METAL GEAR JURASSICWALKER (新タマ)
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ジュラシックパーク編 プロローグ

パス離脱後のお話です


1975年 コスタリカ マザーベース

 

海の上に佇む海上プラントの一角で、ある男による兵士達の訓練が行われていた。

その男の名は〈ビックボス〉マザーベースの指令で、

かつてソ連領内に単独潜入し、新型核兵器の破壊と亡命したアメリカの英雄である〈ザ・ボス〉を殺すという、

不可能と言われたミッションを成功させた男。そしてついこの間コスタリカで核戦争に危機を救った英雄である

 

いつものようにマザーベース隊員達にCQCを、文字通り体に叩き込んでいた時、副指令のカズヒラ・ミラーから呼び出しがあった。

仕方なく訓練を切り上げ

ミーティングルームに入った瞬間、

スネークはそこにいた顔を見て首をかしげた。

(カズはわかるがなぜチコがいるんだ?)

ミラーの横にいるチコを見ると

いつもより興奮しているように見えた。

 

「それで、用事はなんだ?」

スネークは視線を戻してからミラーに聞いた。

「ボス、MSFに新しい依頼が届いた、

まずはこれを見てくれ。」

ミラーが言うと同時に、

ディスプレイに諸島の映像が写し出される。

「ここは〈ラス・シンコ・ムエルテス諸島〉だ、

コスタリカ沖にある5つの島で構成されている。

この内の一つで最新のDNA技術を使った

アトラクションが作られている。」

「DNAか、ヒューイからクローン技術の話を

聞いたことがある。」

あの時は学界の話をしつこく話されて面倒だった

のを覚えている

「俺たちに来た依頼は島のセキュリティのチェックだ

念入りに行うように言われている。」

「なるほどな、しかしなぜ俺たちなんだ?

それだけなら他の連中にも出来るだろう、

何か特別なアトラクションなのか?」

遊園地の点検にいちいち召集される軍隊など笑い者だ。

「相変わらず鋭いなボス、このアトラクションでは...

 

 

恐竜を使っている。」

 

.....

 

「...おいカズ、からかってるのか。」

「待ってくれスネーク!俺も初めはそうだったさ。

でも話によると、

大昔の恐竜のDNAからクローン技術でよみがえらせたとか...。」

なるほど、どうりでチコが興奮してるわけだ

バシリスコの時もそうだったな

「恐竜と戦った軍隊なんてない、

だから実戦経験があって柔軟性に優れた

俺たちが選ばれたんだ。」

そんなこと言われても恐竜なんて

どう扱えばいいのかまるっきりわからん

殺す訳にはいかないし麻酔も効くかどうか...

「スネークとチコの二人で島に行ってくれ、

とりあえずは視察だ、

何がいて何があるのか確認して来てくれ

その上で必要なものを決めよう。」

「わかった、それでそのアトラクションの名前は?」

「ああ、それはジュラシ..

『ジュラシックパーク!』

チコがたまらなくなったように叫んだ

「すぐに出発しようスネーク!今すぐに!!」

「...わかった、カズ、後を頼む」

席を立ち、部屋のドアに手をかける

「任せろスネーク、休暇のつもりで楽しんでこい!」

休暇になればいいが

目を輝かせながらついてくるチコを見て

そう思わずにはいられなかった。




ジュラシックパークの年代と違いますがご了承ください


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イスラヌブラル島へ

コスタリカ沖から西に約200km

イスラ・ヌブラル島

 

マザーベースからヘリに乗り、延々チコの講義を受けること1時間...いや2時間に感じたが、とにかくヌブラル島に到着できた。

上空から見た感じではまだまだ未開の島だ、ほとんどが森に覆われている上に寄越されたヘリもみっともない、こんな島で最新のセキュリティと言われても説得力などない。

酷評する気はないが神経を尖らせる必要が有りそうだ。

「それで白亜記後期に生息していたパラサウロロフスは頭の...ちょっとスネーク聞いてる?」

「ああ、でそのパラサウロロフスは旨いのか?」

「スネーク...。」

ヘリの着陸と同時に飛び出したチコを追って、

ヘリを降りると反対側からもう一台のヘリが見えた。

「あのヘリに乗っているのがハモンド館長と他の専門家達です。」

そばにいた職員らしき男が言った。

「他の専門家?」

セキュリティのチェックの前だと言うのにいったい誰を呼んだんだ...

「あんたがMSFのスネークさんか、

自分がここの恐竜監視員のマルドゥーンだ。」

そう言ったのはさっきの職員だ。

「あんたが?じゃあ、さっそく話したいことがある。」

まずは職員の数と質、そして装備の確認だ...

しかし相手が恐竜となるとCQCを教える訳にはいかんな。

「あー、その前に館長が全員を集めろと。」

...不安しかないなここは。

うちのスタッフを大量に送り込んでやろうかと

考えを巡らせている間にヘリから人が降りてきた。

探検家のような服を着た男女と

少しチャラそうな格好の男、

それとスーツで着飾った男に白髪のはえた老人だ。

あの老人がここの責任者か。

「やあやあ、はるばるよく来てくれた、私がジョン・ハモンドだ。

さっそくだが君達に見せたい物があるんだ。

ジープに乗ってくれるか。」

「悪いが早いとこ、

ここのセキュリティを確認したい、コントロールルームはあるか?」

「まあまあ、そう焦らずに、きっと君達も気に入ってくれるはずだ。」

「そうではなくてだな...。」

この感じはサウナ作りを進めてきたカズに似ているな。

こういう奴の説得には時間がかかる。

「ねえ、もしかして恐竜!?」

「チコ...今は大事な話をしているんだ。」

「恐竜は好きかい坊や?」

「うん大好き!ここには恐竜がいるんでしょ!」

「その通り、さあ行こう恐竜達が君を待っている。」

...これはもう後回しにするしかないな。

ジープに乗ると、博士らしき男が隣に座ってきた。

「やあ、君はここの職員には見えないね。」

「ああ、俺はセキュリティチェックのために雇われた傭兵だスネークとよんでくれ。」

「どうも、私は古生物学者のグラント、

こっちは古植物学者のエリーだ。」

「エリーよ、よろしく。」

「俺はチコ、おじさん恐竜学者なの?」

「ああ、まあそういうことになるかな恐竜が好きなのかい?」

「うん!」

「そうかい、それは良かった。あんたもかい?」

「いや、俺は恐竜にはあまり。」

「そうか、ここに来るまで大変だったんじゃないかい?」

恐竜講義のことか、よくわかっているな。

「それでそっちの男は?」

「カオス理論で有名なマルコムだ、よろしく。」

カオス理論...聞いたことがないが

この男もなかなかのくせ者な気がしてきた。

いつもとはまた違った癖の強さで疲れそうだ。

一段落したらさっきの職員とじっくりと話し合うことにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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甦った恐竜

ジープに乗り、砂利道を進むこと10分。

うっそうとした森を進む間に、

他の専門家に話を聞いてみることにした。

 

「ねぇ、君達本当に知らない?

カオス理論のマルコム博士って。」

さっきから口を開けば、

同じ質問しかしないこの男は何かの博士らしい。

「うーん、知らないや。恐竜の博士なの?」

「いや少し違う、どちらかと言えば、

進化論の博士といったほうが正しいだろう。」

この独特の雰囲気、誰かからも感じたことがあるが

誰だったか...

「よし、では教えよう、いいかい?

カオス理論というのは」

「聞いてないんだけど...」

「..カオス理論というのは簡単に言うと、小さな条件や状況の違いにより、結果に大きな違いが生まれること、生命の予測不可能性などの微分方程式、力学系を扱う理論だ。解ったかい?」

「全然。」

思い出した、シギントだ...

「そうか、じゃあもっと分かりやすく説明しよう。」

「...スネーク、ちょっと。」

チコが、助けを求めるような視線を送ってくるが

どうしようもない。

いつもお前が俺に恐竜の話をするとき、

俺はそういう気分になってるんだ。

「ちょっと、お兄さんもちゃんと聞いてよ。

いいかい、今からこのコップの水を、手の甲に垂らす、

そうすると水はどっちに流れると思う?」

...やっぱりこの博士は黙らせておくべきだったか。

「手が傾いてるからこっち。」

「そうかい、じゃあやってみるよ...。」

マルコムが水をチコの手に垂らすと、

水はチコの言った方へ流れていった。

「じゃあもう一回やってみようか、

今度はどっちに流れると思う?」

「えっと...」

マルコムの相手はチコに任せ、周りを見てみると、

いつの間にか草原らしきところに出た。

そのまま進んでいると、奥に大きな物体が見えてきた。

...冗談だろ。

ジープがすぐそばで止まり、

前のジープに乗っていた博士達が驚いているのが見える。

思わず立ちあがりながら、

チコの服をつかんで持ち上げた。

「ちょっと!まだ講義は終わってな...」

「なんだよスネーク!離して...」

 

それはクレーンでも、自走砲でもなかった。

ましてやメタルギアですらない。

 

四本の足で大地に立ち、

その長い首で高木から葉をむしりとっていた。

 

それは

 

生きていた

 

ハモンドの言葉が、硬直した一向に降りかかる。

「ようこそ、わが

 

 

ジュラシックパークへ。」

 

やってくれたな、カズのやつ。

これを俺たちにどうしろというんだ。

「ハモンドの奴、ほんとにやりやがった...」

「ブラキオ...サウルス...」

「こいつは、大儲けできるぞ...」

感嘆の声とため息が、各々の口から吐き出される。

これは普通の人間なら言葉を失うだろう、

感想など二の次になる。

...普通の人間なら。

「スネーク!ブラキオサウルスだよ!」

いくらなんでも復帰が早すぎる...

「おいチコ、実物を見れて興奮するのは分かるがこの調子じゃ1日持たないだろう。」

「でもでも!本物のブラキオサウルスだよ!」

「あー、そうだな、すごいなズラキオサウルス。」

「ブラキオサウルスだよスネーク!」

この状況ではまともな会話はできないな。

仕方ない、後回しになっていくがセキュリティの話は

ここのあとに...

「Tレックス!?今Tレックスって言った!?」

...しばらく話はできなさそうだ。

こんなことなら話のできる仲間...

ヒューイを研究所から引っ張り出すなり、

カズもついてこさせるなりすれば良かった。

ジープからマルコムが降りてきた。

今、俺と話せるのはこの博士だけだ。

「博士、あんたはこれをどう思う。」

さっき、進化論といっていたが、

これはそれに反することなのだろうか。

「俺は...恐ろしいよ...。」

そう言った顔は不安や恐怖で溢れているように見えた。

 

恐怖か...

確かに、この巨大生物に感じた恐怖は今まで感じたどれとも違うような気がする。

メタルギアのような人を殺そうとするものとも、

核兵器のような人類を滅ぼそうとするものとも違う。

得体のしれない恐怖だ、

まるで、踏み込んではいけないところに

足を踏み入れてしまったような。

「何事もなく終わればいいが...。」

「ああ...」

そう言いながら、

そんなことにはならないだろうと心の奥で思った。

 




◆ブラキオサウルス
ジュラ紀から白亜紀にかけて北米大陸に生息した大型の重脚類。
名前の意味はアラビア語の『腕』と『トカゲ』の合成語
初代ジュラシックパークでは初恐竜として登場する。
その後のシリーズでもたびたび登場し、迷い込んだ人間達に希望を与える役割につくが、ジュラシックパークⅡではアパトサウルスにその役割を奪われてしまっている。

◇ティラノサウルス
白亜紀後期に北米大陸に生息した大型肉食恐竜。
名前の意味は『暴君トカゲ』
言わずと知れた超有名恐竜であり、シリーズでも皆勤賞。
強い・カッコいい・有名、三拍子揃ったパーフェクト恐竜。
ちなみにジュラシックパークⅠに登場するティラノサウルスは、ジュラシックワールドⅠ・Ⅱに登場したものと同一個体。


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スネークの苦悩

お気に入り登録が10人を越えました。 正直驚いてます。
知り合いに嬉々として話したら「有名タイトル使ってるんだから当たり前だろ。」と言われました。
...まだまだ未熟ですが
今後ともよろしくお願いします。


ブラキオサウルスとパラサウロロフスの間をすり抜け、

やっと島の中央センターに着いた時には、

スネークはチコとマルコムに板ばさみにされ、疲れはてていた。

(ブラキオがカオスでパラサウが力学...

