やはり、俺の大人ラブコメはまちがっている (おたふみ)
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1話

比企谷八幡は奉仕部での活動を通しても、捻れた性格は治ってないと教師・平塚静に判断され、「人を育て導く」ことで矯正しようということで、教師の道へ半ば強引に進められた。そして教師として総武高へ戻ってきた。

 

平塚「比企谷!久しぶりだな」

 

八幡「平塚先生、お久しぶりです」

 

平塚「歓迎するぞ。それと、お前にとって懐かしい顔が一人居るから、後で紹介し…」

 

城廻「比企谷く~ん」

 

平塚「紹介する前に向こうから来たな」

 

八幡(職場に癒しは必要。俺の知ってる最高の癒し系)

 

八幡「城廻先輩、よろしくお願いします」

 

城廻「ダメだよ比企谷君。『城廻先生』って呼んでくれなきゃ」

 

八幡「それは城廻先生もです」

 

平塚「上手くやっていけそうだな。今夜は比企谷の歓迎会があるから、出席するように」

 

八幡「いやぁ、今夜は…」

 

平塚「ほぅ。」ゴゴゴゴゴ

 

八幡「…冗談です」

 

平塚「ならばよい」

 

城廻「比企谷君、飲みニケーションだよ」

 

八幡「微妙に古いっすよ」

 

~~~~~~~~~~~~

 

居酒屋

 

八幡(みんな、飲んでるなぁ…。ここはステルスモードで…。)

 

平塚「比企谷、飲んでるか?今日は君の歓迎会なんだ。好きなだけ飲みたまえ」

 

城廻「そうだよ、飲みたまえ。」

 

八幡(ステルスモード失敗!)

八幡「城廻先輩、仕上がってますね」

 

城廻「そんなことないよ。そういえば、奉仕の二人はどうしてるの?」

 

八幡「由比ヶ浜は保育士、雪ノ下は雪ノ下建設で働いていますよ」

 

城廻「たまには会うの?」

 

八幡「この前、三人で飲みましたよ」

 

平塚「二人も元気そうでなによりだ」

 

八幡「奉仕部はなくなったけど、三人の関係は相変わらずです」

 

城廻「見事なトライアングラーだもんね」

 

八幡「やめてください。そんなんじゃないですよ」

 

城廻「そう思っているのは比企谷君だけだよ」

 

八幡(わかっている。わかっているからトライアングラーのままなんだ。この関係が壊れるのが怖い。なんと呼んでいいのかわからないが、この関係が心地好い)

 

平塚「比企谷、奉仕部はまだあるぞ。部員は0だがな。放課後に部室に行ってみたまえ。君を顧問にしておいた」

 

八幡「部員が居ない部活の顧問て何なんですかね」

 

平塚「部員を募集してもいいし、君が対応してもいい。それとも、活発な部活の顧問がいいのかね?」

 

八幡「慎んで奉仕部の顧問をやらせていただきます」

 

~~~~~~~~~~

 

数時間後

 

平塚「うぅ、キモチ悪い」

 

八幡「平塚先生、帰れますか?」

 

平塚「ヤバい」

 

城廻「比企谷君、平塚先生をお願いね」

 

八幡「わかりました。平塚先生って、酒弱いんですか?」

 

城廻「そんなことないよ~。たぶん、比企谷君が来たから嬉しかったんだよ~」

 

八幡「そんなモンですかね」

 

城廻「そうだよ~」

 

平塚「うぅ」

 

八幡「さぁ、帰りますよ」

 

平塚「比企谷、すまんなぁ」

 

八幡「はいはい」

 

~~~~~~~~~~

 

帰り道

 

八幡「平塚先生、もうすぐ着きますよ」

 

平塚「すまんなぁ、比企谷」

 

八幡「平塚先生も貞操観念を持ってくださいよ」

 

平塚「私を襲う度胸があるヤツなんていない!」

 

八幡「酔ってヘロヘロじゃないですか。俺でも襲えますよ。襲わんけど」

 

平塚「襲ってくれんのか?」

 

八幡「襲いませんよ。いくら先生が美人でも、俺の恩師です。不義理は出来ません」

 

平塚「びびびっ!」

 

八幡「先生、痺れたんですか?」

 

平塚「違う!今、美人て…」

 

八幡「そうですね。世間一般の美人の中に先生は含まれると思いますよ」

 

平塚「ひ、比企谷。私を襲って義理を果たすという考え方もあるぞ」

 

八幡「平塚先生は、俺を導いてくれた大切なひとです。それは出来ませんよ(誰か貰ってあげて!早くしないと俺が貰うことに…)」

 

八幡「着きましたよ」

 

平塚「ありがとう。お、お茶でも飲んでいくか?」

 

八幡「女性の一人暮らしにお邪魔する度胸はないですよ。ヘタレなんで」

 

平塚「そ、そうか」

 

八幡「では、おやすみなさい」

 

平塚「比企谷、今度ラーメン屋に付き合え」

 

八幡「美味しいラーメン屋期待してます」

 

~~~~~~~~~

 

後日 奉仕部部室

 

八幡(長机と椅子かそのままだ。懐かしい…。酒の肴が出来たな。由比ヶ浜に電話してみるか)

 

八幡「もしもし、由比ヶ浜か」

 

由比ヶ浜『あ、ヒッキー!やっはろー』

 

八幡「面白い話があるから、また飲まないか?」

 

由比ヶ浜『ヒッキーからなんて、珍しいね』

 

八幡「まあな。雪ノ下と連絡とれるか?」

 

由比ヶ浜『…二人きりじゃないんだ』ボソッ

 

八幡「よく聞き取れなかったけど、なんだ?」

 

由比ヶ浜『な、なんでもないよ。ゆきのんにも、連絡するね』

 

八幡「じゃあ、頼むな」

 

~~~~~~~~~~~

 

後日 居酒屋

 

由比ヶ浜「あ、ゆきのん!やっはろー」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん、こんばんは」

 

由比ヶ浜「ヒッキーはちょっと遅くなるって電話があったよ」

 

雪ノ下「言い出しっぺが遅れるなんて…」

 

由比ヶ浜「平塚先生に捕まったみたい…」

 

雪ノ下「仕方ないわね」ヤレヤレ

 

由比ヶ浜「ねえねえ、ゆきのん」

 

雪ノ下「なにかしら?」

 

由比ヶ浜「何でヒッキーと連絡先交換しないの?」

 

雪ノ下「あんな男と連絡先なんか交換したくないわ」

 

由比ヶ浜「それは建前でしょ?」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さんには、敵わないわね」

 

由比ヶ浜「えへへ」

 

雪ノ下「比企谷の連絡先を知ったら、毎日連絡したくなってしまうじゃない…」モジモジ

 

由比ヶ浜「ゆきのん、可愛い」ダキッ

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん、近いわ」

 

八幡「うぃす。相変わらず、百合百合してるな」

 

由比ヶ浜「ヒッキー、遅いし!」

 

雪ノ下「そうよ、遅刻谷君。お陰で、由比ヶ浜さんに襲われたわ」

 

八幡「由比ヶ浜も、そこまでするようになったか」

 

由比ヶ浜「襲ってないし」

 

八幡・雪ノ下「クスクス」

 

由比ヶ浜「二人ともヒドイし!」

 

八幡「悪い、由比ヶ浜。冗談だよ。で、何を飲む?」

 

 

雪ノ下「生ビールを」

 

由比ヶ浜「私も生がいい!」

 

八幡「さすがビッチヶ浜。言い方がエロい」

 

由比ヶ浜「ビッチじゃないし!」

 

八幡「すいませ~ん!生を3つと焼き鳥盛り合わせ」

 

店員「生3丁と焼き鳥盛り合わせ!」

 

八幡「何か変わったことはないか?」

 

由比ヶ浜「う~ん、ないかなぁ。でも、私の見てる子供たちのお迎えがパパが多いって言われた」

 

雪ノ下「それは…。由比ヶ浜さんだからよ」

 

八幡「さすがビッチ」

 

由比ヶ浜「ビッチじゃないし!」

 

八幡「ビッチは冗談としても、由比ヶ浜みたいに可愛い保育士が居たら、納得だな」

 

雪ノ下「そうね」

 

由比ヶ浜「か、可愛い。えへへ」

 

八幡「雪ノ下は?」

 

雪ノ下「葉山君にプロポーズされたわ」

 

由比ヶ浜「何回目?」

 

雪ノ下「もう5回目よ」

 

雪ノ下「見合いの話も多いし」

 

八幡「葉山はともかく、見合いは仕方ないだろ?両親の建前」

 

雪ノ下「違うの。取引先の世話焼きが「美人なのにもったいない」とか言いながら見合い写真を持ってくるのよ。あと、息子の嫁にとか…。」

 

八幡「ははは。美人であるが故の苦労だな」

 

雪ノ下「え、えぇ。わ、私は美しいのだから…し、仕方ないわね」テレッ

 

由比ヶ浜「むぅ…」ジー

 

八幡「なんだよ、由比ヶ浜。睨むなよ」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さんがビッチなら、比企谷君は天然ジゴロね。貴方、目以外はイケメンなのを自覚して」

 

八幡「んな訳ねぇだろ。俺はラノベの主人公じゃない」

 

由比ヶ浜・雪ノ下(自覚して!)

 

店員「お待たせしました!生3丁と焼き鳥で~す!」

 

八幡「まずは乾杯だな」

 

八幡・雪ノ下・由比ヶ浜「かんぱ~い!」

 

由比ヶ浜「面白い話って何?」

 

八幡「あぁ。俺が総武高に赴任したのは知ってるよな?」

 

雪ノ下「えぇ。平塚先生もいるのよね」

 

八幡「そうなんだよ。お前らによろしくってさ。一緒に飲もうとも言ってたぞ」

 

由比ヶ浜「平塚先生と飲みたい!」

 

雪ノ下「いいわね」

 

八幡「そういっておくよ」

 

八幡(タバコに火をつける)

 

雪ノ下「二酸化炭素だけでなく、煙まで吐くのはやめていただけるかしら」

 

八幡「酒飲むと吸いたくなるんだよ。あとストレス。平塚先生がやめられないのも今ならわかるよ」

 

由比ヶ浜「…タバコ吸うヒッキー、なんかカッコいい…」ボソッ

 

雪ノ下「…そ、それは…。認めるわ」ボソッ

 

八幡「なんか言ったか?」

 

由比ヶ浜「な、なんでもないよ」

 

雪ノ下「そうよ、難聴谷君」

 

八幡「それでだな。部員は0なんだか、奉仕部がまだある。部室もそのままだ」

 

由比ヶ浜「それ本当?」

 

八幡「あぁ、本当だ。足りないのは、俺たちと紅茶のセットぐらいだ」

 

雪ノ下「よく残っていたわね」

 

八幡「平塚先生のお陰かな」

 

由比ヶ浜「遊びに行ってもいいかな?」

 

八幡「いいんじゃねぇか。卒業生だし、平塚先生も居るからな。来るなら、早目に連絡くれよ」

 

由比ヶ浜「ゆきのんも行くよね?」

 

雪ノ下「えぇ。お邪魔させてもらうわ」

 

~~~~~~~~~~

 

2時間後 居酒屋外

 

八幡「じゃあ、連絡くれよ」

 

由比ヶ浜「わかった」

 

八幡「雪ノ下、連絡先交換するか?」

 

雪ノ下「! と、友達でもない貴方と、な、何故、連絡先を交換しなきゃいけないの」アセアセ

 

由比ヶ浜(ゆきのんも素直じゃないなぁ)

 

八幡「ですよね。由比ヶ浜、悪いがそっちで予定合わせて連絡くれ」

 

由比ヶ浜「わかった」

 

八幡「じゃあ、またな」

 

由比ヶ浜「ヒッキー、またね」

 

雪ノ下「またね、比企谷君」

 

雪ノ下(またやってしまった)ショボン

 

~~~~~~~

 

数日後 総武高 校門

 

由比ヶ浜「ヒッキー!やっはろー」

 

雪ノ下「比企谷君、こんにちは」

 

八幡「う~す。高校来るの久しぶりか?」

 

由比ヶ浜「そうかも」

 

雪ノ下「私は姉さんと以前来たわ」

 

八幡「職員室寄って行くか?平塚先生居るぞ」

 

雪ノ下「では、そうしましょう」

 

~~~~~~~~~

 

廊下

 

女子生徒達「こんにちは」

 

由比ヶ浜・雪ノ下「こんにちは」

 

女子生徒達(ヒソヒソ)

 

由比ヶ浜・雪ノ下(?)

 

~~~~~~~~

 

職員室

ガラガラ

 

八幡「平塚先生、由比ヶ浜と雪ノ下が来ましたよ」

 

由比ヶ浜・雪ノ下「こんにちは」

 

平塚「久しぶりだな。元気そうでなによりだ」

 

雪ノ下「先生もお元気そうで」

 

由比ヶ浜「先生はまだどくし…」

 

八幡「コホンッ」

 

平塚「由比ヶ浜、なにか?」

 

由比ヶ浜「何でもないです」ビクビク

 

平塚「よろしい。城廻には会ったか?」

 

由比ヶ浜「城廻先輩、教師なんですか?」

 

雪ノ下「初耳です」

 

八幡「言ってなかったか。城廻先輩も総武高の教師だ」

 

由比ヶ浜「なんで言わなかったの!」

 

八幡「あれ?怒られるとこ?」

 

雪ノ下「そういうことは、ちゃんと言いなさい、隠し谷君」

 

八幡「なんか忍者が居そうな名前になってるし。ただ言い忘れただけだよ。他意はない」

 

由比ヶ浜「むぅ」(ライバル増えたかも)

 

雪ノ下(危険ね)

 

八幡「とりあえず、部室行って来ます」

 

平塚「生徒会室に城廻も居るはずだから、寄っていくといい」

 

八幡「では、そうします」

 

~~~~~~~~

 

廊下

 

女子生徒達「こんにちは」

 

由比ヶ浜・雪ノ下「こんにちは」

 

女子生徒達(ヒソヒソ)

 

由比ヶ浜・雪ノ下(?)

 

~~~~~~~~

 

生徒会室

 

八幡「失礼します」

 

由比ヶ浜・雪ノ下「失礼します」

 

城廻「由比ヶ浜さんと雪ノ下さん。久しぶり!今日はどうしたの?」

 

由比ヶ浜「奉仕部の部室を見にきたんです」

 

雪ノ下「突然、すいません」

 

城廻「大丈夫だよ~。ゆっくりしていってね」

 

女子生徒会役員(ヒソヒソ)

 

八幡「では、また」

 

由比ヶ浜「城廻先輩、ちょっといいですか?」

 

城廻「なにかな?」

 

由比ヶ浜「さっきから、すれ違う女の子達が、こっちを見て何かいってるみたいなんです」ヒソヒソ

 

雪ノ下「私も気になったわ」ヒソヒソ

 

城廻「それは比企谷君と一緒に居るからだよ。比企谷君、女子に大人気なんだよ」ヒソヒソ

 

由比ヶ浜・雪ノ下(!)

 

城廻「授業は分かりやすいし、イケメンだし、クールだし」ヒソヒソ

 

由比ヶ浜「そ、そうなんだ」ヒソヒソ

 

雪ノ下「驚いたわ」ヒソヒソ

 

城廻「私もカッコいいなぁって、思ってるんだぁ」ヒソヒソ

 

由比ヶ浜・雪ノ下(!)

 

八幡「由比ヶ浜、雪ノ下、行くぞ。積もる話はまた後にしろ」

 

由比ヶ浜「う、うん」

 

城廻「じゃあ、あとでね」

 

雪ノ下「では、失礼します」

 

八幡「何を話していたんだ?」

 

由比ヶ浜「な、何でもないよ」アセアセ

 

雪ノ下「女性の話に首を突っ込むなんて、いやらしいわ、エロ谷君」

 

八幡「悪かったよ」

 

~~~~~~~~~~

 

奉仕部 部室

 

由比ヶ浜「わぁ、懐かしい」

 

雪ノ下「そうね」

 

由比ヶ浜「ねぇねぇ、いつもの席に座ってみない?」

 

雪ノ下「いいわね」

 

八幡「由比ヶ浜にしては、良い提案だな」

 

由比ヶ浜「一言多いし!」

 

雪ノ下「こうして座ると懐かしく感じるわね」

 

由比ヶ浜「…そうだね」

 

八幡「時々、一人でここに座っているんだか、二人が居ると落ち着くな」

 

由比ヶ浜「そ、そうなんだ。えへへ」

 

雪ノ下「そうね」

 

ガラガラ

 

平塚「お、そろってるな」

 

雪ノ下「平塚先生、ノックを」

 

平塚「このやりとりも、久しぶりだな」

 

八幡「奉仕部同窓会に、なにかご用意ですか?」

 

平塚「私も混ぜてもらいたいところではあるがな」

 

由比ヶ浜「平塚先生、それでどうしたんですか?」

 

平塚「いやなに、久しぶりに依頼をしようと思ってな」

 

雪ノ下「私達は、もう生徒ではないんですが」

 

平塚「主に比企谷にやってもらうんだがな。そのサポートを雪ノ下と由比ヶ浜にお願いしたい」

 

八幡「げっ!俺メインて。顧問だから仕方ないか」

 

由比ヶ浜「ヒッキー!顧問だったの!」

 

八幡「部員0だがな」

 

雪ノ下「依頼の内容は」

 

平塚「簡単なものだ。教育実習生の面倒を見てやってくれ」

 

八幡「それなら担当教師でいいじゃないですか」

 

平塚「お前は歳が一番下なんだ。話相手や相談相手になってやれ。無論、城廻にもお願いするがな」

 

八幡「拒否権はなさそうですね」

 

平塚「そうだ。だから元部員二人にも協力してもらえ」

 

雪ノ下「わかりました。お引き受けします」

 

八幡「元部長様が受けると言ってるので、受けますよ」

 

由比ヶ浜「なんか、楽しそう♪」

 

平塚「では、頼んだぞ」

 

八幡「はぁ、ボッチの俺に話相手とか無理ゲーでしょ」

 

由比ヶ浜「そういう時は、私達を頼ってよ」

 

八幡「由比ヶ浜のコミュニケーション能力頼みだな」

 

雪ノ下「私も居るのだけど?」

 

八幡「そいつが、パンさん好きか猫好きなら、任せる」

 

雪ノ下「何故、限定されるのかしら」

 

八幡「それ以外だと、コテンパンにして泣かせるかもしらん」

 

雪ノ下「そんなことしないわよ、偏見谷君」

 

由比ヶ浜「あはは」

 

雪ノ下「そろそろ帰らないといけない時間ね」

 

八幡「校門まで送るよ」

 

~~~~~~~~

 

校門

 

八幡「じゃあ、教育実習生が来たら、頼むわ」

 

由比ヶ浜「じゃ、ヒッキーまたね」

 

雪ノ下「比企谷君、また」

 

八幡(小テストの採点しないとなぁ…)

 

女子生徒達「比企谷先生、今の人たちは誰ですか?」

 

八幡「俺の高校時代の部活仲間だ」

 

女子生徒達「ど、どちらかが彼女ですか?」

 

八幡「違うぞ」

 

女子生徒達「よ、よかった」ボソッ

 

女子生徒達「ありがとうございました」キャー

 

八幡(かしましいねぇ)

 

 

~~~~~~~~~~~

 

数日後

 

職員室

 

八幡(今日から、教育実習生が来るのか…。)

 

ガラガラ

 

???「失礼しま~す」

 

八幡(げ!ま、まさか!)

 

教頭「今日から、しばらく教育実習する、一色いろはさんです」

 

一色「一色いろはです。よろしくお願いします」ペコリ

 

パチパチパチ

 

八幡(教育学部とは聞いていたが…。平塚先生が依頼してきたのは、そういう理由か)

 

平塚「一色、君の見知った顔もいるから、安心したまえ」

 

一色「わかりました~」ニコッ

 

八幡(こっち見るな!笑ってるけど、目が怖い)

 

平塚「城廻先生、比企谷先生、二人は歳も近いから、力になってやってくれ」

 

城廻「一色さん、よろしくね」

 

一色「はい」

 

八幡「よろしく」

 

一色「はい、先輩。よろしくお願いしま~す」

 

八幡(相変わらず、あざと可愛い)

 

教頭「では、授業の準備に取り掛かってください」

 

平塚「一色、とりあえず私についてきなさい」

 

一色「は~い。では、先輩またです」

 

八幡(嫌な予感しかしない…)

 

~~~~~~~~~~

 

放課後 奉仕部部室

 

ガラガラ

 

一色「失礼します」

 

女子生徒A「先生、ここがわかりませ~ん」

 

女子生徒B「私にもここを教えてくださ~い」

 

女子生徒C「私も~」

 

八幡「わからないところは、授業あとにすぐ来い。それに、女子生徒Cは俺が受け持ってないだろ」

 

女子生徒C「テヘッ」

 

八幡「あざとい」

 

一色「…先輩、なんですこれ?女子高生はべらして。通報しますよ」

 

八幡「なんでそうなる。職員室から逃げても、ついてくるんだよ。なんとかしてくれ」

 

一色「はぁ。私が比企谷先生に話があるから、外してくれないかな?」

 

女子生徒A「一色先生、比企谷先生と何を話するんですか?」

 

女子生徒B「抜け駆けですか?」

 

 

一色(抜け駆け?)

 

一色「私も比企谷先生も総武高のOBで昔話をしたいのよ」

 

女子生徒C「私も聞きた~い」

 

一色「それは、今度ね」

 

女子生徒達「は~い」

 

女子生徒達「失礼しました」

 

八幡「一色、助かったよ」

 

一色「…。先輩、相変わらずモテますね」

 

八幡「俺はモテたことはない!」

 

一色「いい加減、自覚してください。何人の女性の心を弄ぶんですか!」

 

八幡「告白されたことないのに、モテるとか…」

 

一色「秘めたる想いってあるんですよ」

 

八幡「…。わかってる。わかってるよ、一色」

 

一色「…。なら、いいんです」

 

八幡「一色は俺のこと好きなんだろ?」ニヤリッ

 

一色「な、な、何を!」アセアセ

 

八幡「顔が赤いぞ」

 

一色「わ、私は先輩のことなんか…」

 

八幡「冗談だよ」

 

一色「へっ?」

 

八幡「まぁ、そんな冗談が言える大人になっちまったのかな」

 

一色「先輩?」

 

八幡「俺に向けられていた好意もわかるようになった。それに答えられなかった不甲斐なさも感じている」

 

一色「先輩、成長しましたね」

 

八幡「ほっとけ。今は別の理由もあるしな」

 

一色「どうせ先輩のことだから、面倒くさくてひねくれた理由なんでしょうね」

 

八幡「もう、そっとしておいて」

 

一色「今度、教えてくださいね。その理由を」

 

八幡「わかったよ。で、本題は生徒会の仕事なら断る!」

 

一色「先輩、ヤバいです~。って、違います」

 

八幡「見事なノリ突っ込み。で、何なんだ?」

 

一色「久しぶりに、お話したかっただけです」

 

八幡「二人っきりで?」

 

一色「はっ!二人っきりで話をして口説くつもりですか?校内は恥ずかしいので、別の場所にしてしださい。ごめんなさい」

 

八幡「どこだったら、口説いていいんだ?」

 

一色「えっ?えっとですね…」

 

八幡 ジー

 

一色「な、なんですか?」

 

八幡「可愛いな、お前」

 

一色 カオマッカ

 

一色「なんか先輩っぽくない!」

 

八幡「反撃方法を思いついただけだよ。中身は、捻れてひねくれたヘタレだよ」

 

一色「そんなんじゃ、本物なんて見つかりませんよ」

 

八幡「本物か…」

 

一色「えっ?先輩、諦めちゃったんですか?」

 

八幡「いや。なにが本物なのかなんて、いまだにわからない。だから、本物だと思う原石を見つけて磨くことにした」

 

一色「先輩、変わりましたね」

 

八幡「一色、お前も俺にとっては原石のひとつだ。逃げないで向き合うよ」

 

一色「なんか、先輩カッコいい…」

 

八幡「惚れたか?」

 

一色「なんですか?また口説いているんですか?もう少しムードの良い場所で口説いてください。ごめんなさい」

 

八幡「懐かしい場所だから、良くないか?」

 

一色「…。あの二人の思い出もあるから、ダメに決まってます」ゴニョゴニョ

 

八幡「そうだな、すまなかった」アタマナデナデ

 

一色「うぅ、先輩~」

 

八幡「嫌だったか?」

 

一色「もっと~」

 

八幡「ヘイヘイ」

 

ガラガラ

 

平塚「比企谷、一色のことなんだが…。何をしているんた?」

 

一色「!!!」

 

八幡「一色が頑張って教師を目指しているので、労ってます」ナデナデ

 

平塚「校内でイチャついて…」

 

八幡「平塚先生にも、しましょうか?」

 

平塚・一色「!!!」

 

平塚「あ、いや、やってほしくないわけではないんだが、その…、あの…。と、とにかく、比企谷も職員室へ」

 

一色「…。先輩、平塚先生まで磨くんですか?」

 

八幡「平塚先生は以外と乙女だから、こういう攻めに弱いのは折り込み済みだ。だから、言ってみた」

 

一色「先輩、天然ジゴロに拍車がかかってますね」

 

八幡「そうか?」

 

一色「そうです!」

 

八幡「天然ジゴロで思い出した。奉仕部の三人で、たまに飲むんだか、参加するか?」

 

一色「なんで天然ジゴロで思い出したかは、あれですが、いいんですか?」

 

八幡「たまにはいいだろ」

 

一色「是非是非!」

 

 

~~~~~~~~~~~

 

後日 居酒屋

 

一色「結衣先輩と雪ノ下先輩に会うの久しぶりです」

 

八幡「そうか。由比ヶ浜とは連絡とってると思った」

 

一色「私の入試あたりから、疎遠になっちゃって…」

 

八幡「仕方ないだろ」

 

由比ヶ浜「いろはちゃんにヒッキー、やっはろー!」

 

雪ノ下「二人とも、こんばんは」

 

一色「ご無沙汰してます」

 

八幡「すいませ~ん、生4つ!」

 

店員「生4丁!」

 

八幡「まずは、乾杯だ」

 

四人「乾杯♪」

 

八幡「そうだ。一色と付き合うことになったから」

 

由比ヶ浜・雪ノ下・一色「!!!」

 

由比ヶ浜「へ、へぇ、そうなんた」

 

雪ノ下「一色さん、この男に弱みを握られたの?」

 

一色「…。私も初耳です」

 

八幡「アハハハハ。冗談だよ」

 

由比ヶ浜「び、びっくりした」

 

雪ノ下「質の悪い冗談は、やめていただけるかしら」

 

一色「先輩がよければ、本当にしますか?」

 

八幡「悪かったよ。一色ものっかるな」

 

八幡「こっからは本当なんだが、一色が教員実習生だ」

 

由比ヶ浜「いろはちゃん、先生なんだ」

 

一色「はい。まだ見習いですけど」

 

雪ノ下「どうして教師に?」

 

一色「だってぇ、先輩に会いたいじゃないですかぁ」

 

八幡「あざといあざとい」

 

由比ヶ浜「平塚先生も依頼の時に言ってくれたら良かったのに」

 

八幡「まぁ、平塚先生に担がれだんだよ」

 

雪ノ下「平塚先生も、そう言ってくれればいいのに…」

 

一色「でも、先輩の本物に…、原石になりたいの本当です!」

 

雪ノ下「なんの話かしら?」

 

由比ヶ浜「いろはちゃん、どういうこと?」

 

 

雪ノ下「比企谷君、説明してくれるかしら」

 

八幡「あぁ、本物を待つだけじゃなく、自分から本物を探しにいくって話だ。本物になるかも知れない原石を自分で磨いてみたいと言ったんだよ。俺は、三人を勝手に本物の友達だと思っている。雪ノ下は不服かもしれんが」

 

雪ノ下「そうね」

 

由比ヶ浜「ゆきのん…」

 

雪ノ下「そんな安っぽい言葉では片付けてほしくないわ」

 

八幡「まぁ、便宜上だ。それとも、元学年1位の語彙で妥当な言葉があるか?」

 

雪ノ下「…」

 

八幡「まぁ、俺的には戦友かな?」

 

由比ヶ浜「ヒッキー…。」

 

一色「先輩」

 

雪ノ下「それで妥協するわ」

 

 

八幡「ありがとう」

 

八幡「ただ、友達と恋愛は別物というのもわかっている。恋愛の原石なんて、どれが本物になるかなんて、正直わからん。だから、沢山会話をして向き合って探し磨いていきたいんだ」

 

???「随分と難しい講釈をしてるな、比企谷せ・ん・せ・い」

 

八幡「!…。川…。えーと川原さん?」

 

川崎「殴るよ」

 

 

八幡「すまん。これがデフォルトになっててな。久しぶりだな。川崎せ・ん・せ・い」

 

川崎「大学卒業以来か」

 

由比ヶ浜「さきさき、やっはろー!久しぶり!」

 

川崎「さきさき言うな!」

 

八幡「どうしたんだ?こんなところで」

 

川崎「私も向こうで先生方と飲んでたら、懐かしい声が聞こえたからな。向こうがお開きになりそうだから、こっち来てもいいかな?」

 

八幡「俺はいいが…」

 

由比ヶ浜「さきさきも来なよ」

 

雪ノ下「遠慮はいらないわ」

 

一色「川崎先輩も是非~」

 

八幡「なら、決まりだな」

 

川崎「わかった。じゃあ、後で」

 

由比ヶ浜「ヒッキーは、さきさきと同じ大学だったの?」

 

八幡「予備校から一緒だったな。お互いボッチだし」

 

一色「まだ、それ言いますか」

 

八幡「今は違うがな」

 

雪ノ下「川崎さんも、総武高なの?」

 

八幡「いや、川崎は小学校だ。アイツはブラコンではなくショタコンだった」

 

川崎「誰がショタコンだって?」

 

八幡「!ビックリした…」

 

川崎「まったく、人がいないと好き放題言って」

 

八幡「向こうはいいのか?」

 

川崎「あぁ、大丈夫だ。それにしても、なにこれ?ハーレム?」

 

八幡「俺はライオンか?」

 

由比ヶ浜「さきさきも先生なんだね」

 

川崎「まぁ、子供好きだからね」

 

一色「先輩は川崎先輩のことはどう思っているんですか?」

 

川崎「!!!」

 

八幡「川崎も戦友かな。大学受験や教員試験を一緒に戦ったからな」

 

川崎 カオマッカ

 

八幡「ちなみに、一色はあざとい後輩」

 

一色「ブーブー」

 

八幡「あざといあざとい」

 

川崎「で?なんの話なの?」

 

八幡「俺にとっての本物の話。友情でも、恋でも待っているだけだったのを止めるって話」

 

川崎「比企谷らしくないな」

 

八幡「大人になったと言ってくれ」

 

雪ノ下「逃げないのね」

 

八幡「あぁ」

 

八幡(タバコに火をつける)

 

川崎「相変わらず、タバコ似合うな」

 

雪ノ下・由比ヶ浜・一色(さらっと言った!)

 

八幡「悪いな、タバコやめたヤツの前で吸って」

 

川崎「私は気にしてないよ」

 

由比ヶ浜「さきさきも吸ってたの?」

 

川崎「ストレスでね。でも、やめた。子供に嫌われるから」

 

雪ノ下「貴方もやめたら、喫煙谷君」

 

八幡「そのうちな」

 

川崎「嗜好品だから、いいんじゃないの」

 

八幡「そういってもらえると助かる」

 

雪ノ下 シュン

 

川崎 ニヤリ

 

由比ヶ浜「いろはちゃん、もう始まってるのかな?」ヒソヒソ

 

一色「始まってますよ。川崎先輩が一歩リードです」ヒソヒソ

 

由比ヶ浜「私達も負けていられないね」ヒソヒソ

 

一色「そうですね」ヒソヒソ

 

一色「こ、この前、先輩に頭撫でてもらいましたよ」ニヤリ

 

雪ノ下・由比ヶ浜・川崎(!!!)

 

八幡「只のお兄ちゃんスキルが発動しただけだ。すまんかったな」

 

雪ノ下・由比ヶ浜・川崎(うらやましい!)

 

一色(うぅ、妹あつかい。悔しいから爆弾投下してやる)

 

一色「平塚先生の頭も撫でようとしてましたよね?」

 

雪ノ下・由比ヶ浜・川崎(!!!)

 

八幡「あれは平塚先生に退場してもらうための策だよ。そんなことも読めんのか司馬懿よ!」

 

一色「どうせ諸葛亮にはなれませんよ」プイ

 

八幡「あざといあざとい」

 

由比ヶ浜「しばい?しょかつりょう?」

 

八幡「由比ヶ浜、すまん。難しいこと言ったな」

 

由比ヶ浜「バカにすんなし!」

 

雪ノ下「そういえば、比企谷君は専業主夫の夢は諦めたのかしら?」

 

八幡「諦めてはないぞ」

 

雪ノ下「で、では、わ、私が養っ…」

 

八幡「でも、教師って仕事が面白くなってきた」

 

雪ノ下「そ、そう」ショボン

 

由比ヶ浜「えーと、わ、私は…」

 

由比ヶ浜「うわ~ん!ゆきの~ん!」ダキッ

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん、ち、近いわ」

 

八幡(?)

 

川崎「由比ヶ浜、三浦とか海老名とかは、どうしてるの?」

 

由比ヶ浜「優美子はモデルやってて、姫菜はOLやりながら同人作家?やってるよ」

 

八幡(あーしさん、美人だからなぁ。海老名さん、愚腐腐な趣味は相変わらずですな)

 

由比ヶ浜「隼人君は弁護士だよね?ゆきのん」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん、私に振らないでいただけるかしら。不本意ながら、そうよ」

 

八幡(雪ノ下が露骨に嫌そうな顔したなぁ)

 

由比ヶ浜「ヒッキー、彩ちゃんと中二は?」

 

八幡「戸塚は天使だ。材木座は知らんな」

 

川崎「なにそれ?」

 

八幡「冗談だ。戸塚はサラリーマン。材木座は文筆業だよ」

 

由比ヶ浜「分泌?」

 

八幡「材木座汁は出してない。難しい言い方してすまんな、由比ヶ浜」

 

由比ヶ浜「わ、わかるし」

 

八幡「無理するな。要するに作家だ。ラノベ書いてる」

 

雪ノ下「よく作家になれたわね」

 

八幡「時々、飲みながら添削してるよ」

 

一色「中二さん、以外と有料物件だったんですね」

 

八幡「アイツは、あれで頭はキレる」

 

八幡「葉山とか毛嫌いしてたけど、ちゃんと話をしたらわかりあえるのかな?」

 

雪ノ下「比企谷君、ヤメテ。虫酸が…」

 

八幡「そんなに嫌か?」

 

雪ノ下「前はそうでもなかったのに、最近は生理的に嫌」

 

八幡(葉山、御愁傷様)

 

川崎「なぁ、比企谷。今さらなんだが奉仕部の二人とか生徒会長様とは付き合ってないんだよな?」

 

雪ノ下・由比ヶ浜・一色(!!!)

 

八幡「あぁ。三人に惹かれていたことはあった」

 

川崎(!)

 

八幡「でも、俺に気があるのかないのか…。告白しても黒歴史増えそうで…。雪ノ下は罵詈雑言ヒドイし」

 

雪ノ下(うっ!)

 

八幡「由比ヶ浜はキモイ連発するし」

 

由比ヶ浜(うっ!)

 

八幡「一色は、便利な先輩って感じだったしな。あと、あざとい」

 

一色(うっ!)

 

八幡「あのとき告白したらどうなっていたんだろな」

 

雪ノ下・由比ヶ浜・一色(ヘタレ!)

 

八幡「でも、あの時は友達でも恋人でも、ただの部活仲間でもない、言葉には出来ないあの空間が、本物かもわからない関係が大好きで、壊したくなかったんだろうな」

 

川崎「わかる気がするよ。でも、あの三人の空間に割って入っていった生徒会長はすごいと思ったけどな」

 

八幡「確かにな」

 

一色「誉められているんですかね?」

 

川崎「さぁね」

 

八幡「平塚先生からの依頼は、見知った顔だから大丈夫だな」

 

雪ノ下「そうね」

 

由比ヶ浜「いろはちゃん、何かあったら言ってね」

 

一色「そういえば依頼って、なんなんですか?」

 

八幡「平塚先生から教育実習生のフォローを頼まれたんだよ」

 

一色「それなら先輩だけで…」ボソッ

 

雪ノ下「一色さん、何か?」

 

一色「い、いえ~」

 

八幡(雪ノ下先輩って~、怖いじゃないですか~)

 

川崎「私も力になれるかな?」

 

八幡「川崎も教師だしな」

 

雪ノ下「お願いできるかしら?」

 

八幡(川崎先輩も怖いじゃないですか~)

 

由比ヶ浜「プチ同窓会みたいだね。みんなと会いたいなぁ」

 

八幡「由比ヶ浜なら、集められるじゃねぇの」

 

由比ヶ浜「じゃあ、もっと大勢で飲もうよ!」

 

八幡「いいんじゃねぇ」

 

雪ノ下「やっぱり、比企谷君は変わったわね。昔なら、すぐに拒否したのに」

 

川崎「俺はボッチだからとか言いながらね」

 

一色「先輩はもうボッチじゃないですからね」

 

由比ヶ浜「じゃあ、決まりだね」

 

次の飲み会の約束をして解散になった

 

~~~~~~~~~~~

 

比企谷家

 

八幡「ただいま」

 

小町「あ、お兄ちゃん、おかえり。今日は泊まってくの?」

 

八幡「飲んでるからな」

 

小町「お兄ちゃん、何かいいことあった?」

 

八幡「次の飲み会がちょっと楽しみなんだ」

 

小町「へぇ。結衣さんや雪乃さんだけじゃないの?」

 

八幡「今日は、一色と川崎も居たぞ」

 

小町「珍しいメンバーだね」

 

八幡「次はもっと増えるはずだ。由比ヶ浜のコミュ力はすげぇな」

 

小町「お兄ちゃんが楽しそうでよかった。あ、今の小町的にポイント高い♪」

 

八幡「高い高い」

 

小町(後で大志君に沙希さんの様子を聞いてみよう)

 

~~~~~~~~~~~

 

川崎家

 

沙希「ただいま♪」

 

大志「姉ちゃん、おかえり」

 

沙希(久しぶりに比企谷に会えた♪)

 

大志「姉ちゃん、ご機嫌だね。今日は職場の飲み会が憂鬱って言ってなかった?」

 

沙希「そんなことはどうでもいいんだ♪」

 

大志「どうしたの?なんか、キモチ悪いよ」

 

沙希「高校の同級生に会って、一緒に飲んだんだ♪」

 

大志「比企谷さんのお兄さんが居たとか?」

 

沙希(!!!)

 

大志「図星だね」

 

沙希「も、もうお風呂入って寝るから!」

 

大志(相変わらず、姉ちゃんは乙女だねぇ)

 

大志(あ、比企谷さんからメールだ…)

 

~~~~~~~~

 

数日後 総武高

 

???「比企谷君、ひゃっはろー」

 

八幡「げっ!雪ノ下さん!」

 

陽乃「いや~ん、陽乃って呼んで」

 

八幡「なんですか?雪ノ下さん」

 

陽乃「いやぁ、面白いこと言ってたみたいだからさぁ」

 

八幡「なんのことですか?」

 

陽乃「原石を磨くみたいな話?それが君が求めた本物なのかな?」

 

八幡「さぁ、どうなんですかね?死ぬ間際にわかるんじゃないですか」

 

陽乃「それでいいのかなぁ」

 

八幡「ち、近いですよ」

 

陽乃「それが本物じゃなかったら、どうするの?」

 

女子生徒D「こんにちは」

 

陽乃「こんにちは」

 

女子生徒D「比企谷先生の彼女ですか?」

 

陽乃「そうだよ~」

 

八幡「適当なこと言わないでください。ちげぇよ!総武高の卒業生だよ。城廻先生の先輩にあたる人だよ」

 

女子生徒E「なんか近くないですか?」

 

八幡「俺は離れたい」

 

陽乃「比企谷君、つれないなぁ」

 

女子生徒D「比企谷先生が、そう言ってるので離れてください」

 

女子生徒E「そうですよ。オバサン」

 

陽乃「オ、オ、オバサン…」

 

八幡「お前ら、何を言ってるんだ!」

 

陽乃「オバサンって…。静ちゃんに言いつけてやるぅ」

 

八幡「あ、逃げてった」

 

女子生徒D「先生、解放されてよかったね」

 

八幡「後が恐ろしいよ」

 

~~~~~~~~~

 

陽乃「静ちゃ~ん、ヒドイよ。オバサンて言われた~」

 

平塚「その呼び方で呼ぶな。陽乃がオバサンなら、私はどうなる…。まぁ、いい。比企谷にちょっかい出した陽乃が悪いな」

 

陽乃「どうして?」

 

平塚「比企谷は女子生徒から、すごい人気だからな。私や城廻も気をつけているからな。当の本人は気にしてないがな」

 

陽乃「そうなの!」

 

平塚「陽乃のことだ。距離が近かったんではないか?」

 

陽乃「うっ!」

 

平塚「そういうことだ。学校内で比企谷に近づき過ぎるなよ」

 

陽乃「えぇぇ~」

 

~~~~~~~~~~~

 

放課後 奉仕部部室

 

八幡(あと少ししたら、職員室に戻るかな…)

 

ガラガラ

 

一色「せんぱ~い♪何してるんですか?」

 

八幡「部活」

 

一色「先輩しか居ないじゃないですか!」

 

八幡「依頼を待つのも部活だよ。生徒会は見なくていいのか?」

 

一色「めぐり先輩が居るので大丈夫です♪」

 

八幡「そうですか」

 

一色(ここに来てれば、一番有利♪)

 

ガラガラ

 

女子生徒F「比企谷先生、教えて欲しいところがあるんですけど」

 

女子生徒G「私もいいですか?」

 

八幡「はいよ。どこだ」

 

女子生徒F「ここなんですけど…」

 

女子生徒G「一色先生、比企谷先生を独り占めしないでください!」

 

一色(えぇ~!)

 

ガラガラ

 

平塚「一色先生、居るか?」

 

一色「平塚先生、なんでしょうか?」

 

平塚「ちょっと職員室へ。比企谷先生も、一段落したら」

 

一色「は~い」

 

八幡「うっす」

 

女子生徒達「ブーブー!」

 

~~~~~~~~~~~~~

 

廊下

 

一色「平塚先生、生徒に先輩を独り占めするなって言われました…」

 

平塚「ここにも被害者が居たか。比企谷と親しくしていると、女子生徒に睨まれるぞ。アイツの人気は相当なものだからな」

 

一色「そうなんですか!」

 

平塚「高校の頃は、猫背で腐った目をしていたから、気づかないヤツが多かったが、アイツはそこそこイケメンたぞ。背筋を伸ばして目が改善されてきたからな。それはモテるだろうな。さっき陽乃が生徒にオバサン呼ばわりされたと泣きついてきた。一色も気をつけるんだな」

 

一色「…善処します(校内でのアピールは無理かぁ)」

 

~~~~~~~~~~~

 

数日後 カラオケボックス

 

八幡「結構集まったな。さすか由比ヶ浜」

 

由比ヶ浜「えへへ」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん、なぜ葉山君まで居るのかしら?」

 

由比ヶ浜「だって…ねぇ」

 

八幡「こっちを見るな。まぁ、あれだ。雪ノ下も苦手な相手と上手く立ち回る練習だと思って」

 

雪ノ下「来てしまったからには、仕方ないわね」

 

葉山「そうしてくれるかい?」

 

八幡「うわっ!脅かすなよ」

 

葉山「久しぶりだね、比企谷」

 

八幡「そうだな、葉山せんせい」

 

葉山「あはは。君だってせんせいだろ?」

 

八幡「同じせんせいでも、雲泥の差だかな」

 

葉山「君が教師とはね…」

 

八幡「世界が変わってくれないからな、自分が変わっただけだ。なぁ、雪ノ下がこっちを睨んでるぞ」

 

葉山「あはは、それもなんとかしないとな」

 

八幡「相変わらず、イケメンスマイルだな」

 

葉山「そんなことはないさ。君だって、充分イケメンさ」

 

八幡「ぬかせ。お前に言われても嬉しくねぇよ」

 

三浦「ねぇ、隼人。こっちで…。ヒキオ!」

 

八幡「おぅ、久しぶり」

 

三浦「アンタ、変わったね」ジー

 

八幡「あんまり、見んなよ(勘違いしちゃうでしょ)」

 

海老名「はろはろ~。ヒキタニ君」

 

八幡「久しぶり」

 

海老名「ハチハヤ、愚腐腐」

 

三浦「海老名、擬態」

 

海老名「比企谷君、あの時のことがあって、二人のどちらとも付き合ってないの」ボソッ

 

八幡「そこはもう気にしないでいい」ボソッ

 

海老名「そっかぁ、良かった…」

 

戸部「海老名さ~ん、こっち来て歌うっしょ」

 

海老名「戸部っちに呼ばれたから行くね。ヒキタニ君が行って、トベハチでも、愚腐腐…」

 

八幡「行かねえよ」

 

城廻「比企谷君、私も来て良かったのかな?」

 

八幡「いいんじゃないですか。一色なんで、馴染んでますし」

 

城廻「そっかぁ。賑やかで楽しいね」

 

八幡「昔は苦手だったんですけどね」

 

城廻「でも、なんだかんだで、結構中心に居たよね」

 

八幡「望んだ形ではないですけどね」

 

城廻「今も苦手なの?」

 

八幡「得意ではないですね」

 

一色「先輩、こっちでデュエットしましょう♪」

 

八幡「こういうノリは苦手です」

 

城廻「あははっ」

 

一色「なんですか、それ!」ムゥ

 

八幡「あざといあざとい」

 

一色「学校でイチャイチャ出来ないじゃないですかぁ。ここでイチャイチャしましょう」

 

八幡「ここでもしねぇよ」

 

城廻「そうだよね。学校で比企谷君と話をしてたら、女子に睨まれちゃうからね」

 

川崎「ほう、詳しく聞きたいね」

 

八幡「え~と、川…。川上さん」

 

川崎「川崎だけど、殴るよ」

 

八幡「暴力反対」

 

川崎「ふん。比企谷って、そんなに人気なの?」

 

城廻「凄いんだよ。噂では、ファンクラブがあるらしいよ」

 

八幡「マジで!」

 

平塚「他校からも見に来る生徒もいるようだな」

 

川崎「平塚先生、お久しぶりです」

 

平塚「川崎、元気そうでなによりだ。川崎と比企谷は手がかかる生徒だったから、心配だったぞ」

 

川崎「専業主夫希望だった、比企谷と一緒にしないでください」

 

八幡「おいっ!」

 

一色「まだ、諦めてないらしいですし」ニヤリ

 

城廻「そうなの!」

 

平塚「比企谷、まだそんなことを…」ゴゴゴゴ

 

八幡「い、いや、教職も楽しいので、今は保留ということで…」

 

平塚「ほう、教職が楽しいか。結構」

 

八幡「いずれは、平塚先生に養ってもらいますよ」

 

平塚「!…。ま、まぁひ、比企谷がどうしてもというなら、ゴニョゴニョ」

 

八幡(よし!逃げよう)

 

八幡「よう材木座」

 

材木座「うむ、久しいのう」

 

八幡「次回作の構想はどうだ?」

 

材木座「何かヒントがあればと思って参加した次第よ」

 

八幡「大枠は決まってるのか?」

 

材木座「学園ラブコメとかどうだろか?」

 

八幡「お前、ラブコメなんか書けるのか?」

 

材木座「うむ、一人の男子生徒をめぐる女子生徒三人の話とかは?」

 

八幡「嫌な予感しかしないな…」

 

材木座「女子生徒役の中の人も決まっている」

 

八幡「アニメ化前提かよ」

 

材木座「早見◯織、東山◯央、佐倉◯音、どうだ?」

 

八幡「頭痛がしてくるから、ヤメテくれ」

 

材木座「主人公は檜山◯之だ!」

 

八幡「やめろ、暑苦しい!そこは、江口◯也じゃねえのかよ!」

 

戸塚「はちま~ん!久しぶり!」

 

八幡「おぉ、天使だ」

 

戸塚「天使?」

 

八幡「なんでもない」

 

戸塚「材木座君も久しぶりだね」

 

材木座「けぷこんけぷこん」

 

戸塚「八幡が先生なんて、不思議だね」

 

八幡「だな。自分でも思うぞ。材木座も違う先生だかな」

 

戸塚「そうだね。材木座先生」

 

八幡「材木座先生」

 

材木座「や、やめろ~」

 

八幡(賑やかだなぁ。悪くない。高校の頃なら毛嫌いしていた雰囲気だが、何故か今は心地好い…)

 

平塚「どうした?比企谷」

 

八幡「俺は変わってしまったのかなと…」

 

平塚「人は人と関わりをもつことで、良くも悪くも変化する。比企谷も変わったな」

 

八幡「どっちに変わったんですかね?」

 

平塚「両方だ。そして君は周りも変えてしまう。良くも悪くもな」

 

八幡「そうなんですかね」

 

平塚「そうだ」

 

この夜から、比企谷八幡の恋の歯車はまわりはじめる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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雪ノ下雪乃編

2019/2/13修正・加筆


カラオケボックス外

 

雪乃「ひ、比企谷君、いいかしら?」

 

八幡「どうした?雪ノ下」

 

雪乃「こ、この前、私のことを戦友と言ったわよね?」

 

八幡「あぁ、言ったなぁ」

 

雪乃「戦友ということなら、友達でもあるのだから、その…」

 

八幡「なんだ、歯切れが悪いな」

 

雪乃「れ、連絡先を交換しましょう!」

 

八幡「お、おぅ」

 

八幡(雪ノ下さん、なんか顔が緩んでますよ)

 

雪乃「わ、私の連絡先を知ることが出来て、光栄に思いなさい」

 

八幡「へいへい」

 

~~~~~~~~~

 

数日後

 

prrrrrr

 

八幡(ん?雪ノ下から電話か)

 

八幡「もしもし」

 

雪乃『比企谷君、私よ』

 

八幡「私私詐欺じゃないのはわかった。どうした、雪ノ下」

 

雪乃「次の土曜は暇かしら?どうせ暇よね?友達少ないんだし」

 

八幡「(友達いないとは言わないんだな)たった今、忙しいことになった」

 

雪乃『冗談よ。ちょっと付き合って欲しいところがあるのだけど、いいかしら?』

 

八幡「あ~、学校に行きたいから、夕方からならいいぞ」

 

雪乃『まさか、学校で一色さんと…』

 

八幡「ねえよ!」

 

雪乃『では、城廻先輩と…』

 

八幡「ねえよ!普通に仕事するんだよ。小テスト作ったりな」

 

雪乃『そう、ならいいわ。18時に迎えにいくわ』

 

八幡「迎えにって、俺ん家知ってるのか?」

 

雪乃『そうね。では、海浜幕張駅前で』

 

八幡「了解」

 

雪乃『それと、スーツで来てくれないかしら』

 

八幡「なんでスーツ着なきゃならんのだ?」

 

雪乃『土曜日に説明するわ。そのかわり、夕食はご馳走するわよ』

 

八幡「なんか、晩飯に釣られて行くみたいになってんな。まぁ、いい。土曜日な」

 

雪乃『えぇ。こんなお願いして、ごめんなさい』

 

八幡「雪ノ下のお願いを聞くのも悪くないな」

 

雪乃『では、土曜日に』

 

八幡「おぅ」

 

八幡(昔の俺なら断ったんだろうか…)

 

~~~~~~~~~

 

土曜日 駅前

 

八幡(17:30 ちょっと早かったか?)

 

八幡(なんか、真っ黒な車が来たけど…)

 

ガチャ

 

雪乃「比企谷君、待たせたかしら?」

 

八幡(ド、ドレス。綺麗だなぁ…。雪ノ下は、こういうのが似合うなぁ)

 

八幡「い、いや、俺も今来たところだけど…。に、似合ってるな、そのドレス」

 

雪乃「あ、ありがとう。で、では、行きましょうか」

 

八幡「…これに乗るのか?」

 

雪乃「そうよ。詳しいことは、行きながら説明するわ」

 

八幡「わかった」

 

~~~~~~~~~

 

車中

 

八幡「説明してもらえるか」

 

雪乃「見合い話を持ってくる人がいる話はしたわよね?」

 

八幡「あぁ、聞いてる」

 

雪乃「その人が週末にホテルのレストランで食事をしてるのよ」

 

八幡「…なんとなく読めてきたかど、続けてくれ」

 

雪乃「そ、その…、彼氏のフリをして欲しいの!」

 

八幡「それこそ、葉山に…」

 

雪乃 ジロッ

 

八幡「悪かった。まぁ、雪ノ下の交遊関係からして、教師の俺が適任か」

 

雪乃「そ、そうよ。べ、別に他意はないわ」

 

八幡「はいはい」

 

~~~~~~~~~

 

ホテル レストラン

 

八幡「こんなとこ来るのは、川崎の一件以来だな」

 

雪乃「あの時は、バーラウンジだったわね。席が予約してあるから、行くわよ」

 

八幡「マジか」

 

雪乃「席に向かう途中、あの席のご夫婦に挨拶するから、適当にあわせて」

 

八幡「了解」

 

雪乃「ご無沙汰しております」

 

老婦人「雪乃ちゃん、久しぶりね」

 

老紳士「今日は食事かい?そちらの男性は?」

 

雪乃「彼は…、その…」

 

八幡「雪ノ下さんとお付き合いしています、比企谷です」

 

老婦人「こんな素敵なお相手がいたのね。孫の嫁にと思ったのに残念だわ」

 

雪乃「申し訳ありません」

 

老婦人「いいのよ」

 

雪乃「では、失礼いたします」

 

~~~~~~~~~~~

テーブル

 

八幡「あれでよかったか?」

 

雪乃「ごめんなさい。貴方に嘘をつかせてしまったわ」

 

八幡「嘘は言ってない。雪ノ下とは友達付き合いをしている」

 

雪乃「貴方って人は…」

 

雪乃「まぁいいわ、私達も食事を楽しみましょう」

 

八幡「すげぇな、いくらするんだよ」

 

雪乃「それは秘密よ」

 

八幡「知ったら倒れるかもな」

 

雪乃「そうかもね」クスクス

 

八幡「笑うなよ。公務員の安月給ナメんなよ」

 

雪乃「プロポーズの時は、このぐらいのレベルの店にしなさいよ」

 

八幡「参考にさせてもらうよ」

 

~~~~~~~~~~

 

食事後

 

八幡「なんか、肩がこって、食べた気がしないな」

 

雪乃「まだ食べる気なのかしら?」

 

八幡「ラーメンでも食べたい気分だが、この格好だからな」

 

雪乃「そうね。その時は、お付き合いするわ」

 

八幡「雪ノ下と一緒にラーメンを食べるとか修学旅行を思い出すな」

 

雪乃「思い出さないでいただけるかしら」

 

八幡「へいへい。ラーメン行く時は、誘うよ」

 

雪乃「えぇ、よろしくね。比企谷君」ニコッ

 

八幡(何、この可愛い生き物!)

 

雪乃「家まで送りましょうか?」

 

八幡「お願いしてもいいか?」

 

雪乃「えぇ、気にしないで(比企谷君の家がわかるわ)」

 

八幡「すまないな、ナビはする」

 

~~~~~~~~~

 

比企谷アパート前

 

八幡「雪ノ下、ありがとうな」

 

雪乃「こちらこそ、ありがとう」

 

八幡「じゃあ、おやすみ」

 

雪乃「比企谷君。あ、あの…」

 

八幡「ん、どうした?」

 

雪乃「またお願いしても、いいかしら?」

 

八幡「暇だったら、いいぞ」

 

雪乃「そう、またお願いね」

 

八幡「そのかわり…」

 

雪乃「何?」

 

八幡「ラーメンも付き合えよ」

 

雪乃「楽しみにしてるわ」ニコッ

 

八幡(うわぁ、お持ち帰りしたい!その笑顔!)

