川神の麻婆豆腐店 (ナギ丸)
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第1話 激辛党射手 来襲
俺の名前は言峰一郎。近くの高校に通うただの学生だ。そして、しがない麻婆豆腐店の店員でもある。俺のじっちゃんが店主なのだがもう鍋を振るえないので調理は俺がしている。なお、俺の家族はじっちゃんだけである。じっちゃん以外の家族は写真でしか知らない。そんなわけで、俺が学生のうちは夜にだけ店を開いている。将来、この店の店主になる事が俺の夢である。
ちなみにこの店はを一見さんが見つけられないような場所にあり見た目もボロなため基本は常連さんだ。そしてじっちゃんの腕が良かったので昔は幻の麻婆豆腐店だったそうだ。場所が分からない&滅茶苦茶美味いの二つの意味で幻だったのだ。
そんな俺が通っているのは川神学園だ。
川神学園。川上市にある学校で全国的にも珍しい決闘制度を取り入れておりユニークな行事、授業が特徴である。
まあ、つまり脳筋と策士とバカの集まりである。学校に行く道に変態橋なんかある始末。生徒も武士娘なんてのもいるし、初めて聞いたときはゴリラを思い描いた俺は間違っていないだろう。変態橋で初めてその武士娘の代表格を見たときは(噂なんてあてにならんな。美少女じゃないか。)と思ったがその後の虐殺ショーを見た後は(う、噂なんてあてにならんな。噂よりやべぇやつじゃん。)となった。そうゆうわけで俺は武士娘が沢山いる風間ファミリーとは絶対関わらないようにしようと決めた。彼らはFクラスで俺はSクラスなので関わらないね。ヤッタ、コレデヘンタイトハカカワラナクテイイネ!こらそこ、Sクラスも変態多くない?とか言わない。見てる分には面白いから。ロリコンなハゲとか、裏表が激しいメイドとか見てるだけなら楽しいんだよ。ホントだよ?Sクラスは成績が学年50位以下になると在籍できなくなるというエリートクラスなんだから嫌なら成績落とせ?そんなことしたら、じっちゃんから拳骨のあらしなんだよ。だから俺は出来るだけ目立たずクラスに溶け込んでいる。
そんな、できるだけ平穏な学園生活を俺の前に椎名京がこの店で最も辛い激辛麻婆豆腐を平然と食べているのは何か間違っているのだろう。
椎名京。武士娘。風間ファミリーの一員。以上。
俺も噂は人並みにしか聞いていないため、詳しくは知らない。武士娘=戦闘力お化けと思ってるので店内に入ってきたときは一瞬身構えてしまったが、お客さんだしあちらは俺がSクラスの生徒とは気づいていないようなので普通にしようと思った。。
「激辛で。」
カウンターに座った椎名がそう注文してきて俺は驚いた。うちの激辛は辛党でもきついと言われるほど辛いのだ。その分旨味もあるので美味しいのだが、初めて店に来た人に勧められるものじゃないので、
「お品書きにもあるように当店の激辛麻婆豆腐はとても辛いです。大丈夫ですか?」
と言った。そしたら、
「大丈夫」
と帰ってきたので、作って出した。こりゃあ汗かきまくるのかなぁ、と予想していた。
「いただきます」
一口目、眉毛 ピクッ
パクパク
「ごちそうさまでした。」
あれ~おかしいな~。汗を一つもかいてないし、顔色も変わってない。俺激辛麻婆豆腐だしたよな?