ブラキオがカオスでパラサウが力学...)

初めは受け流していた二人の講義だったが、

熱心に話す二人に少し心を折られたが最後。

延々、恐竜大好き人間の恐竜の生息圏や生態やらの話しと頭の中までカオスな学者の仕事の愚痴を聞かされた

スネークは、満身創痍といった様子だった。

(もし次別れるなら、

あっちの博士と一緒に行こう...)

大きな肉食恐竜らしき化石を避けながら階段を上ると、

映画館のような場所に案内された。

「さあ、座ってくれ。

ここでは我がパークでどのようにして恐竜が甦っているか知ることができる。」

(まだ先伸ばしにするか...)

スネークはハモンドに従ってはいたが、警戒を怠ったわけではない。

戦場で培ったスネークの目には、どう考えても問題を先伸ばしにしているようにしか見えなかった。

(問題が露見する前に、少しでも良い印象を与えたいんだろう。)

「スネーク、もうみんないっちゃったよ、

早く行こう。」チコの言葉を聞いて周りを見渡すと、

博士達が椅子からいなくなっている。

「どこにいったんだ?」

「もう、聞いてなかったのスネーク!恐竜が孵化するところを見に行ったんだよ。」

(恐竜の孵化か...一応見に行くか。)

ハモンドの後についていき、研究所のような部屋に入ろうとした。

「身体検査は良いのか...」

「言われれば...」

(こんな低たらくで世界一のアトラクションだとはな)

アトラクションに詳しくないスネークでも、

これが不味いことなのは解る。

あろうことかパークの要である恐竜の孵化場に入るのに防護服も着せず身体検査もしない、マザーベースのほうがまだましだ。

「あのブラキオサウルスもここで?」

「そうだ、パークの恐竜は全部ここで...

ああちょうど生まれるぞ!」

卵が並べられた台の前に移動し覗き込むと、

小さな音と共に卵の表面にヒビが出来てきた。

周りの博士やチコが卵に応援の言葉をかけるなか、

スネークは主任らしき人物に話を聞いていた。

「ここで恐竜による事故は起こっていないのか?」

「ええもちろん、初めの内こそ小さな怪我人は出ましたが今は落ち着いています。」

スネークが小さな安堵を感じている間に、

恐竜が無事孵化出来たらしく、歓声があがっていた。

しかし、スネークはその中で1人硬い表情をしている博士いるのに気がついた。

確かグラントとか言った恐竜博士だ。

「どうしたんだ博士?」

「ああスネークさんか、いやそれが...

なあヘンリー博士、この恐竜はまさか...」

「ええ、ヴェロキラプトルです。」

その話を聞いて、グラントがより表情を強張らせたように見えた。

「もしかして...居るのか、このパークに。」

「ええ居ますよ。」

グラントの顔がさらに強張ったかと思うと、駆け足でハモンドのもとへ向かった。

「なあ、ラプトルがいるんなら

すぐに見たいんだが...」

「良いとも、それじゃあ行こうか。」

部屋から出ようとしたハモンドの前に、

スネークが立ちはだかる。

「ハモンドさん、

頼むからこの島の管理施設を見せてくれ。」

「いや、まだもう少し待ってくれないかね。」

ここまでのらりくらりとかわしてきたが、

もうそうはいかん。

「駄目だ、人の命がかかっている以上一分一秒を争わなきゃいかん。」

「そうか...では、わしらはラプトルのフェンスに行くから、

マルドゥーンについていってくれ、食事の時間に落ち合おう。」

「チコ、お前は博士と一緒に行け、いいな?」

「うん...じゃあまた後でね、スネーク。」

(出来ればこの島を出るまで、一緒に行ってほしいんだがな。)

前以上に不安そうなマルコム達を見送りながら、

仕事のことに頭を巡らせた。

やることは山積みになっている。

(さて、始めるか!)

 




◆パラサウロロフス
白亜紀後期に北米大陸に生息した中型の鳥脚類。
名前の意味は『サウロロフスに似た者』
ジュラシックパークⅠでは活躍出来なかったが、後のシリーズではそれなりの出番を貰っている。
頭の管を使って仲間と会話していたとされている。
生息圏・時代の関係から、トリケラトプス・ガリミムスと並ぶ『ティラノサウルス三大エサ恐竜』である。

◇ヴェロキラプトル
白亜紀に東アジアに生息していた小型の肉食恐竜。
名前の意味は『敏捷な略奪者』
発声器官を持ち、仲間との連携で獲物を仕留めていた。
恐竜作品において、ずる賢く仲間と狩りをするシーンが多く、そうなった理由はもちろんジュラシックパークシリーズの影響だろう。
ティラノサウルスと並んでジュラシックパークシリーズの看板を勤める恐竜でシリーズ皆勤賞だが、作中で同じ個体はジュラシックワールドの『ブルー』のみであり、その他の個体は全て別の個体である。
ジュラシックパークシリーズのヴェロキラプトルは、同じ小型肉食恐竜、ディノニクスをモデルに作られているため、実際のものよりも大きくなっている。


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セキュリティ・チェック

投稿遅れて大変申し訳ありません


ここは島のコントロールルーム

恐竜の管理を始め、島のあらゆるシステムが集まる、

いわば脳のような場所である。

ハモンド財団の資金と技術を注ぎ込んだ最新の設備が揃っているが、ここでもスネークは頭を抱えていた。

ざっと見て回っただけでも、

いくつもの問題を発見する事になったからである。

一番の問題は、スタッフの数が全く足りていないことだろう。

本来、これほどの大事業であれば、一流のプログラマーやエンジニアが数十人以上集まっていても不思議ではないが、そこにいたのはほんの数人で、おまけにそのほとんどにやる気がみられない。

一応真面目そうなスタッフもいるようだが、

そのスタッフにかかわらず、どのスタッフも疲労が溜まっているようだった。

そして次の問題は、最新の設備かどうか不安に感じることだ。

コンピューターの配線がむちゃくちゃになっていることや、時折ディスプレイが映らなくなることはまだいい。

スネークはそういったことの専門家ではないし、

ヒューイからはAIの説明こそ受けたものの、コンピュータープログラムの説明は受けていないのだから。

何よりスネークを怒らせたのは、武装が貧弱過ぎることだ。

防弾効果などまるで期待できないジャケットに、

紛争地帯で使われるような小銃。

一部は改造されていたり、まだ新しいモデルのものもあったが、手入れがあまりにもお粗末すぎる。

もちろん戦闘ヘリや戦車などない。

おまけに銃を使えるスタッフはごくわずか、

戦闘経験があるのはリーダーの男一人。

相手が相手なだけに、人間との戦闘経験はさほど重要ではないが、臨機応変さを求めた時に、一体何人が使い物になるか...。

冷静に考えれば、全く歯が立たない相手でもない。

実際スネークはいくつかの対処方法を思い付いていたし、それを実践できる自信もあった。

しかし、

 

もし相手が銃が効かないほどの皮膚を持っていたら?

もし相手に戦車を押し返すほどの馬力があったら?

 

おそらく、スネークやMSFの熟練したスタッフならば、

これに対抗する術を見つけ出すだろう。

しかし一般人同然の素人は...。

そういった問題の中で悩んでいたスネークだったが、

そもそもこの依頼は、パークの運営ではないことを思い出した。

セキュリティの問題を見つけ、それを報告するだけでいいのだ。

...あの責任者がそう簡単に話を聞いてくれるとは思えないが。

半ばやけくそ気味に結論を出したスネークは、チコのことが気にかかり、島のツアーを管理しているディスプレイを覗き込んだ。

一段落したら食事の筈だったが、設備を見て回っている内に、時間を過ぎてしまっていたようだ。

チコに何か言われるだろうと考えていると、

ハモンドが部屋に戻ってきた。

本当なら文句の一つも言ってやりたいところだったが、

諦めた。

「ああスネーク君、すまんね。

今ならまだ記念すべき初ツアーに間に合うよ。」

やはり、この男の頭の中のほとんどはビジネスのことらしい。

少し不機嫌そうに見えたが、博士達に何か言われたのだろうか...。

そうしている内に、とんでもないことに気付き、スネークは唖然とした。

パソコンの画面の中にチコとは違う子供が写り込んだのだ、それも二人だ。

「おいハモンドさん、これは一体どう言うことだ!

セキュリティのチェックはまだ終わっていないんだ、

ゲストを招くにはまだ早すぎるだろう!」

「いや、あの二人はわしの孫達でな。

あの子達にもツアーを体験させてやりたいのだよ。」

この老人の考えに、ある程度耐性が着いた気になっていたが。そのはるか上をいってくれたな。

幸い向こうにはチコもいることだし、

ある程度のハプニングには対応できるだろう。

「スネーク!何で来ないんだよー!

せっかく話ができる仲間が出来たのにー!!」

...やっぱりまずい気がしてきた。

そんなスネークのさらなる不安をよそに、

ハラハラドキドキがテーマのツアーが、ゆっくりとスタートした。

 

 

 

 

 

 

 



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魅惑の恐竜ツアー?

「ねぇ、これって恐竜ツアーだよね。肝心の恐竜さんはどこ?」

画面からマルコムの愚痴に似た質問が投げ掛けられる。

というのも、ツアーは小型の肉食恐竜、ディロフォサウルスの囲いの前に差し掛かったところだったが、どうにも恐竜が見当たらないらしい。

森に隠れ住む恐竜なだけに、囲いを樹木で埋め尽くしたらしく、一向に現れる気配はない。

ツアー最初の恐竜であり、それなりに大事なところなのだが...

 

当然と言えば当然だな、動物が我々のタイミングにあわせてくれるとは限らん。

 

ザ・ボスから教わった物の中には、動物の調教もあったが、実際に使ったことはない。

しかし、各地で動物をキャプチャーしてきたスネークは動物は野生でも飼育されているものでも、人の予想を越えた行動をとることは十分学んでいる。

 

スネークは、ふと気になって訪ねた。

「なあ、まさか脱走したなんてことは無いだろうな。」

小型の恐竜の囲いなのだ、たいした大きさではない。ならば尻尾の一つでも見えると思ったが...

だとしたらかなり厄介なことになるが、その懸念にハモンドが消してくれた。

「まだ高圧電流は流れているようだから脱走した訳では無いだろう。どのフェンスも正常に稼働中だ。」

...だとうれしいね。

スネークがツアーが進むのを眺めていると、鼻の中に気になる匂いが入ってきた。見ると、1人のスタッフが煙草を吹かしているようだった。

 

アーノルドとかいったか...