 

八幡「お、おう」

 

雪乃「おやすみなさい」

 

八幡(雪ノ下と結婚か。魔王の上に大魔王が二人とか、無理ゲーかよ。でも、あの笑顔が毎日見れたら、幸せなんだろうな)

 

雪乃(比企谷君と結婚。姉さんは、味方に出来そうだけと…)

 

~~~~~~~~~~~

 

翌週

 

prrrrrr

 

八幡(?雪ノ下からだ)

 

八幡「もしもし。どうした?」

 

雪乃『比企谷君、雪ノ下です』

 

八幡「画面見ればわかる」

 

雪乃『そ、そうね。あ、あの日曜日は空いているかしら』

 

八幡「空いているが、また見合い潰しか?」

 

雪乃『そ、そうなんだけど、違う表現方法はないのかしら』

 

八幡「で、今回は何をするんだ?」

 

雪乃『か、買い物に付き合ってほしいの』

 

八幡「その店に、ターゲットが出没するんだな」

 

雪乃『え、えぇ、そうよ』

 

八幡「了解だ。何時ぐらいにする?」

 

雪乃『昼食をとって、ショッピングモールなんて、どうかしら?』

 

八幡「OK。じゃあ、11:30にモールでいいか?」

 

雪乃『えぇ』

 

八幡「確認だが、今回は私服で大丈夫か?」

 

雪乃『スーツも素敵だったけど、私服も期待しているわね』

 

八幡「お、おぅ」

 

雪乃『では、日曜日に』

 

八幡(スーツ、素敵だったって…ヤバイヤバイ、惚れちゃうよ)

 

雪乃(あぁぁぁ、言ってしまったわ。比企谷君、本当に格好良くなったから…)

 

~~~~~~~~~~

 

日曜日 モール入り口付近

 

八幡(11:00かぁ、早かったかなぁ…。もう居る!なんか、そわそわしてませんか?可愛いですよ)

 

八幡「す、すまん、遅くなった」

 

雪乃「い、いえ。わ、私が早すぎたのよ」

 

八幡「に、似合うな、その服(服誉めるとかリア充かよ)」

 

雪乃「えっ!えぇ、ありがとう(誉められたぁ!)」

 

八幡「先に昼飯にするか?」

 

雪乃「え、えぇ、そうね(まだドキドキしてる)」

 

八幡「軽くパスタ屋でいいかな?」

 

雪乃「お任せするわ」

 

~~~~~~~~~~

 

食事後

 

八幡「以外と言ってはアレだが、旨かったな」

 

雪乃「えぇ」

 

八幡「こういうところだから、もっと大味だと思ってた」

 

雪乃「こういうところだからこそ、美味しくないと、生き残れないのよ」

 

八幡「なるほどな。で、この後は?」

 

雪乃「服でも見ましょうか」

 

八幡「その辺りで、エンカウントしそうなのか?」

雪乃「え、えぇ、そうね」

 

八幡「その後でいいから、本屋寄ってもいいか?」

 

雪乃「かまわないわ」

 

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夕方

 

八幡「結局、会わなかったな」

 

雪乃「そ、そうね」

 

八幡「今日は帰るか?」

 

雪乃「ひ、比企谷君!」

 

八幡「おぅ、なんだ?」

 

雪乃「よかったら、その…」

 

八幡「どうした?歯切れがが悪いけど」

 

雪乃「そ、その、ラーメン屋さんに行ってみたいんだけど」

 

八幡「あぁ、いいぞ。付き合えって言ったの俺だしな」

 

雪乃「貴方が普段、何を食べているか、確認しておかないと。部長として」

 

八幡「なんか久しぶりに聞いた気がするな。よし、行こうぜ」

 

 

~~~~~~~~~~~

 

食事後

 

雪乃「ビジュアルはアレだけど、美味しかったわ」

 

八幡「昔、一色にも言われたな」

 

雪乃「デート中に、他の女性の名前を出すのは感心しないわね」

 

八幡「デ、デート?まぁ、そうだな。すまなかった」

 

雪乃「まぁ、いいわ。他のラーメン屋さんも、興味が出てくるわね」

 

八幡「それなら、平塚せんせ…。いやなんでもない」

 

雪乃「気を使ってくれたのね」クスクス

 

八幡「2回目やったら、恐ろしいことになりそうだからな」

 

雪乃「まぁ、いいわ。平塚先生は、ラーメンの師匠なのでしょ?」

 

八幡「そうだな。ラーメン食いながら、悩み散々聞いてもらったりしたよ」

 

雪乃「平塚先生には、頭が上がらないわね」

 

八幡「そうだな。あんなに良い人なのに、なんで嫁に行けないんだろう?(誰か貰ってあげて!)」

 

雪乃「じゃあ、貴方が貰ってあげたら?」

 

八幡「勘弁してください」

 

雪乃「比企谷君、貴方は結婚しないの?」

 

八幡「彼女すら出来たことないのに、どうやって結婚するんだよ」

 

雪乃「それもそうね」

 

八幡「そういう雪ノ下はどうなんだ?」

 

雪乃「私には彼氏がいるじゃない」

 

八幡「え?」

 

雪乃「貴方よ」

 

八幡「からかうなよ。でも、雪ノ下のウエディングドレス姿か…。綺麗なんだろうな。隣に立つヤツが羨ましいな」

 

雪乃「そ、そうね」

 

八幡「さてと、今日は帰るか。送ろうか?」

 

雪乃「い、いえ。今日は大丈夫よ」

 

八幡「そうか?」

 

雪乃「ちょっと一人で歩きたいのよ」

 

八幡「わかった。気をつけて帰れよ」

 

雪乃「では、おやすみなさい」

 

八幡「おやすみ」

 

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帰り道

八幡

 

雪ノ下との結婚式を想像してみる…。

みんなに祝福してもらって…。由比ヶ浜とか泣くんだろうな。

 

俺は雪ノ下の隣に立つ資格があるのだろうか?あの凛とした振る舞い、真っ直ぐな目…。でも、どこか儚い。俺とは正反対。でも、どこか似ている。俺はああなりたかったのか?でも、違うからいいのか?多分、雪ノ下は俺のことを今でも…。雪ノ下が目指しているところは何処なんだ?俺が居ても邪魔にならないか?助けてやることは出来るのか?

 

まだ付き合ってもないのに、何考えてんだ。

もう逃げないと決めた。雪ノ下はきっと原石だ。想いをぶつけてみよう。雪ノ下なら、答えてくれるはず…。

 

 

 

~~~~~~~~~~

 

帰り道

雪乃

 

比企谷君との結婚式を想像してみる…。白いタキシードで私の隣に立つ…。格好いい。

あの賑やかなメンバーが祝福してくれる。由比ヶ浜さんは泣いてしまいそうね。

でも、彼は私を選んでくれるのかしら。由比ヶ浜さんや一色さんみたいな魅力的な女性が他にもいるし…。「雪ノ下と俺は釣り合わない」とか言いそう。でも、彼も成長している。私は彼に何を求めているの?私を助けてほしい?私に無い部分を補ってほしい?違う。ただ、隣にずっと居てくれるだけでいい。そう思うようになった。

彼に私の想いを伝えてみよう。きっと、今の彼なら答えをくれる。私の本物の想いを伝えよう

 

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翌日 奉仕部部室

 

八幡(あそこに雪ノ下が座っていて、由比ヶ浜が居て、俺が居た。窓際で本を読む彼女に見惚れていた。時々、髪をかきあげる仕草がとても綺麗で…。とても真っ直ぐで…。俺もああなりたいと思っていた。近づきたいと思っていた…。それが恋心に変わったのはいつだろう…。この気持ちを伝えないと、きっと後悔する。自己満足かもしれないが…)

 

???「……ぱい!」

 

???「…んぱい!」

 

一色「先輩!」

 

八幡「うおっ!ビックリした!」

 

一色「さっきから、ずっと呼んでましたよ!」

 

八幡「悪い、一色」

 

一色「ずっと窓の方を見てましたけど、どうかしたんですか?難聴系主人公気取りですか?キモイですよ」

 

八幡「いや、ちょっと考え事だな…。あとキモイは余計だ」

 

一色「平塚先生とミーティング!忘れてたんですか?」

 

八幡「そうだったな。行くか」

 

一色「はい」

 

一色(窓というより、あの席を見ていた…。やっぱり先輩は雪ノ下先輩のことを…)

 

一色「先輩!」

 

八幡「おう。なんだ?」

 

一色「頑張ってくださいね」

 

八幡「?お、おぅ」

 

一色(あ、泣いちゃいそう…)

 

一色「先輩、先に行っててください」

 

八幡「どうした?」

 

一色「ちょっと、花摘に…」

 

八幡「おぅ、行ってこい」

 

八幡「……。すまんな、一色」

 

一色「っ!!!…バカ!なんで急に、そんなこと言うんですか!先輩のバカ!…。大っ嫌い!でも、でも…、大好きです」

 

八幡「ありがとう。こんな俺を好きになってくれて」

 

一色「『こんな』じゃないです!先輩だから、好きになったんです!」

 

八幡「そ、そうか」

 

一色「そんなこと言う先輩は大っ嫌いです!でも、でも、好きになっちゃったんです」

 

八幡「す、すまん」

 

一色「謝らないでください!」

 

八幡(一色が泣きだしまった)

 

ガラガラ

 

平塚「一色、比企谷を呼ぶだけで、どれだけ時間が…」

 

八幡「平塚先生、これは…」

 

平塚「比企谷、一色、ミーティングは明日にする。今日はもう帰れ」

 

八幡「で、でも」

 

平塚「いいから、気にするな。比企谷は一色を送ってやれ」

 

八幡「わかりました。一色、行くぞ」

 

~~~~~~~~~

 

帰り道

 

一色「すいません、送ってもらって」

 

八幡「気にするな。可愛い後輩を送れるんだ。光栄だよ」

 

一色「…。先輩、イジワルです」

 

八幡「す、すまん」

 

一色「雪ノ下先輩に告白するんですか?」

 

八幡「あぁ。よくわかったな」

 

一色「先輩、窓じゃなくて雪ノ下先輩の席…、学生の頃の雪ノ下先輩を見てましたよね」

 

八幡「…。そこまでわかるの?」

 

一色「奉仕部に遊びに行ってた頃に、先輩が何気なく雪ノ下先輩を見ている時の顔でした。とても優しくて、とっても格好良くて、でも儚い…。そんな顔でした」

 

八幡「そこまで言われると恥ずかしいな」

 

一色「その頃から、先輩は雪ノ下先輩が好きなんだろうなぁ、と思ってました。その顔を私に向けさせたいと、私なりにがんばりました。でも、今日の先輩を見て、わかりました…」

 

八幡「一色…」

 

一色「雪ノ下先輩に負けたなら、本望です!」

 

八幡「お前…」

 

一色「そのかわり、ちゃんと気持ちを伝えなきゃダメですよ。そうじゃなきゃ、私や結衣先輩は…」

 

八幡「そうだな」

 

一色「結衣先輩には、話たんですか?」

 

八幡「いや、まだだ。なにせ、昨日決意したばかりだからな」

 

一色「結衣先輩なら、きっとわかってくれます。泣くかもしれないですが…」

 

八幡「泣かれるのはキツイなぁ」

 

一色「でも、伝えなきゃダメです。結衣先輩なら、先輩達なら、この関係は壊れません。きっと『本物』だから」

 

八幡「ありがとう、一色」

 

一色「あ~、でも雪ノ下先輩にフラれても保証はしませんけどね」

 

八幡「それも折り込み済みだ。フラれたって、俺達の関係は変わらない。だろ?」

 

一色「そうです!その意気です!」

 

一色「先輩、高校の頃に私が告白したら、付き合ってくれてましたか?」

 

八幡「過去のことをたらればでは、言えないな」

 

一色「そう…ですよね」

 

八幡「でも、魅力的な…可愛い後輩だと思ってたことは間違いない」

 

一色「………」

 

一色「あ、ここまでで大丈夫です」

 

八幡「いや、家まで…」

 

一色「え?家まで?もしかして、口説いているんですか?他に好きな人がいるのに、口説いてくるなんで無理です。ごめんなさい」

 

八幡「一色にフラれてしまったな。崖っぷちだ。がんばらないとな」

 

一色「はい、頑張ってくださいね」

 

八幡「じゃあ、また明日」

 

一色「じゃあ、またです。先輩」

 

一色(さようなら、大好きな先輩…)

 

八幡(一色に勇気づけられた。由比ヶ浜にも、話さないとな)

 

 

prrrrrr

 

八幡「由比ヶ浜か?」

 

由比ヶ浜『ヒッキー?どうしたの?』

 

八幡「ちょっと話たいことがあるんだが…」

 

由比ヶ浜『…わかった。どこに行けばいいかな?』

 

八幡「由比ヶ浜ん家の近くの公園でいいか?」

 

由比ヶ浜『わかった』

 

八幡「急に、悪いな」

 

由比ヶ浜『うん、大丈夫だよ』

 

~~~~~~~~~

 

公園

 

八幡「悪いな、こんな所に呼び出して」

 

由比ヶ浜「大丈夫だよ。大事な話…なんだよね?」

 

八幡「あぁ」

 

八幡「実は…」

 

由比ヶ浜「なに?」

 

八幡 フゥ

 

八幡「雪ノ下のことが好きで、告白しようと思っている」

 

由比ヶ浜「…。やっとその気になったんたね」

 

八幡「え?」

 

由比ヶ浜「ヒッキーの態度見てればわかるよ」

 

八幡「そうだったのか?」

 

由比ヶ浜「私からも、ヒッキーに大事な話があります」

 

由比ヶ浜「比企谷八幡君、貴方のことが大好きです。付き合ってください!」

 

八幡「由比ヶ浜…。ありがとう。でも、その想いには答えられない」

 

由比ヶ浜「そうだよね。これは私のケジメなの」

 

八幡「…由比ヶ浜。その…」

 

由比ヶ浜「ヒッキーがゆきのんを見つめてる顔が違ってたから、わかってたんだ。だから、わかってた…。わかってたけど、好きになっちゃったんだもん」グスン

 

八幡「由比ヶ浜、ありがとう。俺を好きになってくれて」

 

由比ヶ浜「うん。ゆきのんは絶対にヒッキーのこと好きだから、ちゃんと伝えてあげてね」

 

八幡「あぁ、そのつもりだ」

 

由比ヶ浜「逃げちゃダメだよ」

 

八幡「わかってる」

 

由比ヶ浜「やっぱりヒッキーは格好いいなぁ、昔も今も…」

 

八幡「そうか?」

 

由比ヶ浜「そうだよ。だって、私が好きになった人だもん」

 

八幡「ありがとう。自信を持って告白出来るよ」

 

由比ヶ浜「いろはちゃんには、言ったの?」

 

八幡「俺が部室で考えてたら、勘づかれた。それで、伝えたよ」

 

由比ヶ浜「そっかぁ。じゃあ、いろはちゃんと飲みに行こうかな」

 

八幡「頼めるか?」

 

由比ヶ浜「ヒッキーに頼まれなくても行くよ」

 

八幡「そうか」

 

由比ヶ浜「じゃあ、帰るね」

 

八幡「悪かったな」

 

由比ヶ浜「頑張ってね、ヒッキー。ゆきのんを幸せにしてあげてね」

 

八幡「おう。任せろ!」

 

由比ヶ浜(バイバイ、ヒッキー)

 

~~~~~~~~~

 

八幡アパート

 

八幡(携帯電話を見つめて1時間、なんて言って呼び出そうか?デートしてくれ?話があるから?う~ん、ヘタレだぁ!!)

 

prrrrrr

 

八幡(うわぁ!ビックリした!雪ノ下からだ)

 

雪乃『比企谷君、私よ』

 

八幡「私私詐欺なら、間に合ってます」

 

雪乃『へぇ、そういうことを言うのね』

 

八幡「ごめんなさい」

 

雪乃『わかればいいのよ』

 

八幡「で、どうしたんだ?」

 

雪乃『また、私とデ、デ、デートしてほしいのだけれど』

 

八幡「おぉ、おう。いいぞ」

 

雪乃『そう、よかった。次の連休の初日なんてどうかしら?』

 

八幡「あぁ、空けとく。時間と場所は?」

 

雪乃『そうね、13:00にショッピングモールの入り口にしましょう』

 

八幡「了解」

 

雪乃『では、楽しみにしてるわね』

 

八幡「おう。おやすみ」

 

雪乃『おやすみなさい』

 

八幡(向こうから、チャンスが転がって来た!)

 

~~~~~~~~~

 

連休初日 ショッピングモール前

 

八幡(12:05、早すぎだろ俺!)

 

八幡(…なんで、もう居るの?)

 

八幡「悪い、遅れたか?」

 

雪乃「い、いえ。私が早すぎたのよ」

 

八幡「きょ、今日の服もいいな」

 

雪乃「え、えぇ。ありがとう」

 

八幡「どこから、まわるんだ?」

 

雪乃「小物が見たいわね」

 

八幡「そうか」

 

~~~~~~~~~~

 

ショッピングモール内

 

八幡「このエプロン、昔由比ヶ浜にプレゼントしたのに、似てるな」

 

雪乃「そうね。貴方またデート中に別の女性の名前を出すのはのね」

 

八幡「すいません。あぁ、これは雪ノ下のに似てるな」

 

雪乃「あのエプロン、まだあるのよ」

 

八幡「物持ちいいんだな」

 

雪乃「…貴方が選んだから」ボソボソ

 

八幡「?」

 

雪乃「なんでもないわ。次の店に行きましょう」

 

~~~~~~~~~~

 

 

八幡(何も話せてない!俺のヘタレ!)

 

雪乃「そろそろ、いい時間ね」

 

八幡「お、おぅ。送るよ(帰り道に…)」

 

雪乃「じゃあ、お願いできるかしら」

 

八幡「じゃあ、行くか(よし!)」

 

~~~~~~~~~

 

雪乃マンション前

 

八幡(何も話せてない~!)

 

雪乃「ねぇ、比企谷君」

 

八幡「は、はい!」

 

雪乃「あの…、良いワインがあるのだけど、良かったら飲んでいかない?」

 

八幡(チャンス!)

 

八幡「雪ノ下、俺は男で、お前は女だ」

 

雪乃「そうね」

 

八幡「それでだ。俺もお前もいい大人だ」

 

雪乃「そうね」

 

八幡「一人暮らしの所に、男を酒を飲む為に誘うということは、わかってるんだよな?(何言ってるんだ俺!断られたら、どうするんだよ!)」

 

雪乃「わ、わかっているわ」

 

八幡「わかった。俺も話たいことがあるから、付き合うよ(よかったぁ~)」

 

雪乃「そう。では、貴方の話を聞きましょう」

 

~~~~~~~~~

 

雪ノ下 部屋

 

八幡「うまいな、このワイン」

 

雪乃「えぇ、美味しいわ。で、話って?」

 

八幡「あ、あのだなぁ」

 

八幡「高校2年の時に奉仕部で出会ってから、美人で成績優秀で真っ直ぐで、俺には無いものを沢山もってる雪ノ下に憧れるようになって、いつか雪ノ下のようになりたいと思うようになった。それがいつの頃からか、異性として惹かれるようになった。だが、黒歴史を抱えてた俺だ。告白する勇気も無いし、…これは自惚れかもしれないが、もし告白されても、ドッキリとか罰ゲームじゃないかと勘ぐったと思う。そのまま高校を卒業してしまい、大学時代にも会ってはいたが、ヘタレな俺だ。雪ノ下の隣に立つ資格があるのかとか、俺には相応しくないとか、ぐちゃぐちゃ考えていたら今日に至った。でも、この前、付き合ってるフリをしたとに、ふと結婚式でウエディングドレスを着て俺の隣にいる雪ノ下を想像したら、今まで考えてことがバカバカしくなってきた。ただ隣に居てくれればいいと思えるようになった。そして、奉仕部の部室でいつもの席に座っていたら、決心がついた」

 

八幡「雪ノ下雪乃!好きだ!大好きだ!俺と付き合ってくれ」

 

雪乃「まったく。途中はいらないわ。最後の部分だけでよかったのに」

 

雪乃「比企谷八幡君、私も貴方のことが大好きです。これから…、これからも、よろしくお願いします」

 

八幡「は、はは。やっと言えた」

 

雪乃「本当に長かったわね」

 

八幡「ここで、格好良く抱き締めたり出来ればいいんだが、ホッとして、それどころじゃない」

 

雪乃「いいじゃない。ヘタレな貴方らしくて」

 

八幡「うるせぇ」

 

雪乃「改めて、乾杯しましょう」

 

八幡「そうだな」

 

~~~~~~~~~

 

一時間後

 

八幡「やっと落ち着いてきた」

 

雪乃「そうね。私もドキドキしていたから」

 

八幡「口の中がカラカラで、ワイン飲み過ぎた」

 

雪乃「私もよ。ね、ねぇ、は、八幡?」

 

八幡「お、おう(名前呼び!)」

 

雪乃「私も今日こそ告白しようと思っていたの」

 

八幡「そうだったのか!」

 

雪乃「部屋に招いたのだって、すごく勇気を出したのよ。それに、はしたない女と思われたらどうしようかと…」

 

八幡「そんなことない。雪ノ下が」

 

雪乃「雪乃」

 

八幡「え?」

 

雪乃「貴方、自分の彼女の名前も知らないのかしら?」

 

八幡「え、え~と、雪乃」

 

雪乃「はい」ポッ

 

八幡(何、この可愛い生き物!俺の彼女か!なんか幸せ)

 

八幡「雪乃が、そんな女性じゃないのは知ってるし、もし誘ってくれなかったら、またヘタレで終わるところだったからな」

 

pppp

 

八幡「すまん、メールだ」

 

雪乃「かまわないわよ」

 

[From:ゆい

件名:やっはろー

本文:ヒッキー、ちゃんとゆきのんに告白出来たの?待たせちゃダメだよ]

 

八幡「由比ヶ浜からだ」

 

雪乃「あら、もう浮気?」

 

八幡「ちげーよ。由比ヶ浜は、俺が雪乃に告白することは伝えてある」

 

雪乃「そうなの?」

 

八幡「あぁ、泣かせてしまったがな。最後は背中を押してくれたよ」

 

雪乃「そう。由比ヶ浜さんには、悪いことをしてしまったわ」

 

八幡「雪乃が気に病むことじゃない。俺のせいだ」

 

雪乃「そうやって、一人で抱え込まないで。私がいるわ」

 

八幡「そうだな。メールの内容は、ちゃんと告白しろ的な感じだ。…由比ヶ浜と話をするか?」

 

雪乃「そうね、私からも伝えておきたいから」

 

八幡「OK、由比ヶ浜に電話して大丈夫かメールする」

 

[From:ヒッキー

件名:Re;やっはろー

本文:今、電話大丈夫か?]

 

[From:ゆい

件名:Re;Re;やっはろー

本文:大丈夫だよ]

 

八幡「じゃあ、かけるぞ」

 

prrrrrr

 

由比ヶ浜『やっはろー』

 

八幡「悪いな、遅い時間に」

 

由比ヶ浜『全然大丈夫だよ。どうしたの?』

 

八幡「今、雪ノ下と…」

 

雪乃「八幡」ジー

 

八幡「雪乃と一緒に居るんだ」

 

雪乃 ニコッ

 

由比ヶ浜『ゆきのんと!てか、名前呼び!』

 

八幡「と、取り敢えず、代わる」

 

雪乃「由比ヶ浜さん、雪ノ下です」

 

由比ヶ浜『ゆきのん、やっはろー。ヒッキーが名前呼びしてたけど…』

 

雪乃「私達、お付き合いすることになったの」

 

由比ヶ浜『ゆきのん、おめでとう』

 

雪乃「ありがとう。あの…」

 

由比ヶ浜『謝らないでね』

 

雪乃「え?」

 

由比ヶ浜『謝られたら、気まずくてゆきのんに会いにくくなっちゃうから。ゆきのんともヒッキーとも、普通に会いたいから。ヒッキーにはフラちゃったけどね』

 

雪乃「由比ヶ浜さん…」

 

由比ヶ浜『ゆきのんなら、ヒッキーを任せられるから』

 

雪乃「由比ヶ浜さん、ありがとう。本当にありがとう」グスッ

 

由比ヶ浜『ゆきのん、泣かないで。私まで…』グスッ

 

由比ヶ浜『今度、ゆっくり話聞かせてね』グスッ

 

雪乃「えぇ、勿論。八幡に代わるわね」グスッ

 

由比ヶ浜『ヒッキー!』

 

八幡「お、おぅ」

 

由比ヶ浜『ゆきのん泣かせたら、承知しないからね』

 

八幡「わかってるよ。急に電話して悪かったな」

 

由比ヶ浜『今度、たっぷり話てもらうから、覚悟してね』

 

八幡「なんか怖いが…。わかった。じゃあ、またな」

 

由比ヶ浜『バイバイ』

 

八幡「話せてよかったな」

 

雪乃「えぇ」

 

八幡「俺も嘘つきにならずにすんだしな」

 

雪乃「?」

 

八幡「可愛く首を傾げるな。レストランで会ったご夫婦にだよ」

 

 

雪乃「そうね。でも、私はあの時から付き合っているつもりでいたから」

 

八幡「さいですか。ん?こんな時間か!そろそろ…」

 

雪乃「八幡?」

 

八幡「どうした?」

 

雪乃「その…。明日は休みよね?」

 

八幡「そうだが…。まさか」

 

雪乃「泊まっていかない?」

 

八幡「いや、付き合い始めた初日から…」

 

雪乃「私が誘った時、聞いてきたわよね?私は、そ、そのつもりだったの…。だから」

 

八幡「わかった。これ以上、雪乃に恥をかかす訳にはいかないな」

 

雪乃「なんかドキドキするわね」

 

八幡「ドキドキしっぱなしだよ」

 

八幡「な、なぁ」

 

雪乃「何?」

 

八幡「キ、キスしてもいいか?」

 

雪乃「そんなこと、聞かなくてもいいわ」

 

チュ

 

八幡「な、なんか恥ずかしいな」

 

雪乃「これから、慣れていけばいいわ」

 

八幡「そうだな」

 

雪乃「酔いざましに、お風呂に入りたいのだけど」

 

八幡「そうだな」

 

雪乃「では、準備してくるわ」

 

八幡「俺はコンビニ行ってくる」

 

雪乃「何か必要?」

 

八幡「下着の替えと…ムを」

 

雪乃「ハッキリしないわね」

 

八幡「コ、コン…ド……を」

 

雪乃「!…、ご、ごめんなさい!必要よね」

 

八幡「お、おう」

 

雪乃「でも、最初は使わないでね。私、ゴムの合成物質に初めてを捧げるつもりはないから」

 

八幡「わ、わかった。…凄いこと言うな」

 

雪乃「えぇ。早く行ってきたら?」

 

八幡「わかった」

 

~~~~~~~~~

 

八幡「ただいま」

 

雪乃「おかえりなさい」

 

八幡「…。なんかいいな」

 

雪乃「そうね」ポッ

 

雪乃「お風呂出来ているわよ」

 

八幡「俺が先でいいのか?」

 

雪乃「えぇ、お客様ですもの。…、それとも、一緒がよかったかしら?」

 

八幡「!おま!なにを!」

 

雪乃 クスクス

 

八幡「風呂借りるぞ!」

 

雪乃「どうぞ」

 

八幡「…。今度、一緒に…、な」

 

雪乃「え、えぇ」ポッ

 

~~~~~~~~~~

 

雪乃「ふぅ。さっぱりしたわ」

 

八幡 ジー

 

雪乃「な、何?」

 

八幡「…、綺麗だ」

 

雪乃「あ、ありがとう」

 

八幡「こっち来てくれないか?」

 

雪乃「えぇ」

 

八幡「雪乃、愛してる」

 

雪乃「私も愛してるわ、八幡」

 

チュ

 

~~~~~~~~~

 

朝 雪乃の部屋のベランダ

 

八幡(ふぅ~。朝の一服とMAXコーヒーはやめられないなぁ。なんで雪乃の家にMAXコーヒーがあるんだ?しかし、MAXコーヒーって、こんなに甘かったか?雪乃はタバコやめろって言うかな?…。昨日、したんだよな、雪乃と。可愛いかった。高校の頃、考えもしなかったな)

 

ガラガラ

 

雪乃「八幡?」

 

八幡「悪い、起こしちまったか?」

 

雪乃「目が覚めたら、八幡が居なかったから…」ダキッ

 

八幡「雪乃?」

 

雪乃「寂しかった、怖かった、夢だったのかと思った」

 

八幡「悪かったな」

 

雪乃「居なくならないでね」

 

八幡「あぁ、ここに居る。俺は雪乃のそばに居る」

 

雪乃「八幡。私の八幡」

 

八幡「悪いな、タバコ臭くないか?」

 

雪乃「八幡の臭い」

 

八幡「嗅ぐな、恥ずかしい」

 

雪乃「いいじゃない。減るもんじゃないし」

 

八幡「俺の精神が削られる」

 

雪乃「ふふ、可愛い」

 

八幡「うるせぇ。襲うぞ」

 

雪乃「いや~ん、八幡に襲われちゃう」フフッ

 

八幡「キャラ変わってないか?」

 

雪乃「私だって、好きな人に、甘えたり可愛い娘ぶったりしたいわ」

 

八幡「キッチンにMAXコーヒーがあったから、飲んだぞ」

 

雪乃「かまわないわ」

 

八幡「なんで雪乃の家にMAXコーヒーがあるんだ?」

 

雪乃「貴方がいつ来てもいいようによ」

 

八幡「そうか、ありがとな」

 

雪乃「私がしたかったのよ」

 

八幡「しかし、MAXコーヒーって、あんなに甘かったかな?」

 

雪乃「人生が少し甘くなったからじゃないかしら?」

 

八幡「なるほどな。雪乃のお陰だな」

 

雪乃「そうだったら、嬉しいわ」

 

八幡「なぁ、もう少し横にならないか」

 

雪乃「そうね」

 

八幡「よっと」ダキアゲ

 

雪乃「え?」

 

八幡「通称・お姫様抱っこってやつだ」

 

雪乃「は、恥ずかしいけど、いいわね」

 

八幡「俺もやってみたかったんだ」

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

夕方

 

八幡「そろそろ帰るよ。明日の支度もあるしな」

 

雪乃「…そう。帰ってしまうのね」

 

八幡「あのなぁ、今生の別れじゃないんだから」

 

雪乃「でも、寂しいわ」

 

八幡「雪乃」ダキッ

 

雪乃「!」

 

八幡「俺だって寂しいよ」

 

雪乃「メールしていい?」

 

八幡「もちろん」

 

雪乃「電話してもいい?」

 

八幡「もちろん」

 

雪乃「浮気しない?」

 

八幡「相手が居ねぇよ」

 

雪乃「嘘つき!貴方の周りは魅力的な女性ばかりじゃない」

 

八幡「その中で一番魅力的な雪乃を選んだのに、浮気なんかしないよ」

 

雪乃「…バカ。恥ずかしいじゃない」

 

八幡「本心だよ」

 

雪乃「嬉しい」

 

八幡「そうだ!来週は家に来ないか?」

 

雪乃「いいの?」

 

八幡「勿論!」

 

雪乃「楽しみにしてるわ」

 

八幡「じゃあ、決まりだ!」

 

雪乃「…じゃあ、また……」

 

八幡「どうした?」

 

雪乃「…。いってらっしゃい、八幡」

 

八幡「おぅ、いってきます。って、どこへ?」

 

雪乃「社会の荒波へ。私が貴方の帰る[家]よ」

 

八幡「なるほどな。帰る[家]があるなら、がんばらないとな!じゃあ、改めて、いってきます!」

 

雪乃「いってらっしゃい」

 

~~~~~~~~~~~

 

数日後 奉仕部 部室

 

一色「せんぱ~い」

 

八幡「なんだ?[響]のコントか?」

 

一色「違います!お聞きしたいことがあります!」

 

八幡「なんだ?」

 

一色「雪ノ下先輩とは、どうなったんですか?フった私に報告がないんですが?」

 

八幡「あぁ、付き合ってるぞ」

 

一色「さらっと言いましたね…」

 

八幡「もったいつけてもなぁ」

 

いろは「結衣先輩には、すぐ報告したのに」ブーブー

 

八幡「あれは、由比ヶ浜が絶妙なタイミングでメールしてきたからだ」

 

ガラガラ

 

城廻「一色さ~ん」

 

一色「城廻先輩!聞いてください!比企谷先輩が雪ノ下先輩と付き合い始めたって…」グスッ

 

八幡「嘘泣きは止めろ」

 

城廻「比企谷君、よかったね~。でも、由比ヶ浜さんは?」

 

八幡「心苦しいのですか、フッてしまいました」

 

城廻「そっかぁ。私も密かに狙ってたのに、残念だよぉ」

 

八幡・一色「!!!」

 

八幡(本気度合いがまったくわからん)

 

一色「そうだ!城廻先輩、残念会やりませんか?」

 

城廻「いいねぇ。由比ヶ浜さんも呼んで」

 

一色「雪ノ下先輩も呼んで、根掘り葉掘り聞きましょう」

 

城廻「いいと思うよ」

 

一色「先輩は、さみしく留守番しててください」

 

八幡「へいへい」

 

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週末 夜

 

八幡(雪乃が由比ヶ浜達に引っ張り出されたので、お泊まりはなしになった…。寂しくないモン!)

 

prrrrrr

 

八幡(?由比ヶ浜から電話?)

 

八幡「もしもし。どうした?」

 

由比ヶ浜『ヒッキー!ごめん。ゆきのん、飲ませ過ぎちゃった。迎えに来て!』

 

八幡「わかった。すぐ行く。場所は?」

 

由比ヶ浜『すぐに来るんだ。昔だったら、ゴネたのにね』

 

八幡「まあな。で、場所は?」

 

由比ヶ浜『駅前の、いつもの店だよ』

 

八幡「了解!40秒で支度する」

 

由比ヶ浜『ラ◯ュタだ!』

 

八幡「正解!また後で」

 

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居酒屋前

 

由比ヶ浜「ヒッキー!こっち~!」

 

八幡「おう!(川崎に三浦に海老名さんまで居るのか)」

 

雪乃「あぁ!八幡だぁ!」ダキッ

 

雪乃「会いたかったぁ。八幡~♪」

 

八幡「うわぁ!どうした!雪乃」

 

由比ヶ浜「いやぁ~。途中で『八幡に会いたい』って、泣き出しにゃって…」オロオロ

 

一色「先輩、愛されてますね」

 

川崎「ふんっ」

 

海老名「ヒキタニ君、見せつけてくれるねぇ」

 

三浦「雪ノ下さんって、こんなんだっけ?」

 

八幡「時々、キャラ崩壊してるんだよ」

 

城廻「好きな人には甘えたいんだよ。雪ノ下さんだって、女の子だよ」

 

八幡「そうなんスかね」

 

雪乃「八幡!他の女の子と話しちゃダメ!」

 

八幡「わかったから、帰るぞ」

 

雪乃「は~い♪」

 

八幡「みんな、ありがとうな」

 

由比ヶ浜「こちらこそ、ゴチソウサマ」

 

八幡「?」

 

一色「いやぁ、相変わらず先輩はヘタレだとか」

 

川崎「お、お姫様抱っことか…」

 

八幡「そんなことを…」

 

海老名「薄い本のネタにさせてもらうよ」

 

三浦「ヒキオもやれば、出来んじゃん」

 

八幡「恥ずかしい」

 

由比ヶ浜「肴が出来た頃に、ゆきのん、また借りるね」

 

八幡「誘うのはいいが、肴にしないでください」

 

一色「私達をフったんだから、それぐらいは我慢してください」

 

八幡「わかったよ。じゃあ、またな」

 

由比ヶ浜「ヒッキー、ゆきのん、バイバ~イ」

 

雪乃「八幡~♪」

 

八幡「雪乃、くっつき過ぎだ。歩きにくいだろ」

 

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由比ヶ浜「ゆきのん、幸せそうだったね」

 

一色「そうですね」

 

由比ヶ浜「私達もがんばらないと!」

 

一色「そうです!先輩に私達もを選ばなかったことを後悔させてやりましょう!」

 

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八幡「どうする?家に来るか?」

 

雪乃「わ~い!八幡ん家行く」

 

~~~~~~~~~~~

 

八幡「ただいまっと」

 

雪乃「八幡のにおいだぁ」

 

八幡「雪乃、ほら水」

 

雪乃「は~い」ゴクゴク

 

八幡「風呂入るか?」

 

雪乃「…」

 

八幡「雪乃?」

 

雪乃「スースー」

 

八幡「寝てるのか?」

 

雪乃「スースー」

 

八幡「寝てるのに返事は出来ないか」

 

八幡(とりあえず、ベッドに寝かせて…。服がシワになるから、脱がさないと…。)

 

八幡「雪乃、脱がすぞ」

 

八幡(なんかイケナイことしてるみたいだな)

 

八幡(ハンガーにかけてっと…。下着もだよな…)

 

八幡(…綺麗だなぁ。可愛い顔して寝てやがる。氷の女王の面影はもうないな)

 

八幡(俺が幸せして…。違うな。一緒に幸せになろうな)ナデナデ

 

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雪乃(う~ん。ん?ここは?えっ?服着てない!裸じゃない!何があったの!)

 

八幡「おっ!起きたか?朝飯はトーストと目玉焼きでいいか?」

 

雪乃「八幡!ここは?」

 

八幡「俺ん家だ。覚えてないのか?」

 

雪乃(由比ヶ浜さん達と飲んで、根掘り葉掘り聞かれて…。色々、恥ずかしい!)

 

雪乃「八幡。どうして、私は裸なのかしら?」

 

八幡「え?服がシワになるからだろ」

 

雪乃「そうやって、いかがわしいことをしたのね。通報しなくては」

 

八幡「彼氏を前科持ちにしたいのかよ。酔って寝てる雪乃の寝顔に見惚れてたのは認める」

 

雪乃(は、恥ずかしい)

 

八幡「でも、それ以上はない。起きてる時に合意でした方がお互いに気持ちいいだろって、何言ってるんだ俺」

 

雪乃「相変わらずヘタレね」

 

八幡「うっ!」

 

雪乃「でも、そんな貴方が好きよ」

 

八幡「俺も雪乃のこと大好きだぜ」

 

八幡・雪乃(恥ずかしい~!)

 

八幡「で、朝飯は?シャワー先に浴びるか?」

 

雪乃「そうさせてもらうわ」

 

八幡「でも、着替えが…」

 

雪乃「下着の替えはあるわ。…その、飲んだ後に来るつもりだったから…」

 

八幡「そ、そうか」

 

雪乃「覗いてもいいわよ」

 

八幡「!!!」

 

八幡「や、やめておく」

 

雪乃「ヘタレね」

 

八幡「一緒に湯船につかったりしたいからな」

 

雪乃「そ、そう。なら私もその時を楽しみにしとくわ」

 

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朝食後

 

雪乃「昨日のこと、思い出してきたら、色々恥ずかしいことをしてたみたいね」

 

八幡「いいんじゃねぇの。俺は雪乃に愛されてるって、わかったから」

 

雪乃「そう」

 

八幡「なぁ、雪乃」

 

雪乃「なに?」

 

八幡「雪乃は将来、どうしたいんだ?」

 

雪乃「そうね。雪ノ下家を継ぎたい」

 

八幡「やっぱりそうかぁ」

 

雪乃「と、思っていたわ」

 

 

八幡「過去形なのか?」

 

雪乃「今は、そ、その…」

 

八幡「?」

 

雪乃「貴方と付き合い始めたら、雪ノ下家とか、どうでもよくなってしまったの。貴方と一緒に居られるなら」

 

八幡「そうか。雪乃の気持ちはわかった。俺も同じだ。雪乃と一緒に居られるなら、なんだってやるよ」

 

雪乃「八幡っ!」ダキッ

 

八幡「雪乃、一緒に幸せになろうな」ナデナデ

 

雪乃「はい」

 

八幡「そうだ!忘れないうちに渡しておく。パンさんのキーホルダー付きだ」

 

雪乃「この鍵は…」

 

八幡「この部屋の鍵だ。寂しくなったら、いつでも来ていいぞ。それに、雪乃の作る飯は旨いから、作りに来てくれると助かる」

 

雪乃「嬉しい!毎日来てしまいそう♪」

 

八幡「ほどほどにな」

 

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付き合い始めてしばらく…

この人と今までエンカウントしなかったことが、不思議なくらいだ

 

ショッピングモール

 

八幡「俺の部屋に寝間着とかないと不便だろ?」

 

雪乃「着ていても、脱がすくせに」

 

八幡「うっ!確かに」

 

雪乃「ふふ」

 

???「雪乃ちゃん!比企谷君!ひゃっはろー!」

 

八幡「ゲッ!」

 

雪乃「姉さん…」

 

陽乃「その様子だと、二人は付き合っているのかな?」

 

雪乃「えぇ、そうよ」

 

八幡「そうですよ。それが何か?」

 

陽乃「じゃあ、お姉さんとお茶しようか?前に約束したよね?」

 

八幡「一方的にですがね」

 

陽乃「じゃあ、行きましょう」

 

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喫茶店

 

陽乃「へぇ、今日みたいに買い物したりしてるんだね」

 

八幡「そうっスね」

 

陽乃「でぇ、比企谷君にとって本物なのかな?」

 

雪乃「姉さん!」

 

八幡「本物なんじゃないですかね?」

 

陽乃「なんか曖昧な言い方だね」

 

八幡「本当に本物かどうかなんて、死ぬ間際にわかればいいでしょ」

 

陽乃「面白い答えだね」

 

八幡「面白くもなんともないです。今の俺はそう考えてるだけですよ」

 

陽乃「それで、雪乃ちゃんは結局は比企谷君に依存してるんだね」

 

雪乃「!!!」

 

八幡「依存して何がいけないんですか?」

 

陽乃「それじゃあ、雪乃ちゃんが成長出来ないでしょ」

 

八幡(深呼吸して…)フゥ

 

雪乃(八幡の目が変わった!スイッチが入った!)

 

八幡「まぁ、人は誰かに依存しながら生きてるモンだと思いますけどね」

 

陽乃「ふ~ん」

 

八幡「俺も雪乃に依存してますしね」

 

陽乃「それを認めるんだ」

 

八幡「それに、雪乃に依存しているのは、雪ノ下さんじゃないですか」

 

陽乃「どういうことかな?」

 

八幡「大人になってまで、雪乃にちょっかいを出して、雪乃は貴方の人形ではないんですよ。意見を持った大人です」

 

陽乃「言ってくれるじゃない。これは、雪ノ下家の意思よ」

 

八幡「じゃあ、雪ノ下の家ごと雪乃に依存しているんですね」

 

陽乃「へぇ、そういうこと言うんだ。雪乃ちゃんも同じ考えなの?」

 

雪乃「そうね。私は雪ノ下の家とか関係なく八幡と一緒に居たい」

 

陽乃「わかった。帰って報告しておくわ。母さんは認めないと思うよ~」

 

八幡「ご自由に」

 

陽乃「雪乃ちゃんも比企谷君も、そんな強い目が出来るようになったのね」

 

八幡「自分じゃわからないですが、どうしても守りたいモノが出来たからじゃないですかね?」

 

陽乃「じゃあ、またね。お二人さん」

 

八幡「悪い雪乃。雪ノ下さんに喧嘩売っちまった」

 

雪乃「大丈夫よ。遅かれ早かれ、こうなっていたんだから」

 

八幡「下手をすると、千葉で教師出来なくなるなぁ」

 

雪乃「その時は、私も一緒に千葉を出るわ」

 

八幡「そうなったら、苦労かけるなぁ」

 

雪乃「大丈夫よ。私、結構優秀なのよ」

 

八幡「知ってるよ」

 

八幡(予定は早まったけど、例の作戦を遂行するか…)

 

八幡「なぁ、雪乃。次の休みにデスティニーランドに行かないか?」

 

雪乃「たまにはいいわね。行きましょう」

 

八幡(よし!計画を進めよう)

 

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週末 デスティニーランド

 

八幡「さすがに混んでるな」

 

雪乃「仕方ないわよ」

 

八幡「人混みは大丈夫か?」

 

雪乃「昔よりは大丈夫よ」

 

八幡「今日は手にする?それとも腕?」

 

雪乃「今日は手を繋ぎたいわ」

 

八幡(手を繋いだり、腕を組んだりするのにも慣れてきたなぁ)

 

女子生徒A「あ~!比企谷先生!」

 

女子生徒B「本当だ!」

 

八幡「よぅ。楽しんでるか?」

 

女子生徒A「先生はデートですか?」

 

八幡「そうだぞ」

 

女子生徒B「彼女さん、美人ですね」

 

八幡「自慢の彼女だ」

 

女子生徒達「きゃー!ノロケてる!」

 

女子生徒A「みんなにLINEしなきゃ」

 

八幡「そんなこと夢の国でしてないで、楽しめよ」

 

女子生徒B「先生、月曜日大変だよ」

 

八幡「お手柔らか頼む」

 

女子生徒達「先生、またね」

 

雪乃「は、恥ずかしい」

 

八幡「夢の国だ、勘弁してくれ」

 

雪乃「そうね。じゃあ、私達も楽しみましょう♪」

 

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夕方

 

八幡「お土産はどうする?」

 

雪乃「新しいパンさんグッズを見たいわ」

 

八幡「ちょっとだけ、別行動しないか?」

 

雪乃「イヤ!」

 

八幡「即答かよ。雪乃にプレゼントしたいものがあるから、内緒にしたいんだ」

 

雪乃「そう。それなら、許してあげる」

 

八幡「お城の前で待ち合わせしよう」

 

雪乃「わかったわ」

 

八幡(では、作戦開始)

 

八幡「すいません、あの一番デカイパンさんをください」

 

店員「かしこまりました」

 

八幡「値札を切ってください。あと、リボンつけてください」

 

店員「かしこまりました」

 

八幡「ありがとうございます」

 

八幡(デカイなぁ。子供ぐらいありそうだな。首にコイツを下げて…。さて、お城の前へと…。まだ来てないな)

 

雪乃(今日はこのぐらいにしましょう。お城に移動しないと…)

 

雪乃(八幡は…。居た♪大きなパンさんを抱えてる。なんだか可愛い。あ、こっちに気がついた♪パンさんの手を振ってる)

 

雪乃「お待たせ。そのパンさんは?」

 

八幡「聞いてくれ!」

 

雪乃「なに?」

 

八幡「雪ノ下雪乃さん!俺と結婚してくれ!OKなら、このパンさんを受け取ってくれ!」

 

雪乃「パンさんの首にかけてあるのは…」

 

八幡「俺の給料の3カ月分だ」

 

雪乃「はい。よろしくお願いします」パンサンギユー

 

モブ「おめでとう!お幸せに」

 

八幡「やってみたけど恥ずかしいな」

 

雪乃「ねぇ、指輪つけてくれないかしら?」

 

八幡「緊張するな」

 

雪乃「ピッタリ♪嬉しい♪」

 

モブ「ヒューヒュー!」

 

女子生徒A「先生!格好いい!」

 

女子生徒B「プロポーズを見ちゃったよ」

 

八幡「お前ら見てたのか!」

 

女子生徒A「動画も撮っちゃいました」

 

雪乃「貴方たち…」

 

女子生徒B「え?」

 

雪乃「動画データのコピーを貰えないかしら?」

 

女子生徒A「はいっ!もちろん!」

 

八幡「間違えても、平塚先生には見せるなよ」

 

女子生徒B「ダメですか?」

 

八幡「再起不能になりそう」

 

女子生徒A「じゃあ、城廻先生と一色先生に…」

 

八幡「それも勘弁してくれ」

 

雪乃「いいじゃない」

 

女子生徒B「彼女さんのOKが出ましたよ」

 

八幡「もう好きにして」

 

女子生徒A「好きにさせてもらいます」

 

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帰り道

 

八幡「朝、生徒に会ったのを、すっかり忘れてた」

 

雪乃「私はプロポーズの記録が貰えたから」ニコニコ

 

八幡「ご機嫌だな」

 

雪乃「だって、プロポーズされるなんで思ってなかったから」

 

八幡「なぁ、雪乃」

 

雪乃「なに?」

 

八幡「雪ノ下の家に挨拶しなきゃならないんだが…」

 

雪乃「そうね」

 

八幡「もしかしたら…」

 

雪乃「心配しないで。どうなっても、私は八幡と一緒に居るわ」

 

八幡「ありがとう。今夜は雪乃の部屋でいいか?パンさんも居るし」

 

雪乃「そうね。この子、どこに置こうかしら?」

 

八幡「ベッドでいいんじゃないか?俺の代わりに」

 

雪乃「ダメよ」

 

八幡「どうして?」

 

雪乃「貴方の代わりなんて居ないもの」

 

八幡「さらっと言ってくれるな」

 

雪乃「えぇ」

 

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雪乃の部屋

 

八幡「パンさん放置かよ」

 

雪乃「貴方が居るのんだから。パンさんは、貴方が帰ったら楽しむわ」

 

八幡「さいですか」

 

雪乃「さて、実家に電話しようと思うのだけど…」

 

八幡「あぁ、頼む。覚悟は決まってる」

 

prrrrrr

 

雪乃「私、雪乃よ。父さんか母さんは居るかしら」

 

雪乃「母さん?雪乃です。姉さんから聞いてる?父さんと母さんに会わせたい人が居るの。来週末に行くわ」

 

p

 

雪乃「聞いての通りよ」

 

八幡「わかった」

 

雪乃「来週は大変ね」

 

八幡「来週末だろ?」

 

雪乃「生徒に見られたのを、忘れてたの?」

 

八幡「うっ!」

 

雪乃「かんばって、比企谷せんせい♪」

 

八幡「はい」

 

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月曜日 総武高

職員室

 

ガラガラ

 

八幡「おはようございます」

 

城廻「比企谷君、おめでとう!」

 

一色「先輩!やりましたね!」

 

八幡「お、おぅ。話が早いな」

 

城廻「生徒が大騒ぎだよ~」

 

一色「動画も見ましたよ」

 

八幡「早く忘れてください」

 

一色「ダメです。これを肴に雪ノ下先輩と飲むんですから」

 

八幡「あ~、今週は勘弁してくれ」

 

城廻「ダメなの?」

 

八幡「週末に雪ノ下の家に行くので、それが終わるまでは…」

 

一色「先輩!がんばってください!」

 

城廻「応援してるからね!」

 

八幡「ありがとうございます。ところで、平塚先生は?」

 

一色「あそこで真っ白になっています」

 

八幡(生徒に先を越されたとかブツブツ言ってる。誰か貰ってあげて!)

 

…しばらく、生徒達にからかわれる毎日…

 

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週末

 

八幡(遂に、この日が来たか)

 

雪乃「八幡?顔が怖いわよ」

 

八幡「笑顔とかは無理だぞ」

 

雪乃「私はどういう結果になっても、八幡と一緒よ」

 

八幡「そうは言っても、ご両親に祝福されないのは…」

 

雪乃「貴方が得意な屁理屈でなんとかなるわよ」

 

八幡「へいへい」

 

雪乃「でも、昔みたいな方法をとったら…」

 

八幡「やらねぇよ。雪乃を悲しませたくないからな」

 

雪乃「そう。わかってるならいいわ」

 

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雪ノ下邸

 

陽乃「ひゃっはろー、お二人さん」

 

雪乃「姉さん…」

 

陽乃「父さんも母さんも待ってるわよ」

 

八幡「そうですか」

 

雪乃「八幡、大丈夫?」

 

八幡「口から心臓が出そう…」

 

陽乃「緊張してるみたいね」

 

八幡「一般市民が県会議員に会うことはないですからね。しかも、結婚の挨拶となれば…」

 

陽乃「さて、結婚を許してくれるかなぁ」

 

八幡「誤解しないでください。俺と雪乃が結婚するのは決まっているので、報告するだけです」

 

雪乃「そうよ。例え結婚を許してくれなくても、私は八幡と結婚する。苦労はあるかもしれなえけど、八幡となら…」

 

陽乃「なるほどね。まぁ、話でみるといいわ」

 

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応接室

 

コンコン

 

雪ノ下父「どうぞ」

 

八幡「失礼します。はじめまして」

 

雪ノ下父「比企谷八幡君だね」

 

八幡「はい」

 

雪ノ下父「話は聞いてるよ。雪乃とお付き合いしてるとね」

 

八幡「違います。プロポーズをして雪乃さんからは、了承いただいてます」

 

雪ノ下母「雪乃、貴方…」

 

雪乃「私は八幡と結婚します」

 

雪ノ下父「雪乃は、陽乃と一緒に雪ノ下家の後継者として育ててきた。そう易々とは嫁にはやれんな」

 

雪乃「父さん…」

 

八幡「それは、ハッタリですね」

 

雪ノ下父「何故そう思うのかね?」

 

八幡「陽乃さんは、近くに居させて英才教育、雪乃は普通とは言いませんが、離れて生活させている。競わせるには不公平です。それに陽乃さん。以前は、俺と雪乃をくっつけようとしてました。ですが、最近は逆に離そうとしています。付き合って、初めて会った時は顕著でしたね。なのに、陽乃さんの俺の評価は変わっていない気がします。これは陽乃さんの策なのではないですか?」

 

雪ノ下父「と、彼は言っているが、どうなんだ陽乃?」

 

陽乃「比企谷君、どうしてそう思うのかな?」

 

八幡「陽乃さんは、俺と雪乃をくっつけて俺を手に入れるんではなく、俺を自分のモノにしようとした。自惚れかもしれませんがね」

 

雪ノ下母「陽乃、貴方の負けよ」

 

雪乃「姉さん、どうして…」

 

陽乃「だって、好きになっちゃったんだもん」

 

雪ノ下父「陽乃からの話だけなんだが、比企谷君を私も高く評価しててね。君が陽乃と結ばれて、雪ノ下家に来てくれればと考えていた」

 

八幡「なるほどね。陽乃さんは、一旦、俺と雪乃をくっつけて、から離すことで、俺が雪乃と距離をとると考えたんですね」

 

陽乃「比企谷君の性格なら、そうなると思ったんだけどね。比企谷君には、雪乃ちゃんと別れる選択肢はなかったんだね」

 

八幡「ご明察」

 

雪ノ下父「そこまで読まれてるなら、結婚は認めよう」

 

八幡「ありがとうございます」

 

雪乃「父さん、ありがとう」

 

雪ノ下「ただ、図々しいお願いだとは思うが、婿に来てはくれないか?」

 

八幡「それは、陽乃さんが良い人を連れてこれなかったら、考えます」

 

雪ノ下母「それもそうね」

 

八幡「陽乃さんは…、俺が言うのも変ですが、人を見る目はあると思います」

 

雪ノ下父「君はすごいな。そこまで、見ているは」

 

雪乃「父さん、そんなことないわよ。彼は物事を斜めから見てるだけよ」

 

陽乃「真っ直ぐ過ぎる雪乃ちゃんと相性バッチリなのよね」

 

雪ノ下父「八幡君、雪乃のこと、よろしく頼む」

 

八幡「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

雪乃「それに、こんなことされたら、断れないわ」

 

八幡「ま、まさか…」

 

雪乃「この動画見て…」

 

雪ノ下父「おぉ」

 

雪ノ下母「まぁ」

 

陽乃「比企谷君、やるわね」

 

八幡「勘弁してください」

 

~~~~~~~~~

 

帰り道

 

八幡「緊張したぁ」

 

雪乃「そう?よくしゃべっていたのに」

 

八幡「緊張してたから、逆にしゃべりたおした」

 

雪乃「よく姉さんの考えを見抜いたわね」

 

八幡「なんとなくだよ。陽乃も魔王ではなく人間…、女の子だったってことだ」

 

雪乃「…姉さんのことをよく見てたのね、変態谷君」

 

八幡「久しぶりの罵倒…。これ以上ダメージ与えないで」

 

雪乃「ふふふ」

 

八幡「俺も反撃するか」

 

雪乃「どうやって?」

 

prrrrrr

 

八幡「おぅ、小町か」

 

小町『お兄ちゃん、どうしたの?』

 

八幡「父ちゃんと母ちゃんは?」

 

小町『珍しく二人とも居るよ』

 

八幡「今から、お客さんを一人連れていくから」

 

小町『珍しいこともあるね。もしかして、彼女でも出来たとか?』

 

八幡「後のお楽しみた」

 

小町『えぇ~』

 

八幡「じゃ、後で」

 

p

 

八幡「行くぞ」

 

雪乃「ずるいわ」

 

八幡「いずれは行くんだから」

 

雪乃「私に心の準備をする時間が…」

 

八幡「少し遠回りするか」

 

雪乃「そうしてもえると、助かるわ」

~~~~~~~~~~

 

雪乃「ねぇ、八幡」

 

八幡「どうした?」

 

雪乃「高校の頃に私が告白したら、どうなっていたかしら?」

 

八幡「たらればになるから、なんとも言えんな」

 

雪乃「そうよね」

 

八幡「ただ、俺からにしても雪乃からにしても、付き合っていたかどうか…」

 

雪乃「…」

 

八幡「付き合っていたとしても、ダメになっていたんだろうな」

 

雪乃「どうして?」

 

八幡「あの頃の俺は、雪乃への憧れが強すぎた。それに、ぶつかりあうことも多かっただろうし、俺が余計なことを考えて距離をとろうとしたり…」

 

雪乃「そうかもね」

 

八幡「あの頃の想いが、偽物とかレプリカだとは思わない。雪乃への想いという原石を磨いて、今の本物の想いに辿り着いたんだと思う」

 

雪乃「そうね。あの頃の私達じゃダメだったのかもしれないわね。今だから、こうして居られるのね」

 

八幡「そう、俺は本物を手にいれたんだ」

 

雪乃「私もよ」

 

八幡「そろそろ行くか」

 

雪乃「えぇ」

 

~~~~~~~~~~

 

比企谷家

 

ガチャ

 

八幡「ただいま」

 

小町「お兄ちゃん、お帰り!」

 

雪乃「小町さん、お久しぶり」

 

小町「雪乃さん、お久しぶりです。お客さんて、雪乃さん?」

 

八幡「そうだ」

 

小町「お父さん!お母さん!大変!お兄ちゃんが女の人連れてきた~!」バタバタ

 

八幡「騒がしくて、ごめんな。あがってくれ」

 

雪乃「お、お邪魔します」

 

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リビング

 

八幡「ただいま」

 

比企谷父「おかえり」

 

比企谷母「急にお客さん連れてくるなんて…。そちらは?」

 

雪乃「は、はじめまして、お父様、お母様。八幡さんとお付き合いさせていただいてます、雪ノ下雪乃です」

 

比企谷父「これはこれは、ご丁寧に」

 

八幡「雪乃、緊張し過ぎだ」

 

小町「雪乃さん!その指輪は、もしかして…」

 

雪乃「え!あの…その…」

 

八幡「俺から言うよ。雪乃にプロポーズしてOKしてもらった」

 

小町「ごみぃちゃんがプロポーズ!!」

 

比企谷父「どんな手を使っておどした!」

 

比企谷母「今ならまだ間に合うから」

 

八幡「な、雪乃。うちは両親までこうなんだよ」

 

雪乃「ふふふ。肩の力が抜けたわ」

 

小町「お兄ちゃん、本当に雪乃さんと結婚するの?」

 

八幡「そうだ」

 

雪乃「小町ちゃん、いいもの見せてあげる」

 

八幡「まさか…」

 

雪乃「いいじゃない。この動画は私の宝物よ」

 

小町「動画?」

 

雪乃「お父様もお母様もご覧になってください」

 

小町「お、お兄ちゃん、なんか凄いよ」

 

比企谷父「やるな八幡」

 

比企谷母「まぁまぁ」

 

八幡(部屋行って布団かぶって足をバタバタさせたい!)

