ポケットモンスターセイバーズ (宙の空、響く声)
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主な登場人物・用語解説

◎登場人物紹介

 

○火野真琴(ひの・まこと)

16歳の少年(名前は女っぽいけど)で本作の主人公。一人称は僕。

とても優しく、真面目な性格。

優しすぎるあまり、誰かの為なら命を顧みない、自己犠牲な精神の持ち主。

その上、責任感も強く、ちょっとした失敗でくよくよすることも。

しかし諦めは悪く、どんな状況でも突破口を開こうと奮闘する。

容姿は童顔のせいか幼く見える為、周囲から可愛がられているが、本人は色沙汰に疎い。

元は名有りのポケモントレーナーだったが、一年前の悲劇によりポケモンを一匹を残して失っており、トレーナーとしての歩みを一旦は止める。

しかし、自分だけでは無く、すべてのトレーナーのポケモンを取り戻す為に、PMSに所属し戦うことになる。

 

○羽剣唯(はつるぎ・ゆい)

17歳の少年(またまた名前が女っぽいけど)。火野の先輩。一人称は俺。

とにかく真面目。

しかし面倒見が良く、決して頑固なわけでは無い。

火野と同じく、ポケモントレーナーとして活動していたが、一年前の悲劇に遭い火野より一足先にPMSのアーマー装着者として活動を始める。

 

○黒曜雷斗(こくよう・らいと)

16歳の少年。火野の幼なじみ。一人称は俺。

活発な性格。

しかし、出しゃばり過ぎて周囲を困らせてしまう事も。

火野や羽剣とは違い一年前の悲劇は免れている。

 

○東結衣(あずま・ゆい)

17歳の少女。羽剣と同じく、火野の先輩。一人称は私。

男勝りで、他のメンバーを引っ張るリーダー気質。

火野の事を気に入っており、よく話しかけるのだが、火野本人は全く気づいていない。

 

 

◎用語

 

○PMS

虚無會(後述)及び、それに準じる組織によって奪われたポケモンを奪回する為に活動している組織。

しかし、現時点ではネガビーストの討伐が主な活動である。

 

○虚無會

今作の悪の組織。

一年前、全国のパソコンをハッキングしてポケモンを奪った。

その後、そのポケモンに手を加えて傀儡とした「ネガビースト」を放ち、各地を襲撃している。

 

○ネガビースト

虚無會がポケモンを独自の技術を用いて傀儡としたもの。

色々なステータスを弄る事が出来る代わり、元のポケモンより巨大化してしまうが、あらゆる性能が既存ポケモンを上回っており、禁止伝説さえ歯が立たない。

現在、対抗策はポケモンアーマーのみと言われている。

 

○ポケモンアーマー

PMSが開発したシステム。現在、ネガビーストに対する唯一の対抗手段。

ポケモンのデータを内蔵したカードを、セイバーブレスに差し込む事で具現化、装着される。

元になったポケモンの能力を反映させた専用の武装が存在し、アーマー具現化にあわせて生成される。

アーマー装着時にネガビーストに接触する事で、バフをある程度抑制出来る。それ故、唯一の対抗策となっている。

更にアーマー毎にアーマー技が実装されており、発動条件こそあれど絶大な威力を誇る。



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第一章 ー新たなる戦いの幕開けー
1.悲劇と運命の再始動


1年前、この世界に、何の前触れもなく悲劇は起きた。

 

鮫妖の集い・ライモン支部。

火野「失礼します…ん?羽剣さん、どうしたんですか?そんなに落ち込んで…」

羽剣「これを見ろ…君も俺の様になるハズだ…。」

アナ「先程入ってきたニュースです。今日午後1時頃、全国のポケモンセンター及び育て屋、対戦施設等の全パソコンが、機能を停止しました。詳しい原因は分かっていません。」

火野「!?嘘…ですよね?」

羽剣「いや、間違いない。…ん!?速報だ…。」

アナ「速報です。先程、パソコンの機能停止の犯人と自称する男性からのビデオメッセージが届きました。」

?「全国のポケモントレーナーの諸君。全国の預かり機能は、我ら虚無會が掌握した。我らの手元にあるポケモンは、もう貴様らの物ではない。しかし貴様らの役に立つ事に使ってやるから安心しろ。ハッハッハ…」

火野「…くそぉっ!!何で…僕達の家族を…何で…」

羽剣「もうこの集いも運営できないな…ん?火野くん、ポケットに入ってるボールは?」

火野「…これ?……ううっ…」

羽剣「どうした?」

火野「ふ、不幸中の幸いだ…。最高の相棒が…傍に居てくれている…!」

羽剣「嬉し泣きか、良かったな…実は俺も。」

火野「良かったです!羽剣さんも相棒が居てくれているんですね!」

羽剣「俺達は、それぞれの場所に帰ろう。あと、ボールは絶対俺以外の誰にも見せるなよ!」

火野「はい!」

 

こうして、火野と羽剣はそれぞれ、自宅へ帰った。

そして、彼らの持っているボールの中の相棒が、後にポケモンを救うことになるが、後の話である。

 

それから1年後。

火野「あれから1年か~。羽剣さんは元気か心配だな…。まあ、元気であることを祈るしか術はないか。」

そんな話をして外に出た、その時だった。

突然、何かが着地し、その時の震動で、火野は吹っ飛ばされた。

火野「うわあっ!?…ク、クリムガン!?しかも、5mあるし、何か怖いオーラ纏ってるし…ヤバい気しかしない!逃げよう!」

火野はクリムガンから隠れる為、逃げた。一方、クリムガンは追いかけた。

火野「速い!追いつかれる…!」

追いつかれ、襲われそうになった、その時。

?「ターゲット確認。ミッション開始する!」

銃弾がクリムガンの上から降り注ぎ、クリムガンは怯む。どうやら、ボーマンダらしき鎧を着た人が、クリムガンを攻撃している。

?「急降下して、止めをさす。」

ボーマンダの鎧を着た人は、片手剣を取り出すや否や、クリムガンに急降下で近づき、すれ違い様にクリムガンを切り裂いた。

クリムガン「きしゃぁぁぁ…」

クリムガンは、光の粒となり消えて、いた場所には、クリムガンが描かれたチップらしき物が落ちていた。

ボーマンダの鎧の人は、クリムガンのチップを拾って、

?「火野くん!元気にしてた?」

火野「えっ…羽剣さん!?」

羽剣「久しぶりだな!一年ぶりだったかな。今所属しているグループの所長直々に君を連れて来いって言われて、来たんだけど、ネガビーストが出るとはなぁ…」

火野「えぇっ!?ネガビーストって何!?後拾ったチップって…」

羽剣「詳細は着いてから話す。今は本部に行こう。」

火野「はい…」

 

虚無會。

拓人「クリムガンでは駄目か…」

洋子「当たり前でしょ~。もうちょっと強いので行かないと~」

琉聖「じゃあ次僕が行くってことで。」

拓人「どうぞ。」

 

 

続く。




ポケットモンスターセイバーズ第1話、いかがでしたか?
初回にしてボーマンダ、強い。
こういう作品なので、パワーバランスも考えながら、作って行きたいと思います。
読んで頂き、ありがとうございました!


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2.火野の初任務

どうも、うp主です。
期末考査も終わり、進路も決まり、ほっとしています。
それではセイバーズ第2話、どうぞ。


 

ソウリュウシティ、ポケセン前。

羽剣「さて、ヒウンに戻るか。」

火野「待って、どうやってそんな遠いところに…」

羽剣「まあまあ、掴まってな!センドシークエンス…起動!」

ブレス「経路確認…空白ポート有り、対象:羽剣唯様及びゲスト、転送準備を開始します。」

羽剣「じゃ、行くぞ!」

火野「えっ、ちょっと待って!?」

ブレス「…転送。」

 

ヒウンシティ地下、PMS本部、転送ポート。

ブレス「転送が完了しました。センドシークエンス終了、アーマー解除。」

羽剣「ふう…慣れないなあ。10回以上やってるのに…」

火野「えっ…ここが…」

羽剣「そう、これがPMS本部だ。」

火野「ひ、広い…。ところでPMSって何の略なんですか?」

羽剣「PocketMonsterSaversの略だ。」

火野「携帯獣救済者団体…なるほど。」

羽剣「所長が待っているから、見学は後だ。早く行くぞ。」

火野「は、はい!」

 

羽剣「ここが所長室か…。」

火野「えっ!来たことないんですか!?」

羽剣「俺、参謀の内海さんの推薦で入っただけだから。」

火野「そうだったんですか…。すいません。」

羽剣「まあいい。それより君が所長直々推薦されるとは驚きだ…。火野君、所長が来たぞ。」

火野「は、はい!」

月読「(咳払い)火野真琴君は、君かな?」

火野「は、はい。」

月読「緊張する必要はない。一度君の顔を見たかっただけだ。君の父さんとは長い付き合いだが、なかなか君の話がなくてね。ポケモンが強いことしか聞いていなかったからな。実を言うと、君の父さんの推薦だ。これから、宜しく頼むぞ。」

火野「…はい!」

月読「羽剣、見学させてやれ。」

羽剣「承知しました。」

月読「あと、火野君の部屋は用意しておいた。好きに使うといい。」

火野「寮生活ということですね。」

月読「そういうことだ。」

火野「承知しました!」

羽剣「火野君、見学行くぞ。」

火野「はい、羽剣さん。」

 

その頃、虚無會。

拓人「んで、何使うの?」

琉聖「…これで行くか。」

洋子「ガチゴラス…なるほどね。良いんじゃない?君にしては。」

琉聖「まあ見ててよ。ネガ・プログラム、起動!」

謎の機械「エネルギー、吸収開始…吸収及びネガ化、完了。」

琉聖「ガチゴラス、僕の為に、精一杯働いてね。よろしく☆」

 

PMS、通路。

火野「広いな…。」

羽剣「おまけにいま通っている通路、1km以上あるらしいぜ。」

火野「な、長いですね…」

羽剣「さて、着いたぜ。ここが研究室だ。」

火野「何するんですか?」

羽剣「貰うんだよ、アーマーカードとこのセイバーブレスを。失礼します。」

貴水「羽剣君、新人連れてきた?」

羽剣「はい。」

火野「ど、どうも…。火野真琴です。」

貴水「君が火野君か。はい、ブレスと解説書、そしてカードだ。」

火野「ありがとうございます!」

羽剣「後、先程入手した、クリムガンのチップです。」

貴水「おう!有り難く受け取ったぞ。新人、頑張れよ!」

火野「ありがとうございます!貴水さん!」

貴水「貴水って呼び捨てでOKだから。俺ただの研究員だし。」

 

また例の通路。

羽剣「火野君、カード何入ってた?」

火野「すいません、まだ開けてないんです。というか、何で拡張パックみたいな包装してあるんですか?」

羽剣「彼の遊び心だってさ。」

火野「はい。開けますね。」

羽剣「ドゥルルルルルル…」

火野「羽剣さん!ドラムロールやめてください!僕が恥ずかしいですよ!」

羽剣「バンッ!」

火野「えっと…ナックラーか!これから、よろしくお願いします!ナックラー!!」

羽剣「俺はタツベイだったぜ。」

火野「カードも進化するんですね!」

羽剣「ああ、らしいな…ん?」

黒曜「おーい!羽剣~!」

羽剣「何だ?黒曜君。」

黒曜「新人連れてきたって聞いたんだけど…火野!?火野じゃねーか!久しぶりだな!」

火野「黒曜君、久しぶりだね。」

黒曜「火野、もしかしてお前、新人か?」

火野「あ、うん…。」

黒曜「そーなんだー!よろしくな!」

火野「はい!」

羽剣「火野君、黒曜君とは知り合いなのか?」

火野「はい、幼なじみです。」

羽剣「へぇ~。」

 

PMS、司令室前。

羽剣「ここが、俺達の仕事場だ。ここから出動、ネガビーストの討伐に行くわけだ。」

火野「羽剣さん、質問です。ネガビーストって何ですか?」

羽剣「…そういえば、よく知らないな…」

内海「その質問、私が答えましょう。」

羽剣「内海さん、お願いします。俺も、よく考えたら分からなかったので。」

内海「ポケモンには、それぞれ個性がある。しかし、何者かがその個性を司るエネルギーを奪うと、従順な捨て駒に化ける。これがネガビーストよ。」

火野「そうだったんですか…。ありがとうございました。」

羽剣「ありがとうございました。」

内海「羽剣君、君の隣にいるの、新人?」

羽剣「はい。」

内海「火野君ね。君と鮫妖の集いで戦ったことあるから、知ってたわ。」

火野「…ええーっ!?もしかしてあなた、僕を伝説なしで打ち負かした…」

内海「そうね。でもそれは過去の話。今は仲間だから、お互い頑張りましょう。」

火野「はい!」

内海「羽剣君、私はネガビーストの研究するから、あとよろしく。」

羽剣「分かりました。火野君、自室棟に行くぞ。」

火野「はい!いよいよ自室か~!」

 

自室棟。

羽剣「ここだ。前のエレベーターの操作パネルに、自室の番号を入力すれば、行けるぜ。一応、君の番号を見せてくれ。念のためな。」

火野「はい。」

羽剣「…よし、記録完了、っと。しばらく自室で待機してくれ。」

火野「はい。resi0406、っと。」

エレベーター「火野真琴様、自室へ転送します。」

 

自室。

エレベーター「火野真琴様、自室へ転送致しました。」

火野「ここが僕の自室か…。」

エレベーター「羽剣唯様、火野真琴様の自室へ転送致しました。」

羽剣「いつもどうも。火野君、自室どう?」

火野「はい、快適です。」

羽剣「おう、それは良かった。後、パソコンあるけど、自由に使っていいってさ。ストレスを溜めない辺り、流石だな。じゃっ、俺はこれで。」

エレベーター「羽剣唯様を、自室棟エントランスへ転送します。」

 

火野「さて、僕は連絡が来るまで、例の装置の開発をするか。USB行けるかな〜?」

パソコン「USB内データの有害性なし。データ、ロードします。…ロード完了しました。」

火野「あ、大丈夫だった。差した時点で有害性を確認するって…このPC、凄い。さて、例の装置…あっ。読者はご存知無いですよね。例の装置と言うのは、ポケモンの脳波を読み取り、コミュニケーションを可能にする装置なんです。仕組みは完成したので、あと設計したら、現地組み立て式3Dプリンタ(自作)で作成して、組み立てれば、完成するんです!…あれ?僕誰に話してたっけ?ま、いっか。設計しよ。」

 

虚無會。琉聖「ガチゴラス、行ってこい!」

謎の機械「ネガビースト、ロード!」

 

火野の自室。

ブレス「ネガビースト出現!ネガビースト出現!」

火野「今!?でも行かないと…守れるハズの命が!」

エレベーター「火野真琴様。司令室に転送します。」

 

エレベーター「司令室に転送しました。」

羽剣「火野君!こっち!」

火野「はい!」

 

内海「はーい。全員集合~!」

羽剣「すいません、東さんは…」

内海「アーマーのダメージ修復がまだなので、呼んでいない。とりあえず情報だ。リュラセンの塔付近にガチゴラス型ネガビーストが出現した。これから、討伐に向かってほしい。」

羽剣・火野・黒曜「了解!」

内海「では、出動の準備を。」

 

羽剣「火野君、ポートに立ったら、アーマー装着動作を行ってくれ。」

火野「どうやって装着するんですか?」

羽剣「カードをブレスに入れ、側面のボタンを押せ。」

火野「はい!」

黒曜「火野!俺達の足引っ張るなよ!」

火野「はい!」

 

羽剣、ポート到着。

羽剣「さてと、行きますか…アーマーカード、セレクト!」

羽剣ブレス「ボーマンダ、読み込み完了。」

羽剣「アーマー・プットオン!」

羽剣ブレス「アーマー具現化、装着します。」

羽剣「今回もよろしくな!ボーマンダ!」

火野、ポートに到着。

火野「守らなくちゃ、全てのポケモンを!…ん?」

羽剣「焦んなくていいから。それより、アーマー装着して。」

火野「はい!アーマーカード、セレクト!」

火野ブレス「ナックラー、読み込み完了。」

火野「アーマー・プットオン!」

火野ブレス「アーマー具現化、装着します。」

羽剣「アーマー可愛い、可愛いよ!」

火野「ですよね…。」

 

黒曜、ポートに到着。

黒曜「さて、俺も行くか!アーマーカード、セレクト!」

黒曜ブレス「デンチュラ、読み込み完了。」

黒曜「アーマー・プットオンッ!!」

黒曜ブレス「アーマー具現化、装着します。」

内海「全員、準備出来た?」

羽剣「はい!」

内海「じゃ、転送するわ。頑張ってね~!」

 

リュラセンの塔付近。

羽剣「よいしょ、っと。」

火野「ネガビーストは…」

羽剣「わざわざ真ん前に連れてくる訳無いだろ。それより、君は奇襲攻撃をお願いしたい。アーマーがまだ弱い都合上、ガチでやると本当に死ぬからな。」

火野「はい!潜れ、ってことですね!」

羽剣「じゃ、そういう事で。黒曜、行くぞ。」

黒曜「了解!」

 

羽剣、ガチゴラスを発見。

羽剣「あれだな…何気にキバゴ一杯いるな…下っ端か?内海さん、行動を開始します。」

内海「OK!」

 

羽剣、上空に飛び、掃射を開始。

黒曜、ハンマーで大量のキバゴを凪払う。

羽剣「雑魚の駆除は完了した。あとは本丸のみ!」

黒曜「羽剣、俺カード変えます!」

羽剣「了解!」

黒曜「アーマーチェンジ!」

黒曜ブレス「ドリュウズ、読み込み完了。アーマー具現化、装着します。」

 

ガチゴラス、羽剣達に気付く。

羽剣「雑魚滅ぼされてから気付くとか、鈍感にも程があるな!」

羽剣、斬り込むが弾かれる。

羽剣「堅いな…」

羽剣、ガチゴラスの尻尾に弾かれる。

羽剣「くっ…攻撃と防御のバランスが取れている…いてて…」

黒曜「近接が堅いなら、遠隔でどうだ!」

黒曜、バズーカを撃つも、弾かれる。

黒曜「ちっ…こんな奴どうするんだよ!」

地中。

火野「…ん?ここ、肉質が柔らかいな…よし!」

火野、地中から勢いよく、飛び出し、ガチゴラスの腹部をハンマーで殴る。ガチゴラスは怯み、横転した。

羽剣「火野、ナイス!よーし、止めと行くか!アーマー技、行使します!」

羽剣ブレス「アーマー技発動。5ゲージ消費、天変地異斬!」

 

大量の流星がガチゴラスに降り注ぐ。

羽剣「今だ!うおぉぉっ!!」

羽剣、ガチゴラスの腹部に斬り込む。

 

ガチゴラス「ギシャァァン!ギシャァァ…」ガチゴラスは悲鳴を上げて、光の粒となった。残ったライフチップは、火野が拾った。火野「チゴラスか…進化前に戻ったのが、チップになるのか…。ん?キバゴのチップか…。」

羽剣「雑魚のチップか…珍しいな。とにかく、ナイスだったぞ、火野君!」

火野「ありがとうございます!…羽剣さん、その傷は…」

羽剣「問題ねぇよ…うっ!」

火野「羽剣さん、無茶しないでください!」

黒曜「さて、俺らは帰るか!」

羽剣「ああ!センドシークエンス、起動!」

 

全員、ポートに到着。

内海「みんな、お疲れ様。…羽剣君は治療した方が良いわね。」

羽剣「はい、了解しました。」

内海「後は解散ってことで。」

火野&黒曜「了解!」

 

司令室前。

火野「じゃ、僕はチップの納品してくるね。」

黒曜「了解!」

 

研究室。

火野「失礼します。貴水さん、いらっしゃいますか?」

貴水「はいよ!新人さん、何の用だい?」

火野「チップの納品です。」

貴水「はい、確かに受け取りました。サービスでアーマー作る?」

火野「えっ!作れるんですか!?」

貴水「いつもは、セイバーポイントを貰うんだが、今回は無料で作ってやるよ!」

火野「ありがとうございます!キバゴで。」

貴水「了解!…完成、っと!」

火野「ありがとうございます!」

貴水「頑張れよ!」

 

自室棟、エントランス。

羽剣「火野君!」

火野「羽剣さん!大丈夫ですか?」

羽剣「大丈夫だ、この程度なら明日にも治る。それより、チップ納品した?」

火野「はい!後、貴水さんにカード作って貰えました!」

羽剣「良かったな!君のことだから、キバゴ選んだんだろ?」

火野「そうですね。」

羽剣「じゃ、お互い頑張ろうな!」

火野「はい!」

 

 

虚無會。

琉聖「くそっ!あのナックラー野郎、何なんだ一体?」

拓人「確か、クリムガンの際に襲われたあの少年だったな。」

洋子「勿論次は、私よね?」

拓人「はい、異論はないです。」

洋子「じゃ、可愛い雑魚共、覚悟しなさいっ!」

 

続く

 




セイバーズ第2話、どうでしたか?
火野君、こういう系の作品では珍しく、従順なキャラなんです。
以下次回予告

火野&羽剣「次回、ポケットモンスターセイバーズ!」
羽剣「虚無會による新たなネガビーストの脅威!」
火野「僕らは、圧倒され、敗北寸前に!」
羽剣「しかしその時、アーマーを新調した、初期メンバーが、窮地を救う!」
火野&羽剣「次回も、見てね!」

以上、次回予告でした(尚、うp主はこの後、羽剣君に粉砕された)。
洋子なので、召喚ネガビーストは、
フェアリー、エスパー、草、水、飛行、ノーマル
のいずれかですね。

次回も、お楽しみに!


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3.幻獣と竜殺し

どうも。うp主です。
初心者のせいか、応募者0でした。
ぼちぼち、頑張ります。

では第3話、どうぞ。


火野の自室。

火野「ふう!設計図完了!3Dプリンター組み立てて、っと。」

AI「来訪者がいます。」

火野「おっ、誰かな?…どうぞ。」

東「…君が新人君ね!私、東結衣!宜しく。」

火野「え、あっ、宜しくお願いします。」

東「新人君、私のタイプだ〜!こういうカワイイ系男子、好きなんだ!」

火野「えっ、どうも…」

東「ねえ火野君、私の別名知ってる?」

火野「はい、確か[貴蛇の妃]と。」

東「その通り!そう言えば、君も別コースだけど、集いにいたよね!」

火野「まあ…居ましたけど。」

東「じゃ、私はこれで。今後とも宜しくね、火野君!」

火野「は、はい…僕こそ、よろしくお願いします。」

 

東、退室。

火野「ふう…僕は3Dプリンター組み立てないと…」

 

 

一時間後。

火野「ようやく出来た。後は、USBコード繋いで、っと!まずは基板だな。素子はあるから、半田付けすればいいし…5時間か、しばらく暇だな。」

AI「来訪者がいます。」

火野「はい。どちら様ですか?」

羽剣「火野君、俺だ。」

火野「羽剣さん、どういう目的で…。」

羽剣「火野君、トレーニングしないか?」

火野「はい、いいですけど…」

羽剣「アーマー装着して行える場所がある。積めばアーマーの進化も出来るぞ。」

火野「はい、やってみます!」

 

訓練棟。

羽剣「ここだ。」

黒曜「よっしゃ進化キター!…よっ、火野!」

火野「黒曜君!何進化させたの?」

黒曜「ついに、デンリュウ使用可能になったぜ!」

羽剣「黒曜君、相変わらず電気タイプ好きだな…。」

黒曜「弱点少ないから使い易いんだよな!」

火野「うん、いつもの黒曜君だね。」

黒曜「あっ、俺疲れたから自室戻るわ。頑張れよ〜!」

羽剣「じゃ、行くか!」

火野「はい!」

 

火野、トレーニングルームに入る。

火野「う〜ん…アーマーレベル上げたいから、組み手にするか。というか、出る数∞しかないのかな?」

羽剣「火野君、(アーマーは)何で行く?」火野「キバゴで。」

羽剣「12500Pでオノンドに進化か…1250体ゴニョニョ狩れって厳しいな…。」

火野「タブンネ出ないんですかね?」

羽剣「多分ない、タブンネ。」

火野「…じゃ、行きます!」

羽剣「…無視された(汗)」

 

5分後。

火野「はあ…はあ…あと643体!」

火野、ダメージを受ける。

火野「うわあっ!」

アナウンス「耐久度が限界に達しました。トレーニング、終了します。」

 

火野「ふう…疲れた。」

アナウンス「火野様の記録、607体です。」

羽剣「おっ、頑張ったな!お疲れさん。」

火野「これ、ランキングあるの?」

アナウンス「はい。一位が羽剣様で、16665体です。」

火野「す、凄い…!」

羽剣「まあ、一秒に100体という、トンデモメニューでやったからな。ボーマンダのテストを兼ねて。ま、3分も経たずに訳分からなくなったんだよな…。」

火野「ようし!もうい…ち…」バタッ

羽剣「無茶すんなって…。」

 

火野の自室。

羽剣「火野君、焦ることはない。休んでくれ。」

火野「でも僕、進化前だし…」

羽剣「君の身体の方が心配だ。休め。」

火野「はい…」

羽剣「…火野君、これは?」

火野「これ?息抜き兼研究で作った3Dプリンターだけど?」

羽剣「火野君、君はいったい何者だよ…。」

火野「更に言うと、今それ使って物作っているんだけど…」

羽剣「何作っているの?」

火野「携帯獣脳波解析兼コミュニケーション機。」

羽剣「…ポケモンと直接話する、ってやつか?」

火野「簡単に言えばそうだね、パソコン使って。」

羽剣「ほ、欲しい…!」

火野「只、これボール必要なんですが…」

羽剣「さて、忘れてるみたいだな。俺の相棒が奇跡的に助かった事を!」

火野「そうでした、忘れてました!時間かかるかもしれませんが。」

羽剣「作って…くれるのか!?」

火野「はい…。」

羽剣「よっしゃ!じゃ俺、アローラナッシー並みに首長くして待ってるからな!よろしく!」

火野「はい!」

羽剣「あと火野、トレーニングは程々にな。」

火野「はい…。」

羽剣「俺達で何とかするから、安心しろ。」

火野「あ、ありがとう…」

羽剣「じゃ俺、自室戻ってるわ。」

火野「了解!」

 

虚無會。

洋子「相手はドラゴン、飛行、地面…アローラキュウコンってどうかしら?」

拓人「おお、良いと思う。だが、ドリュウズ対策は?」

洋子「簡単よ。ネガ出力上げて防御に特化すれば良いじゃない。」

拓人「…それ、対策か?」

洋子「ま、見てなさい。」

 

火野の自室。

3Dプリンター「作成が、完了しました。」

火野「おっ、出来た!後は半田付け…その間に、別の部品作ってもらうか!…よし、っと。半田付け、開始!」

 

虚無會。

洋子「行くわよっ!」

謎の機械「ネガビースト、ロード!」

 

火野の自室

ブレス「ネガビースト出現!ネガビースト出現!」

火野「き、来たか!」

 

司令室。

羽剣「火野君!遅いぞ。」

火野「すみません!」

羽剣「ふっ、冗談だって!俺偶々司令室近くにいたらブレス鳴ったし。とりあえず、内海さん、情報を。」

内海「はい。電気石の洞穴にて、キュウコンに似た存在を確認。謎のオーラを纏っているのを見るに、ネガビーストだと思われる。各自、出撃の準備を!」

羽剣&火野&黒曜「了解!」

 

ポート。

火野「あの、羽剣さん…」

羽剣「何だ火野君。」

火野「嫌な予感がします…キュウコンと言っても…あっちの可能性が。」

羽剣「まあまあ、着いてから考えよう。」

火野「はい。では…」

羽剣&火野&黒曜「アーマー、プットオン!」

(火野:キバゴ、羽剣:ボーマンダ、黒曜:デンリュウ)

 

電気石の洞穴、入口。

火野「テッシード厳選以来か〜。」

羽剣「俺も。」

黒曜「あっ、あれじゃね?」

火野「あれか…。あっ…やっぱり…(察し)」

羽剣「どれどれ、あっ…(察し)」

火野&羽剣「アローラかよっ!」

虚無會。

洋子「ほらね、迷ってる。」

拓人「ひ、酷い…フッフッフ…」

洋子「酷いって禁句じゃないの?」

拓人「良いぞ、良い意味で酷い!」

洋子「なら良し。」

 

電気石の洞穴。

羽剣「そうきたか…」

火野「羽剣さん、僕はナックラーで潜ります!」

羽剣「お、おう!黒曜君はドリュウズで本丸を!俺は雑魚の掃討を行う!」

黒曜「了解!タイプ相性故の判断か…」

 

司令室。

東「内海さん、要件を…。」

内海「はい。先ほどクチートのメガストーンチップが完成したの。あなたには、既に持っているクチートのアーマーカードと組み合わせて欲しい、って訳。」

東「はい!やってみます!」

 

電気石の洞穴。

羽剣「ふぅ…雑魚は殲滅か…。黒曜君、そっちは?」

黒曜「変なバリアで、攻撃が通らねえ!」

火野「こちらも、何回も敢行してますが、無理です!」

羽剣「そうか…ん?溜めている?」

キュウコン(アローラ)、吹雪を起こす。

羽剣「ぐあっ!くっ…」

火野「大丈夫ですか!?」

羽剣「ああ、耐えたが耐久力が残り僅かだ…。」

黒曜「羽剣、下がって!俺鋼だから、どうにか出来る筈!」

羽剣「黒曜君、火野君…すまない!エスケープシークエンス、起動!」

 

ポート。

羽剣「くそっ!俺としたことが…」

東「羽剣さん♪」

羽剣「東さん…」

東「私に任せてね!」

羽剣「ああ、頼んだぞ…。」

東「じゃ、行きましょ☆アーマー、プットオン!」

 

電気石の洞穴。

火野「僕たちで大丈夫でしょうか…」

黒曜「まあ、出来るとこまでかな。…ん?火野!避けろ!」

火野「うっ…うわっ!避けきれない!」

その時、閃光がキュウコンの冷凍ビームを屈折させた。

東「間に合った…良かった!」

火野「東さん!」

東「[貴蛇の妃]東結衣…目標を粉砕する!」

キュウコン「キュワーン!」

黒曜「クチートか…耐性は多いが、火力は?」

東「心配無用!漸くアレが完成したからね!キュウコン、あなたには実験台になってもらうわよ!」

東ブレス「チップ、レディ…」

東「行くわよっ!」

東ブレス「メガ・レヴォリューション!」

どこかで見たような白い球体が東を包み、包み終わったや否や球体は割れ、中から、背部ブースターが巨大化したクチートアーマーを装着した東が姿を現した。

東ブレス「竜滅のメタルファング!メガ・クチート!」

火野「メガシンカか…凄い!」

東「じゃ、行くわよっ!」

キュウコンは、メガクチートアーマーに手を出せず、追い込まれていく。

黒曜「あ、圧倒している…何て力だ…」

東「さて、このまま倒すのも良いけど…やっちゃうか!アーマー技、行使します!」

東ブレス「アーマー技発動。6ゲージ消費、ツインヘルバースト!」

背部ブースターが分離し、両腕に付く。

東「恨んだって無駄よ!」

両腕についたブースターから、極太のビームが発射された。

キュウコン「キュウゥゥン…」

キュウコンは、着弾したや否や悲鳴をあげ、ロコンのチップになった。

東「やった!上手くいった!さて、これがチップね。」

火野「凄かったです、東さん!」

東「じゃ、戻りましょ。」

 

司令室。

東「ふう…重かったな〜。」

火野「重いんですか?」

東「戦闘中はブースターだから良いけど、出力凄いから戦闘以外はオフにしないといけないの。」

火野「そうなんですか。…羽剣さん…。」

羽剣「火野君、俺は…」

火野「大丈夫です。それに、あなたのせいではないですよ。謝らないでください!」

羽剣「火野君、優しいんだな…。」

火野「あなたは僕の戦友です!命あってこその関係なんですよ!」

羽剣「…だよな!」

火野「はい!」

 

虚無會。

拓人「ちっ…メガシンカときたか…!」

洋子「この機械の出力じゃ無理ね。」

琉聖「拓人さん、ボスから届け物です!」

拓人「へえ…どれどれ、ほう…!流石ボスだな!」

 

続く。




ポケモンセイバーズ第3話、どうでしたか?
東さん大活躍!3話でメガシンカってどうなの?と思いましたが、シナリオに影響が無い様に入れてみました。
拓人宛てに届いた物は一体…?気になりますね。

では、次回予告です。

火野&東「次回、ポケットモンスターセイバーズ!」
火野「戦場に突如現れた謎の人物!」
東「敵か味方か…果たして!」
火野「そして、ついに例の装置が完成する…!」
火野&東「次回も、見てね〜!」

以上、次回予告でした(火野君と東さんがノリノリだったお陰で、粉砕は免れた)。
第4話は、12月中には、投稿したいと思っています。
では、次回も、お楽しみに。


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4.悪に染められし正義

火野の自室。

火野「これで、完成!やっとだ〜!」

AI「来訪者がいます。」

火野「お、誰かな?…どうぞ。」

羽剣「火野君、おはよう。」

火野「おはようございます。」

羽剣「で、どうだ?例の装置は…」

火野「はい!只今出来ました!」

羽剣「早いな!一週間で作れるのか!」

火野「はい!では…試運転します!」

PC「コミュニケーションアプリ、起動。…異常なし。ボールを置いてください。」

火野、ボールを置く。

PC「ポケモン解析…対象ポケモンの会話の意欲を認証。会話を開始します。」

火野「よし、後はキーボード打てば…。」

以下、パソコンでのやりとり。

 

火野<おはようございます。あなたのトレーナーの、火野です。

?<火野君?久しぶりだね。僕は元気にしてるよ。まだ、あの事はトラウマだけど…。あと、気軽に話してほしいな。自然な君の話し方が、僕は好きだな。

火野<そうなんだね…。じゃ、こうやって話せるのって、嬉しい?

?<うん!嬉しいし、君と本当に話すのって、楽しいな!

火野<良かった!レシラム君の役に立てて!トレーナーとして、僕はとても幸せだよ!

レシラム<うん!僕も!

火野<…突然だけど、レシラム君って、男子なの?

レシラム<う〜ん…男子、かな…。

火野<そうなんだ。ありがとう。

レシラム<あと、火野君って…今みんなを救う為に頑張っているよね!

火野<レシラム君、どこから聞いたの?

レシラム<僕はいつも君のことを見てるよ。火野君、僕は今は励ますことしかできないけど、応援してるよ!僕と人竜三脚で、頑張っていこうね!

火野<うん!頑張るよ!僕と、君との情熱は!

レシラム<以心伝心だからね!

火野<じゃ、僕はこれで。

レシラム<またねー!

