拝啓 お父さん、お母さん。このたび俺は魔王になりました、助けてください。 (のろとり)
しおりを挟む

【第一章】~再築編です、助けてください。~
異世界にいました、助けてください。


もっとギャグにしたかったです……


俺は一度死んだのだが、いつの間にか魔王になっていた。

これは『憑依転生』とやらだろうか。

そもそも、こんなことを急に言っても頭のおかしい奴に思えるだろう。

安心しとけ。俺が転生したのは三日前だし、俺自身だって『なんだこいつ……』と思っている。

まぁ、俺だって混乱している。寝ていたら、いつの間にか容姿が変わっていて知らない場所にいたからな。

 

「魔王様、次はこれをお願いします」

 

部下の容姿が死神のようで怖いです。

2m越えの鎌を持ったフード被ってる奴がいたら誰だってビビる。

まぁ、これだけだと誰かがコスプレしてると思うだろう。

そう思いながら部下……死神でいいや。

死神から何かの紙を渡されたので、とりあえず読んでみた。

 

「わ、分かった……」

 

全く字が読めないこの文字は日本語でも、英語でもない。

よく分からないが了承することにした。

 

「いいと思う……」

 

そう言うと、死神がとても喜んだ。

嬉しいのは分かったから、その鎌を置け。振り回してるから怖いんだよ!

 

「あっ、魔王様これから散歩に行きましょう!」

 

散歩か……まだ外の状態が分からないから、確認するにはちょうどいいな。

 

 

 

 

 

「ふむ……」

 

俺は外を見て、驚いた。禍々しいことに。

そもそも、俺のいた部屋にはステンドガラスはあったが、そこから入ってくる光が眩しすぎて外が見えなかったのだ。設計ちゃんとさせろよ!

 

「魔王様、毒の花が咲いてますよ! 綺麗ですねぇ~」

 

この禍々しさに比べたら、死神が浮いてることなんかどうでもよく感じる。

俺がさっきいたであろう城に『まおうじょー』と書いてあるのも気にならない。書いたのは俺だけど。

こんな場所は聞いたことが無いから、恐らくは異世界……だろう。

非常識なことが沢山起こってるからな!決して、俺が転生系の話が好きだからそう思った訳じゃ無いからな!

 

「……ああ」

 

俺はゆっくりと歩いていると、崖についた。

高いな。俺は底が見えない位深い崖を上から見下ろしていた。

 

「……帰ろ」

 

俺は帰ろうとすると、死神が何かを唱えた。

なんだ?と思った瞬間、景色が一瞬で変わった。

なるほど、これがテレポートか。酔うからなるべく使わないように頼みたい……

 

「俺はこの城を見ている。何かあったら教えてくれ」

 

「分かりました! この白雲(しらく)の命に誓って!」

 

重すぎるだろ……

そうれはそうと、こいつの名前は死神じゃないのか。当たり前だけど。

 

 

 

 

 

「なるほど……迷った」

 

俺は案の定迷った。土地勘が無い上、地図もスマホも無い。

あ!この体の持ち主(魔王)の記憶を持ってくること出来ないのか?

俺は早速、過去を思い出すように記憶を呼び覚ました!

 

「あっ……駄目だこれ」

 

記憶を思い出すことは出来たが、思い出せたのは体の持ち主(魔王)の知り合いのことだけだった。

元の部屋にも戻れない。何処にいるかも分からない。

詰んだな!

 

道に迷いました、助けてください。




【ボツ展開】
神様転生。
空にテレポートさせられて、落ちる。
魔王を下敷きにする。
部下が来て「お前、魔王、倒した。お前、次の魔王、してやる」
連れていかれる。
完!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

訳の分からないことになりました、助けてください。

拝啓 読者様。

このたび、この小説は想像以上の人気が出てため連載させてい頂くことになりました。


「どうしようか……」

 

俺はうろちょろしながら考えていた。

この際、誰でもいいか見つけられれば良いのだが……

 

「扉か……」

 

無駄にデカイ扉を見つけた。

城がデカイから、扉もデカイってか?そんなわけないだろ。あの扉の高さは50mだぞ!

 

「とりあえず……入るか」

 

俺は扉の中に誰か居ればいいな。と思いながら開けた。

 

「俺の飯を返せぇ!」

 

「だったら私のお菓子も返してもらおうか!」

 

毛が濃い2m位ある巨人……恐らくは狼男だろう。

もう一人は、浴衣に白髪……恐らくは雪女だろう。その二人が闘っていた。

拳を交えたりしているため、その衝撃で部屋に少しずつヒビが入ってるように見える。

というより、この城が基本的に黒やら黒紫やらだから分かりづらい。

いや、あの……壊されたら俺の住むところが無くなるから止めてくれ。

右も左も分からない現状でホームレス生活は嫌だ。

 

「……何も見なかったことにしよう」

 

俺は扉を閉めようとしたが、狼男が氷付けにされた状態で俺の横を高速で通り抜けた。

おいおい、壁にクレーターが出来ちまってるよ。

だが、すぐに氷から脱出した。

そうして、此方に気づいたようだ。

 

「ま、魔王……様。いつからそこに」

 

あっ、やっと気づいてくれた。

いま様を後付けしなかったか?もしかして、こいつは信頼されていなかったのだろうか。

まぁ今の俺が気にすることではないな。

俺は狼男に手を出して、助けようとしたが弾かれた。

よくアニメであるシーンだけど、実際にされると泣きそうになる。

この体に涙腺があるかは謎だが。前世だと某戦車アニメが好きだったからか、涙腺が弱かったけどな。

 

「あんたなんかに心配されてたまるかよ」

 

訂正、かなり信頼されていないようだ。

まずは信頼をどうにかしたいな。それと、こいつの力がどんなものか知りたい。

いや、その前にすることがあった。

そう考えていたら、狼男が何処かに行ってしまった。

 

「……道に迷ったから案内しろ」

 

そうえば、この口調はどうにかできないのだろうか。

喋るときに少し間が空くのは癖みたいだし。

 

「分かり……ました。魔王……様の道案内をしよう!」

 

敬語をつけることすら嫌がられるとは……

まぁいい、俺自身敬語はあんまり好きじゃないからな。癖やら事情があるなら例外だが。

案内してくれるなら気にすることもないか。

 

「だが、一つ条件がある」

 

「……条件か」

 

おいおい、今の俺に出来ることは何もないぞ。

出来るとしたら、鼻からスパゲッティ食べること位だ。

そうえば、この体に鼻はあるのか?手で触っただけだと分からないから、鏡が欲しい。

 

「私と闘え。もし、あんたが負けたら城から出ていってもらうよ」

 

それは困る。城から追い出されたら何処にいけばいいんだよ。

だが、背に腹は代えられぬ。

 

「……いいだろう」

 

俺がそう言うと、雪女が大声で叫び始めた。

どうしたんだ?一体。

そうすると、ロープがいたるところから現れて俺を縛った。

 

「魔王。お前が白雲出掛けてる間に罠を張らせてもらったよ」

 

こいつ、嫌われすぎだろ……

それにしても、この急展開はなんだ。

理解が追い付かなくて、ずっと喋ってないのだが。

 

「お前の命、私が取る!」

 

それにしても、このロープ固そうだ。力をいれてもびくとも……

 

「……あ」

 

「え?」

 

あっさりとロープが破れてしまった。

気まずい空気が流れながら、放心状態になる俺たち。

 

シリアスな空気を破壊してしまいました、誰か助けてください。




【狼男】
元々は、白雲と狼男と雪女が裏切る予定だったが、後の展開が困った。
魔王を嫌っている。
理由はある(考えてあるとは言っていない)


【雪女】
シリアス破壊の被害者。
本人は真面目にやっている。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

グダグダになりました、助けてください

拝啓 読者様

こんなことにするつもりは……!



ありました。


「…………」

 

「…………」

 

さっき、ロープを何事もなく破ったせいでシリアスな空気が終わった。

どうすればいいんだ……相手が真剣なのに、この微妙な空気は。

と、とりあえずは誤魔化すか。

 

「今……何かしたか?」

 

「…………」

 

相手が何も反応してくれないよ。

シリアスな空気からギャグな空気に変えたせいで気まずいよ!

顔が赤くなっていやがるよ!可愛i……やべ、睨まれた。

 

「一筋縄ではいかないわね」

 

魔王になったとはいえ、人……いや、モンスターか。モンスターを殺したくない。

偽善者という訳ではないけどな。

 

「喰らいなさい!」

 

おっ、シリアス風バトル空気になった。

てか、俺自身の話だが『○○空気』と何回も言っていて五月蝿いな。

それはそうと、雪女は吹雪をおこしてきた。

 

「寒く……は無いな」

 

分かりやすく言うと、数メートル先すら見えない視界の悪さだ。

それにしても、この体は凄いな。全然寒くない。

それにしても、視界が見えないのは困るな。

 

「この吹雪……消えないのか?」

 

俺がそう呟くと、雲が一瞬で円上に消えるかのごとく、何事も無かったのごとく消えた。

どうしよ、また空気を壊してしまった。

こいつの力が強いからか?こんなシリアスを壊す力なんていらない!

 

「だったら……こいつでどう!」

 

雪女は俺に球状の氷の膜?を飛ばしてきた。

膜……なのか?あれは。なんだか、綺麗な色してるな。触ってみよ。

俺が氷の膜を触ると、シャボン玉のように綺麗に割れてしまった。

 

「あっ……」

 

悲しい……幻想的だったのに。

 

「こうなったらこれで……!」

 

雪女は少しずつ、少しずつクリスタル状の氷のつぶてを作り出してきた。

なんだろう、この小物臭は……

それにしても、技のレパートリーが多いな。

 

「喰らえ!」

 

氷のつぶては勢いよく回転しながら俺に迫ってきた!

これ、喰らったら痛いだろうな……あっ!この体の力がまだどの位か分かってなかったな。少し試してみるか。

俺は氷のつぶてに全力で拳を振りかざした。

え、魔法は使わないのかって?使い方が分からないから……

 

「きゃゃゃゃゃ!」

 

俺の拳で氷のつぶてはガラスのように割れ、その風圧で雪女は吹き飛ばされた。

それと同時に風圧で城が半壊した。

お、お……俺の城がぁぁぁぁぁ!!

 

「魔王様、一体どうしました!?」

 

白雲が俺の方に飛んできた。

やべ、怒られる……

 

「これは……魔王様、敵襲ですか!?」

 

…………あ、良い感じに勘違いしてくれた。

 

「……あぁ。少し力を出しすぎてしまったようだ」

 

雪女、どうして俺を襲ったのかは知らないがこれだけは言っておこう。

マジすいませんでした。

 

「そうですか……ところで魔王様いかがいたしましょう」

 

「……なんのことだ」

 

雪女を捕まえるかの話か?

それならもう、気にしてないから構わないが……

 

「城のことです。これでは住むことも出来ませんよ」

 

俺は城の方に向き直し、現状を改めて理解した。

色合いで分かりにくいが粉々になった壁。今にもバランスが崩れて落ちてきそうな屋根。ついでに土地が抉れてる。

 

「……そうか。戻っていいぞ」

 

そう言うと、白雲は何処かへ飛んでいった。

…………。

 

「城よ……戻れ」

 

俺はそう呟いたが、城は戻らなかった。

さっきの戦闘……といっていいのか微妙だけど、さっきは吹雪消したり出来たのに出来なくなってる!?

 

自宅が半壊しました、助けてください。




【ボツ展開】
雪女、力使い果たして幼女化。
魔王、頭撫で撫で。
かわえぇ……
なんか仲間に加わった。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

建築したくないです、助けてください。

拝啓 読者様

書いてると、予想外な展開になります。
それはそうと、毎日投稿は無理です。


「……まずはどうしようか」

 

俺は半壊した城を見て、何処から手をつけていくのか考えていた。

そもそも、俺に建築技術は無い。

精々、作れるとしたら学校の授業で作るような物だ。

 

「作り方さえ……分かれば」

 

俺がそう呟くと、頭の中に城の作り方が急に出てきた。

な、なんだ!?

俺は少し混乱したが、今出てきた作り方を確認し始めた。

 

「……なるほど」

 

時間としては数時間だろうか。この土地はずっと月が昇ってるから時間が分からない。

日にちに関しては、脳内で勝手に出てくるが。

それはそうと、作り方を大雑把に覚えた俺は魔王について考えることにした。

どうして城の作り方が分かったんだ?

 

「こいつの……能力か?」

 

俺が無意識に使っているだけで、何かこいつには凄い力があるのかもしれない。

さて、それはそうと……まずはこの城を壊すか。

この半壊した城があると、新・魔王城が建てられない上、いつ崩れるか分からないからな。

 

「……壊れろ」

 

俺は意識的に呟いてみたが、何も起こらなかった。

やっぱり、無意識に使わないといけないのか?面倒だな。

 

 

 

 

 

 

「それにしても……どうなっている」

 

なんとか城を壊し終え、瓦礫も退けて平地になったところを見て俺はそう思った。

この魔王の部下は誰もいないのか?城が半壊したから、何処かへ行った可能性があるが一匹も魔物が居ないのはおかしいと思う。

 

「……後で白雲に聞くか」

 

それより、城を作らないと。

俺はまず、柱を設置しようとしたが……

 

「……材料が無い」

 

材料が無かった。正確には、材料だったもの……瓦礫がある。

はぁ……まずは材料を集めるか。

俺はゆっくりと歩きながら材料になりそうなもの……とりあえずは木材でいいか。木材を探すことにした。

 

「……そうだ」

 

俺は後ろを向けばまだ平地が見える程度の距離に来て、思い付いた。

そうだ、白雲に色々と聞けば良いのか!

俺は早速白雲を呼ぶことにした。

 

「……白雲」

 

「お呼びですか、魔王様?」

 

急に俺の目の前に出てきた。

うわぁ!ビックリした……脅かせやがって。

まぁいい。俺は本題に入ることにした。

 

「……白雲、ここの近くで城の材料になりそうなものは?」

 

「あちらに森の奥にある湖で、頑丈な木材があります! それを試してみては?」

 

白雲は俺が歩いてきたのとは、反対方向の方を指差した。

え、そっちか……

そうえば、白雲は敬語の時と元気な子供みたいな返答をするときがあるな。

 

「……分かった。あともうひとつ、どうして魔物がいない?」

 

白雲にその子とを聞くと、気まずそうに目線を反らした。

一体、どうしたんだ?

 

「他の魔物は……勇者によって、殆ど滅ぼされました。残った魔物は封印されていていた魔王様……貴方の復活に力を貸して弱体化しました」

 

……え?と、とりあえず話を整理しよう。

 

その1、殆どの魔物は勇者に滅ぼされた。

その2、俺……もとい、魔王は封印されていた。

その3、そのために力を使い、残った魔物は弱体化。

 

こんなものか?他にも『俺を襲ってきた雪女は何者か』『どうして封印されていたのか』と聞きたいことは山ほどあるがまた今度にしておこう。

逆に此方が聞きすぎて頭がパンクする可能性もあるし。

 

「……下がってよい」

 

白雲は何処かへ飛んでいった。

そうえば、俺も飛べないのか?

 

「……森に向かうか」

 

これから、城を建築しないといけないのか……

俺は改めて、森の方向へ歩くのであった。

 

空を自由に飛びたいです、助けてください。




【主人公】
名前はまだ無い。と書いて、考えてないと読む。

主人公が自身をどう呼んでいるか。
主人公自身→俺
体の持ち主→魔王



次回予告

城を再築するために、材料を集めることにした魔王。

こういうのって部下に任せれば良くない?と言ってはいけない。

そもそも、魔王は誰が部下なのか知らない状況ですし。

なんやかんやで、森にたどり着けた(ら良いな)魔王。

そこに待ち構えるものとは……!

なお、次回の話は一切作成していないため、次回予告とは異なる可能性があります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

よぉ、さっきぶりだな……あっ、攻撃するのやめて!助けてください。

拝啓 読者様

この前書きで、よく『読者様』を間違えて『視聴者様』と書きそうになります。
あと、今回も戦闘です。
さぁてさてさて……この先、魔王はどんな道を歩むのか。
考えていないため、誰にも分からない。


「やっと……ついた」

 

俺は数日ほど歩いて、やっと白雲の言っていた森についた。

これは本当に空を飛べるようにならないと不味いな……

 

「……入るか」

 

俺は森に一歩踏み入れると、地面が凍り足が固まったしまった。

氷か……となると、あいつか?

 

「また来たわね、魔王!」

 

数日前に会った雪女がいた。

懐かしな、俺の数少ない知り合い。

知り合いで思い出したが、魔王の知り合いは生きてるのか?封印された可能性もあるが……

 

「ちょっと、聞いてるのかしら?」

 

雪女が何か言っているがそれはいいか。

封印されているとしたら、復活させたいな。魔王がどんな人物だったのか知りたいからな。

 

「聞きなさい!」

 

あ、雪女のこと忘れていた。

 

「……なんだ」

 

雪女は何も言わずに、氷を飛ばしてきた。

まぁ効かないけどな。俺の体に当たると同時に砕けた。

そうえば、雪女はどうして攻撃してくるんだ?

 

「貴方はた……グゥ!?」

 

雪女は急に片膝をついて、うずくまった。

お、おいどうした!

数秒ほどうずくまったが、何事もなく起き上がった。

変わったと言えば、水色の目が黒紫に。そして、後ろから水色のオーラ?を出してきた。

 

「モクヒョウハッケン、タタキノメセ」

 

雪女は急に片言で喋りだし、拳で殴ってきた。

 

「…………」

 

え、全然痛くない。

こういうパターンだと、操られていて強力な力で圧倒されるんだろ?弱い。

例えるなら、肩揉みから肩たたきに変わったぐらいの威力だ。

ん、操られてる?

俺は近距離で殴ってくる雪女を観察して、一定の動きしかしていないことに気づいた。

 

「……どこかにいるのか」

 

俺は誰か雪女を操っているであろう人物を探した。

何処だ、見当たらない……

魔法か何かで姿を消しているのか、見当たらない。

俺の予想が外れている可能性もあるが……

 

「……フッ」

 

俺は地面に拳を叩きつけた。そうすると、その反動で雪女と『何か』が宙に舞った。

その衝撃で雪女は気絶した。

俺はそられが落ちてくるのを待ち、二つの小さい砂煙が起こるのを確認すると歩き始めた。

 

「…………」

 

片方の砂煙は雪女のものだ。雪女一人なら、砂煙は一つの筈だ。

つまりは……

 

「……そこにいるんだろ」

 

ここにはもう一人隠れている。恐らくは、雪女を操っている奴が。

俺がそう言うと、俺の正面に人形の両手が刃物で出来ている魔物を見つけた。

恐らくは地面に叩きつけられた衝撃で魔法が解けたのだろう。

それにしても、日常生活でかなり支障が出そうな体だな……

 

「バレていたのか、魔王……いや、旧・魔王」

 

旧・魔王?この魔王が封印されている間に新しい魔王が誕生したのか?

まぁ今はいいか。それはそうと、この魔物が雪女を操っていたようだ。

一言もそんなこと言ってない気がするけど、そうだろう。

 

「あの雪女を操っていたのは俺だ。面倒だから俺直々に貴様を殺して、幹部の座についてやらぁ!」

 

普通に白状してくれた!?

魔物は腕の刃物で切り刻んできたが、俺の体には傷一つ付かない。

おぉう……効かないことは分かっていても、刃物で攻撃されるのは怖いな。

 

「チィ! 何で効かねぇんだよ!」

 

俺としては、その刃物が折れないことに不思議だ。

俺は魔物の頭にを押さえて蹴りを繰り出した。

そうすると、魔物はまるでホームランしたかのごとく凄い勢いで何処かへ飛んでいった。

 

「……一件落着だな」

 

それにしても、この噛ませ犬みたいな魔物はなんだったんだ?

おっとと、先に雪女をどうにかするか。

 

なんだか謎がどんどん増えてきました、助けてください。




【今後の課題】
・城を再築

【謎】
・新・魔王とは
・雪女はどうして攻撃してきたのか
・この魔王の詳細


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

オボボボボボ!だずげでぐだざい。

拝啓 読者様

ネタが切れました、助けてください。
○○、助けてください。も悩んでいます。


「……グールグールグルルルン」

 

森の中に湖があるそうなので、そこを目指しているが見当たらない。

同じ所をずっと回ってるように思える。

暇すぎて、よく分からない歌を歌う位だ。

それにしても、疲れないこの体はどうなってるんだ。

 

「……そうだ」

 

俺は湖を見つかる方法を思い付いた。

 

「……ッ!」

 

俺は足に力を入れて、垂直に跳んだ。

それと同時に下に森が見え、見え……いや、跳びすぎて森が見えなくなった。

跳びすぎだこれ!

そうして俺は、重力に沿って落下していった。

 

「……そこか」

 

落ちていき、森が確認出来る高さになったので湖の場所を確認した。

なるほど、遠いな。

地面に着々すると地面にクレーターが出来た。

 

「…………」

 

よし、湖に跳んだ後はなるべく封印するか。

そうして、湖の方に跳んだ。

 

「……ッ!」

 

あ、ヤベ。加減を少し間違えて湖に突っ込んだ。

オボボボボボ!たずげて!白雲、狼男……はいいや。

たずげて!オボボボボボ!

 

「……オボォバ!」

 

沈む。魔王になったのに、死ぬ。

少しずつ、少しずつ沈んでいったが俺はおかしいことに気づいた。

苦しくない?この体は水に入っても苦しくないのか。それとも、えら呼吸なのか……

それはそうと、どうやって上に上がろうか。

そう考えているうちに、湖の底へ沈んだ。

 

「……あ、あ~」

 

よし、声は出るな。いや、それがどうしたんだ。

底をゆっくりと歩くしかないか。

進み、づらい。

 

 

 

 

 

 

「……ふぅ」

 

やっと登ることが出来た。

そうだ、木を切り倒す前に自分の容姿を見るか。

 

「…………」

 

服が濡れていることはしょうがない。

だが……

 

「……どうしてショタなんだ」

 

俺はショタ……小さい男の子になっていた。

ショートカットの銀髪。銀色の目。なんだか、少し大きめのマントをつけてるから大人っぽくなりたい子供にしか見えない。

某動画サイトだったら『可愛い』で画面が埋め尽くされるぞ。

あんなに強い体が子供だと……!

なんか悲しい。理由は分からないが。

 

「……木を回収しないと」

 

さてと……どうやって木を切り倒すか。

よし、持ち上げてみるか。

持ち上げてみたら、思ったより軽かった。まるで発泡スチロールのようだ。

一本一本持ち上げるのは面倒だが、やるしかないか。加減を間違えて木を無にしたくないし。

 

「……ふぅ」

 

目で見て木が減ったと分かるぐらい回収した。

さて、どうやって運ぼうか。

質量としては簡単に運べるが、量が多すぎて持てないな。城の平地にテレポート出来れば嬉しいのだが……

 

「……お」

 

木が一瞬で消えた。

あ、運んでくれたのか。無意識だった。

さて、帰るか。

俺は城の平地へ帰ろうとしたが……

 

「……やべ」

 

道が分からないことを思い出した。

湖まで跳んできたから分からないんだった。

しょうがない、歩いて帰るか。

その後俺は一週間さ迷い、結局は跳んで帰った。さっき封印すると誓ったのに……

あ、雪女のこと忘れてた。

 

まだ建築すらしていません、助けてください。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

面倒です、助けてください。

拝啓 読者様

他の投稿作品があるので、これからは投稿ペースが遅れると思います。


「……あ」

 

俺はとある重要なことに気づいた。

どうしてこれに気づかなかったのだろうか。

だが、今さら後悔しても遅い。

 

「……木がどっか行った」

 

そう、跳んできた衝撃で木が何処かに飛んでいったのだ。

俺はまず、木を探そうとしたが……

 

「……先にこれか」

 

跳んできた衝撃で出来たクレーターを埋めることにした。

そもそも、俺が跳んできた場所は平地の真ん中辺りだ。

そこにクレーターがあると城が建てられない。

 

「……面倒だな」

 

俺はクレーターを埋めるために、白雲を呼んだ。

どこの土を使えばいいか聞くためだ。

もう一度森に行くには遠いしな。

 

「……s「呼びました?」……」

 

速すぎだろ。

 

「……白雲、この辺りにここと似たような土がある場所は無いか。出来れば取っても大丈夫な所」

 

「はい! そこを歩いていくと、山があるのでそこから取れば良いかと……」

 

なるほど、山か。

だが、嫌な予感がする。何故なら……山が見えないからだ。

つまりは、遠すぎない?

 

「……下がってよし」

 

そう言うと白雲は一瞬で消えた。

あぁ、俺も魔法を使えるようになりたいな。

 

「……さて、向かうか」

 

「待て!」

 

俺は山へ向かおうとしたが、何者かに止められた。

この声は確か……

 

「魔王……俺と戦え!」

 

そうだ、狼男だ。

なんだろう、久しぶりに会ったような気がする。

それにしても、どうして狼男は俺と戦いたいんだ。

 

「魔王。俺はあんたが嫌いだ何故なら……」

 

あ、説明してくれるのか。

 

「あんたを復活させるために、魔力をつぎ込み過ぎて……体が耐えきれなくなり家族が全員いなくなった。そして、俺の妻も……」

 

なるほど、魔力は使いすぎると死ぬのか。気を付けるか。

それそうと、白雲は『勇者にやれらたから魔物が少ない』と言っていたが、俺に魔力を注ぎすぎて少なくなったことも原因か。

 

「だからあんたに復讐するのさ!」

 

復習……か。あ、漢字間違えた。

 

「……良いだろう」

 

それでこいつの気が晴れるなら構わない。

それに、力加減を覚えたいところだしな。

 

「ハハハ! まさか乗ってくれるとはな」

 

狼男は笑い始め、その笑いが止まると……

 

「行くぞ」

 

地面を蹴り、その衝撃で体が少し宙に浮かびながら俺に向かってきた。

狼男はその鋭い爪で俺に攻撃しようとしてくるそうだ。

 

「…………」

 

俺は上に軽く跳び、攻撃を免れた。

軽く跳んでも、五十m無い位か?城の扉よりは跳んでない筈だから。

 

「チイッ!」

 

狼男は姿勢を変えて、手を地面につき着地してから、もう一度俺に向かってきた。

空中だとかわせないな……どうするか。

 

「……止まれ」

 

やっぱり意識的に止めようとしても無理か。

俺は自身が地上に降り立つまでに、狼男を静止させようとしたが無理だった。

時か何かでも止まれば行けるか?いや、俺自身が早く落ちればいいのか!

 

「……フッ!」

 

俺は空中を殴り、その殴った衝撃で出来た勢いで落下するスピードを上げた。

 

「……ふぅ」

 

俺は地上に爪先で、クレーターが出来ないように着地した。

一方、狼男も俺と同じ方法で着地した。ただ、一つ違うことは……

 

「中々やるな。流石は元・魔王だ」

 

地面にクレーターを作りやがったことだ。

あの野郎……人が城を建てようとしてる土地にクレーターを作りやがって……ボコボコにしてやる!

 

それはそうと……俺は早く山に向かいたいです、助けてください。




【裏話】
今回で建築させようと思っていた。
でも、書いたとしても地味になる。
そうえば、狼男どこに行った?
そうだ、戦ってもらうか。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

手加減が難しいです、助けてください。

拝見 読者様

最近、寒い日が続いてますね。
そうえば、この作品の最終回が思い付きました。
ですけど、最終回がいつになるか分からないです。


「ゼェイ!」

 

狼男は姿勢を低くして接近し、俺の足首に蹴りを入れてきたが……

 

「…………」

 

俺にはびくともしなかった。

まるで、永遠に流れてくる水を蹴るかのように意味の無い行為だ。

さて、どうやってボコボコにしようか。

 

「……そうだ」

 

俺は姿勢を低くしている狼男の頭を掴み宙に投げた。

そうして、“全力”で狼男まで跳んだ。

“手加減”?知るか。土地を荒らした奴は誰であろうと倒してやるよ。

 

「……フッ」

 

狼男の所まで追い付き、森の方まで飛ばした。

雪女と仲良くしてろ……いや、あいつらは仲が悪かったな。

大丈夫だよな、喧嘩してここを荒らしたりしないよな!

 

「……ふぅ」

 

俺は何も考えずに、着地した。

……あ。

 

「…………」

 

やってしまった。

湖から戻って出来たクレーター。狼男が着地して出来たクレーター。俺が全力で跳び、着地して出来たクレーター。

余計酷くなった。

 

「……はぁ」

 

山から土を持ってくるか。

土を取りに行ったら、狼男にクレーターを埋めてもらうか。

いや、もっと簡単な方法があったな。

 

「……「はい、何でしょう」」

 

おせーよ、ほせ。

俺は白雲を喚ぼうとしたが後ろから出てきた。

こいつの出てくる方法がだんだんとホラー感増してきた気がする。

 

「……狼男の回収を頼む。出来れば縛っとけ。それとついでに散らばった木の回収も」

 

白雲なら多分大丈夫だろ。

戦闘能力不明だけど。

散らばった木が何処に行ったのか一切知らないけど。

 

「分かりました、出来なかったら魔王様に命をあげましょう」

 

やめてよね!?そういうの!

白雲はそう言うと、俺の影に入り何処かへ消えていった。

お前はマジシャンか何かなのか?

 

「……さて、向かうか」

 

俺は前に白雲が指した方向へと向かった。

 

 

 

 

 

 

「……ついた」

 

一週間かかり、山の麓へついた。

大きいな、この山。富士山以上はあるんじゃないか?

そうえば、この体は睡眠も食事も疲労も無いな。

疲労はこの体が疲れるほど動いてないからという可能性があるが。

 

「……面倒だ」

 

俺は山から一々土を持っていくことを面倒に思い……

 

「……破壊!」

 

山に足にクレーターが出来るほど力を入れ、腰を捻って全力でラッシュした。

一発だけだと壊せるか不安だからな。

 

「……あ」

 

俺はラッシュを終えてからやらかしたことに気づいた。

ラッシュの威力で山が崩れた。

これはまだ予想の範囲内だからまだ良しとしよう。

 

「…………」

 

威力が強すぎて岩が砂のように小さく、土がサラサラに。それはもう拾えないほどになった。

ついでに、魔王城のとは比べ物にならないほど大きなクレーターも出来た。

比べるなら、ライオンと像位だ。

やり過ぎてしまった。やっぱり、きちんと手加減しないと駄目だな。

 

「……見なかったことにするか」

 

俺はここにあった山を見なかったことして、さらに奥へと歩いていった。

使えそうな土があればいいのだが……

 

やらかしました、助けてください。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~幹部編です、助けてください。~
基地を見つけました、助けてください。


拝啓 読者様

この作品を書くとき、だいたい1300文字位書き終わります。
それそうと、伏線って難しいですね。


「……なんか見えてきた」

 

俺はうっかり山を粉砕してしまったため、別の所に山が無いか歩いていた……三日ほど。

この世界はどうなっているんだ……殆どが禍々しい色のした土しかないよ。

魔王城があった土は緑色だったからな。別の土を持ってきたら腐りそう。

白雲を呼んで、聞いた方が良いかもしれないが白雲には今仕事を頼んでいるから手が離せないだろう。

 

「……なんだこれ」

 

歩いていると何か見えたので、それに近づいて見ると一軒家を見つけた。

一階建ての銭湯にありそうな、長い煙突がある家だ。

だが、窓が無くてドアが鉄製であった。

その上、門番らしき魔物が二体ドアの前に立っていた。

なんだ、この『怪しい』を具現化したような家は……

 

「おい、誰だお前は!」

 

門番1……いや、悪魔でいいか。黒い翼生えてるし。

悪魔は俺に気づくと、止まるようにジェスチャーしてきた。

なんて答えようか……魔王と答えてもいいが、そうするとかなり面倒なことになるし。

 

「…………」

 

「おい、なんとか言え!」

 

「ちょっと待て」

 

悪魔が俺が何も答えないことにイライラしていると、

門番2……此方は白と黒の翼が生えてるから天魔でいいか。

天使と悪魔が合体したように見えるし。

天魔は悪魔を止め、小声で話し始めた。

 

「(おい、なんだよ)」

 

「(あいつは元・魔王だ)」

 

「(おい、それは本当か!)」

 

「(あぁ。あいつを倒せば俺達は幹部になれるはずだ!)」

 

「(おい、そうとなればやることは決まったな)」

 

「(そうだな。だが、攻撃の合図は俺が出す)」

 

……悪い、全て聞こえてる。

悪魔と天魔が小声で話していたことが聞こえていたので凄く気まずい。

だが、こいつらは『元・魔王』とも『幹部になれる』と言った。

つまりは、新しい魔王の部下……それもここは基地なのだろう。

 

【……この基地を乗っとるか】

 

「……どうしたんだ」

 

俺がどうしたんだ。

この基地を乗っとる?俺はそんなこと考えた覚えは無いぞ。

いや、良い考えだな。

そうすれば新しく城を建設しないで良くなるな。

それにしても今、何処からかこいつらとは違う声が聞こえた気がしたが……

 

「おい、何でもないから気にするな」

 

おっと、話し合いが終わっていたようだ。

さて、こいつらをどうやって倒そうか。

こいつらを倒すこと自体は簡単だ。だが、この基地に被害を出さずに倒す方法が思い付かない。

 

「さぁ、用事が無いなら帰った帰った」

 

まぁ基地を手に入れることは後でも出来る。

先に土を集めるか。

俺は回れ右をして、来た道を帰ろうとした。

 

「今だ!」

 

違う、どうして土をとる必要があるんだ!この基地を乗っとるとしたのに!

俺はすぐさま後ろを振り向き、悪魔と天魔が魔法で攻撃してきてることに気づいた。

炎だ。後ろを振り向いた俺の視界には炎しか広がっていなかった。

俺は拳を炎に……ではなく、上空に振り上げた。

 

「なっ!」

 

その時に出来た空気が炎を打ち消した。

……この体、魔法が使えなくても十分強いな。

 

「……次は此方の番だ」

 

俺は某配管工の人のように悪魔と天魔を踏みつけた。

『次は此方の番だ』とは言った。だが『戦う』とは一言も言っていない!

悪魔と天魔が何か言ってきているが無視して、煙突へ入っていった。

うわ、掃除されてないのかよ!

煙突は掃除されてなく、俺は全身真っ黒になった。

 

全身が真っ黒になりました、助けてください。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

強いです、助けてください。

拝啓 読者様

今回、敵を強くしすぎたような気がします。
さて、どうしようか……(この後の展開を何も考えていない人)


「だ、誰だ!」

 

俺が煙突から出てくると、誰かの声が聞こえた。

だ、誰なんだ?

 

「お前は……元・魔王!? どうして真っ黒なんだ……」

 

棒人間がいた。

口はないはずなのにどうやって喋っているのだろうか……

 

「……ブフッ、お前がここのボスか」

 

やべ、笑っちまった。

棒人間は怒ってるのか、プルプルしている。

 

「そうだ」

 

こいつを倒してこの基地を乗っ取ってやる。

俺は棒人間を殴ろうとして……止めることにした。

危ない、危ない……建物に被害が出たら困るからな。

 

「来ないのか? なら此方から行くぞ!」

 

棒人間は手から沢山の黒い棒を俺に向かって出してきた。

なんか、髪の毛やシャーペンの芯みたいだな。

てか、気持ち悪ゥ!

 

「……フッ」

 

俺は天井まで跳び、攻撃を免れたが……

その攻撃で基地……というか、一軒家にヒビが一切ない綺麗な穴が沢山空いた。

あの野郎……!俺の城を!いや、“まだ”違ったな。

それはそうと、今跳んだ衝撃で黒くなってた体が元に戻っていた。

なんでだよ。強い空気(衝撃)が発生したからか?

 

「これはどうだ!」

 

棒人間は沢山出した棒がひとりでに動きだし、天井を突き破るほどの大きな剣を作り出した。

ん、天井を突き破るほど?

 

「喰らえ!」

 

棒人間は俺に向かって剣を振ってきた。それと同時に基地が半分斬れた。

俺はその攻撃をギリギリかわせたと思ったが、服を斬り俺の胸に傷が出来ていた。

 

「っとと」

 

剣が重いのか、持ち上げたときにバランスを崩して残っていた基地の半分が斬れ、基地が真っ二つになった。

よし、こいつを倒そう。新しい城のことなんて知るか。

それにこいつは俺が今まで戦った奴の中で一番強いな。戦ったのは二桁もいかないが。

 

「……行くぞ」

 

俺は棒人間に拳を振るおうとしたが、

 

「遅い、遅い! ハエが止まっちまいそうだぜ!」

 

かわされた。

台詞のわりにはかなりギリギリでかわしていたように見えたが……

そうえば門番達がいないな。どこ行った?

 

「次は此方の番だ」

 

剣は少しずつ姿を変えて、小型ナイフほどの大きさに沢山変化した。

おいおい……もし、威力が変わってないならこれはまずいな。

そう考えていると、小型ナイフが俺に向かって飛んできた。

俺は跳んでかわしたが……

 

「……ッ!」

 

俺の動きに合わせるように、小型ナイフが向きを変えて向かってきた。

追跡してくるのか!今の俺にはかわす術が無い。

だが、地上に降りるまでの時間稼ぎなら出来るかもしれない。

俺は向かってくる小型ナイフに当たる前に、何回も空中に蹴りを入れた。

そうすると、その蹴りで空気が発生して小型ナイフの向きが変わった。

だが、数が多い上向きを変えても追跡してくるため何十本という小型ナイフが俺に刺さった。

 

「……グゥ」

 

こんなに痛いのは今世で初めてだな。精神的には辛いことは沢山あったが。

少なくとも、考え事が出来るということはまだ余裕か。

 

敵が思ったより強いです、助けてください。




次回予告

意外な刺客に苦戦する魔王。

魔法を使えれば簡単に倒せるんじゃ……と思いながら戦いに挑む。

しかし、そこには意外なスケットが!

次回 作者というご都合主義が来ました、助けてください。

なお、この予告は嘘です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

やってしまった、助けてください。by棒人間

拝啓 魔王様

となり○吸血鬼さんが面白いです、助けてください。

「……いや、どうしろと?」

知らない。さてさて、魔王。本編頑張れよ。

「……今日も一日がんばるぞい!」

うわ、男がやるとちょっと……

「……いいじゃねぇかよ。今はショタなんだし」


「どうだ、参ったか!」

 

棒人間はガハハと笑いながらそう言ってきた。

こいつ、凄くムカつく。

小型ナイフが棒人間の方に戻っていき、一つの5m程の黒い球体になった。

なんだろう、地球外生命体と戦うミッションに参加させられそうな見た目だな。

いや、これは漫画の話だったな。

 

「…………」

 

それはそうと、どうこいつを倒そうか。

まだ一発も攻撃を当てれていないし、弱点も分からない。

 

「……どうしようか」

 

攻撃してもかわされたんだよな。

目潰しか何かをしたら勝てるかもしれないが、こいつに目があるのか?

 

「どうお前を攻撃k……あっ」

 

棒人間はゆっくりと俺に近づいてきて、小石につまづいた。

そうすると、シャーペンの芯のように足が折れた。

 

「いてぇ、治さないと」

 

棒人間は球体になっていた黒い棒の一つを回収して、折れた足にくっ付けた。

付けた足を何回か曲げるとそこから動かなくなった。

こいつ、もしかして体が凄く脆いのか?

 

「あっ……喰らえ」

 

そうか、分かったぞ。こいつは頭が悪いのか。

棒人間はしまった。という顔をしながら黒い球体を変形させて10cm程の球体に大量に増えた。

おいおい。また追跡型だと今度は不味いぞ。

 

「滅んでもらおうか」

 

そうして、ゆっくりと回転しながら俺に攻撃してくる準備をしていた。

さて……よくある追跡型のかわし方を試してみるか。

俺は右足を上げながら力を入れて、攻撃してくるタイミングを待った。

 

「行けェ!」

 

黒い球体は俺に銃弾のようなスピードで向かってきた。

俺はそれを確認すると、右足を勢いよく地面につけて砂煙を出した。

 

「なっ!」

 

棒人間は俺をキョロキョロとして探すが見当たらない。

それと同時に球体が不規則な動きをし始めた。

まるで、標的を見失ったかのように。

 

「何処に行ったんだ!」

 

そう、俺は……

 

「お前の下だァ!」

 

棒人間の足元で拳に力を溜めていた。

俺は砂煙を起こして、真っ直ぐ姿勢を低くしながら接近していた。

もちろん球体には当たったが、弾いて進んだ。痛かった。

 

「……疲れた」

 

「流石だ、元・魔王」

 

棒人間は地面に倒れ、肩?で息をしながら話し始めた。

おいおい……防御力無いだけで生成させた黒い棒さえあれば回復出来るのかよ。それと、肩?で息をしているから体力も無いのか?

 

「だが、お前は勘違いしている」

 

なんだ、このテンプレ感ある台詞は……

 

「この基地は支部……えっと、第2支部だ。ここの他にも第1支部と本部がある……合ってたっけ?」

 

駄目だ、急にポンコツになりやがって情報が全然足りない!

いや、さっきからポンコツ化していたな。

 

「ふっ、精々、残りの人生を……えっと……何て言おう」

 

棒人間はそう言って、喋らなくなった。

最後の言葉がそれでいいのか、オイ!あ、まだ生きてるか。

 

「……帰るか」

 

はぁ。棒人間は倒せたが、新しい城にしようとした基地を壊れるし、体はボロボロで痛いし……良いこと無いな。

そうえば、さっき……

 

『お前の下だァ!』

 

あの時は『……』を前に付けなくても喋れたな。

どうなってんだ?謎が深まった。

さて、早く土地に戻りたいな。そうして、泥のように休みたい。

 

良いことが無いです、助けてください。




【棒人間】
力だけある。簡単に言うと脳筋。魔王の攻撃がかわせたのは偶然。
何か弱点はないか考えていたら『防御力』と『体力』が無ければ勝てる!と作者は気づいた。
防御力はつまづくと足が折れる位。
体力は自分で生成した黒い棒で作った剣を持つとバランス崩す位(3kgの剣)。
ついでに頭が弱い。

<攻撃>
自ら生成したシャーペンの芯のような大量の黒い棒を操る。
剣にしたり、球体にしたり出来る。
一本、一本は脆いが束ねるとかなりの固さになる。
また、自身が折れた場合それをくっ付けて治す。
攻撃は追跡型が多い。ただ単に真っ直ぐ伸ばす場合は追跡してくれない。
追跡と言っても、自分が視界に捕らえている相手にしか追跡出来ない。
視界しか外れた場合、不規則な動きをする。

<その他>
本編では明らかになっていないが、第2支部の幹部。
というより、第2支部は最近出来たばかりのため三人しかいない設定。
後書きを書いている最中に気づいたが、こんなに脆いのならどうやって過ごしていたのだろうか。また、どうやって支部まで来たのだろうか。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ちくしょうが!助けてください。

拝啓 読者様

最初の話を見ると、若干矛盾しそうなことに気づきました。
まずいかもしれません。ここは、後付け設定で……!


「……果物だ」

 

俺は城……いや、土地か。

土地に戻る途中、木に果物がなっているのを見つけた。

この体は食事を必要としないが、異世界に来てから何も食べてなかったな。

そうえば、果物がなってるのは始めてみるな。

 

「……林檎か?」

 

形は林檎だが、見た目が銀色だった。

それが一つの木に30個ほどあった。

噛んだら、鉄のように硬いとかないよな。

俺は念のために軽く手で押し潰してみたら、思ったより柔らかかった。

 

「……うまいな」

 

前世で食べた林檎よりは味が劣るが、美味しい。

それに、体の底から力が沸いてくるような……沸いて、くる……?

気のせいだったか。手を何回か握っても変わった様子は無い。

……見た目はあれだがな。

俺は白雲のお土産にしようと一個持ち帰ることにした。

なお、残りの林檎は全て食べた。

 

 

 

 

 

「……あ?」

 

おいおい。

俺は道が分からなくなったので、湖まで跳んでから土地に戻って来たのだが……

 

「……何故だ」

 

草が炭化しており、全て平地だった(クレーター?知らないな)のにいくつも穴を掘ったような後があった。

どう考えても人工的にされたモノである。

 

「……いるか?」

 

「はい、なんでしょう」

 

白雲が影から現れてきた。

前に頼んだことは終わったようで、出てくると同時に関節技の状態で縄で縛られている狼男とたくさんの木が出てきた。

まぁそんなことはいい。

 

「……白雲、これはどういうことだ?」

 

「恐らくは新・魔王の手先かと」

 

手先……あの門番達か。

あいつらがやったのか、仲間に報せたのか知らないが。

 

【……本格的に喧嘩を売ってくるとは、面白い】

 

「魔王様、手を出したのですね。あの紙に書いてあった予定とはズレていますが」

 

「……?」

 

なんのことだ?

俺は少し冷静になっていた。

 

「忘れたのですか、ほら。城が壊れる前に許可をもらったでしょう」

 

そんなもの記憶に……あ。

 

 

 

死神から何かの紙を渡されたので、とりあえず読んでみた。

 

『わ、分かった……』

 

全く字が読めないこの文字は日本語でも、英語でもない。

よく分からないが了承することにした。

 

 

 

「…………」

 

あれかよ。そうえば、あの時はまだ前に『……』を付ける癖は無かったな。

そんなの分かるわけないだろ、文字読めないし。

 

「……そんなのあったな」

 

すっかり忘れていた。

それはそうと、新・魔王を倒したくなってきたな。

だけど、幹部であの強さだったからな。

今の俺の体はボロボロである。

なんだが、眠たくなってきた。

 

「……白雲、俺は寝る。狼男をまだ縛っとけよ」

 

俺は地面に転がりはじめた。

はぁ、今世は良いことが無いな。

それに、魔法やらなんやら使えるようになりたいし。

俺はそう思いながら目を瞑った。そして、三秒で寝れた。

 

【……大変だな】

 

俺は疲れました、助けてください。




【紙に書いてあった予定】
いつ新・魔王に喧嘩を売るか書いてあった。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

……何故だ、助けてください。

拝啓 読者様

城の建築?
そんなものはありませんでしたよ。
きっと……新・魔王を倒したら、建築してくれるでしょう。


「……起きるか」

 

俺は起きた。

周りを見ても景色はクレーターや炭化した草しか無かった。

夢じゃないか……いや、この世界自体、夢じゃ無かったのか。

 

「……よし、何処行こう」

 

俺は新・魔王の城か、支部に向かおうとしたが場所が分からないことに気づいた。

あの棒人間に聞いておけばよかったな。

よし、白雲を呼ぶか。

 

「呼ばれた気がしました」

 

白雲は俺の後ろからスッと現れてきた。

怖ッ!まるで、ずっと後ろにいたように出てきたな。

 

「……あついらの基地は何処にあるか知ってるか?」

 

何故か白雲に鼻で笑われた。

この野郎……まぁいいか。

 

「本部は不明ですが、いつでも奇襲出来るように支部の位置は判明しています」

 

白雲はそう言うと、俺が前に行った森のさらに奥を指差した。

あの森は確か……雪女と刃物野郎と戦ったところだな。

そこを抜けるのか。面倒だな……

 

「……戻っていいぞ」

 

俺は白雲にそう言ったが、戻らない。

不思議に思っていると……

 

「魔王様、一緒についていくいっても宜しいですか?」

 

「……あぁ。あと喋り方も普通でいいぞ」

 

「了解しまs……分かった、魔王様!」

 

前々から敬語が少し喋りずらそうだからな。

最初の時は元気な男の子のような喋りしてたな。

 

「……白雲、支部まで運んでくれないか?」

 

「やだ」

 

おい!?

まぁ、俺としては白雲を部下じゃなくて友達として考えてるしな。

パシりとしてしか使ってない気がするけど。

 

 

 

 

 

 

「……あ、雪女」

 

俺達は森に歩いてきていた。

跳んできた方が早いと思うが、白雲が飛ぶのと俺が跳ぶのだと速さが違うからな。

早速森に入ろうとしたら、雪女がいた。

なんだろう、懐かしいな……

 

「魔王、あんたに勝負を挑むわ!」

 

何故だ、こいつと会うたび戦ってる気がする。

 

「……どうして俺と戦いたいんだ?」

 

雪女はどんどんと顔を赤くして……

 

「あの時の約束を忘れたの! 500年前の!」

 

あ、知らね。

となると、魔王が知ってるのか。

そうえば、こいつの記憶に雪女がいたような……どうして忘れていたんだ。

 

【……そうえば】

 

謎の声は何か分かるそうだ。

それにしても、この声の正体って―――

 

「魔王様、どうしようか」

 

おっと、白雲に呼ばれた。

 

「……俺に任しとけ」

 

よく分からないが、倒しておいた方がいいな。

支部を破壊した後、勝負を挑まれると負けるだろうし。

 

「……かかってこい」

 

雪女は俺の顔に氷の球を投げてきた。

俺は上半身をのけぞらせてかわした。

氷の球は直線に飛んでいき、見えなくなった。

 

「まだまだよ!」

 

雪女は自身の回りに氷の球をいくつも出した。

手を前にかざすと同時に、氷の球が俺に向かってきた。

 

「……邪魔だ」

 

俺は氷の球の一つを右手で弾いたが、触ると右腕が凍った。

触れたものを凍らすのか。

俺は残りの氷の球をかわした。

その代わり、地面や木や白雲が凍った。

ん、白雲?

俺は白雲がいたところを見ると、氷の像のように動かなくなっていた。

白雲ゥ!?

 

白雲が凍りました、助けてください。




【雪女が魔王と戦う理由】
500年前にとある約束をしたそう。
約束の内容は考えていない。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

出番が少ないです、助けてください。

熱が!喉が!咳が!寒気が!暑い!
(熱が出ました。喉が痛いです。咳が出ます。寒気がします。ですけど、暑いです)
略して……風邪(多分)引きました!

「……それはそうと、投稿遅れた理由は?」

A.Youtuberになりたいから。
なお、私の場合は動画を作ると、データがカービ○のようになる。
0%0%0%。データがありません。

「……最近の子供の夢の話はしていない」

作る時間が一切無かった。
ついでに、他の作品も。
あと展開が思い付かない。
それとキャラがぶれぶれ。

けど、主人公は基本的に自分自身をモデルとして、作ってるため『自分だったらどう喋るか』『自分だったらどう行動するか』考えて作っています。


「……白雲」

 

白雲が雪女の攻撃で凍ってしまった。

ついでに、俺の右腕も凍ったが力を入れたら氷が壊れるだろう。

だが、白雲の場合は別だ。加減を間違えて、氷だけでなく白雲ごと粉々になる可能性がある。

 

「……フンッ!」

 

俺は右腕の氷を力を入れて粉砕し、白雲に近づいた。

そうすると、ある違和感に気づいた。

ん?白雲の顔がおかしい。

容姿をバカにしている訳ではないが、顔が骸骨ではなくて『へのへのもへじ』のような―――

 

「そこだッ!」

 

俺は雪女の方から声がしたので、振り返ってみると……

 

「生きていたのね!」

 

雪女の影から鎌を持って現れた白雲がいた。

なるほど、身代わりに使ってかわしたのか。

そのまま白雲は雪女に鎌で攻撃した。その攻撃は威力が高かったのか、雪女は少し宙に浮き着地した。

そうえば、この世界って攻撃が服にダメージが無かったり今のように斬られた所から血が出ないな。

 

「……白雲、大丈夫か?」

 

俺は少し遠くから声をかけた。

すると、此方に気づいたようで鎌をブンブンの振り回してる。

ちょ、遠くにいるけど怖いから止めて!

そんなやり取りをしていると、雪女が白雲に攻撃をしようとしていた。

 

「『氷結・龍(フリーズドラゴン)』」

 

雪女は氷で作った龍に乗り、空中へ飛んだ。

ちょ、そんなのありかよ!

 

「喰らいなさい!」

 

龍が口をそこに段々と氷の球が出来た。

その球の回りには目に見える程の冷気が集まってきている。

そして、球は時間がたつにつれて少しずつ、大きくなってきてる。

 

「……白雲、逃げろ」

 

ぶっちゃけると、俺の拳を振るって出来る風で全力ならばあの球は雪女の方に変えるだろう。

だが、それだと白雲にも被害が出てくる。

それに、もしも失敗した場合はこの辺りが凍りつくだろう。

 

「いや、魔王様。大丈夫だよ!」

 

白雲はふわふわと龍の方へ飛んでいき、鎌を構え始めた……わざとじゃないぞ。偶然にもダジャレになっただけだ。

そんなことをしていると、冷気が集まらなくなり、逆に出来た球から冷気が漂うようになった。

 

「凍りつきなさい!」

 

雪女のその一声と共に、龍が口から球を放った。

 

「『時空斬り(じくうぎり)』」

 

白雲は鎌を空中に一振りした。

そうすると、一振りした所に切れ目が現れた。

その空間が少しずつ開き始め、氷で出来た球がその空間に入っていき、空間が閉じた。

 

「何なの、今のは……」

 

俺が聞きたいよ。

宙に出来た空間に氷の球が吸い込まれていた。

これは何を言っているか自分自身でも分からない。

 

「これは空間に相手の技を送り込む攻撃だよ! 最も、その攻撃は何処に出るのかは知らないけど」

 

え、それって俺の所に出てきたりしないよね。

いやいや、恐らくはこの技を何回か使ったことあるから使ったのだろう。

 

「では、沈んで」

 

雪女は龍で対抗するが、もう白雲は雪女の後ろに回っていた。

白雲は鎌を透明にし、雪女の頭に攻撃した。

そうすると、糸が切れた人形のように雪女は動かなくなり、重力へ逆らっていった。

意識を刈り取る技なのか?俺も何か必殺技が欲しい。

って、雪女が地面に落ちるじゃないか!

 

「危ない!」

 

俺は雪女が地面に落ちる前に、空中でキャッチした。

なんかお姫様だっこになったけど、いいか。

 

「……ふぅ」

 

そうえば、結局白雲が決着つけちまったな。

え、白雲強くね?もう、こいつに魔王を任せれば……

いや、俺は魔王だ。魔王は俺だから駄目だ。

俺は地面にゆっくりと降りると同時に、目の前に切れ目が出来た。

 

「……あ」

 

その切れ目は少しずつ大きくなり、空間となった。

そして、その空間から氷の球が出てきた。

俺はなす統べなく、雪女と一緒に凍った。

あれか、あの時にフラグが立っていたのか。

 

「…………」

 

白雲、助けて。

主にお前のせいだったりするから。

 

最近自分が何を考えてるか分からないです、助けてください。




魔王様、必殺技が一つも無いことに気づいたもよう。

作者、この作品のキャラクターに必殺技のが無いことに気づいた。
吹雪とかは『得意技』ということにします。

どうして、今まで必殺技の概念が無かったのだろう……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

知り合いが来ました、助けてください。

拝啓 読者様

二週間ぶりにこの作品を書いたので、感覚が……
それに、一度ボツにしたので少し展開がおかしいかも。
そういや、前回何あったっけ……


「白雲、そうえば狼男は呼ばなくて良いのか?」

 

俺は白雲に氷付けの状態から助けてもらい、支部へ向かおうとしていた。

雪女は木の下で休ませている。

いざ向かおうとしたが、戦力は少しでも多い方が良いと思い白雲に狼男を呼ぶことを提案していた。

 

「あぁ、あいつですか。今すぐ取ってきます」

 

え、取ってくるの?

白雲は上空をフワフワと浮きながら、何処かへ行った。

さて、どうしようか……

 

「…………」

 

こいつの目はまだ覚めないし、俺は支部の場所知らないし。

あ、謎の声に返事出来ないのか?試してみるか。

 

「……聞こえるか」

 

…………。

返事無しか。何か条件があるのか、あっちからしか話しかけられないのか?

そう考えていると、草むらが動くような音が聞こえた。

俺がそちらの方を振り向くと……

 

「……ガサガサ、ガサガサ」

 

物理的に草むらが動いていた。

怖ッ!?しかも、動いている草むらは子供位しか隠れられない大きさだ。

 

「……出てこい」

 

出てこい、怖いから。

その草むらが突然、動かなくなり何かが飛び出してきた。

な、なんだ!

 

「ガオー!」

 

それは子供だった。

身長が俺と同じ程度で小学生位の大きさの。

つまりは……幼女だ。

なお、お巡りさんはお呼びでない。

 

「久しぶりだね、魔王!」

 

そして、この体の持ち主の知り合いだった。

俺は魔王の記憶を思い出して、こいつのことを理解した。

一々、思い出さないと分からないのが面倒だな。

アルバムを開く感覚で、見てるからな。

 

【……帰って、マジで】

 

謎の声ですら嫌がってやがる!?

おいおい、面倒なことになっちまったよ……

 

「魔王、500年ぶりだね!」

 

500年……雪女と同じだな。

魔王は500年前に封印。または、何かあったのか。

少なくとも、記憶には出てこないから考えても仕方ないか。

 

「……久しいな『コーラン=イノー』」

 

名前も思いだせて、良かった。

そうえば、こいつの名前って略すと『コイ(恋)』になるよな。いや、それがどうした。

 

【……会いたくねぇ、逃げてぇ】

 

落ち着け、謎の声!

そもそも、この謎の声が嫌がるなんてどんな奴だ?

いや、この謎の声のことも知らないけど。

 

「魔王、やっほー!」

 

そういって、コーランは抱きついてきた。

おいやめろ。お巡りさん、誤解だから!

 

「……なんだ?」

 

なんだよ、結構普通の子じゃねぇか……

どうして、謎の声は嫌がっていたんだ?

子供が苦手なのか?

 

「魔王、チューしよ!」

 

訂正しよう、これは苦手にもなるよ。

こういうときの反応ってどうすればいいか悩むからな。

そう考えていたら、コーランの顔しか見えなくなるほど顔を近づけていた。

まてまて、いくら幼女といえも彼女いない歴=年齢の俺にはキツすぎる!

だから……通報しないで。呼ばないで。幼女はノーカン、だからセーフ!

なんだ、この『通報しないで』からのこのラップ風なリズムは……

 

「ちょっと待って欲しいんだけど……」

 

キスする寸前、雪女が復活して俺とコーランの顔を引き離した。

助かったけど、少し名残惜しい……

 

「雪ちゃんには、関係ないよね?」

 

「コーラン、何が言いたいの?」

 

怖い!?助けて、白雲!

謎の声が嫌がっていたんだ理由も分かるよ……

 

【……ガタガタ、ガタガタ】

 

震えてるよ。

声しか聞こえないから効果音を自分で言っているみたいだが。

 

修羅場になりました、助けてください。




【コーラン=イノー】
何となく、略すと『コイ(恋)』になる。
理由は何となく。
力は未知数。考えてないから未知数。これから出てくるかも未知数。


【この作品】
今年中に完結させたいです。
恐らくは、後20話位?
なお、私は『一度も完結させたことないです(笑)』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

このシリーズがスランプ状態になってきました、助けてください。by作者

やべぇよ。
展開が思い付かなくて、かなり適当になってしまった。
ラストと支部のボス戦なら思いついてますが……


「魔王様、今戻ったよ~」

 

俺がどうやって止めようか、悩んでいると白雲が帰ってきた。

おぉ、良いところに!

あれ、でも狼男がいないな。どうしたんだ?

 

「雪女てめぇ、俺の飯を返せ!」

 

空から、狼男が雪女の頭上目掛けて降ってきた。

お前はまだ引きずっていたのかよ。

しかし雪女は狼男を凍らせて、そこら辺に投げた。

おぉ、流石噛ませ犬になってきただけある狼男。

それにしても、雪女強すぎね?前より何倍も強いぞ。

 

「……白雲、お疲れ」

 

「魔王様、これはどういうことですか?」

 

「……知らん」

 

助けて!なんだか、凄く怖い!

この世界に来て一番恐怖を感じる……オンナ、コワスギ、タスケテヨ。

 

「魔王様、どうする?」

 

狼男は凍っていて動けない。

コーランと雪女は喧嘩中。

白雲と俺は特になし。

なるほど、二人で行くのか。

とりあえず、コーランと雪女は放置しておくか。

 

「……白雲、行くぞ」

 

「分かった!」

 

行きたくねぇ!

あれ、よくよく考えると倒す必要無くね?

いや、魔王としての力を見せなければ。

 

【……力を、見せねば】

 

 

 

 

 

 

 

「魔王様、つけられてます」

 

俺たちがやっと森を抜けて、砂漠に来ていた。

なるほど、この世界でも砂漠化が進んでいるのか。じゃねぇよ。つけられてんだ。

 

「……そうか。白雲」

 

白雲は鎌を振り、その衝撃波で木を幹から綺麗に斬った。

そうすると、隠れていた魔物が出てきた。

 

「久しいな、旧・魔王!」

 

出てきたのは、両手が刃物で出来ている魔物だった。

お、お前は……!

 

「……誰だ」

 

刃物の魔物は、覚えられていないことにショックを受けたのか、転んで地面を滑った。

まるでギャグ漫画のようだな……

 

「お前なぁ! 俺と前戦っただろ!」

 

「……記憶にございません」

 

本当に記憶に無いな。

いや、まてよ……どっかで見たことあるような。

 

「まぁいい、喰らえ!」

 

そう言って、刃物の魔物は両手の剣を振って進撃を飛ばしてきた。

 

「……白雲」 

 

俺がそう言うと、白雲は俺の三歩前に出て飛んできた進撃を鎌を振って出来た衝撃波で相殺……いや、押し返した。

やっぱりすげぇよ、白雲は……

 

「おっとアブねぇ……」

 

刃物の魔物はそう言っているが、衝撃波が当たったのか剣にヒビが入っている。

そういう台詞は受け止めてから言うものだぞ。

そう思っていると、刃物の魔物が剣の先からピンク色のビームを白雲の顔に当てた。

 

「……白雲ッ!」

 

白雲は顔を下に向けて、力なく両腕をぶらんとさせていた。

俺は白雲が心配になり、近づいていくと……

 

「……!」

 

白雲が俺に向けて、鎌を振って衝撃波を飛ばしてきた。

俺は急いでしゃがんでかわしたが、髪の毛が数本切れて俺の後ろにある砂漠にアリ地獄のような大穴が空いた。

 

「……思い出した」

 

そういやこいつ、雪女を操ってた奴だな。

忘れてた。

それはそうと、白雲をどう倒すかだな。戦ったことないけど強いだろうし。

 

味方が操られました、助けてください。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

白雲強すぎ、助けてください。

拝啓 読者様

今回は微グロ注意です。
筆写は極力誤魔化しましたが。


「……白雲!」

 

反応はやっぱりないか。

俺は念のため、白雲に意識がないかどうか確認するため名前を呼んだが返事が無かった。

ここで白雲を見捨てることは流石にしたくない。

これは魔王だからとかは関係ない。俺自身が助けたいからな。

取り敢えずは……気絶させれば催眠は解けるだろう。雪女のときも恐らくは、そうだったからな。

ただ、勝てる未来が見えない。

 

「…………」

 

そう考えていると白雲は、俺の顔めがけて鎌を投げてきた。

俺はしゃがんで鎌をかわし、足元の砂を蹴りで巻き上げてカーテンのようにした。

よしっ!これで少しは視界を防げただろ。

 

「…………」

 

俺は砂が巻き上がっている間に白雲に向かって走っていった。

足元が砂だから走りにくい……!

その間白雲は、被っていたフードを取りその中から一本のナイフを出した。

そうして、白雲は『時空斬り(じくうぎり)』をいくつも空中に放った。

なんだ?少なくとも、この辺りに吸い込めるものは俺位しか無いと思うが……

え、刃物の奴?あいつは遠くから高みの見物だよ。

 

「……!?」

 

白雲は『時空斬り(じくうぎり)』で出来た空間に手を伸ばし、先ほど投げたであろう鎌を取り出した。

そんなこと出来るのかよ……

他の空間からは、俺が見たことあるけど実物は無い……それどころか、異世界系の話ではあまり出てこないものを取り出した。

 

「……手榴弾」

 

そう、手榴弾を取り出した。

なんで!?その空間が異世界かどっかに通じてるのか知らないけど、現代武器出してくるのは予想外にも程がある!

なんだか、俺が知ってる手榴弾の形と違い丸っぽい形ではなく、円柱の混じっているがそういうのもあるのだろう。

俺はミリオタじゃないから詳しいこと知らないし。

俺は一旦、白雲と距離をとるため後ろに跳んだ。

白雲は俺が跳んで空中にいる間、俺に向かってピンを抜いた手榴弾を投げてきた。

 

「……そぉい!」

俺は飛んできた手榴弾を拳を振るって出来た風圧で飛ばした。

だが、それと同時に俺の目の前に閃光弾が落ちてきた。

それは突如のことで俺は自分の視界を防御することができなかった。

し、しまっ―――

 

「……ぐっ、うぅ!」

 

俺の視界は真っ白になり、自分が何処にいるかも分からなかった。

 

「…………」

 

俺は気づけていないが、白雲は俺の頭上から鎌の先端が俺の頭に刺さるように空中にいた。

簡単に言うと、このまま急降下すれば俺の頭に先端ドーン☆と言ってところである。

 

「……ど、何処だ!?」

 

「…………」

 

そうして容赦なく、俺の頭に鎌が突き刺さった。

 

「……がっあああああ!」

 

…………、助けてください。




【次回予告】

どうも、魔王が現在あれなので私が代わりに次回予告をしよう。

魔王は、白雲の攻撃によって倒された。

だが! ななななんと……あれ、でも様子がおかしい。

もしかして……進化するのか!?

「……ポケ○ンじゃねぇよ」

魔王は少し静かにしていてくれ……

次回『誰だこいつ、助けてください。』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

誰だこいつ、助けてください。

拝啓 読者様

今回はカリスマを意識しました。
圧倒的、力!みたいなのを。

それと、今回は三人称です。


「ふ……ふはは! や、やったぞ!」

 

刃物の魔物は遠くから、白雲と魔王との戦いの決着を見ていた。

遠くから見ている理由は、自分がやられてしまえば白雲にかけている催眠が解けてしまうためだ。

刃物の魔物は、白雲の鎌が魔王の頭に突き刺さるのを見た。

その瞬間、魔王が動かなくなり地面に倒れたのでもう倒された。または、瀕死の重症だろう。

 

「元・魔王、今の気分はどうだ?」

 

刃物の魔物は急いで魔王に近づき、喋り始めた。

最も、かなり遠くから見ていたため、魔王のところに着くまで少し時間がかかったが。

魔王は何も喋らないし、体は動きもしない。

少なくとも脈はあるようなので生きているようだが。

なお、鎌は頭から取ってある。

 

「ふ、ふはははは!」

 

刃物の魔物はこれでかなり出世が出来、幹部にも成れるだろうとあまりの笑顔に目を閉じながら高笑いした。

……さて、この世にはこんなことがあるのを皆さん知っているだろうか?

とある王子が高笑いすると返り討ちにあうと。簡単に言うと『調子に乗ると相手にボコボコにされるよ』と言ったところだ。

結論から『フラグ』である。つまりは……

 

「【……おい】」

 

その声は低くも、高くもなく普通のトーンだった。

だが、刃物の魔物にはその声は異様に頭に残った。

そして、今まで聞いた声とは何処か違う感覚がした。

何故なら、主人公の意識が無いからである。

刃物の魔物はもしかしてと思い、ゆっくりと目を開ける。

たかが『目を開ける』という行為だけだが、極度のプレッシャーが襲いかかり息も自然と荒くなっていった。

そんなはずは無い。そう思いながら確認すると……

 

「!?」

 

「【……まだ決着はついてないのに、満身しやがって】」

 

元・魔王はまだ生きていた。

そして、何故だか頭のてっぺんに少し長いアホ毛が出来ていた。

 

「バ、バカな……お、おい死神! こいつをどうにかしろ!」

 

白雲は、いまだ操られたままで元・魔王に鎌を振りかざした。

元・魔王は特に慌てる様子も無く、鎌を素手で止めた。

 

「【……中々強いな、幹部級の力があるな】」

 

「だが」と、元・魔王は言葉を足して……

 

「【……まだまだだな】」

 

元・魔王は、掴んだ鎌に力を入れて粉々にした。

そして、白雲に拳を振りかざし気絶させた。

 

「【……さて】」

 

元・魔王は刃物の魔物の方に振り向き、手をかざした。

 

「ひぃ、ひぃい!?」

 

元・魔王の手のひらから小さな、炎の玉を作り出した。

それは少しずつ、大きくなっていった。

火の玉が直径七メートル程になり、大きくなるのを止めた。

それはまるで、小さな太陽のようなものだった。

刃物の魔物は逃げようとするが、元・魔王から発せられるプレッシャーによって何かに掴まれてるように足が動かなかった。

 

「【……『サン』】」

 

そうして、元・魔王の手から勢いよく放たれた。

 

「」

 

刃物の魔物は喋る間もなく、姿を消した。

ついでに、地形がボロボロになった。

 

地形をボロボロにしました、助けてください。




【魔王】
今回、主人公の意識は無かったです。
じゃあ、今回戦っていた奴はいったい誰なんだ……(とぼけ顔)
分かる人は恐らく、分かる……かな?
(伏線張るのが苦手な人)


【サン】
別作品の技。
『異世界転生に特典としてギャグ補正持ってったら最強だった件』より。
……え、そっちの投稿?
ナ、ナニイッテルカワカラナイナー(な、何言ってるか分からないなー)



【シリアスを破壊しようの会】
[たかが『目を開ける』という行為だけだが、極度のプレッシャーが襲いかかり息も自然と荒くなっていった。]

[息も自然と荒くなっていった]
魔王はショタ。

魔王逃げて、超逃げて!
こいつショタコンだ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

記憶に無い、助けてください。

拝啓 読者様

リアルで『拝啓』と書けません。
それとサブタイのネタ切れ。


「……あれ?」

 

俺は白雲に刺された筈だが……

俺は周りを見渡したが、あるのは森と倒れてる白雲だけだ。

さっきと景色が違う……それに空が少し赤みがある。白雲と戦ったときは昼だったが。

俺は体に異常が無いか見ると、手に粉々になった鎌の破片があった。

何でだ?

 

「魔王、大丈夫?」

 

「魔王、生きてる!?」

 

あ、コーランだ。それに雪女もいるな。

あいつら喧嘩を止めたのか、面倒になる前に終わったのか。

それにしても、あの魔物……あ、名前知らない。

あいつがいないことも気になる。

ついでに、戦っていたであろう場所が見えるが地形がボロボロなのも気になる。

 

「……どうなってんだ?」

 

俺は問いかけるような、独り言のようなことを言った。

 

「私もよく分からないんだよ……」

 

コーランの言葉に頷くように、雪女も相づちをうった。

こいつらも分からないとなると、白雲か?

でも、白雲は操られた筈だからなぁ……

 

「それはそうと魔王、本当に大丈夫なの? 三日も眠ってたけど」

 

なんだか雪女に心配されると違和感が……

……え、三日!?

俺は三日も寝てたのかよ。

 

「……白雲」

 

「まだ死神は起きないんだよね」

 

白雲……

まだ寝てるのか。操られた負担なのか、誰かにボコボコにされてまだダメージが回復してなのか……

俺は起き上がろうとしたら、体全体に激痛が走った。

 

「……ッ!?」

 

「「魔王!?」」

 

白雲に受けたダメージがまだ残ってるのか?

でも、白雲に攻撃されたのは頭にドーン☆だよな。

だけど痛いのは体全体。それに、手には破片か……それはそうと、俺の看護をしてくれてたのは嬉しいけど手に破片があったのは気づかなかったのか。

 

「…………」

 

そうなると、白雲を倒したのは俺か?

でも記憶が無い。謎の声も喋らないな。

それに腹が空いてきたな……あ、そうえば果物があったな。

だけど、先に寝るかぁ……

 

 

 

 

 

 

 

「……白雲」

 

俺は目が覚めると、空一面に小さな光と月があった。

夜か。体は……一応動くな。少しはマシになったようだ。

 

「……さて、行くか」

 

「魔王、何処に行くの?」

 

「……コーランか」

 

俺は起き上がり、支部へ行こうとしたらコーランに話しかけられた。

他二人は寝てるのか。

 

「……秘密だ」

 

コーランは一瞬、悲しい顔をしたがすぐ笑顔になった。

俺を心配してくれてるのか。

俺はコーランを抱き締め、頭を撫でた。

 

「……じゃあ行ってくるな」

 

俺は砂漠の方へと果物を食べながら歩き始めた。

白雲、仇はとってやるからな。死んでないけど。

……あ、そういや支部の場所知らないや。

えぇこのまま引き返すようなことしたくないよ。

 

恥ずかしくなりました、助けてください。




【果物】
『ちくしょうが!助けてください。』より
もっと持ってるかと思ったら一つだけだった。
見直したら白雲のお土産として持っていた。


【三日】
大体キャラクターが戦いから起きると三日たってる説。
なんで三日なんだろ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

何処だここ、助けてください。

拝啓 読者様

やっべー、このあとの展開が思い付かない。
(ラスボス戦しか考えていない人)

思い付いている展開(ネタバレしない程度に。そして反転)
第一支部のボス
ラスボスの容姿
ラスボスのバトル展開
謎の声の正体
エピローグ


「……迷った」

 

俺はかっこよくコーランたちの元を去ったが、支部の場所が分からなかった。

真っ直ぐ歩いているが、周りの背景が変わらなすぎて暇だ。

この体は脱水症状にならないみたいだから倒れなかったのは幸いだったけどな。

 

「……暇だ」

 

唯一周りの背景が違ったのは森と砂漠の境界線辺りだったな。

あと何故か地形がボロボロだったけど。

しかも刃物の魔物と再開したところだ。やっぱり誰かが戦ったのか?でも、俺や白雲に何もしなかったことも気になる。

野生の魔物がいたのか?だけどこの世界に来てから見てないな。うわっ…野生の確率、低すぎ…?

 

「……あ、背景が変わった」

 

俺は砂漠を抜けて、雪原に出た。

雪か……少し遊びたいな。ってあれ、触ってみたらおかしい。

あ、これ紙だ。雪原じゃなくて紙だ。

少し地面を掘ってみたられき岩が出てきた。

 

「……何でだよ」

 

それにしてもこの世界のおかしいな。

森から砂漠。砂漠かられき岩。どう考えても普通じゃないな。

流石異世界。こんなことで異世界だと思いたくないけど。

 

「……なんか悲しい」

 

異世界だと思ったことも。

俺が一人で喋っていることも。

 

「……あ、あれか?」

 

俺は暇すぎると思っていると支部だと思う場所を見つけた。

おぉ、今度はビルだった。

何でだァ!どうして一軒家の次はビルなんだよ!

 

「……入るか」

 

「おい、お前は元・魔王!」

 

俺はビルに入ると、門番の悪魔がいた。

懐かしいな……それはそうと、ビルは手動か。

 

「懐かしいな、ぶっ飛ばす!」

 

あ、今度は天魔だ。

何故だろうか。久しぶりに話せる相手が出来て嬉しい。

 

「……そうか」

 

俺は天魔の懐に入り、拳を当てた。

そうすると、俺に体を預けるように倒れた。

 

「おい、敵襲だ!」

 

ヤバい!仲間を呼ばれる!

俺は咄嗟に、悪魔の頭を掴んで地面に叩きつけた。

ここは一旦隠れるか。でもどこに……

 

「……これでいいか」

 

俺は近くに転がっていたある物に隠れた。

それは物を遠くに運ぶ際に使われる物で、とある傭兵も使っている。その名も……

 

「……段ボールだ」

 

俺は段ボールの中に隠れてやり過ごそうとした。

持ち手の部分からなんとか見えているため、そこから様子を窺っている。

なお、俺は現在ほふく前進のような格好で入っている。

この小さい体が役に立つことがあるとは……今までは敵の攻撃が全体攻撃だったから意味なかったけど……

 

「どこ行った!」

 

「お、おい! 門番が倒れているぞ!」

 

「敵襲だ、警戒しろ!」

 

やっぱりバレてるよな。

敵の集団が俺の隠れている段ボールに気づいてないのが幸いだが、まだこの辺りを探しているから逃げられない。

実際は逃げようと思えば逃げられるが、敵の集団に追いかけられながらここのボスを探すのは面倒だ。

 

「…………」

 

俺は少しずつ動くことにした。

ゆっくり、ゆっくりと……

 

「ここに段ボールなんてあったか?」

 

敵の集団の一人が俺の隠れている段ボールを持ち上げようとした。

俺はゆっくりと進むのに集中しており、気づかなかった。

そうして……俺は急に明るくなったことに違和感を感じて上を向くと、

 

「あ」

 

「……あ」

 

敵に見つかりました、助けてください。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

助けてください、助けてください。

拝啓 読者様

サブタイは誤字ではないです。
早くガ○パンの最終章二話見たい……
(実は最終章の一話見てない人)


拝啓 お父さん、お母さん。元気にしていますか?

 

「此方に居たぞ!」

 

俺はとても元気で、今走り回っています。

 

「捕らえるんだぁ!」

 

走らないと捕まるからです。

俺は段ボールに隠れて移動しようとしたが失敗し、右も左も分からないまま逃げている。

途中、何度か行き止まりがあったが全て壁を壊した。

後ろには視界を埋め尽くす程の敵がわんさかと追いかけてきてる。

倒せると思うがかなり面倒なので幹部を探している。

だが……幹部らしき敵。及び部屋が見つからない。

それに追いかけてきてる敵が鬱陶しいな……あ、そうだ!

 

「……ふんっ!」

 

俺は脚を上げて力を入れた。

そうして、床を勢いよく踏みつけた。

そうすると床に亀裂が入り落とし穴が出来た。

俺は床に穴が開く前に身体能力を活かして安全な床に飛び移った。

 

『うぉぉぉぉぉお!?』

 

敵達は落とし穴に落ちずになんとか踏みとどまったが、まだバランスを崩している。

俺はそんな敵達の最後尾まで跳び、軽く敵の背中を押した。

そうするとドミノ倒しのように敵が落とし穴に落ちていった。

 

「……よし」

 

俺はゆっくりと探索を続けようとしたら、日記が落ちているのに気付いた。

さっきの敵の誰かが落としたのか?幹部の情報が載っている可能性があるから見てみるか。

落とし穴から少し離れた適当な部屋に入り、日記を読み始めた。

……あれ、これ日本語だ。

 

 

 

○月○日

 

俺がここに配属されてから一年が立つ。

いつか幹部の座になりたいと思い、ここに来てからトレーニングをしているが中々幹部になれない。

それはそうと、この建物の建造物はとても不思議だ。

俺は100年という時を過ごしてきたがこんなにも発達している物を見るのは初めてだ。

そもそも何で作られているかすら分からない。昔からここにいる奴が言うには『こんくりーと』とやらを使っているらしい。

そんな物聞いたことがない。

 

 

○月■日

 

そうえばここの幹部に一度も会ったことがない。

一応、幹部の部屋があるがただ単に怖いから入っていないだけだ。

もしかしたら何処かですれ違っている可能性があるかもしれない。

 

 

○月▲日

 

昨日、幹部に会ったという奴が居た。

その幹部について聞いてみると『かみ』だと言っていた。

それはそうと第二支部が誰かに潰されたそう。

一体、誰がそんなことを……

あ、そうえば仲間から日記にはこれを付けろと言われてたな。

 

かゆい

うま

 

 

 

日記はここで終わっているな。

それにしても最後がかゆうまって……

まぁいいか。幹部の部屋があって、場所が分かるってことは目印があるのだろう。

それにしても『かみ』か。

俺はそんな奴に勝てるのか?仮に勝てたとしてもその『かみ』より強い魔王がいるんだ。

まぁそれはそれとして、まずは会ってみるか。

そして強かったら逃げて作戦を立てよう。

 

「…………」

 

俺は部屋から出て、幹部がいるであろう部屋を探した。

そうして見つけた。

ついでにこれも日本語だった。

この支部は日本語が流行ってるのか?

 

『かんぷのべや』

 

凄く誤字が酷い!

と、兎に角ここがこの支部の幹部の部屋なのだろう。

俺は周りを警戒しながらゆっくりと扉を開けた。

 

「来たか、元・魔王よ」

 

「…………」

 

部屋の一番奥に仁王立ちしていた。

確かに、こいつが幹部だな。

日記に書いてあることが合っているならコイツは絶対幹部だ。

何故なら……

 

「よくここまで来たな」

 

『紙』だからだ。ペラペラの。

体は全体的に白く、胴体は紙一枚。四肢は細長く丸めた紙で出来ていた。

あぁ……確かに日記には『かみ』と平仮名で書かれてたな。

俺の勘違いかよ……

 

なんか戦う気が無くなりました、助けてください。




というわけで、第一支部のボスは紙でした。
真面目に考えました!

……本当のこと言うとふざけました。
意外性を出そうとした結果です。

あれ、そうえば他にも意外なキャラがいたな。
魔王ショタとか、棒人間とか。

【修正】
言葉が読めないのに、日記等を読めている。
理由 日本語だから。
という理由か付きました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

見た目が紙です、助けてください。

拝啓 魔王様

今回ちょっと強すぎませんかねぇ。
でもそうしないと後が……
それと、3月で完結すると思っていたけどもっとかかりそうです。

後付け設定があります。


「どうした? 元・魔王よ」

 

お前の見た目が紙だからだよ。

幹部は『かみ』に関して選んでいるのか?

『髪のような武器を使う幹部』や『紙の幹部』だとしたら次は神様か?

 

「……弱そう」

 

「ほぉ、生意気なことを言うな」

 

おっと、本音が漏れていたようだ。

こいつに火をつければ簡単に燃えて倒せそうだ。

でも火が無いんだよなぁ……あ、殴って破ればいいか。

 

「……喰らえ」

 

俺は床を蹴り幹部に体が数ミリ単位で浮きながら突っ込んで行った。

その蹴りの衝撃で床にヒビとクレーターが出来た。

 

「効かねぇよ」

 

なっ、無傷だと!てか痛い……

幹部の体の中心を殴ったが、破れるどころか折れた後すら無かった。

どうなってんだあれ……厚紙で出来てるのか?でもそしたら折れたりするはずだよな。

俺がそう考えている間に、幹部が攻撃してきた。

 

「喰らえ」

 

幹部は紙を丸めて出来たような右腕を俺に向けてきた。

中は何もない。というより、真っ黒で空洞だ。

 

「……何か、来る!」

 

俺は何か攻撃を仕掛けてくることを察して、姿勢を低くして横へ飛んだ。

向けてきた腕が一瞬にして伸び、この建物の壁に綺麗な穴を開けた。

よくよく見ると伸ばした腕の先が細くなってる。紙を丸めるときに失敗して両端の大きさが合わなかったように。

もしも、紙を何重も重ねてにして固くしているのだとしたら先端に近いところは脆いはずだ。

俺は刺さった壁の方に走って行き、紙を蹴った。

だが、まるでコンクリートのようにびくともしなかった。

違うのか……?

 

「『生成』」

 

幹部には刺さった紙を元の長さに戻すと、その紙がペラペラの状態になった。そしてその紙には沢山の畳んだ後があった。

確か、紙は折れば折るほど固くなるんだったな。それであんなにも固かったのか。

そして、その紙が一人でに折られて行き人が三人乗れそうな大きさの手裏剣が出来た。

あれが飛んでくるのか……それにこういうパターンは追跡型だ。アニメでよくあるから俺は知っている。

 

「飛んでいけ」

 

幹部がそう言うと、手裏剣は勢いよく俺へ飛んできた。

やっぱり飛んでくるのか……なら普通にしゃがんでかわすか。

俺は手裏剣をしゃんでかわし、後ろを警戒した。

手裏剣は壁に刺さることなく、壁を何もないかのようにスパスパと斬っていき飛んでいった。

そうして、手裏剣が戻ってきた。

相手は自分の攻撃に当たってやられるほど弱くないはずだ。

俺は下に伏せて手裏剣をかわし、そのまま幹部へと飛んでいったが意思を持っているかのように避けた。

 

「……厄介な」

 

こういう時に火があれば便利なんだが……

この辺りは確かれき岩だったはずだ。

木があれば火を起こせるのに……あ!そもそも時間がかかる上、俺は木を使って火を起こしたことないな。

 

「『生成』」

 

幹部をもう片方の腕をペラペラした。そしてその紙にも沢山の畳んだ後があった。

同じように折れていき、同じく手裏剣を作った。

二つか……まだ大丈夫だな。何故だか白雲との戦い後、身体能力が上がっている。

もしかして、瀕死の状態から復活したからパワーアップしたのか!?

いや、異世界系の見すぎか。俺は特にトレーニングしてないからそんなことは無いだろう。

 

「……ふっ」

 

身体能力は上がっているが、まだどの程度まで反応出来るか分かっていない。

手裏剣を二つ避けられる程ではあるが……

これからどう反撃しようか。攻撃してもどうせ効かないからなぁ……

そうえば前までは考えてるときに攻撃受けてたけど、今は余裕があるな。

火は無理だとして、後は水か。

あ、水も無い。唾も一応水の類いに入るけど、どう考えても足りないな。あと汚い。

 

「……壊すか」

 

手裏剣を壊せば両腕が無くなるから、此方が有利になるはずだ。

俺は壁と天井に張り付き、飛んできくる手裏剣を反応出来ないスピードで壊そうとした。

 

「見えぬ」

 

はぁ?見えないだと。そうえばあいつは一切動いてないな。

もしかして動けないのか?理由は知らないけど。

まぁいい。今は手裏剣の対処が先だ。

俺は飛んできた二つの手裏剣をかわし、次飛んでくるのもすぐ避けようとしたら異変が起きた。

 

「な、なにが起こっている」

 

「……なんだ?」

 

天井から粉状になったコンクリートが落ちてきた。

それも一回ではなく、何回も。

それによく建物を見てみると、手裏剣で斬られたせいであろうか。少し建物がずれていた。

ま、まさか……!

