球磨な提督さん (エンゼ)
しおりを挟む

球磨になった男

思いつきの単発です。
多分続きません。


 

 

 

 ───とある五人兄妹の話をしよう。五人といっても男は一番年上の長男だけで他は全員女であるのだが。

 目付きは悪いがとにかく面倒見がいい長男、猫のように気まぐれだがやるときはしっかりやる長女、面倒くさがり屋だが何でも出来る天才肌な次女、そんな次女に憧れ努力で近づこうとする三女、長男に似たのか口調が男のようになってしまっている四女、この五人だ。

 この兄妹には親がいない。今現在でも行われている深海棲艦との戦争で亡くなってしまったからだ。よって長男が他の四人の世話をすることとなった。両親の死に悲しみはしたが、このままではいけないと奮闘した。

 五人の仲はこれでもかというほど良かった。というか、長男に皆なついていた、というのが正しいか。面倒見がいいということで甘えられる対象となったということだろう。

 更に五人には不思議なものが見えていた。自分達の手のひらよりも小さくて可愛く、甘いものが好物でニコニコしながら食す姿はもう小動物そのもの...『妖精さん』と呼ばれるものの類いだ。彼らはそれをペット的な感覚でしか捉えていなかった。

 

 そんな時だった...長男に軍隊からの出頭要請が来たのは。

 両親が軍隊関係に属してたというのは長男も知っていたが、そこまで立場が上のほうではないということも知っていた。あまり両親は関係ないだろうと思いとりあえず要請に応じた。そこで言われたのは──夢としか思えない言葉だった。

 

 

「現在、深海棲艦に対抗する艦娘、そしてそれを指揮する提督が不足している...だから、君には艦娘提督というものになってもらいたい」

 

 

 長男はもう「は?」としか言えない表情になっていた。それはそうだろう...艦娘というのは女の子の容姿をしているのだ。提督はまだしも、艦娘になるいうのは不可能であると。それを伝えると、

 

「その技術は既に完成されている。ただ、一度とったらもう二度とつけれないがね...」

 

 ダメじゃねーかそれ、と思わず突っ込んでしまった彼を攻める事は誰も出来ないだろう。

 だが、断ることは出来なかった。言葉には出されなかったものの、断ったら殺すという雰囲気がもうばっこりと出ていたのだから。

 

「これは初めての計画であり色々と我々も分からない状況だ。そこは許してほしい」

 

 つまり実験ってわけですかそーですかふざけんな、という言葉を寸前で飲み込みわかりました、と心にもないことを告げる。というか、彼自身別に軍隊に所属することに対して嫌悪を抱いてるわけではない。確かに自身達の両親が軍隊に殺されたと言っていいかもしれないが、両親はそれを誇りに思ってたことを彼は知っている。というよりも自身の妹達のほうが数千万倍心配だからという理由が大きいだろうが。

 結局その日は時間をくれと言って強引に帰宅した。その後、彼は妹達に無理矢理と言っていいほど家事を教え込んだ。元々手伝ってくれてた三女、四女はまぁいいとして...長女と次女はヤバかった。やれ飽きたと言って途中でゲームするわ、やれ洗濯物を干してる最中にお日さまが気持ちいいからと言ってそのまま寝るわ...と、とても苦労したようだ。

 

 ──そして大体一週間後。軍から迎えが来た。まだ妹達が寝静まっている時にだ。

 彼は四人それぞれに置き手紙をして軍へと向かったのだった───

 

 

 

 

 そして現在、彼...いや、彼女は提督の知識を得た後艦娘になる手術を受けさせられ艦娘になってしまった。その際、人間の時の名前を忘れてしまったが。

 これは、そんな一人の艦娘であり、提督である者の物語である───

 

 

 

「横須賀第九十九鎮守府の提督兼球磨型軽巡洋艦の一番艦、球磨だクマ。目付きが悪い? ...これが素クマ」

 

 

 

 

 

 

 

 ◯ ◯ ◯ ◯

 

 

 

 

 

 

 

 

 早速だが自己紹介をしよう。俺はこの横須賀第九十九鎮守府の提督をやっている球磨という者だ。着任したばっかで全然艦娘はいない...というか、俺を含めた五人だけだ。

 というか何だよ艦娘提督って...直接現場で指揮出来るし戦えるの一石二鳥ってか?ふざけんな馬鹿野郎。過労で死ぬぞマジで。いや艦娘だからある程度人間より丈夫なんだけどよ。

 人間の頃は覚えているが覚えてない。悲しいかな、必要じゃないことは殆ど消されたようだ。人間の頃の名前とか妹達の名前とか...せめて妹達の名前だけは消さないで欲しかった。まぁこの『球磨』の記憶を無理矢理押し込むためにある程度消しとかないといけないってのは知ってたけどさぁ...にしても...