 

以上、パソコンでのやりとり。

火野「どう?」

羽剣「お前ら…何リア充してんだよ!」

火野「あ、御免。つい…。」

羽剣「…かなりハイレベルな絆だな、逆に怖いわ。あと、何で性別聞いたの?」

火野「念のため。女子だったら、男子以上にデリカシー気にしないといけないし。では、また今度出来たら渡すから…」

羽剣「ああ、頼む。では…っておい!俺別の用で来たのを忘れてた!」

火野「はい、どんな用で?」

羽剣「…訓練棟行かないか?」

火野「それだけ?」

羽剣「それだけだが…」

火野「良かった!僕も試運転終わったら行こうと思ってたんだ!」

羽剣「じゃ、行きますか!…それと、敬語使わなくて良いからな!」

火野「はい!行きます!」

 

訓練棟。

火野「では!ハードモード、ビブラーバで!」

羽剣「いつの間に進化してたんだ…」

火野「昨日です!」

羽剣「へぇ…じゃ俺は、ヘルモード、ボーマンダで!」

火野「最終進化で何するんですか?」

羽剣「100000体討伐を達成すると、メガチップが手に入る…それ狙いだ!」

火野「本当ですか!?」

羽剣「本当だ。内海さんが実装したらしい。おまけに東さんに先取りされた…負けてられない!」

火野「凄い執念だね…。では、僕は最終進化狙いだ!9000体…でも、やるしかない!」

火野&羽剣「戦闘開始!」

 

10分後。

火野「ふう…記録は?」アナウンス「8190体です。」火野「に…肉薄できたか!羽剣さんは?」

アナウンス「はい、現在51034体です。」

火野「す…凄い!」

 

更に10分後。

羽剣「はあ…はあ…。き、記録は?」

アナウンス「99610体です。次回は、49305体からスタートとなります。」

羽剣「くっそぉっ!あと390体か…」

火野「羽剣さん!凄いですよ!」

羽剣「お前も…頑張ってるな!」

火野「もう一回行きたいけど、僕は止めておきます。実戦の方がポイント多いからね。」

羽剣「俺は、明日来ることにして、休むか!」

火野「じゃあ、解散で。」

羽剣「おう!」

 

通路。

火野「僕も、頑張らないと…置いてけぼりじゃ、迷惑を掛ける!」

東「ひぃ〜のぉ〜くぅ〜〜〜ん!!」

火野「東さん!?」

東「結構汗かいてるよ?訓練棟に行ってたの?」

火野「はい、羽剣さんと一緒に…」

東「お疲れさん!私、今行く所なんだ!」

火野「何のアーマーですか?」

東「アローラロコンよ。特殊高いから、キュウコンにしよう、ってね!」

火野「もうカードにしたんですか!?」

東「ええ、即日よ!じゃ、これで。」

火野「頑張って下さい!」

東「頑張ってね、っていって欲しいな!火野君は、私のボーイフレンドだから!はい、決定!」

火野「えぇ…が、頑張ってね!」

東「そうそう!同い年だから、「結衣ちゃん」って呼んでも良いんだよ?」

火野「え、遠慮しておきます。」

東「まあ、私の要望だからね、じゃ。」

火野「では…。」

 

火野の自室。

火野「さて、羽剣さん用の例の装置作りますか!」

火野、3Dプリンターに作成予約をする。

火野「これで良し、っと。テレビ見よ。」

アナウンサー「こんばんは。全国のニュースをお伝えします。最初のニュースです。今日午後2時頃、マサラタウンにて、突如体長5m超えのマッスグマが出現しました。このマッスグマは、謎のオーラを放っており、人家を襲っていましたが、ガブリアスの鎧を着たPMSの隊員によって速やかに駆除されたとのことです。続いて…」

火野「PMSって、色々な地方にあるのか…」

AI「来訪者がいます。」

火野「はい、どちら様ですか?」

黒曜「火野、外食しに行かないか?各自で払うとして。」

火野「良いけど…金は?」

黒曜「大丈夫だ、セイバーポイント、金として使えるんだよな!」

火野「では、僕も行きます!」

 

ヒウン某所。

火野「黒曜君、ニュース見た?」

黒曜「あれか?ガブリアスの…」

火野「そうそう!他地方にもPMS有るって知らなかったから驚いたよ!」

黒曜「俺たちも頑張らないとな!」

火野「はい!」

黒曜「ふ〜!食った!じゃ、ポイントを変換して…お願いします。」

店員「ありがとうございました。」

 

自室棟。

黒曜「じゃ、またな!」

火野「はい!」

 

火野の自室。

火野「じゃ、寝るか…」

火野ブレス「ネガビースト出現!」

火野「タイミング悪っ!」

 

司令室。

火野「羽剣君!」

羽剣「火野君!眠くない?」

火野「眠いけど、守らなきゃ!この地を…」

黒曜「火野、気合い入ってるな!」

羽剣「よく言った火野君!内海さん、情報を。」

内海「はい。ホドモエ付近に、コバルオンが出たの。」

羽剣「野生ではないのですか?」

内海「確実に、野生ではないわ。でも彼は準伝よ、無茶はしないでね。」

火野&羽剣&東&黒曜「了解!」

 

ポート。

火野「僕が、トレーナー皆の…トレーナーのポケモンに、笑顔を取り戻す!そのために力を得たんだ!」

羽剣「おっ、気合い入ってるな!」

東「じゃ、行きますよ!」

火野&羽剣&東&黒曜「アーマー、プットオン!」

 

現場。

羽剣「みんな、気を抜くなよ。」

火野「…!?あれは!」

黒曜「おっ、流石、堂々としてんな!」

火野「雑魚も普段以上か…雑魚は僕がやります!皆さんはコバルオンを!」

東「私も雑魚をやります!」

羽剣&黒曜「了解!」

 

虚無會。

拓人「私の出番か…ボスの思惑、この私が!」

洋子「拓人さん、張り切ってるね。」

琉聖「僕たちが貰えるのは到底先だね。」

 

現場。

火野「き、きりがない!」

東「どこから湧いているのやら…」

火野「とりあえずやっていけば分かるさ!…ん?」

火野ブレス「経験値が一定量に達しました。進化します。」

火野「い、今!?」

カードがブレス内で進化し、排出される。

火野「フライゴン…行くよ!」

東「おっ!最終進化か!」

火野「アーマー、プットオン!」

ビブラーバアーマーがアンダーアーマーを残してパージされ、そこにフライゴンアーマーが装着された。

火野「ち、力が…みなぎってくる…!負ける気がしないよ!」

火野、雑魚を一掃する。

火野「さて…どこから出てくる…?」

接地されている機械から、雑魚が出現した。

火野「あれだっ!」

火野、機械を破壊。

東「火野君!いいよ!後は私がっ!アーマー技、行使します!」

東ブレス「アーマー技、発動。5ゲージ消費、ヴァイオレントスペシャル!」

東、雑魚を一掃。

東「やった!」

火野「よし、本丸叩くぞ!」

 

羽剣「くっ…硬い!」

黒曜「流石準伝…か!」

コバルオン、頭部に黒いオーラの剣を発生させる。

羽剣「あの剣の大きさ…避けきれない!」

黒曜「どうすりゃ良いんだよ!」

その時。

火野「当たれぇぇっ!」

火野の投げた片手剣が敵の頭部に命中、コバルオンは倒れ込む。

羽剣「火野君!…それは?」

火野「雑魚やってたら進化したんだ。」

羽剣「おっ、ついに初の最終進化か!」

火野「じゃ、止め刺すよ!アーマー技、行使します!」

火野ブレス「アーマー技発動。5ゲージ消費、エンジェルコーラス!」

羽剣「何それ…」

火野「砂漠の精霊っていう別名があるから、別に…」

羽剣「なんかフェアリーっぽい…」

コバルオンの真下から砂嵐が発生し、コバルオンを浮かせる。

火野「行くよ…!」

砂嵐中のコバルオンに向かって、剣を振るう。その衝撃波は、コバルオンに当たり、砂嵐ごと切り裂く。

羽剣「名前とは裏腹に、かっけぇ…」

地に落ちたコバルオンは、光の粒となり、コバルオンのチップが残った。

それを火野が拾おうとした、その時。

拓人「どけ、邪魔だ…」

拓人が撃った弾が、火野の肩に命中。

火野「うわぁぁっ!」

火野、出血した肩を押さえ竦む。

羽剣「火野!大丈夫か!?」

火野「くっ…誰だ、僕を撃ったのは…」

拓人「私だ。」

羽剣「誰だ!何しに来た!?」

拓人「私は、拓人・イズマエール。コバルオンのチップを頂戴しに参った。」

火野「…ムクホークアーマーか…うぐっ!」

羽剣「無茶すんな火野!」

拓人「ほう…これか!」

火野「渡すものか!」

火野、拓人に切りかかる。拓人、剣を掴む。

拓人「少年よ、感情が乗ってるぞ。」

火野「これは、ポケモンを救うために必要なんだ!トレーナーから、無理やり離された、ポケモンを救うために!」

拓人「ハッハッハ!君は純粋な水晶だ!そんな君の水晶を砕く事実を教えよう!ポケモンを奪い、ネガビーストを生み出したのは、私たちのボスだ!」

火野「何で、そんな奴の配下に付く!」

拓人「命を傷つけるのが、楽しいからなっ!」

拓人、火野の剣を投げ、腹パンを喰らわせる。

火野「ぐはぁっ!」

火野、気絶する。

羽剣「火野ォォッ!」

拓人「じゃあな!又会おう!」

拓人、ワープ。

東「火野君!しっかりして!」

羽剣「火野君は俺が担ぐ。本部に戻るぞ!」

 

本部、司令室。

内海「皆さん、おつK…火野君!?」

羽剣「謎の人物にやられてしまったらしい。おまけにそいつに、チップを奪われた。」

内海「早く、治療室へ!」

 

治療室。

内海「んで、その人物は?」

羽剣「名は拓人・イズマエール。悲劇の元凶の配下らしい。」

内海「なるほど、警戒が必要ね。」

東「火野君、大丈夫かな…」

羽剣「きっと大丈夫さ。」

 

一時間後。

火野「…こ、ここは?」

羽剣「火野君、起きたか。」

火野「みんな…ごめん!」

黒曜「どうしたんだ急に…。」

火野「僕の失態だ。チップを奪われた…もう、僕は!」

羽剣「落ち着け火野、お前のせいじゃねえ。今回は誰にしろ無理だった。仕方ない。」

火野「それでも!ぼK…うわぁっ!」

羽剣「急ぐな。君はよく頑張った。休んでくれ。」

火野「す、すいません…恩に着ます。」

 

虚無會。

拓人「只今〜。」

洋子「お疲れ様。」

琉聖「どうだった?」

拓人「使いやすかったな。」

洋子「何はともあれ、次は琉聖君だね。」

琉聖「さ〜て、行きますか!」

 

続く。

 




セイバーズ第4話、いかがでしたか?

レシラム君マジ天使、あんなフレンドリーな禁伝いませんよ普通(笑)
大抵厳かですよ。
それにしても、火野君天才なのは相変わらず…火野君の頭脳あったら同じ物作りたい(笑)

さて、次回予告ですが、火野君怪我して出れないので変わりにうp主が…

次回、ポケットモンスターセイバーズ!

突然現れた敵幹部!
次の出動は他地方!?
そして、所長がついに動き出す…!

次回、第5話『友の傷と暴君』


以上、次回予告でした。
さて、所長がどう動くか…気になりますね!
では、次回も宜しくお願いします。


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5.友の傷と暴君

火野の自室。

羽剣「火野、暫くは安静にな。」

火野「はい。あと、これを…」

羽剣「フライゴンのカード…なぜ?」

火野「無いより、有った方がいいと思ったんだ。それに、戦えない怪我人が持っていてもどうしようもない。まぁ、預けるって扱いだからね。」

羽剣「分かった。では…」

羽剣、退室。火野、パソコンを起動。

火野「…ん?レシラムから…」

 

以下、パソコンでのやりとり。

 

火野>レシラム、僕に何か言いたいことでもあるの?

レシラム>火野君、本当に大丈夫なの…?

火野>安静必須だけど、大丈夫だよ。

レシラム>う、うわぁぁん!

火野>どうしたの?そんなに泣いて。

レシラム>だって、君がなかなか帰ってこなくて…死んだんじゃないか心配したんだよ!火野君は、「弱い禁伝」と呼ばれた僕に…居場所をくれたんだ!そんな君が居なくなったら…うわぁぁん!

火野>大丈夫。僕は生きている。というか、君だって僕に居場所をくれたんだ!君を悲しませないって決めてたのに…ごめんね。

レシラム>いいよ。君がいてくれたら…もう何も怖くない!

火野>じゃ、またね〜。

レシラム>待ってるよ〜!

 

以上、パソコンでのやりとり。

火野「…怪我人は怪我人なりに、仕事しないと!」

 

虚無會。拓人「ついに…出来たぞ!アーマーカードが!」

洋子「これで戦略の幅が広がったな。」

琉聖「どれ…見せて!」

拓人「試しに、アーマー着ちゃう?」

洋子「エネルギー保存しなさい。」

拓人「は、はい。」

 

訓練棟。

羽剣「き、来たぞついに…!10万討伐達成だー!」

アナウンス「対応のカードを、挿入してください。」

羽剣「ボーマンダで!」

アナウンス「…作成しました。」

羽剣「よっしゃ!苦労した甲斐があったぜ!」

東「おっ!お疲れさん、羽剣君!」

羽剣「東、君は本当にこれ達成したの?」

東「え?何のこと?」

羽剣「じゃあ、メガチップは?」

東「内海さんから、試作品って。」

羽剣「マジか…」

東「はい、ってことで、トレーニング行きます!」

羽剣「頑張れよ!」

東「火野君の分まで、頑張るよ!」

羽剣「そうだなっ!」

 

所長室。

月読「ほう…仕方ない。」

内海「申し訳ございません!」

月読「私が、直々でるか。」

内海「所長、大丈夫ですか?」

月読「なに、問題ない。こう見えて私もガチ勢だ。おまけにお気に入りが偶然無事でな。そのポケモンの協力で今のアーマーシステムがあるというわけだ。」

内海「なるほど。」

月読「まあ、開発したのは火野君の父、火野陽三さんなんだが。」

内海「火野君といい、火野君の父といい…天才家系ですね。」

月読「出現あり次第、呼んでくれ。」

内海「はい。」

 

火野の自室。

火野「父さん…僕は、本当に相応しいのでしょうか?守ろうとして負けては意味がない…僕自身、そんなに強くないのに。」

火野PC「レシラムから、会話の誘いがありました。会話しますか?」

火野「…はい。」

 

以下、パソコンでのやりとり。

 

火野>レシラム君…

レシラム>火野君、君は弱くないよ。

火野>えっ…!?

レシラム>もし君が弱かったら、僕は君を絶対に認めたりしないよ。

火野>え…こんな僕のことを…強いって…

レシラム>僕が思うに…本当の強さって、運動能力とかじゃなくて、誰かの為に生きることなんじゃないかな、って思うんだ。

火野>レシラム君…

レシラム>ねえねえ、君の守りたいものって何?無くしたくないものは?

火野>…君だよ。大好きな君を…僕は…絶対守る!誰よりも…何よりも…いつまでも…どこまでも…例え、世界を敵に…回したとしても!…いや、ただ守るだけじゃない!君の笑顔も…絶対守る!例え、この命に代えても!悲しませないっ!!

レシラム>…火野君、言いずらいんだけど…

火野>何?

レシラム>命は…懸けないで欲しいな。僕…君がいないと、立てないから!

火野>分かった。ねえレシラム君?

レシラム>何?

火野>この戦い終わったら、何したい?

レシラム>う〜ん…君と一緒に笑いたいな…リアルに。

火野>…分かったよ。その夢、僕が叶えるからね!

レシラム>うん!じゃ、後で!

 

以上、パソコンでのやりとり。

火野「レシラム君、ありがとう…!嬉しくて…目頭が熱いよ!」

火野ブレス「ネガビースト出現!ネガビースト出現!」

火野「行かなきゃ!」

アナウンス「あなたは安静にしてください。」火野「…でも!」

アナウンス「あなたは怪我人です。お通しできません。」

火野「みんな…お願い!」

 

司令室。

羽剣「…火野君以外、全員揃いました。内海さん、情報を。」

内海「シャラシティに、グライオンが出現した。」

羽剣「シャラシティって…カロスでは?」

内海「どうやら、あっちの支部によると、タイプ相性が悪いらしい。とりあえず、討伐に向かってくれ。」

羽剣&黒曜&東「了解!」

 

ポート。

羽剣「火野君…お前の分まで、暴れるぜ!」

黒曜「おう!」

羽剣&黒曜&東「アーマー、プットオン!」

 

現場。

南雲「くっ…強い!いや、タイプ相性か…」

羽剣「よっ!っと。援軍参上!」

黒曜「後は俺らに任せな!」

東「私は雑魚担当で!本丸は羽剣君お願い!」

羽剣「任せろ!」

黒曜「俺も本丸叩く!」

羽剣「了解!」

東、雑魚を一掃。

東「あれ?少ない…」

南雲「えっ?」

東「いつも多いのにな〜。」

南雲「マジかよ!」

東「あっ、申し遅れた。私、イッシュ本部の東結衣です。」

南雲「イッシュか…俺はカロス支部の南雲立己。ドクロッグアーマーで戦っていたんだが、流石に分が悪かったか。」

東「確かに、両方半減だね。あれ?他にいないの?」

南雲「いるんだがアーマーがまだ弱くてな。」

羽剣「お〜い東、手伝えよ!」

東「はい、すみません!」

拓人「そうは行かないな!」

東「きゃっ!?」

羽剣「東!?」

拓人「ん?見当違いか…どうぞ。」

東「えっ…?」

拓人「あなたには興味はない。では、代わりに…」

拓人、羽剣に発砲。背部ブースター外装に当たる。

拓人「君と遊びたいんだが?」

羽剣「は!?忙しいの見て分からないか?」

拓人「分かるさ、だからこその発言さ!」

拓人、羽剣に急速接近し、片手剣で羽剣を攻撃。

羽剣「くっ…!邪魔だ!」

 

火野の自室。

火野「これで…出来た!ユニオンカード!後は、あっちに情報を送ればっ!」

研究室。

貴水「…ん?」

研究員「貴水さん、どうしました?」

貴水「Mr.XFを名乗る者からのメールだ…。最近、ここからよく来るよな…ん?有害性0か…。見てみよう。」

 

以下、メールの内容。

 

どうも、お久しぶりです。Mr.XFと申します。あなた達に有益な品の設計図です。是非、ご覧ください。

 

以上、メールの内容。

貴水「どれどれ…!?ユニオンカード…何だこれは!面白い、作ろうではないか!」

 

現場。

東「流石グライオン、あれの使い甲斐があるわね☆」

黒曜「何?」

東「アローラキュウコン・アーマーチェンジ!」

黒曜「進化早っ!」

東「早速だけど、止めよ!アーマー技、行使します!」

東ブレス「アーマー技発動。5ゲージ消費、エターナルビューティー!」

巨大なキャノン砲から冷凍ビームが放たれる。勢いが凄まじいせいか、凍る前にグライオンを粉砕してしまった。

東「よし、チップ回収!羽剣君の援護に行かないと…」

羽剣「来るな!」

東「えっ…?」

羽剣「これは俺の仕事だ!可能性のある若人は撤退してくれ…君たちを、傷つけたくないんだ!」

東「でも!」

羽剣「大丈夫だ…ヤバくなったら、俺も撤退する。」

東「…はい。」

 

ポート。

内海「お帰り。」

東「はい、あと羽剣君が…」

内海「分かっている、彼の判断に委ねるしかない…」

東「はい…」

東は、そのまま司令室を後とした。

 

現場。羽剣は、拓人の圧倒的な連撃に防戦一方だった。

羽剣「くっ…速い!」

拓人「どうした…そんなものか?」

羽剣「…うるせぇっ!」

羽剣は、拓人の片手剣を掴み、腹部に蹴りを入れる。

しかし、少しノックバックした程度(というかノックバックしたふり)で、全く効いていなかった。

しかし、感情的になってしまった羽剣には、全く関係なかった。

羽剣「うおぉぉっ!火野の仇ぃっ!!」

こう叫びながら、彼はメガストーンチップをブレスにはめる。

そして、表現し難い叫びと共に、彼はブレスの側面のボタンを押した。

羽剣ブレス「暴君イン・ザ・スカイ!メガボーマンダ!」

背部ブースターは巨大化し、胴体側面は赤い燐光を放っていた。その姿は、まさに天空の暴君に違いはなかった。

しかし、これを見ても拓人は余裕の表情を崩さなかった。

拓人「ほら、アーマー技あくしろ。私を楽しませてくれ!」

この挑発に、羽剣はまんまと乗せられる。

羽剣「ふざけんな!火野の笑顔を奪っといて!万死でも足りねぇよ!!アーマー技、行使!」

羽剣ブレス「アーマー技発動。6ゲージ消費、コマンド・ネロ!」

どす黒いエネルギーが羽剣を包む。

拓人「う、美しい!負の感情の色合いとして、文句なしだっ!」

羽剣「ごちゃごちゃうるせぇよ!黙れぇぇっ!!」

エネルギーは剣に宿り、剣を禍々しい形に変えた。

そして、怒りの儘に拓人に斬り込む。しかし、効くどころか、拓人は喜んでいた。

拓人「いやぁ、人の負の感情も悪くない!」

拓人はそう言いつつ、羽剣の足を払う。

羽剣「ちっ、この野郎!」

羽剣はまた斬り込もうとしたが、腹に蹴りを入れられ、倒れ込む。

羽剣「どうして…俺は…」

拓人「楽しい時間も終わりか…。ありがとう。」

そう言って、止めを刺そうとした、その時だった。

月読「やれやれ、若いもんは…」

熱線が、拓人の背に命中する。

拓人「仕事の邪魔とは…いい度胸だな!」

熱線を撃ったのは、バクーダアーマーを着た、月読所長だった。

羽剣「所長…何故。」

月読「やはり、若いもんは動きに感情が出てしまっている…まだ未熟だな。戻れ。」

拓人「まあ、説教はそれくらいにして、楽しませて下さい。」

月読「本望じゃないが、ここで潰せば楽になるしな。」

 

続く。




セイバーズ第5話、いかがでしたか?

レシラム君、主人心配で泣いてる…可愛い(この後、うp主がどうなったかはお察し下さい)

羽剣君、大☆暴☆走でした。そりゃ友人を傷つけられていたからああなったんだけど…
まさかのMr.XF=火野君。やっぱ天才だわ火野君。
所長すげぇ。どこかの稲田徹さんである。

では、次回予告です。今回も私です(火野君大怪我のため)。

次回、ポケットモンスターセイバーズ!

何度も襲いかかる拓人!
そしてユニオンカードの効果とは…。
そして、火野は戦場復帰出来るのか!?

次回、第6話『誓いの翼』


以上、次回予告でした。
サブタイが某二次創作ゲームの名前に似ている気がするが、気にしないでください。
今後も、宜しくお願いします。


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6.誓いの翼

月読「後悔しませんか?」

拓人「其方こそ。」

こうして、所長と拓人の戦いが始まった。

 

一方、強制的に司令室に戻された羽剣は、ポートに着いたや否や、疲労で倒れた。

東「だ、大丈夫かな…」

羽剣「お、俺は…いったい…」

東「良かった。気づいた?」

羽剣「ここは…ポート?」

東「そう、あなたはここに来てすぐに気絶していたの。」

羽剣「そうか…所長は?」

東「多分拓人とやりあっている。危険だったら内海さんが強制帰還させるし。」

内海「羽剣君、起きた?」

羽剣「は、はい…」

内海「戦っていた時のあなた、あなたらしくなかったけど…大丈夫?」

羽剣「大丈夫じゃない。俺としたことが、感情に支配されてしまったんだ!俺は…俺は!」内海「まあ、命があったからよし!ってことで。」

羽剣「内海さん…ありがとうございます…。」

内海「熱くなる癖があったとはね…。アーマーのせいとはいえ…」

東「えっ!?アーマーのせいなの!?」

内海「残念ながら、事実よ。メガボーマンダアーマーを解析した所、闘争本能を活性化する物質を放出する機関があったの。」

羽剣「もしかして、アーマーから出ていた赤い粒子は…」

内海「そう、それが闘争本能を活性化させる粒子…タイラント粒子とでも言おうかしら。」

東「成る程、暴君粒子、って訳ですね。」

内海「東さん、ご名答!じゃ、私は所長のサポートしないといけないから、みんなは自室に戻って良いわ。」

羽剣「はい。」

 

一方、シャラシティでは、所長と拓人の戦いは続いていた。

月読「ほう、なかなかだな。」

拓人「あなたこそ。…ん?」

拓人のブレスに虚無會から指令が入る。どうやら、戻れってことらしい。

拓人「ちっ、良いところなのに…仕方ない、この決着はまた今度だな。さらば!」

そう言って、拓人はテレポートした。

月読「さて、戻るか。」

 

所長専用ポート。所長室内にある。彼が着いた時、内海が待っていた。

内海「お疲れ様です。」

月読「あんな骨のある相手は久しぶりだな。それより、羽剣君は?」

内海「猛省していました。しかし、あれがアーマーの仕様とは…。」

月読「だとしても、彼にはあれを制御出来る力量はある。何か負の感情がベースになったとしか思えん。」

内海「そうですか…。」

 

一方羽剣は、大怪我をした(4話参照)火野の見舞いに行くため、自室棟にいた。

羽剣「火野、元気かな…。」

一抹の不安を抱えつつ、羽剣はエレベーターに乗った。

しばらくして、火野の自室前に着いた。

羽剣は、恐る恐るドアを開けた。

羽剣「火野君?失礼するよ。」

そして、パソコンがある部屋に着いた。そのとたん羽剣は言葉を失った。火野の肩から、包帯が消えていたのだ。

羽剣「ひ、火野…」

火野「羽剣さん…そんなに驚いて、何かあったんですか?」

羽剣「肩、大丈夫なのか…?」

火野「とりあえずは、って感じだね。まあ、神経が損傷したせいで、なかなか思い通り動かないから、リハビリ中だけど。」

羽剣「火野…元気で良かった!」

火野「うん、腕動かない以外はね。あと、相棒に感謝しないと…精神的に支えてくれたんだ。」

羽剣「例のチャットか…。相棒が君を思ってくれる存在で良かったな。」

火野「あっ、あとこれ…」

そう言って、火野はユニオンカードを渡した。

羽剣「これは…?」

火野「ユニオンカード。カード同士の相性が良ければ、そのアーマーを融合して強化されるんだ。」

羽剣「でも、何故こんなものを…」

火野「さあね。僕は送られた設計図通りに作っただけだよ…」

羽剣「設計図、誰が寄越したんだよ?」

火野「う〜ん、Mr.XFとしか書かれていなかったからな…。」

羽剣「トラップとか無いのか本当に!?」

火野「うん、レシラムに設計図見せたら、問題ないってさ。」

羽剣「お前のレシラム、一体何なんだ…」

火野「英雄と言われる位だから、知能も高いんじゃない?(ま、実際設計したのも僕で、Mr.XFは僕のコードネームだけどね)」

羽剣「へぇ…そっか。頑なに信じないのもアレだからな…。リハビリ、頑張れよ!」

火野「はい!」

そう言って、火野が立ったその時。

動かなかった片腕が、動いた。

火野「あっ、動いた。」

羽剣「マジか…やったな!ってかキーボード打つ時どうしてたんだよ?」

火野「片手で。さて、内海さんに報告しないと。」

羽剣「俺から報告しておく。」

火野「ありがとう!あっ、あとこれ!」

羽剣「例の装置か…どうも!じゃ、後で。」

火野「はい!」

そして、羽剣は火野の自室から退出した。

火野「みんな、僕の為に…僕も頑張らないと!」

 

司令室前。羽剣は、火野のことを報告する為、ここに来ていた。

羽剣「ここにいれば、内海さんも来るはず…」

内海「羽剣君?どうかした?」

羽剣「はい、先程火野君の見舞いに行きました。」

内海「怪我が治った、と言いたいんでしょ?」

羽剣「な、何で分かったんですか…」

内海「あなたがわざわざここに来る理由があるとすれば、用件が限られる…そして、それが朗報であると信じた結果よ。はい、用件終わり。」

羽剣「では。」

内海「私は、Mr.XFとかと言う方から届いた謎の設計図を貴水さんと確認しないといけないので。」

羽剣「そ、それって…」

羽剣は、火野から手渡されたユニオンカードを見せる。

内海「えっ…」

羽剣「これ、ですよね。」

内海「何故…」

羽剣「火野君の方にも同様の設計図が届いたらしく…自力で作成した模様です。」

内海「彼が3Dプリンターを持っていることは知っていたが…まさか、設計図が彼にも届くなんて。」

羽剣「火野曰わく、カードの相性が合えば使えるらしいです。」

内海「ちょっと貸して。」

羽剣「はい、構いません…ん?」

その時、ネガビースト警報が各自のブレスから鳴り響く。

内海「…丁度良いわ。実戦で試して見るか。」

羽剣「はい…。」

火野「内海さん!」

内海「火野君、ユニオンカードってテストしてあるの?」

火野「はい、問題ありませんでした。」

内海「では、これを君に…」

火野「はい!」

 

暫くして、他のメンバーが来る。

東「内海さん、敵の情報を。」

内海「はい、ヤグルマの森にて、ネガハピナスが出現したの。物理で攻めれば、どうにかなると思うけど、拓人が乱入する可能性があるわ。とりあえず、出来るだけ頑張って。」

全員「了解!」

 

ポート。全員がアーマー装着の準備に入った。

羽剣「火野!これを…」

そう言って、渡しそびれていたフライゴンのアーマーカードを渡す。

火野「羽剣さん、ありがとう!」

羽剣「逆に何で行こうとしたんだか…みんな、行くぞ!」

全員「アーマー・プットオン!」

 

ヤグルマの森、入り口。ポートからワープし、ここに着いた。

羽剣「病み上がりだから、無茶すんなよ、火野!」

火野「はい!」

黒曜「じゃ、行くか!」

 

ヤグルマの森。やけに静かだった。

東「あれ?」

火野「変ですね…ん?」

羽剣「火野、どうした?」

火野「…来る!」

そう言った瞬間、火野は高くジャンプする。すると、火野が立っていた部分から、ネガペンドラーが現れた。

火野「こ、こいつが本丸かっ!」

羽剣「となると、ハピナスは…」

火野は、そのままブースターを点火し、空中で姿勢を安定させる。そして、銃撃を開始したが、謎のバリアで弾かれてしまう。そのバリアが現れた瞬間、ネガペンドラーが、ハピナスに見えた。

火野「これは…もしかして!」

羽剣「どうした火野!?」

火野「奴に…遠隔攻撃が通じない!それと、ネガハピナスの所以が分かった!」

羽剣「何っ!?」

火野「防御用バリアとして…ハピナスの幻影を使っているんだ!遠隔攻撃主体のメンバーは、アーマーを変更して!」

羽剣「まさか年下に命令されるとは…」

火野「す、すみません!」

羽剣「まあ良い…やってやろうじゃねぇか!!」

羽剣は、挿していたボーマンダカードを抜く。そして、ボスゴドラカードを挿し込んだ。

羽剣「アーマー、チェンジ!」

鋼鉄の鎧が、彼を包む。しかし、これで終わりではなかった。

羽剣「メガ・レヴォリューションッ!」

羽剣は、白い球体に包まれ…完全に包まれてから、間もなく白い球体が割れ、白銀の鎧を纏った騎士となった。

羽剣ブレス「白銀のメタル・メイカー!メガボスゴドラ!」

ネガペンドラーは、勝ち目が無いことを悟り、逃げようとする。しかし、羽剣が許すはずがない。

羽剣「さて、暴れた代償を払って貰いますか!アーマー技、行使します!」

羽剣ブレス「アーマー技発動。6ゲージ消費、ネオクリエイト!」

ペンドラーを取り囲む様に、地面から剣山が現れる。そして、それらはペンドラーに迫り、そのまま微塵切りにした。

その跡地に、フシデとピンプクのチップが落ちていたのだった。それを羽剣が拾おうとした、その時。

拓人「隙を見せたな…アーマー技、行使!」

拓人ブレス「アーマー技発動、7ゲージ消費、ジャスティファイバースト!」

拓人のアーマー胸部から、ビームが発射され、羽剣を襲う。とっさの判断で火野にチップを渡したものの、大ダメージを喰らい、うつ伏せに倒れる。

羽剣「くっ…」

羽剣ブレス「耐久値が限界に達しました。メガ進化、解除します。」

羽剣「火野…早く逃げろ…」

火野「置いていくなんて出来ません!僕がやります!」

拓人「ほう…あの時の少年か…あの時と違う君を魅せてくれ!」

火野と拓人は互角の戦いを展開する。黒曜と東はついて行けず、見ているしかなかった。

火野「なんで…なんでポケモンを奪ったの!?」

拓人「ボスの判断だ。私が知る由もない。」

火野「なら、何でそんな奴に味方するんだ!」

拓人「君には、知らなくて良いことだ!」

拓人は動揺した火野の腹部に突きを決める。火野はダメージを受けて飛ばされ、仰向けになる。すぐに拓人は、火野の腹を踏みつける。

火野「うわぁっ!うぅっ…ぁあっ!ぐぁぁっ…ぐはぁ!」

拓人「ハッハッハ、苦しそうだな!どうだ、反抗する余力もないだろっ!」

火野「うっ…うぅ……」

火野が力尽き、気を失いそうになる、その時。

?「これだからイッシュの奴らは…」

拓人をすれ違いに切り裂いた者がいた。それもかなりの速さで。更に、威力も高く、コバルオンアーマーに傷が付いていた。

拓人「ちっ…誰だ!」

?「お前に名乗る必要を感じない…」

火野は、力を取り戻し再び立ち上がる。

?「へぇ…なかなか諦めの悪い奴だね。」

火野「僕は…ポケモンを救いたい…ただその願いがあるだけだ!」

?「夢が一つあればいい…か、格好いいじゃん。じゃ、覚悟見せてよ!」

羽剣「火野…これを使え…」

火野「ボーマンダ…よしっ!」

火野は、ユニオンカードを取り出し、ブレスに装填した。

火野ブレス「BondUnite,Ready?」

火野「翼の絆よ、誓いを交わし我に纏え!」

?「張り切ってるね〜!」

羽剣「火野…マジかよ…」

火野ブレス「フライゴン、ボーマンダ…ユニオンフェイズ!」

火野は、ブレスを付けた腕を挙げ、叫ぶ。

火野「絆…融合ッ!!」

ボーマンダとフライゴンの形をしたエネルギーが現れ、拓人を襲う。

拓人「ぐあっ…!」

そのエネルギーは火野を覆い、アーマーと成って具現化する。

火野ブレス「アーマー・グレードアップ!ウィング・プロミス!」

 

火野「これが…絆?」

?「へぇ…格好いいね。俺は好きじゃないけど。」

 

続く。

 




セイバーズ第6話、いかがでしたか?

所長すげぇ(二度目)、あの人38ですよ。
ユニオンカードの効果がある組み合わせって…割と多そうですね。
火野君、復帰おめでとうございます!大怪我からの復帰は燃えます!
火野を助けた謎の人物って一体…気になります。
そして、なんといってもアーマー融合です!組み合わせがアレだなとお思いの方もいると思いますが、その通りです。
さて、次回予告ですが、羽剣君に迷惑かけんなと言われたので、私が。

次回、ポケットモンスターセイバーズ!

ユニオンアーマーの真価が、ついに明らかに…
そして、謎のネガビーストの出現で戦場はより混乱していく…

次回、第7話『絆、空を舞う』

以上、次回予告でした。
これで、年内の投稿は最後です。読者の皆さん、ありがとうございます。
そして、来年も宜しくお願いします。


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7.絆、空を舞う

明けましておめでとうございます。
今年も、セイバーズを宜しくお願いします。

では、第7話どうぞ。


拓人「な、なんだこれは…」

火野「あなたには関係ない!これは、救いたいという…僕の気持ちだ!」

火野は、ブースターを点火し、拓人に迫る。

火野「傷つけるなら…思想を改めさせるまでだ!」

フライゴンとボーマンダの固有武器で、拓人を追い詰めていく。拓人は、反撃さえ許されず、更に片手剣を破壊されてしまう。

拓人「なんだ…この力は…」

火野「さっきも言ったはずだ!」

拓人「…ちっ!」

拓人は、周囲に黒い蒸気を撒き散らす。

火野「くっ…待て!」

そう言って追う火野だったが、結局逃げられたのだった。

羽剣「…逃げられたか。」

火野「…はい、すみません。」羽剣「あのカード、すげぇよ!俺でも太刀打ち出来なかったあいつを…」

火野「いや、改良が必要だ…性能が、出し切れていない。それに、僕自身体力を消耗した。負担も下げないと…」

黒曜「火野〜反省はいいから帰ろうぜ。」

東「黒曜君の言う通りよ、帰ろう。」

火野「…はい!」

 

ポート。全員が戻ってくると、あの謎の男がいた。

火野「あ、あなたは…」

?「おう!また会うとはな!」

羽剣「あそこにいたガブリアス野郎か…」

鮫島「おっと、申し遅れていたな!俺は鮫島亮。ったく、最近マッスグマ倒しただけでもてはやされたし…テレビクルーは五月蝿いやつしかいねぇのか?」

火野「鮫島さん…」

鮫島「おっと、無駄話だったか。所長の命で、ここでお世話になることになった。宜しく!」

火野「はい、宜しくお願いします!」

鮫島「火野君とか言ったね、君から何か不思議な物を感じるよ…何というか、燃え盛るオーラみたいな。」

火野「いやいや、僕はただの一般人ですよ。」

鮫島「…気のせいか。さて、俺はトレーニング行くか!じゃ、後で。」

そう言って、鮫島は訓練棟に向かって駆けていった。

羽剣「…おい火野!」

火野「何ですか羽剣さん。」

羽剣「お前、何かあったのか?」

火野「いや、別に…」

東「鮫島さん、格好いい…!」

黒曜「アニメだったら裏切りそうな人だな。」

火野「黒曜君…禁句だよそれ…仲間だから、信じないと!」

黒曜「火野〜冗談だっ…」

火野「冗談でも…僕は嫌だね。」

黒曜「す、すまん。」

火野「僕、そういうの嫌いだから。という訳で、僕は失礼するよ…」

羽剣「黒曜君、火野は自分の仲間に対する思い入れが人一倍強いんだ。それに、彼は冗談を笑える人じゃない…止めとけ。」

黒曜「火野…いつの間にああいう風に。前は冗談で笑いあえたのに…」

羽剣「…今ここで言うな。後で俺の自室で話そう。」

 

火野の自室。火野は、戻ってすぐパソコンを起動、レシラムとの会話の準備していた。

火野「う〜ん…レシラム君機嫌悪いのかな?ボイスチャット出来るようにしたのにな…」

そう思った矢先、レシラムのチャットが入る。

 

レシラム>火野君、僕だよ。

火野>レシラム君、機嫌悪かったの?

レシラム>ううん、機嫌は特に悪くないよ。でも、最近の君は…僕の知っている君じゃない気がするんだよね。

火野>…分かっているよ。

レシラム>…分かっていたんだ。

火野>ぼ、僕だって…他愛のない話で笑いたいよ。だけど…僕はそれに構っている暇はないよ…だって…だって!

レシラム>火野君…泣いてるの?

火野>…泣いてないよ!僕は…ぼ…ぐすん…

レシラム>やっぱり…つらかったよね。あの日の事を…

火野>他人事みたいに言わないで!僕の辛さなんて、分からないだろ!

レシラム>分かっているよ!僕が…君の事を分からない訳がないだろ!

火野>…レシラム君ごめん…僕が言い過ぎたよ!

レシラム>火野君…疲れてるの?

火野>えっ…?

レシラム>やっぱり…君は疲れているよ。だって…余裕ないよ。

火野>よ…余裕…

 

羽剣の自室。すぐに黒曜も来ていた。

羽剣「すぐ来てくれてありがとう。」

黒曜「すぐに済ませたいからな。」

羽剣「じゃ、端的に話す…今の火野は、心に余裕がない。」

黒曜「はい、成る程…ってなるかよ!何があったんだよ!」

羽剣「落ち着け…今から話す。」

黒曜「ああ…頼む。」

羽剣「では…一年前に、悲劇が起きたのは、知っているよな?」

黒曜「はい…」

羽剣「その際のショックが…火野は…特に強かったんだ。火野は、バトルで出すポケモンに…人一倍の愛情を注いでいたんだ。それ故に、失った時のショックが凄かったんだ。当時俺がいた時は、偶然一番の相棒がそばにいるって強がっていたけど…きっと家で泣いていたんだろうなって…」

黒曜「火野…」

羽剣「だから…火野に他愛のない話をするのは、遠慮して欲しいんだ…。」

 

火野の自室。火野は依然として、パソコンを点けていた。

レシラム>やっぱり…あの日か…

 

レシラムの回想。火野の自宅。

火野「…なんで…なんで!僕の大切な仲間を…うわぁぁん!うわぁぁぁ…うわぁぁん!」

火野父「…真琴、やはりあの事を…」

火野「レシラム君は手元にいたけど…それでも、心細いよ。みんな、大切な…仲間…」

火野父「真琴、一番の相棒が助かっただけでも良かったじゃないか!」

火野「良くないよ!みんな…いないと…」

火野父「…そうか。」

 

 

レシラム>僕は…火野君を励まさないといけない!生き残った唯一の…友として!

火野>レシラム君…ありがとう。元気でたよ。

レシラム>…良かった!

