そんなカルデアもあるよねって話 (しましょー)
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召喚

ピックアップ早いよイベント挟まないのかよ石無いよ
 →しょうが無い、課金して触媒も準備するか
 →えぇもう来たんだけど…この小説どうすんねん、って感じの小説です。


 

 

 

 

 

体を引っ張られるような感覚がして意識が覚醒した。

自分の身体がエーテルで形作られているという、永い生の中でも味わったことの無い違和感を経験しながら、今の状況を判断する。

 

 

(なるほど。コレが座からの召喚というものなのか。とても……とても不愉快だ。)

 

 

頭の中に私のサーヴァントとしてのステータスと必要な知識が流れ込んでくる。

 

くだらないと内心で吐き捨て、その一方で、心底人間と関わりたくないと思いながら、結局の所こうして召還に応じてしまった私の心はもう定まっているでは無いかと我ながら呆れてしまう。

 

 

 

本来であれば、人間を害することはあろうとも、人理の守護者になんてなるはずも無かった。

 

人間は嫌いだ。定命でありながら永遠の愛などと嘯き、脆い身体を持ちながらくだらないことで争う。他人からの評価に敏感で有りながら、他人から受けた恩はすぐに忘れる。

 

こんなくだらない生き物の配下に置かれるなど、天地がひっくり返ってもありえない。もちろん数百年に一度くらいはまともな人間も出てくるが、彼らは私を対等に見ることはあっても、配下にしようなどとはしなかった。

そのようなことを言ってくるような人間には近づかないようにしていたし。

 

人間の命令を聞くなんて、まっぴらゴメンだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでも。あぁそれでも。

 

頭の中に浮かぶのは、垓下の戦いと中国異聞帯での最期の彼の姿。

二度もあの方との別れを味わうことになり、自棄になった末に更に憎んだ人間に敗北した私は、始皇帝によって差し出された甘い言葉に惑わされてしまった。

 

否。あれは毒であった。時間が経てば経つほどその事しか考えられなくなる毒だ。

 

『抑止の守護者になれば彼と再会できるかも知れない』

 

あぁ。あぁ!これ以上私に効く毒があろうか。確かにあの皇帝の言葉も一理ある話ではある。

というか正論なのだ。自分の手で彼をつなぎ止めることに失敗した私は、恥を忍び、苦渋を舐めながらだとしても、同じ聖杯戦争に喚ばれるという奇跡にかけるしかないのだろう。

 

 

 

ぐちぐち言ってても始まらない。決意を新たにしようじゃないか。

私の求めるもの、我の望みを叶える手段がもうそこにしか無いというのなら。

呪い、憎んだ人間の下であっても堪えて見せよう。

 

 

 

 

身体の形成が終わる。

エネルギーが収束し、虹色の光が収まる。私を召還したのはどのような魔術師だろうか。

私を喚んだということは、生半可な触媒では無いはず。…もしかしたら()も近くに召還されているのかも知れない。

 

大きな不安と一抹の期待を胸に顔を上げると、そこには平々凡々とした黒髪の東洋系の少年が、そしてその傍らにはその身と同じほどの大きさの盾をこちらに向けた紫髪の少女がいた。

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()』とそのサーヴァント。顔を見た瞬間にその事実を理解し、一瞬で怒りが沸き上がり、呪詛を吐きたくなるが必死の思いで我慢する。

 

以前カルデアの職員だったときにちらりと見たことがあるのだが、マスターに反抗的なサーヴァントが現れたときは、強制的に退去させられることもあるらしい。

私を召還するような滅茶苦茶なカルデアなのだから、もしかしたら既に彼が来ているかも知れない。そのチャンスを一時の感情に身を任せて逃してしまうのも得策では無いだろう。

 

 

「…嘘でしょ。ほんっと最悪ね…」

 

 

小さく呟いた。確かにあの異聞帯で縁は結ばれたのかも知れないが、いや、悪い冗談でしかない。

とりあえず。うん。こちらを見たままポカンとしてアホづらを晒している彼らに、呪詛の代わりに皮肉でも浴びせておきましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「サーヴァント。アサシン。契約に応じてあげるわ。それにしても、よりにもよって私を召還するなんて、随分とご立派な神経をお持ちのようね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________________________________________________________

 

 

この日、藤丸立香は率直に言って浮ついていた。

 

 

 

カルデアという場所に来て数日が経ったが、正直ここまで良いことなど何も無かったから。

 

訪れた初日に爆破テロに巻き込まれそのまま過去の日本にタイムスリップ。しかもその都市も煌々と燃えさかっていて、人も一人もおらず、やっと出会えたと思ったら過去の英雄とかいう神話の登場人物が襲って来るし。そいつらをマシュと仲間になったクー・フーリンの力で乗り切ったら、今度は黒くて怖い剣士や、テロの元凶が身内だと判明したり、所長を守りきれなかったり…。

 

 

カルデアに帰ってきた後も、メディカルチェックやこれからについての説明の連続。カルデアの案内などを受けるうちにいつの間にか、疲れが溜まっていた。

また、自分が『人類最後の砦』であることの自覚と重みがのしかかっていたこともあるだろう。

 

だからこそ、ロマンの「第一特異点攻略に乗り出すのはまだ先になりそうだけど連携の確認とかもあるだろうし、立香くんも英霊召還しようか」という言葉に心ウキウキわくわくだったのだ。

 

 

 

規定の時間近くになり、呼びに来たマシュと一緒に召還室へ向かう。

召還にはマシュの盾が必要らしい。それに、ロマンの話だと、必ずしもこちらに協力的な英霊が召還されるわけでは無いから護衛がいた方が良いとのこと。

 

「なんでじゃ…こんな危機なんじゃけぇ、皆で協力せないかんじゃろぉ…」と心の中のゲンも言っているが、その可能性が少しでも考えられるので、いざというときに戦えるマシュを近くに置いておく方が良いのである。

あと共にレイシフトする数少ない仲間には、俺とマシュ揃って挨拶しときたいしね!

 

 

「先輩、どんな方が呼びかけに応じてくださるか、楽しみですね!」

 

「うん。冬木のクー・フーリンみたいに協力的だと良いんだけどね…」

 

 

思い出すのは冬木で共に戦った頼れる魔術師。十分な経験と技量を併せ持ちながらも、気さくにこちらを導いてくれる人だった。俺とマシュという初心者コンビがあの厳しい戦いを乗り切ることができたのも、ひとえに彼がいてくれたからだ。

 

彼はケルト神話という一つの神話体系のトップであり、そんな破格のサーヴァントがこんなへっぽこマスターに召還されるはずも無いのだが、どうしても期待してしまう。

 

召還にあたって見た資料によると、呼び出されるサーヴァントは彼らゆかりの聖遺物などの触媒を準備すれば、ある程度狙った人物を引けるそうだ。

そして、「縁」も立派な触媒になるそうで…。

 

 

「もしクー・フーリンじゃなくっても、優しい人が良いなぁ」

 

 

 

 

あれやこれやと歴史上の人物に思いを巡らせているうちに、召還室に着いた。

待ち受けていたのは現カルデア最高責任者のDr.ロマン。いつもどおり人懐っこい笑顔を浮かべているが、少し緊張が見え隠れしている。

 

 

「おはよう立香くん。よく眠れたかい?」

 

「おはようございますDr.ロマン。いやぁ、どんな英霊が来てくれるのかと思うと楽しみすぎて、あまり寝付けませんでした」

 

 

笑いながらそう告げると、目を少し丸くした後「大物だなぁ」と呟いていた。

 

だってそうじゃない?歴史上の人物に会えるってすごいことだと思うんですよ。織田信長に戦国時代の話を聞けるかも知れないし、坂本龍馬と話せるかもしれない。クー・フーリンやその師匠から魔術を教えて貰えるかも知れないってだけで、興奮してくるじゃないですか!