どうやらヘビースモーカーのようだな。

 

葉巻と比べると雲泥の差だが、官能的な匂いはしばし、スネークの気分を極楽に連れていった。

しかし、確かに煙草の煙は電子機器にとってあまりよくなかったはずだ。

ここでもパークの問題が浮き彫りになった訳だが、スネークはあることを思いつき、ポケットの中を探る。

特徴的な形の『それ』はすぐに見つかった。

 

電子煙草だ、ヒューイに葉巻の代わりにとひとつもらっていたものだが、自分にはあまり会わなかったものだ。

「よかったらどうだ?」

電子煙草をアーノルドに見せると興味深そうに眺めた。

「?...これは?」

当たり前だが、電子煙草のことは知らないようだ。

「電子煙草だ、煙の代わりに水蒸気が出る優れものでな、機械への影響も少ないし匂いも気にならない。しかも充電式だ。」

改めて説明すると、アーノルドはMSF技術顧問の傑作をよりいっそうまじまじと見つめた。

「凄いもんを作ったもんだ...ありがとう、貰っておくよ。」

満足してくれたようで何よりだ、これで少しは事故の確率が減っただろうか。

 

しばらくするとまた問題が発生した。

どうやらトリケラトプスという恐竜が病気にかかっているのを発見したらしい。

またしても問題かと頭を抱えていたスネークだったが、獣医は有能な人材だったらしく、すぐに対処するとのことで落ち着いた。

ツアーの参加者にもその手の博士がいたらしく、そのまま一緒にツアーから離れるそうだ。

女性の医者ねぇ...

厄介者でなければいいんだがな...

そんなことを考えたスネークだが、すでに厄介者だらけだったことを思い出し、ため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




◇ディロフォサウルス
ジュラ紀前期に、北米大陸と中国に生息していた小型肉食恐竜。名前の意味は『二つの隆起を持つトカゲ』
ツアー最初の恐竜として登場筈だったが、一行の前に現れることはなかった。
作中では毒を吐く恐竜となっているが、実際のディロフォサウルスはもっと小柄で毒も吐かない上、襟巻きもない。これは当時、まだディロフォサウルスの詳しい情報が少なく、毒を使って狩りをしていたと思われていたためである。襟巻きは当時のエリマキトカゲブームによるもの。

◆トリケラトプス
白亜紀に北米大陸に生息していた角竜類の恐竜。
名前の意味は『三本の角を持つ頭』
ティラノサウルスと並ぶ人気恐竜だが、ジュラシックパークシリーズではいまいち出番がない。
作中では、ヘンリー博士が一番最初に作り出した恐竜で、イスラ・ソルナ島で生み出された。


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事件の始まり

悪天候は、スネークにとってはいつもありがたいものだった。自分のいた痕跡を消し去ってくれるだけでなく、敵の注意力を削いでくれるからだ。

もっとも、それはスネークの話でそれ以外の人は悪天候にありがたみを感じることはほとんど無いだろう。

事実、ここのスタッフも島に温帯低気圧が接近していると聞き、大慌てで対策しているところだ。

ツアーも中止、車もこちらに引き返すことになった。

「初ツアーはさんざんだったな...」

そう愚痴を放ったのはハモンドだ。気持ちもわからんでもないが、どれもこれもパーク側の怠慢だ、次までに直すならいいんだが...

それよりも問題なのは嵐が迫っていることだ、風が吹けば飛んでいきそうなパークにそんなものが来れば少なくない被害が出るだろう。

聞くと、すでにスタッフの大半は船で避難準備にかかっているという。

(急いだ方がいいな。)

マザーベースに戻ってセキュリティに関する評価と改善点を書類にして提出しなければ。

出来ればチコの意見も聞きたいところだが、おそらくそんなところ気にして観ていないだろう、今頃はきっと恐竜が見れなくてふてくされている頃だろう。やれやれチコをどう説得したものか...

「なぁ、えっと...とりあえず言われたバグ取りは終わって、喉が乾いたから何か飲み物を買ってきたいんだけど...何か飲みたい物ある?」

そう言ったのは小肥りした男、確かネドリーと呼ばれていたプログラマーだ。ここのプログラミングのほとんどを手掛けたらしい。優秀な男なのは間違いないが性格に難ありと見た。

ハモンドがそれを許可し、二階へと急いで上がって行くのが見える。

...そんなに喉が乾いたのか?

急いでいるだけではなく、緊張しているようにも見えた。というか何かあった時にプログラマーがいないと即座に対応出来ないだろう。

もはや今さらな文句だが、言っても仕方ない。鞄に入ったマウンテン・デューを渡しても良かったのだが、これはスネーク自身も気に入っている物だったのでためらった。

そんなスネークだが、ここから去る前に一つ聞いておきたいことがあった。

「なあ、あんたはどうしてこのパークを作ったんだ?」

儲かるというのもあるだろうが腐っても実業家、無理してでもこのパークを作ったのには訳が有るのだろう。

「君にそんなことを聞かれるとはな...

わしはこのパークを、金儲けの為に作ったわけではない。」

そこまで言い切るとは思わなかった、やはりこの男は実業家である以前に、妄想家なのかもしれない。

「まやかしや小細工ではない誰が見ても驚愕する物を作りたかった...

何より恐竜は子供の憧れだ...いや、大人にとってもそうだ、わしもな。」

...言いたくないが、やはりこの男にはこの仕事は向いていないんじゃないか。

もっとも、それについてとやかく言うつもりはない、あくまで雇い主としての関係だ。

「君はこのパークについてどう思う?」

...聞かれてしまっては答えるしかない。

「...正直言って、このパークはとても誉められた状況ではない、ほとんどの面で問題を抱えている。」

そう言われたハモンドは悲しみの顔になったが、半ば当然だろうという感情も見せたことをスネークは見逃さなかった。

「だが、あんたのエンターテイメントとしての考えは決して間違ってはいないだろう。

それに見合う力を身につけて出直すんだな。」

ハモンドはそれを聞いてわずかな笑みを浮かべた。

「..ここにきてわしを誉めた人は君が初めてだよ。」

やはり俺が同行しなかった食事の時に何か言われたんだろうな。

スネークが、この仕事が終わってもパークのことは気にかけておこうと考えた時、一瞬だけ照明が消えた。

身に付いた癖で警戒の体制に移るが、他のスタッフはあまり気にしていない様子だった。

「きっとネドリーのいっていた奴だろう、

すぐに...」

ハモンドが説明し終わる前に、ディスプレイに異常事態の警告が走る。

「なんだ!何があった!」

駆け足でアーノルドのそばに向かうと、ディスプレイに新たな警告が写し出される。

「これは...!」

アーノルドの見ている画面を覗き込むと、信じられない文字が写っていた。

「『恐竜脱走注意』...!?おい!これはどう言うことだ!!」

「まさかネドリーの奴か!?くそっ!!」

「大変です!パークのすべてのフェンスの電流が切れました!!」

「なんだと!!」

スネークの頭にチコ達のことが浮かぶ。

「おい!ツアーの車はどうなってる!!」

危険に晒される前に博士達と一緒に助けなければ...

しかしアーノルドから帰ってきたのは絶望的な報告だった。

「く..車はティラノサウルスのフェンスの前で止まっています!!」

「なっ...!」

その場にいた全員が固まり、ハモンドの方を見る。

そんなハモンドなんだ口から出たのは孫の名前だった。「レックス...ティモ...。」

 

嵐が、島に更なる嵐を連れてきた。

 

 

 

 

 



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ツアーと恐竜達

スネーク達が予期せぬトラブルに見舞われる少し前。

雨に打たれる車の中でチコはこのパークでの出来事を振り替えっていた。

恐竜島のツアーを一言で表すならこうだ。

 

『退屈』

 

理由は簡単、恐竜島なのに恐竜が見れないからだ。

このパークに来て最初の内は、恐竜の圧倒的な力と未知のテクノロジーにハラハラドキドキしたものだが、蓋を開けると猫も杓子もトラブルトラブル。そのせいですっかり冷めてしまった。

子供は熱しやすく冷めやすいとはよくいったものだ、子供ながら感心する。

もっとも、ツアーに参加している残り二人の子供は恐竜が見られず落胆していたが、すぐに他の物に興味を引かれているようだ。

 

ツアーで最初に会うはずだったディロフォサウルスは草木の茂みから出てこなかった。普通なら、大一番の為に万全を期すべきだろう。

実戦の為に訓練と装備の点検は怠らない。このくらい誰でも出来るだろう。

次の恐竜はティラノサウルスだった。しかしこちらも僕達の前に姿を表すことはなく、正直、ガッカリした。

恐竜界のBIG BOSS、このパークの顔とも呼べる恐竜の顔を拝めない事がどれ程残念か、想像することは難しくない。

しかしまもなく落胆の感情は終わりを告げる。落胆を越える失望によって。

なんとツアーに同行していた博士の一人が、病気にかかったトリケラトプスを発見したのだ。

これがどんなに大変な事か理解している人間はそう多くはなかった。しかし、チコがゲリラで培った経験は、子供ながらこの問題の深刻さを理解していた。

性質を理解しきっていない生物が、スタッフにもわからない病気にかかる。これは最悪の場合、人の生死に関わるだろう。

スネークがハモンドさんの話を聞いて疲れている理由が少しわかった気がする。帰りは長話しないようにしよう。

 

結局、ツアーは中止になった。

大型の台風が接近しているらしく、すでにポツリポツリと雨が降り始めていた。

恐竜達が心配だが、来て間もない自分たちに出来ることなんてたかが知れているだろう。

ふと後ろの座席を見ると、二人の姉弟がふざけあっていた。名前は、姉がレックスで弟がティモ、ハモンドさんの子供達らしい。

弟の方は恐竜が好きらしく、他の博士に食って掛かっているのを見た、自分が言えた口ではないが、生意気そうな奴だ。

姉の方は比較的おとなしいようで、大人の指示はしっかり聞いているようだが、特段恐竜が好きと言う訳でもなさそうだ。

そんな二人を見ていると、パスのことを思い出してしまう。

...パスと一緒にこのパークに来ていたらどうなったのだろう。

恐竜について熱く語る自分を見て苦笑いするのだろうか、そう考えていると、無性にパスに会いたくなってくる。パスの言っていた事が本当ならばMSFは敵の攻撃を受けるだろう、そうなれば皆が散り散りになってしまう。そして、もしパスが生きていたら...

そう考えると、届いていないはずの雨に、急激に体温を奪われている気がした。

いや...雨だけではない、もっと得体の知れない何かだ。

もしかしたらそれは、これから起こる事件を本能で感じ取っていたからなのかも知れない。

ツアー車は、恐竜王の檻の前に向かって行った。

 

 



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T-REX・キングダム

思わぬ事態に騒然とするハモンドとアーノルドの制止を振り切って、自前の鞄からハンドガンとアサルトライフルを取り出して慣れた手つきでチェックを済ませ、スネークはジャングルに飛び出した。

(最も恐れていた事になったな。)

さすがのスネークも、パークの全てのフェンスの電流が切れるような事態を想定していた訳ではないが、恐竜が脱走するようなシナリオを全く想定していなかった訳ではない。

まだ恐竜が脱走したと決まった訳ではないが、檻の外を知らない生物から、檻を取り上げたとき、その生物がどうするかを考えれば、十中八九脱走するとみて間違いないだろう。

ジャングルの中を走り抜けながらスネークは思った。

(こんなことなら、ハモンドに無理矢理にでもセキュリティチェックをするよう迫っておくべきだった。)

スネークの中では焦りと後悔がうごめきあっていたが、絶望していた訳ではない。

必ずチコ達を助け出すという意思は決して消えていない。

ジャングルを抜け出して、ツアーで使われる無人ジープ用にレールが埋め込まれた道を、セントラルセンターとは逆の方向に走り出す。

ここからジープが停まっている地点まではそう遠くはないはずだ。走れば数分くらいだろう。

そう思って、フェンスに挟まれた道を進む。

既に嵐は島を直撃しているため、フェンスと木々がぶつかり合い、大きな音を立てていたが、それすらも風雨の音に遮られ、まるで戦場のようだった。

そんな中で、スネークの目に小さな何かがうつりこんだ、視界が悪いため、細かく見ることはできなかったが、大まかな影だけでその正体を特定することは難しくなかった。

二足歩行で首と尻尾が長く、細長い顔をしたトカゲ。

ここがコスタリカの森の中だったら自分の目を疑うだろう。しかしここは恐竜島なのだ、『それ』は恐竜に他ならない。

スネークが正体を特定するまでの間に、小さな脱走者は二人に増え、近づくまでの間に三人に増え、銃を構えるまでの間に五人に増えた。

ハモンドに報告しようかとも考えたが、電力が切れていたら繋がらないだろう。スネークは己の迂闊さを悔やんだが。そんなことお構いなしに脱走者は数を増やし、ついに二十人近くなった。