俺は建物の外へ逃げようとしたが間に合わず、幹部と一緒に建物の下敷きなった。

 

建物が壊れました、助けてください。




魔王様はどうやってこの幹部を倒すのでしょうか。

火は無い。
水も無い。
体が固くて物理が効果殆ど無い。

……ほんと、どうやって倒すんだろ?
(一応は考えている人)

<後付け設定>
魔王様の身体能力上昇


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

紙だな、助けてください。

拝啓 読者様

私は主にギャグ系を書いているので、こういうガチで書くのは楽しいです。
……内容は兎も角として。
さてさつ、この幹部どうやって倒そうか。
元々の予定とはズレてしまったからなぁ……

【本来の予定】
あいつ動かないってことは重いのか?
穴掘りまーす。
後ろからドーン!
起きあがってくる前に埋めるか。
よし埋めた、やったぜ☆


「……痛い」

 

俺は建物が崩れてきて、そのまま下敷きになったが生きていた。

恐らくは人間なら助からないほど崩壊していた。

辺りを見渡すと、あるのは建物の残骸位で幹部の姿は見当たらない。

だがこういう所で油断すると攻撃されるだろうから、周りを警戒しておこう。

手裏剣も倒せたとは限らないからな。

そう周りを警戒していると、俺の右斜め前の瓦礫が動く音がした。

 

「……そこか」

 

俺は相手が何かしてくるかもしれないと思い、そこら辺にある瓦礫を投げた。

特に反応は無し……と。

瓦礫ではない、別のものに当たったようだから誰かは居るのだろう。

だが幹部かどうかの確認も出来ていない。

もしかしたら幹部かもしれないし、別の奴かもしれない。

しょうがない……近づくか。

俺は結局近づいて確かめることにした。

 

「…………」

 

俺は一歩、一歩と警戒を解かずに近づいていく。

そして残り五歩位まで近づいたその時……

瓦礫が宙を舞い、何かが飛んで出てきた。

 

「はぁ、はぁ……まさかここまでやるとは想定外だ」

 

幹部だった。

背中からは、体の色とは正反対の色をした悪魔のような羽が生えていた。

両腕が先程の白ではなく、黒に変わっている。

腕を変えたのか、色が変化したのか知らないが第二形態か……

幹部で形態変えてくるとなると、魔王は第三形態でもあるのか?嫌になるな、全く。

 

「だが、この私に勝てないな」

 

幹部は空から俺を見下すかのように言ってきた。

なんだか異様にムカつくな……取り敢えず物理は効果殆ど無いから、どうしたものか。

 

「…………」

 

「ここが貴様の処刑所だ。ゆっくりと味わえ」

 

そう言って幹部は脚を変形させ、ハンマーと蛇を作り出した。

ハンマーは空中に浮いており、蛇は地中に隠れた。

空中に浮けるってことは、幹部が操っているのか?

それに蛇は普通に地中に隠れてたが、地面は岩だ。そうなるとパワーはそれなりにあるはずだな。

さて、どうしようか……

 

【……こうすれば速いな】

 

か、体が言うこと効かねぇ!

俺は勝手に空中に数m程跳び、そのまま攻撃を受けた。

その威力で砂漠を抜け森へと吹っ飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁ、はぁ」

 

痛い、とても痛い。

なんでさっきは体が勝手に動いたんだ?

それに謎の声が聞こえた……あいつが関係してるのか、あいつ自身がしたのか。

と、兎に角森に来れたのはデカイな。これであいつを燃やせる。

俺はそこら辺に生えている木の枝を二本折り、地面に座った。

 

「…………」

 

一本は地面と平行になるように置く。

もう一本はその平行に置いたものと垂直になるように、逆T字に型になるようする。

そうして、垂直に置いた木の枝を回していけばいずれ火が……

 

「…………」

 

いずれ火が……

 

「…………」

 

火が……

 

「付かないじゃねぇーか!」

 

俺は垂直にしていた木の枝を地面に叩きつけた。

なんか前に『……』が付いてないけど今は重要じゃない!

こうしてる間にも幹部が来るな……

 

「そこか」

 

ほ~ら来た(絶望)☆

 

どうしようか、助けてください。




【内容が酷いため没にした倒しかた】
魔王様に腹パン。
痛くて嘔吐。
おrrrr……
幹部が嘔吐物に触れ、濡れる。
あ、今なら倒せるな。
パーンチ。
わーい、勝った勝った~
う……嬉しくねぇ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

展開どうしよ、助けてください。 by作者

拝啓 読者様

最近、感想が来ると凄くニヤニヤしたり笑ったりする作者です。
……え、主人公のキャラがブレブレ?いつものことです(笑)

さて、この作品もそろそろ終わ、終わ……るよな?


「……かかってこい」

 

俺は覚悟を決めて、幹部と戦うことにした。

そうえば火は兎も角、水が効くかは試してないな。

少し汚いけど唾でかけて試してみるか。

ペッペッ。

 

「うわ汚ッ! 止めやがれ!?」

 

幹部は体の一部に俺の唾を浴びながら、大袈裟にかわした。

お、おい……汚いのは分かるけど少し悲しくなるからさ。

しかもキャラ崩壊してるじゃねーか。

 

【……すまない、読者の皆よ。本当にすまない】

 

謎の声が誰かに謝ってるけど別にいいか。

取り敢えずは、唾の浴びた所を殴るか。

俺は幹部の攻撃をかわしながら、殴った。

そうすると唾を浴びた部分は、脆くなったためか簡単に破れた。

思ったより、柔らかくて空中でバランスを崩した。

 

「プレスだ」

 

幹部は手を鉄板のように変形させて、空中に浮き始めた。

そうして変形させた手を地面に平行になるように俺を地面に潰した。

 

「……うぅ」

 

紙の筈なのに重い。その重さで地面が凹んできた。

まるでロードローラーに潰されていくるようだ。

だが頭と指は動くな。

俺は頭を地面に勢いよく何度も頭突きをした。

その反動を使って、一時的に動けるようになった腕を使い鉄板のような紙を退かした。

 

「『創造(想像)』」

 

幹部は俺が鉄板のような紙を退かしている間に何かを作っていた。

凹んだ地面から脱出した俺は、その作っている物を見た。

『戦車』だ。俺は戦車ついて詳しくないため、種類はよく分からないが戦車だろう。

 

「……は?」

 

なんでこんな異世界に戦車があるんだ!?

俺が知らないだけでそんな技術があるのか?

戦車はまるで紙で出来るとは思えないほど、本物の兵器のようだった。

戦車は走り出すと、その重さからか地面を少し抉った。

逃げる時間が無い!

俺は戦車を両手で押さえようとするが、その重さと力で受け止めきれずに森へと押されていった。

その時、俺は幹部が笑っているように見えた。

あの野郎……!

 

「糞野郎がぁぁぁぁぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁ、はぁ」

 

俺は森の中で何とか戦車を止められた。

前は戦車があって見えないが、恐らくは抉れた地面と折れた木々があるだろう。

幹部の第二形態でこの威力か……新・魔王と戦うのが怖くなってきた。

 

【…………】

 

「……そうえば、ここ見たことあるな」

 

前しか見ていなかったが、辺りを見渡すと見覚えのある湖があった。

湖……溺れる……あっ!木を探しにこの湖に来た覚えがあるな。

幹部が来るまで水の中に隠れるか。俺は水の中にいても呼吸しなくて大丈夫だし。

だから溺れることはない。前に溺れると思ってたことがあるけど大丈夫だ。

だけど深くにいると来たか分からないから、上の方に居るか。

俺がそうして待っていると……

 

「ま……どこい……」

 

水中に居るから上手く聞き取れないが、声が同じだから幹部だろう。

……あ、どうやってコイツに水を当てよう。

水をかけるとしたら、時間がかかる。

突き落とすとしても、飛ばれている。

 

どうやって倒そう、助けてください。




……どうやって水を当てればいいのだろうか。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幹部戦長すぎ、助けてください。

拝啓 読者様

今回はとある読者様からアドバイスを貰ったので、参考にさせて頂きました。
ありがとうございました。
……本編の扱いはなんと言いますか、兎に角どうぞ!


「……どうするか」

 

相手は飛んでる。

俺は跳べる。だが、今の攻撃手段は水を当てること。

本当にどうしよう。

 

「……ハッ!」

 

今何処からか『口から水を出す』作戦がありますと聞こえてきた!

どこからだ?ま、まぁ良いこと知れたから良いか。汚いけど。

 

「……びゅ、ぴゅ!」

 

俺は口に水を含み、一度地上に上がり幹部と同じ高さまで跳んだ。

喰らえ、口に含んだ水!……汚い。流石魔王、汚い。いや、魔王は俺か。

 

「お、お前は魔王としての自覚は無いのか!?」

 

無いよ。中身は今までのことで少しメンタルが鍛えられた一般人だからな。

そうえば魔王の自覚なんて気にしたことないな。

この体の主が前に何をしていたかなんて知らない。

 

「……ぴゅ、ぴゅ!」

 

まだまだ俺は何回も口に含んで幹部にかけた。

そして……終わらねぇ!

かなり時間がたった筈だが、幹部の体は一割しか濡れていない。

しかも相手も攻略方法を掴んだのか、当たらなくなってきた。

 

【……すまない。とある読者様、本当にすいませんでした】

 

どうした謎の声!?

さっきと言い、謎の声は一体どうしてしまったんだ……

 

「……どうしようか」

 

コイツを沈めるしかないか?

でも沈めるとしても、どうするかだよなぁ。

沈めるとしても、これ以上びしょ濡れになりたくないし。特にこのマントなんて気に入ってるからな。

……あ、このマント使えば倒せるか?

俺は今思い付いた作戦を成功させるため、もう一度湖の中に逃げた。

 

「出てこい、潰してやる」

 

やっぱり水には入ってこないのか。

俺は着けていたマントを外し、手に持った。

勝負は一瞬だな。これで決まってくれれば良いが……

俺は湖の底から幹部まで跳んだ。その威力で湖から出た瞬間、大きな水しぶきが出来た。

 

「そこか」

 

幹部は俺にくしゃくしゃに丸めたような紙を投げようとしてくるが、もう遅い。

俺は持っていたマントを上空に掲げ、プロペラのように振り回した。

当然飛べないが、目的はそこではない。

マントについた水が幹部の体に多く付着した。

 

「な、なんだと!?」

 

「……ふっ」

 

俺が地面に重力で落ちる時に幹部を見ると、体の至るところに水がかかった後があった。

だが、相手は幹部だ。そう易々と倒されることはない。

幹部は足を剣に変形させ、俺を切り刻んできた。

空中でとれる身動きは殆ど無く、そのまま攻撃を喰らった。

あぁ、痛い。こんなに痛いのはいつぶりだ?

棒人間か、白雲か、雪女か?まぁそんなことはどうでもいい。

 

「……これでいける」

 

俺はもう一度跳び、幹部の体に乗った。

幹部は俺を降り下ろそうと、暴れるが羽にも水がかかっている。

その状態で上手く飛べる訳もなく……

 

「お、おい元・魔王止めろ!」

 

【……あばよ】

 

重力のまま湖に落下した。

俺は湖に落下した幹部を見ると、体がふやけそのふやけた体が少しずつ千切れて水面に浮かんでいった。

これで、やっと幹部が倒せたな……

俺は地上に上がり、木に横になった。

あぁ、これからどうしようか。

新・魔王の場所は知らないし、白雲達が何処にいるかも知らない。

 

誰か、助けてください。




【謎の声の謝り】

伏線も何もないただの謝罪。
ありがとうございました、そしてすいませんでした。


【幹部(名前不明)のステータス】
見た目が紙。
第一形態 白い紙
第二形態 両腕黒い紙、悪魔のような羽

見た目が紙だが、その体からの攻撃は威力が高い。
体は何回も折り曲げた紙の集合体。
弱点は水や火。そして、重くて動けないこと。

[生成]
自分の体の一部を使い、物を生成。
本編では、手裏剣を作っていた。

[創造(想像)]
自分の体の一部を使い、物を作成。
此方は上の上位互換で、第二形態で使えるようになる。
弱点としては『見たものでないと作れない』ことである。
だが、一度見たものは本物以上の力で作られる。
本編では、戦車を作っていた。
……あれ、そうなると何処か見たことに―――


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

どうしよう、助けてください。

拝啓 読者様

今回はシリアスです。
新しい設定が入ります。


「…………」

 

俺は森でさ迷っていた。

幹部を湖で倒したはいいが、新・魔王の場所を聞き忘れた。

前に来たときは一週間位迷った。

そして現在、体がぼろぼろ。

 

「……助けてください」

 

白雲を呼ぶのが一番だと思うが、アイツは怪我してるから呼びたくない。

跳んで魔王城があった場所に戻るのも良いかも知れないが、そうしたら白雲達の場所が分からない。

そもそも跳ぶほどの元気も無い。

 

「……テレポート出来ないかなぁ」

 

前は無意識で使えていた力も今は使えない。

意識してしまっているのか、ただ単に使えないのかは不明だ。

謎の声、今何処か分かるか?

 

【……zzz】

 

こいつ、寝てやがる!

なら白雲を呼ぶしかないか?でもなぁ……

 

「魔王様に呼ばれた気がした!」

 

後ろから声がしたので振り向くと、白雲がいた。

鎌は壊れたのか不明だが、持ってはいないようだ。

 

「……休まないのか」

 

「もう回復した!」

 

早くないか?まぁいい。

回復してくれたなら、色々と助かるな。

病み上がりかもしれないが仕方ない。コーラン達の場所まで移動してもらうか。

 

「……白雲、実は」

 

「魔王様、話があ……あります」

 

俺が用件を言う前に、白雲が真剣な表情で此方を見てきた。

睨んでいるわけではないみたいだが、何か大事なことを話そうとしているようだ。

……それなら俺の用件より先だな。

 

「……その話はどんなのだ?」

 

「実は……もしも僕が『ロボット』だと言ったら、信じますか?」

 

ロボット……だと?

確かに白雲は、死神だし変な技使うけど……普通じゃないのか?

それに、触った感覚も骨そっくりだ。

……触ったことある骨は鶏肉とかだ、人のは触ったことない。

 

「……どういうことだ」

 

ロボットだとしたら何がおかしいんだ。

でも、この世界にロボット?何処かに研究室でもあるのか。

 

「僕は……新・魔王軍の元部下です」

 

なんだと……!?

でもそれは少し可能性があるかも知れないな。

今まで新・魔王の部下と白雲は一度しか戦ったことが無い。

そもそも、あれは俺の指示で攻撃を弾いただけだから含まれないかもしれないが。

俺を倒すほどの実力があるのに、幹部を倒さなかったのも気になるな。

 

「僕の体には新・魔王の奴らに攻撃出来ないようになっています。

 

攻撃を弾き返すことは出来ますが、それ以外は……

 

それと、支部の場所を知っていたのもそれが理由です」

 

「……そうか」

 

でも少し気になるな。

操られていた時は別として、どうして俺を助けてるような事をしてたのか。

復活させようとしたのかが。

 

「……白雲、どうして俺の部下になった」

 

そこがやっぱり気になる。

少なくとも、スパイでは無いと思うが……

 

「魔王様に新・魔王を倒してほしいからです」

 

倒す、倒すかぁ……

逃げたい。倒せる気がしないから。

でも、発言から考えると倒せないと不味いことが起きそうだな……

 

「……もし、倒せなかったら」

 

確認して置かないといけない。

もしも、倒せなかったらどうなるか……

 

「それが、分からないんです」

 

分からない?

でも何か企んでることは知ってるのか。

 

「新・魔王は何かしらの能力を持っていて、それで何かをしようとしてることしか……」

 

「……兎に角、不味いのか」

 

……倒すしか、無いのか。

でも場所は分からない。

俺を倒さないとその『何か』が出来ないのか、時間制限があるのか知らないけど詰んだ。

まぁいいか。その事は後で考えよう。

 

「……白雲、コーラン達の所まで頼む」

 

「え?」

 

「……俺は気にしない。それだけだ」

 

実際、白雲がロボットだった。程度で驚かない。

憑依したり、ショタだったり色々なことがあったからな。

 

「……運んでくれ」

 

「分かりました! この白雲(しらく)の命に誓って!」

 

何か吹っ切れたように、あの時と同じように返事した。

そうして、コーラン達の場所に移動してもらった。

 

新・魔王を倒せる気がしません、助けてください。




【白雲】
前から新・魔王の元部下の設定は考えていた。
ロボットした理由は特に無い。

それと一人称は『僕』になった。
もしかしたら前に『俺』と言っていた可能性が……
というより、作者が忘れた。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

城を再築します、助けてください。

拝啓 読者様

今回の前書きは長いため、興味ない方は飛ばしてください。

と、とうとう私の作品も推薦されました!
ありがとうございます。
(誰が推薦したかは、伏せますけど)

そうえば、ふと思いましたがこの作品少しコ○ンのあらすじに似ていることに気づきました。
そんなわけで作ってみました。

【コ○ン風のあらすじ】

俺は憑依転生者、名前は無い(作者が考えてない)

幼なじみなんか居ない俺はバイトに行く途中、黒ずくめの男の怪しげな取り引き現場を目撃していない。

取り引きを見るのに夢中になってないけど、取り引きなんて行われてないけど、俺は急に視界が真っ暗になった。

俺は今度は視界が明るくなり、目が覚めたら体が縮んでしまっていた!!

俺が魔王に憑依していると奴ら(白雲達)にバレたら、なんか色々と大変そうだし、その時の展開を作者が考えていない。

異世界系の知識を使って正体を隠すことにした俺は、名前を考えてないことに気付き、

そのまま『魔王』と名のることにし、この世界の情報を掴むため、魔王として生活することにした。


「……コーラン」

 

「これを運べば良いんだね……っとと」

 

幹部との戦いから五日後。

戦いの傷が回復したので、すっかり忘れていた城の建築をしていた。

まぁ城と言っても、最初に作るのはログハウスのような物にする予定。

元の形にしようとすると、百年はかかると思う。

それと俺はログハウスを建てたことが無いため、見よう見まねであるが。

今はコーランと雪女は木材を運び、白雲と狼男は木を伐り、俺が城を作っている。

……今作っているのは城だ、家じゃない。とても重要なことだ。

 

「ってわぁ!」

 

次の木材を運ぼうとしたコーランが、躓いて木材が空中に放り出された。

すかさず俺がコーランが転ばないようにキャッチする。

木材はまだ沢山あるから十個や二十個、落ちて駄目になっても痛くない。

それに城は二十人で住んでも大丈夫な大きさの物を作っているのだ。

そして残りは三割程。疲れが出てくるのは当たり前のことだ。

肉体的には疲れなくても、精神的に疲れたりするからな。

 

「あ……魔王後ろ!」

 

近くに居た雪女にそう言われ、俺は後ろを見ると……

先程空中に放り出された木材が城に突き刺さろうとしていた。

これまでの苦労を無駄にしたくねぇ!

俺は急いでコーランを地面に座らせ、落ちてくる木材を拳の風圧で飛ばした。

今回はきちんと手加減出来たので、城に犠牲は出なかった。

 

「……あ、危ない」

 

ここまで完成させるのに一日かかったから、最初からやり直しになると精神的にキツイ。

それと、土地はやけ野原になったままだ。流石に土地を直す前に家……いや、城が欲しかったからだ。

それに新・魔王が何処に居るか分からないので、直してまたやけ野原にされると困るのも理由である。

 

「魔王様、伐り終わった!」

 

「魔王様、終わったぞ」

 

二人は木を伐り終わったようだ。

そうえば一つ驚いた事がある。雪女と狼男だ。

会った瞬間に喧嘩するんじゃないかと心配してたが、特にそんなことは起きなかった。

……森で再開したとき、狼男が雪女に一撃で負けたあれは含めない。

 

「……さて、仕上げといくか」

 

そうして俺達五人は夜が明け……いや、この世界はずっと月が出てたな。

城が完成するまで寝ないで作業した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

「魔王、完成したねぇ……zzz」

 

「魔王様ぁ……zzz」

 

「魔王様俺は……zzz」

 

「魔王、あんたは……zzz」

 

訂正、完成する直前に全員寝た。

後は看板でも付けて完成させようと思ったが、白雲達が寝たしまったので困った。

仕方ないので俺自身が書こうとしたが、異世界語が書けないことを忘れてた。

日本語で書くのもありだと思うけど、どうせなら異世界語で書きたい……

しょうがない、それはまた今度にして俺も寝るか。

今までずっと戦ってきたから精神的に疲れた。

新・魔王が何か動きを見せるまで、ゆっくりと異世界ライフを楽しむとするか……

俺が知ってる場所は『城跡地』と『森』と『砂漠』と『れき岩』と『支部跡地』位だけど。

ろくな所が無いな。

 

……なんかフラグがたった気がしました、助けてください。




なんやかんやで忘れてた城の再築を始めました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~新・魔王編です、助けてください。~
忘れてました、助けてください。


拝啓 読者様

推薦されるとあんなに延びるんですね……
まぁいつも通り書いていきます。

それとそろそろこの作品が終わると思います。
あと眠いです。
これ投稿したらすぐ寝ると思います。


「……平和だな」

 

ログハウス……もとい、城を作ってから数ヶ月。

平和な時を俺達五人は過ごしていた。

運動したり、手加減を覚えたり、本格的な城を作るための材料を集めたりと……色々としていた。

前に見つけた林檎のような果物は見つからなかった。飾ろうと思ったのに。

それと謎の声が話をしなくなった。

拗ねている訳ではないと思うが、ずっと寝ているのだ。ふて寝か?

そうえば、何か大事な用事があった気がするけど忘れた。

兎に角そんな風に異世界ライフを楽しんでいた。

 

「魔王様! 大変だぁ!?」

 

俺が庭で運動をしていたら、ふわふわと飛びながら白雲が声をかけてきた。

声を聞く限りだと、とても大変な事なのだろう。

 

「……どうした」

 

俺がそう聞くと、白雲は手に持っていた封筒を俺に見せた。

悪いが、見せてもらった所で読めないから分からない。

 

「新・魔王から、果たし状が! 等々勝負を仕掛けに来ますよ!」

 

新・魔王?……あ。

わ、わ……忘れてたぁ!

そうだよ。自分で壊した城を、一応再築し終わって安心してたからうっかりしてた!

俺は白雲が持っていた封筒を取り、中身を確認した。そうしたらもう一枚出てきた。

一枚は最初の読めない物。

もう一枚は地図と思われる物。

『地図』だと言うのは何となく分かるが、何処を示しているか知らない。

少なくとも、目立つ色で二つ何処かを指し示ているのは分かる。

その近くに何か書いてあるが読めない。

 

「……そうか」

 

「魔王様、ここに新・魔王の本拠地が書かれているので、すぐに行こう!」

 

え、そこに本拠地が書いてあるのかよ。

でもそしたら俺を直接叩けばいいと思うが。

何か本拠地でないと駄目が理由があるのだろうか。

まぁいい。早く新・魔王を倒してこれからも異世界ライフを楽しむか。

 

「……白雲、案内しろ」

 

俺はこの世界の字が読めない。

そのため今手紙を読んだ白雲に案内を頼むことにした。

でも、コーラン達も呼ぶか。

それと白雲は本拠地の近くまで案内を頼む予定だ。

攻撃出来ないと言っていたので、危ないからな。

 

「はい、分かりました!」

 

そうして俺達五人は新・魔王の本拠地へと向かった。

一週間かけて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ついたな」

 

俺は辺りを見渡すと、本拠地らしき場所を見つけた。

その本拠地を中心に、正方形を描くように地面が黒かった。

それだけではない。空や周りの景色等もそうだ。

だが何も見えない訳ではなく、いつもと変わらずに周りを見れる。

そして途中からこのようになっている。

まるで空間が違うように感覚がする。

最初、中に入ると箱の中に閉じ込められたと錯覚するような感覚だった。

 

「魔王様、これで僕の役目は終わりだね」

 

「……お疲れ」

 

俺がそう言うと、白雲は何処かに消えた。

懐かしいな……いつも呼んだらこんな風に出てきてたっけ。

 

「魔王、さっさと行くわよ」

 

「……そうだな」

 

俺は雪女に背中を叩かれ、本拠地に行く心構えが出来た。

ここに居るのは俺含めて四人。

魔王に憑依転生した俺。

何度か戦った雪女。

 

「魔王、私弱いけど大丈夫かな?」

 

「……大丈夫だ」

 

俺は今さらながら弱いと知ったコーラン。

いざとなったら、白雲に手伝ってもらって逃げてもらうか。

 

「魔王様、俺の活躍見ろよな!」

 

「……分かった」

 

何かと俺を嫌っていた狼男。

俺基準で考えると弱いから不安。

白雲は何かあったときに、来てもらえるようにしておいた。

逃げるときは『時空斬り(じくうぎり)』でも使ってもらって、何処に飛ぶか分からないけど逃げよう。

さて、向かうか……

 

と、カッコつけた台詞とかを言ってみたけど……城の門まで後15km位ある。

しかも本拠地が近未来的な見た目だ。

住宅は?今までのビルや一軒家みたいなふざけた物じゃないの?

 

多分これがラストバトルです、助けてください。




【作者の反応】
「推薦か……そうえばそんな昨日もあったな、まぁ何時もと延びは変わらないでしょ」

次の日
「い、いつの間に延びてんだ……お気に入り昨日今日で10件も行ってる」



【地図】
片方の印は魔王達の住居。

もう片方の印は新・魔王の本拠地。


オリジナル日間ランキングで、13位に入ってました。
ありがとうございます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

え?ちょっと待って! 助けてください。 by敵

拝啓 読者様

評価バーに色が付きました。
ありがとうございます!

そうえば最近気づきましたが、この作品にメジャーなモンスター少ないですね。
魔王様は兎も角『ドラゴン』とか『スライム』とか『ゾンビ』とか。

その代わり妖怪(狼男とか、雪女とか)は居ますけど。


「……ついたな」

 

この世界に来てこれまで何回行っただろうか。

俺はそんなどうでもいいことを考えながら、城まで歩いていた。

それにしても……白雲がロボットだったり、支部が一軒家だったり、今目の前に見える近未来的な城だったりと可笑しい事が沢山あるな。

俺と同じように異世界の転生者が相手に居るのか?

もしそうだとしたら厄介だな。

銃や戦車を持ってこられたら困る。

そうえば前世は戦車が出てくるアニメを見ていたような気がするが、よく覚えていない。

まぁいい。今は此方の事を考えるか。

 

「魔王、ところでどうやって攻めるの?」

 

本拠地の城……面倒だな、城で統一しよ。

城の門の前で止まると、雪女がそう聞いてきた。

やっぱりそこが気になるのか。

城の中はまだ見てないので分からないが、『攻めてこい』と言う手紙が来た程だ。

何かそれ相応の準備をしてきたのだろう。

普通に真正面から攻めても蜂の巣にされると思う。

かと言って、裏から攻めても読まれてるだろうから……

 

「…………」

 

「魔王、どうするの?」

 

一応あるが、どうしようか。

白雲が居れば成功するが、攻撃が出来ない可能性がある。

それで敵にバレたらラスボスの顔を見ずに終わることになる。

 

「魔王様、俺は先に攻めさせてもらうぜ!」

 

「……えっ、ちょっと待っ」

 

俺が止める前に狼男は城に真正面から攻めていった。

門を飛び越え、扉を壊した。

そして数秒後に城から飛ばされてきた。

なるほど、やっぱり真正面は無理か。

 

「……白雲」

 

「魔王様、僕の呼ぶの早くない?」

 

俺がそう呟くと、俺の懐から出てきた。

白雲、お前はどうして其処から出てくるんだ?それと鎌は新しいのだろうか。

まぁいいか。俺も白雲を呼ぶときは、誰かやられたときと思ってたからな。

兎に角この作戦が駄目だったらどうするか考えないといけないな。

 

「……白雲は建物に攻撃できるか?」

 

白雲は少し頭を悩ませてから『出来る』と答えた。

だがその攻撃で直接、敵に当てることは出来ないそう。

ワンチャン……あるか?

 

「……少し待ってろ」

 

まずこの作戦は建物の階数を確認しないと成功しない。

俺はすぐに城から逃げられるように、心の準備をしながら入っていった。

 

「元・魔王だ!」

 

「旧・魔王じゃないのか?」

 

「どっちでもいいんだよそんなの! さっさと倒すぞ!」

 

俺が城に入ると視界には敵、敵、敵。

某配管工ゲームだとしたら、最大まで残機が増える程の多さであった。

一旦天井に逃げるか。それと階数は多分150位ありそう。

俺は壁と天井の角に跳び、拳を振って角に穴を開けた。

相手が弓とかパチンコとか100tハンマーを投げてきた。

物理的に投げてくるなよ。しかも100tハンマーとか昔のアニメに有ったような、無かったような……

 

「……良し!」

 

俺は四つの角に穴を開けた。その影響で城に風が入ってくる

流石に敵の攻撃には幾つか当たったが、全て弾いた。

懐かしいな……通らない攻撃喰らったのは何時振りだ?

俺は角に穴を開け終えたので、扉側の壁を破壊して外に逃げた。

 

「……白雲、今だ!」

 

白雲は俺が穴を開けていた所を目印にして飛んだ。

其処に鎌を引っ掻けて、建物を一周した。

そうすると上の建物がジェンガのように崩れてきた。

そうして城が崩壊した。

新・魔王よ、俺の城が壊れたときの思いをお前にもぶつけてやる!

 

……でも新・魔王どの階に居るか知らないな、助けてください。




【補足】
建物に印を付ける。
その印に沿って、白雲に鎌で斬ってもらう。
支えを失った城の上が落ちてくる。
そして城崩壊。
でも新・魔王がどの階に居るか知らない。
そして容姿も知らない。あ、どうしよ。 by魔王


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

行き当たりばったりです、助けてください。 by作者

拝啓 読者様

今回は少しギャグ要素を入れてみました。
ここ最近シリアスが多かったからです。

だって、私はギャグ小説が得意だから書かないといけない衝動に駆られているんだ……!
一応今までのようにバトルだけや、シリアスのみとか書けますけど。

皆さんは自分の得意な物で頑張るのも良いと思います。
(私は『学校』『異世界』『ギャグ』『日常系』です。……統一感が無いですね)


「「「「「…………」」」」」

 

どうしようか。

俺達五人は城を破壊したのはいいが、新・魔王の正確な場所が分からない事を忘れていた。

そもそも容姿も知らないんだった……

 

「魔王様、どうする?」

 

そうだなぁ……

白雲はサポートとして手伝ってもらう。

コーランの戦闘能力は知らないけど、多分サポート。

雪女は遠距離か?前にそういうの使ってたから。

狼男?アイツは……なんか噛ませに見えるから、どうしようか。

 

「……どうしよ」

 

白雲はこの場所知らなかったことと、新・魔王の事とか知らないから正確な場所も知らないだろう。

部屋の場所が分かれば、崩れた所と考えて集中砲火出来るけどな。

……あれ、俺ってもしかしてかなりゲスになってる!?

 

「魔王、瓦礫どけるの?」

 

「……そう、だな」

 

俺達はコーランのアイデアに乗ることにした。

あれ?そうえば俺が今まで見てきた建物って全部壊れてるような……

いや、俺は絶対関係ない。運が悪かっただけだ。

そうだ、そうに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔王様、何かあったぞ!」

 

何故か敵の城の片付けをしていると、狼男が何かを見つけたようだ。

それと瓦礫を退けてる途中で敵らしき人物が居たので、投げた。

気絶していたから起きて騒がれると面倒だからな。

 

「なんなのかしらこれは」

 

狼男に一番近かった雪女が先に着いたようだ。

二人とも下を見てるな。

『何か』が瓦礫に挟まっているのか、地面に有るのか。

俺もその方向に向かうと簡単に発見できた。

 

「……これは」

 

確か……床下収納とかだったか。

地面、正確には城の床だった所だろう。

正方形の扉が付いていた。

これってあれだろ?地下に作るときとかに作られるあれだろ。

というか、ファンタジー感を壊さないでくれ。

俺はゆっくりと床に付いている扉を開けた。

中は縦の直線上になっており、梯子が掛けられている。底は見えない。

これ以上瓦礫退けるのも疲れるから、入るか。

 

「……白雲は待機していてくれ。行くぞ」

 

「魔王様、頑張って!」

 

負ける予感しかしないけど頑張るか。

てか、どうやって勝とうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

「……中は思ったより綺麗だな」

 

俺達四人は長い梯子を降り、下に着いた。

相当深くなっており、降りたときに地上を確認しようとしたが上が見えなかった。

当たり前か。上も見えなかったら、下も見えないか。

降りると人が10人並べる程度の広さの長い廊下が有った。

そして何故か明るかった。

今降りてきた所以外は、光が無いと思うが……魔法か何かか?

そして廊下には、左右に扉は見当たらないのでここはただの道だろう。あと綺麗。

 

「なんだか寒いな」

 

「それは私が冷気出してるからよ」

 

「てめぇ、止めやがれ!」

 

「楽しそうだね~」

 

ほらそこ、コントするな!

でも少し寒いな。お、おいもう帰ろうぜ……あ、帰ったら駄目か。

そんな事を話しながら歩いていると、正面に扉が見えた。

その扉は半分の所に縦の線があった。今までの事を考えると自動ドアか?

 

「……ほら、行くぞ」

 

俺は一足先に扉の前に行った。

本当に自動ドアだったらしく、近づくと開いた。

そうして……

 

「」

 

大きな部屋に多くの戦車が此方を見ていた。

なかまにしますか?

おっと、現実逃避は駄目だな。

俺は一歩下がると同時に扉が閉まった。

そうして回れ右をして……

 

「……逃げろォ!」

 

俺達はずっと歩いてきた長い廊下を急いで逆走した。

そうして数秒後、後ろで爆発が起こった。

そしてその風圧で俺達は吹き飛ばされた。

 

現代武器とか卑怯だろ、助けてください。




今回は本編で話せなかった事を補足します。


[操り(催眠術)]
使用者・刃物の魔物
これは使用者によっては、格上の相手を操れる。
刃物の魔物の場合は催眠術が得意だったため。

雪女は弱っていたため、操れた。

白雲は元々新・魔王の部下だったため。
新・魔王を崇拝していたときの心を使った。
その心を膨大させて、操った。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

どうしようか、助けてください。

拝啓 読者様

今回は少し長い(2000文字位)です。
そして三人称視点が入ります。
本来なら前半後半で分ける予定でしたが、後半の文字数が足りなかった……


「……大丈夫か?」

 

俺達四人は戦車の攻撃で出来た風圧に飛ばされて、長い廊下の最初の所に居た。

少し遠くには自動ドアだったものがあるので、それほどの威力だったのだろう。

というかやっぱり現代武器有ったか。

それにしても戦車多くないか?幹部のときもそうだったし。

 

「私は大丈夫よ」

 

「私も大丈夫だよ~」

 

「…………」

 

雪女は立ち上がりながら、首を何回か横に振った。

恐らくは視界がまだ定まっていないからだろう。

そしてコーランは床に体を伏せながら返事をしている。

かなりダメージ受けたのか?

そして狼男は何処かの団長のようになってた。

 

「……全員大丈夫だな」

 

「俺は!?」

 

狼男がガバッと起き上がる。

おっ、やっぱり元気だったか。

さっきまでコントしてたから、乗ってくれると思ってたぜ。

……っとと、ふざけるのもこれ位にしておこう。

 

「……白雲」

 

俺がそう呼ぶと、普通に上から降りてきた。

白雲が普通に来ただと……!

 

「魔王様、どうかしたの?」

 

「……コーランを見ておけ」

 

さっきの攻撃でダメージを負ってるからな。

それにしても風圧だけであんなに吹き飛ぶとは思わなかった。

多分だが、普通の戦車はそこまで威力が無い筈だ。

さっきまで喰らったこと無いから知らないけど。

 

「魔王、これからどうするの?」

 

さて、どうしようか。

こう考えると正面突破しか無いと思う。

でもそれで吹き飛ばされたから辛いなぁ……

雪女に床を凍らせてもらう……いや、俺達と一緒に吹き飛ばされそうだ。

なら狼男……は正面突破しか出来ないと思うからいいか。

だとしたら白雲に部屋の上に送ってもらうか?でもそうしたら降りた瞬間蜂の巣になるだけだ。

それに降りるまで反撃したとしても、爆発する。

そしてまだ正面しか確認していないため、戦車以外の物が有るかもしれない。

 

「…………」

 

「魔王様、どうすんだ?」

 

戦車は破壊すること自体は出来ると思う。

だが、問題はその後だ。

爆発して俺はかなりの傷を負うことになるだろうし、あの部屋に新・魔王の手がかりがあった困る。

そもそもあの部屋自体が何もないの可能性がある。

あの部屋の奥に進んで何も無かったらそれは困る。

戦車が視界が邪魔してたからなぁ……

ここは一度俺だけで特攻して何が有るかだけでも見に行くか。

 

「……俺一人で行く、ここで待ってろ」

 

そう言って俺は長い廊下を歩き出した。

それにしてもどうしてこんなに長いんだ?不便だろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここで良いか」

 

俺は部屋の入り口が見える場所に居た。

俺は其処で走る準備をしていた。

ただ正面から行ったら吹き飛ばされるだけだ。

だから相手が反応できない速度で駆け抜ける。

そして奥に何か有るかを確認したら直ぐに戻って報告。これで良いな。

 

「……ゴー!」

 

そうして俺は走り出した。

最初の一歩で威力に耐えられなかった床に、クレーターが出来たがもう気にしていられない。

そして……

 

「……ごぶっ!」

 

部屋の壁が見えたが、止まれなかった俺は壁に激突した。

うっ、頭がフラつくな……でも結果オーライだ。

俺は辺りを見渡すと、俺が来た(最初の入った方)とは別の扉があった。

場所的には廊下が南だとしたら、()にある。

ついでに今俺がいるのは北になる。

 

「……入れるか?」

 

俺は扉の前に移動した。

だが扉は開かない。

鍵が必要なのか?

でも何処にも鍵穴は見当たらない。

俺はドアを破壊しようとしたが、嫌な予感がした。

ゆっくりと壊れた機械のように首を後ろに回すと、

戦車が俺に向かって攻撃しようとしていた。

よし、逃げるか。俺は一度天井と壁の間(部屋の隅)に張り付いて攻撃をかわそうとしたが、上から攻撃を受けた。

痛ッ!な、なんだ!?

俺が上を見ると、天井付近には戦闘機が飛んでた。

今まで撃ってこなかったのは俺が戦車の影に隠れていて気づかなかったのだろう。

そして俺が気づかなかったのは戦車に気を取られていたからだ。

 

「……あっ」

 

戦闘機に気をとられていた逃げるのを忘れていた。

そうして戦車が俺に向かって撃ち始め……

 

「……積んだ」

 

そうして俺は目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔王様、大丈夫かな?」

 

長い廊下で魔王を待っていると白雲がそう呟いた。

その呟きに答える者は居ない。

ここには敵対していた者も居るが、みんな信用しているからだ。

だがそれと同時に不安もある。

 

「白雲、見に行くぞ」

 

心配そうにしている白雲を見て、狼男が言った。

彼も魔王を心配しているのだ。

だが雪女が止める。

 

「魔王が待ってろと言ったのよ。待ちなさい」

 

自分は冷静にならなくては。

そう思いながら少しキツく忠告する。

それが態度が気に喰わなかったのか、雪女に突っかかる。

 

「そんなことは分かってるんだ!」

 

そして二人はいがみ合う。

この二人の仲はあまり変わっていないようだ。

何時もならこの二人を止める人物(魔王)が居たが、今は居ない。

コーランは気を失っており、白雲は魔王が心配で気にしていない。

 

「行ってこよう」

 

コーランを壁に寄せ、白雲は魔王の所へ急いで飛んでいった。

『何も無いように……』と祈りながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここかな?」

 

道が一直線だったのが幸いして、寄り道すること無く魔王の所に着いた。

尤も、白雲はこの部屋に魔王が居ることをまだ知らないが。

 

「ッ!」

 

部屋を見ると、戦車がある一定の方向を向いてるのに気づいた。

白雲は戦車を知らないので『なんだこれ、見たこと無い』程度にしか思っていないが。

戦車が視界を邪魔していたため、飛んでからその方向を確認すると……

 

「魔王様!?」

 

魔王が居た。

その顔は何処か諦めている様に見える。

白雲は急いで魔王の所へテレポートした。

なお、白雲のテレポートは『自分が知ってる場所』にしか移動出来ない。

そのためさっきはこの部屋まで移動出来なかったのである。

 

「間に合って!」

 

白雲は魔王を抱えると、急いでテレポートしてコーラン達の元へ戻った。

 

魔王様を、助けてください。 by白雲




後付け設定としてテレポートに制限付けました。

そして今回はキャラの説明。

【コーラン】
元・魔王よりは大きい幼女。
ロングでアホ毛が一本。髪は白。
魔王との知り合いだそう。
昔の魔王の部下だった。
実力は低い方。
裏話として『まおー』と『魔王』のどちらにしようか悩んだ。
口調として幼めの女の子をイメージ。

「久しぶりだね、魔王!」
「やっほー!」
「どうするの?」
「お願い、お兄ちゃん」

※最後の台詞は一言も言ってないです。言う予定も無いです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

どうすれば突破出来るんだ、助けてください。

拝啓 読者様

書くのを数日サボったら、感覚を忘れました。
だから今回1000文字位です。
……いつもと変わりませんか。

そして展開が思い付きませんでした。
それにパワーバランスぶれぶれですし。

【修正】
< 助けてください、助けてください。>より
矛盾設定・日記等を読めている。
理由を、日本語で書かれているからと付け足しました。


「……はぁ、はぁ」

 

危なかった。

白雲が運んでくれなかったら、終わっていた。

ラスボスの姿すら見ずに倒されるとか嫌だ。

そんな魔王に俺はなりたくない。

 

「魔王様、大丈夫?」

 

「……大丈夫だ」

 

それにしても……どうしようか。

攻略法が思い付かない。

もしかしたらさっきの攻撃で扉が破壊されてある可能性がある。

だとしたらあの先に入れるか。

でも、もしかしたら頑丈で壊れていない可能性もある。

まずは見に行くか?だが直ぐに攻撃されるな。

 

「魔王様突撃だ!」

 

はい却下。

そんなことしたら、塵も残さず消されそう。

今も戦車と戦闘機の攻撃がマントに少し当たったのか、端の方が塵になってる。

ずっとこの服装だったから愛着あったのに……新・魔王許さない。

会ったこと無いどころか、姿すら知らないけど!

 

「……あ」

 

そもそも最初から戦車と戦闘機を気にしなければ良かった。

扉は頑丈だが、体当たりすれば壊れるだろうからな。

まさか狼男(噛ませ犬)の意見が使うときが来るとは……

 

「……扉に突撃だ」

 

これなら戦車に隠れて扉に向かえば戦闘機に撃たれない。

扉の前に来ても体当たりして壊せば撃たれる前に奥へ逃げられる。

だが、この作戦は一人ずつじゃないと意味が無いな。

複数人で突撃した場合、流れ弾が当たる可能性がある。

だとしたら俺一人か?でも魔王として仲間を見捨てたくない。

魔王として何か他の作戦は無いものか……

 

「……魔王」

 

俺が他の作戦が無いか頭を捻っていると、雪女が話しかけてきた。

一体なんだ?

 

「あんたはこの前までは、何か違う感覚がしてた。

 

けど、ただの勘違いだった。

 

その様子だと私達仲間を心配してるんでしょ?

 

気にしなくて大丈夫よ。あんた一人で行きなさい」

 

そう言うと、雪女は俺に背を向けた。

急にシリアス的な台詞を言うなよ、驚いたじゃねぇか。

この前は違う感覚か……それはおそらく俺が憑依したのが原因か。

だけど『勘違いだった』って所が気になるな……まぁ今は一旦置いておこう。

雪女が大丈夫と言ってるんだ。仲間を信じないで何が魔王だ。

……いや、どうして魔王として考えてんだ?まぁいい。

 

「……お前らは上で待機してろ」

 

ゲームとかの場合だと、ラスボスが第二形態に変身したり、

最終決戦後に相手の本拠地が崩れたりする事があるから上に上がってもらうか。

欲を言えば戦車と戦闘機を破壊してもらいたいが、爆風で地下ごとやられそう。

 

「魔王様、頑張って!」

 

俺がゆっくりと長い廊下を歩き(三回目)始めようとすると、白雲が後ろで手を振ってるのに気づいた。

俺は白雲達に背を向けながら手を振りかえした。

あ、これやるとなんか負けそう。

 

死亡フラグを建築しました、助けてください。




まさかまさかの、自分でも無いと思っていたのに突撃することになりました。

本編で話せなかったことの補足。

【必殺技が無い】
主人公は魔法の使い方を知らない。
特殊能力があったとしても、使い方を知らない。

また、主人公は物理でしか攻撃出来ない。
そのため殴る、蹴ると言った普通のことしか出来ない。

そして作者が忘れていたため。
魔王が必殺技、又はそう言う特殊な技(炎や雷等の魔法)を使うときが来るだろうか……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

忘れていました、助けてください。

拝啓 読者様

最近思ったあるある。
人気の小説の投稿が空くと失踪したのかと心配になる。


「……よし、行くか」

 

俺は部屋の入り口が見える場所に居た。

其処で走る準備をしていた……あれ、これ前に(二回目)も言ったな。

 

「……あ、そうだ」

 

俺は部屋に走って入り、多くの戦車の一つを持ち上げた。

でも良い作戦を思い付いたけど、移動するのに邪魔だな。

俺は出口の方に持ち上げた戦車が届くように、天井ギリギリに投げ……あ!

天井ギリギリまでに投げた戦車は、飛んでいた戦闘機に当たり爆発した。

 

「……やっちまったァ!」

 

戦車を使い、出口を塞いで攻撃が来ても一撃だけでも防げるようにしようと思ったのに……

空中で大規模な爆発が起きたが、幾つか一部分のみの破損で済んでしまった(・・・・・・・)

運悪く爆発しなかった戦闘機は煙を出していた。

そして重力に逆らい落ちていき、戦車とぶつかった。

 

「……急がねぇと」

 

俺はその結果を見る前に、出口へ向かった。

扉は跡形も無かったのが幸いだろう。

落ちてくる前に破壊も出来たが、破壊するときに引火したり爆発してダメージを喰らう事はしたくない。

急いで扉があった場所を通り、道も知らずに先へ逃げた。

そして引火したであろう戦車の爆発音が聞こえた。

その風圧で吹き飛ばされそうになるが、なんとか耐える。

 

「……崩れないな」

 

戦車の攻撃にもあの部屋は耐えていたため、爆発してもこの地下が崩れることは無いのだろう。

と言うより、崩れたら終わる。

兎に角俺は煙を吸わないように入ってきた所を塞ぐ壁になる物を探そうと……

いや、息は必要ない筈だ。水中でも息は必要無かったからな。

 

「……でも塞ぐか」

 

煙で視界が見えなくなると、探索や戦闘に支障が出る。

何か塞ぐ物……あ、これで良いか。

周りを見渡すと、俺から見て右側の壁に二つ。左側に一つ扉があった。

廊下はまだ奥が続いているようだが、さっきと同じように何処まで続いているか見えない。

それにしても、扉の入り口に三つの部屋があってその奥がずっと長い廊下とは……

この地下の構造はどうなっているんだ。

俺は全ての扉を無理矢理取った。壁にヒビが入ってるが別にいいか。

そうして火元の部屋の扉を塞いだ。

完璧では無いだろうが、これで少しは時間が稼げる筈だ。

 

「……入るか」

 

俺は扉が有った右側の部屋に入ることにした。

部屋は和風だった。

畳や座布団などの昔を思わせる部屋だった。

 

「……なんでだ」

 

新・魔王は一体何がしたいんだ。

でも、今までの事を考えると分かった事があるな。

おそらく、新・魔王は日本からの転生者だ。

現代兵器や建物を考えるとその可能性が高い。

自分、または仲間を使って作ったのだろう。

それに支部では日本語が使われていたこともある。

だがこの考えは一つ可笑しい事がある。

 

「……この建物だな」

 

この近未来的な建物はどういうことだろうか。

俺が居た世界の創作物ではよくあったが、

材料も分からないし、そもそもこの世界に今までの物を含めて材料があるのか?

それか俺より未来から来たのか……

それとも、俺の考えが間違っているのか?

 

「……まぁいい」

 

他に情報が無いか調べるか。

もしかしたら、魔王の情報が何か有るかもしれない。

そうして、右側にあるもう一つの部屋に入ることにした。

 

情報が欲しいです、助けてください。




何故部屋を爆発させたか。

実はあれ偶然です。
本編の通り、戦車で塞ごうとしましたが戦闘機が飛んでるのを思い出して……
「あ、このままだと墜落するじゃねぇか」と思いあの展開になりました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

研究室だ、助けてください。

拝啓 読者様

今回は若干下品な発言があります。

そして今回も後付け設定。
まぁ、ギリギリ合わせられるかな?
あの時の表現はあれだったので、証拠は一欠片も残らない……!


「……これは」

 

部屋の中は映画にあるような、人一人が入りそうなカプセルが多く置いてあった。

全体的に暗く、薄い蛍光色で少ない光りが入っている。

カプセルの中には人形の何かが入っている。

だが中は暗いのでよく見えない。

 

「……見えないな」

 

恐らくはここで白雲で作られたのだろう。

……いや、待てよ。だとしたらどうして白雲はここを知らないんだ?

別の所にこの部屋のような、研究室があるのだろうか。

少し調べてみるか。

俺は部屋の奥へ進むと、ポツンと机が置いてありその上にノートがあった。

そのノートを読もうとしたが、異世界語で読めなかった。

あぁ、前みたいに日本語で書かれていれば……

 

 

 

○月○日

 

私はここで研究を任せられた、只の研究員だ。

ここでは私が今まで見たことない物が多くある。

一体どのように作られているか気になるが、無闇に探ると消されるので止めておこう。

 

 

 

「……こんな風に読めるんだがな」

 

……おい、ちょっと待て。

何故俺は異世界語を読めた(・・・・・・・・)

見間違いかも知れないので、文字を見るが日本語で書かれていない。

しかし何故か読める。

どうなっているんだ?それに俺が『魔王』として考えていることも含めると……

恐ろしい事に気づいてしまった俺は、吐き気を模様したがなんとか耐える。

まだ大丈夫の筈だ。でも、だとしたら謎の声が【元・体の持ち主(本来の元・魔王)】だと言うことになる。

前に思っていたが、その可能性が濃くなってきたな。

でもどうして何も喋らない?俺の推測が正しければもう俺は……

いや、前に体が勝手に動いた事もあったからもう手遅れか? 

……一度考えるのを止めるか。

 

「……続きを読もう」

 

 

 

○月★日

 

この研究室も大きくなってきており、()が置けなくなってきた。

そのため、新しく研究する場所を作るそう。

そちらは研究所となるそうだ。

カモフラージュとして、山に見せかけるそう。

それはそうと、私がずっとここで何もしていない。

ここでは何の研究をしているのだろう……

そもそも私の仕事は『ぱそこん』とやらを見るだけだ。

実際は暇だ。

 

 

 

○月●日

 

研究所が破壊された。

噂によると、元・魔王が壊したそう。

私には関係ないから良いか。

そうえば、魔王様はどうやってこの施設を用意したのだろうか。

これも噂だが魔王様は異世界(((ここから先は読めない。

 

 

 

「…………」

 

俺が破壊?そんな事した覚えが……あったな。

前に城の材料を集めようとしたときに、加減を間違えて破壊したな。

そんなの普通覚えてる訳無いだろ!

俺自身でも思い出すのに時間がかかったぞ!

そんなの俺以外に誰が覚えてんだよ……いや、彼処に俺以外居なかったな。

 

「……少し情報を整理するか」

 

ここで得た情報が多すぎる。

先ずは一つずつ考えていこう。

 

一つ、ここで何かが作られていた。

二つ、研究所があったが、俺が破壊した。

三つ、恐らく白雲は研究所で作られた。

四つ、理由は不明だが、異世界語が読める。

五つ、謎の声が体の持ち主である可能性が高い。

六つ、魔王は異世界(ここから不明)

 

「……こんなものか」

 

頭を使ったり、吐きそうになったりしたから少し休憩するか。

そうして俺は休憩してから最後の部屋へ向かった。

 

情報多すぎ、助けてください。

 




適当に世間話的なこと(本編は一切関係無いです)

最近クト○ルフという、ゲームをしたいなと思ってます。
そしてそのルールブックを買おうとしました。
『大体5000円』……高すぎだろ。
何故だ、前に動画で得た知識で小説として作ろうとしたけど難しすぎる……!

それとワード○ルフという、ゲームを友人とやろうと思いました。
何度か誘ったけど、その時に限って何かしらの邪魔が入る……
呪われてるんですかね?右手に不幸が集まっているんですかね?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

とうとう、助けてください。

拝啓 読者様

毎日投稿って、大変ですね……
一度間が空くと書くのが難しくなります。


「……入るか」

 

落ち着いた俺は、最後の部屋に入ることにした。

部屋の中は書物庫だった。

幾つか本を確認するが、読めなかった。

日本語でもないし、何故か読める異世界語でも無い。なんだこれ?

魔王独自の言葉か?

でも、本と本の文字が全て違うような……気がする。

『外国語を見比べて、なんとなく違う』っていう感覚と同じだから信用出来ないが。

 

「……これは読める」

 

読める本が無いか、本棚に入っている本を地面に放り投げながら探した。

そうすると、タイトルが書いてない本があった。中身は読める。

ペラペラと捲ると、見たことある絵が載っていた。

前に食べた銀色の林檎のようなものだった。

文字はかすれて読めない……だけどここに書かれているってことはかなり重要な物か。

本拠地に置いてある本に書かれてるし。

俺食ったけど、毒とか無いよな?

他も漁ったが特に気になるもの……もとい、読める物は無かった。

 

「……もういいか」

 

もう情報は無いだろう。

本は読めないし、何故か和室だったり、研究室があったり……

魔王は何がしたいのだろうか。

ゲームで考えると、世界征服が普通だな。

まぁいい。

 

「……奥に進もう」

 

俺は部屋を出て、長い廊下を進むことにした。

この先に進むと、とうとう新・魔王に会えるのだろう。

何をしてくるかは一切分からない。

どんな奴かは一切分からない。

だが、魔王は一人で十分だ。

 

「……行こう」

 

【…………】

 

 

 

 

 

 

 

 

「……入ろう」

 

奥に進むと五メートルはあるであろう扉があった。

とうとう……か。

俺はゆっくりと扉を開けた。

 

「……お前が新・魔王か?」

 

部屋はとても質素であり、部屋を支えるための柱しか無かった。

その部屋の中央に一つの生物が居た。

その生物は人形だが『人』と呼べる者ではなかった。

肩甲骨辺りからは、白く大きな翼が生えていた。

短い黒髪で、本来顔がある部分は大きな目玉のみだった。

左腕は普通の人間の者だが、右腕は黒いパーカーで見えなかった。

だが、膨らみから考えると中に大砲が入っているような大きさだった。

ついでに身長は170cmはありそう。

 

「ソうダァ」

 

何処から出しているかは知らないが、声は感情のない機械のようだ。

普通の人間なら狂気に呑まれる程何故だか気持ち悪い。

 

「……お前を倒させてもらう」

 

「フッ……アヒャヒャヒャ!」

 

俺がそう言うと、新・魔王は笑い始めた。

なんだこの笑い声。

 

「オいおイィ、ナに言っちゃてんだヲォ。ザこがヲォ」

 

これが魔王としての余裕か?

それにしても、こいつが日本出身とは思えない。

かと言って、地球から来たとは思えない。

そうなるとこの世界とは違う異世界か?

それでも和風な部屋だったり、日本語で書かれていた本があったのは?

一体どういうことだ……

 

「……かかってこい」

 

そんなことは関係無いな。

俺は魔王としてこいつを倒すまで……!

 

「……ガハッ!」

 

俺は気がつくと、壁まで吹き飛ばされていた。

壁には俺を中心に大きなクレーターが出来ていた。

何が起こった……?

周りがスローモーションに、壁の破片がゆっくりと落ちていくように見える。

新・魔王の方を見ると、拳を出したような後があった。

まさか、速くて見えなかったのか?

俺は壁から抜け出し、何時でも攻撃が来てもいいように新・魔王を注意深く見た。

 

こいつ謎で強すぎる、助けてください。




とうとう、とうとう……とうとう、とうとう!

新・魔王が出てきた!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新・魔王だ、助けてください。

拝啓 読者様

正直、展開が思い付かないためこんな風になりました。
没にして書こうとしても、思い付かないので投稿することにしました。


「オいおいどうしタァ、カかってこいヨォ」

 

一旦距離を取るか。

後ろに戻ってまだ燃えてるだろうから、彼奴を火の中に放り込むか?

いや、火が効くか分からないし後ろに行くまでに俺が倒される。

なら物理で殴るしかないか。

 

「……喰らえ」

 

俺は新・魔王の顔に拳を撃ち込んだ。

何発も、何発も。

だが、新・魔王には効いていないようだ。

それどころか一歩も引いておらず、笑っているように見える。

 

「……なんだこいつ」

 

「ン? どドしタァ、ソの程度カァ?」

 

なんだよ、こいつの強さは……

今までの奴等より格段に強い!

 

「コのままだと簡単でつまらないナァ……モっと遊んでくれヨォ」

 

新・魔王はそう言うと、空中に幾つもの切れ目を浮かび上がらせた。

まるでそれは白雲の『時空斬り(じくうぎり)』ようだった。

何か出てくるのか?

俺がそう思うと、切れ目が少しずつ開き始めナイフが出てきた。

あれが来るのか……!

 

「……おいおい」

 

俺の頬を一本のナイフがかすった。

若干の痛みがあるため、恐らくは傷が出来たのだろう。

なんとか見えたが速すぎる……

 

「ホらほラァ、サっさと芋虫のように逃げてみろヨォ」

 

あの野郎……いや、先にこの攻撃をかわすか。

俺は柱に隠れて攻撃をかわそうとしたが……

柱が豆腐感覚で斬れ、ナイフが俺に当たりそうになった。

 

「……はぁ!?」

 

おい、あのナイフはなんだよ!

運よく当たらなかったが、隠れても無駄か。

俺は部屋を走り回っていたらナイフが飛んでこなくなった。

 

「ソうそウゥ、コれ位手応えが無いと面白くないナァ」

 

こいつ楽しんでやがる。

次に新・魔王は切れ目から一本の刀を出した。

また飛ばしてくるのか?

俺は距離を取り、何時飛ばしてきてもいいように構えた。

が、俺の予想と反して刀はまるで人が使っているかのように俺に襲いかかり始めた。

 

「……ちぃ!」

 

さっきのナイフと同等位に速い。

しかもナイフのように攻撃がワンパターンではなく、意思を持っているように動くのも厄介だ。

これは地面に差して動かなくさせるか、叩きつけて折るか。

俺は相手に隙を作らせるため、一度柱の影に隠れた。

だが、ナイフと同じように結末になってしまった……が、

柱だったものの瓦礫が落ちてきて刀を埋めようとした。

そう簡単に倒されるほど刀を弱くなく、落ちてくる瓦礫を切り刻んでいく。

油断したな!

俺は刀が瓦礫を切り刻んでいる間に、刀の背後……持ち手の部分まで接近していた。

後はこれを掴めば……

しかし、持ち手が俺の腹めがけて突撃してきた。

急なことで反応出来なかった俺は、そのまま攻撃を喰らった。

 

「……ぐっ、はぁ!」

 

が、持ち手が腹に突撃してきたのでそれを掴んだ。

どんなに速くても()まえられたら意味は無い!

俺は床に刀を叩きつけた。

しかし刀の方が固いため、床にクレーターが出来ただけだった。

だが俺はその叩きつけた刀を踏みつけてバラバラに砕いた。

 

「……はぁ、はぁ」

 

全然攻撃してきてないのに、この強さはなんだよ。

一体全体こいつはなんなんだよ。

 

「……お前、何者だ?」

 

「オれはこの世界とは違う世界から来タァ……イわば異世界人だナァ」

 

やはり異世界人か。

てっきり日本人かと思ったが、こんな見た目の日本人は居ないか。

それにしても、戦車や摩訶不思議な技が使える世界に居たのか。

色々と混ざってる世界だな。

 

「ダが俺はこの世界以外にも多くの世界に行っタァ」

 

多くの世界……?

ってことは彼処にあった、様々な本はその世界の本。または、新・魔王が書いたものか。

 

「……お前は今までの世界で何をしてきた?」

 

テンプレ展開で考えると、恐らくは世界征服だろうが確認だ。

下手したらもっと凶悪な願いがあるかもしれない。

 

「ソの世界の最強と戦って勝チィ、その世界を滅ぼすことダァ」

 

やっぱり世界征服と似たようなものか。

それにしても、最強か。

俺は別に最強では無いんだけどな……

 

「ダけどこの世界はもう飽きタァ……アばヨォ」

 

新・魔王が視界から消えた。

ど、何処に行った……

次の瞬間、俺の目に入ったのは新・魔王ではなく地面だった。

そうして俺の視界は次第に真っ黒になった。

 

負けました、助けてください。




本来なら後、二話位引き伸ばそうとしたのに……思い付かなかった。

本編が自分語りをずっとしていると、つまらないので……
後書きで説明します。



【補足】

新・魔王は今まで様々な世界を移動してきた。
これまで、その世界の最強。またはそれに近い者達を倒してきた。
なお、移動にはかなり力を使う上生物は自分しか移動出来ない。
今回のように、ナイフ等の生物では無いものはセーフ。

白雲を作った技術もその世界の一部の物。
そのため、白雲も新・魔王と似たような事が出来る。
そして日本語が出てきたのもそれが理由。
ついでに、戦車や戦闘機も。
幹部の創造(想像)で戦車が出てきたのは、新・魔王の戦車を見たため。

今まで出てきた雑魚キャラたちは、殆どが新・魔王の洗脳を受けている。
一部は自ら従っている。
今まで野良の魔物を見かけなかったのは、隠れていたため。
または、全員従っているため。
(本当はそこまで考えていない)



【小話】

新・魔王と元・魔王の名前の由来。
新・魔王の方が世界の頂点に立ったため。
『新』と付くようになった。

元・魔王は先代魔王のため。
また、最初は『旧』だったが『元』と間違えて、それ以来ずっとそれで通してきた。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

敵討ちだ、助けてください。

拝啓 読者様

今回はシリアス100%です。
けい○ん!(日常系アニメ)見ながら作業したのに、どうしてこんなにシリアスになるのだろうか……

それと、今月には完結すると……思います。


「オわったナァ」

 

新・魔王の前には倒れて、動かなくなった元・魔王がいた。

元・魔王は目は閉じているが意識はある。

だが、体を動かすどころか目を開ける力さえ残っていない。

そして視界は真っ暗のままだ。

 

「オばヨォ」

 

そうして、新・魔王が拳を降り下ろそうとした時……

 

「させるかぁ!」

 

廊下から狼男が飛び出してきた。

そのまま新・魔王を引っ掻こうとするが、腕を掴まれて投げ飛ばされる。

 

「ザこに用はないゾォ」

 

「あんたねぇ、もう少し粘りなさい!」

 

「そうだよ! 回復させてあげるから、さっさと戦って!」

 

雪女が狼男に苛立ちながら、そう声をかける。

コーランは狼男に向かって両手を出し『回復』と言うと、狼男の傷が少し治った。

これは決してコーランの技が弱いわけではない。

新・魔王から受けたダメージが大きすぎるため、あまり回復出来ていないのだ。

また、コーランは自らを回復しているため、殆ど完治している。

 

「喰らいなさい! 『氷結・龍(フリーズドラゴン)』」

 

雪女は氷で龍の形を作った。

龍は口を開け、息を吸うとそこに小さな氷の球が一つ出来ていた。

その球の回りには目に見える程の冷気が集まってきている。

そして、球は時間がたつにつれて少しずつ、大きくなってきてる。

龍は球がある程度大きくなると、新・魔王に近づき両手で掴み動けないようにした。

一度は白雲に破られた技だが、多少改良したようだ。

相手を動けなくして、確実に仕留められるようにしている。

そのまま新・魔王は攻撃を喰らい、龍の手ごと凍った。

 

「イしころにしては中々強いナァ……ダガァ」

 

新・魔王は氷の中に入ったまま喋った。

そう言うと、新・魔王右腕がパーカー越しからでも見えるほど強く光り始めた。

そうして体全体に力が入り右腕のパーカー部分が破れた。

その中身は鉄で出来ており所々に緑色に光る線が入っている、大砲に似た何かが姿を現した。

光っている理由は、大砲の中にエネルギーが集まっているからだ。

そして、エネルギーが放出された。

 

「させない! 『時空斬り(じくうぎり)』」

 

廊下から飛び出してきた白雲は、目の前の空間に向かって鎌を振った。

その振った空間に切れ目が発生した。

その切れ目は少しずつ開き始め、エネルギーをその切れ目へ吸い込まれた。

 

「ナんダァ、オまえは裏切り者カァ。ダげどお前は結局下位互換ダァ」

 

吸い込まれた筈のエネルギーが、白雲の真上に切れ目を作り放出された。

元々、白雲が使った技は新・魔王が使っている技を元に作られた物なので技が上書きされたのだ。

コピーは本物には敵わない。

最も、コピー以前に力の差が大きすぎるため、結局はこうなっていたが。

 

「『テレポート』」

 

白雲はテレポートを使い、元・魔王の側まで移動した。

白雲に向かって放出されたエネルギーは、床に当たり白雲達が立っていられない程の揺れを起こした。

なんとか攻撃はかわせたが、あの攻撃がそれほどの威力を持っていたことに冷や汗が出る四人。

その上、新・魔王は肩で息をするどころか、汗一つかいていない。

あの威力の攻撃が普通に出来ることを知り、改めて新・魔王の脅威を知った四人。

だが、そうだからと言って退くわけには行かない。

逃げれば元・魔王は消えてしまう。

そして、新・魔王の野望は知らないが直感で『新・魔王が勝つと大変なことになる』と理解していた。

 

「イいネェ、ナかまとの友情はヨォ。ダガァ、ソういう奴に限ってコうするトォ……」

 

新・魔王は右腕……大砲を倒れている元・魔王に向けた。

大砲は光り始めており、エネルギーを集めているようだ。

そしてそんな新・魔王の周りには、多くの刀が浮いている。

近づけばその刀達で串刺しにされるだろう。

そうなると、とるべき行動は一つに絞られる。

 

「「「「魔王(様)!」」」」

 

魔王を自らの体を使って守る事だ。

狼男はエネルギーに向かって拳を。

雪女はエネルギーに向かって氷を放ち、少しでも凍らして被害を減らそうと。

コーランは雪女や自分自身を回復させて、エネルギーを受け止めようと。

白雲は技を使ったところで新・魔王に破られる事を知っているので、両手で受け止めようと。

一本の矢で折れるなら、何本も重ねると言うが……

 

「「「「ッ!」」」」

 

矢を何十本も重ねて、ロードローラーで引いても折れないだろうか。

否、そんなことをしても無意味だ。

大きなエネルギーを消すことは出来ない。

 

「「「「あああああ!!」」」」

 

そう、消すこと(・・・・)は。

しかし、少しでも反らすことは出来る。

四人は自らの体を犠牲にエネルギーを少しだけズラすことに成功した。

そのズラされたエネルギーは、元・魔王にギリギリ当たることなく、壁を貫通して行った。

四人はエネルギーに吹き飛ばされ、壁にぶつかりそのまま倒れた。

元・魔王がなんとかして新・魔王を倒してくることを信じて。

 

「オもしろくないナァ……」

 

新・魔王はつまらなかった。

今までにもこのような光景を何回も見ており、結末は全て同じ。

結局は何処も同じ。飽きた新・魔王は元・魔王ではなく、白雲達を一欠片も残さず消すことにした。

 

「……待てよ」

 

新・魔王はその声の主の方へ振り向く。

立っていたのは、元・魔王だった。

だが、生まれたての小鹿のように震えている。

立っているのも不思議なほどおかしい程の怪我だ。

しかし目はしっかりと、新・魔王を捉えている。

 

「オォ、コいつは面白くなってきたナァ」

 

新・魔王は今にも倒れそうな、元・魔王に拳を振るおうとするが……

何かを思い出したかのように、動きが止まる。

 

「ソうえば聞き忘れる所だったナァ……ギん色の果物を知らないカァ」

 

新・魔王が言っている銀色の果物と言うのは、かつて元・魔王が口にした果物である。

また、本拠地の書物庫にあった本の一冊に記されていた物である。

元・魔王は数ヶ月探したが見つからなかった事があるので、恐らくはその果物はとても希少なのだろう。

 

「……知らん」

 

本当は知っているが、頭が回らないので何を話しているか上手く頭に入ってこない。

 

「チィ、アれがあればもっと力を付けること出来るのにナァ

 

……マァ、オまえにはもう関係ない話カァ」

 

元・魔王は一矢報おうと、新・魔王拳を振るおうとするが吹っ飛ばされて動かなくなった。

蟻が象に勝てないように、天と地がひっくり返っても勝てない事がある。

 

【……よくやったな】

 

しかし、それは中身がそのままの場合。

もしも、体の持ち主が戻ってきたならその時は―――

 

誰でもいい、助けてください。




なんやかんやで初めて戦う筆写をしたコーラン。

【今回のキーワード】
・銀色の果物
・謎の声



【ただのオマケ】

「雪女、お前また俺の飯を食ったな!」

「あんたが食べないから、てっきり残すのかと思ってね」

ここはとあるパラレルワールドの世界。
この世界では、幹部達を倒して新・魔王の居場所が分からない時期である。
現在この二人は喧嘩をしている。
この(ログハウス)にはあいにくこの二人しか居らず、止める者は誰も居ない。

「お前とはここで決着を付ける必要があるようだな……」

「望むところよ!」

そうして二人は城の中なのに戦い始めた。
この城は言わば仮のような物。
そんな所で暴れたら……

「「あ……」」

壊れる。
この二人はその事に漸く気づいたが、それは壊れた後。
なんとかして二人は誤魔化そうとするが……

「……お前ら、何やってんだ?」

魔王が帰ってきていた。
二人は蛇に睨まれた蛙のように動かなくなった。

「……正座」

「「はい」」

そうして魔王の説教を受けるのであった。
この魔王が関与した建物が毎回壊れてる?
それは作者のせいである。

オマケ、終わり。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ここは何処だ、助けてください。

拝啓 読者様

今回は今までの伏線を回収します。
ぶっちゃけると、ただの説明会です。

もしも、回収してない伏線。
または「ここ伏線じゃないの!?」と言った所があるとしたら……

作者が忘れてるだけです。
それはもう回収しない(出来ない)です。
それとリア充は爆発です。
後書きに注意です。

それと、今回の説明会は長くダラダラと話すので後書きに纏めました。

後書き


「ここは?」

 

俺は目を覚ますと、真っ白な空間に尻餅をついていた。

俺は知っている。こういう所は、精神世界か転生場所だろう。

……あれ、そうえば普通に喋れる。

 

【……ようやく起きたか】

 

ようやく起きたよ。

って誰だこいつ!

いつの間にか俺の目の前に俺が居た。

だが俺とは違い、頭にアホ毛が生えている。

まさか、こいつが体の持ち主……本当の元・魔王か。

 

【……ここは精神世界だ。そしてこの体の持ち主だ】

 

「お前が体の持ち主か?」

 

【……今言ったぞ】

 

精神世界か。

それとボケに乗ってくれない。固い頭をしているのだろう。

それはそうと、俺が普通に喋れてるのも精神が『本来の俺』だからだろうか。

だとしたら……一つ、最初に確認しないといけない事がある。

 

「俺は……消えるのか?」

 

俺は異世界語が読めない筈なのに、読めたこと。

これは、読めないのは『俺』であって『元・魔王』は読めるであろう。

体が勝手に動いたこと。

これは、謎の声……もとい、元・魔王の声を聞いてからだった。

雪女の『前までは違う感覚がしていたが、気のせいだった』と言う発言。

この『前』が何処までを表しているか知らないが、気のせいだったこと。

『魔王』として物事を考えていたこと。

つまりは……

 

【……俺に乗っ取られて消滅する】

 

そういうことだ。少し事情を聞いて分かったが、こういうことだろう。

言葉が読めたのは、侵食されてきて元・魔王の出来ることが俺にも出来るようになったから。

体が勝手に動いたのは、元・魔王に体の所有権を奪われたため。

雪女の発言は『俺』が消えてきて、元・魔王の人格が出てきたからだろう。

『魔王』として考えていたのも、乗っ取られてきてたからだろう。

消滅すると聞いたのに、俺は落ち着いていた。

前に気づいてたし、なんとなくそんな感覚はしていた。

だが、それ以外にも気になることがあるな。

 

「無意識的に俺が思った通りに物事が上手く行ったのは何故だ?」

 

あれは最初の頃だったが、雪女の攻撃を無意識的に思っただけで消したこと。

城の作り方が分かったりなど。

雪女達の事を知っていた理由は、元・魔王の記憶が流れてきたからだろう。

 

【……体が力の覚えていたからだ

 

……他の事は俺自身の記憶だ】

 

体が癖を覚えているのと似ているな。

それとさらっと心を読むなよ。

乗っ取ってきてるから、俺の考えている事が分かるのだろうか。

 

「俺……いや、俺達は今までどんな状態だったんだ?」

 

【……長くなるぞ】

 

そうして元・魔王は話し始めた。

最初は、俺の人格が強かったが少しずつ侵食されていったそう。

感情が高ぶったときは普通に喋れるみたいだが。

『……』といつの間にか付けていたのが良い例だな。

特に、俺が白雲と戦った時に気絶したとき。

あの時体の所有権が元・魔王に移り、操ったことで一度表に出たため侵食が加速したそう。

侵食されて来て、俺と喋れるようになったようだ。

 

「そんなことがあるんだな」

 

簡単に説明するとこうなるのか。

俺が体に入ってきたけど、侵食されて俺は消える。

こういうことか。

後は聞くことは……あったな。

 

「新・魔王が、果物がどうたらかんたらと言ってたんだ。何か知ってるか?」

 

元・魔王は数秒間考えるような仕草をした。

そして何かを思い出したかのように、アホ毛をピンと立たせた。

あ、それって動くのか。

 

【……魔力の塊だな】

 

「魔力の塊?」

 

元・魔王曰く、とても貴重な果物だそう。

それを食べると魔力を高めることが出来るそう。

しかし食べ過ぎるのは危険だと。

え、俺沢山食べたが大丈夫なのか?

 

【……そんな果物を摂取する程度でやられるほどやわじゃない】

 

大丈夫だそうだ。

この果物を食べたお陰で、空になってた魔力がかなり回復したそう。

元・魔王の魂は魔力の塊のため、果物を食べなかったら自分が消滅していたそう。

ついでに、封印の時の魔力は解くようであるためその時は、少しも回復してないようだ。

そして元・魔王が体を使い体に眠っている、戦いの記憶を少し思い出したこと。

果物を食べて魔力が回復したことで、少し身体能力が上がった(戻った)そう。

それが紙の幹部の所か……

 

「……あれ、なら回復したのにどうしてずっと寝てたんだ?」

 

俺は元・魔王が数ヶ月寝てたことを思い出した。

回復したなら、俺にアドバイスを送れば良いのに。

 

【……話すだけでも魔力を使うため、温存してた】

 

成る程。

数ヶ月話してたら、いざラスボス戦でガス欠する。ってことか。

なら戦う気はあるようだな。

それとついでに、500年前に勇者に重傷を負わされ自らを封印したそう。

え、勇者強くね?

雪女とコーランは怒ると怖いので、会った瞬間震えたそう。

それでいいのか魔王よ。

 

「あぁ、そうだ。目が覚めたら、彼奴をぼこぼこにしてくれよ」

 

【……俺の人格が表に出ると、完全にお前は消滅するぞ】

 

消滅……ねぇ。

仮にここで断ってもいつか消滅するし、白雲達を助けたい。

だけど俺に力は無いので、元・魔王に完全に身体能力を覚醒されてもらおう。

まだ少ししか上がってないようだからな。

それと未練が無いとなれば、嘘になる。

白雲達の事や、城の事など様々ある。

だが記憶を持った状態で異世界に来れて楽しかった。

 

【……そうか】

 

「俺はもう消滅するが、最後に一言言わせてもらおう」

 

俺達の居る空間が少しずつ、パズルのように崩れていく。

そんな中俺の体は黄金の光を放っていた。

だが、最後にこれは行っておきたい。

なんやかんやでずっと思っていたことなのだから……!

 

「魔王がショタとかめっちゃ草生える」

 

【……あ¨ぁ¨!?】

 

そうして俺の体は完全に光に包まれた。

空間が崩れ終わる頃、光が収まり俺は消えていた。

元・魔王、後は任せたぞ……

 

消滅しました、みんなを助けてください。






【まとめ】
Q.謎の声とは
A.元・魔王(体の持ち主)

Q.主人公の異常
A.持ち主に精神が侵食され、消滅する。
例)体が勝手に動く。異世界語が理解出来る。
持ち主の性格に似てくる。『魔王』として物事を考える。など

Q.無意識に起こった理由(城の作り方など)
A.最初の内は体が力の使い方を覚えていたため、無意識で使えた。

Q.何故侵食されてきてるか
A.正確には融合して主人公の精神が消えようとしてる。
体が戻ろうとして居るため、主人公の精神が邪魔だから。
持ち主の人格が出てきて、本格的に侵食されてきた。
感情が高ぶったときは普通に喋れる。

Q.果物
A.魔力の塊。
として貴重で、食べると魔力を高められる。
しかし、食べ過ぎると体が耐えられなくなり、危険。
持ち主の魂は魔力の塊で出来ているため、これを食べて侵食が加速した。

Q.身体能力上昇
A.紙の幹部戦より。
持ち主が体を動かして、戦闘の記憶を体が思い出したため。

Q.数ヶ月寝ていた(喋らなかった)理由
A.力を温存しておくため。
テレパシーで話してるため、力を使うから。

Q.500年前
A.勇者との戦い後、体を癒すため自らを封印。
それと雪女とコーランは怒ると怖いため、逃げたかったのも理由。

<< 前の話 目次 ページの一番上に飛ぶ

















【茶番】

「……それでは、これより被告人のろとり(作者)の裁判を始める」
 
ここはどっかの裁判所の見た目をしたスタジオ。
裁判長の席には主人公が座っており、対になって立っているのがのろとりである。
なお、この茶番では体の持ち主を元・魔王。憑依転生した方を主人公と呼ぶ。
 
「あぁいや、ちょっと待とうか」
 
のろとりは状況が読み込めず、混乱していた。
そんな奴……もとい、のろとりを放置して主人公は話し始める。
 
「……被告人のろとりは、
 
リア充爆発事件と、名前の最初に『の』が付いていて読みにくい事件の
 
被告人である」
 
「いや知らねぇよ!」
 
「ノろとりヨォ、ホんとうの事を言ったら楽になるゼェ?」
 
いつの間にか椅子に座っていた新・魔王がのろとりに話しかける。
それと机が汚れるから、足を乗っけないでくれ。
 
「ラスボスだろ、ここに居て良いのか?」
 
この世界はギャグの世界になってるので、大丈夫です。
混乱するからしないけど、別作品のキャラクターを出そうが誰も気にしないです。
読者が混乱するからしないけど。
 
「そうえば、さっきから喋ってるお前は誰だ?」
 
あぁ、ただのナレーターです。
最近全身がサイボーク化しました。
今度は右手にエクスカリバーを生やしたいです。
のろとりは何か言おうとしたが、面倒になったのか言うのを止めた。
 
「と、兎に角その二つの事件の詳細を教えてくれ」
 
「……二つ目の事件はそのままだから置いとくとして、一つ目だな」
 
二つ目の事件について軽く説明。
挨拶するとき、「作者ののろとりです」と見にくくなる事件である。
とても重罪。作者は名前を変える気は無い。
 
「……のろとりは最近、どんな漫画読んでる?」
 
「ピー音使って話すが『川柳○女』『宇○ちゃんは○びたい!』だな」
 
今度アニメする奴と、話題の漫画だな。
それとピー音が面倒なので、次からは名前出さないでね。
のろとりは頷いた。
 
「……『川柳○女』『宇○ちゃんは○びたい!』は恋愛漫画だったよな?」
 
人の話聞いてた?
ピー音が面倒だから名前を出すなって。
その光景を見て、新・魔王はケラケラと笑った。
何笑ってんだよ。それにお前の笑い方は「アヒャヒャヒャ」だろ。
 
「恋愛……実際はラブコメディだがそうだな」
 
「……そしてお前が前書きで言ったことは覚えているか?」
 
のろとりは思い出した。
前書きで『リア充爆発』と書いていたことに。
急いでサイトを開き無かったことにしようとしたが、ここに電子機器は無い。
 
「……のろとりはリア充を嫌っている発言をしながら、甘ったるい漫画を読んでいた。これは矛盾してないか?」
 
「いや、あの、それは……」
 
ついでにのろとりの好みは黒髪かロングだそう。
本人もよく分かってないし、どうでもいい情報だな。
それにもう一つ決定的な証拠がある。
それは……こいつが甘ったるい小説を書いているのだ!
 
「……はい、重罪」
 
「なん……だと……」
 
「ワらえるゼェ」
 
ああ、新・魔王まだ居たのか。
てっきり帰ったのかとばかり……
 
「……結論を言い渡す。一つ目の事件でのろとりはこの一週間以内に、『五本小説を投稿』することを言い渡す」
 
「ちょっと、待てよ! 罪が重くないか!?」
 
別に大丈夫だろ。
この作品だけでなく、のろとりが書いた小説を投稿すればいい話だからな。
短編五本投稿したら大丈夫だ。
それに、昨日ぐらいに新作品のアイデアを保管したファイルを見つけただろ。
あれに10本位アイデアあったからそれを書けばいいだろ。
 
「何で知ってんだよ……」
 
「……二つ目の名前が見えにくい事件で、のろとりは『30分後に次の話を投稿』することを言い渡す」
 
「おい! ちょっと待っ……」

二つ目の罪の方が重くないかって?気にしたら敗けだ!
敗北者じゃけぇ……
以上、これで茶番を終了だ!
最近シリアスばっかり続いて作者が耐えられなくなって書いた物だから結構適当だったりするぞ!
それとこの茶番だけでいつもの本編位書いてるな!
どうなってんだよ……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

彼奴許さない、助けてろださい。

拝啓 読者様

元・魔王の体が戻ったのでサブタイを少し変更。
『助けてください』から『助けろください』になりました。


「モぉおしまいかヨォ」

 

新・魔王はつまらなかった。

この世界で作った軍達を破った者が居るので、どの程度かと思えばこの程度でだったと。

本気を出せば一発殴るだけ終わるのだから。

噂によれば、底辺だった信頼を上げたと聞いたが所詮はその程度。

裏切り者が信用している人物とも聞いたが……仲間も弱かったから所詮はそんなものだと感じていた。

 

「ツまらんナァ」

 

次の世界に期待……いや、まだこの世界の人間に会ってないな。

そっちなら、まだ面白い奴が居るかも知れない。

……幹部の中に人間に似た奴が居たが彼奴は人間ではないと言ってたな。

そう思いながら元・魔王を消そうとしたその時……

 

「【……少し待てよ】」

 

動きが止まった。

手加減したとはいえ、自分の攻撃を受けて立っていられる奴がいるとは思ってもいなかったと。

元・魔王はゆっくりと体を動かし、新・魔王を見た。

顔には目しか付いていないため、正確には分からないが目が若干見開いているのを確認出来た。

それと彼奴(主人公)を後で一発殴ることにした。

 

「コれは面白くなるじゃねぇカァ」

 

「【……余裕なのも今のうちだ】」

 

そう言いながら元・魔王は拳を振るった。

新・魔王は偶然立ち上がっただけだと思い、棒立ちで攻撃を受けることにした。

絶望を与えてよろうと思いながら……しかし、それは失敗だった。

 

「ゴフゥ!」

 

腹に入った拳は、新・魔王の体をくの字に曲げるほどの威力があった。

新・魔王は数メートル吹っ飛ばされたが、綺麗に着地した。

あまりダメージが入ったようには見えないが、腹にはくっきりと拳の後が残っていた。

これには幾つかの理由があった。

果物の摂取による魔力増加に、魔力を使って身体能力上昇。

少しずつ体が戦いの記憶を思い出しているため。

新・魔王が無防備な状態で攻撃を喰らったため。

簡単に説明するとこんなものだろうか。

 

「【……おいおい、その程度か?】」

 

「クッカカカァ! コれは想定外ダァ」

 

新・魔王は切れ目から数体のゾンビを出してきた。

ゾンビは既に生命活動を終えているため、生物として認識されないのだ。

新・魔王は一度距離を取り、攻撃パターンを伺うことにした。

今まで通り物理しかしないなら、遠くからチマチマと攻撃すれば良いだけの話なのだから。

しかし、予想は外れた。

 

「【……小手調べか】」

 

元・魔王は目を閉じた。

本来なら、怪しい。またはチャンスだと思い急いで近づいて攻撃するがゾンビ達にそれを考える頭は無い。

ゾンビ達はゆっくりと元・魔王に近づいて行った。

 

「【……『岩石』】」

 

残り数歩と近づいてきた所で、元・魔王は目を開けた。

その開けた目でゾンビ達を見ると、ゾンビ達は足元から石に変わっていった。

時間が立つにつれ、石になっていき最後には全身が石になって動かなくなった。

 

「オォ……オイオイオイィ! ナんだよこれはヨォ、ヒさびさに骨のある奴に会えたナァ!」

 

「【……ご託は良い。かかってこい】」

 

新・魔王は切れ目からトラックを出した。

なお、生物は運べないので運転手は居なく、その代わりにアクセル部分に棒を設置して自動で走るようにした。

 

「【……『焼却』】」

 

元・魔王は顔の目の前には青い丸の中に炎のマークが書かれた物が浮かんだ。

その丸がゆっくりと回り始めると、炎のマークが光り始め勢いよく青い火が飛び出してきた。

『サン』は火の玉の魔法だが、『焼却』は簡単に説明すると火炎放射機である。

そのまま車のガソリンに燃え移るどころか、車を炭すら残さず焼き払い、黒い煙が部屋を充満させた。

だが、新・魔王もこの程度でやられるとはもう思っていない。

爆発で見えていないうちに、空に飛んだ。

その際に地下の天井が崩れ、城と部屋の天井の瓦礫が落ちてきた。

 

「【……ちっ】」

 

元・魔王は倒れている白雲達に『バリケード』と唱えた。

そうすると、白雲達は透明な丸い膜に閉じ込められた。

これは瓦礫から身を守るためである。簡単に言うとバリアだ。

 

「【……彼奴の精神が残ってるのか】」

 

昔は仲間なんて気にしなかったのに……そう思いながら、白雲達を見た。

突如元・魔王のアホ毛が竹トンボのように、回り始めた。

アホ毛は回転を止めることなく、速く回り始めて足が地面から離れた。

そのまま新・魔王の後を追うように、上へと飛び始めた。

 

魔法で飛ぶ方法を知りたい、助けろください。




ネーミングセンスが無い元・魔王。
理由 分かりやすくしたいから(作者曰く)

それと新・魔王の笑い声は気分で変わります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

同等位の強いだ、助けろください。

拝啓 読者様

あああああああ、ごち○さキタァァァァァ!!
ああああああああ!!

