ピカダリさんが行く! (水代)
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ピカダリさんが行く!
Q.擬人化する?
A.フラダリクソコラグランプリ
というような会話が某妖怪のチャット部屋で行われた結果産み落とされた化け物がこちらになります(
Q.CV手塚秀彰って?
A.ポケットモンスターXY及びXY&Zにおけるフラダリさんの声優さんだよ! つまりフラダリボイス(強そう)!
この先、容赦の無いグロシーンが多数用意されております。
皆さまに置かれましては、珈琲の用意を忘れないようにお願い申し上げます。
いいですね?
それでは皆様、用意した珈琲を口に含んでからこの先へお進みください。
* * *
―――夢を見ていた気がする。
「……ん?」
目を開く。
ぼんやりとした頭で天井を見つめ。
思わず感じた違和感に声が漏れる。
「……んん?」
ゆったりとベッドから上半身を起こし、見渡した部屋の中。
見覚えのあるような、無いような。
「あ、そっか……昨日引っ越したんだった」
と言っても家の改修に伴って一週間ほど別のマンションに仮住まいというだけだ。
ベッドから起き上がり、家から持ってきたクローゼットを開く。
伝説のポケモントレーナーレッドと同じ服装を取り出して着替える。
「……うーん、やっぱり着られてる感があるなあ」
未だポケモンを一匹しか持っていないような自分からすれば、どこまでも遠い雲の上の存在だがいつかレッドと同じくらい強いトレーナーになることを夢見ている……夢見るだけならタダだし。
「っと、こんな時間だ……早くご飯食べてスクールに行かないと」
机の上の時計を見やり、慌てて部屋を飛び出す。
今日はスクールで『ポケモンとトレーナー混合水泳大会』があるのでいつもより早く行かなければならないのだ。
部屋を出て階段を降りリビングに降りる。
「おはよ! ピカチュウ!」
そこにいつもいるはずの相棒の姿を認め。
「ふむ、おはよう、我がトレーナーよ(CV手塚秀彰)」
―――硬直する。
―――黄色い体に雌雄で別れるキザキザの尻尾。
そう確かに半分だけ見ればいつもの相棒の姿である。
「どうしたのかね? 鳩が豆鉄砲が食らったかのような顔をして(CV手塚秀彰)」
首から上がカエンジシを擬人化したようなオッサンに変わっていなければだが!!!
「誰だお前ええええええええええええええええええええええ!!!?」
早朝に我が家に俺のそんな声が響いた。
* * *
ピカチュウ。
森に 棲む ポケモン。 ほっぺの ふくろは 電気を ためるので 触ると パチパチ 痺れるぞ。
それが俺の相棒の名のはずであり、図鑑に表示されたピカチュウの写真と同じ姿をしていたはずなのだ……昨日までは。
少なくともこんな顔が毛むくじゃらでカエンジシみたいなオッサンでは無かった、断じて無かったはずなのに。
「なのに、どうして! どうしてこうなった! 俺の相棒を返せ!」
「おかしなことを言うものだな、我がトレーナーよ。キミの相棒ならばここにいるだろう」
「俺の相棒は、こんな、オッサンじゃ、ねええええええええええ!!!」
おかしい、おかしすぎる、何もかもが間違っいて、何から突っ込めばいいのか分からないくらい何もかもおかしい。
「つうかマジでお前誰だよ!?」
「全く、少しは落ち着き給え……何度も言ってるだろう? キミの相棒だと(CV手塚秀彰)」
「俺の相棒はそんなダンディな声してねえよ!」
もっとこう……可愛らしい声をしていたはずである、ぴっぴかちゅーとか鳴き声していたはずだ。
「ぴっぴかちゅ~(CV手塚秀彰)」
「無理があり過ぎだろそれは!!!」
「ふむ、中々に困ったトレーナーだな、キミは」
「こっちの台詞だよ!」
くそ、まじで何なんだこいつ。というか俺のピカチュウは? あの愛らしい相棒はどこに行った?