火野ブレスから、警報が鳴る。

火野>レシラム…僕、行かなくちゃ。

レシラム>うん。待ってるよ…

パソコンを閉じるとエレベーターに乗り、司令室に向かう。火野の瞳には、決意が秘められていた。

火野「カッコつける訳じゃない…純粋に、助けたいんだ…」

羽剣が待っていた。羽剣は、火野の心境の変化を察していた。

羽剣「火野…本気だな。」

火野「はい。内海さん…情報を…」

内海「はい、チャンピオンロードに正体不明のネガビーストが出現した。」

火野「正体不明…特徴は?」

内海「う〜ん…人型メタグロス、って所かな。」

火野「メタロード…」

羽剣「メタロード!?なんだそれは…」

火野「メタグロスの正統最終進化系…と言われる、幻の存在。これを具現化する為に、生物学者達は生命倫理を無視した実験を行っていたと父から聞いた事はある…でも、出来ているなんて…」

羽剣「だとしても…俺らがやるべき事は変わらないぜ、火野。」

黒曜「何があったか知らないけど、俺らで頑張ろうぜ!」

火野「…はい。」

東「早くいK…あれ?鮫島さんは?」

内海「別任務に行ってもらった。」

 

ポート。火野、ある事に気付く。

火野「羽剣さん!これを…」

羽剣「もういい…俺の手では扱えない代物だ。君に託す。ユニオンカードの方がやりやすいだろ?」

火野「はい…でも、使う時はいつでも呼んで下さい。」

羽剣「おう!」

黒曜「さて…行くか!」

全員「アーマー・プットオン!」

 

チャンピオンロード、出口。

火野「ふう…ユニオンカード調整がうまくいったみたいだ、負担が減っている。」

羽剣「前は?」

火野「命の珠持ちのような状況だったからな…アーマーは無事でも体力が持たなかったよ。後、もう一枚作ったから、使って。」

羽剣「あっ、どうも。」

黒曜「火野、あれか?」

火野「どれどれ…間違いない、あいつがメタロード…。」

東「雑魚はいないらしいね…では!」

火野「討伐開始します!」

 

火野はブースターで空中に飛び出し、メタロードの様子をうかがう。

火野「それにしても…誰がこれを?」

東は上層に上がり、狙撃準備を行う。

東「下手したら、人間相手よりも厄介だね…」

羽剣は、ボスゴドラアーマーで地中に潜る。いわゆる奇襲担当である。

羽剣「どこの誰か知らないが、何か手掛かりが見つかるかも知れない…」

黒曜は、デンリュウアーマーでの目くらまし担当だった。

黒曜「かなり重要な部分だから…プレッシャーが凄いな。でもやんねぇと!」

 

羽剣が、号令を掛ける。

羽剣「各員、行動開始!」

羽剣以外「了解!」

メタロードが黒曜に気付く。

黒曜「おっ…来たか!」

タイミングよくアーマーを発光させ、メタロードに向ける。しかし、意に介せず右足を蹴られる。

黒曜「ぐあっ…」

右足の装甲に罅が入る。かなりの威力があるみたいだ。

火野「黒曜君!大丈夫!?」

黒曜「くっ…痛みが引かない…」

メタロードは、このまま黒曜に止めを刺す…事はなく火野の次のターゲットに指定した。

火野「…っ!?何が目的なんだ?」

火野は相手の目的が分からず、動揺していた。

その隙を狙い、メタロードは火野に襲いかかろうとするも、東の狙撃に牽制される。

東「火野君!何ぼーっとしてんの!?」

火野「ごめん、相手は何を目的にしているか分からなくて…出現したとはいえ、こちらが応戦しない限り実害はなかった…何やるか分からないよ。それに、右腕に僕と同型のブレスをはめているし…」

突然、メタロードが笑い声を上げる。

?「はっはっは!流石に息子の目を欺く事は私でも出来なかったか…」

火野「も、もしかして…」

メタロードは、頭部アーマーを外す。そこには、火野の父の姿があった。

火野父「私を見抜くとは、流石息子だ。しかし、動きがおかしいからって迷うのは減点かな。」

火野「父さん…何で!?」

火野父「あっ、これの事?純粋なメタグロスアーマーだが、何か?」

火野は慌ててブレスの通信機能をつける。

火野「内海さん!これ、どういう事何ですか!?」

内海「あっ…バレた?」

火野父「はい…」

火野「バレたって…?」

火野父「実際この様に変身して、君たちを鍛えようと思ったのだが…」

火野「さ、最初から言ってくださいよ!」

火野父「先に言うと、特に君が手加減をするk…何かいるな。」

火野「…ネガエアームドか!数が多い!?」

火野父「…ざっと数えて3000体か…真琴、羽剣…行けるか?」

火野「が、頑張ります…」

羽剣「一人1000体か…余計燃えてきたー!」

火野父「訓練棟とはかけ離れた難易度だ…行けるか?」

火野「怖い…でも、言っていられない…!」

火野父「いい返事だ…行くぞ!」

火野&羽剣「はい!」

 

火野と羽剣は、敵軍に突っ込んでいく。一方火野の父は、メタグロスアーマーに付いたアームビットを操縦し、攻撃を始めた。

火野「うおぉぉぉっ!!!」

いつになく力が入る火野、エアームドの大群を蹴散らしていく。

 

羽剣「開発者の息子だからと言って良いところは譲らねえぜ!うおぉりゃあぁぁっ!!」

二人は競い合う様にエアームドを蹴散らしていく。一方火野父は、二人の死角から攻めてくるエアームドをアームビットで処理していた。

 

しばらくして、全てのエアームドの討伐が完了した。

火野「はぁ…はぁ……くっ!」

疲れ果てて、倒れそうになった火野を、羽剣が支えた。

羽剣「お疲れさん…でも、そんぐらいで倒れるなら…まだまだだな。」

火野「わ、分かっています…」

火野父「では、戻ろうか…」

黒曜「火野の父さん…流石だぜ。」

火野父「黒曜君、か。先は済まなかった。」

黒曜「大丈夫だ…俺が弱かっただけだ。」

火野父「自らの弱さを認めるのは難しい…なかなか偉いな。」

黒曜「い、いや…」

 

ポート。

火野は疲労困憊して、ワープが完了した途端、倒れてしまった。

火野父「火野は私に任せてくれ。あと、羽剣君。」

羽剣「はい…」

火野父「メタグロスのアーマーカードだ、使ってくれ。」

羽剣「本当にいいんですか!?」

火野父「そもそも私は戦闘要員ではない…どうか使って欲しい。」

羽剣「…はい!」

 

虚無會。

拓人「ユニオンアーマー…ヤバいのが出たか。」

洋子「禁伝出されるよりかはマシよ。」

琉聖「こっちは準伝いるし…」

 

 

続く




セイバーズ第7話、いかがでしたか!?

火野君の父さんすげぇ。ってか親子共々ヤバい。
僅かではありますが、溝が入った火野と黒曜。埋まるのでしょうか…

では、次回予告です。


次回、ポケットモンスターセイバーズ!

新章突入!突如現れた謎の建築物…その正体とは?

次回、第8話「魔城建立」


以上、次回予告でした。
次回も、宜しくお願いします!


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第二章 ー光る目、そして裏切りー
8.魔城建立


どうも、セイバーズうp主です。
9、10話出せなくてすみません…2月14日投稿します。

では、第8話をどうぞ。


火野の自室。火野は漸く目を覚まし、父と話し始める。

火野「父さん…久しぶりですね。」

火野父「ははっ、敬語は止めてくれ…家族じゃないか。」

火野「…だよね。久しぶりだったから、少し怖くて…」

火野父「そうか…ところで、疲れはとれたか?」

火野「はい、おかげで。ところで気になったんだけど、父さん…今までどこにいたの?」

火野父「おっ、そういえば忘れていたな。少し長くなるぞ?」

火野「はい、お願いします。」

火野父「分かった。では話そう…

 

それは一年前、あの悲劇の日。私は、ポケモンとのコミュニケーションを図る装置を創る為、真琴を家に残し研究所に行った。しかし、それより私は今後掌握されたポケモンが襲って来るであろう事を察し、ブレスとカードを開発した。カードは他の研究者のポケモンのデータなどをお借りして作成した。そして旧友である月読君にPMSの所長を任せ、本格的に活動を始めた。

しかし3ヶ月前、虚無會などという連中に捕まってしまい洗脳させられ…情報を提供してしまっていた。しかし、偶然近くにあったプレミアボールから私のメタグロスが出て来て、私を助けてくれたんだ。そして嬉しい事に、自らデータを提供してくれたんだ。そして今に至る、と。」

火野「はい…」

火野父「どうした真琴?顔曇らせて。」

火野「父さんとメタグロスって…とても固い絆で結ばれているんだなぁ、と。」

火野父「まあ、あっちがダンバルで私が子供の頃からの付き合いだからな…真琴、もしかして嫉妬しているのか?」

火野「いやいや、そういう事じゃなくて…僕とレシラムの絆は、まだまだなんだなぁ、と思っていたんだ。」

火野父「急ぐことはない…絆なんてそう焦って創るものじゃない。互いに信頼しあって、漸く出来るものだ。私だって、長い年月を掛けて出来上がったものだ。まあ、仲良いのか速く固い絆が出来てしまう場合もあるが、個人差だ。」

火野「はい…僕は僕なりに、頑張ります!」

火野父「私も応援するぞ。」

火野「ありがとうございます!」

火野父「さて、先程の戦いで撮ったものだが…妙なものが写っていてね。」

そう言って火野父は、自分のブレスをUSBと繋ぎ、画像を表示した。そこには、城とも思しき謎の建造物が写っていた。

火野「おかしい…僕はあんなの見えていなかったのに…」

火野父「恐らく、光学迷彩だ。それが、何らかの条件が重なった結果見えたのだろう。」

火野「でも、奴との関係はあるんですか?疑うのもよくないし…」

火野父「実はだな、ネガエアームドの発生場所とこの建造物の場所が一致している。

関係あるのは確定だ。」

火野「ということは…父さん、もしかして…」

火野父「ああ、明日そこへ攻撃を行う。」

火野「無茶ですよ!だって第一、そこに城が無い可能性だってあります!それに、見えない城にどうやって乗り込めって言うんですか!?」

火野父「それについては、可視化マップを表示させる、問題ない。」

火野「そうですか…では、僕一人で行きます。」

火野父「真琴…何を言う。」

火野「確かに、僕一人ではろくに戦えない…でも、これ以上皆さんを巻き込ませる訳には行かない。それに、僕はいままで僕自身の過ちで皆さんを傷つけてきた…非力な僕にはもう、命と引き換えに全てを終わらせるしか…罪滅ぼしが出来ないんです。」

火野父「真琴、正気か!?」

火野「はい、僕は正気です…あと、レシラムには他の地方に行ったと伝えて下さい…」

火野父「…分かった。ポートは私が手配する。その覚悟は本物と見た。どうせ止めたって行くんだろう?」

火野「…ありがとう。」

 

翌日、早朝のポート。

火野「父さん、さようなら…」

火野父「ああ…」

火野の瞳には、今までの迷いはなかった。死さえも振り切った決意が、瞳にあった。

火野「アーマー…プットオン……!」

火野はこれまでになく静かに、しかしこれまでになく力強く掛け声を上げ、ユニオンカードを挿した。

火野がアーマーを装着し終えると、火野の姿はそこには無かった。しかし、父親は少し微笑んで、

「真琴の奴、やっぱり馬鹿だな…父さんがお前の事ほっとく訳ないじゃないか!」

その腕にタブレットを抱えながら、そう呟くのだった。

 

 

光学迷彩城前。火野は、フライゴンとボーマンダのユニオンアーマーを装着して、立っていた。

火野「可視化プログラム、実行!」

プログラムを実行すると、目の前に巨大な城が現れた。

火野「よし、後は中枢まで行って、バンドワークイレイザーを起動させれば…」

それは、起動するとそれがある建物と、その建物と繋がりのある全ての存在をデータ化して消滅させる、という物だった。しかし、それは装着して使用しなければならず、更に装着者も消えてしまうという物だった。故に、誰にも存在を明していなかった…親にさえ。

しかし、まさか自分が使うとは思いもしなかっただろう。実際、改良する予定はあった。

しかし、今使わないと被害が拡大してしまう。それを抑えるにはこうするしかないと、彼は決めていた…決心は、全く揺らぐ事も無かった。

火野「父さん、ごめん…僕は、行くよ!」

そう言うと、扉を蹴り破り、中に入った。

 

 

魔城・1F

早速入ったはいいものの、ただ広いだけで何も無かった。

火野「嵐の前の静けさか…」

そう言い、階段を上ろうとした…その時。

 

\ズドン/

後ろから、重いものが落ちたかのような轟音が響く。

驚いて後ろを見るが、積み重なった金の延べ棒があった以外、変化はなかった。しかし、それは出口を塞いでいた。

火野「逃げ道は無い…って訳か…」

しかし火野には関係無い。決意を強くし、階段に足を置いた、その時。

火野「うわぁっ!?」

足に硬い物がぶつかり、転ぶ。

火野「くっ…どこだ!」

火野は周辺を片手銃で乱れ撃つ。

すると、突然金の延べ棒が動き出した。

真ん中の延べ棒は裏返り、それには目が付いていた。

火野「色違いツンデツンデか…!」

そう言うやいなや、フライゴンアーマー由来の片手銃で乱れ撃つ。

しかし、敵は全く動じず、火野を蹴り飛ばす。

火野「うわぁぁっ!!?」

火野は壁に叩きつけられ、その場にしゃがみ込む。

凄い勢いでぶつかった為かユニオンカードは大破し、ボーマンダカードは飛ばされ、フライゴンアーマーへ弱体化していた。

ツンデツンデは迫ってくるが、火野は痛みで立てなかった。

火野「せめて、こいつだけでも…」

そう言うと、例のスイッチを押す。

しかし、反応がない。装置の内部で、火花が出ていたのが見えた。

火野「まさか、さっきの衝撃で…」

ツンデツンデは、困惑する火野に止めを刺そうと前脚を振り上げた。

火野「くっ…駄目か…みんな、ごめん…」

火野が死を確信した、その時。

 

?「ったく…あんたの父さんがほっとく訳ねぇだろ?」

背後から切り裂かれ、ツンデツンデは崩れる。

しゃがみ込む火野の前には、羽剣が立っていた。

羽剣「ふざけんな!俺らを差し置いて死ね気かよ!?」

火野「ごめん。でも、何で…」

羽剣「あんたの父さんから教えてもらったんだ。あんたのアーマーの足に探知機仕込んでたってさ。そんな事はともかく、ボーマンダは?」

火野「それが、ユニオンカードが大破して…あそこに……」

ツンデツンデの足下にあった。しかし、当然踏まれる危険があった。

しかし、メタグロスアーマーの羽剣には関係無い。カードをアームビットで拾い、ついでにツンデツンデのバランスを崩す。

羽剣「さて、ホウエン600族の力、試すか…」

そう言うと、火野から貰ったユニオンカードを挿入する。

羽剣ブレス「BondUnite,Ready?」

羽剣「知と力、全ての真理を我に見せろ!」

羽剣ブレス「ボーマンダ、メタグロス…ユニオンフェイズ!」

火野「せ、成功した…!」

羽剣は、ブレスを付けた腕を前に突き出し、

羽剣「絆…融合ッ!!」

そう叫ぶと、メタグロスとボーマンダのシルエットがツンデツンデを攻撃しながら近づき、羽剣に当たるや否やアーマーとして具現化した。

羽剣ブレス「アーマー・グレードアップ!サイコ・タイラント!」

 

羽剣「邪よ…消し飛ばしてくれるッ!!」

 

続く。




セイバーズ第8話、いかがでしたか?

では次回予告。

次回、ポケットモンスターセイバーズ!

新たなユニオンアーマーの登場で、戦闘はより激化!
新装備、サブウェポンが実装され、より激しく…!

次回、第9話「天と知と」

以上、次回予告でした!
今後も、よろしくお願いします。


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9.天と知と

火野「す、凄い…」

 

羽剣は素早い動きでツンデツンデを翻弄。同時にアームビットを操作して追い詰める。

羽剣「へへっ、俺だけを相手にするので精一杯か?」

そんな羽剣の隙を窺ってツンデツンデの一欠片が死角から襲う。しかし火野の射撃で撃墜される。

火野「はあ…はあ…良かった。」

羽剣「ナイス火野!さて、あれを使うか…サブウェポン、コール!」

羽剣ブレス「サブウェポン、クリエイション!」

羽剣は、虚空から出現したバズーカをキャッチするや否や、ツンデツンデに砲撃する。

羽剣「これが新武装、サブウェポンだ!」

一発当てるや、ツンデツンデはバラバラになる。

火野「す…凄い!」

羽剣「火野の父さんが開発したんだってさ。因みに、これは気合い玉のデータを元にして作られたんだってよ!」

火野「…って事は?」

羽剣「そう!ポケモンの技自体をデータ化して作った、てさ!さて、アーマー技決めるか!」

羽剣ブレス「アーマー技発動。8ゲージ消費、ユニオンブレイク!」

ブレスから、光の剣が伸びる。ツンデツンデは逃走を図るも、時すでに遅し。羽剣が腕を振るうと、ツンデツンデは真っ二つになり、すぐチップに変換された。

羽剣はすぐにチップを回収すると、火野に帰還を促す。しかし、座り込んで動こうとしない。

火野「僕なんか…放っといて下さい。大切な仲間に黙って死のうとした馬鹿です、見せる顔なんか…」

羽剣「帰ろう。」

火野「でも…」

羽剣「大丈夫だ、火野だって死にたかった訳じゃ無いだろ?分かってくれるさ!」

火野「…そうだね。帰って来ない方が、よっぽど辛くなるからね!」

羽剣「じゃ、帰ろう!」

火野「はい!」

 

ポート。火野が着くと、目の前に父がいた。

火野「父さん…ごめん…そして、ありがとう。」

火野父「真琴…よし、もういいぞ。」

火野「えっ…?」

火野父「後は自室で自由にしてくれ。」

火野「父さん…ありがとう!」

火野父「どうも。」

 

自室。早速パソコンを開く。

 

火野>レシラム…いる?

レシラム>ひ、火野君?

火野>レシラム…ごめん!

レシラム>…その件は気にしてないよ。そんな死亡宣言したって、寂しくなってすぐに帰って来るって、僕…信じていたから!

火野>ありがとう!ってか、死亡宣言、何で知ってるの!?

レシラム>僕は真実の英雄さ!どんなこともお見通しだよ、えへん!

火野>だ、だよね!あはは…

レシラム>あ〜、ボールから出たいな〜。

火野>今は危険だから、これで我慢しよう。只でさえポケモンを出しておくのは危険だ。

レシラム>そうだよね…しゅん……

火野>簡易パルレルームでもあれば…そうか、作ろう!

レシラム>え、本当!?

火野>難しいかもしれないけど…やってみよう!

レシラム>嬉しいよ!じゃ、実は長い首を長くして待ってるよ〜!

火野>じゃ、僕は寝るのでこの辺で。

レシラム>お休み〜。

 

火野「よし、明日から取り掛かるか!」

 

 

虚無會。

拓人「あの城が潰された…だと?」

洋子「はい…おまけにツンデツンデまで倒されて。」

拓人「しかし、二人分のブレスがボスから送られてきた…心配ない。」

琉聖「しゃぁ!僕も戦える、って訳か!」

拓人「琉聖、落ち着け。力に溺れるぞ。」

琉聖「ふう…使い道か。」

 

続く。




セイバーズ第9話、いかがでしたか?
色違いツンデツンデは、友人の案で出演となりました。実際、私も持っていますが。
次回予告ですが、今回から話数とサブタイのみにします。

次回、第10話「愛すること」

以上、次回予告でした。
次回は戦闘なし回です。
今後も、セイバーズをよろしくお願いします。


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10.愛すること 前編

ツンデツンデの討伐から一週間、ネガビーストの出現が無く、PMSの面々はいつ来るか分からない脅威に警戒しながらも至って普通の生活を送っていた。

しかし、そんな面々の中に至って特殊な生活を送っているメンバーがいた…火野である。

 

火野の自室。

火野「う〜ん、上手く行かないなぁ…もう理論上は完成している筈なんだけど。」

机上には、正方形の頂面に円筒が付いた装置が置いてあった。

火野「う〜ん、配線は何度も確認したんだけどな…プログラム確認しようかな…」

プログラム用ソフトウェアを開いてすぐに気付く。

火野「あっ、文末符号ない行が…」

C言語で言う「;」である。直ぐに修正し、起動テストを行う。案の定、無事作動して火野は小さくガッツポーズをする。

火野「やった!でもケアレスミスだと笑えないな。」

複雑な心境になる火野だが、物思いに耽る暇はなかった。先ほどの発言から間もなく、来訪者を知らせるアナウンスが鳴ったのである。

火野「どれどれ…羽剣さん、どうぞ。」

羽剣「失礼する。」

羽剣は扉を開けて中に入り、火野のPCルームに来た。

羽剣「最近、音沙汰も無いから心配したぞ。何をしていた。」

火野「ちょっと開発してた…これを。」

羽剣「そ、それは?」

火野「パルレルーム発生装置。市販の高いし、置き場所に困るから自作してみた。」

羽剣「え、こんな小さいのがパルレルーム?マジか!」

火野「はい、こうすれば!」装置の側面のスイッチを押す。すると頂面の円筒から光の粒が溢れ、しばらくすると広いパルレルームが出来上がった。

羽剣「えっ!どうなってんの!?何これぇッ!?」

火野「簡単に言うと、僕達をデータ化してテレポートした、って所かな。」

羽剣「大丈夫かそれ…」

火野「大丈夫!装置もデータ化されるし、装置の側面のスイッチ押せばまた出られるから。」

羽剣「そうじゃなくて、時間とか…」

火野「そっちも大丈夫!設定出来るし、経過したら自動的に出してくれるから。それに、万が一エラーがあったら、即出してくれるから、そこも心配ない!」

羽剣「因みに、何分設定なんだ?」

火野「三分だから、そろそろかな。」

そう言った瞬間、ルームは光に満ち、火野の自室に戻っていた。

火野「ふう…成功だ!」

羽剣「これを作っていたなら、音沙汰無いのも納得だな。」

火野「そう言えば、羽剣さんのレックウザを見たことがないな…」

羽剣「そ、そうだな。」

火野「ところで、僕はポフレ買いに行こうと思っていたんだけど、一緒に行く?」

羽剣「ってかポフレ買って何すんの?」

火野「決まっているよ、パルレルームにてレシラムにプレゼントする!」

羽剣「お前は女子か!?」

火野「どっちも男子ですが何か?それに、相手を愛しているという点では変わらないし、別に良いんじゃないかな、って思ってたんだ。」

羽剣「へぇ…で、売ってんの?」

火野「今日と明日の2日間、ヒウンのリバティ船の近くで売るんだって。早く行こうよ!」

羽剣「おいおい、そういう事じゃなくて、手持ちポケモンを持っている人がただでさえ僅かな現在、本当に売るのか、って話だ。」

火野「頭固いなぁ…あれ普通に食べられるよ〜。マニアもいるし、僕も食べたことあるから。」

羽剣「ま、マジで!?」

火野「というか知らなかったの?」

羽剣「俺、ポケマメ派だからな…」

火野「そっちか。じゃ、行こう。」

羽剣「そうだな!」

 

ヒウンシティ、港前。どういう訳か、鮫島もいた。

鮫島「来たか…」

火野「鮫島さ〜ん、久しぶりで〜す!」

羽剣「呼んでたのかよ!?」

火野「はい、鮫島さんもボーr」

鮫島「こら、言うな。」火野「す、すみません。」

羽剣「じゃ、行くか。」

鮫島「おう!」

 

ポフレの店は屋台。期間限定の為だろうか。

羽剣「う〜ん、どれにしようか。」

火野「も〜早く選んで下さいよ。」

羽剣「え!?もう終わったの!?」

火野「はい!支払いも終わりました。」

羽剣「え〜悩むのも分かってくれよ。な、鮫島…ん?」

火野「鮫島さんは、もう買い終えて帰りました。あなただけですよ。」

羽剣「マジか…じゃ、これで。」

自室棟前。

火野「では、解散って事で。」

羽剣「じゃ、またな。」

火野「はい!」

 

翌日、火野の自室。

火野「10分、っと。よし、羽剣さんが来るのを待つだけ!」

1時間後。来訪者を告げるアナウンスが鳴る。

火野「おっ、来た?」

予想通り、羽剣が来たのである。やはり、鮫島も一緒だ。

鮫島「じゃ、例のものを!」

火野「はい!では。」

 

パルレルーム。

羽剣「じゃ、互いの愛情を確かめるか…」

火野「行きますよ!」

鮫島「せ〜のっ!」

3人は同時に手持ちのボールを投げる。

すると、当然の様にボール内から各々のポケモンが現れた。

火野「よし、パルレ開始!」

9分間のパルレが始まった。

 

火野サイド。

もはや一人と一匹でイチャイチャしていた。しかも互いに楽しそうである。

火野「おっ、そういえば!」

そう言うと、火野はインカムをレシラムに付ける。これにより、言語による意思疎通を可能にすると、余計楽しそうになった。

 

羽剣サイド。

羽剣「ハ、ハイレベル過ぎる…。」

火野の方を見て、唖然としていた。

しかし、パルレ相手は「どこ見てんの?」と言っているかのように頬をつねる。

羽剣「痛い痛い!分かったよ!もう…うちの黒レックウザは、どんだけ寂しがりだよ…」

そう言いながらも、仲は良いようである。

 

続く。

 




セイバーズ第10話、いかがでしたか?

諸事情あって、前後編スタイルになりました。
次回は、第11話「愛すること 後編」となります。
今後も、セイバーズをよろしくお願いします。


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11.愛すること 後編

鮫島サイド。

鮫島「おっ、久しぶりだなぁ!桃パルちゃん♪」

そう言って頭を撫でると、頭を擦り付けて来た。しかし、結構痛い(物理)。

鮫島「痛い痛い痛いっ!」

気が済んだのか、顔を離す。しかし、鮫島の頬は血まみれだった。

鮫島「好きってこと分かったから良いか…ん?」

振り向くと、驚愕の光景がそこにあった。火野とレシラムが、あろうことかキスをしていたのである。

羽剣&鮫島「うわぁ…」

当然、二人もドン引きである。

しかし、火野はそんな二人を気にせず、キスを続けていた。

羽剣「あいつら夫婦だろ。」

鮫島「末永く爆発しろ。」

羽剣「いや、そこは末永くモエルーワしろと…」

鮫島「そっちだな。」

 

かれこれあって残り二分。

火野「じゃ、プレゼントタイムと行こう!」

羽剣「いつもお世話になっていたしな。」

鮫島「じゃ、いくぞ!」

そう言うと、3人は各々の相棒にポフレを渡した。

 

色レックウザは、食べると嬉しかったのか突然空を舞った。

色パルキアは、後でゆっくり食べたいのか、鮫島の前では少ししか食べなかった。

レシラムは、食べ終わると、やはりと言うべきか火野とキスをし始めた。

羽剣「やっぱりか…」

鮫島「やっぱりお前ら夫婦だろ。な、火野?」

火野「あっ、そろそろ時間だ。ボールに戻して!」

鮫島「スルーされた…」

全員が相棒をボールに入れ終えると、火野はパルレルーム発生装置の側面のスイッチを押す。すると、瞬く間に火野の部屋に戻っていた。

火野「良かった…レシラム君も好きって思ってくれていた!」

羽剣「それは良かった。だけど、度を越したイチャイチャは止めろ。」

鮫島「じゃ、俺たちはこれで。戦う時に、また会おう!」

火野「はい!鮫島さん、羽剣さん!」

そう言って、二人が退出しようとした、その時。

ブレスに、内海の着信が入る。

内海「火野くん、聞こえる?」

火野「はい、何があったんですか?」

内海「新しい魔城が確認された。」

火野「本当ですか!?」

内海「えぇ…アローラ地方ウラウラ島ラナキラマウンテン中腹に現れたの。すぐに司令室に集合して!」

火野「はい!」

羽剣「マジか…」

鮫島「でも、行くしかねぇな!」

火野「はい、勿論です!」

 

司令室。鮫島加入時以来、久しぶりの全員集合である。

内海「総員、準備せよ…と言いたいんだが、ポート数が一つ足りない。東さん、あなたは待ってて。」

東「はい!」

内海「では改めて、メンバー、準備せよ!」

火野&鮫島&羽剣&黒曜「了解!」

 

ポート。

羽剣「火野、無茶すんなよ!」

火野「はい!」

鮫島「火野、ユニオンカード無いが大丈夫か?」

火野「大丈夫です、修理したんで!」

黒曜「俺も貴水さんから貰ったし!」

火野「みんな…行くよ!」

火野&黒曜&羽剣&鮫島「アーマー・プットオン!」

 

○アーマー

火野:フライゴン

羽剣:ボーマンダとメタグロスのユニオン

鮫島:ガブリアス

黒曜:デンリュウ

 

ラナキラマウンテン、魔城。

火野「今回は中へ転送か…」

羽剣「どうやら、主を倒すと城は消えるらしいな。」

火野「そういえば、ツンデツンデのチップは?」

鮫島「カード化しようとしたが、ジャミングが掛かっていて駄目だったって。」

火野「はい…ん?あれは…」

そう言って天井を指差す。そこには、主と思しきオーラを纏った、色違いエンニュートがいた。

 

続く。




セイバーズ第11話、いかがでしたか?
火野くんとレシラムの絆は本物だった…夫婦だろお前ら。
では、次回予告。

次回、ポケットモンスターセイバーズ!
新たに現れた魔城に乗り込み鎮圧しようとする火野たち。
しかし、琉聖が現れ、火野たちを追い詰める。
果たして、勝機はあるのか…

次回、第12話「霊騎の脅威」

以上、次回予告でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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12.霊騎の脅威

ソード・シールドのリーク情報に「アーマー進化」なるものが書いてあって「!?」となったうp主です。
それでは第12話、どうぞ!


火野「あれって、もしかして…」

羽剣「火野…?どうした?」

火野「僕のエンニュートじゃないか…スカーフ巻いているし…大抵タスキ型で運用されるから、おそらく僕のエンニュートだ…」

羽剣「マジかよ!?どんだけ苦労したんだ、孵化に…」

そんな雑談にいらいらしたのか、エンニュートは光弾を羽剣に撃つ。とっさの判断でよけたものの、着弾した地面は凍っていた。

羽剣「おいおい、めざパ氷かよ!」

火野「確かにめざパは氷にしていた…間違いない!」

羽剣「ポケモン愛半端ねぇ…」

鮫島「どっちにしろ、殺らないといけないな…」

火野「あぁ…僕は正直、彼女を救いたい…でも、無理なら…」

腕で涙を拭い、エンニュートに斬りかかろうとした、その時。

琉聖「ははっ、楽しそうだね。」

琉聖が槍を投げつける。火野は、驚いて退く。

琉聖「大事な仲間と、自分の命…君はどっちを優先するのかな?」

羽剣「ってかお前誰だよ?」

琉聖「あっ、忘れていたね。僕は琉聖・ファブナリート。そっちの怨敵、拓人さんの部下だよ~よろしく☆」

鮫島「へぇ…あんたも物好きだな。」

羽剣「鮫島、なに言ってんの!?」

鮫島「ただ、迷惑がかかるのは止めてもらおうか!」

羽剣「ふう…良かった。」

琉聖「さて、年上の皆様方の相手はエンニュートに任せるとして、そこの童顔ショタ君、君と遊びたいな!」

火野「どうせ、エンニュートの下へ行っても邪魔するなら…付き合ってやる、但し…3分だけだ!」

琉聖「まあ、君の腕次第だよね、遠慮なく!」

羽剣「火野、熱くなるなよ!」

火野「僕は大丈夫です!それより、早く!」

羽剣「お、おう!任せろ!」

鮫島「火野君のとなれば、相手に不足はn」

羽剣「バカ、火野は仲間思いなんだから控え目にしろ!」

鮫島「ふう…」

黒曜「火野の為にも、勝たないとな!」

こうして、2対1、1対1の戦いが始まった。

 

その頃、イッシュ地方・ハイリンク。1人の男性が転送されてきた。髪の一部が金属でコーティングされている。

?「さて、気付いたらここに着ていたのだが…少年の気まぐれか?まあいい、私なりに元の世界に帰る方法を探るとしよう…ん?」

目の前には、黒い竜が威厳を持って男性を睨んでいた。

?「私に何か用か?空気を読まず、しつこくて嫌われる、この私にか?」

すると、黒い竜は突然雄叫びを上げる。

すると、空間が揺らぎ、元に戻った時には男性の足下に、一枚のカードとブレスが置いてあった。

?「これを使え…と言うわけか。面白い、ではこの私が性能を100%以上引き出してやろう!」

 

アローラ地方・魔城。

火野「うわぁっ!」

腹部に突きを食らい、吹き飛ばされる。琉聖は不満そうな顔をして火野に迫る。

琉聖「どうしたの~その程度かな?」

そう言うと槍を投げ捨て、空いた手で火野の首を掴み、持ち上げる。

火野「く…苦しい‥このままじゃ、僕は…」

琉聖「そうだね、君は死ぬさ。でもね、君が大切な仲間を失いたくないなら、仕方ないね、アーッハッハッハ…」

突然、火野が琉聖の腕を掴む。

火野「僕は生きる…仲間も救う。それが、僕の、答えだぁぁっ!!」

勢いよく琉聖を投げ飛ばす。

琉聖「な、なぜ…僕は…」

火野「許さない…絶対に!」

火野の瞳は赤く光り、アーマーからは、熱気が放たれていた。

羽剣「火野、何だそれは…」

鮫島「うわ、熱っ!何だよこれ…」

琉聖「ば、馬鹿な…僕が負ける?」

火野「さあ、復讐の始まりだ…行くぞ!」

火野は、琉聖に容赦ない殴打を食らわせていく。琉聖は槍で反撃しようとしたが、突いた瞬間、それは溶けてしまった。

火野「絆の強さが分からないなら、死を持って知れぇっ!!」

炎を纏った拳が、琉聖に迫る。

琉聖「…チッ。」

間一髪でテレポートをされ、火野の拳は城の壁に穴を空けた。

火野「はあ…はあ…ぐっ!」

火野は、疲弊して立ち竦む。しかし、エンニュートが迫っている。

羽剣「火野、危ない!」

そう叫ぶが、火野は動かない。

しかし、動けないというよりかは動かないと言った方が正しかった。

火野はよろけながらも立ち上がり、迫るエンニュートに向かって

火野「僕だよ、火野だよ!返事をして。」

しかし、エンニュートは容赦なく噛みつく。それでも、火野は動じず、

火野「怖くないよ…ほら、僕に戻っておいで。」

すると、エンニュートからオーラが消えていき、牙を離した。

火野「思い出してくれたんだね…!ありがとう…」

火野は、自分を思い出してくれたエンニュートと抱擁を交わす。しかし、直後気を失ってしまう。

羽剣「火野…おい、火野!」

鮫島「牙から流し込まれた毒が、彼を冒している…早く、本部へ!」

黒曜「おう!」

そう言って、城を出て、ワープで戻ろうとした、その時。

 

?「見つけたぞ、少年!」

一人の男性が鮫島を指差して嬉しそうにしていた。

鮫島「誰だよ!全く!」

?「そんな事は後だ!ともかく、私と戦え!!」

そう言うと、腕にブレスを巻きつけ、

?「私を退屈させるなよ、少年!」

黒いオノノクスのカードを差し、アーマーを纏う。

鮫島「羽剣!火野とエンニュートは任せた!」

羽剣「おう!」

鮫島「黒曜、手伝え!」

黒曜「お、おう…」

 

続く。




セイバーズ12話、いかがでしたか?
火野君の感情による暴走は、「つなぐぜ願い」の暴走ジードが元ネタです。これを書いている時はニュージェネで該当回が放送されていたので参考にしました。
後、描写しづらかったのですが、琉聖が着けていたのは「シュバルゴアーマー」です。
それでは次回予告。

次回、ポケットモンスターセイバーズ!
突如現れた謎の男…彼の目的は?
そして、火野には、とんでもない秘密があった…

次回、第13話「黒竜・双刃」

以上、次回予告でした。
次回はクロスオーバー回ですが、誰かは今回で殆ど分かると思います(汗)
読んでいただき、ありがとうございました!