「サくしゃが五月蝿いから代役として話すゼェ。

コんかいは戦闘シーンが思い付かなかったのデェ、イろいろと酷いことになってるそうダァ。

サくしゃが煩いのとは関係無いけどナァ」


「オもしろイィ、ジつに面白いゾォ!」

 

新・魔王は背中から生えている翼を羽ばたかせていた。

対する元・魔王は竹トンボのようにアホ毛を回し、空を飛んでいた。

その二人の下には多くの瓦礫と倒れている新・魔王の手下達が居た。

 

「【……奇遇だな】」

 

二人は空を飛びながら近づき、拳と拳がぶつかる。

その衝撃で瓦礫と手下達が吹き飛ばされる。

数回拳がぶつかるだけで二人の下にあった瓦礫や手下達が殆ど吹き飛び、平地となる。

最も、地下から出たため部屋だった場所は瓦礫が埋め尽くされているため、平地とは言いがたいが。

 

「クらえ喰らえ喰らエェ!」

 

新・魔王は右腕の大砲を元・魔王へ向けると、大砲から黄色い球を放った。

その球はバチバチと音がしており、まるで電気……いや、雷を想像させる物であった。

その球が四つ向かってきていると元・魔王は分かった。

 

「【……『封印』】」

 

元・魔王は両手の指から、禍々しい色をした黒い鞭を十本出現させた。

その鞭を部屋があった瓦礫を全て持ち上げた。

部屋だった場所は柱が全て無くなっており、あるのは白い膜に包まれている四人だけだ。

そして床と壁……特に一部分以外の壁はヒビがとても酷い状態である。

その瓦礫を使い、黄色い球を閉じ込めた。

瓦礫が少しずつ黄色い球を圧縮しており、瓦礫が元・魔王からの力を失い落ちていく頃には黄色い球は消滅していた。

 

「【……弱すぎるな】」

 

「オいおイィ、ナに勝った気になっているんダァ」

 

新・魔王は元・魔王に近づき、左手で頭を鷲掴みしようとした。

しかし元・魔王はそんな見え見えな攻撃に引っ掛かることなく後ろに逃げようと……

 

「【……かはっ!】」

 

したが、後ろから攻撃を受けた。

元・魔王は思わず周りを見渡すが、居るのは新・魔王と倒れている手下達だけである。

そう周りを見渡していると、新・魔王に頭を鷲掴みされた。

そうして新・魔王は右腕の大砲を光らせながら、零距離でビームを放った。

先ほどの黄色い球は元・魔王から見て(・・・・・・・・)の数であり、気づいてない所で一つだけ後ろに回っていたのだ。

 

「【……グファ!】」

 

元・魔王はビームに巻き込まれながら、地面を抉っていった。

地面に着いてから数メートル後に止まれた。

 

「オいおイィ、ソの程度カァ?」

 

新・魔王ははがっかりしていた。

最初は驚いたが、所詮は数段パワーアップした程度。

もう終わらそう。そう思ったが、何か違和感を感じた。落ちているのだ。

翼を羽ばたかせて体制を建て直そうとするが、上手く飛べない。

それに右腕が異様に軽く感じる。

新・魔王はゆっくりと体の右側を確認すると……

 

「フッざっけんなナァ!」

 

右側の翼は根元しか残っておらず、右腕に関しては機械部分……もとい、大砲が消えていた。

元・魔王の右腕からは、腕を包むように黒い稲妻が走る手刀が生えていた。

 

「【……おいおい、その程度か?】」

 

元・魔王は同じ言葉で返した。

新・魔王は怒り狂った。

どんな風に勝つか、周りの状況はどうなるか。そんなことはもうどうでも良かった。

地面に着陸した新・魔王は、元・魔王に近づきがむしゃらに攻撃した。

しかし、そんな子供のぐるぐるパンチと同等の何も考えていない攻撃は意味が無い。

 

「【……エンド】」

 

元・魔王は新・魔王を上に投げ、全力で蹴り飛ばした。

そのまま部屋だった場所に不時着し、壁をぶち破った。

 

「【…………】」

 

元・魔王はきちんと倒せたかの確認と、完全に消滅させるために歩を進めた。

元・魔王は余裕に見えるが、そうではない。

身体能力を何重にも魔法で強化。

久し振りに魔法の使用。

体が戦いの記憶を思い出して動きが良くなっているが、疲れていた。

これ以上戦うと勝てるか分からないので、もう倒れてることを祈りながら。

 

まだ倒れてなかったら、助けろください。




【オマケ】

「ねぇ魔王」

「【……雪女か、どうした】」

「あんたって、ネーミングセンス無いわよね」

「【……何も、言うなッ】」

「私が悪かったから、泣かないでよ」

「キタァァァァァ!」

「【……のろとり、五月蝿い】」

「深夜に青いツナギ着ているあの人の曲を歌ってたとは思えないわね」

「何で知ってんだ?」

「ひ・み・つ」

「オロロロロロ……」

「ちょ、ちょっと何よ!」

「いや、設定としては若い体だけど、中身は500越えてるから」

「ぶっ飛ばしてやるわよ!」

「すいませんしたぁ!」

「【……じゃ次回な】」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

これから投稿遅れると思います、助けてください。 by作者

拝啓 読者様

投稿が遅れた理由はあれです。
バン○リとかTwitt○rやってました!
それと一週間で五本は無理でした。
後書きで茶番をしようか迷いましたが、別の事があるので茶番は無いです。


「【…………】」

 

元・魔王はぶち破った壁にゆっくりと歩を進めていた。

確実に新・魔王を倒すために。

残り一歩まで来て、おかしいことに気づく。

 

「【……!】」

 

壁が破られて出来た瓦礫が奥まで幾つも散り散りに吹っ飛んでいるのだ。

壁を破って出来た穴なら、今までの戦闘でこの部屋が耐えてきたのでかなりの強度を誇る物で作られているのだろう。

それならあまり穴は開かない筈だ。

そして、瓦礫が纏まっているならまだ分かる。

一番奥の穴に跳ね返ったことがわかる。

だが、散り散りに飛んでいると言うのなら奥に道が続いているのだ。

その事に気づいた元・魔王は急いで後ろに跳んだ。

 

「【……『強制転送』】」

 

跳びながら、白雲達に手のひらを向けてそう言った。

そうすると白雲達の姿が消えた。

元・魔王はこのままだと白雲達が危ないと思い、遠い場所に避難させたのである。

これは無抵抗な相手にしか使えない上、自分には使えないのでこの状況は打破することは出来ない。

 

モト・マオウ(元・魔王)ゥ、コノ程度で(この程度で)終ワリと思ッタラ大間違イダァ(終わりと思った大間違いだ)

 

新・魔王奥から何かを持って出てきた。

最初は暗くて見えなかったが、月の明かりに照らせされて確認すると……

元・魔王に斬られた片方の翼と無事のもう片方の翼が生えていない。

目玉のみの顔……いや、体全体は真っ黒、漆黒と言うのだろうか。

それほどまでに黒くなっており、目玉から黒い液体がポタポタと垂れている。

色は変わっているが、左腕は普通の人間の者である。

元・魔王に斬られた右腕は、アームを思わせるように機械で出来ている手になっていた。

また、右腕は真っ黒ではなく鉄のような色である。

 

「【……『バリケード』】」

 

元・魔王は自分の周りに透明な丸い膜を出した。

これなら多少の攻撃は防げるだろう。

そう考えながら……しかし、

 

ソンナチッポケナモノ(そんなちっぽけな物)で攻撃が防ゲルト思ッタノカァ(で攻撃が防げると思ったのか?)?」

 

新・魔王は透明な膜に向かって拳を勢いよく突き出してきた。

だが、膜が破られる事は無かった。そう、破られる事は。

 

「【……なっ!】」

 

たった拳一発だけで膜にヒビが入ったのだ。

この膜は相手からの攻撃を守るのに特化しているのに、たった一発でこれほどの威力か。と、元・魔王は冷や汗を流した。

新・魔王はヒビの入った膜をアームのような手で持ち、空高く投げた。

この膜は防御に特化している代わりに、何も出来ないのだ。

そう、攻撃も移動も。つまりは……

 

「【……くっ!】」

 

なす統べなく空高く投げられる。

まるで赤ん坊が高い高いされているかのように、何も抵抗できず。

空高く上がっていく元・魔王を追い抜き、空中に新・魔王が跳んできた。

新・魔王はアームのような手を握り、上がってきた膜に拳を叩き込んだ。

すると、膜はガラスが割れたような音を出し破片が落ちた。

拳の衝撃は押さえきれなかったようで、勢いよく地面へ落ちていく元・魔王。

 

「【……ふんッ!】」

 

地面に向かって拳を何発も降り下ろし、落ちる勢いを弱めた。

そうしてゆっくりと地面に着地した。

新・魔王も地面に着地し、切れ目から様々なものを出した。

槍、ロードローラー、龍など統一性のないものを。

 

「【……『サン』】」

 

元・魔王の手のひらから小さな、炎の玉を作り出した。

それは少しずつ、大きくなっていった。

火の玉が直径七メートル程になり、大きくなるのを止めた。

それはまるで、小さな太陽のようなものだった。

そして、元・魔王にあっさりと消滅させられる。

だが、新・魔王は笑っていた。やはりあの果物は本当だったのだと気づいて。

 

モト・魔王ヨ(元・魔王よ)ォ、オレはサッキオ前に蹴リ飛バサレタ時ニ(俺はさっきお前に蹴り飛ばされた時に)彼処で何をシテタト思ウゥ(彼処で何をしていたと思う)?」

 

「【……知るか】」

 

蹴り飛ばした時……つまりは、壁をぶち破って出てくる間に何をしていたかは元・魔王にはどうでもいい話だった。

けれども少しでも体力を回復させたいので話を聞くことにした。

 

オレはアノ時果物を食ベタンダヨナァ(俺はあの時果物を食べたんだよな)魔力を高メルアノ果物をナァ(魔力を高めるあの果物をな)!」

 

「【……あれか】」

 

ソシテ今知ッタガァ(そして今知ったが)オモシロイ事が分カッタンダヨナァ(面白い事が分かったんだよな)

 

新・魔王は切れ目から小さな魚を出す。

そして小さな魚はそこら辺にポイッと捨てられた。

 

セイブツを出セルヨウニナッタンダァ(生物を出せるようになったんだ)

 

「【……まさか!】」

 

オレは今カラ生物を出スゥ(俺は今から生物を出す)イセカイカラ者をコノ新シイ力でナァ!(異世界から者をこの新しい力でなァ!)

 

「【……待てッ!】」

 

元・魔王は急いで新・魔王に殴りかかろうとするが……

 

「モウ遅イィ!」

 

そして、切れ目から異世界の者が出てきた。

 

負けそう、助けろください。




【補足】
新・魔王が食べた果物は品種改良した物。
魔力と(物理)が手に入る。
その代わり、言葉が上手く喋れなくなり体も変化する。

また、切れ目からは生物出せない。
のだが果物を食べてパワーアップして生物を出せるようになった。
新・魔王を倒さないと生物を元の場所に戻すことは出来ない。



【別のアンケートの話】
終了しました
今回の最後に異世界の者が出てきたと書きました。
それで、異世界の者についてアンケートです。
恐らくは、下に出てるのでそこは確認お願いします。

それで、読者のオリジナルキャラクターとありますがそれは
活動報告』で詳しいことは見てください。
強さはご自由に。強くとも弱くても大丈夫です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

異世界から来た奴だ、助けろください。

拝啓 読者様

まずはアンケートの結果を報告。
(2) 作者のオリキャラ
(1) 読者(貴方の)オリキャラ
(1) ここはネタを挟む
(0) 者ではなく物が出る
(0) その他

結果、私のオリキャラを出すことになりました。

今回のサブタイの別名
『シリアスが崩壊しました、助けてください。 by作者』


「ギャャャャャ! ってここは何処だ?」

 

切れ目から出てきたのは男性だった。

髪の毛はツンツン頭の金髪で顔はそれなりに整っている。

黄色い瞳をしており、その瞳はこの世界にくる直前は驚いていたのか目一杯開いている。

服は普通の学ランであり、その服装から学生だと思われる。

身長は新・魔王と同じ位で、丁度重なっており新・魔王が見えない。

男性は何が起こったか分からないようで、辺りを見渡している。

 

イマカラオ前を操ッテヤルゥ!(今からお前を操ってやる!)

 

新・魔王は男性に向けて両手を出し、そこから波紋のような形をしたビームを出した。

元・魔王はもう間に合わないと思ったため、何時でも攻撃できるように構えていた。

そしてそのままビームは男性に当たり……

 

「うわ、なんか体が赤色に輝いてる。眩し!」

 

体が輝く以外のことは何も起こらなかった。

新・魔王は不思議に思ったが、催眠術系統が効かない奴だと納得した。

元・魔王は今のうちに男性を遠くに逃がそうと近づくが、時すでに遅し。

 

ナラコイツでドウダァ!(ならこいつでどうだ!)

 

新・魔王は左手から炎を出し、男性に向けた。

その瞬間、男性を包み込むかのように炎が大きくなった。

あまりの熱さに元・魔王は近づけなかった。

 

「あちぃぃぃぃぃ!」

 

男性の悲鳴が聞こえる。

本来なら一瞬で灰すら残さない筈だが……と新・魔王は考えたが、深くは考えないことにした。

魔法に対して耐性が合ったのかもしれないと納得した。

だが、この炎を使えば倒せる。と確信して炎が弱まるのを待った。

そして炎が収まり中には……

 

「おい、熱すぎるだろ!」

 

髪の毛が金髪のアフロヘアーになった男性が居た。

魔王二人は思った。

なんでぇ……?

それはこの男性の能力に秘密がある。

この男性の能力は『ギャグ補正』である。

なので炎を喰らってもアフロヘアーで済むし、シリアスがギャグに変わったりと読者に『今までのシリアスはなんだったんだ!』と思わせる程強力な能力である。

しかし、この能力には最大の弱点がある。

それは……『自分で操作出来ないこと』である。

身を守ろうとするなど無意識な行動では発動してくれるが、『こうしよう』『ああしよう』と意識的な行動では発動しないことだ。

 

「【……『強制転送』】」

 

元・魔王は今は戦いの途中だと思いだし、男性を自分の隣に転送させた。

男性は何が起こった分からない顔をしており、頭にハテナマークを物理的法則を無視して浮かんでいた。

そして髪の毛が元の形に戻っていた。

 

「【……俺の話をよく聞けよ】」

 

「いやいや、ちょっと待ってくれよ! あんた誰、ここは何処だよ、俺は雷鳴宜しくな!」

 

なんだこいつ……。そう思ったが、言わないことにした。

話が進まないからである。

 

「【……簡単に状況を説明する】」

 

「分かった。俺も早く此所が何処か知りたい。あと引きこもりたい」

 

男性……もとい、雷鳴は頷いた。

元・魔王は新・魔王の様子をチラチラと確認してるが、

自分の技があっさりと破られたことにショックなのか動いていなかった。

 

「【……ここは異世界。現在、俺と彼奴の魔王同士の争いだ】」

 

「……あれ、それって俺関係無い?」

 

元・魔王は頷く。

雷鳴は状況が理解でき、膝をついて落ち込んだ。

元・魔王は戦闘に支障が出ると思い、正気に戻すために雷鳴の頭を一発殴った。

 

「いてぇ!」

 

そう言って雷鳴は頭を押さえた。

しかし元・魔王の頭にはたんこぶが出来ていた。

何故か雷鳴の頭に出来る筈であったたんこぶが、元・魔王に移ったようだ。

そんなことをしていると、新・魔王がショックから戻り此方を睨んでいた。

 

よく分からない奴が来た、助けろください。




[口調が似てるため台本形式]

雷鳴「なぁ作者(のろとり)一つ話がある」

今回の話を書き終わり、暇だな~と思ってると雷鳴が話しかけてきた。

のろとり「雷鳴どうした?」

雷鳴「お前は今回のアンケート、どういう展開になると思ってた?」

作者「読者からキャラクターが出ると思ってたな」

まさか俺自身のキャラクターが出るとは思わなかった。
数日前に読者様のキャラクターで展開が書き終わったので、サボってたのに……
短編はいくつか書いてたけど、あれは例外。
そもそも雷鳴が出てくる展開は初期に考えてた展開で、ボツにしてたからなぁ……
考えてくれた読者様、本当にすいませんでした。

雷鳴「それともう一つ。なんか前に一週間に五本投稿出来なかったとか言ってたが、何時言ったんだ?」

ん?あぁあれか。
そうえば前から言おうと思ってたけど、忘れてたな。
誰かに『何時言ったんですか?』と言われるかな~と思ってたが。

馬鹿「『ここは何処だ、助けてください。』の後書きだな。簡単に纏めた話のずっと下に書いた」

ダミーで『前の話』とかのリンク貼ったからな。
押しても下にある茶番に飛ぶだけだが。

雷鳴「え、全然気づかなかった」

アホ「少しふざけたくて……っておい待て。俺の名前がどんどん悪口になってるだろ!」

一体誰だよこんなことをしたのは……
見つけたらチョークを投げてやるか。

雷鳴「まぁ良いじゃないか。さて、話は変わるが一つ気になることがあるんだ」

投稿早くしろ作者「ん、なんだ?」

雷鳴「活動報告の『選ばれなくとも、作品で使用します』ってなんだ?」

あ……それ今言うとつまらないと思うな。
どうしようか……
ここで言う『作品で使用します』って言うのはこの作品の事だが。

早く修正しろや作者「それはこの戦いが終わったら話すことにしようか」

ここから下は雷鳴のキャラクター説明だ。







名前:雷鳴
性別:男
年齢:17歳
身長:170.5cm
体重:60kg
能力:ギャグ補正
作品: 異世界転生に特典としてギャグ補正持ってったら最強だった件
作者:のろとり(私)

【容姿】
それなりに体が出来ている。
髪の毛はツンツン頭の金髪。
顔はそれなりに整っている。
黄色い目をしている。
服は学ラン。

【性格】
周りに振り回されている。
不幸体質。
若干ドS。
戦いは苦手だが、戦うときは戦う。
能力頼み。
常識人であり、突っ込みをよくしてる。
能力が無いと最弱。

【サンプル台詞】
喜び「すげぇ!」
怒り「ふざけんな!」
悲しみ「うっ……ひぐっ」
困惑「え、は?」

【技】
・ギャグ補正
相手が攻撃すると、頭上から盥が降ってくる。
地球一周を簡単に出来る。など

【弱点】
意識して能力が使えない。
ある意味運頼みみたいな能力である。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ちょっと静かにしろ、助けろください。

拝啓 読者様

【悲報】シリアスが消えた


オレをオチョクッテンノカァ?(俺をおちょくってんのか?)

 

新・魔王は激怒していた。

異世界から来た奴を操り、元・魔王と戦ってるところを見て高みの見物をしようとしてたからだ。

それがこの結果だ。

催眠術は効かない、炎も効かない……今まで優勢だったのに雷鳴が来た途端事態は急変。

雷鳴を元の世界に戻そうとしたが、上手くいかない。

恐らくは呼んだ戻せない。片道切符なのだと新・魔王は思った。

 

サキにアノ野郎を始末スルカァ(先にあの野郎を始末するか)

 

新・魔王は目玉から垂れている液体の中に入った。

それはまるで底なし沼に嵌まったように、しかしスピードはとても速かった。

そして新・魔王は姿を消した。

 

「【……何処からか来るぞ!】」

 

「え? ちょっと待ってまだ頭痛が痛い」

 

フットビヤガレェ!(吹っ飛びやがれ!)

 

雷鳴の後ろに新・魔王から垂れた黒い液体があった。

その液体から出てきて、雷鳴をアームのような手でおもいっきり殴った。

雷鳴は体をくの字に曲げて吹っ飛んでいった。

 

「【……雷鳴!】」

 

これで倒せただろうと新・魔王は思った。

これなら耐えていたとしても戻ってくるまでに時間が掛かるだろう。

次は元・魔王を倒そうと、左手に炎を出し元・魔王に向け―――

 

「ギィィィィィヤァァァァァ!」

 

「グボォワァ!」

 

「【…………】」

 

この世界を一週してきたのか、回転しながら新・魔王の背中にぶつかった雷鳴。

これもギャグ補正の一種で『簡単に地球一周してくる』である。

雷鳴は目を回しており、頭にはヒヨコが回っている。

もちろん本人は無意識に能力を使っており、目を回してるため自分が今何処に居るか分かっていない。

元・魔王は『……なんか、悪いな』と新・魔王に同情していた。

 

「あぁ目が回るよ~」

 

元・魔王はふざけてるように見える雷鳴にイラつき、頭を掴んだ。

雷鳴本人はふざけてるつもりは無い。

 

「待て待て待て待て! 俺を投げる気かよ、痛いから止めてくれ!」

 

そんなやり取りをしていると、またしても新・魔王が消えていた。

先ほどまで新・魔王が居たところを見ると、黒い液体が幾つか水滴になって跳ねていた。

恐らくは今液体の中に隠れたのだろう。

ここで思い出してほしい。今元・魔王達が居る地面の色は何色だ?

茶色、緑……いいや違う、黒だ。黒に黒が重なっているため液体が何処にあるか分かりづらくなっている。

 

「頭が……頭が割れるから離してよ、痴漢!」

 

「【……フンッ!】」

 

『痴漢』と言う言葉は知らないが、言動にイライラして雷鳴を地面に叩きつけた。

雷鳴は叩きつけられた痛みで地面をゴロゴロしている。

そんな雷鳴を見てると、元・魔王の頭に盥が降ってきた。

元・魔王はその事に気づいており、一歩下がり盥をかわそうとした。

しかし盥は重力を無視して、元・魔王の頭上に平行に移動して頭に落ちた。

『カーン』と音がしたが、特に痛くない。

そんな雷鳴と盥を無視し、元・魔王は黒い液体を消すことにした。

 

「【……『焼却』】」

 

「おい待t」

 

元・魔王は顔の目の前には青い丸の中に炎のマークが書かれた物が浮かんだ。

その丸がゆっくりと回り始めると、炎のマークが光り始め勢いよく青い火が飛び出してきた。

その火は黒い液体があるであろう所に飛んでいき……

 

「【……ナニィ!】」

 

「燃える、燃える燃える燃えちまう!」

 

黒い液体に引火して爆発した。

黒い液体は石油が原料になっており、元・魔王や雷鳴を巻き込んで大きな爆発が起きた。

 

「【……チィ!】」

 

雷鳴を掴んで跳ぼうとしたが、間に合わなく一人で跳んだ。

跳んだが、爆風に巻き込まれて吹っ飛んでいった。

地面が見えたので『バリケード』を使い体を衝撃から守った。

だが、雷鳴とはぐれてしまった。

 

彼奴なら大丈夫だろうが、助けろください。




次回予告

やめて!雷鳴のギャグ補正の特殊能力で、新・魔王を倒したら、最終決戦でシリアスと繋がってるこの作品の今までが無くなっちゃう!

お願い、死なないで新・魔王!あんたが今ここで倒れたら、読者や作者が望んでるシリアス展開はどうなっちゃうの? ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、雷鳴に勝てるんだから!

次回、「新・魔王死す」。デュ○ルスタンバイ!

ふざけました。
ボツの次回予告タイトル
次回、「シリアス死す」



これは何もかも雷鳴が悪いんだ(責任転換)。
それと「頭痛が痛い」はわざとです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

待て待て待て、助けてください。 by雷鳴

拝啓 読者様

【雷鳴についての補足】
雷鳴は転生者で異世界で(強制的に)勇者やってます。

なので『ビル』とか『ゲーム』とかの単語を知っているのは、前世の記憶があるからです。
ただそれだけです。


「いってぇ……」

 

俺は爆発で吹き飛ばされたが、髪の毛がアフロになっただけで無事だった。

ゆっくりと立ち上がり周りを確認したが、味方の魔王(元・魔王)敵の魔王(新・魔王)も居なかった。

ふむ……逃げるか。

何処かの吸血鬼を食料にしてる奴らと戦った戦士も逃げてたから、別に良いだろう。

 

「ニガサンゾォ」

 

うわぁぁぁぁぁ!

 

地面からスッと敵の魔王が出てきて俺は驚いた。

び、ビックリしたじゃねぇかよ。お陰で目が飛び出たぞ……

俺は気づいていないが、黒い液体から出てきただけである。

けど、地面が黒で液体が黒とか分かるわけないだろ。

 

「アヒャヒャヒャ、ブッツブレロォ!」

 

敵の魔王は俺の頭上に切れ目を出し、コンクリートの地面ごとビルを出した。

俺はなす統べなく、ビルの下敷きになった。

だが、俺を倒したのか不安なのか今度は切れ目から隕石を出した。

隕石はビルに直撃し、ビルは崩壊した。

隕石はそのまま地面に衝突し、普通の人間ならその衝撃だけで消滅してそうなほどの風圧を作り出した。

だが、それは地面に少しクレーターを作った程度で敵の魔王に拳で粉砕された。

 

「ペラペラァ~」

 

俺はビルの下敷きになり、隕石の下敷きにもなったが体がペラペラになって生きていた。

そして俺の体は風船のように膨らみ始め、元の形や大きさに戻った。

敵の魔王は此方を怒りと憎しみの目で見てきた。

お、おい……俺は何もしてないだろ。

 

「オマエを最悪な地獄に送ッテヤルゥ」

 

なんか恨まれてる!?

俺が一体何をしたと言うんだよ!

そして敵の魔王が俺に一瞬で近づき、胸ぐらを掴み空に投げた。

 

「うわぁ、すごーい浮遊感だなぁ~」

 

って違う!?

空中だと身動き出来ないし、反応出来ない……

そもそも俺は能力が無いとただの一般ピーポーだからなぁ。

早く帰りたい……でも、帰ったとしても魔王退治しないといけないからなぁ。

一応勇者ってことになってるから。

俺がそう現実逃避してると、敵の魔王は俺をなんかあのアームっぽい……なんだあれ。デカイ手で俺を掴んできた。

俺の胴体を両腕が使えないように掴み、地面に急落下した。

 

「助けてくれぇ! そもそも俺が何をしたんだよ!」

 

そう言うが、敵の魔王は聞いていない。

 

「聞こえてますかー、大丈夫ですかー……バカですかー

 

俺がそう言うと、心無しか落下スピードが速まったような気がした。

聞こえてるよな、バカって言ったこと根に持ってるよな!?

俺はなんとか脱出しようとするが、人の力程度では脱出出来なかった。

そして重力に沿うように頭から落下していき……

 

「チチュウ深くで眠ッテロォ……」

 

地面との距離残り二メートル位なり、敵の魔王は俺を投げ捨てるかのように地面に投げた。

俺はまるでドリルのように地中深くまで進んでいった。

 

「オワリダナァ」

 

地中って暖かいんだね、助けてください。




あぁ、あれだ。なんつーか、新・魔王が雑魚キャラに見える。

全世界の支配者(笑)とか言われそう。

【関係無い話】
なんか手紙読んでるとき、感動シーンとかでありそうな特殊タグの使い方。



俺は親友の手紙を開けた。

『お前へ

なんつーか、あれだ。
これを読んでる頃にはオレは居ないだろう。
だが、心配するな。お前は一人でやっていける。
お前には今まで色んなをついてきたな。そのたびに「冗談だよ」と言ってたな。
お前が「もしかして今話したのも嘘なんじゃないか」と疑心暗鬼にさせたことは本当に悪かった。
けどな、お前一緒に居て楽しいと思ったてたぜ
じゃあな。

心の友より p.s.滲んでる文字を読んでみな』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

不死身だろ、助けろください。

拝啓 読者様

週三投稿は……キツイです。

今日から『灼眼のシャナ』を読むことにしました。
まだ一巻目の最初の方なので面白いかは、なんとも言えません。


「【……大丈夫か】」

 

元・魔王は爆風でかなり遠くまで吹き飛ばされたが、アホ毛で飛んできて戻ってきたのだ。

 

「オソカッタナァ」

 

新・魔王が地面に立っており、それを上から見るような形で飛んでいる。

新・魔王の周りにはクレーターや、人一人が無理矢理埋められたような穴があった。

元・魔王はすぐに分かった。あの穴に雷鳴は埋められたのだと。

 

「【……そうか】」

 

元・魔王は特に気にはしなかった。

どちらかと言うと、強力な仲間になると思ったらよく分からない奴(馬鹿)だったので居なくなって安心半分勝てるかどうか不安であった。

 

「アイツが居ナクナッテェ、ヤット戦エルナァ」

 

それもそうだ。

魔王同士の対決なのに、異世界からのやべー奴(馬鹿)に何もかも滅茶苦茶にされたからである。

最も、原因は新・魔王にあるが。

 

「【……そうだな】」

 

元・魔王はアホ毛を回すのを止め、急落下した。

そのまま空中で足を新・魔王に向かって振った。

足からは剣のような鋭さである風圧が新・魔王に襲いかかった。

 

「ヌルイィ、ナマヌルイゾォ」

 

新・魔王は左腕のみで防いだ。

右腕のアームのような指を伸ばした。

伸ばした指がロケットのように発射され、元・魔王に向かって飛んできた。

手には五本の指が無くなったが、すぐに生えてきた。

 

「【……ちぃ!】」

 

元・魔王はもう一度アホ毛を回し、空を飛んでかわした。

しかし飛んでくる指を振り切れない。

元・魔王はアホ毛を回すのを止め、背中から地面に落ちていった。

それについてくるように、指も後を追ってくる。

 

「【…………】」

 

2m、1m……と地面に近づいてきた。

残り数cmと言ったところで、アホ毛を回して地面を滑るようにしてその場を離れた。

指は元・魔王の方に向きを変えようとしたが、指先が地面に当たり爆発。

元・魔王は爆発した瞬間に地面を蹴り、空へ逃げていた。

 

「【……ふむ】」

 

元・魔王はどう反撃しようか悩んでいた。

魔力から考えて、使える魔法は残り数回。物理も殆ど効かない。

それに相手はまだまだ弱ってないので、最大火力をぶちこんでも耐えられる。

一人ならもう詰んでいる状態であった。そう……一人なら。

 

「あああああ!」

 

突如、空から声が聞こえる。

魔王達は気のせいかと思ったが、その声は少しずつ大きくなってくる。

新・魔王はなんだか嫌な予感がした。

しかし、その予感は何か分からなかった。恐怖、孤独、悲しみ、怒り、不安……どれにも当てはまらないからだ。

そして……

 

「なんで空から落ちてくるんだよォ!?」

 

此方が聞きたい。と言いたいだろうが置いておこう。

雷鳴が新・魔王に向かって空から落ちてきた。

原理は分からないが、地中に攻撃された勢いで掘り進んでいたら、光が見えていつの間にか空にワープしていたのだ。

新・魔王は片手で頭を抱えながら、雷鳴を睨んだ。

雷鳴は地面をゴロゴロと転がっていた。

新・魔王が指先からビームを出してくるが、雷鳴は転がりながらすべてかわした。

なお、本人は痛みで周りが見えていないので『攻撃されてる』と分かっていない。

 

「クソォ……クソクソクソクソクソクソクソクソクソガァ!」

 

新・魔王はぶちギレた。

もう世界を支配するとかどうでもよくなった。

考えているのは雷鳴を倒すこと。元・魔王はもう眼中に無かった。

 

なんか恨まれてる、助けてください。 by雷鳴




【悲報】新・魔王、雷鳴絶対殺すマンへ進化。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

どうすればいいんだ、助けろください。

拝啓 読者様

思い付かぬ……新・魔王戦でやりたいことは大体終わったので、そろそろ結局がつきます(多分)
それと微グロ注意です。


「クタバレェ!」

 

新・魔王の目から垂れてくる黒い液体が止まった。

その液体からは、ドライアイスのような冷たい空気が出てきた。

それはまるで時間が止まったように感じるが、実際は液体を急激に凍らせ、固体にした。

固体にした液体を糸のように細くし、雷鳴に巻き付けた。

 

「動けないです、助けてください by雷鳴」

 


 

まだ終わらない。

否、終わらすことは出来ない。

 

「【……ちぃ!】」

 

元・魔王は雷鳴を助けるため、新・魔王に近づこうとした。

しかし、近づくと、腕に切傷が出来た。

糸は雷鳴を巻き付けている物は見えているが、それ以外にも目に見えない細さで近づいてきた者に傷を負わせるのだ。

 

「【…………】」

 

元・魔王は『焼却』で糸を燃やそうと考えたが、止まった。

だだでさえ魔力が少ないのだ。ここで無駄遣いするよりは、雷鳴に任せた方が良いと思った。

それに、この糸は燃やすと爆発するので結局は手が出せないのだ。

 

「クルシミを味ワエェ!」

 

新・魔王は雷鳴の左胸めがけて、ラッシュした。千発、二千発と……一瞬の時間だったが、雷鳴は永遠の時間のように感じた。

ラッシュを喰らった雷鳴の左胸は、スポンジに力をかけると沈むように、ゴムのように後ろに伸びていった。

 

「キカナイのは予想が付イテンダヨォ!」

 

新・魔王はラッシュを止めた。

そうすると、後ろに伸びていた体が新・魔王めがけて戻ってきた。

新・魔王は戻ってくる左胸を掴み受け止めた。

そして掴んだ左胸に新・魔王の手が体を透けて心臓を掴んだ。

 

「【……『強制「モウオソイゼェ。ジゴクを味ワエェ!」】」

 

新・魔王は元・魔王が『強制転送』を雷鳴に使う前に、雷鳴の心臓を掴んだ。そして……

 

「『デスロール』」

 

割れ物を扱うかのように、優しく掴んだ。そして、手を心臓から離した。

せして体から手を出して何事も無かったかのように思えた。が……

 

「……」

 

雷鳴が突然何も喋らなくなった。体も冷たくなり、息をしていなかった。

新・魔王は『デスロール』と言う魔法を使ったのだ。この魔法は『死』と同等のダメージを肉体と精神に完全に生命活動を停止させるまで、ダメージ。与える攻撃である。

 

「【……『冷却』】」

 

元・魔王が地面に穴を開けて、新・魔王の元まで来たのだ。

元・魔王は手から冷気を出しながら新・魔王の足を掴み、一瞬にして凍らせた。

 

「ヨク考エテイルガァ」

 

新・魔王は凍っている状態ながらも、右手から炎を出した。その炎は氷を溶かし、糸に燃え移り……

 

「エイエンにクヤメェ」

 

大爆発を起こした。新・魔王は爆発が起きる前に、液体を辿って距離を取った。

元・魔王は爆発に巻き込まれ、雷鳴の体も爆発に巻き込まれた。

 

……、……。




……わ~い、眠いな~♪(誰か笑うかな?)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

……、助けろください。

今回はきちんと進みますよ!

最後の三歩手前位まで!


「【……危なかった】」

 

元・魔王は白雲に抱えられて、遠い場所に居た。

爆発に巻き込まれる直前、白雲が元・魔王の影から『テレポート』で出てきたのだ。

急いでテレポートしたのか、白雲も場所は分からないようであり、ドクロのような顔にはヒビが入っている。

 

「魔王様、大丈夫!?」

 

白雲は自分のことよりも、魔王のことを心配した。

それもそうだ。目が覚めると別の場所に居て、魔王の姿が見当たらないのだ。戦っているのだと思い、地下にテレポートして見れば魔王が爆発に巻き込まれそうになっていたのだ。

 

「【……あぁ】」

 

元・魔王は新・魔王が来るまで作戦を立てることにした。今の状態では勝てない。そうなると、『あれ』を使うしか無いと。それか……

 

「【……白雲、とても重要な命令を出す】」

 

「!」

 

「【……まずは───】」

 

 

 

 

 

 

 

 

「【…………】」

 

元・魔王は先ほどまで戦っていた場所に飛んで戻ってきた。

そこには新・魔王が爆発した場所を見ていた。

 

「マサカ生キテイタトハナァ」

 

「【……かかってこい】」

 

新・魔王は目から不規則な動きでビームが元・魔王に飛んできた。

元・魔王は体を反らしかわしたが、ビームは追ってくる。

 

「ソラヨォ!」

 

新・魔王はアームのような手から指を飛ばしてきた。

元・魔王は空を飛び、かわしながら周りを気にしているようだった。

 

「アイツを探シテルノカァ?」

 

新・魔王は雷鳴を探しているのかと思った。だが、雷鳴の肉体は『爆発』に巻き込まれた。そう、肉体は……

突如、後ろから物音が聞こえた。元・魔王は空を飛んでいるので、違う。そんなことは無いと思いながらも急いで後ろを振り向いた。

 

「ナァ!?」

 

そこには、脚が無く体が透明な雷鳴が居た。つまりは、幽霊である。

透明な雷鳴は寝ており、物音がしたのは寝相をうったからである。

新・魔王は攻撃して起こすと、邪魔されると思い放置することにした。

触らぬ(馬鹿)に祟りなし。と言ったところだろうか。

 

「【……まだか】」

 

そんな雷鳴は置いておき、元・魔王は白雲が命令を終わらすのを待っていた。

攻撃を何発も喰らいながらも、白雲が戻ってくるまで。そして……

 

「【……ぐっ!】」

 

飛んでいたが、急降下した。攻撃を受けすぎて、バランスを崩したのだ。そのまま地面に落ちて元・魔王を追っていた攻撃に全て当たってしまった。

 

「トウトウ決着が付クナァ!」

 

新・魔王は右手から『黄色い球』を一つ出す。元・魔王へ向かって飛んで行ったそれは、そのまま喰ら───

 

「『時空斬り』」

 

───われることはなく、元・魔王の後ろに切れ目が発生し、切れ目が開き始めた。その切れ目に新・魔王の攻撃が入り、その切れ目が閉じた。

 

「【……来たか】」

 

「魔王様、終わったよ!」

 

元・魔王の影から白雲から飛び出してきた。

その声と共に、新・魔王の頭上から声が聞こえてきた。

 

「喰らいぃぃぃやがれぇ!」

 

その声の正体は狼男だ。

そのまま新・魔王を殴ろうとするが、腕を一振りして出来た風圧で白雲の方へ吹き飛ばされる。

 

「ぐっ!」

 

「イクラ雑魚が集マロウト無駄ダァ!」

 

「【……白雲】」

 

「『あれ』は無かったよ……」

 

白雲に言っている『あれ』とは銀色の林檎のような物である。元・魔王はそれを食べて、魔力を回復させて最大火力で新・魔王を倒そうとした。

だが、それが無かったため倒す方法は一つしかない。

【自分の魂を代償】として新・魔王を倒すことだ。

元・魔王の魂は魔力の塊のため、()を削れば魔力を獲ることが出来る。新・魔王を倒すには魂を全て削れば倒せるほどの威力が出来る。

しかし新・魔王を倒す代償として、存在が消える……つまりは相討ちになるのだ。

 

「時間を稼げば倒せるのよね!」

 

「魔王、頼んだよ!」

 

「【……あぁ】」

 

魂を削ってまで魔力を溜めるのには時間がかかる。

そのため、白雲達に時間稼ぎを頼んだのだ。

立っているのも不思議な状態なのに、元・魔王のために力を貸してくれるのは、転生者の今までの行いが大きいだろう。

 

力を貸してくれ、助けろ……助けてください。




【まだ雷鳴が居る理由】
最後で必要です。
ですが、居ると戦いが永遠に終わらないので放置しました。


【白雲達】
『仲間が助けに来る』という熱い展開をしたかった。
元・魔王一人だと倒す方法が思い付かない。


【白雲が来た方法】
ここはどこだ!
あれ、魔王様居ない。
なんだこの膜は。『テレポート』
わーい、外出れた~
魔王様が何処に居るか分からないなぁ……さっきのところに『テレポート』しよ!
そこから本編


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

仲間を、助けろください。

拝啓 読者様

平成最後の『拝啓(略)』の投稿です。

ここからは巻きで行きます。


「【…………】」

 

元・魔王は目を閉じて腕を組んでいる。

これは決して、ふざけている訳でも寝ているわけでもない。

自分の魂を削って魔力にするのに集中しているのだ。

そのため周りがどんな状況から分からなく、物音も何か雑音がする程度にしか思っていない。

 

「喰らいなさい!」

 

雪女が手から『吹雪』を出す。

新・魔王にはそんな物は効かないと分かっているが、少しでも注意を逸らそうと目に向かって攻撃する。

 

「ドキヤガレェ!」

 

だが、新・魔王が腕を一振りしただけで吹雪があらぬ方向へ飛んでいく。

次に雪女は新・魔王の足元を凍らそうとするが、跳んでかわされる。

空中に居るときに、今度は狼男からの攻撃が来る。

 

「ドォリャア!」

 

狼男は新・魔王の背中に向かって回し蹴りをした。

新・魔王は首を180°後ろにして目からビームを出した。

狼男は空中に居たためかわせず、そのまま地面に落下した。

 

「『回復』」

 

一方コーランは、白雲を何回も回復させていた。

この四人の中で一番強いのは白雲だ。

新・魔王と白雲との差には次元が違うと言っても良いほどの力がある。

しかし、似たような力を持っているなら何か突破口があると思い、回復させていたのだ。

 

「コーラン、次は狼男を宜しく!」

 

体力が大体回復した白雲は新・魔王に向かって低空飛行で向かっていく。

新・魔王は向かってくる白雲に目からビームを出した。

白雲はビームを回転するようにかわし、切れ目を出した。

新・魔王は白雲が出した切れ目に向かって手をかざした。すると、切れ目が閉じてしまった。

 

「ナゼ同ジコトヲスルゥ?」

 

新・魔王は疑問に思ったが、閉じたはずの切れ目が開いていた。

驚いたが、同時に理解した。

切れ目を二つだし、一つは自分の正面。

もうひとつは一つ目の切れ目の後ろに出し、死角で見えなくしたのだと。

白雲は切れ目から磁石を取り出した。

新・魔王のアームのような手は磁気によって不規則な動きを始めた。

 

「コシャクナァ……」

 

新・魔王は手を引きちぎった。

機械で出来ていたのか、千切った腕からはバチバチと電気が流れている。

千切った腕を白雲に投げつけてた。

白雲は咄嗟に切れ目を出すが、すぐに新・魔王によって閉ざされる。

 

「ぐぅ……!」

 

白雲は空中でバランスを整えて、急停止する。

が、目の前を見ると新・魔王が拳を振りかざしていた。

白雲はなす統べなく吹き飛ばされ、元・魔王の近くに転がり体が起き上がらなくなる。

 

「ウットウシィ……」

 

新・魔王はコーランに近づき、蹴りで吹き飛ばした。

この四人の中で一番厄介なのは回復出来るコーランだ。

そして次に厄介なのが白雲。だが、白雲はもう倒したため残りは二人である。

 

「くそがぁぁぁ!」

 

狼男が凄い勢いで突進してくる。

新・魔王は自暴自棄になったと思い、蹴りで沈めようとする。

そして蹴りが当たる直前、シャボン玉のような氷の膜が狼男に当たった。

すると狼男の体が凍り、新・魔王からの攻撃はその氷に当たった。

氷は砕けたが、狼男には攻撃が来ずそのまま突進してきた。

 

「一発防いだわよ!」

 

実は雪女が元・魔王に使った技である。

最も、彼のときは元・魔王(転生者)が触れただけで割れてしまったが。

本来は氷の膜に触れた相手を凍らせる技である。

 

「オモシロイィ……」

 

新・魔王は目からビームを出し、狼男を吹き飛ばした。

そして吹き飛ばした先にいるのは雪女。

狼男と雪女はぶつかり、仲良く気絶した。

 

「【……溜まった】」

 

「チィ、スコシ遊ビスギタカァ」

 

新・魔王は元・魔王の方を向く。

元・魔王の体からは、魔力が溢れ出ていた。

恐らくこれが最後の一撃だろうと新・魔王は直感した。

これを喰らえば消滅してしまうと思ったが、慌てはしなかった。

『最後』なのだから当たらなければどうということはないと。

 

これで最期だ、助け……てください。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最後だ、助けろください。

平成最後と言ったな……あれは嘘だ。
さて、今日はこれで七本目です。

本当にこれが平成最後の『拝啓(略)』の投稿で、小説の投稿です。


「【……行くぞ】」

 

「サッサット来ヤガレェ」

 

その言葉と共に、元・魔王は地面を蹴る。

新・魔王はいつでもかわせるように構える。

だが、元・魔王は地面に吸い込まれるように消えた。

新・魔王は何が起こったか分からなかったが、直ぐに理解した。

 

「シニガミィ!」

 

そう、白雲だ。

白雲は先ほど新・魔王の攻撃を受けて体が起き上がらなくなった(・・・・・・・・・・・・)のであり、戦闘不能にはなっていない。

それに体が起き上がらないだけで、動けない訳ではない。

白雲は指を動かして切れ目を元・魔王の足元に出したのだ。

そして元・魔王がどこから攻撃してくるか分からなくした。

新・魔王は切れ目がどこにあるか分からないと、操れないのだ。

白雲を先に消そうと考えたが、その間に元・魔王の攻撃を受けては意味が無いと思い、かわすのに集中することにした。

 

「…………」

 

新・魔王は何処から攻撃が来るか考えてた。

そして空中や後ろと言った注意力が浅くなるでれう場所に出てくると考えた。

そうして新・魔王の考えた通り、後ろに切れ目が出現した。

新・魔王は後ろを向き、相手に絶望を与えるため、攻撃してくるところで消滅させようと考えた。

けれども新・魔王の目の前に切れ目が現れた。

 

「モウ遅イィ!」

 

新・魔王は手に炎を集めて、塵すら残さず消そうとした。

その前に目の前に出ている切れ目を消した。

だが、先ほどと同じように後ろにもうひとつ切れ目があると考えていた新・魔王は油断しなかった。

そして消した切れ目の後ろに、もう切れ目があった。

新・魔王のその後ろにあった切れ目も消した。だが……

 

「【……そうくると思った】」

 

切れ目は三重になっていたのだ。

急いで三つ目の切れ目を消そうとするが、既に遅く元・魔王に逃げられた。

新・魔王は後ろに出てくると思い、炎を集めて焼き払った。

 

「イナイダトォ……?」

 

フェイントをかけて、後ろに出てくると思った新・魔王は不思議に思った。

空中かと思い、上を見るが見えるのは月だけである。

嫌な予感がしたのでその場を離れようとしたが、足が凍りついていた。

 

「アノ女カァ……クソガァ!」

 

先ほどまで雪女と狼男は気絶していた。

しかし、コーランは気絶しておらず白雲が切れ目を使って呼び寄せたのだ。

コーランは見つからないように雪女と狼男を回復させたのだ。

そして回復した雪女は新・魔王の足を『氷膜(ひょうまく)』で凍らせたのだ。

 

「ダリャアァ!」

 

狼男は足が凍っている新・魔王に向かって、正面に走ってきて拳を浴びせようとした。

けれども新・魔王は目からビームを出して狼男を遠ざけようとした。

流石にそう何度も攻撃には当たらず、かわした狼男。

しかし近づいたところで、新・魔王が腕を振った。その風圧で吹き飛ばされた。

 

「ザコの相手ヲシテル時間ハネェ!」

 

新・魔王は元・魔王を探そうとして、意外な場所にいたのだ。

それは自分の正面である。

切れ目がそこから出現し、自分の足元から腹に向かって拳を振るのが見えた。

急いで空間を移動して逃げようとするが、何者かに羽交い締めされる。

 

「ただでは、倒されたりは……しない!」

 

白雲だ。コーランに最低限まで動けるように回復してもらい、

新・魔王の後ろに『テレポート』してきたのだ。

 

「【……ありがとう、な】」

 

「ナァ……ヤァ、ヤメロォォォ!!!」

 

新・魔王の叫びが響くなか、拳は止まらずに新・魔王の腹に当たる。

その衝撃で新・魔王は白雲と共に空中に放り出される。

そして地面に落ちると、動かなくなった。

新・魔王からは金色の見る人物全てを魅了するような光を出していた。

その光が大きくなると同時に、新・魔王の体が消えていく。

それと同時に寝ている雷鳴は肉体を取り戻し、体が金色に光り輝き始めた。

 

終わったな、助け、てください。




新・魔王、撃破。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

助けろください、助けてください。

拝啓 読者様

多分後1、2話で終わります。

前回説明してなかった気がするので説明。
【雷鳴を最後まで残した理由】
新・魔王を倒すと雷鳴が元の世界に帰れる。
雷鳴が途中で退場すると、新・魔王が完全に倒せたか分からない。
よし、取り敢えずいてもらうか。
そして雷鳴が消えたら、新・魔王が倒したという証拠になるな!


「……ここは」

 

俺は目が覚めると知らない……いや、あいつと会った真っ白な空間に居た。

俺は周りを確認するが、誰も居ない。

体を確認するとショタになっていた。あれ、俺は消えたはずなんだが……

 

【……精神世界だ】

 

後ろから声が聞こえたので、振り向いた。

後ろには俺と同じようにショタであるが、体が幽霊のように薄かった。

 

「……魔王、どうしてここに?」

 

俺はそう聞くと、頭の中に何かの映像が流れてきた。

これは……元・魔王と新・魔王が戦ってるのか。

それに、よく分からない奴が来たり、新・魔王が変身したりしてるな。

 

「……記憶か」

 

俺と同じ格好……元・魔王が頷く。

けど、何故こいつの記憶が流れてるのだろうか。

そもそも俺は吸収されたんじゃ……

 

【……俺は魂と引き換えに力を全て使った。

 

……結果、魂が消滅してこと体には代わりの魂が必要になった】

 

「…………」

 

なるほど。

力を使い果たして、元・魔王は消える。

けど、この体には新しい命が必要なのか。

 

【……お前の魂は魔力とは関係ないので、

 

吸収しても『異物』として残ったためだ】

 

つまりは、この体は元・魔王の者では無くて、俺の者になったのか。

だけど、俺は白雲達が先に心配だな。

……あれ、ってことは!

 

「……お前は、消えるのか」

 

元・魔王は首をゆっくりと縦に振った。

つまりは、器だけ残るのでその器に()を入れるのか。

そうなると……まだ魔王を続けないといけないのか。

嫌だ!って、昔の俺は言ってたな。

今は『魔王』としての自覚があるし、この生活も悪くないと思えてきた。

戦いたくないのは変わってないけどな。

けれども、こいつが居なくなると悲しいな。

 

【……俺の魂は魔力の塊だ。

 

……魔力さえ溜まればいつでも復活出来る】

 

不死身かよ。

しかも言い方から考えると、何度か復活してるのか。

でも、魂が復活するだけで体はそのままなのか。

……この体腐ってないよな?匂い大丈夫だよな!

 

【……何してる】

 

「……匂いが無いかどうか」

 

俺は元・魔王に頭を殴られた。

い、痛い……この野郎、自分の体だと自覚はあるのかよ!

この合法ショタが!

そしてまた殴られた。

 

【……俺も丸くなったな】

 

こいつが丸くなった……?

最初の戦いを確認すると、昔は普通に仲間を見捨てるようなことをしてたのか。

でも白雲達を助けてたな。それで丸くなったと思ったのか。

なんだろう、凄く嘘臭いな。

 

【……殴るぞ】

 

殴り返してやろうか。

そんなことを話していると、元・魔王の体が光の粒子となって足元から消えてきた。

 

【……そろそろ終わりか】

 

「……またいつか会おうな」

 

俺達はお互いに近づき握手をする。

そして少しずつ消えていき、残りは上半身のみになった。

そして元・魔王は最後の言葉とでも言うように、重く口を開いた。

 

【……バーカ】

 

俺はその言葉を聞いた瞬間、元・魔王を殴ろうとするが、一瞬にして元・魔王が消えていった。

お前、消滅する速度操れたのかよ!

あの野郎……次あったら絶対殴る!

そして視界が暗くなってきた。

さて、改めて異世界ライフを楽しむか。

 

助けてください、助けろください。




元・魔王の魂が消滅した。
主人公が復活した。

そして次が(多分)最後です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

改めて魔王になりました、助けてください。

拝啓 読者様

こんにちは、サプライズやドッキリが大好きな作者です。


「……どこだここ」

 

本当にどこぉ!?

俺は起き上がり、周りを確認する。

あるのは凄く光が眩しいステンドガラスと、禍禍しい座り心地の良さそうな椅子に、俺の寝ていたベッドだけだ。

あっれ~なんかデジャヴだなぁ。まぁ俺は気のせいだと信じたい。

 

「……誰か居な「はい!」」

 

はえーよ、ほせ。

なんか久しぶりな感覚だな。

俺が寝ていたベッドの下から白雲が出てきた。

お巡りさん、この骸骨です。

 

「魔王……様?」

 

一瞬白雲に呼び捨てされたかと驚いた。

俺がそんなことに驚いていると、白雲が泣き始めた。

え?白雲どうした!?

 

「魔王様~!」

 

白雲は涙を流しながら、俺にダイブしてきた。

待て待て待て!体格的に考えると潰れるから止めろぉ!

俺はパニックになりながらも、ベッドから逃げた。

あれ、前より早く動けてる。

元・魔王が戦っていた感覚がまだ残ってるのか?

 

「……白雲落ち着け」

 

「魔王ざまぁぁぁ!」

 

抱きついてくるなよ、涙と鼻水で汚れる!てか、今現在進行形で汚れてるんだよ!

それとちゃんと喋れよ。俺が何かして『ざまぁ』と言われてるみたいじゃんかよ。悲しくなるから、な……

 

 

 

 

 

「……落ち着いたか?」

 

白雲は落ち着いたようで、普通に話せるようになった。

その代わり俺は大雨に濡れたようになった。

 

「うん……あ、魔王様。久しぶり!」

 

久しぶり?

白雲は俺が疑問に思っていることに気づくと色々と説明してくれた。

新・魔王が消滅した後、元・魔王が倒れた。

新・魔王の洗脳を受けていた奴等が白雲達を治療してくれた。

元・魔王()は100年眠っていた。

こんなところか……ん?

 

「……100年?」

 

俺は100年も眠っていたのか。

この体は眠りすぎじゃないのか?

俺は体の匂いを嗅ごうとしたが、元・魔王に殴られそうなので止めた。

 

「……100年の間待たせちまったな」

 

「大変だったよ……」

 

そのあとは白雲から淡々と愚痴を言われた。

コーランが俺の体をずっと治療し続けて、魔力が無くなりそうになったこと。

狼男と雪女が喧嘩してログハウスが壊れたこと。

最近になってほぼ全ての魔物を手下に出来たこと。

 

「……よく頑張ったな、白雲」

 

ただし、雪女と狼男は殴る。

わざわざ作った家を壊しやがって……

それとな、白雲。

その事でイラついてたのは分かる。だから、鎌を振りまくるのを止めてくれ。怖い。

 

「あっ、魔王様これから散歩に行きましょう!」

 

「……あぁ、そうだな」

 

俺はあの時と同じように、白雲に着いていった。

 

拝啓 魔王様 これから頑張ります、見ていてください。

 

~完~

 


 

これから台本形式です。

茶番もとい、会話をします。

 

のろとり(作者)「終わったぞぉ!」

 

主人公(元・魔王)「……そうだな」

 

のろとり「ここまで半年くらい……長かったな」

 

主人公「……俺は疲れた」

 

のろとり「まぁ色々と変更があったからな」

 

※この話は裏話にする予定です。投票の結果によりますが。

 

主人公「……今までありがとな、また会う日まで!」

 

のろとり「魔王様? 何を言ってるんだよ」

 

主人公「……は?」

 

のろとり「まだ続くぞ」

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼▲▼▲

 

 

 

 

 

「ふべっ!」

 

突如、白雲の頭上に切れ目が現れ人が落ちてくる。

この事に気づかなかった白雲はその人物と頭をぶつけた。

白雲は痛くて、頭を抱えながらしゃがみ落ちてきた人物は俺の方を向いた。

 

「……は?」

 

何故……こいつがここに居るんだ?

俺はこいつを知っている。元・魔王の記憶から分かった。

髪の毛はツンツン頭の金髪で、黄色い瞳をしており顔はそれなりに整っている。

 

「どこだここ?」

 

あ~うん、あれだ。

シリアスを壊すなよ。雷鳴、お前もう……帰れよ。

 

こいつをどうにかして、助けてください。




「……のろとり、これは一体どういうことだ?」

俺は魔王様に首を掴まれている。
作者補正で苦しくはないけど、痛いから止めてくれ!

「ほら、前書きに『サプライズやドッキリが大好き』と言ったろ? あれ伏線」

そう言った瞬間俺は魔王様に殴られた。
サプライズで『まだ続く!』っしたのに。
痛い……まぁ置いておこう。
それに続けようとしたのは投票中のことだからな。



さて、本題に移ります。
次回から『異世界者』が来ます。
雷鳴が出てきたのは、分かりやすくするためです。

そしてこれから異世界者の募集をします。
活動報告でお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

【第二章】~異世界人編です、助けてください。~
『第三勢力』です、助けてくれ。


拝啓 読者様

これは過去話です。
まだまだキャラは募集してるので安心してください。
また、記述するのを忘れてましたが、キャラの募集人数に制限は無いです。


これは元・魔王が新・魔王と決着をつける前。

そして元・魔王(主人公)の封印からとかれる数日前にあった、復讐に燃える『第三勢力』の話である。

 

 

 

 

 

「ここがあの野郎のアジトか」

 

この人物……いや、魔物はある場所に来ていた。

この魔物の名前は『(るな)』。

顔が狼のように鼻が出ており、体は筋肉。それ一言で表せるほどであった。

全体的に黒い見た目であり、ガラスのように何もかも見通すような透明な瞳をしていた。

 

「…………」

 

そんな月が居る場所は新・魔王のアジトである。

月は新・魔王の部下でも、元・魔王の部下でもない。

否、正確には『元・魔王の昔の幹部』である。

元・魔王が封印されてから、月は幹部を止めて自由気ままに生きていたのだ。

しかしある日、新・魔王が魔物の洗脳を初めた事に気づいた月は姿を隠しながら鍛えていたのだ。

 

「絶対に消してやる……!」

 

月の目には復讐。それしか映っていなかった。

月の親友が、新・魔王よって消されたことを知り新・魔王の所に殴り込みに来たのだ。

その親友の魔物は自分の命と引き換えに、アジトの場所を月に教えたのだ。

月は新・魔王を倒して、自分も親友と同じ場所に行く為に最後の戦いをすることにした。

 

「オレの拳で貫いてやる」

 

そして月はアジトに乗り込んだ。

 

 

 

 

 

「侵入者だ!」

 

「おい、早く捕まえろ!」

 

「お、俺達じゃ無理だ! 幹部を呼べ!」

 

「今は留守だ!」

 

アジトは地獄とかしていた。

昔とは言え、元・魔王の幹部。

そして鍛えた力で新・魔王の部下たちを倒して行く。

その中には月の部下だった者も居るが、気にせずに進んで行く。

 

「ナんなんだァ、コれはよおォ」

 

突如、月の後ろから声が聞こえる。

先程まで誰も居なかった筈なのに、いつの間にか後ろに立たれていたことに冷や汗が流れる。

ゆっくりと、ナメクジのように後ろを振り向いていく。

 

「お前は……誰だ?」

 

その生物は人形だが『人』と呼べる者ではなかった。

肩甲骨辺りからは、白く大きな翼が生えていた。

短い黒髪で、本来顔がある部分は大きな目玉のみだった。

左腕は普通の人間のものだが、右腕は黒い見たこともない衣服(パーカー)で見えなかった。

だが、膨らみから考えると中に大砲が入っているような大きさだった。

 

「アァ?」

 

「答えろぉ!」

 

その言葉にその人物は鼻で笑う。

そして名乗り始める。

 

「コの世界の新しい魔王だァ」

 

その言葉を聞いた瞬間、月はこの人物……新・魔王に殴りかかる。

だが、新・魔王は左腕のみで受け止めた。

その殴った衝撃波で、月がさきほど倒した新・魔王の部下が吹き飛んでいく。

それほどの威力だが、新・魔王には効いていないようだった。

 

「ちぃ!」

 

月は何発も。何発も新・魔王に殴りかかる。

しかし全て左手で受け止められる。

自分にはこの戦いの舞台(新・魔王)は次元が違うとでも言うのか。そう考えるが、すぐに頭を切り替えて新・魔王に足払いをくりだす。

 

「沈みやがれぇ!」

 

空中に浮いた新・魔王を飛ばないうちに、頭を掴んで地面に叩きつけようとする。

だが新・魔王は殴ろうとしてきた腕を掴み引っ張った。

そのまま体を回転させて、月を地面に叩きつける。

 

「……コいつは中々使えそうだなァ」

 

新・魔王の右腕が光り始める。

月は躱そうと暴れるが、新・魔王に頭を押さえつけられて逃れられない。

そして……右腕から出る光りが眩しく感じた頃、月は意識を手放した。

一矢報いることすら出来なかった悔しさを胸に抱きながら。

 

 

 

 

 

「(ここは……)」

 

月は意識を取り戻した。

だが、体が動かないくて目も開けられない。

そして口に何か付いていることに気づいた。

月は現在何かのカプセルに入れられており、他にも多くのカプセルがある部屋に居た。

 

「コいつは利用価値があるけどォ、ジかんがかかるなァ」

 

月は新・魔王の声が聞こえると、すぐに殴りかかかろうとするが、動かない。

 

「マァ、それも『クローン』を作るなんて、そリャ時間がかかるよなァ」

 

月には新・魔王が何を言っているか分からなかった。

だがコイツの思い通りに動きたくない意思はあった。

そして何処かへ行く足音が聞こえた。

月は動けない。足音が消え、そして新・魔王の声も聞こえなくなった。

 

「(…………)」

 

月の心は折れてしまった。

自分が何をしても変わらないんじゃないか。

自分が何をしても変わらないだろうと。

そして新・魔王との戦いから何日たったか、分からないが月は何もかもどうでも良くなった。

 

「……これは」

 

「……見えないな」

 

誰かが自分の方を見ている気がした。

何処かで聞いた声が聞こえた。

それでも月は気にしない。

その声が元・魔王であろうと。

やがてその声も聞こえなくなる。

何かが聞こえる。壁に何かがぶつかる音。何かが壊れる音。

その音もいつの間にか消えた。

 

 

 

 

 

「アノ野郎は絶対に消シテヤルゥ!」

 

聞き覚えのある嫌な声が聞こえる。

月の意識はその声を聞いて、思考が回復した。

けれども動けないので無意味である。

何処か違和感があるが、この声は新・魔王だと確信する。

 

「コイツは雑魚ダガァ、ソンナコトはモウドウデモイイ」

 

突如、自分の体に異物が入る感覚がする。

月はそれを取り除こうとするが、何も出来ずに蝕まれる感覚がする。

 

「…………」

 

異物があったと言う、感覚が無くなった頃体が動くことに気づく。

カプセルの中で手を何回も握る。

体がきちんと動くことを確認すると、カプセルを割る。

カプセルの外の世界を確認して、このカプセル以外にもカプセルがあることを確認する。

幾つか割れて駄目になっている者もあるようだが、気にしない。

 

「…………」

 

そのカプセル達を割り、中に居る者……『自分』を出す。

その『自分』が意識を取り戻すまで力を確認する。

何回か試して、その感覚を取り戻す。

 

「フクシュウシテヤルゥ!」

 

そして月……否、『月の体の新・魔王』は復讐することを誓う。

 

オレを、助けてくれ。




【解説】
《新・魔王が月の後ろに居た理由》
魔物の洗脳が終わったので、基地に戻る。
なんだか部下が倒されてる。
奥に進むと、月が居た。

《カプセル》
元・魔王が中が見えないと言ってたカプセル。
あの中には月が入っていた。
沢山のカプセルがあったが、 それは全て月のクローン。

《新・魔王が月の所に来た理由》
魂だけの存在となり、浮遊していた。
復讐を誓い、便利な体を探してると月を見つけた。
そして乗り移った。

《『自分』を取り出す》
自分の魂を分裂。
そして月のクローンに憑依させる。
『自分』となったクローン達をカプセルから取り出す。

《力を確認する》
切れ目を出せるか確認。
ついでに、魂となってから乗っとるまで100年の時間がかかった。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

前章出てたから帰れ、助けてください。

拝啓 読者様

キャラ募集は今日までです。
それとまだキャラの募集が来る可能性があるので、キャラ募集をしてくれた読者様の紹介、感謝の文等は次回に回させていただきます。
けれども、今回は一体のみ出てきます。
また、キャラクターの説明は登場した時に説明します。


「なぁ、なんで俺はまたここに居るんだ?」

 

「……知るか」

 

俺が聞きたいよ……

俺と雷鳴はこの建物の中にある客室の一つで向かい合って座っていた。

場所は白雲が先ほど意識が復活したので、案内してもらった。

白雲よ、せっかく感動の再開したのに雑用のように使ってすまん。

 

「……ここに来るまでの記憶は?」

 

「なんか切れ目みたいな、そういうのに吸い込まれた」

 

「……切れ目!?」

 

いや、落ち着け。

新・魔王は消滅したんだ。

だとしたら白雲か?でも白雲が雷鳴を呼ぶ理由が無いな。

しかも自分の頭に落とす理由が無い。それにあんなに俺との再開を喜んでいたのにそんなことはしないか。

なら同じ。または似たような能力を持ってる奴がいるのか?

……念のため、新・魔王の城に行くか。もう一つの研究所は跡形もなく壊れてるからな。

 

「魔王様、大変だ!」

 

狼男が客室の扉を大きな音を開けて入ってきた。

なぁ、100年前と比べて力が成長したのは分かった。

けれども扉壊すのは止めてくれないか?

雷鳴が吹き飛んだ扉のせいで気絶してるのだが。

 

「……どうした」

 

おそらく俺を見ても驚かないのは白雲に聞いたのだろう。

それはそうと、何が大変なんだ?

 

「新・魔王の城が急に爆発しやがった!」

 

は?お、おい……どういうことだよ!

爆発?しかも急にだと?新・魔王はもう倒したはず。復活したのか?でも城が爆発した理由は?何故復活出来たんだ。

分からない、分からない……

 

「部下達が何体か巻添えを喰らって!」

 

狼男が何かを話しているが頭に入らなかった。

新・魔王をもう一度倒すのか?い、いや、まだ新・魔王が復活したとは限らない。別世界の新・魔王の部下の可能性があるし、無関係の奴が来た可能性も!

 

「……白雲」

 

俺が白雲を呼ぶと、気絶した雷鳴の影から出てきた。

今は何処から出てきたとかはどうでもいいな。

 

「はい」

 

「……飛んでくれ」

 

白雲は俺の目の前に切れ目を出し、一緒に入っていった。

これは確認しないとな。

そしてそこには何も無かったかのように切れ目が閉じた。

 

「俺を置いていくなよ!」

 

「…………」

 

気絶している奴と、毛深い魔物を置いて。

 

 

 

 

 

「……跡形も無いな」

 

俺はこの前……いや、実際は100年前か。

あれ、だとしたら結構俺老人だな。

これから話すとき『〇〇じゃ』と付けようかな。

……現実逃避は止めるか。

俺達が死闘を繰り広げた場所は、元々建物を破壊したのに加え、新・魔王との戦いもあったのでボロボロになっていた。

けれどもある一定の場所から、隕石が落ちたようになっており黒い地面すら削れてなくなっている。

 

「魔王様、気をつけて」

 

「……分かってる」

 

俺達は爆心地に警戒しながら歩き始めた。

俺は何時でも相手を殴れるように。

白雲は緊急時に逃げられるように。

そして歩いていくと、それは倒れていた。

赤みの入った黒髪に長い髪。

倒れた衝撃で取れたのか、直ぐ近くには白いマリンキャップが落ちていた。

誰だ、こいつは……?

 

人が倒れてました、助けてください。




最後に出てきたキャラの紹介(一部のみ)

【説明】
名前:虎尾阿 ミサ(こびあ みさ)
考えた人:有限世界 様
原作:※『俺の能力雑魚過ぎない?』

※有限世界 様に『この作品に出てくるようなキャラクターで!』とリクエストを受けたので、原作は『俺の能力雑魚過ぎない?』です。
けれども、実際はそちらの作品に出てないです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

投稿遅れました、助けてください。 by作者

拝啓 読者様

投稿が遅れて申し訳ありませんでした!
言い訳は後に回すとして、先に重要なことを。

キャラ募集に参加していただいた皆様
・翠昌◆秋 様
・有限世界 様
・ケツアゴ 様

ありがとうございます!


「あれ? ここは……」

 

「目が覚めたのね」

 

元・魔王が倒れていた人物……少女を見つけてからしばらくたった。少女は白雲によって城に送られて、とある一室のベッドで目を覚ました。

少女はまず周りを確認した。

周りには少女が寝ていたベッドと、被っていた帽子が置いてあるだけで他には何も無かった。

可笑しな点があるとするならば、部屋が真っ黒な事である。

取り敢えず少女は、帽子を被って事情を聞くことにした。

 

「貴方は誰ですか?」

 

「私は雪女よ」

 

「ゆ、雪女?」

 

少女は困惑した。

雪女なんて空想上の生き物だと。

そもそも自分は現代で死んで、特典を貰って転生したはずだと。

仮にここが異世界だとしても、魔物ではなく妖怪が居るなんて可笑しいだろうと。

 

「貴方が私を救ってくれたの?」

 

雪女は首を横に振る。

 

「魔王が助けたのよ」

 

少女は思った。

あ、これ私死んだわ……と。

元・魔王はこの少女をどうにかするつもりは無いが、この少女は魔王=悪と考えているので、無理もない。

少女はどうにかして魔王城から逃げようとすることにした。

 

「おい雪女、入るぞ!」

 

少女の部屋の木製の扉を蹴り破り、入ってくる者が居た。

雪女は蹴り破られた影響で、木の破片が飛んでくるが雪女が全て凍らせる。

 

「またあんたなのね、狼野郎」

 

雪女はため息をつきながら、狼男を睨む。

少女はこの世界には妖怪しか居ないの?と現実逃避をしていた。

 

「なんか文句あんのか?」

 

「そうだけど、なんか文句あるのかしら?」

 

雪女と狼男は互いに額を着けながら睨み会う。

今すぐにでも戦闘を開始しそうなほどである。

少女はこの隙に逃げようとした。

しかしその前に雪女が手に冷気を集め始め、狼男が拳に力を入れ始めた。

 

「これはヤバイ!」

 

少女は戦闘に巻き込まれる前に……

 

「能力発動……?」

 

少女をまだ一回しか使ったことのない能力を使った。

能力の発動条件がいまいち分からなく、口に出したようだ。

この少女の能力は『爆発』半径5km以内まで爆発させることが出来る。

しかしこの能力にはデメリットがある。範囲と威力を操れないことだ。つまり……

 

「「あ」」

 

雪女と狼男、ついでに城を巻き込んで大きな爆発が起きた。

元・魔王が関係している建物は全て破壊される運命にあるのだろうか。

 

 

 

 

 

「……!」

 

「魔王様、どうしたの?」

 

「……い、否なんでもない」

 

なんだろう、急に嫌な予感がしてきたけど大丈夫だよな?

少女を白雲の能力で城に送って貰ってから、しばらくたった頃。

俺と白雲は周りを探索していたが、特に情報は無かった。

それにしてもついてないなぁ……爆発を喰らった魔物全員跡形も無く消滅したなんて。

 

「……白雲、倒れてた奴を呼んでこい」

 

白雲は城へと切れ目を使って向かった。

なんか、なんか凄い嫌な予感がするから呼んでもらおう。

城には狼男や雪女が居るだろうから、大丈夫だとしてもあの少女は一般人?だろうからな。

もしかしたら、部下が全滅してたり城が崩壊してたりあるかもしれない……いや、大丈夫か。

 

「魔王様、少し此方に来てください」

 

白雲が切れ目から上半身だけ出して、俺を呼んできた。

おい止めろよ、それ深夜だったら怖いよ。

まぁ着いていくか。なにか困るようなことがあったのだろう。

俺は切れ目を潜り、城へと着いた。着いたのだが……

 

「……え?」

 

「すいませんでした」

 

俺が目にしたのは……

瓦礫程度にしか残っていない城、倒れている雪女や狼男やコーランなどの魔物達、助けた少女の土下座。

何がどうしてこうなった?

 

なんつーかあれだ、助けてください。




【キャラ説明】
名前:虎尾阿 ミサ(こびあ みさ)
性別:女
身長:150cm
体重:不明
能力:爆発
※考えた人:有限世界 様

(※有限世界 様に『この作品に出てくるようなキャラクターで!』とリクエストを受けたので、原作は『俺の能力雑魚過ぎない?』です。
けれども、実際はそちらの作品に出てないです。)

[容姿]
赤みの入った長い黒髪
赤い瞳
白いワイシャツの上に紺のカーディガン
白いマリンキャップ

[性格]
自分の手に負えないことや、巻き込まれる時は逃げる
けれども自分に非がある場合や、恩がある場合はキチンと返す。
ゲームや漫画の影響で、変な先入観があったりする。

[技]
『暴発』
一応最強ランクに入る。
威力と範囲は固定だが、自分を中心に半径5kmを爆発させる。
威力は建物を粉々にするほど。

[その他]
本来は平和な世界に転生する予定だったが、切れ目に間違えて入ってあの世界に迷いこんだ。
実際、雑魚能力というよりも使い道のない能力である。

[元ネタ]
作品:この素晴らしい世界に祝福を!
キャラクター:めぐみん



《THE☆言い訳》
はい。いつか短編を投稿したら『またお前かよ』と言われるようになるのが、最近の目標の【のろとり】です。

今回投稿が遅れた理由は展開が思い付かなかったからです。
今回はどのように話を展開させるか悩んでました。

《候補》
・その場で気絶から覚めて、魔王に着いていく
・城で目覚めて、別行動
・ある程度展開が進むまで、城で気絶してもらう

こんな風にこの先の『結果』は考えていてもそれまでの『過程』が思い付かなかったです。
あぁ、ボスのキンクリが欲しい。

それに展開の変更など。
ついでに最近一週間が早く感じます。

では、またいつか。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

また城が壊れました、助けてください。

拝啓 読者様

ごめんなさい、遅くなりました!
そして新たにもう一人……来るかな?


「……なるほど」

 

この少女……もとい、『虎尾阿(こびあ) ミサ』という人物は、何故かこの世界に迷いこんだそう。

本人も理由は分からなく、いつの間にか知らない場所に居たことに驚き、怖くなって能力を使ったと。

 

「すいませんでした」

 

城が壊れてることに関しては、狼男と雪女が喧嘩したのを止めようとしたそう。

あいつらの仲は一生直らないだろうな。

それに俺が関係している建物が壊れるのは……何て言うか、慣れた。

今までを振り返ってみると、全ての建物が破壊されてる気がする。

だがこれは決して俺は悪くない、偶然だ。

ついでに、雷鳴が居ないのにも気づいたが……まぁアイツなら大丈夫だろ。

 

「……気にするな」

 

俺だってそんな状況になったら慌てる。

最初は夢だと思ったくらいだからな。

それが今やこの世界の魔王か。

……なんか酷いことなってることを再確認した。

 

「だって……カプセルが破れてたらなにか出てきた思うじゃん?

 

化け物が居るのかと思ったかね」

 

は?カプセル?

確か彼処の部屋には中身が分からないカプセルがあったな。

それが割れていたのか。だとしたら誰かに割られたのか?それとも独りでに割れたのか……

まぁ新・魔王関連の物があったら、後々面倒なことになるだろうから、どうにかするか。

 

「……白雲」

 

「新・魔王関連の事について調べる? 行ってらっしゃい!」

 

待って俺まだなにも言ってない!

なんか白雲が怖いな。なるほど、これがヤンデレか。否、違うか。

でも誰か連れていきたいな。

コーランは回復出来るからここに居てもらうとして、狼男と雪女はまだ倒れていて、白雲は疲れてるだろうから休んでもらうか。

さ~て、ぼっちだな!

 

「あ、あの……私も着いていって良い?」

 

いざ出掛けようとしたら、ミサが手を挙げた。

これは挙手制ではないのだが……けど、着いて来てくれるなら良いか。

 

「……来い」

 

そうして俺とミサは歩き始めた。

何処へ!

手掛かりなんて物は無い。だから歩くしかない。

あ、でもアホ毛を使えば飛べた筈だな。

 

 

 

 

 

「…………」

 

「…………」

 

会話が無いな。

と言うより、なんかシュールなんだよ。

中学生位の女の子が笑いを堪えながら、小学生程の身長の魔王に抱えられて、その魔王がアホ毛を回しながら空を飛んでいる。

なにこれ?酷い光景だな。

 

「……この辺りで良いか」

 

俺は何回か来たことある湖に着陸した。

懐かしいな。溺れる、新・魔王の幹部を沈める……あ、ろくな思い出が無いな。

ついでに言うと湖に来た理由は特にない。

俺の知ってる場所に行けば何かあると思ったからだ。

でも俺が知ってる場所はろくな所が無い。

俺の城の跡地だろ、森と湖だろ、砂漠だろ、れき岩だろ、支部跡地だろ、新・魔王の城跡地だろ……これは酷いな。

 

「何も無いね」

 

ミサは湖をジッと見ている。

湖にも周りにも何もなくあるとするならば、幹部と戦闘した跡地だけだ。

……まだ幹部が生きてるとか無いよな、大丈夫だよな?

念のために湖を確認するか。誰か沈んでるかもしれない。幹部以外、幹部以外な!

そうして俺が湖に近づき始めたとき……俺達から見て正面の草むらが動いた。

 

「……下がれ」

 

何があるか分からないので、ミサを後ろに投げた。

軽く投げたからきっと怪我はしてないだろう。

ミサはチートと思える能力を持ってるだけで、実際は名前だけの勘違い能力だ。

つまりは雑魚能力。

それにミサを戦い参加させたら、ここら辺が大惨事になる予感しかしない。

 

「この辺りかな……っと!」

 

草むらから出てきたのは女子高生位の女性だった。

顔はそれなりに整っており、長い黒髪。

紺から赤へグラデーションを持った瞳。

花の女子高生が着るには多少恥ずかしいであろう、ピチッとした紺と赤の服。

そしてその人物は刀を腰に差していた。

 

「……見つけた?」

 

「……は?」

 

誰だこいつ。

何故俺?を探していたのか。

こいつもミサや雷鳴と同じ異世界から来たのだろうか。

そう考える前に、少女は刀を抜いて水の上を走りながら迫ってきた。

 

「……!」

 

俺と後一歩の距離になった少女はしゃがみ、跳びながら俺の足元から刀を上にあげてきた。

俺は一歩下がり、縦に真っ二つに斬れることはなかった。

そして俺が怯んだ間に今度は空中で蹴りを入れてきた。

怯んだことで一瞬反応は遅れたが、少女の脚を掴んで投げ飛ばした。

少女は投げ飛ばされたが、空中で回転しながら姿勢を整えて着地した。

 

「「……」」

 

こいつ強い、助けてください。




【キャラ説明】
名前:空良(ソラ)
性別:女
年齢:16歳
身長:155cm
体重:乙女の体重は秘密だゾ☆
能力:勇者であること
考えた人:翠晶◆秋 様
原作:一年前に失踪した幼馴染みが異世界から帰ってきた件

【容姿】
一般的な女子高生。
髪の毛はロングの黒髪。
顔はそれなりに整っている。
紺から赤へのグラデーションを持った瞳。
服はピチッとした紺と白の勇者服。(イメージ、【転生したらスライムだった件】より、シズの服)

【性格】
天真爛漫。
無邪気。
天才タイプ。召喚されたことを瞬時に理解するくらい。

【技】
・オーバーホール 胸にブラックホール的なビジュアルの穴が出現し、残像が見えるほどの速さを得る(イメージ【ダンボール戦記】より、Vモードやインフェルノモード)

【その他(私からのコメント)】
空良は可愛い、異論は認めない。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

タイマンです、助けてください。

拝啓 読者様

なんか話そうとしたのに忘れました。
この〇ば2の最終回見てます。
やはりカズマはクズマでないと駄目ですね。

そしてシリーズ簡潔まであと半年位!(多分)


「…………」

 

「…………」

 

俺と謎の女性は睨みあったまま動かない。

動かない。いや、動けないと言った方が正しいか。

先に動いた方が先手を取られる。

おそらくはこの女性と俺の実力は同等。

元・魔王(持ち主)の記憶と同時に戦いの感覚も流れてきたから、パワーアップしていて、多分魔法も……使えたら嬉しいな。

今の俺は元・魔王(持ち主)には及ばないが、新・魔王の第一形態と同等位だと思う。

そんな俺と同等。油断したら一瞬で劣勢になる。

 

「…………」

 

だが、このまま睨みあっていても何も進まない。

ここは俺から攻めるか。

 

「……そこだ」

 

俺は足の指先に力を入れ、弾丸のように女性へと近づいた。

そのまま剣を持っている手首を掴み、湖に投げた。

 

「ぐっ……『飛行魔法』」

 

女性は水しぶきで数秒ほど見えなくなったようだが、湖の上で止まったようだ。

刀を振るい幾つもの衝撃波を飛ばしてきた。

そんなのありかよ!?

俺は上半身を反らし、攻撃をかわした。

その間に女性は俺に近づき、顔に刀を振ってきた。

俺は刀を歯で受け止め、攻撃を防いだ。

だがそうして体が無防備になり、女性は右足で俺の脇腹を蹴り、半時計回りに180度回り俺を湖の方へ蹴り飛ばした。

 

「……ぐっうぅ!」

 

アイツ、自分の刀を犠牲に……ん?

俺は噛んでいる物に違和感を感じて確認する。

確認すると先程まで刀ではなく、綺麗な水晶……否、こんなに固いなら鉱石か?

なんにせよ、刀とは別の物に変わっていた。

 

「……あれ?」

 

それはそうと、俺は何かおかしいことに気づいた。

なんか視界が歪んでる気がするのだ。

涙とかそういう物ではない。

あ、これあれだ。湖に沈んでるな。

俺は今までの経験で考えると、湖に沈むなんてことはもう驚くことは無い。そもそも前にあったからな。

それと前に沈めた幹部は……流石に居ないみたいだ。

でもこれ以上ここに居ても意味は無いな。

ミサが攻撃されるかもしれないし、雷鳴は何処かに行ったし。

……あ、思い付いた。昔やったあれをするか。

俺は湖から出ようと、地面を蹴った。

 

「あの禍禍しさは魔王だったと思ったのに……違ったのかな?」

 

「……そこだな」

 

俺は水しぶきと同時に空中へ跳び上がる。

空中に要る俺を確認した女性は、俺に向かって飛んできた。

そして俺と真正面になったときに、俺は昔幹部にやった……口から湖の水を出した。

 

「えぇ!?」

 

女性は驚いたようで、体が少し後ろに下がった。

その隙を付いて俺は女性の体に拳を放とうとした。

しかし女性は殴ろうとした手を掴み、俺を投げ飛ばした。

 

「…………」

 

「…………」

 

やはり決着が付かないな。

だとするならば一撃で決着を付けるしかないな。

相手もそう思ったのか、相手側も力を溜めているようだ。

 

「……ふんっ!」

 

「『オーバーホール』」

 

俺は力を最大まで加えた拳を。

女性は高速で俺に近づき刀で斬ろうとする。

そうして、二人の攻撃が交わる……かに思えたが、思わぬ事が起きる。

俺たちの攻撃が当たる場所に人が切れ目から現れたのだ。

そんな急なことに反応できず、俺と女性はその人に攻撃をしてしまう。

そしてそのままその人は地面に刺さった。

 

やべ、助けてください。




【解説】
《刀から、鉱石(水晶)に変わった理由》

翠昌◆秋様の作品に出てくる『鏡水晶/身代り石』です。
簡単に解説しますと、その鉱石は人や物に代われます。
そしてその鉱石を刀に変えて、主人公が見えなくなった隙にすり替えました。
本物の刀は主人公が衝撃波をかわしてる間に着地する予定の場所に投げました。


《最後の人》

秘密です。
え、攻撃を受けていたって?まぁ……大丈夫でしょう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

今すぐ逃げたい、助けてください。

拝啓 読者様

基本的には他作品のネタバレをしないように、ストーリーを進んでいく予定です。

前回何か書こうとしていたのに、忘れてた事を思い出しました。
この小説の略称です。……え、今までの『拝啓(略)』(あれ)?あれは気にしないでください。
さて、それでは決まった物の話をしましょう。

ド【まおたす】ン!

【まおたす】に決まりました。
考えてくれた『翠晶◆秋』様ありがとうございます!
そして前回忘れていてすいませんでした!


「「…………」」

 

俺とこの女性は戦いのことすら忘れて、地面に刺さった人を見る。

その人は地面に棒のように斜め45度であった。

そしてその刺さり方は、まるで滑り台のように綺麗に刺さっていた。

やべぇよ、やっちまったよ。俺……とうとう人の道を外れちまったよ。

 

「罪を、償わないと駄目だよ」

 

さっきまで戦っていた女性が、俺の肩を叩きハイライトの消えた目でそう言ってきた。

待って、ねぇ待って。あんたも共犯だよ?なんでちゃっかりと罪から逃れようとしてるの?

 

「……共犯」

 

そう俺が呟くように言うと、女性は顔を真っ青にした。

そうして女性は頭を抱えながら『仙くん、私とうとう殺っちゃたよ……』と何度も言っているが、誰かの名前だろうか。

後から知ったが『仙くん』と人物は大切な人だと言う。

さっきまでの戦いはなんだったんだ……と考えていると、地面に刺さった筈の人の指が動いた。

俺と女性はそれに気づき、様子を見ることにした。

 

「き……い……」

 

きい?何を言いたいのかさっぱりだな。

何かを言っているようだが、上手く聞こえない。俺と女性はお互いの顔を見合い、頷いた。

そうしてその人の脚を掴み、野菜のように引き上げた。

 

「痛みが、気持ちいいーー!」

 

俺は引き上げた人をもう一度、地面に突き刺さした。

そして何も見なかったことにした。

さて、ミサを呼んで新・魔王の手がかりを探すか。

 

「駄目だよ!?」

 

女性は俺が埋めた人をもう一度引っ張りあげた。

えぇ……なんだか雷鳴と似たような感覚だったから、見なかったことにしたいのに。

でも切れ目から出てきたってことは、もしかしたら異世界から来たのかもしれないな。

 

「……ミサ、ちょっと来い」

 

なんにせよ、ミサも呼んだ方が良いと思い呼ぶことにした。

しかしミサからの返事はない。

なんだ、気絶してるのか?