まさか、まさかとは思うが、本当にこいつなのか? 本当にあの愛らしい相棒の首から上はこんなカエンジシの化身のようなオッサンになってしまったのか。
「やれやれ……そろそろ学校に行かねばならん時間では無いのかね? 朝から元気なのは良いことだが、早く朝食を食べることを勧めておくよ」
「っくうううううううううううううううう!!!」
ツッコミたい、すごくツッコミたいが、このオッサンの言うことも事実。
折角早起きしたのにこんな無駄な時間を過ごしているわけにもいかない。
「ちょ……」
たっぷりと葛藤して。
「朝食、は?」
腹の底から絞り出したかのような声に、オッサンはふむ、と一つ神妙に頷き。
「すまん、私が食べてしまった」
告げた言葉にぷちん、と自分の中の何かがキレて。
「死に晒せえええええええええええええええええええええ!!!!!!」
本日二度目の絶叫がご近所に響いた。
* * *
「我がトレーナーよ……そのペースで歩いていては間に合わないのでは無いのかね?」
「う、うるせえ……くそ、何なんだ今日は、本当に!」
怒ればまたエネルギーを消耗してしまうと分かっていても思わず怒ってしまう。
そうして怒ってまた腹の音が鳴って思わず項垂れる。
「腹減った……くそ、母さん何も残してくれてねえのかよ」
「母君はキミのために朝食を作ってくれたのだ、感謝こそすれ文句を言うなど間違っているとは思わないかね?」
「その朝食全部食ったのお前だろおおお……うぐ」
怒鳴ると同時にぐう、と腹の音が鳴る。
きゅっと胃が締め付けられるような感覚に思わず腹を抑え、
「は、腹減った……やばい。学校まで持たねえ」
しかもよりもよって今日は水泳大会である。
正直プールの中に沈む自信があるくらい力が沸かない。
やばい……腹減り過ぎて眩暈が。
思わずアスファルトに手を突いて体を支える。最早立つことすらできない。
万事休すか、そんな状況で。
「あの~大丈夫ですか?」
頭上からかけられた声に顔を上げる。
覗き込んでいたのは見慣れた顔の少女だった。
お団子状のツインテールに白とピンクのサンバイザー、いつもの恰好である。
「おはよう、メイ」
「はい、おはようございます……というか大丈夫ですか?」
メイの伸ばした手に掴まって何とか起き上がる。
だが空腹が収まったわけでも無く、ぐう、と腹の音が再び鳴って。
「済まないな少女よ……我がトレーナーは空腹でな」
「あはは……そうみたいですね。ピカダリさんもおはようございます」
「ああ、おはよう」
「それにしても朝ご飯食べなかったんですか? 今日水泳大会ですよ?」
「いや、母君の作った朝食はとても美味しかったよ……残念ながら我がトレーナーは食べれなかったようだがね」
「それはお前のせい……というか待って、ステイステイ、ちょっと待とうか? メイさん?」
「はい?」
何か? と言った感じで首を傾げているが、騙されんぞ。
「何でこいつを見てそんな反応? というかピカダリって何!?」
「え……? ピカダリさんはピカダリさんですよね?」
「そうだな……まあそれは私の名前かと問われればそうでも無いわけだが、私を指す言葉の一つとして知られているようだね」
「何言ってんのこいつ……?」
ぐう、と何度目か腹が鳴る。
「う……腹が……」
「うーん、何か無かったですかね~」
ごそごそとメイが持っていたトートバッグを漁り。
「あ、クッキーありますよ? 食べます?」
ビニールに包まれたクッキーを差し出してくる。
「あ、ありが……」
正直全く足りないが、それでも少しだけお腹に物が溜まれば随分とマシになる。
感謝の言葉を告げながら手を伸ばした瞬間、横から現れたオッサンに掻っ攫われる。
「あ、おい!」
「さあ、我がトレーナーよ」
呟きながら器用に前足でビニール包装を剥き、さらに取り出した中身を咥えて。
「『おやつたべりゅ』?」
「食うわけねえだろおおおおおおお!!!」
本気のアッパーカットがオッサンの顎を突きあげ、悪は滅びた。
……………………。
…………………………………………。
………………………………………………………………。
「……あ、もう一つありました、食べます?」
「ありがてえ……ありがてえ」
不覚にも涙が零れた。
* * *
クッキー一枚分から得られたエネルギーを振り絞って『スクール』にたどり着くと、水着の入ったバッグを持って走り回る子供たちの姿。
「元気だなあ……」
あいつら全員腹いっぱい朝飯食ってきたのかな? 食ってきたんだろうなあ。
良いなあ、羨ましいなあ、今ならあいつら殴っても許されないかな?