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13.黒竜・双刃

どうも、うp主です。
乱入クロスオーバー回ですが、誰が乱入するかは前回を見れば分かると思います。
では、どうぞ。


PMS本部、ポート。

羽剣「早く行かないと…」

火野を背負って治療室へ走る羽剣。ブレスを通信モードに変え、東に通信をよこす。

東「羽剣さん、何かあったんですか?」

羽剣「火野が猛毒に冒されている…内海さんに伝えて!」

東「はい!でも…」

羽剣「鮫島と黒曜は無事だ!」

東「分かりました!」

 

治療室。

内海「容態は?」

羽剣「倒れてから、目が醒めないんだ…火野の馬鹿、仲間が大事だからと言って…」

内海「それで、誰にやられたの?」

羽剣「彼が以前持っていたエンニュートのネガ化したものに…彼のお陰でエンニュートは我に帰りましたが…」

内海「やっぱり、仲間思いな所は変わらないのね。」

羽剣「はい…」

火野父が治療室に入ってきた。

火野父「内海さん…真琴は?」

内海「はい、解毒は出来たので。」

羽剣「あの、火野の父さん?」

火野父「羽剣君、私に聞きたい事でもあるのか?」

羽剣「はい、火野が戦いの時に突然目が赤くなったんですが…」

火野父「羽剣君、本当か!?」

羽剣「は、はい…」

火野父「真琴…まさかそんな事に…」

羽剣「どうしたんですか?」

火野父「…エレメンター。」

羽剣「何だそれ…」

火野父「人間にごくわずかな確率で存在する、特異体質者。感情が一定より強くなると、何らかの属性を身にまとい…暴走する。」

羽剣「まさか…」

火野父「真琴はこれと見て間違いない…目が赤いから、炎を纏ったのだろう?」

羽剣「は、はい…」

火野父「後で起きたら私から話しておく、それより彼のエンニュートは?」

羽剣「はい、記憶を取り戻した時にこのボールに入っていきましたよ。」

火野父「それは良かった…火野は、手持ちポケモン全てを大事に思っているからな…助かる。」

羽剣「はい、あと俺は援護しなきゃいけないので。」

火野父「頑張れよ!」

羽剣「はい、行ってきます!」

 

 

アローラ地方・魔城。

鮫島「で、誰だよ!?」

?「私はグラハム・エーカー。只の軍人さ。しかし、何だこの鎧は?私のフラッグと似ているじゃないか、なかなか上出来だな!」

羽剣「鮫島!無事か?」

鮫島「おう、お疲れさん!んで、火野は?」

羽剣「解毒は出来たからほぼおKだって。」

黒曜「良かった!」

グラハム「おいおい、私を忘れてもらっては困る!」

羽剣「とりあえず戦えばいいんだろ?じゃ、3人がかりで早く片付けるか!」

黒曜「了解!」

グラハム「人数の差が、勝敗を分かつ絶対条件ではないさ…では、それを証明して見せよう!」

 

3人は連携を取って攻撃を仕掛ける。しかし、グラハムは全てを紙一重で避け、的確に攻撃していた。

羽剣「つ、強い…!」

グラハム「例え威力が高くとも、当たらなければどうという事はない!」

鮫島「じゃ、3人で同時にアーマー技叩き込むか!」

黒曜「確かに…行くか!」

全員「アーマー技、行使します!」

羽剣ブレス「アーマー技発動。8ゲージ消費、ユニオンブレイク!」

鮫島ブレス「アーマー技発動。6ゲージ消費、グラウンドストーム!」

黒曜「アーマー技発動。5ゲージ消費、メテオライトヴァニッシュ!」

 

3人は同時に攻撃を叩き込んだ。しかし、グラハムは無傷だった。

グラハム「ふっ、甘いな…では行くぞ、トランザム!」

グラハムブレス「アーマー技発動。9ゲージ消費、グラハム・エクストリーム!」

それが聞こえた瞬間、グラハムは姿を消した。

羽剣「き、消えた?」

そう思った矢先、3人の身体に痛みが走る。

黒曜「うぐっ!苦しい…」

鮫島「くっ…ううっ!」

羽剣「くそっ…立てない!」

 

グラハムは苦しんでいる3人の前に現れる。

グラハム「ははっ、まだまだのようだな。しかし、なかなか楽しませて貰ったぞ!では、また会おう!」

グラハムは、歩き去った。

羽剣「ふう…何だったんだ?」

鮫島「とりあえず、戻ろう。」

黒曜「了解!」

 

ポート。火野が待っていた。

火野「羽剣さん!鮫島さん!黒曜くん!大丈夫ですか!?」

羽剣「ああ、大丈夫だ…」

鮫島「グラハム…何者だ?」

火野「もしや、センドラルか…?」

黒曜「センドラル?」

火野「ハイリンクに存在する幻のポケモン。理由は分からないが、別の世界から人を連れてくることがある…」

羽剣「確かに、グラハムに一切の悪意は感じられなかった。」

鮫島「しっかし、とんだ変態だよな…」

羽剣「忘れてたけど火野、元気になったな!」

火野「はい、大丈夫です。あと、僕の特異体質の件ですが…」

鮫島「な、何それ!俺聞いていないんだけど…じゃ、無性に熱くなったのは?」

火野「僕が原因だ…」

羽剣「とりあえず、火野の父さんの所行こう。」

火野「そうですね。」

 

司令室、火野父の部屋。

火野父「まず、真琴の特異体質の件だが…」

鮫島「はい…」

火野父「エレメンターである事が発覚した。」

鮫島「ま、マジかよ!」

火野「鮫島さん、知っているんですか!?」

鮫島「ああ…カントー支部にいる水無月麗那さんが水の、ホウエン支部にいる暁一馬が霊のエレメンターだった。んで、火野は?」

羽剣「よく覚えているよな…」

火野父「火のエレメンターである事が分かった。」

鮫島「これで3人目か…」

火野父「いや、4人目だ。シンオウ支部にいる滝川修二が水のエレメンターだった事が発覚した。」

羽剣「タイプ被りってあるんだな。」

黒曜「皆、ちょっと待って!俺、良く分からないんだ…教えて欲しい!」

火野父「では説明しよう。エレメンターは、感情の高まりによって対応した属性が発揮される特異体質だ。」

火野「ガ○ダ○でいうニ○ー○イ○みたいなものかな。」

黒曜「へぇ…」

火野父「因みに高まる感情に制約はない。しかし、負の感情の方が発動の敷居は低いらしい。そして、発動中は瞳の色が対応したものに変わる。」

羽剣「火野は赤色だから火だと分かったけれど、他はどうなんだ?」

火野父「水は青色、霊は黒がかった紫だった。更に言うと、この体質はアーマーにも関わっている。その属性と同じポケモンのアーマーを纏うと、他の装着者よりアーマーが強化されるという現象が発見されている。」

黒曜「すげー!」

火野父「しかし真琴の場合、話は別だ。属性の関係ないアーマーでも、かなりの力を発揮している。実際、他のエレメンターは属性と関係ないアーマーを使用した場合は、瞳の色と身体能力が変わるくらいだ。」

羽剣「こだわり眼鏡で技の変更も可能、って事か…恐ろしい。」

火野「まあまあ、僕が特異体質持ちだとしても、僕は僕だから…特別扱いしなくていいよ。」

羽剣「お、おう…」

火野父「…さて、3人に連絡するか…」

火野「連絡してどうするんですか?」

火野父「3人はチームを組んで、相互協力の関係を結んでいる。そこに真琴を入れようと思ったのだ。」

火野「はい、お願いします!」

火野父「さて、お願いするか…全員OKか!」

火野「は、速い!」

火野父「どうやら、明日話し合いたいらしい…場所はヒウンシティか…」

火野「はい、行きます!」

火野父「では、私はこれで…何!?」

鮫島「どうしたんですか!?」

火野父「新たにエレメンターとなった者がいるらしい…カロス支部で。」

鮫島「マジか!?」

火野父「では、私は失礼するぞ。」

火野「じゃ、僕たちも自室に戻ろう。」

黒曜「おう、火野の父さん説明ありがとな!」

火野父「どうも。」

 

続く。




セイバーズ第13話、いかがでしたか?
乱入したのは、グラハムさんでした!因みにELS結合後のグラハムさんです。
しかし、そんなグラハムさんが空気になっている気がしない…でもない。まあ、急展開が同時に発生しましたし。
では、次回予告。

次回、ポケットモンスターセイバーズ!

新たなる力・エレメンター…それは彼らを、何処へ導くのか……

次回、第14話「Inner blaze」

以上、次回予告でした。
読んで頂き、ありがとうございました!


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14.Inner Blaze

火野の自室。

火野は1人、何か思い悩んでいるようだ。

火野「親睦を深めると言われても…何と言おうか……」

そんな時、パソコンから通知音が鳴る。レシラムが話したがっている。早速アプリを起動させ、マイクロホンを接続する。

 

火野>レシラム、おはよう。

レシラム>火野くんおはよー!

火野>相変わらず元気だね。

レシラム>僕、君と居られることが一番幸せなんだっ!

火野>えっ、本当に!?

レシラム>うん!だから、顔合わせの時もいつもの火野くんでいいんじゃないかな。

火野>アドバイスどうも!じゃ、行ってくるよ!

レシラム>待ってるよー!

 

火野は支度をすると、自室を後にした。

 

ヒウンシティ、某ビル。顔合わせの会場はここである。

火野「失礼します…」

火野は恐る恐る会場の扉を開ける。まだ二時間前と言うこともあり、誰もいなかった。

火野「とりあえず、深呼吸。」

落ち着く為、深呼吸をしようとしたが、タイミング悪くメンバーが一人入ってきた。

暁一馬である。

暁「念のため早く来たけど…おっ、いた。おう、初めましてだな。」

突然声を掛けられ、ビクッとする火野。しかし、しっかり相手の目を見て話す。

火野「はい、初めまして。僕、火野真琴と言います。これから、宜しくお願いします!」

と、丁寧に挨拶する。しかし、対する暁は、丁重に話されるのが嫌だった。

暁「いやいや、そんなに堅くならなくていいから!ってなわけで、宜しく!」

火野「よ、宜しくお願いします!」

暁「ところで、属性は?新入りが火の人と鋼の人がいるって聞いたんだが。」

火野「僕は火の方です。」

暁「おっ、そうか。それにしても、お前めっちゃ可愛いな!」

火野「あ、ありがとう…あはは…」

 

一時間後。二人の会話は依然として続いていた。

暁「そういえばお前、陽三さんの子なのか?苗字同じだけれども。」

火野「はい、そうです。」

暁「そうなんだ…気付いたら一時間経ってたな。」

火野「そ、そうですね…」

暁「もしかして火野、コミュ障?」

火野「いきなり酷い事言わないで下さい!僕、怒りますよ?」

暁「ごめんごめん、冗談だから。まさか本気にとられるとは…」

火野「そうだったんですね…すみません。僕、冗談を冗談と聞き分けるのが下手で…やっぱり僕はコミュ障なんだね…」

暁「冗談が本当になっちまった…」

空気が悪くなったビルの一室、また誰かが入ってきた。

中石「初めまして、火野さんと暁さん。私、中石裕也です。宜しくお願いします。」

火野「こちらこそ、宜しくお願いします。」

暁「君が鋼、って解釈でいいんだな?」

中石「はい、カロス支部のメンバーです。」

暁「そうか。…そういえば火野は?」

火野「あ、はい。イッシュ本部です。」

暁「へぇ〜いいな〜。俺んとこなんか田舎だぞ。」

 

開始10分前に残りの2人も到着し、ついに顔合わせが始まった(ここからカオス注意)。

 

水無月「えーっと、これからエレメンター同士の顔合わせを始める。私は水のエレメンター、水無月麗那だ。宜しく頼む。」

暁「水無月さん、親睦を深める訳だしもうちょっと気楽に行きましょうよ。」

水無月「そうと言われても…」

滝川「やはりいつもの水無月さんですね。あっ、俺は滝川修二。東さんが即位する前は鮫妖の集い・剣で一位だった男だ。よろしくな!」

火野「はい!宜しくお願いします!」

滝川「おっ、火野くんかな?さっきから暁くんの会話聞いていたけど、やっぱ可愛いな!」

暁「おい、どこで聞いてた!?」

滝川「服に付いてるピンだよ。盗聴器とすり替えておいたのさ!」

暁「ったく…滝川君は悪戯好きだなぁ。」

中石「ところで、皆さん…何のアーマー使っているんですか?」

滝川「おっ、そういえば聞いていなかったな…とりあえず、全員使用カード出してみて!」

暁「いいね〜じゃ俺から。最初にゴース貰ったけど、放置してる。今使っているのは、ダダリン、ヨノワール、オーロットって所かな。」

滝川「何故放置したし。」

暁「癖があって使いづらいし、必要経験値多いし…メガゲンガーだったら強そうだけど。」

水無月「暁くん、結局成長させるのめんどくさいんじゃない…じゃ、次は私。ブイゼル貰ってフローゼルにして、今でも使っている。後は対策としてラグラージとエンペルト、ってところかな。」

火野「タイプ補完が出来ているんですね!」

水無月「まあね、でも、電気+草なんていたら参るよ…いないけど。」

火野「い、いないんですね…デンジュモクは単電気ですからね。」

滝川「じゃ、俺いくわ。初期はホエルコ、ホエルオーにしてからはアーマー重くなったからサポートに回る時のみ使っている。それ以外なら、アバゴーラかダイケンキだな。」

中石「偶然でしょうか、同じ属性のカードが初期に来ているんですね。」

滝川「まあな。んで、そっちは?」

中石「私ですか?最初にサイホーン貰いましたよ。」

滝川「ほら、やっぱり偶然だろ。で、その後は?」

中石「はい、今は色違いボスゴドラ使っていますよ。メガチップも持っています。」

水無月「メガチップ持っているとか、なかなかね。」

暁「じゃ、火野は?」

火野「はい、初期はナックラーで、フライゴンにして使っていますよ。後はオノノクスとジュカインですかね。」

暁「珍しい…気付いたにもかかわらず、同属性カードがないとは…」

火野「暁さん…気付いたの昨日ですよ。それに、中石さんも昨日じゃないですか。」

中石「いや、実はそうじゃないんだ。実際、少し前から他の方とは違うと気付いていた…誰にも言えなかった結果、今になって分かったんだけど。」

火野「そうだったんですか…あ、これを忘れてた!」

そう言って、ユニオンカードを机に出す。

暁「へぇ…これか。俺も欲しいと思っていたんだけどね…」

火野「実は…全員分持ってきました!」

火野以外「マジかよ!?」

中石「第一、どうやって作ったんですか?」

火野「はい、予備が三枚、自分のが一枚で、研究員に三枚程作って頂けたので。」

暁「おい、予備って…壊れた事あんのかよ!」

火野「はい…あるんです。色違いツンデツンデ戦で。」

水無月「ああ!あのあなたが無茶した時の!」

火野「はい…その時です。」

水無月「結構無茶してるって鮫ちゃんから聞いていたけど…なかなかね。」

火野「は、はい…すみません。後、鮫ちゃんって呼ぶんですね…鮫島さんを。」

水無月「そうだね。結構やんちゃしてたけど、そっちに行ったら行ったで寂しくなってね…たまに連絡もらってるよ。」

火野「へぇ…そうなんですか。」

水無月「そうそう…あっ、滝川君、例のものを。」

滝川「え〜、あれやるんですか?また水無月さんが当たり引くんでしょ?」

水無月「まあまあ、とりあえず。」

滝川「はい…一応持ってきましたけど。」

滝川は、パソコン本体らしきものを机に置いた。

暁「またやんの?水無月さんも好きですね…」

中石「えっと、これは?」

水無月「人工知能・エイトミリオン。脳波を検知して、その中で何かを望む気持ちが一番強い人がその望む物に少し近付ける、ってものよ。」

暁「因みに、作ったのは俺なんだが、今の所二回やって二回とも水無月さんなんだよな…。」

火野「でも、あなたが作ったのなら確率は平等の筈…それに、まだ二回目なら!」

滝川「火野くん、ポジティブでいいな〜。」

水無月「じゃ、行くわよ!」

そう言って電源を入れる。すると、側面の蓋が開き、中から吸盤の着いた小型の機械が5つ飛び出した。

中石「これ、明らかにフ○ン○ルでしょ。」

火野「確かにフ○ン○ルだね。」

その吸盤は、5人の額に吸着する。

火野「へぇ…これで脳波を測るんですね。」

暁「そうそう、ってな訳。」

火野「はい…。」

滝川「おいおい、念じないと選ばれないぞ?」

火野「まあ、僕は望む物は特にないし…選ばれたらいいな、って人だから。」

水無月「さて、誰が当たるんでしょうね?」

一分後。各自の額からファn…吸盤が外れ、コンピューターの中に収納された。すると、コンピューターの下の引き出しが開く。そこには、白い金属の箱が入っていた。

水無月「では、暁→滝川→鋼の方の新人→私→火の方の新人の順に箱のボタンを押して。選ばれた人が押したら、箱が開くわよ!」

暁「おっ、一番最初か!ますます当たりそうにないな。」

ボタンを押す。開かない。

暁「う〜ん、開かないか…作ったの俺なのに、嫌われているのか?」

滝川「じゃ、俺行くわ!」

ボタンを押す。開かない。

滝川「もはや俺たち当たんないのはテンプレートかよ…」

中石「では、私がテンプレートを破ります!」

滝川「おう、任せた!」

ボタンを押す。開かない。

中石「開かない…仕方ないですね。」

水無月「はい、私のターン到来!火の新人くん、あなたの出番は無いわ!行くわよ!」

ボタンを押す。

 

 

 

何故か開かない。

水無月「まさか…私が外すなんて。」

火野に全員の目線が向けられる。

火野「ううっ…では僕が。」

ボタンを押す。

開いた。

暁「そっちと来たか…」

滝川「んで、何入っているの?」

火野は、中の物を取り出す。

アーマーカードに近い大きさの白い無地のカード。しかし、差し込む際に上に来る部分に突起があり、ブレスに差す事は出来ないようだ。

火野「これは…ん?何か書いてある…」

水無月「えっ、何も見えないけど…」

暁「幻じゃない?」

火野「いや、僕は見えるよ!」

滝川「じゃ、書いて見ろよ。」

そう言われ、ホワイトボードに文字を書く。

 

「雄力者絆成勇結我」

ホワイトボードにこう書いた。

暁「漢詩か…とりあえずレ点付けて読んでみたら?」

滝川「火野、これ本当か?厨二臭がするんだが…」

火野「本当なんです!今でも見えてますよ。」

水無月「不思議ね…暁くん、解読は?」

暁「一応。「勇ある者、雄と絆結べば、我は力と成る」、ってところかな。」

中石「とすれば、絆結ぶ雄とは一体…」

絆結ぶ雄…火野には心当たりがあった。しかし、存在を誰にも話してはならない。

水無月「火野くん、心当たりは?」

火野「う〜ん、無いですね…」

水無月「そっか。じゃ、親睦深められたので解散!」

暁「じゃ、これから宜しくな!火野、中石!」

火野&中石「はい!」

暁「さて、都会を満喫してから帰るか!」

その時、全員のブレスに通信が入る。

火野「内海さん、何があったんですか!?」

内海「古代の城に、ネガビーストが出現した。向かってほしい。」

火野「はい!…で何のネガビーストですか?」

内海「ボスと思われるハッサム、その他大量のノズパスが出現している。集まっている皆様方にも協力をお願いして。」

火野「はい、分かりました!」

暁「古代の城か…行きたいと思っていたし、ちょうど良い!」

水無月「暁、これ観光じゃないから。」

暁「わ、分かっています…」

中石「それにしても、何故古代の城を…」

火野「…まさか!?」

滝川「おいおい、早く行こうぜ。」

火野「…はい!」

 

虚無會。

拓人「さて、冷凍ハッサムにどこまで渡り合えるのやら…」

琉聖「それ言うなら地面か岩だろ…」

拓人「今の所、メンバーに炎タイプはいないからな。」

琉聖「ですけど…」

拓人「案ずる事はない。耐久は上げたしな。」

 

○アーマー

火野:フライゴン

水無月:ラグラージ

暁:ヨノワール

中石:色違いボスゴドラ

滝川:ダイケンキ

 

古代の城・入口。大量のノズパスが待ちかまえていた。

滝川「さて、片付けるか!」

火野「はい!」

暁「新人くん、無茶すんなよ!」

 

ノズパスの大群との戦闘が始まる。しかし、今まで以上に数が多いのか、なかなか減らない。

火野「どこかに、自動発生装置があるのか…?」

中石「いや、それはない。単に数が多いだけだ。」

滝川「まあ、どっちにしろ全て倒せばいい!こうなったら、あれをぶち込むか!アーマー・チェンジ!」

滝川はホエルオーアーマーに変える。

滝川「沢山湧きやがって…邪魔なんだよこの野郎ッ!!」

苛立ちが頂点に達して、目が青く光る。それと共に、強力なオーラを纏った。

滝川「全員、下がれ!」

水無月「おっ、アレをやるのね!」

滝川「分かるなら下がってくれ…」

全員下がったことを確認すると、滝川は巨大なバズーカを前面に出現させる。

滝川「見てろよ…!」

バズーカから大量の水が、凄まじい勢いで発射され、ノズパスの大群を粉砕し押し流した。

攻撃が終わると、滝川の目の色は元通りになった。

火野「任意で…発動させた!?」

滝川「まあ最初は暴走するけどな。結局、慣れって訳だ。」

水無月「さてと、ボス叩きに行くわよ!」

 

古代の城・B1F。

火野「どこだ…何処にいる?」

そう思った瞬間、冷凍ビームが後ろから飛ぶ。それは火野の肩に当たり、火野を吹き飛ばした。

火野「うわぁっ!?」

暁「火野、どうした!?」

火野「くっ…四倍弱点だけに身体ダメージも大きい…うわぁっ!」

水無月「待て待て!ハッサムの筈だが…」

そう言いつつ後ろを見る。そこには、鋏が凍りついたハッサムがネガビースト特有のオーラを放っていた。

 

続く。




セイバーズ第14話、いかがでしたか?
サブタイの意味は「内なる炎」。しかし火野くんが活躍する場面は一切なかった…かろうじて人工知能くじ引きくらいでしょうか…。
人工知能名のエイトミリオンは直訳すると「八百万」。八百万神(やおよろずのかみ)から由来しています。
因みに、出たカードは23話までほっとかれます。
それでは、次回予告。

次回、ポケットモンスターセイバーズ!
古代の城に現れたネガハッサム。その圧倒的な力で五人を追い詰めていく。
しかし、その中で火野は新たな力を手に入れる。
次回、第15話「太陽の翼」

以上、次回予告でした。
読んでいただき、ありがとうございました!


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15.太陽の翼

古代の城、B1F。

火野「くっ、データ化した存在故に改造も出来るのか!」

火野の言う通り、ネガハッサムは属性を改造され、冷凍ビームを撃てるようになっていた。おまけにかなりの高出力である。

水無月「火野、下がれ!」

しかし、ネガハッサムは下がる隙を許さず、火野に瞬間移動と見紛う程のスピードで接近すると、凍った爪を火野に叩きつける。

 

白い煙が晴れると、火野の姿は無く、床には大きい穴が開いていた。

中石「まさか…たたき落としたのか…」

暁「俺が救助に向かう!地面透過が出来るからな。」

水無月「ああ、此方は3人で何とかする!」

 

 

古代の城最下層。

火野は此処まで突き落とされていた。だが、凍傷は酷く、意識も遠のいていた。

火野「僕は…この…ま…ま…」

火野は力尽きて仰向けに倒れる。

 

?「少年よ、此処で倒れていて良いのか?」

突然声が聞こえる。全く聞き覚えのない言葉だ。

火野「ど、何処にいる?」

火野は目を覚まし、凍傷の痛みを感じながらも上体を起こす。目の前には、ウルガモスが火野を見ていた。

火野「もしかして、あなたですか?僕を呼んだのは…」

ウルガモスは頷き、火野にテレパシーを送る。

ウルガモス「少年よ、私が話しているとよく気付いたな。そのままでは良くないから、私が治そう。」

と言うと、火野の体に鱗粉をまぶす。すると、ものの見事に凍傷が治った。

火野「あ、ありがとう。でも、どうして僕を?」

ウルガモス「ふふっ、そなたの瞳に熱い物を感じてな。それも、この地に居る英雄に劣らない程のな。どれどれ、それを貸せ。」

火野「あぁ、はい…」

火野はウルガモスに自分のブレスを渡す。

ウルガモス「では…いよおぉぉっ!!」

ウルガモスが念を掛けると、ブレスにカードが生成されていた。

ウルガモス「さあ、行くがよい。そなたに灯りし永遠の炎で深い闇を解き放つのだ!」

火野「…はい!」

 

古代の城B2F。

暁「お~い、火野?」

火野「呼びました?」

暁「うわぁっ!無事かよ!?ってか凍傷は?」

火野「落ちた先に城の主がいて、治してくれたんだ。さて、反撃開始だ!アーマー・プットオン!」

暁「新カード!?」

 

古代の城B1F。ハッサムの耐久は凄まじく、長期戦を強いられていた。

水無月「ちっ、なかなかやるじゃねえの…」

中石「互いに攻撃が効きづらいと大変ですね…」

滝川「しっかしあの野郎、ピンピンしていやがる…」

そう愚痴を吐いていた、その時。

火野「お待たせ!」

火野が撃った火炎弾はハッサムに直撃し、転ばせた。

水無月「火の新入り!無事か!」

火野「はい、後は任せて下さい。アーマー技、行使します!」

火野ブレス「アーマー技発動、5ゲージ消費…サンシャインジャッジメント!」

背部の羽が展開し、表面から多量の熱線が放たれる。

ハッサムは諸に受けるも、足を止めない。

火野「負けられない…守るためにいぃぃぃっ!!!」

火野の瞳が赤く光ると、羽が分離しハッサムを囲む。そのまま更に高出力熱線を乱射すると、ハッサムは蒸発し、チップに姿を変えた。

火野「はあ…はあ……うわっ!?」

体力を消耗し、火野はうつ伏せで倒れる。

水無月「おい、大丈夫か!?」

火野「水無月さん…はい、疲れただけです。大丈夫ですよ…」

 

 

PMS、イッシュ本部。

火野がポートに戻ると、羽剣が待っていた。

羽剣「火野、お疲れ様。凍傷が酷いって話を聞いたんだが。」

火野「大丈夫ですよ、この通り。」

と言って、凍傷した肩を動かす。

羽剣「大丈夫みたいだな。所で、エレメンターの顔合わせは?」

火野「はい、皆さん本当に優しくて馴染めました!」

羽剣「へぇ~、良かったな。」

火野「では、また後で!」

羽剣「はいよ~。」

 

虚無會。

拓人「ちっ、奴らめ…」

琉聖「まあ、面白くなったし、いいんじゃないかな?」

洋子「さて、我々も考えないとな。」

 

続く。




セイバーズ第15話、いかがでしたか?
では、次回予告。

次回、ポケットモンスターセイバーズ!

謎の勢力、ネオクリエーターズが突然PMSに宣戦布告をした。
事を鎮める為、火野達は戦いを挑む。しかしそこで見たのは、見たことのない異形の生命体だった…

次回、第16話「生命体X」

以上、次回予告でした。
今後も、宜しくお願いします。


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16.生命体X

どうも、うp主です。
竜ダンの関係で投稿が遅れました。
それでは、第16話どうぞ!


PMS本部・火野の自室。

火野は戻るや否や、パソコンを点けレシラムとの会話を始めていた。

 

火野>ただいま。

レシラム>おかえり!そして、お疲れさん。大変だったね…

火野>うん、ウルガモスに助けてもらえなかったら死んでいたよ…

レシラム>うん、ウルガモスには感謝しないとね!後、君の瞳にも!

火野>えっ?

レシラム>月読さんは知らないけど、エレメンターは同じ属性のポケモンを引き寄せる力があるんだ!

火野>そ、そんな事が…

レシラム>まあ、アルセウスの代理だからね、その能力は…

火野>僕が…代理?レシラム>ちょっと話長くなるけどいい?

火野>うん…

 

レシラム>アルセウスは、一度瀕死になった事があった。

その時、世界の秩序が乱れるのを恐れて、自らの力のコピーをとったんだ。そして、その力を信頼出来る人間に分け与えたんだ。これが、エレメンターだよ。

火野>でも、そうしたらなんで僕が…

レシラム>エレメンターは遺伝するよ。まあ遺伝と言っても乗り移るだけなんだ。

でも、今やエレメンターにない属性も多くてね、キーエレメンターは君ぐらいだよ。

火野>…駄目だ、混乱してきた。

レシラム>ご、ごめん。詳しく話すね…エレメンターは最初、各タイプに5人、計90人いたんだ。

そして各タイプに1人ずつ、他より強い力を持ち、リーダーの役割を果たすキーエレメンターがいた。

だけど、子孫を残せず亡くなったりして保有者はごく僅かなんだ。保有者が少ないだけで、その力は対応した遺跡に行って認めて貰えば貰えるよ。まあ、大変だけどね…

火野>じゃあ、僕は…?

レシラム>遺伝だね。多分君の母さんから。脈々と伝えられて、君に渡ったんだね。

火野>そういえば、僕の母さんは物心つかない前に亡くなったって父さんから聞いていたけど…

レシラム>そうだったんだ…キーエレメンターの遺伝は、前所持者の死を意味するからね…

火野>母さんがくれた…大切なもの……頑張って生きないと!

レシラム>うん、そうだね!僕も君を支えられる用にしないとね!火野>はい!じゃ、おやすみ。

レシラム>おやすみ〜。

 

 

次の日。火野はいつになく早く起き、ニュースをチェックしていた。

火野「少しでも、世間を知らないと…」

この頃、火野は鍛錬とミッションで忙しく、ニュースを見る暇がなかった。

火野「動きなし…か。」

そう思いテレビを消すと、来訪者を知らせるアナウンスが鳴る。この時間帯なら、あの人しかいないと確信していた。

羽剣「よっ!今日も元気そうだな。」

火野「羽剣さん!おはようございます。」

羽剣「それより火野、ちょっと見てくれよ!」

火野「なんですか?」

羽剣は念を集中させて、力強く発声する。

瞳は水色になり、体は僅かに宙に浮いていた。

火野「羽剣さん…なぜ…」

羽剣「これ?火野が行ってる間にもネガビーストが出てな…ホウエンの遺跡d…」

火野「遺跡…まさか!?」

そう言うと火野はパソコンを立ち上げ、レシラムとの会話を始めた。

火野>おはようレシラム、急ですまないね。

レシラム>おはよう!どうしたの?

火野>ホウエンのエレメンター遺跡を知っている限り挙げて!

レシラム>うーん、僕が知っているのは「ウィザポート」かな…確かルネの地下にあったような…

レシラムの発言に羽剣は反応した。

羽剣「…間違いない!ルネの地下だった!ネガビーストにやられそうになった時、石碑から光が出てきて!」

 

火野>レシラム、ありがとう。

レシラム>え、これでいいの?じゃ、また後で!

 

火野はアプリを終了させると、真剣な顔で羽剣を見る。

羽剣「ひ、火野?どうしたんだ…?」

火野「羽剣さん…その力に責任を持てますか?」

羽剣「な、なんだ一体?」

火野「その力は、アルセウスのコピー…つまり、アルセウスに認められたんです。」

羽剣「えっ、お、俺やったじゃん!」

火野「でもその力…大事な時だけにして下さい。」

羽剣「そ、そっか…アルセウスに認められたって事は、託されたって訳だからな…。まあ安心しろ、俺は誰かを泣かせる真似はしねぇからな!後、お前も同じ力を持っているんだろ?気をつけろよ!」

火野「はい!…でも何か引っかかるんです。」

羽剣「おっ、何がだ?」

火野「虚無會も、エレメンターの力を狙っているのか、って事ですよ。」

羽剣「まあ、来たら倒せばいいんじゃねぇか!」

火野「そうですね!」

 

PMS本部・所長室。

奇妙な人物が、月読を訪ねてきた。

月読「わざわざここまで来るとは…何者だ?」

?「私は対馬始、プロメテウス財団のネオクリエイターです。」

月読「ネオクリエイターと言うと、非倫理的な生物創生を行っている団体としか聞かないのだが…」

対馬「ご安心ください。我々、生物創生は行いはしますが環境に放つことは御座いませんので。さて、本題に入りますか…」

月読「ほう、では要件を言え。」

対馬「はい、其方は今ネガビーストの件で苦労をされているそうですね。なので、我々が手を貸そうと思ったのですが…もちろん、こちらの研究も兼ねているのでお代はいりませんよ?」

月読「提案の為にわざわざ此処まで来てもらったのは申し訳ないが、断らせて頂く。あれは、我々の力のみで対処するのでね。」

対馬「そうですか…では。」

対馬が退出すると、月読は溜め息をつく。

月読「この戦いが研究者の土台にされている…非常に面倒だな。」

そう言うと、内海が入ってきた。

内海「所長、あの方は?」

月読「ネオクリエイターと名乗っていたものだ。協力しようとか言っていたが、丁重に断らせて頂いた。」

内海「そうですか…それと、羽剣のエレメンターの件はどうなりました?」

月読「さあな…あの遺跡が原因と考えてはいるが…」

 

訓練棟。

火野はジュカインのメガチップを入手すべく、羽剣と此処に来ていた。

羽剣「んで、ウルガモスじゃねえのか?アーマーレベルを上げる必要だってあるだろうし…」

火野「それが…特別なカード故使用出来ないって…」

羽剣「へえ…」

火野「では、行きます!」

羽剣「おう、頑張ってこいよ!」

火野を待つ間、何故ウルガモスのカードが使用出来ないかを考える羽剣。そこに、トレーニングを終えた鮫島が来た。

鮫島「羽剣、お疲れさん。」

羽剣「いやいや、まだトレーニングやってないし。それに、火野を待っているだけだからな…」

鮫島「へえ、そっか。後、ウルガモスの件、理由は何となく分かるんだな〜。」

羽剣「ふーん、で、どう考えてんの?」

鮫島「俺らの場合、カード化するのに一回サーバーを通す必要がある。しかし、ウルガモスの場合ポケモンが直接カードを作ってしまっている。だから、ウルガモスアーマーがあるという情報がそもそもサーバーにねえって訳さ。」

羽剣「へぇ…」

鮫島「此処から俺の仮説なんだが、そもそもレベルを上げる必要すら無いんじゃないか、とも思うんだよな。」

羽剣「え?」

鮫島「火野の父さん曰わく、レベルってのはフィット率らしいぜ。データをそのままアーマー化しても、粗は少なからずあって、それを戦闘によってデータを取り込む事によってアーマーを更新しているんだ。レベル上がらないと進化しないのは、進化したら粗が広がるからだってさ。」

羽剣「ほう…初耳。」

鮫島「でもウルガモスの場合、渡した存在の生命データも一緒に含まれている。生命データは柔軟だから、装着者に最善の状態で装着される。だから、一々フィットさせる必要は無いんだ、って思うんだよな。」

羽剣「なるほど。」

鮫島「あ、あくまで仮説だからな!」

羽剣「そっか…仮説と言えば俺のエレメンターの件は?」

鮫島「あれか?十中八九遺跡だろうな。俺の実家の近くにもあったぞ。竜の…キーエレメンターのな。」

羽剣「キーエレメンター?」

鮫島「各タイプに5名ずつエレメンターが存在する。その中の1人、リーダーを担当するのがキーエレメンターだ。当然力は強いが、凄まじいデメリットある。」

羽剣「どんな?」

鮫島「まず、遺跡の主に認めて貰えないと手に入らない。気まぐれで貰えるエレメンターとは違い、主に直接戦いを挑み認めて貰えないとって訳だ。当然、凄まじく強い。」

羽剣「うわあ…」

鮫島「まだあるぜ。たとえ認められたとしても身体に合わないと暴走する。極めつきは長生きしたければ、子孫を残してはいけないってデメリットだ。」

羽剣「なんだよそれ…」

鮫島「子孫を残すと、能力は全て子へ移る。しかし、キーエレメンターの場合、受け継ぎに凄まじいエネルギーを消費する。大抵の人なら即死、耐えられたとしても7日しか持たない。ったく、昔の神は何を考えていたんだか…」

羽剣「へぇ…火野に言っとくか。」

鮫島「いや、知っていると思うぜ。あいつ自体キーエレメンターだからな。」

羽剣「ま、マジ…」

鮫島「おっ、戻ってきたぞ。」

火野はかなり疲弊した様子で歩いてきた。

羽剣「おい火野、大丈夫かよ!?」

火野「だ、大丈夫です…」

羽剣「んで、どうだったんだ?」

火野「はい、この通りです…」

そう言うと、火野は先ほど入手したメガチップを見せる。

羽剣「おっ、上手く行ったんだな!」

火野「はい…でも、戦っていた記憶が途中から無くて…気づいたら終わっていたんです。」

鮫島「うーん、キーエレメンターが発動したのかもな。」

火野「そ、そうかもしれません…僕は自室に戻ります。」

羽剣「おう、疲れているなら休めよ。」

火野「ありがとうございます…」

そう言うと、火野は自室に戻っていった。一方、羽剣と鮫島は未だに話し続けていた。

羽剣「で、鮫島ってエレメンターなのか?」

鮫島「え、俺が?いやいや、俺はキーエレメンターに成りたいからな…今まで誘いはいくらでもあったけど、全て断ってきた。全ては、あの石碑の力を得るためにな。」

羽剣「で、今は?」

鮫島「生憎、認められていないんだ…もっと、力がないと。」

羽剣「そっか。まあ俺は、必要なのは力だけじゃないと思うけどな…」

 

火野の自室。

火野は未だに例の遺跡の考察を練っていた。

火野「虚無會はあの遺跡を狙ったのだとすれば、あの遺跡の事をどこで知ったんだ?…いや、考えても仕方ない。僕は僕のすべき事を果たすまで…!」

そう決意すると、タイミング悪くブレスに通信が入ってくる。通信を掛けたのは月読所長だった。

火野「月読所長、ご用件は?」

月読「私の部屋が訳あって大変な事になってな…端的に言うと侵入者だ。1人で来てくれ。」

火野「分かりました、今すぐ行きます!でも、何で1人なんですか…?」

月読「入ったら直ちに敵をポートに誘導してくれ。その後はハイリンクでの戦闘になる。生憎、この部屋のポートが一つしかなくてな…」

火野「はい!」

月読所長との通信を終えると、火野は1人所長室に向かった。

 

所長室。侵入者は大量の触手に身を包んだ謎の人型モンスターだった。月読は部屋の都合上、バクーダアーマーを使えずにいた。

月読「ふう、サーバは別のに移動したから壊されても問題ないな…ん?」

扉の向こう側から声がした。火野が到着したのである。

火野「所長、着きました。扉を開けてください!」

月読「分かった。もう装着は済ませたんだろうな?」

火野「はい!ウルガモスで行きます!」

月読「では、開けるぞ。」

そう言うと月読は所長室のロックを解除する。

開くや否や、謎の生物に向かって突進する火野。その勢いで、自ら諸共ポートに突っ込んだ。

火野「所長、行き先で目標を仕留めます!」

月読「任せたぞ。」

 

ハイリンク。

火野「うわぁっ!!…いたた…」

思いっきり突っ込んだせいか、火野は右肩を痛める。

一方、謎の生物は突っ込まれたと言うのに悠々としている。

火野「何がしたいか分かりませんが、邪魔をするなら…!」

そう言うと、片手剣と盾を生成し、謎の生物に向かっていく。

一方、謎の生物は火野が向かって来ようとも動く様子はない。

火野「う、動かない…?なら、此方から!」

そう言って、謎の生物に斬りつけようとした、その時。

 