 

「書類はだりぃクマ...」

 

 この『クマ』という語尾は俺が進んでつけてるものじゃない。何故か勝手に付く。ついでに一人称も俺じゃなくて球磨になってる。なんでや。

 

「...球磨兄さん、大丈夫にゃ?」

「なんとか大丈夫クマ...」

 

 この鎮守府に所属してる俺を除く艦娘の一人目、『多摩』。何の因縁か知らねぇが俺の妹だ。だが、多摩曰く自分の名前と他の兄妹の名前も消されたようだ。だが、本能か俺が兄であることは分かるらしい。だからかこいつは俺を球磨兄さんと呼んでくる。

 こいつはいつもここ、執務室に遊びに来て床でごろごろするやつだ。割と気が散るから止めて欲しいが...たまにお茶とか淹れてくれるから強くは言えないでいる。

 と、考えながら書類とにらめっこしてると突然ドアがバンッと開かれる。

 

「おーっす、球磨にぃいるー?」

「...北上。ドアはノックするよういつも言ってるクマ」

「ごめんごめん。次は気を付けるよ」

「それで、どうしたクマ?」

「暇だから来た。球磨にぃ構ってー」

「今仕事中。また今度来いクマ」

「ちぇ」

 

 こいつは所属してる艦娘の二人目、『北上』。多摩と同じく俺の妹だ。そしてこいつも俺を兄だと分かるようだな。

 こいつは謂わば天才。大抵やらせれば期待以上に仕上げてくる。だがそれ以上に面倒くさがり屋だった。そこは多摩に似たんかねぇ...

 そしてこいつは妹の中じゃあかなりの甘えん坊だ。なんかあればすぐ俺のとこへ来る。今まで会えなかった反動もあるのか知らんがそろそろ兄離れ...いや、姉離れ?すべきだな。

 

「球磨にぃ、後どれくらい?」

「余裕で6時間はかかるクマ。だから多摩も自室に帰ったほうがいいクマよ」

「多摩はここのほうが落ち着くにゃ」

「んー、あたしもここにいるほうがいいかな。球磨にぃがいるし」

「同感にゃ」

「...書類仕事してる球磨を見てお前らは楽しいクマ?」

「「割と楽しい(にゃ)」」

「意味わかんねぇクマ...」

 

 ため息をつきつつ書類に向かってると、今度はノック音が聞こえた。

 足音は2つ...だが、念のために尋ねてはおく。

 

「誰クマ?」

『オレだ、球磨兄さん』

『すみません球磨兄さん、そこに北上さんは居ますか?』

「いるクマよ。まぁ入るクマ」

「失礼します」

「失礼する」

 

 二人は所属してる艦娘の最後の二人。名は『大井』と『木曽』だ...もう言わずもがな、俺の妹だ。ホントになんかの因縁なん?しかも同じ球磨型だし。

 大井のほうは妹の中で一番の常識人といってもいい。しかも女子力もかなり高い...んだが、北上のことになるとちょっとヤバい。もうあれは狂愛っつーか...信仰のレベルっつーか...とにかくヤバい。姉妹愛に溢れてるってレベルじゃねーことは確かだ。まぁいいやつなんだぞ?

 そして木曽。こいつは何故か俺の前の口調で眼帯をしてやがる。俺はそんな子に育てた覚えはないのに...どうしてこうなったのか...だが、めっちゃいい子で可愛い。それは俺を含む他の妹らも理解している。巷では『きそすき』なんて言葉が流行ってるやら流行ってないやら。

 

「よっす、大井っち」

「北上さーん♥」

「わっ、痛いよ大井っちー」

「...相変わらず大井姉さんは北上姉さんが好きだよな」

「いつもの光景にゃ」

「全くクマ...」

 

 ...うん、平和だ。あぁ、俺は幸せだな...また妹達と再開出来てまたこうやって話が出来てるなんてさ。もう奇跡だなこりゃ。

 ──せめてだ...せめて俺がいる間は絶対こいつらだけは沈ませねぇ。軍に入ったのは強制だったが...守るものが出来ちまったからな。

 

「...絶対に、先に沈むのは球磨だクマ

「にゃ、球磨兄さん、何か言ったにゃ?」

「や、何でもないクマよ」




オリ主タグの理由はもはやこの球磨さんが『球磨』の思考をしてないと思ったからです。思っただけなので間違ってたらごめんなさい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

球磨な男の戦闘

続いちゃいました(白目)
ですけど思いつきでパーッと書いたので低クオリティです。許して下さい。


 

