

 

恭介とさやかにお礼を言う、ほんとあの時さやかが来なかったらどうしようかと思ったぞ…

 

「天堂さん、病気はもう大丈夫なのですか…?」

 

「ええ、皆さんの差し入れのお陰ですっかり元気になりましたよ」

 

さらに志筑さんも話に加わり、しかも病気(仮病)の心配まで…!くぅ〜!ここまで来ると逆に罪悪感が…そう心の中で葛藤していると

 

「それなら良かったですわ…ところで先程から何か土曜日にあったと話されていたようですけれど、何かあったのですか?」

 

先程のさやかとの会話が耳に入ったのか、そんなことを聞いてくる。

 

「ええと…実は」

 

俺はそれを話そうとするが…

 

キーンコーンカーンコーン

 

朝のHRを知らせるチャイムが鳴った

 

「はーい、皆さん席に座ってくださーい!」

 

「おっと、この話の続きは昼休みにしましょうか」

 

さて、どう話そうか…昼休みに話す事を考えながら、先生の話を聞く……って先生、また失恋話ですか?ああっ、中沢君がまた標的に…頑張れ中沢君、負けるな中沢君…!

 

 

 

 

 

 

 

〜昼休み・屋上〜

 

「と、言う事があったんですよ」

 

朝のHRで言った通り、昼休みになったので屋上で昼食を食べながら土曜日あった事を話した、もちろん魔女との戦闘や鹿目さんが気絶した本当の理由を伏せて

 

「そんなことがあったんだ…」

 

「いやぁ〜俺も鹿目さん見つけた時はビビったよ…なんせ転んでるとかじゃなくて気絶してるんだからなぁ」

 

「あはは…本当に心配かけちゃってごめんね…」

 

「本当に心配したんだからね…まったくもう」

 

「それにしても猫を追いかけて壁に頭をぶつけて気絶してしまうなんて…」

 

「まぁ、何かに夢中になって壁にぶつかるなんて全く無いわけではないですよ、俺も考え事してるとよく塀とか電柱にぶつかっちゃいますし」

 

そう言いながら、自分の弁当を食べる。でも気をつけないとなぁ…本当にその内バカになっちゃいそうだ。

そう思っていると

 

「あの、天堂くん」

 

「なんですか鹿目さん………へ?」

 

あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!

俺は今普通に自分の弁当を食べていた…そして鹿目さんが呼びかけてきたから顔を向けたんだ、そしたら鹿目さんが箸で唐揚げを持ち、俺の方へ向けていた

な…何を言ってるのか分からないと思うが、俺も今何が起こっているのかわからない…!!

 

どう言うことだ…?こ、これは所謂ラブコメとかで見る「あーん」ってやつか?

あれは空想では無かったのか……?いや、それよりもだ、何故鹿目さんが俺にこのような行為を……?

 

「あ、ああの鹿目さん…?これは一体」

 

「き、昨日パパに教えてもらって…良かったら食べてもらえないかな、って思って」

 

鹿目さんの顔真っ赤だ…しかし本当に何故こんな事をしてくれる?もしかして土曜日のお礼か…?ハッ!…それよりこんな所をさやか達に見られたら流石にマズイのでは…?

 

一瞬だけ鹿目さんから視線を外し、さやか達の方をチラ見する。

幸い三人で会話に夢中だ、危ねえ…ん?てことは早めに鹿目さんが差し出してくれている唐揚げを食べないといけないじゃないか…くそッ!ええいままよ!

 

「で、ではいただきます」

 

流石にガブッと言って箸に口をつけるのはまずいと思い、唐揚げを器用に歯で挟み、そのまま口の中に入れ食べる

 

「………………」

 

「ど、どうかな…?」

 

「……美味いです、とっっても…!」

 

「本当?良かったぁ〜!」

 

そう言うと、鹿目さんはホッとした表情を見せる。

少し焦げの苦味があるが普通にカリカリだ…弁当だと言うのにパサつかない…本当に美味い。

だが…くそッ、いきなりの事態に動揺してか身体がめちゃくちゃ熱い…火が出ちまいそうだ…

そう思っていると

 

「雄介!?顔が真っ赤だけど大丈夫かい?」

 

「お、おう大丈夫だ…多分」

 

「本当〜?1回保健室行ってきた方が良いんじゃない?」

 

恭介とさやかがそう言ってきた

助かった!はははっ!これが我が逃走経路だッ!

 

「それならまどかさんに連れて行ってもらった方が…」

 

「大丈夫です!じ、じゃあ自分ちょっと言ってきますね!!」

 

俺はそう言って足早に屋上から出て行った…

ちなみに保健室に行ったが特に熱などは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

そして放課後

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、自分はここで」

 

「うん、またね!天堂くん」

 

「じゃあね雄介、また明日!」

 

 

鹿目さんとさやかと別れ、家への道を歩く…いやぁ、今日はドッキドキしたなぁ…あぁ〜戦闘の何倍も疲れた感じだ。

今日の訓練はやめておこうかな〜…いや、やっぱりやるか、そいや戦闘訓練機能をバージョンアップさせてたなぁ…よし、そうと決まれば

 

「あ、そうだ!」

 

色ペンとスティックのりきらしてたから買いに行こうと思ってたんだった、危ない危ない

 

来た道を一旦戻り、通りに出て行きつけの文房具屋に向かい歩いていると

 

「タツヤー!タツヤー!」

 

「タツヤー!何処にいるのー!」

 

あれは…鹿目さんのお父さん…智久さんと鹿目さん?弟のタツヤ君の名前を呼んでるって事はまた迷子か…あの子本当に迷子になりやすいなぁ

 

実は鹿目さんの家族とは10月の最初あたりにあった運動会で顔を合わせていた。その時も確か迷子になってたなぁ…ずっと見てないとすぐに迷子になっちゃうんだから、鹿目さんのお父さんも大変だなぁ…よし、こっそり手伝うか…っと?

 

 

「あー!パパー!まろかー!」

 

目の前…というか横にある公園からタツヤ君がとてとてと、鹿目さん達の方へ走って行く

 

なんだ…すぐ見つかったじゃないかって……!?

 

「タツヤ!」

 

「タツヤ、止まって!」

 

そう、走って行くのは良いのだ…横断歩道の信号が赤じゃなければ

 

「(まずい!間に合うか…!?いや、間に合う!)危ない!!」

 

近くの通行にバレない程度に一瞬だけエボルトの能力を使い加速し、すぐ様タツヤ君の後ろに回り込み思いっきりタツヤ君を引き、抱き寄せる。

 

「わー!?」

 

「ふぅ…危なかった…」

 

信号が青に切り替わり、鹿目さん達が駆け寄ってきた

 

「パパ!まろか!」

 

「タツヤ!」

 

「良かった…」

 

タツヤ君を離し、鹿目さん達のところに行く

 

「ああ、君は…」

 

「御無沙汰しております、天堂です」

 

「天堂くん!?どうしてこっちの方に?」

 

「ええと、実は一部文房具をきらしてたから買いに行こうと回れ右してこっちに来たら、タツヤ君が危なく轢かれかけてたもんだから…いやぁ、間に合って良かったです!」

 

「そうだったんだ…ありがとう天堂くん。タツヤを助けてくれて」

 

「僕からも、ありがとう天堂くん。そしてゴメン、保護者の僕がちゃんと見ておかなきゃいけないのに…」

 

「いえいえ、まぁ確かに仰っている通りかもしれませんが、タツヤ君ぐらいの子は本当に元気活発ですからね…まぁ街中では特に気をつけておけば良いかと。それでは自分はこれで!鹿目さん、また明日!」

 

「う、うん!また明日!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鹿目さん達と別れ、色ペンとのりを買い家にもどる。

いや…本当に今日は心臓に悪い日だった……今日の晩御飯とか家事はガーディアンにやってもらおうかな……

 

「ただいま〜」

 

「おかえり!」

 

玄関を開け、ただいまと言うと、おかえりと言いながらモモちゃんが駆け寄ってくる。

 

「今日の夜ごはんは?」

 

「今日はちょっと疲れたからガーディアンに作ってもらおうかな…そうだな、カレーにでもしようか」

 

「やったー!」

 

ふ…元気だなぁ、でも迎えてくれる人がいるってのは良いな……くうぅ〜やる事がいっぱいだなぁ…だが、頑張らなくちゃな!

 

 

 

 

 

 




というわけで第10話いかがだったでしょうか…?

久々に多くの人キャラクターを喋らせた気がします…天堂の前世への想いや、家の機能や地下室については原作突入前に設定集なるものを投稿しようと思っております。(原作突入できると良いなぁ…ゲフンゲフン)

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第11話 彼女は独りぼっちでは無くなった

投稿が遅れてしまい誠に申し訳ありませんでした!そして…
ついに…ついに…通算UAが10000を超えましたぁぁぁぁぁぁ!!(現11400)毎回読んでくれている皆様、本当にありがとうございます!!そしてこれからもよろしくお願いします!
そしてお気に入り登録者も160人突破!ありがとうございます!!

今回はついに杏子捜索開始、天堂は無事、杏子を見つけることができるのか…?

ちょっと文章がぐだってしまっているかもしれませんが…温かい目で見てやってください(土下座)

それでは第11話どうぞ!


 

 

 

 

 

 

 

 

〜家・地下室〜

 

「ふっ、ハッ!」

 

『ーー!』

 

ラビットラビットが振り下ろしてきたフルボトルバスターを避け、逆にスチームブレードを思いっきりアーマーに叩きつける。

 

 

ん?何をしているのか?だって?

日課の戦闘訓練に決まってるじゃないか!

今まで得た戦闘データを使ってバージョンアップした戦闘訓練機能、初めはスマッシュ、ナイトローグ、ブラッドスターク、エンジン、リモコンブロス、そしてデータビルド(ラビットタンクのみ)だったが…今回のバージョンアップによって、スパークリング、ハザード(ラビットタンクのみ)、ラビットラビット、タンクタンク、ヘルブロスが追加されたのだ…まぁヘルブロスはクローン化を考えているが、中々進展が無い…今度はヘルブロスで魔女とやり合ってみるか?