 

 

「あはは。うん、そうだね。それでこそ立香くんだ。きっと君の呼びかけに答えてくれる英霊は、君と相性の良い、優しくて勇気があって、明るい人物な気がしてきたよ」

 

 

そんな人が来てくれれば、上手くやっていけるだろうな、と思う。

 

これからの長い旅路を共にする仲間だ。相性が良いに越したことは無い。

 

 

「さて、それじゃあ早速だが始めようか。この石を召還サークルの真ん中に置いてくれるかい?」

 

 

渡されたのは虹色のモヤットボールみたいな石だった。聞くと聖晶石というらしく、この力を使って召還するらしい。詳しいことはよく分からない。

この石は冬木で倒した敵が落とした物で、今は3つしか無いけど、今後もっと増えれば召還を何回も行えるそうだ。頑張って集めないとね。

 

マシュの盾をセットし、その上に石を3つ置く。シンと静まりかえった部屋に、詠唱が響き始める。

 

「ーーーーーーーーーーーー」

 

言葉を重ねるうちに、召還サークルに光が集まっていく。最初白く曖昧だった光は、だんだんと虹色に変わり、バチバチと音を立てて収束していく。

 

「抑止の輪より来たれ。天秤の守り手よ!」

 

詠唱の終了と同時に一際大きい音が鳴り、部屋に溢れるまばゆい光に思わず目をつむる。

うっすらと目を開けると、先ほどまで聖晶石が置いてあったところには一人の人影があった。

隣のマシュが身を固くしたのが分かる。ロマンも警戒を露わにした表情だ。

 

光が収まったところで、やっと視認することができた先には、現代風の装いに身を包んだ一人の女性がいた。

 

 

(美人さんだなぁ…)

 

 

そんなことを思っていると、彼女は何やら呟いた後、キッとこちらを睨み付けて口を開いた。

 

 

「サーヴァント。アサシン。契約に応じてあげるわ。それにしても、よりにもよって私を召還するなんて、随分とご立派な神経をお持ちのようね?」

 

 

…何やら不機嫌なご様子だ。なにか失礼をしてしまった覚えも無いのだけれど。

 

と、とりあえずマシュもロマンも固まってるし、俺が代表して挨拶しないと…。

 

 

「えっと…初めまして!今回は召還に応じてもらってありがとうございます。これから一緒に人理修復、頑張っていきましょうね!」

 

「………………………なにそれ?」

 

 

え?

 

彼女はこちらがさしだした手を無視して固まると、部屋にいるマシュやロマン、さらには召還室の様子をキョロキョロと見回し。

たっぷり1分くらい固まり。

顔をサーッと青くして。

 

「………………………なによこれ………」

 

と諦めた表情で呟いていた。








項羽引けるまで書こうかと思います。


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歓迎会

続いた(引けない)











異聞帯で見た装備と異なるマシュの装備。初めましてと言ってきた藤丸。資料によれば人理修復の過程で命を落としたロマニ・アーキマン。

そしてなにより、我々クリプター側の攻撃によって壊滅したはずのカルデア。

 

 

 

間違いない。ここは過去のカルデアだ。

 

 

 

嘘でしょう?確かに座には時間の概念が無いから、未来で縁を結ぶはずの英霊が遡って召還されることもあるらしいけれど…。

私どんな顔して人理修復なんてすれば良いのよ…。

 

というか何?じゃあここにはコフィンごと爆破されて凍結されてる私がいるわけ?

私が私を見つめてましたってか。このままぴょんぴょんと座に帰ってしまおうかしら。

 

 

自分の置かれた状況を理解し、項垂れて固まっていると藤丸が声を掛けてきた。ちゃんとパスもコイツと結ばれてるのね…ちくしょう。

 

 

「あの…大丈夫ですか?何かこちらの失礼や、召還の際に問題がありましたか?」

 

 

恐る恐ると言った様子だ。それもそうだ、こちらは完全に知り合いのつもりで声を掛けたのに、向こうにとっては全くの初対面なのだから。その上一人でブツブツ呟いて、顔を白黒させていたら変な人と思われてもしょうがない。

 

あぁもう!そう考えると腹がたってきたわ!

 

 

「いえ、なんでもないわ。それより今は西暦何年の何月なの?人理修復とか言っていたわよね?」

 

 

冷静になれ、私。ここが過去のカルデアであるならば、いつか必ず中国異聞帯に乗り込むはずよ。そこなら必ずあの人に会えるじゃない。

…そうね。そこまで我慢すれば必ず…。

 

 

「今ですか?えっと、2015年の8月ですね」

 

 

…めっちゃ最初じゃない!

 

え、じゃあまさか「貴方が初めてのサーヴァントなんですよ。ちょっと失敗しちゃったのかと思いましたけど、問題ないなら良かったです!」がっでむ!

 

 

カルデア最初のサーヴァントが私…?じゃあこれから何個特異点を修復しなければいけないの…?7だっけ?嘘でしょ…。

 

 

その間に何人の人と話さなければいけないのだろう。何度醜い人の姿を見なければならないのだろう。

 

何度ヒトを葬らなければならないのだろう。

 

 

憂鬱だわ…。

ひとまずの目標と定めた中国異聞帯が果てしなく遠くにあるような気がして沈んでいると、何やらひそひそと話していたマシュとロマニが怪訝な顔でこちらに近づいてくる。

 

 

あ。まさか。

 

 

「あの…実は私たちのよく知っている人物によく似ていらっしゃって…。人違いだったら申し訳ないのですが…「人違いよ」ナコさんってご存じですか?ってええぇぇ!?」

 

「私の真名は虞美人。秦末期を生きた英霊よ。あなた達の知っているような人物のはずが無いじゃない。」

 

 

 

そういえばマシュやロマニは私のことを異聞帯前から知っていたのだったわ…危ない危ない。上手く誤魔化せたわ。

何よその顔は。二人して「えぇ~ホントにござるか~」みたいな顔をしないでちょうだい。

芥ヒナコが人外であると知れたらなにやら面倒なことになる気がする。万が一クリプターの計画がバレたりして、解凍手術が行われないなんてなった日には、異聞帯そのものが生まれなくなってしまう。それだけは避けなければ。

 

 

 

「虞美人…。自分のことを美人って言っちゃうんだ…」「ちがうわよ!」

 

 

失礼ね。美人っていうのは当時の後宮の役職名であって、現代使われている意味とは違うの。(諸説あります)

 

 

「そうなの、そうなんですね。"ロマニ所長"みたいな感じなのか…」

 

 

なにやら納得している藤丸であるが、もしや虞美人という名を知らないのだろうか。さ、さすがに項羽様の名前くらいは知っているわよね?待って。布教したら中国前にでも召還されるんじゃない?

