関東南部に存在する政令指定都市、空崎。海岸の方では関東でも最大レベルの工業地帯が広がっている。
「お疲れ様でしたー!」
その空崎市内の工場でバイトを終えたと思える少年が、ロッカールームで同僚に挨拶をした。
学生服に着替え、スケボーがくくりつけてあるリュックを背負い彼は一目散に工場を飛び出すと
「やっぱあの工場はクロだよな・・・」
と呟きながら何処かへ向かった
ーーーーーーーーーーーーーーー
彼は空崎市のとあるビルに来ていた。そこの一室のドアにはこう書かれていた
『中津探偵事務所』
「所長、今戻りましたよ」
「お帰りナリタ、疲れてるだろうからまずは座って。話はそれからで」所長、と呼ばれた髪はボサボサ、そして長身の20代ぐらいの男がソファでくつろぎながら声をかけた。
ソファに座った二人は
「あの工場はクロで間違いないです。」
「ええ?いきなりそれから?まぁいいけど、で証拠は掴めた?」
この探偵事務所の所長
「今日撮ってきたこの写真です。」
ナリタは一枚のスマホで写真を見せた。
「おぉー良く撮れてる。これは取引禁止の軍事用の人形だね」
写真はダクト内から撮られているが、人形と呼ばれているロボットが製造されている所だった。それも取引や製造が禁止されている軍事用のものだった。
「これもです」さらにもう一枚写真を見せた。
こっちもダクト内から撮られているもので、工場長と思われる男とその用心棒の男の写真だった。ナリタは用心棒の男の写真を指差し、「多分工場長といるこの男は恐らく裏の人間、それも連中絡みの人間ですだと思いますけど所長はどう思いますか?」
今度は中津が「確かにこの男は拳銃を携帯しているね、多分人形も三浦さんが持ってきたデータにピタリと一致する。てことは」
「間違いなくモウリョウの工場ですね!早速報告しましょう!」やや興奮ぎみにナリタが言うと
「なら早速トビちゃんとこに電話っと、あとその写真印刷してね」
中津はそう言ってケータイで電話をかけた
『はい、カレーハウスWasabiです』電話にでたのは女性だった。
「もしもし?トビちゃん?」
『あ、シュンくん?もしかしてアレの件?』どうやら電話の相手がトビちゃんなる人物のようで
「ナリタがデカい証拠を掴んできたんで今から持ってくわ、じゃあまた後で」
『了解。大丈夫かと思うけど気をつけてね』ガチャン ツーツーツーと手短に通話を済ませた。そして写真の印刷も完了していた。
「じゃあ今夜は資料渡しのついでにWasabiのカレー、それも俺の奢りで!」中津はナリタに向かい高らかに言った。
「行きましょう!」もちろんナリタはもう一つの目的も込めて返事をした
ーーーーーーーーーーーーーーー
「なかなかいい写真だよ、ナリタくん凄いね」
「カトリーナさん、これバレないようにダクトに侵入したり、ダクト内で迷ったりと大変でしたからね。それに中はホコリっぽいし蜘蛛もいるし。」
「てことでトビちゃん、あとはトビちゃんの後輩に任せたよ」
「オーケー、ここからはツキカゲにお任せってことで」
続く
次回予告
「おーやってるやってる」
「新しい友達・・・新しい友達!」
「なんでここにモモがいるんだよ!?」
「え?知り合い?」
「あとは・・・一握りのスパイス」
『掃除屋とゴールデン・スピリッツ』
【keyword&character】
空崎高2年生
スケボーと射的が得意で射的に至ってはとてつもないセンスを発揮する。
アルバイトで中津の探偵業と
モモとは幼なじみ。
私立探偵兼
空崎にある「中津探偵事務所」の所長で成太を雇っている張本人。
様々な調査はもちろん日本刀と投げナイフを駆使した戦闘はお手のもの。
ある理由からツキカゲに協力している。
中津探偵事務所
俊助が所長を務める私立探偵事務所なのだが、
成太はここで助手として雇われている。
目次 感想へのリンク しおりを挟む