スキル名『兎化』 (夜と月と星を愛する者)
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兎が跳ねた
その足から放たれる瞬発力とキックはトップクラス
になりたいベル君であった
ある村の少年の話をしよう
少年は祖父と二人暮らしをしており山に出ては木の実、獣を狩って、薬草を取ってそれらを売り金を稼いで生活していた
暇があればナイフを振り、腕立て伏せ、腹筋、ランニングなど一般的なトレーニングもしていた
少年は唯一の家族の祖父を大事にしており、祖父も孫である少年を可愛がっていた
少年は祖父から語られる英雄譚が好きであった。
特に好きなのが『駿足の白兎と要塞の亀』と呼ばれる英雄譚であった
それは駿足の白兎と呼ばれる白髪赤目の男と黒髪黒目の男が大国の冒険者をしているところから話は始まる。
白兎は大国1番の駿足であった、曰く彼が本気で走れば白の軌跡が見えるだけで本人は見えない。曰く彼の足から繰り出される技は気づいたら蹴られていた、吹き飛ばされていた、気絶していたなどと誰も視認も反応もできない。曰く彼が本気で闘う相手は最硬の硬さを誇る要塞の亀のみであると
亀は大国1番の硬さであった、彼の体は硬金属のアダマンタイトに勝るとも劣らない硬さであると言われてる。曰く彼に剣で斬りつけても傷1つ付かない。曰く彼の体から繰り出されるパンチは一撃で大岩すら砕ける。曰く彼が本気で闘う相手は最速を誇る駿足の白兎のみであると
彼等は冒険者、いや国が誇る双角であった。電光の如く縦横無尽に駆け回る
白兎の速さに追いつける魔物はおらず、亀の体を傷つける魔物はおらず、誰もが認める最強であった
しかし栄光は長くは続かない
周辺諸国は彼等を恐れた、誰も追いつけない兎と誰も傷つける事が出来ない亀。彼等を相手取ったら間違いなく負けると考えた周辺諸国は彼等に濡れ衣を被らせた。彼等は貴族を殺した、彼等は王の座を狙っている、犯罪者を引き連れて大国を支配しようとしているなど、根も葉もない噂を流した
本来だったらそれは嘘だと笑って流しただろう。しかし周辺諸国のある国が暗殺者を差し向け大国の貴族を殺した事で、冒険者達は犯人を知らないので彼等を疑った、更に彼等は必要以上に喋らない寡黙な者達であったので事実を語らない。もしかしたら本当なのかもしれないと疑った冒険者、国民、貴族、王族達は彼等を追放した
それから2年後、周辺諸国は彼等を失った大国を自国の領土にする為に戦争を仕掛けた、国の双角であった彼等を失った大国はだんだんと押されていった
大国であっても多くの国が結託して攻めてきては流石に勝てない
その時、戦場にフードを被った2人が現れた、彼等は颯爽と現れては敵国の兵士達を倒していった
大軍相手におよそ半日もの間、彼等は大立ち回りを見せた
敵軍が撤退をすると、彼等は大国の兵士に背を向けて歩き出した、ある隊長が彼等の名前を聞いた、彼等は自身を『白兎』と『亀』と呼んだ
彼等が去ると隊長と兵士達はこの事を国に報告し王は彼等の捜索願いを出したが、1年2年と経てども彼等の足取りどころか目撃情報さえ出なかった
大国は多大な損失を出してしまった、双角の『白兎』と『亀』、彼等が消えたことによって攻めてきた周辺諸国によって兵士と国民、資材など、大国は彼等を見つけ出す為に彼等の英雄譚を出した、他の英雄譚に比べれば少し見劣りしてしまうが、彼等は立派な偉業を成した。たった2人で100万もの敵兵を倒したという偉業が
その英雄譚の題名が『駿足の白兎と要塞の亀』。マイナーではあるが普通の人では成すことのできない偉業を成した2人
さて、少年の話に戻るとしよう。
少年はいつしか自身の容姿に似ている駿足の白兎のように速くなりたいと思っていた
そこに神の悪戯か、運命が彼を選んだのか、少年は神から授かる
スキル名『兎化』
効果は単純、兎のように脚力が上がり足が速くなる。
だけと思いきやこのスキルは自身が兎になる事もできる意味不明なスキルであった
これは祖父の元を離れ駿足の白兎のように冒険がしたいという少年の物語
《オラリオ》
オラリオにはダンジョン又は迷宮とも呼ばれるいつから存在するのか不明な広大な地下迷宮があった。ダンジョンには貴重な収入源がある。ダンジョンに現れる魔物を倒すことによって現れる魔石と呼ばれる様々な用途に使える物である。魔道具と呼ばれる生活から戦闘に幅広く使える道具は火を出し、水を出したり光を放つなど生活に役立ち、ダンジョンがある穴を囲むようにして出来た都市が《オラリオ》ここには英雄になりたいと思う冒険者、金儲けを考える商人、など様々な人々が日々オラリオに入っていく
そしてその日、祖父の元を離れ冒険するという夢を叶えにきた少年。“ベル・クラネル”がオラリオに足を踏み入れた
「ありがとな坊主。お陰で助かったぜ、ほい護衛してくれた礼だ」
オラリオに物資を届けに来た商人が、道中護衛をしてくれた少年にそれなりの金が入った布袋を渡した