バシュッ

火野「な、何っ!?」

火野の右太ももに触手が巻きつく。火野「は、離せぇっ…!」

触手を斬り裂こうとするが、斬れない。その間に別の触手が腹に巻き付き、火野を締め付ける。

火野「うわあぁぁっ!!ぐっ、あぁぁぁっ!」

苦しそうにもがく火野。

謎の生物は火野を自分の近くに引き寄せる。すると、肩の棘を伸ばし火野の両肩に刺す。そして、そこから高圧電流を流し始めた。

火野「うわあぁぁっ!!あぁぁぁっ…うっ…」

徐々に意識が薄れていく火野。しかし、大切な仲間の為に負けられないと強く思った時、目が赤く光る。キーエレメンターの発動である。

火野「負けるかあぁぁっ!!」

火野は相手の舐めプ故に自由だった腕で腹部に巻き付いた触手を千切ろうとする。

しかし、千切れるどころかよりきつく締め付けられてしまう。

しかし、火野は怯まず、アーマーを変更する。

火野「電気タイプなら…フライゴン、力を貸して!」

フライゴンアーマーに変更すると、電流は一切流れなくなり、火野に余裕が出来る。

火野「よし、このままぁっ!!」

そう言って力を入れた、その時だった。

 

対馬「ザナティメト、絶縁を破壊せよ。」

その命令を聞いた謎の生物=ザナティメトは、更に大量の電流を流す。アーマーは急に黒ずんでいき、遂に火野に流れた。

火野「うわあぁぁぁぁっ!!あぁぁっ…ぐっ!うっ……」

目は元の色に戻り、力が抜けてしまう。ザナティメトが触手をほどくと、仰向けに倒れ、ぐったりとしていた。

火野「僕は…なんで……誰も守れないの…そのための力なのに……ごめんね、レシ…ずっと一緒にいるって…言ったのに……」

火野の瞳から涙が零れた。

 

所長室。漸く通信設備が回復し(火野と先程つながったのは火野との回線が偶然無事だったからである)、羽剣と東、黒曜に通信を繋ぐ。

月読「羽剣、東、黒曜。出動命令だ。」

羽剣「おっ、通信が直ったんですか!」

東「んで、命令って?」

月読「ハイリンクに行って、火野の加勢に向かって欲しい。」

黒曜「!?火野に、何があったんだ!」

月読「分からない。とりあえず向かってくれ。」

3人「はい!」

 

出動ポート。

羽剣「火野…死ぬなよ…」

東「火野君…一体何が…」

黒曜「ほら、早く行こうぜ!」

羽剣「分かっている…行くぞ。」

 

・羽剣:メタグロス

・黒曜:デンリュウ

・東:クチート

 

ハイリンク。加勢に向かった3人の目に映ったのは、謎の生物と血まみれで倒れた火野、それと遠くから嬉しそうに微笑む男だった。

羽剣「火野…どうしたんだ!火野!?」

羽剣の叫びがハイリンクにこだまする。

火野「は…羽剣さん……」

火野は羽剣に気付き、返答しようとするが名を言った途端に意識を失ってしまう。

羽剣「くっ…火野の救助に向かう!2人は奴の気を引いてくれ!」

東「はい!火野君の為なら私だってぇ!!」

黒曜「気を引く位なら余裕だ!任せろ!!」

2人はザナティメトの背後から同時攻撃を行う。しかし、弾を見ることなく触手で弾く。

東「弾いた!?」

黒曜「嘘だろ…」

そして、満身創痍の火野に止めを刺そうと触手を尖らせる。それと同時にバリアを張り、3人を弾く。

羽剣「くっ…どうすれば…」

尖った触手が火野を突き刺そうとした、その時。

 

?「ったく、貴重な人材だから戦わないで欲しいんだよなぁ〜。」

遠くから飛んできた光の矢は、バリアを貫通しザナティメトの尖った触手を寸断した。

羽剣「!?あれは…」

ハイリンクの木の上にいたのは、背部に翼状の刃があるアーマーを纏った青年だった。

?「さあ、同類を救うとするか!」

続く。




次回予告

次回、ポケットモンスターセイバーズ!
突如として現れたアーマー装着者!
それは、意図せずして訪れた二人目のキーエレメンターだった…

次回、第17話「夢幻の瞳」

以上、次回予告。
次回もお楽しみに。


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17.夢幻の瞳

木の上にいた青年は地面に降り、ザティメトの前に立つ。

?「さて、名乗るのを忘れていたな。俺は光田永留(える)、只のキーエレメンターだ。」

その発言に周囲は騒然とする。

羽剣「二人目の…キーエレメンター……」

永留「ふう、ネガビーストと思ってたら人造ポケかよ!ったく、創った奴は自分が神だとでも言うのか?まあいい、どうせ俺の獲物だからな…ん?」

ザナティメトに大量の光弾が命中する。撃ったのは、木の後ろに隠れていた女子だった。

?「もぉ~、お兄ちゃんで独り占めしないでよ~!」

永留「はいはい、全く紗奈ちゃんは…」

紗奈「さぁて、フルバーストで行くわよ!」

永留「確かに、奴は骨が有りそうだ…行くか!」

紗奈「勿論!」

2人の目は濃いピンク色に光り、妖しいオーラを纏う。

対馬「な、なんだこれは…」

永留「分からんだろうな、生命倫理を乱す貴方にはな!」

2人は目にも止まらぬスピードでザナティメトを切り刻んでいく。30秒もかからず、触手が全て裂かれていた。

対馬「チッ…はははっ、流石キーエレメンターだ!良いデータが手に入った事は感謝しよう、ではこれにて!」

対馬は手に持ったスイッチを押す。すると、対馬とザナティメトの背後に空間の穴が生まれ、両方を飲み込むと塞がった。

紗奈「もぉ~、逃げちゃったよ…」

永留「いや、まず救助だろ…」

永留は、大怪我を負って瀕死の火野に近付く。

羽剣「火野…ごめんな、俺がこんなに弱いせいで。」

永留「羽剣くん…でしたっけ?よけて頂けないでしょうか?」

羽剣「お、おう…」

羽剣が避けると、永留は火野の胸に手を当てる。永留の目はやはり濃いピンク色に変わっていた。

永留「再生促進命令実行、必要エネルギーの譲渡を開始。」

永留の手はオーラに包まれ、火野にオーラが伝わっていく。

東「何それ…」

しばらくすると、永留はオーラを消し、そっと手を離す。その途端、火野は目を覚ました。

火野「…?」

永留「起きたか、元気そうで何よりだ。俺は光田永留、エスパータイプのキーエレメンター。君は確か炎だったよな?よろしく!」

火野「あ、はい…宜しくお願いします。」

永留「さて、同胞助けも終わったし帰るぞ、紗奈。」

紗奈「はーい。」

永留「んじゃ、またa…」

火野「待ってください!」

永留「…何だ?所属の事か?」

火野「…はい。」

永留「じゃ、話が早い。実は俺と紗奈、所属してねぇんだ。ボランティアでやってるだけ。」

紗奈「特殊能力者は狙われるの。だから、普段は隠れてやっている訳。」

永留「じゃ、帰るぞ。」

紗奈「じゃあね~。」

そう言うと、強い光を発し2人は消えた。茫然とする火野の肩を羽剣が叩く。

羽剣「じゃ、戻ろう。」

火野「はい…」

黒曜「そう落ち込むなよ、命あったんだから…」

火野「でも…」

東「火野君、最近疲れているよね?一回休んだら?」

火野「う、うん…」

 

ポート。戻った先で、月読が待っていた。

月読「火野、無茶させてすまなかった。」

火野「ち、違うんです…僕が弱かっただけなんです。」

月読「そうか…君は真面目すぎる。抱え込むのは良くない。」

火野「はい…」

月読「しかし、とんだ復讐を受けた…まさか昼頃に交渉を持ちかけた相手が攻撃してくるとは…」

火野「…!?」

月読「確か対馬とか言うネオクリエーターだった。」

火野「と言う事は…?」

月読「君が戦ったのは、彼らの手で創られた存在だ。早急に抹消しなければ…」

火野「違う!それは違うんだ!!」

火野の強い一言に場は騒然とする。

羽剣「落ち着け、火野!立場を弁えろ!」

火野「羽剣さんごめんなさい…僕に言わせてくれませんか…」

羽剣「あ、あぁ…」

火野「創られた存在だって、命はあるんです。創った人間が悪いだけなのに、害があるから殺すっておかしいですよ!!」

月読「では、どうやって生かす?」

火野「そ、それは…」

慌てる火野の肩に月読は手を乗せる。

月読「君が言いたい事も分かる。しかし、この世界は綺麗事ばかりでは無いのだよ。諦めも肝心だ。」

火野「それでも、それ…ううっ、あっ…くうっ……」

火野は俯き、泣き始めた。

月読「できるかも知れないが、我々がもっと強くならなければな。」

火野はもう返事をする気力がなかった。そんな火野に、東が囁く。

東「火野君、休もうよ。1人で抱え込まないで…」

火野「でも…」

羽剣「一息つけ。考えるの一端止めた方が良いぞ。」

火野「…はい。」

月読「さて、話は終わりだ。各自休んでくれ、特に火野。」

火野「…はい。分かりました…」

 

自室棟。鮫島が火野に近付いてきた。

鮫島「火野、とても疲れてんな。」

火野「い、いや僕は…」

鮫島「可愛いよなぁ、火野は。何事も一生懸命、そしてめげない。でも疲れてんなら休みなよ、俺が代わりに戦うから!」

火野「あ、ありがとう…」

羽剣「じゃ、鮫島宜しく!」

鮫島「おうよ!」

 

火野の自室。火野はベッドに倒れ込む。

火野「これじゃ…僕は誰も守れない…もっと、強くなりたい…!」

そう言うと火野は手を伸ばし、照明の光を掴むように手を握る。

火野「絶対…自分だけにはっ!」

強くなると誓った火野であった。

 

羽剣の部屋。

羽剣は戻ると、レックウザとの会話を始めていた。

 

レックウザ>よっ!お疲れさん。

羽剣>そちらも。連絡出来ずすまなかった。

レックウザ>いいんだよ。俺なんて此処で待っているだけなんだから。それより、

羽剣>それより?

レックウザ>お前の友だち、今どうしてんの?あっ、レシラムの旦那のな。

羽剣>火野の事か?どうやらとても悩んでいるらしいんだよな。

レックウザ>やっぱりな。あいつはとても繊細な奴だとは思ってたら、本当らしいな…。顔は可愛いんだがな…

羽剣>顔は関係ないだろ…

レックウザ>へへっ、だよなぁ…まあ奴のことだから大丈夫だろ!

羽剣>大丈夫か…?

レックウザ>俺分かるんだ、奴はへこたれる奴じゃねぇ、守るものがある限りな。

羽剣>そうか、火野には…だからこんなに無茶を…

レックウザ>確かにあれは無茶だ。休ませるのは正解だな。

羽剣>そっか、じゃ俺は寝るわ。

レックウザ>おやすみ~。

 

羽剣はパソコンの電源を切り、ベッドに飛び込む。

羽剣「火野がいないのか…俺も頑張らないと!」

 

鮫島の自室。強くなっていく火野を羨ましく思いつつ、音楽を聴いていた。

鮫島「しっかし、火野でも勝てねぇのに…俺は強くなれるのか?」

そんな中、鮫島は机に置いていた手紙を取る。それは、以前の任務中に救助したプロメテウス財団の研究者、辻田朔矢からの手紙だった。

内容は、

「先日は救助して頂き、有り難う御座いました。お礼がしたいので、以下の場所へ来て下さい。時間がある時でよいので、来ていただければ幸いです。」

その下には所定の場所の地図が貼ってあった。

 

続く。

 




次回予告


次回、ポケットモンスターセイバーズ!

仲間の提案で休養を与えられた火野。しかし、火野は休養をせず…
一方、礼をすると誘われた鮫島だったが、その条件は裏切り前提だった…

次回、第18話「それぞれ、求める強さ」

以上、次回予告でした。
次回もお楽しみに!


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18.それぞれ、求める強さ

朝、火野の自室。

起きると、早速パソコンを点け、レシラムとの会話を始めていた。

 

火野>おはよう、レシラム。

レシラム>…ううっ…

火野>どうしたの?

レシラム>火野の馬鹿ぁぁっ!うわぁぁん!うわぁぁん…

火野>えっ!?

レシラム>死んだかと思ったよ!本当に、心配したんだよ!?連絡一切よこさないから…ううっ…

火野>心配かけた?ごめん…

レシラム>…今日はどこにも行かないでね…君の予定では外出予定あったみたいだけど。

火野>!?なんで知ってるの?

レシラム>僕は君の事なんかお見通しだよって前に言ったよ?行くんでしょ、光田君の所に。

火野>あっ、そうだけど…

レシラム>…いいよ。但し、連れてってね?

火野>うーん…いいけど、ついて行って何するの?

レシラム>一度キーエレメンターかどうか確かめたいんだ。

火野>そうなんだ…てっきり僕の事が心配なのかと。

レシラム>も、もちろん君の事が心配だからってのが一番の理由だからね!勘違いしないでよ?

火野>じゃ、そろそろ行こう!

レシラム>うん!

 

火野が光田兄の所を訪ねようと思ったのには、訳があった。

火野「僕は、誰かを守る為の力を持っているにも関わらず、上手く使えていない…だから、強くなりたい…強くなりたいんだ!」

決意を胸に秘め、火野は自室を後にした。

 

自室棟。火野は羽剣と出会う。

羽剣「おはよっ!疲れはとれたか?」

火野「はい!でも、休んで良いんでしょうか…」

羽剣「君は頑張り過ぎなんだ。休まないと、大事な…あっ、そうだったな。ま、とりあえず今日は休め。どうせ、休み返上でトレーニングだろう?」

火野「いや、そこまでストイックじゃありませんから…」

羽剣「まあ、なんでもいいや。只、無理すんなよ?一番それが心配なんだからな。」

火野「はい!」

 

ホウエン地方・海底洞窟。

火野「あれ?感応波通信が正しければ此処で合っているんだけどな…」

実は昨日、永留の感応波(キーエレメンターが発する波動のようなもの、但しエレメンター状態でなければ計測出来ない)を専用の機械でキャッチしており、それを拾って海底洞窟まで来ていた。

永留「おっ、火野君か、わざわざ此処まで来て何するんだ?」

火野「昨日はありがとうございました!それと、一つお願いが…」

永留は能力を使用し、火野の言いたい事を察する。

永留「…鍛えてほしいんだろ?」

火野「はい!」

永留「うーん、一回紗奈に頼んだらどうだ?俺は今のあんたの実力で戦うにはキツすぎる。」

火野「で、でも!」

永留「急ぐな。俺は無茶ばかりするあんたのためを思って言っているんだ。」

火野「う、うぅ…」

永留「じゃ、俺の所に案内するぜ。此処でやるのは海と陸、そして空の神に失礼だからな。」

火野「う、うん…」

 

人工島・RTー22。上の島は見せかけで、上の島の階段を下りた所に永留達の拠点がある。

火野「アーマー解除、っと。それで、海底洞窟で何をしていたんですか?」

永留「何って、エレメンター遺跡の調査だ。一件見つけたんだがな。俺もアーマー解除しよ…」

火野「どんな遺跡なんですか?」

永留「地面と水…それらのキーエレメンターの遺跡だ。どうやら2人で行かないと駄目らしいが…。」

火野「グラードンとカイオーガが対になっているから、こっちも対なんですか…」

永留「そう言えば、君のキーエレメンターはどうやって入手したんだ?あれは確か雷のキーエレメンターと一緒の遺跡だった筈だが…」

火野「い、遺伝なんです。母さんからの…」

永留「なるほど、それだと説明がつく…さて、着いたぞ。」

永留は扉の前のカメラを見つめる。

網膜認証が完了し、扉が解錠される。

永留「入るぞ。」

火野「はい、お邪魔します…」

 

人工島・地下。

ホウエン支部から援護依頼が来るようになっており、それに応じて出撃している。

紗奈「おかえりー!」

永留「ただいま。今日は珍しく客がいるぞ、失礼のないように。」

火野「…火野真琴です。先日はありがとうございました。」

紗奈「あっ、昨日の助けた童顔の子!かわいい〜!」

火野「えっ、あっ…」

永留「はぁ…だから困らせるなって言ったのに。」

火野「いや、いいんです…それより僕、強くなりたいんです。だから…」

紗奈「鍛えてって?無論よ!但し、強いけどね?」

火野「構いませんよ!」

紗奈「おっ、童顔の癖にかっこいい事言うのね…嫌いじゃないよ!」

光田兄「…ったく気が早いぞ、お前ら!」

 

一方、鮫島は手紙にあった場所にいた。

鮫島「ふぅ…ここか、噂には聞いていたがやっぱりか…」

プロメテウス財団・メインラボ。このラボの80%はネオクリエイター、新生物創生の研究に使われている。

入り口から1人、研究者が出て来た。

鮫島「貴様…どういうつもりで…」

出て来た研究者は、火野を意識不明に追い込んだ仇敵・対馬始だった。

対馬「お久しぶり、いや初めましてかな。私は対馬始。」

鮫島「一体何の用だ!何故貴様が出て来た!」

対馬「落ち着きたまえ。私は君に礼をしたいだけなのでね。」

鮫島「へぇ、俺の仲間傷つけておいてよく平然と言えるな。」

対馬「んで、礼の件ですが…」

鮫島「スルーかよ…早く言え、俺は忙しいんでね。」

対馬「あなた、力が欲しいのだろう?…キーエレメンターになれる力が。」

鮫島「!?」

思っていた事を出汁にされ、驚く鮫島。

対馬「エレメンター関係は我々も注目している。我々が力を貸してやろう。」

鮫島「マジか…」

対馬「但し、我々の仲間になるのなら。」

鮫島「しかし…」

対馬「力の保証がこちらは出来ている。強くなる保証の無いセイバーズよりいいだろ?」

鮫島「…分かった。本当に手に入るんだな?」

対馬「えぇ、勿論です。」

鮫島「ならば、貴様の下に入る。」

対馬「ふっ、喜んで。」

鮫島(と言っても、形だけだ…力だけ貰っておけば…!)

しかし、これが最悪の結果をもたらす事を彼は知る由も無かった…

 

永留と紗奈の拠点。

火野「うわぁぁっ!?」

攻撃に吹っ飛ばされ、床に転がり込む。

紗奈「はぁ…弱いよぉ〜。」

紗奈は退屈そうに溜め息をする。

一方、上では永留が戦いの様子を覗いていた。

永留「おいおい、この程度か?」

しかし、すぐに理由を察する。

永留「…待てよ?火野、聞こえるか?」

火野「は、はい…痛っ!」

永留「装備アーマーは?」

火野「これですか?ウルガモスですけど…」

永留「そっか、なら性能の問題だな…動きはちゃんとしているのにと思ったらそういう事か…」

永留の一言は、諦めを提案するものだったが、対する火野の反応は意外なものだった。

火野「性能…上等だよ!性能が勝敗を分かつ絶対条件じゃない、誰かを守りたいと言う思いがあれば関係ないんだ!うおぉぉっ!!」

瞳が赤くなり、身体が熱を帯びる。

いつもはこれだけなのだが、この時はアーマーの腕部装甲が展開し、その中から赤熱した皮膚が露出していた。

永留「!?何だ?」

紗奈「待って、暑い!」

何かを察したのか、レシラムがボールから飛び出し永留の隣で浮いていた。

永留「一体、なんだこれは…」

レシラム「エクストラバースト…思いが更に強くなった事で…身体の色を変える程の熱を発している…火野君が危ない!」

永留「マジかよ…ってレシラムが人の言葉を!?」

見られているのも一切気にせず、レシラムは火野に向かって飛んでいく。

レシラム「紗奈さん、邪魔です!」

紗奈「レシラムが!?何でしゃべんのコイツ!?」

レシラム「そんな事気にしないで!速く!!」

紗奈「あ、あぁ…」

驚きつつも紗奈は避ける。

レシラムは一直線に火野に飛び込む。火野は倒れ、仰向けになり、レシラムに両腕を掴まれる。

火野「…レシラム?」

レシラム「手荒で済まないけど…ヒートドレイン!」

レシラムの尾が赤熱すると、火野の体温を吸い始める。

火野「うわぁぁぁ!ううぅぅぅっ…」

火野は苦しみ、もがき喘ぐ。レシラムは涙を浮かべながらも、熱を吸っていた。

レシラム「こんな熱、人に扱える訳ないよ…なんで、こんな力があるの…うぅっ…」

漸く火野を平熱に戻すと、レシラムは手を離す。

アーマーの装甲は閉じ、瞳は元の色に戻る。ふらついているが、火野に意識はあるようだ。

火野「レ、レシラム…?」

レシラムはその一言に安心し、勢い良く火野に抱きつく。

レシラム「良かった…!」

火野「レシラム…止めなくても良かったのに。」

レシラム「だめだよ!火野君、君はキーエレメンターとしての能力を引き出し過ぎて、死にかけていたんだよ!意識あったから良かったけど…」

火野「ぼ、僕が…死ぬ?」

レシラム「そうだよ!僕、怖かったんだからね…うわぁぁん!」

レシラムは火野に泣きつく。

火野「ごめんね…僕が悪かったよ…」

レシラム「謝らなくていいよ…今生きている、それだけで嬉しいんだ!」

2人(1人と1匹)は互いに抱き合った。

永留「俺達の目の前で何やってんだよ!家でやれ…」

紗奈「お兄ちゃん、家ならいいの!?」

永留「良いんじゃねぇの?互いに良ければ。ところで、レシラムとはどこで会った?」

火野「うーん、これ話して良いのかなぁ?」

レシラム「僕としてはお断りだね。」

火野「…との事です。」

永留「へぇ…色々あんのね。」

レシラム「うんうん…うわっ!?」

気付くと、レシラムの腹に紗奈が頭をうずめていた。

紗奈「わぁ〜このモフモフ最高〜!」

レシラム「…まあいっか。」

そんな微笑ましい光景の中、火野はしょんぼりとしていた。

火野「僕は…強くなれないの?…ううん、諦めてたまるか。僕は…ッ!」

拳を握り、新たな決意をする火野に永留が声を掛ける。

永留「おう!かっこいいぞ!!」

火野「永留さん…!」

永留「火野、いいパートナーを持っているな…勿論レシラムの事だ。性能どうのこうの言った俺が悪かった。」

火野「えっ…?」

永留「守るべき者の為に、君は想像以上の力を発揮出来るようだ。但し、今回は力を制御できなかったようだけど。」

火野「はい…」

永留「出来るようにはなったから、制御頑張れよ!」

火野「…はい!」

 

イッシュ地方・チャンピオンロード。

ネガアーケオスが出現し、羽剣・東・黒曜の3人は討伐に赴いていた。

 

使用アーマー

・羽剣:メタグロス

・黒曜:デンリュウ

・東:アシレーヌ←NEW

 

戦いは終始3人が優位に立っていた。

羽剣「へへっ、あの化け物よりは楽勝だぜ!」

黒曜「さて、止めよろしく!」

東「勿論!ひさびさのアーマー技、行使よ!」

東ブレス「アーマー技発動。4ゲージ消費、アクア・シンクロブラスター!」

自分の両側に水の玉が浮く。

東「いっくわよ〜っ!」

固有装備のキャノンを敵に向け、高圧水流を放つ。

同時に水の玉も水流を放ち、合流すると螺旋を描き向かって行く。

誰もが勝ちを確信した、その時。

 

?「シールド展開、水流を遮断する。」

黒い人影が通り、激しい水流を容易く遮断する。

遮断された水流は水しぶきとなり3人に降りかかる。

東「きゃぁぁっ!?」

黒曜「くっ…」

羽剣「うっ…一体誰だ!?」

それに返した声は、まさかの人が発したものだった。

鮫島「誰って?察しろよ…」

なんと、鮫島がネガアーケオスの味方をしたのだった。

羽剣「鮫島!?」

黒曜「うっ、嘘だろ…」

東「どうしちゃったの…?鮫島くん!」

3人がうろたえる中、鮫島は戦いの構えをとる。

鮫島「お前たちはなんで俺の事で驚いてんのかな…俺、お前たちを知らないんだが。まあいいや、お相手願うぜ!」

 

続く。




次回予告。


次回、ポケットモンスターセイバーズ!

プロメテウス財団の手先となった鮫島。
止めを刺そうとするその時…覚悟を決めた火野が戦いを挑む…!
純粋に強くなりたい者と、誰かのために強くなりたい者…今、戦いが始まる!

次回、19話「ぶつかり合う牙」


以上、次回予告でした。
次回も、お楽しみに!


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19.ぶつかり合う牙と牙

どうも、うp主です。
嫁が出るまで剣盾は買いません。
それは置いとき、第19話、どうぞ。


鮫島「さてと、死にたい奴から来い…尻尾巻いて逃げてもいいぜ?」

挑発する鮫島、しかし3人は乗らない。

羽剣「はあ…お前は狂っちまったか、んで今なにしてんだ?」

鮫島「今?財団の下で、ってだけ言っておこうか…」

東「ざ、財団!?」

鮫島「まあ、俺にとってはどうでも良いんだがな…さあて、お前ら逃げねえみたいだし楽にしてやる!」

黒曜「仕方ねえ…戻らないと言うのなら!」

鮫島「君たちを本拠地に帰す気も無いがなっ!アーマー技、行使!」

鮫島ブレス「アーマー技発動。6ゲージ消費…十八聖牙(ワンエイトエッジ)!」

鮫島のアーマーの各箇所が虹色に光る。それと同時に腕から光の結晶の刃が伸びる。

鮫島「ふっ、楽にしてやるよ!」

鮫島が動くと、辺りは眩い光に包まれる。

羽剣「…ううっ…」

 

光が収まる。しかし、3人はなんともない。

羽剣「…!?お前、まさか!」

火野が、盾で鮫島の攻撃を抑えていた。

 

アーマー

火野:ウルガモス

鮫島:シルヴァディ

 

火野「…どうして…あなたは!」

鮫島「何故だ…この刃は、全てを断つ筈…何故!?」

結晶は、光を失い音をたてて崩れる。

羽剣「火野…嘘だろ?まさか、鮫島を…」

火野「確かに鮫島さんは、僕たちの仲間でした…でも、牙を剥くなら仕方ないんです…だから、僕はあぁぁっ!!」

火野の瞳が赤く光り、身体から凄まじい熱気が放たれる。

火野「皆さん、アーケオスはお願いします!」

羽剣「おう!もちろん、死ぬなよ!」

火野「はい、あなたも!」

 

羽剣らは、アーケオスに向かう。

一方、火野は鮫島の前に立っていた。

火野「鮫島さん…今なら戻れますよ…」

鮫島「ふっ、お前らを知らない俺が戻れって?馬鹿だな!」

火野「そうですか…悲しいけど、あなたがそうなら…はあぁぁっ!!」腕部装甲が展開し、赤熱した皮膚が露わになる。

しかし、火野は一切苦しむ様子がない。

鮫島「馬鹿な!?お前は、その力を制御しかねていたハズ!」

火野「鮫島さん…ごめんなさいっ!」

目に涙を浮かべながらも、鮫島に攻撃を仕掛けていく。

鮫島「なんだ、この力は!?」

驚きつつも丁寧にかわしていく。しかし、攻撃する隙を見いだせない。

 

一方、羽剣らはネガアーケオスに対して善戦していた。

黒曜「よし、じゃあ俺が!アーマー技、行使!」

黒曜ブレス「アーマー技発動。5ゲージ消費…メテオライトヴァニッシュ!」

天から一筋の光が剣に降り注ぐ。

光を浴びた剣はリミッターを解除し、巨大な光の剣となる。

黒曜「うおりゃぁぁぁ!!」

光の剣は、アーケオスを両断する。生成されたアーケンのチップは、光の剣にくっつき、光の剣が縮むと黒曜の手のひらに乗った。

黒曜「へへーん、こんぐらい何ともないぜ!」

東「さっ、私達は援護しに行かないと!」

羽剣「勿論!」

 

未だ2人の戦いは続き、より苛烈さを増していた。

火野「やめてください!あなたが欲しかった力は、こんな物だったんですか!?」

鮫島「だから何だ…なんと言うんだ!?」

火野「あなたが力を欲したのは、守りたいものがあったからじゃないんですか!?なのになぜ、それを壊す力を欲している!?」

鮫島「俺は守ろうと思う物なんてない…ただつ…」

火野「うわあぁぁっ!!」

火野は渾身のパンチを鮫島の頬にぶつける。

ヘッドギアには大きな罅が入る。

鮫島「!?」

火野「馬鹿…もういいです。あなたなんて…」

鮫島「…何、帰れって?了解。お前ら助かったな、しかしまた会う時が命日だ!」

そう言うと、鮫島は去っていった。

鮫島の姿が見えなくなると、火野は膝をつき、

火野「ど、どうして…ぐぐっ…あっぐ…」

俯いて泣き始めた。

 

一方、三人は火野を発見する。

羽剣は火野にいち早く近づき、声を掛ける。

羽剣「火野…どうしたんだ?」

火野「…放っておいて下さい。どうせ、僕、なん…うわあぁぁん!!」

一気に泣き出す火野を羽剣は背中をさすり、慰める事しか出来なかった。

羽剣「ふぅ…この頭お花畑野郎…」

残りの2人が、火野に寄ってきた。

黒曜「泣くなよ…」

東「止めてよ黒曜くん、火野くんだって辛いんだから…」

 

PMS・帰還用ポート。

精神的に疲弊している場合、こちらに送られる。

羽剣「じゃ、俺が面倒見るから。2人は報告宜しく!」

黒曜「おうよ!」

2人は、本棟に向かって歩いていった。

 

自室棟・談話室。

羽剣「火野…大丈夫か?」

火野「ぼ、僕は…」

羽剣「強がるな!俺は、本当に大丈夫かと聞いている!」

火野「だ、大丈夫…うっ…」

火野の頬を涙が伝う。

羽剣「ほら、強がってんじゃん…本当の事言えよ。」

火野「…辛いですよ。」

羽剣「…やっぱり、強がっていたんだな。」

火野「だって!」

羽剣「聞きたくないよ、君の屁理屈は…ともかく、本当に休んでくれ。」

火野「でも…」

羽剣「おいおい、お前にはもっと大事な仲間がいるんじゃないか?」

火野「うん…だけど…」

羽剣「はぁ…お前優しい欲張りだな!みんな自分の手で守りたいなんてな…でも、出来ない事だってある。まあ、今はって所だけどな。」

火野「うん…だから、もっと強くなりたい!」

羽剣「おい焦るな、今は休め。特に心の方な。」

火野「…分かりました。」

羽剣「じゃ、俺は黒曜んとこ行くから。後は休めよ!」

 

火野の自室。

火野はパソコンに向かい、例の様に会話を始めた。

 

レシラム>火野くん…悲しいね。

火野>うん…

レシラム>…君は優しいね。みんな守りたいなんて僕には言えない。でも、悲しみでその思いを忘れないでほしいんだ。

火野>…分かっているよ。絶対無くさない、そして成し遂げる。

レシラム>うん…でも、休もうよ。一度距離を取って初めて気付く事だってあるし。

火野>…うん。動きたいけど、我慢するよ。明日はどこにも行かない。

レシラム>分かった。僕は何時でも君の側にいるから。

火野>ありがとう…あれ、僕…うっ…泣いているのかな?…ううっ……

レシラム>どうしたの?

火野>大丈夫、う、嬉し涙だから…君がいる事が、嬉しくて…

レシラム>そう?良かった。じゃ、お休み!

火野>お休み。

 

火野はベッドに飛び込む。

火野「僕は…生きる。生きて、みんなを守るんだ!」

誰より早く、火野は眠りにつくのだった。

 

指令室。羽剣は黒曜と東に合流する。

羽剣「おーい!」

東「羽剣さーん、お疲れ様でーす!」

羽剣「そっちこそ。報告任せっきりですまない。」

黒曜「別に何ともねーし、大丈夫だ!」

羽剣「あっ、どうも…」

東「火野くんは…?」

羽剣「かなり疲れていた。明日は休ませる。無茶して心身を壊されては困るんで。」

東「そう…」

黒曜「ネガビーストが来なければ良いけどな…」

羽剣「そう…だな…」

 

プロメテウス財団メインラボ・ネオクリエイター控え室。

対馬「鮫島様、お疲れ様です。」

鮫島「ちっ…あいつなんなんだ?スペックでは俺が勝っている筈…いや、やはりあの力か。まだ、足りない!」

対馬「鮫島様、何かお望みですか…?」

鮫島「ああ、アーマーの強化を頼む、出力が足りない。」

対馬「あっ、やはりリミッターは不要でしたか…分かりました。後、今回の戦闘データを使用して、こんなのを…」

そう言うと、ポータブルCDプレイヤーに似た機械を渡す。

鮫島「これは…?」

対馬「エレメンタージャマー。エレメンターを発動させる特殊脳波を吸収させる物です。但し、そのタイプのデータを10種族分集めてディスクにしないと使えないのですが…データ収集位余裕でしょう?」

鮫島「強くなる為なら安い物だ。」

対馬「喜んでいただけましたか!」

鮫島「いや、問題は使えるかだからな…喜んだ訳じゃないからな。」

対馬「は…はい。」

 

光田兄妹の拠点。

永留「ふう…」

紗奈「お兄ちゃん!無視しないで〜!」

永留「おっ、済まない。考え事を…」

紗奈「ふ〜ん、つまんないの。」

永留「申し訳ないが大事な事だ…8時まで待ってくれ。」

紗奈「…分かったよ。」

 

続く。




次回予告。


次回、ポケットモンスターセイバーズ!

戦いは、3勢力のバトルロイヤルとなり混迷を極める。
そんな中、「最高生物の創生」が狙いのネオクリエイターは、新たな刺客を送り戦況を掻き回す。

第20話「誰が為の命」

今、証明が始まる。


以上、次回予告でした。
次回も、お楽しみに。


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20.誰が為の命

朝・火野の自室。

火野はレシラムとの対話を始める為起きようとした。しかし、激しい頭痛に苛まれ起きる事が出来ない。

火野「ううっ…僕、疲れているのかな…羽剣さんに連絡するか。」

そう言って羽剣にメールを送ると、火野は再び眠りにつく。

 

羽剣の自室。

羽剣は火野の様子を見に行こうと、準備をしていた。

羽剣「ん?ブレスにメールか、珍しいな…どれどれ…」

そのメールは火野から送られてきた物だった。

羽剣「内容は…体調が悪いので今日は1日寝ます…やっぱりか。昨日も体調良くなかったしな…まあ、ゆっくり休んでもらおう。不謹慎だが丁度良かったしな…」

そう言うと、座っていたベッドから立ち、

羽剣「火野、俺行ってくるわ。俺がお前の替わりになれるか分からない…だけどな、俺にしか出来ない事だってある。任せてくれ…」

そう言うと、いつ任務に呼ばれても良いように支度を始めた。

 

訓練棟。

朝早く、黒曜が鍛錬しに来ていた。

黒曜「もう、火野が無茶しなくても良いように…俺だって!」

そう決心した時、

東「こっくよーくーん!」

黒曜「東!?」

東「早速、張り切ってるみたいだね〜、私もだけど!」

黒曜「んで、訓練に来たのか?」

東「そうなんだけど…ネガビーストの解析が進んで、シミュレーションが出来る様になったんだって。」

黒曜「ふう…漸くバクオングから解放されるのか…」

東「えっ、まだ其処なの!?」

黒曜「まだ有るのかよ!?」

東「私なんか既に最終進化勢を相手にトレーニングしてたわ!置いて行かれるよ?」

黒曜「うっわマジかよ!?最終進化で満足してた…」

東「それ、アウト〜!じゃ、訓練開始よ!」

黒曜「お…おう!」

 

プロメテウス財団・研究者寮。

対馬「おはようございます、鮫島様。」

鮫島「鮫島で良い、敬称は性に合わない。それは兎も角、例のは?」

対馬「例のと言いますと…プロギンの事でしょうか?順調ですよ。昼頃には完成するかと…さて、君にはやってもらいたい事がある。」

鮫島「試せ、ってか?」

対馬「それは問題ない。君には、この生物の捕獲をお願いしたい。」

そう言うと、一枚の紙を渡す。

鮫島「これは…センドラル!?」

対馬「よくご存知で。これの異世界転移能力を手に入れて欲しいって訳です。」

鮫島「…悪くない。しかし、そもそもこの世界に居るのか?」

対馬「確かに、滅多にこの世界にお邪魔しない。しかし、今日は周期上居ると断言出来る。任せた。」

鮫島「ふっ…任されたぜ。ウォーミングアップになるかわからねぇけどな…」

対馬「流石、頼もしい。では私は、仕事仕事〜♪」

対馬が退室すると、鮫島はベッドに座る。

鮫島「力があれば良い…力さえ有れば…!」

そう言うと、腕にブレスを巻き付け寮を後にした。

 

虚無會。

拓人「しかし、財団まで首を突っ込んで来るとは…」

洋子「面倒…ですわね…」

琉聖「まあ良いじゃん!そいつも捕獲すれば!!」

拓人「はあ…あのな琉聖。捕獲したらしたで面倒なんだ、こっちの情報も抜き取られるし…」

琉聖「ちっ…技術屋のなせる技ってか…。」

拓人「良いか、あくまで今回の目的はセンドラルの捕獲だ、余計な事はするなよ?」

琉聖「は、はい…」

 

ハイリンク。

センドラルは、休息の為ハイリンクに訪れていた。

そのハイリンクの木の後ろで、鮫島は様子をうかがっていた。

 

鮫島:シルヴァディ

 

鮫島「へぇ、あれか。流石神だ、風格が凄い…んで、頭部の飾りを見ろと。」

鮫島は目標の頭部の飾りを見る。

現在は紫色に光っているが、休息に入ると光が消えて白くなる。それを鮫島は狙っているのである。

対馬「鮫島くん、そちらはどうでしょうか?」

鮫島「対象は発見した。後は…ん?」

対馬「どうしました?」

鮫島「虚無會が来ている…しかも三幹部揃ってアーマー着ていやがる…例の奴は?」

対馬「それが…なかなか早く完成しましてね。転送しますか?」

鮫島「頼む。」

 

拓人:コバルオン

洋子:エムリット

琉聖:ゲノセクト

 

拓人「あれか…流石神って感じがするな。」

洋子「そうですね…」

琉聖「財団の物は居なそうだな…レーダーには何も写ってないし。」

拓人「さて、捕獲するか…と言いたい所だが、様子を見よう。誰か居るようだしな…」

拓人は木に光弾を撃つ。目標は上手くかわし、地面に降りる。

鮫島「くっ…流石幹部のリーダー格だな。」

拓人「ほう…あなたはセイバーズの方か…確か現在は財団の手先と。」

鮫島「今は関係無い話だ…休息を取ろうとしているあの方に失礼だろ?戦うと言うのなら、外でやるべきでは?」

拓人「ほう、考えればそうか。良いだろう…協力してやる。其方はデータ採れば良いのだろう?」

鮫島「分かった。データ採ったら引き渡す事にしよう。」

拓人「ふっ…言ってみるものだ。」

洋子「偶々利害が一致したってだけでしょうけど…来る!」

上空から衝撃波が降り注ぐ。セイバーズの攻撃だ。

羽剣「お前ら、人の物だけじゃ飽きたらねぇのかよ!」

黒曜「倒されたくて来たんだな?じゃあ、望み通りにしてやる!」

 

黒曜:デンリュウ

羽剣:ボーマンダ

 

羽剣「さて、神様の目の前で汚い争いをするのもアレなので…」

そう言うと、羽剣は片手銃で全員を撃つ。見事着弾するが、ダメージを与える事が目的では無かった。

羽剣「じゃ、一斉退場とするぜ!」

銃の横のスイッチを押す。その瞬間、全員が光の粒となって消える。

 

電気石の洞穴入口。

突然、光の柱が現れ、其処に先ほどの6名が転送される。

鮫島「ちっ…ポート技術の応用か。」

羽剣「御名答!さて、行くぜ。」

黒曜「おう!」

拓人「我らも行くか。」

洋子「そうね、レッツ・エクスターミネート!」

虚無會三幹部はブレスに石板を嵌める。石板は紋章を映し、紋章はそれぞれを通過する。

各アーマーは黒く、禍々しいオーラを放っている。

鮫島「成る程、強化されたか。だがたかが姿を変えただけ、少し試してやるか!」

こうして、3VS2VS1の戦いが始まった。

 

PMS本部。

東は貴水に呼ばれ、テストルームに来ていた。

東「貴水さん、此処で何を…」

貴水「君にやって欲しい事がある…」

そう言うと、一枚のカードを渡す。

東「これは…?」

貴水「ケルディオのアーマーカードだ。火野の父さんが保護していたケルディオが有り難い事に力を提供して下さったんだ。これを君に託そう。」

東「いやいや、私如きで…」

貴水「火野の父さんは火野に託そうと思ったのだが、生憎あいつは火の力を持っているしな…候補だった鮫島はどこへやら。ってな訳で、君に決まったんだ。頼むよ!」

東「…是非!必ずや、私が使いこなして見せます!」

貴水「じゃテストだ、充分戦えるかのね!」

東「はい!」

 

電気石の洞穴。

3巴の戦いは依然と続き、激しさを増していた。

羽剣「おらぁっ!!…くそ、キリがねぇ!」

黒曜「…ヤバいな。」

苦戦を強いられるセイバーズ。しかし、押されっぱなしである訳が無かった。

羽剣「このぉ、負けるかよぉぉっ!!」

羽剣の瞳が水色に光り、風を纏う。羽剣「この速さなら…」

目にも留まらぬ速さで、琉聖に連続で仕掛ける。アーマーにダメージが蓄積し、エクスターミネートモードの副作用でアーマーが弱体化している事も有り、突進で琉聖を飛ばした。

琉聖「うわぁっ!?」

拓人「琉聖、退け!」

琉聖「リーダー、すみません!」

琉聖はブレスから紋章を呼び出し、紋章をくぐって逃走した。

羽剣「深追いは禁物…守りきれ!」

羽剣は自分を奮い立たせ、3名と一歩も引かない戦いを繰り広げる。

しかし、空中から降る光弾が直撃し、地面に倒れ込む。

黒曜「羽剣!?」

羽剣「…くっ、何だあれは!?」

 

空から、巨大な生物が光弾を地面に乱射しながら地面に降りてくる。

鮫島「おっ、来たか…」

目を細める鮫島。

対馬「そうです、これこそ生物の極致…プロギンです!」

 

続く。




次回予告。

次回、ポケットモンスターセイバーズ!