「あ、あのピカダリさん? 先ほどから何やら怖い気配がするんですが」
「なに、心配することなど何も無い。我がトレーナーは何だかんだ手を出す度胸も無いヘタレだからな」
「先ほどアッパー食らってましたが、それは?」
「……っふ、成長したな」
「えぇ……」
後ろから何か聞こえる気がするが気のせい……断じて気のせいだ。
「メイ、着換えに行こう? 集合時間も近いしな」
「はいはい、じゃあ私あっちですので」
「りょーかい、また後でね」
着替える場所は男女で割と離れているので、早速向かうことにする。
「待て、我がトレーナーよ」
「何だよ」
「キミは本当に男かね? あんなオッパイの大きな子がこれから着換えをするというのに覗かないなど……彼女に失礼だとは思わないのかね?」
「お前が超失礼だよ!?」
思わず入れたツッコミに何故か満足気なオッサンだった。
男の着換えなど簡単なものだ。
全裸になって海パンを履くだけ。それだって別に学校指定の物なども無いので家から持ってきたトランクスタイプのをさっさと着替えるだけ。
なのだが。
「うーむ、少しばかりきつかったか? だがこんなものだろう」
「何で水着着てんのオッサン???」
下半身はピカチュウなのだ……だが所詮上はオッサンである。
寸胴ボディにぱっつんぱっつんの水着を着たその有様は余りにも不自然としか言いようが無い。
というかポケモン用の水着、中でもピカチュウのは構造的に女性用のワンピースタイプの水着に近い物になっているのだが、それをオッサンが着ているという構図に吐き気がした。というか吐き出した。消化されたクッキーすら出てこず、嗚咽だけが漏れた。
続々と更衣室から出ていく人の波に合流しながらプールサイドで全員が集合する。
「それでは、本日はポケモンとトレーナーの混合水泳大会を開催する」
一歩、皆の前に出てきたのはすらっとした長身痩躯の男性。
『スクール』の教頭、アカギ先生である。
いつもの『ギンガ団リーダーコス』を脱ぎ捨てて海パン一丁になったアカギ先生が手を挙げる。
「このアカギの言うことを良く聞いて、事故怪我無く無事に今日一日が終わることを期待する」
そう言って連絡事項や注意事項を告げていき、最後に。
「以上だ、まさかとは思うがこのアカギに『さからららららら』」
あ、バグった。
と誰かが言った。
「はいはい、アカギ先生、ありがとうございました。さ、あっち行きましょうね」
担任のマーズ先生がアカギ教頭の背を抑えながら退場させていく。
まあアカギ先生はああして時折バグるのも日常風景というか、誰も特に気に留めていない時点でお察しである。
「よし、じゃあ準備運動の終わった生徒からプールに入ってー!」
という先生の声が聞こえたのでえっちらおっちら準備体操を終えて。
「んじゃ、行くかー!」
飛び込むようにジャンプして。
「ぴっぴかちゅー(CV手塚秀彰)」
横合いから聞こえた鳴き声に思わず噴きだし。
顔面から着水した。
……それは卑怯だろう。
そんなことを思いながら意識は暗転していき。
* * *
―――夢を見ていた気がする。
「……ん?」
目を開く。
ぼんやりとした頭で天井を見つめ。
思わず感じた違和感に声が漏れる。
「……んん?」
ゆったりとベッドから上半身を起こし、見渡した部屋の中。
見覚えのあるような、無いような。
「あ、そっか……昨日引っ越したんだった」
と言っても家の改修に伴って一週間ほど別のマンションに仮住まいというだけだ。
ベッドから起き上がり、家から持ってきたクローゼットを開く。
伝説のポケモントレーナーレッドと同じ服装を取り出して着替える。
「……うーん、やっぱり着られてる感があるなあ」
未だポケモンを一匹しか持っていないような自分からすれば、どこまでも遠い雲の上の存在だがいつかレッドと同じくらい強いトレーナーになることを夢見ている……夢見るだけならタダだし。
「っと、こんな時間だ……早くご飯食べてスクールに行かないと」
机の上の時計を見やり、慌てて部屋を飛び出す。
今日はスクールで『ポケモンとトレーナー混合水泳大会』があるのでいつもより早く行かなければならないのだ。
部屋を出て階段を降りリビングに降りる。
「おはよ! ピカチュウ!」
そこにいつもいるはずの相棒の姿を認め。
「ふむ、おはよう、我がトレーナーよ(CV手塚秀彰)」
―――硬直する。
―――黄色い体に雌雄で別れるキザキザの尻尾。
そう確かに半分だけ見ればいつもの相棒の姿である。
「どうしたのかね? 鳩が豆鉄砲が食らったかのような顔をして(CV手塚秀彰)」
首から上がカエンジシを擬人化したようなオッサンに変わっていなければだが!!!
「誰だお前ええええええええええええええええええええええ!!!?」
早朝に我が家に俺のそんな声が響いた。
エンディング①
条件①SEN値31以上で水泳大会に参加した
条件②メイからクッキーを受け取った
条件③アカギがバグった
ヒント:SEN値を下げろ。
キーワード:フラダリ汚染
続かない。
え? グロシーン?
フラダリさん顔で「ぴっぴかちゅう~(CV手塚秀彰)」これだけで十分グロだろ?
だれかたすけて
おれのSEN値がさがらないの
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