そんな感じで混乱していると、代金を出した椎名が
「美味しかった。」
と短く言った。ずっと無表情だったので、美味しくなかったのかと不安だったので、嬉しく感じてしまった。
そして、
「また来る」
そういって店から出ていった。
、、、
、、、、、、
、、、、、、、、、、
「うそだろぉ、、、」
常連に激辛好きが加わった瞬間だった。
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第2話 クマちゃん助言
「う~ん。」
今日は店内には客は一人もいないので考え込んでいた。とゆうより店に来る客は基本的にじっちゃんが店やってたときの常連が来るか常連に紹介されるか。あとは道に迷って辿り着くくらいだ。自力で見つける猛者もいるが、椎名京が自分見つけたとは思えない。やっぱり、だれか家族か友人に教えてもらったのか?でも椎名京に面識がありそうな常連は思いつかない。じっちゃんに俺はまだまだ半人前と言われつつも店の厨房に入り、客に麻婆豆腐を出し始めたのは、今年の春、つまり俺が高校に入学してからだ。椎名京とは同じ一年だが、クラスは違う。
ーもしかしてー
「こんにちは~言峰くんご飯食べにきたよ~」
ガラガラと店に入って来たのは俺と同じ川神学園に通う熊谷満。あだ名はクマちゃん。相当のグルメちゃんだ。なぜならこの店が改めて開店した直後に自力で見つけたのだから。どうやって見つけたかきくと、
「においかな~。」と言われた時に人間の嗅覚じゃないな、と思った俺は悪くないと思う。
「クマちゃん。こんにちは。今日は何たべる?ここには麻婆豆腐しかないが。」
「うーんとね~。今日は中辛でお願い~。」
「わかった。」
~十分後~
「あ~美味しかった~。」
「それは良かった。」
同学年とゆうことでため口話している俺たち。クマちゃんは舌が確かなので、彼のおすすめする料理はとても美味しいのだ。俺も食べるのは好きなのでよく情報交換する。
そうして、俺とクマちゃんは以外誰もいない店内で雑談していた。
「なぁ。クマちゃん。この前うちに椎名京が来たのだが、何か知らないか?」
「あれ?もう来たんだ~。うん、この前ね~クラスの椎名さんから激辛で美味しい店で隠れた名店を聞かれてね~。椎名さん口も堅そうだし、とっておきのお店を教えてんだ~。」
あ~、うん。自分の腕で勝負するってことであまり宣伝とかしない店の決まりみたいなもんがあるけど別に初見さんお断りとかなくてむしろウェルカムだし、自分の料理をとっておきと言われて嬉しくないわけが無い。だけど、だけど!
「武士娘って危険なイメージしかないんだが、、、」
「大丈夫だよ~。皆いつもは楽しいひとたちだよ~」
「クマちゃんがそう言うならかまわないが、、すまんな。以前見た川神百代のイメージが強くてな。」
「あ~、変態橋でのテトリスの事~?」
「ああ、不良が綺麗にテトリスになってた。その後、来年はもっと積み上げたいな!といって不良を蹴飛ばしていたんだ。俺の中の武士娘がゴリラから天災に変わった瞬間だったな。」
「あれはすごかったね~。でも、川神先輩は悪い人じゃないらしいよ~。あの人の舎弟って噂されてる人が言ってた。」
「あの先輩の舎弟になりたいもの好きなんていたのか。あれか、頭はモヒカン。肩パッドをしていて口癖は汚物は消毒だ~みたいなやつだろ。」
「ううん。身体は細いけど頭がいいんだ~。軍師って周りから言われてるんだ~。名前は直江大和ってゆうんだ~。風間ファミリーの一員だって~。」
「ほー。」
そんな話をしていると店の扉が開いた。
「あ~。椎名さんだ~。こんにちは~。」
「こんにちは。クマちゃん。」
「いらっしゃい。ご注文は?」
「激辛で。」
「分かりました。」
「ぼくはそろそろ帰るね~。じゃあまたね~。椎名さんもまた明日ね~。」
「ありがとうございました。」
「うん、また明日。」
そういってクマちゃんは帰った。残ったのは俺たちはなにもしゃべらず椎名京は本を読み始め調理する音だけが響いていた。
「はい。どうぞ」
「いただきます。」
正直まだあって二回目だからなのか本当に感情が読めない。黙々と食べ、食べ終わったら代金を置いて短く
「ごちそうさまでした。」
と言って店を出て行った。それからとゆうもの、椎名京はフラッと来たと思えば
「激辛、いただきます。ごちそうさまでした。」だけ言って帰る。とゆうのがいつもになってきた。
そして、Sクラスの天然少女にクマちゃんに貰ったマシュマロで餌付けを意図せづしてしまい懐かれたり、美青年に熱っぽいめで見られたり、ロリコンにロリについて語られたりして、一年がたった。俺はなにしてるのかな?と少し思うが人間何事も慣れてしまうのか、もう気にしたら負けと思う様になってしまった。
今日からまた新学期が始まるが平穏な一年を過ごしたい。
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第3話 小雪餌付け
新学期 それは新たな出会いが始まる季節。桜が咲き、暖かい風が吹き、そしてーーー
不良がテトリスになる時期。
「去年より多いな~。」
「全部赤なんだね!」
「赤とゆうより真っ赤でしょ。」
「なあ、関節ってあっちに曲がるっけ。」
「お姉さま、さすがだわ!」
野次馬が騒いでる中、一方的虐殺が終わったため、その犯人、川神百代の周りに風間ファミリーが集まる。見たことある顔が並ぶ。店に来た事あるのは川神百代、川神一子、椎名京、、風間翔一、師岡卓也、の5名だな。川神姉妹はじっちゃんの時からの常連の助平爺の学長とルー師範代がコソコソ店に来るのを見つけてしまい、食べにくるようになった。男2人はそれぞれバイト帰り、ゲーセン帰りに椎名京に会いそのまま一緒に店に来た。皆味が気に入ってくれたからか偶に一人か二人位でくるようになった。
なんでさ!?