 

 始業の8時。全員が朝ごはんを食べて各自訓練等をして解散した後、俺は執務室の机に向かっていた。そこでいつも必要な書類を片付けていくのだが──

 

 

「...そろそろ来る頃だと思ったクマ」

 

 

 今、俺の手にあるのは今日大本営から送られてきた書類。それには只一言のみ記されていた。

 

 

 

『近日中ニ鎮守府近海ノ制海権ヲ奪還セヨ』

 

 

 

 実はだ、この鎮守府...俺が着任してから大体1ヶ月辺りか...まだ出撃はしていない。ずっと演習、訓練ばかりやってきていた。

 言い訳をさせてもらうなら...そうだな、艤装に慣れるために試行錯誤してたんだ。俺らは人間から艦娘になった存在だし、俺に至っては性転換してしまったんだ。慣れるのには時間がそりゃあかかる。慣れれば楽なんだがな。

 そしてそれプラスで...当たり前だが、砲雷撃戦の特訓だってした。さらに弾道計算、魚雷着弾計算、偵察機の飛ばし方とか──俺はそれに更にプラスで執務の仕事だってあったんだからな?──色々やった。そこでふと思ったのさ───戦争の癖に丁寧過ぎないか?わざわざ砲雷撃戦を一々やるなんて。敵である深海棲艦を殲滅させればいいだけのはずなのに...とな。

 俺は人間だった頃の記憶は殆ど消えてしまっているんだが、習慣というか...身体に染み付いたみたいなやつは消えてないんだよな。んでな、何故か俺は人間の頃に喧嘩をしていたらしい。その証拠に...なんかその動作が身体に染み付いている。しかも、よく相手を観察する癖もついていた。相手が次どこに動くかとか、どんな感情を抱いているだろうとか...ま、そんな感じ。

 色々語っちまったが...要するに、俺は砲雷撃戦よりも接近戦が得意だということだ。この艦娘の身体はとっても不思議なことに、艤装を展開すれば当時の軍艦の持つ力を得られる。その力で拳を放った時の威力は...ほら、ヤバいだろ?

 これは俺の持論だが、艦娘の良いところは艦の時とは違ってすぐに停止、前進、後退が出来ることだと考えてる。簡単に攻撃避けれるしすぐに攻撃に移れたりするしな。まぁそれは相手もほぼ同じ条件なわけで...正直言って本当に上手くないと魚雷とか砲弾とか当たんないわけよ。機関銃みたいに連射出来るわけじゃないしな。だから肉弾戦って割と使える気がすると思うわけ。

 なのに、艦娘側は何故か実践に移そうとしない。なら俺が実践してやろうじゃないか!...というわけで話は最初に戻るが、その調整やらをやってたわけだ。

 ...まだその調整終わってないからあんまり気が進まないんだよなぁ...

 

「...でも、無視した時はした時で面倒クマよねー...」

 

 ...あいつらが心配って部分もある。自分の訓練が精一杯であんまり他に目を向けられなかったんだからな。訓練はしとけよーとは言ったが...特に多摩と北上、サボってないよな?大丈夫だよな?...はぁ、考えてもしょうがない...か。

 俺は机についてる鎮守府内に放送が出来るスイッチに触れ、マイクに向かう。

 

 

 

「あー、あー、只今テスト中クマー...よし、全員に告ぐクマ。今すぐここに集合クマ。最初に来たやつは...そうクマねぇ...頭なでなでしてやるクマよ」

 

 

 

 ───とたん、鎮守府内が複数の大きな足音に包まれた。

 

 

 

 

 ◯ ◯ ◯

 

 

 

 

 

「...負けたにゃ。もうやる気0にゃ」

「ぐぅぅ...あとちょっとだったのにぃ...ねぇねぇ大井っちぃ、少しでもいいから変わってよぉ」

「...いいなぁ、大井姉さん」

「うふふ、気持ちいいです...こうしてると、小さい頃を思い出しますね、球磨兄さん」

「んー、小さい頃は覚えてないけど、確かにこうやって撫でてたのはなんとなく覚えてるクマねぇ」

 

 ...正直ほぼ同着だった。だが僅差、ほんのわずかで大井が速かった。てか大井さんや、気ぃ緩み過ぎじゃあないですかね?ニッコニコやぞ今。心なしか、かなりキラキラしてるような...?あ、普通に目で見えるレベルでキラキラしてるわ。なんだこれ。

 

「...さて、今日はこれくらいにして本題に入るクマ」

「あ...」

 

 ...止めてね。そんなめっちゃ名残惜しそうにこっち見ないでね。本題に入れなくなっちゃうから。

 

「オホンッ...今日、大本営からこーんな書類が届いちまったクマ」

 

 とりあえずバッと件の書類を見せびらかせるように見せる。困惑するかなーって思ってたら...あれー?