スネークが銃を構えたまま近づくと、不意に反対方向の木が倒れてきた。

小さな恐竜は一斉に草木の茂みに向かって走り出し、その内の何匹かがスネークの方にも向かってきた。

スネークは反射的に一体をいなして弾き、もう一体の首を掴んだ、触ってみると本当にトカゲそっくりで、ついつい味に関しての考察を巡らしてしまう。

しばらくすると、急に逃げ出そうともがきはじめたので、仕方なく首を掴んだ手を離すと、仲間と同じ方向へと駆けていった。

気配を感じて倒れた木の方をみてみると、先程の小さくて身軽そうな恐竜とは打って変わって、大きくて鈍重そうな四足歩行の恐竜が姿を表した。

こちらはただ大きいだけではなく、首から尻尾にかけて鎧のような鱗に覆われているのがわかった。特に左右に突き出た大きなトゲが目を引く。

その恐竜はなに食わぬ顔で道に出ると、スネークを一瞥することもなく反対の茂みへと消えていった。

あれを相手するのは骨が折れそうだ。

というか、もうこんなに恐竜が脱走しているとは思わなかった。フェンスが脆いのか恐竜が強いのか、あるいはその両方の可能性もある。

思わぬ遭遇で時間を取られてしまったので、少しばかり走るペースを上げる。そうしてから約2分程走っただろうか、大きな看板の向こうに停止しているジープが見えた。中では、こちらを発見したチコが驚いた顔で手を振っている。

そんな光景を見て、スネークは安堵して駆け寄ろうとした。

 

しかし、そんなスネークの耳に不穏な音が響いた。

しかも、それは少しずつ大きくなっているようだった。

 

何かがちぎれるような音

       何かが歩く足音

          何かが息をする吐息

 

それを聞いてスネークは思い出した。

ジープがどこで停まっているのかを。

 

スネークがそれを思い出して、銃を構える頃には、

パークの真の主、恐竜の王は、

        静かにたたずんでいた

 




◇コエロフィシス
三畳紀後期に北米大陸に生息していた小型の
雑食性恐竜。
ドキュメント等ではよく、一番最初の恐竜として扱われる。
ジュラシックパークシリーズでは、目立った出番があるのはⅡのみだがその後のシリーズでも、恐竜が集まっているシーンにはだいたいいる。

◆ポラカントゥス
白亜紀前期に生息していた鎧竜の一種、
左右に突き出た大きなトゲが特長。
ジュラシックパークシリーズ本編には登場しないが、
ゲーム等ではたびたび出演している。


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王者君臨

本当なら、子供達の駆け音と笑い声が響くはずだった道に、戦場のような地響きが走る。

檻の中にただ鎮座するだけだった見せ物が、一瞬で地上最強のハンターへと変貌する。

「くそっ!」

最悪の事態だ。

今まで出会った恐竜とは一線を画する体躯、そしてそれを隠すこと無く立つ堂々さ。

これが恐竜の王、ティラノサウルスなのか

 

カズやチコから飽きるほど言われた話では、ライオンの数十倍の噛む力と、その巨大な体で、地上にいるありとあらゆる生物に一石を投じた覇者。

何億年もの進化の中でたどり着いた生物の究極形の一つ。

ただ体を大きくし、ひたすらに武器を強くする。

人間の考えで例えればこう言うのが正解だろう。

 

大鑑巨砲主義、と。

 

正面から殴り会うのなら、機関銃や装甲車両、少なくともロケットランチャーが無ければ話にならない。

こうして巨大な相手と向き合っていると、シャゴホッドと対峙した時の事を思い出す。

だがあの時とは違い、今のスネークの装備はアサルトライフルとハンドガンが1丁ずつ。それとサバイバルナイフだけ。

おまけに誰からの援護も期待出来ない。

 

 

すぐにでも襲い掛かるかに思われたティラノサウルスは、破れたフェンスの前でしばらく立ち尽くしていた。

数千年ぶりの自由を前にして、戸惑っているのだろうか。

 

変わらずに降りしきる雨の中で、静かにアサルトライフルを抜き、レーザーポイントで照準を合わせる。

狙いは全生物共通の弱点、目だ。

おそらく今まで体験してきたどの明かりとも違う光を受け、ティラノサウルスの目がスネークの元へ向けられる。

そのまま光に吸い寄せられるように首を向け、ゆっくりと体勢を変えるティラノサウルス。

スネークが少しづつ後退りすると、その何倍もの歩幅で、ティラノサウルスが後を追うように足を運び出す。

 

いいぞ、このままいけば車から奴を引き離せる。

 

だがスネークの安堵はすぐに砕かれる事となる。

「う、うわぁぁぁぁぁ!!」

後ろを走っていた車から、叫び声と共にスーツ姿の男が飛び出し、大声をあげながら逃げ出したのだ。

当然、ティラノサウルスの目線はスネークとは違う方向に向けられてしまう。

スーツの男はそのまま走って行ったから良いものの、問題は別にある。

ティラノサウルスの興味が、男が乗っていた車に同乗していた子供達に移ってしまった事だ。

まずい…!

すかさずアサルトライフルで顔を打つ。

人体であれば内臓までぐちゃぐちゃにする威力を誇る文明の力。しかしそれでも、恐竜の王を止めるのには地下不足だった。

弾丸はその鋼鉄の皮膚に阻まれ、気にも止めて貰えない。

胸のベルトに着けたトランシーバーを掴んで叫ぶ。

「ハモンド!聞こえるか!ティラノサウルスが檻から逃げ出してる!!」

しばらくのノイズと沈黙の後、ハモンドではなくアーノルドから返答が帰ってきた。

「車は無事か!?」

「ああ!二台とも無事だ!だが、ティラノサウルスが子供の乗ってる方を狙ってる!」

「なんだって!?」

そうこうしている間に、ティラノサウルスは車のすぐ横にまで迫っている。

「ティラノサウルスを倒すのは無理だ!なんとか奴の気を反らす必要がある!」

雨と焦りのせいで、トランシーバーに向けて叫ぶ声が大きくなる。

「雨が強すぎて音は無理だ!光は無いか!?出来るだけ強い奴だ!!」

「車の荷台には、発煙筒と大型懐中電灯が入ってる!それを使え!」

車の荷台にか!?

一番近い車は今ティラノサウルスが狙っているし、もう一方はその向こう側だ。

目の前で堂々と車のトランクを開けさせてくれる訳がないし、ここからもう一方の車までは遠すぎる。

車がどれだけティラノサウルスに耐えられるかわからないが、軍用でもない限りそう長くはもたないだろう。

「やるしかないか!」

アサルトライフルからハンドガンに持ち変え、ダッシュで車に向かう。

その直後、ハモンドの声がトランシーバーから響く。

「スネークくん、子供達を頼む……!」

「ああ!わかってる!」

 

 

 

「ど、どうするの!?」

「ドア!ドア閉めて!早く!」

車の中で慌てふためくレックスとティモ。

だがゲリラとして経験を積み、マザーベースで訓練を受けたチコは違った。

「叫んじゃダメだ!動かないで!アイツは動く物にしか興味は無い!」

こっちに気が向いたのも、あの弁護士が逃げ出したせいで、決して車の中の肉を狙っていた訳では無い。

今がどうかはわからないけど……。

「………………っ!」

「う………………!」

チコの言葉を聞いた二人は口を手でつぐみ、喉から出かかっている恐怖を押し殺している。

ティラノは車の横に立ち、ゆっくりと車の中を覗き込んでくる。

横と上から舐め回すようにこちらを見ている。

それは獲物を物色するハンターそのものだった。

どいつから殺そうか、どうやって喰おうか、そんな事を考えているに違いない。

なんとかしなきゃ……!

後ろを振り返り、荷台に何か無いか探す。

必死でパンフレットの山の中から非常用具箱を見つけ出し、迷わず開ける。

斧、ロープ、災害マップ、そして発煙筒とライト。

よし、この発煙筒で…。

ライトを片手に二人に話しかける。

「大丈夫だ、今から……」

「ひっ!」

チコが外へ発煙筒を投げるため、ドアに手を当てた瞬間、窓の上からティラノの顔が現れた。

チコの顔が、ティラノの目に反射して映る。

 

その瞬間、ティラノが頭を持ち上げ、車にぶつけてきた。

「うわぁぁぁぁぁ!!」

車が大きく揺れ、車内が悲鳴で包まれる。

手に持った発煙筒は転げ落ちてしまい、ティラノの気を移す事は困難になった。

なんとか脱出しないと!

ティラノは車にかじりつき、ミシミシと音を立てる。

ガラスは割れて散乱し、前の座席に座っていたティモが助けを叫ぶ。

「グラントさん!助けて!!」

グラントさん。

そうだ、もう一つの車にはグラント博士とマルコム博士が乗っていたはずだ。きっとあっちの車にも発煙筒があるだろう、それに気づいてくれれば……!

それに、スネークがなんとかしてくれるはずだ。

でも…自分の非力さが情けない……!

 

 

 

「何をする気だ!グラント博士!」

スネークがティラノサウルスのしっぽのすぐ側に到達した時、グラント博士らが乗る車の近くに、赤い光を見た。それは光だけで無く、煙も放っている。

アーノルドの言っていた発煙筒だ。

それをグラント博士が手に握っている。

「まさか引き付けるつもりか!?」

そのまま発煙筒を持った手を挙げ、ティラノサウルスの目の前で振り始めた。

ティラノサウルスはそれに気付き、口に咥えていた車を地面に落とす。

車のガラスは割れ、フレームはひしゃげ、完全にひっくり返ってしまった。

今のうちに……!

車に駆け寄り、中に居るはずのチコ達に声を掛ける。

「大丈夫か!」

「スネーク!」

「スネークさん!!」

チコの声を聞いて一旦安堵出来たものの、状況は芳しくない。

「ここを離れるぞ!」

「無理だよスネーク!出られない!」

「出るんだ!車を持ち上げるぞ!!」

車の窓枠を掴み、力一杯引き上げる。

その横に、グラント博士も合流してきた。

ティラノサウルスは発煙筒を追い、檻とは反対側の茂みに気をとられている。

「なかなか度胸があるじゃないか博士!んうっ!!」

「君こそ、まさか走って来てくれるとは思わなかったよ!ふっ!!」

大人の男二人、しかも一人はバリバリ現役の職業軍人である。

車と地面の隙間はすぐに、人が通れるほどまで大きくなった。

「よし、今だティモ!レックス!」

「チコもだ!」

「ダメ!グラントさん!ティモがまだ挟まってる!」

「くそっ!もうティラノが戻って来る!!」

「一旦離れるぞ!!」

「レックスとチコは早く!」

レックスとチコが車の下から抜け出し、そのまま二人を連れて離れるグラント博士。

だがスネークは離れない。

「俺が奴を引き付ける!」

アイツの注意は俺に向いてる。

今ならこの車から引き離せるはずだ。

その後は、森の中に入ってアイツを巻いてしまえばいい。

 

「おい!こっちだ!!」

 

スネークの考えをすべて消し去るほどの声が、雨音の中でもはっきりと聞こえた。

声の主はマルコム博士だ。

手には発煙筒が握られている。

「よせ!マルコム!」

グラント博士の悲痛な叫びが聞こえる。

だが、二度も同じ手にはまるほど、ティラノサウルスはバカでは無かった。

発煙筒を一瞥すると、そのまま車とスネークの間に割って入ってくる。

スネークが狙いを着けた頭が、みるみるうちに空へ上がっていき、その口から咆哮が放たれた。

 