全てを創始の刻へ回帰させる人造神は、人の手を離れ己が成すべき事を成そうとする。
止められるのは只一つ。

第21話「HLSW」

聖なる剣の手綱を握りし者。


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21.HLSW

どうも、うp主です。
Twitter始めました。
URL→https://twitter.com/afuafu_RagiaMK2
小説の更新は此方でお知らせします。
では、21話どうぞ!


電気石の洞穴前。

その存在は、禍々しい前作ザナティメトとは打って変わり、神の如き美麗な存在だった。

対馬「鮫島くん、見ていただきたい…この美麗なる存在、プロギンを!」

鮫島「ふ〜ん、成る程。でもプロギン、何か不満げ何だよなぁ…」

対馬「まさか、そんな事は無いでしょうよ。創造主に反抗する訳が…」

鮫島「なら見ろ…特に目を。」

プロギンは本来青く澄んだ瞳の筈だが、赤黒く濁っていた。

そして、次の瞬間…

プロギン「縛るな…人間如きで!!」

体から大量の光の槍を放つ。鮫島は先に退避していたので無事だったのだが、他の4名はまともに食らってしまう。

羽剣「ぐあっ!?」

黒曜「ううっ…う、うぅ…」

拓人「ちっ…凄まじいな。」

洋子「モードを解除したのが吉でしたわ…撤収しましょう。」

拓人「センドラルは見逃せって訳か…仕方有るまい!」

虚無會の残り二人は、ワープ退避し事なきを得る。

鮫島「…撤収する。」

対馬「何故!?プロギンを置いていくのか!?」

鮫島「手を離れた神の制御はそなたでも出来かねるだろ?それに、優秀な検体の俺を捨てる訳にはいかんだろ?」

対馬「…そう言えば。」

鮫島「忘れていたのかよ…俺は帰るぞ、後奴の観察はあんたの仕事だろ?」

対馬「…分かった。」

鮫島はそそくさと退散する。一方、激しい攻撃の前に防戦一方の羽剣と黒曜。

羽剣「くっ、レベルが上がったアーマーは良いが体力が…持たない!」

黒曜「くっそぉ…」

 

PMS・イッシュ本部、試験室。

東「はぁ…はぁ…」

貴水「お疲れさん、耐久性に問題無し。体力は余ってる?」

東「はい!援護に行きます!!」

貴水「その体力どこから来たんだ…但し、無茶すんなよ?」

 

現場。

羽剣「…あぁっ!」

流れ弾が足に直撃し、地に落ちる。

黒曜「羽剣!?」

羽剣「ちっ…逃げようが無いな…」

立とうとする羽剣、しかし背後から光弾が迫っていた。

羽剣「何!?うっ…」

 

直後、羽剣が見たのは当たるはずだった光弾が真っ二つにされ飛んでいく様だった。

東「羽剣さん、危なかったですよ?」

羽剣「おい!あれ避けられないだろ!第一…東!?」

東「アーマーのチューニングで遅れたの…ごめんなさい。」

黒曜「いや、そうじゃなくて!何だそのアーマー!?」

東「おっ、よく聞いてくれましたぁっ!!これは、なんとケルディオのアーマーなんです!火野の父さんが保護していたケルディオからデータをいただいて…」

羽剣「あーもう!凄いのは分かったから、早くあいつを!」

東「おっ、了解!女だからって…舐めないでよね?」

プロギンは、先程のように光弾を連射する。

しかし、その全ては両断されると雲散霧消する。

東「まあ、神にしては甘いのね?この程度で神と称するなんて、馬鹿げているわ!」

東は一瞬で距離を詰めると、プロギンを斬り刻んで行く。まるで、時間を止めて無双しているかの様に。

東が離れると、プロギンはもはや悲惨な様を呈していた。

東「さて、産まれてきたのは申し訳ないけど…アーマー技、行使します!」

東ブレス「アーマー技発動。7ゲージ消費…メルクトリーム!」

東は瞬間移動に次ぐ瞬間移動を繰り返し、その度にプロギンに斬りつけていく。

そして最後に立ち止まり、剣を振る。

プロギンは微塵に裂かれ、地に溶けていった。

東「くっ…あぁっ!」

東は悲鳴を上げ、うつ伏せに倒れる。

羽剣「おい、東!」

東「下がっ…て…」

そう言った、その時。

ジジッ…パキーン

東のブレスがスパークし、直後に弾け飛ぶ。それと同時にアーマーも解除された。

ブレスを付けていた腕は酷い痣が出来、動かすのもままならない。

東「うっ…」

羽剣「大丈夫か、東!?」

東「うん、腕は痛いけど…あと…」

羽剣「あと…?」

東「疲れたよ…力がまるで出ない…本部まで、運んで…」

羽剣「あったり前だ!黒曜、東を支えてくれ!!」

黒曜「承知した!」

 

PMS本部・ポート。

到着すると、内海が待っていた。

内海「みんなお疲れ様。さっ、東を!」

羽剣「はい!」

内海に東を引き渡す羽剣。

内海「東の事は何とかします。羽剣と鮫島は自室に戻って。」

羽剣「はい、でも東は…?」

内海「大丈夫。あなた達もお疲れでしょうから、休みなさい。」

黒曜「…分かりました。」

羽剣と黒曜は自室棟へ歩いていった。一方、内海は東を背負い治療室へ向かった。

 

自室棟・エレベーター。羽剣は自らの自室に行く前に、誰かの自室に寄っていた。

羽剣「あいつ大丈夫かな…火野、羽剣だ。元気なら返事してくれ。」

しかし、直ぐに鍵が開く音がする。そして、

火野「羽剣さん、僕は大丈夫です!」

羽剣「無事なのか!そりゃ良かった、失礼するぜ?」

火野「はい!」

羽剣は嬉しそうに火野の自室へ入っていった。

羽剣「でさ、何で体調悪かったんだ?」

火野「声が聞こえたんです…励ましているのは分かるんですが、同時に何回も声が聞こえて…頭が痛くなってしまって。」

羽剣「おい、立派なDoS攻撃じゃねーか…」

※DoS攻撃…コンピュータに大量のデータを短時間に送りつける事によって、処理を停止させる妨害行為。

火野「いや、それは違います…自分が苦しめていたって分かったら、謝ってきたんです。」

羽剣「へぇ…兎に角、明日から行けるか?」

火野「はい!行けます!」

羽剣「そっか…安心したぜ!ではまた明日な!」

火野「はい!」

羽剣がエレベーターに乗って見えなくなると、火野はパソコンを起動しレシラムとの対話の準備をしていた。

 

火野>レシラム、朝は話せなくてごめん。

レシラム>ううん、僕は大丈夫だよ。しっかしお兄ちゃんは心配性だなぁ〜。

火野>えっ!?

レシラム>兄って言ってもゼクロムなんだけどね…あんなに急いで励まさなくてもいいのに…

火野>そうだったんだ…何かごめんね。

レシラム>良いって、君は悪くないよ!

火野>あ、ありがとう…

レシラム>さて、明日から心機一転、頑張ろっ!!

火野>はい!では、今日はここら辺で…

レシラム>じゃ、また明日!

 

火野はパソコンの電源を切ると、ベッドに倒れ込む。

火野「負けるもんか…卑怯者になんて…!」

 

羽剣の自室。

羽剣「センドラルの保護は成功したが、戦力が不十分すぎる…火野は突発的な物だし、東さんはシステムがついてこれない…。尤も、皆に着いて来れない俺の言うことじゃねぇ…」

自分の非力を、ただただ嘆くしかなかった。

 

財団の研究所・研究者寮。

鮫島は、対馬と本日の反省をしていた。

対馬「…私が悪かった、とでも言いたいのかい?」

鮫島「当たり前だ。もう少しテストすれば、こうはならなかったはずだ…俺に非は無いぜ?欠陥データを拾ってきたんだからな。」

対馬「そうですか…まあ、ああいう一面を見れた事に免じて許して頂きたいな。」

鮫島「まあな、俺は怒っているわけじゃねーし。」

対馬「…」

鮫島「じゃ、俺は寝るから…邪魔だろ?」

対馬「はい…」

 

虚無會。

琉聖「ちっ…エレメンターの野郎!」

洋子「そう言えば、何気に琉聖君ってエレメンターに会うわよね?」

拓人「まあ、偶然だろ。それより、ボスからまた伝令が…」

琉聖「おっ?」

拓人「…貴様らの居ない内に、この装置を改修しておいた。追加した機能については後日書面で説明するので待て…」

洋子「ふ〜ん…」

微妙な空気になる3人であった。

 

続く。




次回予告

戦線復帰しても尚、火野は自らの力の無さに悩んでいた。
誰かの為に強くなりたい、そんな思いはある一人の男へ導く。
一方、竜の遺跡。
其処には、ある人が力を頂く為に来ていたのだった。
22話「護る者、奪う者」

次回もお楽しみに!


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22.護る者、奪う者

朝、火野の自室。

火野は起きると、誰かが来ている事を察し扉を開ける。

火野「おはよう…東さん!?」

東「おはよう、火野くん…」

火野「だ、大丈夫ですか!?その腕…」

東「実はね…」

東はその境遇を火野に話す。

火野「そうだったんですか…ごめんなさい…ううっ…」

火野は俯き、涙を流し始める。

東「や、止めてよ!私は大丈夫だから…」

火野「僕がいけないんです!…守る為の力はあるのに、上手く使えないから…僕が弱いから…うぅ、うっ…」

対応に困る東、そんな中、

羽剣「ほら言ったろ?行くなって…」

羽剣が入って来た。

東「すみません…しかし!」

火野「いえ、僕が悪いんです…僕が、駄目だったから…」

羽剣「火野…ちょっと来い。」

火野「えっ?…はい。」

羽剣は火野の肩を掴むと、そのまま火野の自室から出る。

東「あー、行っちゃった…」

 

羽剣の自室。

羽剣「火野、優しすぎるぞ。」

火野「えっ、でも…」

羽剣「全部抱え込もうとするな、疲れるだろ。」

火野「でも…」

羽剣「綺麗事は聞き飽きた。後は以…」

火野「待ってください!」

羽剣「?…何だ?」

火野「僕の…相手を、してくれませんか…?僕は、強くなりたいんです…皆さんの…気掛かりにならない為に!」

羽剣「…俺が、お前の相手?ハハッ、俺じゃかなわねぇよ…。永留にお願いすれば?」

火野「永留さんは…相手してくれないんです、僕が弱いから…」

羽剣「何臆病になっているんだよ!強くなりたいんだろ!?」

火野「!…そうですよね、強くなりたいのに、臆病になっては!僕、行ってきます!!」

羽剣「おう、行ってこい!」

 

ホウエン地方・人工島。

火野「僕は…あの人に勝つんだ!」

そう言うと、扉の前に立つ。

火野「大丈夫だ、扉の前で立ってさえいれば…」

火野の予想通り、扉のアンロックを知らせるブザーが鳴る。

それと同時に扉が開く。中で永留が待っていた。

永留「よぉ、久しぶり…でもないか。やっぱり、俺じゃないと駄目か?」

火野「はい、同じ能力を持っている同士でやれば、何か掴めると思ったんです。」

永留「…厳しく行くぞ?」

火野「はい、お願いします!」

永留「覚悟は出来ているな、見んでも分かるぜ。じゃ、ついて来な。」

火野「はい!」

 

人工島・地下3F大ホール。

火野「以前、紗奈さんと戦った所ではないんですね。」

永留「まあな、互いに高い能力を持つ都合だ。前は、お前がそんな力を持っていると思わなくてな…見くびったぜ。」

火野「所で、紗奈さんは?」

永留「エレメンター交流会に出かけているよ、じゃ始めようか!」

火野「はい!」

火野&永留「アーマー・プットオン!」

 

火野:ウルガモス

永留:マフォクシー

 

永留「ふっ、行くぜ!」

火野「はい!」

二人の戦いが幕を上げると、遠距離戦を展開する。

互いに近寄れず、弾幕を張り合う。

火野「くっ、近寄れない…」

永留「ちっ、俺が少し見掛けなかっただけで…成長が早い…!」

先に動いたのは火野だった。エレメンター能力を発動させ、バリアを張りつつ距離を詰めていく。

永留「攻めて来たか…いいねぇ、いいよっ!」

しかし、バリアは途中で消滅する。

すると、

火野「…読めた!」

永留が放つ弾幕を、次々と避けていく。

永留「おっ…!」

火野「行ける…!」

火野は遂に永留の眼前に近づき、

火野「うおぉぉっ!!」

片手銃を瞬時に変形し、斬りかかった。

 

永留「駄目だって…斬りかかる時に雄叫びなんか上げちゃ。」

火野「うっ…くうっ…!」

永留は片手剣を手で掴み、エレメンター能力を発動させて、火野に金縛りを掛けていた。

永留「後、切り札は最後にとって置くものだからな…もう少し学習してから来いよぉっ!!」

剣を掴んだまま、空いている腕で火野の腹部を突く。

火野「うわあぁっ!?…うぅ…」

ダメージが大きく、口からは血が垂れていた。

永留「はい、俺の勝ち。壁にでも寄りかかって休んでろ。」

突いた手を離し、今度は腹部に蹴りを入れる。

火野は飛ばされ、背中を壁に叩き付けられる。

火野「あぁっ…!うっ…くぅ…」

火野は立とうとするが、立てずうつ伏せに倒れる。腹を抑え、痛みに耐えていた。

永留「…やりすぎたか。まあ、こうなるよな…」

火野「まだだ…まだ負けていません…!」

壁に寄りかかりながらも、火野は自力で立つ。

永留「おいおい、口から血なんか出しちゃって…更に戦おうなんて。死にたいのかい?」火野「無論死にたくありません…それに、無茶している訳でもないんですよ!永留さん…見てください、僕の力を!」

火野は全身に力を込める。腕が赤熱し、アーマーは展開する。

永留「ふっ…制御したか。だが、それだけなら!」

火野「これだけではありませんよっ!」

胸部装甲に紋章が浮かび上がる。

すると、紋章から外に向かって結晶が伸びる。

形態変遷が終われば、赤い結晶がアーマーを飲み込んでいた。

永留「まさか、あの力を…」

火野「制御には成功しました、ですが…それだけではありませんよ!」

そう言うと、火野は瞬時に姿を消す。

永留「消えた…!?」

永留が辺りを見回すと、

火野「こっちですよっ!」

火野は永留の背中に蹴りを入れる。

永留「ぐぉっ…やるな!」

火野「永留さん、先程は殴ってくれてありがとうございます、お陰でアーマーの強化に繋がりましたからね!」

永留「なん…だと!」

火野「勝たせてもらいますよ!」

火野は高速で攻撃を叩き込む。

永留は反撃もままならず、膝をつく。

火野「はあ…はあ…、どうですか…僕の…」

永留「ちっ、悔しいが俺の負けだ…但しな、ラティオスでやらなかったと言うハンデがある…負け惜しみだが。」

火野「はい、それに…僕も、体力は…はあ…ギリギリでした。」

永留「とりあえず、能力を使いこなせる点で合格だな。一旦此処で休んでから、出るといい。」

火野「永留さん…ありがとうございます!」

火野は壁に寄りかかり、座り込む。

すると、永留は何かを察する。

永留「おっ…早いな。どれどれ…」

永留は紗奈を見に階段を上る。

火野は自らの拳を見つめて、

火野「そうだ…思いを無くさなければ、僕は…戦える。戦えるんだ…!」

と呟いたのだった。

 

人工島・地下1F。

永留「紗奈、おかえり。」

紗奈「お兄ちゃん、ただいまー!楽しかったよ!」

永留「そっか、それは何よりだ。」

紗奈「ねぇ、頬の傷どうしたの?」

永留は慌てて頬を触る。手に血が付くのを見ると、笑みを浮かべる。

永留「ちっ…あの野郎。やるじゃねぇか…」

紗奈「え、お兄ちゃん何で笑顔なの?」

永留「いや、別に…」

紗奈「嘘だ、何かあったんでしょ?」

永留「隠しても無駄、って言いたいのか?敵わないな…今日、火野と手合わせしたんだ。」

紗奈「へぇ、童顔来ていたのか…結果は?」

永留「負けたよ。あの野郎、判断力だけじゃ説明出来ない強さがあるんだよな…」

紗奈「そっか…で、何処にいるの?」

永留「地下三階にいるぜ…って、どこ行った…」

紗奈「じゃ、行ってくるね!」

永留「迷惑かけんなよ…」

 

鮫島の実家、竜の石碑。

鮫島「ごめんな父さん、俺は強くならなきゃいけねぇ…力は貰って行くぜ。」

鮫島は石碑に手を当てる。すると、石碑から紫色のオーラが発され、石碑の上にはギラティナの形を模した何かが浮遊していた。

?「貴様、力を欲する者か?」

鮫島「はい、ですがまずお名前をお伺いしたいのですが…」

?「そうか、我の名を知る者は人には居なくなったか…我が名はファバノーグ、竜の力を統率する者。貴様は…」

鮫島「鮫島亮です。」

ファバノーグ「鮫島の一族か…我を守る(もる)のに飽きたようだな。良いだろう、貴様には力が有ることは知っている。キーエレメンターの力、持っていくがよい!」

鮫島「い、良いのですか?」

ファバノーグ「ああ、我もこの退屈な世界に飽き飽きしていてな…特例として、試練無しで授けようぞ…!」

そう言うと、鮫島の目へ紫色のオーラが入っていく。入り終わると、鮫島の瞳は紫色に光っていた。

鮫島「ファバノーグ様…恐れ入ります。」

鮫島は感謝の意を口にすると、対馬へ通信を入れる。

対馬「鮫島様、どうしました?」

鮫島「だから様を付けるな…何の試練も無く頂いた。あっちも飽き飽きしていたとかで。」

対馬「ほう…成功、お見事です!」

鮫島「すぐ戻る、俺からは以上だ。」

対馬「はい、通信切りますね…。」

 

PMSイッシュ本部・自室棟。

火野が自室に戻ろうとすると、

羽剣「よっ!お帰り。光田の兄ちゃんから聞いたぜ、格好良かったってな!」

火野「い、いや…まだまだですよ、この程度じゃ、ポケモン達を救うなんて夢のまた夢です…まだまだっ!」

羽剣「お、おう…」

 

火野の自室。

火野はパソコンを起動、レシラムとの対話を始めていた。

 

レシラム>火野くーんっ!!お帰り−!!!

火野>えっ!?ちょ待ってよ…

レシラム>偶には、大袈裟にお帰りって言いたいよ!だって、僕にとって大切な存在だから…!

火野>あ、あぁ…た、ただいま。

レシラム>お帰り、火野君!どう、最近は?

火野>うん、充実しているよ。大変な事は有るけど、君や皆のお陰で戦えているよ!

レシラム>良かった!でも君の事だから大丈夫かな、とは思ったけど。

火野>うん…でも、ちょっと心も痛いよ…鮫島さん…

レシラム>ごめん…悪いこと聞いちゃった?

火野>ううん、これは僕が乗り越えないといけないんだ…でも、つらくなったら手を貸して。

レシラム>当たり前だよ!

火野>ありがとう!じゃ、僕は寝るね。お休み。

レシラム>お休み!

 

火野は、パソコンの電源を切ると、ベッドに腰掛ける。

火野「僕は…生きるんだ、絆を守る為に…」

 

続く。




NEXT

赤き瞳と紫の瞳は相対する…想いと力の争いの中で。
片や戦いを拒み、片や戦いを望む。

23話「神、竜を弄す」

紫の瞳、自らの力が神の手に有ることを知らず。

次回もお楽しみに!


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23.神、竜を弄す

虚無會。

拓人「ふう…」

洋子「どうしました?あなたらしく無いですよ…」

拓人「後日教えるとか言ったが、まだなのか、と思っていたのだ。」

洋子「さあね、ともかく様子見だ。無理に行った所で、あの少年に勝てっこないさ。」

琉聖「ちっ、戦力不足とは歯がゆいな…!」

拓人「ボスの事だ、何か考えはある筈…!」

 

朝、羽剣の自室。

羽剣は起きて早々、準備を進めていた。

羽剣「何故だか知らないが、嫌な予感がするぜ…ん?」

そんな中、ノック音がする。

?「羽剣さん、朝早々失礼します。」

羽剣「火野か?今顔洗っているが、それで良いなら入れよ。」

火野「はい、失礼します!」

 

羽剣「火野、話でもあるのか?」

火野「はい…本当に曖昧ですが…何か、嫌な予感がして…レシラムも反応していたから…」

羽剣「そうか…奇遇だな、俺もそんな気はしていた。」

火野「そうだったんですか…やはりエレメンター同士、通じる事があるのかもしれませんね…」

 

財団・能力観察スペース。

鮫島「…これで14体か、対馬。」

対馬「はい、鮫島様。」

鮫島「もっと強いの居ねぇか…?ヌルすぎるぞ…。」

対馬「ヌルいですか?現段階で最高レ…」

鮫島「もう良い、神の力にはまだ貴様は及ばないからな…同じ力同士ぶつけねぇと鈍っちまうよ。さてと…奴らが送り出すのを待つか。」

対馬「は、はい…」

 

PMS・通路。

2人は訓練棟に向かう最中であった。

そんな中、火野が突然足を止める。気付いた羽剣が声を掛ける。

羽剣「火野…?おい、火野~!」

火野「…!ご、ごめんなさい…」

羽剣「ったく、ぼーっとするな!何か気になるのか?」

火野「はい…え~っと…」

羽剣「鮫島の事か?あいつの事は忘れろ…な?」

火野「忘れられませんよ!鮫島さんだって、何か考えがあったんじゃないですか!?」

羽剣「だが今はどうだ?現に俺らの敵だ!そんな奴の事を気にするのかよ?」

火野「気にしますよ!…悲しすぎますよ、このまま戦わないといけないなんて!」

羽剣「綺麗事は程ほどにしろよ!第一…」

内海「はいはい、二人ともストップ。」

火野&羽剣「内海さん!?」

内海「火野君が言っている事も分かります。しかし、まず目の前の事から。ね?」

火野「す、すみません…」

内海「ううん、謝る事じゃないわ。じゃ、私はやる事があるので。」

羽剣「は、はい…」

2人の仲裁を終えると、内海は去って言った。

火野「羽剣さん…すみません…」

羽剣「お、俺こそ悪かった…じゃ、行こうぜ。」

火野「はい…」

 

訓練棟。

黒曜「よっ、火野!」

火野「あっ、黒曜くん…おはよう。」

黒曜「火野、最近元気無いな…何かあったか?」

火野「だ、大丈夫だよ、あはは…」

黒曜「いや、心配だな…、トレーニング行くのか?」

火野「はい、羽剣さんと行く予定で…」

羽剣「…まあ、そういうことだ。後、火野の事は俺に任せておけ。」

黒曜「お、おう…」

火野「ぼ、僕は大丈夫ですから…心配なく。」

黒曜「わ、分かったぜ…」

 

羽剣「さて、やるか…対人戦。」

火野「僕と、ですか?」

羽剣「あったりめーだ!これから虚無會の幹部や財団の刺客との戦いも多くなる。それに、あんたがどれだけ強くなったか…いや、あんたに俺が付いていけてるかを確かめる為にな。良いだろ?」

火野「…はい!」

羽剣「手加減すんなよ?」

火野「はい…」

羽剣「心配すんな、俺は手加減無いから。手加減を無くさざるを得ないぜ?」

火野「…分かりました。負けませんよ?」

羽剣「おーっし、早速やるか!」

 

訓練棟・対人戦ホール。

羽剣「さ、行くぜ!」

火野「はい!」

二人「アーマー…プットオンッ!!」

 

火野:ウルガモス

羽剣:ボーマンダ

 

火野「メタグロスじゃないんですね…」

羽剣「まあな。火野と違って俺はキーエレメンターじゃない…中石って奴にあげたよ。」

火野「分かりました。行きますよ!」

羽剣「おう、来い!」

2人は、同時に接近し、斬りかかる。

互いの剣の刃がぶつかり合い、火花が散る。

火野「くっ、鍔迫り合いか…」

羽剣「要するに力比べか…勝ったなこの勝負!」

羽剣の瞳が水色に光り、火野を徐々に押していく。

火野「ぐ、うぅっ…」

羽剣「へへっ、力で負ける俺じゃないぜ!」

火野「(…それなら!)」

火野は剣を手放す。それによって羽剣が前のめりになった所を蹴ると、羽剣はうつ伏せに倒れる。

羽剣「ううっ!…やるじゃねぇの。」

火野「剣や銃だけが武器な訳が無いんですよ!」

 

プロメテウス財団・研究室。

鮫島「…始まったか。」

対馬「何が…ですか?」

鮫島「ふっ、この力を漸くまともに試せる…!」

 

訓練棟・対人戦ホール。

能力を発動させている羽剣に対して、火野は能力を発動しないまま互角に戦っていた。

羽剣「おいおい、舐めプはよしてくれ…」

火野「エレメンターは窮地まで取って置くもの…そう簡単には使えませんよ!」

羽剣「マ、マジかよ…」

火野「…!?来るっ!」

火野は羽剣を突き飛ばす。虚空より放たれた紫の光の刃は、火野の背中を斬りつけた。

火野「うわぁっ!!…ぐっ、うぅ…」

ダメージを受け、膝をつく。装甲は裂かれ、隙間から血が垂れる。

羽剣「火野!?」

火野「大丈夫です、僕は。それより…何をしに来たんですか、鮫島さん!」

羽剣「!?」

空間が割れ、1人の男が姿を現す。鮫島「流石に気付かれるか…エレメンターの力、舐めていたものだ。」

 

鮫島:ガブリアス

 

火野「一体、何をしに来たんですか!?」

鮫島「ふっ、力試しとデータ収集…って感じだ。財団の創りモンじゃ、つまらなかったんでね。」

火野「創りモン…?いくら創られた命だって、粗末にしないで下さい!」

羽剣「火野!落ち着け…」

火野「す、すみません…」

羽剣「んで、それ以外は?」

鮫島「特にない。この力、試させてもらう!」

火野「もう貴方は、僕の知る鮫島さんじゃない…なら、手加減する理由は無いっ!!」

火野は剣を拾い、鮫島に突き出す。

火野「羽剣さん…後方支援、お願いします。」

羽剣「はぁ!?俺が?まあ良いけどさ…怒ったお前の怖さを知っているからな…」

火野「黙って下さい…行きますよ!」

羽剣「やっぱ怖ぇ…」

鮫島「んじゃ、楽しむとしますか!」

火野「うっ…うわあぁぁっ!!」

雄叫びを上げ、火野が勢い良く斬りかかる。しかし、軌道を察知した鮫島は難なく火野の腹を殴る。

火野「く…!!」

吹っ飛ばされ、地面に転がる火野。痛みの余り腹を押さえてうずくまっている。

鮫島「おぉ…もうこのレベルの力が…ったく、もっと早く渡して貰っても良かったのだが…?」

鮫島は何かに気付いたのか、右腕を振るう。腕に付いた刃から、紫の光が放たれ、遠くで援護していた羽剣に命中する。

羽剣「ぐはぁっ…」

壁に叩きつけられ、ぐったりとする羽剣。

鮫島「はあ…この程度か…」

火野「まだだ…まだ負けていない!」

火野はゆっくりと立ち、キーエレメンターを発動させようとする。しかし…

火野「くっ…」

一瞬瞳が赤く光ったものの、瞳はすぐに元の状態に戻り、火野は疲れて膝から崩れた。

火野「うぅ…ま、まだ…」

火野は横向きに倒れ、意識を失った。

鮫島「ふう…この程度かよ。さて、あいつ等を自室に転送するか…」

鮫島は火野と羽剣の頬にタグを付ける。

鮫島「転送先、自身の自室…これでよし。じゃあな、強くなったらまた相手するぜ。」

鮫島は本拠地にワープする。同時に、火野と羽剣もそれぞれの自室に転送されたのだった。

 

羽剣「火野…火野!」

火野「…?羽剣…さん?そして、何故僕は自室に…」

羽剣「鮫島の奴だな、転送の設定した所を見ていたからな。」

火野「…うぅっ!」

火野はベッドを叩く。彼の頬を一粒の涙が伝う。

火野「駄目だった…救いたかったのに!うぅっ…うぅ…」

羽剣「泣くなよ!はあ…お前優しすぎるぞ。」

火野「うぅ…ひぃっ…ひっく…」

羽剣「ったく、可愛いよな…真面目で。全部自分で抱え込んじゃってさ…失礼したぜ。」

羽剣は火野の自室から出た。

 

?「ねぇ…火野くん…」

火野「レシラム…何で出てきたの?」

レシラム「もう…黙っていられないよ。君がつらそうなのに、何も出来ないのは嫌なんだ。」

火野「レシラム…ありがとう。君は本当に優しいね。」

レシラム「そんな事無いよ…ん?カードホルダー貸して。」

火野「うん…いいけど。」

火野のカードホルダーを手に取ると、その中から白い無地の、しかし特殊な形をしたカードを取り出す。

レシラム「火野くん、これ借りるね。きっと、君の役に立てる…!」

火野「…はい!」

そう言うと、レシラムはボールに自ら戻る。

火野「あのカード…貰ったのはいいけど、一体何なんだ?」

火野は、カードが何なのか考える事にした。

 

虚無會。

拓人「まだか…」

そう愚痴を吐くと、タイミング悪くボスからのメッセージが届く。

洋子「おぉ、来たわ!」

琉聖「えっと…二体のネガビーストを合成させる装置を創った。其方にダイノーズとダストダスを送った、これを実践して欲しい、って。」

拓人「合成か…カムフラージュはやったが…それ以上は当然…面白くなったな!」

洋子「そうね。あの子供達に一矢報いられるなら…!」

 

続く。




ポケットモンスターセイバーズ第23話、いかがでしたか?
次回予告

希望は刹那の内に砕かれ、残るは血に濡れた弱き命。手を伸ばそうにも光には届かず、地に這うのみ。
第24話「届かない思い」
赤い瞳は、魔の巨神に届かず。

次回も、お楽しみに。


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24.届かない思い

どうも、宙の空響く声です。
執筆一周年です(笑)
今後も宜しくお願いします。


深夜・火野の自室…プレミアボール内。

レシラム「…やっぱり。データを入れる空白がある…僕は、火野くんとより強く繋がれるんだ…これで!」

レシラムはカードを両手で無地のカードを掴むと、

レシラム「はあぁぁぁっ…!」

両手に力を込める。カードの枠内は赤く色づき、全てのデータの移動が完了すると、眩い光を放つ。

レシラム「よし…!」

光が消えると、カード右端の突起に「L」の印字が施されていた。

レシラム「データは入ったけど、ブレスに入らない…力になれないの?僕は…」

レシラムは溜め息をつくと、すぐ眠りにつく。

 

早朝・火野の自室。

火野はいつもより遅めに起きると、急いで準備を始めた。

火野「いけない、10分とは言え寝過ごすなんて…!準備を急がないと!」

火野はいつもより早く準備を終えると、パソコンに向かう。

 

火野>おはよう、レシラム。

レシラム>おはよー!火野くん!

火野>で、カードは?

レシラム>カードケース見て!

火野はカードケースを開ける。そこには、白枠にLの字が刻まれた、カードが入っていた。

火野>レシラム…これって…?

レシラム>僕のデータを入れたんだ。僕も君の力になりたくて…

火野>ありがとう。

レシラム>…え?

火野>え?僕が怒ると思った?

レシラム>うん…

火野>僕も、そんな気はしていた…君の力がこのカードに宿るかも、ってね。だから、何の問題も無いよ。ありがとう!

レシラム>…うん!

火野>でもこれ、ブレスに入らないね…

レシラム>そうだよね…

火野>僕は弄れないからな…これ、借り物だし…貴水さんに聞かないと。

レシラム>そうだね、じゃあまた!

火野>うん、今日も1日頑張るよ!

