俺のギャングアカデミア! (ジャギィ)
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1話

アニメのナランチャがカッコ良すぎて衝動的に書いてしまった。あと完全に声優ネタです。他の小説も書いてる途中なのに何やってんだか

でも、オレは正しいと思ったから書いたんだ。後悔はない…こんな世界とはいえ、オレは自分の『信じられる小説』を書いていたい!



※警告 “ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風”終盤の重大なネタバレが含まれます!!漫画またはアニメのネタバレを避けたい方はブラウザバック推奨です!!







覚悟はいいか?オレはできてる


ふわふわと、ふわふわと、クセのある黒髪にオレンジのターバンをつけた少年、ナランチャ・ギルガはローマの街の空に浮いていた

 

正確に言うならば、その()()()

 

『オレ…死んじまったのか…?ボスのスタンドにやられたのか…?』

 

眼下の街の路地で、仲間たちが倒れたナランチャの肉体を見て叫んでいる姿が見えた。普段は頭の悪いナランチャでも察していた。何より、魂が理解していた

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『ミスタ…トリッシュ…ジョルノ……ブチャラティ……』

 

しかし、不思議と不安な気持ちがナランチャにはなかった

 

なぜなら自分がやられても、仲間たちならきっとボスを倒してくれる…そう心から信じていたからだ

 

『オレ、行くよ……絶対ボスを倒せよ!みんな!!』

 

浮遊感を感じながらナランチャの魂は白に包まれ、ローマの空から姿を消した

 

 

 

 

 

そして次にナランチャは、小さな感覚と共に意識が目覚めた

 

(え…なんだ、コレ…オレ、死んだはずだよな?)

 

命の役目を終えたナランチャに次などなかったはずだ。しかしナランチャは確かに意識がハッキリしていた

 

(オレ、水の中にいるのか!?この感覚、間違いねぇ!でも息ができるぞ!それに体が思うように動かせねえし、目も開けられねーッ!クソ、どうなってやがんだ!!)

 

仲間たちがオレを蘇らせてくれたのだろうか?いや、もうオレにどうすることもできなかったはずだ!

 

立て続けに続くわけの分からない状況にナランチャはただただ混乱するしかなかった。そして状況はさらに動く!

 

ギュウゥゥ!!

 

(あ、頭が締め付けられてる!しかもどんどん引きずりこまれている!!ま、まさか新手のスタンド使いの攻撃か!?)

 

自分はもう死んでいるのに、そんなことを考えるほどナランチャは余裕がなかった。締め付ける感覚は頭から胴体、胴体から腰、そして脚へと増えていく

 

(ウゲェーッ!!顔が締め付けられて、い、息ができねえ!このままじゃ殺られる!『エアロスミス』ッ!!)

 

命の危機を感じたナランチャは自身の()()()()で抵抗を試みた

 

だが、目を閉じていてもわかるはずの生命エネルギーの塊が、ナランチャは感知できなかった

 

(エ、『エアロスミス』がでない!!ま、まさか、オレが死んじまってるからスタンドが出ないのか!?てことはここは“地獄”かなんかなのか!?)

 

混乱が極まったナランチャはもはや何もできなかった。体を動かそうにも力が弱すぎて、強い圧迫感に抵抗できない

 

(チクショー!クソ野郎が、どこのどいつだ!ゼッテェー許さねえ!!)

 

悪態を吐くしかできないナランチャは思いつく限りの罵倒を心の中で叫び続け…

 

ビチャッ ドシャーン!

 

頭から落下した

 

(イッテェーー!!!)

「ホッギャーー!!!」

「やった!無事産まれましたよインコさん!!」

 

ナランチャは締め付けから解放されたと同時に、眩しい光がまぶた越しに感じた。しかし頭から落ちた痛みでそんなことはどうでもよくなっていた。聞こえてくる声を気にするヒマもなかった

 

「ハァー、ハァー、ハァー。本当ですか?本当に無事なのですか?」

「大丈夫です!元気な男の子ですよ!ホラ!」

「オギャー!オギャー!」

「よかった…!!」

 

ある程度痛みが引いてきたところで、ナランチャは()()体と同じ大きさの手に持ち上げられた

 

(い、息ができるようになったけど、どうなってんだ!?オレ、でけぇ手に持ち上げられてんのか!?オレの体を持ち上げられるなんて、この「手」がスタンドか!?)