重戦車の走行音など、比べものにもならないほどの大音量。

大気は裂かれ、空気は震える。

これがかつて地球の大地に溢れていたなんて考えたくない。

思わずスネークは片手で耳を抑え、目を細める。

その一瞬の間に、ティラノサウルスの頭は再び車に突撃し、車が回り始める。

車が向かって行く先にあるのは……。

「まずい!崖だ!」

ハンドガンを打ち切っても見向きもされず、その空マガジンを投げつけても目線すら向けられなかった。

そのまま崖から落ちていく車から、ティモの叫びが聞こえる。

「助けて!!グラントさん!!」

 

 

 

「グラント博士!車を追ってくれ!マルコム博士はスーツの男とセンターへ戻るんだ!」

「わかった!レックス、マルコム博士と一緒に行くんだ!」

「嫌よ!ティモを助けなきゃ!」

「………わかった、よし行こう!」

「あのいけすかない弁護士を!?いや、しょうがない!」

「チコ!お前は二人を守れ!わかったな!!」

「わかってるよスネーク!」

 

 

 

グラント達は崖下へ降りて行き、マルコムはトイレからスーツ男を引っ張り出して道を走って行く。

残されたのはスネークとティラノサウルスだけ。

伝説の傭兵と恐竜の王が正面から対峙する。

弾が切れたハンドガンを捨て、腰に手を回し、車に近寄った時にチコの側で拾った発煙筒に火をつける。

当然ティラノサウルスが何か驚く事は無い。

だが、それは想定の内だ。

 

スネークは手に持った発煙筒を、手榴弾の要領でアンダースローする。

 

スネークの投げた発煙筒は、完璧な放物線を描きながらティラノサウルスの顔に向かい、寸分狂わず目に当たった。

反射神経の働きによってまぶたを瞑ったため、目には入らなかった用だが、それでも一瞬怯ませるのには十分な威力だ。

さすがのティラノサウルスも、たまらずに顔を背ける。

 

再びティラノサウルスが振り返った時には、そこにスネークの姿は無かった。

 

 

 

「悪いが、俺は格闘家じゃ無いんでね。」

側の森の中でそう呟きながら、迂回して崖下へ向かう。

 

後何回、アイツの相手をする事になるんだろうな。

 

森の中でティラノサウルスの咆哮を聞きながら、スネークはそう思った。



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恐竜島の夜

「おーい博士!無事かー?」

そこに居るであろうグラント博士を呼ぶ。

 

まだ少し空気の湿った森の中を進んだスネークは、ティラノサウルスに落とされた車が木に引っ掛かっているのを見つけ、そばに博士が居るのを確認した。

しかしその車がスネークの目の前で落っこちたのだ。

下敷きになっていたら間違いなくぺしゃんこになるところだった

「ああ、スネーク君か…なんとかね、そっちこそよくティラノサウルスと対面して生きてられるね」

木から降りてきたグラント博士は疲れた様子でそう答えた。

その後ろにはティモが続き、そばの茂みからはチコとレックスが泣きそうな顔で現れた

「グラントさん!ティモ!」

「スネーク!」

なんとか全員無事だったようだ

今度こそ安心して良いだろう

「スネーク、ティラノサウルスはどうしたの?」

チコの言葉を聞いて、今一度ティラノサウルスとの一連の出来事を思い出す

我ながらよく無事だったもんだ。

ティラノサウルスを巻けたのは、雨によって臭いを消せたのが大きい

あのまま追われていたらどうなっていた事やら

「とにかく……今日はもう夜遅い、木に登って休もう。」

グラント博士がそう提案すると、ティモが難色を示した

「えぇー、また木に登るの?」

「ティラノサウルスに齧られたく無かったら、言う通りにした方が良いよ。」

そんなティモにそう軽口を叩いたのはチコだった

 

少し目を離した間にだいぶ仲良くなったようだった

思えばチコと同年代の子供は、うちではパスだけだった

そのパスも年齢詐称だった訳だし、こうして話す機会も無かっただろう

そう考えると不思議と頬が緩むと言うかなんと言うか…

 

しかし、一つ問題がある

 

「どうしたんだいスネーク君、早く行こう。」

木に手をかけたグラント博士がそう話しかけるが

「……無理だ」

「え?」

そう、無理なのだ

「まさか…君、木登りが出来ないのかい?」

「そんな事無いでしょ!スネークどうしたの!?」

 

こればかりはどうしようも無い

 

 

「スタミナが無い」

 

「……はい?」

「えっ。」

そう、スタミナ切れである

昼の食事にも参加せず、車と合流するために走り回ったせいで、スネークのスタミナが底を尽きたのだ

 

「悪いが先に登っていてくれ、後から行く。」

「えぇっ!!それは危険過ぎないかい!?」

そう言って制止してくるグラント博士を止めるチコ

「大丈夫だよ、スネークはサバイバルの達人なんだ。」

チコはもう分かっているようだ

ザ・ボスの元で磨き上げられたサバイバル術があれば、恐竜島だろうと関係ない

「そうは言っても、何をするつもりなんだい?」

「決まっている」

ジャングルでスタミナが尽きた時にする事はただ一つ

 

Capture(キャプチャー)だ」

 

 

 

 

 

 

 

「ほ、本当に帰ってきた!」

自信満々なスネークと別れてから数十分後、何かの肉と果物を持ったスネークを見て、グラント博士は驚きの声を出した。

「まるで俺が死ぬかと思ったみたいな言い方じゃないか」

「いや、普通はそう思うよ」

「そうか……しかし、こいつを捕まえる時にトランシーバーを壊されてしまった」

確かにトランシーバーを見ると、ネバネバした紫色の何かがかかっていて、もう使い物にならなそうだった

スネーク君は安物がどうの言っていたが、他に気になる部分が多すぎる

すでにスタミナは回復しているのか、あっという間に木を登るスネーク君。

動物を狩る体力があるなら、少し休憩すればそれでいいと思うのだが、そこはその道のプロ特有の何かがあるのだろう。

「で、それは何の肉なんだい?」

さっきから気になってしょうがない肉の塊について尋ねる

肉の塊は、脚や手らしき物と、尻尾のような長い部分がついている

もうティモとレックスはスネーク君を、変なものを見る目で見ているのだが……

「これか?これは恐竜の肉だ。」

 

やっぱり思った通りだ

 

「スネーク凄いや!恐竜を食べたの!?」

「ああ、これはその残りだな」

凄くは無いだろう………いや凄いのか?

もうよくわからなくなってくる

夜のジャングルに単身飛び込んで、恐竜を捕まえて食べるなんて……

しかも生でだ

色々と規格外過ぎるよこの人は

「肉食の恐竜らしく筋肉の部分が多かったが、それでも臭みは強くない。やはり蛇に似た食感だな。」

そして当たり前のように感想が飛び出す。

もう何が何やら

「特に頭のそばの肉は旨かったな、エリマキの処理に手間取ったが、それでも十分過ぎる旨さだった。」

「エリマキ……?それってもしかして………」

「ほら、この恐竜だ。」

そう言って肉の塊の中から頭を取り出し、チコに手渡すスネーク

その頭を見て確信する。

間違いない、ディロフォサウルスだ。

となると………

 

「……内臓が無いようだがそれは…………」

「ああ、内臓もそれなりに旨かったな」

 

……………。

 

「毒があったと思うんだが」

「ああ、ツアーの説明にあったな」

 

………………………。

 

「……毒はどうしたんだい?」

「吐いて直した。こう、ぐるぐる回ってだな」

 

………………………………………。

 

「………何でそこまでして?」

「食ったら旨いかもしれないだろう」

 

うん、もう人じゃないね彼は

伝説の傭兵の話はたまに耳にするけど、ここまで規格外だとは思いもしなかったよ

 

 

 

 

 

 

「旨すぎる!」

「……うへぇ」

大木の上で恐竜の肉にかじりつくスネーク

ティモとレックスからの視線が痛いが、二人も食べればいいのに

「スネーク!少し!少しちょうだい!」

「まぁ待て、こっちの果物もどうだ?」

そう言って、ジャングルで採れた新鮮な果物を差し出す

ヤバそうな色のものもあるが、サバイバルビュアーを使えば問題ない

「果物なんていいよ!僕は恐竜が食べたいんだ!」

「よし、ここが旨いぞ…………うん、最高だ!」

鳥で言う手羽にあたる部分を豪快にもぎ取り、チコに手渡す

「は、初恐竜かぁ……ようし!」

夢中で恐竜にかじりついていると、木々の間に微かな気配を感じた

「うん……?」

「うわぁ!」

その正体は、この島に来て最初に出会った恐竜、ブラキオサウルスの群れだった

ジャングルの鬱蒼とした木の間から、ゆっくりとその太い首を伸ばし、月をバックに草を食べている

「食べがいがありそうな奴だな」

この島に来た初めは味の事なんて考えなかったが、慣れというのは怖いものだ

今では大きな肉が歩いているように見えなくもない

「こっちに来たよスネーク!」

群れの一頭がこちらに首を寄せ、スネーク達のすぐそばの木の枝から葉をむしりとっていった

見ると、離れのグラント博士やティモとレックスのそばにも、別の一頭が首を伸ばしている

「見てよスネーク!僕の手から葉っぱを食べたよ!」

「おお、良かったじゃないか………ん?」

そのブラキオサウルスの口から、小さな茸がこぼれ落ちた

そのままゆっくりと首を下げていき、やがて木々の間に入って見えなくなる

「俺達にくれたのかもな」

「ははっ!やっぱりスネークは動物と仲良くなる才能でもあるんじゃない?」

その茸をかじりながら、明日の事について考える

明日は早くに出て、センターに帰ろう

そしてティモ達子供を安全な場所を見つけてそこに避難させ、その後大人で脱出の算段を練ろう

なんとか全員無事に脱出できるといいんだが……

 

なんだか眠くなってきた

 

もう夜も遅くなってきたとは言え、こんなに眠気が襲ってくるなんていつぶりだろうか………

朝まで見張るつもりだったが、彼らは草食らしいし、あの巨体なら、異変があればすぐに気づけるだろうし……

「チコ……もう遅くならないうちに寝ておけ。明日は早いぞ」

グラント博士も子供二人に寝るよう言い聞かせている

あの博士もいい年だ、子供もいるのかもしれん

 

というか眠い……

 

「うぅ~ん…………」

「ス、スネーク……?」

 

やっぱり……いくらなんでも…眠すぎる……

 

やはりこれは……あれだな…

 

 

あの…茸…を……食べたから

 

 

 

 

 

 

ブラキオサウルスからの贈り物がスパーッツァだと気づいたのは、意識が途絶える寸前だった




当初スパーッツァを果物と書いていたので修正しました
3はネタが豊富で間違える……気を付けないと


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ハモンドの夢

ハモンドら、パークのスタッフは焦っていた

嵐の到来、そしてそれに乗じたプログラミング管理スタッフの逃走、恐竜の脱走……

ネドリーが逃走したと決めつけるには早いかもしれない。ただ数時間姿を見せていないだけなら、この広いパークのどこかに留まっているだけかもしれない。

しかし、同僚達はネドリーは逃げ出したと確信していた。事実そうであったし、この時すでにネドリーはこの島はおろか、この世界にすら居なかったのだが。

 

ネドリーが恐竜を閉じ込めているフェンスの電流を切った事で、恐竜達を縛る物は何も無くなってしまった。

アーノルドが再起動を試みているが、パスコードが必要ならしく、望み薄といった感じだ。

戻ってきたマルコムとジェナーロの話では、ティラノサウルスに襲われた一行のうち、ここにいる二人とサトラー博士を除いたツアー参加者、そしてスネークは未だジャングルの中にいると言う。

 