 

「そこを動くな!」

 

ミサからの返事が無いことを心配していると、ミサとは別の……聞いたことのあるような声が聞こえた。

俺と女性はその声の方に振り替えると、懐かしいある人物が居た。

 

「……懐かしいな」

 

「誰?」

 

俺たちが振り替えると、そこには髪の毛よりは太い黒い棒で出来た体。

名は体を表すと言う言葉があるが、その言葉はこいつのために作られたのではないだろうかと思うほどの分かりやすさ。

そいつの名前は棒人間。体が棒で出来ている人形の生物である。

そしてその棒人間は、自身の前に気絶しているのだろうか。頭に何本か枝が付いていること以外は先ほどまでと、何も変わらないミサの姿があった。

 

「え、棒人間?」

 

「……簡単に言うと敵だ」

 

……どうしようか。

ぶっちゃけると、前より強くなっている俺は棒人間程度普通に倒せる。

しかしミサが人質になっており、埋まっている人物のせいで忘れていたが、この女性も一応敵だ。誰か知らないけど。

そして、もしも手を組まれたら多分負ける。

 

「喰らいやがれ!」

 

棒人間はミサを上に投げ、手から多くの黒い棒を機関銃のように撃ってきた。

拳の風圧で飛ばすか。

俺は拳に力を入れ、いつでも攻撃出来る準備をしていると……

 

「……なるほどね」

 

女性は何か考えていたのか、そう呟いた。

一応此方の方も警戒しておかないとな。

 

「『フライ』」

 

女性は俺と地面に突き刺さっている人物を掴むと、空に飛び上がった。

棒人間から放たれた黒い棒は、木々に突き刺さった。

 

「魔王くんはあの子を助けたい……ってことで良いんだよね?

 

だけど、それにはあの棒人間を倒さないといけない……と」

 

おぉ、キチンと状況が分かってくれてる。

狼男だったら「突撃だ!」とか言ってだろうな。

俺は首を縦に振り、頷いた。

 

「なら、私はあの子を助けるから。棒人間の相手、頼める?」

 

「……元からそのつもりだ」

 

俺は女性から手を放してもらい、棒人間の方へと落ちていった。

それと突き刺さった人も渡された。

ちょ、おい!

 

「……返す」

 

「私はあの子を支えるのに両手がいっぱいになるからね。頼んだよ!」

 

ぐぬぬ……だけどその通りだ。

おそらくは片手でも持つことは可能だろうが、もしも手が滑って落ちてしまったら……なんと事を考えると、目も当てられない状態になるだろう。

しょうがない。いざとなったらこの渡された人を盾にするか。

なんか「痛みが気持ちいい」とか言ってたら大丈夫だろう。

 

でもよくよく考えると怖いな、助けてください。




【キャラ説明】
名前:伊丹 海楽(いたみ かいらく)
性別:男
年齢:17歳
身長:172cm
体重:57kg
能力:あらゆるダメージを一瞬で回復する
考えた人:有限世界 様
原作:待て早まるな!その能力は地雷だ!!

【容姿】
何処にでもいそうなモブ顔。防御力を下げるため、食事制限のみのダイエットをしている。
服は学ラン。盾は持っているが、もっぱら生身で受ける。

【性格】
ドM。死因はトラックにぶつかったら気持ち良さそうだったら。実際に気持ち良かったとカミに証言している。

【技】
特になし。
あるとするなら、どんな残酷非道な攻撃でも快楽で絶頂しているため、見た者に精神的ダメージを与える。

《能力》
体の中に異物が刺さったまま回復。
麻痺してくる感覚も回復。
発狂しそうな精神も回復。
即死ダメージからも回復。
などなど……
こいつ以外が持っていたら地雷能力だった。

【その他(私からのコメント)】
一番使いやすいキャラな気がする。
雷鳴と同じ感覚がしてくる。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

毎日投稿は難しいです、助けてください。 by作者

拝啓 読者様

今日はもう、やる気が出なかったです。
無理矢理書いたので多分グタグダです。
いつも以上に書くのに時間がかかりました。

京アニ……


「喰らえ!」

 

棒人間は落ちている俺に向かって、自らの黒い棒を機関銃のように撃ってくる。

まるでマシンガンだな。空を飛んで普通にかわしてもいいが、誤って女性に当たってミサを怪我させると困るな。

ものは試しとして、魔法を試すか。

 

「…………」

 

手に火が溜まっていくのを想像する。

そしてその火は勢いを増していき、炎へと変化する。

その炎は温度を高めていき、やがて青い炎へと変わっていく。

そうしてその炎を……ビームのように撃つ!

元・魔王(本家)にはまだまだ及ばないか。

 

「……『焼却』」

 

炎は黒い棒を巻き込み、棒人間へと迫っていった。

本来の技は顔の前に魔方陣のようなのを出して、そこから撃つ技だが顔の前に炎があるって怖いじゃん。

棒人間は炎が当たる前に、棒高跳びのように長い棒を作り空に逃れた。

だが炎に巻き込まれて棒は色では分からないが、炭のように形を崩していった。

そして火の粉が木に触れ、木が燃え始めた。それはまるでキャンプファイヤーのように綺麗だった。

わぁ、凄い綺麗だ~……やっちまったぁ!

 

「ちょ、なにやってるの!?」

 

空を飛んでいる女性に怒られた。

そっちを向くと、ミサを抱えているので回収し終えたのだろう。

女性はミサを片手で支えながら、もう片方の手から水を出して火を消し始めた。

いやお前片手で持てるのかよ。

 

「ふざけやがって……」

 

俺が地面に着地すると、棒人間は黒い棒をナイフのような形にし俺とドM(こいつ)に飛ばしてきた。

なんかワンパターンだな。

前は確か追尾してきてたな。

 

「『オートガード』」

 

次は棒人間ごと魔法で倒そうとしたが、ドMが前に出てきて攻撃を喰らい始めた。

 

「気っ持ちいぃ!」

 

よし、こいつは大丈夫だな。

とりあえずこいつが攻撃を受けている間に棒人間を吹っ飛ばすか。

俺はドMの横をすり抜けて、棒人間へと地面を低空飛行するように走っていった。

 

「……吹っ飛べ」

 

そうしめ棒人間の体に攻撃が触れようとしたとき……

何者かが俺と棒人間の間に入り込んできた。

 

「誰だ!?」

 

俺はその間に入ってきた人物を上に吹っ飛ばし、一度距離をとる。

誰なんだ、一体……?

 

「気持ちいいーッ!」

 

あ、お前ですか。

俺と棒人間の間に入ってきたのはドMだった。

いや、あの……今戦ってる最中だから。

 

「え、えーっと……回収、しとくね」

 

女性も困惑しているようで、数秒ほどぼっーとしていた。

 

「「「…………」」」

 

こんな微妙な空気で戦うのか?

俺嫌だよ、こんな空気で倒すとか。ただ単に気まずいだけじゃねぇか。

そんな空気で棒人間と見つめあっていると、何処からか聞いたことのあるような声が聞こえてきた。

 

「あああ……」

 

誰かの叫び声だろうか、俺の左側から聞こえてくる。

声が近づくと共に、草むらを無理矢理進む……否、吹っ飛ばしているような音が聞こえ始めた。

 

「あああ助けてくれぇ!」

 

草むらから勢いよく出てきたのは雷鳴だった。

そうえばこいつ、いつの間にか居なくなっていたな。

雷鳴は勢いよく、吹き飛んでいった……棒人間を巻き込んで。

 

「ぐえぇ!」

 

そうして雷鳴と棒人間は、一緒に何処へ吹っ飛んでいった。

そして何が起こったのか分からない状態で放置された俺たち。

女性はゆっくりと地面に降りてきており、雷鳴達の方向を見る。

 

「……えぇ」

 

なんだこの空気、助けてください。




皆様のご無事を祈っております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

何故こんなことに、助けてください。 by雷鳴

拝啓 読者様

雷鳴視点か魔王視点かで悩んでました。
【理由】
雷鳴視点:ギャグ展開になりそう
魔王視点:あの空気からどうしろと?

それと最近、自分の力こぶ触って「ちゃんと付いてるかな?」と思ってます。

作ってる途中に「話を分ければ良かったかな?」と思いました。


「ぐふっ」

 

オッス、オラ雷鳴。

今すぐ元の世界に帰りたいぜ。

元の世界でもファンタジー世界で、投げられたり死刑されかけたりあったけどな。

まぁそれは置いておこう。

俺は魔王の城で寝ていたと思ったら急に城が爆発して、吹っ飛ばされてたんだ。

な……何を言ってるかわからねーと思うが、俺も何をされたのか分からなかった……

頭がどうにかなりそうだった……高速移動だとか時が止まっただとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……

 

「いてて……」

 

そんな俺は森を吹っ飛びながら何かぶつかり、それを巻き込みながら木にぶつかった。

なんか魔王が居たような気がするが、気のせいか。

 

「重いからどけ」

 

「あ、はい」

 

俺が木に挟んでいた巻き込んだ人物に言われ、すぐにその場を離れた。

悪かった。俺は戦いたくないから、穏便に行こうぜ。

そう思いながら手を伸ばして、その人物を見た。

棒人間……そう、棒人間だ。

なんか俺の世界にも居たけど、どの世界にも棒人間が居るのって普通なのか?

 

「お前の名前は?」

 

「俺は雷鳴。ただの人間だ」

 

ギャグ補正とか言う全然使えてない能力を持ってるけどな。

多分能力のお陰だが、勢いよく吹っ飛んだのにたんこぶだけで済んでいる。この能力が原因で色々と巻き込まれてるような気がするが……まぁ気のせいか。

 

「雷鳴? どっかで……まぁいい」

 

ん、どっかで俺の名前を聞いたのか?

でも俺がこの世界に来たときにあったのは、魔王と魔王だろ。片方は多分さっき居たから……もう一人か。

なお、あのときの俺は寝ていたからもう一人の魔王(新・魔王)が消滅したことをしらないのであった。

 

「俺は棒人間。ただの棒人間だ」

 

知ってた。

とりあえずこの森から脱出したいな。

 

「まずはこの森から出ようぜ。出口が何処か分かるか?」

 

「知らん。まぁ適当に歩こう」

 

知らないのかよ……あまりこの辺りに来たことないのか?

棒人間は何処からか沢山の黒い棒を出し、名にかを工作して下半身に付けた。車だ!黒い棒で出来た車を体に付けた。ってちょっと待て!

 

「なんだそれ!?」

 

「あぁ。俺は体が脆いから、道具を使わないと動けないんだ」

 

不便だなぁ。

それと車だと森の中進みづらくないか?

 

「……ん、彼処に誰か居るぞ」

 

そう思いながら歩き出そうとしたとき、人が居るのを見つけた。

あれ……さっきまで彼処に人なんて居たか?

棒人間の方も気づいたようで、出口が何処か聞きに行こうとしている。俺も着いてくか。

 

「この森の出口が何処か分かるか?」

 

その人物は棒人間の声に反応したのか、こちらに振り向く。

仕立てのよい白いスーツに身を包み、顔には目玉の書かれた黒い布で隠されている。ついでに長身細身。

なんだこいつ……なんだか嫌な予感がする。

あまりここには居たくないな。最低限の会話だけ済ますか。

 

「……あぁ、私ですか。いつの間にかここに居たので少し考え事をしてました」

 

あんた以外誰も居ないぞ。

 

「出口を知ってるなら教えてくれないか? 『お願い』だ」

 

「……出口ならあっちですよ」

 

「おぉ、ありがとうな!」

 

怪しい人物は指差した方向には光があった。

その事に気づき進もうとする俺達。

……ん?なんか、おかしい。そうえばこいつは森から出ないのか?

 

「あんたは森から出ないのか?」

 

怪しい人物は首を横に振った。

なんだ、迷ったわけではないのは分かるけど違和感を感じる。なんで出口の場所を知ってんだ(・・・・・・・・・・・)?わざとか、わざとなのか?

 

「いえ、大丈夫ですよ。ちゃんと出口は教えましたので、それでは」

 

そうして怪しい人物は何処かに歩いていった。

なんだったんだ、あいつは……

まぁいい。この棒人間と一緒に森を出るか。

 

 

 

 

「……おかしい」

 

俺は『雷鳴』と言う人間と一緒に森の出口に向かっていた筈だ。

そうして今も出口に向かっている。それなのに……

 

「一向に、着かない……!」

 

いつの間にか雷鳴は居なくなってるし、進んでる感覚がしないし。

もしかして雷鳴は後ろに下がったのか?一応確認しよう。そう思い、後ろを振り返ると……

 

「あれ?」

 

さっきと同じものが見えた。

そう、出口だ。さっきと同じように光が見えた。

不思議に思いもう一度前を向く。やはり光がある。

 

「これはおかしいぞ……!」

 

流石に事の異常さに気づき、一度上から森を見てみようと黒い棒を地面に突き刺し、伸ばした。

しかし、何処まで行っても森から出られない。おかしいと思い、地面をみながら棒を伸ばすと途中から上に進めてないことに気づいた。

 

「一体どういうことだ?」

 

俺は一度地面に降り、考え始めた。

そのときだった。

 

「おや、どうしました」

 

さっき出口の場所を聞いた人物に会ったのは。

 

「さっきから出口に着かないぞ。これはどういうことだ?」

 

「私はちゃんと出口を教えましたよ?」

 

「ふざけるな!」

 

俺は怒りに任せてその人物に攻撃した。

しかしその人物に簡単にかわされてしまった。

 

「あひゃひゃひゃひゃひゃ! 願いは叶えましたよ!

 

出口は教えましたよ? 代金……代償として、森から出れませんがね。

 

おっと、自己紹介を忘れてましたね。

 

私は『商人』『ネペンテス協会』の従業員であり、そして偉大なる御方の下僕の一体でございます……まぁ、気にしなくても大丈夫ですよ」

 

「糞がッ!」

 

もう一度攻撃するがやはりかわされてしまう。

なんなんだこいつは!

 

「まぁいきなりこの世界に来たのは多少驚きましたがね」

 

そうしてその商人は何処かへと消えていった。

糞、糞、糞がァ!

 

「思ったよりもこの世界は面白そうですね。

 

あひゃ、あひゃひゃ……あひゃひゃひゃひゃひゃ!」

 

誰でもいい、助けてください。




前半と後半の温度差が……
さて、なんやかんやでキャラが全員出揃いましたね。
これからどんな物語を進んでいくか……お楽しみに。
(棒人間は永遠に森から出れないので、戦闘不能扱いです)




【キャラ説明】
名前:商人
性別:男?
年齢:不明
身長:不明
体重:不明
能力:不明
考えた人:ケツアゴ 様
原作:今をお嘆きのお客様へ

【容姿】
仕立てのよい白いスーツ
目玉の書かれた黒い布を被っている
長身細身

【性格】
物腰は柔らかで丁寧な口調。
様々な世界の願いを抱く者の前に現れて内容に関係なく願いを叶える……ただし、最終的に破滅を伴う。
彼はそれを見て嘲笑うのだ。

例)
誰も傷つかない世界を望む
植物を殺して食べることさえ出来なくなる

【技】
特に無し(多分)

【その他(私からのコメント)】
私が「やべぇよ、どうしよう」と一番悩んだキャラ。
願いの代金(代償)を考えるのが難しいですね。
一応は第三者ポジション(中立……かな?)。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

話数稼ぎと言う名の自己紹介です、助けてください。 by作者

拝啓 読者様

『東方自然癒』楽しいです。
瀬笈 葉(せおい は)は可愛い。
(ゲームの話です。この作品とは一切関係ないです)


「「「…………」」」

 

俺たち三人は現在、気まずい状況にいる。

理由は簡単、空気が重いからだ。

軽く今までを振り返ると……謎の女性とバトル。そこに棒人間出現。戦闘中にドMが急に攻撃を受けてきたり、雷鳴と棒人間は一緒に飛んでいった。

つまりはシリアスな雰囲気から一気に気まずい状況に大変身した。と言うことである。

こういう時は俺から話すべきだろうか……否、気まずいな。それにあの女性とは戦っていたんだ。変な動きをしてまた戦うはめになったら面倒だ。

本当、どうしよ?

 

「う、うぅん……」

 

そう悩んでいたときだ。

ミサが目を覚まし始めた。

 

「あれ、何かあったの?」

 

「……目が覚めたか」

 

いやぁ、安心したぜ。二つの意味で。

これでミサにこの空気をなんとかしてもらえるな。

……え、雷鳴?なんかシリアス壊しそうだし、何処に居るか分からないから。

 

「大丈夫なの? あっ、えっと……」

 

「あ、私は『虎尾阿 ミサ(こびあ みさ)』だよ」

 

あ……そうえば自己紹介をしてなかったな。

今までのこともあって忘れていたよ。

それとこの世界に来た方法も一応聞いておくか。ミサと雷鳴が違うように、この二人も違うかもしれないからな。

だけどまずは何から聞こうか……否、自己紹介が終わってから考えよう。

 

「私は『心山 空良(こころやま そら)』勇者だよ」

 

ふむ、勇者だったのか。

俺が魔王だと分かったのは、勇者としての勘だろうか。

多分この世界に迷いこんで、魔王の俺に会って「こいつが黒幕か!」と思ったんだろう。

基本的に「魔王=黒幕」って式が成り立つほどだからな。俺だってそう思う。

 

「俺は『伊丹 海楽(いたみ かいらく)』普通の人間だ」

 

普通とは?

お、落ち着け。痛みが気持ちいいと言うだけで、それ以外は普通かもしれない。

あ、痛みが気持ちいいと言う時点で普通じゃないか。

 

「……俺は魔王。名前は無い」

 

こいつ(元・魔王)の記憶を手に入れてから知った。

こいつ、魔王以外の名前が無いんだな。

もう名無しのゴンベイで良いんじゃないんだろうか。

……なんか殴られる気がするから止めよう。

 

「……あ、それとさっき飛んできた人間は雷鳴と言う」

 

雷鳴の紹介を忘れるところだった。

海楽となんか似てるからな。永遠の二番手みたいな存在になってきてるのだろう。

タッグを組んだら面白いことになりそう。

ギャグ補正と言う名の不死身と、自ら攻撃を喰らいに行くの盾……精神的ダメージが酷いな。

 

「そうえばさっきの棒人間は一体なんだったの?」

 

自己紹介が終わり、まずは何から話そうか考えていると、空良がそんなことを聞いてきた。

あいつかぁ……敵の幹部だって説明すればいいか。

 

「……俺が昔倒したある敵の幹部だ。まさか生きてるとは思わなかったがな」

 

最後の方はなんかグダグダになっててちゃんと倒したから確認してなかったな。

そうえばアイツは黒い棒をくっ付ければ再生出来たな。

だとしたら誰かにくっ付けてもらったのか、自分でくっ付けたのか。

多分自分で付けたのだろう。黒い棒は念力みたい出来た筈だし。

それよりも本題に入るか。

 

「……一つ聞きたいことがある。お前たちはどうやってこの世界に来た」

 

どうか俺の仮説は外れていてくれ。

新・魔王が復活していたらもう勝てる気がしない。

 

どうか頼む、助けてください。




次回の予定

回想で一話か二話使います。
つまりは話数稼ぎです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

回想です、助けてください。

拝啓 読者様

止まるんじゃねぇぞ……
(話すことが思い付かなかったです)

あ、思い出した。
今回の話をどこで切るか考えていたら、あることに気づきました。

『空良』『海楽』……あ、山が居ない。
空、海、山にならないことに気づきました。


「どうやってこの世界に来たか?」

 

その言葉を拾ったのは空良だった。

空良は思い出しているのか、う~んと頭を捻っているようだ。

 

「それなら俺から話して良いか?」

 

思い出すのを待つか。

そう考えていたとき、海楽が手を挙げた。

いやあの、これは挙手制じゃ無いんだが……まぁいいか。

 

「……教えてくれ」

 

「あれは……」

 

 

 

 

あれは確か仲間と街中を歩いてるときだったか。

今日は何処に冒険しに行こうか話していたら、その国の王様に『俺だけ』呼び出されたんだ。

え、なんで呼び足されたかって?それを今から話すんだ。

そうして王様に呼ばれた俺は王宮へ向かったんだ。

 

「王様、今日はどうしたんですか?」

 

どうして呼ばれたか。

分からないままだったんだ。

城の兵士に聞こうと思っても何故だか顔を逸らされたからな。

 

「はっはっはっ、海楽君に今日はプレゼントを送ろうと思っての」

 

そうして王様の隣に立っていた兵士から何やら指輪のような物を貰った。

綺麗な赤色をしており、大きさも俺の指丁度だった。

その指輪を貰った俺は左手の薬指にはめた。

 

「え、そこにはめるの? ま、まぁいいか。それともう一つ……」

 

王様は何か言おうとしてるのか、目を閉じて何も言わなくなった。

どうしたのだろうか。俺はそう思いながらも、王様が言葉を言うのを待った。

 

「これから君を異世界に送る」

 

王様がそう言った瞬間、城の兵士達が一斉に俺を押さえ始めたんだ。

俺は抵抗したが勝てなかった。

俺の役割は盾持ちだ。相手の攻撃を受けるのには慣れてはいるが、攻撃出来る奴が居なかったからな。

 

「王様、どうしてですか!」

 

「この世界に変態はいらないからだ」

 

酷い話だろ?

あれ、なんで頷いてんだ?ま、まぁいいや。

そのまま俺は王様によってこの世界に送られたんだ。

え、最初に貰った指輪は何だったかって?

あれは確か……【リセット指輪】って言うアイテムだ。

あの指輪はある一定の条件を満たすと強制的に戻れる指輪なんだ。

その『条件』はもう王様が設定してたし、戻れると言ってもある程度時間が立たないと戻れないけどな。

それに戻るってのは『時間』とか『物』とか設定した人物しか分からないんだよな。あ、それとこれは一回しか使えないんだ。

 

 

 

 

 

「……っと、俺の話はこんなものだ」

 

なるほど。

海楽がこの世界に来た理由はミサや雷鳴とは関係ないのか。

だけどあいつらが切れ目に関連の合った話だからコイツの場合は例外になるのか?

まぁ空良の話を聞いてから考えるか。

 

「……空良、思い出したか?」

 

「思い出したよ。あれは確か……」

 

 

 

 

 

そう、あれは確か仙くんが家に居ない間に異世界に行ってた時の話だね。

え、『仙くん』?仙くんは私の幼馴染だよ。

それと異世界って言うのは、私や仙くんが住んで世界。と、私が勇者として冒険してた世界があるの。

ここで言う『異世界』は後者の方だよ。

 

「さてと……こんなものでいいかな?」

 

私はその異世界でモンスターを倒してたんだよ。

たまには体を動かしたいからさ。

こんな時に変な切れ目を見つけたんだよ。

 

「なに、これ?」

 

見たことない物だったからね。

そのまま放置しようかと考えたけど、何かあると困るから触れてみることにしたんだよ。

仮に異世界に送られても【巻物】って言う世界を渡れるアイテムを持ってたからね。

え、チート?……そ、それはきっと気のせいだよ。

そうしてその切れ目に触れた瞬間……

 

「キャッ!」

 

その切れ目が開き始めて、吸い込まれちゃったんだよ。

その後は森で目が覚めて、禍禍しいオーラがして魔王くんに合ったんだよ。まぁ、勘違いして攻撃しちゃったけど。

 

早く仙くんに会いたいです、助けてくれないかな。




最後の『~助けてくれないかな。』と言うのは空良が言ってます。
本来なら、あるシーンで個別の視点を入れる予定なので、言ってもらう予定でしたが丁度良かったので。
彼処だけ魔王に話してもらうのは違和感があるので。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

やはり、助けてください。

拝啓 読者様

UAが10000越えました!


「…………」

 

やっぱり、か。

俺は二人の話を新・魔王の可能性が高くなってきたな。

海楽は一切関係無いけど。

それに海楽の場合は……まぁ、うん。

 

「……お前らがこの世界に来た理由は、もう一人の魔王が関係してる可能性が高い」

 

「「「!?」」」

 

そりゃあ魔王が二人も居たら驚くよな。

そんなに魔王が居たら流石に怖い。第二の魔王、第三の魔王がうじゃうじゃいたら戦意喪失する。

あいつは別世界の魔王だけどな。

 

「その魔王は何処に居るか分かるの?」

 

「……分からん。そもそも、あいつはもう倒したはずだ」

 

そう、倒した……はずなのだ。

だけど完全に倒せたかを確認してなかったから、そこがなぁ。仕方がなかったけど。

新・魔王が何処に居るか分かれば不意打ちで倒せたらいいな。

 

「……白雲」

 

「はい、魔王様どうしたの?」

 

そう言うと白雲が俺の影から出てきた。

なんかもう、影から出てこようが服の中から出てこようが驚かなくなってきたな。

 

「……雷鳴を呼んでくれ」

 

白雲は切れ目を作り、そこから雷鳴が出てきた。

あいつが居ないと色々と困る。

海楽を押し付けたいし、新・魔王を倒すとしたら作品を立てないといけない。

だけど新・魔王を探したりもしないといけないから、一人でも多く居ないとな。

あ、みんな白雲を見て警戒してる。そりゃそうか、自分が来た切れ目が出てきたんだから。

海楽の場合は話を聞いたからか?

 

「……落ち着け、人違いだ」

 

正確には骨違いになるのか?

まぁ置いておこう。

 

「ここは誰、私はどこ!」

 

雷鳴は出てきた勢いで頭をぶつけたのか、ふざけたことを言っている。

よし、大丈夫だな。

とりあえず雷鳴はこんな変人だと紹介した後、新・魔王を倒す作戦会議を始めることにした。

まずは新・魔王が使ってくる技とか教えるか。

 

 

 

 

 

「……―――と言うことだ」

 

俺は新・魔王が魔法を使ったり、切れ目から物や人を出してきたり、異世界から誰かを連れてきたり、強さは俺以上だと伝えた。

言えば言うほどかなり強いなこいつ、圧倒的チートって訳ではないが。

 

「ねぇ、一ついい?」

 

話し終わると、ミサが手を挙げてきた。

だから挙手制じゃ……まぁいいや。

俺は頷いた。

 

「勝てるの?」

 

「……どう、だろうな」

 

正直な所、100回戦ったところで1回勝てるかどうかである。

海楽や雷鳴なら攻撃に耐えられるだろうが、肝心の攻撃力が皆無だ。

ミサは不意討ちでならダメージを与えられるだろうが、絶対に倒すことは出来ない。それどころか、攻撃した後に人質にされるか一瞬でやられるかのどっちかだ。

空良は俺と同等だが、共闘したところで勝てるか分からない。

白雲と狼男と雪女とコーランは後方に回ってもらうしかないか。

他の奴等は……あ、駄目だ。城が爆発したから再起不能だ。

 

「私と魔王くんでなんとかならないの?」

 

「……1%あるかないか程度だ」

 

そう言うと空良が驚いたような顔をしていた。

そりゃあそうか。異世界で勇者をしてるから腕には自信があると思っていたのに、自分より強い相手がいたらな。

 

「俺の防御力でどうにかならないのか?」

 

「……防げはするが、攻撃が効くか分からない」

 

防御力と書いて変態力と読みそう。

海楽なら普通に耐えられそう。その上「気持ちいぃ!」とか言ってそう。

 

「あれ、魔王。一つ気になることがあるがいいか?」

 

「……どうした」

 

雷鳴が質問してくるとは。

一緒に戦った中なのにどうしたんだ?

 

「もう一人の魔王……新・魔王だったか? そいつは何処に居るか知ってるのか?」

 

「……知らん。捜さないといけないな」

 

今回は……前もだけど場所知らないからなぁ。

前みたいに手紙で場所を伝えに来るわけないし、棒人間はどっか行ったから聞けないし、そもそもあいつは単独で動いてたかもしれないからなぁ。

そんな時だった。狼男と雪女が俺達の所に走ってきたのは。

 

「……どうした」

 

「新・魔王の場所が分かったぞ!」

 

「あっち側に見かけたわ!」

 

雪女は湖に居る俺達の反対側、森を指した。どこも森だけど。

 

「……何?」

 

いくらなんでも都合が良すぎないか?

森の中に新・魔王が居て、それが偶々俺達の近くなんて……だけだ一応見に行くか。

 

少しおかしい、助けてください。




仮に新・魔王に会えたとしても、戦う時間が長くなるかなぁ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

投稿遅れてごめんなさい、助けてください。 by作者

拝啓 読者様

……後書きで色々と話しますが、一つだけ。
投稿遅れてすいませんでしたぁ!

【お知らせ】
空良の武器の表記が『刀』やら『剣』やら変わってしまっていたので、『刀』に統一します。
『刀』以外の表記の場合は誤字です。


「…………」

 

……やっぱりおかしい、てか怪しい。

俺達は狼男と雪女の道案内に従い、森の方へ歩いている。

なんか二ヶ月ほど歩いてた気がするけど、それは気のせいだろう。

怪しい理由は幾つかある。

一つ目は狼男と雪女が喧嘩しないことだ。

あの二人の仲は100年立っても直っておらず、喧嘩してたとミサが言ってたからな。その時に壊れた城は見なかったことにする。

そしてニ、三歩程前を歩いている二人はどうだろうか。

道をお互いに確認して、並んで歩いているのだ。

この二人なら目があった瞬間に戦っているだろう。

こんな感じに

 

『おい氷野郎、道はこっちだろ?』

 

『何を言ってるのかしら、こっちに決まってるでしょう?』

 

……今度からこの二人を会わせるのは止めようかな。

だけどなんやかんやで良いコンビだらかな~

さてと、二つ目の理由はミサと空良だ。

ミサは「なんかおかしいな……」と言う顔をしており、空良は「凄い怪しい」と言う顔をしているからだ。

ミサは一度狼男と雪女に会ったから、喧嘩してた二人が何事も無かったかのように話してることの違和感だろう。

空良の方は勇者としての勘なのか、ただ単に怪しいと考えてるのか、二人のことをずっと見ていた。

まぁ空良は二人とは初対面だから、確信にまで至ることは出来ないのだろう。

そして三つ目。これは単純に都合が良すぎのが理由だ。

何故俺達が棒人間を倒した辺りに出てきた?

丁度どうしようか悩んでるときに情報を持ってきた?

白雲やコーランに頼らないのか?

考えれば霧が無いな。

 

「本当に此方なのか? てか、俺は会いたくないんだけど」

 

「知らないわよ」

 

「俺を殴ってくれ! さぁ、早く!」

 

「えぇ……」

 

雷鳴と海楽は見なかったことにしとくか、雪女と狼男を引いているみたいだし。二つの意味で。

ミサと空良は何か話してるみたいだから、一人で作戦考えてみるか。

さて、どうするか……海楽と雷鳴を投げて二人を気絶させるか?

雷鳴はギャグ補正で大丈夫だろうし、海楽は防御力高いし……

 

「俺が高いのは『防御力』じゃなくて『耐久力』だぞ」

 

さらっと人の心を読むんじゃねぇよ。

……と、兎に角怪しいな。いっそのこと海楽と雷鳴を盾にしてミサに能力を使ってもらうか?

そう悩んでいると、空良とミサが話し終わったようで狼男と雪女を睨んでいた。

そして空良は刀に手をかけて、此方を見てきた。

俺は小さく首を縦に振った。

 

「はぁ!」

 

空良は雪女に刀を振った。

 

「なっ!」

 

雪女は刀が当たる前に気づいたが、時既に遅し。

狼男は雪女に近づこうとするが間に合わず……

 

「『オートモード』」

 

海楽がそう言うと同時に、磁石のように雪女と空良の間に勢いよく飛んできた。

 

「ぐふっ! 気持ちぃー!」

 

そのまま空良の攻撃を喰らい、顔を赤くしながら地面を転がる海楽。

……は?

海楽が割り込んできたことに驚いてると、目が点になっている俺達三人。

お前、お前なぁ……

 

「バレちまったか……動くんじゃねぇ!」

 

俺達が呆然としてるその間に、狼男は雷鳴の首を腕で固定して雷鳴の頭に爪を突き刺すようにして此方を見てきた。

 

「え、ナニコレ。助けて」

 

雷鳴は状況が分かってないようで、オロオロしている。

そしていつの間にか狼男の隣に雪女が移動していた。

やっぱり雪女と狼男は本人とは違うのか。それとも操られてるのか?否、状況を見るにもうそこはいいや。

だが……お前らなぁ、お前らなぁ!

痛いを堪能しながら地面を転がってる海楽。

状況が分かってない雷鳴。

呆然としてる俺達三人。

最悪な状況だよこの野郎!

 

お前ら(雷鳴と海楽)嫌い、助けてください。




魔王様は雷鳴と海楽のことが嫌いのようですが、私は好きですよ。
主にシリアスを消せたり、主人公達の反応を書くのが楽しいので。


【解説】
『オートモード』
海楽の技。
勝手に盾になってくれて攻撃を守ってくれる。
しかし此方の攻撃も妨害する。


【茶番(反省会)】

「……作者よ」

はい、なんでしょう。
私こと作者は魔王の前で正座している。
正座するのは苦がじゃないけど、疲れるんですが……

「……前回の投稿はいつだ」

およそ二ヶ月前でございます。
許してください。

「……おせぇよ!」

私は魔王に殴られて吹っ飛ばされる。
ことなく、拳が当たらず壁のようなものに防がれた。
作者権限で攻撃は届きませ~ん。

「……この野郎。まぁいい、それよりも投稿が遅れたのは?」

スランプになってました。
だってしょうがないじゃん?
一ヶ月ずっと投稿してたんだぜ?
私の頭は疲れてネタや展開が思い付かなくなったり、何か違うな~って考えたり……大変だったんだぜ。

「……そうか」

それに考えていた展開の修正もしたいからなぁ。
そしたら伏線を張った場所も、和感が無いように展開を別のにして……やることが多い!

「……知るかよ。それよりも、読者様に言うことあるだろ」

では、改めて。

読者様。
投稿遅れてごめんなさい。そしてすいませんでしたぁ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

今すぐ帰りてぇ、助けてください。

拝啓 読書様

こんにちは、約三週間ぶりですね。


「動くなよ、動くとこいつを攻撃するぞ!」

 

偽狼男は雷鳴の首筋に爪を当てて、此方を脅してくる。

この状況を作った元凶(海楽)は地面を転がりまくっている。

 

「卑怯だよ!」

 

「そんなこと、知らないわよ」

 

空良の言葉に偽雪女が突っかかる。

あぁ、卑怯だ。卑怯すぎるぞ……

 

「か、海楽は大丈夫なの?」

 

「痛みが気持ちぃー!」

 

俺を精神的に追い詰めているこの状況がなぁ!

帰りてぇ、今すぐにこの状況から逃げてぇよ。

そんな俺を尻目に、ミサは地面を転がりまくっている海楽を心配している。

お前らはそのまま(常識人)で居てくれよ……。

あの二人の行動だけでも頭を押さえたくなる。でも、そんなことしても状況は変わらないな。

 

「……空良、雪女の相手を頼む」

 

「魔王くんはどうするの?」

 

「……雷鳴ごと燃やす。アイツは丈夫だから大丈夫だ」

 

「えぇ!?」

 

空良が驚いてるが気にしない。

雷鳴はどうせギャグ補正で無敵に近いんだ、幽霊になろうとなんだろうと生きてるだろうし。

俺はそのまま偽狼男と雷鳴に向かって手をかざし……

 

「『焼却』」

 

手のひらから火炎放射機の如く炎だした。

その炎は全てを焼き払うかのように、偽狼男と雷鳴に向かって行った。

 

「待て待てマティーニ! 話せば分かりんご!」

 

「お前には情がねぇのか!」

 

敵から怒られてるが知らん。

それに雷鳴はふざけてるから大丈夫だろ、それにどうせ「髪がアフロになってる!」とかですむ。

 

「『オートガード』」

 

「……は?」

 

先程まで地面を転がっていた海楽が二人の前に立ち、庇うように『焼却』を受けた。

攻撃が終わり煙が晴れて三人の姿が確認出来る頃には、海楽も人質として捕らえられていた。

……お前、お前なぁ!

 

「今ね!」

 

海楽の行動に目がポカンとなっていた俺に向かって、偽雪女は胸の前に手を伸ばしそこからひし形の氷を出現させ飛ばしてきた。

 

「貴方の相手は私だよ」

 

しかし空良が刀で氷を真っ二つにして攻撃を防いだ。

攻撃を防がれた偽雪女はもう一度攻撃しようとするが、それよりも速く空良が動いた。

 

「気絶してもらうよ!」

 

空良は偽雪女の足元まで姿勢を低くしながら近づき、偽雪女の顎をジャンプしながらアッパーし、半時計回りに半回転しながら刀の柄を腹に突き刺し気絶させた。

流石、異世界の勇者だな。

 

「ちぃ! せめてお前だけでも倒してやる!」

 

偽狼男は人質にしていた海楽を空中に投げ、雷鳴の腹を爪で切り裂いた。

海楽(ドM)には攻撃が効かないと思ったのか、雷鳴に攻撃したのか。

良い作戦だと思うが、雷鳴がそんな攻撃でやられるわけがないだろう。

 

「ぐわぁ!」

 

雷鳴は攻撃を受けて地面に仰向けの状態で倒れ、そのまま動かなくなった。

ギャグ補正があるから……大丈夫だよな?過信し過ぎてるけど、元・魔王の記憶から考えると大丈夫の筈だが。

 

「キャアアァァアー!」

 

ミサは雷鳴が動かなくなったことに恐怖し、悲鳴をあげた……いや、違ったな。

 

「あれ、痛くない? なんだよ、ただの見かけ倒しじゃねーかよ!」

 

雷鳴は何事も無かったのごとく起き上がった。

体だけ地面に倒れたままの状態で、魂……つまりは、幽霊として起き上がった。

なんだよ、お前は幽体離脱でも出来るのかよ!

 

「「……ガタガタガタ」」

 

女性陣は幽霊と言った非科学的物が苦手なのだろうか。

悲鳴をあげながら、体を縮めていた。

空良、お前もか。流石に勇者と言えど普通の女性か。

 

「なんなんだよ、お前は!」

 

偽狼男は焦ったように雷鳴に問いただした。

 

「いや、普通の人間なんだが」

 

「普通の人間は幽霊になっても喋らねぇよ!」

 

「は、幽霊?」

 

雷鳴は自分の体を見た。

ようやく自分の体が半透明になっていることに気づき、体だけが倒れてることに気づいた。

 

「俺、幽霊になってる!?」

 

「おせぇよ!」

 

「……なにこれ」

 

カオスな状況から逃げたいです、助けてください。




……あれですよ、あれ。
私の『ギャグ挟まないと死んじゃう病』が再発してしまったんですよ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

雷鳴が静かにしてくれない、助けてください。

ひっさしぶりの投稿だー!

書き直していたら、こんなに時間がたってました。
これからも投稿が遅れると思いますが、失踪は絶対にしないのでゆっくりと待ってください。


「待って、ねぇ待って! 助けて!」

 

「ちょ、近づいてくんじゃねぇよ!」

 

雷鳴は自分が幽霊になってることに驚き、偽狼男に助けを求める。

偽狼男は幽霊が怖いのか、雷鳴が嫌なのか……走って近づいてくる雷鳴から距離をとる。

 

「ゆゆゆゆ、幽霊ががが……!」

 

「……落ち着け」

 

空良は体を震わせ、ミサは顔を青くしてその場で震えている。

勇者と言っても、一人の女性だから怖いのは当たり前か。ミサも怖がっているようだし、落ち着くまでそのままにしておくか。

それと海楽は地面に転がっている。

 

「…………」

 

俺は雷鳴と偽狼男の光景を眺めながら、今後のことを考え始めた。

そろそろ新・魔王の手かがりを手に入れて置きたいな。

あいつは切れ目を出して、どこからでも出てこれるから不意をつかれる前に攻めておきたい。

そのためには偽者達を捕まえて情報を聞くか。

……そろそろ雷鳴を落ち着かせるか。

俺は偽狼男を倒して雷鳴を落ち着かせよう(殴ろう)としたとき、偽狼男の頭上に切れ目が出てきたのが見えた。

 

「……おい、まさか」

 

俺はどこか否定していた。

そんなことはない、あいつは完全に倒したはずだ、と。

心の底では分かっていたし、そう仮定して考えていた。

だけどもしかしたら、あいつじゃないのかもしれない。別の奴が来ただけなのかもしれない。そう思いたかった。

もうすでに分かっていることを見たくはなかった、考えたくなかった。

だが───現実はそう甘くない

 

「ヒサシブリダナァ」

 

その声は流暢な言葉と言えないが、片言とも言えない微妙な言葉。

どこかエコーがかかっているような、聞いた者全てを恐怖を与えるかのように低く、聞いたことのある声であった。

 

「スガタをカエテモドッテキタゾォ」

 

切れ目から出てきた腕は()が見たことのない人物だった。その人物は元・魔王……つまりはこいつの幹部だった『(るな)』であった。

 

「ま、魔王様……!」

 

「キエロォ」

 

新・魔王は偽狼男の頭を掴むと、何か言葉を発する。

声が小さくて聞き取れなかったが、その言葉を言い終わると同時に偽狼男の姿が消え始めた。

まるでゲームのバグのように姿がぶれ始めた。

 

「た、たたたすけけ●★△◎■―――!」

 

次に言葉も上手く発音できなくなり、聞き取れなくなってきた。

……そうして、消えた。

 

「……え?」

 

そう呟いたのは誰だろうか。誰が呟いたかは分からない、無意識に俺が呟いたのかもしれない。

それほどまでに衝撃的だったのだ。その衝撃で新・魔王の体が一回り大きくなったような気がするのはちっぽけなことである。

……俺は忘れていたのかもしれない、新・魔王の恐怖を。力を合わせれば勝てる。そんな淡い期待を壊すような圧倒的な血からの差を。

 

「ツギはオマエダナァ」

 

その瞳から放たれる鋭い睨みはある人物を捉えた。

 

助けて、助けてください。




……ギャグ要素が多かったんで、シリアスを入れました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

出番が無い、助けて! by海楽

魔王様じゃなくて、他のキャラクターも活躍したいようにさせたいんですけど、難しいです。
ん~……一応全員が活躍出来る場所は考えてますけど、魔王様中心になってしまうから調整がなぁ。
まぁ、雷鳴はどうでもいいからそこは大丈夫ですけど。

「俺だけ扱い酷くね!?」

では、本編どうぞ


「……っ、ミサ!」

 

新・魔王のその瞳は恐怖で腰を抜かしたミサを見ていた。

俺はミサに声をかけるが返事がない。

恐らくは恐怖で声が出ないんだろう。

その間に新・魔王は地面を蹴り弾丸のような早さで迫ってきた。

 

「『封印』」

 

俺は右手の指先から黒い禍禍しい色のした鞭を五本出し、ミサに迫ろうとする新・魔王を拘束した。

そのまま左手に小さな火の玉を作り始めた。

 

「『サン』」

 

その火の玉が少しずつメラメラと燃えながら大きくなり、直径一メートルほどだろうか。その位になると俺は左手を突き出し新・魔王へと投げた。

しかし、技の準備をしてる間何もするわけがなく、新・魔王は『封印』から力ずくで脱出し、切れ目を作って何処かに消えた。

 

「……どこだ」

 

俺は何処から攻撃されても反応出来るように、神経を尖らせた。

二秒、三秒……待つが攻撃をしてくる気配がない。

どこだ、何処から攻撃してくるんだ?

 

「アヒャヒャヒャ!」

 

その不快に感じる笑い声は俺の後ろから聞こえた。

正確には俺の後ろに居るミサと空良のところから。

 

「……クソッ!」

 

俺は急いでミサと空良のところへ向かおうとするが、遠い。たかが十メートルも無いほどの距離。近いが、遠い(届かない)

新・魔王がミサに手を伸ばそうとしたときだった。

ミサと新・魔王の間に刀が振るわれた。

新・魔王は後ろに跳び刀をかわした。

 

「魔王くん、少しは私を頼ってくれないかな?」

 

そこには先程まで幽霊(雷鳴)を見て体を震わせていた『心山 空良(か弱い少女)』は居なく、目の前の敵を倒そうとする『心山 空良(異世界の勇者)』であった。

……そうだったな。俺は焦ってたな。

新・魔王を早く倒してこの戦いを終わらせたいと、それで一人で突っ走ってたな。

だが、ここには心強い仲間が何人も……何人、も?

このメンバーだと空良ぐらいしか心強くないな。

 

「ミサちゃんには指一本触らせないよ!」

 

「アヒャヒャヒャ、オモシロイナァ!」

 

新・魔王は目を見開き、口を三日月のようにしながら笑い始めた。

空良は刀を構え、目を閉じている。

俺はいつでも空良を援護出来るように手に魔力を込める。

ふと、笑うのを止めた新・魔王は自身の立っている場所に切れ目を作り、落とし穴のように落ちていった。

 

「…………」

 

空良はまだ目を閉じている。

俺も何処から出てくるかジッと待ちながらも、魔力を高めていく。

 

「……そこっ!」

 

目を開けた空良は右側に斬りかかった。

その瞬間……

 

「グゥ!」

 

切れ目と共に新・魔王が現れ刀に斬られた。

不意を突かれたようで、腕には傷が出来たようだ。

 

「……喰らいやがれぇ!」

 

俺は新・魔王に出来た僅かな隙で、魔力を込めた拳で腹を殴った。

新・魔王はそれを喰らい、体をくの字に曲げて吹き飛んだ。

……こいつ、強いが前に戦ったほどではない?

体が変わったから、力が本来の体より出せないのか手加減してるのか、それとも別の思惑が……いや、今は倒すことに集中するか。

 

「ナカナカヤルナァ!」

 

新・魔王はダメージを喰らった様子はあるが、まだ戦えるようだ。

 

「魔王くん、行くよ!」

 

「……了解」

 

新・魔王を倒す、助けてください。




私の中で雷鳴は気に入ってるキャラですよ。
弄りがいがあったり、どんな風にギャグ補正を入れるか考えるのが楽しいので。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

厄介だね、助けてくれないかな。 by空良

疲れた……やりたいことあったけど、全て別の日にやることにしました。


「……くっ!」

 

「危ない!」

 

俺と空良は新・魔王に苦戦していた。

前戦った時よりは確実に弱くなっている。

そうは言っても、強いには強い。が、二対一でなんとか勝てる位の強さだろう、本来なら。

 

「ソラヨォ!」

 

「魔王くん!」

 

「……分かってる!」

 

新・魔王は俺達を狙わずに、恐怖でいつの間にか気絶しているミサに攻撃しているのだ。

ミサを攻撃が当たらないように弾かないといけないのだが、そっちに集中していると新・魔王からの攻撃を受ける。

そのため少しずつ俺達が押されているのだ。

ミサに攻撃がいかないように、新・魔王の攻撃に当たらないように神経を尖らせ、中々攻撃出来ないことの焦りもある。

このままだと負ける……ミサを後ろに下げれたらいいんだが、隙が無い。

 

「……空良、攻めれるか」

 

「出来るならとっくにしてるよ」

 

「……だよな」

 

雷鳴と海楽は何してるか知らない……というより、少し離れたところに居たはずだ、その場から動いてなければだが。

海楽がいればなんとかなるかもしれないが、連れてくる余裕が無いからなぁ。

今も地面で寝てるだろうし。

 

「……俺がアイツの視界封じるってその間にミサを頼めるか」

 

「任せて」

 

攻めることが出来ないなら逃げに徹するだけだ。

空良がミサを下げて戻ってくるまでの間ならなんとかなるだろう。

 

「……目を閉じろ! 『輝光』」

 

俺は手のひらに一ミリ程度の光の玉を作り、それを握った。

すると光の玉は眩しく輝き始め、目を閉じらずにはいられないほどの明るさとなった。

なお、これを使った俺は影響を受けないので問題ない。

 

「ガアァアァァ!」

 

新・魔王はその光を直に受けたようで、錯乱状態で頭を振り回しながら辺りに魔法を撃ちまくっている。

俺は空良とミサに当たりそうな物だけを弾いた。

そして新・魔王に近づこうとしたときだった。

 

「ニィ」

 

新・魔王は笑った。

なぜ笑ったのか、俺一人程度なら倒す余裕があるからなのだろうか。

早めに倒した方がよさそうだ。そう思い新・魔王に蹴りを放とうとしたときだった。

 

「駄目ェー!」

 

空良の悲鳴に近い声に思わず振り向くと、そこにはミサの周りに多くの切れ目が出現していた。

新・魔王が錯乱状態に見せかけて、明後日の方向に撃った魔法の先に切れ目を出していたのだ。

ミサが倒れてる場所はずっと変わってない、場所が変わってないのでミサが何処にいるかもバレているのだ。

 

「……ミサァァァ!」

 

俺は急いでミサを助けようとした。

空良もミサを助けようとするが、新・魔王がそう簡単に見逃すわけがない。

 

「……ぐっ、がぁぁアァ!」

 

「あああぁァ!」

 

俺と空良の頭上に切れ目を出し、そこから魔法を出した。

俺達二人はそれを喰らってしまい、その場に倒れる。

 

「…………」

 

俺達は何もできずに、ミサは魔法を喰らった……かに思えたが、

 

「『オートモード』」

 

その声と共に誰かがミサを掴み、まるで何処かへ引っ張られるようにその場から離れて行く。

その声の主は言わなくても分かる。どんな攻撃ももろともしない人物(変態)

 

「雷鳴、成功したぞー!」

 

「よし、逃げるぞー!」

 

海楽である。

海楽はミサを担いだ状態で雷鳴の居るところへ戻っていき、その場から逃げていった。

なんとか、なったのか。さてと……

 

「……これで」

 

「心置きなく」

 

「「……戦える()」」

 

 

周りを気にすることなく、新・魔王との決着を付けられそうだ。

体が傷だらけ?そんなの知るか。

 

決着を付けるので、助けてください。




最後のは「空良、新・魔王と決着を付けるから力を貸してくれ」って意味です。

【輝光】
龍球で言う太陽のあれ。
使用者は眩しくないが、喰らった者は「目がァ、目がァー!」状態になる。


……まだまだ続きますよ。
反転↓
それに、あるシーンで新・魔王のクローンが出てるので、それを全て倒さない限り……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

0.5話的なあれです、助けてください。 by雷鳴

ふと思い付いたオマケ的なあれです。
さっきまでコイツら何やってたんだ?っていう……


「…………」

 

やぁこんにちは。

俺の名前は雷鳴、なんか異世界行って別世界に戻ってきたら幽霊になったぜ。

……なぁ、俺はどうやったら幽霊から戻れるかな?

なんか魔王と異世界の勇者はもう一人の魔王と戦ってるし。

 

「海楽、起きろー」

 

とりあえずやることがない俺は海楽を起こすことにした。

え、加勢しろって?嫌だよ怖いし痛いからな。

俺も海楽みたいな能力があればな~いや、海楽は海楽でダメージ負うから駄目か。

 

「ん? 雷鳴か、どうした」

 

どうしたじゃねーよ。

 

「お前が地面を転がってる間に……見ろ、なんか色々起きてるぞ」

 

俺は戦っている三人の方を指差す。

そういやミサは大丈夫か?見捨てるのは後味が悪いからしたくないけど……逃げたい。

 

「雷鳴が幽霊になってるだと!?」

 

「おせぇよこの野郎」

 

さっきから幽霊だったよ?

肉体はずっとそこの地面に転がってるだろ……俺、ちゃんと戻れるよな?

海楽は俺が指差した方向を見ると立ちあがり、

 

「ちょっと攻撃受けてくる」

 

「ちょっと待とうな」

 

俺は海楽の腕を掴もうとするが、体が透けて掴めない。

攻撃受けないのは良いけど、こっちからなんも出来ないのも不便だな。

 

「なんでだ? 俺は今すぐ彼処に行って攻撃を受けたいんだ、何も問題ないだろ?」

 

その行動に問題があるんですがそれは……

まぁそれは置いとくか。

 

「それは別にいいが、ミサを下げてからの方が良くないか?」

 

今にもミサに攻撃が当たりそうだもん、それを二人が弾いてるから邪魔になっているのだろう。

俺は早く帰りたいんだ、帰ったら帰ったでろくなことないけど……

兎に角帰るためにはもう一人の魔王を倒してもらう必要があるんだ。

そのためにアイツらを手伝い、俺は観戦……もとい逃げる。これで帰れるってことだ。

 

「確かにな」

 

あれ、思った以上に話を聞いてくれたな。

てっきり「そんなのはしらん、ヒャッハー攻撃だぜー!」って突っ込んで行くと思ったのに。

 

「流石に仲間を見殺しにするのはなぁ」

 

な、こいつにちゃんとした常識があるだと……!

俺は目を見開きあり得ない者を見たような顔になった。実際にあり得ない者を見てるんだけどな。

 

「よし海楽、行ってこい!」

 

「分かった……あ、雷鳴も協力しろよ?」

 

え、めんどくせ。

だけどこの世界から帰るためだから頑張るか。

 

「それで何をすればいいんだ?」

 

「俺には『オートモード』って言う勝手に攻撃を受けてくれる物があるんだ」

 

くそ迷惑だなオイ。

味方も敵も全ての攻撃を受けるのか、俺は絶対にいらないな。

だけどそれがどうしたんだ?

 

「あの敵魔王が攻撃してるところに『オートモード』で攻撃受けに行ってミサを回収。そして雷鳴が何も無い空間に攻撃して、それに『オートモード』が反応して戻ってくる。これが作戦だ」

 

えっと……つまりは、

もう一人の魔王のところまで飛んでミサを回収、そして俺のところに飛んでくるってことか。

なんかブーメランみたいだよな、これ。

それにしても、よく思い付くよな~俺は逃げることしか考えてなかったぜ!

 

「じゃあ海楽、頼むぞ」

 

「任せな」

 

海楽は俺に背を向けてもう一人の魔王のところへ向かっていった。

……頑張ってこいよ。と言う意味で背中を叩いたけど、手が透けて出来なかったのは内緒な。




【オートモード】
ON/OFFと範囲がある(ことにした)
勝手に設定を生やしました、ごめんなさい。
よくよく考えると、範囲とかON/OFF出来ないとおかしいかな?と思ったので。

例)食事の時

刺身を食べる
魚ってそれでも生きてると思う
食べるってことは生きてる物に攻撃するってことだよな?
刺身を食べようとしたところに海楽\ドーン/
口に人が入ってくる

……食べようとしてるところに海楽が突っ込むことは流石に無いよな~って思ったので。
それに範囲が決まってが無かったら、永遠に攻撃がある場所を飛び回ってることになるので。



海楽が真面目な感じするのは気のせいです。
海楽のシーン(本家様)を確認したところ、仲間と一緒に居たので「一応仲間を守ろうとしてるのか」と思ったので。実際はこんな頭脳派な考えしなさそうだけど。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

私の出番をください、助けてぇ。 byミサ

拝啓 読者様

致命的なミスがあったので、削除して再投稿しました。


俺達三人は空を飛びながら、相手の出方を窺っている。

相手がどう動くか、警戒しながらも自身がすぐに動けるように……

俺は瞬きをした瞬間に目を見開き、新・魔王へと接近した。

……もう焦らない、冷静に仕留める。

 

「……ゼヤァ!」

 

「ミエミエナンダヨォ!」

 

そのまま新・魔王の頭に回し蹴りを打ち込もうとするが、首を動かされて蹴りは外れたたが、回し蹴りをした勢いで、首にかかと落としを当てようとしたが、足首を捕まれ投げ飛ばされた。

やっぱり、一人だとキツいな……だが!

 

「やァッ!」

 

新・魔王の後ろに回っていた空良が刀を振り翳す。

 

「ッ!」

 

間一髪、というのだろうか。

空良が後ろにいた新・魔王は飛ぶのを止め地面に引っ張られるように、重力に沿って落ちて攻撃をかわした。

 

「少し、不味いな」

 

体に馴れてきたのか、少しずつだが動きが良くなってきている。

強い一撃を撃とうと思って、魔力を少し温存していたがそんな余裕が無くなりそうだな。

完全に馴れて手に負えなくなる前に、仕留めなければ。

こうなったら、持ち主(魔王)の魂を削れば……いや、削りすぎてうっかり消滅されるのは困る。

あのときのように、魔力をギリギリまでに溜めた拳で仕留めるか?でも、隙が無い……外さないように、状況を見る。

 

「……考えても仕方ない」

 

倒されたら負け、倒したら勝ち。ただそれだけだ。

俺は重力に沿って落下している新・魔王に向かって『岩石』を使い、その体を石にしたが、それも一瞬で簡単に内側から砕かれた。

たった一瞬か、これだと隙は作れるけど魔力を最大まで込めれない。

 

「そこ!」

 

空良は一瞬の隙を見せた新・魔王の背中に刀を突きつけようとするが、空中で静止した新・魔王に腕を捕まれ俺の方へと投げ飛ばされる。

しかし、空良は空中で体勢を立て直して綺麗に着地した。

 

「……一度、吹っ飛べ!」

 

俺は『封印』を使い、新・魔王の体を鞭のようなものでグルグルに巻いて投げ飛ばした。すぐには戻ってこれないたろうし、切れ目で戻ってきたとしても、体勢を立て直さないといけないから大丈夫だろう。

 

「魔王くん、これからどうするの? 段々と魔王が強くなってるけど」

 

「……一撃で仕留める」

 

これ以上長続きしないようにするにはそれしかないな……新・魔王を一撃、または一瞬で倒せるような技となるとあれしかない。

まるであの時のようだな、俺は記憶しか知らないけど。

 

「……あれでいくか」

 

「あれ?」

 

「……あぁ」

 

さっき考えた作戦にあれを足せば……ん、そういやそうだったな。なら少し作戦を変えて、こうならどうだ?いや、俺のことは気にするな、尽きる前に仕留めればいいだけだからな。それにそれなら大丈夫だろ。

 

「……決まりだな」

 

「そう、だね」

 

もしこの作戦で倒せなければ、俺は魔力を使い果たして動けなくなり、空良一人で戦うことになる。

魂を削って魔力を使うことも出来るが、それと同時に消滅するからあって無いようなもの。

もしも俺が外したり、空良が失敗したら……負ける。

 

掛けるしかない、助けてください。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

時間を稼ぐから、助けてくれないかな。 by空良

拝啓 誰かへ

これはあの時を思い出す。
しかし、あの時とは違う。
だが決着を付けなければいけないのは変わらない。
失敗は許されない、これで終わりにする。
終わらなければいけないのだ。

……なぁ作者、これ読んだら本当に出番くれるんだよな? by雷鳴


「…………」

 

元・魔王はあの時(新・魔王との決着)と同じように、拳に魔力を溜め始める。

あの時と違うのは魂を削らずに、自身が持っている魔力だけを溜めていることだ。

そのためあの時よりは威力は劣るだろうが、今の新・魔王を倒せるほどの威力はあるだろう。

だが魔力を溜めるのに時間がかかるため、無防備状態になる。

 

「アレハァ、アノトキノカァ」

 

遠くに飛ばした飛んで新・魔王が戻ってきたようで、元・魔王を見る。

新・魔王の脳裏にはあの時の記憶が鮮明に残っている。

自分より格下の相手に負け、こんな体になってしまった原因であり、トラウマであるからだ。

 

「ソウカンタンニィ、サセルカヨォ」

 

新・魔王は狙いを元・魔王に定め、元・魔王に弾丸のような速さで接近し始めた。

しかし、それを許さない人物が居た。

 

「行かせないよ」

 

空良である。

空良は刀で新・魔王に斬りかかるが、後ろに1メートルほど跳ばれてかわされた。

しかし空良はその行動は予想済みであり、次の攻撃を仕掛けようとしていた。

 

「『ウォーター』」

 

新・魔王は切れ目で攻撃を防ごうとしたが、空良が使った魔法から出た水の威力はお世辞にも強いとは言えず、精々料理に使える程の量しか出なかった。

 

「アァ?」

 

流石の新・魔王も不意を突かれたようで、何かあるのでは無いかと警戒していたが……

 

「何も、無いよ!」

 

空良が投げた刀が肩に刺さり、顔をしかめる。

新・魔王は顔をしかめながらも、刀を抜こうとする。

 

「まだまだァ!」

 

刀を抜かれる前に、新・魔王の顔に拳を叩き込む。

顔が少し歪んだが、怯みはしなかった。

空良は次に新・魔王の腹に蹴りを入れて吹き飛ばそうとするが、足を捕まれて投げられる。

新・魔王は刺さっている刀を抜き、明後日の方向へと投げる。

 

「コレデシマツデキルナァ」

 

新・魔王は手のひらから黄色い球を作り出した。

その黄色い球はバチバチと電気……いや、雷と言う方が正しいのだろうか。それを切れ目に入れ、元・魔王の頭上へと放った。

 

「……ッ!」

 

「やらせないよ!」

 

元・魔王に当たる前に空良が剣で真っ二つにした。

空良は新・魔王に投げられた状態で、『身代わり石』という一時的に見たことある物や人をコピー出来る物で剣をコピーしたのだ。

空良は自身の世界の剣をコピーし、元・魔王の頭上にある黄色い球に斬りかかったのだ。

 

「魔王くん、後どれくらい!」

 

「……三十秒」

 

「了解!」

 

剣を握りしめ、新・魔王へとがむしゃらに斬りかかる。

右、斜め、下……どこを斬るか、どうやって斬るか。そんなことを考えずに、ただがむしゃらに斬りかかった。

 

「チィ!」

 

新・魔王はどこからくるか分からない攻撃を捌きながら、元・魔王へと攻撃しようとするが、剣が邪魔で攻撃出来ない。

 

(ドコカラクルカワカラネェナァ!)

 

何か考えて攻撃してきているなら、攻撃を読んで反撃出来るが、単純で何も考えてない攻撃だからこそ何も出来ない。

戦いに置いて一番厄介なのが適当に、そしてがむしゃらに攻撃されることだ。

相手がどう攻撃してくるか分からないので、直前の動きを見て判断するしかないからである。

新・魔王は早く元・魔王を仕留めようと、空良を吹き飛ばそうと、攻撃を無視して殴ろうとする。

 

「ッ今!」

 

「ナァニィ!」

 

空良は新・魔王の拳をギリギリまで引き寄せてから、体を反らしてかわした。

そのまま新・魔王の腹にカウンターを繰りだし、上に打ち上げた。

 

「魔王くん、今だよ!」

 

「……サンキューな」

 

元・魔王の拳には魔力が黒いオーラのように漂っていた。

あの時は体全体から魔力が溢れていたが、今回は少しでも威力を上げるために拳のみに魔力を集中させたのだ。

 

「ヤァ、ヤメロォォオォ!」

 

元・魔王は新・魔王へと跳び、魔力を込めた拳をこれでもかと握りしめる。

新・魔王は両手を伸ばし、攻撃に備える。

しかし、普通に両手で受け止められる程の威力の攻撃ではない。

そして、そのまま拳は───

 

…………、助けてください。




魔王様と空良が主役!
って感じになってるから、早く他のキャラクターも出したいです。
雷鳴は知らん……本音を言うと、割りと扱いづらいのが理由ですが。

魔王様の攻撃はリ〇ル・マックの『気合いストレート』をイメージしてます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

グヌゥ、助けてください。

拝啓 読者様

基本的に小説を書くときって、曲ならなんやらを聞きながら書いているんですよ。
ニコニコ動画付けながら書いてたら……

『ニコニコ動画に不具合が発生しました』

(゚д゚)

……なんかもう、泣きたくなりました。
取り敢えずはポケモン聞いてます。
『ひとりぼっちじゃない』は神曲、はっきりわかんだね。


「……ナァンテイエバァ、マンゾクカァ?」

 

───そして、そのまま拳は新・魔王を貫くことはなかった。

新・魔王が両手で元・魔王が放った拳を受け止めているからである。

本来なら、そんなことは出来るはずがない。単純な力のみでその攻撃を受け止めることなど。

 

「……ガッアァ!」

 

「コノトキをネラッテタンダヨォ!」

 

新・魔王は元から狙っていたのだ。

元・魔王が自身を倒すためにあの時と同じように一撃で狙ってくるだろうと。

その時を狙って、偽狼男にしたように力を吸収しようと。

どうやら、まんまと策にハマってしまったようだ。

 

「……くっ、ははは」

 

「トウトウゥ、オカシクナッタカァ?」

 

元・魔王は力を吸収され、顔色が悪くなりながらも笑っている。

その拳に漂っていたオーラのような物が消えはじめても、ずっと。狂ったかのように笑っていた。

 

「……そりゃあ、笑うに決まってるさ」

 

「……こんなに作戦通りに行くなんてなぁ!」

 

その言葉と共に、新・魔王に何重にもぶれている影が覆い被さる。

その影は手に剣を持っており、残像が出来るほどのスピードで新・魔王の背後に回っていた。

 

「『オーバーホール』」

 

「……空良ァ、いけぇ!」

 

その影は空良であった。

元・魔王が新・魔王の注意を逸らしている間に、空良が新・魔王の背後に跳び、『オーバーホール』を使って残像が見えるほどのスピードを得ていたのだ。

策にハマったのは、新・魔王の方であったようだ。

 

「クッッソガァアアアァ!!」

 

新・魔王は悪あがきに等しいが、空良に攻撃しようとしたが、空良の方が早く……

 

「はぁぁぁ!」

 

空気が斬れる音がすると同時に、新・魔王が斬れていく。

その剣は何振りしたかは、分からない。

兎に角新・魔王を倒すため、無我夢中で剣を振るう。

そうして、新・魔王……だったものは地面に落ちていった。

 

「……もう無理」

 

元・魔王も共に落ちかけるが、空良に抱えられて落ちることはなかった。

そのまま空良と一緒にゆっくりと地面に降りていく。

 

「……凄い、死にそう」

 

「大丈夫? 魔力いる?」

 

「……ああ」

 

空良は元・魔王の背中に手を置く。

するとどうだろうか、少しずつだが元・魔王の顔色が良くなり、自分の力だけで立てるようになった。

 

「……ありがとうな」

 

「どういたしまして。それより、本当に倒せたんだよね?」

 

「……ああ。そのはずだが、一応燃やすか」

 

元・魔王は草木を焦がす程度の威力で『焼却』を使い、新・魔王だったものを燃やし、完全に消滅させた。

 

「……よく、作戦通りに勝てたな」

 

「下手したら負けてたからね」

 

元・魔王の言葉に空良は苦笑いで返す。

 

「「……お疲れ様」」

 

安堵した表情で、二人は雷鳴達を探すため歩き始めた。

かなり無茶したなぁと、先程までの作戦を思い出しながら。

 

 

 

 

 

「……俺がアイツを一撃で仕留める」

 

「い、一撃で?」

 

「……ああ」

 

空良は元・魔王の言葉に疑問を抱いた。

あの魔王を一撃で倒せるような技があるなら何故早く使わないのか、そもそも一撃で倒せる相手では無いだろう……と。

 

「……だけど、その一撃を溜めるのに時間がかかる」

 

「つまりは、私が囮になればいいんだね?」

 

「……そういうことだ」

 

まるであの時と同じだな、そう元・魔王は思う。

あの時も白雲達に時間を稼いでもらって、新・魔王を倒せたんだったなぁ、と他人事に思いながら……記憶があるだけで、倒したのは魔王(持ち主)なので合っているが。

 

「……それじゃあ早速」

 

「ちょっと待って!」

 

「……なんだ」

 

元・魔王が拳に魔力を溜めようとしようとしたが、空良が止めに入る。

若干不満そうな顔をしたが、話は聞くようだ。

 

「魔王がさっき、味方を消してたよね」

 

「……あぁ、あれか」

 

元・魔王は空良に言われて、偽狼男が頭を捕まれ、消えたことを思い出した。

どうやら、倒すことばかり考えていて、忘れていたようだ。

 

「あれを使って来ないのが、少し引っ掛かるんだよね」

 

「……確かに」

 

あれをずっと使えば二人が新・魔王を倒すことは、今以上に難しくなる。

使わないのには理由があるのか、ただ単に使わないだけなのか……二人はその理由を想像でしか分からない。

 

「……アイツもそれを分かっているのか」

 

「どうしたの?」

 

元・魔王は新・魔王を倒したことを思い出し、相手も自分をあの時の攻撃で倒せないと分かっているのではないか、そう考えていて空良に話す。

 

「なるほどね……なら、その時を狙ってるのかな」

 

「……恐らくはな」

 

「なら、この作戦は無しになるね」

 

「……いや、このままだ」

 

「え!?」

 

「……このままでいくぞ」

 

空良は驚き、目をぱちくりさせた。

こんなことを言っているが、元・魔王がおかしくなった訳ではない。

その一撃でないと、新・魔王を倒すかことが出来ないと考えているからである。

 

「……空良、一つ頼んでもいいか?」

 

「え? う、うん」

 

「……このまま俺は一撃で仕留める。だが、新・魔王があれを使ってきたら、勝てない。だから……」

 

元・魔王がその続きを言う前に、空良が喋る。

 

「そのときは、私が仕留めればいいのね?」

 

「……ああ」

 

「だけど、その作戦って下手したら」

 

「……問題ない、その前に空良が仕留めればいい話だ」

 

「私のこと、信頼してるんだね」

 

「……まぁな」

 

二人は顔を見合せ、頷く。

 

「……決まりだな」

 

「そう、だね」

 

もう言葉にすることはない。もし、あるとしたら……終わったあとに「お疲れ様」と言うくらいだろう。

 

……ところで私の出番はないのかな、助けてぇ。 byミサ




やっっっっっっとッ!
倒したァ!

本来なら、三話程度で倒す予定だったんですが、中々難しいですね。
予定の倍もかかるなんて、予想外ですよ……


それと、この作戦はわりと厳しいです。
空良が失敗したら終わり
一撃を外したら終わり
先に元・魔王が消滅したら終わり
空良の最後の攻撃で倒せなかったら終わり
第三者が介入したら終わり

……無茶苦茶だな。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

助けて、助けてよぉ。 byミサ

拝啓 読者様

今回は雷鳴達と合流したところから、始まります。


「……雷鳴、海楽、ミサ」

 

俺と空良は新・魔王をなんとか倒し、雷鳴達を探した。

どこに行ったか分からないので、取り敢えずは逃げていった方向に歩いていくと、三人が地面に座っていた。

雷鳴が幽霊であることを除くと、特に怪我をしている様子はない。

 

「痛みが欲しい……」

 

「…………」

 

「俺の体が何処いった? 消滅した?」

 

よし、全員無事みたいだな!という冗談は一旦置いておこう。

雷鳴は自分の肉体が何処にあるか気になるようだが、恐らくはさっきのところに転がっているだろう。もし無かったら……その時は、まぁ、うん。

それよりも気になるのはミサだ。

さっきから暗い顔をしており、体も微妙に震えている。もう新・魔王は倒したから存在してないが、あの時の恐怖がまだ残っているのだろう。

え、海楽?あれが平常運転だろ。

 

「ミサちゃん、大丈夫?」

 

俺と同じように、ミサのことに気付いたのだろう。

空良はミサに近づき、抱き締めて背中を擦っていた。

こればっかりは、自身でどうにかするしかない……が、新・魔王を倒したので全員元の世界帰るのだ。その世界でその恐怖を忘れることは出来るかもしてないが、克服することは出来ないだろう。

そうミサのことを心配していると、雷鳴が近づいてきてあることを確認してきた。

 

「魔王、本当に倒せたんだよな。帰れるんだよな!」

 

「……あぁ、帰れるさ」

 

それは前回お前がそうだっただろ……

新・魔王を倒したと同時に、お前の体が復活してそのまま消えていって……あれ、待てよ。

俺はそう考えていって、ある疑問が浮かんだ。

新・魔王は完全に倒したはずだ、万が一空良の攻撃で生きてたとしても、おれが燃やしたから生きてる筈がない。なら、なんで……なんで、帰れないんだ?(・・・・・・・)

 

「……なぜだ」

 

「ナゼダロウナァ?」

 

『!?』

 

その声が聞こえたと同時に、全員が辺りを警戒する。

どういうことだ?完全に倒したはずだぞ……!

まさか生きていたのか?いや、そんな筈はない。

もし生きてたとしたら、勝てない。さっきの戦いで空良も俺も消耗している。

 

「しらk───」

 

俺は体制を整えるため、白雲に全員移動してもらおうと呼ぼうとしたときだった。

背後に新・魔王の拳と、攻撃を受けようと割り込んできた海楽が突っ込んできたのが見えた。

 

「……ガッッ!」

 

俺はその攻撃を防御することも、受け流すことも出来ずにそのまま吹き飛ばされて地面をバウンドし、やがてサッカーボールのように転がり始めて、止まる。

新・魔王に反撃しようとするが、体が動かない。それどころか、意識を保つことしか出来ない。

海楽が間に入ってこなかったら、今の一撃どうなっていたかは、容易に想像できる。

 

「はあぁぁぁぁあ!」

 

声からして、空良だろうか。

恐らくは剣を持って新・魔王に斬りかかっているのだろう。剣が空を斬る音が聞こえる。

しかしその音も何回かした後に聞こえなくなり、何か鈍い音がしたと同時に、何かが倒れる音がした。

 

(……そ、空良!)

 

体を動かそうと奮闘するが、金縛りにあったかのように動かない。

それどころか、意識を保つことすら難しくなり───

 

壊滅寸前です、助けてください。




~現在の状況~
【新・魔王】
全快(理由不明)

【元・魔王】
戦闘不能
【空良】
戦闘不能
【海楽】
何処かに吹っ飛んだ(戦闘に参戦不可)
【ミサ】
戦意喪失(トラウマ)
【雷鳴】
戦闘可能

もうオメェしか居ねぇんだ、頑張れ雷鳴!
正直な話、お前にどうこう出来る状況じゃねぇけど!

雷鳴「え、待って。待って! 俺無理だから、助けて。誰か、助けてー!」

次回の雷鳴の活躍に期待しましょう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

これ詰んだ、助けてください。 by雷鳴

拝啓 雷鳴

今行動出来るのはお前だけだから頑張れ!
正直な話、勝てないけど!

雷鳴「ヘルプ、ヘルプミー! 嫌だ戦いたくねぇ、こっから逃げて本編が始まらないようにしてやる!」

いや、無意味だからな。
じゃ、本編スタートでーす。

雷鳴「嫌だああぁぁあ!!」


「アトはオマエラダケダァ」

 

やぁ、俺の名前は雷鳴。

よく分からんけど、敵が生きてた。

そして魔王を倒し、勇者を倒し、海楽は何処かへ吹き飛び、ミサは体を震わしている。

……なるほど、この状況で俺はやることはあれだな。

もう一人の魔王を一人で倒してハッピーエンドってことだな。なるほど、なるほど~

 

「出来るかボケがァ!」

 

出来るわけねぇだろ、俺は最弱だよ。

ギャグ補正の使い方を教えてくれよ、そして幽霊から戻りたいんだけど。

……あ、この状態だと攻撃受けないじゃんか、ラッキー。此方から攻撃出来ないのも困ったものだけどな。

 

「マズはオマエカラダナァ」

 

あ、なんか喋ってる。

お前の言葉は微妙に分かりづらいんだよ、分かりやすく喋ってくれ。

……は?おい待て、なんか俺の方を向いてるんだけど。

 

「ま、待て!」

 

「ナンダァ?」

 

あ、ちゃんと待ってくれるんだ。

い、いや……それよりもこの状況をどうにかしないと。取り敢えず、俺だと倒せないから時間稼ぎするか。

 

「ここで俺達を倒してもいいのか?」

 

「ドウイウイミダァ?」

 

お、食い付いてきた。

食い付いてきたけど、それと同時に俺に食い付いてきそうなんだけど。

なんか凄い俺のこと睨んでくるんですけどこの人。

ま、まぁ今は置いておくか。

 

「此方にはお前を倒せる方法があるんだぜ」

 

「ナニィ?」

 

一応あるにはある。

ミサの爆発で不意討ちして、そのまま全員で袋叩きにすれば勝てると思う。

……その代わり、避けられたら意味がない。そもそも味方を巻き込んで、戦闘不能にするから使えない。そして人質にされたら詰む。

以上のことから、現実的でないと魔王が言っていた。

理論上は存在しているので、嘘は言っていない。実際は出来ない。

 

「……マサカァ、『マジン』カァ?」

 

マジン?

何言ってんだコイツ。マジンってなんだよ、魔物の神で魔神ってか?

なんか魔王より強そうな響きだな、神様だし。

 

「あ、ああ。その魔神だ!」

 

で、魔神って何?

何処かに封印されてるの?どのくらい強いんだろ。

少なくとも俺は会いたくない。そもそも何処にいんだよ。

 

「オマエは『マジン』にナレルノカァ?」

 

あ、魔神って変身とかでなるものなのか。

で、その俺も方法はどうやるの教えてくれない?

 

「あぁ」

 

んなわけねぇだろ、考えやがれ。

魔神って言ったらあれだろ、魔人ブ〇だろ。え、あれは神じゃなくて人だって?細かいことはいいんだよ。

 

「ソウカァ……ナラァ、『マジン』にナルマエにオマエをタオスゥ!」

 

「待て待て待て!」

 

もう一人の魔王が俺に攻撃しようとしてきたので、急いでストップをかける。

なんだよ、そんなに魔神が嫌いなのかよ。お前もしかしてあれだろ、好き嫌い激しいタイプだろ。だから友達が出来ないんだぞ!

え、関係ない?それもそうか。

 

「……チィ」

 

お、なんとか引いてくれた。

これでなんとか時間稼ぎをしないと。

 

「今俺達を見逃せば、教えてやるぜ?」

 

知らないってことをなぁ!

それした瞬間、ぶっ殺される未来しか見えないけど。

 

「グヌゥ……イヤマテヨォ、ホントウにシッテイルカアヤシイナァ?」

 

げ、勘づきやがった。

なんとかして誤魔化さないと……あ、そうだ。

 

「魔神になるためには、ある材料が必要なんだ」

 

「ザイリョウゥ?」

 

「あぁ。だが、その材料は入手が困難でなぁ……それと取引といかないか?」

 

「ワカッタァ」

 

お、良かった。

ここで断られてたら、バットエンドまっしぐらだったぜ。

 

「ナラソノザイリョウをダシテモラオウカァ?」

 

だから知らねぇつってんだろぉ!

いや、口には出してねぇけど。

仮に持ってたとしても、渡した瞬間にボコボコされそうなんですけどそれは……

 

「お前が裏切る可能性があるから渡せねぇよ。あ~あ、魔王達の体力が回復出来る位の期間を作ってくれれば、渡すのにな~」

 

「……ハツカカンダァ」

 

「え?」

 

「ハツカゴにィ、ソノザイリョウをモッテココにコイィ」

 

お、なんとか騙せた。

20日後に材料をここに持ってくればいいのか……よし、バックレよ。

俺は魔神のことも、その材料のことも知らない。最悪、適当に物持って「これが材料だ」と言って誤魔化せばいいか。

 

「ダガァ! ダガァ、モシコナカッタリィ、ウソをツイタラオマエをツブスゥ!」

 

あ、はい。

これは逆らったら駄目なヤツだ、元からこの交渉は成立してないけどな。

その言葉と共に、もう一人の魔王は何処かへ消えた。

 

「……はぁ~~」

 

俺はミサと俺以外が居なくなり、静かになったところで大きく息を吐く。

あ、あっぶねぇ~なんとか交渉成立した。だか、魔神か……それになれたら、アイツも倒せるのか?

だが、それよりもまずはやることがあるな。

 

「……ちょっと体探してこよ」

 

俺はフヨフヨと浮きながら、自分の体を探すために飛んでいくのであった。

 

怖かった、助けてください。




【交渉】
なんとか成功。
なお、嘘で誤魔化しただけである。
だが『マジン』とやらを知った。

【マジン】
恐らくは変身か何かをする。
新・魔王が警戒しているところを見ると強大な力を手に入れられるモノのようだが……?



今回で前半終了です。
……長くね?
本来ならこの半分の予定で前半が終わる予定でした。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~暫しの休憩編です、助けてください。~
助けられました、助けてください。


拝啓 読者様

今回から中盤へと入ります!


「……ここは?」

 

俺は目を覚ますと、ベッドに転がっていた。

これはあれだな。知らない天井だ……ってやつだな。

で……本当にここはどこだろ。

確か新・魔王を倒して雷鳴達と合流して、その後新・魔王が復活してて……

 

「……新・魔王は! 何処へ行った!」

 

「あ、魔王様。目が覚めたんだ」

 

俺がキョロキョロと周りを見ていると、ベッドの下から白雲が出てきた。

お前なんでそこに居んの?

 

「……白雲か」

 

なんだか白雲に会うのが久しぶりな気がする。

まるで半年ぶりのような……いや、気のせいだろう。

白雲に会ったのは数時間前だし、新・魔王が俺を狙って来ているので、半年も何もなく過ごせることはない。

そもそも、俺はどうして生き残ってるんだ?運よく逃げられたってことは無いだろうし。

 

「魔王様、体調は?」

 

「……問題ない」

 

「……ところで白雲、新・魔王はどうした?」

 

「それは……」

 

白雲はこれまでに合ったことを話してくれた。

まずは俺が三日間寝ていたこと。

次に雷鳴が交渉(詐欺)して新・魔王から助けてくれたこと。

その結果、二十日……いや、十七日後にもう一度合うことになったという。

 

「…………」

 

十七日後か。

正直な話、日にちとしては長いとは思う。

が、戦うための準備としてはとても短すぎる。

白雲の話を聞く限りだと、嘘を付いて延ばした結果なので、これ以上の期間を作ることを難しいだろうし、アイツとの決着も早く付けておきたい。

 

「魔王様?」

 

「……っ、悪い」

 

少しばかり風に当たるか。

頭で考えても今はどうにもならないし、風に当たればリラックス出来るだろう。

 

「……少し外に出る」

 

俺は部屋の窓から外に飛び出した。

窓の外を見たとき、地面が見えなかったので今居るのは二階、もしくは三階だろう。

それ位なら飛び降りても問題ないし、その程度で怪我をすることもない。

なお、実際は10階だった。おい、誰だこんな高く作った奴は。怒らないから出てこい。

 

 

 

 

 

「……ふぅ」

 

俺は座れそうな切り株に腰をかけると、ため息をひとつする。

新・魔王に勝つためにはあの林檎は必要だろう。

魔王の力も借りておきたい……だが、まだ気がかりがある。

新・魔王はどうやって復活したんだ?肉体は燃やしたのだが……どういうことだ?

そもそもあれを食ったところで本当に勝てるのか?

 

「……いや、止めておこう」

 

リラックスするために外に出たのだ。

それなのに、ずっと考えていては外に出た意味がない。

俺は部屋に戻ろうと、切り株から立とうとした瞬間だった。

 

「おや、どうしました?」

 

後ろから聞いたことのない声がした。

 

「……ッ!」

 

俺はその瞬間、飛びあがりその声の主を見た。

その主は白いスーツで、顔は目玉の書かれた黒い布で隠されており、どういった人物かは分からない。

ただ言えることは、その人物が長身細身であることと、何か不気味な感じがすることであった。

 

「……誰だ、お前は」

 

何故だろうか。

目の前の人物を見ていると、胸騒ぎが止まらない。

こいつとは関わってはいけない、今すぐ逃げろ。

そう言っているような気がする。

 

「おっとと、驚かせるつもりはなかったんですよ」

 

どの口が言うのだろうか。

そう思いながらも、目の前の人物から視線を切らないようにする。

新・魔王の仲間だろうか、それとも第三勢力か……なんにせよ、戦いになるのなら容赦はしない。

 

「戦うつもりはありませんから、大丈夫ですよ」

 

その人物は両手を挙げて降参のポーズをとる。

……攻撃してくるつもりは無いようだな。

俺は警戒をとき、その人物に近づく。

 

「……自己紹介がまだだったな、俺は魔王だ」

 

「私は只の商人です。まぁ商人とでも呼んでください」

 

この人物との出会いが、まさかあんなことになるだなんて……今の俺は知らなかった。

 

不気味な人物です、助けてください。




今回から数話ほどは少しばかり平和なのを書く予定です。
え、そんなの書かずにさっさと行けって?
……伏線って大事なんですよ。
それに私自身も少しばかりハメを外して、休憩が欲しいですし。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

怪しいな、助けてください。

拝啓 読者様

来月中に十七日後(新・魔王と会う所)まで行けたら良いなぁ……と思ってます。


「……それで、何か用か?」

 

「そんなに警戒しないでください。お近づきの印に、これをあげますから」

 

え、別に警戒してはいないんだが……新・魔王のことでピリピリしているから、勘違いしたのか?

って、それはまさか!

 

「……林檎か」

 

実際は似ているだけで、なんか魔力が回復するあれだ。

久しぶりに見たな、何処からか持ってきたかは知らないけど懐かしいな。

 

「これは魔力が摂取出来る特別な果実なんですよ」

 

なんでこいつが持ってんだ?かなり貴重な物だった筈だか……まぁ、貰えるなら貰っておくか。少しでも回復しておきたいし。

仮に毒か何か入ってたとしても、近くには仲間が居る。そもそも毒が効くのかが疑問だがな……

俺は商人からその林檎のような物を貰い、一口噛った。すると、体の底から力が増してくる感覚がした。

 

「……!」

 

そのまま二口、三口……そうして食べていくと、いつの間にか食べ終わっていた。

ふぅ……やはり美味しいなぁ!

それにしても、どうしてこいつはこんなのを持っているんだ?それに、何が目的だ?

流石にこれを貰って「もうお前は用済みだ」と言って攻撃する訳にもいかないし、話だけでも聞いておくか。

そんな悪役みたいなことをするつもりはない。

 

「……お前の目的はなんだ?」

 

「目的? いえいえ、そんなものはありませんよ。強いて言うなら、私はお客様の願いを叶えるのが目的。とでも言いましょうか」

 

それなんて龍球?

お前あれだろ、願いを叶える叶えたら一年間眠るやつだろ、そうだろう!?

……ん、待てよ。そんな奴が居るなら、今まで会わなかったのは不自然だな。そんな便利な能力があるなら、新・魔王に目を付けられているだろうし。

 

「……もしかしてお前は、異世界から来たのか?」

 

「えぇ、その通りです。私はいつも異世界を飛び回って居るんですが、今回は事故でここに来まして……」

 

「……そうか」

 

やっぱり異世界から来たのか。

新・魔王に目を付けられると厄介だ。

さっきのお礼もあるし、保護しておくか。

俺は商人を守ろうと、一緒に居よう。そう言おうとしたとき、第三者が入ってきた。

 

「魔王! あの、あれだよえっと……死神、死神が呼んでるぞ!」

 

その人物は雷鳴であった。

俺は雷鳴に気づき、そっちを振り向く。

お前白雲の名前忘れたのかよ……死神でも合ってるけど。

それはそうと白雲が呼んでるのか、だけどその前に商人に話を付けるか。

そう思い、俺の後ろにいる商人に声を掛けようとするが……

 

「……商人?」

 

商人の姿は無く、あるのは俺が座っていた切り株だけであった。

アイツ、何処に行った?

