最弱無敗の決闘機竜 (caose)
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紅き少女の過去。打ち破れ反抗の隼!!
全ての始まり


 あの時が僕にとっての転換期だったのかもしれない。


 アーカディア帝国

 それは今から800年前に建国された巨大国家。

 元々から巨大である国家があるときを境に各地に侵攻を開始した。

 「装甲機龍(ドラグナイト)」

 10年前に突如として現れた遺跡(ルイン)の中から発掘された古代兵器。

 それの導入によりアーカディアは破竹の勢いで侵攻した。

 そして800年も経つことにより国は大きく腐敗した。

 男尊女卑による女性の抑圧や差別による偏見、更には男性の慰み者にされたり

薬の実験体にされたりと最早外からは美しく見える帝国も中身は異臭すらする朽ちた

果実となっていた。

 それを止めるためアディスマータ伯はクーデターを決行。

 同調した貴族や軍、レジスタンスも参戦し奇襲を企てた。

 だが何処からか情報が漏れたのか帝国軍はそれを迎え撃った。

 その中でも突出した強さを持った機龍がそこにあった。

 黒い機龍。

 その戦いにより敵の装甲機龍1200機以上を撃墜し伝説となった。

 帝国からは怨敵として、民からは英雄としてこう呼ばれた。

 「黒き英雄」と・・・

 

  アーカディア帝国の王城の内部

 そこには多くの兵士の死体がありさらに先にある玉座の間では胸に深く

剣が突き刺さり玉座の上で目を白目にして死んでいた皇帝と・・・そこで激しく戦う

2つの機龍がいた。

 両方とも黒く形状が同じだった。

 一人の少年がこう言った。

 「何故殺したフギル!軍の装甲機龍の操縦者や皇帝を何故だ!!」

 少年がそう言うとフギルという男はこう言った。

 「歴史を正しい方向に導くためだ。」

 「歴史!?」

 「俺は正しい歴史を作るためにアディスマータ伯が死んだことによる修正のためにお前を必要とした。あいつらはそれに邪魔な存在だ。生かしたところで利は無く害にしかならない虫以下の存在だからな。」

 「それだけの為に・・・アンタハーーー!!!!!」

 少年がそう言った瞬間フギルの機龍が突如として消え、・・・

そして後ろから斬った。

 「がはっ!!」

 吹き飛んだ少年の機龍は壁に当たった後フギルはこう言った。

 「賢弟最後にお前が理想を果たせなかった理由。それは何だと思う?」

 その言葉に少年は意識をなくさないようにするのに必死で何も言わなかった。

 「お前は世界を分かっていない。理想だけでは何もできないのだ。」

 そしてフギルが機体の腕に持っている大剣を振りかざそうとした瞬間突如少年の

機龍から光が出た瞬間それが光り輝いた。

 「ぐっ!」

 そして収まった瞬間その少年は消えていた。

 「何!!??」

 

 ここはアーカディア帝国とは別の世界

 光り輝き夜でも星の如く輝く正に理想郷と謳うにふさわしい場所である。

 ここは「ハートランドシティ」

 戦争すら起きていない平和な場所であった。

 そこは近未来でありロボットや全自動自動車が普及していたのだ。

 そこに一台のバイクがあった。

 ヘルメットからはみ出ている髪から見て女性だと思われる。

 「いやー。新しい新聞のネタを探してたらこんな時間だぜ。速く帰らねえと

ばっちゃんに叱られちまうぜ。」

 女性がそう言いながら家の前までバイクを走らせていると突如何処からか

人影が見えたのだ。

 「どわっ!!」

 彼女が避けた瞬間それが倒れた。

 「げっ!!牽いちまったか?」

 そう言ってバイクから降りるとそれが人である事と酷い状況である事に気が付いた。

 「こりゃ何があったんだ!!??」

 少年は銀色の髪をしていることから外人である事と全身に幾つもの傷跡がある事に

驚くと彼女は直ぐに家に入るとこう言った。

 「ばっちゃん!!救急箱!!それと遊馬!!布団出してくれ!!

怪我人がいるんだ!」

 「えっ!!まさか姉ちゃん!!」

 「んな訳あるか!!早く!!」

 「分かった!!」

 

 「ううん・・・。」

 少年は何があったのかを思い出していた。

 「(僕は確か・・・革命のため皇帝を説得するために地下通路を通って・・・それで・・・!!!)」

 すべてが思い出した瞬間全身に痛みが走った瞬間自分が包帯塗れだということに

気づいた。

 「これって・・・。」

 「気が付いたかい?」

 「!!」

 声があった方を見るとそこには老婆がいた。

 「あんた結構傷だらけだけど何かあったんかい?・・・あんな物騒な剣を持って。」

 老婆が指さした方を見るとそこには黒い鞘と収まっていた剣があった。

 「それは・・・って革命は!?!戦闘は!!??」

 「革命に戦争って・・・ここ数十年平和そのものだよ。」

 「なっ!!」

 少年は驚くと同時に周りをよく見た。

 帝国でも存在しない物があり天井は蝋燭やランタンでは有り得ないほどの光を

出していた。

 すると老婆がこう言った。

 「あんた腹減ってないかい?」

 「へ?」

 ぐぎゅ~~~~

 少年の腹の音に老婆がこう聞いた。

 「飯にしないかい?体を治すにしても何するにしてもまず腹いっぱい

食うことだよ。」

 そう言って老婆が少年を案内した。

 案内したのはキッチンでありそこには自分と同じぐらいの少年と年上の女性がいた。

 「お、大丈夫だったか?わりーわりー。危うく轢くところだったぜ。」

 「姉ちゃんだからちゃんと安全運転しろって言ってんだろ?俺ドンだっけ

怖かったか?」

 「さ、飯にしようぜ。」

 「あ、話逸らしやがった。」

 そして銀髪の少年の目の前には大盛りのおかずとご飯と味噌汁があった。

 「早く座り。」

 「あ、はい。」

 そして少年が座ると彼女はこう言った。

 「それじゃあ・・・。」

 「「「いただきます!!!」」」

 そういってそれぞれおかずを取っていると老婆がおかずの乗った皿を出してきた。

 「ほら食べり。」

 そう言って置くと少年は恐る恐ると渡されたスプーンを持って食べると途端に

一心不乱に食べ始めた。

 長時間の戦闘と疲労により食事が欲しかったのだ。

 それがどんな料理でも彼にとってはごちそうだった。

 そして暫くすると彼女がこう聞いた。

 「そう言えばお前なんて名前だ?」

 「ふぁまえ(名前)?」

 「私は九十九 明里。んでそっちはあたしとこいつのばあちゃん。九十九 春、んでこいつがあたしの弟の九十九 遊馬。」

 「こいつってひでえな姉ちゃん。俺が九十九 遊馬だ。お前は?」

 「ぼ、僕は・・・。」

 そして一呼吸してこう名乗った。

 「ルクス。ルクス・アーカディアです。」

 




 これが彼の新しい始まり。


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ルクスから見たゼアル

ルクスが視点から見た遊馬の戦いの記録(ダイジェスト版)ですみません。


 あの後明里さんが戸籍がないと知った後新聞記者関係に頼み(脅し)こんで

「九十九・A・ルクス」として過ごすこととなった。

 学校は中学から行けれるようになるようだがそれに備えて漢字や平仮名と言った

初歩からあらゆる教科を一通り出来るようにそれでこそ夜遅くになることがあったが

そんな時には春おばあちゃんからデュエル飯と言うお握りを出してくれたり遊馬からは「ルクス兄」と呼ばれてちょっと気恥ずかしかったり内緒で

「デュエル・モンスターズ」を教わったりして過ごすうちに中学生になると帝国でも

教わらないような事を教わったりした。

 特に数学や化学は帝国よりも遥かに進んでいるため新鮮味溢れたり社会での憲法や

法律等はもし戻れた時に色々と使えるようなものがあったりと大変だがここでは誰もが自由に勉学に励み男女問わず自分の道を歩めることが出来、何よりも誰もが上を向いて歩いているという事が貴重な情報だった。

 ・・・だけどたまに思い出す。

 あの革命を・・・

 置いて行ってしまった妹を・・・

 そう思いながら2年がたった時遊馬の友達のデッキを賭けてデュエルするという情報を知って見てみるとあのデッキにはない黄色い戦士族エクシーズモンスターが異様な

オーラを出すドラゴンに勝っておりそれから・・・僕らの運命が変わった。

 「No」と言う100枚のエクシーズカードを集めるという戦いが始まったのだ。

 僕も彼らと一緒に戦う中「No96 ブラック・ミスト」に遊馬が取り込まれた際に闘った後そのカードは僕のカードになってしまったのだ。(因みに取り込まれることはなかったがどうしてかは不明)

 その後「デュエル・カーニバル」という大会で僕は準決勝で遊馬と戦って負けた後

仲間になった「神代 凌牙」と共に「Drフェイカー」の陰謀を止めるために遊馬と彼の息子である「天城 カイト」と共に変則バトルロイヤルに勝利した後カーニバルの

閉会式後カイトと遊馬とのデュエルはカイトが勝利して終わったように見えたがある日の事エクシーズモンスターがランクアップするということが多発したため再び戦いに身を投じる中遊馬の相棒となった謎の存在「アストラル」がいた「アストラル世界」と対となる世界「バリアン世界」の七皇という存在(実際は黒幕により記憶を

改竄されているが)、そして「凌牙」と妹の「璃緒」がそのバリアン世界の

トップランクである事が明らかとなりそしてその2人を葬った存在である「ベクター」と黒幕である「ドン・サウザンド」との戦いに勝利するも全てが終わってないということで「凌牙」とデュエルして勝った後この戦いの根源でもある全ての事象を支配し過去、現在、未来が分かるカード「ヌメロン・コード」を手に入れた遊馬とアストラルだが

アストラルの一言が2人を最後の戦いにへと誘った。

 「私はこの力でバリアン世界を滅ぼす。」




 そしてルクスはアストラルの言葉で新たに己を決めた。


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それぞれの別れ

ここからは遊馬とアストラルとルクス主体です。


 ルクスは遊馬とアストラルとのデュエルを見ているうちにアストラルの目的が

理解したのだ。

 「アストラル。君は遊馬と別れるという事が分かっていたからこのでデュエルを。」

 そしてデュエルも終盤に差し掛かり遊馬は自身が作った世界でただ一つのエクシーズモンスターを素材にした「FNO00 未来皇 ホープ」、そしてアストラルは自身の

記憶の全ての集合体である「No99 希望皇龍 ホープドラグーン」での戦いに入り

アストラルは罠カードで躱すも遊馬は手札にあるカードを見ていた。

 「(おそらくあれは魔法カード『ダブル・アップ・チャンス』。もしあのカードがそれならもう一度攻撃して倒せることが出来るけどそうなったら・・・。)」

 ルクスはアストラルの方を見るとアストラルの顔が笑顔だったのに気付いて

驚いていた。

 「何で笑って!?」

 そしてアストラルはこう言った。

 「君の手にあるそのカードがなんなのかわかっている。

・・・そのカードを使うようにその手で未来を!可能性を突き進むんだ遊馬!!たとえどんなことがあっても諦めずに!!・・・かっとビングするんだ!!!遊馬!!!」

 「アストラル・・・お前まさか俺に別れる勇気を俺にくれるために

こんなことを・・・。」

 遊馬の目には薄っすらと涙が出ていた。

 するとアストラルは遊馬に人差し指を向けてこう言った。

 「さあ来い!!九十九 遊馬!!!この程度で躓いていてはデュエルキングなど百年たっても到達できないぞ!!!」

 その言葉に遊馬は涙をぬぐい、笑顔でそのカードを発動させた。

 嘗て最初にアストラルと出会い勝利を手にしたときに使ったこのカードを・・・

 「俺は速攻魔法『ダブル・アップ・チャンス』を発動!!その効果でモンスターの攻撃が無効になった時その攻撃力を倍にしてもう一度攻撃できる!!」

 すると未来皇ホープが呼びかけに答えホープの剣がホープドラグーンに向かった。

 「(アストラル・・・忘れないぜ・・・一緒に闘って・・・笑って・・・

泣いて・・・喧嘩して・・・仲直りして・・・支え合ったあの日々を!!)かっとビングだ!俺!!未来を切り開けホープ!!」

 その剣の一振りには二人の思いが形作るように切り結んだ。

 「ホープ剣・フューチャー・スラッシュ!!」

 そしてその一斬りはホープドラグーンを斜めに切り捨てた。

 そしてその咆哮と同時に決着がついた。

 「見事だったよ。遊馬。」

 「ああ。」

 二人が短くも確かな言葉を紡ぐと頭上からヌメロンコードの光が解き放たれた。

 「如何やら別れの時のようだ。遊馬。」

 「アストラル・・・。」

 二人の時間が終わろうとしたとき遊馬の幼馴染である小鳥が大声を出した。

 「ルクスさん!!体が!!!」

 そう聞いてルクスの方を見るとルクスの体が青白く輝いていたのだ。

 「ルクス兄!!」

 遊馬がルクスの方に行くとルクスは笑顔でこう言った。

 「遊馬。僕たちはここでお別れの様だね。」

 「な、何で!!如何して!!」

 遊馬は納得できていなかった。

 アストラルだけではなくルクスまでいなくなってしまうことに

納得していなかったからだ。

 「遊馬、僕はねある戦いの中で信じていた人からこう言われたんだ。『お前は世界を何もわかってはいない。理想だけでは何もできない』ってね。」

 ルクスの言葉に遊馬も納得していた。

 ここまでの道程で親友でもあるカイトは月で命を落とし、凌牙とは戦いの中でしか

分かり合えず他にも多くの人間の命を代償に勝利した。

 誰も失いたくないという理想という夢が儚く消えたのだから。

 「確かに有史以来人は何かを為すときには何かを犠牲にして世界を作っていたんだってことも学んだけど遊馬はそれでも諦めずにそれを得ようともがいていたんだ。

どれ程の痛みを伴ってもいつだって『かっとビングだ!!俺!!』って自分の限界を超えていこうとしてたんだよね。だから僕は決めたんだ。それで何かを失って

自分の限界を作るんだったら僕はそれを全力で守って戦うさ。だって僕も・・・

『かっとビング』があるからね。」

 そしてルクスは遊馬の頭を撫でてこう言った。

 「だからお願いだから遊馬。・・・笑って見送ってくれるよね?」

 その言葉に遊馬は涙が出そうになるのを必死にこらえて笑顔でこう言った。

 「ルクス兄!!俺何時になるかわからないけど・・・いつか会いに行くから!!

その時またデュエルしようぜ!!」

 その言葉にルクスは涙を流してこう言った。

 「うん。その時は受けて立つよ。デュエルキングとなった君と真正面から。」

 そしてルクスとアストラルがヌメロンコードの光に向かって昇っていくと遊馬は二人にこう言った。

 「かっとビング!それは勇気を出して一歩踏み出してどんなピンチでも諦めずにチャレンジすること!!俺・・・二人の事忘れねえからな!!!」

 「私も忘れないよ!遊馬!!君と過ごしたあの日々を!!!」

 「僕も忘れないよ!遊馬!!・・・僕を家族にしてくれて・・・ありがとう!!!」

 お互いに最後の別れをした後彼らは帰っていった。

 アストラルはアストラル世界に・・・

 ルクスは自分の国に・・・やり残したことをするために・・・




 次回から機竜編に入ります。


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帰って早々の問題

 僕って疫病神いるのかな?


 アディスマータ新王国

 嘗てはアーカディア帝国と呼ばれていたが3年前の革命により新国家として

生まれ変わり男女平等を掲げている。

 ある日の事空から108の流星が世界中に散らばるという現象が起きた。

 それは新王国だけではなく世界連合加盟国及び非加盟国にも同じ現象が見られた。

 その中の1つの星が城塞都市「クロスフィード」の王城に落ちた途端兵士が皆余りの衝撃に何事かと思い落ちた場所にへと向かった。

 そこにはこの世界にしか存在しない兵器「装甲機龍」が存在していた。

 すると砂ぼこりの中に人影があったので全員が武器を構えた。

 「!!」

 そして砂埃が晴れるとそこにいたのは・・・ハートランドシティから帰ってきた

ルクス・アーカディアであった。

 「痛たたたた・・・ここって・・・どこ?」

 「「「「「は?????」」」」」

 全員がその疑問に疑問で答えた。

 見た目は中性的で人が好さそうな顔をしているが兵士の一人が彼の髪の色を見てこう言った。

 「そ、その灰色のような銀髪は・・・貴様アーカディア皇家だな!!」

 その言葉を聞いて全員が武器を構えなおすのを見てルクスが取った行動は・・・両手を挙げての降伏のポーズだった。

 「こいつを牢屋に連れ出せ。抵抗するなら殴っても構わん。」

 「はっ!!」

 男性2人がルクスの両腕を掴んでそのまま連れ出した。

 

 「何でこうなったんだ?」

 ルクスは今両手を拘束され、持ち物であるデュエルディスクとデッキ、嘗て持っていた剣も没収され簡易的な独房の中にいた。

 「なんでよりにもよってヤバい予感丸だしな所に落ちるんだろうな・・・僕って

疫病神が付いているのかな?」

 はーっと溜息ついている中何やら物音がしてきたのでそれを見るとそこには2人の

女性と少女がいた。

 女性の方は宝石はそれなりの価値があるようだがドレスは普通のタイプであり質素な感じがするがそれすらも感じないほどのカリスマ性を持っていた。

 もう一人はルクスと同じ銀髪の髪を持ち首には黒い首輪が付いていた。

 そして女性の方がルクスに向かってこう言った。

 「・・・久しぶりですね。ルクス・アーカディア。」

 「・・・お久しぶりです。ラフィさん。」

 するとルクスの言葉に傍にいた兵士の一人が大声で言った。

 「無礼者!!貴様このお方をどなたと心得るか!!この新王国女王

「ラフィ・アディスマータ」であられるお方だぞ!!その口斬り捨てて!!」

 「良いのです。どうやら彼は何もわかっていないそうなので私が説明しますので皆は少し離れてください。」

 その言葉に兵士の一人が慌ててこう言った。

 「お待ちくださいアディスマータ女王陛下!!この二人は只の子供では

ありません!!あのアーカディア皇家の子供ですよ!!

陛下を一人になどできません!!」

 その言葉を聞いた後ラフィは素知らぬ顔でこう言った。

 「大丈夫ですよ。私は彼らを信じています。それが理由です。」

 「然し!!・・・わかりました。では剣を置いておきますので何かあったらそれを使ってください。」

 そう言って兵士が部屋から出るとラフィはルクスにこう言った。

 「ごめんなさいね。今の私は女王陛下の身だから好き勝手することが

出来ないのよね。」

 「いいですよ。僕も覚悟の上であの戦いに参戦したんだから。」

 そしてルクスが少女の方を見ると懐かしがるような顔でこう言った。

 「久しぶりだねアイリ。背も伸びたしあのころよりも綺麗になったね。」

 そう言うと少女、アイリはルクスに向かってこう言った。

 「馬鹿・・・馬鹿ですよ兄さんは!!今まで何処で何やっていたんですか?

心配したんですよ!!死んじゃったかもしれないと思って・・・私・・・私。」

 途中から泣き出しているアイリの顔をラフィ女王陛下が涙を拭きとった後ラフィはルクスにこう聞いた。

 「あの革命の後あなたとあなたの機竜を探したけど何処にも存在しないという報告がありましたがこの3年の間の事を話してくれますねルクス。」

 ルクスは少し考えると気まずそうにこう言った。

 「あのー、信じてくれるかどうか分からないけど僕・・・

異世界に行っていたんだよねー。」

 「「・・・ハイ?」」

 二人はルクスの言葉に何それって感じで答えた。

 あの後ルクスは二人に洗いざらい話した。

 あの革命の後ハートランドシティという町で九十九家にお世話になった事。

 デュエル・モンスターズの事。

 あの世界の科学技術や法律についての事。

 そしてNoの事も全部話した。

 最初は信じていなかった二人もルクスが持っていた音楽再生機や何故か一緒にあった鞄の教科書の中身やデッキのカードを見せたりデュエル・ディスクを説明した。

 話が終わるとラフィはルクスにこう言った。

 「正直言えば信じられませんがあれを見ると真実というのは

間違いないようですね。」

 そして一息入れるとラフィはアイリに目線で伝えるとアイリも頷いてこう言った。

 「兄さん。私のこの首輪は新王国の中世の証であり旧帝国の罪人の証なんです。私は今この国の予算の五分の一を返済するために頑張っています。ですが私一人だけでは

出来ることと言えば内職や古代文書の解読程度であり高が知れています。・・・だから兄さんにはこの国の雑用全般を担当してほしいんですがどうします?」

 「良いよ。」

 「ですよねそんなに早く返事がって早!!」

 ルクスのあっさりとした言葉にアイリが驚いた。

 「だってこれもこの国に大切なことだし、それにアイリにはこれまで苦労した分

頑張らなきゃって思うしね。それに僕も諦めずにかっとビングしなきゃ

いけないしね。」

 「かっとビング?」

 ルクスの言葉にアイリが首を傾げるとルクスは笑ってこう言った。

 「どんな時でも諦めない、そしてどんな時でも必ず成し遂げるって言う

魔法の言葉だよ。」

 そしてラフィはルクスの牢の鍵を外すと懐から首輪が出てきた。

 「それではルクス・アーカディア。汝を『雑用王子』としてこの国に奉仕することを命じます。」

 そして首輪が付けられるとルクスはこう言った。

 「はい、ラフィ女王陛下。」

 ここに「雑用王子」ルクスが生まれた。




 さてと・・・始めますっか。


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始まりの一歩手前

 ヤな予感がする。


ルクスが雑用王子になって3年の時が過ぎた。

 国民はルクスのことを知り最初は警戒していたが元来の人の好さと九十九家で

磨かれた主婦力とあっちの世界で得た情報を基に家事手伝いでは楽に洗濯できる手動型洗濯機を開発したり酒場のウエイターでは新しい料理やつまみを提供したり

大工仕事では余った木材や石材を使って子供のおもちゃや簡単な置物を作って

販売したり鍛冶仕事ではアクセサリーを作って女性の顧客を増やすのに貢献したり

畑仕事では雑草取りや販売の際の試食エリアを設けたりすることから「商業の先導者」とまで呼ばれている。(尚開発、販売したのは全て親友の親が運営している財閥に

特許を譲渡しているためそこもウハウハ状態である。)

 さらに政治では憲法や刑罰などを参考に庶民にも裁判が出来る「国民裁判」や

弁護人や陪審員の導入、消防士や警察隊の編成、各地に役所を設けて戸籍の整理や各地にいる貴族から民間に推薦された人間をトップとする市長制、病院の設立等も

帝国時代の政治を反面教師として幾つもこなした。

 更に数か月に一度行われる機竜の大会では何故かあの落ちた場所で発見された剣があったのでそれをラフィ女王陛下の計らいでルクスに譲渡されその戦闘スタイルから「最弱無敗」という二つ名が与えられた。

 そしてその本人はというと・・・「待てええええええ!!」

 魚ではなくポシェットを咥えたトラ猫を何処かの長寿アニメのように

追いかけていた。

 昨晩寝床が無く自身が作ったテントを作ろうとしたときポシェットの持ち主でもある酒屋の娘が快く止めてくれた縁でそれを追いかけていた。

 

 そして一時間後の夕日が地面に完全に埋まるちょい手前。

 「や・・・やっと捕まえたぞ・・・。(*´Д`)」

 肩で息するかのように猫の首筋を掴んでいた。(その際に顔に引っかき傷が

あるのだが)

 「さてとここ何処だろう?軍の施設って・・・中央区だけど別の場所だし。それとも別の場所かな?」

 遠くで鴉の鳴き声がしたのでルクスは腰に着けているデュエル・ディスクの

時間を見るともうすぐ夜になりそうな時間帯であった。

 「げ!やば!!早くこれを返さないと・・・。」

 ルクスは慌てて屋根から降りようとしたとき

 ピシッ!!という嫌な音が聞こえた。

 「え?」

 そしてその音の発生源を恐る恐る見るとルクスが踏んでいる場所から罅が

出来ていた。

 「ちょ、ちょっと待ってって!!・・・ああ!!」

 すると持っていた猫を離した瞬間その猫はその罅を2,3回・・・叩いた。

 そして更に罅が大きくなりそのまま・・・屋根が崩れた。

 「こんのどら猫ga----!!!」

 ルクスが最後に見たのは笑うような顔でこっちを見ているどら猫であった。




 あのどら猫何時か生皮剥いでやる。


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そこは天国か地獄か?

 地獄ですよ!!(いろんな意味で)


屋根から落ちていくルクスは走馬灯のようにこう思っていた。

 「(ごめんねアイリ。僕の代わりに借金返済よろしくね。特許で得たお金で老後は

大丈夫だから。ああ、後デッキはそのまま持ってくれると嬉しいな。・・・

遊馬約束守れなくてごめんね。)」この間0,5秒

 そしてルクスはそのまま・・・着水した。

 バッシャアアアアンンン!!!と

 「ブッハー!!」

 ルクスは死ななかったことにホッとすると上からデュエル・ディスクが落ちてきたのでそれをキャッチするとそれがお湯である事に気が付いた。

 「え、ここって温泉!?・・・それにしては・・・。」

 ルクスは労働者用に銭湯を作ることもしておりそれなのかと思っていたが場所そのものが違うことと周りの雰囲気が違うのだ。

 「(高級感漂う大理石製の柱と壁、ランプも見たところ高そうだから

高級宿かな?)」

 ルクスが現状を把握しようとしたとき天井のまだ落ちていない塊が

湯煙の向こうにいる人影に向かって落ちてきたのを見てルクスは慌ててその人影目掛けて突き飛ばして覆い被ったのだ。

 「危ない!!」

 そしてルクスが助けた人間の場所に天井が落ちたところを見てほっとした後

こう聞いた。

 「大丈夫です・・・か・・・。」

 ルクスが覆い被った人影は・・・少女だった。

 鮮やかな金髪と赤い瞳の少女は引きつった顔でこう聞いた。

 「おい変態・・・。死ぬ前に言い残すことあるか?」

 裸を見られたことに対し怒り心頭であったためルクスは出来るだけ穏便に済まそうと慎重に言葉を選んだ。

 「えっと・・・。まだ幼い雰囲気があるのに胸は結構あってその割に腰回りは

細くて・・・めちゃエロ可愛いです!!・・・あれ?」

 選んだ言葉がそれかよという感じになりルクスは心の中でこう言った。

 「(うわーーー!!!何言ってんだ僕は変態か!!!

ってこれヤバくない!!??)」

 それを聞いた少女は改めてバスタオルを体に纏うと笑顔でこう言った。(蟀谷に

(# ゚Д゚)マーク添えて)

 「その痴れ者をとっ捕まえろ!!!!」

 「すみませんでしたーーー!!!!」

 「「「「「きゃああああああああ!!!!!!」」」」」

 少女とルクスと浴場にいた・・・少女達の悲鳴が同時に鳴り響いた。

 

 ルクスが大浴場から出ると脱衣所にも少女達がおりその中を走り去るとルクスは

持っていたポシェットを見て閃いた。

 「え、えっとですね。ここに来てしまったのはポシェットを咥えた野良猫を

追っていたら屋根が壊れて・・・。」

 するとポシェットの口から一組の・・・女物の下着が出てきたのだ。

 「・・・ふっ。・・・」

 誰かわからないが鼻で笑うと・・・こう言った。

 「下着ドロだ!!誰か衛兵を呼べ!!それと剣と槍も持って来い!!!」

 「なんでさーーー!!!!」

 ルクスはそのまま走り去ると周りにあるものを見ていた。

 廊下に敷かれている高級感のある赤絨毯。

 パーティー会場のように広い食堂や遊戯室、客室。

 所々に置いてある上品な絵画や調度品。

 「この建物・・・なんか変だな。」

 そしてそのままエントランスにまで逃走するとそこにいたのは黒髪短髪の少女と

茶髪のポニーテールの少女、青髪のボーイッシュな少女達が帯剣していた。

 そして青髪の少女が静かな声でこう言った。

 「王立士官学園〈アカデミー〉校則第18条、『学園の内外に問わず上官の許可なしに機攻殻剣(ソード・デバイス)を抜刀すること許さず。だが現行犯の確保又は自身の身の危険の際は抜剣と装甲機竜(ドラグライド)の使用を許す』」

 それを聞いたルクスはここがどこなのかについて顔を真っ青にして思っていた。

 「(アカデミーってことはここって・・・!!!)」

 「やるぞティルファー!!ノクト!!」

 「おっけー!」

 「YES MY ROAD。ですが彼も機竜を持っている可能性が高いので

気を付けてください。」

 「-来たれ、力の象徴たる紋章の翼竜。わが剣に従い飛翔せよ≪ワイバーン≫!」

 「ー来たれ、不死なる象徴の竜。連鎖する大地の牙となれ≪ワイアーム≫!」

 「-来たれ、根源に至る幻想の竜。幾重にも瞬いて姿を為せ≪ドレイク≫!」

 それぞれが機竜を召喚すると青髪の少女が床を蹴って飛翔すると1階のエントランスの端から二階の吹き抜けにいたルクス目掛けていきなり手刀を叩きつけようとした。

 「ヤバい!!」

 すかさずルクスは腰に差していた2本の内奇妙な紋章の入った剣を抜剣すると

こう言った。

 「ー暴け、真実をその眼に映す猛禽よ。その鋭き爪で栄光を掴み取れ≪フォース

・トリニクス≫!」

 すると手刀が落ちた場所から噴煙が立ち込めるとそこにいたのは・・・

 大型の盾を持ち右手に西洋剣を持った青と灰色の機竜がそこにあった。




 決闘機竜「フォース・トリニクス」
 見た目は原作版のルクスが良く使う「ワイバーン」と同じ。
 種類(飛翔機竜)
 この機竜はルクスがこの世界に帰ってきた時に一緒に現れた機体。
 他とは違い探索(レーダー)を持っている希少型でありルクス以外には反応すら
しない機竜である。 
 武装は西洋剣と大型の盾とそれに内蔵されている機竜息銃だけであるが守れば守るほど強くなれるよいうこともあり長期戦に適した機体である。


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三共和音対ルクス

 今回戦闘オンリーです。


青髪の少女はルクスの纏っている機竜を見てこう言った。

 「ほう機竜を持っているのか?然も私と同じ汎用機竜で飛翔型なら・・・断然負けるわけにはいかないな!」

 そして青髪の少女は2人にこう言った。

 「ティルファー!私が陽動するからお前が前に出ろ!!ノクト!お前は迷彩で

隠れながら援護!!3人がかりで落とすぞ!!」

 「りょーかーい。」

 「YES 」

 そしてノクトはドレイク特有の迷彩能力で姿を消すとティルファーはワイアームの

内部にある車輪を使ってルクスに突進しつつ剣を出してルクスが扉に行こうとすると

青髪の少女がそれを妨害してルクスの動きを制限しようとした。

 屋内での戦闘では空を飛ぶ飛翔型は動きが限定されるため陸戦型のワイアームの方が有利に働くのだ。

 更に言えばノクトのドレイクは迷彩で姿を消しているため出た時には攻撃態勢が

整っているというオチが付くのだ。

 3種類の機竜の攻撃を同時に喰らえば何もできずに終わるのが普通だ。

 そう・・・並大抵ならば。

 ルクスは突如何もないほうに目を向けて剣を振るとそこに迷彩で隠れていたノクトが姿を現したのだ。

 「なっ!!」

 そしてそのままルクスはノクトを掴むとティルファー目掛けて投げ飛ばしたのだ。

 「え、ちょ!!」

 ティルファーはノクトを掴み取ると青髪の少女の振りかぶった剣を盾で防ぐと

そのまま流れるように軌跡を変え、さっきと同じ方向に投げ飛ばしたのだ。

 「どわっ!!」 

 ここで種明かしだが何故ルクスがノクトの居場所が分かったのかと言うと

ルクスの左目には嘗ての戦友でもあるカイトと同じようにD・ゲイザー型の紋様が彼にも入っているのだ。(周りの人間にはわからないが)

 それによりこの機体は索敵することが出来るからこそノクトの居場所が

分かったのだ。

 そしてルクスが扉を開けようとすると勝手に扉が開きそこには細身の体と

端正な顔立ち、腰にまで届く水色の髪の少女がそこに立っていた。

 まるで妖精のような出で立ちにルクスは呼吸が一瞬止まると彼女の腰に差している

細剣を見て警戒すると少女はそれを抜いてこう言った。

 「-転生せよ。財貨に囚われし災いの巨竜。偏く欲望の対価となれ、

≪ファフニール≫」

 すると少女の周りに光が走るとそこには水色の機竜がそこにいた。

 「今度は神装機竜!!」

 神装機竜とは汎用とは違い伝説のドラゴンをモチーフにした名前で単一しか

存在しないのだ。

 すると青髪の少女は水色の髪の少女にこう忠告した。

 「クルルシファー気を付けろ!!そいつは『最弱無敗』だ!!」

 「(やっぱり知ってたのねー。)」

 ルクスの戦闘スタイルは自分から攻撃せず専守防衛を主とした戦法の為

その2つ名が付いたのだ。

 すると少女クルルシファーが少し笑顔でこう言った。

 「あらあなたの防御力は王国一と言われてたわね。」

 「いやーそんな王国一って大袈裟ですよ。」

 「ならその防御力・・・試させてもらうわ。」

 すると彼女は持っていた長距離型の機竜息銃を構えた。

 まだまだルクスの戦いは終わらない。




 ルクス「え、まだ続くの?」
 続きます。


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戦いの終わりと自己紹介

 何でこうなるの? 



 彼女が長距離型機竜息銃を撃つとルクスは大型の盾で止めると盾の着弾箇所が大きく凍り付いた。

 「うそ!!」

 ルクスが驚いている中も彼女は寸分違わず同じ個所に集中砲火した。

 ルクスは盾の状況を見ると凍り付き方でこのままどうなるか最悪な方に絞った。

 「(このままじゃ盾の耐久性が落ちて粉々になるのは目に見えている!!

だったら・・・)うおーーーー!!!」

 突如ルクスが盾を障害物にして突進してきたのだ。

 「!・・・へー。」

 クルルシファーは一瞬驚くも冷静に対処した。

 そして盾を何発か当てて砕かれた瞬間・・・ルクスが機竜を解除した。

 「何ですって!!」

 「うおーーーー!!!かっとビングだ!!僕!!」

 そしてルクスは彼女と機竜の僅かな隙間にある扉に向けて飛ぶと流石の

クルルシファーも対応できずそのまま扉から脱出させられたのだ。

 そしてルクスはスピードを殺すため持っていたソード・デバイスで道を刺すと

柄をそのまま手放し、新体操の床のように鮮やかに回転しながら着地した。

 「「「「「おおおおおおおお!!!!!!」」」」」」

 流石に少女達もルクスの大立ち回りに拍手を送った。

 ルクスは恥ずかしながらも丁度校門の手前だったためそのまま立ち去ろうとした瞬間ある少女がいた。

 ルクスがその裸を見てしまった少女が・・・・。

 少女がにこやかに笑うとルクスが笑顔で「ハロー。」と言うと少女は右手をグーに

してこう言った。

 「歯を食いしばれ。」

 「ですよねー。ぷぎゃっ!!!」

 少女の拳がルクスの顎にダイレクトに当たりそのまま吹き飛んだのであった。

 「連れていけ。」

 「了解!!」

 そのままルクスは連れ去られていったとさ。

 

 おわり・・・。

 

 「まだ終わってないでしょ!!」

 又もやルクスは地下室に閉じ込められていた。

 ・・・作者に大して文句を言いながら。

 今回は枷こそはついてはいなかったが腰に差していたソード・デバイスと

デュエル・ディスク、デッキ、使い込んだナイフ、工具一式、ポシェットも

取られていた。

 正確な時間は分からないが天窓から差し込む光から朝食頃だろうと推測していた。

 「参ったなー。今日も仕事の予約があるのに。」

 ルクスは唯一没収されなかった手帳(大抵はデュエル・ディスクに書き込まれているがディスクの太陽電池が切れた時に備えて予備として持っている。)

に書き込まれている膨大な予定表を見てぼやいていた。

 因みに一度約束した仕事をすっぽかすとその分借金が増えるという罰ゲームもあり。

 どうしようかと項垂れている中誰かが入って来たのが聞こえた。

 「お目覚めかな?王子様。」

 「ああ!!」

 ルクスがその少女を見て驚いた。

 何せ金髪の左側を黒いリボンで括っていたがあの時の少女だった。

 「さてとお前には死・ぬ・ほ・ど・!!言いたいことがあるがその前に学園町から話があるから着いて来い。」

 その少女の言葉の後ルクスは少女にこう聞いた。

 「あのー。もしかして学園長って・・・〈レリィ・アイングラム〉じゃないよね?」

 「そうだが何だ?」

 「やっぱりここか。・・・借金云々よりも厄介ごとがあるなー。」

 ルクスはそれを聞いた瞬間確信した。 

 何故機竜を少女達が保有しているのか。

 この学園の調度品が豪勢なのかも合点がいったのだ。

 すると少女ルクスの前でこう言った。

 「そう言えば私の名を言ってなかったな。」

 そして一呼吸置くと目付きを鋭くしてこう言った。

 「新王国第一王女にして朱の戦姫〈リーズシャルテ・アディスマータ〉だ。お前の帝国を滅ぼしたこの国の姫だからよろしく頼むぞ。王子様。」

 「うそ~~~ん。」

 半ば笑ってない顔でその顔で言った少女の目の前でルクスはOrzした。




 世の中諦めが肝心。


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自由か?豚箱か?

 人間ここまで悪いことって重なります?


 「それじゃあ・・・今回の騒動はその猫を追いかけていたことであり

ポシェットはその盗られた女の子の物だったという訳ってことね。

ルクス・アーカディア君?」

 「あ、まあそう言うことですね。」

 現在ルクスは学園長室でこの騒ぎまでの経緯を説明するとともに仕事についての

説明を受けていた。

 アカデミーとは装甲機龍を扱う士官候補生育成所であり

未来の武官、文官を育てる場所である。

 さてさて前にいる女性は年頃は二十代後半ぐらいであり桃色の長髪で

普通の教師と何ら変わらないがこれでも学園長なのだ。

 因みに彼女は国家の中枢と直接関われるほどの販路を持つ財閥の令嬢であり

生粋の箱入りお嬢様の一人でもありルクスがこれまで作った

製品の特許を持っているのだ。

 ここで「装甲機龍」と「機攻殻剣」について説明しよう。

 この2つは一対の兵器である。

 先ず鞘から剣を抜き特定の詠唱を唱えながらグリップにあるボタンを押すことで

各地の「格納庫」と呼ばれる場所から転送されるのだ。

 転送される際には幻玉鉄鋼(ミスリルダイト)で行われ機龍の機動には動力源である幻創機核(フォース・コア)を使用されている。

 何故機竜が動いているのかは不明でありその構造、原理が不明となっているが

途方もない力が秘められており各国では激しい競争が行われている。

 「装甲機龍が発見されて十年余り。女性は帝国による男尊女卑による影響で使用禁止されていたんだけど。・・・続きはリーズシャルテさんどうぞ。」

 レリィは言葉を区切るとリーズシャルテに説明の続きを丸投げした。

 「五年前に起きたクーデターの後操縦に使う運動適性、機体制御等の適性が女性の方が高いという事が分かって新王国は他国に負けない士官を揃えるため

この学園が出来たのだ。」

 「よく出来ました。」

 リーズシャルテの捕捉に満足したのか拍手していた。

 「何で僕が呼ばれたんですかレリィさん。ここは女学校なのに何で男の僕何です?」

 ルクスは困惑した表情で聞くとレリィはにこっと笑いながらこう言った。

 「機竜使いってまだそんなに歴史がないからね。不本意だけど定期的に

男性の整備士や機竜使いを招いているのよ。先のクーデターで旧帝国時代の機竜使いは殆ど死んじゃったし、それに汚れて重労働で怪我の危険性もあるし、

この学校良家のお嬢様ばかりだから下手すると私の首が飛ぶから

そんな仕事できないからお願いね。」

 最後ら辺は自身の都合によるものであった。

 「学園長その話だが私たちはまだその下着ドロの変態犯罪者を

ここで働かせたくないな。先ずは警察に突き出して司法の裁きを牢屋にぶち込ませてからが良い!」

 「ちょ、だから誤解なんだって。」

 「お前は確か猫を追っていたと聞くがその証拠はどこにある?信用に足らない以上

ここで働かすわけにはいかない。」

 リーズシャルテの言葉にルクスは口を噤んだ。

 確かにごもっともだ。

 猫はそこら辺にいるしどれがどれなのか分からないのだ。

 故意かもしれないし誰も見ていなかったので弁護しようがない。

 するとレリィが苦笑しながらこう言った。

 「まあ私は彼とそれなりに付き合いがあるから人となりは良く知っているけど今回の事は偶然なのか若しくは故意なのかも分からないから・・・

今回の被害者でもあり二年の首席でもあるリーズシャルテさんに任せましょ。」

 「ちょっと!!(丸投げしたって言うかフォロー零だよ!!)」

 ルクスは心の中でそう叫んだ。

 するとリーズシャルテは少し考えた後こう言った。

 「よしこうしよう。ここで働く程の気概と実力を見極めたいから装甲機龍を使った模擬戦と洒落込もうではないか?内容は短時間による一騎打ちでどうだ?負ければ牢獄、勝てば自由。受けるか?」

 リーズシャルテの提案を聞いたルクスは少し考えた結果・・・。

 「受けましょう。」

 「よし、それでは決定だな。それじゃあ・・・野次馬共それで良いか?」

 そう言ってリーズシャルテがドアノブを引くと・・・女生徒たちが雪崩のように

出てきたのだ。

 如何やらルクスの処分が気になっていて聞き耳立てていたのだろう。

 「学園の皆に伝えろ。新王国リーズシャルテ・アディスマータと旧帝国王子との決闘と言う見世物が開かれるとな。」

 「「「「「きゃああああああああ!!!!!!」」」」」

 それを聞いた女生徒達は楽しそうな声を上げながら去って行った。

 「大変よ!リーズシャルテ様が旧帝国の王子様と決闘だって!!」

 「誰か『最弱無敗』の事知ってる?」

 「見た目は好みなのに惜しいですわね。」

 「えらいことになったなー。」

 少女達の言葉の中でルクスは溜息が出るように呟いた。

 「一応真面目な学校だけど如何したらこうなるのかしらねー。教育体制見直した方が良いかしら?」

 「(あんたの性格だよ。)」

 レリィの言葉にルクスは心の中でそう突っ込んだ。

 「ああそれとルクス君。近くの応接間でアイリちゃんが待っているわよー。」

 「・・・もういやーーー・・・。」

 ルクスは崩れるように倒れて行った。




 もう許して( ;∀;)


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妹の怒り(# ゚Д゚)

 女性を怒らせてはいけない。


「兄さん?あなたは何がしたいんですか??」ゴゴゴゴゴゴゴ

 「えーと、アイリさんこれはですね・・・深海2000mよりも深い理由が・・・。」

 「ハイ?」黒いオーラがサ○ヤ人3並みになっている。

 「すいませんでした。」

 現在ルクスは高級感漂う部屋で妹アイリのオーラに恐怖の余り石床で

土下座していた。

 「あのアイリ、そろそろ自己紹介の程を」

 後ろにいるのは昨日ルクスが戦った3人少女の一人であった。

 「あれ君って確か昨日の・・・。」

 「YES、一年のノクト・リーフレットと申します。アイリのルームメイトです。」

 「ああこれはどうも妹がお世話掛けてます。」

 「NO。私もアイリに勉強を教わっていますし、昨晩の騒動については

失礼いたしました。あなたは如何やら猫に取られたポシェットを取り返そうとしたことが分かりましたので3人を代表して謝罪したいと思って。」

 「いやいやいやまさかポシェットの中に下着が入っているなんて思ってもいなかったからお互い様ですよ。(こうやって信じてくれる人がいるって嬉しくて

涙が・・・。)」( ;∀;)

 ルクスとノクトがそれぞれ頭を下げながら自己紹介しつつ謝罪の言い合いを

している中アイリがあ止めに入った。

 「あの二人とも・・・頭下げるところじゃないですよ。今兄さんが

どういう立場かわかってますか?」

 「あーーね。」

 ルクスは決闘の事を思い出した。

 「はあ・・・。私が体裁上とは言えかっこいい兄だと周囲に伝えていたのに

女性が嫌うBEST3でもある覗き魔、下着泥、痴漢と言う3拍子が揃ってしまうとは。」

 「YES、顔だけは王子らしいですが頼りげないですし、それに最低ですしね。」

 「ちょっと待って!!だからそれは誤解なんだって!!・・・それに持ち上げたと思ったら落とさないでよね!!ダメージが半端ないから!!」

 ルクスは年下二人に精神的ショックをダイレクトに受けた。

 「本題に入りたいので兄さんも座って下さい。」

 「・・・はい・・・。」

 ルクスは引きずるかのようにソファーに座った。

 するとノクトは用意していたポットからティーカップから紅茶を注いだ。

 「兄さん今回決闘する相手『リーズシャルテ・アディスマータ』は校内戦と言う

学生の機竜使いのトーナメント試合で常勝無敗を誇り神装機竜を持っていて

『朱の戦姫』の異名を持つ相手ですよ。」

 「うわー。それはきついなー。」

 アイリの説明にルクスは頭を掻きながら苦笑いをしていた。

 「まー兄さんは昔から頭よりも体が先に動く人ですから痛い目見たほうが

今後の兄さんに丁度良いですし、それに無敗なら兄さんもそうですしね。」

 アイリはにこやかに笑いながらそう言った。

 その後2、3話した後機竜格納庫を案内された後機体チェックと武装の確認、そしてリーズシャルテの対策について教わった後・・・

 決闘の時刻に差し迫っていた。




 次回はルクス対リーズシャルテ戦のちょい前。


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女の子にそれを言っちゃいけないよ。

 璃緒「女心を身につけないとルクス君・・・凍らすわよ。」
 ルクス「何で!!」


「それでは新王国第一王女『リーズシャルテ・アディスマータ』

対旧帝国第七皇子『ルクス・アーカディア』による機竜対抗戦を執り行う!」

 この学園にはローマのコロッセオのような演習場があり観客席には物が投げ込まれないように格子が張られており機竜使いの生徒が常時障壁を張って守っているため

流れ弾に当たる心配はないのだ。

 さらに言うと・・・

 「いらっしゃい、いらっしゃい。ジュースはいかがですか?

ホットドッグもありますよー。」

 ルクスが嘗て何度か王都で行われている大会の手伝いの際に売り子として

少し冷ましたホットドッグと温めの絞りジュースを観客に提供したことから始まり大会ではこれを購入してから試合を見るというのが最近の住人の流行である。

 如何やらこの学校でも噂を聞いてか真似する人間が結構いるらしい。

 然も周りを見ると女生徒が相当数(殆どかもしれない)おり教官たちもが

見物しに来たのだ。

 「何でこんなにって・・・教官たち仕事ほっぽり出してるのかな~?」

 暇人多くね?と心の中で思っている中目の前にいるリーズシャルテが

不敵に笑いながらこう言った。

 「ルクス・アーカディア。何故私がお前に戦いを挑んだかを?」

 「そりゃあ僕が旧帝国の王子だからでしょ?」

 現在二人は装甲機龍を纏う為の服「装衣」を纏っていた。

 「そんな小さなことで決闘しないさ。もっと重要なことだ。」

 「重要な事って・・・ああ皆よりも背が低いことかな?」

 「・・・はあ・・・。」

 一瞬で気温が二度くらい下がったような感じがした。

 「あれ違うかな?・・・ああそれじゃなくてもしかして太っていたからとかかな?」

 「・・・おい・・・。」

 さらに五度下がったような感じがした。

 「あれあれ違う?ああでも背丈とかって気にしなくていいよ。それと反比例して胸とか結構あったし、お腹周りだってそんな気にするものじゃなかったからね。」

 「・・・ふふふふふ・・・・・。」

 周りが絶対零度になりそうな状態であった。

 そしてリーズシャルテはルクスに向かって頭に血が上り顔を真っ赤にして

憤怒のオーラを醸しながらこう言った。

 「審判今すぐ合図を出せ!!あいつをすぐに殺す!!」

 「両者接続の準備を!!」

 教官はちょっとビビりながらもそう言った。

 そしてお互いソード・デバイスを抜いてこう言った。

 「ー暴け、真実をその眼に映す猛禽よ。その鋭き爪で栄光を掴み取れ≪フォース

・トリニクス≫!」

 「ー目覚めろ、開闢の祖。一個にて軍を為す神々の王竜よ、≪ティアマト≫。」

 お互いの後ろにはある機竜がいた。

 ルクスの後ろには大楯を持った≪フォース・トリニクス≫。

 そしてリーズシャルテの後ろにいるのは彼女の赤い瞳と同じ色の神装機竜であった。

 そしてお互いがその機竜を纏うとリーズシャルテはこう言った。

 「さてとルクス・アーカディア・・・ 命乞いはなしだ。」

 「模擬戦、開始!(バトル・スタート)」

 教官のこの言葉が戦いの始まりだった。




 次回はルクス対リーズシャルテ戦(前回の奴は直しました。ごめんなさい。)


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朱竜対青鳥竜

 ルクス「リーズシャルテ様の≪ティアマト≫ってガン○ム00に出てくる
アル○ーガン○ムみたいですよね。」
 リーズシャルテ「色だけだろ!!チョイサー!!」
 ルクス「ぐふぉっ!!」鳩尾に蹴りを喰らった。


審判の合図と共に二機の装甲機龍が動き出した。

 その中でもリーズシャルテの機体でもある神装機竜≪ティアマト≫は同じ飛翔型であるルクスよりも早く上空に上がると右腕に持っていた機竜息砲(キャノン)を

ルクス目掛けて構えた。

 「キャノン?まさかいきなり撃つのか?それでもエネルギーの充填には

時間がある。」

 ルクスは距離を取って出方をうかがおうとするとリーズシャルテのキャノンの砲口の照準を少しよ子に逸らして・・・発射した。

 威嚇か肩慣らしかルクスはそれがわからなかったため一瞬の間硬直すると≪フォース・トリニクス≫のレーダーから左横に接近する物体ありと報告が出たため

ルクスは意識を戻してその位置にブレードを振ると小さな浮遊突起物が当たりルクスはあれが当たったらと思った時冷や汗をかいた。

 「(危なかった~~。アイリの情報とレーダー感知がなかったら

あれに当たっていたよ。)」

 「なっ!!私の≪空挺要塞(レギオン)≫が初見にもかかわらず弾くとは

どういう反射神経してるんだあいつは!!」

 本来ならば威力のあるキャノンに意識を奪われる隙にあらかじめ射出したレギオンで相手の死角に打ち込んでその前に撃ったキャノンに当たるというのが定石であった。

 ルクスはリーズシャルテの戦略をこう分析した後少し恐怖を感じた。

 「(本来こう言う戦略って不自然な動き方があれば避けることが出来るけど淀みなんて感じられなかったし王都の模擬戦でもここまで悪魔じみた戦術を使う人なんて片手で数えるぐらいなものだし本当に只のお姫様なのか?)」

 するとリーズシャルテはルクスに優しさと敬意を込めてこう言った。

 「旧帝国第七皇子、ルクス・アーカディアよ、正直見くびっていたがお前はなかなかやるな?ちょっと感動したし嬉しいぞ、まさか私がこれを出させることが出来る相手がいたんだからな!!」

 リーズシャルテはそう言うとソード・デバイスを天に掲げてこう言った。

 「≪ティアマト≫よ!本性を現せ!」

 すると≪ティアマト≫の周囲に光が走った瞬間≪ティアマト≫の持っていたキャノンの周りに幾つかのパーツが現われると右の肩から腕にかけてパーツが連結されると背面部からも先程の小型機が更に倍以上に増えてきたのだ。

 光が収まるとキャノンの砲口が七つに増えており小型機も総勢十六機に

増えていたのだ。

 「≪七つの竜頭≫(セブンスヘッド)。この≪ティアマト≫の本来の武器だ。」

 そしてリーズシャルテはルクスに好戦的な笑みをb浮かべるとこう言った。

 「さてと踊りは得意か?ルクス・アーカディアよ、私のダンスは少々荒っぽくてな一、二分しか耐えられない奴が多かったから・・・精々三分耐えて見せろよ・・・旧帝国の王子様!!」

 リーズシャルテがそう叫ぶと周りを浮遊していたレギオン十六機が一斉にルクスにめがけて突進してきた。




 次回は中盤戦。


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朱竜対青鳥竜後編

 前回の続き。


「ルクスさん・・・。」

 リーズシャルテが本気を出したことによりノクトは観客席で心配そうに

見守っていた。

 「ちょ、ちょっとあれはもう無理にもほどがあるよ!私先生に言って

止めさせてくるよ!!でないとあの子殺されちゃうよ!!」

 ティルファーは慌てた様子で席から離れようとした。

 「まさかこんなことになってしまうとはなー・・・ルクス君済まない。」

 青髪の少女シャリスは父親が新王国軍の副指令を務めておる元からある正義感と

父親の影響で上記の二人と一緒に学園の自警係に進んで名乗り上げる程なのだ。

 新王国が設立してまだ五年足らずなので男尊女卑の風習が残っているため

女性の厚遇などに反発して暴動を起こす人間や学園に時々現れる男性の犯罪者から

生徒たちを守っていたのだが今回の騒動で機竜を使ってルクスを捕らえようとしたため事が大きくなり三人が女子寮を破壊した件は始末書と二週間の寮掃除が課せられた。

 シャリスが自己嫌悪に陥っているなかノクトの隣にいるアイリがこう言った。

 「シャリス先輩、今回の騒動は兄さんの半端な正義感が端を発した事ですよ。あの人繊細そうですがお人好しの単純馬鹿な人ですからいい薬ですよ。」

 「いや然し今回は私たちが彼の事情を聴かなかったことが原因でもあるし・・・。」

 シャリスは暗い面持ちでそう言うとアイリはルクスの方を見てこう言った。

 「でもそんな兄さんでも私も認める良いところがあるんですが

何なんだと思います?」

 「それは何だい?」

 アイリの言葉にシャリスは聞き返したところこう返した。

 「一度決めたことは何がなんでもやり遂げる兄さん流に言えば『かっとビング!!』だそうですよ。」

 「かっとビング・・・。」

 

 一方ルクスの方はと言うと計十六機の≪レギオン≫を相手に・・・紙一重で躱して対応していた。

 「これが『最弱無敗』か・・・。」

 リーズシャルテはルクスに対する攻撃に対して焦りが露になってきた。

 ルクスは≪レギオン≫の攻撃をブレードでいなしたり楯で防御し時にはダガーや

ワイヤーテールを使いここぞというときには楯に内蔵されている機竜息銃を使って

応戦したりと倒すイメージが浮かばなくなっていたのだ。

 然も彼女が焦るのにはもう一つの理由があった。

 「もう五分か・・・。」

 リーズシャルテは≪ティアマト≫を全力で使えるのは八分が限界なのである。

 神装機竜は汎用機竜よりも体力を使うため並外れた集中力を欲するのだ。

 「リーズシャルテ様っ!!」

 観客席から声が聞こえたのでルクスの方を見るとルクスがダガーを

投擲した所であった。

 回避が間に合わないと悟ったリーズシャルテはソード・デバイスをダガーに向けて

振るとダガーが軌道を変えて地面にへと落ちたのだ。

 「何で!??」

 ルクスがその現象を不審に思った瞬間リーズシャルテはルクスにこう言った。

 「まさかここまで追い詰めるとはな『最弱無敗』!!こうなったら・・・

奥の手を出そう!!」

 「奥の手!??」

 そしてリーズシャルテは高らかにこう言った。

 「神の名の下にひれ伏せ!≪天声(スプレッシャー)≫!」

 するとさっき迄飛んでいた≪フォース・トリニクス≫が地面に足から落ちると足場ごと沈み始めた。

 「これはー!!??」

 ≪フォース・トリニクス≫からある情報が出た。それは・・・

 〈重力異常有り!!〉というアラートであった。

 「重力異常って≪ティアマト≫の能力は・・・だからダガーが落ちたのか。」

 更にアラートが鳴りそれを見ると〈敵機陣形を作って囲っている模様!!〉と出た。

 ≪レギオン≫がルクスの周りを囲むとリーズシャルテは≪セブンスヘッド≫をルクスに照準を合わせようとしたとき・・・≪ティアマト≫がぐらりと傾くと周りの

≪レギオン≫も震え始めたのだ。

 「くそ!!こんな時に!!」

 如何やらリーズシャルテも予想外の展開のようだがルクスはそれがなんなのか

理解した。

 「(不味い!あれは暴走の前兆!!何か起こる前に決着をつけるしかない!!!)」

 機竜の操作は自分の手足の力加減で動かす肉体操作かソード・デバイスを用いた

精神操作の二種類に分かれておりこれらを使い分けて操作するのだが極度の疲労や心身諸々に負担が大きいと機竜が暴走するケースが多々あるのだ。

 ルクスはいつの間にか重力異常が解かれていたため推進力を最大にして飛翔した。

 「こんなところで・・・。」

 リーズシャルテはソード・デバイスを振ると≪レギオン≫の操作を切って残った全てを≪セブンスヘッド≫に集中させるとリーズシャルテは大声でこう言った。

 「私が負けるか嗚呼ああ!!!」

 ≪ティアマト≫の制御が元に戻るとリーズシャルテは斬りかかる寸前のルクスに狙いを定めると・・・上空でナニカが聞こえた。

 「ギイイイイイイイェエエエエエエアアアアアアアア!!!」

 二人がその方向を見ると黒い物体が見えた。

 それは人ならざるものにして〈ルイン〉が発見された時から出没する

人類の天敵「幻神獣(アビス)」であった。

 




 次回は対アビス。


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アビス戦 前編

 今度はアビスって・・・もういい加減にしてーーー!!!


「きゃああああっつ!!」

 「な、何でこんな所にガーゴイル型が学校に!?警報が鳴っていないのに

なんで!!」

 観客席にいる女生徒達が悲鳴を上げていた。

 未だ士官候補生であるため経験が浅く障壁を張っていた八名の機竜使いも

躊躇していた。

 すると女性教官のライグリィが女生徒達に指示を出した。

 「落ち着け!下級階級(ロウクラス)は避難を優先!!残りの者は

機竜装着せよ!!」

 「アビス」は肉食動物と同じで攻撃したり逃げたりする得物を追う習性を持っており攻撃できない状況であった。

 すると「アビス」が叫び声のような鳴き声を上げた瞬間両翼の一部が羽根型の光弾になって観客席に目掛けて射出した。

 「ッ・・・・!!」

 その場にいた全員が息をのんだ瞬間ルクスが大型の盾を構えて間に入った瞬間

こう叫んだ。

 「防御咆哮(ハウリングガード)!」

 すると盾が高振動を起こすと光弾が当たった瞬間光弾は弾かれてアリーナの地面に

激突した。

 そしてリーズシャルテはその光景を見てこう考えた。

 「アビスの攻撃を弾いた!!あれはまさか〈機竜咆哮(ハウリングロウ)〉を

盾に集中させたというのか!!」

 リーズシャルテの考えは粗方正しかった。

 ルクスの機体の盾は機竜の攻撃防御だけではなく機竜の能力を発動することが

出来るのだ。

 『リーズシャルテ様!!』

 ルクスは竜声という機竜専用の通信システムを使ってリーズシャルテにこう言った。

 『僕の≪フォース・トリニクス≫ではアビスを止められても倒すことが出来ないので地上から攻撃してください。合図は僕が剣を振りかぶった後ですのででは!!』

 「おい待てお前だけでは無理だってええい!!もう切りおったわ!!」

 リーズシャルテは時計を見てこう思った。

 「(全力の攻撃で後一発と言ったところだな。・・・今はお前に賭けるが終わったら決着付けるからな!!)」

 そしてリーズシャルテは地上に降りてその時を待った。

 

 「やれやれ、やはりまだ候補生だからなのかイレギュラーの対応に弱いんですね。」

 アイリは文官のためソード・デバイスを持っていないのでこの三人に守られながら

こう言った。

 その言葉に続くようにノクト、シャリス、ティルファーはこう答えた。

 「YES -ですがアビス一体に対して汎用機竜は上級(ハイ)が三人、

中級(ミドル)が七人、下級(ロウ)が十人以上が必要ですしこう不意を突かれた状況では致し方ありません。」

 「それに父上が前に言っていたよ。一度恐怖に浸食された兵は戦闘することが出来なくなるとね。」

 「それよりリーズシャルテ様とルクス君大丈夫かなあ?」

 するとアイリは空を見上げてこう言った。

 「見る限り敵は一体だけのようですね。・・・兄さんならこれくらいなんちゃらないですよ。」

 その言葉は確かな自信に満ち溢れていた。




 シャリス「それにしてもアイリは兄の事よく見ているね・・・ってまさか兄に対して禁じられた関係を欲しているのかね?」
 アイリ「・・・ぶっ飛ばしますよセンパイ。」良い笑顔で


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対アビス戦 後編

 後編どうぞ。


 ルクスとガーゴイル型のアビスはリングの上空で戦っていた。

 ガーゴイル型の攻撃は一撃が重く当たり所次第では死ぬこともあるほどである。

 ルクスはその攻撃を楯で防ぎながら応戦しているが回避行動が通常よりも

遅くなっているのだ。

 ルクスはガーゴイル型のアビスを下にいる生徒たちに近づかせないように

引きつけさせているため防御すらもままならない状況になっているのだ。

 しかしルクスは王都の機竜使いのトーナメント試合で「最弱無敗」の二つ名が与えられるほどの力を有しておりその実力は時間が経てば経つほど発揮するのだ。

 「(そろそろ頃合いかな?)」

 ルクスはガーゴイル型を倒すための方程式を組み上げ実行に移した。

 ガーゴイル型がその巨大な爪をルクスに突き刺すために突進するとルクスはそれを

紙一重で躱しその瞬間にブレードをアビスの胸に突き刺した。

 ガーゴイル型が激痛に苦しみながらもルクスから離れて警戒した。

 すると竜声で演習場にいたライグリィ教官がこう言った。

 『ルクス・アーカディア!先程増援が来て包囲している!!あと十分耐えてくれ!』

 ルクスは一瞬その通信に耳を傾けるとガーゴイル型がそれを見計らってルクスに飛び掛かって・・・来たように見せかけて実際は真下のリングの観客席にいる人間目掛けて最初に使った光弾を使用しようとした。

 ルクスは推進力を最大にしてアビスを後ろから切り捨てるために上段で振りかぶった瞬間・・・アビスの体が反転してそれを避けたのだ。

 元来ガーゴイル型は知能が高く一度見た技や戦法に対する対策をすることが

出来るため戦闘で最も厄介なタイプなのである。

 そしてルクスの攻撃が外れるとガーゴイル型は下から上へ爪で障壁を貫通してルクスの肩を貫こうとするとルクスはそれを盾で軌道を逸らしたのだが衝撃が強くて

楯が弾かれた瞬間・・・リーズシャルテが微笑みながらこう言った。

 「なるほどな。ガーゴイル型の頭の良さを利用して防御に徹した人間からの

攻撃に命中して動揺を誘い私と言う存在を隠し攻撃の隙を態と作って相手の

全力の一撃を使わせるように誘導した所を叩くか・・・私もお前ならやる戦法だよ。」

 ガーゴイル型がリーズシャルテを見た瞬間≪セブンスヘッド≫の砲撃がガーゴイル型の体を貫通して爆散した。

 「「「「「うおおおおおおおお!!!!!」」」」」

 女性と全員は安堵の歓声を上げる中リーズシャルテはルクスに竜声でこう言った。

 『全くなんて男だお前は。ガーゴイル型を罠にはめるために咄嗟にあんな芝居を考えるとはな。』

 「いやーあの時はリーズシャルテ様のキャノンがなかったら多分もっと苦労していましたよ。」

 『ああそれとだな。整備士についてだがお前の技能をそんなことに費やすのはもったいない。』

 「はい?」

 ルクスは嫌な予感がした。

 『そこでだルクスよ。お前を士官候補生としてここに滞在させてもらう。後でアイングラム学園長と生徒の皆に話しておくから楽しみにな。』

 「え、ちょっと待ってくださいって!!」

 そしてリーズシャルテからの通信が切れるとルクスはリングに降りると天に向かってこう叫んだ。

 どこかの宇宙で自分の本当の父親の正体を知った主人公のように

 「嘘だああああああああああ!!!!!!!」




 九十九家にて・・・
 遊馬「ルクス兄!これ見ようぜ。」
 ルクス「何々・・・ス○ー・ウ○ーズ?」
 そして見た後・・・
 遊馬「いやー面白かった。次回作又見ようぜルクス兄。」
 ルクス「あ、うん(なんか他人事じゃなかったな。)」


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決闘の本当の理由

 ルクス「お腹って言うよりそこって○宮の真上ですよね?」
 リーズシャルテ「何生々しく言ってんだお前は!!チョイサー!!」
 ルクス「ぷぎゃっ!!!」顔に右ストレート喰らった。


 ルクスはあの後体の検査をするようにとライグリィ教官から言われ医務室で

検査したあとリーズシャルテがやってきたのだ。

 「リーズシャルテ姫、何か御用でしょうか?」

 「いや用があるのはルクス・アーカディアだ。暫く二人っきりで話したいのだが

良いか?」

 「・・・いいですけど終わったら声かけてくださいね。」

 そして医務室の医者が部屋から出たのを確認したリーズシャルテがルクスに向かってこう言った。

 「今回の事は礼を言うぞルクス・アーカディア。だがアビスに一人で立ち向かうとは普通出来ないことだぞ。それに私達を救ったのはどういう理由かを説明してくれ。」

 あの時のルクスの状況は四面楚歌と言ってもいい状況だったのだ。

 「旧帝国の王子」

 「男尊女卑の根源の一族の末裔」

 色んなことを言われたり思われたりと正直言えば助けてもメリットがないというのに何故助けたのかを聞いてルクスが放った言葉は・・・・

 「人を助けるのに理由っていりますか?」

 「はっ?」

 当たり前のようにそう言った。

 「僕って考えるよりも体が先に動いてしまうんでいつもアイリってああ妹ですけど

よく怒られるんですよ。でもそれでも誰かの助けになりたいって

気持ちを持っていたいと思うんですよね。」 

 ルクスは困ったようにそれでも誇りを持って答えた。

 そしてリーズシャルテは少し笑みを浮かべてこう言った。

 「ならばこの話はこれで終わらせるが一つだけ言わせてくれ。・・・

我々を助けてくれてありがとう。」

 リーズシャルテは愛らしい笑みでそう言った後さらにこう続けた。

 「さてともう一つは私個人の事だが確認として聞きたいのだ。」

 「何でしょうリーズシャルテ様?」

 リーズシャルテが聞きたいことについて何なのかをルクスは聞いた。

 「決闘の理由だがそれは私にとって重要な事なのだ。」

 するとリーズシャルテはスカートを下ろして制服のブラウスを上まで捲り上げてほんの少しだけ、下着を捲らせたのだ。

 「--これが理由だ。これをお前が見た言うことが問題だったんだって黙ってないで何か言え!!」

 リーズシャルテは顔を真っ赤にしてルクスに問い詰めた。

 「その・・・似合ってますよその白い下着・・・。」

 「そこじゃないだろ!!これだ!!これ!!」

 リーズシャルテが指さした方を見るとルクスはそれを知っていた。

 「何で・・・旧帝国の紋章が・・・?」

 「それは時を見て話す。だが頼みがある。この紋章の事は他言無用で

頼みたいが・・・良いか?」

 リーズシャルテが服を着直しながらそう言うとルクスはある事を考えていた。

 「(何でリーズシャルテ様の体に旧帝国の紋章が?裏切りか血縁の詐称か?でも何か困っているらしいしそれにリーズシャルテ様は何もしていないという事は分かるしこんな事口外すれば折角の革命が水の泡になってしまう。よし!!)」

 そしてルクスはリーズシャルテにこう言った。

 「分かりました。このことは誰にも言いません。このソード・デバイスに誓って

宣言します。」

 ルクスの言葉を聞いてリーズシャルテは安堵の溜息を出してこう言った。

 「よかった~。最初は決闘でボコボコにしてから地下の牢屋に監禁した後

ごうも・・・じゃなくて尋問しようと思っていたんだ。」

 「ちょ、待ってくださいよ!ボコボコにしてからって酷くないですかそれ!!

後拷問って言いかけてませんでした!!??」

 ルクスはリーズシャルテの言葉に驚愕して問い詰めようとするもリーズシャルテは

明後日の方向を向いてこう言った。

 「まあいいじゃないか。過ぎたことは忘れろ。」

 「忘れろって無理でしょ!!」

 「それじゃあアイングラム学園長が入学手続きの書類持ってここに来るからそれまで待ってろ。」

 そして医務室から出ようとするとからリーズシャルテが振り向いてこう言った。

 「ああそれとこれからは級友になるから私の事は『リーシャ』と呼んでくれ。私も『ルクス』と呼ぶから。」

 じゃあなと言った後ルクスはは~と溜息をついたそうだ。




 次回は幼馴染登場ですよ。


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自己紹介と再会。

 恥ずかしいことって何か?
 集団の前で恥をかくことだよ。


次の日の早朝・・・ルクスは来客用の応接室のソファで寝ていた。

 よく見ると嘗てあっちで使っていたカードがあり緊張を解す為

デッキの調整をしていたのだ。

 と言っても相手がいない為仮想敵を思い出してやっていたのだが。

 暫くして目を覚ますとルクスは鬱に陥りそうな顔をしていた。

 今日からこのアディスマータ新王国の機竜使い士官候補生育成女学校

「アカデミー」に学生として過ごす羽目になるのだが上記の通り女学校であるため

幾ら女顔に近いルクスとは言え男なため常識としてどうかと思う。

 「なんか人が気にしてること喋っているように聞こえたけどしかしレリィさんも

困ったものだよ。何せ・・・。」

 『将来共学化したときに備えての試験入学って形だから心配しないでね~。』

 「んて言うもんな。レリィさん前よりも性格の自由度上がってない?・・・まあ雑用の仕事は他の人が代わりにしてくれるって言ってくれるけどなー・・・。」

 ルクスは机の上にあるカードをデッキケースに入れるともう一つの

包み紙の方を見た。

 それはアカデミーの男性用の制服が入っていた。

 ルクスはは~っと溜息をつくと服を着た。

 そして用意された朝食を食べるとルクスは意を決して扉を開けた。

 「いつまでもうじうじするな、ルクス・アーカディア。遊馬だったら何事も

諦めなかったじゃないか。僕だって腹をくくって立ち向かうんだ。

かっとビングだ!!僕!!」

 少しやけっぱちなようだが吹っ切れたようなので扉から出て行った。

 その後ろ姿はまるで・・・解体される前の牛のように見えた。

 「それって食べられるってこと!!」

 地の分読むな。

 

 そして学園の二階校舎の一つでルクスは自己紹介されていた。

 物珍しそうに見られる珍獣のように。

 ルクスの教室の担任はライグリィ・バルハートと言って旧帝国時代女性の身で

ありながら唯一ドラグナイトでありクーデター時は新王国側につきその美貌と凛とした性格で女生徒の中ではファンクラブ(非公認)があるほどだ。

 「--という訳で彼が今日からこの学園に通うことになったルクス・アーカディアあ。慣れないことは多々あるだろうがよろしく頼みたい。」

 「えっとルクス・アーカディアです。よろしくお願いします・・・。

(今すぐ逃げ出したい。)」

 心の中ではこの状況から早く逃げたいという気持ちを抑えながら自己紹介した。

 するとルクスに向かってこう言う少女がいた。

 「・・・あ、ルーちゃんだ。」

 「え?」

 教室の窓際にいたのは桃色の髪をツインテールにして少しぼんやりとした服から見てもわかるくらいの巨乳を持った少女がいた。

 「久しぶりだね。ルーちゃん。」

 その間延びした喋り方と時が遅くなるような空気を出している少女をルクスは

知っていた。

 子供の時によく遊んだ少女。

 「えっと・・・フィルフィだよね?」

 「うんそうだよ。」

 この少女はフィルフィ・アイングラムと言いレリィの妹である。

 最後にあったのは七年前である。

 「よろしくね、ルーちゃん。嬉しいな。」

 ・・・棒読みのように聞こえるが元々この少女は感情表現が乏しく

口数が少ないのだが根が正直である為物事ははっきりと言えるタイプなのだ。

 「何だルクス知り合いなのか?ならばフィルフィの隣に座れ。」

 ライグリィの言葉にルクスは心の中でほっと息をついた。

 「(助かった~~。もし知らない人だったら心が折れてたよマジで!!・・・

でも僕等って七年前とは年齢とか立場とかがあるから気を遣わないといけないよなー。春おばあちゃんが言っていたなー。『親しき中にも礼儀あり』って)」

 ルクスは九十九家でよく話し相手になってくれた春を思い出していた。

 そしてルクスが席に着くとフィルフィにこう聞いた。

 「えっと、フィルフィさんって呼んだほうが良いかな?」

 ルクスがそう言うとフィルフィは真顔のまま顔を背けるとこう言った。

 「フィーちゃん、でしょ。」

 「えっ・・・それ言わなきゃダメ?」

 そういうとフィルフィは頷いた。(顔は背けたまま)

 するとルクスは心の中である事を思い出した。

 「(しまったーー!!フィーちゃんは気に入った人に対して愛称で呼び合う事を求めてしまうんだったーー!!でも年齢的にって言うかここ学校なんだけどーー!!!)」

 ルクスが冷や汗を掻きながら打開策を考えている中ライグリィが大声でこう言った。

 「そろそろ皆授業始めるから教科書出しとけー。」

 ルクスは教科書がないのでフィルフィに見せてもらおうとこう言った。

 「フィルフィさん。教科書一緒に見せてくれない?」

 「・・・。」

 一回目の譲歩失敗。

 「じゃ、じゃあフィルフィ。これで妥協してよ。授業中だからさ。」

 「・・・」

 二回目の譲歩失敗。

 ルクスは心の中で涙目になっており最後の手段としてこう聞いた。

 「フィ、フィーちゃん。・・・きょ、教科書見せてもらっていいかな?」

 「うん、良いよ。」

 三回目の譲歩で成功。(精神的ダメージ有り)

 すると教室中で笑い声が漏れた。

 「カワイー。」

 「フィーちゃんだって。」

 「あの二人ってそう言う仲だったんだ。」

 周りからそう言う声が聞こえるためルクスは心の中でこう絶叫した。

 「(恥ずかしい!!!!恥ずかしくて今すぐ逃げたい!!!何でこうなったの!!!???教えてよ神様ーーー!!!)」

 「く、くくくく。」

 等々ライグリィまでもが笑い声を出しそうになっていた。

 そしてさっき迄眠りそうになったリーズシャルテはと言うと・・・

 「ひー。ひー。」

 机を叩いて笑いを押し殺していた。




 フィルフィ「ルーちゃん。後三回言って。」
 ルクス「三遍回ってワンって言うからもう許して!!」


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少女達との交流

 まさかあんなことになるなんて。


 始まりは昼休み前のある少女の言葉がきっかけであった。

 「ねえねえルクス君。もしかしてルクス君とフィルフィちゃんって

婚約者だったりする?」

 「・・・はい?」

 「いやだからさルクス君とフィルフィちゃんが仲良さげだからひょっとしたらと

思ってさ。」

 「いやいやいや違いますよ!僕とフィーちゃんは幼馴染で昔っから愛称で呼ばないと気が済まないって・・・僕は何でまた愛称で呼んでんの!!」

 少女の言葉にルクスは事情を説明すると他にも色んな少女達が話しかけてきた。

 「じゃあさ、『雑用王子』って普段はどんな仕事してるの?」

 「ええと主に庭の手入れや畑の手伝い、建設、掃除、子供の相手、店の手伝いとか

ですかね。」

 「そう言えば汎用機竜でアビスと戦った事なんだけどどうやればあそこまで

強くなれるの?男の人って女性よりも適性値が低いはずだけど?」

 「ううーんと・・・此ればかりは本人の努力次第かな?後は実戦で各種類のアビスの動きを大体掴まなきゃいけないかもね。ああ後は適性値って言うのはあんまり参考できないかもねあれは特定の人間の何人かのデータから出た数値だから一概にそうとは言い切れないよ。」

 これによりルクスは聞いたことを答えるうちに少女達は警戒心が解けたのか

色々と話してくれるようになった。

 「ねえねえ。そう言えばルクス君の雑用の仕事ってまだやっているの?」

 「えっと。まあ義務だからね。」

 すると質問してきた少女がにゃっと笑ってこう言った。

 「じゃあ私が頼めばルクス君がここで仕事を・・・それじゃあ早速頼みが・・・。」

 「あ、ずるい私も!!」

 「ねえねえルクス君私とお茶でもいかがでしょうか?」

 「いや・・いや・・ええと。」

 ルクスが対応に追われているとある一人の少女が箱を持ってやってきた。

 「ハイハイ皆ー。依頼があるなら私が纏めといてやるから並んで並んでー。」

 「ええと君は確か・・・。」

 ルクスは突如現れてきた少女に見覚えがあったのだ。

 そうあの・・・覗き魔事件の際にワイアームに乗っていたドラグナイトに・・・。

 「あ、初めましてルクっちー!!私ティルファー・リルミット。あの時は早とちりでごめんね。あ、この箱はルクっちの雑用依頼をお願いするときに投函する奴で

この学校の雑用の時の時間チェックするのが私の仕事だよーん。」

 「ルクっちってもうあだ名付けられてるって・・・えええ、これ全部!!??」

 ルクスは箱に入り切れなくなった依頼所の山を見て驚くとティルファーは笑顔でこう言った。

 「大丈夫だって。ここのお嬢様たちはお金持ちが結構いるから借金返すまでの

期間が減らせるよー。・・・ま、頑張ってね。」

 ティルファーがルクスの肩を叩いていうが当の本人はその箱の用紙の山を見てこう思った。

 「(遊馬・・・僕過労死しちゃうかも。)」

 この時すでに口から白いナニカが出ていたのであった。




 ティルファー「ヤッホー初めまして。ルクっちのマネージャーのティルファーだよ。ルクっちに雑用仕事をお願いしたい?だったら電話をかけてねあて先は・・・。」
 ルクス「・・・労災保険入ろうかな?」


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クルルシファーのお願い

 雑用依頼にしてはハードルが高いなー。


「ねえ、ちょっといいかしら?」

 昼休みに入った時ルクスに声を掛けた少女がいた。

 腰までかかった水色の髪、細身の体、凛とした透明感のある

ある意味妖精みたいな容姿の少女がいた。

 ルクスはあの騒ぎの時に出入り口に立ちふさがった少女だと分かった。

 「ええと君は・・・。」

 「ああそう言えば自己紹介してなかったわね。

私はクルルシファー・エインフォルク。ユミル教国からの留学生よ。」

 よろしくねというとルクスはユミル教国について思い出していた。

 そこは北の大国でユミル教と言う宗教で成り立った国家であると言う事を。

 「今時間あるかしら?学園長があなたを案内するようにって頼まれたから。」

 「えっと。まあ・・・良いですよ。」

 ルクスは案内の件は初耳だったが敷地内の情報が知りたいという事で了承すると

クルルシファーはルクスの手をそっと掴んで行った。

 因みにその光景を見たクラスメイト達は・・・

 「クルルシファーさんまさか!?」

 「これは面白い情報だわ。」

 ・・・勝手に盛り上がっていた。

 

 ルクスとクルルシファーは二人そろって屋上に行くとルクスは少し離れて

こう言った。

 「・・・んで何か用があったんじゃないんですか?」

 「あら子供っぽい顔の割には勘が良いのね?」

 「・・・すみませんが冗談言うためだけだったら失礼しますけど?

(誰が童顔じゃごらーー!!)」

 ルクスは内心怒りながら聞いてみた。。

 「・・・へー。この程度の挑発にも乗らないなんて感心だわ。それじゃあ幾つか

聞きたいことがあるの。」

 「・・・僕の身長以外でしたら。」

 少し声を荒くして聞いた。

 「(やっぱ怒ってるのね。)それじゃあ一つ目は昨日の試合とアビスの事だけどあの時あなたは汎用機竜でやり遂げる程の実力があるなら何で最初から

そっちを使わなかったの?」

 クルルシファーはルクスの≪フォース・トリニクス≫じゃない方の

黒いソード・デバイスに目を移した。

 「・・・クルルシファーさん。あなたは僕の評価を過大に評価してますけど

僕はドラグナイトのトーナメント試合で全て引き分けになっているんですよ。」

 「確かにあなたの試合の情報は聞いているわ。・・・でもね全試合引き分けなんて

そんなの狙っていなければ無理があるわ。確率的に見てもおかしいそれにあなたが実力を隠してることなんて実力者ならお見通しよ。」

 「ぐっ。」

 「最弱無敗」こそルクスの二つ名である事。

 だがそれは全てルクスの計算通りになっているのなら彼の本当の実力はどれほどのものなのか予測が付かないのだ。

 「・・・まあ安心して誰にも秘密があるし言いたくなければ無理に言わなくても

良いわ。」

 「(信用できないなー。)」

 ルクスは疑い深そうに思うとクルルシファーは一呼吸してこう続けた。

 「それじゃあもう一つあるけどこれがあなたをここまで連れてきた理由よ。」

 「・・・何ですかそれは?」

 「・・・『黒き英雄』を探してほしいの。それが私があなたにさせたい依頼よ。」

 「・・・!?」

 ルクスは息を吞むと同時に時計台から鐘の音が聞こえた。

 「あらもう午後の授業ね。次はドラグナイトの実技演習だから・・・お昼食べてない君には酷かもね。」

 「あっ!!」

 ルクスは昼ご飯を食べていないことを思い出すときゅるるとお腹が鳴った。

 「じゃ、がんばってね。」

 クルルシファーは微笑みながら立ち去るとルクスは一癖ありそうな人だなと

思いながら教室へと戻った。

 ・・・空腹と戦いながら。




 リーズシャルテ「ルクス、ほれこれやるよ。」蜂蜜で味付けされたパン。
 ルクス「へっ!?」
 リーズシャルテ「どうせ食べてないだろ。」
 ルクス「ありがとうございます!!」口の中に頬張る。
 リーズシャルテ「(・・・リスみたいに食うな。)」
 ルクス「ありがたやありがたや、神様仏様リーズシャルテ様。」
 リーズシャルテ「そこまでか!!」


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ルクスの歓迎会

 九十九家でもそうだったけど迎え入れてくれるって嬉しいな。


「ババ○がバ○バ○バ○~♪ババ○がバ○バ○~♪」

 ルクスはお風呂でおなじみの曲を歌いながらお風呂の掃除をしていた。

 午後の授業を終えるとティルファーが雑用の仕事を大量に持ってきたのだ。

 女学校に男が転入したのが珍しいのか昨日の決闘と事件で注目を浴びたのか

定かではないがその依頼は学園、生徒問わず数十件を超えた事によりティルファーが

ルクスの為にタイムスケジュールを作っているらしい。

 まあそれでもルクスに苦の色は見えなかった。

 何故なら・・・

 「(ここは勉強できるし、依頼をこなして借金が返せるし、

身の安全も保障できるし、それに機竜の管理・整備費が無料だし訓練も出来るなんて

ここは天国のような場所だなあー。・・・でも・・・)僕なんかがこんな良い事して

良いのかな・・・遊馬。」

 ルクスは内心楽しそうだったが同時に今自分がここにいていいのかどうかをふと考えていると・・・軽くノックする音が聞こえ脱衣所の扉が突如開いた。

 「ちょっと待って!!今お風呂掃除をしているからお湯はないし

もう停止時間って・・・アイリ?」

 入ってきたのは服を着たままのアイリとノクトであった。

 「知ってますよ兄さんそのくらいは、まさか私達が裸である事

期待していたんですか?」

 「NO、仕方ないですよアイリ。ルクスさんは年頃の男の子ですしここはお風呂場ですからそう言う風に思うのも仕方ありませんが肉親に対してそのように欲情するのは

人間としてどうかと思いますが。」

 「ちょっと待って二人とも!!何で僕が裸を期待しているって前提で話してるの!!違うって!!!それに僕は妹をそんな風に思った事ないしアイリがそんな風に

考えていること自体がショックなんだけど!!!!」

 ルクスはアイリとノクトに反論しながらもそう証言した。

 暫くして場が落ち着くとルクスはアイリにこう聞いた。

 「それで僕に何か用があってここに来たんでしょ?もしかして

緊急の仕事とかかな?」

 「ええ、ちょっと緊急なので後で女子寮の大広間にこの仕事が終わったら寄り道せずに来てくださいね。」

 「YES 、楽しみにしてくださいね。」

 「え、楽しみって何のこと?」

 「では。」

 アイリとノクトの言葉にルクスがなんなのかと聞くとノクトはアイリと共に

去って行った。

 「・・・何なんだろうな?」

 と思いながらお風呂掃除を再開した。

 

 その後寮母さんに掃除のチェックをしてもらった後ルクスは大急ぎで

大広間へと向かった。

 正直ルクスは寮内を見てこう思った。

 「(やっぱり僕には場違いだなあ。宮廷にいた時もそう思っていたしね。)

さてと大広間はっと・・・ここだ。」

 ルクスは大広間の前に行くとその前にはアイリがそこにいた。

 「あら一応身だしなみはするんですね兄さんも。」

 「そりゃあ誰だってやるよ。ここだよね確か?」

 「はい、みんな待ってますよ。」

 そして大広間を開けるとそこには・・・

 『『『『『ルクス君。編入おめでとう!!!!!』』』』』

 少女達の声が一斉に響いた。

 「え、え、え、?」

 ルクスは困惑しているとシャリスが前に出てこう言った。

 「おい、おいこれは君の歓迎会なんだからそんなに困らなくていいだろ?」

 「そうだよルクっち。主役が前に出なくてどうすんのさ?ささ早く。」

 「YES 、皆さんお待ちかねですよ。」

 それに続くようにティルファーとノクトがルクスにワインの入ったコップを渡した。

 「ルーちゃん。これから、一緒だね。」

 「あなたには色々と期待しているから頑張ってね。」

 そしてフィルフィとクルルシファーがルクスに声をかけると奥のいすに座っていたリーシャがこう言った。

 「ルクス、お前には色々迷惑かけたし昨日のアビスの時に生徒を助けたことに対してお詫びとお礼と歓迎の三つの意味を込めているが不服だったか?」

 リーシャは少し自虐的な笑顔をするとルクスは笑顔でこう言った。

 「ありがとうございます。リーシャ様。嬉しいですよ。」

 「そっか。・・・ならシャリス、乾杯の音頭を!」

 リーシャがシャリスを指名するとシャリスはグラスを掲げてこう言った。

 「それではルクス君の学園入学と今後の皆の健闘を込めて・・・乾杯!」

 『『『『『乾杯~!!!!!』』』』』

 この時ルクスはこの学校に来てよかったと心から思っていた。




 ルクス「所でシャリス先輩。このワインって何処から・・・。」
 シャリス「ああそれは・・・学園長の部屋からこっそりとうば・・・じゃなくって
失敬した奴だ。」
 ルクス「ちょ、それって!!」
 尚部屋に何本かのお気に入りのワインがなくなったことに部屋の隅っこで泣いているレリィがいたそうな。


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兄からの問い

 お前はどう選択する。
 ルクスよ。


今から5年前の4月

 帝都より北東の領主、アディスマータ伯が総勢7万の軍(その内機竜使い270機)を

率いれて帝都に攻め入るという超重要機密をルクスに伝えるためフギルは城下町の

外れにある小さな屋敷に来ていた。

 フギルはフード付きのローブを着ながらこう言った。

 「ルクス、革命の件は計画通り上手くいっているようだ。」

 そしてソファに座って対しているルクスがこう言った。

 「こっちの方も準備は整っているよフギル兄さん。」

 「そうか、お前は俺の予想よりも遥か上にいるようだなルクス。帝国軍の訓練と

模擬戦で史上最年少で機竜使いとなりその実力を示したが・・・そんな前人未到な

功績を帝国は妾腹の第七位皇子で帝国の政治体制を真っ向から否定しているだけで称えないという腐った連中がのさばる国に何の未練があるルクスよ?何もわざわざ

敵を救おうとあんな戦い方しなくてもお前ならもっと安全に相手を倒せるはずだ。確かに犠牲が出るが軍の大半は皇族の傀儡だ。ドラグナイトと言う凶器を振りかざしては

言われるがままに無辜の民を締め付け、虐殺するような連中を殺して

悪習を断ち切るべきだルクスよ。変革の意味を分からせるまで問わせる

愚鈍な連中とそれが分かる賢者、どちらが立派なのかよく考えたほうが良いぞ。」

 ルクスが準備の程を聞いた後フギルは皇族として、一人の人間として

この国をどうしたいのかを聞いた。

 「・・・僕は・・・。」

 ルクスは答えを考えているとフギルは思い出すようにこう言った。

 「ああそれとお前が頼んだ調査だがやはりあったぞ、人体実験についてのな。」

 「やっぱり・・・。」

 ルクスは帝国軍が年端もいかない少女を使って人体実験をしているという情報を

耳にしたのだ。

 表向きは疫病を治すための薬品における人体の影響を調べるという臨床実験と称しているがその実毒薬や兵器の人体実験でありそれにより良くても後遺症が出て

最悪死に至るという言葉も出ないほどである。

 「幼くてある一定の基準をクリアした子供が被験者となりとうとう貴族の子女にまで手を伸ばしたようだ。・・・その中には・・・お前の幼馴染

フィルフィ・アイングラムも含まれているそうだ。」

 「フィーちゃんが!!」

 幼馴染の名前が出た瞬間ルクスが狼狽するとフギルはこう続けた。

 「姉のレリィは泣きながらこう言ったそうだ。」

 『私を使っていいからあの子を見逃してください!!』

 「・・・と言っていたそうだ。」

 「レリィさん。」

 ルクスはレリィの気持ちが痛いほどわかる。

 もし妹のアイルがそうなったら自分もそういうと思っているからだ。

 「・・・ま、にべもなく追い返されたらしいが早くて2週間以内に実験が

始まるそうだ。」

 「そんな・・・。」

 ルクスは力尽きるようにソファに座るとフギルは扉の前まで行きこう言った。

 「3日後又来る。それまでに決めておけ。俺のバハムートと共にお前のワイバーンで

協力するかそれとも・・・」

 雷鳴が鳴り響く中ルクスにある事を聞いた後扉から出て行った。

 そしてその部屋に残っていたのはルクスと調査報告書、そして揺らめく

蝋燭の光だけであった。




 僕はどうすればよかったんだろう。


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目を開けると・・・。

 ここは何処?


「う、ううん。」

 ルクス嘗ては兄と会話した事を夢で見ていたのだがそれが終わり

目を覚ましたいのだがもう少し寝ていたいという自分がいたのだ。

 「(ここの部屋のソファって寝やすいんだよなー。前までは馬小屋で寝てたり手作り寝袋で寝ていたからなあ。)」

 まあようは寝やすいからである。

 しかしそろそろ起きないといけないと思い起きようと思ったら手に何かが当たった。

 「んっ・・・。」

 「ん?(何これ?)」

 ルクスはそれを触ってみた。

 柔らかくて弾力がありむにゅっと沈み込んでは押し返していくそれを触るうちに何かおかしいなと目をつぶりながら考えた。

 「(あれここのシーツってこんなに柔らかかったっけ?)」

 「ん、んう・・・。」

 声がしていると分かるとルクスは冷や汗ダラダラ流してこう思った。

 「(え、ちょっと待って・・・いやまさかそんな訳・・・。)」

 「ふぁっ・・・。」

 「(ちょっと待ってーー!!!これまさかと思うけどまさか!!)」

 意を決して目を開けるとそこにいたのは・・・ほぼ半裸の

フィルフィ・アイングラムであった。

 然も胸を鷲掴みして・・・。

 「な、何じゃこりゃー!!」

 ルクスは驚いてベッドから転げ落ちるとフィルフィがベッドから起き上がってきた。

 「・・・あ、おはよ。ルーちゃん。」

 「あ、おはよフィーちゃん。・・・じゃなくて何処ここっていうか色々

見えているものがあるから隠してって何この状況どうなってるのー!!」

 ルクスは混乱しながらツッコミ入れているとフィルフィが眠気眼で説明した。

 「だってルーちゃん。廊下で寝ているの見つけたから風邪ひくっと思って・・・。」

 「廊下?・・・あっ!!」

 

 前日の夜

 

 「ふぁーいっぱい食べたなー。・・・そう言えば来客用の応接室明日から使えないから何処かの部屋にいれるようにするってレリィさん言っていたけど・・・ま、野宿には慣れているからいいや。」

 どこが良いのか分からないが取り敢えずルクスは溜まった疲労と満腹になった事で眠たくなったので取り敢えず廊下の壁側に寄り掛かったのだ。

 暫くするとトイレに行っていたフィルフィがルクスを見つけた。

 「ルーちゃん。風邪ひくよ。」

 「く~~。」

 フィルフィはルクスに問いかけても爆睡しているためか聞いていなかった。

 そしてフィルフィはトイレに行って戻った後ルクスを引き摺ってそのまま部屋に

連れて行ったのであった。

 

  そして現在・・・

 

 「・・・っていう訳・・・。」

 「・・・。」

 フィルフィの説明を聞いた後ルクスは頭を抱えながらフィルフィにこう聞いた。

 「・・・ここって女の子の相部屋じゃなかったっけ?」

 「この部屋私しかいないから平気だよ?」

 「じゃあよく見るとこのベッド2段あるけどどうして僕と寝てたの?」

「ルーちゃんを上まで持っていくの、眠くてめんどくさかったから。」

 「フィーちゃん、5年の間に随分とストロングなことするね!?じゃあフィーちゃんが上に行けばよかったんじゃない!?」

 ルクスは声を荒らげて聞くとフィルフィはいつもの調子でこう言った。

 「梯子昇るのめんどくさかった。」

 「あのさ僕等ってもうお年頃なんだからもうちょっと危機感とかさ。」

 「私は平気だよ?」

 「・・・さいですか。」

 ルクスはこれ以上は体力の無駄だと悟り討論を終了させるとルクスは頭痛持ちのような格好でこう言った。

 「ああ、もう・・・。色々と変わったところはあるけど根はまだ昔のままだよ。」

 ルクスは呆れ声でそう言うとフィルフィは真顔でこう言った。

 「じゃあルーちゃんは変わったの?」

 「え・・・?」

 フィルフィは僅かに、そして親しい人だけにわかる柔らかな笑みを浮かべて

こう言った。

 「大丈夫。きっと変わってないよ。私達。」

 そう言うとルクスは俯いてこう言った。

 「変わったよ・・・。」

 「え?」

 ルクスの言葉にフィルフィは聞き返した。

 「変わったよ。・・・そして何も変われなかった・・・守れなかった。」

 ルクスの右腕はデッキのある場所をさすりながら思い出していた。

 ハートランドシティとバリアン世界が融合する際に必死で抵抗して

守れなかった仲間達。

 月で散った親友を。

 ・・・そして一度は袂を分かっても心でお互い繋がり合いそしてあの時最後に彼女が言ったあの言葉がルクスの心に棘のように突き刺さっていた。

 『・・・大好きだったわ・・・ルクス。』

 「!!くっ・・・。」

 「ルーちゃん。」

 フィルフィはルクスに近寄ろうとすると扉からノックの音が聞こえた。

 「フィルフィ!もう朝だから遅刻するよ!!もうこれ以上遅刻すると教官が怒るから入るねー。」

 「うん良いよ。」

 「ちょっと待ってってまさか部屋の鍵掛けてないの!?」

 「うん。」

 「不用心だなおい!!」

 ティルファーが部屋に入って来るのに対しフィルフィは部屋に鍵かけないことを聞いたルクスがツッコミ入れると扉が無情にも開いた。

 「--あれ?」

 ティルファーはフィルフィの格好とルクスが部屋にいる状況を見るとティルファーは親指をサムズアップしてこう言った。

 「ごゆっくりー。」

 そして扉を閉めるとティルファーは大声でこう言った。

 「ねえねえ皆聞いて!!ルクっちがねー!!!」*拡散希望

 「ちょっと待ってっていうかその*タグ何の嫌味なのー!!」

 ティルファーとルクスの追いかけっこはその後も続き遅刻の罰としてグラウンド10週(機竜による補正無し)に処された。 

 

 




 今でも思い出す・・・彼女との出会い。
 今でも夢に出る・・・彼女との永遠の別れを


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兄弟ってなんであんなに違うんだろう?

 Ⅴ「私は父の為に勝たなければならないのだ!!」
 Ⅳ「さー!!ショウタイムだ!!」
 Ⅲ「僕は取り戻したいんだ!あの時の優しい父さんを!!」
 ルクス「ねえ一人違うこと言ってない!!」


 ルクスがフィルフィの部屋でのひと騒動の後レリィに相談すると・・・ 

 「妹を宜しくね。未来の義息君(^^♪」といつの間にか外堀埋められていたのでその後の鬼気迫るルクスの表情とあちらの世界の政治に関係する情報の取引に対する譲歩の

巧みな戦略により条件が出た。

 「①ルクス君とフィルフィの相部屋についてはお互いルールを設ける事。」

 「②フィルフィはルクスと同じベッドで寝ないこと。」

 「③部屋が空き次第ルクスに逐一報告する。(保守した際にはレリィの嘗ての

赤っ恥歴を機竜で大暴露。)」

 尚この駆け引きの際レリィは震えてこう言った。

 「・・・ルクス君の後ろに紫色のドラゴンと機竜みたいな隼が見えた。」

 だそうだ。

 

 それから数日後まあ色々あったが(主にフィルフィがルクスの前で着替えようとしたりが付くが・・・。)ルクスはこの学園にて初めての休日がやってきた。

 ルクスは大抵デュエル・ディスクのタイマーをオンにして寝ており一日の朝は

その音で目を覚ます。

 ピピピピピピピピピピピと音がなるとルクスはフィルフィの事を気にして音量を下げて寝ていたがそれでも起きるあたりしっかりとしていた。

 「ふぁあ。」

 ルクスは寝ぼけ眼であったが洗面所で顔を洗い服を着てカーテンを少し開けて太陽を見た。

 因みにフィルフィは今も寝ていた。

 ルクスはフィルフィの寝顔でホンワカとなりながら部屋から出ようとするとノックの音が聞こえた。

 「兄さん、起きてますか?」

 「アイリ。(・∀・)ウン!!今起きたところ。」

 しばらく沈黙が流れているのでルクスはドアを開けるとそこには驚愕の顔をした

アイリがそこにいた。

 「え、あの寝坊助の兄さんが自分で目を!?これはまさか異世界での病気が王都に!!これは最早対応策を練らなければ!!!????」

 「アイリ、君は僕をどう思ってるの!?」

 アイリの言葉にルクスが突っ込むとアイリが深呼吸してこう言った。

 「・・・で用があったんじゃないの?」

 ルクスは少しジト目でこう聞いた。

 「あら兄さんは私が用があるときでしか来ないと思っているんですね。

何て薄情な。」

 アイリが両手を顔に覆わせて泣くとルクスははあと溜息ついてこう言った。

 「・・・アイリ、最近そうやって生徒の印象を良くしていたの・・・

そのウソ泣きで。」

 「あら分かりましたか?」

 「ブランクはあるけど一応兄だしそれに本心を隠して戦う3兄弟を

見ていたからね。」

 「あら会いたいですね。その方々に。」

 「・・・もう会えないしそれに長男と三男は気が良くて優しいけど次男はねー。」

 アイリはルクスとやり取りする中で最終決戦でRUMを使って戦った兄弟を思い出した。

 それぞれ優しくて家族のために闘うという共通点があっても次男はドSな為あったらどんなショータイムされるかわからないので合わしたくないと思っているのだ。

 「それでですねお話があるので食堂に来てくださいね兄さん。」

 そういってアイリは出て言った後フィルフィを見てこう言った。

 「・・・行ってきます、フィーちゃん。




 Ⅴ「分かるぞその気持ち。私もⅣのあの言動を何とかしたいものだ。」
 ルクス「まあ男の子は元気なぐらいがいいって言いますけどねー・・・。」
 Ⅴ「はーーー~~~。」


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食堂でのひと時

 朝だよー!!(現実では夜だけど。)


 女子寮の食堂は基本休日でも解放されておりご飯を食べるだけでなくだべるところとしても使用が許されている。

 そして誰もいない食堂でルクスとアイリは紅茶を嗜んでいた。

 「それで兄さん今日のご予定は何ですか?」

 アイリは知れっと聞くとルクスはこう返した。

 「ああ、ティルファーが昨日伝えてくれてね取り敢えず今日は朝ごはん食べたら学園内の『工房(アトリエ)』に行ったあとはちょこちょことあるってところかな。」

 アトリエとは端的に言うと機竜の整備所である。

 生徒は有事の際そこに集まった後機竜に乗り込んで戦闘に参加するのである。

 アイリは面白くない様子でこう言った。

 「そうですか。そのちょこちょこって言うのはお嬢様方のデートでしょうね。」

 「いやいや待ってよアイリ!デートとかそんなものじゃないよ。只荷物運びしたりお茶会の話し相手だったりそんなものだよー。それにデートなんて僕にはもう・・。」

 「・・・兄さん?」

 ルクスは嘗てハートランドシティである女性に大切な人に送りたいものの

リストアップに同行してほしいと言われて町中を散策した事を思い出した。

 (まあ道中その大切な人にデュエルを挑まれたが・・・。)

 そして別れる際に貰った鳥の装飾を模ったネックレスを貰いこう言われた。

 『ありがとう。・・・ルクス君。』

 少し俯いていたルクスが気にかかりアイリが心配そうに声を掛けた。

 「兄さん。大丈夫ですか?気分が悪かったら仕事を代わりに受けても良いですよ。」

 そして気が付いたルクスは顔を上げてこう言った。

 「大丈夫だよ、アイリ。ちょっと昔を思い出していただけだよ。」

 「そうですか?それならいいんですが然しちょっとほおけてしまいますよね。

この騒ぎは・・・。」

 アイリは呆れて言うとルクスがこのように言った。

 「仕方ないよアイリ。新王国が建国して未だ5年しか経ってないから人々からすれば長い間圧政を指示してきた帝国がいなくなって楽しいお祭りの最中だと

思っているんだよ。」

 ルクスは嘗て滅んだ国がどうなったか?その勉強をあっちでしているためこの後の

祭りの終わった後どうしたらいいのかを女王陛下に進言して

対策を立てているところだ。

 するとアイリが声のトーンを下げてこう言った。

 「そのために必要な事ですが例のあれの出力に関する解析は

もうすぐ終わりますから・・・何があっても・・・あれだけは!!・・・使用しないでくださいね。」

 「・・・うん分かってるよアイリ。あれは本当にこの国がヤバい時しか

使わないから。」

 アイリは最後の一文ら辺で文句を言おうとしたときルクスの顔を見て黙った。

 ・・・覚悟を持った目つきで。

 「・・・はー分かりました。でしたら何とか間に合わせるんでそれまでは

それを使ってくださいね。」

 「わかった。」

 そう言うとアイリは席を立って立ち去ろうとした。

 「あれご飯一緒に食べないのアイリ?」

 「これ以上ここにいると他の人達から嫉妬の対象になりますし、それに・・・。」

 するとアイリは顔をそっぽ向けてこう言った。

 「これ以上一緒にいたらもう少しだけって思っちゃいますから。」←小声

 「え?なんて言ったのアイリ?」

 「・・・もう知りません!!」

 とアイリが怒って立ち去るもなぜ怒るのかが分からなかった。




 もし時が戻せれるならあの時の・・・あの別れの時に行って彼女を救いたい。


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人を見た目で判断するな。

 ティルファー「ルクっちーー。これ作ったからどうぞ。」
 ルクス「何ですかこれ?」
 ティルファー「私が作った依頼手配書だよー。時間とか優先順位も書いてあるから
それ参考にしてね。」
 ルクス「あ、ありがとうございます。(デュエル・ディスクに大抵の事書いてあるなんて言えないなー。)」


ルクスはあの後朝食を食べ終えた後依頼書一覧(ティルファー作)の確認をしていた。

 「えーと、勉強に寮内の掃除の助っ人、買い物の荷物持ち、

お茶会の話し相手・・・ってここ迄はいいとして着換えの手伝いに・・・

マッサージって・・・よしここら辺はアイリに任せよう。」

 何気なく妹に仕事を押し付けるという思考に行き渡った後ルクスは今日の仕事場所を確認した。

 「今日はアトリエにいる機竜研究開発所長から機竜運用のテストを頼まれてるけど

本当だったら僕ここで働いてるんだよなー。」

 何でこうなったんだろうと遠い目をしてそう思っていた。

 そして端から見れば大きめな一戸建ての家みたいな場所につくとルクスはノックしてこう言った。

 「すみません。ルクス・アーカディアですけど以来の件をしに伺いました。」

 「・・・・・。」

 「・・・あれ?ここだよな。」

 ルクスは地図と時間をチェックしてもう一度ノックしても音沙汰なかった。

 そしてルクスはドアノブに手をかけると扉が開いた。

 「不用心だなあ。フィーちゃんもそうだったけどここの人達って警戒心薄くない?」

 ルクスは苦笑いと共に警戒心を持ってほしいという切なる願いを込めてそう言った。 「すみません。誰かって!!??」

 ルクスはあるものを見て驚いていた。

 床一面に散らばっている部品や工具のその奥には・・・≪ワイバーン≫と

≪ワイアーム≫の上半身と下半身が融合したような形状の機竜がそこにいた。

 「何だこれ?新しい機竜かな?僕があっちの世界にいる間に発掘したのかな?」

 ルクスはその機竜を周りから見ていると声が聞こえた。

 「ううーん。誰だ、騒々しいってああルクスかおはよう。」

 近くのソファーから薄い毛布を頭から被っていたリーズシャルテがそこにいた。

 制服の上に白いガウンを羽織っているが服は汚れており寝癖迄ついていた。

 「おはようございますってなんでここにいるんですリーシャ様?

僕はここの所長に用があるんですが?」

 ルクスがリーズシャルテにそう聞くとリーズシャルテはこう答えた。

 「それならいるじゃないか?目の前にいる私だ。」

 「・・・はい?」

 ルクスがリーズシャルテの言葉に疑問するとリーズシャルテはさらにこう言った。

 「いやだからこのアトリエの所長は私なんだ。」

 「・・・えっ?」

 ルクスはリーズシャルテの言葉を再度聞いた後ルクスは心の中でこう思った。

 「(いや確かに仕事用の服着ているのは分かるけど裾とか垂れてるし腕も余ってるしどっちかと言うと・・・子供が遊んでるって印象があるなあ。)」

 するとリーズシャルテはルクスのすぐ近くまで行くとこう言った。

 「誰が・・・。」

 「はい?」

 「誰が・・・。」

 「えっと?何です??」

 するとリーズシャルテは右腕を強く握ってルクスに向けてこう言った。

 「誰がドちびだー!!!」

 「え、そんなこと言ってっテンペストーー!!」

 リーズシャルテはルクスの腹に一発正拳をおみまいするとリーズシャルテは

こう叫んだ。

 「どうせ私は小っちゃいわ!!熟知してるわ!!それでも少しでも背を伸ばそうと色々努力しているんだぞ!!毎日鉄棒にぶら下がったり足に重り着けてやったりしてるんだぞ!!それなのに胸ばかり大きくなって肝心の背が伸びない私の気持ちなんて

わかるかーー!!」

 そう言いながら机に突っ伏している中倒れ込んだルクスはこう言った。

 「・・・ふ・・・不幸だ・・・。」がくっ




 リーズシャルテ「何願いを叶える七つの球を集めれば願いが叶うだと!!
行くぞルクスそれを探すために!!」
 ルクス「どんだけ身長が欲しいんですか!!??」


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世界初の代物

 作者「この度は遅くなって申し訳ありません。何分インフルエンザにかかって
1週間絶対安静喰らってしまったため今日に至ります。これからも温かい声援と感想をよろしくお願いいたします。」


 ぶん殴られて悶絶していたルクスが復活したのはそれから7分後でありその時には

リーズシャルテは罰の悪そうな表情をしていた。

 「すまんルクス。・・・その私って・・・皆よりも小さいからそれがネックでな。」

 「・・・ああ、良いですよリーシャ様。僕もちょっと失礼でしたし。」

 正直ルクスは復活したとはいえ未だダメージが残っているため少し

フラフラであった。

 そしてルクスは気を取り直すとこう聞いた。

 「・・・そう言えば機竜の運用試験とかで聞きたいんですけどさっき見た

あの機竜ってもしかして新しく遺跡で発掘されたタイプなんですか?」

 ルクスがそう聞くとリーズシャルテは得意げに笑ってこう言った。

 「ああ、あれは言うよりも見たほうが良いが・・・腰ぬかすなよルクス!!」

 そう言ってリーズシャルテは腰に差していた二本のソード・デバイスを・・・同時に抜きはらった。

 「-降臨せよ。天地の対なる楔、穿たれし混沌の竜。

≪キメラティック・ワイバーン≫!」

 その瞬間さっき見た機竜が光子となってリーズシャルテの背後に転送された。

 「これって!!」

 ルクスが驚いている中リーズシャルテは得意げな顔でこう言った。

 「どうだ凄いだろ!!これこそ私が開発した世界初のオリジナルドラグライド

≪キメラティック・ワイバーン≫だ!!」

 「オ、オリジナル!!??」

 ルクスは自分の耳を疑った。

 古代兵器でもある機竜が発掘されて十年以上が経った今でもその原理を解明できていない為精々部品の取り換えか交換程度しか出来ていない中全く別の機竜を開発できるという事に驚きこう思った。

 「(機竜を開発するだけでもとんでもない才能なのにソード・デバイスの二刀流や

操作が出来てしかも神装機竜も使えるって・・・だから背が低いのか。神様がこれ以上才能を与えないようにって言う。)」

 後半酷いながらも神は二物を与えずという言葉が正にそれだなと思う次第である。

 「こいつを作る過程で色々分かったんだがミスリルダイトやフォース・コアの

加工次第ではまだまだやれることが多いしこの機竜は性能、出力が従来よりも上で上級者用の汎用機竜と同格なんだが起動するにしてもソード・デバイスを二本同時に

使わなきゃいけないから当面は前線に出せないがな。」

 リーズシャルテが説明した後ルクスにあるソード・デバイスを渡した。

 それは・・・

 「これって僕の≪フォース・トリニクス≫!!」

 ルクスがそう言うとリーズシャルテはこう言った。

 「まあなこいつの改造やお前の機竜の整備で寝不足気味だが学園を救ってくれた恩もあるしお前の機竜の整備中に面白い記録が取れたしな。その情報で

≪キメラティック・ワイバーン≫ の強化が出来るようになりそうだからな。・・・という訳でルクスの仕事はそいつの試運転だ!!」

 さ、早くとリーズシャルテが急かして言うなかルクスはたらりと冷や汗をかきながらこう思った。

 「(・・・何だろう・・・嫌な予感がする!!)」

 ・・・それは直ぐに現実になりそうだとは知る由もない。




 リーズシャルテ「次回は私の開発した機竜がまた出るから楽しみにしてろよ!!」


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改造?・・・いや魔改造だ

 今回は鉄血ネタが出るよ。


「ー暴け、真実をその眼に映す猛禽よ。その鋭き爪で栄光を掴み取れ≪フォース

・トリニクス≫!」

 光子が集まりルクスの側迄転送されるとそこにいたのは・・・青と灰色の自身の

機竜ではなく・・・ピンクと薄紫色がの装甲が新たに追加された・・・見た目が全くと言っていいほど変わってしまった機竜であった。

 「な、・・・な・・・。」

 「ん、どうしたルクス?」

 ルクスが何か言いたそうな顔をしているので聞いてみるとルクスは

一呼吸置いてこう言った。

 「何じゃこりゃーーー!!!」

 一昔前に流行った刑事ドラマの殉職シーンのように叫んだ。

 見た目だが・・・背面部分に2連装のキャノンと腰部分にある大型シールド

(噴射口付き)ブレードは流石に残っていたが盾には機竜息銃のあった場所に・・・

ドリルが付いており然も特徴的だった装甲は半分以上が削ぎ落とされた為

抜身の刃のようになってしまった。

 「・・・・・・・」

 ルクスは茫然する中リーズシャルテはこう言った。

 「ああ、修理するときに色々と試したいことがあったからそれもぶち込んだんだ。」

 「試すって・・・僕実験体って!!何ですかこれ何で砲台ピンクで

楯が紫なんですかって僕の盾の機竜息銃に何でドリルぶち込んでんですか!!??」

 「ああそれは遺跡で見つかったパーツなんだが不人気でな・・・いっそのこと

砲弾にしちゃおうかなあなんて思ったからさ。・・・まあ良いじゃないか。カッコよくなったからさこれで『ギャラクシ○キャ○ン発射ーー!!』とか

『ア○ーーン!!』とか言ってさ良かったじゃないか。」

 リーズシャルテが何やらネタ的なことを言っているがルクスは顎が外れるような顔でこう言った。

 「・・・リーシャ様、僕はいつか部下を持った時に脳みそ迄酷使させようとしてるんですか?終いには『キ○ーーの○―ー』歌わせたいんですか?」

 どこかの世界で何やら遺言めいたことを言っている白に近い銀髪の青年が垣間見えたというのは余談であろう。

 「・・・んじゃドリルは外しておくから後は装甲を軽量でもあるPL-14型に換装するなら直してやるがいいか?」

 「(あ、キャノンは決定事項なのか。)・・・んまあ基にとはいきませんがキャノンのおかげで重量有りますしそれで妥協しましょう。」

 ルクスは心の中でドリルと装甲を天秤に掛けてそれで納得した。

 するとリーズシャルテは装甲を取り付けながらこう聞いた。

 「なあルクスこの機竜可笑しくないか?装甲で耐久力上げながらスピードも上がるなんて変な機体だぞ此れ?汎用と言うよりも私の≪ティアマト≫と同じ神装なんじゃないかと思うんだがなあ。」

 「(ぎくっ!)はははははは何ででしょうね?」

 実際ほぼリーズシャルテの言う通りである。

 ≪フォース・トリニクス≫は汎用と言うよりも神装よりのタイプであるのだが

その能力がルクスにも分からない為汎用と位置付けているにすぎないのだ。

 「ところでだルクス・・・このドリル手に直接つけるのとドリルランスにするのと

どっちが良い?」

 「どっちも遠慮いたします。」

 そこは即答だった。

 




 ヤマギ「シノーーー!!!」
 ガエリオ「マクギリスーーー!!!」
 ルクス「何かこの作品ってBL要素強くね?」


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騎士団

 部活動しようかなー。(ルクスの心の声)


ルクスの機竜が何とか元に?戻り一安心する中リーズシャルテはルクスを演習場に

連れて行った。

 休日中は部活等で一部の学園施設が解放されているためそれによるものだろうと

ルクスはそう思っていた。

 然しリーズシャルテが連れて行った控室には十数名の装衣を身に纏った生徒たちが

そこにいた。

 そこにはクルルシファーや、フィルフィ、シャリス、ティルファー、ノクト等が

そこにいた。

 それ以外は学年やクラスが違うことから初対面の人間がそこにいた。

 するとリーズシャルテに対して長身の女子生徒がルクスを見るなりある事を

聞いてきた。

 「あの、リーシャ様。本当に彼を『騎士団(シヴァレス)』に

入団させるんですか?」

 「シヴァレス?」

 ルクスが何かと疑問を抱いていた。

 するとリーズシャルテはその女子生徒にこう言った。

 「まあな。実力の一端は皆も知っての通りだしな。条件の内2つはクリアしているし

またアビスがここに来た時に備えて即戦力を多く見積もらなければいかないから

丁度いいだろ。」

 そしてルクスはこう聞いた。

 「あのー。シヴァレスって何なんでしょうか?」

 するとシャリスが前に出て答えた。

 「シヴァレスとは騎士団と言う意味でな士官候補生でありながら、実技演習以外でも機竜を扱え、戦闘許可も持てる遊撃部隊なんだ。」

 「へえー。でも何で僕なんです?」

 ルクスの問いに対してシャリスはこう続けた。

 「シヴァレスは軍からの依頼で動き、そして働きに見合った報酬が得られるんだが

入団するためには3つの条件をクリアしなければいけない。」

 ①校内戦で高い総合評価を得ていること。

 ②機竜使いとして中級以上である事。

 ③現シヴァレスのメンバー全員の過半数の賛成。

 「・・・以上が入団に必要な項目だが君は編入して数日しか経っていないから

校内戦の評価が0だが私達3人全員を相手取り、クルルシファーに一矢報いるぐらいの

実力と君の2つ名、そしてこの間のリーシャ様との決闘やアビスの戦闘から総合評価は

決して無視できないだろうし、上層部にある機竜の登録書でも中級クラスの実力が

ある事も確認済み、それにさっき言ったように直に戦った我々も君の入団に関しては

賛成したいところだが・・・。」

 するとシャリスはノクトの方を見るとノクトはこう言った。

 「YES 、3年生の半数が二週間ほど前から王都へ演習に行っているので残り半数の我々が勝手にして良いのか迷うところなのですが。」

 そして隣にいたティルファーが被せるようにこう言った。

 「今団長がいない今だからこそルクっちを入団させたいんだよねー。何せ男嫌いで

有名なセリスティア・ラルグリス先輩がいないからねー。」

 「セリスティアって・・・ラルグリスって言えば4大貴族に連なるじゃない

ですか!!」

 ルクスが驚いている中クルルシファーが説明した。

 「セリスティア・ラルグリス。公爵家の令嬢でもあり学園最強、人望豊富で

大半の生徒が彼女の味方だからもし今もいたらあなた、この学園に

入れなかったわね。」 

 クルルシファーは脅しながらも笑って言うとリーズシャルテはさらにこう言った。

 「つまりだルクス。お前の入団に関してだが最終的にはお前の意思を尊重するが私はこの間の事を鑑みてお前が入ってくれると有難いがどうだ?」

 リーズシャルテはそう聞いた後ルクスは暫く考えた後こう言った。

 「僕は・・・。」




 次回は続く。


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変な依頼。

 依頼って・・・いろいろあるよねえ。


 「兄さんにしては賢明な判断ですね。」

 「まあバレるよりかはマシだし。それに僕自身もそう言う理由で

入りたくないしね。」

 ルクスは入団を拒否した後リーズシャルテはこう言った。

 『まあお前としてはそう思うなら良いがだが未だ調査中だが例のアビスの1件で

戦力増強したいという意味ではお前が必要だったというのを忘れるなよ。』

 あの時のリーズシャルテは少し落ち込んでいたがその後切り替えて今後の対策を

考えることにしたそうだ。

 因みにルクスはアイリと一緒に喋っている中リーズシャルテが何かこちらに気づいて来たのだ。

 又勧誘かとアイリはそう思っていた。

 するとリーズシャルテはルクスにこう頼んだ。

 「おおルクス。すまないが少し付き合え。」

 「・・・は?」

 「ほら早くするぞ!」

 リーズシャルテの言葉にルクスは疑問を抱くとリーズシャルテはルクスの服を掴んでそのまま何処かへと去った。

 「へっ?ちょっと待ってくださいリーシャ様!服が伸びるーー!!」

 その後にルクスの言葉が残るように・・・。

 それをアイリは見届けた後・・・ルクスに頼まれたマッサージを頼んだ

生徒の元にへと向かった。

 

 そしてルクスとリーズシャルテは市街区へと向かった。

 そしてルクスはリーズシャルテにいこう言った。

 「・・・あのー、リーシャ様。これは一体?」

 するとリーズシャルテはルクスにこう言った。

 「ああここ最近機竜の開発とかで缶詰め状態だったから久しぶりに外に散歩しようと思っていたんだ。」

 「は、はー・・・。」

 その理由にルクスは頷くと更にこう続けた。

 「だが私は3か月ぶりだから全然わからんのだ。」

 「・・・3ヶ月って・・・。」

 ルクスはリーズシャルテの呆れた熱意に何も言えなかった。

 「同じ連中だとつまらんが!!お前がいるから何か面白い物でもあると思ってな。

そこでルクス依頼がある。」

 「あ、はい!!」

 ルクスは姿勢を正すとリーズシャルテはこう言った。

 「今夕刻少し前だからその間に何かうまい物教えてくれ!!」

 「・・・え~~~。」

 何とも阿保らしい依頼であった。

 暫く長考するとルクスはある事を思いついた。

 「それじゃあ・・・広場のあそこが良いですね。」

 「ん?」

 

 数分後ルクスは城塞都市の屋台群に入るや否や多くの店長がルクスの

元にやってきた。

 「おおルクスじゃねえか。おまえがいねえから売り上げあんま上がんなくてよ。」

 「いや努力してくださいよ。店長。」

 「ああそうだルクス!新商品の試食を頼みてええんだ。」

 「それだったら・・・彼女にもお願いいたします。」

 ルクスがそう言ったのでその目線を見ると・・・リーズシャルテがいた。

 「「「「「・・・・お、お、王女様ーーーー!!!」」」」」

 全員驚愕だったらしい。

 因みに新商品は無料、人気商品は半額で手に入った。




 リーズシャルテ「ルクスお前どれくらい知り合いがいるんだ?」
 ルクス「ええと・・・ここの屋台全員と都市の職場は中流クラス全部ですかね。」
 リーズシャルテ「・・・お前この王都を裏から支配できるんじゃね?」
 ルクス「そんなことしませんよ!!」


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真実。

 それはパンドラの箱だった。


その後ルクスとリーズシャルテは大量の試食品とアンケート用紙(ルクス作成)を

持って広場の縁石に座って食べていた。

 「いや~~。こんなにうまい物を食べれるなんていい日だなルクス。」

 「そうでしょう。リーシャ様。」

 そう言いながらリーズシャルテは持っていたアンケート用紙に味や感想、

不具合点等を記入して籠に入れた後ルクスの所に行こうとすると躓いて

扱けそうになった。

 「うわっ!」

 「あ、危ない!!」

 むにゅ

 「え?」

 「!!」

 ルクスはリーズシャルテを掴もうとして胸を掴んでしまったのだ。

 「あ、その・・・ごめn」

 「うぎゃああああ!!」

 ルクスが謝ろうとするとリーズシャルテが大声を出してルクスを弾き飛ばした。

 「痛っ!!」

 ルクスが弾き飛ばされて地面にぶつかりリーズシャルテの方を見るとルクスはそれを見て違和感を感じた。

 今までの勝気だが芯の強さを持っていた目は光を失い体を両腕でがっしりと

掴んでいた。

 そして何よりも体が震えあがっていて顔が真っ青になっていた。

 「リ、リーシャ様?」

 「う、うあああ、うああああああ・・・。」

 周りの人たちが何事かと来ている中ルクスは近くの店主が持っている布を

借りますと言った後それをリーズシャルテに被せて何もなかったと伝えた後

ルクスはある場所へと向かった。

 

 ここはルクスが仕事の合間によく来る嘗て旧帝国時代に建てられた鐘がある場所。

 今は使われておらず来るのは偶に来る整備士以外来ない為ルクスはそこを自分の

憩いの場として使っていたのだ。

 そしてルクスがそこの隅にリーズシャルテを座らせた後持っていたジュースを

リーズシャルテのすぐ場所に置いた後少し離れて見守っていた。

 暫くするとリーズシャルテがルクスにこう謝罪した。

 「・・・すまなかった、ルクス・・・。」

 「いえ、こっちの方が悪かったんだし。」

 そう言うとリーズシャルテは布を体に巻き付かせたままこう言った。

 「・・・なあルクス。覚えているか?私の腹に押された旧帝国の刻印が

入っていること。」

 「!!ええ・・・。」

 するとリーズシャルテはルクスにこう話した。

 「私の父アディスマータ伯はクーデターを企てる前から帝国の方針に異を

唱えていたんだ。当時から父はある人とも交流があってその人と国の今後を

考えていてな、それに賛同する人たちが大勢いたんだが帝国側からすれば

父は異端の存在でなそこで彼等はその息女を誘拐したんだ。」

 「・・・まさかそれって・・・。」

 ルクスはある答えにたどり着いた。

 「・・・そうそれが私だ。旧帝国に捕らえられた後クーデターの取引材料にしようと考えていたんだが・・・私は見捨てられたんだ。」

 「!?!?そんな!!」

 ルクスは驚いていた。

 クーデターの裏でそんなことがあったのなら何故極秘にしたのかを。

 「いや、父は英傑だったのだろうな。国と小娘一人を天秤に掛ければ言わずもがな

だが・・・私は・・・助けてほしかった。」

 いつの間にかリーズシャルテの両目から涙が溢れてきた。

 「国よりも私を・・・家族を選んでほしかった。・・・だが用無しと

分かった途端奴等は私にこの焼き印を押したんだ。」

 「・・・。」

 ルクスはハートランドで戦った兄弟たちを思い出した。

 父親が裏切りで変わり果てた姿になり彼らは父親を取り戻すために

復讐に染まった父親の駒になってでも戦い抜いた彼らを・・・。

 「(立場がどうあっても家族を思いたいって言うのは一緒なんだね。)」

 同じように妹の復讐を誓った凌牙。

 弟を助けるために修羅になったカイト。

 皆それぞれ家族を思い、行動していたのだ。

 リーズシャルテも父親に自分を助けてほしかったのだと思った。

 だがリーズシャルテはさらにこう続けた。

 「私はその後城の地下牢に入っていたのはたったの二か月だったそうだが

私にとっては・・・永遠ともいえる程の屈辱と恥辱だったよ。」

 「・・・・何があったんですか?」

 ルクスは興味本位と言うよりも何があったのかを聞く義務があるのだとそう思った。

 あの革命に参加していた人間の一人として・・・

 

 

 

 ・・・だがその答えは・・・

 「私はなルクス。」

 

 

 

 この世の中で・・・

 「その地下牢で。」

 

 

 

 最も残酷な・・・

 「二か月間・・・。」

 

 

 

 答えだった。

 「・・・犯されたんだ。」




 次回も・・・続きます。


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リーズシャルテの過去

 鬱表現ってタグ・・・入れたほうが良いかな?


「犯されたって・・・。」

 ルクスはその言葉を聞いて最早何も言えなかった。

 自身が分かる意味で「犯す」でしかも5年前は未だ少女だった

リーズシャルテにとっては言葉では語られない物であった。

 「ああ文字通りのな。・・・地下牢に入って恐らくそう時間が経っていない

だろうな。一人の男が私の目の前に来ると私の着ていた服を破り捨てるや否や私の体を弄ってきたんだ。」

 「「!!」

 ルクスが嫌悪感を露わにするとリーズシャルテはこう続けた。

 「どれくらいかしてな、私の心は嫌々だったのに体はそれとは反対に感じていたら

そいつは自分も脱ぐとそのまま私は・・・そいつの慰み者になったんだ。」

 「・・・・。」

 ルクスは黙ってしまったのだ。

 もしアーカディア伯が自分達を信用してリーズシャルテを助けてほしいと言えば

すぐに行けたのにと言う後悔がにじみ出てきたのだ。

 「最初は痛くて・・・苦しくて・・・怖かったのに・・・何度も行為を重ねるうちに私の心と体は完全に違う方向になってしまったんだ。」

 「・・・・ぐっ。」

 ルクスは顔を下に向けて後悔の念を抱いていてもリーズシャルテはさらに

こう続けた。

 「奴が満足して去った後も監視していた奴等にも犯されて満足したと思って出ると寝ていた間にもそいつに犯されて正直体は休まらない状態が下手したら丸一日続いていた時もあったほどだ。」

 そしてリーズシャルテはある事を口にした。

 「そして等々私はそいつにこう言ってしまったんだ。」

 「・・・何をです・・・。」 

 ルクスは絞り出すように声を出すとリーズシャルテはこう言った。

 「『・・・もっとシテ。』と言ってしまったんだ。」

 「!!!!」

 その言葉はあまりにもひどい物だった。

 12歳の少女は等々堕ちてしまったんだ。

 ・・・快楽と言う闇に・・・。

 「それからと言う物奴の言う通りにあらゆることをしてしまってな。

そいつらが満足するという意味ではあらゆる事を覚えさせられて体中そいつらので汚されたよ。」

 そしてリーズシャルテはこう続けた。

 「暫くして革命が成功して解放されて知ったんだが父はクーデターの際に敵の攻撃で討ち死になり、母はその前に病死したが妹がいてな・・・私に良く懐いていたんだ。

 クーデターが成功した暁に私ではなくあの子が新王国の王女になるはず

だったんだ。」

 リーズシャルテは被っていた布を顔に覆うようにしてこう言った。

 「でも・・・その妹もクーデターの時に殺されてな。・・・新王国女王になった叔母には子供がいなかったから私を養子に迎えたんだ。亡き父の忘れ形見にしてこの国の象徴としてな。・・・私のこの烙印の事を伏せてな。」

 ルクスは初めてあったことを思い出した。

 あの時他の女生徒達の前でもタオルを巻いて肌を隠していたのはその事実を他ならぬ旧帝国の王子である自分が見てしまったからこそあの決闘にまで発展したという事。

 「だがそれだけではなく・・・私は新王国からも奪われたものがあったんだ。」

 「新王国からモッテ・・・!!」

 ルクスはリーズシャルテの更なる闇がある事に心が締め付けられるように

痛かったのだがリーズシャルテは構わずにこう言った。

 「実はなルクス。・・・私はその時に・・・

 

 

 

 

  ・・・そいつらの子供を孕んでいたんだ。」




 これセーフだよね?
 続きは更に鬱になるかもよ。


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更に暗い真実

 先程の続き。


 「孕んでしまったって事は・・・!!」

 旧帝国の恐らくランクが高い人間の子供がいるという事。

 つまりその子が新王国の王になるという事だ。

 ルクスは冷や汗をかいてこう思った。

 「(もしそれが旧帝国の残党が気づいたら革命は頓挫して最悪前以上に酷い政治が

出来上がってしまう。)」

 ルクスは嘗て革命によって死んだ人間を思い出しながらもそれが無駄だったという

恐怖感があったのだ。

 それでこそ自分のやったことは無駄だったと言う空虚な物になるという事だ。

 するとリーズシャルテはルクスにこう言った。

 「それが分かった時叔母は隠れて生むようにと言われたんだ。そして私にこう

言ったんだ。」

 『どんな事情があったとしてもそれはあなたの分身ですよリーシャ。

生まれてくる命を大事にしてそしてその子をこの新王国を・・・兄が作ったこの国を誇りをもって守れるような人間に育てなさい。』

 「(ラフィ女王陛下、自分の代わりに新王国の未来をリーシャ様に

託そうとしてたんだ。)」

 子供が出来ない自分の代わりに新王国の未来を紡いでほしかったのだと思った。

 するとルクスはあっちの世界で桜ばっちゃんが言っていたことを思い出した。

 「(あんたにどんなことがあったかは分からないけどそれはその人の罪であって

あんたやその子供の罪じゃあないよ。)」

 あの時どれだけ救われたのかわからなかった。

 然しそうなると新王国が奪ったのはその子供じゃあないかと思うが一体どういうことだと思っているとリーズシャルテはこう続けた。

 「どこからか漏れたかわからなかったが私が子供を身ごもっていると聞いた

臣下の誰かが私がいつも飲んでいる飲み物の中に・・・毒が混入していたんだ。」

 「ど、毒!!」

 ルクスは大声でそう言った後すぐさますみませんと謝罪してリーズシャルテの言葉を聞いた。

 「それを飲んだ後お腹がすごく痛みだしてな、直ぐに叔母が手配した・・・私の体の事を知っている主治医が診察すると・・・子供は流産していたことが分かったんだ。」

 「流産・・・!!!」

 12,3歳の少女が受け入れるにはあまりにも過酷で・・・あまりにも残酷な言葉であった。

 「流産したその子を手に乗せて私はこう言ったんだ。・・・『ごめんなさい・・・ごめんなさい』・・・あの時程自分を責めた時はなかったよ。」

 リーズシャルテの言葉は正に地獄と言う言葉そのものだと思った。

 更にリーズシャルテはこう続けた。

 「その毒の影響によるものかわからなかったが・・・どうやら私は叔母と同じで

子供が出来なくなってしまったらしいんだ。」

 「そんな!!」

 旧帝国によって慰み者にされ、子供を作らされ、そして新王国によって子供が

出来なくなってしまったという彼女の中にある現実は最早誰も体験できない物で

あった。

 そしてリーズシャルテはこう言った。

 「なああルクス教えてくれ?・・・私は一体何なんだ?」

 その時僅かに見えたリーズシャルテの顔は悲壮感でいっぱいであった。




 貴方がアナタと言う証拠は何処にあるんですか?


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問い。

 貴方が失ったものは何ですか?


 「ん・・・・ふぁああ。」

 ルクスは女子寮の談話室のソファで寝ていた。

 周りにはカードやルクスがあっちの世界で持っていた教科書や本が散乱していた。

 何故こんな所で寝ていたのかと言うと昨日にへと遡る。

 

 『なああルクス教えてくれ?・・・私は一体何なんだ?』

 『・・・それは・・・。』

 ルクスは言えなかった。

 彼女が抱えている闇は深く、そして心を蝕み続けているのだから。

 『・・・気にしないでくれルクス。今のは忘れてくれ。』

 『ですが!!』

 リーズシャルテの言葉にルクスが異議を述べようとするとリーズシャルテは

こう言った。

 『私は・・・何もない虚像のような存在だ。だから・・・成り切るのは得意だから大丈夫なんだ。』

 そしてリーズシャルテはこうルクスに言った。

 『今日はありがとうなルクス。楽しかったぞ。』

 『・・・リーシャ様。』

 その後ルクスはリーズシャルテとアカデミーに戻って布団に入っても

眠れなかったためデッキの調整やそれを使った仮想デュエル、持っていた本や

アカデミーの教科書を比較して書いている中で眠りについていたのだ。

 

 そして明け方ルクスは制服を取りに行くためにソファから起きようとした時・・・

相対するようにクルルシファーが本を読んでいた。

 「・・・あらおはようルクス君。」

 そう言うとルクスはなんでいるのかと思いながらこう言った。

 「ああ・・・おはようございますクルルシファーさんって・・・

何読んでんですか?」

 そう聞くとクルルシファーはその本を見せてこう言った。

 「ここにあった本、あなたのでしょう?少し読んでみたけど面白かったから

読んでいたの。」

 因みに読んでいたのは天体と星座の見方をルクスなりにこの世界で見ながら

書いたやつである。

 「・・・あの・・・クルルシファーさんに聞きたいことがあるけど良いですか?」

 「内容によるわね。」

 ルクスはクルルシファーにリーズシャルテの事を伏せつつあることを聞いた。

 「もし自分が大切にしていたものが奪われた場合どうします?」

 「!!!。」

 クルルシファーの目がかっと開いた後少しずつ普通の状態に戻ってこう返した。

 「・・・そうね・・・それが何なのかによるけど私には答えられないわ。」

 「何でです?」

 ルクスがそう聞くとクルルシファーはこう返した。

 「・・・だって私は自分でそれを失ったからよ。」

 「・・・え・・・。」

 クルルシファーの答えにルクスは気まずそうになるとクルルシファーはこう続けた。

 「でも私の中に残っている真実を知るためにここに来たわ。『黒き英雄』を見つけるためにね。」

 するとクルルシファーはルクスに聞いた。

 「ねえ。あなたは何を失ったの?」

 「・・・僕が失ったのは・・・。」

 すると脳裏に現れたのは一人の少女。

 目の前にいながら守れず、デュエルでしか分かり合えなかった・・・大切な人を。

 すると一番街区の時計台からゴオオオオオンと言う鐘の音が聞こえた。

 この音を聞いてルクスとクルルシファーは険しい顔でこう言った。

 「この音はまさか。」

 「敵襲ね。しかもこの鳴り方は・・・。」

 「「アビス!!」」

 そしてそれぞれ顔を合わせると装衣を取りに向かった。




 次回は戦いに備えて。


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嫌な予感。

 何が起きてるんだ?


学園の敷地内にある機竜格納庫は機竜を待機させるだけではなく生徒の避難所としても使われている。

 士官候補生の内「シヴァレス」は軍と共に前線へ、残りは万が一の為ここに残ることになっているが決まりとして全員創衣を身に着けている。

 「全員傾注!!」

 ライグリィ教官が全員に説明をした。

 「今回の警鐘はアビスの出現に伴うものである!!種類は大型が一体だけだが既に

第一砦は突破されているため我々も迎撃部隊を編成し第二砦にいる警備部隊と共に

戦闘を行う!!」

 「シヴァレス」に入団していない生徒がそれぞれ不安を口にする中ライグリィ教官はこう続けた。

 「尚、既に王都にも救援要請を出しているため三年も来るようになっている!!」

 その言葉を聞いて安堵する中少し離れた場所でルクスとクルルシファーは冷ややかな表情だった。

 「随分と平和ボケしてるのね。この学園のお嬢様達は。」

 「まあここにいる人たちの大半は戦闘経験皆無だし王都からの救援なんて来たとしてももう終わっている頃か・・・若しくは全滅してるかもですしね。」

 ルクスは最悪の可能性を口にしてクルルシファーは納得すると後ろから

リーズシャルテがやってきた。

 「ま、三年が来る前に我々で決着をつけるがな。・・・だがルクスが

入団してくれたらもっと早く終わっているかもがな。」

 ルクスはリーズシャルテの顔色を見ると昨日とは打って変わってこれまでのような調子だったのに安堵の息を漏らすとルクスは扉の前にいるフィルフィがいるのに

気付いた。 

 腰には汎用ではない紫色の鞘とナイフ形のソード・デバイスが見えた。

 ルクスはクルルシファーの方を見てこう聞いた。

 「あのお・・・フィルフィって・・・神装機竜を持ってるんですか?」

 するとクルルシファーはこう返した。

 「ええ、確か『テュポーン』の使い手で格闘戦が強いって聞くけど私は見たことないからわからないわ。」

 そしてルクスはちょっと疑問に思ったことを聞いた。

 「あれ?クルルシファーさんも入団していますよね?」

 するとクルルシファーはこう返した。

 「ああ私のような外国の留学生はアカデミーの校則第十七条『留学生は独自の戦闘基準でのみ行動すること』って決められているから大体は命の危険がない情報伝達や

物資補給などと言った支援程度になっていてね勝手にやったら他国から

文句言われるのよ。」

 まあ要約すれば他国の人間の力使って事態打開してんじゃねえと言われるのが嫌なのだと思われる。

 するとルクスは何か考え事をしていた。

 「どうしたのルクス君?」

 クルルシファーがそう聞くとルクスはこう言った。

 「・・・何か引っかかりませんか?今回の騒動。」

 「・・・確かに妙ね。この前のアビスの侵入、そして今回。時間差があったとしてもタイミングが良すぎるわね。」

 「只でさえアビスが出没するのは一か月に一度ぐらいなのに二、三週間の間に2匹出るって・・・何かが起きてるのか?」

 ルクスが考え事する中アイリがこう言った。

 「兄さん、≪フォース・トリニクス≫は防衛を主目的にした機竜ですから

攻撃できませんしもう一方のは未だ解析が終わっていませんので

ここにいてください。」

 アイリの忠告に苦笑いで分かったというとルクスはクルルシファーに

こうお願いした。

 「クルルシファーさん。少し離れた場所でいいので様子見に行ってくれませんか?」

 「元からそのつもりだから行ってくるわ。」

 そう言ってクルルシファーは≪ファブニール≫を展開して飛翔するとアイリに

こう頼んだ。

 「アイリ、悪いけどライグリィ教官に頼んで当日と今日の当直と非番の人間のリスト見せてくれるようにお願いできるかな?」

 「・・・それくらいならできますけど何でです。」

 アイリの疑問に対してルクスはこう答えた。

 「・・・何か嫌な予感がするからね。」

 万が一と言った後アイリはリストを取りに行くとルクスは腰に差しているデッキから何枚かのカードを出して考え事をしていた。

 ・・・この疑念の答えを探すために。




 次回は真実。


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接敵

 ルクス「あれって・・・ドラ○エのスラ○ムですよね?」
 リーズシャルテ「あれよりもそっちの方が可愛げがあるわ。」


 城塞都市から3Kl(推定30㎞)離れた広い荒野。

 嘗ては幾つもの村や集落が存在し緑あふれる場所であったがルインが現われたと同時にアビスが出没するようになってからは周囲の住民は王都の近くでスラムを作って

避難したため残っているのは廃墟だけであった。

 するとドレイクに搭乗している「シヴァレス」の団員の一人がある報告をした。

 「リーズシャルテ小隊長!先程第2砦から応答がなくなったという連絡があり残存兵は部隊の再編に時間がかかる模様です。」

 「分かった!!総員傾注!!これより我が隊は大型アビスと接敵する。各員の奮起に期待する!!」

 『『『『『了解!!』』』』』

 リーズシャルテの呼び声にメンバーが答えると別のドレイクに搭乗している

団員がこう言った。

 「リーズシャルテ小隊長。間もなく接敵、距離200Ml(2㎞)。」

 リーズシャルテはその報告を聞いて全員に武器を構えるように言うとそれが見えた。

 それはまるで・・・某有名な勇者のゲームに出てくる種類豊富な

マスコットキャラクター(一つ目だが)みたいな容姿をしていた。

 然しその大きさは城とほぼ同じぐらいの大きさを誇っていた。

 そしてその半透明の体の奥には赤黒い球体ーーアビスの心臓部とも呼ばれる核が

存在した。

 然しその巨体に似合わず以外に速い(子供位の速さだが)ためどうやってあの巨体にある核迄到達出来ようかと考える中リーズシャルテはこう提案した。

 「全員取り敢えず砲撃用意!!合図と同時に撃て!!」

 この時リーズシャルテが纏っていたのは≪ティアマト≫ではなくまだ実験中の試作機

≪キメラティック・ワイバーン≫であった。

 そして全員途惑いながらも砲撃準備した。

 「撃て!!」

 全員が砲撃するとそのアビスの体表が波打ち粘液が飛び散った。

 「散開!!」

 リーズシャルテが指示を出して全員が移動するとあおのアビスの粘液が当たった

場所が溶解したのだ。

 リーズシャルテはそれを見た後こう指示を出した。

 「総員武装は遠距離兵装で統一!!自信がない物は周りを警戒せよ!!

まだアビスがいるかもしれん!!」

 そう言うとティルファーがスライムの方に向けてこう言った。

 「ちょっとあいつさっきよりも早くなってない!??」

 リーズシャルテが差していた方角を見るとさっきよりもスピードが

速くなっていたのだ。

 「くそっ!! さっき排出した粘液分軽くなったのか!」

 そしてリーズシャルテはある事を全員に指示した。

 「もう一度一斉発射!!今度は出力を上げて全員200Ml(2㎞)まで距離を離して砲撃する!!合図は私が出す!!」

 それぞれ所定の位置に着くと全員が砲撃準備をした。

 「秒読みを始めるぞ!!5、4,3,2,1、・・・0、発射ー!!」

 --イイイイイイイイ!

 何処からか笛のような音がすると突如アビスが膨れ上がった。

 「!!総員障壁を最大限で展開!!ハウリングロウも使って防御しろ!!」

 するとアビスが弾け飛ぶと同時に赤いナニカが見えた。

 そして巨大な衝撃波が彼女らを襲った。




 リーズシャルテ「衝撃に巻き込まれた我々の運命は・・・どうなるんだーー!!」
 ルクス「(今回主役級に台詞があったからハイテンションだなあ。)」


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真相

 ここからはほぼルクスです。


 ルクスは何枚かのカードを置いていた。

 「(まずは・・・ここに来たアビス。)」モンスターカード

 「(次に・・・ならなかった警鐘)」トラップカード

 「(そして・・・今回のアビス)」モンスターカード

 「(これら全部を誰かが仕組んだ・・・いやアビスが人のいう事なんて前例がないしそもそも扱うにしてもどうやって・・・?)」マジックカード

 すると外にいたフィルフィがこう言った。

 「・・・笛の音。」

 「えっ?」

 フィルフィの言葉にルクスが音なんてしたのかなと思うとフィルフィが指をさして

こう言った

 「・・・あっちから。」

 その方角はリーズシャルテ達がアビス討伐に行った方向と同じだった。

 そしてルクスは置いたカードを並べて見た時ある事を思い出した。

 嘗て革命の際にフギルが言ったあの言葉を・・・

 

 

 5年前

 ルクスは外にいたドラグナイトを倒した後あるものを見た。

 それは妹であるアイリが囚われていたからだ。

 皇帝はルクスに降伏を迫った途端フギルが機竜に乗ってアイリを周りの衛兵から離してルクスに遠ざけるように言った後彼らを殺し椅子に座っていた皇帝を

刺し殺したところを見たのだ。

 ルクスがフギルに問い詰めた。

 「何故・・・何故あなたが殺したんです!?」

 フギルはこう言った。

 「ルクス、俺はもしお前が革命に参加していなかったらどうやっていたか

知っているか?」

 「!!??何を言ってるんですか!?」

 ルクスの問いにフギルはあるものを出してこう言った。

 「----がこの角笛を使ってアビスを誘い出す予定だったそうだ。」

 

 

 

 「角笛・・・。」

 もしあの時の話が真実ならばアビスはそれで操れるんじゃないかという事であった。

 ならば一体誰だと思った瞬間アイリが決闘当日と昨日の深夜までの当直表をライグリィ教官と一緒に持ってくるとルクスは決闘当日のページを見た後砦の当直表を

見比べた瞬間ある法則性に気づいた。

 そしてそこには同じ名前の人間がいた。

 ルクスはその人間の名前を見た瞬間ルクスは嘗て帝国の軍上層部にいた人間を

思い出した。

 「ああくそ!!」

 「ちょ、ちょっと兄さん!!」

 ルクスがソード・デバイスを持ってパスコードを唱えた。

 「ー暴け、真実をその眼に映す猛禽よ。その鋭き爪で栄光を掴み取れ

≪フォース・トリニクス≫!」

 そしてアイリが止める間もなくルクスはアビスのいる方角へと飛翔した。

 

 

 爆発した直後爆煙から見えたのは酸で機竜の装甲や武装が溶けて半壊状態になった

部隊であった。

 「くそっ!!武器が使えないものは下がれ!!一度体勢を立て直し交戦可能な者は

援護に・・・。」

 『ほう、嘗てとは違って王女ヅラが板についたじゃないか、リーズシャルテよ。』

 「!!誰だ!?」

 竜声越しからしわがれた男性の声が聞こえた。

 『ここだ』

 上空を見るといたのは王都が使う灰色ではなく嘗て帝国時代に使われていた

赤色の≪ワイバーン≫に搭乗した人間だった。

 「誰だお前は・・・。」

 リーズシャルがそう言うと男はこう言った。

 「私は王国軍の警備隊長と言う仮面をかぶった・・・帝国軍近衛騎士団長。」

 そして男が笑うと同時にルクスは本に書かれた人間の前をこう言った。

 「「ベルベット・バルト」」




 リーズシャルテ「・・・私の台詞があんまりないだとーーー!!!」
 ルクス「(・・・これが現実か。)」


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第二戦の開幕を告げる笛の音

 戦いの法螺笛は第二幕を告げた。


「帝都から・・・だと!?」

 リーズシャルテだけではない。

 そこにいた「シヴァレス」の全員が驚いていた。

 帝国軍に入っていた生き残りのドラグナイトの中には戦犯として牢には入れられた後新王国への忠誠を誓うとともに身の潔白を証明された人間は士官として

新王国軍に加わった。

 これらは新王国側に加わったドラグナイトが少なく、国内の戦力低下による

他国からの侵略を食い止めるためであったのだ。

 然しベルベット・バルトが言った言葉でリーズシャルテはある真実にたどり着いた。

 それは・・・

 「目的は帝国の復権・・・だがどうやってアビスを従えているんだ?」

 リーズシャルテが聞いた言葉はルクスが悩んでいたところと同じだった。

 然しベルベット・バルトは角笛を出してこう言った。

 「さあ、孵れ。卵よ。」

 そしてにっこりと笑った後角笛を口に当てた。

 その音は本来なら不快極まれない音だがその音が鳴りやんだ途端スライム型のアビスの体の一部が膨らみ始めると中で小さな泡が高速で大きさを増してはじけ飛ぶと

ナニカが出てきた。

 「あれはーー!?」

 「シヴァレス」のメンバー全員が驚愕した。

 ガーゴイル型のアビスがそこから出てきたのだ。

 すると他の所でも同じ現象が起きた。

 「ちょ、ちょっと待ってよ・・・」

 「私達・・・二体以上のアビスと戦った事なんてないのに・・・」

 「こんなの・・・ウソだよ・・・」

 「然も軍の警備隊まで敵だなんて・・・」

 「シヴァレス」の団員たちの恐怖の声があちこちで聞こえる中ガーゴイル型のアビスが次々と産まれて行った。

 その数は三十体であり機竜に換算すると一人前のドラグナイト百二十機分に相当する戦力であった。

 リーズシャルテは半壊状態であった≪キメラティック・ワイバーン≫を解除して自身の機竜を召喚した。

 「ー目覚めろ、開闢の祖。一個にて軍を為す神々の王竜よ、≪ティアマト≫。」

 リーズシャルテがティアマトを纏って攻撃しようとした瞬間「シヴァレス」の団員の一人がリーズシャルテを止めた。

 『リーシャ様!撤退してください!!この戦力差で交戦は自殺行為です!!!』

 するとリーズシャルテはこう返した。

 「駄目だ!!ガーゴイル型は全て翼を持っている。城塞都市の中だろうが奴らはそれを越えれるんだぞ!!」

 するともう一人の「シヴァレス」の団員がこう言った。

 『ならば我々が時間を稼ぎますからリーシャ様だけでも逃げて下さい!!あなたを失えば新王国の人々は行き場を失ってしまう!!!』

 そう言うとリーズシャルテは自嘲してこう言った。

 「それなら私は王女じゃないかもしれんな・・・誰かが犠牲になって生きのこる?

 そして私はそれを演説で拍手されたくないんだよ。」

 そしてリーズシャルテはこう締めくくった。

 『シヴァレス総員に次ぐ、これより我々は交戦を再開する!!戦えないものは城壁内に待避してこのことを王都にいる者たちに伝えよ!!戦えるものは私の≪レギオン≫に

当たらないように少し引いて援護せよ!!・・・ノクト!!!』

 「YES 、ここに」

 するとリーズシャルテはこうノクトに指示した。

 『お前は撤退する皆の殿を務めよ!!出来るな。』

 「YES 、了解しました』

 そして戦えないものと一緒に去って行くところを見送るとリーズシャルテはベルベット・バルトに≪セブンスヘッド≫を向けてこう言った。

 「さてと・・・反逆者共・・・お仕置きの時間だ!!」

 「口の減らないお姫様だな。」

 そしてベルベット・バルトが再び笛を吹いた。

 ・・・未だ戦いは終わらず。




 また次回。


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質問の答えと奥義

 ルクスが何を失ったのかが分かりますよ。


「-以上が、私が遠距離から確認した情報だけど他にはある。・・・ルクス君。」

 ルクスはリーズシャルテ達の方へ向かう途中引き返しているクルルシファーに

出会って情報を聞いた。

 ルクスはその情報を聞いて予測した中でも最悪な状況に苦虫を嚙み潰したような

顔をしていた。

 「私はこれからこのことをアカデミーで待機している皆に報告しに行くけどあなたはどうするの?」

 クルルシファーはルクスに問いかけた。

 今から引き返して最終防衛ラインである王都に戻るかリーズシャルテ達がいる場所に向かうかである。

 「今から行っても多分間に合わないしそれなら最終防衛ラインに加わった方が

得策よ。」

 そしてクルルシファーはこう言った。

 「あなたなら分かるはずでしょルクス・アーカディア。何を捨てて何を守るか?

大義だけじゃ守れないことくらい旧帝国の皇子ならそれくらい・・・。」

 するとルクスはこう言った。

 「それじゃ駄目だよ。クルルシファーさん。」

 「何ですって?」

 ルクスはクルルシファーの言葉を切った後こう言い続けた。

 「何を捨てて、何を守るか?確かに世界はそうやって進んできたけど

そうやって・・・何かを失って・・・何かを得ても・・・一緒に喜んでくれる人が

いないなんて・・・悲しいじゃないですか。」

 そしてルクスはこう言った。

 「僕の知っている人はいつも、どんな時でも自分の仲間の為に諦めずにこう言ってるんです。」

 「何を?」

 クルルシファーの問いにルクスはこう答えた。

 「『かっとビングだ!!俺!!』って。」

 「その言葉ってあなた前にも私と戦った時も言っていたわね。」

 クルルシファーは初めてルクスと出会った時のことを思い出してそう言った。

 するとルクスはこう言った。

 「この言葉はどんな時でも諦めずに踏み出せる言葉なんです。例え愚かだとしても

そこで妥協してしまえばこれ以上上に行けないと思うから・・・前に行くんです。」

 その言葉を聞いてクルルシファーはルクスにこう言った。

 「・・・わかったわ。行きなさい。でも私の依頼がクリアされるまで死んじゃ

駄目よ。」

 「分かりました。」

 そして二人が分かれるとクルルシファーは王都に、ルクスはリーズシャルテ達がいる場所にへと向かった。

 するとルクスはクルルシファーにこう言った。

 「クルルシファーさん。」

 「何?」

 クルルシファーは何事かと言うとルクスはある事を言った。

 「朝聞きましたよね。『何をなくしたのか』を。」

 「ええ。」

 クルルシファーが返事するとルクスはこう言った。

 「僕が失ったのは・・・守りたかった人・・・かけがえのない人・・・

僕にとって・・・。」

 そしてルクスはクルルシファーにこう言った。

 「・・・初恋の人を失いました。」

 「え・・・?」

 クルルシファーはちょっと驚いているとルクスははこう続けた。

 「だからもう失いたくないんです。これ以上・・・目の前で誰かがいなくなるのは嫌なんです。」

 そう言ってルクスはリーズシャルテ達のいる戦場へ、クルルシファーは王都へと

それぞれ向かった。

 

 一方荒野の戦場ではガーゴイル型のアビス三十体とそれを操っているベルベット・バルト相手に戦っているのは既にリーズシャルテ一人となってしまった。

 他の仲間は機竜が戦闘不能手前になり撤収していた。

 ここまで仲間の助けと自身の機竜の持つ武装全て使って戦っていたが・・・

 「はあっ・・・、はあっ・・・、はあっ・・・。」

 残存しているガーゴイル型のアビスは十一体となったが既に体力が限界に達しようとしていた。

 リーズシャルテはその中でもチャンスを待った。

 それは・・・

 「(あいつがアビスに襲われないのはあの笛を持って統制しているから

だろう。・・・ならば!!)」

 ベルベット・バルトを倒すという目標の下に作戦を立てていたのだ。

 するとベルベット・バルトはリーズシャルテにこう言った。

 「-無様だなリーズシャルテ。我々に媚び諂うしかない雌が王女になるなど

笑えるな。」

 するとリーズシャルテはこう返した。

 「はっ。お前みたいに絶対有利な時でしかモノを言えないような屑な連中が

多かったから帝国は滅びたんだろ。」

 そう言うとベルベット・バルトは角笛でアビスを下げらせると大型のブレードを

上段に構えてこう言った。

 「いい度胸だな。ならば一騎打ちでどちらが強いかはっきりしようじゃないか?」

 「笑えんな。お前みたいな小物にやられるほど私の首は安くないぞ。」

 その言葉にリーズシャルテはほくそ笑みながらそう返した。

 本来一騎打ちであれば≪ティアマト≫と≪ワイバーン≫では≪ティアマト≫が勝つのは明白であったが現在のリーズシャルテは疲労が激しく飛ぶことも出来ないほどで

あった。

 「死ね!!偽りの姫よ!!!」

 ベルベット・バルトの大型のブレードにフォース・コアのエネルギーを伝達した瞬間リーズシャルテは持っていた≪セブンスヘッド≫を眼前に投げた。

 するとベルベット・バルトはそれを切り捨てて離れた瞬間爆発が両者の間を襲った。

 「くそっ!!」

 ベルベット・バルトはリーズシャルテを探そうとするとリーズシャルテは大声で

こう言った。

 「ここだ!!」

 上を向くとリーズシャルテは≪ティアマト≫から≪キメラティック・ワイバーン≫に

纏い直していた。

 いかに半壊していても≪ティアマト≫よりかはまだ使えるためベルベット・バルトはリーズシャルテのその行動に虚を突かれていた。 

 「貰った!!」

 完全に奇襲成功と思った次の瞬間ベルベット・バルトはニヤリと笑ってこう言った。

 「残念だったな・・・偽りの姫。」

 いつの間にかベルベット・バルトは大型のブレードを振っていた。

 そしてリーズシャルテの≪キメラティック・ワイバーン≫が破壊されていた。

 「ぐあっ・・何が起きて・・・。」

 リーズシャルテは呻きながらそう言うとベルベット・バルトは不敵に笑って

こう言った。

 「『神速制御(クイック・ドロウ)』ー。嘗ては帝国軍に伝わる3台奥義だ。」

 クイック・ドロウとは肉体と精神操作による制御を同時にすることによりほんの

一動作を一瞬で行う絶技である。

 無論新王国でも伝わっており一つでも会得するだけで超一級のドラグナイトと

認定されるのだ。

 「俺はな、あのクーデターの日から5年間お前らの番犬になるという苦渋を飲んで会得したのさ・・・この日の為にな!!」

 ハハハハハハとベルベット・バルトが笑う中リーズシャルテは下唇を噛みながらこう言った。

 「下衆が・・・。」

 「その下衆にやられるお前は犬以下ってことだよリーズシャルテ。」

 そう言ってリーズシャルテの顔を踏みながら角笛を吹いた。

 「さてと・・・目的を果たそうじゃないか。」

 ベルベット・バルトは王都の方を向いてニヤリと笑いながら言った。




 リーズシャルテ(原作)「お前初恋の人っていたのか!!」
 ルクス(原作)「この作品の中のぼくはですよ!!」


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残酷な真実

 それは明かされてはいけない真実。


 「これで勝ったと思ったら・・・大馬鹿だなお前は。」

 「何?」

 リーズシャルテの言葉にベルベット・バルトは顔を踏みつけながら聞いた。

 「それはどういう事かなお姫様?」

 ベルベット・バルトはニャッと笑いながら聞いた。

 「もう直に王都に援軍が到着する!!そうすれば残ったアビスだけでは太刀打ち

できまい!!」

 リーズシャルテは未だ王都からの援軍が来るという可能性を賭けていたのだ。

 例え来ずともベルベット・バルトの意識をそちらに向かすことが出来ると思っていたからだ。

 「ククククク・・・ハハハハハ!!呆れて笑いしか出ないとはこのことだよ

リーズシャルテ!!」

 突如ベルベット・バルトがリーズシャルテに対して侮辱しか言いようがない

言葉を吐きかけてこう言った。

 「お前、あれが王都の援軍と見えるなら相当・・・馬鹿だな!!」

 それを聞いてリーズシャルテはベルベット・バルトが向いている方向を見た瞬間顔を青くした。

 ベルベット・バルトの背後の地平線から百機近くの機竜が向かっていたのだ。

 然もすべて旧帝国の塗装と同じ赤色であった。

 「これが現実だよリーズシャルテ王女様・・・いや・・・只の肉奴隷の

リーズシャルテだったなあ!!」

 そう言いながらリーズシャルテの装衣の下部分を剥ぎ取った。

 「きゃあああ!!!」

 リーズシャルテが悲鳴を出し刻印を隠そうとするもそれを両手で押さえつけ身動きを抑えると足でリーズシャルテの下半身の間を擦った。

 「ひゃあん♡♡」

 リーズシャルテは艶めかしい声を出した。

 するとベルベット・バルトがリーズシャルテの体を嘗め回すように見ながら

こう言った。

 「懐かしいなおい、お前の体をあの地下牢でさんざん堪能した時よりも

成長しているな。」

 「え・・・。」

 リーズシャルテは何故それを知っているのかが分からなかった。

 するとベルベット・バルトはこう言った。

 「覚えてないのかリーズシャルテ?お前の腹にこれを入れたのは誰だった?」

 「あ、ああああ・・・。」

 リーズシャルテは思い出し始めた。

 あの地下室に誰が何をしていたのか・・・。

 「忘れたのか?お前の純潔を奪ってお前を奴隷として調教した人間を?」

 「あああああああ・・・・・・。」

 リーズシャルテの心が壊れそうだった。

 地下牢で誰が自分の体を犯しつくしたのかを・・・。

 「そうさ・・・。」

 「あ、あ、あ・・・。」

 顔を思い出し始めた。

 忘れようにも忘れられず医者の催眠治療によって蓋をされた人間の顔を。

 「俺だよ。」

 「イヤアアアアアアアアアア!!!!!!」

 リーズシャルテは全てを思い出し大声を出した。

 忘れようとした記憶が一気に蘇り心のバランスが取れなくなり始めたのだ。

 するとベルベット・バルトはリーズシャルテの耳元でこう囁いた。

 「哀れだなお前は、クーデターが成功して跡取りように残していた妹が死んだら代替えとして王女にされたからなあ。」

 「イヤ・・・イヤ・・・イヤ・・・。」

 最早リーズシャルテは抵抗も出来なくなっていた。

 周りにはガーゴイル型のアビス十一体と≪ワイバーン≫と≪ワイアーム≫、

≪ドレイク≫合わせて百機が周りを取り囲んでいた。

 「だがそれもお終いだ。このまま王都を攻め落として王女の目の前でお前を

犯してやるさ。そしてお前は永遠に帝国の奴隷として使用する。」

 「アアアアアア・・・・・。」

 リーズシャルテは最悪の未来を予測して涙した。

 「その前にもう一度犯してやろう・・・今ここでな。」

 ベルベット・バルトがリーズシャルテの装衣を破り始めた。

 するとリーズシャルテは心の中でこう思った。

 「(ああ、また犯されるんだ。もう逃げ切ることも・・・こいつに逆らうことも出来ないんなら・・・いっそあの時のように心を閉ざしてしまえば・・・

どれだけ楽か。)」

 ベルベット・バルトがリーズシャルテの体の装衣を剥ぎ終えて自身の装衣を脱ごうとした時何か音がした。

 「なに」

 「?」

 ベルベット・バルトが声がした気がして周りを見ると

 「してるんだ・・・。」

 「・・・何だ?」

 上空で何か黒い点が見えた。

 「この・・・。」

 「ま、まさか!!!」

 ベルベット・バルトが驚いた瞬間それが訪れた。

 「変態オヤジがーーー!!!」

 「ぐふっ!!」

 運よく障壁が起動するも何かが顔に当たってベルベット・バルトが吹っ飛んだ。

 「な、何者だ!?」

 反乱軍の一人が言うとその人はこう言った。

 「只の・・・。」

 それを見た瞬間リーズシャルテは驚いていた。

 「あ、あああ・・・。」

 通常よりも多くの装甲を持ち・・・

 「クラスメイトですよ・・・。」

 灰色に近い銀髪の・・・

 「ル・・・ルクス・・・。」

 仲間を・・・

 「リーシャ様のクラスメイトだ!!」

 ルクス・アーカディア参上!!




 遂に主人公参戦!!


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心の本音

 全部ぶちまけて楽になれ。


「大丈夫ですか?リーシャ様!!」

 ルクスがリーズシャルテとベルベット・バルトの間に入って

ベルベット・バルトの顔に蹴りを喰らわしたのだ。

 因みにルクスはリーズシャルテの方を向いていない。

 ・・・だって裸なんだもん。

 ルクスはリーズシャルテの安否を確かめるとリーズシャルテは泣きながらか細い声でこう言った。

 「・・・何で私なの・・・?」

 「へ?」

 リーズシャルテは泣きながらそう言っていたのでルクスはその言葉の意味を

聞いていた。

 「私は只・・・父の・・・妹の代替え品なだけなのに・・・王女らしく振舞え・・・民が求めるモノになれ・・・もうヤダ・・・。」

 リーズシャルテの独白は無意識なのだろうか分からないがそれはこれまで

リーズシャルテが溜めていたモノだろう。

 するとリーズシャルテはこう呟いた。

 「もう・・・ニゲタイヨ・・・。」

 「あ?」

 するとルクスは少し口調が変わった。

 「ナゲダシタイヨ・・・。」

 「アア“?」

 それは少しずつ・・・

 「モウ・・・ドウニデモナリタイヨ。」

 ープチッーー

 何か切れる音がしたなと思ったらルクスはリーズシャルテの方を向いた。

 「・・・ルクス・・・?」

 リーズシャルテは光のない目でそう言うとルクスはソード・デバイスを鞘ごと

取って・・・。

 「歯、食いしばれ。」

 「へ?・・・へぶっ!!」

 ルクスの言葉にリーズシャルテはすってんきょうな声を出すと・・・そのまま鞘ごと頭に打ち付けた。

 『『『『『エーーーーー!!!!!』』』』』

 あまりの事にお前かよーーと反乱軍が絶叫しながらそう思った。

 リーズシャルテが悶絶する中ルクスはリーズシャルテの胸ぐら掴んでこう言った。

 「逃げたいだ?・・・投げ出したいだ?・・・どうにでもなりたいだ?・・・ふざけんじゃねえぞこの馬鹿王女が!!!」

 「ル・・・ルクス?」

 あまりの変貌っぷりにリーズシャルテはぽかんとしている中ルクスはこう続けた。

 「民がどう思っていようが周りがどう言おうがな・・・あんたはあんたなんだよリーズシャルテ・アディスマータ!!!!」

 その言葉にリーズシャルテは泣きながらこう言った。

 「お前に・・・お前に何が分かるんだこの雑用王子!!!」

 さらにこう続けた。

 「お前にはわかるか!!??旧帝国の奴隷になっていて子供を身籠っていたと

分かった時の絶望感を!!・・・堕ろしてしまった子供に対する自分の

不甲斐無さを!!・・・それらを隠して迄女王になれと言われる私の気持を!!・・・皆を騙して大人たちの操り人形として踊るしかない・・・私の気持ちなんて

誰も分からないんだ!!!」

 するとルクスはこう怒鳴った。

 「ああわからないよ!!でもな!!あんたが王女になると決めたのは民でも・・・臣下でもない・・・あんた自身なんだよ!!!」

 そしてルクスはこう続けた。

 「あんたの背中にはな!!新王国にいる大勢に人の命を背負ってんだ!!それを丸投げして逃げるなんてな旧帝国の人間と同じことだとなんで分からないんだ!!」

 「!!」

 リーズシャルテは言葉を詰めるがルクスに対してこう言った。

 「じゃあ・・・どうすれば・・・どうすればいいんだ!!如何すれば良かったんだ

私は!!!」

 するとルクスはこう言った。

 「誰かを頼れ!!」

 「へ?」

 そしてルクスはこう続けた。

 「頼るって言っても丸投げじゃなくて自分で考えてどうしようもない時は・・・隣にいる仲間や・・・周りの人達・・・そして僕を頼れ!!」

 そしてルクスは反乱軍の方に向き直すとこう言った。

 「僕は知っている・・・自分の為に・・・誰かのために・・・目的のために・・・未来のために・・・そして!!」

 ルクスは遊馬を思い出した。

 どれだけ傷だらけになっても立ち上がった自分にとって弟のような存在を・・・

そしてその言葉を・・・。

 『かっとビングだ!!俺!!』

 ルクスは叫ぶように・・・天に向かってこう吠えた。

 「自分の限界を超えて立ち上がろうとした人間のように・・・立ち上がれ!!

リーズシャルテ・アディスマーターーー!!!」

 すると≪フォース・トリニクス≫が輝き始めた。

 「な、何だこの光は!!??」

 ベルベット・バルトが驚く中ルクスはこう叫んだ。

 「うおおおおおおお!!!!!!かっとビングだ!!僕!!!!」

 そして≪フォース・トリニクス≫から声が聞こえた。

 〈アナザーフェイズ起動。・・・コード『ファルコン』〉




 等々ルクスの本領発揮!!