 

「...球磨兄さんにいいとこ見せれるチャンスにゃ!」

「ねぇねぇ球磨にぃ、ちゃんとご褒美あるんだよね?」

「...ようやく私の魚雷が火を吹くのね...球磨兄さんに魚雷の良さを伝える機会がやっと来たわ!」

「やっと実戦かぁ!っし、やってやる!...そして球磨兄さんに...!」

 

 なんだよこいつら、戦闘狂か?なんでこんなにやる気に満ち溢れてるんだよ...あんまり危ないことはしてほしくないんだがなぁ...今更か?

 あれ、てかもしかして調整終わってないの...俺だけ?...マージかい。

 ...まぁいいや、なんとかとなるだろ。

 

「ってわけで出撃クマ。用意はいいクマか?」

「オーケーにゃ」

「ばっちしだよー」

「大丈夫です!」

「いつでもいいぞ!」

「...なら、出撃クマー!」




キャラ崩壊してるなぁ...俺の嫁はこんなんじゃない!って方には申し訳ないですね...

多分続きません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

球磨な男の正面海域攻略

またまた続いちゃいました(白目)
そろそろ批判とか来ても可笑しくないですねクォレハ...


 ──辺り一面静かな海だ。日の光を海面が反射してとても輝いているのが見える。更にどこからか...カモメであろうか、鳥の囀りが聞こえてくる。そんな中を航行している俺達五隻...これ敵なんているのか?ってレベルだぞ。

 ちなみに、水上旋回については慣れた。流石に1ヶ月間訓練してたら慣れるわ。理想はスケート選手みたいに自由自在に動けることだが...まだそのレベルじゃあない。まぁ動けるっちゃあ動けるって感じだな。

 

「...球磨兄さん」

「ん、どうしたクマ?」

「敵艦隊発見にゃ。距離は...約5000ヤード。方角は多摩達の真っ正面。艦種まではよく分からないけど...多分軽巡1駆逐4にゃ」

 

 マジかい...流石多摩だな。この中で一番索敵能力が高い。そして5000ヤードか...1ヤードが大体四捨五入して1mだから約5km先か。

 

「多摩、ナイスクマよ」

「...行動で示してもいいにゃ」

「...しょうがないクマねぇ」

「にゃ~...」

 

 とりあえず頭なでなで......すごくだらけた顔になってら。これ一応出撃だよな?緊張感持たなきゃだよな?いや頭なでなでしてる俺もアレかもだが。

 

「「「.........」」」

 

 ...すっごく目線感じるなぁオイ。睨んでるとかじゃないよこれ、無表情だよ絶対。

 あーやだやだ、戦闘に集中しますかね。

 

「...さて、始めるクマよ」

 

 ...実は俺はまだ完全に艤装の力を使いこなせてない。だから出力を制限しなきゃならんのだ。今出せる出力は...精々5%程度。つまり軍艦球磨の力の二十分の一程度しかまだ使えないわけだ。これが普通なのかと思ってあいつらにそれとなしに聞いてみたが反応は極薄。俺だけみたいだ。原因の可能性としてだが、元男だから完成に適合してない説が有力かもだ。

 まぁこんなんじゃあ守るどころか足手まといになっちまうんだ─────ま、これは砲雷撃戦においてのみの話だがな。

 軍艦球磨の二十分の一?なら20回殴れば100%分になるだろ?つまりはそういうこと。どうにかして近接戦闘に持ってけばワンチャンあるってことだ。

 ───だから行く。

 

「球磨が旗艦をやるクマ。随伴は...お前達に任せるクマ」

「!...りょーかいにゃ」

「球磨にぃの頼みなら」

「見てて下さいね、球磨兄さん、北上さん!」

「あぁ、最高の勝利を見せてやる!」

「無理はするんじゃないクマよ」

 

 ...正直心配だが、早めにケリをつければいい話だ。

 

 ──見えてきたな。よし、行くか。

 まずは、見える五隻全てに敢えて着弾がそれぞれの敵艦にギリギリ届かない位置に打つ。地味に計算使うかななんて思うがこれも調整の成果だ。結果、水飛沫が上がり目隠しに成功。