 

 

小町「お義姉ちゃんて呼んでいいですか?」

 

雪乃「もちろんよ」

 

比企谷父「うちは大歓迎なのだが…」

 

八幡「雪ノ下の両親には挨拶して、了承してもらってる」

 

比企谷母「雪ノ下って…、珍しい苗字だけど県会議員の雪ノ下さんとは…」

 

雪乃「私の父です」

 

比企谷父「そ、そんなお嬢さんを八幡が嫁に…」

 

比企谷母「ど、どうしましょう」

 

八幡「慌てなくても、そのうちに食事会でもセッティングするよ」

 

比企谷父「そうはいっても…」

 

比企谷母「県会議員さんなんて、会ったことないから…」

 

八幡「とって食われる訳じゃないから大丈夫だよ」

 

雪乃「ふふふ。楽しいご家族ね」

 

八幡「あぁ。雪乃もその一員だ」

 

~~~~~~~~~

 

その後、家族同士の食事会や友人達と盛大な飲み会、雪ノ下家関係のパーティーなどを経て…

 

 

~~~~~~~~~~

 

結婚式場 控え室

 

八幡「俺が思ってた…、それ以上だな。すごく綺麗だよ、雪乃」

 

雪乃「ありがとう。馬子にも衣装とは、よく言ったものね、馬子谷君」

 

八幡「久しぶりに聞いたな、それ」

 

雪乃「冗談よ。とっても似合ってるわ。私の目に狂いはなかったわ」

 

八幡「ありがとう。そろそろ時間だ」

 

雪乃「ちょっと待って。この花を胸につけさせて」

 

八幡「この花は?」

 

雪乃「私の想い…。白いアザレア」

 

八幡「綺麗な花だな」

 

雪乃「花言葉は『貴方に愛されて幸せ』」

 

 

終わり



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由比ヶ浜結衣編

結衣(今日も無事にお仕事終了♪帰ったらヒッキーにメールしようかなぁ♪)

 

カツカツ

 

結衣(ん?後ろに誰か居る?)

 

クルッ

 

結衣(誰も居ないなぁ)

 

カツカツ

 

結衣(やっぱり誰か居る!)

 

結衣(走ろう!)

 

タタタッ

 

結衣「ただいま」

 

由比ヶ浜母「おかえり。どうしたの?息を切らして」

 

結衣「誰かに後をつけられてたかも…」

 

由比ヶ浜母「大丈夫だったの?」

 

結衣「途中から走ってきたから…」

 

由比ヶ浜母「気をつけてね」

 

結衣「うん、わかった」

 

結衣(ヒッキーとゆきのんに相談してみようかなぁ)

 

prrrrrr

 

結衣「あ、ヒッキー!やっはろー」

 

八幡『由比ヶ浜か。どうした?』

 

結衣「相談があるんだけど、日曜とか暇かな?」

 

八幡『ゴロゴロするのが忙しい』

 

結衣「それって暇ってことだし!」

 

八幡『バレたか』

 

結衣「ゆきのんも呼ぶから、駅前のサイゼね」

 

八幡『了解』

 

結衣「じゃあ、日曜に」

 

八幡『おぅ、またな』

 

~~~~~~~~~~~

 

日曜 サイゼリア

 

結衣「ヒッキー!こっち!」

 

八幡「すまん、遅れた」

 

雪ノ下「遅いわよ、遅刻谷君」

 

八幡「悪かったよ。で、由比ヶ浜、どうした?」

 

結衣「それがね、ストーキングされてるかもしれないの」

 

雪ノ下「それは…、比企谷君、さぁ、警察に行くわよ。観念しなさい」

 

八幡「待て待て。俺はストーカーじゃねぇ」

 

結衣「ヒッキーじゃないよ。…ヒッキーだったらわかるし…」

 

雪ノ下「具体的には、どういう感じなのかしら」

 

結衣「帰り道をつけられてる、みたいな…」

 

八幡「ベタだな」

 

結衣「なんか怖いわよ」

 

雪ノ下「そうね。単純だけど、ボディーガードをするしかなさそうね」

 

八幡「それが手っ取り早いな。それで、手におえなくなったら警察に相談しよう」

 

結衣「それって、危なくない?」

 

八幡「雪ノ下は武術の心得があるし、俺の場合は盾だな」

 

結衣「ヒッキー!」

 

八幡「じょ、冗談だよ」

 

雪ノ下「笑えない冗談はやめなさい」

 

八幡「すいません。だが、男が一緒に居るだけで、相手は躊躇するんじゃねぇの」

 

雪ノ下「そうね。比企谷君、絶対に自己犠牲はしないでね」

 

結衣「そうだよ、ヒッキー」

 

八幡「へーい」

 

結衣「でも、どうやって?職場がちがうじゃん」

 

雪ノ下「中間点の喫茶店か何かで待ち合わせして、由比ヶ浜さんを家まで送るようにしましょう」

 

八幡「それが無難か。由比ヶ浜、どうだ?」

 

結衣「でもでも、3人合わせるのは大変だよね?」

 

雪ノ下「私と比企谷君で交代でするわ」

 

八幡「そうだな。仕事の都合もあるだろうし」

 

結衣「二人とも、ありがとう」

 

~~~~~~~~~~

 

帰り道

 

結衣「送ってくれて、ありがとう」

 

八幡「まぁ、初日だからな。しかし、雪ノ下もヒデぇよな『貴方がストーカーと間違われないようにね』だと」

 

結衣「微妙に似てるね」クスクス

 

八幡「『由比ヶ浜さんも、この男にも気をつけなさい』」

 

結衣「あははっ」

 

八幡「うん。由比ヶ浜は笑ってた方が可愛いな」

 

結衣「か、可愛い…。えへへ」

 

八幡「だから、お迎えのパパ率が上がったんだよ」

 

結衣「う~ん、そうなのかなぁ」

 

~~~~~~~~

 

由比ヶ浜家前

 

八幡「じぁあ、またな」

 

結衣「ヒッキー、ちょっと待ってて」

 

結衣「ただいま~」

 

由比ヶ浜母「おかえり~。あら~、ヒッキー君じゃない。久しぶりね」

 

八幡「ご無沙汰してます」

 

由比ヶ浜母「上がっていったら」

 

八幡「いえ、今日は遅いですし、また…」

 

由比ヶ浜母「だって、結衣がね、ヒッキーがヒッキーがって言うから…」

 

結衣「ママ!何言ってるの!」

 

由比ヶ浜母「えぇ~」

 

結衣「ヒッキー、なんでもないからね!」

 

八幡「お、おう」

 

結衣「ママは、ご飯の支度して!」

 

由比ヶ浜母「えぇ~。ママもヒッキー君とお話した~い」

 

結衣「ご、ゴメンね、ママが」

 

八幡「相変わらずだな」

 

結衣「そうそう。ヒッキーにこれあげるね」

 

八幡「ZIPPOじゃねぇか。いいのか?」

 

結衣「この前、買い物の時にヒッキーに似合いそうだから、買っちゃった」

 

八幡「何も返せるものがないんだが」

 

結衣「い、いいよ」

 

八幡「な、なんか悪いな」

 

結衣「そうだ!ボディーガードの前払いだと思って」

 

八幡「わかった。ありがたく使わせてもらうよ」

 

~~~~~~~~~~~~

 

数日後 帰り道

 

結衣「~♪」

 

八幡「由比ヶ浜、なんか良いことでもあったのか?」

 

結衣「なんか、高校の時みたいで」

 

八幡「たまに一緒に帰ったなぁ」

 

結衣「ねぇ、ヒッキー」

 

八幡「ん?」

 

結衣「高校の時に誰か告白してたら、付き合ってたかな?」

 

八幡「過去を仮定では言えない」

 

結衣「そう、だよね」

 

八幡「まぁ、なにかとグダグダ言って付き合わないか、付き合ったとしても、うまくいかなかったとは思う」

 

結衣「どうして?」

 

八幡「十代から付き合って結婚するヤツもいるが、今思うと十代の恋愛は憧れや思い入れが強いんだと思う。そんなレプリカはいらない」

 

結衣「…レプリカか」

 

八幡「そんな恋愛でもしておけば良かったのかもな。おかげで経験値0だからな」

 

結衣「わ、私も経験値0なんだ」

 

八幡「由比ヶ浜はモテただろ?その中には、いいヤツはいなかったのか?」

 

結衣「ヒッキー風に言うと、みんなレプリカだったのかな」

 

八幡「なるほどね」

 

結衣「ここでいいよ」

 

八幡「玄関先まで行くよ」

 

結衣「えっと、ママが『ヒッキー君と話したい』って…」

 

八幡「…わかった」

 

結衣「ヒッキー、ありがとう。またね」

 

八幡「おぅ、またな」

 

八幡(一応、家に入るまで見ておくか)

 

八幡(人影?由比ヶ浜に近づいてる!)

 

八幡「由比ヶ浜!走れ!」

 

結衣「ヒッキー?」

 

結衣「キャー!!!」

 

八幡(ヤツは驚いて動けなくなった!チャンスだ!)

 

八幡「この変態野郎!」タイアタリ

 

変態野郎「ぐはっ!」

 

八幡「由比ヶ浜!無事か?」

 

結衣「グズッ…、大丈夫。なんともない」

 

変態野郎「チッ!」タタタッ

 

八幡「待てっ!」

 

結衣「ヒッキー!行かないで!」ギュ

 

由比ヶ浜母「結衣!どうしたの?」

 

結衣「ストーカーが…」

 

八幡「すいません、俺がついていながら…」

 

結衣「ヒッキー、大丈夫だよ。なにもされなかったから…」

 

八幡「立てるか?」

 

結衣「無理かも…。腰が抜けちゃった…」

 

八幡「よし」ダキッ

 

結衣「え、え!ヒッキー!」

 

八幡「お母さん、結衣さんを家まで運びます」

 

由比ヶ浜母「いいなぁ~。お姫様抱っこ♪」

 

八幡「いやいや、非常事態なんで」

 

結衣「ヒ、ヒッキー、重くない?」

 

八幡「由比ヶ浜って軽いんだな」

 

由比ヶ浜母「そうなのよね。おっぱい大きいのに…」

 

結衣「ママ、変なこと言わないで!」

 

八幡(そんなこと言われると意識が…)

 

結衣「ヒッキー、ありがとう。エヘヘ」ギュ

 

八幡(ギュってしないで!双丘が!柔らかい双丘が!)

 

由比ヶ浜母「ヒッキー君、後で私にもして~♪」

 

結衣「ママはダメ!」

 

八幡(ビッチ母娘なの?)

 

八幡「とりあえず、上がらせていただきます。由比ヶ浜、部屋でいいのか?」

 

結衣「うん」

 

八幡「お邪魔します」

 

結衣「ママ、一応部屋を見てきて」

 

由比ヶ浜母「は~い」

 

ガチャ

 

由比ヶ浜母「大丈夫よ。ブラジャーはしまったから♪」

 

八幡「!!!」

 

結衣「ママ!」

 

由比ヶ浜母「テヘッ♪」

 

八幡「か、可愛いお母さんだな」

 

結衣「ヒッキーは、ママ見るの禁止!」

 

八幡「無茶を言うなよ」

 

結衣「むぅ」

 

八幡「ベッドでいいか?」

 

結衣「うん」

 

八幡「よっと」フカッ

 

結衣「ヒッキー」

 

八幡「なんだ?」

 

結衣「手、握っててもらっていい?」

 

八幡「あぁ、いいぞ」ギュ

 

結衣「えへへっ♪もう一ついいかな?」

 

八幡「出来る範囲でお願いします」

 

結衣「頭撫でて」

 

八幡「それぐらいなら」ナデナデ

 

結衣「なんか気持ちいいな」

 

八幡「髪、さらさらだな」

 

結衣「ちゃんとお手入れしてるもん」

 

八幡「なぁ、由比ヶ浜」

 

結衣「なに?」

 

八幡「すまなかった」

 

結衣「そんなことない!ヒッキーは私を助けてくれたもん!」

 

八幡「だか…」

 

結衣「ヒッキーは、やっぱり私のヒーローだよ。格好良かった…」

 

八幡「由比ヶ浜…」

 

結衣「ヒッキー、私はね。私はヒッキーのこと…だい…」

 

八幡「由比ヶ浜?」

 

結衣「スースー」

 

八幡「寝ちまったか」

 

八幡(ジャケットかけておくか)

 

八幡「おやすみ、結衣」ナデナデ

 

ガチャ

 

~~~~~~~~

 

リビング

 

八幡「俺がついていながら、すいませんでした」

 

由比ヶ浜父「いやいや。話を聞けば、間一髪で君が助けてくれたそうじゃないか。こちらこそ、ありがとう」

 

由比ヶ浜母「ヒッキー君は、結衣のヒーローだもんね」

 

八幡「いえ、とんでもない」

 

由比ヶ浜父「君が、結衣が言うヒッキー君か。では、サブレも君が?」

 

八幡「昔の話です」

 

由比ヶ浜父「結衣の彼氏が君のような好青年で良かった」

 

八幡「いえいえ、お付き合いはしてないです。友人です」

 

由比ヶ浜父「そうなのか!」

 

由比ヶ浜母「結衣が大事過ぎて、手が出せないのか?それとも、別にいいひとが?」

 

八幡(うっ!痛いところを!)

 

八幡「あはは」

 

由比ヶ浜父「まぁ、結衣のことを友人として、よろしく頼む。君なら、息子になってくれてもいいぞ」

 

由比ヶ浜母「そうね。ヒッキー君ならいいわね」

 

八幡「善処します」

 

~~~~~~~~~~

 

八幡の部屋

 

prrrrrr

 

八幡「雪ノ下か」

 

雪ノ下『比企谷君、どうかした?』

 

八幡「すまん、遅い時間に。ストーカーが出たんだが、由比ヶ浜を助けるのが精一杯で捕まえられなかった」

 

雪ノ下『…そう。由比ヶ浜さんは無事なの?』

 

八幡「腰を抜かしたが、大丈夫だ。寝かしつけてきた」

 

雪ノ下『女性の部屋に入ったの!汚らわしい(うらやましい)!』

 

八幡「仕方ないだろ」

 

雪ノ下『しばらくは、向こうも警戒するでしょう』

 

八幡「そう願いたいね」

 

雪ノ下『もうしばらくは、ボディーガードを続けましょう』

 

八幡「そうだな」

 

雪ノ下『では、おやすみなさい』

 

八幡「おぅ。おやすみ」

 

八幡(由比ヶ浜結衣か。いつも笑顔で、可愛いくて、そんな娘を泣かせるなんて…。俺は由比ヶ浜を守ってあげたい。あの笑顔を…。今だけなのか?これからも?)

 

八幡(おやすみ、結衣。なんてな)

 

~~~~~~~~~~

 

翌朝 結衣の部屋

 

結衣(よく寝た。ヒッキーは…、さすがに居ないか。ヒッキーに『結衣』って、言われた気がする…。夢だったのか?)

 

結衣(これ…、ヒッキーのジャケットだ)

 

結衣(ヒッキーの匂いだぁ)クンクン

 

ガチャ

 

由比ヶ浜母「結衣。そろそろ起きなさ~い」

 

結衣「!!!ママ、ノックして!」

 

由比ヶ浜母「それ、もしかして…」

 

結衣「なんでもないし!」

 

~~~~~~~~~~~

 

夕方 総武高 職員室

 

教師A「比企谷先生、外線で由比ヶ浜さんって方から電話です」

 

八幡「はい」

 

一色(結衣先輩から?)

 

八幡「はい、お電話かわりました。比企谷です」

 

結衣『ヒッキー!助けて!』

 

八幡「どうした由比ヶ浜!落ち着け!ヤツか!…ん?まだ仕事中か?」

 

結衣『そうなんだけどね、なんか昨日のストーカーが奥さん連れてきて』

 

八幡「は?」

 

結衣『うちの旦那をたぶらかしたとか言い出して…』

 

八幡「わかった。なるべく早く行く。保育園に行けばいいな」

 

結衣『うん。お願い』

 

八幡「あと、嫌かもしれんが、俺を彼氏って設定にしてくれ」

 

一色(!!!)

 

結衣『う、うん!嫌じゃないから大丈夫だよ』

 

八幡「じゃあ、後で」

 

八幡「教頭先生、急用が出来たので、定時で上がります」

 

一色「先輩!どういうことですか?結衣先輩の彼氏の設定とか」

 

八幡「あ~、ちょっと説明が面倒だから、後で話す」

 

一色「むぅ、じゃあデート1回です!」

 

八幡「勘弁してくれ」

 

~~~~~~~~~

 

保育園

 

八幡「結衣!どうした!」

 

結衣「(名前呼び!)…えっとね、私がこの人をたぶらかしたって…」

 

園長「とりあえず、おかけになってください」

 

八幡「では、失礼します」

 

ストーカー男嫁「こ、この女がうちの旦那を…」ポゥ

 

八幡(なんで、こっち向いて赤い顔してるの)

 

結衣「そんなことしてない!」

 

八幡「いつですか?」

 

ストーカー男「お迎えの時に…」

 

八幡「お迎え?…え?保護者?」

 

結衣「うん」

 

八幡「ごめん、なんか頭痛くなってきた…」

 

結衣「大丈夫?」

 

八幡「たぶん、結衣は平常運転だったんだよな?」

 

結衣「うん。『いつも、お迎え大変じゃないですか』とか」

 

八幡(由比ヶ浜の天真爛漫な無自覚ビッチにやられたのか)

 

八幡「奥さん、わかりましたか?」

 

ストーカー男嫁「は、はい」ポゥ

 

八幡(だから、なんで赤い顔してるの?)

 

八幡「とにかく、結衣はそんな女じゃない。付き合ってる俺にだって奥手なのに」

 

結衣(つ、付き合ってる!)

 

八幡「なぁ、結衣」ニコッ

 

結衣「ひゃい(格好いい)」

 

ストーカー男嫁「格好いい…」

 

一同「え?」

 

ストーカー男嫁「う、うちのバカな旦那が、ご迷惑をおかけしました」ペコリ

 

園長「わ、わかっていただけて良かったです」

 

ストーカー男嫁「さぁ、帰るわよ」チラチラ

 

八幡(なんで、チラチラこっちみるの)

 

八幡「ふぅ、なんだったんだ…」

 

結衣「ヒッキー、ありがとう」

 

園長「助かりました」

 

八幡「普通に話せたけど…」

 

結衣「ヒッキーが来る前はすごい剣幕だったんだよ」

 

園長「えぇ」

 

結衣「でも、あの奥さん。ヒッキーが格好良くて、見惚れてたから、どうでもよくなったんじゃない?」

 

八幡「そんなことないだろ」

 

結衣「ヒッキーが来てから、ずっとヒッキー見てたし。ヒッキーも罪作りだね」

 

八幡「由比ヶ浜に言われたくない」

 

園長「確かに」

 

~~~~~~~~~~~

 

翌日 居酒屋

 

結衣「ゆきのん、ヒッキー、ありがとう」

 

雪ノ下「気にしないで、由比ヶ浜さん」

 

八幡「大したことしてないからな」

 

一色「そうです。先輩なんで特に」

 

八幡「なんで、一色が居るんだよ」

 

一色「先輩方が、私に何も言わなかったからです」ブーブー

 

八幡「はい、あざといあざとい」

 

結衣「いろはちゃん、ヒッキーは頑張ってくれたよ…。その…、格好良かったし…」テレッ

 

八幡「あっけない幕切れだったがな」

 

一色「むぅ。先輩、デート1回忘れないでくださいね」

 

結衣「えぇ!ヒッキー、いろはちゃんとデートするの!」

 

雪ノ下「どんな脅迫をしたのかしら」

 

八幡「一色が勝手に言ってるだけだ!」

 

一色「でも、先輩は結衣先輩の彼氏のフリをしたんですよね?だったら、私にも彼氏のフリしてください」

 

雪ノ下「それなら、私にもか、彼氏のフリをしてもらう権利はあるわね」

 

結衣「わ、私だって、デートしてないし!」

 

八幡「なんでこうなる…」

 

八幡(一服するか)

 

八幡(今日も元気でタバコがウマイ)

スパー

 

雪ノ下「比企谷君、そのライターは?」

 

一色「前は100円ライターでしたよね?」

 

八幡「今時、100円じゃ買えねえよ」

 

結衣「ヒッキー、使ってくれてるんだ…」

 

雪ノ下・一色「え?」

 

八幡「由比ヶ浜にもらったんだよ」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん、こんな男にライターを渡すなんて、放火魔に渡すのと同じよ」

 

一色「結衣先輩、ズルイです」

 

八幡「放火なんかしねぇよ」

 

結衣「えへへ」

 

~~~~~~~~~~

 

居酒屋外

 

八幡「明日も仕事だ」

 

一色「明日も指導お願いしますね」

 

雪ノ下「比企谷君はちゃんと出来てるの?」

 

一色「はい!でも、女子生徒から言い寄られて、鼻の下のばしてますけど」

 

雪ノ下「さすがね、変態谷君」

 

結衣「ヒッキー…、格好いいから仕方ないよ…」

一同(!!!)

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん、どうかしたの?この男に脅されてるの?」

 

一色「そうですよ!先輩が格好いいだなんで…」

 

結衣「二人が本当に、そう思ってるならいいのに…」ボソ

 

八幡「と、とにかく、明日も仕事だから、帰るぞ」

 

結衣・雪ノ下・一色(逃げた!)

 

結衣「ヒッキー!待って!」

 

八幡「なんだ由比ヶ浜?俺は帰って寝るんだ」

 

結衣「ヒッキーにジャケット返さないと」

 

雪ノ下・一色(ジャケット?)

 

八幡「あぁ、忘れてた」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん、ジャケットって?」

 

結衣「この前、私が襲われそうになった時に、ヒッキーがかけてくれたんだ」テレッ

 

雪ノ下・一色(なんてうらやましい!)

 

八幡「肩が冷えそうだったからな。今から取りに行っても平気か?」

 

結衣「大丈夫だよ!」

 

八幡「雪ノ下、一色、またな」

 

結衣「ゆきのん、いろはちゃん、バイバ~イ♪」

 

雪ノ下「マズイわね」

 

一色「えぇ」

 

~~~~~~~~~~~

 

帰り道

 

結衣「♪♪♪」

 

八幡「ご機嫌だな」

 

結衣「みんなとお酒飲んで、ヒッキーに送ってもらって~。えへへ♪」ギュウ

 

八幡「どうした?急に腕組んで来て。勘違いしちゃうよ?」

 

結衣「勘違いじゃないよ…」

 

八幡「…由比ヶ浜」

 

結衣「わ、私はね、ヒッキーのことが…」

 

ストーカー男「お前ら…、イチャイチャしやがって…」

 

結衣「キャー!!!」

 

八幡「てめぇ…」

 

ストーカー男「俺は会社はクビになるし…、嫁は『あの人みたいに格好いい人が良かった』とか言い出すし…」

 

八幡「知るか!自業自得だろ!」

 

ストーカー男「お前らのせいだ!お前らのせいだ!」キラッ

 

八幡(ナイフだと!)

 

八幡「由比ヶ浜!逃げろ!」

 

結衣「ご、ごめん、動けない」ブルブル

 

ストーカー男「まずは、女からだ!」

 

八幡(マズイ!結衣だけでも!)

 

八幡「結衣~!!」

 

結衣「キャー!!!」

 

結衣(あれ?刺されてない。ヒッキーは?…ヒッキー?ヒッキー?ヒッキーが仁王立ちして動かない…)

 

結衣「ねぇ、ヒッキー?ヒッキー?」

 

結衣「イヤ~!!!」

 

八幡(結衣の悲鳴が聞こえる…。あれ?痛くない…。これは…、そういうことか…)

 

八幡「結衣。俺は大丈夫だ」

 

結衣「ヒッキー!」

 

ストーカー男「何故だ!刺したはずだ!」

 

八幡「うるせぇ!雪ノ下直伝!痛い手首の極め方!」

 

ストーカー男「ぎゃー!」

 

八幡「結衣!110番」

 

結衣「う、うん」

 

~~~~~~~~

 

数分後

 

警察官「ケガはないですか?」

 

八幡「大丈夫です。由比ヶ浜も大丈夫か?」

 

結衣「うん、平気」

 

警察官「詳しい話をお伺いしたいので、警察署に来て頂いてよろしいでしょうか?」

 

八幡「わかりました。伺います。由比ヶ浜はどうだ?」

 

結衣「う、うん。でも家に電話しておかないと」

 

prrrrrr

 

結衣「あ、ママ。結衣だけど。さっきまたストーカーが出てね…、ヒッキーのお陰で無事だよ。今から警察に行って事情説明してくる。…うん、うん、わかった」

 

p

 

結衣「大丈夫」

 

警察官「では、こちらに乗ってください」

 

八幡「サイレン付き高級車!初めて乗るなぁ」

 

結衣「私も」

 

八幡(警察署での事情説明。保護者だから、穏便に済ませようとしたのが仇となった。保育園と由比ヶ浜は大変だ)

 

~~~~~~~~~~

 

由比ヶ浜家前

 

八幡「なんか、疲れたな。じゃあ、また」

 

結衣「ヒッキー!」

 

八幡「お、おう。どうした?」

 

結衣「話があるの」

 

八幡「なんだ?」

 

結衣「ここだと、話にくいから私の部屋に行こう」

 

八幡「いや、今日はもう遅いし…」

 

結衣「ダメ!」

 

八幡「はい!」

 

ガチャ

 

結衣「ただいま」

 

由比ヶ浜母「結衣!大丈夫?」

 

結衣「大丈夫だよ」

 

八幡「夜分、すいません」

 

由比ヶ浜母「ヒッキー君なら大歓迎よ」

 

結衣「ママ、ヒッキーと大事な話があるから…。部屋に行くね」

 

由比ヶ浜母「わかったわ」

 

~~~~~~~~

 

結衣の部屋

 

結衣「まずは…、ヒッキーありがとう」

 

八幡「おう。どういたしまして」

 

結衣「私、ちょっと怒ってるんだよ」

 

八幡「?」

 

結衣「また自己犠牲をして」

 

八幡「あれは咄嗟に、脊髄反射でだな…」

 

結衣「ダメだよヒッキー。ヒッキーになにかあったら、私…、私…」

 

八幡「あの~、すまなかった。俺だって、由比ヶ浜になにかあったらと思ったら…」

 

結衣「でも、なんでケガしなかったの?」

 

八幡「それは、由比ヶ浜が守ってくれたんだよ」ゴソゴソ

 

結衣「これ、私があげたライター…」

 

八幡「由比ヶ浜が俺を守ってくれたんだ。ありがとう」

 

結衣「えへへ。なんかテレるね」

 

八幡「言ってる俺も恥ずかしい」

 

結衣「それに…、『結衣』って呼んでくれた」

 

八幡「そ、それは咄嗟にだなぁ…。悪かった、改めるよ」

 

結衣「ダメ!結衣って、呼んで」

 

八幡「由比ヶ浜、お前…」

 

結衣「私はね、私はヒッキーのことが…」

 

八幡「言うな!」

 

結衣「…どうして」グズッ

 

結衣「どうして言っちゃダメなの!」グズッ

 

八幡「…男の俺から言わせてくれ」

 

結衣「えっ!」

 

八幡「由比ヶ浜結衣さん、貴方が好きです。俺と付き合ってください」

 

結衣「…はい。私も比企谷八幡さんが大好きです。よろしくお願いします」

 

八幡「う、嘘じゃないよな?」

 

結衣「嘘じゃないよ」ダキッ!ギュウ!

 

八幡「あはは…由比ヶ浜」ダキッ

 

結衣「結衣!」

 

八幡「はい。結衣」

 

結衣「うん!」

 

八幡「やっと見つけた。やっと磨きあげた、俺の本物。大好きだ!結衣!」

 

結衣「うん。…。ヒッキー、チューして」

 

八幡「いいのか?」

 

結衣「聞き返さないの」

 

八幡「はい」

 

八幡(結衣が目をつぶってる。まつ毛長いなぁ)

 

ガチャ

 

由比ヶ浜母「結衣、お茶をもって…。ごめんなさい、お邪魔だったわね」オホホホ

 

結衣「ママ!」

 

八幡「きょ、今日は帰る」

 

結衣「う、うん」

 

八幡「そうだ!結衣、週末は暇か?」

 

結衣「う、うん」

 

八幡「で、デートしようか」

 

結衣「デート…。する!えへへ」

 

八幡「デートなんて、したことないから、高望みするなよ」

 

結衣「ヒッキーと一緒なら、どこでもいいよ」

 

八幡「じゃあ、週末に」

 

結衣「うん!でも、メールはするね」

 

八幡「おう」

 

~~~~~~~~~~~~

 

週末 ららぽ

 

結衣「ヒッキー!お待たせ!」

 

八幡「大丈夫だ。待ってないぞ」

 

結衣「どこに行こうか?」

 

八幡「ウインドウショッピングなるものをしてみよう」

 

結衣「基本だね」

 

八幡「映画とかカラオケの方がいいか?」

 

結衣「大丈夫!それに…。ヒッキーと手を繋いで歩きたいから」テレッ

 

八幡「お、おう」(スッゲー可愛い!初デートからお持ち帰りしたい!)

 

~~~~~~~~~

 

結衣「この服可愛い♪」

 

八幡「結衣に似合いそうだな」

 

結衣「試着してしていい?」

 

八幡「あぁ」

 

~~~~~~~~~~~

 

結衣「ヒッキー!プリクラ撮ろうよ」

 

八幡「は、恥ずかしいよ」

 

結衣「ダメ?」

 

八幡「わかった」(上目遣いは卑怯です!反則です!逆らえません!)

 

~~~~~~~~~

 

一色(あれは先輩と結衣先輩!プリクラの機械の中に…。たまたま買い物に来たら…。マズイですね。雪ノ下先輩に連絡を…)

 

~~~~~~~~~~

 

八幡「結衣も活字を読んだら?」

 

結衣「ヒッキーが読んでる小説は、主人公がみんなモテモテのヤツばっかりじゃん」

 

八幡「否定は出来ないなぁ」

 

~~~~~~~~~~

 

一色「雪ノ下先輩、こっちです」

 

雪ノ下「一色さん、どんな感じなのかしら?」

 

一色「手を繋いで買い物したりしてます」

 

雪ノ下「なんですって!」

 

一色「ヤバいですよ」

 

雪ノ下「一色さん、もしかしたら手遅れかも…」

 

一色「えぇ~」

 

雪ノ下「見てごらんなさい。比企谷君のあの顔!私たちの前では見せたことのない顔よ」

 

一色「あ、動きました!」

 

雪ノ下「もう少し様子を見ましょう」

 

~~~~~~~~~

 

八幡(なんか視線を感じる…)

 

八幡「結衣」

 

結衣「なに?」

 

八幡「今日のデートのこと、誰かに話したか?」

 

結衣「ママとパパかな。ママもパパもヒッキーと付き合うなら大歓迎だって」

 

八幡「結衣の両親は公認か。良かった」

 

八幡「それはそれで、嬉しいんだが…」

 

結衣「どうしたの?」

 

八幡「誰かに見られてる気がするする…」

 

結衣「え?またストーカー?」

 

八幡「いや、もっと近い人かも…。確信はないが…」

 

~~~~~~~~~~~

 

一色「先輩がキョロキョロしてますよ。見つかりましたかね?」

 

雪ノ下「比企谷君が挙動不審なのはいつものことよ」

 

一色「でも、結衣先輩までキョロキョロしてます」

 

雪ノ下「少し距離をとりましょう」

 

~~~~~~~~~~~

 

八幡「気のせいかなぁ…」

 

結衣「ヒッキーの生徒かもよ」

 

八幡「それならいいんだが…」

 

結衣「ほら、今は楽しもうよ♪」

 

八幡「そうだな」

 

結衣「ライター、新しいので買わないとね」

 

八幡「100円ライターでいいよ」

 

結衣「ダ~メ!ヒッキーは格好よくいて欲しいから」

 

八幡「は、恥ずかしいんですが…」

 

結衣「わ、私も冷静になると恥ずかしい…」

 

 

~~~~~~~~~

 

雪ノ下「パンさん…」

 

一色「雪ノ下先輩、パンさんグッズで止まらないでください。見つかっちゃいますよ」

 

雪ノ下「…パンさん」

 

結衣「ヒッキー!パンさんだよ」

 

八幡「そんなに急がなくても…」

 

一同「あっ!」

 

~~~~~~~~~~~

 

居酒屋

 

一色「先輩!どういうことですか?」

 

雪ノ下「比企谷君、説明してもらえるかしら」

 

結衣「え、え~とね」

 

一色「結衣先輩は黙ってください!デートは私が先でしたよね?」

 

雪ノ下「私もなんだけど」

 

八幡「いやぁ、なんと言うか…」

 

雪ノ下「はっきりしないわね」

 

八幡「すまん!二人とはデート出来ない」

 

一色「何故ですか!結衣先輩とはしてるのに!」

 

八幡「それは…、結衣と付き合ってるからだ」

 

雪ノ下・一色「えぇ~!!!」

 

結衣「あはは」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん、脅されているのなら、言ってちょうだい。警察に連れていくから」

 

八幡「おい!」

 

結衣「ヒッキーは、そんなことしないよ」

 

一色「いつからなんですか?」

 

八幡「この前、飲んだ帰りに、色々あってな」

 

八幡(経緯を説明)

 

一色「そんなことが…」

 

雪ノ下「比企谷君、よく無事だったわね」

 

八幡「それで、その後に…」

 

結衣「ごめんなさい」

 

一色「結衣先輩は悪くないです」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん、お願いがあるのだけど…」

 

結衣「なに?ゆきのん」

 

雪ノ下「比企谷君を私と一色さんに1日貸してもらえないかしら…」

 

結衣「ゆきのん、いろはちゃん…。ヒッキー、いいよね?」

 

八幡「大体わかった。結衣がいいなら」

 

雪ノ下「一色さんも、いいわね?」

 

一色「はい」

 

雪ノ下「じゃあ、次の週末に」

 

~~~~~~~~~

 

翌週末

 

八幡(まずは、雪ノ下か)

 

雪ノ下「待たせたかしら?」

 

八幡「いや、俺も今来たところだ」

 

雪ノ下「そう。じゃあ、行きましょう」

 

~~~~~~~~~~

 

大型書店

 

雪ノ下「八幡、なにかオススメはある?」

 

八幡「これなんかどうだ?」(名前呼び?)

 

雪ノ下「そう。じゃあ、これを買うわ」

 

八幡「おいおい」

 

雪ノ下「貴方が読んでる本をよんでみたくなったのよ」

 

八幡「じゃあ、雪ノ下の…」

 

雪ノ下「雪乃」

 

八幡「へ?」

 

雪ノ下「なに間の抜けた声出してるの?デート中ぐらいは名前で呼びなさい」

 

八幡「お、おう。ゆ、雪乃のオススメは?」

 

雪ノ下「これなんかどうかしら?」

 

八幡「じゃあ、俺はこれにする。おあいこだろ?」

 

雪ノ下「…そうね」

 

~~~~~~~~~~~

 

雪ノ下「そろそろ時間ね」

 

八幡「そうだな」

 

雪ノ下「貴方とこうやって本屋さんを見たり、一緒に本を読んだりするのを想像したこともあるわ」

 

八幡「…そうか」

 

雪ノ下「比企谷八幡君、貴方のこと好きよ」

 

八幡「ありがとう。でも、すまない。俺には好きな人が居るんだ」

 

雪ノ下「そうね。ごめんなさい、こんなことに付き合わせて」

 

八幡「雪ノ下…」

 

雪ノ下「これはケジメなの。前に進むための。ほら、一色さんが待っているわ。行きなさい」

 

八幡「あぁ。じゃあな、雪ノ下」

 

雪ノ下(フラレるって、こんなにツラいのね)

 

~~~~~~~~~~

 

八幡「すまん、遅くなった」

 

一色「待ちくたびれましたよ」ブーブー

 

八幡「あざといあざとい」

 

一色「あざといって、こんなの先輩にしかしません」

 

八幡「悪かったよ。その、なんだ、あざといって言ってないと、ブレーキが効かなくなるくらい可愛いんだよ、お前は」

 

一色「可愛い…」

 

八幡「そうだよ」

 

一色「はっ!もしかして、口説いてるんですか!結衣先輩と付き合ってるのに私を口説くなんてもってのほかです。ごめんなさい」

 

八幡「で、どこ行きたいんだ」

 

一色「先輩、リードしてくれないんですか?」

 

八幡「いろはとなら、オサレなカフェとかビリヤードとかかなぁ…」

 

一色「先輩、今なんて…」

 

八幡「カフェとかビリヤードとか」

 

一色「その前です!」

 

八幡「さっき、雪ノ下に言われたからな。嫌ならやめるが」

 

一色「し、仕方ないですね。今だけなら、許します」

 

八幡「許しが必要なら戻す」

 

一色「冗談です。名前で呼んでください…」

 

八幡「じゃ、じゃあ、いろは。お茶でも飲もうか」

 

一色「はい!先輩♪」

 

~~~~~~~~~~~

 

カフェ

 

一色「先輩は、結衣先輩のどこが好きなんですか?」

 

八幡「ゲホッ!今、それ聞くか?」

 

一色「先輩、汚いです…。今後の参考にしたいので」

 

八幡「結衣は、明るくて天真爛漫で人付き合いも良くて…。こういう言い方は恥ずかしいんだが…、俺の太陽だよ」

 

一色「こっちが恥ずかしくなりすね。雪ノ下先輩は、どう思ってたんですか?」

 

八幡「雪ノ下は、憧れかな」

 

一色「好きとかではないんですか?」

 

八幡「それもあったかもしれないなぁ。真っ直ぐで清廉潔白で…。雪ノ下みたいになりたかったのかもな。結衣が太陽なら、雪ノ下は淡い月かな」

 

一色「ちょっとキモイです」

 

八幡「悪かったな」

 

一色「あ、あの…、私のことは…」

 

八幡「可愛く頼ってくれる後輩かな。本当に俺のことが好きなのかわからなくてな…。フラれると、そこまで築いた関係が壊れそうで言えなかった」

 

一色「そう…だったんですね。やり過ぎましたか…」

 

八幡「いろはは、俺にとってはとどきそうでとどかない星だったのかな」

 

一色「やっぱり、キモイです」グズッ

 

八幡「結衣は『キモイ』って言わなくなったな」

 

一色「結衣先輩は、先輩のことはキモく見えてないと思いますよ」

 

八幡「そうなら、嬉しいな」

 

~~~~~~~~~

 

夕方

 

一色「そろそろ時間です」

 

八幡「そうか」

 

一色「今日は0点です」

 

八幡「なんでだよ」

 

一色「色々と点数は取っていたんですけど、結衣先輩のところへ行ってしまうので0点です」

 

八幡「それは…」

 

一色「そのかわり、結衣先輩から100点取ってくださいね」

 

八幡「わかったよ」

 

一色「それから、これは雪ノ下先輩と私からのプレゼントです」

 

八幡「これ…デスティニーシーのナイトチケットじゃないか」

 

一色「結衣先輩が入り口で待ってるはずです」

 

八幡「いいのか?」

 

一色「私と雪ノ下先輩からの餞です」

 

八幡「ありがとう」

 

一色「ほらっ!早く行ってください!結衣先輩を待たせちゃダメですよ」

 

八幡「じゃあな、一色」

 

一色「はい!先輩!」

 

~~~~~~~~~~

 

デスティニーシー

 

結衣「ヒッキー!」

 

八幡「結衣!お待たせ!」

 

結衣「ど、どうだった?」

 

八幡「…二人の思いを受け止めてきたよ」

 

結衣「ヒッキー!」ギュウ

 

八幡「どうした?」

 

結衣「ゆきのんもいろはちゃんもツラかったと思う」

 

八幡「そうだな」

 

結衣「ヒッキーだって、ツラかったよね…」

 

八幡「そう…、だな。葉山の気持ちが今ならわかる…。こんなとこ来てていいのかな…」

 

結衣「だからだよ。こんな気持ちを忘れるために、二人が用意してくれたんだよ」

 

八幡「あの二人には、感謝しないとな」

 

結衣「うん!だから、楽しもう♪」

 

~~~~~~~~~~~

 

帰り道

 

結衣「楽しかった♪」

 

八幡「シーもよかったな」

 

結衣「ランドもまた行きたいな」

 

八幡「そうだな」

 

結衣「うん♪」

 

八幡「じゃあ、ご飯食べて帰るか」

 

結衣「…ねぇ、ヒッキー」

 

八幡「どうした?」

 

結衣「…ママにね、お泊まりするかもって言ってきたの…」

 

八幡「へ?」

 

結衣「そしたらね、ママがヒッキー君は奥手っぽいから、ガンガン行きなさいって…」

 

八幡「あぁ、うん」

 

結衣「だ、だから、今夜はヒッキーの家に泊めて…」

 

八幡「わ、わかった」

 

結衣「えへへ」

 

八幡「じゃあ、スーパーで買い物して、うちで食べるか」

 

結衣「じゃあ、私が作る!」

 

八幡「…いや、まだ死にたくない…」

 

結衣「ヒドイ!ちゃんとつくれるし!」

 

八幡「ごめんごめん。じゃあ、一緒に作るか?」

 

結衣「それで許してあげる♪」

 

~~~~~~~~~

 

八幡のアパート

 

ガチャ

 

八幡「狭くて悪いが…」

 

小町「お兄ちゃん、お帰り~」

 

八幡「小町!今日来るって言ってたか?」

 

小町「サプライズだよ」

 

結衣「小町ちゃん、やっはろー」

 

小町「結衣さんだ!やっはろー!お久しぶりです」

 

八幡「コホン!小町、紹介するよ。お付き合いしてる、由比ヶ浜結衣さんだ」

 

小町「え?」

 

結衣「八幡さんとお付き合いしてます、由比ヶ浜結衣です。小町ちゃん、改めてよろしくね」

 

小町「つ、ついに、ゴミぃちゃんが…。こっちの方がサプライズだよ!」

 

八幡「まぁ、ちょっと前に付き合い始めたばっかりだけどな」

 

小町「じゃあ、結衣さんはお兄ちゃんの部屋は初めてですか?」

結衣「そうだよ」

 

小町「じゃあ、小町は帰りますね」

 

結衣「小町ちゃん、待って!」

 

小町「いや~、小町は馬に蹴られて死にたくないので…」

 

結衣「一緒にご飯食べよう?帰るのは、それからでいいじゃん」

 

八幡「そうだ!小町、結衣と一緒にごはん作ってくれないか?」

 

小町「う~ん、お兄ちゃんと結衣さんがそこまで言うなら…」

 

八幡「あと、結衣の腕前を見てくれ。自信があるみたいだから」

 

小町「お兄ちゃんに『あの世への片道切符』と言わしめた結衣さんの料理の腕前…」ゴクリ

 

結衣「ヒッキー!そんなこと言ったの!最低!キモ…」

 

八幡「そんなこと言ってない!それに近いことは言ったが…。あと、キモイって、言いそうになったよね?」

 

結衣「ヒッキーはキモくなくて、格好いいから、キモイって言わないように気をつけてるんだ…」

 

八幡「お、おう」

 

小町「コホン!ノロケは小町が帰ってからにしてください」

 

結衣「べ、別にノロケてるわけじゃないし!」

 

小町「では、お義姉ちゃん候補の料理の腕前を査定しましょう」

 

結衣「お、お義姉ちゃん!う、うん。ヒッキー!頑張るからね!」

 

八幡「頑張ってくれよ、俺の嫁候補」

 

結衣「よ、嫁…えへへ」

 

~~~~~~~~~~~

 

食後

 

八幡「普通に旨かったな」

 

小町「手つきはかなり危なかったけどね。60点ですかね」

 

結衣「うぅ。結構、練習してたんだけどなぁ」

 

小町「結衣さん、今度うちで一緒に料理しましょう。お兄ちゃんの胃袋を掴むために!」

 

結衣「ありがとう、小町ちゃん!」

 

八幡「結衣、よかったな」

 

結衣「えへへ」

 

小町「じゃあ、小町はそろそろ帰るね。結衣さんはお泊まりですか?」

 

結衣「う、うん。そのつもり…」

 

小町「お熱いですな」

 

八幡「うるせぇ」

 

~~~~~~~~~~

 

八幡「料理は小町も協力してくれるみたいだし大丈夫かな」

 

結衣「うん。ママも結婚するまで苦手だったみたい。パパと結婚が決まって猛練習したんだって」

 

八幡「そっかぁ」

 

結衣「ねぇ、ヒッキー」

 

八幡「なんだ?」

 

結衣「ヒッキーは、私のこと『結衣』って呼んでくれてるよね?」

 

八幡「そうだな」

 

結衣「私は『ヒッキー』のままだよね?」

 

八幡「気にしてるのか?」

 

結衣「う、うん」

 

八幡「気にしなくていいんじゃないか?」

 

結衣「でもでも…。付き合ったら、呼んでみたい呼び方があったんだ」

 

八幡「ん?どんな?」

 

結衣「………ン」

 

八幡「何だって?」

 

結衣「…ダーリン」

 

八幡「ゲホッゲホッ!」

 

結衣「は、恥ずかしい」

 

八幡「ビックリしたぁ」

 

結衣「…二人っきりの時はいいかなぁって」

 

八幡「…結衣がいいなら、好きに呼んでくれ」

 

結衣「ダーリンっ!」ダキッ

 

八幡「お、おう(ハッチーとか呼ばれると思ってたのに、数段上だった)」

 

結衣「ダーリン…。チューして…」

 

八幡「ど、どうした?急に?」

 

結衣「やっと、二人っきりになれたから…。ダメ?」

 

八幡「ダメじゃないです(上目遣いで甘えてくるなんて反則です)」

 

チュ

 

結衣「えへへ」

 

八幡「ふ、風呂入るか?」

 

結衣「一緒に?」

 

八幡「残念ながら、無理だな。うちの風呂は狭いんだよ」

 

結衣「うぅ」

 

八幡「機会なら、今から沢山あるだろ?」

 

結衣「そうだね。ラ、ラブホとか…」

 

八幡「さすが、ビッチヶ浜。言うことがエロい」

 

結衣「ビッチじやないし!…まだしたことないもん…」

 

八幡「す、すまん」

 

結衣「う、うん」

 

八幡「ふ、風呂の支度してくる」

 

結衣(逃げた)

 

~~~~~~~~~~

 

結衣「さっぱりした」

 

八幡「お、おぅ」

 

結衣「どうしたの?」

 

八幡「髪型で雰囲気変わるなぁと」

 

結衣「変…かな?」

 