 

「って、うぐあっ!?」

 

そんな事を考えながら戦っていると、隙を突かれて胴部にフルボトルバスターが叩きつけられ、火花が散る。

 

いかんいかん!そうだ戦闘訓練中だった、現在はエボルに変身してラビットラビットと戦闘を繰り広げていたが、やはり効くなぁ…だが恐らくブラッドスタークだったらもっとダメージをくらっていただろうな…

 

さて、今度はこっちの番だ

 

一度跳び退き、ライフルモードにしたトランススチームガンで牽制する。

 

「!!」

 

何発か命中したが大半がフルボトルバスターを盾代わりにされ防がれ、こちらに向かってくる。

 

そして再び切りつけてきたため銃の持ち手からスチームブレードの柄だった部分を持ち、フルボトルバスターを受け止める。

 

「ラァッ!!」

 

そこから鍔迫り合い、力に物を言わせフルボトルバスターを弾く、そしてライフルモードのトランススチームガンを剣のように扱い何度も斬撃を浴びせていく

 

「ーーー!?」

 

堪らず吹き飛ばされ地面を転がるラビットラビット

 

「そろそろ終わりにしよう」

 

スチームガンを放り投げベルトのレバーを回し、跳び上がる

 

 

『Ready go!』

 

「!!」

 

『フルフルマッチでーす!』

 

が、すぐ様ラビットラビットは体制を立て直し、フルフルラビットタンクボトルをフルボトルバスターに装填し、バスターブレードモードにしたフルボトルバスターを構える

 

「そう来たか…だが!」

 

『エボルテックフィニッシュ!!』

 

『フルフルマッチブレイク!!』

 

ラビットラビットのフルボトルバスターから繰り出された斬撃とエボルのライダーキックのエネルギーが衝突する

 

「ッ……!らぁぁぁぁっ!」

 

「!!?!?」

 

『チャオ!』

 

しかしエボルの力に押し負けフルボトルバスターは弾き飛び、ラビットラビットにライダーキックが炸裂、そのままラビットラビットは吹き飛び爆発した。

 

 

『BATTLE END YOUR WIN』

 

『戦闘訓練を終了します。ホログラム解除』

 

勝利を知らせるアナウンスと同時にホログラムが解除され、そこらに転がっていたフルボトルバスターが消えていった。

 

 

「お兄ちゃん!お疲れ様〜!」

 

「ん、ありがとね、モモちゃん」

 

モモちゃんからタオルを受け取り、汗を拭く

 

「今何時っと…11時か、よし」

 

インナーウェアから私服に着替え、地下室を出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は土曜日、つまりは休日だ…もう10月も終わる頃、今日こそ見つけてみせる…佐倉杏子を

 

「それじゃあ、行ってくるよ」

 

「………」

 

不意に袖を少し引っ張られる

 

「…モモちゃん?」

 

「やっぱりいっしょに行っちゃダメなの…?」

 

モモちゃんが上目遣いをして聞いてくる。

 

確かに連れていけば佐倉杏子を見つけた時に直ぐに事情等を説明できる。が、それが見滝原なら兎も角、今佐倉杏子がいるのは風見野…一応モモちゃんは死んだ事になっているのだから、一緒に行った時に何かあったらかなり不味い…それに…

 

「ごめんね、モモちゃん…モモちゃんが今風見野に行くと大変な事になるかもしれないんだ…だから、悪いけど連れていけないよ…だけど約束する、今日必ずお姉さんを見つけ出して連れてくる。だから信じてくれ、俺の事を…」

 

「……うん、わかった約束だよ!」

 

「ああ!それじゃあ、行ってきます!」

 

「行ってらっしゃい!」

 

ありがとう、モモちゃん…俺は必ず今日見つけると改めて決心し風見野市に行くためのバス停に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて…風見野市に着いたものの、何処から探して行くかな…とりあえず大通り辺りから探しに行ってみるか…

 

〜大通り〜

 

風見野市にはバスでも電車でも行くことができる。が俺はバスを使って風見野市へ来ている、理由は特にないが

 

「うーむ、それらしき影は中々見当たらないな…」

 

流石駅前の大通りと言ったところか、店やビル、それにやはりと言うべきか人が多い…とりあえず流し見して、他のところも見に行くか…

 

 

 

その後大通りを後にし住宅街、風力発電の風車付近の河川敷などを3時間ほどかけて見て回ったが佐倉杏子を見つけることはできなかった。

 

 

全然見つからねぇ…あと何処か他に心当たりがあるところは……そういえば、佐倉杏子は確かダンスゲームをゲームセンターでやっていたな…もしかしたらいるかもしれない…よし、言ってみるか

 

俺は再び河川敷からゲームセンターがある風見野駅付近に向かうのであった。

 

〜ゲームセンター〜

 

 

「ここか…」

 

河川敷から駅前に戻り、ゲームセンターへと入る。

 

いやぁゲームセンターに入るのは転生してから初めてじゃないか?配置されているアーケードゲームやクレーンゲームを見てそう思いながらゲームセンター内を歩く

 

「さてさて、何処にあるかなダンスゲーム…ん?あれか!」

 

クレーンゲームのコーナーを抜けた先にそのダンスゲーム台はあった。

…………デカイな

 

「しかし…いないか、佐倉杏子は」

 

ダンスゲーム台からは音楽が流れているだけで佐倉杏子はそこにはいなかった

 

「クソッ……ここまで捜索が難航するとはな……ん?この曲聞いたことあるような」

 

ふとダンスゲーム台に耳を傾ける。

これは…コネクトか!

 

「久しぶりに聞いたなぁ………ちょっとやってみようかな」

 

 

お金を入れ、曲を選ぶ

懐かしいなぁ…音ゲーは自信があんま無かったからやってなかったけど転生して今は運動神経良くなった方だし…行けるか?

 

イージー、ノーマル、ハード、エキスパートの中から難易度をハードに設定し、踊り始めた

 

『〜〜♪』

 

「よっ、ふっ、はっ、っと!おっ!せいや!」

 

やばい…楽しいがかなり難しいな…!くそぉ意気がらずに素直にノーマルにしておけば良かったか…!

 

画面の上から下へ落ちる矢印に合わせ踊って行く、そして結果は…

 

『CLEAR!』

 

「ハァ、ハァ、危ねぇ…ギリギリだったわ…」

 

音ゲーってやっぱ難しいな………もっかいやってみようかな

 

 

そして少し時間は過ぎ…

 

 

ゲームセンター内の自販機で買ったお茶を飲みながらゲームセンターから出ると辺りはオレンジ色……夕方になっていた。

 

 

 

 

…………………………………………バッッッッッッッッッッッッッッッッッカ野郎ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!?!なぁぁにゲームに夢中になってんだクソッタレがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?

 

モモちゃんに必ず佐倉杏子を見つけるって約束したっつうのに…いくらゲームセンターに超久しぶり来たといっても舞い上がり過ぎた……!チクショウ…こうなったら夜中まで残ってでも…!

 

「はぁ〜…んぷっ…ぷはぁ!……もう一本買っとこうかな…」

 

近くにあったベンチにどかっと座りペットボトルの中のお茶を一気飲みし、そうボヤく

 

その時だった

 

 

「そこの君、待ちなさい!」

 

目の前を赤髪の少女とスーパーの店員が走り抜けていく…万引きか?

全く…金をちゃんと払って買えばいいのにな、いや、金が無いから万引きするしかないって感じか…あん?待て、赤髪の少女?

 

ベンチからバッ、と立ち少女と店員がいる方を見る。

少女はその赤い髪を後ろに結んだポニーテールで紙袋を抱えて走っている。

そして店員との距離を確認するためか、チラッとこちらの方を向いた。

 

────────間違いない、佐倉杏子だ

 

そうわかった瞬間俺は駆け出した

 

すぐさま佐倉杏子を追いかけている店員に追いつく

 

「店員さん、何かあったんですか?」

 

「え?だ誰?はぁはぁ、い、いやこの際誰でも良い!あの子を捕まえてくれ!!せめて商品だけでも」

 

「わかりました、自分にお任せを!」

 

そう言って、さらに走る速さをあげ店員を置いて佐倉杏子を追いかけていく

 

「はぁ、はぁ…最近の子はなんでこう皆速いんだ…?」

 

店員は二人にはついて行けず、その場で立ち止まりそう嘆いた。

 

 

 

 

 

 

 

中々速いな…!

心の中でそう思いながら道路沿いの歩道で逃げる佐倉杏子を追いかける。

すると佐倉杏子は歩道からビルの間にある裏路地へ入っていった。

 

「だが、絶対に捕まえなければ…!」

 

もちろんその後を追う

 

 

そして何度か入り組んだ裏路地の角を曲がりちょうど真っ直ぐな長い裏道に出る。

周りに人はいない…今しかないな

 

「はぁ、待って!待ってくれ!そこの君!」

 

俺は大声でそういう、ちなみに今佐倉杏子との間隔は4mぐらいだ、正直能力を一瞬だけ使えばすぐに差を埋められるが…少しリスクがあるためできるだけ使いたくないのだ

 

「はぁ?待てって言われて待つ奴がいるわけねーだろ?」

 

と、こちらを振り向きそう言い返してくる。

 

まぁ、確かに俺も逃げてたら待て!とか止まれ!って言われても従わないな…ちっ、仕方がない怪しまれるだろうけど…

 

「俺はお前を捕まえて店員に突き出そうとは考えてはいない!お前に確認したい事、話したいことがあるんだ!頼む!話をさせてくれ、佐倉杏子!」

 

「───っ!?」

 

佐倉杏子は走る足を止めた

 

流石に全く初対面の相手にフルネームで呼ばれれば誰だって驚く

 

「なんであたしの名前を…」

 

「言ってるだろう?確認したいこと、話したいことがあるって」

 

「なら説明してもらおうじゃねぇか」

 

「もちろん…と、言いたいところだが先にその万引きした商品を返しに行くから、それを渡して貰えないか?」

 

「はぁ?あんたさっき店員には突き出さないって言ってたじゃないか」

 

「もちろん、だが商品を返さないとは言ってないだろう?だがそうだな…確かこの道を抜けた先にファミレスがあった筈だ、そこで好きなだけお前が食べたい物を頼む、金は俺が出すそれでどうだ?」

 

「へぇ〜結構太っ腹じゃん、いいよあたしはそれで」

 

「よし、じゃあすぐ戻るから待っていてくれよ…」

 

 

俺は佐倉杏子から商品が入った紙袋を受け取り猛スピードで走って店員のところまで戻る

 

 

「はぁ…はぁ、すいません、盗んだ奴は逃してしまいましたが商品は取り戻すことが出来ました」

 

「いや…ありがとう商品が無事なだけでも十分だ…そうだ、さっきの子の特徴を店長に知らせなきゃ」

 

と、言い店員は背を向けスーパーの方へ歩いて行く

おっと…それはちょっとマズイな、あまりこういう手は使いたくないが…仕方がない

 

「あ、店員さん、髪の毛にゴミが」

 

と言って店員の頭に手を添えると一瞬だけ顔が煙に包まれる。

 

「え?ああ、ありがとう」

 

「いえいえ、それでは」

 

 

俺はまた来た道を戻り裏道に向かっていく

店員の佐倉杏子に関する記憶だけを消した…これで大丈夫…な筈だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませー!」

 

「2名で」

 

「かしこまりました、こちらのお席へどうぞー」

 

商品を店員へ返した後、佐倉杏子と合流しファミレスに入る

……さて、どう話すか

 

「それでその、話したい事なんだが「待った」なんだ?」

 

「長くなりそうだから先にメシを食わせてくれよ」

 

「……わかった」

 

「んじゃ、早速…」

 

と言うと、佐倉杏子は呼び出しボタンを押す、まぁそこまで食わないだろう、精々多くても2000円分ぐらいかな…?