「お母さん、赤ちゃんですよ」

「はい…!」

 

背中のビニール手袋の感覚が、柔らかく優しい手のひらの暖かさに変わる。その感覚にナランチャは不思議と「母性」を感じた

 

(なんだろう…この感覚……母さんの手を握った時みたいななつかしい感じがする……)

 

ふと湧き上がってきたのは、ナランチャが過去に何度も感じた、既に亡き母との優しい思い出

 

ナランチャは誰が自分を持ち上げているのかが知りたくなった

 

(まぶしい…)

 

暗い感覚に慣れていたおかげでなかなか開けられないまぶたを、ゆっくりと馴らしながら目を開いていく

 

そしてナランチャの目に映ったのは、眩しい照明を背後に目尻に涙を浮かべながら微笑む、緑色の髪をした女性だった

 

「産まれてきてくれてありがとう出久(いずく)…私がお母さんよ…」

(母……さん……)

 

ナランチャは確信していた。目の前の女性は髪の色も顔つきも自分の知ってる母親とは違う。だが、この人も自分の母親なのだと

 

奇妙な安心感に包まれながら、ナランチャは再び意識を手放した



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2話

ちまちま投稿していきます


ナランチャが緑谷出久と呼ばれる赤ん坊に転生を果たして1週間後…ナランチャは車の中でベビーシートに座りながら、外の景色を見渡していた

 

(スゲェー、日本にはビルがたくさんあるって聞いていたけどマジだったんだな。あ、イタリア語の看板。アツアツのピッツァが食いてえなぁ…)

「えー、あー」

「ふふ。楽しそうね、出久」

「そうだな。病院では元気を有り余らせていたからな」

 

車の助手席に座っている今世の父親と母親がナランチャをチラッと見ながら嬉しそうに笑っていた

 

でも、ナランチャに分かるのは両親の態度と表情だけだった

 

(父さんと母さん、うれしそうだな。でも何言ってんのかサッパリわかんねー。オレを見ながらイズクって何度も言ってるからそれが今のオレの名前なのかな。イズク…イズク…変な名前だな)

「うー」

 

そう、生粋のイタリア生まれイタリア育ちであったナランチャには日本語が全く分からなかった。日本のあるアニメが好きではあるが、どちらかというと雰囲気や世界観を楽しんでたので日本語がわかるというわけではなかった

 

それでもこの国が日本だと分かったのはそのアニメのおかげでもあった

 

(……オレ、本当に生まれ変わったんだな……)

 

ナランチャは最初、自分の置かれた状況が全く理解できてなかった

 

緑谷出久として生まれ変わって次に目を覚ました時は、満足に動かせない体を無理やり動かしながらベッドから降りようとしたり、大声で叫んで(実際は泣いて)威嚇したりしたが、0歳児の肉体では脱出など不可能であった

 

1週間ほど経ってようやく冷静に考え出したナランチャだが、もともと何かを考えたりするのが苦手なナランチャは難しく考えるのをやめた。そのまま新しくできた家族と一緒に、車でどこかに向かっているのだった

 

そしてナランチャには、今3つの悩みがあった

 

1つは分かりやすく日本語が分からない。イタリア語なら当たり前のように話すことも聞くこともできるが、日本に住んでいる以上そんな機会はまずないだろう

 

2つ目は自分の能力

 

(…『エアロスミス』!)

「えあー!」

 

試しに能力の名前を心の中でつぶやいてみるが、1週間続けてできないことが簡単にできるわけがなかった

 

ナランチャが前世で住んでいたイタリアでは、人間の精神が具現化した超能力「スタンド能力」を持つ「スタンド使い」が多く住んでいた(例外として人間じゃないスタンド使いもいる)。当然ナランチャもスタンド使いの1人であり、ナランチャの精神がそのまま乗り移っているのだからスタンドもそのまま出ると思っていたのだが

 

(……やっぱり出てこねえ……)

「あえー…」

 

緑谷出久に生まれ変わってから1度もスタンド能力を出すことができなかった。1週間近くもスタンドが出せないという事実がナランチャの心を思いの外ネガティブにしていた

 

そしてナランチャが必死にスタンドを使えるようにしている3つ目にして最大の理由が…

 

ピロリローン♪ピロリローン♪

 

「ん?仕事の電話かな?インコ、すまないが取ってくれないか」

「分かったわ」

 

運転で手が離せない父親、(ひさし)がそう言うと、母親のインコ(引子)が後部座席のナランチャの横にあるカバンに向かって手をかざし

 

フワーーーー

 

カバンが宙を浮いてインコの手まで引き寄せられた

 

(うおおおおおおッ!!!)