日付も変わり、満身創痍と言ったビジターセンターでは、サトラー博士がグラント博士らの帰りを今か今かと待ち続けていた。

「いくら何でも遅すぎるわ、こっちから迎えに行くべきよ!」

「夜のジャングルに踏み込むつもりか?それはダメだ、ミイラ取りがミイラになるぞ。」

「だったらなおさらよ、子供が三人も居るのよ?大人がこれだけ集まっていて、なにもせずにただ待っているだけなんて!」

我慢の限界を迎えたサトラー博士をマルドゥーンがたなめているがそれでも収まらず、怒りは辺りに向けられた。

「伝説の傭兵が着いていて、そう簡単に死ぬわけ無いだろう。何より、ここを脱出するなら電力を復旧させないと。」

「今、そのための準備を進めている。そうすれば、探すのも楽になるだろう。」

「脱走した恐竜のうち、肉食恐竜は五種類……ティラノサウルス、メトリアカントサウルス、ディロフォサウルス、プロケラトサウルス、そしてヴェロキラプトルだ。後述した三種は、ジャングルに適応した小型恐竜なんだ、人間では同じ土俵にすら上がれない」

悔しそうに顔を歪めたサトラー博士は、ハモンドに一言言ってやろうと席を立つ。

離れで倉庫から非常用荷物を運び出していたジェナーロに声をかけた。

「ジェナーロさん、ハモンドさんはどこに?」

「ハモンドなら食堂に居るよ……まさか君までサボるつもりじゃないだろうね。」

「いいえ、ただ一言だけ言ってやりたくて。」

そう言うとジェナーロは苦笑いしながら荷物を置いた。

「なら、私も一緒に行かせてくれ、私も彼には言いたい事がある。」

さりげなくサボったジェナーロの案内で食堂に入ったサトラー博士は、一人アイスのカップを手に持ったハモンドを見つけてそばに向かった。

「………全部溶けてた。」

アイスを口に運びながらそう愚痴をこぼすハモンドの前に座るサトラー博士とジェナーロ。

「皆無事だよ…何しろ、恐竜の専門家と伝説の傭兵が着いとるんだからね。」

そう言って疲れた様子のサトラー博士をたしなめるハモンド。

「わしが初めて…この手で造ったアトラクションは何だと思う?」

「ガラクタ駅の、ノミのサーカスだよ。これが…実に素晴らしいものだった。空中ブランコに、くるくる回る回転木馬…シーソーもあったな…………もちろん全部機械仕掛けなんだがね、子供達が言うんだ『ママ、ノミが見えたよ!ママには見えないの?』って。」

「………………………。」

「ピエロのノミ、綱渡りのノミ、パレードのノミ……」

 

「わしはただ……幻ではない何かを造りたかった」

 

「偽物でなく、この目で見て…触れる確かな物を。」

 

そう語るハモンドの目は、子供の目だった。

 

純粋で、夢を追いかける子供の目

 

 

「こればかりは試行錯誤するしか無いわ。」

「あぁ、まったく君の言う通りだ、ネドリーなんて男を雇ってオートメーションに頼り過ぎたのがそもそもの間違いだ、この失敗を次回に生かせばいい。」

それを聞いたサトラー博士は唖然とした顔でハモンドに向けて叫んだ。

「それじゃあダメよ!」

「創造とは、一途な意識が成せる業だ…わしは挑戦し続ける。」

サトラー博士は目の前の老人の内なるパワーと野望に恐怖を覚えながら、ハモンドに言い返した。

「それも幻だわ!不可能な夢なのよ!」

「管理システムさえ回復すれば!」

「彼らを管理する事自体が幻なのよ!」

「…………っ」

 

「あたしも初めはここのパワーに圧倒されたの……でもそれが間違いだった!」

 

「人の命より価値のある夢なんてこの世には無いわ!」

サトラー博士の言葉に、力なくうつむくハモンドに、ジェナーロが声をかける

「…ハモンドさん、自分も初めはこのパークに賛成でしたが、今は違います。私はこのパークを、他より金儲け出来る動物園くらいに思っていました……でもそれは違う。」

襟を正し、弁護士らしくハモンドに話すジェナーロ

「人間は進化の中で他の動物との生存競争に勝ち抜き、言うなれば地球の王となった。動物愛護団体がなんと言おうと、人間には動物を制御し、管理する資格がある。だが彼ら恐竜は、我々が種として越えた相手ではない…だから管理出来る域を越えています。」

ジェナーロの言葉も堪えたらしく、ハモンドは深いため息を着いた。

「今大切なのは、愛する人達の事でしょう?レックスやティムやチコ、アランやスネークさんが、命を落とすかもしれないのよ?」

 

「ああ、その通りだ………。」

 

 

 

「皆はコントロールルームに居るな?」

「えぇ、それが何か?」

「わしに考えがある。」

自信げにそう答えたハモンドの目は、子供を守る大人の目だった。




お気に入り数が増えていくとプレッシャーががが

投稿間隔めちゃくちゃで申し訳ありません。(おまけに短い)
メトリアカントサウルスとプロケラトサウルスの紹介はまた後程……映画では名前だけでしたし、出番は何かあげる予定です。
次はそう遠くないうちに投稿……したい


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生命は道を見つける

「参ったなぁ……」

日の登り始めたパークの密林の中を歩いていると、グラント博士が何かを見つけたようだ。

「どうした博士……それは?」

「恐竜の卵さ……自分達で繁殖してるんだ……」

目を見開いたグラント博士が恐竜の卵の殻を両手で持ち上げながらそう言った。

鶏の卵よりもはるかに大きく、楕円形をした白い卵だ

「でも、ここの恐竜は全部雌なんでしょ?」

それを見たレックスが不思議な事を言った。

すべての恐竜が雌?

「それはどういう事だ?」

「ここの恐竜は、勝手に数が増えないよう、すべて雌の状態で産み出されるのさ……センターではそう言っていた。」

そんな事まで可能なのか……

「……ではなぜ卵が?」

「ここの恐竜は遺伝子の欠損部分を、現代の生き物の遺伝子で補っていると言っていた、カエルとかトカゲの物をね………そして西アフリカ産のカエルには、同性しか居ない状況だと、自発的に性転換する種類がいるんだよ。」

「つまり、さらに進化した……と?」

この短い間に環境に適応したというのか。

「まぁ、そもそもそういう生態なのかもしれないが…いずれにしろ、このパークは危険過ぎる……これでは必須アミノ酸の話も信憑性が無いぞ………」

「やはり進化とは恐ろしいな、AIでさえあれだ…それが生物となれば……」

あのピースウォーカーの最後を思い出す。

決められた行動しか出来ないはずの機械が、人のプログラムを越えた瞬間を。

「マルコムの言った通りだ……」

 

 

 

卵の集まった巣から進んでいく足跡を見てグラント博士は言った。

「生命は道を見つける。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「正気ですか!?そんなことをしたら恐竜の状態も確認出来なくなりますよ!」

未だ解決策を見いだせないセンターの中で、ハモンドの提案にアーノルドが反対する。

「いずれにしろ予備電力はすぐに無くなる、我々は一刻も早くこの島から脱出せねばならん。そのためにはパークのシステムが必要だ。」

「そんな事は承知の上です!今、なんとか電話回線を復旧させられないか試していますから、無茶をしなくとも!」

アーノルドが食って掛かっているが、ハモンドの意思は揺るがないようだ。

「いいや、ネドリーが使ったコマンドは絶対に見つからんだろう、痕跡ひとつ無いんだからな!奴が戻ってくる可能性もゼロだ。なら、パークの全システムを停止させ、再起動するしかない!そうだなアーノルド!」

「理論上そうであっても!今まで全システムを停止させた事なんてありません!今はこのセンターの周りを封鎖出来ていますが、そんな事をすればフェンスの電流もドアのロックも解かれるんですよ!」

それはパークのすべての恐竜が野放しになる事を意味する。

今は恐竜達は柵から出ただけだが、それを行えば、人間の生活エリアへの安全を完全に捨てるという事だ。

もしそうなれば、一番最初に犠牲になる確率が高いのは、他ならぬハモンド自身だった。

だが、それでもハモンドの決心は揺るがない。

「他に方法は無い……全システムを止めたまえ。」

子供達のため、そして自分の夢に一瞬でも感動し、巻き込んでしまった大人達の為に

 

 

 

 

 

 

 

 

「果たして吉と出るか……」

そう言いながらアーノルドが、センターのシステムを順番に落としていく。

照明、コンピューター、ドアロック、すべてのシステムが停止し、マルドゥーンが再起動をかける。

全員がメインコンピューターの画面に貼り付くと、そこに表示されたのは『System Stanby』の文字。

それを見てアーノルドが歓声を上げる。

「やったぞ!ほら見てください!動いてる!成功だ!」

最初の賭けに勝ったハモンドが胸を撫で下ろす横で、マルコムが聞く。

「全部消えたままなのはどういう事だ?」

本来なら、これですべてのメインシステムが元通りになるはずなのだ、そこから各システムにアクセスする事で、安全も確保出来るはずなのだが……

「おそらく、システムを停止させたでブレーカーが落ちたんだろう。こうなると予備電力だけでは復旧は無理だな……まず、それを元に戻してから、電話やセキュリティシステムを再起動させればいい。」

「ブレーカーはどこに?」

「この区画の反対側にある建物の中だ、3分もあれば帰ってこれます。」

銃を担いだマルドゥーンがアーノルドに別の銃を渡し、弾をセットする。

「私も行くわ!」

「俺もだ。」

「あー……いや、一応男だしワシが……。」

ハモンドがそう言ってサトラー博士を引き留めたが、帰ってきたのはため息と呆れ顔だ。

「はぁ……生きるか死ぬかって時に男も女もあるもんですか!」

古植物学者のサトラー博士の方が、ハモンドよりはよっぽど動けるであろう事は誰の目にも明らかだった。

「俺とマルドゥーンが護衛しよう、マルコム博士とサトラー博士は中に入ってブレーカーを付けるんだ。ハモンドとジェナーロはここに残って指示を頼む。」

「わかった……」

それを聞いたジェナーロが叫ぶ

「おい!こんな老人二人残して行くつもりか!?」

騒ぐジェナーロを尻目にして懐中電灯を持ったマルコムが言う。

「そっちの方が安全だろう、それに、この広いパークでわざわざ得体の知れない人工物に入ってまで人間を食おうなんて奴は居ないさ。」

「本当に大丈夫なんだろうな!」

怯えるジェナーロを見て面白がったマルコムが、さらに追い討ちをかけた。

「大丈夫だ、センターにいればT-レックスに食われて身元不明なんて事にはならないからな。」

「何が大丈夫なんだ!それに、生きたままついばまれるのだってごめんだからな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グラントさん………まだぁ?」

「もう少しだ……地図によると、ビジターセンターはあの丘の向こうにある。」

「二人とももう疲れたの?これくらい楽勝さ!」

疲れた様子のレックスとティムをチコが追い越しながら笑う。

「なんでチコはあんなに元気なのよ……」

「これくらい余裕でないとやっていけないからな。」

二人との仲も良好で良かった。

最も、昨晩恐竜を食べたせいで俺は若干避けられているが……

 