 

 

 

 

「はー、食った食った。久しぶりにいっぱい食べたよ、ごちそうさん」

 

「そ、そうかそりゃ良かったな…」

 

佐倉杏子は良い笑顔でそう言う。

いや食い過ぎだろ!クソっ!何円ぐらいだ…?

 

俺はチラッとレシートを見てそこに書いてあった額に驚愕する。

9000円近く…だと!?い、いや大丈夫だなんとか足りる。危ない危ない…

 

「ってそうだお前の凄まじい食いっぷりを見て忘れるところだった」

 

「あん?なにか言うことでもあったのか?」

 

「いや、話したいことがあるって言ってだろう」

 

「ああ、そういえば言ってたな!で、話したいことってなんなのさ」

 

少し笑いながらそう言ってくる。

本当に忘れてたとかないだろうな…まぁいい

 

息をすぅ、と吸って吐く

 

「実はな、俺はこの子の姉を探しているんだ」

 

バッグから一枚の写真を取り出し、佐倉杏子に見せる。

 

「」

 

その写真を見た瞬間佐倉杏子は目を見開き、やがて口が震え始めた

 

「……?おい、どうした?」

 

「どうして…」

 

「うおっ!?」

 

「どうしてあんたがモモの写真を持ってるんだ!?どういうことだ!答えろ!」

 

テーブルから乗り出し胸ぐらを掴まれる。

 

そりゃそうだよな…ちょっと迂闊だったか

 

「話す!話すから離せ!」

 

「……」

 

佐倉杏子は俺の胸ぐらから手を離し、睨みつけるようにこちらを見る。

 

「……佐倉杏子と名前を呼んだ時の反応、モモちゃんの写真を見せた時の反応…どうやら君で間違いなさそうだな…一旦場所を変えよう」

 

「…わかった」

 

席から立ち上がり、会計を済ませて店から出る。

 

 

そして少し移動したところにあった公園のベンチに座る

 

「さて、どうしてモモちゃんの写真を持っているのか、だったよね」

 

「ああ…どうしてあんたが死んだはずのモモの写真を持ってるんだ?」

 

「その前にお前の誤解を解いておこうか、モモちゃん…佐倉モモは死んではいない」

 

「!?どういう…ことだ!?」

 

「順を追って説明しよう、あれは10月の中頃だったかな…」

 

酷く狼狽する佐倉杏子に俺はあの日にあった事を説明した…もちろんスチームガンを使った目潰しや擬態を使って逃げた等の部分は隠し、別のやり方に変えて話したが

 

 

「じゃあ…モモは生きてるのか…?」

 

「ああ、生きているとも…だから一緒に来てくれないか?見滝原に」

 

「……………」

 

佐倉杏子の瞳は揺れている。

本当に生きているのか?という考え、この男を信用しても良いのか?という考えが混ざり合っている。

 

「一つ聞いていいか…?」

 

「……なんだ?」

 

「どうしてあんたはモモを助けたんだ…?」

 

佐倉杏子はそう聞いてくる。

 

「……言っただろう。本当に偶然だったんだよ、助けてって聞いた時、助けなければと思ったって……きっとさ、誰かの命が目の前で失わそうになると、自然に身体が動いちゃう感じの奴なんだろうな、俺は」

 

「………そうか」

 

佐倉杏子はまた考え込む…そして数分後、その口を開いた

 

「…行くよ」

 

「…!そうか、良かった…」

 

やった…、やったよ、モモちゃん…ちょっと遅くなっちゃったけど…

 

俺は佐倉杏子を連れ見滝原市行きのバスが止まるバス停へと向かう。もちろん運賃は二人分俺が払った

そこからはずっと無言が続いた、俺の家の前に着くまでずっと。

 

そして…

 

ガチャリ…

 

「ただいま!」

 

俺は大きな声でそう言った。

するとリビングの方からドダドタとこっちに向かって足音が近づいてくる。

 

「おかえり!お兄ちゃ……ん…?」

 

リビングから飛び出し、玄関前に来たモモちゃんの目があの時の佐倉杏子のように見開いていく

 

「あ、あ…お姉ちゃ…「モモ!」!!」

 

居ても立っても居られなくなったのかバッ、っと佐倉杏子はモモちゃんに抱きつく

 

「モモ…!モモ!良かった…!本当に…!」

 

「えへへ…うっ…、苦しいよ、お姉ちゃん…」

 

「あっ、ご、ごめん」

 

「なっ?言っただろう、モモちゃん。必ず見つけて、連れてくるって」

 

「うん!ありがとう!お兄ちゃん!!」

 

そう言って抱きついてくる。ああ、本当に良かった…ってそうだいかんいかん

 

「なぁ、佐倉杏子…お前が嫌じゃなければなんだが…俺の家に住まないか?」

 

「え…?」

 

「せっかく姉妹揃ったんだ、一緒にいた方が良いだろう?部屋なら空き部屋があるから問題は無いし…」

 

「だけど…あたしは…」

 

「万引きとかをやった件か?確かにあれは許される行為では無い…でも生きるためには仕方がなかった…それにお前は今日までずっと孤独だったんだろう?だったら妹のモモちゃんがいる今、最後の肉親として側に居てやって欲しいんだ、それに」

 

「独りぼっちは寂しいだろう?」

 

「あ……」

 

「そうだよお姉ちゃん…私、ちゃんといるよ?今お姉ちゃんに会えてとっても嬉しいの!」

 

佐倉杏子はだんだんと目に涙を浮かべていきやがて…

 

「う、あ……ぁああ、……うわぁぁあぁぁぁぁああああぁあああぁあああああ!!!!ぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!」

 

ついに泣き崩れてしまった。

溜まっていたものが全て涙になって流れていく。

 

俺とモモちゃんは佐倉杏子が泣き止むまで抱きしめ続けた。

もう独りぼっちではないと言わんばかりに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして彼女は独りぼっちではなくなった

 

 




というわけで第11話いかがだったでしょうか…?

本小説では今まで戦闘以外で杏子を書いていなかったので書くのに少し苦戦をしてしまいました…

そしてついに…モモちゃんと、杏子を合わせることができました!天堂の家に住むこととらなった杏子、これからどうなっていくのやら…

誤字脱字報告お待ちしております!
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第12話 杏子とダンスとアンラッキー

亀更新(亀より遅いかも)で本当に申し訳ないです…

通算UA13500&お気に入り登録者180人突破ありがとうございます!!

今回は杏子を向かい入れてから数日後の話…そして天堂に襲い来る不運とは?


それでは第12話どうぞ!


 

 

 

 

 

 

 

佐倉杏子……いや、杏子を俺の家に住まわせ始めてから数日が経った。あれから月を跨いで現在は11月の初め辺りだ。

ああ…振り返るだけでも濃い数日だった。

まず一番は杏子の態度だ、保護してからの次の日…モモちゃんに起こされたのか、リビングにモモちゃんと一緒に来た杏子の態度はなんというか…そう、とてもしおらしくなったという感じだった、ファミレスで飯を奢った時の様子とは大きく違い、静かに食べ、あまり話さずという感じだったのだ。

まぁ、流石にまだ住み始めて1日目でしかも妹がいるとはいえ今まで知らないやつが一つ屋根の下にいるんじゃそりゃそうか、と思っていたが…ちなみに何故杏子さん、とか佐倉杏子呼びでは無いのかというと、俺がその時に

 

「えと…佐倉杏子さん…?それとも杏子さん?って呼べばいいかな?」

 

と言ったら

 

「…杏子で良い……」

 

と目を伏せながら言ってきたので、普通に杏子、と呼ぶことにしたのだ。

 

さて、話を戻そう

 

その日はとりあえず杏子の部屋に入れる家具とかを買って終えたのだが…次の日が問題だった…

 

「お兄ちゃん!お姉ちゃん起こしてきたよ」

 

「お、来たか、おはよう杏子」

 

「ん…おはよう…」

 

瞼を擦りながら起きてきた杏子、ちなみにパジャマだけはとりあえず適当に昨日買っておいた…

 

「もうちょいで朝ご飯出来るから待っててくれよ〜」

 

「は〜い!あ、私先に準備してくるね!」

 

「おう、わかった」

 

モモちゃんは元気良くそう言いながら自室に戻って行く

杏子を家に住ませ始めてからまた一段と元気になった感じだなぁ…良かった、良かった。

そう思いふけていると、杏子が背中をつついて聞いてくる。

 

「ん?どうした?」

 

「モモが言ってる準備ってなんの準備なんだ…?」

 

「学校に行く準備だけど…それが何か?」

 

「学校!?モモを学校に行かせてるのか!?」

 

「うおっっと!?びっくりしたな…あれ、言ってなかったっけ?」

 

「聞いてねぇぞそんなこと!?」

 

「あー、マジか…」

 

伝えたと思ってたんだがなぁ〜、っと危ない危ない、ベーコンが焦げるところだった。

 

「まぁ…とりあえず」

 

俺は三人分のパンにベーコン、レタス、トマトを盛り合わせてから挟み、皿に乗せ、テーブルに置いてからこう言った

 

「先に朝飯を食ってから話さないか?」

 

「あ、出来てる!いただきまーす!」

 

と、着替えてきたモモちゃんが即、席に座り食べ始めた

 

「な?」

 

「あ、ああ…」

 

杏子も渋々席に着き、パンを食べ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええ…すいません、少し頭痛が…はい、はい…申し訳ございません。調子が良くなり次第登校しようかと…はい、すいませんご迷惑をかけてしまい…」

 

ガチャッ…

 

「ふぅ、これで良し」

 

杏子に色々説明する為に午前中は仮病を使って休むことにした。

 

「悪いな…あたしのせいで」

 

「いや、気にするな説明不足だった俺の所為だ」

 

さて…どう話したもんかね…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言うわけだ、流石にあの年齢で小学校行かないっての不味いと思ったからな…」

 

「 そうだったのか…」

 

「…悪かったな、勝手に行かせて、モモちゃんは喜んでくれたが今考えればお前を見つけ出すまで待つべきだった」

 

モモちゃんが元気になったから、という理由だったがあくまでも俺は家族代わり…そりゃいきなり学校に妹が通ってたら驚くよな…だが、杏子はこう言ってきた

 

「いや、あたしはモモが学校に行けて安心してるんだ」

 

「安心?」

 

「モモはいっつも朝、あたしの布団の上に乗っかってきては学校に行こうって言ってきてさ…でも、モモから聞いただろ?親父とかの事…」

 

「…ああ、そうだな」

 

モモちゃんが学校に行くようになる前日に俺はモモちゃんにどうして学校に行けることになるのが嬉しいのか、と聞いたことがある。

杏子の家庭は杏子父が順調だった頃は学校に通えていたそうだが、信者が減り、杏子父が荒れ、酒などに溺れ始めてからは行けなくなったからだと、だから学校に行ける事がとても楽しみだとそうモモちゃんは言っていた。

ちなみに俺はこういう希望を抱いてるといじめられたり変なことされたりしないかと内心心配していたが転校初日でモモちゃんは友達を数人作った、ええい俺の周りはコミュ力お化けばっかりか!?