「え!?約束より多くないですか?」
本来、少年がもらう筈だった筈の5000ヴァリスの筈が倍額の1万ヴァリスになっていた
「そりゃあ坊主がいなかったら俺は今頃あの魔物どもの腹の中だからな。坊主がいたお陰で助かったから予定より多くさせて貰ったぜ、返すなんて言うなよ?これは正当な額だからな。」
この商人、本当は護衛を雇わないでオラリオに行く予定だったが、オラリオに向かう途中にベルと出くわし成り行きで乗せたのだ、いつもだったら現れない魔物が現れたがそこはベルが難なく倒すことによって商人はベルを護衛として雇った
「…わかりました、ありがとうございます。」
礼を言うベルに商人は満足気に頷くと、頑張れよ坊主と言ってオラリオの中央に向かって行った
「…護衛の報酬が1万ヴァリス。村で狩った獣の皮や牙、薬草などを売って稼いだおよそ5000ヴァリス。合計1万5000ヴァリス……考えて使えば長く持つな。」
因みにベルが今まで稼いだ額は10万ヴァリスに届くが、持ってきた5000ヴァリスを除き、9万5000ヴァリスは祖父の元に置いてきた
「それじゃあ先ずはファミリア探しと行きたいが…」
キュルルル〜〜
可愛らしいお腹の虫が鳴き、行き交う人々がベルの可愛らしい音に微笑みを浮かべていた
「……先ずは腹ごしらえかな」
ベルが大通りを歩くと、ある屋台が目に入った。屋台には黒髪をツインテールにした一部がかなり成長した少女が店番をしていた
「お、そこの少年!ジャガ丸くん揚げたてだぞ!」
ジャガ丸くんとはジャガイモをすり潰しそれを揚げただけのいたってシンプルなジャガイモ料理だ
「それじゃあ1つください」.
「おう!ジャガ丸くん1つだね。30ヴァリスだよ」
ベルは少女に30ヴァリスを渡すと、揚げたてのジャガ丸くんを包んで渡した
「ありがとう」
屋台を後にするとベルは食べながら歩いていた
(味はまんまジャガイモ…揚げてるから脂っこいけど、お腹は膨れるな)
食べ終えるとベルは当初の目的のギルドを探していた
「えっと、ギルドは何処だろう?」
「おい」
「ん?」
後ろから呼びかけられたので、後ろを向くとそこには2メートルはありそうで、鍛え上げられた体、顔を見ると強面で年は30代だろう。そして目につくのは頭にある猪のような小さな耳。種族は
「えっと、何か御用でしょうか?」
「“あの方”がお前の面倒を見ろと仰られたからお前の手助けをしてやる。来い、ギルドはこっちだ」
「あの方?…あ、ありがとうございます。お名前は?」
「……オッタル」
「オッタルさんですね。僕はベル・クラネルと言います。」
「ベル…クラネル。お前の名は覚えた、行くぞ」
道行く人は2人を見たら驚愕した、方やオラリオ最強の冒険者。方や見たこともない白髪赤目の兎のような可愛らしい10代後半と思われる男。滅多に姿を現さないオッタルが見知らぬ男を連れていたのだ
2人が歩くこと10数分、大きな建造物が見えてきた
「ここが、ギルドだ。ギルドでファミリアを紹介してもらい、そのファミリアの主神又は冒険者に頼んでファミリアに入るのが普通だ、これ以上はお前が決めることだ、俺はお前をここに連れてきたので役目は終えた、あとは好きにしろ」
そう言うと、背を向けてオラリオの中心にある大きな建造物、バベルに向けて歩いていくオッタル
「ありがとうございました、オッタルさん」
因みに補足だが、ベルはオラリオの一級冒険者どころか最強の冒険者の事さえ知らない。無知とは怖いものだ、自分を助けてくれた男がこのオラリオ最強の冒険者なのだから。
ベルがギルドに入ると最初に抱いた感想はでかくて人が多いだった、今の時間はまだ昼を過ぎたばかり、これからダンジョンに向かうもの。ダンジョンから帰還し換金する者など様々な人がいた。
ベルが人の列に並んで待つ事数分、ベルの番が来たようだ
「はい、御用は何でしょうか?」
茶髪に深い緑色の瞳をした耳が長いが、エルフ程ではないので恐らくハーフエルフだろう
「冒険者になりたいんですけど、オススメのファミリアとかありますか?」
「え?えっと失礼ですけど、年は何歳でしょうか?」
「17です」
「うそ!?どう見ても14かそこらの見た目なのに…失礼しました、それではこちらの本にオラリオにあるファミリアの名簿がありますので、お決まりになりましたら、また来てください」
「わかりました」
ベルが受け付けから離れ近くの椅子に座ると、本を開きパラパラとめくった
「……違う…違う……これでもない…」
様々なファミリアの名前があるが、ベルはこれといったのがないのか、流しながらめくっていった、中にはオラリオ最強のファミリアの2つの名前があったが、ベルのお眼鏡には敵わなかったようだ。そして、ベルはあるファミリアの名前に目が止まった
「ヘスティア・ファミリア……団員は…0…うん。これに決めた」
ベルは本を持って同じ列に並び、自分の番が来ると
「僕はこのファミリアに入りたいのですけど」