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血花の翼竜

 竜は血を欲する。
 それが例え戦意の無い者でも


 光輝く中ルクスはソード・デバイスの柄のボタンを機竜が出ているにも関わらず押すとこう呟いた。

 「ー飛翔せよ、ー逆境の中で研ぎ澄まされし爪を上げる翼竜よ。反逆の翼翻せ、

≪ライズ・ワイバーン≫!」

 その瞬間光が収まるとそれは確かにあった。

 青と灰色の機体は装甲が周りに飛んで青一色になっていた。

 そして武器も変わっていた。

 背面部に取り付けられていたキャノン砲は翼の中に格納され盾が無くなった代わりにむき出しになった機竜息銃が見えた。

 そして何よりも装甲がなくなり防御力が0になったような感じであった。

 そしてベルベット・バルトは周りの部下にこう言った。

 「何をしている!!たった一人風情、まとめてかかれ!!」

 「「「了解!!」」」

 ベルベット・バルトの指示に従った3人がブレードを振りかぶろうとすると・・・

一瞬でルクスは3人の後ろに立っていた。

 「な、こn・・・。」

 男たちが振り返ろうとすると自身の視界や胴体が別々の方向に・・・

落ちて行ったのだ。

 そして落ちた瞬間血が噴き出して彼らは死んだ。

 「な、何だと・・・。」

 ベルベット・バルトは驚いていた。

 機竜でも死ぬことはあるが大抵は障壁が自動展開するためアビス以外では撃墜してもそう死ぬことはないからだ。

 だが彼らがなぜ死んだのかベルベット・バルトは分からなかったがルクスは彼らの前でこう言った。

 「ああ、そうそう。」

 『!!』

 ルクスの言葉に彼らは恐怖するとルクスは目を鋭くしてこう言った。

 「僕はリーシャ様みたいに・・・誰か一人を狙うとかしないんで・・・

覚悟してくださいね。」

 「ひっ!!」

 そして再びルクスの一閃によって・・・紅い花が咲き誇った。

 

 

 「な、・・・何なんですかあれは・・・・?」

 ノクトは負傷者を第3砦に送った後戦況の確認の為ドレイクのレーダーを使っているとあるものが見えた。

 前線にルクスがやってくると光に包まれ機竜が変わったと思ったらルクスが通ったルートで生存している敵機は存在せず然もある情報がダイレクトに響いた。

 『な、何が起きt・・・。』

 『障壁は起動しているのにn・・・。』

 『狼狽えるな!!敵はたった一人なんだ!!全員でやれb・・・。』

 『やめろ!!やめt・・・!!』

 『降参する!!降s・・・。』

 反乱軍とはいえ情け容赦なく・・・然も降伏も聞かずに殺される。

 その行動にノクトは声を震わせながらこう思った。

 「ルクスさん・・・あなたのその力・・・まるで・・・。」

 黒き英雄のようだとノクトの心の中でそう思っていた。




 決闘機龍『ライズ・ワイバーン』
 『フォース・トリニクス』から姿かたちが変わった機竜。
 リーズシャルテの改修(魔改造)による武装と自身の装甲が外れたことで進化した姿。
 高機動性であるワイバーンの中でもダントツに速く最大スピードは通常の機竜の8倍に想定されており余りの速さに相手が斬られても気が付かないという現象が生まれる。
 またソニックブームによる衝撃波を作ることも出来る。
 
 武装  大型ブレード*1
     機竜息銃*1
     キャノン砲*2


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英雄なんていらない。

 英雄になった時、孤独の称賛か友との思いで。
 あなたはどっちを選びます。


 ノクトがルクスに対して疑問を持ち始めたころ戦場は今や人とアビスの血と肉、そして機竜の残骸で敷き詰められていた。

 元々ルクスは見切りを見抜く才能があったためそれに+して≪ライズ・ワイバーン≫のスピードが合わさって相手が武器や攻撃の動作をする前に勝負が決しているのだ。

 ベルベット・バルトは角笛でアビスに命令を与えているも攻撃する前に倒されているため何もできなかった。

 「(な・・・何ナンダコレハ?)」

 悪い冗談であってほしかった。

 5年かけて新王国の信用を得て軍団長に上り詰め、武器商人から貰った角笛と部下を使って新王国を滅ぼす計画であったのがたった一人の介入で全てが終わるという現実を・・・ベルベット・バルトは受け入れられなかった。

 「何なんだお前は!!」

 

 「す、・・・凄い・・・。」

 リーズシャルテは茫然としていた。

 周りには死体しかない世界。

 そして上を見ればまるで羽虫を叩き落すように倒しているさまを見てある事を

思い出した。

 

 5年前地下牢である男がやってきた。

 「りゃーれー?」

 この時のリーズシャルテは3桁もの絶頂と性的快楽により言葉が退化していたのだ。

 リーズシャルテは男を見て自身の下半身をその男に見せつけると男は牢屋に入り

リーズシャルテの枷を切り捨てたのだ。

 「ふぇ・・・?」

 リーズシャルテは思考がピンクに塗りつぶされておりなぜこんなことをしたのか

分からなかった。

 「来い。」

 男の言葉にリーズシャルテは何も感じないまま着いていった。

 そして空が見える場所に連れて行くとリーズシャルテにこう言った。

 「帝国は滅びる。そうなればお前のような人間が出てくることは今後数年は

ないだろう。」

 そして男はリーズシャルテに自身が持っていたソード・デバイスを渡した。

 「それをやるからこの城から出て革命軍に合流しろ。そうすればお前は

これからの運命を切り開けるはずだ。」

 男が振り返って歩き出すとリーズシャルテは空にいる人間に指さしてこう言った。

 「にいぇえ?あれはにゃに?」

 「・・・ああ、あれか。」

 その方向を見ると男はこう言った。 

 「大半の人間からすれば帝国を滅ぼした英雄だろうが俺からすれば・・・餓鬼臭くて夢見がちで・・・お人好しで優しい・・・。」

 そして男がニコッと笑ってこう言った。

 子供を自慢する親のように優しい笑顔で・・・

 「俺の自慢の弟だよ。」

 

 

 「まさかお前はあの時の男が言った・・。」

 そして等々ベルベット・バルト一人になるとベルベット・バルトはこう大声を上げて言った。

 「貴様何故俺の邪魔をする・・・何者だ貴様は!!」

 するとルクスはこう言った。

 「僕の顔を忘れたんですか?ベルベット・バルト近衛騎士団長。」

 「・・・?・・・!!」

 ベルベット・バルトは嘗て王城で見た少年を思い出した。

 「これはこれは第七皇太子殿下ではありませぬか?お顔を忘れた事申し訳・・・。」

 「上辺使いの言葉なんて今更するな、さっさと降伏しろ。

もうあんただけなんだよ。」

 ルクスはベルベット・バルトの言葉を切り捨てるもベルベット・バルトは

ルクスにこう聞いた。

 「それよりも殿下?何故我らに剣を向けるのでございましょうか?」

 「・・・・。」

 ルクスは何も答えず暫くするとベルベット・バルトは今度は怒鳴り散らした。

 「答えろルクス・アーカディア!!それほどの強さがあるなら何故我らに味方しないんだ!!」

 更にベルベット・バルトはこう言った。

 「英雄になって陶酔しているならお門違いだ!!何れはその力に恐怖し、

あらゆる者が敵となることなど分かる事だろうに何故それを理解せん!!」

 「英雄なんて誰がなりたいもんか。」

 ルクスの言葉はリーズシャルテやベルベット・バルトに何故だという言葉が出た。

 「英雄になった所でそれを一緒に共感する人がいないなんて・・・そんな英雄寂しさしか出ないよ。」

 そしてルクスはこう言った。

 「最強になって孤独になる位なら最弱でも自分の目の前や世界を守れる

人間になろう。そして・・・」

 ルクスは最後にこう言い放った。

 「それを傷つける連中全員を地獄に叩き落す鬼になる覚悟は既に出来てるんだよ!!さあ来いよベルベット・バルト!!お前の全てを僕が焼き捨てる!!」

 するとベルベット・バルトは剣を振りかぶるとこう言った。

 「ならば死ね!!我が新たに建国するアーカディア帝国の礎となって果てろ!!」

 「いかんルクス!!そいつは!!」

 リーズシャルテは危険だと言おうとした。

 ベルベット・バルトはクイック・ドロウが使えるという事を言おうとするも間に合わないと思って目をつぶった。

 然しベルベット・バルトがクイック・ドロウを使おうとした瞬間ルクスは

こう言った。

 「その技作ったの誰だと思ってる?」

 「はっ!!??」

 するとルクスは更に速くベルベット・バルトの背後に着いた。

 「僕だよ。」

 するとベルベット・バルトの体が斜めに・・・ずれ始めた。

 「な、何だと・・・。」

 するとリーズシャルテはある事を思い出した。

 機竜使いの三大奥義が出回り始めたのは七年前、そして五年前に史上最年少で機竜の免許を取得した天才ドラグナイトを。

 「まさかお前が噂の・・・天才ドラグナイト。」

 するとルクスは剣を鞘に納めながらこう言った。

 「刹撃・・・焔」

 するとベルベット・バルトの切り口から火が勢いよく出てきた。

 「ば、かな・・・。」

 そして暫くしてベルベット・バルトの機竜は爆発した。

 そしてルクスはリーズシャルテに近寄るとこう言った。

 「・・・帰りましょ、リーシャ様。・・・皆が待ってますよ。」

 するとリーズシャルテは涙を流しながらルクスに抱き着いた。

 「怖かったよ~~。もうだめかと思ったよ~~。」

 「よしよしヾ(・ω・`)」

 ルクスはリーズシャルテの頭を撫でながら慰めていた。

 子供を思いやる父親のように優しく抱きしめて・・・。

 数分後リーズシャルテがやっとルクスから離れるとこう言った。

 「・・・ルクス、ありがとうな。私を叱ってくれたのは父様以来だから

少し嬉しかったって・・・ 何で私を見ないんだ?」

 リーズシャルテはルクスに聞くとルクスは顔を真っ赤にして目を背けてこう言った。

 「いや・・・その格好はね・・・。」

 「恰好?」

 リーズシャルテは自身の状態を見ると装衣の前が破り捨てられているため

裸同然だったのだ。

 リーズシャルテは顔を真っ赤にして座り込むと・・・。

 「いやあああああああああ!!!!!!!」

 天を衝くくらいの悲鳴を上げた。




 「刹撃・焔」
 元ネタは「ONE PIECE]のロロノア・ゾロの「一刀流 飛竜 火焔」
 刹那のごとき速さで斬った際の摩擦熱により傷口から発火する技。
 障壁すらも機能できないこの技は回避不能である。


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裁縫だよ。

 リーズシャルテ「お前いつも思うが態とやっているのか!!??」
 ルクス「違いますよーー!!」


 「ええと・・・大丈夫ですか?リーシャ様。」

 ルクスはリーズシャルテにそう聞くと当の本人はと言うと・・・

 「うううううう~~~~~////」

 ≪ティアマト≫の後ろでルクスに睨みつけていた。

 顔を真っ赤にして・・・。

 何せ二度も裸を見られたため恥ずかしさと言うよりも怒りが強かったのである。

 するとルクスはこう考えていた。

 「(さてどうしたものか?リーシャ様の体力を回復させるまで待っていると

王都からの援軍が来ちゃうからリーシャ様の刻印がばれるしなあーー。

でも予備の装衣と言ってもなあ・・・ん?)」

 ルクスは装衣の代わりになりそうなものがないかと探していると死体の中には

まだ綺麗な部分の装衣があることに気づくとそれを脱がして機竜のパーツ破片から其れを切りとって廃屋に残されていた服から糸を抜き取って何かを編み始めた。

 そして暫くするとルクスはそれをリーズシャルテそれをに届けた。

 「はい、リーシャ様。これ着て下さい。」

 リーズシャルテがそれを受け取って一分後・・・。

 「ど、どうだルクス?」 

 ルクスが作ったのは腹回りを隠すために編んだスカートと胸を隠すための

水着のような物であった。

 「うん。我ながら完璧です。」

 ルクスは自分が作ったのは間違いじゃなかったと確信するとリーズシャルテはある物を思い出した。

 「何かこれって町で流行している水着(ウオータードレス)みたいだなあ。」

 「ウオータードレス?」

 「ああ海とか河で遊ぶ時とかで民が着る潜水用の服らしいんだが知ってるかお前?」

 「・・・いやあああ・・・僕にはわかりませんねえ。・・・(それ僕が言い出しっぺなんて・・・言えないよね。)」

 ルクスが異世界に帰って最初の夏の時、珍しく暇が出来たため水着を着て海を泳いでいる中偶然それを見たレリィが根掘り葉掘り聞いたことから始まったことなのだが

女性用に関しては色々と向こうのファッションセンス等で四苦八苦したという

逸話があるほどだ。

 そんなこととはつい知らずリーズシャルテから聞いた事に背中に冷や汗が

垂れるという珍事が起きたほどである。

 そしてルクスはリーズシャルテにこう言った。

 「さてと・・・リーシャ様、今機竜を使うのって大丈夫ですか?」

 その問いにリーズシャルテはこう答えた。

 「ううむ・・・≪ティアマト≫は論外、≪キメラティック・ワイバーン≫は・・・

≪ワイバーン≫は駄目だが≪ワイアーム≫の方はぎりぎり使えるかな。」

 「分かりました。それじゃあ・・・帰りますか王都に。」

 「ああそうだな・・・。」

 そしてルクスとリーズシャルテが機竜に搭乗するとリーズシャルテは小さい声で

ルクスにこう言った。

 「ありがとうなルクス。私を仲間と認めてくれて。」

 「え?何ですか、リーシャ様。」

 ルクスはそれを聞こうとするとリーズシャルテは≪ワイアーム≫の車輪を

最大出力で走らせた。

 「ちょ、ちょっと待ってくださいよ・・・リーシャ様!!」

 夕焼けの大地に二機の機竜が走った。

 その時の少女の顔は・・・年相応ににこやかだった。




 リーズシャルテ「お前女子力高すぎるから見ろ・・・生徒だけじゃなく
教官迄・・・。」
 生徒と教官「「・・・ま・・・負けた・・・。」「」
 ルクス「・・・今度教えましょうか?」
 生徒と教官「「・・・ぐはっ!!」」
 リーズシャルテ「お前は鬼か!!」


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ここが僕の居場所

 やっと第一巻終了。


 「全く兄さんは・・・結局無茶するんですね。」

 「いやー。・・・しちゃったんだよねー。」

 現在ルクスはアイリと一緒に機竜格納庫でアイリの愚痴に付き合っている。

 あの後ルクスとリーズシャルテとは砦に戻った後今回の顛末を報告した後

ルクスの機竜が変貌した事によることも含め報告書を書かされた後戻ってきたのは

朝方であった。

 その後リーズシャルテにより≪フォース・トリニクス≫改め≪ライズ・ワイバーン≫の整備とデータ取りの為預けられた。

 「まっ、今回はイレギュラーがあったこともあって・・・あれを使わなかったことに対しては評価したほうが良いのでしょうね。」

 「・・・今まで僕の評価がどんなものか聞きたくないなー。」

 アイリの小言にルクスは苦笑いで対応するしかなかった。

 だがもしあれを使えばルクスはあらゆる勢力から目を付けられるだろう。

 その力を利用しようとするもの。

 その力を恐れて殺してしまおうと考える者。

 挙げればきりがないくらいの危険があるのだ。

 ・・・まあ機竜が変貌した時点で目を付けられるっという事には変わりないが。

 「そう言えば今回の事でレリィ学園長から言伝があるのでそれを言いに

来たんですよ。」

 「ああ・・・愚痴だけじゃなかったんだね。」

 ルクスはアイリからレリィの言伝と聞くと嫌な予感がするなあと思いながらも内容を聞いた。

 「『アトリエに行って機竜を貰ったら学園長室まで道草しないで

来てねぇ~~。』・・・だそうです。」

 「道草って・・・何もないじゃん。」

 レリィの言葉に呆れるもルクスはアトリエにへと向かった。

 

 

 

 「機竜を取って来いって・・・≪ライズ・ワイバーン≫は研究用として没収するって

ことだよねー。」

 ルクスはアトリエに向かいながらも自分の機竜が汎用になるという事を感じながらも向かった。

 そしてアトリエに入ると制服の上に薄汚れたガウンを着たリーズシャルテが

ドラグライドの作業台前に立っていた。

 「おおルクスか、待っていたぞ。」

 リーズシャルテがルクスに近寄ってそう言った。

 「あの・・・僕の機体は一体どれ何でしょうか?」

 ルクスはリーズシャルテにそう聞くとリーズシャルテは呆れた口調でこう言った。

 「はあ?何言ってるんだ。お前の機体はあれだろ。」

 「へ?」

 そう聞いてルクスはリーズシャルテが向いた方向を見ると・・・青の機竜、

ルクスの≪ライズ・ワイバーン≫とソード・デバイスがそこにあった。

 「・・・へっ!!だってこれ確か!!!」

 ルクスは砦から帰投した後王都の軍によって接収された事を思い出すと

リーズシャルテがこう言った。

 「いやーー。こいつはお前しか言うこと聞かないからいっそばらばらにすればと言う意見があったんだがラフィ女王陛下がこう進言してくれたんだ。」

 『彼が最も使いこなせる人間と言うのならば彼に託すというのも方法の一つじゃないでしょうか?・・・それにもしかしたらまだこれには先があると

私はそう思うんですが。』

 「・・・っていう訳で引き続きお前が管理することになったという事だ。」

 そう言うとリーズシャルテはソード・デバイスをルクスの前に差し出して

こう言った。

 「お前は私や王都を救ってくれただけではなく私に道を差し占めてくれた、礼を言うぞルクス。」

 「リーシャ様・・・・。」

 そしてリーズシャルテはこう言った。

 「これからもよろしく頼むぞルクス。学友として・・・

騎士団のメンバーとしてな。」

 「仰せのま・・・ちょっと待ってください。」

 「ん?なんだ??」

 ルクスはリーズシャルテの言葉に一部違和感を覚えたので聞いてみた。

 「騎士団のメンバーって・・・僕拒否しましたよね?」

 「ああ・・・ノクトがお前の戦闘を学園長に報告した後他のメンバーもお前が入るのに賛成してな、お前の拒否権ないらしいぞ。」

 リーズシャルテがそう言うと、ルクスはソード・デバイスを受け取った後・・・学園長室目掛けて走り出した。

 「あんの自由人がーーー!!!」

 レリィの文句を言いながら。

 

 

 学園長室に着いたルクスは扉を蹴破るような速さで入っていった。

 「レリィさんどういう事じゃごらーーー!!!」

 『ルクス君入団おめでとう!!!!!』

 それと同時に「シヴァレス」の団員達が拍手で迎え入れていた。

 「・・・なにこれ・・・。」

 ルクスはあまりの事に固まっているとレリィが前に出てこう言った。

 「ルクス君入団おめでとうね。今回の手柄はあなたのおかげってこともあって

認められたのよ。」

 「ちょっと待ってくださいよ!!僕は入団しないって・・・。」

 ルクスが説明しようとするとノクトが前に出てこう言った。

 「NO、ルクスさんの実力はレーダーを使ってはっきりしてますし今回の手柄もルクスさんじゃなかったら難しかったです。それに我々は現状から言ってまだまだ役不足な点が多いので・・・お願いしますルクスさん。入団してください。」

 ノクトは頭を下げてまでルクスの入団を薦めてきたのだ。

 あまりの事にルクスはノクトに頭を上げるようにしようとすると

ティルファーとシャリスも前に出てきた。

 「入っちゃおうよルクっち。皆もそう思ってるんだし。」

 「下級生が頼んでるんだよルクス君。腹を括り給え。」

 それを聞いてルクスは頭を抱えながらこう言った。

 「・・・分かりました。入団します。」

 周りで喝采が起きてルクスに自己紹介する中ノクトは心の中でこう思っていた。

 「(ルクスさんのあの強さはまるで『黒き英雄』のようだった。・・・もしルクスさんがそうだったとしても何故隠すのかを見極めなければいけません。)」

 彼女の疑いはまるで確定したかのように募っていた。




 リーズシャルテ「え、次回予告ってこれを読めばいいのか?何々等々「シヴァレス」の団員になってしまったルクス。然しレリィのゲームでクルルシファーに依頼を受けることとなってしまった。それは・・・はあ婚約者!?そして第六遺跡にてルクスはある男と再会する。その男の正体は!!!??」
 リーズシャルテ「次回最弱無敗の決闘機龍第2章『少女の願い、唸れ反逆竜対銀河竜』にデュエル・スタンバイ!!」
 ルクス「それ最初期!!」


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少女の願い、唸れ反逆竜対銀河竜!!
悪ふざけもほどほどにね。


 第2巻開始。


「ルクス君。どう?学園での生活は?」

 五月になったある日レリィはルクスを学園長室の応接間にルクスを呼んで

最近の生活を聞いてみた。

 するとルクスは苦笑いでこう言った。

 「ええ、何とかうまくやれてますよ。ハハハ。(あんたが『シヴァレス』に無理やり入れなければね。)」

 心の中で毒を吐きながらもお茶を飲んで近況報告をするルクスであった。

 まあ無論本音でもある。

 本来なら反対する立場であろう新王国の第一王女(本人にその気なし。)の

リーズシャルテや学園の生徒も好意的(時々獲物を見るような眼で見られることも

ある)に接してくれるのだ。(特に『シヴァレス』の団員はアピールしてくる)

 更に言えば王都への演習訓練が終わって帰ってきた三年生(尚団長の

『セリスティア・ラルグリス』は王都に潜伏している逆賊の討伐の為帰りが遅くなっている)はルクスがいることに驚いていたモノの残っていた生徒から決闘で

リーズシャルテと互角に渡り合った事やその後に学園に襲来してきたアビスから

生徒達を守ったり新王国に攻めてきた旧帝国の残党をアビス諸共殲滅した事が伝わり今のところは団長が戻ってくるまで様子見という事にしているが「シヴァレス」の

三年生の団員達はルクスの戦い方からこう言う噂が実しやかに広まっている。

 「ルクス・アーカディアはセリスティア・ラルグリスよりも強いんじゃないか?」と言う噂が持ちきりであった。

 「ああそれとねルクス君実はねちょっとだけど・・・問題が出てきたのよ~~。」

 「はっ!!」

 「失礼しまーーす。」

 「ティルファー、何でいるの?」

 ルクスはレリィの言葉に驚愕していた。

 もしかしたら様子見と思っていた三年生が苦情を物申したのかと思えばティルファーが箱ごと持ってやってきた。

 「いやー。重かったーー。」

 その箱の中には数百枚の・・・紙があった。

 「・・・ティルファー?まさかこれって・・・。」

 「そ、依頼書だよ。」

 現在ルクスは学園内での雑用仕事の請負(嘗ては王都全般だったがルクスが学校に編入した事で学園のみになった。)しているがティルファーの話によれば優先度が高い順をルクスが、低い方や女性関連をアイリが担当しているが是非ともルクスに指名があるのでどうしたら良いかと考えているところだそうだ。

 「・・・ゴメンね。ティルファー、分かってあげられなくて。」

 ルクスが謝るとティルファーが手を振ってこう言った。

 「イヤいいって、ルクっち雑用だけでも大変なのに『シヴァレス』の仕事も両立して大変なんだからこれくらい当然だよ。」

 その代わりに奢ってねーと言った後レリィが・・・悪戯っぽい笑みを浮かべてこう言った。

 「だから考えたのよねーー・・・イベントを・・・。」

 「な、・・・何をです?」

 ルクスは長年の勘から嫌な予感がすると思っているとレリィが学園長室の机からある赤い紙を引き出した。

 「じゃっじゃ~~ん。これは『一週間特別依頼書』って言ってね・・・

ルクス君を一週間独占できる奴なのよ~~。」

 「はーー!!何ですかその奴隷申請書みたいなのは!!!???」

 ルクスは立ち上がってそう言うとレリィはこう続けた。

 「ルールは簡単。この依頼書をあなたに預けるから今から一時間以内に

取った子が優勝。取れなかったらルクス君の勝ちってこと。ああそれと機竜の使用は禁止されてるからくれぐれもお嬢様達をケガさせないでね。私の首が飛ぶから。」

 「あんた僕の人権よりもお嬢様達の方が上なのかい!!」

 「ええそうよ。私の首もね。」

 「なんて最低な大人なんだ!!」

 ルクスは頭を抱えながらそう言うと更にレリィはこう言った。

 「ああそれとデュエル・ディスクもね。時間が分かるとゲームの楽しみが

なくなるから。」

 「あんた楽しんでないか!!!???」

 そう言いながらもデュエル・ディスクを預けるあたり几帳面なルクスであった。

 「それとこのことはもう皆周知してるから心配せずに走りまくってね~~。」

 「どうりで皆の目付きが今日は違うと思った訳だ!!」

 ルクスはどうでもいいようなことが分かって絶望してた。

 「どうでもよくないよ!!」

 だから地の文読むなって。

 「それじゃあ~~。もうすぐ女の子たちがここに来るから逃げてってね~~。」

 「何で知ってるの!!??」

 「私がリークしたからよ~~。」

 「一遍頭殴られろ!!この自由人が!!!」

 「それじゃあ・・・スタートーー~~。」

 レリィの掛け声(ルクスの本音も混じっているが)と共に学園長室から出るとそれを見た少女達によって居場所がばれたのだ。

 こうしてルクスの色んな意味でピンチな『ルクス争奪戦』が始まったのであった。




 レリィ「そう言えばルクス君のこれって何でしょうね?」デュエル・ディスクを見て
 ティルファー「そう言えばカードも気になりますねえ。」
 レリィ「見ちゃおっか♪」
 ティルファー「見ちゃいましょ♪」


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ゲーム開始。

 走れルクス!!
 君の貞操が掛かっているぞ!!
 ルクス「ちょっと!縁起悪いでしょ!!」


 あの後ルクスはレリィの策略によるイベントにより逃げなければならなかった。

 捕まれば一週間どんな命令が出るのか分からなかったからだ。

 それを思うとゾッとしかしなかったルクスは三階の廊下の角に身を潜めた。

 今や生徒は全てが敵だらけであり人気が失せた後ホッとしたのも束の間・・・。

 「見つけた!!」

 「やばっ!!」

 廊下の角に偶然居合わせた女生徒に見つかってしまったのだ。

 「皆の者出会え!出合え!!」

 「ちょっと何で三年生までいるのよ!?」

 「私だってああいう子を命令したいのよ!!」

 「あんた煩悩入ってない?」

 一部欲望に忠実な人間がいたが次々と女生徒達がやってきた。

 然もよく見ると色々なものを持っていた。

 護身用の棍棒、捕縛用のロープ、巨大な投網・・・手枷や首輪と言ったものまで

あった。

 「ちょっと!!それでどういう動物を捕まえるんだよ!!」

 「「「「「貴方よ!!」」」」」

 「手枷や首輪で何する気だこの人達はーー!!」

 色々とツッコミを連発するルクスであった。

 そして前にも女生徒達が壁のように立ち塞いだ。

 「ふふふふふふ・・・もう逃げられないわよ。」

 「そうそう。普段はリーシャ様やいろんな人たちの相手だけじゃなくて

『シヴァレス』の仕事でご無沙汰してるからこれを期にあなたを・・・ぐふふふふ。」

 「・・・ちょっとあんた怖い。」

 もうヤバい通り越してるような連中がちらほらといるがそうしてる間にも逃げ道が

塞がれて行った。

 「くそ!!(どこかに逃げ道がないのか!!??)」

 そう思って周りを見るとルクスは窓を見るや否やそのカギに手をかけて・・・

飛び降りた。

 「ちょっと!!ここ三階よ!!」

 そして外を見ると・・・外壁を蹴り降りながら向かいの木の幹を鉄棒代わりに

回った後空中捻り回転をして着地をした。

 「「「「「おおおおおおおお!!!!!!」」」」」」

 前と同じように女生徒達は拍手喝采すると・・・それを見逃さなかったルクスは

走って逃げた。

 そして走っているとそれを他の女生徒が集まってきた。

 「皆こっちよー!!」

 「捕まえろーーー!!!」

 ルクスは逆方向に逃げた。

 さっき迄追っていた女生徒達も加わっての・・・。

 「ちょっと待ってよ!!さっきよりも増えてるし!!ってか何でこんなに容赦が

ないんじゃあーーー!!!」

 ルクスの叫びは少女達の声で何も聞こえなかった。

 

 

 

 そして四十分後・・・

 「はあっ・・・はあっ・・・。」

 体力はまだ残っている・・・そう・・・肉体的には・・・。

 精神的な体力が残っているのか心配される中ルクスは木の藪に入っていた。

 暫くはここにいようと思っていたルクスだったが・・・世の中そんなに甘くない。

 「おい。」

 「?・・・ぎゃ・・・っぷ!!!」

 ルクスは後ろかの声に驚く寸前に口を閉ざした。

 そこにいたのはリーズシャルテだったのだ。

 もう終わったと思ったルクスであったがリーズシャルテは耳元でこう囁いた。

 「こっちへ来い。」

 そう言われてそのままアトリエにへと向かった。

 ここは所長でもあるリーズシャルテの権限により限られた人間(ルクスも含む)しか

入れない為学園の中で最も安全な場所なのだ。

 それに・・・

 「(まあ、普段から依頼を受けてるリーシャ様ならこう言うゲームには参加しないだろうな。」

 とルクスはそう思っていた。

 するとルクスはリーズシャルテが分解したであろう機竜を見た。

 「ああ・・・ちょっと実験でな。」

 「実験?」

 するとリーズシャルテはソード・デバイスを手に取ってこう命令した。

 「捕獲しろ!≪アームド・ワイアーム≫!」

 すると作業台の上に置いてあった機竜が巨大な腕になった。

 「なっ!!」

 そしてそれはルクスを捕まえた。

 「何ですか!!これは!!??」

 するとリーズシャルテはルクスにこう言った。

 「いやー。新しい技術としてな、機竜を変形する研究をしていたんだ。そしたらあるお願いをされてな。すまんルクス。」

 リーズシャルテはルクスに平謝りするとルクスはこう聞いた。

 「お願いって何ですかそれ!!」

 するとリーズシャルテは影になっている所からこう言った。

 「おい、ご指名だぞ。」

 そう言って影から出てきたのは・・・ノクトだった。

 「ノクト!!何で!!??」

 ルクスはそう聞くとノクトはこう返した。

 「YES 、今回私はゲームに関係ないですがある事が聞きたくてリーシャ様に協力してくれたんです。」

 そう言うとルクスは苦笑いでこう言った。

 「・・・ええと・・・聞きたければ普通に聞けばいいのに・・・

何、聞いたいことって?」 

 「YES 、それでは聞きます。」

 ルクスの問いにノクトはいつもの調子で答えた後沈痛な面持ちでこう聞いた。

 「ルクスさん・・・あなたは・・・『黒き英雄』何ですか?」




 その正体に対する答えは・・・希望か・・・絶望か・・・。


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疑問に答えて。

 貴方はなんて答える。


 「あなたは・・・『黒き英雄』何ですか?」

 「!!」

 ルクスは何故そんなことを聞くのかと思いながらも冷や汗を流していたのだ。

 「あはは・・・何でそう思うかな?」

 ルクスは苦笑いでそう言うとノクトはこう返した。

 「YES 、初めは先日のアビス騒動です。」

 ノクトはあの時のことを思い出した。

 「あの時ルクスさんは反乱軍諸共殲滅しましたが考えて下さい。・・・百機近い

機竜と十体以上ものアビスをたった一人で倒すことなど出来ますか?」

 ノクトの言葉にリーズシャルテは確かにと考えた。

 ルクスの機竜での戦闘経験は王都でのトーナメント試合での引き分け率から見るに

一流なら誰もが恐怖するだろう。

 この三年間誰もルクスを本当の意味で地に伏せたことがないのだから。

 「そしてここ最近でのルクスさんとの演習訓練でそれが確かなものに

なったのです。」

 「(あの自由人やっぱ一発殴ろ。)」

 ルクスはノクトの言葉にレリィをやっぱり殴ろうと考えたのです。

 「教えてくださいルクスさん。あなたはやっぱり・・・『黒き英雄』何ですか?」

 ノクトの言葉にルクスは少し考えた後こう言った。

 「そんなことないよ~~。もしそうなら僕が皇帝になってるよ。」

 あははははと笑いながらそう答えた。

 ルクスが『黒き英雄』ならばこの革命は只の皇位継承による内乱と各国が

納得するからである。

 そうノクトに説明するとノクトはこう答えた。

 「成程確かにそうですね。すみませんルクスさん、ご迷惑をおかけして。」

 「イヤいいんだよ。分ってくれればね。」

 ルクスはほっと一息つけるが突如ノクトがルクスの前に出てきた。

 「えっと・・・何かな?」

 ルクスはノクトに聞くとノクトはこう答えた。

 「YES 、折角なんで依頼書を戴こうかと。」

 「何で!!??」

 ノクトの答えにルクスは驚愕していた。

 目的は果たしたはずだよねと聞くとノクトはこう答えた。

 「アイリに持っていけばルクスさんは命令聞かずに済みますからね。」

 「ああなるほどな。」

 ノクトの答えにリーズシャルテは納得した。

 いかに強制力が高いものでも肉親ならばそう悪い事には使わないだろうと

認知したからだ。

 「それでは依頼書を確信っと・・・。」

 ノクトは機竜の間に腕を入れて依頼書を取ろうとするが当のルクスはと

いうと・・・。

 「ちょ、ちょっと待ってって!!それ違う其れ違うからって触らないでそこ

駄目だから!!??」

 ルクスの言葉にリーズシャルテはある部分を思い出してこう思った。

 「(あいつあそこを触られているのか・・・。面白いから暫く黙っとこ。)」

 意外に鬼畜な放置をするがしばらくするとルクスがノクトにこう言った。

 「依頼書は僕の上着の中だから機竜が挟まってて取れないんだよ。」

 そう言うがその時のルクスは顔が少し赤くなり少し息が乱れていた。

 「YES 、分かりました。リーシャ様すみませんが機竜を。」

 「おおう。分かった。」

 そう言ってリーズシャルテは精神操作で緩めた瞬間・・・ルクスは機竜の手からすり抜けて脱出した。

 「「あ。」」

 「ごめんね、ノクト!!」

 そのままルクスが走り去るのを見てノクトは追おうとすると後ろからリーズシャルテがノクトを止めた。

 「おおいノクト、ちょっと。」

 「NO、すみませんがルクスさんを追わないと。」

 「いやお前がルクスのどこを触っていたのかを言おうと思ってな。」

 「???」

 ノクトはリーズシャルテの近くに行くとリーズシャルテがノクトの耳元で

ある事を言うと・・・。

 「////////!!!!!!」ボン

 顔を赤くして失神した。

 そしてリーズシャルテはノクトをソファーに寝かすと誰かに向かってこう言った。

 「ああ、何故こいつが赤くなったかって?そりゃあ決まってるだろ?」

 するとリーズシャルテはサングラスをつけてこう言った。

 「処女だからさ。」

 ・・・きらりんとサングラスが光るのは誰かを意識してるのか・・・

誰にも分らない。




 リーズシャルテ「よし!この間の反乱軍の機竜の残骸使って大型の機竜を使って
 『ティアマト』が操れる機竜を作って・・・ぐへへへへへへ。」
 ルクス「それ最後に朽ちて死んじゃいますよ!!」


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羨ましい展開

 ルクス「いや色々とヤバかったんだけどね!!」
 知るかそんなもん。


何だか色々なものがなくなったような感じがするルクスはと言うと前屈みになって

逃走していた。(だって色々とタチそうだったもんね)

 「危なかったーー・・・。危うく・・・暴発しそうだったよ。」

 ナニがとは言わないがまああんなに触られればそうなるよね。

 現在ルクスは機竜格納庫の後ろ側にある草木の中に入って頃合いを見計らっていた。

 「時間は格納庫の時計が正しかったら後二十分でタイムアップなんだ。・・・

絶対逃げ切ってやる。」

 そしてあの自由人の頭に拳骨喰らわすと誓っている中・・・また不幸なことが

起きた。

 「・・・あ、ルーちゃんだ。」

 「どひゃあ!!って・・・フィルフィ!?何でここにいるの!?」

 ルクスはいつの間にか後ろにいたフィルフィ(ラスクを齧り乍ら)に向かって

驚きながらも聞くとフィルフィは少しだけむっとした顔でこう言った。

 「フィーちゃん、でしょ?」

 「え?ここでも!?」

 ルクスの言葉にフィルフィはコクっと首を振った。

 「ごめんねフィーちゃん。・・・でも何でこんなイベントに参加してんの?」

 正直フィルフィはこう言うイベントには興味がなかったはずだと思っていると

フィルフィはこう答えた。

 「・・・ケーキ・・・。」

 「・・・はい?」

 ルクスはフィルフィの言葉にあっけからんな事を言うとフィルフィはこう続けた。

 「お姉ちゃんがね『ルクス君捕まえてくれたら~~ご褒美にケーキ出すからね~~』

って言ったから。」

 「ケーキに釣られて参加するって君どんだけ甘党食いしん坊なんだよ!!」

 ルクスは地面を叩きながら突っ込んだ。

 「そういうわけだからねルーちゃん。いくよ?」

 そう言いながらもゆっくりとフィルフィが構えるがルクスは正直言ってフィルフィの格闘センスを過小評価していた。

 実際にフィルフィは神装機竜を持っているが展開した所を見たことがない為演習に

参加しないことから強引に通り抜けようと考えた。

 「フィーちゃん。危ないから・・・気を付けてね!」

 ルクスはそう言いながら走り出すとフィルフィはルクスが手前に来たことを

確認するとこう言った。 

 「じゃあ怪我させないようにするね。」

 そう言った瞬間・・・ルクスは地面に伏せられていた。

 「え?」

 現在ルクスは両手両足の関節を極めているため動くことが出来ず然も・・・

 「ぐおおおお・・・動けない・・・。」

 力任せに解こうとしても大人と子供の力の差のような感じがして動けなかった。

 「一応武術習ってたんだ。七年くらいかな?」

 「へえーー。そうなんだ・・・。」

 それを聞いた後ルクスは心の中でこう叫んでいた。

 「(いやいや待てよ!!こんなに強いってどんだけパワーあんのフィーちゃんって誰だよ教えたの!!世紀末の覇者か!?梁○泊の長老か!!??)」

 

 

 

 ・・・一方教えた人はと言うと・・・

 

 

 

 「ぶえっくし!!誰かが噂してるのかのーー。!!もしかしたらイケメンが

儂の噂を!!ぐへへへへへへへ・・・。」

 世界連合非加盟国の何処かの森の中で馬と一緒にどこかに行っているこの

黙っていれば美少女なのがフィルフィの師匠「マギアルカ・ゼン・ヴァンフリーク」であり見た目は美少女だが実際はフィルフィの姉でもあるレリィの旧友であると同時に

同い年と言う熟・・・

 「ア‘ア‘!!」

 ・・・いえ美女である。

 然もヴァンフリーク商会の当主でもあり裏ではギルゾレイク・ファミリーのボスと

言う二つの顔を持っている。

 そんな彼女が何故非加盟国にいるのかと言うと・・・

 「ボス~~。ほんとにこの辺り何ですか?」

 そうぶうたらたらしているのは鍔の伸びた黒い帽子を被ったまだ十四歳の幼さが残る少年がそう聞くとマギアルカはこう返した。

 「そう言うなアルマよ。もう直に着くわい。」

 この少年アルマ・ギルゾレイクと言いコードネームで正体を知っているのは

マギアルカ本人だけだがその勝利に対する貪欲性と荒々しい戦いっぷりから

≪ワイバーン≫の強化版≪エクス・ワイバーン≫を受領するほどの腕前でもある。

 「然しこんな非加盟国に神装機竜なんてあるんですか?」

 そう非加盟国は機竜が存在せずその力は二十年近く前の自分達の軍備力に相当するのだがマギアルカはアルマにこう言った。

 「ああそうじゃ、昔大きな戦いがあってのーそれで遺跡にはなかった機竜が発掘されとるんじゃ。これから行くところはそいつが封印されとる場所らしい。」

 マギアルカは裏からの確かな情報を頼りにある所へと向かった。

 同じ時にある機竜を持った少年を弟子にするという出会いがあるとは

知らずに・・・。

 

 

 

 そして新王国へと戻って・・・

 

 

 

 未だフィルフィに捕まっているルクスはというと・・・いろんな意味でピンチが

待っていた。

 「よかったねルーちゃん。一緒にケーキ食べれるね。」

 その時フィルフィは知ってか知らずか自分の胸をルクスの背中に当てるという色んな意味でのルクスの試練があった。

 「(うわあああーーーー!!フィルフィのってやっぱ大きくって柔らか・・・ってこの状況いつまで続くのって沈まれーーー!!

僕のソード・デバイス(意味深)!!!!)」

 普通の男性が見たら羨ましくなりそうな光景だがルクスにとっては

最悪な展開なのである。

 するとルクスの胸元から赤い依頼書が落ちているのに気付いてフィルフィが

取ろうとした。

 「あ、依頼書・・・。」

 その時力が緩んだことに気づいたルクスは拘束を無理やり解いて煩悩からも

脱出した。

 「ごめんね!!フィルフィ!!」

 そのまま脱兎の如く依頼書を回収してルクスはまた前屈みになって逃げた。

 ・・・タッテルカラネ。

 「余計なお世話だーーー!!!」




 このお話の中には自分が現在執筆停止している小説の今後のアイディアが
入っています。


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終了の合図。

 それがホントだと貴方は信じますか?


 「はあっ・・・はあっ・・・はあっ・・・もう嫌だ・・・。」

 ルクスの体力は精神および肉体的にもう限界であった。

 「ノクトには例の質問と手で僕のを揉むし、フィルフィなんかあの大きいのが

当たって僕のソード・デバイスが性的に起動しそうだったりこのままじゃー・・・

色んな意味で僕狂っちゃいそうだよ。」

 ルクスよ、よく言うだろう。

 ・・・楽になっちまえという悪魔の声に耳を傾けろと・・・

 「そこは傾けちゃダメだろ!!」

 こいつホントに性欲あるのか疑いがあるなあ、それだからホモ疑惑が

浮上しちゃうんだろ。

 「それ別世界って現在の僕じゃないだろごら!!」

 まあどうでもいいとして

 「よくない!!」

 さてさて最早体力が底を尽きかけたルクスはある事を思い出した。

 「(そういえば授業が終わっている今ならあそこ開いてるよな・・・?。)」

 そう思ってルクスは演習場の控室にへと向かった。

 演習場に入ったルクスはそっとドアを開けると誰もいないことを確認してから自分の着換え用の仕切り板の向こう側(普段はリーズシャルテが使っている)へと移動した。

 「やっと・・・休める。」

 ルクスは溜息をついてそこに座った後そこにある時計を確認した。

 「あと十分で終わる・・・ふふふ・・・レリィさん・・・覚えてろよ~~。」

 僅かな希望を確信したルクスは皮算用をしていると・・・ドアが開き始めた。

 「やば。」

 すぐに隠れたルクスは少し覗き込むと女子生徒が入ってきたのだ。

 「はあ・・・本当に嫌になるわね。ルクス君を捕まえるチャンスが水の泡。」

 「あはは、まあ仕方ないよ。機竜の修理が終わってるからちゃんと試運転しないと危ないって。」

 どうやら彼女たちはこの間のアビス及び反乱軍騒動の際に小・中破した機竜の試運転をしに来た『シヴァレス』のメンバーであろう。

 この時ルクスは最早ここ迄と思った。

 「(もうこうなったら大人しく投稿しよう。)」

 ルクスは覚悟を決めて出ようとした瞬間・・・彼女達が服を脱ぎ始めたのだ。

 「(よしやめよう!!)」

 直ぐに仕切りの向こう側に戻ったルクスはできれば音を聞かないように耳を塞ごうとすると一人の女生徒がこう聞いた。

 「そう言えば例の男の子のルクス・アーカディアって実際どんな子?」

 すると他の女生徒がこう言っていた。

 「ううん・・・話してみるとね物腰低くていい人ですよ。ほらこの間の演習だって

先輩達も評価してたでしょ?」

 「それに顔は可愛いしね。」

 「(そこ余計だろ!)」

 聞き耳立てていたルクスはその女生徒にツッコミをした。

 「まあ確かに腕はいいしそれにこの間の件については評価し甲斐があるけど・・・

セリス様がなんて言うやら。」

 ここの女生徒全員が知っていることだが団長であるセリスティア・ラルグリスは

男性嫌いで有名なのである。

 それについてどうするかで意見を言い合っている中ある少女が入ってきた。

 「あれクルルシファーさんどうしたの?」

 「ちょっと訓練しようかなっと思ってね。」

 「あ、じゃあマニュアルどこにあるか知りませんか?この部屋にあるはず

なんだけど?」

 「ああそれなら日に当たると傷むから奥に入れてあるわ。」

 するとクルルシファーの声が近くなっていることに気づいた。

 「(不味い!)」

 ルクスはさらに奥に行こうとした。

 「確かこの辺に・・・え?」

 「あ」

 ルクスとクルルシファーはお互い目があったのだ。

 当然クルルシファーは下着のみでルクスはそれを見た瞬間こう思った。

 「(オワタ。)」

 ルクスは覚悟を決めて出ようとした瞬間クルルシファーはマニュアルをもって

そのまま戻っていった。

 「へ?」

 「やっぱりやめておくわ。今日は≪ファフニール≫の点検していたの忘れてたわ。」

 「あ、じゃあ私達は行くね。」

 そう言って女生徒達が出るとクルルシファーは制服を着直してルクスにこう言った。

 「もういいわよ。可愛い覗き魔の前科持ちさん。」

 するとルクスは苦笑いで出てこう言った。

 「まだそのネタ引っ張るんですね。・・・それとありがとうございました。

でもなんで助けたんです。」

 そう聞くとクルルシファーはこう返した。

 「あなたはまだ私の依頼を達成してないのが一番だし、それにここに来た理由は恐らく例のイベント絡だと分かってるしね。」

 「・・・そうなんです(´;ω;`)。」

 ルクスは涙目でそう言うとクルルシファーはこう言った。

 「(泣く程ってどういう目にあったのかしら?)安心しなさい。さっき終了の鐘が鳴ったみたいだから。」

 クルルシファーは心の中でちょっと同情する中イベント終了を告げるとルクスは

笑いながらこう言っていた。

 「ふふふふふふふ・・・レリィさんめ・・・どうお返ししてやろうか・・・。」

 不気味な笑いに流石のクルルシファーも少し後ずさりするほどであった。

 するとクルルシファーはルクスにこう聞いた。

 「そ・・・そういうことで依頼書を出しておいたら。後で捨てておくから。」

 「何から何までありがとうございます。」

 そう言ってルクスは依頼書を出すとクルルシファーはこう言った。

 「はい・・・ありがとう。」

 「終了ーーー!!今依頼書を持っている人がルクス君を一週間好きに

できますよーーー!!」

 係員らしい女生徒の声が鐘の音と共に告げるとルクスはそれに驚いた。

 「ええっ!!もう終わったはずじゃあ・・・!!!」

 ルクスはクルルシファーの方を向くとクルルシファー時計の針を・・・弄っていた。

 「いろいろと気を付けたほうが良いわよ・・・ルクス君(^_-)-☆。」

 それに気づいたルクスは手を頭に乗せてこう絶叫した。

 「騙されたーーーー!!!」

 今までの苦労が一気に襲ってきてそのままOrzした。

 そしてクルルシファーはルクスにこう言った。

 「それじゃあ依頼してもらうわね、早速。」

 「・・・はい・・・。」

 最早返事する気力も湧かないルクスは僅かな力を振り絞って言うとクルルシファーはルクスに近づいてこう言った。

 「今日から一週間、私の恋人になってほしいの。」

 「・・・はい?」

 『『『『『きゃーーー!!!』』』』』

 ルクスの返事は周りにいた少女達の悲鳴でかき消されるもクルルシファーはルクスにこう言った。

 「これからよろしくね。ルクス君。」

 又ひと騒動が起きるなと直感したルクスであった。




 次回はアイリの説教から始まるよ。


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お仕置き。

 アイリ「その前に尋問です。」
 ルクス「ひい!!」


 女子寮の一室には3人の人影があった。

 「それで兄さん・・・ノクトにナニしたんです?」

 一人は黒いオーラを出しながら笑顔で聞くアイリ。

 「ええとね・・・まあ色々と。」

 石床に罪人のように正座するルクス

 「ルクスさんの・・・ルクスさんの・・・。」

 真っ赤な顔をして気を失いながらベッドで寝ているノクト

 あのイベントの最中にリーズシャルテからアトリエに来るように言われたアイリは

ノクトの状態とこの言葉によるものでルクスに問いただそうとしていた。

 「あら・・・その色々って・・・ナンデショウネ。」

 最早オーラが人間が出ているものとは思えないほどの質量を持っており周りの空間が歪んでいるように見えた。

 「・・・話すとこうなんだ。」

 ルクスはノクトから聞かれた質問とその後にナニをされたかについて懇切丁寧に

答えた。

 それを聞いた後アイリのオーラが消えて溜息を吐いた。

 「そうですか・・・まあ兄さんにしてはちゃんとした答えですし

私達の目的のためには仕方がない事ですね。」

 それにとアイリはルクスにこう言った。

 「ノクトの作戦も一理ありますしね、私のところならばそう変な依頼は

しませんしね。」

 然しとアイリはこう続けた。

 「まさかクルルシファーさんがそんな依頼をするのは意外ですね。・・・兄さんに前依頼した事も含めて調べる必要が出てきましたからそちらは任せてください。」

 アイリが考えながらそう言うとルクスはこう返した。

 「うんまあ今迄通りの依頼になると思うけど僕もできる限り分かったら

報告するよ。」

 そう言いながらルクスは石床から立ち上がろうとするとアイリが・・・

笑顔でこう言った。

 「あらどこ行くんです?兄さん。」

 「へ?」

 ルクスが間の抜けた声を出すと目の前には黒いオーラを出しながら笑顔に言う

アイリの姿があった。

 「え、えと・・・アイリ・・・さん?」

 ルクスがアイリに聞くとアイリは笑顔でこう言った。

 「それはそれ、これはこれ、ノクトの件については・・・一発ぶん殴られてくれますよね・・・ニイサン。」

 そう言いながらアイリが構えようとするとルクスはアイリの右腕と後ろのナニカに

注目した。

 右腕は黒いオーラが集中してまるで黒い球体のように集中していた。

 そしてアイリの後ろから・・・胸に七つの傷がついた男性が怒りの表情で

こっちを見ていた。

 「ちょっとアイリさん!!何か腕が真っ黒に染まっているんですけどって言うか

誰そこの男性!!何か僕殺されそうなんですけど!!!!」

 ルクスがそう言いながら下がろうとするとアイリはにっこりと満面の笑みで

こう言った。

 「吹き飛べ。」

 『ト○の下へと還れ!!ラ○ウ!!』

 後ろの男性がそう言いながらその腕を振り降ろそうとした。

 「ちょっと待ってって!!ラ○ウってだr!!」

 そしてアイリの一発でルクスはドアをぶち破って壁に顔から激突した。

 そしてアイリの顔は周りの人達に見せる笑顔にへと戻ってこう言った。

 「ああ~~、スッキリした(^^♪」

 そう言いながらドアを閉めるアイリだが廊下にあったのは血まみれの壁と・・・顔が血で真っ赤に染まった・・・ルクスだけだった。




 作者「・・・死んだか?」
 ルクス「まだ生きてるわ!!」
 ちゃんちゃん。


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依頼の目的

 リーズシャルテ「見た目は中性的な少年。素顔は幾つもの仮面を被った男。
 その名も最弱無敗な名○偵ルクス・アーカディア!!」
 ルクス「これってどこぞの長寿アニメをパクッテません!!」


 アイリのアイの鉄拳を喰らって九死に一生を得たルクスはあの後もフラフラに

なりながらも雑用をやりこなしも夕食を食べて就寝して次の朝。

 その日ルクスは早く起きて今日のチェックをするために大広間に行くと丁度

クルルシファーが座っていた。

 「あらおはようルクス君。」

 「ああおはようございます。クルルシファーさん。」

 するとクルルシファーは少し笑ってこう言った。

 「あら恋人同士なんだからもう少しフランクに話しても良いんじゃないんかしら?」

 「それならそちらが君付けをやめるべきでしょ?」

 「・・・それもそうね。」

 お互いそう言いながらルクスが席に着くとルクスはクルルシファーの目的を

聞こうとした。

 「それで何で僕にあんな依頼をしたかについて説明してもらいますよ。」

 「あら何でそんなこと聞くのかしら?」

 クルルシファーが首を傾げるとルクスはクルルシファーにこう聞いた。

 「貴方は最初『黒き英雄』を見つけてほしいと頼み、そして僕に恋人役にしようとしたのは何か思惑があるんじゃないんですか?」

 そしてルクスは当てずっぽうだがこう推理した。

 「例えば・・・家からの結婚相手が嫌だとか?」

 「!!・・・どうしてそれを聞くのかしら?」

 クルルシファーは目を一瞬見開いた後再び冷静な顔つきでそう聞くとルクスは

こう続けた。

 「先ずは貴方がユミル教国から新王国に来たのはドラグナイトとしての知識と技術を学ぶためと表向きに言っていますがそんなの本国でも出来ることですし神装機竜を持てるぐらいの実力者がこんな出来立ての国に他に目的があるとすれば2つ。」

 ルクスは指を二本出してこう言った。

 「先ず一つは新王国の内部情勢と軍関係の調査、出来る事なら遺跡調査で手に入れた情報を本国にも耳に入れるようにして『黒き英雄』をそちら側に取り込もうとする。

これが一つ目。」

 そして指を一本折るともう一つの可能性を示唆した。

 「二つ目が貴方の実家であるエインフォルク家が新王国とのパイプを作るという事、つまるところ政略結婚ですが貴方はそう言う面倒ごとをなくすために旧帝国の皇子であった僕を代わりに紹介して結婚相手を諦めさせるって言うシナリオだと思いますが

間違いはありますか?クルルシファー・エインフォルクさん?」

 最後にルクスが笑顔で聞くとクルルシファーは両手を上げてこう言った。

 「二番目が正解よ。よく私の目的を考え付いたものね。」

 「いやーー。帝国時代に政略結婚なんて日常茶飯事なことですからこれくらい

わかりますよ。」

 はははと笑いながら言うルクスにクルルシファーはこう付け加えた。

 「実は数日後に実家から従者が来るからそれまでに何とかしなきゃと思った時に

あのイベントが耳に入ってね、それで考えたのよ。」

 そしてルクスは依頼の細かい内容を口にした。

 「つまり僕はその従者の目を誤魔化そうって言う事ですね。」

 そしてクルルシファーは右手を差し出してこう言った。

 「つまり私達は一周間の間共犯者になるってこと。よろしくねルクス。」

 そしてルクスも右手を出してこう言った。

 「ええ、こちらこそよろしくお願いしますね。クルルシファー。」

 お互い握手を重ねたことにより奇妙な期間限定カップルが人知れず出来たという事を知る者はいない。




 ルクス「さてと・・・報酬についてのご相談についてですが・・・。」
 クルルシファー「あら私の下着姿じゃ足りないのかしら?」
 ルクス「なっ////////!!!!!!」
 クルルシファー「(ヤバい面白い。)」


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秘密の場所

 アイリ「決してお化け蛇が出るところではありませんよ。」
 ルクス「それ魔法学校!!」


 ルクスとクルルシファーは契約についての相談をした後クルルシファーと食事(色んな生徒に見られた。)したり昼休みを共に過ごしたりして雑用と同時進行で続けて

終わった後アイリから図書室に来るように言われたが時間は夜中だった。

 図書館は校舎とは別になっているため真夜中にアカデミーの中を歩くわけだが

ルクスはハートランドシティの学校の怪談話を思い出しながら歩いていた。

 すると途中でアイリが待っていたのでルクスはアイリに着いて裏口から入った。

 図書館は雑用で司書関係(その後に古くなった本を民に安く借りる貸本屋を開いて

リサイクルを教えた。)の仕事も入る為それ関係と思っていた。

 そしてルクスはアイリに聞いた。

 「ねえアイリ?もしかして古くなった本の入れ替えとかかな?それなら

夕方でも良かったと思うけど。」

 するとアイリはルクスにこう言った。

 「いいえ兄さん。仕事はこの先ですよ。」

 そう言って書庫の通路を抜けて突き当りの扉に着くと裏口から入った鍵とは別の鍵を使って開けた。

 それは地下にへと続く階段がありそこを降りると石造りの広い空間がそこにあった。

 「うわああ・・・図書室の地下にこんなただっ広い部屋があるなんて・・・

どう考えても真っ当な目的の場所じゃないなここ。」

 目に映るは本だけではなく鉄製の作業台や昇華用の炉、幾つかの実験道具などが

置かれていた。

 「ここが遺跡の情報や物資を研究するところで機竜関係をリーズシャルテ様が、

そして私はここでたまにですが古代文字の解読をする際に使っていて

ここの責任者が・・・。」

 「待っていたわよ。ルクス君、アイリちゃん。」

 「・・・レリィ学園長です。」

 するとルクスはレリィの所まで走り出した。

 そうとも関わらずレリィはルクスにこう聞いた。

 「ルクス君。フィルフィの事構ってくれてるかしら?襲ってくれてるなら私にとってうれしいニューs・・・ぷぎゃっ!!」

 何をしたかと言うとルクスはレリィに飛び蹴りをしようとして跳ぶレリィは

さっと避けて難を逃れようとすると時間差で何かの本がレリィの顔に当たったのだ。

 因みに投げたのはアイリである。

 するとレリィは当たった場所を痛がるように撫でながらこう抗議した。

 「ちょっと待って!!私が何したって言うのよ!!??然も本でって

これ地味に痛ぎ!!!」

 今度はルクスが後ろから拳骨をお見舞いした。

 何でと思って後ろを見ると目のハイライトが消えているルクスがいた。

 そして前からも黒いオーラを出しながら笑顔で笑いながらやって来る

アイリがいたのだ。

 それを見てレリィは少し震えているとルクスはレリィにこう言った。

 「さてと・・・レリィさん。」

 「は、はい!!」

 ルクスの言葉にレリィは直立不動で姿勢を正すとルクスはこう聞いた。

 「さてと・・・どうして僕らが怒っているのか・・・ワカリマスネ。」

 レリィは蒼い顔をして冷や汗を掻いているとアイリがこう言った。

 「この間の兄さんの件で私のルームメイトが色んな意味でかわいそうな思いを

したんで・・・スコシオシオキシナイトキガスマナインデスヨネ。」

 最早弁護も意味がないと思ったレリィは二人にこう言った。

 「あのね・・・二人とも・・・あれはね・・・。」

 「「アレハ・・・。」」

 そしてレリィはこう言った。

 「私の悪ふざけです。」てへぺろ

 そして一瞬の間をおいて二人は同時にこう言った。

 「「それが遺言ダナ。」」

 「許してーーーー!!!!」

 この後何か色々とレリィは恐怖を覚える事となった。




 レリィ「・・・・・・ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ。」
 少し壁際で体操座りして震えているレリィがそこにいた。


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お仕置き兼説明

 レリィ「タスケテーーーー!!!!」
 ルクスとアイリ「「さあ!!お前の罪を数えろ!!」」


「うううう、・・・許してよ二人とも~~。」

 現在レリィは幾つものたん瘤が頭の上で団子のように積み上がった状態で足に重い物を載せられた状態で正座させられていた。

 「さてとレリィさん、明日も早いので説明してくれませんか?このままで。」

 ルクスはレリィに正座させた状態で説明するように求められたことにレリィは

ガーン(;゚Д゚)とした表情でこう言った。

 「そんな殺生な事言わないでよルクス君!!これきついし足痛いし

重要な話なのよ!!」

 「大丈夫ですよレリィさん、レリィさんが言ってる状況をアイリが説明すれば

いいんだから。」

 レリィの抗議に対してルクスはまるで家畜を見るかのような蔑んだ目の言葉に

もう泣きたいくらいの表情をしているが心の中でこう思っていた。

 「(ううううう・・・ルクス君がこんな事言うなんて昔は思ってなかったのに

一体どんなところで育ったのかしら・・・(;´Д`)・・・でも何なのかしら

この感じ・・・ルクス君がこんな表情で見られることが・・・凄いキモチイイワ。)」

 レリィは如何やら色んな意味で駄目な所に堕ち始めようとしていた。

 「それでレリィさん、兄さんに話したいことって何なのかしら?」

 すると横からアイリが横から言ってきたので意識を取り戻した。

 「ああそれはね、アイリちゃん私のテーブルの上に小さな箱があるから机の棚の中にある鍵を出してもらえないかしら?」

 そう言ってアイリは棚から鍵を出すとそれが特注である事に気づいたルクスは

その中身を見ようとした。

 その中に入っていたのは・・・嘗てベルベット・バルトが使っていた角笛だった。

 「それの出所が何処か不明。上層部に報告した後ラフィ女王陛下から解析と研究を進めるように依頼されたのよ。」

 ここからなら遺跡にも近いしねと正座しながらなのであまりシリアスではないが

レリィがそう言った後ルクスにこう言った。

 「ルクス君、実はここ数日の間に大陸でちょっとした動きが見られるのよ。だから『シヴァレス』のメンバーに今度遺跡調査することになったんだけどね。」

 そう言うとアイリの方に顔を向けてお願いと説明を丸投げした。

 「はあ~~。最深層に行くためには『鍵』と呼ばれる存在が必要でありこの角笛が

その鍵であると同時にアビスから身を守る通行許可書じゃないかと言う実験も兼ねて兄さんにこれを預かってほしいという事です。」

 アイリはそう言って角笛をルクスに差し出すようにするとルクスはレリィに

こう聞いた。

 「でもこれってリーシャ様が持っていた方がいい気がしますよ。」

 「その心配はないわ。ホントはリーズシャルテ様に出す予定だったんだけど、

『実験が失敗したらどうするんだ。』って他のお偉いさんたちから

文句言われたから。」

 ルクスの疑問にレリィが答えて納得したルクスは角笛を取るとこう言った。

 「わかりました。それでは調査までお借りしますんで。それともういいですよ?」

 「え、ホント!。」

 ルクスの言葉にレリィは足を崩すとルクスはこう言った。

 「ええ・・・僕はね。」

 「え?」

 ルクスの言葉にレリィは何故と思うと自身の真ん前にアイリが黒いオーラを出しながら笑顔で立っていたことに気づくとルクスは扉の前でこう言った。

 「それじゃあ扉シメテオキマスンデゴユックリ。」

 そういいながら扉が閉まっていきながらレリィはアイリにこう聞いた。

 「(ガタガタ)・・・まだ何かあるの?」(;´Д`)

 「ええそうですね・・・私の・・・個人的恨みです♪♪」

 「そんな酷い!!ぎゃあああああ!!!!」

 扉一枚の向こうではレリィの叫びが地下いっぱいに広がったとは生徒たちはは誰も

知らない。




 レリィ「ルクス君・・・もっとイジメテ///」
 ルクス「ちょっとあんた何やってんの!!??」


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時代遅れな男性教官。

 今回はあの男性たちが来ます。


 「ねえ、ルクス君。一緒にお昼、食べても良いかしら?」

 「あ、うん良いよ。」

 ルクスが遺跡調査の事を考えている中クルルシファーが昼食を一緒に食べないかと誘ったところルクスはそれに同意するがそれは恋人役と言う設定だが周りの女生徒達がざわめき立った。

 「やはり冗談じゃなかったのね。クルルシファーさん。」

 「あの彼女がここ迄積極的になれるなんて・・・。」

 「本気ね彼女。」

 「(このやり取りめっちゃ注目されとるし!!)」

 然もこれは昼休みが終わるまで続くのだ。

 

 

 

 そして午後の授業は演習場で行われる実戦形式であった。

 「それでは、今日は二週間後に行われる校内選抜戦へ向けての実技演習だが・・。」

 ライグリィ教官は遺跡調査に伴う国家間の取り決めにより数か月に一度行われる校外対抗戦の為出場者を決めるための訓練をするのだが何やらあまり気乗りが

しないようだ。

 「本日は王都の軍から三名のドラグナイトが臨時講師として来ているからこの機会にしっかりと学ぶように。」

 ライグリィ教官の紹介と同時にきたのは装衣の上に正規軍のマントを着た厳つい顔の男性三人だったが彼らは装衣を纏った女生徒達をジロジロと見るとこう言った。

 「ふん、設立して間もない女生徒だけのアカデミーか。普段からまともな訓練をしていないとみるな。」

 「まだ、教育課程中ですので。」

 ライグリィ教官は男性の一人に対して事務的口調で言うと他の男性たちが

こう言った。

 「いやいやライグリィ殿。戦いの厳しさを伝えて女如きが男に敵うはずないと

教えるべきです。」

 「そうですとも。二週間前の軍事演習程度で調子に乗られては困りますぞ。この機会に実践の厳しさをしっかり指導しなくては。」

 その言葉に全生徒の表情が強張るとライグリィ教官が毅然とした態度でこう言った。

 「危険な真似をしてはなりませんよ。私の生徒ですから。」

 然し男の一人がこう言った。

 「勿論気を付けますが・・・本場の訓練は少し手荒いですよ。」

 

 

 

 その後訓練が始まったが男性陣の荒っぽい絡み方でライグリィ教官は落ち着かない

様子で見守っていた。

 それを見ていたルクスは嫌な顔でこう言った。

 「あいつらホントに軍人か?」

 するとクルルシファーがルクスにこう言った。

 「あの臨時教官たちは前々からここに来たかったらしいわよ。」

 目的が何なのかわかるかしらと聞くとルクスはこう答えた。

 「ドラグナイトは元々男性の花形でしたからね。それに女性が優位だという事で踏み込んできたのが気に入らないからでしょう。」

 幼稚な発想ですけどねというとクルルシファーはにっこりと笑ってこう言った。

 「正解よ。さらに言えば彼らはこの間の演習で『シヴァレス』団長の

『セリスティア・ラルグリス』が圧倒的な実力差で勝ったからそれもあって今回に

至るってわけよ。」

 それを聞いたルクスは阿保らしいなと思っている中クルルシファーはこう言った。

 「結局人間なんて簡単には変われないってことよ。」




 ルクス「次回は僕が彼らをぼっこぼこに殴り飛ばすよ。」
 作者「手加減0でね。」


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彼らが踏んだのは暴竜の尻尾

 世の中って・・・滅多に起こらない人ほど怖いよね。


「きゃあああっ!!」

 機竜を纏った女生徒の一人が撃ち落とされ、地面に墜落したのだ。

 「ハハハハハ!!士官候補生もこの程度とわな!!」

 彼ら男性三人は指導と称して無理やり模擬戦を行っていたのだ。

 それにとうとう腹を立てた≪ワイアーム≫を纏った女生徒がこう言った。

 「ちょっと!いい加減にしてくださいよ!!さっきから見ていれば授業で

習っていない攻撃したり倒れた生徒に追撃するなんてこんなの訓練じゃありません!」

 すると男の一人が嘲りの笑顔を浮かべてこう言った。

 「はん!流石新王国のお嬢様だ!!戦いの特訓でも自分達を気遣えと

言っているのか?貴様ら全員放課後までたっぷり可愛がってやるぜ!!」

 すると啖呵を切った女生徒が男性に向かって一直線にブレードを振るが・・・相手方は上手く引いて装甲の手首を切り裂いた。

 「えっ?」

 女生徒の声と共に男性はこう言った。

 「修行が足りないぜ。お嬢様。」

 そのまま武器を振り落とそうとすると・・・バシッとドラグライドの腕が何かに

掴まれた。

 「ん・・・何だお前は?」

 「いい加減にしろよドクズガ。」

 ルクスの機竜≪ライズ・ワイバーン≫がそれを止めるとルクスがそう言ったことに

男性がこう言った。

 「はっ!誰かと思えば旧帝国の雑用皇子か。草むしりでもしに来たのか?」

 人を小ばかにした態度にルクスはこう返した。

 「そういうあなたはこの間の模擬演習でその女風情にコテンパンにやられた

雑魚でしょ。」

 「なっ!!」

 そう言いながら男性が下がって行くのを見ながらルクスはこう続けた。

 「しかしまあ大の男が揃いも揃って女生徒に鬱憤晴らしでこんな所に来るなって余程閑職な所なんでしょうね。」

 「何だと!!」

 「俺達は新王国の軍人なんだぞ!!」

 「この咎人の雑用皇子風情が!!」

 男たちがルクスに対して罵倒を浴びせるとルクスは素知らぬ顔でこう言った。

 「それならあんたらは新王国に負けてその新王国に尻尾振ってる駄犬でしょう。」

 「「「何!!!」」」

 ルクスの罵倒が男たちの怒りを露わにすると周りにいる少女達が笑いを

押し殺していた。

 「ぷぷぷ・・・。」

 「駄犬って・・・。」

 それを見た男たちはルクスに向かってこう言った。

 「なら決闘しようぜ。俺達三人相手にな。ああそれと俺達は・・・。」

 「三人もいながら尚もハンデ貰おうとするなんて旧帝国時代でも余程の

雑魚だったんですね。」

 リーダー格の男が何かを言いかけるとルクスは考えを呼んだだけではなく更に挑発も行ったのである。

 するとリーダー格の男が真っ赤になってこう怒鳴った。

 「手前!!ぶっ殺してやる!!」

 すると≪ワイバーン≫を纏った痩せた男が上空からルクスの背後に入ろうとした瞬間

ルクスはそれを察知して背部のキャノンを展開して射撃した。

 「ドワッ!!」

 男がそれを避けた瞬間目の前にルクスがいたことに気づいた瞬間肘をそのまま相手の顔の顎に叩きつけた。

 「グフェッ!!」

 そしてルクスはそのまま回し蹴りの応用でそのまま叩き落した。

 「グギャッ!!」

 次にルクスはそのまま上空から筋肉質の纏った≪ワイアーム≫目掛けて

突っ込んできた。

 「馬鹿メ!!」

 男がキャノンをルクスに照準を合わせようとするとまたルクスが消えた。

 「ど、どこだ!!」

 「ここだよのろま。」

 男が慌ててルクスを探すと後ろからルクスの声がしたので後ろを向くとブレスガンを構えていたルクスがそこにいた。

 そしてルクスは前に行こうとする男よりも先に≪ワイアーム≫の車輪に目がけて

撃ちまくった。

 「ドワッ!!」

 ≪ワイアーム≫の車輪が壊れたことで移動速度が落ちてしまいその間にルクスは足を

前にして・・・飛び蹴りのように相手目掛けて蹴った。

 「グフェッ!!」

 そしてそのまま観客席の壁に目掛けて突っ込んだ。

 「うおえ・・・」

 そしてルクスは≪ドレイク≫を纏っている男を見てこう言った。

 「まだやるか?」

 「ぐっ・・・。」

 男は歯ぎしりをしてルクスを見ているが周りの男たちも流石に恐怖した。

 これまでのルクスはカウンターに特化した戦術を基本としており「最弱無敗」もそれから起因しているが男たちはルクスの攻撃力を軽視していたため他のドラグナイト達のようにルクスの攻撃力の高さを理解していなかった。

 今やルクスは「最弱無敗」ではなく「最速最強」が素晴らしいほどの力であった。

 

 

 

 「いやー。相変わらず見ほれるねぇ。ルクっちの速さは。」

 観客席の前で障壁係を担当するティルファーが観戦しながらそう呟くと

ティルファーがこう考えた。

 「そういやなんでルクっちって何でああやって消えたりできるんだろう。」

 「それは彼の飛行方法が特殊だからよ。」

 その言葉にクルルシファーがそう答えた。

 「え・・・どゆこと。」

 「本来≪ワイバーン≫は推進出力を上下させながら相手に合わせるけどルクス君はそれに上昇と下降に加えて相手の視線に応じて縦横にもブレさせることで相手の視線を混乱させることで見えない状況が出来るのよ。」

 ティルファーの疑問に答えたクルルシファーだったが内心冷や汗をかきながら

彼女はこう思っていた。

 「(でも普通そんなこと出来ないしやれって言われても成功率は1、2割

あるかないかだしそれに私の神装も対応できるか困ったものね。)」

 「この分だとルクスが勝つな。・・・だが嫌な予感がするな。」

 リーズシャルテがそう口ずさむとそれが確信に変わったのはそれから暫く経ったことだった。

 

 

 

 リーダー格の男がルクスにライフルを向けた瞬間竜声でルクスにのみ対象を

絞るとこう言った。

 「いいか・・・躱すなよ?」

 リーダー格の男が笑いながらそう言うと・・・射出したライフルの光弾が、ルクスの背後の観客席に当たった。

 「きゃあああっ!!」

 「うわっ・・・・。」

 「ティルファー!!」

 間一髪だったが障壁係であったティルファーに直撃して体勢を崩した。

 すると撃った男が笑いながらこう言った。

 「おっと済まないな。中々当たらないから外れちまったよ。」

 「・・・ア‘ア‘‘」

 コイツイマナニシタ?

 するとリーダー格の男が竜声でこう言った。

 「躱すなって言うのは防ぐなって意味だ。」

 ボクヲ・・・タオスタメニカンケイナイヤツネラッタノカ?

 「次は三人で畳みかける。」

 コンナレンチュウガグンダト?

 「もしお前が。」

 コイツラゼンイン。

 「再び躱すものなら。」

 コロス。

 ルクスの頭がナニカ切れた瞬間・・・それが起きた。

 「もう一度後ろn・・・。」

 リーダー格の男が言い終わる前にルクスが見えなくなった瞬間・・・

ライフルを持っていた機竜の腕がなくなっていたことに気づくと腕が何故か熱く感じることに気づき見ると自分の右腕が膝から下が焦げていることに気づいた瞬間・・・

発火した。

 「ぎゃああああああ!!!!!」

 リーダー格の男が悲鳴を上げた瞬間更に炎が強く燃え上がった。

 「アツい!!アツい!!アツい!!」

 ≪ドレイク≫から降りようとした瞬間上から何かが当たった。

 「クルルシファーか!!」

 クルルシファーの機体≪ファフニール≫がライフルを構えていた。

 そしてそれを見ると片足と燃えていた部分が鎮火しているのをほっとしていると

クルルシファーはルクスの方を見て恐怖した。

 目の前にいるのは人当たりのいい青年ではなく向かってくる敵を全員恐怖を宿させながら殺す暴竜のように見えた。

 そして今度はキャノンを構えようとした≪ワイアーム≫を見てそれ目掛けて

突進してきた。

 「ひっ!!」

 筋肉質の男が恐怖した。

 先の反乱軍鎮圧の際にアビス諸共殺した機竜は障壁が発生する前に殺されたという

噂を聞いたことがありそれを間近で見た瞬間恐怖でトリガーが弾けなくなっており次の瞬間機竜の両腕だけが斬られた。

 男はほっとするとそのままルクスは≪ワイアーム≫を切り裂き始めた。

 「ちょっとまtぎゃ!!」

 目にもとまらぬ速さで切り裂かれておりじわじわと装甲を切り裂き続けた。

 そしてとうとう≪ワイアーム≫の装甲が意味をなさなくなった時ルクスはそのまま

パンチして壁際に詰めるとブレスガンを腹に当てていた。

 「や、やめt・・・。」

 「キエロ。」

 そのままルクスはブレスガンを0距離で撃ち続けた。

 そして気を失う前に背部のキャノンを展開してこれも0距離で撃った。

 「ぎ!!・・・」

 「きゃあああっ!!」

 そのまま観客席にめり込む形で失神しルクスは上空にいる≪ワイバーン≫に

目を向けた。

 「ひっ!!来るな嗚呼!!!」

 痩せた男はブレスガンを考えもなしに撃ちまくるが当たることなくルクスはその男の目の前に入った。

 「ひえ!!」

 男が悲鳴を上げた瞬間ブレスガンを持っていた腕の手首だけ斬り取ったルクスはそのまま背面部の翼とスラスター、両腕の関節を破壊した後ルクスはそのまま≪ワイバーン≫の足を掴んでそのまま飛んで行った。

 そして新王国の遥か上空に着くとそのまま・・・投げ飛ばした。

 「ぎゃああああああ!!!!!」

 ≪ワイバーン≫のスラスターは殆どが破壊されて浮かすことが出来なければ腕が動かせなくなっておりそのまま下にへと落ちて行った。

 

 

 一方演習場では・・。

 「なんかイやな予感がするなあ。」

 リーズシャルテがそう呟くとクルルシファーがナニカを見つけた。

 それは・・・。

 「ひぎいいいいいい!!!!!!」

 ルクスが投げ飛ばした男がやってきたのだ。

 それを見たクルルシファーはリーズシャルテに報告するとリーズシャルテは

全員にこう言った。

 「皆物陰に隠れて伏せろーーーー!!!!」

 そして全員が物陰に伏せた。

 

 

 

 そして痩せた男がクルルシファーを見つけてキャッチさせてもらおうとした瞬間全員に聞き届けるように竜声でこう言った。

 「クルルシファーさん、ヨケテーーー(棒読み)」

 そのままルクスは痩せた男に速度を+した蹴りをお見舞いして更にスピードを速めた。

 「ぐお!!!」

 そして更に速さが+されそのまま・・・地面に叩きつけられた。

 「きゃあああーーーーー!!!!!!」

 爆炎のように砂埃が舞いリーズシャルテが≪ティアマト≫で中心地に向かうとそこにいたのは・・・全身の関節があらぬ方向に曲がりながらも失神した男がいた。

(機竜は木端微塵)

 「・・・ぐお・・・。」

 その衝撃でかリーダー格の男が目を覚ますとそこにあるのは・・・ボロボロになって横たわる仲間であった。

 「な、何がどうなって・・・。」

 「これがお前たちがやってきた報いだ。」

 リーダー格の男が茫然とする中ライグリィ教官がリーダー格の男の目の前で

そう言った。

 「何だと!!」

 「そう言えば貴様、態と観客席に狙いを定めたようだな。それでルクスがキレてこうなったのだ。」

 そしてライグリィ教官はこう畳みかけた。

 「今回の事も踏まえて上層部に報告させてもらおう。今度は忠誠程度では

出られんぞ。」

 そういうとリーダー格の男が歯ぎしりしながらこう言った。

 「女風情が!!粋がるんじゃねえ!!」

 残った左腕を使ってライグリィ教官目掛けて叩き潰そうとした。

 「ライグリィ教官!!」

 リーズシャルテが≪ティアマト≫の≪レギオン≫を使おうとした瞬間・・・ルクスがリーダー格の男の機竜の左側もろとも押しつぶした。

 「ぐはっ!!」

 リーダー格の男がせき込むとルクスは持っていた二丁のブレスガンでもう片方の足を潰すとルクスはリーダー格の男にこう言った。

 「何武器の無い人間狙ってんだ。ドクズガ。」

 そう言いながらルクスは二丁のブレスガンと背部のキャノン、そして頭部の

エネルギーを充填し始めた。

 それに気づいたリーダー格の男がこう言った。

 「ま、待て待て雑用皇子、俺を殺したら軍の人間が黙っちゃいねえぞ!」

 「それがどうした。」

 リーダー格の男の言葉をバッサリと切り裂きながらも充填し続けた。

 「ちょっと待てよ!!もう二度とここには来ねえし、もう関わらねえからよ!!」

 「喧しいぞ。」

 にべもなく斬り捨てながらも充填している影響か武器が光り輝き弾けた。

 「やめてくれえ!!ゆるして!!ゆるして!!ゆるしてください!!」

 「軍人なら腹括れよ。」

 リーダー格の男の顔が涙と涎で溢れてもルクスは聞く耳を持っていなかった。

 「・・・リーシャ様。」

 「はい!!」

 ルクスの声にリーズシャルテは何故か逆らえないようなので敬語で返事した。

 「ライグリィ教官を遠くに離してください。今すぐ。」

 「了解しました!!」

 礼儀正しく(?)返事してライグリィ教官を離れさせるとルクスは無表情で

こう言った。

 「・・・ハウリングロウ。」

 「やm・・・」

 リーダー格の男が最後に見たのはエネルギーの奔流の中で無表情にこちらを

見続けていたルクスの顔であった。

 そして爆発と同時に巨大な爆炎の中心にいたのは・・・上下ともに涙と涎と小水を

ぶちかましながら失神したリーダー格の男と・・・。

 「・・・いやーー。いい汗かいた。(^^♪」

 スッキリした顔で女生徒達の所へと帰るルクスがいた。

 そしてルクスはティルファーの下に向かうとこう言った。

 「ティルファー・・・懲らしめてきたよ(^^♪」

 「う、・・・うん・・・ありがとう?」

 正直なんて言ったらいいか分からなかったが取り敢えずお礼を言ったティルファーであった。

 暫くすると遠くで爆発音があったと聞いて駆けつけてきた警備隊にリーズシャルテが事の次第を説明した後その警備隊の男性は男たちに向かってこう言ったらしい。

 「お前らバカダロ。」

 そのまま一応重症者であるためそのまま軍の病院に連れていかれた後三人は除隊処分と牢獄送りが決定したらしくとある事件が起きるまで幽閉されることとなった。

 




 この後ルクスはの戦い方を上級生曰くこう語った。
 「彼を怒らせれば本気で草木一本も生えないだろうな。」と言ったらしい。


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勉強会

 人生何時でも勉強です。


 「はあっ・・・疲れた~~。」

 今回の実技訓練(?)の後ルクスは警備隊の人達から簡単な事情聴取(粗方はリーズシャルテが説明しているので実況見分のみ)を受けた後警備隊から

ドン引きされるという悲しい事情があった後助けた女性徒からお礼を受け、その後は

普通の訓練であった。(尚ルクスはほぼ郊外戦の参加が決まってしまった。)

 因みに壊した(スクラップ同然)機竜は使用していた馬鹿共の金から捻出

(彼らの私物やその他諸々から補う予定である。)し、軍に報告した後軍の意識改革をするようにと御触れが出た。(ルクスがボコボコにした連中を見せしめにして)

 そして当のルクスは図書館の整理や庭の手入れ、女子寮の風呂掃除などの雑用を終わらせて食堂にへと向かっていた。

 無論クルルシファーの依頼もあるが他の雑用も受け入れなければ借金返済など

夢のまた夢である。

 「でもやっと勉強ができる。」

 ルクスは幼少期に宮廷から追い出されるまでは基本的な作法と学問を学び、

遊馬の世界で専門的な勉強もし、こちらに帰ってからの3年間は機竜の技術的な事を

学んではいるが筆記的な要素は教われていなかったのだ。

 算術(つまり数学)はあちらの数式を基にしているため何とかなるが

幾何学や錬金学等は恐らく高校生レベルの問題になっているところが多い為ルクスにとっての悩みの種であった。

 「さてと・・・始めますか。」

 ルクスは数枚の紙と教科書を広げて勉強を始めた。

 然し今回の馬鹿共に対する制裁で機竜をがんがんと使っているだけではなく

他の雑用もやっているので体力が限界に近づいていたのだ。

 つまりどういうことかと言うと・・・。

 「くかーーー。」

 ・・・爆睡しちゃうのであった。

 

 

 

 「んんん・・・。」

 ルクスは何かいい匂いがすると感じて目を覚ますとそこには・・・。

 「あらもう少し寝てても良かったのよ。」

 「クルルシファーさん!!」

 花柄のティーポットを持って紅茶をティーカップに注いでいるクルルシファーが

そこにいた。

 「貴方こんなところで何してるの?宿題ぐらいは本人にさせたほうが良いわよ。」

 クルルシファーは周りにある紙を見てそう言うとルクスはこう返した。

 「いやーー。何分他の皆より遅れているもので。」

 するとクルルシファーはルクスにこう提案した。

 「それじゃあ今から三十分の間一緒に勉強しましょう。知識を詰め込む教科は合間合間に覚えればそれでいいけど授業を理解しやすくするための前提部分はそうはいかないからね。」

 「え、そんないいですよ。」

 「大丈夫よ。私此れでも学問系の成績は二年の中じゃあトップだから。」

 「トップって・・・あなた留学生ですよね?」

 その優秀さに呆然としながらもクルルシファーと共に勉強を始めた。

 終わりごろには殆ど分からないことがなかったとのことである。




 勉強して・・・分かった時の面白さはたまらないよね。


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一度引いたら負け

 恋とは上下関係を決める戦いである。


 ルクスとクルルシファーの偽恋人生活から三日が経ちドラグナイトの練習や

昼食などを二人一緒に過ごしている中同級生の女生徒達はこう言っていた。

 「クルルシファーさん。羨ましいですわ。」

 「まあ、争奪戦を制したのは彼女なんだけど。」

 「--見た目も実力も良い二人がお似合いすぎて何だか。」

 「「「妬ましい!!!」」」

 そんな状況であると同時に次に備えて牙を研いでいる中クルルシファーは授業が

終わったばかりでまだクラスメイトが大勢いる中でいつもの調子でこう言った。

 「ねえ、ルクス君。これからデートに行かない?」

 するとルクスは平然とこう返した。

 「良いですよクルルシファーさん。でもこんな所で言うのはやめてくれないかなあ?皆がびっくりしちゃうから。」

 するとクルルシファーは周りを見た後小首を傾げてこう言った。

 「そうね、考えておくけどーーーいけなかった?」

 するとルクスはさらにこう返した。

 「そんなことないよ。こっちも嬉しいよ。」

 そう言いながら笑顔で返すと周りがきゃあきゃあ言っているのが分かる。

 ただ一人を除いては・・・。

 「(いや待てお前達、あれ見えないのか?あの二人の背中に何か別な感じの二人が

見えるんですけど。)」

 そう・・・リーズシャルテである。

 リーズシャルテは興味なさそうに見ている中二人に何か変な物が見え始めているのが分かるからである。

 「(ほら見てよ。クルルシファーはトランプみたいのを持って相手に見せるとルクスが凄い得意満面な顔で何か出したよって・・。)」

 さらにこう言う音が聞こえてきた。

 「(ほら聞いてよ!何か『ざわざわ』って人の声がしてるんですけどーー!!)」

 某高層ビル越しで鉄骨綱渡りする危険なゲームをする最底辺者たちが見える

リーズシャルテであった。

 そう思いながらもリーズシャルテを含んで全員が退室した後ルクスは溜息つきながらこう切り返した。

 「はーーっ・・・全く驚いましたよクルルシファーさん。今のってわざとでしょ?」

 するとクルルシファーがこう返した。

 「デート自体は本当のことよルクス君。でもね、ちゃんと皆にアピールしなきゃ

いけないでしょ?もう直にエインフォルク家から偵察してくる従者に備えてね。」

 「でもクルルシファーさんを疑って裏を取ろうとしませんか?」

 僕なら確実にしますよと言うとその疑問にこう答えた。

 「だからこそのデートじゃないの。先ずはあなたの服をどうにかしなきゃ

いけないから二十分後に校門の前で待ち合わせね。」

 遅れないでねと付け加えるとルクスははーーっと溜息つきながらも身支度を整えるために部屋に戻っていった。




 果たしてこの戦い誰が勝つのか!!??


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富裕層の区画での雑談

 ルクスとクルルシファーの一時


 その後ルクスは集合十分前には校門でクルルシファーを待っていた。

 そして十分後、クルルシファーが到着した。

 「あら早いのね。結構時間厳守なのね貴方は。」

 クルルシファーがそう言うとルクスはクルルシファーにこう返した。

 「いやクルルシファーさん、僕もさっき来たばかりなのでお相子ですよ。」

 デートにおける代名詞を言うとクルルシファーはそうと言うと共に学園から

一番街区の大通りを歩いた。

 一番街区は主に富裕層をターゲットとしており商売区画には高級宿やレストラン、

仕立て屋、修道院、施療院、広い敷地に聳えたつ豪邸と言った場所がある。

 それはこの国の諸事情によるものである。

 ここクロスフィードは遺跡を調査する際の拠点として機能しておりアカデミーでも

分かるようにドラグナイトになっているのは大半が貴族クラスであり王都に住む人間の別宅として使用されることがあるようだ。

 それは帝国時代から変わらない。

 ルクスは雑用時代だけでは無く宮廷にいた時にも来たことがなかったので物珍しそうに見ているとクルルシファーがボソッと呟いた。

 「面白いわね、元皇子のあなたがそんなに珍しく周りを見るなんて思っても

見なかったわ。」

 クルルシファーがそう言うとルクスはこう返した。

 「いやーー。こんな所来たことがなかったんですよね。クルルシファーさんは

どうなんです?よく来るでしょうこう言うところ。」

 「いいえ・・・私こう言うところ来ないわ。」

 「え?こう言う街の雰囲気クルルシファーさんと結構合うと思うんですけど?」

 クルルシファーの答えにルクスがそう言った。

 見た目から見てもクルルシファー程の人間ならばここで優雅に紅茶を飲んでいるといった所だろうがクルルシファーはそれに視線を前に向けたままこう答えた。

 「私ね・・・貴族とかっていう人たちが嫌いだからよ。」

 「・・・・は?・・・・」

 ルクスが間の抜けた言葉を言うとクルルシファーはそのまま前進して行くのでルクスはそれを追いながらもこう考えていた。

 「(ユミル教国の伯爵令嬢でもあるクルルシファーさんが貴族を嫌うなんて何か理由があるのかな?・・・もしかしてそれが今回の政略結婚に対する事なのか?)」

 ルクスがそう考えている中クルルシファーが足を止めたのでその場所を見ると美麗な看板と彫り物で作られた飾りが付いた洋服屋であった。

 「ここで何するんですかって高そうですね。」

 ルクスがそう言うとクルルシファーは少し笑ってこう答えた。

 「あら、元皇子のあなたにとっては慣れたところじゃないの?」

 そう聞くとルクスは笑いながらこう答えた。

 「宮廷での暮らしなんてもう覚えてませんよ。僕が覚えているのは・・・。」

 するとルクスは嘗て過ごした九十九家を思い出した。

 決して大きな家じゃなかったがそこで過ごした二年間はルクスにとって

かけがえのない場所であったのだ。

 家族が揃って食べる食卓

 家でテレビを見たり宿題をしていたリビング

 嘗ては倉庫だった場所を自分の部屋にしてくれたこと

 仕事部屋であると同時にルクスに色々な事を教えてくれた明里の仕事部屋

 そして遊馬の部屋であり数々の遺跡の物が飾ってある部屋

 学校での授業

 クラスメイトとデュエルした放課後

 友達になった凌牙との雑談

 遊馬と一緒に屋根に上って見た星空

 ルクスが本当に望んでいた場所

 家族があった場所がそこにあったのだ。

 「・・・ス君。ルクス君。」

 するとクルルシファーがルクスの顔を覗き込んでいた。

 「大丈夫ルクス君。」

 「あ、はい大丈夫です。」

 ルクスがそう言うとクルルシファーはルクスにこう言った。

 「それじゃあ・・・服を買いましょ。」




 買い物は高いよ。(特に服が)


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襲うなキケン

 世の中には関わっちゃいけない人たちもいます。


 「ありがとうございました。クルルシファーさん。こんなに高い物を買わせて

もらって。」

 彼氏役として情けないけどねと冗談交じりであるが少し浮かない顔でそう言うと

クルルシファーはルクスにこう言った。

 「気にしなくても良いわよルクス君。試着した限りだけど礼服結構似合っていたしそれにあれくらいどうってことないわ。私が自由に使える範囲の金額だったからね。」

 そう言っているがルクスは心の中で顎を大きく落としながらこう言った。

 「(ぼ、僕の3か月分の生活費が自由にって・・・やはりお金持ち、

何て恐ろしい子。)」

 ルクスは心の中で電流と一緒に少女漫画さながらの顔になっていた。

 「そうだわ。折角街に来たんだから食事でもしない?私未だ余裕あるから。」

 夕方ぐらいの時間帯なのだろうか人通りが少なく薄暗かったのだ。

 するとルクスとクルルシファーは気づかれないようにソード・デバイスを持つと

ルクスはこう言った。

 「イヤー。悪いですよ彼女にそこまでさせるなんて。」

 「あら、割と好きよ。そういう普段は女の子みたいな顔をしているのにたまに男の子らしい事言うところ。」

 するとルクスはクルルシファーに笑顔(内心怒っている)でこう返した。

 「イヤーーー。冗談キツイですねぇ。クルルシファーさん・・・は!」

 するとルクスはソード・デバイスを抜いて起動させた。

 「ー飛翔せよ、ー逆境の中で研ぎ澄まされし爪を上げる翼竜よ。反逆の翼翻せ、

≪ライズ・ワイバーン≫!」

 ルクスは機竜を起動させると空高く飛翔した後≪フォース・トリニクス≫から

継承されたレーダーを使ってサーチし始めた。

 すると下からブレスガンを撃ってきたのだ。

 それを基に位置を割り出したルクスは竜声でクルルシファーにこう伝えた。

 『クルルシファーさん。敵は5人!!』

 『分かったわ。』

 するとクルルシファーは機竜を召喚すると≪ファフニール≫の特殊武装を相手に

合わせる・・・のではなくその少し先を狙って打った。

 すると着弾した所から例の機竜が現われた。

 「な、・・・何故居場所が・・・。」

 男の一人が声を振り絞って聞くとクルルシファーはこう返した。

 「ルクス君が貴方達の居場所をサーチしてくれたからな。それに彼にやらすと貴方達全員死ぬまではいかないと思うけどそれなりに重症の体になってしまうからね。」

 因みに町の被害を考えるとねと付け加えた。

 そしてクルルシファーは建物の壁側に向かってこう言った。

 「いい加減に出てきたらどうかしら?」

 そう言った後壁側から一人の人間が現われた。

 「ご無沙汰していますお嬢様。」

 するとルクスはクルルシファーにこう聞いた。

 「お嬢様って・・・まさか!!」

 「ええそうよ。彼女が報告を聞きに来た従者『アルテリーゼ・メイクレア』よ。」

 その執事服を着た細身の女性こそエインフォルク家から様子を見に来た従者で

あった。

 するとアルテリーゼはルクス達にこう言った。

 「ここでは話をするには不向きですので別の場所で。」

 そして警備隊が襲撃者を引き渡した後ルクス達は別の所にへと向かった。




 ルクス「僕ってそんなに女顔ですかねー?」
 作者「いやお前原作で女装したじゃん。」
 ルクス「そうだったーーー!!!」


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酒場での事

 酒場で働くときにはお客さんの事もちゃんと見ていてね。


 アルテリーゼに連れられたルクス達は学園からほど近い酒場に来ていた。

 校則により酒場の出入りは推奨されていないがアルテリーゼ曰く・・・

 「推奨していないと書かれているだけで禁止とは書かれていないから大丈夫です。」

 駄目なら私が責任持ちますと付け加えて入るが読者の皆様覚えていらっしゃ

いますか?

 ルクスはこれまで色んな仕事をしており中にはこう言う酒場で働いていたのだ。

 つまりどういうことかと言うと・・・こうなる訳である。

 「よーー!ルクスじゃねえか!!久しぶりだなおい!!」

 「お久しぶりです店長。」

 如何やらここもルクスの働き場所だったようだ。

 「お前さんが考えた料理や昼にやる喫茶店で商売繫盛よ!!然しお前さんが女連れてくるなんてこりゃあれか?」

 そう言って小指を出すとルクスは顔を真っ赤にして小声でこう言った。

 「ち、違いますよ店長!!友達ですって!!今日は色々と話し合うんでここに

来たんですよ!!」

 そう言いながらも店長はニヤニヤとした顔でそうかと言うとルクスにこう聞いた。

 「注文はどうする?適当に見繕ってやろうか?」

 「あ、はい。それとジュースも三人分。」

 「毎度あり!!」

 そう言って店長は奥に行って準備する中ルクスはクルルシファー達の元に戻ると

クルルシファーはルクスにこう聞いた。

 「ここも貴方が働いていたのね。」

 「ええまあ。そのおかげでか色んな人たちから仕事が来るようになったんですよ。」

 そう言ってルクス達は三人掛けの机に座るとさっきの店長が搾りたてジュースと串で焼いた肉と野菜を持って来た。

 「はい。果物ジュースと焼き野菜、それと鶏肉の色んな部位のソース焼きだ!!

ゆっくりなあ。」

 そして店長が去るとアルテリーゼがクルルシファーにこう言った。

 「先ずはご壮健で何よりと言いたいところですが少し警戒心を持っていただけますかお嬢様?あなたはエインフォルク家の令嬢なんですからもう少し気を付けて

もらいたいです。」

 するとクルルシファーは皮肉めいてこう返した。

 「気を付けるわ。それが名家の宿命だものね。」

 ルクスはこの二人の関係に疑問を持っていた(串焼きを食べながら)。

 「私が来た理由は分かっていると思いますがその男性はどなたですか?」

 アルテリーゼがルクスに視線を向けながらそう聞くとクルルシファーはこう言った。

 「私の恋人のルクス・アーカディア君よ。元は旧帝国の皇子で今は私の級友だけど何かしら?」

 そう言うとアルテリーゼはこう言った。

 「そうですか、それは困りましたね。実はー。」

 「ほう、どんな馬の骨かと思えば・・・『蒼の死神』じゃないか。」

 突然後ろから声が聞こえたので振り向くとそこにいたのは金の刺繍が入った豪勢な

赤いマントを纏っていた男がそこにいた。

 金の長髪と整った目鼻から美形の優男に見えるがマントの下からは引き締まった手足を覗かせており何よりも薄く張り付けたような笑みを浮かぶ鋭い目つきと強烈な自信を服に来ているような男がそこにいた。

 ルクスはその男に見覚えがあり少し笑いながらこう言った。

 「お久しぶりですね。『王国の覇者』さん。」

 この間のトーナメント試合依頼ですねと言うと男の方もこう返した。

 「久しぶりだな『最弱無敗』いや・・・猫を被った『蒼の死神』。」




 今回ルクスの二つ名が新しく出ました。


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覇者と死神の会話。

 字だけなら混ぜるなキケンだけどこの人達の人格考えるとねぇ。


 「久しぶりだな、ルクス・アーカディア。最後に会ったのは確か二か月前の

トーナメント試合以来だが学園に行ってからは面白い話題が出るじゃないか。」

 バルゼリッドはルクスにそう聞くとルクスはこう返した。

 「まあ色々とありましてね・・・って言うか何です?『蒼の死神』って・・・?」

 そう言うとバルゼリッドはこう返した。

 「貴様の新たな二つ名だそうだ。軍ではそういう風に言われて恐れている

そうだが何故それほど力がありながら今まで隠していたんだ?」

 そしてバルゼリッドは目を細めてこう続けた。

 「これからの時代はドラグナイトとしての力と指導者としての力の両方を

問われている。前者なら軍で、後者なら政界で頂点を極められることが出来る

時代なのに何故今迄それほどの力を振るわないのか残念でならないよ。」

 するとルクスはこう返した。

 「バルゼリッド卿、僕は力があっても何もできないと言う事も知っているし例え頂点に君臨したとしてもそれで恨み言や暗殺の心配が増えるし僕自身の血縁を考えれば

そんなこと出来たとしても間違いなく旧帝国派が勢いづく恐れもあるからです。」

 「だから『最弱無敗』を選んだという事か?家族を守るためにと思うがそれは単なる逃げだと思うがな。」

 バルゼリッドはそう挑発めいたことを言うがルクスはこう返した。

 「それでも守り抜きます。『最弱』になろうと『死神』と呼ばれようとも僕は

僕自身を貫きますよ。」

 自分が決めたことだからと言うとバルゼリッドはこりゃ駄目だと思ったあと

クルルシファーに向けてこう聞いた。

 「我が妻よ・・・『まだ他人よ。気安く呼ばないでくれるかしら』こりゃあ

失敬した。如何やらお互い意見が分かれていることもあるしそこでどうだ?

ドラグナイト同士で決闘して決めるというのは?」

 その言葉にルクスやクルルシファーだけではなくアルテリーゼが驚いていた。

 「ちょっと待ってください!!バルゼリッド卿!!」

 するとバルゼリッドはアルテリーゼの声を無視してこう続けた。

 「我々は機竜使いとして力を持っているのだ。それならそれに見合う実力を

示さなければならないだろう?」

 その言葉にクルルシファーは少し考えた後こう返した。

 「・・・受けるわ。」

 「お嬢様まで!!」

 アルテリーゼが大声を上げるとバルゼリッドは少し笑みを浮かんでこう言った。

 「よし決まりだな。決闘の場所はあとで伝えるが猶予は三日後、決闘内容は俺一人・・・『いいえ二対二よ』何?」

 バルゼリッドの言葉を遮るようにクルルシファーはこう言った。

 「元々アルテリーゼが持って来たお見合い話から持って来た決闘だし貴方も参加なさい。それとも・・負けるのがそんなに怖いのかしら?」

 クルルシファーはアルテリーゼに向けてそう聞くとアルテリーゼはこう返した。

 「・・・いいでしょう。受けます。」

 そしてバルゼリッドはこう言い直した。

 「ならば二対二の戦いでいいな。ああそれと・・・。」

 バルゼリッドはルクスに顔を向けるとこう言った。

 「俺様は平和主義で手加減していたが今回は違うぞ、ルクス・アーカディアよ。この決闘で貴様を今度こそ本当の意味で敗北の二文字を教えてやるから首を洗って

待ってろ。」

 それと会食はキャンセルだなと言って店から出た後アルテリーゼはこうクルルファーに言った。

 「お嬢様自分が何言っているのか分かっているのですか?それに如何して彼だと

分かったんです。」

 するとクルルシファーはこう言った。

 「簡単でしょう。血筋も良く私達貴族とも対等に出来て然も機竜での実力も確かだと考えれば彼ぐらいな者でしょう?」

 そしてアルテリーゼはクルルシファーに向けてこう忠告した。

 「あの方は四大貴族であり神装機竜≪アジ・ダカーハ≫の使い手にして『王国の覇者』ですよ?旧帝国の皇子よりも彼の方が良いと思いますが。」

 するとクルルシファーはこう言った。

 「ルクス君の実力は確かよ。私もこの目で見たし、それに彼とは一回も負けたことないのよ。」

 「同時に勝っていませんがね。」

 クルルシファーの言葉にアルテリーゼがそう言うとクルルシファーはこう返した。

 「それに神装機竜なら私も持っているしこれでイーブンよ・・・さてと食べましょ。折角貰ったものだし。」

 そう言ってクルルシファーは肉の串焼きを食べると・・・

 「あらおいしい。」

 そう言う状況にアルテリーゼはどこで間違えたのかと思いながらも食べるとそのまま結構食べていた。

 そして暫くして門限が近いことからルクス達はアカデミーに帰っていった。 

 




 アルテリーゼ「私の教育が間違ってんのかよ畜生がーー!!」
 そのまま閉店まで飲んでいたそうだ。(然もお酒も飲んで)


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会議

 この話の中には別の自分の小説の内容がいくつか出ます。


 「-さっきはゴメンねルクス君、勝手に決闘を申し込んだりして。」

 クルルシファーとルクスは学園に帰る途中でルクスにさっきの件について謝罪するとルクスはこう返した。

 「ううん。それよりもバルゼリッド卿との決闘となると厄介ですね。あの時は何とか

引き分けに持ち込めたけど≪アジ・ダカーハ≫は神装の名前以外知らないし今回は確実に勝つための対策を考えなければならないしね。」

 ルクスが考える中クルルシファーはルクスに皮肉たっぷりでこう言った。

 「勝つことは良い事だけどアルテリーゼを殺さないように且つトラウマ

植え付けないでね。貴方そう言うところがあるから。」

 それにルクスは苦笑いで言いながらアカデミーに戻るが門限に間に合わなかった事で二人とも掃除当番の罰則を受けるも他の生徒たちから誤解を招いていることとなった。

 

 

 

 その夜王城内部においてある会議が執り行われていた。

 シャンデリアの下にある円卓の席には七人の男女がおり上座から女王

「ラフィ・アディスマータ」宰相「ナルフ・ファイブリオン」と軍の副指令であり

シャリスの父親である「ディハイベル・バルトシフト」である。

 そして残り四人は旧帝国時代からこの国の領地を治め、多大な影響力を持っている

面子である。

 血色のいい中年の偉丈夫「ディスト・ラルグリス」、眼窩の窪んだ骸骨のような白髭の老人「ゾグァ・シャルトスト」、眉目の整った壮齢の紳士

「バグライザー・ガシュトフ」、鋼の装飾のついた臙脂のマントを羽織っている長身の男性「ワーグ・クロイツァ―」である。

 そして宰相が全員を集めた目的を話した。

 「この度お忙しいところ訪れたことに感謝します。それでは今回の事ですが事情が

二つあります。」

 「二つだと?」

 バグライザーが何事だと聞くとこう続けた。

 「今から二月ほど前にヘイブルグ共和国から三国同盟に関しての申し立てについてですが・・・終焉神獣(ラグナレク)についてです。」

 するとディストが目を細めてこう言った。

 「ラグナレクか。旧帝国時代に多くの国が総出で倒したあの化け物か。」

 ラグナレクとは遺跡に一体ずつ存在するボスクラスのアビスでありその力は八年前に旧帝国の領地内の村を幾つも消し、他国の領地を滅ぼし小国を地図から抹消させる程の力を持ってるのだ。

 「今から五年前のクーデターの際に他国へ逃れた執政官が旧帝国時代に遺跡をこじ開けてラグナレクを解き放ったという資料を持っておりその際の被害の賠償と責任を追及しておりこれを断れば・・・。」

 「我々は世界中から迫害されるでしょう。」

 ナルフの言葉にラフィが完結させるとゾグァはラフィにこう聞いた。

 「だがラグナレクは七年前に討伐されているのではないのか?」

 その言葉にディハイベルが答えた。

 「それが一時的に休眠状態になっていただけでありリドネス海沿岸で石化されていたラグナレクが復活の兆しを見せ始めているだそうです。」

 そしてバグライザーがこう言った。

 「それを我々だけでとなると無理がある!!数の少ないわが軍が保有する

神装機竜持ちの部隊を頂点とするドラグナイトの討伐部隊を作り上げても勝ち目が

あるか分らんぞ!!」

 バグライザーが言うのももっともだと思う。

 神装機竜持ちはリーズシャルテを含めても何機かある程度で上級のドラグナイトも加えて勝てたとしてもそれで国が守れる人間が不足する事態だけは避けたいのだ。

 するとワーグがこう言った。

 「それでは我が息子はどうでしょうか?」

 「・・・ワーグ卿!?」

 ラフィは警戒していた。

 クロイツァー家には独自の兵隊を保有しており元々旧帝国時代から乗っ取りを

画策していたんじゃないかと思われるからだ。

 「我が息子も一年前から神装機竜≪アジ・ダカーハ≫を保有していますし

それなりの力をトーナメント試合で発揮しています。それに・・・リーズシャルテ様に万が一があってはいけないので任せてくれないでしょうか?」

 仰々しく頭を下げて申し出るワーグにラフィは今後のことも考えてこう言った。

 「・・・分かりました。」

 するとワーグはこうラフィに申し出た。

 「しかしこれほどの大役を受ける以上、兵や機竜、軍資金だけではどうかと

思われます。万が一我が息子や神装機竜を失った時のリスクを兼ねてある事を

お約束してほしい。」

 「・・・何です。」

 そしてワーグは野心を持った目でこう言った。

 「我が息子がラグナレク討伐を成功した暁に私をアディスマータ新王国の将軍にしてほしいのです。」

 くっくっくっとワーグが笑う中ナルフが咳き込んでこう言った。

 「それでは次に・・・世界連合非加盟国についてです。」

 その言葉に全員が目を点にした。

 非加盟国の国は機竜が存在せず戦力は嘗ての機竜発掘前と同じぐらいだという程度であるのだ。

 「その非加盟国に何か動きがあったのですか?」

 ディストがそう聞くとラフィがこう答えた。

 「ここ最近骸連盟(マーダーズ)と言う裏社会の組織が加盟国のブラックンド王国を中心に各国からある物を使っているそうです。」

 「一体何をだ?」

 バグライザーが不躾に聞くとラフィはこう答えた。

 「・・・ドラグライドです。」

 「「「「何!!」」」」

 ドラグライドが非加盟国で使用されているという事に驚くと同時に何処から密輸したのかを考える中ラフィは全員にこう言った。

 「皆さん何処の国でどうやって盗んだとばかり考えてもう一つの可能性を考えていないでしょうか?」

 ラフィの言葉を聞くとディハイベルがこう返した。

 「まだ我々が確認していない遺跡ですな。」

 「「「あああ!!!」」」

 そう遺跡が確認されているのは加盟国だけであり非加盟国にまで調査は

していないのだ。

 それを考えた瞬間全員が嫌な顔をする中ラフィはこう言った。

 「ここで考えても仕方ありません。もし遺跡が他にあるなら非加盟国にも調査権を

行使できるかどうかを考えなければなりません。・・・我々はまだまだ戦わなければ

ならない相手がいることを忘れてはいけません。」

 その言葉の後ラグナレク討伐は数日後にある第六遺跡の調査終了の後

考えることとし、非加盟国については追って知らせがあるまで他言無用で言及した。




 遺跡調査・・・何時になるかなーー。


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陰謀

 前回に引き続きのこの作者の二次小説の設定が入っています。


 バルゼリッドはあの後ルクス達がいた一番街区にある富裕層の居住区に行っていた。

 広い居間のソファーの前で漆黒のローブを着てフードを眼深に被る人間が

そこにいた。

 バルゼリッドはソファーに座らせるとワインを出してきた。

 外が真っ暗な為室内の明かりは蝋燭の灯りだけである。

 するとローブを着た人間がバルゼリッドにこう聞いた。

 「それでどうです?私が売った≪アジ・ダカーハ≫の調子は如何程でしょうか?」

 するとバルゼリッドは自信満々にこう返した。

 「ああ、あれは素晴らしい機体だよわが友よ。俺は遂にあの神装を使いこなすことも出来、今や王都のトーナメント試合では第三位にまで上り詰めたがーー。俺はそれだけで甘んじる程馬鹿ではなくてな、何れはこの国のドラグナイトを全員倒して

見せるさ。」

 バルゼリッドは高らかにそう言うとローブを着た人間は笑みを返してこう答えた。

 「それはそれは流石ですな我らが盟友よ。・・・それでは例の件についても

よろしく頼む。」

 親しげに話すとバルゼリッドは少し疑うような顔つきでこう聞いた。

 「確かあのユミル教国の伯爵令嬢『クルルシファー・エインフォルク』を娶るという話だったな。肉付きは少し物足りないがあれ程の女性は社交界でもお目見えできないものだが何故彼女を気にするんだ?異国の女とは言え何かしらの理由があるはずだが。」

 するとローブを着た人間がこう言った。

 「あの女性は『鍵」なのです。嘗て旧帝国が遺跡の封印を解いたときと同じように

深層に行くのに必要な存在なのです。」

 するとバルゼリッドは前のめりこう言った。

 「何だと!!旧帝国が!!」

 そしてローブを着た人間はこう続けた。

 「君にそれを託したいのだ。どんな手を使ってでも彼女を屈服させ、従わせて

その力を使って・・・遺跡の扉をもう一度開いてほしいんだ。そうすれば君には

その財宝の半分とこの国の軍事、何れはこの国の統治の一切をあなたに

託しましょう。」

 そう言うと笑みを浮かべてこう言った。

 「ふっ、わかったよわが友よ。ああいう気位の高い女程俺好みに調教し甲斐がありそうだからな。朗報を期待してくれ。」

 バルゼリッドは楽しく笑いながらそう言うとローブを着た人間が立ち上がって

こう言った。

 「では私はこれで。見送りは発覚の恐れがあるので裏口から立ち去りましょう。」

 「ああ、また会おう。わが友よ。」

 ローブを着た人間が分かれを告げて部屋から出るとバルゼリッドはこう言った。

 「ふふふ、何時までも俺を飼いならせると思ったら大間違いだぞ武器商人よ。

だがまあ手段を問わないというなら幾らでも方法があるし・・・俺こそが王に相応しいことを教えてやるさ。」

 はははと高笑いする中外に行ったローブを着た人間が屋敷を見ると少し笑ってこう言った。

 「哀れなピエロだな。」

 そう言って立ち去る中裏路地に行くと同じようなローブを着た人間がそこにいた。

 屋敷から出た人間がこう言った。

 「俺はちょっと野暮用で外国に行くから折を見てリエス島に行け。いいな?」

 そしてもう一人がこう言った。

 「御意。」

 そしてもう一人が闇の中に消えると屋敷から出た人間がこう言った。

 「全く研究だとか言ってそんな所に何があるんだろうな~~。えーーと

確か回収場所は・・・。」

 ローブを着た人間が懐から紙を出してその場所を言った。

 「オルデシア帝国のアレイシア精霊学院ねえ。」




 そして次は恐らくお風呂イベントです。


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お風呂に入って。

 ラブコメにはよくある定番。


 「ふう・・・」

 バルゼリッドとの決闘を約束した次の日、昼休みの教室でルクスは机の上に

突っ伏していた。

 早朝から同級生からの依頼をこなしていたのだがこれまでクルルシファーの方を優先していたためその分の仕事が舞い込んできたのだ。

 するとティルファーが寝ぼけているルクスの肩を突いてこう言った。

 「ルくっちー。ちょっと起きてよーー。」

 するとルクスが起きてこう言った。

 「なあに?ティルファー、もしかして仕事?」

 そう聞くとティルファーがルクスの耳元でこう言った。

 「学園長がね、今日の夜は使っていいよって言ったけど・・・

まさか学園長とも!?」

 「ティルファーそれ違うって!!てか声でかって僕もでか!!」

 教室でそう言う漫才(一部生徒で誤解が出たという問題も出たが)それを聞いた後

ルクスは夜までその時を待った。

 

 

 

 

 その日の寮の大浴場・・・

 「はああ~~~。いい湯だ。」

 現在ルクスは大浴場にいた。

 基本的にルクスの入浴は禁止されていて水か湯を含んだタオルで体を拭く程度だったが寮長等の管理者の許可と学園長の時間調整で一週間に一度入れるように

なっているのだ。

 因みに誰かが誤って入らないように外の扉には「清掃中」のプレートが

掛かっていた。

 日頃の雑用や訓練で疲れた筋肉がほぐれるような感覚があるがそれと同時にクルルシファーの決闘と同時にある事を考えていた。

 「・・・遺跡調査か。」

 明日シヴァレスのメンバーと遺跡調査をする事となっていた。

 「無事に戻れるといいなあ。」

 ルクスは明日のことでそう思っていた。

 遺跡にはアビスが住み着いていてこれまでも遺跡調査で何人か死傷者が

出ているのだ。

 すると・・・ちゃぷんと音がしてそれを見ると・・・。

 「あ、ルーちゃん。」

 そこには髪を下ろしたフィルフィがお風呂に入っていた。

 「えええええええええ!!!!!」

 ルクスは即座に壁際まで移動して・・・そのまま頭を強打した。

 「痛!!」

 「大丈夫?ルーちゃん。」

 フィルフィがそう聞くとルクスは大声でこう言った。

 「フィーちゃん何でここにいるの!!??外のプレート見なかった!!」

 そう聞くとフィルフィがこう返した。

 「きょうね。外で訓練していたらね、遅くなったけどお姉ちゃんが『今なら誰もいないから大丈夫よ~~~。』って言ってたから。」

 それを聞いたルクスは壁を頭に打ち付けてこう言った。

 「・・・何やってんだあのバ学園長が。」

 そう言っている中フィルフィがこう言った。

 「そう言えば久しぶりだよね。ルーちゃんとお風呂に入るの。」

 そう言うとルクスはうっかりと後ろを振り向きながらこう言った。

 「そういえばね。確か最後に入ったのって・・・!!」

 そこにはお風呂に入っているのか頬が赤くなっており髪が濡れているのか白い肌に

張り付いていたフィルフィを見た。

 無論湯舟に浮き上がっている大きな二つの丸い物が見えていた。

 「どぎゃあああ!!!」

 そう言って目を逸らした後深呼吸をして落ち着かせた後ルクスはもう一度

フィルフィを見ようとすると・・・。」

 「くかーーー。」

 寝ようとして沈没していくフィルフィがいた。

 「ちょっと寝るなーー!!」

 ルクスはフィルフィに近寄ってフィルフィの肩を少し揺すった瞬間それに応じて

揺れる二つの物体にルクスの顔が真っ赤になるとフィルフィが起きてこう言った。

 「ああおはよう。ルーちゃん。」

 「未だ寝ちゃダメだよって!!」

 「ルーちゃん。明日気をつけてね。」

 「え?」

 ルクスがフィルフィのボケに突っ込むとフィルフィが明日の遺跡調査についてを

言った。

 「私明日もここで待機命令出されたから一緒に行けないの。だから」

 そう言うとルクスはこう返した。

 「大丈夫だよ、フィーちゃん。ちゃんと帰ってくるよ。」

 そう約束して十数分後迄フィルフィがお風呂に入ってしまったルクスはのぼせ上ってしまったこともありレリィのお仕置きはアイリに任せた。

 




 アイリ「それでレリィさん・・・申し開きは?」
 レリィ「・・・私は無罪です!!」
 アイリ「ギルティ。」
 レリィ「ぎゃああああ!!!」
 色々な断末魔が学園長室に響き渡ったと聞く。


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作戦会議

 遺跡での戦いはまた後日に


 次の朝。

 ルクス達シヴァレスは任務の為授業免除を言い渡され演習場の控室にへと

集まっていた。

 目的は第六遺跡『箱庭(ガーデン)』周りを徘徊する巨兵型アビス「ゴーレム」んの討伐と遺跡の内部調査である。

 「出撃するメンバーは十四人程でゴーレムを討伐した後余力のある精鋭部隊が遺跡に入るという手筈となっており人選も終わっていたのだが・・・。

 「では今回の作戦についてだが・・・予定を幾つか変更させてもらう。」

 ライグリィ教官が僅かだがこの間の軍から来た男性の教官が来た時と同じような顔をしていたのだ。

 恐らく今回作戦を監督する者として予定外でおまけに面倒な人間が入ってきたことによるものだ。

 「先ず今回の作戦には留学生のクルルシファーも入る事となった。本人の強い意志によるものだが特別扱いせずに同じメンバーとして任務に挑んでくれ。」

 「え?」

 「如何してクルルシファーさんが?」

 シヴァレスのメンバーが思わず驚きの声を上げるとライグリィ教官はさらに

こう言った。

 「皆静かに!未だ話が終わってないぞ。」

 そう言って全員が黙るとライグリィ教官はもう一人の人間を自己紹介するとその

人間はこう言った。

 「教官のお手を煩わせることではありません。俺自らが自己紹介しよう。」

 その傲岸不遜な口調と芝居がかった仰々しい所作にルクスははーと溜息を漏らした。

 「俺の名はバルゼリッド・クロイツァー。ベルへイク地方の領主補佐であり二年前にドラグナイトの士官候補生を首席で卒業し、トーナメント試合では第三位だ。この度はアビス討伐及び遺跡調査の任に関しての手助けであるが今回俺は調査には同行

しないが。」

 するとバルゼリッドは更に仰々しい口上でこう言った。

 「喜んでもらおうか、か弱い少女達の盾役として俺自らが買って出たのだから。」

 その言葉は正にここの女生徒達を小ばかにしている態度であった。

 その言葉にリーズシャルテがこう言った。

 「それは余計なお世話だ。バルゼリッド卿。連携の訓練もせず、然も大貴族の貴公に万が一があれば責任は学園が取ることになり兼ねないぞ。」

 そう言うとバルゼリッドはこう返した。

 「その心配は無用です、リーズシャルテ姫。先程それに関しては学園側は一切責任を負わないという誓約書を書きましたしそれに二つほど私の個人的なことがあるので。」

 「個人的だととリーズシャルテがそう言うとバルゼリッドはこう言った。

 「先ず一つは我が未来の妻となるべき少女がそこにいるので万が一のことがあってはっと思いまして。」

 そう言いながらクルルシファーの方をみると当の本人は感心無しでそっぽ向いているとリーズシャルテはこう聞いた。

 「もう一人の人間は何だ。」

 それにバルゼリッドはルクスを見てこう言った。

 「確かめたいんですよ。私の恋敵がどれだけ強くなったのかをね。」




 次回は戦闘かもしれない。


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第六遺跡へ。

 遺跡の周りは敵だらけ~~♪


 作戦会議(?)かどうかわからないがルクス達は装衣に着替えて各々の機竜を纏って出撃するのだがルクスは気になることがあるのかクルルシファーの方へと向かってこう聞いた。

 「あの、クルルシファーさん。どうして今回は参加するんです?」

 もしかして遺跡で発掘した功績を基に婚約を破棄させる気かと聞くとクルルシファーはこう返した。

 「ごめんなさい。私にとってはこれは大切なことだけど貴方が思っているような事じゃないから大丈夫よ。」

 それにと言うとクルルシファーは苦虫を嚙み潰したような顔でこう言った。

 「彼とは何も関係はないわ。どこで聞いたか知らないけど私がこの調査に参加する件について学園長に通したら彼も自薦で来たから嫌になっちゃうわ。」

 そう言ってクルルシファーはバルゼリッドの方を向くと当の本人はニコッと手を

振っていたのだ。

 「それでは各自ドラグナイトを纏って出撃だ!!」

 リーズシャルテの一声で全員が気を引き締めた。

 作戦開始が告げられた。

 

 

 

 機竜を纏って出撃してから三十分が経ち城塞都市から二十Kl(二百キロ)離れた新王国が保有する遺跡の一つである荒野の地面から生えている巨大な白亜の立方体の建物である第六遺跡「箱庭(ガーデン)」がそこにあった。

 それが見えるとリーズシャルテが竜声で全員にこう言った。

 『間もなく目標が見えるぞ。総員、戦闘態勢に入れ!!』

 ルクスは武器を構えつつもその遺跡を見下ろした。

 正直言えばルクスは遺跡周辺の警備をしていたことがあったがそれでもここまで近くで見ることが初めてであるためルクスはじっとそれを見ているとリーズシャルテから

竜声で警戒するように指示があった。

 『目標を確認!各自作戦通りに行動せよ!』

 ルクスを含む部隊の目に映ったのは大型アビスの一体「ゴーレム」と言う種類が

そこにいた。

 このゴーレムは半身を岩の鱗で覆われており馬鹿力を持っているが

その分巨体である為歩くのは遅く、単調な攻撃であるため襲われるリスクが

少ない事である。

 さてさて彼女達の作戦はと言うと機動性のある≪ワイバーン≫で攪乱させ、

≪ワイアーム≫の最大出力のキャノンで胸部にある核が露出するまで攻撃するというものであるのだが・・・クルルシファーがこう提案した。

 「陽動と攻撃は私がするから・・・・じゃあね。」

 一方的にそう言うとその場にいた全員を置き去りにして≪ファフニール≫はゴーレムにへと向かった。

 「(早い!)」

 超人的な動体視力を持つルクスでさえもその姿を見失いかけるぐらいの速さで

あった。

 すると≪ファフニール≫の存在に気づいたゴーレムがその巨大な拳を≪ファフニール≫目掛けて振り落とそうとした。

 「危ない!!」

 女生徒の一人がそう叫んだ瞬間クルルシファーは・・・後ろを見ずに回避しながら

ライフルを撃った。

 すると当たった箇所が凍り付いていたのだ。

 しかもそれがすべて関節と言う神業的射撃をもって。

 するとリーズシャルテはルクスにこう言った。

 「あれが≪ファフニール≫の特殊武装≪凍息投射〈フリージング・カノン〉≫だ。お前も前に味わったと思うがあれは当たった箇所を凍り付かせることが出来るのだ。」

 するとまた見もせずに躱すところを見てルクスはこう聞いた。

 「それじゃあアレハ・・・神装ですか?」

 「そうだ≪ファフニール≫の神装≪財禍の叡智〈ワイズ・ブラッド〉≫と言って未来予知をする能力だ。さっきからの攻撃もそれだな。」

 そして最後に胸部を凍らせるとゴーレムはそれを砕こうとするとその度に自身の重量で凍っていたところから自壊し始めたがゴーレムの頭部から巨大な宝玉が出てきた瞬間巨大な閃光が放たれた。

 「クルルシファーさん!!障壁を展開しさんて!」

 『必要ないわ。』

 ルクスの言葉にクルルシファーはそう返すとクルルシファーの前面に

八角形の盾が七つほど青白い光を出して展開した瞬間、閃光がクルルシファーに当たることはなかった。

 「あれが≪ファフニール≫の特殊武装≪竜鱗装盾〈オート・シェルド〉≫だ。敵の攻撃に反応して自動で判断して本体を守り、その力は通常の障壁の何倍もの硬さを

誇るそうだ。」

 そしてクルルシファーが最後にゴーレムの胸部を打ち抜いた瞬間ゴーレムは

砕け散った。

 ルクスはあまりものワンサイドゲームに驚愕するとリーズシャルテがこう言った。

 「あいつの機竜の適性値は学園の中でもトップランクでな。それであれ程の武装を使いこなせるんだ。」

 ま、お前も大概だがなとルクスにそう言った。

 然し彼女たちはまだ気づいていなかった。

 未だ戦いは終わっていないという事を。




 ルクス「何かガーデンって割にはサイコロみたいですよね。」
 クルルシファー「そこに行きつく貴方ってどうかしてるわよ。」


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対ディアボロス

 ゴーレムの次は本命登場です。


 「やったああああ!!」

 「凄いわ。クルルシファーさん!」

 ゴーレムを討伐した事にシヴァレスの女生徒達が歓声を上げる中クルルシファー

はと言うと・・・。

 「・・・。」

 何処か思い詰めた様子でガーデンを見つけているとリーズシャルテが窘めるように

全員に竜声でこう言った。

 『各員に告ぐ!!目標は撃破したが我々の目的はあくまでも遺跡の調査である!!

それぞれ所定の位置に・・・。』

 リーズシャルテが言いかけた瞬間クルルシファーがこう言った。

 「それじゃあ私はこのまま遺跡に向かうわ。」

 『待てクルルシファー!!貴様はさっき戦っていただろう!!一旦下がって当初の

予定通り、トライアドと私とルクスに任せろ!!』

 遺跡の調査にはアビスとの突発的な戦闘が予見されるため少数精鋭で遺跡内部に入り残りはアビスに備えるというのが定石だがクルルシファーはこう言った。

 「私はまだ余力を残しているから大丈夫よ。」

 そう言っているがルクスはこう思った。

 「(クルルシファーさん、何に焦っているんだろう?)」

 一方バルゼリッドは≪アジ・ダカーハ≫を纏ってこう言った。

 「クックックッ。流石は我が未来の妻だ。素晴らしい腕を持っているようだが。」

 するとティルファーが大声でこう言った。

 『皆気を付けて!!ノクトが何かを捕らえた!!』

 すると上空からあるものが見えた。

 それは熊を軽く超える程の体と赤茶色の皮膚、ガーゴイル型と同じ翼を持ち、

短剣ほどある牙をずらっと並べ、赤黒い口から紫の吐息を漏らし、血走った眼をして舌舐めずりする・・・アビスがそこにいた。

 「こんな時にディアボロスか・・・。」

 ディアボロスとはたった一体で小都市を壊滅するほどの力を持つアビスだが数が少ない為記録不足な謎のアビスである。

 ギエエエエエエエエエエエエエエエ!!

 絶叫にも似た唸り声を上げながらノクトの方にへと向かいながらその腕を振り

下ろそうとした。。

 「--ッ!」

 ノクト自身も間に合わないと悟り目を瞑ると何かが来る音が聞こえた。

 そしてその腕が当たった瞬間土煙が勢いよく舞った。

 「ノクトーー!!」

 近くにいたティルファーが叫ぶとキャノンをディアボロスに向けた瞬間ディアボロスが突如爆炎に包まれた。

 「え?」

 そして周りを見るとノクトがルクスの隣にいた。

 「ノクト!!ルクっち!!」

 あの時ルクスは当たる寸前にノクトを助けたのである。

 すると爆炎からディアボロスがルクスを見るとギエエ!!と吠えてルクスに向かってくるとルクスはノクトにこう言った。

 「捕まってて!!」

 「・・・YES?」

 ノクトは何故と思っているとそのままルクスはノクトを持って飛び立った。

 機竜一機持っているにもかかわらず早いスピードを持っておりディアボロスはそれを追うために翼を広げた。

 すると下からクルルシファーが射撃をして援護したのだ。

 そしてルクスがノクトにこう言った。

 「ノクト!ブレスガンを持ってて!僕はキャノンを使うから!!」

 「YES!」

 ノクトはブレスガンを二丁同時に、ルクスは背面部のキャノンで応戦し

ディアボロスがそこから離れた瞬間クルルシファーの攻撃がディアボロスの右腕に

当たって氷結した。

 するとバルゼリッドは≪アジ・ダカーハ≫の特殊武装

≪双頭の顎(デビルズグロウ)≫を使ってディアボロスに照準を合わせるとこう言った。

 「こんなもの!ラグナレクに比べれば大したことあるまい!!」

 はははと笑いながら砲撃するとディアボロスはそれをひらりと躱し、流れ弾がシヴァレスの女生徒達を掠めた。

 「きゃっ!!」

 するとクルルシファーがバルゼリッドにこう言った。

 「味方がいるの分かってて使ったでしょう?」

 するとバルゼリッドは悪気も無くこう言った。

 「おやおや何言っているのだ未来の我が妻よ。私はあいつを撃とうとしただけなのだよ。偶々彼女達がそこにいただけだ。」

 「あなた・・・!!」

 クルルシファーはこう思っていた。

 「(この男、たとえ何があっても家の力で全て『事故』として片付ける気だわ!)」

 そしてクルルシファーがフリージングカノンをディアボロスに合わせて

『ワイズブラッド』で未来予知をしようとするも・・・。

 「何で予知できないの?」

 クルルシファーはそれに動揺して動きが止まった瞬間ディアボロスが炎を噴いた。

 「!!」

 反射的にフリージングカノンを撃つもそれすらも効かず、炎がクルルシファーに

迫るとルクスはクルルシファーに向かいながらこう言った。

 「ノクト!少し頭に血が上るかもしれないけど我慢して!!」

 「・・?」

 ノクトは何かと思うとルクスはノクトの≪ドレイク≫の足を掴んで

宙ぶらりん状態にした。

 その光景はあの有名なアニメ映画で男の子が城の上にいる女の子を逆さ状態で空から

助けるような感じである。

 「クルルシファーさん!!掴まってーー!!」

 クルルシファーはノクトの≪ドレイク≫を掴むと間一髪で危機を脱した。

 「ありがとう、ルクス君。ノクトさん。」

 「YES、気にしないでください。私も初めてのことでちょっと楽しんでます。」

 「・・・貴方って意外に根性あるのね。」

 クルルシファーが二人にお礼をするとノクトはちょっと楽しかったと言った後クルルシファーはノクトの印象が少し変わっていることに気づいた。

 然しシヴァレスの団員全員の攻撃をディアボロスは全て躱すが・・・。

 ディアボロスの胸に戦斧(ハルバート)が突き刺さっていた。

 「やれやれ、やっと当たったか。」

 如何やらバルゼリッドが投げたハルバートであろうが機竜が持つ中でも重量がある

ハルバートをどうやって、そして何故当てられたかという事だ。

 あれ程の弾幕でどうやって当てられたのか疑問が幾つもあった。

 まるで≪ファフニール≫の神装を使ったかのように・・・。

 するとルクスはある仮説を立てた。

 それはクルルシファーが≪ファフニール≫の神装が使えないことと考えると辻褄が

合うからだ。

 「(まさか≪アジ・ダカーハ≫の神装って!!)」

 そう思った瞬間ディアボロスの体が倍以上に膨れ上がった。

 アビスの中には自爆する種類が幾つか存在し、ディアボロスがそれに

該当するようだ。

 『全員、障壁を最大出力だ!!』

 リーズシャルテがそう言って全員防御態勢をとるがクルルシファーはどうも

違っていた。

 「どうして・・・動いて≪ファフニール≫!!」

 ≪ファフニール≫の特殊武装のオート・シェルドが≪ファフニール≫の周囲から落下していたのだ。

 ルクスは≪ファフニール≫が暴走していると分かりノクトにこう言った。

 「ノクト!あるだけのエネルギーをブレスガンとハウリングロウに回して!!僕はキャノンの方にも当てるから!!」

 「YES!!」

 そしてクルルシファーの前に着くと二人同時でこう叫んだ。

 「「ハウリングロウ!!」」

 爆発と同時に衝撃波で相殺させようとしたのだ。

 然しそこからでる衝撃と同時に・・・遺跡が光り輝いた。




 明里「遊馬、ルクス、一緒にこれ見ねえか?あたしが子供の時にやってた映画。」
 見ている所
 『○ーター!』
 遊馬「なあ姉ちゃん。あいつってどうやってあの態勢してるんだ?」
 明里「え?何かに引っ掛けてるんじゃね?」
 ルクス「でもあれって・・・そう言うところなかったですよ。」
 三人「「「・・・え?」」」
 答え・・・根性?


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混沌の出会い。

 我はお前を知っている。


 ーー5年前ーー

 森が近い沿道の崖下に砕けた馬車が転がっていた。

 原因が分からないが馬車は堕ちてその際に御者と馬は死んでいた。

 生き残っていたのは女性と男の子だけだった。

 女性は頭から血を流していたがまだ息があった。

 「お願いです!助けてください!!僕たちはフィルレンド領に住む皇家

アーカディアの人間です!!」

 少年時代のルクスは二年前に祖父が帝国の政治に異議申し立てをしたところ一悶着を起こして侮辱罪で投獄、母型の一族は宮廷を追い出されて王都の外れで慎ましく暮らしていたが遠出の際に事故が起きたのだ。

 「お願いです!謝礼はいくらでも払いますからお医者様を早く!!でないと母が!」

 崖の上には幾つもの馬車が行きかい上には人がいたが誰もその声を応じる者が

いなかった。

 「お願いです!誰かーー。」

 すると石がルクス目掛けて飛んできたのだ。

 額から血が流れ、顔の半分が血で染まった。

 見上げた先にあったのは・・・。

 「うるせえぞ、クソガキが!」

 「手前ら皇族と貴族が俺達にナニしたか分かってんのか!!」

 「宮廷を追い出されたお前らを助けなくても俺達に罪なんてねえんだよ!!そのまま死んじまえ!」

 憎悪と怨嗟の声が響く中ルクスは初めて現実と・・・。

 「(ナンデ・・・ナンデ・・・ナンデナンデナンデナンデ・・・ダレモタスケテクレナイノ?)」

 絶望を知った日であった。

 

 

 

 暫くして母親が息絶えてしまい茫然とする中ローブを着た人間がやってきた。

 「ほー。これは面白いな。」

 その人間は本当に人間なのかと思わんばかりの雰囲気と別のナニカを感じた。

 ルクスは死んだような眼でその人を見るとそれはこう言った。

 「ここ迄の絶望を見るのはあいつ以来だな。これなら・・・。」

 するとそれは懐から何かを出した。

 それは黒い札のような物であった。

 そしてそれをルクスに見せると何かが入ってくる感触があった。

 「ギガアアアアアアアア!!!」

 ルクスが突然苦しみだしてもがき苦しむとルクスから黒いオーラが出てくるとそれは少しずつ色を付け始めた。

 黒い札の白い部分にナニカが浮かび上がってきた。

 白い部分が黒と紫になり青白い炎を四つの剣が付いた翼らしきところから

噴き出すように出ており両手には西洋剣を握ったドラゴンらしき絵が出てきて更に

下には文字らしき物が浮かび上がった瞬間上部に名前らしき物が浮かんできたのだ。

 そしてそのすぐ下には黒い星が八つほど出てきた。

 「ほお・・・これは中々だな。」

 そしてそれがルクスを見るとルクスはあまりの痛さに失神していたのだ。

 そしてそれは立ち去ろうとした瞬間失神したルクスに向かってこう言った。

 「我の駒達の皇になるのはお前か?・・・それともーーーか?」

 そして次の瞬間それが消えた瞬間その札がルクスに入り込んだのだ。

 そして数時間後にルクス達は発見された。




お前があの時のガキか。


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遺跡の中で・・・

 爆発に巻き込まれたルクス達はその後・・・。


 「ん・・・痛たたたたた。」

 ルクスは全身に鈍い痛みを感じながら目を覚めた。

 「確か僕は・・・ノクトと一緒にクルルシファーさんを・・・。」

 するとルクスはその時の状況を思い出して起き上がるとそこには・・・。

 「え・・・?」

 周囲に広がるのは生い茂った草藪、ごつごつとした岩が幾つもあり木々の隙間からは湖が広がっており地面を照らしている天井を見てルクスは植物園にでも

入っているような感じになった。

 「・・・ナニここーー。」

 正直言えば正に未開の世界である印象がより強くなったルクスは何処なのかと左右を見ると背後から声がした。

 「おそらくここは第六遺跡『ガーデン』の中だと思うわ、ルクス君。」

 「うおわあああ!」

 突然のことにびっくりしたルクスが後ろを見るとそこにいたのは

クルルシファーだった。

 「何だクルルシファーさんか。驚かせないでくださいよ。」

 ルクスがそう言うとクルルシファーは悪びれもなくこう言った。

 「ごめんなさいね。でもあまり大声を出してアビスが出て来るなんてオチは貴方も

嫌でしょう?」

 クルルシファーがそう言うとルクスはこう返した。

 「ああすみませんって・・・そう言えばノクトは見ませんでした?」

 そう聞くとクルルシファーはこう答えた。

 「彼女なら今湧き水を取りに行ったわ。過去の調査記録で飲める場所が

分かっているからね。」

 それを聞いてルクスはよかったーと答えるとルクスはこう聞いた。

 「それにしても遺跡の中って・・・どうやって入ったんでしたっけ?」

 それにクルルシファーはこう答えた。

 「『ガーデン』が光った後周囲の人や物が内側に引き込まれたようね。恐らく

他のシヴァレスの団員もいたようだけど・・・恐らくは中心地の祭壇に集まるはずだから明日朝一にそこへ行きましょう。」

 「NO、それは駄目です。」

 クルルシファーの言葉に湧き水が入った水筒をもってノクトが待ったを掛けた。

 「今回我々はばらばらになっていますしクルルシファーさんの≪ファフニール≫が暴走した事を考慮して我々は内壁の門付近で野営すべきです。」

 ノクトが言っているのは確かに正しいだろう。

 この遺跡の門は周りを取り込むと同時に中にいる者を吐き出す仕組みに

なっているのだ。

 それにルクスとクルルシファーは明日の夜にバルゼリッドとの決闘がある為尚更それが良いだろうと思うがクルルシファーはこう反論した。

 「それなら大丈夫よ。あの時は少し慌ててただけだから心配ないわ。」

 「NO、それでも万が一に備えなければなりません。」

 如何やらクルルシファーもノクトもお互い譲り合う気がない為ルクスは溜息を

つきながらこう提案した。

 「それでしたら一つゲームをしてみませんか?」

 「「ゲーム?」」

 クルルシファーとノクトがそう聞くとルクスは傍にあった平たい石を取って

こう言った。

 「これに印を書きますからそれがあるかどうかを当ててください。当たった人の

いう事を僕らは素直に聞くでどうですか?」

 それを聞いて二人は暫く考えて・・・こう言った。

 「「YES、やりましょう(やるわよ)」」

 そしてルクスがそれを指で弾いて暫く回った後ルクスの手の甲に着陸する前にルクスが取ってそれを手の甲に押した。

 「それでは・・・ありますか?」

 クルルシファーは・・・「ある。」

 ノクトは・・・「NOで。」

 それが決まってルクスは手のひらを除けた。

 でていたのは・・・。




 当たったのはだーれだ?


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遺跡での食事。

 食事は人間にとって大切な物。


 第六遺跡『ガーデン』の内部。

 近くの水辺に火があった。

 その近くにはルクス作のテント(簡易版)が岩と木の間でセットされていた。

 そしてその近くで三人の人影がいた。

 その人影は保存食である・・・。

 「ちゅるるるるる。」

 黒パンと・・・

 「ちゅるるるるる。」

 干し肉を・・・。

 「ずるるるるる。」

 いや・・・違うものを食べていた。

 「美味しいわね。このラーメンって言うの。」

 「YES、役得です。」

 ・・・温かいラーメンを食べていた。

 なんでさと思っている人達もいるそうなので答えておきますがそれはこいつが

原因である。

 「いやああ。作ったかいがありましたよ。」

 遊馬の世界で再現させようとするルクスのせいである。

 ルクスはこっちの世界に戻った後探索班の食事情を改善させようとする一環でこれを作っていたのだ。

 ドライタイプは流石に文明関係で作れないがそれでも作れるんじゃないかと思い学園でも偶に作っており今回の遺跡調査で万が一に備えて用意していたのだ。

 運よくラーメンを作るに必要な小型の鍋は無事だったためそれを使用している。

 無論未知の食べ物であるため二人は少し遠慮気味であったがルクスが最初に

試食した所良好であったため二人もそれに続いて食べているのだ。

 因みに残ったお湯は持っていた紅茶用の粉を使って飲んでいる。

 「そう言えば皆無事かなあ?」

 ルクスは紅茶を飲みながらそう言うとノクトがこう答えた。

 「YES、ここからでは『ドレイク』の探索でも当たりませんでしたし、

皆さんがクルルシファーさんが目指そうと言っていた場所に向かっていることを

期待するしかありません。」

 因みに言えばあの後の賭けはクルルシファーが勝ったため明日朝早く祭壇に行くことになったのだ。

 遺跡の中には太陽も空もないが外の時間と直結しており現在周りは

暗くなっているのだ。

 ルクスとノクトは何故遺跡調査に固執するのかその理由が何なのか考えている中

クルルシファーがこう言った。

 「そろそろ見張りを決めたほうが良いわね。ここは肉食動物と言えばアビスだから

万が一に備えましょ。」

 そう言うとルクスはこう提案した。

 「それじゃあ初めに僕が。」

 「YES、それでは次が私で最後にクルルシファーさんでどうでしょう?」

 そう言うとクルルシファーはこう続けた。

 「それじゃあ一時間おきに交代しましょ。・・・襲わないでねルクス君?前科あるんだから。」

 「NO、ルクスさんは確かに除きをした最低な人間ですが流石にそこまでの甲斐性は

ないでしょう。」

 あったら既にフィルフィさんはルクスさんの手籠めですと言うとルクスは二人にこう言った。

 「ちょっと!!いい加減に僕の古傷抉らないでよってノクト君は僕をそういう風に

見てたの!!」

 ルクスがそう言うとクルルシファーとノクトは二人同時にこう言った。

 「「それじゃあお休みなさい」」

 「聞けーー!!」

 二人はそのままテントに入るのを見届けたルクスは溜息つきながら空を見上げた。

 「遺跡か・・・。」

 ここは機竜や古代文書がわんさかと眠る場所である。

 そしてその一つと思われる角笛をルクスが持っているが果たしてこれが『鍵』なのかどうかわからず然も決闘は明日の夜なのでルクスは空に向かってこう祈った。

 「何事もありませんように。」




 あるドラマを見て・・
 ルクス「あ、これって僕でも作れるかなあ?」
 トライ&エラーを繰り返してやっと開発できました。


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そして再開

 前半色々とネタが沢山あります。


 第六遺跡『ガーデン』で一夜を明かしたルクス達一向は黒パンと干し肉を使って

作ったサンドイッチ(ルクス作)を食べた後三人は徒歩で祭壇にへと向かった。

 三人とも機竜を使う事は出来るが何時アビスが襲来するか分からなかったので

体力温存の為歩いている。

 現在ルクスを前にしてその後ろにノクトとクルルシファーがいた。

 暫くするとクルルシファーの息遣いが荒くなっているのに気付いたノクトが

クルルシファーにこう聞いた。

 「クルルシファーさんどうしたのですか?顔色が悪いようですが?」

 「大丈夫よノクト、今は祭壇を目指しましょう。」

 そう言っているがノクトはクルルシファーを見ると首筋に僅かではあるが汗が

浮かんでいた。

 恐らくまだ回復していないんじゃないかと思っていたがクルルシファーの顔を見るとそうは言えなかった。

 辛そうに見えても決して歩き続ける彼女を見るとそう言えなかったのだ。

 無論ルクスもクルルシファーの様子をちらっと後ろで見ることがあるので体調が

万全ではないことに気づいている。

 そして十数分後・・・。

 「ここが祭壇。」

 ルクス達は白い円柱が立ち並ぶ円形の床の中心にある銀の玉石があるのを見つけた。

 それはほんのりと光り輝いていているのを見たルクスは持っていた角笛をその玉石に掲げるが・・・。

 「・・・反応無しか。」

 ルクスは『鍵』とは何なのかと考えている中クルルシファーがその玉石に手を当てると突如何か音がした。

 『≪鍵≫の存在を認識しました。』

 すると何か声が聞こえた。

 「何だ?」

 ルクスが何事かと思いノクトをその床から離れるように言おうとするとその声は

こう言った。

 『特殊コードを解除。転送します。』

 その瞬間床が光り輝いた。

 「これはー!?」

 「一体ー?」

 ルクスとノクトは目を瞑ると次の瞬間景色が一変していた。

 そこは青白い金属の板で囲まれた無数の瓦礫がある部屋に着いた。

 「ここは・・・遺跡の内部か?」

 「ルクスさん、見てください!あれ!!」

 ルクスはノクトが指さした方向を見るとそこには無数の『ボックス』が所狭しと

置いていた。

 ボックスとは遺跡内にある機竜やその関連部品、古文書などが収められている箱だがこれは継ぎ目が固くて機竜の装甲並みに硬い為箱ごと持ちかえって時間をかけて

壊さないと開けれないものなのだ。

 その中でクルルシファーは奇妙な箱型のオブジェに手を当てるとまたあの声が

聞こえた。

 『鍵の認証を確認。レベル権限に基づき第二管理室のロックを解除します。』

 そしてクルルシファーはルクス達が持っているボックスの端に手をかざすと・・・。

 「「・・・え?」」

 ボックスが独りでに開いたのだ。

 その中にあったのは無数の汎用機竜の武器と部品が出た。

 「・・・違うわ。」

 そしてクルルシファーは他のボックスにも同じことをした。

 出てきたのは・・・。

 「古文書だ!」

 「違う。」

 カランと出てきたのは・・・

 「ハリセン?」

 「・・・違う。」

 コロンと出てきたのは・・・。

 「・・・カツラ!?」

 「・・・違う。」

 そして一際大きく光るとそこにいたのは・・・。

 「・・・惜しいのかしら?」

 白いスーツを着て片手に杖を持った白髪と白い髭と眼鏡がトレードマークな人形。

 「カー○ルーー!!」

 ルクスが大声でそう言うとまたボックスが開いたのでそれを見たクルルシファーは

ノクトに向かって投げた。

 「対象外。」

 それは黄色い体と赤い頬がチャームポイントのギザギザの尻尾をしたぬいぐるみ。

 「ピ○チュウーーー!!!」

 ・・・何考えてたんだ古代人はと心の底からそう思ったルクスであった。

 

 

 

 そしていろいろとルクスがツッコム中クルルシファーは何重にも折り重なった

金属の扉に手を触れると自動的に開くとそれはさらに続く階段があった。

 「もっと・・・もっと探さないと。」

 そう言った瞬間クルルシファーが倒れかけた。

 「「クルルシファーさん!!」」

 ルクスとノクトが駆け寄るとクルルシファーはこう言った。

 「・・・大丈夫よ・・・まだ・・・私には・・・・・・。」

 「誰だ?」

 「「「!!!」」」

 その声に三人はそれぞれ驚いていた。

 ここには自分たち以外にも来ている人間がいるのかと思った。

 然も声からして男性だったので全員は万が一に備えてソード・デバイスを構えると

声の主が階段から昇ってくるのが分かった。

 「ここに人間が来るのは三年ぶりだな。」

 「!!」

 ルクスはその声に聞き覚えがあった。

 「何で・・・どうして・・・。」

 「どうしたの?ルクス君?」

 「どうしましたか?ルクスさん?」

 クルルシファーとノクトがルクスの顔色を見てそう聞くとその人間のシルエットが

明らかになってきた。

 見たこともない形状の靴。

 黒の差し別れの服。

 色素の薄い天に差すような金髪の髪型に青い三本槍のような前髪。

 「!!・・・」

 ルクスはそれだけで分かり涙した。

 もう二度と会う事も出来なくなった仲間。

 異世界の月でその命を散った友達を・・・。

 「あああああ・・・・。」

 そしてつり上がった青い目。

 そして全体が明らかになると男はこう聞いた。

 「お前・・・ルクスか?」

 「・・・カイト・・。」

 共に世界を救った人間の一人。

 天城 カイトとの再会であった。




 ・・・やっとここ迄来たぞーーー!!!


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再開した戦友

 クルルシファーが『ボックス』から開けた奴の一つ
 クルルシファー「・・・これは私に対する当てつけかしら。(# ゚Д゚)」
 入っていたモノ・・・豊胸用パッド
 ルクス「・・・うわ~~~。」
 何も言えなかった。


 正直言えば何が何だかルクスは訳が分からなかった。

 あの時確かに皇の鍵の飛行船でカイトの最後を見たのだ。

 然しその本人が生きていたことに驚き、嬉しかったのだ。

 するとカイトはルクスにこう言った。

 「少し見ない間に大きくなったか?ルクス。」

 「!!・・・色々あったよ。・・・色々とね。」

 ルクスはもう間違いないと思った。

 間違いなく本人であるという確証があったのだ。

 すると隣にいるクルルシファーとノクトがルクスにこう聞いた。

 「ルクス君、彼は一体?」

 「ルクスさん、彼は知り合い何ですか?」

 そう聞くとルクスは少し戸惑い始めた。

 まさか異世界に行ってましたなんてどう考えても冗談では通じないことが

分かっているし、彼の顔つきは自分達とは違っているため旧帝国時代の友達と言う設定は使えないということもありどう言おうか迷っていた。

 「え、・・・えーとね、彼は・・・。」

 すると奥からズズズという音がしたので何事かと思って後ろを向くとカイトは

ルクス達にこう言った。

 「こっちだ。」

 カイトはそう言って階段に降りて行った。

 ルクスとノクトはクルルシファーの顔色を見た後さっきの音が気になり

下に降りることにした。

 下に行くにつれて暗くなっていくがそれは僅かな時間であった。

 暫くすると明かりが見えてきたのだ。

 そして下に辿り着くとそこにあるのは三角形のオブジェと周りにあるのは

機竜の残骸と人間の骨が存在していた。

 「カイト!!コレって!?」

 するとカイトはこう答えた。

 「おそらくだが俺よりも前にここに来て死んだ人間の物の様だ。」

 よく見るとソード・デバイスは骨の周りに墓石代わりに立てかけているのが分かる。

 そしてルクスはクルルシファーをノクトに任せてカイトの下へと向かった。

 「カイト、どうして君がここに?」

 するとカイトはルクスにこう問いた。

 「ルクス、俺が月に向かった後からのことを教えてくれ。」

 「・・・分かった。」

 ルクスはあの後のことを話した。

 ベクターに操られた残りの七皇の事。

 ルクスが璃緒・・・いやメラグに戦いを挑んだこと。

 シャークとベクターの熾烈を極めた戦い。

 ドン・サウザンドの目的。

 「ヌメロン・ドラゴン」を持って来た折にドン・サウザンドに戦いを挑んで

敗れたミザエルの事を。

 そこからのシャークとの共闘。

 遊馬とシャークの激闘。

 アストラルの使命の秘密。

 ヌメロンコードを巡ってアストラルと遊馬が戦ったこと。

 ここはルクスが生まれ育った世界である事。

 それらをすべて聞いた後カイトは思考の海に潜りこんでいた。

 「(やっぱりカイトは凄いなあ。普通だったら取り乱しているのに。)」

 ルクスはカイトの状況を見てそう思っていた。

 カイトはその高い知識と研究者としての経験から遊馬をアストラル世界に送り込むという行動を行っていたからだ。

 さらに順応性も高く、あらゆる状況に対しても年齢が上であったこともあり

皆を引っ張っていたのだ。

 するとカイトは何か考え付いたかのように驚いた顔をするとすぐに少し表情が

和らいでこう言った。

 「・・・そうか・・・そう言う事だったのか。」

 「?・・・カイト。」

 ルクスはカイトの表情の変わりように何かあったのかと思うとカイトは左腕を

天に向けて延ばすとそれが光り輝いた。

 「な、何!?」

 「YES、何ですかこれは!?」

 それを見たルクスとノクトが驚くと左腕には三日月のような形をした彼専用の

デュエル・ディスクがそこにあった。

 するとカイトはルクスに向かってこう言った。

 「ルクス、久しぶりに一戦どうだ?」

 カイトはデュエル・ディスクをルクスに向けるとルクスは笑顔でこう言った。

 「うん!やろう!!」

 そう言うと待機中に備えていたデュエル・ディスクを鞄から取り出した。

 そしてルクスとカイトが少し離れるところを見たノクトとクルルシファーが何事かと見るとルクスはデュエル・ディスクを放り投げた。

 「デュエル・ディスク!セット!!」

 「デュエルモード!フォトンチェンジ!!」

 ルクスのデュエル・ディスクが大きく開き、カイトの服も黒から白に変わった。

 「「!!」」

 ノクトとクルルシファーは服が変わったことに驚いた。

 そしてデュエル・ディスクから小さな方眼鏡のような物が出てきた。

 「Dゲイザー!セット!!」

 ルクスはそれを左目に取り付けるとカイトの左目から青い入れ墨が浮かび上がり

赤色となった。

 するとカイトはノクトとクルルシファーにこう言った。

 「そこの二人、近くにDゲイザーがあるからそれを左目に着けろ!!」

 「YES。」

 「分かったわ。」

 すると彼らの耳元である声が聞こえた。

 『ARヴィジョン、リンククリア。』

 そしてお互いデッキから5枚のカードを取り出すと二人は同時に大声でこう言った。

 「「デュエル!!!」」

 今・・・機竜世界で最初のデュエルが始まった。




 デュエルは折を見てやります。


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デュエルスタート!!

 ルーターはZEXALに倣って先行ドロー有りの「マスター2」で行っています。
 禁止カードは出る恐れもあります。


 「僕のターン。ドロー!」

 ルクス LP 4000

 手札 6 墓地 0 除外 0

 デッキ 35⇒34

 「魔法(マジック)カード)『闇の誘惑』を発動。」

 「デッキからカードを2枚ドローして、闇属性のモンスターカード1枚を除外する。」

 デッキ 34⇒32

 手札 5⇒7

 「僕は『D-HERO Bloo-d』を除外。」

 除外 0⇒1

 手札 7⇒6

 「手札から『D-HERO ドリルガイ』を召喚!」

 ATK 1600 DEF 1200(A表示)

 「更に『ドリルガイ』の効果で手札からレベル4以下の『D-HERO』を一体特殊召喚

できる!」

 「手札から『D-HERO ダイヤモンドガイ』を召喚!」

 ATK 1400 DEF 1600 (D表示)

 「『ダイヤモンドガイ』の効果発動。デッキの一番上のカードを確認して

通常魔法なら墓地へ行き、それ以外ならデッキの一番下に置く。」

 デッキ 32⇒31

 「引いたカードは『フェイク・ヒーロー』、通常魔法なので墓地に送られるが次のターンのスタンバイフェイズに効果が発動される。」

 墓地0⇒1

 「カードを一枚伏せてターンエンド。」

手札6⇒5⇒4⇒3

 

 

 

 「これがデュエル・・・。」

 「YES、目の前にいるのがまるで本物の様です。」

 クルルシファーとノクトは初めて見るデュエルを見て驚いていた。

 今までルクスが扱っていたのを見ていたがまさかそれがまるで生きているかのように出てくるのに驚いていたのだ。

 「それにしても『ヒーロー』って・・・その割には何だか暗いイメージが

あるわね。」

 「YES、『ヒーロー』と言うより『ヒール(悪役)』がぴったりな印象ですね。」

 何か酷い言われようだがまあ他のヒーローもそう言うのが多いというのは

間違いない。

 

 

 

 「俺のターン。ドロー!!」

 カイト LP 4000

 手札 6 墓地 0 除外 0

 デッキ 35⇒34

「俺は『フォトン・スラッシャー』を特殊召喚!」

 ATK 2100 DEF0 (A表示)

 「こいつは自分フィールド上にモンスターがいない時、特殊召喚できる!」

 「そして『フォトン・チャージマン』を通常召喚!」

 ATK 1000  DEF 1000(A表示)

 「こいつは攻撃を放棄する代わりに自身の攻撃力を倍にする!」

 ATK 1000⇒2000

 「そして俺は、『フォトン・スラッシャー』と攻撃力2000となった

『フォトン・チャージマン』をリリース!!」

 カイトの二体のモンスターが光の粒子となって消えた時、その光が集まり

赤い十字架のような物が現われた。

 「闇に輝く銀河よ。希望の光となりて我が僕に宿れ!!」

 カイトがその十字架を天に向かって投げると突如大爆発を起こした。

 「「きゃああ!!」」

 「くっ!」

 クルルシファーとノクトがその光に驚く中ルクスはそれが何なのかを知っているためこれから先の事を考えていた。

 「光の化身!!ここに降臨!!!」

 すると爆発の中から何かが現われた。

 大きな顎。

 十字架を模ったような体と尻尾。

 大きな両手足。

 そして何よりも青く輝くその体はまるでこの世のものとは思えない美しさを

醸し出していた。

 「『銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン)』」

 ATK 3000  DEF 2500

 きしゃあああああ!!!

 ギャラクシーアイズの咆哮がその部屋の隅々まで響き渡った。

 然しクルルシファーとノクトはそれに恐怖していない。

 いやむしろ、それ以上の感情を持っていたのだ。

 「綺麗・・・。」

 「まるで星みたいです。」

 二人はその姿にほれぼれしているがカイトはルクスに向かってこう叫んだ。

 「さあルクス、始めるぞ・・・俺達の本当のデュエルを!!」

 「くっ!」

 果たして勝つのは英雄か、光の竜か?




 初めてですので大目に見てください。


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二つの召喚

 ルクスの二つの切り札が出ます。


 「バトル!『ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』で『ドリルガイ』に攻撃!」

 ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン  ドリルガイ

 ATK3000             VS ATK 1600

 「破滅のフォトン・ストリーム!!」

 カイトの叫び声と同時にギャラクシーアイズ・フォトンドラゴンの口から青白い光が放たれた瞬間ドリルガイは成すすべもなくその光の中にへと消えた。

 「うわあああ!!」

 「「きゃああ!!」」

 ルクス LP 4000-(3000-1600)=2600                           1400

 爆発と共にルクスはそれに踏ん張るもダメージを負い、クルルシファーとノクトは

その爆発に驚愕した。

 「やっぱ凄いねカイトは。たった1ターンで切り札出すなんて。」

 するとカイトはルクスにこう返した。

 「その割に言えばお前も中々じゃないか、次のターンに備えてあのカードを

出すとはな。」

 その後二人は笑みを浮かべた。

 「・・・何だかあの二人楽しんでるわね。」

 「YES、恐らく久しぶりにあったことで楽しんでるのでしょう。」

 クルルシファーとノクトは二人の表情を見てそう言いあった。

 「俺はこれでターンエンド。」

 カイト  手札5⇒4⇒3

 

 

 

 「僕のターン!ドロー!!」

 ルクス  LP 2600

 フィールド 「ダイヤモンドガイ」(D表示)

       セットカード  1

 手札3⇒4

 墓地  2

 除外  1

 デッキ 31⇒30

 「この瞬間『ダイヤモンドガイ』の効果で墓地に送った『フェイクヒーロー』を

発動。」

 「手札からレベル4以下の『E-HERO エアーマン』を特殊召喚。」

  ATK  1800    DEF   300

 「『エアーマン』の効果発動!デッキから『HERO』と名の付くモンスターカードを

手札に加える!!」

 手札4⇒3⇒4  デッキ 30⇒29

 「その効果で『D-HEROディシジョンガイ』を手札に加える。」

 「そして手札からマジックカード『デスティニー・ドロー』を発動!さっき手札に

加えた『ディシジョンガイ』を墓地に送って二枚ドローする!」

 デッキ 29⇒27

 「手札から『E-HERO ソリッドマン』を召喚!」

 ATK 1300  DEF 1100

 手札4⇒3

 「そして『ソリッドマン』の効果で手札からレベル4以下の『HERO』を

特殊召喚できる。」

 手札3⇒2

 「手札から『D-HERO ドローガイ』を特殊召喚!」

 ATK 1600  DEF  800

 「『ドローガイ』の効果発動!お互いのプレイヤーはカードを一枚ドロー出来る。」

 ルクス  手札2⇒3   デッキ27⇒26  

 カイト  手札3⇒4   デッキ34⇒33

 「そして・・・僕も彼らを出す。」

 「その前に『ダイヤモンドガイ』の効果発動!デッキの上を確認する。」

 「僕が引いたのは・・・『融合回収』通常魔法だから墓地に送って次のターンに発動できる。」

 墓地1⇒2  デッキ 26⇒25

 「そして手札からマジックカード『融合』を発動!フィールドにいる

『ダイヤモンドガイ』と『ドローガイ』を融合!!」

 手札3⇒2

 突如渦巻きが現われると対象となった2体がその中で交じり合って言った。

 「現われろ!『D-HERO ディストピアガイ』!!」

 ATK 2800  DEF 2400

 現れたのは青紫色のコスチュームをしたDをあしらったマスクの人間が現われた。

 「そしてレベル4の『ソリッドマン』と『エアーマン』をオーバーレイ!」

 突如二体が光となって空に上がるとルクスの足元に新たな渦が現われた。

 「二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!」

 そして光がその中に入った瞬間今度は違う光の爆発が起きた。

 「エクシーズ召喚!!」

 「漆黒の闇より舞い降りし竜よ!絶望渦巻く世界で反逆の牙を突き立てよ!!」

 「現われろ!『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』!!」

 ATK 2500  DEF  2000

 ルクスが召喚したのは紫色に染まった幾つもの刃が体に付いた竜が現われた。

 きしゃあああああ!!!

 うおおおおおお!!

 ルクスが召喚した2体のモンスターは新たなる世界でまた戦えることに

高揚するように吠えるとそれを見たクルルシファーとノクトはこう思っていた。

 「ルクス君のって何か華やかさはないけど。」 

 「YES、ですが何だか力強さを感じます。」

 二人がそう言うとギャラクシーアイズ・フォトンドラゴンと

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンがお互いを牽制する中ルクスは

カイトにこう言った。

 「勝負だ!カイト!!」

 今、異世界での竜同士の対決が始まろうとしていた。




ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの口上は作者が勝手に作っちゃいました。


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究極竜降臨

 ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴンって召喚に必要なモンスターを並べるまでは普通大変じゃね?


 「この瞬間『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』の効果を発動!!」

 すると『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』の周りで浮いていた

二つの球体が『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』の翼にある球体に

取り込まれた。

 「オーバーレイユニットを2つ使う事で相手モンスターの攻撃力を半分にしてその分を自身の攻撃力に加える!!」

 すると『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』の翼が開かれると

紫色の電流が周りに流れ出した。

 「トリーズン・ディスチャージ!!」

 そして『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』から発せられた電流が

『ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』に当たった瞬間

『ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』の体の光が弱くなり始めた。

 ATK 3000/2=1500

 ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン

 ATK 2500+1500=4000

 「くっ!」

 カイトが苦い顔をするとルクスは更に追い打ちをかけた。

 「『D-HERO ディストピアガイ』の効果発動!!」

 すると『ディストピアガイ』の後ろに『ドリルガイ』の幻影が見えた。

 「墓地のレベル4以下の『D-HERO』を対象にしてその攻撃力分のダメージを

与える!!僕は『ドリルガイ』を選択する!!」

 「スクイズ・パーム!!」

 「ぐあっ!!」

 カイト

 LP 4000-1600=2400

 「バトルだ!!『D-HERO ディストピアガイ』で『ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』に攻撃!!『ディストピアブロー!!』」

 『ディストピアガイ』が『ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』に攻撃するとカイトは『ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』の効果を使用した。

 「『ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』の効果発動!!自信と攻撃対象の

モンスターを除外する!!」

 すると『ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』が光り輝いた瞬間両方とも

消えた。 

 「消えたわ!」

 「どちらに行ったんでしょう?」

 クルルシファーとノクトがそれを見て言うとルクスは更に攻撃の手を緩めなかった。

 「『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』でカイトに

ダイレクトアタック!!」

 すると『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』の顎に紫色の電流が

集まり始めて体当たりした。

 「反逆のライトニング・ディスオベイ!!」

 然しカイトは手札からあるカードを出した。

 「手札にある『クリフォトン』の効果を発動!!」

 手札4⇒3

 「このカードを手札から捨ててLPを2000払う事で発動することが出来る!!」

 カイト

 LP2400-2000=400

 「これにより俺が受けるダメージは0になる!!」

 するとどこからか現われた小さな球体の生物が光を放ってカイトを守った。

 「何であの時に発動しなかったの!?」

 「YES、確かにあの時発動すればここまで削られることはなかったのに。」

 クルルシファーとノクトがそう言うとルクスはこう答えた。

 「多分、そうし向けたんだと思う。」

 「「え?」」

 クルルシファーとノクトは何故と思った。

 「確かに『ディストピアガイ』の時に発動していたら2000だったけど

それをしたら『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』の効果は

発動しなかったし次のターンで攻撃すればよかったけどそれをした場合僕が

『ディストピアガイ』の効果を発動させていたと思ったんだ。」

 「「『ディストピアガイ』の効果?」」

 それにカイトが答えた。

 「『ディストピガイ』の効果は自身の攻撃力が変動した時に攻撃力を元に戻す

代わりに相手モンスターを破壊することが出来る効果を持っている。」

 「恐らくお前の手札かそこの伏せカードにそれがあると考えた。だからこの瞬間を狙ったわけだ。」

 それを聞いたクルルシファーとノクトは驚いていた。

 「成程ね。相手の能力を知り尽くしているからこそ対策と罠を張っていたって

ことね。」

 「お互いに相手を牽制し合っているということですね。」

 それで満足した後ルクスは次に向けての布石を用意した。

 「僕はカードを一枚伏せてターンエンド。」

 伏せカード1⇒2

 手札2⇒1

 「この瞬間お互いのモンスターは戻ってくる。」

 ルクスとカイトのモンスターが戻ってきた後カイトは自身のデッキトップを

指に翳した。

 「俺のターン!!!」

 手札3⇒4

 それを見た瞬間カイトはニヤリと笑うとルクスにこう言った。

 「ルクス!これが俺達が手に入れた『ギャラクシーアイズ』の真の姿だ!!」

 「!!」

 ルクスはそれを聞いた瞬間あのカードを思い出した。

 カイトが月で手に入れたあのカードを。

 「『ギャラクシーアイズ』の・・・?」

 「真の姿?」

 クルルシファーとノクトはそれがなんなのか分からなかった。

 「自分フィールド上に『ギャラクシー』か『フォトン』がいるとき手札から

『銀河騎士(ギャラクシーナイト)』を特殊召喚出来る!!」

 ATK 2800  DEF 2600

 「だがこの効果を使用した時、攻撃力は1000ダウンする!」

 ATK 2800-1000=1800

 「俺はレベル8の『ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』と

『ギャラクシーナイト』をオーバーレイ!!」

 すると『ギャラクシーナイト』は光となり

『ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』は竜の姿になって渦の中に飛び込んだ。

 「二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!!エクシーズ召喚!!!」

 その時カイトの手に赤い文字の書かれた青い剣が現われた。

 そしてそれを地面に突き刺した瞬間渦の中で何かが光り輝いた。

 「現われろ!銀河究極竜、No62!宇宙に彷徨う光と闇、その狭間に眠りし悲しき

ドラゴンたちよ。その力を集わせ、真実の扉を開け!!」

 すると『ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』が現われると体に付いていた装甲がひび割れ始めて・・・砕け散った瞬間まばゆい光が部屋一面に広がった。

 「ぐっ!!」

 「眩しい!!」

 「一体何です?」

 ルクス、クルルシファー、ノクトが目を瞑りながらそう言うと光が収束し始めた。

 そこにいたのは新たに幾つもの光の玉と装甲を纏った

『ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』がそこにいた。

 「『銀河眼の光子竜皇(ギャラクシーアイズ・プライムフォトンドラゴン)』!!」

 ATK 4000   DEF 3000

 「「・・・」」

 クルルシファーとノクトはその美しさに言葉では表現できないほど茫然していた。

 するとカイトはルクスにこう言った。

 「さあルクス!!お前の強さ!!俺に全力をぶつけて来い!!」

 「!!うん!!」




 次回は恐らくあの子が登場します。


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再開のあなた。

 いつだろう?あなたを目で追っていたのは?
 いつからだろう?こんな気持ちになったの?