俺を呼ぶ雷鳴の声が何回も聞こえるが、そんなことを右から左に流し、商人が消えたことを考えていた。

反応しない俺に怒ったのか、軽く頬を叩いてきたので数百倍にして殴っておいた。

ちょっと考え事してるから、黙っておいてくれ。

 

なんだか不気味です、助けてください。




書くことないので、少し雑談
最近はスマブラSPと99テトリスにハマってます。

テトリスは五回に一回に50位以内いければ良い方です。
これが中々難しい……皆さん強すぎませんかねぇ!

スマブラの方はカービィを使ってます。
ハンマーを当てたいのに……当たらないし、カウンターされるし……練習しないと。

基本的にはどのゲームも名前を「のろとり」にしているので、見つけたときは宜しくお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

鍛えたい、助けてください。 by白雲

拝啓 読者様

今回の主役は白雲と空良です。
少なくとも、ミサと海楽と雷鳴が主役の話もこの章の内に作ります。
魔王様と商人はこの前やったので終わりです。
(正直な話、もっと商人を出したいのですが、出すのはストーリー的にもキャラクター的にも厳しいです)

愉快な仲間たち(他三人)は……未定です。


「……魔王様」

 

元・魔王が出ていった部屋に一人、佇んでいる者がいた。

そう、白雲である。

白雲はこれ以上、魔王に負担を掛けさせるようなことをしたくないと思っていた。

新・魔王との戦いに巻き込まれただけなのに、自身の願いを聞いてくれて、ボロボロになりながらも新・魔王を倒してくれたこと。

そして、復活した新・魔王をもう一度倒そうとして、瀕死の状態で再開したこと。

もう迷惑をかけたくない、そう心に決めた。

 

「自分を鍛えよう」

 

白雲の答えは既に決まっていた。

たった十七日程度で強くなれるとは思っていない。

だが、何もしないよりはマシだ。そう簡単にやられてたまるか、と。

……せめて道連れにすると心に決めた。

早速修行をしようと、魔王と同じように窓から外に出ようとした白雲。

 

「白雲くん、魔王くんの容態はど……」

 

タイミングが良いのか、悪いのか。

元・魔王と同等の力を持つ空良が、白雲が窓から外に出ようとしている場面に会った。

 

「駄目ェー!」

 

空良には白雲が窓から飛び降りようとしているように見えたのだろう。

実際そうなのだが、白雲と空良の意味合いは違う。

白雲はただ単に、早く外に出ようと。

空良は白雲が窓から身投げしようと。

その勘違いから、空良は白雲を取り押さえた。

 

「ちょ、離して……行けない!」

 

「駄目だってば!」

 

窓にへばりつく白雲、その白雲を引き剥がそうとする空良。

二人はちからずくで引き剥がそうとした。その結果……

 

「「あ……」」

 

バランスを崩して、二人とも外に真っ逆さまに落ちていった。

 

 

 

 

 

「なんだ、私の勘違いだったんだね」

 

白雲は空良の誤解をなんとか解くことができた。

苦笑いを返しながら、申し訳なさそうにしている空良を見る。

そんな空良がふと、何か思ったようである疑問を聞いてきた。

 

「だけど、どうして急に修行を?」

 

「それは……」

 

白雲は自身の悩みを話した。

元・魔王にこれ以上迷惑をかけたくないこと、そのためこれから修行しようと、そして……道連れでもいいから新・魔王を倒そうとしていること。

すると空良は数秒ほど目を瞑り、急に怒り始めた。

 

「そんなことは駄目だよ!」

 

空良に怒られたことに驚き、呆然とする白雲。

そんな白雲の顔を両手で挟み、説教を始める。

 

「白雲くんが居なくなったら、魔王くん(残った人)はどうするの!」

 

「それは……」

 

白雲は自分のことしか考えておらず、自分が居なくなった後のことを考えてなかった。

もしも自分が居なくなったら魔王様はどうするだろうか。自分を心配して探すだろうか、それともずっと帰ってくるのを待つのだろうか。

責任感を感じて、自分一人でどうにかしないと。その考えが頭を支配していたことに気づいた。

 

「それに……大切な人と離ればなれになるのは、とても……辛いことなんだよ……」

 

空良は何かを思い出すように喋り始め、少しずつだが目に涙を浮かび始めてきた。

白雲は知らないことだが、空良はある大切な人と離ればなれになったことがあり、その事と白雲を重ねているのだ。

 

「…………」

 

白雲は何も言えなかった。

何か言おうとしても、何も思い付かなかった。

 

「これからは一人で悩まないで、誰かに相談してね」

 

「……はい」

 

そう言うと、空良は部屋に戻ろうと白雲に背中を向けて歩き始める。

白雲はその背中を見ながら決心した。『みんな』で力を合わせて新・魔王を倒そうと。元・魔王や空良に任せっきりではなくて、自分にも何か出来ることがあるはずだと。

既に白雲の答えは決まっていた。

 

「空良ッ!」

 

「僕を……鍛えてください!」

 

白雲は地面に膝を付き、頭を地面に付けた。

元・魔王のため、そしてみんなのために力を付ける。

そのためには手段なんか選んでいる暇は無かった。誰かに頼るようなことはこれ以上したくない。そんなプライドを捨てなければいけないと。

 

「……いいよ!」

 

そうして白雲は空良に鍛えてもらうことになった。

たった十七日で何かが変わるとは思えないが、白雲は何か変われることが出来ると確信していた。

 

お願いします、助けてください。 by白雲




【空良】
ネタバレにならない程度にあっち側の内容を入れました。
あらすじを読めば分かる程度だから大丈夫……かな。

他のキャラクターたちもネタバレにならない程度には入れる予定です。
ミサは元がないので、ネタバレも何もありませんが。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

暇です、助けてください。 by雷鳴

拝啓 読者様

スマブラ楽しい。
雷鳴視点書くの楽しい。

天華百剣を放置してたので、久しぶりにやりました。
小烏丸は可愛い、異論は認めない。


「暇だなぁ」

 

やぁ、俺の名前は雷鳴。

もう一人の魔王に嘘ついたので、次会ったときにボコボコにされそうで怖い人です。

あいつには会いたくねぇ……嘘ってバレたらボコられるやん、外に出たくねぇよ……後14日後だけどな。

 

「……何しよ」

 

なんか修行してたり、何か悩んでる奴が居るけど知らん。

修行の方は話しかけたら巻き込まれそうだし、悩んでる奴は魔王だからな。

あ、後で魔神について聞いておかないと。

それとこの家は何故かデカイから一応暇は潰せる。

一人一部屋、二階建てにベランダ付き。家賃は何円ですか?え、ゼロ円?おぉ、お安い!

……実際は狼男と雪女が昔、家をぶっ壊したからその罰で造ったそう。お前ら大工になれよ。

 

「…………」

 

さてと、リビングに行って食料漁るか。

どうせ俺がやったってバレないし、それに……少し心配なことがあるからな。

 

 

 

 

 

「……お、居たか」

 

俺はリビングの椅子に座って、一人寂しく(ボッチで)食事をしているミサを見つけた。

良かった、ちゃんと飯は食べてるな。居なかったら、部屋に行こうと思ったけど大丈夫そうだな。

そう、俺が心配していることはミサのことである。魔王達がもう一人の魔王と戦ってる頃から、なんだか元気が無いのだ。

 

「おはよー、おやすみー」

 

「…………」

 

挨拶してくんねぇよ、悲しい。

なぁ知ってるかい嬢ちゃん。無視されるのって割りとキツいことなんだぜ?だから返事してくれよ……あの、すいません。マジで心に来るので返事くれませんか?

 

「あ、あの……」

 

「…………」

 

泣くぞ、赤ん坊みたいに泣いちまうぞ?

あ、魔王辺りに殴られそうだな、よし止めとこう。

……ミサのやつ、まさか寝てないよな。

俺はミサの肩をつついたり、食事の邪魔にならない位の距離で手を振ったが反応は無かった。

あれか、後ろから話しかけてるからか。幽霊だと思ってるのか。

それなら安心しろ。もう一人の魔王と交渉したあとに、体はちゃんと戻ったから。

自分の肉体に重なるように転がったら、復活できたんだ。凄いだろ?こんな経験はもうしたくないけど。

 

「ミサー、ミサさーん……ブース」

 

そう言った瞬間、ミサは手元にあったナイフを俺めがけて投げてきた。

マジすいませんした……許してください。

 

「……雷鳴、何?」

 

お、やっと気づいてくれた。

これでまた無視されたら、何処かへ泣きながら走るつもりだったぜ。

 

「元気がないようだが、大丈夫か?」

 

なんか色々とあって疲れてるのか?

それとも海楽と一緒に居るのが嫌になったのか?

だけどあいつは何か調べものをしたいみたいで、魔王の仲間のところにいるから違うか。

 

「問題ない」

 

ミサが冷てぇ。

まだ元気が無いようだから心配するんだが。

食事が口に合わなかったのか?

それは空良に言ってくれよ、俺が作ると全て木炭になるんだから。

 

「本当に大丈夫か?」

 

「……問題ない」

 

いや元気がないじゃんか。

それに落ち込んでるからなのか、目元が暗くなってるから睨んでるように見えて怖いんだけど。

その視線だけで敵を蹴散らせそうなんだけど、夜に出てきたら叫ぶ自信があるぜ。

この世界はずっと月しか出てないけどな。

 

「本当か?」

 

「だから……問題ないって!」

 

ミサは勢いよく立ちあがり、怒り始めた。

その勢いで机に置いてあった食器が音を立て、座っていた椅子も後ろに下がった。

 

「雷鳴には私の気持ちが分からないの!

 

あんな怖い奴に立ち向かえる人に、私の気持ちなんか……!

 

もう放っておいて!!」

 

ミサはそのまま外へと走り出していった。

俺はミサが走り去っていった後を見るしか出来なかった。

追いかけようとしたが出来なかった。

面倒だったのではない、キチンとした理由があるのだ。

 

「ミサ……」

 

……あの、ミサが立ち上がった衝撃で下がった椅子が脇腹に当たって痛いんだけど。

痛くて動けないからである。痛くてなんて言ったか聞いてなかった……

痛みが引いたら追いかけるか、なんか怒ってたから謝らないと。

 

なんか怒られた、助けてください。




【ミサ】
 新・魔王のこととか、死の恐怖で雷鳴に八つ当たりした。
 雷鳴本人は痛くて、八つ当たりされたことに気づいてない。
 最初にストーリーを練ってたときは考えてなかったが、流石に「一般人が普通に戦闘するのはおかしい」と思ったので、怯えてもらった。
 他のキャラクターは一般人とは言いがたいので、特に無し



この話書いてるときに、偽雪女の存在思い出しました。
気絶したまま放置してたな……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

もうやだよ、助けてよぉ。 byミサ

拝啓 読者様

今回はいつもの1.5倍の文字数があります。
頑張りましたので休みをください。
……そういや、ミサが視点って今回が初めてかな?


「はぁ……はぁ……」

 

私こと、虎尾阿(ごびあ)ミサはさっきまで森の中を無我夢中で走っていた。

今は体力が切れて、側にあった木を背もたれに使って休憩している。

 

「…………」

 

雷鳴に酷いこといっちゃたなぁ……

雷鳴も魔王とか怖いってことは知っていたのに、分かってたのに……強く、当たっちゃったなぁ。

謝らなくちゃ。

ちゃんと謝らないと、雷鳴に「ごめんなさい」って言わなくちゃ。

 

「ふぅ……早く帰ろう」

 

私は立ちあがり、来た道を戻ろうとした。が、あることに気づいてしまった。

 

「ここ、どこ?」

 

辺りをキョロキョロと見渡すけど、どこも見覚えが無いし、似たようなところで見分けがつかない。

あれ、どっちから来たっけ!

さっきまで無我夢中で走ってたから、道が分からなくなってしまったのだ。

 

「あれ、あれ……?」

 

その事実と共に、この怖い世界でひとりぼっちと言うことを理解してしまった。

そして私の頭には、新・魔王と言う人物の恐怖が甦ってきた。

もしもこんなところで、敵に会ったら……そんな最悪な想像が脳裏をよぎる。

想像だけでも、体が震えてその場から動けなくなる。

体を丸くして、そんなことはない。大丈夫だ、大丈夫……そう自分自身に言うが、余計に思い出してしまい、体の震えがもっと止まらなくなる。

そんな私に追い討ちをかけるように、誰かの足音が聞こえる。

 

「ひぃ!」

 

怖い、怖い、怖い。

その言葉が私の頭の中で連呼される。

それ以外のことを考えられず隠れようとするが、もしかしたら誰か私を探しに来たのではないかと、淡い期待を抱く。

そうして現れたその足音の正体は……

 

「こんなところにいたのね」

 

雪女さんだった。

……はぁ~雪女さんか、なんだか安心したよ。

私は知り合いだったことに安堵し、足の力が抜ける。

 

「じゃあ……」

 

一緒に帰りましょう。

そう言うのかと思い、体の力が抜けていく。

 

「貴方を倒して、私が貴方になるわね」

 

「……え?」

 

その言葉と共に、雪女さんの手のひらから氷柱が私に向かって飛んできた。

 

 

 

 

 

「ミサー、どこだー!」

 

やぁこんにちは。俺は雷鳴、椅子が脇腹に当たって超痛いぜ。

そんな俺は何処かに行ったミサを探してた。

良く分からないが、なんか怒らせて外に飛び出していった。

途中で雪女に会って何処に行くか聞かれたが、無視して外に出ていった。

俺のせいだから俺一人で探さないとな……

そう思いずっと森の中を探しているが、見当たらない。

ミサが居ねぇよ……何処に行ったんだよ。

 

「一度戻るか」

 

俺は来た道を戻ってもう一度探そうとしたとき、何処かから氷が砕ける音や、誰かの足音が聞こえた。

近いな……よし、離れよう。

雪女と狼男が喧嘩してるんだろ、俺は近づきたくない。だって近づいたら巻き込まれるだろ、嫌だよ逃げたい。

 

「誰か、助けてー!」

 

よし、俺はなにも聞こえてない。

ミサの悲鳴なんて聞こえてない、聞こえてないよー!

さぁ……帰ろうか!

俺は巻き込まれたくない、そしてさっきのは気のせい。俺の耳がおかしくなっただけだ。

これでいいな、今すぐ帰ろうそうしよう。

 

「…………」

 

そう思い家に帰ろうとしたが、俺はあることに気づいてしまった。

やべ、道忘れちまったよ……このままだと帰れねぇよ。

こうなったら、発動条件が分かんないギャグ補正に頼るか?でも、こういうときって発動しないのがお決まりだからな~

 

「…………」

 

助けるしか、ないのか?

だが巻き込まれたくないし、俺がどうこう出来ることじゃないと思うし……

見捨てるか?でもそしたら罪悪感がなぁ。

 

「こうなったらやけだ!」

 

ミサを連れて戦わずに逃げる。

これが一番だな、別に相手を倒す必要無いし、逃げるが勝ちだからな。

 

「うおぉぉぉぉぉ!」

 

俺は木の影から飛び出し、ミサの手を引こうとする。

しかしもう一人の人物……雪女は俺に氷柱を飛ばしてくる。

だろうな、やっぱりお前だろうな!

……あれ、お前さっき会ったよな。あれか、偽物か。どっかに行ってた雪女の偽物かお前!

 

「痛い、冷たい、痛い!」

 

俺は氷柱をかわすことができず、飛んできたもの全てに当たる。

かわせるわけねぇだろ、俺の戦闘力を舐めるなよ。あのメンバー内で最弱の自信があるんだからな!

そしてギャグ補正が発動しねぇよ、発動してくれよ!

 

「雷鳴……」

 

「ミサ安心しろ、俺が来た!」

 

何処かのヒーローのような台詞を言い、痛みと冷たさが残る中ミサの手を引き、

 

「だから……逃げるぞ!」

 

何処かへ走り始めた。

え、戦わないのかって?

俺が戦って勝てると思うか?自慢じゃないが、2秒で負ける自信があるぜ!

 

「雷鳴……カッコ悪い」

 

「知るかぁ!」

 

カッコ悪いとか言うんじゃねぇよ、これでも頑張った方だから、見なかったことにするよりはマシだろ!

 

「待ちなさい!」

 

雪女……いや、きっと偽物か。

偽雪女は俺たちに攻撃してくるが、そんなのは知らない。

兎に角逃げれれば良い、逃げれば勝ちだぁ!

でも、でもなぁ……

 

ちょっと逃げれる自信が無いです、助けてください。




オッス、オラ雷鳴

ミサと見つけたのは良いが、なんだか雪女がしつこく追ってくるんだ。

え、お前らを倒してお前らになるって?
なんだこいつ、ちょっと何を言ってるか分からない。

だが……こいつを倒さないと安心して帰れないようだな。
しょうがない、俺の秘策を見せてやる!

次回
【拝啓 お父さん、お母さん。このたび俺は魔王になりました、助けてください。】
『ヤバイよヤバイよ、助けてください。』

絶対見てくれよな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ヤバイよヤバイよ、助けてください。 by雷鳴

拝啓 読者様

そろそろ活動報告に何か書こうかな~と考えてます。
間に合えば15日になんか上げます。

え、前回の次回予告?
貴方は何も見ていない、いいね?
……展開が思い付かなかったので、そこを先伸ばししました。で、でも今回の話も後でやる予定だったから問題ないです!
はい、すいませんでした。


「ここまでくれば、大丈夫か?」

 

「はぁ……はぁ……」

 

我の名前は雷鳴、雪女っぽい奴から逃げた。

近くにいい感じの洞窟があったのでミサと一緒に隠れてます。

 

「もう、嫌だよぉ」

 

ミサは洞窟の壁に腰をかけて、体を丸くして泣き始めた。

え、俺といるのがそんなに嫌なの?待ってくれ、俺は嫌われるようなことした覚えねぇぞ、無実だ!

 

「どうしてこんな世界にきちゃったの?」

 

あ、俺のことじゃなかったのか。

それよりもこの世界に来たことを後悔してるのか……まぁ俺達はただ巻き込まれただけだからな。

 

「怖いよ、やだよぉ」

 

「……そうだな」

 

「え?」

 

俺のその呟きに驚いたのか、赤くなった目を丸くしてこっちを見てきた。

確かに嫌だ。

今すぐ帰りてぇし、戦いたくないし、早くのんびりしたいと思ってるさ。

……いや、待てよ。この世界ほどハードじゃないにしても、元の世界に戻っても投げられたり、何か巻き込まれたりするな……やっぱ戻らないのもありか?

いや駄目だ、戻らなかったらぼこぼこにされちまう。

 

「確かに怖いさ。

 

なんか魔王が何体もいるし、ボス倒さないと帰れないとか……どこのRPGだって言うんだよ

 

だが……だがな、それでも俺は思うんだよ。

 

今までのような、平和な世界よりもバトルとかなんやらがある世界の方が数百倍は面白いってな」

 

「日本に帰りてぇよ」とは良く思うが、その世界では絶対に叶わなかったことが現実にあるってのは嬉しいことさ。

魔法とか、飛行とか、アフロとか……いや、最後のは俺だけか。

いくら「嫌だ」「嫌だ」と思っていても、そういう世界に来れたことは本来なら無かったことだし、そこは感謝しかないと思ってるさ。

 

「雷鳴……」

 

なーんて、良いこと言ったけどな……その世界ってのが残酷なんですよこれがねぇ!

死刑にされかけたり、勝手に勇者にされたり、俺はもう一度死ぬのが怖いから『ギャグ補正』っていう能力を貰ったんですがねぇ!

あれか、防御力か。俺に必要なのは防御力か!

死ぬのが嫌だから防御力に極振りすれば良かったんじゃ……!

 

「私、少し雷鳴達のこと誤解してた」

 

ミサは目元の滴を袖で拭き、ゆっくりと立ちあがりながら俺に笑顔を見せてきた。

袖で拭くと目を痛めるぞ、ハンカチとかのタオルを使いなって話がずれたな。

それで、俺達のことを誤解してたって?

 

「魔王様も、空良も、海楽も、雷鳴も……みんな何も怖くなくて、なんでも出来るものだと思ってた」

 

海楽は例外だと思うぞ、あいつはおもいっきり敵に突っ込んでるから。

 

「少しだけ勇気が出たよ」

 

「それは良かった」

 

ミサ……帰るか、みんなの居るところに!道分かんないけど!遭難してるけど!なんか敵が洞窟の入り口でスタンバってるけど!

……いや待てやコラ、今考えたことをもう一度思い出せ。

『敵がスタンバってる』って?

俺はゆっくりと洞窟の入り口に顔を向ける。

そこには……

 

「やっと見つけたわ……貴方達を冷凍してあげる」

 

身体中に木の枝や葉っぱをくっ付け、服がぼろぼろになりながらも此方を睨み付けている偽雪女の姿があった。

……あぁ、お前も遭難したんだな。

 

全員遭難しました、助けてください。




【雷鳴】
 『ギャグ補正』という最強に近い能力を持っているが、その能力のせいで色々と悲惨な目に遭う。
 また、能力とは関係なしに転生した世界で、強制的に勇者にされたり、死刑にされかけたりする可哀想な人物。



【次回予告】
オッス、オラ雷鳴
 ……ちょっと次回予告思い付かないから今度投稿する予定の活動報告を話すな。
 ネタバレにならない程度だが、タイトルは「なんだ、ただのつまんねぇ報告かよ」って物だそう。
 え、内容?安心しろ、内容はタイトルとは一切関係ないものになるからな。
 宣伝はこれくらいでいいか。
 それで次回の話になるが、次の投稿はちょいと遅めになるかもな!
 すまねぇな、作者は別のを作らないと間に合わないと言っててな。
 それじゃあ、次回会おうな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

待ってくれ、助けてください。 by雷鳴

拝啓 読者様

なんかお久しぶりな気がします


「…………」

 

帰っていい?

オッス、今すぐ帰って寝たい雷鳴だ。

いや、あのー……敵と膠着状態なんですけど。

俺は洞窟の一番奥で、ミサを背に偽雪女と対面していた。

偽雪女のすぐ後ろには出口があり、そこから出ればコイツを撒くことが出来るだろう。

しかし洞窟の幅は人が二人並んで通れない程の広さである、つまりは何が言いたいのかって?

 

「雷鳴、どうするの?」

 

「はい、詰んだ」

 

「ええっ!?」

 

いやいやいやいや、どう考えても詰んでるだろ。

洞窟から出ようとしたら偽雪女が引っ掛かるから、倒さないとここから出れない。

俺の実力だとコイツを倒せない、ミサが能力使うと洞窟もろとも木端微塵になる。

だから詰んだ、はい詰んだ。

 

「どうやら諦めがついたようね」

 

そうだぜ、俺は諦めた。

そもそも戦いたくねぇんだよ、俺は非戦闘キャラなんだ。その俺に戦え?ちょっと用事思い出したんで帰らせていただきます。

 

「いや……まだだよ、まだ終わってないよ!」

 

戦わずにどうやって逃げるか考えていると、後ろからミサの威勢の良い声が聞こえた。

おー、とても元気な声。さっきまで怖がっていた人の台詞とは思えないね。ってミサさん?もう終わってんだよ、人生オーバー、ゲームオーバーなんですけど?

 

「私は貴方を吹き飛ばす協力な『一撃』を持ってるよ」

 

「え、ちょ……ミサ?」

 

その一撃ってあれだよな。

どう考えても能力ですよね、止めてください俺にも被害が出てしまいます。

俺が内心オドオドしているのに気付いてるのか知らないが、自信満々に喋った事をキチンと雪女は聞いていたようで、顔をニヤリとさせた。

 

「へぇ、面白いわね……それがハッタリじゃなければね」

 

おい待てお前も挑発に乗るな!

乗るな偽雪女、戻れ!……なんか合わないな。

 

「その一撃、撃ってきなさい」

 

偽雪女はゆっくりと目を瞑った。ミサが攻撃してくるのを待つようだ。

優しいな、オイ。

ハッタリだと思ってるのか、最後くらい命乞いを聞こうとしてるのか……そんなの知らないが、油断してるのは確かだな。よし、コイツが目を開けない内に逃げるか。

 

「ミサ」

 

「分かってる、大丈夫だよ。もう迷わないから」

 

え、ミサも道に迷ってたの。困ったなー、どうやって戻ろうかじゃねぇんだよコノヤロー。

何が大丈夫だ、俺が大丈夫じゃねぇんだよ。止めろよ、能力使うなよ。分かってるよな、分かってるよな!?

 

「スー……ハー……」

 

おーい、ミサさーん。

深呼吸してないで逃げよう、いやだよ痛いの嫌だし戦いたくねぇ。

ビビりだろうが、ヘタレだろうがなんとでも言えば良い。俺は平穏に暮らしたいんだ。巻き込まれたくねぇんだよ!

だけどミサを見捨てて逃げるのはな~

ミサは数回深呼吸を終わらすと、偽雪女の方を睨み付けた。気のせいか空気が何か変わった気がする。

 

「これ以上、足手まといは嫌だ。私だって『覚悟』を決めたんだ!」

 

「ちょ、ミサ待て───」

 

「『能力発動』」

 

ミサがそう言った瞬間、世界が変わった。

俺の視界に映ったのは洞窟の瓦礫すら無に還す程の威力の爆発と、偽雪女の体が光りで消えていく光景であった。

あぁ、ミサ……お前もうその能力使うの止めやがれ。

主に俺に被害が来るから。

 

 

 

 

 

「……やっぱり、こうなるのか」

 

さっきぶりだな、雷鳴だ。

こんなときにあるのが俺の能力「ギャグ補正」だ。

正直な話、発動してくれるか不安だったが、ちゃんと発動してくれたようだ。

この能力の発動方法が分からないから、いつも自動的に発動するのを待つだけだ。

 

「雷鳴、大丈夫?」

 

「問題ない、頭がアフロになっただけだ」

 

俺の頭はミサの爆発……なんだっけ『暴発』だったか。

まぁ名前に関してはいいや。その影響で髪がアフロになっただけですんだ。このアフロは何故か取り外しが可能だ。取ってから、目を離すといつの間にか消えてるけど。

 

「そ、そう……」

 

ミサは体を後ろに下げながら、俺の言葉に返事を返した。

ちょっと引くなよ、悲しくなるだろ。それに原因はお前だし。

 

「それにしても、何も無いな」

 

俺はアフロをそこら辺に捨て、周りを見る。

そこには洞窟も、木も、森も、草も、偽雪も無かった。

あるのはミサを中心にクレーターが出来ていることだ。

おお、凄い威力だな。これならもう一人の魔王も倒せ……おい、ちょっと待て。

周囲に何もかも無くなる威力の技を間近で喰らったんだよな、よく生きてたな俺。

ギャグ補正があって良かったことをこれほどまでに感謝したことは無いぜ。

 

「こんなところにいた!」

 

辺りを見て呆然としていると、目の前の空間が切れてそこから白雲が出てきた。

おぉ、我が救世主……助けに来てくれたのか。

 

「急な爆発があったからビックリしたよ」

 

ミサの能力が目印となったのか、やっぱり俺の計算通りだな、多分。

それよりも早く帰りたいぜ。

 

「白雲ありがとう」

 

「サンキュー」

 

「いえいえ」

 

俺とミサは白雲に家に移動させてもらった。

着いてから、何があったか魔王以外の全員に事情を話して爆発のこととか、色々と納得してくれた。

……ただ、魔王の奴どこ行った?アイツにも一応話しておきたいのに、仲間外れとかはちょっと、な。

 

魔王どこだ、助けてください。




また投稿作品が増えそうだ……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

知りたい、助けて! by海楽

拝啓 読者様

海楽は意外と常識人枠だよなと思って作りました。
痛いが絡むと、常識人からただの変態になりますが。


俺の名前は海楽、俺はコーランに自分が嵌めている【リセット指輪】について調べてもらっている。

忘れている人の為に説明すると、この指輪【リセット指輪】はある条件を満たすと、元の状態に戻してくれる指輪だ。

まぁその条件ってのは設定した人物しか分からないし、戻るのに時間がかかるけどな。

その指輪にコーランってのが興味を持ったようで、一週間ほど前から預かってもらっている。

本当は「私はみんなより弱いから、自分に出来ることをしたい」とのことで、指輪を調べようと思ったそう。

 

「海楽、調べ終わったよ」

 

「ん、分かった」

 

そう話していたらコーランが俺の所に来た。

どうやら指輪に付いて調べ終わったらしく、狼男と雪女が作った小屋に来てほしいとのこと。

よく調べることが出来たな、どうやって調べたか移動しながら聞いたが秘密と言われた。

 

 

 

 

 

「入るぞー」

 

俺は小屋の扉をノックし、扉を開けた。

中には小屋を建てるのに使われたのであろう木材、誰が使うのか知らないが危険マークが書かれた多くの箱、そして簡素な造りのテーブルと椅子があった。

それと中には狼男と雪女が居た。

 

「お、来たか」

 

「それでコーラン、私達は何をすれば良いのかしら?」

 

「あ……まだ説明してなかった。今するね」

 

コーランは話し始めた。

俺の持ってる指輪は『人』を戻す指輪だそう。

ただ怪我したら元の状態に戻るのではなく、今居る世界以外に転移されたら『人』を転移される前の世界に戻すそう。

コーラン曰く「王様が海楽が帰ってこれないように、仕掛けた物だと思う」とのこと。

あの王様め……そんなに(変態)の事が嫌いなのか。

 

「───と、言うわけなんだよ。それで二人にはこの指輪の効果範囲を調べてもらおうと思ってね」

 

「???」

 

雪女が頷いてる横で狼男が頭を捻っていた。

分かりづらいよな、俺もちょっと分からなくなった。

理解出来てない狼男の頭を掴み、コーランはもっと分かりやすく説明する。

 

「別の世界に移動すると、強制的にこの世界に戻るってこと」

 

「あ、あーなるほどな。分かった分かった、完全に理解した」

 

それは理解してない奴の台詞だけどな……

だけどもコーランはそれで満足したらしく、懐から俺と同じ指輪を取り出す。

え、あれ、それって俺の指輪?

俺は左手の薬指を確認するが、そのまま指輪は付けっぱなしだし、ちゃんと指輪は付いている。

 

「それって」

 

「空良に頼んでもう一つ作ってもらったんだよ、あの道具って便利だねー」

 

流石に異世界に飛ばす技術を持ってるわけは無いか、あったら既に俺達は帰れてるだろうし。

それはそうと、その道具が無かったらどうやって調べるつもりだったんだ。

 

「これは『場所』を指定してあるなら、この場所が爆破したりしたら、元の状態に戻るはずだよ」

 

「お、爆破か」

 

知ったふりをしていた狼男が「爆破」と言う言葉に反応し、小屋からある物……危険マークの書かれた箱を一つ持ってきた。

 

「毛むくじゃら、それって白雲から預かった爆弾じゃないの」

 

「あぁ、今からこいつを爆破させるんだ」

 

「「!?」」

 

あ、確かにそれが良いかもしれないな。

俺もこの指輪について詳しくないし、そっちの方が早いかもしれないな、爆破で体に痛みがくるし。

 

「それじゃあ」

 

「ちょちょちょ、待ちなさい!」

 

「ストップ、ストーップ!」

 

狼男が早速、爆弾を爆発させようと持っている箱をおもいっきり地面に叩き付けようとしたとき、雪女とコーランに押さえつけられる。

 

「ちょ、お前ら離せ! どうせ戻るんだろ!」

 

「コーラン話を聞いてたの!? 戻るのはこの小屋だけだって言ってたでしょ、毛むくじゃら!」

 

「誰が毛むくじゃらだ、氷野郎」

 

「ああ! 誰が氷野郎よ!」

 

「お前以外に誰が居るんだよ!」

 

「なんですって~!」

 

「やるのかぁ?」

 

雪女の言葉が癇に障ったのか、狼男は怒り始め今にも喧嘩を始めそうである。

ちょっと止めた方が良さそうだな、止める際に攻撃が当たって痛い思い出来るだろうし。

 

「やってやろうじゃないかしら!」

 

「かかってきやがれ!」

 

俺が二人を止めようとしたとき、喧嘩を始めようと雪女は体の周りから冷気を出し、狼男は手に持っていた箱を地面に投げ捨てる。

 

「「「あ」」」

 

「あ、やべ」

 

俺達三人の声が被り、狼男はこの重大性に気付いた。

地面に投げられた爆弾は衝撃で爆発した。

その爆発に巻き込まれ、俺達四人は吹き飛ばされた。

痛みだ、痛みだー!気持ちいいー!

 

後で三人を起こさないと、助けて!




コーランはどうやって指輪に付いて調べたんだろ、永遠の謎ですね、作者の私も知りませんし。

海楽の指輪の設定を忘れかけてました、オリジナル設定なのに忘れそうになるって……危ない危ない。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

どうしようか、助けてください。 by白雲

拝啓 読者様

連続投稿です、頑張りました。


ミサが能力を使い、雷鳴がアフロになった日から数日がたった。

空良は残り10日しか無い時間を無駄にしないように、白雲を鍛えていた。

 

「ふっ、はっ、たやぁ!」

 

鍛えると言っても、やっていることは組手であるが。

本来なら空良自身の技を教えるべきなのだろうが、空良の『オーバーホール』は異界の技であり、白雲が覚えるのは出来ないようだ。

……空良もよく分からない技であることが大半の理由ではあるが。

 

「そこ!」

 

しかし技以外にも教えられることは沢山ある。

現在空良と白雲がしている組手は相手に多くの攻撃を当てる練習だ。

相手がどう動くか、反撃してくるとしたらどの場面か、反撃してきたらどうかわすか……様々な事を観察し、体に覚えさせていく。

例え組手と言っても空良は手加減をしない。白雲の攻撃を本気で防御し、本気で反撃をする。

10日後に向けて少しでも戦力を高めるためと、白雲の思いを無駄にしない為である。

現に空良は少しでも隙があると、そこに拳を叩き込んでいる。尚、空良が武器を使わないのは新・魔王が素手、または魔法を使ってくるためである。

 

「ぐぅ、まだまだ!」

 

白雲は空良の拳を受けて怯んだが、その拳を出すために伸ばしてきた腕を掴み、腕に組み付いて蹴りを放った。

 

「甘いよ!」

 

空良はその蹴りを首を傾けてかわし、白雲の脚に組み付かれてない方の手で殴った。

 

「うぐっ、ああ!」

 

白雲は痛みのあまり組み付いた腕を放し、地面に背中を付けた。

空良はその隙を見逃さずに、白雲の顔に向かって拳を放ち、寸前で止めた。

 

「……今日はここまでにしようか」

 

「……はい」

 

汚れた服を手で叩き、喋る空良の言葉に頷き白雲は地面に転がり息を整える。

空良に鍛えられてから一週間が立ち、白雲も少しずつではあるが、成長し始めてきた。

その証として白雲だけの『技』を覚えたが、それはまだ未完成であるため、使用は控えている。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

しかし空良にはまだまだ追い付かない。

仮にこの一週間で空良と同等の実力を手に入れていたら、空良が勇者(笑)と言われ、空良と同等の力を持つ魔王も後ろに(笑)が付くだろう。それほどまでに、勇者と魔王は強く、遠い存在なのだ。

 

 

 

 

 

「さてと、今日も考えよう」

 

息を整え終わり、空良と一緒に家に戻った白雲はある物を探すために狼男達の元へ向かっていた。

白雲は空良にある物……プレゼントを渡す為である。

この一週間、鍛えてくれたお礼を込めて何か渡そうと考えているのだ。

しかし白雲はプレゼントを渡した事が無く、何を渡せば空良が喜ぶのか分からなかった。

そのため今日は狼男達に意見を聞き、参考にしようとしたのだ。魔王にも聞こうと考えたが、何やら悩んでる雰囲気であり、聞けなかったのだ。

 

「入るよ」

 

海楽の指輪がどんな物か調べるために、海楽含めて四人で家から離れた小屋で実験中である。

わざわざ小屋を一日で作ってくれた狼男と雪女には感謝を通り越して、その道に進んだ方が良くね?と言いたくなる。

 

「あ、やべ」

 

白雲が小屋の扉を開けた瞬間、狼男の声が聞こえた。そして何がなんやら分からない内に爆発が起きた。

しかし白雲は爆発に巻き込まれる前に、空間に隠れて爆風を逃れた。

これが白雲の新しい技である。

白雲がいつも使っている切れ目の中に隠れて相手をやり過ごしたり、不意討ちしたりする技である。

名前はまだ無いが、応用の聞く強い技である……こんなところで使うだなんて、思いもしなかったが。

 

「……え?」

 

白雲は爆発が収まった頃に切れ目が出てきて、周囲を見渡す。

すると白雲の目の前には爆発に巻き込まれたであろう、狼男と雪女とコーランと海楽……そして、床や壁に何も傷やヒビが無い小屋であった。

 

何があったんだろ、助けてください。 by白雲




~ちょっとした裏話~
白雲と空良とミサは口調が被ってるので、あまり同時に出さないようにしていて、出すとしても性格を重視して書いている。

~ちょっとした裏話②~
一年くらい前まではスマホではなくて、ゲーム機(wiiu)で書いていた。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

100話越えそうです、助けてください。 by作者

拝啓 読者様

私がサブタイに「by作者」と付けてる時はサブタイが思い付かない時です。

あ、それともう一つ。
Twitterの方では言いましたが、此方でも宣言しておきます。
今年中に【まおたす】が完結しなかったら、なんでもします。
なんでもします、なんでもします!


「あ~気持ちかった」

 

俺こと海楽は周りを見ると、バラバラに吹き飛ばされた俺達と無傷な小屋、そして白雲が居た。

なんで白雲がいるんだ?まぁいいか、それよりも実験は成功したみたいだな……

 

「えっと、これは……?」

 

おっと、白雲が混乱してるな。

他三人は気絶して動かないから俺が説明するか。

 

 

 

 

 

「そんなことが……」

 

白雲は周りを見渡し、無傷の小屋と気絶してる三人をボッーと見た。

普通は驚くよな、俺はあの指輪の効果を知ってたからあまり驚かなかったが、半信半疑だったからな。

 

「あの爆弾はここ一帯を更地にするほどの威力があるのに」

 

そんなに危険なのをここに置いてたのかよ……だけど、それほどまでに強力な爆発でも戻すことが出来るのか。

戻るのにどれぐらいかかったか分からないけど、戻すモノによって時間も変わるのか?

 

「それはそうと白雲、どうした?」

 

「あぁ、そうだったよ。ちょっと空良にプレゼントを送りたくて、何か良いのが無いのかと思ってね」

 

「プレゼント、プレゼントかぁ……」

 

俺は腕を組んで頭を悩ませた。

あの勇者が欲しい物、欲しい物……彼氏か?

でもこの世界に彼氏が出来た所で何も無いからなぁ、そもそもあいつには……

 

「ん、んん……」

 

俺がそう悩んでいると、後ろの方から声が聞こえた。

振り向くとコーランが目を開けてゆっくりと体を起こしていた。

 

「起きたか」

 

「えっと、実験は成功したのかな」

 

その問いに頷くとコーランは満足したように、興味深そうな顔で周りを見たり、床を触ったり、叩いたりし始めた。

変な事してるなー、と思っていたら白雲がコーランに近づき空良のプレゼントについて相談し始めた。

こいつ……人の状態なんて気にせずにグイグイ行くな。

 

「えぇ、まだ実験の確認をしたいのに……まぁいいや」

 

コーランは覚醒してない頭を起こそうとしてるのか、頭を左右に何回か振り、黙りこんだ。

小屋に沈黙が流れる。その沈黙は数十秒と言う短い時間だったが、コーランは何か閃いたようで、顔をほんの少しあげた。

 

「空良にあげるなら、宝石にでもしたら?」

 

「「宝……石?」」

 

「正確には『宝石のように綺麗な石』だけど」

 

俺と白雲は首を傾げた。

宝石って、あの宝石か?あの勇者には剣とか強い武器とかの方が喜ぶと思うが。

意味の分からない顔をしている俺達二人になのか、コーランは小さなため息をついた。

 

「君達は空良を「勇者」として考えてるけど、空良は『勇者(英雄)』であって『女の子(乙女)』なんだよ。

 

ならどっちとして貰った方が嬉しいと思う?」

 

確かに……俺の場合は『男』として貰うか『痛みが好きな奴』として貰うかってことか。

だとしたら俺は後者か。確かに『男』として貰うのも嬉しいが、圧倒的に後者の方が良いな。

 

「なるほど……コーランありがとう! それじゃあ早速探してくるよ!」

 

「ちょっと待って」

 

コーランは早速何処かへ向かおうとする白雲の肩を掴んで止めた。

 

「どうした?」

 

「どうしたじゃなくて、当てずっぽうに探すの? どこにあるか知ってるの?」

 

「あ……」

 

そうえばそうだったな。

当てずっぽうに探しても時間が過ぎるだけだし、後10日くらいしか無いんだったか。

白雲もその事を忘れていたようで、恥ずかしそうに頬を掻いていた。

改めて白雲はコーランから場所を教えてもらい、向かうのであった。

俺も一緒に着いていこうとしたが「これは自分のためだから問題ない」と断られた。

 

 

 

 

 

翌日

今日も空良は白雲を鍛え始めようとしていた。

 

「それじゃあ今日も始めるよ!」

 

「待って!」

 

「え?」

 

早速始めようと、構え始めた空良は頭にはてなマークを浮かべ、白雲を見た。

白雲は切れ目から直径三センチ程度の丸い、綺麗な赤い石と青い石の二つを出した。

 

「鍛えてくれたお礼、受け取ってくれる?」

 

「白雲くん、いいの?」

 

白雲はその言葉に頷くと、空良は嬉しそうにポケットにしまった。

 

「今のはみんなに相談したプレゼントで、実は自分だけで考えた物がもう一つあるんだ」

 

白雲はそのプレゼントを喜んでくれるか不安だった。

最初に渡した二つは皆に相談して選んだ自信があるプレゼントだが、今から渡すのはコーランの言葉に反する物であった。

それでも『皆で』考えた物ではなく『自分で』考えた物も渡さないと意味がない、そう勇気を付けてそのプレゼントを切れ目から取り出した。

 

「これって……」

 

白雲は切れ目から剣を取り出した。

銀色の剣身と黒の握りを繋ぐように、白のひし形のデザインが加工されているシンプルな剣であった。

昨日様々な異世界から剣を持ってきて、選んだ白雲の切れ味に自信のあるプレゼントだ。

 

「空良の武器、魔王様が「……空良は途中から剣を使ってた、本当は剣を使うんじゃないか」と言ってから、プレゼント!」

 

「ありがとう!」

 

空良はピョンピョンとその場を跳ね始めた。

 

 

 

この短いようで長い平和な時間も終わる。

次にこうして楽しむ時間は訪れる事はない、勝つ(帰る)にせよ負ける(全滅)にせよ、これから彼女たち(異世界人)にプレゼントを渡すことも、相談に乗ることも、出来なくなる。

それを感じてるのか、無意識の内なのか……分からないが、彼女達の時間この時間を楽しみ、心にしまう。

永遠に訪れる事のない光景ではあるが、いつかまた会えることを願いながら……

そんな平和を過ごす中、ここに一人で悩む人物が居た。

 

俺はどうすれば、助けてください。 by元・魔王




~要らない豆知識~
作者がミスって、空良の武器を「刀」にしてしまったので、白雲に「剣」を生やしてもらいました。
辻褄を合わせるために武器はきっと折れるでしょう(未定)
ついでに刀も折れば問題ないです(問題しかない)


~要らない裏話~
見直ししてる時に海楽の最初の台詞見て「あれ、風呂入るシーンなんて無かったよな……?」と悩んだ。


次々回から新・魔王との戦いに入る予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

助かりたいです、助けてください。

拝啓 読者様

久し振りにあの人が登場します。
今回の話は要らなかった気がしますが……書いたので、投稿します。


「…………」

 

俺は、どうするべきなんだ。

部屋のベッドで寝そべりながら、俺は新・魔王との戦いについて考えていた。

考えて、考えて……しかし、何十日とあいつを倒す方法が思い付かない。

いくら考えようが答えは出ない。そんな事を考えるよりも別の事をした方が良いのではないか。

 

「……あいつ」

 

新・魔王を今の状態で倒せるのだろうか。

最初の時もこの前も運よく倒せただけで、三度も奇跡が続くことは無いだろう。

仮に今回も運よく倒せたとしても、復活する謎を解かないと完全には終わらない。

なんであいつは復活したんだ?不死身なのか、双子とかなのか……不死身はさすがに無いな、そしたら最初に倒したときにすぐに復活してるだろうからな。

 

「……賭けるしかないのか?」

 

新・魔王の仲間では無いだろうが、怪しい商人に頼むか?

胡散臭いが商人は「願いを叶える」と言ってた、あれに賭けるか?だけど怪しい、全身黒ずくめの奴以上に怪しい。

仮に商人が本当に願いを叶えることが出来たとしたら、俺は新・魔王を倒せるほど強くなれるのか?

いや、新・魔王が復活したのは商人の仕業なのか……分からねぇ、情報が無さすぎる。

 

「…………」

 

俺にもっと力があれば、力があればこの状況をどうにか出来るのにな……

 

 

 

 

 

【……おい】

 

ん、なんだ?

俺はいつの間にか閉じていた目をゆっくりと開いて、周りを見渡す。

うわ、なんか見覚えがある真っ白な空間だ。

久し振りに来た感覚を感じながら、声がした方を振り向くと俺が、元・魔王が居た。

 

【……ようやく起きたか】

 

【……会話する魔力が少ないから手短に話すぞ】

 

「……あのときの恨みィ!」

 

なんかブツブツと言ってるが、そんなことは知らない。

俺は最後にこいつにあった時の事を思い出し殴りかかった。

元・魔王は俺の不意討ちパンチを喰らい、尻餅を着く。

ふ、ふはは……さすがに消滅するような事態じゃないから、消えて逃げることは出来ないようだな。

あの時の事忘れてねぇからな、体が腐ってないか匂いを嗅いだら殴られたことと、最後に悪口言ってきたこと覚えてるからなこの野郎!

 

【……貴様】

 

元・魔王は尻餅を着いたときに服に付いた汚れを手で払い、俺を睨み付けながらも殴ってくることはなかった。

 

【……新・魔王に勝てそうか】

 

その代わりに、俺を心配するように新・魔王の事を聞いてきた。

まったく、この体はお前のなんだから聞かなくても分かるだろ、てか聞くな。

 

「……無理だな」

 

新・魔王に単純に勝てないのもあるが、商人と言う怪しい奴も居る。魔王同士の戦いには興味は無いようには見えるが……本当に興味無いのか、新・魔王の味方なのか、第三者なのか。

 

【……フッ】

 

殴っていい?

分かってるなら聞いて鼻で笑うんじゃねぇよ。

 

【……時間が無いから手短に話すぞ】

 

「……分かった」

 

俺は元・魔王の言葉に頷き、次の言葉を待った。

ここから元・魔王は話すのは少なくとも、雷鳴が言ってた【マジン】とか言う話では無いのは分かっている。

俺は元・魔王の記憶を持っているが、その【マジン】については何も知らなかったから、何かも分からない話はしないだろう。

 

【……商人の話に乗れ】

 

「……え?」

 

元・魔王の言葉に少し放心状態になった。

商人の話に乗れだって?どう考えてもバットエンド一直線しかないんだが、それにアイツからは嫌な予感がしてくるから、近づきたくない。

 

【……何もせず全滅するよりはマシだ】

 

それは、そうだが。

俺はアイツの話に乗ることはしたくない。

 

「……断る」

 

【……怪しいのは分かってる】

 

「……なら!」

 

【……新・魔王を倒して死ぬか、新・魔王を倒せずに死ぬか】

 

【……お前はどっちを選ぶ】

 

…………俺は、俺はッ!

そう決断を悩んでいると突如、元・魔王の姿がぶれた。

 

【……時間か】

 

お前にはまだ相談したい事があるのに!

しかしそんな思いを無視するかのように、元・魔王の体は段々と崩れていき、この空間から離れるような感覚がした。

 

【……後は頼んだぞ】

 

その声と共に、意識が何処かへ飛んだ。

 

 

 

 

 

「……ッ!」

 

次に目を覚ますとベッドの上だった。

あの空間に入る前と部屋の様子は変わっておらず、唯一全体として変わってる事といえば、窓に雷鳴と海楽が張り付いていることぐらいだろう。

変態ブラザーズ(雷鳴と海楽)が何かしたんだろうが、どうでもいいか。

 

「…………」

 

俺は一言も喋らずに外に出る。

そして目的の場所もなく歩き続けて、適当な場所で止まる。

この場所に用事があるわけではないが、誰にも見つからない場所に行きたかった。

 

「……商人、居るか」

 

「ここに居ますよ」

 

木の影から出てきた商人が此方に歩み寄ってくる。

やはりこいつからは嫌な予感しか感じないが、今はどうでもいい。

 

「……頼みがある、俺を───」

 

 

 

彼らは願う。

誰も犠牲にならずに新・魔王を倒すせるように。

彼らは願う。

無事に自分(彼ら)の世界に帰れる(帰せる)ように。

彼は願う。

なんかうどんが食べたいと。

彼は願う。

痛みがもっと欲しいと。

彼は思う。

何もせずに死ぬか、悪魔に魂を売って低い確率で助かるなら、魂を売ると。

 

全ての願いが叶うことは決してありえない。

これからどうなるか、誰が犠牲になるのか……それは誰にも分からない。

何故ならそれを決めるのは彼ら自身であって、これから始まるのは死闘であるからだ。

 

この世界ってうどん無いのかよ、助けてください。 by雷鳴




こっから元・魔王(持ち主)の出番が殆ど無くなります。

そしてそして、次回からとうとう最後の戦いが始まります。
つまりは終わりが近付いてきてます。
(後……20話くらいかな)

あぁ、それともう一つ。
今までは「死ぬ」とか「殺す」とか避けて使ってましたが、次回からは普通に使っていく予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~最後の戦いです、助けてください。~
最終決戦なんて知るか、助けてください。 by雷鳴


拝啓 読者様

海楽と雷鳴を合わせて「変態ブラザーズ」って呼ぶのが気に入りました。
戦闘にはまだ入りません、数話かかります。

今回はシリアス回です、ですが雷鳴視点なのでギャグ回です。


「おい、魔王! 約束の時間だ!」

 

……帰りてぇ

そんな俺の思いとは裏腹に、最後にもう一人の魔王と会った場所に来ていた。

俺が適当に声を出してると、あの死神が使ってる空間?から魔王が出てきた。

 

「ヒサシブリダナァ」

 

あ、そっすね。

じゃあ定時なので帰らせていただきます。

魔王と会えたので帰ろうと体を反転させたが、魔王に「待て」と止められる。

 

「アレヲダセェ」

 

あの魔神になる道具か、忘れてないよ。ちゃんと忘れてないぜ……

俺は懐から海楽がしていた指輪を取り出し、魔王に渡す。

渡すときに腕を潰されると思ったが、そんなことは無かったぜ。

 

「コレガァ……」

 

魔王は指輪をマジマジと見ており、俺の方を一切見ていない。

ふっふっふっ……お前のその油断が命取りとなったな!

俺は魔王の後ろにゆっくりと回り込み、拳を握る。

くたばれやテメエェぇええ!!

 

「オイィ」

 

「はい、なんでしょうか!」

 

拳を振り下ろした瞬間に、魔王は此方を向いて喋り出す。

ヤバイと思い、拳をずらしたが急な事で勢い余って、魔王の隣に転んだ。

……てへ、不意討ち作戦失敗しちゃった☆

おい待て冗談じゃねぇぞこの野郎。「なんか色々と作戦立てたけど不意討ちすれば勝てるんじゃね!?」と思ってた俺の心を返せ。

 

コレハドウヤッテツカウンダァ(これはどうやって使うんだぁ)

 

「あっれー、魔王さん。道具の使い方も知らないんですかぁ?」

 

「コロスゥ」

 

「マジすいませんした、許してください」

 

魔王を煽ったら殺されそうになりました、ちょっとみんな助けて。

そこの茂みで隠れて一気に攻撃って作戦なのは分かってるよ。分かってるけど……ちょっと海楽でも誰でもいいから助けて、助けてくれよ。

 

「で、これの使い方か。使い方ねぇ……」

 

俺は腕を組んで悩み始めた。

正直な話をすると、俺もそれの使い方知らないんだよな。海楽がなんか喋ってたが忘れた、そもそもそれは海楽の指輪だからな。世界に戻るとか言ってた気が……うん、思い出せねぇ。

 

「あ、思い出した」

 

わけねぇだろ、帰りたい。

あ、そうだ。そうえば魔王が言ってたな「攻撃出来るようになったら合図をくれって」どんな合図でも良いって言ってたからなぁ、大声出せば良いか。

俺は魔王に見えないように背中に腕を回し、拳を握った。

俺が戦っても勝てないさ、そもそも戦いたくない。

だがあの二人が居れば……魔王と空良が居れば勝てる、俺はそう信じてるさ。

 

喰らいやがれこの野郎ォォォ!!

 

俺はこの場所全体に声が聞こえるように、大声で殴りかかった。

これで気付くよな、気付いてくれるよな……

チラッとみんなが居る方向を見ると、誰も居なかった。おい何処に行った、もしかしてあれか。お昼か、さっき朝食食ったばかりだろお前ら、さっさと帰ってこいよー……いや、違うな。バックレたのかあいつら!

 

「ドウシタァ、アイツラナラココニハイネェヨォ?」

 

ちょっとカタカナばかりで何言ってるか分からない。

あいつらがここに居ない?嘘つけ、あいつらはきっとあれだ、特殊タグで遊んで透明人間になってるだけなんだよ、文字を透明にすると同時に体も透明にしてるんだよきっと。

 

「オレノ力デバラバラ二チラバッタナァ」

 

いや、だからカタカナ止めてくれない?

……えっと、お前の力であいつらがバラバラになったと。

よし、帰るか。

バラバラってのが、物理的になのかそこら辺にワープしたのか分からないけど、ここに居るのは俺一人ってことか。

 

「サァ、タタカイヲハジメヨウカァ」

 

助けて、俺まだ元の世界に帰ってやらないと行けないことがあるんだよ、それ終わらせないとボコボコにされる……!

あ、帰ってもボコボコにされるな。

 

……逃げたいです、助けてください。




今にでも戦闘が始まりそうですが、まだです。
作戦会議の風景と、魔王達が茂みに居る間、どんな会話をしてたか書きたいので。

雷鳴視点だと指がサラサラと動くのが不思議です。
シリアスしてないのが原因かなぁ、雷鳴視点だと基本的にふざけて書いてますし。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

作戦会議です、助けてください。

拝啓 読者様

私はこの世で一番信じているものがある。
それは『可愛いは正義』である。
そしてまちカドまぞくのシャミ子は可愛いので、つまりはシャミ子は正義である、異論は認めない。


「……ッ!」

 

俺は急な浮遊感に襲われ、下を見ると足が地面に着いていなかった。

つまりは空中に放り出されたってことだ。

 

「……ワープか」

 

どうやら新・魔王に隠れてたのがバレていたようだ。

恐らくは切れ目で俺達をバラバラに移動させたのだろう。

俺の周りには誰も居ないし、あるのは紙だけだ。

ここは確か……あの紙の幹部が居た場所か。

懐かしいな、あの時は魔王が居たから勝てたが今はもう眠っている、助けは望むことは出来ないな。

 

「……雷鳴」

 

アイツは作戦をちゃんと実行出来ているだろうか。

そもそもあの作戦会議自体、問題だらけだったが……まぁ自由な奴等が多いってことだろうな。

そんなことを思いながら、おれは作戦会議の様子を思い出した。

あれは確か……三日前の話だったな。

 

 

 

 

 

「……作戦を考えるぞ」

 

俺はみんなをある一室に集めて、新・魔王を倒す会議を開くことにした。

なんやかんやで俺個人の問題やら、ミサのこととか、海楽の指輪のこともあって話し合って無かったからな。

ただ、ただなぁ……

 

「眠いから帰りたい」

 

「雷鳴、ちゃんと起きろよ」

 

「今日こそ決着を付けるわよ毛虫野郎!」

 

「望むところだかき氷女!」

 

「喧嘩は駄目だよ」

 

「あ、空良が作ったお菓子美味しい」

 

「ありがとう」

 

「お茶持ってきたよ~」

 

問題児しか居ないんですが。

寝ようとしてたり(雷鳴)喧嘩してたり(狼男と雪女)お菓子食べてたり(ミサと空良とコーラン)……特に最後、そんなに食べてたら体重が増えるぞ。

 

「「「キッ!」」」

 

「…………」

 

なんか睨まれた。

すいませんでした、どうぞご自由に空良様がお作りしたお菓子をお食べくださいませ。

って違う違う、話し合いをするんだよ。

あの三人は置いといて、早速始めるか。

 

「さっさとくたばりやがれ!」

 

「此方の台詞よ!」

 

……お前らはホント、喧嘩しかしてないよな。

仲が良いのか悪いのか知らないが、ちょっと落ち着けよ。今から新・魔王を倒す作戦を考えるんだから、な?

白雲もコイツらを止めるのに急がしそうだし、あと話せる奴は……

 

「スピースピー」

 

「おーい、起きろー」

 

よし、俺も寝るか。

だってあの二人だよ、変態ブラザーズの二人とか不安しかないんだが、しかも一人は寝てるし。

はぁ、しょうがない。

俺は海楽と雷鳴に近付き、二人で作戦を立てることにした。

海楽と二人で、かぁ……雷鳴よりはマシだな。

 

「……海楽」

 

「魔王か、どうした?」

 

「……お前の指輪、貰っていいか?」

 

「え?」

 

俺は海楽が付けている指輪に視線を向けた。

確かそれは「異世界から戻ってくる指輪」だったか?ややこしいからあまり覚えてないが。

その指輪は新・魔王が別世界に逃げないようにするためと、雷鳴が言ってた【マジン】になるための道具として使うからだ。

まぁその道具なんて存在しないし、知らないから嘘になるけど。

 

「別に使わないからいいぞ」

 

海楽は俺の言葉に驚きながらも、普通に指輪を渡してくれた。

ありがとな、これで不意討ちを喰らうことは無くなったと想う。アイツは道具の使い方を知らないからな。

 

「…………」

 

誰に渡してもらおうか。

俺や空良だと新・魔王を倒す可能性があるから会った瞬間に攻撃されるだろうし、他の奴等だと道具の説明をした瞬間に倒されるだろうし……海楽か雷鳴になるのか。

 

「……雷鳴、起きろ」

 

俺は少し悩んで雷鳴にすることにした。

海楽が渡すと、雷鳴以外にも使い方を知ってると思われて、一人残して全員倒されるかもしれないからだ。

 

「あ、なんだ?」

 

「……この指輪を新・魔王に渡せ」

 

「あー、うんうん分かった分かった」

 

分かってないだろその返事は。

ジト目で雷鳴を見ながらも、取り敢えずは任せることにした。

 

不安しかないです、助けてください。




次回から戦闘に入れると思います。
茂みに隠れてる魔王達の話を書こうと思いましたけど、ちょっと厳しいかな……?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

とりあえず逃げます、助けてください。 by雷鳴

拝啓 読者様

ここからは雷鳴のターンです
……雷鳴が他のキャラより出すぎかな、出番減らそ。

それとちょっとした今後の展開(ネタバレ有り、反転させてます)
ここからはキャラクターごとに敵と戦います
順番としては
雷鳴&海楽→ミサ&手下ーズ→空良→魔王 です

海楽とミサが複数人なのはちゃんと理由があります。
海楽と雷鳴は攻撃力がないので、相手を倒せないから。
ミサは攻撃一発で終わるので、周りに味方を置いてそれを防ぐためです。


逃げる、逃げる、逃げる。

俺が何処に向かっているかなんて、俺にも追いかけている奴にも分からない。

ただただ俺はその行動をするだけだ、そうしなければ俺は奴に……

 

「うひょわぁあぁぁ!」

 

「マチヤガレェ!」

 

倒されてしまうからだ。

ってナレーションしてる場合じゃねぇよ!

俺は雷鳴、もう一人の魔王に絶賛追いかけられています。

つーかコイツしつこすぎるだろ、魔王達が消えてからずっと俺のことを追いかけてくるんだぜ?

しかも俺の後ろを飛行しながら魔法を撃ってきやがる。

当たってないけどさ、もしかして魔王さん俺のびびってるのー?ヘイヘイ、お前さんビビってやんのー!

……あれ、おかしいな。なんだかさっきより量と威力が増した気がするよ。

さっきまでちょっとした穴ぼこと土煙を起こす程度だったのに、今は底が見えないくらいのクレーターが空いてるよ、それとついでに紙も舞ってる。なんで紙があんだよ。

それはそうと完全に俺のことをヤる気ですね、助けてくれよ。

 

「どうすれば、どうすれば!」

 

まずは仲間を探そう、そしてそれが魔王か空良だったらコイツを押し付けよう。

最悪の場合は海楽でもいいや、アイツなら攻撃喰らっても「気持ちいい」の一言で済ますだろうし。

……なんか俺の行動がクズにしか見えないな、まぁ助かればなんでもいいんだけどさ!

 

「ケシズミニナレェ!」

 

もう一人の魔王は攻撃が当たらなくて痺れを切らしたのか、俺に一瞬で近づくと俺の頭を掴みもうひとつの手で、なんかバチバチとした弾を出してきた。

ねぇねぇ、俺と君は今ゼロ距離なんだ、だからそれを当てたらどうなるか分かるよね、だから止めようぜ、な。

そんな俺の願いも届かず、バチバチしてる弾は俺に当たり全身に電気が流れた。

 

「ビリッシャアッ!」

 

シビビ、痺れるゥ!

俺の骨が見える、アフロになる、アバァ!

そのまま体が痺れた俺は地面に倒れた。

あぁ、髪がアフロのままだしなんか体が焦げ臭いよ。

これは帰って風呂に入らないと。

 

「……おい!」

 

「アァ?」

 

俺が倒れながら、家に帰ることを考えてると、俺の視界にいたもう一人の魔王が何処かへ行った。

なんだ……?そう疑問に思い、さっき別の誰かの声がしたことを思い出す。

 

「……雷鳴」

 

そう、その声の主こそ俺が探してた(押し付けようとした)人物の一人、魔王である。

魔王はもう一人の魔王が居るであろう方向に目を向けながらも、俺の方をチラッと見てきた。

良かった、魔王が居れば100人力だぜ。

やっちゃてくださいよ魔王さん、アイツは俺をボコボコにしたんですぜぇ!

 

「……お前の仇は討つぞ」

 

「いや生きてるぞ!?」

 

コ、コイツ……俺が死んだと勘違いしてやがったのか。

俺はちゃんと生きてますー、心臓だって動いてるし、前みたいに魂が抜けてたりはしてませんー!

魔王は俺が生きてることに驚いたのか、少しだけ目を開いた。

ちょっと失礼じゃないのかよ、まったく。

 

「……雷鳴、みんなをここに呼べ」

 

「めんど」

 

「……俺一人だと勝つのは厳しい」

 

話し聞けよ。

ってか、魔王一人で倒せないのかよ。

俺はここから逃げたいんだが……ん、待てよ。

ここから逃げてみんなを呼ぶ、そしたら俺はここから離れられるし、みんなが戦ってくれるから俺は戦う必要が無い。

よし、行こう。今すぐ呼びに行こう。

 

「待ってろ魔王、今すぐ呼んでくるからな!」

 

「……お、おう」

 

何処に居るか知らないけど、走ってれば誰かに会うだろうな。

よし、少しの間だけアイツの相手を頼むぞ。それまでやられたりするなよ!

俺は魔王達に背を向ける形で、何処かへ走っていった。

 

 

 

 

 

「おい、ちょっと待てこら」

 

俺は走っていると、人影を見つけた。

敵だったら逃げる、味方なら魔王のところに案内する。

そう考えながら、その人影に近づいた。

だがそいつは……

 

「オマエカァ」

 

もう一人の魔王であった。

お前さっきまで魔王と戦ってたろ、逃げたのか、勝ったのか知らないけどなぁ……どうやって先回りしたんだよ!?

しかも急いで来たのか知らないけど、海楽の指輪まで落としちまってさぁ……何処で落としたか教えてくれない?元の世界に戻ったら売るからさ。

 

ヘルプミー、助けてください。




【今回雷鳴がしたこと】
・ラスボスを煽る
・ラスボスを人に押し付けようとする
・ラスボスを主人公に押し付ける
・逃げる
・人を身代わりにしたのに、助けを求める

なんだコイツ……行動が酷すぎる


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

まーた雷鳴の出番が多いよ、助けてください。 by作者

拝啓 読者様

【この作品の悩み】
仲間全員に思い出があって殺せないこと
だって、激しい戦闘してるのに誰も死なないのはなぁ……せめて、誰かを意識不明まで持ってきいたいです。


「なんでお前がいんだよ! あれか、兄弟か! クローンか! 影分身か!」

 

逃げた先にも新・魔王が居たことに驚き、雷鳴はツッコミを入れる。

それもそうだ、雷鳴は元・魔王に押し付けた任せた筈なのに、自分のところに居るのだ。

元・魔王がそう簡単にはやられないとは思っているが、もしかしたらを考えてしまい、不安になっているのだ。

新・魔王は雷鳴の喋った事が引っ掛かったのか、目をちょっぴり大きく開いた。

 

「オレニアッタノカァ」

 

「ああそうだよ! お前って複数居るのか? なーんて、そんなこと」

 

「ソウダァ」

 

「はッはッはッ、そうだろうな……うぇ、マジすか」

 

雷鳴は冗談で聞いたのに、それが正確してたことにまたもや驚き、一周回って落ち着いた。

新・魔王の重要な秘密を知り、元・魔王に教えようと思った雷鳴は、今来た道を戻ろうとするが……

 

「ココデチレェ」

 

新・魔王の方が早く動き、雷鳴の顔面に拳を当てようと雷鳴の肩を常人なら肩の骨が木端微塵になるほどの力を込めて掴んだ。

 

「うふぉあぁ! 誰か、誰か助けてくれ!」

 

しかしその叫びが響くのみで、誰の足音も聞こえない。

そのまま新・魔王の攻撃を喰らうかと思った瞬間、何かが凄い速さで此方に向かっているのに気付いた。

それはとても速く、どこから来てるか分からないのに風を切るような音が聞こえ始めた。

 

「ま、まさか……!」

 

雷鳴はその音に希望を感じた。

こんな速いスピードで来れるのはアイツしかいない。

アイツなら……アイツなら新・魔王と対等に戦え、勝てるであろう人物だと。

そして、その音を出してる人物が雷鳴と新・魔王の元へ飛んできた。

そう、奴こそが雷鳴の希望……

 

「痛みだァー!」

 

海楽である。

海楽は凄まじいスピードで雷鳴と新・魔王の間に入り、攻撃を喰らった。

地面を何回も跳ねて数メートル吹き飛ばさせるが、何にも無かったかのように立ち上がった。

 

「違うッ! お前じゃない! 空良を希望したのに……ちょっと店員さん、チェンジでお願いします!」

 

そんなんねぇよ。

雷鳴は空良が助けてくれると思ってたのか、海楽が来たことにガッカリして文句を言い始めた。

 

「ここから痛みを感じたと思ったら……お前だったのか」

 

「痛みを感じたってなに?」

 

雷鳴の突っ込みは置いとくとして、救世主(海楽)が現れたことで気持ちに余裕が出来た。

このまま海楽に任せて逃げようとしたとき……

 

「ニガサネェヨォ」

 

新・魔王が地面に脚を勢いよく振り下ろした。

すると脚を中心にメキメキと地面にヒビが入り始め、雷鳴達が立っている地面が突然消えた。

それは地面が透明になったとか、視覚的なものではない。物理的にだ、物理的地面が消えたのだ。

新・魔王の一撃に耐えきれず、地面は割れて大きな穴が出来たのだ。

その穴の深さは分からないが、少なくとも下が暗くて見えないほど深いことは確かである。

一度落ちれば上がることは困難だろう。

 

「え?」

 

海楽と雷鳴はキョトンとした顔で何回も下を見る。

しかしいくら見ても、さっきまで自分達が立っていた地面は無くなっているのだ。

つまりは……

 

「うおぉおおお!」

 

重力に従って穴へと勢いよく落ちるのだ。

雷鳴はなんとか空中を平泳ぎで助かろうとするが、数秒後海楽と同じく落ちていった。

 

この二人と一緒とか嫌なんですけど、助けてください。 by雷鳴




雷鳴と海楽のコンビは書いてて楽しいけど、戦闘になると一気に難しくなる。
何故なら二人とも戦わないから。
雷鳴は逃げて、海楽は一方的に攻撃を受けるため。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

痛みをくれ、助けて! by海楽

拝啓 読者様

この二人の戦闘は話が進まない気がします。


「気持ちぃーッ!」

 

「チィ」

 

新・魔王との戦いは激しさを増すことも、終わることもなかった。

海楽が攻撃を受け、雷鳴がずっと逃げようとする、それしか起こってないからである。

攻撃を受けても能力で回復する上、痛みが気持ちいので実質ノーダメージの海楽。

なんとか穴から脱出しようと、壁を登ろうとするが何回も落ちる雷鳴。

反撃しないのだ、この二人は反撃しないのである。

 

「もっとだ、もっと俺に痛みをくれぇー!」

 

反撃しない理由は単純、攻撃をしたくないからである。

海楽は盾となって痛みで気持ちよくなりたいから、雷鳴は新・魔王が怖いからである。

攻撃したくないから、この二人に出来るのは持久戦。

新・魔王がこの二人のことを諦めるまで、待つことしか出来ないのだ。

 

「チリヤガレェ!」

 

戦いが終わらないからか、反撃してこないからなのか、イラついてきた新・魔王が海楽の腹を殴る。

その威力が、腹に穴を開ける程のものでも海楽はすぐに回復する。

何発も、何発も殴っても結果は変わらない。

ただただ無駄な体力を消耗させ、海楽を気持ちよくさせるだけである。

 

「…………」

 

さすがにこれ以上攻撃しても無駄だと思ったのか、新・魔王は攻撃の手を止める。

 

「ほら、もっと痛みをくれ! 俺に痛みをーッ!」

 

海楽が言ってることを無視して、考え始める。

雷鳴は確実に殺すとして、まずは目の前の人物である。

別に異世界から連れてきた仲間(・・)に押し付けるのもありだが、そいつらで倒せるとは思わないし、自身の手で殺さないと気がすまない。

コイツは攻撃をしてもすぐに再生して、いくら攻撃しても意味がない。

その上痛みが気持ちいいと言っている、なら痛みを無くせば良いのでは無いだろうか。

そう考えを纏めた。

 

「俺はまだ満足してないんだよ! さあ攻めてこい、なにも遠慮することはないぞ!」

 

そんなことを言ってると、一瞬だけ新・魔王の目が光った。

光りを出した新・魔王は膝を付き、呼吸が激しくなった。

だが新・魔王が出したその光りは眩しい訳でもなく、どこも不思議なことはない普通の光りに見えた。

 

「痛みをくれよ、いた……み……を……」

 

光りを見た瞬間に海楽が倒れなければ。

あれほど五月蝿かった海楽が急に静かになり、壁を登るのを止めて海楽の方を見る雷鳴。

すると、そこには動かなくなった海楽が居た。

 

「おい海楽起きろ、お前が起きないと俺が困るんだよ」

 

雷鳴は海楽を起こそうと近づき、頬を強く何回も叩いた。

するとどうだろうか、何も反応しないのだ。

これが普通の人間なら「気絶してるかも」と思うだろうが、海楽の場合は話が変わる。

あの海楽が「気持ちいい」の一言も言わないのだ。

これは異常な事態である。

 

「……お、おい。海楽?」

 

名前を呼ぶが返事をしない。

体を揺らそうが、頭を地面に叩きつけようが、耳元で大声を出そうが反応しない。

 

「ちょ、おま……冗談キツいぜーほら、早く起きろって。逃げようとしたことは謝るからさ」

 

返事がない。

あるゲームではこの後に、とある言葉を付けると言う。

ただの屍のようだ、と。

 

「海楽……おい、返事しろ!」

 

「海楽ゥゥゥ!」

 

誰か海楽を、助けてください。 by雷鳴




~次回予告~

「てめぇ、絶対に許さねぇ!」

「オレニカテルトォ?」

「勝つ? そんなの知らねぇよ、これはお前に対する復讐だ。海楽の分まで、お前を殴る!」

「おやおや、面白そうなことになってますねぇ」

「お、お前は……!」


次回
「この次回予告は99%の確率で変更されます、信じないようにしましょう。」

次回も俺の壁登りに期待してくれよな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

シリアス出来ません、助けてください。 by雷鳴

拝啓 読者様

皆さんに聞きます、雷鳴(バカ)海楽(変態)がシリアス出来ると思いますか?
少なくとも、私の実力では出来ません。
そのため今回はただのギャグ回になってます。


「てめぇ、許さねぇぞ!」

 

雷鳴は動かなくなった海楽をゆっくりと地面に下ろし、新・魔王を殺意のある目で睨み付ける。

戦いが嫌いだとかで、敵を避けて逃げた結果がこれだ。

その行き場の無い怒りを新・魔王にぶつけているのだ。

 

「そうだそうだ!」

 

その雷鳴の言葉に海楽は起き上がって(・・・・・・)同じように怒る。

何故海楽が起きているのだろうか……その考えは怒りで頭に血が登り、冷静ではない雷鳴は考えることが出来なかった、そもそも海楽が起きていることにすら気付いていない。

 

「海楽を殺しやがってッ!」

 

「生きてるぞ」

 

手を横に振り、死んでることを否定するも雷鳴の耳には届いていない。

 

「海楽は変な奴だった、ドMだとかそういう言葉で表せないほどおかしいやつで、避けたい奴だった」

 

血が出るほど強く拳を握り、目を瞑りながら今までのことを思い出す。

敵の攻撃を自ら当たりに行く海楽、変な能力を持ってることを知って引いたあの日、偽物からの攻撃を受けて地面をのたうちまわる海楽……強く握った痛みで冷静になったのか、よくよく考えると「ろくな思い出が無いな」と頭の片隅で思ったが、怒りはまだ収まらない。

 

「そんなこと思ってたのかよ」

 

「ああそうさ! だがよ……良い奴だった」

 

お前早く気付けよ。

もう完全にわざとやってるだろ……と思われてるだろうが、本人は本気で海楽のことを思っているのだ。

 

「生きてるって」

 

「なんかこう、良い奴だったんだよ!」

 

雷鳴は言葉が思い付かなかったので、とりあえず「良い奴だった」を二回繰り返した。

 

「無理して言わなくて良いぞ」

 

「その海楽をお前は殺したのさ」

 

「生きてるって言ってるだろ」

 

「確かに海楽は生きてる……だがな! ってちょっと待て」

 

ここまで散々茶番会話を続けて、怒りが収まり始めたのか、ある違和感に気が付いた。

そういえば自分はさっきから誰と会話しているのだろうか、そう疑問に思い声の主へと振り向く。

 

「人の話を聞けよ」

 

「…………」

 

顎が外れるんじゃないかと思うほど口を開け、目が飛び出す。

何故死んだ筈の海楽が生きているのだろうか、いつから復活していたのだろうか……考えに考えた。そして思い付いた、これは夢だと。

 

「おやすみなさい」

 

「待て待て待て待て!」

 

いつの間に現れたのだろうか、敷いてある布団に入り寝ようとしたが、耳をつねられて止められる。

 

「いだだだだぁ! ってもしかしてこれ夢じゃないのか?」

 

「そうだよ」

 

「ふぁ!? ならどうしてお前生きてんだよ! 前回俺が「海楽ゥゥゥ!」って叫んだのはなんだったの? あの時間返せやコロヤロー!」

 

言葉では怒り、地味にメタな発言もしているが内心は嬉しかった。

いくら変態だろうが、ちょっと近付きたくない奴だろうが、仲間であることは確かだ。

その仲間が死んだらさすがに怒りもするし、寂しくもあり……そして、生きていて嬉しくもある。

 

「で、なんで生きてんだよ?」

 

「能力で復活した」

 

なんだか感情が忙しい雷鳴だが、この時ばかりはため息を付いた。

回復力が凄まじいのは知ってたけど、死んでも復活できるのってチートじゃね?ちょっとその能力俺にくれよ、俺の能力より使えそうじゃん。そう思ったそうな。

 

「グゥ!」

 

そんなやり取りの合間に、新・魔王は息を整えていた。

新・魔王が海楽に使った攻撃は「相手を即死させる」と言うチートな攻撃である。

しかし勿論弱点はあるし、そもそも最初から簡単に使えれば初めに元・魔王に会った時に使っている。

 

「お前のそのチート能力くれない?」

 

「死ぬと痛いが来ないからやだ」

 

この攻撃はそこで喋ってるバカ(雷鳴)対策に復活した後、細かく言えば雷鳴が嘘で稼いだ二十日間の間に使えるようになったモノである。

そんな付け焼き刃同然のが、なんのデメリットも無しに使えるなんてご都合主義は存在しない。

これを使うと魔力や体力がごっそり持っていかれるのだ。

そのため使った後は空良や元・魔王が簡単に倒せるほど弱くなってしまう。なので「最終手段」と言ったところだろう。

 

「ハァ……ハァ……」

 

「別にいいんじゃんか、俺の能力も痛みあるぜ?」

 

「そもそもどうやって交換するんだよ」

 

敵がいる前で普通に喋っているのは、余裕があるからなのか、馬鹿だからなのか、それとも痛みが欲しいからあえて見逃しているのか……そこまでは不明だが二人は新・魔王を見ていなかった。

 

「ん~……だけどお前の能力も攻撃受けたら痛いのか、そこがな~って、おい!」

 

「どうした?」

 

「魔王が消えてるぞ!」

 

だからだろう、いつの間にか新・魔王が消えていたことに気がつかなかった。

二人は慌てて辺りを見渡すが、あるのは高い壁だけである。既に穴の中に新・魔王の姿は無かった。

 

「やっちまったあぁああぁあ!」

 

逃げられました、助けてください。 by雷鳴




【即死の攻撃】
ネーミングセンスがないので、名前は特に考えない。
目から発した光を見たものは、即死する攻撃。
「チート能力乙」とでも言われそうだが、弱点はちゃんとある。
一つ、光を見ないと死なない
二つ、自分の体力がごっそり持ってかれる
三つ、格上の相手には通じない
四つ、即死系が効かない奴には効かない
五つ、連発出来ない

この五つである。
そのため初見殺しのような攻撃である。
ついでに言うと、この攻撃は後付け設定である。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

脱出したいです、助けて! by海楽

拝啓 読者様

最終決戦とかいいながら、まだまだ続きます。
もう一つ「〇〇編です(略)」を挟むと思います、話の内容は変わらないので関係ないですけど。


「…………」

 

「…………」

 

さて、どうしようか。

俺と雷鳴は新・魔王を逃がしたことで、気まずくなった上、穴から出れないことを悩んでいた。

白雲みたいに空間を移動できないし、空良や魔王みたいに空を飛ぶことも出来ない。

そして俺達には驚異的な身体能力も無い。

 

「雷鳴、どうするよ」

 

「知らんよ、俺はここで過ごす。そして誰かがアイツを倒してくれるまで待つ」

 

「俺は反対だ」

 

俺達がここに居たとしても、新・魔王を誰かが倒してくれるとは限らない。

もしかしたら、全滅する可能性もあるのだからアイツを追いかけた方が良いだろう、後アイツの攻撃が気持ち良かったからもう一度受けたい。

はぁ、はぁ……あの攻撃、今まで受けたどの攻撃よりも気持ち良かったぜ、即死は痛みが無いから嫌だけど、また殴られたいな。

 

「はぁ!? 俺は嫌だぞ、だってアイツは何体も居るんだ、さっきのアレだってその一部なんだよ」

 

やっぱり雷鳴は嫌がるか。

しょうがない、ここは俺がアイツの所に行って攻撃を受けるしか……ん、何体も?

 

「おい雷鳴、何体も居るってどういうことだ!?」

 

「あれ、言ってなかったっけ? 俺もさっき知ったんだけど、アイツは何体も居るんだよ。少なくとも二体、この目で見たぞ」

 

「そういう大事なことは早く言えよ!」

 

新・魔王が何体も居るのか、それってかなり……否、本当に不味いぞ。

俺達の力だと、ギリギリ一人倒すのがやっとなのに、何体も居るなんて……そしたら痛みが何倍もなるってことじゃねーか!

 

「ふ、ふひ、ふひひひ」

 

「うわなにアイツ怖ッ!」

 

雷鳴が何か言ってるが気にしなくていいか。

それよりも、まずはここからどうやって出るかが問題だな。

俺の能力だと、壁を登るなんて出来ないし、魔王みたいに白雲を呼んでも何処かで戦ってるかもしれないしな……あ、そうだ。

 

「雷鳴」

 

「オレのそばに近寄るなああーーーーーッ!」

 

「うるさい」

 

「すみませんした」

 

なんでコイツは騒いでるんだ、何か怖いものでも見たのか?

騒いでる雷鳴を静かにさせ、俺は雷鳴にここを脱出する方法を伝えることにした。

 

「お前の能力でなんやかんや出来ないか?」

 

「ふわふわしすぎじゃね? 俺の能力はご都合主義の固まりじゃねーんだよ」

 

そりゃあそうだな。

だけど可能性があるとしたらそれしか無いんだよ。

雷鳴の能力で、なんやかんやしてここを脱出するしか……やっぱりふわふわした意見だな。

 

「それに俺の能力は制御出来ないんだ、意識して起こせる能力じゃないから、意味ないと思うぞ」

 

だけど方法はそれしか無いんだよ。

雷鳴の能力に頼るしかないんだ、何が起こるかは誰も分からないけど。

そう頭を悩ましていると、雷鳴が何かを思い付いたようで、いつの間にか頭の上にあった電球が光った。

 

「何か思い付いたのか?」

 

「ああ……狼男に朝食取られたから、何も食ってないことをな!」

 

「殴っていいか? いや殴ってください」

 

「ちょっと何言ってるから分からない」

 

お前がなんで引いてるのかちょっと分からない。

それはそうと、お前の朝食は狼男と雪女の喧嘩でひっくり返ってただろ、その後髪を逆立たせて怒ったけど、空良が追加を作ってくれたのを忘れたのか?

 

「それで、どうした?」

 

「前に困ったときにある奴に助けてもらったことを思い出したんだよ」

 

「ある奴?」

 

誰だそいつは。

少なくとも、新・魔王では無いだろうし、「ある奴」って言ってるから、名前は知らないだろうし。

 

「なんか白いスーツ着てて、顔を目玉が書いてある黒い布で隠してる中二病みたいな奴でさぁ……」

 

「お呼びになりましたか?」

 

「お、そうそう丁度こんな奴で……」

 

その時、俺と雷鳴がその人物を見る。

その人物は雷鳴の後ろに立っていた。いつからいたのか、どうやって来たのか……そんなのが分からないなんだか不気味な奴だった。

それと怪しい、めっちゃ怪しい。怪しいを具現化したような奴だ。

 

「うびゃあぁ! 出たぁあぁぁ!」

 

雷鳴はソイツが現れたことに驚き、地面を平行移動しながら壁にぶつかった。

 

ちょっと雷鳴を静かにさせたいです、助けて!




朝食のシーンは適当に考えました。
書く予定はないですけど、カオスなことにはなってます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

お久しぶりです、お助けください。 by商人

拝啓 読者様

サブタイ書いて思いました。
お前は助けを呼ばなくても大丈夫じゃね?
だけど出番が少ないのはごめんなさい。


「……で、お前の名前は?」

 

勢いよく壁にぶつかって出来た、大きめのタンコブを撫でながら雷鳴は怪しい奴に話しかけた。

ちょっとその痛みくれない?

 

「商人、と呼んでください」

 

「分かった、怪しいMAXマン」

 

ちゃんと呼んでやれよ。

確かにコイツは怪しいけどさ、名前で呼ぶくらい別にいいだろ。

 

「それで、何かお悩みなのでしょう? お困りであれば、その願いを叶えますよ」

 

「無視しやがった…目に入らなかったとでも言うのか……!?」

 

お前の相手をするのが面倒くさいだけだろ。

コイツに「ここから出れないから出してくれ」と言えばここから出れるだろう、いつの間にか雷鳴の後ろにいたから、瞬間移動かなんかは使えるのだろう。

 

「あ~ちょっと待ってくれ」

 

俺は雷鳴の腕を掴み、商人から離れた。

格好が変だからそう見えるだけならいいんだが、やっぱりコイツは怪しいな。

 

「どうした海楽、このタンコブ欲しいのか?」

 

雷鳴は何がなんだか分からない顔をしながら、頭に付いてるタンコブを取って俺に渡してきた。

 

「サンキューな」

 

そのタンコブを頭に付けると、痛みがだんだんと頭に広がってきたが、一瞬で終わってしまった。

あぁ、痛みが終わっちまった……

 

「で、こっちに連れてきてどうした? あの不審者にここから出してもらおうぜ」

 

さっきから名前が原型を留めてないんだけど?

いや、それはどうでもいいか。それよりも商人の方だ。

 

「アイツ怪しくないか?」

 

「そりゃあそうだが……」

 

なんでも叶えるなんて、神かなんかじゃないと出来ないはずだ。

それにああいうのは、大抵「お前の命と引き換えになぁ!」と言われるのがオチだ。

アイツは無視するのが一番だ、だけど命を取られる瞬間に痛みがあったら嬉しいな、出来れば今まで感じたことの無いような強い痛みを。

 

「商人、ちょっと俺の愚痴を聞いてくれよ~」

 

そんな痛みを食らったら、とても気持ち良さそうだな。

もしかしたら毒みたいにジワジワと広がっていくものかもしれないし、体中が一瞬で骨折したような痛みが走るのかもしれないな……

 

「なんか魔王同士の戦いに巻き込まれて、なんとか勝ったんだけど、なんかもう一人の魔王、そいつがさ~」

 

いや、まてよ……もしかしたら即死で痛みをまったく感じない可能性があるかもしれない!