「あれは何だ………?」

グラント博士の指差す先には、群れで走る小さな恐竜がいた。

「ティム、チコ、何の種類だ。」

あんたも恐竜学者だろう、と思いながらその恐竜を観察する。

長い足に短い手

ティラノサウルスと比べるとかなり小さいが、それでも人間の背ほどはある。

「………えーっと、ガリミムスかな」

「アーケオルニトミムスか、ストルティオミムスかも。」

「まるでダチョウだな、ああいうのは丸焼きに限る。」

率直な感想を言っただけなのにまた冷たい目で見られた……

そうか、これが常人の反応なのか……

流されやすい奴やノリの可笑しな奴ばかり相手にしてきたが、ここまでとは……

「それじゃあターキーじゃないか……だが、鳥のようだというのは同感だ。あの一糸乱れぬ方向転換は、敵から逃げる鳥の動きそのものだ。」

「へぇ…でもそれじゃあ……」

「ああ、肉食恐竜だろう。」

「ねぇ、こっちに来るよ……!」

ガリミムスの群れが向かってくるのを見てティムが言う。

「心配いらないよ、オルニトミモ科の恐竜は、基本的に草食な事が歯の化石から分かっている。」

この博士はたまに呑気だな……

「ダチョウの蹴りはコンクリートも壊すって知ってるか博士。それに奴らがこっちに向かってるってことは、肉食恐竜もこっちに向かってるって事じゃないか?」

「………逃げようか。」

 

来た道を戻って見つけた、倒れた枯れ木の裏に隠れる。

しばらくすると、ガリミムスの群れの中に、一際大きな影が入り込んだ。

あの夜、車を襲った時と同じ影

ティラノサウルスだ

群れの一頭の首元に噛みつくと、その体を持ち上げながら骨を噛み砕いた。

「よりによってあいつか……。」

あのジャングルでは餌が足りないから出てきたのか、それとも別の個体なのか

まさかティラノサウルスが二頭以上いるって事は無いだろうが、あのハモンドならやりかねんしな……

「逃げなくちゃ……」

「あの食いっぷりを見ろ、鳥に進化したってのもうなずけるだろう。」

「すっげぇ……!」

「あの巨体じゃ、おやつサイズってところか……」

今まで見てきたどの動物とも違う狩りに圧倒されていたが、これはまずい状況だ。

「ねぇ…逃げなくちゃ!」

「そうだな、行こう……」

「あんなに血が出てる………」

「来るんだ、ティム。」

怯えて立ち竦むティムを抱えてグラント博士がゆっくりとその場を離れ始めた。

「ん?……何だ?」

ふと見ると、ガリミムスの群れがさっきティラノサウルスに襲われて逃げたのとは別の方向に逃げ出していた。

ティラノサウルスに襲われた時のように一心不乱に走っている。

ティラノサウルスの方も、肉を飲み込みながら周囲を見回しているようだった。

また別の恐竜が近づいて居るのかも知れない。

早く離れた方がよさそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、ブレーカーのある建物はあそこだ…。」

「思ったより近くて助かったな………何してる?」

アーノルドとマルドゥーンが銃を構えながら周囲の森の中を睨んでいる。

それを見て立ち止まったマルコムが、マルドゥーンに尋ねた。

「………いいか、二人は建物までダッシュしろ、全力でだ。」

「それって、どういう事?」

「俺たちはもう見張られてる……ラプトルだ。」

「そんな……!」

絶望的な表情をするサトラー博士の肩を叩いたアーノルドが、茂みの一角に狙いを着けた。

「俺たちが援護する……なるべく急いでブレーカーを付けてくれよ!」

「わかったわ………行きましょうマルコム博士。」

「この状況も『カオス』の一つ、か。」

二人が走り出すと、森の中からラプトルの声が聴こえ、マルドゥーンとアーノルドが援護の形に入る。

 

ラプトルとの長い戦いが始まった

 

 

 

 

一方、センターの地下にある非常用室では、ハモンドとジェナーロが地図を引っ張り出して、正確なブレーカーの場所を探っていた。

「アーノルド達が建物の前に到着したようじゃ。」

「そうか…こっちから案内すればいいんだな?」

「ああ、チャンネルは二番だぞ?」

「そんなことは覚えている、まだそこまでボケては居ない。」

文句を言うジェナーロを見て不機嫌そうにハモンドが言い返す。

「さっき上に地図を取りに行ったときに何か派手に倒しただろう、下まではっきり響いておった。あれがボケじゃなくて何だと言うんだ。」

それを聞いたジェナーロが、呆れたように言い返した。

「私は何も倒してなんか居ないぞ、そっちこそボケが………」

ジェナーロの言葉を遮って、コントロールルームと繋がる階段の方から音がした。

 

 

「…………何かしたか?」

「…………いいや。」

 

グラント博士達が帰ってきたのかも知れない。

一抹の恐怖に駆られながら、二人同時にゆっくりと振り返る。

 

 

 

そこに居たのは、待ち望んでいた相手ではなく、大型バイク程はある肉食恐竜だった

 

「グガァァァァァァァ!!」

 

「「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」」




◇プロケラトサウルス
ジュラ紀中期に生息し、イングランドで化石が発見された小型肉食恐竜
頭に着いた大きなトサカが特徴
名前の意味は『ケラトサウルスの祖』であり、これは当初、ケラトサウルスの祖先であると考えられていたためだが、現在はティラノサウルス上科の祖先と考えられている。
ジュラシックシリーズの映画本編では一作目に名前のみが登場し、長らく映像化されなかったが、ゲーム「ジュラシックワールドエボリューション」のDLC『肉食恐竜パック』にて、ヘレラサウルス、アクロカントサウルスと共に登場した。


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Raptor Escape

「3……2……1……今だ!」

アーノルドの合図と共に、マルコムとサトラーが建物に向けて走り出す

樹の根を飛び越え、茂みをかき分け、脇目も振らずに走っていく二人を見送りながら、アーノルドとマルドゥーンは互いの背を合わせる。

「ラプトルは時速64kmで走り回る……たとえ森の中でも、30は下らない。」

「それが何頭だ?」

「3頭だ、元は5頭居たが共食いしてな…」

「……勝てると思うか?」

「無理だな、早く二人が戻るよう祈るしかない。」

「そうかい……」

マルドゥーンの意見を聞きながらポケットから電子タバコを取り出して口に運ぶ。

口に咥えて電源を入れると、澄んだ水蒸気が鼻先をかすめた。

もしかしたらこれが最後の一服になるかもしれない

だとするとかなり味気ないが、確かに気が引き締まるのが分かる。

あの男もヘビースモーカーなようだったし、生きて帰れたら一服付き合ってもらいたいものだが

「何のための伝説の傭兵なのかね……」

「そう言うな、俺たちが撒いた種なんだ、少しはやらなくちゃな。」

マルコムとサトラーが建物の扉を開けて入って行くのを見届けた二人は、同時に森の中へ銃口を向けた。

「ラプトルは賢い、何か気づいたらすぐ報告しろ」

「わかってるさ、まだ死にたく無いからな」

 

 

 

 

 

「ハモンドさん!?ハモンドさん聞こえてる!?」

建物の中へ入ったサトラーがトランシーバーでハモンドに呼び掛けるが、応答は無い。

番号は事前に確認したし、ジェナーロだって着いていたはずだが……

「ダメね……通じないわ」

「くそっ!ハモンドの奴何をしてる……」

「何かあったのかしら……」

「どっちにしろ、今から戻る訳にはいかない。なんとか電力を復旧させないと。」

外ではアーノルドとマルドゥーンが身を危険に曝しながら待っている。

何とかしなければ

「でも、ハモンドさんの指示がないとブレーカーの正確な場所がわからないわ。」

「いや、大規模な電力を送る機械なら、送電線も太いのが使われてるはずだ、それを探そう。」

「わかったわ。」

 

 

 

 

 

茂みの奥に見えたラプトルを狙っていたマルドゥーンの横から、鋭い目が見えた

 

「マルドゥーン!!」

「くそっ!!囮だったか!!」

ラプトルに腕を引きずられていくマルドゥーンを追おうとしたアーノルドの前に、また別のラプトルが立ち塞がった。

一人づつ始末しようってのか!

「来いよトカゲ野郎……どてっ腹ぶち抜いてやる!」

銃を長く延びた喉元に向けて構えて引き金を絞る。

だが、弾が出るより早く、ラプトルはその体を銃口の下に滑り込ませていた。

このラプトルは知っていたのだ

自分達を移送する時に人間が使う武器のカラクリを

「うおっ!!?」

とっさに銃を横向きにしてガードするが、勢いのまま後ろへ吹き飛ばされる

「くそったれ!!」

体勢を崩したアーノルドを覆い被さるように、ラプトルがまたがる。

初めて近くではっきりラプトルの姿を見たアーノルドは、死を覚悟した。

バイクほどはある体躯に、鋭い前足の爪とがっしりとした脚。そして鋭い歯を覗かせる口。

殺すことに特化したハンターのすべてが自分に向いている事を理解し、振りほどこうとするものの、銃は先程の防御の際に手放してしまった。

 

  何か無いか……!

       何か………!!

 

 

「………!」

 

『それ』はあった

 

「おらよ!」

ポケットに突っ込んだ電子タバコのスイッチを着け、出力計を『DENGUE』と書かれた位置までいっきにもっていく。

本来の用途を越えた為か、先端が激しく赤熱し始める。

 

水蒸気が吹き出す電子タバコをラプトルの体に押し付けると、ラプトルが痛みに耐えず鋭い悲鳴を上げた。

 

これがたまらなかったのか、ラプトルは小さく咆哮してから、森の中へ消えていった。

アーノルドが先端が黒く焦げた電子タバコを投げ捨てながら起き上がる。

「へっ…こういう使い方も想定してるってことか。」

流石世界を股に駆ける傭兵組織

日用品でも武器になるとはね

「マルドゥーン!生きてるか!」

「……何とかな」

森の中へ連れていかれたマルドゥーンを呼ぶと、微かに返事が聞こえた。

どうやら、さっきの奴が逃げたことで、他のラプトルも引き上げたらしい。

もしかしたらすぐそばで隙を伺っているのかもしれないが。

「俺たちも建物に入ろう……」

 

 

 

 

 

「な?言ったろ。こういう時は送電線をたどるのが一番さ。」

「ええ!」

マルコムの機転でなんとかブレーカーにたどり着いた二人だが、今度はいくつもあるボタンとレバーを見て頭を抱えていた

「さて………どこをどうすれば電力が戻るんだ?」

「きっと…まずはハンドルを回して電気を起こすのよ」

何度か手動でハンドルを上げると、送電準備完了のランプが灯された

「あとは……これだ『接続 押す』よし。」

「それで、次は?」

「次は電気を送るんだ、各施設の名前が書かれたスイッチがあるな……たぶんそれを押せば電力が送り込まれる」

サトラーが上から順番にスイッチを着けていく

ビジターセンターの電力、そして各フェンスの電流

すべてのスイッチを着けたサトラーが胸を撫で下ろす

「これで皆助かるかしら……」

「………だと良いが」

 

 

 

 

 

 

ガリミムスと遭遇してから数分後、センターへ通じる最短ルートである、フェンスを越える最中に事件は起こった

恐竜を囲うための物なだけあって、フェンスは高さ10メートルはある

ティムだけが、そこから飛び降りられずにいたのだ

「ティム!急いで降りてこい!いつ電流が流れるかわからん!」

そう言った瞬間、フェンスの横に付けられたランプが点滅し始めた

おそらく、電力が戻ろうとしているのだろう

「ティム急げ!」

グラントが急かすが、ティムは余計に怖がって降りられずにいる

「無理だよグラントさん!」

「大丈夫だ!さぁ飛ぶんだ!」

「ティム!早く!」

次の瞬間、ティムの体を電流が襲った

強力な電流はティムの体を吹き飛ばし、グラントの上へ落下させた

涙目になったレックスが側へ駆け寄る

 

「ティム!!」

 

「息をしてない……」

「人工呼吸だ、博士!」

 

倒れたティムを介抱していると、何か妙な事に気づいた

先程まで激しく点滅して、電力が戻った事を知らせたランプが消えているのだ

それと同時に、体の芯まで響く地鳴りが辺りを襲った

「何の音だ……?」

恐る恐るフェンスに触れてみるが、やはり電流は流れていない。

「フェンスが途中で壊れたのかもしれない……」

 