 

火野はパソコンの電源を切ると、自室を後にした。

火野「レシラムの力、使わなくてもいい事を願いたいよ…でも、いつか使う必要に迫られる日が来るはず…僕も頑張らないと!」

 

自室棟・エントランス。

エレベーターのドアが開くと、火野は羽剣が居る事に気付く。

火野「羽剣さん、おはようございます。」

羽剣「おう、火野!元気か?」

火野「はい、問題無しです。背中の傷も治ってくれましたし!」

羽剣「えっ、もう治ったのかよ…お前は若いよな。」

火野「いやいや、貴方と二年しか違っていないですよ!?」

羽剣「おっ、そうか…それにしても財団のやつ、一体何の用で…」

火野「鮫島さん…」

羽剣「それは兎も角、虚無も退いた訳じゃ無いからな…あいつら最近音沙汰ねぇから余計注意すべきだ。」

火野「そうですね…それに、拉致されたポケモンを救わないと!」

羽剣「だな!」

火野「では、また…」

羽剣「おっ、忙しいのか?」

火野「はい。貴水さんに用がありまして…失礼します。」

羽剣「頑張れよ、無理しない位にな!」

 

研究室。

火野「失礼します、貴水さんは…」

貴水「よっ、火野~あんまり顔見せないから心配したぞ。」

火野「すみません…忙しくて。」

貴水「だよな、大怪我したりエレメンターとして覚醒したりな…所で、何の用だ?」

火野「はい…」

火野はブレスを外し、台の上に置く。その後、レシラムのアーマーカードを隣に置く。

貴水「ほう…そう来ましたか。」

貴水は目を細める。

火野「これですが…」

貴水「分かっている、ブレスを改造しろって訳だろ、だが必要無いんだな、これが。」

火野「…どういう事ですか、それは?」

貴水「生憎、俺にはそれを言う権利が無いんだな…まあ、聞くまでも無く分かると思うがな。」

火野「分かるって…」

貴水「俺も思ったんだよな…これ分かるのかって。生憎そっちの父さんが考える事だから…」

火野「…」

貴水「俺から言える事は以上だ…すまんな。」

火野「いえ…ありがとうございます。」

 

虚無會。

拓人「ほう…上出来だな…!」

洋子「しっかし、毒+鋼岩となると地面が気掛かりね…」

拓人「ボスの考えだ、浮遊でも積んでくれているだろう…」

琉聖「いや、浮遊してないなこれ…ダイノーズとダストダスでどうするんだか…」

 

PMSイッシュ本部・通路。

火野「聞くまでもないって…僕が知っている事なのか…?」

東「ひ~の君♪」

火野「うわぁっ!?東さん…?」

東「どうしたの?さっきまで難しい顔して。」

火野「い、いや…これは僕の問題で…」

東「ふ~ん、じゃ当ててみようか。気になってる人、いるんでしょ?」

火野「すいません…僕、そういうの疎いので…」

東「なら、自分の力不足とか?」

火野「…!」

東「図星らしいね。」

火野「はい…」

東「…ったく、火野君って真面目ね。」

火野「そんな事ありませんよ…」

東「そう?じゃ、またね。」

火野「はい。…!?」

ブレスに通信が入る。

火野「ネガビーストか…東さん!」

東「こっちも来たよ!」

 

指令室。

羽剣「アーマー装着者、全員揃いました。」

内海「よし、では今回の事態を説明する。ネガビーストが二体、ダイノーズとダストダスが出現した。討伐に向かってほしい。」

全員「はい!」

内海「では各自、準備を!」

 

出撃ポート。

羽剣「火野、アレは?」

火野「聞いてみましたが、貴水さんからは言わなくとも分かると…」

羽剣「そっか…だとして、敵は倒さなきゃな!」

火野「はい!ところで、東さんは?」

羽剣「ブレスは新造してもらったし、腕の傷も治ったってさ。」

火野「良かった…僕も負けてられない!」

 

火野:フライゴン

羽剣:ボーマンダ

黒曜:ドリュウズ

東:クチート

 

タワーオブヘブン・最上階。

羽剣「おっ、早速目の前に!」

火野「どっちにしても僕らに逃げ場は有りません、行きましょう!」

黒曜「火野、格好いいぜ!俺と東はダストダスの相手をする、火野と先輩はダイノーズを!」

火野「はい!」

東「さて、行きますか!」

 

プロメテウス財団・研究者寮。

鮫島「さて、観察と行こうか。レシラムの事は虚無にリークしたが、どう動くか…」

対馬「おっ、鮫島様。例の観察ですか。」

鮫島「まあな…予感でしかないが、面白くなりそうだ…」

 

火野「うわぁっ!?」

ダイノーズのビットの突進を喰らい、吹っ飛ばされる。

羽剣「火野!?」

火野「だ、大丈夫ですよ…この位ッ!」

火野が投げた片手剣がビットを撃ち落とす。

羽剣「おっ、そう来たか!俺もッ!」

次は羽剣が、ビットを片手銃で狙い撃つ。見事当てて撃墜させた。

火野「止めは僕が刺します!」

羽剣「おう、任せた!」

火野「アーマー技、行使します!」

火野ブレス「アーマー技発動。5ゲージ消費…エンジェルコーラス!」

ネガダイノーズを閉じ込める様、砂嵐が吹き荒れる。

しかし、ネガダイノーズはこれを逆回転する事により相殺する。

羽剣「おい、マジかよ!?」

火野「だとしてもぉぉぉっ!!」

火野はネガダイノーズに斬りかかる。アーマー出力が上がっていたため、辛くもネガダイノーズを切断する。

火野「はぁ…はぁ…、…!?」

しかし、ネガダイノーズは動きを止めただけで、チップに変化しない。羽剣「おいおい、どういうことだ…?」

 

一方、東と黒曜。

東「相手の攻撃は無効だけど…!」

黒曜「なかなか近寄れねぇ…ッ!」

ネガダストダスは、毒液を大量に放射する。その水圧故、2人は近付けずにいた。

東「うっ…!こうなったら、一気に畳みかけるよ!」

東ブレス「チップ、レディ…」

東「久々のメガ進化、行くわよっ!」

東ブレス「メガ・レヴォリューション!…竜滅のメタルファング!メガ・クチート!」

メガ進化後、間髪を入れずファングギアを投げる。

見事ネガダストダスに命中させ、倒すもチップに変換されない。

東「え…?どういう…」

黒曜「何がどうなってんだ…!?」

ここで、火野があることに気付いた。

火野「…瘴気?それも全く同じ…まさか!?」

二匹の体から瘴気が延び、混ざり合っていく。

羽剣「おいおい…アリかよ!?」

瘴気は完全に混ざると、周囲に余計な瘴気を放出する。

其処にあったのは、ダストダスとダイノーズが混ざった人型の何かだった。

黒曜「何だよ、アレ…」

東「まさか、合体なんて…」

驚いている相手をよそに、人型の何かは呟く。

ー 我は滅ぼす。我を産みし世を ー

 

虚無會。

拓人「ほう…合体したか…!」

洋子「しかし、エネルギー利得が25倍強とは…中々のものだ。」

拓人「さて、力を見せ付けてやるのだっ!」

 

羽剣「力が…増している!?」

黒曜「しっかし馬鹿だな!地面8倍ならこっちのもんだ、アーマー技行使!」

黒曜ブレス「アーマー技発動。5ゲージ消費…砂刃裂旋!」

砂嵐を自身の周囲に発生させると、左腕についた槍を頂点に円錐が出来る。

黒曜「へっ、今更悔いても遅いっつーの!」

砂嵐に包まれ、猛スピードで敵に左腕を突き刺した。

 

黒曜「…効いていない!?」

確かに黒曜の一撃は敵には当たった。しかし、敵はどういう訳か無傷だったのである。

黒曜「何だよ…何なんだよ!」

人型の何かは、槍を右手で掴み黒曜ごと空中へ投げ飛ばす。

そして、左腕から毒液を放つ。毒の奔流は黒曜を飲み込み、地面に叩きつける。

黒曜「うっ…ぐはぁっ!」

黒曜ブレス「耐久力の限界です。アーマーを解除します。」

アーマーは光の粒となり、消滅する。

羽剣「黒曜!!?」

黒曜「せ、先輩…これは撤退だ…俺達でどうにか出来るシロモンじゃねぇ…」

羽剣「だが、アイツは今倒さな…」

次は羽剣と東が毒の奔流に飲まれる。壁に叩きつけられ、二人ともアーマーが解除されてしまう。

東「きゃぁっ!?」

羽剣「ぐっ…うっ…」

火野「羽剣さん!?東さん!?」

人型の何かは残った火野を指さすと、

ー 来てもらおう、我の為に ー

こう呟く。

火野「仲間を傷つけておいて…なんでそれが言えるんですか!?」

火野の怒りが頂点に達し、火野の瞳が赤く輝く。

火野「もう知りません…あなたがどうなろうと!」

火野は人型の何かに果敢に立ち向かう。

互いに実力は互角、どちらの攻撃も当たらない状況が続く。

しかし、人型の何かの行動により均衡が崩れる。疲弊し立てずにいた羽剣に向かって、毒液弾を放ったのだ。

火野「しまった!?間に合ってくれ…!」

火野は剣を毒液弾目掛けて投げる。毒液弾に当たり、毒液弾ははじける。幸いにも、はじけた毒液に羽剣が当たる事は無かった。

羽剣「火野…ありがとな。」

火野「よ、良かった…!?」

毒の奔流に捕らわれる火野。

火野「うわぁぁっ!?…うっ…うぅ…」

羽剣「火野!?」

何とか振り解くも、体力を激しく消耗し膝をつく。意識も遠退いていく。

火野「はぁ…はぁ…まだだ、倒れるわけには…」

人型の何かは、黒曜に銃を向ける。

黒曜「ちっ…万事休すか!」

人型の何かは、毒液弾を放つ。

黒曜「くっ…!?」

東「黒曜君!!」

 

 

毒液弾は直撃し、毒液を撒き散らす。しかし、そこにいたのは黒曜では無かった。

火野「…良かった、間に合って…」

火野はそう言うと、うつ伏せに倒れる。ブレスが破損した為か、アーマーは解除されなかった。

ー ふっ、この程度か… ー

人型の何かはそう言い残すと、毒霧を撒き、姿を消す。しかし、それを気にする者は誰一人居なかった。

東「火野…君、どうして…」

黒曜「なんでだよ…おい!」

羽剣「火野…この、馬鹿野郎!!」

 

続く。




次回予告

勇ある少年を救えるのは唯一匹。白き竜がそれを成し、少年に新たな力を開花させる。
それは、闇を祓い天照す炎。
25話「英雄、覚醒」

次回も、お楽しみに。


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第三章 ー英雄達の覚醒ー
25.英雄、覚醒


PMS本部。

火野の命に別状こそ無かったが、体力を消耗していた。

羽剣「くそっ、あの馬鹿…」

東「私たちが弱かったから…火野君、ごめん…」

羽剣「俺達もまだまだ…しかし、あれをどうすれば!」

黒曜「火野…俺は…」

アーマー装着者の面々が暗い空気になる中、突然全員のブレスが鳴る。しかし、ネガビースト出現の通知では無かった。

 

司令室。

羽剣「はぁ!?虚無の脅しだと!?」

内海「えぇ、それもなかなか恐ろしい物よ。」

東「それで、その内容って?」

月読「とあるポケモンを渡せ、すればネガキマイラを分解する、というものだ。」

黒曜「ネガキマイラって、あのやけに強かった奴?」

月読「しかし、そのポケモンが特殊なものでな。今、我々の中に持ち主が居るかどうか…持ち主だけで来いとは言われていたが…」

羽剣「すみません。俺…心当たりがあるんです。」

月読「ほう…」

羽剣「レシラム…でしょうか?」

月読「…何故分かった!?」

羽剣「火野が、持っているんです…」

月読「火野が…回復し次第…」

羽剣「いや、応じないと思います…」

月読「此方も対策をとらないとな…」

 

謎の空間。

見渡す限りの暗闇、火野はその真ん中で佇んでいた。

火野「此処は…早く皆さんの所へ…!?」

突然光が広がり、闇に覆われていた真っ白な空間が姿を現す。それと同時に、火野の目の前に1人の少年が姿を現す。白くて長い髪、青い瞳…火野には見覚えがあった。

火野「あなた…もしかして?」

?「そう、僕だよ。驚いた?」

火野「そりゃそうだよ…所で此処は?」

レシラム「うーん、説明し辛いな…まあ、精神世界って所かな。僕が何故この世界で人間なのかは分からないけど。」

火野「えっ、じゃ僕は…?」

レシラム「寝ているよ、体力を消耗してね。ってか、心配したんだよ!」

レシラムは火野に抱きつく。目に涙を浮かべて。

レシラム「死んじゃうと思ったんだよ!!」

火野「う、うん…」

レシラム「まあ…生きてたから良かったけど。」

火野「ごめん…」

レシラム「もう…」

火野「えっと…レシラム?」

レシラム「えっ?…!?」

突然、火野は強くレシラムを抱く。

火野「もう…絶対離れない、何処へも一緒だよ。」

レシラムは顔を赤くして、

レシラム「も、勿論だからね!」

と火野の頭を撫でる。

その時だった。

火野のブレスが光を放つ。ブレスは白くなり、側面には「L」の字が刻まれていた。

火野「こ、これって…」

レシラム「わ、分からないよ!だけど…」

火野「うん、確かに…」

レシラム&火野「僕たちの心が、繋がった気がしたんだ!!」

 

PMS、治療室。

火野「はっ!…ゆ、夢…?」

火野は手首を恐る恐る見る。ブレスは外されており、手首には巻いていた跡がついていた。

火野「そうだよね、やっぱり夢だよね…ん?」

ノック音がする。

黒曜「火野、起きてるか…?」

火野「あ、はい…起きています。」

黒曜は戸を開け、火野の隣に座る。

黒曜「火野、俺…」

火野「ごめん、黒曜君…」

黒曜「火野…?」

火野「心配かけちゃったよね、本当にごめん…」

黒曜「い、いや…謝るなよ。それと、お前に聞きたいことが…」

火野「えっ…僕に?」

黒曜「虚無が、お前のレ…」

火野「渡すもんか…!」

黒曜「だ、だよな…」

火野「当たり前だよ、大事な仲間の手なんて…何があっても離しちゃいけないんだ…!」

黒曜「んでも、お前1人で来いって…」

火野「僕1人でやる。」

黒曜「おい、無謀だ!お前1人で…」

火野「良いからブレスを寄越して!これは、僕の戦いなんだ…」

黒曜「お、おう…」

黒曜はブレスを渡す。火野がそれを腕に巻きつけると、急いで治療室を出ていった。

 

通路。

東は火野を見つけ、声をかける。

東「火野くーん!」

しかし火野は、

火野「東さん、ごめんなさい…今、急いでいて…」

と言うと東とすれ違い、司令室へ向かっていった。

東「火野君…」

 

司令室。

火野「内海さん、遅れてすみません…」

内海「火野!?大丈夫なの!?」

火野「はい、大丈夫です。それと、虚無の件ですが…」

内海「レシラムは…?」

火野「無論です、僕がキマイラを倒します。」

内海「そんな、無茶だわ!第一、あなたの力で…」

火野「分かっています!無茶な事くらい…でも、行かせてください…必ず、帰りますから。」

内海「火野…しかし!」

月読「行かせてやれ、男の覚悟に水を差すな。」

内海「…行きなさい。」

火野「内海さん、月読所長、ありがとうございます!」

話が終わると、火野は司令室を急いで出た。

直後、黒曜から話を聞いた羽剣が司令室に入る。

羽剣「所長、火野は!?」

月読「生憎、1人で行った。」

羽剣「あの馬鹿…」

月読「しかし、信じてやろう。我々にはそれしか術は無い。」

羽剣「ちっ…」

 

タワーオブヘブン、最上階。

拓人「暇だな…ん?」

ネガキマイラの正面に、火野が現れる。

拓人「ほう、まさか君だったとはね…」

火野「だから何ですか…?」

拓人「まあいい。さてと、君の目を見るに戦うつもりだな?それほど死にたいのか?」

火野「死ぬ積もりなんてありません…貴方を倒すだけです。」

拓人「ほう…それならネガキマイラを倒してから言ってほしいな!」

拓人が指を鳴らすと、ネガキマイラは臨戦態勢に入る。

火野「ごめん、いつも迷惑かけて…でも、今は手を貸して…ウルガモス!」

火野は、ブレス側面のスイッチを押し、アーマーを纏う。

拓人「さて、私は見物としますか…」

火野「行くよ…ウルガモス!」

 

PMS・司令室。

モニターには火野とネガキマイラの戦う様子が映っていた。

羽剣「何で火野を一人で行かせたんですか!?月読さん!!」

月読「…」

羽剣「俺、助けに行きます!放って置けません!」

月読「無理だ、結界が…」

羽剣「だったらなんで行かせた!?」

月読「…」

 

火野はネガキマイラに押され、防戦一方だった。

火野「き、きつい…!くっ!?」

疲弊し、膝をつく火野。ネガキマイラは攻撃のチャンスを見逃す筈も無く、毒の奔流で火野を捕らえ、地面に叩きつける。

火野「あぁっ!!…うっ…」

火野はアーマーを解除され、地面に倒れる。

拓人「ふっ…いい加減、諦めて渡し…!?」

火野のブレスが光を放つ。

火野「まだ…まだ終わっていない!!」

火野はゆっくりと立ち上がると、ブレスに手を当てる。

火野「僕は…守らなくちゃいけないんだぁっ!!」

光は溢れ、火野の身体を包み込む。

拓人「なんだ…これはっ!?ぐっ…」

光が収まると、ブレスはあの空間で見た形になった。

火野「レシラム…力を貸してくれるんだね!行くよ…!!」

火野はカードケースから光り輝くカードを取る。そして、ブレスに挿した。

火野「アーマー、プットオンッ!!」

火野は側面の起動スイッチを押す。

拓人「やらせるか…行け!!」

ネガキマイラは毒の奔流を放つ。しかし、突如広がる光に押し返される。

拓人「ちっ…!?」

光が収まった時に拓人が見たのは、髪が白くなり、瞳が澄んだ青色に染まった火野と、その後ろにいるレシラムの形をしたエネルギー体だった。

拓人「…何だ一体!?」

火野「これは、僕とレシラム…二人の絆の力だぁぁっ!!」

レシラムの形をしたエネルギーは火野に覆い被さり、アーマーとして形成されていく。そして、アーマーの装着が終わると光を放つ。

 

PMS・司令室。

この一部始終を見た三人は、呆然とした。そして、一番最初に口を開いたのは、羽剣だった。

羽剣「火野が、まさかあんな手を持っているなんて…へへっ、あんたには敵わねぇな…!」

 

拓人「ちっ…やれ!」

ネガキマイラは毒の奔流を放つ。しかし、火野はそれを左手で掴むと手前に引き寄せネガキマイラを殴る。

ネガキマイラは凄まじい勢いで吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられる。

拓人「ば、馬鹿な…こんな事!」

火野「これでもまだ一割以下だ、行くよっ!」

火野は右腕を一を書くように動かす。軌跡は光り、剣を生じさせる。

火野「フライゴン、お願い!」

剣のスロットにフライゴンのアーマーカードを挿す。スロットを押すと、剣の刀身が砂嵐を纏う。

火野「行くよっ!」

火野が剣を振るうと、砂嵐は巨大な剣を形成し、ネガキマイラを切り裂く。

拓人「なんだこの力…!」

火野「貴方には分かりませんよ…!心は一つだといつでも感じられる…そう思えば、不思議と力はみなぎるんですよ!!」

火野はブレスのアーマー技起動スイッチを押す。

火野ブレス「アーマー技発動、10ゲージ消費…エクス・ブレイジングトゥルース!」

火野の両腕に、炎の剣が形成される。

火野「うおぉぉっ!!」

火野は敵に猛スピードで接近し、連撃を叩き込む。

 

ー 何故だ…この我が…! ー

火野「これは、僕とレシラムの…絆だあぁぁっ!!」

火野は一度下がると、ネガキマイラに再接近し、すれ違いざまに切り裂く。

ネガキマイラの胴体は、「X」の字に切り裂かれていた。

拓人「何!?しかしこの程度…!?」

ネガキマイラは爆発を起こす。ネガキマイラがいた所には、二つの…ノズパスとヤブクロンのチップが落ちていた。

火野「…勝った?」

拓人「ちっ…撤退だ!」

火野「!?待って!!」

拓人は、姿を消した。

一方、火野は疲れて仰向けに転がる。しかし、笑顔を浮かべて。

火野「レシラム、僕は君を守れたんだ!僕にも、守る力があったんだ!」

そう喜ぶ最中、羽剣が火野の近くに降り立つ。

羽剣「火野!?大丈夫か!!」

火野「羽剣さん!?なんでここに…」

羽剣は、疲弊した火野に肩を貸す。

羽剣「当たり前だろ!?お前の事だから、余計に心配だったんだ!!この、馬鹿野郎!」

火野「ご、ごめんなさい…」

羽剣「とは言え、お前すげーな!!伝説のポケモンのアーマーだなんて!」

火野「い、いや…これは…その…」

羽剣「それにしても、お前…途中絆絆言っていたよな?俺痛すぎて見ていられなかったぞ!!」

火野「止めて下さい!それ、僕も恥ずかしいです…!」

火野は赤面する。

羽剣「ははっ、お前可愛いな!でも、それが有ったから勝てたんだろ?誇っていいんじゃねーか?」

火野「は、はい…」

羽剣「じゃ、帰ろうか!」

火野「はい!」

 

PMS・帰還用ポート。

火野が戻ったポートには、東が待っていた。

東「おっ、お帰り!」

火野「た、ただい…」

東「聞いてないよー!火野君にそんな友達がいるなんて!!」

火野「あっ、その…ごめんなさい。」

東「まさか、私を遠ざけていたのって…!」

火野「ち、違います!別に、僕は遠ざけるなんて…」

東「まあ、いいわ。いずれその座を…」

火野「ごめんなさい、僕用事あるんで。」

火野は足早に去った。

東「え!?ちょっと待って~!」

 

研究室。

火野「すみません、貴水さん…」

貴水「おっ、話は聞いているぞ。お疲れ様。」

火野「は、はい…」

貴水「んで、ブレスは?」

火野「それが…」

ポートに着いた際にブレスは元通りになっていたのだ。

貴水「…しゃあねぇな、研究は止めだ。絆とか奇跡とか介入して夢を壊したくないし。」

火野「いや、僕は別に大丈夫ですけど…」

貴水「まあ、どっちにしろ研究出来るかも分からんし。後はゆっくり休めよ!」

火野「はい!」

 

火野の自室。

いつも通りパソコンを点け、レシラムとの対話を始めた。

 

レシラム>お疲れ~!そして、ありがとう!

火野>いや、こちらこそだよ!君が居てくれたからね。

レシラム>やっぱり、僕達は最高のコンビだね!

火野>いやいや、まだまだこれからだよ!

レシラム>所で、そろそろクリスマスだよね?角と赤いボール着けて来ようかな…?

火野>えっ、それって…

レシラム>君は…お察しだよね。

火野>いやいや、恥ずかしいよ…

レシラム>ふーん、似合うと思うんだけど…まあいいや。一応、人間の言葉話せるし、みんなとお話したいな~。まあ、パソコン経由で話すのは君の自室のスペースを割きたくないだけなんだけど。

火野>そうなんだ…でもやっぱり衣装着るの恥ずかしいな…!

レシラム>えぇ…嫌?

火野>うーん…帽子だけなら、何とか…

レシラム>じゃ、そうするよ!

火野>じゃ、僕はこれで。お休み!

レシラム>お休み~!

 

数日後・クリスマス。

自室棟・エントランスにて。

羽剣「火野の奴、おっせーな…」

東「なんか準備しているんじゃない?火野君は遅れるような人じゃないし…ん?」

噂をすればなんとやら、火野が急いで来た。

火野「はあ…はあ…ごめんなさい、遅くなりました。」

黒曜「火野、遅いぞ!何やってんの!?」

火野「す、すみません…」

羽剣「まあまあ、全員揃ったし。互いに話す事も無かったから、束の間の休息といきますか!」

 

ヒウンシティ・外周。

メンバーにとって、討伐以外での外出は久しぶりの事だった。

 

羽剣「さて、後は各自自由って事で!但し、ネガビースト出たら強制終了な!」

黒曜と東は喜んで行きたい所へ行く。

一方、火野はぼーっと空を見ていた。

羽剣は火野が気になり、声を掛ける。

羽剣「おーい、火野!何してんだ?」

火野「す、すみません!」

羽剣「い、いや謝る事じゃねぇよ…それより、何で空を見ていたんだ?」

火野「今頃みんな無事かな、って……うっ…」

火野の頬を、一筋の涙が伝う。羽剣は、火野の肩を優しく叩く。

羽剣「ったく、お前って優しいよな…俺なんかあっちでなんとか上手くやってんじゃねーかって考えてるよ。」

火野「そうなんですか…」

羽剣「しっかし幸せ者だよな…火野のポケモンは!何時でも主人が心配してくれて!」

火野「い、いや…そんな…」

羽剣「ま、元気だせって。いずれ俺達の手で取り返すんだからな!」

火野「…はい!」

火野は涙を拭うと、リュックに入れていたプレミアボールを空高く投げる。

レシラム「もう…湿っぽい話は止めようよ!」

レシラムは旋回しながら地上に降りる。

羽剣「しゃ、しゃべった!?」

レシラム「へへっ、ポケモンだからって侮らないでね!」

羽剣「お、おぉ…ってか、トナカイ装束か?可愛いじゃねーか!」

火野「まあ、赤いボールと角付けただけですが…あっ、忘れてた!」

火野は咄嗟に帽子被る。

羽剣「おっ、火野がサンタか!2人揃って可愛いな!!」

レシラム「えへへ…」

火野「羽剣さん、僕1人じゃアレなので…」

羽剣「分かってる、ついて来いよ!」

火野「はい!」

火野はレシラムをプレミアボールにしまうと、羽剣について行った。

 

虚無會。

拓人「はあ…問題山積みだっ!」

洋子「せっかくのネガキマイラでも、伝説の前ではね…困ったわ。」

琉聖「くっそ、あのリア充次会ったら倒してやる…!」

 

続く。




今回から次回サブタイの発表になります。申し訳御座いません。

次回サブタイ

26話「神意の行く先」

閲覧、ありがとうございます。


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26.神意の行く先

どうも、うp主です。
就職したので、投稿ペースが落ちるかもしれませんが、早く投稿出来るよう努めたいと思います。
それでは、第26話、どうぞ!


虚無會。

レジェンドアーマーの登場により緊張は高まったが、依然和気藹々としていた。

拓人「しかし、あれに対抗するなら此方も使うしかないな…」

洋子「…ですね。貴方のディアルガなら良いかと。」

拓人「だな…しかしもう少しデータを採らなければ。現時点では、カードがブレスに入らないからな。」

 

PMS・イッシュ本部、訓練棟。

火野は朝早くから一人で訓練に臨んでいた。

火野「はぁっ!…まだまだ、この程度では!!」

しかし、開始から三時間、彼の体力も限界に近づいていた。

火野「くぅっ…うわぁっ!?」

火野は被弾し、吹き飛ばされ、ぐったりと仰向けに倒れる。

アーマー耐久も一定を下回り、訓練は終了した。

火野は自力で立てない程疲弊していた。

羽剣「おいおい、無茶すんなってあれほど…」

火野「はあ…まだ、足りない…くぅっ!?」

羽剣「まともに喋れねぇって、どんだけ消耗してんだよ…ってか、レシラムアーマー使えばいいのに、何故わざわざオノノクスを…」

火野「レシラムアーマーは…うっ!?…確かに強力です。しかし、メタを張られたら元も子もない…」

羽剣「…どこまでも真面目だな~。」

火野「そうでも…しないと…ポケモンと…そのトレーナーの笑顔は…返ってきませんから…当たり前ですよ…」

羽剣「ふっ、火野らしいな…まあ、後ろで休んでろよ。」

火野「は、はい…」

火野は、羽剣の肩を借りて歩き、椅子に座る。非常に疲れていたのか、ぐったりとしていた。

羽剣「何度も言うが、無理すんなよ。」

火野「…はい。」

羽剣「さーて、俺は始めるとするか!」

羽剣が鍛錬を始めると、そのタイミングを狙ったかのように東が火野の隣に座る。

火野「東さん…」

東「もぉ、火野君は堅苦しいんだから…んで、例の件は?」

火野「例の件…?」

東「れっちゃんの件!いつ頃から仲良かったの?」

火野「それを例の件って言われても分かりませんよ…ざっと5、6年前位ですね…」

東「い、意外と長いのね…」

火野「はい、でも不思議と生まれた時から一緒みたいな気がするんです…」

東「へぇ…火野君の嫁って訳ね。」

火野「ち、違いますって!まあ、親友以上の関係ですが…」

東「ふーん、成る程ね…所で、あのブレスは?あの、白いの。」

火野「えぇと…生憎、僕もよく分からないんです。」

東「そっか。あれが使えたら、私も…」

火野「すみません…」

 

虚無會。

3人が和気藹々としている中、青年が部屋に入ってきた。

?「おっ、ネガキマイラも早々に対策されたらしいね…?」

見知らぬ青年故、警戒する3人。

拓人「ほう…我々の事情も知っているとはな。」

?「まあね、僕は他でもない…君たちのボスだからね。」

拓人「…!?」

洋子「何っ!?」

琉聖「マジか…」

驚く3人。青年は続けて自己紹介を始めた。

?「僕は氷室徹。まあ、顔を出すことなく命令していたから…知らないのも当然かな?」

拓人「は、はい…知らなかったとは言え、無礼をお許し下さい…」

氷室「まあまあ、そこは問題じゃない。僕が問題としているのは、あの男の子だからな…他は僕が出れば何てこと無いけどね。」

洋子「やはり…」

氷室「僕と同等…いや、それ以上の力を持つ彼は厄介なんだ…まあ、僕もキーエレメンターなんだけどね!」

そう言うと、指を鳴らす。3人を囲む様に氷の槍が床から飛び出す。

3人「!?」

氷室「驚くのも無理ないか…さて、拓人君…君のこいつは、作戦に使わせて貰うよ!」

拓人「ま、まさか!?」

ネガビースト生成機の上には、拓人のパートナーであるディアルガが乗っていた。

拓人「ど、どうする気ですか!?」

氷室「仕方ないだろ?君達が失態を重ねるから、こうせざるを得ないんだよっ!」

氷室はネガビースト生成機の起動スイッチを押す。ディアルガは激しく抵抗するが、甲斐なくネガビーストと化した。

氷室「じゃ、生きて帰そうと思ったら神に祈ってね!僕は失礼するよ~。」

氷室は一瞬で姿を消し、居た場所には氷の柱が立っていた。

拓人「…仕方ない。私はディアルガなんて捕まえていなかった…そう思えば!」

洋子「拓人…」

 

PMS・通路。

火野は、訓練の終わった羽剣と話しながら歩いていた。

羽剣「それにしても、最近平和だな…ネガビーストも出ないし。」

火野「いや、ポケモントレーナーにポケモンが帰って来ない限り…うっ!?」

火野は頭に手を当て、苦悶の表情を浮かべる。

羽剣「ど、どうした…火野!?」

痛みが収まり、手を降ろす火野。

火野「聞こえた…助けて、と…行かなきゃ!!」

突如、火野は外出用ポートに向かって走り出した。

羽剣「ま、待てよ!?おい!!」

羽剣はその後を追う。

 

PMS・外出用ポート。

火野「はぁ…はぁ……誰かが…呼んでいる…!」

羽剣「おい、いきなりどうしたんだ一体!?」

火野「呼ばれたんです…シンオウ地方…シンジ湖から聞こえたんです…」

羽剣「本当か?まあ信じていない訳じゃねぇが…」

火野「とにかく行きましょう…早く行かないと!」

羽剣「お…おう。」

火野のペースに押され羽剣はポートに乗った。

 

シンオウ地方・シンジ湖。

火野「…間違いない!」

羽剣「本当か、それ…」

火野「はい…来ます!アーマーを装備して下さい!!」

羽剣「おう…」

 

火野:フライゴン

羽剣:ファイアロー

 

突然、湖に謎の穴があく。

羽剣「本当に来た…っ!?」

開いた穴から出てきたのは、紛れもなく、しかしネガビーストと化したディアルガだった。

羽剣「おいおい…ヤバいって!」

火野「だからって…退けませんよ!早く助けないと…!」

羽剣「わ、分かっているけどさ…」

2人は臨戦態勢をとる。すると、ディアルガは雄叫びを上げた。

羽剣「おう、やってやるよ!…!?」

火野「羽剣さん!?…うわぁっ!!」

2人は突然吹き飛ばされ、アーマーを解除される。2人とも大怪我を負い、立てなくなっていた。

火野「くっ…立てない…」

羽剣「流石、時の神様は伊達じゃねぇな…しっかし、どうすれば…」

 

ー 救うんじゃ無かったのか?我を ー

火野「…?」

 

ー そなたの力は、その程度では無い筈…我の事は心配せず、全力でかかれ… ー

火野「…分かりました、貴方が望むなら!」

火野はゆっくりと立つ。白く輝くカードを手にして…

 

火野「でも、心配しないでください…貴方を必ず助けるのでね!」

 

続く。




次回

第27話「凍りついた翼」

次回もよろしくお願いします。


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27.凍りついた翼

シンオウ地方・シンジ湖。

 

羽剣「でも、助けるってどうやって…」

火野「それを、これから探すんですよっ!レシラム…力を貸して!」

羽剣「ば、馬鹿だ…まあ、火野らしいか。」

火野は、レシラムアーマーを装着し、剣を構える。

火野「負けませんよ…ディアルガ!」

火野の宣戦布告に応じるかのように、ディアルガは咆哮を上げる。周囲の時間が止まるが、火野は動く事が出来ていた。

火野「小細工したって!」

火野はディアルガに斬りかかる。しかしディアルガはビクともせず、火野を尻尾で弾き飛ばす。

火野「うわあぁぁぁっ!?」

火野はダメージを受けながらも、背部スラスターを吹かして、体勢を整える。

火野「くっ…流石伝説、ですね…!」

ディアルガは、次はこっちだと言わんばかりにラスターカノンを放つ。

火野はかわし、剣を投げつける。ディアルガは剣を避けるが、避けることを想定しての行動だった。

前腕の装甲が赤熱し、炎の剣を形成する。

火野「これなら!」

炎の剣は、ディアルガにダメージを与えていく。

耐えきれなくなったのか、咆哮の効力が切れ、時が動き出す。

羽剣「すげぇ…あれが、伝説のポケモンのアーマー…!」

ダメージが大きいのか、ディアルガは頭を垂れ、ぐったりとしていた。

火野「よし!後は助けるだけ!」

火野は、ディアルガの胸部の宝石に右手をかざす。

火野「レシラム、お願い!」

火野の右手から白いエネルギーが放たれ、ディアルガを包み込む。

羽剣「おい…まさか!?」

ディアルガを覆っていた瘴気は消え、自我を取り戻す。

火野「…よしっ!」

羽剣「浄化したのか!すげぇ…」

ディアルガは、咆哮を上げた。火野に感謝しているのだろうか。

火野「良かった…?」

ディアルガは胸部の宝石から、チップを生成し、火野に託す。

火野「ディアルガ…ありがとうございます!」

ディアルガは、自分の行くべき場所へ飛び去る…はずだった。

 

?「やはり、使えなかったか…」

一筋の凶弾が、ディアルガを射抜く。胸部の宝石に当たり、罅が入る。

火野「!?」

驚く隙を与えず、第二射が火野を狙う。すんでのところで火野は回避したが、着弾した地面が凍っていた。

火野「氷…!?」

?「やあ、これは…火のキーエレメンター君かな?」

火野「僕の事を知っている…!?」

氷室「まあね、だって僕は…虚無會のボスだからね!」

羽剣「虚無會の…ボス!?」

氷室「おっと、申し遅れた。僕は氷室徹、氷のキーエレメンターさ!」

氷室の目が薄い水色に光る。

火野「って事は…!」

氷室「あのディアルガ?あれはもういらない、って所かな…ん?」

ディアルガは、氷室に向かって時の咆哮を放つ。

氷室「まあ、君は用済みだからねー。消えてもらうよ!」

氷室は冷凍銃を構えると、ディアルガの頭部を撃ち抜く。

火野「ディアルガ!?」

ディアルガは頭部から凍りつく。

氷室「じぁあね、時の神様。」

銃を変形させ、今度は炎の弾丸を放つ。ディアルガの頭部は粉々に砕け、巨躯は大きな音を立てて崩れ落ちる。

羽剣「嘘…だろ!?」

氷室「伝説とは言いますが、所詮この程度なんで…がはっ!?」

氷室は火野に頬を殴られ、地面に倒れる。

火野「命を…何だと思っているんだ!?」

氷室「はあ…まあ良いでしょう。殴った事、後悔させてあげましょう!」

氷室は冷凍銃を撃つ。火野は、冷静に避ける。

氷室「へぇ…じゃ、本気出しますか。」

氷室はアーマーカードを取り出す。

水晶のように輝きつつ、邪気を秘めたアーマーカード…伝説のポケモンのアーマーカードである事に、変わりはなかった。

氷室「キュレム…せめて、君は使える存在でいて下さいよ…!」

氷室は、アーマーカードをブレスに差し込み、側面のスイッチを押す。

火野「…!?くぅっ…あぁぁっ!!」

羽剣「どうした、火野!?」

火野「頭が…痛い!くぅっ…」

火野は膝をつき、苦しむ。

氷室「この、反乱分子が…戻りなさい!」

氷室の周囲が凍る。次第に氷室自身も凍り、巨大な氷柱が立つ。

羽剣「まさか…!」

氷柱は、一瞬にして崩れ去り、その中からアーマーを着けた氷室が現れる。瞳は黄色に染まり、不敵な笑みを浮かべる。

氷室「どうだ?素晴らしいだろう、僕のアーマーは!」

火野「ふ…ふざけるなあぁぁっ!!」

火野は、怒りに身を任せ氷室に向かっていく。

氷室は軽くかわし、的確に冷凍弾を命中させていく。しかし、着弾してもアーマーの熱気で蒸発してしまい、有効打を与えられなかった。

氷室「やるじゃないですか…楽しいですよ、僕はね!」

火野「こんのぉぉっ!!」

火野は氷室に拳を突き出す。氷室は拳を片手で掴み、受け止める。

氷室「感情的にならないで下さいよ~ほら、隙だらけ!」

氷室は足に氷の刃を形成し、火野に蹴りをいれる。

火野「くぅっ…!?」

火野は飛ばされ、大地を転がる。腹部アーマーは破損し、傷ついて血まみれになった左脇腹が露出していた。

氷室「う~ん、君はその程度か…じゃ、またね!」

氷室は、霧を作り出し姿を消す。

羽剣「ちっ、なんて奴…火野!?」

羽剣はぐったりとした火野に近づく。

羽剣「火野!?大丈夫か!」

火野「うぅっ…僕は…守れなかった。守るって、約束したのに…うっ…うわあぁぁぁん!!」

火野は羽剣の目の前で泣き出した。

羽剣「火野…」

火野「僕は…アーマー装着者として、失格だ!うぅ…」

泣く火野を、羽剣はただただ見ているしか無かった。

 

PMS・指令室。

火野は、所長に呼ばれ指令室で話をする事に。

月読「そんな事が…」

火野「はい…」

月読「…」

火野「ポケモン一匹すら守れないなんて…アーマー装着者として、失格です…僕は…」

月読「…気に病むな。」

火野「…えっ?」

月読「そんなに悩んでたら、アーマー装着者はやってられない。」

火野「で、でも…」

月読「今生きているポケモンを、守れなくてどうするって訳だ。」

火野「…はい、守ります…必ず!」

月読「よし、それでいい。では、今後も頼むぞ!」

火野「はい!」

 

通路。

火野は俯いていた。

火野「僕は、守れるのかな…」

?「まあ、心配するな…我を守ってくれたそなたなら出来るはずだ。」

火野「!?どこから…」

火野は真っ先にブレスを見る。ブレスには、いつの間にかディアルガのチップが付けられていた。

火野「まさか…ディアルガ!?」

ディアルガ「まあな…生憎肉体は無いが、精神はデータとしてここに存在している。」

火野「でも…僕は!」

ディアルガ「まあ、我は問題ない。気にするな…」

火野「は、はい…」

ディアルガ「まあ、自分の肉体が崩れるのは…我にとっても少々衝撃だったがな…さて、このチップに居るという事は…エレメンターを探さなければならない、って訳だな。」

火野「エレメンターを…」

ディアルガ「少なくとも、貴様ではなさそうだ…既に絆も繋いでいる。力を使えるとすれば…鋼か、龍か。」

火野「うーん…鋼はカロスの方に一名いましたけど…」

ディアルガ「まあいい、ゆっくり探せばいい…直感で大体分かるしな。」

火野「は、はい…」

 

火野の自室。

何時も通り、PCをつける。

 

レシラム>お疲れさん、火野くん。今日は大変だったね…

火野>うん…僕も、まだ力不足だよ…

レシラム>でも、精神は守れたんでしょ?よく頑張ったよ!