…いけない。コイツのペースにのまれ始めてるわ。必要以上に馴れ馴れしくすることはないのよ、私。

 

 

「そう。今の時代とは価値観も常識も違うの。私も目的があるので人理修復には協力しますが、仲良しこよしになるつもりは無いので、そのつもりでいてね」

 

 

決まったわ。これでコイツの方から懐いてくることは無いでしょう。

私は項羽様にさえ出会えれば良いのだから。

 

強いて他に挙げるならば、一人になれるマイルームと文庫本があると嬉しいわね。

 

 

 

「じゃあマシュ!食堂に行ってこれから虞美人さんの歓迎会をしよう!」

 

 

 

っはぁ!?

___________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サーヴァントに食事は必要ない。そもそも私は精霊なので、生前から食事を取る必要は無かった。

 

もちろん、飲まず食わずでいたら怪しまれるので、多少は摂取していた。

そんな私なので、『誰かと一緒にご飯を食べる』ことは永い時を生きた中で滅多に無かった。のだが。

 

 

「えっとじゃあ改めてよろしくお願いします。俺の名前は藤丸立香。出身は貴女と同じ東洋の日本です」

 

「私はマシュ・キリエライト。デミ・サーヴァントです」

 

 

なんでこいつらと一緒に食卓を囲んでいるのかしら…。

結局あの後押し切られてしまった私は,二人と一緒に食堂に来ていた。

 

自己紹介なんて必要ないと思うのだけど…。

 

「はぁ。さっきも言ったけど虞美人よ。」

 

 

早く一人になりたい。そんな私の気持ちは通じることなく、二人は口早に話を続けた。

 

 

「虞美人さんは本人もおっしゃっていたように、秦末、紀元前200年頃の人物ですね。四面楚歌の故事で有名な項羽将軍の愛人であったとされています」

 

「あっ!漢文の授業で見たことあるかも知れない。虞兮虞兮奈若何の虞って虞美人さんのこと?」

 

「……」

 

 

僅かに頷く。確かに彼の逸話の中で最も有名な話かも知れないが、それは私にとっては思い出したくも無いこと。

愛しい人との離別なんて聞かれても話したくないのは誰だって同じだろう。

そんなこと少し考えれば分かるでしょうに…これだから人間は…。

 

反応しない私を見て、二人は気まずそうに顔を見合わせている。

もう良いでしょう。くだらない茶番に付き合うつもりは無いの。

私が席を立とうとすると、うなずき合った二人が

 

 

 

「す、すげー!教科書に載ってる人じゃん!あと、項羽将軍ってすごく強かったんでしょ?ゲームとかでもよく出てくるし!」

 

……ぴくっ。

 

「そっそうですね!個人の武勇もさることながら『西楚の覇王』と呼ばれ、寡兵でありながらも秦や漢の大軍を何度も破った偉大な戦術家です!」

 

……そわそわ。

 

「呂布と並ぶ中華最強の英雄だもんね!」

 

……こくんこくん。

 

「最期に劉邦に負けてしまったことで悪い話の方が多数残存している項羽将軍ですが、その時代を、最も彼の近くで見てきた人に話を聞けるというのはすごいですねっ」

 

……うずうずっ!

 

「うん!生の時代を生きた人の話を聞きたいな~」

 

「しょうがないわねっ!そこに直りなさい!あの方の伝説に込められた真実を教えてあげるわ!!」

 

 

 

このあとめちゃくちゃ項羽様の話をした。

















~歓迎会中~

ロマニ、マシュ(あんなに元気で表情豊かな虞美人さんが、芥くん(ヒナコさん)であるはずがない)

ぐだ(グッちゃん……ぐっさん…。いやぐっさんは無いな。友達の山口くんとあだ名が被る)


ぐっちゃん(……はしゃぎすぎた……)


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レイシフト

ぐだ「虹回転ってほぼ☆5確定じゃないですか」
グッちゃん「そうらしいわね」
ぐだ「PUに☆5キャラが狙いの一人しか居なくて、それが起きたら『勝った!』と思うじゃないですか」
グッちゃん「もちろん」
ぐだ「……☆5すり抜けって悪い文明ですよね」
グッちゃん「今回ばかりは貴方に全面同意させてもらうわ」




召喚室の黒い壁と同化して気配を消すアルジュナ(めっちゃ怒ってはりますやん…)


召喚から数日が経った。

 

 

未だに第一特異点が見つかっていなかったため、私と藤丸、そしてマシュの三人はシミュレーションルームで連携の確認などをして過ごした。

 

別に連携なんて必要ないし…と告げたのだが、藤丸曰く「今の虞美人さんは生前より霊基が落ちてる」ので「一人で集中攻撃を受けると危ない」らしい。確かにマナの吸収だったり、筋力などが落ちていたりする。

 

それでも私自身は霊核を一撃で破壊されない限り、消滅したりはしないのだが。まぁ伝えていないから仕方ない。

 

 

 

そう。私が精霊である事は、未だに告げずにいる。というか、告げる気は無い。

 

 

 

私が竜牙兵を剣舞で倒すのを見て、「かっこいい…!」と目を輝かせていた二人には、人の範疇を超えた再生力と燃費の良さはそういった体質だと説明してある。(それで押し通される方もどうかと思うのだが…)

 

私が人間ではないと知ったら、契約を打ち切られるかも知れない。いや間違いなくされるだろう。

人間は自分の理解できない事柄をなるべく排除しようとする生き物だから。

 

 

不本意ではあるが、このカルデアにいれば項羽様と会えるのはほぼ確実なこと。それまではただの『虞美人』として居座るしか無いだろう。いや虞美人なのは間違っていないのだけれども!

 

 

結局、連携の確認も必要最低限だけ決めて終わった。

すなわち、私が近接で攻撃、マシュがマスターを守り、私の宝具で一掃、と言った流れである。

 

というのも、自分で言うのも何だが連携なんてこれっぽっちもしたことの無い私。サーヴァントになって一週間程度のマシュ。同じくマスターになって一週間程度の藤丸。

 

こんな初心者の集まりでは、パターンAだのBだの決めるよりは、1つだけルールを定めて置く方が安定すると結論が出たからだ。

 

全く、こんな指示出しも碌にできないなんて、先が思いやられるわ…。

多分令呪の切り方とかも下手なんでしょうね…。

 

 

同じようにシミュレーションルームにいたある日。

 

マシュが「マスターをお守りする特訓がしたいので、思いっきり攻撃してくれませんか?」とか言い始めたので、盾の向こうにいる藤丸を(何らかの事故でも起きないかしら~)ってくらいに狙っていると、部屋にロマニの放送が響いた。

 

 

『立香くん、ついに第一特異点が見つかった。ミーティングをしたいから、二人を連れてブリーフィングルームに来てくれるかい?』

 

 

ちょっうわっまってとか情けない声を上げていた藤丸も、俄に顔つきが厳しい物へと変わった。

 

いよいよ始まるのか。

 

Aチームを交えた少し歪な人理修復が……。あれ?むしろ今の方が当初の予定に近いんじゃない?