これは商人に確認を取る必要があるな。

 

「ちょっと俺は商人と話をするから、雷鳴はここで……あれ、雷鳴?」

 

俺が雷鳴を見ると、そこにいたはずの雷鳴が消えていた。

まさかと思い、商人の方を見てみた。すると、

 

「……でさ~あの、もう一人の魔王が喧嘩売ってくるわけよ、俺が何かしたかよ、まったく」

 

アイツ、何やってんだ……!?

見返りとして痛い思いが出来るかまだ分からないのに!

 

「それは大変でしたねぇ」

 

「だからさ、アイツに罰を与えることって出来ないか?」

 

「罰ですか?」

 

「おい雷鳴、その話はそれぐらいにな」

 

「地獄に送って、針地獄に刺されて痛い思いをするとかな」

 

「針地獄!? 俺行きたい!」

 

よし、商人の話に乗ろう。

怪しい?不審者?そんなのは知らない、痛みをくれるならなんでもいいや。

そうえば最初からコイツに、痛みを感じるような場所に送ってくれ!と言えば良かったな。

 

「お前なぁ……まぁいいや、俺はアイツがボコボコにされるのを見れれば十分だ

 

今のいままで俺を攻撃してきた痛みを思いしれ!」

 

「了解致しました、お客様」

 

「ふは、ふはは、ふーはっはっはっ! あの魔王め、痛い目をみやがれー!」

 

台詞と笑いかたが完全に悪役のそれなんだけど。

俺が雷鳴の行動にため息を付いた瞬間、景色が変わった。

 

「「……え?」」

 

俺と雷鳴の言葉が被る。

周りを見ると、さっきまで俺達が居た穴なんか何処にもなくて、そこには地獄絵図が広がっていた。

針山に刺さり悲鳴をあげる人、赤い池で溺れそうな人……様々なことが起こっていたが、一つだけある共通点があった。

それは痛みが、快感がそこにあることだ。

 

「痛みだー!」

 

俺は嬉しさのあまり、そこへ行こうとしたがあることに気付いた。

あれ、そうえばさっきからこの光景って上から(・・・・)見てるよな。

俺は地面を踏もうとするが、何も踏めない。

さっきまでは景色しか見てなかったが、足元を見てみる。

なんとなく分かってはいたが、地面も何もなく空中に浮かんでいた。

 

「「うおぉおー!?」」

 

俺達は重力に従い、真っ逆さまに落ちていく。

雷鳴は下に落ちずに、空中に浮いている商人の足を掴もうと、空中をクロールするが数秒も経たない内に俺と同じように落ちていった。

 

「あひゃひゃひゃひゃひゃ! 願いは叶えましたよ、お客様ぁ!」

 

商人の言葉と共に、下にあった赤い池へと俺達二人はダイブした。

 

騙されました、助けて!




描写はないですけど「雷鳴と海楽が戦った新・魔王」は地獄に居ます。
元・魔王に押し付けた奴はそのまま残ってます。


《今回の戦犯》
雷鳴

《理由》
商人にベラベラと喋った
海楽が乗っかるような話をした
地獄に送ってと言った


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

お前はトマトか、助けてください。 by雷鳴

拝啓 読者様

どんな状況であろうと、この二人だけでシリアスって無理じゃありませんか?


この目の前に広がる光景を表すとしたらなんだろうか。

赤い池を飲み干す奴に、針山に自分から刺さり気持ちいいと言ってる奴……地獄(悪夢)は、既に別の地獄(カオス)へと変わっていた。

どうしてこうなったのだろうか、少しばかり時を遡ろう。

 

 

 

 

 

「おぼぼぼ、おぼぼぼぼぼぉ!」

 

オッス、俺らいめぼぼぼ!

溺れる、なんかよく分からない赤い池に溺れる!

商人に騙されて地獄に転送された、池に落ちた、このままだと俺は溺れてピンチ!以上、前回のあらすじ!

 

「ぼがぁかぁあ!」

 

ちょっとシャレにならないレベルで沈んじゃうな。

あぁ、せめて一緒に来た魔王が苦しんでるところを見たかったなぁ……

 

「雷鳴、何やってんだ」

 

海楽が池から上半身を出して、呆れた顔で話しかけてきた。

なんで呆れた顔で俺を見るんだよ、俺は今溺れそうなんだよ。普通に体を上に出せるくらいの余裕があるなら助けてくれない?ボロクソに言ったこと謝るから。

 

「溺れ、溺れる!」

 

「足着くぞ」

 

「…………」

 

俺はスッと立ちあがり、海楽を置いて無言でバシャバシャと陸に上がった。

そうえば喉が乾いたな、今まで騒ぎまくったからか……この池の水って、飲めるのか?

よくある設定だと「血の池」だけど、これが本当にそうだとは限らないし、そもそもここは地獄もどきかもしれないな。地獄もどきってなんだよ。

しょうがない、海楽に毒味してもらうか……あれ、居ないな。

 

「気・持・ち・い・いー!」

 

海楽が居ないので辺りを見渡すと、針山に自分から刺さりに行っていた。

その針山の近くにいた、他の人?死人?が海楽から離れるように何処か行き、頭から角が生えてる奴が海楽を退かそうと、金棒で叩くが喜んでいるだけである。

よし、他人のふりをしよう。

身代わり(海楽)が居ないから飲むの怖いけど、ちょっとだけなら大丈夫だよな?

 

「ペロ」

 

俺は池の水を指で取り、舐めてみた。

!?こ、これは……トマト!!!

なんか異様にトマト臭がすると思ったら、まさか本当にトマトジュースだったなんて……全部飲むか。

 

「旨すぎるッ!」

 

「お前何やってんだ!」

 

俺がゴクゴクと池の底が見える位までトマトジュースを飲んでると、後ろから固い物で叩かれた。

後ろを振り向くと、さっき海楽を金棒で叩いてた奴と似てる、角が生えた人……いや、鬼か。鬼が俺の後ろで立っていた。

なんだよ、美味しいトマトジュースを飲んでるんだから邪魔するんじゃねーよ!

 

「それは地獄の名所「血の池」だろ、何飲んでんだ!」

 

何言ってんだコイツ……これはトマトだろ、トマト以外の何物でもないだろ。

お前もしかして、トマトを逆さまに読んだら別の物になると思ってるだろ。トマトは反対から読んでもトマトなんだよ、分かったか!

…………自分でも何言ってるか分からなくなってきた。

 

「どう考えてもトマトだろこれ」

 

俺は鬼の顔を池に沈ませ、無理矢理飲ませた。

鬼は絶対に飲みたくないようで、抵抗していたが少しずつゴクゴクと飲む音が聞こえ始めた。

 

「トマトじゃねーか!」

 

さっき言っただろ。

 

「さっきまでこれは血だったはずだ、お前何かしただろ!」

 

「知らんよ」

 

もしかしたら俺の能力が勝手にトマトジュースにしたかもしれないけど、確かめようがないから知らない。

鬼は俺が惚けてると思ったのか、怒った顔で俺を投げ飛ばした。

 

「てめぇは釜で焼けやがれぇ!」

 

ねぇ、待って。

俺が悪かったから、さ。だからその釜に投げるの止めようね。

あんたが言ってる釜ってあれだろ、丁度俺の着地地点にあるような、お湯がグツグツしてて釜が火で覆われてるあれだろ。

 

「いやあのちょっと待ってくださあああっちぃ!」

 

俺は空中で体制を整えるなんて、そんな器用なことなんか出来ずに、そのまま釜へと入った。

 

煮込まれてます、助けてください。




いつから今回がシリアスだと錯覚していた……?
この二人なら地獄でも楽しく暮らせるでしょう、まだ二人のターンは終わりませんが。
多くても後三話くらいで、次のキャラに行く予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

巻きで行きます、助けてください。 by作者

拝啓 読者様

もう少し伸ばす予定でしたけど、これ以上地獄居られたら、グダグダになりそうなので巻きにしました。


「あ~」

 

雷鳴だ、前回釜に投げられたけど、なんか思った以上に良い温度だった。

ほら、よくあるじゃんか。お湯が熱いッ!と思っても、慣れれば普通に入れるあれだよ。

最初は身体中に火が付いて熱かったけど、いつの間にか火は消えて、何処から出したのか自分でも分からないけど、タオルを頭に乗っけてる。

 

「疲れが取れるぜ~」

 

服のまま入ってるけど、別にいいか。

最近はドタバタしててゆっくり出来なかったからな~、たまには静かにお湯に浸かるのも良いかもしれない。

 

「熱いッ! 気持ちいいッ!」

 

ただし海楽、てめーは駄目だ。

 

「いつの間にお前はここに来たんだよ」

 

「投げ飛ばされた」

 

あぁ、そういう……

それにしても魔王を見ないな、アイツ本当に地獄に来てるんだよな。

まさか逃げたとかないよな……確か場所の移動とか出来たよな。もしかして、もう地獄から逃げてるんじゃ……いや、ないないそれはない。

完全には否定出来ないのが辛いけど、流石にアイツだって世界と世界を移動することなんてなぁ!なんか魔王が言ってた気がしたけど、忘れた。

 

「これからどうしようかな~」

 

地獄から出る方法知らないし、そもそも合ったら最初から出てる。

ならいっそのこと、ここに永住するか?

戻ってもボコボコにされるし、元の世界に戻ってもボコボコにされるし、ここにいてもボコボコにされる……よし、安全なところは何処にもないな!

俺がそう考えていると、海楽が急に立ちあがり、辺りを見渡し始めた。

 

「ん、どうした?」

 

「痛みを感じる!」

 

前も言ったけど、痛みを感じるってなに?

お前が何を言ってるのか雷鳴さん理解出来ない。

コイツはもう放置でいいや。俺はもう、戦わん……

 

「うおぉおー! 痛みだー!」

 

「おい海楽!」

 

俺は海楽を止めようと声をかけるが、此方には一度も振り向かずに何処かへ走っていった。

俺は一人でゆっくりするか、戻っても良いことないからなぁ~…………

 

「俺も行くから待て!」

 

べ、別に寂しいわけじゃないんだからね!

ここにいたら、魔王からの攻撃を守ってくれる人が居なくなるのが嫌なだけだから。勘違いしないでよね!

うえ、俺がツンデレするとただただ気持ち悪いな。

 

 

 

 

 

「うっわ、スゴい見たことある」

 

海楽を追って走ってると、切れ目があった。

死神が使ってたあれに似てるな、なんでここにコレがあるか知らないけど、海楽はここに入ったのだろう。

 

「嫌な予感しかしないな」

 

一つ、罠で入った瞬間ボコボコにされる

二つ、魔王がここから逃げた

三つ、知らない場所に飛ばされる

君はこの三つの中ではどれだと思う?俺は全部だ、ここに入りたくない。

 

「…………」

 

寝て良いかな?

切れ目を見なかったことにして、さっきのお湯に浸かろうと戻るとしたとき、切れ目が段々と閉じ始めた。

なんなの、このご都合主義。あれだろ、ここに入るか入らないかすぐに決めろってやつだろ。

 

「入るしかないのか?」

 

だが、だがなぁ!

俺はこの切れ目に入るなんてことはしたくねぇんだ!

どうせ入らなかったら戻れないけどな。

 

「あの三人何処に行きやがったぁ!」

 

ああ~!死神()の音ォ~!

このまま見つかったら金棒で叩かれるな。

よし入ろう、どうせ会ったらボコボコにされるんだ、今は今だ。コレに入っても、アイツにボコられるのは後の俺だ。つまり、後は後の俺に任せる!

 

「ていっ!」

 

さすがに怖かったので、目を瞑って飛び込んだ。

するとさっきのTHE・シンプル・地獄☆だった光景から、森に変わった。

 

「ここってどこだ……?」

 

海楽は居ないし、周りは木しかない。

そして、そしてェ!俺はここが何処か知らない!

つまり何が言いたいのかって?

 

「【速報】雷鳴、迷子になる」

 

また迷子だよ、助けてください。




【新・魔王vs変態ブラザーズ】
雷鳴──道に迷う

海楽──何処か行った

新・魔王──不明

商人──不明

鬼──何処かに行った『三人』を探してる。もう出てこないキャラ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

「何か」です、助けてよぉ。 byミサ

拝啓 読者様

ここからはミサと手下ーズのターンです。
海楽と雷鳴でふざけまくったので、ここからは基本的に戦闘です。
変態達のあれも一応戦闘には入りますけどね。


雷鳴達が商人の手によって、地獄に落ちる少し前の話。

ミサ、白雲、狼男、雪女、コーランの五人は新・魔王の城の跡地に居た。

 

「イッテェなこの野郎!」

 

「あんたが上から降ってくるのが悪いのよ!」

 

どうやら、飛ばされたときに狼男が雪女の頭上に落下したそう。

これに関してはどちらも悪くないが、二人とも相手が悪いと思っているようで、口喧嘩をしていた。

 

「危なかった……」

 

「あれは危険って言わないのかな?」

 

「いつも通りだよ」

 

その光景を見て、ミサは止めようとするが、コーランに「止めなくて良い」と静止させされる。

そんな光景すら、無視して白雲は一息付いていた。

実は新・魔王に飛ばされる前に、白雲が五人を纏めた場所に飛ばしたのだ。

急いで飛ばしたので、誰が何処に飛んだかは分からなかった。

その結果が、これ(喧嘩)である。

 

「今日こそは蹴りをつけてやるわ!」

 

「此方の台詞だ!」

 

この二人が喧嘩を止める日が来るのは無いだろうが、こんな時ぐらいは手を組もうとしないのだろうか。

 

「はぁ……」

 

白雲はこの二人の喧嘩を何回も見てるので、正直疲れていた。

だが今回は止めなければ移動なんて出来ないし、無駄な体力を使ってしまうので、「止めない」と言う選択肢は最初から存在しないのだ。

 

「ん?」

 

「どうしたの?」

 

喧嘩してる奴等に巻き込まれないように少し離れて、ミサは辺りを見渡していた。

なんだか誰かに見られてるような感覚がするが、気のせいだろうか。

周りはデカイ穴が空いてたりする程度で、人影なんてものは存在しない。一応上を見るが、あるのは月だけだ。

 

「いや、なんでもないよ」

 

どうせこの二人が喧嘩してるのにイラついて、少しだけ神経質になってるだけだろう、そう考えることにした。

ほんの少しだけ気を緩めるために、深呼吸をして心を落ち着かせることにした。

 

「敵がいる!」

 

だからなのだろう、タイミングが悪かったと言えばそれまでだが、「敵がこんな近くに居るわけがない」と考えていた、油断が生んだ隙であった。

 

「え?」

 

白雲の言葉に遅れて反応したが、既に遅かった。

目の前に不規則な形をした、スライムのような緑色の「何か」がミサを覆うように飛んできたのだ。

 

「そこッ!」

 

しかしそれに気付いた雪女がその「何か」を凍らした。

「何か」はカーテンのような形で固まり、地面に落ちた。

その衝撃でバラバラになったが、誰も気にすることはなかった。

 

「危なかったわね、大丈夫かしら?」

 

「え、あ、はい。大丈夫です」

 

急な事で頭が追い付いておらず、つい敬語を使う。

雪女は狼男に対して、ドヤ顔をして自慢するが、狼男は雪女を見てなかった。

それどころか、ミサや白雲にも一切目をやらずに、「何か」に近づいてジっとそれを見ていた。

 

「何見てるのよ? そいつは私が凍らしたから大丈夫よ」

 

「…………」

 

無視されてることにイラついたのか、ズシズシと足音を立てながら狼男へと近づく。

彼女の行動が女らしくないと指摘する者はここには居ない。指摘したら凍らされるのは決定事項であるからだ。

だが、それ以上に目をやるものがあった。

 

「な、なんなのよこれは……」

 

さっき雪女が凍らした「何か」がグツグツと泡を立て始めたのだ。

近付くだけで「熱い」と感じるほどになっており、湯気も出ていた。

その「何か」を覆っている氷は少しずつ、少しずつ溶け始めていた。

 

「みんな、構えて!」

 

コーランの声と共に、全員構える。

目の前にいる「何か」は未知の生物である、何をしてくるかは分からない。

だがこれだけは言える「コイツは敵だ」と。

 

不思議な生き物です、助けてよぉ。 byミサ




「何か」
名前不明、緑色でアメーバのような形である。
新・魔王の手先で、知能は低い。
だが自身の温度をあげたり出来るそう。
物理攻撃が効かなそうなのって、この作品内でわりと天敵じゃね?と思って作ったキャラクター。

尚、私の別の作品に「スライム君」と言うキャラがいるが、何一つ関係性はない。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

この戦いは何話で終わるんだろ、助けてください。 by作者

拝啓 読者様

前回忘れてた説明がありました。
「何か」は薄い緑色です。
なので、体の中が見えるようになってます。


動かない、誰も動かない。

「何か」を覆っていた氷が溶けるのを見ているが、誰も攻撃しようとはしない。

否、攻撃出来ない。こう言った方が正しいだろう。

 

「…………」

 

この「何か」はどんな生き物か分からない。

高い知能を持っているかもしれないし、ただ本能でミサを襲ったのかは分からない。

だが少なくともミサが「何か」の体内に閉じ込められそうになったことは事実である。

人質にしようとしたのか、捕食しようとしたのか……兎に角、相手が何をしてくるのかをしっかりと確かめる必要がある。

 

「じれってぇ!」

 

それを出来ない人物が約一名居るが。

狼男は「何か」が行動するまで、ジっとすることが出来ずに殴りかかることにした。

 

「ちょ!?」

 

雪女が止めようとするが、既に遅かった。

狼男の拳は完全に氷を溶かしてない「何か」に当たり、水のように飛び散った。

その行動にため息を付く者もいれば、狼男を睨む者も居る。本人は殴った拳を眺めているが。

 

「はぁ、あんたねぇもう少し慎重に行動出来ないのかしら?」

 

「…………」

 

「何か切り札を隠してかもしれない」と言う事を考えないのだろうか。

そう思いながら、狼男を叱ろうと声をかける。

だが返事は返ってこない。

 

「なんとか言いなさいよ」

 

もう一度声をかけるが何も言わない。

少しだけ反省して黙っていたのだろうか、結局は説教するけど……そうこの後の行動を考えていた。

狼男が見せてきた腕を見るまでは。

 

「なッ!」

 

狼男の腕には飛び散った「何か」が腕に付いていた。

だが何かがおかしい。さっき凍られた大きさと比べて、なんだか大きくなっているような気がする。

それに比例するかのように、狼男は疲労し始めてきた。

 

「アイツ、まだ生きてる!」

 

「何か」を剥がそうと、腕を何回も振る。

すると腕を地面に振った時に離れ、地面にバウンドした。

「何か」を剥がしたのに、狼男は見て分かるほどに疲労して、肩を上下に動かしていた。

気のせいだろうか、先程よりも一回りほど大きくなっているように見える。

 

「なんなの、あれは?」

 

今までに見たこともない生物に、一同は恐怖を抱く。

凍らせても溶け、殴ってもくっついて再生する。

コイツは不死身の化け物なのではないか、自分達はコイツを倒すことが出来ないのではないかと思った。

 

「分からない……だけど、大きくなってるね」

 

コーランの言う通り、この「何か」は最初よりも一回り大きくなっていた。

「何か」は狼男の腕にくっつき、栄養を吸収して成長したのだ。

 

「あ、あああ……」

 

この中で一番精神的にも、肉体的にも弱いミサは呼吸が荒くなる。

指も震え、目には若干の光りがあるも、正気を失う寸前であった。

例え励まされて勇気が出たとしても、ミサは一般人である。恐怖に耐えて勇気を出すことは難しいのだ。

 

「の、『能力発動』!」

 

「ッ!? 『空間ワープ』」

 

ミサはすぐにでもこの恐怖から逃れようと、能力を発動した。

白雲は急にミサが能力を使ったことでギョッとするも、前に小屋の爆発から免れた技─適当に名前を付けた─で、ミサ以外の全員を異空間へと逃がす。

 

「ああああ、あああ! 『能力発動』『能力発動』!」

 

ミサは何回も能力を使った。

少しでも恐怖から免れようと、少しでも落ち着こうと。

 

「はぁ……はぁ……」

 

その影響で、跡地だった場所が前に能力を使った時以上に綺麗な平らになっているが、そんなことを気にする者は誰も居ない。

 

「倒し、たの?」

 

緊張の糸が切れたのか、その場にへたれ込むミサ。

それと同時に異空間に逃げていた、四人が戻ってくる。

今のミサを見て情けない、と言う人物なんてここには居ないし、能力を持っている以外一般人の人間がよくここまで耐えれたと、言いたいところである。

…………だが、

 

「な、なんで……ッ!」

 

いくら頑張ろうと、それが実るかは別だ。

ミサの能力で跡形も無く吹っ飛んだと思われた「何か」は再生して生きていた。

 

「白雲どうする、攻撃が効かないよ!」

 

「本当に、不味い……!」

 

勝つビジョンが浮かびません、助けてください。 by白雲




本編では「コイツ倒せなくね?」って感じですが、ちゃんと倒す方法はあります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

一撃の一手です、助けてください。 by白雲

拝啓 読者様

思った以上にミサ達の戦闘シーンが思い付かなかったです……


「こんなの、どうやって倒せって言うのよ……!」

 

「何か」が完全に再生するまでに、なんとかしようとするが、方法が思い付かない。

何も出来ずに、「何か」が再生するのをジッと見ることしか出来ないことを歯痒く感じていた。

 

「…………」

 

白雲を除いて。

こんな時こそ冷静に、格上の相手だろうと弱点を考える。

空良や元・魔王のように、強い力を持っていない。

それなら自分の出来ることは何か、周りの状況を見て相手の出方を伺う。

その簡単で難しいことである。

 

「ポイッ」

 

白雲は切れ目から、手榴弾を取り出してピンを抜かずに「何か」に投げる。

「何か」はその手榴弾を体内に取り込み、捕食した。

すると体内に入った手榴弾が段々と溶け始め、ついには何も無かったように消えてしまった。

そしてもう一回り大きくなった。

 

「おい白雲、何やってんだよ! 相手に食わせるな!」

 

狼男がなにやら怒鳴っているが、ミサが恐怖をで震えているが、白雲は眼中に無かった。

それよりも「何か」を倒す方法を思い付いたからだ。

白雲は「何か」の頭上に切れ目を出した、ある物を降らせて捕食させるためだ。

 

「いいや、これでいい! 攻撃が効かないなら、攻撃しなければいい!」

 

「はぁ、何言ってんだ?」

 

白雲が何を言いたいのか、ちんぷんかんぷんで頭に幾つものハテナマークが浮かぶ。

すると切れ目から、紫色の花がボトボトと落ちてきた。

「何か」はその花を捕食し、体内で溶かした。

 

「ちょ、白雲大丈夫なの!?」

 

「大丈夫! ……多分」

 

多分!?と驚きながらも、「何か」を警戒する。

花を捕食した「何か」はまた大きくなる。そう思ったが、体の色が薄い緑から体内が見えなくなるほど濃い紫へと変わっていった。

 

「なんだ、アイツの色が変わってるぞ」

 

「何か」は変な者でも食べたかのように、突然体を激しく動かす。

だがそれも収まり始め、ついには完全に動かなくなった。そして溶けた氷のように、地面に溶けていった。

 

「???」

 

「ちょっと白雲、アレに何したの?」

 

何が起こったのか分からず、頭が爆発してる狼男を意味も無く一蹴りして、白雲に話しかける。

コーランは「何か」が倒れたことを確認すると、紫色の花が切れ目から出てきた辺りから、さっきから動かないミサの様子を見ることにした。

 

「あれは毒だよ」

 

「毒?」

 

白雲がさっき「何か」に捕食させたのは、毒の花だった。

かなり昔、元・魔王と散歩しに行った時に咲いていた花を切れ目から持ってきたのだ。

殴ったり、凍らせたりと物理的な攻撃や、「何か」の外側に攻撃がいくものは効果が無いと考えた白雲は、相手が体内に入ったものを捕食することに目を付け、毒を身体中に回す作戦を考えたのだ。

結果としては成功、毒が身体中に回り「何か」は溶けて消滅したのだ。

 

「なるほど、そういうことだったのね」

 

「さっぱり分からん」

 

「まぁ貴方の頭だと、永遠に分からないでしょうね」

 

「ほぉ? お前とはやっぱり決着を付ける必要があるようだな」

 

「決着を付けるまでもないわよ、私の圧勝だから」

 

さっきまで弱音を吐いていたとは思えないほど、元気な二人は互いに睨みあっていた。

 

「はぁ……」

 

「ねぇ白雲」

 

またか……と白雲はため息を付いてると、コーランに呼ばれた。

さすがに少しばかり疲れたので「二人を止めろ」と言われても、反対しようと心に決めてコーランの方へと振り向く。

 

「何?」

 

「さっき毒の花って言ったよね、その毒がどれくらい強いか知らないけど、さっきからミサが動かないよ」

 

「え?」

 

ミサを見ると、さっきまで震えていた体は止まっており、青い顔で泡を吐いていた。

確かに体は止まったが、それと同時に心臓も止まっているように見える。

 

「あっ……」

 

その呟きと共に、白雲の声が響く。

なんとかミサはコーランの手によって復活したものの、次からは気を付けようと心に固く決めた白雲であった。

 

死にかけました、助けてよぉ。 byミサ




本編中では毒で倒してましたが、切れ目に押し込めば封印することは出来ました。
切れ目の中に入ると「何か」と戦闘が起こりますけど。
それと本編中に出てきた花は一話に登場してます。


【ミサ&手下ーズvs「何か」】

ミサ──白雲のせいで死にかけたが、生きてたので問題なし

白雲──MVPにして、仲間を殺しかけた人

狼男──喧嘩して止められた

雪女──喧嘩して止められた

コーラン──ミサを復活させた

「何か」──消滅


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

私に似た貴方だよ、助けてくれないかな。 by空良

拝啓 読者様

空良の戦闘シーンが思い付かなかったので、空良が使える魔法とか纏めてたら投稿遅れました。
ごめんなさい。


「ここは……魔王くん達と初めて合った場所かな」

 

空良は切れ目のせいで空中に放り出させたが、一回転して着地した。

周りを見ると、木が生い茂っていて湖がある場所にいた。

最初に会った時は攻撃しちゃったな~と思い出に浸りながらも、ここに飛ばされた時からずっと自分のことを見ている視線に目を向ける。

 

「……そこにいるのは分かってるよ」

 

空良の言葉と共に出てきたのは空良より頭一つ分程度背が大きい人物であった。

その人物には顔が無く、クレヨンで塗ったかのように体が全身真っ黒であった。

今までとは会った人物とは何処か違う、何か異様な人物に警戒をしながら白雲から貰った刀を構える。

 

「…………」

 

その人物は無言で空良に向かって直進していった。

そこまで速い、と言うわけではない攻撃だが油断せずに、その人物が射程距離に入った瞬間に、刀を振って峰打ちをしようとした。

 

「…………」

 

だがその人物はヨガのように体の間接を無視し、体を折り畳むようにかわして、その人物の右手が空良の肩に触れた。

とは言え、そう簡単に攻撃をかわされるほど空良は弱くない、肩に触れた瞬間に右腕に一撃を入れた。

そのままその人物から距離を取るため、後ろに跳ぶ。

骨のバキバキと言う音が聞こえないことと、突然肩に触れられたことに気味が悪いと思いながらも警戒は解かない。

 

「えっ!?」

 

一瞬、ほんの一瞬だけ後ろに跳んだ際にその人物から視線を剃らしただけなのに、その人物が消えて自分の知っている別人が立っていた。

その別人を「知ってる」と表現するのは少しばかり違うだろう、何故ならソイツは……

 

「私?」

 

自分自身だったからだ。

その事実に驚愕し、思わず自分の姿を確認する。

 

「安心しなよ~アタシの姿が変わっただけで、貴方は何も変わってないよ~」

 

すると偽物が……さっきの人物が話しかけてきた。

喋り方が違うが、外見が瓜二つの人物を見て鏡でも見てるんじゃないかと錯覚する。

 

「およ、そんなに珍しいかね~もうアタシみたいな瓜二つの人間に会ってるはずなんだけどね~」

 

「あの二人……!」

 

「どうやら心辺りがあるようで~説明が省けるから助かるよ~……さってと、その二人を知ってるアタシがここに居るってことは~何が言いたいか、分かるよね~」

 

その言葉と共に偽物は刀を構える。

それを見て空良も同じく刀を構え、地面を跳ねるようにして蹴り、偽物に斬りかかった。

 

「うおっと! 危ないね~」

 

しかしスレスレのところで体を逸らされた。

空良はかわされた刀を一度手放し、逆手に持ち変えて偽物に振りかざした。

 

「そっれも~効かないよ~」

 

その攻撃もかわされ、偽物が後ろに跳んだので空良もそれに追い付くように、地面が足が着くか着かないかぐらいを飛行魔法で飛び、偽物へと斬りかかろうとする。

 

「さっすが~でもアタシはそれじゃあ倒せないね~『コール』」

 

『だあッ!』

 

偽物は『コール』と呼ばれる人と連絡する魔法を使い、空良の頭に直接大きな声が響くようにした。

 

「それっ……は! 私の魔法!?」

 

その声で怯んでしまい飛行魔法を解くが、地面に片足を着いた瞬間に地面を蹴って弾丸のように偽物へと接近する。

 

「まだまだ行くよ~『ファイア』『ウインド』」

 

偽物は火と風を空良に……否、森に向かって出した。

火は風で消えることはなく、それどころか炎を纏った竜巻として森を燃やしながらも空良の行動を妨害した。

 

「逃がさないよ!」

 

森が燃えている中、刀を使って邪魔な竜巻を跳ね返した。しかしその間に燃えてる森の中に逃げられてしまった。

刀を腰に差して、白雲から貰った剣を取り出す。偽物を逃がすまいと木々の間を飛んで追うが、木々を燃やされて出た黒煙で見失ってしまう。

 

「何処に行ったの……?」

 

『貴方の魔法って面白いね~空を飛べたり、連絡出来たり……龍になれたり!』

 

空良の頭に直接偽物の声が響く。

『コール』で頭に直接話しかけてるのは分かるが、姿が見えずに辺りを見渡すが、黒煙で数メートル先すら見えない中探すことは出来ない。

だが偽物が最後に言った「龍」と言う言葉が気になり、まさかとは思いながらもまだ確認してなかった上を見た。

 

『おっそいよ~はいエンド~』

 

そこにそれ(・・)は居た。

白と紺の二種類の鱗を持ち、口からは白く大きな牙を生やし、透き通るような翼が生えている伝説上の生き物、龍である。

この龍になれる魔法は空良も使える……正確には空良が勇者として過ごしていた世界の魔法である。

新・魔王に対して使うとただの大きな的になるだけなので、まだこの世界に来て使っていなかった空良の魔法である。

 

「しまっ───」

 

何故使えるのだろう、そんなことは考えていなかった。

その龍はあぎと()に空色の光りを溜めていたからだ。そこから発射される物はなんなのか、空良は良く知っている。

 

『レーザー発射~!』

 

その言葉と共に森を全て更地にするかのように、龍から空色のレーザーが発射された。

 

勝てるか怪しいね、助けてくれないかな。 by空良




『コール』
テレパシー的な魔法。
「こいつ直接脳内に…!」ごっこが出来る。

『龍化』
体を変形させて龍になれる。
今まで出てこなかったのは、格上相手に使うと的になるため(本当は私が忘れてたため)


【偽物】
その人物には名前も姿も存在しない。
一応、全身真っ黒の姿がデフォルトではある。
触れた相手に変身出来る能力を持っており、その相手の魔法や技や使えるようになり、記憶も読み取れる。
そのため相手が次にどのような攻撃をしてくるかも、ある程度分かる。
しかし弱点があり、威力はあくまで偽物の実力次第である。
また、武器も真似ることが出来るが備わっている効果を真似ることは出来ない。所詮は偽物。
さらに刀や剣などの身に付けてる物も変身すると付いてくるが、バッグの中に入ってる道具などは変身には含まれない。
だが相手がどのように攻撃してくるか分かるため、格上でも一応通じる。
裏設定として、偽狼男と偽雪女は本編に出てきた奴の部下。

《ややこしいので纏める》
・名前は無い
・触れた相手に変身出来る
・技や魔法を真似でき、記憶も見れる
・相手の行動パターンも分かる
・しかし攻撃の威力は偽物本人の実力
・武器の効果(エンチャント)は真似出来ない
・外見だけで分からない物は使えない
(バッグに入ってる道具など)

……こいつもしかしてポケモンのメタモンかな?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

仙くんには手を出させないよ、助けてくれないかな。 by空良

拝啓 読者様

100話目に魔王様を出したかったので、空良の話数を短くして誤魔化しました。
文字数的にはミサたちとあまり変わりませんけどね。
ミサ:4636文字
空良:4523文字


「おお~さすが異世界の勇者様だね~アタシ基準の威力とは言え、かなりの威力だよ~」

 

偽物が龍に変身して出したレーザーの威力はかなりものであった。

あくまで技の威力は偽物本人の実力によるため、空良よりは弱くはあるが、森の一部が更地と化しており、レーザーの衝撃で湖の水が空中に水しぶきとなって飛び、一時的な雨として森の火を消し始めた。

 

「くっ……うぅ」

 

その雨に撃たれながら、空良はゆっくりと起き上がった。

偽物にレーザーを撃たれる瞬間、最大速度の飛行魔法で少しでも距離をとろうと飛んだのだ。

そのためやられることは無かったが、あくまで途中までかわしてダメージを軽くしただけである。

 

「さすがにあれで倒せるとは思わなかったけど、かわさせるなんて思わなかったよ~アタシビックリした~」

 

龍の姿から空良の姿となって、ゆっくりと地上に降りてくる偽物。

 

「まぁこれから倒してアタシが貴方になるから関係ないけどね~」

 

「今、なんて言ったの?」

 

何を言っているのか分からず、聞き返す空良。

偽物はその質問にニヤァと「その質問を待ってた」と言うかのように笑顔になった。

 

「聞こえなかった? アタシが貴方になって、貴方の世界の人間を騙してあげるって言ったんだよ~」

 

「なっ!」

 

つまりそれは空良と入れ替わると言うことだ。

見た目は完全に瓜二つなため、入れ替わったとしても一目見ただけでは気付かないだろう。

 

「アタシはね、精神が壊れた……発狂した人間の表情が好きなんだよ~ずっと騙しに騙し続けて死ぬ間際にアタシが偽物だって言うの。

 

そしたらみんな精神が壊れた状態で死ぬんだよ、その表情が堪らなく良いんだよね~」

 

そのことを聞いて空良は剣を強く握る。

このまま偽物に負けたら駄目だ、そう自分に言い聞かせながらも冷静になるために落ち着こうとする。

 

「特に~貴方の幼馴染が壊れた表情なんてとっても面白そう~」

 

顔を赤くして息を何回も吐きながら、偽物は空良を挑発する。

しかし偽物は挑発したことを後悔することになる。

 

「仙くんに、手を出すなぁああ!」

 

「ぐふっ!」

 

胸にブラックホールのように穴を出して『オーバーホール』を使う空良に吹き飛ばされたからだ。

空良が先程まで居た所には残像が残り、偽物はそれにまったく気付かずに空良の接近を許したのだ。

 

「ならこっちも~……ッ!」

 

偽物は空良に対抗するべく、こっちも『オーバーホール』を使おうとしたが、発動する暇もなく再び吹き飛ばされた。

 

(落ち着け落ち着け~あくまで攻撃が見えてないだけであって、パターンは同じのはずだからね~)

 

偽物はそう考えながらも、三度目の攻撃を喰らった。

しかしそれはわざと喰らっただけであり、あくまで空良を観察するためだ。

 

(っ……ほんの一瞬だけアタシを見てるときがあるね~ならその時にかわせばいけるかな~例え残像があっても、攻撃の癖が見破られてたら意味が無いよね~)

 

偽物は今のままでは空良に負ける分かっていた、だからこそ癖を見つける必要があった。

そして見つけた、空良は偽物の場所を確認するためほんの一瞬だけ偽物を見るのだ、それから攻撃に入る。

ただ残像が残るので見られた瞬間に、どこから攻撃が来るか考えてかわすのは至難の技ではあるが。

 

「……ここッ! 『オーバーホール』」

 

四度目、空良が攻撃するために偽物を見た瞬間に後ろに跳んで『オーバーホール』を使った。

さすがに完全に見極めることは出来ず、左足から赤い液体が出るが、気にする暇はない。

 

「なんとかなったね~これで、貴方に少しは追い付けるかもね~」

 

五回目の攻撃、偽物には空良が真っ正面から剣を持って斬りかかってきてるのがはっきりと見えた。

だがある引っ掛かりを覚えた。

 

(ありゃりゃ~刀を持っていないね~)

 

空良が腰に差していた刀を持っていないことに気付き、チラッと周りを見るが何処にも刀が見当たらない。

 

(無いってことは、収納バッグって言うなんでも入るバッグにでも入れたのかな~)

 

偽物は空良が持っている『収納バッグ』と呼ばれる、どんな物でも入れられる場所に閉まった、もしくは隠してるのではないかと考えた。

恐らくここでかわしたと同時に取り出して、止めを刺してくるだろうと思った。

 

(でも甘いね~タネが分かればカウンターで楽勝だよ~)

 

相手がかわすのを予想してるのなら、かわさなければいい話である。

一撃目をかわしたら、次に二撃目が来る。

それはもしかしたら刀の攻撃ではない可能性がある。収納バッグに入ってる別の道具で攻撃してくるかもしれない。

ならあえて一撃目を受けて、二撃目が来る前に至近距離で胸を貫いて一撃で葬ればいいのだ。

肉を切らせて骨を断つ、確実に一撃目を喰らうのでその攻撃で倒れたら負けの賭けである。

 

(はい来た~!)

 

そして空良は刀を偽物の左足から右肩にあがるように、斬りつけてきた。

それを偽物は読んでいた、読んでいてかわさなかった。

痛みで倒れないように舌を噛み、衝撃に備えた。

 

「そうくると読んでたよ!」

 

しかし空良は一枚上手だった。

偽物がかわさないと読んでいて、あえてそのまま攻撃したのだ。

空良の持っていた刀は突如として、形を変えて白雲から貰った剣とは別の物へと変化した。

 

「そ~れは、反則だよ~」

 

刀と剣は同じ斬るものではあるが、大きさは異なる。

刀では重症にならなかったであろう攻撃も、大きさが異なり刀より太い剣の攻撃では深い傷になってしまう。

どうにかしてかわそうとするが、先程の受けた左足の傷が思ったより深く、そのことに気を取られてると斜めに深く斬られてしまった。

 

「がはぁ! はぁ……その異世界の刀、元は剣だったけなぁ~それって形を変えられたんだったね、その攻撃は予想外だったよ~」

 

空良は偽物を斬ったこの世界に来たときからずっと持っている剣……刀だったものを横に振り、赤い液体を飛ばす。

そして収納バッグに閉まった白雲の剣を取り出して、腰に付ける。

 

「それよりも、どうして私の魔法が使えたの?」

 

「悪いけど~それを言う前にアタシが死ぬからその質問は答えられないね、それじゃあね~」

 

その言葉と共に偽物は体の力が抜けて地面に倒れこんだ。

偽物とは言え、自分自身を斬ったことに対して気分が悪くなりながらも、空良は前を進んで歩いて行く。

 

自分を倒すのは気分が歩くなるよ、助けてくれないかな。 by空良




『収納バッグ』
四次元ポケット

『空良の持ってる刀』
本来なら「剣」のはずだが、「刀」にしてしまった武器。
やべぇやべぇと焦って、変形出来ることにした。
……ほんと、書いてると分かるよ?だんだんと刀だか剣だかゴチャゴチャになって分からなくなるから。
これ書いてる時も分からなくなって、何回も書き直したから。


【空良vs偽物】
空良──気分が悪くなりながらも、気持ちを切り替えて新・魔王との戦いに備える。

偽物──空良の怒りを買ってやられた。一応生きてるが、虫の息なので勝手に死ぬ。

雷鳴──本編中では書かれてないが、迷子になってたら空良と合流。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

時間を稼ぎます、助けてください。

拝啓 読者様

今回でまおたすが100話です。
ここまで、長かった……! まだ続くので喜ぶのは終わってからになりますけど。


「……行ったか」

 

俺は雷鳴が走っていく音を聞き、なるべく早く仲間を呼んでくれることを祈りながら新・魔王を睨む。

新・魔王は雷鳴をチラッと見たが、すぐに俺の方に目を向けた。

 

「…………」

 

今俺がやることはコイツを倒すことではない、時間を稼ぐことだ。

もしかしたら、チャンスかも、と考えずに仲間が来るまでゆっくりと粘ることだけを考える。

だが粘って、全員が集合したとしても勝てるのか?それに勝ったとしても、空良と一緒に新・魔王を倒したあとのように、何事も無かったかのように復活するかもしれない。

ならどうすれば……

 

「……ッ!」

 

俺が悩んでる間に新・魔王が拳を振るってきた。

とは言え今までも考え中に攻撃されてきたことがあったので、さすがに学習して警戒はしていた。

拳に当たる瞬間にしゃがんで、新・魔王の腹に拳を放った。

 

「ナカナカヤルガァ……」

 

しかし体が完全に馴染んできてるのか、前より強くなっている新・魔王にはそれほど効果は無かった。

脚を一歩を後ろに下げて耐え、殴ってきた拳の前に切れ目を出してきた。

 

「オレニハキカネェ」

 

その切れ目に拳が入っていき、俺の頭上に出てきた。

拳を開いて手のひらが見えるようにしてきたと思ったら、眩しい光りを放ち始めた。

 

「……まずいッ!」

 

俺は新・魔王の横っ腹を蹴り、その勢いを使って横に跳んで攻撃から逃げようとした。

だが新・魔王は俺の行動を先読みしていた。

 

「ヤッパリナァ」

 

次の瞬間、俺は後ろから謎の攻撃を受けた。

急いで後ろを振り向くと新・魔王が殴ってきたのとは別の、もうひとつの手が切れ目から出ていた。

さっきのはこれか……ダメージを受けたのは辛いな、あとどれぐらいで増援が来るか分からないのに。

 

「『輝光』」

 

仕方がないが、ここは一度逃げてアイツらと合流した方が良いかもしれないな。

俺は小さな光の弾を握り、眩しい光を放った。

 

「グァ!」

 

新・魔王は光を直視したのか、視界が回復してないようで目を痛めている。

さてと、新・魔王が見えるギリギリのところまで逃げるか。

 

 

 

 

 

「……ここでいいか」

 

新・魔王と無駄に戦っても、みんなが集まる前に倒されたら駄目だ。今はなるべく力を使わないようにして、こっちに注意を向けておくか。

何も焦る必要は無い、俺一人だと倒せないのは分かってるんだ、それに商人との「あれ」はどうなるか分からないからな……

 

「……新・魔王はまだ動いてないな」

 

ならここでジッとするか。

そう決めたとき、何処かから「グサリ」と何かを貫くような音が聞こえた。

 

「……え?」

 

最初はその音が何処から出たのか、何の音かも分からなかった。

何事かと思って周りを見ようとしたが、思うように体が動かない。それどころか、なんだか体が地面に吸い寄せられるように倒れ始めた。

 

「……は?」

 

さすがにおかしいと思い、新・魔王が俺の何かしたのかと思って、体を確認してみる。

すると俺の後ろから腕が生えていた。

赤い液体がべっとりと付いているため、誰のかは分からないが俺の右胸から生えていた。

 

「……ガッ、ゴフッ! な、にが?」

 

俺は訳も分からず、顔が横向きの状態で倒れたせいで、視界が半分隠れる。

何が起こったのか知ろうと思い、痛みで熱い体をなんとか動かして後ろを見る。

そこにいたのは……

 

「……ま、おう?」

 

『輝光』で目を痛めていたはずの新・魔王であった。

その事実を確認することに力を使い果たしてしまった俺は、なんとか保てていた意識が落ちて目の前が真っ暗になった。

 

死にかけです、助けてください。




【次回予告風のもの】
頑張って話の内容を巻いた結果、新・魔王と戦って一話で瀕死の重症を負うことになった魔王様。

これはヤベェ……みんな急いで、このままだと魔王が!
トマトジュース飲みまくったから気分が悪いとか、自然三銃士とか考えてる暇は無いんだよ、ほら急げよ!

次回
【集う仲間達です、助けてください。】

ここが最後の(雷鳴の)おふざけポイントになると思います。
ギャグやらないと落ち着かない症候群なので許してください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

集う仲間達です、助けてください。 by雷鳴

拝啓 読者様

今回の話、いらなくね……?


「待って、空良待って……ストップ!」

 

「え? どうしたの」

 

こんにちは、雷鳴こと「地獄でトマトジュース飲みすぎたマン」だ。

森で迷ってた俺だが、歩いてたら空良と会ったので一緒に魔王のところへ向かってる。

なのだが……俺を米俵みたいに担ぐのは止めてくれない?「おんぶとかは恥ずかしいから、恥ずかしい担ぎ方で頼む」って言ったのは俺だよ、あぁ俺だよ!

けどこれは違う。それに、この担ぎ方だとなぁ……

 

「さっき飲んだトマトジュースが口から出そう、うっぷ……」

 

「あああ!」

 

空良が動くごとに肩に担がれてる俺にも振動が来て、気分が悪くなるんだよ。

すまねぇ、本当にすまねぇ。

もどして汚さないようにするから、少しだけ休憩させてくれ。

 

 

 

 

 

「大丈夫?」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

休憩したからさっきよりは気分がよくなってきたぜ……この状態で腹パンされたら、血のように口からバッシャーだけどな。

 

「なぁ空良、本当に魔王と合流するのか? アイツなら一人で倒せてそうだが」

 

今までだってなんやかんやで勝ってたら、どうせ主人公補正やらご都合主義とかのあれで倒してそうだけど。

それに空良だってその腰にある二本の剣で倒せるだろ?なんか刀が消えてるけど。

 

「さっき雷鳴くん自身が言ってたけど、魔王が何人も居るんでしょ? 一人だけなら時間を稼ぐ程度は出来ると思うけど、不意討ちされたり複数で攻撃されたら魔王くんは死んじゃうよ」

 

そうえばそうだったな。

だからこうやって喋ってる間も、俺の後ろからグサァってされる可能性があるのか。

あら嫌だ、急いでここを離れたくなりましたわ。

 

「はぁ、海楽が居れば安心なんだけどなぁ」

 

アイツが居れば不意討ちされても、勝手に守ってくれるからこの状態だと超有能だ。

空良も強いのは分かってるが、複数で同時に攻撃されたら空良一人で戦うのはキツいだろう、つまり俺は死ぬ。

 

「……もしかしてあれって、魔王くん?」

 

それに海楽が居れば「自然三銃士」って遊びが出来る。

異世界の勇者「空良」

すべての攻撃を受けきる「海楽」

ギャグ補正の「雷鳴」

 

「雷鳴くん、魔王くんが胸に穴を開けられてピンチだよ!」

 

なんかあれだな、「空」「海」ときてるから俺だけなんかショボく感じる、今から名前を「山田太郎」に変えたら強くなれるかな?

 

「……ん、何?」

 

自然三銃士のことを考えてたら、空良が呼んでることに気付かなかった。

ミサの件で俺は理解したんだ、無視されることが悲しいことに。

次呼ばれたらすぐ返事するようにしないと。

 

「だから、魔王くんがピンチなんだって!」

 

へー、逃げよ。

そんなのは知らぬ、聞こえぬ、見えもせぬ。

俺程度が行っても何も変わらないさ、だってもう一人の魔王を倒すためには、空良と魔王が居ればいいんだろ?

つまりは戦力的に俺が居る必要はない、俺は寝るぞ!

 

「…………あ」

 

そうだ、そうだよ。魔王が死んだら駄目じゃんか。

詰みからの全員死亡のバットエンド一直線じゃねーか!

 

「魔王おおおぉお!」

 

それだけは避けないと、死ぬのは嫌だ!

俺は死にかけで、止めを刺されそうな魔王の元へ全速力で走り始めた。

なんか空良が驚いてるけど知らない、それより魔王を助けるのが先だ、仲間は助けないとな!

魔王の周りにはもう一人の魔王が一人だけだ、つまり抱えて逃げれば此方の勝利だ!

 

「雷鳴くん待って! ハッ!」

 

俺が走っていくのを見て空良は、一呼吸置いて『オーバーホール』を出して、残像が残るほどのスピードで俺を追い抜かして魔王の元へ向かう。

早くね?それなら俺を置いて一人で言った方が速かっただろ。

 

「間に合わない……!」

 

だがそんなスピードでも間に合わないほど魔王への距離は遠い。

そして何も出来ずに魔王に止めの一撃が───

 

「痛みだああぁぁああ!」

 

入るかと思ったが、海楽がそこに飛び込んできた。

止めの一撃は海楽に当たり、地面にゴロゴロと転がった。

いやお前が助けるんかーい。

 

海楽に見せ場を奪われました、助けてください。




「自然三銃士」をやりたくて書きました。
本来なら敵側のキャラに「山」って付くのを入れようと思ってましたけど、忘れてました。


それと雷鳴が「刀が消えてる」と言ってますが、それは空良が「剣」に形を変えてるからです。
そのため形が変わっただけで、種類とかは何も変わってません。
え、何が言いたいのかって?
要約すると「形が変わってるけど、 同じ物だよ」ってことです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

立ち向かう者達です、助けて! by海楽

拝啓 読者様

やっぱり海楽と雷鳴を書いてると、シリアスな筈なのに気が抜けます。
え、私はどう思ってるかって?書いてて滅茶楽しいですよ、少しとは言えギャグ系が書けるので。


「あぁ~気持ちいい!」

 

海楽が新・魔王の攻撃を受けて、陸に上がった魚のように体を動かす。

 

「ジャマヲスルナァ」

 

新・魔王は一度海楽を見たが、興味が失せると今度こそ魔王を仕留めようと腕を挙げる。

だが忘れてはないない。ここに来ているのは海楽だけではないことを。

 

「させない!」

 

振り下ろした腕は空良が腕と元・魔王の間に入って、白雲から貰った剣を両手で持って受け止める。

そうして元・魔王が一時的にとは言え助かったように見えたのもつかの間……

 

「くっ、うぅ」

 

空良の足元の地面が少しばかり凹む。

前に戦ったときよりも強くなっている新・魔王、その攻撃に耐えきれず、新・魔王の腕に元・魔王ごと押し潰れされそうになっているのだ。

 

「魔王おおぉ!」

 

そこに走ってくる一人の人物が居た、雷鳴である。

雷鳴は新・魔王の元へ一直線に走っていく。

新・魔王は警戒すべき相手が来たことにより、少しばかり視線をずらして雷鳴を見る。

もちろん空良に止められてる腕は退けずに、まるで「攻撃してきた瞬間に潰すぞ」と人質にしているように。

 

「おおお!?」

 

だがそんな考えは裏切られ、雷鳴は新・魔王の横を通りすぎて何処かへ走り去っていった。

 

「アァ?」

 

明後日の方向へ「止まれねぇええ!」と叫びながら走っていく雷鳴に気を取られ、呆気に取られた新・魔王。

その隙を空良は見逃さない。

 

「はぁ!」

 

力が弱まった瞬間に剣を無理矢理押し上げ、振り下ろされた腕を跳ね返す。

しかしその勢いでボディががら空きになってしまった。

 

「痛みぃ!」

 

新・魔王が空良のがら空きになったボディに攻撃する前に、海楽が飛び込んで代わりに攻撃を受ける。

空良に攻撃が当たることは無かったが、勢いは殺すことができず、空良を巻き込んで後ろに吹っ飛ばされる。

 

「サッサトオワラセルトシヨウゥ」

 

今一度止めを刺すために拳を振るう。

雷鳴は何処か行った、空良と海楽は吹っ飛ばされて間に合う距離ではない。

今現在、元・魔王を守れる者はここには居ない。

 

「魔王様あぁあ!」

 

そう、ここには(・・・・)

新・魔王の前に現れた切れ目から、元・魔王を助けるべく白雲が飛び出してきた。

白雲は拳が当たる寸前に、元・魔王を引っ張り直撃を避けた。

拳の風圧で吹き飛ばされたが、生きているし怪我もしていない。

 

「合わせなさいゴリラ!」

 

「お前が合わせろや氷マン!」

 

白雲が飛ばされた直後に、切れ目から出てきた狼男と雪女が攻撃をする。

狼男は新・魔王を直接殴り、雪女は鋭い氷を新・魔王の首や目に当てた。

 

「ザコガァ」

 

しかしそんな攻撃は無意味である、蚊に刺された……否、それ以下としか思ってないだろう。

二人は既に分かっていた、自分の攻撃なんか効かないことに。それは当の昔に知っていることだ。

それなら自分達に出来ることはなんだ、ダメージを与えられないなら、他に任せればいい。ほんの一瞬だけ気を逸らすことが出来ればいい。

 

「はぁああぁ!」

 

新・魔王の後ろから切れ目が現れ、ミサが空中に放り出された。

ミサの能力は強い、それこそ元・魔王や空良に大ダメージを与えられるほどに。

だがその能力でも新・魔王を倒すことは不可能に等しい。それでもダメージを与える程度のことは可能だ。

 

(もう一度、勇気を振り絞る! みんながやっているように、恐怖に打ち勝つ!)

 

刹那、全員の視界が爆発でいっぱいになった。

狼男と雪女は急いで白雲の元へ跳ぶ、例え間に合わずに多少喰らったとしても、別の場所に待機してるコーランによって回復してもらえるため、ダメージを受けたとしても戦闘に参加することは可能だ。

 

「ぐうぅ……」

 

爆発が起こり、海楽が盾になってくれて空良達と、跳んできた狼男と雪女を守った。

とは言え爆発からは守れても、爆風を全て受けることは難しい。

海楽の後ろで吹き飛ばされないように、全員なんとか踏みとどまる。

 

「……どうなったんだ?」

 

爆発が収まり、狼男が言葉を溢す。

みんなが辺りを見るとそこには、ミサを中心に広い更地が広がっていた。

ミサの能力を初めて、そして改めて見た者は「まともに喰らっていたら……」と考え、ぞっとする。

一人だけ直に喰らって、顔を赤くしてる人物が居るが。

 

「ほら、さっさと回復するよ」

 

その光景をぼんやりと眺めていると、切れ目から出てきたコーランがみんなの元へ駆け寄る。

それを見て少しばかり気を緩めながら、ミサを切れ目を使って自分達の近くに飛ばした。

 

「ナカナカダナァ」

 

そんな余裕がないことは分かっているのに。

まだ倒れてないのは分かってはいた、自分の想像を越えるほどの自分だと言うのは、それでも今の威力を見て「もしかしたら」と淡い期待を抱いていなかったと言えば、嘘になる。

 

「ぶべらば!」

 

そんな空良達の元に何処かに走っていった雷鳴が飛んでくる。

雷鳴の顔は誰かに殴られたように凹んでおり、前が見えてるからすらも分からなかった。

 

「痛い、痛い……なんて痛いんだ。ってか、人の顔を凹ますってどういう教育受けてんだ!」

 

何事もなかったかのように、顔が戻って誰かに怒っている辺り、平気そうに見えるが。

 

「シラナイナァ」

 

雷鳴の行動になんだか気が抜けそうになったとき、さらなる恐怖が舞い込んでくる。

先ほど元・魔王の『輝光』で目がやられていた、新・魔王が空良達の元にやって来たのだ。

新・魔王が複数居ることを知っていた者も、知らなかった者も全員気を引き締めた。

 

最大級のピンチです、助けてください。 by白雲




【伏線集】
・新・魔王が持ってる海楽の指輪
・元・魔王と商人の話
・『マジン』
・地獄に居た新・魔王の行方
他に何かあったとしても忘れました。

あ、そうそう。忘れない内に言っておくと、新・魔王は四体居ます。
《新・魔王A》
空良と元・魔王に倒された
《新・魔王B》
地獄に居たけど行方不明
《新・魔王C》
目がぁあああになった奴
《新・魔王D》
元・魔王を後ろからグサリってした奴


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

交渉です、お助けください。 by商人

拝啓 読者様

長いねぇ……
あと何話で終わるとは言いません、言ったところで絶対に伸びるので。


「……ん」

 

ここは、いったいどこだ?

俺は目を開けると何も無い真っ白な空間で横になって居た。

前に元・魔王と会った空間に居るのだろうか……この空間と同じなのか違いが分からないな。

まぁそれは置いておこう。

確か俺は新・魔王から離れて、その後また別の新・魔王に攻撃されて……どうなったんだ?

死んだのか、でも死んだら転生すると思うんだけどな。

実際に俺は魔王になってたわけだし。

 

「お目覚めになりましたか?」

 

「……お前か」

 

後ろから声がしたので振り向くと、そこには商人がいた。

この空間はお前が造ったのか、俺の精神世界に入り込んできたのか知らないが、今話したいのはそれじゃないな。

 

「……俺はどうなった」

 

「貴方様は胸を貫かれて瀕死の重症です。ですが、なんとか生きています」

 

やっぱり、そうなのか。

分かってはいた。それでもアイツには勝てなかった。そのうえ新・魔王はもう一人居た。

そうなると新・魔王は複数居るのか。どうやって増えたのかは知らないけど、アイツを倒すことには変わらないな。

 

「……商人」

 

「はい、なんでしょうか」

 

このあと俺がどうなるかなんて、分かるのは商人だけだろう。なんの代償も無しに力を得られるのか、何か取り返しのつかないことになるのか。

なんにせよこの選択で「何か」が変わるのは確かだ。

 

「……あのとき俺が言ったことを覚えているか?」

 

「はい、覚えていますよ」

 

俺は商人と再開したときあることを頼んだのだ。

「俺を世界最強にしてくれ」そう言った。

ただ彼処で叶えてもらったとしても、どうなるかは分からないから条件を付けてもらった。

 

「……頼む、力をくれ」

 

俺が瀕死の重症、または動けない状況になったときに願いを叶えてくれと、少しズルいがそう頼んだのだ。

 

「承知いたしました、お客様」

 

商人は俺の頭にソッと触れて、ゆっくりと後ろに下がる。

しかし何も起こらず、騙されたのでないかと思った瞬間、体の底から押さえきれない(・・・・・・・)ほどの力が沸き上がってきた。

 

「……ガアアアァア!」

 

「あひゃひゃひゃひゃひゃ! 願いは叶えましたよぉ! お客様ぁ!」

 

商人のイラつくような笑い声すら聞こえないほど苦しくなり、俺は力に耐えきれずに地面に蹲った。

だが内側から溢れてくる力を押さえることが出来ずに、意識が遠退き始めてきた。

 

【……お前】

 

強い力が溢れてきて喋れるようになったのか、元・魔王の声がするがそれを気にすることが出来るほどの余裕は既に無い。

 

「……悪いな」

 

その謝罪は誰にだろうか、俺自身にも分からなかったが自然と出た言葉だった。

その言葉を最後に意識が無くなった。

 

 

 

 

 

「あひゃひゃひゃひゃひゃ! 願いは叶えましたよぉ! お客様ぁ!」

 

新・魔王といざ戦おうとしたとき、全員がその声のした方向を振り向く。

さっきまで居なかった人物を見て警戒をするが、それ以上にその人物を見ていると心の底から何か、不快な感覚が混み上がってきた。

 

「商人!?」

 

「なんでお前がここに? もしかしても俺に痛みをくれるのか!」

 

二人ほどその人物……商人を知っているが、みんなの耳には入ってはいない。

なんとも不気味な存在を前に、どう動けばいいか分からず、全神経を尖らせているからだ。

 

「…………」

 

その沈黙を破るかのように、動く人物が居る。

元・魔王である、傷は完全に塞がってないはずなのに、瀕死の重症であったことが嘘のように、起き上がった。

 

「…………」

 

しかし何か不自然だ。

さっきから何も喋らないし、身体中から一瞬で潰されるようなプレッシャーを放っており、何より胸に空いた傷が塞がっているのだ。

 

「…………」

 

俺を、助けてください。




【次回】
~『魔王』編です、助けてください。~

キリが良かったので、新しいのに入ります。
……今月中に完結するかなぁ?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~『魔王』編です、助けてください。~
暴走してます、助けてください。


拝啓 読者様

投稿が遅くなったので、文字数を多くして誤魔化しました。
3000文字近くあれば許されるよね……?


「ナンダァ」

 

新・魔王は目の前の光景に疑問を浮かべる。

どうやって不愉快に感じる人物(商人)は自分に気付かれずに元・魔王に近付いたのか、元・魔王が何故無傷で復活しているのか。

考えればキリが無かった。

だがやることは変わらない、ただ目の前の人物を全員捻り潰すことだ。

 

「…………」

 

新・魔王が動こうとしたとき、ビデオカメラのように元・魔王がぶれた。

瞬間、周りのモノ全てを吹き飛ばすような突風が起こり、地面が風で削れる。

近くに居た空良達は、反射的に目を閉じる程の風に襲われ、吹き飛ばないように堪える。

唯一無事なのは少しばかり離れていた新・魔王二人と、その光景を楽しむように見ている商人だけだ。

 

「ガァ!」

 

新・魔王の視界から隣に居たもう一人の自分が消えた。

まるでそこには誰も居なかったかのように、何も無かったかのように。

何が起こったのか分からなかった。状況を確認しようと、隣を見る。

 

「…………」

 

元・魔王が拳を放った姿勢で停止しており、重力に従いゆっくりと地面へと降りた。

「まさかコイツが殴ったのか……?」と考えるがあり得ない、雑魚が出来るわけがない。目の前の光景に対して言い訳をするが、それで何かが変わるわけではない。

 

「ザコガァ」

 

消えた自分の謎は置いておき、新・魔王は元・魔王を殴ろうと空を飛ばずに、地面に着地しようとしてる所を狙った。

 

「…………」

 

防御もしなかったし、見向きすら無かった。

殴った部分が少し凹んだ程度で、蚊に刺されたとすら思って無いだろう。

今まで圧倒的な力で戦ってきた新・魔王は、その行動に対して怒りが湧いた。

何発も、何発も……普段の元・魔王ならとっくに死んでるであろう程の拳を放ったが、何も変わらなかった。

 

「『吸収』」

 

今の力で勝てないのなら自身を強化すれば良い。

吹き飛んだ新・魔王が跳んできて自分自身を吸収し、今までより数倍強くなった。

もう暴走する前の状態の元・魔王や、空良が手も足も出ないほどの力を手にいれた。

 

「ガハァ!」

 

さっきまでなら全員を殺す、とまではいかないが雷鳴と海楽以外の人物を軽く殺せていただろう。

それでも、それでも今の元・魔王にその拳が届くことは無かった。

その力は天と地ほどの差が開いており、例え元・魔王を吸収しようとしても、体が力に耐えきれずに自爆することになるだろう。

 

「…………」

 

元・魔王は新・魔王の頭を掴み地面に叩きつけた。

頭からミシミシと骨が砕けるような音が聞こえ、地面に叩きつけた衝撃で周りに石が飛び散る。

 

「アァ…………」

 

新・魔王は焦点が合っていない元・魔王の顔を最期に見て、意識を失った。

 

 

 

 

 

「……強くね? てか俺らいらなくね?」

 

全員、その光景をただただぼんやりと眺めていた。

何が起こったのかは分からないが、いつの間にか新・魔王が倒されていた。

雷鳴の……全員の心境を表すとしたら「分からない」これが一番しっくりくるだろう。

 

「なんだよ、そんなご都合主義パワーアップがあるなら最初から使えよ~」

 

「あの速さから放たれる攻撃……今までとは尋常にならないほどの痛みを感じる!」

 

「何があったの?」

 

雷鳴は「倒せるなら速く倒してほしかった」と言いながらも、ようやく戦いが終わったことに安堵し、海楽は「攻撃を喰らいたい」といつも通りであり、強風や石が飛び散っただけで終わってたように見えたミサは訳がわからなかった。

 

「…………」

 

空良は元・魔王をジッと観察する。

新・魔王をたった数発で倒すほどのパワー、『オーバーホール』を使っても追い付けないほどのスピード、先ほどから何も喋らない不気味さ。

 

「魔王くんに何をしたの?」

 

元・魔王がこうなった原因であろう商人に質問をする。

戦いを見ながら「アヒャヒャヒャヒャ」と笑っていた商人が空良の質問に答える。

 

「彼が力を欲しいと言ったから、願いを叶えただけですよぉ!」

 

「願い?」

 

空良は商人の言った「願い」について考える。

今の話が本当なら元・魔王は自ら望んで今のような力を付けたと考えられる。

しかし元・魔王の様子と商人の不気味さからそれは違うとすぐに否定をする。

 

「あ、そうだ商人。お前俺の願いはどうなったんだよ! 魔王が地獄で苦しんでるのが見たいって言ったら、俺も地獄に送られたぞ! 責任者呼べ責任者!」

 

「それで地獄に送るのもどうかと思うぞ」

 

 

「雷鳴と海楽は何をやってたの……?」

 

雷鳴が空良と商人に会話を聞いて、自分の願いがちゃんと叶えられていないことを思い出して商人に怒る。

海楽とミサは呆れながら雷鳴はジッと睨む。

お前も地獄に来ただろ、と海楽に睨み返した。

 

「ッ!」

 

その三人の会話を聞いて空良は分かった。

雷鳴の思った願いと商人が叶えた願い。

そこに違いはあるが、商人はちゃんと叶えてはいた。

情報が少ないので商人が勘違いした可能性もあるが、おそらくは「叶えた相手を苦しませる」のが商人の狙いだろうと結論付けた。

 

「あ、魔王がこっち向いた」

 

ミサの呟きと共に全員が元・魔王を見る。

しかし空良はまだ商人に聞きたいことがあり、一度逸らした視線を商人に戻す。

 

「居ない?」

 

だがそこに居た筈の商人は居なくなっていた。

まるで最初からそこに居なかったように。

まだ近くに居るだろうか、居るなら捕まえて話を聞こう。

空良は商人のことを考えていて、元・魔王に対してあまり意識を向けて居なかった。

 

「魔王、俺に痛みをくれ!」

 

「そのご都合主義を早く使えやコノヤロー!」

 

海楽と雷鳴の二人が新・魔王を倒したことを……否、それとは全然関係ないが、元・魔王の元へ走っていく。

もしも空良が、それ以外の人物が元・魔王に対して「警戒」をしていたらこれから起こる出来事を回避出来ていたのだろうか。

IFの世界を考えるとキリが無く、とても意味のない行為であることは分かってはいる。

それでも望みたくなるような光景を目にしてしまう。

 

「え?」

 

全員の視界から海楽が消える。

まるで人が消えるマジックのように消えてしまい、一同は動揺する。

しかし誰が消したのかは見れば簡単に分かる、分かってしまう。

 

「ま、おう……様?」

 

否定したかった、気のせいだと思いたかった、幻覚が見えているのだと信じたかった。

そんな妄想が意図も容易く砕かれることになるのは分かっているが、それでも目の前の光景が信じられず、現実から逃げたくなった。

 

「…………」

 

元・魔王が海楽が居た場所に近づいて拳を放った姿勢で停止していたのだ。

そして次に殴るのは、一番近くにいる雷鳴である。

 

「ハッ!」

 

空良はこれから起こることが分かってしまい、それを阻止しようと『オーバーホール』を使い元・魔王へ接近する。

 

「なぁ魔王、海楽は殴れと言ったが加減ってものをだな……」

 

状況が飲み込めず、なんとなく海楽が殴り飛ばされたのだと考え、元・魔王に対して少しばかり説教をする。

 

「…………」

 

その速さに付いてこれる者は誰も居なかった。

テレポート的なことが出来る白雲も、異世界の勇者である空良も、元・魔王がどんな動きをしたか見えなかった。

 

「……ゲホッ!」

 

気が付いたときには雷鳴の腹に元・魔王の拳が入っていた。

雷鳴は何が起こったのか分からず、逆流してくる赤い液体を口から吐き出した。

 

魔王に殴られました、助けてください。 by雷鳴




今回で新・魔王が二人死にました。
残りの一体は何処かに居ます……どこにいるんだろ。


【元・魔王(暴走状態)】
商人に願いを叶えてもらった元・魔王の姿。
「力が欲しい」と願った結果、コントロール出来ないほど膨大な力を与えられた。
【マジン】とはまた違ったものである。
チート級な力を持っているが、その力に体が耐えきれてないのでほっとけば勝手に死ぬ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

圧倒的な差だよ、助けてくれないかな。 by空良

拝啓 読者様

ポケモンやるので今週はもう投稿しないと思います。
それと課題が、課題が……!
(冗談抜きで課題にほとんど手を付けてないのでヤバイです)


「ガフッ、ゲホッ!」

 

「雷鳴くん!」

 

空良は元・魔王を「殺す」勢いで跳び、白雲から貰った剣を元・魔王の右腕に振るう。

本気で「殺す」とは考えていないが、それほどの勢いで攻撃しないと今の魔王には効かないだろうし、そもそも攻撃が通るすらも分からないのだ。

 

「…………」

 

しかしその攻撃は右腕に食い込むこと無く、まるで壁にぶつかったかのように固く、それ以上動かせなかった。

元・魔王は虫を払うように右腕を横に振るう。

たったそれだけで右腕が当たった衝撃で剣が折れ、空良は風圧だけで飛ばされた。

 

「くっ!」

 

先ほどは遠くにいたため耐えられたが、至近距離からの「風圧」だけで飛ばされたのだ。これが直撃したらどうなるか……そう考えるだけでも冷や汗が止まらない。

立て直そうと地面に着地してもう一度斬りかかろうとしたとき、目の前に元・魔王が拳を握って迫っていた。

 

(速い!?)

 

その速さに追い付けたのは『オーバーホール』を使って、自身が残像が残るほどのスピードを得ていて、今まで戦ってきた感覚だろう。

折れてしまった白雲から貰ったのは剣とは別の、最初から持っていた形を変えた剣で攻撃を受け流した。

 

「うぅ」

 

完全には受け流せず、両腕が折れそうなほどの衝撃が身体中を走るが、なんとか堪える。

その衝撃に堪えるのに必死で、受け流して地面にいった衝撃で石が、そして拳から放たれた風圧で受け身もとれずに吹き飛ばされた。

 

「空良!」

 

ミサの声が辺りに響く。

吹き飛ばされながら、一瞬だけミサ達の方を確認すると雷鳴とコーランが消えていた。

恐らくは白雲が安全な場所へ雷鳴を移動させ、コーランに回復してもらってるのだろう。

空良はそのことに安堵し、今度こそ仕留めよう拳を握る元・魔王の攻撃をもう一度受け流そうと剣を構える。

とは言えもう一度受け流せるとは空良は考えていない。

さっきのは偶然出来ただけで、両腕が万全でないうえ空中で踏ん張ることは難しい。

今から白雲の切れ目で移動してもらおうとしても、元・魔王が拳を放つ方が速いだろう。

あと一手、元・魔王の攻撃をかわすか、誰かがもの凄いスピードで空良助ける。

空良が助かる方法はそれだけしかないが、それを自力で出来る人物はここには存在しない。

 

(ごめんね……)

 

それは誰に対しての謝罪だろうか。

自身に止めを指してしまう元・魔王に対してか、自分を救うことが出来なかった白雲にか、別の世界に残してきた幼馴染みの仙にだろうか……もしかしたら今挙げた全員に対してかもしれない。

空良は最期の最後の悪足掻きとして、元・魔王を迎え撃とうと剣を構える。

 

「気持ちいいナァー!」

 

その決意は変態によって妨害されたが。

先ほど何処かに消えた海楽が世界を一周してきて、空良の背中にぶつかり、元・魔王の攻撃を避けたのだ。

そして一手間に合い、白雲は切れ目を開いて二人を移動させ、それから元・魔王以外の全員を切れ目の中に飛ばした。

 

「…………」

 

残った元・魔王は動くモノが居なくなったが、自身の周りを殴り始めた。

まるで目に入る全てのモノを破壊しようとしてるかのように。

 

 

 

 

 

「お、みんな来た」

 

切れ目から飛んできた場所には雷鳴とコーランが居た。

何処にも傷は無く、何事も無かったかのようにしてるところを見ると回復したのだろう。

空良は辺りを確認すると『オーバーホール』を解き、力を使い果たしたかのように、地面に座った。

 

「雷鳴大丈夫か?」

 

「大丈夫だと思うわよ、貴方はおかしいけど」

 

「は?」

 

「え?」

 

「はいストップ」

 

すぐに喧嘩しようとする二人を白雲は止め、雷鳴の様子を今一度確認する。

もしかしたら無理をしているのかもしれない、内蔵をやられているのかもしれない。

あの攻撃が直撃して生きていることに驚きなのだ、心配なるのも無理はない。

実はもう一人(海楽)喰らっている人物が居るが、本人が「気持ちいい、ハァハァ……」と言ってるので大丈夫だろう。

 

「雷鳴、本当に大丈夫?」

 

ミサは心配して雷鳴の体をペタペタと触る。

雷鳴は狼狽えながらも、問題ない。そう言いコーランに視線を映す。

何か隠しているのだろうか、心配になってコーランに話を聞く。

 

「コーラン、雷鳴は問題ない?」

 

「トマトジュースは口から吐いただけだから問題ないよ」

 

それを聞いた全員が思考と停止させた。

なんだって、トマトジュースを口から出しただけ?

怒りを通り越して全員呆れてため息をついた。

 

「私が必死で止めようとしてたのに……」

 

「悪い悪い、腹パンされた衝撃でな」

 

空良は死ぬ気で元・魔王から助けようとした雷鳴が反省してないことにまた怒りがこみ上げ、拳をギュッと握り下を向く。

空良の周りの気温が数度下がり、雷鳴以外はこれから何が起こるか想像してソッと離れる。

海楽だけは残ろうとしたが、他の奴等に無理矢理連れていかれる。

 

「ハッハッハッ……あの、空良。空良さん? なんか寒くありません、てか怖いんですけど」

 

やっと雷鳴も気付いたようで、じりじりと詰め寄ってくる空良から離れようとする。

 

「いやー空良さん。ちょっとしたお茶目じゃないですか、許してくださいよー」

 

雷鳴は一歩後ろに下がるが、空良は二歩前に出てくる。

土下座して許してもらおうともしたが、下を向いたままの空良が怖くてなかなか動けない。

 

「歯食いしばってね」

 

あと一歩のところで空良は止まり、顔を挙げてイイ笑顔で雷鳴を見る。

雷鳴の右側には右手が開かれた状態で置いてあり、これから起こることが簡単に想像できるだろう。

直後、イイ音と共に雷鳴の頬に紅葉のような形が残った。

 

俺もあれ喰らいたい、助けて! by海楽




後半はふざけた、後悔はしてない、楽しかった!(小並感)
白雲から貰った剣が折れたのでもう使えません。直せば使えるかもしれませんが……ここに直せる人物は居ないので意味ないです。


ちょっと愚痴になるますけどこの作品について言いたいことあります(反転してます)

私としては「募集したキャラ全員主人公!」って感じで書きたいけど、今回みたいに一人だけ異様に目立ってしまうことがよくあります。
特定の人物だけ目立つと「コイツいらなくね?」ってなってしまうからなぁ。
だから各キャラが居ないと「勝てない!」って書きたいけど、本当に難しい……慣れるしかないのかなぁ?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

「願い」を破る作戦です、お助けください。 by商人

拝啓 読者様

今週は投稿しないと言ったな……あれは嘘だ。
ダクマを『れんげきのかた』にしました、ミミッキュとかに強いと聞いたので。


「……で、これからどうするんだ? 家に帰るのか?」

 

「家なら吹き飛ばされた時に壊れたぞ」

 

赤く腫れた頬を右手で擦りながら雷鳴はこれからのことを聞いていた……本人の中では逃げる一択しか考えていいないのだが。

本人以外にとっては「元・魔王をどうするか」についてのことだと勘違いした。

だがその勘違いも、海楽の言葉を聞いて落ち込んでいる雷鳴が気付くことはない。

 

「魔王様を元に戻す方法はないのかな?」

 

「元の状態に……あっ、空良の『身代わり石』? って言うのは使えない?」

 

「あれは変化させる対象が無いと出来ないから……」

 

白雲、ミサ、空良の三人はどうにかして元・魔王を意識を取り戻すことが出来ないか話し始める。

他のメンバーは話しをせずに、喧嘩している二人(雪女と狼男)止めようとしたり(コーラン)、吹き飛んだ時に家を壊したと話したら絶望した人物(雷鳴)慰めたり(海楽)……相変わらず結束性のない奴等であった。

 

「なら白雲の切れ目で指輪を持ってくるのは?」

 

「新・魔王が着けてる指輪を持ってこようと思ったけど……切れ目が使えないんだよ」

 

「使えない? 魔王くんの力が強すぎて空間が歪んでるの?」

 

「分からない。魔王様の近くには出せるけど……この状態だと、切れ目に入ったときに何処に出るかは分からないよ」

 

三人は頭を捻って方法を考える。

白雲の切れ目が使えない理由は不明であり、あまりそれに頼っても新・魔王に対して使えない理由が分からないため、いざと言う時に何かあったら困る。

それにもしも元・魔王のパワーが空間を歪ませているなら、切れ目を使った際に何が起こるか分からない。

まったく知らない世界に飛ばされるかもしれないし、出口のない空間をさ迷うことになるかもしれない。

そんなリスクの高い方法を使う気は起きなかった。

 

「なら直接取りに行くの?」

 

「それしかない、のか。前に実験で使ったのは何処かに行ったから」

 

「だけどその場合だと誰かが犠牲になるよ?」

 

このままでは元・魔王は体が耐えられずに死に、助けようとしたら他の誰かが死ぬ。

結局のところは誰かが犠牲になってしまう、三人はそれを避けたかった。

 

「何話しているんだ? 魔王の攻撃がどれくらい気持ちいいかの話か?」

 

「誰もそんなの話さねぇよ」

 

三人が考えていると、復活した雷鳴と海楽が話し合いに参加してきた。

他の三人はまだ喧嘩してたり、それを止めようとしてたりしてるようで、まだ話には参加出来そうにない。

 

「どうやって魔王を戻そうか考えてた」

 

「え、戻すの? 俺は逃げたい」

 

「雷鳴……悪いが俺は助ける方を選ぶぞ、そうすればもっと殴ってもらえそうだからな」

 

雷鳴は兎も角、海楽は後半の言葉が無ければかっこよく見えていただろうに。

こんな状況でもさっきまでは真面目だったのに、急に平常運転に戻った二人に苦笑いしながらも、先程まで話していたことを伝える。

 

「ふむふむ……~詰んでね?」

 

「確かにな」

 

『身代わり石』を使おうとしても変化させる物が無い、切れ目も使えない、戦うと全滅。

この絶望的な状況で元・魔王を救う方法があるとは思えない。

雷鳴は「早く帰りたいな~ってかもう帰れるだろ」と少しずつ関係ないことを考え始めた。

 

「…………あっ!」

 

もう作戦が思い浮かばず、完全に詰んでしまったかに思われたが、空良が何かを閃いたようで、頭の上にビックリマークが浮かんだ。

 

「白雲くん、切れ目で「入ると」危ないだけで、「出るとき」は大丈夫なの?」

 

「え? はい、あくまで呼び出すだけだから」

 

「なら一つだけ作戦があるよ!」

 

ミサと白雲はその作戦に耳を傾け、上手くいくだろうと考えて賛成する。

他のみんなに教えようとしたが、聞く気がないので白雲が力ずくで黙らせ、早速作戦を開始することにした。

 

ちゃんと話を聞いてくれない、助けてよぉ。  byミサ




今回の話はご都合主義が酷かったので、修正したり展開を見直したりしてました。
ほんとに、ほんとに今回は書けなくて焦った……この後の展開全て無に変えそうか悩んでました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

俺の出番がない、助けてくれ。 by狼男

拝啓 読者様

今回の話はややこしいので、後書きに纏めました。
本編が分かりづらい場合は後書きを見れば簡単です……多分。


「じゃあ、いくよ」

 

ミサは元・魔王が居る場所から数キロ離れた場所で、突っ立っていた。

周りには誰も居なく、誰かに言うわけでもないのに自然と言葉が出た。

 

「『能力発動』」

 

その言葉と共にミサの視界には爆発が広がった。

まるで地面を整えるように、一瞬にして更地になるほどの爆発がミサを中心にして起こり、爆発が届く範囲全てを無に返すほどであった。

 

「…………」

 

「帰りたい」

 

「はぁ、はぁ……!」

 

その射程距離内ギリギリに三人はいた。

一人(空良)は胸に黒い穴を開けた状況で、目を瞑ったまま剣を構えている。

一人(雷鳴)は片手にビックリマークを握りながら「帰りたい」と呟く。

一人(海楽)はこれから来るであろう爆発の痛みに期待をして、頬を赤く染めている。

バラバラな考えや行動をしている者達であったが、これから三人に起こることは全て同じことである。

 

「「来たっ!」」

 

瞬間、爆発から発生した爆風が彼らを吹き飛ばそうとする。

彼らはそれに身を任せるまままっすぐ吹き飛ぶ。

吹き飛んでいるその彼らの視界にある人物が写り始めた、元・魔王である。

 

「…………」

 

元・魔王は飛んできた彼らに気づくと、視線を向けて地面を蹴り、ロケットのような勢いで彼らに迫った。

本来なら絶対絶命な状況ではあるが、これは既に彼らにとっては作品の一部に過ぎない。

 

「痛みが、来たァー!」

 

元・魔王が右手を握り、空良に対して拳を振るおうとしたとき、海楽が二人の間に割り込んできた。

拳を振るう瞬間に空良は『フライ』を使い、爆風で身を任せて飛んでいた状況から、自由に飛べるようになった。

空良は攻撃をかわせたが、海楽は攻撃に当たり流れ星のように何処かへ吹き飛んでしまった。

 

「…………」

 

しかし元・魔王にはまだ左手が残っている。

元・魔王がもう一度攻撃しようとしたとき、何かがぶつかった。

 

「魔王死ねやクソがあぁああ!」

 

雷鳴である。

元・魔王にぶつかった雷鳴は少しでも自身に注目を集めようと、空良が閃いた時に出したビックリマークをもぎ取ってバットのように何回も振り下ろした。

だが・魔王にダメージは無く、虫を払うように雷鳴を殴り、地面にピクトさん型の穴が一つ出来た。

 

「こっちだよ魔王くん!」

 

残った空良は地面に背を向けるような形で空中で静止し、元・魔王を呼ぶ。

自身が呼ばれたことに気が付いたのか、残りの獲物を仕留めるためかは分からないが、空良に向かって直進していった。

 

「『ウインド』」

 

『フライ』を解除して重力に従って落ちながら、片手から空に向かって風を出してさらに落ちるスピードを上げ、そして元・魔王のスピードを遅らせた。

 

「……やっぱり、真っ直ぐにしか来ないね」

 

空良はボソッと元・魔王の行動を呟く。

今まで元・魔王は直線でしか攻撃してこなかった。

わざわざ後ろに回り込んで殴ったり、魔法を使ったりすることはなかった。

それは本能の赴くままに力を振るってるからであり、魔法を使ったり相手の隙を付くと言った頭を使う行動は、理性が残ってないためしなかったのだ。

例えいくら強力な攻撃でも、何処から来るか分かれば対処のしようがある。

それに、今回はあくまで元・魔王を倒すのは目標ではない、閉じ込めるのが作戦である。

 

「今だよ!」

 

「『空間ワープ』」

 

元・魔王と空良の間に切れ目が出現した。

その切れ目に吸い込まれるように元・魔王は勢いよく入っていき、そこには何もなかったかのように切れ目が閉じていった。

 

 

 

 

 

「はぁ~~」

 

空良は作戦が成功して息を吐く。

この作戦自体を考えたのは空良だが、一つでも間違っていれば失敗して全滅してたことを考えると、息の一つも付きたくなるものだ。

 

(なんとか魔王くんを「閉じ込める」ことが出来て安心したよ……)

 

元々、空良は最初から元・魔王を倒そうと思っていなかった。

仲間を倒すなんてことは後味が悪い上、そもそも勝負にならないほど力の差があるのだ。

「倒す」なんてことを考える時点で無理なのだ。

ならば倒さずに封印すれば良いのだと考えた。

 

「あとはこっちでやるので、空良は休んで」

 

とは言っても、封印する道具なんて物は持ち合わせていない。

しかし似たようなことは出来る、その方法に必要なのは白雲の切れ目だ。

切れ目は真っ黒な別空間に繋がれており、その中に様々なモノを入れているのだ。

元・魔王を切れ目の中に入れて、その間に『身代わり石』で指輪を作って、それで元に戻す。それが空良の考えた作戦である。

 

「みんな集合!」

 

後は新・魔王が付けている指輪を取って、『身代わり石』を使うだけである。

疲れてるであろう空良には休んでもらい、地面に埋まってる雷鳴を引っ張り、何処かを飛んでる海楽は後で回収するとして、残りのメンバーを切れ目を使って集合させ、死んでいる新・魔王を探すことにした。

探すことにしたのだが……

 

「アイツどこ?」

 

何処にも居ないのだ。

元・魔王が暴れたり、風圧で吹き飛んだりしたのかと思ったが、遠くを見ても倒れてる人形なんてものは見当たらないのだ。

後はそこら辺に転がってるから回収して、ハッピーエンドと考えてたが、雷鳴は嫌な予感がし始める。

 

「ミサちゃん!」

 

遠くで休んでいた空良が声を上げる。

その声と共に何かを貫くような音が近くにいた全員に聞こえた。

 

「ヒサシブリダナァ」

 

全員が聞き覚えのある声であった。

それは既に死んだ人間の声であり、普通ならありえない話であった。

しかしその人物は海楽が持っていた指輪を嵌めており、それが目の前の事実を認識させるかのように、キラリと光っていた。

 

「ヨクモ『オレ』ヲコロシタナァ」

 

「新・魔王!?」

 

それを言ったのは誰であろうか。

誰かが無意識に言ったのか、怒りを込めて発言したのか気になる人物は居ない。

それよりも目の前の悪魔に対する警戒が強く、とてもそんなことを考える暇がないからである。

 

悪夢がまだ終わらないわ、助けてくれないかしら。 by雪女




新・魔王が後一人残ってました。
ついでに言うと死んだ自分自身も吸収してるので、かなり強くなってます。
…………これ、どうやって勝つの?