「うおーッ!」

「ん?どうしたの出久?」

 

ナランチャ(正確には出久)が突然声をあげたことにインコは疑問符を浮かべるが、ナランチャはそれどころではなかった

 

(また物を「引き寄せ」やがった!近くの物しか引き寄せてないし力も弱いみたいだけど、もしかしてブチャラティやジョルノみたいな近接パワータイプのスタンドなのか!?)

 

……そう、ナランチャはこの世界における人類の8割が持っている先天性の超能力“個性”をスタンド能力と勘違いしているのだった

 

病院の中でトカゲ人間や、氷みたいに冷たい息を吐くヤツや、体がゴムみたいに伸びてるヤツを見た時、ナランチャはそれはもう錯乱した。無理やり逃げようとしたのも、その光景を見てスタンド使いがいると思ったからである

 

とりあえず、ナランチャの現在の目標は日本語の習得、そしてスタンド能力を再び使えるようにすることである

 

(まだわけがわからねーがよォ〜、生きてるっつーんなら、トコトン生き抜いてやるぜーー!!!)

「うえーー!」

 

母音を叫びながら、この危機を脱するとナランチャは強く決意した



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3話

感想でナランチャのネタバレに関して言及されました。考えてみればアニメやってるタイミングだったからこういう人がいるはずなのに、配慮が足りないと痛感しました

ネタバレになってしまった人は大変申し訳ありませんでした。こういうことが今後もあると思いますが、これからも楽しんで読んでもらえると幸いです

……やっぱり声優ネタならこのすばinホルマジオの方が良かったかなぁ


ナランチャが日本語を聞き取れるようになるまでにかかった歳月、実に2年!!そして日本語をしゃべられるようになるまでかかった歳月は、これまた2年!!

 

本来赤ん坊というものは4、5ヶ月ほどで泣く以外の言葉を発する。そこから徐々に周囲の環境から言葉を吸収し、そこから1年2年も経てば、自然と話すことができるようになる

 

その肉体は幼くともナランチャの精神年齢は高校生ほどである。ゆえに言葉を難しく吸収してしまい、結果、ナランチャの言語能力は周囲よりも著しく遅れて成長した

 

しかし、言語の基礎を覚えてしまえば、ナランチャの成長速度は一気に速くなった!!もともと成長が活発な子どもの脳という点とナランチャの魂に刻まれた経験を踏まえれば、当然のことでもあった

 

そしてナランチャが生まれ変わってから4年が経った…

 

「かあさん、きょうのばんごはんなに?」

「今日の晩ご飯は魚よ、出久」

「うええ〜、オレはしでほねとるのにがてなんだよな〜」

「こら!ワガママばかり言わないの」

 

腰に手を当てて文句を言う出久に怒るインコだが、本気で怒ってるわけではないことはナランチャも分かっているため、大人しく椅子に座る

 

箸の使い方に悪戦苦闘しながら食事をしていると、つけてたテレビにある映像が映った

 

『HAHAHAHAHA!!!もう大丈夫!何故って!?私が来た!!』

「あ、オールなんとか」

「あら、オールマイトが出てるわね」

 

テレビに出てきたのは“平和の象徴”と呼ばれる最強のヒーロー“オールマイト”。見た目の画力が違うアメリカンな筋骨隆々の男だ

 

「出久、もしかしてヒーローになりたいの?」

「ううん。オレ、ぜんぜんきょーみないや」

「そ、そうなの?」

 

時々見せる子どもらしからぬ反応にインコは少し驚くが、きっとまだ何も分かっていないのだろうと自己完結した

 

当然そんなインコの考えとは裏腹に、ナランチャはある程度分かった上で興味がなかった

 

(ようするに犯罪者捕まえて金もらってるってことだろ。そんなの警察だってギャングだった頃のオレにだってできる)

 

周囲の子どもと比べて精神年齢が高いナランチャからすれば、ヒーローなんてその程度の認識でしかなかった

 