 

 

 

 

 

 

 

 

私たちがブリーフィングルームに到着したとき、部屋の中には慌ただしく動き回る職員達の姿があった。

様々な資料を引っ張り出しては、専門用語を使いながらいたるところで議論をしている。

 

昨日まではどこかのんびりとした雰囲気が流れていたカルデアも、いよいよ本格稼働し始めたらしい。

 

 

 

部屋の中央にある一際大きなテーブルには、現最高責任者であるロマニと、まるで絵から抜け出してきたかのような絶世の美女がいた。

 

(そうだったわ。こいつも健在だったわね…。)

 

レオナルド・ダ・ヴィンチ。万能の人。カルデアによる英霊召喚成功例第三号。

いつぞやの異聞帯で見たときは、子供の姿になっていたが、今はモナリザそのものである。

 

私が英霊となってから見かけたのは初めてだし、ヒナコ時代もほとんど話したことは無いのだが、人類史上最も多才の人との呼び声高い彼…彼女?は、少しでもボロを出せば私の秘密を暴きに来るだろう。

ロマニと同等の警戒をしなければならないと心に誓う。

 

 

「やぁやぁ。初めましてだね、人類最後のマスター、藤丸立香くん。私の名前はレオナルド・ダ・ヴィンチ。気軽にダヴィンチちゃんと呼んでくれたまえ」

 

 

互いに自己紹介を済ませた後、藤丸はその姿に言及し、嬉々として語り始めるダ・ヴィンチ。

 

世界一有名な絵画を描いた人が、実際のところは自分の作品と同じ見た目になるために、自分にメスを入れるような変態だと分かった藤丸は少し引いていた。

 

私も長い間生きていたし、性転換を果たした人も自分を改造した人も知ってはいたけれど、『自分の創作物になりたい!』とかいうとち狂った人物は初めてだったので初めて会ったときはちょっとどん引きした覚えがある。

 

 

 

「そして、我々の呼びかけに答えてくれてありがとうね。虞美人。現地での立香くんのサポート、よろしく頼むよ」

 

 

 

私に向けて友好的に差し出される手。それを無視して

 

「分かってるわ。コイツに死なれると困るもの」

 

と告げた。なるべくコイツに近づきたくないから。

 

私の態度を受けた彼女は、顔色を変えること無く手を引っ込めたが、目が笑っていない…むしろこちらを探るような目に変わった…気がする。

 

はぁ、こんな時目線を遮れる文庫本とかが欲しいと感じるわ。

 

 

 

ダヴィンチとの顔合わせが終わると、そのまま発見された第一特異点の説明に入った。

 

要点だけ抜き出すと、今回のレイシフト先は1431年。英仏100年戦争中のフランス。

我々の目的としては、その時代のその場所が何故特異点となったかを調査・解明し、修正すること。

並びに特異点となるほどの歴史のゆがみを生じさせた聖杯を奪取すること。

 

 

うーん、フランスかぁ…。行ったことないなぁ…。

私、生まれてこの方ずっと中国に居たからなぁ。その時代って中国はどの王朝だっけ。明くらい?あんまり良い記憶無いなぁ…。

 

……じゃなかった。こんな特異点さっさと修復して、2018年を迎えないとね。

 

 

「お、なんだい。虞美人はやけにやる気じゃ無いか」

 

「うるさいわね。さっきの話だと一番揺らぎの無い特異点を選んだって話じゃない。そのくらい修復できないでこの先どうするのよ」

 

「そんなプレッシャーを掛ける言い方をしなくても…」

 

私の言葉を聞いたロマニは藤丸をフォローするようにそう言ったが、

 

「いや、大丈夫です、ドクター。虞美人さんは2017年通り越して2018年まで見えているみたいだし、緊張をほぐしてくれたんだと思います」

 

当の本人は笑いながらそう言った。

 

 

 

 

 

しまった。そんなつもり全く無かったのに。

 

 

ま、まぁいいわ。項羽様に会うために召喚に応じたのだもの。こんな序盤も序盤で躓くわけにはいかないし、手加減なしで行くわよ。

 

その後、ミーティングはレイシフト日時の確認をして解散となった。

 

それにしてもクリプターとなった時に、藤丸の資料をもっと見ておけば良かったわね。そうしたら特異点の時代も場所も、原因も黒幕も分かっていたのに。

まぁ人間の業績なんて、これっぽっちも興味なかったから仕方ないか。

 

そんなことを考えつつ部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

「なぁロマニ。やっぱり彼女何か隠してるぜ」

 

「…うん。まぁそれは疑いようのない事実だよね。召喚時の台詞から想像するに、立香くんと面識があって、しかも彼と敵対、もしくはそれに準ずるような関係だったんだと思う」「未来で縁を結んだタイプかもね。立香くんは知らないって言ってたし」

 

「そこまで想像が付いてるなら、やっぱり別の英霊を準備した方が良いんじゃないかい?多少ならへそくりはあるけど」

 

「いや、大丈夫。このままで行こう。僕は立香くんの判断を信じるよ」

 

「……彼はなんて?」

 

「『虞美人さんがすごく楽しそうにたくさん項羽さんの話を話してくれたので、今度漢文のテストがあったら満点です!』だってさ」

 

「…ふふっ。確かにあの日の食堂の彼らは遠目に見ても盛り上がっていたもんねぇ。なら私は美術でも教えようか」

 

「それガチのやつじゃないか…。そんなことよりレオナルド。さっき言ってたへそくりのことなんだけど」「あーあー聞こえなーい」「そんな子供みたいに…」

 

 

 

 

 

 

 

________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

レイシフト当日。

決められた時間にマイルームから(私は職員が使っていた部屋が大量に余っていると言うことで、一人部屋をもらっている)ブリーフィングルームに向かうと、もう既に藤丸とマシュが待っていた。

 

「おはようございます虞美人さん!調子はどうですか?」

 

「サーヴァントに調子の良し悪しもないわよ。貴方の方こそ顔色悪いわよ?」

 

緊張して眠れなかったとか遠足前の小学生みたいなこと抜かしたらどうしようかと思ったが、なんでも変な夢を見たらしい。

そんなことで大丈夫かと思ったが、ロマニによるとバイタルに問題は無いそうだ。

 

「大丈夫!コマンドはガンガン行こうぜ!でいきましょう!」

 

バカなこと言ってるし大丈夫でしょう。

 