 

おっとまた話がずれてしまった

 

 

「だからまぁ、ちょっと驚いたけど…ありがとな、モモを学校に行かせてくれて」

 

「照れ臭い事言うなよ、そうだ、お前も学校に通わないか?先生に話を通せば俺と同じところになってしまうだろうが通えると思うぞ?」

 

「いや…あたしは…」

 

と、杏子を誘ってみるが、杏子は遠慮がちだった…

うーむ、正直杏子には学校に来て欲しいのだがな…しかし無理矢理行かせるってのも…いや、無理矢理にも行かせるべきか?

 

「まぁ考えておいてくれ、直ぐには決められないだろうしな」

 

「あぁ…」

 

とりあえず様子見だな…だけど

 

「そういえば…俺とモモちゃんは学校に行ってる間ずっと家にいるよな?だったら頼みたいことがあるんだが良いか?」

 

「なんだ?」

 

「買い物、行っておいてくれないか?」

 

「それくらいならお安い御用さ、他には何かやることとか無いのか…?」

 

「今んところはないが…どうかしたのか?」

 

「いや…あたしだけじゃなく、モモまでこんなに世話になりっぱなしだってのに…」

 

その言葉に俺はクスっと笑った

 

「んなっ!?何がおかしいんだよ!?」

 

「ははっ、いやいや…今まで全然話してこなかったし、いつも暗い顔をしていたからさ…やはり妹がいても俺がいたら嫌なんだろうなって思ってたからな…気にするなよ杏子、俺はやりたくてやってるだけなんだからさ、逆にお前が暗い顔をしてる原因が俺じゃなくて良かったよ」

 

「そんなこと…」

 

「さ、俺は昼から学校行かなきゃならないんだから行った行った!ほれ、財布!」

 

俯いた杏子の背をどすどすと押しながら玄関へ向かわせる

 

「ちょ、お、押すなよ!」

 

「万引きとかするなよ〜?」

 

ついでに少しからかっておく

 

「なっ、するわけないだろ!?」

 

少し不機嫌になりながら杏子は玄関の扉を開け、外に出て行く

 

「杏子」

 

「んだよ?」

 

「行ってらっしゃい」

 

「…!」

 

バタン、とドアが閉まる。

ちょっと面白い顔してたな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、いう感じだった、杏子も今はだんだんと家に慣れてきたのか、暗い顔とかはあまり見なくなってきたな…学校に行くか?と聞くとはぐらかされるのはちょっと気になるが…

 

「おーい、雄介!」

 

そう考えていると、杏子に呼ばれる。

 

そういえば今日はショッピングモールのゲーセンに行くって言ったんだったっけか、ちなみにモモちゃんは小学校の友達と遊びに行っている。つまり今日は杏子と二人きりというわけだ。

この際にもうちょい深く学校に行くことを推してみるか…?とりあえず

 

「ああ、今行く」

 

俺はそう返して玄関に向かっていった

 

だがこの時、俺はまさかあんな目に遭うになるとは微塵も考えていなかったのであった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ゲームセンター〜

 

 

「ショッピングモールのゲームセンターは何気に初めて来たな…規模は風見野の駅前とおんなじぐらいかな?」

 

「雄介もゲームセンターで遊ぶ事があるのか?」

 

「ああ、まぁ少しな…ん、あれは」

 

杏子と共にゲームセンター内を歩いていると風見野のゲームセンターと同じダンスゲームの筐体があった。

このダンスゲームここにもあったんだな…あ、そうだ

 

「杏子、このダンスゲームで勝負しないか?」

 

「へぇ、いいよ」

 

杏子の顔がニヤっとなり、軽やかな足取りで筐体に乗る。

 

「自信満々だな」

 

二人分の金を入れ、俺も同じく筐体に乗る。

曲はコネクト、難易度は……まぁ杏子はダンスゲームが得意だということは知っているが流石にエキスパートは選ぶわけ…

 

「もちろんエキスパートを選ぶよな!」

 

「ん?ああ……ん!?」

 

杏子が迷わずエキスパートを選択し俺もつられてエキスパートを選択してしまった。

嘘だろ…!?この自身満々な感じ…やはり慣れているという事なのか…?くそッ…ええい、ままよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちくしょう…なんであそこまで踊れるんだ…」

 

結果は俺のぼろ負け…いや、俺は十分やったほうだ…初見だったがあと5000スコアぐらいで杏子に追いつけたのだ…あ〜やっぱり負けるのは悔しいな

 

「あたしの勝ちだな!」

 

「ああ、全く完敗だよ……のど乾いたな、飲み物買いに行ってくるよ」

 

「いいや、あたしが買いに行くよ」

 

と、杏子が俺の財布に手を伸ばすが

 

「いやいや、ここは敗者が行ってくるさ、じゃ」

 

「あっ…」

 

杏子が少し声を漏らしたが気にせずにゲームセンターから出て自販機へ向かう、まだ何か気にしているところがあるのだろうか…そう考えながら自販機の前に辿り着く。

 

「さてと、何にしようかって…!?」

 

いつのまにか自販機は白い壁に変わり、あたりには青空が広がっていた

 

魔女の結界…だと!?いや違うな、恐らく使い魔だけか…クソが!よりにもよってスチームガンもブレードもドライバーも無い時に遭遇しちまうなんてな…!とりあえず出口を探さなきゃな…

 

そう決めて走り出そうとした時4体ほどの使い魔が現れた。

 

その使い魔には上半身は無く、スカートから足が生えスケート靴を履いていた。

 

「(コイツ…確か委員長の魔女の使い魔か…)っ!?」

 

「¥%*〆a&hk☆♪」

 

そう思い出していると、よくわからない音を発しながら使い魔達が襲ってきた。

 

「チッ!」

 

舌打ちしながらも地面を滑るように突っ込んでくる使い魔達の攻撃を避けて行く

 

「ハァ…ハァ…」

 

ああ、最悪だ…よりにもよってダンスゲームの後と言うとんでもなく疲れた時に来るなんてな…本当に最悪だ

 

「ぐっ!?」

 

4体のうちの1体に突き飛ばされ地面を転がる。

 

「舐めんじゃねぇぞ!」

 

すぐに起き上がり、突き飛ばしてきた使い魔の足を蹴り払い、その足につけていたスケート履を片方奪い取り、スケート履を思いっきり使い魔に叩きつけ切り裂く

 

「良い切れ味だな…」

 

「$×☆€^,×!?」

 

あと3体…っ!?

 

「うっ!がはっ!!」

 

突然残りの使い魔達は動きを変え、一気に突進を俺にかまし、壁に叩きつける。

 

「(不味い、マズイまずい!どうするこの状況でどう打開する…!?)」

 

そう考えてる内にもゆっくりと使い魔が迫ってくる。

 

「(情け無いな…手ぶらとはいえ、ドライバーもガンもブレードもなけりゃ使い魔1体倒すのがやっとなんてな…)」

 

暗い気持ちになり、段々と恐怖心が出てくる

 

「ハァ…ハァ…ウワァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

 

そして、使い魔の鋭いスケート履が振り下ろされ───────────────

 

 




(0M0)<ウワァァァァァァァァァ

というわけで第12話いかがだったでしょうか…?

天堂「(使い魔が相手でも)馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前」

使い魔達「3人(体)に勝てるわけないだろ!」
※唐突なホモネタ申し訳ございません。

さて、使い魔に襲われた天堂…このまま無残に殺られてしまうのでしょうか…?

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第13話 絶望と希望の差し引き

やっっっっっと投稿出来ました…!

お待たせいたしました、通算UA15000&お気に入り登録者200人突破本当にありがとうございます!!!
投稿速度激遅なのにお気に入り登録や高評価をしてくれる方々、毎回見てくれる方々…本当にありがとうございます!

それでは13話どうぞ!


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…ウワァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

 

そして、使い魔の鋭いスケート履が振り下ろされ─────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────ることは無かった。

 

 

 

 

 

 

「はああぁぁぁぁっ!!」

 

「*%〆¥k@s!?」

 

もうダメかと思われたその時、天堂にトドメを刺そうと足を振り下ろした使い魔は猛烈な勢いで突っ込んできた赤い槍によって貫かれ消滅した。

 

使い魔を一瞬にして貫いたのは、赤い髪をポニーテールに纏め、長い槍を持った少女…佐倉杏子だ

 

「雄介!!大丈夫か!?」

 

杏子はすぐ様天堂の元に駆け寄る

 

「………」

 

が、天堂は気を失っているのか、返事を返すことは無かった。

 

「っ…!テメェらよくも…!絶対に許さねぇ!」

 

そう言うと、杏子は赤い鎖状の結界を天堂の周りに張り巡らせた後、使い魔に飛びかかっていった

 

だが…

 

「………(さて、状況をまとめよう )」

 

この男、気など失っておらず、気絶している振りをしていたのである。

 

「(使い魔に殺されかけたところに魔法少女姿の杏子が駆けつけた…ここまでは良い、助かったし、けどなんで俺が使い魔に襲われているって事が分かったんだ…?ソウルジェムを出していなければ魔女は探知できないはず…キュウべえにでも唆されたのか?それとも偶然か?後者だったら本当に運が良いな…)」

 

そう考える天堂、因みに杏子が使い魔に気づいた理由は後者の偶然であった。

 

時は少し遡り…

 

 

 

 

 

〜ゲームセンター〜

 

 

 

「雄介のやつ、遅いな…」

 

天堂が飲み物を買いに行ってから数分間経っていた、ゲームセンターから外の自販機は歩いても数十秒で着く距離で普通ならば数分どころかすぐに戻ってこられる筈なのである。

 

ふと、杏子は思い出したように自分の指にはまっている指輪…ソウルジェムを見る。

そして、周りの人達に見られないように指輪の状態から卵型の状態にした。

 

杏子のソウルジェムは綺麗で深い赤い色の光を発している…が、少しだけ濁っていた。

 

「(そういえば、あいつと出会ってから魔女とはずっと戦っていなかったな…)」

 

そう、この数日間は天堂にとっては濃い数日間だったように、杏子にとっても濃い数日間だったのである。

 

「(あいつは…私が魔法少女だってことを…魔法少女がどんな存在か知ったらなんて言うのかな…)」

 