ディアルガ>そうだな…そして、操られていたとは言え傷つけてしまい、申し訳ない。

レシラム>ディアルガさん!?いつのまに…

火野>いや…これは僕の責任だ…こちらこそ、肉体を守れなくて…

ディアルガ>まあいい、と言っているではないか。

しかし、我の事を大切に思って下さるのは有り難いな。前のトレーナーがアレだったからな…

火野>前の…トレーナー?

ディアルガ>名は確か…拓人と言ったような。

レシラム>た、拓人って…

火野>拓人…!

ディアルガ>最近までは、我を気にしてくれたものだが…今朝起きたら、謎の装置の中に入れられていて…そこからは覚えていないのだ。

火野>ちっ…拓人…っ!!

レシラム>まあまあ、落ち着いて。

火野>ふぅ…ごめんね。気使わせて。

ディアルガ>…火野と言ったな。正義感は一人前だな…しかし、身を滅ぼす事はするなよ。

火野>はい…すみません。

ディアルガ>暫くは此方にお邪魔するとしよう。悪いな、レシラム。

レシラム>いえいえ、問題ないですよ!

ディアルガ>有り難い…それと、よろしくな、火野!

火野>は、はい!あと、僕は寝るので…失礼します。

ディアルガ>ご苦労。

 

火野は、ため息をつく。

火野「まだまだ…強くならないと…!」

火野は強く握った右手を見る。負けるわけにはいかない…そう感じた。

 

虚無會。

氷室「やれやれ、君のディアルガはその程度だったんだね…」

拓人「…」

氷室「さて、君自身に動いて貰うしかないかな…君のエレメンター的にも悪くないお話だよ?」

拓人「私が…エレメンター?」

氷室「あれれ~知らなかった?しかも、面白いタイプだというのにねー!まあ、頑張ってもらおうかな…フフフフ…」

 

続く。




次回予告

第28話「時の神、再誕」

次回も、よろしくお願いします!


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28.時の神、再誕

どうも、うp主です。
今日(投稿日)はレシラムの日です。
4月6日→0406→レシラム、って訳です。(因みに全国図鑑406はスボミーでした)
それは兎も角、第28話どうぞ!


朝・火野の自室。

何時も通り火野は早起きし、支度していた。しかし、火野には気掛かりな事があった。

火野「中石さんに、この事伝えた方が良いのかな…しかしあちらはカロス地方支部だからな…」

そんな中、またブレスから声が聞こえる。

ディアルガ「その心配はいらない。」

火野「ディアルガ!いつの間に!?」

ディアルガ「これくらいの移動なら造作もない事だ。」

火野「流石、伝説のポケモン…ところで、心配はいらないって…」

ディアルガ「まあ、直ぐに分かる…5秒後にはな。」

そう言った、丁度5秒後。

?「すみません、火野さん…でしょうか?」

火野「はい…火野ですが。」

火野の自室に、1人の男が入ってくる。

中石「久しぶり、ですね。」

火野「いやいや、此方こそ!」

中石「早速ですが、今日から此方で活動を行う事になりました。宜しくお願いします!」

火野「はい!(流石時の神…)」

中石「互いにキーエレメンターでありますからね!宜しくお願いします!」

火野「あ、貴方もキーエレメンター!?」

中石「じ、実はそうなんです…」

火野「そうだったんですか…そう言えば!」

そう言うと、火野はディアルガのチップを渡す。

中石「こ、これは…!」

火野「昨日のネガビースト討伐にて救出したディアルガから託されたんだ。きっと貴方なら…!?」

中石の手のひらにチップが置かれたその時、チップが輝きだす。

中石「ディアルガ…もしかして!」

チップの輝きが収束すると、アーマーカードに姿を変えた。

火野「か、変わった…!?」

中石「やっぱり、貴方だったんですね…お帰りなさい。」

火野「えっ!?」

中石「はい、彼は僕のディアルガです!」

火野「ちょっと待って!?ディアルガ、貴方の持ち主って拓人だったんじゃないですか!?」

ディアルガ「拓人?さて誰だ…トレーナーだと錯覚させたあの男か。」

火野「そうだったの!?だからって、僕まで騙さなくても…」

ディアルガ「騙すなら味方から、って訳だ。」

火野「そ、そうですか…」

ディアルガ「しかし、遅くなったな…すまない。」

中石「…いや、悪いのは僕ですよ。こんな僕でいいなら、今後も宜しくお願いします!」

ディアルガ「…よかろう、宜しく頼むぞ。」

中石「…ありがとうございます!」

急展開のあまり、きょとんとしている火野にディアルガは声をかける。

ディアルガ「火野、世話になったな。」

火野「いえいえ、此方こそ!…っ!?」

中石「火野さん!?」

火野「うっ…昨日の傷がっ!」

中石「む、無理は行けません!代わりに、僕が行きます。」

火野「す、すみません…頼みます。うっ、なんとか耐えていたけど無理だな…」

中石「無茶にも程がありますよ…」

中石は、話が終わると火野の自室を後にした。

火野「うっ…痛い、痛いっっっ…!」

レシラム(ブレス)「だから安静にしてって!」

火野「ご、ごめん…」

 

PMS・フリースペース。

中石「し、失礼します…」

羽剣「よっ、中石!あれ、火野は?」

中石「確か、昨日の負傷で今日は安静にすると。」

羽剣「はあ…あいつめ、また無茶してるんだな…」

中石「またって、以前もあるんですか?」

羽剣「あると言うよりか、常時無茶しているんだよな…」

中石「はい…」

羽剣「まあ、俺たちではどうしようもないんだよな…あいつを止めるの。」

中石「そ、そうですか?」

羽剣「あいつは、怖い位に仲間思いな奴でな…どんなに無茶でも頑張るんだ。寧ろ俺たちが申し訳なくなる位に…しかし、今虚無の輩に互角以上に戦えるのはあいつだけなんだ。本当に、情けない…」

中石「しかし、僕が提案したら安静にするって言っていましたよ?火野さんは。」

羽剣「あいつに何か考えがあるのか、安静せざるを得ない程痛いのか…」

中石「ともかく、僕たちは出来る事を…!?」

羽剣「嘘だろ!?タイミング悪っ!!」

中石「とはいえ、やれる事はしないと!」

羽剣「…だな!」

 

指令室。

内海「ネガビーストは、2箇所に出現している。セッカシティ周辺に出現した個体は羽剣と東…白の樹洞は黒曜と中石に行ってもらう。少々状況は厳しいが、最善を尽くして!」

全員「はい!」

 

転送ポート。

中石はブレスを気にしていた。

中石「変わっていない…何か条件に達していないのか…?」

黒曜「おーい、中石だっけ?どうした?」

中石「…いいえ、別に。それより、速く行きましょう!」

黒曜「おう!」

2人はポートに向かう。

一方、東と羽剣。

東「うーん、速く更に強化とか出来ないのかなぁ…」

羽剣「我が儘を言うな、どうであれ今は急がなければ!」

東「すみません…。」

 

セッカシティ周辺。

ネガイシヘンジンは、その巨大からは想像もつかぬ速さで南下していた。が、背中に何かが当たると着地し、当てた相手を睨む。

羽剣「ちっ…硬い!この剣の投擲すらダメージになってねぇ…」

 

アーマー

羽剣:ボーマンダ

東:アシレーヌ

 

白の樹洞。

内部は燃えており、奥にはブーバーンとエレキブルのネガキマイラが構えていた。

黒曜「ちっ…キマイラか。」

中石「だとしてやる事は変わらない!」

 

アーマー

中石:ボスゴドラ

黒曜:デンリュウ

 

その頃、火野の自室。

火野「ネガビーストが二体…なんでこんな時に僕は何も出来ないんだ!!」

レシラム(ブレス)「しょうがないよ…怪我してまで出ても、君の負担が増すだけだよ。」

火野「そ、そうだけど…」

火野は悩み俯く。しかし、何か考えが浮かんだのかすぐに顔を上げる。

火野「ねぇ、レシラム?頼みたい事があるんだけど…」

レシラム(ブレス)「うん、君の頼みなら。で、何?」

 

白の樹洞。

圧倒的なネガキマイラの猛攻に2人は追い詰められる。

そんな中、中石はアーマーを解除され、大地に転がる。

中石「くっ…」

黒曜「中石!?うわぁっ!?」

中石「うっ…こ、こんな所で…負ける訳にはいかない…火野さんに救ってもらった大切な仲間、次は僕が護るんだ!!」

突如、ブレスが光り始める。そして、ブレスは色こそ違えども、レジェンドブレスとなった。

中石「よし、これで…力を貸して、ディアルガ!!」

ディアルガのアーマーカードをブレスに挿すと、背後にディアルガのオーラが現れる。

黒曜「おい、まさか…!」

中石「アーマー・プットオンッッ!!」

側面の釦を押すと、オーラを纏い、アーマーに変換した。

中石「さて、反撃開始だ!」

中石は剣を地面に刺す。同時に時間は止まる。

中石「さて、此方は忙しいんでね!」

中石は敵に何度も斬撃を加えていく。

中石「さて、ゲージも貯まったし…アーマー技、行使する!」

中石ブレス「アーマー技発動、ゲージ10消費…クロノ・ディストラクション!」

中石は時間停止下で何度も敵を切り裂く。

中石「これで、終わりだ!」

胸部アーマーを砲頭に変え、高出力光線を発射する。中石「よし、これで終わりだ!」

地に刺していた剣を抜く。時は動き出し、ダメージを受けたネガキマイラは瞬時に2つのチップに変換された。

中石「よし、上手くいった!」

黒曜「すげぇ…何があったんだ?」

中石「それは後!羽剣さん達の援護に向かう!」

黒曜「は、はい!」

 

セッカシティ周辺。

羽剣「ぐあぁっ!!」

羽剣は突き飛ばされ、地に倒れる。目の前には、既にネガビーストが止めの一撃を振るわんとしていた。

丁度、黒曜と中石が到着したが、阻止するには距離が遠すぎた。

中石「くっ…時間を止めるのをとっておけば…こんな事にはッ!!」

アーマーの仕様上、時間停止は1回しか使えない。それは、先の戦闘で使ってしまったのである。

誰もネガビーストの動きを阻止出来ない。3人が諦めかけた、その時。

 

白き光が、猛スピードでネガビーストを貫く。ネガビーストは吹っ飛ばされ、転倒した。

羽剣「な、何だ!?」

白き光は羽剣の隣に現れる。そして、その光は英雄に姿を変えた。

火野「間に合った…イシヘンジン、今助けるから!」

4人「ひ、火野!?」

火野「行くよ、少し痛いけど我慢してね…!」

 

続く。




セイバーズ第28話、いかがでしたか?
えっ、レシラムの日なのに活躍していないって?
いや、活躍を描写しなかっただけで今回は活躍していますから…(震え声)
それでは、久々の次回予告。

次回、ポケットモンスターセイバーズ!

羽剣を助けに現れた火野。ネガビーストと互角以上に渡り合う…
そして、プロメテウス財団では新たな動きが…

次回「傷に炎を」

以上、次回予告でした。
次回も、お楽しみに!


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29.傷に炎を

どうも、クソ筆者です(某からすま感)。
最近FEの勉強やプラモ組み立てなどで忙しくて執筆を忘れていました(オイ
本当に申し訳ございません。
では、第29話どうぞ。


セッカシティ周辺。

羽剣「おい火野!また無茶する気か!?」

火野「…羽剣さん、僕は無茶なんてしていませんよ…さて、救助を始めますよ!」

火野はネガビーストに立ち向かう。そんな中、銃弾がネガビーストを穿つ。

火野「っ…中石さん!?」

中石「あなたの戦いを、ボーっと見ている訳にも行かないんでね!」

中石も混じり、更に有利な方向に傾いていく。

羽剣「やれやれ、火野って奴は…しっかし、脇腹の傷はどうしたんだ…?」

火野「すみません、それは後で説明しますから…」

羽剣「おう…」

羽剣は、イシヘンジンへ向かっていく火野をただ見守っていた。それしか、出来なかった。

中石が、火野を呼ぶ。

中石「火野さん、浄化を頼みます!」

火野「任されましたっ!」

イシヘンジンの脚部に、手を当てる。

火野「大丈夫、今助けるから…!」

白き波動はイシヘンジンの邪気をかき消し、ネガ化を止めた。

火野「ふぅ…大丈夫?痛くなかった?」

すぐにイシヘンジンの事を気にかける火野。

どうやら別に痛くなかったようだ。

火野「ふぅ、良かった!後は、君の好きにして構わないよ、どうする?」

それを聞くと、喜んでイシヘンジンはチップに姿を変え、火野の手のひらに乗る。

火野「えっ、力を…貸してくれるの?…ありがとう、喜んで使わせて貰うよ。」

笑顔の火野に、中石が近寄る。

中石「火野さん、良かったですね。」

火野「…はい!」

中石と肩を並べ、帰ろうとした矢先。

羽剣「火野ぉぉっ!!」

羽剣が火野の顔面めがけ殴りかかる。頬に拳は直撃し、火野は倒れる。

火野「!?…痛いじゃないですか、羽剣さん!!」

羽剣「お前、また無茶したな!あれほど口酸っぱく言ったはずだ!」

火野「すみません…でも、無茶はしていないんです。」

火野はアーマーを解くと、服を捲り脇腹を出す。

羽剣「嘘だろ!?」傷は跡形も無く、完治していたのだった。

火野「実は…」

 

回想・火野の自室。

レシラム「えぇっ!?君に火炎放射だって!?」

火野「僕が炎のキーエレメンターなら、属性を有益に扱えるはずだ…頼む!」

レシラム「う、うん…だけど、先ずは控え目で行くよ。」

火野「お願いします!では…はぁぁぁっ!!」

瞳が赤く光る。その瞬間、レシラムは火球を放つ。

火野は素手で火球を掴む。

火野「僕の…力となれぇぇぇっ!!」

火野は火球を握り潰す。熱エネルギーは腕を通り、脇腹に到達すると強い光を放つ。光が収まると、脇腹の痛みが引くのを感じた。

レシラム「で、できちゃったよ…」

火野「あれ…すんなりとできた…?」

 

回想終わり。

火野「って訳なんです。」

羽剣「ったくな…お前、本当に馬鹿だな!」

火野「えっ!?」

羽剣「そこまでして頑張ろうってか?参ったな、もう俺が言っても無駄みたいだな。さて、帰ろうか!」

火野「…はい!」

 

帰還用ポート。

羽剣「なあ、火野。」

火野「羽剣さん…?」

羽剣「俺、どうすりゃいいんだろ…」

火野「えっ…?」

羽剣「今までアーマー装着者の先輩っぽく振る舞ってきたが、俺は特に戦闘センスも無いし…今回もお前が来なかったら危なかった。俺、なにやってんだ…」

火野「…」

羽剣「…そうか、火野も自分の事で精一杯だよな。難しい事、聞いて悪かったな。」

火野「い、いや…こっちも、何も言えることが無くて…」

羽剣「まあ、正解は俺自身で見つける事にするぜ。今後ともよろしくな、火野!」

火野「…はい!」

羽剣は足早にポートを後にした。

そのすぐ後、中石が火野に近づいてきた。

中石「火野さん!お疲れ様です。」

火野「さ、さん付けしないで下さい…恥ずかしいです。」

中石「す、すみません!自分の癖でつい…」

火野「そうだったんですか…ぼ、僕もそうなんですよ…敬称略出来るのはレシラムくらいですから。」

中石「に、似てますね…ところで、羽剣さんと何を話していたんですか?」

火野「うーん、秘密かな?」

中石「そうですか、何はともあれ…お疲れ様!」

火野「あっ、どうも。今後も宜しくお願いします!」

中石「えぇ、此方こそ!」

2人は握手すると、互いに手を振り自室に向かった。

 

羽剣の自室。

羽剣はレックウザと話をしようと、PCの電源を入れる。

 

羽剣>おーい、レックウザ?

レックウザ>おう、お前から話を入れるとは珍しいな。どうした?

羽剣>実はな…もし良ければで良いんだが、悩みを聞いて欲しいんだ。勿論、嫌だったら嫌って言ってくれても良いが。

レックウザ>ふーん、悩みねぇ…まあ、聞いてやるよ。

羽剣>助かる。では早速…

羽剣は、悩み事をレックウザに打ち明けた。

レックウザ>ふーん、最近の戦いについて行けない、か…へへっ、いよいよ俺の出番か。ほらよっ、受け取れ!

レックウザは、羽剣のブレスに直接データを送る。

羽剣>レックウザ、これは…

レックウザ>そうそう、火野んとこのレシラムと仲良くなってな。ついでに、PC操作やらプログラミングを教えて貰ったんだ。まあ、結構難しくてな…

羽剣>へぇ、仲良かったんだ。

レックウザ>まあな…おっ、そろそろだ…えいっ!

 

羽剣のブレスが光り、カード挿入口から光の玉が飛んだ。手のひらに乗ると、それは一枚のカードに姿を変える。

羽剣>こ、これは…

レックウザ>おっ!成功したみたい、だなっ!

羽剣>レックウザ、ありがとな!

レックウザ>礼は要らないぜ、俺達を救う者に手を貸すのは当然の事だから、な!

羽剣>後は、俺が使いこなす…だけ!

レックウザ>おう!あんたなら出来るハズ!

羽剣>分かっているぜ!じゃ、俺は休むわ。

レックウザ>お疲れぇい!

 

羽剣は、レックウザのアーマーカードを見つめる。

羽剣「俺の為に作ってくれたんだ…絶対に使いこなす!」

 

火野の自室。

いつもの様にPCを起動し、対話を始めていた。

火野>レシラム?いる?

レシラム>居るけど?

火野>いるの?良かった、話したいことがあって。

レシラム>な、何…?

火野>あの…ただいま。

レシラム>えっ…あ、あぁ……おかえり!

火野>こ、困惑させちゃったかな?ごめんね…

レシラム>も、問題ないよ!う、嬉しかっただけだから!!

火野>ど、どうも…

レシラム>んで早速だけど、腹の傷治った?

火野>まあ、ね。だけど痛みは消えないみたい、ちょっと痛いかな?

レシラム>そう…無理しないでね。

火野>うん、分かった。

レシラム>本当に、だよ!?大丈夫?無理しない…?

火野>だ、大丈夫だって!死なないから!

レシラム>ふーん…分かった、信じるよ。

火野>あ、ありがとう…でも大丈夫、心配しないで。

レシラム>もう…自分の役目を果たすのも大切だけど、ちゃんと僕の事も考えてね?

火野>分かった、では僕はこれで…お休み。

レシラム>じゃあ、また明日…火野くん。

 

火野はPCを閉じる。

火野「ごめんねレシラム…でも、無茶でもやらなきゃいけないんだ!」

火野は握り締めた右手を見て、そう呟く。

 

中石の自室。

ディアルガの意識はカードに宿っている為、ブレスから直接話が出来た。

中石「ディアルガ、今日も力を貸してくれてありがとう。」

ディアルガ「ふっ、当然だ。しかし、早く肉体が欲しいものだ…」

中石「あ、あの…」

ディアルガ「何だ、いきなり…」

中石「ご…ごめんなさいっ!!僕があの日、手持ちに入れておけば…こんな事にはならなかった…ごめんなさい!!」

ディアルガ「…何だ、そんな事か。気にするな、戦いの支障になるぞ?」

中石「…え?」

ディアルガ「大丈夫だ、我を気にかけるな。」

中石「は…はい!」

ディアルガ「そうか、今後とも宜しくな。」

中石「も、勿論です!」

中石は深呼吸を一つすると、

中石「僕は…戦うんだ!」

そう発して、自分を奮い立たせたのだった。

 

一方その頃、プロメテウス財団、研究者寮。

鮫島「ふぅ…上は何やっているんだ?キーエレメンターになったと言うのに。全く構ってもらえないとは…あ~あ、暇だなぁ…」

対馬「鮫島様、何かご不満でも?」

鮫島「ん、対馬?いや、別に。」

対馬「そうですか…では私はこれで。」

鮫島「あっそ。」

対馬は鮫島の部屋から立ち去る。そしてドアを閉じると、

対馬「さて、ザナティメトの再誕に立ち会うとするか…いずれは…ふふっ…」

 

続く。




第29話「傷に炎を」はいかがでしたか?
それでは次回予告。

羽剣の目前に示された進化への道標。
しかし、その道は決して緩くはなかった。
そんな中、新たな悪魔は現れ…

次回、第30話「天翔る一閃」

以上、次回予告でした。
次回も、お楽しみに。


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30.天駆ける一閃

お久しぶりです。
1日1新機体予想でかなり遅れました…すみません。
では、30話…どうぞ!


PMS・訓練棟、早朝の事。

羽剣は、トレーニングを終えてシミュレーション室から出てきた。しかし、珍しく浮かない顔をしていた。

羽剣「ふぅ…未だ変化無し、か。俺に、何が足りないんだ…?」

羽剣は、腕のブレスを見てそう呟く。

羽剣「まぁ、そんな事考えたってどうしようも無いな…今出来ることをやるだけだ。」

そんな中、隣のシミュレーション室から出てくる者がいた。火野である。

火野「はぁ…はぁ…ぐうっ!?」

酷く疲弊し、ふらつく火野を支える羽剣。

羽剣「おい、大丈夫かよ!?ってか何したらそうなるんだ?」

火野「は、羽剣さん…うっ…」

羽剣「おい!火野!?どうした!!?」

羽剣は直ぐに床に火野を下ろす。火野の意識が戻ると、羽剣は火野に聞く。

羽剣「んで、何があったんだ?」

火野「エレメンターを制御しようと、高負荷を付与させてシミュレーションしていたんです…ただ、途中でエレメンターが発動してから記憶が無くて…」

羽剣「んで、アーマーは?」

火野「レシラムですが…」

羽剣「間違いなくそれが原因だろ…」

火野「いや、僕がまだ制御出来ていないだけです…相性も問題無かったんで。」

羽剣「逆だ。相性が良すぎるんだ…おそらく。ともかく、慣れだな…これは。」

火野「はい…ところで、羽剣さん…そのカードは?」

羽剣「これか…?あぁ、レックウザが俺の為に創ってくれたんだ。生憎、未だに使えていないんだがな…」

火野「は、はい…」

羽剣「ところで火野、そのブレス…どうしたら変化するようになったんだ?俺も変化出来るようにしたいんだけどな…」

火野「はい、えぇっと…」

火野は思わず下を向いて黙りこむ。気付いたら変わっていたため、何故変わったのか分からなかったのである。

羽剣「おーい、火野?」

火野「す、すみません…気付いたら変わっていたんです…僕もよく分かっていないので…」

羽剣「そっか…聞いて悪かった。」

火野「え…?」

羽剣「恐らく、俺が見つけなきゃいけないんだろうな…気付かせてくれてどうも。」

火野「はい…」

羽剣「あと、無茶すんなよ、可愛らしい嫁さんが泣くぜ?」

火野はひどく赤面する。まさか、レシラムの事を嫁と言われるとは思いもしなかったのだ。

羽剣「おっ、照れちゃって!」

火野「や、止めて下さい!!レシラムも自分は男だって言っていますし、第一そこまで親密じゃありませんよ!?」

羽剣「いいや、お前は自分が思っている以上に親密だぞ、俺からしたらな!」

火野「そ、そうですか…?」

羽剣「おいおい、あれを親密と言わなかったら何を親密と言うんだよ…兎も角!無茶すんなよ!」

火野「…はい!」

火野は訓練棟を後にし、自室へ向かう。

羽剣「…ったく、可愛いよな。頑張り屋で…張り切っちゃってさ…」

 

火野の自室。

真っ先にパソコンに向かう火野。

 

火野>ただいま…

レシラム>お疲れ。最近色々と大変だね…

火野>だ、大丈夫だよこの位…

レシラム>本当は…?

火野>え…?

レシラム>本当はどうなの?大丈夫なの!?

火野>だ、だから大丈夫…

レシラム>嘘つき!

火野>れ、レシラム…?

レシラム>大変なんでしょ!?そう言ってよ!!

火野>い、いやだから僕は…

レシラム>強がらないで!!

火野>!?

レシラム>…確かに、頑張る事は大切だよ…でも、正直な弱さを隠す強がりなんてしないで。僕は…僕は……うわあぁぁぁぁん!!うわあぁぁぁぁ…

泣き出してしまうレシラム。火野は焦る。

火野>ご、ごめんね!?でも僕は…

レシラム>大変なんでしょ!?素直に言ってよ!ねぇ!!うわあぁぁぁぁん…

火野>…大変だよ、本当は。でも、強がりでもしないとやっていけないんだ…

レシラム>ひ、火野くん…ぐすん…分かったよ、でもね…無茶しないでね…

火野>うん…でも…!?

タイミング悪く敵襲の報が入る。

火野>ごめん、どうやら行かないといけないみたいだ…

レシラム>…頑張ってね。

火野>レシラム…?

レシラム>但し、元気な状態で帰ってきてね…!

火野>うん、行ってくるよ…!

 

火野はふと、頬が濡れているのに気付く。

火野「本当は、戦いたくなんか無いよ…出来ることなら、レシラムの側から離れずにいたい…だけど!」

火野は頬を拭うと、自室を出る。

火野「レシラム…絶対帰るから。」

 

プロメテウス財団。鮫島の個室。

鮫島「はぁ…上は何してんだ?俺の事放っときやがって…」

対馬「お呼びでしょうか…?」

鮫島「丁度良い所に来てくれた。例のザナなんたらはどうした?」

対馬「あぁ、ザナティメト・ツヴァイですか?あれなら、評価試験に出しましたが?」

鮫島「評価試験…?」

対馬「まぁ、PMSのアーマー装着者との実戦…といった所でしょうか。」

鮫島「やっぱり俺の事放っときやがった…」

対馬「あなたを放っといた訳ではございません…万が一暴走の事も考えて、の事ですから。」

鮫島「ほう…しかし暴走した個体ともやってみたいものだが…我が儘か。」

対馬「申し訳ございません…上がそう仰るものですから。」

鮫島「なら仕方ないか…こちらこそ申し訳ない。」

対馬「いいえ、お気になさらず。私はこれで。」

鮫島「分かった。」

対馬は鮫島の部屋から去る。そして、廊下に出た途端…

対馬「彼は何も知らないようで…フフフッ…」

と、不敵な笑みを浮かべるのだった。

 

PMS・司令室。

火野が急いで入ると、中石が待っていた。

火野「す、すみません、遅れました…」

中石「大丈夫です、此方は問題無いです。内海さん、お願いします。」

内海「チャンピオンロード・ソウリュウ側にて、未確認生命体が出現したわ。恐らく、あの財団のものね…」

火野「は、はい…」

内海「戦力もよく分からないわ…兎に角、無理しない事…分かった?」

火野・中石「はい!」

 

ポート前。

火野は過去のトラウマを思い出し、俯いていた。

火野「ごめん…帰れないかも、許して…!」

中石は火野に気付き、肩を叩く。

中石「火野さん…どうしたんですか?」

火野「…聞かないで下さい。僕の問題です。」

中石「そんな時言わないで下さい、僕が前に出ますから。ヤバくなったら降りても構いませんよ?」

火野「…なんでそんな事を…!」

中石「ディアルガにお願いして張り込みしてもらったんです。貴方の事が心配だったんでね。」

火野「は、張り込み…?」

中石「忘れていました?ディアルガはデータのみの存在だった事を。兎に角、貴方は生きてください…レシラムの為に…!」

火野「…分かった。」

中石「じゃ、行きましょうか。」

火野「…はい!」

 

チャンピオンロード・ソウリュウ側。

火野と中石は、ターゲットに気付く。

ターゲット…財団に創られた生命体は、火野を待っていたかのように火野を見る。

?「久しぶりだな、赤き瞳の少年…」

中石「話した…?」

火野「やはり…貴方は…ッ!」

?「我はザナティメト・ツヴァイ、赤き瞳の少年よ…我は貴様との決闘を所望する!」

火野「!?」

ザナティメト・ツヴァイ「財団に創られた事など知らぬ…我は唯、貴様と戦おうと思っているだけだ!」

火野「やめてください…僕は戦いたくないんです!貴方を救いたいんですよ!」

中石「火野さん!そんな事言っている場合じゃありませんよ…!」

火野「でも、彼に悪意なんて無いんです!分からないんですか!?」

中石「いい加減、割り切って下さい!死にたいんですか!?」

火野「…分かりました。」

ザナティメト・ツヴァイ「決心はついたか?」

火野「…はい、命までは取りませんが…全力で!」

中石「では僕も…」

ザナティメト・ツヴァイ「邪魔は観戦していろ…!」

ザナティメト・ツヴァイは目映い光を放つ。その後、中石の目に映ったのは、巨大なドーム状の障壁だった。

中石「ひ…火野さん!?」

火野はそのドームの中に巻き込まれていた。

火野「中石さん、後は僕に任せて下さい!」

中石「…はい!」

火野はザナティメト・ツヴァイを見ると、深呼吸をする。

火野「負けませんよ…!」

火野はアーマーを瞬時に纏う。

ザナティメト・ツヴァイ「ふっ…」

火野「な、何がおかしいんですか!?」

ザナティメト・ツヴァイ「白き英雄の鎧…汚し甲斐があると言うもの!」

火野とザナティメト・ツヴァイの一騎討ちが始まった。

 

その頃、訓練棟。

羽剣のブレスが突如光り始める。

羽剣「認めてくれるのか…俺を!」

光は一気に広がり、収束するとブレスは形を変えていた。

羽剣「…レックウザ、改めて宜しくな!」

 

ドーム障壁内。

火野とザナティメト・ツヴァイは互角の戦いを繰り広げる。しかし火野の顔には、疲れの色が見えていた。

火野「はぁ…はぁ…うぐっ!?」

ふらつき、膝をつく火野。当然、隙を狙わない訳も無くザナティメト・ツヴァイの触手が火野に迫る。

中石「火野さん!!」

ザナティメト・ツヴァイが勝ちを確信した、その時。

 

-ここで終わる、僕じゃないッ!!-

 

一瞬の内に触手は斬られ、地面に落ちる。

火野「ま、前の様には行きませんよ…!」

ゆっくりと立ち上がる火野。ザナティメト・ツヴァイは余裕を持ちながらも、少し驚いていた。

火野「僕には帰りを待つ大事な仲間がいます…だから、負けられません!」

火野は再び剣を構えると、ザナティメト・ツヴァイの懐に潜り込む。

火野は力の限り剣を振るった。避けられても構わない、必死で出来る事をするのだった。

ザナティメト・ツヴァイ「決意だけは一人前だな…しかし、力が足りない!」

ザナティメト・ツヴァイは触手で火野を叩く。

火野「くぅっ!?…」

火野は、魂が抜けたかの如く倒れる。

中石「火野さん…僕がこの障壁さえ壊せれば…くっ!」

中石は戦う事が出来ない自分を責める。

 

ザナティメト・ツヴァイは触手で火野を持ち上げると、障壁に叩き付ける。

火野「うっ…くぅ…」

火野の意識は朦朧としており、立つのも儘ならない。

ザナティメト・ツヴァイ「さて、その仲間とやらに別れを告げるがいい。」

ザナティメト・ツヴァイは腕をビーム刃に変えると、火野に降り下ろす。

中石「火野さん!!?」

その時。

 

黒い影が障壁に穴を開け、ザナティメト・ツヴァイを弾き飛ばす。

羽剣「ふぅ…間に合ったぜ。ったく、嫁さんとの約束はどうしたんだ?こう言う時ばかりは素直じゃないんだよな…」

中石「羽剣さん!?」

羽剣「おっ、中石か!すまんな、援護が遅れて。」

ザナティメト・ツヴァイは怯みがとけ、羽剣の前に立つ。

ザナティメト・ツヴァイ「貴様、何のつもりで…」

羽剣「おい、其処の財団の刺客…どうやらこっちの話も分かる様だから言わせて貰うが、俺は火野より手強いぜ?」

そう言うと、羽剣はカードを出し…

羽剣「黒龍星嵐に裂かれろ!アーマー・プットオン!」

 

続く。

 




セイバーズ30話、如何でしたか?
では、31話予告。

羽剣は新たなる力を手に入れ、ザナティメト・ツヴァイを退く。
しかし一難去って又一難…火野がアーマーを纏えなくなってしまう。
それは、火野を思っての事だった…

次回、「共にありたい」

次回も、お楽しみに。
閲覧ありがとうございます。


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31.共にありたい

どうも、執筆者です。
ご無沙汰しておりました。
レシラムの日というわけで、久々に投稿しました。
それでは31話、どうぞ。


チャンピオンロード・ソウリュウ側。

羽剣の後ろに黒い龍のエネルギー体が現れる。

羽剣「心配すんなって、ザナなんたらさんよ…キーエレメンターじゃねえが、この仕事はあいつより長くやっているんでね。」

ザナティメト・ツヴァイ「何…ッ?」

黒い龍のエネルギーは羽剣に巻き付き、アーマーを形成するとアーマーに浸透し装甲を形成する。

羽剣「さぁて…お手合わせ願うぜ!」

腕部装甲が展開し、光の刃が飛び出す。

羽剣はその光の刃を掴み、槍に変形させた。

羽剣「なるほどな…大体分かったぜ。」

目にも留まらぬ速さでザナティメト・ツヴァイの懐に飛び込む。

ザナティメト・ツヴァイ「馬鹿な…ッ!?」

羽剣「吹き飛べ…ッ!!」

槍を振るった時に発生した衝撃波でザナティメト・ツヴァイは吹き飛ばされた。

ザナティメト・ツヴァイ「貴様…こんな力を…?」

羽剣「さて、俺はお前と相手している暇などないからな…悪いが御預けってことで!」

倒れていた火野を背負うと、

羽剣「中石、撤退するぞ。」

中石「は、はい!」

羽剣達はワープしてその場を去った。

一方、ザナティメト・ツヴァイも目標を見失った為、その場を後にしたのだった。

 

PMS本部・帰還用ポート。

羽剣は背負っていた火野を壁に寄り掛からせるようにして床に降ろす。

羽剣「ふぅ…俺が来なきゃどうなっていたんだ?」

中石「羽剣さん…すみません、僕が彼を止められなかったから…」

羽剣「誰だろうと火野は止められねぇよ。一度決めた事は絶対に曲げないのが、あいつの本能だ。」

中石「本能って…」

羽剣「分かんねぇよ、何がこいつを突き動かすのか…もう本能としか言えないな。」

そんな中、帰還用ポートに東が来る。

東「羽剣さん、お疲れ様です!」

羽剣「おう!お疲れっても、火野の救助をしただけだがな…」

東「それで、火野くんは?」

羽剣「壁に寄りかからせた。ほら、あそこに。」

東は火野に近寄る。火野はようやく意識は戻ったが、酷く疲弊しており動けずにいた。

火野「…くっ!ぅう…」

東「火野くん!?無茶しないで…」

火野「…!ここは…帰還用ポートか、でも…さっきまで……」

羽剣「おっ、起きたか。俺が運んだんだぜ、ついでにアイツは退かせた。」

火野「あ、ありがとう…ございます…」

羽剣「礼はいらんよ。んで、お疲れの所すまないが1つ聞きたい事があってだな…」

火野「はい…」

羽剣「お前は、なんでそこまで無茶しようとするんだ?」

火野「…!?」

羽剣「はぁ…お前がその反応をしているって事は、さては無茶しているって自覚が無いんだな。」

火野「…」

羽剣「俺たちの判断基準で言わせてもらうと、お前は無茶をしすぎているんだ。少し休めよ。」

火野「…僕は大丈夫です、気に…ぐぁっ!?」

火野は立とうとしてバランスを崩し、倒れそうになる。東が火野の肩を背負い、なんとか倒れない様に支えた。

羽剣「ふぅ…とんだ頑固者だな…東、彼を自室に。」

東「承知しました、羽剣さん!」

 

通路。火野を支えながら歩く東。

東「火野くん?本当に大丈夫なの?」

火野「…気にしないで下さい。僕の問題です。」

東「…優しいんだね、火野くんは。」

火野「…!?」

東「いつも一生懸命で、仲間思いで…ここまで頑張れるのは、火野くんの優しさなんだよね」

火野「そ、そんな…」

東「でも、心配させるのは良くないかな?しっかり休んでよ。」

火野「はい、ですが…!?」

カードケースの中から光の粒が飛び散る。

東「ほら、君のれっちゃんも心配してる。今は休もうよ。」

火野「…はい。」

 

火野の自室。

いつも通り、PCを付け会話を始める。

 

火野>ただいま。

レシラム>…おかえり、火野くん。

火野>レシラム…ごめんっ!

レシラム>…駄目、許さないよ。

火野>…!?

レシラム>もう、戦わないで…お願いだから。

火野>レシラム…でも!

レシラム>嫌だよ!もう傷ついて欲しくないんだ!だから、あのカードのデータを抜いたんだ…

火野>…それでも、戦うしか無いんだ!

レシラム>そうだよね…君は戦わないといけないんだよね…分かっているよ。でも、うぅっ…くぅんっ…

レシラムが泣き出し、困惑する火野。

火野>う~ん…困ったな…君が力を貸してくれないと、戦えないよ…

レシラム>…嫌だよ。誰が何と言おうと、君を戦わせない…ごめんね、ぐぅっん…

 

続く。




次回予告。

命と引き換えにでもポケモンを護りたい火野は、レシラムの意に反して戦う事を決意した。
一方、レシラムはそんな火野に何も言えず独り葛藤していた…

次回「絆の交錯」

閲覧ありがとうございました。


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