 

最終確認が終わった後、コフィンに入る。

 

念のため爆発物が仕込まれていないか確かめたい衝動に駆られたが、職員達が見ている手前、怪しい行動はできなかった。信じるしかないわね。

 

 

思えばレイシフトするためにカルデアに来たのに、結局生きてるうちにすることはなかったなぁと思いながら、開始を告げる機械音が響いた。

 










~ちょっと長い後書き とばしてもらっても構わないよ!~



アルジュナがすり抜けたので、項羽がぐっと遠ざかりました。
項羽が引けたときにEDを迎えるこの小説の終わりもぐっと遠ざかりました。よって連載形式を「短編」から「連載」へと変更いたします。
頑張ります…。



さて、1話投稿から一日。沢山の反響ありがとうございます。

投稿する前は「こんな与太話、異聞帯消す毎に出てくるし、N番煎じもいいとこだよなー」とか言っていたのですが、高評価、暖かい感想、お気に入り登録、(誤字報告)の雨あられで、ビックリです。

本当にありがとうございます。


感想が多すぎて全部返す時間が取れそうにないので、疑問や矛盾点をぶつけてくださった時のみ、返信させて頂きます。申し訳ないです…。

全部読ませて頂いてますし、すごくモチベーションが上がってくるので、『返信帰ってこなくてもいいよ!』って優しい方は、これからもガンガンください…。








まぁ正月の福袋で項羽引くので、その時までの短期連載となりますが、どうぞよろしくお願いします


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ドラゴンスレイヤー虞美人

ネタバレ。タイトルから受ける印象ほど暴れません。


鼻腔をくすぐる濃厚な草木の匂い。

それを穏やかな風が運んでくる。

太陽の光が優しく照らすなんて、あの無機質なカルデアじゃあり得ないこと。

 

 

(レイシフト…成功ね。)

 

 

狭く暗いコフィンの中に居たはずの私たちは、自然豊かな草原に居た。

私たちが居るところは少し標高の高い丘のようなところで、周りを見渡すと遠くまでよく見える。

 

600年近く昔の時代なので、さぞや辺り一面緑が広がっているのだろうと思ったが、意外と集落や城塞などが点在している。

あそこでそれなりのヒトが生活している…などと考えると、少し嫌な気持ちが湧いてくるわね。

なるべく接さないように、パッと解決してマイルームに帰りたい。

 

 

藤丸とマシュは、ロマニと通信した後、「第一村人発見!」とか言って近くを歩いていた兵士の群れに突撃していった。

私は遠くばかりを見ていて気づかなかったが、足下に綺麗な花が咲いているのを見て幸せな気持ちになった。

 

 

「ぐっ、虞美人さ~ん!なんか戦闘になっちゃいました!」

 

 

やはり物言わぬ命は良い物だ。自分の意志を持たず、ただ次の世代に命をつなぐことに全てをかける。

自分が樹の精霊であるからだろうか。この子達の生き方を見ていると、穏やかな慈愛の気持ちがわいてくる。

 

 

「話を聞いてください~!我々は怪しい者ではないですー!」

 

 

自然の中で一生懸命に生きながらも、雨にも風にも無抵抗な植物。

ヒトも少しは見習ってほしいものだ…。

 

 

「虞美人さ~ん手伝っ「マスター!危ない!」うおっ」

 

 

はぁ…。

 

 

「そんな異邦人丸出しの格好で、戦争中の兵士に近づいたら怪しまれるに決まっているでしょう?」

 

剣を実体化させながら呆れた声を漏らす。

まぁだからといって問答無用で襲いかかってくる兵士達も兵士達だが。

 

私が剣を構えると奴らもこちらに剣の切っ先をむける。得体の知れない者を見る目。一見怒りが浮かんでいるその表情の奥には、わずかな怯えが読み取れる。

 

 

いつの時代も。どこの国でも。およそ変わりないものね。

 

 

「あ、峰打ちでお願いします」

 

「この剣に峰なんて無いわよ」

 

「じゃあ柄で殴ってください」

 

 

面倒くさい…。どうせ無かったことになるのであれば、処理してしまっても良いんじゃないかしら。

彼我の戦力差を理解し恐れを持ちながら、集団心理で本能を誤魔化して向かってくる馬鹿共なんだし。

 

…イライラするわね。すぐに終わらせましょう。

 

 

 

 

 

マシュ一人で拮抗していた戦力は私が入ったことで一瞬で片付いた。

捕虜にし損ねたので、彼らが逃げていった砦に向かうことになった。

 

何にせよまずは情報収集だ。正史とのずれを確認しなければならない。

 

歩きながら、二人が先ほどの戦いのココがダメだったとか、あそこであーだったこーだったと反省会をしていた。

何にせよ虞美人さんの剣舞は美しかったと言う結論に落ち着いていた。

 

 

 

……そ、そこまで言うのであれば次の戦いはちょっとだけ本気を出してあげようかしら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

砦に着く。藤丸達はボロボロの砦に驚いていたが、すぐに切り替え、現地人とコミュニケーションを取っていた。

 

私はマシュの大きな盾の影に隠れて、兵達からの目線をやり過ごしていた。なんでさっき襲ってきた相手と普通に話ができるのか甚だ疑問だわ。やっぱコイツ底抜けのお人好しね。

 

断片的に拾った情報によると、『竜の魔女』ジャンヌ・ダルクが蘇り、100年戦争は終了したばかりか、フランス国王も殺されたとのこと。

 

 

ジャンヌ・ダルクと言えば、私でも知っている救国の聖女。火刑に処された後に蘇ったなんて…。彼女も吸血種なのかしら?

 

 

変にジャンヌ・ダルクにシンパシーを感じていると、急に砦の周りが慌ただしくなる。

 

何事かと我に返ると、なんでも魔力反応が検知された後、竜牙兵が確認されたらしい。こんな神代も終わって久しい時代に魔力反応って…。十中八九面倒事ね…。

 

まぁ軽く蹴散らしてあげようかしら!私の美しい剣舞で!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょっとダメージ食らった。髪がボサボサになったじゃない。あの駄竜共め。

 

「竜牙兵だけならまだしもワイバーンなんて聞いてないわよ!」

 

「散々突っ込むなって言ったのに突撃していったの虞美人さんじゃないですか…」

 

「だって相性有利なんだもの!」

 

それに…さっき私の剣舞の話してたからちょっと浮かれてたし…。

多少苦戦しながらも、砦の兵達と協力して奴らを追っ払った。が、何故か兵達は逃げるように砦に戻り、後には私たちと、いつから居たのだろうか()を持った女だけが残った。

 

兵士達とどんなやりとりがあったかは知らないが、彼らの去って行った方を悲しそうに見つめていたそいつがこちらを振り向く。

 

 

「ご協力感謝いたします。貴女方のおかげで彼らを守り抜くことができました」

 

 

 

 

 

ルーラーのサーヴァント。ジャンヌ・ダルク。彼女は我々にそう名乗った。

 