杏子の脳裏には父親に自分が魔法少女だということがバレてしまった時の事が浮かび上がった。

 

問い詰められ、自分が願った内容を話して、怒りに染まった父親に連れ出され、そして……

 

「っっ!!変な事思い出しちまった…ん?」

 

ふと、再びソウルジェムを見ると光が少し強くなっていた。

つまり、魔女等の結界がすぐ近くにある事を示していた。

 

「嘘、だろ…」

 

最悪な考えが頭に浮かび杏子はすぐ様自販機の方に走った、そしてその考えは的中し

ていたのだ。

 

「ちくしょうっ!!」

 

自販機には結界が張られていた。

 

そして迷わず杏子は結界に入り込み、魔法少女の姿となり奥へ進んでいったのであった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、今その事を天堂が知る由はないのだが。

 

 

「(それにしてもこの赤い鎖…あの日の戦いでは一度も使っていなかったということは、あの戦いの後に習得したということか…この鎖、かなりの防御力がありそうだな…今後、戦闘になってしまう可能性も考えて対策を練らなきゃいけなさそうだな………ん、終わったのか…?)」

 

そんな事を考えている内にどうやら使い魔は全滅したらしくあたりの風景も青空と白い壁から、ショッピングモールの塗装された壁に戻り、少し遠くからは賑やかな声が聞こえるようになった。

 

「(結構動き回った気がしたがそうでも無いんだな…)」

 

となりに魔女の、使い魔の結界があった自販機を見上げながらそう思っていると…

 

 

「雄介っ!」

 

「うおっ!?」

 

必死な形相をしたに思いっきり肩を掴まれた。

 

「大丈夫かっ!?どこか怪我とかは…」

 

………この場で使い魔とかに言及するのは不味そうだな…一度とぼけておくか…

 

「おお、おおう大丈夫だ、俺は大丈夫だぞ!?というかどうして杏子がここに?俺は確か自販機に飲み物を買いに行ってそれから……ダメだな、靄がかかってる感じがして思い出せないな…もしかして俺に何かあったのか?杏子?」

 

記憶がボヤけていたと嘘を言い、杏子に話を振る

 

「え!?ええ、と、あたしは…その、雄介が中々戻ってこないから様子を見に来て…そしたら雄介がずっと自販機の前でぼーっとしたまま突っ立ってたんだよ!だから、その…」

 

俺はあたふたする杏子を見て、クスリと笑いこう言った

 

「なんでそう慌て気味なんだよ…まぁ、しかしそうだったのか…うーむ、怪我はないが体調が悪いのかも知れないな…すまん杏子、今日は家にもう帰らないか?また別の日に埋め合わせはするからさ」

 

「あ、ああ…そうだな…」

 

 

そうして、今日のところは帰ることにした。

…杏子に今日の事を聞くことも大事だが変身アイテム無しの状態でも自衛できる手段も考えなきゃな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夜になり…

 

 

〜家〜

 

 

「へぇ〜、そんな事があったんだな、良い友達じゃないか」

 

「うん!だからまた遊ぼうって約束したんだー!」

 

あれから家に戻り、夜ご飯を食べた後、モモちゃんの話を聞いていた。

喧嘩とかしなかったようで何よりだよ…

そう思っていると「ふぁ〜」とモモちゃんがあくびをした。

 

「ん…眠くなってきちゃった」

 

「いっぱい遊んだだろうからねぇ…明日は学校があるから寝たほうが良いよ?」

 

「うん…そうする…おやすみ、お兄ちゃん、お姉ちゃん」

 

モモちゃんはそういうと自分の部屋に向かって行った。

 

「おやすみ、モモ」

 

「おやすみ〜、モモちゃん」

 

 

そしてモモちゃんが寝てから数十分後、天堂はテレビを見ながら考えていた。

 

「(さて…いつ話すか、なかなかタイミングが掴めないな…杏子はモモちゃんが寝てから全然喋らないし…どうしたものか)」

 

その時、ガタッと後ろで椅子が動く音がしたので、振り向く

 

「あたしも寝ようかな…」

 

と、杏子が椅子から立ち上がり、自分の部屋へと向かおうとする。

 

「ん、そうか…じゃあまた明日…(いや、待て、言うなら今このタイミングしかない!)あ、いや杏子、ちょっと待ってくれないか?」

 

「…なんだよ?」

 

「少し話したいことがあるんだ…俺の部屋に来てくれないか?」

 

「ん…わかった」

 

〜天堂の部屋〜

 

 

「それで?なんだよ話したいことって」

 

ベットに腰掛けながら杏子はそう聞いてくる。

 

「ああ…実はな今日の昼の事なんだが…」

 

そう言った瞬間、杏子はビクッと震えた。

 

「すまんな杏子、俺は…嘘をついていた、本当は

覚えていたんだよ。自販機に飲み物を買いに行ったら、変な怪物に襲われたって事を、そしてお前が槍を持って怪物達と戦っているところを…」

 

「ぁ……」

 

杏子は小さく声を漏らす

 

「杏子…教えてくれないか?」

 

「あの時のお前の服装と、あの変な怪物達の事を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、それでお前はそのキュウべえ?とか言う変な生き物に願いを叶えてもらう代わりに魔法少女になったってわけか…」

 

「ああ…」

 

杏子は普通に…いや、普通とは言えないか…諦めたような表情をして、魔法少女になったことと、使い魔の事について話した。

 

……だが何故だ?どうして魔法少女だと知られてここまで暗く、諦めたような顔になる?……………ああ、そうか、成る程…そういえば魔法少女になった理由と願いはまだ杏子は言っていない。さっき話したのは魔法少女とは何かみたいなものだしな…となると理由はそれか。

 

佐倉杏子が魔法少女になった理由、そしてその願いは神父である父親の話を皆が聞くようになってほしいというものだった。

 

普通に良い願いだと思う、家族を思ってそう願う気持ちはとても分かる。しかしその願いは杏子に一家に悲劇をもたらすことになった。

 

そう、願いは叶ったのだ、しかしそれは信者達自身の意思では無く、願いの効果によってほぼ強制的なものだった、最早洗脳に近い形である。何故なら杏子が魔法少女だと父親にバレて、杏子が願った内容に激怒した父親は周りの人間に今まで言っていた説法と真逆の事を言い出したのである。

 

するとどうだろうか、周りの人間達はすぐ様疑問などを持たずにその説法に従い、崇め始めたのだ。

 

結果的に杏子の父親は杏子を人を惑わす魔女と呼び叫んだ、そこから杏子の父親は酒に溺れ、家族に暴力を振るい、そして……杏子を除いて一家と心中した。

いや、正確に言えば俺がモモちゃんを助けた事によって完全な一家心中では無くなった…が

今思えばあの時、ビビらずに教会に飛び込めば杏子の父親の自殺だって止められたかもしれなかった。だが俺は結局…………いや、それを考えるのはよそう…いつか、必ず償う、そう決めよう。

 

だいぶ考えが逸れたが、杏子は恐らく自分が何を願ったか聞かれるのが怖いんだろう…だが、行ってもらわなければ先へは進めない…もし自棄になりそうなら止めるまでだ。

 

俺は口を開く

 

「なあ、杏子…お前は何を願って魔法少女になったんだ?」

 

俺は杏子に向かってそう問いかけた。

 

 

 

「…………」

 

「…………」

 

しばらく沈黙が続いた、が

 

「………あたしの願いは…親父の話を皆んなが真剣に聞いてくれますようにって願ったんだ」

 

「…そうか、杏子とモモちゃんが住んでいたのは教会…つまり父親は神父だったってことか…しかし、願いが必要になってくるほどに信者の数が少なかったのか?」

 

「いや…最初のうちは皆、親父の話を聞いてくれていたんだ…だけど親父は本当は今自分が語っている経典では人々は救うことはできない、新しい信仰が必要なんだって」

 

「それで今までの経典から自分の宗教を皆に布教し始めたってわけか…だが…」

 

「そう、受け入れられなかったんだよ、だから信者の数も減っちゃってさ…信者のお布施で生活していたあたし達は一気に貧しくなっちまった。」

 

「成る程な…だからお前は願ったんだな?」

 

「ああ、あの時のあたしは誰も親父の話を聞いてくれないことが我慢できなかった、なんで誰も聞いてくれないんだって、だからあたしはキュウべえに願ったのさ、皆が親父の話を真剣に聞いてくれますようにって」

 

「そうか、それでお前は魔法少女になったってわけか…だがどうしてだ?皆が話を聞いてくれようになったのならお前の父親はあんな事をするとは到底思えないんだが…」

 

「…もちろん、あたしが願った通り皆はまた親父の話を真剣に聞くようになったさ、だけどそれはずっと続かなかったんだよ。ある日、あたし達の住む教会に魔女の結界が作られたのさ、当然あたしは魔女を倒しただけどその時にとうとうバレちまったのさ、親父にあたしが魔法少女だってことが…そして親父は今のあんたと同じような事を質問してきたのさ」

 

「…………ああ、そうか…そういうこと、か…お前の願いは父親にとっては最悪な願いになってしまったというわけか」

 

ふっ…と杏子は自分の事を嘲笑う。

 

「そう、あたしは親父に自分が何を願ったか話した、そしてそれを知った親父は自分の話を聞いていたのは信仰心じゃなくて、願いの力だってことに絶望してさ、それであたしを外に連れて行って周りの人達に今まで言っていた話とは真逆の事を言い始めたんだよ。そしたら周りの人達は願いの通りに話を聞いて親父の話を鵜呑みにした…それであたしの願いの力を自覚した親父は恐怖して絶望して…あたしの事を人心を惑わす魔女だと言い始めたんだ…周りの人達も親父の言葉を聞いて一緒にな」

 

「…なんだって?」

 

「そこからは親父は布教もやめて酒びたりになって、しまいには母さんやモモにまで手を上げるようになったんだ」

 

「……………」

 

「そして最後には…あんたが知ってる通りさ」

 

そういうとまた杏子は俯いた、しかしぽつりぽつりとまた語り始めた

 

「ああ…そうだ、あたしの願いが…祈りが家族を壊しちまったんだ…他人の都合を知りもせず、勝手な願い事をしたせいで結局誰もが不幸になった…」

 

「……………」

 

「希望を祈ればそれと同じ分だけの絶望が撒き散らされる…そうやって差し引きゼロにして世の中は成り立っているんだ…」

 

ばっ、と杏子は顔を上げ俺を真っ直ぐと見る。

その顔は少し笑っていた

 

「そうだよ…あたしが全部勝手に壊したんだ…あたしの勝手で親父に希望を持たせて、絶望させて…母さんやモモが傷ついて!親父も母さんもあたしが殺したようなもんなのに…それなのにあたしはモモに、お前に受け入れられて…!ほっとしちゃってさ…!父さんも母さんもモモも全部全部あたしが…!!」