(それに、オレにとってのヒーローはブチャラティなんだ。男っていうのは、ああいう人のために働くものだ)

 

何より、母親が死に、父親に愛されず、友に裏切られ、ドン底に落ちぶれていた過去から自分を救って真剣に向き合ってくれた人物

 

前世で所属していたギャング組織のチームのリーダーであるブローノ・ブチャラティこそが、ナランチャのヒーローなのだから

 

「それと出久、来週“個性診断テスト”を受けるんだけど覚えてる?」

「えーっと…オレがどんな“こせい”をもっているかしらべるんだっけ?」

「そうよ。出久はどんな“個性”が出てくるか楽しみね」

 

“個性”のこともちゃんと理解しているナランチャも、実はほんのちょっぴりだけ、どんな“個性”が出るのか密かに楽しみにしていたのだった

 

しかし……

 

「諦めた方が良いね」

 

現実は非情である

 

「この世代じゃ珍しい…何の“個性”も宿ってない型だよ」

「それじゃ出久は!?」

「“無個性”、ということになるね」

「“ムコセー”…?」

 

医者の先生から告げられた言葉を舌ったらずに繰り返すナランチャ

 

そう、ナランチャが憑依した緑谷出久は、現代では珍しい“無個性”の人間だったのだ。その事実を知ったナランチャは大きくショックを受けた…

 

(へぇー、オレ“無個性”なのか)

 

…わけでもなかった

 

もともとギャングに入団するまではスタンドもなしで、それも一時期浮浪児として劣悪な環境で生きてきたことを考えれば、“個性”が使えるだの使えないだのはどうでも良かった。母親と同じ“個性”だったら色々と楽なんだろうなーと考えていたくらいである

 

(スタンドの感覚は間違いなくある。でもなんで出ねえんだろうなーッ)

 

この4年間、ずっと『エアロスミス』を出せるように訓練を続けていたが、一向に良くなる兆しが見えなかった

 

なぜスタンドを出すことができなくなったのか。ナランチャはその理由がわからずじまいだった

 

無情な宣告の後、帰宅したナランチャは自分の部屋でプロペラ戦闘機のおもちゃを弄りながら色々と思いを馳せていた

 

(別にヒーローになりてえってワケじゃねーが、どうせならちゃんと勉強して、父さんと母さんを喜ばせてやりたいなぁ〜)

 

戦いが終わったら故郷でもう1回学校に通おうと思っていたナランチャは、今世は真面目に勉強しようと考えていたのだ。理解できるかどうかはともかく

 

ガチャ…

 

「出久……」

「…?」

 

ナランチャが振り返ると、そこには暗い表情で部屋を覗いているインコの姿があった。申し訳なさが滲み出た表情だ

 

それを見てナランチャは察した。きっと母さんはオレを“無個性”で産んだことに負い目を感じているのだと

 

「かあさん、オレ、だいじょうぶだよ。“ムコセー”でもきにしてないから」

「…………ッ!!!!」

 

ナランチャは気にしてない風にそう言ったし、実際に気にしてなかった。が、何も知らないインコからすれば『我が子が自分を気遣って精一杯強がっている』ようにしか見えなかった

 

インコは飛び込むように出久を抱きしめた

 

「ごめんねえ出久、ごめんね…!!」

 

ボロボロ泣きながら、子どもにこんな言葉を言わせてしまった自分自身を呪いながら、謝り続けた

 

そしてナランチャは、母親に泣きながら謝られるという初めての経験に困惑しながらも、その頭を優しく撫でた

 

泣いている自分にそうしてくれた、かつての母さんのように



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4話

多分次くらいに原作が始まると思います


ナランチャこと出久の“無個性”が判明した次の日

 

「おいデク!おまえ“ムコセー”なんだろ!」

 

現在通っている幼稚園で、金髪で爆発ヘアーの子どもが出久をデクと呼びながら話しかけてきた

 

この子どもの名前は爆豪(ばくごう)勝己(かつき)。緑谷出久の幼馴染で、ガキ大将的な存在である。ちなみに爆豪は4歳にしてもう漢字を読めたりする。出久の名前は間違って出久(デク)と呼んでいるが

 

「なんだ、カツキか。それがどうしたんだよ?」

 

最近よく突っかかってくるようになった幼馴染に対してナランチャは素っ気なく対応する

 