 そして仕留める敵艦......旗艦の軽巡ホ級のいた位置に加速して近づく。足の装備に関しては艤装というよりそういう靴の類いみたいなものだ。だから艤装の出力関係無く鍛えた最高速を出せる...まぁ、加速力に関しては艤装は関わってるが───おっと戻そう、そしてそのままホ級を殴り飛ばし、敵艦隊から距離を取らせる。すると随伴のやつらは慌てて旗艦に攻撃を仕掛けた俺に向かって砲撃を行おうとするが、その前に───あいつらが各々でそれぞれのやつに砲撃を行う。つまり現在五隻vs五隻の形ではあるが、一隻一敵艦みたいな感じだ。ちょうど敵艦随伴も四隻居たしな。

 

 

「■■■■■■!!!!!」

 

 

 ...おおぅ、こいつら鳴くんかい。うるせぇ。

 あ、敵が撃ってきた...だが遅い。簡単に見切れるぞ。精度が甘いな...こうやって簡単に接近を許しちまうなんてな...さて、さっき艦隊から離した一撃である程度削れてるだろ。止めだ。

 

 

「...出力、5%───ラッシュ!!」

 

 

 今出せる全力で思いっきりホ級を...何度も何度も殴り付ける。反撃する暇を与えるな、ただ相手が倒れるまで───ひたすらに!!

 

 

「クマクマクマクマクマクマクマクマクマクマクマクマクマクマクマクマクマクマ───ッ!!!!!!」

 

 

 すると......ホ級は爆発を起こし粉々になって、沈んでいった。

 いや何で爆発したんだ?偶然その部分殴っちまったってことかね?...そういうことにしておこう。

 それにしても5%だけで割と事が足りたな...ほかのやつらはどうだ?...木曽がちょっち危ないか?いや、結構危ないかもだぞアレ...圧されてら。他は大丈夫そうだな。

 ...仕方ない。練習中のやつをやって木曽を援護するか...槍投げ式魚雷を。何で槍投げ式かって?水の中と空気中じゃどっちが抵抗が強いか考えれば一発だろ?抵抗無いほうが速く相手に届く。

 ───持ってきた魚雷は一本。いざと言うとき役に立つかと思ったがガチだとは...世の中はもうホントに分からん。

 さ、木曽の相手する敵艦目掛けて振りかぶって......投げる!

 

「木曽ォ!!衝撃に備えろクマァ!!」

「え、ちょっ───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────戦闘終了クマね」

「こっちも片付いたにゃ」

「思ってたより楽勝だったね、まだ序盤だからかもだけどさー」

「...久々に疲れました...」

「球磨兄さん、少し方法はアレだったが...ありがとな」

「流石に急過ぎて悪かったと思うクマ...とまぁ、お疲れ様クマよ。これより帰港するクマ」




多分続きません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

球磨な男と新戦力

短編だからきっと遅れても大丈夫(暴論)

...嘘ですすみませんでした。
低クオリティですがどうぞ!


 

 

 

 

先日やってきた『はよ出撃して戦果あげろやコラ』という書類に対して『ほら正面海域攻略してやったぞどうだこれでいいだろ』という...滅茶苦茶悪く言えばそういう意味に取れる書類を大本営に送り付けて一週間後。なんかまた書類がやってきたんだが...その内容はっと、

 

 

『貴鎮守府ノ戦果拝見シタリ。サレバ、貴鎮守府ノ更ナル戦果ヲ期待シ新タナ人員ヲ献上ス』

 

 

...なるほどね。新たな人員...艦娘か?

そうだなぁ...出来れば駆逐艦がいいな。というか遠征要因が欲しい。俺は燃料以外はほぼまともに使わないから実質軽巡4.5隻分の資源を使っている感じなんだが...それでもやりくりするのはちょっと厳しいところがある。いやまぁ俺ら軽巡でも出来る遠征はやってはいるんだがな。いかんせん消費量もまあまああるわけでな...

んで、その人員とやらがやってくる時間はっと...は?今から二時間後だとぉ!?

 

「な、何も準備してねぇクマよ!?」

 

新人には歓迎会が基本...なのに準備期間すら与えて貰えんのか!?...いやー、これ大本営絶対俺のこと嫌いだわ。まぁ人員与えてくれるだけマシだろうが。

さて、どうしたものか...