 

叫ぶように杏子はそう言った、全ては自分のせいだと…だが言い切る前に杏子の額が天堂のデコピンで叩かれた

 

ビシッ

 

「あいっ……!?」

 

「そこまでだ、そこから先は言わせられないな」

 

そう言ってベットに座っている杏子の隣にどかっ、と腰を下ろした

 

 

「…悪かったな、辛い事を語らせちゃって」

 

「な、なんであんたが謝るのさ…!?」

 

「いや、俺、ちょっと自惚れちゃってたよ…モモちゃんを助けて、保護して…お前を見つけて保護して姉妹二人揃って、ようやく普通で少しは幸せな生活をさせてやれてるなって思ってたんだけどさ…お前が魔法少女っていう大変で危なそうな事をやっててしかもその経緯がここまで悲しくて辛い物だってことを知らずにそんな事を思っていた自分が情けなくてな…」

 

「…そんな、こと」

 

「ほんとにごめんな…でも俺にはそうやってすることしか出来ないんだよ…それこそ俺の勝手な都合で…」

 

「違う!」

 

首を振るって杏子は俺の言葉を遮った

 

「…そうかな?」

 

「あんたは違うだろ…!確かに勝手な都合かもしれない、けどあんたは不幸どころかモモを助けて学校に行かせてくれて…こんなあたしにもまだ手を差し伸べようとしてる…!だから…だからそんなこと言うなよ…!」

 

「そ、俺もお前にそう言いたかったんだよ」

 

「…え?」

 

「確かに、確かにだお前が家族を壊してしまったのかもしれない、だが全てがお前のせいでああなった訳じゃないと俺は断言する。俺はお前からすれば部外者で好き勝手言う資格なんて無い、だけどな言わせてもらうぞ」

 

がっしりと杏子の肩を掴んで言う

 

「杏子、お前は言ったよな自分のせいで家族を壊してしまったって、自分が他人の都合も知らずに勝手な願い事したからだって…そんなのはほとんど皆んな同じだ、お前だって俺だって、お前の父親だってそうさ、勝手に祈って、勝手に絶望して、勝手に助けている。それにな…さっき俺が言った事を否定してくれたよな?それと同じさ…お前だって今日俺を魔女の使い魔ってのから守ってくれたじゃないか…お前の父親はお前の事を魔女って呼んだみたいだけど俺からすればあの時のお前はまさに正義のヒーローだったんだよ」

 

「あ…」

 

「お前が俺にそんな事を言ってほしくないように、俺もお前に自分自信の事を責めてほしくないんだよ…杏子」

 

そういって、杏子を抱きしめる…不快と思われるかもしれないが、安心させるにはこれくらいしか思い浮かばなかった。

 

「自分の事を完全に許せとは言わない…だけどさ、お前は誰かを思って頑張ってきたんだ、父親の為に祈って、願って、魔法少女になって危ないめにあってる人を助けて…今日俺を助けてくれたようにさ…だからこれ以上もう自分を責めるなよ…確かに壊れてしまったものもある。だけど壊れなかったものだってあるんだからさ、それに目を向けて進んでいけば良いんだよ」

 

そう語って杏子の顔を見る。

その赤い瞳には涙が溜まっていた

 

「ゆ、う…すけ」

 

「泣きたいなら泣いた方が良いと思うぞ?こんな奴の胸ならいくらでも貸すからさ」

 

「っ、く…うあ……うぁああぁぁあああああああぁぁぁぁぁ!!あぁぁあ…あああああ!!」

 

杏子は泣いた、色々な感情が混ざり合って涙になって流れていく

 

しかし杏子にはまた居場所ができた、父と母はいなくなってしまったが、この男とモモちゃんがいる。自分を受け止め、受け入れてくれる居場所が。

 

 

 

 

 

 




というわけで13話いかがだったでしょうか…?
ちょっと書いてる時脳みそが超デットヒートしてたんで不自然な部分があったかもしれませんが…もしもご不快になられていたりしたら申し訳ございません…これでも精一杯やってるつもりなのです…ユルシテ…ユルシテ

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第14話 赤い転校生

大変お待たせ致しました…ようやくテストも終わって一息…とはいかず次に立ちはだかる就職活動…ボスケテ…

通算UA17500&お気に入り登録者220人突破ありがとうございます!!

ついに杏子が…

それでは第14話どうぞ!


 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

「本当か?無理して言ってるわけじゃないよな?」

 

「そんなわけないだろ?大体、雄介が最初に誘ってきたんじゃないか」

 

「うーむ、それもそうか…」

 

ん?何の話をしているのかだって?

ついに…ついに杏子自信の意思で学校に行く事を同意してくれたんだよ!

 

いやぁ良かった良かった…あの日の夜、あのまま杏子と一緒に寝落ちしちゃってから今までのような少し後ろめたさがある気まずさは無くなったんだけど、今度は別の意味で気まずかったからなぁ…向こうの顔も赤かったし…悪いことしちゃったなぁ…

おっとそれはともかく、と…

 

俺は一枚の書類とボールペンを杏子に渡す

 

「じゃあ、お前の名前をここに書いてくれ、それで全てOKだ」

 

「ん、わかった」

 

言われた通りに杏子は名前を書く

 

「これで良いのか?」

 

「おう、OKだ」

 

俺は書類をクリアファイルにしまいながら自分のバッグを漁る、ええっとどれだったっけなぁ…?

そうしていると杏子が

 

「なぁなぁ、あたしはいつから学校に行くんだ?」

 

と聞いてきた。

 

そんなことは決まっている。

 

「明後日」

 

「…へ?」

 

「いやだから明後日だけど…」

 

「はぁぁぁぁあ!?」

 

と、言ったら肩を思いっきり掴み揺らしてきた。

 

「おわぁあ!?なんだ何が問題なんだ!?」

 

「お、お前、明後日って急すぎるだろうが!こういうのって1週間ぐらいかかるもんだろ!?」

 

「いやぁ…実はこの書類以外も既に全部学校に提出しちゃっててさ…」

 

「んなっ、お前…まさか最初からあたしが行く前提で…!?」

 

「だってモモちゃんが行ってるのに杏子は行かないってのはやっぱ流石に…ねぇ?」

 

「何が、ねぇ?、だ!!」

 

「ちょ、いってぇ!?それに伝えようと思ったけどお前最近あんまり口聞いてくれなかったじゃ、どっわ!?ちょ、マジ勘弁してくれ!?」

 

「逃げるなぁ!」

 

そこからは追っかけっこが始まった。

この姉妹、元気ない時とある時の落差が大きすぎるでしょ…そう考えながらソファを中心に時計回りに逃げる。

 

そしてソファに座ってお菓子を食べていたモモちゃんは、にぱーっと笑顔でこう言った

 

「お兄ちゃんとお姉ちゃんとっても仲が良いんだね!」

 

はい…だからお姉ちゃんを止めてくださいモモちゃん…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日

 

 

 

 

見滝原中学校の女子制服を着た杏子と一緒に中学校へ向かう。

…うん、似合う…普段着とはまた別の良さがあるんだよなぁ制服って

 

「…そんなにジロジロ見るなよ」

 

「ん…おっとすまん…あ、ここ曲がるぞ」

 

そう言うとふいっ、とそっぽを向く…ちょっと顔が赤かったのは気のせいか…?

 

そうこうしているうちに学校へと着く。

 

上履きに履き替え杏子とは一旦昇降口で別れた。

 

 

 

 

〜教室〜

 

 

教室入ると、いつものメンバーと挨拶を交わして、何気ない会話をする。

 

「それでまた新しいフレーズが浮かんできて…」

 

「へぇ…なら今度聞かせてくれよ」

 

「もちろんだよ!実は今度演奏会があるからその時に披露しようと思ってるから、皆に来てほしいんだ…」

 

「演奏会かぁ…いいなそれ、もちろん行かせてもらうよ」

 

「もちろん私もですわ!」

 

「あたしもあたしも!」

 

「私も聞いてみたいなぁ…!上条君のバイオリン」

 

そう盛り上がっていると…

 

キーンコーンカーンコーン

 

朝のHRを知らせるチャイムが鳴る

 

「はーい、皆さん席に座ってくださーい!」

 

そう言いながら、先生が教室に入ってくる。

 

「皆さんおはようございます!今日は大事な話がありますので心して聞くように!」

 

そう、今日は転校生…つまり杏子がいるからな…早速紹介を…

 

「その前に…はい、中沢くん!」

 

「えぇ!?」

 

ズコー

えぇ…そっちが先?てか早乙女先生また失恋したんですか…?

 

そんなこんなでようやく本題に移った。

 

「はい、では今日は皆さんに転校生を紹介します!」

 

クラス全体が一気にどよめく

そら大事な話といってもこの時期に転校生+その転校生そっちのけで失恋話してたらね…

 

「じゃあ佐倉さん、いらっしゃい」

 

そして転校生が入ってくる。

 

赤く長い髪をポニーテールに纏め、少し顔を引きつらせていた…まぁ佐倉杏子である。

 

「はい、じゃあ自己紹介行ってみよう!」

 

「え、あ、っと…、佐倉杏子…で、す、よろしくお願いします」

 

どこかぎこちなく杏子がそういうと、先生はすらすらとホワイトボードに杏子の名前を書いていく。

 

顔を引きつらせる気持ちはわかる、わかるぞ杏子…てかさっき佐倉杏子だ、って言おうとしたな…まぁ言わなかったからセーフセーフ…

 

「じゃあ、佐倉さん、天堂君の隣の席に座ってね!」

 

そう言われて、杏子は俺の席の隣へと座った。

 

すると小声で杏子が話しかけてきた

 

「なんか…変わってるんだな先生って」

 

「あー…うん、まぁこの先生がちょっと特殊なだけであとはちゃんと普通だから…てかこの先生も朝以外は普通だから、な?」

 

「お、おう…」

 

ふと、杏子とは逆の方を見ると、鹿目さん達やクラスの人達がチラチラと杏子を見ていた。

 

そりゃ転校生だから気になるよな…皆と仲良くできるようにしなきゃな…!