「“コセー”がないってダッセーな!オレはヒーローむきの“コセー”っていわれたぜ!やっぱりおまえよりオレのほうがすごいってことだよな!」

「どうでもいいだろ?カツキがつよい“コセー”をもっててもオレにはかんけいないじゃん」

 

これだ。ナランチャのこの態度が爆豪は嫌いだった

 

自分より箸の使い方も下手で、足も遅くて、あげく“個性”もないクセに、「爆豪なんて敵じゃない」と言わんばかりの態度が爆豪をムカつかせていた。最近自分よりも漢字を読めるようになってきたことも気に食わないことだった

 

「ナマイキだぞ!デクのクセに!」

 

そう言って爆豪はナランチャに殴りかかってきた

 

「フン」

 

所詮子どものパンチ。そう思ってナランチャはいつものようにギリギリで避けて

 

BOOM!

 

「あがぁ!?」

 

顔の近くにあった爆豪の掌が突然爆発して、ナランチャを吹っ飛ばした。これが爆豪の個性“爆破”。いわゆる“強個性”と言われる強力な能力であった

 

「爆豪くん!ダメじゃない、“個性”を人に使っちゃ!」

 

園児たちを見ていた保育士の先生が爆豪を注意する。しかし爆豪には注意などどうでもよく、初めてデクを倒してやったと笑い……

 

「てめぇ…!」

 

勝ち誇った爆豪の目には、片脚だけ立てて座り込んでいる出久の姿が見えた。強く擦れたのか、腕や顔から血がたくさん出ていた

 

「てめぇ…!」

 

血が出てるほおの擦り傷に手を当てながら、ナランチャはドスをきかせた声を震わせ……そして!

 

「ブッ殺す!!!」

 

怒りを爆発させた!

 

ドオオオン!!!

 

叫ぶと同時にナランチャの生命エネルギーが形となって、上空に飛ぶ。重厚なプロペラ音を鳴らすそれを見た先生が戸惑いながら言う

 

「ひ、飛行機!?」

 

そう、今ナランチャの体から飛び出した…このプロペラ戦闘機こそが、ナランチャの具現化した精神

 

『スタンド』である!

 

「おいデク!なんだそれ!」

 

出久の目の前で滞空する小型の戦闘機を“無個性”のデクが出したことに爆豪は混乱し叫ぶ

 

そしてナランチャはその疑問を、スタンドの名前で返す

 

「『エアロスミス』!!」

 

ナランチャはエアロスミスを操作する。そして爆豪を真正面から機銃掃射で撃ち抜く

 

ガガガガガ!

 

「ぐえぇーー!!」

「キャアアアー!」

 

目の前で園児が蜂の巣にされるという光景に保育士の先生は悲鳴をあげた

 

「い、いてぇー!」

 

しかし脳裏に浮かんだ最悪の考えとは裏腹に、爆豪は地面で転がって痛がるだけだ

 

これはナランチャ自身も気づいてないことだが、ナランチャがスタンド能力を使えなかったのは決して『エアロスミス』を失ったからではなく、単に肉体の生命エネルギーが足りな過ぎたために『エアロスミス』を呼び出せなかったのであった

 

現にエアロスミスも本来の大きさとパワーとスピードを大幅に失っていて、人間を穴だらけにできる機銃掃射もせいぜいゴムボールをパチンコで撃った程度の威力になっていた。それでも4歳児には十分すぎるダメージだったが

 

そしてスタンドパワーを制御する闘争心。新しい世界に生まれてからはギャングの世界のように激しく感情を燃やす機会がなかったが、緑谷出久としての初めてのピンチが、スタンドを呼び出すきっかけとなった

 

動けない爆豪にナランチャは近づき

 

「ちっくしょー!」

 

ドグォン!

 

容赦なく蹴りつけた!

 

「うがぁ!」

「こんなにちがでてるじゃあねえか!」

 

ドゴ!ドゴ!ボゴォ!

 

「よくも!よくも!よくも!ブッ殺す!ブッ殺す!ブッ殺す!」

「げ!が!うご!」

 

普段はおとなしい出久が鬼のような形相で爆豪を蹴りまくっている。あまりに普段とは違いすぎる出久の凶暴な一面に、園児は怯えまくっている。先生も園児とは思えない威圧感に手を出せずにいた

 

「ブッ殺す!ブッ殺…」

 

BOOOM!