「ヘスティア・ファミリア……団員はいないから君が最初になるけどいいの?」
「はい、できるなら人が少ない方がいいので」
正確にはスキルが既に発言してるという珍しいのがあるからそれを広めないためなのだが
「わかった……はい、ここがヘスティア様がいる場所よ」
受付嬢のハーフエルフが、地図を渡すとベルはそれを受け取り
「ありがとうございました。…えっと…」
「あ、自己紹介していなかったね。私はギルド職員のエイナ。エイナ・チュールよ。よろしくね」
「はい、よろしくお願いします。エイナさん。僕はベル・クラネルと言います」
「うん。ベル君…あ、年下だからベル君って呼ぶよ?」
「大丈夫です。次はヘスティア・ファミリアに所属してからまた来ます。さよなら〜」
「またねベル君」
ベルがギルドに出て地図通りに進むと、そこには外装が剥がれた、寂れた教会に辿り着いた
「ここに、ヘスティア様が?…中は…」
中には荒らされたようにも見えるほど瓦礫が崩れており、長椅子は倒れていたり壊れていたりなど、とても人がいるようには見えない
「……どうしよう…もうちょっと待ってみて来なかったらその時はその時で」
暇なので、布袋に入れていた実家から持ってきた『駿足の白兎と要塞の亀』を読み始めた、これを初めて読んだ日からおよそ7年。10歳の誕生日に祖父から貰ったこの英雄譚はベルの宝物になっていた
読み始めて、かなりの時間が経ち空は夕焼けに染まっており、ベルはそろそろ宿をとって出直そうかと考えていると
ギィィ
その時、教会の入り口の扉が開いた
「…あれ?君は昼の…」
そこには昼のジャガ丸くんを買った屋台で店番をしていた黒髪ツインテールの少女がいた
「貴方がヘスティア様ですか?」
「え?う、うん。そうだけど」
「どうか僕を貴方のファミリアに入れてもらえないでしょうか」
「……え?…えぇぇぇええぇぇええ!!!??」
夕暮れに染まったオラリオに神の驚きの声が響いた
はい。4900文字弱です。
感想くれ
くれ
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兎が住み着いた
……し、執筆力を戻す為の作品ってのはわかってるよ?(汗).
原作のベル君との違い
・年が14から17歳にしている
・顔も幼さもあるが、この歳で大人の色気?みたいなものをだしておりイケメンの部類
・言葉も丁寧口調になっている
・祖父からはハーレムを築けと言われているが、そんなことより冒険したい
・原作のベルより最初からかなり強い。今の実力はリューより劣るが、技術と素早さでLevel5相手にもそれなりに保つ。(Level3強)
・異性の好みは年上のお姉さん
こんなところかな?尚、最後の奴は村では周りの女性がお姉さんばかりだったので、それが魅力的に感じるようになった
ベルが神ヘスティアにファミリアへの入団を申し込んで、およそ1時間、今ベル達は教会にある隠し扉から入れる秘密基地のような居住空間におり、ベルがベッドにうつ伏せになりその上にヘスティアが跨っていた
「それじゃあ、今から
今はベルをヘスティアファミリアに入団する為の儀式を行っていた。
ヘスティアが針を自分の指に刺すとそこから血が出て、それをベルの背中に押し付けた
すると、ベルの背中が僅かに発光しそこにヘスティアが文字を刻んでいた
「……うん、できた。これで君は僕のファミリアぁぁぁぁああア!!??」
いきなり素っ頓狂な声を上げるとヘスティアが大きく仰け反りそのままベッドから落ちた、その際頭から落ちたので頭を抱えて蹲っていた
「え!?ど、どうしました?」
むくりと起き上がり勢いをつけながらヘスティアが手に持った紙をベルに見せるようにするとそこには
ベル・クラネル
Level.1
力:I0
耐久:I0
器用:I0
俊敏:I0
魔力:I0
《魔法》
・
・
・
《スキル》
【
・疾くなる
・自身を兎に変身する事が可能
そこには予想通りスキルがあった、やっぱりかという感じがしたが……疾くなる?脚力を上げるとかじゃなくて?……まぁそれはおいおい考えるとして、いまは
「どういうことなんだい!?初めて恩恵を刻んでからスキルが発現したなんて聞いたことないよ!?」
「落ち着いてくださいヘスティア様。これに関しては僕もわかりませんが、故郷にいたころの5年前の12歳の誕生日を迎えた次の日にこれらしいスキルはありました。」
それを聞くと、ヘスティア様はよく分かってないのか頭に?を浮かべていた
「どういうことだい?本来スキルは神が恩恵を刻んでから発現するはずなんだよ?それなのに5年前にましてや恩恵も刻んでないのにスキルが発現するなんて……なにか心当たりはあるかい?」
「いえ…いつも通りの日常を送っていましたから。それらしい事はこれといって…」
「…そっか……ん?なんで、スキルが発現してるなんて分かってたんだい?」
「よくわからないですけど、起きた時に体が変だったんですよ。こう…もやもやするというか…それで、なんとなくそのもやもやした部分を考えていたら体が兎になってしまっていて」