 

 

そう内心気を引き締めて俺は今日の予定を話す先生の声に耳を傾けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜昼休み〜

 

「つ、疲れた…」

 

「ものすごい質問責めだったな。」

 

なんやかんやで昼休み、杏子は少しグッタリしている。

それもその筈、昼休みまでの授業の間にある休み時間でめちゃくちゃ質問責めを受けていたからだ。

どこから引っ越してきたの?どこの辺りに住んでるの?とか、好きなものは?とか天堂君とは知り合いだったの?などなど…たまに俺がちょっとフォローをしたり、誤魔化したりとやっていた。

 

 

「よし俺たちも飯にするか、杏子、屋上行くぞ〜」

 

「やっとメシか、って…ここで食うんじゃないのか?」

 

「屋上で食った方が美味いぞ?それに紹介したい人達もいるしな」

 

「紹介したい人達?」

 

そう言うと杏子は首を傾げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜屋上〜

 

 

「おっ、雄介遅かったじゃん…って、転校生も一緒!?」

 

「確か…」

 

「杏子ちゃん、だよね?」

 

屋上に着くと、先に来ていたさやか達から様々な反応を受ける。

 

「こいつらがお前が言ってた紹介したいやつらなのか?」

 

「そ、じゃあ皆改めて紹介するよ、こいつは佐倉杏子、ちょっとした事情で今は俺と一緒に住んでる」

 

 

「いっ、一緒に住んでる!?」

 

「ふええっ!?」

 

「……ん?」

 

あれぇ…なんか誤解を受けているような…?

すると志筑さんが…

 

「ま、まさか天堂さんが…!」

 

「へ?」

 

「私達の知らない間に転校生の佐倉さんとそこまで秘密の関係を…!?」

 

「ちょ、ちょっと待て!?確かに雄介とは一回だけ同じベットで寝ちまったけ…「ストォォップ!!余計な誤解が生まれるからちょっと黙ろうか!?」あっ…!」

 

「お、お同じベットで……!?い、いけませんは天堂さん!!それはいくらなんでもいけませんわ〜〜!」

 

志筑さんはなんだか興奮したような感じで走り去っていってしまった。

 

「ゆ、雄介アンタ…」

 

「いや、違うからな?」

 

「て、天堂くんと一緒のベット…ふわぁ……」

 

「か、鹿目さん…?」

 

少し引いたように言ってくるさやか、何故か顔が赤く少し惚け顔になっている鹿目さん……くそっ!どうしてこんなカオスな事に…!?

 

そんな中恭介が口を開いた

 

「な、なんだか話が逸れちゃってる気がするけど…雄介、さっき言ってたちょっとした事情ってなんだい?」

 

俺はゆっくりと恭介をまるで救いの手を見るような目で見ていた。

 

ありがとう恭介…お前がいて良かったよ…!

 

その後、無事誤解を解き、5人で雑談をしながら昼食を食べた。杏子も無事に恭介、鹿目さん、さやかと友好関係を築くことができた。

 

ちなみに志筑さんにも後からちゃんと事情を説明し、誤解を解いた…一時はどうなるかと思ったが、はぁ…疲れた…

 

だがこれで杏子も段々と学校に馴染めるだろう。後は…まだまだ問題が残っているなぁ、不自然に見られないよう且つ、使い魔程度なら倒せるような護身用の武器の作成とクローンヘルブロスの完成…どうにかしなくっちゃな。

 




というわけで第14話どうだったでしょうか…?

さて…次回には流石に戦闘を入れたいと思っております…!!(まどマギ×仮面ライダーの小説なのに全然戦闘しねぇなこの作者…)

それとこれから夏休み、いっぱい投稿できる絶好のチャンス…と言いたいところなのですが…ちょっと色々ありまして難しいかもしれません…その辺りの事は活動報告にてお知らせします。申し訳ございません!

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第15話 演奏会・地獄の歯車

もうすぐで小説投稿から1年経つのに完結どころか原作開始まで行けてないやつがここにいるってマジ?

はい、私です。

というわけで覚えていてくれている方はいるのでしょうか…、お久しぶりです。就職活動や文化祭などが無事終わり、ようやく投稿することができました。

あと久々に覗いたら、UAが20000、お気に入り数が250人を超えていたという事にめちゃくちゃビビりました。

…キャラの口調とか変になっていたらすみません!
それでは第15話、どうぞ!


 

 

 

〜地下室〜

 

 

 

「ここの機構をこうして…いや、少しズラして…ガーディアン、ドライバー取って」

 

『……』

 

「ありがとう、あとはここを、っと…」

 

土台があるとはいえ新しい物を作るのって本当に難しいな…

 

ん?何をしているのか?だって?

それはもちろん護身用の武器作りだよ。この前は本当に運良く杏子が来てくれて助かったものの、次もし、同じような事があったらエボルドライバーやスチーム系の武器が無かったらどうなるかわかったもんじゃない。

だからこうして新しく作っているというわけだ

 

ちなみにコンセプトは

 

・バレてもなんとかごまかせるような物

・持ち運びがしやすい

・使い魔を倒す事が可能

・フルボトルを使用できる

 

である。

 

かなり高スペックであるがこのくらいしないと生き残れないからな、仕方ないね。

 

「っし、できた!」

 

完成した新しい武器を掲げる。

その名もスチームプロテクションロッド

まぁ安直な名前だが俺にはあまりネーミングセンスが無いからな、仕方がない。

外見は普通の21インチの特殊警棒だが棒の一番先っぽの部分が丸状ではなく鋭利に尖っている。(通常時は丸状のカバーで刺せないようにしている。)また、グリップエンドの部分に特殊な改造が施されておりフルボトルを一本だけだが装填してその成分を棒の部分に纏わせたりすることが出来る。もちろん、通常の特殊警棒よりも強度が増してある為、使い魔も撃破できる…筈だ。

 

すごいでしょ?最高でしょ?天才でしょ?と思わず言いかけるが、すごい最高は兎も角、桐生戦兎や葛城巧のように完全自分一人では無くガーディアン等の補助無くしては作れなかったので天才とは言えない。

 

…転生する時の特典に桐生戦兎や葛城巧並みの知識や頭脳でも頼めば良かっただろうか。

いや、過ぎた事だな…それにしても

 

「これを何処で試すか…だなぁ…」

 

当然試すならば魔女/使い魔の結界だがその結界が何処にあるのかは分からない。俺自身、結界は見えても魔法少女と違って結界の探知はできないのだから。

なら杏子にこっそり着いていけば良いという話だが、今現在杏子は鹿目さんとさやかと一緒に仲良くショッピングモール行っている。俺も誘われたが、実はこの前、近所の人に手伝ってもらいたい事があると頼まれているから申し訳ないが今日は行けない。と嘘をついて断った、そのかわり杏子に何万円か渡して私服とかを鹿目さん達と一緒に選んで買ってこいと言った。杏子の私服はいつも着ている服とその予備1着しかなかったからだ。俺が買っておけば良かったのかもしれないがモモちゃんぐらいの女子服ならまだしも同い年の女子服を買うのは流石に気が引けてしまう…もちろん鹿目さん達にはちゃんと断りを入れておいた。

 

 

……………家にいてもどうにもならないな、魔女の結界探しがてら恭介のバイオリンの発表会がある会場を下見しに行くか。

 

俺はそう考えると、机の上を片付け、身支度をして家から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ショッピングモール〜

 

 

 

天堂が家を出た頃、杏子達はショッピングモールで服を買いに来ていた。

 

「この服はどうかな!杏子ちゃん!」

 

「この服もいいじゃない?ねぇ杏子!」

 

そう言いながらずずいっと、色々な服を持ちながら杏子に迫るまどかとさやか。

 

「ちょ…あたしは着せ替え人形じゃねぇんだぞ全く…雄介のやつ、余計なことしやがって…」

 

「まぁまぁそんな事言わずにほらほら!」

 

「えっ、ちょっと待てって!?」

 

そう喚きながら試着ルームに連行される杏子、だがその顔は満更でもなさそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜見滝原市市民文化会館〜

 

 

 

 

 

「ここが文化会館か…何気に一度もきた事無かったなぁ」

 

文化会館の周りを歩きながらそう呟く、建物もこの街特有(?)のオシャレな感じだ、今更だがガラス張りの教室がある学校といい、都市開発が進んだ未来型都市とはいえちょっとデザインが攻めすぎるというか日本離れしすぎてない?とか思っているのは俺だけなのだろうか…いやこれ以上考えるのはやめておこう。終わらなくなる。

 

ヒューゥゥゥ…

 

そう考えていると、冷たい風が吹いてきた

 

「うへぇ〜、寒っ…もう11月半ばだもんなぁ…厚着してくれば良かったか………ん?」

 

冷たい風を浴びて肩を震わせながら、周りを見渡すとあるものが目に留まった。

 

「…魔女の結界か」

 

よりにもよってこの文化会館にグリーフシードを埋め込みやがったなあの淫獣…

 

俺は魔女の結界が張られている文化会館の屋内駐車場の柱に近づく、その瞬間

 

ガラッと辺りの景色が移り変わり、空は白くひび割れたステンドグラスのようなものが浮いていた。結界の中は白と黒しか色が……いや、遠目に見える女神像の右腕の先には炎らしき赤色がある。

 

十中八九影の魔女か…油断はできない

 

「な!」

 

そう考えていると、使い魔と思わしき黒い触手がさっきまでいた地面を突き刺していた。

 

すぐさまバッグからスチームプロテクションロッドを取り出し、構える。

もし全く効き目が無かったら怖いが…実験に恐怖は付き物だ仕方がない

 

「らぁ!」

 

先端のカバーを外し、再び伸ばされた触手を避けその根元にロッドを突き刺した。

 

「フンッ!」

 

「$%〒°^☆€!?」

 

そこから力を加え、根元を一気にぶち抜いた。

 

「やれた…!っと!」

 

ロッドに串刺しにした使い魔を汚れを払うように振り払い、別の使い魔から放たれた二本の触手を弾き、後退する。

 

「やれる…やれるぞ!使い魔は倒せる!」

 

残りの二体の使い魔の攻撃を避け、ロッドで突き刺していく。

 

霧散する使い魔を尻目に、俺は考える。

 

「しかしどうやってあの右腕まで行くか……あ、そうだ。」

 

そうだ、最近戦闘していなかったし、使っていないからすっかり忘れていた。

 

「能力を使うか」

 

念の為キョロキョロと周りを見渡す。

能力は使うところを見られても(分裂などは兎も角)一応まだギリギリなんとか誤魔化せる範囲だがあまり見られたく無いしな…あの淫獣とか巴マミが万一跡をつけてきていて見られてしまった、なんてことになったら最悪だしね。

 

………よし、いないな!

 

「…ふっ」

 

足に力を入れると同時に一瞬目が赤く光る。そして地面を蹴った瞬間赤い残像ができるほどの速さで天堂は結界の中をを進んでいった。

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エボルトの能力とロッドを駆使し、結界内の使い魔をばったばったと薙ぎ払っていく。

 

使い魔の放つ触手を弾き、接近しては刺し穿つ。

 

肘から手だけの使い魔が押し潰そうとすれば、手から赤い霧状のエネルギーを放ち吹き飛ばして行く。

 

え?もしも杏子と一緒に結界に入ってもエボルトの能力を使うのかって?