八幡「髪、おろしてるのも、可愛いな」

 

結衣「可愛い…。えへへ」

 

八幡「お、俺も風呂入ってくる」

 

結衣(また逃げた)

 

~~~~~~~~~~~

 

結衣「ダ~リン♪」ギュウ

 

八幡「結衣♪」ナデナデ

 

結衣「チューして」

 

チュ

 

結衣「もっと~♪」

 

八幡「キャラ崩壊してないか?」

 

結衣「せっかくダーリンと付き合えるようになったんだから、甘えさせて」

 

八幡「いいけど、俺も慣れてないからな」

 

チュ

 

結衣「それはお互い様だから」

 

チュ

 

八幡「そうだな」

 

カブッ

 

結衣「アン…。急に耳をかまないでよ」

 

八幡「じゃあ…」

 

フニッ

 

結衣「アッ、おっぱい…」

 

八幡「ダメか?」

 

結衣「もっとして…」

 

八幡「やっぱり、大きいな」

 

フニフニ

 

結衣「ン…。ダーリンの大好きな大きいおっぱいだよ…」

 

八幡「それは違うな」

 

フニフニ

 

結衣「ンンンッ…。おっぱい揉みながら…アッ…言っても…アンッ…説得力ないよ」

 

八幡「結衣のおっぱいが好きなんだよ」

 

フニフニ

 

結衣「嬉しい…。ねぇ、ダーリン」

 

八幡「なんだ?」

 

フニフニ

 

結衣「ン…今日、最後までしちゃうんだよね…アンッ」

 

八幡「結衣が嫌ならしないよ」

 

結衣「違うの。やっとダーリンとひとつになれると思ったら…」

 

八幡「俺、結衣のこと、大事にするからな」

 

結衣「うん!よろしくお願いします」

 

~~~~~~~~~~

 

 

八幡(コーヒー入れながらの朝の一服は格別だな。しかも、結衣の分のコーヒーまで入れるなんて考えたことなかったな)スパァー

 

結衣「んん、ダーリン?」

 

八幡「おはよ。コーヒー飲むだろ?」

 

結衣「うん。…。えへへ」

 

八幡「どうした?」

 

結衣「しちゃったね」テレッ

 

八幡「お、おう」

 

prrrrrr

 

八幡「悪い、電話だ」

 

八幡「もしもし…、どうかしたか?…、は?…まあ、予定はないが…、あぁ、わかった。じぁな」

 

p

 

結衣「小町ちゃん?」

 

八幡「ああ、結衣と一緒実家に来いって。親父とお袋が信用してないらしい」

 

結衣「…あぁ」

 

八幡「何、その『親にも信用されてないんだ』みたいな反応…」

 

結衣「そ、そんなことないし!」

 

八幡「まぁ、教師やってることを疑問視されてるから、仕方ないんだが…」

 

結衣「仕方ないで片付けちゃうんだ…」

 

八幡「とにかく、今日は俺の実家に往くぞ。ちなみに、拒否権はない」

 

結衣「こ、心の準備が…」

 

八幡「小町が居るから、大丈夫だろ?」

 

結衣「うぅ、ダーリンのいじわる」

 

八幡「俺だって、心の準備無しで結衣の両親と会ってるんだから…」

 

結衣「そ、それは…」

 

八幡「まぁ、結衣が困った顔も可愛いから見たいのもあるけどな」

 

結衣「ダーリン、やっぱりいじわるだ!」

 

八幡「あと、それも気をつけないとな」

 

結衣「う、うん」

 

~~~~~~~~~

 

比企谷家

 

八幡「ただいま」

 

結衣「お邪魔します」

 

小町「お兄ちゃん、お帰り!お義姉ちゃん、いらっしゃい♪」

 

結衣「お義姉ちゃん…」テレッ

 

八幡「小町は気が早いな」

 

結衣「そ、そうだね」

 

八幡「俺は、そのつもりだから、いいんだかな」

 

結衣「!!!ダ…。ヒッキー、急にそういうこと言うのずるい!…私だって、そのつもりだし!」

 

小町「ラブラブですなぁ」ニヤニヤ

 

小町「お父さん、お母さん、お兄ちゃんのお嫁さんが来たよ!」

 

八幡「小町、まだ早いから!」

 

結衣「もう、小町ちゃんたら…」

 

~~~~~~~~~~

 

リビング

 

八幡「ただいま。彼女連れてきたぞ」

 

結衣「は、初めまして。八幡さんと、結婚を前提にお付き合いしてます。由比ヶ浜結衣です」

 

八幡「間違ってはないが、そこまで言わなくていいんじゃね?」

 

結衣「え?だって、小町ちゃんが…」

 

比企谷父「こ、こんな可愛らしい娘さんが八幡の彼女とは…」

 

比企谷母「今夜はお赤飯ね」

 

比企谷父「由比ヶ浜さんのご両親には会ったのか?」

 

八幡「何度かね。由比ヶ浜のお父さんには息子になってくれてもいいと言われたよ」

 

結衣「いつの間に!私知らないし!」

 

八幡「最初にストーカー撃退した時だよ。結衣が寝た後に言われた」

 

小町「ストーカー?」

 

八幡「あぁ。ストーカーが出てな。ボディーガードの真似事をしたんだよ」

 

結衣「あの時のヒッキー、格好よかったなぁ…」

 

小町「お兄ちゃん、本当!しかも、撃退撃退って…」

 

八幡「そんなことは、どうでもいいよ。今日は結衣を紹介に帰ったんだから」

 

比企谷父「どうでもよくはない!結衣さん、今の話は本当ですか?」

 

結衣「はい。ダ…、八幡さんは、身を呈して私を守ってくれました」

 

小町「それで、結衣さんは惚れ直したと」ニシシ

 

結衣「…うん」

 

比企谷父「そうか。八幡、よくやったな。お前のことを誇りに思うぞ」

 

八幡「恥ずかしいから、やめてくれ」

 

比企谷父「結衣さん、うちの愚息を、よろしくお願いします」

 

比企谷母「よろしくお願いしますね」

 

結衣「と、とんでもない!こちらこそ、よろしくお願いします」

 

八幡「認めてくれてるとはいえ、結衣の両親にも挨拶しないとな」

 

結衣「パパもママもヒッキーと話するの楽しみにしてるみたいだよ」

 

小町「これは結婚も近いですかね」ニシシ

 

八幡「そ、そうかもな」

 

結衣「えへへ」

 

~~~~~~~~~~~

 

月曜日 夕方 保育園

 

保護者A「由比ヶ浜先生、見ましたよ」

 

結衣「何をですか?」

 

保護者A「デスティニーシーでデートしてたでしょ?」

 

保護者B「えぇ!どんな、お相手だったの?」

 

保護者A「とってもイケメンだったのよ」

 

保護者C「ストーカー騒ぎの時に来たイケメンがそうなの?」

 

結衣「イケメン…。えへへ。そうです」テレッ

 

保護者A「写真とかないの?」

 

結衣「彼、あまり写真とか好きじゃないんで…」

 

保護者B「今度、連れてきてよ」

 

結衣「そ、そんな…。無理ですよ」

 

保護者C「じゃあ、写真撮ってきてよ」

 

結衣「…善処します」

 

~~~~~~~~~~~

 

数日後

八幡 アパート

 

結衣「…て、ことがあったんだよ」

 

八幡「まぁ、いずれはわかることだからなぁ」

 

結衣「ダーリンは、学校ではバレてないの?」

 

八幡「一色が平塚先生にバラして、尋問を受けた…」

 

結衣「大丈夫だったの?」

 

八幡「俺より平塚先生の方がダメージ大きかったみたい…」

 

結衣「あぁ…」

 

八幡「で、写真は撮るのか?」

 

結衣「いいかな?」

 

八幡「まぁ、結衣が撮りたいならいいぞ」

 

結衣「ツーショットでもいい?」

 

八幡「うっ!」

 

結衣「ねぇ…」

 

八幡「上目遣いはズルい!可愛い!大好き!断れない!」

 

結衣「やった♪」

 

結衣「じゃあ、撮るね」

 

カシャ

 

結衣「もう一回。撮るよ…」

 

チュ カシャ

 

八幡「おま、ほっぺにキスしながらとか…」

 

結衣「次はダーリンがして」

 

八幡「恥ずかしい」

 

結衣「ねぇ、これは見せないから…ねっ」

 

八幡「だから、上目遣いは反則だよ」

 

チュ カシャ

 

結衣「えへへ。待ち受けにしよう」

 

八幡「せめて、普通のツーショットでお願いします」

 

~~~~~~~~~~

 

土曜 夜

 

八幡(今夜は結衣と雪ノ下と一色で女子会。その後の報告だとさ。こんな時は、買ってから放置してる小説達を消化しないとな…)

 

prrrrrr

 

八幡「もしもし」

 

結衣『あ、ダ…。ヒッキー!今から出てこれる?』

 

八幡「気を付けてね、そこ。大丈夫だぞ」

 

結衣『ゆきのんといろはちゃんが、尋問したいって』

 

八幡「さらっと、尋問とか言われても行く気が失せる…」

 

結衣『…うん、うん。人質は私のスマホの写真だって。校内に流出させるって、いろはちゃんが…』

 

八幡「すぐに行きます。場所は?」

 

結衣『いつもの居酒屋だよ』

 

八幡「ラジャー!」

 

~~~~~~~~~~~

 

居酒屋

 

八幡「うぃ~す、来たぞ

。城廻先輩も居たんですね」

 

城廻「比企谷君、いらっしゃい」

 

結衣「ヒッキー!」

 

一色「結衣先輩、ダーリンでいいんですよ」

 

八幡「結衣…」

 

雪ノ下「酔った勢いだから許してあげて、由比ヶ浜さんのダーリン」

 

八幡「恥ずかしいから、勘弁してください」

 

一色「なんですか?あの、ほっぺにチューの写真は?」

 

結衣「えへへ」

 

八幡「結衣、えへへじゃなくてな…」

 

結衣「だって…」

 

雪ノ下「いいじゃない、減るものではないわ、キス谷君」

 

八幡「俺がキス魔みたいだからやめて」

 

一色「お二人がラブラブなのはよくわかりました」

 

城廻「うらやましいなぁ」

 

雪ノ下「結婚はいつかしら?」

 

結衣「けけけけ結婚!」

 

八幡「気がはやい!考えてはいるけどな」

 

結衣「そうなんだ。えへへ」

 

一色「親御さんへの挨拶は?」

 

八幡「もうしたぞ。結婚を前提に付き合ってますって」

 

城廻「じゃあ、秒読みだね」

 

八幡「まずは、同棲からですかね」

 

結衣「同棲…。えへへ」

 

城廻「同棲なんて、どうせい」

 

八幡「てい」ポカッ

 

城廻「先輩なのに~」

 

八幡「城廻先輩、それは違う先輩では…。香辛料的な」

 

雪ノ下「同棲…」ブツブツ

 

八幡「雪ノ下!ダジャレとか言うなよ」

 

雪ノ下「どうしてかしら」

 

八幡「お前が言ったら25歳児になっちゃうからね」

 

結衣「わ、わかるわ」

 

八幡「結衣、それ言っちゃダメ!」

 

一色「先輩!大変です!城廻先輩が、どこからともなくスコップ出して…」

 

城廻「穴掘って、埋まってます~」

 

八幡「貴方は事務所違うでしょ!」

 

一色「収拾がつかないですね…。ここは艦隊のアイドル那…」

 

八幡「やめて、いろはす…」

 

~~~~~~~~~

 

数時間後

八幡の部屋

 

結衣「楽しかった~」

 

八幡「いやいやいや。ダーリンは突っ込まれる、写真は見られる、収拾はつかなくなる…」

 

結衣「でも、同棲考えてるって本当?」

 

八幡「ダメか?」

 

結衣「そんなことないけど…」

 

八幡「けど?」

 

結衣「もうちょっと、お料理勉強したいかな」

 

八幡「大丈夫。結衣のタイミングでいいぞ」

 

結衣「ダーリンの、そういう優しいところ大好き!」ダキッ

 

八幡「俺だって、結衣が努力してくれるのが大好きだぞ」

 

~~~~~~~~~~

 

数ヶ月後

 

八幡「ただいま」

 

結衣「おかえりなさい。すぐにご飯にするね」

 

八幡「あ、あの…結衣」

 

結衣「なに?」

 

八幡「ちょっと話があるんだけど…」

 

結衣「どうしたの?」

 

八幡「こ、これを受け取って欲しい!」

 

結衣「えっ!これって…。指輪とお花…」

 

八幡「俺と結婚してくれ!」

 

結衣「…はい。不束者ですが、よろしくお願いします」クズッ

 

八幡「き、緊張したぁ~」

 

結衣「うわ~ん!ダーリンがプロボーズしてくれたぁ~!」

 

八幡「な、泣くなよ」

 

結衣「だって、不安だったんだもん」

 

八幡「待たせて、ごめんな」

 

結衣「ううん、大丈夫。このお花は?」

 

八幡「アザレアだよ。このピンクのアザレアの花言葉は『青春の喜び』俺達にピッタリだろ」

 

結衣「高校の頃からだもんね。いい花言葉だね」

 

八幡「次の休みは、両親に挨拶に行かないとな」

 

結衣「パパとママも待ってると思うよ」

 

八幡「じゃあ、ご飯にしようか」

 

結衣「すぐに支度するね、ダーリン♪」

 



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一色いろは編

一色いろはの教育実習も終わり、金曜日に駅前の居酒屋で一人飲みをする八幡

 

八幡「すいません、冷酒とたこわさ」

店員「はい!喜んで!」

 

八幡(ラストは、これに限る。あとは締めラーメンはどこにするかなぁ)

 

八幡(座敷は盛り上がってるなぁ。大学生か?ウェイウェイ楽しそうだな。戸部も居るんじゃねぇの…。居る訳ないか)

 

???「あ~!先輩!」

 

八幡(ほら、先輩。呼ばれてるぞ)

 

???「先輩!無視しないでください!」

 

八幡(無視しないで、相手してやれ)

 

???「比企谷八幡先輩!」

 

八幡「俺!」

 

???「可愛い後輩が呼んでるのに無視とかひどくないですか?」

 

八幡「一色か。フルネームで呼ぶな」

 

いろは「可愛い後輩のいろはちゃんですよ」

 

八幡「あざといあざとい」

 

いろは「あざとくないです」プクー

 

八幡「フグのマネ?可愛い可愛い」

 

いろは「扱いが雑ですよ!」

 

八幡「お前、あっちで飲んでんだろ。早く戻れ」

 

男A「いろはちゃ~ん」

 

八幡「ほれ、呼ばれてるぞ」

 

いろは「だって、つまんない男ばっかりなんだもん」ブツブツ

 

女A「いろはちゃん、早く…。その人、比企谷先輩!」

 

いろは「そうだよ」

 

女A「ねぇ、比企谷先輩が居るよ」

 

女B「嘘!」

 

女C「いろはちゃんと話してる人?」

 

女A「写真撮らせてください」

 

八幡「え?なんで?」

 

女B「私も」

 

女C「私も撮りたい」

 

八幡「一色、早く戻れ。他のお客さんにも迷惑になる」

 

いろは「は~い。みんな戻るよ」

 

女A「比企谷先輩!今度、一緒に飲みましょうね」

 

八幡「はいはい」

 

八幡(男連中に、すっげえ睨まれてるんですけど…)

 

~~~~~~~~~~

 

居酒屋 外

 

八幡(ラーメン食って、帰るかな)

 

男B「この後、どこ行く?」

 

八幡(さっきの一色のお仲間か。若いっていいねぇ。俺も若いけど…)

 

いろは「私、帰るね」

 

男C「いろはちゃん、帰っちゃうの?」

 

いろは「またね」

 

女B「いろはちゃんが帰るなら、私達も帰ろうか」

 

女C「そうだね。バイバ~イ」

 

いろは「先輩!なに一人で帰ろうとしてるんですか?」

 

八幡「当たり前だろ、一人で来たんだから」

 

いろは「先輩、どこ行きます?」

 

八幡「家」

 

いろは「久しぶりに会った後輩をいきなり家に連れ込むなんて嬉しいですけど順番飛ばし過ぎなんで無理ですごめんなさい」

 

八幡「フるんだったら、ついてくるなよ。俺は帰るんだ」

 

~~~~~~~~

八幡のアパート

 

八幡「なんで、ついてくるの?」

 

いろは「先輩と飲みたいからに決まってるじゃないですか」

 

八幡「はぁ~。発泡酒しかないぞ」

 

いろは「わ~い」

 

八幡「適当に飲んだら、帰れよ」

 

いろは「先輩は飲まないんですか?」

 

八幡「俺は自分の適量を心得てる。だから、今日はもう飲まない」

 

いろは「一杯だけ付き合ってください」

 

八幡「わかったよ」

 

~~~~~~~~~

1時間後

 

いろは「せんぱ~い、おかわりくださ~い」

 

八幡「お前、飲み過ぎだ」

 

いろは「だって、せんぱいとさしでのめるなんて、おもってなかったんで~」

 

八幡「帰れるか?」

 

いろは「とめてください」

 

八幡「独身の男の家に泊まるとか、貞操観念ないのかよ」

 

いろは「せんぱいなら、いいですよ~」

 

八幡「何がだよ」

 

いろは「えっちなことにきまってるじゃないですか~」

 

八幡「しないから!」

 

いろは「せんぱ~い、えっちなことしてくださ~い…」

 

八幡「おい!一色!寝るな!」

 

いろは「zzzz」

 

八幡「ダメだ…」

 

八幡(仕方ない。ベッドに寝かせてやるか)

 

八幡(お姫様抱っこなんて、初めてするな)

 

いろは「せんぱい、タバコくさ~い。でも、いいにおい…zzz」

 

八幡「なんでこうなるかな…」

 

~~~~~~~~~~

翌朝

 

いろは(ん?ここどこ?お持ち帰りされた!…違うなぁ。先輩の部屋に押しかけて…)

 

八幡「一色、起きたか?」

 

いろは「おはようございます」

 

八幡「おはようさん。コーヒーでいいか?それとも、水か?」

 

いろは「コーヒーをいただけますか?」

 

八幡「はいよ」

 

いろは(服もそのまま。私、寝ちゃったんだ…)

 

いろは「すいません。私、途中から記憶が曖昧なんですけど…」

 

八幡「まったく、冷蔵庫の酒を全部飲みやがって」

 

いろは「え?そんなに…」

 

八幡「途中から呂律が回ってなかったぞ。自分の適量を考えろよ」

 

いろは「…はい」

 

八幡「そんなんだと、お持ち帰りされて、目が覚めたら、ラブホの天井とか…。気をつけろよ」

 

いろは「先輩は…」

 

八幡「ん?」

 

いろは「先輩は、何もしないんですか?」

 

八幡「俺は寝込みを襲う趣味はない。誰かさんに理性の化け物と言われたまである」

 

いろは「私って、そんなに魅力ないですか?」

 

八幡「一色に魅力がなかったら、世間の大体数の女性に魅力がないってことになるぞ。心配すんな、一色は魅力的で可愛いぞ」

 

いろは「なんですか口説いてるんですか起き抜けにそんなこと言われたらキュンてしちゃいますけと、服もメイクもボロボロなんでごめんなさい」

 

八幡「それ、お前都合だよね。まぁいい。もう少ししたら帰れよ、駅まで送ってやるから」

 

いろは「先輩、今日って暇じゃないですかぁ?」

 

八幡「一色の予定なんぞしらんが」

 

いろは「先輩のことですよ」

 

八幡「え?俺?」

 

いろは「はい!」

 

八幡「暇じゃないからね。まずベッドで寝させて」

 

いろは「それは、すいません。でも、午後からは空いてますか?」

 

八幡「午後は本屋に行く予定だ」

 

いろは「相変わらず、活字中毒ですね」

 

八幡「ほっとけ」

 

いろは「ご一緒してもいいですか?」

 

八幡「好きにしろ」

 

いろは「ではでは、午後は本屋デートということで」

 

八幡「デートなの?」

 

いろは「はい!」

 

~~~~~~~~~

11:00AM

 

八幡「何してるの?」

 

いろは「昨日のお詫びに、お昼ご飯を作りに来ました。パスタですよ」

 

八幡「まあ、来ちまったもんは仕方ない。上がれよ」

 

いろは「台所お借りしますね」

 

八幡「俺はシャワー浴びてくるから、適当にやっててくれ」

 

~~~~~~~~~

 

八幡「けっこう旨いな」モグモグ

 

いろは「料理は得意なんですよ」

 

八幡「以外だな」モグモグ

 

いろは「バレンタインだって、手作りしてるじゃないですか」

 

八幡「そうだったな」

 

いろは「そういえば、本屋さんで何を買うんですか?」

 

八幡「新刊と生徒に薦める本と、あとは適当だな。本屋にいると時間なんてあっという間だ」

 

いろは「ふ~ん」

 

八幡「聞いといて興味なしかよ」

 

~~~~~~~~~

 

午後 本屋

 

八幡「なぁ、一色」

 

いろは「はい」

 

八幡「なんて後ついてくるの?」

 

いろは「先輩がどんな本を読むのかなぁと」

 

八幡「暇ならファッション雑誌でも見てろよ」

 

いろは「せっかくのデートなのに、そういうこと言うんですか?」

 

八幡「デートじゃねぇし」

 

???「あら?比企谷君と…一色さん?」

 

八幡「雪ノ下か」

 

いろは「雪ノ下先輩、こんにちはです」

 

雪ノ下「…何故、一緒に書店に居るのかしら?」

 

いろは「やだなぁ、雪ノ下先輩。デートに決まってるじゃないですか」

 

八幡「お前、違うだろ!」

 

雪ノ下「比企谷君、書店で大きな声を出さないでくれるかしら」ゴゴゴコ

 

八幡「と、とりあえず、一旦出ようか」

 

~~~~~~~~~~

 

近くのファミレス

 

雪ノ下「比企谷君、説明してもらいましょうか」

 

八幡「俺が本屋に行くって言ったら、一色が勝手についてきた」

 

いろは「先輩、説明不足ですよ」

 

八幡「そうか?」

 

いろは「昨日の夜、先輩ん家に泊まったじゃないですか」

 

雪ノ下「一色さん、彼に無理やり連れ込まれたのね…」

 

八幡「お前!なんてこと言うんだ!落ち着け、雪ノ下!まず、携帯をしまおうか…」

 

いろは「だって、本当じゃないですか」

 

雪ノ下「すぐに警察に…」

 

八幡「一色!火に油を注ぐな!まて雪ノ下。一色が勝手に来たんだ」

 

雪ノ下「一色さん?」

 

いろは「はい」

 

雪ノ下「この下衆谷君が言っていることは本当?」

 

いろは「え~。でも、先輩と熱い夜を過ごしたじゃないですか」

 

八幡「雪ノ下さん、携帯握り潰すつもりですか…」

 

雪ノ下「早く警察に通報しないと」

 

八幡「違うからね。一色が勝手に来て、俺ん家の冷蔵庫の酒を飲み干して、寝てっただけだからね。手出しは一切してないからね」

 

いろは「なんで、本当こと言っちゃうんですか~」プンプン

 

八幡「当たり前だろ。俺が捕まったら小町が泣く(あれ泣いてくれるよね?)」

 

雪ノ下「それと、なんで一色さんが、比企谷君の家を知っているのかしら?」

 

八幡「昨日、居酒屋でたまたま会って、後をついてきたんだよ」

 

雪ノ下「なるほど…」

 

八幡「雪ノ下さん?」

 

いろは「雪ノ下先輩?」

 

雪ノ下「比企谷君!」

 

八幡「ヒャイ!」

 

雪ノ下「貴方には、教育が必要です。今から、貴方の家に行くわよ」

 

八幡「何故…。俺は悪くない…」

 

雪ノ下「一色さん、貴方は帰って結構よ」

 

いろは「それだとぉ、雪ノ下先輩が危ないじゃないですかぁ」

 

八幡(あざとい…)

 

雪ノ下「くっ…。貴方も大丈夫だったのだから、きっと大丈夫よ」

 

いろは「それなら、結衣先輩も呼びましょう」

 

雪ノ下「一色さん、それには…」

 

いろは「あ、結衣先輩ですか?今から雪ノ下先輩と先輩の家に行くんですけどぉ…。はい、お待ちしてますね」

 

雪ノ下「一色さん?」

 

いろは「結衣先輩も合流するそうです」

 

八幡「お、俺の意見は…」

 

~~~~~~~~~

 

夕方 八幡の部屋

 

八幡「どうしてこうなった…」

 

由比ヶ浜「ヒッキーがいろはちゃんを連れ込むからだよ」プンプン

 

八幡「連れ込んでないからね」

 

いろは「まあまあ、先輩」

 

八幡「お前はなぁ…。はぁ」

 

雪ノ下「…なんで、比企谷君と二人っきりで…」ブツブツ

 

八幡「なんだよ。雪ノ下も文句言い足りないのかよ」

 

雪ノ下「え、ええ、そうよ」

 

いろは「まぁまぁ、みんなで楽しく飲みましょうよ」

 

八幡「いや、お前のせいだからね」

 

由比ヶ浜「じゃあ、とりあえず…」

 

「「「「乾杯っ!」」」」

 

~~~~~~~~~~~

 

いろは「で、先輩に声かけたら、ほかの子が先輩と写真撮りたいって」

 

由比ヶ浜「私もヒッキーと写真撮りたい!」

 

雪ノ下「…一人で飲むなら、誘ってくれれば…」ブツブツ

 

由比ヶ浜「ゆきのんもヒッキーと写真撮りたいよね?」

 

雪ノ下「わ、私は別に…」

 

八幡(カオスだ…)

 

いろは「先輩、飲んでますか?」ギユウ

 

八幡「飲んでるから、くっつくな」

 

由比ヶ浜「いろはちゃん、ズルい」ギユウ

 

雪ノ下「…鼻の下伸ばして…」ブツブツ

 

八幡「ゆ、雪ノ下さん、助けてくださいませんか?」

 

雪ノ下「フンッ」

 

八幡「えぇ」

 

八幡(左右の腕に柔らかいモノが…。八幡大菩薩がぁぁぁ)

 

~~~~~~~~~

 

雪ノ下「スヤスヤ」

 

由比ヶ浜「zzzz」

 

いろは「スピィ」

 

八幡(散々、飲んで寝やがったよ)

 

八幡(みんな、こんなに可愛いのに、俺みたいなヘタレにかまってくれて…)

 

いろは「うぅん、…先輩?」

 

八幡「起きたのか?」

 

いろは「何時ですか?」

 

八幡「25:00だ」

 

いろは「うわぁ、オタクっぽい」ジトー

 

八幡「マルヒトマルマル」

 

いろは「ミリタリーマニアですか…」ジトー

 

八幡「通じただろ?」

 

いろは「まあ…」

 

八幡「と、いうわけだ。寝てろ」

 

いろは「えぇ。イタズラしません?」

 

八幡「昨日もしなかっただろ?」

 

いろは「先輩?」

 

八幡「なんだ?」

 

いろは「魅力的な女性が三人も居るのに、なんで何もしないんですか?」

 

八幡「おまっ!出来るわけないだろ」

 

いろは「雪ノ下先輩なんて、お肌すべすべだし」ナデナテ

 

雪ノ下「うぅん、比企谷君、人が見てるわ…」ムニャムニャ

 

八幡「…」

 

いろは「結衣先輩なんか、おっぱいすごいですよ」モミモミ

 

由比ヶ浜「むにゃ、ヒッキー…ちゅーから…」ムニャムニャ

 

八幡「…」

 

八幡(寝言の相手が俺って…)

 

いろは「私だって…、お二人には負けますけど、それなりに…」

 

八幡「一色には一色の魅力がある。負けてないよ」

 

いろは「じゃあ、先輩。私たちの好意には気がついてますよね…」ジリッ

 

八幡「一色さん?」

 

いろは「どうして、逃げるんですか?」ジリッ

 

八幡「待ってください」

 

いろは「待てません。お二人に負けたくないんです」ジリッ

 

八幡「じょ、冗談だよね?」

 

いろは「嘘でも冗談でも、ありません」ジリッ

 

八幡「三人でゲームして、罰ゲームみたいな…」

 

いろは「違います。本気で先輩のことが好きなんです」ピタッ

 

八幡(近い近い近いいい匂い近い柔らかい)

 

八幡「一色、酒が抜けてないんだろ?」

 

いろは「頭は冴えてます」ギュウ

 

八幡「い、一色?」

 

いろは「もう…、我慢出来ません」チュウ

 

八幡(あ、一色の唇柔らかい…いい匂い)

 

いろは「はぁ…。信じてもらえますか?」

 

八幡「信じるしかないだろ、だがな、一色…」

 

いろは「先輩の気持ちもわかってるつもりです。本当に先輩のこと…好きだから…」グズッ

 

八幡「お前の気持ちはわかったよ」ナデナテ

 

いろは「ズルいです、先輩。こんな時に頭撫でられたら…もっと好きになっちゃいます…」グズッ

 

八幡「もう寝ろ。俺は外でタバコ吸ってくる」

 

いろは「はい、おやすみなさい」

 

雪ノ下・由比ヶ浜(すごいもの見ちゃった…)

 

~~~~~~~~~~~~

 

週末 居酒屋

 

いろは「先輩!飲んでますか?」

 

八幡「飲んでるよ!」

 

女A「比企谷先輩、この唐揚げ美味しいですよ」

 

女B「いろはちゃん、比企谷先輩にくっつき過ぎ!」

 

八幡「そうだぞ、一色。離れろ」

 

女C「じゃあ、私が入ってそこへ…」

 

いろは「ダメだよ!」

 

男A「…」ギロッ

男B「…」ギロッ

男C「…」ギロッ

 

八幡(どうしてこうなった…。まず、一色に遭遇しないよう前回とは違う居酒屋で飲んでいた。運悪く、一色達が居て強制的に参加させられている。しかも女の子達が俺にやたらと絡んでくる男共に睨まれる…。状況確認終了…。ダメじゃん!)

 

八幡(ちょっと多めにお金置いて逃げるか)

 

八幡「俺は先に失礼するぞ。あとは若い連中でやってくれ」

 

いろは「先輩、帰っちゃうんですか?」

 

八幡「ちょっと資料まとめたりしたいからな」

 

男A「お疲れっした」

 

男B「ゴチです」

 

女A「え~!つまんない!」

 

男C「比企谷先輩は仕事だから」

 

女B「私も帰ろうかなぁ」

 

八幡「そんなこと言わないで、楽しくやってくれ。じゃあな」

 

女C「比企谷先輩、また飲みましょうね」

 

~~~~~~~~~~

 

帰り道

 

八幡(あんまり飲んでないから、読みかけの本でも…)

 

???A「み~つけた」

 

八幡「ん?」

 

???B「モテモテでしたねぇ」

 

八幡「お前ら」

 

???C「そうですよ」

 

八幡「もう飲み会は終わったのか?」

 

男A「アンタのおかげでな」

 

八幡「で、俺に何のようだ?」

 

男B「アンタのおかげて、つまんねぇ飲み会になったから、オトシマエつけてくれませんかね?」

 

八幡「断る」

 

男C「じゃあ、体で払ってもらおうか!」パンチ

 

八幡「あぶねぇ」ヨケッ

 

男A「避けてんじゃねぇよ!」ケリッ

 

八幡「そりゃ、避けるだろ」ヨケッ

 

いろは「何をやってるの!」

 

八幡「一色!来るな!」

 

男B「おっ、いろはちゃん」

 

男C「捕まえた」

 

いろは「はなして!」

 

男A「避けたら、いろはちゃんがどうなるかなぁ」

 

八幡「てめぇら…」

 

男B「そんな口きいていいのかな」パンチ

 

八幡「ぐはっ」

 

いろは「先輩!」

 

男C「いろはちゃんは、俺と遊ぼうね」

 

いろは「はなして!」

 

八幡「一色、逃げろ!」

 

男A「黙れ!」ケリッ

 

八幡「いってぇ!」

 

いろは「やめて!」

 

男B「おらっ」パンチ

 

八幡「げほっ!」

 

男A「情けねぇ先輩だな!」ケリッ

 

八幡「ぐぁ!」

 

いろは「せんぱい…」

 

八幡「このっ!」タックル

 

男C「離せ!このやろう!」

 

八幡「いろは!早く逃げろ!」

 

いろは「だって、先輩が…」

 

八幡「行けっ!」

 

いろは「先輩、ごめんなさい」タタタッ

 

男A「いろは!待て!」

 

八幡「行かすかよ!」タックル

 

男B「てめえ!」ケリッ

 

八幡「ぐぇ!」

 

男C「てめえのせいで、逃げられたじゃねぇか!」ケリッケリッ

 

八幡「げほっ!」

 

八幡(ヤバい…。意識が…切れそうだ…)

 

警察官「お前ら!なにやってる」

 

男B「やべぇ!逃げろ!」

 

警察官「君!大丈夫か!」

 

八幡(助けがきたのか…)

 

いろは「先輩!」

 

八幡(いろはの声がする…)

 

いろは「先輩!しっかりしてください」

 

八幡「いろは…。ケガは…ないか…」

 

いろは「はい。先輩のおかげで…」

 

八幡「そうか…。いろはが無事で…良かった…」ナデナデ

 

いろは「先輩、『いろは』って…」

 

八幡(やべぇ…。意識が…)ガクッ

 

~~~~~~~~~~~~

 

八幡(ん?ここは…。)

 

八幡(見知らぬ天井だ…)

 

八幡「いってぇ…」

 

いろは「先輩?」

 

八幡「…一色か。ここは、どこだ?」

 

いろは「せんぱ~い!」ギュウ

 

八幡「いててて!いてぇよ!」

 

いろは「ごめんなさい。ここは病院です…」

 

八幡「そっかぁ…。気を失って…」

 

いろは「先輩、ごめんなさい。私のせいで…」グズッ

 

八幡「お前のせいじゃねぇよ」ナデナデ

 

いろは「でも、こんなにケガして…」グスン

 

八幡「女の子を、守ってケガしたんだから、勲章みたいなモンだよ」

 

いろは「先輩!大好きです!」ギュウ

 

八幡「一色!痛いって」

 

いろは「はっ!ごめんなさい」

 

~~~~~~~~~~

 

八幡の部屋

 

小町「お兄ちゃん、災難だったね」

 

八幡「酷い目にあったよ」

 

小町「右腕の骨にヒビかぁ。しばらく大変だね」

 

八幡「まぁ、大丈夫だよ」

 

小町「いろはさん守ってなんて、ポイント高いよ」

 

いろは「小町ちゃん、ごめんね」

 

小町「いえいえ、お兄ちゃんは名誉の負傷なんで」

 

八幡「小町、悪いが時々来てくれ」

 

小町「了解です」(^-^ゞ

 

いろは「先輩、私も来ますね!」

 

八幡「一色も無理しない程度に頼むな」

 

いろは「はい!」

 

~~~~~~~~~~~

 

総武高校

 

八幡「ご心配おかけして、すいません」

 

平塚「比企谷も運がないな」

 

八幡「ちょっと不自由なんで先生方にも、協力していただいきますよ」

 

城廻「比企谷君、サポートするからね」

 

八幡「ありがとうございます」

 

~~~~~~~~~~

 

八幡の部屋

 

いろは「先輩、あ~ん」

 

八幡「あ~ん」モグモグ

 

いろは「次はどれがいいですか?」

 

八幡「いや、左手でフォーク使えるから」

 

いろは「ダメです。私が食べさせてあげます」

 

八幡「…わかったよ」

 

~~~~~~~~~~~

 

八幡「じゃあ、風呂入ってくるから」

 

いろは「は~い」

 

八幡(背中流すとか言うと思ったが、俺の思い上がりか…)

 

八幡(右腕使えないと、洗いにくいな…)

 

いろは「先輩、入りますね」

 

八幡「えっ!待て待て待て!」

 

いろは「お邪魔しま~す」

 

八幡「うわぁ!」

 

いろは「私は水着なんで、大丈夫ですよ」

 

八幡「俺が大丈夫じゃない!」

 

いろは「は、早くタオルで隠してください!」

 

八幡「なんで、急に入ってくるんだよ」

 

いろは「だって、前もって言ったら、先輩拒否するじゃないですか…。早く後ろ向いてください」

 

八幡「わかったよ…」

 

いろは「じゃあ、洗いますね」

 

八幡(ヤバい!ドキドキする!静まれ、八幡大菩薩!)

 

いろは「先輩の背中、広いですね」ピトッ

 

八幡「い、一色さん?何をしているのかな?」

 

いろは「ちょっと、くっついてるだけです…。嫌ですか?」

 

八幡「い、嫌じゃないけど…、色々と…」

 

いろは「あっ。…私でもちゃんと…」

 

八幡「い、いや、すまん。これは生理現象というか、何というか…」

 

いろは「よかった…。ちゃんと『女』として見てくれているんですね…」

 

八幡「お前みたいな可愛い娘が風呂場に一緒にいたら、こうなるわ」

 

いろは「…先輩、水着とってもいいですよ」

 

八幡「い、いやいやいや。ダメだろ」

 

いろは「先輩、私のこと嫌いですか?」

 

八幡「嫌いだったら、この状況を許していない」

 

いろは「…じゃあ、好きですか?」

 

八幡「その答えは待ってくれ」

 

いろは「えい!」ギュ

 

八幡「お前、どこさわってるんだ」

 

いろは「先輩に、私のこと好きって言わせたいです」ニギニギ

 

八幡「だからって、あぅ」

 

いろは「どうなんですか?」ニギニギ

 

八幡「本当にダメだ…うぅ」

 

いろは「言うまでやめませんよ」ニギニギ

 

八幡「ダメだ、これ以上は…」

 

いろは「どうなんですか!?」ニギニギ

 

八幡「大好きに決まってるだろ!」

 

いろは「えっ…」ギュ

 

八幡「うっ!!!」

 

いろは「あっ…。ごめんなさい…」

 

八幡(ハチマンオヨメニイケナイ)

 

~~~~~~~~~~~

 

リビング

 

いろは「すいません。勢い余って…」

 

八幡「こっちこそ、すまん。気持ち悪かったよな…」

 

いろは「先輩のなら全然…」

 

八幡「まぁ、なんだな。お互い悪かったってことで…」

 

いろは「はい…」

 

いろは「先輩、この前、気を失う前に私のこと名前で呼んでくれましたよね?」

 

八幡「…言ったかもね」

 

いろは「先輩、私のこと好きって言ってくれましたよね?」

 

八幡「…言った」

 

いろは「じゃあ、私と付き合っ…」

 

八幡「ダメだ」

 

いろは「えっ…」

 

八幡「ダメだと言った」

 

いろは「どうして!先輩、私のこと好きって…」グズッ

 

八幡「俺もかなりの鈍感だがな、一色が俺を追って同じ大学・同じ教職を目指しているのも知っていた」

 

いろは「なら、どうして…」グズッ

 

八幡「俺は一色の覚悟が見たかった。大学卒業まで俺に好意を向けていたら、俺から交際を申し込もうと思っていたんだ」

 

いろは「先輩…」

 

八幡「俺の段取りブチ壊しやがって。この前、酔ってキスしてきただろ?」

 

いろは「はい」

 

八幡「我慢しようと思ったのに、お前のこと好きな気持ちが勝っちゃってな…。迷ってたんじやないんだよ。その前の日だって、手を出しそうなの我慢してたんだからな」

 

いろは「じゃあ、ちゃんと教員免許取って大学卒業したら…」

 

八幡「ちゃんと、告白する。それまで、がんばれるか?」

 

いろは「はい」

 

八幡「ちゃんと、待てるか?」

 

いろは「待ちます」

 

八幡「よし、いい娘だ」

 

いろは「…先輩」

 

八幡「なんだ?」

 

いろは「ちゃんと、がんばりますので、…キスしてもいいですか?」

 

八幡「わかったよ」グイッ

 

いろは「あっ…」

 

八幡「いろは。大好きだ」

 

いろは「八幡さん…。私も大好きです」

 

チュ

 

八幡「必ず迎えに行くからな」

 

いろは「はい。待ってます」

 

~~~~~~~~~~

 

三月某日 大学前

 

いろは「せんぱ~い!」

 

八幡「おぅ、一色!卒業おめでとう。これお祝いだ」

 

いろは「こんなにいっぱいのバラ…」

 

八幡「ちょっとキザだったか?」

 

いろは「だいぶキザです」

 

八幡「いろは、大好きだ!俺と付き合ってくれ」

 

いろは「なんですか散々待たせてバラの花束とかキザ過ぎです私の方が八幡さんのことが大好きです末永くよろしくお願いいたします」ペコリ

 

八幡「なんだそりゃ」

 

いろは「ごめんなさいの方がよかったですか?」

 

八幡「勘弁してくれ。そんなこと言うと、花束の中のモン没収するぞ」

 

いろは「え?」ガサガサ

 

いろは「これって…」

 

八幡「いろはは可愛いから、悪い虫が寄り付かないように虫除けだよ」

 

いろは「指輪…。嬉しい…」

 

八幡「あ~。これから先も一緒に居てくれたら、婚約指輪を買ってやるよ」

 

いろは「はい!…なんかおとぎ話みたいですね」

 

八幡「こんなフェアリーテイルないよ」

 

いろは「八幡さん、私、幸せです」

 

八幡「俺もだよ」

 



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川崎沙希編

2019/2/18 修正・加筆
2019/3/14 誤字修正


とある居酒屋

 

沙希「比企谷とサシで飲むのは久しぶりだね」

 

八幡「大学の時以来か」

 

沙希「相変わらず、一人飲みなんだな」

 

八幡「川崎だってそうだろ」

 

沙希「まあね」

 

八幡「でも、川崎となら気兼ねなく飲めて好きだな」

 

沙希「!!!」

 

沙希「そ、そうなんだ…」

 

八幡「川崎は実家だよな?」

 

沙希「そうだよ。最近は京華も家事を手伝ってくれるから、助かるよ」

 

八幡「川崎もけーちゃんもいいお嫁さんになるな」

 

沙希「!!!」

 

沙希「比企谷は一人暮らしだろ?ちゃんと自炊とかしてるの?」

 

八幡「あんまりやってないなぁ…」

 

沙希「元・専業主夫希望のくせに」

 

八幡「まぁ、たまに小町とか来てくれるからな」

 

沙希「あんまり小町に迷惑かけるなよ。彼氏が出来ないじゃないか」

 

八幡「小町に彼氏なんか認めん!」

 

沙希「シスコン」

 

八幡「うるせぇ、ブラコン」

 

沙希「ご飯作ってくれる彼女とかいないの?」

 

八幡「いたら、一人飲みなんかしてない」

 

沙希「雪ノ下あたりに頼めば作ってくれるんじゃない?」

 

八幡「料理の腕は認めるが、色々ど罵倒されそうだなぁ」

 

沙希「由比ヶ浜は?」

 

八幡「俺を殺す気か?って、なんであの二人なんだよ」

 

沙希「今でもたまに会うんでしょ?」

 

八幡「会うけど、俺にとっては気のおけない仲間だな」

 

沙希「生徒会長は?」

 

八幡「一色?頼んだら、何倍も要求が来そうだな」

 

沙希(三人とも御愁傷様)

 

~~~~~~~~~~~

 

土曜の夜 八幡の部屋

 

ピンポーン

 

八幡「小町!鍵開けて入ればいいだろ」

 

ガチャ

 

八幡「すいません、人違いです」

 

沙希「閉めようとするな」

 

八幡「すいません、睨まないで…」

 

沙希「ふんっ」

 

八幡「で、川崎は何をしにきたんだ?ってか、よく俺の家、知ってたな。教えたか?」

 

沙希「小町に聞いた。比企谷にご飯作ってやろうと思ってな」

 

八幡「…間に合ってます」

 

沙希「食材も買って来たのに…。このまま帰ったら、家で夕食作って、大志と小町に食べさせようかなぁ」

 

八幡「さぁ、遠慮なく入ってくれ。キッチンはそこだ」

 

沙希「お邪魔します」

 

八幡「小町を人質にするとは…」

 

沙希「まぁ、私も身内以外に味の感想を聞きたいからさ」

 

八幡「最初から、そう言えよ。協力するから」

 

沙希「ありがと」

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

回想

 

沙希「小町は比企谷んところに、ご飯作りに行ってるみたいだね」

 

小町「はい。お兄ちゃんは妹離れ出来なくて、困ったもんです。誰か、素敵な女性が作りに行ってくれたらなぁ」チラッ

 

沙希「わ、私でよければ…」

 

小町「ぜひ、お願いします。そのまま、押し倒してもいいですよ。あ、今の小町的にポイント高い」

 

沙希「そ、それは、さすがに…」

 

小町「沙希さん、兄は駆け引きとかせずに、パワープレーで攻めてください。他の人がしていない、餌付けで、胃袋を鷲掴みにしてください」

 

沙希「パワープレーって…」

 

小町「雪乃さんと結衣さんは、奥手なんで、なかなか…」

 

沙希「生徒会長はグイグイ行くと思うんだけど…」

 

小町「いろはさんは、あざといですからね。それに、何となくあの人はダメです」

 

沙希(同族嫌悪?)

 

沙希「わ、わかった」

 

小町「それに、兄に悪態をついてる以上は、『気のおけない友達』からは進展しません」

 

沙希「なるほど」

 

小町「兄は、駆け引きとかすると、自分の気のせいだと思ってしまいます。それに、待っていても兄は動きません。動けないと言った方が正しいでしょうか。過去のトラウマがあるので…。ガンガン押してください」

 

回想終わり

 

~~~~~~~~~~~

 

沙希(小町が味方なら心強いなぁ)

 

八幡「ちなみに、メニューは?」

 

沙希「メインは肉じゃがだよ」

 

八幡「定番だな。だか、定番だからこそ、腕の見せ所…。だな」

 

沙希「プレッシャーかけないでよ」

 

~~~~~~~~~~~

 

八幡「うまっ!」ガツガツ

 

沙希「そ、そう?」

 

八幡「これ食ったら、他で食えなくなるレベルの肉じゃがだな」ガツガツ

 

沙希「そんなに慌てて食べなくても、誰もとらないよ。ほら味噌汁」

 

八幡「なに、この味噌汁!めっちゃ旨い!」

 

沙希「粉末じゃなくて、ちゃんと出汁からとったからね」

 

~~~~~~~~~~~

 

八幡「いや~、旨かった」

 

沙希「お粗末さまでした」

 

八幡「やっぱ、川崎はいいお嫁さんになるよ。川崎の旦那になる男が羨ましい」

 

沙希「そ、そうかな…(自分が旦那になるって選択肢はないのかなぁ)」

 

沙希「そうだ!お酒も少し買って来たから、飲む?」

 

八幡「いいね、飲むか」

 

~~~~~~~~~~

 

八幡「川崎は彼氏とか作らないのか?」

 

沙希「まぁね。好きなひとはいるよ」

 

八幡「おぉ。どんなヤツなんだ?川崎のハートを射止めたヤツは?」

 

沙希「優しいヤツだよ。自分を犠牲にするのを厭わない、それを誇らずに、自分だけ傷付いて…」

 

八幡「そんな聖人君子みたいなヤツ居るのかよ」

 

沙希「居るよ(目の前にね)。でも、そいつも私も不器用だから…」

 

八幡「そうか。上手くいくといいな」

 

沙希「そういう、比企谷はどうなの?」

 

八幡「俺の彼女になってくれるなんて、相当酔狂なヤツだと思うな」

 

沙希「そんなことないだろ?奉仕部の二人や生徒会長は?」

 

八幡「あれだけ罵詈雑言を吐かれたら、俺の神経がもたない」

 

沙希「ほかに好きなひとはいないの?」

 

八幡「いないことはないが、それが、好きという感情なのかわからないんだ」

 

沙希「ふ~ん。まぁ、アンタもがんばりなよ」

 

八幡「まぁ、その感情が好きってことなら、頑張ってみようかな」

 

~~~~~~~~~~~

 

八幡(ん…。何時だ?4時か。川崎は?寝てやがる…)

 

八幡(ベッドに運んでやるか)

 

八幡「よっと」

 

沙希(ん?あれ?比企谷にお姫様抱っこされてる!)

 

八幡(よし…)

 

沙希(ベッドに寝かせて…。わ、私、されちゃうのかな?)ドキドキ

 

八幡(毛布をかけて…)

 

沙希(あれ?毛布かけられた…。なんだ…。比企谷のヘタレ!)

 

八幡(川崎って、美人だよな…)ナデナデ

 

沙希(頭撫でられてる!)