「俺が様子を見てくる……三人を頼む」

「わかった。ティム、しっかりしろ!」

「スネーク!待って!」

離れようとしたとき、チコが止めてきた

その顔には恐怖が浮かんでいる

「大丈夫だチコ!」

「でも!」

「お前はやれる、大丈夫だ」

「………わかった!」

 

しばらく歩いたスネークは、少し離れた森の一角に足を踏み入れた

足音の主は放電を繰り返す破られたフェンスの前に居た

「フェンスを破ったのはお前か?」

おそらく、破ろうとしていた時に電力が戻ったのだろう

フェンスはグシャグシャにひしゃげ、首や頭に残骸が刺さっている

「……あいつの仲間にしては小さいな」

歯や体格からして肉食恐竜なのは間違いなさそうだが、ティラノサウルスと比べると一回り小さく、あちらが暗い茶色の肌なのに対してこちらは黄土色と薄橙色の縞模様で身を包んでいる

顔の輪郭も、ティラノサウルスのように角ばっておらず、鼻から口先にかけて緩やかなカーブを描いていた

「さぁこっちだ!」

いずれにせよ、こいつを出来るだけグラント達から引き離さないといけない

武器はマガジンの予備一つのハンドガン一丁とサバイバルナイフだけ

仲間の援護も期待出来ない

こんな状態で立ち向かえと言うのだから無茶な話だ

 

           だが

 

「対メタルギア訓練が役にたつ日が来るとはな。」

 

この状況を楽しんでいる自分もいるのを、スネークは感じた

戦場での殺し合いとはまた違った、ひりつくような緊張感がスネークの体をなぞる

 

戦いの火蓋は、恐竜の雄叫びで切って落とされた

 




◇メトリアカントサウルス
ジュラ紀に生息した中型肉食恐竜
名前の意味は「ほどよいトゲのあるトカゲ」
当初はメガロサウルス科に属していたが、名前の由来でもある神経棘の長さなどの理由からメトリアカントサウルス科として独立した
ジュラシックシリーズでは、初代の胚保管室にて名前のみが登場、しかもこの時日本語字幕は『メトリントサウルス』と誤字していた
その後久しく出番が無かったが、「ジュラシックワールドエボリューション」にて、メイン契約にも関わる恐竜として登場した
ゲームでは縦縞模様が特徴になっており、外見遺伝子組み換えでは、怨みからか目立ちたがりな色になる


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脱出への道

今回メタルギアのキャラクター居ませんね……
これは極刑物ですよ


「「うわぁぁぁ!!」」

地下室に侵入してきた恐竜を見て、ハモンドとジェナーロは悲鳴を上げる。

「おいおいおい!!」

「逃げるぞ!」

幸い、地下室は奴が満足に動き回るには狭すぎるし、物も多いから簡単にはこちらを捕まえられないだろう。

机の下に潜りながら地下室の出口へ向かった。

 

「おい!何でセンターに恐竜が入って来てるんだよ!」

走って先に制御ルームに入ったジェナーロがハモンドに怒鳴る。

「ワシにもわからん!あれはプロケラトサウルスじゃ、ワシも孵化に立ち会った!」

「じゃあなんとかしてくれよ!」

「無茶を言うな!!」

何年も前の話だし、そもそもすりこみが効果を示した事なんてほとんど無いのだ。

 

「どうする?これじゃあ電力が戻っても制御を戻すどころじゃ無いぞ!」

「トランシーバーも部屋の中じゃ……奴をあそこから出さない事には………」

その必要は無いとばかりに地下室から飛び出すプロケラトサウルス

なめ回すように二人を交互に見る様は、肉塊を見比べて味を吟味している料理人のようだった。

「どうするんだ!?」

悲鳴を上げるジェナーロにハモンドが考えを言う。

「このセンターのすぐ近くに、一時的に恐竜を入れておくための空の檻がある。そこに奴を閉じ込めよう。」

孵化したばかりで体の弱い恐竜や、脱走した恐竜を一時的に隔離しておくための檻だ。

扉はハンドル式だし、電力もいらない。

「その檻はどこだ!?」

「孵化施設の奥のガレージを抜けたところじゃ!」

「で、どうやって奴を閉じ込めるんだ!?」

「下から檻の中まで誘導して、はしごで逃げるしかない。本当はクレーンを使って入れる予定だったからな。」

「じゃああんたが囮になってくれ!」

「無理を言うな!今年で何歳だと思っとる!それにワシは罪を償わねばならん!」

「私が死んだら誰がこの一件を弁護するんだ!?」

「……とにかくやるしか無い!!」

 

 

 

「こっちじゃ!」

「ハモンド!違う、そっちじゃ無い!」

「うおおっ!」

ハモンドのすぐ近くまで接近したプロケラトサウルスに向かって、ジェナーロが叫ぶ。

「こっちだトカゲ野郎!」

そう言うと、怒ったようにハモンドの前からジェナーロの前に跳び移って来た。

「あぁぁ……待て、邪魔して悪かったよだからハモンドの方へ戻ってくれ、なぁ!」

手のひらを返したジェナーロを驚愕の目でハモンドが見る。

ジェナーロへの感情が爆発しそうになるが、そんなことをしている暇は無い。

なぜなら、ジェナーロから再び狙いを変えていたからだ

人間の感情などわかるはずは無いし、単純に狩りやすそうな方を選んだのかもしれない。

が、こちらとしてはたまったものじゃない。

「ワシを食べても旨くないぞ!」

とっさの言葉を信じたのか、再び顔がジェナーロに向けられる

「くそっ!」

諦めて走り出すジェナーロを、その倍のスピードで追ってくる。

当然両者の距離はどんどん縮まっていく。

鋭い爪に捕まる一歩手前で通路から階段にとっさに移って回避した。

 

檻の中に入って、上の通路にいるハモンドに言う。

「ハモンド!」

「わかっとるわ!」

扉は下からでは弄れないし、そもそもそんなことをしている暇は無い。

なぜならもうすぐそこに来ているからだ

「早く閉めろ!早く!」

「ふんっ…!」

ハモンドがハンドルを回して扉を閉めているが、相手は待ってなどくれない。

観念したのか?とばかりに目の前に躍り出るプロケラトサウルス。

「待てよ……頼むから……」

にらみ合いながらジェナーロは思った。

なぜ自分はこんな苦労をしているのか。

ハモンドの儲け話に加担したからだろうか

それともインジェン社と関係を持ったのがそもそもの間違いだったのだろうか

わからないが、これだけは言える

 

もう恐竜はたくさんだ!

 

「良いぞ!」

「うぉぉぉ!!」

ハモンドの合図と共にはしごに向かい、なんとか掴んで登り始める

当然、逃がすつもりなど無いプロケラトサウルスは、ジェナーロの足と尻に向かって噛みつこうとした。

「うおぁぁぁ!!」

全力を出してはしごを昇るジェナーロ

すんでのところで牙を逃れ、足場に倒れこんでしがみつく。

「た、助かった………」

「年寄りにはキツいわ……」

はしごの上の足場で二人してへたりこむ

檻の高さは6メートルはある。

奴の体格では逃げ出す事は困難だろう。

これでやっと安全な部屋に戻れる……。

 

「おい……何だ……」

だがそうはいかなかった

檻の中から壁をしきりに引っ掻く音が鳴り出す

そしてその音はだんだんと近づいているように聞こえる

それを聞いてハモンドは理解した。

「壁の突起を登って来とる……」

たまらずジェナーロが叫ぶ。

「これも不良品か!!?」

「もともと小型恐竜用の檻じゃない!」

 

「逃げるぞ!」

とにかく地下室か制御ルームに入ればこっちのもの

これ以上奴とのにらみ合いはゴメンだ

 

 

 

 

 

 

「アーノルドさん!?それにマルドゥーンさんまで!」

建物の中に逃げてきた満身創痍の二人を見て、サトラー博士が叫ぶ。

腕から血を流すマルドゥーンを肩から下ろしながら、アーノルドがマルコムに尋ねた。

「電力は戻ったか?」

「あぁ、なんとかね。それより、そっちはどうしたんだ?」

マルコムの質問に、服の傷を見せつけながら答える。

「ラプトルと戦ってね、なんとか逃げ出して来たって訳さ。追い払ったが、こっちも武器を無くした……次は無い………。」

それを聞いてサトラー博士も状況を二人に話す。

「そう……こっちもハモンドさんと連絡がつかないの……何かあったのかしら」

「ハモンドなら、死んでも死なないだろう……それより、早くセンターに戻った方が良いんじゃ無いか?」

「そうだな……マルドゥーンは走れるか?」

辛そうに顔をしかめるマルドゥーンだが、目は生きることを諦めてはいない。

「辛うじてな……やられたのは腕だけだ」

「そうか、なら一気に走り抜けるぞ。」

 

 

 

 

「よし行くぞ!」

ドアを開け放って走り出すと、すぐに横からラプトルの鳴き声がした。

それを聞いた直後に、茂みからラプトルが飛び出した。

「キャアァァァ!!」

「とにかく走れ!」

悲鳴をあげるサトラーに向かってアーノルドが指示する

止まったら終わりだ、走り続けるしか無い。

そんな時だった

「うわっ!!」

マルコムが樹の根につまずいてしまった。

「マルコム博士!」

「止まるな!博士!!」

サトラーが引き返そうとするのをマルドゥーンが制止する。

このままではマルコムが死ぬ。

だが、助けに行ったら全員が死ぬかもしれないのだ。

 

諦めて、サトラー博士を掴んでその場を離れようとしたときだった

「な、何だ!?」

森の中から何かが飛び出して来た。

ラプトルの何倍も大きな何かが、マルコムの横から現れたのだ。

四本のガッシリとした脚と小さな頭、背中には大きな板が何枚も連なり、尻尾の先には棘が二対生えていた。

人間二人分はあるであろう高さは、さながら重戦車のようだった。

そんな恐竜が、マルコムのすぐ上で停まった

「うわっ!!」

流石のラプトルもこれにはたまらず距離を取った。

その間に、マルコムが這いつくばりながらこっちに向かって逃げてきた。

三頭のラプトルの内の一頭が、それに気づいて後を追おうとするものの、現れた恐竜の尻尾の攻撃を受けて森の中へ消えていった。

それを見た仲間は迂回する事にしたのか、こちらを見つめながら森の中へ向かって行った。

その間にマルコムと合流して、センターに向かう

「今だ!走れ走れ!」

 

 

 

センターに入って扉を閉めたアーノルドがため息をついた。

「ステゴサウルスもか……くそっ、荒れ放題だな。」

「だが……助けられた………命の恩人だよあいつは。」

息も絶え絶えにマルコムが座り込む。

だが、休憩している暇は無い。

「マルコム博士はガレージにマルドゥーンを連れていってもらえるか、あそこなら医療品もあるし、車も置いてあったはずだ。それでヘリポートまで逃げれる。」

「わかった……そっちはどうする?」

「俺はコントロールルームに行く、もしハモンドが死んだなら、代わりにシステムを再起動させなきゃならん。」

ハモンドが死んだなど、にわかには信じられないが…

「なら、私も行くわ。アラン達を探さないと。」

マルドゥーンに肩を貸しながら、マルコムがサトラーを励ます。

「会えると良いな。……センターの入り口で落ち合おう、車を持っていく。」

  あともう一息

    あともう一息で皆助かるんだ

 

「カオスよりも、神を信じたくなる日が来るとはね」




◆ステゴサウルス
ジュラ紀に北米に生息した中型草食恐竜
名前の意味は「屋根に覆われたトカゲ」
特徴的な背中のヒレは、ゴジラのモチーフにもなった。
ジュラシックシリーズでは初代に名前のみが登場し、2で物語序盤とエンディング直前に登場。ワールドでは2作共に登場する。ゲームにも出演。
有名恐竜の中でも5本の指に入るほどの人気恐竜で、ほとんどの恐竜作品に登場する。


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