先ほどの話だとジャンヌ・ダルクは蘇った後、町を破壊し、虐殺を繰り返す極悪人との話だったが彼女は数時間前に現界したばかりだという。

 

ルーラー…ルーラーねぇ。

私の頭の中に、光る蒼い皇帝が浮かんできたので慌てて頭を振って追い出した。

 

 

『つまり今のフランスには2人のジャンヌが居るって事になるね』

 

 

十中八九そのジャンヌが今回のイレギュラーだろう。藤丸やロマニも同意見のようだ。また、ロマニの見立てではあるが、そいつが聖杯を持っている可能性も高い。

 

我々の目下の目標が、オルレアンにいるジャンヌ・ダルクと定まり、こちらのジャンヌも、自分と同じ姿の人物が暴れ回っているのを放ってはおけないと、我々と共に行動することになった。

 

 

 

 

 

 

 

_____________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今居る場所からオルレアンに向かうとなると、途中でラ・シャリテという町を通る。そこで少しでも詳しい情報を得ることができれば、と立ち寄ったのだが。

 

 

「…ひどい」「これは…」

 

 

遠目から見えた立ち上る黒煙。近づいていく毎に強くなる死臭からうすうす気づいては居たが、ラ・シャリテは壊滅していた。

無事な建物は一つも無く、瓦礫の山から流血が、酷い場所では、そこかしこに身体の一部が転がっている。

ここまでは藤丸も我慢できていたようなのだが

 

 

「うぷっ…」

 

 

原型をとどめていない()()()()()()()()()に群がるワイバーンを見て、こみ上げるものを我慢しきれていなかった。

 

 

 

正直平和ボケしている。この世は弱肉強食。敗北したヒトを勝者である彼らが糧とするのは、何も間違った事ではない。

 

同族が食われているのを見れば、その隙に捕食者から逃げるくらい強かでないと、自然では生きていけまい。

生態系の頂点に立っていると思いこんでいる弱者のなんと滑稽なことか。

 

 

マシュやジャンヌ・ダルクが、群がるワイバーンを蹴散らしているのをそんなことを考えながら見ていた。

 

 

 

……と言ってみたものの、明らかにこの惨殺には人の手が加わっている。

 

死体を地面に縫い付けるように打ち込まれた杭や、エネルギー塊がぶつかったように凹んでいる城壁。

さらに裏付けるように、サーヴァントが猛スピードで向かってきているとの情報が入った。

 

 

おそらく下手人共だろう。我々の存在に気づいたに違いない。

 

 

正直、無用な戦いは避けたいのだが、自分がこの惨殺の下手人かも知れないということにショックを受けて冷静さを欠いているのだろう。ジャンヌは彼らの真意を問いただすと言って逃げようとしない。

青い顔した藤丸も、ここに残ると言いだした。

 

 

おいおい冷静になれよ指揮官…と心の中で思うが、それはここを切り抜けてから言うことにしよう。

町に残留する魔力を、藤丸達にバレない程度に吸っておく。

この身体になってから、初めてのサーヴァント戦だ。どんなものだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

覚悟が足りない。そう言われても仕方ない醜態を見せてしまった…と藤丸立香は反省する。

むせかえるような血の臭いに、(あぁ、コレが血の臭いか)と思ってしまうくほど、"死"から遠ざかっていた俺は、その後飛び込んできた光景にノックアウトされてしまった。

 

駆け寄ってきて心配してくれるマシュと、こちらの身を案じてワイバーンを散らすジャンヌ。身じろぎもせず冷たい眼でこちらを見つめる虞美人。三者三様の反応を見せる女性陣と、地面にうずくまる俺。

 

情けない。もう少し早く駆けつけていれば。何故こんなことを。

 

羞恥。後悔。怒り。様々な感情がごちゃ混ぜになって一歩も動けない俺に、ロマニから入った通信は、さらに冷静さを奪う物だった。

 

 

サーヴァント。それもおそらく敵であろう反応が5騎も接近しているというのだ。

冬木で戦った黒いアーサー王を思い出す。それが5騎。

 

想像しただけで逃げ出したくなる。今すぐカルデアに戻りたい。

 

 

 

「私は残ります。もう一人の私の真意を正さねばなりません」

 

 

正気か。なんで。一緒に逃げよう。

そう告げたかった。

冬木の時のクー・フーリンと違って、ジャンヌは不完全なサーヴァントだ。勝ち目なんて微塵もないだろう。

 

 

それでも。と彼女の目は告げていた。

 

 

「俺も残るよ。ジャンヌを一人にはできない」

 

かっこつけと言われてもても良い。死にたがりと言われても良い。ここで彼女の側にいることが、仮契約といえ契約を果たしたマスターの務めだと感じたから。

大丈夫。死ななければ何度だってやり直せるさ!

 

虞美人が呆れたように溜息をついた…気がした。















日間一位で目を疑った。
あ…ありがとうございます。
御礼に次回はカッコいい虞美人さんと、真っ赤になる虞美人さんをお届けできたらと思います。

あと、インドすり抜けた人多すぎて笑った


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白と黒

ちょっとオリ設定入ります












「クククッ……アハハハハ!」

 

 

()()()()()()、こちら側のジャンヌと瓜二つの彼女をそう呼ぶことにするが、彼女は白ジャンヌを見て腹を抱えながら笑った。

 

彼女の傍らには仮面の女、槍を持った戦士、杖を持った聖職者、中性的な騎士が控えている。

 

ジャンヌ同士で揉めているが、なんか姿形が同じ奴らが言い合っていても、双子の喧嘩にしか見えない。内容も姉妹喧嘩みたいなもんでしょ。

 

 

 

 

 

そんなことより、向こう側のサーヴァントからあまりに濃すぎる血の匂いが漂ってくるのが問題だ。

 

これはただ殺しただけの量じゃない。明らかに自分から血を求めた末の結果。

 

血を見るのが好きなシリアルキラーなのか……もしくは、()()()なのか。

 

別に前者なら何も問題ない。後者なら…まぁそっちでも別にまぁ問題は無いけれど。

 

少しだけ、容赦がなくなるだけだ。

 

 

 

『吸血鬼』

 

死徒や真祖と総称される彼らは、他人の血をエネルギー源として活動している者を指す。

私も真祖と呼ばれることはあるが、それは一部の人間共が勝手に呼称しているだけだ。死徒共が生きるために人間の血を必要とするのに対し、別に血を必要としていない。

 

 

私は精霊だから、血に限らず周囲の大気や生命からエナジードレインを行なうことができる。

その中でも吸収効率が段違いに高く、手っ取り早い吸血は、サーヴァントとしてのスキルに昇華されるほどの手段ではあるのだが。

まぁ単にそこまで切羽詰まった状況に陥ったことが無いので、ほとんどしたことが無い。

 

 

 

にも関わらず、聖堂教会の節穴共は私のことを吸血鬼呼ばわりして、何度も代行者をけしかけてきたのだ。

しつこいし、洒落にならない強さだったしで、非常に相手するのに疲れた覚えがある。

 

 

()()()()()()()()()()()()。聖堂教会の次に嫌い。

 

 

 

さて。あいつらがシリアルキラーか吸血鬼なのかだが…。

 

残念ながら両方だったわ…。

 

 

「私は若い少女の血を浴びることができればそれでいいの」

 

「では私は彼女たちの魂を頂こう!」

 

 

「エリザベート・バートリー」「ヴラド三世」と名乗る2人は、そんなことを言いながらこちらに攻撃を加えてきた。血も魂もお前らに与えるつもりは無いわよ。私の全ては項羽様の物……って何言わせんのよ!