あの時は大変だった、いきなり兎になったから慌てていたら祖父が入ってきて、僕を見て驚いていたからな……あれ?そう言えばなんで祖父は兎の姿である僕を真っ直ぐ見て「ベル?なんで兎になっておるんじゃ?」って言ったんだろう?……
「兎?……ちょ、ちょっとでいいからその姿になってくれないかい?」
「いいですよ」
今では念じるだけで、兎になれるからな。
そう考えてる間にも僕の体は少し発光すると、見る見るうちに小さくなっていく、そして光が収まると
「…ほ、本当に兎になった」
「最初の頃は動くだけで大変でしたよ。四足歩行だし視線も低いので、まぁ今では慣れたので問題無いですけどね。」
「うわ!?しゃ、喋れるんだ、その姿でも」
「はい」
本当なんで喋れるんだろう。声帯とか色々違うと思うんだけど
「に、にしてもベル君、可愛いね……そ、その抱っこしてもいいかい?」
「いいですよ。慣れてますので」
「な、慣れてるの?」
「村の人達からよく抱かれていたので」
うん。あれはやばかった…何処から知ったのか僕が兎になる事を知った人達が見たいと言うので兎になったらいきなり僕の争奪戦。その争いに参加してた人の殆どが女性だし中には何処から調達したのか首輪まで手に持って迫ってきたしな……よく考えると僕ってかなりやばかったんじゃ……祖父が助けてくれなかったら今頃僕はここには居ないだろうなぁ
「そ、それじゃあ……わ、ふわふわしてる。それに…暖かい」
恐る恐るヘスティア様が僕を抱えると、頭を優しく撫でたり首を触ってきた……あの、背中と頭に柔らかいものを感じる……ヘスティア様って自分の容姿の事、分かっているのかな?綺麗な黒髪だし顔も幼いけど可愛いし女性の象徴もかなり大きい。…なんでこんな服装してるんだろう?お金が貯まったら買ってあげよう
「ふわぁぁぁ〜〜…」
あ、ヘスティア様の顔がまずい事に直ぐに直さなくちゃ
「ヘスティア様、そろそろ」
「あ、う、うん!とっても気持ちよかったしもふもふしてたよ!」
……それはコメントしづらい
「そ、それは良かったです」
それからは特に何も起こることなく、夜を迎えヘスティア様がバイト先から貰ってきたジャガ丸くんを食べて寝た(ヘスティア様が一緒にベッドで寝たいと言ってきたが、僕はやんわり断ってソファーで寝た)
翌日
ヘスティア様はまだ寝ていたので、軽い朝食を作って置き手紙を置いて僕は朝早くにギルドに来ていた。カウンターを見るとまだ眠いのか、あくびをしているエイナさんがいた
「おはようございます。エイナさん」
「はわ!?お、おはようベル君!」
一気に顔が赤くなり慌てながら挨拶を返してきた
「あ、無事ファミリアに入ることができました」
「そう。おめでとう。それじゃあ私が今日からベル君の担当アドバイザーを務めさせてもらうね?」
「はい。よろしくお願いします」
「うん。あ、それじゃあ今から冒険者としての知識とダンジョンの知識を教えるからこっちに来て」
へぇ、ギルドってそんなことまでしてるんだ、至れり尽くせりだな。
「お手柔らかにお願いします」
ふぅー、意外とエイナさんってスパルタなんだな。お陰で色々な知識を得れたから良しとするか……覚えが早いって言って褒められながら頭を撫でるのは少し恥ずかしかったけど
そうして今は、バベルにあるダンジョンの入り口前に来ていた。
それはまるで、獲物を待ち構えているかのように静かに穴を開いていた。入ると薄暗いが夜の狩で鍛えられたお陰で暗い中でもそれなりに見えるようになっているので問題ない。ダンジョンの中を歩いていくと、早速魔物が出てきた
それは緑色の体色で頭に小さな一本の角が生えていた
「ゴブリンか、確か1階から5階まではゴブリンとコボルトが出るんだったな……それじゃあ先ずは蹴る!」
自分でもかなりの速度が出ているのを感じながら一瞬で20メートルはあった距離を詰めて、ゴブリンがこちらに気づいてないうちに小手調べで軽くゴブリンの頭を蹴る
ゴパァァンン!!!!!
……え?
軽くゴブリンの頭を蹴った筈がそこには首より上が無くなっており数度痙攣するとその場に倒れ灰になった
えぇぇぇーー……そういえば村の近くに出た熊相手にも蹴りがそれなりに効いたな。感触的には今のゴブリンは熊より柔らかかった、うーん……もうちょい下行くか…なぁーにバレなきゃ問題ない
ちょいちょい出てくる魔物を倒し魔石を拾いながら行き、今の倒した数はゴブリン17、コボルト13と、初戦にしてはそれなりできてる方なんじゃないか
現在は5階層……エイナさんに言ったらお説教プラス謹慎になりそう
「流石に5階層じゃダンジョンの風景は変わらないか、確か18階層にはダンジョンの中なのに自然の中にいるような風景が見れるんだったな」
考えながら歩いていると、突然…ズン……ズン!……ズン!
重いものが地を踏みしめているような音が聞こえてきた…それなりに強い気配!強さは熊以上だな!