 

八幡「川崎、寝てるか?」ナデナデ

 

沙希(こ、ここは寝たふりを決め込もう)

 

八幡「寝てるか」ナデナデ

 

沙希(寝たふり寝たふり…。頭撫でられてるの気持ちいい…)

 

八幡「なぁ、川崎。この感情はなんなんだ?お前と居ると、居心地がいいんだよ。雪ノ下や由比ヶ浜とは、また違う居心地の良さなんだよ。ずっと側に居たい、ずっと見つめていたい、触れてみたい、触れられたい…。友達…ではないな。この気持ちの答えが出たら、伝えさせてくれ…」

 

沙希(比企谷…)

 

八幡「やべぇな。酒が抜けてないのかな…。寝直すか」

 

~~~~~~~~~~

 

 

沙希「ごめんね、ベッド占拠しちゃって」

 

八幡「いや、俺も寝ちまったか、な。気にするな」

 

沙希「じゃあ、また飲もうな」

 

八幡「あっ、川崎…」

 

沙希「何?」

 

八幡「い、いや、なんでもない…」

 

沙希「な、なぁ、比企谷。比企谷さえ良ければ、またご飯作りに来ていいか?」

 

八幡「お、おぅ…」

 

沙希「また感想聞かせてよ」

 

八幡「昨日は不覚をとったが、男の一人暮らしに来て、無事に帰れると思うなよ」

 

沙希「なんだって?私に勝てるのかい?」ギロッ

 

八幡「嘘です。ごめんなさい」

 

沙希「冗談だよ。こんなに楽しく話が出来るのは、比企谷だけなんだ。だから、また…な」ニコッ

 

八幡(なにこの眩しい笑顔)

 

八幡「ま、またな」

 

~~~~~~~~~~~

 

後日 居酒屋

 

八幡「乾杯!」

雪ノ下「乾杯!」

由比ヶ浜「乾杯!」

一色「乾杯!」

 

由比ヶ浜「みんなで飲むと楽しいね」

 

八幡「そうか?俺は一人でも十分楽しい」

 

一色「折角、可愛い女性たちが居るのに、なんですかそれは」プンプン

 

雪ノ下「一色さん、彼にそういうのを求めても無駄よ。そうでしょ、一人谷君」

 

八幡「まあな(川崎とサシで飲むとは言わないでおこう)」

 

由比ヶ浜「ねぇねぇ、ゆきのん、いろはちゃん…」

 

八幡(女三人で話始めちゃったよ。俺、いらなくない?まぁ、俺は空気になってれば…)

 

由比ヶ浜「…ヒッキーはどうおもう?」

 

八幡「ふぁ?俺?すまん、聞いてなかった」

 

雪ノ下「何をしてたの難聴谷君」

 

一色「ちゃんと聞いててくださいよ」

 

八幡「はぁ、すまん」

 

由比ヶ浜「それでね…」

 

八幡(どうやって、話に入れっていうんだよ…。トイレに逃げるか)

 

八幡「よっと」

 

由比ヶ浜「ヒッキー、どこ行くの?」

 

八幡「ちょっと花摘みに」

 

由比ヶ浜「ヒッキー、言い方がキモイ!」

 

一色「先輩、キモイです」

 

雪ノ下「その言い方はやめなさい、キモ谷君」

 

八幡「へいへい」

 

~~~~~~~~~~~

 

八幡(あれ?あのポニーテールは…)

 

八幡「よう」

 

沙希「比企谷。よく会うね。今日も一人?」

 

八幡「誠に遺憾ながら、一人ではない」

 

沙希「何、その言い方」クスッ

 

八幡「いつもの奉仕部+1だよ」クスッ

 

沙希「戻らなくていいの?」

 

八幡「戻っても、女子トークだし、精神削られるからなぁ」

 

沙希「相変わらずだね」クスッ

 

~~~~~~~~~~

 

由比ヶ浜「ヒッキー遅いね」

 

雪ノ下「そ、そうね…」

 

一色「あそこで話してるの先輩じゃないですか?」

 

由比ヶ浜「本当だ。しかも、すごい笑顔だよ」

 

雪ノ下「あんな笑顔、見たことないわ」

 

一色「話相手は…。川崎先輩ですかね?」

 

由比ヶ浜「さきさきも、すごい笑顔だよ」

 

雪ノ下「まさか、あの二人…、付き合ってるとか…」

 

一色「事情聴取が必要ですね」

 

雪ノ下「そうね」

 

由比ヶ浜「じゃあ、連れてくるね」

 

由比ヶ浜「ヒッキー!」

 

八幡「どうした?由比ヶ浜。今、話をしてる最中だから」

 

由比ヶ浜「さきさき!やっはろー!」

 

沙希「さきさき言うな」

 

由比ヶ浜「戻って飲もうよ」

 

八幡「またな、川崎」

 

由比ヶ浜「さきさきも一緒にどう?」

 

沙希「いいの?」

 

由比ヶ浜「もちろんだよ」

 

沙希「じゃあ、お邪魔するよ」

 

八幡「川崎連れていくから、先に戻っていてくれ」

 

由比ヶ浜「わかった」

 

~~~~~~~~~

 

八幡「たで~ま」

 

一色「先輩、遅い~」

 

沙希「お邪魔するよ」

 

雪ノ下「いらっしゃい、川崎さん」

 

八幡「ほら、ここ座れよ」

 

沙希「ん、ありがと」

 

由比ヶ浜(隣に座らせた…)ムゥ

 

八幡「どうした?由比ヶ浜」

 

一色「川崎先輩って、先輩と仲がいいんですかぁ?」

 

八幡「まぁ…」

 

一色「先輩には聞いてません。川崎先輩に聞いているんです」キッ!

 

八幡「さいですか」

 

一色「どうなんですか?川崎先輩」

 

沙希「たまに居酒屋で一緒になって、飲むことはあるかな。生徒会長が考えてる仲ではないよ」

 

一色「うっ!」

 

沙希「あっ、この前、ご飯を作りに行ったかな」

 

雪ノ下「どういうことかしら、男の一人暮らしに女性を無理矢理連れ込んで、いかがわしいことを」

 

八幡「待て、雪ノ下さん。まず携帯をしまってくれ」

 

由比ヶ浜「ヒッキー!キモイ!」

 

八幡「由比ヶ浜さん、キモいことないからね」

 

一色「先輩、変態ですね」

 

八幡「一色さん、違うから」

 

沙希「あはははっ!」

 

八幡「川崎?」

 

沙希「アンタたち、面白いね」

 

八幡「面白くねぇよ。俺は変質者認定されてるんだぞ」

 

沙希「ごめんごめん。アンタたちが心配するようなことはないよ。だって、比企谷だよ。アンタたちは比企谷と二人っきりの時に何かされたのかい?」

 

雪ノ下「そ、そういうわけでは…」

 

由比ヶ浜「な、なにもない…。むしろヒッキーなら…」

 

一色「先輩、ヘタレですもんね」

 

八幡「紳士と言ってくれ」

 

沙希「まぁ、ヘタレなんだけどね」

 

八幡「川崎、俺を弁護しながら落とすのやめてくれ」

 

沙希「酔って寝てる私に何もしなかったぐらいだからね。それとも、私に魅力がなかった?」

 

八幡「み、魅力はある。だが、俺は紳士だからな。紳士過ぎて、部屋の外に居たまである」

 

由比ヶ浜「外に出ちゃうんだ」

 

雪ノ下「川崎さん、何故このヘタレ谷君の部屋にご飯を作りに行ったのかしら」

 

沙希「あぁ、小町と話をしてたら、利害が一致したんだよ」

 

由比ヶ浜「利害が一致?」

 

沙希「小町は友達と遊びたい、私は家族以外の料理の評価を聞きたかったんだ」

 

一色「なるほど…。先輩、私も料理の評価してほしいです」

 

八幡「断る!」

 

由比ヶ浜「ヒッキー!私も!」

 

八幡「俺は死にたくない」

 

由比ヶ浜「ヒッキー、ヒドイ!キモイ!」

 

八幡「キモイ関係ないからね」

 

雪ノ下「川崎さんだけ良くて、私たちはダメなんて言わないわよね」ジロリッ

 

沙希「あはは。比企谷の負けだな」

 

八幡「川崎が余計なこと言うからだよ」

 

一色「ちなみに、川崎先輩は何を作ったんですか?」

 

沙希「肉じゃが」

 

雪ノ下「(男を落とす)鉄板メニューね」

 

八幡「鉄板だからこそ、違いがでるんだよ」

 

由比ヶ浜「さきさきの肉じゃが、美味しそう」

 

八幡「すげぇ、旨かったぞ」

 

沙希「じゃあ、今度持って行くよ」

 

八幡「作ってくれるんじゃなくてか?」

 

沙希「肉じゃがの真価は冷めてから問われるんだよ」

 

雪ノ下「川崎さん、私がじゃが谷君に届けるから、大丈夫よ」

 

一色「いえいえ、私が先輩に届けるので」

 

由比ヶ浜「わ、私も」

 

八幡「俺を殺す気か」

 

沙希「みんなで持ち寄って食べるのはどうかな?」

 

雪ノ下「受けて立つわ」

 

八幡「雪ノ下さん、勝負ではないですよ」

 

由比ヶ浜「じゃあ、次の週末にヒッキーん家で」

 

八幡「なんで俺ん家?」

 

一色「いいですね」

 

沙希「ふふっ。比企谷は酒でも買っておいて」

 

八幡「俺の意見はないのですね。知ってましたけど…」

 

~~~~~~~~~~

 

週末 八幡の部屋

 

一同「かんぱ~い!」

 

八幡「おぉ、美味しそうだな」

 

雪ノ下「では、私のから」

 

八幡「では…」モグモグ

 

八幡「相変わらず、うまいな。金を取れるレベルだ」

 

雪ノ下「当然ね」フフーン

 

一色「じゃあ、次は私です」

 

八幡「見た目、ちょっと違うなぁ」モグモグ

 

一色「はい」

 

八幡「洋風かぁ。このアレンジは面白いし旨いな」

 

一色「なんですか口説いてるんですか彼女にして料理作らせたいとか考えがあさいですごめんない」

 

八幡「はいはい」

 

由比ヶ浜「ヒッキー!次は私…」

 

八幡「さて、帰るか…」

 

由比ヶ浜「ここヒッキーの家だし」

 

八幡「わかったよ…」パクッ

 

八幡「…」

 

由比ヶ浜「ヒッキー?」

 

八幡「うまい…だと…」

 

由比ヶ浜「本当!」

 

八幡「…家庭的な旨さだな」

 

由比ヶ浜「えへへ」

 

八幡「ガハママに手伝ってもらったな?」

 

由比ヶ浜「だって、一人で作ろうとしたら、ママが…」(これでヒッキー君の胃袋とハートをつかみなさいとが言うんだモン)

 

沙希「最後は私だね」

 

八幡「まぁ、川崎のは食べたことあるしな…」モグモグ

 

沙希「どうだい?」

 

八幡「さめたことで味が落ち着いて、更に旨くなるとは…」

 

~~~~~~~~~~

 

雪ノ下「で、誰の肉じゃがが一番美味しかったのかしら?」

 

八幡「え?優劣決めるの?」

 

一色「そうです。私のが美味しかったですよね」

 

八幡「いや、みんなで美味しく食べませんか?」

 

由比ヶ浜「誰のが美味しかったの!」

 

八幡「由比ヶ浜はガハママの手助けがあったからなぁ」

 

沙希「あははっ!大変だね」

 

八幡「他人事かよ…」

 

雪ノ下「比企谷君」

 

八幡「なんだよ」

 

雪ノ下「貴方、プリ○ュア好きよね?」

 

八幡「ニチアサの番組は好きだぞ」

 

雪ノ下「親戚の子供にキュア○ェアリーチェに声が似てると言われたのだけど」

 

八幡「肉じゃが関係ないけど、…似てるな」

 

八幡(川崎がポニテからツインテールにした…。立ち上がった)

 

沙希「爪弾くは荒ぶる調べ!キュアメ○ディー!」キメッ

 

八幡「川崎…」

 

沙希「何?」

 

八幡「パーフェクト!」

 

由比ヶ浜「ヒッキー!方言しゃべる娘って、可愛と思わない?」

 

八幡「まあな」

 

由比ヶ浜「いっちょんわからん」

 

八幡「急に後輩属性出すな。プチデビルかよ」

 

一色「先輩!語尾に特徴ある娘って萌えますよね?」

 

八幡「それなりに」

 

一色「結衣先輩!ダメだぞ、後輩属性はいろはのモノだぞ!」

 

八幡「何なの、その語尾。お前は寄宿学校の生徒なの?」

 

~~~~~~~~~~~

 

数時間後

 

プシュ

 

八幡(みんな、好き放題言って寝ちまったよ。起きて記憶があれば、黒歴史に悶えるだろうな)グビグビ

 

沙希「比企谷?」

 

八幡「川崎、起こしちまったか?」

 

沙希「なんとなく、眠りが浅かったからね。私も付き合うよ。隣いい?」

 

八幡「おぅ、ほれ」

 

沙希「ありがと」プシュ

 

八幡「改めて」

 

八幡「乾杯」

沙希「乾杯」

 

八幡「川崎があんなこと言うから、こうなったんだぞ」

 

沙希「え?プ○キュア?」

 

八幡「最高に良かったけど、そこじゃない。肉じゃが作りに来た話だよ」

 

沙希「ごめんて」

 

八幡「精神ゴリゴリ削られる、俺の身にもなってくれ」

 

沙希「…みんな、比企谷のことが好きなんだよ…。ちょっとだけ、優越感に浸りたくてね」

 

八幡「こんな俺のどこがいいんだか…」

 

沙希「比企谷だからいいんだよ。比企谷じやなきゃダメなんだよ」

 

八幡「川崎…、お前…」

 

沙希「わ、私も比企谷のこと好きだよ…」

 

八幡「ありがとう。そうやって、言葉にしてくれたのはお前が初めてだよ」

 

沙希「ひ、比企谷。私じゃダメかな…」テギュ

 

八幡(川崎の顔が近づいてくる…。目を瞑ってる…。まつ毛長いなぁ…)

 

沙希(ひ、比企谷って、カッコイイよなぁ…。キスしちゃうのかなぁ…)

 

八幡「…」

沙希「…」

 

一色「うぅん…。しぇんぱ~い…」スヤスヤ

 

八幡ビクッ

沙希ビクッ

 

八幡「お、俺、外でタバコ吸ってくるわ」

 

沙希「わ、私は寝ようかなぁ…」

 

~~~~~~~~~~~~

 

翌朝

 

雪ノ下「おはよう、比企谷君。目が腐ってる上にクマがヒドイわよ」

 

八幡「お前らが好き勝手寝てるから、俺が寝れなかったんだよ」

 

一色「先輩、大きな声出さないでください。頭が痛いんですから」

 

由比ヶ浜「いろはちゃん、大丈夫?」

 

沙希「しじみの味噌汁作ったから、みんな飲んで」

 

八幡「さすが、川崎。オカンだな」

 

沙希「だ、誰がオカンだよ」

 

八幡「ごめんない。拳を下ろしてください」

 

沙希「…まったく」チラッ

 

八幡「…」チラッ

 

雪ノ下「ねぇ、比企谷君」

 

八幡「ひゃい!」

 

雪ノ下「川崎さんに変なことしてないでしょうね?」

 

八幡「ば、馬っ鹿。俺はヘタレだぞ。手を出さないどころか、外に逃げるまである」

 

由比ヶ浜「ねぇ、いろはちゃん」ヒソヒソ

 

一色「なにかあったっぽいですね」ヒソヒソ

 

~~~~~~~~~~

 

翌週 土曜日

 

ピンポーン

 

八幡「は~い」

 

沙希「よぅ」

 

八幡「川崎か。どうした?」

 

沙希「ご飯作りに来た」

 

八幡「また小町に頼まれたのか?」

 

沙希「ううん、これは私の意思。比企谷には私の気持ちを伝えたから、彼氏になってもらう為のアピール」

 

八幡「まぁ、玄関先で話すのもなんだから、中に入れよ」

 

沙希「今日は何も買ってきてないから、買い物行こう」

 

八幡「えぇ…」

 

沙希「わかった。小町に報告する」

 

八幡「よし!すぐ行くぞ」

 

沙希「はぁ…」

 

~~~~~~~~~

 

スーパー

 

八幡「川崎さん?」

 

沙希「何?」

 

八幡「俺の腕を解放してもらえませんかね?」

 

沙希「イヤ!」ギュ

 

八幡(近い!いい匂い!柔らかい!)

 

沙希「比企谷は何が食べたい?」

 

八幡「カレー」

 

沙希「はいよ」

 

通りすがりのおばさん「男前の旦那さんだね。しっかり捕まえときな」

 

沙希「はい」

 

八幡「…おい///」

 

沙希「否定するの面倒だろ」ギュウ

 

八幡「お、おい…」

 

沙希「しっかり捕まえないとね」

 

八幡(胃袋は鷲掴みされてます)

 

~~~~~~~~~~

 

八幡の部屋

 

八幡「カレー最高!」ガツガツ

 

沙希「そんなに慌てなくても、いっぱい作ったから」

 

八幡「何が違うんだ?」

 

沙希「それは秘密。私が作る意味がなくなっちゃうから」

 

八幡「この味を覚えてしまったら、普通のカレーじゃ満足出来なくなっちまう」

 

沙希「私と結婚したら、教えてあげるよ」

 

八幡「ゲホッ」

 

沙希「大丈夫かい?」

 

八幡「冗談だろ?」

 

沙希「半分くらいは本気かな…///」

 

八幡「…///」

 

沙希「比企谷…私、アンタのこと好きだよ…///」

 

八幡「それはこの前、聞いた…///」

 

沙希「アンタはどうなの?」

 

八幡「好意を真っ直ぐぶつけられることがなかったから、戸惑っていた…」

 

沙希「ご、ごめん」

 

八幡「でも、川崎は美人だしスタイルはいいし料理も上手で家族思い…。何より、一緒に居てすげぇ安心する」

 

沙希「…うん///」

 

八幡「さっきの買い物だって、すげぇ楽しかった…。この気持ちが好きってことなのか、正直よくわかってなかった」

 

沙希「うん」

 

八幡「でも、今わかったよ。俺は川崎のことが好きだ…。俺と付き合ってくれないか」

 

沙希「そんなの、いいに決まってるじゃないか」

 

八幡「なかなか、はっきり出来なくて、悪かったな」

 

沙希「時間かかっても、比企谷が好きって言ってくれたから、それでいい…///」

 

八幡「そうか///」

 

沙希「ねぇ、隣行ってもいい?」

 

八幡「あぁ」

 

沙希「えいっ!」ギュウ

 

八幡「お前、大胆だな」

 

沙希「…沙希」

 

八幡「え?」

 

沙希「お前じゃなくて、沙希って呼んでよ…///」

 

八幡「…さ、沙希///」

 

沙希「何?…は、八幡」

 

八幡「うっ!破壊力が…///」

 

沙希「…ねぇ、八幡」

 

八幡「なんだ?」

 

沙希「この前、出来なかったから、してよ」

 

八幡「何を?」

 

沙希「…キス」

 

八幡「ぐはっ!」

 

沙希「イヤ?」

 

八幡「そういう訳では…///」

 

沙希「じゃあ…」

 

八幡(沙希が目を閉じてこっちを向いてる…。美人だよな…///)

 

チュ

 

沙希「…おデコではないか」

 

八幡「どこの魔王だよ」

 

沙希「日和ったな?」

 

八幡「仕方ないだろ。こんなシチュエーション初めてなんだから」

 

沙希「じゃあ、もう一回チャンスあげる」

 

八幡「…がんばります」

 

沙希「ん」

 

チュ

 

八幡「こ、これでいいか?」

 

沙希「ふふっ」

 

八幡「なんで、そんなに余裕なんだよ」

 

沙希「私だって初めてなんだから、余裕ないよ。心臓がバクバクだよ。触ってみる?」

 

八幡(やられっぱなしは癪だから。…。えいっ!) プニッ

 

沙希「あっ…」

 

八幡(うわぁ、柔かい)フニフニ

 

沙希「あんっ…。八幡…///」

 

八幡「うわぁ、すまん」

 

沙希「もっとしても、いいよ…///」

 

八幡「もう少し、段階を踏んでから…」

 

沙希「じゃあ、いっぱいデートして///」

 

八幡「ちくしょう!可愛い!断れない!」

 

沙希「か、可愛い…///」

 

~~~~~~~~~~

 

翌週末

道端

 

一色(先輩、私がご飯作りに行ったら喜んでくれるかな♪)

 

一色・由比ヶ浜(あっ!)

 

由比ヶ浜「い、いろはちゃん、どこ行くのかなぁ…」

 

一色「結衣先輩こそ、どちらへ…」

 

由比ヶ浜「わ、私はヒッキーの所へ…」

 

一色「い、いやぁ、奇遇ですね。私もです…」

 

由比ヶ浜「あはは」

 

一色「あはは」

 

由比ヶ浜「…一緒に行こうか」

 

一色「…はい」

 

~~~~~~~~~~

 

八幡の部屋の前

 

由比ヶ浜「あ!ゆきのん!」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん!しぃー!」

 

一色「雪ノ下先輩、どうしたんですか?」ヒソヒソ

 

雪ノ下「中から笑い声がするの」ヒソヒソ

 

由比ヶ浜「本当だ。誰か居るのかな?」ヒソヒソ

 

一色「先輩ですよ」ヒソヒソ

 

雪ノ下「友達が出来なくて、ついに…」ヒソヒソ

 

由比ヶ浜「とりあえず、呼び鈴押してみようよ」ヒソヒソ

 

~~~~~~~~~~

 

八幡の部屋の中

 

八幡「あははははっ!沙希、やめろって」

 

沙希「アンタが一人前に肩がこったなんて言うから、揉んであげてるんだろ」

 

八幡「お前、くすぐってるだけだろ、あははははっ!」

 

ピンポーン

 

八幡「ほら、誰か来たから、やめろって」

 

沙希「アンタのことだから、どうせAm○zonでしょ?」

 

八幡「いや、何も頼んでないな」

 

沙希「じぁ、小町?」

 

八幡「小町は鍵渡してある」

 

ピンポーン

 

沙希「え?浮気?」ジトー

 

八幡「俺は沙希一筋だぞ」

 

沙希「じゃあ、私が出てくる」

 

八幡「宅配だったら、呼んでくれ」

 

ガチャ

 

沙希「は~い、どちら様ですか?」

 

雪ノ下「…」

由比ヶ浜「…」

一色「…」

沙希「…」

 

八幡「沙希?」

 

雪ノ下「…沙希?」

 

由比ヶ浜「名前呼び…」

 

一色「あわわわっ」

 

沙希「…え~と、い、いらっしゃい」

 

八幡「お前ら、どうしたんだ?」

 

雪ノ下「それを聞きたいのはこっちよ」プルプル

 

八幡「雪ノ下さん?携帯電話をしまってください…」

 

由比ヶ浜「ヒッキー、さきさきを名前呼びとか、キモイ!」

 

八幡「キモくないから」

 

一色「先輩、見損ないました」

 

八幡「どこをだよ」

 

沙希「アンタ、しっかりツッコむね。まぁ、そういうところなんだろうな」

 

八幡「何がだ?」

 

沙希「まぁ、後で話すよ。とりあえず、上がってもらおう」

 

雪ノ下(もう嫁気取りなのかしら)

由比ヶ浜(さきさきが相手かぁ)

一色(川崎先輩…、ちょっとこわいかも)

 

~~~~~~~~~~~

 

雪ノ下「説明してもらおうかしら」

 

八幡「説明も何も…。川崎と付き合い始めたんだけど…」

 

由比ヶ浜「やっぱり…」

 

雪ノ下「川崎さん、この男に脅されてたりしているのなら、言ってちょうだい」

 

由比ヶ浜「ヒッキー、そんなことしてるの!マジキモイ!」

 

一色「先輩、そうなんですか?」

 

八幡「いや、そんなことしてないからね」

 

沙希「はぁ…。なるほどね。八幡、ちょっとお酒買ってきて」

 

八幡「なんで、今…」

 

沙希「頼むよ」ウインク

 

八幡「わかったよ…///」

 

ガチャ バタン

 

沙希「え~とさ、三人とも八幡のこと好きなんだよね」

 

雪ノ下「わ、私は別に…」

 

由比ヶ浜「…え、え~と」

 

一色「だって、先輩ですし…」

 

沙希「その、はっきりしない態度と、さっきみたいな罵詈雑言だよ。子供じゃないんだから」

 

雪ノ下「そ、それは、つい…」

 

沙希「私が聞いてても、気分が良くないんだから、本人は相当だろうね」

 

由比ヶ浜「うぅ…」

 

沙希「でもね、それをアイツはたのしそうに話すんだよ。好きな人の話じゃなくて仲の良い友達の話だったよ」

 

一色「…そうだったんですね」

 

沙希「私は前から、アイツのことが好きだったよ。アイツだって、アンタらに『もしかしたら』と思っていたと思う。それに反して、さっきみたいな言動だからね。だから…」

 

雪ノ下「川崎さん、わかったわ。私の大好きな比企谷君をよろしくね」

 

沙希「雪ノ下…」

 

雪ノ下「でも、隙があったら…ふふふ」

 

由比ヶ浜「わ、私だって、ヒッキーのこと好きだもん。だから…」

 

一色「先輩は私の憧れです。だから…」

 

沙希「アンタたち…。はぁ、気が抜けないね」フフッ

 

ガチャ バタン

 

八幡「買って来たぞ」

 

沙希「じゃあ、飲もうか」

 

雪ノ下「そうね」

 

由比ヶ浜「飲もう!」

 

一色「先輩のオゴリですよね」

 

八幡「お前ら…」

 

沙希「今日はそうしてあげなよ」

 

八幡「わかったよ」

 

~~~~~~~~~~

 

八幡「アイツら帰ったら、静かになったな」

 

沙希「ねぇ」

 

八幡「なんだ?」

 

沙希「あの三人の気持ちもわかってあげてね」

 

八幡「あぁ。その上で、俺は沙希を選んだんだ。沙希となら、本物になれるって思ったんだ」

 

沙希「私、責任重大だね」

 

八幡「そう、堅苦しく考えるなよ。俺は沙希と居たい。沙希も俺と居たい。今はそれだけでいいよ」

 

沙希「うん。…八幡」

 

八幡「なんだ?」

 

沙希「私、すっごい幸せ」

 

八幡「俺もだよ、沙希」

 

~~~~~~~~~~~~

 

某日

デート中

 

沙希「私、こういう服、似合うかな?」

 

八幡「沙希はスタイルいいから、もう少し体のラインが出る服の方がいいかな」

 

沙希「スケベ///」

 

八幡「なっ!マジメに答えたのに…」

 

沙希「でも、八幡がいいっていうなら、着てみようかな…///」

 

八幡「お、おう…///」

 

沙希「じゃあ、こっちのは?」

 

八幡「この可愛い系は沙希じゃなくて、けーちゃんだな」

 

沙希「もう、自分の妹のつもり?」(ん?なんだろ?)

 

八幡「沙希?」

 

沙希「なんでもないよ」

 

~~~~~~~~~~

 

レストラン

 

八幡「これ旨いぞ」

 

沙希「こっちも当たり」

 

八幡「小町にも食わしてやりたい」

 

沙希「出たシスコン」

 

八幡「お前だって、ブラコンたろ。大志は元気なのか?」

 

沙希「仕事キツイって言いながら、がんばってるよ」(なんだろう、この違和感…)

 

八幡「沙希?どうした?」

 

沙希「なんでもないよ」

 

~~~~~~~~~~~

 

帰り道

 

八幡「今日は家、来ないのか?」

 

沙希「一番下が明日お弁当だから、支度しないと」

 

八幡「相変わらずだな」

 

沙希「ごめんね」

 

八幡「家族思いなのも、沙希の良いところだよ。今の八幡的にポイント高い」

 

沙希「なにその、ポイント制。小町も言ってたけど」

 

八幡「俺のは小町のマネだ」

 

沙希「小町は、私のこと、もう『お姉ちゃん』って言ってるからね」

 

八幡「まぁ、このまま順調に行けば…け、け、結婚…///」

 

沙希「そ、そうだね…///」

 

八幡「ま、まだ気が早いかな…///」

 

沙希「…///」

 

~~~~~~~~~~~

 

川崎家前

 

沙希「送ってくれて、ありがとう」

 

八幡「おぅ、またな。愛してるよ、沙希」

 

沙希「…バカ///」

 

八幡「バカって…」

 

沙希「私だって、愛してる。八幡」

 

~~~~~~~~~~~~~

 

沙希の部屋

 

沙希(八幡と結婚かぁ…///)

 

沙希「えへへ…///」

 

沙希(でも、何かひっかかる…。なんだろう…。不安…。八幡…、こわいよ…)

 

~~~~~~~~~~~

 

数ヶ月後

週末 夜

 

比企谷宅前

 

八幡「大志…。なにやってんだ、お前」

 

大志「お兄さん!いやぁ、比企谷さんが、飲んで寝ちゃって…」

 

八幡「よし、大志。警察行こうか」

 

大志「勘弁してほしいっす」

 

八幡「たまに帰ってきたら…。大志、代わるぞ」

 

大志「ありがとうございます、お兄さん」

 

八幡「あ~、大志、時間あるか?」

 

大志「明日、休みなんで大丈夫っす」

 

八幡「一杯、付き合え」

 

大志「了解っす」

 

八幡「あと、ボリューム抑えてね」

 

~~~~~~~~~~~

 

比企谷君 リビング

 

八幡「ふぅ、小町も大きくなったな」

 

大志「お兄さん、お疲れ様っす」

 

八幡「おう」

 

大志「それと…」

 

八幡「なんだ?」

 

大志「『お兄さん』って言っても怒らないんですね」

 

八幡「まぁ、そういうことだ」

 

大志「小町さんとの交際を…」

 

八幡「そっちじゃねぇ!」

 

大志「冗談っす!拳をおろしてほしいっす」

 

八幡「お前な…」

 

大志「姉ちゃんとって、ことですよね?」

 

八幡「あぁ。まだ誰にも言ってない。もちろん、小町にも」

 

大志「そんな大事なことを…」

 

八幡「なんでだろうな。自分を追い込むっていうのもあるし。…俺も弟が出来るのが嬉しいのかもな」

 

大志「俺も兄が出来るのは楽しみっす。京華は姉ちゃんに『はーちゃんをお兄ちゃんで呼びたい』って、言ってますからね」

 

八幡「そうか。まだ誰にも言うなよ」

 

大志「わかったっす」

 

八幡「お前も少しは頼れるようになったな」

 

~~~~~~~~~~~~

 

数週間後の週末

 

八幡の部屋

 

八幡「よし!今日はプロポーズするぞ。身だしなみ…、よし!指輪…よし!行くぞ!」

 

~~~~~~~~~~~

 

数時間後

とある公園

 

沙希「楽しかったぁ♪」

 

八幡「たまには、シーの方もいいな」

 

沙希「今日も色々ありがとうね」

 

八幡「な、なぁ、沙希」

 

沙希「ん?なに?」

 

八幡「お、俺と…、け、結婚してくれないか」

 

沙希(なに?今までにない、この胸のモヤモヤは…)

 

八幡「沙希のことは、もちろん大好きだ、愛してる」

 

沙希「う、うん」

 

八幡「それに、新しい弟や妹が出来るのも、すげぇ楽しみなんだ」

 

沙希「あっ…(胸のモヤモヤはこれなんだ)」ボロボロボロ

 

八幡「沙希?」

 

沙希「ごめ…んなさい。わ、私、結婚出来ない」タッタッタッ

 

八幡「さ、沙希~!」

 

八幡「あれ?沙希…、泣いてた…。俺が一人で盛り上がってただけなのか…ははは」

 

~~~~~~~~~~

 

比企谷家

 

八幡「たで~ま」

 

小町「あっ!お兄ちゃん!おかえりって、久しぶりに目が腐ってるよ。大丈夫?」

 

八幡「ん、大丈夫だ。ちょっと部屋に行って、すぐ出るから」

 

小町「うん、わかった(沙希さんと何かあったのかな?)」

 

八幡(あった。沙希の写真…。文化祭の時に撮った…)

 

八幡「じゃあな、小町」

 

小町「お兄ちゃん…あの…」

 

八幡「すぐ戻るから、その時にな」

 

小町「どこ行くの?」

 

八幡「学校…。心配すんなよ」

 

バタン

 

~~~~~~~~~~~

 

川崎家

 

沙希(思わず逃げてきちゃった…。八幡、ごめんね)

 

沙希「ただいま」

 

京華「おかえり。お姉ちゃん、目が真っ赤だよ、はーちゃんとケンカでもしたの?」

 

沙希「大丈夫、違うよ。ちょっと部屋で休むから」

 

京華「うん、わかった」

 

京華(う~ん、あからさまにおかしい…。お兄ちゃんに聞いてみよう)

 

京華「お兄ちゃん」

 

大志「どうした?」

 

京華「お姉ちゃんが目を真っ赤にして帰ってきた」

 

大志「え?ご機嫌で帰ってきたんじゃないの!」

 

京華「お兄ちゃん、何か知ってるの?」

 

大志「実は、お兄さんが、近々プロポーズするって言ってたから…」

 

京華「…。わかった」

 

コンコン

 

京華「お姉ちゃん、ちょっと来て」

 

沙希「少し一人にして」

 

京華「ダメ!早く居間にきて!」

 

沙希「なに?けーちゃん」

 

京華「お姉ちゃん、正座」

 

沙希「う、うん」

 

京華「お姉ちゃん、はーちゃんにプロポーズされたでしょ?」

 

沙希「!!!何故そのことを…」

 

京華「で、断ったんだね?」

 

沙希「う、うん」

 

京華「はぁ~。これだから、ゴミねぇちゃんは」ヤレヤレ

 

沙希「けーちゃん、どうしたの?その言い方」

 

大志「比企谷さん、ソックリ…」

 

京華「どうせ、私達のことが心配で断ったんでしょ?」

 

沙希「だって、アンタたちにまだ手がかかるし…」

 

京華「お姉ちゃん、私も怒るよ。そんなに、私やお兄ちゃんが頼りない?」

 

沙希「そうじゃないけど…」

 

京華「私達の為に、一生懸命がんばってくれてたんだから、お姉ちゃん幸せになってよ」

 

大志「そうだよ。この前、お兄さんに頼れるようになったて言われたんだよ」

 

沙希「で、でも…」

 

京華「じゃあ、はーちゃんは私の旦那さんになってもらう」

 

沙希「だ、ダメ!」

 

京華「じゃあ、どうするの?」

 

沙希「少し待って貰う…」

 

大志「そんなことしてたら、お兄さんとられちゃうよ」

 

沙希(雪ノ下「でも、隙が、あった、…ふふふ」)

 

沙希「嫌だ!八幡は私の大事な人だ!誰にも渡さない!」

 

京華「だったら」

 

沙希「わかった」

 

ppppp

『おかけになった電話は…』

 

沙希「どうしよう、繋がらない…」

 

大志「比企谷さんに聞いてみよう」

 

ppppp

小町『もしもし』

 

大志「比企谷さん?大志っす」

 

小町『もしかしたらと思ったけど…』

 

大志「お兄さん、どこへ行ったか知らないっすか?」

 

小町『何があったの?』

 

大志「実は、姉ちゃんがお兄さんのプロポーズを断って…」

 

小町『えぇ!…そっかぁ、それでお兄ちゃん…』

 

大志「でも、姉ちゃんにも事情があって…。今、京華と二人でお説教して…。お兄さんと話がしたいんですけど、電話が繋がらなくて…」

 

小町『大志君、沙希さんと変わって』

 

沙希「もしもし」

 

小町『沙希さん、お兄ちゃんの目がまた腐っちゃいました。どうしてくれるんですか!』

 

沙希「ごめんない。でも…」

 

小町『お兄ちゃんの目を元に戻せるのは、沙希さんだけです。どうか愚兄をよろしくお願いします』

 

沙希「わかった」

 

小町『兄は学校へ行くと行ってました。がんばってください、お姉ちゃん』

 

沙希「ありがとう、小町」

 

p

 

沙希「行ってくる」

 

京華「ちゃんと、謝ってね」

 

大志「お兄さんなら、きっと大丈夫だよ」

 

バタン

 

prrrrr

 

沙希(何!この忙しい時に!)

 

沙希「もしもし」

 

雪ノ下『川崎さん?』

 

沙希「雪ノ下…」

 

雪ノ下『さっき、比企谷君を見かけたのだけど…』

 

沙希「えっ?」

 

雪ノ下『私が貰っていいということなのかしら?』

 

沙希「ダメ!絶対ダメ!八幡は誰にも渡さない!」

 

雪ノ下『そう、なら急いでね』

 

沙希「雪ノ下…」

 

雪ノ下『何かしら』

 

沙希「ありがとう」

 

p

 

雪ノ下(私も甘いわね)

 

~~~~~~~~~~~~

 

総武高

 

ガラガラ

 

沙希「失礼します」

 

平塚「川崎か、珍しいな」

 

沙希「平塚先生、あの…八…。比企谷が来なかったですか?」

 

平塚「さっき来て、校内歩いてくると、久しぶりに腐った目をしてたな」

 

沙希「ありがとうございます。私も校内見ていいですか?」

 

平塚「無論、構わん」

 

沙希「ありがとうございます」

 

平塚「川崎」

 

沙希「はい」

 

平塚「いい目をしている。比企谷のこと、頼むぞ」

 

沙希「はい!」

 

~~~~~~~~~~~

 

階段付近

 

八幡(この辺だったかな)

 

八幡(この写真、我ながらよく撮れてるなぁ。この頃から、沙希は美人だよなぁ)

 

八幡(また黒歴史が増えちまったな)

 

八幡「愛してるぜ」

 

八幡(な~に言ってるんだか)

 

沙希「八幡!私も愛してるよ」

 

八幡「沙希…。どうして…」

 

ダキツキ

 

沙希「ごめんね、ごめんね」

 

八幡「俺の方こそ、すまなかった。一人よがりで」

 

沙希「違うの!違うの!私も八幡と結婚したい!」

 

八幡「沙希…」

 

沙希「私ね、家族が一番大事だったの。それが八幡が一番になって…

。でも、プロポーズされた時に弟や妹の顔が浮かんで、あの子達を置いて結婚出来ないと思ったら…」

 

八幡「そうか…」

 

沙希「家に帰ったら、大志と京華に説教された」

 

八幡「ふふっ」

 

沙希「なんで笑うのよ」

 

八幡「俺は小町によく説教されたけど、沙希が説教されてる姿を想像したら…クククッ」

 

沙希「笑わないでよ」

 

八幡「後で大志とけーちゃんに聞こう」

 

沙希「ねぇ。途中で雪ノ下に会った?」

 

八幡「あぁ、会った。いきなり『変質者の目ね』って言っていなくなった」

 

沙希「雪ノ下からも、電話があったんだ」

 

八幡「へっ?」

 

沙希「『比企谷君はもらってもいいの?』って」

 

八幡「あの時、普通に接しられたら、ヤバかったかも…」

 

沙希「雪ノ下って、いいヤツだね」

 

八幡「そうか?」

 

沙希「だって、八幡を奪い取るチャンスを…」

 

八幡「…そうだな」

 

沙希「ねぇ、虫がいいのは重々承知してるんだけどね…。私を八幡のお嫁さんにして」

 

八幡「本当だよ。俺の黒歴史を増やして」

 

沙希「ごめんない」

 

八幡「でも、俺は沙希のことを、愛してるって再確認出来た」

 

沙希「私も八幡のことを、すっごく愛してるのが、改めてわかった」

 

八幡「沙希、俺にはお前しかいない。俺と結婚してくれ」

 

沙希「はい。末永くよろしくお願いします」

 

八幡「そうだ!指輪!」ペラッ

 

沙希「あっ!この写真!」

 

八幡「実家にしまっておいたんだ。誰だか知らないけど、美人だよな、目がこわいけど」

 

沙希「一言余計。でも、ずっと持っててくれたんだね」

 

八幡「あぁ。ほら、手を出して」

 

沙希「ん。ピッタリ」

 

八幡「よし、帰るか」

 

沙希「はい」

 

~~~~~~~~~~

 

職員室

 

ガラガラ

 

八幡「平塚先生、帰りますよ」

 

平塚「川崎、比企谷をしっかり捕まえておけよ」

 

沙希「はい、絶対に離しません」ギュ

 

平塚「ははっ、手なんか繋いで…。ん、その指輪は…」

 

八幡「沙希…。川崎と結婚します」

 

平塚「ぐはっ!」

 

沙希「平塚先生、大丈夫ですか?」

 

平塚「大丈夫じゃない…」

 

八幡「沙希、逃げるぞ」

 

沙希「えっ?」

 

平塚「待て!比企谷!」

 

ガラガラ ピシャ

 

沙希「八幡、どうしたの?」

 

八幡「妖怪イキオクレに呪われる」

 

沙希「呪われたら、どうなるの?」

 

八幡「俺が貰われちゃう」

 

沙希「それはダメ!」

 

八幡「早急に防御アイテムを買わなくては」

 

沙希「じゃあ、次の休みに八幡の指輪、見に行こう」

 

八幡「わかった。これからどうする?俺としては、小町に報告したいんだが」

 

沙希「うっ、小町にも説教されそう…」

 

八幡「俺が一緒に居るから平気だろ」

 

沙希「そのあと、私ん家ね。両親居ると思うから」

 

八幡「それも、ハードル高いな」

 

沙希「私が居るから、大丈夫でしょ。それに、兄弟達はみんな味方だから」

 

八幡「じゃあ、そうするか」

 

~~~~~~~~~~~

 

比企谷家

 

八幡「ただいま」

 

沙希「お邪魔します」

 

小町「おかえり~。沙希さん!」

 

沙希「はい…」

 

八幡「あ~、小町。話は後だ。カマクラをリビングから出してくれないか」

 

小町「大丈夫だよ。沙希さん来ると思って、かーくんは私の部屋だよ」

 

八幡「さすが、小町」

 

小町「そういうことなんで、遠慮なくどうぞ」

 

沙希「どうしよう…。小町がとてつもなく恐いよう…」

 

八幡「俺も居るから大丈夫だ」

 

~~~~~~~~~~

 

リビング

 

八幡「なんで、お前らがいるんだよ」

 

大志「お邪魔してるっす」

 

京華「はーちゃん、おかえり」

 

沙希「大志、京華…」

 

大志「姉ちゃんだけじゃ心細いだろ?」

 

京華「さーちゃんは口下手だから」

 

沙希「アンタたち…」

 

八幡「いい弟妹だな」

 

沙希「うん」グスン

 

八幡「うちの妹だって負けないぞ」

 

沙希「シスコン」

 

八幡「ブラコン&シスコン」

 

小町「はいはい、お茶いれたから座ってゴミぃちゃんとゴミねぇちゃん」

 

八幡「はい」

 

沙希「すいません」

 

小町「沙希さん」

 

沙希「はい」

 

小町「事情は聞きましたので、今回は不問にします」

 

沙希「はい」

 

小町「こんなひねくれた、ど~しようもない愚兄ですが、よろしくお願いします」ペコリ

 

沙希「こちらこそ、よろしくお願いします」ペコリ

 

八幡「小町ちゃん、さらっとディスらないでくれるかなぁ」

 

京華「今度、なにかあったら、はーちゃんは私がもらうからね」

 

大志「じゃあ、小町さんは…」

 

八幡「大志、それ以上言ってみろ」

 

沙希「八幡、大志になんかしてみろ。どうなるか…」

 

八幡「ふん!命拾いしたな、大志」

 

京華「まったく、この二人は…」

 

小町「困ったモンですね、これから弟・妹が増えるのに」

 

………

……

 

八幡「じゃあ、小町。今日は帰るな」

 

小町「お父さんとお母さんには言っておくよ」

 

八幡「頼む。沙希連れて、また来るから」

 

京華「あ!さーちゃん、今日は帰ってこなくていいから」

 

沙希「アンタ、なに言ってるの」

 

大志「父ちゃんと母ちゃんには言っておくから」

 

京華「ちゃんと、お義兄さんと仲直りしてね」

 

八幡「お、お義兄さん」

 

京華「さーちゃんのこと、よろしくお願いしますね、お義兄さん」

 

八幡「任せておけ」

 

~~~~~~~~~~~~

 

八幡の部屋

 

沙希「ちゃんと、連れて行くから心配しないで…確かに色々あったけど…もうしないから大丈夫だよ…じゃあ、今夜は帰らないけど…変なこと言わないでよ…おやすみ」

p

 

八幡「ご両親はなんだって?」

 

沙希「相手の気が変わらないうちに連れてこいって」

 

八幡「あと、変なことって?」

 

沙希「早く孫が見たいって…///」

 

八幡「そ、そうか…///」

 

沙希「私も八幡の子供、早く欲しい…///」

 

八幡「ま、まずは結婚だろ」

 

沙希「そうだね」

 

八幡「なぁ、両親へ挨拶する時に同棲の許可をもらおうと思ってるんだが、どうかな?」

 

沙希「あの感じなら、まず大丈夫でしょ」

 

八幡「部屋探しもしないとな」

 

沙希「そうだね」

 

八幡「やることいっぱいだな」

 

沙希「うん、でも楽しみ」

 

八幡「俺もだよ」

 

沙希「私を選んでくれて、ありがとう」

 

八幡「俺の方こそ、ありがとうだよ」

 

八幡「愛してるぜ、沙希」

 

沙希「私も、愛してるよ、八幡」

 

 

終わり

 

 

 

 



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城廻めぐり編

城廻めぐり編2019/2/8加筆


総武高

廊下

 

めぐり「比企谷く~ん」

 

八幡「城廻先生…。学校なんで、一応『先生』と…」

 

めぐり「ごめんね」テヘッ

 

八幡(舌を出して。一色がやるとあざといのに、この人がやると可愛いなぁ)

 

めぐり「それで、生徒会なんだけど…」

 

八幡「まぁ、俺で良ければ…」

 

八幡(城廻先輩と話すと癒されるなぁ)

 

女子生徒A「比企谷先生、また勉強教えてくださいね」

 

八幡「おう」

 

女子生徒B「比企谷先生と城廻先生って、仲いいですよね?」

 

めぐり「二人とも総武高の卒業生で歳も近いから」

 

女子生徒A「付き合ってるんですか?」

 

八幡「いやいや、ないぞ。城廻先生と付き合ったら、光栄だけど校内の男を全員敵にまわすことになるからね」

 

めぐり「私だって、女子達を敵にしたくないよぅ」

 

女子学生B「女子は、二人の仲を応援しようって雰囲気ですよ」

 

めぐり「あははっ♪」

 

八幡「あははって、城廻先生…」

 

めぐり「比企谷先生はね、シャイだから、私に告白してくれないんだよぅ」

 

女子生徒A「比企谷先生、ちゃんと告白しなきゃ」

 

八幡「いやいや、しないからね」

 

めぐり「比企谷君は、私のこと嫌いなの?」

 

八幡「嫌いではないです」

 

女子生徒B「はっきりしないなぁ」

 

めぐり「ふふふっ♪」

 

八幡「俺のこと、からかってますよね?」

 

めぐり「どうかな?」

 

八幡「勘弁してください」

 

???「チッ」

 

八幡(視線を感じた気がしたが…。ボッチスキルが低下しているな)

 

~~~~~~~~~~

 

放課後

 

八幡(ん?あそこに居るのは城廻先輩と…不良共だな。なんで総武高に合格出来たんだ?ああ、由比ヶ浜も合格出来るんだった)

 

八幡(でも、勉強教えてもらうって雰囲気ではなさそうだな…。つけるか)

 

~~~~~~~~~~~

 

体育館裏

 

八幡(ベタな場所だな)

 

八幡(証拠保存の為にスマホで録画っと…)

 

不良A「城廻先生、比企谷と仲良しみたいじゃない」

 

めぐり「そんなことないよぉ。私は仲良くしたいのに比企谷君がツレないんだぁ。あ、ちゃんと先生って呼ばないとダメだよぅ」

 

八幡(はい、安定のめぐりフィールド展開中)

 

不良B「そんなこと言いながら、毎晩よろしくやってんじゃねぇのか」

 

めぐり「う~ん、毎晩はないけど、たまに飲みに行くかなぁ」

 

八幡(アゴに人差し指つけて話す感じ…。可愛いよなぁ。一色がやるとあざといんだけどな)

 

不良C「とぼけてんじなゃねぇよ。毎晩やってるんだろ、S○X」

 

めぐり「せ、せせせせS○X!そんなこと、したことないよ!ひ、比企谷君なら、いいかなぁ…///」

 

八幡(顔赤くしながら、何言ってるの!)

 

不良A「やってねぇなら、俺達の相手をしてもらおうか!」ガシッ

 

めぐり「きゃ!」

 

八幡(傍観もここまでだな)

 

八幡「お~い、その辺でやめておけ」

 

めぐり「比企谷く~ん」

 

不良B「比企谷!なにしに来た!」

 

八幡「城廻先輩を助けに来た」

 

不良C「てめぇみたいなヒョロいヤツには無理だよ」

 

八幡「それはどうかな?」

 

不良A「てめぇ!」パンチ

 

八幡「遅い」ヨケッ

 

八幡「それと、城廻先生。俺とはそういう関係はないし、好きでもなんでもないって言ってくれないと」

 

めぐり「でも、私は比企谷君のこと大好きだよ」

 

八幡「へっ?」

 

めぐり「お付き合いしたいと思ってるけど…///」

 

八幡「何故?」

 

不良B「何いちゃついてるんだよ!」パンチ

 

八幡「危なっ!」ヨケッ

 

めぐり「君たちもうるさいよ!今、比企谷君と話をしてるの!」プンブン

 

八幡「いや、怒った顔も可愛いんですが、今の状況は…」

 

めぐり「か、可愛い…///」

 

八幡「あ、今のは言葉のあやというか…」

 

めぐり「じゃあ、私は可愛くないの?」シュン

 

八幡「そんなことないです!すごい、可愛いです!なあ、お前ら」

 

不良達「「「可愛いです…///」」」

 

めぐり「じゃあ、なんでお付き合いしてくれないの!」

 

八幡「それは、お互いことをまだ知らないというか…。なぁ」

 

不良C「俺達に聞かないでください」

 

不良A「なんか、興醒め」

 

不良B「帰りま~す」

 

八幡「お、お前ら…」

 

不良C「お幸せに~」

 

めぐり「気をつけて帰るんだよ~」

 

八幡「じゃあ、俺も…」

 

めぐり「比企谷君!」

 

八幡「はひっ!」

 

めぐり「私の気持ちはわかったよね…///」モジモジ

 

八幡(カワエェ)

 

めぐり「比企谷君は、私のこと…どう思っているのかな?」

 

八幡「可愛い先輩…ですかね」

 

めぐり「じゃあ、お付き合いしてくれるの?」

 

八幡「それとこれとは別の話で…。お互いをよく知らないというか…」

 

めぐり「じゃあ、デートしよう」

 

八幡「はい?」

 

めぐり「今『はい』って、言ったね。じゃあ、次の日曜日ね」

 

八幡「今のは肯定の『はい』ではなくて…」

 

めぐり「ダメかなぁ」ウルウル

 

八幡「慎んでデートさせていただきます」

 

めぐり「じゃあ、日曜日ね」ニコニコ

 

八幡(すげぇ、まぶしい笑顔)

 

~~~~~~~~~~

 

日曜日

駅前

 

八幡(待ち合わせの30分前。まだ来てない。待ち合わせで女性を待たせたら、小町にお説教をされてしまう)

 

めぐり「比企谷く~ん、お待たせ」フリフリ

 

八幡「待ってないですよ」

 

めぐり「でも30分も前だよ」

 

八幡「女性を待たせたくないので」

 

めぐり「やっぱり、優しいね」ニコッ

 

八幡(笑顔が俺の腐った心を浄化していく…)

 

八幡「それで、城廻先輩は…」

 

めぐり「めぐり!」

 

八幡「はい?」

 

めぐり「めぐり!!」

 

八幡「城廻さん」

 

めぐり「めぐり!!!」

 

八幡「…めぐりさん」

 

めぐり「う~ん、それで許してあげる♪」

 

八幡「はぁ、どうも」

 

めぐり「八幡って、呼びにくいから、…ハチ君」

 

八幡「じゃあ、めぐちゃん」

 

めぐり「それでもいいよ」

 

八幡「めぐりさんで勘弁してください」

 

めぐり「仕方ないなぁ。いつか、そう呼んでね♪」

 

八幡「…善処します」

 

めぐり「どこ行こうか?」

 

八幡「すいません、デートとかしたことないので…」

 

めぐり「奉仕部の二人や一色さんとしたんじゃないの?」

 

八幡「あれはデートと呼べるかどうか…」

 

めぐり「大学時代とかは?」

 

八幡「戸塚となら」

 

めぐり「戸塚…君。男の子だよね?」

 

八幡「じゃあ、やっぱりないですね」

 

めぐり「じゃあ、私が初デートだね」

 

八幡「そうなんですかね?」

 

めぐり「嬉しいな♪」

 

八幡「映画とかどうですか?」

 

めぐり「いいね」

 

八幡「城廻せ…」

 

めぐり「めぐり」

 

八幡「めぐりさんは、どんな映画がいいですか?」

 

めぐり「ホラーはイヤかな。寝れなくなっちゃうから」

 

八幡「可愛いですね。じゃあ、ホラーで」

 

めぐり「ハチ君のイジワル!」ポカポカ

 

八幡「あははっ、ごめんない」

 

めぐり「私が眠れるまで、一緒に居てくれる?」ウルウル

 

八幡「べ、別の映画にしましょう」

 

めぐり「恋愛モノがいいかな」ギュ

 

八幡「め、めぐりさん。腕…」

 

めぐり「ダメ…かな?」

 

八幡(可愛い!いい匂い!柔らかい!)

 

八幡「…いいですよ」

 

めぐり「嬉しい♪」ギュ

 

~~~~~~~~~~~

 

映画鑑賞後

 

めぐり「二人が結ばれてよかったぁ」グスン

 

八幡「そうですね」

(俺の涙腺までやられそうだった)

 

八幡「お昼にしましょうか」

 

めぐり「あ、そうだね」グスン

 

八幡「駅の近くにイタリアンの店があったの見たので、そこでいいですか?」

 

めぐり「私も気になってたんだ。同じ店が気になるなんて、なんか嬉しい♪」ギュ

 

八幡(や、柔らかいモノがが当たってるぅ…)

 

~~~~~~~~~

 

レストラン

 

めぐり「う~ん…」

 

八幡(メニューで迷っているめぐりさんも可愛い)

 

めぐり「ハチ君は決まったの?」

 

八幡「まぁ、だいたい。城め…、めぐりさんは?」

 

めぐり「これとこれ、どっちがいいかなぁ」

 

八幡「すいませ~ん」

 

店員「お決まりですか?」

 

八幡「これとこれ、それとこのサラダを。あとパスタをシェアしたいんで、取り皿を2枚」

 

店員「かしこまりました」

 

めぐり「ハチ君、いいの?」

 

八幡「俺が食べたいのも、そのあたりでしたから」

 

めぐり「ハチ君は、やっぱり優しいね…///」

 

八幡「そんなことないですよ」

 

めぐり「私はね…、そんなハチ君の優しさを独り占めしたいんだ…///」

 

八幡「めぐりさん…」

 

めぐり「わ、私、欲張りかなぁ…」

 

八幡「恋愛なんて、そんなモンじゃないですか。俺にその価値があるかは別として」

 

めぐり「ハチ君!!」

 

八幡「ひゃい!」

 

めぐり「ごめんなさい、多きな声を、出して…」

 

八幡「いえ…」

 

めぐり「ハチ君は、自分を過小評価しすぎだよ…。それに、自分を犠牲にしようとしたり…」

 

八幡「はぁ…」

 

めぐり「決めた!ハチ君がそういうことしないように、私が監視します!」

 

八幡「監視しなくても、大丈夫ですよ。しませんから」

 

めぐり「ダ~メ♪」

 

八幡「お、お手柔らかお願いします」

 

店員「お待たせしました」

 

めぐり「うわぁ♪美味しそう♪取り分けてあげるね♪」

 

八幡「ありがとうございます」

 

~~~~~~~~~

 

食事後

 

めぐり「美味しかったね」

 

八幡「初めて入った店ですけど、当たりでしたね」

 

めぐり「また来ようね」ウインク

 

八幡「はい…///」(破壊力ハンパねぇ)

 

めぐり「次はどこに行こうかなぁ」

 

八幡「ショッピングモールでも行きますか?」

 

めぐり「いいねぇ」

 

~~~~~~~~~~~

 

ショッピングモール

 

めぐり「じゃあ、ハチ君に服を選んでもらおうかな」

 

八幡「いやぁ、俺のセンスは壊滅的ですよ」

 

めぐり「ハチ君に選んでもらおうかな欲しいんだ…。ダメ?」ウルウル

 

八幡「がんばります…///」

 

~~~~~~~~~

 

八幡(これ、めぐりさんに似合いそうだな…)

 

めぐり「ハチく~ん」

 

八幡「はい、今行きます」

 

~~~~~~~~~

 

帰り道

 

めぐり「楽しかったぁ~♪ハチ君はどうだった?」

 

八幡「ずっとドキドキしてました。でも、楽しかったです」

 

めぐり「ちょっと強引に誘ったから心配だったんだ…」

 

八幡「めぐりさんにデートに誘ってもらえるなんて、男冥利につきますよ」

 

めぐり「よかった」

 

八幡「俺を誘ってくれた、めぐりさんにお礼です」

 

めぐり「これは…。開けてみてもいい?」

 

八幡「どうぞ」

 

めぐり「髪止め…。可愛い」

 

八幡「めぐりさんに似合いそうだと思って…///」

 

めぐり「ありがとう」ダキツキ

 

八幡「は、恥ずかしいです…///」

 

めぐり「そうだ、ハチ君。耳貸して」

 

八幡「はい」カガミ

 

チュ

 

八幡(頬が熱いぃぃぃぃ)

 

めぐり「何も買ってなかったから、今日はこれで許して」テヘッ

 

八幡「…」

 

めぐり「ハチ君?」

 

八幡「天にも昇る気持ちって、こういうことなんですね…///」

 

~~~~~~~~~

 

数日後

総武高 職員室

 

女子生徒「城廻先生、その髪止め可愛い」

 

めぐり「そう?」

 

女子生徒「すごく似合ってます」

 

めぐり「そう言ってもらえると、嬉しいな。大好きな人からの初めてのプレゼントだから」

 

八幡「ゲホッゲホッ」

 

平塚「比~企~谷~!」

 

八幡「な、なんですか?」

 

平塚「少し話をしようじゃないか」ゴゴゴゴ

 

女子生徒「平塚先生、どうしたんですかね?」

 

めぐり「さぁ、なんだろうね」ニコニコ

 

~~~~~~~~~~

 

数日後

 

めぐり「比企谷先生」

 

八幡「どうしました?」

 

めぐり「二人しか居ないね」キョロキョロ

 

八幡「ですね」

 

めぐり「髪止めのお礼に、ハチ君にご飯をご馳走したいな」

 

八幡「あんな物程度で、ご飯奢ってもらうなんて、悪いですよ」

 

めぐり「奢る?違うよ。私が作ってあげるの」

 

八幡「へ?」

 

めぐり「週末はハチ君の家に行くね」

 

八幡「余計に悪いですよ。それに、俺は一人暮らしですよ」

 

めぐり「ちょうど良かった。あんまり自炊してないんでしょ?」

 

八幡「いやいやいや。俺も男ですから、二人っきりになったら、なにするかわからないですよ」

 

めぐり「ハチ君は、そんな事する男の子じゃないから、大丈夫だよ

。それに、ハチ君だったらいいよ…///」

 

八幡「え?」

 

めぐり「とにかく!ハチ君の家に行くから」

 

八幡「はい…」

 