(それは)ないです。

秘密を抱える以上は慎重にならなきゃダメだからね。(スチームプロテクションロッドなんてもん作って置きながら)

 

それにしても

 

「まだ結界の最深部じゃないのか…いや、最深部ってより上の方にあったし最上部か?……お、あれは…」

 

視線の先には真っ黒くて白いドアノブがついた扉があった、その扉の前には三体ほど使い魔がいるが。

 

「最後にこいつを試すか」

 

ロッドの底の蓋を開け、懐から二つのフルボトルを取り出す。

 

『ロック』

 

ロックフルボトルをロッドの底に装填することで、ロッドにロックフルボトルの能力が付与される。

 

『スチームアタック!!』

 

ロッドの先端から鎖が発生し、使い魔を鎖が囲むようにしてロッドを振る。

 

「¥¥%〒÷!?」

 

一気に使い魔達を縛り付ける。

そして…

 

「ぉぉぉおお!!」

 

縛り付けた使い魔達を振り上げ…

 

「らあっ!!」

 

地面に思いっきり叩きつける。

 

「$々〆!?」

 

「ダメ押しにもう一つ!」

 

『ハンマー』

 

ロックフルボトルを外し、ハンマーロストフルボトルを代わりに装填する。

 

『スチームブレイク!!』

 

両手でロッドを握り、体を後ろに仰け反らせ…

 

「どおらぁっ!!」

 

一気に使い魔達にロッドを振りかざし使い魔達を叩き潰した。

 

「……よし、ロッドの性能は充分確かめられた…行くか。」

 

 

ロッドを構え、思いっきり魔女がいるであろう場所への扉を開いた。

 

 

 

 

「……………」

 

 

そこには白と黒の色しかない結界の中で唯一赤い色を持つ自由の女神が手に持っている炎のような物に祈るようにしている魔女がこちらに背を向けて無言でただずんでいた。

 

 

「あれが影の魔女か…」

 

そう言って一歩踏み出した瞬間

 

「ッ!?」

 

影の魔女の近くの地面から大量の触手が天堂に向かって一斉に突き出てきた。

 

「ちっ!」

 

ロッドを構え、使い魔達の対処をした時のようにして、大量の触手をなんとかいなして行く。

 

「(このままじゃジリ貧だ、流石にこれ以上ロッドで相手をするのはキツい…なら後はアレで行くか)とうっ!!」

 

天堂は考えを纏め、触手の攻撃を能力を使って脚力を強化し、大きくジャンプして躱した。それを好機に触手が空中で無防備な天堂を串刺しにせんと迫るが…

 

「…行くぞ」

 

天堂は懐からネビュラスチームガンを取り出し、ギアエンジンとギアリモコンを装填した。

 

『ギアエンジン!ギアリモコン!』

 

『ファンキーマッチ!!』

 

「潤動ッ!」

 

『フィーバー!!』

 

潤動という言葉を引き金にスチームガンの銃口から黒煙が噴き出すと同時に複数の白い歯車と青の歯車が縦横無尽に飛び出し、天堂へ向かってくる触手をバラバラに切り裂いていく。

 

そして天堂が着地すると同時に煙が晴れ、縦横無尽に飛び回っていた歯車が各部位に火花を散らしながらはまっていった。

 

『パーフェクト!』

 

 

「ヘルブロス、参上…!」

 

そこには、頭部にツインブレードのアンテナを備え、右半身が白い歯車、左半身が青い歯車の装甲に覆われた仮面ライダーに少し似た怪人─────ヘルブロスが立っていた。

 

 

「…これより、クローンヘルブロス作成の為の実戦データ収集を開始する…なぁんてな、っと!」

 

そんな台詞をキメながら、こちらに向かってきた触手を斬り伏せる。

 

「そらよ!」

 

影の魔女に向かって走りながらネビュラスチームガンを連射、が、命中する前に壁と化した触手に防がれ、お返しと言わんばかりに先端部分が竜の首や人の手を模した形の触手が迫ってくるが。

 

「無駄無駄ァ!」

 

ヘルブロスの両碗部にあるギアトルクガントレットから歯車型のエネルギーカッターを生成し、向かってくる触手に向かって射出、迎撃する。

 

触手を全て斬り裂くと、跳躍し、スチームブレードのバルブを一回転させる。

 

『エレキスチーム』

 

エレキスチームにより電撃を纏ったスチームブレードを構え、空中から一気に魔女へ突っ込む

 

「こいつを食らいなァ!」

 

迎撃してきた触手を空いた左手で生成したエネルギーカッターで切り裂き、魔女本体にスチームブレードを突き刺した!、が

 

「………………」

 

「チッ、浅い…!」

 

すぐ様魔女を蹴って後ろへ退こうとするが…

 

「…………」

 

「クソッ!」

 

そうは行かないと魔女本体から伸びた触手が天堂を覆いこもうとする。しかし

 

「………!?!」

 

触手が突如痙攣し、動きを止めた。

 

「残念、痺れちまったみたいだなァ…」

 

触手を切り裂き魔女から離れると、スチームガンをブレードと合体させ、ライフルモードにする。そして、ギアエンジンを取り出し…

 

「これで、ジ・エンドだな」

 

『ギアエンジン』

 

ギアエンジンをスチームガンに装填し、構える。

 

銃口から複数の歯車が重なり、白と青が混じったエネルギーをチャージしながら砲弾型に形成されて行く。

 

そして

 

「チャオ」

 

引き金を引いた。

 

『ファンキーフィニッシュ!』

 

スチームガンから放たれたエネルギー弾は触手に阻まれることなく、魔女をブチ抜き、背後にあった炎のような物に着弾、大爆発を起こし魔女諸共消し飛んでいった。

 

 

 

白と黒しか無かった魔女の結界は溶け、周りの景色が戻っていく。

 

 

「ふぅ…ちょっと長かったな…まぁ、ロッドが充分使い魔に通用することも分かって、ヘルブロスのデータ収集も出来たし良しとするかぁ…」

 

変身解除し、グリーフシードを回収した俺はそんな言葉を零しながら、帰路に着いた。

 

〜〜〜♪

 

「ん?電話か」

 

俺はバックから携帯電話を取り出し、電話に出た。

 

「はいもしもし?」

 

『ッ繋がった!雄介!!』

 

『天堂くん!』

 

『雄介、あんた大丈夫!?』

 

「うぉっ!うるさっ!?っておお杏子か、あと鹿目さんとさやかも一緒か、で、どうしたんだ?何か慌ててるみたいだが……もしかして渡したお金が足りなかったのか…?」

 

『そういう話じゃねぇよ!!買い物が終わったから…その、かな…まどかとさやかが雄介も呼ばないかって話してきて…だからお前に電話したんだよ!でもお前、全然電話に出ないからしんぱ…気になったからさ!』

 

『気になったって…まどかもアンタもめっちゃくちゃしん…むぐっ!?』

 

『良かったぁ…天堂くんにの身に何も無くて…』

 

……?そんなに時間経ってたか…あっ本当だ、結構時間経ってたな…魔女の結界って圏外なんだったのか…って、どう言い訳するかなぁ〜、そうだ。

 

「あ〜、すまんかった、ちょっと近所の人の手伝い終わった後に図書館にちょっと行ってたから携帯の電源を切ったまんまだったわ。」

 

『ったく…そうだったのかよ』

 

「悪い悪い、今度からは気をつけるよ…今から…いや流石に遅くなるか、すいません鹿目さん、あとさやか、また今度時間空いたら俺も一緒に行って良いかな?」

 

『良いに決まってんでしょ』

 

『うん!今度は皆で行こうね!』

 

「ははっ、ありがとうな、じゃあお二人とも明日の演奏会で!杏子もまた後でな」

 

『『ばいばーい!』』

 

『雄介…家に帰ったら覚悟しろよ…!』

 

「エッ」

 

プツ、ツーツーツー

 

 

「……帰るか!(現実逃避)」

 

俺は最後の一言を忘れ、家に戻った。

 

 

 

この後、杏子にめちゃくちゃボコられた。悲しみ

 

 

 

 

 


 

 

 

〜演奏会当日〜

 

 

 

 

『午後の部はこちらのBホールで行われます…弦楽器、吹奏楽器の部はこちら、Bホールで行われます…ご来場の皆様……』

 

〜待機室〜

 

「よっ、恭介」

 

「雄介!それに皆!」

 

遂に演奏会当日、俺は皆と一緒に恭介のところまで来ていた。奏者の待機室だが午後の部開始は1時間後なので、まだ立ち会っても問題は無いといった感じだ。

 

「ついに本番だな、恭介…お前のバイオリン演奏、楽しみだよ」

 

「この日をずっと楽しみにしていましたの!上条君のバイオリン演奏お聞かせくださいな!」

 

「あたしもだよ恭介!本当に…楽しみにしてるから!」

 

「私はこういう演奏会とか聞くの初めてだけど…応援してるよ!上条君!」

 

「あー…あたしはあんたとは他の奴らよりはあんま長くないけど…応援してるよ、頑張ってな」

 

「皆…!ありがとう!今日の演奏会で最高のバイオリンで弾いてみせるよ!!」

 

皆で恭介を応援した後、待機室から演奏会場へ俺たちは移動した。

 

あぁ良いなこういうのは…

 

そして…

 

『次、使用楽器、バイオリン・上条恭介君の演奏です』

 

「…きた!」

 

と、小声でさやかが言う。

 

拍手に迎えられながら…恭介はステージ中央へ向かい、御辞儀をした後、バイオリンを持ち、演奏を始めた。

 

そこからはもう、すごいとしか言いようがなかった。

 

俺も、さやかも、志筑さんも、鹿目さんも、杏子も…会場の全員が恭介が奏でるバイオリンの旋律に夢中になっていった。

 

さやかは思いふけた様子で少し涙ぐんでいた。

 

途中クラシックに入った時に交響曲第9番・第4楽章を弾きながら明らかに俺の方を見てきた時はクスッときた。

 

そして全ての演奏を終わらせると、恭介は再び御辞儀をした。

その瞬間、会場を包み込むほどの拍手が起こり、それを背にしながら恭介はステージを降りていった。

 

こういうの、良いなぁ…本当に、演奏会が終わったら…あいつを褒め散らかしてやらないとな。

 

そう思いながらも、俺は次の演奏者の演奏に耳を傾けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、俺は少し忘れていた。原作開始はもう、すぐ近くまで来ているのを。そして原作通りとなれば、上条恭介がどんな目にあうかということも。

 

 

12月、事故は起きてしまった。

 

 




はい、というわけで第14話どうだったでしょうか…?

久々の投稿で変なところとか読みにくいところがあったかもしれませんが、どうか御勘弁を…!

それと非常に申し訳ないのですが、間がかなり空いてしまった為、お気に入り登録と評価してるくれた方々の名前は今回、そしてこれからは纏めて活動報告に載せさせてもらいます。どうかご了承ください。

毎回見てくださって本当に皆様ありがとうございます!

誤字脱字報告お待ちしております!
感想等も書いてくれると嬉しいです。




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