すると、曲がり角から音を鳴らしていた主が現れた
それは頭に二本の角を生やし、鍛え抜かれた筋肉、顔が牛の魔物…確か15階層に現れるミノタウロスだったか?なぜここに?……後でエイナさんに教えておくか……いやでも言ったら僕が5階層まで行ったことがバレるし…
『ヴヴォォォ!!!』
これは確かミノタウロスができる咆哮だったか…少し体がビリビリするが、問題なく動ける。
するとミノタウロスは僕に向かって一直線に向かってきた
「猪かよ…いや、サイズがサイズだからこっちの方が危ないな。…一応Level2相当の魔物だから安全策をとるか」
兎になるように念じると体が即座に小さくなりその小さな体を利用してミノタウロスの横をくぐり抜けると、即座に人の姿になってミノタウロスの膝裏を斬りつける
『ヴモォぉ!?』
お、効いた効いた。人型だから四肢の繊維があるところを切ればいいんじゃないかっていう考えは魔物相手でも問題ないようだ
ミノタウロスは右脚が上手く動かないのか若干引きずるようにしている。可愛そうだが、これも命を懸けた戦いだ…悪く思うな
「せいやぁ!」
ゴブリンでもやったように足に力を入れて、バネのように跳ねることによって爆発的な速度を出す。頭が高い位置あるので、壁を蹴って走る。そしてミノタウロスの方に向かって跳んで、頭を蹴る!
ゴキッ!
骨が折れる鈍い音がするとそこには首があらぬ方に折れているミノタウロスがいた
ドサッ…シュワァ…
巨体が倒れると、魔物が死んだことを示す灰になって魔石が一緒に出てきた
さて、帰りますか…
コツン
その時、常人なら聞こえないはずの音が、狩で鍛えられた耳のお陰でその小さな音に気づいた
「ッ!」
即座に音が聞こえてきた方をナイフを構えながら振り向くとそこには
「あ……その、ごめんなさい。驚かすつもりは無かったんだけど」
そこには綺麗な金髪に同じく何処か幻想的な感じのする金の瞳の美少女がいた、容姿も相まってまるで御伽噺の中に出てくる妖精…いや、精霊のようにも感じる
「…いえ、此方が勝手に反応しただけですから」
やばいなぁもしかしたら僕が兎になってる所を見られたかも知れないなぁ
「それと…ごめんなさい」
「え?それはどういう?」
何に対して謝っているんだ?
「その…ミノタウロスをこの階層まで逃したのは私達なの。ミノタウロスの群れと戦っていたら突然、上の階層まで逃げたから」
なるほど、つまりミノタウロス達はこの人達に勝てないのを悟って逃げ出したのか……魔物も危機を感じるんだな。
確かにこの人、かなりの実力者だし…戦ったら負ける可能性の方が高いけど……でもオッタルさんよりは弱そう…オッタルさんってLevelどれくらいだろう。目の前の人は4か5ってところだろうから6か7ってところかな
「いえ、僕は大丈夫でしたよ。それより仲間達が心配してるんじゃないですか?それなりに下の方から来たんですよね?」
「うん、遠征から帰って来てる途中だったから…」
遠征か、この人達は今どれくらいの階層まで行ってるんだろう
「そうですか、それじゃあ僕は帰るとします。さようなら」
ミノタウロスの魔石を回収して、来た道を歩いていく
「またね。…あ、名前聞いてない」
少し残念に思いながらも彼の事を思い出していた、年は私より少し上、実力はミノタウロスを倒せる程だからLevel2以上…いや、3はあるかな?言葉遣いも丁寧で、紳士な感じがする人だった
「そういえば、あの人、何で兎になってたんだろう?」
ほんの少しの間だけだったが、ミノタウロスと相対している時、彼は自身の姿を兎に変えていた。
「スキル…かな?」
自身の姿を変えるスキルなんて聞いた事ないけど、ただ私が知らないだけなのかもしれない…それに可愛いかった、出来る事なら抱っこもしたい
「…今度会った時にお願いしてみようかな」
次会えるのが、いつかはわからないけど、何となく彼とは直ぐに会えそうな気がする
綺麗でもふもふしてそうな白い髪、宝石のルベライトみたいな透き通った綺麗な赤い瞳、少し幼い顔だけど、ミノタウロスと相対した時は顔を引き締め強者の雰囲気と安心感を与える大きく感じる背中
「またね」
私は彼の事が気になった、次会ったら色々と聞きたい事がある。
「あ、彼ミノタウロスからドロップした角を持って行ってない。これも次にあったら渡しておこう」
意外とおっちょこちょいな性格なのかな?だとしたら兎を連想させる容姿も相まって可愛い
因みにギルドに帰ったベルはミノタウロスの魔石の事と、5階層まで行った事に長時間説教されて帰れたのは既に辺りが真っ暗になる程だった
遅くに帰ってきたベルを心配した感じで詰め寄ってきたヘスティアに今日起こった事を全て話した、ミノタウロスの件はかなり驚いていたけど、ベル君が無事でよかったと言ってもらえたのが嬉しかった、エイナさんの説教で遅れたと言ったら苦笑いしてたけど
「……ベル君、本当にLevel1なの?…でも貰った紙にもLevel1って書いてあるし、恩恵刻んだばかりだったはずだから……一体どういう事?」
それとベルがミノタウロスを倒した事に頭を悩ませるハーフエルフがいた
ベル・クラネル
Level.1
力:I 0→I 71
耐久:I 0→I27
器用:I 0→I 49
俊敏:I 0→H 101
魔力:I 0→I24
トータル上昇値、250オーバー
この作品は基本5000文字前後で書いていこうと思います
感想くれ
くれ
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兎が食べた(すまないクリスマス回は少ししかないんだ、すまない)