 

 

 

「てーとくさんどうしたのです?」

「またまたしゅつげきです?」

「なぐりあいはせいぎ」

「われら、くまてーとくさんにおつかえするよにんしゅー」

 

 

 

──この四人の妖精さんは俺の艤装に住んでる...住んでる?いや、手入れしてくれている、が正しいか。とまぁそんな妖精さん達だ。多分俺が人間の時から見えてた妖精さん達...だと思う。でもこの子達は俺をくまてーとくと呼ぶから違うかもしれない。真実は闇の中ってやつだな。

 

「いや、違うクマ。ほらこれ」

「んー、あらたなじんいん?」

「あたらしいこくるの?」

「どんなかんしゅかなー」

「でも、われらがくまてーとくがいちばん!」

「「「とうぜん!」」」

「...恥ずかしいから止めるクマよ」

 

顔が熱くなるのを感じる。あいつらに見られないだけ良いか...多分見せられない顔になってるからな。

...ふぅ、よし。歓迎会の準備だ。あいつらに飾り付けは任せるかね。俺は料理でもするかな。腕落ちないといいんだがな......いや、心配だな。大井にも着てもらうか。さぁて他のやつらには飾り付けさせるかね。

 

 

『提督からの通達クマ。これから二時間後に新戦力の艦娘が着任するらしいクマ。その娘の歓迎会するから飾り付けはお前達に任せるクマよー。あ、大井は球磨と一緒に歓迎会の料理クマ。大井だけは台所集合クマ』

 

 

 

◯ ◯ ◯ ◯

 

 

 

ちなみにだが、まだこの鎮守府には任務娘こと軽巡洋艦大淀及び、酒保艦こと工作艦明石はいない。普通の鎮守府になら艤装は届いてない状態で提督の補佐として来るらしい。そして一定の戦果を上げたら遅れて艤装が届くとかなんとか。提督達にとって大淀明石の戦力は一つの勲章みたいなもんらしいな。そもそもこの鎮守府には来てくれさえいないが。

まぁあれだ。色々と向こうにも事情あるんだろうな。でも戦力くれるなら先に大淀明石くれよってのは思ったな。なに、別にこれからくる艦娘が嫌ってわけではないがね。

 

「おぉ!おいしそー」

「んー、まずまずクマね」

 

数分考え事をしながら料理をしているともう四品もできてしまった。艦娘のスペックヤバい...だけど納得は出来ない味だ。妖精さんは誉めてくれるが、俺の料理ってこんな味だったか?なんて感じてしまった。

 

「...にしても大井。さっきからなんでずっと笑ってるクマ?...もしかして怒ってるクマ?」

「お、怒るだなんてそんな!だって球磨兄さんと一緒に台所に立つなんて初めてですから...前はずっと球磨兄さんが作ってくれましたし...」

「おー、確かにそうクマね。最後のは覚えてないクマけど。とにかく、いつも作ってくれて本当にありがとうクマ。何かお礼がしたいクマけど...何がいいクマか?」

「え!?おお礼、してくれるんですか!?」

「球磨に出来ることなら常識の範囲内で何でもいいクマよ」

 

多摩や北上にはこう言わないと1日は拘束される時あるからな...1日中ずっと一緒にゴロゴロしよう的な感じで。仕事があるってのにあいつらは全く...

まぁ大井は比較的そいつらよりは常識人だしそんなことないだろ。うん。つい言っちまったけど。

 

「......じゃあ」

「ん?」

「...たまにでいいので、こうやって...一緒に、料理してくれません...か?」

 

...なんだこいつ。顔赤くして声震わせて...可愛すぎか。まるで恋する乙女みたいじゃないか。我が妹ながら恐ろしい...

とりあえず、返事は決まってる。

 

「時間があれば勿論大丈夫...というか、こっちからお願いしたいほどクマ。なんか球磨の料理の味落ちてる気がするクマからねぇ」

「...ありがとう、ございますぅ!」

「うぉぉ、急に泣くなクマ!可愛い妹の頼みを球磨が断るとでも思ったクマ!?」

「いつも忙しそうですしそれで断られると思ったんです!」

「大井はもっと我が儘でいいクマよ...多摩や北上は大井を見習ってほしいクマ」

 

こいつは全くなぁ...真面目な癖に変な所抜けてるというか...いい娘なのは間違いないんだが。

そうやって談笑しながら料理を二人で作っていると────

 

 

 

 

 

 

「くまてーとく!たいへん!!まじたいへん!!えすおーえすしんごーがとどいてるよ!!!」

「...SOS信号?」

 

 

 

 

 

 

 

────突然、妖精さんからとんでもないことが告げられた。




多分続きません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

球磨な男と救助

また続いちゃいました。
なんか強引だし色々おかしいけど許して。


 

 

 

 

 

「場所は」

「このちんじゅふからまっしょーめんにいちまんやーど!」

「東に一万ヤード...それってこの前行った海域の向こう側クマね」

 

妖精さんから話を聞いてすぐに俺はその場を大井に任せて港へと向かっていた。無論、救助に行くためにだ。

あいつらに正直戦わせたくないから大井には黙っておいてくれと頼んだから多分言わないだろう。あいつは割と口堅いからな。

それに場所が場所だ。以前攻略した正面海域の少し向こう側...なら、俺一人でも大丈夫だろう。

 