 「この瞬間、『ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』の

効果発動!!」

 「このモンスターがフィールドに存在する限り、フィールド上の全てのエクシーズ

モンスターのランクを一つ上げることが出来る!」

 ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン

 ランク8⇒9

 ダーク・リベリオン・エクシーズ・

 ランク4⇒5

 「ランクを上げる?」

 「どういう意味でしょう?」

 クルルシファーとノクトはその効果に何か意味があるのか分からなかったがカイトはバトル宣言をした。

 「バトル!『ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』で

『ディストピアガイ』に攻撃!!」

 するとギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴンの口が光り輝いた。

 「エタニティ・フォトンストリーム!!」

 そしてカイトは『ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』の効果の

真意を告げた。

 「この瞬間、『ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』のもう一つの

効果を発動!!」

 「!!」

 ルクスはそれの意味が何なのかを熟知していた。

 「このモンスターがバトルする時フィールド上のエクシーズモンスターの

ランク×200分攻撃力を上げることが出来る!!」

 「ちょ、ちょっとそれって!」

 「まさか先程のランクを上げた意味とはまさか!!」

 クルルシファーとノクトはそれが分かった瞬間焦った。

 ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン

 ATK4000+((9+5)×200)=6800

 「これで『ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』の攻撃力は

6800にアップ!!」

 「今のルクス君のLPは2600!!」

 「これが通ったら!!」

 クルルシファーとノクトが悲鳴に近い声で言うとルクスは伏せていたカードを

発動した。

 「罠(トラップ)カードオープン!『スキル・サクセサー』を発動!」

 「何!?」

 ルクスが発動させてカードは嫌な予感がするからだ。

 「これにより『ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』の攻撃力上昇を無効にする!!」

 ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン

 ATK 6800⇒4000

 するとカイトは手札からカードを発動させた。

 「手札から速攻魔法発動!『フォトン・トライデント』を発動!!」

 手札3⇒2

 「このカードは『フォトン』と名の付くモンスターの攻撃力を700UPすることが

出来る!」

 「何!?」

 ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン

 ATK 4000+700=4700

 そして光の槍のような物がギャラクシーアイズの咆哮の光と重なった瞬間

『ディストピアガイ』を突き刺した後その光に飲まれて行った。

 「うああああ!!!」

 ルクス

 LP 2600(4700-2800)=700

 「そして相手にダメージが発生した時相手のマジック・トラップゾーンのカードを

一枚選んで破壊できる!!」

 破壊したカード

 トラップカード 強化蘇生

 「成程な。それならさっき破壊しても復活して俺に800のダメージを

与えられるという訳だ。」

 運が良かったよと言うとカイトはルクスの方を見た。

 先程の衝撃で幾つか傷が出来ており立つのもやっとと言うところだ。

 「「ルクス君(さん)!!」」

 クルルシファーとノクトが立ち上がろうとするとルクスが二人に向けてこう言った。

 「来るな!!」

 それは今まで誰も言わなかった程の大声で荒々しかったのだ。

 「まだデュエルは・・・終わっていない!!」

 ルクスはボロボロになりながらも立ち上がろうとした。

 「まだやる気か?」

 カイトの言葉にルクスはニヤッと笑ってこう言った。

 「デュエルはデッキが尽きるまで何が起こるか分からない。・・・

だから楽しいんだ。どれだけ倒れようとも立ち上がって立ち向かう。」

 「そうさ・・・何時だって遊馬が言っていたように。」

 ルクスは震える手でデッキトップを触ろうとするも・・・バランスを崩した。

 「あ・・・れ・・・。」

 「ルクス君!」

 「ルクスさん!」

 クルルシファーとノクトがルクスの名前を呼んだ瞬間・・・何かが聞こえた。

 『全く・・・無茶する人ね貴方は。』

 「え・・・?」

 ルクスは何かが体に触れた感覚がしたので誰なのか見ようとした瞬間ルクスは

息が止まりそうになった。

 「何で・・・?」

 するとそのナニカはこう言った。

 『私と初めて会った時もこんなピンチだったわね。』

 それはルクスにとって掛け替えのなく忘れられない声であった。

 水色の前髪

 髪は腰迄届く程の青い髪

 綺麗な顔立ち

 『私と最後にデュエルした時も結構無理して私を戻してくれたわね。』

 そしてあの時の最後の言葉

 『・・・大好きだったわ・・・ルクス。』

 「璃・・・緒・・・?」

 自身にとって最愛の存在でありお互い心を通わせ、辛い別れをした少女

 神代 璃緒ことメラグがルクスの隣に立っていた。




 私は貴方と戦いたくない。
 でももし戦って果てるなら・・・貴方の手で・・・貴方の側で・・。


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新たなる力

 この作品では少しずつですがオリカが出ます。


 「何者なのかしら?彼女。」

 「YES、ルクスさんの事を知っているようですがアイリの話には出てこなかった

ですね。」

 クルルシファーとノクトは突如現れた少女にそれぞれ言うがクルルシファーは

ある事を思い出した。

 (「僕が失ったのは・・・守りたかった人・・・かけがえのない人・・・

僕にとって・・・・・・初恋の人を失いました。」)

 「もしかしたら彼女が・・・」

 クルルシファーがそう思う中カイトは最後の手札を手に掛けた。

 「俺はカードを一枚伏せてターンエンド。」

 手札1⇒0

 そしてルクスがデッキトップに触れようとすると璃緒がルクスの手を掴み、

自らの指もそれに触れた。

 「え?」

 「あの時私を守ってくれたから・・・今度は私も一緒に。」

 ルクスは璃緒の手を見るとこう思っていた。

 「(何だろう・・・心が温かくなって・・・チカラが溢れてくるようだ。)」

 「僕の・・・いや・・・僕(私)のターン!ドロー!!」

 それを引いた瞬間一瞬赤くなっていたと思ったら直ぐに引くとEXデッキが

少し光り輝いていた。

 そして引いたカードを見るとルクスは目をぎょっとすると璃緒が笑顔で頷き

それを使うための準備を行った。

 手札1⇒2  デッキ26⇒25

 「この瞬間、墓地の『ドローガイ』の効果で『ドローガイ』を復活!」

 「甦れ!『ドローガイ』!!」(D表示)

 すると今度は璃緒がこう言った。

 「更に『ダイヤモンドガイ』の効果により墓地にある『融合回収』を発動!!

『融合』と『ダイヤモンドガイ』を手札に加える。」

 手札2⇒4

 そしてまたルクスがこう言った。

 「そして『ダイヤモンドガイ』を通常召喚。」(A表示)

 「「レベル4の『ドローガイ』と『ダイヤモンドガイ』をオーバーレイ!!」」

 璃緒とルクスが同時にそう言うと再び二体は黒い渦の中に飛び込むとEXデッキから

あるカードが出てきた。

 それを見てルクスはまた驚くと璃緒が高らかにこう言った。

 「今ここに目覚めるは混沌の世界に産まれし神々を奉る令嬢!!」

 「現れよ『No103!!・・・神装零嬢ラグナ・ゼロ』!!」

 そこに現れたのは頭に103と描かれた氷のドレスを身に纏った女性であった。

 No103神装零嬢ラグナ・ゼロ

 ATK 2400  DEF 1200(A表示)

 「更に墓地にある『ディシジョンガイ』の効果を発動!このカードと墓地にある『ディストピアガイ』を除外して更に二枚ドロー!!」

 手札4⇒6  デッキ25⇒23

 手札を見た後更に畳みかけた。

 「マジックカード『戦士の生還』を発動!」

 手札6⇒5

 そして璃緒が墓地ゾーンを見てこう言った。

 「このカードは墓地に存在するレベル4以下の戦士族を手札に加える!」

 「私はその効果で『E-HERO ソリッドマン』を手札に加えるわ。」

 手札5⇒6

 そしてルクスが更にこう言った。

 「そして手札からマジックカード『融合』を発動!」

 「「その効果で手札の『E-HERO アイスエッジ』と『ソリッドマン』を融合!!」」

 「現われよ!『E-HERO アブソリュートzero』!!」

 E-HERO アブソリュートzero

 ATK 2500  DEF 2000

 手札6⇒3

 「そして手札からマジックカード発動!」

 「「RUM『ドラゴン・フォース』を発動!!」」

 ルクスと璃緒が掲げたのは本来はバリアンやアストラル世界でしか使えないカード

 「RUM(ランクアップマジック)であった。

 「な!ランクアップマジックだと!!」

 カイトが驚くとクルルシファーとノクトはまた何事かと思った。

 「あの驚きようだと何かあるようね。」

 「YES、それは確かなようです。」

 そしてルクスと璃緒はその効果を説明した。

 「「このカードは自分フィールド上にいるドラゴン族エクシーズ・モンスターを対象に発動することによりそのモンスターのランクが一つ上の『C(カオス)』と名の付く

ドラゴン族エクシーズ・モンスターを特殊召喚できる!!」」

 そしてルクスと璃緒はそれをすでに決めていた。

 「「僕(私)は『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』一体で

オーバーレイ!!」」

 するとダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンは紫の光となって空にへと

舞い上がった。

 「「一体でオーバーレイネットワークを再構築!!」」

 「「カオス・エクシーズ・チェンジ!!」」

 それと同時に黒い爆発が空を彩った。

 「闇より這い出し竜よ!」

 璃緒がそれをいった瞬間ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの腕に

付いていた剣が鎧のように腕に纏わりついた。

 「救われなき魂を救うため!」

 ルクスがそう言うと尻尾がまるで刃の様に鋭くなり、翼はより大きくそして翼の棘が珠と同化し更に禍々しく鋭くなった。

 「「今こそ、その力を振るいて深淵に閉ざされた者たちを解き放て!!」」

 「「現われよ!!『アビス・リベレイター・カオスエクシーズ・ドラゴン』!!」」

 そこから現われたのは全身に血のように赤い光のラインを持ち、手足は鎧を身に纏い翼はまるで槍のように研ぎ澄まし、顎に付いていた突起物がなくなった代わりに

頭に長い角が生えた竜がそこにいた。(見た目的には

『ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン』の白い部分が赤になったような感じ)

 アビス・リベレイター・カオス・エクシーズ・ドラゴン

 ATK 2800  DEF2500

 それを見て茫然としていたカイトはルクスと璃緒を見ると二人はこう言った。

 「「さあ、決着を付けよう!!」」

 戦いの終わりはもう間もなく




 RUM「ドラゴン・フォース」 通常魔法
 自分フィールド上のエクシーズ・モンスターを対象に発動することが出来る。
 選択したモンスターと同じ種族でランクが一つ高い「CX(カオス・エクシーズ)」と
名の付いたモンスターを選択したモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いで
特殊召喚できる。
 このカードはエクシーズ召喚したモンスターのエクシーズ素材にできる。
 このカードがエクシーズ素材として存在する限りエンドフェイズ迄「フィールド上のカード効果の対象にならない」を得る。


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決着

 デュエルはこれで終わりです。


 「アビス・リベレイター・・・。」

 「カオス・エクシーズ・ドラゴン。」

 クルルシファーとノクトはルクスと璃緒が召喚したドラゴンを見て茫然としていた。

 禍々しくも力強く、何処か悲しい印象を持ったからだ。

 そしてルクスと璃緒は「アビス・リベレイター・カオス・エクシーズ・ドラゴン』の効果を発動させた。

 「「『アビス・リベレイター・カオス・エクシーズ・ドラゴン』の効果を発動!」」

 「「このモンスターが『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』を素材としてエクシーズ召喚された時、デッキから攻撃力1000以下のモンスターを一体墓地に

送る事で除外されているモンスターを全てこのモンスターのオーバーレイユニットに

することが出来る!!」」

 「!今お前たちが除外しているモンスターは三体!」

 カイトは此れ迄除外されているモンスターの数を覚えていた。

 「「よって『アビス・リベレイター・カオス・エクシーズ・ドラゴン』の

オーバーレイユニットが三つ増える!!」」

 「「『ディメンショナル・オーバーレイ!!』」」

 「アビス・リベレイター・カオス・エクシーズ・ドラゴン」が咆哮を上げると

デッキからカードが出てきた。

 「「僕(私)達は『D-HERO ディアボリックガイ』を墓地に送り、

除外されている三体のモンスターをこのモンスターのエクシーズ素材にする!!」」

 すると何やら頭上で何かが割れた。

 「何!あれ!?」

 クルルシファーが上を見るとこれまでルクスと璃緒が除外した

「ディシジョンガイ」、「ディストピアガイ」、そして最初に除外された「Bloo-d」が見えるとその三体は光の玉となって

「アビス・リベレイター・カオス・エクシーズ・ドラゴン」の周りに集まった。

 アビス・リベレイター・カオス・エクシーズ・ドラゴン

 ORU2⇒5

 そしてルクスと璃緒はもう一つの効果を発動させた。

 「「そして『アビス・リベレイター・カオス・エクシーズ・ドラゴン』の

効果を発動!!」」

 「「オーバーレイユニットを持つ相手エクシーズモンスター全てを対象にし

そのモンスターが持っているオーバーレイユニット分取り除くことで・・・相手のエクシーズ素材を僕(私)達のフィールドに特殊召喚出来る!!」」

 「何!!エクシーズ素材を全てお前たちのフィールドにって・・・まさか!!」

 「「そう、そのまさかだ!!」」

 「「対象を『ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』に選択!!」」

 「「オーバーレイ・リべレイト!!」」

 「アビス・リベレイター・カオス・エクシーズ・ドラゴン」の翼に付いている

珠が闇色に輝くと「ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン」の

オーバーレイユニットがその光に吸い寄せられていくように離れて行った。

 「「現われよ!!『ギャラクシーナイト』、

『ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』!!」」

 ギャラクシーナイト

 ATK 2800  DEF 2600  (A表示)

 ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン

 ATK 3000  DEF2500   (A表示)

 「「そして特殊召喚されたモンスターの元々の攻撃力分相手モンスターの攻撃力を

下げる!!」」

 「「『リベリオン・フォール』!!」」

 「アビス・リベレイター・カオス・エクシーズ・ドラゴン」の口から黒い光が出ると『ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン」の攻撃力が下がって行った。

 ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン

 ATK 4000-(3000+2800)=0

          5800

 「「更にこの効果で攻撃力がが0になった時相手モンスターの効果を無効にし、その効果を得る!!」」

 「アビス・リベレイター・カオス・エクシーズ・ドラゴン」の体から紫色の

電流が噴き出すと一瞬だが「ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン」の

幻影が見えた。

 「「『アビス・リベレイター・カオス・エクシーズ・ドラゴン』で

『ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』に攻撃!!」」

 すると『アビス・リベレイター・カオス・エクシーズ・ドラゴン』の翼から

光の槍のような物が出ると後ろの噴射口らしきものが青白い炎を出した。

 「「『解放のストライク・ディスオベイ』!!」」

 『アビス・リベレイター・カオス・エクシーズ・ドラゴン』がロケットみたいに突撃するとカイトは伏せていたカードを発動させた。

 「トラップカードオープン!!『パラレル・エクシーズ』!」

 「このカードは自分フィールド上のエクシーズモンスターが攻撃対象になった時に

発動できる!」

 「このカードとフィールド上のエクシーズモンスターを素材にしてその

エクシーズモンスターと同じランクのエクシーズモンスターを

エクシーズ召喚出来る!!」

 「ちょっとそれって!!」

 「それはつまり!!」

 クルルシファーとノクトがその意味に慌てるとカイトはそれを発動させた。

 「俺は『パラレル・エクシーズ』と

『ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』をオーバーレイ!!」

 「ランク8エクシーズを素材にオーバーレイネットワークを再構築!!」

 「アナザーエクシーズチェンジ!!」

 するとカイトの服が黒に戻るとカイトの体が赤く燃えるようなオーラを纏った。

 「逆巻く銀河よ!」

 するとカイトの右手に赤い槍が現われた。

 「今こそ、怒涛の光となって、その姿を現すがよい!!」

 それを天に向かって投げると普通は下に渦巻いていた黒い渦が上に現われた。

 「降臨せよ!我が魂!!」

 姿を現したのは青から赤にへと変貌し、三つ首となった

「ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン」がそこにいた。

 「『超銀河眼の光子龍(ネオ・ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン)』!!」

 ネオ・ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン

 ATK 4500  DEF3000

 「更にこの効果で特殊召喚されたモンスターの攻撃力はそのモンスターの

元々の攻撃力分アップできる!!」」

 ATK 4500+4000=8500

 「今『アビス・リベレイター・カオス・エクシーズ・ドラゴン』の攻撃力は全てのエクシーズモンスターのランク+1×200だが!!」

 アビス・リベレイター・カオス・エクシーズ・ドラゴン

 ATK 2800+((5+6+9)×200)=6800

           20   4000

 ネオ・ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン

 ATK 8500

 「それでも俺の方が上!!然も攻撃宣言しているため中止は出来ない!!」

 「これで終わりだーー!!」

 するとルクスと璃緒はニヤッと笑った。

 「今よ!ルクス君!」

 「ああ、速攻魔法発動『バトルチェンジ!!』」

 「このカードは自分のモンスターが攻撃対象になった時に発動できる!」

 「「これによりそのモンスターの攻撃対象を他のモンスターに変更できる!!」」

 「!!まさか!!」

 カイトはある方を見た。

 それはルクス達の方にいる自身の切り札

 「ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン」を。

 「「そしてフィールド上のモンスター全ての効果を無効にし、その攻撃力分を対象になったモンスターに与える事ができる!!」

 「何だと!!」

 「「今僕(私)達のフィールドにいるのは攻撃力が2800の『ギャラクシーナイト』と2400の『ラグナ・ゼロ』、2500の『アブソリュート』、そして攻撃力が6800になった『アビス・リベレイター・カオス・エクシーズ・ドラゴン』の合計分アップできる!!」」

 「つまり攻撃力は!!」

 ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン

 ATK 3000+(2400+2500+2800+6800)=17500

            4900  +   9600

                14500

 「ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン」はルクスと璃緒のフィールドの

モンスターから出てくる光を吸収して青い体が白と黒と青の三色に光り輝いた。

 「攻撃力 17500だと!!??」

 「「行け!!『ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』!!

未来の自分を越えろ!!」」 

 『ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』が空高く飛ぶと

『ネオ・ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』も共に飛び立った。

 そして天井に着くと二体の竜の口から光が満ち始めた。

 「アルティメット・フォトン・ストリーム!!」

 「「結集のバースト・フォトン・ストリーム!!」」

 ネオ・ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴンは赤の、

ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴンは青と黒と白の光線がぶつかると最初は

互角だったが少しずつネオ・ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴンの光線が

押され始めた。

 そしてそれが近くなるとカイトとルクスは二体のドラゴンの目を見た。

 ネオ・ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴンは悔しさを・・・

 ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴンは悲しみの涙を流しそうになっていたのだ。

 そしてカイトはルクスを見てこう言った。

 「なあルクス。」

 「・・・カイト?」

 ルクスはカイトの顔を見るとそれはデュエル中に見せているような顔ではなく

弟の「ハルト」や遊馬達に見せる優しい笑顔であった。

 「・・・良いデュエルだった。」

 「カイ・・・ト?」

 「ギャラクシーアイズを頼むぞ。ルクス。」

 「!!カイトーー!!」

 そしてルクスがカイトの名前を呼んだ瞬間

「ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン」の光線が

「ネオ・ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン」を包み込むように溢れて行った。

 カイト

 LP 400-(17500-8500)=0

          9000

 Win ルクス




 CX「アビス・リベレイター・カオス・エクシーズ・ドラゴン」
 ATK 2800  DEF 2500
 レベル5の闇属性モンスター×3
 このカードが「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」を使って
エクシーズ召喚した時デッキから攻撃力1000以下のモンスターカードを墓地に
送る事で除外されているモンスターカードを可能な限りこのカードの下に
エクシーズ素材としておくことが出来る。
 相手フィールド上に存在するエクシーズモンスター全てを選択しその分
エクシーズ素材を取り除くことでそのエクシーズモンスターの下にある
モンスターカードを可能な限り自分フィールド上に特殊召喚出来る。
 (魔法、罠カードだった場合墓地に送られる。)
 この効果で特殊召喚されたモンスターの攻撃力分対象のモンスターの攻撃力を
下げる。
 この効果で攻撃力が0になったモンスターの効果を無効にしてその効果を自分の
エンドフェイズ迄得る。
 (元々の攻撃力が0だった場合対象にならない。)
 罠カード  パラレル・エクシーズ
 このカードは自分フィールド上に存在するエクシーズモンスター一体を対象にする。
 対象のモンスターが攻撃対象になった時、このカードと対象になった
エクシーズモンスターでエクシーズ召喚できる。
 この時このカードは特殊召喚されたエクシーズモンスターの下に重ねることが
出来る。
 速攻魔法カード  「バトルチェンジ」
 このカードは自分フィールド上のモンスターが攻撃対象になった時発動できる。
 自分フィールド上のモンスター一体を選択しそれ以外のモンスターの効果を
無効にし、バトルを放棄することと引き換えに自分フィールド上の全てのモンスターの攻撃力の合計分をそのモンスターに加えることが出来る。


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別れ。

 出会いがあれば別れもある。


 何で俺は生きてるんだ?

 何故俺は死んでいないんだ?

 何で俺は・・・ここにいるんだ?

 

 

 

 ・・・イト

 ・・・カイト

 「カイト・・・カイト!!」

 カイトが目を覚ますとルクスが目の前にいた。

 するとカイトはある事を告げた。

 「なあルクス、俺は考えてたんだ。」

 「?・・・何を?」

 「何で俺は生きてるんだってな。」

 「!!それって一体!?」

 ルクスはカイトの問いに疑問を持っていた。

 確かにあの時カイトは月で死んだところを見た。

 そして璃緒もそうだ。

 何故二人が蘇ったのかを。

 「お前がこれ迄の事を話してくれたおかげである答えにたどり着いた。」

 「一体何!!??」

 ルクスはカイトに問うとカイトはこう言った。

 「俺達は・・・もう人間じゃないってことにだ。」

 「・・・え?」

 ルクスはそれが何なのか分からなかった。

 だって彼らが霊体ならこうやって触ることが出来るわけじゃないし、デュエルも

出来ないからだ。

 「ルクス、俺達は・・・。」

 「待って。」

 カイトの言葉に待ったを掛けたのはルクスの隣にいる璃緒だった。

 「私が話すわ。」

 「・・・分かった。」

 カイトは璃緒の目を見て了承すると璃緒はルクスの目の前にまで近寄ると璃緒は

悲しげな表情でこう言った。

 「ルクス君、私達はね・・・Noのエネルギーから生み出された物質を持った

霊体なの。」

 「え・・・?」

 ルクスは璃緒の言葉に一瞬訳が分からなかったのだ。

 「私達が消滅した時や死んだとき、最後に使った時にNoや思い入れのあるカードが

残留思念となって取り込まれていたのよ。」

 「そしておそらくだけどそれがこの遺跡の力で実体化したり別の生命体に乗り移って意識を乗っ取ったりと色々な方法でこの世界に存在してるのよ。」

 「そんなことって・・・。」

 ルクスは取り乱していた。

 そんな非現実な事があるのかと思ったが異世界の力を持ったNoの力なら恐らくはと思ってそれを口にしなかった。

 「カイトはずっと前から目覚めていたけど私が目覚めたのはついさっき、あなたのデュエルを見たからかな。」

 「ずっとあの時、別れた時からこう思っていたの。」

 「(もう一度あなたに会いたい。)」

 「(もう一度あなたと話したい。)」

 「(もう一度あなたと触れ合いたい。)」

 「消滅してもこの思いはずっと残っていたの。そして貴方が戦っているところを見てこう思ったの。」

 「(彼の力になりたい。)」

 「そう思ったらここに来れたの。・・・けどもうだめね。」

 するとカイトと璃緒の体が青白い粒子を放ち始めた。

 「な、何で!何だよこれ!!」

 ルクスが大声を上げると璃緒はルクスに近づいてこう言った。

 「もうお別れの時間ね。ルクス。」

 「そ、そんな・・・やっと逢えたのに・・・やっと・・・。」

 ルクスは別れたくなかった。

 親友や自分が愛した人間がまたいなくなると言う恐怖は嘗て母親を失った時に

味わったからだ。

 「ねえルクス君。あの言葉を言って。・・・最後に言ったあの言葉を。」

 「イヤだよ・・・言ったらいなくなっちゃうって分かってるのに!!・・・

そんな事・・・。」

 ルクスは涙が出そうになりながらもそう言った。

 すると璃緒が両手でルクスの顔に触れるとこう言った。

 「お願いルクス君。・・・これが最後の・・・我儘だから・・・。」

 璃緒の顔を見ると彼女の両目からも涙が溢れそうになった。

 そしてルクスも璃緒の顔に近づくと璃緒にこう言った。

 「・・・大好きだよ。璃緒。」

 そう言うとルクスは璃緒の唇を自身の唇を重ねた。

 「「!!!」」

 クルルシファーとノクトがそれを見て驚いていると璃緒は目を瞑って

そのままでいた。

 するとルクスは璃緒を抱きしめるとこう言い続けた。

 「大好きだよ璃緒。大好きだ。」

 「うん・・・うん・・・。」

 カイトはそれを見届けるとクルルシファーとノクトに向けてこう言った。

 「すまないがルクスに伝えてくれ。・・・『ギャラクシーアイズ』を頼むって。」

 「・・・ええ分かったわ。」

 「YES、必ず伝えます。」

 それを聞くとカイトは只これだけを言った。

 「・・・ありがとう。」

 そしてカイトは粒子となって消えた。

 そして璃緒はルクスに向けてこう言った。

 「私もよルクス君。・・・貴方と一緒にいたかった。」

 その言葉を聞くとルクスは泣きながら本心を語った。

 「逝かないでよ璃緒。・・・逝っちゃヤダよ・・・。」

 「私を愛してくれて・・・ありがとう。」

 すると涙と共に璃緒もまた消えて行った。

 「あ・・・。」

 ルクスは消えた瞬間崩れ落ちるように倒れると手に何かがあったことに気づき

掌を開くとそこにあったのは・・・。

 「あ・・・アア・・・!!」

 嘗て璃緒と買い物していた時に一緒に買った鳥のデザインが入ったネックレスで

あった。

 それはルクスと同じモノであり最後のデュエルの時にも身に着けていたモノで

あった。

 「あああ・・・アアアア・・・。」

 ルクスはもう耐えられなかった。

 親友と愛する人を失い、そしてそのネックレスにある彼女の思いを知り

最早止まりようがなかった。

 「あああ・・・アアアアア・・・・ア”ア“ア“ア“ア“ア“!!!!」

 思いのたけを叫ぶように泣き叫ぶルクスをクルルシファーとノクトは止めようとは

しなかった。

 すると後ろから何か音がしたのでクルルシファーとノクトは後ろを向くと

声が聞こえた。

 「おーい!!クルルシファー、ノクト、ルクス!!ここにいるのか!?」

 「リーシャ様!!」

 リーズシャルテの声がした瞬間天井を破壊してドリルランスを持った≪ティアマト≫を纏ったリーズシャルテとティルファーとシャリスが出てきた。

 「貴方達どうやってここに!!」

 クルルシファーがそう聞くとシャリスがこう答えた。

 「私たちの他にもドラグナイトが迷っていてねその時に≪ドレイク≫を使用して君達を探したのさ。」

 そう言うとティルファーがこう聞いた。

 「そう言えばルくっちは?一緒じゃないの?」

 するとクルルシファーとノクトは少し暗くなった表情になった。

 え、何と思っているとリーズシャルテがルクスを見たので呼ぼうとした。

 「おお、いたぞ。おーいルく・・」

 するとクルルシファーがリーズシャルテの前に手を伸ばすとこう言った。

 「今はそっとしてやってくれないかしら。」

 三人はよく見るとルクスが何か泣いているような感じがした。

 そしてルクスは未だ泣いていた。

 もう届かない願いを・・・共に戦った親友を・・・愛した女性とのかけがえのない日々を思い出しながら・・・自分自身に後悔しながら泣いていた。

 「うあああ・・・アアア・・・アアアアアアア!!」

 慟哭は天に届くように響、そして開けられた穴から出てくる僅かな光はそんな彼らを天に召すかのように輝いていた。

 

  

 

 「・・・逝ってしまわれましたか。カイト様。」

 ある部屋の一つで少女の声がした。

 それはまるでカイトの死を察知したかのように・・・。

 悲しい顔でそう言った。




 それでも前に進まなければならない。
 前に・・・ただひたすらに。


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オートマタ現る。

 そう言えばガーデンのオートマタってどんなんだろう?


ある少女はずっと動けなかった。

 後ろからいきなり襲われ・・・壊された。

 何年も経ちニンゲンニ怒りが募りに募ったある日全てが変わった。

 

 

 

 「・・・システムの修復はもう少しかかるがこれなら・・・。」

 ダレダ?

 「関節その他はあのガラクタを幾つか回してボディーは・・・。」

 ナニヲイッテイル?

 「後は起動に必要なエネルギーを・・・。」

 ナニヲシテイル?

 「これを繫げてエネルギーを流せば!」

 その瞬間ナニカが入ってきた瞬間私は目覚めた。

 

 

 

 「( ,,`・ω・´)ンンン?ここは・・・?」

 私はあの時目覚めた。

 「私は確か・・・!!!」

 自分の最後を知った瞬間体が強張った。

 大型の剣で切り裂かれる寸前の自分が・・・。

 然し何故自分が目覚めたのか気になったがそれは簡単な理由だった。

 「!!・・・これは・・・。」

 周りにあるのは機竜のパーツと見たこともない板状の物だった。

 そして自分の耳がそれに繋がれている状態だった。

 「一体だれが・・・?」

 こんなことが出来るのは古代人しかいないと思ったがそれにしては変な

感じであった。

 何せ彼らなら例の技術で直ぐに直すと思ったのです。

 然しこれはどちらかと言えば手探りで私を直したような感じであった。

 すると誰かが来る気配がしたので私は寝たふりをした。

 「・・・まだ起きないか。」

 この声は男かな?

 すると何かカタカタと音がした。

 「システムの問題はなし。各関節機構の異常は見当たらないのだが何が

足りないんだ?」

 この人が直したのか?

 「・・・仕方がない。もう一度腹を開いて中のシステムを・・・。」

 「はい起きました!!」

 「どわっ!!」

 男性が何故かビックリしてましたがそんなの関係ありません。

 またバラバラは嫌ですから。

 そしてその声の主を見るとさらに驚きました。

 何せこんな若い人が私を直したのかと疑いたくなるからです。

 薄い金髪と変わった前髪。

 どう見ても私よりも少し年上程度の人間の男であった。

 「やはり起きていたか。」

 ・・・どうやらばれていたようです。

 「お前が何故あれほどバラバラだったか知らんがまだ動かないほうが良い。

関節の微調整をしたほうが良いしな。」

 よく見ると私の関節部分の色が何故か肌と違っているからです。

 「足りなかったパーツとかは外のロボットを分解して組み立てたから不揃いかも

しれんが我慢しろ。」

 いやいやここまで修復するだけでも幸運なのでそんなこと言いませんよ。

 そして私は彼に聞いた。

 「あの・・・貴方は?」

 そして男性はこう答えた。

 「俺の名はカイト。天城 カイトだ。・・・お前は?」

 そして私はこう答えた。

 「私はこの第六遺跡『ガーデン』の統括者(ギア・リーダー)クランリーゼです。」

 それがカイト様とのファースト・コンタクトであった。

 

 

 

 それから私はカイト様に遺跡についての話をしつつこの世界の話をするが最初は

信頼されませんでした。

 ですがあの人は私が持っている知識を聞きながらも理解し、それを基に新たな技術を生み出していった。

 その反面カイト様も自分の知識を私に教えてくれました。

 まさか宇宙どころか別世界のゲートの開け方まで知っているとは思いも

よりませんでした。

 更に機竜の機構の部分的解明と技術流用等も教えてくれました。

 そしてなによりもデュエル・モンスターズを教えてくれたときは嬉しかったです。

 一人だった私にとって最高の楽しみでした。

 ですが誰かがこちらに通ずる階層を開けたことが分かるとカイト様は様子を

見に行っていきました。

 そして暫くすると耳元からカイト様が通信してきました。

 それは自分に万が一があった場合、銀髪の青年に自分が使っていた

ぱそこんと言う物を託してほしいと頼んだのです。

 私はコッソリとその人間とカイト様のデュエルを見ていました。

 ・・・圧巻でした。

 相手の数手先迄読むその読みの深さ。

 本気で挑むその戦いっぷりに心が昂ぶりました。

 そしてカイト様が負けた時私の耳元に通信してきました。

 それはたった一言でした。

 「ありがとう。」

 それは私の言葉だと思いました。

 貴方が私を直してくれた。

 私にあらゆることを教えてくれた。

 ・・・もっと一緒にいたかった・・・。

 そして私はカイト様の隠れ家に行くとぱそこんと同時にある物が目に入った。

 「これは・・・。」

 それは蒼い柄と鞘で納められたソード・デバイスだった。

 私はそれを見て直感した。

 「・・・彼と共に居たいんですね。」

 私はその正体を知って彼の所に向かった。

 約束を果たすために・・・。

 

 

 

 ルクスは泣き止んだ後腰のデッキからあるカードを出した。

 「・・・僕と一緒にいたいのか?」

 璃緒のバリアン時のエースモンスター「No103 神葬零嬢 ラグナ・ゼロ」

 ルクスは璃緒の思いがこのカードに宿っていると思いそう呟いた。

 そしてそれをデッキホルダーに収め直すとルクスはやっとリーズシャルテ達に

気づくと少し照れてこう言った。

 その目は赤く腫れていたからだ。

 「すみません。何か見苦しい所見せてしまって。」

 するとクルルシファーがこう返した。

 「良いのよ。私でも同じことがあったらそうしていたわ。」

 そしてノクトもこう言った。

 「No、気にしないでください。私達は仲間ですしそれに・・・。」

 一端言葉を切るとノクトはこう続けた。

 「アイリのいい土産話が出来ましたしね。」

 「それだけはやめて下さい。お願い致しますノクト様。」

 流石に妹にこんな話をした日には一生弄られること間違いないと悟りルクスは

ノクトに土下座で懇願した。

 「さてと機竜のパーツや何か用途が思いつかない物から人形迄幅広くあるから

持ち帰るのも一苦労だぞ。」

 要はルクス達も手伝って欲しいという事なのでルクスは≪ライズ・ワイバーン≫を

召喚した後リーズシャルテにこう言った。

 「ああそれとクルルシファーさんが少し疲れているから誰か肩を貸して

くれないかな?」

 ルクスは今日の夜に始まる決闘に備えて少しでも体力を温存させたいと考えたのだ。

 するとティルファーがこう答えた。

 「良いよ。私それほど疲れたないしね。」

 そう言ってクルルシファーを機体の腕に掴まる様に指示してクルルシファーが

掴まった後全員が扉に向けて引き返そうとした瞬間

カイトのデュエル・ディスクを持ったノクトが≪ドレイク≫のレーダーが何かを

捕らえた。

 「皆さん気を付けてください。何かが来ます。」

 全員が武器を構えるとそれが現われた。

 銀色のショートカットの髪

 装衣のような服

 そして何よりも耳についている機械みたいな耳当て

 クランリーゼがソード・デバイスとパソコンを持ってやってきたのだ。

 それが人間なのか気になる所だがそれはルクスに向かって一直線に歩いてきた。

 全員が気を張るとクランリーゼはルクスに向けてこう聞いた。

 「貴方がカイト様に勝った人ですね?」

 「!!カイトを知っているの!?」

 ルクスはカイトを知っているようだったのでそう聞いた。

 「はい。私は第六遺跡『ガーデン』のギア・リーダー クランリーゼと申します。

自動人形(オートマタ)です。」

 「オートマタ?」

 リーズシャルテがなんだそれはと思って聞くとクランリーゼはこう返した。

 「ええと。カイト様曰く『さいぼーぐ』だと言っていました。」

 「サイボーグ!!??」

 ルクスはまさかそれまでいることに驚いた。

 「「「「「?????」」」」」

 ルクス以外の全員は何がなんやらとはてなマークが出ているがクランリーゼは

ルクスにある物を渡した。

 「これは?」

 「これはルクス様にと託されたぱそこんとソード・デバイスです。」

 「パソコンってカイト、ここでも研究していたんだ。」

 ルクスは流石研究者と呆れながら貰うとクランリーゼはルクスにこう言った。

 「そのソード・デバイスはルクス様にしか使えないようになっていますから

他の人間が使う事はありません。」

 するとティルファーがこう言った。

 「え?それってルくっち専用って事!?」

 いいなあと言っているとクランリーゼはルクス達にこう聞いた。

 「あの・・・まだこの遺跡は稼働してるんですか?」

 「?それってどういう事?」

 クランリーゼの問いにクルルシファーが何故と聞いたのでクランリーゼは

こう答えた。

 「ええとですね。・・・本来『ラグナレク』を倒すと『グランフォース・コア』が

手に入るんですよ。」

 「うんうん。」

 それにリーズシャルテが答えるとクランリーゼはとんでもないことを口にした。

 「それを最下層に収めるとここの稼働が止まって『アビス』も

出てこないんですよ。」

 「「「「「「・・・・・・ナニーーーーー!!!!!!!」」」」」」」

 それに全員が驚くのでクランリーゼは何でと慌てていた。

 「あ、あのどうしたんです?」

 「何でそんな重要情報を旧帝国は!!ああもおおおお!!」

 「リーシャ様!これって一大事なんじゃあ!!」

 リーズシャルテが大声で文句を言っているためティルファーが宥めると

リーズシャルテはノクトに大声で命令した。

 「ノクト!!今すぐ王都に戻ってこの事を上層部にと女王陛下に報告ってああもお

調査権が丁度切れたって時にこんちっくしょおおおおがああああ!!!」

 何やら悪態付けているリーズシャルテを余所にクランリーゼはルクスにこう言った。

 「あ、あのルクスさん。」

 「?」

 クランリーゼの言葉にルクスは何事かと思うとクランリーゼはこう言った。

 「カイト様とデュエルしてくれてありがとうございました。」

 「!!」

 クランリーゼがお辞儀をしてそう言ったのを聞いてルクスは驚いていると

クランリーゼはルクスにこう聞いた。

 「それと私も外に連れ出してくれませんか?」

 一人は寂しいですからと言うとルクスはニコッと笑ってこう言った。

 「・・・一緒に行こう。」

 「・・・はい!!」

 クランリーゼはルクスに掴まると全員遺跡の外にへと向かった。

 幸いにもアビスは現われることはなかった。




 今回手に入れた物資
 機竜のパーツ
 ソード・デバイス
 古代文書
 カツラ
 ハリセン
 カー○ルさんの等身大人形
 ピカ○ュウのぬいぐるみ
 カイトのデュエル・ディスクとデッキ
 カイト作成のパソコン
 謎のソード・デバイス
 オートマタ・クランリーゼ


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少女の願い

 問題ごとが立て続けに。


 「全く兄さんは次から次へと・・・。」

 現在ルクスは学園に戻って診察を受けたところ機竜の装着に支障はないが用心のため

今日一日は機竜を使わない事と医師から指示を出されたのだ。

 現在この部屋にいるのはルクスとアイリ、そしてもう一人いるのだがその存在こそ

アイリが現在頭痛の種となっている存在である。

 医務室の椅子でピカ○ュウの着ぐるみを持ち、青い機竜のソード・デバイスを

椅子に立てかけているこの少女・・・いやオートマタ「クランリーゼ」である。

 「いやだから、これには色々と理由が・・・。」

 ルクスがそれと無く物申そうとするとアイリが大声でこう言った。

 「色々って何なんですか一体!遺跡に墜落したかと思って心配したらオートマタとか言う遺跡の情報を持っている女の子連れてきて何考えてるんですか兄さん!!

ちゃんと考えてください!!」

 それには流石のルクスも少し小さくなったがアイリは少し落ち着いてこう言った。

 「まあ確かに遺跡と機竜の情報を持ってきて、古代文書を持って来て、その情報を持っているあの板を持ってきて、『グランフォース・コア』という情報を

提供してくれたと言う事で確かに確実な情報を手に入れてくれましたが今や王都の

上層部はてんやわんやでその宝石を探してますよ。」

 「グランフォース・コア」の存在は王都からすれば最も重要な情報であろう。

 それを遺跡の最深部に置けば遺跡からアビスが二度と出なくなるとなればその周囲で警戒しているドラグナイトを王都又は他の遺跡の警備が可能になるということもあって必死になって探しているのだ。

 「それにしても『鍵』とは一体何なんでしょうかね?あの角笛じゃないと

すると一体・・・。」

 それに関してはルクスはノクトに今回の事は他言無用にしてくれないかと

頼んだのだ。

 クルルシファーの謎の力によって遺跡の扉が解き放たれたのだ。

 それが公になればクルルシファーを拉致したり懐柔したりする勢力が現われ、

下手すればユミル教国と政治的軋轢を生じると考えたからだ。

 下手をすれば嘗ての旧帝国と同じ末路を辿るだろうとルクスは

思い至ったからである。

 そんなこととはつゆ知らずアイリが考えている中ルクスはアイリにこう言った。

 「あの状況じゃ仕方ないよアイリ、角笛を使って万が一はごめん被りたいし、それに今は二か月後の校外対抗戦で勝って調査権を獲得するしかないよ。」

 するとそれを聞いていたクランリーゼがルクス達にこう聞いた。

 「あのー。対抗戦って何なんですか?」

 それを聞いたルクス達はクランリーゼにこう説明した。

 「校外対抗戦って言うのはね、新王国を含めた七つの王国同士が試合で戦いあってより多く勝ち点が多い国がより多くの遺跡調査を他の国でも行えるって言う奴なんだ。」

 「然も新王国は今回の調査で調査権を使い尽くしたんです。本来なら直ぐにでも

『グランフォース・コア』を納めて遺跡の脅威を無くしたいところですがばれると

他の国から苦情が来て最悪戦争だって考えられるので現在の新王国の情勢を鑑みればしょうがないのです。」

 ルクスが説明してアイリが補足とこの国の現状を説明した後成程と

クランリーゼが納得したのか今度はカイトのデッキのカードを見始めた。

 「それにまだ今日はあれがあるしね・・・。」

 ルクスはクルルシファーと一緒にアルテリーゼ、バルゼリットと戦わなければ

ならないのだ。

 それに備えるためにルクスはベッドから起きようとするとアイリが何やら

茶褐色の湯気が立ち上る液体が入ったカップをルクスに差し出した。

 「何これ?」

 ルクスがそう聞くとアイリはこう返した。

 「クルルシファーさんから貰った薬湯です。決闘迄には間に合いますから

これを飲んで休んでください。」

 それを聞くとルクスはこう言った。

 「ありがとう。アイリ。」

 それをルクスは一気に飲み干した。

 

 

 

 「くーーーー。」

 ルクスはベッドの上で眠っていた。

 

 

 

 数分前ーー。

 「--これで満足ですかクルルシファーさん。」

 「ええ、彼はここ迄よくやってくれたしね。」

 クルルシファーはいつもの涼しげな様子でそう言うとアイリがこう聞いた。

 「然し良いんですかクルルシファーさん。こう言っちゃ何ですが兄さんなら

快く引き受けた筈ですよ。」

 そう言うとクルルシファーはこう返した。

 「確かにそうかもしれないけどこれ以上ルクス君を巻き込むわけにはいかないわ。

恐らく彼は私以上に辛いことを経験したからね。」

 「?」

 アイリはその言葉に何があったのか気になるもアイリはルクスの方を見た。

 アイリがルクスに渡した薬湯は睡眠作用が強い奴でちょっとやそっとじゃ

起きないのだ。

 そしてクルルシファーが立ち去る所を見てアイリはクルルシファーに聞こえない声でこう言った。

 「全く・・・何もわかってないですね。兄さんの事を。」

 そして医務室に戻ろうとすると足音が聞こえたので振り向くとリーズシャルテが

走ってきたのだ。

 「おい、アイリ。ルクスはいるか!?」

 するとアイリはリーズシャルテに小声でこう言った。

 「今兄さんは寝ていますよ。一体何なんですか一体。」

 するとリーズシャルテはアイリにナニカの紙を渡して読ませた後アイリに

こう言った。

 「バルゼリットについてだがどうやら旧帝国時代から黒いうわさが絶えなかった

そうだ。

それにこの間ルクスとクルルシファーが捕らえた賊がそいつの恩赦で出られたそうだ。

 おまけにこの書簡からバルゼリットの目的がぼんやりとだがわかり始めたんだ。

 これは新王国の危機が過ぎさったとしても更に最悪なことが起きそうなんだ。」

 リーズシャルテがアイリにそう言う中クランリーゼはルクスのすぐ近くで

ソード・デバイスを持ちながら待っていた。

 ルクスが起きるのを・・・。

 そしてこのソード・デバイスを持ってくれることを信じて。




 アイリ、その内禿げるか皴になるぞ。
 アイリ「あのバカ兄のせいです!!」
 ルクス「僕かよ!!」


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兄との関係

 それはいびつな兄弟関係である。


 今から七年前

 ルクスの母親が死に早数日が経った。

 宮廷を追放されたことにより皇族の誰もが葬儀に参列しなかった。

 然しルクスはそれが粗末な物だろうがどうでもよかった。

 この世の中が嫌になり全て消えてしまえばいいと思っているほどルクスの闇は

深かった。

 病に伏した妹のアイリの事すらもどうでも良いと思えるほどであった。

 すると後ろから声が聞こえた。

 「ルーちゃん。」

 ルクスはその声を聴いて振り返った。

 「・・・フィーちゃん。」

 未だ幼い時のフィルフィ・アイングラムであった。

 「大丈夫?」

 フィルフィはルクスに近寄ってそう聞くもルクスは目も合わせずにこう言った。

 「・・・さあね。どうでも良いよ。」

 ルクスは虚ろな目でそう返すがそれだけではなかった。

 母親が死んでからは毎晩同じ夢を見るのだ。

 夕焼けのように赤い空

 天に届くほどもある長い赤い柱のような崖

 周りに漂う紅い光

 すべてが赤で覆われていたのだ。

 そしてあの場所に着くのだ。

 その周りには鎖で封じられた何かが存在した。

 巨大な白亜の船

 頭に翼が生えた人のようなナニカ

 氷のドレスを身に纏った女性

 金色の仮面を付けた男性

 背中に十字のような物を背負った人間

 巨大な岩石の腕

 所々角ばった竜

 そしてその奥にはあの竜がそこにいた。

 赤い体

 青白い炎が翼から微弱だがでていた。

 手足はまるで鎧のような物で纏っておりその下には西洋剣が突き刺さっていた。

 そしてその竜がルクスを見続けていた。

 そしてルクスがその鎖に触ろうとした瞬間目が覚める。

 そんなのが続きルクスは寝るに寝れない日が何回か続いたのだ。

 ルクスは墓の前でじっとしている中フィルフィがルクスの前に来て・・・

抱きしめた。

 「・・・フィーちゃん。」

 「もういいんだよルーちゃん。」

 「へ?」

 「もういいんだよ・・・ルーちゃん。」

 泣いても良いんだよ。

 フィルフィの言葉にルクスはの目から涙が溢れてきた。

 「うああああ・・・。」

 今迄我慢してきた。

 「ウアアアア・・・。」

 最早誰もいないことが分かりルクスは涙を流した。

 「ウワアアアアア・・・・アアアアアア。」

 此れ迄我慢していたモノが出てくるように泣きまくった。

 

 

 

 暫くして泣き止むとまた誰かが来た。

 「お母上の事は残念であったな。ルクスよ。」

 「・・・フギル兄さん。」

 その男は腹違いの兄であるが他の兄とは違い今の情勢に悲観的な立場であったのだ。

 「弟よ、お前がもし皇族として何かをしたいと思うなら俺を頼れ。険しく苦しく

遠い道程だがお前は帝国を変えたいと思うか?」

 それを聞いた後ルクスはフィルフィの方を向いた後こう言った。

 「はい。」

 そしてフギルはルクスにこう言った。

 「俺が出来ることは機竜についての基礎知識と戦術や執政等の学問だがお前の一念を叶えることぐらい訳ないさ。」

 その時からルクスはフギルに頼み王立図書館の入館権限とドラグナイトの

指導が始まった。

 

 

 

 それから七か月後

 「これは一体何をすればこうなるんだルクス?」

 帝都の中にある機竜演習場にて積み重なった≪ワイバーン≫を見てそう言った。

 全て右腕から背翼にかけての装甲が異常な形で曲がりくねっていたが

その代わりに鋼鉄の板で覆われた壁の一部が粉みじんに吹き飛んでいたのだ。

 因みにフギルがここにいる理由は度重なる機竜の破損の事を従者から

聞きつけたからである。(因みに機竜の運用資金はフギル持ち)

 「天才と誉れ高いお前が操作ミスなどしないしあの機竜の破損状況から見ると・・・また新しい技を思いついたのかルクス?」

 ルクスはこの時「クイック・ドロウ」を習得して未だそんなに日が

経っていないのである。

 「『普通』じゃなにも守れないんです。もう後悔しない為に力が欲しいんです。僕の大切なものを守るために。」

 ルクスはフギルに面と向かってそう言った。

 それを聞いたフギルはルクスの頭に手を置いて撫でていた。

 その時のフギルの顔は最後に見た時とは違い・・・優しい顔であった。




 次回はクルルシファー対バルゼリット


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決闘開始!!

 それは自分の運命を決める戦い。


 夜、クルルシファーは決闘場所として指定された城塞都市三番街区の外れにある

教会跡地に来ていた。

 ここは二年前に大規模なアビスとの戦いにより荒れ地となったのだ。

 バルゼリットとアルテリーゼは人払いを済ませてそこにいた。

 「時間通りよく来てくれたな。我が未来の妻よ・・・・ルクスはどうした?」

 バルゼリットはクルルシファーを見た後ルクスが来ていないことに疑問を抱いた。

 「彼は遺跡でちょっと戦いがあってベッドに安静しているわ。」

 するとクルルシファーがソード・デバイスを持ってこう言った。

 「これ以上彼に茶番を付き合わせたくないから早くしましょ。」

 それを聞いてバルゼリットが笑みを浮かべると高らかに宣言と説明をした。

 「今これより、決闘開始とする!決着は纏った機竜が解除されるか決闘相手が

戦闘不能になるかこの跡地から逃亡するかで勝敗を決するがそれ以外は王都のトーナメント試合ルールに則るが異論は無いか。我が未来の・・・。」

 「さっさと始めるわよ。」

 そう言うとクルルシファーとバルゼリットは≪ファフニール≫と≪アジ・ダカーハ≫を纏い、アルテリーゼは詠唱府を唱えた。

 「-来たれ、不死なる象徴の竜。連鎖する大地の牙と化せ。

≪エクス・ワイアーム≫!」

 現われたのは強化型のワイアームであった。

 「流石エインフォルク家だ。執事のドラグナイトもエクスクラスとは

クルルシファーとの婚約が楽しみでならないな。」

 するとクルルシファーは冷ややかな声でこう言った。

 「いい加減にその芝居がかった台詞やめたら。私こう見えて相手の本心が

分かるから。」

 「ほう・・・?」

 それぞれが自分の武器を構えるとアルテリーゼが合図を鳴らした。

 「決闘、開始!!」

 その瞬間≪ファフニール≫を飛翔させたクルルシファーはダガーナイフをバルゼリット目掛けて投擲すると同時に特殊武装≪フリージング・カノン≫を構えた。

 するとダガーナイフを障壁で防いだ≪アジ・ダカーハ≫目掛けて射撃した。

 然しそれを察知したバルゼリットはハルバードで瓦礫を飛ばしてこう言った。

 「中々手際が良いが面白みに欠けるな。」

 するとそれが着弾して瓦礫が凍っていった。

 「よそ見は厳禁ですよ。お嬢様。」

 「ちっ!」

 アルテリーゼの≪エクス・ワイアーム≫が中空にいる≪ファフニール≫目掛けて

跳躍して双剣を振りかざした瞬間クルルシファーがこう言った。

 「甘いわね。」

 それを≪オート・シェル≫で塞いだが今度はバルゼリットが横からこう言った。

 「これならどうかな?」

 ≪アジ・ダカーハ≫の特殊武装≪デビルズグロウ≫がクルルシファーに向けて

火を噴いた。

 然しそれをクルルシファーは神装≪ワイズ・ブラッド≫で見切って躱した瞬間

アルテリーゼを置き去りにしてバルゼリットに強襲した。

 「ほう、俺に接近戦で挑むか?クルルシファー。」

 バルゼリットはハルバードを構えて受けて立とうとした。

 然し彼女はそれをするりと躱して・・・右肩に攻撃した。

 「何!!」

 クルルシファーは初めからキャノンと出来ればフォース・コアを砕こうとしたのだ。

 それを知りバルゼリットはにやっと笑ってこう言った。

 「見事だなクルルシファーよ。少々難があったが俺の右肩を砕いたその腕に

免じて・・・本気で相手をしよう。」

 「そんなことする余裕も与えないわ。」

 そしてクルルシファーはブレードを出してフォース・コアを砕こうとした。

 アルテリーゼが来るのにかかる時間は三秒足らずだがそれだけあれば十分と

クルルシファーは考えたのだ。

 そしてクルルシファーのブレードがフォース・コアを砕こうとした瞬間・・・

≪ワイズ・ブラッド≫と未来予知の軌跡が消えた。

 「な!」

 すると≪アジ・ダカーハ≫の左肩のキャノンが0距離で発射しようとした瞬間

≪オート・シェル≫がクルルシファーの前で展開されてそれを防ぐも爆炎と衝撃で

≪ファフニール≫が吹き飛ばされそうになった瞬間バルゼリットがこう言った。

 「俺の実力を舐めないでもらおうか。」

 すると≪アジ・ダカーハ≫が横に突如現れた瞬間ハルバードで胴体に命中した。

 「がは・・・。」

 そのまま≪ファフニール≫ごと瓦礫の山にぶつかった。

 「がは・・・何故・・・≪ワイズ・ブラッド≫が・・・?」

 するとある事が浮かんできた。

 これは確かあの時の遺跡のときにもあったのだ。

 ≪アジ・ダカーハ≫が近くに来た後に同じ現象が起きたことを。

 「まさか・・・≪アジ・ダカーハ≫の・・・神装って・・・。」

 「おおっといけないいかない。俺の子供を孕ますのに大切な所を

叩いてしまったな。」

 バルゼリットの言葉には上辺だけしか聞こえてこなかったがクルルシファーは全てを繋ぎ合わせた結果答えが導かれた。

 「成程・・・これが貴方の筋書ね。」

 するとバルゼリットがこう聞いた。

 「ん?何のことだ?」

 そしてクルルシファーはこう返した。

 「とぼけないで欲しいわね。貴方の機竜の神装は相手の神装を盗むこと。

その為にあの時、富裕層の居住区で出会った貴方の私兵でしょうね。私とルクス君の

機竜の情報を手に入れようとしたんでしょう?」

 「・・・流石だなエインフォルク家・・・いや・・・遺跡の『鍵』よ。」

 それと同時に体を破壊せず機竜にダメージがいくような力加減で≪ファフニール≫の殴った。

 「がは・・・。」

 「その通りだよクルルシファー。俺が仕組んだのさ。お前の情報を買ってあの執事に婚約を持ち掛け、盗賊どもを嗾け、ディアボロスを呼ばせたのは俺だ。」

 クルルシファーに囁くような声で真実を話したバルゼリットはこう続けた。

 「だが真実などどうとでもなる。『道具』にしか過ぎないお前の言葉を

誰が信じる?」

 クルルシファーは歯噛みしながらこう思っていた。

 『道具』--遺跡の鍵として利用される自分そのものだ。

 クルルシファーはエインフォルク家の血が繋がっていないのだ。

 彼女は・・・遺跡のボックスで見つかったのだ。

 自分が養子である事は小さい時から分かっていたが認めてもらおうと彼女は

努力に努力を重ね神装機竜を拝命されるまでに至ったが結局は家族のだれもが

こう言ったのだ。

 「自分達と違う」・・・と

 彼女は自分がエインフォルク家の子供だという証明が欲しかった。

 だから遺跡調査に参加したのだ。

 自分と同じ人間に会えると信じて・・・。

 「クルルシファー。お前は遺跡の技術と財宝、そしてこの国を手に入れるのに欠かせない道具だ。おとなしく俺に従えば可愛がってやるから言え。

『あなたに忠誠を誓います』とな。」

 機竜の指先でクルルシファーの腹を撫でようとした瞬間クルルシファーの頭の中で

ある事を思い出し・・・右腕にブレードを突き刺した。

 「何!?・・・貴様ぐお!!」

 バルゼリットがクルルシファーに何か言おうとした瞬間今度は腹に拳で殴った。

 突然の事でバルゼリット自身が体制を崩しかけるとクルルシファーはこう言った。

 「『道具』・・・えー分かっているわ。この世界には私しかいないかもしれないってことも・・・それが何?」

 「・・・ナニ・・・?」

 「まだ他の遺跡があるしユミル教国の遺跡にまだいるかもしれない。

私は信じているわ。可能性を信じてる。」

 するとバルゼリットが立ち上がって大声でこう言った。

 「阿保らしいな!そんな理想ごときでまだ戦うなど何処迄俺を失望させる気だ

クルルシファー!!」

 するとクルルシファーはバルゼリットにこう返した。

 「ルクス君が遺跡でこう言っていたのよ。『どれだけ倒れようとも立ち上がって立ち向かう。』・・・私も立ち上がるわ!!どれだけ意地汚くても足掻いてやるわよ!!」

 そしてクルルシファーはこう言った。

 「『かっとビングだ!!』ってね!!」

 然しバルゼリットはクククと笑いながらこう言った。

 「ならば足掻いて思い知らせてやるわ!!『道具』如きが粋がるなと・・・・!!」

 するとクルルシファーとバルゼリットの間に青い光を放つブレードが突き刺さった。

 空を見るとそこにいたのは・・・青だった。

 星のようにきらめく白い体

 その周りに青いミスリルダイトが爛々と輝いていた。

 片手にある赤いブレードと相まってまるで芸術のように感じられた。

 するとその機竜から声が聞こえた。

 「すいませーん。決闘場所ってここですか?」

 クルルシファーはその声の主を知っており驚いてこう言った。

 「な、・・・何で?」

 そしてその人間はこう宣言した。

 「決闘相手の一人ルクス・アーカディアこれより介入いたします。」

 今銀河竜が新たな姿で新たな主人と共にこの世界に現われた。




 次回、ルクスの新たな機竜についてです。


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新たなる翼

 ルクスが決闘場所に行くまでの間。


 「うううん・・・ふぁーあ。」

 ルクスが目を覚ますと既に外は暗くなっており星が煌めいていた。

 「え・・・今何時!?」

 「21:00です。」

 「うぎゃ!!」

 ルクスが時間を確かめようとするとクランリーゼがルクスのすぐ近くでそう言うのでルクスが驚いた。

 そしてルクスが用意をしようとするとクランリーゼがこう聞いた。

 「彼女がこう言っていました。『以上ルクス君を巻き込むわけにはいかないわ。』と言って一人で行きました。」

 「!!・・あの石頭が!」

 ルクスがそう言ってベッドから飛び起きようとするとクランリーゼが持っていた

ソード・デバイスをルクスに渡した。

 「これって・・・。」

 「はい、カイト様から託されたソード・デバイスです。」

 そう言うがルクスは使う気にはなれそうになかったのだ。

 それは・・・

 「残念だけどこの機体は未だ調整が終わっていないしそれにこの決闘は

大切な戦いなんだ。」

 だから御免と言ったルクスは正しいであろう。

 未だ調整が行っていない機体を使うなど自殺行為も良いところなのだ。

 然しクランリーゼは尚もルクスに食い下がった。

 「いいえ使って下さい。ルクスさん。この機体自身がそう願っていますから。」

 「その機竜が?」

 はいと言うがどういう意味なのだろうかとルクスはそれを聞くとクランリーゼは

カイトのデッキからあるカードを見せた。

 「ギャラクシーアイズが貴方と共に戦いたいと願っているからです。」

 するとそこには光が点滅していた『ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』が

そこにあった。

 「『ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』が・・・。」

 ルクスはそれを手に取るとそれはまるでカイトがそれを願っているように

感じたのだ。

 そしてルクスはクランリーゼを見てソード・デバイスをもう一度見て決心したのだ。

 「・・・分かった。一緒に戦おう。」

 ルクスはそう言うとソード・デバイスを取って医務室から出て行った。

 そして暫くするとアイリが呆れたような口調で入ってきたのだ。

 「全く兄さんはいつもいつも無茶をするんですから困りものです。」

 そう言うがその顔はまるでそれが誇らしく思っていると感じたのだ。

 そしてアイリがクランリーゼを見ようとすると既に窓から出て行った様子が

見て取れた。

 「・・・逃げられましたーーー!!!」

 アイリが大声でそう言うとルクスはソード・デバイスを掲げてパスコードを唱えた。

 「ー降臨せよ、闇に輝く星々よ。光の力を身に纏いて迷える者達の希望となれ。

≪ギャラクシーアイズ≫!!」

 するとルクスの後ろで『ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』の姿が現われると青と白の機竜が現われた。

 そしてルクスは決闘場所まで飛翔した。

 新たな翼と友との思いを身に纏って。




 次回は決闘再会!!


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決闘再会!!

 ルクスの機竜の能力が明らかになります。


 「どうしてここに。」

 クルルシファーがルクスにそう聞くとルクスはこう返した。

 「まあ事情はさておいてですが・・・色々と聞かなければならない奴が一人

いるんでね、それで来たんですよ。」

 ルクスはバルゼリットを見ながらそう言うとバルゼリットはルクスにこう言った。

 「無意味な事をするなルクスよ。怪我と疲労に加え、まだ未調整の機竜で

よく来たものだな。」

 褒めるに値せんなと言うとアルテリーゼが驚きながらこう言った。

 「な!あの機体が『蒼の死神』と言う由縁の代物ではないと言うんですか!!??」

 アルテリーゼは未だ初見でありルクスの≪ライズ・ワイバーン≫と

≪ギャラクシーアイズ≫との見分けがつかなかったのだ。

 「それならば!!」

 アルテリーゼは≪エクス・ワイアーム≫のパワーを最大出力で

≪ギャラクシーアイズ≫に斬りかかろうとした。

 未だ機竜に扱い切れていないこの好機を狙ったんだろう。

 それには間違いない。

 感覚が掴み切れていない物を使う事は一朝一夕では会得できないのだ。

 そう・・・普通なら。

 「どけ。」

 そう言った瞬間・・・アルテリーゼの纏う≪エクス・ワイアーム≫の両手が一瞬で

切り裂かれたのだ。

 「へあ?」

 一瞬の事で気づききれなかったアルテリーゼが次に見た瞬間・・・ルクスの頭部が

何かをチャージしていた。

 「ハウリングロウ。」

 「がは!!」

 衝撃波がアルテリーゼを襲い、そのまま瓦礫に向かって吹き飛ばされた。

 「い、・・・今のは一体・・・?」

 アルテリーゼは瓦礫の中で何が起こったのかを分からずにいた。

 するとクルルシファーがルクスにこう忠告した。

 「気を付けてルクス君。≪アジ・ダカーハ≫の神装は・・・。」

 そう言いかけると≪アジ・ダカーハ≫を纏ったバルゼリットが脚部の車輪を使って

ルクスに向かっていった。

 そしてハルバードが振るわれる手前でルクスはそれを回避した。

 「ちっ!!」

 バルゼリットは残った左肩のキャノンを使ってルクスを自分の所に

誘導させようとするとルクスは態とと言っていいほど左にばかり回避して

バルゼリットに近づかないようにした。

 「貴方の機竜≪アジ・ダカーハ≫の神装は相手の機竜のエネルギーを吸収したり神装を奪う能力だろ?」

 「!!」

 バルゼリットはルクスの言葉に険相を浮かべた。

 「貴方の機竜の適性は男性にしては驚異的な持続力を持っているという噂は

聞いていましたが貴方が遺跡でクルルシファーさんに近寄った後に起こったあの挙動で疑問したんですよ。」

 「何故彼女が暴走するのか?何故貴方がディアボロスの位置を把握できたのかを?」

 「それは貴方が≪アジ・ダハーカ≫で≪ファフニール≫のエネルギーと神装を喰らっていたから。・・・違いますか?」

 そう言うとバルゼリットは余裕の表情でこう言った。

 「中々いい読みだな褒めてやろう。ルクス・アーカディアよ。

だが分かった所で・・・。」

 するとバルゼリットはキャノンをクルルシファーに向けてこう言った。

 「貴様は俺には勝てん。」

 そう言いながら嘲笑うように砲撃が放たれた。

 「ちい!!」

 ルクスは≪ファフニール≫の前に出ると赤い方の剣を振りかざした。

 「おらあ!!」

 そう言ってルクスは砲撃を・・・切り裂いた。

 「「はああ!!??」」

 バルゼリットとクルルシファーが驚いている中ルクスはバルゼリットに近づいてこう言った。

 「それと貴方が≪アヴェンスタ≫で神装を奪うには条件がいる。」

 「ぐっ!」

 ルクスはそう言いながらバルゼリットに斬って掛かった。

 何故だか分からないが青い方の剣を中心にしていた。

 「それは相手の神装を知らなければいけないからだ。そうじゃなきゃ能力を奪ってもどう発動したらいいか分からないからだ。」

 「だから私兵を雇っていたんでしょう?確実に勝つためにね。」

 そう言いながらルクスはバルゼリットに両手の剣でハルバードを切り捨てた。

 「終わりだ!!」

 そう言うとバルゼリットは慌てた様子でこう言った。

 「例え神装が奪えなくても貴様のエネルギーを奪えば良いのだ!!」

 そう言うとハルバードを楯にすると脚部の車輪で押し込み始めた。

 「キエローー!!」

 「ルクス君!!」

 クルルシファーがルクスを心配するとルクスはクルルシファーにこう聞いた。

 「なあ、僕にはあんたが何を失ったか知らないけどあんたが欲しかったもんって

何だ?」

 「私の欲しかったもの・・・。」

 クルルシファーはルクスの言葉を聞いたらバルゼリットがこう言った。

 「はん!!、お前は知らんようだがこの国に≪ラグナレク≫がやってくるのを知っているのか!」

 「「!!」」

 その言葉を聞いて全員が身震いした。

 ≪ラグナレク≫は嘗て旧帝国が呼び起こし、多くの厄災を引き起こしたのだ。

 「俺はな!それと戦ってやろうと言ってんだよ!その為には遺跡から武力を得るために奴が必要なのだ!!そいつの体を学者連中に色々と調べさせて道具のように使い潰すためにな!!」

 「たかが一人のために多くを犠牲にして新王国を危機に陥れるような事は断じて有り得ないのだよ!!ルクス・アーカディアよ。」

 バルゼリットの言葉は立ち上がりかけたクルルシファーの心をへし折ろうと

演説のように喋っているとクルルシファーはこう言った。

 「もういいわよルクス君。」

 「はっ?」

 クルルシファーはルクスにこう続けた。

 「もう依頼は十分に果たしたしこんな所で・・・道具のために

戦わなくていいわよ。」

 「結局私は・・・何もなかったのよ。」

 クルルシファーは涙を流しながら諦めの言葉を紡ぐとルクスはクルルシファーにこう言った。

 「ホザケや!!この大根役者が!!」

 ルクスはあろうことか頭突きを喰らわした。

 「ぐ!!」

 バルゼリットがいきなりのことで動揺するとルクスはクルルシファーにこう言った。

 「あんたはそれでいいのか!?あんたはここで終わりたいのか!!??」

 「でも、私にはもう・・・。」

 クルルシファーは何か言っているが ルクスは更にこう言った。

 「あんたの人生はここで終了なのか!!あんたはここで終わる程度の願いだったのか!!クルルシファー・エインフォルク!!」

 「!!うるさい・・・黙れ黙れ黙れーー!!!」

 クルルシファーは大声を上げるとクルルシファーはこう独白した。

 「私だって自分の幸せ掴みたいわよ!!」

 家族と一緒に笑いあう自分を・・・。

 「好きな人と一緒になりたいわよ!!」

 男性と一緒に歩く自分を・・・。

 「結婚して幸せな家庭を作りたいわよ!!」

 子供と一緒にいる自分を・・・。

 「でもしょうがないじゃない!!たった一人の私が何が出来るって言うのよ!!」

 「じゃあ頼れよ!」

 「え?」

 クルルシファーの言葉にルクスはこう言った。

 「一人が嫌なら周りを頼れよ!・・・たった一言『タスケテ』だけであんたを仲間と思っている連中がいただろう!!??」

 「!!」

 その言葉を聞いてクルルシファーは周りの人間たちを思い出した。

 『シヴァレス」のメンバーや学園の人達が見えた。

 「・・・それじゃあ依頼を言うわね。」

 「ああ!?」

 クルルシファーはルクスにこう依頼した。

 「・・・私を助けて。」

 クルルシファーが涙を流しながらそう言うとルクスはこう返した。

 「了解した―ー!!」

 ルクスがそう言った瞬間バルゼリットが≪アヴェンスタ≫を使おうとしたその時・・・ルクスはこう言った。

 「エネルギーを奪えるのは・・・あんただけじゃないんだよ。」

 そう言うと≪ギャラクシーアイズ≫の頭部部分の眼が赤く輝いた。

 そしてルクスはそれを発動させた。

 「≪光子剥奪(フォトン・ディプリペーション)≫」

 すると≪ギャラクシーアイズ≫の装甲が光り輝き始めた。

 「な、何だ!!これは!!!」

 バルゼリットはそれに動揺するも光が弱まり始めた瞬間バルゼリットは車輪を使って離れようとすると・・・。

 「ぐお!!」

 突如機体の反応が遅くなりそのままルクスに斬られた。

 「一体何があった・・・!!」

 バルゼリットは混乱する中ルクスを探しているとルクスは上空にいた。

 そして背部の翼から光の羽が姿を現した。

 それに応じて機体も発行するとルクスはバルゼリットにこう説明した。

 「相手の神装機竜の神装を使う分のエネルギーを喰らい、それを機体の出力に

再変換する。これが≪ギャラクシーアイズ≫の神装。」

 そして光の羽が大きく広がってこう言った。

 「≪光子剥奪(フォトン・ディプリペーション)≫」

 そしてバルゼリットはルクスにこう言った。

 「馬鹿な・・・馬鹿な馬鹿な馬鹿なーー!!こんなことありえない!!俺様は

≪ラグナレク≫を倒さなければならないのに何故だ!!ナゼダー^-!!」

 するとルクスはバルゼリットに斬りかかった。

 「くーー!!」

 バルゼリットはハルバードを振ろうとするもなぜか反応が遅くなり対応できずに切り捨てられた。

 「何だこれは!!俺様の行動に何故着いてこれないんだ!!」

 するとルクスはバルゼリットにこう言った。

 「簡単ですよバルゼリット候。・・・僕が奪ったんですから。」

 「何!!」

 するとルクスはバルゼリットに剣を向けてこう説明した。

 「この青い方の剣は≪パラディン≫と言って機竜のエネルギーを喰らうことが

できます。」

 「!!」

 「そして赤い方が≪ギャラクシー≫と言って特殊武装や相手が放出した

エネルギーを吸収することが出来る武装なのです。」

 「ま、まさか・・・。」

 ルクスの説明にバルゼリットは驚愕し、啞然とした。

 相手の機竜のエネルギーを喰らう事に特化して、それを機竜自身に注入し

続ければ永久に戦えることが出来ると思ったからだ。

 更に言えば自身が撃ったキャノンを斬ったのもそれだとすれば合点がいくからだ。

 「(まさか俺はずっとこいつの掌で踊らされていたというのか?こいつに俺は

騙されていたとでも言うのか??)」

 バルゼリットはまるで自分はピエロのように踊っていたのではないのかと思った瞬間自身とルクスの格の差を思い知らされたのだ。

 するとルクスはバルゼリットにこう言った。

 「さてと・・・まだやり合うか?王国の偽者覇者さんよ?」

 その言葉を聞くとバルゼリットはハルバードを手放してこう言った。

 「ま・・・参った。」

 バルゼリットの降参。

 それはルクス達の勝利を意味するものであった。

 クルルシファーはルクスの方に向かった。

 「ルクス君大丈夫だった!?怪我は・・・無いようだけど無茶が過ぎるわよ。

 もう少しで暴走しそうじゃない。」

 ルクスの機体を見ると機体ががたがたと音を鳴らしていた。

 「まあ良いじゃないですか。未調整でも勝てたんですし。」 

 正直言えば正に薄氷の上での勝利であろう。

 それを聞いていたバルゼリットはと言うとニヤッと薄ら笑いすると・・・

機竜を起こして車輪を使ってルクス目掛けてハルバードを振りかざそうとした。

 「死ねーーー!!!」

 バルゼリットは勝ち誇った顔でそう言うとルクスはゆらりと振り向くとこう言った。

 「・・・失せろ。鍍金の覇者が。」

 そして剣をバルゼリット目掛けて振りぬいた瞬間・・・バルゼリットは

ある物を見た。

 それは蒼くそして美しい竜がバルゼリットを≪アジ・ダカーハ≫ごと噛み砕こうと

大きく口を開けたところであった。

 この時・・・王都ではその周辺で青い光の柱が見えたという情報が幾多にも

行き渡った。




 神装機竜≪ギャラクシーアイズ≫
 種類 飛行型
 この機体はカイトの≪ギャラクシーアイズ≫が大本となっている。
 ≪ライズ・ワイバーン≫と同じように進化する可能性を持った機竜。
 見た目は正に星のように青く輝き一度見れば心を奪われること間違いないからだ。
 神装≪光子剥奪(フォトン・ディプリペーション)≫
 ≪アジ・ダカーハ≫と同じくエネルギーを吸収することが出来、神装のエネルギーを
吸収することで機体の出力に変換することが出来る。
 またたった一回だが神装を解き放つことと引き換えにその能力を使うことが出来る。
 武器  ≪パラディン≫  機竜本体のエネルギーを吸収することが出来る。
     ≪ギャラクシー≫ 特殊武装又は、放出されたエネルギーを
吸収することが出来る。


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決闘終了!!

 ルクスが最後に使ったのは「ガンダム00」に出てくる「トランザム・ライザー」を想像してください。


 ルクスが≪ギャラクシーアイズ≫を使って戦闘している中周りでも戦闘が起きていた。

 「な、何なんだよ一体!??」

 バルゼリットの雇っていた私兵が半狂乱で叫びながらそう言った。

 突如こちらに属していない機竜が戦闘していると報告があり様子を見ると

そこにいたのは一体の紫色の機竜が仲間を倒していたのだ。

 見た目はピンク色の髪をした無表情の少女だったが装衣から見るスタイルが

色町で見た女性よりも激しい起伏の持ち主だったこともありさっさと倒して

こいつを犯そうと思っている中突如一人目が吹き飛んだのだ。

 「グエ!!」

 そう言って木々を倒しながら倒れて失神した所を見て全員で掛かろうとするも

攻撃が当たらず太いワイヤーテールが絡みついた瞬間あっち側に引き込まれた。

 「えい。」

 無表情なれど徒手空拳であらゆる敵を倒し、沈めた。

 その戦い方で既に十人近く倒され既に自分一人となってしまったのだ。

 「うわアアア!!」

 私兵の一人が逃げようとした瞬間その紫色の機竜が退いていくのを見た。

 「?・・・!!」

 男はチャンスと思い攻勢に転じようとした瞬間影が自分の前に伸びているのをいた。

 そして後ろを見ると・・・青白い光が自分に迫ってきたのが見えた。

 「う・・・ウア。」

 男は言い終わる前にその光の中に消えて行った。

 少女・・・フィルフィ・アイングラムはそれを見てこう言った。

 「・・・ルーちゃん。」

 

 

 

 「・・・何よこれ。」

 クルルシファーは驚愕していた。

 後ろからバルゼリットがルクスに攻撃しようとしたところルクスが剣を振った瞬間

青白い光が現われて一瞬目を瞑って開き直るとバルゼリットはそこにはなく、代わりに衝撃の強さを物語るように一直線に裂け目がまだ赤く焦げており、廃屋すらも

吹き飛んでいた。

 「クルルシファーさん。」 

 「!!何ルクス君!!」

 ルクスがクルルシファーを呼ぶとクルルシファーは驚いて聞いた。

 「バルゼリット卿を探しましょっか。」

 「え・・・えー。」

 クルルシファーは生きてるのかと思いながらもその裂け目を目印に進んで行った。

 暫くすると町の校外にある崖に辿り着いた。

 よく見るとバルゼリットの私兵が呻き声を上げながら失神していたが

それは酷い物であった。

 全身大やけどを負ったものもいれば炭化して息が絶え絶えの状態の人間、機竜だけあって体が消滅したものもあった。

 「これは・・・酷いわね。」

 クルルシファーは吐き家を抑えてそう言うと崖の所でなにかガラガラと音がした。

 「ルクス・アーカディアーーー!!!」

 「ひ!!!」

 大声を上げながら石の塊から出てきたのは最早人間だとは思えない物であった。

 それは普段冷静なクルルシファーが悲鳴を上げる程であった。

 端正な顔立ちは袈裟切りで切り裂かれ赤く焼け爛れ切り裂かれた傷があり、髪の毛は焼ききれ頭皮も焼き焦げており、体もまるで全身焼かれたように黒く焦げていた。

 そしてルクスを見ているその目も瞼が焼け爛れぎょろっと目玉が見えそうであった。

 「よくも・・・よくも・・・。」

 ひゅー、ひゅーと言いながらルクスを見ていた。

 恐らく喉にもひどいケガを負っているのか喋る事もままならないようだ。

 「ひょくぼおりぇをきょんなしゅぎゃたにひたにゃーー(よくも俺をこんな姿にしてくれたなあ――)!!」

 「喧しいぞ化け物が、負けたんだからさっさと帰れ。」

 バルゼリットの言葉にルクスは一瞬で切り捨てるとバルゼリットは

何かをしようとした。

 最早見る影もない≪アジ・ダカーハ≫から僅かだが音が聞こえた。

 「何?この音??」

 クルルシファーの問いにルクスはこう答えた。

 「おそらく周りにいる私兵を呼ぼうとしてるんだろう。微かだけど聞こえた

人間がここに来るようにな。」

 ルクスがそう言うとバルゼリットは笑いながらこう言った。

 「ああしょうだ。きゃってもまきぇてもおみゃえをきょりょしぇびゃ

しょりぇでいい。あにょひちゅじはたおりぇていりゅからしょいつみょきょりょしてしょいつをぢゃみゃりゃしぇりぇびゃおりぇのきゃちぃだ。(ああそうだ。

勝っても負けてもお前を殺せればそれでいい。あの執事も殺してそいつを黙らせれば

俺の勝ちだ!!)」

 バルゼリットは勝ったような仕草でそう言うがルクスは未だ冷ややかな表情で

こう言った。

 「あんたの考えそうなことぐらい旧帝国時代に見ている僕が予知していないと

思っているのか?」

 そういうと上から何かが降ってきた。

 「ぐえ!!」

 「!!」

 バルゼリットは驚いていた。

 それは自分の私兵だったのだ。

 上を見るとそこには≪ティアマト≫を纏ったリーズシャルテがそこにいた。

 「これで最後だぞバルゼリット。何か申し開きはあるか?」

 そう言うとルクスの後ろから誰かがやってきた。

 「あ、やっぱルーちゃんだ。」

 フィルフィ・アイングラムが間延びした声でそう言うと≪ワイアーム≫を纏った

ティルファーが他の私兵たちを抱えてやってきた。

 「残念だが貴様の悪事は我々『シヴァレス』と・・・ここに来る軍が既に

聞いたぞ。」

 上空から≪ワイバーン≫を纏ったシャリスがそこにいた。

 「YES、私の≪ドレイク≫の傍受機能であなたがクルルシファーさんを脅し、

盗賊を雇い、決闘のルール違反を犯しただけではなく相手の意図的な殺人容疑も

全て白日の下に晒されました。」

 「うぐう・・・。」

 リーズシャルテはルクスが決闘に行ったことを聞き、シャリスに頼んで軍の人間を

待機してほしいと頼んだのだ。

 「観念しろ『王国の覇者』さん?」

 上空からリーズシャルテがそう言うとバルゼリットは・・・突如煙幕を出した。

 「きゃあ!!」

 「シヴァレス」の団員が悲鳴を上げるとその中でバルゼリットは

逃げようとしていた。

 「(こうなったら自分の領地に戻ってこの容疑を権力を使って消滅させた後また力を付けて!!)」

 そう思う中煙幕から出ようとした瞬間突如・・・機体の足が壊れたのだ。

 「!!」

 バルゼリットは驚く中そのまま機体事倒れると全身のやけどの痛みが彼を襲った。

 「アがアアアアアアアアアアア!!!」

 煙幕が晴れるとバルゼリットが痛みを味わっていた。

そして≪アジ・ダカーハ≫の足元にクランリーゼが何処から持って来たのか工具一式を持っていたのだ。

 そしてルクスを見て・・・Vサインをした。

 そしてクルルシファーは≪ファフニール≫から降りるとバルゼリットを見て

こう言った。

 「そう言えばこう言っていたわね。・・・『道具』って・・・私を実験動物にしようとも言っていたわね。」

 クルルシファーはいつもの・・・いや・・・その三倍増しの冷ややかな表情で

こう言った。

 そして右足をある所に狙いを定めてこう言った。

 「・・・潰れなさい。この腐れ外道が。」

 そう言ってクルルシファーはバルゼリットの股間に・・・思いっきり蹴りを

喰らわせた。

 「ぐお・・・・・!!!!!」

 バルゼリットは火傷+急所の痛みを喰らうとともに・・・何かプチっと破裂する音が

聞こえそのまま泡を吹いて倒れた。

 それを見たルクスはひっと股間を隠して後ろめりになった。

 「・・・ああーー。スッキリした。(^^♪」

 クルルシファーはにこやかな顔でそう言うがこの時ルクスはこう思っていた。

 「(クルルシファーさんは絶対怒らせないようにしよう!!)」

 そう心で誓った。




 男にこの一撃はキツイ!!


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決闘翌日。

 決闘の後は体がキツイ。


 「ふぁあああ。よく寝た・・・ナニこれ?」

 ルクスが起きた時自分の布団の中に何かが入っていた。

 「またフィーちゃんかな。・・・起きてフィー・・おわああ!!」

 ルクスは又フィルフィが入っているのかと思って布団を剥がすと

そこにいたのは・・・。

 「あ、おはようございますルクス様。」

 スリープ状態から目覚めたクランリーゼがそこにいた。

 「何で僕のベッドに入っているの!?」

 ルクスがそう聞くとクランリーゼはこう返した。

 「今日はクルルシファーさんと一緒にアルテリーゼさんに今回の顛末を報告する

予定なので起きれなかった時に備えて待機していたんです。」

 「・・・アアそう。」

 ルクスは恐らく決闘の時のように遅れることが無いようにと思っていたようだが

それならベッドに入らなくてもよくねと思いながらもルクスは顔を洗いに言った後

クランリーゼにこう言った。

 「ごめんけど着替えるから部屋の外に出ておいてくれないかな?」

 「分かりました。」

 そう言ってクランリーゼが部屋から出たのを確認したルクスはクルルシファーから買ってもらった礼服を着てチェックした後外に出ると校門近くで薄水色のドレスを着たクルルシファーと制服姿のノクトとティルファーがそこにいた。

 「あれ二人ともどうしたの?」

 ルクスはティルファーとノクトにそう聞くと二人はこう返した。

 「いやさあ。リーシャ様が『クルルシファーの執事に会うのならあの二人の

護衛を頼んでくれないか?私は新たに発掘された機竜のパーツの確認と

≪ギャラクシーアイズ≫の調整をしなければいけないからな』ってな感じで。」

 「それに私達もルクスさん達のことが気になりますし・・・彼女も行きたがって

いますしね。」

 そう言って後ろを向くとじ~~とこちらを見ているクランリーゼを見つけた。

 するとクルルシファーはこう言った。

 「良いんじゃない?彼女の服を買いがてらと思えば良いし今回の調査で

彼女の所有権は当面の間貴方がすることになったんだから。」

 「あははははは。」

 クランリーゼはバルゼリットを逮捕した後本人の意思と今回のルクスの功績に

伴い学園で面倒を見ることとなりその責任がルクスとなったのだ。

 バルゼリットについては逮捕する際にクルルシファーの股間蹴りの事を聞いた

軍の人間すらも後ろ屈みになるほどであった。

 如何やらバルゼリットは私兵を使って遺跡の盗掘、対立関係者の圧力などを父親や一族に内緒・・・いや彼らも関係があると思い調査を行うこととし、内容次第では

クロイツァー家の没落もあり得るのであった。

 然し調査の過程で角笛が見付からないことから黒幕がいるんじゃないかと言う

説が浮上した。

 それがいったい何者なのかと知る者はいない・・・。

 

 

  

 その当人はと言うと・・・。

 「ふぁ~~~。親父、どれくらいで着くんだ?そのなんたら学園って。」

 荷馬車の上で胡坐をかいて欠伸をしていた。

 「もうすぐでアレイシアだけどあんたもしかして精霊使いかい?」

 その剣がそうなんだろうと言うとその人間はこう言った。

 「残念だが俺はそうじゃなくてね。これは護身用だよ。」

 そして空を見ながらこう言った。

 「精霊剣舞祭(ブレイドダンス)ねえ・・・。」

 その人間がいくところでは帝国初の機竜同士の戦闘が行っているとはまだ誰も

知らない。




 自分が制作している作品のもしかしたらネタバレが含まれています。


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そして捻じれにねじって・・・・

 第二巻これで終了です。


 「そろそろ着くわよ。」

 「あ、はい。」

 クルルシファーとルクスはティルファーとノクト、クランリーゼを連れて

本来ならバルゼリットとの婚約で使用される筈であった高級レストランに来ていた。

 既に貸し切りとしており店内に入るとアルテリーゼしか客がおらず後は女性の

店主しかいなかった。

 「ようこそおいで下さいました。お嬢様。ルクス・アーカディア様。それと・・。」

 アルテリーゼは少し困った様子でルクスの隣にいるティルファー達を見ると

ティルファーが代表でこう言った。

 「ああ心配しないでいいよ~~。私達ルくっちの護衛だから。」

 「YES、万が一の為我々は外で、クランリーゼは店内の護衛をしておきます。」

 ノクトがそう言って外に出てクランリーゼはルクスの後ろで待機していた。

 アルテリーゼは席に着く前にルクス達に頭を下げた。

 「この度の件。バルゼリット卿の謀略を見抜けなかったばかりに一歩間違えば

エインフォルク家の名に傷をつける惨事にへとなり兼ねたことについてお嬢様と

ルクス・アーカディア様には、謝罪の言葉もない事も重々承知しております。

 此度の事はエインフォルク家で厳罰を受けることとなりますのでこの場はどうか、

ご容赦のほどを・・・。」

 「「・・・。」」

 ルクスとクルルシファーはそれを見て暫く口ごもっていた。

 彼女は只エインフォルク家の為にと思った事だがそれが裏目になっただけなのだ。

 「ねえアルテリーゼ?知ってるでしょ。私の事。」

 「は、・・・はい。」

 クルルシファーはアルテリーゼにある事を聞いた。

 自分の正体についてを。

 「私とあなた同じ境遇を持っていたわ。孤児でエインフォルク家に迎えてもらって、努力して今がある。貴方はそんな家の為に頑張っただけ。それをバルゼリットが

悪用しただけだから今回の事は水に流す。それに・・・。」

 クルルシファーはアルテリーゼにこう続けた。

 「私とあなた、これからお互い知ればいいだけだしね。」

 そう言ってクルルシファーはアルテリーゼに笑顔を見せるとアルテリーゼは

「はい。」と答えた。

 然しアルテリーゼはクルルシファーにこう言った。

 「然し私の使命は最早解決されました。ルクス様のおかげで。」

 「「はい?」」

 ルクスとクルルシファーはそれに何故と思うとアルテリーゼは爆弾を落とした。

 「ルクス・アーカディア様のドラグナイトとしての実力とバルゼリット卿の

謀略を見破ったその叡智、新王国の王女や多くの領主や貴族との繋がりを鑑みた結果

エインフォルク家の婚約者として相応しいことが分かりましたから。」

 「「・・・え?」」

 その言葉を聞いてルクスとクルルシファーは後ろ向きになって小声で耳打ちをした。

 「クルルシファーさん。これはドウイウコトカナ?」

 ルクスは目が笑っていない様子で聞くとクルルシファーは慌てた様子でこう返した。

 「えーーと・・・なんかゴメン。」

 「おい。」

 ルクスはクルルシファーの対応に後で抗議しようとしてアルテリーゼの方向を向くとアルテリーゼはこう返した。

 「ご安心ください。我が主であるエインフォルク家の当主にも貴方を婚約者に

するように全身全霊を懸けて推挙させてご覧に入れますから。」

 「いやちょっとま・・・!!」

 「では私はこれで。料理の会計は終わってますので後は追二人でごゆっくりと・・・それでは!!」

 ルクスが制止する間もなくアルテリーゼは脱兎のごとき速さで去って行った。

 「・・・行っちゃったわね。」

 「ええええ・・・。」

 クルルシファーの言葉にルクスはえらいこっちゃと思い頭を抱えたまま机に

突っ伏した。

 「今回の契約についてありがとう、ルクス君。」

 クルルシファーはルクスにお礼を言うとルクスはクルルシファーにこう聞いた。

 「それで、どうでした。恋人についてですが。」

 そう言うとクルルシファーはルクスの問いにこう答えた。

 「そうねえ・・・貴方と一週間一緒にいて分かったことと言えば・・・

友達としてなら付き合えるわね。」

 顔は女の子っぽいけどねと言うとルクスはクルルシファーにこう返した。

 「ハハハハハ、助けてもらってよく言えるなあんた。」

 ルクスは黒い笑みを浮かべながらそう言うとクルルシファーはルクスの事でこう

続けた。

 「最初は夢見る人って思ったけど、実は頑張り屋で積極的、そして・・・。」

 クルルシファーはルクスの頬に手を伸ばすとこう言った。

 「愛した女性の事を思い続ける優しい人ってことが良く分かったわ。」

 するとクルルシファーはルクスの頬に唇を当てた。

 「へあ?」

 ルクスは頬に温かい何かが当たったことに茫然すると暫くするとクランリーゼがこう言った。

 「これがキスですか。」

 それを聞いてルクスは顔を真っ赤にして口をパクパクさせているとクルルシファーはルクスに向かってこう言った。

 「いつかあなたよりもいい人見つけて後悔させてあげるわ。」

 そして指をライフルの射撃ポーズをとってこう言った。

 「ぱあああん♡」




 クルルシファー「あら次回予告ってこの作品暫く休むんでしょ?え?それでも
いいからってしょうがないわね。」
        「学園内で現れる謎の人影にルクス君が・・・へーー。女装ね~~。
 そんな中見かけた謎の女性徒。それは『シヴァレス』の団長であった。
ルクス君の事である催しを行うこととなったがそこに魔の手が。」
        「次回『最弱無敗の決闘機竜』第三章『最強帰還!!黄金の少女の
過去と暴かれし英雄!!』」
        「ドラグナイトデュエル!!アクセラレーション!!」
 ルクス「機竜に乗りながらデュエルって無理だろ!!」


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『最強帰還!!黄金の少女の 過去と暴かれし英雄!!』」
この世に善人などいやしない


 皆さん開けましておめでとうございます。(遅いですが)
 新年最初の投稿としてよろしくお願いいたします。


銀髪の黄金の刺繍が施されたマントを着ている青年と青色の髪のメイド服を着ている女性が小窓のようなものから映し出されている景色や風景を見ている中青色の髪の女性が

こう聞いた。

 「フギル様、一つご質問をよろしいでしょうか?」

 「いやだと言ったらどうするのだ君は・・・と言いたいところだが前置きせずに語ったらどうだ?ミスシス・V・エクスファー?」

 女性は男性、フギルにそう聞くとミスシスはこう聞いた。

 「何故貴方は彼らに神装機竜を預けたのですか?目的のためとはいえ、今後のことも

考えると戦力を持たせるのは得策ではないと思われますが?」

 淡々と感情の抑揚もなくそう聞くとフギルは目線をミスシスに合わせてこう聞き返した。

 「『勇者』という存在は何処からやってくるか分かるか?」

 その言葉を聞いたミスシスは少し目を細めてこう返した。

 「・・・質問の内容を聞いていましたか?フギル様」

 そう返したミスシスに対してフギルはこう続けた。

 「おとぎ話や英雄譚に描かれる連中さ、中には聖女という人間もいる。彼らはそれでこそ創作であるが現実に出すとなると何処から生まれてくるか分かるか?」

 そうフギルが聞いたこともありミスシスは少し考えてこう答えた。

 「・・・時の権力者・・・でしょうか?『勇者』という己の敵と戦わせ、正義を名乗る

役割を背負わせた存在を」

 そう聞くとフギルは首を横に振ってこう返した。

 「違うなミスシス。『勇者』とは権力者ではなく・・・民衆が生まれさすのさ。」

 「民衆・・・ですか?」

 ミスシスがそう聞くとフギルはこう続けた。

 「貴様は知らないようだがこの世の中大義のためにと戦うものなど誰もいないのだ。

この世の誰もが危険を冒すよりも目先の小銭を追い求めるのだ。糊口を凌ぐためにな。」

 「ならば『勇者』はなぜに戦うか?簡単さ・・・『自己保身』だ。」

 「・・・自己保身」

 「自らの安寧のために魔法と少しの言葉をかければいい。装甲機竜を与えて、

遺跡にある宝を見せつけてアビスという敵を教えてやり、勝利の味を味合わせて

覚えさせれば・・・自分の利益を守るために自ら『勇者』になってしまうのだ。」

 「全ての遺跡を開けさすには十分な理由だ。それにそろそろだが各国で戦争が劇化する頃合いだ。これからは表舞台でも動くことだろうな。」

 フギルがそう言い終わるとミスシスにこう伝えた。

 「そろそろ次の一手を動かす頃合いだ。第三皇女にこう伝えてくれ。『馬鹿な司令官をけしかけてこい』と」

 そういうとミスシスは部屋から出ていこうとするとフギルにこう聞いた。

 「先ほどのお話についてですが、その考えですとこの世に『英雄』は存在しないこととなってしまいますが?」

 そう聞くとフギルは後ろ向きでこう返した。 

 「・・・当たり前だ。この世に『勇者』も『聖女』もいないのだから。」

 それを聞いた後に扉を閉めるとフギルはある枠の一つを見ていた。

 そこに映っていたのは紫色の機竜を身に纏っている青年であった。

 フギルはそれを見ている中つぶやいた。

 「・・・そうだ、『勇者』も『聖女』も・・・この世にいないのだ。」

 「そう思わないか・・・?」

 「・・・『スライマン』」

 その名前をつぶやいた時のフギルの目は・・・

 

 

 

 

 

 

 何かを懐かしそうに思う眼であった。




 今回は先代のパソコンが10年という生涯に幕を下ろして新たに新しいパソコンを使っての投稿となりました。
 これからもよろしくお願いいたします。


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女装はいかが?

 再開してそうそうですが・・・ルクスが哀れになります。


「はあ・・・今日はよく冷えるなあ。」

 遺跡の調査権(これは序で実際は「グランフォース・コア」を入れるため)をかけた」

校外対抗戦通称「全竜戦」の代表者選抜校内対抗戦を数日後に控えていることから

学園の中では高揚にも似た緊張が張り詰めていた。

 まあ・・・この間教官3人を凹した挙句に半殺しにしたルクスの場合は強制参加

する羽目となっている。

 そのルクスはというと女子寮付近の中庭を歩いていた。

 星が見えない曇り空の中、寮のランプの明かりがボヤ~っとだが中庭を照らしてくれた。

 このアカデミーの外では正門が完全に閉じられており、防衛拠点として重要なことから

専属の衛兵+学園内にいる志願制であるが見回り組もいる。

 まあ・・・それでも侵入して機竜や書類を盗み出そうとするスパイや年頃の令嬢たち

目当てに覗きをする馬鹿どももいるようだが・・・。

 そういうことがあることからテイルファー達三共和音がルクスに依頼として見回りに

参加しているのだ。

 「(それだけならまだましなのに・・・。)」

 「あれ?貴方見かけない顔ね?・・・もしかして」

 「あっ・・・え、えっと・・・その」

 ちょうど女子寮の前にいた部屋着姿のクラスメイトに声をかけられたルクスは思わず

驚いてしまった。

 「転入生でしょ?この時期に珍しいわね?」

 「え・・・?・・・ああそうなんです。学園町に呼ばれてそれで」

 目の前の少女の言葉にルクスは少し・・・悲しさを浮かべながらそう言うと

その女子生徒がこう返した。

 「ふうん、ま、同じクラスになったら・・・それはそれで困るんだよねえ」

 そう言いながら女生徒がルクスの顔をまじまじと眺めた後こう言った。

 「だってさ。貴方すっごく綺麗なんだもん。ここの学校ってさ、かわいい子が

多いけど、その中でも貴方トップクラスだもの。あー、やだやだ。またライバルが

増えちゃうわ。」

 「ら・・・ライバルって?」

 ルクスがそう聞くと女生徒がこう答えた。

 「んっとね、うちのクラスとシヴァレスの面々がみんなルクス君狙いなんだ。

ルクス君っていうのはこの学園で唯一の男の子なんだけどね、周りにはすごい綺麗な

子達がいるからちっとも手が出せないんだけどね、あなたが男のだったら人気も

分散されて私もルクス君を狙うチャンスができるんだけどねって話。」

 「へ・・・へえええソウナンデスカ。」

 それに対してルクスは片言で答えるしかなかった。

 「それじゃあおやすみなさい。それと、最近敷地内で男の変質者とかが出るって噂だから気を付けてね?貴方みたいなかわいい子が狙われちゃうからね。」

 それじゃあねと女生徒が寮内に戻って足音と気配が消えるのを確認したルクスは・・・

 「・・・なんで・・・・何で・・・ナンデ誰も気が付かないんジャーーー!!」

 地面に突っぷしてそういうが・・・まあ無理あるまい。

 今のルクスは栗色のロングの鬘と女生徒の制服を着ただけなのにそりゃもう綺麗な

女の子になっちゃったのだから。

 しかも見たルクス自身も疑うほどであるほどに。

 ・・・こいつ生まれる性別間違ってね?

 「クラスメイトどころかすれ違った教師にまで女子と思われるなんて・・・複雑だ。」

 それどころか男として見られてないあたり・・・こいつ終わってね?

 「いい加減に僕の心を抉るな作者!!」

 地の分読むな。

 それに・・・

 「じーーーーー」

 少し離れた場所で銀髪の少女・・・オートマタ「クランリーゼ」がルクスの状況を

見ていた。

 「・・・何してんの?」

 ルクスがそう聞くとクランリーゼがこう返した。

 「はい、アイリに見せようと思って録画しているのです。」

 「それだけは止めてください」

 クランリーゼの言葉にルクスはすぐさま土下座してそういった。

 その中でルクスは心の中で思っていた。

 「(何でこうなったんだ。)」

 それを答えるものは誰もいない。

 ホ~、ホ~。

 フクロウ以外は。




 その理由はまた次の時に。


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女装の理由。

 どうしてルクスが女装しているかについてです。


今から数時間前のことというより・・・放課後のある日のこと。

 「えっと・・・学園敷地内における警備の依頼ーですか?」

 ルクスは学園名物「トライアド」のメンバー。

 シャリス、ノクト、ティルファーからの依頼で空き教室の一角に来ていた。

 「そーそー。学園の警備ってホントは衛兵さんたちの仕事なんだけどさ。あっちも色々と大変でしょう。」

 生活とかさとティルファーが腕を組みながらそういう中確かにとノクトが頷いていた。

 「特に敷地内や女子寮は我々がやっていたのだがここ最近のことを考えると人手が

欲しくてね。」

 シャリスはそう言いながらこうまとめた。

 「というわけでルクス君。しばらくの間だが君にも手伝ってもらいたいのだ。

最近の侵入者対策としてね。」

 この通りと目の前で手を合わされてきたのでルクスはこう答えた。

 「分かりました。微力だと思いますがお手伝いさせていただきます。」

 ルクスは笑顔でそういうとこう続けた。

 「いやー、最初はどうなるかと思いましたよ。最近阿保みたいな依頼が山のように

来るものだから疑ってしまって。」

 「そういえば最近そういうのが多いよねえ。」

 ルクスの言葉にティルファーがあはははと苦笑いでそういった。

 ルクスとティルファーしか知らないのだが選別する中でいろんな依頼が舞い込んで

くるのだがこれがまたねえ・・・。

 マシなのは、買い物の手伝いや部屋の掃除

 酷いものなら専属護衛や体のマッサージ、着替えの手伝い、入浴の世話といったものが

ある始末だ。

 無論そういうのはティルファーが選別した後専属護衛は一日限定別払いだったり

後半3つはルクスの妹のアイリに頼ませたりと色々と苦労を掛けている。

 するとシャリスが聞こえるようにこう言った。

 それじゃあ準備しているのが演習場の控室にあるからついてきてくれ。」

 シャリスはそう言ってルクスを連れて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 「なんじゃこりゃーー!!」

 ルクスは大声をあげてそう言った。

 シャリス達が差し出したのは変装用だと言って出された女生徒の制服と栗色の鬘。

 なぜかとルクスが聞くとこう答えた。

 「最近学園をうろついて覗きをする不埒物がいてな。おそらく男だと思われるのだ。」

 「YES,それで腕っぷしが強くてか弱い女の子を囮とするする計画を立てたのですが」

 「ここってお嬢様学校でしょう?学園長が『そんなことしたら私の首が

飛んじゃうから~~ルクス君に頼みましょう。あの子なら少し変装するだけで女の子に

仕上がれちゃうから~~。』ってね。」

 「あのバ学園長はどうせ僕の女装姿を見て心から馬鹿笑いしたいだけじゃねえのかって言いたいところだけど理由が理由だし同姓としてこれ以上の犯罪行為を見逃すわけには

いかないからなあ。」

 ルクスは頭を掻きながら考えた結果が・・・。

 「・・・それを着て活動しましょう。」

 ルクスが折れたのであった。

 正直言えばどっちにしても受ける気満々であったのだ。

 長い間、旧帝国の圧政と男尊女卑における暗い過去がありながらも皇族(当時殆ど

関係がなかったが)でもあり咎人でもある自分を受け入れた学校に対する恩義もあってかこのくらいならと思っていた。

 まあ・・・レリィに対しては・・・一つ文句を言うつもりであるが。

 それを聞いたシャリス達は喜びながらこう言った。

 「そうか、ありがとう。・・・ではルクス君、早速だが・・・着替えてもらおうか?」

 シャリスはそう言いいながらルクスの服を脱がし始めていた。

 それを見たルクスは後ずさりしてこう言った。

 「あんた何やってんだ!?」

 それを聞いたシャリスはこう言った。

 「いやね、君は女生徒の服を着たことないだろ?だから我々が手取り足取りとさ。」

 そう言いながらぐふフフフと言っているあたり怪しさが目に見えて怖い。

 「シャリス先輩、あんた今すぐ鏡見ろって見てないで助けてよ!!」

 ルクスがそう言うとティルファーとノクトはにやにやしながらこう言った。

 「いやー、ごめんねルクっち。これも学園の安寧のためと思ってさ。」

 「YES,それに他意もありませんので大丈夫です。別に依頼の序にルクスさんの

女装姿が見れてワクワクしているなんてそんなこと微塵も・・・・・・

オモッテマセンカラ。」

 「ノクト!今の間は何!?っていうか完全に楽しみにしているのが丸わかりだぞ

ごら!!」

 ノクトの言葉にルクスはツッコミを入れるが多勢に無勢、あっという間に着替え

させられた。

 

 

 

 

 

 

 「うわっ・・・これは思ってたよりもスゴ」

 「YES,正直誤算です。ここまで似合うとは思ってもいなかったです。」

 「これは化粧は要らないな・・・今のままでも十分すぎるくらいに・・・・」

 「「「似合ってる!!!」」」

 最後に三人がそう言うが無理はあるまい。

 何せ目の前にいるのは・・・。

 「ウウウ・・・何で僕が・・・」

 泣きべそかきながら鏡の前に立っているルクス本人であるからだ。

 「それでは毎晩その恰好で見回りを頼むよ」

 シャリスがルクスの肩をたたいてこういった。

 「・・・とても美しい貴族令嬢さん(笑)」

 それを聞いたルクスの言葉は・・・。

 「全然・・・・・嬉しくねええ!!!!」

 涙目で大声をあげた。




 ルクス・・・性転換手術したら(笑)
 ルクス「手前ぶっ殺すぞごらーーー!!」


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過去を見てさらに過去へ。

 諸事情に伴い遅れてしまって・・・ごめんなさい!!


「早く来いよ、犯人・・・この恨みをぶつけたくてうずうずしてえんだよ~~~。」

 ヒヒヒヒヒヒと黒い笑みを浮かべながら校庭をうろうろとしているルクスであったが

その光景はまるで夜中の幽霊のようであった。

 「・・・こんな仕事、さっさと犯人半殺しにして連れて行かないと・・・

またなるのは嫌だ~~~!!」

 頭を抱えながらルクスはそう思っていた。

 もし妹のアイリに見られでもしたら・・・。

 『兄さん?なんですかその恰好は・・・去勢して出直してください。』

 「・・・・絶対言うな。」

 ルクスはそう思って下半身を隠すようなしぐさをしたまま移動していた。

 「それにしてもバルゼリッドのクソッタレめが、悪事働く脳みそあるならその時間を

機竜の操縦訓練に使えってんだ。」

 まったくモーとルクスはそう思いながら空を見上げてこの間のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 今から数日前の機竜格納庫にて・・・。

 「ラグナレクとは厄介だなあ。」

 「ええ、全くあの阿保のせいで王都はしっちゃかめっちゃかですよ。」

 ルクスが口を尖らせて文句を言っている中ルクスが見つけた新しい機竜

『ギャラクシーアイズ』の調整をしていたリーズシャルテがこう言った。

 「全くだな。『グランフォース・コア』のこと然り、『ラグナレク』然り、

特にラグナレクは並みの機竜使いが束になっても勝ち目がないことから少数精鋭で

神装機竜で構成されたメンバーを募らせるようらしい。」

 そう言ってリーズシャルテは・・・カタカタとパソコンを操作して内部データの

最終調整をしていた。

 「よし、終わったぞルクス。」

 「ありがとうございます。リーズシャルテ様」

 リーズシャルテがそう言ってルクスに『ギャラクシーアイズ』のソードデバイスを

ルクスに渡した。

 「それにしても今までよりも早く終わりましたね?」

 ルクスがそう言うとリーズシャルテは配線を切り離しながらルクスにこう言った。

 「まあな・・・と言いたいところだがこの『ぱそこん』だったか?こいつがなければ

ここまで早く終わらせなかったぞ。」

 そう言ってリーズシャルテはパソコンをルクスに返した。

 「こいつを覚えるのは一苦労だったがその苦労に見合うだけの価値・・・いや、

それ以上の価値がそいつの中に眠っているからな。」

 わざわざ睡眠時間削ってまで覚えたのだぞとリーズシャルテはそう言った。

 何故リーズシャルテがパソコンを使いこなしているのかというと・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 さらに数日前のバルゼリットをぶちのめした後の談話室。

 「・・・カイトのやつ、何をしていたんだろう?」

 そう思ってルクスはクランリーゼにパソコンの解除キーを聞いて開いた。

 「それにしても解除キーが『ハルト』って、どんだけ弟好きなんだよカイト」

 そう言いながらルクスはパソコンにあるデータを見てみるとそこにあったのは・・・。

 「・・・あの科学者・・・なんつうもん作ってんだよ。」

 はーとルクスはため息交じりでそういったが理由がこれであるからだ。

 「機竜の内部構造と設計データでもやばいのに・・・機体の透明化を応用した

ステルスシステムと対応策である熱源探知システム、自動車の設計図に飛行機械の転用、オートマタをベースにしたアンドロイドまでまたまあまあと・・・。」

 もう嫌だと思いたい気持ちのルクスであった。

 「こいつ一つだけでも世界に流出したら世界のバランスが狂うじゃすまないよ。」

 そう思いながらルクスはさっさと忘れようと思いながらパソコンの電源を

落とそうとしようとしたら・・・。

 「何してるんだ?ルクス??」

 「リ、・・・リーズシャルテ様!!??」

 突如リーズシャルテが現れて来たのだ。

 「おい、なんだその鳩が豆鉄砲を食ったような表情は?」

 リーズシャルテは何だと思いながらルクスを見るとルクスの胸元にあるパソコンを

見た。

 「おい、それって確かあのオートマタが持っていた『ぱそこん』という奴じゃないか?」

 ギクッ!!

 ルクスはやばいと思っていたが時はすでに遅く、リーズシャルテは

何か隠してるのかという表情にルクスは諦めて説明した。

 

 

 

 

 

 

 「すごいじゃないかこれは!!王国の歴史が書き換えられるぞ!!」

 リーズシャルテはめをキラキラと輝かせながらそう言った。

 「機竜の内部構造から設計図どころかあらゆる転用までなされてる!こいつは私以上の天才じゃないか!!?」

 リーズシャルテはルンルン気分でいうが強ち間違いではない。

 「(別世界のゲート作っちゃうほどだからねえ。)」

 ルクスはそう思いながらリーズシャルテにこう忠告した。

 「リーズシャルテ様、この情報は一つ間違えば王国どころか世界中に混乱を招く

代物なのでどうかこれは内密に。」

 ルクスはそう言いながら頭を下げていた。

 それを聞いたリーズシャルテは少し考えていた。

 これを王国にルクスが報告すれば首輪を外してやれるのではと思ったがルクスはその後のことをじっくりと考えたうえでそう言っていると思いリーズシャルテはこう答えた。

 「わかった。これは私とお前だけの内密にしよう。未だ旧帝国がうろついている中での発表は混乱わ招きかねないしな。」

 「ありがとうございます!リーズシャルテ様!!」

 「その代わり条件がある。」

 「?何でしょうか??」

 リーズシャルテの言葉にルクスは何だと思っているとリーズシャルテはパソコンを

指さしてこう言った。

 「私にそれの使い方を教えてくれ。」




 続きは次回。


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そして今へ。

 前回の続き。


 「それからというもの、基本的な操作から立体映像の手順まで教えただけで色々とまあ

やり方覚えたよなあリーズシャルテ様は。」

 ルクス(未だ女装中)は夜空を見ながらそう呟いていた。

 無論近くで見ていたクランリーゼも確かにという表情で頷いていた。

 

 

 

 

 

 

 そしてその時から数日後・・・。

 「まあ、それに私もこいつの情報の数々には驚かされたな。『ガーデン』を攻略できたら直ぐにこいつの開発と量産に着手しなければな。」

 リーズシャルテはパソコンを見ながらそう言った。

 パソコンの開発一つにとっても新王国の技術が他国よりも数十年の差を開かせることが

できるのだから。

 「それにこいつの中にある機竜の設計図があれば『ガーデン』で量産ができるかも

しれないしそうすればこの国は他国を侵略して機竜を奪うということはしなくなる

だろうな。」

 旧帝国時代、他国に侵攻して機竜を奪うということは当時から日常茶飯事であり、それは盗賊たちもやっていることである。

 「後は自動車とかいう馬を使わない馬車や飛行機とかいう乗り物を作れば他国との貿易がこれまでよりも上手く出来るしそうなればこの国は外交においても栄えれるだろうな。」

 リーズシャルテはそう言いながらその未来を夢見ていたが当のルクスは違うほうを

見ていた。

 「(まあ、大体の確率で兵器利用か、外交をスムーズに行わさせるための道具に

なるだろうけどね。)」

 そう思っていたが人間というのは珍しいものや利用できるようなものがあれば

それを使って自分の利益にしようとする者が必ずいるのである。

 「まあその前に目の前の問題でもある『ラグナレク』だがあのバカ以外となるとあとはあいつぐらいだな。」

 「あいつ?」

 ルクスはリーズシャルテの言葉にああといった。

 「そう言えば会ってなかったな。『セリスティア・ラルグリス』、3年でシヴァレスの団長だよ。」

 「ああ、前に言ってましたね。でもその人今遠征中じゃ?」

 「いや、仕事が入ってその対処でほかの3年とは違って遅くなるのだがもうそろそろ

帰ってくるかもしれないのだが奴は大の男嫌いでな。ルクスを見たら何というか。」

 「ああ・・・・そういうことですか。」

 ルクスはリーズシャルテが言った男嫌いを聞いてそれはまたと思った。

 男嫌いとだと言う理由で普通通用するのかと思うが相手は4大貴族の令嬢。

 それくらいの我儘は確実にできるのだなと思った。

 「まあ・・・これまでのお前の戦績とこの間の遺跡調査に伴って得た情報とこの

『ぱそこん』の中身をよく知るお前の価値を考えればこの学校にいられるようには

してやれるだろうがな・・・・。」

 リーズシャルテはそう言いながら『ギャラクシーアイズ』とルクスを見てこう言った。

 「後『ラグナレク』に対抗できるとなればお前ぐらいのものだろうな。」

 「・・・・え!?僕ですか!!?」

 ルクスはマジかよという表情でそういうとリーズシャルテはこう続けた。

 「ああ、お前だ。前に起きたアビスと旧帝国軍の際には障壁が展開される前に

相手を斬り殺すことができる力とこの間のあのバカ軍人やバカクロイツァーをぶっ潰したお前ならもしかしたらと思うのだ。」

 リーズシャルテはいつもよりも真剣な表情で言いながらこう続けた。

 「それにその腰に差している黒のソードデバイスも気になるしな。」

 ルクスはそれを聞いてびくっとした表情でそのソードデバイスを隠すように触った。

 「それが飾りでないことを祈るよ。まあ、それでなくてもここまで強いやつがあるからいいけどな。」

 そう言いながらリーズシャルテは他の機竜に目を向けていた。




 そして現在に戻る。


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侵入者・・・見つけた。

 いろんな意味で・・・彼女が出ます。


「あれ絶対これ見て言ってたなあ。あの人妙なところで勘が鋭いからなあ。」

 ルクスはそう言いながら黒いほうのソードデバイスを手に触りながら女子寮の周りを

うろついていた。

 そんな中あるものが見えた。

 「・・・人影?」

 ルクスはもしやと思いソードデバイスを抜く構えをしながらそれに向かおうとしたら。

 「---ですから、そう思いました。」

 「(女の声?)」

 ルクスは聞き耳をたてながら門の裏口にへと向かった。

 「(誰かと話してるのか?)」

 これはもしやビンゴかと恨みつらみを晴らしたいと思うような顔つきでそこに向かった。

 「(人違いならいくつか言葉を交わして退散。本人なら・・・フハハハハハ。)」

 最早お前が不審者だろといっても仕方がないような顔つきであった。

 そして目を凝らすとそこにいたのは・・・。

 「(・・・3年生?)」

 3年生の証でもある青色のネクタイを付けた背の高そうな金髪の少女がそこにいた。

 「---なのであの時は、私一人が王都に残るほうが良いと判断したのです。

我ながら英断だと自負しているのですが、貴方はどう思いますか?」

 少女は誰かと話しているかのように見えるがそれらしい人影は見当たらなかった。

 「(誰と話してるんだ?)」

 そしてルクスは首を傾げてよく見るとそこにいたのは・・・。

 「にゃ~~~。」

 野良猫が少女の足元に座っていた。

 「(ね・・・・猫ーーーー!!!)」

 危うく転びかけそうになったがそこは根性で何とかした。

 「ですが内心、誰かが一緒に残ってくれると言い出してくれるかと

期待していたのです。」

 「(いや、あんた猫に何話してんだよーー!!)」

 「なのに、誰も残ってくれませんでした・・・。勿論、誰かがそう言いだしたら

断るつもりだったのですが。」

 「(何猫に愚痴かましてんだよ!アンタ端から見たら残念な人にしか

見えねえぞ!!)」

 「ああ、待ってください!話はまだ」

 「(然も逃げたぞ。・・・・残念にもほどがある。)」

 そして少女ががっくりと項垂れるところを見たルクスは少し下がってこう思った。

 「(よし、見なかったことにしよう。)」

 ルクスは乾いた笑みを浮かべてそこから離れていった。

 大人な判断だなと思いながらそこから離れていくと視界の端に、動く人影を捉えた。

 「(?)」

 確かあの方角はと思いながらルクスは息を潜めて追うとそこは・・・。

 「図書館・・・ビンゴ。」

 ルクスはこいつだなと思い足音が鳴らないようにゆっくりと進もうとすると。

 「---おっと、声を出さないでくれよ。お嬢ちゃん」

 後ろから若い男がいきなりルクスの背後に現れた。

 「!!!」

 ルクスはしまったと思っていた。

 まさか複数犯とは考えもしなかったからだ。

 すると若い男がルクスに向けてこう言った。

 「いい子だな。そのまま動かないでくれると助かるぜ。俺はお嬢ちゃんを

傷つけたくねえんだ。何せ身代金とか人身売買する時とかに傷があると価値が

下がっちまうし、俺の性に合わねえんだよ。」

 それを聞いたルクスは心の中でこう思っていた。

 「(この野郎・・・・必ず股のやつを蹴りつぶしてやる!!)」

 このために女装をしたとはいえ、この言葉を聞いてルクスはそう決心した。

 「よし。じゃあゆっくりと、俺に着いてきてくれるな?」

 男は完全に油断した声色でそういうがある人間の言葉が聞こえた。

 「その人から離れてください、変態」

 近くにいたクランリーゼがものすごい速さで男の頭めがけて飛び蹴りを放った。

 「どわ!」

 男は危うく当たりそうなところを寸でのところで避けるとルクスはその一瞬を突いて

ナイフを持っている手に手刀を当てた。

 「痛!」

 男はナイフを落とした次の瞬間に背負い投げの要領で投げ飛ばした。

 「がはあ!・・・!!」

 男はまともに当たってしまい、苦悶の表情を露わにした。

 「侵入者は御用です。」

 「お縄を頂戴する。」

 クランリーゼとルクスが男を見下げながらそう言うと・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 「まさかですが中々です。後は私が。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ルクス達の目の前に例の少女がそこにいた。

 色白の肌。

 腰までかかる鮮やかな金髪。

 底なしに深い翡翠色の瞳。

 フィルフィと同じくらいの巨乳を持った少女。

 端正等では片づけられないくらいの美貌を持ち、神秘的ともいえる超然とした空気と

カリスマ性を持った少女がそこにいた。

 しかしクランリーゼは空気を読めないのかその少女を見てこう言った。

 「あ・・・あの時猫と話してた残姉さん。」

 「「「あ」」」

 そして空気が・・・変わった。




 空気・・・読めよ~~~~。


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世界を超えて・・・。

 ここから新しいキャラが出るよ。


どこか違う国・・・違う場所。

 燃え盛る業火。

 周りにいるには人であったであろう死体。

 その中に三人の人間がそこにいた。

 一人は茶色の髪の女の子。

 一人は関係者であろう、同じ髪の少年。

 そして最後の一人は・・・血で濡れた炎よりも紅い赤の血を滴らしている刀を持った

黒髪の少年である。

 「何が・・・・おい!!何があったんだよ!?これは一体何なんだよ!!」

 「お兄、ちゃん」

 茶色の髪の少年がそう言うと少女がそう言った。

 すると黒髪の少年が振り返って彼を見た。

 そして茶髪の少年が黒髪の少年に向けてこう怒鳴った。

 「何があったんだって聞いてるだろ!?答えろよ!!」

 その問いに黒髪の少年はこう答えた。

 「何が・・・そうだねー・・・弱いから死んだだけだよ。」

 そう言いながら黒髪の少年はゆっくりと刀の切っ先を天にへと向けて・・・

彼を切り裂こうとした次の瞬間・・・

 「お兄ちゃんっ・・・!!」

 少女がその間に割り込みそして・・・背中から切り裂かれた。

 「あ」

 「お兄・・・ちゃん」

 そして茶髪の少年はそれを見た次の瞬間・・・大声をあげた。

 「----!!!!」

 そして少年は少女を倒れきる前に少女を抱きかかえると黒髪の少年は

もう一度振りかぶってこう言った。

 「サヨナラーーーー」

 「!!」

 茶髪の少年は間に合わないと思い目をつぶると・・・・足元から光が輝いた。

 そして次の瞬間・・・それは二人の間に割り込み・・・その刀を受け止めた。

 「!!」

 「・・・白い・・・天使?」

 茶髪の少年はそれを見てそう言った。

 それは白い体に黄色い鎧と金属のような羽を身に纏った・・・騎士であった。

 「ホォォォォォォォォプ!!」

 それを騎士は弾き返した次の瞬間にその少年の顔に・・・斜め左向きに大きな切り傷を深く刻ませた。

 「グウうウウウ!!!!」

 黒髪の少年は後ずさりすると茶髪の少年を見た騎士は羽を広げて彼らを包み込んだ。

 そして次の瞬間・・・足元に39の数字が浮かび・・・光の柱となって彼らは姿を

消した。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてアディスマータ新王国敷地内(夜中)

 

 

 

 

 

 

 

 「な・・・・ナンノコトデスカ?」

 侵入者にレイピアを突き付けていたセリスティアは片言でそういうがクランリーゼは

冷ややかに空気を読まずにこう続けた。

 「え?何言ってんですか??先ほどまで野良猫相手に愚痴かましてたでは

ありませんか」

 クランリーゼがそうぶっちゃける中セリスティアはこう反論した。

 「ナナナナナナニイッテルノデショウカ!ワタシハソノヨウナことダンジテ」

 してないと言おうとしていたのかわからないがクランリーゼは耳についている

機械を繋げて壁に先ほどの光景を映した。

 「!!!」

 「これが証拠です。」

 「・・・あちゃ~~~」

 ルクスはその光景に頭を抱えていた。

 そしてそれは無論侵入者も見ていた。

 そして見終わった後暫くして侵入者がセリスティアを見てこう言った。

 「巨乳の姉ちゃんよ、いくら何でも猫相手は・・・・流石に痛いぞ。」

 ローブ越しで分からないが間違いなく憐みの目で見ていた。

 そして周りの目を見てセリスティアはこう反論した。

 「ちちちち、違いますよ!あれは決して話し相手がいなかったからとかそういう訳ではありません!」

 「・・・もう喋らないほうが良いですよ、墓穴掘ってるのが丸わかりです。

只でさえ残念なお姉さん略して『残姉さん』なのにこの調子ですとさらに哀れになって『残姉』にスキルアップしますよ。」

 「何ですかそれは!?まるで私がダメダメな人間みたいな」

 「みたいなじゃなくてその通りでしょ?残姉さん」

 「がふう!」

 クランリーゼの言葉にセリスティアは胸に何かぶち抜かれた感触を感じた。

 「(これいつまで続くんだろう?)」

 ルクスはその光景に大丈夫なのかと思いながら見ている中・・・何かに気づいた。

 「・・・何だ?」

 ルクスはそう思いながら空を見上げると・・・空が光り輝いていたのだ。

 すると空から何かが出てくるような感じがした。

 「!!先輩伏せて!!!」

 「?」

 ルクスの言葉を聞いてセリスティアは空を見上げるとそれを見て・・・言葉を失った。

 「ああもう!!」

 ルクスは慌ててセリスティア目掛けて突撃した。

 すると何と空から何かが出てきてそれは流星のように・・・先ほどまでセリスティアがいた場所のすぐ近くに落ちた。

 「大丈夫ですか!?」

 「え・・・えええ・・・・は!先ほどの侵入者は!?」

 「ちらっとですが寸でのところで逃げたようです。」

 ルクスはそう言いながら目を凝らしているとクランリーゼが何かを見つけた。

 「気を付けて下さい。何かいます。」

 「「!!」」

 二人はクランリーゼの言葉を聞いてソードデバイスを抜いて近づいてみると

 「これは!」

 「一体!??」

 そこにいたのは・・・。

 「ウウウ」

 冒頭にいた茶髪の少年と少女であった。

 ルクスはそれを見るなり慌てて近くにまで行った後セリスティアに向けてこう言った。

 「先輩!直ぐに医務室行って先生または医療に携わっている人に連絡を!!」

 「あ、はい!!」

 「クランリーゼは女の子を医務室まで全速力で!多分そっちが優先だと思う!!」

 「了解しました。」

 ルクスは二人にそう言って指示を出した。

 そしてルクスも少年を担いで向かった。

 これが・・・新しい出会いになるとは・・・未だ誰も知らない。




 ヒント
 心の武器が盾の少年(朴念仁)


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その死を受け入れますか?

 貴方は大切な人の死を・・・受け入れられますか?


「ウウウ・・・ン」

 あの時流星となって現れた少年が目を覚ました。

 「(ここ何処だ?)」

 「(確か俺はあの時道場に行って・・・それで・・・!!)」

 「音羽!!」 

 少年はおそらく少女の名であろうそれを言った瞬間に周りを見回した。

 窓際の近くのベッド

 建物は石造り

 然も何だか古めかしそうであった。

 「・・・・・何処だよおい?」

 少年は何がなんなのやら分からずじまいであった。

 すると・・・。

 「あ?目が覚めたんだね。」

 「!!」

 扉が開く音と同時に誰かの声が聞こえた。

 少年はそれを聞いて身構えるとその人間の全容が見えた。

 銀色の髪

 痩せ型だがそれなりに鍛えられているのがわかる

 そして何よりも見たこともない服であった。

 「君がここに落ちた時は驚いたけどその様子ならもう大丈夫だね。」

 そして青年・・・ルクスが近くの席に座ると・・・

 「・・・君に聞きたいことがある。」

 途端に目つきを変えてそう聞いた。

 「!!・・・何でしょうか?」

 少年は身構えてそう言うとルクスはこう聞いた。

 「まず初めに君の名前が聞きたいんだ。それから聞きたい。」

 「俺の名前は・・・」

 少年は少し考えてこう名乗った。

 「透・・・・『九重 透』です。」

 「『九重 透』か・・・ここじゃあ先ずファーストネーム・・・つまり名前から最初に言ったほうが良いよ。」

 「へ?」

 透はなんでだと思っているとルクスはこう自己紹介した。

 「僕の名前は『ルクス・アーカディア』。そしてここはアディスマータ新王国直轄の

士官候補生育成学校『アカデミー』だよ。」

 その言葉を聞いてまさかと思った。

 「(ここって・・・・外国かよ----!!!!)」

 透はやばいと思っていた。

 自分の英語の成績は下から見たほうが早いぐらい悪いのだから。

 「(多分この人は日本語が上手だからだと思うけど他の人だったら・・・

ムリダ!!)」

 透がそう思っていると・・・ルクスはこう聞いた。

 「それじゃあ続けるけど君って・・・日本人?」

 「あ・・・はいそうです。」

 ルクスの問いに透がそう答えるとルクスはこう続けた。

 「それじゃあ・・・『ハートランド』を知ってる?」

 そう聞くと透は目を大きく開けてこう言った。

 「ええっと・・・新しいアトラクションか遊園地ですか?」

 「!!」

 それを聞いて目を大きく開けたルクスはこう続けた。

 「それじゃあ『ワールド・デュエル・カーニバル』とか・・・

『Drフェイカー』とかは!?」

 これならだと思った。

 いくら何でもあれ程大きな大会があったのだからテレビでも紹介されているはずだと

思った。

 然し出てきた答えは・・・。

 「ええと・・・何かのお祭りですか?」

 「!!!」

 それを聞いたルクスは最悪な事を想像した。

 然しそれは今の彼がどれだけ耐えれるかである。

 ・・・もう一つの真実も含めて・・・。

 すると扉の向こうから・・・声が聞こえた。

 「ルクス様。ティルファーさん達が来られました。

 「ああ・・・どうぞ。」

 ルクスは少し元気がない様子でそう言った。

 そして扉が開くとそこから何人かの少女たちが現れた。

 「おお、この子が昨日飛来してきた子かあ」

 「ティルファー、あまりジロジロと見るものじゃないぞ。この子だって驚いているぞ」

 「No,そう言うシャリスこそ、品定めは止めたほうがよろしいと思います。」

 透は周りの人の言葉が日本語であることを確信して少しほっとする中、クランリーゼがルクスに近づいてあるカードを見せた。

 それを見たルクスは目をかっと開かせて透に見せつけた。

 「ねえ君!このカードを知ってるかい!?」

 ルクスはそう言いながらあるカードを見せた。

 周りは黒一色であり四角い淵には白と黄色のカラーリングが施された剣を

振りかざしている人型の絵が描かれていた。

 「えっと・・・・こいつは確かあの時!!」

 透はそれを見て驚いているとルクスはこう聞いた。

 「これを知っている!どこでだい!?君が不時着した場所から見つかったんだ!!」

 あの後軍の調査が入る前にクランリーゼが調べている中で発見したものである。

 「確か俺と妹が・・・・!!」

 透が何か言いかけると透はルクスに詰め寄ってこう聞いた。

 「音羽・・・音羽を見ませんでしたか!?俺と同じ髪の毛の!俺の妹ナンデす!!」

 そう言うと全員が少し重々しい表情をしているとルクスがこう切り出した。

 「透君・・・ちょっと来てくれるかい?」

 「ルクッチ!?」

 「ティルファー、いずれ分かることだから。」

 ルクスがそう言うと透を見てこう言った。

 「行こうか・・・妹さんの所に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 透はルクス達とともにあるところにへと向かった。

 そこは医務室とは別の部屋

 あるのは予備用のベッドがいくつかある程度だがそのベッドの一つに誰かが

横たわっていた。

 顔は白いスカーフで覆い隠されており、体は白い布団で覆っていた。

 するとクランリーゼが透に対してこう言った。

 「背中の傷が致命傷だったらしく医師が来た時にはもう手遅れでした。」

 その間に透はフラフラと歩きながらそこに向かって・・・スカーフを取った。

 そこにいたのは・・・。

 「音・・・羽」

 穏やかな表情で息を引き取っていた音羽であった。

 「おい・・・起きろよ。・・何寝てんだよ・・・・」

 「悪い冗談だぜ・・・・なああ・・・・なあ・・・」

 「・・・・いつもみたいにさ・・・・笑って起きてくれよ・・・・」

 『おはよう。お兄ちゃん』

 「・・・・・・音羽ァ・・・・・・!」

 息も絶え絶えになって床に座って啜り泣く透を見て全員は部屋から出て行った。

 ・・・・出来るなら今だけはという・・・思いだけがあったのだから。




 今だけは泣いていいんだ。
 ・・・我々はその先を生きなければいけないのだから。


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真実

 ルクス「考えたら僕も異世界から来てたなあ。」


そしてしばらくして・・・。

 「大丈夫かい?」

 ルクスがそう言いながら透流にハンカチを渡した。

 「・・・ありがとうございます。」

 それを透は目を真っ赤にした状態でもらった。

 そして涙を拭き終えるとルクスは透にあることを告げた。

 「透流君・・・少し驚くかもしれないけど・・・覚悟してね。」

 「?・・・・」

 ルクスの言葉に何だろうと思っているとルクスは・・・重い口を開いてこう言った。

 「多分君は・・・・異世界から来ているんだと思うんだ。」

 

 

 

 

 

 「え・・・・・え・・・・・・・・ええええええええええええ!!!!」

 透流の悲鳴が部屋中に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 無論その悲鳴は外にも響いてしまいティルファー達も慌てて入った後ルクスの言葉を

聞いて全員の反応は・・・。 

 「「「いやそれはないだろう」」」

 これである。

 いくら何でも異世界というのはどうかよと思っていたがルクスはこう言った。

 「それじゃあ遺跡とかどうです?あれなんて10年前まで誰もあったなんて

知らなかったんですよ。それに・・・ありえないこと自体がありえないんですよ。」

 それを聞いて暴論みたいだなと思いながら三人はあはははと笑うしかなかった。

 「それに人が流星みたいに飛んでくるってありえますか?機竜を持っていても

無理ですし彼の来ている服も考えればそう思いません?」

 それを聞いても確定的な証拠はないだろうと思っているがノクトが手をあげると

こう言った。

 「私はルクスさんを信じます。」

 「!!ノクト!?」

 「ちょっと!冗談でしょう??」

 それを聞いてシャリスとティルファーが驚いていると懐からあるものを出した。

 それは・・・。

 「それって」

 「YES。あの時カイトという人から貰ったDゲイザーです。」

 デュエル時にカイトから譲られたDゲイザーである。

 尚、クルルシファーが持っていたものはリーズシャルテに研究データとして渡した。

 「これはアイリにも見せましたが全く未知の技術が含まれてると言ってました。

それに璃緒さんという情報も掛け合わせればそれは強ち嘘とは言えないと思うのです。」

 それを聞いてもどうだかなと思っているとシャリスがこう聞いた。

 「仮に彼が異世界から来たとしてだ・・・彼をどうするんだい?帰る場所がないと

いうことになるぞ」

 それを聞くと透流は少し暗くなった。

 自分は部外者でありここから出て行ってもどうするばいいのか分からないのだ。

 するとルクスが三人に向けてこう言った。

 「それだったらここに住めばいいんじゃないかな?」

 「「「はあ?」」」

 それを聞いて三人はあっけにとるがルクスはこう続けた。

 「ティルファー、確か僕がこの学園に入っているのは表向きは将来の男女共学に備えてデータを取るためだったよね?」

 「ああ・・・うん、そうだったねって・・・まさかルクッチ!?」

 「それなら学園にいられる理由が出来るし一人よりも二人のほうが効率がいい、

それに・・・たった一人にさせるのは僕自身が嫌だしね。」

 ルクスはそう言いながら透流の頭を撫でていた。

 「あの」

 すると透流がルクスに向けてこう聞いた。

 「何で俺を?」

 そう聞くとルクスは透に対してこう答えた。

 「う~~ん、一つはさっきまでといったことが同じだしほっとけないっていうのも

そうだけど・・・君を見ていると思い出すんだ。」

 「・・・誰にです?」

 透流がルクスに聞くとルクスはあることを思い出していた。

 ・・・・自分のことを兄と呼んで慕ってくれた遊馬に。

 「内緒。」

 ルクスは笑いながら言うと透もつられて笑ってしまったのだ。

 まるで本当の兄弟のように・・・笑っているからだ。

 「・・・はあ・・・分かったよ。彼のことは君に任せることにしよう。」

 シャリスは降参だと言わんばかりに両手を上げた。

 「でも学園長にはなんていうの?この子私たちより・・・

ノクトよりも年下っぽいよ?」

 「そういえば君歳はいくつ?」

 ティルファーの何気ない言葉に対してルクスは透流に年齢のことを聞いた。

 「ええと確か・・・今年で14歳です。」

 「あちゃー、これじゃあどうしようもない気が」

 「仕方がない。フィルフィ経由でレリィさんにお願いしてもらうように頼もう。

フィルフィのお願いだったらレリィさんでも聞かざる負えないだろうしね」

 多分対価としてお菓子を要求するだろうけどねと言いながらルクスがそう言い切ると

ティルファーもなるほどだと思った。

 レリィのフィルフィに対する愛情は過保護を超えたものであり、彼女の言葉なら

もしかしたらと思っていた。

 「YES,それならば善は急げです。今ならばフィルフィさんはもう起床している

頃合いですし。」

 「あれだけの騒動があっても眠ってたらしいよ。肝が据わっているのか

なんなのやらってみんなそう言ってたよ。」

 ノクトの言葉に対してティルファーがそう言うとシャリスが口重たそうに

こう言った。

 「それなんだが・・・少しやばいかもしれない。」

 「え?何でです。」

 シャリスの言葉にルクスがどうしたのかと聞くとシャリスがこう言った。

 

 

 

 

 

 

 「帰ってきたんだよ。最強の学生『セリスティア・ラルグリス』が」 

 




 クランリーゼ「それって猫に話しかけてた『残姉さん』ですかね?」
 ルクス「本人だけでも駄目だけど衆人環衆の前で言っちゃ駄目だからね。」
 プライドズタズタだからな。


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昼食時の会話。

 その話はちゃんと聞くべし。


「はああ・・・疲れた。」

 昼食中にルクスは肩を落としながらそう言っていた。

 何せあの後直ぐにフィルフィに透流のことを紹介した後レリィに何とかしてほしいと頼んでみたところ・・。

 『フィルフィの願いならって言いたいところだけど・・・セリスティアが何て言うか分からないから当面の間彼はルクス君に一任しておくわね。』

 と・・・いう訳で・・・。

 「(あの後開いている部屋に取り合えず入れるような感じにしてノクトとアイリに

彼の家庭教師をお願いさせておいたけど・・・問題が山積みだなあ・・・)」

 ルクスは前途多難だなと思っている中隣にいるリーズシャルテがルクスに向けてこう聞いた。

 「おいどうしたルクス。疲れが滲み出ているが何かあったのか?」

 「ああ・・・まあ・・・色々とですね・・・」

 ハハハと力なく笑うルクスを見て本当に大丈夫なのかと疑いの目で見る

リーズシャルテである。

 「もしかして勉強会の疲れが今ぶり返したのかしら?そんなに詰めていない

はずだけれど。」

 そこにクルルシファーが大丈夫なのかという表情で見ていた。

 「いえ・・・まだクラスみんなに追い付いていないので今日もどうか一つ。」

 「まあいいけど・・・疲れた時は何か息抜きしたほうが良いわよ?

最近はお姫様に何か教えているようだし。」

 クルルシファーはそう言いながら紅茶を飲んでいた。

 それを聞いていたリーズシャルテも少し目をそらしながらご飯を食べている中こう言った。

 「そういえば、セリスティアが昨晩帰ってきたらしいがそれと同時に噂が二つ。」

 そう言いながらリーズシャルテは肘をついてこういった。

 「一つはここ最近三年生の一部・・・というか・・・サニアという生徒がお前を

学園から追い出そうと他の同級生を煽っているそうだ。」

 「・・・・・」

 それを聞いてルクスは言葉を失った。

 結構馴染んでいたのだがやはり旧帝国の思想でもある男尊女卑の禍根が

未だ残っているのだとわかってしまったからだ。

 「(考えたらまだ5年しか経ってなかったな。これまでの濃密な出来事があったから忘れてたけどやっぱり無理があったのかなあ。)」

 ルクス自身もやはりだめかと諦めかけているとリーズシャルテがこう付け加えた。

 「なあに、大丈夫だ。お前のこれまでの功績に加えて機竜乗りとしての能力の高さとオートマタの存在、それにこいつの使い方とその中身の重要性を知っているのなら

ここで匿わせれるように出来るから大丈夫だ。」

 そう言いながらリーズシャルテはルクスを見ながらそう言った。

 ルクスが持っているパソコンに入っている情報はパンドラの箱並みに厄介なもので

あるが使いこなせればあらゆる意味で各国から優遇されること間違いなしだと

言っているのだ。

 「それでもう一つだがお前達、5年前の『流星事件』を知っているよな?」

 それはルクスがこの世界に戻ってきた際に起きた108の流星が新王国を中心に

降り注いだことである。

 「あれがまた起きたのだ。然もここにな。」

 「!!!」ギクッ

 それを聞いてルクスはドキッとした。

 「(それって多分透流のことだろうと思うけど、それを言ったら・・・!!)」

 ルクスはやばいと思った。

 それを言った日には自分の女装のことも話さなければいけなくなるからだ。

 「(あれだけは何としても・・・墓までもっていくものだ!!)」

 ルクスは心の中でそう決心した。

 「落ちた場所は直ぐに軍が駆けつけてきたんだが既にもぬけの殻でな。

今でも調査中のようだ。」

 リーズシャルテはそんなルクスの・・・小さな覚悟の表情を見ないようにしながら

そう言った。(だって藪から何が出てくるのか分からないんだもん)

 「だがもし何かあったら直ぐに軍か私に伝えてくれ。それがもしアビスなら

早急に対処しなければならないからな。」

 良いなとリーズシャルテは釘を刺した後に机から離れて何処かにへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「と、いう訳なんだ。」

 「それはまた・・・」

 ルクスはこのことを透流に昼食を持っていきがてら話した。

 無論監視としてクランリーゼを(暇つぶしの相手として)当てている。

 「まあ普通ですね。彼の素性が知られれば厄介ですし。」

 「YES,それに三年生がルクスさんを追い出そうとしている点についても疑問ですし」

 そしてアイリとノクトも相席していた。

 「どういうことですか?ノクトさん」

 ノクトの言葉に透流がナンデと思って聞くとノクトはこう答えた。

 「ルクスさんの実力の高さと人格の良さととんでもないがつくくらいの

奥手なところは学園にいる全員が知っていることなのです。」

 「ノクト、最初の二つは許せるけど最後のそれはないよね?」

 ルクスはジト目でそういうがノクトは何のことやらという風に続けた。

 「彼女は教官として来た軍人三人の哀れな末路やバルゼリット・クロイツァーの

謀略を打ち砕いた事も知っているはずです。それなのになぜ今更行動し始めたのか

謎ですね。」

 それには透流を除く全員が確かにと思った。

 それならなぜ早い段階で行動しなかったのか分からないのだ。

 するとアイリがこう言った。

 「まあそれはそれとして今は今後の兄さんと透流さんの事も含めて考えましょう。」

 そう言ってそれからも授業開始5分前までお互い考えていた。




 未だ回答は見つけられず。


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秘密はいずれ明らかになる。

 さてさて・・・どうするのか?


そして放課後・・・。

 「ふう・・・今日の仕事はこれで終わりだな。」

 ルクスは寮の食堂で一息ついていた。

 「お疲れ様ですルクスさん、紅茶をどうぞ。」

 「あ、ありがとうクランリーゼ。」

 ルクスはクランリーゼが淹れてくれた紅茶を貰って一服している中クランリーゼがこう言った。

 「やはり三年生から向けられる視線はこれまでと違いますね。」

 「・・・うん」

 セリスティア・ラルグリスが帰還したこととサニアが広めている噂の影響が

あってか分からないが三年生の何人かは警戒しているのだ。

 「はああ・・・。」

 ルクスはため息交じりでそういうと立ち上がってある場所へと向かおうと

すると・・・。

 「あ、そうだ。彼も連れて行こう。」

 そう言ってルクスは透流がいる部屋にへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 「あのう・・・俺、じゃなかった。自分も一緒していいんですか?」

 「ああ、大丈夫だよ普通にしゃべってもさ。それに君のこともリーズシャルテ様に報告しておかないと。」

 妹さんの埋葬のこともあるしねと言った後ローブで覆った透流を見て

そこにへと向かった。

 「ここは?」

 「ここはアカデミーが保有する機竜の工房だよ。」

 へーと言いながらルクスは裏口に透流と一緒に向かって行った。

 そして扉をノックすると静かにドアが開いた。

 「よし、大丈夫だ・・・誰だそいつは?」

 扉を開けたリーズシャルテがルクスの隣にいる人間を見て疑いの眼で見ていた。

 「ああ、この人は僕の仲間ですよ。」

 「・・・そうか。なら入れ。」

 リーズシャルテはまあそれならと未だ疑いながらも二人を入れた。

 「もう何人か集まってるぞ。」

 「へ?」

 リーズシャルテの言葉を聞いて何だと思っているルクスはそのまま奥に向かうと広い作業台をテーブル代わりにしている人たちがいた。

 「おおやっと来たね。」

 「待ちくたびれたよー。」

 「それでは直ぐに始めましょう。」

 「ええ・・・対策会議を」

 そこにはシャリス、ティルファー、ノクト、アイリがそこにいた。

 それに・・・。

 「そこの子は誰なのかしら?ルクス君??」

 クルルシファーもいた。

 「・・・・・」

 無言でお菓子を食べるフィルフィがそこにいた。

 クルルシファーがローブの人間を見てそう言うとルクスはああと言って

こう言った。

 「実は自己紹介しなければいけない人がいるんです。ティルファー達は

知ってますけど。」

 そう言ってルクスは透流に頷かせると透流はローブのフードを取って

自己紹介した。

 「ええと・・・『透流 九重』・・・異世界から来ちゃいました。」

 アハハと乾いた笑いで自己紹介するがリーズシャルテ達はそれを聞いて・・・。

 「「「・・・はあ???」」」

 そう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「成程な。あの流星は貴様と妹がこの世界に来た時に出来た・・・なあ」

 リーズシャルテは事のあらましを聞いて疑いまくりであるがクルルシファーは

こう言った。

 「私は信じるわ。」

 「クルルシファー!!」

 その言葉を聞いてリーズシャルテは驚いていたがクルルシファーはこう続けた。

 「私は『デュエル・モンスターズ』なんていう物は〈ガーデン〉で見るまで

知らなかったしそれが異世界のものであるなら確かにと思うけどここで一つ疑問が増えるわ。」

 「何だい?クルルシファー。」

 クルルシファーの言葉を聞いてシャリスがなんだと思っているとこう言った。

 「何でルクス君がそれを知っているのか?ってことよ。」

 「「!!」」

 それを聞いてルクスとアイリは目を大きく開かせた。

 ルクスが嘗て異世界に行ったことがあるというのを知っているのは二人を

除いては女王のみであるのだ。

 「何故彼がそれを知っているのか?そして彼が持ってきた『ぱそこん』の内容と価値を何故知っているのか??そして彼が異世界から来たことに対してどうして

受け止められたか疑問が幾つもあって困るわ。」

 そしてクルルシファーはこう言い切った。

 「まるで・・・あなたもその『異世界』に行ったことがあるような感じで」

 「「「「「!!!!!!!!!!」」」」」

 それを聞いて全員が驚愕した。

 だがそれがもし本当なら合点がいくからだ。

 ルクス・アーカディアは2年以上もの間行方不明であったという情報は

リーズシャルテがよく知っているのだから。

 その期間に異世界に行っていたなら尚のことだ。

 そして全員がルクスのほうを向くとルクスはそれを見て・・・。

 「全く・・・とんでもない推理力ですねクルルシファーさんは」

 「それじゃあ認めるのね、全て」

 クルルシファーはルクスの目を見てそう言うとルクスはこう答えた。

 「ええそうです。僕は嘗て・・・異世界に行ってました。」

 「兄さん!!」

 ルクスの言葉にアイリが待ったをかけようとするとルクスはアイリを制して

こう言った。

 「アイリ、何時かはばれることなんだ。それにここまでしてくれた皆にこれ以上秘密は無理だしそれに」

 そう言うと全員の顔を見てこう言った。

 「仲間に秘密を持つのは嫌だからね。」

 そう言うとルクスは座ってこう言った。

 「僕は二年前にある事故が起きてね、そこで僕が見たものは・・・

別世界だったんだ。」

 夜でも昼のように明るい街

 貧富の差がない国

 誰でも学べる学校

 馬がなくても走れる馬車

 人が箱の中で活発に映すことができるテレビ

 空を飛ぶ飛行機

 「そして僕にとってもう一つの家族と言ってもいい存在」

 許しあえる仲間。

 そして・・・

 「僕が愛した女性が住んでいた町その名は・・・」

 「『ハートランドシティ』、そしてその時に僕に可能性を信じさせた弟のような存在・・・『九十九 遊馬』についてだね。」




 語られるのは真実 
 そして誰もが聞く・・・悲しくも強く生きる人間たちの英雄譚。


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ルクスの過去。

 明かされた過去は悲しくも尊い記憶。


ルクスはその世界についてを話してくれた。

 其れはまさに自由という一言に事尽きる場所だといっても過言でもない。

 リーズシャルテは最初からも興奮していた。

 自身がまだ見たこともない技術

 特に異世界に行ける技術は自信が未だ届くことの出来ないものであり

やはり天才だったんだなと思っていた。

 一方のクルルシファーも結構聞いていた。

 自身の生い立ちを考え、異世界にまだ希望があるんじゃないかという

思いがあったのだ。 

 そしてその話の中で出てきたワード

 一つはナンバーズ

 「アストラル世界」からやってきた精霊「アストラル」の記憶であり人に憑依して力を与えるというもの。

 もう一つはバリアン。

 「アストラル世界」とは対となす世界であり『カオス』という力を

持っていること。

 「カオス」とは人の持つ心の力

 アストラル世界が光、つまり希望と満足している者たちだけが行ける天国

 一方バリアン世界は後悔と怨みを持っているものが行ける違った世界

 破壊と再生

 虚無と創造

 相反する二つの世界は拮抗していた。

 ・・・彼が現れるまでは・・・

 「ドン・サウザンド」

 バリアン世界の創造主にして破壊の権化

 それはある目的のために行動していたのだ。

 「ヌメロンコード」

 それは過去と現在、そして未来が書かれたカード

 それを手に入れたものは世界を想像できるほどといわれている。

 無論最初はなんじゃそれとリーズシャルテ達はそう思っていたが話が進むにつれてそれがどれほど危険なのかが分かった。

 それを手に入れるために7人の記憶を操作して恨みや後悔を持たせて

「バリアン世界」に来させて自身の兵士にしようとしていたのだ。

 そしてバリアン世界に来た7人は「ナッシュ」をリーダーとしてできた組織

「バリアン七皇」を結成。

 その中で内部分裂(実際はベクター一人が勝手にやったこと)して

リーダーである「ナッシュ」と「メラグ」は人間に転生して「神代 凌牙」と妹の「神代 璃緒」として蘇り紆余曲折を経て二人の親友になった

ルクスはナンバーズを賭けた戦いの中で璃緒に対して恋心をいつのまにか

抱いていたこと。

 戦いが進むにつれて親友であった彼らと敵対。

 遊馬達を守るために仲間たちが足止めをしようとするも道半ばで倒れ

そして・・・

 「クルルシファーさんとノクトも知っていると思うけどカイトも死んだんだ。」

 「「え?」」

 二人はそれを聞いて少し顔を青くした。

 何せ・・・幽霊だったんだから。

 「カイトはナンバーズ100番を手に入れるためにあるところへ向かってそこでミザエルと戦ったんだ。」

 「そこは何処だい?ルクス君」

 それを聞いてシャリスは何処だと聞いた。

 彼の話には「皇の鍵」の中には特殊な飛行船がありどこでも行ける乗り物が

あったのだ。

 いくら別世界に行くためとはいえその飛行船があれば直ぐに飛んでいけるのではないのかと思っていたのだ。

 そしてルクスはこう答えた。

 「・・・月だよ。」

 「えええ!!月ってあの!?」

 それを聞いてティルファーは天井を・・・正確に言えばそれよりも上。

 「はい、あそこではすでに人類は月にまで行ける乗り物があるんです。」

 「ルクス、すぐにそれについて詳しく」

 「駄目よお姫様。話が脱線しそうだわ。」

 それを聞いたリーズシャルテはどんなものだと聞こうとするとクルルシファーが待ったをかけた。

 未だ話が途中なのにまたややこしくなりそうなのである。

 「そこでカイトはミザエルと戦って勝ったんだけどその際に体にダメージを

負っただけじゃなくて服に亀裂が走ったんだ。宇宙じゃ空気がないから

それが致命傷になって・・・死んだんだ。」

 それを言ったルクスは少し顔を俯かせた。

 あの時カイトは遊馬に対してこう言ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 『これから・・・さらに苦悩と死が待っている・・・だから!俺で慣れろ!!』

 

 

 

 

 

 

 自分の死を見て前に進めというカイトなりの心遣いであったであろうが

未だ中学生の遊馬にとって身近な人間の死は心に重い傷を残す結果となった。

 それを聞いた全員も同じ気持であった。

 そしてそれはリーズシャルテがよく知っている。

 親しき妹を失ったと知った時の虚無感は忘れがたいものなのだ。

 その中でルクスは璃緒にデュエルを申し付けられ、土壇場で勝利をしたものの

その後にベクターによって璃緒がやられた後吸収される前にルクスに残した言葉があった。

   

 

 

 

 

 

 

 

 『・・・愛してたわ、ルクス君』

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女もルクスに恋心を抱いていた。

 例えバリアンだったとしてもそれだけは・・・変わらない思いだからだ。

 そしてバリアン世界に着いたルクス達がベクターにデュエルを申し付けようと

したときに凌牙が乱入してベクターとデュエルして勝利。

 そしてミザエルはカイトから託された『№100 ヌメロン・ドラゴン』を

託した後にドン・サウザンドとデュエルするも敗れた後、ルクス、遊馬、凌牙は

三人でドン・サウザンドを倒して終わりかと思いきや・・・未だ続きがあった。

 「ドン・サウザンドは凌牙は自分の意志でバリアン世界に来るように

仕向けてたんだ。自分がやられた時の保険としてね。」

 「なんて奴だ。」

 「用意周到もここまでやるとしつこいわね。」

 それを聞いたリーズシャルテとクルルシファーが苦々しい顔で言った。

 まさかそこまで考えるかという思考能力の高さは敵にしたら最も厄介だと

分かっているからだ。

 「そして二人が戦って遊馬がギリギリのところで勝ったんだけど・・・

そこからなんだ。」

 「兄さん、何があったんです?」

 アイリは何だと思っていた。

 ルクスの話はそこまで聞いたことがなかったからだ。

 「『ヌメロンコード』を手に入れたアストラルがこう言ったんだ。」

 「・・・何て?」

 ここまで何も言わなかったフィルフィが聞くとこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「『私はこの力を使って・・・バリアン世界を滅ぼす。』」




 続きは次回に。


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語られし過去その2

 遊馬とアストラルのデュエルは・・・凄まじいぜ!


「え?バリアン世界を滅ぼすって・・・」

 「それってつまり・・・そういうことかしら?」

 リーズシャルテとクルルシファーがそう言うとルクスは頷いてこう言った。

 「はい、元々アストラルは自分の世界を守るためにアストラル世界から

送り込まれた存在なので任務としてなら彼がやろうとしていることは当たり前だったんですが・・・それを許さない人がいたんです。」

 「?誰ですその人は?」

 ノクトは誰なのかと聞くとルクスはこう答えた。

 「遊馬だよ。」

 「彼はバリアン世界もアストラル世界も自分の世界を全部救いたいという

願いをヌメロンコードに注げば何とかなるんだって言ってさ。」

 「まあ・・・お互いに意見をぶつけ合って・・・平行線に終わって

しまいましたけど。」

 ルクスはアハハと空笑いして言うと透流がこう聞いた。

 「それじゃあどうやって決めるんです?」

 話し合いが無駄となってしまったことからあるとすればたった一つ

 それはつまり・・・

 「デュエルで決着をつける。」

 「それがあっちでのルールだよ。」

 「それってつまり・・・ガチンコでやりあうですか?」

 「そうそう、そんな感じ。」

 ルクスは透流の言葉に対して的確に答えた後こう続けた。

 「遊馬はデッキ作りしている中仲間が来てね、ああ凌牙が消えた後に

全員蘇ったんだ・・・カイト以外はね」

 「それでなんて言ったと思う?」

 「いや?」

 ルクスの問いに対してリーズシャルテが何だと思っている中こう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 『俺たちの力でアストラルの目を覚まさせるんだ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そういって自分たちのデッキからカードを出し合ったんだ。

皆で勝つために。」

 それを聞いた全員が朗らかに笑っていた。

 自分たちの一人一人の力は小さくとも・・・力を結集すればどんな敵にも

立ち向かえる勇気を持てるんだと言っているのだ。

 「そして遊馬はアストラルとデュエルしたんだ。」

 「最初から遊馬は全開で挑んだんだけどアストラルはそれに対してあるカードで答えたんだ。」

 「何に?」

 クルルシファーがそう聞くとルクスは懐からあるカードを出した。

 「『№39 希望皇ホープ』」

 「あ!そのカード!?」

 透流はそれを見て驚いていた。

 まさか今まで話に出てきたカードがそれであり自分を助けてくれたとは

思えなかったのだ。

 「アストラルはホープとその進化系でもありこれまで遊馬と歩んできたカードを出したんだ。」

 「C№39 希望皇ホープレイ」

 「C№39 希望皇ホープレイV」

 「C№39 希望皇ホープレイヴィクトリー」

 「№39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ」

 「それらが全員揃って遊馬に立ちはだかったんだ。」

 それを聞いた全員は凄い嫌な顔になった。

 これまで味方としていたカードが敵・・・然も最強の敵として

立ちはだかったのだ。

 「それでも遊馬は諦めずに戦ったんだ。自分の力を出し切る勢いでね。

そして全て倒したと思ったらあるカードをアストラルは使ったんだ。」

 「・・・どんなカード?」

 フィルフィの問いにルクスはこう答えた。

 「RDM(ランクダウンマジック)それはRUM(ランクアップマジック)とは対照的なんだ。」

 「どういう意味だい?」

 シャリスがそう聞くとルクスはあるカードをデッキから出した。

 遺跡でカイトとデュエルしていた時に璃緒と一緒に引いたカード

 「ドラゴンフォース」を見せた。

 「これがRUM(ランクアップマジック)。ランクっていうのは

エクシーズモンスターのカードに記されているこの黒い星。

これの数次第では強い力を発揮するカードもあるけどこのカードを使えば

モンスターをより強く進化できるんだ。」

 「でもRDM(ランクダウンマジック)はその真逆。自分のランクを1にまで

下げるんだ。」

 「えええ!!1にまで下げるってそれって完全に弱体化じゃん!?」

 勿体ないなーとティルファーはそういうがこれには訳があるのだ。

 まあこれはルクスも知らないのだがアストラルを助けるためにアストラル世界に行った際にそこでアストラル世界の現実とエリファスとのデュエルの際に

こう言ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 『進化するために心を失っちまうなんてそんなの嬉しかねえよ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その際に遊馬は「RDM(ランクダウンマジック)」を手に入れ

「希望皇ホープ」は「希望皇ホープ・ルーツ」と生まれ変わったのだ。

 そしてそのカードのオーバーレイ・ユニットに

「№32 海蛟竜 シャーク・ドレイク」と

「№62銀河眼の光子竜皇

(ギャラクシーアイズ・プライム・フォトン・ドラゴン」を追加した後に

攻撃する際に遊馬に対してこう言ったのだ。

   

 

 

 

 

 

 

 『取り戻すんだ!君が失った、本当に大切なものを!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 「?兄さん?何ですかその失ったものって??」

 アイリは何だと聞くとルクスはこう答えた。

 「・・・遊馬が失ったのはカイトや凌牙、璃緒と言ったあの時救えなかった

仲間たちと・・・遊馬の中にあるデュエルを楽しむ気持ち」

 「これまで遊馬は命がけで戦ってきたから次第にそれが

消えてしまってたんだ。」

 それを聞いた全員はそれはそうだろうなと思った。

 戦争などを知らずに育った少年がいきなり世界や多くの命を守るために戦え何て無理な話だろうと思うと同時に自分だったらどうだといえばこう言うだろう。

 「無理だろう。」と・・・。

 「それを聞いた遊馬は一番大切なものを思い出したんだ。そしてもう一度・・・いや、アストラルだからこそ楽しみたいって思ったんだろうと思うんだ。

そしてあのカードを手に入れたんだ。」

 「何ですかルクスさん、そのカードとは?」

 ノクトは何だと思って聞くとルクスは楽しげにこう答えた。

 「ランク0にしてすべてが0のカード」

 「最初にして無限の象徴」

 「遊馬にとって最初に自分の意志で手に入れた№」

 「F№0 未来皇ホープ」

 『ホーーーーーーープ!!』

 

 

 

 

 

 

 「それこそが遊馬の証。」




 思ったら「未来皇ホープ」って・・・最強じゃね?


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ルクスの過去  終章

 過去語りはこれでおしまい。


「全てが0ってそれってどういう意味ですか?ルクスさん」

 ノクトはその言葉の意味が分からなかった。

 全てが0ということは何もできないという意味と同じじゃないのかということであったからだ。

 ルクスはそれを首を横に振ってこう答えた。

 「0だからって何も力がないわけじゃないんだ。『未来皇ホープ』は

0だからこそできる力があったんだ。」

 「何だそれは?」

 ルクスの言葉に対してリーズシャルテが何だというとルクスはこう答えた。

 「『未来皇ホープ』は戦った相手を倒さずに仲間にすることが出来るんだ。」

 「それは確かに0だから出来る訳だけど変わった力ね。」

 クルルシファーは『未来皇ホープ』の力を聞いて変わっていると思ったのだ。

 倒すのではなく仲間にするという能力は相手が弱ければ意味がないんじゃないかと思っているがルクスはこう返した。

 「クルルシファーさんが思っているのはまあ大体理解できるけどそれは多分

遊馬の信念からじゃないかと思うんだ。」

 「信念?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「『デュエルすれば誰だって友達になれるんだ!分かり合えるんだ!!』ってね」

 

 

 

 

 

 

 

 「遊馬は一度戦えばその人と分かり合えるっていう理想があったんだ。

たとえそれがお人よしとか現実を見ていないんじゃないかって言われようがそれが彼の信念だと思うんだ。」

 「なんとまあ、分かりやすいというかなんというか・・・」

 それを聞いたシャリスはアハハと笑いながらそう言った。

 だがそれが理想論だろうが何だろうが遊馬は諦めずに進んだのだ。

 其れで生まれたカードこそ遊馬そのものと言っても過言ではない。

 「だけどアストラルも其れに応えようとあるモンスターを出したんだ。」

 「それは全ての№の集大成にしてアストラルの切り札

『№99 希望皇龍 ホープドラグーン』」

 「お互いにホープから生まれたカード。遊馬とアストラルの戦いはもう終わりが見えていたんだ。」

 「片方はあらゆる敵を仲間にする『未来皇ホープ』に対して

『希望皇龍 ホープドラグーン』は効果を無効にして破壊する能力を持った龍。」

 「その時に僕は気づいたんだ。」

 「・・・何を?」

 ルクスの言葉に対してフィルフィがなんなのと聞くとルクスはこう答えた。

 「アストラルは遊馬と別れるためにデュエルを吹っ掛けたんだ。」

 「え?」

 「本当なら『ドン・サウザンド』が消えた時点でバリアン世界を破壊する

大義名分はなくなってたんだけどアストラルはそれを遊馬に使わせるために

デュエルを申し付けたんだ。別れを悲しみで終わらせないために、

遊馬の失った思いを取り戻させるために真剣にね」

 「・・・・・。」

 それはつまり自分が悪役になったとしても彼の心を取り戻させるために

思いついたこと。

 考えるだけなら誰でもできるがいざそれを実行しようとする者は皆無であろう。

 そしてルクスは話を続けた。

 「あの時アストラルはこう言ったんだ。『君の手にあるそのカードがなんなのかわかっている。・・・そのカードを使うようにその手で未来を!

可能性を突き進むんだ遊馬!!たとえどんなことがあっても諦めずに!!・・・かっとビングするんだ!!!遊馬!!!』って。」

 「その時初めて・・・いや、薄々遊馬はなんでアストラルがこんなことを

したのかが分かったんだと思うんだ。遊馬はそれに気づいて泣きかけてると

アストラルがこう言ったんだ。『さあ来い!!九十九 遊馬!!!

この程度で躓いていてはデュエルキングなど百年たっても到達できないぞ!!!』

 あれが最後の遊馬に対する発破だって今ならわかるんだ。」

 「そして遊馬もこう答えたんだ。『かっとビングだ!俺!!

未来を切り開けホープ!!』それがアストラルに対する今までの感謝何だって

こともね。」

 そして遊馬は自分の手札にある魔法カード「ダブル・アップ・チャンス」を

使って勝利を収めた。

 「そしてアストラルはアストラル世界に、僕はこっちの世界に送られたんだ。

遊馬は『俺何時になるかわからないけど・・・いつか会いに行くから!!

その時またデュエルしようぜ!!』って僕にそう言ったんだ。僕もそれを信じてるんだ。何時かデュエルチャンピオンになった遊馬と戦えることを楽しみにね。」

 それを聞いた全員は少しだが朗らかな笑顔で包まれた。

 世界を超えて・・・そこで幾つもの出会いと別れを繰り返して今のルクスが

あるのだなと思っていた。

 「あの~~。『かっとビング』って結局どういう意味なんです。」

 「我々は諦めないことだと思っているがルクス、答えはなんだ?」

 リーズシャルテがそう言うとルクスはこう答えた。

 「それはこう言う意味です。『それは勇気を出して一歩踏み出してどんなピンチでも諦めずにチャレンジすること』諦めずに前を向いて自分を貫き通すという

意味です。」

 「僕はこの言葉のおかげで何度も立ち上がることができました。だから

皆さんも・・・」

 「「「「「「忘れないでくださいだろ」」」」」

 「アハハハハハ」

 ルクスの言葉に透流とフィルフィを除く全員がそう言った。

 そしてリーズシャルテが背を伸ばしてこう言った。

 「さてと・・・そろそろ本題と行くか・・・セリスティアについての

作戦会議を」




 次回こそ・・・本題へ。


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作戦会議

 作戦会議は必要だよ。
 特に難攻不落な要塞は特にね。


リーズシャルテによれば1,2年生の説得により3年生側の大多数はルクスの編入自体に意見はないがもしセリスティアが何かを言えば能動的に彼女に賛同するのが

現状である。

 「詰る所3年生はまあ私やシヴァレスの団員を除けば大多数がセリスティアに

従うと思った方が良いな。」

 「・・・それって最早カリスマじゃなくて洗脳に近くないですか?」

 シャリスの説明を聞いてルクスはそのセリスティア・ラルグリスは

最早神がかっているんじゃないかと言っていた。

 「今まで彼女は常に強い信念を持ってこの学園を纏め上げただけに生徒の大半は

彼女のシンパって言っても良いくらいだわ。そんな中でどうやってルクス君を

この学園にいさせるようにするかね。」

 「それと透流君もだよ~。住むところがないんじゃこれからどうしたら

良いのさ?」

 クルルシファーとティルファーが二人を見てそう言った。

 「ですがルクスさんの功績を考えれば残留は可能なのでは?」

 「いや・・・それは無理だな。」

 ノクトの提案にリーズシャルテが浮かない顔でこう言った。

 「?どういう意味ですか、リーズシャルテ様?」

 ルクスがどうしたのかと聞くとリーズシャルテはルクスに対してこう答えた。

 「実は未だお前が来る前にあいつにこう言ってしまったんだ。」

 「何てです?」

 アイリは何だと聞くとリーズシャルテはこう言った。

 「・・・『今後7年間アカデミーは女性限定の学び舎とする』と

言ってしまったんだ。」

 「・・・・何言ってんですか?あんたは」

 ルクスはリーズシャルテの言葉を聞いて頭を悩ませていた。

 自分が入る前とはいえそう公言してしまった以上取り返しが

つかないんじゃないかと思っていたのだ。

 「・・・奴がそれを覚えているか否かによるがお前の功績と・・・

あれの内容次第では奴も口を閉ざさざるをえまい。」

 「お姫様、何?その内容って?」

 クルルシファーがリーズシャルテに何のことかと話すとリーズシャルテは

クルルシファーを睨みつけてこう忠告した。

 「それは聞かないほうが良いぞクルルシファー、詮索も過ぎれば身の危険に

陥るぞ。」

 リーズシャルテはそう真剣なまなざしでクルルシファーを睨みつけた。

 「・・・となればここはやはり兄さんが頑張るしかないようですね。」

 「ア、アイリ?」

 ルクス突如アイリがそう言ったことに対してなんでだと思っていると

こう続けた。

 「ようは兄さんと序に透流さんが例外だと思ってくれたらそれでよいのですよ。まあこういったらなんですが兄さんが彼女に気に入れてくれさえすれば

良いのですから。」

 「成程、それならもしかしたら」

 シャリスはアイリの言葉を聞いて確かにと思っていた。

 「ですけどそのセリスティア・ラルグリスさんて凄い男嫌いって言ってますけどそんな人どうやってするんです?」

 これまで聞いていた透流も自分事でもあるしと思い全員に聞くと

また頭を悩ました。

 するとクルルシファーが思いついたようにこう聞いた。

 「ねえ、ルクス君」

 「あ、はい?」

 「これまでの雑用仕事で貴方確かアクセサリー関係の仕事とかしたかしら?」

 「ああはい、しましたよ。家具とか彫金とかそう言うのなら。」

 「そういえばルクッチって家の工場の支部で働いていた時に作った

アクセサリーとかが飛ぶように売れたからうれしかったって言ってたよ。」

 ティルファーがそう言えばと思い出してそう言った。

 「贈り物も一つの手だがそれは甘いぞティルファー。」

 するとシャリスがそう言うと拳を握りしめてこう言った。

 「それは危機的状態に陥った時に助けることだ!幸いにも私は彼女と同室だから彼女のジュースの中に酒を混ぜて飲ませるだろ?」

 「「「「「「「(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン」」」」」」」

 「それをルクス君が介護するというのだ。」

 「「「「「「「「ォォォォおおォ!!!!!!!」」」」」」」」

 「そして彼女に貸しを作ってそれを餌にイクところまでイってしまえば」

 「んなことして退学になったらあんたも道連れにするぞごら」

 後半グヘへへへと悪い顔と声でそう言うシャリスに対してこいつは使えんなと

ルクスは悟ってそう言った。

 「No,そもそも、そう言う甲斐性もないルクスさんに求めるのは

無理というものですよ。」

 「確かに、私の恋人役の際に思ったけど彼って奥手なところがあったから

無理でしょうね。」

 「あんたら本当に地味に僕の心抉るのが好きだよな!」

 ルクスはそう言って二人にツッコミを入れた。

 「・・・普通にしてれば、良いんじゃないかな?」

 「「「「「「「「へ?」」」」」」」」

 突如フィルフィが言った言葉に全員が目を点にするが当のフィルフィは

気にせずにこう続けた。

 「多分お姉ちゃんが、そんなことさせないと思うよ。

だから私達は問題が起きた時にルーちゃんを退学させないでほしいって

頼めばいいと思うよ。」

 それを聞いた全員が目を合わせてこう結論付けた。

 「・・・そうですね。いま私たちが反応して騒ぎ立てればかえって対立を強めてしまいます。」

 「それに三年生はサニアだけが悪い噂をたてさせてるが今のところは

1,2年生共々意見を統一させるってことで。」

 アイリとクルルシファーがそう言って話を纏めた後ルクスが全員に向けてこう言った。

 「それと・・・透流の妹さんだけれどお墓についてご相談が・・・。」

 「それなら父に朝早く手紙を出してやったよ。授業終わりに来てね、

墓所の一つを使っていいそうだ。」

 「あ・・・ありがとうございます!ルクスさん!シャリスさん!!」

 透流は二人にお礼を言った。

 「それじゃあこれでひと段落と」

 コンコン

 リーズシャルテはそう言って解散させようとすると扉からノックの音がした。

 「何の用だ。」

 「すみません。こちらにルクス君はいらっしゃいますか?」

 「寮長さんがお呼びなんですけれど?」

 扉の向こうで生徒らしき人間の声が聞こえるとリーズシャルテはこう返した。

 「あいつはいまこっちで忙しいから終わったらそっちに来させると寮長に

伝えてくれ。」

 「わかりましたー。それじゃあ、失礼します。」

 そう言って少女の足音が聞こえなくなるのを持った。

 「それじゃあ妹さんのお墓は今夜にするってことでお開きにしようか。」

 そう言ってリーズシャルテが締めた。

 




 さてさて・・・ここからルクス達はどうするのか?