 

「うげぇー!」

 

ずっと続くと思われた暴力の嵐はナランチャが爆音の後に吹き飛ばされたことで終わりを迎えた。見れば機銃掃射と蹴りでアザができた体を起き上がらせて掌を爆発させる爆豪がいた

 

吹っ飛んでいったナランチャは服の一部が焦げていた。“爆破”の個性をモロに食らったおかげだ

 

「よくもやりやがったなデクゥ!“ムコセー”でぜんぜんすごくねえクセに!」

「るせーんだよカツキ!てめーこそがきのくせに、ちょーしのってんじゃあねえぞぼけ!」

 

売り言葉に買い言葉。それに普段から互いに不満があったのもあって、2人のケンカはだんだんとヒートアップしていき……

 

「おれがいちばんすげえんだよ!!すごくねえおまえがエラそーにするんじゃねえ!!」

「『エアロスミス』!!」

 

ナランチャは『スタンド』を、爆豪は“個性”を、再び互いにぶつけ合うのだった

 

 

 

 

 

この日、2人が『スタンド』と“個性”を使った初めての大ゲンカによって、翌日の幼稚園は休みとなった。肝心の2人も大怪我を負うまでケンカを続けたため、3日間幼稚園を休むことになり…

 

「ホラ出久!早く勝己くんに謝りなさい!」

「勝己!アンタが先に手ェ出したんでしょ!アンタから謝りなさい!」

 

3日後、母親と一緒に2人は対面していた

 

「かあさん!オレぜったいわるくねーぜ!カツキがさきになぐったんだからよぉー!」

「なんでオレからなんだよ!あやまるならデクからだろ!」

「「言い訳しない!!」」

 

ゴツン!!!×2

 

「「イッテェーーー!!」」

 

ナランチャと爆豪は、2人仲良くたんこぶを作る羽目になったのでした

 

チャン♪チャン♪



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5話

正直今回のあるシーンが書きたかっただけにこの作品を投稿したってのもあります

あとスタンドは周囲の反応とかを書きたいという理由からスタンド使いじゃなくても見えるという方針で書いていきます


最初にひとつ言っておく 時は加速する!

 

 

 

 

 

4月の頭、ナランチャは中学3年!!

 

人生で初めての受験のために彼は今、受験勉強をしているのだった…

 

「なぁ〜カツキ〜。外天気いいしさあ〜、1日くらい勉強しなくたってさぁ〜…なんか今日は乗り気じゃあないんだよォ〜〜」

「模試でE判定くらっといて寝ボケたこと言ってんじゃねぇよ!!受験舐めてんのかカス!」

 

……勉強していたのだが、ヤル気が全くない。トレードマークであるオレンジのターバンごと頭をかきながらグダグダしていた

 

そしてナランチャに頼まれて受験勉強を見ていた爆豪はそんなナランチャを罵倒するのだった

 

そう、あの爆豪が!!人の面倒を見ていたのだ!!スタンドも月までブッ飛ぶこの衝撃!!

 

初めて爆豪がナランチャと大ゲンカしたあの日以来、2人は何かと競い合うことが多くなっていた。やがて2人はライバルといえる関係にまで発展していた

 

爆豪はNo. 1ヒーローを越えるために、ナランチャはある目的のために、そろって同じ学校の同じ学科を受験することにしたのだが…

 

「√26×√55とか十分簡単だろうが!6×5が出来りゃ解けんだろ!」

「6かける5は、ろくご…」

 

ちょっと考えてからナランチャは答えを出す

 

「30?」

「分かってんなら早く解けや!もう半分出来てるようなモンだろ!」

「そーかッ!ろくご30ねッ!よしっ!」

 

爆豪のアドバイスを受けたナランチャは問題を解くべくペンを走らせる

 

そんな中、爆豪とよくつるんでるクラスメイトが言う

 

「しかしカツキもよくやるよなー。フツー面倒みるか?同じ受験先のヤツを幼馴染とはいえよォ〜」

「なんだかんだ言って緑谷のこと認めてるからな。これがツンデレってやつか」

「聞こえてっぞモブども!!」

 

問題を解きながらも小声を見逃さない爆豪’sイヤー。爆破的みみっちさ全開である

 

「やったーッ!終わったよカツキ…どう?」

「おせーんだよ。早く見せろ」

 

ひったくるように出久から問題集を取って答えを見る

 

『√26×√55=√28』

 

思わず無表情になる爆豪

 

「んだこりゃ……?」

「へへへ♡当たってる?」

 

ケッコー自信があったナランチャは爆豪に答えを聞いた

 

グザァッ!!