 

 

思わず浮かんだ恥ずかしい言葉は、頭を振って外に追いやり、マシュや白ジャンヌの隣に並び立った。

契約した以上は、マスターの命くらいは守ってやらないとね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かくして特異点最初のサーヴァント戦が幕を開けた。

 

 

若い少女の血を欲していたカーミラは、まっすぐジャンヌとマシュに向かっていった。なんだろう、私は若くないとでも言いたいのだろうか。しょうがないので私がヴラド三世を相手取る。

 

女性領主だったカーミラはともかく、武人として名を残したヴラド三世はなかなかの強敵だ。

 

こちらの操る剣は手に持つ槍で弾かれ、即座に反撃が飛んでくる。片手の剣で受け止められる重さではなく、必然的に二刀で防御せざるを得ない。その隙に相手は崩れた体勢を立て直す。

 

仕切り直そうと距離を取ると、地面から生えてきた杭が足を串刺しにしようとする。さらに後ろに下がることで回避する。

 

私も遠距離から剣を飛ばすが、巧みな槍裁きで対処されてしまう。

 

()()()()()()()。俗に言う膠着状態に陥っていた。

 

 

 

「ふむ…型のような舞のような…。奇怪な剣技をつかう女だな」

 

幾度か剣と槍を打ち交した後、互いの隙を伺いながら口を開く。

 

 

「そちらは狂化がかかっているとは思えない正確な槍裁きね」

 

 

「ふん。戦闘など数えきれぬほどこなしてきた。理性が外れようが、狂っていようが、最早この身体は勝手に動くようにできている」

 

 

「はぁ…。身体に染みつくほどの戦いなんて…。そこまでして得たかった物があったのかしら。逸話に恥じぬ強欲さよね、吸血鬼(ドラキュラ)伯爵?」

 

 

ヴラド三世と言えば、小説『ドラキュラ』のモデル。

以前読んだことのあるので、話を振ってみただけなのだが、その名を告げた途端、彼の魔力が膨れあがった。

 

「違うな。我は何かを得たかったのではなく、国を守りたかったのだ…!そしてその名を呼ぶな女よ。我を…我をその名で呼ぶことは許されぬ…!」

 

……なるほど。地雷を踏んでしまったかしら。

目は真っ赤に血走り、怒髪天をつくように槍を構えた彼は、私を是が非でも殺すという殺意にまみれている。

 

もう私しか眼中に無いかのような勢いで突撃してくる彼は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぬぅっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

背後から飛来した剣に右肩を貫かれることで、私との距離を残したまま停止した。

 

 

「ごめんなさいね。わざと怒らせて隙を作るなんて卑怯な手使っちゃって。でも許してちょうだい?私別に高貴な武人ってわけじゃないの」

 

 

「ぐっ…。だが、いつの間に、剣を投げていた?話している間も、そして今も、お前は二つの剣を手放していない!」

 

 

右肩を抑え蹲りながら叫ぶヴラド三世に、「そうね。新たに剣を具現化しただけよ」と身の回りに何本もの剣を生み出しながら告げる。

 

 

精霊には『空想具現化(マーブル・ファンタズム)』と言う能力がある。

自然に干渉し、思い通りに改変する力とでも言おうか。もちろん様々な制約はあるが、とりあえず手に持つ剣と同じ物を任意の場所に生み出すことくらいは簡単にできる。

 

そして、その剣を魔力で操れば、今みたいな状況を作れるというわけだ。

 

今回は、彼が怒りで我を忘れていたことで魔力に気づけなかったことが致命的な隙だった。

さっきまでであればこう上手くはいかないだろう。

 

 

「女…貴様、何者だ?」

 

 

「普通のサーヴァントよ。あそこのアホ面マスターのね」

 

 

向こうを見れば、なんとかカーミラを退けたようで、安堵の表情でサーヴァントの治癒をする藤丸の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事に合流した後、藤丸が虞美人さん無事で良かったです~とか喜んでいる間に、向こうの陣営は敗れた2人に厳しい言葉をぶつけていた。

 

 

「バーサーク・ランサー。バーサーク・アサシン。全く、何をしているのかしら。失望したわ」

 

 

黒ジャンヌはそう吐き捨てて、残りの配下と共にこちらに向かってくる。

 

…正直厳しいかもしれない。私はまだ大丈夫だが、マシュと白ジャンヌは肩で息をしている。

まだ無傷の3人だけでなく、先ほどの2人も回復したら加わってくるだろう。そうなってしまったら、脱落者が出るのは免れない。

 

 

宝具を使わざるを得ないか…と考えていた、そんな時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ものすごい勢いで白い馬車が黒ジャンヌ達のワイバーンを吹き飛ばし、

 

 

「ヴィヴ・ラ・フランス!ヒーローは遅れて登場するものなのよね?あってるかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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マリー・アントワネットとヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。我々の窮地を救ったのは、特異点に召喚されていた"野良サーヴァント"の2人だ。

 

 

彼らは自分の紹介を済ませた後、自分たちにもフランスを守らせてほしいと協力を名乗り出て、藤丸もそれに応じたため、今後は彼らも共に行動することに。

 

 

2人が仲間に加わり、安堵したのも束の間。追っ手であるバーサーク・ライダー、マルタと交戦。これを消滅させる。

 

 

彼女は狂化をかけられながらも理性を保っており、こちらが信頼に足る相手かどうか確かめに来たらしい。流石は祈りで竜を屈服させた轍の聖女である。

私自身、宗教関係者にはあまり良い思いは抱いていないのだが、ジャンヌもマルタも、希有なほどに善良な人間であるというのは伝わった。

 

 

 

 

黒ジャンヌを打倒するために必要な"竜殺し"がリヨンに居ることをマルタから教えてもらった我々は、明日の目的地をリヨンに定めた後、キャンプで休息を取っていた。

 

簡易的なテントを張り、人間である藤丸の睡眠の場を作る。

 

その間、睡眠の必要のない我々サーヴァントが、当番制で見張りをすることになった。

 

 

 

 

 

 

 

_______________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

建物の中ではなく、森の中で夜を過ごすという経験は、生まれたときから高貴な生活をしていたマリーにとって初めての経験である。

そのため、サーヴァントとなったことで初めて訪れたこの状況に、彼女は楽しみを感じていた。

 

(どうしましょう。ちょっとお散歩してみようかしら。)

 