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頼まれるときはちゃんと知っている人にだよ。

 頼み事は知っている人がちゃんとした人だよ。


ルクスはあの後アトリエを出てレリィに返す(顔に向けてたたき返すつもり)

女装用道具1式(永遠に封印したい物)をカバンに詰めて女子寮の寮長室にへと

向かった。

 「それにしても急ぎって何なんだろう?」

 ルクスはそう言いながら長い廊下を歩いていた。

 すると後ろから声が聞こえた。

 「す、すみません。ちょっとよろしいですか!?」

 「あ、はい。どなたですか?」

 ルクスはそう言いながら後ろを振り向くとそこにいたのは長い髪を三つ編みにした褐色肌の少女であった。

 ネクタイの色から3年であることが分かるがルクスは彼女が誰なのかは

知らない。

 「あ・・・ええと、何でしょうか?」

 ルクスは少し警戒しながらそう聞いた。

 一人とはいえ自分を追い出そうとする人間がいるため気が気ではなかった。

 そして少女はこう言った。

 「ちょっとこの部屋に、ドラグナイトの過剰使用で筋肉を傷めてしまった人が

いてですね、施療師さんが来るまでの間、介抱をお願いしたいんです。」

 「え・・・そ、それは構いませんけど。」

 「じゃあ、お願いします!!ではこちらへー」

 そう言ってルクスは少女に引っ張られるまま三階の一室にへと連れてこられた。

 「彼女はここにいるので、軽く体をマッサージしてあげてください。」

 「あ、はい・・・・?」

 ルクスはこいつ何言ったんだと思ってもう一度聞こうとすると少女はルクスを見てこう言った。

 「大丈夫です!彼女には話を通してあるので軽く体を柔らかくさせれば

いいので!!」

 「違うだろ其れ!何で僕?女子にさせてあげてよ!!」

 「ではこれで!!」

 「うおおおおおおおおいーーーー!!」

 少女はそう言って素早く立ち去っていくのを見てツッコミを入れれなかった

ルクスであった。

 「ああ・・・何でこんなことに・・・(´;ω;`)」

 ルクスは心の中で泣いているが最早どうにでもなれという感覚で部屋に入った。

 「(こうなったらちゃっちゃと終わらせて速攻に部屋に帰ろう!!)」

 そう心に決めたルクスは意を決して扉を開けた。

 「・・・暗い」

 そう・・・暗いのだ。

 寮生用の相部屋とは違い少し狭い個室のようだった。

 ランプの明かりも消えており中は薄暗く、寝台に俯せで寝ている

少女の顔まで見ることが出来なかった。

 「あの・・・失礼します。」

 「どうぞ。遅かったですね。」

 「その・・・さすっても、良いんでしょうか?」

 「はい。そうしてくれれば、疲れが取れると聞きました。」

 「じゃ・・・じゃあ失礼します。」

 一応ルクスは大浴場でのマッサージ(男)をやった際にツボ押しで体の痛みを

治らせたことがありルクスのマッサージは体をよくするといううわさが

出たのである。

 その後店の人たちにもそのやり方を教えたことがある。

 「それでは痛かったら痛いと言ってくださいね。」

 ルクスは営業スマイルでそういった。

 そしていざとりかかろうとするとあるものが窓に映っていた。

 それは・・・。

 「(むrんへtrsdhsddmh!! )」

 大きな胸が少女の上体で柔らかそうに潰れて変形しているところである。

 しかもマッ裸である

 もう一度言おう。

 マッ裸であると!!

 そしてよく見ると・・・。

 「(うおおおおおおおおいーーーー!!下も無しかよ----!!!!)」

 薄いタオル一枚の向こうは正しくなにも無しである。

 形がよくて大きなお尻がくっきりと見えていた。

 「明かりを付けたほうがよろしいですか?暗いほうがリラックス出来ると

サニアが言ってたので消してましたが。」

 「い・・・いえいえ大丈夫ですよ!!ハハハハハ・・・サニア?」

 ルクスは少女が言った言葉にある名前が聞いたので思い出していた。

 「(それって確か僕を学園から追放させたい人の・・・あいつかーー!!)」

 ルクスは少女がサニアだとやっと気づいたようだ。

 そんな中ルクスは考え事をしながらマッサージをしていた。

 確実に効くツボを幾つか突きながらなので時折・・・。

 「んん」

 「あああ」

 などと言った喘ぎ声が聞こえた。

 (まあ当の本人は聞いていないが)

 「実は王都から昨日戻ってきたのですがやはり男性のいない女の子だけの学園はいいものです。緊張していてついお風呂で長湯をしてしまいました。」

 「へええ王都から・・・あれ?昨日??」

 そう聞いたのでルクスはある少女を思い出した。

 あの時猫に向かって喋っていた・・・残姉さんを。

 「(まさかね・・・)」

 ルクスはそう思いながらマッサージを続行していると・・・

 「セリスさん、こちらにいらっしゃるのですか?サニアさんが

探しておりましたがー」

 「(くっそー!あのアマやりやがったな----!!!!)」

 そしてルクスはもう一つ驚いていた

 「(ここにいるのってラルグリス家のご令嬢かよ----!!!!)」

 ルクスはそう思いながら考えていた。

 「(窓からは暗いから無理だし外は彼女がいるしどうしたらーー!?)」

 どうしようかと考えてる中セリスティア?がこう言った。

 「分かりました。もうすぐ戻れそうなので、少し待ってくれますか?」

 「じゃあここでお待ちしますね。」

 「(待たんでいいわああ!!)」

 ルクスはそう思いながら頭を抱えていた。

 「明かりを点けますね。わざわざ私のために」

 「待ってください先輩!}

 「どうかしたのですか?」

 「カーテンは閉めていてくださいね。最近不審者が出ていますし!!」

 ルクスは時間稼ぎとしてそういう中どうしようかと思っていた。

 「(これでだめだったらどうしよう!!)」

 そう思っている中セリスティア?はこう言った。

 「ありがとうございます。少し油断していたようですね。」

 「(助かったあ)」

 ルクスは心の中で安どしていると・・・

 セリスティア?がベッドから立ち上がったのだ。

 その際に体にかけていた布は落ちてしまった。

 「!!!!せ、先輩!?何を!??」

 「冷えますので下着くらいは身に着けておこうかと思います。」

 「(だったら隠せよ!羞恥心あってよ!!イクラ僕が女の子だと・・・

女の子?)」

 ルクスは心の中でそれだと思いカバンからあるものを取り出した。

 

 

 

 

 

 

 「では明かりを点けます」

 そう言ってランプに明かりを灯すセリスティア?が見たものは・・・。

 「・・・・・」

 「そ・・・そのーーーこんばんは。」

 そこにいたのは女装した昨晩と同じ格好のルクスであった。

 「貴方はーー」

 「(やっぱりダメか)」

 ルクスは心の中でそう思っていると・・・。

 「貴方はあの時の子ですね。会えて嬉しいです」

 「・・・え?」

 意外な言葉にルクスは首を傾けるよセリスティア?はそっと

ルクスの手を取った。

 「あの時あの少年たちを発見して先生たちに伝えた後いなくなってしまったので心配していたんです!」

 セリスティア?はどうやらルクスを女の子だと完全に勘違いしているようで

あった。

 「(気づかれなかったというのも複雑だけどそれよりも!!)」

 ルクスはそれを見て驚いていた。

 セリスティア?はまだ淡いライトブルーの下着を身に着けたままであった。

 「せ、先輩!まだ服!!服を着ていませんよ!!!」

 「気にしないでください。それよりも私はまた、貴方と会えたことの方が」

 「風邪ひいちゃいますから服着て下さーーーーい!!」

 「(というか見ているこっちが恥ずかしいんだよ----!!!!)」

 ルクスは心の中でそう絶叫をあげていた。




 ルクスのラッキースケベここに発動!!
 ルクス「大きなお世話じゃあああ!!」


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約束と危機

 一難去ってまた一難。


あのあとセリスティア?はそばに置かれていた制服を来ていた。

 そんな中でルクスは罰ゲームかよと心の中でそう思いながら顔を背けていた。

 ・・・こう言う状況だから見ても罰当たらねえぞ。

 「やかましいわ!!」

 「どうしたのですか?」

 「いえいえ、何でもありませんわ。」

 だから地の分読むなっての。

 そうこうしている間にもルクスはセリスティア?にこう聞いた。

 「(あああの時の残姉さんがセリスティアさんかよ~~。)ええと・・・でも僕じゃなくて、わ・・・私みたいなのがセリス先輩のお相手なんかして戴くほどの

生徒ではありませんしさっき他の方も四でいらしているようですし・・・

(今すぐここから出ていきてえ~~)」

 ルクスはセリスティアに対してさっさとどっか行ってほしいと願いながら

そう言うとセリスティアはこう返した。

 「私は別に同姓の子が、好きなわけではありません。」

 着替えを終えたセリスティアが意外なことを口に出した。

 「いえ。勿論嫌いなわけではありませんよ!

あくまで仲の良い友人としてですが、・・・何故か周囲の生徒からそう誤解されたりするのです。」

 何故なんでしょうかと言うがルクスはその答えはすでに分かっていた。

 「(そりゃあんた、絶世の美女でドラグライドでも強いから男は近寄れねえし

おまけにあんたに憧れている女子たちからすればそう思っちまうよ。)」

 ルクスはそう思っていた。

 「でも不思議ですね。変なことを言っているようでなんですが私は何故か・・・

その・・・惹かれてしまうのです。」

 どうしてなんでしょうかというがルクスは心の中で凄い汗を掻いて

こう思っていた。

 「(これでもし男だったなんてわかったら・・・殺されそうな予感がするから

黙っとコー。)」

 特にセリスティア先輩のファンにはとそう固く誓った。

 「先輩。まだデスカー?遅いですよー」

 コンコンと先ほどの少女が再びノックしてきたのでセリスティアは

ルクス(女装モード)を見た後こう聞いた。

 「あの・・・3日後のお休みの日・・・何か予定がありますか?」

 「え・・・ええと・・・ないと思いますけれど。」

 ルクスはそう言うとセリスティアがこう続けた。

 「でしたら私と2人でその・・・お出かけしたいんですけれど・・・

駄目ですか(。´・ω・)?」

 セリスティアは少し顔を近づけて潤んだ表情でルクスを見た。

 それを見たルクスは顔を赤くしてこう言った。

 「は、はい!大丈夫です!!行けます!!!(だーーー!!何言ってんだ

僕はー!!)」

 ルクスは自分に対して何言ってんだーと自己嫌悪していた。

 「で・・・・ではそうですね。朝9時に朝食をとった後にでも、食堂の横で

待っていてください。」

 「わ・・・分かりました。」

 「では、また会いましょう。」

 「(もう会いたくねえよ。)」

 ルクスはそう毒づいていた。

 するとセリスティアがこう聞いた。

 「そういえば彼らはどうしました?」

 そう聞くとルクスはこう返した。

 「あ、はい。男の子の方は大丈夫なんですけど女の子はもう・・・。」

 「そうですか・・・ありがとうございます。」

 そしてセリスティアが出ていくのを見送った後に。

 「・・・は~~~~。」

 ルクスはため息交じりで安どしていた。

 もしこれでばれていたら只ではすむまい。

 良くても退学。

 最悪警察のご厄介になると思っているからだ。

 「・・・それにしても何だか前にもあったなあ。」

 主に向こうの世界でだが璃緒と買い物や遊びに行く際にそれを見ていた

クラスメートからは怨念にも似た眼差し。

 家では遊馬達からの生暖かい笑顔。

 凌牙からは・・・・。

 『妹に手え出したら・・・ぶっ殺すぞ。』

 それも眉間に皺寄せて無表情でだ。

 怖いことこの故ない。

 もう帰ろうと思った矢先・・・。

 「貴方、見かけない子ですね。」

 「・・・・・!?」

 背後から声がしたので振り返るとそこにいたのは・・・。

 「(・・・サニア)!!」

 ルクスをここに誘導したサニアがそこにいた。

 無論ルクスはそれを顔に出さずにこう聞いた。

 「あのー、何かありましたか?」

 それを聞いたルクスに対してサニアはこう返した。

 「ああ、そんなことよりもこの部屋で、男子生徒を見ませんでしたか?・・・

部屋に入ったはずなんですよここに」

 そう言いながらサニアはルクスの近くに立って顔を見てそう聞いた。

 そこからは鋭い疑念と敵意が放たれていた。

 「(このアマ!ずっと監視していたのかよ!?くそ、どうする!!??)」

 ルクスはどうしようかと思っていると・・・。

 「ちょっと、失礼してもいいかしら?」

 サニアの背後からクルルシファーが声をかけた。

 「お話に割り込んで悪いのだけれど、学園長が大至急彼女を連れてきてほしいと言伝を頼まれてるから譲ってくれるかしら?」

 それを聞いたサニアはクルルシファーに対してこう返した。

 「礼儀知らずねって言いたいところだけど学園長じゃあ仕方がないわ。

では、失礼」

 そう言ってサニアは部屋から出て行った。

 そして完全に気配が消えるのを待つと・・・。

 「もういいわよ。」

 「ありがとうございます。クルルシファーさん。・・・けどナンデ?」

 ルクスはクルルシファーにどうしてなのだと聞くとクルルシファーは

こう返した。

 「貴方警戒心が強いのか弱いにか分からないわね。私はアトリエからずっと

怪しんでたわ。」

 「だったらしれっとアドバイスくらいして下さいよ~~。」

 「御免なさいね。それと寮長さんに聞いてみたら呼んだ覚えはないって

言ってたからクランリーゼに頼んで貴方の持っているデュエル・ディスクの

信号からここだって分かったのよ。」

 そう言うと後ろからクランリーゼがVサインしていた。

 「あはははは・・・(これからは気をつけなきゃなあ。)」

 ルクスは油断していた自分を戒めた後こう聞いた。

 「それにしてもよく僕だって分かったね?こんな格好しているのに。」

 「ああそれは・・・・・ククククク」

 突如クルルシファーが笑いそうな顔でこう続けた。

 「貴方が女性だったらこう言う感じだったかなあって思ったから・・・・

ククククク。」

 腹を抱えて笑いながらそう言った。

 「・・・(このアマ~~!!!)」

 「アハハハハハハハハハハ!!」

 ルクスは心の中で握りこぶしを作りながらそう思っているが対照的に

クルルシファーは爆笑していた。

 因みにその恰好のままレリィの部屋に行って口裏合わせるが・・・。

 「ププププ・・・ええ・・・・良いわよ・・・クククク」

 こちらも笑いそうであったそうだ。

 「(ああ・・・やっぱレリィさん1辺ぶん殴ろ。)」

 ルクスはそう思っていた。




 ルクス・・・お前男に見てもらえないんだなあ
 「大きなお世話だ!!」


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牢獄での会話。

 牢獄が安全?
 そんなの誰が決めた。


「あ・・・ああああ。」

 「い・・・いてえよーー。」

 「誰か~~。」

 ルクスとセリスティアのデートが確定したその日の深夜、ある日から毎日のようにうめき声が聞こえてくるのだ。

 そこは王都から遠く離れた牢獄で回りは崖に囲まれており脱走は普通出来ない。

 然もルクスの提案によって周りには兵士が巡回し、ドレイクが周りを監視、

重要人物に至っては機竜で監視しているため更に難攻不落であった。

 その中である一人が中に入っていった。

 本来なら身分証明賞を提示しなければ入れないのだがそれをその人間はある方法で入れたのだ。

 それは・・・。

 「(まさか医療物資の中に紛れ込めるとは思ってませんね。)」

 そう・・・ここ最近医療物資が不足していることから定期的に物資を

頼んでいるのだ。

 この牢獄は罪の種類と重さに応じて3つのブロックに分かれている。

 罪が軽く、且つ公正の余地があれば上に、公正出来るか分からず何度も同じ罪を

重ねている人間は地下に、最も重く、重罪の人間は最下層で逃げ場すらない

場所なのだ。

 いま彼女がいるのは中層なので目的の最深部に行くには通常口ともう一つを

通らなければならない。

 そこは・・・。

 「よいしょっと。」

 排気口である。

 地下の最下層であるため空気の入れ替えをするために改めて作り直されたのだ。

 その一つに入ったそれはそのまま下にへと下った。

 まあこの時代では空気の入れ替えなど考えていなかったため息苦しいことが

結構あるため毎日1回、外で日光浴させた植物を観葉代わりに置いて空気を

作らせないかと言うルクスの案に泣く泣く受け入れてしまったのだ。

 そして排気口を抜けていったその先にいたのは・・・。

 「いました。」

 それはベッドで魘されていた。

 「うぎゅううう・・・・・・」

 全身包帯まみれのこの男こそルクスが初めて『ギャラクシーアイズ』で

倒した男、バルゼリット・クロイツァーである。

 そしてそれは排気口から出て、バルゼリットの前に立った。

 「お初めまして、バルゼリット公。」

 「うお・・・・うおみゃいぇふぁひっひゃいりゃれりゃ?(お前は一体誰だ)」

 バルゼリットは声を出そうとしているが変な声でそういった。

 ルクスとの戦闘で喉を焼かれて思うように言葉が出なくなってしまったのだ。

 「私は貴方の盟友の代理人としてここに来ました。」

 「!!!!ぎゅうううう!!」

 バルゼリットはそれを聞いて立ち上がろうとするも全身の痛みでそれもできなくなってしまった。

 「ああそのままでよろしいですよ。それと主は所用でいないため私が代理として来ました。」

 それについて悪しからずと言うとバルゼリットはこう考えていた。

 「(そうか・・・盟友は私をまだ見放さなかったんだな。・・・フフフ・・・

後は脱出して今回の件のすべてを反乱軍に擦り付けた後新しい傭兵を領地にある

隠し財産で雇えばいい。まあ罪人はクロイツァー家が抱き込んでいる執政官と

警察職員に声をかけさせておけば後は・・・」

 そう思っている中ある人間を思い出した。

 あの時自分の全てを破壊しつくしたあの男・・・『ルクス・アーカディア』を。

 「(あいつはぼろぼろにした後あいつの取り巻きの女どもを目の前で

犯しつくして殺した後に機竜でズタズタに・・・!!)」

 バルゼリットはそう思いながらルクスが滑稽にくたばってくれる様を

イメージしてほくそ笑んだ次の瞬間・・・。

 「ゴバ・・!ぎゅ、ギュギャ嗚呼アアアアアアアア!!」

 バルゼリットの腹から角のような突起物が内側から生えてきたのだ。

 それは胸を、内臓を抉りだしながら成長していた。

 まるで・・・バルゼリットを栄養源にして成長する植物のように・・・。

 バルゼリットは断末魔を上げながらベッドから転げ落ちてその人間を見るとその人間はバルゼリットに対してこう言った。

 「主曰くですが『アジ・ダハーカ』の神装は幾つもコピーした能力を同時に

使うと威力と精度が落ちると言ってました。それは受け取った際に忠告していた

はずですが?」

 「ギャハ!グガアアアアア!!プギャアアアアアア!!」

 「貴方が破壊した『アジ・ダハーカ』の弁償は貴方の命と隠し財産で

賄ってもらうとの事です。」

 「ギギャアアアア!!あああアアアアアアアア!!」

 「それと主から言伝です。」

 『てめえみてえな屑野郎は蛆に生きたまま喰われて死ね!』

 「だそうです。」

 「・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!」

 そしてそのままバルゼリットはその人間を見つめたまま・・・死んだ。

 「矢張りこの年齢の人間では投与しても定着しませんね。後で主に報告して

おかないと。」

 そう言ってその人間は懐から・・・アビスを呼び、コントロールできる笛

『角笛』を出してこう言った。

 「さてと・・・あれを作るにはここは丁度よいのでお仕事です。」

 それに・・・とその人間はこう続けた。

 「もう間もなく目覚める頃合いでしょうね。」

 そしてその後にその人間は角笛を・・・吹いてこう締めくくった。

 「アビスの頂点・・・七つの遺跡の最下層に住む化け物・・・

『ラグナレク』が」




 悪意の脈動は刻一刻と・・・音を鳴らし始めた。


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夜の墓。

 夜の墓場って・・・怖いよねえ。


 その日の夜・・・。

 ルクス達は透流と一緒にあるところにへと向かって行った。

 それは墓所。

 透流の妹、音羽の遺体を安置するためである。

 ルクスはシャリス達とリーズシャルテ、アイリ、クルルシファー、フィルフィを

引き連れてそこに向かった。

 そして墓所に着くと恐らくシャリスの父親辺りが頼んだのであろう既に穴と

簡易的だが墓石があった。

 そこにはこう書かれていた。

 『異国からの少女の魂が安らかであるように』と・・・刻まれていた。

 ルクスは馬車から音羽の遺体が入った棺を機竜で持ち上げて下した後透流に向けてこう聞いた。

 「それじゃあ・・・良いね?」

 「・・・はい」

 ルクスの言葉に透流は頷いた。

 そしてルクスはその棺をシャリスと一緒に抱えてその棺を穴のある場所に向かって行った。

 そして穴のすぐ近くにまで行った後ルクスは棺を開けて音羽の遺体を見た。

 服はノクト達に頼んでもらって簡易な白いドレスにして周りにはルクスが雑用で

働いていた花屋から安く貰い受け、それを敷き詰めた。

 それと簡単にだが化粧もしてもらい死に化粧とはいえ綺麗なものであった。

 そしてルクスは棺を閉じてシャリスと一緒に棺を穴の中に入れた。

 そしてノクト達が穴を閉じるために掘った地面を戻そうとすると透流が

こう言った。

 「すみません・・・俺にやらせてください。」

 それを聞いたティルファーは驚いた様子でこう言った。

 「えええ!!けどこの土結構あるよ!これを一人でって」

 「音羽は俺の家族なんです。最後に家族として・・・・お願いします!!」

 透流はそう言って頭を下げた。

 ティルファーはどうしようかと思っているとルクスがあるものを持ってきた。

 「・・・・・・はい。」

 それは近くに置かれていたスコップであった。

 それを透流に渡すと透流はルクスを見てこう言った。

 「ありがとうございます!!」

 「ちょっと!ルクッチ!!」

 ティルファーは止めようとするもすぐそこにいたフィルフィがそれを止めて

こう言った。

 「やらせてあげて」

 そしてルクスがこう続けた。

 「今の透流にはこれが必要なんだ。・・・自分自身にとってね」

 そう言いながらルクスは透流を見た。

 既に透流は土を入れ始めていた。

 その顔はまるで必死の形相であった。

 そしてティルファーもそれを見て・・・しょうがないなあと思って見守ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 そして1時間が経った。

 透流は何も言わずに、時折穴を見て涙を流しながら穴を塞いでいった。

 そしてさらに30分経ち・・・。

 「はあ・・・はあ・・・はああ」

 透流は穴を塞ぎ終えた。

 念入りに穴の周りの土をポンポンと優しく叩きながら塞いだ。

 「・・・大丈夫かい?」

 ルクスは透流に近寄ってそう聞くと透流はこう言った。

 「俺・・・実はまだ夢じゃないかって思ってたんです。」

 「え?」

 「実は今までのが夢で起きたら家の自分の部屋にいて」

 「起きたらお袋が飯を作っていて」

 「親父が台所のテーブルにある椅子でコーヒー飲みながら新聞を読んで」

 「音羽がこう言うんです。」

 『おはよう、お兄ちゃん』

 「そんで学校に行って」

 「友達と喋ってて」

 「道場に行って・・・あいつと稽古してて」

 「そんでそれが終わって音羽と家に帰って」

 「・・・晩飯食って」

 「・・・・テレビ見ながら一緒にいて」

 「そんで・・・・そんで・・・」

 すると透流は涙交じりでこう言った。

 「いつもと変わらない一日だったなあって思いながらずっと一緒に入れると

思ってたのに!!」

 「何で・・・・何で・・・・ナンデ目が覚めねえんだよ!!」

 「もう朝だぞって起こしてもいいのに何で!!ナンデ!!!ナンデ・・・

起きねえんだよ・・・」

 そう言って透流は泣き崩れながらこう言った。

 「・・・ナンデ死んじまったんだよ~~。・・・音羽」

 そう言いながら透流は泣き始めた。

 それは現実を認めたくないという思いからであろう。

 するとルクスは透流に向けてこう言った。

 「透流君、君の気持ちは僕も肉親を失ったんだ。」

 「でもあの時はアイリがいたし僕がしっかりしなきゃって思ってたんだけど、時々部屋で泣いてた時があったんだ。」

 「そんな時にフィーちゃんは僕のことを気にかけてくれたから何とかなったけど異世界に行ったときはやばかったなあ。」

 「君みたいに知っている人はいなかったけどみんな親切で優しかったし

頼ってくれたり・・・支えてくれた人もいたよ。」

 「だから君を見て決めたんだ。」

 「僕が君を・・・いや、僕らみんなが君を支えるよ。」

 「アイリにノクト、ティルファー、シャリスさん、リーズシャルテ様、

クルルシファーさん、フィーちゃん、皆で支えるからさ・・・」

 「だから・・・立ち上がろう。透流君」

 そう言ってルクスは透流に手を差し伸ばした。

 その光景はまるで幼く道に迷った子供を元の道まで送らせようとする聖人のようであった。

 この時、透流はその手を取ろうかとるまいかと思っていた。

 こんな自分をどう思っているのか怖かったのだ。

 然し後ろから・・・声が聞こえた。

 『頑張って・・・お兄ちゃん』

 その言葉を聞いた透流はその手を取った。

 この時から運命は狂った。

 復讐に誓いを立て、力を得ようとした少年の未来は消え、

代わりに得たのは・・・。

 後に『死神の一番弟子』と呼ばれる少年がそこにいた。




 もしかしたら『アブソリュート・デュオ』これ書くかも。


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学園長室で討論会。

 討論はちゃんとするべし!


 そして墓場に行って次の日の昼休み

 ルクスはあの後の事を考えていた。

 「(透流のあの状況を見てもまだ何とかなるかもな。後はこっちの問題かあ。)」

 ルクスはセリスティアの事を考えていた。

 「(僕や透流の事で議論すると言ったら校外対抗戦か、ラグナレク討伐戦の後って

言ったところだな。それまでにセリスティア先輩には悪いけど何とか学園内での

立ち位置を確保しておかないといけないなあ。)」

 ルクスは腕を組んで難しい顔でそう思っていた。

 あれやこれやと立て続けに問題が舞い込んでくるので大変なのだ。

 それに透流やクランリーゼについても考えなければいけないので昼食を食べる

暇すらないのだ。

 そう思っていると・・・。

 「また、難しいこと考えてるわね貴方。」

 「あ・・・クルルシファーさん。」

 左隣にいたクルルシファーがそう言った。

 「いやあ、何せ考えることが多くてですねえ。」

 ハハハと空笑いしながらそう言うと右からサンドイッチが置かれていた皿が

こっちに移動してきた。

 「・・・?」

 「ルーちゃん。お昼ごはん食べなきゃだめだよ?」

 「フィーちゃん!?」

 それはフィルフィが食べていたサンドイッチの片割れであった。

 「ちゃんと食べないと、だめだよ?」

 フィルフィは念を押すようにそう言った。

 「ご、御免。でも僕のサンドイッチあるから食べちゃっても」

 そうでなくてもストレスで胃が小さくなりそうなんだよなあと思っていると

フィルフィはルクスの顔を覗き込んでこう言った。

 「食べないと、だめ」

 「・・・・・あい」

 ルクスはもうだめだなと思ってサンドイッチをぱくりと食べるとそれを見た

フィルフィは微かな笑顔を見せた。

 まあ・・・周りではそれを見て黄色い声が上がっていたが・・・。

 「そういえばリーズシャルテ様どうしたんだろう?少し用事があるって

言ってたけど遅いね?」

 今回リーズシャルテは少し遅くなると言って出て行ったのだ。

 多忙な日々を過ごしている彼女にとって何らかの仕事かなあと

思っていると・・。

 「ルクッチ、大変だよ!!セリスティア先輩が、学園長にルクッチを退学させるように、直談判しているらしくって、リーシャ様がそれに抗議しに行ってて!!」

 「はあああ!!」

 酷く焦った様子のティルファーを見てルクスは大声をあげた。

 いくら何でもそう急すぎると思ったルクスは急いで学園長室にへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 既に学園長室の前の廊下は大勢の生徒でごった返していた。

 「ちょっと!通してください!!」

 その人波を分けて学園長室に向かう中・・・。

 「ルクスさん!」

 「ルクスさん」

 透流とクランリーゼもそこにいた。

 尚、透流はいつも通りローブ姿である。

 「これって一体」

 透流は何事だと思っていると学園長室から声が聞こえた。

 「だから言ってるだろうが!ルクスの編入は来る共学制に備えての実験

だって!!!学園長の許可も貰っているしあいつのこれまでの功績を考えれば

在学を認めても!!}

 「行こう!!」

 「「はい!!」」

 ルクスはリーズシャルテの声を聴いて二人に急ぐように言った。

 「あ、それとクランリーゼ」

 「はい、何でしょう?」

 「この間の事映像で出さないでね。それと何も言わないでね。」

 話がこじれるからと言ってクランリーゼははいと答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それは私達三年の不在時に勝手に決まったことです。それに元々の入学条件は『規定年齢の女子』と定義されています。もし学園が彼の在学を認めれば存在意義に関わるのでは?」

 「ああもう!!この石頭は!!!」

 リーズシャルテはセリスティアの言葉を聞いて頭をガシガシと掻いていた。

 「リーズシャルテ様!」

 「ルクス!?何でここに!!??」

 それにお前たちもとリーズシャルテがそう言うとセリスティアがこう言った。

 「貴方が旧帝国の元王子。『ルクス・アーカディア』ですね」

 セリスティアがそう言って値踏みするような目で他社を圧倒させる空気を

漂わせながらそう言うがルクスはそれに対して頑として睨み返していた。

 「(あんたの視線程度、『ドン・サウザンド』に比べたら大したこと

ねえよ。)」

 いやアンタ、それ邪神でしょう。

 「貴方は本来、この場にいるべき人間ではありません。

それは、分かってますか?」

 「そりゃあもう」

 「今回の経緯ですが私の留守中に何度か救ってくれたことに対しては

感謝しますがそれで貴方が在籍する理由にはありません。この学園は貴族子女達のためのものです。」

 「おい、おま」

 「ちょっと待ってください!!」

 リーズシャルテが何か言いかけると透流が大声をあげた。

 「透流!いったい」

 ルクスが止めようとするも透流はローブのフードを取った。

 「え?男の子!?」

 「何でここに!?」

 周りが驚いている中セリスティアが透流を見てこう言った。

 「貴方は確かあの時」

 すると透流がセリスティアに向けてこう言った。

 「俺!ここに来てそう日が経ってないけどアイリさんが教えてくれました。

ルクスさんがどんな人でどういう人間か、どんな出身なのかも」

 「確かにルクスさんの家は酷いことをしていたし俺自身も最低だって

思いましたけど・・・・けどルクスさんが何したんです!!」

 「「「「「!!」」」」」

 「この人が悪さをしましたか!?皆さんに害を与えましたか!?何か酷いことをしていましたか!!??」

 「違うでしょう!!この人は一生懸命に皆を守ろうと頑張ってるじゃないですか!!貴方達の居場所を誰からも言われずに守ってきたじゃないですか!!本当に悪い奴を倒してきたじゃないですか!!ここにいる人たちだって中にはルクスさんに助けられた人だっているじゃないですか!!!それなのに男だからって

そんな理由で追い出そうとするなんてそんなの昔やってきた人たちと

何ら変わらないじゃないですか!!!」

 「・・・・・」

 透流はぜーぜーと息切れしながらそう言った。

 それを聞いた全員は黙って聞かざるを得なかった。

 「・・・それでも・・・・この学園を存続させるためには

仕方のないことです。」

 「あんた未だ!」

 透流がセリスティアの言葉を聞いてもう我慢の限界だと思っている中ルクスは

透流の間に割り込んでこう言った。

 「セリスティア先輩。貴方はクロイツァー家のバルゼリット公が

やる予定であったラグナレク討伐隊に僕を加えさせていただけませんか?」

 「「「「「!!!!!」」」」」

 それを聞いて全員が驚いた。

 何せそれは極秘事項であったため生徒たちは知られていなかった。

 「・・・貴方が何故それを知っているのかは、あえて問いません。」

 セリスティアはそう言いながらリーズシャルテを見た。

 一方のリーズシャルテはハラハラしていた。

 本来ならルクスが戦力としてだけではなく、例の「ぱそこん」の情報で

どれだけの価値があるのかを言う必要があったのだ。

 これは本来リーズシャルテ自身は望んでいなかったが三大貴族となった

彼らを釣らせるための餌であり、ルクスが在学できるようにする口実を

与えたかったのだ。

 ・・・まあ透流の演説によるものなのかどうかは分からないが流れは

こっちに傾いているとリーズシャルテは確信していた。

 然しセリスティアの言葉でまたかよと思っていたのだが・・・。

 「ですが、貴方とは何の関係も」

 「生憎ですが僕にも誘いがあっていましてね、それに新王国軍の大半は

未だ男性です。それで男嫌いと定評がある貴方はどうやって

彼らと連携するのですか?」

 「ルクス・アーカディア。貴方は、話をすり替えようとしているのですか?

ならば議論の余地は」

 「貴方の返答次第で僕の答えが決まります。」

 「・・・・・」

 セリスティアはふうと小さくため息をついた後、ルクスを見下ろして

こう言った。

 「私は例の討伐命令に対してですがお気遣いは無用です。単騎で仕留めるつもりです。」

 それを聞いたルクスはというと・・・・。

 「・・・・・あんた・・・・・バカだろ」

 「はい?」

 そう言ってしまったのだ。




 レリィ「あたしの部屋で喧嘩だけはしないでねえ((´;ω;`)」
 機竜でやったら経費じゃ落ちないんだからああ。


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宣戦布告。

 勝つと決めた以上は勝つ!!


「あーあ、言っちまった。」

 リーズシャルテは頭を抱えていた。

 まあ確かにセリスティアの言葉はバカかよと思うぐらいの言葉であった。

 相手はアビスの最高戦力でもあり切り札でもあるのだ。

 そんな強い奴にたった一人で倒せるのかと言いたいところにルクスが先に

言ってしまったため悩ませていた。

 「ま・・・後はあいつがどうにかするだろ。」

 どう転んでもあいつはここにいることになるんだろうけどなと思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・失礼ですがどういう意味でしょうか」

 セリスティアは少しひくつきながら聞いた。

 何でそういうのか聞くとルクスはしれっとこう言った。

 「いや、『ラグナレク』っていうのは云わばアビスの親玉でその力は幾つもの

小国をたった一体で滅ぼせるほどでしょう?そんな奴にたった一人で立ち向かう

なんて自殺希望者か余程自分の実力に過信しているかのどっちでしょう」

 ルクスがそう言うとさらにこう続けた。

 「それにあんたはこの学園・・・っていうよりこの新王国でトップランクだって

いうのは知ってますけどあんたよりも強い奴なんて外を見ればごまんと要るしさー。自分自身周りにちやほやされて強いって思ってラグナレクに倒されちまったらさー、・・・アンタその後のこの国の士気が駄々下がりするってことぐらい

ワカッテルカ?」

 「「「「「!!!!!」」」」」

 その瞬間にルクスの目が細く、鋭くなった。

 そして周りの空気が一瞬で変わった。

 それはセリスティアが今まで感じたことのない程の濃厚な・・・殺気であった。

 然もセリスティアはルクスの後ろにいる2体の対照的な龍が睨みつけてる

光景が目に映った。

 「・・・貴方の実力は聞いていましたが少し上方修正する必要があるよう

ですね。」

 ですがとセリスティアはレイピアを抜く体勢をとってこう言った。

 「貴方を認める気など」

 「はいストーーーップ!!」

 すると後ろからレリィが机をダンと叩いてこう言った。

 「お互い意見は出し合ってもきりがないわね。」

 「セリスティアさんは『ルクス君の退学』を希望しているようだけど

それは無理なのよねえ。」

 「!!どうしてですか!?」

 セリスティアがレリィに詰め寄るとレリィはこう続けた。

 「何せルクス君が持っている機竜二体はルクス君でしか動かせないようになってるのよ~~。」

 「はあああ!!」

 「それに・・・そこにいる子は遺跡の重要な情報と彼女が持っている

そのえーーと・・・『ぱそこん』って言うんだっけ?彼をこの学園に

置いておかないと色々と騒動が起きそうなのよねえ。」

 けれどとレリィはこう続けた。

 「それじゃあ周りが納得しないでしょう?」

 特にセリスティア派はねと付け加えた後こう言った。

 「今度行われる校内選抜戦でルクス君を支持する派とセリスティアさんを

支持する派で分かれて戦ってからケリをつけるって事でどうかしら?」

 要は戦って自分の意見を認めろというものであった。

 「待ってください学園長!そのような」

 「良いですよ。僕は」

 セリスティアが何か言う前にルクスがそう言った。

 「僕は校内選抜戦云々は捨ててセリスティア先輩に物申せるなら

何でもいいですよ。」

 「彼女が勝ったら僕は大人しく出ていきますよ。」

 「お、おいルクス!何言ってんだ!!」

 リーズシャルテは何とかルクスを止めようとするがルクスはセリスティアを見てこう続けた。

 「但し、僕が勝ったら『ラグナレク討伐隊』に僕も加えること!

たった一人で戦おうなんて言う馬鹿を野放しにさせるわけにはいかないよ!!」

 そう言うとレリィはこう締めくくった。

 「それじゃあ二人とも・・・それでいいかしら?」

 レリィがそう最終チェックしようとすると二人はこう言った。

 「仕方のないこととはいえ、長く学園を留守にしていた私にも

責任がありますから。本意ではありませんが、受けて立ちます。・・・ですが私に勝てると本気で思っているのなら、大変な見込み違いですよ。」

 それを聞いたルクスはセリスティアにがんつくようにこう言った。

 「上等だよ!その長く伸び切った鼻っ柱、へし折ってやるよ!!」

 そう言ってルクスはクランリーゼと透流を引き連れて学園長室から出て行った。

 するとそれを見ていたセリスティアはこうつぶやいた。

 「・・・口調はともかくですがやはり似ていますね。あの人に」




 その前にお前・・・妹からありがたいことが出るぞ?
 ルクス「・・・・・アアアアアアア(*´Д`*)アアアアアアアア!!!!!!」


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その部屋での言葉。

 部屋で喋るときはちゃんと注意して言おうね。


ルクス派対セリスティア派における校内選抜戦の話は瞬く間に校内全体に広がっていった。

 然し当のルクスは現在・・・最大のピンチを迎えていた。

 「こんばんわ。ニイサン。」

 穏やかな口調でアイリがそう言った。

 二人がいるのはノクトとアイリの部屋でルクスはアイリに呼ばれたのだ。

 漆黒のオーラが只漏れして後ろには七つの傷を持った男が何故かスタンバっているスタンドをしているがね・・・。

 「ええと・・・・もしかして・・・・怒ってる?」

 ルクスは少しビビりながらそう聞いた。

 尚、透流とクランリーゼはと言うと・・・。

 「「(・・・怖ぇーーーー)」」

 ルクスの後ろでそう思っていた。(冷や汗ダラダラで)

 「・・・あららら・・・・私のどこが怒ってるのデスカー?」

 「すみませんでした----!!!!」

 アイリの一言にすぐさまスライディング土下座したルクスであった。

 「ウフフフフ、よくもまあ宣戦布告何てしちゃってくれてどういう流れで

そうなったのか説明シテクダサイネー。」

 「はい!そりゃあもう全部話します!!!」

 その光景を見た二人はと言うと・・・。

 「「(アイリさんは絶対に怒らせちゃ駄目だ!コロコロされる!!!)」」」

 カタカタと二人は恐怖していた。

 因みにコロコロとは・・・殺される*2である。

 ~~事情説明中~~

 

 

 

 

 

 

 「・・・はあ~~~~。全く兄さん、幾らセリスティア先輩がそう言うこと

言ってたからって『馬鹿か?』って言った挙句に『自殺希望者』とかよく言えますね~~。」

 「・・・ホント、考えたら僕何でこんなこと言ったのだろうなと思ってるよ。」

 今更ですねとアイリはクランリーゼが用意してくれた紅茶を飲みながら

そう言った。

 「・・・卑怯です。」

 「え?」

 アイリが何か呟いたのでルクスはなんだと思った。

 しかしアイリはこう続けた。

 「最終的には私が許すしかないと知っているから勝手に行動して

いつもいつも・・・」

 「あの~~。アイリさん??」

 小声で聞き取れなかったのでルクスは何なのかとアイリに聞こうとすると・・。

 「・・・ナニカ?」

 「何でもありません!!」

 ちょっと目が据わってしまったので聞くのをやめた。

 だって・・・藪をつついて蛇どころか鬼が出そうだもんね。

 「ま、今回の件はこれくらいで許しておきますがいいですね!」

 「は、はい!(良かった~~。前みたいにぶち殴られなくって。)」

 ルクスは心の中でそう思っていた。

 「それでは・・・本題に入りますよ。兄さん」

 「!!」

 ルクスはアイリの言葉を聞いて姿勢を正した。

 おそらくこれが最もアイリが伝えたいことであろう。

 「これは先ほど学園長が極秘に聞かれたことですが・・・。」

 ゴクッ。

 誰かは分からないが唾を飲んだ音がした。

 そしてアイリはこう言った。

 

 

 

 

 

 

 「王都の監獄で投獄されていたバルゼリット・クロイツァーと

ベルバット・バルトがアビスによって全員殺されました。」

 「・・・・はあ(*´Д`*)!!」

 ルクスはアイリの言葉を聞いて驚いていた。

 監獄には幾つもの機竜や、何人もの監視人がそこにおり、しかも二人は

最重要人物として専用の牢獄に収容されていたにも関わらずにだ。

 然しルクスはアイリの言葉を聞いて慌ててはいたがこう言った。

 「くそが!アビスが王都に来たってことは!!」

 「ええ、兄さんの思っていることと同じようですね。」

 「・・・スパイですね」

 ルクスとアイリの思っていることをクランリーゼが代弁した。

 本来、アビスは遺跡の周りにいるため王都に来ること自体がまれであり、

然もそこまで行くには幾つもの防衛拠点にたどり着かなければいけないため潜伏も儘ならないはずなのだ。

 其れでもできたということは・・・。

 「現に何名かの帝国から移籍した機竜乗りも行方不明だそうです。」

 アイリの言葉でまたかよとルクスはそう思っていた。

 「(もし学園から追放されたときはいの一番に内部調査の組織編成を

願ってやる!!)」

 ルクスはそう思っていた。

 そしてアイリはこう続けた。

 「彼ら二人は最近各国で暗躍している『闇商人』という人物との関与が証言に

出ているのでもう少し取り調べるつもりだったのですが。」

 「それにその『闇商人』は『ヘイブルグ共和国』に傭兵部隊と最近新たに

発見された国家『ドラグニア竜皇国』に機竜等の武力を流しているという情報も

ありますがもしかしたら・・・」

 「いや、それはないだろう。」

 アイリが何か言いかけるとルクスはスパッと否定した。

 「ちょ!ちょっと待ってくださいよ兄さん!!幾ら何でも否定する証拠は」

 「アイリ、正直言うけど・・・フギルがそんなせこい事すると思う?」

 「え・・・・ええと・・・」

 「だけど『ヘイブルグ共和国』については少し気になったことがあるんだ。」

 「何です?兄さん」

 ルクスの言葉にアイリはなんだと思っていた。

 「あの国がなぜこんな時期に『ラグナレク討伐』をユミル教国と連名で、

然も期限を設けたのかは・・・分かるよね?」

 「それくらいなら、ここで国の機竜乗りでも最高戦力に数えられるセリスティア先輩を疲弊又は、倒すことによってこちらの戦力を削るということですね。」

 「そして校外対抗戦で遺跡の調査権をこっちよりも多く手に入れようとしてるんだろうね。全くケチで卑怯な戦略だよ。」

 ルクスとアイリはお互いの考えを言った後透流達と部屋に出た。

 そしてルクスは透流にこう聞いた。

 「えっと・・・話の内容は分かったかな?」

 「あああ・・・・あんまりですかね。最初は口封じだっていうのは分かったけど後のはなんかチンプンカンプンで。」

 すみませんと言うとルクスはこう言った。

 「いや、そういうのはゆっくりと覚えておけばいいさ。だからこそ

僕がラグナレクを倒さないといけないなって思ってさ。」

 クルルシファーさんやリーズシャルテ様は重要な人だから参戦できないしね。と言って透流を部屋に戻した後ルクスも自分の部屋に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・・・」

 同時刻、セリスティアは自室でいつも持っている本を読んでいた。

 ルームメイトのシャリスはいつもの通り見回りに行っている。

 セリスティアが読んでいるのは剣技や体技、機竜乗りに必要な技術を

セリスティアが自ら教わり、学んだものを抜粋して、1冊の技能書として

纏められたものである。

 彼女はそれを読みながら昼休みでのルクスの事を思い出していた。

 「ルクス・アーカディア。やはり彼はアーカディア皇帝よりもあなたに

よく似ていましたね。」 

 ですがと言ってこう思い出していた。

 「あの殺気、まるで幾つもの死線を潜らなければできないものでした。」

 「それに・・・あの子は一体。」

 それはルクスが殺気を出していた時にいた・・・青い髪の少女がルクスの後ろでほほ笑んでいた事。

 「何にしても私は彼を、そして学園の生徒を守るためにはこれしか

思いつかなかったのです。」

 「今度は・・・間違っていませんよね?」

 セリスティアはそう言いながらこう呟いた。

 「・・・ウェイド先生」

 その覚悟を決めた言葉を聞くものは・・・・たった一人しかいなかった。

 

 

 

 

 

 「間違ってない・・・ふん、何をいまさら言ってんのよ。」

 その人間は扉の後ろでセリスティアの言葉を聞いて苦々しくそう言った。

 「あんたのせいでどれだけの人間が不幸になったのかを教えてあげるわ。」

 そしてその人間は拳を思いっきり、血が出るか否かなぐらい強く握って

 「・・・死の間際にね、セリスティア・ラルグリス」

 悪魔のように残忍な笑顔を浮かべてそう言ったのを知るものは・・・

誰もいなかったのだ。

 そう・・・誰も。




 その笑顔は一体どういう意味か?・・・次回に続く。


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選抜戦説明

 内容がちょっと違うかもしれません。


「それでは、本日より5日間、校内選抜戦を執り行う!」

 早朝の校舎。

 少し目元に隈が出来ているライグリィ教官がルールを説明していた。

 「各自、参加者でもある武官志望の生徒は演習場にある掲示板を把握したうえで

自分の対戦予定表を見るように!尚、時間内に参加できなかったり届がなく

無断で出場しなかったら不戦敗であるが、怪我や体調不良の際は事前に

名乗り上げればそれなりの考慮はする!!」

 この選抜戦はルクス派の1,2年勢とセリスティア派の3年という

これまでとは違う空気が生まれていた。

 因みに希望があればどちらかにも付くことが出来る。

 「選抜戦のルールに加えて特別な事情もあって以下のものとする!」

 ①一般生徒と『シヴァレス』はそれぞれ別々で戦うこと。

 ②最終日に発表する。

 「説明は以上だ!各自全力で事に当たれ!!」

 そうライグリィ教官は締めくくって部屋から出た後少女たちがざわめきあった。

 「うわー。やっぱりやるんだあ。どうしよう~~」

 「人数と実力の差は勝ち点において考慮されるっていうけど・・・」

 「ルクスさん!負けてはいけませんよ!!」

 まあ色々と声があった。

 「・・・何でこうなったんだろうな。」

 「そう言わないほうが良いですよ、ルクスさん。」

 「そうですよ。もうこうなったらバルゼリット・クロイツァーみたいに

全員ボコボコにしてこちらの勝ち点が増えるようにしなければ。」

 「いや、それだけは止めろよ。一応ここの機龍は学園の所有物だから。」

 「お姫様、貴方は人間よりもそっちなのかしら?」

 ルクスの言葉に透流とクランリーゼがそう言ったのだがクランリーゼの言葉にリーズシャルテが間違ったツッコミをしたのに対してクルルシファーが突っ込んだ。

 「・・・まあお前が言わなかったら私はあの『ぱそこん』の中身をセリスティアにぶちまけてルクスの有用性をアピールしそうになったな。」

 リーズシャルテはそう呟くがルクスはと言うと・・・。

 「いや、あれだけはダメでしょう、あれは下手したらパンドラの箱ですよ」

 流石にそれはダメだろうとツッコミを入れた。

 「まあそのおかげでこっち側の機竜の調律がスムーズに行えたがな。」

 全員分やって眠いけどと言うが何十機もある機竜をたった一人で調整するだけでも凄いだろと思っていたがリーズシャルテはこう続けた。

 「流石に私だけじゃ無理だったから資料集めを透流に、データをクランリーゼに手伝わせたんだ。」

 そう言って二人に視線を向けた。

 すると二人はこう言った。

 「いやあ、俺にも関りがあるので何か手伝えませんかと聞いたもので」

 「それに私はルクスさんに任されているので手伝うのは当然かと」

 そう言った二人を見てルクスはこう言った。

 「・・・ありがとうね。二人とも」

 そう言った。

 すると後ろから・・・コンコンとノックする音が聞こえた。

 「・・・失礼。忙しそうなところ、良いかな。」

 そう言って扉の前にはシャリスがそこにいた。

 するとティルファーが・・・何処から出してきたのか分からないがトンカチを

出してこう言った。

 「アレアレアレ~~?何で裏切り者がイルノカナ?」

 「あれ・・・ティルファーそれはってひぃ!!

 シャリスはほかの面々を見ると皆それぞれ獲物を持っていた。

 「ちょ・・・ちょっとマッテ!!」

 「はいはい皆ストーーーップ。」

 するとルクスが全員とシャリスの間に割り込んで止めさせた。

 「・・・ルクス君(´;ω;`)」」

 ちょっと泣き顔になっていたシャリスは正に白馬の王子が

助けに来てくれたのかと思うほどであったが・・・現実は違った。

 「トンカチ程度じゃ死なないよ。出来るならハンマーとか、

剣とか槍で殺した後にバラバラにして深く埋めちゃおうよ。大丈夫、

1週間はバレナイバレナイ。」

 「ルクスく~~~~ん!!!!」

 まさかの殺害方法の伝授であった。

 するとリーズシャルテとクルルシファーも・・・。

 「よし、だったらドリルで大きく穴を掘っておこう。ちょっとやそっとじゃ

死臭は匂わんはずだ。」

 「駄目よお姫様。その前に氷杖にしてから埋めましょ。そっちのほうが

早く済むわ。」

 「スイマセン、ワタシハタダノメッセンジャーデスカラドウカイノチダケハ。」

 等々シャリスは片言の言葉で土下座して命乞いをしていた。

 それを見ていた透流たちはと言うと・・・・。

 「「・・・本気で・・・・ヤラナイヨネ」」




 ルクス「さてと・・・殺すなら肉はミンチにしてから豚の餌に混ぜておいたほうが処理しやすそうだな。」そう言いながら包丁を研いでいる。
 シャリス「誰か助けて----!!!!」ロープで雁字搦めにされてKKK団みたいな格好している1,2年生に囲まれている。(机の上で)


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選抜戦会議

 備えあれば憂いなし。
 千の策謀を費やして1を成功させればその時点でこっちの勝ち。


「さてと・・・シャリス先輩。早くしゃべらナイト皆が貴方をコロコロ

しちゃうからはよ吐けや、おい」

 終盤ルクスは最早やくざかと思うくらいの言葉で脅すように言った。

 まあ・・・女装されたことに対する怒りがあったのであろうが。

 「はい、大人しくってか私はセリスの言伝頼まれただけなのにぃい・・・」

 シャリスは涙流しながらそう言っていた。

 そしてシャリスは一回咳払いしてこう言った。

 「コホン。彼女は初日の今日から模擬戦に出場するそうだ。セリスの相棒は、同じ『シヴァレス』の一人でもありサニア・レミストだ。」

 「それってつまり」

 「・・・あっちも宣戦布告してきたってことね。」

 ルクスの言葉にクルルシファーがそう続けた。

 「対戦するのなら君たちも『シヴァレス』から決めたほうが良いな。

では幸運を・・・」

 そう言うとシャリスはさっさと逃げて行った。

 団員は向こうよりも少ないのでルクスとコンビ組ませるのならそれなりの

実力者でないとだめだなと全員がそう思っていた。

 まあ・・・向こうにおいてもセリスティア以外の人間を相手にさせたら

たった数分足らずで息の根まで止めてしまうかもしれないよね・・・ルクスが。

 「さてと・・・セリスティアが出場するのは意外にも幸運かもしれないな。」

 「へ?」

 突如リーズシャルテがそう言った。

 無論ルクスはなんでと思っているとリーズシャルテはルクスに対してこう言った。

 「お前はあいつの機竜の神装を知らないから一度見れば対応策は幾つか

出来るだろう?」

 そう聞くとルクスはこう答えた。

 「ええと・・・時間が長ければ5,6ぐらいは」

 そう自信なさげだがそう言うとリーズシャルテ良しと言ってこう言った。

 「それなら私とクルルシファーが出場しよう。」

 『『『『『えええええええええええ!!!!!!!!!』』』』』

 それを聞いて女生徒全員が大声をあげた。

 二人は重要戦力であるためここで負けて何かあればたまったものではないのだ。

 だがリーズシャルテは全員に向けてこう言った。

 「まあ皆が驚くのは無理ないし私もあいつには勝てっこないとは思ってるよ。

だが私はこう思っている!たとえ誰が倒れようとも誰かがバトンを引き継ぎ!

 勝利を得ることが出来るのだと私はそう信じている!!そして今セリスティアに地を付けられる可能性が最も高いのが・・・ルクスだ!!」

 「そしてその勝率を高めるために私たちは戦場にへと向かうが皆、黙って我々を見送ってくれないか!?この通りだ!!!」

 そう言ってリーズシャルテはみんなの前で頭を下げた。

 流石にそこまでされると誰も言えなくなってしまうからだ。

 然しそこにノクトがリーズシャルテにあることを聞いた。

 「ですがそうなるとルクスさんの相棒は誰にさせるんですか?正直私や

ティルファーですが戦力としてふさわしいかどうか?」

 「そうだよねえ。ただでさえルクッチって強いだけじゃなくて容赦もないから

ストッパーが必要だよ~~」

 誰にするのと聞くと全員が1歩下がった。

 ルクスの強さはここにいる生徒全員があの時の軍人が来た時に

見てしまっているからどうしようかと思っているとクルルシファーが全員に

ある事を言った。

 「ねえ?忘れてない、ここにもう一人いるじゃない。神装機竜の使い手が」

 『『『『『あ』』』』』

 そう言って全員がある方向に目を向けた。

 それは・・・。

 「?・・・何」

 フィルフィであった。

 如何やら成り行きを見守っている最中に眠っていたようであった。

 『『『『『・・・・・(大丈夫かなあ?)(~_~;)』』』』』

 全員が同じ・・・任せていいのかという気持であった。

 するとフィルフィがこう言った。

 「大丈夫。ルーちゃんは私が止めるから」

 如何やら聞いていたようだ。・・・一応はね。

 それを聞いたルクスも大丈夫だなと思っていた。

 バルゼリット・クロイツァーが雇っていた傭兵相手に10人も一人で倒した

戦歴があり実力は確かであるなと確信していた。

 「それじゃあ我々はエントリーシートに名前を入れておくが

ルールをおさらいしておこう。」

 ①校内選抜戦において時間切れにおける未出場は1発退場

 ②1,2年生が3年生に勝てば1勝につき3p

  逆に負ければ3年生に1,2p

 ③『シヴァレス』メンバーは生き残り戦であり一度負けたら出場できない。

 ④最終日に試合終了した際にメンバーとルクスの今後についてを決める

(形だけ)

 何で形だけかと言うと、ルクスが異世界から持ってきた政治体系や技術は

一応新王国が考えたことにしておりばれれば旧帝国派が彼を神輿に担ぎ出そうと

するに違いないと思っているからだ(本人にその気なし)

 それにクランリーゼと「ぱそこん」の中身に書かれている内容の重要性と

危険性はルクスがよくわかっており「ぱそこん」を教えている中リーズシャルテは密かにラフィ女王に書簡で内容を説明した後レリィに同じく書簡(王室においてトップシークレット扱いにすべしという判付き)でこう書かれていた。

 『ルクス・アーカディアとクランリーゼは何があっても卒業以外に学園から

切り離すことはあってはならない』とお触書で書かれていた。

 だが幾らラフィ女王が行っても支援者でもある4大貴族(今は3大貴族だが)に

そこまでの命令力がないという問題があるがもしもの時はそれをばらしてでも

ルクスとクランリーゼを新王国に在籍させるという目的があった。

 「相手は今まで多くの試合と実績を持つ事実上の学園最強だが・・・

人類最強ではあるまい?」

 「ええ、ここで勝てば私たちの勝ちは見えたも同然。」

 「だが勝てなくても?」

 「切り札があるって思ったら肩が軽いわね。」

 リーズシャルテとクルルシファーがお互いそう言いあっていた。

 二人はすでにアリーナの門前に来ていた。

 そしてお互い顔を見合わせてこう言った。

 「然し良いのか?お前前の戦いの傷がまだ」

 「貴方こそ、長時間の運用ができないのでしょう?だったら」

 「やることは」

 「一つね。」

 そしてお互いこう言った。

 「「さあ!奴(彼女)の鼻っ面をへし折ってやろう(折りましょう)!!」」

 そう言って二人は演習場にへと向かった。




 次回は模擬戦です!!


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模擬戦開始。

 リーズシャルテとクルルシファー対セリスティアとサニアの対決です。


「それでは、校内選抜戦『シヴァレス』側!Aグループ2番ペア対

Bグループ1番ペアの模擬戦を執り行う!!両者互いに抜剣し、ドラグライドを

装着せよ!!!」

 審判員のライグリィ教官の声と同時に4人は機龍を展開した。

 「-来たれ、力の象徴たる紋章の翼竜。我が剣に従い飛翔せよ、

《ワイバーン》!」

 サニアが召喚したのは蒼のワイバーンであった。

 するとサニアは中型のブレードを構えるとリーズシャルテとクルルシファーに

向かってこう言った。

 「荒事は得意じゃないけど、今日は本気でやらせてもらうわ。」

 然しそれを聞いた二人は・・・。

 「・・・ふっ」

 「・・・あら、そう」

 お互い一笑した後お互いの機竜を召喚した。

 

 

 

 

 

 

 「スゲー!本当にロボットが出てきた----!!!!」

 「やっぱ男の子だったらこういうのは好きだよね。」

 機竜を見て興奮気味の透流に対してルクスは落ち着かせながらそう言った。

 「(・・・僕はどっちかと言えば『オボミ』や『オービタル』の方に

驚いたけどなあ。)」

 ルクスはそう思いながら嘗ての世界を思い出していた。

 あっちでは高度なAIが幾つもあり、その中でも上記の二機はまさに人間のように

思いあったり初恋したりと色々とあったものだ。

 因みに「ぱそこん」の中にはそのデータもあったが機竜にぶち込んだ時

反乱が起こったらたまったものじゃないのでそこは黙っている。

 「然しお二人が神装機竜を出したとなれば・・・」

 「YES、速攻でこの戦いを終わらせようとしているのでしょう。」

 その隣にいるアイリとノクトがリーズシャルテとクルルシファーの企みを

考えていた。

 これはチーム戦であるため、先ずは汎用機竜に搭乗しているサニアを

二人がかりで倒した後でセリスティアを倒すという作戦なのかと思っていた。

 然しクランリーゼはセリスティアを見てこう言った。

 「然し相手は全く動じていませんよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 「降臨せよ、為政者の血を継ぎし王族の竜。百雷を纏いて天を舞え

《リンドヴルム》」

 セリスティアがレイピア型のソードデバイスを抜いて詠唱すると

出てきたのは・・・。

 光輪のような翼と鋭くも荘厳な形状をし、右手には巨大なランス、

左肩には特殊な形状のキャノンが連結されていた。

 「コネクト・オン」

 セリスティアの声と同時に機竜はセリスティアの周りに集まって纏い、

その姿はまるで・・・天使の如き神々しさであった。

 「・・・・・」

 全員はそれを見て歓声もせずに見惚れていた。

 ・・・一部は。

 「世の中似合う人っているもんですねえ。」

 「確かにねえ。」

 「残姉さんですけどね。」

 「クランリーゼ、それ言わん。」

 透流はそれを見て感想を述べルクスも同じだよと言うがクランリーゼの言葉にはちょっと黙るように言った。

 「お二人とも、見惚れてないでちゃんと見てください!」

 「No,仕方ありませんアイリ。ルクスさんも透流君も男の子ですから

仕方ありません。」

 アイリは呆けているルクスと透流に怒鳴りつけるがノクトはそれをやんわりと

訳を話した。

 「・・・さて・・・学園最強がどれだけなのかについてだけど・・・ノクトは知ってる?彼女の戦い方。」

 そう聞くとノクトは口を重く開けた。

 「No,セリス団長の戦闘はまともに見たことがないのです。」

 「え?何で??」

 ルクスはなんでかと聞くとノクトはこう答えた。

 「動いた時には、直ぐに終わってしまうからです。」

 「・・・・はあ!?」

 ルクスはそれを聞いて変な声でそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それでは、バトルスタート!!」

 ライグリィ教官の合図と同時に4機が一斉に飛翔した。

 お互い如何やら作戦を前もって決めているせいか迷いなく動き出した。

 先に仕掛けたのはリーズシャルテの《ティアマト》。

 いきなり4つの「レギオン」が曲線を描きながらセリスティア目掛けて

突進してきた・・・と思えば。

 「・・・・・!?」

 突如軌道を大きく変え、急上昇した。

 「セリスティア姉さまではなく狙いは私か!!?」

 それに気づいたサニアは障壁の出力を上げてブレードを構えた・・・その時!

 「残念だけど貴方でもないわ。」

 クルルシファーがリーズシャルテの後ろからひょいと出てきて

《ファフニール》が持っている「フリージング・カノン」が目標にしている・・・セリスティア目掛けて撃った。

 すると着弾した場所が花の形のように固まって散った。

 「セリスティア姉さま!!」

 「レギオン」を遮蔽物に仕立て上げてそれを「フリージング・カノン」で

撃ち抜くという高等技術を使ったのだ。

 彼女たちはあらかじめからセリスティアを行動不能にさせて氷に

気を取られている隙にサニアをぼっこぼこにしようと考えたのだ。

 然し・・・現実はそんなに甘くはない。

 「貴方達の判断は、なかなか見事です。」

 「・・・まさか!!」

 その声を聴いたリーズシャルテは先ほどセリスティアがいた場所を

見てみると・・・。

 「・・・ブレードを盾にしたとは驚きね。」

 彼女は手持ちの武器を即興の盾として使用して着弾を免れたのだ。

 「強くなりましたね。」

 「はっ!上からその物言いは氷漬けにならなければ治らないらしいな!!」

 リーズシャルテはそう言って「レギオン」を操作してセリスティア目掛けて

突進させるもそれはランスで弾き飛ばされた。

 「十分価値の目はありますよ。」

 「相手が私でなければ、ですが」

 そう言った直後に《リンドヴルム》が爆発的な速度でリーズシャルテは目掛けて迫ったその時にランスを持った右手の半身毎突き放った。

 「くあああ!!」

 そしてランスの矛先から電流が流れ、リーズシャルテは後方へと飛ばされた。

 「お姫様!」

 クルルシファーは咄嗟にセリスティアに照準を合わせようとすると・・・。

 「させん!」

 サニアが上から弾幕を張ってセリスティアから遠ざけた。

 そしてセリスティアは恫喝のような笑みとともにこう言った。

 「では、準備運動は終わりといたしますので・・・。」

 「本気で参りますよ。二人とも」




 次回に続く。


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模擬戦 中編

 模擬戦も半ばです。


「今のは!?」

 ルクスは《ティアマト》が《リンドヴルム》のランスに当たった時に発せられた

電流を見てまさかと思っていた。

 そしてアイリはルクスに対してこう言った。

 「ええ、あの特大のランスは《雷光穿槍(ライトニングランス)》と言う

《リンドヴルム》の特殊武装です。その電撃はミスリルダイトにも影響を与えるので当たればその個所の装甲や武装は十数秒もの間、動作を鈍らせつつ使い手にも

ダメージを与えられるのです。」

 「うわー。つまるところ当たり所次第じゃあ一発で戦闘不能になるか1分ぐらい

まともに動かせられるかのどちらかだろうねえ。」

 ルクスはそれを聞いて嫌な顔をしていた。

 その間に間違いなく的にされるのが関の山だなあと思ったのだ.

 「・・・ねえさ。」

 「はい、兄さん?」

 「あれって・・・接近だけじゃないでしょ?」

 ルクスはアイリにそう聞くと隣にいたノクトがこう答えた。

 「No,あれは電撃を放てるので中距離でも使えますし同じく使えなくなります。」

 そう聞くとルクスは頭を項垂れていた。

 「そうなると広範囲に広げることも想定するとなると《ギャラクシーアイズ》しか使えないなあ。」

 「確かに、兄さんの《ギャラクシーアイズ》でしたら機竜のエネルギーを吸収

出来るのでもしかしたら・・・ですがそれは接触できたらですが

それも無理そうですね。」

 「え、何で?」

 ルクスはアイリの言葉を聞いて何でだと聞くとアイリはアリーナの方を見て

こう言った。

 「そろそろ彼女が本気を出すので見たほうがよろしいですね。」

 そしてそれを言った直後に《リンドヴルム》》が巨大な球状の光を広げた。

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・くそが、こいつが『あれ』を使う前に何とかしたかったのだがな。」

 リーズシャルテがそう言って毒づくがクルルシファーはリーズシャルテに対してこう言った。

 「けど彼女が『あれ』を使ってくれるのはありがたいわ。」

 「どうしてだ?」

 リーズシャルテがそう聞くとクルルシファーはこう答えた。

 「後のルクス君に託せれるからよ。」

 「!!・・なある程な。では私たちがやることと言えば」

 「ええ・・・彼女を疲弊させることよ!!」

 リーズシャルテとクルルシファーがお互いそう言うとリーズシャルテは

ソードデバイスを掲げてこう叫んだ。

 「《ティアマト》よ!本性を現せ!!」

 すると《ティアマト》の右肩と右腕にサイドウェポンでもある

《セブンスヘッド》を装着した後追加転送された12基の《レギオン》が

展開されるとリーズシャルテはこう叫んだ。

 「さあ学園最強!!舞踏会と洒落込もうではないか!!!」

 そう言うと《レギオン》が一斉にセリスティア目掛けて突進するが

セリスティアは冷ややかな笑みを見せて・・・こう呟いた。

 「生憎ですが舞踏会で踊るのは・・・あなただけですよ。リーズシャルテ」

 すると虹色の光輪に包まれてセリスティアは《リンドヴルム》毎消えた。

 そして、リーズシャルテの真横にへと・・・一瞬で移動した。

 「!!」

 リーズシャルテはそれに気づくも既にセリスティアのランスは《ティアマト》の横っ腹目掛けて貫こうとしていたが・・・。

 「お姫様!」

 クルルシファーはそう言って二人の間にエネルギーキャノンを打ち込んだ。

 然しセリスティアはそれを見て一瞬の間にリーズシャルテから離れるように

加速して最短の軌道で《ファフニール》に狙いを定めた。

 そしてそれを見たクルルシファーが身構えた瞬間にセリスティアは既に、

刺突のの動作を終わらしていた。

 「!!」

 そしてクルルシファーは《オート・シェル》を発動したが

それを弾き飛ばしてそのまま《ファフニール》が持っている

《フリージング・カノン》を叩き落した。

 「--やられたわね。初めっから私が狙いだったなんてね。」

 「聡明な貴方にしては気づくのが遅いわね。」

 クルルシファーの言葉にセリスティアはそう言うとクルルシファーは

こう返した。

 「聡明?はっ、貴方もそう思っていたとは驚きだわ。」

 「何?」

 セリスティアはなんだと思っている中クルルシファーはこう言った。

 「今までの私は只、自分で作った世界に座り込み、視界に映る世界は

只の絵としか見ていなかったわ。」

 「けどね・・・そんな世界を破壊しただけじゃなく、私の本当の願いを

教えてくれた人がいるのよ。」

 「その人が教えてくれた『諦めない心』の為にあなたと戦うわ。」

 そう言ってクルルシファーは中型のブレードを構えた。

 そしてクルルシファーはセリスティア目掛けてこう叫んだ。

 「さあ来なさい!学園最強!!これが私よ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 「機竜毎姿を消したって・・・おいおいあれって嘘だろう」

 「あれって・・・瞬間移動ですよね?」

 ルクスと透流がお互いそう言った。

 するとアイリはあれがなんなのかと説明してくれた。

 「あれが《リンドヴルム》の神装、

《支配者の神域(ディバイン・ゲート)》です。先ほど広げた

あの光の範囲内でしたらどんなところでもどのような場所でも高速転送させる

ことが可能なのです。」

 それを聞いたルクスは唖然としていた。

 何せ目測であるが半径500ml(5キロ)。演習場全体が彼女の転送範囲ならどう考えても接敵は無理そうだと思っていた。

 例え《ライズ・ワイバーン》の索敵能力があったとしても。

 「YES、彼女が最強たる所以の一つです。単純な戦闘技術だけではなく、

機竜使いとしての腕も群を抜いていますのであそこまで変幻自在に間合いを

支配されると勝ち目が・・・」

 「あります。」

 ノクトが何か言いかけたとたんにクランリーゼが間に割り込んだ。

 「?・・・何がですか?」

 ノクトがなんなのかと聞くとクランリーゼはこう答えた。

 「《リンドヴルム》の高速転送は確かに絶大ですが距離が遠ければ遠い程

タイムラグは長いですしそれに彼女の癖を見抜けば機体云々に関わらず勝利を

見出せます。なのでルクスさんは彼女の試合を見ておいてください。後で録画したデータをルクスさんが見て対応策を見出してそれを私が計算します。」

 そしてクランリーゼはルクスを見てこう言った。

 「だから今は集中して見守りましょう。そして勝つ。それだけです。」

 「・・・ありがとう、クランリーゼ」

 それを聞いたルクスはこう思っていた。

 「(そうだ。これは僕だけじゃなくて皆の戦いなんだ。

今でもリーズシャルテ様とクルルシファーが戦っているんだ。

だから僕がやることはただ一つ・・・この戦いを見守ることだ!!)」

 そう思いながらこの戦いを見守っていた。 




 次回に続く。


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模擬戦 決着

 勝利の女神は果たしてどちらに微笑むのか?


アリーナでは四機の《ワイバーン》が天を舞っていた。

 だがそのうちの二機は金色の機体に攻撃を集中していた。

 リーズシャルテの機体《ティアマト》は《レギオン》をフル稼働して

セリスティアを四方八方から追い打ちをかけていたがセリスティアはそれを

《ディバイン・ゲート》を使わずに《ライトニングランス》を使って《レギオン》を弾き落としていた。

 「あの少年は、貴方の攻撃を防ぎ切ったようですね。」

 「ああ!それが何だと言う!?」

 ルクスと戦った時には彼は防御重視であったためキャノンとブレードで

弾き落としていたがセリスティアはそれをランス一本で16機もの《レギオン》を

落とすあたりルクスとの実力の差を目の当たりにしているようであった。

 まあ・・・。

 「(あいつは《ライズ・ワイバーン》だったら超高速軌道で懐に来るし、

《ギャラクシーアイズ》だったら機竜のエネルギーを喰らいながらだから

最近勝率悪いもんなあ。)」

 リーズシャルテは自身の敗因でもあるスタミナのなさを指摘されているため体力の向上と機竜のエネルギー配分に力を注いでいるため全力時には及ばないが

全機使っても直ぐにスタミナ切れになる心配はなくなっていたが相手が

セリスティアだけに幾つかのロックを外しているため最初の状態になっている

ので・・・。

 「そろそろ限界か・・・。」

 《レギオン》の機動力が失われ、全機リングに落下した。

 「貴方の攻撃は確かに強力ですが凌がれると脆いのが弱点だと

前に教えましたよね?」

 「・・・いちいち人の気にしているところにずけずけと入ってくるなあ最強様は。全くお前もルクスもとんでもない奴だな。」

 リーズシャルテは肩で息をしながらそう言った。

 一方、クルルシファーはサニアと戦っていた。

 クルルシファーは万が一の為に搭載させた機竜息銃を使ってセリスティアに

攻撃していたがそれをセリスティアは最小の動作で回避していた。

 然しクルルシファーが気になっていたのは彼女ではなく・・・もう一人で

あった。

 「(彼女のあの動き、確実に私を倒すじゃなくて釘付けにするように

しているわね。正直セリスティア先輩よりも厄介なのは彼女ね。)」

 クルルシファーはそう思いながらサニアを評価していた。

 然し同時に疑問も抱いていた。

 「(けど何でここまでサポートに徹せれるのかしら?普通なら間違いなく

ここだって時に攻めてくるはずなのに。《ワイバーン》の機動力なら翻弄しつつ

攻撃できるのにまるで・・・そういうのを使っていなかったように。)」

 そう思いながらクルルシファーは二丁拳銃状態のサニアを相手取っていた。

 

 

 

 

 

 

 「だったらこれで」

 と《セブンスヘッド》を構えた瞬間にセリスティアが3本のダガーを投擲すると《ディバイン・ゲート》を使ってその場から姿を消した。

 「!!こいつはまさか!?」

 「終わりです。『朱の戦姫』」

 リーズシャルテは前面のダガーに備えて障壁を張った瞬間、背後から電流を

流して《ティアマト》の推進装置を砕いた。

 「ぐうあああ!!」

 「まさかあれが!?」

 リーズシャルテの状況を見てクルルシファーはある事を思い出した。

 セリスティアだけの技を。

 「そうよ、セリス姉さま一人で行える同時攻撃『重撃』よ」

 推進装置が壊されたリーズシャルテを見てサニアは薄く笑った。

 如何にどれだけ強くとも多方向からの同時攻撃に対応できる人間ともなれば

それこそ片手で数えるくらいである。

 そしてセリスティアは《リンドヴルム》の神装を使うことでこれを絶技として

体得したのだ。

 「・・・貴方の負けです。」 

 そう言ってセリスティアはクルルシファーの方に目標を変えると・・・。

 「・・・それはどうかな!?」

 その瞬間にリーズシャルテは《ティアマト》で《リンドヴルム》を背後から組み付いた。

 そして・・・。

 「神の名の下にひれ伏せ、《スプレッシャー》!」

 そして二機とも地面に落下した。

 「くう!?」

 セリスティアは地面に不時着しないようにするために推進装置を最大にして

何とか着陸したがそれでも巨大な土埃が舞った。

 「・・・重力制御、成程。先ほど私に組み付いたのはそれで重さをなくしたの

ですね。」

 「ああそうだ!これで貴様の神装も使えないだろう!?」

 「!!」

 「何せお前の神装は『自分以外を移動できない』という制約があるからな!

だからこうやってお前を拘束して!!」

 「・・・私が貴方を仕留めるって寸法よ。」

 リーズシャルテの説明の後に上空からクルルシファーの声が聞こえた。

 クルルシファーは既にそれに備えていた。

 サニアから無理やり脱出してまでこの時を待ったのだ。

 ルクスの教えにより近接戦も幾つか体得していたクルルシファーは

中型のブレードをセリスティア目掛けて最高速度で向かった。

 「「(勝った!!)」」

 そう思っていた二人だが・・・そう甘くはない。

 バシィイと言う音とともに・・・3機は雷に包まれた。

 「うがあああ!」

 「!!!目が!」

 リーズシャルテは悲鳴を上げてクルルシファーはその光に目が眩むが・・・

 「クルルシファー!ここだああ!!」

 「!!」

 リーズシャルテの大声と同時にクルルシファーは攻撃を再開した。

 雷によって激痛があるにも関わらずリーズシャルテはセリスティアを離して

いなかった。

 クルルシファーは声を頼りに突貫するがセリスティアは・・・

あれを起動させた。

 「《星光爆破(スターライト・ゼロ)》」

 肩に連結されていた方針が唸りを上げて光弾を発射した。

 「!!???」

 クルルシファーは何があるのか分からなかったが《オートシェルド》を前面に

配置させるが・・・。

 ドウッという巨大な音と爆風がアリーナ一面を襲った。

 「「「「「きゃあああああああああ!!!!!」」」」」

 女生徒たちはそれに悲鳴を上げた。

 「うおわ!!」

 「これは・・・!!」

 透流とクランリーゼはそれを見て驚いている中ルクスはアリーナの方を

見つめていた。

 「リーズシャルテ様!クルルシファーさん・・・!!」

 《スターライト・ゼロ》は極限にまで圧縮した『星』と言う光弾を発射して

数秒後にそこを中心にアリーナを丸々一つ分の空間を爆撃する殲滅兵器である。

 「セリス姉さまが本気って・・・・大丈夫なの!?あの二年!!??」

 サニアはそう言いながらクルルシファーを探していた。

 流石にあれだけの爆発だ、まさかとは思いたくはないが死んでいたらと思って

アリーナの隅近くを目視で探そうとすると・・・。

 「アアアアアアアア!!」

 「!!まさか!!??」

 セリスティアはその声を聴いて驚く中で・・・土煙の中からクルルシファーが

出てきた。

 既に《ファフニール》はブレードを持っていた右腕が消滅しており、

翼部にも損傷があったのだがクルルシファーは残った左腕にあるものを

セリスティアは見つけた。

 それは・・・。

 「まさか《ティアマト》の《レギオン》!?」

 セリスティアはそれを見て驚いていたがクルルシファーは左腕を構えて

こう言った。

 「覚悟しなさい!学園最強!!」

 「私が教わった最弱からの心構えは・・・」

 そして左腕に力を込めて・・・

 「ちょっとばかり響くわよ!!」

 「がはあ・・・!!」

 この時初めて・・・セリスティアに一撃を与えることが出来た。

 腹部に一撃を与えたクルルシファーは倒れながらこう言った。

 「後は・・・頼むわよ。ルクス君。」

 そして《ファフニール》は強制解除された。

 さらにリーズシャルテはセリスティアにこう言った。

 「・・・お前さ、何で・・・ルクスに・・・敵視するか・・・分からないでも・・・ないが・・・あいつは・・・ほかの連中とは違う。」

 「それだけ・・・は・・・よく・・・覚えとけ」

 そう言い残して《ティアマト》も矯正解除された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「二年生グループ!戦闘不能!!三年生『セリスティア・サニア』ペアの勝利とする!!」

 ライグリィ教官の一声で決着がついた。




 最弱から学んだものは・・・諦めない心です。


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夜の会議。

 忘れないうちに対策せよ!


あの後リーズシャルテとクルルシファーは急いで医務室に搬送された。

 二人とも怪我が酷く、治療するので今日は面会謝絶にするという発表があった。

 それを聞いたルクスは正直気が気でならなかったが今は医者の腕を信じようと

頭を切り替えて今日の戦闘をクランリーゼが録画していたのをパソコンで見ていた。

 無論試合もあったがルクスの試合は・・・・

当然ながらあんなの見せられた後なので一人で選手二人のプライドを粉々にする

勢いで戦って勝ったのだ。

 その時見ていたシャリスは・・・。

 「・・・南無三。」

 と手を合わせていたようであった。

 その後なので作戦会議も兼ねて見ていたのだ。

 「然しやられたとはいえクルルシファーさんはとんでもないやり方で

一撃与えましたね。」

 「YES、両者ともかなり健闘していました。あのセリス先輩相手によくここまでと思ってしまいます。」

 映像を見ながらアイリとノクトはそう言っていた。

 そしてアイリはルクスを見てこう呟いた。

 「まあ・・・。大方、誰なのか見当がつきますが。」

 「え?何、アイリ??」

 ルクスはアイリに何か言ったかと聞くがアイリはふんと言ってルクスから視線を

逸らした。

 「それにしても最後のここなんですけどあれもセリスティア・・・さんだっけ?

技の一つですかね??」

 透流は映像を見ながらそう言っていた。

 それは丁度辺りが輝いていて見えなくなっていたところでだった。

 するとルクスはクランリーゼにこう命令した。

 「クランリーゼ、ここの映像だけど通常から映像処理できる?」

 「やってみます」

 ルクスの言葉にクランリーゼが実行してみると・・・。

 「これが限界のようです。」

 そう言って見せるとそこに映っていたのは・・・。

 「・・・ぼんやりと何か見えますね。」

 「YES、ですがはっきりとは・・・」

 アイリとノクトはそう言って映像の方を見ているとフィルフィがこう言った。

 「・・・自分を・・・攻撃してるよ。」

 「えっ?」

 フィルフィの言葉にアイリは首を傾げるがルクスはそれに対してこう言った。

 「やっぱりそうか。」

 「ど、どういうことですか、二人とも?あの瞬間に何が」

 アイリは困惑しながらそう聞いた。

 するとルクスはこう説明した。

 「おそらくだけど、セリスティア先輩はあの時高出力の電撃を纏った

《ライトニング・ランス》で自分に向けてこう檄したんだ。それで本当なら

リーズシャルテ様の拘束を振りほどいて《ディバイン・ゲート》を使って脱出する算段だったんだろうね。クルルシファーさんの目つぶしも兼ねて。」

 それを聞いたアイリ達は驚いていたが透流はこう言った。

 「文字通りの《一石二鳥》だったはずでしょうね。だけど・・・

そうはならなかった。」

 「そう、セリスティア先輩の誤算は二つ。」

 「一つはそれでも離さなかったリーズシャルテ様の覚悟。」

 「二つ目はクルルシファーさんのあの戦い方。」

 「おそらくだけどこの二つによって今の彼女もそれなりに傷を

持っているはずだ。機竜も今日のうちに調整したとしても幾つか不具合も

出るはずだ。」

 だけどとルクスはこう続けた。

 「それをするだけの判断力と実行力、それに王国のトーナメントでも聞いたことがあるけど彼女はあらゆる戦術を覚え、即座に最適な策を行う事が出来るって

聞いたことがある。」

 「だったらそのどれでもできないような策で戦うまでだ。」

 「相手が《定石》で戦うならこっちは《奇策》で戦ってその上であのバカの

鼻っ柱をへし折ってやる!!」

 ルクスはそう言いながら拳を叩きつけてそう言った。

 その後も戦闘データを見ながら会議は遅くまで続いた。




 え?・・・ラッキースケベ??
 そんなのある訳ねえだろ。


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ルクスの試合。

 ルクス対サニア戦、開始!!


「それでは、本日の個人戦第7試合、ルクス・アーカディア対サニア・レミストの

戦いを執り行う!」

 演習場には大勢の人間が集まっていたが一部には・・・。

 「サニアーー!勝ってーー!!」

 「勝たないと次は私達が」((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 今日ルクスと戦う少女たちは藁にもつかむ思いでそういっていた。

 一方、1,2年生連合はと言うと・・・。

 「ルクス君!勝ってーー!!けど殺さないでねえ!!」

 「今日は何分持つかしら?」

 「私は3分に今日のデザート。」

 「なら私は2分半に。」

 「でしたら私は4分にディナーを。」

 なんでだか分からないが賭けの対象になっていた。

 「・・・あいつら僕を何だと思ってるんだ?」

 ルクスはそう思いながら演習場を見ていた。

 最初にここに来たときはリーズシャルテに決闘を申し込まれた時。

 あの時はなし崩し的だったが今は・・・違っていた。

 「今はここに居たいがためためとは笑っちゃうよねえ。」

 ルクスはそう笑いながら言っていた。

 「さてと・・・始めましょうか?・・・先輩。」

 ルクスはサニアに向けてそう言いながらソードデバイスを抜いた。

 そして自身は《ライズ・ワイバーン》を、サニア・レミストは《ワイバーン》を

召喚して身に纏った。

 二人の機体は殆ど似通った状態であるが武装が違っていた。

 ルクスの方は背面部のキャノンとブレードとブレスガン。

 対してサニア・レミストはブレスガンが二丁と、中型のブレードとキャノン、

ワイヤーテイルと多種多様な武装である。

 聞いた話だが彼女はヒット&アウェイの戦術を得意としており援護関係なら

指折りの実力者であるそうだ。

 試合が始まる前にサニア・レミストはルクスに対してこう言った。

 「一つ言うけど・・・負けないわよ。」

 それを聞いたルクスはこう返した。

 「ああそうかよ、それじゃあ・・・・ぶっ潰す!」

 

 

 

 

 

 

 

 「模擬戦、開始!」

 

 

 

 

 

 

 ライグリィ教官の合図で始まった。

 「あなたの情報は既に聞いているわ!」

 そう言いながらサニア・レミストはブレスガンで弾幕を張って

ルクスの動きを制限させた。

 「貴方はそれを使っているときは、多対一だけどこの一対一の状況なら!!」

 そう言いながらサニア・レミストは演習場の周りを縫うように移動していた。

 ルクスの《ライズ・ワイバーン》は高機動であるが他よりも高速で動くが

それ故に一対一だと当てずらいのではないかと思っているのだ。

 まあ普通ならそう思うだろうが相手が・・・悪かったであろう。

 「このまま制限時間まで抑えれば!」

 サニア・レミストは何か言いかけたその瞬間・・・それが起こった。

 「クイック・ドロウ。」

 ルクスはその一瞬、サニア・レミストの《ワイバーン》がトリガーを

握り直した瞬間に《ワイバーン》の右腕を翼ごとたた斬った。

 「・・・へ?」

 サニア・レミストはその速さに何があったのだと思ったその時・・・

ルクスが目の前に現れた。

 「!!」

 サニア・レミストはもう一方のブレスガンを構えようとするも、それはルクスの《ライズ・ワイバーン》によって阻害され、背面部にあるキャノンが

せせり上がってきた。

 「ちょ、ちょっとマッテ!!」

 サニア・レミストは慌ててそう言うがそれを聞いたルクスはこう返した。

 「・・・バイバーイ。」

 そして放たれたキャノンの弾丸は寸分の狂いもなく命中してそのまま墜落した。

 そしてドゴンと言う音とともに土煙が立ちこんでよく見ると・・・。

 「・・・くそ・・・が」

 落ちた衝撃で幾つかの内部機構が壊れて動かなくなった《ワイバーン》を纏ったサニア・レミストがそこにいた。

 「まだやるか?」

 そう言いながらルクスは剣をサニア・レミストの首筋に向けるとサニアは

両手を上げてこう言った。

 「降参だ。」

 そして・・・。

 「対戦相手の降参により、ルクス・アーカディアの勝ちとする!」

 それを聞いた1,2年生連合は歓声を上げ、3年生はルクスの戦い方を見て唖然としていた。

 基本的にサニア・レミストは後方支援型だがそれでも『シヴァレス』に

入団できるほどの腕前があるにも関わらずのこの結果であった。

 まさに手も足も出ないとはこのことであった。

 噂ほどではないにしろその実力は確かに『シヴァレス』の上位に組み込めるほどであった。

 「今回は私の負けですがセリス姉さまにこの程度で勝てるとは思わないほうが

良いわよ。」

 そう言ってサニア・レミストが立ち去るのを見ながらルクスは後ろにいる

セリスティアを見ながらこう言った。

 「・・・ああ、分かってるよ。」

 そう言うがルクスはサニア・レミストの攻撃を見てこう思っていた。

 「(何であの先輩は地を這うような戦闘をしていたんだ?)」

 今回は終盤空に上がったがそれ以外の攻撃は全て地上すれすれで

行っていたのだ。

 まるで・・・。

 「(《ドレイク》でやっているような感じだったな。)」

 ルクスはそう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「セ、セリス様。どちらへ?」

 セリスティアを支持する級友の一人が立ち上がって立ち去る彼女を見て

引き留めようとするとセリスティアはこう答えた。

 「おそらく彼は私に宣戦布告するために態と力を温存しながらもその実力を見せつけました。」

 「おそらくこう言っているのでしょう。」

 「?」

 級友が何だと思っているとセリスティアはこう言った。

 「『貴方にはこれ以上のやり方で地に落とすぞ。』と言っているのでしょう。」

 「!!」

 級友はそれを聞いてまさかだと思っているがセリスティアはこう続けた。

 「ですので私は、これからサニアの様子を見た後自室で休養しますが・・・私は絶対に負けません。」

 そう言いながらセリスティアは観客席から出た後こう言った。

 「やはり貴方は私がよく見る男性とは違うようですね。

ルクス・アーカディア。」

 その声だけは誰も聞き取れなかった。




 因みにルクスはセリスティアがいなくなったことから本領発揮し、
残り二人の断末魔が演習場に響き渡ったそうな。


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デート会議。

 デートすることになったルクスのための会議です。


ルクスの3連勝に伴い、1,2年生連合が奮起して今日だけで何と引き分けに

持ち込めるぐらいに至ったのだ。

 これによりおそらく3年生勢は本気になるのではないかと言う憶測も飛び交うが

ルクスはそれよりもヤバい問題を抱えてしまっっているのだ。

 「そ・・・それでさ、アイリ。・・・明日の事なんだけど」

 「ノクト、私今すぐ兄さんを殴り飛ばしたいのですが」

 「No,それはダメです、アイリ。やるのなら選抜対抗戦を終えてからが

都合が良いかと?」

 「いや、止めましょうよ。」

 「ルクス様は如何やら天然の女たらしだなと記録しておきます。」

 「それだけは止めて!!」

 ルクスの言いにくいところを見たアイリはにこやかに笑いながら言うが、ノクトの非情な言葉に透流が待ったをかけ、クランリーゼがぼそっと言った言葉に

ルクスは止めていた。

 「全く、兄さんも兄さんです。明日はあのセリス先輩とデートの・・・

まあ女装している時の兄さんですがホント、一度この学園から出て行ってくれた方が良かったかもしれませんね。」

 「うわ!!ひでぇーなー。・・・まあ確かに約束しちゃったけどあっちからだしあの時はまさかこんな事になるとは考えもつかなかったんだよ~~。」

 ルクスはアイリの言葉を聞いて頭を抱えていた。

 まさか自分が思っているよりも早くセリスティアが行動を起こすとは

思いつきもしなかったからだ。

 因みに約束と言うのは・・・前回のセリスティアにマッサージした時であるが何故それで今更問題になったのかと言うと・・・学園である事情があったのだ。

 校内選抜戦は5日間あるがその中日には丸一日の休息日が存在しており、

全校生徒はその日だけは緊急時を除いてドラグライドの使用を禁じているのだ。

 ・・・ある例外を除いては。

 「そういえば、透流も明日はドラグライドを使って訓練するんだっけ?」

 ルクスが透流にそう聞くと透流はアハハとこう答えた。

 「ええ、まあ。ノクトさんが教えてくれることになってますので。」

 「YES、この世界にいる以上機竜に触れて見て知っておいたほうが

今後何かあった時に便利ですし。」

 私は乗れませんがねと言った後ルクスは透流に向けてこう言った。

 「まあ大丈夫だと思うけど気を付けてね。怪我とかは

一番気を付けるようにね。」

 「はい!」

 透流はそう返事して答えた後アイリが咳き込ませてこっちに視線を向けさせた。

 「然しどうしたものでしょうね?」

 「?」

 「何せセリスティア先輩が約束したのは兄さんが女装した少女ですから

まあこの際無視して動向を見守るか、いっそのこと全部ばらして楽になるかの

どっちにすべきですが・・・。」

 アイリはそう一呼吸おいてルクスを見た後こう言った。

 「まあ兄さんの場合は無視するは無理ですね。性格的に」

 「当たり前だろ?最初なら未だしも二回目はこっちも騙してしまったん

だから。」

 アイリの言葉を聞いてルクスは頭を掻きながらそう言った。

 向こうは待ってくれると言い、それに答えてしまった以上行かないのは人として酷いことだと言っているのだがノクトはもう一つの方についてこう言った。

 「ですがばらしてしまうと明後日の試合前にはルクスさんは墓の中で永遠に

眠っている可能性があるので論外ですね。」

 串刺しで死ぬという死因付きですがと言った瞬間、ルクスは顔を真っ青に

していた。

 何せセリスティアの男嫌いはこの学園では有名であるため

この大切な選抜対抗戦でそんなこと言えば・・・・。

 『よくも私の体を触りましたねルクス・アーカディア!!』

 そう言いながらあのでかいランスに串刺しにされただけではなく

電流で黒焦げにした後磔にされるという最悪な未来を予想してしまったのだ。

 「でしたらどうします?セリスティアさんにそうされることなく且つ

ルクスさんが納得する手段って?」

 透流は二つの事を聞きながらそう言うとクランリーゼが手を上げてこう言った。

 「でしたらルクスさんがまた女装してあの残姉さんと会えば宜しいんじゃ

ないんでしょうか?」

 それを聞いたルクスと透流を除いた全員がこう言った。

 「「それだ!!」」

 「ふざけんな!!」

 それを聞いてルクスはめちゃ怒った。

 「声が大きいですよ兄さん。もう夜なんですから。」

 「それとこれとは話が別じゃ!それして誰が喜ぶの!?」

 「残姉さんと・・・我々女性陣です。」

 「お前もかい!!」

 クランリーゼの言葉を聞いて頭を抱えるがルクスはあっと言ってにこやかにこう言った。

 「残念でしたあ~~。あれはもうレリィさんに返し」

 「そう言うと思ったのですでに代わりの・・・私の私服ですが

これ使ってください。」

 あと鬘は後で用意するのでと言ったクランリーゼの言葉を聞いてルクスは膝からガクンと落ちてこう言った。

 「畜生がーーー!!!」

 

 

 

 

 

 

 「まあでもこれはこれでチャンスじゃないんですか?姉・・・兄さん?」

 「おい待て、今何て言いかけたアイリ?」

 ルクスはクランリーゼから女装セットをカバンに入れながらそう言うがアイリは素知らぬ顔でこう続けた。

 「デート中にセリスティア先輩が何故男嫌いなのかを知れば

今後の対策になれますs」

 「アイリ、それはいくら何でも駄目だよ。」

 ルクスはアイリに向けてそう言った。

 只でさえ完成度の高い変装で騙してしまっているのだ。

 それで彼女の本音を分からせようなどとすれば多分自分は遊馬に面と向かって

会えないんじゃないんだろうかと思ってしまっているのだ。

 そんな外道なやり方をしてまでアカデミーに残るという真似はしたく

なかったのだ。

 「ま、お人よしの兄さんならそう言うと思っていますが少し厄介事が

起きそうなんですよ。」

 「・・・・」

 ルクスはアイリの目が真剣な表情になったのを見て目を鋭くさせた。

 無論透流達も姿勢を正した。

 「先ず、新王国はヘイブルグ共和国にいる『ラグナレク』の斥候に

向かいました。あわよくば石化している状態で倒す事も念頭に入れて。」

 「となると『シヴァレス』もお呼びがかかるな。」

 ルクスがそう聞くと透流は慌てながらこう言った。

 「ちょ、ちょっと待って下さいよ!未だ学生なのにそんな事もしなきゃ

ならないんですか!?」

 透流はそう言うがルクスはそういえばとこう言った。

 「未だ言ってなかったけどこっちじゃ・・・まあ国によって違うけど

この国は未だ建国して未だ5年ぐらいで軍部がちゃんと整ってないんだ。

だから士官候補生でもある僕らにも御呼ばれがかかるんだ。」

 「この国は戦力を遊ばせる余裕なんてないですからね。

まあ当然といえば当然ですが。」

 ルクスとアイリの言葉を聞いて流石は異世界だなあと透流はそう思っていた。

 もし自分の世界の人間がいたら間違いなく反対意見や口論が起きそうだなあと思っているからだ。

 「それとこれは未だ調査中ですが数日前から密入国者が数十名ほど、新王国領の王都近辺の村や町で確認されたそうですがもしかしたら・・・」

 「この選抜対抗戦を利用して何か起こそうとしている・・・そう言うこと?」

 「まあ・・・時期が時期ですし、もし巻き込まれて機竜・・・

《ライズ・ワイバーン》を使わないで下さいね。ばれますから」

 それに兄さんだと容赦ないですからねとアイリが釘を刺してそう言った。

 「うん、分かったよ。お休みアイリ。」

 アイリの言葉を聞いてルクスはそう言ったが突如部屋の前で止まって

こう言った。

 「あ、女性陣は絶対来ないでね、特にクランリーゼが」

 「「えーーー・・・。」」

 「・・・ちぃ。」

 それを聞いてアイリとノクトは不満たらたらに、クランリーゼは

舌打ちしていた。

 「おい、本当に来るなよな!絶対駄目だからな!!もし来たら・・・

ノクトは僕の機体でデスマッチダカラネ」

 「YES、分かりました!!」

 それを聞いたノクトは敬礼してそう答えた。

 ルクスとのデスマッチだなんて死刑宣告以外の何物でもないからね。

 そしてルクスはため息交じりでそのまま自室に向かった。




 決戦は明日!
 いざ行け戦場へと!!


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買い物も程々に。

 コロナで行けない人達・・・苦しいよなあ。


そしてとうとう運命の日・・・。

 ルクスはクランリーゼから借りた私服とレリィから貰った鬘を付けて、

待っていた。

 幸か不幸か、まあ本人はこの時点で不幸であるが校内選抜戦の中休みとの事があり昼まで眠っていたりしている人間が大多数である。

 それでなのか学園内は人気が無く、女装しているルクスにとっては

ありがたいものだ。

 だけど本人はと言うと・・・。

 「・・・はあ・・・この雲一つない晴れ晴れとした天気が億劫だ。」

 天候と正反対に気持ちは駄々下がりであった。

 因みに今のルクスの服は、足元まであるほどの長い淡い白色のワンピースで

肩も見えないタイプ。

 ・・・もうこれだけで女じゃねえか。

 「・・・やかましいわ。」

 そんな目つきしていると化粧取れるぞ。

 「・・・ちくしょうが。(´;ω;`)ウゥゥ」

 まあその服装のおかげで下着は普通でよかったじゃん。

 「それしか救いねえよ~~~。」

 等々ルクスは心の中で泣くほどであった。

 そしてそんな中で・・・後ろから声が聞こえた。

 「--おはようございます。」

 「うわっ・・・!!」

 いきなり声をかけられてルクスの心臓は飛び跳ねりそうになった。

 セリスティアいつもの制服であるがそれですらも気品が滲み出ていた。

 「どうか、しましたか?」

 セリスティアはそう尋ねるとルクスはこう答えた。

 「い・・・いえ、何でもありません。そのーーーおはようございます。」

 「フフフ、不思議な子ですね。貴方は」

 慌ててるルクスを見てセリスティアはそう言って微笑んだのだがそれを見た

ルクスはドキリっと心臓の鼓動が早まった。

 「(って何考えてるんだ僕は!?今日はその・・・セリスティア先輩と買い物の付き合いするだけだろうが!?)」

 なるべく秘密は聞かないようにとと心でそう誓っていた。

 そう思っている中でセリスティアはこう聞いた。

 「そう言えば、貴方は何というお名前なのですか?」

 「へ?」

 それを聞いてルクスはそう聞くとセリスティアはこう続けた。

 「申し訳ありません。私としたことが貴方の名前を聞き損じてしまって、・・・失格ですね。上級生として」

 そう言いながらセリスティアは顔を俯かせるとルクスはこう返した。

 「いえいえ!うっかり何て皆よくありますよ!だからあんまり自分を責めないでください。」

 ねと手を握ってそう言うとセリスティアはこう返した。

 「・・・ありがとうございます。優しいのですね、貴方は」

 そう言った後セリスティアはこう聞いた。

 「それでお名前は?」

 「ああ・・・その。」

 何といおうかと思っている中ある名前が浮かんだ。

 それは・・・。

 「メラグ・・・・『メラグ・リオス』です。」

 「メラグ・・・良い名前ですね。」

 そう言うとセリスティアは手を握りながらこう言った。

 「それでは行きましょう。今日は休息日ですから楽しく。」

 「あ・・・。」

 ルクスはセリスティアの手の感触がダイレクトに伝わる中そのまま町へと

向かった。

 休息日とはいえ学生であるため一番街区の一部のみしか利用できないのだが

ここでルクスはある重要なことを思い出した。

 それは・・・。

 「(どうか町の人たちに気づかれませんように~~~~!!!)」

 そう思っていた。

 ・・・・バレる確率だろうけどなあ(ハッハ~~!!)。




 ・・・やっぱルクスの性別間違ってんな。
 ルクス「うるせえ----!!!!」


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これってデートなのか?

 璃緒「ルクス君?これはどういうことかしら?」冷たい笑顔
 ルクス「待って璃緒さん!これには色々とって言うか僕は君一筋だからね!」 
 璃緒「・・・それを今言うかしら///」顔真っ赤
 ルクス「へ?・・・何」
 璃緒「何でもないわ。」笑顔


メラグ(ルクス)とセリスティアは商業区画に行ってはカバンや靴などの売り場を見に行っていた。

 ・・・まあ行く場所行く場所普通の店であったがそのたびに店側の

丁寧すぎる・・・というよりビップ向けの対応をしているとその旅にセリスティアはこう言うのであった。

 「普通にして下さい。今日の私は侯爵令嬢としてではなくアカデミーの学園生徒として来たのですから。」

 その際にルクスは心の中でこう言ったそうだ。

 「(いやアンタ無理だろうが。)」

 そう思っていた。

 セリスティアはルクスに何か小物などをプレゼントしようと思っていたがルクスはその度にやんわりと断っていたがこうも思っていた。

 「(これ以上女扱いされたらもう立ち直れないよーー!!)」

 ・・・もう遅そうだけどね。

 そしてそのまま出店の並ぶ通り(ルクスがよく雑用で来た場所なので色々と

来まずい場所なのだが何故かばれない。)」

 「・・・・・」

 「(・・・気まじぃい・・・)」

 この間両者無言であり、且つ二人とも共通の話題がないため言葉がないのだ。

 「(うううう・・・璃緒と一緒だったときは話が弾んでいた時とは違うなあ。)」

 そう思っていた。

 まあ二人ともデュエリストであったためカードに対する論争

(偶にデュエルもする)をするのだが比較的穏やかに話すのだ。

 その時が懐かしいなあと思いながら歩いていると・・・セリスティアが

こう聞いた。

 「何処か行きたいところはありますか?メラグ」

 「え・・・ええとーー」

 いきなり聞かれたのでルクスは困った顔をしていると・・・セリスティアの

声のトーンが下がったようにこう言った。

 「すみません。やはり私では、上手くエスコートできなかったようですね。」

 そしてどんどん沈みながらこう言った。

 「駄目です。後輩の生徒一人すら満足させられないなんて三年生失格です。」

 「あの~~。」

 「お父様に怒られます。嫌われます。」

 「ええと・・・」

 「四大貴族の長女として、学園の主席として、『シヴァレス』の団長として。」

 「いや、あんたどれだけ落ち込んでるんですか!?」

 最終的にルクスは素の声が出るほどのツッコミをかましてしまった。

 「え?」

 セリスティアはルクスの声に何だと思っていた。

 「あ・・・ええとですね・・・。」

 ルクスはそれに気づいてこう言った。

 「そんなことないですよ!そのーーーぼkじゃなくて私の方こそ、

セリスティア先輩とお出かけしていることに緊張してしまって・・・

何も話せなくて、すみません」

 そう謝るとセリスティア頭を上げてこう聞いた。

 「・・・本当ですか?」

 少し間を開けた後、セリスティアは真顔に戻ってそう聞いた。

 そしてルクスはこう答えた。

 ・・・ぎこちない笑顔で。

 「は、はい!私、セリスティア先輩と」こうして歩けるだけでとっても

嬉しいですよ(だから早く機嫌直しておわらしてえよー。)」

 本音はこんな感じであるがそう言うと・・・突然金髪のいい香りが

ルクスの鼻腔をくすぐった。

 そして顔面は何か柔らかい何かで包まれている感触がするがそれは・・・。

 「(な・・・な・・・・なあ(*´Д`*))!!」

 今現在ルクスはセリスティアの巨乳に顔を埋められているのだ。

 「貴方は優しい子です、メラグ。私は幸せです。」

 そう言いながらセリスティアはルクスを抱きしめながら頭を撫でていた。

 ・・・これ正体知ったら正に死亡フラグです。

 「ちょ!」

 本来なら今すぐ離れなければならないのだが突き放しては傷つけると

思っているのか、それとも男の性がこうしていたいと思っているのか・・・

まあ後者であるのは間違いなさそうであるが躊躇してしまっているのだ。

 然も・・・。

 「(アアアアアアアア!!沈まれ僕のソードデバイス(意味深)!!)」

 ワンピースの下ではルクスのソードデバイスが起動し始めていたのだ。

 そして時は過ぎて・・・・。

 「すみません。苦しかったですか?」

 セリスティアはルクスを解放してそう聞くとルクスは息切れの中でこう答えた。

 「い・・・いえ、・・・平気です。(アブねえ!いろんな意味で暴発する

ところだったーー!!)」

 心の中で役得なのかなと思いながらそう答えた。

 「じゃ、じゃあその・・・行く場所がないのでしたら人気のない、

ゆっくりとした場所で休みませんか?(僕の下のソードデバイスを

落ち着かせるために)」

 そう聞くとセリスティアは?マークが出るような感じでこう言った。

 「人気のない、所ですか?」

 「はい。」

 ルクスははっきりとそう答えるとセリスティアはこう返した。

 「申し訳ないことに私はそう言う場所を知らないのですがー。・・・はっ!

まさかこれは、二人きりで何か特別なことを!!」

 「いえ違いますから!そんな深い意味はありませんから!!それに・・・

私達女の子同士ですからって何の妄想をしているのですか先輩!!??」

 色々と何かしらの葛藤をしているセリスティアを見てルクスはこう思っていた。

 「(そう思っているからアンタ『百合』だと思われてるだろうが。)」

 そう頭を抱えながらそう言っていた。

 「そ・・・そうですか・・・」

 何故かがっかりしているセリスティアであったがルクスはそれを見て

さらに『百合』疑惑が確かかもなと思いながらこう言った。

 「こっちですよ。セリスティア先輩。」

 そしてルクスはセリスティアの手を引っ張りながらその場所にへと

連れて行った。




 そしてそのままルクスは正体を明かして何処かの民家でセリスティアを押し倒して一夜を・・・
 ルクス「お前何させようとしてるんだおいゴラァ!!」
 作者「・・・何をって・・・ナニをだよ?」
 ルクス「絶対やるんじゃねえ!!」


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意外な一面。

 相手の性格って第一印象だけじゃ分からないよね。


 ルクスが向かった場所は商業地区から歩いて5分弱ほど離れた場所。

町のはずれに位置する細道を歩き続けた先にそこはあった。

 周囲を背の低い広葉樹に囲まれており、青々とした芝生の絨毯が敷かれた

その場所はまるで草木で作られた小部屋のようであった。

 中には小さな花壇もあり、穏やかな日の光を浴びて咲いている花を

優しく照らしている。

 側には作りかけであろう縁石や彫像などもあり幾つかだが小さな人形が

彫られているものもあった。

 「・・・まさかクロスフィードの中にこんな場所があったなんて。」

 セリスティアは周りを見回してそう言うとルクスはこう答えた。

 「ここは、ある貴族の方が、別荘を作る予定だったんですけれど、工事の途中で

雇い主さんが夜逃げしたらしく中止されちゃったんです。

今も売りに出されてますけど位置がこう言うところですし、中途半端に扱いが

悪いので今でも放置されてるらしいですよ。(ま、僕がよくここに来て

息抜きしたり、色々と作ったものを置いたり野宿したりしてるんだけどね。)」

 ルクスはそう下を出しながら思っていた。

 花壇の花は花屋の雑用で余った花や野菜の種を植えたりし、

彫刻等はルクスが向こうで見たデュエル・モンスターで今まで見たモンスターを

彫刻で再現しているのだ。

 ここを見つけたのは2年前でありちょくちょく来る場所であった。 

 するとセリスティアはバスケットを取り出してこう言った。

 「気に入りました。お昼を作ってもらいましたから、一緒に食べましょう。」

 「じ・・・実は私も持ってきたので一緒にどうでしょう?」

 そう言って自身も小さなバスケットを取り出した。

 「分かりました。一緒に食べましょう。メラグ」

 そしてお互い中身を分け合った。

 セリスティアはサンドイッチ

 ルクスの方はデザートと小分けにしたサラダ類。

 女の子に変装するため大人し目なものにしようとルクスが今朝方

作ったやつである。

 それを食べている中セリスティアはルクスに向けてこう言った。

 「美味しいですね、このサラダ。サンドイッチによく合いますしそれに何よりも色合いが素晴らしいです。」

 それを聞いてルクスはこう答えた。

 「良かったです。早起きして作った甲斐がありました。」

 そう言ってしまったのだ。

 「・・・え」

 セリスティアはルクスに向けてある事を聞いた。

 「作ったって・・・これをメラグが?」

 「はい、そうですよ。」

 「・・・全部ですか??」

 「はい・・・」

 そう言った後セリスティアは・・・項垂れながらこう言った。

 「・・・先輩の私よりも美味しい・・・失格です私は。」

 「・・・またかよ。」

 ルクスはまたかと思いながらセリスティアに向けてこう言った。

 「セリスティア先輩。まだまだありますので・・・タベテクダサイネ。」

 「・・・・ハイ(´;ω;`)」

 まあこういうこともありましたが取り合えず食事を摂っていた二人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 「それにしても本当にいい場所ですね。ここは」

 「そうでしょう。(やっと機嫌が直ったな。)」

 あの後も幾つか励ましたりしながらやっとのこさであった。

 この時にルクスが思ったことは・・・。

 「(もしかしてこの人ただ単に天然なのか?)」

 こういうことであった。

 「それにしても良すぎて少し眠くなってしまいそうですが。」

 「遠慮しないでください。今日は休息日で今頃他の生徒たちは起きたぐらい

でしょうしそれに・・・前回の戦いのダメージが残ってるのではないですか?」

 そう聞くとセリスティア静かにこう呟いた。

 「そうですか。貴方も、見ていたのですね。」

 そして微笑みながらこう言った。

 「後輩の子に見抜かれるようでは、私も未熟ですね。」

 そう言うとルクスはこう返した。

 「良いじゃないですか。未熟で。」

 「へ?」

 そしてルクスは驚いているセリスティアを見ながらこう続けた。

 「だってそうじゃないですか?未熟と言う事はまだ成長するって

意味じゃないですか。私達は未だ世界の全てを知っていないし、見てもいない。

それだったら未熟でも構わないから前を見て進みませんといけませんよ。」

 それにとルクスはセリスティアを見てこう続けた。

 「セリスティア先輩は幾ら強くても女の子ですし、ちゃんと体を休めて

次に備えないと。相手に失礼ですよ。」

 相手は全力何ですからねと言うと目を丸くしたセリスティアはルクスを見つめてこう言った。

 「確かにそうですが・・・それは拒否します。」

 「ありゃ。」

 ルクスはずっこけそうになったが体勢を直してこう聞いた。

 「ええ・・・何故ですか?」

 そう聞くとセリスティアはルクスに対してこう言った。

 「私は未だ気を緩めるわけにはいきませんし『シヴァレス』の団長でもある私が弱気を見せたら他の団員の士気を下げることになりかねません。」

 そしてセリスティアは自信に満ちた笑みを浮かべさせてこう言った。

 「良いですか、メラグ。強者とは、絶対の孤独に耐えうる者の事を言うのです。だから私は平気です。」

 「セリスティア先輩・・・。」

 ルクスはセリスティアの騎士団長として、そして四大貴族の長女としての覚悟の様を見て心を打たれ・・・・。

 「ニャー。」

 側に猫が通り過ぎるのを見てはっ!と思い出した。

 そう・・・最初のあの出会いを・・・・。

 「いやいや、ちょっと待って下さい!貴方この前に野良猫に思いっきり

愚痴零してた挙句に逃げられて待ったをかけようとしてませんでした!!?」

 ルクスは反射的にそうツッコミを入れるとセリスティアは

いつもの超然とした雰囲気がふっと消えた代わりに焦りと恥ずかしさの顔になってこう言った。

 「ま、未だ覚えていたのですか!?」

 「あんな光景そんなに早く忘れるなんて出来ませんよ!!」

 「ち、違います!あれは只の独り言です!けして皆さんと長い間王都にいたから寂しさが込み上げて猫に話しかけたとかそういう訳ではありません!!!」

 セリスティアの言葉を聞いたルクスは呆れながらこう言った。

 「もう喋らないほうが良いですよセリスティア先輩。このままじゃ

クランリーゼさんの言うように『残姉さん』で統一されかねませんよ。」

 っていうか本当に残念な人だなあとルクスは思っていたがこうも思っていた。

 「(アブねえ!!危うくこの人のカリスマ性に引き込まれる所

だったぜエエ!!)」

 ルクスは額の汗を拭うかのようにそう思っていた。

 これが洗脳なのかもしれないなと思いながら。

 「それに・・・。」

 「?」

 セリスティアが何か言いたげそうなのでルクスは何だと思って聞いていた。

 「何故か王都では、私が軍の男性を怒って手酷く痛めつけたことになって

しまいましたし、憂鬱です。」

 「(・・・ああ、あいつらの事か。)」

 ルクスは心の中で彼らを思い出していた。

 クルルシファーの依頼中に来た軍の人間がその時の憂さ晴らしも兼ねて

来たことを。

 ・・・まあルクスが三人ともぼっこぼこにした挙句にそいつらは監獄に送られてアビスの餌になっちゃったけどね。

 「(あいつらアンタのせいでああなったのか・・・・じゃあ僕が校外対抗戦に

強制出場される原因も・・・アンタって事じゃねえか(*´Д`*)!!)」

 ルクスは心の中でお前のせいかよと大声を上げそうになりながら

そう思っていた。

 そして校内選抜戦で当たった時は徹底的に戦ってやろうじゃねえかと

心に誓っていた。

 然しセリスティアはこう続けた。

 「ちょっと、力加減を間違えてしまっただけなのに、何故あんなことに

なってしまったのでしょうか・・・」

 がっくりと項垂れるセリスティアを見たルクスはこう確信した。

 「(ああこの人は・・・天然で不器用な寂しがり屋なのか。)」

 ルクスはそう思いながらセリスティアを慰めようとしていた。




 ルクス「・・・誰だよ。こんな不器用人間を団長に推挙させた酔狂な人間は?」


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終わる訳・・・ねえよなあ。

 一難去ってまた一難。


其れから数時間後・・・。

 「・・・あれ・・・」

 セリスティアはいつの間にか眠りについていた。

 「・・・私・・・いつの間に」

 「あ、起きましたか?」

 起きたセリスティアはルクスの肩に乗るような形で寝ていた。

 「結局寝ていたのですね私は・・・反省です。」

 意外にセリスティアは凹んでいたがルクスはこう返した。

 「いえ、私も途中寝ていたのでお相子です。」

 そう言ったが実際は・・・。

 「(まあ実際は寝てないんだけどな・・・アンタのせいで!!)」

 男であることがばれないように神経をすり減らす勢いで起きていたので

眠れなかった。

 「おかげで、だいぶ疲れが取れました。貴方のおかげです」

 ありがとうございますとセリスティアはお礼を言うがルクスの心の中はと

言うと・・・。

 「いいえ・・・どういたしまして。(早く帰って寝てえ。)」

 こう思っていた。

 然しセリスティアは柔和な笑みを浮かべるとこう聞いた。

 「その、また・・・私と一緒に、こうしてお出かけしてくれますか?」

 「・・・・ウイェイ!!??)」

 それを聞いたルクスは素っ頓狂な声を上げた。

 これ以上騙し続けていれば自分の精神が狂ってしまいかねないと思っていた。

 そしてルクスが取った答えは・・・。

 「済みませんがその答えは校内選抜戦が終わってから出宜しいでしょうか?」

 詰る所問題を先延ばしてしまおうという考えにしたのであった。

 ・・・バレたら間違いなく命落とすなと思うがな。

 まあそれを知らないセリスティアはと言うと・・・。

 「分かりました。返事を楽しみにしています。」

 「ほっ。」

 こう言ってしまったのだ。

 まあこれで終わりかと思えば・・・そうではないのが世の中である。

  

 

 

 

 

 

 イイイイイ!

 

 

 

 

 

 

 耳を劈くようなこの奇妙な音に・・・ルクスは驚いていた。

 「この音は!?」

 「何でしょうか?この音は?」

 一方のセリスティアはそれを知らないために何の音かと思えば・・・中央広場の上空からそれが来た。

 「「・・・ッ!!」」

 それを見た二人は表情を引き締めた後ルクスに向けてこう言った。

 「メラグ。貴方はここで待っていて下さ」

 「早く行きましょう先輩!!」

 セリスティアはルクスに何か言おうとした瞬間にルクスは既にそこに向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 この時仕事終わりの人々はそれを見て恐怖と混乱が襲い掛かった。

 「アビスだあ!!」

 「早く逃げないと!!」

 「ちょっと!?押さないでよ!!」

 「おかあさああん!!」

 周りの悲鳴を聞きながらルクスはその元凶を見た。

 「ああもうこんな時に来るんじゃねよ!」

 ルクスは口調を直す事すらせずに目の前をそれを見てこう言った。

 それは頭がライオン、体は山羊、毒蛇の尻尾を持ったアビス。

 中型種「キマイラ」であった。




 次回はキマイラ戦です。


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キマイラ戦

 セリスティア対キマイラ。


「ど・・・どうしてアビスがここに!?」

 「誰か、早く警備兵・・・いや、軍のドラグナイトを!!」

 周りの人間は引き攣った悲鳴を上げながらそう言っている中ルクスはと

言うと・・・。

 「(ああもう!またこの展開かよ!!)」

 然も最悪だと思いながらルクスは腰のソードデバイスを触っていた。

 「(《ライズ・ワイバーン》は修理中だし《ギャラクシーアイズ》はセリスティア先輩対策でアトリエにクランリーゼと一緒に置いているし、何もないと思って

持ってきたのはこいつだけってこいつだけはここで使いたくない!!)」

 ちくしょうがと思いながらルクスはアビスを見ていると・・・。

 後ろからセリスティアが機竜を纏ってルクスの後ろから突如現れた。

 然も・・・無詠唱で。

 パスコードを使わずの思念操作だけで機竜を呼び出し纏うことが出来る

「高速機動展開」。

 これを使えるのは三大機竜奥義の一つを極めるのと同じくらい難しく、

針の穴を通すほどの緻密な正確さと卓越した思念操作技術がなければ致命的な隙を

晒してしまうほどハイリスクな技である。

 が・・・セリスティアはそれが出来たのだ。

 キマイラは口から炎を吐き出そうと構えた瞬間・・・《ライトニングランス》が

キマイラの胸部を核毎貫き・・・。

 バシィイ!!という音と同時にキマイラは黒焦げになって絶命した。

 「・・・マジで?」

 ルクスはそれを見て呆然としていた。

 キマイラはガーゴイルとは違い、生命力が強くて多彩な攻撃手段を持っているためドラグナイト単騎で戦うにしては厄介な種族である。

 然しセリスティアはそれをいとも簡単におまけに初撃で倒すところを見て

その強さを再確認すると・・・セリスティアはルクスの方を見てこう言った。

 「倒しました。他に敵の気配はありませんが大丈夫ですか、メラグ?」

 セリスティアは《ライトニングランス》をキマイラから引っこ抜いた後に

振り返ってそう聞こうとした瞬間・・・・。

 「セリスティア先輩!後ろ!!」

 ルクスはセリスティアに向けて大声でそういった。

 それと同時にセリスティアの《リンドヴルム》が素早く上昇した。

 その場所は先ほどまでセリスティアのいた場所だったがそこに向けて

炎が放たれていた。

 「うわ臭!!」

 ルクスはその炎から出る高熱とそれにも勝る異臭に眉を顰め、鼻を塞いでいた。

 その攻撃をしたのは何と・・・。

 「おいおい、嘘だろ」

 核を破壊された筈のキマイラであったのだ。

 胴体の傷はもう塞がっており黒焦げになった表皮は新しい皮膚は新しくなっていたが・・・問題はそこではない。

 「・・・何だありゃ。」

 キマイラの目は黒に染まり、瞳孔が大きく開いていた。

 更に体表は赤黒い血管のような模様が浮かび上がっていた。

 確かにキマイラは生命力は強いほうだが核が破壊されて尚動くという報告は

調査書や記述録からは書かれていなかったのだ。

 「どういうことですか?・・・何故、キマイラが?」

 空に避難して難を逃れたセリスティアはそう呟きながらも町の退避状況を

確認していた。

 現在周りの住民はキマイラが起き上がったのを見てまた逃げ出していった。

 できればもう少し遠くにへと思っていた。

 自身が持つ特殊武装《スターライト・ゼロ》の威力を最低限にしたとしても

被害を考えても上空でやらなければならないと思っていたが・・・。

 「ギィイイ・・・イイイエエエアアアアアアアア!!」

 キマイラはルクスの方を見て咆哮を上げた。

 恐らく近くて戦いやすそうな相手だと本能で察したのであろう。

 「!!くそ・・・が!」

 ルクスは最早仕方なしと踏んで黒いほうのソードデバイスを

抜こうとすると・・・。

 「メラグ!」

 セリスティアがそう言いながらキマイラ目掛けて《ライトニングランス》を

キマイラ目掛けて向けながら突進していくも・・・。

 「な!?」

 キマイラはセリスティアに目標を瞬時に変えて襲い掛かってきた。

 「まさか罠!?」

 セリスティアはそう思いながら《ライトニングランス》で貫こうとすと・・・ 

 「ギィイイエアー!!」

 キマイラは《ライトニングランス》を掴んで離そうとはしなかった。

 そして・・・。

 「シャアアアアアアア!!」

 尻尾についている蛇が奇声を上げながら紫の毒液を牙に濡らしながら通常の数倍の長さで鞭のようにしなりながら弧を描くかのようにセリスティアの後ろから

襲い掛かってきた。

 「!!」

 「セリスティア先輩!!」

 するとルクスはそれを見抜いて咄嗟にソードデバイスを抜き放ちながら

キマイラの尻尾についている蛇毎断ち切った。

 「露払いは終わりました!」

 「後は任せてください!!」

 ルクスの言葉にセリスティアはそう返した。

 そして先ほどよりも数段強い電撃が《ライトニングランス》経由で

キマイラに襲い掛かった。

 「グ、ギ・・・!!・・・アア」

 その攻撃にキマイラは耐えきれなくなって再び《ライトニングランス》が

体を突き刺して・・・灰燼となって消えた。

 「「「「「うわああああああああああ!!!!!」」」」」」

 周りの人間が完成を上げる中ルクスは周りを見渡していた。

 それは・・・。

 「(何処から笛を吹いたんだ?)」

 ルクスはそう思いながら周りを見ていた。




 犯人は誰だ!?


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キマイラ戦後

 セリスティアの本当の姿が出ます。


「ありがとうございましたメラグ。助かりました。」

 接続を解除したセリスティアはルクスの側によってそう言うとこう続けた。

 「ですが先ほどのは注意点です。幾ら武器を持っているとはいえアビスに

生身で立ち向かうのは感心しません。これからは自分の事も考えて下さい。」

 そう注意されてしまったのだ。

 そしてセリスティアはルクスが持っている物を見てこう言った。

 「とても美しいソードデバイスですが、もしやメラグは神装機竜のドラグライドだったんですか?」

 「え・・・・ああ!?」

 ルクスはソードデバイスを見てやばいと思っていた。

 今回は町に歩く際にバレない様にと鞘の周りを布で巻いていたのだが

抜いてしまったのでそれが露わになってしまっていたのだ。

 ルクスは戸惑いながらどうしようと思っていたがこう答えた。

 「い、・・・いえ・・・これは兄から貰ったお守りなんですが私は中身を

見たことがないので・・・。」

 そう言うがこれは全くの嘘であるしそんなウソに引っかかる人間なんて・・・。

 「そうですか。何時か使えるようになるといいですね。」

 ・・・いたよ、ここに。

 ルクスは心の中でこの人本当に大丈夫なのかよと思いながらアハハと乾いた笑顔を浮かべていた。

 そんな中で・・・。

 「お姉ちゃーん!ありがとう!!」

 人だかりの中から幼い少年が礼を言いにこっちに駆け寄ってきたのだ。

 然しそれを見たルクスはやばいと思ってこう言った。

 「あ、ちょっと待って!この人は!!」

 男嫌いだぞと言いかけたとたんにセリスティアが前に出て・・・。

 「元気ですね。怪我はありませんか?」

 「うん!ないよ!!」

 「それはよかったです。」

 「・・・・あれ?」

 何とセリスティアは少年の頭を撫でて笑顔でそう聞いたのだ。

 それを見たルクスはなんでだろうと思っていた。

 「(情報じゃあセリスティア先輩は幼少の頃から男嫌いだって聞いていたけど

小さいから大丈夫・・・!!!まさか!!??)」

 ルクスは頭の中でビビッとある仮説が浮かび上がった。

 それは・・・。

 「(もしかしてセリスティア先輩は・・・不器用で・・・寂しがり屋で・・・ショタコンだったのかΣ(・□・;)!!)」

 そう思ってしまったのだ。

 「(そうか!幼少の頃は全員男だと認識していたけど成長するにつれて

自分よりも年も身長も低くてまさに子供!だと言う人間には心を

開くのか!!?・・・ナニカ起こす前に警察に相談したほうが良いかもな。)」

 ルクスは頭の中でそう思いながら見ていた。

 「バイバーイ!お姉ーちゃん!!」

 そして少年は手を振りながら去っていくのをセリスティアはそれではと

見送った後ルクスの方を見てこう聞いた。

 「どうしましたメラグ?私の顔に何かついていますか?」

 そう聞くとルクスは意を決してこう聞いた。

 「ア・・アノ!?宜しいでしょうか?」

 「良いですが何でしょうか?」

 「セリスティア先輩って男嫌いだって聞きますけど先ほどのを見てあれと

思ったのですが・・・」

 そう聞くとセリスティアは周囲を見回して辺りに人影も気配もないことを

確認していた。

 だがルクスはその行動に対してこう思っていた。

 「(やっぱりセリスティア先輩はショタコンが濃厚か。周りを気にするのは

自分の性癖を聞かれたくが無い為の行動と見て間違いないな。)」

 ルクスはそう考えていた。

 然もアイリの言うように理由が分かったどころか弱み迄聞いてしまったことに

対してルクスは申し訳ない思い出いっぱいであると同時にこうも思っていた。

 「(この秘密は絶対にクランリーゼには内密だな。あいつ絶対ばらすもん。)」

 そう誓っていた。

 するとセリスティアは小さい声でルクスにある事を聞いた。

 それは・・・。

 「メラグ。貴方は男性が嫌いですか?」

 「・・・はい?」

 その言葉を聞いたルクスはなんだそりゃと思っていたがセリスティアは

こう続けた。

 「たとえそうだったとしても仕方がありません。国が変わっても

未だ旧帝国の・・・嘗ての風潮からすれば当然です。」

 「あのうセリスティア先輩?何が何なのやら」

 ルクスは何でと思っていたがセリスティアはこう続けた。

 「誰にも・・・言わないと約束してくれますか?」

 「え・・・・アアハイ。」

 ルクスはそう答えてしまったが内心はこう思っていた。

 「(アンタ最後まで人の話を聞けよ。)」

 そう思う中セリスティアはこう言った。

 「私本当は・・・男嫌いなどではないのです。」

 「へええ・・・・へええ!!」

 てっきりルクスは自信の性癖を明かすのかと身構えていたがそれとは

いろんな意味で別のものだったことに驚いてしまったのだ。

 然しセリスティアはもどかし気な表情でこう続けた。

 「寧ろ、男性には憧れと興味があってですね。幼少の頃にお世話になった

先生みたいに強くて優しい人でしてその・・・そういう人と巡り合いたいと

思うほどに。」

 「イヤイヤ、待って下さい!それじゃあ今までの噂は!?」

 ルクスは慌ててそう聞くとこう返した。

 「そ、それはですね・・・これも秘密ですが、わ・・・私は若い男性に対して

どういう風に対応してよいのか分からなくてですね。なので、昔から周囲にこう言っていたんです。」

 「《男性は苦手です。》と・・・」

 「フンフン。」

 「何故か何ですがそこから尾ひれ背ひれが加わってですね・・・いつの間にか

男嫌いという風になってしまってですね・・・何故何時もこうなのでしょうか?」

 セリスティアはそう言いながら肩を落としてがっくりと項垂れていたがルクスは頭を抱えながらこう思っていた。

 「(オイオイ、・・・もうこりゃあ完全に不器用と言うよりも・・・

ポンコツじゃん。)」

 学生が見ている視点と真実のギャップが酷すぎて不器用ももここまで行けば

天才だなと思うほどであった。

 然も人間前情報をもとに行動するため男性の方は余計に身構えたり、

逆にへりくだったりとして更に悪化を招くという負のスパイラルに

陥っているのだと推測した。

 「(ポンコツで寂しがり屋で不器用な学園最強って・・・

人間上辺だけじゃあ測れないもんだなと思っていた。

  だがもう一つこう思っていた。

 それは・・・。

 「(誰だよ。このポンコツを『シヴァレス』の団長に推薦した阿保は?)」

 そう思っていた。




 人間見ただけじゃあ分からない。


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デートは終わり。

 セリスティアとルクスの関係が分かります。


呆れてものも言えないというのはこのことであろう。

 一つの勘違いがここ迄肥大化するとなると最早呪いレベルがつくくらいの者で

あろう。

 ルクスはそう思いながらセリスティアを見ていたがセリスティアは

先ほどよりも目を鋭くさせてこう言った。

 「ですが、未だ私は男性に・・・異性に対して好意を寄せたり、頼ったり、

甘えたりすることなど許されません。私は四大貴族の長女、

『セリスティア・ラルグリス』。学園の『シヴァレス』の団長としてとても重要な立場にいますし・・・私の判断には多くの物がかかっています。旧帝国の思想を色濃く受け継いでいるであろう男性たちから酷い目に遭わされ、

今も悩んでいる少女がいます。そんな少女たちを守らなければ

ならないんですが・・」

 「?」

 ルクスはセリスティアが言葉を切ったのを聞いて何だと思っているとこう言った。

 「ルクス・アーカディア」

 「!!!(まさかバレたか!?)」

 そう思ってルクスは身構えているとセリスティアはこう続けた。

 「彼は面白い人ですね。サニアとの模擬戦では力を抑えつつも実力を見せつけて、対等な勝負を挑んできました。」

 「(まあその後の試合はマジにやって2人ほどぼっこぼこにしたけどね。)」

 現在その二人はあまりの事に自信喪失に陥っている。

 「・・・やはりあの人に何処か似ていますね。」

 まあ言動はさておきですがと付け加えられるがルクスはこう思っていた。

 「(大きなお世話だろ。)」

 そう思っている時にセリスティアはその人間の名前を明かした。

 その人間の名は・・・。

 「『ウェイド・ロードベルト』先生・・・嘗ては旧帝国の教育係であり

私の憧れの人・・・」

 そう言った瞬間にルクスはその名前に聞き覚え・・・というより誰よりも

知っていたのだ。

 何せその人は・・・。

 「え・・・その人って(僕の祖父じゃん!!)」

 その人はルクスの母方の祖父であるのだから・・・。

 「はい。『ルクス・アーカディア』の祖父です。母方の方ですが昔私は王家の教育係から身を引かれていたあの方から剣技や戦術の指導を

してもらっていたのです。」

 「・・・・・(マジかよ。)」

 流石のこれはルクスにとっては唖然とする状況である。

 セリスティア・ラルグリスと自分には祖父によってこのような繋がりが

あったのだなと知ったからだ。

 「ウェイド先生には、本当にお世話になったのです。・・・あの頃は男尊女卑の影響もあってかドラグライドに乗れませんでしたが先生のおかげでここまで

力を得たと言っても過言ではありません。・・・・ですが」

 すると懐かしむように語ってくれたセリスティアはふいに

憂いを帯びたものにへと変わっていったがルクスはそれを知っていたのだ。

 「(ウェイドおじいさまは確か旧帝国の悪政を諫めようとあのクソ親父に

進言したら捕まって投獄されてそのまま牢の中で亡くなってしまって僕らもそれがきっかけで追放されてそれから・・・。)」

 母親は市民によって見殺しにされた後、フィルフィに慰められてフギルに色々と教えてもらってそれから革命に参加したけど結局話し合いは失敗して

そして・・・。

 「(異世界で遊馬に出会ってアストラルにも出会って・・・凌牙にカイト、

小鳥ちゃんに色んな人たちに友達・・・そして璃緒にも出会えたんだよな。)」

 確かに酷いことが幾つもあったがそれでもルクスにとってはかけがえのない

出会いを体験できたことが幸せであったのだ。

 だがルクスはこう思い出していた。

 「(そう言えばあの後から何人かの軍関係者や、政治家が投獄されたり

死刑にされたって噂を聞いたことがあるけどあれは無関係かな?)」

 「私は、『ルクス・アーカディア』に謝らないといけないのです。」

 「・・・・ふぇ?」

 突如セリスティアがそのようなことを言ってきたので隣にいたルクスは

何のことだと素っ頓狂な声を出した。

 「(え?謝るって何を・・・どっちかと言えば・・・・こっちなんだよな。)」

 現在進行形でと思っている中セリスティアはそっと人差し指を口元に立てて

苦笑いしながらこう言った。

 「この事は他言無用でお願いいたしますね。これは私自身が彼に対して

言いますから。明日以降の選抜対抗戦が終わって私の下に来ている、

あの討伐任務を終えたら自分の口で。」

 それまで駄目ですからねと言った後セリスティアはこう呟いた。

 「そうです。私はもう二度と、間違えるわけには・・・」

 「はい?」

 「いえ、何でもありませんよメラグ。」

 ルクスはセリスティアの呟きに何か言ったのかと思っていると

セリスティアはルクスの頭を撫でながらこう言った。

 「ではサヨナラです。お返事、待っていますよ。」

 学園の校門前に着くとセリスティアそう言って去っていった。

 「お帰りなさいませ。ルクスさん。」 

 「どわ!?」

 後ろから声が聞こえたのでルクスは驚いて後ろを振り向くとそこにいたのは・・

 「あ・・・クランリーゼか。」

 「はい。そうですが。」

 クランリーゼがそこにいたのだ。

 そしてルクスはクランリーゼに連れられて来客用応接室

(人目をかいくぐりながら)に入って着替えた。

 「ありがとうね、クランリーゼ。助かったよ。」

 「いえいえ、どうでしたか?デートは??」

 クランリーゼは自身の服を返してもらったあとルクスにそう聞くと

ルクスはこう返した。

 「・・・勝たなくちゃいけない理由が出来たなあって思ったところ。」

 そう言って自室にへと戻っていった。




 まあ・・・自室でもひと騒動あるけどね。


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眠れない夜に・・・。

 寝れないとき貴方はどうしてますか?
 私は寝る方向を逆向きにして布団を枕にして寝ますね。


あれからルクスは学園側からの依頼(ティルファーが選別して小さくした奴だが)それらを成し遂げた後ルクスは部屋に戻っていった。

 「もう消灯時間だからフィルフィは寝てるだろうから

ゆっくり寝られるはずだな。」

 そう言うルクスであるがこれには理由があるのだ。

 それは・・・。

 「偶に起きたらフィルフィが一緒に入ってるなんてことがよくあったから

慎重に入らないとな。」

 そう言う意味である。

 羨ましいような感じであるがルクスの場合は大概にしてほしいと思っているのだ。

 そしてドアをゆっくりとだが開くと・・・。

 「あれ?・・・灯りが点いてる。」

 部屋の奥にランタンが光り輝いてるのを見て何でかと思っていると・・・。

 「お帰り、ルーちゃん。」

 「うおわ!!ってフィルフィか。珍しく未だ・・・起きて・・・」

 言葉を失うとはこのことである。

 何せ今のフィルフィの服装は何時ものシャツ(中は裸)なのに

今はネグリジェ(黒のスケスケ)を部屋の椅子に座っている状態で着ていたからだ。

 「・・・・・ナニ、その恰好」

 ルクスがやっと声に出した時のそれは質問であったがフィルフィは

いつも通りの表情でこう返した。

 「お姉ちゃんに、これ貰ったから。」

 「フィーちゃん。レリィさんに今すぐその服返しに行きなさい。

後で僕がシバくから。」

 ルクスは笑顔で如何やってレリィを殴ってやろうかと考えている中

フィルフィは真顔であるが微かに残念そうな声でこう聞いた。

 「変・・・かな?」

 それを聞いたルクスは少し考えてこう言った。

 「・・・結構似合ってるよ。」

 正直目のやりようと保養になったけどねと心の中でそう呟いたのだ。

 フィルフィはそれを聞いて(心の声は聴いてない)ルクスに向けてこう言った。

 「・・・良かった。」

 ルクスに褒められてフィルフィは少し微笑んだ。

 そしてフィルフィはルクスを見てこう言った。

 「ルーちゃん。最近疲れてるね。」

 それを聞いたルクスはこう答えた。

 「うん。・・・今日は特に精神的にキツイこと尽くしだったからねえ。」

 そうルクスはハハハと遠い目して笑っていた。

 女装して挙句の果てにはアビスが出たりいろんな意味でセリスティアが

ポンコツであったという事実が分かったこともあって疲れ気味なのだ。

 「あ・・・ルーちゃん。それとね、サンドイッチありがとう。」

 「あああれ、食べてくれたんだ。」

 ルクスがそう聞くとフィルフィはうんと笑って答えた。

 それはルクスがセリスティアと出かける前に作ったフルーツサンドイッチ

(余りで作った)である。

 「だからね、ルーちゃん。お礼にぎゅー、ってする?」

 「・・・ぎゅー・・・はあ!!」

 ルクスはそれを聞いて思い出した瞬間に赤面した。

 それは嘗てフィルフィの母親が「抱きしめたら元気出るわよ。」と言う教えで

昔はルクスもよくフィルフィにされたものだが・・・5年前とはいろんな意味で

状況がやばい。

 あの時はルクスは母親を失ったばかりであったがその時よりも

色んな意味で成長したフィルフィにされれば・・・ルクスの理性はあっという間に崩壊してレリィの思う壺になってしまう恐れがあるからだ。

 「ええとねフィーちゃん。この年頃っていうか・・・色々と貞操的にっていうか君は平気なの?」

 「うん、別に。」

 「君はもうちょっと貞操観念っていう物を学んでよね!!」

 そう言いながら膝から転げ落ちていくルクスを見てフィルフィは無表情であるが割と悲しそうなニュアンスを込めてこう言った。

 「・・・傷ついた。」

 「・・・・は?」

 それを聞いたルクスはなんだと思っているとフィルフィはそっぽを向いて

こう続けた。

 「ルーちゃん。私の事嫌いなんだ。」

 「何でそうなるのおお!!??」

 もう嫌だとルクスは頭を抱えていた。

 こうなるとこっちが折れるまで機嫌を直さないのだ。

 今この状況で機嫌を損ねて校内選抜戦でどう影響を及ぼすのか

分からなかったのだ。

 ルクスははああとため息ついてこう言った。

 「・・・・ん、いいよ。」

 もうどうにでもなれだと思いながらルクスが折れた後フィルフィは

にこりと笑ってぎゅうと抱き着いてきたが・・・それがまずかった。

 「(さdfsgffghjhj:kjhkghださ)!!??」

 フィルフィの巨乳がぐにゅりとルクスの体で押しつぶしていく感触とほのかに甘い香りでルクスの頭は沸騰しそうになっていた。

 「(だああ!!早く終わってくれえ!!)」

 ルクスはこのままじゃまずいと思っている中で通じたのかフィルフィは

ルクスから離れるとこう聞いた。

 「・・・元気出た?」

 「うん、ゲンキデタヨ。」

 下の方も元気になりそうだけどねと思いながらルクスはフィルフィから

視線を逸らしながらそう言うとフィルフィは満足げに微笑んでこう言った。

 「良かった。お休み、ルーちゃん。」

 「うん・・・オヤスミ。」

 そしてフィルフィはベッドに入って眠りについたがルクスの方はと

言うと・・・。

 「(だあああ!!さっきの感触のせいで眠れねえェ!!!)」

 そう思ったルクスは部屋から出てデッキ調整でもするかと思いながら

談話室にへと向かった。




 はい、ルクスに羨まシネと思ったやつは・・・手を上げるか殴っていいよ。
 ルクス「おい作者何言ってんだよ!!」


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戦いの始まり。

 それぞれの場所でそれぞれの戦いが始まろうとしていた。


校内選抜戦はまあ・・・無事に済んだ?のか分からないが(まあルクスが

ぼっこぼこにした以外は順調にだが)取り合えず終わって最終日である5日目が

やってきた。

 早朝の教室にはライグリィ教官がいつものような感じでこう言った。

 「本日で校内選抜戦は最終日であるが気を緩めることなく大きな怪我だけは

するなよ・・・そこの二人みたいにな。」

 そう言いながらライグリィ教官は・・・リーズシャルテとクルルシファーの方を

見てそう言った。

 二人は昨日に医務室から出てこれたのだが医療師からは未だ機竜に

乗らないようにと注意されたのだ。

 未だ包帯姿が痛々しく見えるが二人はいつも通りの様子でそこにいたのだ。

 「それでは各自、全力を尽くすように・・・ここまでよくやった。私は誇りに

思っているぞ。」

 ライグリィ教官は最後の優しい表情で全員を見てそう言うと全員はそれを聞いて

驚くと同時に喜んでいた。

 まるで自分たちが認められたかのような感じだからだ。

 そしてライグリィ教官が去った後今度はリーズシャルテが教壇の前に立った。

 「それでは皆。最初に脱落した私が言うのは何だが・・・ここまで皆がよく

奮戦してくれたおかげで得点は・・・この通りだ!!」

 そう言ってリーズシャルテは得点数が書かれた紙を大きく広げた。

 現在の得点は・・・3年生134点に対して1,2年生連合は・・・何と136点と

僅かであるがルクス達がリードしていたのだ。

 これまでリーズシャルテの機竜の調整とルクスが「ぱそこん」を使って

相手の対応策と弱点を徹底的に調べつくしたことによるものである。

 「ここまで行けば後は差を広げさせるだけだ!!油断せずに行け!!」

 『『『『『はい!!!!!』』』』』

 全員が息を揃えてそう言った。

 「それじゃあルクス、フィルフィ!後はお前たち次第で全てが決まるから・・・

あの女ぶっ潰してこい!!」

 「うん、分かった。」

 「まあ取り合えず・・・頑張ります。」

 フィルフィとルクスがそう言った後ルクスとフィルフィは空き教室で

作戦会議した後、演習場にへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 そして学園内の何処か・・・。

 「それで・・・この間のあれは何なんだ。」

 女生徒の一人が壁に背中を預けるようにそう言うとその人間はこう言った。

 「あれは仕方のない事です。まさか彼女の実力があれ程とは

考え付もしなかったので。」

 「そうじゃない・・・何で彼まで巻き込んだの!?言ったはずよ!?

彼は巻き込まないって!!!」

 女生徒が声を荒らげてそう言うともう一人の人間はこう続けた。

 「何分イレギュラーがある事はよくあるので。」

 そう単調に返した後女生徒はこう言った。

 「もう良いわ。例の場所は粗方見当つきそうだけどあれは間に合うの?」

 「間に合いますよ。そしてその時には貴方の宿願が果たされます。」

 「・・・約束、忘れてないわよね?」

 「大丈夫です。『ルクス・アーカディアには私達は手を出さない』との契約と

もう一つ・・・『セリスティア・ラルグリスの生殺与奪』ですね。」

 「そうよ。あいつには最悪の屈辱を存分に与えてから・・・全てを明かすわ。」

 「それでは幸運を」

 そう言うとその人間は何処からともなく立ち去った後女生徒はあるものを

出した。

 「・・・父さん、・・・母さん。・・・もうすぐだからね・・・。」

 そう言った後女生徒は倒れこみながらこう呟いた。

 「・・・御免なさい・・・ごめんなさい・・・ごめんな・・・さい。」

 「ウェイド先生・・・こうするしか・・・彼を・・・貴方の・・・お孫さんを

守るには・・・これしかないんです。」

 そう言いながら女生徒は泣きじゃくった後、立ち上がって歩き出した。

 「待ってなさいよ、『セリスティア・ラルグリス』。・・・貴方の間違いを

死をもって分からせてやるわ。」

 そして女生徒は走り出した。

 もう止まる事を・・・やめるように。

 

 

 

 

 

 

 

 その数時間前・・・。

 ヘイブルグ共和国の辺境、リドネス海沿岸付近の上空には新王国の大部隊が

集まっていた。

 恐らく部隊長であるハイクラスの男性が声を震わせながらそれを見ていた。

 「これが『ラグナレク』・・・こんなでカ物が生きていたというのか?」

 それは嘗て旧帝国が秘密裏に解き放った遺跡最大の怪物である『ラグナレク』であった。

 記録でしか知らないために300名の士官たちは恐怖していた。

 遠目から見れな小島クラスであるがそれでもまだ顔だけであり全身ともなれば

どれくらいなのか予想したくない程である。

 今回新王国の3/1の戦力を投入したのは調査、監視・・・最悪戦闘を想定した編成であるのだが・・・。

 「動きませんね?隊長」

 「ああ・・・書簡によれば今にも動きそうだったと言われていたが・・・」

 そう・・・まるで巨大な彫像のように動かないのだ。

 すると兵士の一人がこう提案した。

 「隊長。ここは一端、兵站を整えたほうが・・・。」

 そう言うと隊長がこう返した。

 「・・・活動を停止してくれたら良いのだが確証が欲しい。」

 そう言うと全員に向かってこう命令した。

 「《ワイバーン》持ちの数人は接近。《ドレイク》持ちは内部状態を観測!!

各員はキャノンを携帯するように!!埠頭と小島に展開している部隊は警戒を

厳にせよ!!!」

 『『『『『了解!!!!!』』』』』

 隊員全員がそう言うと隊長を含んだ部隊が『ラグナレク』目掛けて飛翔した。

 だが・・・・。

 

 

 

 

 

 ・・・・ピシッ!

 

 

 

 

 

 

 波間の音に紛れて何か音がした。




 その戦いは語られるものか?

 又は・・・語られないものか?


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決戦の火ぶたが開けようとしていた。

 果たしてどちらが勝つか?


「それでは、校内選抜戦Aグループ一番ペア対Bグループ二番ペアの模擬戦を

執り行う!」

 流石に最終日だけあって熱気と興奮が演習場一面に包まれていた。

 その中には緊張と冷静な判断をする人間もいた。

 「ええとな、ルクス君。私としては・・・その・・・」

 演習場のアリーナの中でシャリスが何やら申し訳なさそうに何か言おうと

していた。

 本来ならサニア・レミストがいたのだが彼女はルクスが倒してしまったため

急遽、セリスティアとのペアを組まざるおえなかったのだ。

 「君を応援しているんだ。いや、嘘じゃないぞ。本当なんだが・・・立場上、

今回はセリスティアに付かなければならなかったのであってだなあ・・・

その・・・」

 「それで何です?シャリス先輩??」

 ルクスはにこやかに・・・ちょっと暗い雰囲気でそう聞くとシャリスは意を決してこう言った。

 「ドウカお手柔らかにお願いします!!」

 お見事に頭を下げてまでそう言ったのだが一方のルクスはと言うと・・・。

 「・・・良いですよ。」

 「!!( ;∀;)」

 「・・・徹底的に凹しますから(*´ω`*)」

 「イヤアアアアアアアア!!!(*´Д`)」

 ルクスの一言に天国かと思えば一転地獄に叩き落すような悪魔の笑みで

そう言ったため、死ぬ!!と思ってしまったようであった。

 するとそれを見ていたセリスティアはいつも通りの超然とした何時もの表情で

こう言った。

 「大丈夫ですよ、シャリス。貴方が彼の味方になったとしても結果は

変わりませんから。」

 そう言うがシャリスはセリスティアを見て大声でこう言った。

 「君は彼の悪魔的な戦い方を見てないからそう言いきれるんだ!?

彼女たちを見ろ!!」

 シャリスはそう言って観客席に指さすとそこにいたのは・・・。

 「「「「((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

ヒィイイイイイイイイイ!!!!!」」」」

 ルクスに戦いを挑んで負けた女生徒達(サニア・レミストはいないので除く)が震えながらそこにいた。

 「彼女たちがあの様だぞ!!もうトラウマ何てレベル超えて

一種の恐怖政治の如き有様だからな!!!」

 そう言うがそれを聞いたルクスはフィルフィに向けてこう聞いた。

 「ねえフィーちゃん。」

 「?・・・何、ルーちゃん。」

 「シャリス先輩・・・僕に少し任せてもらって良い?」

 「・・・手加減してね。」

 「うん、勿論だよ。(・・・9割殺しにするけどね(# ゚Д゚))」

 如何やらシャリスの言葉を聞いてルクスは少し怒っていたのであろう。

 本来ならそれに気づくシャリスであったが恐怖と緊張でそれすらも

考えられなくなっているようだ。

 「そろそろ始めましょうか、『ルクス・アーカディア』。貴方は未だこの学園に相応しくないことを証明しなければなりません。」

 セリスティアはルクスを見ながらそう言った。

 既に監視の為に派遣された部隊の報告によれば石化した「ラグナレク」は

ここ数日の間に胎動のスピードが速まっているという報告が上がっており早ければ数日以内に動き出す可能性が高まっているという報告が上がっているため

最早時間がないのだ。

 だからこそセリスティアはここで勝利して討伐任務に向かわなければ

ならなかったのだ。

 まあそれはルクスも知っているのでそれを止めるために

ルクスも戦わなければならないという何とも世知辛い状況であった。

 既にこの国の命運をかけた戦いは始まっていたのだ。

 「それでは両者、ソードデバイスを抜剣し、ドラグライドを接続せよ。」

 そしてセリスティアは《リンドヴルム》を、シャリスは《ワイバーン》を

纏った。

 それに続くかのようにルクスとフィルフィも機竜を呼んだ。

 フィルフィは紫の短剣を掲げてこう詠唱した。

 「-始動せよ。星砕き果て穿つ神殺しの巨竜。百頭の牙放ち全能を殺せ、

《テュポーン》」

 現れたのは紫色の《ワイアーム》型の神装機竜であった。

 「コネクト・オン」

 そしてフィルフィは機竜を纏った後ルクスはもう一本の青い剣・・・少し輝きを放っているほうを抜剣してこう詠唱した。

 「ー降臨せよ、闇に輝く星々よ。光の力を身に纏いて迷える者達の希望となれ。

≪ギャラクシーアイズ≫!!」

 すると一瞬だが「ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン」が姿を現した後、

機竜となってルクスの後ろに出現した。

 「コネクト・オン」

 ルクスはそれを纏った後に飛翔したがその機竜の姿を見て

全員唖然としていた。 

 「・・・綺麗・・・。」

 「・・・星みたい。」

 中にはこんな感想を出す人もいた。

 そして透流もそうであった。

 「・・・・すげええ。」

 セリスティアとルクスの機竜。

 どちらも鮮やかな輝きを放つと同時にセリスティアがルクスを見てこう言った。

 「それが貴方の切り札ですね。」

 「まあ、そう言うところですね。」

 お互いそう言った後セリスティアは《ライトニングランス》をルクス目掛けて

構えてこう言った。

 「覚悟は良いですね。『ルクス・アーカディア』」

 そう言うとルクスも≪パラディン≫と≪ギャラクシー≫を構えてこう返した。

 「それはこっちのセリフだよ。・・・あんたが何を背負っているのかを知ってるけどな・・・こちとら託されたものがあるものなんでね・・・

下剋上させてもらいますよ。」

 そしてお互いの視線が交錯したその時・・・それは始まった。

 

 

 

 

 

 

 「バトル・スタート!!」




 星の巨竜対銀河竜。
 どちらの輝きが勝るのであろうか?


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どんな相手にも全力で相手をせよ。

 それこそ相手に対する敬意である。


「バトル・スタート!!」

 ライグリィ教官の声と同時に、ルクスとセリスティアは上空にへと飛んだ。

 正直なところルクスの機竜《ギャラクシーアイズ》の神装

《光子剥奪(フォトン・ディブリベーション)は《アジ・ダハーカ》同様相手に

接触しなければ発動できないという難点があった。

 もし接触すれば《リンドヴルム》の《ライトニングランス》で感電して

機体の出力が下がってしまうのでそれならと機竜のエネルギーだけを吸収して神装を使えないようにするしか道がないのだ。

 だが空を飛べるのは・・・ルクスとセリスティアだけではなかった。

 「私もいるぞ!!」

 そう言ってシャリスはブレスガンをルクス目掛けて照準を合わせようとすると・・

 「《竜咬縛鎖(パイル・アンカー)》」

 フィルフィが《テュポーン》の右腕を突き出して二の腕から

鈍色の金属の杭が付いたワイヤーがシャリス目掛けて強襲した。

 「うおわ!!って危ない危ない。いきなり怖いな、フィルフィ嬢は・・・って何だこの音は?」

 シャリスは下から何か変な音がするなと思ってそこを見ると・・・。

 「・・・はい?」

 「えい。」

 パイル・アンカーの先端がシャリスの後ろにあった壁面を抉り取って半回転して

それを投げたのだ。

 それはまさに巨大な・・・鎖分銅(でかすぎるが)のようであった。

 「!!」

 セリスティアはそれを見て《ディバイン・ゲート》を使って回避したその時・・。

 ガウン!という音が鳴り響いた。

 それが下であったのでそこを見ると・・・。

 「フィーちゃん!」

 「セリス!」

 セリスティアがフィルフィのはるか後ろに飛ばされていたのだ。

 それを見ていた透流はというと・・・。

 「いや・・・あそこで後ろ蹴りって機竜でも出来たのかよ。」

 そう言っていたのだ。

 だがそれは絶対のバランス感覚を持ち合わしていなければ出来ない芸当なのだ。

 それも動物的本能も合わせてなければだが・・・。

 そしてルクスはと言うと・・・。

 「フィーちゃんって・・・本当に強かったんだ。」

 そう言うしかなかったのだ。

 確かに奇襲をかけるようには言っていたがまさか観客席の壁を投擲するという

発想は自分も考えられなかったのだ。

 これならとルクスはそう思っているとフィルフィから竜声で通信が来た。

 「何フィーちゃん?」

 『気を付けてルーちゃん。私今・・・動けない。」

 「!!」

 フィルフィの声を聴いてルクスは《ギャラクシー》を素早く振るった。

 するとそこには・・・。

 「遅いですね。『ルクス・アーカディア』」

 セリスティアが《ディバイン・ゲート》でルクスの目の前に現れて来たのだ。

 やばいと思ったルクスは・・・《ギャラクシー》を手放して

《ライトニングランス》を掴んだ。

 「グウウ!!」

 「!!!なあ!?」

 セリスティアはそれを見て何故だと思っていると・・・ルクスの頭頂部にある『ギャラクシーアイズ』の目が赤く輝いた。

 「《フォトン・ディブリベーション》」

 そして《ギャラクシーアイズ》の装甲が光り輝き始めたのだ。

 「!!??」

 セリスティアはやばいと悟って《ライトニングランス》を手放した。

 だが・・・

 「ごちそうさん。」

 ルクスはそう言ってにやりと笑った瞬間・・・《ギャラクシーアイズ》の翼から光が出てきた。

 「・・・何ですか、それは?」

 「おしゃべりするったあ・・・・余裕だな・・・セリスティア先輩はよ」

 ルクスは先ほどの電流のダメージがありながらもそう言うとセリスティアは

ルクスに対してある事を言った。

 「正直、少しだけ予想外でした。」

 「はあ・・・」

 「私は4日前の彼女たちよりももう少し手加減したほうが良いと

思っていたのですが」

 「!!!・・・てめえ・・・!!」

 リーズシャルテとクルルシファーの戦いですら本気を出していなかった。

 それを聞いたルクスは頭に血が上りそうな感じであったのだ。

 「(二人の戦いを!!・・誇りを・・・手加減で・・・だとう!!!!)」

 ルクスにとってそれは侮辱以外の何物でもなかった。

 嘗て遊馬は不良たちとつるみ始めていた凌牙を助けようと№無しで

戦おうとしたが最後らへんでは№を使わざるおえなかったのだ。

 だがそれは凌牙に自分の今の実力を見せて更生させようとしていたが

凌牙にとってそれが侮辱であったのだ。

 あの後ルクスは遊馬にそう諭した後凌牙と共に不良二人と

タッグデュエルしたのだ。

 本気の相手と真っ向から戦って勝つことこそ凌牙の信念である。

 それを知ったルクスも不器用ながらも遊馬と戦った凌牙を仲間として・・・

親友となれたのだ。

 それを知らないセリスティアは四大貴族の長女としての自分の笑顔を作って

こう言った。

 「この辺りで降参していただけるならいらない怪我をすることはありませんが」

 それは脅しではなく本心であろう。

 だがその言葉こそ・・・ルクスの心をより燃え滾らせるきっかけとなった。

 だがセリスティアはこう続けた。

 「私はまだ、貴方のような例外を認めるわけにはいきません。男性に協力を

仰ぐわけにはいかず、ラグナレクの討伐を一人で成し遂げなければなりません。

 それが納得できないのなら・・・それが分かるまで教えてあげます。」

 そう言うとルクスはセリスティアを見て・・・こう怒鳴った。

 「ふざけんな----!!!!」

 「「「!!!!」」」

 それを聞いてセリスティア、フィルフィ、シャリスがびっくりすると

ルクスはこう続けた。

 「はああ!!黙って聞いていれば男性に協力を仰げないだ?あの時の革命に

何人の男性がいた!?そいつらは全員誰かを守るために戦ってきたんだぞ!!

一人でラグナレクを倒すだあ?たった一人で何ができるっていうんだ!!

今の地位は手前一人だけで出来たと思ってんのか!!この自己中心的な

偽善者がよく言えるなあ!!!」

 「!!貴方・・・!!」

 セリスティアはそれを聞いて怒るがルクスはセリスティアを見てこう続けた。

 「アンタは学園の皆を守るために規範を守ろうとしているのは

良く分かるがな・・・教えてやるよ、法を守ることが正義じゃねえ・・・」

 そしてルクスは残った《パラディン》をセリスティアに向けてこう言った。

 「手前の信念を掲げて誰かを守ることが正義だってなあ!!!」

 そう言ってルクスはセリスティアに突撃するとセリスティアはブレードを出してこう言った。

 「ならば・・・参ります。」




 最早後は語らず、剣で語るのみ。


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正体。

 その者、目的を持って戦う。


試合は白熱して観客の声援が響く中無人の図書館に・・・誰かがいた。

 現在試合中のため司書官はいないはずなのにそこには人がいた。

 その人間は・・・。

 「・・・さてと、例の部屋は。」

 サニア・レミストであった。

 彼女はセリスティアを姉のように慕っており、またルクスの追放について

動いていた人間でもあった。

彼女は目の前にある扉を見て周りを確認した後何時も自身で編んでいる

三つ編みの中から針金を鍵穴に刺して扉に耳を当てていた。

 「あと・・・もう少し。」

 そう言って鍵を開けようとしたその時・・・。

 「立ち入り禁止場所で何しようとしているんですか?サニア先輩」

 「!?」

 突然後ろから声が聞こえたことに驚き、振り返ってみるとそこには・・・。

 「貴方は確か『ルクス・アーカディア』の妹・・・。」

 「ええ、そうです。」

 「あたし達もいるよ~~。」

 「YES、その通りです。」

 アイリだけではなくティルファーとノクトもそこにいた。

 「・・・試合はもう終わったのかしら?」

 サニアはそう聞くとアイリはこう答えた。

 「いえ未だです。まあ最もあの兄は一度負けたほうがお灸を据えるん

ですけどね。」

 アイリはそう言うがティルファーとノクトはお互いこう言った。

 「またまた~~。ルクッチの戦いを解説する時のアイリちゃんの目はまるで彼氏を紹介するみたいの感じなんだよ~~。」

 「YES、確かにアイリは偶にですがルクスさんを異性として見ている時が

ありますね。まあ、流石に近親相姦はしないと思っていますよアイリ。」

 だから警察のお世話にはならないで下さいね。と締めくくるがそれを聞いた

アイリはと言うと・・・。

 「ノクト、・・・どういう意味かセツメイシテクダサイネ?」

 「スミマセンでした。アイリ!」

 「早!」

 アイリの黒いオーラを見たノクトはすぐさま謝ったのでそれを見た

ティルファーはその謝るスピードの速さに驚いていた。

 ・・・まあ、一種のコントみたいな状況を見ていたサニアはこう聞いた。

 「・・・何か御用かしら?」

 そう聞くとアイリは咳払いした後あるものを出してこう言った。

 「貴方は辺境貴族の子女であると言うことで二年前にアカデミーに

入学したらしいですが本当の目的はこちらではなかったのですか?・・・

ヘイブルグ共和国のスパイさん?」

 そう言いながら出してきたのはサニアの部屋で見つけたヘイブルグ宛ての

密書であった。

 「・・・・」

 それを見たサニアは無表情でそれを見ていたがアイリはそれを懐に収めた後

こう続けた。

 「既に学園長と執政院と警察には報告していますので後でゆっくりと取調室で

お話させてもらいますよ。」

 静かに言い切って、アイリは目を伏せた。

 然しサニアはと言うと・・・。

 「・・・フフフ。」

 「?何が可笑しいんですか?」

 突然サニアが笑ったので気が狂ったのかと思ってアイリはそう聞くと

サニアはこう聞いた。

 「私を捕まえるって事で・・・良いんだな?」

 「YES、その場から動かないでいただくとこちらも手荒くしませんので。」

 「そうそう、他の『シヴァレス』の皆も来るから諦めたほうが良いよ。」

 ノクトとティルファーはサニアに対してそう言いながら

ソードデバイスを抜く構えをすると・・・サニアはこう言った。

 「フン。・・・少しは頭が切れると思っていましたがまさかここ迄とは流石」

 「・・・ウェイド先生のお孫さんって言ったところかしら。」

 「!!」

 その名前を聞いたアイリが驚く中サニアは三つ編みに編んでいた髪を解きながらこう言った。

 「私がここにいる理由は3つ。」

 「一つは学院の情報と出来るなら遺跡の古代文章を奪うこと。」

 「二つ目は学院にいる戦力を出来るだけ少なくして校外対抗戦での

戦力をなくすこと。」

 ここ迄はヘイブルグ共和国の命令よと言った後サニアは腰に取り付けられている布で覆われた何かを出し始めた。

 「そして三つ目・・・これこそ私達『レミスト』家の・・・

いえ、私達ウェイド先生を慕ってきた人たちの生き残りの宿願。」

 そして布が取り払われると出てきたのは・・・。

 「それは!?」

 「まさか・・・嘘でしょう!!」

 ノクトとティルファーがそれを見て驚いていた。

 何せそれは・・・。

 白い短剣型の・・・ソードデバイス、神装機竜特有のソードデバイスなのだ。

 そしてサニアは短剣を抜いて大声をあげてこう言った。

 「私達家族を死に追いやった偽善者を殺すためよ!!」

 そして短剣に付けられているボタンを押してこう詠唱した。

 「交われ、眠りにつきし海竜よ。水と大地の力を交わらしてその命を搦めとれ!

 《スパイダー・シャーク》」

 その瞬間にサニアの後ろからあるものが現れた。

 それは・・・。

 「何です、あれは」

 「・・・化け物?」

 ノクトとティルファーがそう言って見たそれは・・・

 八本の鋭い爪のような鰭と魚のような尻尾を持った・・・八つ目の竜が

そこにいた。

 その後にサニアの背後には白の爪のような鋭利な刃物が肩に装着された

《ドレイク》系がそこにいた。

 「コネクト・オン」

 サニアがそう言って装着して纏った。

 黒の髪と肌を持つ彼女と白の神装機竜。

 相反する二つがまるで調和するかのようにそこにいた。

   

 

 

 

 

 イイイイイ!!

 

 

 

 

 

 「この音は!?」

 アイリはその音を聞いてそれを思い出した。

 一定時間の間だけアビスを自由に操ることが出来る笛「角笛」を。

 そうこうする中ノクトとティルファーも機竜を召喚した。

 そしてサニアはアイリを見た後こう言った。

 「貴方は隠れてなさい。・・・危ないわよ。」

 「・・・へ?」

 サニアのある表情を見てアイリはなんでだと思っていた。

 本来なら何故祖父を慕ってきたと言う女性が何故こんな暴挙に

及ぼうとしたのか?