「艤装は」

「じゅんびできてるよー!」

「流石クマね。帰ったらお菓子を作ってやるクマよ」

「おぉ!くまてーとくのとくせーおかし!」

「こりゃいきてかえらなきゃな!」

「ちくわだいみょーじーん♪」

「誰クマ今の」

 

...しまらねぇなぁ、全く。

だが、これからやることは救助。今から気を引き締めなきゃならない。

助けを求めてるんだ。全力で当たらないとならない...それに、久々に一人だ。

自分のえくぼがつり上がっていく。全身が闘争を求めてる。妹達がいない今、自分を縛るものは何もない。

 

 

「...球磨、出撃クマ。全力で」

 

 

 

◯   ◯    ◯

 

 

 

絶体絶命。今の状況を簡潔に言ってしまえばその一言だろう。

先程までアタシ──『夕張』ともう一人──『阿武隈』は共に『横須賀第九十九鎮守府』に向かっていた。目的はこの報酬である『阿武隈』をその鎮守府に送り届けること。普通なら陸続きで送るものなのだろうけれど、何故かその鎮守府は無人島に作られた鎮守府。よって海を渡らなくてはならないのだ。

ちなみに随伴は無し。ホントなら敵となんか遭遇しないですぐ任務を終わらせて帰る予定だったし、大本営も大本営で今深刻な戦力不足だからあまりこういうことに手を回せないみたい。

...ホントに、どこで狂ったのかしら。笑うしかないわね...数十の敵に囲まれてる状況だなんて。

持ってきた電探で表示されてた敵景は全て避けてたはず...まさか、誘導されてた?

 

「...あの夕張さん...」

「ええ...でもやるしかないでしょ?」

 

見た限り9割が駆逐、軽巡...人型のは最後の一割で重巡。

...SOSは送った。援軍が来るまで凌げばなんとかなる。

本当は逃げるのがベストだけど状況的に不可能...でも沈むつもりは全然ない。

 

「行くわよっ!!」

 

艦の性質上で装備の実験とかにも参加してたから自分の装備のことは100%頭に入ってる。それに、戦闘経験もそれなりにある。これほどではないが、他対一も経験済みだ。

まずは自身の艤装から主砲を手前の駆逐艦に放つ。戦術はよく漫画でも見るものと同じで『弱いやつから潰す』だ。

目論みは成功。手前から徐々に駆逐艦の数を減らせている。

 

「よしっ!」

 

とはいえまだだ。こっちにいる阿武隈は練度1、つまり戦闘経験は0なわけだからある程度庇わないと危険だし、何故かまだ静観している奥の重巡も気になる。

 

「阿武隈、大丈夫?」

「は、はい! ある程度ダメージを負わせれてます!」

 

攻撃は通るのね。なら、阿武隈に周りを任せて奥を殴る?...いや、それだと阿武隈の負担が大きいわ。ただでさえアタシだけでもきついのに阿武隈には無理ね。

 

「考えてても拉致が明かない...とりあえず警戒しつつ出来れば周りの駆逐艦撃破! 基本は回避重視!」

「了解!」

 

突然向こう側も馬鹿じゃないから攻撃を仕掛けてきてる。練度が高くなると駆逐艦の砲撃は対して痛くない。だが何回も言うけれど阿武隈は練度が最低だ。下手に攻撃するよりダメージを負わない回避専念がいいでしょう......

 

 

 

「───あ、夕張さん危ない!!!」

「え──きゃあっ!!」

 

しまった...自分の周りの警戒を怠ってた! 阿武隈を注視し過ぎたわね。ダメージ判定は...中破!? え、まさか一撃でここまで食らわされるなんて...!?

 

「──ヤバいっ!」

 

重巡がこっちに主砲を向けている。その顔つきはニヤリと悪役がかった笑みを浮かべていて、アタシの絶体絶命を表していた。

 

「夕張さ───きゃあっ!!!」

「阿武隈!!」

 

アタシのもとへ寄ろうとした阿武隈も別の艦達から集中砲火を受け一気に大破。

なんとか艤装を動かそうとするが動かない。機関部がやられてしまったようだ。

もう、打つ手無しだった。

 

「ぐっ...」

 

頼みの綱であった援軍は結局来なかった。ここでアタシたちに出来ることなど...もう何もない。

 

「こんなところで...沈むなんて...!!!」

 

ふと目を上げると奥の重巡がこちらに主砲を向けているのが見えた。嫌だ、嫌だ!! 沈みたくない!! まだ生きていたい!!...でも、何も出来ない......ごめんね、提督、阿武隈......