~~~~~~~~~~

 

週末

八幡の部屋

 

めぐり「ハチ君、カレー出来たよ」

 

八幡「うまそうですね」

 

めぐり「たくさん作ったから、2日分はあるかな」

 

八幡「ありがとうございます。では…」

 

八幡「いただきます」

めぐり「いただきます」

 

八幡「うん、旨いです」

 

めぐり「良かった。ハチ君に喜んでもらえて」

 

~~~~~~~~~~~

 

食後

 

八幡「ごちそうさまでした」

 

めぐり「お粗末さまでした」

 

八幡「コーヒー飲みますか?」

 

めぐり「ありがとう」

 

八幡「どうぞ」

 

めぐり「ハチ君…」

 

八幡「なんです?」

 

めぐり「これ、この前のお返し」

 

八幡「開けてもいいですか?」

 

めぐり「うん」

 

八幡「ブックカバー…。オシャレですね。ありがとうございます、使わせてもらいます」

 

めぐり「それでね…、こういう強引のやめにするね…」

 

八幡「めぐりさん?」

 

めぐり「自分の気持ちを伝えたら、止まられなくなっちゃって、ハチ君の気持ちを全然考えてなかったよ…。だから…」グスン

 

八幡「あ~、めぐりさん。俺のどこがよかったんですか?」

 

めぐり「高校の頃にね、文化祭や体育祭を一緒に盛り上げてくれた、ひねくれてるけど優しい後輩…。ちょっと可愛くてちょっと格好良くて、ちょっと好きかなって思ってるうちに卒業しちゃって、もう会えないと思っていたら、急に目の前に現れて…。それも、格好よくたくましくなってたから、大好きになっちゃったの…。でも、私が一人で盛り上がっちゃってて、迷惑かけちゃったみたいで…」

 

八幡「めぐりさん、俺はめぐりさんのこと、あの…、その…。言いたいことはいっぱいあるけど、今の話を聞いたら、頭の中が整理出来なくなりました。…好きです!俺と付き合ってください」

 

めぐり「…え?」

 

八幡「え?もしかして、俺の勘違いでしたか?」

 

めぐり「…」ポロポロポロ

 

八幡「うわ~!泣かないでください!なかったことにしてください!」

 

めぐり「違うよ、まさか好きって言ってもらえると思わなくて…。嬉しくて…」

 

八幡「すいません、こういうのに慣れてなくて…。どうすればいいのか…」

 

めぐり「ハチ君…、抱きしめて…」

 

八幡「はい…」ギュウ

 

めぐり「嬉しい…」

 

八幡「そうだ!めぐりさん、後ろ向いて目を閉じてください」

 

めぐり「ん?いいけど」クルッ

 

八幡「…はい、目を開けてください」

 

めぐり「このネックレスは…」

 

八幡「今日、告白しようと思っていて、…その、付き合えたら記念にと渡そうと思って買いました」

 

めぐり「ハチ君…」

 

八幡「はい」

 

めぐり「ズルイ!」

 

八幡「はいっ?」

 

めぐり「こんなことされたら、余計に好きになっちゃうよ」

 

八幡「あはは」

 

めぐり「あははじゃないよ!私もハチ君にお返しがしたい」

 

八幡「めぐりさんが一緒に居てくれるだけで十分ですよ。こんなプレゼントはないです」

 

めぐり「も~」

 

八幡「めぐりさん」

 

めぐり「なに?」

 

八幡「また、ご飯作ってください」

 

めぐり「もちろんだよ」

 

八幡「その時は、買い物も一緒に行ってください」

 

めぐり「うん」

 

八幡「次は、俺からデートに誘います」

 

めぐり「待ってるね」

 

八幡「めぐりさん、大好きです」

 

めぐり「私もハチ君のこと、大好き」

 

チュ

 

ガチャ

 

小町「お兄ちゃ~ん!可愛い妹が、ご飯を…。お邪魔しました…」

 

八幡「小町!待ってくれ、説明するから!」

 

 

~~~~~~~~~~~

 

八幡「小町、改めて紹介する。今日からお付き合いすることになった、城廻めぐりさんだ。めぐりさん、妹の小町です」

 

小町「前に言ってた、いろはさんの前任の生徒会長さん?」

 

めぐり「そうだよ。小町ちゃん、よろしくね~」

 

小町(こ、この癒しオーラは…。しかも、あざとくないだと…)

 

めぐり「?」

 

八幡「どうした?」

 

小町「お兄ちゃんの目が浄化されるわけだ…」

 

八幡「まぁ、めぐりさんの近くに居ればな」

 

小町「こんな愚兄ですが、末永くよろしくお願い…、あ~!」

 

八幡「急にデカイ声を出すなよ」

 

小町「めぐりさん、そのネックレスは新品にみえるのですが…」

 

めぐり「ついさっき、ハチ君に貰ったの…///」

 

小町「お兄ちゃんが女性にプレゼントなんて…。小町、嬉しいけどお兄ちゃんが遠くへ…」ヨヨヨ

 

八幡「小町さ~ん、寸劇いらないからね」

 

めぐり「可愛い妹さんだね」

 

八幡「はい。自慢の妹です」

 

小町「いつごろから、『義姉ちゃん』と呼べばいいですか?」

 

めぐり「う~ん、私は今からでもいいと思うんだけど…」

 

八幡「早い早い…」

 

小町「これだから、ゴミぃちゃんは」ヤレヤレ

 

~~~~~~~~~~

 

翌週金曜日

総武高

 

女子生徒「城廻先生って、比企谷先生と付き合ってるんですか?」

 

めぐり「そ、そんなことないよぉ」

 

女子生徒「バレバレですね」

 

めぐり「…///」

 

女子生徒「その前、仲良さそうに、買い物してましたよね」

 

めぐり「見られちゃった?」

 

女子生徒「はい、バッチリ」

 

めぐり「ひ、比企谷先生は照れ屋だから、言っちゃダメだよ」

 

女子生徒「結構、バレてますけど…」

 

めぐり「えっ!」

 

女子生徒「私以外にも目撃者いましたし…」

 

めぐり「大丈夫かなぁ…」

 

~~~~~~~~~~

 

別の場所

 

女子生徒「隠さなくてもいいじゃないですか」

 

八幡「だから、違うって。人違いだから」

 

女子生徒「写真撮ったって人もいましたよ」

 

八幡「マジか…」

 

女子生徒「マジです」

 

~~~~~~~~~~

 

数時間後

体育館裏

 

不良A「やっぱり、比企谷と仲良くやってたんじゃねぇか」

 

めぐり「そ、そんな…。付き合い始めたばっかりで…」モジモジ

 

不良B「今日は俺たちの相手をしてもらおうか!」ガシッ

 

めぐり「イヤ!離して!」

 

不良C「離すかよ!」ビリビリ

 

めぐり「イヤ~~!!」

 

不良A「騒ぐな!」

 

めぐり「ムグムグ~!」

 

不良B「さぁ、お楽しみの時間だ」

 

めぐり(イヤ!ハチ君、助けて…)

 

八幡「てめぇら、何やってんだ」

 

不良C「チッ!比企谷」

 

八幡「何をやってるんだと聞いている!」

 

不良A「城廻先生と仲良くするんだよ」

 

八幡「…出すな」

 

不良B「何だって?」

 

八幡「俺のめぐりに手を出すなと言ってるんだよ!」

 

不良達ビクッ

 

めぐり「ハチ君…」グスン

 

八幡「めぐり、ちょっと待っててくれ」

 

八幡「てめぇら…」ジリッ

 

不良C「ヒッ!」

 

八幡「覚悟は出来てるんだろうな…」ジリッ

 

不良A「お前、教師だろ!生徒に手を出したら…」

 

八幡「だからなんだ…」

 

不良B「え?」

 

八幡「教師の前に俺は男だ。自分の彼女に手を出されて怒らないなんて、男じゃねぇ!」

 

不良C「ヒッ!」

 

八幡「覚悟しやがれ…」

 

めぐり「ハチ君、ダメだよ…」

 

不良A「てめぇみたいな、ヒョロいヤツに負けるかよ!」ボコッ

 

八幡「てっ…。殴ったな…。これで正当防衛だ…」

 

不良B「効いてない…だと…」

 

めぐり「ハチ君、ダメだよ…」

 

八幡「平塚先生直伝・抹殺のぉ…」

 

めぐり「ハチ君!ダメェ!」

 

平塚「そこまでだ、比企谷」ガシッ

 

八幡「平塚先生…」

 

平塚「落ち着きたまえ」

 

八幡「しかし…」

 

平塚「こいつらの処分は私がやろう。君は城廻についていてやれ」

 

八幡「わかりました。お願いします」

 

平塚「お前ら、行くぞ」

 

不良C「比企谷なんかに…」

 

平塚「お前らは比企谷をみくびっているようだが、柔道部の顧問は知ってるな」

 

不良A「あの熊か」

 

平塚「比企谷は勝っている」

 

八幡「まぐれですよ」

 

平塚「まぐれで10連勝するな。慰めるのが大変だったぞ」

 

不良C「えぇ…」

 

平塚「あと、お前らを注意した時にロッカーを壊したことがあるな」

 

不良A「あれはビビったな」

 

平塚「比企谷の打撃は、あれより上だ」

 

不良B「マジで…」

 

平塚「本当だ」

 

不良C「ひぇぇ」

 

平塚「私が止めてなかったら…」

 

不良A「…」

 

平塚「比企谷、城廻を頼むぞ」

 

八幡「はい」

 

平塚「ではな」

 

~~~~~~~~~~~~

 

八幡「めぐりさん、大丈夫ですか」

 

めぐり「バカ!ハチ君のバカ!」

 

八幡「へ?」

 

めぐり「先生クビになったらどうするの!」

 

八幡「そ、それは…」

 

めぐり「せっかく出会えたのに、せっかく一緒に働いているのに…」

 

八幡「すいません…」

 

めぐり「バカァ」ダキツキ

 

八幡「すいません…」

 

めぐり「でも…」

 

八幡「でも?」

 

めぐり「格好よかった…///」

 

八幡「へ?」

 

めぐり「『俺のめぐりに手を出すな』…///」

 

八幡「あぁ、呼び捨てして、すいません」

 

めぐり「『俺のめぐり』…///」

 

八幡「勘弁してください」

 

~~~~~~~~~

 

八幡の部屋

 

めぐり「ほら、ちょっと腫れてるよ」

 

八幡「これくらい大丈夫ですよ」

 

めぐり「もう、無茶したらダメだよ」

 

八幡「はい…」

 

めぐり「そうだね」

 

めぐり「ねぇ、ハチ君…」

 

八幡「なんですか?」

 

めぐり「私をハチ君のモノにして」

 

八幡「そ、それは…」

 

めぐり「…」ギュウ

 

八幡「そういうことですよね…」

 

めぐり「…うん」

 

チュウ

 

~~~~~~~~~~

 

朝方

 

八幡(ん…。めぐりさんの寝顔…。可愛い…)

 

めぐり「…ハチ君?」

 

八幡「おはようございます、めぐりさん」

 

めぐり「おはよう…。えへへ」ギュウ

 

八幡「どうしたんですか?」

 

めぐり「ハチ君が『めぐり』って、いっぱい呼んでくれたから…///」

 

八幡「めぐりさんだって『八幡』て呼んでくれたじゃないですか」

 

めぐり「なんか、恥ずかしいけど嬉しい」

 

八幡「俺もです」

 

ピンポーン

 

めぐり「ハチ君、出ないの?」

 

八幡「来客の予定もAmaz○nも来る予定がないので、無視です」

 

ピンポーン

 

めぐり「ハチ君?」

 

八幡「出たくないです。めぐりさんと、こうしてます」ギュウ

 

めぐり「えへへ」

 

ピンポピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン

 

八幡「恐いよ、あと怖い」

 

めぐり「出てあげたら?」

 

八幡「わかりました。すぐ追い返しますね」

 

めぐり「うん」

 

ガチャ

 

八幡「近所迷惑になるので、やめてもら…。人違いです」

 

陽乃「ヒドイよ、比企谷君!ケガしたって聞いたから、お姉さんがお見舞いに来てあげたのに!」

 

八幡「今日は勘弁してください!マジで!」

 

陽乃「誰かいるの?」

 

八幡「それはプライベートなことなので、お答えしかねます!」

 

陽乃「誰がいるの?雪乃ちゃん?ガハマちゃん?」

 

八幡「どちらもいませんから、お引き取りを」

 

陽乃「じゃあ、お姉さんが看病してあげるから♪」

 

めぐり「ハチ君、誰が来たの?」ヒョコ

 

八幡「あぁぁぁ…」

 

陽乃「え?めぐり?…しかも、Yシャツって…。え?ハチ君て…」

 

めぐり「あ!ハルさん!おはようございます♪」

 

陽乃「お、おはよう…。比企谷君、めぐりを脅して何をしているのかな?…すぐ警察に」

 

八幡「携帯しまってください!姉妹で似たような対応しないでください!」

 

めぐり「ハルさん、ハチ君はそんなことしないですよぉ」

 

陽乃「…比企谷君、悪いんだけど、お水一杯貰える?」

 

八幡「ここでは、あれなんで、散らかってますが、中へ」

 

陽乃「ありがとう…。それと、めぐりはちゃんと服着なさい」

 

めぐり「えぇ、ハチ君の匂いがするのにぃ」クンクン

 

八幡「においを嗅がないでください」

 

めぐり「ハチ君、何か貸して」

 

八幡「ベッド下に新品のスエットがあるので」

 

めぐり「ハチ君の匂いしないじゃん」

 

八幡「ワガママ言わないでください」

 

陽乃「目眩が…」クラァ

 

八幡「雪ノ下さん!!」

 

~~~~~~~~~~

 

陽乃「で、説明してもらいましょうか」

 

八幡「え~とですね、先週に俺から告白して付き合うようになって、昨日色々ありまして、めぐりさんが泊まりました」

 

陽乃「じゃあ、今朝は二人でむかえる初めての朝…」

 

めぐり「そうなんですよぉ」

 

陽乃「静ちゃんが『行くな』って言った意味がわかったわ」

 

八幡「雪ノ下さん、雪ノ下には落ち着いたら、伝えますので、内密に…」

 

陽乃「わたかったわ」

 

八幡「助かります」

 

陽乃「比企谷君、めぐりを泣かせたら、承知しないからね」

 

八幡「はい」

 

~~~~~~~~~~

 

数日後

居酒屋

 

八幡「乾杯!」

雪ノ下「乾杯!」

由比ヶ浜「乾杯!」

 

八幡「悪いな、急に呼び出して」

 

由比ヶ浜「大丈夫だよ」

 

雪ノ下「今日はどうしたの?」

 

八幡「二人に報告があるんだが…。彼女が出来た」

 

雪ノ下「そう。今回はどんなゲームなのかしら」

 

八幡「ゲームじゃねぇし」

 

由比ヶ浜「ヒッキー、幻覚が見えるようになっちゃったんだね」ヨヨヨ

 

八幡「リアルだからね」

 

雪ノ下「そ、そういうなら、連れて来なさい」

 

由比ヶ浜「そ、そうだよヒッキー」

 

八幡「今から来る予定だ」

 

めぐり「久しぶり~♪」

 

雪ノ下「城廻先輩、どうしたんですか?」

 

由比ヶ浜「一緒に飲みますか?」

 

めぐり「うん、ありがと~」

 

雪ノ下「城廻先輩。何故、比企谷君の横に座るんですか?そんな男の横は危険ですよ」

 

めぐり「そんなことないよ~」

 

由比ヶ浜「城廻先輩、くっつき過ぎですよ」

 

めぐり「ハチ君と居る時は、こんな感じだよ」

 

雪ノ下「ハチ君?」

 

めぐり「八幡だから、ハチ君だよ」

 

由比ヶ浜「…ヒッキー?」

八幡「改めて紹介するよ。俺がお付き合いしている、めぐりさんだ」

 

雪ノ下「比企谷君、城廻先輩の弱みを握って脅しているのね。すぐに警察に…」

 

八幡「携帯しまってください!姉妹で同じ反応しないで」

 

由比ヶ浜「ヒッキー、脅してるとかマジキモイ!」

 

八幡「脅してないし、キモくないからね」

 

めぐり「そうだよ。ハチ君はカッコいいんだから。この前も…」

 

八幡「めぐりさん、その話はやめてください」

 

雪ノ下「ちょっと待って比企谷君。姉妹で同じ反応って…」

 

八幡「雪ノ下さんが、俺の部屋に突撃してきたんだよ。俺の口から説明したいからって、黙っててもらった」

 

めぐり「ハルさんたら、いいところで来るんだから…///」

 

八幡「めぐりさん、その話も恥ずかしいからやめてください」

 

由比ヶ浜「ゆきのん…」

 

雪ノ下「私達の負けね…。城廻先輩、彼のことをよろしくお願いします」

 

めぐり「うん!任せて!」

 

雪ノ下「それと、途中で2ヶ所ほど聞きたいことが…」

 

八幡「やめてください」

 

由比ヶ浜「ヒッキーは黙ってて」

 

八幡「はい…」

 

めぐり「付き合い始めたばかりの時にね、生徒に乱暴されそうになったんだよ」

 

雪ノ下「総武高に、そんな生徒がいるのね」

 

八幡「まぁ、由比ヶ浜が合格するぐらいだからな」

 

由比ヶ浜「ヒッキー!ヒドイ!マジキモイ!」

 

八幡「キモイ関係ねぇし」

 

めぐり「そしたらね、ハチ君が助けに来てくれたの」

 

由比ヶ浜「ヒッキー、やるね」

 

めぐり「そしてね『俺のめぐりに手を出すな!』って」

 

雪ノ下「う、羨ましい…」ボソッ

 

八幡「めぐりさん、恥ずかしいから…///」

 

めぐり「生徒を殴ろうとしたら、平塚先生が止めに来てくれたんだ」

 

八幡「平塚先生のお陰でクビにならずにすんだよ」

 

由比ヶ浜「ヒッキーも、怒るんだね」

 

八幡「怒るというか、キレたのかな。大人げなかった」

 

めぐり「反省してね」

 

八幡「…はい」

 

めぐり「その日ね、ハチ君がケガをしちゃったから、ハチ君ん家に初めてお泊まりしたんだけどね」

 

雪ノ下「お、お泊まり…」

 

めぐり「朝、ハルさんに邪魔されちゃったんだよ」

 

八幡「あの人、なんで俺ん家知ってたんだ?」

 

由比ヶ浜「あはは」

 

めぐり「でも、ハルさん帰る時、グッタリしてたけど、どうしてかなぁ?」

 

雪ノ下「な、なんとなく理由はわかるわ」

 

 

~~~~~~~~~~~

 

帰り道

 

めぐり「楽しかったね♪」

 

八幡「恥ずかしかったです…」

 

めぐり「二人とも、ハチ君のこと見直してたね」

 

八幡「昔のヘタレ具合をしってますからね」

 

めぐり「ねぇ、ハチ君」

 

八幡「なんです?」

 

めぐり「ハチ君は、二人の気持ちに気づいてたの?」

 

八幡「そうじゃないかなぁぐらいですかね」

 

めぐり「なんで告白しなかったの?」

 

八幡「ちょっとした黒歴史がありましてね。恋愛に対して臆病になっていたんですよ 」

 

めぐり「でも、私には告白してくれたよね?」

 

八幡「めぐりさんには、どうしても想いを伝えたくなったんですよ。それだけ、好きになったんです」

 

めぐり「そう言われると、嬉しいな」

 

~~~~~~~~~~

 

数ヵ月後

 

八幡「めぐりさん、この段ボールなんでしたっけ?」

 

めぐり「それは化粧品だから、こっち」

 

八幡「は~い」

 

めぐり「ハチ君、本が多過ぎだよ」

 

八幡「これでも、厳選したんですけどね。後で本棚にしまうので、そのあたりに置いてください」

 

めぐり「今日の夕御飯は簡単なモノでいいかな?」

 

八幡「引っ越しで疲れてるから、簡単でいいですよ。最悪、ピザでもとりますか?」

 

めぐり「ダメ!もう一人暮らしじゃないんだから」

 

八幡「なんか、めぐりさんと同棲出来るなんて、ドキドキしますね」

 

めぐり「同棲なんて…」

 

八幡「そのネタ、前にやったんで結構です」

 

めぐり「前に?」

 

八幡「気にしないでください」

 

………

……

 

めぐり「やっと片付いてきたね」

 

八幡「今日から二人で暮らすんですね」

 

めぐり「なんだか楽しみだね」

 

八幡「めぐりさん」

 

めぐり「何かな?」

 

八幡「これを受け取ってもらえませんか?」

 

めぐり「この箱って、もしかして…」

 

八幡「このタイミングがベストかどうかわからないんですが…」

 

八幡「城廻めぐりさん、俺と結婚してください!」

 

めぐり「は、ハチ君…。嬉しいよ。嬉しくて涙が…」グスッ

 

めぐり「私をハチ君のお嫁さんにしてください」

 

八幡「はい、幸せになりましょうね」

 

めぐり「うん!!」

 

 

 



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海老名姫菜編

カラオケ後

 

姫菜「ヒキタニ君」

 

八幡「なんですか?」

 

姫菜「ヒキタニ君は、アニメとかは、まだ見てる?」

 

八幡「学生時代ほどは見てないですが、多少は」

 

姫菜「今度、話に付き合ってもらえるかな?今の職場に話出来る人がいなくて」

 

八幡「まぁ、俺で良ければ」

 

姫菜「じゃあ、連絡先交換しよう」

 

八幡「あぁ、いいぜ」

 

~~~~~~~~~

 

数日後

ファミレス

 

姫菜「悪いね、休日に」

 

八幡「大丈夫だ。俺も生徒にはこんな話は出来ないから」

 

姫菜「でさぁ、今期の作品は…」

………

……

 

姫菜「比企谷君はどう思う?」

 

八幡「あのキスシーンとか良かったな」

 

姫菜「あれは名シーンだよ」

 

八幡(海老名さん、楽しそうだな。生き生きしてる)

 

姫菜「今年は劇場作品も目白押しだから、楽しみだよ」

 

八幡「タイミングが合えば、一緒に行く?」

 

姫菜「いいの?」

 

八幡「観たい映画とタイミングが海老名さんと合えばね」

 

姫菜「ダン○ち?こ○すば?冴え○女?F○te?青○タ?どれがいいかな?」

 

八幡「そういえば、海老名さん、愚腐腐な話は出ないけど…」

 

姫菜「一応TPOにあわせて…」

 

八幡「聞くだけなら、聞くよ。同意を求められたり、俺が出てこなければ」

 

姫菜「じゃあ、少しだけ…」

 

………

……

 

姫菜「もう、そのカップリングが最高で」

 

八幡「うんうん」

 

………

……

 

姫菜「いやぁ、いっぱい話せた」

 

八幡「それはよかった」

 

姫菜「でも比企谷君、気持ち悪くなかった?」

 

八幡「その対象が俺でなければね。それに、気持ち悪さなら海老名さんには負けない」

 

姫菜「何それ」フフフッ

 

八幡「やっぱり海老名さんも可愛い女の子だね」

 

姫菜「え?」

 

八幡「すまん、妄言だ。忘れてくれ」

 

姫菜「そんなこと言われたら勘違いしちゃうよ…///」

 

八幡「勘違いも俺は負けん。海老名さんに告白してフラれるまである。あ、もうフラれてるか」

 

姫菜「もう!」フフフッ

 

八幡「ごめん、ごめん」

 

姫菜「でも比企谷君、奉仕部の二人や生徒会長とは特別な関係にはなってないの?」

 

八幡「あぁ、アイツらはなんていうか…。俺の中では戦友かな」

 

姫菜「そうなんだ…。じゃあ私にも…」ブツブツ

 

八幡「海老名さん?」

 

姫菜「なんでもないよ」

 

八幡「?」

 

姫菜「そろそろ解散しようか」

 

八幡「そうだな。楽しかったよ」

 

姫菜「また話聞いてね。それと映画も」

 

八幡「わかってるよ」

 

姫菜「じゃあ、またね」

 

八幡「おう、またな」

 

~~~~~~~~~~

 

週末

池袋

 

姫菜「来ましたわ~!乙女ロード!」

 

八幡「来てしまった…」

 

姫菜「ごめんね、比企谷君」

 

八幡「秋葉原にも行きたかったから、ついでですよ」

 

姫菜「ではでは、まずはアニ○イトへ」

 

八幡「愚腐腐なフロアの時は、別行動で…」

 

姫菜「了解」

 

~~~~~~~~

 

アニメ○ト店内

 

八幡(しばし海老名さんとは別行動)

 

八幡(いい声カレンダー…。CV悠○碧と竹○彩奈か。悠○碧verは買いだな。悠○碧と小松未○子の声はマジ天使。何故か親近感すらある…)

 

姫菜「比企谷君、お待たせ」

 

八幡「収穫は?」

 

姫菜「愚腐腐…」

 

八幡「あったんですね」

 

姫菜「次はねぇ…」

 

~~~~~~~~~~

 

秋葉原

 

八幡「来たぜ!東の聖地!」

 

姫菜「比企谷君もテンション上がってきたね」

 

八幡「この雑多な感じがなんとも」

 

姫菜「わかるなぁ」

 

八幡「悪いな、付き合ってもらって」

 

姫菜「私も楽しいから、大丈夫♪」

 

~~~~~~~~~~~

 

帰り道

 

八幡「中野ブロードウェイも行きたかったけどなぁ」

 

姫菜「また付き合うよ」

 

八幡「本当か!なかなか一緒に行ってくれるヤツが居ないからな(誰か忘れてる気がする…)」

 

姫菜「私もオタ活をしてくれる友達がいないから…」

 

八幡「そうなのか?」

 

姫菜「八幡君は気兼ねなく話が出来るから」

 

八幡「八幡君!?」

 

姫菜「友達だったら、名前呼びでもいいでしょ?」

 

八幡「まぁ、かまわねぇよ」

 

姫菜「私のことも姫菜って呼んでいいからね」

 

八幡「わかったよ、海老名さん」

 

姫菜「もう!」

 

八幡「女の子を名前で呼ぶなんて、小町ぐらいだから、慣れないんだよ」

 

姫菜「慣れたら、名前で呼んでね」

 

八幡「はいよ」

 

………

……

 

由比ヶ浜(あれ?ヒッキーと姫菜が一緒に歩いてる!どういうこと…。後で電話しよう…)

 

~~~~~~~~~~~

 

prrrrr

 

由比ヶ浜「あ、姫菜?やっはろ~」

 

姫菜『はろはろ~、結衣。どうしたの?』

 

由比ヶ浜「え~と、あのね…、え~と…」

 

姫菜『本当にどうしたの?』

 

由比ヶ浜「あ、あの、ヒッキーと歩いてたよね?そ、それって…」

 

姫菜『デートじゃないかと?』

 

由比ヶ浜「う、うん」

 

姫菜『今のところは違うかな』

 

由比ヶ浜「どういうこと?」

 

姫菜『今日はね八幡君とオタ活をしてたんだ』

 

由比ヶ浜「オタ活?って、八幡君!!」

 

姫菜『友達だからね』

 

由比ヶ浜「まぁ、…うん。オタ活ってなに?」

 

姫菜『オタクな活動だよ八幡君も私もラノベやアニメが好きだからね。お互いにオタク話が出来る相手もいないからね』

 

由比ヶ浜「そ、そうなんだ」

 

姫菜『それにBLの話も聞いてくれるしね』

 

由比ヶ浜「ヒッキー、そっちの趣味が…。彩ちゃんとか…」

 

姫菜『さい×はち…、愚腐腐…。でも違うよ。ただ聞いてくれるだけ。それだけでも、嬉しくてね』

 

由比ヶ浜「そうなんだ。私も姫菜やヒッキーとお話し出来るように、がんばる!」

 

姫菜『無理しなくていいよ。八幡君のことはLIKEだから』

 

由比ヶ浜「そうなんだ」ホッ

 

姫菜『今のところはね』

 

由比ヶ浜「え?」

 

姫菜『結衣も後悔しないようにね』

 

由比ヶ浜「わ、わかった」

 

姫菜『じゃあ、またね』

 

由比ヶ浜「ばいば~い」

 

p

 

姫菜(結衣に悪いことしたかな)

 

由比ヶ浜(ライバル出現かな?)

 

~~~~~~~~~

 

週末

映画館前

 

姫菜「う~ん、期待値上げすぎたかなぁ」

 

八幡「アニメの実写化としては、がんばった方じゃないかな」

 

姫菜「アニメの実写化は福○監督が一番かなぁ」

 

八幡「なんでだろうな」

 

姫菜「そこの喫茶店で、感想戦やろうよ」

 

八幡「将棋かよ。まあいいぜ」

 

~~~~~~~~~~~

 

喫茶店

 

八幡「比較的に実写化しやすい作品だったんだけどな」

 

姫菜「やっぱり、腑に落ちないよね」

 

八幡「帰ってアニメDVDで口直したな」

 

姫菜「えっ?もってるの?」

 

八幡「こんど貸そうか?」

 

姫菜「是非是非!」

 

雪ノ下「店内では静にした方がいいわよ、オタ谷君」

 

八幡「おぅっ!ビックリした。雪ノ下か」

 

姫菜「雪ノ下さん、はろはろ~」

 

雪ノ下「珍しい組み合わせね」

 

八幡「そうでもないぞ」

 

姫菜「そうそう。八幡君とはオタ友だから」

 

雪ノ下「八幡君…。随分と親しいみたいね」

 

八幡「見てる作品が似てるからな。こればっかりは、雪ノ下や由比ヶ浜とは出来ない話だからな」

 

姫菜「私も、そういう話が出来る友達がいなくて」

 

八幡「わかるよ、海老名さん」

 

雪ノ下「貴方には、ざ、材、材木…。中二病の友達がいるじゃない」

 

八幡「名前思い出すの諦めたよね?材木座は、友達ではない」

 

姫菜「雪ノ下さんも、そんなに目くじら立てないで」

 

雪ノ下「わ、私はそんな…」

 

八幡「まぁ、俺にもそういう友達が出来たってことだよ」

 

雪ノ下「友達が出来たのなら、喜ばしいことだわ」

 

姫菜「そうそう」

 

雪ノ下「では、私はこれで」

 

八幡「またな」

 

雪ノ下(海老名さん…。要注意ね)

 

………

……

 

八幡「で、今日は愚腐腐な話は?」

 

姫菜「じゃあ、少しだけ」

 

八幡「聞くよ」

 

姫菜「この前、池袋で買った作品なんだけどね…」

 

………

……

 

姫菜「今日はこんなもんかな」

 

八幡「もういいの?」

 

姫菜「なんか、捗らなくてね」

 

八幡「どうした?」

 

姫菜「わかんないけど、少女漫画脳になってるのかな?」

 

八幡「それなら仕方ないな」

 

姫菜(なんだろう…。八幡君に、BLの話したくないと思っちゃう…)

 

八幡「次の時は、DVD貸すからね」

 

姫菜「うん、よろしくね」

 

~~~~~~~~~

 

姫菜の部屋

 

姫菜(なんか漫画描いても捗らないなぁ…)

 

姫菜(BL読んでも、捗らないし…)

 

姫菜(久しぶりに、はや×はちを妄想してみよう…)

 

姫菜(ダメだ。想像出来ない…。ただのスランプかなぁ…)

 

~~~~~~~~~~

 

翌週末

ファミレス

 

八幡「よっ!海老名さん」

 

姫菜「はろはろ~」

 

八幡「これ、この前のDVD」

 

姫菜「ありがとう」

 

八幡「俺は、あのキスシーンが好きなんだよな」

 

姫菜「キ、キスッ…///」

 

八幡「海老名さん、どうした?」

 

姫菜「なんでもないよ」

 

姫菜(なんで、八幡君からキスって単語が出ただけなのにドキドキするの?)

 

八幡「海老名さんは、どう思う?」

 

姫菜「え、え~と、いいんじゃないかな」

 

八幡「大丈夫?顔、赤いけど熱でもあるの?」

 

姫菜「そ、そうなのかな…」

 

八幡「今日は、もう解散しようか」

 

姫菜「なんか、ごめんね」

 

八幡「体調万全の時に話そうか」

 

姫菜「そうだね」

 

~~~~~~~~~~~

 

姫菜の部屋

 

姫菜(どうしちゃったんだろう…)

 

姫菜(とりあえず、借りたらDVDを観よう)

 

姫菜(あっ、八幡君が言ってたキスシーンだ)

 

姫菜(キスって、どうなんだろうな…)

 

姫菜(八幡君とキスしたら…)

 

~~~~~~~

 

姫菜 妄想中

 

八幡「姫菜…」

 

姫菜「八幡…」

 

八幡「我慢できない。眼鏡、外すよ」

 

姫菜「は、恥ずかしいよ」

 

八幡「姫菜、可愛いよ」

 

チュウ

 

姫菜 妄想終わり

~~~~~~~~~

 

姫菜(!!!)

 

姫菜(想像したゃった…///)

 

姫菜(八幡君て、格好いいし、優しいし、趣味も合うし…)

 

姫菜(私、どうしちゃったんだろう…)

 

姫菜(今日はもう寝よう…)

 

姫菜(…ずっと前から好きでした)

 

姫菜(私、すごいこと言わせちゃったな)

 

姫菜(あの頃から、少し気になってたのかな…)

 

姫菜(…おやすみ、八幡君)

 

~~~~~~~~~

 

秋葉原

 

八幡「海老名さん、付き合ってもらって、悪いな」

 

姫菜「私も来たかったから、大丈夫だよ」

 

八幡「今日も街角に立つメイドさんたち、可愛いな」

 

姫菜「…」

 

八幡「海老名さん?」

 

姫菜「何?」キッ

 

八幡「な、なんか怒ってません?」

 

姫菜「別に…」

 

八幡「なら、いいんですが…」

 

姫菜(私、ヤキモチ妬いてる…)

 

~~~~~~~~~

 

ゲー○ーズ

 

姫菜「このブルーレイ、もう出てるんだ」

 

八幡「これも良かったよな。ハードディスクから消してないんだよ」

 

姫菜「いいなぁ。今度、観に行ってもいい?」

 

八幡「あぁ、いいぜ」

 

姫菜(あれ?八幡君家に行くことになった?)

 

八幡(あれ?海老名さん、家に来ることになった?)

 

~~~~~~~~~~

 

まん○らけ

 

八幡「まだあった!よかったぁ」

 

姫菜「それも良作だよね」

 

八幡「海老名さん、やってみて」

 

姫菜「不愉快です…」

 

八幡「ごちそうさまです」

 

姫菜「いえいえ」

 

八幡「ふふふ」

 

姫菜「ふふふ」

 

姫菜(八幡君といると楽しい…)

 

~~~~~~~~~~

 

帰り道

 

八幡「海老名さん、今日は付き合ってくれて、ありがとうな」

 

姫菜「私も楽しかったよ。それと、そろそろ名前で呼んで」

 

八幡「うぅ…。姫菜…さん」

 

姫菜「今日は許してあげる」

 

八幡「…はい。じゃあ、またな。姫菜さん」

 

姫菜「あ、あの、八幡君!」

 

八幡「ん?」

 

姫菜「また、誘ってね…///」

 

八幡「おう!次は中野ブロードウェイだ」

 

姫菜「うん。楽しみにしてるね…///」

 

姫菜(やっぱり、私は八幡君のこと…好きなんだな…)

 

~~~~~~~~~~~

 

数日後

居酒屋

 

???「乾杯!」

 

由比ヶ浜「このメンバーで集まるのって久しぶりだよね」

 

三浦「別々には会ってるんだけどね」

 

葉山「だな。大岡と大和は、本当に久しぶりだな」

 

大岡「そうだな」

 

大和「うん」

 

戸部「海老名さ~ん、久しぶり!」

 

姫菜「翔君、久しぶり。元気そうだね」

 

………

……

 

三浦「アンタたち、彼氏出来たの」

 

由比ヶ浜「私は…、どうかな?あはは。姫菜は?」

 

姫菜「え?私?私は…どうなんだろな」

 

戸部「え~!海老名さん、彼氏出来たの?」

 

姫菜「で、出来てないよ!」

 

由比ヶ浜「でも、最近はヒッキーと遊んでるんでしょ?」

 

姫菜「う、うん…///」

 

三浦「は?ヒキオと?」

 

姫菜「趣味が合うから…///」

 

戸部「ヒキタニ君と?ないわ~。あんなことしておいて」

 

葉山「戸部、やめろ」

 

戸部「だって、隼人く~ん」

 

姫菜(修学旅行の時に、私の依頼の為に嘘告白を…)

 

由比ヶ浜「あ、あはは…」

 

姫菜(そのせいで奉仕部の関係は…)

 

三浦「姫菜?どうした?」

 

姫菜(私、八幡君や結衣や雪ノ下さんに、ヒドイことして…)

 

由比ヶ浜「姫菜、大丈夫?顔色悪いよ」

 

姫菜(私、八幡君のこと好きなっちゃいけないんじゃないかな…)

 

戸部「あれ?海老名さん。なんかマズイこと言った?」

 

姫菜「ううん、翔君は悪くないよ」ツゥー

 

三浦「姫菜、泣いてるの?」

 

姫菜「あ、あれ?なんでだろう」グスッ

 

三浦「戸部、姫菜泣かすなし!」

 

戸部「海老名さん、ごめん。なんか気にさわった?」

 

姫菜「本当に翔君は悪くないの。いけないのは私なの…」グスッ

 

由比ヶ浜「姫菜?」

 

姫菜「ごめん、今日は帰るね」

 

由比ヶ浜「私、送るよ」

 

三浦「結衣、お願い」

 

~~~~~~~~~

 

姫菜「結衣、ごめんね」

 

由比ヶ浜「大丈夫だよ」

 

由比ヶ浜「姫菜」

 

姫菜「何?」

 

由比ヶ浜「姫菜はヒッキーのこと…、好き…なんだよね?」

 

姫菜「…うん」

 

由比ヶ浜「あんな言われ方したから?」

 

姫菜「違うの。私、八幡君のこと好きになる資格ないよ…」

 

由比ヶ浜「え?」

 

姫菜「だって、修学旅行の時に、あんなお願いして、奉仕部の雰囲気悪くして…。それで、今さら彼のこと好きになるなんで…」

 

由比ヶ浜「そんなことないよ!」

 

姫菜「結衣?」

 

由比ヶ浜「少なくとも、私やゆきのんは気にしてないよ。ライバルが増えるのはあれだけと…」

 

姫菜「八幡君は…」

 

由比ヶ浜「もし、そうだったら、あんなに楽しそうにしてないよ。姫菜と歩いてる時のヒッキーは、すごく楽しそうだったよ」

 

姫菜「結衣、ありがとう…」

 

由比ヶ浜「でも、負けないからね」

 

姫菜「私だって」

 

由比ヶ浜「ふふふ」

 

姫菜「ふふふ」

 

由比ヶ浜「姫菜はヒッキーのどこが好きなの?」

 

姫菜「えっ…///」

 

由比ヶ浜「い~じゃん、教えてよ」

 

姫菜「きっかけは、あの時の嘘告白なんだけどね、その時から不思議な魅力は感じてたんだ。奉仕部の二人やさきさきが好きになるのも頷けた。それに、いつもは物事を斜めから見て格好つけてるけど…実際に格好いいんだけどね…///。ラノベやアニメの話をしてるとね、子供みたいに無邪気に笑うの。それが可愛いの…///」

 

由比ヶ浜「ふぇぇ」

 

姫菜「結衣?」

 

由比ヶ浜「ヒッキーって、そんなに笑わないよ」

 

姫菜「そういえば、高校の頃って笑ってたイメージないね」

 

由比ヶ浜「なんか卑屈に笑うイメージしかないよ…」

 

姫菜「たしかに…」

 

由比ヶ浜「ヒッキーって、BLは受け入れてくれそう?」

 

姫菜「BLの話も聞いてくれたよ」

 

由比ヶ浜「…ヒッキーって、やっぱりそっちも…」

 

姫菜「違うの。聞いて相槌をうってくれるの。それだけで、嬉しかった。…でもね」

 

由比ヶ浜「でも?」

 

姫菜「私、BL妄想出来なくなてきちゃって…」

 

由比ヶ浜「ひ、姫菜が!」

 

姫菜「妄想しようとすると、八幡君ばっかり出てきてね…。アニメとかでキスシーンが出てくると、八幡君とキスする妄想とかしちゃうし…///」

 

由比ヶ浜「姫菜もすっかり恋する乙女だね」

 

姫菜「うぅ…///」

 

由比ヶ浜「でも、ヒッキーはトラウマがあるから…」

 

姫菜「トラウマ?」

 

由比ヶ浜「本人は黒歴史って言ってるけど、中学と時にヒドイ目にあっててね…。私やゆきのんの気持ちにも気がついてるとは思うんだけどね。でも、前に進めないんだよ」

 

姫菜「…」

 

由比ヶ浜「付き合いたいけど、傷つけたくない…。ちょっとジレンマなんだ…」

 

姫菜「私、八幡君の黒歴史をなんとかしたい。八幡君と付き合いたい!こんな気持ち初めてだから、上手く出来るかわからないけど…」

 

由比ヶ浜「姫菜はやる気なんだね」

 

姫菜「うん」

 

由比ヶ浜「私もがんばる!」

 

姫菜「恨みっこなしだよ」

 

由比ヶ浜「うん!」

 

~~~~~~~~~~~~

 

週末

駅前

 

八幡(海老名さん、今日はどこ行くか教えてくれなかったんだよなぁ)

 

八幡(ま、まさか、愚腐腐な世界へ…。いや、大丈夫…、だと思いたい…、大丈夫だよね?)

 

八幡(あそこの娘、さっきから、ナンパされてるけど、待ち合わせの相手が来ないのかな?)

 

八幡(あれだけ可愛いと仕方ないよな。俺の待ち合わせの相手とどっちが先に来るかな。まぁ、俺は待ち合わせの30分も前だけどね)

 

八幡(ん?あの娘、こっちに来るな。俺の向こうに相手が居るとか?)

 

八幡(誰もいないな。俺の友達?俺の交遊関係には居ないよな)

 

???「八幡君、目が合ったんだから、こっちに来てよ」

 

八幡「え?あの、どちら様ですか?」

 

???「え?本当にわからない?」

 

八幡「人違いでは?」

 

???「これなら、わかるかな」スチャ

 

???「デュワ」

 

八幡「何故にウル○ラセブン…。って、海老名さん!」

 

姫菜「ぶぶー!」

 

八幡「え?」

 

姫菜「正解は『姫菜』です」

 

八幡「海老名さん…」

 

姫菜「姫菜!」

 

八幡「姫菜さん…」

 

姫菜「…」

 

八幡「…姫菜」

 

姫菜「正解♪」

 

八幡「今日はコンタクトなんだ。髪型も違うし…」

 

姫菜「違うし?」

 

八幡「…すげぇ可愛い…///」

 

姫菜「あ、ありがとう…///」

 

八幡「きょ、今日はどこに行くの?」

 

姫菜「今日は…、で、デート…なんだ…///」

 

八幡「デート?誰と?」

 

姫菜「もう!私と八幡君で、デートするの!」

 

八幡「へっ?」

 

姫菜「だ、たから、がんばっておめかししてきたんだ…///」

 

八幡「で、デートってどうすればいいのか…」

 

姫菜「わ、私もわからないけど、一緒にショッピングしたりとか?」

 

八幡「とりあえず、ショッピングモールに行ってみようか」

 

姫菜「う、うん…。あと今日はオタク禁止ね」

 

八幡「何その、ヲ○恋みたいな縛り」

 

姫菜「罰金は取らないから、努力してみようよ」

 

八幡「善処します」

 

姫菜「あ、あと…///」

 

八幡「ん?」

 

姫菜「手、手を繋いでもいい?」

 

八幡「そんな可愛く上目遣いで言れたら、拒否出来る男はいねぇよ」ギュ

 

姫菜「あっ…///」

 

八幡「行くぞ、姫菜…///」

 

姫菜「行こう、八幡…///」

 

~~~~~~~~~~~

 

ショッピングモール

 

服屋

 

姫菜「ねぇ、こんな感じどうかな?」

 

八幡「俺のファッションセンスは壊滅的だぞ」

 

姫菜「八幡が好きか嫌いで言って」

 

八幡「…好きな感じです」

 

姫菜「こういうの好きなんだね」

 

八幡「服なんて、コスプレぐらいしかわからん」

 

姫菜「ダウト!」

 

八幡「うっ!」

 

姫菜「でも、八幡はコスプレ好きなんだね」

 

八幡「嫌いではない…」

 

姫菜「長門○希のコスプレとかしてあげようか?」

 

八幡「俺、眼鏡属性ないから」

 

姫菜「眼鏡属性?」

 

八幡「なんでもない妄言だ」

 

姫菜「ダウト!」

 

八幡「お互いにな」

 

姫菜「コスプレは追々ね♪」

 

???「何やってるの、アンタたち」

 

八幡「あ、川…川中?」

 

川崎「川崎なんだけど、殴るよ」

 

八幡「冗談です、殴らないで」

 

川崎「まったく…。海老名とデートなの?」

 

姫菜「まあね」

 

川崎「邪魔したね」

 

姫菜「またね、さきさき」

 

川崎「さきさき言うな」

………

……

 

八幡「後で、本屋も寄っていいか?」

 

姫菜「漫画・ラノベはダウトだよ」

 

八幡「一般小説と授業の資料ならセーフだろ?」

 

???「あー!先輩!」

 

???「待てよ、いろはす~」

 

八幡「一色に戸部」

 

一色「私の依頼を断って、なにしてるんですか?」

 

八幡「予定があるって言っただろが。しかも、荷物持ちさせるつもりだったんだろうが」

 

戸部「ヒキタニ君が断るから、俺が…。そちらは?」

 

一色「お友達ですか?てか、先輩友達居たんですか?」

 

姫菜「お二人とも、私の彼氏に失礼じゃないですか!ヒキタニとか友達居たのか?とか!」

 

八幡「お、おい」

 

姫菜「八幡は、私とデート中なんで、失礼します」ギュ

 

スタスタスタ

 

一色「え!えぇぇぇぇ!」

 

戸部「ヒキタニ君、パネェわ!てか、あの娘どっかで…」

 

………

……

 

八幡「え、海老名さん」

 

姫菜「クククッ」

 

八幡「え?」

 

姫菜「あはははっ!」

 

八幡「え?え?」

 

姫菜「あの二人。私だって、気がついてなかったよね」

 

八幡「そういえば…」

 

姫菜「そんなに違うかな?」

 

八幡「俺の待ち合わせの反応で分かるでしょ」

 

姫菜「そうだったね」

 

八幡「そろそろ、お昼にしようか?俺、ラーメン屋ぐらいしか知らないぞ」

 

姫菜「私、ニンニクラーメンチャーシュー抜き…」

 

八幡「ダウト!」

 

姫菜「テヘッ」

 

八幡「可愛いから許す」

 

姫菜「か、可愛いって…///」

 

八幡「す、すまん。なんか、今日は調子狂うなぁ…///」

 

姫菜「わ、私も…///」

 

八幡「モールの中で簡単に済まそうか」

 

姫菜「じゃあ、それで」

 

???「はちま~ん」

 

八幡「おぅ、天使…。違った、戸塚」

 

戸塚「久しぶり!…海老名さんだよね?」

 

姫菜「よくわかったね」

 

戸塚「海老名さん、すごく可愛いよ。八幡と海老名さんお似合いだね」

 

八幡「お、おう。ありがとよ…///」

 

姫菜「…///」

 

 

………

……

 

 

姫菜「アクセサリーかぁ。見てもいい?」

 

八幡「あぁ」

 

???「あ!ヒキオ!」

 

???「やぁ、比企谷」

 

八幡「三浦と葉山か」

 

三浦「ふぅ~ん、そういうこと」

 

八幡「なにがだ?」

 

三浦「隼人、邪魔しちゃ悪いからいこう」

 

葉山「あぁ、またな」

 

三浦「姫菜、泣かせたらしょうちしないし」ボソッ

 

八幡「あ?あぁ」

 

………

 

姫菜「優美子、なんだって?」

 

八幡「さあな。でも、流石三浦だな」

 

姫菜「優美子にはバレたか」

 

八幡「葉山はわかってなかったな」

 

姫菜「なんか、知り合いに良く会う日だね」

 

………

……

 

姫菜「ねぇ、プリクラ撮らない?」

 

八幡「撮らない」

 

姫菜「初デート記念に。ダメ?」

 

八幡「海老名さん、わざと上目遣いしてない?」

 

姫菜「?」

 

八幡「無自覚かよ…///」

 

???「はははは、八幡!」

 

八幡「あ?」

 

???「そ、そのオナゴは!」

 

八幡「うるさいそ、剣豪将軍」

 

材木座「そのような、美しいオナゴと…」

 

八幡「今日は初デートなんだとよ」

 

材木座「き、貴様!我との誓いは!」

 

八幡「誓った覚えはねぇ」

 

材木座「俺の13番目のアダ名を知っているか」

 

八幡「嵐を呼ぶ…。知らん!」

 

材木座「貴様!我の必殺技をくらえ!」

 

姫菜「必殺技?」

 

材木座「スクリューアッ…」

 

八幡「やめい!」

 

材木座「ならば、邪王炎…」

 

八幡「言わすか」

 

材木座「ならば、hell&…」

 

八幡「ディバインデイングド○イバーなしで撃つな」ゲシッ

 

材木座「はふん」

 

姫菜「八幡!ダウト!」

 

八幡「そんなこと言ったって、こいつかネタに走るから…。俺も魔剣グ○ムで…」

 

材木座「転売されたクセに…」

 

姫菜「材木座君、今日は八幡と初デートだから、これぐらいで勘弁して、ね」

 

材木座「え、あ、はい」

 

八幡「悪いな。今度、校閲してやるから」

 

材木座「お、おう…」

 

………

……

 

姫菜「邪魔されちゃったけど、プリクラ撮ろうよ」

 

八幡「上目遣いは、可愛いけど眼鏡の時の方がポイント高いかな」

 

姫菜「どうして?」

 

八幡「眼鏡のフレームの上側から見つめられたら…///」

 

姫菜「今度、やってあげる」

 

八幡「お、おう…///」

 

………

……

 

姫菜「どこに貼ろうかな」

 

八幡「俺はスマホカバーの裏かな」

 

姫菜「え~!表に貼ってよ」

 

八幡「生徒にバレたら厄介だからな」

 

姫菜「虫よけなんだから」

 

???「あら?比企谷君と…海老名さん?」

 

八幡「よう、雪ノ下」

 

姫菜「はろはろ~」

 

雪ノ下「ずいぶん、印象が変わるのね」

 

八幡「まったく、よく知り合いに会う日だ」

 

由比ヶ浜「ゆきのん、お待たせ!…ヒッキー!と…姫菜?」

 

姫菜「結衣、はろはろ~」

 

由比ヶ浜「姫菜、攻めてるね」

 

姫菜「うん。後には退けないからね」

 

八幡「?」

 

姫菜「じゃあ、行くね」

 

雪ノ下「待ちなさい!」

 

八幡「なんだ、雪ノ下」

 

雪ノ下「貴方たちは、その、つつつ付き合っているのかしら?」

 

姫菜「私はいつでも付き合えるよ」

 

八幡「え?」

 

姫菜「でも、今日は初デートってところかな」

 

由比ヶ浜「姫菜」

 

姫菜「なに?」

 

由比ヶ浜「負けないよ。私もゆきのんも」

 

姫菜「私だって…。この気持ちは本物だから」

 

八幡「…」

 

雪ノ下「比企谷君、彼女の言葉は意図したものではないわ」

 

八幡「…わかっている」

 

雪ノ下「でも、偽りない気持ちでもあるわ」

 

八幡「あぁ」

 

雪ノ下「ちゃんと考えてあげなさい」

 

八幡「わかっているさ」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん、行きましょうか」

 

由比ヶ浜「じぁね」

 

八幡「…」

 

姫菜「八幡?」

 

八幡「すまんな、考え事してた」

 

~~~~~~~~~~~

 

駅前

 

姫菜「今日は楽しかったよ」

 

八幡「俺もだ。海老名さんの違う一面が見れたし」

 

姫菜「姫菜!」

 

八幡「姫菜…///」

 

姫菜「よろしい。じゃあ、またね」

 

八幡「姫菜!」

 

姫菜「なに?」

 

八幡「家にアニメ観に来る話だけど…」

 

姫菜「うん」

 

八幡「次の休みとかどうかな?」

 

姫菜「…いいよ」

 

~~~~~~~~~~~

 

prrrrr

 

由比ヶ浜『姫菜、やっはろ~』

 

姫菜「はろはろ~」

 

由比ヶ浜『どうした?今日のデートの話?』

 

姫菜「それもあるんだけどね…」

 

由比ヶ浜『なに?』

 

姫菜「来週さ、八幡君の部屋にアニメを観に行くんだけどね」

 

由比ヶ浜『うん』

 

姫菜「告白しようと思う」

 

由比ヶ浜『え!早くない?』

 

姫菜「なんか、もう我慢出来なくて」

 

由比ヶ浜『後悔しない?』

 

姫菜「うん…。初めて、ちゃんと好きになれた人だから…」

 

由比ヶ浜『わかった。がんばってね』

 

姫菜「ごめんね、こんな話して」

 

由比ヶ浜『姫菜がちゃんと話してくれて嬉しい』

 

姫菜「もし上手くいっても、恨みっこなしだよ」

 

由比ヶ浜『もちろん!』

 

~~~~~~~~~~~

 

週末

八幡の部屋

 

姫菜「お邪魔します」

 

八幡「いらっしゃい。今日は眼鏡だね」

 

姫菜「今日はオタクモードだから」

 

八幡「なるほどね」

 

………

……

 

八幡「俺もクラスで認識されてなかったのは、思春期症候群だったのか…」

 

姫菜「違うと思うよ」

 

八幡「やっぱり」

 

姫菜「見てる人は見てたよ」

 

八幡「相模とか睨んでたしな」

 