昨日は金髪の女の子と会ったりイレギュラーのミノタウロスと会ったり色んな事があったけど、一番苦労というかダメージが大きかったのはヘスティア様の何気ない一言が効いた
「君って兎みたいだけど、どっちかっていうなら殺戮兎って感じがするね。ズボンは真っ赤だし、服には少し血が付いてるし……叛逆兎とか瞬血兎とかの二つ名付きそうだね。しかも君って魔力を目に通すっていう人間離れしたことするしそれすると目が紅く光るからその時の見た目すっごくやばい」
……酷いですよヘスティア様。戦い方が戦い方なんで、どうしても血が付くんですよ。威力が高いから頭パーンってなって血とかその他の物体が付着しちゃうんですから。それと目に魔力を通せるのは師匠…村長から手解きを受けたからです。武器の扱い方も村長が教えてくれました
足で戦う人は多分頭パーンってしないで、内臓を傷つけたり脳震盪を起こしたりするんだろうなぁ……手加減覚えようかなぁ。それか剣か投擲する用のナイフとかで、剣は村にいた時お爺ちゃんが持ってた剣を振ったり獣相手に使ってたし…(お爺ちゃんからロマンと言って二刀流の練習もしてた)
そんなこんなで、翌朝、昨日と同じく朝ご飯と置き手紙を置いてダンジョンに向かう
因みに昨日の稼ぎは1万ヴァリスと中々の収穫になった、殆どがミノタウロスの魔石だけど、ある程度貯まったら教会の修繕をしよう。僕がいた村はそういう専門の人がいないから若くて男手の僕がしていて作ったり直したりするのは試行錯誤だったけど、村の人たちからは褒められていたからそれなりの腕はあると思う
考えていると後ろから僕のすぐ後ろに人の気配がしたので振り返るとそこには
「あ…あの、これ落としましたよ?」
背後にいたのは白に水色を足したような髪色をした可愛らしい女の子がいた、僕が後ろを振り向いたからか一瞬驚いたが、気を取り直して右手に持っていた魔石を見せてきた
「え?変だな。昨日全部換金したと思ったんですけど…ポケットに入っていたのかな?それはともかくありがとうございます。わざわざ持ってきてくれて、何かお礼がしたいんですけど今は何も手持ちがなくて」
「いえ、私がただしたかったからしただけですから
あ、そうだ!それなら今夜うちの店に来てください。味は保証しますよ。」
…中々侮れない子だなぁ。まぁ、大丈夫かな
「わかりました、今夜お邪魔させて貰いますね。そうと決まれば稼がなくっちゃ」
「ふふ、頑張ってください」
きゅるるるる〜
その時気の抜ける音がベルのお腹から鳴った
「あ、ごめんなさい。少し朝食を少なくしたのは不味かったなぁ」
「…あ、良かったらこれどうぞ」
そう言って渡して来たのは四角い箱を可愛らしい布で包んだ弁当だった
「え?いえいえ、流石に悪いですよ」
「いいんです。代わりと言ってはなんですけど、それを食べてしっかり動いてお腹を空かせて今夜沢山食べてください」
そう言って微笑みながら弁当を僕の手に握らせた
敵わないなぁ
「わかりました、大切に食べさせて貰います」
「よろしい…あ、そろそろ仕込みしなくちゃ。それじゃあ……あ、私、シル・フローヴァって言います」
「僕はベル・クラネルと言います。それではまた今夜」
「はい。お待ちしていますね」
……小悪魔って言うのはあんな子の事を言うのかな?お爺ちゃんがよく『小悪魔っ子はいいぞ!気づいたらその子の手玉に取られておるが、その微笑みと仕草がなんとも堪らん!ハーレムを作るときは一人はおると新たな扉が開けるかもしれんぞ』
……毎度思うけどハーレムの何処が良いんだろう。僕は一人の女性と恋仲になって、僕の隣に居てくれるだけで良いと思うんだけどなぁ。村長もハーレムを築いて、修羅場が多くて疲れるって言ってたし
今日は三階層までしか行っては行けないってエイナさんから言われていたので大人しく従って魔物を倒していき、稼ぎは昨日より少ないが魔物が多かったので8000ヴァリス稼ぐ事が出来た
教会の地下の部屋に戻ると置き手紙がありヘスティア様はバイト先の打ち上げに行ってくるそうだ、誘おうと思っていたけどこれなら仕方ない。偶には酒でも飲もうかな
シルさんから教えてもらった所まで行くと、『豊饒の女主人』と書かれた店があった
中からは多くの人の笑い声、自慢話、祝杯するもの忙しなく動くウェイトレス達…いいなぁ…こういう雰囲気と暖かくなるこの感じ…お爺ちゃんや村の人たちと一緒にいた時とは違う暖かさ…これが冒険者、1日の終わりに酒を飲み、料理を食べ、今日あった事を話し、相談し、連携の仕方を試行錯誤する……僕もいつかこんな風に和気藹々と話すことのできる仲間ができるかなぁ……
さて、入るか
入ると、忙しなく動くウェイトレスの一人が僕に気づくと、小走りで僕に近づいて来た
「ベルさん!来てくれたんですね!」
「えぇ、約束しましたからね。あぁそれとこれご馳走様でした。美味しかったです」
「ふふ、ありがとうございます。作った甲斐があります」
因みに一連の事は店にいた冒険者、ウェイトレス、厨房にいる昨日会った金髪の子より強そうな女性にしては大きい女性に見られてる
「それじゃあ席に案内しますね」
案内された席は厨房の真向かいのカウンターで、厨房から強そうな女性がこちらを見ている
「うちの子を誑かすんじゃないよ」
「え?い、いえそんなことしていませんよ」
「それならいい…で、シルが言うにはあんたかなりの大食感らしいね」
「え?」
自分の事なのに僕は知らないんですけど?……まさか!?