 それを聞きたかったのだ。

 だがノクトとティルファーもアイリに下がるように言ってアイリは下がると

サニアはノクトとティルファーを見てこう言った。

 「さてと・・・この機体の慣らしも兼ねて、暴れさせてもらうわ。」

 そう言ってサニアは少しギザギザになったブレードを出して

ノクトとティルファー目掛けて突っ込んだ。

 

 

 

 

 

 そんな中アイリは図書館から離れながらある事を思い出していた。

 それはサニアが自信に向けたあの顔。

 「(何で?何で貴方はあのような・・・顔をしていたんですか!?)」 

 その時に見た顔はまるで・・・嘗て兄が自信に見せたような心配しないでと

言う時の笑顔と似ていたからだ。




 果たしてどうなるか・・・次回へと続く!!


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決闘は割り込みがよくある。

 一対一って言いながら必ず割込みってあるよな。


 ところ変わって演習場ではと言うと・・・最早演習場は戦場になっていた。

 ルクス対セリスティアの頂上決戦と言うこれまで『シヴァレス』の

誰もが見たかったものが見れるのだがもう演習では済まなくなっていた。

 「・・・もうここ使えねえだろうな。」

 そう思いながら透流はその戦いを食い入るように見ていた。

 「《竜咬爆火(バイティング・フレア)》」

 フィルフィが纏っている《テュポーン》の右腕が赤く輝き始めた。

 《テュポーン》の特殊武装の一つであり、それに掴まれた物体は

エネルギーを無理やり送り込まれて爆破されるというこの娘にしては

残忍な能力である。

 然もそれをフィルフィは演習場の地面にぶつけて火山の爆発のようにして

急ごしらえの煙幕にして全身に装備されている《パイル・アンカー》を

セリスティア目掛けて射出した。

 然しセリスティアはそれを《ライトニングランス》で弾いた後

セリスティアはダガーを投擲するもフィルフィはそれを掴みながら反転して

投げ返した。

 「・・・くっ!!」

 セリスティアは何やら舌打ちした後にそれらを飛行して回避した。

 然しフィルフィは《パイル・アンカー》を地面に向けて射出した途端に

弾かれるように空へ飛び、セリスティア目掛けて殴りかかるもセリスティアはそれを《ライトニングランス》で弾いた。

 そしてフィルフィはもう一度《パイル・アンカー》を使って縦横無尽に

空を駆けた。

 今のところ五分五分のように見えるがセリスティアはある事を考えていた。

 それは・・・。

 「(何故神装が発動しないのです!?)」

 そう、今のセリスティアは《リンドヴルム》の神装が使えないのだ。

 まあその理由は・・・分かっているのだけどね。

「ヒィイイイイイイイイイ!!」

 「オラオラオラ!!まだまだ逝くぞーー!!」

 「字が違うーー!!」

 シャリスをフルボッコしているルクスのせいである。

 今のルクスの機竜《ギャラクシーアイズ》の

神装《フォトン・ディブリベーション》の効果で《リンドヴルム》の神装と

それに使われるエネルギーは《ギャラクシーアイズ》に付与されているのだ。

 それによりこれまで回避と奇襲にこそ適していた《ディバイン・ゲート》が

使えなくなってしまったのだ。

 まあそんな中でフィルフィとやりあえるだけ結構強いのだが。

 そして・・・。

 ズドーーンと言う音とともに巨大な土煙が立ちこんでいた。

 そこから現れたのは・・・。

 「・・・キュ~~~。」

 ボロボロの《ワイバーン》を纏ったシャリス(殺してないし五体満足です)が

そこにいた。

 そしてライグリィ教官が医療班を引き連れてシャリスを連れて行った。

 更に・・・。

 「はあ・・・はあ・・・はーっ。」

 フィルフィの《テュポーン》も強制解除された。

 本人の体力が限界に達したことによる強制解除でありこれも失格となる。

 「はあ・・・はあ・・・ごめん、ね・・・ルーちゃん。」

 「大丈夫だよ、フィルフィ。」

 ルクスはフィルフィを支えるようにして扉にへと向かった。

 今の彼女は全身汗だくで息を切らしていた。

 フィルフィは開始直後からセリスティア相手に戦っていたが結局決定打を

与えられなかった。

 どうやら本当にリーズシャルテとクルルシファーに対しては本気を

出していなかったのであろうがそれがクルルシファーの一撃を喰らうという

結果となったのだ。

 然しフィルフィのおかげでセリスティアの槍裁きを完璧に覚えた。

 これまでパソコンから見た映像を何度も何度も見続け、観察したことで

成しえたのだ。

 「・・・何故ですか?」

 「・・・は?」

 セリスティアはルクスに何かを聞こうとしていた。

 今まさに互いにパートナーが撤退し、一騎打ちと言う状況になったところで

聞こうとするとなるととルクスはこう考えていた。

 「(・・・如何やら余裕がなくなっているようだな。)」

 そう思っていたが大体合っていた。

 現在のセリスティアの武装は《リンドヴルム》の固有武装以外

全部使用出来なくなってしまったからだ。

 するとセリスティアはこう聞いた。

 「何故貴方は戦うのですか?男性社会の再興ですか?それとも貴族子女達が集うこの学園で功績を上げ、この国に関わろうとしているのですか??

嘗てこの国を支配した、旧帝国の生き残りとしてー」

 セリスティアはいつも通り超然とした・・・どこか迷いがありそうな声で

そう聞いた。

 「答えてください。ルクス、貴方は」

 「阿保らしい。」

 「・・・は?」

 セリスティアはルクスの答えに目が点となってしまった。

 然しルクスはこう続けた。

 「男性社会の再興?男女平等になっているこのご時世に

そんな原始時代的な思想を振りかざす事しませんよ。」

 「功績を上げてこの国に関わる?そんな面倒くさい事

こっちからお断りですよ。」

 ただでさえ関わってんのにこれ以上はごめんだねと心の中でそう思っていた。

 そしてこう言った。

 「・・・僕は嘗て正しいと思っていた道が間違っていたって気づかされた時があったんです。」

 「・・・・」

 「どうするべきだったのか、あの時こうすれば良かったんじゃないかと

思った時なんて両手の指ですら足りない程考えてましたよ。」

 「けど・・・ある人がこう言ったんだ。」

 

 

 

 

 

 『過去は過去、変えられないことはあるけれどね・・・

未来なら希望はあるよ。』

 

 

 

 

 

 

 嘗て小春おばあちゃんがルクスに言った言葉である。

 過去を振り向いても変えられないのならそれを未来に向けて生かせれば良いんじゃないかとそう言ったのだ。

 「それを聞いた後僕の中で何かがストンと落ちたんです。

たったそれだけなんですけどね。」

 「・・・・」

 ハハハと笑っているが未だセリスティアは無言であった。

 「まあ戦う理由があるとしたら・・・これかな。」

 「何です?」

 セリスティアはルクスの言葉に何かと思った。

 そして出た言葉は・・・。

 「・・・僕って・・・弟がいたんです。」

 「弟さん・・・ですか?」

 「あ!っと言っても血の繋がりがないんですけどね。」

 「それでも僕にとってはあの家族は僕にとってもう一つの家族だったんです。」

 「その弟分は何時も出来ないことをやろうとして失敗するんですよ。

それも何度も。」

 そう言いながら笑っていたがルクスの顔はまるで自慢の家族話をするかのようであった。

 「けどそれでも諦めるって事しなかったんですよ。何でだか分かりますか?」

 「・・・いえ」

 「『かっとビング』」

 「何です?その言葉は」

 セリスティアはルクスの聞きなれない言葉に何だと聞くとルクスはこう答えた。

 「諦めずに前を向いて自分を貫き通すと言う言葉です。」

 「だから僕は諦めたくないんです。もし諦めたら・・・たぶん僕は一生弟と、

会えないような・・・そんな気持ちがするんです。」

 だからと言ってルクスは《パラディン》をセリスティアに向けるとこう言った。

 「さてと・・・時間はあと3分だからさ、・・・決着を付けましょうよ」

 「・・・良いでしょう。」

 ルクスの言葉にセリスティアは《ライトニングランス》を向けた。

 本来なら《スターライト・ゼロ》なのだがあれはチャージに

時間がかかるだけではなく隙も生まれるため《ライトニングランス》しか

ないのだ。

 「勝負です。『ルクス・アーカディア』!!」

 「ああ・・・『セリスティア・ラルグリス』!!」

 すると《ライトニングランス》が電流を発し始め、《パラディン》は青白く

輝いていた。

 お互いが自分の武器にエネルギーを蓄積させて攻撃しようとした次の瞬間・・。

 「---グ、ォォォォォオオォォォォォォォォン!」

 突如異形の鳴き声のようなのが響き渡った。

 すると同時に凄まじい地鳴りと共に、演習場と観客席がガタガタと揺れ始めた。

 「え、何?」

 「何なのこれ!?」

 周りの女生徒が何事だと思っていた中透流はこれはやばいと思っていた。

 「地震!!!」

 然しそれは違っていた。

 ゴバァ!!と数十の触手が柱のように一斉に這い出てきた。

 「な・・・何だこりゃ嗚呼!!」

 ルクスはそう言いながら飛翔した。

 そして上空に着くとそれが明らかになった。

 「おいおい・・・まさかあれって」

 それは海中に現れると聞く烏賊型のアビス「クラーケン」に似ているが

それよりも巨大で禍々しい存在、・・・それこそ

 「『ラグナレク』かよ!!」

 七体しかいないと言われる伝説のアビス『ラグナレク』であった。




 次回はおそらく『ラグナレク』だと思います。


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『ラグナレク』戦開始。

 化け物は全てを破壊する。


「理事長!王都から緊急伝令です!!」

 理事長に若い書記官らしき男性が扉をぶち破るかのように突っ込むも

レリィはその男性に対してこう言った。

 「ええと、緊急伝令って・・・もしかしてあれ関係?」

 そう言いながらレリィは窓の向こうにある演習場に指さすと男はそれを見て・・・こう言った。

 「ア・・・ハイ、ソノトオリデス。」

 口をあんぐりと開けてそう言うとレリィはその男性が持っている資料を

奪うかのように取るとこう命令した。

 「早速で悪いけど一番街区の住民の避難と各街区と遺跡にあるドラグナイトの

救援要請を発信してくれるかしら?」

 そう言いながら上着を脱ぎながら扉に手をかけようとすると・・・

また来客が来た。

 「緊急伝令です!クロスフィードの各街区において所属不明のドラグナイト部隊が多数出現!!全機はそれぞれここに集まってくるようです!!!」

 「また!・・・ああもうわかったわ!!各街区にいるドラグナイトにそれの相手をさせるように伝えておいて!!」

 そう言った後レリィは手をたたいてこう言った。

 「ほらほら!!さっさと動きなさい!!」

 それを聞いて二人は急いで部屋に出た後レリィは持っていた資料を歩きながら

読んでいた。

 「《『ラグナレク』は石のまま崩れ去った。》・・・成程、擬態とはねえ。・・・それにしても」

 そう言いながらレリィはその資料をクシャっと握りしめてこう言った。

 「・・・やってくれるじゃない、ヘイブルグ共和国」

 

 

 

 

 

 

 

 「おいおい・・・マジかよ。」

 ルクスは演習場上空でそれを見ながら頭を描いていた。

 正しくあの巨大さから『ラグナレク』だと推測してもいいだろうと思っていた。

 「まさかあれが・・・『ラグナレク』」

 そして少し離れた所でセリスティアがそう言っていた。

 「(ヘイブルグ共和国からの情報によれば目覚めるのはもう少し先・・・

あいつ等!ガセ情報を攫ませやがったな!!)」

 ルクスは頭の中でヘイブルグ共和国の策略をこう読んでいた。

 「(おそらく目的は僕らを疲弊させて遺跡調査権を多く取ろうとする

算段何だろうがやることが屑だなおい!!)」

 まあ少し漏れがあるのだが大体は合っているのであろう。

 だが本来『クラーケン』型のような海洋生物系のアビスは海中を主戦場に

しているにも関わらず、あれ程の力を出していることからやはりと言うべきで

あろう。

 現に余力のあるドラグライドを纏っていた生徒たちも観客席にいる生徒を

守るために応戦しているが『ラグナレク』の持つ数百本の触手は

ブレードやキャノンを器用にとってまるで見せびらかすかのように破壊していた。

 それを見ていた生徒達は戦意を喪失していた。

 「ちょっと・・・こんな奴がいるなんて聞いてないわよ!!」

 「何ですの!?このアビスは!!?・・私達じゃとても」

 「た、助けて!『シヴァレス』でも、誰でもいいから助けてよーー!!」

 最早外聞も関係なく大声でそう泣き叫んでいた。

 本来ならここにいるべき『シヴァレス』のメンバーの殆どがこの場にいないためライグリィ教官達が指示を出しながら奮戦していた。

 だが少しずつ減らされていく生徒に対して触手はどんどん増えていく

一方であり・・・。

 「きゃあアアアアアアア!!」

 一人の生徒が触手に絡めとられていた。

 「助けてーー!!」

 そしてそのまま上に向かおうとしたその時に・・・それが現れた。

 「うおおおおお!!」

 大声と同時に触手が切り捨てられたのだ。

 そして少女を助けたのは・・・。

 「大丈夫か!?」

 透流であった。

 『ワイアーム』を身に纏っていた透流は少女を座席に座らせた後にまた触手が

出てきたが・・・。

 「油断大敵ですよ。」

 クランリーゼが『ワイバーン』を纏ってそう言っていた。

 「二人とも!!」

 ルクスは二人を見て下に降りると怒鳴るように言うがああもうと頭を掻きながらこう言った。

 「今すぐ二人は逃げ遅れている人達の避難!それと危ないことはしない!!」

 分かったねと言って直ぐにルクスは『ラグナレク』を見ていた。

 するとクランリーゼがルクスにあることを言った。

 「ルクスさん。あれはおそらく第三遺跡『箱舟(アーク)』の

『ラグナレク』です。あれを倒せば『アーク』を停止させることが出来る

『グランフォース・コア』を手に入れることが出来ます。」

 「・・・そのためにはあれを倒さなくちゃいけないってかよ。」

 ルクスはクランリーゼの説明を聞いてどんな無茶ゲーだよと思いながら

どう倒そうかと考えていた。

 すると・・・ドオン!!と言う爆音が鳴り響いた。

 「何だ!?」

 透流は何事だと思っていると『竜声』で通信が来た。

 〈ルクスか!?〉

 「リーズシャルテ様!!って一体何で機竜からって・・・まさか!?」

 〈ああ、そのまさかだ。今から私とクルルシファーは爆発のあった場所に

『ワイバーン』と『ワイアーム』で向かっている!!〉

 「クルルシファーさんもかよってアンタら未だ怪我が!!」

 〈そう言うこと言ってられないわよ。ルクス君。〉

 ルクスは通信の向こう側でリーズシャルテと一緒にいるであろうクルルシファーからもこう言った。

 〈遠目から見たけど如何やら反乱軍とは違うようよ。〉

 「・・・どういう事です?」

 ルクスはクルルシファーの言葉から何故かと聞くとクルルシファーは

こう答えた。

 〈まず第一に統制がなってないわ。旧帝国の軍人だとしても最低限の統制は

されているはずよ。〉

 〈第二に機竜の機体の色がバラバラであること。旧帝国なら全機灰色で

統一されているはずなのにこの部隊は全員違う色であること。

これから導き出される答えは一つ〉

 「・・・傭兵。」

 〈その通りだ。だから我々は奴らを出来るだけ足止めしておくから・・・早めに奴をぶっ潰せ!!〉

 そしてリーズシャルテの言葉と同時に通信が途切れた。

 恐らく接敵して交戦状態に入ったのであろう。

 そしてルクスは透流とクランリーゼにあることを言った。

 「・・・二人はここが終わったら戦闘域にいる非戦闘員を非難させて。」

 任せるよと言うと透流とクランリーゼが揃ってこう返事した。

 「「はい!!」」

 そして二人は別々に向かった。

 そしてルクスも戦いの準備をしている中あることを思いついた。

 そしてセリスティアを見たルクスは真剣な表情で「竜声」をかけた。

 

 

 

 

 

 

 「?どちらですか」

 〈僕です。セリスティア先輩〉

 「!!・・・『ルクス・アーカディア』、何の用でしょうか?

私はこれから一人で」

 〈ちょっと作戦を立てたので幾つか聞きたいことがあって。〉

 「・・・何でしょうか??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〈出来ますか?〉

 「・・・それなら心配ご無用ですがあれは時間が」

 〈だから僕が引き付けておきますのでよろしくお願いします。〉

 「その計画には異議を」

 〈それじゃあタイミングは追って伝えるのでそれじゃあ〉

 「ちょ!待って」

 セリスティアが何か言いかけた途端にルクスは「竜声」を切った。

 そしてセリスティアはルクスの方を見てこう言った。

 「・・・何で貴方達一族は・・・何時も・・・私を。」

 その時のセリスティアの声は・・・震えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 「さてと・・・」

 ルクスは無理やり「竜声」を切った後武装を構えて『ラグナレク』向けて

こう言った。

 「よう!煮ても焼いても揚げても食えねえ化け物が!」

 それを聞いたのかどうか分からないが『ラグナレク』がルクスの方を向けると

ルクスはこう言った。

 「ちょいとダンスを踊ってもらうが・・・荒っぽいから付いてこいや!!」

 そう言うと《ギャラクシーアイズ》の装甲から光が幾つも漏れ出しながら

相手をしようとする中ルクスはあることを考えていた。

 それは・・・。

 「(フィーちゃん。無事だと良いけどな。)」

 そう思いながらもルクスは『ラグナレク』目掛けて突撃した。




 次回は透流らへんだと思います。


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ポセイドン戦・・・その1

 透流の戦いとルクスとセリスティアの共闘です。


「クックックッ!流石は新王国のお嬢様たちが集まっている士官学校だぜ。中々の上玉ぞろいだぜ!!」

 「な、何なんですの貴方達は!?一体何やってるのですか!?」

 「い、今は巨大なアビスが近くにいるんですよ!ふざけてる場合ですか!!」

 「ハハハ!ありゃクライアントが動かしてるやつさ!俺達には害はねえよ!?」

 武装も塗装も全て違うドラグナイトに搭乗している傭兵の一人が仲間を使って演習場に向かっていた二年生の二人組を囲んだ後にそう言っている男性がそう言うと周りにいた部下らしきドラグライドがこう聞いた。

 「隊長、こんな所で寄り道していると後で『ケルベロス』の連中に

どやされますよ?」

 そう聞くと男はこう答えた。

 「構うもんか、普段は危険な仕事をしているんだぜ?俺たちは探し物の途中で

こいつ等と交戦して捕虜にしたって言えば大丈夫だよ、こういう連中は身代金とか色々といい方法があるんだぜ」

 そう言いながら下なめずりする男を見て女生徒二人は顔を青くしていると・・・

 「おらああ!」

 何処からか撃ってきたブレスガンに当たったのだ。

 「ぐお!」

 「何だ!?」

 男たちは何事だと思って撃ってきた方向を見ると・・。

 「今だ!クランリーゼさん!!」

 「了解しました。」

 透流が搭乗している《ワイアーム》がブレスガンを撃っているなかクランリーゼが《ワイバーン》で二人を救出した。

 「救出完了」

 「させるかよ!?」

 クランリーゼ目掛けてブレスガンを展開した男性はクランリーゼに照準を

合わせようとすると・・。

 「させるか!!」

 透流が搭乗する《ワイアーム》はブレードを出してそのまま体当たりをして射線を逸らした。

 「透流さん」

 「クランリーゼさんは二人を!ここは俺が!!」

 「ですが」

 「早く!!」

 透流はクランリーゼを女生徒達と一緒に避難させるように言ったのだ。

 そしてクランリーゼは口を引き絞るように立ち去った。

 男たちの一人が透流に向けてこう言った。

 「ガキィ・・・覚悟出来てんだろうなあ。」

 男は怒りながらそう言うと透流はこう返した。

 「はっ!正々堂々と何もできねえおっさんがよく言うな。」

 それを聞いた男はこう言った。

 「手前・・・ぶっ殺してやる!!」

 「やってみろよ!!」

 透流はそう言いながらこう思っていた。

 「(多分俺が足止めできるのは良くても2、3分って所かもな・・・

何とかするさ!!)」

 そう思いながら透流はブレードとブレスガンを構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、演習場では・・・。

 「ッグォォォォォオオオオ!!」

 「喧しいな!この化け物が!!」

 ルクスは『ラグナレク』に向かってそう言いながら攻撃していた。

 ルクスは『ラグナレク』の周りにある触手を一気に何本もたた斬っているが・・・。

 「クソが!斬った場所から再生しやがる!!」

 斬った場所から触手は再生していき、その速度も速かった。

 傍から見てもこれは時間稼ぎである。

 それが何度か繰り返す中「竜声」でセリスティアから通信が来た。

 《「ルクス・アーカディア」、下がってください》

 セリスティアの声を聴いたルクスはすぐさまにに触手の範囲外から

脱出すると・・・《リンドヴルム》の肩に搭載されているキャノンが火を噴いた。

 「《スターライト・ゼロ》」

 そして発射された光弾はそのまま『ラグナレク』のすぐ手前で・・・爆発した。

 「ギィイイイアアアアアアアアアア!!」

 『ラグナレク』の断末魔と同時に表皮は焼き焦げて核が露わになったその時・・ルクスとセリスティアは同時に突き刺した。

 そしてそのまま『ラグナレク』は倒れてしまった。

 それを確認したルクスはふうとため息ついて力を抜かした。

 その後にクランリーゼから「竜声」でこう聞いた。

 〈今透流さんが一人でドラグライドとやりあっていますので救援を!〉

 「!!・・・分かった!こっちは」

 

 

 

 

 

 

 

 「未だ終わっていないぞ。」

 

 

 

 

 

 

 「「!!」」

 ルクスとセリスティアは声がする方向を見るとそこにいたのは・・・。

 「・・・サニア」

 「ええそうです。セリスティアお姉さま。」

 サニア・レミストがそこにいた。

 自身の機竜「スパイダー・シャーク」と一緒に・・・。

 「・・・何のつもりです?それにその機竜は一体」

 セリスティアがサニア・レミストに何だそれはと聞くとサニア・レミストはこう答えた。

 「ああ、これこそ私の機竜です。ですが・・・」

 サニア・レミストはルクスの方を見た後にセリスティアを見てこう言った。

 「成程。あの男嫌いで有名な不器用で弱虫なセリスティアお姉さまが

まさか共闘とは驚きですね。」

 サニア・レミストはそう言いながらあざける中ルクスはサニア・レミストに

あることを聞いた。

 それは・・・。

 「おい、何でこの人のことがわかるんだ。」

 正直なところセリスティアが不器用であることを知っているのは恐らく

ルクスだけなのだ。

 なのに何でサニア・レミストも知っているのかと聞くとサニア・レミストは

ルクスの方を見て・・・頭を下げてこう言った。

 「申し訳ありませんが「ルクス・ロードベルト」。それはお答えできません。」

 「・・・何で祖父の名字で言うんだ?」

 ルクスは何故と聞くとサニア・レミストはこう返した。

 「それは貴方の祖父が我ら『国内革命派』の旗頭であると同時に・・・

私の教師であったからです。」

 「!!!」

 「サニア!それはどういう意味で」

 「お前には関係ない!人殺しが!!」

 ルクスはサニアの言葉を聞いて驚く中セリスティアは何のことだと

問いただそうとするとサニアはまるで汚らわしいものを見るようにそう言った。

 「・・・失礼、お言葉についてですがそれは後でゆるりとお話いたしましょう」

 サニアは息を整えてからルクスにそう言うと・・・

 ピィイイイイイ!!

 「この音は!」

 「あの時の!?」

 ルクスとセリスティアはその音を聞いて身構えた瞬間に・・・それは起きた。

 「グ・・・・ヴァアアアアアアアアアアア!!」

 一度は完全に沈黙した『ラグナレク』が絶叫を上げながら蘇ったのだ。

 それはセリスティアと出かけた日に遭遇した「キマイラ」と

同様の現象であった。

 するとサニアは腰からまるで鋸の様に鋭く大きな刃を持ったブレードを持って

セリスティアに向けてこう言った。

 「・・・その女を黙らせた後、男に犯される所を見ながらゆっくりと。」

 その時にサニアが見せた瞳は・・・。

 まるで恨みを前面に出すかのような表情であった。




 次回はその2で。


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ポセイドン戦その2

 神装機竜《スパイダー・シャーク》
 種類 特装機竜
 見た目は「機動戦士クロスボーンガンダム」に出てくるクロスボーンガンダムと「機動戦士ガンダム00」に出てくるスローネアインを足した感じ。
 本機の特徴はオールレンジでの攻撃が主目的となっており主に強硬偵察や暗殺に
秀でた能力を持っている。
 神装《リベンジ・アップ》
 一度機竜のシステムが停止すると他の機竜のパーツを取り込んで
もう一度戦うことが出来るがそれをするともう一度倒されると使えなくなる。
 武装
    《ディープファング》
    蛇腹剣上の武器
    主に近中距離用の武器である。
    《コアディグレーション》
    肩とブレスガンに装備されている。
    着弾した箇所が凝固するため行動停止に追い込むことが出来る
    《ブラッドテイル》
    肩部に搭載されている有線兵器
    ドラグライドの意志によって動くためリーズシャルテの《ティアマト》が持つ《レギオン》よりも行動範囲は狭いがその分相手を締め上げることが出来る。


「おいおい・・・このガキ、未だやる気かよ。」

 「・・・当たり・・・・前だ。」

 傭兵の男の一人がそういう中透流はボロボロになりながらもそういった。

 《ワイアーム》の右腕は既に破壊され、体の幾つもが傷だらけであった。

 それでも透流はここを通させないという意地だけで踏みとどまっていた。

 「なあよ、もう降伏しな。今なら痛い目合わずに済むぜえ。」

 傭兵の男が頭を掻きながら笑ってそう言っていたが透流はそれでもこう言った。

 「ふざけろ・・・手前らみてえな奴らに降伏何て・・・死んでも御免だ!!」

 そう言うと傭兵の男はブレードを構えてこう言った。

 「それじゃあ・・・死にな。」

 そう言ってブレードを振り上げながら透流に迫っていった。

 それを見ていた透流はまるでスローモーションを見ているような感じで

そう思っていた。

 「(御免な、音羽・・・兄ちゃん、・・・お前が守ったもの・・・

守れなかった。)」

 そう思いながら目を瞑ると・・・何処からか声が聞こえた。

 『かっとビングだ!!俺ーー!!』

 「『かっとビング』それは勇気を出して一歩踏み出してどんなピンチでも諦めずにチャレンジすること。」

 「!!」

 透流は嘗てルクスがそう言ったことを思い出した途端にもう一つの事を

思い出した。

 それは彼女たちを助ける前にルクスがクランリーゼと透流に伝えた言葉

 『絶対に何があっても生きるんだよ!!』

 「そうだ・・・俺は・・・死ぬわけにはいかないんだ!!」

 「死ねえ----!!!!」

 そう言った瞬間に傭兵の男がブレードを振り下ろしたその時に・・・

それは起こった。

 「!」

 「なあ!!」

 それは透流の目の前でブレードが何かの光の膜に覆われていたのだ。

 そしてブレードが弾かれたその時に透流が持っていたブレードが黄色に輝き、

それを振りかざした。

「うわあああああ!!」

 「があああああ!!」

 透流が振り下ろしたブレードはそのまま傭兵の男に直撃し、機竜が大破した。

 「な・・・・なあ!!」

 「嘘だろ!?」

 「何だよ、あれ!!??」

 他の傭兵の男達が何だあれと思っていると一人がこう言った。

 「慌てるな!所詮は一人だ。囲い込んで殺すぞ!!」

 そう言うと全員が透流を囲い込むように陣を敷いた。

 「・・・絶対絶命・・・かな」

 そう言いながら透流はブレードを構えてこう言った。

 「そら来いよ・・・一人二人ぐらいはぶっ倒してやらあ!!」

 「やっちまえ!!」

 透流が男たちに向かって自滅覚悟でそう言ったその時に・・・攻撃が来た。

 傭兵の男たちに向かって。

 「「「「「うわあああああ!!」」」」」

 「な・・・何だ」

 透流はそれを見て何事だと思って見てみるとそこには・・・。

 

 

 

 

 

 

 「間に合ったようだよ。フィルフィ嬢」

 「透流君・・・頑張った」

 

 

 

 

 

 

 

 シャリスとフィルフィが機竜に搭乗しながらそう言った。

 フィルフィは《テュポーン》を、シャリスは《ドレイク》を纏っていた。

 そしてシャリスは透流を見てこう言った。

 「後は私達がやろう。フィルフィ嬢も下がると」

 「良い。元気になった」

 シャリスとフィルフィがそう言うところを見た透流はと言うと・・・。

 「・・・・あはははは」

 最早笑うことしかできなかった。

 然し・・・。

 何処からか笛の音が聞こえた瞬間に地鳴りが鳴り響いた。

 「な・・・何だあ!!」

 透流はまたかよと思っている中フィルフィはこう言った。

 「・・・また笛の音」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・その女を黙らせた後、男に犯される所を見ながらゆっくりと。」

 そう言いながらサニアは鋸型ブレード《ディープファング》を構えて

セリスティア目掛けて向かった。

 「くっ!!」

 セリスティアはそれを受け止め、電流を流そうとしたその時、ブレードが

バラバラになって鞭のように《ライトニングランス》を搦めとった。

 「!!」

 「はあ!!」

 サニアは《ライトニングランス》を弾き飛ばすともう片方の手からブレスガンを出した。

 「きゃ!」

 それが着弾するとそこから粘質性の何かが《リンドヴルム》の右腕の関節部分に纏わりついた。

 そして着弾した箇所が動かなくなった。

 「これは一体!?」

 セリスティアは何だと思っているとサニアはそれを見てこう説明した。

 「対象が着弾した箇所から特殊な液体が空気中で凝固して動かなくさせる・・・それがこの《スパイダー・シャーク》の特殊武装《コアグレーションネット》」

 「そしてこのブレードは分裂して蛇腹剣として活用できる

《ディープファング》」

 お味はいかがですかとサニアはセリスティアを見下げるようにそう言うと

セリスティアはサニアにある事を聞いた。

 「一つお聞きしてよろしいでしょうか?」

 「何です?」

 「貴方は一体・・・・何者なんですか?」

 そう聞くとサニアはこう答えた。

 「私はあるお方にお世話させてもらった今はヘイブルグ共和国のスパイです。」

 「!!・・・やっぱりかよって危な!!」

 ルクスはサニアの言葉を聞きながら『ラグナレク』と戦っていた。

 どうもこの現状はヘイブルグ共和国からすれば美味しい展開だなと思いながら

聞いていた。

 するとセリスティアはこう聞いた。

 「貴方は私を『人殺し』と言いました。ウェイド先生の教えを仰いだのでしたら貴方が自分で何やっているのか分かって!」

 セリスティアが何か言う前にサニアは肩部に搭載されている有線投擲兵器

《ブラッドテイル》でセリスティアにぶつけて弾き飛ばしたのだ。

 「ぐ・・・ぐう」

 セリスティアは弾き飛ばされながらもサニアを見てこう言った。

 「嘘だったんですね・・・子供の時の・・・男に・・・酷い仕打ちを・・・

受けたことも・・・全て」

 そう聞いたサニアはセリスティアを見て・・・憤怒の表情でこう言った。

 「酷い仕打ちだ・・・貴様がほざくな偽善者の犯罪者が!!」

 「!!」

 セリスティアは初めて見たサニアの表情に驚くとサニアはこう言った。

 「貴様に教えてやろう。貴様の罪を・・・そして・・・」

 そう言いながらサニアは目を閉じてあの時を思い出していた。

 

 

 

 

 

 磔にされた父を

 病に倒れた母を

 同じ苦しみを持った仲間を

 そして・・・自身が師と煽ったウェイド先生の笑顔を。

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・私たちの怒りと絶望をな。」




 それは語られない過去
 封じられた・・・悪意無き善意が生んだ悲劇


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悲しき過去。

 例え善意であっても・・・それが正しいわけではない。


「私の家は下級貴族で民間人よりもやや裕福である程度の家庭だった。」

 「だけど父は軍人として、一人の人間として民に慕われていた。」

 「そして私もそんな父に憧れと尊敬の念を抱いていた。」

 「そんな中で私はある人に出会ったのだ。分かるよな?セリスティア」

 サニアは昔話をする中セリスティアに誰なのかを聞いた。

 そしてセリスティアが答えた人の名前は・・・。

 「ウェイド先生・・・ですね。」

 「そうだ。父の恩師でもあり私にとっても先生と慕っていた。」

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・8年前

 

 

 

 

 

 幼かったサニアは父に連れられてあるところにへと向かった。

 そこは・・・。

 「・・・であるからして、この様に陣形が整っている場合」

 誰かが講義をしている最中であった。

 その部屋にいるのは全員真面目に授業を受けていた。

 そして講義しているのは白髪交じりの銀髪の初老の男性であった。

 サニアの父はその男性に挨拶した後男性はサニアを見てこう聞いた。

 「君がリールの娘だね?」

 「あ、はい!○○○と言います!」

 「親ばかでしょうが娘は特別可愛いものでしてつい」

 「ハハハ、親は皆子供が可愛いものですよ。特に娘はね」

 お互い世間話しながら男性はサニアの頭を優しく撫でた。

 「父さん。この人は?」

 「ああ、紹介しよう。この人はね」

 「・・・『ウェイド・ロードベルト』。私の先生だよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そこから私は時間の合間を縫ってウェイド先生から色んなことを

教えてもらった。機竜の使い方から剣技、戦術、政治、経済、色んなことを

学ばせてもらいました。」 

 サニアはまるで懐かしむかのようにそう言っていた。

 ルクスの祖父は帝国時代の王家直属の教育係であると同時に軍の教官も

兼任していたため父親なんか屁でもないくらいの支持を集めていた。

 「そんなある日ウェイド先生が教育係と教官を退けると聞いて

私はこう言ったんだ。」

 「『未だ私は貴方に何も学んでいません!!』」

 「そしたらウェイド先生はこう返したんだ。」

 「『ここからは君が私の教えをどう理解したのか知らなければならない。これは君にしか出来ないことなんだよ。』」

 「そしてウェイド先生は私にこの本を渡して去っていったよ。」

 そう言ってサニアは懐からあるものを出した。

 それは・・・。

 「!!それはウェイド先生の!?」

 「そうだ。ウェイド先生は自分から離れていく部下や弟子たちに

これを渡しているのだ。自分から卒業する祝いとしてな。」

 セリスティアも持っている本であった。

 まあ本人が持っているよりも厚みがあるが・・・。

 そしてサニアはそれを直すとこう続けた。

 「私は毎日これを読んで学ぼうと努力したよ。あらゆることに」

 サニアはそう言いながら顔を俯かせ、そして・・・悔しがるようにこう言った。

 「だが・・・あの時に全てが狂った」

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・7年前

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ウェイド先生が捕まった!?」

 サニアの父が仲間の言葉を聞いて何でだと聞くと仲間の一人がこう言った。

 「如何やら帝国の悪政を抑えようと皇帝に直訴したところ、不敬罪で

捕まったようだ。」

 「そんな!義理の父親にそんな非道を!?」

 「それどころかロードベルト一族は全員追放されただけじゃなく、

懇意にしていた人間にも取り調べをしようとしているようだ。」

 「!・・・つまり俺達も」

 「ああ・・・今すぐに家族を外国に高飛びさせろ。この間仲間が家族ごと

捕まったそうだしな。」

 仲間の言葉を聞いてサニアの父は直ぐに家路につき、サニアに向けて

こう言った。

 「○○○!!荷物を持って準備しなさい」

 「父さん。どうしたの?」

 「良いから早く!裏町に行くんだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 「あの時は私も訳が分からなかったが父は予め仲間の家族を避難させる場所を

設けていたんだ。」

 「そして私は母と逃げた。」

 「家族たちと合流して暫く経ったあの日・・・全てが壊れた!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どこからか軍人の声が聞こえた。

 「この者たちは我がアーカディア帝国を転覆させようとした逆賊たちである!よってこの者たちを処刑するものとする!!」

 そう言って柱に括りつけられた人間たちがそこにいた。

 何十人もいる中そこにはサニアの父もいた。

 「父さん!!」

 民衆の中サニアは大声でそう言うと聞こえたのかサニアの父はサニアを見て・・ニコリと優しく笑ってくれた。

 そして軍人が機竜のブレードを構えると・・・そのまま・・・斬り付けた。

 それを見たサニアは一瞬の間を開け・・・悲鳴を上げた。

 「イヤアアアアアアアア!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あの後私たちは帝国を離れてヘイブルグ共和国に向かったよ。」

 「だがその道中にもアビスや野盗、そして病が私達を襲ったよ。」

 「そしてその最中で・・・母は病気で死んだ。」

 「!!」

 「私は訳も分からず歩いてヘイブルグ共和国に辿り着いても私たちは

帝国の人間だ。まともな職にも付けず、残飯を荒らし、強盗をし、・・・

体を売って身銭を稼ぐしかなかった。」

 「ア‥‥アアアア」

 セリスティアはサニアの言葉を聞いて顔を青くし始めたがサニアはこう続けた。

 「そんな中である人が私に訪ねてきたよ。」

 

 

 

 

 

 

 ・・・4年前

 「アンタが元帝国民間人かい?」

 サニアがいる売春宿で全身をローブで着こんだ人間がそこにいた。

 「・・・そうだけどそれが何?冷やかしなら営業妨害よ。」

 サニアはそう言って部屋から出ようとすると・・・ローブの人間はこう言った。

 「・・・父親が何で死んだのか聞きたくねえか?」

 「!」

 サニアはそれを聞いて歩みを止めた。

 そして振り向くとサニアはこう聞いた。

 「・・・何を知ってるの?」

 するとローブの人間は中でニヤリと笑いながらこう言った。

 「・・・全てさ」

 そしてそのローブの人間は全てを話した。

 ウェイドがあの後ラルグリス家の長女の家庭教師になったこと。

 その長女がウェイドに帝国の闇を話したこと。

 そしてウェイドはそれにより投獄され、父親達が死刑になった後に獄中で

死んだこと。

 そのウェイドの娘も追放された後崖から転落して死んだこと。

 帝国が滅んだこと。

 その長女は今でも明るい世界で生きていること。

 ウェイドの孫は国から当てられた借金返済の為に働かされていること。

 それらを全て知ったサニアは頭を抱えながらこう思っていた。

 「(ウェイド先生はその女のせいで死んだの?父さんも・・・母さんも・・・皆・・・)」

 「(何で・・・何で・・・なんでナンデナンデナンデナンデナンデ

ナンデ!!)」

 「アンタ復讐したくないか?」

 「!!」

 サニアはローブの人間の言葉を聞いて目を見開くとサニアはこう聞いた。

 「・・・目的は?」

 「おお、それを聞くとなると話が早えな。俺の望みはとある一族を滅ぼす事。

その為には戦力がいるんだがアンタもどうだい?」

 そう聞くとサニアはこう聞いた。

 「・・・ウェイド先生のは孫がいたはずよ?」

 「ああそいつらも殺すな。」

 「なら貴方に協力する代わりに約束して、ウェイド先生のお孫さんたちには

手を出さないで。」

 「ああ?・・・おいお前どういう意味なのか分かってんのか?」

 仇の一族だぞと言うとサニアはこう返した。

 「確かに仇かもしらない。だからこうして、私があの国に最初に潜入するわ。

そして彼らを見て旧帝国の思想を持っていたら貴方達の好きにしなさい。・・・

だけどその子たちがウェイド先生の意志を持っていたなら・・・見逃して。」

 そう言うとローブの人間頭を掻いているとこう続けた。

 「その代わり、旧帝国の信望者とコンタクトを取って貴方に

武器を売らせるように手を回すっていうのはどうかしら?」

 そう言うとローブの人間は頭の中で算盤を弾き・・・決めた。

 「良いだろう。契約成立だ」

 そう言ってお互い握手をするとサニアはこう聞いた。

 「それで・・・そいつの名前は?」

 そしてローブの人間はこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 「『セリスティア・ラルグリス』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そう貴様だ。貴様が私達の運命を壊した。」

 「アアアアアアアア・・・アアアアアアアア」

 「そして私は協力者でもあるレミスト家の養子になり、

この学園に入学して機会を伺った。」 

 「・・・どれだけこの時を待ち望んだのか分からなかった。」

 「貴様を見るたびに、声を聴くたびに、動くたびに・・・私の中にある憎しみが溢れ返りそうだった。」

 「だけど未だだ、未だだと自分で言い聞かせていた。」

 「やっとこの時が来た。」

 「・・・貴様が息をするだけでも大罪なのに何で・・・何で・・・ナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ!!お前は笑っていられるんだ!!」

 「ヒィ!!」

 セリスティアはサニアの言葉を聞いて悲鳴を上げるもこう続けた。 

 「貴様はウェイド先生を殺し!家族を殺し!!私の人生を狂わしただけでは

飽き足らずウェイド先生の娘さんを殺し!!!あの二人の未来を

グチャグチャにしてどうしてそこまで笑っていられるんだ!!!」

 「ヤメテ・・・もうヤメテ」

 セリスティアはサニアの言葉を聞いて目を覆い隠すほど俯くがサニアは

こう続けた。

 「返せ・・・返せ!私たちの幸せを!!未来を!!!夢を!!!

希望を!!!・・・家族を・・・・カエシテヨ~~。」

 サニアはとうとう泣きながらそう言った後ソードデバイスを持ってこう言った。

 「・・・今のを聞いたな」

 

 

 

 

 

 

 「・・・『ルクス・アーカディア』」

 

 

 

 

 

 

 

 「!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 セリスティアはサニアの言葉を聞いて驚いて上空を見ると・・・。

 「セリスティア・・・先輩」

 「ア‥…アアアアアアアア・・・・アアアアアアア」

 ルクスが自身を見ていることを知って全てが分かった瞬間に何かが崩れ始める

音が聞こえ始めた。

 そしてサニアはルクスの方を見てこう言った。

 「これで分かったでしょう!ウェイド先生はこの女が殺したのよ!!いえ、

ウェイド先生だけじゃないわ。多くのウェイド先生を慕っていた人間とその家族の未来を壊したのよ!!あの時この女が言わなければアディスマータ伯が

クーデターを決行した時にウェイド先生達もいればアディスマータ伯は

死んでいなかったはずよ!!!貴方達もこんな惨めな生活をしなくて済んだかも

しれない!!!こいつはアディスマータ伯をも殺した最低最悪の・・・

逆賊よ!!」

 「もうヤメテ----!!!!」

 サニアの言葉を聞いた瞬間にセリスティアは大声をあげて懇願するも

サニアはこう続けた。

 「お前は今日死ぬ。この国の為に・・・『ラグナレク』の餌となって

シネ----!!!!」

 そう言ってサニアは《ディープファング》を構えながらセリスティア目掛けて突っ込んだ。

 然し・・・その間にルクスが割り込んだ。

 「「!!」」

 二人は何故だと思っているとルクスはセリスティアを掴んでこう言った。

 「《ディバインゲート》」

 そして七色の光がルクス達を覆った。




 次回へと続く。・・・それとセリスティアファンの人達・・・スミマセンでした----!!!!


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セリスティアの心とルクスの説教。

 ルクスがセリスティアに説教たらします。


「危なかったなあ。」

 ルクスはセリスティアを助けた後《リンドヴルム》の神装《ディバインゲート》を使って『ラグナレク』の死角となっている出入り口の一角にセリスティアを

下ろした。

 この時点でセリスティアの《リンドヴルム》は機体のエネルギーを取り戻した事で機体が万全の状態となったのだが当の本人はと言うと・・・・。

 「・・・ごめんなさい。ごめんなさい。・・・・ゴメンナサイ・・・」

 ずっとこの状態であった。

 サニアが言った恐らく真実であろう言葉を聞いて心が折れてしまったようだ。

 その証拠にその瞳の色は光がなくなり虚ろになっていた。

 するとセリスティアは誰かに言っているのか分からないがこう言った。

 「私・・・言い出せません・・・でした・・・。ウェイド先生の・・・・貴方の・・・お祖父さんの・・・こと」

 「?」

 ルクスはセリスティアの言葉を聞いて何だと思っていた。

 「幼かった私は・・・偶然・・・ラルグリス家で・・・・聞いたんです。・・・

旧帝国の・・・・悪い話を・・・・。あの当時・・・・私は・・・・

深く考えずに・・・ただ・・・正しいことをと・・・・思って」

 「そしてウェイドお祖父さんに話したってところか。」

 はいとセリスティアは消え入りそうな声でそう言うとこう続けた。

 「そして・・・後はサニアが・・・・話した・・・通りです。」

 「旧帝国で行われた逮捕や処刑は追放された場所で噂交じりで聞いていたけど

まさかそう言う絡繰りだったとはな。」

 ルクスはそう言いながら頭を掻いていた。

 祖父は宮廷で何度かあったこともあるがどちらかと言えば厳しくも優しい

教師の鏡のような存在であったことを覚えていた。

 「最後に・・・先生は・・・こう言って・・・くれたんです。」

 「何て?」

 ルクスは何だと思って耳を傾けるとセリスティアは小さな声でこう言った。

 「・・・『お前は間違ってないよ』・・・と」

 それを聞いたルクスはそう言う事だなと確信した。

 「(多分ウェイドお祖父さんはセリスティア先輩がこの国を憂い、

思ってくれたんだなって確信したんだろうな。)」

 だからこそそう言ったのだなと思っているがセリスティアはこう続けた。

 「私は・・・それ以来・・・・ずっと思ってました。・・・私の・・・

せいで・・・ウェイド先生が・・・死んで・・・しまった・・・だから、・・・

私が・・・代わりに・・・正しく・・・なきゃって・・・思ったんです。・・・

新王国に・・・なって皆を守っって・・・貴方を・・・危険から・・・

遠ざけるって・・・それが私が・・・やらなければ・・・いけない事って・・・ずっと・・・そう思っていた・・・・なのに!」

 突如セリスティアが大声を上げて叫びながらこう言った。

 「なのに何も出来なかった!騙されていることに気づかず!!皆の信頼を

裏切って!!!貴方も巻き込んだどころか私は取り返しのつかない事を

してしまった!!!」

 「そいつはあのクソ親父のせいであってアンタの」

 「イイエ違います!!私がもっと旧帝国の惨状を理解しておけばウェイド先生は死なずに済んだかもしれないしアディスマータ伯も死ななかったかも

しれない!!!貴方達兄妹が母親を失わずに済んだかもしれない!!!

サニアの御両親も他の人達もみんなみんな死なずに済んだかもしれない!!!」

 そしてセリスティアはルクスの方を見るとこう言った。

 「私は!!・・・この世にいてはいけなかったのです。」

 「・・・・・・」

 ルクスは今のセリスティアを見て最悪な展開だと思っていた。

 今のセリスティアは嘗てのリーズシャルテと同じようにやったとしても

逆効果だと思っているからだ。

 するとセリスティアはルクスを見て自身のソードデバイスを差し出すとルクスに向けてこう言った。

 「ルクス・・・それで私を・・・殺してください」

 「・・・セリスティア先輩・・・」

 「私はこの世にいてはいけなかったんです・・・ですから貴方の手で・・・私を終わらしてください。」

 そしてセリスティアは装衣に触れながらこう言った。

 「それでも駄目ならこの体を好きに犯しても構いません。」

 「だから私を・・・こんな血で染まり切った私自身を・・・

終わらしてください。」

 セリスティアはそう言って目を瞑るとルクスはセリスティアにある事を聞いた。

 それは・・・。

 「アンタ、もしかして『ラグナレク』相手に一人で戦う理由はそう言う事か?」

 死ぬためにとと聞くとセリスティアはこう返した。

 「はい・・・それしか私が償える方法がm」

 セリスティアが言い終える前にルクスはいきなりセリスティアの顔を

ぶち殴った。

 「・・・かはあ」

 セリスティアはそのまま倒れるとルクスは大声でこう言った。

 「阿保言うんじゃねえよ!このアホンダラが----!!!」

 そしてルクスはセリスティアの胸倉掴んでこう言った。

 「ふざけんじゃねえぞアンタは!!」

 「死んで償うっつうのはな、只の逃げ口実なんだよ!!」

 「良いか!確かにアンタは多くの人間の人生を狂わした!!

それは真実だ!!」 

 「けどな!正しくなかったから死んでお詫びするって言うのが

ウェイドお祖父さんが喜ぶ事だって何でそう思うんだ!!ええ!!」

 「だって・・・私がウェイド先生を・・・他にも多くの人達を苦しめて」

 「ふざけんな!!ウェイドお祖父さんが何で『お前は間違ってないよ』

何て言ったのか分かるか!?」 

 「それはな!アンタがこの国を思ってくれているって分かって安心していたからなんだよ!!」

 「それをアンタは『私はこの世にいてはいけなかったんです』って

悲劇のヒロインぶってんじゃねえぞ!!」

 「私は・・・そんなこと」

 「思ってねえなって言わせねえぞ!結局アンタは死ぬことで全ての責任から

逃れようとしているだけなんだよ!!」

 「でしたら・・・でしたら私は如何やって償えばよろしいんですか!?」

 「サニアや他の人達の人生を壊した私がおめおめと生きろと言うんですか!?」

 セリスティアの言葉を聞いてルクスはこう返した。

 「ああそうだ!!アンタはウェイドお祖父さんやサニアの御両親、

そしてアンタが間接的に殺した奴らの分まで悩んで!怒って!!泣いて!!!

笑って!!!!ウェイドお祖父さんが作りたかった世界をアンタの命をもって

完成させるんだ!!!それがアンタがやるべき贖罪だ!!!!!」

 ルクスはそう言ってセリスティアの胸倉を離した後『ギャラクシーアイズ』の

中に隠していた布切れから・・・黒いソードデバイスを出した。

 「それは・・・メラグの。」

 するとルクスはそのソードデバイスを抜いてこう言った。

 「僕はね、ある人を知っているんだ。」

 「?」

 「自分の大切な息子の為に友達を殺そうとした奴を。」

 「・・・・・」

 「そいつはある奴と取引してそいつのいる世界を滅ぼす代わりに

救ってやるって言ったんだ。」

 「そしてその友達の内一人は怒りと絶望から復讐を誓って闇に魂を売った。」

 「だけど・・・もう一人は違ったんだ。」

 「・・・え?」

 「その人にも息子がいてね、自分も同じ立場ならやっていたかもしれないって笑って言ってたそうなんだ。」

 「・・・そんなことを」

 セリスティアはその人間を聞いて旧帝国にはいない人間だと思っていた。

 恐らくその人間も自分がと罪悪感が積もるがルクスはこう続けた。

 「だけど・・・僕にとって弟分なんだけど、そいつが復讐を誓った奴の心を

救ったんだ。」

 「そして自分の父親を手にかけた奴も許したんだ。」

 「!!・・・自分の父親を・・・・何故」

 「そいつもさ、心のどこかで罪悪感があったらしくてな。自分も死のうと

考えてたんだ。」 

 「だけど復讐心を持った方は彼を最終的に許して救ったんだ・・・自分の身を

投げうってね。」

 「だから・・・あんた自身が自分を許せないならそれでいいが・・・死のうとか考えるな!生きてその人たちの分まで未来を作ろうと考えろ!!!」

 そしてルクスはボタンを押してこう詠唱した。

 「--顕現せよ、神々の血肉を喰らいし暴竜。黒雲の天を絶て、

《バハムート》!」

 直後淡い光を発したその時、・・・少し離れたルクスの部屋でそれは起きた。

 ルクスが使っているデュエル・ディスクから一枚のカードが光り輝いた。

 そして淡い光が一帯を包んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ールクス君・・・・ルクス君。

 「・・・誰」

 ー全くまた無茶をするって言うより結構荒療治をしたのね。

 「まあ・・・アアしなけりゃセリスティア先輩自殺しそうだしね。」

 ハハハとルクスが笑うとこう聞いた。

 「力を貸してくれるのかい?」

 ルクスはそう聞くと何処からか声が聞こえた。

 -当り前よ。言ったじゃない?今度は一緒にって

 それを聞いたルクスは笑顔でこう言った。

 「ああ・・・今度は一緒に戦おう。」

 そして光が消えていく中ある人間が見えた。

 その人間は・・・。

 「『璃緒』」

 -ええ、・・・・一緒に。

 そして二人の手が重なり合ったその時、光が一気にまた輝き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 「-顕現せよ、神々を奉る令嬢を守護する暴竜。黒雲を断ち、天を突け、

《ラグナ・バハムート》!」

 淡い光から現れた黒いドラグナイトは姿が変わり始めた。

 赤いラインは青白い色となり、大剣は日本のブレードに。

 腰の部分には赤い排熱版のようなフィンが8基装備された。

 そしてその周りには何故だか分からないが氷が張り巡らされていた。

 セリスティアの周りにはその氷があったが自身は凍り付いていなかった。

 そしてそれを纏ったルクスはセリスティアを見てこう言った。

 「僕さ、まあ確かに色んなことがあったけどアンタを恨んでないし、

アンタが不器用で弱虫でそれで・・・強くて、優しくて、ウェイドお祖父さんを

心の底から尊敬しているって分かったしさ。ここで見ていてくれ。

ウェイドお祖父さんを心の底から尊敬しているサニア先輩の心の闇を

斬り捨てて、・・・今度は皆で作ろう!ウェイドお祖父さんの作りたかった

世界をさ!!!」

 そう言ってルクスは『ラグナレク』に向かうとこう思っていた。

 「(ウェイドお祖父さん!見ててくれ!!アンタの孫の

『かっとビング』を!!)」

 黒の竜は今・・・新たな姿で戦場に舞い戻った。




 黒い暴竜は新たな力で空を舞う。


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氷暴竜は終焉すら喰らいつくす。

 《バハムート》の進化系の戦いが始まるよ。


「!?、あれはまさか『黒い英雄』!・・・いや、噂とは少し形が違う」

 サニアは突如レーダーから姿を現した機竜を見て噂の存在かと思っていた。

 然しサニアはそれを見てこう言った。

 「ふっ、今更来てももう遅いさ。どれ・・・どんな人間か見てみ・・・」

 サニアは《スパイダー・シャーク》のレーダーで拡大して見た時我が目を疑った。

 「な・・・何故あの子が」

 それを見たサニアはそれに対して「竜声」で通信した。

 

 

 

 

 

 

 〈ルクス!『ルクス・アーカディア』なのか!?〉

 「ああそうだ。」

 〈何故そこにいる!直ぐに妹さんを連れて逃げろ!!幾ら君が強くても

『ラグナレク』には勝てない!!〉

 「なあ・・アンタに聞きたいことがあるんだが?」

 〈今から何を聞きに!!〉

 「僕を追い出そうとしてたのは・・・これに巻き込ませないためか?」

 〈!!・・・・それを聞いて何だと〉

 「答えろ。」

 〈・・・ええ、そうよ。貴方を学園の外で見た時にすぐに分かったわ。〉

 〈貴方は多くの人に慕われていたことに私は嬉しかった。〉

 〈だけど、この作戦を伝えられた時私は貴方達だけでも逃がそうと考えたわ。〉

 〈・・・今まで見ていただけで何も出来なかったから出来ればッて思って

貴方に対して色々とやってしまったわ。・・・ゴメンナサイ。〉

 サニアはルクスに謝罪と理由を聞いた後ルクスはこう返した。

 「やっぱアンタとセリスティア先輩は似ているわ。」 

 〈!!!・・・あれと一緒は迷惑ね。〉

 サニアは吐き捨てるかのようにそう言うとルクスはこう続けた。

 「お互い不器用で然もお祖父さんと同じ門弟で・・・誰よりも尊敬してくれた

人達だって分かって嬉しいよ。」

 そう言うとルクスはサニアに対してこう言った。

 「だからこそ僕はアンタを救う!」

 〈・・・・〉

 「これ以上復讐で心を捨てちまう連中を見るのは嫌だからな。」

 そう言うがサニアは消え入りそうな声でこう言った。

 〈・・・確かにそうかもしれないけど私たちの時間はあの時から動いてないの〉

 〈だから自分の意志で進めるには・・・もうこれしか残ってないのよ。〉

 それを聞いたルクスはサニアの言葉にも正しさがあると思っていた。

 彼女にとっては復讐の先にこそ未来があると思っているのだ。

 「・・・だけどその先があったとしても貴方の周りには・・・喜んでくれる人はいますか?」

 〈へ・・・〉

 「復讐は悪い事だって誰もが言っているけどそうしなければ

出来ない人間もいる」

 「だけどお祖父さんは二人が戦うことじゃなくて・・・手を取り合う事を望んでくれると思うんだ。」

 「だから僕はセリスティア先輩を許す。」

 そして貴方もと言うとサニアはルクスにこう忠告した。

 〈今回は引くけど忘れないでね。・・・あの女は罪人であることを〉

 そう言ってサニアは「竜声」を切断した後立ち去って行った。

 それを見たルクスは『ラグナレク』の方を見た後無数の装備と相手の力、

そして・・・生まれ変わった《バハムート》改め《ラグナ・バハムート》の能力を確認した後・・・ルクスは行動に映った。

 「《氷鳴波凍(コールド・パルス)》」

 声と同時に《ラグナ・バハムート》の目が赤く輝き、周囲の空気が振動すると

同時にその周りで小さな氷がキラキラとルクスの周りで幻想的に舞っていた。

 そして武器が浮かび上がると武器が青く輝き、そして・・・『ラグナレク』に

照準を合わせた。

 「ヴォアアアアア!!」

 『ラグナレク』はルクスを見て数百もの触手が一斉にルクスに襲い掛かり・・・ザン!と言う音とともに触手が全て切り裂かれた。

 「・・・え?」

 それを見ていたセリスティアは息を呑んだ。

 然しそれ程度では触手は再生するのではないかと思えば・・・そうでは

なかった。

 「ヴァアアアアアアアアアアア!!」

 『ラグナレク』が自身の触手を見て絶叫を上げていた。

 斬り裂かれた触手の切り口から少しずつ・・・氷が広がっていっているのだ。

 然も浮いていた武器と後ろに搭載されていた無線誘導兵器《アイスバーン》が

一斉に襲い掛かって『ラグナレク』の全身に攻撃し、そこから氷結が広がって

いった。

 「ヴァアアアアアアアアアアア!!!」

 『ラグナレク』はたまらずに氷結した場所を破壊したり、引き千切り乍ら

守っていたが幾ら再生能力が強かろうと再生するスピードよりも着弾する

スピードが速かったこともあり、『ラグナレク』はどんどんと弱まり始めた。

 そしてその攻撃は・・・演習場外でも起こっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 「クソ!数が多いな!?」

 「お姫様!口じゃなくて手を動かして!!」

 リーズシャルテとクルルシファーは負傷していたが周りにいる傭兵達を

倒していたが数が多く、自身の消耗が激しかった。

 ここ迄かと思っていたが突如何処からか剣が飛び出して敵機に命中した。

 「な!何・・・・う、うわあああああ!!」

 当たってしまった傭兵はそこから氷結していく自分の体を見て驚愕した。

 そうしている間にも氷結は広がりそして・・・全身に迄生き渡ったその時・・・体が砕け散り、きれいなダイヤモンドダストとなった。

 それは他にも広がっていった。

 「うわあああああ!!」

 「た、助けて!・・・」

 「来るな!来るなあア!!」

 傭兵達の断末魔と悲鳴が木霊するも・・・暫くして全員がダイヤモンドダストとなった。

 「これは一体?」

 クルルシファーは何事だと思って周りを見渡す中リーズシャルテはこう言った。

 「ルクスだよ。」

 「へ?」

 「こんな滅茶苦茶なことするの・・・あいつだけだろ?」

 そう言ったリーズシャルテの目はまるで新しい玩具を見つけたかのような表情であった。

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・あれは一体」

 校舎の陰に隠れていたアイリはそれを見て呆然としていた。

 周りの人間が消えていく中アイリはもしやと思っている中隣で声が聞こえた。

 「あれは一体何です?アイリ」

 「何あれ!!もしかしてあれが『黒き英雄』!?」

 ノクトとティルファーがそれを見てそう言う中アイリは意を決して二人に向けてこう言った。

 「二人とも・・・これから言う事はこの国の根幹を揺るがしかねないものです。内密に出来ますか?」

 そう言うと二人はこう返した。

 「YES、従者の一族、リーフレット家の誇りと、我が主に誓って。」

 「多分言っちゃうと家の店潰されそうだし・・・良いよ~~」

 そう言うとアイリは一回深呼吸して話し出した。

 「おそらくあれは兄さんです。旧帝国最強の機竜、『バハムート》を駆る、

最強のドラグナイトにして5年前のクーデターでは1200機の旧帝国軍の機竜をたった一人で掃討した・・・『黒き英雄』」

 「!?それはもしや」

 「旧帝国の滅ぼしたのがルクッチだったら・・・皇子がやったって事に

なるじゃん!!」

 ティルファーがそれを聞いて驚いているが更にアイリはこう続けた。

 「兄さんがこれまで『最弱無敗』と呼ばれていたのはあれを完全に

使いこなすために態とそうやっていたのです。」

 まあ要は訓練ですねと言った後こう続けた。

 「・・・その後は死神と呼ばれてしまいましたが」

 ジト目でそう言ったがティルファーはこう聞いた。

 「でもさでもさ、何でルクッチそれ言わなかったの?英雄なのに?」

 そう聞くとアイリはこう答えた。

 「簡単です。今回のクーデターを只の皇位継承に伴うものだと

言わさないためです。」

 「・・・成程各国に対し『旧帝国は滅んだ』と言う事にしなければ新王国の

求心力が弱まり、旧帝国派が息を吹き返さないようにするためにですね。」

 ノクトがそう自分の考察を述べるとアイリはこう答えた。

 「その通りです。兄さんはそれを見越して『雑用皇子』と甘んじて

受けましたが・・・可笑しいんです。」

 「うん?可笑しいって??」

 アイリの言葉にティルファーが何だと聞くとアイリはこう答えた。

 「恐らくこれは《バハムート》の特殊武装《共鳴波動(リンカー・パルス)》

だと思うんですが・・・あれは周囲の物を浮かばすことはできますが

この様な特殊能力はないんです。」

 一体何がと思っていたがアイリの思考とは裏腹に戦いは終わりに近づきつつ

あった。

 

 

 

 

 

 

 「ヴァア・・・・アアアア」

 『ラグナレク』は弱弱しそうに吠えていた。

 既に触手は殆ど失われ、体も大半が消えていた。

 そう・・・核が見えるほどまでに。

 「これで終わりだァアアアア!!」

 ルクスは大声でそう言いながら核に目掛けて突撃していった。

 無論『ラグナレク』はルクスを止めようとするが《アイスバーン》が襲ってくる触手を破壊しながら攻撃していった。

 そしてルクスはこう言った。

 「『時食(アブソリュート・イート)』」

 その瞬間にルクス以外の全ての時間が・・・止まった。

 これこそが《ラグナ・バハムート》の神装

《時食(アブソリュート・イート)》。

 その能力は簡単。 

 ・・・時を5秒間完全停止する技である。

 たった5秒と思われるがその5秒が戦場においては生死を分けるものである。

 そして特殊武装《氷鳴波凍(コールド・パルス)》は浮かした武器に氷の力を

付与させる能力を持っている。

 ルクスは二本のブレード《エレナス〉と《ヘザーン》を構えて『ラグナレク』の目の前に・・・現れた。

 そしてザシュウ!と言う音とともに『ラグナレク』の核毎斬り裂いて

『ラグナレク』を・・・倒した。

 「ヴェ・・・ヴェああああアアアアアアアア!!・・・・・・」

 そしてそのまま『ラグナレク』は氷づいて・・・砕け散った。

 そして『ラグナレク』がいた所から・・・七色に淡く輝く宝石がルクスの

目の前に現れた。

 それを手に取ったルクスはこう確信した。

 「(まさかこれが・・・『グランフォース・コア』)」

 ルクスはそう思いながらセリスティアの方に向かって行った。

 セリスティアはルクスを見ながらこう言った。

 「・・・どうして・・・私を・・・罰しないのですか?」

 セリスティアはルクスにそう聞くとルクスは頭を掻きながらこう返した。

 「まあ・・・そうですね・・・あれかな」

 「?」

 「・・・似てるんですよ。昔好きだった人に・・・メラグに」

 「・・・貴方が女装していた時のお名前はまさか」

 「まあ・・・そんなところですよ。彼女も何て言うかちょっと不器用な所が

あったんですよ。けれど・・・・彼女なりにまあ頼ってくれたりしてたんです

けどね。」

 「それにお祖父さんの心を受け継いだアンタを殺させはしないとも思った。」

 ただそれだけですねと言うとセリスティアはルクスに向けてこう言った。

 「・・・完敗です。」

 「?・・・」

 ルクスは何事だと思うとセリスティアはルクスに向けてこう宣言した。

 「四大貴族ラルグリス家の名の下に、貴方の学園残留と正式な『シヴァレス』の入団を認めます。」

 「・・・ありがとうございます!!セリスティア先輩!!」

 ルクスはセリスティアに握手しようとするとセリスティアは・・・手を出さずにこう言った。

 「ですが・・・女装して私の恥ずかしいところを見たことは許しません。」

 「えええ!!いや、あれはシャリス先輩が無理やり」

 「それは後で私がじっくりと話を聞きますが許せません。ずるいです。

卑怯です。悔しいです。不満です。」

 「・・・僕が出来る範囲の事を何でもします。・・・それで如何でしょうか?」

 ルクスはむっとしながらブツブツ文句を言うセリスティアを見てそう言うと

セリスティアはこう返した。

 「・・・でしたら・・・メラグを通して知った私の事内密にしてください。」

 威厳が崩壊しますからと言うと・・・後ろから声が聞こえた。

 「えええ・・・折角の脅迫材料なのに~~」

 「「・・・・え??」」

 ルクスはセリスティアの後ろにいる・・・クランリーゼを見て言うと

クランリーゼは機竜の「竜声」を使ってこう言った。

 「皆さ~~ん。セリスティア・ラルグリスは実は」

 「イヤアアアアアアアア!!言わないでください~~!!」

 「お前何してんだあ!!」

 ルクスとセリスティアはクランリーゼを止めようと雁字搦めにしていた。

 まあ何とも・・・・締りが悪い終わり方であろう。




 神装機竜《ラグナ・バハムート》
 種類 飛翔型
 見た目は《バハムート》に「スタードライバー・輝きのタクト」の
「タウバーン」を足して2で割ったもの。
 本機は《バハムート》に特殊能力が付与されたことでオリジナル以上の性能を出すことが出来たがルクス専用になってしまった為にピーキーになってしまった。
 武装 《エレナス〉
    《ヘザーン》
    この二本はそれぞれ氷結能力を持っている。
 特殊武装《氷鳴波凍(コールド・パルス)》
     これは周りの武器を操るだけではなく氷結能力を付与することが出来る。
     ただし、使い捨てであり事が限定されており一度使うとそれすらも
氷結して砕け散る恐れがあるからだ。
 神装  《時食(アブソリュート・イート)》
     この能力は5秒ほど全ての物体の時間を自分以外停止させることが
出来、奇襲や集団対1ではこれがうってつけである。


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戦闘の後

 それからの事・・・。


人殺し・・・

 「ヤメテ・・・」

 闇の中でセリスティアは周りの声を聴いて頭を俯かせていた。

 人殺し・・・

 「私は・・・そんな」

 セリス・・・

 「先生!」

 お前は間違ってない。

 「先生・・・私は・・・」

 お前がコロシタ

 「違います!ワタシハ」

 父さんを返して

 「!!サニア!?」

 人殺し・・・

 「サニア!待って!!」

 お前が彼を殺した。

 「え・・・」

 サニアがそう言った瞬間にセリスティアは自分の手にあったソードデバイスを・・ルクスに向けて刺していた。

 「ア‥アア・・・ルクス!!」

 「セリスティア・・・先輩。」

 「ルクス!しっかりして!!」

 今度は兄さんを殺したのですね。

 「!!違います!!私は彼を」

 人殺し・・・

 「ヤメテ」

 人殺し・・・

 「・・・ヤメテ」

 ヒトゴロシ・・・

 「ヤメテクダサイ!」

 ネエ・・・セリスティア先輩

 「ルクス!!」

 セリスティアはルクスの方を見るとそこにいたのは・・・。

 「どうして・・・ボクヲコロシタンデス?」

 《リンドヴルム》の槍に貫かれていたルクスがそこにいた。

 「い・・・イ・・・」

 「イヤアアアアアアアア!!」

 

 

 

 

 

 

 

 「はあ!!はあ・・・はあ・・・はあ・・・夢」

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの襲撃事件から3日が経った。

 ルクスはあの後セリスティアを交えて話した後リーズシャルテと

クルルシファー達にも話すとこう言ったそうだ。

 「ああ、それなら納得いくな。」

 「貴方の規格外な強さも其れなら合点がいくわね」

 そう言ったそうだ。

 尚、《ラグナ・バハムート》はラフィ女王の命令により学園で新たに作られる

こととなったアトリエに収容されることとなった。

 表向きは悪化するアビスとの戦いに備え、神装機竜専用の格納庫兼、遺跡調査で見つかった資料や機材の一時保管庫と言うのだが実際は今後見つかるであろう№の力を持った機竜の解析や「ぱそこん」の中にある技術、医術データの実験と開発の研究所としてリーズシャルテに一括で管理させることとなった。

 本人はそれを聞いてウキウキしながらその日を待っていた。

 因みに出来上がるのは校外対抗戦のメンバー決めが終わった後の合宿中とのことである。

 その間は、通常の機竜格納庫の最奥に隠すこととなった。

 校舎や人的被害は少なめであるため奇跡としか言いようがなかった。

 だが新王国の上層部はヘイブルグ共和国に抗議しようと息巻いていたが

証拠はなく、傭兵達は全員ルクスが粉々に殺したため何も言えなかったがこうも言っていた。

 「1人ぐらい生き残れば良かったなあ。」

 口が利けるぐらいならまあ何とでもいいしとも言っていたそうだ。

 それと後2つほどあった。

 一つは九重 透流の今後の身の振り方であるが・・・。

 

 

 

 

 

 「ええ、今日からこの1年に特別として在学することとなった

『トオル・ココノエ』だ。皆仲良くするように。」

 「『透流 九重』です!!皆さんよりも2つほど年下ですが・・・

よろしくお願いします!!」

 透流はアイリのクラスでお世話になることとなった。

 これは№を所持していることと別世界の住人で居場所がない事と、

あの襲撃事件の際に何人かの女生徒を助け、傭兵達の一人を倒したことに

起因している。

 まあ取り合えずは『シヴァレス』の予備団員的なポジションに就くことと

なった。

 そしてもう一つは・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「え・・・セリスティアが倒れただ!?」

 昼食中にリーズシャルテが食堂でびっくりしていた。

 あのセリスティアが倒れるとは一体どんな病なんだと思っているからだ。

 すると隣にいたクルルシファーがこう答えた。

 「ええ、でもこれは3年のシャリス先輩が言った言葉であって直接見た訳じゃ

ないけど。」

 「どうも最近夜中より遅くにいきなり目が覚めて外でランニングしたり

してるらしいけど魘されているらしいわ。それも3日連続」

 「原因は恐らくサニアかもしれないって思ってるらしいけどそれだけじゃない

かもとも言ってるわ。」

 ま、どうでもいいけどねと言いながらクルルシファーは紅茶を飲んでいた。

 だがそれを聞いたルクスはまさかなと思いながら後で医療室に向かおうとも

思っていた。

 

 

 

 

 

 

 放課後医療室に向かったルクスが見たのは・・・。

 「スー、スー、スー。」

 眠っていたセリスティアであった。

 「何だ・・・大丈夫・・・じゃないようだなこりゃ」

 ルクスは安心して周りを見るとベッドの近くの机に薬があるのを見て訂正だなと思っていた。

 原因は恐らく・・・ルクスが思う通りであろう。

 「(原因はサニアのあの言葉だろうな。普通なら心が壊れても

仕方がないだろうがなまじ我慢する人で人がいるときには必ずと言っていい程

隠すから質が悪いな。)」

 サニアが言った過去の出来事。

 それはセリスティアの心に恐らく一生掛かっても癒えない傷となって残っているのであろう。

 ウェイドとその娘の死にだけではなく、他の人間の運命を狂わし、自分に多大な恨みを持っている人間がいた。

 正しくあろうと思っていた彼女にとってそれは毒のように残っているのだ。

 「・・・イヤ」

 「ん」

 「ヤメテ・・・ゴメンナサイ・・・ユルシテ・・・」

 セリスティアは魘されながらそう言うとルクスは頭を撫でてこう言った。

 「大丈夫・・・もう許しますから・・・自分を許してください」

 ルクスはそう言いながらセリスティアを抱き寄せてそう言った。

 それは日が暮れるまで続いた。




 悪夢は人の心にある恐怖心で形作られるもの。


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最後なのに・・・締まらねえ。

 第三章」完結


人殺し・・・

 「・・・イヤ」

 ヒトゴロシ・・・。

 「ユルシテクダサイ」

 ヒトゴロシ・・・。

 「ゴメンナサイ・・・」

 セリスティアは夢の中でまた同じ夢を見ていた。

 最早心が壊れかけている中であるのかもう耳を塞いでも聞こえるこの声に耐え切れなくなり始めていたのだ。

 「(もういっその事・・・ゼンブキエテシマエバ)」

 そう思いかける中・・・セリスティアの目の前に誰かが現れた。

 そこにいたのは・・・。

 「・・・貴方は一体?」

 氷のドレスを着た女性がそこにいた。

 するとその女性が抱きしめるとそれはルクスに変わった。

 「・・・ルクス」

 「大丈夫・・・もう許しますから・・・自分を許してください。」

 「・・・良いんですか?・・・許されても」

 「はい・・・。」

 ルクスの声を聴いたセリスティアはそのまま安らかな笑みで眠ると誰かの声が

聞こえた。

 --もう大丈夫ね。

 

 

 

 

 

 

 「ん・・・・( ,,`・ω・´)ンンン?」

 セリスティアは目が覚めてみるとそこで目にしたのは・・・。

 「・・・ル・・・ルクス!?」

 セリスティアはルクスが目の前にいるのを見てびっくりするが当の本人は・・。

 「スー、スー。」

 いつの間にか眠っていた。

 如何やら落ち着くまでいたようだが寝付いてしまったようだ。

 するとセリスティアはルクスの手が自分の頭に添えられているのを見て・・・。

 「・・・もしかしてずっと私を・・・。」

 そう確信した。

 あの時ルクスは自分が落ち着くまで側にいてくれたのだと。

 そしてセリスティアはルクスを見て・・・。

 「本当に貴方は他の男性たちとは違うのですね。」

 そう言いながらセリスティアはルクスの頭を撫でようとすると・・・。

 「・・・璃緒」

 「?」

 「僕・・・頑張るから・・・・頑張る・・・から」

 「・・・・」

 「『かっとビング』だあ・・・僕」

 「・・・(* ̄▽ ̄)フフフッ♪」

 セリスティアはルクスの寝言を聞いて少し笑った後ルクスの頭を自身の太ももに乗せると撫でながらこう言った。

 「今度こそ正しい事を成し遂げます。・・・・貴方と共に・・・何時までも」

 セリスティアはルクスのそう言いながら寝顔を眺めていた。

 それは夜になるまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから暫くして・・・。

 

 

 

 

 

 

 「それでは校外対抗戦の参加メンバーを発表する!」

 ライグリィ教官がそう言いながら寮にある食堂でしていた。

 通例なら演習場なのだがそこは現在修復中であるため急遽食堂になった。

 「ではこれより、先日行われた校内選抜戦の戦績と諸君らの総合力、成長性、

連携力等を加味して決められたものであるが、選ばれなかった者たちには

今後一層の研鑽に励み、努力してほしい」

 そう言うとライグリィ教官は紙を広げて選考者を呼んだ。

 代表は10名、補欠は2名。まず選抜代表は『セリスティア・ラルグリス』!」

 『『『『『『わああああああ!!!!!』』』』』

 それを聞いた瞬間に高い歓声が上がった。

 そしてその間にも何人かが呼ばれた。

 「『リーズシャルテ・アディスマータ』!」

 「『ノクト・リーフレット』」

 「『ティルファー・リルミット』」

 「『シャリス・バルトシフト』」

 「『クルルシファー・エインフォルク』」

 それを聞いた瞬間にルクスはクルルシファーを見てこう聞いた。

 「あれ?クルルシファーさんってユミル教国じゃあ・・・?」

 それを聞いたクルルシファーはちょっと汗を掻きながらこう言った。

 「ええとね・・・どうもアルテリーゼが手紙を上層部に送ってたらしいのよ・・婚約者と一緒に上手くいきますようにって」

 「おい、アンタ。外堀埋まってるぞ」

 「・・・本当にごめんなさい。」

 これは迂闊に本当のことを言えば戦争になりかねないぞとルクスは

冷や汗とため息を吐いた。

 そして最後に出たのは・・・

 「『ルクス・アーカディア』」

 「・・・・・はああ!?」

 それを聞いた本人が一番驚いていた。

 何せ男性の自分が選ばれるとは思いもよらなかったのだ。

 その証拠に生徒たちもどよめいていた。

 するとセリスティアが前に出てこう言った。

 「皆さん、この場をお借りして皆に謝罪しなければなりません。」

 何時もの超然とした雰囲気と表情で全生徒にこう言った。

 「私は常に最善を希求し、行動していました。それが皆のためでもあり、

私の務めだと・・・。」

 「ですが私は3つの間違いを起こしました。」

 「一つは『ラグナレク』の接近に気づけなかったこと。」

 「二つ目は信じていた仲間が他国のスパイであったと言う事。」

 「三つ目は・・・・己の嘗ての未熟さが招いた悲劇に気づけなかったこと」

 「私は本来ならここにいるべきではなかったのかもしれないと思ってた時も

ありましたが・・・」

 するとセリスティアはルクスを見てこう続けた。

 「ある人がこう言ってくれました。『未熟でも構わないから前を見て進む』と言ってくれました。」

 「私はこれからは皆さんの助けを借りて己の未熟さを克服しようと思います。

 ですので私はこの学園を救ってくれた彼に対して協力をお願いしたく

思います。」

 そしてセリスティアはルクスの手を取ってこう言った。

 「『ルクス・アーカディア』貴方の力を貸してくれますか?」

 そう聞くとルクスはこう答えた。

 「はい、これからもよろしくお願いします。セリスティア先輩。」

 親し気な表情でそう言った次の瞬間に・・・どっと大歓声が巻き起こった。

 「やったー!これでルクス先輩と一緒だーー!!」

 「良かったですわ。雑用の仕事をお長居できる人がいなくなると困るところ

でしたわ。」

 「男嫌いのセリス様を認めるとは・・・『ルクス・アーカディア』

大したものだわ。」

 それぞれの学年の女生徒が揃いも揃ってそう言う中セリスティアは・・・爆弾を落とした。

 「それとですね、ルクス。また今度その・・・一緒に寝てくれますか?」

 『『『『『・・・・・え・・・・・?????』』』』』

 ぴしぃいと音がした次の瞬間・・・ざわざわと声が聞こえた。

 「え・・・それってつまり!?」

 「ま・・・まさかそこまで進んで!!」

 「男嫌いを物理的に直すどころか虜にするとは・・・流石ね」

 各々そう言うがルクスはそれを聞いた瞬間に・・・背筋が凍る何かを感じた。

 其れで振り向くとそこにいたのは・・・。

 「・・・・・・( ´艸`)」ゴゴゴゴゴゴゴ

 黒い笑みを浮かべてスタンドしているアイリがいた。

 「アイリ----!!!これは誤解って言うか何て言うか!!??」

 ルクスは何とか弁護しようとするが当の本人は・・・。

 「・・・・・・。」ニコリ

 ハイライト無しの笑みで返された。

 「ヒィイイイイイイイイイ!!」

 最早取り付く島なしだった。

 「・・・?何を皆さん騒いでいるのですか?」

 セリスティアはなんでだろうと小首を傾げているとライグリィ教官は

ため息交じりでこう言った。

 「はあ・・・・。もうお前何も言うな。」

 「?」

 「・・・・はあ。」

 疲れるなと思った瞬間であった。

 

 

 

 

 因みに終わった後に昼にも関わらず一番星が見えたそうな・・・。

 ・・・・・まあいっか。

 「良くねえェ!!」

 チャンチャン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 何処かの港

 

 

 

 

 

 

 

 「それで・・・『ラグナレク』が倒されちまったとは計算外だぜ。」

 全身をフードで覆った人間が港の倉庫の中でサニアを含んだ三人にそう言うと

仮面をつけた人間に向かってこう言った。

 「ああ、取り合えずあのバカの粛清ご苦労さん。」

 「イイエ。」

 それを言った後サニアはフードの人間にこう聞いた。

 「それで・・・次はどうするの?」

 そう聞くとフードの人間はこう返した。

 「ああそうだな。『クラーケン』のグランフォース・コアを持っているとなると奴らはあそこに向かうだろうが俺たちの目的はそれとは違うが場所は同じだし少し遊ぶか。」

 丁度良い人材が見つかったしなと言いながらフードの人間はとある女性を見た。

 長身の綺麗な女性で黒い髪からはみ出ている・・・とんがった耳の出た人間を

見た。

 「それで場所は何処だよ?大将。」

 リーゼント頭の男性がそう言うとフードの人間はこう答えた。

 「・・・『リエス島』だ。」




 次回予告
 セリスティア「え・・・ええと次回ですか?強化合宿でリエス島に向かった
私たちは・・・え!水着って不許可です!我々は合宿に来ているので
遊ぶわけには・・・ル!ルクスも一緒にってどうしましょう!?そんな絶対にって
けどルクスとなら私は・・・。」赤面
 透流「何か脱線しちまったので変わります。然し、島に突如として遺跡が現れ、調査する中ある人間から意外な事実を告げられる!果たしてそれは一体!?」
 次回「最弱無敗の決闘機竜 『第4章海だ!合宿だ!!遺跡調査だ!!!
桃色少女の闇の秘密と銀河竜覚醒!!』」
 セリスティア「私とルクスのお楽しみはこれからです!!」
 ルクス「アンタが言うと変な方向に聞こえるからやめろーー!!」


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『第4章海だ!合宿だ!!遺跡調査だ!!! 桃色少女の闇の秘密と銀河竜覚醒!!』」
夢のあの子。


 第4章開始!


ーールクス君。

 「ううん・・・セリス先輩。何言ってんですかあ」

 --ルクス君。

 「アイリ・・・違うんだあ」

 「ルクス君!!」

 「うわあああああ!!」

 突如ルクスは大声で誰かに起こされた。

 「あいててて・・・ここは?」

 ルクスはいきなりだったので後ろ向きに下がって机に頭をぶつけてしまったのだ。

 「ようやく起きたのね。ルクス君。」

 そう言ってルクスの目の前にいたのは・・・。

 「・・・璃緒?」

 「そうよルクス君。何寝ぼけてるの?」

 璃緒は何言ってんだと思っている中ルクスは璃緒を見てこう聞いた。

 「璃緒・・・君は・・・確か死んで」

 「何言ってるの?未だ夢を見てるのルクス君。」

 璃緒はそう言いながらルクスを見ると璃緒はこう言った。

 「もう授業は終わってるから一緒に帰りましょ。」

 そう言うとルクスは改めて周りを見渡すとある事に気づいた。

 そこは・・・。

 「ここって・・・学校」

 そう言いながら自分も学生服である事に気づいたときこう思っていた。

 「じゃああれは・・・夢か」

 そう思いながらルクスは璃緒を見るとこう言った。

 「・・・帰ろっか。」

 「・・・ええ」

 そう言って二人は教室から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 「ねえ、ルクス君。」

 「うん?何、璃緒」

 ルクスは帰り道の中璃緒が何かを聞こうとした。

 それは・・・。

 「もし人生に次があるとしたらどんな人生が良いの?」

 そう聞くとルクスは少し考えてこう返した。

 「そうだね・・・やっぱり、今のように・・・遊馬がいて・・・

お祖母ちゃんがいて・・・明里さんがいて・・・凌牙がいて・・・

カイトがいて・・・皆がいて・・・そして、璃緒がいる。」

 「今のようなほんの少しでも幸せだと感じれる今のような人生が僕にとっては

良いのかもしれないね。」

 「・・・そっか。」

 璃緒はそう言うと立ち止まって・・・こう言った。

 「ルクス君。忘れないで」

 「え?」

 「たとえ離れてしまっても私達は繋がっていたって事。」

 「例え、どんな悲しい時があっても・・・忘れないでね。」

 --私たちの事を。

 

 

 

 

 

 

 

 「兄さん!!」

 「うわあああああ!!」

 するとまたルクスは転げ落ちた。

 ・・・ベッドから。

 「もう、兄さんったら。船酔いになったから寝てるって言うので

そのままでしたけど、もう着きますからね。」

 そこにはルクスの妹、アイリがそこにいた。

 アイリはルクスに早く起きてくださいよと言って部屋から出ていった。

 ルクスはさっきまで事を思い出すとデッキからあるカードを出した。

 「『№103神葬令嬢 ラグナ・ゼロ』」

 それを見たルクスはこう聞いた。

 「君が彼女に会わせてくれたの?」

 そう聞くとルクスはこう言った。

 「・・・ありがとう」

 そう言ってカードをデッキケースに入れた後部屋から出て甲板を出て

ある島を見た。

 そこは・・・。

 「あそこが・・・『リエス島』か。」

 そこは独自の植生である緑に覆われた新王国領の外海にある島・・・

『リエス島』である。

 ここでルクス達は1週間過ごすのである。




 夢でもいい。・・・君に会いたい。


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何かが起きそうだ。

 一見関係なさそうな人選は実は関係があった。


校内選抜戦から3週間経った6月初頭

 1か月後には校外対抗戦を控えているため代表メンバーは『リエス島』に合宿に

行くことになったのだがそれに対してリーズシャルテはある事を考えていた。

 それは・・・。

 「え?クランリーゼと透流もですか?」

 「ああそうだ。お前がここを離れた後あの二人を置く訳にもなあ。」

 「まあ・・・透流は僕がいなくなると男一人ですから肩見せまそうですけど

アイリがいるんじゃあ。」

 「ああそれがな。どうもアイリも合宿に参加させるようなんだ。

全く何考えてるのか。」

 リーズシャルテはそう言いながら頭を掻いていた。

 ここで彼女迄いなくなると透流の事情を知っている人間が一人もいなくなるのだ。

 「それにクランリーゼは遺跡調査において重要なポジションだからな。旧帝国派の人間がまだいる可能性があるし、サニアがもしかしたらそれすらも

ヘイブルグ共和国に報告している可能性があるからな。万が一に備えてだ。」

 「確かに・・・クランリーゼがいなければ遺跡調査にとって重要なあの情報が

手に入れられませんでしたしねえ。」

 そう言いながらルクスはアトリエに飾っている七色の球を見た。

 グランフォース・コア

 それは『ラグナレク』の核に組み込まれている球であり、これを遺跡の最深部に

収めれば「アビス」が今後出てくることはないと言われるものである。

 「あれが見つかった後必死こいて探してやっと最奥にあった様なんだ。後は我々が調査権を手に入れてそれを二つの遺跡に収めれば・・・後は1つだけとなる。」

 「・・・第一遺跡『塔(バベル)』ですね。」

 第一遺跡はラルグリス家の領土にある遺跡であり現在ラルグリス家の部隊が

監視しているのである。

 「ああ・・・あそこだけになれば残りの部隊を王都の防衛に充てられる

からな・・・負けられない戦いが出来たと言う事だ。」

 リーズシャルテはそう言いながらもある物に目を向けていた。

 それは・・・。

 「まあそれよりも私は一刻も早くこいつらを作りたいけどな。」

 そう言いながら幾つもの紙を広げた。

 そこに書かれていたのは・・・。

 「これって・・・モールス信号じゃないですか!!!」

 それは嘗て最初に作られた通信機『モールス信号発生器』である。

 「ああ!こいつが出来れば各地との情報のやり取りに早馬を使う事はなくなる

はずだろ!!それに護衛の機竜部隊を態々使わずに済むからその分を王都防衛に

つぎ込めるし国境警備隊や遺跡警備隊も持っていればいち早く対応できるだろう」

 そう言いながらリーズシャルテは胸を張るがルクスは少し冷や汗を掻いていた。

 「(これってどう考えても技術的フライングだよなあ。)」

 バレない様に祈るかとルクスは心の中でそう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・と言う訳で特別にアイリさんとクランリーゼさん、透流さんを

加える事となりましたが3人は何か疑問はありませんか?」

 セリスティアが3人に向けてそう聞くとこう答えた。

 「私は別に宜しいですけど」

 「私はルクスさんに着いていくだけです。」

 「・・・自分も良いですけど、強化合宿で水着着用って流石異世界」

 アイリ、クランリーゼ、透流はお互いそう言った。

 まあ透流は少し驚いているが・・・。

 「それなら、ノクトと一緒に透流さんの服も買いに行く予定でしたから

序に行きますか?」

 「あ、はい!ありがとうございます!!」

 そう言うとアイリはこう返した。

 「何言ってるのです?私たちは同じ1年生なんですよ?敬語は止めて

おかないと」

 「ええ・・・けど一応年上ですし」

 「それでしたら年上としてです。」

 アイリがそう言うと透流は頭を掻きながらこう言った。

 「分かりま・・・分かったよ。アイリさん」

 「んまあ・・・良いでしょう」

 そう言うとセリスティアは全員に向けてこう言った。

 「それでは5日後に出立致しますので各自準備を」

 「「「「「はい!」」」」」

 全員がセリスティアの言葉を聞いて返事した後セリスティアはルクスを見て

こう聞いた。

 「あのルクス、・・・この合宿で聞きたいことがあるのですが?」

 「はい。何でしょう?」

 ルクスは何だと思いながらこう聞いた。

 「ああ・・・まさか部屋割りですか?それなら僕と透流が一緒だと思いますし、風呂については今レリィさんと話し合い」

 「イイエ、そう言うのじゃないんですが・・・その」

 「?」

 「・・・・お・・・男の子と泊まりに行く時には、替えの下着を入念に

選んでおくべきと聞いたのですが・・・本当ですか?」

 「・・・・・・・・・・・・」

 「わ、私はそういうのは初めてですから良く分からないので、その、出来れば

男の子でもあるルクスに助言を頂けると・・・ありがたいのですが」

 「・・・・・誰です?それ言った奴」

 ルクスはセリスティアに・・・感情のない目でそう聞くとセリスティアは

こう答えた。

 「あ、はい・・・シャリスですけど」

 ギロリ*2

 「ギクッ!」

 ルクスとアイリがシャリスのいる方に睨みをかけると既にシャリスは逃げようと扉に向かっていた。

 「ああ・・・ええと・・・・これはだね」

 シャリスは何とか逃げ出そうと考えているが・・・ルクスとアイリは黒い笑みを浮かべてシャリスに向かっていた。

 「待ってくれたまえルクス君!アイリ!!あれはその・・・・・遊びなんだ

(てへぺろ)」

 シャリスはそう言って場を和まそうとしたが・・・火に油を注いでしまった

ようだ。

 「「・・・・死神に会いにイッテコイ」」

 「イヤアアアアアアアア!!」

 その後、演習場の控室で一人の少女の断末魔が聞こえたそうな。




 シャリス「ああ、セリス。男の子と泊まる時には替えの下着を持っていくと
良いぞ」
 セリスティア「何故です?」
 シャリス「男の子と一緒にいるときにな、下着が新しく必要なんだ。」
 セリスティア「・・・分かりましたがどういう物が?」
 シャリス「ああそれは・・・」
 その後色々と性能度外視な物ばかり選ばれた。


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色々とキャラ崩壊があるなあ。

 先入観で見た後のこれって・・・インパクトあるなあ。


「それじゃあセリスティア先輩。シャリス先輩に吹き込まれた物は全部忘れて

くださいね。」

 「あ・・・はい・・・」

 「グ・・・・グおおおおおお」

 セリスティアはルクスとアイリによってこの世のものとは思えなくなってしまったシャリスを見て引き攣らせながらそう言った。

 すると近くで見ていたティルファーが複雑そうな顔をしてこう言った。

 「ッテ言うか・・・セリス団長もしかして・・・はしゃいでません?」

 それを聞いたセリスティアは背筋を伸ばしてこう反論した。

 「そ、そんなことはありません!今度こそは皆さんと交流を深めようと思って、

何か遊具を持って言った方が良いとかそんな事考えていませんから!!」

 「セリスティア先輩。地が出てますからそれ以上喋らないほうが良いですよ。」

 「もう遅いですよルクスさん。この人の「残姉さん」レベルが猛烈に

晒されましたよ。」

 ルクスはセリスティアの言動を聞いて直させようとするもクランリーゼから

もう遅いですと諦めさせようとした。

 するとセリスティアは周りを見た後赤面になって呼吸を整えてこう続けた。

 「し、失礼しました!ええとですね・・・何処まで喋りましたっけ?」

 「ルクスさんにエロい事をしていいですよと言った処からです。」

 「ちょっとクランリーゼ!!言い方考えてよ!!」

 クランリーゼはセリスティアのいかがわしい言動らへんですよと言った処に

ルクスが注意した。

 「エロい事ってそんな事、ああでも・・・ルクスからでしたら私は・・・その」

 「おいアンタ!何本気してんだよ!?」

 セリスティアが何やら赤面して体をくねらせ乍らそう言っているところを見て

ルクスが慌ててそう言うとセリスティアは咳き込んでこう言った。

 「んん!!では詳細は後日にお話ししますのででは・・。」

 そう言ってセリスティアは部屋から急ぎ足で出て言った処を見てノクトが

こう言った。

 「何でしょう・・・今まで見ていたセリス団長のイメージがぶっ壊れた

印象ですね。」

 『『『『『(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン』』』』』

 ノクトの言葉にルクスとクランリーゼ以外は頷いて答えた。

 これまでセリスティアは自分で課した規律を頑なに守り、『正しさ』と言う鎖に縛られ、それが砕けた後は自分を追い込ませるかのように特訓の量を増やして

倒れこんでしまい、心が折れかかっていたがあの時、ルクスが夢の中で許しを

与えられ、新たに心に決めた後から割と弱いところを見せるようになっていた。

 「まあさ、とにかく楽しそうだから取り合えず楽しんじゃおっか?」

 「そうですね。私は、こういうのは初めてですので少し高揚しています。」

 「あのう、ノクトさん。正直言うと本当に楽しんでるのか分からないん

ですけど。」

 透流は何時も無表情に近いノクトがそう言っているのを聞くが本当に

そうなのかと疑問形でそう言った。

 尚、この経験により2年後にある少女の表情を誰よりも早く理解したというのがこれもまた因果である。

 一方のルクスはと言うと・・・。

 「(まあ、こういう行事は向こうでもあったから久しぶりだし、

このタイミングで王都から出ていけるっていうのはラッキーだな。)」

 ルクスがそう思った理由は・・・前回の『ラグナレク』にある。

 学園襲撃事件の際にルクスは神装機竜《ラグナ・バハムート》を使って

『ラグナレク』を討伐することに成功した。

 あの時に見たのは実力者でもあったリーズシャルテとクルルシファー、

クランリーゼ、フィルフィ、シャリス、ティルファー、ノクトと救出に向かっていた透流や、クランリーゼと間近で見ていたセリスティアと敵側で見ていた

サニアだけである。

 そのほかの生徒は避難に精一杯であったため気づいていない。

 だがここ暫くはある噂が飛び交っていた。

 それは・・・。

 「あの黒い機竜とドラグナイトは一体誰なのか?」

 この噂が学園中で持ちきりであったため、正直な話ルクスは何度か心臓が

止まりかけそうな事態となっていた。

 「(どうか合宿が終わるまでに噂が消えてくれますように。)」

 『噂も75日』と言う諺があり、そう簡単に消えないと思うのだがそう思いたいと願うルクスであった。

 そんな事を思っている中ルクスは隣にいるフィルフィを見るとフィルフィはルクスの視線に気づくと無表情でこう言った。

 「合宿。楽しそう、だね。」

 「あ・・・うん」

 ルクスはそう答えるが噂を何とかしてほしいと願うと同時にある事を

思い出そうとしていた。

 「(『リエス島』か・・・何だろうな、この喉に骨が刺さった様な感じは)」

 そう思っていた。

 「それでは兄さん。私とノクトは透流の服と合宿に必要な物を揃えていくので」

 「あ、うん。気を付けてね」

 「兄さんこそ、あまり噂に対して過剰に反応しないほうが良いですよ。

勘の良い人は気づいている可能性があるんですから」

 アイリはそう言ってルクスに警告した後ノクトと透流の下にへと向かった。

 そしてそれから5日後の明朝。

 初めに機竜を纏っていたルクス達は新王国海軍が保有する大型軍船に乗るために港町にあるアトリエに配置した後に船に乗った。




 次回は『リエス島』到着後です。


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上陸『リエス島』

 いざ、宿泊所へ!!


船から出てきたルクス達一行は一列になって路面を歩いているのだが

そこは・・・。

 「・・・ここはジャングルなんですかねえ?ルクスさん。」

 「ううん・・・正直僕もそう思っているんだよねえ。」

 透流とルクスの二人は左右に分かれながらソードデバイスで草木を切り分けながら進んでいた。

 「然し随分道が荒れているが何年使われていないのだ?ここは。」

 カバンを両手に提げながらリーズシャルテはぼやいているとクランリーゼがこう言った。

 「計測ですが草木の長さから換算すると4年以上は放置されているところが

あります。」

 「はあ!!じゃあ去年は如何やって踏破したのだ!?」

 リーズシャルテはそう言うとセリスティアはこう返した。

 「去年は確かそれぞれ別々のルートからでしたが大体は路面ではなく獣道を

使ってましたね。」

 「・・・それじゃあ生い茂ってるわけだ。」

 セリスティアの言葉を聞いてリーズシャルテはマジかと思いながら

前を見ることにした。

 すると殿として後ろに立っていたレリィが微笑みながらこう言った。

 「この辺りの植物はワザと生やしているのよ。」

 「?」

 「ここは一応だけど軍の施設だから、なるべく外部からは分からないように

しているからみんな迷わないでねえ。」

 そう言うとティルファーがしんどそうな顔でこう言った。

 「あーあ、こんな道、機竜ならあっという間なのになあ。」

 「そう言うなよ、ティルファー。訓練や緊急時を除いては機竜を使う事は

出来ないんだから。」

 ティルファーの言葉に対して近くにいたシャリスがそう返した。

 ・・・あの後ルクスとアイリに対して土下座(真剣)した後セリスティアにも

色々と説明したがそれを聞いたセリスティア派と言うと・・・。

 「・・・わ・・・私と・・・ルクスが・・・」赤面

 「・・・キュ~~~」

 「うわあああああ!!セリス先輩!!」

 処理速度を上回るモノを想像したのか失神してしまったと言うのは余談だ。

 そして今に戻って・・・。

 「もうすぐ頂上ですよ!!」 

 透流が大声でそう言ってルクスと草木を切り分けながら進み切った

その先は・・。

 「・・・わあっ」

 まるで別世界のような敷地が広がっていた。

 切り立った分厚い岩壁に囲われた演習所。

 手前には衝撃と音を吸収することが出来る森。

 巨大な湖と幾つもある農業と農場。

 拠点用の宿泊施設。

 こじんまりとした商店街。

 元は旧帝国時代に使われていた軍事施設を改修して作られた物でありそこに

ルクスが向こうの世界で培われた遠島でも出来る商売方法により釣り場や小さなボートの貸し出し場もありそれなりに利益が出ていることを見てルクスは

ほっとしていた。

 すると白いひげを蓄えた穏和そうな老人がゆっくりとこちらに歩きながらこう言った。

 「おお、ようこそおいで下さいました。『アカデミー』の皆様。

これから1週間、怪我の内容に頑張ってください。」

 そう言うと鍵をレリィに渡した後老人はこう言った。

 「今どきは軍人もいないし、オフシーズンとも相まって島は静かなのですが毎年来てくれるおかげで村は暇にならずに済んでますよ。」

 ほほほほと笑いながら立ち去って行くのを見た後レリィは全員に向けて

こう言った。

 「さてと、目的の場所までもうすぐだから皆頑張ってねえ。」

 『『『『『はああい。』』』』』

 レリィの言葉を聞いて全員がそう答えると再び歩き出した。

 そして暫くしてついた場所がここである。

 学園の女子寮とは違って簡易的であるが元は軍の宿泊施設だったことから

頑丈な作りになっているので利用できるのだ。

 無論、内装は既に改造しておりそれなりにちゃんとした部屋となっている。

 ルクスと透流は同じ部屋にさせているので二人は荷物を下ろした後、

ルクスは他の人達の手伝いをしようと部屋から出ていくとリビングに誰かがいた。

 その人間は・・・。

 「・・・ふうう。」

 アイリがソファーに深く座っていた。

 個人的な荷物は書類関係しかないのだが久しぶりの長旅で疲れていたようだ。

 それを見たルクスはアイリに対してこう聞いた。。

 「アイリ、大丈夫?具合が悪かったら、この島の施療師さんに」 

 「平気ですよ兄さん。まあ確かに少し疲れましたが兄さんが帰ってくるまでの

2年間はずっと雑用仕事していましたからそれなりに体力はありますよ。」

 「・・・あ、うん。そうだね」

 アイリがむっとした表情でそう言うとルクスはアイリにある事を聞いた。

 それは・・・。

 「ねえ、アイリ。・・・どう思う?今回の合宿」

 そう聞くとアイリはこう答えた。

 「そうですね。まかり間違ってもあの人は新王国の中枢に

深くかかわっている人です。まさか身内びいきで私まで加わせるのはどうも

納得いきません。」

 「透流を口実に何かレリィさんは企んでいるんじゃないかと思うんだ。」

 ルクスの言葉を聞いてアイリは荷物に手を触れながらこう答えた。

 「ええ、遺跡関連のも持ってきてほしいと言われると

まさか遺跡関連じゃないかと疑ってしまいますが・・・」

 「今、新王国の遺跡調査権は前の『ガーデン』で消えてる以上調査

出来ないけど・・・もしもに備えなきゃね。」

 ルクスがそう言った後何処からか声が聞こえた。

 「アイリちゃん。皆着替え終わったよー。先に言ってるからルクッチも

呼んでねえ。」

 ティルファーがそう言った後アイリはルクスに対してこう言った。

 「とにかく、考えても仕方がありませんから・・・今を楽しみましょ。」

 「うん、そうだね」

 そう言ってお互い自室に向かった。

 まさかこれが・・・現実になろうとは露知らずに。




 次回は水着編です。


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この時代に水着って・・・あったっけ?

 似たようなのはあったかもしれない・・・かも?


 白く輝く砂浜。

 蒼く澄み切った海。

 そして・・・。

 「・・・まさに異世界ですねえ。」

 「透流、君が言うと説得力あるねえ。」

 

 

 

 

 

 色とりどりの水着を着た少女たちがそこにいた。

 「遅かったな、ルクス君。透流君。皆がお待ちかねだぞ」

 バラの刺繍が施されたビキニタイプの水着を着たシャリスが二人に向かって

そう言うが二人はこの光景に遠い目をしていた。

 現在、透流から見れば中世~近代のヨーロッパクラスの文明なのに何故か

水着があると言うアンバランスな状況に驚いていた。

 まあ、これの存在を知っているルクスからしても何故だと思いたいほどである。

 「それで・・・何でアンタ迄ちゃっかり水着着てんだ!レリィさん!!」

 ルクスは少し離れた日除け用の天幕の下にいるレリィに向かってそう言った。

 然も露出度が高く大胆な水着である。

 そんなもの何で思春期の男子がいる目の前で着られるのかと思いながらそう言うとレリィはしれっとこう答えた。

 「あら、差別は良くないわよルクス君。学園長と言うのは、肩肘張る仕事だから

たまの休暇ぐらいは羽伸ばしたいと思わない?」

 「アンタは年柄年中息抜き紛いな事やってるじゃねえか!!」

 そしてルクスはこう続けた。

 「って言うかこれって合宿だよね!何?どう考えても遊びじゃん!?

これって可笑しくない!?って言うか僕が可笑しいの!!??」

 ルクスは頭を抱えながらそう言うと・・・後押しする声が聞こえた。

 「彼の言う通りです。初日から遊びなんて許可できません。」

 「セリス先輩。・・・」

 ルクスが声のした方向を見るとそこにいたのは・・・。

 「そもそも、私たちは強化合宿の名目でこの島に来たのです。もっと真剣に

取り組むべきです。」

 「いや・・・あんた・・・ねえ。」

 セリスティアが良い事言ってるのだがルクスは引き攣った顔でそう言っていた。

 何せ今、セリスティアが着ているのは装衣ではなく・・・。

 「セリス先輩も水着じゃないですか。」

 そう・・・水着なのだ。

 他の少女達よりもやや大人しめなドレスタイプの水色の下着だったのだが

その豊満なスタイルのためかルクスだけではなく透流も顔を赤くしていた。

 「あら、そう言いながら貴方もちゃんと水着を着てここに来たじゃない?」

 レリィが面白がるようにそう言うがセリスティアはこう反論した。

 「これは水練のためと言ってたじゃないですか!?」

 「はあ・・・相変わらずお堅いわねえ、セリスティアさんは。」

 「(アンタは半分くらいこの人を見習うべきだろ。)」

 レリィの言葉にルクスがそう毒づくがレリィはこう続けた。

 「頑張るのは大切だけど、ちょっとした息抜きをした方が効率が

上がるのよ?・・・そうは思わない?ルクス君。」

 「はあ!!」

 いきなりルクスに丸投げしたのでなんでだよと思っているとセリスティアが

ルクスに近づいてこう言った。

 「ルクス!貴方はどう思いますか!?こんな状況を認めてよいのかを!!」

 「おいちょっと!近い!!」

 ルクスはそう言いながらこう考えていた。

 「(ああもう、セリス先輩の言葉は筋が通ってるし遊びって最終日に充てれば

良いだろうが思いたいけどあの人には口で勝てる気がしねえしなあ・・・ん?)」

 ルクスは視界の端に見えた何かを見た後・・・こう言った。

 「んまあ・・・一日くらいは羽目外しても罰は当たらないと思いますよ。訓練はもちろん必要だけど今日は初めて来た人の為に交流も兼ねて過ごせばなって・・・思いますけど如何でしょう?」

 ルクスがアハハと笑いながらそう言うとセリスティアは拗ねた顔を見せてこう言った。

 「貴方は優しいところがありますが少し皆さんに甘いところがあります。

校外対抗戦で勝利を多く収めなければ遺跡調査の回数が減ってしまって」

 「それだったら、少し遠泳して体を解してから白兵戦の訓練したら如何です?

 地面は砂で柔らかいから怪我するリスクが減りますし、機竜を使うまでの

準備運動になって良いと思いますよ。」

 ルクスは尚も食い下がるセリスティアを見て妥協案を提示させるがルクスは

セリスティアの言葉にも一理あると思っていた。

 「(確かにセリス先輩の言葉にも一理あるよな。

例の『グランフォース・コア』を遺跡の最奥に納めるにも調査権が

必要だけど・・・今回ばかりはなあ。)」

 「・・・そうでしょうか?」

 ルクスが考えている中セリスティアが本当なのかと思いながらそう聞くと

ルクスはこう答えた。

 「はい!そうだと思いますよ!!それにほら、セリス先輩の水着

似合ってますからそんなに周囲の目を気にする必要は・・・」

 そう言うとセリスティアは体を抱きしめながらこう言った。

 「な!・・・何を言うのですか!?へ・・・変な事言わないでください!!わ、私は別に、この格好が恥ずかしいから早く着替えたいとか、そういう訳では

ないんですから!!!」

 そう言うがそれを聞いていたルクスは空笑いでこう言った。

 「あはははあ・・・そうだったんだ。」

 最後、小声でそう言ったのだがセリスティアは聞こえなかったようなので

こう続けた。

 「---分かりました。貴方に免じて今日の所は認めますが

これは訓練ですので・・・良いですね!!」

 「あ、それと私をあまりジロジロと見るのは禁止です!!」

 セリスティアはそう言った後他の所に向かうとシャリス達トライアドが集まってこう言っていた。

 「聞いたかい?このこの格好での白兵戦訓練に誘導させるとは・・・

中々の策士だな。」

 「YES、ですが、無理もないかと思います。ルクスさんにも性的欲求は

存在しますから。」

 「いやあ・・・エロいねえ。ルクッチは」

 そう言っているのだが後ろで聞いていたルクスは三人に向かってこう聞いた。

 「ほお・・・お前ら機竜の訓練の時に真っ先に相手してやるが・・・

《ライズ・ワイバーン》と《ギャラクシーアイズ》と《ラグナ・バハムート》のどっちで訓練したい?」

 ルクスは黒い笑みを浮かべながらそう聞くが三人はこう思っていた。

 「「「(あ・・・地雷踏んだ。)」」」

 そう思いながら余りの恐怖で震えて(シャリスは特に)いたがルクスは

こう続けた。

 「反応がないから・・・一人につき3種類全部相手してやるよ。

ありがたく思え。」

 「「「イイエ、どっちもお断りします。」」」

 トライアド全員直ぐに土下座で謝るがルクスはこう続けた。

 「それじゃあ特別に《ライズ・ワイバーン》100本組手にしよう。」

 「「「いやあああああアアアアアアアア!!!!!」」」

 最早死刑宣告と何ら変わらない言葉に三人はムンクの叫びよろしくに

なってしまった。




 こうして三人仲良く・・・冥府に旅立ちましたとさ。
 シャリス・ティルファー・ノクト
 「「「勝手に殺さないでええ!!!」」」


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遊び?・・・その前に特訓だ。

 先ずはやることやってからだ。


 「・・・えい」

 「うわあ!」

 ルクスがシャリス達に死刑宣告した後後ろから背中から水をかけられた。

 「誰って・・・フィーちゃん?」

 「・・・冷たかった?ルーちゃん。」

 わずかな微笑みながらフィルフィはルクスにそう聞いた。

 花を模した装飾付きの淡いライトグリーンのドレスの水着を着ているのだが

セリスティア同様に破壊力があったためルクスは色々と見てしまった。

 「・・・一緒に海で遊ぶの。初めてだね。」

 「あ・・・うん」

 幼いころ川岸の浅瀬で遊んでいたことはあったがあれよりも色々と

変わってしまったのだ。

 だが昔と同じように接してくれるので懐かしく思えた。

 するとルクスはリーズシャルテがいないことになんでだと思って

探してみると・・・木の後ろに隠れていた。

 「リーズシャルテ様?」

 「・・・・」くいくい

 「?」

 リーズシャルテがルクスを見て手招きしているのを見て向かって見ると

リーズシャルテはこう言った。

 「・・・・うっかりしてしまった。」

 「?」

 パレオ姿のリーズシャルテがお腹ら辺に指さしてこう言った。

 「私が思ってたよりも見えてしまってな・・・ハハハ・・・皆が楽しく

泳いでるのを見てな」

 「・・・あーね。」

 ルクスはリーズシャルテの言葉を聞いて何やってんだと思いながらどうしようかと考えている中リーズシャルテは小声でこう考えていた。

 「・・・いや待てよ?これならセリスティアの特訓に付き合わなくて済むか?」

 「・・・(何言ってんだろう?)」

 ルクスはリーズシャルテの小言が聞こえなかったので何を考えているのか

分からなかった。

 そしてルクスはこう言った。

 「まあ取り合えず方法を考えておきますので。」

 「?・・・ああ。」

 リーズシャルテはルクスの言葉を聞いて取り合えず答えた。

 そしてルクスは砂浜に戻ってみるとそこにいたのは・・・。

 「お待たせしました。兄さん。」

 純白の水着を着たアイリがルクスの目の前に現れた。

 華奢で儚げな雰囲気を持つアイリの雰囲気によく合っていた。

 だが違うところといえば、病弱であった時とは違い、年頃の少女らしい健康体であったことである。

 「アイリも着替えてたんだ。」

 「ええ、透流さんと服を買う時に一緒に買ったんです。感想も

頂かれましたし。」

 「・・・何て?」

 「・・・・『妖精みたいで可愛らしいですよ』・・・って」赤面

 「・・・ほお・・・ほお」

 ルクスはアイリの言葉を聞いて目から光を失いながらこう思っていた。

 「(・・・透流は特訓中しごき倒してやろう。)」

 

 

 

 

 

 

 「ひいいい!!」

 「?どうしました、透流さん」

 「いや、ノクトさん。その・・・何か・・・理不尽な事になりそうだなって」

 「??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・私も団長としてまだまだですね。」

 不意にセリスティアが背後で呟いていた。

 「ルクス。代表メンバーと透流さんを呼んでくれませんか?海沿いを

少し走った後に遠泳してから各自自由行動にするからと」

 「分かりました。」

 ルクスはそう言って全員を集合させて・・・リーズシャルテ以外のメンバーが揃った。

 初参加である人達はこれからの遊びに期待しているがシャリス達はと

言うと・・・。

 「・・・・・」

 暗い顔であった。

 ここで言っておくがセリスティアの特訓は普段から自分を厳しく戒め、

実直な鍛錬(他人からすれば地獄)をしているせいでセリスティアの「少し」と「軽く」は・・・・正直に言えば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はあ・・・はあ・・・はあ。どんだけなんだ?」

 「これって・・・オリンピックの・・・・強化・・・合宿・・・

なんです・・・かね」

 こうなる訳だ。

 「皆さん、次は沖合まで遠泳ですよ。」

 『『『『『『・・・・・・』』』』』』

 ・・・最早死体蹴りと何ら変わらん。

 結局、ルクス達が海で遊ぶことが出来たのはそれから1時間後の事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 「はああ・・・。疲れたアアア・・・ちょっとお昼寝ぇ」

 外で遊んでいたティルファーが天幕に入って倒れこむと既に入っていたノクトがこう言った。

 「No,貴方は少しはしゃぎすぎかと判断しますよティルファー。訓練が

終わってからも全力で遊びすぎです。」

 「この後見回りした後も軽く演習があるにも関わらずな。」

 そう言いながらシャリスはルクスと透流とクランリーゼが作った経口補水液を

飲んでいた。

 「然しこれは中々だな。疲れた体によく効くよ。」

 「YES、あちらの世界では既に存在しているらしいのですがこれは中々です。」

 「それにしても異世界って・・・どんなところだろうね。」

 ノクトとシャリスがそう言っている中ティルファーがそう言っていた。

 ルクスが見た世界と透流の世界は毛色が違うようだ。

 ルクスの方は未来都市であり、石油を使わない車や掃除用ロボット、

特殊なディスプレイシステムなどがあるのに対し透流の方は石油を使った車がありロボットはいないがある学園があった。

 《焔牙(ブレイズ)》と呼ばれる能力者達を育成する学園が。

 そしてそれらを管理する組織がある事も。

 まるでお伽噺の様に聞こえるがルクスと透流はそこにいたのだ。

 そして今その異世界にあった「№」がこの世界に来ている。

 するとティルファーはノクトにある事を聞いた。

 「そう言えばさ、ノクト最近クランリーゼやルクッチとなんか勉強してるけど

何やってんの?」

 それを聞いたノクトはこう答えた。

 「YES、これから先、№を賭けて機竜での戦闘以外にも

『デュエル・モンスターズ』を使った戦闘も想定したほうが良いかと思いまして

ルクスさん達にルールを教わってるのです。」

 デッキも作ってますしと言うとシャリスはこう聞いた。

 「ほう、それは見てみたいな。」

 「No,まだ完成していないのでそれは追々に。」

 「けど羨ましいなあ。ねえ、あたしも教えてよ?それ」

 「YES、皆さんで覚えてみませんか?楽しいですよ。」

 ノクトとティルファー、シャリスの三人はそう言いながら休憩時間を

過ごしていた。




 地獄の後は天国。
 トライアド三人のデッキ・・・どういう組み合わせにしよう。


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食べ物の恨みは海よりも深い。

 美味しい食べ物食べたら誰だって暴走するものさ。


そしてあっという間に休みが終わった後に軽く演習

(透流はルクスと地獄組手)を終えた後、合宿初日の夜がやってきた。

 リエス島は本土とは違って建物も街灯も少ないため夜の暗さが目立つ。

 そして合宿所の広いリビングで全員集まって夕食を摂ることとなったのだがここで問題が発生した。

 「ところで理事長」

 「どうしたのかしら?リーシャ様?」

 リーズシャルテがレリィにある事を聞いた。

 「何故今回の合宿にはコックを呼ばなかったんだ?最初からそうしてくれれば、

手間が省けたというのに」

 リーズシャルテがそう言うと全員がそう言えばと思った。

 今まではコックが常駐していたため食には困らなかったのだが今回は

なぜしなかったのだと思っているとレリィがこう答えた。

 「あら、こう言う時には皆で作った方が気持ちよくない?」

 そう言うとルクスはレリィにある事を聞いた。

 「レリィさん・・・貴方って・・・料理作れましたっけ?」

 覚えないんですけどと聞くとレリィは満面の笑顔でこう答えた。

 「出来る訳ないでしょう。」

 「即答!!然も笑顔で答えやがった!!!」

 ルクスは呆れながらそう言うとクルルシファーがキッチンと食材庫を一目見た後にこう言った。

 「まあ・・・一通り見てみたけど一応食材とか調味料とか揃ってるから何とか

作れるけど・・・14人分だから・・・ルクス君。手伝ってくれない?」

 「・・・へ!?」

 ルクスはクルルシファーからの指名を聞いてびっくりするがクルルシファーは

こう答えた。

 「だって貴方前に『ガーデン』の遺跡調査の時に私たちに晩御飯の『ラーメン』と朝食の『サンドイッチ』を御馳走してくれたじゃない?」

 「ああ・・・そう言えばそうでしたけどよく覚えてましたね」

 ルクスはクルルシファーの言葉から《ギャラクシーアイズ》を手に入れた

事件のことを思い出していたのだと分かった後クルルシファーにそう聞くと

こう答えた。

 「あら、あんな面白くておいしかったものそう簡単に忘れられないわよ。アルテリーゼの手紙にその事を書いたら返信が来たのよ。」

 「何てです?」

 「本人曰く『是非とも作り方と特許をお譲りしてください!!』

って書いてたわね。」

 「・・・ルクスさん。こんな所で『インスタントラーメン』

作ってたんですか?」

 透流はルクスとクルルシファーの言葉を聞いてマジかよと思いながら

そう聞いた。

 元々『インスタントラーメン』は戦後の高度経済成長期において主婦層を

ターゲットに日本で開発された食べ物であり近年では創業者とその奥さんの

悪戦苦闘を描いたドラマが出たほどである。

 「まあね、遺跡調査で食べ物と言えば乾パンとか干した物が殆どだからさ。

暖かい食べ物を食べて元気になってもらおうと思って作ったんだ。」

 「それって確かドラマじゃあ外国人の兵隊の食料に推薦されたこと

ありましたね。」

 「まあ、使い方はそうだけどやっぱり誰かが笑顔になることするって

楽しいよね。」

 「確かに。」

 あはははと二人は笑っていたが・・・約三名は違った。

 そのうちの一人は・・・レリィであった。

 「ルクス君!!」

 「うおわ!!」

 レリィが突如ルクスの手を握って物凄く近くまで顔を見ていた。

 「ええとレリィさん・・・何でしょうか?」

 ルクスはあまりのレリィの気迫に押されながらも聞くとレリィはルクスに対してこう聞いた。

 「これが終わったらすぐに製法を教えて!特許の使用料の何割かと交換で!!」

 「商人だなあ・・・」

 「まあ・・・目新しくて利益になりそうなものに飛びつくのは当然だろうな。」

 レリィの言葉を聞いてルクスは呆れながらそう言うがリ聞いていた

りーズシャルテがそう答え乍ら笑っていた。

 まあ、売れば間違いなく儲ける事間違いなしでありそれに立ってでも

食べれるという利便性の高さから金になると思っても仕方あるまい。

 そしてもう二人はと言うと・・・・。

 「ねえ・・・ノクト?」

 「YES?」

 ティルファーがノクトに何かを聞こうとした。

 「そう言えばさ・・・ルクッチとクルルシファーと一緒だったよね。」

 「YES、確かにルクスさんとクルルシファーさんと一緒でした。」

 すると近くにいたシャリスがこう聞いた。

 「つまり・・・それを食べていたんだな?」

 「YES、結構美味しかったですし、食後の紅茶も中々でしたね。」

 そう言ったその時・・・。

 ぴしぃい!!と音が聞こえたかのように感じた。

 「へえええ・・・私達が心配してたのにねえ・・・へえええ・・・」

 「我々は冷えたパンと干し肉を齧り乍ら飢えをしのいでいたのにお前は

暖かい食べ物をなあ・・・。」

 「・・・ティルファー?・・・シャリス?」

 何だか分からないがゴゴゴゴゴゴゴと二人の所から音が聞こえたかに感じた

その時・・・俯いていた二人の目が・・・ギラっと光って襲い掛かった。

 「Noooooooooo!!」

 「おりゃあああ!!さあ!どんだけ美味しかったのか聞こうじゃない!!?」

 「貴様だけ美味しい物食べるとはずるいぞ!!」

 二人はノクトに関節技を決めながらそう言うが当のノクトはあまりのことに

喋ることが出来なかったため透流とアイリを見て手を伸ばすと二人はこう答えた。

 「「・・・ゴメンナサイ(ナ)ノクト(さん)無理です。」」

 「Noooooooooooooo!!」

 二人の言葉を聞いて神は見捨てかと言う勢いで意識が遮断された。




 これ書いてたら・・・ラーメン食べたくなった。


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さあ・・・飯だ。

 泊りで作るご飯は何故かおいしく感じたのは・・・何でだろう。


ノクトが気を失ったのを見届けたクルルシファーは無視しながらこう続けた。

 「さてと・・・あまり尊くない犠牲が起きた所でもう一人ぐらい助っ人

呼ぼうかしら?」

 「いや、尊いでしょう!?」

 ルクスはマジかよと思いながらそう言うもクルルシファーはこう続けた。

 「誰か料理が出来る人手を上げてくれるかしら?」

 そう言って手を上げたのは・・・4人であった。

 「私はまあまあ出来るぞ。」

 一人目はリーズシャルテ。

 「俺は妹の手伝いをやった程度ですけど。」

 二人目は透流

 そして三人目が・・・。

 「未だ、あまり得意ではありませんけど。」

 セリスティアだったが三年生全員が揃ってこう言った。

 「セリスさんは止めてください!!」

 「この前の遠征でどれだけ壊したか分かりますか!?」

 「お願いですから大人しくしていて下さい!!」

 「・・・・・不安だらけじゃねえか。」

 ルクスはその言葉を聞いてセリスティアは戦力外と決まった。

 最後に四人目は・・・。

 「わたしも、できるよ?」

 フィルフィだ。

 ルクスはそれを聞くとこう聞いた。

 「フィーちゃん・・・ちなみに聞くけど得意料理は?」

 其れで答えたのは・・・。

 「ホットケーキとか、クッキーとか、・・・あとドーナツもできるよ?」

 「貴方は食後のデザートを1品だけ作ってくれるかしら?一品だけよ。」

 「うん・・・わかった。」

 それを聞いて調理場を目指すフィルフィを見た後ルクスはクルルシファーに

こう耳打ちした。

 「大丈夫なんですか?こう言っちゃなんですけどフィルフィ、

すっごい大食漢ですよ!」

 下手したらテーブルぐらいのケーキが出ますよと言うとクルルシファーは

こう返した。

 「大丈夫よ、皆へとへとだし明日からの演習を考えたら頭分でエネルギーを

蓄えさせるって言うのも一つの手だし、貴方がいるから暴走はまずないわ。」

 「それって僕フィルフィの見張りですか!!」

 「ええ、だから頼むわよ。ルクス君。」

 「嘘だろ~~。」

 ルクスはそれを聞いてマジかよと思っているとクルルシファーがこう言った。

 「それじゃあ、リーシャ様と透流君と・・・クランリーゼって出来る?」

 クルルシファーはクランリーゼにそう聞くとクランリーゼはこう答えた。

 「何か指示があれば出来ますよ。」

 そう言った。

 「OK,だったら今の三人は手伝ってね。」

 そう言ってクルルシファーはルクス達を集めさせたが調理場の近くで

セリスティアがこう言った。

 「すみませんクルルシファー。昔、自宅のコックから飾り掘りは上手な方だと

褒められたのですが・・・。」

 「それは料理にも入らないわよ『残姉さん』。邪魔だから何処かイッテ。」

 「ギャウン!」

 ぐさりとクルルシファーの言葉が胸に刺さったセリスティアはトボトボと

何処かにへと消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 そして30分後・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ま、こんな所かしらね。」

 そう言ってクルルシファーが出したのはシチューであったがぐつぐつと煮えて

美味しそうであった。

 「ルーちゃん。こっちも出来たよ」

 「ああ、ありがとうフィーちゃん。」

 そしてルクス達も出来たのだ。

 それは・・・・。

 「・・・・ルクス、何だこれは?」

 リーズシャルテがそう聞くとルクスはこう答えた。

 「ああ・・・向こうでは『生春巻き』って言う薄い生地に生野菜やお肉とか

入れて巻いて食べる奴があったのでそれをスイーツ風にした

『生春巻き風クレープ』です。」

 ルクスがそう言って見せたのは手のひらが見えるぐらいの薄さの生地と

生クリームと果物が皿に盛られている物である。

 「それともう一つは僕が作っている料理ですけどそろそろかな。」 

 そう言ってルクスが何か蓋に閉ざされていた料理が出てきた。

 その中身は・・・・・。

 「うおおおおおおお。」

 「これってまさか・・・・『蒸し魚』ですか?」

 「うん、本当は刺身も作りたかったけど醤油とかは持ってきてないし、食生活で生魚とか食べなさそうでしょ?」

 「ああ・・・外国人はタコとかも食べないんでしたっけ?」

 「そ、だから今回は色鮮やかな魚とエビを使った蒸し料理にしたんだ。」

 ルクスと透流はそう言いながら料理を眺めていた。

 ルクスは港町で雑用仕事していた際に『古都国』から仕入れた『醤』を抽出して作られた醤油を作って安く仕入れた魚を捌いて刺身で食べていたのだ。

 無論、これもレリィにバレてしまい、料理の調味料の一つとして新王国に

流通している。

 「ルクス、刺身とは何だ?」

 リーズシャルテがそう聞くとルクスはこう答えた。

 「ああ、刺身と言うのはですね・・・簡単に言えば生魚の肉を食べること

ですね。」

 「・・・ウいぇええ・・・うまいのか?それ」

 リーズシャルテがそう聞くとルクスはこう返した。

 「ええ、特に新鮮な魚は直ぐに食べることでうま味が結構あるんですよ。」

 「そう言えば俺の国もそう言う感じですからね。」

 「・・向こうの世界で食べるときは勇気出したな。」

 「まあ・・・でしょうね。」

 透流はルクスの目を見て確かにと思った。

 「さてと・・・運びますか。」

 「「「「うん」」」」

 その後の料理は意外にも好評で特にルクスとフィルフィが作った料理は

評判が良かった。

 




 ルクス「まだまだ作りたい物出てくるなあ。」
 透流「(このまま行ったら新王国、グルメ大国になるんじゃなのかな?)」


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海での会話。

 夜の海は・・・恋を語る場所。


「ふう。」

 透流とクランリーゼと一緒に食器の後片付けをしている中ルクスはリビングの方を見ていた。

 そこでは、アイリは持ってきた本を読みながらノクトの隣である物を見ていた。

 それは・・・・。

 「これが『デュエル・モンスターズ』ですか」

 「YES、従者の人間としてぴったりなカードです。」

 「『ドラゴンメイド』・・・確かにそうですね。」

 ルクス監修で作ったデッキを見せていた。

 シャリスとティルファーは賭けトランプをしていたのだが・・・。

 「これは没収です。」

 「「そんなああ!!」」

 セリスティアに怒られていた。

 レリィはルクスが作ったつまみを食べながらワインボトルを空けてクッキーを

食べていたフィルフィと過ごしていた。

 「美味しいわね、ルクス君のつまみ。」

 「うん。」

 一方のリーズシャルテはと言うと・・・。

 「ううむ、この信号を使ったことで別地点に情報が送れるのか。」

 「ぱそこん」と睨めっこしながら「モールス信号発生器」の作り方を

学んでいた。

 するとアイリがリーズシャルテに近寄るとこう言った。

 「リーズシャルテ様、もし良かったら貸してくれますか?遺跡調査で

手に入れた資料を整理したいので。」

 「ああ、良いぞ。」

 そう言いながらリーズシャルテとアイリは一緒になった。

 ルクスが所有権としているパソコンはアイリも使えるように教えた後に

整理させると意外なことが分かった。

 「あ・・・この文章翻訳間違ってる。」

 それが分かってからは情報の整理も兼ねてやっていた。

 「なんかいいな。こういうのって」

 嘗て遊馬達の世界にいた時に修学旅行で別の所に向かっった時もこんな感じで

楽しんでいたことを懐かしんでいた。

 「確かに悪くないわね、こういうのも」

 そう言いながらクルルシファーはルクスに近づいてこう聞いた。

 「そう言えばセリス先輩の心の傷を癒したのって貴方でしょ。」

 「・・・僕じゃないかもしれませんね。」

 「?」

 クルルシファーはルクスの答えになんだそりゃと思っている中ルクスは

デッキケースから「ラグナ・ゼロ」をクルルシファーに見せるとクルルシファーは成程と言ってこう言った。

 「全く貴方の彼女さんって貴方に似て人が良いのかしら?」

 そう聞くとルクスはこう答えた。

 「多分ですけど・・・ほっとけなかったんだと思います。まあ彼女も

そう言うのを見て見ぬふりは出来ないんですけどね。」

 「そう・・・・貴方が惚れるのも無理ないのかもね。」

 そう言ってクルルシファーは離れた後ルクスはリーズシャルテに近寄ると

こう言った。

 「リーシャ様。この後宜しいでしょうか?」

 「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 静かな波音が、月明かりに照らされて輝いていた。

 そして夜にも関わらず初夏であるため寒く感じなかった。

 「どうかしましたか?リーシャ様?」

 ルクスはリーズシャルテに水着姿で聞くとリーズシャルテはこう返した。

 「いや、お前が誘った時には何だと思っていたがここに来て合点がいったよ。」

 「・・・ありがとうな、ルクス。皆がいない隙を作らせて。」

 「まあ、折角水着買ったのに泳がないのもどうだかですよね。」

 「それもそうだな。」

 そう言いながらリーズシャルテは水着姿で笑っていた。

 「然しこう言う場所とは本来意中の相手にさせるべきだろう?」

 リーズシャルテはそう言うがルクスはこう答えた。

 「ハハハ・・・もう会えなくなってしまったんで無理なんですけどね。」 

 「あ・・・御免。」

 「良いですよ。それに出来なかった分一杯遊びましょ。」

 「そうするか。」

 そう言いながらお互い笑いながら遊んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 2日目から本格的に合宿になった。

 先ず初めに基礎体力訓練の一つでもある走り込みと剣術を含む白兵戦の訓練。

 これには透流も予備隊員である為参加している。

 それを終えて機竜を使った訓練(トライアド)昨日のことを思い出して

少し青ざめるがセリスティアがルクスをみんなの前に引っ張り出すとこう言った。

 「ルクス。貴方に折り入ってお願いがあるのですが・・・宜しいでしょうか?」

 「?・・何でしょうか?」

 ルクスが何事かと聞くとセリスティアはこう言った。

 「実は昨日レリィ学園長と話し合ったんですが貴方には各自の評価をして、

長所と短所を炙り出して欲しいのです。」

 「・・・・はあ(*´Д`*)!!」

 ルクスはあまりの事に驚いているがレリィが割り込んでこう言った。

 「貴方の実力はみんな知ってるし今回の教導用に前に貴方が使っていた

『フォース・トリニクス』と同じように装甲を増設させた『ワイバーン』が

あるからそれを使って指導してほしいの。」

 「あ・・・神装機竜には『ギャラクシーアイズ》を使ってね。単体での強さを

把握したいから。」

 そう言うがルクスはこう反論した。

 「それだったら、セリス先輩がうってつけじゃないですか!?熟練者だし」

 然しレリィはこう返した。

 「それがね、セリスティアは圧倒的な強さで敵を倒しちゃうから

訓練にならないでしょ?けど昔の貴方なら相手の力量を見極めたうえで

徹底防御しながら戦ってきたから大丈夫でしょ?」

 「それに長所を引き伸ばせればアドバイスできるし、目標課題の提示と考えれば言い訳だしね。」

 そう言って全員に向けてこう聞いた。

 「ルクス君にやってもらい人は?」

 『『『『ハーーーーーーイ』』』』

 全員手を上げたのを見てルクスは逃げ場なしと悟りこう口を開いた。

 「はあ・・・分かりましたよ。やりましょうか?」

 『『『『イエエエエエエイ!!!!』』』』

 そして合宿が始まった。




 合宿開始!!


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合宿開始!

 合宿スタート!!


「けどただ教えるだけじゃあ面白くないわよね~~。」

 「はい?」

 ルクスはレリィの言葉を聞いた瞬間に嫌な予感を感じた。

 こう言う時は大抵良いことなど一つもないのだ。

 「それじゃあ、こうしましょ。もしこの合宿中にルクス君から与えられた課題を

達成出来た人間は先着三名までに個人的な依頼を受けられるって言うのは?」

 「おい、アンタちょっとマテ。」

 「競争意識を高めつつ学園において二人しかいない男の内一人を独占できるなんて羨ましい人が出る事間違いなしね。」

 「人の話をキケ----!!!」

 ルクスはレリィに抗議するがレリィは聞いてもらえないどころかこうも言った。

 「今ならエロイ依頼も先着一名様にさせるわねえ。」

 「おいーーー!!」

 等々ルクスは頭を抱えるが周りはと言うと・・・。

 「え?いいんですか学園長!!??」

 「それは楽しそ・・・じゃなくてやる気が出ますね!!」

 「エロい事ってそれってあんなことやこんなことも」

 等ととてもではないが演習の途中とは思えないほど賑やかになってしまった。

 それを見ていた透流はと言うと・・・。

 「・・・ノクトさん、レリィさんって何時もあんな感じなんですか?」

 「YES、特にルクスさんが来てからはこう言う企画を作る才能は結構あります。」

 「・・・それを他の事に使えば良いのに。」

 「そう言っていますが何時かは貴方もターゲットにされますよ。」

 ノクトと透流の言葉にアイリがそう忠告した。

 「・・・もうどうにでもなれだ。」

 ルクスは最終的にだが肩を落としながらそう言った。

 「じゃあルクス君。一人ずつ模擬戦よろしくね。私はこれから学園のお仕事が

あるから。」

 「はあ!!マジで僕一人だけなんですか!?」

 「それじゃあ頑張ってねえ。」

 そう言ってレリィは足早に立ち去って行った。

 「それじゃあ最初は私だがルクス。」

 「はい?リーシャ様。」

 如何やら始まるらしいのだが最初のリーズシャルテは何やらr聞きたいことがあったそうだ。

 「機竜だが《キメラティック・ワイバーン》か《ティアマト》どっちが良い?」

 そう聞くがルクスはそう言えばと思っていた。

 「(そう言えば《ギャラクシーアイズ》で戦ったことなかったなあ。整備の為に1回動作確認したけど)」

 そう思ってこう判断した。

 「それじゃあ《ティアマト》をお願いします。」

 「分かった。」

 そう言ってリーズシャルテは《ティアマト》の方のソードデバイスを抜いた。

 「それじゃあ時間が時間何で一人3分」

 「クランリーゼ、時間配分頼むぞ。」

 「分かりました。」

 そう言ってルクスはリーズシャルテの向いた方向を見ると

既にクランリーゼが砂時計を持って準備していた。

 「次は私がいきますよ。」

 「いや私が」

 「いやいや私が」

 「・・・これって体保つかなあ・・・」

 ルクスはそう思っている中透流が出てきてこう言った。

 「はいはい、順番に演習場の外で抽選行いますのでその数字で

並んでくださいねえ。」

 そう言いながら透流はいつの間にかあった箱を持ってそう言った。

 「いつも間にそれ作ったの!?」

 「いやあ、その・・・アイリさんがもしもの為にと言って作っていた

そうなんですよ。」

 「レリィさんの性格を考えたらこれくらいは考えが付くものですよ。」

 ルクスの問いに透流とアイリがそう答えた。

 しかしまあ全員確かに強いがギリギリ何とかなるだろうと思って

シュミレートしていると・・・声が聞こえた。

 「こ、個人的な依頼ですか・・・それは是非私も・・・・

本気を出さないと・・・いけません・・・ね」

 「・・・ウイェイ!?」

 ルクスは驚いた表情で声の主、セリスティアを見た。

 「いや、ちょっと待って下さいよ!?まさかセリス先輩までこの模擬戦

やるんですか!?」

 「わ、私はやってはダメなんですか!?」

 セリスティアはルクスに向かってそう言うとルクスはしどろもどろで

こう言った。

 「いやええっと・・・やっちゃいけないんじゃなくてですね・・・以前戦った

僕が言うのもなんですがセリス先輩は戦闘関係で直す部分が無かったので

(アンタと戦ったら体が持たねえよおお!!)」

 本音は無論これであるし実際合切、セリスティアは戦闘以外で

直さなければならない点が数多くあるため先ずそこだろと言いたいところで

あった。

 だがそれに気づかなかったセリスティアはと言うとふっと得意げに笑って

こう言った。

 「そうですか・・・そうですね、『シヴァレス』の団長である私が誰かに

教わるようではいけませんからね。でしたら私は暫く自主練しますので終わったら補佐をします。それでは」とセリスティアはスタスタと列から離れて

壁に辿り着くと頭を壁に当ててこう言った。

 「はあ・・・また自主練です。切ないです。私が後輩に教えようとすると、

何故か『恐れ多いです』と言って断られてしまいますし、王都の遠征だって

色々あって軍の男性をやっつけてしまって向こうの教官には終始避けられましたし皆、〉楽しそうで羨ましいです・・・・いいなあ」

 『『『『『うわあああ・・・・・・』』』』』

 それを聞いて全員苦笑いしている中リーズシャルテが「竜声」でルクスに向けてこう言った。

 〈ああルクス。取り合えず今日終わったらセリスティアを接待しておいて

くれるか?〉

 「・・・ああ、はい。」

 ルクスはそう言ってから演習を始めた。

 その後まあ色々とあったが取り合えずセリスティアをどうするべきか考える

ルクスであった。




 セリスティア・・・取り合えず心を強く持つ練習を中心にすれば?


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良からぬことが起きちまった。

 ルクス・・・あの時そこで休憩しなけりゃ良かったのに。


「つ・・・疲れたアア。」

 ルクスはあの後全員(セリスティアは除いて)と模擬戦を行った後、簡単な指導と助言をし、練習メニューを提示した。

 

 

 

 リーズシャルテの場合

 

 

 

 

 「リーシャ様の場合は近づかれた際の武器の少なさとスタミナ不足ですから

提示したトレーニング以外に集中力を高めるための訓練メニューを

組んでおきますのでそれに従ってください。」

 

 

 

 

 クルルシファーの場合

 

 

 

 

 

 「クルルシファーさんは冷静に物事を見通せますけど逆に玄人クラスの人ですと

それすら逆手にとれますのでそうならない様に心理学を学んどいてくださいね。」

 

 

 

 

 

 フィルフィの場合

 

 

 

 

 

 

 「フィーちゃんは格闘戦重視だけど遠距離タイプとの戦いの際にはどうしても

前に出なければいけないから被弾するリスクが出るからリーシャ様と

クルルシファーさんと偶にでいいから模擬戦して経験値を貯めておくこと。」

 

 

 

 

 

 

 序にやった透流の場合

 

 

 

 

 

 「まあ透流の場合は経験不足って所が前面に出てるから皆の戦い方を学んで

覚えることだね。」

 

 

 

 

 

 

 

 一部であるが全員にアドバイスした後にルクスは木陰に移動して休憩をとった。

 まあそれで冒頭に戻るのだが離れた演習場では、早くも連携を含んだ

各自の特訓が執り行われた。

 「皆やる気になって良かった良かった。(僕に依頼するためじゃないことを

祈るけど)」

 まあそれもあるだろうが彼女たちが頑張る理由はもう一つある。

 それは、今回の校外対抗戦が新王国で行われることが一つの理由である。

 そこには新王国の領主や三大貴族も来るため実力次第では騎士として

召し抱えられることになる。

 遺跡の調査権だけではなく彼女たちはこのために頑張っているのだ。

 「(ま、それも無事にが付くがあの国次第じゃあなあ。)」

 アイリからの情報によればあの「ヘイブルグ共和国」も参戦するようだがどうもきな臭い噂が後を絶たない。

 先日学園に強襲した部隊もヘイブルグ共和国と言う事もあって執政院が

問い質すも暖簾に腕押しよろしくでまともに対応してくれないようだ。

 だがなぜヘイブルグ共和国がこのような所業に踏み切った理由はただ一つ。

 それは・・・・。

 「(あのクソ親父が馬鹿しなけりゃあここまでの事態にはなって

なかったんだよなあ。死んで迄迷惑千万だよ。)」

 嘗てアーカディア帝国時代の際にヘイブルグ共和国の国土を脅かしただけ

ではなく「ラグナレク」における被害を受けたことが原因でそれに対抗するための軍事力を拡張させた。

 それだけではなく「ヘイブルグ共和国」はある国をアビスから救済した後に

併合したという噂を聞いた。

 然しそれによって肥大化した組織と武力により政治が狂い始めた。

 隣国や非加盟国との小競り合いや、遺跡調査権格闘とアビス対策のための

さらなる軍拡が災いして共和国とは名ばかりの軍事政権となってしまい、

実質の最高権力者は軍司令官と言う何とも嘗てのアジアの国と同じだと

嘆くことだろう。

 「ふう・・・考えても仕方がないな。やれるだけやるか。」

 ルクスはそう言いながら演習場に戻ろうと思って腰を上げた時にフラフラと

こちらに来る人影を見た。

 「あれ?フィーちゃん。どうしたの?」

 フィルフィが片手で額を押さえながら、足元がおぼつかない様子で

向かってくるが・・・。

 「ちょっと・・・疲れ」

 そして、ルクスのいた木陰の手前で倒れていった。

 「危ない!」

 ルクスはそれを寸でのところで受け止めるがその時に異常に気付いた。

 「何だこれ・・・脱水症状か!?」

 ルクスはそう確認するが当の本人は返事すらなかった。

 「ああ~~。疲れたーー。休憩休憩っと・・・あれ?ルクッチ、フィルフィっち何かあったの?」

 ティルファーがどうしたのかと聞くとルクスはティルファーにこう伝えた。

 「ティルファー!僕はこれからフィーちゃんを合宿所に連れて行くから皆に

伝えておいて!!」

 「ああ、分かった!!」

 そしてルクスはフィルフィを連れて走り出した。

 

 

 

 

 

 

 「アイリ!村の施療師さんを呼んできて!」

 「!?・・・場所は知ってますから読んできますので兄さんはフィルフィさんを部屋に!!」

 アイリはそう言って施療師を呼びに言った後ルクスはフィルフィを部屋に連れて行った。

 「フィーちゃん、大丈夫?何か喋って!?」

 「胸が・・・・苦しい。」

 フィルフィはルクスに対してそう言うとルクスはフィルフィをベッドに寝かせて早速取りかかった。

 「分かった!ちょっと装衣を緩め・・・・あれ?」

 ルクスはフィルフィの装衣を緩めさせようとするもある事に気づいた。

 「女ものの装衣って・・・どんなんだっけ??」

 そう、ルクスは男物しか知らないため如何したら良いか分からなかったのだ。

 然し・・・。

 「ん・・・・う」

 魘されているフィルフィを見て焦ってしまった。

 「ええい!ままよ!!」

 そう言ってルクスは装衣の胸部当たりの締め付けをしている金具をいじった

その時・・・花の様に特殊素材の布が左右に開いちまった。

 「え!!・・・・・でかい!!??」

 つい声を出してしまったがルクスは風呂場で見てしまった時を思い出して

しまった。

 あの時は上半分だけであったが現在は全体像がはっきりしてしまい、

仰向けなのに形が崩れないという奇跡があった。

 するとフィルフィが目を開けるとこう言った。

 「・・・何してるの?ルーちゃん」

 未だ息が荒かったがフィルフィがそう言うと固まってしまったルクスを見て

そう聞くとルクスは慌ててこう言った。

 「あ、あの、これはその!?・・・別に変な気持ちでやった訳じゃあ」

 「へえ・・・ではどう言う気持だったんでしょうかねえ」

 「あ・・・アイリちゃん。」

 「!?!!!」

 ルクスはフィルフィの言葉に後ろを向くとそこにいたのは・・・。

 「・・・・・・・・」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 目元を暗くして今にも攻撃してきそうなアイリがそこにいた。

 「ええと・・・その・・・脱がし方が」

 「成程、では兄さんはそれを理由にフィルフィさんを脱がしたんですねえ。」

 「チョット待って!弁解のチャンスを!!」

 「・・・・ギルティ。」

 「グはあ(*´Д`*)!!」

 アイリからの死刑判決と同時に正拳を諸に腹部に命中したためルクスはそのまま吹き飛んでいった。

 「クランリーゼ。」

 「・・・はい。」

 「兄さんを部屋からダシテクダサイネ。」

 「イェッサー」

 クランリーゼは見事な敬礼と共にルクスを引きづって部屋から出て行った。




 クランリーゼ「ルクスさん、生きてますか?」
 ルクス「・・・・誰か医者を~~。」
 クランリーゼ「大丈夫そうですね」
 いや、大丈夫じゃねえよ。


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ボケが多いとツッコミは大変だ。

 ボケが多すぎれば人類は絶滅。
 ツッコミが多ければ進化しない。
 ・・・加減って重要だよね。


十数分後・・・。

 駆けつけてきたレリィによればフィルフィは軽い貧血と、日射病における一時的な疲労におけるものだと聞いたがその際に隣にいたアイリはと言うと・・・。

 「・・・・・・・」

 相も変わらず黒い微笑みをルクスに向けていた。

 「それではレリィさん、私はこれで失礼します。・・・ああ、後ルクス先輩も」

 「まさかの他人行儀!!Σ(・□・;)」

 これは間違いなく当分はこれだなと思ったのは恐らく自分だけではないだろうと

思う。

 そしてアイリが部屋から出て言った後レリィがルクスに向けて笑顔で

こう言った。

 「フィルフィの事ありがとうね。今度からは女ものの装衣を着けて

女装したほうが今後の事も考えて分かりやすいかもね。」

 「ヤメテクダサイネ。ジョウダンデモソレダケハ。」

 レリィの冗談に対してルクスは真顔で目のハイライトがない状態でそう言った。

 「まあ、冗談はこのくらいにして。」

 「本当に冗談ですよね!?本気じゃないですよね!!??」

 ルクスはレリィにそう問い詰めるもレリィはこう続けた。

 「ねえ、ルクス君。仕事頼んでいいかしら?」

 「ええ・・・良いですけど何でしょう?」

 ルクスがそう聞くとレリィはこう答えた。

 「フィルフィの事なの。」

 「?」

 「さっきもそうなんだけど、ここ最近、フィルフィの体調の変化が激しいん

だけど・・・あの子って感情を表に出さない子でしょ?」

 「まあ・・・ブランクはありますけどフィルフィの事は大概知っていますし。」

 「だから、合宿の間でいいからあの子の付き添い役になってもらいたいん

だけど・・・頼まれてくれないかしら?」

 そう聞いたルクスは確かにと思っていた。

 フィルフィの事を大体ながら分かっているのはルクスぐらいだ。

 そう考えるのなら他の女の子よりも適任であろう。

 そしてルクスが決めたのは・・・これだ。

 「・・・まあ、出来る限りの事はします。」

 「ルクス君。ありがとう」

 レリィがほっと溜息つくのを見てルクスは引き受けてよかったと思っていた。

 ・・・この時までは。

 「ああ、因みに着替え用の下着はそのクローゼットに入ってるから

ルクス君の好みに合わせて着替えさせて良いわよ。」

 「って何で僕に教えるの!って言うかアンタ僕のこと何だと思ってん

ですか!?」

 ルクスがレリィにそう聞くとレリィはにこやかにこう答えた。

 「下着泥と覗きでこの『アカデミー』に入学出来た男の子兼私の遊び道具。」

 「前半未だ覚えてるんかいってアンタの本心後半だろうが!!」

 ルクスは頭を抱えてそう言うがベッドに寝ていたフィルフィが頭を上げて

こう言った。

 「大丈夫だよ、ルーちゃん。」

 「フィーちゃん・・だいじょうb」

 「わたし、寝るとき服着なくてもへいきだよ?」

 「そうっか、なら平気・・・んな訳あるか!何とち狂ったこと言ってんの?一応僕男だけどそこんとこ大丈夫なの!?」

 「うん、ルーちゃんならへいき。」

 「僕が平気じゃねええええええんだよおおおおおお!!!」

 「あ、それとルクス君。フィルフィの下着の色なんだけど、スケスケな方が

好みなのかしら?」

 「アンタちょっと黙れって何だよここ!ボケの巣窟でツッコミ役僕だけって

何じゃこの地獄はあ(*´Д`*)!」

 ボケるフィルフィとレリィに対してツッコミはルクスなのだが天然と

腹黒なボケの前に過労寸前のルクスであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの後だがフィルフィの着替えは他の女生徒を呼ぶことで何となったがレリィはブーブーと文句たらしていた。

 尚、それを聞いていたルクスは拳を握りしめて殴り飛ばしたい衝動を

我慢していた。

 「それじゃあ、フィー。またね~~。」

 「もう二度と来るな。」

 ルクスはレリィの後姿を見てそう思っていた。

 そしてルクスはフィルフィの方を向くとこう言った。

 「はあ・・・疲れた。」

 「だいじょうぶ?ルーちゃん」

 「うん・・・タブンネ(半分はフィーちゃんにもあるんだけどね。)」

 心の中でルクスはそう思いながらこう続けた。

 「何はともあれ、合宿が終わるまで宜しくねフィーちゃん。具合が悪くなったら直ぐに僕に言ってね、ああ後着替えは他の人に頼んどいてね。」

 「うん。ルーちゃんわかった。」

 「・・・本当に?」

 ルクスの言葉に対してフィルフィはそう答えるがルクスは疑いの眼を

向けていた。

 現在寝室にはルクスとフィルフィしかいないので会話をどうしようかと

思っている中ルクスはこう言った。

 「それで、今僕に何かしてほしい事ある?」

 そう言って場を繋ごうとするとフィルフィがやろうとしたことは・・・。

 「よいしょ」

 ゆっくりとベッドから立ち上がって部屋着のシックなブラウスをルクスの

目の前で・・・脱ぎ始めた。

 「チョット----!!!何やってんのフィーちゃーーーん!!!」

 「着替え。・・・だけど?」

 「何で当たり前の様に答えるの!!可笑しいの!?僕がって言うか

前に聞いたけど君羞恥心ってあるの!!??」

 「ルーちゃんだから・・・だいじょうぶ?」

 「数分前の状況思い出してえええ!!」

 ルクスは頭を抱えながらそう言った。

 このマイペース少女をどうやって介護するんだとルクスはこの先の事を

考えながら部屋から脱兎の如く出て行った。




 透流「あれ?アイリさん。ルクスさんは?」
 アイリ「知りません!!」ぷくーー。
 透流「?」首を傾げて。


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幼馴染との会話。

 嘗て交わした約束・・・それは果たされずとも残っている。


 午後の訓練を終えた二日目の夜は殆どの人間が自由時間中に寝室に向かって

行ったがルクスと透流、クランリーゼは残って合宿所の後片付けをしていた。

 「それで、フィルフィさんは大丈夫だったんですか?」

 「うん、まあ軽い症状で済んでたから今は僕が用意した経口補水液を飲んで

休ましたよ。」

 透流の言葉に対してルクスがそう答えるとクランリーゼがこう聞いた。

 「でしたら、アイリさんが不機嫌だったのは何だったんでしょうか?」

 そう聞くとルクスは・・・。

 「フフフフフフ・・・」

 「何かあったんですね。」

 ルクスのハイライトが消えた目を見て察した。

 「それじゃあ、また明日。」

 「「おやすみなさい。ルクスさん。」」

 透流とクランリーゼが出ていくルクスにそう言った後ルクスはフィルフィのいる

部屋にへと向かった。

 「・・・レリィさんがいないか確認確認っと。」

 ルクスは辺りを見回しながらそう言った後慎重にノックしてから部屋に入った。

 「フィーちゃん。体は大丈夫?」

 そう聞くとフィルフィは本を読みながらこう言った。

 「うん。平気」

 そう言ってもう一度本を読んでいる中ルクスは蜂蜜入りの紅茶をフィルフィの

ベッドのすぐ近くにある机に置いた。

 「あ、ありがとう。」

 フィルフィがそう言うとルクスはこう聞いた。

 「フィーちゃん。さっきから何読んでんの?」

 そう聞くとフィルフィはこう答えた。

 「商業の本。取引の法律とか、お金の使い方とか投資とか商品についてとか色々。」

 「へえ・・・そうなんだ・・・・ウイェイ!?」

 フィルフィの言葉にルクスは驚いていた。

 だがまあフィルフィの実家の事を考えたら呼んで当然だろう。

 彼女の家は旧帝国時代から続く巨大な財閥で、幾つもの商家を束ね、

指揮している。

 無論その中にはルクスが作っていた物を販売する事業所(新規事業)の

展開により新王国内ではトップランクの財閥となっている。

 アイングラム財閥における潤沢な資金の運用法と商品の仕入れと原材料の把握、そして売買と言った事からそれらに関する法律の把握などは現在は

アイングラム公とレリィが中心になって行っているが次女でもある

フィルフィも行く行くは重要な役職に納まるだろう。

 ともなれば学生のうちにこのように覚えておくことも大切であり当たり前の事であろうと思うのだがルクスは心の中でこう思っていた。

 「(御免、フィーちゃん。・・・イメージすら出来ないよ。)」

 どちらかと言えばお菓子屋さんでお菓子をつまみ食いしながら子供たちに

配るようなそういう印象だなあと思っていたのだ。

 だが人は変わるものだ。

 ルクスがフギルによって現実を理解し、璃緒に初めて恋したように時間の流れは子供を大人にするように変わっていくものだ。

 ルクスは少し寂しいような感じでもあるが何かを言おうとしたその時に、

フィルフィがこう言った。

 「・・・だっけ?この本」

 「どしゃああああ!!」

 あまりの言葉にズッコケてしまった。

 「ルーちゃん。夜は静かにしないとだめ、だよ?」

 「誰のせいだと思ってんの!?って言うか何で僕に聞くの!!?

君がよく読むんでしょ、その本!!」

 ルクスはそうツッコミ入れながらフィルフィに聞くがフィルフィが言った

答えは・・・こうであった。

 「うん。これ読んでると、よく眠れるから」

 「先ず使い方が違エエエエエエ!!」

 子供が読む絵本かよという位の勢いでそう言うがルクスはこう思っていた。

 「(やっぱフィーちゃんは昔のままだ。)」

 だがフィルフィはこう続けた。

 「でも、もうすぐこう言う事も、決めないといけないから」

 「ああ、進路のことかってけどその前に本読んで眠くならないことから

始めよう。」

 ルクスはそう注意するがフィルフィは聞いていないのかこう言った。

 「私ね・・・一応考えてるんだ。」

 「フィーちゃん。人の話聞いてる?」

 ルクスはそう言うがフィルフィはこう言った。

 「お姉ちゃんからは、『私の護衛兼秘書になって欲しいの~~。』って

言ってた。」

 「・・・秘書はさておいてだけど護衛なら確かに向いてそうだね。」

 フィルフィの格闘技のセンスは前にレリィが催した企画ではっきり分かってるし神装機竜も持っているため正式な武官としての免許を取れば大丈夫であろう。

 「ルーちゃんはさ、なにかやりたいこと、あるの?」

 「僕・・・僕は」

 そう言われてルクスはある事を思い出していた。

 嘗てフィルフィと別れる際に発したあの言葉。

 『必ず作るから!女の子のフィーちゃん達も安心していられる国を、

僕が作るから!この帝国を僕が絶対に変えて見せるから!!だから・・・』

 だが結局果たすことが出来ずに国ごと滅ぼす道を選んだがそれすらも

フギルによって理想すら打ち砕かれたのだ。

 ならルクスは何がしたいのか・・・何をどうしたいのか・・・何を・・・

 『ルクス兄!!俺何時になるかわからないけど・・・いつか会いに行くから!!

その時またデュエルしようぜ!!』

 その時ルクスが思い出したのはあの言葉。

 遊馬が自分に言ったあの言葉。

 何時か会えると信じて刻まれたあの言葉。

 そしてルクスが発した言葉は・・・。

 「僕は遊馬達とまた出会って皆と・・・この世界の皆と一緒に笑いあう事

かな。」

 「遊馬ってルーちゃんが向こうでであった」

 「うん。ちょっと無鉄砲な所はあるけど優しくて強くて・・・仲間思いな

僕の大切な弟分。皆にも紹介して、アイリにも逢わせて、また皆で楽しみたいって所かな。」

 ルクスは笑いながらそう言っているとフィルフィは本を閉じてこう言った。

 「そっか・・・それなら私はもう安心かな?」

 「え・・・?」

 フィルフィがそう言って微笑んでるのを見て何でだと思ってる中・・・・。

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォオオォォォォン・・・・!

 地鳴りが鳴り響いた。




 次回は遺跡編です。


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遺跡の説明。

 今回はアイリの遺跡に関する説明(簡易版)です。


「フィーちゃんはここにいて!何があったか見てくるから!!」

 「うん、わかった」

 ルクスはフィルフィにそう言った後寝室からリビングに向かって行くとそこに

あったのは・・・。

 「・・・これって!?」

 漆黒の海から現れたのは巨大な船のようなナニカであった。

 帆船よりも・・・島よりも大きいナニカをルクスはまさかと思っていた。

 「オイオイ・・・まさかこれって」

 「あらあら、予定よりも早かったけどまあ・・・良いわね。」

 「レリィさん!って・・・アンタ酒飲んでたんかい。」

 「まあね、ルクス君が作ったおつまみが美味しかったから

ついつい飲みすぎちゃって。」

 そう言いながらレリィはほろ酔い気分のまま外に出るとこう言った。

 「皆、着いてらっしゃい。今からこの合宿の本当の目的・・・新王国からの命令を伝えるわ。」

 「学園長!まさかそれって!!」

 レリィが命令について言おうとするとセリスティアがまさかと思っていた。

 そしてレリィは全員にこう説明した。

 「皆も知ってると思うだろうけど、これは新王国が保有する遺跡の一つ、

第三遺跡『方舟(アーク)』と呼ばれるものよ。」

 レリィがそう説明するなか透流は目を点にしながらこう言った。

 「これが遺跡ですか・・・・」

 「私は他の遺跡を見るのは初めてです。」

 無論外に出てなかったクランリーゼもそう言うとアイリが二人にこう説明した。

 「透流さんは知らないかもしれませんが遺跡と言うのは

第一遺跡『塔(バベル)』、第二遺跡『迷宮(ダンジョン)』、

第四遺跡『坑道(ホール)』第五遺跡『巨兵(ギガース)』、

第六遺跡『箱庭(ガーデン)』、第七遺跡『月(ムーン)』、そして目の前にある

第三遺跡でもあるこの『方舟(アーク)』を含めて七つあり、その中でも動く遺跡がこれを除けば『月(ムーン)』だけなのです。」

 「そして各国が遺跡の調査権を賭けた戦いこそ」

 「『校外対抗戦』ですよね?」

 「その通りです。あの中には古代人が書き残した資料や機竜のパーツや

機竜そのものが入っていますのでそれを手に入れるために戦っているのです。」

 「ですが今あげた二つは一定周期で場所を変え、出現区域が

ほぼ海上である事からあまり調査されていませんけどね。」

 「海上って・・・じゃあこれって今まで海中を移動してたって事ですよね!?」

 「ええその通りです。」

 「・・・古代人って潜水艦作ってたのかよ。」

 透流はそれに驚いているがもう一つある事を聞いた。

 「待てよ?・・・じゃあ第七遺跡は何処なんです?」

 そう聞くとアイリはこう答えた。

 「ああ・・・第七遺跡は空に浮遊しているので大抵は《ワイバーン》で

対応してるんですよ。」

 「・・・・何か音羽と昔見たアニメにそんな奴あったなあ。」

 ジ〇リも驚くなと思っている透流であった。

 「学園長。新王国からの命令と言う事はこれの調査ですか?」

 「そうよセリスティアさん。察しが良くて助かるわ。」

 セリスティアの問いにレリィは微笑みながら答えた後こう言った。

 「今回の任務は・・・今だ誰もが到達されたことすらない場所・・・

最深層の調査よ。」

 『『『『『!!!!!』』』』』

 レリィの言葉を聞いて全員が驚いていた。

 何せ各国が今まで到達したことすらない場所に行くのだ。

 前人未到の場所に自分たち学生が行くと言う事。

 誉であると同時に危険も倍増しており成功すれば間違いなく世界初の偉業として後世にまで伝えれるが失敗すれば間違いなく新王国の危機に直結すると

相まって全員緊張しているがレリィは二つの事を言った。

 「今回新王国から依頼された内容は二つ。

 「『一つ、『ラグナレク』が消えたことに対する最深層の調査。」

 「そしてもう一つ・・・これこそが新王国の最も欲する内容。」

 そう言いながらレリィはある荷物を持ってきた。

 それは少し大きな木箱で人の頭ほどの大きさの物がすっぽり入るぐらいの

大きさであった。

 そこに入っていたのは・・・。

 「それは!!」

 それを開けた瞬間に周りが七色に輝き始めた。

 ルクスはそれの正体に気づくとレリィがこう言った。

 「そう、『ラグナレク』から出てきたコア『グランフォース・コア』」

 そう言うとレリィは目つきを鋭くしてこう言った。

 「『二つ、『グランフォース・コア』を最深層に持って行き、実際に

遺跡の機能が停止するのか見定めよ』よ!!」

 『『『『『!!!!!』』』』』全員がそれを見て息を呑んだ。

 実際に遺跡の機能が停止すれば今後『アビス』が出てくる心配が殆ど無くなると言う情報はクランリーゼから聞いているが実際にそうなれば少なくとも

港町での被害は0になるという計算となるのだ。

 「もし上手くいけば各国が集まる『校外対抗戦』において高らかに宣言し、

新王国に莫大な利益が出ることは間違いないわ。」

 そう言うとレリィは全員に向けてこう言った。

 「予定では明日から1週間の間、ここに停泊することとなるわ。

だから皆は今日はゆっくり休んで明日からの調査を始めるわよ。」

 そう言っている中ルクスとアイリはお互い視線で何か会話した後ばらけた。

 ・・・まさか自分たちが思っていたことが現実になるという最悪なシナリオに

ついて。




 次回は恐らくあの話だろうなあ。


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機竜の新たなる力。

 機竜の簡単な説明です。


次の日の朝。

 ルクス達は朝食を食べ終えて片づける中アイリがルクスに近寄ってこう聞いた。

 「どう思います?兄さん」

 「・・・今回の調査の事?」

 「ええ・・・未だ調査権が残っていたというのは・・・怪しいですよね。」

 「まあ、それは追々考えて今は第二の目的を果たすべきじゃない?」

 「・・・『グランフォース・コア』の信憑性の調査・・・成功すれば

こんな事が些事で終わるほどですものね。」

 「うん。」

 ルクスとアイリはお互いの考えを述べた後にこう言った。

 「取敢えずはお互いやるべきことをしましょう。」

 「そう言えばアイリ、今日の予定は?」

 ルクスがそう聞くとアイリはこう答えた。

 「私はクランリーゼと一緒に『アーク』に関する記述を纏めますが兄さんは?」

 「僕は午前中リーシャ様から自主訓練中にリエス島のアトリエに来てほしいって

言われたなあ。」

 「それではまた後で。」

 「ああ、分かった。」

 そう言ってお互い離れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 基礎訓練後の自主訓練中。

 ルクスはリエス島のアトリエに向かった。

 アカデミーよりも大きく、がっしりした造りになっていた。

 当然重要機密所であるためリーズシャルテクラスの権利でなければ入れないのだ。

 「こう言う時にお上の権力って凄いよなあ。」

 ルクスはそう言いながらアトリエに入るとそこにはルクスが演習で使われていた改造型《ワイバーン》がそこにあった。

 「おお、ルクスか。待っていたぞ。」

 リーズシャルテはそう言いながら地面を擦るぐらい長いガウンを着ていた。

 「・・・まあそろそろ服は新しくしようと思っているからな。」 

 「何言ってんですか?」

 リーズシャルテはそう誰もいない所でそう言った。

 するとリーズシャルテはルクスに向けてこう言った。

 「それじゃあ、新しい機竜の使い方についてなんだがルクス、ちょっと悪いが《ワイバーン》に乗ってくれ。」

 「あ、はい。」

 リーズシャルテがそう言うのでルクスは何だろうと思いながら《ワイバーン》に乗った。

 「それじゃあ先ずは、《ワイバーン》の機構(システム)モードを

起動してくれ。」

 そう言いながらリーズシャルテはパソコンを起動させてからそう言った。

 「システムですね。ええと確か」

 ルクスはそう言いながらも精神操作を起動した。

 機竜と神経を繋ぎ合わせるイメージを思念で送ると《ワイバーン》の頭部から

青白い光が現れた。

 「・・・よく考えたらこれって『パソコン』の映像みたいだよなあ。」

 ルクスがそう言うとその映像には窓枠と図形、無数の文字列が浮かんでいた。

 まあ文字は古代文字であるのでルクス達は分からない。

 大体はアイリ辺りがやっているからだ。

 「えーっと、次は左上の図形を見てくれ。そいつを押せば先に進めるらしい。」

 このシステムモードを起動させることで機竜の調整に認証登録、各部品や武器の出力調整等を行うのに必須なのだが大抵のドラグナイトは認証登録しかせず

やったとしてもその後資料にサインしなければならないのだ。

 「・・・よし、ここまでの操作手順は記憶するようにしておいてくれ。これは《ギャラクシーアイズ》や《ラグナ・バハムート》にも使えると思われるが

未だそれに必要な解除コードが分かれば行えれるであろう。」

 「これって一体何ですか?リーシャ様」

 ルクスがそう聞くとリーズシャルテはこう答えた。

 「ああ、こいつはシステムに接続して機竜が普段制限している全能力を

解放させる『覚醒型』と呼ばれる状態になれるそうだ。・・・

まあ、やり方間違えたら死ぬから覚えとけよ。私前に《ティアマト》を

半分ほど解放させて死にかけたからな。」

 「へえ・・・・・はあ(*´Д`*)!!」

 ルクスはリーズシャルテの言葉を聞いて驚いていた。

 神装機竜を半分解放させただけで死にかけるなど聞いただけで恐怖ものだと

思っているがリーズシャルテはこう続けた。

 「まあ本来なら使わずに越したことはないが何分『ラグナレク』に備えて

準備しなければならんからな。どうにかフィードバックを抑えれないか

検討中だ。」

 リーズシャルテはそう言いながらルクスに機竜に降りてもらうように言った後

こう言った。

 「なあルクス。」

 「はい?何です」

 ルクスがそう聞くとリーズシャルテはしれっとこう言った。

 「私の騎士になる気はないか?」

 「・・・・・・ハイ?」

 ルクスはリーズシャルテの言葉を聞いて何言ってんだと思っている中

リーズシャルテはこう続けた。

 「実はラフィ女王から前々から言われてたんだよなあ。『学園を卒業したら

公務も多くなるから護衛用の専属従者を付けるべきでしょ?』と言っているのだがほら、私の腹の刻印の事考えたらなあと思うし、私・・・男とかあんまりだし。」

 「・・・まあ、確かに。」

 ルクスはそれを聞いて確かにと思った。

 リーズシャルテは幼い時に旧帝国軍人から性的虐待を毎日行われ、一回は快楽に堕ちた過去を持ち、子供もできず、旧帝国の刻印を持っていることから従者等

決めれなかったのだ。

 だが何故ルクスなのかと聞こうとするとリーズシャルテはこう言った。

 「まあ確かにお前の立ち位置や生い立ちとか考えると困難かもしれないが・・・私はお前以上に強い奴を知らないし、私の過去を知っている。

だから私はお前を信用して告げたのだ。だから頼む。」

 「・・・・私の騎士となって・・・この国を守る剣となって欲しい。」

 リーズシャルテはルクスに面向かってそう言った後にパソコンを片付けると

ルクスは静かに・・・誰にも聞こえないくらいの声でこう言った。

 「僕に誰かを守る資格何て・・・好きな人を守れなかったのにね。」

 そう言いながらルクスは天井を見上げた。




 次回は来訪と遺跡突入です。


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遺跡調査(前段階)

 前回の予告詐欺ですみません。


合宿所において昼食を食べている中で外から音が聞こえた。

 「?何だ。」

 ルクスは何事だと思って外に出てみると新王国の紋章が入った帆が掲げられた

軍船が見えた。

 如何やら軍が来たようだがこの時期は軍の演習は無いと村長が言っていた。

 では何事だと思っているがルクスは『アーク』を見てまさかなと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 「突然の訪問になってしまった無礼をお許し頂きたい。私は新王国侯爵

『ドバル・フェスト』と申します。以後、お見知りおきを」

 船から降りてきたのは恰幅の良い丸い体と豊かな白髭を生やした禿げ頭の男。

 一見すれば気の良い初老の男性だと思われるがルクスはある印象を持っていた。

 「(多分あの人は政治屋だな。だけどあの落ち着かなさから見て

分不相応の立場の)」

 そう思っていると村長がドバルに頭を下げ乍らこう聞いた。

 「これはこれは遠くからようこそ来られましたドバル候。然しこの時分に

一体何用で?」

 そう聞くとドバルはこう返した。

 「いやいや、今日は遺跡が発見されたと聞き部隊をこちら送ったのだよ。」

 ドバルはそう言っている中クルルシファーはリーズシャルテを見てこう聞いた。

 「ねえ、お姫様。あの男は一体誰?」

 そう聞くがリーズシャルテはこう返した。

 「あいつの事はラフィ女王の遠縁にあたる親族だと聞くがそれ以上は

分からんぞ。」

 リーズシャルテがそう言うとアイリがこう説明した。

 「ドバル候爵。旧帝国時代の軍人でしたが第一線を退いた後は

辺境の地方領主でしたが新王国建国後に新たな執政官としていの一番に

候補者として名乗りを上げ、今は軍の顧問としている中で自身の騎士団

『海竜騎士団』を率いているらしいですよ。」

 そう言うとセリスティアはアイリを見てこう言った。

 「詳しいですね、アイリ・アーカディア。私は彼の名前しか知りません

でした。」

 「今の王家の面々は私と兄さんの命運がかかっていますから。」

 アイリはそう言うがこれには確かな理由があった。

 ルクスがフギルを倒すという環境を整備するためにアイリは知識と立場を

生かして新王国の内政に気を配っていた。

 するとレリィがドバルに挨拶しながらこう言った。

 「お初めましてドバル候。今回の遺跡調査なのですが御そんじでしょうか?