【今回なにしたか】
魔王戻すためには指輪が必要
だけど切れ目で持ってこれない……よし、直接取りに行こう!
そのためには魔王が邪魔だな~……あ、切れ目の中に入れて閉じ込めよう。
そして新しく指輪を作って元に戻す、これで終わりだ!
ってあれ、まだ終わらないのかよ。
しかも新・魔王が残ってた、これ詰んでね?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

私達だと勝てないの、助けてちょうだい。 byコーラン

拝啓 読者様

最近ジバコイルにロックオンと電磁砲つければ強くね?と思ってます。
後は鉄壁とボディプレスで持ち物は風船かなぁ……試してないから強さは分かりませんけど。


「…………」

 

自分が上を向いてるのか、下を向いているのか。

方向感覚が失われるような、真っ黒な空間……切れ目の中に元・魔王は居た。

無重力空間のように、フヨフヨと浮きながら何もない空間に向かって拳を振るう。

 

「…………」

 

しかし何も起こらず、元・魔王と同じように浮いているモノが空間を飛び回る。

何発も殴るが、ただただモノがそこらじゅうを飛び回るだけで、何も変わらない。

 

「…………」

 

すると何処からか明るい光を感じた。

だが元・魔王は見る気が無く、光を気にせずまた殴り始める。

このまま切れ目の中を漂い、その体が力に耐えきれずに死ぬまで空間をさ迷うのだろうか……そんなとき、元・魔王の視界には光が入ってくる場所が見えた。

 

「…………ァ」

 

そこからは新・魔王と、新・魔王に止めを刺されそうな白雲が見えた。

すぐにその切れ目は閉じてしまったが、その光景はしっかりと元・魔王の頭に入っていた。

それを見た元・魔王は意識が戻ったのか、無意識なのか、何も言わなかった口から声が漏れた。

 

「…………」

 

目の前の「光り」が出てた場所を殴ろうと、元・魔王は拳を握る。

先程とは違い、ただ力任せに殴るのではなく意識的に指一本一本に力を入れ、自身が居る「空間」そのものすらも破壊するかのように、拳を振るった。

 

【…………ゥ】

 

するとガラスのように空間にヒビが入り、パリーンと言う音と共に元・魔王は切れ目の外へと飛び出した。

 

 

 

 

 

「う、あぁ……」

 

「ザコガァ」

 

元・魔王が切れ目から出てくる少し前、外では新・魔王によってほぼ壊滅状態となっていた。

海楽は新・魔王に投げ飛ばされて何処かに飛んでいき、雷鳴は地面に埋まっており、空良も殆ど力を使い果たして膝を着けて呼吸を整えている。

 

「がはっ、ごふっ!」

 

新・魔王に貫かれたミサはコーランの魔法でなんとか回復し、呼吸を整え始める。

回復してる途中で新・魔王に攻撃されそうになったが、狼男と雪女が身を呈して庇った。

ミサほどではないが、二人も重症のため回復しなければ死んでしまうだろう。

 

「く、くうか……」

 

「オセェ!」

 

そして白雲は新・魔王に首を捕まれていた。

なんとか逃れようと、切れ目が不安定な中『空間ワープ』を使おうとするが、切れ目が現れた瞬間に新・魔王に地面に叩きつけられ、切れ目が閉じてしまった。

そして新・魔王は止めを差そうと腕を上げた。

 

「し、らく……くん」

 

疲労困憊空良はなんとか白雲を助けようと剣で自身を支えて立とうとするが、バランスを崩して倒れてしまう。

なにも出来ず、ただただ悔しさで胸がいっぱいになったとき、突如ガラスの割れるような音が辺りに響いた。

 

「グゥ!」

 

空中にブラックホールのような穴が出来たかと思うと、そこから何かが飛び出してきて、その拍子に出来た突風が起こり白雲は吹き飛ばされる。

 

「……し………らく」

 

穴から元・魔王であった。

少しずつ意識が保てるようになってきており、吹き飛ばした白雲の元へゆっくりと一歩、一歩と近付いていった。

その隙を新・魔王は見逃さなかった。

 

「『吸収』」

 

新・魔王はゆっくりと歩く元・魔王に接近し、右手で力を吸収した。

前回のように体が耐えきれなくならないよう、吸いとった瞬間に魔法で左手から触れたモノ全てを切り裂くほどの威力を持つ風を出した。

しかし元・魔王に左手首を掴まれて上に向けられた。

風は空へと消えていき、がら空きになった体に元・魔王の拳が入り、新・魔王は吹き飛んだ。

 

【…………し、らく】

 

「ま、おう……さま?」

 

新・魔王に力を吸収された影響で、力が弱まり意識が段々と覚醒し始めた元・魔王。

その足で白雲まで近付くと、白雲は意識が朦朧としてる中、近くに居るのが魔王だと気付いたようで声を出す。

 

「まお……さま………よか、た……」

 

元・魔王の意識が戻ったことにだろうか、それとも新・魔王を倒してくれるであろうと言う安心感だろうか。

白雲はそれだけ言うと口から赤い液体を出し、動かなくなった。

 

「……しら、く」(【……しらく】)

 

元・魔王は少しずつ覚醒し始める意識の中で、白雲との思い出が走馬灯のように駆け巡ってきた。

初めて転生したときに会ったときのこと、初めて仲間になったときのこと、初めて見捨てようと思いたくなかったこと、色々と迷惑をかけてしまったこと……頭が真っ白になって様々な思い出が頭に浮かんだ。

 

「ザコナンカドウデモイイダロォ」

 

「……雑魚?」(【雑魚だと?】)

 

新・魔王の一言で浮かんできた思い出が消え始め、元・魔王の体がピクッと動く。

 

「……白雲は仲間だ!」(【……白雲は仲間だ!】)

 

今の発言が癇に障り二人は同じ言葉を繰り返す。

新・魔王は一人しか居ない元・魔王の言葉が二重に、まるで元・魔王が二人居るかのように聞こえたが気のせいだと思い、全てを消し去ろうと右手に炎を溜め始める。

その威力は元・魔王は耐えきれるだろうが、他の倒れてる白雲や疲労困憊の空良は耐えきれず、そのまま消し炭になるだろう。

 

「ジャアナァ」

 

新・魔王の右手から炎が放たれる。

視界の全てを覆い尽くすほどの範囲と、触れたモノを全て炭にするであろう威力を持っているため、いくら元・魔王と新・魔王に二回も吸収された状態でこれを全て消すのは難しいだろう。

 

「…………」(【…………】)

 

元・魔王にとって、その炎はゆっくりと向かって来ているように感じた。

それは目の前のモノがスローに見えているだけでそんなことはないのだが、元・魔王には関係なかった。

大切な仲間を消そうとしてる新・魔王を倒したいと、手から血が出るほど強く拳を握り、下を向いていたからだ。

 

「……白雲は、みんなは」(【……白雲は、みんなは】)

 

「……雑魚なんかじゃねぇええぇぇ!!」(【……雑魚なんかじゃねぇええぇぇ!!】)

 

その叫びと共に全員は炎に包まれる。

熱い、焼けるなどと考える暇もないほど早く、炎は体全体を包んで自分の体を炭にしていく───

 

「ナァ!」

 

ことはなく、まるでドーム状の何かがあるかのように炎は元・魔王達に当たること無く、元・魔王を避けるように左右へと飛んでいく。

何が起こったのか、それを確認しようと原因であろう元・魔王を見る。そこには……

 

「……」(【……】)

 

何事もなかったかのように、先程とは違う姿で新・魔王に向かって左手を伸ばしている元・魔王が佇んでいた。

子供程度しかなかった身長は180cmほど成長しており、ショートカットだった銀髪は肩甲骨辺りまで伸び、髪と同じ色をしている目は見るモノ全てを恐怖で動けなくするほどの鋭さを持っていた。

 

これが【マジン】なのだろうか、助けろください。




……次回のタイトルコールどうしよ、新・魔王を覗けば一周したことになるし。


【マジン】
漢字で書くと『魔人』である、地味に雷鳴が「魔人ブ〇」と言ってるシーンが伏線になってた(絶対に分からない伏線)
後付け設定だが、【マジン】になるには一定の条件を満たしてないとなれない。

・魔物の魂と人間の魂と一つの体
・強大な力
・二人の感情と言葉がシンクロする

今までは片方しか意識がなかったり、片方が眠ってたりしてたので三つ目の条件を満たすことがなかった。
それとこの姿では魔法が使えず、さらに魔力の消費も激しいので早めに決着を着けないと魔力が尽きて元の姿に戻ってしまう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

マオウタイケツダァ、タスケナンカイラネェ。 by新・魔王

拝啓 読者様

前回言ったジバコイルを試してみましたが、思ったより使いづらかったです。
そもそも私のパーティに鬼火ドラパルトがいる時点で、電磁砲のマヒが機能しませんし。

《サブタイ(カタカナ多すぎて見辛いので)》
魔王同士の対決だ、助けなんかいらねぇ。 by新・魔王


「……これは」(【……これは】)

 

元・魔王は自身の姿が変化したことに気付くと、拳を何回か握りったり開いたりした。

先程とは咄嗟に拳を前に突きだした勢いで炎を左右に吹き飛ばしたが、魔法の威力がどのくらい上がっているのか試してないことに気が付いた。

モノは試しと新・魔王に向かって腕を伸ばしていつものように力を入れてみたが、思うように力が集まらず、魔法が出ることはなかった。

身体中から力が溢れ出るのは感じるが、魔法の類いは出ない……使えないと言った方が正しいだろうか。

魔法が使えない理由は分からないが、結局のところ新・魔王を倒すことは変わらない。

 

「……いくぞ」(【……いくぞ】)

 

元・魔王は白雲達が衝撃で吹き飛ばないように調節をしながら、新・魔王に向かって姿勢を低くしながら地面スレスレで跳んでいった。

 

「キエロォ」

 

新・魔王は姿が変わったことに驚きはしたが、すぐに正気に戻り両手からバチバチと電流が流れている球を四つ出し、元・魔王に向かって投げた。

 

「……あまいな」(【……あまいな】)

 

元・魔王は一球目を右手で優しく触り、時計回りに一回転して球を投げ返した。

二球目はそれに当たりそのまま相殺。

爆発の影響で視界を覆い尽くすほど黒い煙が起こったが、元・魔王は気にせずその煙へと突っ込んでいく。

 

「……面白い」(【……面白い】)

 

ちょうどそれが死角になるかのように煙から出たと同時に三球目が元・魔王へ迫る。

本来なら拳や脚で弾き飛ばしたり、今は使えないが魔法で突破を試みるだろう。

 

「……カァ!」(【……カァ!】)

 

だが元・魔王は違った。

目の前に三球目が迫っていることに気が付くと一瞬だけ目を瞑り、目を開いたと同時に口も開いて大きな声を出した。

すると三球目はガラス細工のように段々とヒビが入っていき、跳んでいる元・魔王に触れると風船のように割れてしまった。

そして四球目は左手の手刀で横に真っ二つにした。

 

「ナニィ!」

 

その勢いで新・魔王の頬を殴り後方へと殴り飛ばした。

元・魔王は殴った場所で一度着地すると、殴り飛ばした新・魔王に追い抜くほどのスピードでまた跳んでいった。

 

「ナンダトォ!」

 

森へと飛ばされた新・魔王は木々を何本も折りながらも、太い木の幹に顔を下げた状態で両足を付けて一度止まる。

そして顔を上げた瞬間、目の前に元・魔王の拳が迫っていることに気が付いた。

 

「『吸収』」

 

とは言え新・魔王は元・魔王がもの凄いスピードで迫っていることが殴り飛ばされているときに見えていた。

だからすぐに追い付いてくるだろうと分かっていた。なら逢えて元・魔王が来るのを待つことにした。

そして追い付いてきて攻撃が当たるギリギリで『吸収』を使って自身が扱えるくらいの力を吸いとろうと言う作戦を考えていた。

 

「……やっぱりな」(【……やっぱりな】)

 

そう来ると元・魔王は既に分かっていた。

前にも攻撃した時にされた『吸収』をまた同じように使ってくるだろうと。

厄介な技であり、一度喰らうと強さが逆転する可能性もあったからだ。

だから……二度と『吸収』が使えないようにすれば逆転される可能性はなくなる。

 

「ガァアアァァ!」

 

元・魔王は伸ばしてきた右腕を肩から手刀で斬った。

右肩からトマトのような色の液体が飛び散る。

新・魔王は手刀で攻撃された痛みから叫びをあげる。

しかしすぐに立て直して上に向かって飛ぶ。

元・魔王が飛んでくる可能性が高いが、森のように視界が狭まる場所よりは戦いやすいと判断したからだ。

 

「……面倒だな」(【……面倒だな】)

 

改めて言うが、今の元・魔王は魔法が使えない。

アホ毛を回せば飛べるだろうが、魔法と同じようにアホ毛を回すことが出来ない。

正確には回せるのだが、空を飛ぶほどの力が毛には無いのか、ただ頭の上をグルグルと回るだけである。

 

「……そうだ」(【……そうだ】)

 

元・魔王は空を飛んでいる新・魔王に攻撃する方法を思い付いた。

早速それを実行しようとするが、新・魔王が切れ目を使って元・魔王の背後に左足を出し、左の脇腹めがけて蹴りを入れてきた。

 

「……ちょうどいい」(【……ちょうどいい】)

 

その蹴りを左手を使って脛を掴んだ。

そのまま体を横に倒しながら左手に全体重を掛け、肘を勢いよく曲げて体を押し上げるように上へと跳んだ。

勢いのまま新・魔王を跳び越えて頭上を取った。

しかしこのままでは空中で身動きがとれない。

空気を蹴って浮くなんてことは出来ない。

今の元・魔王は空を飛ぶことが出来ないので、頭上を取ったところで重力に従って落ちるしかないだろう。

 

「……フンッ!」(【……フンッ!】)

 

だから元・魔王はその一択しかない選択肢を、落ちるしか出来ないことをあえて作戦として使った。

頭上を取ったと同時に体を空に向けて、拳を突きだした。

脚が地面に着いておらず、拳を放った反動で新・魔王に背中を見せる形で地面へと落ちる速度が加速した。

 

「オモシロイィ!」

 

攻撃を当てる、ではなくスピードを速くする方法として使うことの考え方にニヤリと笑う。

 

「……沈め」(【……沈め】)

 

空中で体を反転させて、逆さまになるような形で新・魔王に攻撃するため拳を握りしめる。

落ちるスピードが上がった状態と【マジン】となった姿から放たれる攻撃はいくら新・魔王と言えどかなりダメージを負うことになるだろう。

 

「アタラネェヨォ」

 

しかし思い出してほしい。

元・魔王は現在重力に身を任せる形で落ちている……つまりは身動きが取れないのだ。

この状態で横から押されたり、かわされたりしたらどうなるだろうか。

元・魔王なら先程落ちる速度を速めたように、空中に拳を放つ反動で横に動くことも出来るかもしれない。

 

「……グァア!」(【……グァア!】)

 

だが新・魔王は一つ上を行っていた。

かわすや、妨害する、ではなく利用することにした。

元・魔王が放った拳は新・魔王が出した切れ目に入り、自身のお腹にめり込むように入った。

 

「……グゥ」(【……グゥ】)

 

自身の攻撃を受け、痛みのあまり体の力が抜けて地面へと落ちていく。

落ちるときに新・魔王の顔が見え、それが遠くなっていることに気が付くと白雲達『仲間』を守るため再び戦おうと空中で抜けた力をもう一度入れ始める。

指先から徐々に力を入れ、完全に戻った頃に空中で一回転して地面に音も無く着地した。

 

一筋縄ではいかないな、助けてください。(一筋縄ではいかないな、助けろください。)




攻撃した反動で空中を動くとかなんだ……
イメージ的には無重力で拳銃「バーン」って撃ったら反動で後ろ行くよな?って感じにしたけど難しい。

それはそうと、そろそろ夏アニメが始まるので見逃さないようにしないと……!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

【マジン】と魔王です、お助けください。 by商人

拝啓 読者様

たくのみカビゴン強くね?と思ってます。
「たくわえる」で防御方面あげて、相手が状態異常でダメージ受けて倒れるのを待つ。
そしてダメージ受けたら「のみこむ」で回復をする……この作戦地味だな。


「…………」(【…………】)

 

もう一度元・魔王は飛んでいる新・魔王のところまでジャンプして攻撃しようと脚を曲げた。

また同じように攻撃を防がれるかもしれないが、空中にいる相手に攻撃する方法が相手に直接殴りに行くことしかないのだ。

魔法を使えたら……と悩むが、無いものをねだっても仕方がない。それに昔も体一つだけで戦っていた時期があったのだ。

昔と状況が同じになっただけ、ただそれだけなのだ。

 

「……あれは」(【……あれは】)

 

いざ脚を伸ばして新・魔王まで一直線で跳ぼうとしたとき、遠くから何かが飛んでくるのに気が付いた。

それは元・魔王のよく知っている人物であり、今更ながら居なかったことを思い出した。

 

「……使えるな」(【……使えるな】)

 

元・魔王は頬をあげ、飛んでいるモノをチラリと確認して新・魔王へと跳んだ。

新・魔王の真下から……垂直に跳んだので何処から攻撃してくるかは既にバレている。

 

「ワカッテンダヨォ!」

 

けれども元・魔王はあえて真下から攻撃した。

そんな見え見えの攻撃が当たることもなく、新・魔王にサッカーボールのように足元に跳んできた元・魔王を蹴る。

 

「……これを待ってた!」(【……これを待ってた!】)

 

その蹴ってきた脛を掴んで、元・魔王を蹴るために振った勢いで新・魔王の正面から背中を頭上を越えながや一回転し、新・魔王の背中を蹴って何処かへ飛んでいった。

 

「グァ!」

 

新・魔王は次の攻撃が来ると警戒して、重力に従って落ちる瞬間を狙おうと拳を握る。

だが後ろを振り返ったが、そこに元・魔王は居なかった。

 

「……海楽」(【……海楽】)

 

その元・魔王はが飛んでいった方向には、先程とは見えたモノ……否、人物と言った方がいいだろう。海楽が飛んでいるのが見えた。

正確には何かに飛ばされたのか、流されるままにまるでロケットのように飛んでいるのだが、元・魔王にとってはどうでも良かった。

 

「ああっ! きもちいいッ!」

 

飛んできた海楽を空中で踏み台として使い、弾丸のような目では捉えられないスピードで新・魔王の元へ跳んでいった。

海楽はそろそろ一周して戻れそうだったが、元・魔王に踏み台にされて30秒ほどで終わるであろう速さで短い世界一周をし始めた。

仲間を踏み台にしていいのかよ……と思うかもしれないが、海楽が蹴られた際に「気持ちいい」と言うドン引きするような言葉を言っているので恐らくは大丈夫だろう。

 

「……終わりだ」(【……終わりだ】)

 

「ナァ!?」

 

新・魔王は元・魔王の声が聞こえて急いで攻撃しようとするが、もう既に遅かった。

元・魔王の右ストレートが頬に入り、新・魔王は回転しながら吹き飛ばされ、地面を何回も大きく跳ねてバウンドした。

そして地面に擦れながら勢いが収まった。

元・魔王は止めを刺すため新・魔王の元へ跳んでいった。

 

 

 

 

 

「ガァ……アァ!」

 

「……じゃあな」(【……じゃあな】)

 

地面に倒れて動けない新・魔王を上から睨みつける元・魔王。

ちょうど空良達が居る場所に新・魔王が吹き飛んだようで、ボロボロな状態な空良達をチラリと見て「これで終わらせる」と言う気持ちを込めて脚をあげて新・魔王の頭を踏み、そのまま終わる……かに思われた。

 

「……ガッ!」(【……ガッ!】)

 

突如元・魔王があげて脚を下げて膝を着き、苦しみ始めたのだ。

息が切れ、酸素を少しでも多く取り入れようと肩で息をし、早く新・魔王を仕留めようとするが体に力が入らない。

そして身体中から白い煙を放ち始めたかと思うと、元・魔王は元の小さな体へと戻っていた。

 

「……もう、少しなのに!」

 

声も二重ではなく、一人分に戻っていた。

実は強大な力を手に入れられる【マジン】には大きな欠点があるのだ。

それは「『魔力』を大量に消費する」ことである。

普段とは比べ物にならない力を引き出しているのは魔力で、身体能力を何十倍にもパワーアップさせている。

魔法が使えなかったのも、魔力を身体能力強化に全て回しているため、魔法に使うほどの魔力が残っていなかったからである。

 

「……く、そっ!」

 

そんなことは知らない元・魔王。

いきなり【マジン】の状態で無くなったことと、あと少しと言う焦りで中々息が整わない。

その隙を見逃すほど新・魔王は甘くなかった。

 

「オシカッナァ」

 

ほとんど力は使いきり、今の新・魔王なら全快している元・魔王や空良でも軽く倒せるだろう。

しかし今、そんな力が残っている人物はここには居ない。

白雲は狼男や雪女を連れて何処かに安全な場所で回復させてるのか、ここに残っているのはミサと空良と埋まってる雷鳴のみ。

雷鳴は兎も角として、ミサは間に合うほどの距離に居なく、自然回復で立てるくらいまで回復している空良もフラフラの状態で助けられないだろう。

誰も元・魔王を救うことが出来ず、新・魔王の攻撃は───

 

ピンチ過ぎてマズイ、助けてください。 by雷鳴




味方を踏み台(物理)にする主人公。
正直扱いがなぁ……とは思います。

予定だとあと3話でこの作品は終わります。
(私の「あと〇話で終わります」の信用度は0%です、信じないようにしましょう)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最後の戦いだよ、助けてよぉ。 byミサ

拝啓 読者様

ほんと疲れた……
完結に進んでいくと、なんか終わらせたくないです。ちゃんと完結させますけどね。
だけどなんか、寂しくなるんですよ。
完結したら元・魔王と会うことも無くなるのかぁ……ってね。

おっと、この話はここまでにして本編どうぞ!


「まおぉおお!?」

 

新・魔王の攻撃は、偶然にも空から降ってきた海楽が新・魔王の脚にぶつかり、体勢を崩したため当たることはなかった。

邪魔をされた新・魔王は怒って海楽を蹴り飛ばし、海楽は地面に何回かバウンドしながら吹き飛び、ちょうど穴から出てきた雷鳴にぶつかり、止まった。

 

「ジャマガハイッタナァ」

 

「させ、ないッ!」

 

今度こそと言うかのように、腕を上げようとすると空良が新・魔王目掛けて翔んできた。

空良は歩くことができないくらいに消耗しているが、剣を地面に斜めに突き刺し、剣の柄を両手で掴み、剣を押し出すような形で翔んできたのだ。

 

「グゥ!」

 

勢いに任せるまま翔んできた空良の体当たりでまた体勢を崩し、今までのダメージもあって片膝を着く新・魔王。

 

「魔王くん!」

 

空良は動けない元・魔王に肩を貸し、急いでその場から離れようと一歩、また一歩とゆっくり歩き始める。

雷鳴達も助けようと元・魔王に向かって走り始める。

しかしそんな隙が出来るほど新・魔王は甘くない。

膝が着けた状態を利用し、脚を伸ばして勢いよく地面を蹴り飛ばし、元・魔王目掛けて拳を振り下ろした。

 

「痛み来たぁ!」

 

だが変態(海楽)が飛んできて、元・魔王にその攻撃は当たらなかった。

その間に何処かに隠れようと空良は元・魔王に言うが、その意見を否定するように首を横に振る。

 

「魔王くん……?」

 

「……ここで退いても意味はない、決着を着けるぞ」

 

「でも、どうやって!」

 

「……たった今、あることを思い付いた」

 

元・魔王は空良の肩から腕を放すと、倒れそうになるがなんとか踏みとどまる。

今にも崩れそうなほど膝は震え、呼吸も整っていないが、その目は諦めていなかった。

走ってきた雷鳴とミサと合流し、元・魔王を支えようとするが、「要らない」と首を振り、近付いてきたミサの耳元で作戦を簡単に話す。

 

「……新・魔王!」

 

「アァ?」

 

海楽を元・魔王へと投げ飛ばし、そちらを振り向く。

投げ飛ばされた海楽は地面を小さくバウンドし、足元に止まったが誰も気にしない。

 

「……お前、他の世界に逃げるなら今のうちだぞ?」

 

「え、魔王?」

 

今の状態だと勝てないであろう新・魔王を挑発し始めたことに困惑し、頭が可笑しくなったのかと心配して声をかける雷鳴。

元・魔王が挑発をしたのは別に頭が可笑しくわけではない、新・魔王に対して「絶対に」一撃を喰らわせられる作戦があるからである。

 

「……ミサ!」

 

その声と共にミサはみんなより数歩前に出る。

新・魔王は爆発が起こると思い、切れ目を出して一度この場から離れようとする。

しかしいつまで立っても爆発は起きず、何かあるのかと警戒をする新・魔王。

 

「私の全魔力を込めるよ! 『ウインド』」

 

だが警戒するには既に遅かった。

元・魔王が脚に力を入れて新・魔王目掛けて跳ぶと同時に、空良は少しだけ余っている魔力を全て使い風を起こし、元・魔王を加速させる。

横にずれていたミサと、地面に転がっている海楽はなんともなかったが、近くにいた雷鳴も空良が起こした風に巻き込まれ、元・魔王と一緒に新・魔王へと飛んでいった。

 

「マズイィ!」

 

新・魔王は焦った。

今の状態であのスピードから放たれる攻撃を喰らうと、自分は死んでしまうだろうと。

既に一歩も動けないほど疲労しており、かわすことは出来ない。

だからあの攻撃は止めるしかない、攻撃を喰らわずに元・魔王の隙を着いて確実に殺すしかないと考えた。

 

「コレガサイゴノマホウダァ!」

 

新・魔王は左手から、手の平サイズのバチバチと音がする球を一つ出し、元・魔王へと投げる。

今までよりも威力はないが、今の元・魔王の勢いを殺すには十分な威力だろう。

 

「痛みへ飛び込む!」

 

しかし元・魔王を抜かすほどのスピードで、雷鳴にぶつかりながら飛んできた海楽が代わりに喰らい、元・魔王には当たらなかった。

新・魔王まで、残りの距離はおよそ五メートル、誰もが決まったと思った、これで勝ったと思った。

 

「ヤッパリィ、ソウクルヨナァ!」

 

新・魔王は今までの事から、攻撃をすると海楽が飛んでくる分かっていた。

そしてそれは元・魔王も海楽が飛んでくると分かっていた、だから「新・魔王が隠し球を持ってても大丈夫だろう」と慢心してしまっていた。

新・魔王の今の攻撃が海楽を誘い出すためのモノで、海楽が居なくなって無防備になった元・魔王に確実に当てるように、もう一発分の魔力を残していたことを考えてなかった。

先程と同じようなモノではあるが、威力が数倍はあると思われる球が元・魔王と投げ出された。

 

「……しまっ──」

 

「あばばばばば!」

 

だがその攻撃は海楽がぶつかってきたことにより、元・魔王より前に飛んできた雷鳴が喰らった。

雷鳴は身体中に電気が流れるような感覚と共に、体の中の骨が見え、焦げ臭い臭いと焦げて真っ黒になった体で地面に倒れた。

 

「チィ、テッタイダァ!」

 

死ななければまた力を付けて元・魔王を殺す事は出来ると考え、切れ目を使って別世界へと逃げる新・魔王。

残り三メートルと言うところで新・魔王を逃がし、元・魔王の攻撃は不発に終わる──

 

「ナァ!」

 

──ことは無かった。

左手に付けている指輪が光ったかと思うと、先程までの場所に戻ってしまっていた。

別世界へ逃げたハズだが、なにかされたのだろうか。

新・魔王は困惑し、何をされたのか分からなかった。

その行動事態が元・魔王の作戦に嵌まっていることに、既に攻撃かわすことの出来ないほどの距離まで拳が近付いていることに気付かなかった。

 

「……終わりだ」

 

その言葉と共に新・魔王の頭は地面へと叩きつけられ、新・魔王の体は二度と動くことはなかった。

 

気持ちいい攻撃が終わった、助けて! by海楽




なんか疑われそうなので一応言っておきます。
新・魔王は倒したので、もう現れません。
これ以上居ません、全員倒しました。
新しいラスボスとか出てきません、jrとかも居ません。
敵は全員倒しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

またいつか会えたら、助けてくれないかな。 by空良

拝啓 読者様

2525動画にある携帯獣をモチーフとしたTRPGを一気に見てたら書くの忘れてました。


「…………」

 

長かった、とても長かった。

だが、とうとう……終わったんだな。

俺は新・魔王が動かないことに安堵すると地面に倒れたが、体を起こしてみんなの方を見る。

 

「終わったの?」

 

「つ、疲れた~」

 

「しび、痺れ……」

 

「痛みの気配が……消えた?」

 

約二名ほど変な事を呟いているが、ミサと空良も地面に座って一息着く。

これでやっと戦いが終わって、みんな帰れる……帰る、のか。

分かってはいた。ちゃんと頭では理解していたし、前の時も新・魔王を倒したら雷鳴は帰っていった。

これで全員、元の世界に帰って今までと同じように過ごすと言うことに。

 

「……帰るんだよな」

 

無意識に、なんだか寂しくなってその言葉を呟いていた。

その呟きは全員に聞こえていたようで、目を逸らして暗い顔をする。

 

「そうだな、ちゃんと帰れる。俺が証人だ」

 

「みんなとはさようならだね」

 

雷鳴が顔を下に向けて喋る。

顔が見えないので、どんな顔をしているかは見えないが、なんとなく分かってしまった。

ミサもそれを感じたのか、悲しい顔で全員を見た。

 

「あの最大級の痛みを喰らうことも無くなるのか」

 

相変わらずの平常運転だな。

いつも通りに見える海楽も言葉では、変わらないが顔はどこか虚無感が漂っていた。

 

「魔王くん、白雲くんにあっちに戻ってもこれを大切にするって言っといてくれないかな?」

 

空良はバッグから折れた剣と、赤い石と青い石を取り出して見せてきた。

白雲……いつの間にプレゼントを用意してたんだ。だけど剣が折れてるのはどうしてだろうか、そういうデザインなのだろうか。

 

「あっ空良ズルいぞ、俺らは何も貰ってないのに!」

 

「私は貰ったよ」

 

「俺も」

 

空良だけプレゼント(お土産)を貰っていることに劣等感を感じたのか、立ち上がって空良に指を指し、二人に声をかける。

だが二人は既に貰っていたようで、懐からミサは緑の石、海楽は黄色い石を取り出した。

俺も真っ黒な石を貰ったなと思い出して、同じく雷鳴に見えるように懐から取り出した。

 

「俺のは!?」

 

どうやら雷鳴だけ貰ってなかったらしく、四つん這いになって嘆き悲しみ始めた……が、雷鳴のズボンのポケットから何かが転がり落ちた。

 

「……おい、雷鳴」

 

それはガラスのように透明で綺麗な石だった。

その石を見つけ、何かを思い出したのか頭の上にビックリマークを出現させる。

 

「あ……そうえば寝る前に貰って、そのままポケットに入れてたんだった!」

 

コイツ殴っていいかな?

ギャーギャー騒いだ挙げ句、ポケットに入ってたなんてなぁ……やっぱり、この光景がいつの間にか「普通」に感じていたな。

最初はなんだこいつらとは思ったけど、なんやかんやで楽しかったからな。

 

「……そろそろ、か」

 

もう時間が来たようで、みんなの体が黄金に輝き始めた。

あと数分もしないうちに元の世界に帰れる、みんな帰ってしまうだろう。

 

「……忘れ物するなよ」

 

「そうだ、私の剣!」

 

「母親か!」と雷鳴が言いそうな台詞を吐くと、空良は剣を置きっぱなしにしていることを思い出した。

空良は取りに行こうとするが、疲労で上手く歩くことが出来ない。

 

「なら私が取ってくる」

 

ミサは立ちあがり、地面に刺さっている剣を持ってくると空良に渡した。

そんなやり取りをしていると、みんなの脚から少しずつ光に包まれ、消えて始めていった。

 

「…………魔王、最後に殴ってくれ!」

 

「やだ」

 

唐突にコイツは何を言ってるんだ、最後の最後でコイツはぶれないな。

それが海楽の良いところでもあり、変なところでもあるが。

 

「さすが海楽、最後まで変な奴だな!」

 

「雷鳴もね」

 

海楽の言葉に親指を立てて、良い笑顔で笑う雷鳴。

そこにミサの不意打ちが炸裂する。

 

「辛辣! そんな毒舌なキャラだっけ!?」

 

「ミサちゃんは最初からこうだったよ?」

 

「そんな見え見えな嘘を言われてもなぁ」

 

ミサってこんな事を言うやつだったか……?

それに空良も乗らなくていいだろ、雷鳴に嘘だってバレてるじゃねぇか。

 

「……ホントだぞ」

 

「魔王まで!」

 

そういう俺も乗っかるんだけどな。

最後なんだ、少しぐらい悪ふざけに付き合ったりしてもバチは当たらないだろう。

雷鳴の驚きと共にみんな笑い、俺は消えている体に目を向ける。

既に下半身は完全に消え、もう残っているのは首より上の部分だけである。

 

「……雷鳴、ミサ、空良、海楽」

 

俺がそう言うと全員がこちらを向いてくる。

最後くらい、魔王だとか仲間だとか気にせず、「友達」として一言言ってもいいよな。

 

「……ありがとう、楽しかった」

 

「─────」

 

みんなは顔を見合わせると、全員が同じ言葉を言い、それと同時にみんなは完全に消え、この場には俺一人となった。

 

「…………」

 

みんな、帰っちまったな。

みんなが帰ったってことは商人も元の世界に帰ったのだろうか……どんな世界に住んでるのか気になるが、もう会いたくないから別にいいか。

 

「……また会おう、か」

 

その言葉を呟くと、地面に転がって空に浮かび上がる月を見た。

今度会ったら、ゆっくりとみんなで月でも見れるかな。

 

またいつか、助けてください。




作中で空良以外がプレゼントを貰ってるシーンは描かれてないです、簡単に言うと後付け設定です。
そのためいくら探しても見つかりません。

寂しくならないように、無理して最後までいつも通りに過ごすみんなを書いてみました。
これもうただの茶番やってるのと変わりませんね。

次回、最終回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

拝啓 お父さん、お母さん。このたび俺は魔王になりました、助けてください。

拝啓 読者様

まおたすがとうとう最終回だ……長かった、ここまで長かった。

「……そうだな」

じゃあ早速本編へ!

「ねぇねぇ作者、もう私の出番は無いのかしら」

「おい俺の出番をもっと増やしてくれよ!」

「僕も出番が欲しい」

「少しは静かにしようね」

ちょっと、お前らは下がってろ。ここは前書き、そのあと本編!お前らの出番は本編にあるからちょっと下がってろ!

「オッス、おら雷鳴」

「さぁ作者、俺に痛みをくれ!」

「早く仙くんに会いたい……」

「平穏に暮らしたい」

「何か願いはありませんか?」

だっーもう、お前らもう下がれ! これ以上前書きにキャラを増やさせないでくれ!
募集したキャラクターたちはもう出番は終了してんだよ、元の作品に帰りな! そして募集に応じてくれた皆様本当にありがとうございます!

「……まぁ、そういう訳で最終回だ」

ちょ、魔王様待ってそこは私が言いたかったのに!
と、兎に角これで最終回です、最後まで楽しんでください。


「…………」

 

あれから一体、どれくらいの年月が経っただろうか。

100年か、200年か……もしくはもっと、四桁まで行っているかもしれない。

それほどまでにあの頃は楽しく、辛く、そして思い出深いモノで合ったことをとても覚えている。

 

「……白雲」

 

「はい魔王さま!」

 

さすがに多くの年月が立ったので、何回も壊れた城はまた再建されている。

ただ、まぁ……たまーに城が壊れることがあるのは、あの二人が喧嘩しているからだろう。

 

「……悪いが紙とペンを持っていてくれないか?」

 

「了解!」

 

そういうと白雲は切れ目の中へ消えていった。

さて……あいつらに久しぶりに手紙でも書くとするか。

届くかどうかどうかは知らないし、雷鳴の時もそうだったがこの世界とあっちの、異世界の時間は同じように流れているわけではない。

こっちの100年があっちの1秒だったり、その逆もありえたりもするのだ。

だからこの手紙があっちの世界に届いたとしても、生きてるかどうかなんてことは知らない。

 

「……もう一度、会いたいな」

 

それでも俺は諦められないのだろう。

本来なら会うことの無かった俺たちが出会い、共に戦ったり、雷鳴を雑に扱ったり、ミサに城を壊されたり、海楽の変態さに引いたり、俺と同等の力を持つ空良に驚いたり、商人の不気味さを警戒したり……あれ、おかしいな。ろくな思い出が存在しない。

ま、まぁ兎に角楽しかった。楽しかったんだ!

 

「……少し、歩くか」

 

昔を思い出した影響か、目から出てきた水を隠すように俺は目を擦って歩き始めた。

向かう場所は狼男、雪女、コーランの居るところだ。

 

 

 

 

 

「また私のかき氷食べたわね!」

 

「だから知らねぇって言ってんだろ!」

 

「…………」

 

「あ、魔王!」

 

相変わらず、何年立ってもこいつらは変わらないな。

俺は目の前で行われている下らない争いに頭痛がしながらも、三人を見てふと笑みを溢す。

ただし喧嘩の影響で、城にヒビが入ってることに目を逸らしながら。

……やっぱり悲しいな、みんなと顔を合わせる度にここに居ない、帰ってしまった人物たちの顔を思い出してしまう。

 

【……そう落ち込むな】

 

ん、そうえば忘れてたな。

魔王は長い月日の間に喋る程度の魔力が戻ったようで、たまに俺の考えを読んでは話しかけてくるんだった。

存在感があんまりないからうっかりしてた。

 

【……殴ってやろうか?】

 

冗談だ、止めてくれ。

それよりもいい加減にあいつらを止めた方が良いか。

俺はコーランを数歩ほど下がらせ、戦っている二人の元に直進して、二人の頭を掴んで地面に叩きつけた。

 

「魔王、何をするの!」

 

「そうだぜ魔王様、あんたは引っ込んでろ!」

 

「……次からは手加減はいらないようだな」

 

そういうと二人はサッと頭を下げて謝ってきた。

人が感傷に浸ってるのに、雰囲気をぶち壊してるお前らが悪いから反省してくれよ……いや、無理か。

反省して止めるならこいつらはとっくに喧嘩を止めてるはずだな。

 

「魔王さま!」

 

「……白雲か」

 

どうやら紙とペンを取りに行った白雲が戻ってきたようで、俺のマントの内側から切れ目を使って出てきた。

白雲、マジックのように至るところから出てくるの止めて、ちょっと怖いから。

 

「魔王、これは……?」

 

「……ちょっと、な」

 

俺は言葉を濁して白雲から紙とペンを受けとる。

何を書くのか気になったのか、白雲やミサ、さらには狼男と雪女も一緒になって覗いてきた。

見られて書くのは恥ずかしいが、こいつらに見られても別にいいか。

さてと、最初の文章は……堅苦しくも、ちょっとふざけた文章で良いか。

 

拝啓 異世界の皆様。このたび俺は仲間(みんな)と会いたいです、助けてください。




〈作品〉

拝啓 お父さん、お母さん。このたび俺は魔王になりました、助けてください。


〈作者〉

のろとり


〈協力(敬承略)〉

小説投稿サイト ハーメルン


〈募集に応じてくれた人(敬承略)〉

翠昌 秋

有限世界

ケツアゴ


〈スペシャルサンクス〉

ここまで読んでくださった皆様





年月:872日(18年11月30日~20年7月19日)
話数:全113話
END


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

【完結祝い?】~おまけてきなあれです、助けてください。~
裏話やらなんやらその1です、助けてください。


拝啓 読者様

この話は本編の裏話とかが書いてあります。
ただし堅苦しく喋るのではなく、ふざけてるので真面目に読みたい方は後書きに飛ぶのをオススメします。

それともう一つ、まおたすについての質問とかがある場合は活動報告にお願いします。

後書き


フハハハハハハハ!

終わった終わった終わった、閉幕閉店お〇〇〇〇ランド閉幕ゥ!

 

「……おいやめろ」

 

はい知りませーん! 今の私はテンションが無駄に高い、ちょっとしたそーゆーことも言っちゃいます!

そんなに止めさせたければ、私を殴って止めてもらおうか。

 

「ホラホラかかってこいや!」

 

このハーメルンの機能を(無駄に)ふんだんに活かした高速移動はッ!

速すぎてなんて書いてあるか分からないだろ?さっき私は「ホラホラかかってこいや!」と言ったんだ。

さすがの魔王と言えどここまで速くなった私を捕らえることを出来まい!

 

「……話が進まないから黙れ」

 

魔王は一直線に動くハーメルンの(多分)最高文字速度で動く私を簡単に捉え、グーで殴ってきた。

いやこの最高速度より速く動くのは反則だろ、ジョジ〇で言うなら世界を一巡させようとする「メイ〇・イン・ヘブ〇」の速さを無視して攻撃してる感じだからな。

 

 

 

《活動報告から》

 

「さて、話を戻そう」

 

ちょっとハーメルンの機能を使ってふざけたかったんだ、許してくれ。

とゆーわけで改めましたこんにちは、作者の「のろとり」です!

そして此方にいるのが元・魔王、この「まおたす」の主人公です。

 

「……よろしく」

 

じゃあ最初の話題に行きたいけど……その前に活動報告で来てたのを変えさせてもらうね。

 

「……確か、「空良がいつ白雲から石を貰ったか」だったな」

 

そうそう、よく覚えてたね。ほら、飴ちゃんあげるよ。

発火飴、食べると口の中で炎が出て火傷するから気を付けて舐めな。

 

「……どう食べろと?」

 

この話は第83話の「100話越えそうです、助けてください。 by作者」の後半、空良が白雲を鍛えようとしたときのシーンで貰ってますね。

正直な話、後半はかなり巻いていったので私も「いつ渡したっけ……?」って考えてました。

 

「……作者がそれでいいのかよ」

 

生憎だが私は物覚えが悪くてね……細かい設定は忘れてしまうんだよ。

これ以上話していても文字数が増えるだけだからさっさと次に行くよッ!

 

 

 

《元のプロット》

 

「この作品は、最初はこんな話じゃ無かったんだよね」

 

「……こんなって言うな」

 

まぁまぁ細かいことは気にするなよ、禿げるぞ……いや、身長が伸びないぞ。

 

「……【マジン】になれば伸びるからいい」

 

それはズルいから無しだろ。

さてさて、話を戻すとして……この作品は最初、勘違い系で往く予定だったんだよ。

 

「……その内容に俺はいたか?」

 

いや、いなかったね。

あくまで威圧だけが凄い、何の力も持っていない主人公が無理矢理魔王にされて、力を誤魔化しながら過ごすストーリーを考えてたから。

あっ、だけど白雲は最初からいたね。最初からいたからだろうけど、白雲に愛着があるんだよ。

 

「……そうなのか」

 

あぁ。

それで勘違い系を試しに書いてみたけど、なんか違ったから自分が書きやすい「魔王+異世界+バトル」の方針で書いていったんだよ。

それに元々は最終回辺りで雷鳴と戦わせて、二人とも内心で滅茶ビビって「なんだコイツ……」って高度な頭脳戦(笑)を繰り広げるつもりだったよ。

 

「……待て、なんで雷鳴が出てくる」

 

「それは次の話に行くね」

 

 

 

《元々はスピンオフだった》

 

「理由としては、この作品は最初雷鳴が出てくる「異世ギャグ*1」のスピンオフだったからね」

 

「……そうなのか」

 

その伏線として、異世ギャグの魔法が出てきてるよ。

それと一話で崖があったじゃん?あれは人間界……つまりは雷鳴が居る世界と繋がってる設定だったんよ。

 

「……だけど結果は?」

 

結果はこの通り、スピンオフからメイン作品へと進化しましたとさ、ちゃんちゃん。

……設定が潰れたから包み隠さず言うけど、魔王の世界の話は過去の話として、時代が進んで現在、昔共闘した雷鳴と今度は敵として戦うのを考えてました。

 

 

 

《大幅な内容の変更》

 

「それもあって結構内容が変わってるんだよね」

 

「……どんな感じにだ?」

 

大幅に変わった部分だけを抜粋すると、最初に話した勘違い系から、異世ギャグのスピンオフだったことから、新・魔王が復活して二章が始まったこと、二章での新・魔王との最終決戦……大体四回ほどだな。

 

「……多いな」

 

グゥの音も出ないと言うのはこの事だろう。

一つ目は良いとして、ちょっと二つ目はまだ話すことがあるな。

 

「……なんだ」

 

この頃から新・魔王の設定を考えていたことだ。

ただ……この時点では元・魔王とは同じ世界に隠居してる魔物で、雷鳴と戦って元・魔王が弱った頃に狙って魔王の座に君臨するキャラクターだったぞ。

 

「……意外だな」

 

それで元・魔王と雷鳴が協力して新たな敵、新・魔王に挑む予定だったんだよ……この設定の名残で魔王の名前に「元」や「新」が入ってるんだ。

 

「まだ話したいけど、これ以上は長くなりそうだから三つ目の話だ」

 

「……続きを書いた話しか」

 

あぁ、そうだぜ。

「一人は募集に応じるだろ」って思ってたら、まさかの自分のキャラクターを使うことになってな。

この頃には既にスピンオフって考えはなかったけど、「お、ちょうどいいから雷鳴出すか」って雷鳴を出すことにしたんだが……

さすがに応じてくれたのに、何事も無かったかのように自分のキャラクターを使って完結は嫌でね。

ちょっと考えたら「あ、これ続き書けるわ」って思い付いて二章を作ったぜ……ちょっとだけ、蛇足感があった気がしたが。

 

「……それは仕方ないだろ、パッと思い付いたやつだからな」

 

ま、魔王……! マジレスするとこれ書いてるのは一人だから、一人で勝手に自分を慰めてる図になるんだよなぁ……よし、これ以上考えるのはよそうか。

 

「……次は四つ目か」

 

「これは大変だったぜ~」

 

もう戦いの一歩手前まで来てからの変更だったからな。

本編では指輪で新・魔王の不意をついて倒したけど、元々は世界を元に戻すのに使おうとしてたんだ。

 

「……元に戻す?」

 

そう、新・魔王が商人に「この世界を消せ」って感じの願いを叶えてもらって、その願いと同時に世界と一緒に新・魔王を、世界ごと消そうと考えてたんだよ。

それでみんなは白雲の切れ目で別の世界へ逃走、消滅した世界を指輪の力で元に戻そうって言うのが最初の設定だね。

 

「……何処かで聞いたことあるな」

 

いや、それは間違いじゃないね。

これを思い付いたのは「ペーパーマ〇オwill」が脳裏を過ったからだからなぁ! あ、詳しいことは調べることをオススメします。

 

「……それってパクリだろ」

 

はい聞こえませーん。

パクリだとか、何を言ってるか全然聞こえませーん!

 

……誤魔化すな、ってあれ?

 

フハハ、どうだぁ文字が見えないだろ?

またハーメルンの機能を使って私にとって悪い状況を消させてもらった……そう、透明化でな!

元々は透明人間が出てきたときに使う予定だったが……その用途で使うときがあるか分からないから、別にいいか。

 

……次回は始まった瞬間殴る

 

うっ、なんか寒気がする気がするな、まぁ気のせいか。

まだ話したいことはありますが、それはまた今度話します。

それでは、最後は例の文で閉めさてもらいますね。

 

思った以上に裏話が多いです、助けてください。 by作者

*1
「異世界転生にギャグ補正持ってったら最強だった件」の略称




本編の内容
《活動報告から》
Q.空良が石を貰ったのはいつ?
A.第83話の「100話越えそうです、助けてください。 by作者」の後半、空良が白雲を鍛え始めようとする場面


《元のプロット》
・一般人勘違い系だった
・威圧感が凄いキャラクターで、威圧だけで相手を参らせたりする話だった
・だけど書きにくかったので没に。
・ついでにこの時点で白雲は存在していた


《元々はスピンオフだった》
・雷鳴が主人公の異世ギャグのスピンオフの予定だった
・伏線が存在してる


《大幅な内容の変更》
・勘違い系、スピンオフ、二章の追加、最終決戦の内容変更
・スピンオフの時点で新・魔王にの設定はあったが、異世界人ではなかった。
・その名残で「新」や「元」が残っている

・募集に応じてくれたのに、使わないのはなんかなぁ……と思って二章を追加
・正直に言って、蛇足感があったと思う

・最初は世界を消滅させる予定で、それを指輪を戻そうとした
・「スーパーマリ〇will」のパクリみたいな展開


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

裏話やらなんやらその2です、助けてください。

拝啓 読者様

ハーメルンの機能で遊ぶの、凄い楽しいです。
私はまだ2つのネタを思い付いている……この意味がどういうことか分かるかい?
意味:ネタ切れしてきました。

後書き


「はい、スタート」

 

「……消えろ」

 

早速第二回を始めようとした瞬間、元・魔王は私に向かって拳を振り下ろしてきた。

えちょ、待って!

 

て、点滅!

 

私はハーメルンの機能を使って姿を消した。

元・魔王にが振り下ろした拳は空を切り、私が先ほどいた場所に突き刺さった。

あ、あぶねー前回使った透明化は実態が残るからな。

実際はそんな設定はないけど、透明化と点滅の差別化を測るために今考えた。

 

「……そこか」

 

あ、やべ。

点滅したところで時間経過で元に戻るんだった。

最近使ってなかったからスッカリ忘れてた……って、私の目の前にもう魔王の拳がッ!?

 

縮小!

 

その言葉と共に私の体は頭一つ分小さくなり、拳は頭スレスレの所をカスッた。

この機能の使い方、攻撃かわすような用途で使うわけでは無いんだろうなぁ……まぁいいか。

 

魔王、話が進まないから落ち着け!

 

「……分かった」

 

さすがにこれ以上、茶番をやるのは気が引けたのか不満そうな顔をしながらも私から拳をどけた。

不満な顔をするなよ、後で雪女が取っておいたアイスがあげるから、な?

 

はい、じゃあ早速話していくぞ

 

 

 

《異世界組~雷鳴~》

 

「文字数の都合でこの話題だけで数話使うぞ」

 

「……この話題は募集したキャラか?」

 

そそ、まぁこの話題は反省会のようなものになるけどね。

 

「……反省会だと?」

 

そーだよー反省会だよ、反省会。

今までを振り替えって、このキャラをもっと活躍させたかったとか、扱うのが難しかったよーって言う話だね。

 

「まずは雷鳴からいくよ」

 

「……作者のキャラクターか」

 

おう、絶賛投稿サボり中の作品に出てくる主人公だ!

前回も話したけど、元々はスピンオフだったから最初から最終決戦に出そうと考えてたぜ。

楽しくも、扱いずらかったキャラクターでもあるが。

 

「……そうなのか」

 

これは後で話す海楽もそうだけど、ギャグを挟めるようなキャラクターを書くのが好きなんだよね。

空良や商人にはメメタァ的な台詞は言わない方だし、ミサもふざけたりするようなキャラじゃない。

シリアスばっか続くのもいいけど、私は「ギャグ挟まないと死んじゃう病」にかかってるから、どうしてもずっとシリアスするのは難しいんだよ。

 

「……かなりの重症だな」

 

自覚してるから言わないでくれ。

それに雷鳴視点だと、メメタァ的な事も話せるし、それを使って状況整理も出来る。

言わば物語全般の解説役ってかんじかな?

 

「……なるほど、だけど扱いずらかったのか?」

 

そうなんだよなー、アイツの能力は「ギャグ補正」

おさらいをすると自分でコントロール出来なくて、無意識に発動してる能力なんだ。

その「ギャグ補正」の内容が思い浮かばなかったり、能力以外は弱いから戦えないし、本人が戦闘から逃げようとする。

ギャグ路線ならいいけど、バトルやシリアスだと使いづらいキャラクターだったんだよ。

 

 

 

《異世界組~ミサ~》

 

「次に話すのはミサだ」

 

「……空良じゃないのか?」

 

「空良じゃない、出てきた順番に話そうと思ってね」

 

ここで軽くミサの説明を。

名前:虎尾阿 ミサ(こびあ みさ)

神様に使えない雑魚能力を貰って転生したと思ったら全然関係ない、別の世界に新・魔王によって越させられた人物。

『有限世界』様が案を出したキャラクターだね。

 

「……能力が強かったな」

 

元ネタはこのす〇の「めぐ〇ん」だから強いのも納得だろ?

まぁ能力の内容が「自分を中心に半径5kmの爆発を起こす」って言う、小学生が考えたような内容がだけどね。

 

「……これって俺たちも巻き込まれたな」

 

そりゃあ敵味方問わず、攻撃する技ですから。

ちゃんと弱点は存在するぞ、例えばだが本人は弱いから遠距離で攻撃されたら一発で死にますけど。

 

「……それ以外は」

 

爆発の影響で晴れるまで本人は周りが見えなかったり、白雲や新・魔王のように別次元に移動する奴には効果がない、雷鳴や海楽のようにダメージを気にしない奴にも意味はなく、終盤に出てきた「何か」みたいに状態異常以外の攻撃が効かない奴にも無意味だ。

 

「……わりとあるんだな」

 

言わばポケモンの「ヌ〇ニン」見たいなキャラクターだな、ほとんどの攻撃は通らないけど、HPは1だけ。

此方は攻撃力は高いけど、対策されれば一撃でやられてしまう。

 

「ミサ視点としてはあくまで「一般人から見た戦い」が書けて、新鮮味があったね」

 

勇者や魔王のように勇気もないし、度胸もない。

知らない世界に飛ばされて恐怖で押し潰されそうになりながらも、自らの持つちっぽけな正義感で体を突き動かしてラスボスを倒す。

上手く動かすことは出来なかったけど、今振り返ると設定だけは裏主人公に見えるな。

 

「……ミサが海楽と組んだら強そうだな」

 

あー確かにな。

海楽は攻撃を自ら受けに行く、ミサは味方を巻き込むほど強力な爆発を使う……「まおたす」は「この〇ば」だった?

 

「……そんなわけないだろ」

 

だよなー、〇ズマさんとアク〇のポジションが誰もいないもんな。

確か15巻くらいから買ってないから、早く揃えたいな。

 

 

 

《異世界組~空良~》

 

「次は空良、異世界の勇者だ」

 

「……強かったな」

 

ここでもまた軽く説明しまーす。

名前:心山 空良(こころやま そら)

元々は現代に暮らしていたが、異世界に飛ばされたが元の世界に帰ってきた勇者。

元の世界には幼馴染みの祈理 仙(いのり せん)がいる。

『翠昌 秋』様のキャラクターである。

 

「空良は難しい、と言うよりも気を使ったって言った方が正しいね」

 

「……そうなのか」

 

そうだぜー空良以外のキャラは言わば存在がネタバレみたいなものだと思ってる。

基本的には「能力=ネタバレ」みたいな感じだと考えていて、ネタバレを防ごうにも防げないから気にする必要はない。

能力……とは少し違うが、商人は「存在=ネタバレ」だと思ってるから、考えは同じだ。

 

「……なるほど」

 

だが空良はその公式はなく、ネタバレになるので言えないが……まぁ、そういうことだ。

「勇者=ネタバレ」ではないから、出来る限り本編の内容を隠したり、ボカしたりする必要が出てくる。

 

「……わざわざする必要があるのか?」

 

そりゃああるさ。

アッチの作品を読んでない人が空良の出てきたシーンを見て、ネタバレを考慮せずにアッチ側の話をバンバン出したところでわけが分からない。

また、この作品を切っ掛けに読み始めた人もネタバレを喰らってしまう。

魔法とかは戦闘があるから仕方ないとして、物語の展開を話さないようにするのが大変だったね。

 

「……お前も大変なんだな」

 

まぁな。

ただ元・魔王と強さを同じくらいにしたのは成功したかなーって考えてる。

理由としては戦闘面が楽になったり、勇者と魔王の共闘っていう夢のようなバトルが書けたからな。

他にも魔法を沢山使えたり、魔王とは違った戦闘シーンが書けたりもしたね。

 

「……身長が伸びる魔法はないのか?」

 

知らね。

どうせないだろ、それに魔王が伸びたところであまり意味はないだろ、元が小さいからな。

 

……これでもか?」

 

魔王は突如として巨大化し、私の身長が霞むほどの大きさまで成長した。

ちょっとハーメルンの機能を使ってでかくなるのはズルくないか、魔法使ってないし。

 

「……踏んでやろう」

 

わー待て待て10メートルもある身長で踏まれたら私潰れちゃうよ、潰れた影響でその怪我が治すまで投稿休むけどいいのか!

 

「……どうせ書く内容は決まってるから、怪我してても書けるだろ」

 

ブラックすぎませんかねぇ。

魔王は脚をあげ、あげた脚を私の頭上まで持っていき、そのまま蟻を踏み潰すかのように地面へと脚を下ろした。

 

「画面外に逃げろ!」

 

魔王の攻撃で怪我なんてしたら全身骨折ですまされるようなものじゃ終わらねぇ!

一向も速く画面外に逃げて、魔王からの攻撃から逃げないと……あっ、次回も良かったら見てね!

 

現在逃げてます、助けてください。 by作者





《異世界組~雷鳴~》
・自分のキャラ
・メタ発言や、ギャグ出来るキャラだから書きやすい
・戦わないからシリアス向いてない
・そもそも存在自体がギャグキャラ


《異世界組~ミサ~》
・『有限世界』様が案を出したキャラクター
・能力が使いづらい
・元ネタは「こ〇すば」の「〇ぐみん」
・わりと弱点が多い
・一般人目線で書けてたので、新鮮さがあった


《異世界組~空良~》
・『翠昌 秋』様のキャラクター
・ネタバレしないようにした
・魔王と強さを同じにして良かった
・戦闘シーンが書いてて楽しかった


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

裏話やらなんやらその3です、助けてください。

拝啓 読者様

やべぇ、機能を使ったネタがもうないです。
あと残ってるのは別の作品で使ったあれだけ……使い回し、するかぁ。

それとサトパを作ろうして、ピカチュウを捕まえようとレイドを60回ほどしてました。
それからタマゴを孵化させて性別を確認して……さっき厳選が終了しました。
よくを言えば6Vが良かったですけど、5Vで妥協しました。

後書き


「……なぁ作者、早く戻ってこいよ」

 

「やだ」>

 

嫌だ、私は画面外から出ないぞ。

前回のことを忘れただなんて言わせないぞ、どうせ出てきたら巨大化したお前に踏み潰されるんだろ。

オチは既に分かっているんだ、これ以上粘っても何も良いことはないぞ!

 

「……発火飴、食うか?」

 

「わーい飴だー!」

 

「……ちょろいな」

 

私はその飴を早速口に入れ、コロコロと舐め始めた。

ハッカ飴って辛いけどそれが癖になるよなーってあれ、これなんか辛くないな。

ってか熱ッ! なにこれ熱すぎるだろ! でも早くしないと文字数の都合上でまた話が延びてしまう。

 

ほれじゃあふぁいらくのことにふいて(それじゃあ海楽のことについて)

 

「……食べるか話すか喋れ」

 

へやちへぇよ、くひの中やへどしへんだよ(いや違ぇよ、口の中火傷してんだよ)

 

ここで裏話のその1を思い出してほしい。

私は魔王に発火飴を渡したのを覚えているだろうか、覚えていなくても問題はない。

その時に渡した飴をまだ食べていなかったようで、さっき飴が返却された。

そしてその飴を私が舐めて、口の中が火傷したんだ。

 

「……なにやってんだよ」

 

誰だよ……魔王に普通のハッカ飴を渡そうとしたけど、予測変換で発火飴と出てきたとき、「これネタに使えるな」って考えた奴はよぉ! はい、私です。

 

 

 

《異世界組~海楽~》

 

「さて、火傷も治ったから海楽について早速話していくよ」

 

「……肉盾か」

 

「もう少しいい例えはなかったのか?」

 

名前:伊丹 海楽(いたみ かいらく)

神様に本来なら使えないはずの能力『あらゆるダメージを一瞬で回復する能力』を貰った人物。

また、本人がよく自ら攻撃を喰らっているが、あくまで能力は関係なく、本人がドMだからである。

『有限世界』様のキャラクターである。

 

「海楽と雷鳴の組み合わせは書いてて楽しかった」

 

「……変態ブラザーズか」

 

あいつらは存在自体がギャグだからな、シリアスを一瞬でぶち壊すのが難点ではあるが、ギャグ系は私が書いてて楽しいものだ。

 

「ただ「自ら攻撃を受ける」のが、書いてて楽でもあり辛くもあったな」

 

「……なんでだ?」

 

楽だった理由としては、(海楽)がいることだな。

今まではカウンターをしたり、相手の攻撃をかわしたりと、タンクとしてのキャラが居なかったんだ。

だが海楽が居ると、「攻撃来ても海楽を盾にしよ」って言う、作者的に楽なことが出来る。

……ワンパターンになるのが玉に瑕だか。

 

「……それが辛くところか?」

 

「違う」

 

ワンパターンってのは正直、これを書いてるときに思ったことだ。

本当に辛かったのは、攻撃を受けることだな。

 

「……どういう、ことだ?」

 

基本的に海楽は勝手に攻撃を受けてくれるから、戦闘時は書くのが楽なんだよ。

だけど展開を進めていく上で、楽をしようとしても出来ないんだ。

不意討ちしようとしても、海楽がでしゃばって攻撃を受けてしまう。

全体攻撃で全てを倒そうとしても、海楽が現れる。

 

「……それはお前が楽をしようおするからだろ」

 

グゥの音も出ない。

まぁミサが攻撃しても盾になってくれのは、かなり嬉しかったがな。

海楽の話とは少し離れるが……ミサは周りに味方が居たら能力が使えないからな。

けれど海楽が居ればその問題は解決する、ちょっとヌルゲーになった気もするけどな。

それを解決するために、吹っ飛ばして一時的に戦闘から離脱してもらったが……もう少し、良いやり方が出来たと思う。

 

 

 

《異世界組~商人~》

 

「土下座してもいいかな?」

 

「……いきなりどうした」

 

名前:商人

敵でも味方でもない、言わば第三者……観測者のような立ち位置で登場したキャラクター。

様々な人の願いを叶えているが、しかし最終的には破滅へと伴う恐ろしい人物。

『ケツアゴ』様のキャラクターである。

 

「出番が、出番がッ!」

 

「……そうえばほとんど会ってないな」

 

「それを言うな、言うんじゃあない!」

 

それが辛くかったことなんだよ……今から話すから何も言わないでくれ。

 

「……早く話せ」

 

ほいほーい

辛いことは後で話すとして、登場させたときは結構楽しかったぜ。

私は今まで、人を騙したりとか裏表あるようなキャラクターをほとんど作ったことがなかったからな。

個人的な話になるが、いかにして相手に「願い」をさせるかって言う、心理戦を書いてるイメージだったぜ。

 

「……ほぉー」

 

あれ、興味なさげ?

そ、それよりも辛かったのは力の強さなんだよな。

空良や魔王の強さはあくまで、身体能力……戦闘面での強さ。

それに対して商人は能力面……とでも言えばいいのかな。基本的に「願い」って言うキーワードを言えばなんでも出来るキャラだから、それを言わせないようにするのが難しかったね。

 

「……ドーンだYO!」

 

それ違う、一応合ってるけど違う。

商人は言わばジョーカーだと私は思っている。

敵側に付いても、味方に付いても、一時的には強化は望めるけど最終的には全員死ぬ。

最初は味方として行動してもらう予定だったけど、海楽や雷鳴辺りが何かしくじりそうだから無しに。

敵側着けたとしても、新・魔王が何かミスって勝手に死にそうだから無し……残った道はどっちにも着かない、なんだよね。

 

「……扱いが難しいってことか」

 

まぁそれは私の実力が足りてないのが原因だけど。

なんでも出来てしまうが故に、選択肢が無くなってしまう。

相手を消せと言えば消せてしまうし、最強になりたいと願ったら最強になってしまう。

パワーバランス粉砕機でもあり、展開に困ったらインフレとして使える人物なんだと考えてる。

 

「……最後の一文が酷いな」

 

包み隠さずに言うのが私の流儀だ、そもそも嘘をつくこと自体が苦手だし。

それじゃあ私はそろそろ定時だから帰られてもらうぜ。

 

「……おい待て、もう一話書けよ」

 

魔王は帰ろうとする私の肩を掴んで動けなくした。

え、なんで残る必要があるんだよ。ここ数ヵ月は他の作品やリアルの用事も後回しにして「まおたす」を書いてたんだ、帰らせてくれ。

 

「……どうせ次回かその次で終わりなんだ、今書いても変わらないだろ」

 

それゃそうだが……休ませてくれよ。

こんなにポンポンと投稿する必要はあるか? 私はいい加減、他の作品にも手を着けたいんだ。

 

「……書け」

 

私の言葉を気にしてない世で、いつの間にか魔王の腕には血管が見えていた。

恐らくはそれほどまでに力を込めていて、私に残業地獄をさせるつもりなんだろう。

ふっ……本来ならこの危機的状況、脱出出来ないだろう。

現に私の肩は魔王が力を入れているせいで、木っ端微塵になっている。

だが私には秘策がある、肉体を使わずにここから脱出する方法がなぁ!

 

「瞬間移動」

 

「……なっ!」

 

あばよ魔王、これがハーメルンの機能を(無駄)に使いこなしている者の逃走ルートだぜ。

私はいつ使うときが来てもいいように、機能でどんな遊びが出来るか考えていたんだ。

あ、仕様の都合上で何も写ってなかったり、また出てきたりしてるけど気にしないでくれ。

待てばもう一度写るし、話の展開的には私は既にここにはいないぞ。

 

「あばよ!」

 

そのまま私は画面外へと逃げていった。

 

魔王が怖いです、助けてください。 by作者





《異世界組~海楽~》
・肉盾
・雷鳴と絡ませるの楽しかった
・攻撃を受けてくれるので戦闘が楽だった
・不意討ちが出来ないので、展開を進めるのに楽が出来なかった
・割りとミサと相性が良さそう

《異世界組~商人~》
・出番が少なかった
・土下座すれば、許してくれるかなぁ
・書いてて勉強になったキャラ
・なんでも出来るから困った
・言わばジョーカー的なキャラクター
・扱いに困ったので、第三者として登場
・最強のインフレさん


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

裏話やらなんやらその4です、助けてください。

拝啓 読者様

スマブラでアイスクライマー使うの楽しいです。
ダメージが溜まった相手を空中で凍らせて奈落へ落とすのが決めるのが気持ちいいです。

後書き


「さっそく始めるぞ」

 

「 ……ふざけないのか?」

 

人が真面目に始めようとしたのに……その反応はなんだ、私がふざけるとでも思ったのだろうか。

 

「アンケートを取ったら、機能を使いまくると見辛いようでね。ネタ切れだったし丁度いいと思って」

 

あと残ってるネタは「ニコニコ〇画のコメント」みたいに文字を流すだけだったからな。

それだけだと面白味にかけるから悩んでたんだよ。

 

「……なら早く話すぞ」

 

 

 

《反省点》

 

「……前にやらなかったか?」

 

「内容が違うんだよ」

 

前までやってた反省会は「ゲストキャラ」について、今回やるのは「作品全体」についてだから、違うものだぞ。

 

「魔王から見て、何か反省点はあるか?」

 

「……投稿ペース、早い展開、要らない設定、行き当たりばったり」

 

「……ぐふっ!」

 

私は胸を押さえて地面に膝を着けた。

な、なかなか痛いところをついてくるじゃあないか……この私が膝を着くなんて久しぶりだよ。

反省点で言うと大まかに言うとその4つだな。

 

「投稿ペースは何も言えない」

 

「1ヶ月毎日投稿」って言う目標を達成した一週間後くらいにスランプになって数ヵ月ほど投稿を休んだことがあったが……それ以外は単純なサボりだな。

今年の二月くらいからは怒濤のペースで投稿をし始めたが……終わったのは7月だ。

 

「……遅いな」

 

ぐぬぬ、書いてる途中で数話先の展開を弄ったり、ストーリー自体の修正もしてたんだ、そんなに文句を言うなら私の拳が火を吹くぜ。

リアルの話だから伝わらないだろうけど、私はそれなりに鍛えているんだ。

力こぶだってあるし、腹筋も少しだけ割れている。

 

「……俺は魔王だぞ」

 

それががどうした、お前なんか拳を振りかざすだけで風圧が出来たり、魔法が使えたり……うん、勝てねぇ!

ただの人間が魔王に勝てるわけねーだろ。

 

「……ほら、話を戻すぞ」

 

すまんすまん。

それで投稿ペースを上げたのは良いけど、それと同時に展開もサクサクと進んでいったな。

正確には、進んでしまった。これが正しいけど。

 

「……すぐに戦いが終わったな」

 

本来なら一人一人の戦いに5話くらい使う予定だったが、さすがに延びすぎるし話数も多くなっちまう。それは駄目だと思った結果、こうなっちまった。

正直な話、要らない設定を省きまくって分かりやすくすれば良かったと後悔してる。

 

「……要らない設定か」

 

一番なのが海楽の持ってた「指輪」だな。

あれは私がオリジナルで考えたもので、最初の予定だと重要な役割を果たすものだったんだ。

世界そのものを消滅させた後に、海楽の指輪を使って世界を元通りにする……こんな感じにな。

 

「……なんだその展開」

 

その設定は私自身も面倒になったんでね、そもそも指輪程度でそんなことが出来るのかと疑問に思ったから止めたのさ。

ただ、設定を変更したのが新・魔王との最終決戦前だったんで、今さら変えることは出来なかったから最後の最後に不意討ち用のものとして使うことにした。

 

「……無理矢理にも程がある」

 

否定できないです、はい。

私は基本的に行き当たりばったりに書くことが多いからなぁ……今回で設定はしっかり守らないと大変なことになるってのを身をもって学んだぞ。

 

「……他にも要らない設定あるだろ」

 

要らない、と言うよりもふざけて作った設定ならあるぞ。

 

「……それはなんだ」

 

「実は白雲はロボットでした」設定だな。

なんでこいつはこんなに新・魔王に詳しいんだろ……って考えてたときに、元部下なら知ってそうだなと思って作った設定だ。

ロボットにしたのは「異世界にそんな文化は普通ないよな……よし、ロボットにしよう」って言う、何も考えてないおふざけ設定だ。

 

「……白雲は壊れないのか?」

 

設定上は壊れることはないね。

新・魔王は今まで色んな世界を行ってるんだ、何処かの世界にそんなオーバーテクノロジーが合っても不思議じゃない。

それに新・魔王は地球にも来たことあるぞ。ほら、戦車とか出てきただろ。

 

「……そうえば合ったな」

 

ここだけの話、新・魔王って色んな強者と戦うために世界を回ってたんだ。

そして地球にも来て強者と戦い、世界を壊していった。

つまり平行世界の地球は……っと、これ以上話すのは止めておくか。

 

「……話は変わるが、お前の一人称はなんだ?」

 

「どうした急に? 私は私だぞ」

 

「……昔は「俺」と言ってた気がしてな」

 

あぁ、そういうことか。

私は基本的に一人称を使い分けてるからだな。

Twitterや読者に話したりするときは『私』

自分のキャラに向かって話すときは『俺』

リアルでは『僕』

たまに『(ぬし)さん』や『のろとりさん』と呼ぶこともある。

 

「……さん付け」

 

いつの間にか付いちまった癖なんだよ、そんなに言うなよー言ったら存在を消す。

 

「……作者権限かよ」

 

実際はそんなことしないけどな、したら私自身が困ることになっちまうし。

それと今回は読者に話してる感じだから『私』固定で喋ってる、たまに『俺』って打ちそうになるけど。

 

「……そろそろ時間だぞ」

 

もう2000文字を越えたのか、茶番を外して次の話題に行こうと思ったけど、ちょうどいいくらいの時間になったな。

それじゃ、次回で……終われるかなぁ?

 

もしかしたらまた延びます、助けてください。 by作者





《反省点》
・投稿ペースが遅い
・2月からは頑張った
・その変わり、展開がサクサク進みすぎた

・戦いを短くした
・要らない設定は消せば良かった

・最初の予定では「指輪」を必須アイテムだった
・最終決戦前に展開を変えたら要らなくなった

・ふざけて白雲をロボットにした
・「異世界ファンタジーに普通はロボットはないだろ」ってことで入れた
・壊れることはない、どこかの世界のオーバーテクノロジーで出来ている


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

裏話やらなんやらその5です、助けてください。

拝啓 読者様

サトパ作るためにニャビー(ガオガエン)の厳選が終わりました。
特性も一緒にして性別も一緒にする……疲れるな。
ピカチュウの名前を「シンオウ」や「カロス」にしたら、技変えるのありかな……?

後書き


「今回も始めるよ!」

 

「……それはなんだ」

 

いつも茶番に尺を取りすぎので、今回こそはサクサクと進めようとしたら魔王からストップが入った。

なんだ……もしかしてずっと座りながら喋ってるって言う設定だから、腰が痛くならないように買った緑色の座布団の話しか?

 

「この座布団か? この前買った」

 

「……それじゃない、今抱いてるものだ」

 

今抱いてるもの?あ、これか。ごちうさのココアちゃんのクッションだよ、売ってたから買った。

メタ的な話をすると、これを書いてるときも抱えてる。

 

「……売り切れてなかったか?」

 

そうみたいだね。

Twitterで調べてみたけど、しま〇らに一店舗に一つくらいしか無かったって色んな人が言ってたな。

いやーよかった、初日に開店してからすぐに行ったからTシャツとかも買えたんだよね。

 

「……俺は買えなかった」

 

およ、魔王も欲しかったのか。

どうだ、このココアちゃんクッションは! 若干固い気もするけど、ちょうど抱ける大きさなんだ。

 

「……ぶちギレるぞ」

 

ちょっとそんな殺意丸出しで喋るなよ!

つーか「捻り潰す」とか「コロコロしちゃうよ♪」みたいに、少しだけ具体的に書いたり、ヤバイ人みたいな雰囲気を出した方が良いと個人的に思う。

 

「……いや、それは知らねーよ」

 

 

 

《斬新(笑)な設定》

 

「今回話す議題はこちら、設定について!」

 

「……設定か」

 

ってスタッフさん、なんかタイトルに悪意を感じるんですけど! このタイトルを付けたのは誰ですかーって、ああ連絡ミス? それでこのタイトルになったと……それなら仕方ないですね。

本来なら「最強神話の究極設定!」ってタイトルだったんだが……まぁいいや。

 

「……スタッフ、ナイスだ」

 

「ん、なんか言った?」

 

「……なんでもない」

 

「そうか」

 

それじゃあ話していくぞ。

まぁこの設定に関しては私個人が選ぶものだけどな。

その設定って言うのは「魔王」についてだな。

 

「……俺か」

 

「正確には「魔王たち」だけどね」

 

話す内容は魔王が二人居ることかな。

それと元・魔王の魂がどこにあるか、今回はその二つについて話していくよ。

 

「……二人の魔王か」

 

そう、魔王には魔王をぶつけようと思ってね。

名前はわりと適当に付けたんだけど……今見返すと、わりと元・魔王って不幸だなと思う。

 

「……なぜだ」

 

だってさ封印から目覚めたらいつの間にか、魔王の座を取られて自分の体まで乗っとられてんだぜ。

ラノベ風に書くと「封印から目が覚めると、知らない奴に魔王の座を奪われて勝手に憑依転生された件」だな。

そして譲った訳でもないのに「元・魔王」と呼ばれて、決戦まで新・魔王と戦えない。

終わったと思ったら、なんか復活してて【マジン】になるまでほとんど出番なし。

その上【マジン】は数話で終了して、最終回にちょこっとだけ出ただけ。

まぁこれは一章は「元・魔王と新・魔王」を中心に、二章では「異世界組」を中心に書いてたつもりだからしょうがないと思うけど……

 

「……同情するぜ」

 

主人公も主人公で「なんか魔王に憑依したけど、部下から信用ないし変な奴が新しい魔王になってるでござる」って言う話だぞ、最初から信頼されてるの白雲だけだぞ……あれ、魔王って不幸な奴多くね?

 

「……だいたいお前のせいだ」

 

せやな。

でも二人とも消えなくて良かったよな、特に元・魔王。

憑依されて魂どこ言ったのかなーって主人公に心配されてたな。

まぁ途中から会話はしてるし、なんなら主人公自身は言ってないけど、露骨なほどに分かりやすいネタバレやってたし。

 

「……【マジン】は正直驚いた」

 

あれかー、新・魔王に勝てなさそうだったから何かないかと考えてたんだよ。

そしたら「サトシ〇ッコウガ」や「ゴジ〇タ」を思い出して「あ、これ使えるな」ってことで二人で一つになってもらった。

設定集に書くだろうけど、私は色んなものを参考……もとい、パクって書いてたぞ。

白雲の切れ目もそうだし、雪女の口調は参考程度にだがあるアニメキャラを意識して書いたし。

 

「……鬼〇の刃」

 

はい、炎上しそうな話題を出すのは止めましょうねー

それにあれは一部の子供と大人が悪ふざけで、色んなところに引火しただけだろ。

 

「そうだ、【マジン】は理論上は色んな奴が出来るぞ」

 

やったらやったで、元に戻れなくなるが。

一つの体に二つの魂が入ることで出来るものであって、もう二度と元の体に戻ることは出来なくなるんだよな。

あ、元・魔王はここでは例外な。あいつらは既に二つの魂が入ってるから。

色々と条件があるけど、頑張れば「元・魔王+海楽」とか「元・魔王+空良」も出来るぞ。

後のことは考慮しないけど。

 

「……後者はともかく、前者はやだ」

 

そうか? お前らが合体したら時間制限以外は敵なしだと思うぞ。

「矛の魔王、盾の海楽」強力な一撃を使う上に攻撃しても相手が気持ちよくなって喜ぶだけ……よし、止めよう。

これ以上は考えたくない、ただの悪夢でしかない。

 

「……【マジン】は魔法で戻せないか?」

 

無理だな、あくまで【マジン】を継続させるために他者が魔力を与えることが出来るけど、正直言ってほとんど意味はなさないぞ。

汽車を動かしてるのを想像してみろ、石炭を焼いて動かすだろ。

【マジン】状態は持ってる石炭を全て焼いてる状態だ、魔力を足してもすぐに焼かれるから意味は無いし、それで【マジン】以外で使う魔力は無くなる。

ぶっちゃけると、基本的には足す量より使う量が多いから、魔力を足すためにいちいち止まらないといけないから、与えない方が動けるぞ。

スマホだって充電しながら使っても電池が減るだろ? あれと同じ現象さ。

 

「……ちゃんとそこはしっかりしてんだな」

 

【マジン】は二章を始めた頃に既に考えてたんでね、そこは重要なポイントだったんで、ちゃんと設定を考えてたんだ。

 

「……ほかの設定は」

 

あー何も聞こえないなー「勉強が嫌いだぁ!」のMAD見てたのが原因かなー、鼓膜が可笑しいのかな、あー聞こえない聞こえないー

 

「……埋めるぞ」

 

止めて白骨化しちゃう! 白雲みたいになっちゃ……いや、白雲はロボットだから違うか。

あ、そうそう。次回で一応は最終回になります、話す内容は既に決まってて「今後について」話しをさせていただきます。

心配かけると悪いので先に言っときますけど、引退しませんよ。

 

裏話楽しい、助けてください。 by作者





《斬新(笑)な設定》
・元・魔王、起きたら魔王の座を奪われてる事件
・元・魔王、起きたら憑依転生されてる事件
・元・魔王、二章の出番ほとんどない事件
・主人公、最初から部下に信用されてない事件
・主人公、初期は白雲以外から嫌われてる事件

・魂が体にあると滅茶話しかけて露骨なアピールをしてくる元・魔王
・色んなのを参考にして作品を作った
・【マジン】は理論上、色んな奴が出来る
・ただしその後のことは考慮しない
・「元・魔王+海楽」の【マジン】ははっきり言って地獄でしかない
・【マジン】に他者が魔力を与えられるが、消費の方がでかいの意味はない
・次回で一応は最終回


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

裏話やらなんやらその6です、助けてください。

拝啓 読者様

たそがれルガルガン厳選終わりました。
たまにネットに潜ってることがあるので、当たった場合はよろしくお願いします(遅い挨拶)
え、ランク?スーパーボール級です(くそ雑魚マン)
ポリ2固い、エースバーン多い、ガラルサニーゴ止めて、トゲキッスのエアスラキツい。

後書き


「『ストライク』に『進化の奇石』持たせて、舞ってから高速移動バトンして『エースバーン』に交代させたら強くね?」

 

「……いや知らねぇよ」

 

まだ試してないけど、それやったら『ハッサム』よりも防御系が高くなるし、種族値が580になるぞ。

それと『エースバーン』対策に誰かに『メロメロ』を覚えさせるのは良いかもな……御三家はわりと卵から雄が生まれてくる確率高いし。

 

『あの、すみませーん』

 

「……ん、スタッフどうした」

 

だとしたら『ストリンダー』がいいかな? 試しに使ってみたら、音系の技に『メロメロ』と『キョダイカンデン』からの『たたりめ』が強かったし。

 

『もうカメラ回ってます』

 

「……おい作者」

 

だけどそれだったらHAに振った『弱点保険ウーラオス』で相性的に『リベロダイジェット』が来ることが多いからダイマしてからダイサンダーで一撃いけるかも。

 

「……話を聞け!」

 

ごふはぁあ!

い、痛い……痛いよ魔王。

地面に埋めるほどの力で殴るの止めてくれない? 最近ポケモンの熱が再発してきたんだよ。

悪いけど厳選に集中したいから話は後にして。

 

「……カメラ回ってるぞ」

 

「ふぁ!? マジでか!」

 

うわ、本当じゃんか。

なんで気づかなかったんだろ……

 

「はい、それじゃあ今から色々と話していきますよ!」

 

 

 

《今後について》

 

「……引退するのか?」

 

「しないからな!」

 

そういうことを言うのは止めてくれよ、一応前回にも言ったけどここでも言っときます。

投稿ペースが落ちることはあっても、引退することはありません。

 

「『まおたす』について少しね」

 

「……俺らに関することか」

 

そそ、この話はちょいとだけ真面目に聞く必要は……特にないな、軽く話していこう。

 

「先に言っておこう、続編はないぞ」

 

設定的に作ることは出来るけど、これ以上は作らない。

理由は幾つかあるけど……「これ以上は絶対に蛇足になること」「私が満足してるから」この二つだね。

一言で説明すると、ラスボスを倒してキリよく終わったから。

これが大部分を占めるね。

 

「……一応続編は作れるのか?」

 

あ、そこが気になるのね。

一話を思い出してほしいけど大きな崖あったの覚えてる?

元々、彼処は人間界と繋がってる予定だったんだよ。

それが前に話した「雷鳴の世界」ってこと、だから続きを作るとしたら舞台は「人間界」になったね。

……しつこく言うけど、作らないよ。

 

「……絶対にか」

 

絶対にだ。

それに一番の問題が……「異世界組」だな。

あれはあくまでキャラを「借りた」ようなもので、最終回が終わったから返却? したんだよ。

言い方が可笑しいけど触れないでね。

続編を作るなら必ずしも何処かで過去に触れる機会はある、その際に「異世界組」が回想シーンで出るかもしれない。

だけどそれは規約違反? になる。私の手元にはもうキャラが使える権利がないからな。

 

「……何言ってるかわからん」

 

あ~……要約すると、キャラを使う権利を返却したから「異世界組」は出せません。

また、回想シーンがあると必然的に「異世界組」が出てしまうので、続きを作れませんってわけ。

 

「……なるほどな」

 

「「異世界組」は出ないけど、魔王たちの番外編は書くぞ」

 

先に内容を言うと、雪女、狼男、コーラン、白雲、元・魔王の過去話を一話完結で書こうと思ってね。

 

「……言っていいのか? ネタバレだぞ」

 

いや、先に言っとく。

どうせ私が投稿サボりそうだから先に「こういうの書きます」って言った方が、読者側も「全部投稿されたから完全に終わったんだな」と認識出来るからね。

まぁこれは完全に蛇足になることを先に注意しておく、あまり期待しないでくれよ。

 

「……その5つをやるのか」

 

もしかしたら+αがあるかも。

 

「……なんだと?」

 

活動報告の方に書いてほしいのがあったら書いてもらおうと思ってね。

別にTwitterのDMでも良いけどね~

 

「……来るのか?」

 

知らね。

それに一話完結で書けないものは却下するけどな。

 

「……なら何が大丈夫なんだ?」

 

そうだなぁ……例えば「狼男vs雪女のバトル」や「魔王の日常」とかかなぁ。

他には「雪女、ショタコンになる」見たいに、ネタに走るのもありだね。

あ、使える権利がないから「異世界組」に関するものは作れませんよ。

この辺りは後で活動報告に纏めておきます。

 

「それじゃあ、本題。「まおたす」以外での今後について放していくよ」

 

「……ここで話す必要はないだろ」

 

言うな、それは分かってるから。

まぁ「メイン作品終わったけど、今後はどうするの?」って疑問に思う人がいるかもしれないからね。

念のためだよ、念のため。

 

「8月くらいはのんびり書こうかなと思ってる」

 

今まで投稿を休んでた小説書こうと思ってね、続きが思い付かないのは消しちゃうけど。

絶対に残すのは「短編」と「異世ギャグ」と「スライム君」かなぁ……あとは何があったか忘れた。

 

「……スライム?」

 

別作品の話だから気にするな。

それとその間に一番頑張りたいのは「吉良等ファンタジア」だな、月一投稿って言いながら、此方に力を入れてて投稿してないし。

 

「……なんだそれ」

 

これも別作品だ、軽く聞き流してくれれば問題ない。

そしてその一月(ひとつき)の間に新作のアイデアを固めておきたいな、王道系はあまり書いたことないし。

 

「……俺にも分かるように纏めろ」

 

おっと、悪い悪い。自分の世界に入っちまってた。

8月は別作品に力入れて、それと平行作業で新作の設定を固めていこうって言ってたんだ。

 

「……新作だと?」

 

まだ詳しいことは言わないよ。

飽きたら作らずに没になる可能性があるからね、そもそもタイトル自体決まってないし。

あ、主人公とヒロインと敵ライバルとラスボスと幹部はある程度は決まってるよ。

 

「……お前絶対に飽きるだろ」

 

………………。

だ、だだだ大丈夫だ、もも問題ない。

設定だけ考えてそのままポイって捨てるかもしれないから確実とは言えないのが辛いな。

まぁ新作を書くとしたら人をバンバンと殺す予定だけどな、「まおたす」を全員に情が移ったせいで味方の主要キャラは誰も死んでないし。

 

「……そうえばそうだな」

 

見返すと本当に甘かったと後悔してるよ。

味方の一人や二人、軽く殺しておけば良かった。

それやったらハッピーエンドにならないから、結局やらなかったと思うが。

 

「……甘えが出てるぞ」

 

ぐぬぬ、やっぱりどうにかしないと。

これじゃあ「どうせ生きるだろ」って読者にネタバレしてるようなものと同じじゃあないか。

 

「……それはまた今度考えろ」

 

また今度、ねぇ……分かった。じゃあ私は設定集と番外編を書く準備に入るから。

 

「……おい待て、設定集は進んでるのか」

 

ふっふっふっ、この私を誰だと思っているのかね?