「テヘ」
横を見ると可愛らしく舌を出したシルさんがいた…はぁ
「まぁ、男なので食べるほうですが」
「ま、いいさ。それじゃあ注文を言いな」
見たことも聞いたこともない料理が多かったので僕は食べたことのない肉のステーキを頼んだ
少し待つと、厨房からミアさん(シルさんから教えてもらった)が厚さ3センチはありそうな香ばしい匂いの分厚いステーキが置かれた
「……この匂い…メルチィ入れてます?」
メルチィとは山の中に生える見た目は白いブルーベリーのような見た目だが、決まった処理をしないと強烈な苦みを出す、しかし処理をしっかりとすると甘みと甘い香りと大抵の料理の隠し味に合う摩訶不思議な実だ
「へぇ…ほんの数滴入れただけなのに…あんた、料理すんのかい?」
「はい、家での料理は僕が作ってましたし山で狩りや木の実などの採取していたのでそれを使ってオリジナルの調理方法やソース、料理も色々ありますよ」
おや、ミアさんが僕を意味深に見てる
「あんた、暇があったらうちで働かないかい?」
「はは、遠慮させておきます。代わりと言ってはなんですけど、ソースや料理は教えますよ」
「……ま、仕方ないか…その言葉忘れんじゃないよ」
ミアさんが厨房で他の料理を作り始めたので、僕は料理を食べることにした
「モグモグ……美味しい…肉もしっかりと中まで火が通ってるし肉もしっかりとした下処理をしてるから臭みもないし柔らかい。
しかもこのソース、メルチィの他にも色々な実や野菜、調味料と少しの酒を混ぜてるけど、絶妙にマッチしてて、とても美味しい。……アレンジして新しいソース作ろうかな」
出された料理に舌鼓を打ちながら少し経つと隣にシルさんが座って来た
「あれ?仕事はいいんですか?」
「はい、今は落ち着いて来たのでアーニャだけでも大丈夫そうですから」
見ると一人だけ動いてる
「ふふふ、アーニャは朝に少しやらかしちゃったのでその罰です」
微笑んでるのに言いようのない圧を感じる
「そ、そうですか…そういえばこの店の人たちは元は冒険者だったんですか?」
「え?どうしてそう思ったんですか?」
「シルさん以外の人たちの気配がそこらの冒険者より強そうなので、他にも歩き方にも重心がしっかりとしていて、即座に動けるようにしているので」
気配は村長よりは弱いが、少なくとも今の僕よりは力は上だろう
「………」
急にシルさんが黙ったので、見るとシルさんは口を少し開けて僕を信じられないといった感じで見ている
「あの…どうしました?」
「あ、い、いえ!…やっぱりベルさんは他の人とは違うんですね」
その意味ありげな言い方はなんですか?
「あんた、あまり詮索するんじゃないよ」
厨房からミアさんからそう言われたので、僕は話を変えることにした
よく見れば店のウェイトレスの殆どが僕を見ていた…これは不味かったかな
「すみません今の言葉は聞かなかった事にしてください……そういえばシルさんはなんで見ず知らずの僕にあんなに優しくしてくれたんですか?」
「え?……そうですね〜…放って置けなかったからですかね」
「それはどういう『ご予約のお客様、ご来店にゃー』」
聞こうとしたところで、アーニャさんが店中に聞こえるくらいの声のせいで僕の言葉は遮られた
入り口を見ると団体のお客さんが来たようだ…あの子は昨日の
その中の一人が昨日僕がダンジョンの中で会った金髪の女の子がいたのだ
「あの人たちはロキ・ファミリアの主力の方達ですね。うちの店を贔屓にしてくれているんですよ」
僕がジッと見ていたからか、シルさんが団体の人たちの正体を教えてくれた…あれがロキ・ファミリア
現オラリオの最強のファミリアの一角
確かお爺ちゃんが
『いいかベル。ロキ・ファミリアの主神には気をつけろ。ロキはとてつもないほど可愛い女の子に目がないからハーレムを作るときは1番の強敵になるぞ』なんて言ってたな
村長も
『ロキ・ファミリアかぁ。懐かしいなぁ。団長をしてる筈のフィンにはよく決闘を持ちかけられたなぁあいつ戦闘狂だし。ガレスは酒が大好きだから酒飲みに付き合っていたし。後リヴェリアはママ』
……ん?いい印象が一つもないぞ?主神がどうしようもない変態で団長は戦闘狂でガレスっていう人は酒が大好きで、リヴェリアっていう人はママ…大丈夫か?ロキ・ファミリア
いや、ママってなんだよ
「それじゃあ、遠征の終わりを祝ってかんぱーい!!」
朱い髪の女性(胸元が寂しいが)の人がヘスティア様と似た気配を感じるからこの人が神ロキだろう……あれ?そういえばお爺ちゃんも微かにヘスティア様と同じ気配だったような
「あの朱い髪の人が主神のロキ様です。そして金髪の男性が
あの人が戦闘狂…確かに強いあのメンバーの中で一番強い
「そして緑髪のエルフの人が副団長のリヴェリア・リヨス・アールヴさんです」
ママ
「そしてドワーフの方がガレス・ランドロックさんです。あの3人はレベル6なんですよ」
酒
なるほど、あの強さがレベル6…つまり村長はレベル6だったのか
それから順にアマゾネスの双子のティオネ・ヒリュテとティオナ・ヒリュテ。