 

しかし次の瞬間、爆豪は手元にあったペンをナランチャの右頬に勢いよくぶっ刺した!

 

「ぁぎゃアアアーーーッ!!」

 

あまりに唐突すぎる攻撃にナランチャは叫び声をあげるが、爆豪は憤怒の表情でナランチャの前髪を掴み顔を近づけて凄む

 

「このクソナードが!オレをナメてんのかッ!何回教えりゃ理解できんだコラァ!この……」

 

そしてナランチャの頭を一瞬高く上げて

 

「ド低脳がァーーッ!」

 

ドグシャアッ!

 

思いっきり顔面を机に叩きつけた

 

それを見てたクラスメイトは呆れたようにつぶやく

 

「あーあ、切れた切れた、また」

「ろくご30ってやっておきながら、なんで30より減ってんだボケ!」

 

ドゴァ!ドグァ!

 

周囲の反応に気づかず、続けてナランチャを机に叩きつける爆豪

 

ピシィッ!

 

しかし爆豪の首元にカッターナイフの刃が突きつけられる。ナランチャが爆豪に突きつけたのだ。刺された右頬や鼻、唇から血を流しながらナランチャはドスを効かせた声で言う

 

「何だと……ド低脳って言ったな〜〜〜〜〜人を見下す言い方はよくない!殺してやる!殺してやるぜ〜〜〜〜カツキ」

「ンの野郎〜〜ッ!!」

 

もはや2人の怒りはピークに達していた

 

そのまま殺し合いでも始めかねない雰囲気がビシビシ伝わってくるにも関わらず、クラスメイトたちは「なんともないヨン♪」と言った感じなほど普通にしており

 

ガララ

 

「よーし!席につけ〜〜…って緑谷に爆豪!ケンカもほどほどにしとけよ!」

 

ピクリ×2

 

教室に担任が入ってきたことで2人の殺伐とした雰囲気は一気に霧散する。そしてそのまま黙って筆記用具を片付けると、ナランチャは自分の席に戻っていった

 

「えーおまえらも3年ということで!!本格的に将来を考えていく時期だ!!」

 

全員が席についたのを確認した担任は進路の話を切り出す

 

「今から進路希望のプリントを配るが、皆!!!」

 

手元にある進路希望のプリントを数枚手に取り

 

「だいたいヒーロー科志望だよね」

『ハーーーイ!』

 

生徒全員(2人を除いて)が“個性”を使いながらの返事と一緒に宙にばらまいた

 

ヒラヒラと落ちるプリント、その中のある2枚にはこう書かれていた。名前は緑谷出久、爆豪勝己……

 

そして第一志望は雄英高校!学科はヒーロー科!

 

「へへッ」

「フンッ!」

 

ニィィ…

 

その言葉を聞いたナランチャと爆豪は、凶悪犯罪者みたいな顔で不敵に笑うのだった




√16だと4になって4√55で解けてしまうという指摘を受けたので急遽√26に変更しました


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6話

お気に入り登録数が444を超えたんで投稿です(今更


キーン、コーン、カーン、コーン…

 

今日の最後の授業を終わらせるチャイムが学校に鳴り響くと、教室の生徒たちはそろって帰りの準備を始めていた

 

「おーい緑谷!」

「ん?」

 

ナランチャもサイフをポケットにしまっているとクラスメイトの男子に話しかけられた。爆豪とよく一緒にいるヤツだ

 

「今日ゲーセンで新しい台出るらしくってよぉ、おまえも一緒に来ねえか?」

 

そう言って誘われたがナランチャは首を横に振る

 

「わりぃ、今日母さんから帰りにサラダ油とか買ってくるように頼まれててよ〜。あんま遅くなれねえから今日はやめとく」

 

それだけ伝えると手に持ったカバンを左肩にかけてナランチャは教室から出ていった

 

「なんだよ、ノリわりぃな〜ぁ」

「しゃーねえ。カツキでも誘うか」

 

通学路…

 

ナランチャはスーパーに向かうために別の道を通っていた

 

「……」

 

しかし、ナランチャは短いトンネルの中で急に歩くのをやめて後ろを見た。正確には、トンネルの地面にある()()()()()

 

GLOOP…

 

「ハァハァ…Mサイズの、隠れミノ」

 

するとその時!マンホールの蓋が吹き飛び、下水道から腐臭漂うヘドロのバケモノが現れナランチャに襲いかかった!