ちょっぴし物語には矛盾が生じたが、基本的に大まかな設定は頭に入ってるんだ。

ただ少しだけ、主に殆どの技やキャラの本名を忘れてしまっただけだから何も問題ないさ。

 

「…………」

 

魔王は私が言ったことを聞くと、下を向いて右腕全体に力を入れ始めた。

ギプスでもついてるのではないかと錯覚するほど遅く、ゆっくりと握った拳を肩の力だけで自身の顔の近くへと持ってくる。

その腕には少年ながら、力強く力瘤が浮かび上がっていた。

手の甲から手首にかけて、細い血管がピクピクと動いてることから察するに、かなりの力を入れているのだろう。

魔王はその拳を握ったまま、ゆっくりと此方に歩いてきた。

 

「ま、魔王? そんなに怖い顔をしないでくれよ」

 

私は席を立って一歩、後ろに足を引く。

魔王は二歩、散歩するかのようなスピードで私に近づいてくる。

刹那、地面が魔王が居たところから中心に割れ、その衝撃で浮いた地面の一部が破片となって宙を舞う。

 

 

あ、これ殴られるパターンのやつじゃん。

 

 

そう考えたのもつかの間、既に私の目の前には私の顔めがけて跳んできた魔王が右半身を後ろにずらして、体全体を使って拳を振り下ろそうとしていることに気がついた。

 

「ぐぼらばぁしゃああ!」

 

結論、凄い怒った魔王に殴られた。

 

 

 

 

 

「……反省したか?」

 

はい、反省しました。

私の左頬は魔王に殴られた影響で赤く腫れているが、どうせ後で補正が働いて治るから気にしない。

 

「……じゃあ、お別れだな」

 

ん、そうえばそうだな。

魔王に殴られた影響で忘れてたけど、もう話したいことは話し終わったからこれで完全に終了だな。

活動報告に何か来たり、私がまだ話したいことを思い付いたらまた続きが投稿されるかもしれないが……一応はこれで最終回になるな。

 

「……作者、最後に何か言うことがあるだろ」

 

言うこと? あぁ、あるな。

これを言わなければ私はこれを終わらすことが出来ない。

ゆっくりと息を吸い、優しく息を吐く。

よしっ! それじゃあ最後に一言、言わせてもらいます!

 

「百合最高ッ!」

 

「……それでいいわけないだろ!」

 

「はぁ!? 良いに決まってるだろ、百合はこの世の真理、全人類が望んでいるものだ!」

 

「……知らねぇよ」

 

「はぁ~これだから魔王は、いいか? 百合ってのは偉大なんだ、ほら「ココチノ」や「コウりん」を見ろ、可愛いだろ? 尊いだろ?」

 

「……知るかぁ!」

 

そうして私と魔王の言い合い合戦が始まったが、それはまた別の話である。

正直、オチに入れただけで続きはない。

 

百合が尊すぎて辛いです、助けてください。 by作者





《今後について》
・続きは絶対に書かない
・番外編は5つ書く予定
・なお、何か書いてほしい要望があれば詳しくは活動報告にて
・関係ないけど新作を書く予定がある
・情が移って、主要キャラ(味方)を殺せなかった
・今後は味方の一人や二人を殺したい
・設定集は一文字も進んでません
・活動報告に何か来たり、私が話したいことがあればまた「裏話」を書く
【活動報告】

それでは最後に一言……



百合最高ッ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

裏話やらなんやらその7です、助けてください。

拝啓 読者様

後書きに纏めるの疲れたので、本文を読んでください。


「『アバンストラッシュ』」

 

オッス、オラのろとり。

最近『ダイの大冒険』にハマっていて『アバンストラッシュ』の練習をしているところだ。

こんなところ誰かに見られたら恥ずかしすぎるからな、この話を見てる諸君だけの秘密にしてくれよ。

 

「……おい、作者」

 

「なんか違うよなー、もうちょいこうか」

 

私は右手に持っている傘を逆手に持ち替え、中腰程度に膝を曲げて正面を向く。

傘を右から左半身側に運び、本来なら刃がある部分を外側に向けて声を出しながら右ななめ上に向かって傘を振った。

 

「『アバンストラッシュ』」

 

しかし なにもおこらなかった!

 

「何故だ、何故出来ない……私がドラクエを殆ど知らないからか? クソっ! ただでさえ、最近ダイ大に出てくる呪文のメラ系とヒャド系とイオ系の名前を覚えたというのに……何処が行けなかったんだ!」

 

「……お前、アバンの使徒じゃないだろ」

 

「あ、確かに。教えてくれてありがとう魔王さ、ま……」

 

のろとりは にげだした!

しかし まわりこまれた!

 

 

 

 

 

「忘れてくれ、今あったことを忘れてくれぇ!」

 

「……それは分かったから早く話していくぞ」

 

ほい了解。

それで今回話すのは「番外編の色々」だな。

最初に話すのは狼男と雪女についてでいいか、アイツらは二人でセットみたいなところあるし。

 

「最初の設定だと、アイツらを結婚させようとしてたんだよな」

 

「……あの二人が結婚、意外だな」

 

まぁそれやろうとしたけど、まおたすを一から読んでたら「狼男に嫁さん居るやんけ、これで雪女と結婚させるのは嫌だな」ってことで無くなったんだよな。

雪女の腹に子供作らなくて色々と良かった気がするけどな……

 

「……何故だ?」

 

考えてもみろ。

元カノの墓で新しい彼女連れてきて「子供が出来た」って報告してるんだぜ? どう考えても修羅場になっちまうだろ。

 

「……確かにそれは嫌だな」

 

だろ? 私もちゃんと考えてるのさ。

本音を言うと「NTRや二股とか嫌いだから止めよう」って言う私情が10割だけどな。

 

「あとあれだな、そうすると雪女が元・魔王を諦めたみたいに見えるからな」

 

「……好きだったのか?」

 

「いや、憧れが殆どってところだな」

 

最初はコーランの恋敵にしようと思ったけど、狼男とのやりとりが好きになったから元・魔王に持っている感情を憧れに変えた。

 

「……そのせいで攻撃されたけどな」

 

初期の話じゃねーかよ、それぐらい流せや。

一章の後半辺りまでは何処か不信感持ってただろうけど、二章からは完全に信用されてたじゃんかよ。心のちっせぇ男だなぁ、それぐらい流しやがれ。

 

「……ロリコン」

 

「は? テメェの存在消してやろうか」

 

「……お前も狭いな」

 

おまいう。

コーランを見習え、コーランを。

アイツは元・魔王が何処かに行って、お前が居たときも迎え入れて雪女も説得したんだぜ? あいつこそ心の広い人物であり、元・魔王の婚約者だろ。

 

「……誰もそこまでは言ってねぇよ」

 

 

 

《コーランと元・魔王の話》

 

「じゃあその繋がりでこの二人を話していくぞ」

 

「……幼馴染み、だな」

 

そだな。

本編が完結する前からこの二人を幼馴染みにしようと考えてたんだよ。

ただの封印される前の仲間、でも良いんだけど「そんなに経ってるのに魔王様覚えてるのかな……?」って不安になったから特別な存在にしたんだ。

そしてコーランにとって元・魔王は救うことの出来なかった人物だな。

 

「……救うことの出来なかった人物?」

 

あぁ、そうだ。

元・魔王は人間……いや、魔物か。魔物不信になってコーランはどうにかしようとしたけど何も出来なくていつからか本名の『マトロア』ではなく『魔王』と呼んで距離をとってしまってたな。

 

「……初めて本名を知った」

 

元々は付けない予定だったけど、幼馴染みだけが名前で呼んでるのって良いな。と思ったから急遽名前を付けることにした。

コーランがまた『魔王』としてでなく『幼馴染み』と接することが出来るまでずっと名前で呼べる日を待ってたのかねぇ。

 

「……後付けか」

 

雰囲気ぶっ壊すこと言うの止めてくれない?

合ってるけどさぁ、確かに合ってるけど。

 

「……コーランが『マトロア』と呼ぶのは何時になるんだ?」

 

さぁね、こればかりは私にも分からん。

ただ……少なくとも、オマエとマトロアの二人と一緒に話せる時が来てからじゃないかな。

 

いつか訪れると良いよな、助けてください。 by作者




次回は白雲と、ちょっとしたことを話して終わりです。

……………新作、新作かぁ。設定は考えたからあとは書くだけなんだけどなぁ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

裏話やらなんやらその8です、助けてください。

拝啓 読者様

うぅ、これでこの章の投稿も最後か。
なんか目から涙が……出ねぇよ。
寂しくはありますけど、いつか終わりが来ますからね。
クヨクヨしてたらいけませんし、もう最終回は向かえてるのでそこまで悲しくはないです。

それでは、どうぞ!


「これでとうとう、最後の投稿に……なるのか」

 

「……設定を投稿してないだろ」

 

「止めて? ねぇ魔王様、今シリアス風に喋ってたの。それで読者に『とうとう終わりかぁ……』と思わせて設定のことを有耶無耶にしようとしてたのにさぁ!」

 

「……考えが酷いな」

 

「ハッ、知るかよ! 今日で私はハーメルンで活動し始めて四年目になるんだ。実質今日は誕生日! 何をしようと自由なんだよ!」

 

「……はいはい。それじゃあ今回の話題を話していくぞ」

 

 

 

 

 

《白雲の話》

 

「……なぁのろとり、白雲のあれってあの解釈で合ってるのか?」

 

白雲の『あれ』って言うと……魔王と親友が重なって見えた話のことか?

あれならその通りさ『魔王=前世の親友』で合ってるぜ。

ただまぁ、白雲自身がそのことに気付く……いや、思い出せるかは知らないけどな。

 

「……思い出す?」

 

そう。白雲が持ってる能力の代償として、願いを叶える代わりに自分の大切な『前世の記憶』が失われてるんでな。

今まで仲間達が全員生存できたり、別世界から人を呼んで助けてもらったりしたんだ。

その代償が『記憶の消滅』なんだよ。

 

「……待て、雷鳴達が此方に来たのは白雲のせいなのか?」

 

「それは少し誤解があるね」

 

あくまで切れ目を使ったのは新・魔王だ。

だけど白雲は元・魔王が眠ってる間、無意識に『強大な敵が来ても勝てる仲間が欲しい』とでも願ったんだろ。

その影響で来たのがアイツらってことさ。まぁさすがに世界を越えるほどの願いだから、完全には能力が発動しなかったようだが。

空良はちゃんと強いが、ミサは能力が強いだけ、雷鳴と海楽はシリアスぶっ壊すし、商人は存在自体が危険だ。

完全に発動してたら、そんな弱い奴や危ない奴はこの世界に来ないだろ。まぁ海楽は別枠だがな。

 

「……白雲の能力の範囲ってどのくらいだ?」

 

「う~ん、そこまでは考えてなかったな。白雲の能力自身、後付け設定だからなぁ」

 

少なくとも、完全ではないが別世界に干渉できる程度の力ってことになるかな。

また、100%出来ないことは不可能だな。例えば元・魔王が新・魔王をデコピン一発で倒せるほど強化されるとか。

あくまで『起こるかもしれない可能性を上げる』ってのが限度かな。

 

「……と、言うと?」

 

「不可能なモノには能力は発動しない、ってことだ」

 

存在しないモノを持ってくることは出来ないし、その可能性が存在しないなら発動もしない。

ただ、別世界に干渉するほど大きな力で無い限りは基本的には発動する。ってことだな。

 

「……なるほどな」

 

「さて、話を戻して白雲が思い出すかどうか。に戻るよ」

 

正直に言って思い出すかは私にも分からない。

それはあくまでアイツら次第であって、そこに作者が干渉しようとは思わないね。それに、そう言うのはあまり手を付けない方が良いだろうし。

 

「……俺から話を振ることは?」

 

「それは魔王様次第だ。まぁそのとき白雲に記憶があるかは知らないよ」

 

「……そうか」

 

 

 

《ちょっとした話》

 

「そうえば魔王様。私が前に『続編は書かない』って言ったのは覚えてる?」

 

「……あぁ。確か『続編を書こうとすると、どう足掻いても異世界組が出てくるから駄目』って言ってたな」

 

「そうそう。あくまであれは『借りた』キャラであって、もう返したから私が使える権利はないからね。仮に使ったとしたら『無断使用』になっちまうのさ」

 

「……面倒だな」

 

もしかしたら『そんなの気にしない』って人も居るかもしれないけど、これはあくまで私のけじめだからね。

使えるからと言って、ずっと使いまくってたらキャラ崩壊しそうだから、これで区切る。それが一番だと思ってるよ。

 

「だが、異世界組を使わない続編ならセーフさ」

 

「……何言ってんだ?」

 

「『パラレルワールド』だよ」

 

「……止めとけ、飽きるぞ」

 

待て待て魔王様、確かに私には前科があるけどそう止めるなよ。

新・魔王に倒された世界とか、私が今まで作ったキャラを集結させて新・魔王と戦う『カオスオールスターバトル』とか考えてたのに。

 

「……公開中になってる中で、お前が今まで作ったキャラを上げてみろ」

 

「ギャグ補正持ちの人間、文房具で戦う人間、魔王 is love な勇者、火の木の棒で魔王城を燃やす人間、バレンタインにチョコが欲しい魔王様、スライム、自我を持つ系家電製品……こんなものか」

 

「……誰にも会いたくねぇ」

 

「なんでさ!」

 

安心しろよ。インクを目にぶちまけられたり、国を総動員させて魔王を探したり、家電製品が喋ってるだけだって! ほら、安心だろ?

 

「……それのどこに安心する要素が?」

 

雷鳴よりはマシだろ。

ちゃんと戦うし、空間をギャグワールドにしないし。

 

「……存在自体でシリアスが消えるんだが?」

 

大丈夫だって、いざとなったら火の木の棒で家電製品は爆発させればいいし、敵から逃げたいときはインクを目にぶちまけて逃げられるし……最高の仲間じゃないか!

 

「……最悪の仲間だよ」

 

「まったく、いつも文句が多いねぇ。今回でこのシリーズ()が終わるってのに」

 

「……いつも通りだから、いいんだろ」

 

「ま、魔王様…………!

 

ちょっと急にシリアスにしないでくださる? シリアス臭が移りますわよ」

 

「……〇す」

 

「わー! 待って、悪かった。ふざけた私が悪かったから。魔人化しないで、最終形態で私をボコらないでくれ!」

 

誰か……誰か、助けてください。 by作者




二つ目に話した内容? あんなカオスなの誰が書くんですか。
雷鳴が霞むほどヤベー奴らを一ヶ所に集結させたら処理しきれなくなって未完になるのがオチです。
……まぁ、【仮に】ですが、仮の仮で書くとしても展開やら考えないといけないので、数ヵ月は必要ですね。


それでは皆さん、次に会うのは何処でかは分かりませんがまたいつか!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

裏話やらなんやらその9です、助けてください。

拝啓 読者様

この前投稿した二.五章に関する話の前半です。
後半を投稿するのはいつになるかは分かりませんが、長い目で見てくださいませ。


「魔王様」

 

「……何か、遺言はあるか」

 

 どうも、この前エイプリルフールネタで「新章スタート!」と嘘を付いたら魔王様に殺されそうになってるのろとりさんです。

 良いじゃんかよー、一日ぐらい嘘を付いても。それに「構成さえ出来ればガチで続編書こうかなー」って考えてたんだからな! 結局は無理だったけど。

 

「……最期に言うことは無いのか、分かった」

 

 魔王様は目の前で正座している私に向かって拳を握り、その姿を変えていった。ちょ、お前それ魔人化状態じゃんか。

 私が今までに創ったオリキャラの中で最強の姿じゃんかよ。そんなポンポン使うなよ、ありがたみを感じなくなるだろうが。

 

「【……滅びろ】」

 

「助け」

 

 私の小さな言葉は誰かに聞こえることはなく、魔王様にボコボコにされた。

 

 

 

 

 

「さて、冒頭の茶番をやったから話していくぞ」

 

「【……分かった】」

 

 こいつはいつまで魔人化してるつもりなんだよ……まぁいいや、そしてまず話すことはあれだ。ガチで忙しくなって月一すらも厳しくなってることだな。

 

「【……違う】」

 

「そうだっけか?」

 

 ならダイ大のOPが変わったこと? それともジョジョ六部のアニメ化が決定したことか?

 

「【……二.五章のことだ】」

 

「あれか!」

 

 あれの設定やら展開やらを話すってことでいいかな。正直言って、あまり喋ることが無い気が……でも今回は世界線に触れておくか。

 

「まず始めに、あの章には世界線が違うキャラが居ることから説明するね」

 

「【……全員来てる世界が違うって話か?】」

 

「違う違う。それもそうだけど、世界は同じだけどパラレルワールドになってる。と言った方が良いかな」

 

「【……何言ってんだ】」

 

「もっと詳しく説明すると……」

 

 魔王様がいた世界では新・魔王を倒したじゃんか。キャラや世界観が同じであることをここでは『世界』と表す。

そして殆ど同じだけど、本来の歴史とは違うことを『世界線』って表すよ。例えるなら、新・魔王に勝った世界Aと、新・魔王に負けた世界Bがあるとすると……後は分かるかな。

 

「【……異世界か、平行世界かの違いか】」

 

 正解! 『現代とファンタジー世界』のように全くことなく世界を異世界と言って、同じ世界だけど「もしも」が起きた世界を平行世界と言うよ。

 

 つまりは、雷鳴、新・魔王、元・魔王、白雲の四人は平行世界から来た住民ってことなのさ……まぁ雷鳴はちょっと例外になるけど、面倒だからここでは元・魔王と同じ世界に住んでる。ってことで話していくよ。

 

 元・魔王と白雲の新・魔王に負けた世界線を世界A

 新・魔王の世界線を世界B

 雷鳴の世界線を世界C として考えていくよ。

 

「まずは世界Aは一章で魔王様達が負けたIF世界だよ」

 

 マライア君が表に出てくるための魔力が足りなくて、新・魔王に負けたって言う設定だよ。

 

「【……俺が出てこなかった世界か】」

 

「どっちが喋ってるか間際らしいから、一度魔人化を解いてくんね?」

 

【……分かった】

 

「ほい。次は世界Bに付いて話すよ」

 

 これは一章で元・魔王に勝ち、世界を支配したって言う設定だぜ。ちなみに世界Aと世界Bは繋がってるよ。

 

【……別ける必要はあったのか】

 

「あくまで世界A→世界Bとはなってるから一応ね」

 

「そして最後。雷鳴の世界Cは本編終了後の世界なのさ」

 

 要するに一章の敗北ルートが世界Aと世界Bの世界線

 本編終了、つまりは正史ルートが世界Cってこと。

 

【……間際らしいな】

 

「それな」

 

 元・魔王からすれば自分を殺した新・魔王が「お前に負けた」とかワケわからんこと言ってるし、雷鳴からしたら「新・魔王が生きてる!」って状況だし、かなり面倒なことになってるな。

 

【……そろそろ時間だな】

 

「あ、確かに」

 

 まだ展開の話とかしてないけど、これ以上話すと本当に長くなりそうだから勘弁してください。

 それではまた次回に会いましょう。それではッ!

 

時間が足りないです、助けてください。 by作者




【まとめ】
二.五章の元・魔王と白雲は一章で新・魔王に敗北した世界から登場

新・魔王は一章で元・魔王達に勝利した世界……つまりは上と同じ世界から登場

雷鳴は二章終了後、つまりは本編が終了後の世界から登場


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

裏話やらなんやらその10です、助けてください。

拝啓 読者様

半年振りですね、こんにちは。
リハビリ感覚で書いたのもあって、違和感があるかもしれませんが、大目に見てくれると嬉しいです。

剣盾でマスボ級に行ったり、BDSPをサトシパ縛りでクリアしたり、APEXでゴールド帯に行ったり、BDSPの縛り付き生放送を見たり、最近出た秘密結社の女幹部であるVTuberさんを見てたり……まぁ、色々とありました。

今回は二.五章に関する話の後半です。
前回の話がややこしかったのもあって、前半に話した内容も入っています。
それでは、どうぞ!


「実に半年振りだね、魔王様」

 

「……もうそんなに立つのか」

 

 いやぁ、前回の投稿から半年も空くなんて思わなかったよ。そのせいでちょっと書き方忘れた。

 いつもどんな感じにやってたっけ。こんな風に雑談しながら裏話とか喋ってたっけ。

 

「……覚えてないな」

 

 そりゃあ書いてるのは私だから、魔王様が知ってる訳無いけどさぁ……まぁいいや。書きながら感覚を思い出していくか。

 で、前回はエイプリルフールに作ったIF話の世界観について話したんだったか。

 

「……紛らわしくて忘れた」

 

 え、マジか。なら軽くおさらいするぞ。

 IF世界での魔王様は一章で新・魔王に負けた世界線の人物。詳しく言うと、マライア(元・魔王)が復活する魔力が足りなくて、表に出てこなかった世界線だ。

 そして雷鳴側は本編(二章)終了後から来てる世界レベルだから、新・魔王と戦うのはIF世界を含めると三回目だね。なんでコイツは主人公と同じ回数ラスボスと戦ってんだろ。

 

「……一章で負けた俺と、新・魔王を倒した二章後の雷鳴が同じ世界に居るのか」

 

 そうそう、そゆこと。思い出してくれたかな。ちなみにだけど、白雲は元・魔王と同じ(一章で負けた)世界線から来てるよ。

 それで最後に新・魔王。コイツは一章で元・魔王を倒した世界線……つまりは、最初に話した世界線から来た人物だね。

 

「……雷鳴だけは本編後、俺含めた三人は一章の主人公敗北ルートからか」

 

 説明ありがとうな魔王様。

 てか魔王様ってそんなに長文喋ってたっけ? 話すときに三点リーダーが空いてたことしか記憶にねぇや。

 

「……それで良いのかお前は」

 

 よくはねぇよ。けど、忘れちまったものはしょうがない。そこでグダグダするよりも、さっさと切り替えて次に運んだ方が早いだろ。

 それに、書いてる内に段々と思い出したから問題はない。

 ……っと、流石に前置きが長すぎたな。次に話すのは他の異世界メンバー、まぁ私のオリジナルキャラ達についてだな。

 

「……あの手に負えない奴らの話か」

 

 うん、考えた私ですら同時に二人登場させるのがギリギリなほど制御が難しくて、無駄に強くて、ギャグ補正ばかりの奴らだな。

 1人1人語っていくと時間がかかるし、ただの宣伝になるから省くぞ。

 

「……なんであんな奴らが居るんだ」

 

 物語的な設定で言うと、白雲が『新・魔王を倒せるほどの強い仲間が欲しい』って願ったのが理由。

 メタ的な部分で言うと、私が今までに考えたキャラクター達を集合させたかったのが理由。

 

「……便利だな白雲」

 

 今振り替えると、白雲の能力が便利すぎるんだよなぁ……あれ思い付いたのは本編終了後だけど。

 最初は白雲があのチート能力は無い設定だったから、切れ目から強い仲間を呼び出してカオスな光景にさせる予定だったんよ。

 

「……結局は白雲か」

 

 アイツ便利だしな。移動や攻撃、回避や防御に使えるとかチートだろあれ。余談になるけど、この技の元ネタは『飛鷹征矢』や『虹村億泰』だな。最初は相手の技を無効化させるだけだったけど、少し考えて『八雲紫』に能力が似てることから閃いて、移動とか出来るようにした。

 

「……そうか。それで、あの物語の結末はどうなるんだ」

 

 本編と変わらず、【マジン】にする予定だったな。元々、このカオスストーリーを思い付いたのはかなり前だからな。

 いつ頃だったか詳しいのは分からないけど、マイページのある執筆中の所を遡ってみたら、二章の序盤辺りにはもう設定を書き始めてたな。もっと具体的に言うと、19年の9月だ。

 

「……そんなに前か」

 

「元々は19年の6月に誕生日企画(3月)用に考えてた物を、魔王様の方に輸入したものだから、元は出来てたんだよ」

 

 結局は没にしたけど、ちょうど魔王様の作品に落とし込めそうだから数年後に復活させたんよな。

 最終的には話の構想が出来なくてエイプリルフールネタになったけど、楽しかったな~

 

 

 

 

 

「あ、そうだ魔王様。物語の構成もあるっちゃあるけど、聞くか?」

 

「……気になるな」

 

「おけ把握」

 

 一章終了後、新・魔王が別の世界で暴れていた。

 一方で魔王様と白雲は死んだかと思われていたが、一章での激しい戦いで起きた時空の狭間に巻き込まれ、瀕死になりながらも別世界……新・魔王の居る世界に迷い込んだ。

 目を覚ました魔王様が探索していってると、色んな仲間(カオスな奴ら)に会って、他の奴らも迷い込んだと知る(白雲のせい)。そして協力してこの世界から出ようとする。

 途中で新・魔王の仲間と戦い、新・魔王の仕業だと考える(ただし濡れ衣)。なんやかんやあって、最終的には新・魔王と戦う。

 途中で雷鳴に【魔人化】と言うものを教えてもらって変化、最終形態となって新・魔王に勝つ。

 

「ここまでが予定だったな。正直言って、本編と倒し方が同じだから没にして良かったと思ってる」

 

 わたしの中で、魔王様の形態は【魔人化】が最終形態で最強だと思ってるから、これを越えるものが思い付かないんだよね。

 形態とは別だけど、有るとしたら仲間の力を貰って一撃アタックってのもあるな。

 

「……それで良くないか?」

 

 じゃあ魔王様、あんたはアイツらから力を貰ってパワーアップ出来ると思うか?

 ギャグ補正だったり、文房具や火の木の棒を使って戦ったり、雑魚能力持ちだったり、喋る家電製品達だぞ。

もう一度聞こう、このメンバー達から力を貰ってパワーアップ出来ると思うか?

 

「…………」

 

「それは否定ってことで受け取るぞ」

 

 私がもっとアイデアとか思い付けば、コイツらから力を貰ってパワーアップ的な展開を思い付くんだろうけど、コイツらの行動を思い出すと、パワーアップ出来るように思えないんだよなぁ。そもそも、正直に力をくれるかも分からん。そもそもお前らは癖が強すぎるんだよ。

 少なくとも私の頭ではコイツら全員を活躍させる展開が思い付かないんだ、許してくれ。

 

「……お前も大変だな」

 

「まぁな」

 

 私もまだまだだねぇ。自分で考えたキャラクターを満足に動かせないなんて……いやまぁ、殆どのキャラが全力でギャグ振った奴らだから、扱いにくいのはしょうがないとは思ってるけどね。

 

「……そろそろ時間だな」

 

「もうか」

 

 早いな。活動報告の感覚で書いてたのが理由なのか分からないけど、もっと時間がかかると思ってたな。

 

「それでは皆さん、次に会うのはキャラ設定の時だと思います。それでは!」

 

「……じゃあな」

 

キャラ設定をぜんぜん纏めてないです、助けてください。 by作者




 多分ですけど、今回で裏話やら話のは終わりになります。
 話すことは全部話したと思いますし、後はキャラ設定を纏めるだけです。
 もし話し忘れてたことがあったら続きはしますけど……無いかなぁ。あったらあったで、キャラ設定にぶちこんで誤魔化せば良いですし。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

キャラ設定です、助けてください。 by作者

拝啓 読者様

何年ぶりだろ……? ちょいと覚えてないな。まぁいいや。どうも、作者の「のろとり」です。
前から少しずつ書いてたキャラ設定が完成したので載せておきます。また、異世界組の紹介も軽くではありますが載せてもらいました。
……と言っても、本編でのことを軽くと能力紹介ぐらいですが。あまり語りすぎるとあっち側のネタバレになるので。


《主人公組》

【元・魔王(憑依者)】

 今作の主人公であり、現代から元・魔王に憑依してきた人物。

 本名は不明。前の世界で一緒に居た親友の墓参りをしていたらこの世界に来たようである。

 最初は元・魔王の有り余る力をコントロール出来ずに色んな物を壊していたが、戦っていく内に力を押さえられるようになった。ただし、想像を上回る強敵との戦いになってきたため、手加減を覚えた意味が無くなった。

 戦闘スタイルは拳で戦う物理型。二章からは魔力が使えるようになり、魔法で牽制や自身を強化しながらのスタイルへとなった。

 世界を支配しようとする新・魔王との戦いに勝ったかと思われたが、新・魔王が別の体に憑依して復活。あの圧倒的な強さがトラウマとなり、二章では一人で、急いで倒そうと焦っていた。

 しかし自分一人で戦っている訳ではないと思い出し、異世界の仲間と協力して新・魔王を撃破した。

 最終回では自身の住む世界の復興をしており、異世界組へと手紙を書いていた。

 

 

【元・魔王(マライア)】

 本来の体の持ち主であり、長い間封印されていた人物である。

 封印されていた理由は、嘗ての戦いで重症負って体を休ませるために自らを封印したため。

 昔は力こそ全ての世界で誰も信頼することが出来なかったが、憑依者を通して仲間の暖かさを知り、少しずつ信用するようになった。

 喋る前に「……」と入るのは、誰かと喋ることが無さすぎて、言葉を出すことがなかったため、考えたことを口を開けて喋るまでの間が空いてるだけである。要するに、喋るのことを忘れた結果、変な癖が付いてしまっただけ。

 戦闘スタイルは魔法と拳を中心とした近・中距離で戦う万能型。

 また、二章では魔力が足りなかったので、憑依者が睡眠中以外では語りかけることが出来なかったため、殆ど出番が無かった悲しい人物でもある。

 最終回では長い年月で魔力が自然回復しているため、憑依者とも会話が出来るようになっている。本編では無かったが、人格を交代して表に出てくることも可能である。

 

 

【白雲】

 元・魔王の側近であり、元・魔王の封印を解いた人物。

 その正体は新・魔王によってロボットであり、中身は前世持ちの元・人間である。

 本名はおろか、前世の記憶も殆ど忘れてしまっており、今では前世は人間であったことと、親友が居たことしか覚えていない悲しき人物でもある。

 空間を切り裂き『切れ目』と呼ばれる物から飛び出たり、それを使って別空間に攻撃を飛ばして防御することが出来る。

 また『願いを叶える能力』を持っており、本人は無意識で使っていた。しかし代償として『大切なもの』を失うため、能力の使用により大切な前世の記憶が殆ど忘れてしまった。

 戦闘スタイルは鎌と切れ目を使った近・中距離型。切れ目で攻撃を防いだり、移動しながら鎌で攻撃をする。

 最終回では元・魔王の右腕となっている。

 

 

【狼男】

 元・魔王の仲間。

 物語開始前に恋人や家族は全員死亡。その原因である元・魔王を恨んでおり、序盤にて勝負を仕掛けたが敗北。元・魔王について知り、命を掛けるほどの人物だと考えたため、仲間へとなった。

 雪女とは仲が悪くて喧嘩をよくするが、それが何処か心地よく感じてるのも仲間になった理由である。

 戦闘スタイルは爪や拳を使った近距離型。所謂脳筋であるため、戦略なんて物は何も考えていない。

 最終回では元・魔王の幹部へとなっている。未だに雪女と喧嘩している。主な喧嘩内容はどっちが偉いか。

 

 

【雪女】

 元・魔王の仲間。

 物語開始前に元・魔王に会ったことがある。元・魔王を尊敬しているが、その皮を被った憑依者を嫌っていた。理由としては、尊敬している人物の姿で知らない人物が話しかけてくるのが嫌だったため。

 本物の元・魔王を取り戻すために一緒に行動していたが、次第に嫌いではなくなった。

 狼男とは仲が悪くて喧嘩をよくするが、それが何処か心地よく感じてるのも仲間になった理由である。

 戦闘スタイルは冷気や氷を操る中距離型。冷気を出して周りを冷たくし、氷や雪を作りやすくして戦う。

 最終回では元・魔王の幹部になっている。未だに狼男と喧嘩している。主な喧嘩内容はどっちが偉いか。

 

 

【コーラン】

 元・魔王の幼馴染み。

 物語開始前は元・魔王と一緒に居た。力で支配していた元・魔王が誰も信じられなくなっていることに対して、助けたいと考えていたが自分の力だけでは出来ないと躊躇していた。

 元・魔王が封印された後は各地を転々として、封印を解く方法や新・魔王の情報を集めていた。ある日、偶然憑依者を出会い一緒に行動することに。

 幼馴染みとは違う人物であることは分かっていたが、憑依者と元・魔王の魂の二つが体にあると感じ、何かあるのだと考えて放置していた。

 戦闘スタイルは回復などの後方支援型。ダメージの大きさによって回復の速度が変わる。

 最終回では元・魔王の補佐になっている。幼馴染みと誰かを信じれるようになったことを喜びながら、隣に立てることを嬉しく思っている。

 

 

 

《ラスボスサイド》

【新・魔王】

 この物語のラスボスにして、二度に渡って元・魔王を倒そうとしてきた異世界人。

 出生や目的などは不明ではあるが、今までに数々の世界を滅ぼしてきた人物。その強さはかなりのものであり、作中では単体最強である。

 元・魔王のように一点に集中させた技で油断してるところを攻撃するか、魔人化のように強さを上回っている状態で無いと倒せないほどである。

 自身の強さに絶対的な自身を持っており、元・魔王を直接倒したりしなかったり、逃げた白雲を「どうせ俺には勝てないから」の理由で見逃したりと、爪が甘い人物。

 一章で元・魔王に敗北して魂だけの存在となったが、複数のクローンに魂を分裂させ憑依、そのまま長いときを経て二章で復活。

 二章では新しい体に馴れていない状態で能力を使ったために異世界人を呼んでしまう。

 戦闘するのは拳や魔法を使いながらも、能力である『切れ目』と呼ばれるモノで、空間を移動したりもするオールラウンド型。一撃一撃が協力であり、元・魔王ほどの実力者ても数回喰らってダウンするほどである。

 最期は異世界人と力を合わせた元・魔王の作戦によって敗北。

 

 

【棒人間】

 新・魔王の幹部。

 口が無いのに喋れるし、自身から生成する黒い棒を身体にくっつければ、体の部位を再生出来る回復力を持つ。ただし、身体は治っても体力が戻るわけではない。

 シャープペンシルの芯程度の細さの黒い棒を生成し、それを何重にも纏めて剣や球体を作って攻撃してくる。

わりとポンコツ。

 一章にて元・魔王に敗北するが、体力がキレて気絶していただけのため二章にて再登場。しかし、二章にてパワーアップした元・魔王と異世界組によって敗北。

 何故か意気投合して雷鳴と共に行動していたが、商人の策略にハマって森から永遠に出られなくなった。

 元々は雷鳴の作品にも棒人間が登場しており、その先祖にする予定だったがスピンオフの予定が消えたため、その設定自体無くなった。

 

 

【紙の幹部】

 新・魔王の幹部。

 魔法が使えない状態の元・魔王と同等近くの実力を持っている。ペラペラな紙一枚の体に顔と、丸めた紙で作られた四肢が付いている。

 見た目は弱くあるが、元・魔王の拳を喰らってもピンピンしてる耐久力と、自身の腕を伸ばしたり腕の形を変形させて戦車を作ったりと、わりとなんでもあり。

 ただし弱点は炎や水であり、水を身体に浴びて湖に沈められて元・魔王に敗北した。

 最初は「身体が紙で出来てる奴出したら面白そう」とネタで登場させたが、書いてたら思ったより強くなった。

 

 

【剣の魔物】

 新・魔王の手下。

 いい感じの名前が思い付かないので、見た目そのまんまの名前にした。

 人形で、腕の代わりに剣が生えてる魔物。どうやって食事してるとかは突っ込んだら負け。

 自身から生えてる剣で相手を切り刻む他に、何故か催眠術も使える。きっと食事するのに誰かを操って食べさせてもらうためだな、うん。

 最初は「剣から腕生えてる意味不明な敵出すかwww」と思って登場させたが、性格がゲスなのでマライアを登場出来そうだったので犠牲になってもらった。

 

 

【門番1】

 新・魔王の手下。

 モブが一切出ないのは違和感あるので、一発感覚で登場させたキャラ。棒人間が居た場所で門番をしていた。

 黒い翼が生えてるので元・魔王に悪魔と名付けられた。

 

【門番2】

 新・魔王の手下。

 モブが一切出ないのは違和感あるので、一発感覚で登場させたキャラ。棒人間が居た場所で門番をしていた。

 白と黒の翼が生えており、天使と悪魔のように見えるので元・魔王に天魔と名付けられた。

 

 

【何か】

 第二章で登場した新・魔王の手下。

 元々は何かしらの研究で誕生した副産物で、物理攻撃が一切効かないスライムのような存在。

 自身の身体を沸騰させて熱を出したり、相手の体力を奪って成長する。また、爆発や拳等の攻撃を喰らっても再生する不死身さも持っている。

 弱点としては、本編で白雲が使ったように毒等の状態異常で倒すこと。「何か」は何でも吸収するので、本編では毒を吸収したことで敗北。

 作者としては一話に出した毒の花を登場させたかったが、みんな忘れてそうなので休憩編にて登場させて、読者の記憶に再び植え付ける工夫をした。

 元ネタはワンパンマンに出てくる「エビル天然水」や、このすばに出てくる「ハンス」も参考にし、状態異常で倒すことを思い付いた。

 

 

【偽物】

 第二章で登場した新・魔王の手下。

 元々は何かしらの研究で誕生した副産物で、相手の力や記憶などをコピーして戦う厄介な相手。

 空良に変身していた人物。元の身体は全身黒塗りされていて分からない。イメージとしては、コナンの犯人。

 倒す方法としては単純にこの「偽物」と戦って勝つ、それだけである。本編では一対一だったが、別にそんな誓約は無い。

 性格はかなり曲がっており、本人に成り代わって身近な人物の命が尽きるギリギリに「私偽物でした~」としたいとのこと。本編ではそのことが空良の逆鱗に触れ、火事場の馬鹿力で倒された。

 本編では曖昧であったが、「偽物」は見た対象に変身出来る。欠点としてはその人物の経験まではコピー出来ないので、自身と同等またはそれ以上の相手と多く戦ってきた人物ほど、「偽物」に対して簡単に勝てる。

 元ネタはドッペルゲンガー。空良が苦戦しそうな敵を考えた結果、自分自身と戦ってもらうことにした。

 

 

《その他》

(るな)

 誰だっけコイツ?と思われただろうが、二章開始……時系列的には一章と二章の間にて登場した人物。

 狼のような鼻と体が筋肉で出来ている。マライアの幹部であったが、マライアが封印された事が切っ掛けで幹部を止めて一人旅をしていた。

 月の親友が新・魔王に倒されたことを知り、復讐をするために一章開始前にて新・魔王のアジトに単独で侵入するが、返り討ちに会う。

 地下の研究室にて意識が無いまま、自身のクローンを作られて新・魔王に身体を乗っ取られる。

 最終的には一切意識が戻ることの無いまま、新・魔王と共に倒される。

 個人的な話になるが、筋肉モリモリの脳筋居たな~程度に覚えていたが、このキャラの名前は忘れてた。

 

 

《異世界組》

【雷鳴】

作者:のろとり

作品:異世界転生に特典としてギャグ補正持ってったら最強だった件

 私の考えたオリジナルキャラクター。元々この作品は雷鳴のスピンオフにする予定であった。しかし思った以上の人気と、書きやすさによって独立することになった。

 異世界では無理矢理勇者をされており、能力として『ギャグ補正』を持っている。戦いが嫌いで逃げ腰。メタ的な発言をしてくれるので作者的には書きやすい。

 

 

虎尾阿 ミサ(こびあ みさ)

作者:有限世界 様

作品:『俺の能力雑魚過ぎない?』

URL:登場して居ないため無し

 神様によって異世界に転生する予定だったが、新・魔王の妨害に合い偶然にもこの世界に来てしまった転生者。

 威力と範囲が固定されているが『爆発』が能力として使える。正直な話、現代だろうとなんだろうと敵味方関係無く全てを消し飛ばす程の威力があるので、使えない能力。

(私の作品からの登場ですが、「この作品に居そうなキャラを登場してほしい」と『有限世界』様のリクエストであるため、作者名と作品名がそうなっています)

 

 

心山(こころやま) 空良(そら)

作者:翠昌 秋 様

作品:『一年前に失踪した幼馴染みが異世界から帰ってきた件』

URL:2022年3月24日現在非公開

 現代から異世界に飛ばされ、現代に戻るために魔王討伐をしていた勇者。現代には『仙くん』という幼馴染みが居る。

 本作品では元・魔王と同等の力を持っており、異世界に来た当初は元・魔王によって連れ去られたのかと勘違いしていた。

 

 

伊丹(いたみ) 海楽(かいらく)

作者:有限世界 様

作品:待て早まるな!その能力は地雷だ!!!(あらゆるダメージを一瞬で回復し続ける能力)』

 カミと悪魔によって異世界に転生させられた転生者。前世からドMなのは変わっておらず、特典として貰った『あらゆるダメージを一瞬で回復する能力』で周りを引かせている。

 新・魔王に関係無く、異世界にて「コイツ変態だから嫌だ」と言う理由で、この世界に飛ばされた。なんやかんやで元の世界に戻れたので、あっちの世界からは悲鳴が響いてるだろう。

 

 

【商人】

作者:ケツアゴ 様

作品:今をお嘆きのお客様へ

 人の願いを内容関係無く叶えることが出来るが、最終的には破滅をもたらす危険な人(?)。

 新・魔王によってこの世界に来たが、面白くなりそうなので各地を転々として、願いを叶える力によって戦いを荒らしまくった。しかし、商人が居なければ新・魔王に勝てなかったので、元・魔王達は何も言えない。




誰か抜けてるキャラ等が居ればコッソリと追加する予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

【番外編】~過去(蛇足)編です、助けてください。~
狼男編だ、助けてくれ。


拝啓 読者様

……この話、約3500文字もあるってマジ?
本編は基本的に1000~2000文字だったのに。


「お袋、親父、妻……来たぞ」

 

底が見えない崖の淵、そこにポツンと大きめの石と食べ物が備えられていた。

その石に向かい、狼男は頭を下げる。

当然のことながら、その石が狼男の家族と言う訳ではない。

これは墓なのだ、元・魔王を目覚めさせるために全魔力を注ぎ込んで無くなった、家族のである。

新・魔王と言う脅威と、異世界の仲間達が帰ってこの世界が平和になってから暫く、もう大規模な争いな起こらないと考えた狼男は家族の墓を立てることにしたのだ。

 

「…………」

 

墓の前で手を合わせて家族に何かを伝える。

それは狼男しか知らないことであり、それが伝わるかは狼男自身も知らないことだ。

けれども本人はこの言葉は届くを信じている。

例え誰に否定されようと、馬鹿にされようと……

 

「三人が言ってた事がようやく分かったんだ。どうして自分すらも犠牲にして魔王様を復活させようとしてたのか」

 

そうしてゆっくりと思い出す。

苦しい事を思い出すことになりながらも、墓にいる家族に語りかけるように、喋り始めた。

 

 

 

 

 

「どういうことだ!」

 

元・魔王が復活する前、何処かの誰かが憑依する前の出来事である。

狼男は目の前に居る全身が白くて少しばかりヨボヨボになっている両親が言った事を理解出来ずに叫び、胸ぐらを掴む。

妻は止めようとするが、狼男は構わずに両親に詰め寄る。

二人は最初からこうなることが分かっていたのか、冷静に……まるで胸ぐらを掴まれてることなんか気にしてないのではないのだろうか、そう錯覚するほどに驚いていなかった。

 

「そうお前が怒るのも分かるが、お前は分かっていない」

 

「少し冷静になりなさい」

 

「冷静にって……魔力を全て注ぎ込んで死のうとしてる奴が言う言葉じゃねぇだろ!」

 

この時の元・魔王はずっと眠っていた。

かなり昔……狼男の両親がまだ若かりし頃、元・魔王は「勇者」と名乗る人物と戦い、なんとか倒すことが出来たが体には多くの傷跡が残った。

そして傷を癒すために深い眠りに着き、「王」が居なくなって一時は魔物たちは混乱したが、なんとかみんなで力を合わしてその混乱を抜け出すことが出来た。

しかしそんな中、新しい魔王……新・魔王がこの世界にやってきた。

新・魔王は次々に魔物を支配下に起き、世界を征服していった。

それを良しとしない一部の魔物達が元・魔王に魔力を与えて復活させようとしていた。

 

「あんたらはそんなに魔王が凄いって言うのかよ」

 

その一部に入るのが狼男の両親であった。

彼らは元・魔王の強さを、逞しさを、カリスマさを、知っている、だからこそ彼以外にこの世界を征服されることに納得がいかないのだろう。

「彼ならなんとかしてくれる」それは信じてるから、自分の意思を継いでくれると考えているからこそ、簡単に命を投げ捨てられるのだろう。

けれども狼男は納得出来なかった。

本人としては「魔王は凄い」と両親が良く言っていたので、なんとなくだがどんな人物かは知っている。

しかしその目で見たことがないので実際にどんな人物か分からないのだ。そんな見たことがない人物に全てを託そうとする両親の気持ちが、思いが全く理解出来ないのだ。

 

「まぁまぁ落ち着いて~」

 

「ッ! 分かった……」

 

いっそのこと殴ろうと胸ぐらを離して拳を握りしてた時、妻が間に入って止め始めた。

一瞬だけカッとなった狼男だが、既にヨボヨボになっている両親を殴ると最悪殺してしまうかもしれないと考え、腕を下ろす。

 

「それでは~」

 

妻は狼男の腕を掴んで急いでその場から離れる。

これ以上怒るような事があると、自分一人では止められないし、新・魔王に嗅ぎ付けられると厄介なことになる。

狼男は渋々ながらも、苦しそうに咳をしている妻と一緒に移動することにした。

 

 

 

 

 

「……は?」

 

数日後、一人になって頭を冷やした狼男は、両親に会いに来た狼男はこの前カッとなってしまった事を謝ろうと、元・魔王が眠っている城に来ていた。

ここに居なかったら家に居るだろし、もしもここで魔力を注げようとしてたら無理にでも止めようと考えていたからである。

すると城から出てきたある人物に言われた事が狼男は信じられなかった。

 

「お、おい……お前は今、なんていった? 俺の耳が可笑しくなったのかも知れない、もしくはまだ俺はまだ目覚めてないのかもな! だからなぁ、早く覚めてくれよ。聞き間違いであってくれよ……なぁ!」

 

「死んだよ、あんたの両親」

 

瞬間、その言葉を言った奴を殴る。

そいつは地面を引きずるようにズズズと音を立てて、背中を擦りながら吹き飛んだが狼男には関係なかった。

急いで家へと向かう。

この前カッとなったことに対するイタズラなのだろう、別に追い詰められてる訳でもないのに命を絶とうとは考えないだろう、嘘だ、嘘だ、ウソダウソダウソダウソダ

 

「親父! お袋!」

 

扉を壊しながら家へとズカズカと入って両親を探す。

しかし人っ子一人見当たらず、もしかしたら城に居るのではないかと来た道を引き返そうとする。

すると机の上に一枚、何かが書いてある紙を見つける。

狼男はそれを手に取って読み始める。

 

「は、ハハハ……は?」

 

最初の数行だけ読み、紙を持っている腕をゆっくりと下へ下ろす。

目を擦って何回読んでも書いてあることは変わらない。

深呼吸して落ち着いて読んでも変わらない。

ゆっくりと読んでも、早く読んでも変わらない。

 

『息子へ

 

 きっとここに来ることには私達は居ないでしょう。

 体も魔力も限界なんだ、恐らくは明日にはもう……最後の最後でお前と喧嘩で離れちまうのは悲しいが、気にするな。

 悪いが先に行ってるぞ。

 あ~あとはあれだ、特に妻ちゃんの体調には気を付けろよ、あの子は体が弱いんだからな。最近は体調がよくないみたいだしな。』

 

そこに書いてあるモノが変わることはなかった。

そしてあることを思い出す。数日前に胸ぐらを掴んだとき、両親が異様に軽かったことを。

怒りで分からなかった事を知り、両手を地面に着く。

 

「ああ、あああ……なんでだよ、どうして! 何が魔王だよ、何が先に行ってるだよ!」

 

悔しさ、怒り、悲しみ……様々な感情が入り交じり、床を何度も殴る。

拳から血が出ようと、家が崩れ始めようと、殴ることを止めなかった。

 

 

 

 

 

「ただ、いま」

 

何度も殴り、疲れはてた狼男は力無く歩いて妻の居る場所へと帰ってきた。

もう何もしたくない、歩くことも、喋ることも、生きることも、死ぬことも。

脱力感に襲われ、ゆっくりと妻の元へと歩く。

 

「おかっえりぃ……」

 

そこには地面に踞り、咳をする妻の姿があった。

狼男は急いで駆け寄って妻を抱える。

何があったのだろうか、そう考えて最近あった事を思い出す。

 

「───あっ」

 

そうえば両親に会った帰りに咳をしていた事を思い出した。

しかしそのときの自分は怒りでいっぱいになって妻の事を考えてなかった。

体調が悪くなっていた事に気付かず、ずっと妻を一人ぼっちにして……

 

「結局、全部俺のせいなのかよ」

 

「ちが、うよぉ」

 

妻は力無く狼男に向かって腕を伸ばして首を掴む。

しかしその力はとても弱く、まるで撫でられてるように感じた。

 

「これは~わたしがぁ、悪い」

 

ニコッと笑い、腕をゆっくりと地面に叩きつける……否、腕の力が抜けて地面に跳ねるように狼男の首から落ちていった。

 

「…………」

 

スッと狼男は立ちあがり、トボトボと何処かへ歩いていく。

生きる意味も、頑張る意味も失った。

だが死ぬ事はしない。狼男は死ぬ前に一つだけ気になることがあったからだ。

 

「そんなに、魔王って凄いのか?」

 

子供のような疑問を呟き、空を見上げる。

空は雲一つ無く、綺麗な月が見えていた。

けれども狼男がいるところは何故かしょっぱい雨が多く降っていた。

 

 

 

 

 

「これ旨いな」

 

暫くして狼男は元・魔王の部下になることにした。

理由としてはただ一つ、元・魔王とはどのような人物か見るためである。

両親が、みんなが命を掛けるほどの人物なのか。それはこの目で確かめたいからである。

だが数日前に目覚めたと言う元・魔王とはまだ会えていない。

強いて言うなら雪女をチラッと見かけた程度である。

最初は城中探してやろうと考えたが、それより腹を満たすのが先だと考え、城に置いてあったお菓子を食べ歩きしながらご飯を食べようと部屋に向かう。

 

「「あっ」」

 

そこに居たのは、狼男のご飯を食べている雪女であった。

瞬間、狼男の頭には両親のことや元・魔王のことは消えた。

ただ頭にあるのは一つ、目の前の奴を殴る。ただそれだからである。

 

「俺の飯を返せぇ!」

 

雪女に飯を取られた、助けてくれ。




シリアスを書くの難しいですね。
書き方が良く分からないので適当に「あああ」と言わせたり、何回も同じ事を言ってもらいました。

最後のは二話で元・魔王が雪女と狼男に最初に会ったシーンの台詞です。
コイツら仲悪すぎない……?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

雪女編よ、助けてくれないかしら。

拝啓 読者様

ギリギリセーフで今週投稿です。

この話は一章と二章の間、つまりは元・魔王が寝てる間の話です。


彼女にとって「魔王」は憧れの存在であった。

仲間を引っ張るカリスマ力、全ての敵を圧倒的にねじ伏せる力、使えなかったり要らない仲間を殺す残酷さ、どれをとっても凄い。その一言で尽きる程の存在であった。

彼女は願った、いつか「魔王」の部下になりたいと。

彼女は願った、いつか「魔王」の隣に立ちたいと。

彼女は願った、いつか「魔王」を支えたいと。

彼女は願った、いつか「魔王」が復活してほしいと。

そして……そして、彼女は願った。

「本物の魔王を返してほしい」と、魔王の皮を被った「誰か」ではなく本物の、彼女の憧れた「魔王」に会いたいと……

 

 

 

 

 

「コーラン、少しいいかしら」

 

彼女は……雪女は長い間悩んでいた。

これは元・魔王が新・魔王を倒してから十数年後。力を蓄えているのか、はたまた死んでしまったのか……彼女らにはまだそのことを知らない。

そして元・魔王も知らない、本人がまだ眠ってる間にあった出来事である。

 

「どうしたの?」

 

「実は……」

 

雪女は悩みに悩み、あることを相談するために昔魔王達と建てた家に居るコーランの元へ来ていた。

相談内容は……そう、今までの自分の行動についてだ。

最初は「誰か」から「魔王」を取り戻すために戦った。

しかし結果は惨敗、そしてもう一度戦ったがあれは途中から操られたので雪女の中ではカウントしない。

「魔王」以外の部下にはなりたくない、自分が認めた相手には従いたくない。

けれど「魔王」の体を使っている「誰か」なら本物の「魔王」を取り戻す方法を探るために仲間になった。

利用するつもりだった、初めは新・魔王を倒したと同時に「誰か」を殺して「魔王」を取り返そうと思った。

けれど、雪女の脳裏には仲間達と一緒に「誰か」を新・魔王の攻撃から庇ったことがフラッシュバックされる。

 

「私は今でも魔王様が戻ってきてほしい思いは変わらない。けど、けどアイツを……魔王をどうして庇ったのは分からない」

 

「雪ちゃん……」

 

コーランは雪女の頭を撫でながら何か言葉をかけて励まそうとするが、何も言葉が思い浮かばず伸ばそうとした腕を引き留める。

今の雪女に必要なのは情けでも励ましでもない。感情の共有、そして理解だと感じた。

自分の行動が考えと合わなくてどうすればいいか分からない、それが今の雪女の状態だ。

そんな状態で励ましの言葉を言っても意味はない。

だから、だからこそ

 

「雪ちゃん、私ね……」

 

「けど」

 

コーランは「自分も気付いてた」ことを話そうとしたが、雪女の言葉に遮られる。

遮られたことに頬を膨らましながらも、話を聞く。

 

「けど、私は魔王様に会えた。魔王を庇って意識が遠退いていく中、ほんの一瞬だけ魔王様が見えたの」

 

ゆっくり、ゆっくりとあの光景を頭に思い出す。

魔王を庇い死にかけになったとき、庇った魔王すら新・魔王には勝てず絶望したとき……

魔王様に会った。体はそのままで雰囲気が変わった。

あれは紛れもなく昔見た魔王様だと確信した。

 

「私は魔王様に会えて喜んだ、嬉しかった……そして、なんだか寂しかった、悲しかった」

 

「?」

 

雪女の言葉に疑問を抱く。

雪女は魔王に帰ってほしく、そしてそれが叶った。

それなのに一体何が悲しかったのだろうか。

 

「どうしてかは分からない。魔王様との力の差を知って隣に立てないことなのかしら、それとも……」

 

続きを言おうと口を開くが、声を出さずに口を閉じる。

そしてコーランに背を向けてゆっくりと何処かに歩いていく。

 

「……そういうことね」

 

「雪ちゃん!」

 

コーランは何がなんだか分からず雪女を止めようとするが、歩みを止める気配はない。

しかしその顔はさっきまでの悩んでいる表情と違い、スッキリとした顔であった。

 

(やっと分かったわ。私が「魔王」をどう思っているか。短い時間だったけど、私はアイツを認めた。そして魔王様が居なくなったと同時にアイツが居なくなったのが悲しく、そして寂しかったのね)

 

頭の中が整理でき、外に出ようとする雪女。

そこに食べ物を持っている狼男が目に入る。

いつもならここで喧嘩が起きるのだが、今日の雪女は期 機嫌が良いので特別に見逃すことにした。

 

「おーお前か」

 

その手に持っているものを見るまでは。

 

「あんた、それ……ッ!」

 

「ああこれか。なんかテーブルに置いてあったから食った」

 

狼男が手に待っているもの、それは雪女が楽しみにしていた物であった。

それを食べると口の中が冷え幸せが訪れると共に、よく頭が痛くなってしまう氷の粒で出来たもの……かき氷だ。

 

「勝手に食べるなと何度言ったら分かるのよー!」

 

「置いてあったら普通食べるだろうが!」

 

さっきまでの悩みや考え事、それが解消された気持ちなんか全て吹き飛び、目の前にいる奴を倒すことのみに神経を注ぐ雪女。

この戦いで建物が壊れてしまうのが、それはまた別のお話。

 

こいつ許さないわ、助けてくれないかしら。




某言葉が訛ってる犬Vtuberの圧が好きです。
なんかこう、心にグサッと来てたまりません。

次は順番的にコーランかなー


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

コーラン編だよ、助けてくちょうだい。

お久し振りです。

今回はコーランのターンです、かなり久し振りに書くから小説の感覚がいまいち掴めないな。


私には近くて遠い幼馴染みが居る。

幼馴染みが近くに居るはずなのに、何処か遠くにいるように感じてしまう……私は長い間そう思っていた。

その幼馴染みは会ったときから強かった。

力、魔法、知力……全てを非凡な存在であり、そんな彼が周りから「魔王」と呼ばれて恐れられるのはそう遅くなかった。

 

「……コーランか」

 

「おはよう」

 

魔物達は彼を恐れ、彼の下に着いた者や彼と対峙しないように住処を移動した者がいた。

とは言え下に着いたと言っても、恐怖が消えたわけではない。

恐怖で下に着いて居る者や、魔王の座を狙おうとしている者も居る。

だからだろうか、彼が周りを信じなくなってしまったのは。

自分から相手に接触すれば恐怖の顔を浮かべ、触れようとすると体を縮こめる。

 

「ねぇ魔王、昔のこと覚えてる?」

 

「……昔?」

 

彼が変わったのはいつからだろうか。

正確な時期は分からないが、少なくとも私が新・魔王のことを調べようと、魔王が封印されてる時に一人で情報を集めている間だろうか。

久しぶりに会った彼は人が変わっていた。比喩的な意味ではなくて、言葉の通りだ。

見た目は本人そのままではあるが、口調や性格は微妙な違いがあった。

だが一番の確信なのは「幼馴染みとしての勘」だろうか、長い間一緒に居たので魔王がどこか可笑しいことに、自分のように分かった。

 

「私が昔、貴方を『魔王』と呼び始めた理由」

 

「……あぁ、記憶にはあるさ」

 

最初は疑問に思った。

この人物は誰だろうか、そして本来の『魔王』は何処に行ったのだろうか……私がその答えに辿り着いたのは本当に偶然であった。

新・魔王との決戦──と言ってもアイツは別の体で生きていたが──の後、魔王の体に異常が無いか魔力を調べた。

すると魔王の体には魔力が二つあった。

一つは黒くて強い力を持つ魂、もう一つは真っ白な弱い魂、その二つが太極図のように混ざりあっているのであった。

私はそれを知ったとき、ある確信を持った。

『魔王』の体には二つの魂があって、二つの人格がこの体の中に入っているのだと。

 

「……俺が「周りを信用出来なくなって、コーランと距離を取りたくなってしまったから」だったか」

 

「懐かしいね、とても……いつの話だったか忘れるほどに」

 

『魔王』の体が混ざってきた魂を抜き出そうと思ったが、既に混ざりあってるためそれをしてしまうと、本来の魔王の魂も一緒に出てしまうのでそれは却下となった。

『魔王』を取り戻そうと考えて、考えて、考えて……私はある光景を思い出した。

新・魔王の攻撃から全員で『魔王』を庇い、動けなくなったとき。『魔王』は立ち上がって勝ち目が無いのに新・魔王に立ち向かった。

その姿が私には幼馴染みに見えた。何処か違うと考えていた存在がそう見えたことに最初は否定したかった、しかし見ていく内に私は『魔王』を幼馴染みとして認めた。

その光景を目に焼き付けようとしたけどダメージが多くて、気絶しそうになったときに私達を守って安全な所に転移させてくれたのは、あれは見間違えることはない。転移する前に見えたあの人物こそは私の知っている『魔王』……否、昔の幼馴染みであった。

 

「魔王……いや、マトロア君。君と貴方と一緒に会えるのがいつになるかは分からないけど、楽しみにしてるね」

 

そう言うと魔王は驚いた表情をしながらクスリと笑い、立ち上がった。

 

「【……そうだな、いつか、楽しみにしてるぜコーラン】」

 

マトロア君は私に背中を向けながら手を振り、何処かへ歩いていくのであった。

その背中は昔と同じように何処か遠く感じるが、少しだけ距離が縮まったような気がした。

 

いつか君たちと話したいよ、助けてちょうだい。




【まとめ】
・コーランと元・魔王は幼馴染み

・元・魔王は周りから恐れられたせいで、人……もとい魔物を信じられなくなった

・コーランは一度目の新・魔王との決戦後、主人公の存在に気付くも既に『魔王』と魂ごと融合してるため一時的に放置

・主人公を『魔王』から追い出そうとするが、既に主人公は『魔王』となっており、幼馴染みが魔物を信頼し始めてることを知り見逃すことに

・コーランはいつか主人公と元・魔王……本名『マトロア』と一緒に話せることを夢に見てる


この番外編もあと元・魔王と白雲の話を書いたら終了です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

白雲編です、助けてください。

拝啓 読者様

握力50ゴリラのまな板かなたん(天音かなた)は可愛い、異論は認めない。

それの今回の話書くのが難しかったです。


『自分』と言う存在が出来たのはいつ頃だろうか……少なくとも、僕が『この世界』に来る前であることは確かではあるが、生憎だが殆ど覚えていない。

 

「おい起きろよ●●、なぁ!」

 

「う、あ……」

 

覚えているのは『この世界』に来る前の最期と、僕には親友が居たことだけである。

その親友の顔も姿も声も覚え出せないが、ただ「居た」ことだけは記憶にある。

そして『前の世界』での最期は……あぁ、そうだ。

僕は親友を庇って信号無視してくる車に引かれたんだ。

あの時はいつもならうるさいと思う救急車の音も何処か遠くに聞こえ、親友の声だけが何故か良く聞こえていたんだったか。

 

「俺はお前が居なくなるなんて嫌なんだよ、だから……だから目を開けて歯を食いしばれ!」

 

親友はそう言って僕を生かそうとしてくれていたが、それは既に無理だった。

なんとなく自分でも分かったんだ、身体からダルさに似た脱力感と少しずつ冷たくなってる感覚がして自然と「あぁ、自分は死ぬんだな」と自覚した。

そのことを親友は気付いていたのだろうが、僕に生きてほしくて大声で声をかける。

しかしもう無理だ、分かってしまったんだ……だが最期に、最期の最後にアイツに伝えたいことがあった。

 

「ま、た……いつか……会おうなぁ」

 

「! あぁ会ってやるよ、異世界だろうと来世だろうと、何処に行ってもお前を探してやるよ!」

 

もう記憶には無いのだが、親友との時間はとても楽しかった。

何をしたか、何処へ行ったか……どうしてか忘れてしまった。

しかし「もう一度会いたい」と言う思いが変わることは無かった。

親友は僕に右手を伸ばし、僕もその伸ばされた手を握って握手をする。

 

「……じゃあな」

 

そしてその言葉を最後に聞き『僕』は終わり、次に目が覚めたときは『白雲』としてこの世界に居た。

 

(…………ここ、は?)

 

最初は困惑し、辺りを見渡そうとしたが体を動かすことが出来なかったので、目だけを動かして確認をする。

薄暗くて分かりにくいが、何処かの施設のような部屋にいることと、視界がぼやけてるのと今までとはどこか違う気がする体から感じる感覚からカプセルな何かの水の中に居るのだと分かった。

しかし息苦しくなく、まるで陸に居るときと同じように呼吸も瞬きも出来た。

 

「お、おおおぉぉぉぉぉ!! 我が研究成果のロボットが目覚めたワイ!」

 

(ロボッ……ト?)

 

突如部屋の扉が自動ドアのように開いたと思いきや、部屋に入ってきた長身細身の真っ黒な顔をした顔のパーツが見えない人物が意味の分からないことを言っていた。

 

「少なくとも第一実験は成功じゃわい、じゃあ次に白雲の能力を───」

 

(『白雲』……誰だ、そいつ?)

 

「自分で創っておきながら『願いを叶える』なんて本当にあるのかのぉ?」

 

次々に訳の分からないことを言っており、この人物がなんて言っているか頭に入らない。

なんだ、何を言っている。僕は『●●』と言う名前で親友を庇って死んだはず……なのだが、自分は何処に居るんだ? こんなところにいる場合ではない。生きているのであれば今すぐに……

 

(『ここから脱出』して『どんな形でもいいから親友に会いたい』)

 

「ん、なんじゃ?」

 

僕がそう思い、どうにかしてここから出ようとした瞬間、部屋が爆発した。

何か火元になりそうなものが合ったのかは知らない。だが、パチパチと火花が飛ぶような音も部屋の一部だけ赤く明るくなって居たわけでもない。

突然だ、突然爆発したのだ。

 

「どわぁぁぁああ!」

 

謎の人物は爆発に巻き込まれてドアを巻き込んで部屋の外まで飛ばされた。

僕は呆然としながらも、カプセルの中から出れたことに気がついて辺りを見渡す。

すると、まるでご都合主義かのごとく部屋にはポッカリと穴が空いておりそこから外に出れるようになっていた。

 

「早く、会いに行くんだ……アイツに!」

 

この時の僕は急いでここから脱出しようとしていたため気付かなかったが、爆発によって散らばって紙の一つに『白雲』のことが書いてあったことに。

 

 

【白雲:ロボット】

・魔王様の右腕として運用予定の機械

・現在は魔王様のシモベ関する情報をインプット中

・戦闘力や感情はまだ調整中だが、偶然にも面白い能力を開発できた

 

能力:『願いを叶える能力』

どんな願いも叶える無敵の能力。

ただし無意識の内にしか使えず、また代償として「自分の大切な何か」を失う。

デメリットを除けば魔王様の野望を叶える道具になるだろう

 

 

 

 

 

「魔王様」

 

それから僕は無我夢中で走り、気が付いた時には元・魔王……魔王様が眠っている場所に居た。

それ以降はそこで情報収集も含めて親友の情報を集めていく内に自分は別の世界に居ることを知ってしまった。

もう親友と会えないのだろうか……とっくに人の一生を過ぎるほどの時間が立っているのか、親友のことは殆ど覚えていない。

 

「……白雲か」

 

「久し振りに散歩しない?」

 

「……分かった」

『……じゃあな』

 

魔王様はあの時の親友と同じように右手を僕に向かって伸ばしてきた。

なんとなく、その行動に親友を重ねるがそれはないと首を振って忘れる。

 

「……白雲?」

 

「なんでもないよ」

 

もしかしたら……そう考えてしまうが、僕にはもう親友がどんな人物だったのか分からない。

だが、だがそれでも「いつかまた会おう」と約束した。

例え姿が変わろうと、立場が変わろうと、いつか君と会えると僕は信じている。

だから、僕が思い出すまで待っていてくれよ。

 

親友のことも思い出したいです、助けてください。




【まとめ】
・白雲、現代にて親友を庇い死亡
・『白雲』として憑依転生する
・無意識に能力を使って脱出
・しかし能力の代償として大切な「前世での親友との思い出」を忘れる。
・なお、白雲にはその能力を持ってる自覚はない
・最後に元・魔王と親友が重なって見えた


ついでに今回の話で「めっちゃ生きたから親友のこと忘れた」と言っているが、何回も無意識の内に能力を使っているため代償として思い出が無くなってます。

例で言うと『味方全員生き残る』とか『異世界組が来た』とかの場面で能力を使ったのでしょう。
まぁつまりはあれです。ご都合主義を誤魔化すための後付け設定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

元・魔王編です、助けろください。

拝啓 読者様

これで番外編最後に……なりますね。
久しぶりに調子が乗ってサラサラと書いてたら、いつの間にか番外編が終わってしまった。

では、最後の最後の話をどうぞ!
あ、一応言っておくと設定とかもあるので投稿自体が最後って訳ではないです。


平和となった世界。

自分達を邪魔する者(新・魔王)は既に死に、この世界で最強になった。

 

(【…………】)

 

そんな平和な日々を過ごしていたある日、元・魔王は自分とは違う人物が動かしている体から外の景色を見てぼんやりと自分が昔していたことを思い出した。

 

 

 

 

 

『……消えろ』

 

昔の魔王城で元・魔王は自身の夢を叶えようと努力していた。

それは幼馴染みのコーランのように弱き魔物でも安心して過ごせる世界を創ることであった。

しかし現実は非常であり、才能と努力で手に入れた力は恐れられ、自身を陥れようとする人物がわんさかと出てきた。

 

『ま、魔王様ぁぁぁああ!』

 

たった今も自身を裏切った魔物を消滅させたところである。

元・魔王は誰も居なくなった場所でため息を付いた。

自身はいつから他人を信じられなくなったのだろうか……と。

恐れられ、裏切られることを繰り返されていつの間にか他人が怖くなってしまったのだろうか。

 

『魔王、勝負だ!』

 

そんな毎日を繰り返していたある日、「勇者」と呼ばれる存在が自分に勝負を仕掛けてきた。

勝負は互角で、どっちが負けてもおかしく無いほどの命のやりとりであった。

だが元・魔王はある一つの感情が高ぶっていた。それは「楽しい」と言う感情であった。

今まで自分の全力をぶつけられた相手は居なく、正面からぶつかってきたは片手で数えられる程度。

元・魔王は自分に真っ正面からぶつかってくる「勇者」を好み、ずっと戦いを続けていたかった。

だがそんな願いが叶わないことは分かっている。

 

『……ハァ、ハァ』

 

ボロボロになりながらも元・魔王は立っていた。

その拳は勇者の腹を貫き、身体中が血だらけになりながらもその両足で立っていた。

 

『……俺の、勝ちだ』

 

拳を抜くと勇者は力無く地面に倒れたが、元・魔王もすの姿を見ると同時に勇者の上に重なるように倒れた。

 

『……体が、動かない』

 

魔力も殆ど底をつき、体もボロボロ。

指一本も動かすことが出来ず、このまま放置されれば数分もしない内に死んでしまうだろう。

そのため元・魔王は賭けに出た。

それは『自分を封印して力を取り戻すまで眠る』と言う方法であった。

自分を封印すること自体は今残っている微力な魔力でも簡単に出来るが、元・魔王が心配しているのは残された者達のことである。

 

『……迷ってる暇はないな』

 

その間にも自分は少しずつ体が冷たくなり、重りでも乗っているかのように瞼を開くのすら辛くなってきた。

元・魔王には既にどちらか選ぶ、という選択肢は無かった。残ったのはただ一つ、生きることだ。

 

『……封印』

 

そして元・魔王は自分自身によって封印された。

数時間後、無音となった部屋に入ってきたとある幼馴染みは、体が冷たくなって動かなくなっている勇者と封印されている元・魔王を見て、勇者と相討ちになったのだと仲間達に伝えた。

 

 

 

 

 

(【……信頼、か】)

 

昔なら使うことの無かった言葉である。

だが白雲、狼男、雪女、コーランと共に戦うアイツをの記憶を見て元・魔王は思った。

 

(【……昔なら考えもしなかったな】)

 

平和になり、戦う必要が無くなった今では分かる。

新・魔王からの攻撃を守るためにアイツらを魔法で移動されたのは、邪魔だと思ってではなく「仲間」として「信頼」している者を失いたく無かったからだろう。

 

(【……フッ】)

 

元・魔王は体の中でひっそりと笑い、一眠りし始めた。

あわよくばこれからもこの平和が続くように……と、自身には似合わないようなことを考えながら。

 

これからもよろしくな、助けろください。




【まとめ】
・魔王の願い「みんな仲良く、安心した世界を作る!」
・裏切ったり、恐れてくる奴いて悲しい
・てかそのせいでだーれも信用できない
・なんか勇者来たけど倒したー! けどボロボロなんで治るまで封印されてます
・復活したと思ったら体が乗っ取られてたでござる
・新・魔王との戦いで仲間を逃がしたのは「信頼してる奴を死なせたくないから」だろうな~


ッは~終わった終わった、おやすみなさい。
あぁそうだ、最後にあれ言っておくか。

読者の皆さん、番外編まで見ていただきありがとうございます! 魔王様達の番外編も終わってしまいますが、後少しだけ投稿するのでお付き合いください。では!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

リア充を爆発させたいです、助けてください。 by作者

拝啓 読者様

今日はバレンタインなので、番外編を作りました。
マライア(元・魔王)とコーランが主役の会です。

ちなみに、この話を一文字書くたびに精神的ダメージを受けました。クソッ、イチャイチャしやがって!


魔王同士の熾烈な戦いが終わり、平和な時が流れるようになった世界。

そんなある日、魔王は目の前の状況に困惑していた。

 

「【……どいうことだ】」

 

コーランが自身の顔が当たるほどまでに近づいているのだ。最初からこうだったのではない、いつの間にかこんな状況になってしまっのである。

どうしてこうなったのか。部屋から匂う甘い香りを気にしながらも、マライアは数日前の事を思い出した。

 

 

 

 

 

【……1日だけ変わってほしいだと】

 

(……あぁ。お前にやってほしいことがあるんだ)

 

事の発端は数日前。魔王がマライアに対して1日だけ体の所有権を変わってほしいと頼まれたから始まった。

何故だろうか……そう考えたマライアであったが、久しぶりに自分で体を動かしたいのもあり、魔王の言葉に頷いた。

 

「マライア君此方来て!」

 

早速何をしようか……そう考えていると、自室に飛び込んできたコーランが自身の腕を掴んで、ある部屋の一室に押し込まれた。ちなみに鍵はしまっている。

 

「マライア君は今日がなんの日か知ってる……?」

 

【……知らない】

 

コーランはマライアの言葉に頬を膨らまし、ムッとして顔を近づける。

しかしこれはマライアが悪い訳ではない。今まで体を貸していたため、時間感覚がズレているのだ。精神世界では1時間かと思えば、外では10秒しかたってなかったり、1日が終わっていたり。

体の所有権をマライアはあげており、いつも精神世界に居るため感覚がおかしくなっているのだ。

 

「ムッー」

 

そうとは知らないコーランはマトロアが今日と言う日を忘れてしまったのだ勘違いし、さらに顔を近づける。

 

「【……なんだ】」

 

「今日は、マトロア君の誕生日でしょ!」

 

「【……そう、だったな】」

 

魔王が居た世界では今日はバレンタインと言うチョコを配る日ではあるが、この世界にそんなものは存在しない。

しかし、誕生日は存在しており長い間封印されていたマトロアは自分の誕生日を忘れていた。が、コーランに言われてようやく思い出したのだ。

 

「【……懐かしい。コーランが俺にプレゼントを投げてきたこともあったな】」

 

「ちょ、そんな昔の話止めてってば!」

 

コーランはマライアにプレゼントを渡そうとしたら、転んで顔面に投げ飛ばしてしまった黒歴史を話され、恥ずかしさのあまりマライアの胸に顔を埋めてポカポカと殴る。

 

「【……ほんとうに、懐かしい】」

 

つい数日前に会った出来事に感じることを思い出しながら、マライアは頭をソッと撫でてコーランを落ち着かせる。

こうしてコーランの頭を撫でたのは何千年ぶりだろうか……自身が魔物不審になってからは撫でるどころか、喋ることすらしなかった相手はずっと近くにいたのに、何処か遠く感じた。

いや、遠く感じたのではない、実際は自分が距離をとってのだと。

 

「【……ありがとう、コーラン】」

 

マライアは今までの分を込めてお礼を言った。

距離をとっていたこと、自分の誕生日を覚えていたこと、プレゼントを用意してくれたこと、そして……ずっと待っていてくれたこと。

 

「どういたしまして」

 

二人は互いに抱き合い、ゆっくりと話を始めた。

魔王とその仲間ではなく、マライアとコーランと言う幼馴染みとして。




あれ、おかしいな……最初はギャグ風にしようと思ったのに、なんでラブコメしてんだこいつら。

本編内で魔王が変わってほしいと頼んだ理由は、コーランに渡したいものがあるからマライアに変わってくれと頼まれたからです。



元のプランは幾つかありましたよ。

・雪女とコーランが主役で、マライアにチョコを渡す話
・マライアがチョコを渡そうとしてくる奴らから逃げる話
・もし〇〇がチョコを渡したら

結局はこの幼馴染み達の話になりましたが。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

【第二.五章】カオスオールスターバトル編です、助けてください。
予告編です、助けてください。


拝啓 読者様

フフ、フフフ……とうとう投稿できるぜ、この予告編がよぉ!
私が今までに書いた作品のオリキャラ達を選抜してこの章に出てもらいます……オールスターとは。
あくまで「予告」なので1シーンを切り取った程度になりますが、どうぞ楽しんでいってください。


緑の惑星、地球。その日本と呼ばれる国の某所。

ある男は椅子に座ったままスマホを弄っていた。

誰かが声を掛けようとしても、男の耳にはイヤホンが繋がれており、呼ばれとしても気付かないだろう。

左手でスマホを持った状態で、右手は止まることを知らないのか、ずっとキーボードを打ち続ける。

その右手はいつまで動き続けるのかそう思った頃、男はスマホを置いた。

 

「ッあ~! 終わったぁ!」

 

どうやらずっと打ち続けていた「何か」を終わらすことが出来たようだ。

両手を頭の上にあげて、声を出して伸びをする。

 

「とうとう完成したぜのろとりさんの続編がよぉ!」

 

自身を「のろとりさん」と呼ぶ男はガハハと笑い、ニヤニヤと画面を見つめる。

あるものが完成したようで、とても喜んでいるようだ。

 

「早速これをアップして水を飲むか~」

 

男は慣れた手付きで画面を操作し、完成したものが人の目に上がる時間を設定する。

『2021年4月1日0時00分』ちょうど今日である。

 

「っとと、忘れれた忘れれた」

 

席を立ち何処かへ行こうとした男は駆け足で席に戻り、机に置いたスマホをもう一度持ち、ある文字を変える。

 

『完結』から『連載』へと…………

 

「さぁ、止まった歯車が動き出す時間だぜ? また頼むぜ、元・魔王様」

 

創造者の手によって彼の物語は再び始まる。

あったかもしれない世界線で新たな仲間と共に───。

 

 

 

 

 

「……ここは、どこだ」

 

俺は眩しい光りが顔に当たり目を覚ます。

辺りを見渡すが、そこは俺の知らない場所であった。

見渡す限り竹、竹、竹……俺が先程まで居た場所とはまるっきり違う場所だと分かったが、頭の隅では「そんなことない」と何処か否定していた。

 

「……太陽だと?」

 

しかし俺を起こした眩しい光りの正体であった、太陽が本来ならあり得ない事だと現実を見たくなかった。

「太陽を見ただけ」でそう思うのは可笑しいと思うだろう、だが俺の居た世界では太陽は見えないのだ。

つまりはここは…………

 

「……異世界、なのか」

 

非現実的な答えだと自分でも思う。

頭が可笑しくなったのかと思うだろうが、俺はそんな出来事を今までに何度も経験したし、実際に俺は異世界に居たのだ。

知らない奴の体に戦いに身を通していたのだ、非現実的だから信じない。なんて考えは俺の中では既に存在していないのだ。

それに…………アイツが俺をこんな場所に放置しておく理由が無い。

 

「……歩くか」

 

俺も魔法が使えたらこんな竹林を燃やしたり、空を飛んで何処に居るのか分かるのだろうが、そんなことは出来ない(・・・・・・・・・・)

それはそうと、どうして俺はこんなところに居るのは思い出して見るか。

 

確か白雲達と新・魔王の城に行って、新・魔王に殺されかけて白雲達が身を呈して俺を守ってくれて、その後は……そうだ、思い出した。

 

「……殺されたんだ」

 

せめて一矢報いろうと新・魔王を殴ろうと最後の力を振り絞ったけど、逆に俺が殴られ死んだんだ。

白雲、狼男、雪女、コーラン……そして俺にだけ聞こえるあの謎の声はどうしているのだろうか。

俺と同じようにこの世界に来てるのか、アッチの世界て死にかけてるのか……少なくとも、今の俺には確かめる術が無い。

 

「……ッ!」

 

フラフラと竹林を歩いていると、何か物陰が見えた。

敵か……? 新・魔王の手先か、俺の仲間の誰かなのか……ここは念のため、力付くで押さえてから確かめよう。

 

「……フッ」

 

「うわ、なんだお前は!」

 

その人物は俺の接近に驚き、ガッシャンと地面に倒れてジタバタする。

……ん、ガッシャン?

俺は不思議な音に疑問を覚え、押さえていた相手を見る。

 

「離せ、離しやがれ」

 

「…………」

 

その体は鉄で出来ていた。

清潔感があると思わせるように真っ白なボディ、長方形のような形で空気を出すはずの所はパカパカと開いてそこから声が聞こえてくる。

「非現実的なことなら慣れてる」と言った俺も、この状況は予想外であった。なぜならその人物……否、人物と言って良いのだろうか。それは

 

「このクーラー様にそんなことしていいと思ってるのか!」

 

クーラーだったからである。

今思えば、こいつと出会ってから俺は頭を押さえるようになってしまったのだろう。

これだけでも痛いのに、これからもっとカオスな奴等会うと知ったらこの時の俺はどうしたのだろうか。少なくとも、信じたくないのは確かだ。

「そんなわけないだろ」と思う奴も居るかもしれないが、これは本当である。実際に、これから起こる未来の出来事を見てもらおう。

 

 

 

「魔王様久しぶりだなー」

 

「……誰だ」

 

「え、魔王酷くね? 俺だよ俺、雷鳴だよ!」

 

「……それよりそこのお前が持ってるのはなんだ」

 

「これ? 火の木の棒。これから家を燃やすのさ」

 

「変な冗談言うなよ、家がビビって揺れまくってるじゃねーか!」

 

「……なんで家が自我を持ってんだ」

 

雷鳴なる初めて会う(・・・・・・)人物に知り合いのように話しかけられ、火の木の棒でキャンプファイアーする奴を止めて、自我を持っている家を落ち着かせようとしたり、

 

 

 

「同じ魔王のヨシミだろ、助けてくれ!」

 

「魔王、逃げるなよ……さぁ、俺と永遠の愛を誓おうじゃないか!」

 

「……俺を巻き込むな」

 

「魔王よ、ここは俺に任せろ逃げろ! 喰らえ勇者『フラッシュ』」

 

「「「あああああ目がぁぁぁぁ!!」」」

 

「……何がしたいんだ」

 

同姓に追われる魔王と、魔王と結婚したい勇者を止めようと光りを放った奴が、自身も目が痛くなり三人揃って地面を転がるバカどもに対してため息を付いたり、

 

 

 

「魔王よ見ててくれ、これが俺の最強能力『身体強化』だ! 喰らえパンチってイテえええ!!」

 

「おい大丈夫か? 今俺の文房具で応急手当してやる」

 

「文房具でどうやって治すんだ? ここはこの扇風機様に任せておけ!」

 

「……頭が痛い」

 

体が能力に耐えられなくて地面をのたうち回る奴を助けようしているのだが、旗から見れば治す気があるのか怪しい奴等を落ち着かせようとしたり、

 

 

 

「……スライム、お前は癒し役だよ」

 

「(私としてはそう言われるのは不本意だがね)」

 

「スライム、見てみろよこの俺の文字戦術を!」

 

「(何を言っているのだろうか)」

 

「喰らえブーメランッ! やべ、戻ってきて グヘェ!」

 

「……アホかな」

 

唯一の癒しのスライムと戯れていたら、文字を自由自在に操る少年が自爆しているのを見たり、

 

 

 

「ま、魔王様……生きて、いたんだね」

 

「……白雲、生きていたのか」

 

「うわ死神だ! 死ねやてめえええ!」

 

「うわぁ!」

 

「……止めろお前」

 

白雲と感動の再開をしたと思いきや、バズーカや炎だして白雲を消滅させようとする名前を止めたり等々……数えてらキリが無いほどのことが待っているのだ。

そして、俺にとって因縁の相手であるアイツも居た。

 

 

 

「ヒサシブリダナァ」

 

「……その声は、まさか!」

 

容姿や声は俺の知っているアイツとは似ても似つかなかった。

だがこの喋り方をするのは一人しか心当たりが無い。

 

「……新・魔王!」

 

 

 

「……俺は、二度と仲間を失わないって決めたんだ」

 

空を飛んで此方を見下してくる新・魔王を睨み付け、フラフラとしながらも自身の決意を胸に抱く。

 

【……お前なんかに二度も負けるかよ】

 

「……だから!」

 

【……だから!】

 

「【……今度こそアイツを倒すために力を貸してもらうぞ、魔王(人間)!!】」

 

 

『【第二.五章】カオスオールスター編です、助けてください。 近日投稿予定!』




「って言う嘘でした、ごめんね」

「……は?」

「いやぁ悪いね魔王様。半年以上考えたけど、このカオス空間を書くことは出来なかったよ」

「……俺の出番はないのか?」

「うん、ないね。それと詳しい話はいつ頃かに投稿するおまけで話すよ。それじゃ!」



【簡単な解説】
・この予告に出てくる元・魔王は最初(一章)で持ち主の意識が覚醒せず、新・魔王に殺されている世界線

・そのため魔法を使うことが出来ず、周りを燃やすことも何も出来ない

・雷鳴は本編終了後なので会話が噛み合ってなかったり、元・魔王視点から見ると会ってもないです



【予告に出てきたオリキャラ達の作品】
『拝啓 お父さん、お母さん。このたび俺は魔王になりました、助けてください。』
『文字で戦う少年』
『剣術?魔術?いいえ、最強装武器は文房具です。』
『異世界転生に特典としてギャグ補正持ってったら最強だった件
『魔王「なんか勇者に愛された。逃げていい?」村人「逃げろ」【
『火の木の棒で魔王城を陥落させるようです。』
『俺の能力雑魚過ぎない?』
『もしも日本の夏が異世界に来たら+α』
『自重しないチート人間が怪奇に会いました。』

結論:予告だけで頭が痛くなるメンバー達です


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。