レフィーヤさん以外全員レベル5で第1級冒険者らしい
それからあちらも料理を食べ始めたので此方もシルさんと今日あったこと、ダンジョンの中でのこと、アーニャが朝やらかした事を話していると、ロキ・ファミリアの方が少し騒がしくなったので見ると顔を少し赤くしたベートさんが騒いでいた
「そういえばよぉアイズぅ。あの話は本当なのか?」
「えっと、あの話って?」
「あれだよ!駆け出しの冒険者がミノタウロスを倒したってやつ!」
……うん、僕じゃない。他にもいたんだミノタウロスを倒した人が
「確か、白髪で赤い目の男だって?」
………違う、僕じゃない。たまたま僕と同じ外見の人がいたんだ
「え?白髪で赤い目の駆け出し…ベルさんじゃないですか?」
「違います。僕じゃありません。人違いです」
「……ベルさんですよね?」
「…………はい」
「なんだいあんたミノタウロスと会ったのかい。それは災難だったね…いや、あんただから強そうな奴が現れたとか金が稼げるとか思ってるんだろう」
「…なにぶん駆け出しですので、お金が色々必要なんですよ」
あと少しで修繕するような材料と道具が揃いそうなんだよね
………なんかさっきまでベートさんが騒がしかったのに急に静かになったぞ
振り向きたくない。視線を感じるが振り向かない。他人のふり他人のふり
「…ねぇ」
おやぁ?シルさんでもミアさんでもない声。昨日聞いたような声が後ろから聞こえるゾォ
「…………」
「なんで…無視するの?」
「ベルさん。現実逃避もそろそろやめて、現実を見ましょう」
「はぁ…わかりました、昨日ぶりですね。」
後ろを振り返ると案の定、昨日会った少女だった
「うん…えっと、名前」
「あぁ、これは失礼。僕はベル・クラネル。しがない駆け出し冒険者ですよ」
「ベル……私、アイズ」
「アイズさんですね。ところでどうして僕のところに?」
ロキ・ファミリアの方達の視線が痛い。ベートさんとレフィーヤさんが睨んでくるし、フィン、リヴェリア、ガレス、アマゾネス二人は驚いた顔で見てくるし、主神は…多分、睨んでる。眉間に皺よってるし
「うん。君に興味があるの」
視線が、視線がぁ…そのセリフは色々とまずい
「興味というのは?」
「昨日のミノタウロスの時のこと」
見られてたなこれは……さぁてどうやって切り抜けるか
《おまけ》
少し先の未来での出来事
豊饒の女主人では店を閉めており中では沢山の人々の声が聞こえる。そして白髪の男は店の扉を開いた
「お、来たな。遅いぞベル」
赤い髪の青年が入ってきた男に声をかけると中にいた人たちが視線を向けてきた
「ごめんごめん。少し用意に手間取って」
そういうとベルは片手に持った袋から色々なものを出した
「お、これはスノーボールじゃねぇか、中はオラリオをイメージして作った奴だな」
「ねぇねぇ、兎さん。頼んでたやつ持ってきた?」
アマゾネスの少女がベルの右腕を掴んで揺すりながら聞いてくる
「えぇ、買ってきましたよ。クリスマスツリーの飾りと星」
袋を少女に渡すと、小走りで店の中に飾ってあったツリーの下に行くともう一人のアマゾネスと狼人、
この店のウェイトレス達は作られていく様々な料理をテーブルに並べていく
金髪の小さな勇者はドワーフの人と何かを話しており
エルフの王女は妖精の二つ名がつくエルフと黒髪のエルフとギルド受付嬢のエルフと何か話しており
いつものごとく朱い髪の女神と黒髪のツインテールの女神は言い争っておりそこに眼帯をしている赤い髪の女神と極東の神と好青年のような見た目の神が仲裁に入る
豊穣の女神と貴公子とした振る舞いをする金髪の神が楽しく談笑をしている
極東のファミリアの者達はファミリア同士で何かを楽しく話し
聖女と呼ばれる女性とガネーシャファミリア、ミアハファミリアの団長同士でら何かを話しており
店の中には様々な人たちが話しており、店の雰囲気の所為なのか外は白銀の世界になっているのに店内は暖かい感じがする
「ベル…」
店の中を見ていると金髪金眼の美しい少女が話しかけてきた
「こっち…」
ベルの手を引くと一つのテーブルの所で止まった
「はい…これ」
少女は二つ持ったコップの一つを渡してくる。コップに入っているのはベルが店に教えた果実ジュースで少女の大好きな飲み物だ
「ベル様が合図を言ってくださいね」
「皆さん既に飲み物を手に持っていますから」
小人族の少女と
「そうですか……それじゃあ!せーの!」
『『『メリークリスマス!!』』』
白銀に染まったオラリオ、建物の中からは灯りがついており笑い声が聞こえてくる
ホーッホッホー!メリークリスマァス!
如何でしたか?皆さんは今日はどのように過ごすか
彼女と過ごすか
家族と過ごすか
一人で過ごすか
作者?……さ、察して(泣)
とまぁ、そんな事は置いておいて、皆さん楽しく過ごしてくださいね。年が変わるまであと少し今日という一年に一度のイベントを楽しくお過ごしください。年末ガチャ引かなくちゃ
それと感想ください
ください
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