姫菜「そういう意味ではないけど…」

 

八幡「バニーガールとか、生で見てみたいよな」

 

姫菜「スケベ」

 

八幡「いやいや、男のロマンだよ」

 

姫菜「…八幡君が見たいなら…、着てもいいよ…///」

 

八幡「ふぁ!」

 

姫菜「コスプレも少しなら…///」

 

八幡「…///」

 

姫菜「ねぇ、八幡君…」

 

八幡「なに?」

 

姫菜「他の人には見せないけど、八幡君になら、コスプレ姿見せてもいいよ…///」

 

八幡「それって…」

 

姫菜「八幡君は、私の特別だってこと…///」

 

姫菜「この前のデートは、私の女の子の部分を見て欲しかったんだ」

 

姫菜「八幡君とアニメの話をするようになってから、BLが捗らなくなって、頭の中が八幡君でいっぱいになって」

 

八幡「海老名さん…」

 

姫菜「この気持ちに気がついたら、もう止まれなくて…」

 

姫菜「八幡君、私…、八幡君のことが好き…」

 

八幡「お、俺も、この気持ちの正体がわからなかった…」

 

姫菜「うん」

 

八幡「先週のデートでわかったよ。俺も、姫菜さんのことが好き…だ」

 

姫菜「八幡君…」

 

八幡「一緒に池袋や秋葉原へ行ったり、アニメやラノベの話をして居心地が良くなってきて…、この前の姿を見せられたら…。オタ友より前に進みたくなったんだ」

 

八幡「もう一度言わせてくれ。俺は姫菜さんが好きだ…。俺と付き合ってくれないか?」

 

姫菜「はい」

 

八幡「ははは、言えた…」

 

姫菜「八幡君?」

 

八幡「俺は、好きな人に好きって、もう言えないのかと思ってた。フラれても、どうなってもいいから、伝えたいと思うようになれた…」

 

姫菜「私もね、八幡君のこと好きになっちゃいけないと思ったんだ…」

 

八幡「どうして?」

 

姫菜「ほら、修学旅行のことがあるじゃない?だから…」

 

八幡「あれは、ほら、俺が暴走しただけだから。姫菜さんが気にすることないよ」

 

姫菜「結衣も気にしてないって言ってくれた。今日、告白することも伝えた…」

 

八幡「由比ヶ浜はなんて…」

 

姫菜「恨みっこなしって、話をしたよ」

 

八幡「そっかぁ、姫菜さんはすげぇな」

 

姫菜「そうかなぁ」

 

八幡「姫菜さんも、由比ヶ浜も、雪ノ下も、一色も、みんなすげぇよ。俺は人を好きになるのが怖かった。でも、みんな俺に好意を寄せてくれた」

 

姫菜「うん」

 

八幡「その中でも、姫菜さんが俺の心を動かしたんだ」

 

姫菜「嬉しいな」

 

八幡「姫菜」

 

姫菜「八幡」

 

八幡「これから、よろしくな」

 

姫菜「こちらこそ、よろしくね」

 

~~~~~~~~~~~

 

翌週末

 

姫菜の部屋

 

八幡「お邪魔します」

 

姫菜「どうぞ」

 

八幡「なんか、本棚がすっきりしてるね」

 

姫菜「BL本を処分したからね」

 

八幡「ほ、ホントに!」

 

姫菜「本当だよ。もうBL考えられないんだよ」

 

八幡「そっかぁ。BLを考えられなくした彼氏は責任重大だな」

 

姫菜「そうだよ」

 

姫菜「今は、そっちの妄想しちゃって…///」

 

八幡「そっちって…///」

 

姫菜「…18禁本的な…///」

 

八幡「ま、まだキスもしてないのに…///」

 

姫菜「じゃあして…///」

 

八幡「眼鏡とるよ」

 

姫菜「あっ…///」

 

チュ

 

八幡「ドキドキする…///」

 

姫菜「わ、私も…///」

 

八幡「そ、そうだ。見せたいモノがあるって」

 

姫菜「そうだった!ちょっと向こうで待ってて。準備出来たら呼ぶから」

 

八幡「わかった」

 

八幡(なんだろうな?)

 

………

……

 

姫菜「いいよ」

 

八幡「おう」

 

姫菜「…似合うかな…///」

 

八幡「ば、バニーガール」

 

姫菜「八幡になら見せてもいいって言ったでしょ。だから…///」

 

八幡「すげぇ、可愛い…///」

 

姫菜「巫女さんとかメイドも考えたけど…」

 

八幡「バニーガールで正解!お持ち帰りしていい?」

 

姫菜「え?」

 

八幡「それぐらい可愛いってことだよ」

 

姫菜「八幡のアソコ、窮屈そうだよ」

 

八幡「こ、これは…///」

 

姫菜「ふふふ、いいよ」

 

八幡「じゃあ、ベッド行くか?」

 

姫菜「優しくしてね」

 

八幡「その姿の姫菜に優しく出来る自信はないな」

 

姫菜「いじわる」

 

~~~~~~~~~~~

 

翌朝

 

八幡「ん?…知らない天井だ」

 

姫菜「おはよう。それ、言ってみたいよね」

 

八幡「おはよう。体は大丈夫?」

 

姫菜「うん」

 

八幡「起きる?」

 

姫菜「もう少し、こうしていたいかな」

 

八幡「じゃあ、もっとこっちに来て」ギュ

 

姫菜「あっ…///」

 

八幡「いやだった?」

 

姫菜「ううん。八幡、ドキドキしてるね」

 

八幡「そりゃあ、数時間前までDTでしたからね」

 

姫菜「それに、こっちも…///」

 

八幡「裸の姫菜を抱いてれば、そうなるよ」

 

姫菜「もう1回する?」

 

八幡「姫菜がよければ」

 

姫菜「じゃあ、…しよ…///」

 

~~~~~~~~~~

 

1年後

八幡の部屋

 

八幡「ただいま」

 

姫菜「おかえり。ご飯出来てるよ」

 

八幡「ありがたい」

 

姫菜「支度するから、待ってね」

 

八幡「なぁ、姫菜」

 

姫菜「何?」

 

八幡「飯の前に話したいことがあるんだが…」

 

姫菜「改まって、どうしたの?」

 

八幡「転勤になった」

 

姫菜「どこに?」

 

八幡「チーバ君の爪先の方…」

 

姫菜「遠いね」

 

八幡「通うのも大変だから、向こうで部屋を借りようと思ってる」

 

姫菜「…そうなんだ。…寂しいな」

 

八幡「それでなんだが…」

 

八幡「姫菜!俺と一緒に来てくれないか!」

 

姫菜「えっ?」

 

八幡「こ、これを受け取ってほしい」

 

姫菜「これって…」

 

八幡「俺と結婚してくれ」

 

姫菜「え?え!頭の中が追いつかないよ」

 

八幡「ダメか?」

 

姫菜「ダメじゃない…///」

 

姫菜「不束者ですが、末永くよろしくお願いします」

 

八幡「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

姫菜「ねぇ、八幡」

 

八幡「なんだ」

 

姫菜「子供が出来たら、間違えなくオタクになっちゃうね」

 

八幡「だな」

 

終わり

 



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雪ノ下雪乃編 Another episode

八幡と雪乃の結婚が決まって、しばらくして…


八幡の部屋

 

八幡「もうすぐ文化祭だ」

 

雪乃「もうそんな季節なのね」

 

八幡「俺たちみたいなことがなく出来ればいいな」

 

雪乃「そうね。しっかりサポートしてあげて」

 

八幡「そのつもりだ」

 

~~~~~~~~~

後日

総武高 会議室

 

文実委員長「それでは、スローガンを決めていきたいと思います」

 

城廻「比企谷君、あの時を思い出すね」

 

八幡「黒歴史を思い出させないでくださいよ」

 

城廻「比企谷君は、嫌な役をやってくれたよね」

 

八幡「昔のことです」

 

文実委員A「『人』なんてどうですか?」

 

八幡「却下!」

 

城廻「プププッ」

 

文実委員A「なんでですか?」

 

文実委員B「お前、比企谷先生の伝説のスローガン知らないのか?」

 

八幡「そのこといいから!とにかく『人』は却下」

 

文実委員長「それは、私も知っている話なので…無しで」

 

………

……

 

文実委員長「比企谷先生、すいません。あんな話題になってしまって」

 

八幡「別にお前が悪いわけじゃねぇよ」

 

文実委員長「でも、先生は文化祭で…」

 

八幡「俺はいい思い出がないから、お前らには、いい文化祭にしてほしい。それだけだ」

 

文実委員長「はい。がんばります」

 

八幡「あんまり、がんばり過ぎるなよ。がんばり過ぎて倒れたヤツを知ってるからな」

 

文実委員長「はい」

 

八幡「あとクラスにも少しは顔を出せよ」

 

文実委員長「でも、それじゃあ…」

 

八幡「何事もバランスは大事ってことだ」

 

文実委員長「でも、不公平が出そうで」

 

八幡「タイムキーパー兼コントローラーをおいて、ホワイトボードで管理すれば出来るだろ」

 

文実委員長「やってみます」

 

八幡「俺や城廻先生もフォローはする。楽しんでこその文化祭だ」

 

~~~~~~~~~~~

 

その夜

八幡の部屋

 

雪乃「そう、そんなことがあったのね」

 

八幡「まぁ、俺みたいなヤツはいないとしても、楽しんでもらいたいからな」

 

雪乃「そうね」

 

八幡「ところでなんだが……」

 

雪乃「なにかしら」

 

八幡「雪乃は自分の部屋に帰ってるの?」

 

雪乃「帰ってるわよ」

 

八幡「どれくらい?」

 

雪乃「週に2日ほど…」

 

八幡「はぁぁ~」

 

雪乃「ため息つかないでくれるかしら。私を比企谷菌に感染させるつもり?」

 

八幡「菌扱いするな。それと、雪乃は比企谷菌にもう感染してるから手遅れだ」

 

雪乃「そう。では、比企谷菌の根本から根絶やしにしましょうか?」ニコッ

 

八幡「笑顔が怖ぇよ。それでだな、文化祭が終わったら、少し落ち着くから、二人で住む部屋を探しにいくか?」

 

雪乃「わ、私は通っていてもいいのだけど、貴方が言うなら…///」

 

八幡「じゃあ、決まりだな」

 

~~~~~~~~~~~

 

後日

総武高

 

文実委員長「城廻先生は、比企谷先生の文化祭でのこと知っているんですか?」

 

城廻「私は生徒会長だったからね」

 

雪乃「失礼するわ」

 

城廻「雪ノ下さん、いらっしゃい。今日はどうしたの?」

 

雪乃「姉さんの代わりに有志団体の書類を提出しに…」

 

城廻「比企谷君なら、もう少ししたら来るよ」

 

雪乃「な!わ、私は別に…///」

 

文実委員長「城廻先生、こちらの方は?」

 

城廻「比企谷先生の奥さんだよ」

 

雪乃「城廻先輩、まだ結婚していないので…///」

 

文実委員長「あ~!噂の!すごい美人ですね」

 

城廻「雪ノ下さんも、文実頑張ってくれたね」

 

雪乃「私は倒れてご迷惑を…」

 

城廻「そんなことないよ~!雪ノ下さんと比企谷君がいたから、なんとか出来たんだよ」

 

ガラカラ

 

八幡「がんばってるか~」

 

雪乃「…こんにちは…///」

 

八幡「お、おう…///」

 

城廻「なに、見つめあってるのかな」

 

八幡「い、いや別に!」

 

雪乃「そんことは!」

 

城廻「仲がいいね」

 

八幡「…///」

 

雪乃「…///」

 

~~~~~~~~~~

 

後日

会議室

 

文実委員長「では、本日の議題は以上になりますが、ここからは、私からのお願いだと思って聞いてください」

 

ザワザワ

 

文実委員長「比企谷先生が、結婚することになりました」

 

オォ

 

文実委員長「比企谷先生もお相手の女性も総武高の卒業生です。聞いた話ですが、比企谷先生もお相手の方も、文実でご苦労をされて、いい思い出がないとのことです。ですので、お祝いの意味も込めて、何かサプライズな演出を、したいと思っています。私的なお願いですが、協力いただけないでしょうか?」

 

文実委員A「結構、目一杯なんだけど…」

 

文実委員B「簡単なことでいいのかな?」

 

文実委員C「うちのクラスは喫茶店だから、比企谷先生は無料とか?」

 

文実委員長「そんな感じで、お願いします」

 

~~~~~~~~~~~~

 

文化祭一般公開日

 

八幡「ん、来たか」

 

雪乃「こんにちは」

 

由比ヶ浜「やっはろー」

 

一色「先輩、こんにちは」

 

八幡「適当に楽しんでってくれ」

 

由比ヶ浜「ヒッキー、ハニトーないの?」

 

八幡「お前、それ好きな。どっかにあったぞ」

 

一色「じゃあ、結衣先輩、行きましょう」

 

雪乃「由比ヶ浜さん、一色さん…」

 

由比ヶ浜「ゆきのんはヒッキーと回ってね」

 

八幡「お、おい。俺は仕事中だぞ」

 

一色「平塚先生と城廻先輩には言ってあるので、大丈夫です」

 

由比ヶ浜「じゃあ、また後でね」

 

八幡「アイツら…」

 

雪乃「気を使わせてしまったわね」

 

~~~~~~~~~~~~

 

校内

 

生徒「比企谷先生!焼きそば食べてって!」

 

八幡「おう、また今度な」

 

生徒「奥さんも、どうぞ」

 

雪乃「お、奥さん…///」

 

八幡「まだ結納もしてねぇよ」

 

生徒「じゃあ、先生と彼女さん2名で~す」

 

ガラカラ

 

生徒達「結婚、おめでとうございま~す!!」

 

八幡「うおっ!なにこれ!」

 

雪乃「は、恥ずかしい…///」

 

………

……

 

八幡「なんだったんだ…」

 

雪乃「…///」

 

生徒「比企谷先生、メイド喫茶で~す」

 

八幡「可愛い可愛い」

 

生徒「先生、褒め方が雑~」

 

雪乃「なに、鼻の下伸ばしているのかしら」ギロッ

 

八幡「伸ばしてませんよ」

 

生徒「先生の彼女さんですか?」

 

八幡「まあな」

 

生徒「ぜひ、お茶を飲んでいってください!」

 

ガラカラ

 

生徒達「いらっしゃいませ、ご主人様、お嬢様!比企谷先生!雪ノ下さん!ご結婚、おめでとうございます!」

 

ヒューヒュー

 

八幡「また、この展開…///」

 

雪乃「…///」

 

………

……

 

八幡「今日はどうしたんだ…」

 

雪乃「八幡は結婚することを、あちこちで言ってるのかしら?」

 

八幡「断じてない。そんなことしてみろ、平塚先生が…」

 

生徒「写真部で~す!記念写真いかがですか~!」

 

八幡「おぅ、お疲れ」

 

生徒「比企谷先生、待ってましたよ」

 

八幡「え?俺?」

 

生徒「さぁ、中へ。彼女さんも」

 

………

……

 

雪乃「八幡、なんだか疲れたわ」

 

八幡「俺もだよ」

 

八幡「体育館で座るか」

 

雪乃「そうね」

 

………

……

 

八幡「バンドの演奏か。少し騒がしいが、大丈夫か?」

 

雪乃「えぇ。少し休めれば」

 

ボーカル『次が最後の曲なんですが、比企谷先生!体育館にいらっしゃいますか?』

 

八幡「嫌な予感しかしないんだが…」

 

雪乃「答えてあげたら」

 

八幡「おぅ、居るぞ」

 

ボーカル『あそこにいらっしゃる比企谷先生ですが、ご結婚されます。みなさん、拍手!』

 

ワー

パチパチ

オメデトー

 

八幡「…///」

 

雪乃「…///」

 

ボーカル『比企谷先生に、お祝いの曲を歌わせていただきます。それでは聞いてください』

 

………

……

 

 

八幡「体育館もだったか」

 

雪乃「恥ずかしくて、死にそうよ」

 

八幡「部室で休もう」

 

雪乃「それがいいわね」

 

~~~~~~~~~~~

 

廊下

 

平塚「今日話題の比企谷と雪ノ下じゃないか」

 

八幡「平塚先生の差し金ですか」

 

平塚「情報提供はしたが、黒幕は私ではない。もちろん、城廻でもない」

 

雪乃「じゃあ、誰が…」

 

平塚「すぐにわかるさ」

 

八幡「部室で休んできます」

 

雪乃「失礼します」

 

平塚「…チッ、リア充爆発しろ」

 

八幡「平塚先生、聞こえてます…」

 

~~~~~~~~~~

 

奉仕部 部室

 

八幡「ふぅ、少し落ち着いたか?」

 

雪乃「なんだったのかしらね」

 

八幡「誰の陰謀だ」

 

コンコン

 

雪乃「どうぞ」

 

八幡「雪乃が返事するのね」

 

文実委員長「失礼します」

 

雪乃「貴方は、この前の…」

 

八幡「文実の委員長様だ」

 

文実委員長「比企谷先生、雪ノ下さん、ご結婚おめでとうございます」

 

八幡「ありがとうな」

 

雪乃「ありがとう」

 

文実委員長「入って」

 

文実委員達「は~い」

 

文実委員達「おめでとうございます」

 

八幡「こんな花束もらったことないぞ」

 

雪乃「綺麗…」

 

文実委員長「比企谷先生も雪ノ下さんも、文化祭で苦労なされてると聞いて、いい思い出に上書き出来ればと思って…」

 

八幡「お前らだったのか…。参ったな。俺も雪乃も、こういうことになれてなくてな」

 

文実委員長「ご迷惑でしたか?」

 

八幡「いや。嬉し過ぎて、思考が追いつかないだけだ」

 

雪乃「なんて、言ったらいいのか…。とにかく、嬉しいわ」

 

文実委員達「では、失礼します」

 

文実委員長「喜んで頂けて、良かったです。では、残りの時間も…」

 

雪乃「待ちなさい」

 

文実委員長「はい、なんでしょうか?」

 

雪乃「貴方、まだ言いたいことがあるわよね?」

 

文実委員長「なんのことでしょうか?」

 

雪乃「私は貴方みたいに彼を見つめてる人を何人も知ってるわ」

 

文実委員長「!!!」

 

雪乃「私も席をはずすから…。後悔のないようにね」

 

八幡「なに言ってるんだ?」

 

雪乃「はぁ~。貴方もわかったかしら。こういう面倒くさい男なのよ」

 

文実委員長「…はい」

 

雪乃「では、がんばりなさい」

 

雪乃「八幡、これから起こることは嘘でもドッキリでもないから」

 

八幡「お、おう。わかった」

 

ガラカラ ピシャ

 

八幡「なんなんだよ…」

 

文実委員長「比企谷先生!」

 

八幡「お、おう。どうした?」

 

文実委員長「私は比企谷先生のことが好きです!」

 

八幡(そういうことか…)

 

八幡「ありがとう。気持ちは嬉しい。だが…」

 

文実委員長「わかってました…。生徒と教師、歳の差…。まして、先生は結婚されるんですから…」グズッ

 

文実委員長「先生には迷惑だったかもしれませんが、一色先生と城廻先生と雪ノ下さんが、チャンスをくれたので…」グズッ

 

八幡(一色と城廻先輩が絡んでたのか…)

 

八幡「すげぇな、お前」

 

文実委員長「え?」

 

八幡「告白って、すげぇ勇気がいることだ。しかも、叶わないってわかって出来るなんて、尊敬するよ」

 

文実委員長「そんなこと、ないです…」

 

八幡「そんなことあるんだよ。俺と雪乃なんて、高2から知り合ってるのに、やっとだぜ」

 

文実委員長「でも、それを実らせるなんて、先生も凄いです」

 

八幡「これは、内緒なんだがな、雪乃は俺が初恋らしいんだ」

 

文実委員長「え!そうなんですか!」

 

八幡「だから、俺よりアイツの方がすげぇよ」

 

文実委員長「いい話が聞けました」

 

八幡「これで、前へ進めそうか?」

 

文実委員長「はい。大丈夫です」

 

八幡「そうか。なら進んで行け。悩んだり挫けそうになったら、言ってこい。恋愛相談は無理だがな」

 

文実委員長「はい!」

 

八幡「よし!いい顔だ」

 

文実委員長「私、比企谷先生のことを好きになって良かったです。じゃあ、失礼します」

 

八幡「おぅ、またな」

 

~~~~~~~~~~

 

奉仕部前廊下

 

雪乃「城廻先輩も一枚噛んでいたんですね」

 

城廻「う~ん、よくわからないなぁ」

 

ガラカラ

 

文実委員長「失礼しました」

 

文実委員長「雪ノ下さん、ありがとうございました」ペコッ

 

雪乃「いいのよ」

 

文実委員長「城廻先生、泣いてもいいですか?」

 

城廻「うん。じゃあ、生徒会室に行こうか」

 

文実委員長「はい」

 

………

……

 

ガラカラ

 

八幡「お待たせ」

 

雪乃「大丈夫よ。私もそろそろ帰るわ」

 

八幡「校門まで、送るよ」

 

雪乃「お願いするわ、鈍感難聴主人公さん」

 

八幡「仕方ないだろ、生徒が俺のことを、そういう目で見てるとは思わかったからな」

 

~~~~~~~~~~~

 

校門

 

八幡「由比ヶ浜と一色は、先に帰ったみたいだな」

 

雪乃「してやられたわ」

 

八幡「でも、みんなのお陰で、いい文化祭の思い出になったな」

 

雪乃「そうね」

 

八幡「なぁ、雪乃」

 

雪乃「なにかしら」

 

八幡「改めて言うよ。幸せになろうな」

 

雪乃「ええ。もちろんよ」

 

 

終わり



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三浦優美子編

カラオケでの同窓会から数週間後

八幡の部屋

 

八幡(ん?朝か。昨日はなにしてたんだっけ?)

 

ふにっ

 

八幡(何?この柔らかい感触は?)フニフニッ

 

???「ああん…」

 

八幡「え?」

 

八幡(誰?この金髪さんは?しかも裸…。俺も裸…)

 

八幡(とりあえず、一服して落ち着こう…)シュボッ

 

八幡(ふぅ~。順番に思いだそう)

 

八幡(仕事帰りに一人で飲んだ。帰りにたまたま三浦に会って、一緒にもう一軒で飲んだ。三浦が飲み足りないって騒いだから、俺ん家で更に飲んだ…。ここまでは、何もない…。OK俺超クール)

 

八幡(そして、三浦が葉山に相手にされないと愚痴りだし、あーしには魅力がないと泣き出した。そんなことないとなだめる。ここまでもOK)

 

八幡(じゃあ、ヒキオはあーしのと抱けるのかと言われ、勿論、三浦みたいな美人なら大歓迎だと言って…、言って…、キスをして、そのまま…)

 

八幡(あれれ~、おかしいぞ)

 

優美子「ん?あれ?ヒキオ?おはよう…///」

 

八幡(なに顔を赤くしてこっち見てるんですか)

 

八幡「お、おはよう…」

 

優美子「き、昨日は、その…良かったよ…///」

 

八幡(なにその可愛い感じ。お持ち帰りしちゃうよ。あ、俺ん家だ)

 

八幡「あ、あぁ。俺、初めてだったから、上手く出来たなら、良かったよ…///」

 

優美子「あ、あーしも初めてだったけど、気持ち良くなっちゃったし…///」

 

八幡「体、大丈夫か?」

 

優美子「ちょっと違和感あるけど平気。シャワー借りていい?」

 

八幡「おう」

 

………

……

 

八幡(やっちまったか、俺)

 

優美子「あぁ~!」

 

八幡「どうした、三浦…って、隠してくれ」

 

優美子「打ち合わせ、忘れてた!」

 

八幡「時間大丈夫か?」

 

優美子「急げばギリギリで」

 

………

……

 

優美子「あーし、行くし!」

 

八幡「気をつけてな」

 

優美子「じゃあ、またね。八幡…///」

 

八幡「っ!!」

 

タタタタッ

 

八幡(行っちまった…。なんだ、あの名前呼び。俺の名前で知ってたんだ…)

 

八幡(三浦にしたら、ただの一晩の遊びだろうな)

 

八幡(さて、今日は日曜日だし二度寝しますか)

 

八幡(あぁ、枕からいい匂いが…)

 

………

……

 

八幡「Zzz…」

 

prrrrr

 

八幡(ん?電話…。誰だ?…由比ヶ浜か)

 

八幡「なんだ?」

 

由比ヶ浜『ヒッキー、優美子になにしたの!!』

 

八幡「デカイ声を出すなよ」

 

由比ヶ浜『ごめん…。てか、優美子と何があったの?』

 

八幡「昨日の夜、たまたま一緒になって飲んだだけだが」

 

由比ヶ浜『嘘だ!優美子がヒッキーの連絡先を聞いてきたし、それに…』

 

八幡「それに?」

 

由比ヶ浜『ヒキオはあーしが貰うって…』

 

八幡「え?」

 

由比ヶ浜『どういうこと?』

 

八幡「待て。俺も状況がつかめん。三浦に番号とアドレス教えたんだよな?」

 

由比ヶ浜『うん』

 

八幡「わかった。三浦に真意を聞いてみる」

 

由比ヶ浜『わかったよ。ヒッキー?』

 

八幡「なんだ?」

 

由比ヶ浜『優美子、ああ見えて純情だからね。泣かしたらダメだよ』

 

八幡「肝に命じておきます」

 

p

 

八幡(どういうことだ?)

 

………

……

 

prrrrr

 

八幡(知らない番号…三浦か?)

 

八幡「もしもし?」

 

優美子「八幡?あーし!」

 

八幡「三浦か?」

 

優美子「そう。アンタ、家に居る?」

 

八幡「あぁ、居るぞ」

 

優美子「今から行くから」

 

八幡「お、おう」

 

p

 

八幡(これで、三浦と話が出来る)

 

………

……

 

ピンポーン

ガチャ

 

八幡「おう」

 

優美子「朝ぶりだね…///」

 

八幡「とりあえず、上がれよ」

 

優美子「お邪魔します。台所借りていい?」

 

八幡「あぁ、いいけど。なにするんだ?」

 

優美子「夕御飯作るから、一緒に食べるし」

 

八幡「へ?」

 

優美子「なにか予定あった?」

 

八幡「いや、ないけど…」

 

優美子「じゃあ、支度するし。待っててね」

 

八幡「お、おう」

 

八幡(あーしさん、鼻歌歌いながら、ご飯作ってる…。なにそれ、可愛い)

 

………

……

 

八幡「いただきます」

 

優美子「いただきます」

 

優美子「どうかな?」

 

八幡「旨いな。三浦って料理出来たんだな」

 

優美子「当たり前だし。それと、三浦じゃなくて優美子って呼べし」

 

八幡「…あーしさん」

 

優美子「あ!」ギロッ

 

八幡「ゆ、優美子…///」

 

優美子「なに、八幡…///」

 

八幡「えっと、俺達は付き合ってるのかな?」

 

優美子「え?違うの…」

 

八幡「えっ」

 

優美子「昨日、あんなことしたのに?」

 

八幡「えっ」

 

優美子「昨日、いっぱい名前呼んでくれたのに…」グズッ

 

八幡「えっ」

 

優美子「遊びだったの…」グズッ

 

八幡「い、いや違わない。俺と優美子は付き合ってる。ただ確認したかっただけだ」

 

優美子「良かった。あーしは八幡が彼氏で嬉しいし…///」

 

八幡「そ、そうか。俺も優美子みたいな美人な彼女が出来て嬉しいぞ」

 

優美子「美人なんて…///」

 

八幡(由比ヶ浜の言う通り純情乙女だな、あーしさん)

 

優美子「ねぇ、明日はオフだから泊まってもいい?」

 

八幡「俺は明日は仕事だから、早寝するぞ」

 

優美子「一緒に居たいだけだし…///」

 

八幡(こんなのあーしさんじゃない!)

 

~~~~~~~~~~

 

翌朝

 

八幡(結局、昨日もいたしてしまった…)

 

八幡(涙目で、あーし魅力ないのとか言われたら…)

 

優美子「おはよう、八幡♪もうすぐ朝ごはん出来るからね」

 

八幡「ありがと」

 

八幡(あーしさんは、今朝もご機嫌でご飯を作ってくれてる…。俺のどこがいいんだか…)

 

八幡「じゃあ、行ってきます」

 

優美子「いってらっしゃい」

 

八幡「そうだ。なし崩し的に付き合い始めたけど、ちゃんと話しような」

 

優美子「…うん、わかった」

 

~~~~~~~~~~

 

 

八幡「ただいま」

 

優美子「おかえり~♪」

 

八幡「こんな時間まで居て、明日の仕事は大丈夫か?」

 

優美子「撮影は午後からだから、大丈夫だし」

 

八幡「そっか」

 

優美子「ご飯食べる?」

 

八幡「その前に、ちゃんと話しよう」

 

優美子「わかった」

 

八幡「優美子は俺のこと、好きなのか?」

 

優美子「うん」

 

八幡「俺のどこがいいんだ?こんなひねくれたボッチだぞ?優美子なら、もっといい男いるだろ?」

 

優美子「最初は、結衣が好きなヤツってどんなんだろうって思ってた。」

 

優美子「ちょっと気になるかなぁって感じで高校卒業して、大学出て、この前の同窓会で会ったら、凄く格好よくなってて…」

 

優美子「思いきって、この前…///」

 

八幡「なるほどね」

 

優美子「お願いがあるんだけど…」

 

八幡「なんだ?」

 

優美子「勢いであんなことしちゃって、付き合ってるなんて言わせちゃったけど、あーしと付き合うのは、イヤ?」

 

八幡「イヤではないんだか…」

 

優美子「お試し期間っていうのはどうかな?」

 

八幡「なにそれ?」

 

優美子「あーしのことがイヤだったら、フッてくれてかまわない。八幡がそのまま付き合ってもいいなら、付き合ってほしい」

 

八幡「なんかそれ、俺に都合良すぎないか?」

 

優美子「そうかもしれない…。でも、八幡にあーしのこと知ってほしいし…」

 

八幡「それに、三浦に…」

 

優美子「優美子!」

 

八幡「優美子に、名前で呼ばれるのに馴れなくて…」

 

優美子「そのうちに、なれるよ。ね、八幡」ギュ

 

八幡「急にくっつくなよ…///」

 

優美子「イヤだった?」

 

八幡「その、あれだ!ドキドキする!」

 

八幡「可愛いし、柔らかいモノがあたってるし、いい匂いする」

 

優美子「可愛い…///」

 

八幡「あ、声に出ちゃった…///」

 

優美子「柔らかいって、おっぱい?」 フニフニッ

 

八幡「ダメだ!優美子の柔らかいのが当たると、俺のが硬くなってしまう!!」

 

優美子「これ?」ギュ

 

八幡「あうっ!」

 

優美子「ご飯食べたら…ね…///」

 

八幡「お、おう…///」

 

~~~~~~~~~~

 

翌朝

 

八幡(また、いたしてしまった…///)

 

優美子「おはよう」

 

八幡「おはよう」

 

八幡「優美子って、今は東京に住んでるんだろ?」

 

優美子「そうだけど」

 

八幡「千葉と往復、大変じゃない?」

 

優美子「大変…かな」

 

八幡「だろ」

 

優美子「でも、八幡が可愛いがってくれるのがうれしいし…///」

 

八幡「お、おう…///」

 

優美子「ねぇ」

 

八幡「ん」

 

優美子「あーし、重いかな…」

 

八幡「気にするな」

 

優美子「…ありがとう」

 

~~~~~~~~~~~~

 

数日後

奉仕部部室

 

八幡(平和だねぇ…。マッ缶最高)ズズズッ

 

一色「…」ペラッ

 

八幡「で、一色は何をしてるんだ?」

 

一色「ファッション誌見てますけど…」ペラッ

 

八幡「あっそ…」

 

一色「はぁ~」

 

八幡「なんだよ、そのため息は。なにか不服か?」

 

一色「いやぁ、三浦先輩はキレイだなぁと思いまして」

 

八幡「ゲホッゲホッ!」

 

一色「先輩、汚いです!あと三浦先輩に反応するとかキモイです」

 

八幡「あれだ、いきなり同級生の名前が出たから、驚いたんだよ」

 

一色「ほら、見てくださいよ」

 

八幡「確かに、美人だよな…」

 

八幡(この三浦が俺の前だと…///)

 

一色「なに凝視してるんですか?ホントにキモイですよ。あと、キモイです」

 

八幡「キモイ連呼すんなし!」

 

一色「三浦先輩のマネですか?」

 

八幡「あ、あぁ」

 

八幡(口調が感染ったか…)

 

~~~~~~~~~~~

 

数日後

夕方

職員室

 

八幡(今日の仕事もあと少し…)

 

教員A「比企谷先生に、お客さんが来てますよ」

 

八幡「あ、はい」

 

教員A「駐車場で待ってるとのことで、三浦さんとおっしゃいました」

 

八幡「え?」

 

一色「え?」

 

城廻「え?」

 

一色「先輩!なんで、三浦先輩が先輩を訪ねて来るんですか?」

 

八幡「し、しらん!取り敢えず行ってくる」

 

~~~~~~~~~~~

 

駐車場

 

八幡(わぁ、女子に囲まれてる。そりゃ、モデルやってればなぁ。すげぇな赤いスポーツカーって…)

 

三浦「ヒキオ、遅いし!」

 

八幡「急に来るなよ」

 

女子生徒A「先生!モデルの三浦優美子さんと知り合いなんですか?」

 

八幡「あぁ、同級生だ。ここの卒業生だぞ」

 

女子生徒B「そうなんですか!」

 

八幡「そうだ。お前ら離れろ。俺が話出来ん」

 

女子生徒C「今度、色々教えてください」

 

キャッキャッ

 

八幡「まったく…。で、どうしたんだ?」

 

優美子「一緒に帰るし」

 

八幡「え?」

 

優美子「終わるまで待ってるから」

 

八幡「はぁ、わかったよ。片付けてくる」

 

~~~~~~~~~~~

 

職員室

 

一色「なんだったんですか?」

 

八幡「なんか用事があるんだとよ」

 

一色「三浦先輩が、先輩なんかに何の用事なんですかね?」

 

八幡「それこそ、しらん。お先に失礼します」

 

城廻「お疲れ様~」

 

~~~~~~~~

 

駐車場

 

八幡「悪い、待たせたな」

 

優美子「大丈夫だし。ヒキオ、アンタ免許は持ってるの?」

 

八幡「あぁ、持ってるぞ」

 

優美子「運転しろし」

 

八幡「は?」

 

優美子「いいから、運転しろし!」

 

八幡「わかったよ」

 

~~~~~~~~~~

 

車中

 

八幡「で、どこに行けばいい?」

 

優美子「八幡ん家」

 

八幡「俺ん家、好きだな」

 

優美子「だって、外だと邪魔されちゃうし…」

 

八幡「まぁ、優美子は有名人だしな」

 

prrrrr

 

八幡「ん、電話…。げ!」

 

優美子「誰から?」

 

八幡「…由比ヶ浜」

 

優美子「あーしが出る、貸して」

 

八幡「あっ」

 

優美子「もしもし?」

 

由比ヶ浜『え?だれ?』

 

優美子「あーし」

 

由比ヶ浜『優美子!』

 

優美子「ヒキオは運転中」

 

由比ヶ浜『あれ?ヒッキー、車持ってたっけ?』

 

優美子「あーしの車」

 

由比ヶ浜『ちょうど良かった。この前の話を聞いてもいいかな?』

 

優美子「いいけど、どこで会う?」

 

由比ヶ浜『ファミレスとかでいい?』

 

優美子「駅前のサイゼね」

 

由比ヶ浜『じゃあ、後でね』

 

優美子「駅前のサイゼに行って」

 

八幡「俺に拒否権は?」

 

優美子「あるわけないし」

 

八幡「ですよね…」

 

優美子「…」ジー

 

八幡「なんだよ、こっち見て」

 

優美子「…横顔も格好いい…///」

 

八幡「あーしさん、本当にどうしたの?悪いモノでも食べた?」

 

優美子「優美子!二人の時は名前で呼んでほしいし…///」モジモジ

 

八幡(なんだろうね、このギャップ…)

 

~~~~~~~~~~

 

サイゼ

 

八幡「三浦さん、もうちょっと離れてもらえませんかね?」

 

優美子「ダメだし」

 

八幡「馴れてないんだよ」

 

優美子「結衣、早く来ないかなぁ」

 

八幡「さっきから、すげぇ見られてるんですけど…。特に女の子」

 

優美子「うちの雑誌見てる娘じゃないの」

 

八幡「平気なの?」

 

優美子「大丈夫っしょ。あ、結衣が来た。結衣~!」

 

由比ヶ浜「お待たせ」

 

八幡「おう」

 

由比ヶ浜「優美子、ヒッキーと近くない?」

 

優美子「結衣、ヤキモチ?」

 

由比ヶ浜「や、やいてないし!」

 

優美子「じゃあ、大丈夫だし」

 

由比ヶ浜「むぅ」プクー

 

八幡「なに、むくれてるんだよ」

 

由比ヶ浜「むくれてないし!ヒッキー、マジキモイ」

 

優美子「ヒトの彼氏にキモイとか言うなし!」

 

八幡「お、おい」

 

由比ヶ浜「か、かかかか彼氏!!!」

 

優美子「ねぇ」

 

八幡「お試しだがな」

 

優美子「むっ!」ツネッ

 

八幡「イテテテッ!つねるなよ」

 

優美子「ふんっ」

 

由比ヶ浜「お試し?」

 

八幡「なんていうの?俺と三浦が合うか合わないか?みたいな?」

 

優美子「まぁ、そんな感じ…かな?それと、ちゃんと優美子って呼べし!」

 

由比ヶ浜「でも、優美子。隼人君はいいの?」

 

優美子「隼人は雪ノ下さん一本に絞ったみたいだから。ヒキオはフリーだし」

 

由比ヶ浜「た、確かに…。でも、隼人君、フラれると思うよ。ゆきのん、毛嫌いしてたし…」

 

優美子「でもさ、待つのも疲れたし…」

 

由比ヶ浜「そうなんだ」

 

優美子「そんなわけで、ヒキオとお試し期間を始めたわけ」

 

由比ヶ浜「ヒッキーはそれでいいの?」

 

八幡「三浦みたいな美人とお試しとはいえ付き合えるなんて、そうそうないからな。いい経験をさせてもらってるよ」

 

優美子「あ!」ギロッ

 

八幡「…優美子」

 

優美子「よし」

 

由比ヶ浜(ヒッキーと優美子じゃ性格合わないから大丈夫かなぁ?一応、ゆきのんにも報告しよう)

 

~~~~~~~~~~~~~

 

八幡の部屋

 

八幡「ただいま」

 

優美子「ただいま」

 

八幡「コーヒー飲むか?」

 

優美子「ありがとう」

 

八幡「由比ヶ浜、イマイチ納得してなかったな」

 

優美子「仕方ないよ」

 

八幡「仲が悪くなったりしないか?」

 

優美子「わからない…。でも、自分の気持ちに嘘つきたくないし…」

 

八幡「すげぇな、優美子は」

 

優美子「そんなことないよ」

 

八幡「俺はそんなに素直になれないからな」

 

優美子「素直になればいいのに」

 

八幡「ま、ちゃんと理由はあるんだかな。そのうち話すよ」

 

優美子「ねぇ、八幡…」

 

八幡「ん?」

 

優美子「今夜も…ね…///」

 

八幡「なぁ、優美子」

 

優美子「なに?イヤなの?」

 

八幡「イヤじゃないんだかな」

 

優美子「じゃあ、なに?」

 

八幡「俺が優美子のカラダを目当てに付き合ってるみたいで…。心ぐるしいんだが…」

 

優美子「あーしはそれでもいいし…」

 

八幡「え?」

 

優美子「それだけの繋がりでも、八幡と一緒にいたい…」

 

八幡「優美子…。こっちにおいで」

 

優美子「うん…」

 

八幡「ちゃんと考えてるからな」ギュ

 

優美子「うん」

 

八幡「だから、そんなこと言うな」チュ

 

優美子「ん…」

 

八幡「なあ」

 

優美子「なに?」

 

八幡「格好つけ過ぎかな?」

 

優美子「そうだね」

 

八幡「それとさ…」

 

優美子「なに?」

 

八幡「本当に三浦優美子?」

 

優美子「あ!」ギロッ

 

八幡「怖い怖い、あと恐い。間違いなく本物だわ」

 

~~~~~~~~~~~

 

数日後

 

八幡の部屋

 

優美子「これ買って来た」

 

八幡「ネックレス?」

 

優美子「うん、お揃い…///」

 

八幡「え?」

 

優美子「あーしは東京で、八幡は千葉で離れてるから、何かお揃いのモノが欲しかったんだ」

 

八幡「いくらしたんだよ。払うぞ」

 

優美子「これは、あーしがしたかったからいいの」

 

八幡「なんか悪いな」

 

優美子「悪いと思うなら、ちゃんとつけること」

 

八幡「はい」

 

優美子「それと、今度テレビに出るんだ」

 

八幡「すげぇ」

 

優美子「深夜番組でヒナ壇に座るだけなんだけどね」

 

八幡「絶対見るよ。録画する」

 

優美子「途中でネックレス触るから、見ててね」

 

八幡「なんでだ?」

 

優美子「八幡にだけの合図だし…///」

 

八幡「大丈夫か?そんなことして」

 

優美子「バレなければ、余裕だし」

 

~~~~~~~~~~~

 

数日後

 

由比ヶ浜「ヒッキー始まるよ」

 

一色「先輩、早く」

 

海老名「ヒキタニ君、このマンガ貸して」

 

雪ノ下「早くしなさい」

 

八幡「おい、一人マンガ読もうとしてたのが居るぞ」

 

八幡(なんで、俺ん家なのかな)

 

八幡「ほら、適当に飲んでくれ」

 

一色「始まりましたね」

 

由比ヶ浜「ほら、ヒッキー!優美子だよ」バンバン

 

八幡「わかってるから叩くな」

 

雪ノ下「さすが、モデルをやってるだけあるわね」

 

海老名「この芸人さんとあっちの芸人さんで…愚腐腐」

 

八幡「違う目的でテレビ見てるヤツが混じってるぞ」

 

由比ヶ浜「姫菜、ちゃんと見ないと」

 

優美子『あーしですか?あーしは外見より性格だし』

 

由比ヶ浜「しゃべり方そのままだね」

 

八幡(ネックレス触った…///)

 

由比ヶ浜「ヒッキー、顔が赤いよ」

 

八幡「なんでもねぇよ」

 

八幡(こんなことで伝わるとは思えないが、俺も…)

 

雪ノ下「比企谷君、どうかしたの?」

 

八幡「いや。三浦、綺麗だな」

 

雪ノ下「…そうね」

 

~~~~~~~~~~~~

 

翌日

八幡の部屋

 

優美子『見てくれた?』

 

八幡「もちろん。由比ヶ浜から連絡いってないか?」

 

優美子『テレビ自体じゃなくて、合図だし』

 

八幡「見たよ」

 

優美子『伝わった?』

 

八幡「あぁ、俺もネックレス触ってたよ」

 

優美子『伝わったんだね』

 

八幡「あぁ」

 

優美子『あ~、八幡に会いたい』

 

八幡「俺もだよ」

 

優美子『え?』

 

八幡「なんでもない。次はいつこっちに、来るんだ?」

 

優美子『明後日ぐらいかな』

 

八幡「鍵はポストに入れておく」

 

優美子『いいの?』

 

八幡「イヤなら、おいていかないけど」

 

優美子『イヤなんて言ってないし』

 

八幡「はいはい。じゃあ、明後日な」

 

優美子『またね』

 

p

 

八幡(俺はやっぱり…)

 

~~~~~~~~~~~

 

2日後

 

八幡の部屋

 

八幡「ただいま」

 

優美子「おかえり」

 

八幡「ホントに来てたんだ…」

 

優美子「来るし!」

 

八幡「冗談だ」

 

優美子「ちょっと遅かったけど、残業?」

 

八幡「いや、寄り道してた。ほれ」

 

優美子「これって…」

 

八幡「合鍵だ。その、なんだ。これが『お試し期間』の回答だと思ってくれ…///」

 

優美子「うん、嬉しい…///」

 

八幡「悪いな、ネックレスのお返しがこれくらいしか出来なくて」

 

優美子「そんなことないし!…これが一番嬉しいお返しだし…///」

 

八幡「そうか…///」

 

優美子「そうだ!またテレビ出るんだ!」

 

八幡「すげぇな!芸能人だな」

 

優美子「只のモデルだし」

 

~~~~~~~~~~

 

後日

奉仕部 部室

 

八幡「…ここは、こうなるわけだ」

 

女子生徒「なるほど。わかりました。ありがとうございます」

 

八幡「入試の傾向として、この辺は出題されてるから、ちゃんと復習しろよ」

 

女子生徒「は~い。ところで先生」

 

八幡「なんだ?」

 

女子生徒「モデルの三浦優美子と、どういう関係なんですか?」

 

八幡「ただの同級生だよ」

 

女子生徒「それは嘘ですよ。車で迎えに来たじゃないですか」

 

八幡「俺はからかわれてるだけだ。あの後、運転手やらされて、ほかの同級生と合流したからな」

 

女子生徒「なんだ、つまんない」

 

八幡「スキャンダルの真相なんて、大抵つまらないオチなんだよ」

 

女子生徒「じゃあ先生、失礼します」

 

八幡「おう」

 

ガラカラ ピシャ

 

一色「相変わらず、モテモテですね」

 

八幡「ちげーよ」

 

一色「実際、三浦先輩とはどうなんですか?」

 

八幡「ちょっと親しいぐらいだよ」

 

一色「ふ~ん、そうですか」

 

八幡「信用してねぇな」

 

一色「まぁ、いいですけど」

 

八幡「俺は職員室戻るぞ」

 

一色「私も行きます」

 

カタン

 

八幡「ほら、ペンが落ちたぞ」

 

チャリ

 

八幡(おっと、ネックレスが…)

 

一色「先輩、ネックレスなんてしてるんですね。キモイです」

 

八幡「うるせぇ」

 

一色「でも、先輩ってファッションに無頓着なのに…」

 

八幡「ほら、行くぞ」

 

一色「待ってくださいよ~」

 

~~~~~~~~~~

 

八幡の部屋

 

八幡(優美子がテレビに出ている…)

 

八幡(あ、ネックレスを…)

 

八幡(なんとなく、俺も触ってしまう…。なんなのこれ…)

 

ガチャ

 

優美子「ただいま」

 

八幡「おかえりって、お前ん家じゃねぇよ」

 

優美子「あ、もう始まってる時間だったんだね」

 

八幡「あぁ」

 

優美子「そう!お土産があるだ!」

 

八幡「お土産?」

 

優美子「井上○里奈のサイン!」

 

八幡「どうしたんだ、それ?」

 

優美子「番組で一緒になったから、もらった」

 

八幡「おぉ!俺は○空派だから、嬉しいな」

 

優美子「よくわかんないけど…」

 

八幡「はが○いの三○月夜空ってキャラクターだよ」

 

優美子「ふ~ん」ポチポチ

 

優美子「八幡は黒髪の方がいいんだ…。見た目、雪ノ下さんぽいし…」ギロッ

 

八幡「違う!誤解だ!ほら、I○のラ○ラとかも…。なんとなくなんだが、優美子って、井上○里奈と声似てないか?」

 

優美子「わかんないし」フンッ

 

八幡「ところで、飯は食べたか?」

 

優美子「食べてない」

 

八幡「俺が作ったチャーハンの残りで良ければ、フライパンにあるぞ」

 

優美子「いいの?」

 

八幡「かまわねぇよ」

 

優美子「それとさ…」

 

八幡「なんだ?」

 

優美子「明日、あーしは休みだからさ…///」

 

八幡「たまには、一緒に風呂入るか…///」

 

優美子「うん…///」

 

~~~~~~~~~~~

 

後日 金曜日

 

八幡(これを片付ければ、終わりだな)

 

チャリ

 

八幡(おっと、ネックレスが…)

 

一色(あのネックレスのトップ…どこかで…)

 

一色(あっ!!!)

 

ボチポチ

 

ピロン

 

一色「先輩!」

 

八幡「なんだ?」

 

一色「今夜、暇ですか?暇ですよね?どうせ暇なんでしょ?」

 

八幡「なにそれ…」

 

一色「今夜、付き合ってもらいます!」

 

八幡「なに、このLINE…」

 

一色【先輩がネックレスをしている件でお話があります】

 

雪ノ下【それは、興味深いわね。誰から脅し取ったのかしら】

 

由比ヶ浜【ヒッキー、キモイ!理由を聞かないとね】

 

一色【では、いつものところ集合で。先輩は責任もって連行します】

 

八幡「俺の意見や都合はないのね…」

 

~~~~~~~~~~~

 

居酒屋

 

八幡「だから、なんとなくしてみたかっただけって言ってるだろ!」

 

由比ヶ浜「ヒッキー、ネックレスする趣味なかったし!」

 

雪ノ下「…」

 

一色「そこまで、しらを切るんですね…」

 

ボチポチ

 

一色「この画面見てください」

 

由比ヶ浜「優美子、綺麗…」

 

一色「ここを拡大すると…」

 

由比ヶ浜「あっ!優美子とお揃いだ!どういうこと!」

 

八幡「たまたまだろ!」

 

由比ヶ浜「もう!ゆきのんも何か言ってよ」

 

雪ノ下「比企谷君、そろそろ観念したら」

 

prrrrr

 

雪ノ下「電話よ。出なくていいの?」

 

p

 

八幡「…もしもし」

 

優美子『せっかく来たのに居ないし!』

 

八幡「お、おう。悪いな」

 

優美子『何時ぐらいに帰ってくるの?』

 

八幡「何時になるかなぁ…あはは…」

 

優美子『はっきりしないし…。まさか、浮気!』

 

八幡「それは断じてない!」

 

優美子『じゃあ、なに?』

 

八幡「質問と言うか尋問と言うか詰問と言うか…」

 

優美子『なにそれ?わかんないし!』

 

八幡「雪ノ下と由比ヶ浜と一色に取り調べられてるんだよ…」

 

優美子『なにを?』

 

八幡「えぇっとだな…」

 

優美子『まだ言ってないんでしょ?』

 

八幡「まぁな」

 

優美子『今から行くし』

 

八幡「え?」

 

優美子『今から、あーしが行って言うし!』

 

八幡「お、おい、待て…」

 

八幡「切られた…」

 

雪ノ下「三浦さん、今から来るのかしら」

 

八幡「…はい」

 

雪ノ下「そう…」

 

一色「三浦先輩が来るって、やっぱり…」

 

由比ヶ浜「優美子…」

 

………

……

 

優美子「八幡!」

 

八幡「悪いな」

 

由比ヶ浜「優美子、ヒッキーのこと名前で呼ぶんだね…」

 

一色「先輩…」

 

雪ノ下「やっぱり、そういうことでいいのかしら」

 

優美子「あーしと八幡は付き合ってるし!」

 

八幡「お、お前…」

 

優美子「八幡!なんではっきり言わなかったの!」

 

八幡「それはだな…」

 

雪ノ下「比企谷君のことだから、テレビに出る人を彼女なんて言うのは、憚られたんでしょう」

 

八幡「…」

 

優美子「そうなの?」

 

八幡「雪ノ下は察してくれてたんだな…」

 

雪ノ下「なんとなく…ね」

 

一色「そうだったんですね…」

 

優美子「結衣、あーしはあの時言ったよね」

 

由比ヶ浜「そういう意味だったんだね…あはは」

 

雪ノ下「三浦さんは、由比ヶ浜さんに何か言ったのかしら?」

 

優美子「その時は、ヒキオはあーしがもらう…かな」

 

雪ノ下「ヒントはもらっていてのね」

 

一色「雪ノ下先輩は納得出来るんですか!」

 

雪ノ下「そうね。私達が踏み出せなかったのに、彼女は一歩踏み出した。そういうことよ」

 

由比ヶ浜「…気持ちの整理に少し時間かかるかも」

 

優美子「結衣…」

 

八幡「由比ヶ浜、俺は…」

 

雪ノ下「比企谷君、ここは一色さんと私に任せて」

 

八幡「…頼む。優美子、帰るぞ」

 

優美子「…わかった」

 

~~~~~~~~~~~

 

八幡の部屋

 

優美子「結衣に悪いことしちゃった…」

 

八幡「俺がはっきり言わなかったのがいけないんだよ」

 

優美子「でも、八幡はあーしのことを考えて言わないでいてくれたし…」

 

八幡「優美子、由比ヶ浜は友達なんだろ?」

 

優美子「当たり前だし!」

 

八幡「俺もそう思ってる…。雪ノ下たちが上手くやってくれるさ…」

 

優美子「雪ノ下さんのこと、ずいぶん信用しているんだね」ジー

 

八幡「まあな。雪ノ下みたいになりたいと思ってた時期もあったし、恋心がなかっと言えば嘘になる。でも、雪ノ下とは悪態を言い合えるぐらいが丁度いい」

 

優美子「ねぇ…」

 

八幡「ん?」

 

優美子「今夜は激しくしてほしい…」

 

八幡「…わかった。不安なのか?」

 

優美子「うん」

 

八幡「ほら、こっちにこい」グイッ

 

優美子「きゃっ」

 

八幡「大丈夫だ」ナデナデ

 

優美子「うん」

 

 

 

~~~~~~~~~~~

 

数日後

奉仕部 部室

 

一色「先輩が三浦先輩と付き合ってるとは…」

 

八幡「よそで言うなよ」

 

一色「わかってますよ」

 

八幡「ならいいが…」

 

一色「でも、三浦先輩って忙しそうですよね」

 

八幡「だろうな」

 

一色「そういえば、先輩は三浦先輩のどこが好きなんですか?」

 

八幡「あぁ見えて真っ直ぐなんだよ」

 

一色「なるほど。先輩は歪んでますしね」

 

八幡「ほっとけ」

 

一色「お揃いのネックレスとか、ビックリですよ」

 

八幡「あれは優美子が買ってきたんだよ」

 

一色「先輩は、三浦先輩の東京の家とか行かないんですか?」

 