持ち帰った遺跡に関する情報、宝物の一部、発生したアビスの駆除、

遺跡内での現象に対して各国に対する報告する義務がある事を。」

 「勿論でございます。我々は露払いと後方支援を徹底させますので。」

 「ご協力感謝いたします。ですが遺跡調査は危険かつ急務でありますから侯爵様お抱えの『海竜騎士団』に何かがありましても我々は一切の責任を負うことが

出来ませんのでご遠慮いただけますでしょうか?」

 「(要はたとえ死んでも責任は取らないですよ言ってるようなもんだろ?)」

 ルクスはレリィの言葉を聞いてそう思っているとドバル候はこう返した。

 「ええ、分かっていますとも。我々の行動と責任はそれを命じた

私が全責任を負います。遠慮や連携などは気兼ねすることはありません、

ですが・・・ただ、情報と財産についてはお互いが保有しない、共有しないで

宜しいでしょうか?」

 「(ちっ!目的は盗掘かよ。あの目、嫌な予感がしたんだ!!)」

 ルクスはそう思いながらドバル候を見ていた。

 ルクスが見たドバル候の目は今までの見てきたがあれは権力と財宝に目が眩んだ人間の目であった。

 遺跡の最深層はこれまでよりも難易度が高い反面宝物の質と量がこれまでよりも高いであろうという認識があった。

 単純に着服するか、横流しするか、それとも調査部隊の協力をしたという

大義名分を土産に新王国内における自分の立ち位置を良くしようと考えているのであろう。

 するとレリィがドバル候に向かってこう言った。

 「ではお互い新王国の繁栄の為に尽力しましょう。」

 「成功を祈りましょう。学園長」

 そう言って締めくくった後ドバル候はリーズシャルテを見て近づいた。

 「おお、お久しぶりですな王女殿下。また美しくなられて、確か最後に

会ったのは去年の建国記念祭でしたなあ。」

 「ええ、お久しぶりです。」

 リーズシャルテは短めにそう言うとセリスティアの方を見てこう言った。

 「おお、セリスティア様。貴方が率いていらっしゃる『シヴァレス』の

獅子奮迅の働きを見せる貴公らの武勲は、王都においても耳にして

いらっしゃいますぞ。」

 「これはありがとうございます。ドバル候」

 セリスティアも短めであるがそう言うと・・・。

 ゴウウウウウウウン!という地鳴りが聞こえた。

 「おお、情報通りに近づいておるぞ。」

 ドバル候は『アーク』を見ながらそう言った後こう言った。

 「それでは失敬。準備してくるので」

 そう言って仰々しく一礼して立ち去ったのを見届けた後レリィは振り返って

こう言った。

 「はあ・・・疲れた。皆、聞いての通りだけど極秘任務を開始するから

準備しなさいねえ。」

 あんな連中入りも先にねと言うと透流はアイリの方を向いてこう聞いた。

 「協力しないんですか?」

 「透流さん。我々はお互いに不干渉を貫きますし、あの人たちは・・・

信用できないので私たちは私達の任務を遂行するのですよ。」

 「はあ・・・。」

 透流はなんでだと思っていたがセリスティアが全員に指示した。

 「それでは皆さん、本日の調査は1時間半から二時間に変更。

不測の事態に備え、携帯食を増やす代わりに採掘道具は減らします。

尚、宝物よりも行軍速度優先し、経路を割り出します。」

 「それで宜しいですね?学園長。」

 「ええ、完璧よ。セリスティアさん。」

 レリィは微笑んでそう言うとこう締めくくった。

 「遺跡は危険な場所だから確実にやりましょ。」

 『『『『『はい!!!!!』』』』』

 全員が頷いた後に準備して15分後に『シヴァレス』全員は灯台下の沿岸部にへと向かった。




 次回こそは!!


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遺跡調査へ。

 やっと遺跡に入れる。


「これが『アーク』ですか。」

 透流はそう言いながら灯台下にいた。

 この遺跡『アーク』に入る方法は『ガーデン』と同じく一定時間に

所定の場所にいると光と共に引き込まれるのだがそれがたった一つであり出口も同じ場所である。

 現在『アーク』は灯台近くの岩場に乗り上げているため機竜の跳躍力なら

直接甲板に乗り込めるのだ。

 段取りはこうだ。

 先ずセリスティア達3年生の内3名が甲板に入ったと後に乗り込み可能の

合図を送る。

 合図を確認した後に残りが突入するという流れである。

 尚、アビス対策としてでもこれは有効である。

 神装機竜を保有しているセリスティアが指令を出して各員が戦闘配置しやすくするためである。

 そしてメンバーの中にはさらに三人加わっている。

 一人目はレリィ。

 二人目は透流。

 今の二人の内前者は付き添い、後者は今後の遺跡調査の参加した際の勉強として。

 そして三人目は・・・。

 「兄さん。そろそろお願いします。」

 「はいはい。」

 ルクスが召喚した機竜《ライズ・ワイバーン》の肩に乗っているアイリであった。

 遺跡調査における詳しい調査のためらしいのだがルクスは最初反対していた。

 遺跡調査における危険性を理解していたがアイリ曰く・・・。

 「もう私は子供じゃありませんから。」

 その一言であった。

 いや、お前もう少し反撃しろよと思うところである。

 全員が突入するとある人影が確認できた。

 それは・・・。

 「いやはや、偶然同じタイミングで居合わせて丁度宜しいですなあ。」

 ドバル候と『海竜騎士団』であった。

 「それでは共に参りましょうか?レリィ殿?」

 ドバル候はそう言うとレリィはにこやかにこう言った。

 「ええ、こちらこそ。」

 そう言うのを見ていたクルルシファーはこう言った。

 「ここへ侯爵達の部隊が着いたのはついさっきらしいけどどう思う?ルクス君」

 そう聞くとルクスはこう答えた。

 「あいつら待ち伏せしてましたね。」

 「え?」

 ルクスの言葉に透流が反応するとルクスはこう続けた。

 「良い、透流?遺跡の出入り口はたった一つ。然も遺跡には『アビス』って言う化け物が現れる。さあ、どうなると思う?」

 そう聞くと透流は考えてこう言った。

 「そりゃあ・・・入り口がここだけだからそいつらが現れて・・・・

ああ(*´Д`*)!!」

 「そ、いきなり総力戦になれば全滅ないし行軍も出来ないって言う訳さ。」

 「・・・なんつう地味な!!」

 透流は起こりながらドバル候を睨みつけているがルクスが落ち着いてと

言いながらこう言った。

 「まあ逆に言えば連中の実力はたかが知れたって事だし、露払いさせようって

言う魂胆もレリィさんは見破ってると思うよ。」

 「え?」

 そう言うのを聞いて透流はレリィを見るが相変わらずの微笑であった。

 「まあそれに、こいつの運用試験をしたかったから丁度いいしな。透流、

そっちはどうだ?」

 リーズシャルテがそう聞くと透流はこう言った。

 「ええと、《キメラティック・ワイバーン》ですよね。何とかしようと

思ってます。」

 「ま、そいつを使いこなすのは至難だからな。私がこいつを使うのに

遊ばすわけにはいくまい?」

 そう言いながらリーズシャルテは自身が纏っている機竜を見せつけていた。

 《キメラティック・ワイアーム》

 《ワイアーム》と《ドレイク》を混合させた機竜で通路の多い船内を探索し、

調査するには持って来いのようだ。

 「アイリ・・・。気を付けてね。」

 「分かってますよ兄さん。私にはノクトと教導目的でノクトと一緒にいる透流もいますからそっちは自分の事に集中してくださいね。」

 生身での遺跡調査は最初期に帝国軍人がやった時には多くの犠牲を払ったと

聞く。

 そんな状況においてもルクスを心配させんと言うアイリを見てやはり

心配になった。

 するとルクス達が立っているサークルが淡い光を浴びた。

 「それでは皆さん。準備は良いですか?」

 『『『『『はい!!!!!』』』』』

 セリスティアの掛け声にメンバー全員がそう答えると光の柱が天高く

立ち上がり、ルクス達の司会が白に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 一方・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ここなんですか?」

 「ああ、そうだ。ここに来るのは5年ぶりだけど場所は知ってるぜ。」

 そう言いながら水滴滴る場所で声が聞こえた。

 二人の女性がそう言いながらある部屋に入った。

 そこにあったのは・・・・。

 「ああ、こいつだ。」

 「・・・この女が?」

 何かガラス製の棺桶のような物で眠らされている少女がそこにいた。

 「彼女は一体?」

 「・・・お前旧帝国時代に聞いたことあるか?『帝国の凶刃』」

 「!!まさかこいつが!?」

 「ああそうだ。こいつが帝国が保有していた闇の切り札にして・・・

当代きっての精霊使い。」

 「『切姫 夜姫』・・・またの名を『古都国の光神』」

 「契約している精霊は『天照』・・・全ての真実を映し、闇を祓うと言われる

最強クラスの光精霊のようだ。」

 その少女の隣には小さな祠とそれを祀っている鏡があった。

 ・・・今二つの世界を揺るがす戦いに向けて・・・演者が揃いつつあった。

 果たして彼らが向かうのは・・・一体何か。




 少しずつだけど「精霊使いの剣舞」要素が入り始めました。
 ・・・いやああ・・・長かったなあ。


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遺跡調査へ。

 『アーク』の中へレッツゴー!


ぴちょん・・・・。

 そんな水音が滴る音が耳に微かにだが聞こえた。

 ルクス達は現在薄暗い場所にいた。

 湿った空気が周囲に漂い、青白い奇妙な光が辺りにポツポツとだが

点在していた。

 おそらくここは『アーク』の内部であると思われる。

 磯臭さが充満しているからな。

 「うわ!臭っ!!」

  ルクスはそう言いながら鼻を摘まんだ。

 それとだが何か不穏な気配を感じ、ルクスはアイリと透流の側にへと向かった。

 ルクスは《ライズ・ワイバーン》の索敵能力から周りを見渡しているとある事に

気づいた。

 そこでルクスはノクトにある事を言った。

 「ノクト!全員にサーチライトを使うように伝達!!」

 「YES、既に送信済みです。」

 ノクトがそう言うと全員が機竜に備え付けられているサーチライトを照らした。

 そこで見えたものは・・・想像したことすらない光景であった。

 「え!?」

 「チョット、なにこれ!!」

 「・・・何だ、これは?」

 リーズシャルテはそう言いながら周りを見回していた。

 あちこちで陥没し、砕き散らされた大量の無機物。

 原型が分からないほど壊れていた無数の瓦礫

 それらが至る所で散らばっており、足の踏み場すらなかった。

 「ここは資料によると、待合室(ラウンジ)と呼ばれる空間ですね。

一応ですが無事に突入するという第一目的は達成できたみたいです。」

 「いや、これって達成って言えるんですか?」

 透流はアイリの言葉を聞いてそうツッコミを入れた。

 足の踏み場がないということは機竜で踏破するとなるとこれらを撤去しながら

なので時間がかかってしまうのだ。

 この遺跡『アーク』は船首と船尾の位置にそれぞれ次の層にへと

繋がる階段があり、それらが11層分作られていることから他の遺跡よりも

分かりやすい構造となっている。

 まあ、途中途中で分岐している道が幾つかあるが最終的にその階段に

着くようにはなっている。

 「お互い無事で何よりですな、学園長。」

 するとドバル候が少し離れた位置から声をかけてきた。

 「どうやらここは、旧帝国時代での戦闘の跡が残っているようですので、

ご武運を。」

 「ええ、そちらこそ(心にもない事言って)」

 レリィはにこやかにだが内心そう毒づいて別れた。

 同様にルクス達も行軍を開始した。

 探索、索敵が出来る《ドレイク》の内二機が先頭に立ち、地面に証明を当てつつ瓦礫を撤去する《ドレイク》とアビスの監視をしつつ上空から明かりを照らす

《ワイバーン》の3機を残して全員は機体から離れた。

 これは体力を温存し、交代をしながら行軍する方法である。

 「まーさ、安全策だってのは知ってるけどさあ、なんつーかまどろっこしい

よねえ。こーゆーのってさ。」

 《ワイアーム》を纏いながらがれき撤去しているティルファーは

そう言いながらも瓦礫を片付けているとシャリスとノクトがこう返した。

 「仕方ないさ。どこの瓦礫の下でアビスが潜んでいたり、

罠が仕掛けられているか分からないんだからな。」

 「YES、それに安全だと確認されたルートは《ドレイク》で記録していますので次回からの行軍はもうちょっと早く出来ます。」

 そう言っている中行軍に着いて言ってるアイリが透流が持っている

ランタンの明かりで遺跡調査についての情報が纒られた資料を見ながら

こう言っていた。

 「本来ですと1階からのラウンジから、船尾にへと向かって2階に繋がる

階段にへと向かっていますがこう壁が破壊されていますから分かりにくく

なっていますね。」

 そう言いながらも全員は船尾にある階段をに着くとそのまま二階にへと

向かった。

 しかしここも酷い惨状となっていた。

 ルクスは瓦礫の欠片を持つとこう言った。

 「・・・やっぱりな。」

 「何がやっぱりなのかしら?」

 「・・・どうしたの?」

 ルクスの周りにクルルシファーとフィルフィがやってきた。

 「・・・兄さん?」

 「どうしましたか?」

 「YES、どうなされました。」

 「ん、何だ?」

 それを見て不思議に思ったアイリ、透流、ノクト、リーズシャルテも集まった。

 するとルクスは近くにいるクランリーゼの欠片を渡してこう聞いた。

 「どう思う、クランリーゼ。この欠片」

 そう聞くとクランリーゼはこう返した。

 「恐らくですがこの瓦礫の特徴から見てそう時間は経っていないかと

思われます。」

 「はあ!!それなら一体誰がやったと言うんだ!?ここの『ラグナレク』が

解放されたのはもう何年も前の事だし一体誰がやったと!?」

 それを聞いたリーズシャルテは大声でそう言うがクランリーゼはこう返した。

 「これは予測ですが恐らく機竜専門の盗賊が関与している可能性があるかと」

 「・・・『竜匪族』か。」

 「何ですそれ?」

 リーズシャルテの呟きに透流が反応するとクルルシファーがこう説明した。

 「簡単に言えば盗賊でもあり傭兵集団だけど腕利きらしくて各国でも重宝される組織よ。一時は私の国でもいたしね。」

 「だがやつらは同時に盗掘して財を得ている厄介な連中だ。伯母上も

何とかしようとしているらしいが奇妙な噂が耳に入ったことがある。」

 「・・・一体それは?」

 「聞いてみたが駄目だったよ。機密事項と言う事らしいが一つだけ

教えてもらったな。」

 「何です?」

 ルクスとアイリの問いにリーズシャルテはこう答えた。

 「まあ、噂がなんだがどうもアビスとは違う物を使役しているらしいという

のだが一体それが何なのやら」

 リーズシャルテはそう答えた。

 その後全員歩くと着いたのは巨大な空間であった。

 周囲を硬質のガラスで覆われた半球状の天井と鬱葱とする森があった様な場所。

 「ここは植物群系・球体(バイオーム・スフィア)と呼ばれている区画ですね。独自の生態系の植物で覆われた森のようですが・・・。」

 「今じゃあ見る影もないってか。」

 アイリの説明にリーズシャルテはそう答えた。

 するとレリィがノクトに対してこう聞いた。

 「ノクト、付近に敵影は?」

 「No、索敵範囲を最大にしていますがアビスの確認はありません。

ですがドバル候の騎士団はここから300ml(3キロ)先にいるだけです。」

 「向こうは大分飛ばしているようだけどそろそろ体力がそこ尽きそうだから

追い越せるわね。」

 レリィはにこやかにそう言うと全員に向かってこう言った。

 「本番はここからね。」

 荒らされた場所はより複雑めいており岩や土の凹凸もあってルクス達の進路を

塞いでいた。

 「それじゃあここから先のコースを探るために一端別れて散策しましょ。

運が良いことにアビスも確認されてないし。」

 「そうね。じゃあ取敢えず人数と各々の機竜の特性と強さから3,4人で

1チーム作って別れましょ。何かあったら竜声で連絡を取り合いましょ。」

 クルルシファーの提案にレリィも同意してそれぞれチームを組んだ。

 ルクスはノクトとアイリ、透流のチーム(ルクスはリーダー)を作った。

 「宜しくね、ノクト。」

 「YES、ルクスさんでしたら心置きなくアイリと透流を守れます。」

 「兄さん、他の人がいないからって私のルームメイトにまで手を出さないで

下さいね。」

 「するか!!」

 「YES、アイリは皆さんからお兄さんを取られたくないかと心配する理由は

分かりますがルクスさんにそう言う度胸がないのは知ってますから大丈夫です」

 「ちょ!変な事言わないでくださいノクト!!」

 「しれっと僕をディスルナ!!」

 「・・・本当に賑やかだなあ。」

 透流はそう言いながらルクス達の話を聞いていた。

 「まあ私は卒業したらシャリスのいるバルトシフト家に使える予定ですけど。」

 「え!ノクトってシャリス先輩の所のメイドさんだったの!?」

 「知りませんでした?ノクトの家は昔から従者の家系で幾つもの家に従者として配置されてましてノクトはシャリス先輩の所の従者なんですよ。」

 「YES、その関係でティルファーとも会えましたから嬉しいです。」

 ノクトの説明を聞いたルクスは成程と言ってこう言った。

 「ああ、だから3人は幼馴染なんだね。」

 「?どういう意味です」

 ルクスの言葉に透流は何でだろうと聞くとルクスはこう答えた。

 「ティルファーの家は宝石とかをネックレスや指輪とかを作る

アクセサリーショップだから貴族の家にもご用達してるんだ。そこに騎士の家

でもある女性のシャリス先輩の所に偶に来る。そうやるうちに顔なじみになるって寸法さ。」

 「・・・シャリス先輩って騎士だったんですか」

 「・・・んまあ、普段の光景を見てると違和感しかないよねえ。」

 透流の言葉にルクスもまあ同意している。

 普段のシャリスは自由奔放で悪だくみしている悪戯小僧ばりのタイプであるので実直な騎士とは無縁じゃねと思ってしまうのだ。

 「まあ私は恋愛とか興味ありませんですが、この歳で既に対象外と言うのはちょっぴり凹みます。はあ・・・」

 「・・・棒読みにしか聞こえないなあ。」

 透流はノクトの独白に対してそう答えた。

 するとルクスはノクトに対してこう答えた。

 「え?そんなことないよ。ノクトも結構可愛いと思うし」

 「どこら辺がでしょうか?」

 ルクスの言葉にノクトが間髪入れずにそう聞くとルクスは少し考えて

こう答えた。

 「・・・鎖骨から胸にかけてのライン。」

 「兄さん。全然褒めてませんよ。」

 「それってセクハラですよルクスさん。」

 ルクスの答えにアイリと透流がそう反論した。

 するとノクトがこう言った。

 「YES、ルクスさん。もう少し女性に言うべき言葉を考えるべきだと

思われます。その褒め方は厭らしすぎて淫猥な事を言われたと嵌められますよ。」

 「頑張って褒めたのにダメ出しの上に騙されたんかい!」

 「いやそれって褒め言葉じゃないですよね!?もう完全に逮捕物の

案件ですから!!」

 ルクスは項垂れながらそう言うが透流はいやいやと反論していた。

 それを聞いたアイリはそれを見てこう言った。

 「・・・まあ、ある意味ほっとしました。普段かっこいい事が多かったですけどやっぱり兄さんは兄さんです。」

 「それ本人の目の前で言う!?」

 アイリの言葉にルクスはガックシと落ち込んでいった。

 「でしたら今度は透流ですけど何かありますか?」

 「ええ!?俺!!」

 唐突に振られたことで透流は慌ててそう言ったが少し考えてこう言った。

 「・・・笑顔ですかね。」

 「「「???」」」

 「いやですね、機竜について教えてくれるんですけどその時に偶にですが

笑ってる時があるんですけどそれが何と言うか・・・・うん、綺麗だなあって

思うんですけどねえ・・・ってあれ?どうしました。」

 透流はあれと思っているとノクトはルクスに対してこう言った。

 「YES、あれが褒め言葉ですよルクスさん。あのようにしないと色々と面倒事が増えますよ。」

 「そうですよ兄さん。先ほどの褒め言葉はもう二度と言わないで下さいよ。

誤解を招きかねませんから。」

 「妹にまで酷く言われた!!」

 ルクスはアイリにまで駄目だしされた事にショックとなって落ち込むとアイリは竜声で透流にこう言った。

 [透流さん]

 [?・・・はい]

 [・・・ありがとうございます。]

 その時に行った時のノクトの顔は少し頬を赤くしていたが嬉しそうであった。




 褒め方は人によって千差万別。


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新たなるオートマタ、現る。

 今回はあの一言多い天然オートマタです。


ルクスがいじられた後彼らは先を進んだ。

 ルクスはいじられて心がボロボロだがそれでも何とかしようとしていた。

 するとノクトが三人に向けてこう言った。

 「止まってください皆さん。」

 「アビス・・・」

 ノクトの言葉にルクスはそう言って全員の前に出てブレードを構えた。

 然しノクトはこう続けた。

 「アビスではありませんが・・・、ここか100ml(1㎞)離れた瓦礫の下に、人のような形状をしたナニかが存在します。」

 「・・・まさか死体じゃないよな」

 透流はノクトの言葉に対してそう聞くもこう続けた。

 「熱量や動的な反応は見受けられませんので恐らくと思われますが何が起こるか

分かりませんので皆さん気を付けて下さい。」

 「それじゃあ、僕が見てくるよ。」

 「気を付けて下さいね、兄さん。」

 「アイリ・・・。」

 「先ほどボコボコに言いましたけれど未だ言い足りないので。」

 「まさかの心配じゃなくてそっち!?」

 ルクスはアイリの言葉にガ~~ン(*´Д`)と思いながらもそこに目指した。

 そしてルクスが見たのは死体ではなく・・・別の物であった。

 「おいおい、遺跡の中だからまさかとは思ってたけど・・・。」

 巨大な瓦礫を持ち上げて出てきたのは・・・装衣を纏った緑髪で頭部に

小さな兎の耳らしきものを付けた少女であった。

 「ノクト!」

 「YES?」

 「クランリーゼをここに呼んできて!大至急!!」

 「あ・・・はい!?」

 ルクスノクトにそう指示した後にもう一度少女を見た。

 なにせそれは只の人ではないからだ。

 それは遺跡に必ず一人いる存在。

 機械の少女

 「ギア・リーダー・・・」

 統括者と言う名を関する存在なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの後にクランリーゼがすぐに来てそれを見てこう言った。

 「間違いありません。これも私と同じく『ギア・リーダー』です。」

 「やっぱり・・・。」

 「何処からどう見ても人間にしか見えませんけどねえ。」

 透流はそう言いながらその少女を見ていた。

 するとクランリーゼは持っていたカバンからある物を取り出した。

 それは・・・・。

 「何で『パソコン』何て持ってきてんのさ!?」

 「ああこれですか?もしもに備えて持ってきたんです。仲間がいることを

考えて。」

 「ああ・・・ねえ。」

 ルクスは顔を引きつらせながらもそう言った。

 そして少女の機会の耳に配線を繋いだ後クランリーゼはパソコンを起動して

作業を始めた。

 「どう?」

 「特殊な命令がかかっているところがありますがそれ以外は異常がないので

動かせます。」

 「良かった~~。」

 「起動します。」

 ルクスとクランリーゼがやり取りをする中でクランリーゼがそう言った。

 すると鈍い金属音にも似た音声が少女から聞こえた。

 『外部からのアクセスを確認・・・承認・・・システムを再起動します。』

 「「「「!!!!」」」」

 ルクス達はそれを聞いて構えたその時に少女が取った行動は・・・。

 「・・・あれ?」

 キョロキョロと国を左右に向けた後にルクス達と周囲の景色を確認し・・・。

 パタン。と地面に突っ伏してこう言った。

 「すみません。私はお呼びじゃなかったようですね・・・おやすみなさい。」

 「何狸寝入りしてるのですか」

 「グフウ!!」

 突如倒れた少女目掛けてクランリーゼは思いっきり腹にケリをかました。

 「ええ!ちょっとクランリーゼ!!何やってんのさ!!??」

 「大丈夫ですよルクスさん。この程度で『ギア・リーダー』は

壊れませんから。」

 「いや!そういう意味じゃないから!!」

 「グォォォォォ・・・目覚め一番のケリは効きます~~~。」

 ルクスとクランリーゼの言葉を聞いてる中で少女はお腹を押さえながら

そう言った。

 「ええと・・・大丈夫か?」

 「あ、はい・・・大丈夫です。」

 少女を心配して透流が声をかけると少女はそう答えた後にこう聞いた。

 「あの~~。この惨状は一体・・・」

 「?・・・もしかして覚えてないのですか?」

 「か、勘違いしていただきたくないのですが、私は記憶を失ったのではなく、

本体と接続できなくなってしまっただけでありましてね、ああでもできれば

処分ではなくプログラムの修正と修復をお願いしたいのですが」

 「スミマセン、全然わかりません。」

 アイリの問いに少女は早口でそう言うがアイリは全く分からんかったのである。

 「貴方は一体誰ですか?」

 ノクトがそう聞くとそれを聞いた少女はこう答えた。

 「これは失礼いたしました。私の名は『ラ・クルシェ』。この『アーク』の

『ギア・リーダー』です。分かりやすくするとこの施設を統括するシステムを

擬人化した姿・・・皆様が『自動人形(オートマタ)』読んでいる存在です。

以後、お見知りおきを。」

 そう言うとノクトもこう返した。

 「こちらこそ、私はシャリス家の従者『ノクト・リーフレット』と申します。」

 「私は『アイリ・アーカディア』です。あそこで『クランリーゼ』と

話してるのは私の兄の『ルクス・アーカディア』です。」

 「宜しくね。」

 「俺は『トオル・ココノエ』。よろしくな。」

 そう自己紹介した後にラ・クルシュはこう聞いた。

 「それでですね、現在『アーク』の機能は殆ど機能停止しているので出来れば

管理室エリアに連れて行ってもらいまして本体と接続させてもらいたいなあと思うのですが。」

 「それは何処ですか?」

 ラ・クルシュの言葉にノクトがそう聞くとラ・クルシュはこう答えた。

 「この『アーク』の最深層の手前にあります10階・・・

そこに行けば全てが分かります。」

 




 次は恐らくお風呂だろうなあ。
 ・・・そうなると良いなあ。


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報告とお風呂 前編

 いろんな意味で全員が知るところですね。


「・・・まさか『アーク』にもいたとはなあ。」

 リーズシャルテはそう言いながら窓の外にある『アーク』を合宿所から

眺めていた。

 あれから1時間後に全員は8階にまで行軍することが出来た。

 ラ・クルシュの情報により最短距離での行軍を可能にすることが

出来ただけではなくアビスとの戦闘の一部をドバル候達『海竜騎士団』に

押し付けたのだ。

 さらに交戦は2度と(本来は6回なのだが殆どは『海竜騎士団』に

押し付けたから。)大した戦闘(透流にとっては勉強になったであろう)でも

なかったことからそんなに疲労していないため余裕をもって帰還し、報告会にへと至った。

 「見た目は殆どクランリーゼと変わりませんが間違いなく旧時代の

『アンドロイド』でしょうね。クランリーゼが『パソコン』で遺跡の外に

出られるようにさせたようですけど本人はあそこでいいと言ってたので

置いてきました。」

 ルクスはリーズシャルテにそう報告した後にレリィがこう聞いた。

 「それで、今その子は何処にいるの?」

 「ああはい、6階の居住区エリアの1室に隠れてもらっています。ドバル候達に

合わせると面倒くさいことになりそうなので。」

 「まあそうでしょうね。遺跡を管理することが出来る存在なんて

信じられないしねえ。」

 「いや学園長。いるじゃないですかもう一人」

 ルクスはレリィの言葉にツッコミを入れた。

 その本人はと言うと・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 「ですからこのカードを使うのでしたらこのカードとこのカードで組み合わせてですね。」

 「No、それよりもこっちのほうが」

 

 

 

 

 

 

 デュエルモンスターズでの話し合いをしていた。

 「それにしてもきょうは疲れたよー。訓練は大変だし、変な人たちが来るし、

遺跡調査も出てきてさー。」

 ティルファーはそう言いながらテーブルに突っ伏してそう言うと

リーズシャルテもこう言った。

 「確かになあ、今日の報告会はこのくらいにして食事したら少し仕事して

早く寝るとするか。」

 そう言いながら欠伸を掻いているとレリィがにこやかにこう言った。

 「その前に良い話があるのだけど良いかしら?」

 『『『『『?????』』』』』

 全員が何だと思っているとレリィはこう言った。

 「今日は特別に皆に島の温泉に入れるようにしてもらったから早めに

準備してねえ。」

 それを聞いた全員の目は・・・・。

 キュピーン☆と目を輝かせた。

 「えええええ!!学園長!!本当なんですか!??」

 「本当よ。」

 「貸し切りですか!!??」

 「勿論よ。」

 「今からですか!?ああ早く準備しないと!!」

 「へえ・・・温泉ねえ。」

 「楽しみです。」

 メンバーの声の中にクルルシファーやセリスティアの声も聞こえた。

 「皆さん、嬉しがってますねえ。」

 「まあしょうがないよ。今まで水浴びか身体拭き程度だったからねえ。」

 透流の言葉にルクスがそう言った。

 リエス島で真水を手に入れるのは大変なためその程度であったがそれでも矢張り年頃の娘たちだ。

 入浴をしたいという欲求があったようだ。

 然も温泉となれば体験者は少ないのだ。

 ・・・まあルクスの場合は使われなくなった竈を改修してお風呂に作った時もあった。

 それを見た人間たちも偶に使わしてやった(お金は取るが)。

 すると静観していたレリィが聞こえるようにこう言った。

 「はいはい、気持ちはわかるけど少し落ち着きなさいね。

貴方達はここでも『アカデミー』生徒なんだからもう少し貴族のお嬢様らしく

お淑やかにね。」

 それを聞いたルクスは目を丸くしてこう思っていた。

 「(それアンタが言うか!?)」

 今までそんなことしたのかと思うほどであった。

 すると透流がルクスにこう聞いた。

 「ルクスさん。どうします俺達?」

 それを聞いたルクスはこう答えた。

 「ああそうだね、・・・少し勉強する?機竜以外なら何とかできるけど」

 「それでしたら政治関係をお願いできません?俺そう言うのやったことなくて」

 「まあ透流ぐらいの年頃が政治関係の勉強ってやらないからねえ。」

 そういう中レリィがルクスに手招きしてこう言った。

 「ルクス君。ちょっと良いかしら?」

 「?、じゃあ透流。戻ったら勉強しようか。」

 「はい、待ってます。」

 そう言って透流と別れたルクスはレリィに着いていくとこう聞いた。

 「それでどうしたんですかレリィさん。皆と入らないんですか?」

 そう聞くとレリィは笑ってこう言った。

 「あら、折角の合宿だし大人がいない所で子供だけで楽しんだ方が

良いじゃない。」

 それともとレリィは何か・・・にこやかにルクスの耳元に近寄ってこう聞いた。

 「ルクス君は私と一緒に入りたいのかしら?」

 「!!!!何言ってんですかアンタハ!!!」

 ルクスはそれを聞いて顔を真っ赤にして怒鳴り込むとあらあらとレリィは笑ってこう言った。

 「冗談よ、冗談。実は依頼があるのよ、特別な依頼がね」

 「依頼・・・ですか?」

 「そう、温泉に入れるようにしたのは良いんだけれどこれまでは先生たちが

これをやってたんだけど今学園の警戒中で来られなかったじゃない。」

 「ああ、まあ。王都の臨時警戒ですしねえ。」

 現在王都は警戒警報を発令中であり先の襲撃事件以降から

ピリピリとしていたのだ。

 おまけに警備の人数が足りないことから教師陣も駆り出される始末である。

 「だから、透流君も誘って依頼してくれないかしら?」

 「まあ良いですけど透流もいて大丈夫な奴ですか?」

 変な任務でしたら許しませんよと言うとレリィは笑ってこう答えた。

 「大丈夫よ。寧ろ貴方のストッパーとして置くんだから。」

 「?」

 「それじゃあ依頼内容なんだけどそれはね・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数分後

 「ルクスさん、何だったんですかレリィ学園長?」

 透流はそう聞くとルクスはこう答えた。

 「ねえ透流。ちょっと付き合ってくれないかな?」

 「?・・・何です」

 透流は何だと聞くとルクスが振り向いた瞬間ビクッとした。

 何せ今のルクスの顔は・・・・・。

 「ちょっとバカの制裁に。」

 ハイライトが消えた目が笑ってない笑顔でそう言ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さらに十数分後・・・・。

 ちゃぷんと言う水音が聞こえた。

 現在少女たちは温泉に浸かっていた。

 毎年使っているためか事前に島の人達が綺麗に掃除している。

 場所は狭いが洗い場があり、周囲は高い立て板の柵が施されていた。

 温泉の湯は乳白色であり、湯気が立ち上っているため気づかれないはずなのだがリーズシャルテは腹にある刻印を見せられまいとタオルで体を巻き付かせていた。

 「はー。女子寮のお風呂よりも狭いけどその分空が見渡せる場所って

ある意味開放的だねえ。」

 「YES、私はこう言う入浴は初めてですが中々趣があって良いですね。」

 「そうですね・・・ちょっと皆さんスタイルが宜しいですので

恥ずかしい・・・」

 ティルファーとノクトが感想を述べながら入っているとアイリはにこやかにだが最後に自分の胸を見て隠そうとする中である人間と目が合った。

 「・・・・何かしら?」

 アイリはクルルシファーを見た後に胸部を見た後に・・・・。

 「・・・・(^^♪」

 少しにこっと笑った。

 それを見て気づいたクルルシファーはにこやかにこう言った。

 「ねえ貴方、どつかれたいのかしら?シバかれたいのかしら?(;゚Д゚)」

 いつもなら言わないような言葉をクルルシファーはにこやかにそう言った。

 「ふっ、後輩たちの若さが羨ましいね。セリス」

 シャリスは感慨深そうな表情で彼女たちを見ている中セリスティアはと

言うと・・・。

 「貴方は普段から彼女たちと同レベルだと思いますが。」

 阿保を見るような顔でそう言った。

 それを聞いたシャリスはにこやかに笑ってこう言った。

 「ほお、ならば同レベルらしい事してやろう!ほらほら如何だ!!」

 「止めてください!後輩の皆が見ていますよ!」

 「良いではないか!?良いではないか!!??」

 「ああもう、離れなさい!!」

 シャリスが胸をもんできたのでセリスティアはそれを振り払おうと暴れていた。

 「・・・賑やかですねえ。」

 クランリーゼはそう言いながら体を拭いていた。

 現在彼女の体の幾つかは機竜で補っているため整備も兼ねて

こうやっているのだ。

 「そう言えば二人はかわいそうねえ。仕方がないとはいえ後回しだもの。」

 クルルシファーはそう言いながら空を眺めていた。

 その言葉にティルファーが頷きながらこう言った。

 「そーだねえ・・・けどさ、こう言う時だからこそできる話って

あるじゃん!!」

 『『『『『?????』』』』』

 それを聞いて全員何だと思っている中ティルファーがこう言った。

 「・・・・え?」

 「よっしゃあ!!それでは第1回『ルクッチとトオルッチの事どう思ってんのか暴露しちゃおう大会』を始めよう!!」

 『『『『『エエエエエエ!!!!!』』』』』

 ティルファーの提案に全員が固まっている中ティルファーが初めに喋った。

 「んじゃあ言い出しっぺの私から。まずトオルッチはあまり分からないけどー

責任感強いし優しくて妹思いだって事は分かったなあ。そんでもって

ルクッチはー、旧帝国の皇族なのに、そんなに気取ってないどころか

優しい皇子様だって感じでー・・・後は・・・ま、いっか!ほい、次の人!!」

 「おいマテ、最後なんだ。」

 ティルファーの言葉にリーズシャルテが待ったをかけようとするも次に移った。

 「YES、次は私です。そうですね、先ずルクスさんですが普通なら

声をかけるのも躊躇しますがあの人は気軽に話しかけれる人ですね。

透流さんについてと言えば・・・何だかわかりませんが心がポカポカする時が

ありますがこれって何なのか分からないのでもう少し一緒にいようと思います。」

 「・・・・ホホーウ。トオルッチも中々だねえ。」

 「ああ、まさかあのノクトにここまで言わすとは透流君も罪な人だねえ。」

 ノクトの言葉にティルファーとシャリスがお互いそう言った。

 するとシャリスが手を上げてこう言った。

 「次は私だな。ルクス君は最初会った時にはかわいい顔しか見ていなかったが

あの後の・・・・あの後の・・・・((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」

 「ストップシャリス!!トラウマ蘇ってるよ!!」

 「YES、シャリスはここまででいいでしょう。」

 『『『『『うんうんうん』』』』』

 シャリスの震えを見て全員確かにと思った。

 ルクスの本気を見てこうなる人間が結構いるからだ。

 それでもここにいるだけで彼女は勇者だと思う少女達もいる。

 「それじゃあ・・・メインといきますか!!」

 「次回に!!!」

 「「「「「はアアアアア!!」」」」」




 メインは次回に。


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報告とお風呂 後編

 前回の続きです。


「それでは始まりました!『第1回ルクッチとトオルッチの事どう思ってんのか

暴露しちゃおう大会』第2部だよ!!」

 「ティルファー。お前どっちに向いて喋ってんだあ?」

 「無理よお姫様。彼女、聞いてないわ。」

 ティルファーの意味わからん行動に何してんだとリーズシャルテは言うが

クルルシファーは手遅れだと言って止めた。

 「ではでは、ここからがメインイベント!先ずはクルルシファーからどうぞ!!」

 「最初は私ってどういう関係なのか分からないわね。まあそうね、

先ずは透流君だけどこの子は未だ分からないから保留ね。ルクス君について一言で

言うならそうねえ・・・一途かしら。」

 「?一途って」

 クルルシファーの言葉にティルファーが何だと聞くとクルルシファーは

こう答えた。

 「私とノクトはルクス君のデュエルをまじかで見ていたけどその時に

いたのよ・・・ルクス君の想い人が。」

 「その人って確か兄さんが言っていた人ですか?」

 「そうよ。彼は彼女を今も想っているわ。それを知った時にこう思ったわ。」

 「『・・・ああ、私もああいう人と共に生きたいわ。』って。」

 「YES、それにあの時ルクスさんは彼女にキスしましたしね。」

 『『『『『!!!!!!』』』』』

 ノクトの言葉を聞いて全員が何やらキュピーンと光ってこう言った。

 「キ、キスってあの?」

 「大胆・・・ルクスさん、大胆ですわ。」

 「それでそれで!どういう言葉を交わしてからなの!?」

 ティルファーは鼻息荒くしてノクトに対して目をランランにして聞くと

ノクトはこう答えた。

 「『大好きだよ璃緒。大好きだ。』から始まりまして璃緒さんは

こう言ったんです。『私もよルクス君。・・・貴方と一緒にいたかった。』

そして最後にこう言ったんです。」

 「何て言ったんだい?」

 シャリスはそう聞くとノクトは一度言おうとするも口を閉ざすがこう言った。

 「『私を愛してくれて・・・ありがとう。』って・・・言って消えたんです。」

 「・・・・・・」

 「その時こう思ったんです。人を愛して・・・別れることのつらさが

こんなに悲しい事なのかと・・・こんなに胸を締め付けられるものなのかと

思ったのです。」

 「・・・これが私がルクス君に感じたものだけど如何だったかしら?」

 「え・・・ああ・・・ね、・・・(m´・ω・`)m ゴメン…」

 ティルファーはクルルシファーの締めくくった言葉を聞いた後に

申し訳なさそうに謝った。

 とてもじゃないがこれはルクスではない人間から聞くのはダメだったと

後悔しているからだ。

 「それじゃあ私はこれで終わりだから次はそうねえ・・・

リーシャ様でどうかしら?」

 「あ・・・ああ、そうだね!それじゃあリーシャ様どうぞ!!」

 「あの二人だろう?透流は私の仕事の資料整理手伝ってくれるし、

今回だって私の機竜使ってくれたから良い実験・・・・モルモットだな。」

 「貴方一応人間よ。あの子」

 「ルクスはどちらかと言えば『パソコン』教えてくれたしそれに・・・

私の過去を焼き捨ててくれた恩人だしな。」

 「?今何か言ったのかしら?」

 「いや・・・何でもない。」

 リーズシャルテは後半ぼそっとだが感謝を述べて締めくくった。

 「それじゃあ次は・・・おい、妹。お前は如何なんだ?」

 リーズシャルテはアイリに聞くとアイリはこう答えた。

 「はあ~~。私にとっては兄さんは兄さんです。唯一の肉親ですから

特別な感情なんてありません。」

 「ですが透流さんは・・・あの時兄さんを守ろうと必死に弁護してくれたので

それはそれで嬉しかったですね。」

 「成程ねえ・・・顔が赤いのは風呂のせいだけではないようだね。」

 「な、何言ってんですか!?」

 ティルファー悪戯っぽくアイリを揶揄ったのでアイリは怒っていた。

 「それじゃあ次は・・・・セリス団長どうぞ!!」

 「わ、私まで言うのですか!?」

 ティルファーがセリスティアを指名したので本人は驚きながらも平静を保ち

こう言った。

 「それは許可できません。今回の合宿ですが本来の目的は校外対抗戦に

むけてのものなのでここは静かに温泉に入って英気を養うべきかと思います。」

 「セリス。君の意見も最もだがここまできた以上は堂々と受けて立たないと

『シヴァレス』の団長としての威厳が保たれないぞ?」

 「ア・・・・ウ・・・」

 シャリスの厳しいツッコミにセリスが口籠ると至る所でこう言った。

 「そうですよ団長!聞かせてください!!」

 「セリス団長だけ何もなしだなってズルいです!!」

 ブーブーと団員からブーイングが飛び交うのでセリスは観念してこう言った。

 「・・・分かりました。透流さんですがまだまだ荒いところがあり体力にも

不安要素はありますがそれでもちゃんと結果を残そうと頑張っているところが

着目点です。」

 「「「「「(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン」」」」」

 「ですが・・・ルクスは・・・彼はとても頼りがいがあってそれでいて・・・・優しくて頼りがいがありまして、私はもっと彼の事を知りたいというか・・・

色んなことを教えてくれるといいなあと思っています。私の成長のために・・・」

 おずおずと赤面で喋ったセリスティアを見てしばし沈黙して・・・シャリスは

こう言った。

 「見損なったぞセリス。そんなエロチックな告白を団長のお前が団員の前で

言うとはな。」

 「な、何故私の言葉が卑猥だと」

 「YES、セリス団長は少しですが無自覚すぎます。もしここにルクスさんが

いたら色んな意味で困惑しますし他の人でしたら既に大変厭らしい事を

されています。」

 セリスティアの言葉にシャリスがそう言うので抗議しようとするもノクトに

封殺されてしまったのだ。

 「それじゃあ最後は・・・おい、フィルフィ。」

 「?」

 「妹以外でルクスの昔の事知ってるのお前だけだが何かあるか?」

 リーズシャルテはフィルフィに向かってそう言うとフィルフィは

少し時間をかけて真顔でこう言った。

 「・・・・・・・ルーちゃんは、ルーちゃんだよ?」

 するとフィルフィ以外の全員がお湯に向かって転げ落ち、バシャァアアと水音が鳴り響いた。

 「いや、そういう意味じゃなくてダナ・・・・。」

 リーズシャルテは湯から出てきてそう言うと・・・・。

 ガサッち¥と藪から音がした。

 『『『『『!!!!!』』』』』

 全員がその物音に警戒する中セリスティアが人の頭ぐらいある石をもって

こう言った。

 「人は入ってこないと思いますが何か対策を養子した方が宜しいですね。

一応周りはローブを張ってますし立て札もありますが念のために」

 「ぎゃああああああああ!!」

 『『『『『!!!!!』』』』』

 突如人の悲鳴に全員が警戒を強めるとクルルシファーがこう言った。

 「大丈夫よ、単なる覗きぐらいなら彼が迎撃しているわ。」

 「彼って・・・マサカ」

 「オワチャアアアアアアアアアア!!」

 「ヒギャアアアアアアア!!!」

 「・・・・相手を殺してなければね。」

 『『『『『ああ・・・・ね。』』』』』

 クルルシファーの言葉にある人間を想像した後に全員が手を合わせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 女子生徒たちが入浴中であるが・・・惨劇が起きていた。

 浴場にへと続く1本道の林の中には・・・死屍累々の男性たちがそこにいた。

 「ひゅ・・・・ひゅみばべんでちた(すみませんでした)」

 「ハイ11人目。」

 若い男をパンツ1丁にした後に木に逆さづりにしたルクスは返り血で1杯の顔でにこやかにそう言った。

 レリィから受けた依頼はこれ。

 「『覗きに来る人達を何とかしてほしいのよねえ。』」

 人口の少ないこの島でそんなこと起こるのかと思っていたがまあ、

出るわ出るわ。

 ルクスと同年代の少年から中年の商人、壮年の大工、

白髪の祖父さん迄来る始末。

 ルクスは透流に街に降りて行ってやって欲しいことがあると言って

透流を麓の町に下ろした後にこの虐殺劇が行われたのだ。

 手段は問われてないし、生死も言われてないから大丈夫だなと

ルクスは殺気全開で相手をした。

 「おい、お前!何者か知らないがそれでいいのか!!」

 「・・・ナニカ?」

 ルクスは同年代の青年からの言葉に答えると青年はこう言った。

 「お前、おそらく学園生徒の関係者だろうが!男だろうが!!

この千載一遇の機会に覗かないとか何考t!!」

 「喧しい。コロスゾ犯罪者が」

 ルクスは青年の顔に思いっきり拳をめり込ませて気絶させた。

 ・・・いや、殺すのはまずいぞって思うが悲しい事にツッコミ入れる人間は

誰もいない。

 「そうじゃ!儂の若いころは裸のまま岩壁を降りて、命の危険を冒してでも覗きに行っt!!」

 「其の儘昇天しろクソ爺」

 「そうだ!最近のガキは情けねえ!!女みたいな顔してるからって、タマまでぎゃああああ目があああああ!!」

 「おっさん、それ以上言うと下のタマどころか顔のタマと

もう一つのタマ潰すぞ」

 いや、あんた目潰ししたじゃん。

 それでも尚抵抗する連中がこう言った。

 「おい小僧、お前はお嬢様たちの裸が見たくねえのか!!あの貴族子女達が

集まる学園の美少女達のよおお!!」

 「そうだ!限りないロマンを求めようとする、俺達の気持ちが

分からねえのかよお!!」

 「・・・もう駄目だこいつら」

 ルクスはとうとう頭を抱える始末に成程疲れ始めた。

 すると後ろから声が聞こえた。

 「ルクスさーーん。連れてきましたあ。」

 「ああ、ありがとう透流。」

 何と透流がやってきたのだが後ろからぞろぞろと篝火照らしてくる

人間たちが少しずつだが見えてきた。

 然し覗きに来た男達はそれを見て顔を青くした。

 何せ来たのは・・・・。

 「アンタ(*´Д`*)ああ」

 「お前さん。」

 「息子よ。」

 関係者だからだ。

 あらかじめルクスは透流に男性が外出中の家、または自警団の女性方を

連れてきてほしいと頼んで透流は家を1件1件回って集めたのだ。

 するとルクスは吊るしている男性たちに向かって女性たちにも聞こえるように

こう言った。

 「さてと・・・確かこう言ってましたよねえ?

『学園の美少女、貴族のお嬢様たちの裸』とか、

『限りないロマンスを追い求める』とか言ってくれましたけどお・・・もう一度言ってくれませんか?今ここで。( ´艸`)」

 『『『『『((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル』』』』』

 ルクスの言葉に全員は只々震える事しか出来なかった。

 するとルクスは女性方にこう伝えた。

 「じゃあ僕は未だ仕事がありますので後は・・・ご自由にどうぞ。」

 『『『『『・・・ちょっとハナソウカ(# ゚Д゚)』』』』』

 『『『『『ヒィイイイイイイイイイ!!!!!』』』』』

 そして男たちの断末魔と女性方の暴力的な状況に透流は呆然としているが

ルクスは透流の肩を叩いてこう言った。

 「それじゃあ僕は仕事を再開するけど・・・アイリの体覗いたら殺すからね?」

 「ハ・・・・ハイイイイイイイ!!」

 この時透流はこう漏らしていたそうだ。

 「(あの人は間違いなく死神だ!!)」

 因みにあの後男性たちはお小遣いカットと他の人間に恐怖を植え付けるために

晒し首紛いに晒されたそうだ。




 まあ・・・普通こうするよね( ´艸`)。


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王国の会議。

 こう言う暗躍する会議って・・・たまんなくね?


さてさて、ルクスが覗き魔達を血の海にしている頃・・・。

 新王国の王城会議室では王侯貴族達が円卓の机に揃って椅子に座っていた。

 新王国女王のラフィと補佐官のナルフ宰相。

 失脚したクロイツァー家を除いた4大貴族とシャリスの父親。

 その部屋の周りでは精鋭の衛兵とドラグライドが配置されていた。

 この時の会議は非公開の会議であり知っているのはごく僅かである。

 そして室内に漂う空気もまた緊迫した今の状況が見て分かるように

張り詰めていた。

 「それでは今回の会議ですが先ず、件の計画について」

 ラフィの後ろにいたナルフ宰相がそう言うと枯れ木のような体をした老人がこう言った。

 「例の馬鹿げた話・・・『帝都奪還計画』についてかな?」

 この老人は現在3大貴族の中で最年長である『ゾグァ・シャルトスト』と言い、

一見最年長のような貫録を醸し出しているように見えるが実際は20歳の頃に旧帝国に兵力を貸したことから始まり、激動の時代と言う荒波に果敢として立ち向かい領地を広げることに成功した一人である。

 然も独自の情報網を保有しておりそれを元手に謀を仕組むのが得意であることからラフィ自身はあまり信用していないようだ。

 まあ・・・残りのもう一人もそうであるが。

 そしてラフィは現在分かっている情報を公開した。

 「現在ヘイブルグ共和国に送っている密偵によれば我が国から逃走した旧帝国軍と皇族の一人は独立部隊として運用されているらしく近いうちに

彼らはこの新王国に強襲するかと思われるようですがどうも・・・おかしな点があるようなんです。」

 「何ですか、それは?」

 シャリスの父親がそう聞くとナルフ宰相が全員に紙を渡した後に

ある大きな紙を机に大きく広げた。

 「これは・・・何じゃ?」

 「これはヘイブルグ共和国内の軍で新たに作られた地図です。」

 「地図によればヘイブルグ共和国よりも南に位置していますがある山を越えた先に国があるのがお分かりですね?」

 「うむ。」

 「この国の名は『ドラグニア竜皇国』と呼ばれ、現在ヘイブルグ共和国はここに軍事学校と軍の工場を置いているらしいという情報が手に入りました。」

 「じゃがここまでは道は遠いぞ。如何やってここに?」

 ゾグァがそう聞くとナルフ宰相はこう返した。

 「それは謎ですが何か方法があるかと思われます。現に軍の幾つかはここに配備され始めているようです。」

 そう言うとラフィはこう締めくくった。

 「彼らがどう出るか気がかりですが皆様はそれぞれの兵士の配置について

今日決めようと思うのですが」

 「ふん、そんなつまらん話に俺を付き合わせる気か?」

 「女王の御前で不遜きわまれないですな?バグライザー殿」

 ナルフ宰相がそう言いながら胡坐をかく大男を見た。

 三大貴族の一角『バグライザー・ガシュトフ』。

 彼もまたラフィ女王にとって信用していない人間の一人である。

 「おお、失礼したな?だがなあ宰相殿よ。吾輩は好き好んでここにいるわけではないぞ。」

 そう言うとバグライザーは自分の頭をこんこんと指で突きながらこう続けた。

 「わしは義理で女王陛下に協力しているだけなのだ。例のめいやくもあって

ここにいることを忘れないでもらおうか?」

 そう言うと今度は正面にいる席からこんな声が上がった。

 「嫌なら帰ればよかろう?バグライザー公」

 「・・・ナニィ?」

 バグライザーが睨んだ先にいたのは眉目秀麗な壮年の男性

『ディスト・ラルグリス』、セリスティアの父親である。

 親子揃って色々と良いところ持ってんなアと思っている皆さんは

大多数いらっしゃるでしょうねえ。

 「不毛な口論に時間を費やすほど我々は暇ではないのだ。帰ってくれたら

それだけ早く終わるのだからな。」

 「・・・ふん」

 バグライザーはディストの言葉を聞くと不満たらたらに座った。

 『ディスト・ラルグリス』だけはラフィ女王に対して無礼な態度がなく

野心よりもこの国と領地の安寧を第一に考える人間であった。

 「それで、近々やってくる旧帝国軍とヘイブルグ共和国の連中を如何やって

対処させる。吾輩の部隊は近々行われる校外対抗戦もあって

優秀なドラグナイト何て何処から・・・・。」

 「・・・『アカデミー』の『シヴァレス』」

 「「「「「!!!!!」」」」」

 ゾグァの言葉を聞いて全員の空気が固まるとゾグァはこう続けた。

 「おおすまんすまん、何も学生ではなくかの『ラグナレク』を

たった一人で倒した咎人『ルクス・アーカディア』を使えば宜しいかと」

 「・・・彼をですか。」 

 ラフィ女王はそれを聞いてヤバいと思っていた。

 彼の正体を知っているのは自身とナルフ宰相も含めて片手で足りるほどでしか

知らず、もし喋った場合の罰も無論承知している。

 「成程、そう言う事なら話は早い。あの咎人は確か校外対抗戦の出場リストにも載っていたようだな。」

 「そうですなあ。あれの父親とは似ても似つかぬほど少女たちに取り入るのが

上手いようですしな。」

 ゾグァとバグライザーの言葉を聞いてラフィ女王は危険を感じた。

 彼らはこれを機にルクスを葬るか重症に追いやりたいと画策している

疑惑が浮上してきたのだ。

 然しナルフ宰相は二人に向かってこう言った。

 「それは難しい相談です。彼は咎人、『旧帝国』の皇族です。

軍や政治の場に彼を介入させれば未だ息を潜めている旧帝国派が

彼を神輿にするかもと考えたことはないのでしょうか?」

 「そうですな・・・だがラフィ女王の命令ならば恐らくそれが出来ますな。」

 「咎人でもあると同時に優秀なドラグナイトでもある彼を対『帝都奪還計画』の切り札にさせるには貴方の命令で何とかできます・・・この国の為にご決断を」

 「・・・・・!!」

 ラフィ女王は口を閉ざしていた。

 それは無論ナルフ宰相も一緒でもあった。

 今ルクスを失えば国の戦力低下では済まないと分かってしまっているからだ。

 国の政治の見直しに軍、警察の再編、そして何よりも重要なのは・・・情報だ。

 №の能力と『パソコン』に書き込まれている技術情報。

 今ルクスを失えば自分たちはあれの中にある物を安易に解き放ってしまうというリスクを負ってしまったのだ。

 ルクスが書簡で伝えたことに対してルクスもこう変身したのだ。

 『あれはパンドラの箱。安易に使ってしまえば厄災となってこの国どころか

世界を焼き尽くす危険性あり。どうか熟慮した上でのご判断を』

 こう書かれていたのだ。

 確かにリーズシャルテが書簡と一緒に書かれていた設計図の一部だけでも

その危険性は分かってしまう物である。

 だからこそルクスの身の安全の保障は=国の安全にも繋がるのだ。

まあそれを知らない彼らからすれば死んでも悼まない咎人なのだが。

 然し現在の戦力だけで旧帝国軍とヘイブルグ共和国を相手に出来るのかと

考えれば正直無理なのが現状とも言える。

 するとゾグァは皺だらけの口元を歪ませてこう言った。

 「もし決断していただけるのであれば彼の身元は妹君も含めて

儂が面倒見ましょう。咎人を陛下のお傍に置かせるのは体裁が悪いですしなあ。」

 「は!流石は老獪。せせこましいなあ。貴公に預からせると

何を吹き込ませるのやら分かったものではないからな。そのガキは吾輩が世話してやる。」

 お互い譲り合わないというよりは・・・ルクスを自身の陣営に

組み込ませたいという思惑が強く出ていた。

 これを見たラフィ女王は人目も図らずにナルフ宰相とため息を漏らしていた。

 魂胆は丸わかりの上にお互い敵視する始末。

 これでは計画の際に遅れがどれだけ出るか考えたくないと

思ってしまっている中でディストが手を上げてこう言った。

 「彼の身は私に預からせてくれませぬか?ラフィ女王」

 「・・・ディスト公」

 ナルフ宰相はディストを見て何だと思っていると彼はこう続けた。

 「もし彼を今回の作戦に加えるのでしたら私の兵を1小隊分

彼の指揮下に加えさせるように手配もします。」

 「「「「「!!!!!」」」」」

 それを聞いて全員が驚いた。

 彼はルクスに戦力を与えると言ってきたのだ。

 それを聞いたバグライザーは少し驚きながらもこう聞いた。

 「そりゃあどういった理屈だ?・・・旧帝国の皇子に自分の戦力を与えて

あわよくばって感じか」

 バグライザーはそう聞いた。

 もし成功しても失敗しても自身の手柄にするように計画しているのかと聞くがディストはこう返した。

 「『帝都奪還計画』阻止の件については私の娘も加わるであろう。

彼を『シヴァレス』に入団することを決めたのは娘の判断だ。

私はそれを尊重したうえで親しくしているようだ。」 

 「ならば娘を通じて彼の処遇を決めたほうが都合が良いとは思わないか?」

 「それに・・・・貴公らでは彼を食いつぶしかねないしなあ。」

 ディストの考えを聞いた後も食い下がるようにバグライザーはこう言った。

 「それは一理あるがよ・・・お前の娘さんって色々と最強に相応しい武勲を

立てているが大層な男嫌いだって噂だぞ」

 そう言うがディストはこう返した。

 「学園の『シヴァレス』入団を決めたのはあの子だ。それ以上私は私情を

入れる気はない。」

 「成程のお。自慢の一人娘を使って咎人を懐柔させるとは中々策士ですなあ

ディスト公?」

 ゾグァの言葉を聞いて一瞬だが目を細めたディストだが直ぐに元に戻した。

 するとラフィ女王はこう答えた。

 「・・・分かりました。当面の間はラルグリス公の考えを尊重します。」

 「ありがとうございます。」

 ディストがそう言った後ラフィ女王は全員に向けてこう言った。

 「それでは今回は閉幕とします。」

 

 

 

 

 

 

 

 そう言って全員が離れるがゾグァはラフィ女王の前に立つとこう聞いた。

 「女王陛下。少し個人的なご確認ですが宜しいでしょうか?」

 「何でしょう?」

 ラフィ女王は緊張感を保ったまま聞くとゾグァはこう言った。

 「『アーク』についてなんですが」

 「!!・・・その話をどこで」

 矢張り油断ならないと思っていた。

 遺跡に関する情報は第1級の機密事項で三大貴族にすら内密である。

 然し何故彼が知っているのかと疑問を持つがラフィ女王はこう考えていた。

 「(おそらくは独自情報網!!・・・裏に誰が)」

 「何、単なる噂話でありますが本題はこれです。陛下の親族でもあられる

ドバル侯爵と『海竜騎士団』が数日前にリエス島に向かったという報告が」

 「な!!・・・まさか」

 「おそらくは、ですがそんなことがあっては困りますなあ。我々の遺跡調査権は前回の『ガーデン』で使い切ってしまいましたし・・・もし回数を超えて

遺跡に侵入した場合この国だけの問題では済まないと言う事を老婆心として

忠告させておきます。では」

 そう言って頭を下げてゾグァは部屋から出て行った。

 するとナルフ宰相がラフィ女王に近寄ってこう聞いた。

 「陛下。ドバル候爵の事がばれてしまうと芋づる式に例の計画が」

 「分かっています。早急に特務隊にリエス島に向かわせてください。

それとディスト公を私の部屋に来させてください。

『ルクス・アーカディア』の件で味方を作ります。」

 「・・・陛下・・・あの情報は」

 「もう・・・頼れるのは彼しかいなさそうですから。」

 「・・・御意。早急に特務隊の招集とディスト公の準備をします。」

 ナルフ宰相はそう言ってディスト公を呼んだ後に例の計画を考えていた。

 「・・・頼みましたよ。レリィ」

 「全ては・・・この国の為に」

 その声を聴くものは誰もいなかった。




 はてさて・・・これは吉となるか凶となあるか?


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女王の話と遺跡調査。

 前回の続きと遺跡調査。


「ディスト公。少々宜しいでしょうか?」

 「うん?」

 ナルフ宰相はラフィ女王の言う通りにディストを呼び止めた後にある部屋にへと

向かわせた。

 その部屋は質素であるがそれなりに良い部屋であった。

 「申し訳ありませんディスト公。いきなりの呼び出しに」

 「一体何事でありましょうか」

 ディストはラフィ女王に早急に理由を聞こうとしていた。

 するとラフィ女王はディストにある紙と用紙を出した。

 「・・・それは?」

 「これは現在の『ルクス・アーカディア』の立場が分かる書類であり、

特1級の機密書類として私自らが第0に保管しています。」

 「!!特1級・・・然も第0となれば・・・」

 ディストはその用紙の重要度に驚愕していた。

 特1級は女王自らが国民どころかあらゆる人間にすら機密とする物であり、

第0はその中でも旧帝国時代から続く特務指令関係の書類しか

置いていない所であるのだが場所は分からず都市伝説として語り継がれている。

 「一体これには何が」

 「それは恐らく・・・この国だけではなく世界すら変える『パンドラの箱』」

 ラフィ女王は後半独り言のようにそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 侍女が予め出していた紅茶は既に冷めるころディストは用紙を置くが

その顔色は酷いものであった。

 それはリーズシャルテが書き写した『パソコン』の中に記されている

機竜の設計図の一部であるが途中から口を手で覆い隠すほどであった。

 「・・・どうです?」

 ラフィ女王はディストにそう聞くがディストは慌ててこう言った。

 「これは・・・・確かに明かせば世界がひっくり返るでは済まない物です。」

 「そう、然もこれはほんの序の口。未だ『ルクス・アーカディア』は

これをも上回る情報を保有しています。」

 「!!・・・何ですと。」

 ディストはそれを聞いて驚いていた。

 何故それを公表しないのかと思ったがそれはこの資料を見るにまさかと思った。

 「今だ存在する旧帝国派に感じ取られないために・・・ですか?」

 「・・・そうです。これを明らかにするとき・・・それは旧帝国派を完全に沈黙させた時です。」

 「・・・・・」

 これまでディストラフィ女王の事はリーズシャルテが女王になるまでの

繋ぎとしか見ていなかったがここ迄考えていることを見るに対応を変えようと

思っていた。

 「これを私に見せたということは私が『ルクス・アーカディア』の安全が

確かだという保険でしょうか。」

 「ええ、然しもしこれを第3者に明かせば・・・・貴方も無事では済まないかもしれません。」

 「!!」

 それは女王権限で自分を消すという意味だと分かった。

 恐らくそれは他の貴族たちも同じであろうと思っていた。

 それと同時にディストはルクスに対して幾ばくかの興味を持った。

 「それでは今後もお互いに。」

 「はい。」

 そう言ってお互い別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして次の朝。

 いつも通りの訓練メニューを仕上げた後に再び遺跡調査を行った。

 「それじゃあ、今日もお願いねえ。」

 レリィはそう言って自身を含んだメンバー編成を発表した。

 ルクスはレリィとフィルフィ、ティルファー、クランリーゼの五人で

対応することとなった。

 するとアイリが全員に向けてこう言った。

 「皆さん。これは『ラ・クルシュ』から聞いた管理室エリアまでの

簡単な地図ですのでちゃんと覚えてくださいね。」

 そう言って全員は8階に向かう途中で6階の居住ブロックにおいて

ラ・クルシュと出会った。

 「皆さん!初めてのお方たちがいるようですがお久しぶりですよー。」

 そう言ってラ・クルシュはそう言うとこう忠告した。

 それではですが管理室の10階手前のフロアには生産エリアが存在していますが絶対に!!何もしないで下さいね。」

 そう言うとラ・クルシュは道案内を始めた。

 そして9階について辺りを見回すも何もなかったのでそのまま進むと

5つのルートがあった。

 頑強な扉で塞がれたメインの中央ルートと細い回廊で構成されている

4つのルート。

 ルクス達はどうしようかと思っているとノクトが警告を出してこう言った。

 [皆様気を付けて下さい!この先に『アビス』らしき反応があります!!

それも・・・かなり大量」

 「「「!!!」」」

 全員はそれを聞いて驚いた。

 アビスが計測不可能なほど存在する。

 それだけで最早恐怖でしかないからだ。

 するとノクトはこう続けた。

 「ですが動いていませんし生命反応も微弱なんですけど。」

 「( ,,`・ω・´)ンンン?・・・つまりそれって・・・大丈夫って事?」

 ティルファーは国を傾げてそう言うがルクスはこう続けた。

 「それでも万が一って事があるから・・・皆気を付けて。」

 そう言って進むとノクトが竜声でこう言った。

 [皆さん。そろそろ中央大通りの側を通りますのでアビスが目覚めた時に備えて準備してください。」

 ノクトの忠告を聞いて全員機竜を纏った。

 そしてそのまま進んで見えた光景は・・・・。

 「何・・・これ」

 ティルファーは口を( ゚д゚)ポカーンと開けてそう言うとルクスは

ここが何なのかすぐに分かった。

 「ここってまるで・・・生物の研究所みたいだな。」

 そう言うが強ちそうであろうと思う。

 白で統一された廊下

 右側には強化ガラスのようなもので中央ルートが見下ろせるようになっていた。

 するとティルファーは顔を真っ青にして指さした。

 「・・・ねえ、ルクッチ・・・あれってもしかして」

 「!!・・・多分そうだと思うよ。」

 その向こうに広がっているのは巨大なカプセルの中で未だ鼓動を鳴らして

眠っている・・・数百をも超えるアビスが確認された。

 もしこれが一斉に目覚めればと考えると・・・。

 「最悪・・・リエス島は崩壊。王都も只じゃ済まないだろうね。」

 そう言うしかない程の戦力であった。

 「生産エリアって機竜じゃなくて・・・アビスって事?」

 ティルファーが引き攣りながらそう言うとレリィは頷いてこう言った。

 「そうね。これは推測の領域だったんだけど、元々アビスは遺跡のどこから

現れるのか分かってなかったのよ。1説によれば遺跡の内部か周辺の何処かで

生息してるって言う噂があったんだけどまさか・・・

こんな所で生産されていたなんて。」

 「じゃあ、あれ全部生きてるって事じゃないですか!!止めてくださいよ

理事長!!」

 ティルファーはレリィの言葉を聞いて震えあがるとレリィは前を向いて

こう言った。

 「それだったら猶更急いでここから抜けましょう。」

 そう言って全員は知ろうとすると・・・フィルフィがこう言った。

 「待って」

 「?・・・フィーちゃん」

 するとフィルフィは天井に顔を向けるとこう言った。

 「何か・・・来る」

 その瞬間・・・。

 ガシィイイイイイン!!と言う金属音が聞こえた。

 それと同時に青白く回廊を照らしていた灯火が瞬時に赤色に点滅した。 

 「ふぇええ!何々!!??」

 「これってまさか!!」

 ティルファーは何事だと驚いているとルクスはこれが何なのかが分かった。

 すると今度は・・・大きな音が鳴り響いた。

 ウーーン!!ウーーン!!

 「この音は一体!!」

 「間違いない!これは緊急警戒の状況だ!!」

 ノクトはこの音が何なのかと思っている中ルクスはこれなんだと思っていた。

 然し・・・それだけでは終わらなかった。

 「グオオォォォォオオォォォォン!!」

 突如重低音が回廊に鳴り響いた。

 この漢字は恐らくアビスで大型タイプ。

 回廊の向こうから発する殺気にフィルフィは『テュポーン』の拳を前にして

構えるとこう言った。

 「気を付けて・・・来るよ。」

 「グルガアアアアアアア!!」

 「!!つう・・・・」

 突如高速で現れたそれはティルファーの《ワイアーム》のハルバード毎

突進した後にもう一度向かおうとすると・・・。

 「やらせるかよ!!」

 ルクスはそれをブレードで受け止めてその姿を確認した。

 そこにいたのは・・・一軒家を軽く超える巨体。

 黒に近い紫の毛色。

 尖った目と鋭く殺気を纏った瞳。

 口内にびっしりと生えたナイフの如き牙

 そして・・・二つの犬の顔をした背中に七匹の毒蛇が生えた・・・

アビスであった。




 次回は新種のアビスとの戦闘です。


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オルトロス戦 前編

 オルトロス戦の始まりだよお。


「おらあ!!」

 ルクスはブレードで謎のアビスに対抗しようとするも、アビスは一度回廊に

向かって行った。

 「な、何なのあれ!?学園のアビス用の図鑑にも載っていなかったし

一体何がどうなってんの!?」

 ティルファーは動揺しながら叫んでいるとレリィは緊張しながらもある考えを

口にした。

 「多分誰かが、中央ルートの門をこじ開けて生産エリアに侵入したんだわ・・・。それに反応したあのアビスが迎撃するって寸法だから多分あれは警備用のアビスってところね。」

 「ですが一体誰が?」

 ノクトは一体誰なのかと聞くがルクスはこう答えた。

 「ドバル候爵と『海竜騎士団』だろうな。」

 「ええ!でもあの人たちって未だ後ろだったはずあじゃあ!!」

 「どうせ最短ルートで進もうとして無茶してたんだろうな。今の人数で

攻略したいって気持ちで手一杯だろうしな。」

 「ええ、昨日の戦闘で二割近くがやられたしね。」

 ルクスの言葉に対してレリィは恐らくと言う最悪な状況を考えるとこう続けた。

 「只今はこの状況を打開しないといけないわね。」

 グアアアアアアアア!!

 レリィがそう言い終えたと同時にアビスが唸りを上げて向かってきた。

 「《ハウリング・ロア》!」

 ルクスは機竜の衝撃波でアビスの動きを止めようとするも・・・

アビスは止まらなかった。

 「嘘!全然効いてない!!?」

 ティルファーはレリィを守るようにハルバートを構えながらそう言った。

 そしてそのまま謎のアビスの爪がルクスに襲い掛かり・・・。

 「グオオォォォォ!!」

 片腕を切り裂いた。

 《ライズ・ワイバーン》保有するスピードをカウンターの応用で使用し、

アビスを切り裂いたのだ。

 突然の事にアビスが驚いてルクスから離れようとするも・・・。

 「ギャウ!!」

 「逃がさない」

 フィルフィが《パイル・アンカー》で身動きを封じた。

 そしてルクスはそのまま背部に搭載されているキャノンをアビスの口に一門ずつ突っ込んでこう言った。

 「吹き飛べ。」

 そしてアビスは中側から破裂するように爆発した。

 然しルクスはアビスの肉片をブレスガンで撃ち落とした。

 これは前にあった『キマイラ』に備えての対策である。

 [ルクス君、聞こえる?]

 [!クルルシファーさんか、そっちにも出ましたか?]

 クルルシファーが竜声でルクス達の無事を聞くとルクスはさっき現れた

アビスの事を話すと近くにいたラ・クルシュが説明した。

 [それは恐らく『オルトロス』ですね。『アーク』によって管理されている

アビスで三匹解放されます。一匹目は警報を出した対象に狙いを絞って

襲い掛かります。]

 [さっき一匹倒したけどそれがあいつかなあ・・・後の二匹は?]

 [ええ!あれ倒しちゃったんですか!?結構強いはずなのに・・・ああ、二匹目以降ですね、二匹目は船内にいる侵入者の探索と迎撃。三匹目は船外に出て周囲の人間に襲い掛かるのです!!]

 [それじゃあもう一つ。生産エリアで侵入者が出た場合、生産エリアにいる

アビスが一斉に出るって可能性は?]

 [ああそれは大丈夫です。生産エリアにいるアビスは未だ未完成ですし

あの中にいる限り動くことも出来ませんので大丈夫です。]

 [ああ、ありがとう。]

 そう言ってルクスは竜声を切った後レリィに事の次第を説明した。

 するとフィルフィが手を上げてこう言った。

 「お姉ちゃん。私とルーちゃんは一度外に出たほうが良いと思うよ。」

 「さっきの竜声で聞いたんだけど、『アーク』の外にも出たんでしょ?」

 フィルフィがそう言ってルクスはこくりと頷いた。

 それに今のリエス島にまともなドラグナイトなどいないのだ。

 「・・・分かったわ。ルクス君とフィルフィは一緒に例のアビスの迎撃。残りの二人はその間に管理室のあるフロアまで全力疾走で向かいます。」

 「はい!・・・けど護衛は?」

 ルクスはそう聞くとティルファーはこう答えた。

 「大丈夫!今ノクトから報告があったんだけど先に管理室のあるフロアに着いたセリス先輩の小隊が急いでこっちに来てるからそれまでは私たちが

何とかするから!!」

 「YES、お二人はお気になさらずに早くアビスを。」

 ノクトがそう言ったのでルクスはフィルフィの方を見るとこう聞いた。

 「フィルフィ・・・まだいける?」

 「うん・・・いけるよ。」

 「やせ我慢しないでね。」

 「うん・・・分かった。」

 ルクスはフィルフィを見てそう言った。

 フィルフィの今の体の調子を考えると酷いものであった。

 まるで高熱に魘されているようなそんな感じであった。

 然しフィルフィは頑固でこれと決めたら絶対聞かないことは

ルクスは知っているためそう言ったのだ。

 そしてルクスはフィルフィの《パイル・アンカー》を持って逆向きに向かった。

 然しここである事に気づいた。

 それは・・・。

 「くそ!隔壁が邪魔で思った通りにスピードが!!」

 先ほどの警報のせいで隔壁が作動されたらしく思うようにスピードが出ず、

『オルトロス』を補足することが出来なかったのだ。

 『アーク』の出入り口であるポータルにまでたどり着いたのはいいが

外部への転送には数分待たなければならなかったので気が気でならなかった。

 「(早く早く早く!!)」

 ルクスは内心焦っているがフィルフィは普段通りにこう言った。

 「だいじょうぶだよ、ルーちゃん。未だ、あのアビスは出てないよ。」

 「気配で分かるから。」

 「え・・・」

 ルクスはフィルフィの言葉に何だと思っていると足元が光り輝いてきた。

 そしてルクスとフィルフィはそこからいなくなった。

 

 

 

 

 

 

 「グルアアアアアアアア!!」

 

 

 

 

 

 巨大な遠吠えと共に甲板の縁から島にへと向かってる『オルトロス』を外に出て早々発見した。

 すると『オルトロス』の二首の片方がルクス達を見た後にあざけわらうかの

ように森の中に走り去っていった。

 「しまった!これじゃあ見つけられない!!」

 居住区に向かわなかっただけまだマシだと思いたいがもしも居住区に

時間差で襲い掛かったとしたらたまったものではない。

 急いで追おうとするとフィルフィがルクスにある提案を促した。

 「ルーちゃん。追いながらでいいからアビスの場所、教えて。一瞬だけ

動きを止めてくれれば捕まえられるから。」

 「・・・・分かった。」

 ルクスはそう答えて高度を上げて《ライズ・ワイバーン》の索敵システムを

起動させると『オルトロス』の位置が分かった。

 「あの犬っころ!追っ手を撒こうとしてやがる!!」

 もしこれが普通の《ワイバーン》だったら索敵をするのに目視でやるから

時間がかかりそうであったがルクスの機竜はそれには当たらないので初期警戒で

十分な結果が出るのだ。

 するとフィルフィが竜声でこう伝えた。

 [ルーちゃん。だいじょうぶ。わたしたちはそんなに弱くないよ?]

 [ありがとう、フィルフィ。]

 フィルフィはルクスを落ち着かせるために励ましの言葉をかけると

ルクスは落ち着いてそう答えた。

 森の中を縦横無尽に走る『オルトロス』を見つけたルクスは少しずつ距離を

詰めて『オルトロス』を挑発した。

 「ヘイヘイヘイ!どうしたよ犬っころ!!もうギブアップか!!??」

 「グルルルルルルル」

 『オルトロス』はそれを聞いて意味が分かったのか歯ぎしりの音がした。

 戦いもせずに挑発しながらこちらの出方を伺うルクスを見て苛立ってしまった

ようだ。

 等々森から抜けてしまい、演習場に入ったその時にルクスは攻撃した。

 「《ハウリング・ロア》!」

 周囲を分厚い石壁に覆われた演習場で障害物がないのにも関わらずに衝撃波を

ぶつけようとするも・・・『オルトロス』はバカではなかった。

 「グルアアアアアアア!!!」

 『オルトロス』がさらにスピードを上げて演習場の門を潜り抜けた瞬間に

《パイル・アンカー》のワイヤーが見えた。

 本来なら衝撃波で動かなくなったところを《パイル・アンカー》で身動きを

封じて倒すという作戦だったのだが失敗したのだ。

 絶好の機会だと確信した『オルトロス』はルクスに襲い掛かろうと四肢に

力を込めて跳躍した次の瞬間に・・・ルクスはニヤリと笑ってこう言った。

 「おせえよ。」

 「ギャイン!!」

 次の瞬間に『オルトロス』の前後の右片足が切り裂かれ・・・炎が発火した。

 「グルアアアアアアアア!!!」

 ルクスの技『「刹撃・焔」』により発火したのだ。

 これに驚いた『オルトロス』は片足ずつでも関わらずに逃げ出した。

 「追おう!!」

 「うん」

 ルクスとフィルフィは『オルトロス』を追った。

 そして向かった先は・・・。

 「ここは!?」

 『オルトロス』を追って辿り着いた場所は廃墟と化した修道院。

 独特の黴臭さが漂っていて建物の床の一部が崩落していたが

その先にあったのは・・・。

 「・・・これは」

 地下通路があったのだ。

 すると・・・。

 「うく!!」

 ルクスはそれを見た瞬間に頭痛に襲われた。

 それと同時に・・・二種類の記憶が浮かび上がってきた。

 一つは・・・乾いた血と鼻が曲がりそうな腐臭

 人として原型を保っておらず悲鳴すら上げられない・・・少女たちの死体。

 人であったものの投棄場

 そしてルクスが見つけたものは・・・桃色の・・・髪

 「グがアアアアアアアア!!!」

 突如頭の激痛と同時にもう一つの記憶が出てきた。

 

 

 

 

 

 

 

 「ほお・・・人の身でありながらもここに来るのは『****』以来だな。」

 「(誰だ!!)」

 そこはルクスでもわかる場所。

 そう、・・・バリアン世界である。

 「ガキよ。力が欲しいか?」

 ・・・・欲しい。

 ・・・******を殺した奴らを・・・・あの男を殺す力を。

 「ならばこれを使うがよい。」

 その誰かから渡された一枚のカード。

 ・・・これは

 「それならば貴様が望む力を得ようぞ。」

 「だが代償として貴様が死したその時、我の僕となれ。」

 ・・・構わない。

 「ならば今日からそれは貴様の・・・いや、こう名乗らせてやろう」

 そしてその誰かの全貌が見えた。

 巨大な体。

 禍々しいオーラを放つ。

 漆黒の・・・魔人

 「『ルプス』。今日からそれが貴様の・・・新たなバリアンの名だ!!」

 その瞬間にカードが光り輝き名が記された。

 そこに書かれていたのは・・・・。

 「『№108 魔道蒼炎竜 ダークブレイズ・ドラゴン」




 今・・・記憶が解き放たれようとしていた。


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蘇る記憶。

 記憶の中に眠りし力・・・解放まであと少し。


5年前のリエス島・・・・。

 その日の夜、ある一帯が炎に包まれていた。

 然しその炎は只の炎ではなかった。

 蒼く・・・冷たい炎。

 その炎に焼かれた人間は黒焦げではなく・・・・白くなっていた。

 どうやったらそうなるのか・・・誰も分からなかった。

 まるで雪が積もった様な・・・そんな状況に。

 「はあ・・・はあ・・・はあ・・・。」

 ある青年は必死になって走っていた。

 ある場所を目指して・・・ただひたすらに。

 「はあ・・・!!・・・ルクス!!」

 青年が見たものは、白くなった死体の側である少女・・・だったであろうナニカを抱えていた少年であった。

 少年の目は紅く・・・そして・・・血の涙を流していた。

 「ウウ・・・ウウウ・・・」

 少年はまるで・・・いや、確かに泣いていた。

 涙が血になるまで・・・。

 「ウワアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 少年の慟哭と同時に炎がさらに強く、そして・・・。

 「何だあれは・・・・。」

 姿を変えた。

 赤い体

 青白い炎が翼からでていた。

 手足はまるで鎧のような物で纏っておりその手には西洋剣を握りしめていた。

 するとその竜の頭部が輝き始めると炎が全身から吹き出し始めた。

 その竜は青年に狙いを定めるように睨むと青年は突如胸元を緩めた。

 そこにあったのは・・・・魔法陣のような円とその中に六芒星が結晶のように

散らばっている形をしたのが胸元に刻まれていた。

 すると青年はこう叫んだ。

 「来い!***!!」

 すると胸元の刺青のようなのが光り輝いた瞬間それは現れた。

 巨大な・・・・・白銀の・・・ナニカが・・・・。

 ギャアアアアアア!!

 グオオォォォォオオォォォォ!!

 そして赤い竜と白銀のナニカが・・・激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 「がはあ!!・・・・はあ・・・はあ・・・はあ・・・何なんだありゃあ?」

 ルクスはその光景を最後に気を取り戻した。

 最初にあった後の映像が既に消えてしまっていたがあの光景は知っていた。

 「あそこは・・・『バリアン世界』・・・けどどうして」

 ルクスは何故だと思っていた。

 ここは嘗てフィルフィが投薬実験の為に連れて行かれたと聞いてフギルの力を

借りてここに来た。

 表向きは修道院となっているがその実態は帝国が兵器開発するために作られた

実験室。

 革命の成功後、ここは打ち捨てられたが死体は全て灰になっていた。

 然しルクスはこう思っていた。

 「何でフィルフィが・・・じゃああのフィルフィは・・・?」

 先ほどの映像に出ていた少女がフィルフィなら今いる彼女は一体何なんだと

思っていた。

 いくら考えてもきりがなかったのでルクスは修道院に降りた。

 すると影から・・・ナニカが襲ってきた。

 「グシャアアアア!!」

 突如『オルトロス』が爪をルクスに向けた。

 すると『オルトロス』は・・・その場からすぐに離れて身を隠した。

 「!!!」

 ルクスは一瞬見た『オルトロス』を見てあれだと確信した。

 「・・・誰かが『キマイラ』や『ラグナレク』と同じ奴を」

 そう、赤黒い筋が全身に走り、漆黒色の瞳が黄金色になっていた。

 極めつけはルクスが切り裂いた片足二つとも再生していたのだ。

 ルクスはそれを見て相手の攻撃能力を上方修正した。

 「(今あいつの攻撃は前よりも上がってるから・・・やべえな。)」

 ルクスはそう思いながらも構えていた。

 すると・・・。

 「シャアアアアアアア!!」

 『オルトロス』が真正面からルクスに向かってきた。

 『オルトロス』の牙がルクスに襲い掛かったその時・・・。

 「グがアアアアアアアア!!」

 左目が切り裂かれた。

 あの一瞬の間にルクスは《クイックドロウ》を使って切り裂いた。

 今の『オルトロス』の体は更に固くなっていることを予測して眼球を

狙ったのだ。

 更に・・・。

 「ゴガアアアア!!」

 「刹撃・焔」により顔が焼け始めたのだ。

 いきなりで驚いて頭がそれぞれ別々の方向に向かったのを見てルクスは

チャンスだと確信した。

 「ギギャアアアアあ!!」

 今度は左足全てを斬り捨てた。

 ルクスの実力を肌で感じた『オルトロス』は別の手段で攻撃してきた。

 「グアアアアアアアア!!」

 すると背中に蠢いていた無数の毒蛇がルクスに向けて襲い掛かってきた。

 力が駄目なら手数で相手を追い詰めようと切り替えたのだ。

 だが其れで効くほど・・・・ルクスは甘くない。

 「吹き飛べ。」

 そう言ってルクスは二丁の機竜息銃とキャノンを展開して一斉に『オルトロス』目掛けて撃ち放った。

 ダダダダダダと放たれた弾丸は寸分たがわずに『オルトロス』に命中した。

 蛇と一緒に『オルトロス』は耐え切れずに吹き飛ばされると

ルクスは最初の『オルトロス』にしたのと同じようにしてこう言った。

 「・・・消えな。」

 そしてキャノンが『オルトロス』の口の中で放たれて爆発した。

 その肉片はそのまま黒い灰となって消えた。

 「ふう。」

 ルクスはやっと終わったと思っている中でフィルフィを探そうとすると

壁の中から僅かだが呼吸音が聞こえた。

 するとまた、あの映像が出てきた。

 

 

 

 

 

 

 「・・・こんにちはルクス君」

 あれ?・・・何でレリィさん・・・泣いてるの

 「ルクス君にもあの子のお葬式に出てほしいの。」

 葬式って・・・誰の?

 「きっと、喜ぶから・・・・・*****も」

 ・・・・・え?

 

 

 

 

 

 

 「ルクス!大丈夫だ!!俺が何とかする!だから今日の事は忘れろ!!!」

 「そんなの無理だよ!!だって***ちゃんが!!」

 誰の事・・・・?

 「大丈夫!俺が何とかする・・・こいつらでな」

 「・・・こいつら?」

 ・・・何・・・・あれ

 ルクスの目の前に映っていたのは・・・・

 「だからお前は」

 フギルと・・・・・・

 「もう休め。」

 巨大な神装機竜と・・・・・

 「・・・良いな。」

 巨大な・・・全身に銃器が付いた・・・竜がいた。




 俺が・・・全部何とかする。


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その人間の正体は・・・。

 奴の正体が暴かれます。


「アアア・・・がアアアアアアアア!!」

 ルクスはその映像で少しずつであるが忘れてしまいそうであった。

 あの巨大なナニカは一体何なのか?

 そしてあの竜は一体何なのか?上げればきりがなかったがルクスは

頭を押さえながらフィルフィの下にへと向かった。

 

 

 

 

 

 「フィルフィ!」

 「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」

 フィルフィは背中を壁に預けたようにへたり込んで座っていた。

 外傷はなかったが万が一を考えて、ルクスはフィルフィに肩を預けさせるように

立ち上がらせて移動した。

 「フィルフィ凄い熱だよ!早く合宿所に」

 「ルーちゃん。・・・アビスは・・・」

 「大丈夫。『オルトロス』ならさっき倒したよ。」

 するとフィルフィはルクスに向けてこう言った。

 「ううん・・・まだいるよ」

 「!・・・未だいるのかよ」

 そしてフィルフィはこう言った。

 「うん・・・・ココニ」

 するとフィルフィが・・・ルクスの首を鷲掴みにして高く持ち上げられた。

 「なアあ!!・・・・!!」

 ルクスはフィルフィのいきなりの行動に何があったと思いながらフィルフィを

見ると・・・信じられないモノが見えた。

 「ナンデ・・・アビスと同じ・・・模様が」

 肌に薄っすらとだが赤い模様が浮かび上がり・・・黄金の瞳と黒い双眸が

見えた。

 然も当のフィルフィは今まで見たことのない狂気に染まった笑顔を見た。

 「かあ・・・ハア・・・・」

 「(ここ迄か・・・)」

 ルクスはフィルフィの力を考えてもう終わったなと思い死を覚悟した

次の瞬間・・・それが起こった。

 キシャアアアアアアア!!

 何処かで聞いたことのある竜の鳴き声と同時にフィルフィは倒れてしまった。

 肌に浮かび上がっていた模様も一緒に。

 「・・・フィルフィ」

 ルクスはフィルフィに近寄ろうとすると・・・声が聞こえた。

 「おやおや、お楽しみだったところ悪いが失礼してもらうぜ。」

 「!!??」

 ルクスはその声を聴いて振り返るとそこにいたのは・・・。

 「よ~。初めまして『青い死神』さんよ。」

 全身をローブで覆い隠した人間がそこにいた。

 「お前は・・・一体誰だ?」

 ルクスはその人間を見て警戒しながらそう言うとローブの人間はこう答えた。

 「あれあれ?『サニア』辺りから聞いてねえか?」

 「・・・成程、お前がサニアさんに過去を教えた」

 「そ、俺がそれさ。」

 ローブの人間は笑いながらそう言うとルクスはこう聞いた。

 「・・・あのアビスはお前の差し金か」

 ルクスはそう聞きながらソードデバイスを構えるとローブの人間はこう返した。

 「まあそうだがそんな物騒な奴は収めてくれないか?俺はそこに寝転がってる

幼馴染さんを一応だけど助けたんだぜ?」

 「どういう事だ?」

 ルクスは目を鋭くさせながらそう聞くとローブの人間はこう返した。

 「その女には俺が前に植え付けた『ラグナレク』の一体『ユグドラシル』の種子『宿り木(ラタトスク)』があって今やそいつは体の半分以上がアビスだぜ。」

 「!!!な・・・・・」

 ルクスは信じたくはないと思うがローブの人間は何事もなくこう続けた。

 「そいつの心臓はアビスの核と何ら変わりねえから切除は無理だ。」

 死んじまうからなと言ったとにさらにこう続けた。

 「普段は休眠状態だけど生命の危機や精神の異常な高ぶりで超回復と

身体機能の向上が見られるがデメリットとして『ユグドラシル』の命令は

絶対とし、逆らえば高熱と頭痛を筆頭に身体機能が狂っちまって最悪死ぬ。」

 「・・・手前!」

 ルクスはいつでも斬り殺せるようにとスタンバろうとするとローブの人間は

構わずに続けた。

 「然も寄生体の入った仲間を殺そうとすれば数日以内にそいつは死ぬという命令が施されているが・・・俺ならそれを解除することが出来る。」

 そう言って角笛を見せるとローブの人間はこう言った。

 「そこで取引だ。『ユグドラシル』にその女だけは例外だという命令を与えて

その女を助けらせる代わりに『アーク』の最深層の扉を開けてくれないか?

手前にもいる『エクスファー』を使ってさ。」

 「!!どうしてそれ・・・マサカ!!」

 「お、頭が回るねえ。おおよ、こっちもいるんだが一度権限を使うと

数か月は使えねえんだ。だから最深層に行ってくれたら助かるんだよなあ。」

 そう言うとローブの人間は指を2本見せてこう言った。

 「機嫌は2日間。それまでに開けてくれたらその幼馴染を助ける。

最深層に着いたら・・・こいつで通信しろ。」

 そう言ってローブの人間は手のひらから光る何かを見せるとそれは・・・

何もせずにルクスの耳に向かって飛び込んだ。

 「!!・・・こいつは」

 「そいつで俺に通信しろ。出来れば昼に開けてほしいな。夜中にすると

閉められた時に堪ったものじゃねえから見張りも付ける。」

 そう言ってローブの人間のすぐ後ろに誰かが・・・現れた。

 黒い髪をした少女が一瞬だけ見えると直ぐに消えた。

 「今のが見張りだ。お前が夜中に『アーク』に行ったら伝えて

俺はそいつを殺す。」

 ローブの人間はフィルフィに向かってそう言うとルクスはこう聞いた。

 「・・・お前は一体誰だ?」

 そう聞くとローブの人間はローブのフードを取った。

 その人間の正体は・・・・。

 「!!!」

 銀色の髪。

 灰色と蒼のオッドアイの瞳。

 それは正しく・・・・。

 「俺の名前は『ヘイズ・アーカディア』。ヘイブルグ共和国の軍師にして・・・本物だ。」

 アーカディア一族であった。

 




 さあ・・・悪魔と取引だ。


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アイリの聞きし悪意。

 それを聞いたら後戻りできないよ。


「はあ・・・はあ・・・はあ・・・どうにか・・・倒せたな。」

 「取敢えず・・・この場は・・・収まったようね。」

 リーズシャルテとクルルシファーは息切れしながらそう言っていた。

 原因はこの『オルトロス』である。

 何せ力があるだけではなく早く、知恵も働くことから厄介であった。

 セリスティアはラ・クルシュと一緒に10階に向けて準備していた。

 如何やら直通通路が敷けるとのラ・クルシュの情報があり現在その作業を

していた。

 最大の難所でもあるアビスの生産エリアを跳び越すという利点があるからだ。

 これで時間も節約できるし危険も少なるなると考えていた。

 「それにしても・・・ドバル候もそうだがレリィ学園長の計画を聞いて

どう思う?」

 「・・・どうって?」

 リーズシャルテの言葉にクルルシファーが反応するとリーズシャルテは

こう続けた。

 「先ずは遺跡の出現は・・・・予想通りだとしてアイリとレリィの同行に

フィルフィまでいるあたり・・・何かあると思わないか?」

 「確かにね・・・目的は何なのか?ってところね」

 リーズシャルテとクルルシファーはレリィの目的について話し合っていると竜声でノクトから通信が来た。

 [リーシャ様、クルルシファーさん。応答お願いします。ご無事でしょうか?]

 「ノクトか、皆は無事か?」

 リーズシャルテがそう聞くとノクトはこう答えた。

 [YES、無事辿り着いて甲板へと直通通路が開かれましたが・・・、

途中でアビス数体が出現し戦闘のさなかで崩落。アイリが逸れてしまいました。]

 「はああ!!未だアビスがいるようなこの状況でか!?」

 [ですのでご無事でしたら捜索の御協力をと・・・思いまして。]

 「分かった!今お前たちは9階にいるから・・・10階・・・管理室のあるフロアじゃないか!?」

 [YES、それと透流さんも逸れてしまって。]

 「ああもう、セットで迷うとは!!クルルシファーと探すからお前たちは今すぐ迎え!!」

 [了解です。]

 「・・・如何やら・・・大変なことになったわね。」

 了解とノクトとの通信を聞いたクルルシファーはとんでもないことが起きたなと思っていた。

 「クルルシファー!直ぐに向かうぞ!!」

 「ええ!!」

 二人はそのまま回廊を突っ切った。

 

 

 

 

 

 

 「う・・・・ん」

 アビスとの遭遇戦により9階の一部が崩壊し、アイリは一人で『アーク』の中を歩いていた。

 現在位置は恐らく10階のどこか。

 管理室のあるフロアがあるはずなのだがおそらくここは違うのであろう。

 然もこの騒動で幾つかの灯火が消えていることから数十メートル先が

真っ暗で何も見えなかった。

 怪我していないことだけが不幸中の幸いであるがこの暗さと寒さからある考えが過った。

 「兄さんは・・・無事でしょうか?」

 アイリは不安になると病弱だった時の状況になってしまうのだ。

 病弱だったころアイリは誰かに依存することでその恐怖を中和していた。

 無論今はそれはないが偶にそうなってしまう時がある。

 嘗てルクスが遊馬達のいる世界に飛ばされた時は精神的に厄介な状況であり、

レリィとラフィ女王がバックアップで対応してくれて心が落ち着いた後

二人の恩返しも兼ねて『アカデミー』では誰よりも勉学に勤しみ、

文官としてあらゆる知識を得たことから今では遺跡調査において文学関連なら

アイリ以上の存在となると新王国において何人もいないほどにまでになった。

 「はあ・・・兄さんも随分薄情ですね。体は寒いし暗くて分からないし・・・

早く迎えに・・・・何言ってるんでしょうね、私は」

 そうぶつくさと独り言を言っていた自分に恥ずかしさを感じたアイリは

冷静になろうと考えていた。

 大きな声を上げれば確かに誰かが来ると思うがその前にアビスがやってくる。

 そうなれば自分はおしまいだと思っていた。

 お守り代わりとして角笛は持っていたがこれは使いたくないと思っている。

 しばらく歩いている中小さな物音が聞こえた。

 「!」

 アイリは万が一を考えて角笛を吹く準備をした。

 クランリーゼから使い方を教わったため使えるようになったのだ。

 「・・・から、こんな事に」

 「(人の声?)」

 アイリは声を聴いて耳を澄ました。

 「まずい事になりました。これではアビスが外に出て、リエス島にまで被害が

出てしまいます。もし我あれが生産エリアの扉を破壊したことが原因であれば

新王国から国際協定違反として我々は」

 「分かっておらんなあ、何年儂の下で剣を振るっておるのだ?」

 如何やら『海竜騎士団』の騎士団長とドバル候が何やら話していた。

 「儂があそこを破壊するように指示したのはなあ。『シヴァレス』の雌どもを『アーク』から追い払い、旧時代の情報と秘宝を全て儂が手に入れられる

絶好の機会ではないか?それに・・・。」

 「あの連中は目障りだからな。あの女どもが後々軍に入り地位を手に入れれば益々男のドラグナイトの肩身が狭くなるからな。連中が死ぬか、

怪我の一つでもして大人しくなっていれば望むところであろう?」

 「それではリエス島にいる民間人は!?」

 「致し方ないであろう?それに民などそこら辺からまた来る。」

 「!!・・・・了解しました。」

 ドバル候の言葉に部隊長は口を真一文字にして黙った。

 彼自身も納得していないであろう。

 だが命令なら仕方がないと・・・諦めてしまった。

 「酷い話です。」

 アイリは小声でそう呟いた。

 単なる功を得ようとするのではなく『シヴァレス』の妨害するだけの

行為であったこと。

 その為なら民間人すら見捨てるという蛮行に糾弾したいところであるが

そんなことをすれば自分の身が危ないと悟ったのだ。

 「(ここは一度退いて皆さんと合流しなければ。)」

 アイリはそう思いながらそこから離れようとするが・・・

神様は酷いものであった。

 瓦礫に足が引っかかったのだ。

 「あ!」

 『!』

 全員はアイリの声を聴いてその場所に目を向けた後にドバル候は《ドレイク》を纏っているドラグナイトに指示を出した。

 「あそこに誰か居るぞ!確認せよ!!」

 そう言って確認して一人がこう言った。

 「出てこい!いるのは分かってる!」

 そう言ってアイリは仕方なく出てくるとドバル候はこう聞いた。

 「ほう。これはこれは・・・『アカデミー』の皆さんに同行していた、咎人の元皇女様ではありませんか?どうなされましたかな?ここで」

 「『シヴァレス』がアビスとの交戦に入り、危険を避けるために距離を

取りましたがもうじき戦闘が終わり、こちらに来る予定です。」

 アイリは平常心を保ちつつ嘘の情報を言った。

 正直に話せば自分は口封じで消されると考えたからだ。

 それを聞いたドバル候はさっきの人間に探索させた後にこう言った。

 「近くにはいませんが少し遠くに来てます。」

 「そうか、では消せ。」

 「え・・・?」

 アイリはドバル候の言葉に頭が真っ白になった。

 「待って下さい!未だ子供ですよ!!それに彼女の兄がどのような存在か

ドバル候はお知りのはずだ!?」

 部隊長はドバル候にそう意見した。

 ルクスの実力の高さは彼らにも届いておりもし何かすれば自分たちの命が

危険だと言うがドバル候はこう続けた。

 「ふん、あんなのでたらめであろうが。第一に障壁すらする抜けるほどの

攻撃などあるはずもなかろうが?おぬしが嫌というならお前たちがやれ。」

 そう言ってドバル候は他の部隊に命令した。

 全員一度は迷うがアイリの方を向くと・・・悲しむようにこう言った。

 「・・・すまない、悪く思わないでくれ」

 そう言って3機で囲んだ。

 最早逃げるどころか命乞いすらできないと思いアイリは・・・薄っすらと

涙を流しながら絞るような声でこう言った。

 「兄さん!・・・・」

 そう言って目をつぶったその時に・・・・上空から声が聞こえた。

 「止めろおおおおおおおお!!」

 『!!』

 「!兄さ」

 アイリはまさかかと思って上を見上げたその時に自身の目の前に何かが

降りてきた。

 そして砂煙が上がったと同時にそれはその3機に攻撃した。

 「「「どわあ!!」」」

 そして振り返った瞬間にそれはアイリを抱きしめてそこから脱出した。

 「大丈夫か!?」

 その声を聴いたアイリはある人間を思い出した。

 頑張り屋で・・・頼りないように見えて・・・実は仲間思い出努力家な彼を・

 「透流・・・さん?」

 「ああ」

 透流がそこにいた。




 そうだ・・・・あの時に私は・・・・心を開けたんだ。


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遺跡でのお互いの関係。

 いやあ・・・こういうのは・・・経験ないわあ。


「透流・・・さん」

 「大丈夫か!」

 アイリは透流を見て呆然としていた。

 何故ここが分かったのか?

 如何やってここに来たのか?

 聞きたいことが幾らでも出ていたが透流はアイリを抱きしめながらこう聞いた。

 「怪我とかしてないか!?」

 「ええ・・・ああはい・・・大丈夫です」

 「・・・良かった。」

 透流はアイリの言葉を聞いて安心したのか笑顔になった。

 すると後ろから声が聞こえた。

 「何をしている追え!奴を始末しなくては我々は終わりだぞ!!」

 ドバル候爵が『海竜騎士団』全員に対してそう言った後に全員攻撃を始めた。

 「ああクソが!!」

 透流は遠くから機竜息銃で攻撃してきた連中に向けてこっちも撃っている中アイリは透流に対してこう聞いた。

 「・・・どうしてここに」

 「ああ、あの崩落の後俺、通路を探して空を飛んだり天井の上で見回っていたら

アイリさんが襲われそうなのを見て助けようと思って落ちてきたんです。」

 「そうでしたか・・・。」

 本当に兄さんに似ているなとアイリはそう思っていた。

 いつの間にか震えは止まっているしそれに・・・・・。

 「(あれ・・・・私今・・・・抱きしめられてます?)」

 現状を把握した途端にアイリの顔が真っ赤に・・・染まってきた。

 「//////////!!!!!」

 耳まで赤くなり、恥ずかしさでどうしようかと思っていた。

 そもそも異性(ルクスは除く)にここ迄抱きしめられた事など

早々ありえないのだ。

 実質合切女子高であった『アカデミー』にいたことからこう言う事は話では結構あったりする妄想があるがそう言うことに対して免疫がないため

真っ赤になるのだが・・・如何せんこの朴念仁はそう言う考えを

持ち合わせていない。

 その為かこのような考えに至った。

 「!顔が赤いですけどもしかしたら風邪ひいてんじゃ」

 「いえ違います!これは・・・その・・・」

 何ともまあ戦闘中なのにいちゃつきやがってと思うだろう。

 然し尚も攻撃してくる『海竜騎士団』の攻撃に正直言って透流もヤバいと

思っていた。

 「(これじゃあアイリさんを守れない!!どこかに置いて逃がす時間を

稼がなくちゃ!!)」

 そう思っている時に『海竜騎士団』の攻撃が透流の機竜息銃に当たって

しまった。

 「ウワア!」

 「きゃあ!」

 透流とアイリは咄嗟に悲鳴を上げるとアイリは透流に向けてこう言った。

 「私を置いてください!私があっちに行けば透流さんも」

 「ふざけるな!!」

 「!!」

 透流はアイリの提案に怒ると同時にこう言った。

 「俺はもう・・・誰かが死ぬのは見たくないんだ!」

 「俺はルクスさんの様に強くないけど・・・それでも・・・・

誰かを守りたいって・・・その為に強くなりたいってそう決めたんだ!!」

 「だからアンタを・・・アイリを見捨てるなんて絶対しねえ!!」

 「・・・透流さん」

 アイリは透流に対して涙目で見ていると・・・後ろから『海竜騎士団』が

やってきた。

 すると一人がこう言った。

 「すまん!!」

 そう言いながらブレードを振りかざそうとした。

 「「!!」」

 透流はアイリを力いっぱい抱きしめて何と守ろうと思ったその時・・・

声が聞こえた。

 「何してるのだ!貴様らはああああ!!」

 「がはあ!!・・・・」

 突如ブレードを振りかざそうとしていた男が吹き飛ばされた。

 すると透流の視界からある物が見えた。

 ・・・浮遊する銛のようなナニカが。

 「無事か!透流!!アイリ!!」

 「「リーズシャルテ様!!」」

 リーズシャルテが《ティアマト》で駆けつけてきた。

 「無事か!!って・・・・もしかして私邪魔か?」

 「「・・・・!!/////」」

 リーズシャルテの言葉と視線を察して二人は顔を真っ赤にして離れると別の声が聞こえた。

 「あらあら、ルクス君は大変ねえ。もしかしたら家族が増えるかもね。」

 「クルルシファーさん!」

 アイリがクルルシファーを見て呼ぶと二人に向けて先ほどのドバル候の事を

説明するとリーズシャルテはこう言った。

 「成程なあ・・・まあそれは後で『パソコン』でサルベージさせれば

良いとして・・・覚悟は出来てるよなあ!!ドバル候!!」

 「!!!」

 ドバル候はリーズシャルテの怒声を聞いて恐怖した後こう続けた。

 「後でセリスティアがここに来るからそれまでちょっと・・・・」

 「アソブカ。」

 「ヒィイイイイイイイイイ!!」

 ドバル候はリーズシャルテの黒い笑顔を見て恐怖して逃げようとして

倒れこんだ。

 足が絡まってのたうってしまったのだ。

 「覚悟しろよ『海竜騎士団』・・・私はルクスよりも弱いから・・・

手加減できんぞ。」

 その言葉の通りにリーズシャルテとクルルシファーは戦った。

(主にリーズシャルテ中心)

 そしてその後にセリスティアが来た時には全員機竜から離れさせられ、

ドバル候はリーズシャルテのすぐ下で震えていた。

 クランリーゼから『パソコン』を借りた後に音声データを解析した後に

それが公表。

 流石のドバル候もそれを聞いて恐怖するとセリスティアはドバル候に対して

こう言った。

 「ドバル候は国際協定違反として軍の船に閉じ込めておいて

『海竜騎士団』は全員ソードデバイスを没収しリエス島にある機竜格納庫に押し込めておいて下さい。鍵はかけて私たちがいないときは重いもので

扉を封鎖します。」

 そう言って全員は地上にへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 その最中にアイリは透流にこう聞いた。

 「あの・・・透流さん?」

 「?何ですアイリさん」

 アイリが透流にある事を聞いた。

 「あの時貴方私を・・・その・・・『アイリ』って呼んでませんでした?」

 「・・・・あ!」

 透流はアイリの言葉を聞いてヤバいと思っているとアイリは透流に向けて

こう言った。

 「そ・・・それでですね・・・今後もその・・・呼び捨てしていただけると・・良いなあと思いますけど・・・良いでしょうか?」

 「あ・・はい・・・喜んで・・・・アイリ/////」

 「ハイ・・・・透流//////」

 お互い恥ずかしながらもそう言うがそれを見ていた『シヴァレス』の

団員はと言うと・・・。

 「ああ、眩しい!」

 「これが初々しいカップルの光!!」

 「甘いねえ。」

 「青春だねえ。」

 「・・・何故でしょう・・・何だか納得出来ません。」

 『シヴァレス』の団員の言葉につられてティルファー、シャリス、ノクトが

そう言うとリーズシャルテ達はと言うと・・・。

 「うおおおおお・・・中々やるな、妹」

 「結構ルクス君よりも大胆ねえ。」

 「お、お互い呼び捨てって・・・わ、私もルクスとそう言う・・・

は!私は何を言って!!」

 「欲望丸出しですね残姉さん」

 リーズシャルテ、クルルシファー、セリスティア、クランリーゼもそう言った。

 そしてラ・クルシュはと言うと・・・。

 「いやあ・・・アツアツですねえ。」

 耳をパタパタしながらそう言った。




 誰かコーヒー持ってきてくれ。
 ミルク入りの・・・・
 ルクス「お前勇者か!!」
 普通はブラックコーヒーだけど私はどちらかと言えば・・・カフェオレ派だ!
 ルクス「只の好き嫌いかい!!」


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フィルフィとの会話。

 遂に彼女が出ますよ。


「これでどうにか一安心って言いたいところだけどリーシャ様、ドバル候達は」

 「ああ、あいつ等ならここの機竜格納庫に押し込むつもりだ。鍵をかけた後

街の町長にも伝えて島の警備隊に監視させるつもりだ、ドバル自身は船の物置に

ぶち込んでおいたし船員には事情を話した後監視させることにしたよ。」

 レリィはリーズシャルテに彼らの事を聞かれた後のそう答えた。

 無論馬鹿なことはしない様に徹底的にしたのだが本人曰く。

 「お前らルクスじゃなくて良かったなあ、あいつだったらこの世の地獄を徹底的に味わされていたことだろうなあ」

 そう脅しておいたらしいが・・・まあ実際の所もしルクスがそこにいたら死体すらなかったであろうことは明白である。

 「それにしても最悪ね。島の住民すら見捨てるだなんて。」

 「おまけにあたしたちを追い出すためだけの理由でらしいよ~~。

もう最悪だよ!!」

 クルルシファーとティルファーがお互い感想を言った後に今後の事を話し合った。

 「ですが8階と甲板を結ぶ事が出来ましたし、これで後は・・・」

 「はい、管理室と最深層に辿り着くだけです。」

 セリスティアとクランリーゼがそう言った後レリィは全員に向けてこう言った。

 「それじゃあ明日に備えて就寝としましょ。」

 そう言って全員が就寝した後、ルクスはフィルフィのいる部屋にへと向かった。

 あの後フィルフィは目覚めたが如何やらオルトロスを追っていたところまでは

覚えているがそこから修道院で起きるまで記憶がないようだ。

 まあ、暴走とヘイズとの会話が聞かれていないことから大丈夫だなと思っていた。

 「気分は如何?フィーちゃん」

 「ん・・・・お腹減った、かな」

 「ああ・・・そう」

 ベッドの上でそう言うのを聞いて何となくだがルクスはほっとしていた。

 「それじゃあクルルシファーさんが持ってきてくれた果物があるから

それ切っておくね。」

 「うん。ありがとう」

 そう言ってルクスはフィルフィが食べているところを見てほっとしていた。

 するとフィルフィが残っている果物を見てこう言った。

 「ルーちゃんも一緒に食べよ?」

 フィルフィがそう言って静かにフォークでオレンジを突き刺した後に

それをルクスの口元に差し出してきた。

 「え!ぼ、僕は良いよ。それに・・・・」

 「(同じフォークでしょそれ!間接キスになっちゃうからああ!!)」

 ルクスは頭を抱えて気恥ずかしくそう思っていたが当のフィルフィは

普通にしていた。

 「はい」

 「・・・・・拒否権は?」

 「・・・・」フルフル

 ルクスはフィルフィにそう聞くが当の本人は首を横に振ってそう答えた。

 そしてとうとう・・・。

 「あ~~~ん。」

 「おいしい?」

 「・・・うん、美味しいよ。」

 「・・・よかった。」

 少し顔を赤くしていたルクスはそう言うとフィルフィは笑ってそう言った。

 「・・・それじゃあ体が治るまではゆっくり休んで何かあったら

直ぐに呼んでね。」

 そう言いながらルクスは部屋から出ようとしていた。

 今のフィルフィは心臓に植え付けられている《ラタトスク》の影響で

ヘイズ経由でユグドラシルからの命令を拒否し続けていることから

体が弱り始めていたのだ。

 そしていつさっきの様になっても可笑しくなかったルクスは緊張しながら

部屋から出ようとしているとフィルフィがルクスに向けてこう言った。

 「ルーちゃん。」

 「ん?」

 「あんまり無茶したら、だめだよ」

 「大丈夫だよフィーちゃん、僕h・・・・!!」

 ルクスはフィルフィの目を見て凍り付いた。

 本人には分からないようだが片目がアビスになっていたのだ。

 それを見たルクスは少し時間をおいてこう答えた。

 「・・・うん、分かってるよ。無茶はしない。」

 そう答えるとルクスは部屋から出る前にフィルフィにこう言った。

 「お休み、フィーちゃん」

 そう言って扉を閉めて少し進んだ後で・・・・。

 「うぷ。」

 ルクスは窓から身を乗り出し・・・・吐き出してしまった。

 「うおおお・・・・うええええええ」

 そしてそのまま窓から離れて壁際に座り込んでしまった。

 「ああ・・・くそ」

 ルクスはあの時に見た記憶らしきものを思い出していた。

 あの時もしかしたらフィルフィがいたであろうこと。

 そして何よりも時間をおいても忘れてしまっている記憶。

 「・・・僕は一体何なんだ?」

 「フィーの看病の事ありがとうね。ルクス君。」

 するとレリィが現れた。

 だがそれは何時ものお道化た様なではなく、何処か神妙な顔つきをしていた。

 「少し話しない?」

 そう聞くとルクスはこう言った。

 「・・・フィーちゃんの中にいる事でしょう?」

 「ええ・・・気づいてしまったようね。」

 「何処かの国の軍師に教わりましたからね。」

 虚ろな表情でルクスはそう言うとレリィは周りを気にしてこう言った。

 「私の部屋に来ない?お酒用意するから♪」

 「・・・何未成年に酒を」

 「お願い、今日だけは」

 「・・・分かりました。」

 レリィの真剣な顔つきにルクスは諦めとように答えた後、

部屋にへと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 その様子を一人の少女が鏡で見ていた。

 夜風にたなびく黒の長髪。

 暗闇であるのに分かるほどの白い肌。

 一見すれば日本の着物を改造したような衣装。

 蒼と紫のオッドアイの瞳をした・・・少女がそこにいた。

 腰には刀のような形をしたソードデバイスをかざしながら。

 「あのお方が旧帝国の忘れ形見ですか。」

 「・・・・・・・」

 「ええ、もう一人いましたがあのお方は女性です。やはり男性でなければ。」

 「・・・・・・」

 「分かってますわ。・・・それでも私は誓いましたから。」

 「・・・・・・・。」

 「ありがとう。『天照』ですから見定めましょう。」

 「彼が本当に旧帝国の皇に相応しいのかを。」




 次回はレリィとの会話。


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昔語り。

 嘗ての事を話しましょう。


「さあ、入りなさい。」

 レリィはそう言って管理人用の個室にルクスを入れた。

 現在はレリィの部屋としているのか分からないが学園から持ち出されていた遺跡の解読書で今でも調べているのだ。

 フィルフィのアビス化を治す為に・・・。

 「さてと・・・何処から話すべきかしらね。」

 レリィはそう言いながらワインを出すとルクスはこう答えた。

 「一から十まで。」

 「・・・分かったわ。」

 ルクスの言葉を聞いて語りを始めた。

 今から5年前にフギルからこのリエス島でのことを聞いてルクスはこの島に来た。

 そしてそこで見たのは・・・悍ましい実験でありルクスはそこで・・・

覚えていないかもしれないが見つけてしまったのだ。

 ・・・フィルフィの亡骸を。

 「そう、旧帝国の軍に攫われてから発見するまでの間、フィルフィは恐らく

人体実験されていたのよ。そして私たちが見つけた時にはもう・・・

助けられそうになかったの。」

 「仮死状態で然も施療師も匙を投げるほどだったわ。」

 「けど・・・その後にある現象が起きたの。」

 「・・・現象?」

 「ええ、その後不思議な光と模様が体に浮かび上がるとね・・・一瞬だけど

フィルフィの髪が白くなったのよ。」

 「・・・白く。」

 「ええ、そして髪が元に戻るとフィルフィが生き返ったのよ。」

 それを聞いたルクスはこう考えていた。

 「(恐らく模様とかは『イグドラシル』の《ラタトスク》だと思うけど

髪が白くなるって他のアビスにはない現象だ。)」

 人間だからかと思っている中レリィはさらに続けた。

 「それからフィルフィの体は前より丈夫になったんだけど・・・本身を出せば

大人どころか機竜ですら相手に出来ないほどの力を手に入れてしまったの。」

 「だから私は知り合いにフィルフィを預けて力を抑制する方法を学ばせる間に

私はフィルフィの中に何があるのかを探したわ。アビスだって分かったのは・・・つい最近だけど。」

 レリィは自嘲しながらそう言うとこう続けた。

 「フィルフィが帰った後に新王国から神装機竜《テュポーン》のドラグナイトになってからも遺跡調査やアビス討伐に参加させなかったのもそれ。もしバレれば

新王国の法律に則って・・・殺されるわ。」

 「・・・・・・」

 ルクスはそれを聞いて頭を抱えてしまっているがこう続けた。

 「私にとって遺跡の中にある物こそが最後の希望なの。前人未到の最深層にならもしかしたらフィルフィを救うことが出来るかもしれない。」

 「だから新王国の許可を取らずに遺跡調査を」

 「何言ってるの?これはラフィ女王も知っていることなのよ。」

 「は?(;゚Д゚)」

 レリィの言葉にルクスは素っ頓狂な声を出すとレリィはこう続けた。

 「今回の遺跡調査は調査と言うより実験ね。『グランフォース・コア』を使って本当に遺跡の機能が停止するのかを見極めるためにね。」

 「あ、もしかしてルクス君。私が新王国に内緒でやっているって

思っていたんでしょう?もう違うわよ。そんな度胸私にあると思う?」

 「・・・あんたフィルフィ関連だと何するか分かったものじゃないからな。」

 レリィの冗談めいた言動にルクスは頭を抱えながらそう言うとレリィは

こう続けた。

 「まあもしバレちゃってもラフィ女王がフィルフィの後見人になってくれる

ように手を回してるし遺跡の機能が停止すればそれで良し。もし条件があるならば

それを報告しちゃえばよし。つまりどう転んでも私の実刑は軽くするように

手を回してるから大丈夫なのよ。」

 「・・・けどもしもの時は・・・フィルフィの事、お願いね」

 「!!!!」

 ルクスはこの時こう確信した。

 もし死刑なら自分の代わりにフィルフィを守って欲しいというお願いだ。

 最後に妹に何かできることと思ってルクスを選んだのだ。

 その後二人は少しずつであるがワインを飲みあっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の朝。

 フィルフィ以外の全員が10階にある管理室フロアにへと向かった。

 幸いにもアビスは出ておらず無駄な事なく着いた。

 見慣れない奇妙なオブジェが立ち並ぶ回廊を歩き続けるとラ・クルシュは

ある部屋で止まった後に全員に向けてお辞儀した後にこう言った。

 「皆様、ここ迄御同行してくれてありがとうございます。無事、管理室エリアに辿り着いたのですが扉を開くためにお手伝いしていただけると」

 「それは私がやるわ。」

 「クルルシファー!」

 突如クルルシファーが前に出たのでリーズシャルテが驚くが

クルルシファーはこう答えた。

 「大丈夫よ。」

 そう言ってラ・クルシュに近寄った。

 予めルクスがお願いしていたこともあるが自身の願いのためでもあるのだ。

 クルルシファーが扉に触れると何処からか声が聞こえた。

 『エクスファーの存在を確認しました。扉を開きます。』

 その声が直接脳内に響くとともに扉が開かれた。

 その部屋は幻想的な光に包まれながらも後ろに巨大な建造物と小さな椅子が

ある程度の部屋であった。

 「少々お待ちくださいなのです。私の記憶を補完し『アーク』のシステムを復旧するまでの間、皆様は最深層の部屋に向かってみてはどうでしょう?

少し時間がかかりますので。」

 ラ・クルシュがそう言ったのでレリィはこう答えた。

 「じゃあ、お言葉に甘えて、そうさせてもらうけどアイリちゃんはどうする?」

 そう聞くとアイリはと言うと・・・。

 「・・・透流と一緒でしたら。」

 「・・・へあ!?」

 少し遅れて透流が驚いていたがアイリの顔を見てからレリィの顔を見た後に

こう言った。

 「ああ、じゃあ・・・一緒に行くか・・・・アイリ。」 

 「はい。」

 それを見ていて朗らかな気持ちになっていたが約一名はと言うと・・・・。

 「くっくっくっ・・・透流・・・覚えててね。」

 笑ってるのに目はハイライトが消えて笑ってないルクスがそこにいたそうだ。




 透流「ヒィイイイイ!!」
 アイリ「!どうしたんです透流」
 透流「いや・・・その・・・何か理不尽な思いがあった様な」 
 アイリ「?」


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調査を終え、再会へ。

 等々あの男が出ます。


10階から最深層までの道のりは・・・それほどでもなかった。

 クリーム色の滑らかな階段を下りて行った先には厳重に閉ざされていた灰色の門が聳え立っていた。

 「ここがそうなのね・・・。」

 レリィは扉に触れながらそう呟くと奇妙な宝玉を見つけた。

 「これかしら・・・。」

 レリィはそう言いながら近づこうとすると・・・。

 『・・・あ、そこの部屋には衝撃を加えないで欲しいのです。』

 「「ウワア!!」」

 突如ラ・クルシュの声が聞こえたのでルクスとリーズシャルテが驚くが

クルルシファーは落ち着きながらこう聞いた。

 「ラ・クルシュ。これは貴方なの?」

 するとラ・クルシュがこう答えた。

 『はいマスター。今私は『アーク』に備えられている通信機器と監視装置を通じて連絡しているのです。そこを開けるには・・・・先ほど開けたと同じように貴方様がやってくれると入ることが出来るのです』

 ラ・クルシュがそう言うとクルルシファーがこう聞いた。

 「じゃあ・・・貴方はその方法を知っているのね。」

 『はい、そうなのです。』

 「・・・教えてくれないかしら?」

 クルルシファーがそう言うと全員がごくりと息を呑んだ。

 場所が分かればすぐにでも実行できる。

 そう全員が思っていると・・・

 「待って下さい!」

 アイリが大声でそう言うと震える声で話し出した。

 「今朝解読した古代文書・・・『ガーデン』ですがここには触れてはいけない

兵器の機動装置が眠っていると思われる記述がありました。詳しくはもう少し

解読しなければいけませんがもしこれが本当なら・・・。」

 「それが起動して俺たち全員・・・・。」

 「死にますね。」

 『『!!』』

 アイリの言葉に続いて透流とクランリーゼがそう言うと全員が驚いていた。

 遺跡を作るほどの技術を持った旧時代の崩壊。

 それがその兵器だとしたら自分たちだけでは対処できないと

分かっているからだ。

 「・・・分かったわ。」

 クルルシファーはアイリの言葉を聞いてこう答えた。

 「態々『ラグナレク』なんて化け物を番人とするくらいだからそれだけ

厄介な物が存在してるって事よね。ここは王都に使者を出して、上層部に指示を

仰ぎましょ。管理室エリアにいるラ・クルシュから聞き出してそれを基に

各国と話し合わなければならないわ。」

 「・・・・分かったわ。」

 レリィはそう言って穏やかな表情でこう告げた。

 「今の私たちだけではこのまま最深層に入るのは自殺行為だわ。」

 そう言っているレリィの拳をルクスは見ていた。

 ぎゅっと握りしめ・・・・血が滴り落ちていることが分かったのだ。

 本当ならすぐにでも入りたいのだ。

 あの中にもしかしたらと思って仕方がないのだ。

 それはルクスも同じだ。

 ヘイズが言っていた期間迄あと1日。

 もし開けなければフィルフィは・・・・死ぬと言う事を。

 然し今ここで明かしても全員に混乱を招くだけ。

 然も何処かで監視しているであろうあの人間の存在も気がかりで仕方ないのだ。

 もし打ち明けたとしてその監視者がヘイズに報告すれば元の木阿弥である。

 そしてレリィはこう続けた。

 「ラ・クルシュの記憶の補完が終わる明日にまた再開しましょ。」

 『はい!』

 全員がそう言って返事したとに外にへと向かった。

 するとルクスは懐から包帯を取り出すとレリィの手に誰も見つからない様に

巻いていた。

 「・・・自分一人だけで何もかも背負おうと何て思わないで下さいね。」

 「・・・ゴメンナサイ。」

 するとレリィはそう言ってすすり泣き始めた。

 もうこのままじゃと思っているのであろう。

 心が折れ始めていた。

 レリィの泣き顔を見ながらルクスは落ち着かせようと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全員が戻った時にはもうへとへとであった。

 夕食を摂った後、軽く汗を流してから寝室にへと向かって行った。

 ルクスとクランリーゼは片づけを終えた後に寝室に戻って見ると・・・・。

 「・・・・・・何だコレ」

 そこに映っていたのは・・・・。

 「くー。」

 「むにゃあ。」

 透流のベッドで一緒に寝ているアイリがそこにいた。

 「大胆ですね。もしかしたら既に合体済みかと」

 「・・・・・・・」ゴゴゴゴゴォォォォ

 クランリーゼの言葉を聞いてルクスは頭に雷が落ちるような感じをした後に

透流を見て・・・拳骨を落とした。

 「いだああ!」

 透流を何事だと思っていると目の前にいたのは・・・・。

 「やあ、おはようトオル。」

 ハイライトの無い瞳でそう言うルクスであった。

 「・・・・おはよう・・・・ございます。」

 「ん・・・何事ですか?」

 すると透流の隣で寝ていたアイリも起きると・・・少しして現状をはっきりと

理解した。

 「!!!!!!!////////////」

 突如アイリの顔が真っ赤に染まって慌ててこう言った。

 「ちちちちち、違いますよ兄さん!別に色々と怖かったから今日は一緒に

何か話しませんかと言ってそのまま寝落ちしただけで別に厭らしい事なんて何もやってませんから!!!!!」

 早口でそういうアイリを見てルクスは透流の方を見ると・・・・。

 「!!!!!!」コクコクコクコク

 そして暫くして・・・。

 「うん信じるよ。」

 ルクスは満面の笑みを浮かべて透流に謝りながらも・・・耳元でこう囁いた。

 「もしアイリに手を出したら・・・・コロスヨ。」

 「ハイイイイイイイ!!」

 透流はマジだと分かり恐怖した。

 ルクスは何だかなあと思いながらベッドに入ろうとすると・・・・。

 「!!!!!!」

 怖気が走った。

 「兄さん?」

 「ルクスさん?」

 「どうしましたルクスさん?」

 アイリ、透流、クランリーゼがそう聞くとルクスは全員に向けてこう言った。

 「ちょっと外見てくるけど絶対に出ないでよ!!」

 そう言ってルクスは裏口から出て草藪を突っ切り、開けた場所にへと出ると

そこに誰かがいた。

 豪奢なマントを身に纏い、銀髪とぎらついた灰色の目。

 正しくその男こそ・・・ルクスが探していた男であった。

 自分の理解者にして・・・・父親を殺した男。

 すると男はルクスを見てこう言った。

 「久しぶりだな賢弟。理想の戦いに殉じて敗れ・・・・這い上がった最弱にして最速の英雄よ。」

 「・・・久しぶりだなあ・・・『フギル・アーカディア』!!」

 フギルであった。




 果たして彼は何を語るのか?


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嘗ての兄との会話。

 お前は何をしたかった?


「フギル・アーカディア!!」

 ルクスは恨み丸出しでそう言いながらソードデバイスを抜いた。

 これまでルクスは3年もの間、雑用をしながらも裏社会の情報を聞き、探し続けた男である。

 そしてルクスはフギルにソードデバイスの切っ先を向けてこう聞いた。

 本来なら向かうべきだがルクスはある事を知っていた。

 それは・・・腰に差しているソードデバイスの機竜の事を・・・。

 するとフギルはルクスに手のひらを見せつけるようにこう言った。

 「まあ待てルクス。俺は今回お前に会うのは戦うわけではない。」

 「どの口がほざく。」

 「本当だ・・・と言っても信じないようだからこのまま話すが」

 「それなら近くにいる人間にもこっちに来るように伝えろ。」

 「!!・・・成程、それなりに潜ってきたのか。」

 フギルとルクスはお互い会話しながらフギルはある人間を呼んだ。

 「来い、『エスシス』」

 「はい。」

 そう言って出てきたのはクルルシファーと同じ・・・青い髪を短く切りそろえた

少女であった。

 それを見たルクスは一目で気づいた。

 「まさか君は・・・『エクスファー』か?」

 「その通りです。」

 そう言って成程と思うと同時にある事が浮かんだ。

 「それで・・・戦うんじゃなくて何をしに来た。」

 そう聞くとフギルはこう答えた。

 「簡単だ。ここにいるヘイズと言う女を知っているか?」

 「・・・・・・・」

 「ああ心配するな。監視人には少し遊び相手をやっておいたから聞いてない。」

 「遊び相手だ・・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「これはまた・・・」

 ルクスを監視していた少女の周りには多数の人間がいた。

 全員その装束と武装から暗殺者だと見られた。

 然も何人かの少女たちには曰く付きだと思える武器があった。

 然し少女は・・・にっこりと笑ってこう言った。

 「今日まで退屈していましたので・・・準備運動にはちょうどいいですわ。」

 そう言って少女は刀型のソードデバイスを抜き放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それじゃあ本題だが、俺はヘイズを止めたいがためにここに来たんだ。」

 「・・・あんたがそれをして何の得になるって言うんだ。」

 「簡単だ。本来の行動から外れ始めているから軌道修正しようと思ってな。」

 「5年前もアンタはそう言ってクソ親父を殺したよな。」

 「ほう、実の父親に対してそう言えるとは成長したようだな。賢弟」

 「早く喋ろ。」

 「早い話が俺達は利害が一致しているんだ賢弟。お前は幼馴染の

フィルフィを救いたい。俺はヘイズを止めたい。これで十分だ」

 「・・・・奴と敵対するっていう確約が欲しい。」

 「成程な。口約束ではなく情報をか、それならいい事を教えよう。」

 「フギル様。それは」

 エスシスが何か言いかけるもフギルはそれを手で制した。

 そしてフギルはそう言ってルクスにある事を教えた。

 「ヘイズが持っているあの角笛は『起原種』と言う特別製の奴でな、

唯一無二の品だ。そいつは『ラグナレク』であろうとも命令できる代物だから

壊すか奪えば新たに命令されないはずだ。」

 「さらに言えば『ラグナレク』を倒してしまえばあの幼馴染の害も取り除かれるだろうな、例え半分アビスであろうともな。」

 フギルがそう言うことに対してルクスはこう聞いた。

 「・・・それがアンタの罠なのかどうかは分からないがあいつみたいに

細工するほど僕を過大評価していないって事も真実だよな。」

 そう言うとフギルはこう言った。

 「そうだな、幾らお前でも俺を倒すのは無理だろうな。」

 そう言いながらフギルは腰に差しているソードデバイスを触っていると

こう聞いた。

 「ルクス、少し聞くが俺の言葉が真実だとしてお前は本当にあの幼馴染を

救う気か?」

 「・・・そうだと言ったら。」

 するとフギルはため息交じりでこう返した。

 「矢張り変わらんなお前は。あの時と同じく愚かで弱いお前のままだ」

 「それが悪いのかよ。」

 「・・・何?」

 フギルの言葉を遮るようにルクスはこう続けた。

 「ああそうだよ。僕はフィルフィを助けるために皆に危ない橋を

渡らそうとしている屑さ。場合によっては国を脅かすことにも繋がる。」

 「けどなあ、例え茨の道だろうが悪魔に魂を売っても僕はかけがいのない

仲間達と一緒に戦う覚悟ぐらいなら出来てんだよ!!」

 「だがいずれお前の力を欲する連中はお前を取り込もうとするだろうな。

他ならぬ『新王国の平和を守る』と言う大義名分を掲げてな。」

 「だったらそれ毎食いつくすまでさ。」

 「お前の理想の果てが何もなかった空虚なものだと分かってもか?」

 「それで皆が助かるならそれはそれで空虚じゃなかったって胸を張れるよ。」

 ルクスの答えを聞いたフギルはルクスを見た後・・・空を見上げてこう言った。

 「・・・やはりお前は似ているな。」

 「は?」

 ルクスは何事だと思っているとフギルはソードデバイスを抜いた。

 「!!」

 ルクスは万が一に備えて《ギャラクシーアイズ》の方のソードデバイスを

抜こうとするとフギルはこう言った。

 「これは俺がお前の果てを知りたいがためのプレゼントだ。受け取れ」

 そう言うとルクスの目の前が・・・七色の光で包まれた。

 すると何処からか声が聞こえた。

 ーー期待しているぞ・・・・ルクス、嘗ての俺よ。




 俺の信頼を・・・損なうなよ。


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少女の願い

 死ぬ間際まで願いを叶えようとあがけ!


5年前・・・

 「ルクス、準備は良いか?」

 「うん、こっちはって・・・その子は?」

 帝都から少し離れた廃屋でルクスはある少女を見るとフギルはこう言った。

 「この子は*****。お前にある力を教えてくれる子だ。」

 「その力って?」

 ルクスはフギルに向けてそう聞くとフギルはこう答えた。

 「『オーバーリミット』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・はああ!!」

 ルクスはそこで目が覚めた。

 鋭い頭痛をしながらルクスは起きると周りを見渡した。

 しかしそこには・・・。

 「フギル・・・」

 フギルがいないことを確認したルクスはあの事を思い出していた。

 革命の際にいたフギルの隣にいたあの少女。

 今ならわかる。

 あれは。

 「・・・クランリーゼやラ・クルシュとそっくりだった。」

 まさかあの子もと思っている中声が聞こえた。

 「おーい!ルクス!!」

 森の向こうからリーズシャルテの声が聞こえた。

 「リーシャ様?どうなさいました。」

 ルクスは息切れしながら来るリーズシャルテを見て何事だと聞くと

リーズシャルテはこう答えた。

 「やっと解除できたぞ!《ギャラクシーアイズ》と《ラグナ・バハムート》が『覚醒型』になるために必要なコードが!!」

 リーズシャルテは興奮したままこう続けた。

 「特に『ギャラクシーアイズ》の方は大発見だ!これは機竜が発掘されて以降の発見だぞ」

 「リーシャ様!それを教えてください!今すぐに!!!」

 「うおうわあ!!」

 リーズシャルテはルクスがいきなり近づいてきたことに驚いたので

リーズシャルテはルクスにある事を聞いた。

 「ところでルクス。レリィ学園長は何処にいるんだ?」

 「へ?」

 「『覚醒型』を使う許可を取りたいからさっきから探しているんだが

見当たらないんだ。」

 「・・・まさか」

 ルクスはそれを聞いてハッとするとリーズシャルテに向けてこう言った。

 「リーシャ様、皆に伝えてくれませんか?」

 「?何をだ」

 リーズシャルテは何だと思っているとルクスはこう答えた。

 「もしレリィ学園長が何処にもいなかった時はあそこしかありません。」

 「『アーク』の最深層に・・・言っているかもしれません」

 「何だと!!」

 それを聞いてリーズシャルテは驚きながらこう言った。

 「何を考えているんだレリィ学園長は!?違法な遺跡調査しているって

のに!!」

 「ああ・・・気づいてたんですね。リーシャ様も」

 「当たり前だ!全くこれがばれたら只では済まないって言うのに!!」

 リーズシャルテはそう言いながら地団駄踏むがリーズシャルテはこう続けた。

 「分かった。もしもの時に備えて機竜の準備をしてくる!それと『覚醒型』・・《ギャラクシーアイズ》についてだがとんでもない代物だぞあれは!!」

 「そう言えばそう言っていましたが一体それは?」

 ルクスはリーズシャルテに対して何なのかと聞くとリーズシャルテは

こう返した。 

 「ああ・・・それはな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「レリィさ~~ん」

 「レリィ学園長!!」

 「何処にいるんですかあ!?」

 生徒全員がレリィを隈なく探していた。

 然しどこにいても見つからなかった。

 ルクスは最初レリィが泊まっていた部屋には言って見るがレリィの姿は

何処にもなく、それどころか荷造りした状況とこんな手紙を残していた。

 [フィルフィの事、お願いします。]

 其れだけであった。

 それを見たルクスはある場所を見ていた。

 そこは・・・。

 「まさかレリィさんは一人で・・・」

 『アーク』のある場所であった。

 遺跡最深層にあるはずであろうフィルフィの体内にある『イグドラシル』の種子『ラタトスク』を取り除く方法を探すために向かって行ったのだ。

 それも全員を巻き込まない様に一人でだ。

 ルクスはそう思って合宿所から「アトリエ(『海竜騎士団』のドラグライドは

現在船に押し込んでいる)」に向かう途中である人間とあった。

 「ルーちゃん。・・・まって」

 「フィーちゃん!?」

 フィルフィが真っ赤な顔でフラフラになりながらもルクスの方に向かって

行っていた。

 「何やってんだ!早く部屋に戻らなきゃいけないじゃないか!?

体が本調子じゃ」

 「わたし、もう知ってるから」

 「・・・・え?」

 フィルフィがルクスを見てそう言ってこう告げた。

 「私の体に、アビスがいること」

 「フィー・・・ちゃん」

 フィルフィの言葉を聞いてルクスの頭が真っ白になった。

 一体いつからと思っているとフィルフィはこう答えた。

 「ごめんね。・・・黙ってて」

 フィルフィは微笑みながらそう言うとこう続けた。

 「・・・気づいた・・・のは・・・つい最近・・・だけど・・・・

まあ、別に良いかなって。」

 「いや駄目だろ!気にしろよ!!」

 ルクスフィルフィの言葉に対してツッコミを入れた。

然しフィルフィは自分の胸に手を当ててこう呟いた。

 「うん・・・だって・・・わたしが・・・死んだら・・・お姉ちゃんも・・・ルーちゃんも・・・きっと・・・悲しむ・・・から」

 「え?」

 フィルフィの言葉を聞いてルクスは何でだと思っているとフィルフィは

こう言った。

 「お母さんが・・・病気で・・・死んじゃった・・・後・・・すごく・・・

寂しがって・・・いたから・・・だから・・・わたしは・・・死んじゃ・・・

駄目だって・・・思った・・・から」

 フィルフィははあはあと息を吐きながらもこう続けた。

 「ルーちゃんも・・・寂しがり・・・屋・・・だから・・・きっと・・・

すごく・・・辛い・・・思い・・・するから・・・だから・・・今日まで・・・

頑張った」

 「フィルフィ・・・。」

 フィルフィの言葉を聞いてルクスの心が締め付けられるようであった。

 普段は寡黙で感情表現しにくいが直感でルクスやレリィの事を

知ったのであろう。

 もし自分が死んでしまったら耐え難い孤独と傷を負っている二人は自分を

見失ってしまうんじゃないかと思ってしまったからだ。

 然しフィルフィはルクスの顔を見るとこう言った。

 「でも・・・もう・・・だいじょうぶ・・・だよね」

 「・・・フィルフィ?」

 「もう・・ルーちゃんは・・・わたしが・・・いなくても・・・

大切な・・・人・・・たくさん・・・できた・・・から・・・強く・・・

なって・・・好きな・・・人・・・出来た・・・から」

 フィルフィは嘗てルクスが璃緒に対しての想いを聞いたことからそれを

言っているのであろうがそこのところを言うと少し寂しい様子であった。

 「だから・・・きっと・・・だいじょうぶ・・・だよね?」

 フィルフィはそう言いながらルクスの顔をじっと見ていた。

 然しルクスは・・・違っていた。

 「ふざけるな・・・・ふざけるな!!」

 「ルーちゃん。・・・」

 ルクスはいきなり大声を上げるとルクスはフィルフィの顔を見てこう怒鳴った。

 「何が自分が死んでも大丈夫だって!!自分一人で何もかも諦めんじゃねえ!」

 「けどルーちゃん・・・私はもう」

 「何もかも知ってんだろう!!けどな、フィルフィは満足かもしれない

がな・・・残された人達の事を考えたことないのかよ!!」

 「だから・・・わたし」

 「生きるのを諦めるのか!自分はもうここ迄だって思ってんのか!?何もせずに只自分の一生をああもういいやで終わらせて良いのか!!」

 「・・・わたし」

 「本当の願いはなんだ!他人の願いじゃなく自分自身の・・・フィルフィ自身の願いはなんだ!!??」

 そう聞くとフィルフィはか細くだがこう言った。

 「・・・生きたい」

 「ああ!?」

 「生きたい」

 「もっと大きな声で!!」

 「生きたい!」

 「もっと大きな声で!!」

 「生きたい!!」

 「心から叫べ『フィルフィ・アイングラム』!!何が望みたいんだ!!??」

 「生きたいよ!!!」

 フィルフィは初めて大声でそう言った。

 「生きたい!お姉ちゃんとお父さんと!!」

 映し出されるのはレリィと父親

 「学園の皆と!!」

 『アカデミー』で一緒に笑う仲間

 「ルーちゃんと・・・一緒に・・・生きたいよ!!」

 そして・・・自分に向かって笑顔でいるルクスを。

 するとフィルフィはルクスに抱き着いた。

 「ちょ!フィルフィ!?」

 ルクスはいきなりの事で驚くがフィルフィは震えながら絞り出すような声で

こう言った。

 「ルーちゃん・・・助けて。」

 それを聞いたルクスはフィルフィの頭を撫でながらこう言った。

 「ああ、助けるさ。今度こそ・・・君を・・・大切な人を失わない。」

 そう言うとフィルフィはある事を伝えた。

 「ルーちゃん。聞いて」

 「?」

 「わたしね・・・夢を見るんだ。」

 「夢?」

 「どんな夢?」

 ルクスがそう聞くとフィルフィはこう答えた。

 「あのね・・・変な夢。」

 「紅い世界。」

 「へ?」

 「紅い石で出来た塔」

 「空も全てが紅い世界」

 「フィルフィ・・・それって」

 「その中でね・・・わたしある場所にいるの。」

 「何だか分からない船や人や・・・腕とか竜がいたの」

 「!!まさか」

 「そこでね、赤い竜に会うんだ。」

 「そしたらね・・・わたしの上である竜が飛びながらね・・・

こっち見てるんだ。」

 「・・・どんな竜だった。」

 ルクスはその光景は嘗て自分が母親を亡くした後から夢に見る世界と同じだと思っていた。

 そしてルクスはどんなものが見えたのかと思って聞くとフィルフィは

こう答えた。

 「何だかね・・・色んな色が付いたね・・・鋼の竜」

 「それがね・・・私を見て吠えるの。」

 「そこで・・・目が覚めちゃう。」

 フィルフィの言葉を聞いてルクスはもしやと思っていたが一端それは考えるのをやめた後にルクスはフィルフィを見てこう言った。

 「それじゃあ行ってくるけど待っててね。」

 「あ・・・ルーちゃん待って」

 ルクスはフィルフィを見てそう言うがフィルフィはルクスを呼び止めると

フィルフィはルクスを見て・・・少しむっとした顔でこう言った。

 「わたしのことは『フィーちゃん』だよ?」

 「ああ・・・そこ今言うの?」

 ルクスはフィルフィを見て苦笑いしながらそう言うとルクスは部屋から

出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さてと・・・部屋に行かないと。」

 フィルフィはそう言いながら部屋に向かおうとすると・・・。

 「よお、久しぶりだな。」

 後ろから声が聞こえた。

 「だれ」

 そう言ってフィルフィは徒手空拳の構えをするとその人間はある箱から・・・カードを出すと賺さずにフィルフィ目掛けて投擲した。

 「!!」

 フィルフィは避けようとするが・・・少しよろめいてしまった。

 「あ」

 その声と同時にフィルフィの体にそのカードが刺さった。

 するとそのカードはフィルフィの体に入り込んだ瞬間に・・・。

 ドクンと何か音がした。

 「ああ・・・・アアア・・・・アアアアアアアア!!」

 突如フィルフィの体から黒い何かが漏れ出すとそれを見ていた人間は

こう言った。

 「さてと一働きしてもらうぜ。バケモノ」

 そう言うとフィルフィはその人間に向かってこう言った。

 「ハイ・・・マスター」

 そう言ってフィルフィの右腕にから・・・「34」の文字が見えた。

 然しその瞬間にフィルフィの胸元に一瞬だが数字が浮かび・・・消えた。

 その数字は・・・・。

 「108」であった。




 次回は多分遺跡です。


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いざ最深層へ!

 さあ・・・最後の部屋にへと向かおうか。


夜更けの海岸沿いにてルクス達は全員『アーク』に向かって行った。

 目的は最深層に行ったと思われるレリィを連れ帰るためである。

 そしてルクスはリーズシャルテにだけは真実を話した。

 「・・・叔母上も中々強かだな。だがバレてもどうとでも行く様にするとは

レリィも全くだな。」

 「全くですよ。先ずはレリィ学園長を見つけることが先決です。」

 「ああ、然しレリィめ。フィルフィが病に侵されているなら早く相談しておけば

それなりの病院を紹介してやったのに。」

 「あはははは・・・まああの人は自分で何とかしないとと思ってたの

でしょうね。」

 これは嘘だ。

 ルクスはフィルフィの体内にアビスが埋め込まれていると言う真実は触れないで

そう言ったのだ。

 「まあそれはそうと我々の今後についてだが・・・異論ある人間がいるなら今すぐ逃げても誰も責めないぞ。」

 そう言ってリーズシャルテは後ろに続いている全員に向けてそう言うが

全員は同じ気持であった。

 そして全員が『アーク』の甲板に乗って直結通路用の扉を開いて全員出撃した。

 

 

 

 

 

 

 「システムが復旧しているようね。」

 クルルシファーがそう言って周りを見ていた。

 最初とは違って青白い光が灯されていた。

 恐らくラ・クルシュが記憶の修復を行ってギア・リーダーとしての資格を

取り戻したのであろうと思っていたが世の中そううまくいかないことがある。

 グロロロロロロロロ

 「この声はまさか!」

 セリスティアはそう言いながら周りを見渡していると・・・。

 シャアアアアアアア!!

 ガーゴイル型のアビスが現れた。

 「エエエエ!何でアビスが!?ここら辺はいないってラ・クルシュ

言ってたじゃん!!」

 「あのポンコツ。直さなければ良かったです。」

 ティルファーはアビスを見て驚いている中クランリーゼは密かに

毒を吐いていた。

 グガアアアアア!!

 「邪魔だ!!」

 ルクスはそう言ってアビスの両腕を斬り捨てた。

 グぎゃあアアアアア!!

 アビスはその痛みで苦しむ中新たに・・・敵が増えてしまった。

 「おいおい、これはちょっとまずいぞ。」

 そこにいたのはキマイラ型、翼獣のグリフォン型、烏賊のクラーケン型と言った面々が数十匹ほどいた。

 然も陣形を作るという状況にルクスは少し引き気味にそう言った。

 「ここは私たちが引き受ける!ルクス君はクランリーゼと透流君と

アイリ君を連れてレリィ学園長の下へ!」

 「シャリス先輩!?」

 「なあに、神装機竜使いが3人もいるから直ぐにケリがつくさ!早く!!」

 そう言ってルクスを急かす様に言った後にアビス目掛けて戦闘を始めた。

 「ルクスさん。」

 「ルクスさん!」

 「兄さん!」

 クランリーゼと透流、アイリがお互いルクスに目線を合わせてそう言うと

ルクスは後ろ髪を引かれる気持ちを押し殺して・・・こう言った。

 「行こう。」

 そう言って全員は先にへと向かった。

 そして暫くして・・・。

 

 

 

 

 

 「レリィさん!」

 

 

 

 

 

 「ルクス君!?」

 

 

 

 

 

 

 ラ・クルシュと共にいたレリィを・・・追い抜いて眼前に立ちはだかっていた

二足歩行の獣型アビスを迎撃しようとしていた。

 ウォォォォおおおお!!!

 人狼型のアビス『ワーウルフ』がルクス目掛けて攻撃しようとするも・・・。

 「失せろ。」

 ルクスはそう言って目の前にいたワーウルフを一刀両断に斬り捨てた。

 「大丈夫ですか?怪我はしていませんよね!」

 ルクスはそう言いながらレリィに近寄るが当の本人は呆然としながら

こう聞いた。

 「どうして、・・・ここにって・・・待って!貴方迄ここに来たら」

 「僕も貴方と同じ考えです。・・・フィルフィを助けます。今度こそ」

 ルクスはそう言いながらレリィの手を掴むがレリィはこう言った。

 「でも・・・そんなもの・・・もしかしたら」

 「でも、たら、ればなんて言った処で仕方がないでしょう?」

 「へ・・・」

 「諦めないでさえいれば希望は見つかります!『かっとビング』ですよ!

レリィさん!!」

 ルクスはそう言いながらレリィに向かって笑顔でそう言うとレリィは・・・

ルクスを抱きしめた。

 「ちょ!レリィさん!?」

 いきなりの事で然も2回目である事もあって少し落ち着きながらそう言うと

レリィは・・・・。

 「ありぎゃとうにぇええ!りゅくしゅグ~~ン!!

(ありがとうねえ、ルクス君)」

 泣きながらお礼を言った。

 それを見ていた透流達はと言うと・・・。

 「いやあ、・・・何だか俺達」

 「それは云わないほうが良いですよ透流。全く兄さんは」

 「これが不倫ですかねえ。」

 透流、アイリ、クランリーゼが口々にそう言った。

 

 

 

 

 

 それから暫くして・・・。

 「待たせてしまったわね。さあ、急ぎましょう。」

 レリィは涙を拭きとりながらそう言うとラ・クルシュは微笑みながら

こう言った。

 「空気を読んで黙っていたのです。私は出来ryuuuuuuuu!!!」

 ラ・クルシュが言い終える前に・・・吹き飛んでしまった。

 「えええええええええええ!!」

 まさかの事にルクスは驚いていたがこうも言った。

 「いや、クランリーゼ!何してんのさ!!??」

 ルクスはクランリーゼに向かってそう言った。

 そう、ラ・クルシュはクランリーゼによって殴り飛ばされたのだ。

 然も当の本人はと言うと・・・・。

 「全く、そう言うのは自分では言わないのが正しいのにこのポンコツは。」

 「いや、それだけの理由で殴るか普通!!!」

 全く反省する気0であった。




 大丈夫か?ラ・クルシュ
 ラ・クルシュ「酷いじゃないですか!!!」
 大丈夫だな。


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最深層に・・・いらっしゃ~い

あれから暫くして後ろから声が聞こえた。

 「おおい!ルクス、皆。無事かーー!!」

 「リーシャ様!」

 ルクスはリーズシャルテの声を聴いて返事した。

 「はい!全員います!」

 そう言うとリーズシャルテはレリィに近づいた後にこう言った。

 「全く、フィルフィの病気の件についてはルクスから聞いたが私はこれでも

女王なんだぞ。信用しても良いじゃないのか?」

 「・・・・え?」

 レリィはリーズシャルテの言葉を聞いて何言ってるのかと思っていると隣にいた

ルクスが・・・。

 「・・・・・」ニコ

 笑顔で頷いていたのでああなと分かった。

 その後もちらほらと話した後に吹き飛ばされた後に目が覚めたラ・クルシュが

クルルシファーを見てこう言った。

 「さあて、クルルシファーさん。この扉の紋章、見えますか?」

 「ええ・・・それにしても変な紋章ね?」

 そう言いながらクルルシファーはその紋章を見ていた。

 六芒星の尖がっていた部分がそれぞれ離れており、中央には竜のマークが

象られていたのだ。

 「ん?あのマーク何処かで・・・」

 ルクスはその紋章を見て何処で見たのかと思っていた。

 昔この島で・・・何で見たのかと思っていた。

 するとラ・クルシュがこう続けた。

 「それでは『開ける』と念じてください。それで最深層の扉が開くのです。」

 「随分簡単なのねえ・・・ここまで来てそれだけってのがどうにも罠臭い。」

 『ああ・・・確かに』

 普通に考えたら開けるのはそれだけって罠しか言いようがないわなと思う。

 そう思ってる中ルクスは透流の隣にいるアイリに近づいてこう聞いた。

 「アイリ、角笛は持ってるよね?」

 「はい、それはもう肌身離さずですけど」

 「なら少しお願いがあるんだ。」

 「お願いですか?」

 「そ、もし僕の予想していた通りの事態になったらそれを使って欲しいんだ。」

 「・・・どう言う時にです?」

 「それは・・・。」

 ルクスがアイリにとある事態に備えての打ち合わせをしている中で

クルルシファーは扉に近づいてその紋章に手を翳した。

 すると・・・・。

 フォオォォォォオオンと言う音と共に紋章が輝いた。

 そして幾つもの青い稲光が門の表面に走ると・・・・。

 「ッツ!」

 クルルシファーはいきなりの事で小さくうめき声を上げた。

 そして門の表面から無数の光る文字が浮かび上がってきた。

 文字にはこう書かれていた(尚、古代文字であるため他の人達は

分かりません)。

 『エクスファーの認証を確認・・・接続完了。使用制限問題なし。これより

エクスファー権限に基づき精神操作における解錠を開始します。』

 「・・・分かったわ。」

 クルルシファーは何故かそれが分かっていた。

 それはラ・クルシュが精神操作で通信して解読してくれたからである。

 そして暫くして・・・。

 ガシィイイイイインと・・・花が開くかのように扉が六方に開かれた。

 そして彼女たちが見たのは・・・・想像だもしない光景であった。

 「ここが・・・最深層なの・・・か?」

 リーズシャルテは周りを見ながらそう言った。

 硬質の金属壁で囲まれたドーム型の空間。

 頭上から光が照らされたそこはまるでコロシアムのようであった。

 「・・・本当にここが最深層なのですか?ラ・クルシュ」

 遺跡の最深層、それは巨大な宝物庫であるイメージが強かったのかこの状況に

色んな意味で驚いていたのだ。

 するとラ・クルシュが笑みを浮かべながらこう言った。

 「ハイそうでなのですよ・・・皆様を始末する場所です。」

 そう言った次の瞬間に扉が勢いよく閉じた。

 「よくやってくれたな。ラ・クルシュ」

 そして後ろには黒いローブ姿の人間が三人ほどいた。

 「これはこれは主。お褒めに預かり光栄です。」

 ラ・クルシュはそう言いながらお辞儀をするがローブの人間はクランリーゼを

見てこう聞いた。

 「それで・・・何で手前はそっち側だ?そいつは『裏切りの一族』だぜ?」

 そう聞くとルクスはそれを聞いて何だと思っていたが直ぐに答えを出した。

 「『裏切り』・・・成程ウェイドおじいさまの事だろうな。」

 そう思っている中クランリーゼはこう答えた。

 「確かに彼ら一族はそうかもしれません。」

 「然し・・・私は彼らは裏切ったのではないんじゃないかと思っています。」 

 「何?」

 「彼らもまた信じる者のために戦っただけです。それに・・・」

  クランリーゼはそう言いながらルクスが纏っている《ギャラクシーアイズ》を見てこう続けた。

 「カイト様が信じて《ギャラクシーアイズ》を託してくれたお方が悪人とは到底思えません。」

 「クランリーゼ・・・」

 クランリーゼの言葉を聞いてルクスは少し気恥ずかしそうに思っていた。

 クランリーゼにとってカイトは恩人であると同時に自分に自己で考える力を

与えてくれた人間である。

 そんな人間が自分の分身を託した人間を信じたいと願っているのだろうと

思う。

 するとローブの人間はチッと舌打ちしてこう言った。

 「け、なら手前も死ねよ。こいつによってな。」

 そう言うともう一人のローブの人間がローブを脱ぎ捨てた。

 その人間の正体は・・・。

 「そんな。」 

 「ナンデ・・・」

 「嘘だろおい。」

 全員がその気持であった。

 それはルクスも同じであった。

 「ナンデ・・・」

 何せ・・・。

 「どうして・・・」

 本来なら・・・

 「ここにいるのさ・・・」

 いないはずの人間・・・。

 「ねえ・・・答えてよ。」

 救うと決めた・・・幼馴染だからだ。

 「フィルフィ!!」

  



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新たなる戦い。

 やっと・・・ここまで来れたア。


 「フィルフィ・・・?」

 「一体どうして・・・?」

 生徒たちが目の前に現れたフィルフィを見て唖然としていた。

 まさか裏切ったのかと思っている者もいるほどだ。

 「いやはや・・・哀れなメンツだがまあ・・・いけるだろう。」

 「フィルフィに何したの!?」

 レリィはもう一人のローブの人間にそう聞くとこう答えた。

 「そうだな・・・少し流行りの強化薬みたいなのをやっただけだよ。」

 「強化薬・・・だ」

 ルクスは少し怒りながらそう聞くとローブの人間はこう答えた。

 「ああ、他国で使ったが中々良くてよお、これを集めて商売しようと

思ってるんだぜ。」

 そう言うとローブの人間はローブのフードを取るとこう言った。

 「それじゃあショータイムといこうじゃねえか?暴れていいぜ。俺の駒。」

 そう言いながらローブの人間・・・いや、ヘイズは少し形が違う角笛を

取り出した。

 ぴぃいイイイイイイ!

 『フィルフィ・アイングラム!そこにいる下賤共を殲滅しろ!それを終えた時

お前は自由の身だ!!』

 笛を鳴らした後にそう言った。

 それを聞いたリーズシャルテはぎりっと歯軋りしながらこう言った。

 「あの下種が・・・!何て命令を」

 ルクスどころか全員同じ気持であった。

 恐らくヘイズはここにいる全員がフィルフィを殺せないこと、そして全員を

皆殺しした後に

フィルフィの意識が戻れば・・・自分も死ぬかそれか心が壊れて完全に

怪物になるであろうと思っていた。

 「泣き言言っても始まりません。外への扉は開きますか?」

 「分からないわよ!これ初めてなんだから!!」

 クルルシファーは泣き言の様にそう反論すると・・・うめき声が聞こえた。

 「ウ・・・ウウウ・・・」

 「フィルフィ?」

 ルクスはそう言ってフィルフィの方を見るとフィルフィの様子が

可笑しかった。

 「ウ・・・ガアアア」

 「フィルフィ!まさか意識が戻って!?」

 「ちぃい!『イグドラシル』の高出力の信号にさえ耐える気か!?」

 ルクスの言葉を聞いてヘイズはもう一度角笛を出そうとすると・・・

ある現象が起きた。

 「ルクスさん!《ギャラクシーアイズ》が!!」

 「へ?・・・なあ!!!」

 突如ルクスの《ギャラクシーアイズ》のソードデバイスが震え、次の瞬間に

光がルクスの周りに覆うように包まれた。

 するとソードデバイスから・・・竜が現れた。

 ギシャアアアアアアア!!

 「あれは!」

 「YES、間違いありません!!」

 「あれが分かるんですか!?クルルシファーさん!ノクト!!」

 クルルシファーとノクトの言葉を聞いてアイリは何なのかと聞くと二人は

こう答えた。

 「あれは間違いなく・・・」

 「YES、《ギャラクシーアイズ》の本当の姿・・・」

 「「ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン」」

 ギシャアアアアアアア!!

 ギャラクシーアイズが唸るとフィルフィの方も胸元からカードが現れ・・・

同じように竜となった。

 ギシャアアアアアアア!!

 それは紅く、蒼い炎を噴出させた竜であった。

 お互いが威嚇するように咆哮を上げると・・・衝撃波が襲い掛かった。

 『ウワアアアアアアアアア!!』

 全員が吹き飛ばされない様に踏ん張っている中レリィはフィルフィの方を

見ると・・・ある事に気づいた。 

 「何・・・あれ?」

 レリィが見たもの・・・それは。

 「・・・何だあの機械?」

 四角い紫の機械であった。

 そして衝撃波が収まるとルクスのは左腕に何か違和感を感じて目を開けると

そこに映っていたのは・・・。

 「・・・何でデュエル・ディスクが!!」

 そう、ルクスのデュエル・ディスクが付けられていたのだ。

 それは今回必要ないだろうと思って自室の棚に入れていたはずなのにと

思っていた。

 そしてルクスはフィルフィの方を見ると・・・それを見て驚いていた。

 「・・・何でフィルフィも」

 そう、フィルフィの手にデュエル・ディスクがあったのだ。

 するとフィルフィはルクスを見て・・・狂気的な笑顔を浮かべてこう言った。

 「・・・・デュエル。」

 「!!何でそれを・・・」

 ルクスはフィルフィの言葉を聞いて驚くがフィルフィのデュエル・ディスクのデッキケースを見ると既にデッキがセットされていたのを見た後にフィルフィの右腕を見ると・・・そこに映っていた物に驚いていた。

 「まさか・・・№!!」

 「ほう、そいつを知っているのか?」

 ルクスの言葉を聞いてヘイズはそう言った。

 「まさか強化薬って№か!?」

 「そうだぜ。こいつを機竜で使うと汎用機竜が神装機竜張りに力が付くから中々売れるんだぜ。」

 ヘイズはへらへらと笑いながらルクスを睨みつけてこう言った。

 「№を知っているって事はお前もそいつを持っているんだな?」

 「・・・・・」

 「沈黙はYESと取るぜ。・・・なら話は早えな!!」

 そう言うとヘイズはまた角笛を吹いた後にこう命令した。

 『フィルフィ・アイングラム!そいつを殺して№を奪え!!』

 「ハイマスター」

 フィルフィはそう答えるのを見てルクスは歯嚙みしながらこう思っていた。

 「・・・やるしかないか。」

 そう言うとルクスはデュエル・ディスクを投げた。

 「デュエル・ディスクセット!!」

 するとデュエル・ディスクが大きく開いた。

 それと同時にそこから何やら小さな方眼鏡が出てきた。

 「Dゲイザー!セット!!」

 無論フィルフィも同じようにしたが無機質な言葉であった。

 するとクランリーゼがパソコンを取り出すとノクトにある事を聞いた。

 「ノクトさん!Dゲイザーありますか!?」

 「それでしたらここに。」

 そう言ってノクトはDゲイザーをクランリーゼに渡すとクランリーゼは

それをパソコンに繋いで何やら作業をしていた。

 しれっとだがヘイズも全員には気づかれない様にクランリーゼの後ろにへと

向かった。

 無論ラ・クルシュもだ。

 そしてパソコンの立体映像が前面に現れるとそれをルクスとフィルフィが

二人とも丁度入るようにセットした後にこう言った。

 「後はお願いいたします。ルクスさん」

 「・・・私はなんて・・・」

 レリィは二人の様子を見守ることしかできない自分に腹が立っていた。

 然し時は待ってはくれない。

 ルクスとフィルフィがデッキからカードを5枚引いた後に耳元で音声が

響き渡った。

 『ARヴィジョン、リンククリア。』

 そして二人は大声でこう言った。

 多くの人間が見守る中で・・・行われた。

 「「デュエル!!!」」

 今、友を取り戻すための戦いが始まった。




 次回からはデュエルです!!


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デュエル・スタート!

 やっと・・・やっと・・・またデュエルだあああ!!