そう思い、霊体化を解く。

アマデウスも誘おうと思ったが、どうやら近くには居ないようだ。気配を探ってみると、向こうの方でマシュと話しているらしい。

 

風変わりな音楽家と一緒に居るマシュがちょっとだけ心配になったが、彼は女性と二人っきりの時すごくロマンチストな紳士になる。そのことを知っているマリーはそのままにしておくことにした。

 

 

一人でこっそり探検するのも楽しいだろう。だけど、今はそんな気分じゃないのだ。そう思い、一人で見張りをしているはずの()()のもとに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「虞美人さん?どこにいらっしゃって?」

 

 

霊体化して辺りの警戒をしていた私は、その声に姿を現した。近づいてくる気配には気づいていたが、私に用だとは思わなかった。何だろうか。

 

 

「まぁ!ふふっ、霊体化していたのね!ちょっとビックリしたわ。」

 

 

「実体化してても邪魔なだけだし。それで?何の用なの?」

 

 

私の姿を認め、嬉しそうな顔をした彼女は、まるで宮廷でお茶会に誘うかのように

 

 

「私、夜の森を探検してみたいの!一緒に来てくださらない?」

 

 

「……敵が近くに居るかも知れないのに、見張りを離れるわけにはいかないわ」

 

 

「ここ1カ所で見張るよりも、動き回った方が効率が良いんじゃないかしら」

 

 

「……私じゃなくてマシュとかジャンヌにしなさいよ」

 

 

「マシュはアマデウスに捕まってお話し中よ。ジャンヌは…そうね!ジャンヌも誘いましょう!良いアイディアだわ!」

 

 

聞く耳を持たない…。

なんとかして断ろうとしていたが、そこに件のジャンヌが現れた。

 

 

「マリー?声がしたのですが、誰か居るのですか…あぁ、虞美人さんでしたか」

 

 

「ジャンヌ!ちょうど良かったわ。今貴女を呼びに行こうと思っていたの」

 

 

「ほら、ちょうど良かったじゃない。ジャンヌと二人で行ってきなさいよ」

 

 

事情を飲み込めていないジャンヌに説明をせず、この王妃様を押しつけようと思ったのだが…。

彼女はぷーっと頬を膨らませてちょっと眉を寄せて、いかにも「怒ってます!」みたいな顔をした後、

 

 

「いいわ!そこまでして動きたくないのなら、ここでお話ししましょ?」

 

 

イタズラを思いついた子供のような笑顔でそう言った。

 

 

「女子会をします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

半分押し切られる形で女子会という名の謎の儀式が始まった。

 

この場を離れようと思ったが、「見張りを離れるわけにはいかないんじゃなかったの?」と煽られたので残った。この王妃様良い性格してるわ。

聖女は面食らいながらも、なすがままにされていた。

 

 

もう勝手にしてちょうだい…。

 

半分諦めた私は樹の幹に寄りかかり、座り込む。

 

 

「紅茶とお菓子があったらもっと華やかだったわね…。でも年頃の少女が3人も居るのだもの。十分華やかよねっ!」

 

 

年頃の少女…。そ、そうね。サーヴァントは全盛期の姿で喚ばれるのだから、姿の変わらない私だけれど、多分10代くらいの身体よね、これ。…うん。覚えてないけれど、私の全盛期は10代ということにしましょう。

 

 

「そう言って貰えるのは嬉しいのですが…マリー、具体的に女子会って何をするものなのですか?」

 

 

「女子会と言ったら恋バナよ!ふふっ実は私、お昼に虞美人さんのお話を聞いてから、貴女と恋の話をしてみたかったの!もちろんジャンヌ、貴女のお話も聞かせてくださらない?」

 

 

昼に聞いた私の話というのは、十中八九『垓下の歌』のことだろう。

後世の創作だが、歌を送られた私が返歌をした後、剣で自決するというストーリー。この女王様にはあんな安っぽい話がお気に召したのかしら。

 

ふん。そんな俗っぽい話題ならお断りだ。くだらない。

 

時間の無駄ね。やっぱり人間達と馴れ馴れしくしても何にもならないわ。共闘はさせてもらうけど、不必要に仲を深めることなんて無いわね。

 

 

「貴女が恋した項羽様について話を聞かせてちょうだい?クールな貴女にあんな情熱的な逸話があるなんて、きっと素敵なお方なんでしょう?」

 

 

「そうなのよ!その逸話は嘘なのだけど、あの方が素晴らしいお方だっていうのは事実よ。特別に話してあげるわ!」

 

 

聞きたいのなら仕方ないわね!

 

 

「えぇ!いろ~んなお話を聞きたいわ!でもその代わり、その後は私の恋の話も聞いてちょうだいね?」

 

 

くっ…正直興味は無いけれど…。でもいつか項羽様が召喚されたときに参考になるかも知れないし…。

 

そう。召喚されてからこれまで、『もし項羽様が召喚されたら』という妄想…もといシミュレーションを繰り返してきたが、具体的なことがあまり思いつかないのである。

生前、2人でいるときは項羽様天下平定に忙しくてあまり一緒には居れなかったし…。

 

だから、人間の夫婦がどのような、いっ営みをしているのかはちょっとだけだけど気になるわね。ちょっとだけね!

















何かこの展開前にも使った気がする。まだ5話目なのに…。
ということで、前回の後書きに書いた"かっこいい"、"かわいい"グッちゃんでした。


かっこいいグッちゃん考えるのに3日かかったので、もう二度とグッちゃんのかっこいいシーンは書かないと思います。


※オリ設定について
①吸血
ゲーム内のマテリアルじゃ正直分からんから想像で補った。多分矛盾はしてない…はず。

型月の別作品に出てくるとある真祖は「吸血衝動」を持っていて、それを抑えるために力の七割を使っているって言う設定があるんですよ。でもグッちゃん真祖じゃないしなぁ。でも蘭良王の最期あぁだったしなぁ。って悩んでた。

この作品ではグッちゃんの吸血衝動はありません。ただ血を吸うと若干強くなります。そんな感じで。


②空想具現化
これもさっき話してた『月姫』に出てくる真祖の能力。詳しくは月姫やって。
これは地球から生まれた端末であるグッちゃんならできるかなって事で採用。



多分ガバガバなので、指摘あったらお願いします。



(追記)
書き上げたので、「感想見に行くか~」と見に行ったところ、かなりの感想が運営による対応により非表示になっていました。

おそらく小説に関係ないガチャの話のみの感想が対象と思われます。

自分で散々ガチャの話をしといて申し訳ないのですが、FGOのガチャ結果に関する書き込みはご遠慮くださいますようお願いします。

とは言いましても、「項羽と虞美人揃えたぜ!」と自慢したい方や「インド オマエ ナカマ」と肩をたたき合って慰め合いたいヒトもいらっしゃるかと思いますので、そのような方々は私のユーザーページに貼ってありますTwitterの方にお越しください。

私の注意不足のせいで、皆さんから頂いた感想が見れなくなってしまいホントに申し訳ないです…。ご協力をお願いいたします。


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