絶望に包まれながら目を瞑り、今にも重巡から砲撃がこちらに来るその瞬間────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───謎の轟音が響き渡った。

 

「なんの音...!?」

「な、何ですか!?」

 

私達は顔を上げ音のした方向を確認する。他の敵艦達もその方向を見ていた。そこには...敵の重巡がいたはずの方向には、いつの間にか大破し倒れている敵の重巡と......なんか物凄く目付きの悪い『球磨』がいた。

...え、球磨ってあんな感じのナリだっけ? もっと可愛いげのある感じだったような...それに心なしかアタシ達の知ってる球磨よりも背が少し高い気がする。

 

 

「そこの艦娘二人! SOS信号を出したのはお前らクマか?」

「!」

 

その言葉であの球磨は別の鎮守府の球磨だと悟る。同時にどうやってればあんな目付きになるかは気にはなったけど...考えるのを止めた。

 

「えぇ、そうよ」

「状況は?」

「こちら両方中破。機関部がやられてまともに動けないわ」

「あ、あたしもです!」

「つまり全滅させなきゃならんクマね...っと!」

 

...え、今敵艦に急接近して拳で殴った? なんで物理攻撃...いやでもなんか効いてる? 爆発して沈んでくし...初めて見たわ。拳で戦う艦娘なんて...

 

「さて、久々の他対一。腕が鈍ってないと...いいクマねぇ!!!!」

 

 

 

───あの球磨の雰囲気がガラリと変わる。さっきまでは艦娘...というより、人間らしさというべきか、そんな感じのがまだあった。だが今はどうだろうか。一言で言うならあれは『鬼』。戦いに必要なもの以外を全て捨て人間とは...艦娘とはまた違う何かになった。分かりやすく言えば戦闘狂...かもしれないが、それで言い表すのは生ぬるい気がした。

 

そこからはあの球磨の独壇場。近付いては殴り、蹴りで攻撃。回避に至っては跳んで行ったりする。

もうあれは艦娘の戦い方じゃなかった。言うならば...格闘。あれだ、漫画とかでよく見るやつだ。

敵艦も動けないアタシ達に構ってなんかおらず一斉攻撃であの球磨を沈めようとしていた。でも...ことごとく潰されていった。

...正直言えば、あの球磨が怖くなった。今更ながら何故一人で来たのかとか、なんで主砲を使わないんだとか、そんな疑問が全部吹き飛んでしまった。

だって...あの状況で笑っているのだ。愉しそうに、嬉しそうに、純粋な子供のように笑っているのだ。

 

「すごい...」

 

...それを呟いた阿武隈はそれには気付いてないみたいだけど。この辺りの観察眼も練度が関係してたりするのかしら? なんて呑気に考えてしまった。

 

「...とどめクマ」

「ギシャァァァァ!!!!」

 

いつの間にか最後の一匹が仕留められ、辺りが静かになった。

周りは敵艦の残骸だらけで少し気持ちが悪い...

 

「おっと、自己紹介がまだだったクマね」

 

戦闘が終了し元に戻った球磨がこちらを向く。そして海軍式の敬礼のポーズをとり、こう続けた。

 

「横須賀第九十九鎮守府の提督兼球磨型軽巡洋艦一番艦、球磨だクマ!」

「アタシは夕張...へ? 提督...なの? 艦娘の提督だなんて...」

「球磨はちょっと特別なんだクマ。一応提督の試験も受けてはいるからバッチリクマよ?」

「...もう考えるのやめよ」

「あの、あたし、阿武隈です! 横須賀第九十九鎮守府ってあたしの配属先なんですけど...」

「おぉ、ってことは新しい娘ってこの阿武隈クマね。歓迎するクマ」

 

阿武隈の手を取り握手をする球磨...いや、提督? とりあえず纏めて球磨提督にしましょうか。

 

「とりあえず聞くクマけど、お前達動けるクマ?」

「...ごめんだけどアタシは無理そう」

「あたしも...」

「よし、なら仕方ないクマね」

「わっ?!」

「きゃっ!」

 

そう言って球磨提督はアタシ達を俵を持つようにして抱えた。え、あ、ちょっ!!

 

「恥ずかしいんだけど!?」

「我慢してほしいクマ...球磨の鎮守府で入渠してから帰るクマよ。帰るときは送るクマ」

「...ありがとう」

 

なんか...アタシには姉妹艦いないからわかんないけど、なんとなく...姉? いや違う...兄? うん、なんかしっくりくる...球磨提督も性別は女のはずなのに...

...ま、今はどうでもいいわね。

 

 

 

「救助、ありがとね」

「困ったときはお互い様ってやつクマよ。一件落着クマ」




多分続きません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。