なんで、学校トップ戦闘力&危険人物が集まるんだよ!皆悪い人たちじゃないから最近は楽しい友人だが当初、助平爺、目が細い人、女子力=戦闘力、ワンコがそろった時は
(今スカウター付けたらスカウター爆発するかな?)
(戦闘力…たったの5か…ゴミめ…、私の戦闘力は53万です ですが、もちろんフルパワーであなたと戦う気はありませんからご心配なく。とか誰か言わないかな。)とずっと思っていた。
「イチローオハヨーなのだ~。」
「一郎君。おはようございます。」
「おう、一郎おはようさん。」
考えてごとしているとSクラスの友達にあった。
「雪、冬馬、ハゲおはよう。」
「うん!」
「はい。武神は今日も元気のようですね。」
「うわ、おっかねぇなってちょっとまて朝っぱらからいきなり罵倒!?」
「雪、、マシュマロ食べるか?。」
「うん!食べる!あ~ん。」
ポイ、と口にマシュマロを入れてあげる。
「無視すんな!」
「まあまあ準、剥げてるのは事実でしょう。」
「っつてもな、若、、、」
「準はハゲなのだー。」ペシペシ。
「こら、雪頭を叩いちゃだめでしょ。」
「こうしてみてると準はまともに見えるな。」
「そうですね。」
「いや、若も一郎も何言って「あ、小さな女の子だ~。」え!?どこ!?雪、それ何処にいるの!?」
「なあ、準、ロリコン効く薬ってまだないのか?」
「無いですね。貴方の麻婆豆腐はどうですか?」
「まだ試作段階でな、ロリコンを直す麻婆豆腐はまだだ。以前は失敗して昇天させかけたからな。」
「え、俺知らないんだが、何のことだ?」
「学校が見えましたよ。今日は始業式なので少し急ぎましょか。」
「は~い」
「ああ」
「お~い、聞いている?お~い」
始業式も終わり、担任からやる気のない説明を聞き帰るとき
「一郎君ではいきますか。」
「ああ」
「まーぼー、まーぼー♪」
「よし、食いに行くか。」
「お客様は二名様ですか?」
「はい。そうです。」
「あれ!?俺は!?」
なんて談笑しながら家に行く。榊原小雪は俺がクマちゃんから貰ったマシュマロをバックに入れていたら
「いい匂い~、ちょ~だい。」
と言われたのであげたら懐かれた。まだ、未開封のマシュマロの匂いを嗅ぎつける嗅覚に少し驚いたのは内緒だ。そうしているうちの懐かれた。葵冬馬と井上準は雪と昔からの友人だそうで雪が懐いていたことに驚いていたがすぐに仲良くなった。そのあとうちの麻婆豆腐を食べさせたら、雪はもっと懐いた。俺の作る飯が気に入ったらしく、よく弁当の卵焼きをねだりに来るようになった。口を開けて待つ姿が可愛いのでついついあげてしまう。
雪は辛くない麻婆豆腐を冬馬は中辛、準は普通の麻婆豆腐を好む。たまに味覚は確かでそこそこ頑丈な準にロリコンを治す極楽浄土麻婆豆腐を食べさせている。本人はその麻婆豆腐を食べ記憶を失うので覚えていない。
「余りの辛さで本人が記憶を消しているのでしょう。」
と冬馬は言うがうちの常連には極楽浄土麻婆豆腐を食べ平然としていた奴がいる。
「ハァ~」
「どうしましたか」
「なんかたった一年で常連が異様に増えた気がする。」
「いいことじゃないですか。」
「全員曲者ぞろいすぎてな~。店に迷惑をかけなきゃ誰でもお客様ってのがうちの方針だが、、、」
「そればっかりはしょうがないでしょう。だってこの町ですから。」
「それもそうだな。」
その後はいつも通りの雑談で新しい編入生の話とかをして、三人が帰った後はその日はだれも来なかったので店を閉めた。編入生がまともな人間でありますように、と星に願った。
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