八幡「行かない。俺ん家最高」

 

一色「はぁ~。先輩に聞いた私が馬鹿でした」

 

八幡「冗談だ。俺は日曜・祝日しか動けないから、タイミングが合わないんだよ」

 

一色「たまには、行ってあげたらどうですか?」

 

八幡「タイミングが合えばな」

 

~~~~~~~~~~~~

 

後日

八幡の部屋

 

優美子「仕事が忙しくて、来れなくてごめんね」

 

八幡「本当は俺からも行ければいいんだがな」

 

優美子「その気持ちだけで、嬉しい…///」

 

八幡「優美子、仕事楽しいか?」

 

優美子「すごく楽しいよ」

 

八幡「そうか、応援してるぞ」

 

優美子「ありがとう」

 

~~~~~~~~~~~~

 

数週間後

 

総武高 奉仕部 部室

 

一色「先輩、三浦先輩とちゃんと会えてるんですか?」

 

八幡「向こうは忙しいからな」

 

一色「テレビに出る回数も増えてますしね」

 

八幡「人気商売だからな」

 

一色「先輩、寂しくないんですか?」

 

八幡「寂しくないと言ったら嘘になるが、テレビに出てる姿が見れれば…」

 

一色「それじゃあ、ただのファンじゃないですか!」

 

八幡「大丈夫だ。繋がっているよ」サワッ

 

一色「だから、お揃いのネックレスなんですね」

 

~~~~~~~~~~~

 

数ヶ月後

 

prrrrr

 

八幡「もしもし」

 

由比ヶ浜『ヒッキー!ワイドショー見た!』

 

八幡「見てないけど、連絡は来てる」

 

由比ヶ浜『優美子なら大丈夫だと思うけど…』

 

八幡「プロ野球選手と熱愛だっけ?本当に芸能人なんだな」

 

由比ヶ浜『ヒッキー、大丈夫なの?』

 

八幡「あぁ、大丈夫だよ」

 

~~~~~~~~~~~~

 

その夜

 

八幡「由比ヶ浜に心配されたよ」

 

優美子『ごめんね、なかなか行けなくて』

 

八幡「気にするな。優美子は仕事が楽しくて、がんばってるんだ」

 

優美子『八幡が、そう言ってくれるから、がんばれるし』

 

八幡「そうか。無理はするなよ」

 

優美子『ありがとう』

 

p

 

八幡(…会いてぇなあ)

 

~~~~~~~~~~~

 

数ヶ月後

サイゼ

 

八幡「ドリアうまっ!」

 

由比ヶ浜「ヒッキー、ちゃんと食べてるの?」

 

八幡「食べてるぞ」

 

由比ヶ浜「どうせ、外食ばっかりなんでしょ?だから、サイゼで鉢合わせになるんだよ」

 

八幡「そんなことないぞ。コンビニ弁当とかも、なかなかうまいぞ」

 

由比ヶ浜「…優美子とは会ってるの?」

 

八幡「…ああ」

 

由比ヶ浜「嘘!いろはちゃん、ヒッキーが寂しそうにネックレスいじってるって言ってた!」

 

八幡「おのれ、一色…」

 

由比ヶ浜「寂しいなら、優美子に言いなよ」

 

八幡「アイツは仕事が楽しいんだ。それを邪魔したくない」

 

由比ヶ浜「でも、それじゃあヒッキーが…」

 

八幡「いいんだ。俺が応援してやるって言うと、すごく嬉しそうにするんだよ…。だから…」

 

由比ヶ浜「それじゃあ、私やゆきのんは!今のヒッキー見てたら、諦められないよ…」

 

八幡「すまん…」

 

由比ヶ浜(…そうだ!)

 

由比ヶ浜「私から優美子に、言っておくよ」ニヤリッ

 

八幡「由比ヶ浜さん、今物凄く悪い顔しましたよ…」

 

~~~~~~~~~~~

 

週末

 

八幡の部屋

 

八幡「なんで、由比ヶ浜が俺の部屋に居るの?」

 

由比ヶ浜「いいから、いいから」

 

八幡「俺、彼女居るんだけど…」

 

由比ヶ浜「知ってるし。その彼女と、あまり会えないのも知ってる」

 

八幡「それに、電話に出るなって…」

 

由比ヶ浜「いいから、いいから」

 

ガチャ

 

優美子「八幡!!」

 

八幡「優美子…。仕事は…?」

 

由比ヶ浜「来たね」

 

優美子「結衣…」

 

由比ヶ浜「優美子、座って」

 

優美子「結衣、何を…」

 

由比ヶ浜「いいから、座って!ヒッキーも!」

 

優美子「はい」

 

八幡「俺は座っているんだが…」

 

………

……

 

由比ヶ浜「優美子、私は怒ってるからね」

 

優美子「え?」

 

由比ヶ浜「ヒッキーをほったらかしにして」

 

優美子「ほったらかしてないし!」

 

由比ヶ浜「電話とLINEだけでしょ!」

 

優美子「まぁ、そうだけど…」

 

由比ヶ浜「ヒッキーは、寂しかったんだよ!」

 

八幡「いや、俺は一言も…」

 

由比ヶ浜「ヒッキーは黙って!」

 

八幡「はい…」

 

由比ヶ浜「ヒッキーを見てて、すごく寂しそうで、見てられなかった」

 

優美子「それは、仕事が忙しくて…」

 

由比ヶ浜「ヒッキーもがんばれって言うだけで、何も言わなかったよね?」

 

優美子「うん」

 

由比ヶ浜「ヒッキーは、そういうこと言わないで、一人で抱えちゃうの」

 

優美子「そうかも…」

 

由比ヶ浜「それにヒッキー!」

 

八幡「ひゃい!」

 

由比ヶ浜「寂しいんだったら、ちゃんと優美子に言わなきゃダメだよ。付き合ってるんでしょ!」

 

八幡「はい…」

 

由比ヶ浜「二人ともわかった?」

 

優美子「はい」

 

八幡「はい」

 

由比ヶ浜「じゃあ、私は帰るね」

 

優美子「結衣、その為に…」

 

由比ヶ浜「そうだよ」

 

優美子「…ありがとう。あーし、いい友達をもったよ」

 

由比ヶ浜「でも…」

 

優美子「でも?」

 

由比ヶ浜「次に、こんなことがあったら、本気でヒッキーもらっちゃうからね。ゆきのんやいろはちゃんも、たぶん…」

 

優美子「絶対しないし!」

 

由比ヶ浜「うん。大丈夫そうだね」

 

八幡「由比ヶ浜!」

 

由比ヶ浜「なに?」

 

八幡「その…。ありがとうな」

 

由比ヶ浜「気にしないで。友達でしょ?」

 

八幡「あぁ」

 

由比ヶ浜「次はゆっくり、お話しようね。バイバイ」

 

八幡「あぁ、またな」

 

バタン

 

八幡「由比ヶ浜に何を言われたんだ?」

 

優美子「ヒッキーは私がもらうからって。嘘だと思うなら、今日八幡の家に来いって…」

 

八幡「まんまと嵌められたと」

 

優美子「ごめんね、八幡」

 

八幡「何がだ?」

 

優美子「あーし、仕事が楽しくて八幡のこと蔑ろにしてた」

 

八幡「俺も優美子の仕事邪魔したくなかったしな」

 

優美子「…ねぇ、八幡」

 

八幡「ん?」

 

優美子「次の休み、デートしよう」

 

八幡「お前、外出したら大変なことになるぞ」

 

優美子「大丈夫だし」

 

八幡「…わかったよ」

 

~~~~~~~~~~~~~

 

日曜

 

八幡「今日はどうするんだ?お家デートか?」

 

優美子「あ!何言ってるの!出掛けるし!」

 

八幡「はい」

 

優美子「今日は八幡のコーディネートしたいし」

 

八幡「服ならあるだろ」

 

優美子「ダメ!あーしの彼氏なんだから、格好良くしたいし」

 

~~~~~~~~~~

 

ショッピングモール

 

優美子「これなんかどう?」

 

八幡「オタクに服のセンスと、お金をかけるとか期待してはいけない。某同人サークル代表が言っていたぞ」

 

優美子「じゃあ、あーしの見立てでいいかな?」

 

八幡「お任せします」

 

優美子「アンタ顔は悪くないんだから」

 

八幡「優美子のコーディネートで、モテモテになったら、どうするんだよ。まぁ、ならんとは思うが」

 

優美子「あーしが側にいて、寄せ付けないから大丈夫だし」

 

八幡「お、おう」

 

優美子「そ・れ・に!」

 

八幡「おう」

 

優美子「浮気したら、只じゃ済まさないし」ゴゴゴ

 

八幡(久しぶり炎獄の女王・三浦を見た…)

 

~~~~~~~~~~~

 

八幡「そろそろ、昼飯にしないか」

 

優美子「そうだね」

 

八幡「優美子は何か食べたいモノあるか?」

 

優美子「普段、外食一人だと何を食べてんの?」

 

八幡「ラーメン」

 

優美子「たまには、二人でラーメン屋行く?」

 

八幡「天下の三浦優美子がラーメン屋かよ」

 

優美子「関係ないし。ほら、行こう」

 

八幡「はいはい」

 

………

……

 

優美子「美味しかった~」

 

八幡「お前、すげぇ注目されてたぞ」

 

優美子「気にしないし」

 

八幡「次はどこ行くんだ?ボーリング?カラオケ?」

 

優美子「八幡は、出掛ける時は、どこに行くの?」

 

八幡「基本は本屋かな。あとアニメ○ト」

 

優美子「さすがに、ア○メイトはムリたから、本屋行くし」

 

~~~~~~~~~~

 

本屋

 

八幡「これ面白そうだな」

 

優美子「なにそれ?」

 

八幡「ラノベってやつ」

 

優美子「面白いの?」

 

八幡「これは1巻だから、読んでみないとな」

 

優美子「あーしでも読めそうな本ある?」

 

八幡「家にあるから、読んでみるか?」

 

優美子「試してみる」

 

八幡「そうか」

 

~~~~~~~~~~~

 

ゲーセン

 

優美子「観念するし!」

 

八幡「プリクラはハードル高いって」

 

優美子「あーしと撮るのイヤなんだ…」

 

八幡「わ、わかったよ」

 

優美子「早くするし♪」

 

八幡「へ~い」

 

………

……

 

八幡「ほっぺにキスとか、恥ずかしかった…///」

 

優美子「細かいこと気にしない」

 

八幡「夕方になったけど、どうする?」

 

優美子「ちょっと話したいことがあるから帰ろう…」

 

八幡「おう」

 

~~~~~~~~~~

 

八幡の部屋

 

八幡「で、話ってなんだ?」

 

優美子「…あーし、仕事やめる」

 

八幡「え?お前、何言ってるの!モデルとかテレビの仕事とか楽しそうだっただら」

 

優美子「楽しいよ。でも、八幡と別れたくない…」

 

八幡「別れるなんて言ってないだろ?」

 

優美子「このままだったら、たぶん別れちゃう…。結衣に気づかされた」

 

八幡「だからって、辞めることないだろ」

 

優美子「あーし、中途半端は嫌いだし」

 

八幡「はぁ~。優美子は、そういうタイプだったな。もう止めねぇよ」

 

優美子「いきなり辞めれないから、受けてる仕事をこなしてからになると思う」

 

八幡「それで、実家に戻るのか?」

 

優美子「何言ってるの?」

 

八幡「怖いから。こっちで一人暮らしか?」

 

優美子「あ!」

 

八幡「怖い怖い。あと恐い」

 

優美子「一緒に暮らすに決まってるしょ!」

 

八幡「マジで!」

 

優美子「イヤなの?」

 

八幡「いつかは同棲したいと思っていたが、このタイミングで言われるとは、思ってなかったからな」

 

優美子「考えてくれてたんだね」

 

八幡「まあな。ご両親に挨拶行かないとなぁ…」

 

優美子「えっ!結婚してくれるの!」

 

八幡「ちげぇよ!今の仕事を、たとえ間接的にとはいえ、辞める原因は俺にもあるわけだからな」

 

優美子「それは、私が決めたことだし」

 

八幡「それにだな…/// 結婚を前提にお付き合いしてるので、同棲させてくれって」

 

優美子「結婚を前提に…///」

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

数週間後

 

三浦家前

 

八幡「うぇ…」

 

優美子「どうしたん?」

 

八幡「緊張で吐きそう…」

 

優美子「大丈夫?」

 

八幡「ここまで来て逃げれんだろう」

 

八幡「そういえば、俺のこと両親にはなんて説明したんだ?」

 

優美子「なにも。彼氏連れてくって言っただけ」

 

八幡「おいおい、大丈夫かよ…。一応、一張羅のスーツ着て来たけど…」

 

優美子「大丈夫!格好いいよ」

 

八幡「ありがとう。行くか!」

 

優美子「うん!」

 

ガチャ

 

優美子「ただいま!」

 

八幡「失礼します」

 

三浦母「おかえり。そちらが…」

 

優美子「彼氏」

 

八幡「初めまして。比企谷八幡です。こちら、つまらないものですが…」

 

三浦母「これは、ご丁寧に。さ、上がってください」

 

八幡「はい、失礼します」

 

………

……

 

リビング

 

優美子「パパ。ただいま!彼氏連れてきたし」

 

三浦父「…」ポカーン

 

八幡「初めまして。優美子さんとお付き合いしてます、比企谷八幡です」ペコッ

 

優美子「パパ?」

 

三浦父「おぉ!すまん。まぁかけてくれ」

 

八幡「失礼します」

 

三浦父「優美子の彼氏と聞いて、もっと軽いヤツが来ると思っていてな。そんなヤツ連れてきたら、追い返してやろうかと思っていたんだ」

 

優美子「パパ、ヒドイし!」

 

三浦父「いやぁ、すまん。で、比企谷君は、仕事はなにをやっているんだ?」

 

八幡「地方公務員です」

 

三浦父「また固い仕事だな。具体的には?」

 

八幡「教師をしています」

 

優美子「今は総武高なんだ」

 

三浦父「だが、千葉と東京では、会うことも大変だろう」

 

優美子「あーし、モデル辞めるから」

 

三浦父「なに?」

 

三浦母「え?」

 

優美子「千葉に帰る」

 

三浦父「そうか!じゃあ、ウチに…」

 

優美子「ううん」

 

三浦母「千葉で一人暮らしを?」

 

八幡「そ、それはですね…。ど、同棲をさせていただけないかと…」

 

三浦父「なにぃ?」

 

八幡「中途半端な気持ちではなく、ゆくゆくは結婚したいと考えてまして…」オドオド

 

優美子「…///」

 

三浦父「比企谷君」

 

八幡「はい…」

 

三浦父「君は飲めるのかね?」

 

八幡「はい?」

 

三浦父「酒だよ」

 

八幡「ほどほどに…」

 

三浦父「そうか!ママ、ビールを出してくれ。お祝いだ」

 

三浦母「は~い」

 

八幡「へ?」

 

三浦父「いやぁ、優美子にこんな良い人があらわれるとは…」

 

優美子「そうでしょ」

 

八幡「待ってください…。今すぐ結婚するわけでは…」

 

三浦父「いずれは、するんだろ?」

 

八幡「はい。そのつもりですが…」

 

三浦父「じゃあ、いいじゃないか!前祝いだ!」

 

優美子「パパったら…///」

 

三浦父「優美子の彼氏だから、金髪にピアスとかだったら、どうしようかと思ったら、真面目そうな好青年を連れてきて…。正直、ほっとしてるんだ」

 

八幡「はぁ」

 

三浦父「モデルの仕事も、最初は反対だったんだ。だが、本人が一生懸命やっているのも無下に出来んしな。優美子、仕事はどうするんだ?」

 

優美子「もう、セーブしてるし。あと友達に頼んで、こっちで仕事も探してる」

 

八幡「仕事探してるのは、知らなかったな」

 

優美子「結衣と姫菜が探してくれてる」

 

三浦母「比企谷君は、優美子のどこがいいのかしら?」

 

優美子「ママ、やめてよ…///」

 

八幡「僕は…、あることがきっかけで恋愛に踏み出せないでいたんです。好意が自分に向いているとわかっていても、それはまやかしだと自分に言い聞かせていました…。優美子さんは、そんな僕に真っ直ぐに向かって来てくれました。その好意に、自分自身に言い訳が出来ないくらいに、答えたいと思えたんです。僕は優美子さんの真っ直ぐなところが大好きです」

 

優美子「八幡…///」

 

八幡「な、なにを言ってるんですかね…///」

 

三浦父「いやいや。優美子は、見た目は派手だがな、そういうところがあって、時々、友達や先生とぶつかることがあったんだ。比企谷君は、優美子をよく見てくれている」

 

三浦母「優美子は比企谷君のどこがよかったの?」

 

八幡「それはいいじゃないですか…///」

 

優美子「優しいところ…かな…///」

 

八幡「そんなことはないぞ。俺は自分大好きだからな」

 

優美子「また、そんなこというし!」

 

優美子「八幡は、誰も見てなくても、誰にも評価されなくても…、自分が傷ついても、がんばっちゃうの」

 

八幡「おい…」

 

優美子「文化祭のことも知ってるし」

 

八幡「うっ…」

 

優美子「だから、あーしは八幡が傷つかないように一緒に居たいし、もし傷ついてもあーしが癒してあげる…///」

 

八幡「優美子…、その…、ありがとうな…///」

 

三浦母「ラブラブね」

 

三浦父「比企谷君、改めて娘を頼むよ」

 

八幡「はい!」

 

~~~~~~~~~~~

 

帰り道

 

八幡「結局、結婚まで話が言っちまったな」

 

優美子「イヤだったの?」

 

八幡「遅かれ早かれ、そのつもりだったからな」

 

優美子「じゃあ、問題ないし♪」

 

八幡「次の休みは、ウチの実家だな」

 

優美子「うっ!」

 

八幡「緊張してるのか?」

 

優美子「そ、そんなことないし!」

 

八幡「大丈夫だ。ウチは小町さえ味方にすれば」

 

優美子「千葉村に来てた娘?」

 

八幡「懐かしいな…。そうだな。可愛いぞ」

 

優美子「結衣から聞いてたけど、やっぱりシスコンなんだ…」

 

八幡「ちげぇし」

 

優美子「じゃあ、あーしと小町ちゃん、どっちが可愛い?」

 

八幡「両方…」

 

優美子「あっ!」ギロッ

 

八幡「恐い恐い、あと怖い」

 

優美子「まぁ、確かに妹ちゃん可愛かったから、仕方ないか」

 

八幡「小町、マジ天使」

 

優美子「そういう、キモイ発言しないの」

 

八幡「へいへい」

 

優美子「小町ちゃんが天使なら、あーしはなに?」

 

八幡「嫁(仮)」

 

優美子「よ、嫁…///」

 

八幡「いちいち反応が可愛いんだよ」

 

優美子「か、可愛い…///」

 

八幡「あと、指輪買いに行くか?」

 

優美子「うん…///」

 

八幡「もう逃げられないぞ」

 

優美子「あーしは逃げないし!八幡こそ、逃げられないからね」ウインク

 

八幡「あぁ。俺も逃げるのはやめたんだよ」

 

優美子「なにそれ?」

 

八幡「また今度、教えるよ」

 

 

 



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相模南編

総武高 職員室

 

平塚「比企谷先生」

 

八幡「はい」

 

平塚「○○電機に、この書類を届けてくれないか?」

 

八幡「なんの書類ですか?」

 

平塚「職場見学の書類だ。君のように自宅と書く生徒はいなかったがな」

 

八幡「その節は、すいませんでした」

 

平塚「まぁ、今は教師をしているんだ、楽しい思い出だ」

 

八幡「では、行ってきます」

 

~~~~~~~~~~

 

○○電機

 

八幡「あの~、総武高校もモノですが、人事課の方をお願いします」

 

受付「少々お待ちください」

 

八幡「はい」

 

………

……

 

???「お待たせしました」

 

八幡「いえいえ…?」

 

???「もしかして、比企谷?」

 

八幡「…相模か」

 

南「久しぶり…だね」

 

八幡「ああ…。取り敢えず書類を…」

 

南「あ、ああ。お預りします」

 

八幡「じゃあな」

 

南「ま、待って…」

 

八幡「あん?」

 

南「あ、あの、お茶、飲んでいかない?」

 

八幡「…まぁ、それくらいなら」

 

………

……

 

南「コーヒーでよかったかな?」

 

八幡「あぁ、ありがとう」

 

南「比企谷、先生になってたんだね」

 

八幡「あぁ、しかも総武高な」

 

南「ねぇ…。あの時のこと覚えてるよね?」

 

八幡「知らねぇな」

 

南「ウソ…」

 

八幡「もう、いいんだよ。昔のことだ」

 

南「でも…。あの時は、ごめんなさい…。やっと言えた…」グスッ

 

八幡「お、おい。泣くなよ。俺の方こそ、女の子を罵倒するなんて、どうかしてたよ、悪かったな」

 

南「ううん、比企谷は悪くないの」グスッ

 

八幡「でも、どうしたんだ?」

 

南「ウチね、大学の時に色々あって…。比企谷や雪ノ下さんに迷惑かけたって…。罪悪感が出てきたの。それで、会える機会があったら、謝ろうと思ってたんだ…」グスッ

 

八幡「そうか…。俺は相模の謝罪を受け入れた。相模も俺の謝罪を受け入れた。それでいいたろ?」

 

南「うん、ありがとう」グスッ

 

八幡「だから、泣くなよ。ほらハンカチ」

 

南「ありがとう」グスッ

 

八幡「それ以上泣くと、可愛い顔が台無しだぞ」

 

南「え?」

 

八幡「え?」

 

南「今、なんて…」

 

八幡「あわわわ!すまん、気持ち悪い発言だった。忘れてくれ。こんな時間だ!じゃあな」タタタッ

 

南「あっ!待って、比企谷!ハンカチ!…行っちゃった…」

 

~~~~~~~~~~

 

後日

居酒屋

 

八幡「てなことがあったんたよ」

 

雪ノ下「そう…」

 

由比ヶ浜「へぇ。さがみん、大人になったんだね」

 

八幡「そうだな。由比ヶ浜も大人になれよ」

 

由比ヶ浜「私は大人だし!」ブーブー

 

雪ノ下「相模さんに、なにがあったのかしらね」

 

八幡「そこまでは聞いてないな。プライベートなことだろうし」

 

由比ヶ浜「そんなところで会うなんて、世間て狭いよね~」

 

雪ノ下「そうね。そのうちに、折本さんにも会うんではないかしら?」

 

八幡「そのフラグっぽい発言やめて」

 

雪ノ下「じゃあ、姉さんは…」

 

八幡「あの人、名前だすと本当に現れるから、本気でやめて」

 

雪ノ下「そうね、危険だわ」

 

由比ヶ浜「あはは…」

 

~~~~~~~~~~

 

数日後 夕方

総武高 職員室

 

教師「比企谷先生、お客さんですよ。○○電機の相模さん」

 

八幡「はぁ…」

 

城廻「比企谷君、相模さんて…」

 

八幡「あの相模ですよ」

 

城廻「どうしたんだろうね?」

 

八幡「この前、書類を届けた時に会いましたからね。とりあえず、行ってきます」

 

………

……

 

八幡「よお、どおした?」

 

南「ごめんね、呼び出したりして」

 

八幡「まぁ、帰り支度の最中だったからな。気にするな」

 

南「あの、これ、ありがとう」

 

八幡「わざわざハンカチ返しに来たのか?」

 

南「あと、これ…。よかったら使って」

 

八幡「ハンカチ貸しただけで、お礼とか受けとれねぇよ」

 

南「比企谷にあうと思って選んだんだけど…ダメかな?」ジー

 

八幡「だぁ!わかったよ。中身は?」

 

南「タイピンだよ。その…、お詫びの意味もあるし…」

 

八幡「気にするなって言っただろ、まったく…」

 

南「迷惑だった?」

 

八幡「女性からプレゼントなんて、慣れてないんだよ」

 

南「そ、そうなんだ…」テレッ

 

八幡(なんか、可愛いな)

 

南「迷惑ついでに、もうひとついいかな?」

 

八幡「今度はなんだ?」

 

南「飲みに行かない?」

 

八幡「俺とか?」

 

南「う、うん。ダメかな?」

 

八幡「俺と飲んでも楽しくないぞ」

 

南「比企谷とゆっくり話をしてみたいんだ」

 

八幡「いつがいい?」

 

南「ウチは今日でも大丈夫」

 

八幡「わかった。軽く飲むか」

 

南「いいの?」

 

八幡「イヤなら、やめるぞ」

 

南「ダメダメ!」

 

八幡「先に店に行ってくれ。支度が済んだらいくよ」

 

南「ここで待ってる」

 

八幡「逃げねえよ」

 

南「ううん、待っていたいんだ…」

 

八幡「わかった、すぐ終わらせる」

 

………

……

 

城廻「比企谷君、どうだった?」

 

八幡「この前、ハンカチ貸したんで、返してくれました。それと、今から飲みに」

 

城廻「珍しいね」

 

八幡「なにかあるんですかね?とりあえず、行きます」

 

城廻「お疲れ様~」

 

………

……

 

八幡「お待たせ」

 

南「大丈夫」

 

八幡「居酒屋でオk?」

 

南「いいよ」

 

八幡「話って、モン○ンの素材集めじゃないよな?」

 

南「なにそれ?」

 

八幡「なんでもない」

 

~~~~~~~~~~~~

 

居酒屋

 

八幡「で、どうして俺と飲みたかったんだ?しかも個室で」

 

南「少し…、話を聞いて欲しかったんだ」

 

八幡「友達に聞いてもらえばいいだろ?」

 

南「友達もいないわけじゃないけど…」

 

八幡「その友達じゃダメなんだな?」

 

南「うん…」

 

八幡「話してみろよ」

 

南「大学に入学したころは、相変わらずステータスばっかり追いかけてた」

 

八幡「…」

 

南「それで…、痛い目にあった…」

 

八幡「なるほどな」

 

南「聞いてもらえる?」

 

八幡「今さらかよ。言ってみろよ」

 

南「お金を騙しとられたでしょ」

 

八幡「マジかよ」

 

南「三股かけられて、修羅場でしょ。ちなみに、ウチは3番目」

 

八幡「あらら」

 

南「入ったサークルの先輩の部屋で三人にマワされたでしょ」

 

八幡「おいおい」

 

南「あとね、これ」チラッ

 

八幡「こんな所で上着を捲るな」

 

南「お腹だから、大丈夫だよ。見て」

 

八幡「これって…」

 

南「彼女がいる男に手をだして、彼女に刺された跡」

 

八幡「大丈夫だったのかよ…」

 

南「まぁ、色々あったんだよ」

 

八幡「内容濃過ぎだろ」

 

南「こんなことがないと、自分がやってることがわからないなんて馬鹿だったんだよ」

 

八幡「…そうか」

 

南「自分のしてきたことを思い返して、反省してる中で、比企谷に謝りたいと思ったわけ」

 

八幡「なんで、俺にそんな話をしたんだ?相模だって思い出したくなかっただろうに」

 

南「比企谷に信用して欲しかったから、かな?」

 

八幡「なんで疑問系なんだよ」

 

南「わかんない」

 

八幡「まぁ、嘘をついて俺に近づいても、相模にメリットはないし、傷痕まで見せられたら、信用するしかないだろ」

 

南「ありがとう」

 

八幡「ずいぶんと、しおらしくなっちまったな」

 

南「こんな話をしてたらね…」

 

八幡「まぁ、相模は笑ってた方が可愛いと思うぞ」

 

南「え?」

 

八幡「え?」

 

南「今、なんて…」

 

八幡「酒のせいだ。忘れてくれ、たのむ」

 

南「忘れないよ…」

 

八幡「え~」

 

南「比企谷は、そういう言葉で人の心を弄んだりしないから…。だから、嬉しい…」

 

八幡(もじもじするなよ、可愛いから!)

 

八幡「そ、そうだ!雪ノ下にも謝りたいって言ってたけど、本当か?」

 

南「叶うなら…」

 

八幡「連絡してみるか?」

 

南「出来るの?…そっか、結衣ちゃんか雪ノ下さんと付き合ってるなら出来るか…」

 

八幡「いや、まったく」

 

南「え?」

 

八幡「定期的に会ってはいるが、そんな関係ではない」

 

南「そ、そうなんだ」

 

八幡「そうそう」

 

南「じゃ、じゃあ、比企谷って彼女いないの?」

 

八幡「彼女いないどころか、年齢=彼女いない歴だよ。魔法使いになれるまである」

 

南「そうなんだ」

 

八幡「とりあえず、由比ヶ浜に連絡しとくよ」

 

南「雪ノ下さんは?」

 

八幡「連絡先を知らん」

 

南「そ、そうなの?」

 

八幡「俺も聞かんし、雪ノ下も聞いてこないからな」

 

南「へ、へ~」

 

八幡「向こうがOKしたら、仲介はする」

 

南「ありがとう…。ねぇ、比企谷」

 

八幡「あん?」

 

南「連絡先、交換しない?」

 

八幡「ああ、ほれ」ポイッ

 

南「スマホごと渡されても…」

 

八幡「俺の連絡先交換のスタイルはこうだ。見られて困るモンもないしな」

 

南「じゃあ、登録するね」

 

八幡「頼む」

 

南(…女の子の名前ばっかり…。本当に雪ノ下さん無い…)

 

南「…はい。出来たよ」

 

八幡「さんきゅ」

 

南「でも、比企谷と話が出来て、本当によかった…」

 

八幡「なんでだ?」

 

南「心のトゲがとれたし、大学の話も、人に話したことなかったから…」

 

八幡「おいおい、そんな話の初めてが俺でよかったのか?」

 

南「比企谷だから、よかったんだよ」

 

八幡「そんなモンかね?」

 

南「そんなモンだよ」クスクスッ

 

八幡「なにが可笑しいんだ?キモかったか?」

 

南「比企谷って、普通に話が出来たんだね」

 

八幡「昔は出来なかったが、教師やってるとな」

 

南「ウチもこんなにしゃべったの、久しぶり」

 

八幡「俺と話して楽しいか?」

 

南「楽しいよ」

 

八幡「それは、よかった」

 

~~~~~~~~~~

 

数日後

居酒屋

 

南「雪ノ下さん、結衣ちゃん、城廻先輩、あの時は本当に、すいませんでした」

 

雪ノ下「…」

由比ヶ浜「…」

城廻「…」

 

八幡「と、いうことだ」

 

雪ノ下「…比企谷君は、それでいいのかしら?」

 

八幡「ん?まぁ、昔のこただし、相模も大学時代に痛い目をみて、色々思い直したみたいだからな。俺は、相模の謝罪を受け入れたよ」

 

由比ヶ浜「さがみん、なにかあったの?」

 

南「実は、かくかくしかじかでね」

 

八幡「それで、伝わるのかよ」

 

城廻「相模さん、大変だったねぇ~」

 

八幡「伝わるんだ…」

 

雪ノ下「当時の相模さんにも問題はあったとしても、ヒドイ男ね」

 

南「もう終わったことだし…。今はもう、なんともないよ」

 

由比ヶ浜「女の敵だね」

 

城廻「比企谷君も、ある意味『女の敵』だよね~」

 

八幡「何故だ。なるべく女性に近づかないようにしているのに…。あれか、見ただけで、犯罪レベルなのか…」

 

雪ノ下「そうれもあるわね、視姦谷君。でも、城廻先輩が言ってることは、違うわ」

 

由比ヶ浜「まぁ、ヒッキーには、わからないよね」

 

南「やっぱり、比企谷ってそうなんだ…」

 

八幡「なんなんだよ…」

 

雪ノ下「貴方には、わからない話よ、ニブ谷君」

 

八幡「なんか、モリサマーみたいになってるよ、俺」

 

雪ノ下「話は戻るけど、私ももう許すわ」

 

由比ヶ浜「私も大丈夫!」

 

城廻「私も~」

 

八幡「相模、よかったな」

 

南「みんな、ありがとう」グスン

 

八幡「また泣くのかよ。ほれ」

 

南「また比企谷に、ハンカチ借りちゃった…」

 

雪ノ下「また?」

 

八幡「ああ、再会した時にな。同じ内容で泣かれた。もうお礼とかいいからな」

 

南「うん」

 

由比ヶ浜「お礼?」

 

八幡「タイピン貰ったんだよ」

 

南「えへへ」

 

雪ノ下「相模さん、ちょっといいかしら?」

 

南「なに?」

 

雪ノ下「相模さんは、彼のことを…」ゴニョゴニョ

 

南「えっ!そ、そんなのとないよ!でも、比企谷って、なんか優しいし…」

 

由比ヶ浜「さ、さがみん?」

 

城廻「ライバル出現だよぅ」

 

八幡(何をゴニョゴニョ言ってるんだ?俺には関係ないか)

 

八幡「すいませ~ん、生中1つともちチーズ焼き」

 

………

……

 

八幡「もちチーズ焼き、旨いな」モグモグ

 

南「あ、比企谷、ウチもちょっと食べたい!」ヒョイ パクッ

 

八幡「あ、俺が箸付けた…、手遅れか」

 

南「えへへ」

 

由比ヶ浜「ヒッキー!私も!」ヒョイ パクッ

 

城廻「私も」ヒョイ パクッ

 

雪ノ下「わ、私も…」ヒョイ パクッ

 

八幡「俺のもちチーズ焼きが…。食べたいなら言えよ、多めに頼んだのに…」

 

南「…鈍感」ボソッ

 

雪ノ下「…鈍谷」ボソッ

 

城廻「…唐変木」ボソッ

 

由比ヶ浜「えっと、えっと…」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん、無理しなくていいわよ…」

 

~~~~~~~~~~~

 

日曜日

駅前

 

八幡(新刊、新刊~♪)

 

八幡(ん?相模か?ナンパされてんのか?…すげぇイヤそうにしてるな)

 

八幡(知らないヤツじゃないし…)

 

八幡「南、どうした?」

 

南「!ひき…。八幡、この人が…」

 

八幡「俺の彼女に何か用事でも?」

 

ナンパ男「チッ!男、いるのかよ!」

 

八幡「大丈夫か?」

 

南「ありがとう、また助けられちゃったね」

 

八幡「気にするな。じゃあな」

 

南「ま、待って!」

 

八幡「ん?どうかしたか?あっ!名前で呼んだことか!すまん、キモかったな、忘れてくれ」

 

南「そ、それは、なんか嬉しかったというか…」モジモジ

 

八幡「お、おう。そうか…」

 

南「ひ、比企谷は…、は、八幡は、この後なにか予定があるのかな」

 

八幡(何故に名前呼び?)

 

八幡「今日は、ほらアレだ、そう…」

 

南「う、ウチと、デデデ…」

 

八幡「デデデ大王?」

 

南「違うくて…。えっと、デートしてくだしゃい」

 

八幡「は?言ってる意味がわからんのだが…。俺と?」

 

南「八幡と」

 

八幡「相模が?」

 

南「ウチが」

 

八幡「デート」

 

南「うん」

 

八幡「…?」

 

南「ダメ?」ウルウル

 

八幡「上目遣いで見るよ」

 

南「だって、さっきのナンパ男に会ったら…」ウルウル

 

八幡「…わかったよ」

 

南「いいの?」

 

八幡「まぁ、少しなら。ただし、ノープランだから、文句言うなよ」

 

南「ひき…、八幡といっぱい話をしたかったんだ」

 

八幡「なんで、名前呼びなの?」

 

南「さっき、ウチのこと名前で呼んでくれたから」

 

八幡「あれは、彼氏のフリをしただけで…」

 

南「でも、名前で呼んでくれたら、嬉しいな」

 

八幡「わかったよ。み、み、み、み、南」

 

南「なんで、どもるの?さっきは、さらっと言ったのに」

 

八幡「緊張するんだよ。女性を名前で呼ぶなんて、小町ぐらいしかいないからな。」

 

南「小町?」

 

八幡「あぁ、妹だ。超可愛いぞ」

 

南「…シスコン?」

 

八幡「ちげぇし」

 

南「でも、名前呼びすると、距離が近くなった気がしない?」

 

八幡「まぁ、そうかもな。名前呼びしたことねぇけど」

 

南「だから、ウチのことも『南』って呼んでね、八幡!」

 

八幡「慣れてきたらな」

 

南「今日はどこへ行くつもりだったの?」

 

八幡「ん?本屋で新刊買って、家で読むつもりだった」

 

南「じゃあ、まずは本屋さんだね」

 

八幡「おう」

 

~~~~~~~~~~~

 

本屋

 

南「八幡て、どんな本を読むの?」

 

八幡「今日買うのはラノベだが、普通の小説も読むぞ。相模は?」

 

南「み・な・み!」

 

八幡「コホン。南はどんな本を読むんだ?」

 

南「一時期は自己啓発本とか読んでた。今は、恋愛モノとか…。あと、楽譜かな」

 

八幡「何故、自己啓発本?」

 

南「大学の時に色々あったからね」

 

八幡「すまん…」

 

南「き、気にしないで」

 

八幡「…」

 

南「…」

 

八幡「それに、楽譜って?」

 

南「楽器やってみようかなって」

 

八幡「どんな楽器?」

 

南「キーボードとかユーフォニアムとか」

 

八幡「…」

 

八幡「そ、そうだ!腹減ってないか?」

 

南「そんなに…。あ、甘いモノ食べに行かない?」

 

八幡「いいんだが、俺はそういった店を知らんぞ」

 

南「ウチが行く店でいいかな?」

 

八幡「じゃあ、そこで」

 

………

……

 

スイーツ店

 

八幡「決まったか?」

 

南「こっちのパンケーキも美味しそうだし、こっちの季節限定パフェも気になる…」

 

八幡「どれだ?」

 

南「これとこれ」

 

八幡「ふ~ん」

 

南「興味なさそう…」

 

八幡「すいませ~ん」

 

店員「お決まりですか?」

 

八幡「このパンケーキと季節限定パフェ。飲み物はコーヒーと…、南は?」

 

南「ウチもコーヒーで」

 

八幡「じゃあ、コーヒー2つ」

 

店員「かしこまりました」

 

南「八幡は、それでいいの?」

 

八幡「両方、うまそうだったからな」

 

南(八幡は優しいな。ナンパから助けてくたし、歩いてた時も何気なく車道側を歩いてたし、店に入る時もドア開けてくれたし…。それに、下心なさそうだし)

 

八幡「お、相模、来たぞ。うまそだな」

 

南「み!な!み!」

 

八幡「み、南、うまそうだぞ」

 

南「それだと、ウチが食べられそう…///」

 

八幡「す、すまん…!そういうつもりは…///」

 

南「…///」

八幡「…///」

 

………

……

 

南「美味しかったね」

 

八幡「だな」

 

南「じゃあ、出ようか」

 

八幡「あぁ」

 

南「あ、ウチお手洗いに行ってくる」

 

八幡「おう」

 

………

……

 

南「お待たせ」

 

八幡「おう、行くか」

 

南「待って。支払いは?」

 

八幡「ん?済ませた」

 

南「え?払うよ」

 

八幡「デートなんだろ?俺に花を持たせてくれ」

 

南「う、うん。ありがとう」

 

~~~~~~~~~~~

 

駅前

 

八幡「ここでいいのか?」

 

南「うん、送ってくれて、ありがとう」

 

八幡「次は、ナンパ上手く断れよ」

 

南「がんばる!」

 

八幡「そうか。じゃあな」

 

南「八幡!」

 

八幡「ん?」

 

南「ま、またデートしてね…///」

 

八幡「お、おう…///」

 

~~~~~~~~~~~

 

数日後

居酒屋

 

由比ヶ浜「さがみんから、誘われれるとは思わなかったよ」

 

南「ごめんね、イヤだった?」

 

由比ヶ浜「そんなことないよ。なんか、さがみん、昔と違うし」

 

南「そうかな?」

 

由比ヶ浜「こんな言い方、良くないかもしれないけど、昔のさがみんは話していても、薄っぺらい感じがしたの。でも、今は違うの。上手く表現出来ないけど…」

 

南「…そうかもしれない」

 

雪ノ下「ごめんなさい。遅くなってしまって」

 

由比ヶ浜「大丈夫だよ」

 

雪ノ下「なんの話をしていたのかしら?」

 

南「昔のウチは薄っぺらかったって話」

 

由比ヶ浜「うわぁ、さがみん、ごめん」

 

南「大丈夫よ。今は違うんでしょ?」

 

雪ノ下「そうね。高校の頃の印象とは違うわね」

 

南「…やっぱり、八幡のお陰かな…」

 

由比ヶ浜「さ、さがみん、今ヒッキーのこと…」

 

雪ノ下「相模さん、どういうことなのかしら?」

 

南「え?あ!違うの!」

 

雪ノ下「何がどう違うのかしら?」

 

南「付き合ってるとかじゃなくて…」

 

由比ヶ浜「う、うん…」

 

南「この前、ナンパされてたのを助けてくれて…。それで、『親しくなりたいから、名前で呼んでいい?』って聞いたら、いいって…。ウチのことも『南』って、呼んでもらってる…///」

 

由比ヶ浜「うぅ、いいなぁ」

 

雪ノ下「う、うらやま…。コホン。で、そのナンパは大丈夫だったのかしら?」

 

南「大丈夫だったよ。あの時の八幡、格好良かった…///」

 

雪ノ下・由比ヶ浜(うらやましい!)

 

南「その後、八幡が本屋さんに行く予定だったから、本屋さんへ行って、その後はスイーツを食べに行ったよ」

 

由比ヶ浜「さがみん、それって…」

 

雪ノ下「で、で、で、デートだったのかしら…」

 

南「そう…思ってくれてたら、嬉しいな…///」

 

由比ヶ浜「それは…」

 

雪ノ下「無理だと思うわ」

 

南「ど、どうして…」

 

由比ヶ浜「それは…」

 

雪ノ下「今まで私達の想いに気がつかないのよ」

 

南「それは…。厳しいね。…でも」

 

由比ヶ浜「でも?」

 

南「ウチはがんばる!」

 

雪ノ下「はぁぁぁ」ヤレヤレ

 

由比ヶ浜「どうしたの?ゆきのん」

 

雪ノ下「比企谷菌の感染が拡がってしまったわ…」

 

由比ヶ浜「あはは…」

 

~~~~~~~~~

 

数日後

駅前

 

南(ここで、八幡が助けてくれたんたよね。ウチもなにか出来ることからやろう!)

 

???「やめてください!」

 

南(ナンパ?女の子嫌がってる…。よしっ!)

 

南「お待たせ!私達、予定があるから。さよなら」グイッ

 

???「あっ」

 

南「走るよ」ボソッ

 

???「はい」

 

………

 

南「追いかけてきてないね。大丈夫だった?」

 

???「すいません、助かりました」

 

南「よかった。じゃあね」

 

???「よかったら、すこしお茶しませんか?お礼をしたいので」

 

南「じゃあ、ご馳走になろうかな」

 

~~~~~~~~~

喫茶店

 

南「そんな感じで、ウチはナンパから助けてもらったんだ」

 

???「へぇ、そんな素敵な男性が居るんですね」

 

南「その時、助けてもらって、好きになっちゃったかも…///」

 

prrrrr

 

???「すいません、電話だ」

 

南「どうぞ、出て」

 

???「もしもし、なにやってたの!早く来ないからナンパされて大変だったんだから。うん、大丈夫。助けてもらったから。お礼を込めて喫茶店でお茶してる。うん、わかった待ってる」

 

南「待ち合わせの相手?」

 

???「はい。是非、お礼を言いたいそうです」

 

南「そんなのいいのに」

 

………

 

???「あっ!来た!お兄ちゃん、こっち」

 

八幡「おう!…相模?」

 

南「み・な・み!…って、八幡?」

 

小町「あれ?お兄ちゃん、知り合い?」

 

八幡「あぁ、高校の同級生だ。小町を助けてくれたのは、相模…」

 

南「だから、南って呼んでよ」

 

八幡「…南が小町を助けてくれたのか?」

 

南「この前、八幡が助けてくれたから、やってみようと思ったんだ」

 

小町「あれ?さっき話題に出た…」

 

南「あわわわ…///」

 

八幡「なんだ?」

 

南「なんでもないよ」

 

小町「ほほう」ニヨニヨ

 

南「…///」

 

小町「あぁ!小町としたことが、他の予定を思い出しました!今日はお兄ちゃんの服をコーディネートするつもりだったのに!誰か小町の代わりに見立ててくれる人が居ないかなぁ」チラッ

 

南「あ、あの…、ウチで良ければ…」

 

小町「えぇ!南さん、やってくれるんですか?」

 

南「う、うん。いいよ」

 

八幡「お、おい…」

 

小町「ではでは、南さん、よろしくお願いしますね」

 

南「うん」

 

小町「あと、連絡先を交換しましょう」

 

南「いいよ」

 

八幡「小町が出来ないなら、今日はやめれば…」

 

小町「何言ってるのお兄ちゃん!バカ!ボケナス!八幡!」

 

八幡「だから、八幡は悪口じゃねぇよ」

 

小町「ではでは、南さん。よろしくお願いします」

 

八幡「はぁぁぁ。すまんな、南。断ってもいいんだぞ」

 

南「ううん。ウチがそうしたいんだ」

 

八幡「じゃあ、頼む」

 

………

 

ショッピングモール

服屋

 

八幡「俺はユニ○ロで充分なんだが…」

 

南「さっき小町ちゃんからメールで、ユ○クロはアニメコラボTシャツ買うからダメだって」

 

八幡「先手を打たれたか」

 

南「八幡は、元がいいんだから、ちゃんとすればいいのに…」

 

八幡「お世辞でも、嬉しいよ」

 

南「お世辞じゃないよ!八幡は、本当に格好よくなったよ…///」

 

八幡「お、おう…///」

 

………

 

八幡「ちょっと一休みしようぜ」

 

南「そうだね」

 

八幡「ジュース買ってくるから、そこのベンチで待っててくれるか?」

 

南「わかった」

 

八幡「リクエストはあるか?」

 

南「ペ○シ」

 

八幡「コ○・コーラじゃダメなのか?」

 

南「○プシじゃなきゃいけない気がするんだ。スポンサー的に」

 

八幡「よくわからんが、ペプ○な」

 

………

 

八幡「お待たせ」

 

南「ありがとう」

 

八幡「しかし、南に服を見立ててもらうとはな。高校時代の俺が見たらなんて言うかな」

 

南「ウチもそう思う」フフフッ

 

八幡「こうやって、南と買い物したりしてると楽しい…」

 

南「えっ?」

 

八幡「あ、いや、なんでもない。次は靴を見てくれないか?」

 

南「あ、うん」

 

………

 

八幡「今日はありがとうな」

 

南「ううん、気にしないで」

 

八幡「その、なんだ。また、頼んでもいいか?」

 

南「う、うん!」

 

~~~~~~~~~

 

数週間後

駅前

 

南(また、八幡と出掛けられる♪今日で何回目だろう♪)

 

南(ちょっと早く来すぎたかな♪)

 

グズ男「あれ?相模じゃん」

 

南「え?」

 

グズ男「ほら、同じサークルだった…」

 

南「こ、こんにちは」プルプルッ

 

グズ男「ちょうど良かった。俺、暇なんだ。ちょっと付き合えよ」

 

南「お、お断りします。私、待ち合わせしてるんで」プルプルッ

 

グズ男「いいのか?そんなこと言って。あの時の画像、まだあるかなぁ…」

 

南「や、やめてください!」

 

グズ男「間違えてSNSにアップしちゃうかもなぁ」

 

南「わ、わかりま…」

 

八幡「は~い、録音しましたよ」

 

南「は、八幡っ!」

 

グズ男「なんだテメェは!」

 

八幡「南の彼氏だ。お前の相手は俺がしてやるよ」

 

グズ男「こいつのこと知ってて付き合ってるのか?」

 

八幡「もちろん」

 

グズ男「まぁ、いい。南は連れていく…」

 

八幡「おい!」

 

グズ男「あ?」

 

八幡「俺の彼女を勝手に呼び捨てにするな!」

 

グズ男「テメェ、ケンカ売ってるのか?」

 

八幡「いいや。お前が勝手に自滅するだけだ」

 

ppp

 

グズ男「何、携帯いじってんだよ?」

 

八幡「スピーカー通話にしてやるから、聞いておけよ」

 

???『やぁ、君から電話してくるとは、珍しいね』

 

八幡「悪いな、葉山。ちょっと急用でな」

 

葉山『どうしたんだい?』

 

八幡「過去の写真をSNSにアップするって脅された場合、民事で勝てるか?その録音音声もある」

 

葉山『あぁ、任せてくれ』

 

八幡「もしかしたら、頼らせてもらうぞ、葉山先生」

 

葉山『君から、頼られるのも悪くないな。待ってるよ』

 

八幡「ありがとよ」

 

p

 

八幡「電話の相手は、弁護士先生だ。今から南と行って訴訟の手続きをしてもいいんだが…」

 

グズ男「冗談だろ?」

 

八幡「冗談にしてほしいか?」

 

グズ男「が、画像なんてない本当だ」

 

八幡「二度と南の前に現れるな!次に現れたたら、俺のすべてを持ってお前を潰す!うせろ!」

 

 

 

八幡「ふぅ。大丈夫か?」

 

南「はち…、まん…」グズッ

 

八幡「お、おい。泣くなよ」

 

南「だって、八幡が、八幡が」グズッ

 

八幡「と、とりあえず、座って落ち着こうか」

 

………

 

八幡「落ち着いたか?」

 

南「うん」

 

八幡「あんまり、泣くなよ。可愛い顔が台無しだ」

 

南「また、可愛いって言ってくれた」

 

八幡「うわっ、すまん」

 

南「ううん、嬉しい…。八幡に言ってもらえると、すごく嬉しい…。それに…」

 

八幡「それに?」

 

南「さっきは、すごく格好良かった」

 

八幡「お、おう。ありがとよ…///」

 

南「も、もう我慢出来ない!」

 

八幡「ど、どうした?」

 

南「う、ウチは、八幡のことが好き!!」

 

八幡「へ?」

 

南「だから、好きなの!八幡のことが!」

 

八幡「待て待て。思考が追いつかん」

 

南「ご、ごめん」

 

八幡「南が」

 

南「ウチが」

 

八幡「俺のことを」

 

南「八幡のことを」

 

八幡「好き」

 

南「好き。大好き」

 

八幡「マジで?」

 

南「うん…///」

 

八幡「あ、ありがとう…」

 

南「返事…」

 

八幡「え?」

 

南「返事、もらいたいな…」

 

八幡「あ、ああ、すまん。なんてゆうかな…。『実はウソでした!』とか、明日になったら『アンタのなんか好きになるわけないでしょ。プークスクス』とかないよな?」

 

南「ヒドイ!ウチそんなことしない!」

 

八幡「告白されたり、告白した後は、いつもそんなんだったから…」

 

南「え?」

 

八幡「最たるものが、告白した次の日にクラス中の笑いものとかな」

 

南「そんなことが…。でも、ウチも人こと言えないな…」

 

八幡「…」

 

南「文化祭の後、八幡にヒドイこと言われたって、あちこちで言ってたし…」

 

八幡「い、いや、それは南が謝ってくれて終わっただろ。だから、今回のは俺の心の問題だ。だから、少し時間をくれないか?」

 

南「…わかった」

 

八幡「それより、今日も服を見てくれるんだろ?」

 

南「う、うん」

 

~~~~~~~~~~~

 

八幡の部屋

 

小町「南さん、小町はこっちのアウターを合わせた方がいいと思います」

 

南「そっちもいいけど、これは?今日買ってきたヤツ」

 

小町「いいですね」

 

八幡(かれこれ、1時間以上着せ替え人形ですわ)

 

南「八幡、そんな顔しないの」

 

八幡「疲れたぁ」

 

小町「はぁ、これだからゴミぃちゃんは…」ヤレヤレ

 

南「ごめんなさい、今日は色々あったから…」

 

八幡「いや、南が悪いんじゃないんだよ。俺がなれてないというかなんというか…」

 

小町「ほほう、何があったんですかな」ニヨニヨ

 

南「八幡に告白した…///」

 

八幡「ちょ、まて、お前」

 

小町「えええええ!!」

 

南「返事はもらってないけど…」

 

小町「お兄ちゃん!正座!」

 

八幡「なんで…」

 

小町「いいから正座!」

 

八幡「はい…」

 

南「小町ちゃん…」

 

小町「南さん、ちょっと待ってくださいね」ニコッ

 

南「はい…」

 

小町「お兄ちゃん!どうして返事しないの!」

 

八幡「それは、アレだ。その…え~と…」

 

小町「どうせ、『南さんが可愛いから、俺なんかとは釣り合いとれない』とか、『まだ裏切られるきも』とか、くだらないこと考えているんでしょ?」

 

八幡「はい…。おっしゃる通りです」

 

小町「あのね、お兄ちゃん。南さんは真剣なんだよ。高校の文化祭の話も聞いたよ。それでも、思い直して苦しい思いをして、お兄ちゃんに再開して好きになってくれたんだよ」

 

南「小町ちゃん…」

 

八幡「小町…」

 

小町「それとも、お兄ちゃんは南さんのこと、好きじゃないの?」

 

八幡「そ、それは…」

 

小町「じゃあ、小町は帰るから、南さんと、向き合って」

 

八幡「ありがとな、小町」

 

小町「まったく、小町が何年お兄ちゃんの妹やってると思ったの。そんなのお見通しだよ」

 

南「小町ちゃん…。ありがとう」

 

小町「南さんは、昔の南さんじゃないんです。頑張ってください」

 

………

 

八幡「小町、帰ったな」

 

南「うん」

 

八幡「なぁ、南」

 

南「何?」

 

八幡「小町が言ってたことはだいたい合ってる」

 

南「うん」

 

八幡「俺は、自分の力で変わった南に気後れしてたのかもしれない」

 

南「変われるきっかけをくれたのは八幡だよ」

 

八幡「俺も変わって行きたい」

 

南「うん」

 

八幡「俺の近くに居て、俺を見ていてくれ」

 

南「うん」

 

八幡「俺と…、付き合ってくれ」

 

南「…はい。よろしくお願いします」

 




八×南のSS書いてる人って、すごいですね。
我ながら、無理矢理でした。


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