「僕が先行、ドロー!」

 ルクス LP 4000

 手札 6 墓地 0 除外 0

 デッキ 35⇒34

 「僕は手札から魔法カード『融合』を発動!」

 「手札にいる『D-HERO ダンクガイ』と『D-HERO ダイナマイトガイ』を融合!」

 「現われろ!『D-HERO ディストピアガイ』!!」

 ATK 2800  DEF 2400 (A表示)

 手札 6⇒3 墓地 3 除外 0

 「更に魔法カード『フェイクヒーロー』を発動!」

 「この効果で手札から『E-HERO』モンスターを一体特殊召喚できる!」

 「僕は『E-HERO オーシャン』を特殊召喚!」

 ATK 1500    DEF 1200

 「『E-HERO オーシャン』の効果を発動!1ターンに一度、

墓地に存在する『HERO』モンスターを一体手札に戻す。」

 「僕は『D-HERO ダイナマイトガイ』を手札に戻す。」

 手札3⇒2⇒1⇒2

 「そして『D-HERO ディストピアガイの効果発動!」

 「墓地に存在するレベル4以下の『D-HERO』一体を選択し、その攻撃力分の

ダメージを・・・相手に・・・与える!」

 「僕が選ぶのは『D-HERO ダンクガイ』!」

 「スクイズ・バーム!!」

 ディストピアガイの後ろにダンクガイの幻影が出た瞬間のそれがフィルフィを

襲った。

 「アグ!」

 フィルフィ LP 4000⇒2800

 「!!ゴメン・・・カードを1枚伏せてターンエンド!同時に

『フェイクヒーロー』の効果で特殊召喚された『オーシャン』は手札に戻る。」

 手札2⇒3(その内2枚は『D-HERO ダイナマイトガイ』と

『E-HERO オーシャン』

 

 

 

 「フィー!」

 レリィはフィルフィの表情を見てそっちに向かおうとするとクランリーゼが

レリィを止めてこう言った。

 「駄目ですレリィさん!デュエル中は何があっても介入は出来ません!!」

 「けどフィーが!!」

 「フィルフィさんを救いたいのでしたらこの戦いを見守る事が

貴方の責任です!」

 「!!・・・・ッ!」

 レリィはクランリーゼの言葉を聞いて歯嚙みしていた。

 今回の遺跡調査は確かにラフィ女王の秘密裏での許可を貰っているが

違法な調査だ。

 もしバレれば自分どころか何処からかフィルフィの情報が洩れればそこまでだ。

 フィルフィを助けたい一心で思いついた調査がまさかこんな結果を

招いてしまったことに自分自身怒り心頭である。

 一方、リーズシャルテ達はと言うと・・・。

 

 

 

 「これがデュエル・モンスターズか・・・」

 「初めて見ますがこれほどとは・・・」

 初めて見たリーズシャルテとセリスティアはその光景を見て驚いていた。

 まるで本物の人間の様に動くこの状況に驚きを隠しきれなかったのだ。

 「・・・これって・・・マジ?」

 「YES、本来でしたらDゲイザーで見るものをパソコンで見られるように

してくれたので楽しいですよ?」

 「だがそれがこんなだとは・・・ルクス君もつらいだろうな。」

 ティルファー、ノクト、シャリスの順番でそう言っていた。

 デュエルとは本来楽しいはずなのにこのような状況で戦わなければいけないと

言う事にシャリスは同情交じりでそう言った。

 「すげえ、本当に生きてるみたいだ。」

 「ええ・・・これが兄さんの戦い方・・・異世界での戦闘。」

 透流は興奮しながら、アイリはその光景に畏怖の念を持って見ていた。

 これだけの科学力を持った世界がもしこの世界に宣戦布告したら

どのような結果を招くかと思うとゾッとしてしまうのだ。

 

 

 

 

 そしてヘイズはと言うと・・・。

 「ひゃははははは!!こいつはおもしれえぜ!中々のエンターテイメントだ!」

 透流達から少し離れた所でヘイズはが笑っているとクルルシファーはキッとした目つきでこう言った。

 「あら、今ここで貴方のその口を開けない様にしてあげるわ。」

 然しヘイズはこう答えた。

 「ひゃははは!できるものならやってみろよ!その前に角笛で残っている・・・生産エリアにいるアビス共を起こしてやるがな」

 「ちぃい!」

 クルルシファーはその言葉を聞いて舌を打った。

 今のメンツだけであれだけいるアビスをどうにかできつつフィルフィを

救えることが出来るかと言えば・・・ムリダと言うしかないのが現状である。

 最早ルクスに託すしかないのだ。

 ・・・友を戦わせてしまい自分は何も出来ないと言う悔しさを

身にしみこませて。

 「私のターン。ドロー」

 フィルフィ LP 2800

 手札6 墓地 0  除外  0

 「私は『サイバー・ダーク・カノン』を召喚」

 ATK 1600  DEF 800

 「そして魔法カード『クローン・ミラージュ』を発動」

 「このカードの効果でデッキから同名のモンスターを攻撃力0にして可能な限り

特殊召喚出来るがエンドフェイズ時に破壊される。」

 『サイバー・ダーク・カノン』*3

 その内二体はATK 0

 手札6⇒4

 それを見たルクスは冷や汗垂らしながらこう言った。

 「レベル3のモンスターが3体・・・来る!」

 ルクスがそう言うとフィルフィはこう言った。

 「私はレベル3の『サイバー・ダーク・カノン』3体をオーバーレイ」

 すると3体のサイバー・ダーク・カノンが光となって上空に飛び上がると下から黒い渦が現れた。

 「3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築」

 「エクシーズ召喚」

 そう言うとフィルフィのいつの間にかついていたエクストラデッキケースから

あるカードが出てきた。

 「現れよ!№34!!」

 フィルフィがそう言うと何やら渦から板のような物が出てきたと思ったら・・・変形し始めた。

 「その力を持って全ての文明に破滅と恐怖をもたらせ!!」

 そしてそれは角を生やした・・・・巨大な緑色の機械の動物となった。

 「『電算機獣 テラ・バイト』!」

 チュッチーーーーーー!!

 ATK 0   DEF 2900  (D表示)

 「やっぱりそいつか!!」

 ルクスはそう言いながら嫌な顔をしていた。

 これで自分が召喚できるモンスターが限られるからだ。

 それを見ていたヘイズはにやにやと笑いながらこう言った。

 「さあて、どう出る?偽物の王子様よ♪」

 意地の悪い笑顔の中で死闘はまだ続く。




 「クローン・ミラージュ」 通常魔法
 このカードが発動された時、フィールドにいるレベル4以下のモンスターを
1体選択し、デッキから可能な限り特殊召喚できる。
 この時特殊召喚されたモンスターの攻撃力は0となる。
 この効果で特殊召喚されたモンスターはエンドフェイズ時に墓地に送られる。
 


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デュエル2

 前回の続きです。


「あの№は・・・北野先生が使ってた!!」

 嘗て遊馬のクラスの教師であった北野が汚染された

『№34 電算機獣 テラ・バイト』

 その能力を見た時に分かっていたルクスはこれを想定して

今のフィールドにしたのだ。

 一方、初めて№を見たリーズシャルテ達はと言うと・・・。

 「・・・何なんだ、あのバケモノは?」

 「恐らくあれがフィルフィさんを苦しめている元凶でしょうね。

邪気を感じます。」

 テラ・バイトを見たセリスティアはその様子から察した後レリィがこう聞いた。

 「じゃあ・・・あれを倒せばフィーは正気に戻るのよね!?」

 「恐らくそうだろうと思いますが・・・あれを倒しただけで治まるかどうか」

 「そんな・・・!!」

 レリィはクランリーゼに抑えられながらそう聞くがクランリーゼの言葉を聞いて

顔を青くした。

 「私はカードを一枚伏せてターンエンド」

 フィルフィ LP 2800 手札4⇒3 墓地 1 除外 0

 「フィルフィ・・・」

 ルクスはフィルフィの顔を見て心が複雑になっていた。

 本当ならもっと楽しくやりたかったのにと思っていたのだ。

 然し今はデュエルに集中しようとルクスは首を振ってデッキトップに指を置いた。

 「僕のターン、ドロー!」

 ルクス LP 4000 手札3⇒4(内二枚は『D-HEROダイナマイトガイ』と

『E-HEROオーシャン』)

 ルクスは手札とフィールドを見た後に次にすることを考え、実行した。

 「僕は魔法カード『魔法石の採掘』を発動!」

 「この効果により手札二枚を墓地に送って魔法カード一枚を手札に加える。」

 手札4⇒3⇒1

 「僕は魔法カード『融合』手札に加える。」

 手札1⇒2(1枚は『融合』)

 「そして『E-HERO オーシャン』を召喚!」

 『E-HERO オーシャン』

 ATK 1500 DEF 1200

 「そして効果発動!これにより墓地にある『D-HERO ダイナマイトガイ』を

もう一度手札に戻して『融合』を発動!」

 「フィールドにいる『E-HERO オーシャン』と『D-HERO ダイナマイトガイ』を融合!」

 「現れろ!『E-HERO アブソリュートZero』!!」

 ATK 2500 DEF 2000(A表示)

 手札2⇒0

 「僕はこれでターンエンド」

 ルクス LP 4000

 手札 0 墓地6 除外 1

 「私のターンドロー」

 フィルフィ

 LP 2800 手札3⇒4 墓地0 除外0

 「私は『サイバー・ダーク・ホーン』を通常召喚」

 ATK 800  DEF 800

 「そして手札にある『サイバー・ダーク・クロー』の効果を発動」

 「このカードを墓地に送ってデッキから『サイバー・ダーク・インフェルノ』を手札に加えてこれを発動」

 手札4⇒3⇒2⇒3⇒2

 「そして『サイバー・ダーク・ホーン』の効果を発動」

 「自身の墓地に存在するレベル3以下のドラゴン族を装備させて

このカードの攻撃力を装備させたモンスターの攻撃力分上昇する。」

 すると地面から穴が開くとそこから『サイバー・ダーク・ホーン』が

『サイバー・ダーク・クロー』を自身の触手で釣り上げてきたのだ。

 ATK 800+1600=2400

 「そしてバトル。『サイバー・ダーク・ホーン』で

『E-HERO アブソリュートZero』に攻撃」

 それを聞いたクルルシファー達は驚いていた。

 「何で!攻撃力は『アブソリュート』が上なのに!?」

 「何かあるのか!?」

 透流は何かあるんじゃないかと思っていたが・・・その通りである。

 「速攻魔法『リミッター解除』を発動」

 「これにより攻撃力は倍になる。」

 「!!」

 ATK 2400⇒4800

 ルクスはそれを聞いた後に『E-HERO アブソリュートZero』を見ると・・・。

 グアアアアアアア!!

 『アブソリュートZero』の攻撃と『サイバー・ダーク・ホーン』の攻撃が

同時に当たって『ディストピアガイ』は消滅した

 「グアアアアアアア!!」

 ルクスLP 4000⇒(4800-2500)=1700

              2300

 

 「アブソリュートZeroの効果を発動・・・!」

 「このカードが破壊された時、フィールドの全てのカードを破壊する!!」

 するとフィールド一面が氷に包まれて・・・全てが消えたに・・・見えた。

 「『サイバー・ダーク・ホーン』の効果。」

 「このカードは装備カードを破壊することで破壊を無効にする。」

 「何だって!!」

 そして『サイバー・ダーク・ホーン』以外のカードが全て・・・消えた。

 私はカードを1枚伏せてこれでターンエンド」

 手札4⇒3⇒4⇒3⇒2

 「くっ!」 

 全てが消えたフィールドを見てクソっと思いながらどうするのかと考え、・・・

 デッキトップに手を添えた。

 「へえ?未だ諦めねえのかよ?」

 ヘイズがそう言うとルクスはこう答えた。

 「例えどんな時でも・・・デュエリストは最後の一枚まで諦めないんだあ!!」

 「僕のターン!」

 「ドロー!!!!」

 ルクス  LP 1700

 手札1 墓地 9  除外0

 「クソ!」

 ルクスはこれじゃないと思い舌打ちながらも・・・。

 「僕は・・・カードを1枚伏せて・・・ターンエンド」

 そう言った後、ヘイズは笑いながらこう言った。

 「ハハハハハ!!結局何にも何ねえじゃねえかよ!?サア!!こんな茶番を

さっさと終わらせちまえ!!」

 ヘイズの意地の悪い笑い声が・・・部屋中に響いた。

   

 




 次回に続く。


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デュエル3

 「私のターンドロー」

 フィルフィ LP 2800

 手札 3 墓地6 除外0

 「私は『サイバー・ダーク・エッジ』を召喚。」

 『サイバー・ダーク・エッジ』

 ATK 800  DEF 800

 「更に『サイバー・ダーク・エッジ』の効果発動」

 「このカードも墓地からレベル3以下のドラゴン族を装備できる。」

 ATK 800+1600=2400

 「そんな!!」

 アイリはこの状況を見て顔を青くした。

 今ルクスを守ってくれるモンスターは0

 どちらか一つでも直撃すれば負けるのだ。

 然しフィルフィは更に追い打ちをかける。

 「更に私は魔法カード『強欲で貪欲な壺』を発動。」

 「墓地に存在するカード5枚をデッキに戻して更2枚ドローできる」

 「ここで手札補充カード・・・然もデッキを戻してる。」

 「戻すのはこの5枚。」

 『クローン・ミラージュ』

 『サイバー・ダーク・カノン』*2

 『№34 電算機獣 テラ・バイト』

 『リミッター解除』

 「そしてドロー」

 手札2⇒4

 デッキ31⇒35

 「バトル、『サイバー・ダーク・ホーン』でダイレクトアタック」

 『!!!』

 フィルフィの残酷な言葉が全員に最悪な末路を予見させた。

 ここ迄かと思った瞬間・・・ルクスは・・・何かを・・・発動さえた。

 「トラップカードオープン『ミラー・バトル』!!」

 「相手がダイレクトアタック宣言時に発動できる!」

 「これによりデッキ・墓地から相手モンスターと同じレベルのモンスターを特殊召喚できる!」

 「僕はデッキから『E-HERO エアーマン』を特殊召喚!!」

 『E-HERO エアーマン』

 ATK 1800  DEF 300(A表示)

 「このカードが召喚、特殊召喚された時、デッキから『HERO』モンスターを

手札に加えられる!」

 「僕はこの効果で『D-HERO ドリルガイ』を手札に加える!!」

 「ならば対象を変更。」

 『サイバー・ダーク・ホーン』はルクスから『エアーマン』に対象を移して

攻撃した。

 「くっ!」

 LP 1700-(2400-1800)=1100

           600

 「そして『サイバー・ダーク・エッジ』でダイレクトアタック」

 「この瞬間に墓地にあるトラップカード『ヒーローソウルバリア』を発動!!」

 「墓地に存在する『HERO』モンスターを除外してその攻撃力分相手の

攻撃力を下げる!」

「僕は『D-HERO ディストピアガイ』の攻撃力分

『サイバー・ダーク・エッジ』の攻撃力を下げる!」

 ATK2400-2800=0

 「そしてこの効果で攻撃力が0になった時、除外したモンスターよりも

攻撃力が低い同じ属性のモンスターをデッキから特殊召喚できる!」

 「『ディストピアガイ』の属性は『闇』」

 「よってデッキから『D-HERO ディシジョンガイ』を特殊召喚!」

 『D-HERO ディシジョンガイ』

 ATK 1600  DEF 1000

 「更にディシジョンガイ』の効果で墓地から『HERO』カードを手札に加える!」

 「僕はさっき破壊された『E-HERO エアーマン』を手札に加える!!」

 『サイバー・ダーク・エッジ』の攻撃が通らなくなりそのまま下がった。

 「私はカードを1枚伏せてターンエンド」

 フィルフィ  LP 2800

 手札 4⇒3  墓地1枚  除外 0

 「僕のターン!ドロー!!」

 ルクス  LP 1100

 手札3(その内2枚は『D-HERO ドリルガイ』と『E-HERO エアーマン』)

 墓地6 除外 3

 「僕も手札から魔法カード『強欲で貪欲な壺』を発動!!」

 「墓地のカード5枚をデッキに戻して2枚ドローできる!!」

 「僕はこの5枚をデッキに戻す。」

 『E-HERO オーシャン』

 『E-HERO アブソリュートZero』

 『D-HERO ダイナマイトガイ』

 『融合』

 『ミラー・バトル』

 「そしてドロー!!」

 手札2⇒4(その内2枚は『E-HERO エアーマン』と『D-HERO ドリルガイ』

 「そして『D-HERO ドリルガイ』を召喚!」

 『D-HERO ドリルガイ』

 ATK 1600  1200

 「更に『ドリルガイ』の効果を発動!」

 「手札からこのカードよりも攻撃力が低い『D-HERO』モンスターを1体特殊召喚出来る!!」

 「来い『D-HERO ドゥームガイ』!!」

 ATK 1000  DEF 1000

 「更に僕はレベル4の『D-HERO ドゥームガイ』と『ディシジョンガイ』を

オーバーレイ!」

 「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!」

 「この状況って!」

 「YES、おそらくは」

 「へ?!何ですか、何があるんですか!?」

 透流はクルルシファーとノクトの言葉を聞いて何があるのかと聞くと

クルルシファーは少しニコっと笑ってこう言った。

 「まあ、見てなさいって。」

 「は・・・はあ。」

 透流は黙ってそれを見ると二体が光の球になって黒い渦に飲み込まれた。

 「エクシーズ召喚!!」

 「漆黒の闇より舞い降りし竜よ!絶望渦巻く世界で反逆の牙を突き立てよ!!」

 「現われろ!『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』!!」

 ATK 2500  DEF  2000

 「おお!何てカッコいいんだ!!」

 「・・・リーシャ様・・・今そう言う時では。」

 リーズシャルテが目を輝かせながら『ダークリベリオンエクシーズドラゴン』について感想を述べるもセリスティアは落ち着くように言った。

 そしてルクスはフィルフィを見た後にこう言った。

 「絶対に・・・助ける!!」

 




 罠カード「ミラー・バトル」
 このカードは相手プレイヤーがダイレクトアタック宣言時に発動できる。
 このカードが発動した時、ダイレクトアタックしてきたモンスターと同じレベルのモンスターを特殊召喚できる
 罠カード 「ヒーローソウルバリア」
 このカードが発動された時にフィールドのモンスター1体をリリースすることで
そのモンスターと同じ属性のモンスターにそのリリースしたモンスターの元々の
攻撃力分アップすることが出来る。
 墓地のこのカードと『HERO』モンスターを除外することでダイレクトアタック
宣言時に発動できる。
 相手モンスターの攻撃力分を除外したモンスターの元々の攻撃力分ダウンする。
 この効果で0になった時、除外したモンスターと同じ属性のモンスターを
デッキから特殊召喚出来る


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デュエル4

 考えたら・・・ここまで長くしたことないなあ。


 「アイリ、あれがルクスさんの切り札です。」

 「あれが兄さんの・・・。」

 アイリはノクトの説明を聞いてルクスのフィールドに出てきたモンスター。

 『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』を見た。

 その出で立ちと過去の兄、そして今戦っている兄を思い返し、比べていた。

 嘗ての兄は優しさと・・・夢に溢れていた。

 そして今の兄はそこは変わらずあったがそれと同時に厳しさと優しさも

相まっていた。

 相手の本当の気持ちを知り、その上で対話するという思想。

 それら全てがあのドラゴンに集約されているのかと思うと中々夢物語であるなと思っていた。

 そうとも思っておらず、ルクスはフィルフィを見た後に続けた。

 「『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』の効果を発動!」

 「ORUを二つ取り除くことで相手モンスター1体の攻撃力を半分にし、その分を『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』に与える!!」

 「『トリーズン・ディスチャージ』!!」

 ATK 2400⇒1200『サイバー・ダーク・ホーン』

 ATK 2500⇒3700『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』

 「攻撃力が逆転した!!」

 「これならもしかしたら!」

 ティルファーとシャリスがそう言うとルクスはこう言った。 

 「バトル!『D-HERO ドリルガイ』で『サイバー・ダーク・ホーン』に

攻撃!!」

 

 『ドリルガイ』の攻撃が『サイバー・ダーク・ホーン』に当たろうとしたその時、フィルフィは効果を発動させた。

 「『サイバー・ダーク・ホーン』の効果を発動」

 「このカードが破壊されるときに装備カードを破壊することで破壊されない」

 「!!そう来たか」

 ルクスはその効果を聞いてクソっと思っていた。

  フィルフィ

 LP2800⇒2400

 ATK1200⇒400

 「だったら今度こそ!『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』で

『サイバー・ダーク・ホーン』に攻撃!!」

 「今の『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』の攻撃力は3700」

 「これが通ったらルクスさんの勝ちだ!!」

 クランリーゼの言葉を聞いて透流がそう言った。

 すると『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』の顎の角から

紫色の電流が迸ってきた。

 「『反逆のライトニング・ディスオベイ』!!」

 『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』の攻撃が

『サイバー・ダーク・ホーン』に向かったその時に・・・フィルフィはナニカを

発動させた。

 「トラップカードオープン、『ダークサイド・チェンジ』」

 「このカードは自身のフィールドに存在する闇属性モンスターが

攻撃対象になった発動」

 「その攻撃対象を他の自分のモンスターに入れ替える。」

 「私は『サイバー・ダーク・エッジ』に攻撃対象を入れ替える。」

 すると『サイバー・ダーク・ホーン』のいた場所に

『サイバー・ダーク・エッジ』が現れた。

 「!!つまり。」

 そしてそのまま『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』の攻撃が

『サイバー・ダーク・エッジ』に当たった。

 フィルフィ

 LP 2400-(2400-3700)=1100

         1300

 「『サイバー・ダーク・エッジ』も同じように破壊されない」

 ATK 2400⇒800

 「・・・カードを一枚伏せて、ターンエンド」

 ルクス

 LP 1100  墓地 4  除外 3

 手札1(『E-HEROエアーマン』)

 

 

 「ああ、惜しい!!もう少しだったのに」

 リーズシャルテが悔しながらそう言うとクルルシファーはこう続けた。

 「けどこれで二人のライフは互角、後は彼女の次のドロー次第よ。」

 

 

 

 「私のターンドロー」

 フィルフィ

 LP 1100  墓地 2  除外 0

 手札3⇒4

 「私は『サイバー・ダーク・キール』を通常召喚。」

 ATK  800   DEF  800

 「そして魔法カード『融合』を発動」

 「フィールドにいる『サイバー・ダーク・ホーン』、『エッジ』、『キール』を融合」

 すると3体のモンスターの体が・・・一つに合体し始めた。

 「ぬおおおお!!これは!!!」

 「リーシャ様!落ち着いてください!!」

 リーズシャルテが興奮してきたのでセリスティアは落ち着かせようと

体を締めていた。

 「闇に蠢く鋼の竜よ、今溶け合い、混じりあい、全てを破壊する鋼鉄の権化と

成り果てよ!!」

 「現れよ!『鎧黒竜 サイバー・ダーク・ドラゴン』!!」

 ATK 1000  DEF  1000

 ぎゃあアアアアアアアア!!

 『鎧黒竜 サイバー・ダーク・ドラゴン』の雄たけびが周りに響き渡った。

 まるで今のフィルフィの届かない鳴き声のようであった。

 「このカードの攻撃力は墓地に存在するモンスターの数*100UPする」

 ATK 1000⇒1500

 「さらにこのモンスターは墓地に存在するドラゴン族を装備し、その攻撃力分UPする」

 ATK 1500⇒3100

 「ヤバイ!!」

 「攻撃力が『ドリルガイ』を上回っちゃったよ!!」

 透流とティルファーの悲鳴交じりの声が聞こえた。

 これで万事休すかと思ったその時・・・フィルフィが震え始めた。

 「ウウウ・・・ウウウ」

 「フィルフィ!?」

 「フィー!!」

 ルクスとレリィがフィルフィを呼ぶがフィルフィの体から・・・黒い何かが

出てきた。

 そして・・・フィルフィは手札にあるカードを手に取って発動させた。

 「私は・・・永続魔法カード『モンスター・ミラー』を発動!!」

 「このカードはセットされた時、モンスターカードとして扱い、

自分フィールドのモンスターと同じ、攻撃力、守備力、効果、レベルを得る!!」

 『モンスター・ミラー』

 ATK 1500  DEF  1000

 レベル8

 「レベル8のモンスターが!!・・・けどフィルフィにそんなカード・・・

まさか!!」

 ルクスは思い当たったのかヘイズを見るがフィルフィは続けた。

 「私はレベル8の『鎧黒竜 サイバー・ダーク・ドラゴン』と

『モンスター・ミラー』をオーバーレイ!!」

 「二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!」

 「エクシーズ召喚!!」

 二体のドラゴンが黒い渦の中に入るとフィルフィの胸から・・・

あるカードが出てきた。

 「現れよ!№108!!」

 それを聞いたルクスは驚いていた。

 「№108!そんなカードがあったなんて今まで見たことない!!」

 すると黒い渦から・・・紅い西洋剣が出てきた。

 そしてそれが・・・少しずつ変形してきた。

 「全ての因果を焼き尽くす暴竜よ!」

 柄の部分が翼の様に広がり

 「今その蒼き焔を持って!」

 刀身が少しずつ膨れ上がり、体が出来上がり

 「全ての命を焼き、清め」

 剣の間から細長い尻尾が出てきて

 「無に帰せ!!」

 翼から蒼い焔が噴出してきた。

 「『№108魔道蒼炎竜 ダークブレイズ・ドラゴン』!!」

 ATK 3000  DEF 2500

 (見た目は『オッドアイズ・レイジング・ドラゴン』のカラーリングが『カードファイト・ヴァンガード』に出てくる

『青き炎の解放者 プロミネンス・コアドラゴン』の色。

 その竜はまるで悪魔

 この世全てを飲み込む暴竜の如き蒼い焔を噴出したその姿に・・・

ルクスは突如頭痛がした。

 「アがあ!!これは・・・!!」

 突然の事に驚いていたルクスであったがその竜はルクスを見て・・・

咆哮した。

 ギシャアアアアアアア!!

 嘗ての力が今・・・ルクスに襲い掛かろうとしていた。

 




 トラップカード『ダークサイド・チェンジ』
 このカードは自分フィールド上に闇属性モンスターが2体以上存在する時
発動出来る。闇属性モンスターが攻撃対象となった時、その攻撃対象を
他の闇属性モンスターに移し替える。
 永続魔法カード『モンスター・ミラー』
 このカードは自分フィールド上にいるモンスターとして扱いモンスターゾーンにセット出来る。
 対象になったモンスターがフィールドから離れた時、このカードは除外される。


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デュエル5

「№」

 それは100枚に散らばったアストラル世界から来た使者、アストラルの記憶と

バリアン世界にてドン・サウザンドが対アストラルとして作り上げた七皇に捩らせた

7枚のオーバーハンドレット№。

 その力は絶大でそれを所有し、敵対したサニアがそれを保有しており

『シヴァレス』通常団員全員を倒すほどである。

 故にラフィ女王は№を保有し、新王国の戦力にしたいという思いがある。

 だが・・・それには一つの間違いがあった。

 №は・・・107枚ではなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 「№108・・・!!」

 ルクスは『魔道蒼炎竜 ダークブレイズ・ドラゴン』を見て顔を苦くしていた。

 確認したことすらない№。

 それはルクスの警戒を最大限にするに難しくないことであった。

 そしてフィルフィは・・・今まで誰にも見せたこともない怒りの表情で

こう言った。

 「私は『魔道蒼炎竜 ダークブレイズ・ドラゴン』の効果を発動!!」

 「1ターンに一度、ORUを一つ取り除くことで!」

 するとダークブレイズ・ドラゴンが持っている西洋剣がORUを斬り捨てた。

 「相手モンスター1体を破壊し、その効果を得る!!」

 「『ダーク・イート』!!」

 するとORUを斬り捨てた西洋剣から黒い光が輝くと雷となって

『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』を貫いた。

 「『ダーク・リベリオン』!!」

 すると『ダークブレイズ・ドラゴン』の体が1瞬だけであったが

『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』になった。

 「そして破壊したモンスターの効果を使う時!コストは不要とする!!」

 「何だって!!」

 ルクスは驚いていた。

 それは嘗てトロンが使っていたあの№に似ていたのだ。

 そう・・・怒りを原料にして使った№。

 「№69 紋章獣神 コート・オブ・アームズ』に・・・

 「これにより『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』の効果を発動!」

 「『ドリルガイ』を選択し、その攻撃力の半分を得、

その分相手の攻撃力を下げる!!」

 「『トリーズン・ディスチャージ』!!」

 すると『ダークブレイズ・ドラゴン』の蒼炎が『ドリルガイ』を包み込み、

攻撃力が下がった。 

 ATK 1600⇒800

 ATK 3000⇒3800

 「そんな!!」

 「この攻撃が通ったらルクス君は!!」

 アイリとクルルシファーは悲鳴の様にそう言うとフィルフィはルクスを見て・・

 攻撃宣言した。

 「バトル!『ダークブレイズ・ドラゴン』で『ドリルガイ』に攻撃!!」

 すると二振りの西洋剣が蒼炎に包まれると一つになって巨大な剣に変わった。

 「バースト・フォール・ブレイズ』!!」

 『ルクス(さん)(兄さん)!!』

 全員が最早ここ迄かと思ったその時、ルクスは起死回生を発動した。

 「トラップカードオープン『ガード・ブロック』!」

 「このターンのダメージを全て0にしてカードを一枚ドローできる!」

 グアアアアアアア!!

 『ドリルガイ』の断末魔と同時にルクスの周りで小さな結界が張られ、

攻撃は当たることはなかった。

 ルクス

 手札1⇒2

 「ふうう・・・全く驚かせおって・・・。」

 「ですが・・・状況は最悪です」

 リーズシャルテが胸をなでおろす中クランリーゼは顔をしかめっ面していた。

 ルクスのフィールドは0。

 然も伏せカードもなく、万事休すであった。

 然しフィルフィは念には念とでも言うように行動を移した。

 「私はカードを一枚伏せて、ターンエンド」

 フィルフィ  LP 1100

 手札4⇒3⇒2⇒1⇒0  墓地  3  除外 0

 

 

 「僕のターン・・・」

 ルクスは震えながらもデッキトップに指を添えた。

 これで負けたらもう駄目だと緊張してしまっているからだ。

 どうしたら良いと思っていると・・・何処からか・・・声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 かっとビングだ!ルクス兄!!・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 「!!・・・遊馬!?」

 ルクスは遊馬の声がしたような感じがした。

 するとどうだろう。

 指の震えが止まっていたのだ。

 ルクスはそれを見て・・・ふっと笑ってしまった。

 「やれやれ・・・これじゃあ・・・兄として負けるわけにはいかないな!!」

 「ドロー!!!」

 手札2⇒3(内1枚は『E-HERO エアーマン』)  墓地  5  除外  3

 LP  1100

 するとルクスはドローしたカードを見て少しにやっと笑った後カードを

発動させた。

 「魔法カード『エクシーズ・パートナー・コール』を発動!」

 「手札を1枚墓地に送ることで墓地に存在するエクシーズ・モンスターをEXデッキに戻してデッキから同じ種族のモンスターを召喚条件を無視して

特殊召喚出来る!」

 

 「だが、この効果を使った時、特殊召喚したモンスターは

このターン攻撃できず、効果も使えない!!」

 「『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』はドラゴン族です」

 「そんなカード・・・・まさか!!」

 クランリーゼの言葉を聞いてクルルシファーはまさかと思っていた。

 するとルクスの手から・・・奇妙な形をした十字架が現れるとルクスは

それを宙に向けて投げると口上を言った。

 「闇に輝く銀河よ、希望の光になりて我が友の魂に宿れ!光の化身、

ここに降臨!現れろ、《銀河眼の光子竜》!」

 すると十字架が紅く輝くとそこにいたのは・・・・。

 青く輝く星々の空のような光を纏った竜であった。

 ATK  3000  DEF  2500

 手札3⇒1

 「何だあのドラゴンは・・・。」

 「綺麗・・・。」

 「《ギャラクシーアイズ》って・・・それってルクッチの機竜!!」

 「それの大本か・・・。」

 リーズシャルテ、セリスティア、ティルファー、シャリスがそれぞれ

そう言った。

 然しルクスはさらに一手打った。

 「そしてさらに魔法カード『ヒーローチャンス』を発動!!」

 「墓地に存在する『HERO』モンスターを可能な限り除外することで

除外したカード-1だけドローできる!!」

 「けっ、結局は運任せとはとことんまでどっちつかずの王子様だな。」

 ヘイズはルクスに対してそう言うがルクスはこう返した。

 「運も実力の内!どんな逆境でも思いさえあれば・・・

全て乗り越えられるんだ!!」

 そう言ってルクスはカードを引くと・・・。

 「・・・全く、兄貴思いな弟だよ。」

 「僕は魔法カード『異次元融合』を発動!!」

 「除外されているモンスターを任意の数までデッキに戻して、

融合召喚出来る!」

 「僕は除外されている『D-HERO ドゥームガイ』と

『D-HERO ドリルガイ』を融合!!」

 「現れよ!『D-HERO ディストピアガイ』!!」

 ATK 2800  DEF 2400

 「まだまだ!僕は『ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』と

『D-HERO ディストピアガイ』でオーバーレイ!!」

 すると『ギャラクシーアイズ』は竜の姿になって上空にあった渦に入った。

 「二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!」

 「エクシーズ召喚!!」

 すると上空から青い剣が出てくるとルクスはそれを受け止めてそのまま地面に

突き刺した。

 「現れろ! 銀河究極龍、No.62!」

 「 宇宙にさまよう光と闇、その狭間に眠りし哀しきドラゴンたちよ。その力を集わせ、真実の扉を開け!」

 「銀河眼の光子竜皇!」

 すると『ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』は鎧を身に纏い、

更に進化した姿となった。

 ATK 4000  DEF 3000

 『・・・・・』

 全員その姿に心を奪われていた。

 まさに皇に相応しい姿だと誰もが分かったからだ。

 然しルクスは手札からあるカードを・・・発動させた。

 「更にRUM『ドラゴン・フォース』を発動!!」

 「このカードは自分フィールド上にいるドラゴン族エクシーズ・モンスターを対象に発動することによりそのモンスターのランクが一つ上の『C(カオス)』と名の付くドラゴン族エクシーズ・モンスターを特殊召喚できる!!」」

 「僕は『ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』を

オーバーレイ!!」

 するとギャラクシーアイズは黄色い球となって空にへと舞い上がっていった。

 そしてそのまま黒い渦に飛び込んでいった。

 「1体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築!」

 「カオス・エクシーズ・チェンジ!!」

 すると渦の中から紅い直剣が出てくるとルクスはそれを自分の胸に・・・

突き刺した。

 『!!!!』

 全員はそれを見て驚くがルクスは口上を言った。

 「銀河に渦巻く命よ!散らばれし命を束ね、不条理を払いのけリし

竜を呼べ!!」

 すると爆発と同時にある竜が現れた。

 紅く、両肩に鮮やかな宝玉を持った・・・ギャラクシーアイズが現れた。

 「現れよ!銀河至高C№62超銀河眼の光子竜皇(ネオ・ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』!!」

 ATK 4500  DEF 3000

 『・・・・・・』その光景はまるでルクスの心が乗り移った様な印象であった。

 そしてお互いの竜が睨みつけながら構えていた。

 今・・・決戦の時が迫った。




 『№108魔道蒼炎竜 ダークブレイズ・ドラゴン』
 レベル8モンスター*2
 炎属性 ドラゴン族
 このカードはエクシーズ素材を一つ取り除くことで発動できる。
 相手モンスターを1体選んで破壊し、その効果を得る。
 この時発動コストは払わなくてよい
 魔法カード『エクシーズ・パートナー・コール』
 手札を1枚墓地に送ることで墓地に存在するエクシーズ・モンスターをEXデッキに戻してデッキから同じ種族のモンスターを召喚条件を無視して
特殊召喚出来る
 魔法カード『ヒーローチャンス』 
 墓地に存在する『HERO』モンスターを可能な限り除外することで
除外したカード-1だけドローできる
 魔法カード『異次元融合』
 除外されているモンスターを任意の数までデッキに戻して、
融合召喚出来る
 


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デュエル6・・・決着。

 デュエルはやっと終わった。


「超銀河眼の光子竜皇

(ネオ・ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン)」

 アイリは現れたドラゴンを見ていた。

 先ほどルクスが紅い剣を突き刺した後にでたその竜はまるで・・・ルクスの怒りを具現化したような感じであった。

 アイリは意識をルクスに戻すとルクスのデュエルは再開した。

 「RUM『ドラゴン・フォース』の効果発動!」

 「このカードはエクシーズ召喚したモンスターのORUとなり、相手カードの効果を受け付けなくさせる!」

 「更に『ネオ・ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン』の効果を発動!!」

 「『ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』が

エクシーズ素材になっている限り相手モンスターの効果を全て無効とし、

それがエクシーズモンスターならばそのモンスターのオーバーレイユニットを

全て奪う!!」

 「『オーバーレイ・ディプリベーション』!!」

 すると『ネオ・ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』の咆哮と

同時に『ダークブレイズ・ドラゴン』のORUが全て

『ネオ・ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』に吸収された。

 ORU4⇒5

 「更に、『ネオ・ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』の

効果を発動!!」

 「さっき奪ったORUを一つ取り除くことで!!」

 すると『ネオ・ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』がORUを

噛み砕くとその力が解放された。

 ORU5⇒4

 「相手、又は自分の墓地に存在するモンスター1体をこのカードの

装備カードとすることでそのモンスターの攻撃力と効果を追加で得る!!」

 「何ですって!!」

 「相手の効果の無効と制限、そして墓地からモンスター1体を装備カードに

出来る。中々えげつないコンボですね。」

 クルルシファーはそれを聞いて驚く中クランリーゼはしれっとそう言った。

 「砕け散った魂をわが身に纏え!」

 「『ソウルアーム・フォース』!!」

 「僕が選ぶのはフィルフィの墓地にある『サイバー・ダーク・ドラゴン』!!」

 「その攻撃力分、1000UPする!!」

 ATK 4500⇒5500

 攻撃力が上がった瞬間、

『ネオ・ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』が1瞬であるが

『サイバー・ダーク・ドラゴン』に変わった。

 「バトル!『ネオ・ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』で『ダークブレイズ・ドラゴン』に攻撃!!」

 すると『ネオ・ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』が

空高く舞い上がると両肩と胸部に付いてある宝玉が紅く輝き、

『ネオ・ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』の

内部にチャージされていった。

 「フィルフィの闇を振り払え!!」

 「『撃滅のフォトン・バーストストリーム』!!」

 すると『ネオ・ギャラクシーアイズ・プライム・フォトンドラゴン』の紅い光が『ダークブレイズ・ドラゴン』を覆い、・・・消し去った。

 キシャアアアアアアア・・・・・・

 「!!アアアアアア!!!!!」

 フィルフィ

 LP1100+(3000-5500)=-1400

        -2500

 WIN

 ルクス

 

 

 

 

 

 

 

 

 「フィルフィ!!」

 ルクスは勝利した後にフィルフィに駆け寄った。

 「フィー!!」

 レリィもフィルフィに駆け寄った。

 「フィルフィ!!フィルフィ!!!??」

 「フィー!!??」

 ルクスとレリィがフィルフィに声をかけていると・・・。

 「・・・ゥ・・・・ウウウ。」

 「「!!」」

 ルクスとレリィはフィルフィの魘されている声を聴いて未だ息していると

思っていると次の瞬間・・・・。

 「ウがアアアアアアアアあ!!!」

 フィルフィの胸元から・・・黒い種のような物が出てきた。

 「これって・・・・」

 「まさか・・・・アビス?」

 ルクスとレリィがそう言うと今度はカードが出てきた。

 そしてそのカードは実体化した。

 ・・・『ダークブレイズ・ドラゴン』にへと・・・。

 「「!!」」

 まさかと思い、ルクスとレリィがフィルフィの盾になろうとしたその時・・・。

 キシャアアアアアアア!!!

 ズバッと斬り捨てたのだ。

 ・・・『イグドラシル』の種子を。

 「「え・・・??」」

 種子は斬られた瞬間に蒼い焔となって・・・床に着く前に燃え尽きた。

 そしてそれを見届けると『ダークブレイズ・ドラゴン』はルクスを

一瞥した後に・・・。

 キシャアアアアアアア!!と咆哮を鳴らし、幾つものカードに散らばって・・・姿を消した。

 そして『ダークブレイズ・ドラゴン』のカードがルクスのEXデッキに

入っていった。

 「これって・・・・このカード!?」

 ルクスは取ったカードを見て驚いていた。

 何せそれは・・・。

 「通常カードの『E-HERO』に『V-HERO』、『e-HERO』まで!!」

 ルクスがデッキに加えなかったHEROや、見たことないHEROがあったのだ。

 然もサポートカードもたくさん。

 それを見た後にフィルフィの胸元からまたカードが出てきた。

 「ウウウ・・・あれ?ルーちゃんどうしたの??」

 「へ・・・」

 ルクスは声が聞こえた方向を見るとそこに映っていたのは・・・・。

 「フィルフィ・・・・」

 目を覚ました・・・白髪のフィルフィがそこにいた。

 




 次回は・・・どうなることやら?


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新たなる敵。

 『C№62 超銀河眼の光子竜皇(ネオ・ギャラクシーアイズ・プライム・
フォトンドラゴン』
 レベル9モンスター3体以上
 ATK 4500  DEF  3000
 このカードはエクシーズ素材に『銀河眼の光子竜皇
(ギャラクシーアイズ・プライムフォトンドラゴン)』がある時、
相手モンスター全てのモンスター効果を無効にし、相手フィールド上にいる
エクシーズモンスター全てのエクシーズ素材をこのモンスターに与える。
 エクシーズ素材を1つ取り除くことで相手、又は自分の墓地にいるモンスターを装備カード扱いで装備し、攻撃力と効果を得る。


 「フィー?!体は大丈夫!?何ともない!!」

 レリィは大慌てでフィルフィにそう聞くとフィルフィは・・・いつも通りの感じでこう答えた。

 「うん、何だか前よりもらく。」

 「フィー!!」

 「?どうしたの・・・・おねえちゃん。」

 フィルフィは抱き着いてきたレリィにそう聞くとルクスはあるカードを見せた。

 それはフィルフィが倒れていた場所にあった№。

 『№34 電算機獣 テラ・バイト』であった。

 「フィルフィ、これに見憶えない?」

 そう聞くとフィルフィはそれを見てこう答えた。

 「ぜんぜん。」

 「・・・そうか」

 フィルフィの言葉を聞いてほっとしている中フィルフィは自身の左腕についているデュエル・ディスクを見るとあれ?と思いながらこう聞いた。

 「ねえ、ルーちゃん。これってルーちゃんが持っているのと同じだけど

なにこれ?」

 「ああそれね・・・後で教えるから今のうちに外しておくね。」

 ルクスはそう言って操作して、デュエル・ディスクを外した。

 するとルクスはデュエル・ディスクを見てこう言った。

 「これ・・・あげる。」

 「・・・良いの?」

 フィルフィはそう聞くとレリィはこう言った。

 「ちょっと待ってルクス君!フィーにそれを渡すのって!!」

 「レリィさん。これは恐らくですけどデッキがフィルフィを求めたんじゃないかと思うんです。」

 「・・・デッキが?」

 レリィはそう聞いた後に周りに散らばっているカードを見た。

 よく見れば『サイバー・ダーク』とは違って白い体の竜がある物も見つけた。

 するとルクスはカードを1枚取り出してこう言った。

 「カードに罪はありません。罪があるとすればそれは・・・多分使う僕ら

なんじゃないかと思うんです。」

 「だから、フィルフィにこれを持たせたいんです。今度は楽しくデュエル出来るように。」

 「・・・ルクス君。」

 レリィはルクスの言葉を聞いた後にフィルフィを見るとフィルフィは

こう答えた。

 「だいじょうぶだよ、おねえちゃん。私今度はまちがえないから。」

 「・・・フィー。」

 レリィはフィルフィの言葉を聞いて・・・こう言った。

 「・・・分かったわ。だったらお願いね、ルクス君。」

 「あ、はい。それにしてもさ、フィルフィ。少し聞いても良い?」

 「?・・・なに、ルーちゃん」

 ルクスはフィルフィにある事を聞いた。

 「頭の髪、白髪になったけど大丈夫なの?」

 「?」

 フィルフィはそれを聞いてデュエル・ディスク越しで見た後に・・・

こう言った。

 「あ、・・・頭白いや。」

 『・・・・だああああああ!!』

 全員がズッコケてしまった。

 「いやいやいやいや待て待て待て!!!」

 「貴方、気づかなかったの!?」

 リーズシャルテとクルルシファーがフィルフィにそう聞くがフィルフィは

こう答えた。

 「うん、だって見えないし、問題ないから。」

 「問題大有りですよ。」

 セリスティアはそれを聞いて呆れながら言った。

 「・・・フィルフィ・・・」

 ルクスは頭を抱えて何やってんだと思うとフィルフィはルクスの方を

ずっと見ていた。

 「・・・ルーちゃん。」

 「?、何フィルフィ。」

 ルクスはそう聞くとフィルフィは・・・頬を膨らませてこう言った。

 「・・・フィーちゃんでしょ。」

 「今更それ言う?!」

 ルクスはフィルフィにツッコミを入れた。

 周りはそれを聞いて呆れながらも笑っているのを見てルクスはこう呟いた。

 「・・やっぱ、フィルフィは・・・フィルフィだな。」

 そう言うが・・・ある人間の声が聞こえた。

 「おいおい、これで終わりだと思ってんのかあ?」

 そう言った人間・・・ヘイズがラ・クルシュと共に立っていた。

 然も・・・角笛を持って。

 「まあ良いや。こいつでもう一度操って・・・お前ら全員皆殺しだ!!」

 「ま・・・待っ」

 イイイイイいいいい!!

 レリィが言い終える前にヘイズはもう一度前と同じ命令をかけた。

 ・・・・・・だが。

 「?」

 「・・・あれ?」

 フィルフィは何も動かなかった。

 「・・・・もう一度だ!!」

 イイイイイ!!

 「・・・・・??」

 「・・・・へ??」

 二度目も全くであった。

 その後も何回か吹いたが・・・・同じであった。

 「な・・・・何で言う事聞かねえんだよ!!」

 ヘイズは怒鳴るようにそう言うと・・・・アイリがこう答えた。

 「恐らくですが・・・あの竜が斬り捨てたのって・・・貴方の角笛に従っていたモノじゃないのでしょうか?」

 「・・・・へ?」

 「そしてそれが消えたからフィルフィさんは言う事を聞かない・・・

じゃないんでしょうか?」

 「・・・・アアアアアアア!!」

 ヘイズはそれを聞いて頭を抱えて大声を上げた。

 『イグドラシル』の種子がなくなった以上もうフィルフィはヘイズの言うことを聞くことはないのだ。

 するとセリスティアはヘイズに向かってこう言った。

 「投降しなさい。さもないと容赦はしません。」

 「出来れば同族殺しはしたくないので。」

 セリスティアに続いてクランリーゼもそう言った。

 「ちぃい!」

 ヘイズは苦々しい顔で舌打ちすると・・・天井から声が聞こえた。

 それも全員が聞こえるように

 『ねえ、聞こえる?準備終わったから私出ていくわねえ。』

 その声が聞こえた。

 「!!一体どこから!?」

 「姿は見えないから・・・《ドレイク》!?」

 ティルファーとシャリスが周りを見渡しながらそう言うとヘイズは・・・。

 「フフフフフフフフフ。」

 ニヤリと笑いながらこう言った。

 「未だ俺は・・・終わってねえぜ!!!」

 ヘイズがそう言った次の瞬間に・・・天井が壊れて何かが落ちてきた。

 『きゃああああ!!』

 全員が悲鳴を上げる中ルクスは何だと思った。

 「一体何が!?」

 すると土煙が晴れて・・・それが明らかになった。

 巨大な木材で出来た様な要塞。

 至る所に髑髏のような紋章が見えた。

 そして何より・・・ある数字が見えた。

 それは・・・。

 「!!『33』・・・まさか1?」

 「ほお、気づいたようだな王子様よ。」

 ヘイズは何処からか声が聞こえる中こう言った。

 「こいつこそ俺の切り札・・・『イグドラシル』だ!!」

 そう言うヘイズの声を聴いたルクスはその数字からあれを思い出した。

 心優しい兄思いの少年。

 遊馬の親友。

 「Ⅲ」と彼が使っていた№。

 『先進遺跡(オーパーツ)ー超兵器マシュ・マック』を・・・。

 ェエエエエエエエエエエエエォォォォオオ!!

 そして『イグドラシル』・・・いや、『イグドラシル・マシュ・マック』の

咆哮が部屋に響いた。

 ・・・第2ラウンドのゴングが鳴った。




 次回は『ラグナレク』編。


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『イグドラシル』現る!

 『イグドラシル』戦、開始!!


「ぐあ!このでか物!!はた迷惑な声を出し」

 リーズシャルテはそう言いながら《ティアマト》の《レギオン》で

攻撃しようとした瞬間に枝が鞭のように飛んで、リーズシャルテを吹き飛ばした。

 「く、あ!!」

 「リーシャ様!」

 それを見たルクスは助け出そうとするが・・・『イグドラシル』は待っては

くれなかった。

 突如巨木の幹から何かが軋む音がしたので見てみるとそこに映ったのは・・・。

 「キャノン!?」

 機竜の武装でもあるキャノンが無数に生え、一斉斉射された。

 「くううう!!」

 ルクスは《ギャラクシーアイズ》で何とか回避していたのだが今度は枝から

ブレードが生え、襲い掛かってきた。

 ルクスはそれを何とか交わしたがクルルシファーは慌てた表情でこう言った。

 「どうして『ラグナレク』が機竜の武装を!!」

 するとヘイズはこう答えた。

 「それはこいつの能力だ。」

 するとヘイズはこう説明した。

 「『イグドラシル』の基本能力は、寄生による強化と操作だ。それを応用して

数十機の汎用機竜と武装を取り込ませてるからそう言う事が出来るし・・・お前ら、ここ迄来るのに奇妙に思ったことはねえか?」

 『?』

 全員がそれを聞いて耳を傾けるとヘイズは笑いながらこう言った。

 「アビスが何で少ないのかっていう・・・状況にさ?」

 「手前・・・まさか!!」

 ルクスは苦々しい表情でそう言うとヘイズはこう言った。

 「おーおー、王子様は中々感が良いねえ?・・・そうだよ、

ここにいたアビスの殆どは『イグドラシル』に喰わしてやったんよ。」

 『!!!』

 全員はそれを聞いて驚くとヘイズはこう続けた。

 「つまりだ、こいつには機竜とアビス両方の力が入ってるから生半可な

攻撃じゃあ・・・死ねねえぜ。」

 最早それは只のアビスではない。

 小国の軍事力その物があの『イグドラシル』に備わっているのだ。

 然しそれでもセリスティアは何時ものような超然とした表情でこう言った。

 「確かに恐ろしいですが・・・負けられません!!」

 セリスティアの気勢に全員が鼓舞した。

 それぞれが総力を結集して攻撃した。

 「神の名にひれ伏せ《スプレッシャー》!!」

 《ティアマト》の神装が起動し、広範囲の重力場を発生させ、軋み上げた。

 その力に『イグドラシル・マシュ・マック』の無数の枝が折れ始め、内部にある武器が壊れ始めた。

 「グ、おオオォォォォおおおお!!」

 「その程度じゃなあ。」

 ヘイズの言葉にクルルシファーはこう言った。

 「だったらこれならどう!?」

 クルルシファーが《フリージング・カノン》で枝と幹を破壊し始めた。

 「これでしたら!」

 セリスティアはそう言うと《ディバイン・ゲート》を発動して『イグドラシル・マシュ・マック』の眼前に移動してこう言った。

 「我々を舐めないでもらいます『ラグナレク』」

 そう言って《スターライト・ゼロ》を発射した。

 「オオォォォォ!!!・・・・・」

 そして口の中で爆発した『イグドラシル・マシュ・マック』は・・・

黒焦げになって幹が全てへし折れた『イグドラシル・マシュ・マック』が

そこにいた。

 「ふう・・・どうにか・・・倒したな。」

 「ですが未だ核を破壊したわけではありません。」

 「私が敵の予知をするから、ひとまず追撃を」

 するとヘイズがこう言った。

 「・・・・バ~~~~カ。そんな訳あるかよ。」

 すると・・・。

 『!!!!!』

 全員が即座に『イグドラシル・マシュ・マック』から離れた。

 するとそこから新しい枝と幹が現れ、《ファフニール》を叩き落した。

 「ッ!!」

 「クルルシファー!!」

 「リーズシャルテ、重力負荷!!」

 リーズシャルテはやられたクルルシファーに驚くもセリスティアの指示に応じて《スプレッシャー》を発動させるが・・・・。

 「何!!」

 枝がしなる程度で済んでいたのだ。

 そしてそのままリーズシャルテを弾き飛ばした。

 「ちぃい!」

 セリスティアは舌打ちしながらも《ディバイン・ゲート》を使って

背後に転送し、ランスで突き刺そうとするも・・・鞭状の枝がセリスティアを

弾き落とした。

 「くあ!!」

 セリスティアが落ちたのを見て全員が恐怖した。

 「嘘・・・・。」

 「リーシャ様達が・・・・」

 「神装機竜3機が・・・」

 「1瞬で・・・。」

 全員がそう言うとヘイズは・・・・。

 「きゃはははアハハハッハ!『イグドラシル』の能力が寄生と高速再生だけだと思ってたのかよお!!」

 「『イグドラシル』にはなあ、『高速強化』っていう攻撃されればされるほど

強くなる能力が備わってんだよお!!それによってそいつらの神装や、特殊武装に対して対策できるようになったってわけさ!!!」

 「・・・そんな。」

 ヘイズの言葉を聞いて誰かがそう呟いた。

 それではこいつを殺すためにはそれ以上の力がなければ無理なんじゃないかと思ってしまったのだ。

 然しヘイズは更に全員を・・・地獄に突き落とす言葉を吐いた。

 「それとこいつは№。を喰らってこんな能力も持ってんだぜェ。ラ・クルシュ」

 「はい。」

 ヘイズはラ・クルシュに命令するとラ・クルシュの周りに何やら画面が

出てきた。

 何か操作している中ヘイズは角笛を吹いた後にラ・クルシュがこう言った。

 「展開・開始(スタート・オン)」

 すると突如髑髏のような口から・・・何かが吐き出された。

 そしてそれは蔦のような物がどんどんと・・・形作られていった。

 「嘘でしょ・・・・。」

 「まさか・・・・」

 「あれって・・・・」

 全員はそれを見て恐怖した。

 巨大な腕と足。

 機械の翼。

 車輪がついた四つ足。

 そして何よりも・・・黒い瞳を持った・・・アビスのようなナニカ。

 それが80体もあった。

 全員がそれを見て恐怖するがヘイズは・・・笑いながらこう言った。

 「さあ!せいぜいあがいて『イグドラシル』の糧となれよ!!」

 「この『ドラグアビス』によってな!!!」

 そして等々・・・それは目覚めた。

 「ギィエェエエエエエエ!!!」

 悪夢は未だ終わらない。




 イグドラシル・マシュ・マック
 「№33 先進遺跡ー超兵器マシュ・マック」の力を得た『イグドラシル』
 これは嘗ての能力だけではなく、吸収した機竜やアビスの力を使って
新たに作ることが出来る。
 戦力増強などにおいては最悪な『ラグナレク』である。


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解き放つ力。

 実は《ギャラクシーアイズ》にはもう一つ・・・奥の手があるんですよ。


「ドラグアビス」

 アビスの強靭な肉体と機竜が保有する数多なる武器を所持できる能力。

 これらが組み合わせればどうなるか?・・・・。

 答えはこれだ。

 

 

 

 

 

 

 「きゃああ!!」

 「このお!!」

 「ちょ!こんなのって!?」

 

 

 

 

 

 

 圧倒的に人間側が不利なのである。

 昔から動物と人間の戦いにおいて近代で人間側が圧倒する理由。

 それは・・・遠距離兵装と優れた技術力である。

 然し忘れてはいないだろうか?

 もしそれらが動物の手に渡り・・・習得されでもしたら・・・。

 最早悪夢である。

 無論善戦はしているが何人かが脱落し、その後生き残った人間が回収していた。

 そんな中でルクスは回収されてアイリの近くにいたリーズシャルテに

こう提案した。

 「リーシャ様!教えてください《ギャラクシーアイズ》の解除コードを!!」

 ルクスはそう言いながら双剣を振っているがリーズシャルテはこう反論した。

 「・・・駄目だ。あれは・・・テストも・・・していない・・・し・・・

お前・・さっきの・・・『デュエル』と・・・やらで・・・消耗・・・してる」

 「そんな状況じゃありません!今は無理しようがやらなければ

いけないんです!!」

 そう言ってルクスは周りを見た後にこう言った。

 「だから・・・お願いします!!」

 ルクスの言葉を聞いてリーズシャルテは・・・決心を固めた。

 「・・・分かった。だが1分くれ。《キメラティック・ワイアーム》から

送らなければならないからな。」

 そう言った後にリーズシャルテは《キメラティック・ワイアーム》を

起動させた。

 それを見届けた後にルクスは『イグドラシル・マシュ・マック』を睨んだ。

 既にほぼ全員が脱落したため今戦えるのは・・・ルクスだけであった。

 「さあ!覚悟は出来てるか王子様よお!!」

 「其れはこっちの台詞だ!ボケナスが!!」

 「クイックドロウ!!」

 ルクスは周りにいるドラグアビスを高速で切り裂いたが・・・厄介であった。

 斬られた個所から・・・体が作り始めていた。

 「あいつら再生も出来るのかよ!!」

 するとヘイズはこう返した。

 「ハハハハハ!そいつらは『イグドラシル』がいる限り何度でも

再生出来るんだよ!!」

 「・・・だったらああ!!」

 ルクスはそう言うと両腕部から・・・軋むような音が聞こえた。

 ギシリと金属が異音を発すると・・・その一閃が煌いた。

 「強制超過(リコイル・バースト)」

 これこそルクスが編み出した第二の技である。

 無論これは嘗てバルゼリット戦でも使われたがあまりの威力の高さに

間違われたのだ。

 すると周りにいたドラグアビスが『イグドラシル・マシュ・マック』を

守るように障壁を張った。

 無論ドラグアビスはその攻撃で幾つか破壊されたが・・・未だ再生してきた。

 そう、『イグドラシル・マシュ・マック』は・・・無傷であった。

 するとドラグアビスがルクスに向けて攻撃してきた。

 するとルクスは敵を切り裂いた後に・・・こう言った。

 「なら、再生できなくなるまでェ!!」

 「永久連鎖(エンドアクション)」

 ルクスは最後の奥義を発動させた。

 これらは一度は終わった動作の隙をなくすことで間隙すら与えない攻撃が

出来るのだ。

 ルクスはそうしながらも『イグドラシル・マシュ・マック』に近づいて行った。

 徐々に降り積もる負担と疲労を振り切って・・・その刃が『イグドラシル・

マシュ・マック』に届きかけた・・・・が、世の中上手くいかないものだ。

 ガキンと言う音と共に・・・双剣が・・・弾かれた。

 「な」

 ルクスはの攻撃が終わったと同時に・・・『イグドラシル・マシュ・マック』とドラグアビス、両方の攻撃よって・・・落とされた。

 「ルクスさん!!」

 機竜が使えなくなった面々の護衛をしていた透流が大声を上げた。

 それを見た残りの面々も・・・絶望の表情が出始めた。

 「もう・・・終わりよ。」

 「このままじゃ・・・私達」

 「・・・死んじゃうんだあ。」

 生徒たちの悲痛な声を聴いていたヘイズは・・・笑いながらこう言った。

 「ハハハハハ!お前らはこれで終わりだ!!お前らを殺した後は新王国も

滅ぼして・・・俺の勝ちだアアアアアアア!!」

 ひゃはははああと笑う中で落とされたルクスの方向を見てこう言った。

 「見ろ!英雄気取りのクソ王子め!お前のせいでみんな死ぬんだ!!

幾ら強がっても、理想を掲げても、手前は所詮何も救えない人間なんだよお!!」

 

 

 

 

 

 

 

 ルクス。

 「(・・・誰だ。)」

 何してるんだ!ルクス。

 「(一体・・・誰が)」

 立ち上がれ!!

 「(無理だよ・・・もう動けない。)」

 諦める気か!!

 「(ああ・・・そうだね、)」

 「(僕は・・・何も出来なかった。)」

 「(只、失いたくないために戦ったのに・・・何も出来なかった。)」

 「(僕は結局・・・何も出来ない無力な存在だったんだ。)」

 ・・・それがどうした。

 「(へ?)」

 嘗ての俺もそうだった。

 「(?)」

 弟を助けたいがために、父さんの力を借りずに何もかもしようとして、

結局は何も出来なかった。

 だが・・・そんな時あいつが俺の目の前に立ちふさがった。

 俺は奴の友を利用して迄奴と戦おうとしたのにそれでもあいつは俺を許し、

そして・・・友と呼んでくれた。

 「(・・・まさか君は。)」

 だから立ち上がれ!『九十九・A・ルクス』!!

 友の為に!今を生きる者たちの為に!!そして・・・。

 俺達から諦めないコトバを教えてくれたお前の弟の為に!!

 「(カイト!!)」

 『かっとビング』だ!!ルクス!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・違う、よ。」

 「ああ?」

 突如フィルフィがヘイズに向けてこう言った。

 「何も知らないあなたが、ルーちゃんのこと、決めないで」

 フィルフィはレリィの肩を貸している状態であったがこう続けた。

 「わたし、知ってるから。ルーちゃんが傷ついても、

この国を変えようとして、みんなの気持ちを知りたくて、雑用していることも」

 「だから戦ってルーちゃん。誰でもない、ルーちゃんが望んだ、願いの為に」

 「だから・・・立って!ルーちゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 「ウォォォォおおおおおお!!」

 ルクスの悲鳴のような声と共に・・・№の数字が出てきた。

 「62」のあの文字が。

 すると同時にリーズシャルテがこう言った。

 [ルクス受け取れ!!お前の《ギャラクシーアイズ》の機竜を解放させる

手順を送ったから使え!!限界突破(オーバーリミット)を!!」

 その解除コードが送られた瞬間に・・・何かが思い出したような

感覚がルクスを襲った。

 初めてなのに覚えがある。

 思考が勝手に走り出し、『ギャラクシーアイズ』の全ての制限が解除される中

あるパスワードが出てきた。

 その上にはこう書かれていた。

 『全ては原初に、そして最果てに置いて貴方は何を語る?』

 その言葉が出た瞬間にルクスはこう綴った。

 「『かっとビング』」と・・・。

 するとモニター画面から新しい言葉が出てきた。

 『入力完了。第二神装解放。戦闘データから敵神装機竜の武装、

神装をスキャン。アップロード。』

 『機体インストール完了』

 『第二神装《光子再現(フォトン・リプロディクション 》起動』

 「『限界突破(オーバーリミット)・開始(オン)』」

 そうルクスが呟いた瞬間、周囲に巨大な風が吹き荒れた。

 「な・・・何だこれは・・・!!」

 透流はその光景に薄っすらと目を開けるととんでもない物が映っていた。

 そこにあったのは・・・。

 「あれは・・・私の《ティアマト》!!」

 「《ファフニール》に《アジ・ダハーカ》もあるわ!!」

 「私の《リンドブルム》も!?」

 何とこれまでルクスが戦った機竜が光の様に輝いているとそれらが一つに溶け合って・・・《ギャラクシーアイズ》を覆い尽くした。

 「あれは一体何なんだ!!」

 リーズシャルテが驚くように言う中で光が収まるとそこにいたのは・・・・。

 《ギャラクシーアイズ》ではなかったのだ。

 翼は紅、白、金色、紫の順に重なっており。

 肩には大型のキャノン砲が片方に2つずつ、計4つ保有していた。

 右手には何やら幾つか穴が開いた紅いランス

 左手には斧のような刃物が付いた青いロングレンジライフル

 更に足には車輪がついておりまるで・・・今、透流が使っている

《キメラティック・ワイバーン》のようであった。

 「馬鹿な・・・何故こいつが!」

 「ヘイズ!!!」 

 ヘイズは目を見開いてそう言うとルクスはヘイズを・・・大声で視線で殺すかのように見た。

 「!!なんだよ一体!?」

 そう言うがルクスは静かにこう言った。

 「・・・懺悔の準備は出来ているか!!!」

 そう言うとルクスは『イグドラシル・マシュ・マック』に向かって行った。

 ・・・戦いは終盤に向かった。




 第二神装『光子再現(フォトン・リプロディクション)』
 ルクスの機竜《ギャラクシーアイズ》が保有する第二神装
 その能力はこの機体でこれまで戦った神装機竜の情報データを融合し、
新たに作り変えることが出来るのだがそれには1つ条件がある。
 条件はたった1つ。
 自身が一度やられることである。
 これにより第二神装が解放されるのだが一度やれば二度と同じ姿を
再現できなくなるためまさに奥の手としては巨大な力である。


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銀河竜、炸裂!!

 新たな力と共に竜は敵を殺すために立ち向かう。


「おオオォォォォおおおお!!!」

 『イグドラシル・マシュ・マック』の咆哮と同時にドラグアビスがルクス目掛けて襲い掛かって来た。

 恐らくルクスの姿を見て最優先破壊対象として認識したことにより、

数で圧倒しようと考えたようだ。

 それは普通に考えれば正しい。

 正しいのだ。

 ・・・それが普通の人間ならば。

 「どけええええええ!!」

 ルクスはそう言って両肩に搭載されている四門のキャノン砲『デビルズ・ゼロ』と紅い大型ランス型ガトリング法『セブンスランス』、ロングレンジライフル

『ハルバートカノン』を構えて・・・火が吹いた。

 

 

 

 

 

 ドウッ!!

 

 

 

 

 

 

 その音と共に前面にいたドラグアビス全機、・・・堕とされた。

  「はあ?」

 ヘイズはあっけカランな顔でそれを見た。

 一瞬で80ものドラグアビスが全滅したのをみてホオけるが・・・直ぐに表情を

戻してこう言った。

 「ハハハハハ!無駄無駄無駄無駄!!ドラグアビスは『イグドラシル』が

いる限り」

 「だけど道は出来た。」

 そう言ってルクスは・・・ドウッと言う音と共に

『イグドラシル・マシュ・マック』に近づき・・・周りの幹を斬り捨てた。

 「おオオォォォォおおおお!!」

 『イグドラシル・マシュ・マック』は直ぐに攻撃しようと枝で対応する前に・・何かがそれらを斬った。

 それは・・・・。

 「あれはまさか・・・《レギオン》か!?」

 リーズシャルテはその正体を知って驚いていた。

 確かに似通っているが・・・違った。

 「あれって・・・私の《オートシェル》にも似ているわ。」

 そう、鏃と言うよりは・・・・槍と言うべき代物であった。

 それらは自動追尾兵器《レギオンシェル》。

 防御能力の高い《オートシェル》の硬さを《レギオン》が攻撃能力に変換させた姿である。

 するとある変化にヘイズは気づいた。

 「・・・再生しねえ・・・だと?」

 『イグドラシル・マシュ・マック』が再生しないのだ。

 何故だと思って見てみると・・・。

 「!!・・・傷口が・・・・潰されてる。」

 そう、『イグドラシル・マシュ・マック』の傷口が焼き切れていたり、

凍っていたりと傷口が塞がれているのだ。

 「馬鹿な!!ドラグアビスを通じてあいつはあらゆる・・・連中の武器は

通じねえはずなのに・・・・!!」

 「それは《アジ・ダハーカ》の神装だ。ヘイズ」

 「!!」

 ヘイズはルクスの言葉を聞いて何故だと思ったがルクスはこう続けた。

 「僕は『イグドラシル』がドラグアビスを通じているんじゃないかと思って

《アジ・ダハーカ》の神装を発動してエネルギーを吸収してるんだ。」

 「機竜の力を持っていることを考えれば容易に思い尽くし、仮に再生出来たと

しても相当のエネルギーを使うだろ?」

 「現にドラグアビス共の再生時間が遅いのがその証拠だ。」

 「!!!」

 「そうか!ドラグアビスの再生能力は『イグドラシル』がいるから

成り立つが!」

 「『イグドラシル』が攻撃されて再生する間はドラグアビスの再生時間は

遅れるっていう事ね。」

 リーズシャルテとクルルシファーがそう言うとルクスは等々、

『イグドラシル・マシュ・マック』の核近くに《レギオンシェル》を突き刺して

核を露出させると先ほどと同じ用法で武器を展開させると

『イグドラシル・マシュ・マック』に向けてこう言った。

 「二度と僕の友達に手えだすんじゃねえ!このくそ木があ!!!」

 そして六条の光が『イグドラシル・マシュ・マック』の核に集中砲火して・・・

核が崩壊した。

 「馬鹿な・・・嘘だ嘘だ嘘だ嘘だウソだあアアアアアアアア!!」

 ヘイズは狂ったような悲鳴を上げながらこう言った。

 「くそ!くそ!クソ!!!あの坊ちゃんメガあ!!ここぞという時に

邪魔しやがってーーー!!!」

 ヘイズはそう言いながら今は亡きバルゼリットを呪いながらそう言うと・・・持っていた普通の角笛を出して吹こうとした。

 これで再生しかけたドラグアビスに指示を与えようとするらしいが・・・

今のルクスにそんなことさせることすら与えない。

 「ウおらあ!!」

 そう言ってルクスは《セブンスランス》をヘイズ目掛けて・・・投擲した。

 「グウウ!!」

 ヘイズはその爆炎と土煙で回りが見えなくなっても吹こうとしたその時に

ヘイズが見たものは・・・・。

 大型の・・・斧の刃であった。

 「へ」

 ヘイズの言葉の最後に・・・右手事吹こうとした口目掛けて縦一閃に・・・

角笛を斬り裂いた。

 「ぎゃあああああアアアアアアアア!!!!」

 ヘイズの悲鳴が木霊した。

 「イダイ!イダイ!!イダイイダイイダイイダイ!!!」

 ヘイズはあまりの痛さに右手と右目を覆い隠しながらのたうち回っていた。

 そこには・・・斬り捨てられた右手首と角笛、そして・・・

幾つかの指があった。

 「うぶっ」

 透流はその光景を見て流石にだが吐き気を催した。

 するとルクスは・・・ヘイズを見下す様にこう言った。

 「さてと・・・・覚悟は出来てるよな?」

 ルクスはそう言って獲物を構えていた。

 最早目の前にいるのは人間ではなく・・・只の解体する実験動物を見るような

眼であった。

 「ヒィイイ!!」

 ヘイズは余りの恐怖に怖がり始めていた。

 まあ・・・今更だよな。

 今まで思っていたタイプとは違うのだから。

 そして下を見ると・・・黄色い水たまりが見えた。

 あまりの恐怖にヘイズは失禁してしまったのだ。

 目の前にいるのは悪魔。

 いや・・・化け物であるとヘイズはそう思っていた。

 どうするべきかと思っていると・・・・。

 「何してる?ヘイズ。」

 天井から声が聞こえた。

 全員がそっちの方を見るとそこにいたのは・・・・。

 ルクスはそれを見て・・・邪悪な笑顔でこう言った。

 「よう、数時間ぶりだな?フギル」

 「それはこっちの台詞だぞ。賢弟」

 フギルとルクス。

 二度目の対面であった。




 次回は遺跡も・・・クライマックス・・・かな?


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遺跡調査・・・終了

 やっと・・・終わった。


フギルとルクス。

 二人の再会はまるで必然の如く訪れている。

 それが何を意味するのかは・・・誰も分からない。

 「さてと・・・俺はそいつを引き取りに来たって言っても・・・

信じないようだな」

 「当たり前だろ。お前はしでかすか分かったものじゃないからな。」

 ルクスはそう言いながら武器を構えると・・・《ギャラクシーアイズ》から

通達が来た。

 『危険!これ以上の本機の搭乗は生命の危険アリ!!至急停止せよ!!!』

 「!!クソ、こんな時にかよ!?」

 ルクスは通達を見て毒づくとフギルはルクスに向けてこう言った。

 「如何やら限界のようだな?まあ、俺としてはこいつでやりあっても良いんだぞ

ルクス?」

 そう言いながらフギルはソードデバイスを抜きつつもこう言った。

 「今ここでな」

 そう言いきってソードデバイスを抜き放つと・・・ルクスは諦めるかのように

こう言った。

 「・・・クソが。」

 ルクスはそう言って《ギャラクシーアイズ》を解除した。

 「ほお、前までならどんな状況にでも戦うと思っていたのだがな?」

 フギルは感心するようにそう言うとルクスは苦々しくこう言った。

 「勘違いするな。僕は未だ死ぬわけにはいかないから解除しただけだ」

 「それまでその首は繋いだままにしておくよ。」

 ルクスはそう言って・・・膝から倒れ始めた。

 『ルクス(さん)!』

 全員がルクスに駆け寄るとルクスは全員に向けてこう言った。

 「・・・やっぱ・・・未調整のシステムはきついわあ。」

 そう言ってルクスはへたり込むように座った。

 それを見ていたフギルは・・・。

 「全く・・・色々と苦労が絶えん奴だ。」

 少しほっとした表情で笑っていた。

 すると後ろから声が聞こえた。

 「フギル様。皇女殿下の怪我を考え、ワタシハ失礼します。」

 「ああ、分かったよ。エスシス」

 エスシスの言葉を聞いてからフギルと別れた。

 するとフギルはルクスに向けてこう言った。

 「さてと・・・行くか、最深層に。」

 そう言うと残った全員が・・・ソードデバイスを抜いた。

 「その前に投降してもらうと助かる」

 「・・・やめとけ。」

 セリスティアが言い終える前にルクスは全員に向けてこう言った。

 「そいつの強さは・・・戦った・・・から分かる・・・けど・・・僕以上だ。」

 「だから・・・やめとけ。」

 『!!!』

 ルクスの言葉を聞いて全員が恐怖した。

 あのルクスがそのような事を言うとなると疲弊した自分たちが勝てるのかと

思ってしまったからだ。

 するとフギルは全員に向けてこう言った。

 「大丈夫だ。俺は今回君たちと戦わないことは約束しようと言っても・・・

信用されていないから情報を与えようか?」

 「・・・情報?」

 クルルシファーは不安ありありでこう言うとフギルは・・・こう答えた。

 「遺跡を完全機能停止するための方法。」

 『!!』

 「それを最深層にて教える。それでどうだ?」

 フギルは簡単にそう言うとアイリがこう答えた。

 「何故貴方がそれを・・・・!!」

 そう聞くとフギルはこう答えた。

 「俺は知っているのでな。それでどうする?」

 フギルの言葉を聞いて全員が疑心暗鬼になっている中・・・

リーズシャルテはこう言った。

 「分かった。そうしよう。」

 『リーシャ様!』

 全員がどうしてかと聞くとリーズシャルテはこう答えた。

 「責任は全て私が取る!!良いな!?」

 そう言うと全員は少し間をおいて・・・了解した。

 「さてと・・・向かうか」

 フギルはそう言うと全員を案内させた。

 するとフギルはこう言った。

 「ああ、そうそう。操られている《ギア・マスター》を戻さないとな。」

 そう言うとフギルはラ・クルシュに向けてそう言っていると・・・。

 「あれ?私何していたのです?」

 普通に戻っていた。

 すると隣にいたクランリーゼがこう言った。

 「私が元に戻しました。」

 Vサインしてそう答えた。

 恐らく戦いが終わった後にラ・クルシュを捕まえて、データを元に

戻したんだろう。

 その証拠に『パソコン』が側にあった。

 「ほお?如何やって戻したのか聞きたいところだが・・・まあ、良い。」

 そう言ってフギルは地下に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「御免ね。透流」

 「いえ、これくらい大丈夫ですよ。」

 ルクスは透流の肩を借りながら歩いていた。

 他のメンツもそんな状況であるため、歩みは遅かったが・・・直ぐについた。

 「ここだ。」

 フギルはそう言って巨大な扉を見た。

 するとラ・クルシュに向かってこう言った。

 「さてと・・・そろそろ始めてもらおうか?」

 「ハイなのです。」

 そう言ってラ・クルシュと・・・クルルシファーが一緒になって

扉に手を当てると・・・扉が開いた。

 全員が固唾を飲んで見守って出てきたのは・・・・。

 『・・・また?』

 何もなかった。

 いや・・・あるにはあるのだが何やら祭壇のような造りの建物しかなかった。

 「これが・・・最深層?」

 「何か拍子抜けだなあ。」

 ノクトとティルファーがお互いそう言うとルクスは透流に向けてこう言った。

 「透流、今大丈夫?」

 「あ、はい。」

 「だったら僕のデュエル・ディスクでここら辺の全部写真に収めといてくれる?何かあるかもしれないから」

 「分かりました!!」

 そう言って透流はルクスからデュエル・ディスクの説明を聞いた後に撮影を

開始した。

 そんな中でフギルはあるところに向かって行った。

 するとフギルはルクスに対してこう言った。 

 「こっちだ。ルクス」

 すると今度はクランリーゼが肩を貸させてフギルの方にへと向かった。

 そこの祭壇のような建物の中にある何やら・・・石が並べてあった

何かであった。

 「何だこれは?」

 ルクスはなんだと思っているとフギルがルクスに向けてこう言った。

 「ルクス、『グランフォース・コア』は持ってるか?」

 そう聞くとルクスはこう答えた。

 「ああそれなら・・・レリィさん!持ってますか?『グランフォース・コア』」

 そう聞くとレリィは持ってると答えた。

 そしてレリィが『グランフォース・コア』が入った箱を持ってくると

フギルはこう言った。

 「それじゃあそいつをこの石の中央に置いてくれ」

 そう言うとルクスは『グランフォース・コア』を中央に置いた。

 「後は・・・そろそろだな。」

 『?』全員が何かと思っていると・・・石が輝き始めた。

 「!なんだ!?」

 ルクスは何事だと思いながらも『グランフォース・コア』に手を触れると・・・

 「がアアアアアアアア!!」

 ルクスは『グランフォース・コア』から出てきたナニカに悲鳴を上げた。

 「ルクス!」

 「ルーちゃん!!」

 セリスティアとフィルフィはルクスを呼ぶと・・・天井から何かが

映し出された。

 「何だ・・・あれは?」

 リーズシャルテはその映し出されたものに驚いていた。

 捩じった木。

 紫色の空。

 同じ色の霧

 それらが映った次の瞬間に・・・何かの影が映ると更に光が強くなった。

 そして光が収まると・・・ルクスが倒れていた。

 「ルクスさん!大丈夫・・・何だこれ!?」

 透流はルクスの右手を見て驚いていた。

 その右手に描かれていたのは・・・魔法陣のような円の中に水しずくのような

紋章が象られており、ルクスのすぐ近くには・・・一人の女の子が倒れていた。

 見慣れない恰好をした水鏡色の髪をした・・・10歳前後の女の子が。

 「え?誰この子?!」

 ティルファーが驚いているとクルルシファーはその子に駆け寄って口元に

耳を澄ました。

 「・・・・未だ息をしているわ!急いでルクス君とこの子を合宿所に!!」

 そう言うと全員がルクスと女の子を抱えようとする中フギルはソードデバイスを抜き・・・こう言った。

 「まさかルクスの下に現れるとはこれも奇縁なのかもしれんな。」

 そう言って突然に・・・消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あらあら・・・彼は***なのかしら?」

 「・・・・・・」

 「ええそうね。どうするのか見届けましょ。」

 「・・・・・・・」

 「ではまたお会いしましょう。主様。」

 そう言って何処かにへと・・・消えていった。




 次回で終わり。


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帰って・・・そして。

 第4巻終了です。


「成程、つまりあのオーバーリミットは火事場の馬鹿力だったと・・・

言う訳で・・・納得するわけないですよね、兄さん?」

 「いや、それしか思いつかないって言うか・・・ねえ。」

 あの騒動から一週間して、ルクス達は学園に戻ってきた。

 倒れてから3日間ルクスは意識を失ってしまい、起きた時には

もう学園だったのだ。

 因みに『グランフォース・コア』だが、只置くだけでは停止しないことが分かり、回収した後ルクスが透流に頼んで撮影してもらったデータから文字の解読が

行われていた。

 そして『アーク』は、姿を消したが一定のルートに沿って動くタイプであるため

次の上陸地点に網を張っている。

 さらにレリィについてだが・・・これはルクスからもたらせた情報と

新たに手に入れた№、遺跡の戦利品、そして何より、・・・ドバルとは違って

規約違反せずに調査を行っていたこともあって、厳重注意と罰金で済んだのだ。

 一方のドバルはと言うと、『海竜騎士団』共々捕まった後どうやらヘイズが情報を流していたことが分かっただけではなく、調査の規約違反における臣民の

生命の危機に直面するという騒動にラフィ女王はドバルを領地没収と地位剥奪、

牢獄送りが決まった。

 終始ドバルはラフィ女王に助けを求めていたようだが本人曰く。

 「自分の責任は自分で片付けて下さい。」

 其れだけであった。

 ・・・良い気味だとルクスは内心喜んでいた。

 それと『海竜騎士団』は、暫くの間ラルグリス家が預かることとなった。

 んまあ、あのセリスティアの父親だからそれなりに手厳しくするだろうと

思っていた。

 「もう、今回は遺跡調査だけでも大変なのに兄さんはまたどうして頭痛の種を

蒔くのでしょうねえ。」

 アイリはため息交じりでそう言うとルクスはこう聞いた。

 「そう言えばあの女の子は?」

 「ああ、彼女は兄さんよりも早く目を覚ましましたけど記憶がないらしく、

名前以外は覚えてないそうです。」

 「それで名前は?」

 「『イセリア・シーウオード』と言う名前らしいですがそれ以外は・・・」

 そう言った後アイリはこう続けた。

 「全く、校外対抗戦と新王国記念祭が同時に始まるのに頭痛の種が3つも・・・はあ・・・・」

 「・・・本当に(m´・ω・`)m ゴメン…。」

 ルクスは謝るしかなかった。

 3つの内2つは既にあるがもう一つはというと・・・。

 「まさか機竜に第二の神装があるなんて夢にも思わなかったからなあ。」

 そう、ルクスがオーバーリミットしたことによって発覚したことだが

機竜にはもう一つ神装があることが分かり、

これには上層部(リーズシャルテが特に)が驚いた。

 解析するため《ギャラクシーアイズ》は新たに作られたアトリエに格納され、

徹底的に情報分析されることとなった。

 因みに・・・・。

 「そう言えばラ・クルシュはどう?慣れそう??」

 「ああ、大丈夫らしいですよ。・・・一言多いらしいですが」

 ラ・クルシュはあの後、クランリーゼに無理やり引っ張られ、

『アーク』から放りだされたのだ。

 その時こう言って頼んだそうだ。

 「お願いですう!仕事下さい!!リストラでプー太郎は嫌なのですウウ!!!」

 ウルウルと泣き顔でそう言ったそうだ。

 それを見てリーズシャルテは当面の間アトリエの非情職員として

働かすこととなったそうだ。

 因みに一言はと言うと・・・・。

 「リーズシャルテ様。少しお魚も食べたほうが良いですよ?それでは一部の既に大きくなっているモノが更に大きくなってしまうのですよ。」

 一言どころか・・・すごく多かった。

 因みにリーズシャルテはそれを聞いた後に笑顔で・・・

大気圏突破パンチをしたようだ。

 「・・・あの阿保は。」

 クランリーゼはその光景を見てそう言ったそうだ。

 「それと腕のそれ、大丈夫なんですか?」

 「ああこれね、今のところ何ともないんだよねえ。」

 そう言ってルクスは自分の右腕に刻まれているそれを見てそう言った。

 イセリアと言う少女が来たその時に出来た紋章。

 一体何なのか医者ですら分からないようだ。

 まあそれでも支障はないので暫く様子見となったそうだ。

 「そろそろ失礼しますよ。管理室で見つけた古文書と透流が撮影してくれた

古文の解読してきますので。」

 「忙しそうだねえ。まあ僕もセリス先輩の実家から御呼ばれされてる

らしいけど」

 「しっかり断ってくださいね!!」

 そう言ってバタンと扉を閉めるのを見てルクスは一息つくと・・・

隣から声が聞こえた。

 「ルーちゃん。だいじょうぶ?」

 「あ、うん。大丈夫だよフィーちゃん」

 ルクスは隣で黙々と果物を頬張っているフィルフィを見てそう言うと

ルクスはこう聞いた。

 「体の調子如何?」

 そう聞いた。

 『イグドラシル・マシュ・マック』の種がなくなったことから

何か不自由なことはないのかと聞くとフィルフィはこう答えた。

 「うん、へいき。もう暫くしたら動けるようになるって言ってた。」

 フィルフィはそう言って胸に手を置いていた。

 如何やら大丈夫のようだなとルクスはほっとしているとフィルフィは

こう言った。

 「ねえ、ルーちゃん。約束覚えてる。」

 そう聞くとルクスはこう答えた。

 「うん、覚えてる。フィーちゃんやアイリが安心して暮らせる国を作るって約束僕は必ず成し遂げて」

 ルクスはそう言い切る前に言葉が途切れた。

 ルクスの口が塞がれているのだ。

 フィルフィの・・・口づけによって。

 「へ?」

 ルクスは何が起こっとのか目が点になっていたがフィルフィはルクスに

抱き着いてこう言った。

 「ルーちゃんはもう、約束守ってくれたよ?」

 「・・・・フィーちゃん」

 「私の居場所はここだから。ルーちゃんが作ってくれたここが私の居場所。」

 「ルーちゃん。・・・大好き。」

 それを聞いたルクスはそっと自分も抱きしめ返した。

 嘗て失った時間を取り戻すかのように・・・大切に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そうか、それじゃあ船の準備は出来ているのか?」

 「はい。既に計画に向けて準備は出来ているようです。」

 何処かの国でフギルはエスシスの言葉を聞いていた。

 周りには幾つもの機竜と船が・・・港ではないのに多数存在していた。

 するとフギルはエスシスにこう聞いた。

 「それじゃあ皇女殿下は?」

 「はい。現在治療中です。」 

 「そうか。皇女殿下には生きてもらわないといけないからな。」

 そう言うとこうも聞いた。

 「それで例の2国からは?」

 「はい、どちらも協力するそうです。」

 「それで良い。これで・・・また一つステージが出来上がりそうだ。」

 そう言ってフギルは懐からある物を出した。

 それは仮面。

 最深層に彫られていた紋章と同じ形をした仮面であった。

 「これでお前の無念を晴らせれる。俺が必ず作る。」

 「お前が夢見た理想を。」

 「そして・・・お前を陥れた奴らに鉄槌を。」

 「そして・・・君の想いも・・・・!!」

 そう言いながらもう一つの物を出した。

 金色に輝く・・・何かの欠片。

 「・・・『アレイシア』!!」

 その時のフギルの顔は・・・ルクスですら見たこともない表情となっていた。

 それは・・・苦痛と憤怒が混ざり合ったような表情であった。




 次回予告
 フィルフィ「ええと・・・次回予告っと・・・・眠い」
 レリィ「お休みなさいフィー。それじゃあ私が代わりに伝えるわね。」
 レリィ「等々始まった校外対抗戦と新王国記念祭。幾つもの戦いが始まる中
ルクス君の目の前に謎の美少女がって・・・まあフィーには負けるわね。」
 レリィ「明かされし目的とそのとんでもない力にまさかの悪戦苦闘!!そしてルクス君の周りでは色々なことが・・・フィーが一番よねルクス君!!」
 レリィ「そんな中旧帝国が突如来襲!!見たことない船と・・・遺跡が乱入!!」
 レリィ「もうどうなるのよーーー!!!」
 「次回!最弱無敗の決闘機竜第5章『来襲!帝国の凶刃と復讐軍師!!
紅蓮に舞う戦場!!!』
 フィルフィ「ABISU TO THE  BUREIN」
 ルクス「君がそれ言っちゃ駄目だろ!!」


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人物紹介・・・4巻まで

 初めてなので・・・ご容赦ください。


ルクス・アーカディア

 原作とは確実が付くくらいに性格が変貌した主人公。

 遊馬との生活もあってか多少の無茶と同時に諫めるところがある。

 フギルと戦っていた最中にバハムートが原因で「ZEXAL」の世界に転移された。

 その後は九十九家の養子となり日常を送っていた。

 凌牙とは親友で話し相手になっていた。

 璃緒とは目覚めた後から色々と話すうちにお互い両片思いしていた。

 遊馬とアストラルが「№96」に取り込まれた時には鉄男の代わりにデュエルし、勝利した後は自身の№となった。

 デュエルではHEROデッキで構築されており融合とエクシーズで対応している。

 デュエル・カーニバルにおいては準決勝で遊馬と対決し、敗北。

 その後はDr.フェイカー相手に4対1のデュエルをした。

 バリアン世界編においては璃緒とデュエルし、勝利するもベクターが璃緒を

取り込まれる際に告白を聞いた。

 すべてが終わった後アストラルと遊馬の戦いを見届けた後に自身の世界に戻った。

 その後3年間は雑用生活しつつ国内の安定に陰ながら尽力していた。

 機竜世界では「最弱無敗」の二つ名が与えられていた。

 とある冤罪事件がきっかけでアカデミーにてリーズシャルテと機竜で戦う事と

なったが戦闘最中にアビスが乱入してきたため共闘。

 その後はなし崩し的に入学し、幼馴染のフィルフィと再会、同じ部屋で暮らす

羽目となった。

 リーズシャルテの過去を知り、その張本人がリーズシャルテを凌辱する前に救出、説教をし、彼女を諭し、敵を全滅させた。

 この時に「青い死神」の二つ名が与えられた。

 クルルシファーがバルゼリットとの婚約をかけて決闘する際の相棒になった後に

遺跡調査の任が下り、第六遺跡の調査する中で「ディアボロス」との戦闘の最中で

遺跡にノクトと共に不時着、その後、遺跡調査中にカイトと再会し、デュエルした。

 その最中に璃緒とも再会し、新たなカード「ドラゴン・フォース」を手に入れ

勝利した。

 璃緒には自身の想いを綴った後に消滅し、彼女が保有する「№103」が

形見となった。

 バルゼリットとの戦いにおいては未だ未調整であった《ギャラクシーアイズ》で勝利した。

 セリス編においては彼女と会った後に「№39」によってこちらの世界に来た

透流を保護。

 その際に一緒に来た音羽の亡骸を埋葬した。

 女装時に置いては「メラグ」と呼ばせるようにし、彼女の真意を色々と聞いた。

 (尚、あの教官で来た3人の男たちはセリスに負けた腹いせで学園に来たが

ルクスによってボコられた。)

 校外対抗戦メンバー決め大会においてはその圧倒的な戦闘能力で駒を進め、

セリス戦の際には乱入してきた「ラグナレク」を討伐した。

 その後、サニアによって心が壊れかけたセリスを許し、彼女を助けた。

 合宿時に置いては全員の教官になった後は女性陣の温泉覗き防止で

駆り出され、全員を9割殺しにした。

 合宿中に第3遺跡が襲来し、後で来たドバル候と共に内心怪しみながらも

遺跡調査を開始した。

 その最中にヘイズからフィルフィが人体実験で『イグドラシル」の種子を13%移植され、このままでは生命の危機である事から本当の目的を隠しつつ取引した。

 フギルとの再会の際には意味深な言葉をよくかけられる。

 最深層に向かった後、フィルフィとデュエルし、「№62」をカオス化し

勝利した後「№108」を手に入れた。

 その後に『イグドラシル・マシュ・マック』によって劣勢を強いられるも覚醒型になった《ギャラクシーアイズ》の新たな神装によって勝利した。

 最深層にて「グランフォース・コア』を納めた後に触れた際には何やら

特殊な刺青が彫られるも異常が無い為放置している。

 保有している№  62

 

 

 

 

 

 

 リーズシャルテ・アディスマータ

 本作に置いて不遇な立ち位置であった少女。

 嘗て旧帝国に捕まった際に男性に凌辱され、子供を身ごもるもたまたま

聞いていた新王国の人間によって堕胎させられ、子供が出来にくい体となった。

 その後から男性不振めいたところが幾つかあったがルクスは他の男性とは

違うところから過去を話した。

 その後、アビス戦において黒幕であり自身に子供を孕ませた男性、

ベルベット・バルトとの対面に伴い、心が壊れかけるもルクスによって

救出されるが弱音を吐いて本心を言った。

 その後にルクスからの説教とベルベットの死が彼女の心を晴らせた。

 主に整備士としての側面が強く、機竜の改造に関しては人一倍強い。

 第6遺跡でルクスが手に入れた「パソコン」を使いこなした後はそれを使った

調律で校外対抗戦チーム決めの際には強く貢献した。

 お腹に旧帝国の焼印が彫られているため服装は露出少なめである。

 尚、背丈とそれに見合わぬ胸にコンプレックスを抱いており、それを喋った

人間は大概が鉄拳制裁である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 クルルシファー・エインフォルク

 原作とは変わらないがどちらかと言えな現在婚活を考えている女性。

 悪戯好きであると同時に冷静沈着な表面を持っている。

 ルクスと璃緒との関係を第6遺跡で見てからはそう言う人間と添い遂げたいと

思うようになり、バルゼリットとの婚約破棄後はそう言う人間を夢見ている。

 因みに周りよりも胸が小さい事にコンプレックスを持っている。

 

 

 

 

 

 

 セリスティア・ラルグリス

 原作とは違い、悲しい過去を持った少女。

 原作同様に色々と誤解されるがそれだけではなく嘗てルクスの祖父である

ウェイドを先生として慕っていた際に帝国の闇をウェイドに言った後に

関係者全員が処刑され、サニアの両親の死にも関係したことが分かり、

心が壊れかけ、睡眠すらままならなくなってしまった。

 ルクスに対してはウェイドの孫ということと、自身の罪から

「ラグナレク」戦には出させない様に正統的意見でルクスを学園から

追い出そうとしていた。

 然し「ラグナレク」戦後、ルクスに許された後、自身ともう一度向き合いたいと願った。

 

 

 

 

 

 

 フィルフィ・アイングラム

 アイングラム家の御令嬢でルクスの幼馴染

 何時も表情を変えずに喋るが誰よりも相手の心を理解し、対応するという側面を持っている。

 ルクスに対してはあまり危機管理がなく、何時もルクスを困らせている。

(本人無自覚)

 嘗て子供の頃に『イグドラシル」を移植され、仮死状態であったが復活。

 その後は大人顔負けの力を発揮するため、とある格闘系の同業者に弟子入り

していた。

 その為か、武術に置いてはルクス以上である。

 ヘイズに操られた後はルクスにデュエルを申し付けるもあと1歩のところで

敗北。

 その際に「№108」によって『イグドラシル」の種子が破壊され、

その後遺症かどうか分からないが髪がピンクから白に変わった。

 使用デッキは「サイバー・ダーク」を中心にしてるが今回を期に

新たなサイバーデッキを構築中である。

 所有№  34

 

 

 

 

 

 

 

 

 切姫 夜架

 原作とは違いもう一つの能力を持った少女

 精霊使いである事以外は謎の少女。

 神装機竜を保有しているようであるが謎である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 レリィ・アイングラム

 フィルフィの姉にしてアカデミーの校長

 自由奔放に見えがちであるがその実、あらゆる策謀を見極められる才能を

持っている。

 フィルフィのためならどんな危険をもこなす程の妹思い。

 それとは逆にルクスを玩具の様に色々と面白い事を考える女性であるが・・・

最後にはルクスかアイリによってボコられるが・・・・ルクスに対しては

ドMな所がある様子である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 クランリーゼ

 第6遺跡でカイトが保護したアンドロイド

 体の幾つかは機竜のパーツで代用されているがカイトのプログラミングの

おかげで体を動かすことにそう苦を感じない。

 一応デュエリストであるのだがデッキ内容は未だ不明。

 

 

 

 

 

 

 ラ・クルシュ

 第3遺跡で発見されたアンドロイド

 いつも一言が多く、よくクランリーゼにボコられる。

 ヘイズによって操られ、最深層に連れて行くという役目を全うした。

 全てが終わった後は遺跡から出て行かされ、リーズシャルテに頼んで

現在はアカデミーに在籍している。

 

 

 

 

 

 

 

 アイリ・アーカディア

 ルクスの妹であり、怒るとよくスタンドを出す少女。

 スタンドは某蠍座の拳法を使う男性。

 最初2年は雑用として働いていた。

 遺跡の解読を任されており、文官としては最高の人材である。

 最近ではある男性が気になっている様子。

 

 

 

 

 

 

 

 九重 透流

 「アブソリュート・デュオ」の主人公であると同時に本作品のサブ主人公的

立ち位置。

 妹であり故人でもある音羽と共にこの世界にやってきた。

 この世界についての常識や機竜の操縦については未だ四苦八苦の様子。

 「№ 39」を保有しておりよく助けられる。

 「シヴァレス」の予備団員として働いており、熱心に頑張っている。

 アイリやノクトから色々と教えてもらっている。

 

 

 

 

 

 

 

 シャリス・ティルファー・ノクト

 三人揃って「トライアド」と呼ばれるほど仲が良く、家関係でも仲がいい。

 シャリスは騎士の家系であるが悪戯好きであるためよくルクスやアイリに

ボコられる。

 ティルファーは実家が装飾関係であるため他の貴族とも面識を

持っているだけではなくルクスの雑用のタイムテーブルを作ってくれる見た目は

普通の年頃の女の子であるが実は頑張り屋。

 ノクトは代々から従者の家系であり現在はシャリスに仕えている。

 ルクスに対してはよく毒舌吐いてはルクスの心をしれっと壊すことが得意。

 最近は透流と一緒にいることに安らぎを感じることがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラフィ女王

 リーズシャルテの叔母であり、女王代理。

 原作とは違い、他の4大貴族に対してもリーダーシップを発揮するだけでは

なく、謀略すら行える人間。

 リーズシャルテを実の娘の様に思っている。

 宰相のナルフを使って色々と策略を敷いており、最近ではラルグリス家の当主を丸め込ませた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 サニア・レミスト

 セリスティアのクラスメイトであったが実際はヘイブルグ共和国の

スパイであると同時に嘗てセリスティアと同じくウェイドを師と憧れていた一人。

 ウェイドの事がきっかけとなった死刑に家族の父親も含まれており、

国外脱出するもその道中で母親を失い、売春婦で働いた。

 ヘイズとの取引で学園に潜入し、復讐の機会を待った。

 ルクスに対してもセリスティアと同じ方法でやっていた辺り、性格の根は

同じなのであろう。

 神装機竜は「スパイダー・シャーク」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヘイズ

 ヘイブルグ共和国の軍師であると同時に武器商人。

 策略や謀略を得意とし、商人としての性質かどうかわからないが自身が

特になることならどんな苦労も厭わない。

 その反面相手を下に見るためルクスの真の目的にすら気づかなかった。

 その為『イグドラシル・マシュ・マック』が倒された後ルクスによって

顔に口から目にかけて横一文字の傷が出来た。

 

 

 

 

 

 

 フギル

 ルクスの兄にして革命の際に皇帝を殺した男。

 その真意は分からないがルクスに対しては助言をしたり他人がいれば

自慢するくらいにルクスを気に入っている。

 ある人間に対して思い入れがある。

 ルクスが『グランフォース・コア」で呼び出した少女に対して何やら

知っているような雰囲気を醸し出している。




 次は・・・オリカと機竜かな?


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オリ機竜とオリカ。第4章迄

 これまで紹介された機竜とカードです。


オリ機竜

 本作オリジナルの機竜。

 その性能はピンキリであるが№クラスともなればその性能は計り知れない。

 ルクス編

 決闘機竜「フォース・トリニクス」

 見た目は原作版のルクスが良く使う「ワイバーン」と同じ。

 種類(飛翔機竜)

 この機竜はルクスがこの世界に帰ってきた時に一緒に現れた機体。

 他とは違い探索(レーダー)を持っている希少型でありルクス以外には反応すら

しない機竜である。 

 武装は西洋剣と大型の盾とそれに内蔵されている機竜息銃だけであるが守れば守るほど強くなれるよいうこともあり長期戦に適した機体である。

 決闘機龍『ライズ・ワイバーン』

 『フォース・トリニクス』から姿かたちが変わった機竜。

 リーズシャルテの改修(魔改造)による武装と自身の装甲が外れたことで進化した姿。

 高機動性であるワイバーンの中でもダントツに速く最大スピードは通常の機竜の8倍に想定されており余りの速さに相手が斬られても気が付かないという現象が生まれる。

 またソニックブームによる衝撃波を作ることも出来る。

 

 武装  大型ブレード*1

     機竜息銃*1

     キャノン砲*2

  神装機竜≪ギャラクシーアイズ≫

 種類 飛行型

 この機体はカイトの≪ギャラクシーアイズ≫が大本となっている。

 ≪ライズ・ワイバーン≫と同じように進化する可能性を持った機竜。

 見た目は正に星のように青く輝き一度見れば心を奪われること間違いないからだ。

 神装≪光子剥奪(フォトン・ディプリペーション)≫

 ≪アジ・ダカーハ≫と同じくエネルギーを吸収することが出来、神装のエネルギーを

吸収することで機体の出力に変換することが出来る。

 またたった一回だが神装を解き放つことと引き換えにその能力を使うことが出来る。

 武器  ≪パラディン≫  機竜本体のエネルギーを吸収することが出来る。

     ≪ギャラクシー≫ 特殊武装又は、放出されたエネルギーを

吸収することが出来る。

  第二神装『光子再現(フォトン・リプロディクション)』

 ルクスの機竜《ギャラクシーアイズ》が保有する第二神装

 その能力はこの機体でこれまで戦った神装機竜の情報データを融合し、

新たに作り変えることが出来るのだがそれには1つ条件がある。

 条件はたった1つ。

 自身が一度やられることである。

 これにより第二神装が解放されるのだが一度やれば二度と同じ姿を

再現できなくなるためまさに奥の手としては巨大な力である。

 神装機竜《スパイダー・シャーク》

 種類 特装機竜

 見た目は「機動戦士クロスボーンガンダム」に出てくるクロスボーンガンダムと「機動戦士ガンダム00」に出てくるスローネアインを足した感じ。

 本機の特徴はオールレンジでの攻撃が主目的となっており主に強硬偵察や暗殺に

秀でた能力を持っている。

 神装《リベンジ・アップ》

 一度機竜のシステムが停止すると他の機竜のパーツを取り込んで

もう一度戦うことが出来るがそれをするともう一度倒されると使えなくなる。

 武装

    《ディープファング》

    蛇腹剣上の武器

    主に近中距離用の武器である。

    《コアディグレーション》

    肩とブレスガンに装備されている。

    着弾した箇所が凝固するため行動停止に追い込むことが出来る

    《ブラッドテイル》

    肩部に搭載されている有線兵器

    ドラグライドの意志によって動くためリーズシャルテの《ティアマト》が持つ《レギオン》よりも行動範囲は狭いがその分相手を締め上げることが出来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 オリカ

 本作のオリジナルカードであるため実際には存在しません。

 モンスター編

 CX「アビス・リベレイター・カオス・エクシーズ・ドラゴン」

 ATK 2800  DEF 2500

 レベル5の闇属性モンスター×3

 このカードが「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」を使って

エクシーズ召喚した時デッキから攻撃力1000以下のモンスターカードを墓地に

送る事で除外されているモンスターカードを可能な限りこのカードの下に

エクシーズ素材としておくことが出来る。

 相手フィールド上に存在するエクシーズモンスター全てを選択しその分

エクシーズ素材を取り除くことでそのエクシーズモンスターの下にある

モンスターカードを可能な限り自分フィールド上に特殊召喚出来る。

 (魔法、罠カードだった場合墓地に送られる。)

 この効果で特殊召喚されたモンスターの攻撃力分対象のモンスターの攻撃力を

下げる。

 この効果で攻撃力が0になったモンスターの効果を無効にしてその効果を自分の

エンドフェイズ迄得る。

 (元々の攻撃力が0だった場合対象にならない。)

 『№108魔道蒼炎竜 ダークブレイズ・ドラゴン』

 レベル8モンスター*2

 炎属性 ドラゴン族

 このカードはエクシーズ素材を一つ取り除くことで発動できる。

 相手モンスターを1体選んで破壊し、その効果を得る。

 この時発動コストは払わなくてよい。

 『C№62 超銀河眼の光子竜皇(ネオ・ギャラクシーアイズ・プライム・

フォトンドラゴン』

 レベル9モンスター3体以上

 ATK 4500  DEF  3000

 このカードはエクシーズ素材に『銀河眼の光子竜皇

(ギャラクシーアイズ・プライムフォトンドラゴン)』がある時、

相手モンスター全てのモンスター効果を無効にし、相手フィールド上にいる

エクシーズモンスター全てのエクシーズ素材をこのモンスターに与える。

 エクシーズ素材を1つ取り除くことで相手、又は自分の墓地にいるモンスターを装備カード扱いで装備し、攻撃力と効果を得る。

 魔法カード編

 RUM「ドラゴン・フォース」 通常魔法

 自分フィールド上のエクシーズ・モンスターを対象に発動することが出来る。

 選択したモンスターと同じ種族でランクが一つ高い「CX(カオス・エクシーズ)」と

名の付いたモンスターを選択したモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いで

特殊召喚できる。

 このカードはエクシーズ召喚したモンスターのエクシーズ素材にできる。

 このカードがエクシーズ素材として存在する限りエンドフェイズ迄「フィールド上のカード効果の対象にならない」を得る。

 速攻魔法カード  「バトルチェンジ」

 このカードは自分フィールド上のモンスターが攻撃対象になった時発動できる。

 自分フィールド上のモンスター一体を選択しそれ以外のモンスターの効果を

無効にし、バトルを放棄することと引き換えに自分フィールド上の全てのモンスターの攻撃力の合計分をそのモンスターに加えることが出来る。

 「クローン・ミラージュ」 通常魔法

 このカードが発動された時、フィールドにいるレベル4以下のモンスターを

1体選択し、デッキから可能な限り特殊召喚できる。

 この時特殊召喚されたモンスターの攻撃力は0となる。

 この効果で特殊召喚されたモンスターはエンドフェイズ時に墓地に送られる。

 永続魔法カード『モンスター・ミラー』

 このカードは自分フィールド上にいるモンスターとして扱いモンスターゾーンにセット出来る。

 対象になったモンスターがフィールドから離れた時、このカードは除外される。

 魔法カード『エクシーズ・パートナー・コール』

 手札を1枚墓地に送ることで墓地に存在するエクシーズ・モンスターをEXデッキに戻してデッキから同じ種族のモンスターを召喚条件を無視して

特殊召喚出来る。

 魔法カード『ヒーローチャンス』 

 墓地に存在する『HERO』モンスターを可能な限り除外することで

除外したカード-1だけドローできる。

 魔法カード『異次元融合』

 除外されているモンスターを任意の数までデッキに戻して、

融合召喚出来る。

 罠カード編

 罠カード  パラレル・エクシーズ

 このカードは自分フィールド上に存在するエクシーズモンスター一体を対象にする。

 対象のモンスターが攻撃対象になった時、このカードと対象になった

エクシーズモンスターでエクシーズ召喚できる。

 この時このカードは特殊召喚されたエクシーズモンスターの下に重ねることが

出来る。

 罠カード「ミラー・バトル」

 このカードは相手プレイヤーがダイレクトアタック宣言時に発動できる。

 このカードが発動した時、ダイレクトアタックしてきたモンスターと同じレベルのモンスターを特殊召喚できる

 罠カード 「ヒーローソウルバリア」

 このカードが発動された時にフィールドのモンスター1体をリリースすることで

そのモンスターと同じ属性のモンスターにそのリリースしたモンスターの元々の

攻撃力分アップすることが出来る。

 墓地のこのカードと『HERO』モンスターを除外することでダイレクトアタック

宣言時に発動できる。

 相手モンスターの攻撃力分を除外したモンスターの元々の攻撃力分ダウンする。

 この効果で0になった時、除外したモンスターと同じ属性のモンスターを

デッキから特殊召喚出来る。

 




 また暫く休載します。


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第5章来襲!帝国の凶刃と復讐軍師!! 紅蓮に舞う戦場!!!
少女現る。


 約3年ぶりの再開です。


 嘗て一人の少女が古都国にいた。

 その少女は5歳で・・・人を殺めたのだ。

 相手は側室が雇った暗殺者であったが黒衣の男が保有する刃を交わしたどころかたった1本の竹串を使ってその喉に突き刺して絶命させた。

 それからと言う物幾人もの人間を殺してさらに顕著になったのが・・・

光精霊『天照』と契約を交わした後であった。

 『天照』の能力は幻術その最も驚異的な力・・・対象の写し身であった。

 内容次第では相手の会話や居場所を特定することが出来ると言う優れた力であり

これによって暗殺を見破れるのだ。

 然し彼女の父親・・・国王は恐怖しながらこう言ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 『お前には・・・人の心などない‼』

 その時の怯え交じりの表情に対して彼女は只・・・くすりと微笑むその存在に

対して父王は彼女に戦闘の特訓をさせたのだが・・・花咲かせてしまって9歳にテ

兵役指南役から免許皆伝を授かった彼女はとある別名を貰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『切姫』と言う忌み名を。

 そしてその二年後古都国が帝国から侵略を受けた際に『切姫』は皇帝と

一つの契約と忠誠の誓いを受けたことから帝国の旗下に加わった・・・

それは例え帝国が崩壊したとしてもだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ん・・・んん・・・。」

 病院の部屋の中でルクスは何かが乗っかっていることに気づいて眠気眼の中目を開けるとそこで目にしたのは・・・上半身裸の少女が目に見えた。

 「(ええと・・・ああこれ夢か。)

 何ていう夢なんだと半分夢の中でその少女を見ていた、

 長い黒髪。

 精巧な銀細工を連想させる均整の取れた肢体に綺麗な形を保ったまま揺れる胸。

 そして何よりも・・・色の異なる瞳が印象的だったことにもう一度寝よと

思いながら・・・・こう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「嫌なんでやねん!?」

 ルクスは先ほどの光景に対して大声でそう言って起きる中で・・・

ルクスはこう呟いた。

 「あれって・・・夢なのか・・・最悪だ・・・どんだけ変態だって言うか

出るんなら璃緒出してくれても良いじゃないか本当に。」

 そう呟きながら寝る中でその時いた少女は・・・部屋の外から出てこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 「だいぶお疲れのようですわね、今宵は主様の御身を確認できただけで

満足いたしましたが楽しみですわね・・・必ず私の手でアーカディア帝国を

取り戻して御覧に致しますわ・・・我が主にして魔王様。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして次の日の朝。

 「ルクスさん、お見舞いに来ました。」

 「兄さん、ちゃんとお医者さんの言う事聞いてましたか?」

 「透流お見舞いありがとうって言うかアイリ、君には兄に対する

優しさとかないのかい?」

 泣いちゃいそうだよとそう言いながらベッドの上で大人しくしているとアイリはルクスに向けて幾つか報告をまとめた。

 「其れではまずは兄さんが見つけた第二神装なんですが解除条件が兄さんの

やり方ではまあぶっちゃけた話納得できないので他にも出来る人達が出るまでは

当面は秘匿案件となりました。」

 「何で!?」

 「兄さんのやり方が根性論レベルですので正直な話信用できないので

それにおける弊害です。」

 「最悪じゃん!?」

 僕って何なのさとルクスは抗議するかのようにそう言うがアイリは

こう言い放った。

 「まあ兄さんの根性論何て今更始まった訳ではないですので次の話に

移しましょ。」

 「嫌マテヤ!?」

 ルクスはもう少しないのと言うが何もないと瞬時に応えてこう続けた。

 「現在兄さんが『ラグナ・バハムート』を使って戦うに必要な時間は

ざっと12分が最大の稼動限界時間ですのでそれ以上になる前に棄権するか

『ライズ・ワイバーン』で戦うかのどちらかになります。」

 「ああ・・・もしかして『オーバーリミット』使っちゃったから?」

 ルクスは少し怖れ交じりでそう聞くとアイリはええそうですよと言って

こう続けた。

 「本来でしたら兄さんは全竜戦に参加など出来るはずがないのですが

女王陛下からの命令ですので仕方ありませんので悪しからず。」

 そう言うと今度は心配事の件を話した。

 「今の兄さんには只でさえ問題が山済みなんですよ?」

 「ああ・・・ヘイズと兄さんと・・・あの子?」

 そう言って遺跡で見つけた例の少女の事を言うとアイリはこう続けた。

 「ええ、イセリアちゃんはちゃんと言いつけ守っていますよ。結構大食いな所は見受けられますが今は学園で面倒見ています、今日は確かシャリスさんと一緒に

特訓の見学を見ている頃合いでしょうね。」

 そう言うと立ち上がってこう言った。

 「それでは医者からの話ですと後2日で退院ですからそれまでちゃんと

大人しくしているんですよ!」

 良いですねと言うとアイリは透流の手を掴んで其の儘どっかに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「全竜戦か・・・勝てばその分遺跡の調査権が手に入るからそれを利用して

今度こそは遺跡のアビスを造る機能を停止させなきゃいけないし・・・

№についてだって只でさえ問題が積み重なっているから・・・勝たないとなあ。」

 ルクスはそう言いながらデッキケースを眺めていた。

 新たに造った『HERO』ともう一つの・・・嘗て自分が使っていた

デッキの再構築で出来上がったデッキを見てルクスはこう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「勝つんだ・・・絶対に。」




 次回は退院。


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補修

 無断欠席者は・・・補修だーーーーー!!


 そして2日後、やっとのことで医務室から出ることが出来たルクスは学園の教室に足を踏み入れることが出来たのだがその間に溜った課題とを片付けなければ

ならないがためにライグリィ教官の下で補習授業を受けなければならないため

現在勉強中である。

 そしてそんな中でルクスの雑用管理受付窓口となっているティルファーが

現れたのだ。

 「ちゃーっす!ルクッチ完治おめでとー!!」

 そう言って現れるとルクスはティルファーに向けてこう聞いた。

 「久しぶりって言うかよくお見舞いに来てくれたね、ありがとうティルファー。」

 「良いよ良いよルクッチ!あの演習で助けてくれた恩があるしって言うか・・・

結局の所さ、その刺青って何なの?」

 ティルファーはそう言ってルクスの右腕に目線を向けるとルクスはこう答えた。

 「うん、何ともないよ。一体如何やったらこうなったのか全く

理解できないけどね。」

 「そうなんだってそれとさ、あの女の子は今何してるの?」

 「イセリアって言ってね、今は確かラ・クルシェ達と一緒にアトリエで

書類整理しているよ。」

 そう答えたのだ、イセリア・シーウオードと言う名前の少女は

現在ラ・クルシェ達と共にリーズシャルテが考案しているぱそこんの解析で

手に入れた技術の解析資料の整理に追われているのだ。

 それとだが彼女はどうも大食いらしく結構食べるらしい。

 「そんじゃあルクッチには幾つか報告があるからどこら辺が良い?」

 そう聞くとルクスは暫くしてこう答えた。

 「じゃあなるべく身近な物からお願い。」

 「了解、えっとねえ・・・先ずはハイこれね。」

 そう言って出してきたのは・・・どん!と言う程大量にある紙束であった。

 「え・・・ナニコレ?」

 ルクスがそう聞くとティルファーはこう答えた。

 「ああこれ、ルクッチがいない間に溜っていた依頼書。一応怪我と体力を考慮して三分の一まで減らした奴だから宜しくねえ。」

 「こんなんんで減らしたの!?」

 「そうだよ~~、本当は今は13枚だけど其れまでは大体40枚近くは

あったんだから。」

 「40って・・・これよく見たら一枚について10人くらいあるんだけど!?」

 「え?もしかしてフルの方が良いの??だったら最初に良いってよルクッチ。

今から持って」

 「いや待って!これで充分だから本当に!!(これ以上増えたら間違いなく

過労死間違いなしルートだよ!!)」

 最悪なブラック企業じゃねえかと思いながらルクス歯取敢えずの所は

これで充分だと言う事を鬼気迫る表情で言うのを見てティルファーはこう

思っていた。

 「(う~~ん、これじゃあちょっとしたジョークで『実は私の胸囲が

最近ちょっと増えたんだよねえ♪』何て言ったら・・・間違いなく

コロコロされそうだからいわないどこ。)」

 賢明な判断をしていたティルファーはまあ良いと言ってあと一つ告げた。

 「それじゃあもう一つはこれがメインなんだけど・・・ルクッチって

確かここに来る前にはトーナメントで『最弱無敗』って呼ばれてたよね?」

 「うんまあそうだけどそう云やあバルゼリットが死んだからランクが

一つ変わったんだったよね。」

 「そうそう、その中でもトップランクの10・・・いや9人なんだけどルクッチ知ってるよね?」

 「うんまあね・・・バルゼリットととの戦いの後偶に会った時には

模擬戦して欲しいってお願いされまくってたよ。」

 まあ良いバイトだったけどねとそれを聞いてへええと・・・ティルファーは

人外見るような目でルクスを見ているとルクスはこうも聞いた。

 「何かあったの?どっちかが死んだとかトーナメント相手同士で結婚報告して

寿引退したとか?」

 「いや違うからねって最初それ思いつくって怖って言うか

後半ライグリィ教官聞いたら怒るよ本当に!!」

 怖いんだからそう言う話するととティルファーが慌てて云うので

ああそうなんだと黙っておこうと決めたルクスであった。

 そして一呼吸おいてティルファーはこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「一位から新しく10位になったドラグナイト全員がその日のうちに連戦で

全滅したんだよ一人の女の子に。」

 「・・・・・ハアアアアアアアアア!?」

 嘘だろとルクスはそう思っていたが無理もない、トップランクで然も

全員がエクスクラスと言う精鋭集団がたった一人の女の子にやられたなど

聞いただけでもお伽噺レベルかよと思っているとティルファーはこう続けた。

 「私もそれ聞いて最初は信じられなかったけど間違いないらしいよ、特徴も全員言っていることが合ってるからね。黒髪の滅茶苦茶美人な子で

異国風の黒い服着てて左右の眼の色が違うって皆が言っててね、

特に1位から3位なんてプライドズタズタにされたからね。

ドラグナイトとしての資格を自分で放棄したんだって。」

 怖いよねえと言っているとルクスはあれと思っていた、何せその特徴が全部・・夢に出ていた女の子と合致しているからだ。

 これは怪しいぞと思ってルクスは授業が始まる中でこう思っていた。

 「(後でラ・クルシェ達にこの事聞いてもっと詳細な情報を

探させないとな。)」

 そう思いながら次の授業の準備を始めた。




 次回は・・・多分あの子と会う。


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少女との出会い

 出会っちまった。


 そしてルクスは補修を終わらせて出ると目の前に・・・白髪の少女、フィルフィが目の前に立っていた。

 「あ、ルーちゃん。迎えに来たヨ。」

 「あ、フィーちゃんって・・・何で来たの?」

 「ルーちゃんのお世話。」

 「いやもう退院したわって言うか結構な頻度で来てなかったっけ!?」

 「嫌だ、もっとお世話する。」

 「まさかの願望!?」

 №の影響とかじゃないよねと言っているとフィルフィは腰に付けてあった

デュエルディスクを見せるとこう答えた。

 「大丈夫、№の影響はないよ。」

 それを聞いて素かよと言いながらこう答えた。

 「それじゃあご飯一緒に食べる?どうせまだ食べてないんでしょ?」

 「それじゃあ・・・一緒に食べよ。」

 フィルフィがルクスに向けてそう答えて一緒に向かっているのを・・・

近くの柱の影から見ている面々がいた。

 一人は透流、そしてもう一人が・・・ノクトであった。

 「あの中に入るのかノクト?」

 「YES、アイリから確保を依頼されていますのですが先ずは

様子見をしておきましょう。」

 「え?誘わないんですか??」

 「NO、アイングラム先輩はルクスさんとお食事する気なんですから

ここは彼女の願いを聞いて上げるのが宜しいかと。」

 「でしたら速めに行きましょうよ!例の確か・・・」

 透流がそう言っている間にルクスが何かを見つけたかのように見ているので何だと思って見て見るとその視線の先にいたのは・・・露出の高い

黒の着物らしき衣装を身に纏った小柄な少女がそこに立っていた。

 腰まで伸びた艶やかな黒髪と両目で色の違う瞳、右は鮮やかな海の様な青と

左は呪われた宝石を彷彿させる魔性の紫。

 そして最後にその見た目と同時に肌の色は日本人特有の肌色だった。

 白人系が殆どのこの学園に何故とそう思っている中でその少女はルクスに向けて蠱惑的で強い親愛の熱を込めた目つきと微かに上記して頬を染めたその笑顔に

ルクスは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「!!」

 身の毛もよだつほどの嫌な予感がするナニカ感じてルクスはこう思っていた。

 「(何だあの子のこの気配!人間じゃないナニカと相まみえた・・・

まるで『ブラック・ミスト』と初めて相まった時と同じ感じだ。)」

 そう思っているとフィルフィも何かを感じたであろう拳を構えているとルクスはティルファーが言っていた王都のトーナメント戦で一位から十位までの面々を全員倒した敵と同じ見た目だと確信すると柱の影からノクトと透流が現れるとノクトがルクスに向けてこう言った。

 「ルクスさん逃げて下さい、この人はアイリから報告があった

『帝国の凶刃』と呼ばれた人だと思われます。」

 「『帝国の凶刃』・・・・!!」

 ルクスはそれを聞いてまさか彼女なのかと思っているとその少女は

ノクトの前に出ると少女は・・・こう呟いた。

 ー光り輝く鋼の眷属にして世界を映す法の番人よ!

 -いまこそ血の契約に従い、我が下に馳せ参じ給え!

 「何だ?」

 「・・・・聞いたことない。」

 「何語でしょうか?」

 「初めて聞いた。」

 ルクス達がそう言っているが当たり前だ、何せこれを知っているのは・・・

精霊使いだけでしか知らないのだから。

 そして左腕から何かの紋様と同時に現わしたのは・・・鏡であった。

 「ゥフフフ。」

 少女はそう言いながら鏡を見せると同時に少女が姿を・・・消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「「「!!!!」」」」

 それを見て全員が驚いていると・・・何かを感じて透流はノクトを・・・

押し倒したのだ。

 「?!」

 それをノクトは珍しく「ふぇ////」と赤面しながら何故と思っていると

透流の肩口から・・・ぶしゃっと血が噴き出したのだ。

 「あが・・・!」

 「透流!!」

 ルクスはそれを見て目を大きく見開いて驚いていると何処からか・・・

声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーあらあらよく避けられましたね、感心ですわ。

 「!一体何処から!?」

 ー本来でしたら動けなくなるくらいの攻撃を与えようとしましたが

この王国も中々捨てたものではありませんわね。

 そう言っていると少女が姿を見せたのだ。

 「ゥフフフ、精霊魔術『透過』に『天照』の光魔法で作り上げた

『迷彩』のお味は如何でございますか?」

 「精霊・・・魔法・・・・!?」

 透流はそれを聞いて初めて聞いたぞと思っているとノクトがこう言った。

 「NO、そんな技術聞いたことがありません!精霊等存在するはずが」

 「ないと言うのであれば№はどうでしょうか?」

 「「「「!!!!」」」」

 其れすらも聞いているのかとルクス達はそう思っていると少女は

ルクスに向けて・・・すっと跪いて恭しく頭を下げてルクスに向けてこう言った。

 「お初めまして主様、貴方がアーカディア帝国の正当なる後継者

『ルクス・アーカディア』殿下ですわね?」

 「・・・元だよ、今はこのアディスマータ新王国で労働している

雑用王子でしかないよ。」

 ルクスはアーカディア帝国時代の嫌な記憶を思い出していると少女はにこやかにこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「お会いできる日を楽しみにしておりましたわ主様、私の名は『切姫 夜架』。嘗ては『帝国の凶刃』と呼ばれたアーカディア帝国のドラグナイトにして古都国の精霊使いですわ。」

 「精霊使い?」

 ルクスがそう呟くとそう言うと少女『切姫 夜架』はルクスに向けて

こう続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 「これから宜しくお願いいたしますわ・・・嘗てこの世界を混沌に陥れた我が『魔王スライマン』の後継者様。」

 その言葉に全員が眼を点にしているがこれが・・・ある意味必然であった。

 機竜と精霊との関係性、そして何よりもルクスと・・・現在ブレイドダンスに

出場している『カゼハヤ・カミト』との関係が始まるとは思ってもみなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 内容には拙作の話『精霊使いの装甲機竜』と同期しております。


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夜架との語り

 会話です。


 「『魔王スライマン』って・・・ちょっと待って話が追い付かないんだけど。」

 「あら?主様は既に精霊と契約を交わしておられますわ。」

 夜架がそう言ってルクスの右腕に目を向けるとルクスは黒の手袋を取って見せる

その紋様の事かと思ってこう聞いた。

 「君は何を知っているんだい?精霊の事とか君が何故アーカディア帝国と

言うのか??そして君が僕を殺さない事についても聞きたいんだけど。」

 ルクスがそう聞くと夜架はにこにこしながらこう答えた。

 「構いませんがここでは少し人が多くそれに・・・私は貴方の道具、

どのようなご命令であっても実行致しますわ、暗殺雑用そして・・・主様の

欲望の捌け口に使っていただいても」

 「はい君最後のその言葉何で大来で言うのかなあ!!」

 ルクスは最後の言葉を聞いて何言ってんだこの子はと思いながらこうも聞いた。

 「其れでだけど君」

 「夜架でございますわ主様。」

 「夜架・・・王都のトーナメント全戦全勝したのは君でいいんだよね?」

 ルクスがそう聞くと夜架は・・・微かに微笑んでこう答えた。

 「はい、主様にご挨拶売る前にちょっと箔を付けようと思いまして

実力の一端をお見せした次第でございますが・・・・

ですがあれは大失敗でしたわ。」

 「大失敗?全戦全勝したくせに?」

 ルクスがそう聞くと夜架は・・・頬を赤く染めてこう答えた。

 「あまりにも弱すぎるんですもの、あんなのを何人倒したところで

何の自慢にもなりませんでしたわ。」

 「ハイハイそれ絶対当人たちの目の前で言うなよ!プライドが

『破滅のバーストストリーム』宜しく消滅するからね!!」

 とんでもねえよこの子とルクスはそう思いながらどないしよと

考えていると・・・男の声が聞こえた。

 「そこの侵入者!動くな!!」

 そう言って数名が槍を夜架に対して構えると夜架は『天照』を構えて

こう言った。

 「主様、如何か私のご命令を・・・『ここに居る邪魔者共を排除しろ』と。」

 「言うかドアホが!取敢えずは聞きたいことはこっちの時間が出来てから

聞くからそれまでの間は彼らを傷つけずにここから離れてくれるかな

いやマジで!!」

 ルクスがそう言うと夜架は緩やかな・・・まるで遊びに行ってくると言って

出て行く子供の様な動きで走りながら・・・姿を消した。

 「消えたぞ!早急に探しだぜ!」

 衛兵がそう言って散って行くのを見てからルクスは倒れている透流に向けて

こう聞いた。

 「大丈夫か透流!?」

 「あ・・・はい、何とか。」

 「どうして私を・・・!!」

 ノクトがそう聞くと透流は・・・痛いのにも関わらず笑顔でこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「だって・・・ノクトが傷つくの・・・嫌だからさ。」

 「////////!!」

 それを聞いてノクトが赤面すると透流はこう聞いた。

 「あの・・・何か・・・顔紅い・・・ですけど」

 「NO大丈夫ですから速く医務室に!!」

 ではと言ってノクトは透流と共に去って行くのを見て・・・ルクスは

こう思っていた。

 「(透流・・・アイリだけじゃなくてノクト迄・・・よしいけノクト!

その儘透流を押し倒しちまえ!!)」

 下種な事考えているなあと思ってしまうだろうが完全シスコンだぞお前。

 「黙れ作者!」

 だから地の分読むな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあこれで終わったかなと思いきや・・・そうは問屋が降ろさなかった。

 「考えが・・・甘かった。」

 ルクスはこう机の上で顔を突っ伏しながら教室の中で悩んでいた。

 その理由が・・・これであった。

 「主様、今なされているのはなんですの?変わったお仕事ですわね。」

 「ああこれね、これは仕事じゃなくて今使っている機竜の出力の調整における

運動性の算出してるんだよって言うかさ・・・何で君ここに居るの!?

取敢えずで良いから教室から出てってくれない!!」

 ルクスはそう言って目の前にいる・・・衛兵達から逃げおおせたであろう

夜架に向けてそう言うと夜架はこう答えた。

 「主様は神経質ですのね、私の事など空気と思って頂ければ結構ですわ。」

 「無理だわって言うか僕だけじゃなくてクラス全員がって言うかその前に

如何やってここまで来れたん!?」

 そう聞くと夜架はこう答えた。

 「主様、いずれ貴方様はこの国を取り戻す存在。その暁には

あの衛兵達全員をクビした方が宜しいですわ、あまりにも

無能すぎるんですから。」

 「いやあっちにも家族がいるからってお前が強すぎるからだろうが!!」

 そう言いながらも夜架はルクスの隣にぴったりといるがために隣にいる

フィルフィは夜架に向けてじーーーと見ているのでルクスは居心地悪く感じたのでリーズシャルテとクルルシファーに助けを求めようと視線を向けるが

当人たちはこう返した。

 リーズシャルテの場合

 ・・・悪い無理だ。

 済まんと両手を合わせて謝罪するかのようにしていた。

 クルルシファーの場合

 ・・・頑張って(笑)

 クスクスと顔をそっぽ向きながら笑っているのを見てルクスはこう思っていた。

 「(あ・・・殺意ってこう言う時に沸くんだな。)」

 脳内でルクスは濁った眼で何故か黒い星を出し乍ら包丁を持って

そう思っていた。

 然も授業が終わってからも他の女生徒達から夜架についての質問があったので

余計に疲れたとルクスは思っていたがこれが未だ序の口とは・・・

まだ知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃透流はと言うと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あの・・・ご飯くらい一人で大丈夫ですけど?」

 「NO、腕をやられましたし私を守ってくれましたのでそのお礼としてです。」

 「だからってメイド服着てやる事ですか!?」

 「これが本業何です私の。」

 「嘘だろ!?」

 透流はそれを聞いて驚いるがその後もノクトからの献身的な介護は続いた。

 そしてアイリはと言うと・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「へえ・・・兄さん呼んでと頼んでそして透流と2人っきり・・・

後でOHANASHIですよノクト?」

 (´∀`*)ウフフと黒い笑みを浮かべながら漆黒のオーラを放つアイリが

教室にいた。




 そして・・・更に心労が増える。


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お疲れ。

 何でこうも疲れることが起きるんだ?


「今日の労働・・・普段の3倍くらい疲れた気がする・・・!!」

 ルクスはそう言いながら今日の事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 「主様、お手伝いを致しますわ。」

 「お手伝いって・・・まあ手が多くなるのは良い事だけどね。」

 夜架の提案に対してルクスはそう言っていたが・・・コレガ後悔の始まりで

あった。

 草刈り

 「私、刃物の扱いには慣れておりますわ。」

 「うわあ速いねえって言うかソードデバイスで斬っちゃダメでしょって!!」

 勿体ないから鎌の方を使えとなんか間違った り方をしてしまったり・・・。

 

 

 

 水撒き

 「私、見かけによらず力はありますのよ。」

 「へえ、桶ごとでってダイナミックエントリーするんじゃねえ!やるんなら如雨露使え如雨露を!!」

 そう言って如雨露を使わそうと四苦八苦。

 

 

 

 

 書類整理

 「私、必要のない物を処分するのは得意ですの。」

 「わああ、滅茶苦茶燃えてるってちゃんと分別しろよ!!後燃やすんなら

近所で貰ったジャガイモとかがあるから鉄網敷いてから燃やせ!!」

 節約に良いんだぞと言いながらちゃっかりと肉迄拵えてから焼き肉したり・・・

 

 

 

 

 

 

 番外編

 焼き肉

 「主様、こちら焼きあがりましたのでどうぞ。」

 「うんありがとう。」

 「アアアアアアアアアアアアアアア!ルクッチ焼き肉してる

アタシらも混ぜてーーーーー!!」

 「あらあら・・・死にたいですか貴方?」トングを喉元に突き刺す手前

 「ヒィイイイイイイイイイ!」

 「止めなさい夜架!ティルファー、そっちに飯盒あるからそっから

ご飯取って良いよ~~。」

 「ありがとうルクッチ~~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・・・うん、疲れたな。」

 最後はリフレッシュに丁度良かったけどねと現実逃避している中でルクスは

虫の鳴き声の中寮母の許可を貰って今夜は女子寮の大浴場にへと向かって行った。

 何時もならば裏にある五右衛門風呂で使っているのだが今回は・・・

女子が何人かに分けて外で使う事となったので代わりと言う事でこうなったのだ。

 オーバーリミットを使用して以降は水で濡らしたタオルを使ってラ・クルシェが背中を拭いてくれる程度であったが夏である事から矢張り汗を掻くので

風呂に入りたいのだ。

 そして大浴場に入って軽く湯あみしてから湯船に浸かった。

 「はああ~~極楽極楽。」

 そう言いながら夜架の事を考えていた。

 「はあ、全くある意味疲労増幅対象だよ彼女。マジで何とかしないとッて言うか社会性と生活力が透流どころか明里以下と言う最悪以前だなと思いながら

(当人が聞いたら間違いなくボコボコ)裁縫は何とかなるから

そっち専門でやらすかとしてと思いながら夜架の目的を考えていた。

 「夜架の目的が『アーカディア帝国』の復興だったら反乱軍に

入ってもいいくせに何でこっち側何だって海外に逃げた屑兄貴共にしろよって、

それ以前に情報量多くない?精霊とかああもう悩むだけ無駄!!明日になって

考えれば良いんだから!!」

 かっとピングだ僕!と言いながら取敢えず体洗おうと思って洗い場に行って体を洗っていると背中の辺りで・・・石鹼で泡立てたタオルで洗ってくれる

感触を感じた。

 「何かお悩みですの?主様?」

 「うんちょっとね、君の事で本当にまああって・・・・・・うん?」

 ちょっとマテヤと思ってギギギと・・・錆びた鉄くずの様に後ろを振り向くと

そこにいたのは・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・肝心な所は泡立っていているが間違いなく全裸ナ夜架がそこにいた。

 「ファあああアアアアアアアア!?」

 ずんがらがっシャアアン!!とルクスは夜架から勢いよく

離れてしまったがために桶の置かれている場所に向かって一直線に

滑ってしまったがために激突してしまったのだ。

 そして桶のたまり場から出てきたルクスは夜架に向けてこう言った。

 「何でここに居るの君は!?」

 そう聞くと夜架はにこにこと・・・ソードデバイスを出してこう答えた。

 「ご心配には及びませんわ、ちゃんとソードデバイスは持ち込んでおりますし

外には『天照』が見張りに立ってくれてますので何かあればすぐ様に

通信してくれますわ。」

 「へえ精霊とっていや待てそれで何でここに居るの!?」

 「あら?遠慮などなさらなくて良いのですよ?」

 「遠慮以前に君は先ず羞恥心覚えて来い!」

 「主様の男性の機能に問題が無い事は先日確かめさせて頂きましたし。」

 「いや待て何人のプライバシーで最も見ちゃいけん奴見てんだお前!!」

 「お望みであれば、この場で女としてのお手伝いを」

 「スミマセン誰か来てください!って言うか君会話のキャッチボールって

知ってるかい!?これ完全にドッチボールに見えるんだけど!?」

  「非武装だと証明するがために衣類は外しておきましたが」

 「やっぱこの間のは君かいってああもう会話が成り立たないって

ムカつくーーーーー!!」

 「主様はお疲れのご様子でしたので出直しましたがそれで・・・

如何なさいますか?」

 「今現在進行形で疲れてるわい君のせいでって言うかああもう風呂入ってんのに何でこんなに疲れるの本当に!!」

 ルクスは夜架に対して頭ガシガシしながら過労死しかけている中で

仕方ないと言ってルクスは目を瞑りながらこう聞いた。

 「それじゃあ夜架、聞きたいことがあるんだけど・・・風呂から出てから

聞きたいから出てってくれないかな?」

 「はい、分かりましたわ主様。」

 そう言って夜架が去るのを確認するとルクスは弾行交じりでこう言った。

 「はああ・・・疲れた。」

 そう言いながらもう一度風呂に入り直す事となった。




 話を聞いて。


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夜架との問い

 その問いの答えは何なのか?


 そしてルクスは風呂から出てクロスフィードの一番街区に

クランリーゼと共に向かって行った。

 本来ならば門限時間外なのだが仕方なしと思いながらある程度の広さがある

空き地に着くと背後に何かを感じて後ろを向くとそこにいたのは・・・

夜架であった。

 「夜架いたの?」

 「ご安心くださいません主様、私は常におそばにおりますわ。」

 建物の影から夜架が微笑みながら現れるとルクスに向けてこう言った。

 「然し御付きがおられますのに一人だけとは不用心ですわ主様、

クロスフィードの中は比較的安全ですが主様の立場を考えれば」

 「その前に聞きたいことが山ほどあるからそれ聞いてからね。」

 ルクスがそう言うと先ずはと言ってこう続けた。

 「第一に精霊について聞きたいんだ、君は精霊についての知識があるから

それを聞きたいんだ。」

 ルクスがそう聞くと夜架はこう答えた。

 「それではまずそちらですわね、元来精霊と言うのは自然の中に存在し

人々の信仰の対象と崇めておりますわ。」

 「・・・つまる話精霊って言うのは自然現象に対する感謝とかかな?」

 「そう思って構いませんわ、そして女性だけですが精霊に対して大なり小なり

精霊と交信出来る者達がおりますわ。その名は『精霊使い』。」

 「『精霊使い』ねえ?」

 「そうですわ、そして『精霊使い』は力を使う際にこの様に・・・

精霊と契約した証でもある契約印が見えますわ。」

 そう言って夜架は自身の右手を差し出すと・・・

白い光と魔法陣らしきものが見えた。

 魔法陣には太陽みたいな象形が描かれていた。

 「これが『契約印』ですわ、主様は既に契約・・・仮契約されてますわね。」

 「仮契約って・・・まさかこれ?」

 ルクスはそう言いながら右手の手袋を取って契約印を見せると夜架はにこりと

微笑んでこう答えた。

 「はいそうですわ、そしてそれは水の精霊との契約印ですわね。」

 「水・・・種類があるの?」

 ルクスがそう聞くと夜架はこう答えた。

 「はい、火、水、風、土、光、鋼、闇等の精霊で特に最初に言った5つは

基本骨子とされておりましてそれらを束ねるのが五大精霊王と

呼ばれておりますわ。」

 「精霊王ねえ・・・。」

 ルクスはそれを聞いて内心半信半疑であるが校舎で見たあの鏡を見たので

真実だろうなと思いながらもあれ?と思ってこう聞いた。

 「ちょっと待ってよ、精霊使いは女性でしか交信出来ないはずだけどさ・・・じゃあ何で僕にこれが付いてんの!?納得いかないんですけど!!」

 ルクスがそう聞くと夜架はこう答えた。

 「其れなんですが何事も例外はありますわ・・・千年前にも

一度ありましたし。」

 それを言うと夜架はこう続けた。

 「今より千年前、72体の精霊を使いこなし世界に混沌を与えた者が

おりましたわ。その名は魔王『スライマン』、男でありながらも

精霊使いでしたわ。」

 「魔王『スライマン』って・・・確か僕に向けてそう言ったよね君?」

 「ええ、魔王はその力で幾つもの国を滅ぼし支配下にして数多なる少女達を

手籠めにして勢力を拡げた物ですわ。」

 「・・・最低な奴と僕って同格扱い!!」

 最低だおいとルクスは大声でそう言うが夜架はこう続けた。

 「そして精霊は契約した時に名前を明かされておりますが主様が契約した者は

何と言っておられましたか?」

 そう聞くとルクスは・・・こう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「イセリア・シーウオード。」

 「!!!」

 それを聞いて夜架が初めて目を大きく見開くとルクスは夜架に向けて

大丈夫かと聞くと夜架は暫くしてこう答えた。

 「主様・・・貴方が契約した精霊がもし本物の・・・

イセリア・シーウオードだとするのならば主様はとんでもない精霊と

契約したことなりますわ・・・。」

 「え、何ソレちょっと怖いんだけど!?」

 ルクスがそう言うが夜架はまあ良いでしょと言ってこう続けた。

 「それで・・・聞きたいことはそれだけでしょうか主様?」

 そう聞くとルクスは暫くして・・・こう答えた。

 「それじゃあもう一つ・・・何で僕に尽くそうとするんだい?確かに

古都国にいた腕の立つドラグナイトが旧帝国時代に旗下に加わったって

話だったけど・・・もう滅びた帝国に何時まで尽くすのか疑問だらけなんだ。」

 そう聞くと夜架は暫くして・・・こう答えた。

 「私の名前・・・『切姫』は後に古都国の剣術指南役が私に付けてくれた

名前ですわ、本当の名前は・・・『羽々斬』。一国の姫でありながらも幼少期に

王国の失格者として捨てられましたわ、暗殺者から身を守らんがために殺してきただけなんですがまあ私には弟がおりましたのでそちらの王位を継承させ私はその後剣とドラグナイトとしての才能を買われて弟の近衛としていましたが国が

乗っ取られた際に皇帝との密約で弟の命を保障として暗殺者として帝国に

仕えましたわ・・・そしてその血筋を持つ貴方とその妹様がこの国を帝国として

復活するのを期待しておりますが貴方はいつまで・・・彼女達を騙すのですか?」

 「騙す・・・だって・・・!!」

 ルクスはそれを聞いてふざけるなと思っているが夜架はこう続けた。

 「主様の実力でしたらすぐにでもこの偽り新王国を滅ぼす事位

楽勝じゃないでしょうか?」

 「お前・・・冗談言ってるんじゃないのか?」

 ルクスは半ば怒っているが当たり前だ、自分がこの国の革命に手を貸したのだ。最後まで見守る責務があるんだと思っている中でルクスはこう思っていた。

 「(この子には自己の制約がない・・・まるで何かに

縛られているみたいに。)」

 そう思っているルクスは夜架に向けて・・・こう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「残念だけど君のそれには答えられないよ。」




 そして・・・戦闘へと。


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戦闘

 開始です。


「主様・・・本気ですの?」

 クスクスと夜架は笑いながらルクスに向けてそう聞くとルクスは黙って頷いた。

 これは肯定だと言わんばかりにそう言うと夜架は空を見上げて・・・

雲に掛かっている月を見てこう呟いた。

 「風が・・・出てきましたわね。」

 「風か・・・それで、僕を殺す気かい?」

 ルクスがそう聞くと夜架はにこやかに笑ってこう答えた。

 「そうですわねえ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・殺すのでしたら主様を追っていた彼女達からでしょうね。」

 そう言った瞬間にギィインと甲高い音が鳴り響いた。

 目の前には・・・黄色いまるでフィールドを展開して守っている夜架と・・・

レイピアで攻撃するセリスティアの姿がそこにあった。

 「セリス先輩!?」

 「離れて下さいルクス!今の貴方では危険です!!」

 そう言っていると夜架はフィールドを解除すると屋根から見たことない衣装を

身に纏った・・・少女が出てきた。

 小柄で見た限り10歳手前の少女が現れると夜架に向けてこう言った。

 「夜架、遊びが過ぎるぞ?」

 「あら天照、貴方が来たと言う事は?」

 「ああ、囲まれてる。全員神装機竜使いじゃ。」

 「それでは天照・・・戻りなさい。」

 「分かったのじゃ。」

 天照がそう言った瞬間に彼女が光の玉となって・・・夜架の右手に

入って行った。

 「!!貴方・・・今の子は何処に!?」

 「あら?天照でしたら精霊世界に帰りましたわ。」

 「精霊?・・・一体何を言って」

 「あらあら、分からないのでしたら後の事は主様に聞いて下さいませ?」

 そう言った瞬間に腰に差している日本刀型の・・・ソードデバイスを抜くと

その瞬間に暗色の機竜が姿を現した。

 すると夜架はルクスに向けて自身の機竜を紹介した。

 「ご紹介いたしますわ主様、これが私の持つ神装機竜・・・

《夜刀ノ神》ですわ。」

 《夜刀ノ神》、刃の様な鋭い形状の装甲と腰回りを覆い奇妙な機械の輪。

 そして両脚から後方に延びる2つの補助脚から見てドレイク型だと見て取れたがそこから放たれる気配は・・・尋常ではなかった。

 「クソが!セリス先輩僕も加勢に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「悪いがルクス!こいつは私達の獲物だ!!」

 そう言った瞬間に《夜刀ノ神》に向かって4機の・・・ティアマトの兵装

レギオンが襲い掛かった。

 「これって・・・リーシャ様!?」

 「その通りだ・・・・私達だけじゃないぞ。」

 そう言うと左右からクルルシファーとフィルフィが機竜を纏って現れたのだ。

 相手がトップランク10人を倒したとはいえこちらも精鋭、然も神装機竜が4機も現れるとルクスも《ライズ・ワイバーン》を展開させるとこれで5機。

 相手どれるかと思っていると夜架は・・・にこやかに笑ってこう言った。

 「あらあら・・・一人相手にここ迄とは中々大人げないですわね。」

 「抜かせ《帝国の凶刃》、お前の事はクランリーゼの持っている機竜の竜声から聞いているからな。寧ろ本当ならば騎士団全員でやるべきだろうが

ここは少数精鋭でお前を止めることが先決だと分かっているからな。」

 リーズシャルテがそう言ってレギオンで囲うとフィルフィが

テュポーンのパイルアンカーで《夜刀ノ神》の右腕手首を雁字搦めにすると

セリスティアが夜架に向けてこう言った。

 「ここ迄ですよ《帝国の凶刃》、貴方はここで捕えさせて貰います。」

 そう言うと夜架は・・・残りと笑ってこう言った。

 「やれやれですわ、本当でしたら主様に忠誠を誓ってこの国の上層部を

皆殺しにしてから玉座に据え置こうと思っておりましたのに。」

 「だからやるかそんなの!!」

 寧ろいらねえよとルクスがそう言うと夜架は・・・懐から一枚のカードを

取り出すとフィルフィとルクスがこう言った。

 「それって・・・」

 「デュエルモンスターズのカード・・・・まさか!!」

 ルクスはある可能性を示唆した瞬間に夜架はそのカードを・・・《夜刀ノ神》に差し込んだ瞬間に辺りが・・・炎で包まれ始めたのだ。

 「「「「キャアアアアアアアア!!!!」」」」

 「ぬぐ・・・ナンダこの熱は・・!!」

 ルクスはそう言いながら炎の中にいる夜架を見た瞬間に・・・嘘だろと

呟いてしまった。

 暗色の《夜刀ノ神》がその姿を・・・変貌し始めたのだ。

 暗色の青に近かった色が黒に変わり、両手両足の肩と肘部分から

炎が放出されており全身の刃が丸くなったこと引き換えに腰についていた

機械の輪と両脚から伸びていた補助脚が消えた代わりにサブアームらしきものが

代わりに現れたのだ。

 そして《夜刀ノ神》の右肩に・・・58の数字が見えた瞬間に

ルクスのデュエルディスクにある№が輝き始めたのだ。

 「これは・・・そしてその数字・・・まさか機竜と№を!!」

 「その通りでございますわ主様、これこそが私の機竜・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・《炎夜刀ノ鬼神(えんやとうのきしん)》でございますわ。」

 「《炎夜刀ノ鬼神》・・・・!!」

 それを聞いてルクスは驚いていた、確かに№とアビスが融合した奴は

見たことあるがまさか機竜と融合させるとはと思っていると夜架は

全員に向けてこう言った。

 「それではこれより一試合と参りますが皆様型・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・主様を早々と出させない様に頑張って下さいまし?さもないと・・・

勢い余って殺しちゃうかもしれませんわ♪」

 そう言った瞬間に夜架は《炎夜刀ノ鬼神》を使って斬りかかってきたのだ。




 やっと出せれたよ・・・こいつをな!


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戦闘

 戦闘です。


 「何だ・・・あれは・・・!!」

 「あの数字の形状・・・まさか!」

 「№・・・。」

 フィルフィの言葉を聞いてリーズシャルテ達はまさかと思って夜架の新たなる機竜『炎夜刀ノ鬼神』を見ていた。

 関節部分から出ている炎の様な物体が現れていてそれはまるで鬼火の様に

見える中で夜架は右手を掲げて何か指を動かした瞬間にティアマトのレギオンと

テュポーンが突如として・・・燃え始めたのだ。

 「「!!」」

 それを見て驚くが特に驚いたのはフィルフィであろう、体が燃えると言う恐怖が

確実にあるはずなのでクルルシファーが氷弾を放とうとするが

その光景を見て・・・こう呟いた。

 「もしかしてあれって・・・燃えてない?」

 そう言うとフィルフィはこう答えた。

 「うん・・・燃えてない。」

 そう言ってきたのだ、燃えている様に見えるのも精霊と言う存在の技なのかと

思っていると・・・突如としてレギオンとフィルフィが・・・リーズシャルテと

クルルシファーに対して攻撃を始めたのだ。

 「な!何故レギオンが私に対して!!」

 「ちょ!相手が違うわよフィルフィ!!」

 2人共そう言うとフィルフィが・・・こう言った。

 「機体が・・・勝手に?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「一体何が・・・貴方一体何したんですか!!」

 セリスティアが夜架に向けてそう聞くと夜架はにこりと笑ってこう答えた。

 「其れは貴方が味わってみるのは如何でしょう?」

 そう言った瞬間に一瞬で夜架が・・・目の前に現れたのだ。

 「!?」

 何時の間にと思った瞬間に夜架が刀を大きく振り上げて斬りかかった瞬間に・・ルクスがキャノン砲で夜架を遠ざけたのだ。

 「セリス先輩!直ぐに離れて!!」

 「ルクス・・・はい!」

 それを聞いてセリスティアが引いて行くのを見てルクスは・・・

一瞬で夜架に斬りかかるも夜架もそれを察知して受け止めてそこからは・・・

高速の応酬であった。

 剣戟の音は聞こえるが光しか見えず姿は見えないと言う何と言う

奇妙な光景が見える中で夜架はルクスに向けてこう言った。

 「ゥフフフ、流石は主様。私の攻撃に付いてこれるどころか

これ程の高速戦闘が出来るとは中々ですわ。」

 「ああそうかよ!こっちは手前に斬られずに攻撃するのに手一杯だよ!!」

 ルクスがそう言った瞬間に足蹴で遠ざけるとこう言った。

 「君の機竜は恐らく・・・遠隔操作でしょ?」

 「正解ですわ、神装『禁呪符号(スペルコード)』。触れた他の機竜を一時的に支配できるものですわ。」

 「そして№58はエクシーズモンスター専用の装備モンスター・・・

『ユニオン』系だから君の神装は更に強力になっているんでしょ?」

 「・・・流石は主様、まさかこの№と言う力を見抜くとは中々ですわね。」

 「前にもそいつで酷い目見たからね。」

 ルクスはそう言いながらデッキにある№103を思い出していると

夜架はルクスに向けてこう言った。

 「今日はこの辺にしておきましょう、先ほどの攻撃で人々が

気づき始めましたので。」

 それを聞いて聞き耳を立てていると確かに人々の声が聞こえてくるのが

分かって来たので夜架は引き際を感じたのであろう。

 するとセリスティアがランスを夜架に向けようとするとルクスはその手を取ってこう言った。

 「止めておきましょうセリス先輩。」

 「ルクス!何故ですか彼女は」

 「今ここで戦い続けたとしても更に被害が増えますし今のママじゃあ千日手・・いや、数の少ないこっちが不利です。」

 それを聞いてセリスティアは唇を噛みしめていると・・・セリスティアは

後ろに下がるのを見ると夜架は機竜を纏ったまま一礼してこう言った。

 「それでは主様、私は一足先に王都に言っていますので例の件については

後程また聞きますので心変わりしたのでしたら言いつけください。・・・

もし嫌と言うのでしたら私一人でもやって見せますわ。」

 「・・・本気かお前は?」

 「ええそれはもう、私は貴方を主として見ていますし断ると言うのでしたら・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・この国の滅ぶお姿を見て下さいまし♪」

 「おいマテお前今なんて!」

 「それではまた。」

 そう言って機竜の体表が輝くと同時に・・・姿を消した。

 「ルクス様、レーダーシステムに反応在り。離れていきますが指示は?」

 クランリーゼがそう聞くとルクスはこう答えた。

 「いや、向こうの実力が分からないのに戦うのは愚策だ。・・・

一端退却しよう、嫌な予感がする。」

 それを聞いてクランリーゼは了解と言うとリーズシャルテがこう言った。

 「あいつ王都と言っていたがまさか奴もどこかの国から校外対抗戦に

出ると言うんじゃ・・・ないよな?」

 そう言うと全員が黙っていた、ドレイク型の迷彩能力を使わずとも

あそこまで強いともなると何処の国か分からないが苦戦、

或いは敗北が絶対だとそう思うからだ。

 夕闇に照らされる月は三日月、まるで悪魔の笑みの如き空だなとルクスはそう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「夜架は迷彩を解除したのはクロスフィードのハズレにある老朽化して

崩れ落ちていて緑のコケに覆われた屋敷に入ると・・・夜架はこう言った。

 「あら?何時の間に来ていたのですか??」

 「さっきだ、部下たちは既に眠っている。それで・・・報告は何かあるか?

『帝国の凶刃』。」

 そう言う・・・若い女性の声がすると夜架は笑ってこう答えた。

 「ええ、主様は中々良い目をお持ちですわ。それに戦場を理解しておりますし

流石は魔王様、天照よりも強力な精霊と契約できていると言う

よき人材でしたわ♪」

 それを聞くと若い女性が・・・誇らしげにこう答えた。

 「当たり前だ、あのお方は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・私の先生『ウェイド』先生のお孫さんだぞ。」

 魔王とかは知らんがなと言って現れたのは・・・セリスティアに対して復讐心を燃やすウェイドの教え子の一人・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・サニアが現れたのだ。




 久しぶりの登場!!


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王都

 着いたなここに。


 「それにしても5年間寝ていたとは思えないほどの実力だったわね、まさか6対一で勝てるなんて。」

 「いえいえ、主様の機竜の一つは私にとって悪手でしたが他の機竜・・・

『ギャラクシーアイズ』でしたかな?あれをお相手するともなりますと

策を講じなければいけませんね。」

 「成程な・・・計画については今から資料を渡す、当日までのお前の役割と

作戦についてが記載されてるから読み終わったら燃やす様にしろ。」

 「分かっておりますわ、では私はこれで・・・それとですが個人的に

貴方に対して一つ聞きたいことが。」

 「何だ?」

 サニアがそう言うと夜架はこう答えた。

 「もしこの革命が成功しても主様が納得せずに反乱しようものなら

どうするおつもりで?」

 そう聞いて来たのだ、何せサニアにとってルクスは恩人の孫なのだが

今の自分はヘイブルグ共和国の一軍人であるが同時にヘイズに対しては

ルクスをこれ以上近寄らせないために戦うのだがこれに対しての回答は・・・

これであった。

 「・・・その時は・・・その時に考えるさ、守るかそれとも・・・この手で。」

 そう言いながら自身の右腕を握りしめると夜架はそうですかと言ってこう続けた。

 「何時か貴方の答え、聞けることを楽しみにしていますわ。」

 そう言って立ち去る夜架を見て・・・サニアは月夜を見てこう呟いた。

 「私の答えか・・・決着を付けるまでは分からないだろうな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして次の日・・・ルクス達代表生たちは全竜戦の為に王都に向かい

馬車を利用しつつ 3日かけて4つの関所を抜けてようやくたどり着いたのだ。

 王都ロードガリア、旧帝国崩壊以降に再建された新王国の都市。

 巨大な往生へと続く城下町である首都はクロスフィードよりも遥かに多い

17の街区に分かれているだけではなく人口密度も高い。

 自給自足が可能なように工業、農業、商業、そして軍の拠点が綿密に

配置されているがため不思議な規則性を持って並んでいる。

 数百年の歴史を持つアーカディア帝国のあらゆるものが集約された町は

新王国になった今でもその風景として残っていた。

 「ここに来るのは随分と久しぶりだなあ。」

 リーズシャルテは外から見えるロードガリアを見てそう呟いていた。

 現在代表生達は予約している王都の高級宿のエントランスのソファーに

座っていて他の面々は自分の部屋にて休息を取っていた。

 そんな中でレリィがソファーの上で背筋を伸ばしているとアイリと透流が

レリィを見てこう聞いた。

 「そんな事よりも執政院の方達が学園長の引率を許してくれましたね?」

 「けどそれってこの国の王様が予め許可されていたからじゃないんですか?」

 「いやそれは無いな、今回の件は伯母上からしても綱渡りだったから

旧帝国派の執政院がこの状況を黙って見ているわけではないぞ。」

 リーズシャルテがそう言うとレリィは・・・何やら落ち込んだ様子で

こう言った。

 「・・・まあギリギリね、取敢えず一生分怒られた上に罰金も多額で支払って

今の所は立場とお金と女王陛下の守りで何とか切り抜けれたわ。」

 「割と洒落にもなれない辺り真剣みがありますね。」

 クランリーゼがそう言うが正しい事だ、一時的に厳重注意で投獄されなかったがもしもの時を考えるとぞっとしかしないからだ。

 「まあ、学園に隠してある『あれ』は・・・こっちに移動させたけど

もうこれ以上管理しなくていいんだと思っているとホッとしているわ。」

 「『あれ』?」

 ルクスは一体何だと思っているとレリィは慌ててこう言った。

 「あはは、何でもないから忘れて!!それよりも折角王都に来たんだから

皆で観光して楽しんでいきましょ!もう直ぐお祭りが始まるしね。」

 レリィがそう言うと・・・セリスティアが現れるとこう聞いた。

 「新王国の建国記念祭ですね。」

 「そうよ、五年前まで帝国聖誕祭と呼ばれていたそうですが今では色々と

名前だけじゃなく内容も変わっているらしいですよ。」

 セリスティアがそう言うとレリィはそうだと言ってこう続けた。

 「本当は引率役である私がついて行った方が良いかもしれないけど

私疲れちゃったから・・・元気がある子は戦いの前の息抜きとして

楽しんでねえ!」

 そう言ってレリィは財布からごっそりと大量の・・・紙幣を束ねて出したので

ルクスが慌ててそれを見てこう言った。

 「何ですかこの札束って多すぎでしょうが!こんなに必要あるか!?」

 そう言うとレリィは・・・悪びれもなくこう言った。

 「あらそうかしら?まあ、余ったら返してくれればいいわよ。」

 あっけらかんとそう言うのを見てルクスは・・・頭を抱えてこう思っていた。

 「(ナンツウ人だよ、あんな大金をポンと出して寧ろあれだけ持っていると

危ないんじゃないのかな?)」

 そう思っているとクルルシファーが全員に向けてこう言った。

 「私はパスするわ、ちょっと疲れちゃった。」

 「私もだ、今日は部屋で寝てるからお前達は勝手に遊んでていいぞ~~。」

 リーズシャルテがそう言うとそれじゃあと言ってレリィがこう言った。

 「疲れて出かけるのが大変な子もいるからその辺は任せるわ、只・・・

団体行動は目立つから4人ごとのグループに分かれて行動して楽しんでねえ。」

 そう言うと・・・ノクトが箱を持ってこう言った。

 「それではグループ分けのくじ引きするので皆さま引いて下さいね。」




 次回は祭り。


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おやすむ

 休みは大切。


「それじゃあメンバーはこの様になりました!」

 レリィがそう言って目の前にいるのは・・・2つのグループであった。

 第一斑 ルクス・セリスティア・フィルフィ・クランリーゼ・

イセリア・シーウオード

 第二班 透流・ノクト・アイリ・ラ・クルシェ

 「それじゃあ皆・・・楽しんでってねえ!ああそれとだけど、他国からの

選抜メンバーも来ているらしいからトラブル起こさないでねえ・・・

特にルクス君。」

 「アンタにだけは言われたくねえよ!!」

 ルクスはレリィに向かってそう言いながら出て行くのを見て・・リーズシャルテとクルルシファーに向けてこう聞いた。

 「2人は良いの?息抜きしなくて?」

 そう聞くと2人は・・・ルクスの荷物からパソコンと本を取り出してこう言った。

 「私はパソコンで自主学習だ!」

 「ちょっと星座についての勉強。」

 そう言って机に齧りつくのを見てレリィはこう思っていた。

 「(これ・・・本当に学生の日常風景なのかな?)」

 なんか違わない?とそう思いながら外を見る事しか出来なかったレリィであった。

 

 

 

 

 

 

 

 「それじゃあ皆はまず何処に行きたい?」

 ルクスはそう聞いて来たのだ、王都はルクスの庭じゃないのかと思っていた透流であったがアイリがこう返した。

 「私達王族はそんな簡単に外に出られなかったのです、ですので

何処が良いのか分からないのです。」

 「へえそうなんだ。」

 透流はそれを聞いてそう答えるとセリスティアはこう答えた。

 「でしたらまずは国立公園で養生しましょう、お腹が減ったのでしたら

屋台通りが近くにあるのでそこで食事としましょう。」

 「・・・私甘いものが良い。」

 「はいはいフィーちゃんはクレープね、僕はフランクフルトって所だけど

透流達はどうするの?」

 ルクスがそう聞くとアイリがこう答えた。

 「私達はそうですねえ・・・職人さんがいる工芸区画に行ってちょっと

見てきます。」

 「YES、序に何か買って行きます。」

 「じゃあ俺は・・・荷物持ちですよねえ。」

 「「当たり前です。」」

 透流は2人の言葉を聞いてとほほと思いながらついて行くこととなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ルクスサイド

 「ああ、気持ちいいですねえ。」

 「はい、疲れが吹き飛びそうです。」

 「・・・眠い。」

 「私は少し水を見に行ってきます。」

 「じゃあ私も!」

 イセリア・シーウオードはそう言ってクランリーゼについて行くのを見て

子供みたいだなあと思っているが周りから見れば・・・奥さんと一緒に寛ぐ

家族としか見えねえぞ本当に。

 そう思っているとフィルフィが等々・・・ルクスの左肩を枕にして

眠ってしまったのだ。

 「ちょ!フィーちゃん!?」

 「スー…スー…。」

 完全に眠ってしまっておりどうしようかと思っていた、然も寝ているがために

密着しているがために胸が当たってしまっているのだ。

 「(ああもう!胸が当たってってどうしようこのままじゃあ僕の下の

ソードデバイス(意味深)がアアアアアアア!)」

 煩悩を抑え込もうと必死にしていると右肩に何かが・・・乗っかっていることに気づいてまさかと思っていると目にしたのは・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「スー…スー…。」

 セリスティアも寝ていたのだ、恐らく旅の疲れがあったのだろう。

 気が抜けてしまって寝てしまったのであろうがここでもルクスのピンチは

更に・・・加速していった。

 セリスティアもそのフィルフィとあまり変わらない程の

胸部を持っているがために密着してしまって更にヤバくなっていた。

 「(アアアアアアア何でこんな風になるんだ此畜生ってやばやばいやばい絶対にヤバいって!今でもヤバいのに僕のソードデバイス(意味深)が・・・

誰か助けてーーーーー!!)

 天に向かってそう思っているが・・・私が神だからこれは絶対だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 透流サイド

 「何か聞こえました?」

 「いえ何も?」

 「YES、誰も行っていませんが?」

 ノクトの言葉にそうですかと思っているとアイリは透流に向けてこう聞いた。

 「それではですけど・・・何か欲しい物がありますか透流?」

 「へあ?!」

 それを聞いて透流は何で俺と思っているとノクトはこう答えた。

 「この間貴方は私を助けてくれましたので恩返しとして何か手渡そうと

思いまして。」

 「いや待って下さいよ!俺持ち合わせないしそれに恩返しなんてそんな」

 「NO、助けてくれたお詫びをしないなどリーフレット家としての面目が

立ちません。それにそれはバルトシフト家の名に傷を付けるのと同じなのです、

ですから・・・お願いします透流。」

 「いや待ってって俺が願う所なのに何でそっちなの!?」

 俺が可笑しいのと思っているとアイリはこう答えた。

 「こうなったら梃子でも動きませんよノクトは・・・諦めて選んで下さい。」

 それを聞いてマジかよと思っているとノクトはある物を見て・・・こう言った。

 「透流さん、これは如何でしょう?」

 そう言って見せたのは・・・懐中時計であった。

 持ち運びできるように鎖が取り付けられているタイプである。

 すると透流は店主に何か頼んでいると店主は暫くしてあるものを手渡すと

アイリとノクトに手渡したのだ。

 それが・・・これ。

 「これは?」

 「キーホルダーがあったんですよ、アイリには白百合、ノクトには金木犀、

何だか2人に会いそうだなあって思ってたんですけど・・・どうでしょう?」

 透流がそれを聞くと2人は・・・少し顔を赤くしてこう答えた。

 「「・・・ありがとう、透流。」」

 その言葉に透流は少しであるがえへへと頬を掻いていた。

 これから暫く両名は楽しく買い物を楽しんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 因みにであるが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ルクスさん大丈夫ですかね?」

 「無理ですねあれは。」

 完全に魂と意識を切り離して無心になったルクスが座っていた。




 そして・・・次回はアイツ。


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いざこざ?

 今作名物・・・外道の殴り料理♪


 透流達と合流したルクスに対して透流は休憩していたはずなのに何でそんなに

疲れてるんですかと聞くとルクスはこう答えたのだ。

 「アハハ・・・君も何れは分かる事だよ。」

 「?」

 何だと思っているがまあ良いと思って全員は夕ご飯を食堂で摂ろうと考えて王都で最も古い食堂に入って見ると・・・店主が席で突っ伏している男に向けて

こう聞いた。

 「おいおい、頼むぜ兄ちゃん。もう直ぐお客さんが大量に来る頃合いなんだから

こんな所で寝ないでくださいよ?それと酒の飲み過ぎだからサービスで

水置いといたよ。」

 「だーれも寝てねえからよ・・・イーからもっと酒持って来いよー。・・・

むにゃ。」

 「イヤ今にも眠りそうじゃねえかってねえかってアンタ随分若そうに見えるけど

酒飲んでいい年頃なのか?」

 店主は酔っ払いの男性に向けてそう聞いた。

 まだ若く、ササクラ多様にくすんだ金髪の前髪に三白眼が特徴で丈夫そうな

黒のシャツとズボンと腰に差しているのは銀色のごつい剣帯を持つ青年であったが

青年は店主に向けてこう言った。

 いーんだよ、俺の主義は『無謀な挑戦』なんだぜ。・・・保守的にならずに

常に無茶しまくってこそ新たなる道が開けるってもんーーーうっぷ。」

 「もう限界迎えてるじゃんって言うか当たらしい道って何!?ここで吐いて

嘔ドーロ造るんじゃねえよなおい!」

 店主はギャク交じりであるが吐くなよと言うと青年に向けてこう続けた。

 「所で兄ちゃん何処出身の旅人ダイ?」

 「イーから注いでくれよ?地元じゃあ滅多に飲めねえし煩い相方がいて

気が散っちまうんだよ、何でも今日は新王国の珍しいお祭り開くんだろ?・・・

ええと・・・あああれだ!『拳骨祭』!!」

 「何だよその物騒なお祭り!誰も来ねえよって言うか今日じゃねえよ2日後だよ『建国祭』!!って言うかさ・・・金あるの?」

 そう聞くと青年は懐から財布を取り出してこう言った。

 「ほらほら、これでも俺結構仕事で稼いでるから金なんてこんなに」

 あると言いかけた瞬間に背後で飲んでいた中年が立ち上がった瞬間に・・・

財布に手を出して立ち去ろうとして・・・何処からか椅子が中年の男性目掛けて

命中した。

 「ぶぽば!?」

 「・・・・は?」

 青年はあまりの光景にポカンとしてその椅子が飛んできた方向・・・

ルクスが立っている場所を見るとルクスは中年男性の方に歩を進めていると

中年男性はルクスに向けてこう言った。

 「手前何しやがるんだ!あと少しで金が手にh」

 「喧しいわコソ泥が!」

 ルクスは中年男性の顔面に拳をめり込ませると其の儘青年に向かって

一直線に飛んで行って其の儘・・・青年は拳骨みたいに中年男性を殴って

床にぶつけさせると其の儘中年男性を見下ろすと店主に向けてこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「やっぱあったじゃん『拳骨祭』♪」

 そしてその後中年男性は・・・地獄を見た。

 *ここからは音声のみで聞くこととなります。

 

 

 

 

 

 

 

 「ギャアアアアアアアアアアア!」

 「手前何人の金奪ってんじゃごら金〇ツブスゾごら!」

 「ぼきょばきょ!!」

 「俺の金盗るたあ良い度胸じゃねえかクソ親父が!

その腕へし折ってやろうかおい!!」

 「いぎゃyぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!」

 「何言ってんだまずこいつの指全部へし折ってその後に歯を

折ってからじゃあ!!」

 「だじゅげでーーーーー!!」

 「生ぬるいんだよクソ王子!その前にこいつのでこが見え始めた残り少ねえ

髪の毛全部むしり取るんだよ!!」

 「やべでーーーー!!」

 「はあ!?生ぬるいはそっちだろうが!こう言う奴はパンツも剥ぎ取って股間に小さな瓶にこいつの汚ねえ棒突っ込んで見せしめだろうが!!」

 「アアアアアアアアアアアアアアア!!」

 「おっしゃあ!じゃあ俺はこいつの持っているソードデバイス

ケツにぶっ刺す!!」

 「おがああああああああああああ!!」

 「「そんで最後に・・・・フルボッコじゃあああアアアアアアアア!!」」

 「嫌あああああああああああアアアアアアアア!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・誰も止めないんですかあれ?」

 ルクスと青年のどう見ても悪夢同然の行動に真っ青な顔でそう聞くが・・・

アイリとノクトとクランリーゼはこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「「嫌、無理でしょあれを止めるの。」」」

 そう言っていたがまあまだマシだろうな・・・何せ今彼らは店内ではなく・・・店の裏側でボコっているのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「あー・・・スッキリした(*^▽^*)」」

 2人がそう言って出てくると2人共楽しいことが合ったような顔つきであった。

 ・・・顔面に返り血が付いていなければ丁度良かったのに。

 「いや然しお前あの極悪非道って言ってたあの王様以上に悪辣だな流石は

旧帝国の王子だぜ?」

 「ハハハハ、あんなクソ親父と一緒にしないで欲しいな。嫌死んでも

迷惑かけるような馬〇以下の価値もない糞親父よりも上等だと思うよ?」

 「ハハハハ、手前中々言うじゃねえか。糞以下って所に協調できるぜ

イヤ本当に。」

 「そうだよあんな糞ですら畑の肥料になれるのに畑にばら撒いたら腐りそうな

糞以下野郎と同等にしないで欲しいよ。」

 「ハハハハ!手前とは気が合いそうだぜイヤ本当にって言うかさっきのあのクソ中年をボコボコにしていた時のあの拳の強さ気に入ったゼ!」

 そう言うと青年はルクスに向けてこう名乗った。

 「俺の名前は『グライファ―・ネスト』、ヴァンハイム公国の代表生だ。」

 「僕の名前は『九十九・A・ルクス』、ああ苗字何だけど九十九デお願いね?