 

「よっと」

 

だが()()()()()()()()()()()()()()ナランチャは、振り向いてから後ろ向きに軽くジャンプして奇襲を躱す

 

「かわした…?」

 

完全に不意をついたのにあらかじめわかっていたかのように躱されたヘドロの体をした男は不可思議そうにする

 

そしてナランチャは、襲ってきた男の正体をつぶやく

 

「オメー…ヴィラン()かよ。いきなり襲ってくるたァいい度胸してるじゃあねーか」

「動かないでほしいなぁ〜君は俺のヒーローなんだ……。ちょっと体を乗っ取らせてくれるだけでいいんだ…俺が逃げ切る間な!!!」

 

ヴィラン(“個性”を無断使用する犯罪者。“個性”は法律で資格者以外むやみに使ってはいけない)はドロドロと体を動かしながらナランチャを乗っ取ろうと再び襲いかかってくる!

 

それを見たナランチャは無言で『エアロスミス』を発現させて機銃をヴィランに向ける。急に小さなプロペラ戦闘機が出てきてもヘドロヴィランは笑うだけだ

 

「なんだそれ!そんなチンケな飛行機がお前の“個性”か!?アマァァァ〜〜〜〜ッイィ!!!そんなんじゃ俺のヘドロの体には傷1つつけられーー」

 

ブヂュン

 

「ぃぎゃアアーッ!!?」

 

しかしヘドロヴィランの言葉の続きは、激痛の絶叫に早変わりした

 

なぜなら、ナランチャが『エアロスミス』の最低火力の機銃で相手の目を撃ち抜いたからだった。眼球をえぐっただけだが失明には十分なダメージである

 

ヴィランは右目を抑えながらひたすら混乱した。ダメージを受けたのもそうだが、同業者(同じヴィラン)でもここまで躊躇も容赦もなく攻撃してくるものなどいなかったからだ。ヒーローなどもってのほかである

 

「情けねえ声出してんじゃあねぇよ。目ェつぶされたくらいでよォー」

 

攻撃してきた当人がヴィランの前に立つ

 

「テメェの体、全部がヘドロのハズじゃあねえ。だったらどうやって物を見たりメシ食ったりするかって話だもんな〜。内臓はどうなってんのかシラネーけど。それに体を自由にヘドロにできるなら()()()()()()()もっと早く移動してたはずだぜ……逃げてんのにそれをしねえってことは生まれつきの異形系の“個性”ってわけだろ?ええ?」

(なっ…なんだこのガキ!?()()()!!俺を見て逃げるどころか躊躇いなく攻撃してきやがった………このガキやべえぞ!!)

「ヒ、ィイ!」

 

逃げなければ!!!

 

後ろから追っかけてきてる奴よりももっとヤバい奴と出会ってしまったと感じたヘドロヴィランはマンホールに向かって踵を返し

 

「残念だけど逃げられないのさ!何故って?」

 

しかし出てきたマンホールから拳を突き上げて、追ってきた奴が現れる

 

「私が来た!」

 

筋骨隆々なV字の前髪の男は腕をめいっぱい引き下げ

 

TEXAS(テキサス)…」

 

ヴィランに向けて突き出した!

 

SMASH(スマッシュ)!!」

 

ブオッ!

 

そのパンチは凄まじい風圧を生み出し、流動体ゆえに掴むことが難しいヘドロの体をバラバラに吹き飛ばした

 

「ブェアーー!!!」

 

“個性”の特性でバラバラになっても生きてるヴィランは、体をトンネルの壁にベチャベチャ打ちつけながら気絶した

 

そしてその光景を見ていたナランチャは、筋肉の男を見て名前を口にした

 

「オールマイト……?」

 

そう、今ナランチャの目の前にいるこの男こそ!

 

現代において“平和の象徴”と呼ばれるNo. 1ヒーロー『オールマイト』であった!!!



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