正直こっちが気に入ってんだからさ。それとだけど飲み直すんなら

つまみでもどう?王国でしか食べれないつまみがあるからさ。」

 「え、マジで!じゃあそれ貰うわおい親父!つまみなんか適当にお願いな!!」

 「・・・まだ飲むのかよあの坊主。」

 店主はそう言いながらつまみの準備を始め、そして『グライファ―』は

ルクス達が座っている席にどかッと座ると酒を飲み続けた。

 そしてルクス達の方も食事を始めた。




 食事は大切だけどさ・・・そんな場所で糞とか言うな!


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酒のみ

 酒だ酒だーーーーー!!


「ぎゃははは!うめえなこの『ギョウザ』だっけ?もちもちしてるのに

中の肉と野菜が丁度よくかみ合ってて酒が進むぜ!!」

 グライファ―はそう言いながらギョウザを食べながらワインを飲んでいると

ルクスは鳥の南蛮揚げを食べながらこう言った。

 「グライファ―、食べて飲むだけじゃなくてちょっとは匂いも感じなよ?

そうしながら食べると美味しいんだから。」

 そう言いながら食べているのを聞いていると

セリスティアはこう呟いた。

 「何でしょう・・・私達よりも仲良くなっていませんか?」

 そう呟きながらライスを食べているとフィルフィは頷きながらチョコを

頬張っていた。

 どこかしらかやけ食いしている様な感じがするのだが暫くすると・・・

店の中に人が入って来た。

 金髪で人懐っこそうな中性的な少年が入ってくるとグライファ―を見て・・・

怒鳴るかのように大声でこう言った。

 「グライファ―!何やってんのさ!!って言うか酒飲んでるじゃないか!?

遠征先でお酒を飲むのは禁止されてるんじゃないの?」

 「けちけちすんじゃねえよ『コーラル』よ?ほれ、ギョウザやるから

怒るなって。」

 「何食べ物で買収しようとしているのかな君はって今度という

今度は教官に伝えておくけどトレーニング程度じゃ済まないよ?」

 「うわーひでー!そのせいで全竜戦負けたらどうする気だよ?」

 「人の注意を聞かない君が悪いんだから文句言わない!御免けど食事代は

この馬鹿から出して」

 「いや待てそれ俺の金って言うかお前は俺のおかんか!」

 「保護者面しているのは間違いなよってホラ来てグライファ―!!」

 「ちょっと待ってって襟引っ張るなってさっきの飯が酒と一緒に

逆流するぞおいごらってじゃあなルクス!また飲もうぜ~~~。」

 『コーラル』と言う少年に引きづラれて行くグライファ―を見てルクスは

こう呟いた。

 「後で彼には何か上げようか、さっきの保護者さんに。」

 『(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン。』

 全員はそれを聞いて頷いた後に再び食事を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 新王国から少し離れた・・・山間部。

 岩肌が露出していて尚且つ通常では機竜でさえも登頂が難しい山の中に

幾つもの・・・建築物の様な何かが見えた。

 その内部には幾つもの機竜が鎖で吊るされていている中で

3人の人間がそこにいた。

 一人はミスシス、そしてもう一人は・・・フギルであった。

 そして最後の一人は翡翠色の長髪で妙齢の美女がそこにいたが一つだけ普通とは違う所があるのだ。

 その女性の耳が・・・尖っているのだ、普通ではないその女性に対してフギルはこう聞いた。

 「それで、ヘイズ殿下は如何お過ごしでしょうか?」

 フギルがそう聞くと妙齢の女性はこう答えた。

 「ええ、今は回復したんだけど傷が残っちゃったらしくてね。怒り心頭ヨ。」

 そう言うとそれでと聞くとエスシスはフギルに向けてこう聞いた。

 「今回の計画ですが私は反対です、幾らヘイズ殿下の許可も貰っているとはいえ例のあれの制御には血と膨大な精神を捧げる必要があります。今の状態で

使用するとあのお方の命が」

 「其れは聞いたが聞く耳もたずだったからな、以前の戦いで№とイグドラシルを失ってしまったからな。ここで全戦力を使ったとしても代償は変わらないと

言ってな、」

 そう言っているととんとんとノックする音が聞こえたのでエスシスは

こう聞いた。

 「誰でしょうか?」

 そう聞くと扉が開いて出てきたのは兵士と・・・鳥の羽の様な耳を持った

見慣れない衣装をまとった少女・・・いや、ギア・リーダーがそこにいた。

 するとギア・リーダーはエスシスに向けてこう言った。

 「例のあれと神装機竜の調律が終わりましたのでご報告に来ました。」

 「そうですか、フギル様。何時でも宜しいようで。」

 「分かった、『エル・ファジュラ』。お前の持つ2つの特殊機能は使えるか?」

 「問題ありません。」

 『エル・ファジュラ』と呼ばれたギア・リーダーがフギルに向けてそう言うと

こう続けた。

 「それじゃあ頼むぞ。」

 フギルがそう言うと全員が下がった後に何処からか・・・声が聞こえた。

 『フギルよ。』

 「何だ***?」

 『奴らは使えるのか?あれを使うのに必要な神威を持っているとは

到底思えん?』

 「持っていないのならば仕方ないさ、だが必要と言うならば他国から・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・『精霊使い』から奪えばよかろう。」

 そう言って自身の胸元で淡く光る・・・魔法陣に触れるとそれはこう言った。

 『・・・分かった、それとだが気を付けろ。今年は何故かだがブレイドダンスが執り行われている、奴が動いたともなるとこちらも準備するべきだ。

お前も見たであろう?お前の弟が水の』

 「***、今は準備期間だ。それにルクス二は既に彼女を送っている、

精霊の使い方をよく知る彼女に伝えれば後は契約できるはずだ。」

 そうだろうと言うとそれはフギルに向けてこう言った。

 『そうだな、何せアイツは・・・嘗てのお前に似ているからな。』

 そう言って聞こえなくなるとフギルはこう呟いた。

 「ああ本当に、似ているよな俺とルクスは。」

 そう言うと窓の外から見える空が曇り始めるのを見てこう呟いた。

 「雨が降るのか?ルクスの精霊からすればこれは恵であろうな。」

 そう言いながら寝ようと思って自身の部屋に向かって行った。




 そして場所は戻って。


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部屋の中で

 少女達のそれぞれの楽しみ方。


 「・・・で、あるからして。私は新王国設立5周年の節目を祝い・・・

ああ疲れる。」

 リーシャは一人で文書を音読しているが疲れたなと思って机に突っ伏していた。

 現在リーシャは建国記念祭に向けての挨拶の練習をしているのだが恥ずかしいのでこうやって一人でやっていたのだ。

 「ああもうやだ~~、外に出てぱーっと遊んでぼけーっと寛いで機竜弄って

パソコンの中にある設計図弄り倒して作りたい~~~!」

 煩悩を口にしながらリーシャはベッドに入って眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方クルルシファーはと言うと鏡の前で髪を梳いていた。

 然しそんな中でアルテリーゼから届いた手紙を見て・・・憂鬱になっていた。

 「どうしようかしら本当に・・・。」

 ハアアアアアアアアアと溜息付きながら内容を思い出していた。

 簡単に言ってこんな感じであった。

 『今回私は代表者たちの護衛でそちらに行きますのでルクス殿との関係がどこまで進んだか見てきますのでしっかりリードしてくださいね!

吉報お待ちしております!‼』

 「・・・完全に外堀埋まってないわよねこれ?」

 最悪バレた時どうしよと思いながら眠ろうかなと思って

ベッド二向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてこちらはレリィ・セリスティア・フィルフィの部屋。

 セリスティアはレリィの監視役としてここに居るのだが

今は何か相談があると言うのでレリィは学園長として相談できることに

喜びながらも一体何だと思っているとセリスティアがこう言ったのだ。

 「実は家から手紙が来まして。」

 「家から?ラルグリス家から何か緊急の事でもあったの?」

 そう聞くとセリスティアはこう答えたのだ。

 「いいいえ、これは・・・その・・・私が個人的に解決すべき案件でして。」

 「大丈夫よセリスさん、私口が堅いから何でも聞いて。」

 一応学園長なんだから相談位乗るわよと聞くとこう答えたのだ。

 「じ・・・実はですね、家から『咎人ルクスの立場を庇護する為に一度家に

招き入れたいと言う事でしてその後はシヴァレスの関係と言う事で

ラルグリス家の参加する会合に出席して何時もよりも積極的に

ルクスの指導に当たれと・・・・こここれはもしかしてお父様がルクスを

ラルグリスの家に連れて行けと言う事なんでしょうか?!それはそれでその・・・何だかドキドキして来ます。」

 「・・・・・・」

 それを聞いてレリィは内心表情が曇ってしまうがセリスティアは

こうも考えていた。

 「(どうしてお父様がルクスを家に?確かに幾つもの縁談や見合いの話は

ありましたが私の噂で無くなってここ最近は久しからずだったのに?)」

 何故と思ってこうも思っていた、貴族の人間が他者を家に入れると言う事は

先ほどと同じだがもう一つ例があるとするならば・・・それは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・ルクスを何かに巻き込ませようとする算段かそれとも・・・婚約。

 「そそそそれはまだ許可出ません!私はまだルクスに男性の事を

よく教えて貰ってはいませんし、た・・・確かに私にとってルクスは一番身近で

その・・・好意的な殿方ですがだからってこここ、婚約と言うのは流石にまだ」

 そう言っているのを聞いてレリィの方から・・・ガタ!とベッドから

立ち上がるとセリスティアに向けてこう聞いた。

 「その話・・・詳しく聞かせてもらえないかしら?セリスさん??」

 「い、いえ!今のは私の勘違いかもしれませんしそれに何も気にしないで

貰えるとその・・・。」

 そう言いながらも内心そうだと良いなと思っているのかもしれない、

指を突きながら赤面しているのを見てフラフラとベッドに戻って行くと

レリィはこう呟いた。

 「そう・・・幾ら恋愛事に関しては病的に鈍感と言われている

セリスさんだからと・・・迂闊だったわ、それで中休みは何する気なの?」

 レリィは取敢えずと言って聞くとセリスティアはこう答えた。

 「そ・・・そうですね、・・・時間があればルクスに相談したいと

思いましてその」

 「そしてその儘ルクス君とデートしながら婚約迄話を進めてあわよくば

ディスト卿に報告して・・・何て恐ろしい子なのセリスさんは!!」

 レリィはそう言いながら女子漫画の如き表情と電撃が走る描写が見えると

セリスティアは慌ててこう言った。

 「フィー、今まではルクス君と昔通りの環境にさせて2人の中をゆっくりと

深めつつ、ルクス君に間違いを犯させようとしてたけどこうなったら

奥の手よフィー!もっと積極的に迫れる環境にするかいっそのこと精力増強剤と

そう言ういかがわしい事をさせれる薬を使ってルクス君を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・お姉ちゃん煩い。」

 「・・・・え?」

 フィルフィが真顔でそう言われた瞬間にレリィは・・・

石になってしまったのだ。

 するとフィルフィはこう続けた。

 「昔通りなんて出来ない、ルーちゃんも私も自分の道を進んで今があるから

それに・・・私ルーちゃんの事好きだから・・・諦めてないから。」

 そう言うとフィルフィはデッキケースからカードを出すとカバンから

他のカードを出しているのを見てセリスティアはこう聞いた。

 「其れは確かアークで」

 「うん、万が一デュエルがあった時に備えて準備・・・見る?ルーちゃんからルール一通り教わったから。」

 そう聞くとセリスティアはこう答えた。

 「宜しいのですか?・・・分かりました付き合いましょう。」

 そう言いながらもセリスティアはルクスとのお出かけを

内心楽しみにしているのだそれは心の中での秘密だと思ってフィルフィと

デュエルモンスターズのカードを見ている中で・・・石像と化した

レリィをほっとくあたり慣れているんだなと思われる今日この頃。




 次回はルクスサイド。


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会議

 会議です。


そして打って変わってルクスはと言うと・・・アイリとクランリーゼ、

ラ・クルシェ、透流と共に城門を超えて城内に入っていた。

 彼らは嘗てラグナレク討伐会議の際に使用された部屋の一番下にいるが

ルクスは面倒だなと思っている中で執政院の一人がこう言った。

 「長旅ご苦労であったな、元アーカディア帝国第7皇太子

『ルクス・アーカディア』とその妹の『アイリ・アーカディア』と報告にあった

ギア・リーダーのクランリーゼとラ・クルシェ、そして異世界から来た異邦人

『トオル・ココノエ』。」

 「お招きに与り参上いたしました(あのオッサン誰だったっけ?)」

 ルクスは内心誰だったかなあと思い出せてない中でそう挨拶すると・・・アイリが緊張しながらもこう聞いた。

 「それで、私達に何の御用でしょうか?」

 そう聞くと・・・バグライザーがこう答えた。

 「中々せっかちなお嬢さんだな、まあ確かに全竜戦前夜と言う事もあるし。おい

宰相殿!とっとと始めるぞ!!」

 「分かりました、では単刀直入に言いましょう。未だ国民には

公表していませんが・・・『帝都奪還計画』と言う名の・・・

ヘイブルグ共和国の陰謀についてご説明いたしましょう。」

 そう言うとナルフはルクスに向けてこう言った。

 「ヘイブルグ共和国に送っている密偵からの報告によれば他国・・・

ドラグニア竜皇国を吸収して肥大化した軍事部が強行することとなったそうだ、

全竜戦が終わった直後に作戦を決行するようです。新王国の警備が薄い隙に

第一陣として反乱軍、第二陣にドラグニア竜皇国からの援軍、

そして第三陣に・・・奴らはアビスを使って進軍すると言う事が分かった。」

 「「「!!!」」」

 それを聞いてルクス、アイリ、そしてあまり呑み込めていないが透流が

驚いているとルクスはこう呟いた。

 「大方反乱軍って言いながら所詮は帝国の威を借りて過ごしていた

政治力0集団だからヘイブルグ共和国の傀儡政権になるって事ですよね?」

 「その通りじゃ、そしてヘイブルグ共和国の手先となっている

反乱軍の総大将は確か・・・『ラグリード・フォルス』と言う男じゃったな。」

 しわがれた声でシャルトストがそう言うとルクスは思い出したかのように

こう言った。

 「ああ、アベルのクソ兄貴の金魚の糞だった自分の不始末を

他人に押し付けた脳みそ肥溜め以下の脳みそパッパラパーか。」

 「・・・嫌お主とんでもない事口にするのう・・・本当にあの皇子か?」

 革命前とは打って変わって毒舌吐くルクスを見て本当に本人か?と

疑いの眼を向けるが悲しい事に真実なのだなこれが。

 するとルクスは彼らに向けてこう言った。

 「それ言うって事は僕にこいつら掃除して燃えるゴミにして

廃棄処分しろって言いたいんですか?」

 「まあ・・・そうなんじゃが・・・口の悪さが御父上よりも酷くないかお主?」

 「あんな脳みそ蛆まみれの骨董品で盛るしか頭にない犬野郎と

比べられたくないです。」

 「・・・・・そうか。」

 本当に変わったのウと遠い目しているシャルトストであったがそんな中で沈黙を貫いていたセリスティアの父親であるディストが口を開いた。

 「今説明したとおりだが今新王国は危機に瀕している、それを救うためにも

切り札として貴公の力を貸して貰いたいのだ。貴公の実力と武勲については既に知っているしそれにラグナレクは2体も倒したその実力は

高く評価しているのだ。」

 それを聞いて透流はやっぱりルクスさんは凄いんだなあと思っていると・・・

アイリがこう忠告した。

 「ノセラレナイデ下さい透流、彼らはお膳立てして何かしらの要求をすると

言う事ですよ。」

 よく聞いてて下さいねと言うとディストはルクスに向けてこう言った。

 「よってその功績を評価して前もって第3陣で待機しているであろうアビス総勢百体以上を引き付ける囮役として貰いたい。」

 「な・・・何言っているのですか!不可能ですよ!!幾ら兄さんの

『ライズ・ワイバーン』の性能が高いとは言っても総勢百体以上を

囮であるとしても一人で」

 「話は最後まで聞き給え、確かに囮役になって貰うが道中奴らを疲弊させるため我がラルグリス家の保有する騎士団とこの間捕縛して私預かりとなっている

海竜騎士団をその間君の指揮系統に組み込ませて貰いたい。」

 「・・・・・ハイ?」

 それを聞いてルクスは眼を点にしていた、海竜騎士団ならいざ知らず

ラルグリス家の騎士団迄加える・・・それもルクスがトップとしてだと

思ってルクスは何言ってんのと思っている中でシャルトストがこう言った。

 「ほほほほ、そう出るかラルグリス。然し思い切った事するのう其方は?

彼が裏切ると言う事は考えられんか?」

 それを聞いてルクスはそうだよなあと思いながらも信頼無いんだなあと

口にしないがそう思っているとディストはこう返したのだ。

 「其れならば最初の反乱軍の際に彼はあっち側にいたはずだ、

だが彼は反乱軍全員を相手取ってリーズシャルテ様を救ったのだ。

それにラグナレクの時でもそうしたはずだが彼はそうせずにこの新王国を

守らんがために戦っているのだ、それに機竜の第二神装と言う存在を

明らかにしている。№と言う情報を持っている、彼を失うと言う事は多大な損失を新王国は被るのであると考えればこれくらいの出費位どうと言う事でもない。」

 そう言って以上だと言うとそれならばと・・・ディストは更にこう続けた。

 「それとだが若し協力してくれるのならば先だってアークに於いて

レリィ・アイングラムが仕出かした無断の遺跡調査・・・まあ報告は聞いているし有意義な内容であったからこれは既に死ぬほど怒ったので帳消ししているが・・・妹については別だった。」

 「「「!!!」」」

 ルクス達はまさかと思って言うとディストはこう言った。

 「彼女の処遇を君預かりとさせて暴走しないと言う保証が出ない限り

我々は手を出さないと言う誓約書を提出する、その代わりに協力してくれ。」

 良いかねと言うがアイリは正直無理だと思っていた、ついこの間の戦いの疲れは無くなっていないし何よりも・・・こんな人質紛いなと思っていた。

 透流も抗議したかったが何か言えば間違いなくルクスの立ち位置が

不味いと思って黙っているとルクスは・・・こう答えた。

 「分かりました受けましょう。」

 「兄さん!?」

 「ルクスさん!!」

 2人はルクスの言葉に何言ってんだと思っているとルクスはこう続けた。

 「正直フィルフィについては厄介案件だったし新王国でバレた際のリスクを

回避するための策を考えてたけど・・・四大貴族全員の署名付きなら早々

手を出されないからここは乗るよ。」

 それを聞いてアイリはああもうと思っているとクランリーゼがこう言った。

 「ルクス様の了承が得ました。」

 「分かった・・・あと一つある。」

 「・・・まだあるんですか?」

 ルクスはもういい加減にしろよと思っているとシャルトストは指を・・・

4本見せてこう言った。

 「簡単じゃ、先ほどのは優先事項じゃが遺跡調査に向けて全竜戦で

4勝して欲しいのじゃ。」




 御要求は計画的に。


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会議は踊る

 踊って踊って・・・又踊る。


「4勝って・・・そんな無理ですよ!総当たり戦で全六戦のうち4勝しろだなんて

幾ら兄さんと言えども」

 「まあそう言いなさんな、遺跡の調査権の無断使用の不問は色々と

手間がかかるからのう?何、貴公らシヴァレスの選抜メンバーならば

四勝を挙げる事位容易いで」

 「止めた方が良いぞゾグァ公、聞けばルクス・アーカディアは障壁事

敵を斬り殺すことが出来るほどの逸材であるがそんな事をここでやれば各国から

非難があちらこちらから出る始末だ。彼には今の優先事項に集中させるべきだと私はそう思うのだが?」

 ディストがシャルトストに向けて注意すると同時にこう続けた。

 「それにだ、遺跡の調査権の無断使用については既に決着がついており

それは女王陛下も了承されているのにもかかわらずここで蒸し返すのは

国に対する反抗だと私にはそう見えるのだが?」

 「・・・・・・」

 それを聞いてシャルトストと口を紡ぐが・・・執政院の何人かが口々に

こう言った。

 「だが彼を入れれば確執に4勝出来るのだはないか?」

 「だがなあ・・・アイツが壊した機竜の修理費結構飛んだもんなあ。」

 「だが囮作戦ともなると午後の試合は出れんぞ?」

 「その前に4勝上げれば良いではないか!どうせこ奴らは帝国の者!!

死んだところで誰も」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「いい加減にしろよアンタら!!」

 「透流・・・・!!」

 アイリは突如大声を上げた透流を見ると透流はこう続けた。

 「アンタら好き勝手ああだこうだ言ってるけどアンタらルクスさんみたいに

行動できるのか!俺は聞いただけだけど反乱軍倒してラグナレク二体も倒して

この国の為に頑張ったのに帝国だとかああだこうだ言って大の大人が

寄ってたかって上から文句言うばかりでアンタらあの場所にいて

ルクスさんみたいにやれたのかよ!?ええええ!!」

 「このガキが・・・調子扱き」

 やがってと言いかけた瞬間に・・・ライズ・ワイバーンを纏ったルクスが

その執政院の首元にブレードを・・・刺す手前で止めるとルクスは

その執政院に向けて・・・低い声色でこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「僕の事はまあ良いよ、ああだこうだ言っても何とも思わねえがな・・・手前ら僕の仲間や家族に手え出すんなら・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・今ここで革命時の様にここの全員斬るからそう思えや・・・!!」

 「ひ・・・・ヒィイイイイイイイイイ!!」

 執政院はルクスの背後に映る・・・竜を見て失禁して倒れるのを確認すると

ディストに向けてこう聞いた。

 「ディスト卿お聞きしたいのですが・・・何で民主院の人達はいないんですか?こいつら全員貴族院の連中ばかりでしょう?」

 「・・・簡単だ、残りの2家が反対してな。流石の女王陛下もそれを無碍に

出来なかったようだが国内の惨事に民主院の者達を入れなかったのは

こちらの不手際だ。後で資料を作って避難経路の作成を行わせる・・・

だから機竜を使うなここで全員皆殺ししてしまったら間違いなく

反乱軍の勝利で終わってしまいかねん。」

 「・・・分かりました・・・けど今後この国の危機に対しては

民主院の人達おも入れて下さいよ、もう帝国とは違うだって所を内外に見せなきゃいけないんですから。」

 そう言ってルクスは・・・殺気を薄めて下に降りるとルクスは透流に向けて

こう言った。

 「あのさ、僕の事を弁護してくれるのはありがたいんだけど時と場合を

考えよ?」

 「で・・・ですけど」

 「子供とは言えここでは政治的な緊張が走るんだからちゃんと

弁えなきゃいけないんだ。」

 「・・・・はい。」

 「まあ庇ってくれたことには・・・礼を言うよ。」

 ルクスはそう言って透流の頭を撫でた後にこう言った。

 「ああそれと4勝については了承するので悪しからず。」

 ではと言って恐らく会議のある場所に向かうのであろう部屋から出て行くと・・シャルトストは椅子を深く座り直してこう言った。

 「ありゃあいかん、完全にあれはあ奴の祖父と同じ覇気じゃったわ。」

 「ああ・・・あれは完全に俺達をここで殺せると言った物だった。」

 バグライザーもそう続くがディストこう思っていた。

 「(やれやれ、これで危ない橋を渡らずに済みそうだ。だがあの気迫・・・

確かに敵になればここ迄恐ろしい存在であろうが味方ならば頼もしい限りだ、

それに家柄も人格も申し分ないからな・・・セリスの相手に

丁度良いだろうな。)」

 ちょっと調整しよかなと・・・何処か早まった様な感じをする

ディストであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さてと・・・帰りますか。」

 ルクスはそう言いながら小雨が降っている中傘を差して出ようかと言うと

アイリに向けてこう聞いた。

 「寒いんならコートあるから着る?」

 「兄さん悪ふざけでしたら怒りますよ!」

 アイリがそう言って怒るが理由があった。

 「未だ完治していないのに何でまた了承して・・・おまけにあそこで機竜なんて使って何かあったらどうするおつもりなんですか!!」

 立場分かってますか!!とそう聞くがルクスはこう答えた。

 「まあ顔なじみがやるよりかはマシだし囮の方は騎士団が2つも来るんだから

何とかするよ。」

 それを聞いてああそうですかと言うとこう続けた。

 「兎に角ですがライズ・ワイバーンは許されますが『ラグナ・バハムート』と『ギャラクシーアイズ』はまだ使えないですからちゃんとそこは頭に」

 「危ない!」

 アイリが言い終える前にルクスがアイリと透流を街路の石畳に向けて

押し出した瞬間に・・・その手前で強烈な風切り音が直ぐ上を通り過ぎたと同時にルクスはライズ・ワイバーンを身に纏って上空にいる敵と相対した。

 その相手が・・・彼だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「やあ久しぶりだね・・・グライファ―?」

 「ようルクス、デートの邪魔だったか?」

 グライファ―はそう言いながら・・・鱗の様な装甲を身に纏った機竜が

奇妙に湾曲したブレードを持っていた。

 そしてルクスにそのブレードを向けるとグライファ―はこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さてと・・・しらばっくれずに大人しく下手人を引き渡してくれよ?

そうすりゃあ俺もアンタらを襲う口実が無くなるし折角ダチになりかけた

手前と戦いたくねえからな。」




 次回はグライファ―戦。


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戦闘

 語りあいもあります。


「・・・襲撃って一体誰が」

 「・・・ついさっきだがうちの選抜メンバーに一人が泊っている宿の近くで

アンタらの国の警備兵・・・ドラグナイトがドレイク使って襲って来たんだ。」

 「新王国のドラグナイトがって・・・いや待って、ドレイクって言った?」

 「ああそうだ、直ぐに逃げちまったが新王国の紋章があったって話だし

不意打ち」

 「ねえさグライファ―・・・ちょっと話しようか?」

 「ああ?何か申し開きでもあるのかよ??こっちは両足の骨へし折られて」

 「その襲撃者に心当たりがあるって言ったらどうする?」

 「!!」

 それを聞いてグライファ―は目を大きく見開いていた。

 情報を持っていることに対してグライファ―は何だと思っていると・・・

ルクスはブレードを構えてこう言った。

 「行ってもいいけど条件が一つ・・・僕と戦う事だよ!」

 「うおっと!?」

 グライファ―はルクスの一撃を危うく受け止めるとグライファ―はこう聞いた。

 「手前何しやがる」

 「黙って僕の話を聞いて、盗聴されてるリスクがあるから。」

 「!?」

 グライファ―は小さくだがルクスの言葉を聞いて何だと思っているとルクスは

こう続けた。

 「戦っている間竜声で伝えるから・・・応戦宜しくね♪」 

 「へ!手前みてえな手練れ相手に2つも出来るかってええの!!」

 グライファ―はそう言いながら曲刀で応戦するとルクスは

アイリと透流に向けてこう言った。

 「透流!アイリをお願い!!出来るだけ遠くに逃げて!?

それとリーズシャルテ様にこの事伝えてそのドラグナイトについて聞いておいて!」

 「ですが兄さん」

 「僕は大丈夫だから速く!」

 そう言うとアイリは暫くしてこう答えた。

 「兄さん・・・やられないでくださいよ。」

 「はいはい・・・透流!アイリの事お願いね!!クランリーゼと

ラ・クルシェも。」

 「分かりました!」

 透流はそう答えてアイリ達と共に走って行くのを確認するとルクスは

攻撃しながらグライファ―に向けて・・・ある事を伝えた。

 「良いよく聞いてグライファ―、一回こっきりしか言わないから!」

 「分かって言うか手前速いから対応するのが手一杯なんだよ!」

 グライファ―はそう言いながらルクスの攻撃を弾きつつルクスはこう言った。

 「それじゃあドレイクの件なんだけど・・・旧帝国が関わっている

可能性があるんだ。」

 「旧帝国だあ!?そんなもんが何で今更動くんだよ!!」

 「いやあ執政院から脅されてね、最終日にヘイブルグ共和国の支援を受けた

旧帝国の残党共が攻めて来るって話があってね。」

 「おま!それ他人に向かって行っていいのかよ!!一大事じゃねえか!?」

 グライファ―はそう言いながら自身のブレードを振って・・・更に刀身が

伸びていった。

 だがルクスはこう言って弾いた。

 「そう言う武器はもう見たよ!」

 そう言ってルクスは長くなったブレードの関節部分の間にブレスガンで

弾いて飛ばした。 

 「手前俺の攻撃見切ってんのかよ!?」

 「この間そう言う武器使う奴見たからね!」

 「誰だよ余計な事した奴!」

 そう言いながらグライファ―はハウリングロアで攻撃するとルクスは

背面部のブラスターで相殺するとこう続けた。

 「話の続きだけど別に良いじゃない?だって囮役やれとか4勝しろとか無理難題

押し付けるような奴らの頼み聞くんだからちょっとくらい困らせても

罰当たらないって。」

 アハハハッハと笑っているルクスを見てグライファ―はこう思っていた。

 「(この国の上層部って・・・馬鹿しかいねえのかよ?)」

 嫌まだディスト卿がいるんだけどねとそれを知らないグライファ―からすれば

そう思っても不思議ではないであろう。

 するとグライファ―はこう聞いた。

 「其れとさっきの話・・・ああそう言う事かよクソったれ!」

 グライファ―はそう言う事かと思って苦虫を嚙み潰したような顔をすると

こう続けた。

 「新王国で俺らに攻撃したのは旧帝国の信望者で新王国を困らせる為の

デモンストレーションって意味か?」

 「其れもあるけどもう一つ可能性があるんだ。」

 「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「『帝国の凶刃』って心当たりある?」

 ルクスがそう聞くとグライファ―はこう答えた。

 「・・・聞いたことあるぜ、旧帝国でも強いドラグナイトって・・・

奴が関わっているのか?」

 「正解、奴の機竜の神装は相手を支配する事だよ。」

 「支配・・・成程なそっちの可能性も捨てがたいな。」 

 「然も相手もドレイク使い。」

 「はは!仕掛けが分かって来たぜクソったれが!」

 グライファ―はそう言って攻撃しながらこう続けた。

 「俺達は当て馬ってか?イヤな話だなあおい!」

 「全くだね、巻き込まれたこっちの身にもなって欲しいよ!」

 そう言いながらルクス達は再開発エリアに入るとグライファ―は・・・

機竜を解除してこう言った。

 「それじゃあだが・・・下手人来たら俺にも一口噛ませな、

一発ぶん殴ってやりてえからな。」

 「分かってるよ、こっちも探すよ。それと最終日に何か

アクシデントっぽいことがあったらそれが合図だと思ってね。」

 「おおよ、一応コーラル・・・ああ。俺を引きづった奴だが言っておくぜ、

アイツは口が堅いから大丈夫だろうよ。」

 「それじゃあこっちも探しておくけど多分もう逃げてるだろうね。」

 そう言うとグライファ―は・・・何かを感じるとこう言った。

 「やべ!コーラルがこっち来てるかも!!じゃあなルクス、

そっちは任せたぜ!?」

 「ああ、うん。・・・気を付けてね。」

 ルクスはそう言って走り去るグライファ―と・・・その真上で降りていく

機竜を見てこう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「(後で本当にあの保護者役のヒトに何か御裾分けしよう。)」

 そう思いながら帰ろうと思って立ち去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それでグライファ―?何か申し開きは。」

 「弁護人を要求」

 「はいギルティ!」

 ギャアアアアアアアアアアアとグライファーの断末魔が聞こえたから

逃げてるわけじゃないよと内心言い訳するが自身も帰ったらどうなるか・・・まだ分かってはいなかった。




 合流して。


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全竜戦

 当日です。


ルクスが宿舎に帰った時既にアイリ達がいたがアイリはルクスに向けて大声でこう言った。

 「馬鹿ですか兄さんは!まだ完全に治っていないのに何で戦うんですか!?」

 「いやさあ、あの時は時間稼ぎしなきゃいけないし・・・

人気のない所の方がね。」

 「・・・まさか兄さん?」

 「まあね、納得させることに加えて手札は潤沢に揃えないとね。」

 「本当に馬鹿ですよ兄さんは!まさか機密をペラペラと、全くこれでは

ヴァンハイム公国に弱み握られた物ですよ。」

 「大丈夫大丈夫、何とかなるって。」

 「・・・本当に一度その頭を切り開きたくなりましたよ本当に。」

 アイリはそう言いながら拳を握りしめながらわなわなと震えていた。

 頭に怒りマークが浮かんでいたのは・・・見間違いだなとルクスは

半ば現実逃避しているとクランリーゼに向けてこう聞いた。

 「それでだけど下手人って分かった?相手が分かったら僕が両手脚斬り捨てて

頭と下の毛丸坊主にしてヴァンハイム公国に素っ裸でリボン結んで送っとくから。」

 「其れは相手からしても嫌そうですから辞めといてください、それとですが当人の話によると『急に制御不能になって近くにあったヴァンハイム公国の宿を襲った』

と言っておられましたが恐らくは」

 「・・・夜架か、間違いなさそうだけど理由は・・・旧帝国に忠誠を

尽くしているとはいえ反乱軍のリーダー格は帝国の皇族じゃないし尽くす理由が

思いつかないな。」

 ルクスがそう言っているとラ・クルシェがこう言った。

 「ですけど其れじゃあ何で彼女は反乱軍に入っているのでしょうね?」

 「そこだよ、何でか・・・会ってみないと分からないな。」

 ルクスはそう言うと取敢えずは解散と言って全員部屋に戻って就寝した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして翌日、全竜戦が始まった。

 場所は王城付近にあるドラグナイト専用の闘技場。

 学園の演習場よりも広いだけではなく多くの貴族や一般人たちが売り子からジュースやアイスクリーム、ホットドッグ等を買って食べていた。

 全竜戦は前半三回、後半三回戦うこととなり期間は3日。

 中休み一日という日程で行うこととなっている。

 一國との対戦ルールは最大三試合で二種類の試合の内二試合選手で

トーナメント方式で執り行うものとなっている。

 そんな中で透流はクランリーゼ達と共に新王国の関係者の席で眺めていると

透流はこう呟いた。

 「ひゃああ・・・凄い人だかりだな。」

 「そうでしょそうでしょ?何せ一年に一度だけど新王国じゃあ初めての

全竜戦だもの、周りには出店が沢山あるし民間人向けの食堂も開設しているし

何よりも・・・ルクス君から特許貰って『カップラーメン』作ったんだから

これを期に売って売って売りまくって更に新王国でしか流通していない

ウォータードレスにパドル式洗濯機とかも見せつけて行くわよ海外展開!!」

 オーほほほほほほとレリィは高笑いしながらこうも言っていた。

 「このまま追い越すわよヴァンフリーク商会!そして傘下にして

扱き使ってやるわよオーほほほほほほ!!」

 「・・・何か嬉しそうだな。」

 「ですね。」

 「良い事じゃないんですか?」

 「・・・(゚д゚)ウマー。」

 透流の言葉にクランリーゼとラ・クルシェがそう言っているが

イセリアは如何やらアイスクリームを喜んでパクパクと食べていた。

(然もこれで大人三人分完食)

 そして暫くすると透流はアイリに向けてこう聞いた。

 「そういやあだけど全竜戦ってどんなルール何です?」

 「ああ、では簡単に説明しましょう。」

 アイリがそう言って説明した。

 ①試合形式は2種類で三戦の内二勝すれば勝利で一勝一敗だったら各陣営で

未戦闘の選手を決めて最後に個人戦をする。

 ②①において全員が出場している場合は当日出場した選手以外とする。

 ③試合形式は1対1の個人戦か二対二のペア戦。

 「つまりはチームの総合力を重視していますから強者一人での活躍で

全てが決まるという訳ではないのです。」

 「成程・・・遺跡でもチーム行動が鉄則ってセリス先輩が言ってましたね。」

 「その通りです、勇者一人。つまり英雄一人で全てが決まるというのではなく

部隊で効率よく勝利を得るという意味においても重要ですがこれ・・・

八百長とかもあるんですよね国に対しては?」

 「え?それって良いんですか?!」

 「普通は良くないでしょうけど他国との交流の中で神装機竜を持つ

ドラグナイト・・・この場合はクルルシファーさんですね、ぶつけるのは

道義に欠けますしだからと言って他の神装機竜で固めるというのも大人げないと

まあ・・・政治家のあれやこれに我々は巻き込まれたと言っても

良いでしょうね。」

 「面倒くさいですよねえ。」

 「ええ、面倒ですけどこれもドラグナイトを目指すうえでは

ある意味割り切らなければいけないんですよねえ。」

 アイリがそう言っていると・・・クランリーゼがこう聞いた。

 「それではルクス様は如何でしょう?彼は汎用機竜も使えますから

その気になればそっち側でいけるかと。」

 「そんな事したら相手が気の毒としか言いようがないですね、間違いなく

相手の心がへし折られますよ。」

 「・・・そうでしたね。」

 クランリーゼはアイリの言葉を聞いて確かにと思っていた。

 或る意味バグキャラ相手に戦わされる相手が溜まったものじゃないなと

そう思っていた。




 次回は待機室からです。


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全竜戦

 始まりです。


 「ふぇくしょい!」

 突然ルクスが大きくくしゃみをすると全員に前に立っていたセリスティアが

ルクスのくしゃみを聞いて慌ててこう言った。

 「どどどどどうしましたルクス!もしかして風邪ですか?!大変です

直ぐにベッドと消化によいものとええとええと」

 「ああ、大丈夫ですよセリス先輩。ちょっとね・・・誰かが

僕の噂しているのかな?」

 最後ら辺は小さな声でそう呟くとそうですかセリスティアがそう呟くと

こう続けた。

 「ですが余談は禁物です、今日は速めに寝て備えるべきです。何時呼ばれるか

分かりませんから。」

 「ご厚意感謝しますセリス先輩。(囮役やらないといけないからねえ。)」

 内心そう思いながらルクスは・・・闘技場内部で割り振られている控室にいた。

 するとセリスティアは全員に向けてこう言った。

 「今日の対戦はユミル教国、トルキメス連邦、ブラックンド王国。

初戦はユミル教国ですが我々は汎用機竜で戦うこととなり専用機持ちは

出場しませんので悪しからず。」

 「あ、確かそれって負け試合」

 「ティルファー、たとえそうであっても負けていいわけではないので・・・

勝つ勢いで事に当たって下さい。勝てればそれで良いので。」

 それを聞いてティルファーはニヤリと笑って了解と答えた。

 当の本人は個人戦出場である為既に装衣を纏っている。

 そしてセリスティアは全員に向けてこう言った。

 「それでは各自今回のトーナメントに参加しない者は観戦、休息と自由ですが

スケジュールを把握したうえでここに戻ってきてくださいね。」

 そう言うと全員が散らばって・・・全竜戦が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ォォォォォオオォォォォォォォォ!!

 「うお凄い熱気ですね!ワールドカップ見てる気分だぜ。」

 「ワールドカップとは何ですか透流?」

 「ああ、簡単に言えば世界中の人間が集まって戦うスポーツの祭典ですね。」

 「・・・今現在がこれですから同じっぽそうですね。」

 「まあ遺跡の調査権が無いからあと腐れなく戦えるって点は違いますけどね。」

 そう言っている中で少し離れた場所でルクスはクルルシファーと共に座って

こう呟いた。

 「はは、まるでワールド・デュエル・カーニバルに戻った気分だよ。」

 「其れって確か世界中の人達が集う大会よね?ある意味近そうね。」

 そう言うとルクスはクルルシファーに向けてこう聞いた。

 「相手はユミル教国となると戦いにくいですか?」

 「そうかしら?私ってそういうのには割かし線を引いてるから

ちゃんと戦えるわよ?」

 「でしたら大丈夫ですね。」

 「其れと、厄介な子がいるわね。あれを出すとなるとユミルは本気で

相手を捻じ伏せて倒す気よ。」

 「厄介な子って誰ですかそれ?」

 ルクスがそう聞くとクルルシファーはプラチナ色の髪を持つ小柄で

小学生くらいの身長の少女を見るとクルルシファーはこう答えた。

 「『メル・ギザルド』、教導士官学校の主席にして『征伐』の二つ名を持つ

ドラグナイト。使ってるのはエクス・ワイバーンだけど確か神装機竜持ちよ。

彼女の家と私のエインフォルク家はルインを巡る問題で

ちょっとした揉め事があるけどまあ私には関係ないわね。」

 「嫌あるだろアンタって言うか僕との偽装婚約とかはどう決着付けたの?」

 そう聞くとクルルシファーは・・・ルクスから視線を逸らしてこう答えた。

 「ダイジョウブヨ、ナントカスルカラ。」

 「片言の時点で信頼零だぞと言うかモシカシテ未だ誤解してるって事!?」

 「・・・御免なさい本当に。」

 「イヤ本当にね!」

 クルルシファーの言葉を聞いてふざけんなと思っているとクルルシファーが・・ルクスに向けてこう言った。

 「ええとだけど・・・明日空いてるかしら?」

 「・・・時間によるけど何で聞くん?」

 ルクスがそう聞くとクルルシファーは・・・言いにくそうにこう答えた。

 「いやね、アルテリーゼが私達との進展について報告するからって来るって

報告があったからその・・・ね・・・」

 「もしかして偽装カップルしてくれって内容じゃないよね?」

 「・・・依頼料倍払うわ。」

 「謹んで受けましょう!」

 「がめついわね貴方!!」

 ルクスの問いを聞いてうわ金に煩いわねと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『三勝一敗でAブロック一回戦目はユミル教国の勝利!』

 ドレイクの拡声機能で報告を聞くと透流がこう言った。

 「凄い試合でしたね!」

 「ええ、ですが最後のあの少女と戦うとなると・・・兄さんしか相手が

いなさそうですね。」

 「確かに、強いのは間違いありませんでしたね。」

 クランリーゼがアイリの言葉を聞いてそう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後だが二回戦目のトルキメス連邦との戦いはセリスティアと

フィルフィによって勝利を納めたが三回戦目のブラックンド王国との試合で

リーズシャルテとノクトとのタッグで事件が起きた。

 レギオンの一機が狙いを外れて観客席に向かって飛んで行ってたのだ。

 それにより警告を受けるもその後は問題なく勝てたがルクスはそれを見てこう思っていた。

 「(恐らく今の攻撃、僅かだけど炎が見えたって事は・・・くそ!夜架の神装は永続効果かよ厄介だな本当に!!)」

 ルクスはそう思いながら今の攻撃について報告しようと思って控室に

向かって行った。




 そして控室に戻ります。


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建国記念祭

 お祭りだーー!!


 「何!あの女の神様だと!?」

 「可能性はあります、ですからリーズシャルテ様。機竜は変更したほうが

良いと思います。」

 控室にてルクスがリーズシャルテに向けて先ほどの考えを話すと

リーズシャルテはフムと言ってこう続けた。

 「・・・分かった、用心の為に『キメラティック・ワイバーン』で対処しよう。

其れと万が一に備えて奴に乗っ取られた際の符号を考えなければいかんから

そうだな・・・王都のアトリエに来てくれルクス、話もしなければ

いかんからな。」

 「分かりました、でしたら着替えが終わり次第と言う事で。」

 「ああ、じゃあな。」

 リーズシャルテがそう言うとルクスは部屋から出て行った。

 全竜戦の前半戦はこれにて幕を下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ルクスがリーズシャルテと共に王都のアトリエに入るとリーズシャルテは

侍女が用意してくれたハーブティーを啜り乍らこう言った。

 「然しここは面倒だ、矢張り今まで使い慣らした場所の方が都合がいい。

道具の場所が微妙に違うから面倒だ。」

 そう言っているとさてとと言ってルクスに向けてこう言った。

 「それじゃあキメラティック・ワイバーンについてだが万が一乗っ取られた時に

備えて急ごしらえの改良をしなければいかんが・・・何かあるかルクス?」

 リーズシャルテがそう聞くとルクスは・・・こう答えた。

 「そうですねえ・・・それじゃあお耳を拝借。」

 そう言ってルクスはリーズシャルテの耳元迄行くとこう提案した。

 「ふむ・・・成程な、其れならば早く済みそうだな。良しその方向で

進めるとしてだ、明日の建国記念祭についてだが終わる前に私の言葉がある。

その時にお前の事を皆に向けて報告するから・・・夜までには

戻るようにしておけよ。」

 それまでなら好きにしていいからなと言うとルクスは了承した。

 「それとですが明後日僕はちょっと私用がありまして」

 「ああ、そっちなら伯母上から話は聞いてる。それでだが・・・

どっちを使うのだお前は?」

 そう聞くとルクスは使う機竜の事を話すとリーズシャルテはこう答えた。

 「よし、後だが追加兵装はどれにする?この間のアークで幾つか見つけたんだ。例えばサブアームが4本分あって機竜の背面部分に接続する奴なのだが調整に難がありそうで使い勝手悪そうなのだが今回の事もあるしそれを使って・・・盾2つと槍とかメイスを持って戦うというのも一つの手だがお前ならば・・・如何使う?」

 リーズシャルテがそう聞くとルクスはそうですねと言って・・・こう答えた。

 「やっぱり・・・防御重視ですかね?僕の前の戦闘パターンを考えたら

今の機動力重視と言えども数が多すぎますからね。」

 「成程な、機動力は落としたとしても防御力を高めるか・・・良いだろう、

明日までに整備を終わらせておくから明日はゆっくり楽しんで来い。」

 「・・・そうしたいんですけどねえ。」

 「?何だ、何かあるのか?」

 暗いぞと聞くとルクスはこう答えた。

 「ほら僕とクルルシファーさんって依頼だったとはいえ

恋人関係だったでしょう?」

 「ああああの依頼か・・・それで?」

 「クルルシファーさん所の執事さんが未だ勘違いしているので

どうしたら良いかと思いまして。」

 「・・・それはそっちで何とかしろ。」

 リーズシャルテが呆れ眼でそう言うのでルクスは力なくそうですよねえと

言うしかなかった。

 そして次の日にへとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ルクスはクルルシファーに今日の内容について伝えるとクルルシファーは

こう答えた。

 「オッケーよ、こっちの方はまあ依頼なんだし私用優先で楽しんでらっしゃい。午後は暇になるからイセリア・シーウオードちゃんだっけ?その子の

服拵えておくから楽しんでらっしゃい。」

 そう言うと先ずは午前中はクルルシファーと祭りを眺めながら

歩くこととなった。

 昼前にも関わらず大勢の人達が集まって楽しんでいるとルクスは

クルルシファーに向けてこう聞いた。

 「そう言えばデスけどユミル教国のお祭りってどういうのがあるんですか?」

 僕知らなくてと聞くとクルルシファーはそうねと言って・・・こう答えた。

 「そうね、あるにはあるけどあっちの方はまあ・・・ひっそりしてるから

過ごすのは家か教会ね。貴方は向こうの世界のお祭りはどうだったの?」

 楽しかったのと聞くとルクスは暫く考えて・・・こう答えた。

 「まあ楽しかったには楽しかったのですが陰謀が滅茶苦茶渦巻いてましたし

デュエルばかりでお祭りを楽しんでなかったですね。」

 まあ賑わいはこの王都の数百倍でしたがねと言うと

そう、とクルルシファーはそう答えた。

 「じゃあ教国じゃあ見ないようなところを重点的に回りましょう?」

 そう言って回り始めた。そしてその儘回り始めて・・・ある所に着いた。

 「ここって何ですか?」

 ルクスがクルルシファーに向けてそう聞くとクルルシファーはこう答えた。

 「ここは『月灯館』、確か今日は貴族たちがここでパーティーをしているって

聞いたか・・・アルテリーゼもいるしここで私達の関係が嘘じゃないって

思わせないと後が怖いのよねえ。」

 「アンタ・・・結局嘘貫き通すんかい!」

 「仕方ないでしょ!アルテリーゼって怒らせると後が怖いしぐちぐち

文句言うから面倒くさくなるのよ!!」

 「ウワあんたの保身かよ最悪じゃん!」

 「世の中自分が可愛いのよ!さあ入るわよ!?」

 「ふざけんなーーーーーーー!!」

 ルクスはクルルシファーに引きづラれながら『月灯館』に入られてしまった。




 或る意味魔窟に入って。


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デートⅡ

 作品には関係ないけどガンダムの最終回見て一言・・・。








 何ていう良作なんだ!
 そして祝福の歌最高でした!!
 もうこれしかなかったです!


 月灯館に入ったルクスとクルルシファーは社交ダンスの為に衣装を借りて

着替え始めた。

 ルクスはダンスホールのなか、白い礼服と水色の・・・嘗て璃緒とデートした時に露店で買った鳥のネックレスを付けていた。

 銀色のそれは装飾系の職人からすれば綺麗な物で精巧である事から欲しがる人間がおりそうであるがそれでもルクスは今回はこれを付けていようと決めていたのだ。

 そして待っていると暫くして・・・クルルシファーが現れたのだ。

 「お待たせ、少し控えめに見繕って貰ったんだけど・・・どうかしら?」

 「・・・・・・・!!」

 ルクスはそれを見て・・・言葉を失ってしまった。

 綺麗の一言でしか片付けられない程の姿だったのだ。

 白い肌に反する黒のドレス、黒のチョーカーで巻かれた首周りは胸元の方まで

大胆に大ック開かれておりスレンダー奈体つきをより美しく魅力的に見せていた。

 髪は髪留めとリボンで優しく纏められており緩やかな弧を描いていた。

 「中々その場でいきなりドレスを選ぶのは難しいわね、一応様になっていると

良いんだけど・・・どうかしら?」

 クルルシファーがそう聞くとルクスは慌ててこう答えた。

 「いや最高ですよ何処かのお姫様・・・あ、お姫様でしたね

クルルシファーさん!」

 そう言うとクルルシファーはクスリと微笑んで黒の長手袋に包まれた手を

差し出してこう言った。

 「それじゃあ踊りましょ?基本位は知っているわよね。」

 そう聞くとルクスは気まずそうに・・・こう答えた。

 「ああそのデスネ・・・僕あまりこう言う所出たことが無いものでしてアハハ・・どうもすみません初心者です。」

 そう言うとクルルシファーはこう返した。

 「簡単な踊り位だったら知ってるからそれに合わせて行けばいいのよ、

行きましょ?」

 「あ、宜しくお願いしますクルルシファー先生!」

 「はい、指導するわよルクス君♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして暫く踊ってベランダにて休憩していると一緒にいたクルルシファーが

耳打ちしてこう言った。

 「今窓の近くでアルテリーゼが見張ってるわよ?それも結構近く。」

 「!?」

 何だとと思っているとルクスは窓の外に確かに執事服を着た・・・

女性がいることに気づいたのだ。

 「ここはフリと言う事でその・・・キスしてもらいたいんだけど大丈夫よね、

貴方もう経験済みだからギリギリセーフよね!」

 「イヤ何必死ってそんなに家に報告されるのが嫌なんかい!?」

 「当たり前でしょう!これで折角消えた見合い話がまた復活するじゃないの!!という訳でお願いルクス君!!?」

 そう言うとルクスはこれは依頼だから裏切りじゃないと内心復唱しながら

腹をくくって・・・窓から見えないが唇にキスしているであろう様に見えるように頬にキスしようとして・・・逆に頬にキスされてしまった。

 「!!」

 ルクスは何でと思っているとクルルシファーはこう答えた。

 「私からした方が画になるでしょ?それにこう言うのは大胆に手早くやるのが

コツなのよ?まだまだ女心が分かってなかったわねルクス君♪」

 じゃあねと言って離れていくクルルシファーを見てルクスは外を眺めて

こう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ハ~~~、勝てねえな本当に。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして暫くしてルクスはセリスティアがいるであろう王都の敷地内にある

演習場に向かって行った。

 既に当人から話を聞いておりルクスは其の儘向かって行っていると既に制服姿のセリスティアが待っていた。

 「お疲れ様ですルクス。」

 セリスティアが笑顔でそう言うとルクスもこう答えた。

 「スミマセンセリス先輩、待たせてすみませんでした!」

 「いえ、私も今来た所ですしそんなに待ってはいませんがその・・・少し問題がありまして。」

 「・・・何かあったんですか?」

 ルクスは何か問題でも起こしたのかと思っているとセリスティアはこう答えた。

 「そのですね・・・待ち合わせ場所に失敗しましてですね・・・私は毎日

訓練しないと落ち着きませんのでその・・・基礎てレーニングと

剣の修行だけしていましたから・・・あの」

 そう言ってもじもじしていたのでルクスは暫くして・・・ああねと言って

こう続けた。

 大丈夫ですよセリス先輩、ちゃんと石鹼のいい匂いがしますから平気ですよ。」

 何ていう変態チックな言葉・・・こいつ本当に変態だなと

思いたくなるような事をルクスが言った。

 「誰が変態じゃこの阿保作者!」

 やかあしいわ貴様!

 「どうしたのですかルクス?」

 「いやそのね・・・何だか電波感じじゃッて・・・。」

 「?」

 一体何だとセリスティアがそう思っている中でセリスティアはこう返した。

  「大丈夫ですよルクス!あ・・・貴方とのデートが嬉しいからって

しっかり水浴びした後に綺麗な下着に履き替えてって・・・そうじゃなくて!!」

 セリスティアの慌てっぷりにルクスはアハハと苦笑いしていると何かの視線に

感づいてセリスティアに向けてこう聞いた。

 「所でですけどセリス先輩、王都の地理ってどれくらい詳しいですか?」

 そう聞くとセリスティアはこう返した。

 「ええと・・・大体わかります、幼少期はある程度ここで暮らしていましたし

去年と一昨年の夏休みはこちらに来ていました。」

 「でしたら・・・走れます?」

 「ルクス、貴方は何を・・・成程そう言う意味ですか。」

 セリスティアは何かを感じるとルクスに向けてこう言った。

 「では人通りの少ない所迄ゆっくり歩いてそこからは走って先導します。」

 「ええ、では行きましょう。」

 「はい。」

 2人はそう言って辺りにある視線を気にしながら王都目掛けて歩いて行った。




 そして第二段階へ。


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セリスティアとルクスとの会話。

 話します。


「・・・やっぱり追って来てますねこれ。」

 「ええ、何故追って来てるのかは不明ですが。」

 ルクスの言葉をセリスティアがそう答えると恐らくですがルクスが切り出して

こう言った。

 「多分ですけど僕のせいかと」

 「いえ、多分私のせいでしょう。何せ今の執政院は色々と裏で謀を

画策している人達がいるようですがら。」

 「謀・・・もしかして御父上関係ですか?」

 ルクスがそう聞きながら見通しの良い大通りの直線で距離を稼いで

細い裏路地で曲がって追っ手を振り切った。

 するとセリスティアがこう続けた。

 「利権の奪い合い、それに続く派閥争いと言った方が良いかもしれません。

実は今日貴方にお話ししたいと思って・・・ここら辺で良いでしょうね。」

 セリスティアはそう言いながら辺りを確認して・・・追跡者の気配がいないと

感じているとルクスはそうですねと答えた。

 「然し作戦は半分失敗です、折角水浴びしたのにまた汗だらけに

なってしまいました。」

 そう言いながらセリスティアは胸元を僅かに開いて肌を上気させている

セリスティアは裏路地で周囲が家屋や店に囲まれているせいか

無防備になっているがために制服の上でもその大きさが分かるフィルフィ並の爆乳の谷間にルクスは・・・目を大きくしてボーっとしているとセリスティアは

こう聞いた。

 「どうしたのですかルクス?先ほどからぼーっとしているようですが??・・・

まさか具合でも!」

 「いいいいいいいえなんでもないですって言うかそれよりも話があるって

聞いたのですけど!?」

 そう聞くとセリスティアはこう答えた。

 「ルクス、一つ聞きたいのですが・・・貴方は私の事をどう思っていますか?」

 そう聞くとルクスはこう答えた。

 「そうですね、凄く真面目でちょっとだけ不器用で他人の力を考慮しないで

無茶苦茶な体力強化トレーニングでボロボロにさせて序に料理は下手で

その癖自分に我慢させて追い込んでいてそれに」

 「・・・・・」

 ルクスの度重なる言葉を聞いてがっくりとしているとルクスは更にこう続けた。

 「けど、それは自分の罪と向き合っているからこそであり自分を強くして皆を守って戦って傷つきながらも前を向いて戦う優しくて・・・そして何よりも本当は甘えたがりな信頼できる僕の大切な人(仲間)ですよ。」

 「////////ルクス!」

 セリスティアはそれを聞いて赤面になっているとセリスティアはこう返した。

 「それは私もです、旧帝国の誤った風潮を引きづって間違う事を・・・

ウエイド先生に対して行ってしまった過ちを恐れて男性を遠ざけ続けた私を貴方は助けてくれました。私にとって初めてできた・・・とても頼りがいのある男性で

そして・・・私の心にここ迄踏み込んでくれた私の大切な人。」

 「?何言ってんですかセリス先輩?」

 「いいいいいいいえ!何もありませんよ!!それと話しについてですが。」

 セリスティアがそう言うとこう切り出した。

 「ですので話します、私は父から貴方を懐柔するようにと手紙で指示を

受けました。シヴァレスの団長である私の立場を利用して貴方を監視下に置いて

管理しろとの指示で。」

 「ディスト卿の指示・・・やり兼ねなさそうだなって思ってたけどやっぱり

四大貴族は甘く見ない方が良いな。」

 ルクスはそう呟くとセリスティアはこう続けた。

 「父の考えが何であれ、私は今回の指示に従うつもりは全くありません。

もし対立した場合は、直接訴えて取り下げさせます。もし力づくでやると

言うのならば私は最後までルクスの味方でいるつもりです、ですが・・・

私の知らない所でルクスに迷惑かけてしまうかもしれませんがそこはまだ・・・

何も分からないのですが。」

 「大丈夫ですよ。」

 「え?」

 ルクスの即効的な言葉に何でと疑問を想っているとルクスはこう続けた。

 「僕を心配してくれるのは嬉しいですけどセリス先輩がラルグリス・・・

実の両親相手と仲たがいするのはいけないんです、そうして家族がバラバラに

なってしまうのは僕からすれば嫌なんです。僕みたいに家族を喪って後悔するのは駄目ですから・・・まあ手紙で嘘の報告を書いておく程度にしておければ良いかもしれませんよ?」

 「然しそれでは父が貴方に直接干渉してくれるかもしれませんよ!?」

 「まあ大丈夫でしょ、僕は昔からそう言う事には慣れてますしそれに・・・

覚悟は決めています。例え別の形でこの国の中枢相手に関わろうとも

逃げませんから!」

 「ルクス、ですが貴方は。」

 「心配しないでくださいセリス先輩、僕は大丈夫ですから。」

 「・・・変な人ですね、私は貴方に攻められる覚悟を決めていたのにも関わらず私の心を晴らしてくれただけではなく決意を決めさせてくれました感謝します。」

 そう言うとセリスティアは周りを見てこう言った。

 「・・・戻ってきましたね、ここからどうやって巻きましょうか?」

 「そうですね、こうなったら別れて・・・どうしたんですかセリス先輩?」

 セリスティアに向けてそう聞くとセリスティアはこう答えた。

 「ええとですね・・・あれってもしかしてですけど・・・

九重君とアイリさんとノクトでは?」

 それを聞いてみて見るとその視線の先にいたのは・・・お祭りを一緒に

歩き回って楽しんでいる透流とアイリとノクトがそこにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・・・・は?」

 ルクスはそれを見て悪意の如き声を上げた。




 次はその・・・あれですかね?


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着替え

 着替えです。


「凄い祭りですねえ、建国記念祭って言うからもう少しもう少し厳かかなって

思ってたけど結構騒いでいる人達が多いですね。」

 「其れはそうですよ、何せこの国が出来て未だ5年弱。出来立てですし

今回は全竜戦とも相まって人が多いんですよ。」

 「YES、其れに今日はリーズシャルテ様が騎士をお決めになると言う事も

ありますのでそれに伴って色々とうわさ話が飛び交いながら食事する人たちが

いますのでそう言った感じでここにいる人達が大多数を占めます。」

 「・・・ジェラート美味しい。」

 透流と共にアイリ、ノクト、イセリアがそう言いながら歩いていると透流が

こう呟いた。

 「ルクスさん今日起きた時には居なかったから何処にいるんでしょうね?」

 そう聞くとアイリがこう答えた。

 「今日は確かクルルシファーさん、セリス先輩、フィルフィさんと共に

お出かけすると言ってましたからどちらかにいますよ全く兄さんは節操無し

何ですから。」

 「NO、恐らく依頼もあると思いますが楽しんでいると思いますしアイリだって

本当はお兄さんがいないから不機嫌」

 「ノクト、違いますからね。其れとですけど今はこれが楽しいですので。」

 「NO、無理に来なくていいですよ。私は此の儘透流と」

 「譲りませんよノクト?」

 そう言いながら互いに火花散っているのを見て透流はこう呟いた。

 「・・・仲いいなあ。」

 透流はその光景を勘違いしながら見ていると何か視線を感じて後ろを振り向くと

そこにいたのは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・・・」じ~~~~。

 「////////」

 路地裏に通じるであろう角の道からジト目で見ているルクスとアイリとノクトの光景を見て恥ずかしそうに見ているセリスティアがそこにいた。

 「・・・・・・(俺・・・何したんだよ)」

 理不尽だって思いながら取敢えずは声を掛けようとする透流であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・追っ手ですか?」

 「うんまあねって・・・透流は何でアイリ達と一緒に?」

 ルクスは探るかのように透流に向けてそう聞くと透流はこう答えた。

 「ああ、部屋から出るとアイリさんとノクトさんが一緒に来ないかって

誘われてて、そんでイセリアちゃんも含めて一緒に歩いていたんですよ。」

 「ふ~~~ん。」

 それを聞いて未だ納得していない様子であったが取敢えずは

納得するしかないなと割り切ったルクスはセリスティアの方に目を向けると何やらノクトが何か言っているのを見て何だと思っているとアイリがやって来て

こう言った。

 「兄さん、先ほどノクトが近くにティルファーさんの知り合いが営んでいる

仕立て屋が近くにあるらしいですのでそちらで着替えてから外出したほうが

良いそうですよ。」

 「ああそうなんだ、ありがとうノクト。紹介してくれて。」

 「NO、こう言う時は助け合うべきです。其れに互いに気兼ねなく会話すれば

気も紛れると言う物です。」

 そう言って近くにある仕立て屋に裏口から入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「へえ、仕立て屋ってこんな感じなんだなあ。」

 「そう言えば透流ってこう言う所来るの初めてだったっけ?」

 「ああはい、俺の服って学園から貰った制服位ですね。」

 「だったらここで何かあった時に備えて服位は揃えておいて損はないんじゃ?」

 「けど俺・・・お金持ってないし。」

 透流が気まずそうにそう答えた。

 何せ着の身着のまま来ているので制服か・・・道場の服しかないのだ。

 そうなると他の服は古着屋から買わないといけないのだがそんな金なんて無い為どうする事も出来なかったのだ。

 するとセリスティアが透流に向けてこう言った。

 「でしたら私が買いましょう、幾つか礼装用の服を持っていれば何かあった時に便利です。」

 「そそそそんな!俺お金ないし返せませんよ!!」

 「いいえ透流、これは必要な事なのです。何かあった時の服は持っていて

損はありませんよ。」

 セリスティアがそう言うとこう続けた。

 「それに、貴方はまだ私達よりも幼いのですから上級生の言葉を聞いて

損はありませんよ。」

 透流はそれを聞いてルクスの方に目を向けるとルクスも頷いたので

透流はセリスティアに向けてこう言った。

 「それじゃあ・・・宜しくお願いします。」

 「でしたら寸法を測らせましょう、それと・・・セリス先輩とルクスさんも。」

 「あ、そうだったね。」

 ルクスはそう言えばそうだったというとノクトがセリスティアの背中を押して

こう言った。

 「それでは試着と参りますので2人は準備しておいて下さい。」

 そう言ってノクトはセリスティアを試着室に服を入れて中に入れさせると

アイリはルクスにある服を持たせて試着室にぶち込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 30分後

 「そ・・・どうでしょうかルクス?これで・・・その、

上手く隠せているでしょうか?」

 そう言って純白で清楚なドレスと同じ色の鍔の広い帽子を被ったセリスティアが現れた。

 飾り気は控えめにしつつ身に纏う優美さは失われておらず体のラインが

くっきりと分かる薄地のドレスによって征服よりか艶めかしい色気を感じる。

 そして日傘を持っていることで大人しくなり気味な全体を華やかにさせていた。

 そして黒地で執事服と長手袋を付けたルクスの2人によって執事とお嬢様と言うフォルムになる事が出来たのだ。

 因みに髪は黒の鬘によってカモフラージュ出来ていた。

 そしてその儘2人が出て行くのを見ると同じ様に礼装を着た透流を見ると

アイリがこう言った。

 「それではこちらも再開しましょう。」

 「YES、先ずは彼らとは逆方向から回りましょう。」

 そう言って互いに透流の腕を掴んで・・・挟むかのように歩いて行った。




 尚後年これが参考となって向こうの世界で何とかうまく行ったというのが
蛇足である。


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デート。

 セリスティアとのデートです。


ルクスとセリスティアが互いに着替えてお祭りを散策していると

セリスティアの足がとある店で止まったのだ。

 「どうしましたかセリス・・・お嬢様?」

 ルクスは慌てて名前呼びから打ち合わせでやった言葉に直して見て見ると

セリスティアの視線の先にあったのは・・・焼き菓子の露店があった。

 「あ、向こうにあるあの出店のお菓子を食したいのですねご主人様。」

 それを聞くとセリスティアは慌ててこう答えた。

 「い、いえ!私はシヴァレスの団長として太る食べ物は」

 「今は只のお嬢様ですよ?それに・・・いい加減にその意固地な

決まり事なんて棄てて楽になりましょう??ほら見て下さい、いい匂いのする

焼き菓子がまるでこっちおいで~~と言わんばかりに手招きしているのが・・・

見えますよねお嬢様♪」

 ルクスは・・・悪魔の手招きの様にそう言いながらセリスティアに焼き菓子の店に向かわせようとしているのでセリスティアは「あう・・・あう・・・」と言いたげに少し涎を垂らしながら焼き菓子の店に誘蛾灯の如く向かって行く様に感じるが・・・正気を取り戻して慌ててこう続けた。

 「はあ・・・焼き菓子の匂いがまるで拷問の様に・・・昔幼いころに食べ過ぎて

父に怒られましてそれから何年も甘いものを食べていないのです。」

 「それって・・・どんくらいですか?(流石に10年は・・・ありそうだな

この人の場合)」

 ルクスはセリスティアの我慢をそう予測しているとセリスティアは・・・

言い淀みながらこう答えた。

 「・・・13年と・・・8か月です。」

 「いや我慢しすぎてどんだけ強く怒ったんだディスト卿は!?」

 ルクスはセリスティアの言葉を聞いて嘘だろと驚きながらディストが

どんだけ怖かったんだと思いながら空を仰いでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふぇくしょん!?」

 「あら貴方?風邪ですか??」

 ディストのくしゃみを聞いてベッドの上で起きているセリスティアに似た儚げな女性『イルシェ・ラルグリス』がそう聞いた。

 彼女は病弱でセリスティアを産んで以降は養生として離れで住んでいるのだ。

 男尊女卑と云う中に於いても彼女がこうやって過ごせれるのは偏にディストの『イルシェ』に対する愛ゆえの行動であり今まで頑張った結果である。

 ディストは『イルシェ』の言葉を聞いて鼻を啜り乍らこう答えた。

 「ああ大丈夫だ、誰かが私の噂をしているのであろうか?」

 「意外にセリスがルクス君って言うのかしら?貴方について

話しているのかもしれないわね。」

 「ハハハハ、良い話であることを期待したいな。」

 「あの子は頑張りすぎる所がありますから・・・誰かさんに似て。」

 「(* ̄▽ ̄)フフフッ♪、そうかもな。それを変えたのは彼と言うのも

何かの縁かもしれんな。」

 そう言いながら2人は紅茶を楽しんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな事など露知らず何時までもぐちぐちと何か言っているであろう

セリスティアに対してルクスはもどかしいなと思って一目散に走って・・・

店の中で大きいタルトを持って来て半分に分けるとその内の一つをセリスティアに渡して・・・ルクスはこう言った。

 「スミマセンお嬢様、僕が買いたかったのですが大き過ぎてしまったが故に少々手間を取らせてしまわれますので半分に分けますのでお嬢様ご容赦のほどを。」

 「る・・・ルクス貴方って人は・・・はあ、良いでしょう。でしたら

少しだけ。」

 そう言って焼き菓子を取って一口食べると普段の凛とした表情から一転して・・とろけた表情になった。

 「幸せです・・・13年8か月ぶりの甘いものを食べるのがこんなにも

嬉しいとは・・・ありがとうございますルクス(´;ω;`)。」

 涙ぐみながらお礼を言うセリスティアを見てルクスは内心こう思っていた。

 「(アンタハ我慢って言う限度を知った方が良いぞイヤ本当にって言うか

レリィさんを見て下さいよ、あの人が・・・いや駄目だなあのダメ人間を

真似る様にって言うのは駄目だなあれはある意味害悪だ。)」

 そう毒づきながら思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふぇくしょん!?・・・風邪かしら?それとも誰かが

私の噂をしているのかしら??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後もルクスはセリスティアと共に街を歩きながらある事を思い出していた。

 「(そう言えば璃緒と歩いてた時もこんな感じで楽しんでたなあ、・・・

もう3年たつんだよなあこの世界に戻って。)」

 そう思いながらルクスはハートランドで楽しんでいた記憶を思い出していた。

 もう帰る事も出来ないあの思い出の街の事を・・・家族の事を思い出して。

 「はいお水です、其れとですけど先ほどそこの食事やの店主に頼んでもらってスープを出してもらいましたのでどうぞ。」

 「ありがとうございますルクス。」

 セリスティアは人酔いしたのであろう少し顔を青くして公園の縁石に

座らせてそう言うとセリスティアはこう続けた。

 「こんな気分は久しぶりです、時間が許す限りモットこの空気を

味わいたかったですがこれから送りましょう。」

 「ありがとうございます、でしたら宿まで帰りましょう。」

 ルクスはそう言いながら鬘を取るとセリスティアはルクスに向けてこう言った。

 「ルクスは凄いですね。」

 「?」

 「皆の為に色々頑張って学園で今やたった2人の男の子名のに皆に慕われて・・私と違って恐れられたり避けられたりしていません。」

 「・・・そんなことないですよ、皆から助けられましたしセリス先輩何てずっと爺さんの言葉を守っていたじゃないですか。」

 ルクスはそう言ったが間違いではない、セリスティアはある意味完璧な

ドラグナイトであるのは間違いない。

 あの強化合宿の後セリスティアはルクスがオーバーリミットの副作用で

眠った後から暫くして・・・三大奥義を会得していたのだ。

 或る意味セリスティアはちゃんとした存在でしょうと言うとセリスティアは

こう返した。

 「いいえまだです、私はウエイド先生の様な間違いを犯して又その大切な人が

傷つくところを見るのは嫌なのです。ですから私は強くなります、サニアと・・・彼女と本当の意味で分かりあいたいために。」

 セリスティアの言葉にルクスは何も言わなかった。

 こればかりは当人たちがぶつかり合って答えを導き出さなければいけないのだ、例えそれがどの様な結果になったとしてもだ。

 「ですからルクス、私は負けません。貴方の模範となるべく

これからも精進します。」

 「・・・分かりました、ですが時には我儘になったとしても誰も文句は

言いませんので何時でも頼って下さい。」

 そう言って帰ろうとして・・・ルクスは何かを感じた。

 「どうかしたのですかルクス?」

 「・・・静かにして僕の歩く道の通り進んでください。」

 ルクスはそう言ってセリスティアの手を引いて人気のない道を歩いて行った。

 酔っていたセリスティア派気づいていなかったがこの時追ってくる

人間の足音がしたのだ。

 それも自分達を追っていた人間ではない別の人間の足音。

 「(足音の重さとこの僅かな鍔鳴り音・・・武器を持っているのかよ!)」

 クソがとルクスは早歩きで其の儘・・・路地裏の向こうに歩いて行った。




 追われてその先は?


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お祭り

 祭りが始まります。


「ルクス?これは一体何なんですか??」

 「ちょっとですけど・・・厄介な敵が近くにいましてね。」

 「それって・・・目的は私達でしょうか?」

 「恐らくですね、どっかでやり過ごしますから・・・良しココだ!」

 ルクスがそう言って近くにあった物置小屋の陰にある家具の隙間に入った。

 ・・・が、暗くて足元が見えなかったせいか各財の様な物に躓き普通だったら

躓かないであろうセリスティアがそれに当たってしまい其の儘前にいる

ルクスを・・押し倒してしまったのだ。

 「うわ!」

 ルクスは其の儘古びたソファーに倒れるとセリスティアは其の儘ルクスの背中に

圧し掛かってしまった。

 「!?」

 その時ルクスはセリスティアの豊満な胸が背中中に当たってしまって

その甘い匂いがルクスの頭と下半身にその熱を帯びてしまった。

 「!!!!(あああああセリス先輩の胸と髪のいい匂いが

僕のソードデバイスが発動してって言うかどいてって言いたいのに今動いたら僕のソードデバイスがバレてしまってああああああ誰か助けてーー!?)」

 ルクスはそう思いながら聞き耳立てていると・・・足音を3つ程感じた。

 「(足音の数が3つ・・・位置は近いけど僕たちの場所はまだ気づいてないって

言うか・・・さっさと向こうに行けって言うか早くどっか行ってお願いだから

お金あげますからーー!?)」

 ルクスはそう思いながらどうかバレませんようにと思いながら暫くすると・・・

足音と気配が消えたのを感じた。

 「・・・助かったのでしょうか?」

 「ええ、そうですね。・・・ところでセリス先輩一つ言いたいのですが。」

 「?」

 「・・・速くどいてくれませんか?色々とヤバいので。」

 男のと内心そう思っているとセリスティアは・・・酔っていながらも

こう言った。

 「あああそうですね、ですがその・・・暗がりの中でその・・・男性に

連れ込まれた時点でこう言うのは覚悟」

 「決めなくて良いから!考えなくて良いから速くどけーー!!」

 ルクスの大声が室内中に響いたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あらあら少し遅いわねルクス君、・・・どうしたの?何だか疲れてるけど?」

 レリィがそう聞くとルクスはこう答えた。

 「アハハハッハ・・・ちょっと自分との戦いで精一杯でした。」

 ルクスは少しやつれたかのようにそう呟くとルクスは執事服のまま

来ていることに何も言わないままレリィはルクスをエントランスへと案内させた。

 光沢のある焦げ茶色の内装と赤絨毯、そしてシャンデリアのくすんだ

オレンジ色に照らされたその場所の下に・・・フィルフィを見つけた。

 「遅れてごめん!って・・・フィーちゃん?」

 ルクスはフィルフィのその姿を見て固まっていた。

 フリルと無数のリボンに彩られた黒色のドレス、アーク以降白くなって其の儘ほったらかし状態の髪の毛を小さなバレッタと呼ばれる髪留めで

幼い顔立ちとは裏腹に何処か大人びた印象を受ける。

 その爆乳とボーっとした無表情な顔も何処か幻想的で別人のように思えた。

 「お帰り、ルーちゃん。」

 その間延びした声と微かに嬉しそうなニュアンスにルクスは唐突に現実に

戻された。

 「う、うん只今・・・そ、その・・・似合ってるよドレス。」

 「ありがと、それじゃあ行こう。」

 「2人とも気を付けてね、ルクス君。妹を頼んだわよ。」

 レリィがそう言うとフィルフィと共に宿を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日の落ちた王都は夜の帳に覆われて星とその下の無数の灯りの光が街並みを淡く照らしていた。

 フィルフィが伸ばした手をルクスが取って2人は中央通りにへと

向かって行った。

 中央街区の更に中心にある国立公園・そこから少し北にある

大聖堂の王城へと続く道は建国記念祭のメインルートには祭りが

フィナーレなのであろう馬車で大聖堂から王城迄運ばれている精霊の像を

祀りながらゆっくりと過ごすのが習わしとなっていた。

 ルクスもそれをする為に人の混みあっている中央通りへと向かおうとしている。

 目の前の通り過ぎる精霊像に祈りを捧げることで一年の安全を祈願するのは

帝国時代から続く仕来りであるがそれを遠目で見ていたイセリアは透流達と

一緒にいる中でこう呟いた。

 「・・・火の精霊王、水の精霊王、風の精霊王、地の精霊王、光の精霊王・・・そして闇の精霊王。」

 そう呟いているとイセリアはこう思っていた。

 「(あの精霊像・・・私走っているけど何か違う・・・一体何?)」

 そう思っていた。

 火の精霊像は刺々しい竜

 水の精霊像は長い胴体を持つ細長い竜

 風の精霊像は蝶々の様な羽を持った四つ足の龍

 地の精霊像は翼がまるで剣の様に鋭く前進が鎧の様になっている竜

 光の精霊像は剣を持ち雄々しく立った竜

 闇の精霊像は漆黒の烏の如き羽を持った竜

 それぞれ精霊像の腹の部分には6つ星のマークが刻まれているのを見ると

それを馬車から見たルクスはあれと思っていた。

 そのマークを見てある事を思い出した。

 「(あのマーク、フギルが持っていたあの仮面と遺跡の最深部の扉にあった

マークと似ているけど・・・何であの精霊像に迄刻まれているんだ?)」

 何でとそう思っていたがルクスはまだ知らなかった。

 精霊像の刻まれているマークの意味。

 そこから導き出されるのは精霊使い側とも関りがある重大な事。

 アーカディア帝国の建国以降の歴史と密接に関わる重大な事だとは

誰も思わなかった。




 「精霊使いの神装機竜」とも関わっています。


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大聖堂にて

 大聖堂にテ眠ります。


 「本当にこれで良いの?目の前でお祈りできないけど良いの?」

 「うん。」

 フィルフィがこくりと頷くとフィルフィの言う通りしてルクスはその場に

腰を下ろした。

 記念祭の間解放されている普段は閉鎖状態の大聖堂2階部分の張り出した

露台部分にルクスとフィルフィは並んで座った。

 近くを見て見ると馬車に乗っている精霊像を丁度良く見下ろすようにして

眺めていた。

 只近くで見ようとする人たちが殆どであるがためにルクス達のように

眺めている様な面々はいなかった。

 石造りのベンチに並んで座りながらその光景を眺めていた。

 お互いに何も話さない静かな時間でルクスはフィルフィに向けてこう聞いた。

 「あのさフィーちゃん、何か食べたい物とか買ってきて欲しい奴とか」

 「ルーちゃんは休んでていいよ。」

 「え・・・休んでって・・・・何処で?」

 ルクスはフィルフィに向けてそう聞いてきた、何せ眠れるところと言えば

ベンチでしか寝る所がないのだ。

 そしてフィルフィはルクスに向けてこう言った。

 「ルーちゃん今日は疲れてるみたいだから、私の事考えてくれるの嬉しいけど

それはそれ、これはこれだよ。」

 フィルフィがそう言ってきたが内心嬉しかった、何せクルルシファーや

セリスティアとのデートは楽しかったが前半は接待的感覚が大多数であり

セリスティアに至っては・・・色々と精神的に疲れることが大多数であり

まああと少しでルクスの下半身のソードデバイスが暴発しそうであったがために

精神的余裕がなかったのだ。

 それを聞いてルクスはフィルフィの現在の服装を見てこう思っていた。

 「(ええとさ・・・今フィルフィの服って夏用のドレスだから・・・

薄着だからって言うかその・・・太腿結構見えてるからって胸の谷間が見えてるから眠れなさそうなんだけど!!!)」

 そう思っていた、夏用であるがために服は薄く見えようによっては

見えてしまうからだ。

 するとフィルフィは自身の太ももを叩いてこう言った。

 「ここに寝て、寝る所ちょっと硬いかもしれないけど。」

 「(いや待って!そこに寝るのねえ!!僕そんなことされたら色々とヤバいよ

イヤ本当にって言うか何今日厄日なの!?)」

 最悪だと思っているとフィルフィはルクスの手を取ると・・・其の儘引っ張って自身の太腿に頭を置かせたのだ。

 「(アアアアアアアヤバいやばいやばい頭にフィルフィの太腿が柔らかい事

この上ないってアアアアア胸の下部分が半月って良く見えてって誰か助けて

僕此の儘じゃあ下半身のソードデバイスがまた暴れちゃうってヤバいって!)」

 そう思いながらフィルフィの柔らかい太腿とスカートの滑らかな

生地の感触にドキドキする一方で此の儘眠ってしまっても良いんじゃないかなと

悪魔の言葉が聞こえている様な何かを感じていると其の儘・・・不ッとした感じで眠りにつくとフィルフィは外の喧騒と夜風の音しか聞こえない中でフィルフィは

街の明かりを眺めながらルクスを見て・・・ほっと安らぐような感じで

こう呟いた。

 「ルーちゃん、私ね。本当は違ったんだよ、昔お母さんが病気で死んじゃった時皆一杯泣いてね。お父さんもお姉ちゃんも凄く辛そうでだから

私は泣かなかったんだよ、他に辛い事苦しいことがあっても

ずっと平気でいたんだよ・・・ううん、ずっと平気なふりして辛かったんだよ。

宮廷で私を庇った時、リエス島での時も、本当は助けてほしかった。

慰めて欲しかったの、私が気づかない振りをしている中でもルーちゃんだけは

何時も気づいてくれたよ。」

 平気なふりをしている中でいつしか失ってしまった物・・・それは自分という

存在は助けるという選択を存在していなかった事。

 ずっと無表情に閉じ込めて隠していた物をルクスは気づかせてくれたのだ。

 「ありがとルーちゃん、私の事見つけてくれて。」

 何時もの無表情を僅かに崩したフィルフィはそっとルクスの頭を撫でて

愛おしそうにその顔を除いて・・・其の儘ルクスにキスした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 十数分後

 ルクスが目を覚めるとフィルフィの膝枕をゆっくりと起き上がった。

 「ありがとうフィーちゃん、おかげで凄く楽になったよ。」

 「良かった。」

 フィルフィは僅かな笑みを浮かべた。

 そしてルクスはリーズシャルテの所に行こうとすると・・・何かを感じた。

 夜の記念佐野静謐な空気の中に戦場の血煙にも似た・・・強烈な殺気が

紛れているのを感じた。

 「(この感じ・・・近いな。)」

 ルクスは大聖堂付近にいるなと仮定すると・・・フィルフィに向けて

こう言った。

 『フィーちゃん、悪いけど一人で帰れる?」

 「うん、平気。」

 「御免!ちょっと行くね!!今日は本当にマジでありがとうね!?」

 そう言って早歩きでルクスは大聖堂を折りて王城に向かって

少し街路を歩くと・・・夜架の姿が見えた。

 すると夜架はルクスに向けてこう聞いた。

 「お久しぶりです主様、またお会いできて光栄ですわ。ですが少々不用心が

過ぎますわよ、主様はアーカディア帝国に残された唯一の殿方なんですから

もう少し有能な護衛を付けるべきかと思いますわ。」

 そう言いながら通りの端で倒れている数人の男たちがそこにいた。

 「先ほど主様を狙っていた刺客ですわ、毒の塗られた短刀を持っていましたからきっと人ごみに紛れて襲うつもりだったのかと思いましたがやり口は

お粗末でしたわね。」

 そう言っていると夜架は・・・近くの角に目を向けてこう言った。

 「それで?・・・何時まで監視しているのですか貴方は??」

 夜架がそう言うと・・・道の端から人影が出てきた。

 「・・・何時から気づいたの?」

 「貴方がラルグリス家の女性と主様がむつみ合っていた時ですわ。」

 夜架がそう言うとフードを脱いで現れたのは・・・サニアであった。

 「サニア・・・さん。」

 「久しぶりね、ルクス君。」




 そして出会って。


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裏道での話し合い

 話し合いです。


「ルクス君って・・・アンタが言うと結構違和感しか残らないないやマジで。」

 「酷い言われようね、じゃあウエイドさんで良いかしら?」

 「まあ・・・あのクソ親父と同じ名前じゃなければ良いですよ。」

 ルクスの言葉を聞いてじゃあそれでと言うと夜架はにこやかにこう聞いた。

 「其れとですが主様、炎夜刀ノ鬼神のサーチ能力によれば生身の追っては既に

駆除済み。王国の方は天照が監視していますのでここに誰か来ると言う事は

ありませんわ。」

 「お祭りの間監視兼護衛とは物好きだな君は。」

 「失礼ですが貴方はヘイズから狙われている身の上私達が護衛として守るのは

当然の帰結かと思われます。」

 「アンタも守ってたのかよ?」

 「ええ、私のスパイダーシャークで機竜を保持していた輩は動きを封じて

おいたしヘイズの命令で動いている奴らは一人残らず今頃地獄堕ちよ。」

 サニアは悪びれもなくそう言うが仕方あるまい、ヘイズとは上下関係など無く

只単に復讐に協力してくれるという互いに利用され合う仲でしかない。

 すると夜架はルクスに向けてこう言った。

 「ここから王城迄お供いたしますわ、お邪魔でしたら影からお守りさせて

いただきますけど。」

 そう聞くとルクスはこう返した。

 「・・・分かった、僕自身も夜架について聞きたいことがあったし。」

 「其れでしたら幾らでもお話いたしますわ、どのみち今夜は主様相手に

戦うつもりは毛頭ありませんので。」

 「・・・本当かな。」

 ルクスは夜架の問いに対してそう呟くしかなかった。

 何せ間違いなく旧帝国との関りが真っ黒レベルだという信頼最低ランクと言う

手合いの言葉を信じて良いのかどうか疑問なのだが虎穴に入らずんば

虎子を得ずと言う様に踏み込もうと思ってこう聞いた。

 「じゃあ・・・夜架は確か古都国のお姫様だったはずだ、既に解放されているし

例の転移門経由とは言え経済も緩やかとは言え活性化しているから後は治める

領主とかの問題があるからいないけど夜架はやる気ないの?」

 そう聞いてきたのだ、夜架が本当にお姫様と言うのならば領主として

いるべきだとも思っている。

 今の古都国は穏やかで上手くいけばあと数年で

独立できるんじゃないかという所まで来ているが領主の問題が

解決していないがために今の古都国は浮いている様な状態で在る。

 何故戻らないのかと聞くと夜架はこう答えた。

 「・・・資格が無かったからです。」

 「「??」」

 それを聞いてルクスどころかサニアですら何でと思っていると夜架は突如として通りの端に残っている酒の露店に行って暫くすると・・・ワイングラス3つと

おつまみを少々持ってきたのだ。

 「おいマテ、僕はこれから用事が」

 「大丈夫ですわ主様、毒見は済んでいますしそれに少し酔っている方が

気勢も上がると言う物ですわよ?」

 「確かに、特にあなたには大切な催しがあるのですからここは景気づけに。」

 サニアがそう言うとルクスは仕方ないと思って少し飲みながらおつまみの

ピーナッツの煎り和えを食べていると夜架は昔の事を思い出した。

 「私が初めて人を殺したのは天照を契約する少し前、側室が暗殺者を雇って

仕掛けた処私は簪でそれを殺しましたわ。昔からあったのです、殺気や気配を

見抜き、何の躊躇することなく実行できる才能が。それを見て

父はこう言いましたわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーー『お前には人の心が無い。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「とね。」

 「酷い話だな、全く。あのクソ親父と大差ないじゃないか。」

 ルクスはそう言いながら自身の父親と同格なんじゃないかと思っていた。

 「その後父は病死してしまい跡継ぎとして弟が選ばれましたわ、私とは違って

病弱なのに立派な人の心を持ち国と民を守らんがために未熟ながらも

全力を尽くすと言い周囲から忌み嫌われた私ですら守ろうとしていた・・・

莫迦な子でしたわね。」

 「「・・・・・」」

 ルクスとサニアはそれを聞いてじっと見ていた。

 本来ならば何かしらの文句を言う所なのだが其れすらもなくあるのはただ一つ。

 彼女の表情に笑みが無かったことから内心は誇っていたんじゃないかと

思っているのだ。

 するとルクスは夜架に向けてこう聞いた。

 「君の弟さんの事だけど断片的に知っているよ、確か侵攻後に降伏したって。」

 「ああ、そしてその際に強かったドラグナイト・・・つまり夜架を献上しろと言ってきたのも覚えてる。ウエイド先生が呟いているのを覚えてる。」

 サニアも人づてであろうかそう言うと夜架はルクスに向けてこう言った。

 「失礼を承知で申します、貴方は私の弟に似ていますわね、髪も瞳の色も強さも何もかも違うのに・・・どこか似ていると思ってしまいますわ。弟が死んだあと、私は買いましたわ。最後まで忠臣として帝国のために尽くすと。」

 「それって僕に忠義を尽くしているのは・・・弟の約束を果たさんがために?」

 ルクスは夜架に向けてそう聞くが夜架はにこやかであった。

 まるで見えない呪いに掛かっているかのような・・・そんな感じであったのだ。

 「私はアーカディア帝国の皇帝・・・貴方の父君との契約を果たさんがために

戦いますわ、例え一人になろうとも必ず。帝国の最後の忠臣としてこの新王国を

滅ぼして・・・何故構えるのでしょうかサニアさん?」

 夜架がそう言うと目の前でサニアが短刀型のソードデバイスを構えていると

サニアはこう続けた。

 「そうはさせんぞ、この国を滅ぼしはさせん。」

 「あら?何故ですの??貴方は帝国に忠誠を誓っているのでは?」

 「生憎だが私がそっちにいるのはセリスティア・ラルグリスを討つためだ、

この国を滅ぼす為ではない。」

 「理解に苦しみますわ?それでなぜこちら側に?」

 「さっきも言ったはずだ、私はセリスティア・ラルグリスを討つためだと。

この国は父様たちやウエイド先生の魂が造った国だ、ウエイド先生の肉親でもあるルクス様とアイリ様の為に剣を振るい守るために戦う。この新王国が2人にとってやっと手に入れた場所だ、奪わせはせんぞ。」

 サニアがそう言うと空気が変わって・・・一触即発の状態となってしまった。

 ここで機竜を出せば間違いなく周りの人間が来ること位分かっているがために

どう動くべきかと思っていると夜架はルクスに向けてこう聞いた。

 「主様、答えを聞きたいのです。この国をどうしたいのかと??」

 夜架はルクスに向けて笑顔でそう聞いてきた。

 だが既に心は決まっている、それをルクスは夜架に向けてこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それでも僕は・・・君の意思には添えないよ。」




 既に決まっている・・・だってこの国は大切だから。


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夜の話し合い

 話し合いが始まります。


「それでも僕は・・・君の意思には添えないよ。」

 ルクスの言葉を聞いて暫くすると・・・夜架は変わらず笑みを浮かべて

こう言った。

 「残念ですわ、主様には今すぐお伝えしたい重要な事が沢山ありましたのに。」

 そう言うとサニアがこう返した。

 「ならば私が伝えますが敵は艦隊で小型船18艘、中型船6艘、機竜用空母3艇が

ドラグニア竜皇国から出発し明日ごろには恐らく国境防衛戦線に

到達しましょう。」

 「艦隊って・・・あり得ないだろ!海からなら未だしも国境防衛戦線は

ヘイブルグ共和国は陸続きだ!!艦隊なんてそんな」

 「ウエイドさん、一つ言って置きますが・・・世の中常識などすぐに

ひっくり返されますよ。」

 「・・・・・」

 それを聞いてルクスはウぐと思っていた。

 10年前までは機竜など聞いたことすらない、5年前まで異世界など

知らなかった、そして№の事も。

 「そして精霊・・・確かに貴方の言ってた通りですね、僕らの常識など一瞬で

無意味に化しますからね。」

 「その通りです、私達の常識など只の夢幻の如く。そんな中でも私達は

生きていきます、例え酷い現実が襲い掛かろうともそれに乗り越えなければ

いけません。」

 「そしてそれが復讐だったとしてもですか?」

 「ええ、これは私が決めた道ですから。」

 そう言ってサニアが立ち去ろうとするとルクスはサニアに向けてこう言った。

 「もし貴方の復讐を成し終えた時!・・・貴方はどうするのですか?」

 ルクスはそう聞いてきた、復讐という一つの目的に終止符を打ったとしても

そこから何を生きがいとするのかと聞いてきたのだ。

 そしてサニアはこう答えた。

 「簡単よ、ヘイブルグ共和国に戻って何処か小さな町で残りの生涯を・・・

ウエイド先生みたいに子供たちに色々と教えて・・・後は野となれ山となれよ。」

 そう言ってサニアは闇の中にへと消えていった。

 そしてそれを黙って聞いていた夜架はこう言った。

 「では私もこれで、主様。私に殺されるまで死なないでくださいませ、私も・・貴方に殺されるまで死にませんわ。」

 「ちょっと待て、君には聞きたいことがある。」

 「何でございましょうか?」

 「新王国の機竜操ってヴァンハイム公国の宿舎攻撃したのは君?」

 そう聞くと夜架はこう返した。

 「あら主様、何のことでしょうか?」

 クスクスと蠱惑的な笑みを浮かべて其の儘・・・闇の中にへと消えていった。

 「艦隊か・・・それだけの戦力が来るのかどうか・・・対策を講じる

必要があるな。」

 ルクスはそう呟きながら城に向かって行った。




 そして宣言へと。


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宣言

 宣誓です!


 ルクスが守衛に城門内部に入ることが出来る許可状を見せると暫く

確認して・・・こう言って返した。

 「確かに本物だな、然し雑用王子と呼ばれた君がこの全竜戦が終わったと同時にリーズシャルテ様の騎士になるとは最弱無敗から始まって死神、そして騎士とは

何とも世の中分からないことだらけだな。」

 「ですねえ・・・僕もこの前までそんな事思いもよりませんでしたよ。」

 ルクスは守衛の人に向けてそう言うと其の儘中に入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「お待たせしましたリーシャ様。」

 「おおルクスか、セリスとフィルフィとクルルシファーとの付き合いは

如何だった?」

 ニヤニヤと何か言いたげな感じでリーズシャルテがそう聞くとルクスは

こう答えた。

 「ええとですね・・・クルルシファーサンなんですけどまあ色々とねえ。」

 「・・・未だ続いているのか婚約者偽装。」

 「・・・はい。」

 「まあ・・・頑張れ。」

 リーズシャルテはルクスの何とも言えない表情を聞いて励ますと他はと聞いてこう続けた。

 「フィルフィの方は・・・疲れていた事が分かっていたのか眠らせてくれて。」

 「いい幼馴染ではないか、ちゃんと大事にしないとな。」

 「はい、僕にはもったいない程って」

 「それでセリスティアは?」

 そう聞くとルクスは・・・視線を逸らしてこう答えた。

 「ナンデもアリマセンでしたヨ。」

 「カタコトがある時点で信用0だぞ、何したんだお前?」

 「いや事故なんですけどーー!?」

 ルクスは何とかしてでも違うという事を説明しているとリーズシャルテは

こう返した。

 「・・・お前が暗がりの中あの堅物に見えた内心エロ娘を連れ込んだ時点で何で何もしなかったんだと私は逆に文句言いたいな。」

 「何ソレなんで!?」

 酷くね!?とそう言うとリーズシャルテは・・・笑ってこう言った。

 「ああ、少し笑うと何だかすっきりしたな。何だか気が楽になった。」

 「もしかしてリーシャ様・・・緊張しています?」

 「当たり前だろう?変な気負いせずに自然に振舞えば良いこと位

分かっているんだがな・・・私は皆を騙してばかりだから正直何とも

言えなかったが今お前と喋っていると心が落ち着いているのが分かる。さてと・・そろそろ行くぞ我が騎士よ。」

 「はい、リーズシャルテ様。」

 ルクスがそう言うと2人は其の儘挨拶するがために城内二階部分にある

バルコニーへと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「皆の者、今宵はよく集まってくれたな!此度の建国記念祭が無事

執り行われたことに感謝すると同時に皆に話さなければいけないことがある。」

 リーズシャルテがそう言って一呼吸入れるとこう続けた。

 「私は長話をするのは性に合わないため単刀直入に言うが今日私は

専属の騎士を選ぶことと相成った、私の片腕となりこれから様々な

公務、護衛、補佐と言った場面に同席することとなったその者の名は・・・

『ルクス・アーカディア』だ!!」

 そう言ったと同時にルクスが前に出ると民衆たちが驚きに固まって

どよめきながらこう言った。

 「お、おいあれって。モシカシテ雑用王子じゃないか?」

 「そう云やあ最近王都で見ることなくなっちまったがそうだよな。」

 「旧帝国の・・・咎人。」

 民衆の間で動揺が広なっている中でリーズシャルテはこう続けた。

 「皆も知っていると思うが彼は旧帝国の者だ、私がこいつを選んだ理由は

嘗てこの国を腐敗させた一族の生き残りだから咎人としての罪を

贖わせるなどという殊勝な事は言わない。私がこいつを任命した理由は

ただ一つ・・・この男の実力と精神どちらにおいても最も今私が欲する人間だと

理解したからだ!!確かに旧帝国が滅んで未だ5年足らず、嘗ての悪習を

忘れられる程の年月は経ておらず皆が戸惑う理由は理解できる。批判も反対もまあ城内にいる連中から耳からタコができる程言われたが・・・それでは駄目なのだ我々は!?私が今後目指す国づくりは過去との因縁や因習に囚われることなく常に未来へ!明日へと!!失敗も成功も何もかも受け入れて、その上で最善の道を

模索し誰一人も・・・この国にいる全ての民たちが幸せにいられるために・・・

ここにいる全ての者達が!私達皆を見守っていて欲しいのだ!!それが未だ・・・未だ未熟な私からの願いなんだ!!」

 頼むと言った後に頭を下げるとルクスもこう続けた。

 「僕は・・・正直皆さんに受け入れられてもらえるかまだ不安です・・・ですがこんな僕を認めてくれたリーズシャルテ様やアカデミーの皆、そして何よりも

僕を僕として見てくれた人たち!こんな僕の事を想ってくれていた

大切な人たちの為にも僕は必死で成し遂げたいと思っております!!だから・・・これからもリーズシャルテ様の事を応援してあげてくださいよろしく

お願いいたします!?」

 そう言ってルクスも頭を下げると暫くして・・・拍手が鳴り始めたのだ。

 未だ小さいがその拍手は2人の信念に対して認めて貰っている証だと

思ったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして裏町

 「そうですが主様、なれば私も引き下がるわけには参りませんわ。」

 夜架はそう言ってサニアと共に去って行った。




 そして・・・作戦が始動しようとしている。


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作戦開始

 作戦が行われようとしていた。


 「はあ・・・緊張して疲れた~~。」

 リーズシャルテが部屋の中であの宣言から疲れてソファーの上で項垂れていると

ルクスは部屋の中で紅茶を入れてそれを手渡すとリーズシャルテはそれが入った

グラスを手に取って飲み干すとこう言った。

 「やっとひと段落終わらせたがここからだ、我々の行動一つでお前どころか

私も一緒にどん底になってしまう・・・用心しろルクス。城内にいる連中が

何時牙をむくか分からんからな。」

 「はい、了承していますって其れとですが例のあれは出来てますか?」

 ルクスがそう聞くとリーズシャルテはライズ・ワイバーンのソードデバイスを

渡すとリーズシャルテはこう答えた。

 「取敢えず新機能も付けておいたがそれでも件の計画が上手くいくかは

分からないしぶっつけ本番だから不調をきたすかもしれないから気を付けろよ。」

 リーズシャルテがそう言うとルクスはそれを受け取ってこう答えた。

 「後は僕が何とかします、それでは。」

 「ああ、気を付けてな。」

 リーズシャルテがそう言うとルクスは其の儘明日に備えて就寝する為に

宿に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして数時間後

 未だ陽も昇っていない明け方、ルクスはこっそりと起きて宿の裏口から出ると

見送りに出ていた透流、クランリーゼ、ラ・クルシェ、イセリアを見て

こう言った。

 「それじゃあ後の事は宜しくね、もしこっちの機竜が操られている事があれば」

 「分かっていますよ兄さん、其れとですが兄さんが出られない理由は

殆どの人達が知っていますので悪しからず。」

 「うんお願いね、其れとだけど昨日何か報告とかあるかな?」

 ルクスがそう聞くとクランリーゼはこう答えた。

 「でしたら、囮作戦は時間から見て既に配備済み。ラルグリス家の騎士団は

もう一つ臨時の騎士団も配置済みです。」

 すると今度はラ・クルシェがこう続けた。

 「ヘイブルグに送られている間者ですが斥候を送って確認した内容も

全て大丈夫ですが気になる事があるらしいですよ?」

 「気がかり?・・・一体何??」

 ルクスがそう聞くとアイリがこう答えた。

 「王都の北東、岩山と海に沿った海岸線防衛ラインの砦からの報告によれば

原因不明の頭痛に襲われたらしく身体に異常はなく、毒や病気、事件の類は

確認されなかったことから未だ調査中です。」

 そう言うとルクスはこう答えた。

 「ありがとう、それじゃあ後はリーシャ様の事を宜しく!」

 じゃあねと言ってルクスは王都の静まった街の中を走っていると

ライズ・ワイバーンを展開して基地にへと向かっているがそれを・・・

一人の男性が向かって行くのを見てこう呟いた。

 「さあてと・・・こっちも動くとするか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝方とは言え未だ薄暗い空の中全竜戦に出場する各国のドラグナイトや

護衛の兵士に見つかれない為にルクスは一直線に高度を上げて飛び続けていた。

 其の儘数分ほど北へ飛ぶと王都の城壁の外にドラグナイトの軍勢がいるのが

見えるとルクスはそこに向けて降りて行くと近くにあった臨時の軍議場に向かうと指揮官でもあるバグライザーが笑ってルクスに向けてこう言った。

 「ついに来たか雑用王子、おおっと今はもう王女殿下の騎士殿だったな!

正式な爵位はまだ先だろうが」

 「ああ、雑用王子で結構ですよ。それよりも作戦に変更は?」

 ルクスが真顔でそう尋ねるとバグライザーもそうだなと呟いて作戦内容を

説明した。

 「ここから北西部の廃村に反乱軍らしき者達が百体のアビスと共に

潜伏してある。貴様は囮として引き付け貴様の指揮下に入っている部隊と騎士団が数を減らしつつ北の隠し要塞へと誘導してそこにいる私の赤竜騎士団が

総攻撃して殲滅する、ここ迄が作戦だ。周辺に放ったドラグナイトの斥候からも

異常を見つけた報告はないが只・・・一つ気になることがあるのだ。」

 「・・・海岸線防衛ラインのドラグナイトが頭痛に襲われたって言う

あれでしょうか?」

 「嫌そうではない、奇妙な地鳴りが時折聞こえると東部の砦の武官たちが

言っていたようだが一応警戒はしておけ。」

 「分かりました、では」

 「ああ、その前に貴様が指揮する部隊を紹介しよう。」

 バグライザーがそう言うと少し離れた場所でとある男性が2人現れた。

 一人は銀髪の髪を短く切り揃えた男性ともう一人見てルクスは・・・

アアアアア!と大声上げてこう言った。

 「アンタアイリを殺そうとしたあのクソデブの腰ぎんちゃく!!」

 「ちょっと待って何その不名誉なワードって言うかあの時は本当に

すみませんでしたーー!?」

 「え・・・お前ら何知り合いなのか?」

 バグライザーはルクスの言葉を聞いてそう言っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あの時は本当に済まなかった、私はあの時あの男を諫めるべきだったが

私はあの男の云う事を聞くしか道はなかった。許してくれとは言わん!

だが私達海竜騎士団は全員この国を守りたいという思いは一緒なんだ!!

だから頼む!?今は私達を信じてくれ!」

 海竜騎士団の騎士団長がそう言って謝るとルクスは頬を掻いてこう答えた。

 「・・・言っておきますが僕は貴方達を許す気はありません。」

 「・・・・」

 「ですけど・・・今は火急の事態何です、僕は貴方達を利用する気ですから

貴方方も僕を利用してくださいね。」

 「・・・分かった。」

 海竜騎士団の騎士団長がそう答えるとラルグリス家の騎士団『黄龍騎士団』の

騎士団長が全員に向けてこう言った。

 「それでは総員出撃するぞ!目的は廃村近くのアビス及び反乱軍を見つけ次第

囮作戦を実行する!ワイアーム部隊は地上から攻撃!ドレイク部隊は監視と報告!そしてワイバーン部隊は上空からの囮とする!!ここからが本領だ!?

しっかりやるぞ!!」

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()

 それを聞いて全員が声を上げて出撃した。

 そして・・・戦いの準備が始まろうとしていた。




 そして・・・廃村について。


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作戦開始Ⅱ

 作戦が開始されます。


ルクス達ワイバーン部隊は上空から廃村に向かっている中で竜声でルクスは

各部隊長に向けてこう言った。

 「各員聞いてください、敵は角笛所有者以外はドラグナイトはいないと

考えているかもしれませんが万が一に備えて各員準備してください。」

 『了解した、海竜騎士団のお方も宜しいですかな?』

 『こちらも相違ありません、ドレイク隊はレーダーで索敵しつつ一帯の確認を

怠るなよ!』

 『了解。』

 それを聞いてルクスは何もなければいいなと思いながら一点だけ灯りが

灯されている場所を見つけると海竜騎士団の隊長がルクスに向けてこう言った。

 「ルクス殿、ここは私が先に参って確認してまいります。万が一の時は

騎士団の事を宜しくお願いいたします。」

 「分かった・・・けど気を付けてな。」

 「御意。」

 ルクスは海竜騎士団の隊長に向けてそう言うと隊長は其の儘洞窟の近くに

降りる・・・手前でルクスがブレスガンを洞窟の上に向かって放った。

 ()()

 それを見て全員が何故と思うと海竜騎士団の隊長がその上にいる・・・人影を見てこう言った。

 「敵!・・・待ち伏せか!!」

 そう言うとすぐ様に上空に向かうと・・・・角笛の音が聞こえた。

 「全員気を付けろ!如何やらお客さんだぞ!!」

 ルクスがそう言った瞬間にブレスガンの土煙が晴れて姿を見せたのは・・・

逆立った前髪の青年と・・・トゲトゲしい機竜であった。

 いや、本当に機竜なのかと疑いたくなる光景であった。

 まるで・・・アビスを思わせるような風体であった。

 「へえ、流石だな英雄さん。奇襲攻撃を感知するとはよ。」

 そう言うと男は懐から一枚の・・・カードを機竜に取り込ませると

更に禍々しくその形状を変えた。

 見た感じワイアームであろう風体が変貌し始めたのだ。

 背部から・・・大型の鋏状のサブアームが展開すると全身が

ダイヤモンドみたいな宝石が出てきたのだ。

 「へへへ、これが俺の機竜『ダイヤモンド・ワイアーム』だ!」

 「まさかアイツも№を!?」

 ルクスがそう言うと男は笑いながらこう言った。

 「へへへへ!その通りヨ!!それと・・・こいつらもだ!」

 そう言った瞬間に首に下げてある角笛を拭いた瞬間に百以上のアビス・・・

ガーゴイル型がその姿を現した。

 「総員構えろ!作戦を開始する!!」

 ()()()()

 黄龍騎士団の隊長がそう言うと全員が武器を構えた。

 そしてその儘・・・退避した。

 「退却ーー!?」

 ルクスの言葉と共に全員が退いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ギャハハッハ!おいおいおい逃げるのかよ英雄様よ・・・つまんねんだろ!」

 そう言うと『ダイヤモンド・ワイアーム』を纏った男性は洞窟からも多数の

ガーゴイル型を出して引き入れながら追って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『敵部隊追って来ます!』

 地上のドレイク部隊の一人がそう言うとルクスはこう指示を出した。

 「よし!各員第一波用意!!地上から撃ち落として敵を攪乱!?その後は3対1で行動して基地に合流!」

 ()()()()

 ルクスの指示を聞いて地上にいるドレイク部隊・ワイバーン部隊が

ブレスガンを構えてハウリング・ロアの体勢になると暫くしてルクスは

全員に向けて指示を出した。

 「一斉攻撃!」

 その言葉と共に銃声が鳴り響いてガーゴイル型の・・・実に2割が葬られた。

 「よし!総員自由退避!!砦まで走れーー!?」

 その言葉と共に全員がバラバラになって出たすきにルクスは新たに装備された

サブアーム4本に装備されているブレスガンと大型の盾2つとブレード2本で

攻撃を始めた。

 それを見たガーゴイル型は一人如きと思って攻撃しようとして其の儘・・・

音もなく一刀両断された。

 ギィエェエエエエエエえええ!!という鳴き声と共に攻撃しようとした瞬間に

更に首と胴体が切裂かれたガーゴイル型が又増えてしまった。

 本来ならばここで撤退するべきなのであろうがルクスはある事を

思い出していた。

 「(サニアのあの言葉、嘘だとしても荒唐無稽過ぎるからリーシャ様には

言ってなかったけど万が一があったら元も子もないからここで半分は

削らせる!)」

 そう思いながらもリーズシャルテに頼んで増設してもらったサブアームを

使いながら攻撃して更に4割がた減らすことに成功できたのだ。

 「よし!此の儘こいつらを」

 そう言っている間に黄龍騎士団の隊長が竜声で通信してきた。

 「どうしたんですか!」

 『大変だルクス・アーカディア!砦が・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 砦が奇襲でやられている!‼』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ハアアアアアアアアア!一体何で!?」

 『分からん!だがその手前で連中とんでもない物を使っているんだ!‼』

 「とんでもないって・・・何ですか一体!?」

 ルクスがそう聞くと黄龍騎士団の隊長がこう答えた。

 『船だ‼』

 「・・・・・へ?」

 ルクスはそれを聞いて何言ってんだと思っているが黄龍騎士団の隊長は

こう続けた。

 『船なんだ!空を飛ぶボートだ!!数は多数で中から機竜が』

 そう言って通信が途切れた。

 「・・・まさかサニアのあれってマジだったのかよ・・・・!」

 嘘だろとルクスはそう思いながらアビスを食い止める為に攻撃を再開した。




 ダイヤモンド・ワイアーム
 エクス・ワイアームに『№52 ダイヤモンド・クラブキング』の能力を
融合させた機竜
 障壁事攻撃力に変更させることが出来るがその為か障壁が機能しなくなっている。
 武装 サブアーム(ハサミ型)*2
    ブレード
    ブレスガン


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全竜戦会場にて

 役者は揃いそうである。


 ルクスがたった一人で戦っている中王都では全竜戦後半戦第一試合が

行われようとしていた。

 今回の三戦相手はヘイブルグ共和国、マルカファル王国、ヴァンハイム公国の

三国に対する時にアイリはルクスが今何しているのかを説明していた。

 「という訳で兄さんは今日の試合には出場できませんので悪しからず。」

 「ちょちょちょちょちょっと待ってよアイリちゃん!え、何!!ルクッチ今

反乱軍相手に戦ってるってシャリス知ってたの!?」

 「ああ・・・済まないティルファー、大ごとにさせない為に口止めされてたのだ

父様に。」

 「YES、私はバルトシフト家から聞いております。」

 「ちょっと待ってよ!ルクッチこの間の戦いの疲れ未だ取れてないのに

そんな厄介事していたら体力持たないよ!!ねえさ・・・

ココは皆でルクッチを。」

 「ティルファーさん、一つ言って置きますが兄さんの望みは皆さんを

危険にさらさせない事です。そして私達が全竜戦で勝つことを

大事にしていますのにここでむやみやたらに援軍としてきたとしても兄さんに

とっては迷惑ですし何より・・・あの兄さんが助け貸してくれって

言いますでしょうか?」

 「ああ・・・確かにそうだね。」

 ティルファーは嘗てルクスが起こした馬鹿教官三人を

フルボッコにした時のことを思い出すと他の全員も確かにねと言って

アハハと・・・乾いた笑い声が聞こえた。

 「ヘイブルグ共和国にサニアの名前が見当たらん、奴が今回の全竜戦お前が

参加する事位分かっている筈なのに何故なのだ?」

 リーズシャルテがそう言いながらヘイブルグ共和国の出場登録者に

サニアの名前が無い事に不信感を露わにしていた。

 あれ程セリスティアに対する恨みがあるにもかかわらず、公衆の面前で

ボコれる機会があるのにも関わらず何故だと思っているとセリスティアは

こう答えた。

 「兎に角です、私達は今出来る最大の事をしてルクスを安心させることに

集中いたしましょう。」

 それを聞くと全員が一丸となって戦う事を心に決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その一方ルクス達はというと・・・現状最も過酷な戦いを強いられていた。

 アビスだけではなく何処からか現れた空飛ぶ・・・帆船の艦隊がドラグライドを展開していたのだ。

 小中型船は艦下部からワイアームやドレイクが、大型船又は・・・空母からは

X字状のカタパルトからワイバーン部隊が展開していた。

 まるで近代的艦隊思想だなとルクスはそう思いながらもサニアが言っていた事はこの事かと思って貴方を悩ませていた。

 何せ本当に戦艦が来るなんて誰が予測できようとそう思えるのだから。

 「一体どっからこの大艦隊が来れたんだよ全く!」

 そう言っていると空母空新たに何かが出てくるのが見えた。

 「今度は一体何だって・・・・ハアアアアアアアアア!竜だ~~!?」

 ルクスはそれを見て驚いていた、何せ今度は本物のドラゴンが出てくるので一体何なんだよと思いながらも攻撃を再開するしかなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして再び全竜戦会場

 「さてと、相手はマルカファル王国。遺跡が無い事からドラグナイトの育成が

そう進んでいないと聞くから勝って勢いを付けさせてやる。」

 リーズシャルテがそう言ってキメラティック・ワイバーンを展開して入り口に

向かって行っていると何か・・・背後から気配を感じたのだ。

 「何だ!」

 リーズシャルテは一体何だと思って振り向くが誰もおらず気のせいかと思って

会場に向かって行くのを・・・姿を消した機竜とそのドラグナイトがニヤリと

笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『両者配置に着きましたので、アディスマータ新王国対マルカファル王国の

一戦目・・・試合開始!』

 審査員の言葉と共に互いに攻撃しようとすると・・・リーズシャルテの顔色が

僅かに変わった。

 「何だ・・・動きが・・・まさか!」

 そう思ってリーズシャルテはキメラティック・ワイバーンの方を見ると僅かだが上部分に炎が・・・薄っすらとだが現れていたのだ。

 「あの女何時の間に!パージ!!」

 リーズシャルテがそう言ったと同時にキメラティック・ワイバーンの

ブレスガンの充填が終わっていたのであろうあろうことか観客席目掛けていたのをパージしたことで食い止めて放たれた攻撃は其の儘・・・観客席を大きくそれて

障壁のやや上に当たった。

 そしてリーズシャルテは切り離されてワイアームに搭乗するとワイバーンの方は誰もいないにも関わらず動いているのを見て畜生と思っていた。

 「あのアマ無人でも操れるのか!!」

 そう言ってブレスガンを構えると何処からか・・・声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どけやお姫様!」

 そう言ったと同時に何処からか蛇腹剣の刃がワイバーンを締め上げると

其の儘地面に叩きつけたのだ。

 「お前は!」

 「ようお姫様よ、貸し1だぜ。」

 そう言いながらグライファ―が自身の機竜『クエレブレ』を展開して現れるとリーズシャルテは何故と聞くとグライファ―はこう答えた。

 「ああ簡単だぜ、こう言うのが起きるってルクスから聞いてるから

準備してたんだぜ。」

 万が一って奴だなと言っているとリーズシャルテはアイツはと

頭を悩ませていた。

 まあ確かに今回の作戦は奴からしたらムカついていたのであろうがそれでも

他国に言うかとグライファ―は蛇腹剣を元に戻すとコーラルがそのワイバーンを

ワイバーンで押さえつけるとさてとと言ってグライファ―はリーズシャルテの少し上向きの後ろ側に視線を向けるとこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「いい加減に出てきやがれや!」

 そう言いながら蛇腹剣を使うとその場所にも障壁が張っていたがために

当たらずに然も観客席だったから観客がきゃあきゃあと言っていると暫くして

何処からか・・・声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よく分かりましたわね。」

 そう言うと焔夜刀ノ鬼神を纏っている夜架が現れると観客は驚いて

慌てふためいているとグライファ―は夜架に向けてこう言った。

 「ようよう手前この間はウチの選手よくもボコってくれたよなあおい・・・

覚悟できてるよなごら。」

 グライファ―は夜架に向けてガンつけているとリーズシャルテがこう言った。

 「悪いが奴は私の獲物だ、奴には借りがあるからな。」

 「オイオイ待てよお姫様よ、アイツは俺らをボコった奴だしルクスからも

譲ってくれるって言ってたぜ?」

 互いにそう言っていると・・・ダイヤモンド・ワイアームを纏った青年と迷彩で姿を現した・・・サニアが姿を見せた。

 「サニアか。」

 リーズシャルテはよく揃ったなと思っているとじゃあと言ってこう言った。

 「私があのピカピカしたワイアーム、お前はあの女、もう一人は

まあ相手は決まってるからそいつに任せるから・・・やるぞ。」

 「おおよ・・・こっちはもう何時でもだぜ・・・!!」

 グライファ―がそう言って構えているとセリスティアもリンドブルムを纏って

姿を現した。

 そして暫くしてこちらも・・・・戦いが始まった。




 あっちもこっちも戦場だ。


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戦場

 こう言う屑野郎は・・・消毒です。


 王都においても戦いが起こっている中でルクスはある人物と再会していた。

 それが・・・こいつだ。

 「ほお久しいな、ルクス。我が親友『アベル・アーカディア』の弟よ。」

 そう言うのは大量の軍勢を率いて現れた『エクス・ワイバーン』を纏った男。

 『ラグリード・フォルス』であったがルクスはああと言って思い出すかのように

こう言った。

 「ああ、あのクソ兄貴の金魚の糞か。」

 「誰が金魚の糞だ誰が!貴様とは因縁にケリを付けなきゃいけねえんだよ!!

手前があのバケモノ女を助けちまったからあいつには酷い目合ってねえし

手前みてえないい子ちゃん」

 「悪い事したら謝るってのが普通の人間だろ?手前みてえなそんな事も出来ない

社会のゴミ野郎は何時だって他人のせいにして自分は悪くないって自己肯定するからあの国は腐って革命が起きたって未だ分からないかな5歳児だって分かるぞ

お前の脳みそはノミ以下か?」

 「エエイ黙れ黙れ黙れと言っているだろうが!だがお前の事は

聞いているぞ・・・『黒き英雄』よ。だが結局最後に勝つのは俺の方だ、

最早王都が堕ちるのは時間の問題。そして俺は旧帝国の威氏を継いで

新たな皇帝としてこの国の玉座に就くのさ。」

 そう言うとルクスは阿保の子を見るような目でこう聞いた。

 「其れでだけどお前玉座に就いて何するの?所詮は只の置物以下で

ヘイブルグ共和国の体の良い人形程度の価値しかないって分かるんじゃないの?」

 意志とかどうするのさと聞くとラグリードは・・・笑ってこう答えた。

 「フフフフ・・・・くはははっはあははははは!人形だと?それがどうした

結構じゃないか!俺はヘイブルグ共和国旗下の元公然として権力を

振るえるようになる!!この国の財産と愚民どもを弄び、気ままに暴虐の限りを

尽くせれるのだ!!俺は謙虚で利口だからな、皇帝の格とか誰かに

認められるとかそんなものには最初から・・・興味なんてねえ。ただ俺が楽して

お前らを屈服させれればそれで良いのだ。」

 それを聞いてルクスは・・・呆れた様子でこう思っていた。

 「(うわあ・・・完璧な駄目な大人な典型的一例ジャン。)」

 そう思いながらこいつ殺してさっさと行くかと思っていると・・・

周りのドラグナイトの様子を見てこうも思っていた。

 「(ドラゴンぽいのはまあ良いとして他の機竜使いの女の子たち全員力量が・・可笑しい程に低いぞ、まるで初心者に毛が生えたレベルな連中

ばかりじゃないか?)」

 そう思っているが確かにそうである。

 剣の使い方はまるで教本を見て覚えた感じでブレスガンでも出鱈目、

動きも単調で反乱軍に混じっていて分からなかったが確実に分かった。

 「ねえさラグリード、君に一つ聞きたいことがあるんだ。」

 「何だ命乞いか、其れなら這いつくばって俺の足を」

 「いや汚いからって言うか君の足って絶対匂ってそうだから嫌だよ。」

 「何・・・!!」

 「聞きたいって言うのはさ・・・この子達一体何だい?どう見ても

まだ訓練不足な所が見えるんだけどどっから出してきたの?」

 ルクスがそう聞くと嗚呼なと言ってラグリードはニヤリと笑いながら

こう続けた。

 「こいつらはヘイブルグ共和国の傘下国である『ドラグニア竜皇国』という

国家の連中でこいつらは精霊と言う存在を使役しているようだがまあ確かに実力はないがそれでも・・・弾避けにはなるだろ?」

 そう言いながらラグリードは近くにいた少女の顔を寄せて舌で舐めるとルクスはこう思っていた。

 「(お巡りさんここに犯罪者がいます。)」

 完全に警察案件だよこいつ!とそう思っているがこうも思っていた。

 「(弾避け・・・こいつらにとって女はそんな程度の価値しかないって意味かよやっぱあの時こう言う連中を全員下の玉を生きたまま斬り落とした方が

良かったんだろうなイヤ本当に。)」

 竿も含めてと思いながらラグリード目掛けて・・・高速で攻撃しようとして

詰め寄るとその瞬間に・・・ナニカが行く手を阻んだ。

 「何だ!・・・!!」

 一体何だと思っていると甲板の上で少女達が舞を踊っているのが見えたのだ。

 普通ならば何だアレハと思いながら知らんぷりするが他にも祈禱していたりと

するが夜架の事を思い出してまさかと思っていると・・・ラグリードは

こう答えた。

 「そうだ、俺は今あいつらの力で結界を貼っていてな。そのおかげで俺はお前の攻撃に耐えられたのさ!」

 「紛い物の皇帝は力すらも借りものとはよく言うね。」

 「本当にお前は俺の怒りを買う事に関しては一流だが・・・

其れだけではないぞ!」

 ラグリードがそう言った瞬間に少女達が精霊や魔術、機竜からの攻撃を始めた。

 避け切れるくらいだがそれでも時間が惜しい中で本来ならば倒してラグリードを消すべきだと思うがルクスが振りかぶったその時に・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ひぃ!」

 「ちぃい!」

 怯えるその姿に畜生と思いながら下がるとラグリードは勝ち誇った様子で

こう言った。

 「ハハハハハ!所詮お前の覚悟などその程度だ!!力なきものを守るなど弱者の世迷いごとだ、貴様みたいな奴は・・・ここで終わりなんだよ!!!」

 やれと言って再び総攻撃を始めた。

 然も反乱軍の機竜も含まれておりヤバいと思って目を瞑って・・・あれと

思っていた。

 痛みどころか何も起こらないぞと思っていると周りを見て・・・こう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「これって・・・水?」

 巨大な水の玉がルクスを中心にして守っていたのだ。

 するとルクスの目の前に本来ならばいないはずの少女を見てこう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「イセリア・・・さん?」

 「はい、ルクスさん・・・いえ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・マスター。」




 イセリアちゃん登場!


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怒りは焔と化す

 イセリアと契約します。


「何だアイツは!一体何処から現れたのだ!!」

 ラグリードはその光景を見て一体何なんだと思っていた。

 ルクスを追い込んだかと思いきやいきなり巨大な水の膜が現れるとまるでルクスを守るかのように展開するこの状況に一体何なんだと思っていると

近くにいた少女がこう呟いた。

 「あれは若しや『ウオーターシールド』・・・だけど初級精霊魔術で

あれ程の力・・・其れに何故男が精霊・・・まさかあの男は!」

 「おい貴様!あれは一体何なんだ!!精霊というのは女にしか

使えないんじゃないのか!!」

 ラグリードはそう聞くが少女ルクスを見て・・・ナニカ怯えているような感じであった。

 一体何なんだと思っていると少女の呟きが聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・まさかあの男は・・・・魔王?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「イセリアちゃん!何で君がここにいるんだ!!一体如何やって」

 ルクスがそう聞いているとイセリアはこう答えた。

 「貴方が危機だって分かったから。」

 「?」

 ルクスはまるで何か知っているような感覚に襲われるとイセリアは

ルクスに向けてこう聞いた。

 「ルクス、私は貴方に問います。何故貴方は戦うのですか?」

 「何故ってそりゃあ」

 「国とか大義とかは聞きません、何故貴方がそこまで戦うのかの理由を

問いたいのです。」

 「イセリアちゃん・・・君は一体。」

 ルクスはイセリアの眼を見て何だと思っていた、まるで目の前にいる

人間とは・・・全く別人であるかのように思えてならないのだ。

 そして暫くするとルクスは・・・こう答えた。

 「そうだな一つあるとするなら・・・約束かな。」

 「約束・・・一体誰にですか?」

 イセリアがそう聞くとルクスは・・・こう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「自分自身だよ。」

 そう言うとルクスは更にこう続けた。

 「僕は自分自身と約束しているんだ、アイリにリーシャ様、

クルルシファーさん、セリスさん、フィーちゃん、ティルファー、ノクト、

シャリス先輩、そしてサニアさんが皆で笑い合えるような世界を造りたいんだ。」

 「造りたい・・・まるで絵画の如き理想ですが理想は現実の前には無意味だと

貴方は知っていると思いますが?」

 「それでもだ、それでも僕は成し遂げたいんだ。例えそれが夢だとしても

叶えようとかっとビングすれば誰だってチャンスは巡るんだ。」

 「かっとビング・・・何ですかそれは?」

 「これは僕にとって弟の様な・・・大切なもう一つの家族や友達そして・・・

僕がこの世で最も愛した人がいたあの場所で得た例えどんな時でも立ち向かう

この言葉と共に僕は戦う・・・理想を現実として叶えさせるその日まで。」

 ルクスがそう言うとイセリアはそれを聞いて・・・笑みを浮かべてこう答えた。

 「でしたらそれは叶えないといけませんね。」

 そう言うとイセリアはルクスに近寄るとこう言った。

 「ルクス・アーカディア、唱えて下さいこの言葉を。」

 そう言って耳元でナニカ口遊むと暫くしてこう言った。

 「・・・分かった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ー古より世界を守りし、気高き精霊よ!

 -汝、我を主君として認め契約せよ、さすれば我は汝の鞘とならん!

 そう言うとイセリアはルクスの手を取ってこう答えた。

 「分かりましたルクス・アーカディア、私は今日この時より貴方の弓矢として

何時いかなる時も貴方を害する者達の裁きを与える鏃として穿とう。」

 そう言うとイセリアが光り輝いたと同時に右手と懐のカードが一枚青く輝くと

そこから現れたのは・・・青い弓矢が姿を見せたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そんな!あれは『精霊魔装(エレメンタル・バッフェ)』!!それに

この神威の神々しさは・・・まさかあのお方は!?」

 「おい貴様ら何をしている!速く攻撃しないか!!奴を討てばこの戦いは

我々の勝利なんだぞ!?ここで負ければ貴様ら後でどう言った事をされるか

分かっているだろうな!」

 『‼』

 それを聞いて全員がびくつきながら攻撃態勢に入っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「これは一体?」

 「これこそマスターが契約した私の精霊魔装

(エレメンタル・バッフェ)です。」

 「『エレメンタル・・・・バッフェ』?」

 「そうです、精霊を扱う者達にとって最も必要なこの姿で今いる精霊使いを

倒す事など造作もアリマセン。」

 「精霊使い・・・其れってあの子達?」

 ルクスがそう聞くとイセリアはそれを了承するとルクスはイセリアに向けて

あることを聞くとイセリアはこう返した。

 「私を甘く見ないでください、幾ら武器となったとしても

それ位何のそのです。」

 「じゃあお願いね。」

 そう言うとルクスは弓矢を天に向けて・・・其の儘放った。

 「は!何をしているのだ!!当たらなければどうとも」

 ないとラグリードが言いかけた瞬間に辺りの天候が急変してきたのだ。

 「な・・・ナンダこれは!一体何が起きているのだ!!」

 そう言うと暗雲漂うそらの雲から数百もの矢が精霊使いの少女達目掛けて

一斉に・・・穿たれた。

 《《キャアアアアアアアア!!』』

 「な・・・何だと!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『(雪矢の蒼雨)スノウ・レイン』

 イセリアがそう呟くと同時に辺りの精霊使いと機竜が堕ちて行くのが見えた。

 「は・・・ハハハ・・・ハハハハハ!よくやった流石は帝国の皇子だ!!

やはりお前だって女など只の枷」

 「よく見ろ愚図、お前の目ん玉は木製か?」

 「・・・何・・・・!!」

 ルクスの言葉を聞いて周りを見ると精霊使い達全員・・・失神しているだけで

全員死んでいない事に気づいたのだ。

 「確かの僕は攻撃したけど戦いに不向きな子を殺すほど僕は屑に堕ちた

記憶はないよ。」

 「貴様・・・・よくも!」

 ラグリードがそう言って構えると笑いながらこう言った。

 「だが俺には未だアビス30体と200もの同士がいるのだ・・・この状況で貴様が勝つ確率は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「僕は苛ついてるんだよラグリード。」

  「?」

 「戦う気もない子達を前線に出して自分は後ろから優雅に見物、所詮は

借りものが無ければ反乱を起こす事も出来ない愚図で汚らしい旧帝国の汚物如きが僕に勝てると思うのかああ!」

 ルクスは目つきを鋭くして怒り心頭でそう言うとイセリアを元に戻して

地上に優しく置くとラグリードに向けてこう言った。

 「お前だけは許しちゃいけない、あの時帝都で君と会った時から

こうなるのかなって思ってたけどもう一度言うよラグリード・・・

僕は今苛ついているんだ・・・だからさ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お前ら全員ブッコロして地獄で懺悔させてやる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 するとライズ・ワイバーンから音声が聞こえた。

 『ランクアップスタート・・・コード《ブレイズ》。」




 ランクアップします。


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怒りの機竜顕現

 氷水の蒼弓(ミストルテイン)
 イセリアのエレメンタル・バッフェの時の姿。
 水・氷の魔術全般を使いこなせれるだけではなく天候すらも変えることが出来る
最強の魔装。
 あまりの神威を消耗するがために一度の攻撃で殆どの神威を使わされるため体力の少ない人間は使用する事すら命にかかわる程である。


 ルクスの機竜、ライズ・ワイバーンが赤く燃えるようなオーラを出すと

ソードデバイスを抜くとこう言った。

 「獰猛なる翼竜よ!激戦を切り抜けしその翼翻し数多なる敵を討ち滅ぼせ!!

『ブレイズ・ワイバーン』!」

 その瞬間に赤いオーラがライズ・ワイバーンに纏わりつくとその姿が

変わり始めた。

 蒼から赤にへと色が変わりキャノン砲は姿を消すと同時に同様に装備されていた

サブアームが消えてしまったのだ。

 そしてその代わりに翼の上部分に何やら大型の箱状の物が現れてシールドが

砕けたかと思いきやブレスガンは露出すると同時にブレードがパージされた

シールドを取り込むかのように吸収すると剣は姿を変えて巨大な

ソードメイスにへと姿を変えた。

 「『ブレイズ・ワイバーン』・・・ラグリード、これがお前達に見せる

今の僕の姿だ。」

 「機竜が・・・変身した・・・だと・・・!!」

 ラグリードはそれを見て驚いていた、何せ機竜が姿形を変える等

今まで聞いた事すらないのだから。

 だがラグリードはこう言った。

 「所詮はこけおどしだ・・・そうだ!そうに決まってる!!総員奴を殺せ!?

奴を殺した物は宰相の地位に就かせてやる!学園の女どもを

好き勝手させてやるぞ!!」

 《《ウォォォォォォオオォォォォォォォォ‼!』』

 それを聞いて反乱軍の兵士達は意気揚々としてルクス目掛けてそう攻撃しようと

するとルクスの新たなる機竜『ブレイズ・ワイバーン』の翼上部にある箱型状の物がせりあがると箱が開くと同時にルクスはこう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 「機竜弾頭(ミサイル)・・・発射。」

 そう言ったと同時に箱状の中から幾つもの細長い兵器・・・

ミサイルらしきものが反乱軍相手に放たれると反乱軍は初めて見るその兵器に

一体何だと一瞬動きを止めた瞬間に・・・命中と同時に爆発した。

 『ギャアアアアアアアアアアア!‼』

 その爆発にワイバーンタイプが破壊されると今度は翼が分離して・・・ナニカが現れた。

 リーズシャルテの機竜『ティアマト』のレギオンの様に見えるそれは中央部分に砲台の様なのが見えるが暫くするとそこから・・・ブレスガンの如き威力のが

放たれた。

 『ウワアアアアアアアアアアアアアアアアア!』

 その攻撃に地上にいた兵士たちが次々と倒れて行くとただ一人残った

ラグリードは信じられない様子でこう呟いた。

 「な・・・何なんだあの武器は・・・・一体何だと言うのだ貴様はーー!?」

 そう言いながらラグリードはウワアアアアアア!半ばやけくそな形で

突っ込もうとした瞬間にルクスは周りにあるレギオンらしきのを収納すると

ラグリードはチャンスと思って最大加速するがルクスが保有している

バスターソードメイスを掲げようとしているのであろう動きが遅い事に余裕綽々でこう言った。

 「馬鹿め!そんな鈍重な武器で何が出来る!!お前が其れで攻撃する前に

俺の攻撃がお前に当たる・・・これでしまいだーーー!!」

 そう言っているとそのバスターソードメイスが中心から・・・

2つに分かれたのだ。

 「は?」

 ラグリードはその光景に何でと思った瞬間に中央部分に電流らしきものが

走っているのを見て止めようとするも間に合わずにいる中でルクスはラグリードに向けてこう言った。

 「こいつは大剣じゃない・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・砲台だよ。」

 そう言った瞬間に巨大なエネルギー体が放たれたと同時にラグリードを

包むかのように命中して其の儘・・・塵一つ残さずにこの世から消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よし、後は他の」

 面々だなと言った瞬間に残っていた竜に乗っている精霊使いが槍を向け乍ら

突進してきた。

 「ハアアアアアアアアア!」

 「おい待て待て、僕は君たち相手に戦う気は無いよ。」

 「黙れ!お前を倒さなければ我々は・・・我々はーー!?」

 そう言いながら少女はもう一度と言って突っ込んでいくと

イセリアが前に出て右手を出してきたのだ。

 「イセリアちゃん!」

 「大丈夫ですマスター。」

 イセリアがそう言うと目の前で大きく口を開けた竜が・・・突如として動きを

止めたのだ。

 そしてイセリアが竜の頭をなでると竜は・・・気持ちよさそうな声を

上げていた。

 「グルルルル。」

 「よしよし。」

 そしてその儘イセリアは少女が持っている槍を握って・・・凍らせて砕くと

こう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「無礼ですよ、この私『イセリア・シーウオード』が命じます。即座に

武器を棄てなさい、我が主がいるのですよ。」

 そう言うと船に乗っている巫女達や少女達が揃いも揃ってこう言っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「イセリア・シーウオード・・・まさか精霊王!」

 「何故ここに!?何時の間に下界に!!」

 「何しているの!イセリア・シーウオード様に無礼が無いように跪ずくのよ!」

 そう言った瞬間に地上にいる者達も含めて全員が跪くとイセリアは近くにいる

少女に向けてこう聞いた。

 「貴方方は確かドラグニア竜皇国・・・聞いてはいましたが

お辛かったでしょう?」

 大丈夫でしたかと聞くと少女は慌ててこう答えた。

 「いいえ滅相もない!こうして精霊王に会えたことだけでこれ迄の苦労など

この日の為と思えば何も!」

 「ですが多くの者達が死にました、そして今日攻めて来てしまった・・・

今戻れば貴方方は逆族の汚名を着せられるでしょう。」

 「・・・覚悟の上です、精霊王に会えただけで私達は最早悔いなど

ありませぬ。」

 「何この宗教的光景?」

 怖いんですけどとルクスがそう呟くとイセリアはルクスに向けてこう聞いた。

 「マスターお願いがあります・・・彼女達を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「助けろだろ?当たり前でしょ人間なんだから助けるのは当たり前でしょ?」

 「・・・流石は我がマスター。」

 イセリアはルクスに向けてそう呟くとイセリアは少女達に向けてこう言った。

 「皆様、もう恐れないでください。このお方・・・我がマスターが

貴方達を守ると私に宣言してくれました・・・これからは私達と共に

力を貸してくれますか?」

 そう聞くと少女は・・・泣きながらこう答えた。

 「ハイ・・・喜んで。」

 咽び泣きながらそう答えるが他の少女達もそうであったのだ。

 するとルクスの竜声から黄龍騎士団の隊長の声が聞こえた。

 『ルクス殿!今ご無事でしょうか!?』

 「ハイ大丈夫です、それとですが王都までの足を捕まえましたのでこの船に

集めて下さい。」

 『一体何する気だ?』

 そう聞くとルクスはこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・どんでん返しだよ。」




 ブレイズ・ワイバーン
 種類 飛翔型機竜
 本機はライズ・ワイバーンから進化した機竜。
 これ迄の高機動から打って変わって遠距離特化型の兵装が殆どを占めており
その威力は神装機竜数機分に匹敵するとされている。




 武装
 ブレスガン*1
 機竜弾頭(ミサイル)コンテナ*2*40
 無線兵器 フレイムショット*12機
 大型バスターソードメイス型キャノン砲
(見た目は蒼穹のファフナーに出てくるルガーランス)


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王都にて

 第5遺跡登場。


一方王都ではリーズシャルテを陥れようとしていた工作班の夜架達を相手に

グライファ―とセリスティアと組んで夜架達相手に戦っていた。

 そんな中でラフィ女王の下に兵士から臨時連絡が届けられた。

 「報告!王都北東より巨大な敵勢力・・・恐らく誤情報の可能性がありますが

ヘイブルグ共和国にて確認されていた第5遺跡『ギガース』が動いているとの

情報が!!」

 『!?』

 それを聞いてラフィ女王達が驚いている中でディストが冷静にと言いながら

こう続けた。

 「早急に北東部住民の避難を最優先に!それと竜王戦参加国家の面々に通達し

避難準備!!地下通路を改修したシェルターに避難!?兵士は全員護衛に

回らせろ!」

 「それとですがドレイク部隊にこの事伝えて今すぐ戦える部隊を送りなさい。」

 ラフィ女王がこう続けると全員準備を始めた。

 そんな中で北東部から霧が濃く出てくるのが見えた。

 「あれは・・・まさか!」

 ラフィ女王がそう言うと霧の奥から僅かにだがそれが見えた。

 鋼の大和見紛う2つの脚部

 その上には王城を更に二回りほど大きくした腰と逆三角形の胸部が乗り、

左右の両肩部分には軍艦の様に突き出た砲台が無数に装備されていた。

 そして最後に甲虫の如き頭部が王都を見下げるかのように見ていた。

 ヘイブルグ共和国に鎮座されていた大型遺跡『ギガース』が今・・・

現れたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその一方、ルクス達は生き残った兵士達が船を動かしていると

ルクスは少女達の中でリーダー的な少女から聞いた言葉を聞いて驚いていた。

 「第5遺跡『ギガース』を使って王都を落とす・・・大胆だな!」

 クソがと言いながら壁を殴っているとイセリアはこう聞いた。

 「そして貴方方は時間稼ぎとしてここにですか?」

 「はい、私達はそれだけではなく精霊魔法を使って結界を貼って精霊たちを

呼び起こして暴走させると言う段取りです。」

 それを聞いてイセリアがそうですかというとルクスに向けてこう言った。

 「この速度でしたら後4分で王都ですが速く部隊を展開させなければ

いけません。」

 イセリアがそう言ってそうだねと言って準備させていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何と言う事ですか。」

 闘技場に於いてノクトがそう呟きながらリーズシャルテ達の戦闘を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 「ええい面倒な能力だな!」

 「ハハハハハ!量産機如きで俺に勝てると思ってたのかよお前!?」

 リーズシャルテに向けてそう言いながら『ダイヤモンド・ワイアーム』を

纏っている男性は背面部にあるサブアームで攻撃しようとしていると

リーズシャルテはワイアームのブレスガンとブレードで防御する中である事に

リーズシャルテは気づいた。

 「(あの機竜の障壁、今見て気づいたが障壁が・・・機能していないと言う事はあれには障壁が存在しないと言う事か!)」

 正に不退転の構えだなと思っている中で他の面々の方の攻撃を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ウォラアアアアアアアア!」

 「遅いですわね。」

 グライファ―は蛇腹剣で攻撃しようとしていると夜架は紙一重で躱して

その剣に触れようとするとグライファ―は・・・ハウリングロアで夜架を

遠ざけるとこう言った。

 「あぶねえぜ、手前は触れた敵の機体制御を遠隔操作できるようだから

手前を遠ざけてぶっ潰す!」

 「其れでしたら・・・こちらから近寄らせますわ。」

 そう言うと炎夜刀の鬼神から細い・・・炎が迸るかのような糸が放たれて

辺り一帯に展開した。

 「何だこいつは・・・!」

 しまったと思って夜架を見るとクスクスと夜架は笑ってこう言った。

 「これで貴方は籠の中の鳥、私の攻撃は貴方に確実に通れますわ。」

 「だったら・・・やってみやがれやーー!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どうしたセリスティア!其れでも貴族の名門足りえると言われた

ドラグライドの王都筆頭だと言うのか!!」

 サニアはそう言いながらスパイダーシャークが保有している

蛇腹剣『ディープ・ファング』を右手に、そして左手に

『コアディグレーション』における切れ目ない攻防を繰り広げた。

 「くう!」

 セリスティアはその絶え間ない攻撃に本来ならばディバイン・ゲートで

対応しようとして作動させたが・・・背面部から幾つもの鋭利な刃が姿を見せると線に繋がれた状態で放たれた。

 「何!?」

 「『ブラッドテイル』、リーズシャルテのレギオンに比べれば射程距離よりも

短いが半自動的に攻撃してくれる。お前のディバインゲートに対応できる

この攻撃の前に貴様は後ドウヤッテ対処できるかな?」

 サニアがそう言ってニヤリと笑うのを見るとセリスティアは苦虫を

嚙み潰したような表情をしているとサニアはそれを見てこう続けた。

 「悔しいか、辛いか?それは私達が今までお前が起こした悲劇と屈辱だ!

お前がこれから喰らう痛みと苦痛と死なせてくれという絶望を聞かせるために

私は今まで頑張って来たんだ!そしてウエイド先生の仇を取って貰うぞ!」

 「私は・・・確かに自分の浅ましき知恵で数多なる人間たちを傷つけ

その命を奪いました・・・だからこそ私がその命を持って果たします!

ルクスと共に。」

 「そうか・・・ならこれ以上ルクス様に近づかせない様にさせる!」

 そう言って互いに戦闘を再開した。




 そしてルクスは・・・やってきます。


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王都の戦闘

 王都で戦闘です。


『警告する。』

 ギガースから無機質な声が聞こえた。

 『既に勝敗は決した、この場にいる新王国及び及び女王とその配下は速やかに

降伏しろ。摩ればお前達に安息を与えよう。』

 「クソが・・・ギガース使って脅迫とはやってくれるな!」

 リーズシャルテはそう言いながらダイヤモンド・ワイアームを相手どっているが

その高い性能に苦戦するが障壁が発生していない事を知っている為確実な所を

攻めると思いながら攻撃していた。

 そしてセリスティアの方はサニアの猛攻で攻め時を見極めていた。

 「それにこいつは罠だ、間接的な統治と他国に対する牽制・・・やはり

ヘイブルグ共和国の目的はこの国の乗っ取り・・・!」

 リーズシャルテがそう言っているとギガースから声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『残念ながら、貴様の城主たちは返答をしなかった・・・よって、攻撃を

再開する‼』

 そう言った瞬間にギガースの肩部に装備されている大型砲台が

突如火を噴こうとした時にその無数の節がギガースの右腕を絡みつかせた。

 『ナニ…!?』

 一体どうしたんだと思っているとその視線の先にあったのは・・・

フィルフィのテュポーンの『パイル・アンカー』がその腕を絡みつかせていた。

 「やらせないよ。」

 『下らん真似を・・・エル・ファジュラ!奴を潰せ!‼』

 ギガースから聞こえる声が恐らく内部にいるであろう指示を出すと左腕を

操作しているであろうその左腕を振るおうとした瞬間にその関節部分に蒼白い・・光弾がその部分に当たった瞬間に氷結した。

 『こいつは・・・まさか‼』

 「あら、当たったわね。」

 『無駄なあがきを・・・もう良いエル・ファジュラ!奴らを無視してでも

王城を』

 攻撃しろと言った瞬間に・・・ギガースにナニカが命中した。

 『何だ・・・・な‼』

 ギガースの内部にいる人間が何だと思って見た瞬間に恐らくであろう

驚いているがリーズシャルテ達も驚いていた。

 何せ今見ているのが・・・夢なのかと思っているからだ。

 「船が・・・飛んでいる・・・だと!!」

 リーズシャルテがそう言って見ていた、木造船の様な形状の物が浮いているのを

見て嘘だろと思っているとクルルシファーはこう続けた。

 「ちょっと待ってよ・・・何で船が浮いてんのよ!?」

 あり得ないでしょと言っていると船の甲板から機竜が発進するのが見えた。

 「機竜・・・まさか反乱軍!?」

 『‼』

 それを聞いてここでかと思っているとフィルフィが・・・こう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ルーちゃん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉と同時にルクスの機竜『ブレイズ・ワイバーン』がX字の甲板から

現れるとクルルシファーがそれを見てこう言った。

 「何やってんのかしらルクス君!それにしても何なのかしら荒れ?

意味わからないって言うか何とんでもない物と一緒に来てんのよ!?」

 「いやあ・・・何せ反乱軍の艦隊相手に何度か死にかけて況して。」

 「機竜が変わっているのは?」

 「それは黙秘権行使します!」

 ルクスがそう言うとクルルシファーはああそうと言って今の王都について

説明していると成程と言ってこう続けた。

 「でしたら僕はリーズシャルテ様の援護に行ってきます、一応騎士ですから。」

 「そう、じゃあ私は此の儘あれを見張っているけ何とかしなさいよ。」

 クルルシファーはそう言ってもう一度ギガースの方に目を向けているとルクスは其の儘王都の闘技場にはと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あれって・・・ルクスさん!」

 透流がそう言って闘技場に降り立っていくルクスを見るとアイリは

ホッとした様子でこう言った。

 「全く兄さんは・・・良かった。」

 「ですが今のこの状況ではルクスサンが加わったとしても勝てるかどうかです!今ギガースを相手にしている最中ですから今黄龍騎士団と海竜騎士団が

加わったとしても此の儘では全て潰されてしまいますよ!」

 ノクトがそう言うが確かにと思っていた、今のこの現状では援軍が来ても

傷口に塩だと思っている中でこの戦力では対応出来るのかと思っているとアイリはノクトに向けてニヤリと笑ってこう答えた。

 「忘れましたかノクト、兄さんは如何なる時にでも勝利させる人ですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ルクスが闘技場に降りるとグライファ―と夜架が戦っているのを見た瞬間に

夜架はいきなり・・・動きを俊敏にさせるとグライファ―を追い込んだ。

 「くそ!神装発動してんのにこいつ素早い!」

 「申し訳マりませんがここで・・・劇終です。」

 そう言った瞬間にクエレブレの纏っていた光が消えた瞬間に夜架の攻撃で・・・倒れた。

 「グライファ―!」

 「気を付けろ・・・こいつやべえぞ・・・!」

 グライファ―がそう言うとルクスは夜架を見ると夜架はこう言った。

 「お待ちしておりましたわ主様、色々とありましたがどうでしたか?

私の罪は如何なる物でしょうか?」

 夜架がそう言うとルクスはこう答えた。

 「いいや、ヴァンハイム公国に対する攻撃は君じゃなくて・・・大方あの

クソ軍師だろ?」

 「・・・でしたら何故私から先に来たんでしょうか?ギガースの方は?」

 夜架がそう聞くとルクスはこう答えた。

 「確かにそうかもしれないけど僕は君を相手どらなきゃいけない理由が

あると思ったから。」

 ルクスがそう呟くと夜架はそうですかと言った瞬間に夜架の腕から光が

出てきた。

 「これは・・・?」

 「・・・デュエルディスク・・・!!」

 ルクスは暗色からのデュエルディスクを見ると夜架はそうですかと言うと

ルクスに向けてこう言った。

 「主様、ここからはこれで戦いませんか?」

 「・・・それで良いの?」

 ルクスがそう聞くと夜架はこう答えた。

 「構いませんわ、ルールは見て覚えていますから互いに・・・。」

 夜架がそう言うとルクスは分かったと言って懐からデュエルディスクを出した。

 「デュエルディスク!セット!!」

 「こちらも」

 夜架がそう言うとデュエルディスクを抜刀の要領で取り付けた。

 「「Dゲイザーセット!」」

 互いにDゲイザーを取り付けると音声が流れた。

 『ARヴィジョンリンククリア。』

 そう言うと同時にリーズシャルテがダイヤモンド・ワイアームを打倒したのだが其れと同時に№が外に排出されて夜架の下に行った。

 「成程・・・私の下にですか。」

 夜架がそう呟いてそのカードをデッキケースに入れた。

 するとセリスティアのサニアも闘技場の外に出ると同時にクランリーゼと

ラ・クルシェは壊れたワイアームにパソコンを接続して巨大なAR空間を形成した。

 その空間が造られたと同時2人はこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「デュエル!」」

 




 次回はデュエルです。


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デュエル①

 デュエルスタート


 「僕が先行!ドロー!!」

 ルクス LP 4000

 手札 6 墓地 0 除外 0

 デッキ 35⇒34

 「僕は『R・Rラダー・ストリクス』を通常召喚!」

 ルクスがそう言って召喚したのは機械の鳥だった。

 R・Rラダー・ストリクス

 ATK 0  DEF 1600 (D表示)

 「この時『R・Rラダー・ストリクス』の効果を発動!召喚特殊召喚に成功した時

相手に600ポイントのダメージを与える!」

 そう言った瞬間に『R・Rラダー・ストリクス』の体が光った瞬間に夜架に

襲い掛かった。

 「うぐ!」

 夜架 LP 4000⇒3400

 「僕はこれでターンエンド。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あれがルクス様の異世界での戦い方か。」

 サニアは初めて見るデュエルを見てそう言うとセリスティアはこう呟いた。

 「前に見たカードではない・・・別のでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おい王女様よ、あれは一体何だ?見た事ねえぞ。」

 グライファ―がリーズシャルテに向けてそう聞くとリーズシャルテは

こう答えた。

 「あれは別世界の戦いだ、見ていて損はないぞ。」

 リーズシャルテはそう言ってティアマトのソードデバイスを抜くと

グライファ―はこう聞いた。

 「何処行くんだよお前?」

 グライファ―がそう聞くとリーズシャルテはこう答えた。

 「ああ、私は少しあの声に覚えがある奴相手に戦ってくるさ。」

 そう言ってリーズシャルテはティアマトを召喚して飛んで行った。

 ギガースの元へと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「成程、それが主様の・・・前に見た奴とは違いますガ?」

 夜架がそう聞くとルクスはこう答えた。

 「これは前に僕がある大会の前まで使ってたカードだよ、

最近デュエルしてたから作り直したんだよ。」

 ルクスがそう答えると夜架はくすくすと笑ってこう言った。

 「でしたら私も・・・負けてはいられませんわね、私のターン。ドロー」

 夜架 LP 3400

 手札 6 墓地 0 除外 0

 デッキ 35⇒34

 「私は貴方様のデュエルを一度見たので大体は分かっておりますわ、私は魔法『ブレイズ・キャノン』を発動させます。」

 「『ブレイズ・キャノン』!?」

 ルクスはそれを聞いて驚いているが夜架はこう続けた。

 「更に私は『ブレイズ・キャノン』の効果を発動、手札から攻撃力が500以下のモンスターを墓地に送って相手モンスターを破壊します。

私は『ヴォルカニック・バレット』を墓地に送って守備表示の

『R・Rラダー・ストリクス』を破壊いたします。」

 そう言うと現れた砲台に小さな炎の虫の様な物が入るとそこから放たれて・・・『R・Rラダー・ストリクス』を破壊した。

 「くそ!」

 「更に私は『ヴォルカニック・リボルバー』を召喚致しますわ。」

 ヴォルカニック・リボルバー

 ATK 1200  DEF 800  (D表示)

 「本来でしたら攻撃したいところでしたが『ブレイズ・キャノン』を使うと

攻撃できなくなってしまうためこれでターンエンドです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あっちの方は焔か、見た目によらず熱そうなやつだぜ?」

 グライファ―がそう呟くと暫くして・・・仲間がやって来た。

 「グライファ―!」

 「おおコーラル!やっと来たか!!」

 「何してるんだよコーラルって・・・何あれ?」

 コーラルが目の前に広がる光景を見て何だと思っているとグライファ―が

こう答えた。

 「何か分からねえけど取敢えず見ておいて損はないぜ?」

 グライファ―はそう言ってデュエルを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「僕のターンドロー!」

 ルクス LP4000

 手札5⇒6 墓地1 除外0

 「僕は魔法カード『フェニックス・ハート』を発動!」

 「この効果で僕は墓地から『R・Rラダー・ストリクス』を復活させる!甦れ『R・Rラダー・ストリクス』!!」

 R・Rラダー・ストリクス (A表示)

 「そして効果で600のダメージ!」

 夜架 3400⇒2800

 「更に僕は『R・Rナパーム・ドラゴ二アス』を通常召喚!」

 R・Rナパーム・ドラゴ二アス

 ATK 1000   DEF 1000(A表示)

 「更にR・Rナパーム・ドラゴ二アスの効果で相手に600のダメージを与える!」

 夜架 2800⇒2200

 「そして僕はレベル4のラダー・ストリクスとナパーム・ドラゴ二アスで

オーバーレイ!」

 そう言うと2体が光となって黒い渦に飛び込んだ。

 「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!」

 そう言うとルクスはこう言った。

 「2つの志を受け継ぎシ翼が世界の理を作り変える・・・エクシーズ召喚!

現れよ!!『レイダーズ・ナイト』!?」

 レイダーズ・ナイト

 ATK 2000  DEF  0

 現れたのは蒼白い魂の焔が零れ始めた機械の鳥だった。

 「そして『レイダーズ・ナイト』の効果発動!オーバーレイユニットを

一つ取り除いてランク一つ低い又は高いエクシーズモンスターに

特殊召喚できる!」

 そう言うと『レイダーズ・ナイト』が再び光り輝くと又もや黒い渦に

飛び込んだ。

 「一体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築!エクシーズ召喚!」

 そう言って現れたのは新たな翼であった。

 「まだ見ぬ勇猛なハヤブサよ。猛き翼に秘めし未知なる力、

今ここに知らしめよ!エクシーズ召喚!現れよ!

『R・Rエトランゼ・ファルコン』!!」

 そう言って現れたのは鋼の隼であった。

 「さあ行くぞ夜架・・・僕は君を倒してこのアディスマータ新王国を助ける!」




 続きます。


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デュエルⅡ

 通常魔法カード『フェニックス・ハート』
 このカードが発動された時墓地に存在する鳥獣族モンスターを特殊召喚することが出来る。


 「『R・Rエトランゼ・ファルコン』のモンスター効果発動!

オーバーレイユニットを一つ取り除いて相手モンスターを破壊して

その攻撃力分のダメージを相手プレイヤーに与える!!

僕は『ヴォルカニック・リボルバー』を破壊する!?」

 ルクスの言葉に呼応するかのように『エトランゼ・ファルコン』は光を放つと『ヴォルカニック・リボルバー』を破壊した。

 「あが!!」

 夜架 LP2200⇒1000

 「そしてこれで終わりだ!『エトランゼ・ファルコン』プレイヤーに

ダイレクトアタック!!」

 その言葉を聞いて『エトランゼ・ファルコン』は空高く舞い上がって夜架目掛けて攻撃しようとすると夜架は手札から一枚抜いてこう言った。

 「手札から速攻魔法『閻魔の足音』を発動します。」

 「速攻魔法?!」

 「このカードは相手がモンスターを破壊したターン時に発動します、墓地にあるカードを二種類以上のモンスターがいる時除外することで相手の

バトルフェイズを強制終了させます。」

 そう言った瞬間に『ヴォルカニック・リボルバー』と

『ヴォルカニック・バレット』が『エトランゼ・ファルコン』を

受け止めるかのように盾となって守ると『エトランゼ・ファルコン』は

吹き飛んだ。

 「・・・僕はこれでターンエンド、そして『エトランゼ・ファルコン』は

『レイダーズ・ナイト』の効果で破壊される。」

 そう言った瞬間に『エトランゼ・ファルコン』は『レイダーズ・ナイト』の

幽霊みたいな物体によって破壊されるとルクスはこう続けた。

 「だけど『エトランゼ・ファルコン』の効果を発動し墓地にある

『R・R』Xモンスターを特殊召喚出来る!墓地に存在する『レイダーズ・ナイト』は『R・R』としても扱うため特殊召喚出来る!!」

 『レイダーズ・ナイト』(A表示)

 「カードを一枚伏せてターンエンド。」

 ルクス  LP

 手札6⇒3 墓地3 除外0

 デッキ34⇒33

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「私のターンドロー。」

 夜架  LP1000

 手札2⇒3 墓地1 除外2

 デッキ34⇒33

  

 

 「私は『ヴォルカニック・トルーパー』を召喚致します。」

 ATK 1000   DEF 1000(D表示)

 「更に私は墓地にある『閻魔の足音』を発動、このカードを除外して除外されたカード二枚につき一枚ドロー出来ます。」

 手札3⇒4

 デッキ33⇒32

 「更に手札にある『ヴォルカニック・バックショット』を捨てることで

相手モンスターを破壊。」

 そう言うと『ブレイズ・キャノン』が起動して『レイダーズ・ナイト』を

破壊した。

 「くそが!」

 「更に『ヴォルカニック・バックショット』の効果で相手を500傷つける。」

 「何・・・クソが!」

 ルクス LP4000⇒3500

 「そしてこれでターンエンド。さあ主様、貴方様ですよ?」

 「ああ・・・そうだね。」

 ルクスはそれを聞いて・・・内心楽しくなってきたなと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな中リーズシャルテはというと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「『ギガース』か・・・くそ!此の儘じゃあ新王国が!!」

 リーズシャルテはそう言いながら『ギガース』の周りを飛翔していると・・・

何処からか攻撃が来た。

 「何だ今のは!」

 リーズシャルテはそう言いながらその攻撃の発生源のある場所に目を向けると

そこで目にしたのは・・・機竜であった。

 灰銀の機竜

 通常のブレードよりも数倍長く柄を中心に双剣を繋げたかのような形状の

ブレード『両翼双剣(ツーブレ―デッド・ソード)』

 そしてそれを使う機竜の名は・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よう初めましてだなお姫様?」

 「ヘイズ・・・その傷は間違いないな。」

 リーズシャルテはそう言いながらヘイズを見ていた。

 右目と右腕の内右目は眼帯で覆っており右腕は直接機竜のコントローラーと

直結して恐らく神経操作しているのであろうコードが露出していた。

 そして左腕の半分の指が無くなっておりそれもコードで直結されていた。

 「何だ・・・その風体は?」

 リーズシャルテはヘイズに対してまるでバケモノを見るかのようにそう言うと

ヘイズは憎々しい表情でこう答えた。

 「俺はあの後体を直そうとしてもドラグナイトとしての俺はもう死んでるって

言われて・・・冗談じゃねえぞクソが!俺はアイツにここ迄されてんのに

誰かに奴を倒される所を見る位なら俺がアイツを殺すって決めてたんだよ!!」

 「だから・・・その体になってでも。」

 「そうさ復讐さ、俺はアイツをぶっ殺すために体をいじくった!

そして先ずは手前を殺して次にアイツをこの手でブッコロシテヤル!!」

 ヘイズは大声でそういうとリーズシャルテは・・・ふざけるなと言って

こう続けた。

 「私を殺して次にルクスを殺すダト・・・やって見ろ阿婆擦れが!私にとっての恩人に手を出すと言うのならば貴様を倒してこの『ギガース』を止めてやる!!」

 「やって見ろよクソ女!手前と俺との格の差って言うのを

思い知らせてやるさ!この『ニーズヘッグ』でな!?」

 ヘイズがそう言ったと同時に『ニーズヘッグ』の

『両翼双剣(ツーブレ―デッド・ソード)』を、リーズシャルテは

『ティアマト』の『セブンズ・ヘッド』と『レギオン』を展開して・・・

女の闘いが始まった。




 速攻魔法カード『閻魔の足音』
 このカードはモンスターが破壊されて墓地に送られたターン時に発動出来る。
 ①このカードが発動した時墓地に存在するカードを全て除外し除外したカード
二枚につき相手モンスター一体の攻撃を無効にする。
 ②このカードを墓地から除外して除外されているカード二種類に付き一枚
ドローできる。


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デュエル③

 続きです。


「僕のターン!ドロー!!」

 ルクス  LP3500

 手札3⇒4  墓地4  除外0

 「僕は魔法カード『フェニックス・ハート』を発動!この効果で

僕は『R・Rラダー・ストリクス』を特殊召喚してそして『ラダー・ストリクス』の

効果で600のダメージ!!」

 「あらあら。」

 夜架 LP1000⇒400

 「更に手札にある『R・R ヒール・イーグル」の効果で特殊召喚!」

 ATK 700  DEF  700(D表示)

 「そして手札から『幻影騎士団《ティア―スケイル》』を通常召喚!」

 ATK 600  DEF  1600(D表示)

 そう言って登場したのはボロの服を着たモンスターが現れた。

 「そして手札を一枚捨てることで効果発動!デッキから『幻影騎士団』又は

『ファントム』を一枚捨てることが出来る!」

 手札から墓地送り『幻影翼(ファントムウイング)』

 デッキから墓地送り『幻影騎士団 ラギット・グローブ』

 「更に『幻影騎士団 ラギット・グローブ』の効果を発動しこのカードを

墓地から除外して幻影騎士団又はファントムの名を持つカードを手札に加えることが出来る!その効果で僕はデッキから『幻影騎士団 サイレント・ブーツ』を

手札に加えて効果発動しフィールドに『幻影騎士団』がいる時

特殊召喚出来る!!」

 ATK 200  DEF 1200

 「そして僕は『幻影騎士団 ティアースケイル』と『ラギット・グローブ』で

オーバーレイ!!・・・エクシーズ召喚!」

 「戦場に倒れし騎士たちの魂よ。今こそ蘇り、闇を切り裂く光となれ!エクシーズ召喚!現れろ!『幻影騎士団 ブレイクソード』!!」

 ATK 2000  DEF 1000  (A表示)

 そう言って現れたのはまるで・・・お伽噺に出てくるデュラハンの如き

見た目をしたモンスターであった。

「そして『ブレイクソード』の効果発動!オーバーレイユニットを一つ取り除いてこのカードと『ヴォルカニック・トルーパー』を破壊する!!」

 そう言った瞬間に『ブレイクソード』の大剣から光が放たれて

『ヴォルカニック・トルーパー』は破壊されたと同時に『ブレイクソード』も

破壊された。

 「更に墓地に送られた『ブレイクソード』の効果で墓地にいる同レベル

『幻影騎士団』モンスター『ティア―スケイル』と『ラギット・グローブ』を

特殊召喚してそのレベルを一つ上げる!」

 『ティア―スケイル』レベル3⇒4(A表示)

 『ラギット・グローブ』レベル3⇒4(A表示)

 「だがこの効果を発動したことによりこのターン

僕は闇属性エクシーズモンスターしか特殊召喚する事しか出来ないけど

そんなの関係ない!このターンで決着を付ける!!」

 そう言うとルクスは攻撃を始めた。

 「これで終わらせる!先ずは『ティア―スケイル』で攻撃!」

 そう言って『ティア―スケイル』で攻撃しようとすると夜架は

新たにカードを手札から出した。

 「手札から速攻魔法『暗殺崩束』を発動、この効果で手札を一枚捨てて

墓地のカード一枚を除外しこのターンのバトルフェイズを強制終了させますわ。」

 「くそが!」

 ルクスはそれを聞いてターンエンドと言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「私のターン、ドロー。」

 夜架  LP400

 手札1⇒2  墓地4  除外3

 「私は『ヴォルカニック・ロケット』を通常召喚。」

 ATK  1900  DEF  1400(A表示)

 「この効果で山札から『ヴォルカニック・ブレイズ・キャノン』を手札に加えてその後フィールドにある『ブレイズ・キャノン』を墓地に送る事で発動します。」

 「これにより『ヴォルカニック・ブレイズ・キャノン』を発動、

その効果で手札から『ヴォルカニック』と名の付くモンスターを特殊召喚

出来ますが今の私の手元にカードがありませんので・・・墓地に送った

このカードを発動いたします。墓地に眠る罠カード『追跡捜査』を発動、

このカードの効果によりフィールドのモンスターと同じ名を持つモンスターを

可能な限り特殊召喚出来ます。」

 『ヴォルカニック・ロケット』*2

 「そして効果を二度発動、先ずは二枚目の効果で『ブレイズ・キャノン』を。

三枚目の効果で『ボム・ブレイズ・キャノン』を手札に加えて先ずは

『ブレイズ・キャノン』をセットして其の儘『ボム・ブレイズ・キャノン』を

発動。この効果で『ブレイズ・キャノン』を墓地に送りこれで発動致します、

これにより一ターンに一度『ボムトークン』とやらを特殊召喚してこのターンこのカードのレベルはフィールドのモンスター一体と同じになりますわ。」

 『ボム・トークン』レベル①⇒④

 「私は先ずレベル4となった『ボムトークン』と

『ヴォルカニック・ロケット』をオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築・・・エクシーズ召喚!」

 そう言うと黒い渦の中心から黒い球が現れた。

 「現れなさい№58!その炎は悪鬼をも焼き尽くす力、その力を持って我が手から邪魔する者達を焼き尽くしなさい!!『炎圧鬼 バーナー・バイサー』!!」

 ATK 1000  DEF  1000 (A表示)

 「そして更に『ヴォルカニック・ロケット』二体をオーバーレイ!

二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!!エクシーズ召喚!」

 「現れなさい№52!硬き決意を胸に秘めて全ての力で敵を討て!!

『ダイヤモンド・クラブ・キング』!!」

 ATK 0   DEF 3000(D表示)

 そう言って綺麗なダイヤモンドを身に纏った巨大な蟹であった。

 「そして『炎圧鬼バーナー・バイサー』の効果でこのカードに

『ダイヤモンド・クラブ・キング』を装備させる。」

 「矢張りか。」

 ルクスはそれを聞いて畜生と思っていると『炎圧鬼バーナー・バイサー』が

『ダイヤモンド・クラブ・キング』と合体した。

 ATK 0⇒1000  DEF 3000⇒4000(D表示)

 「さあ主様・・・ここからが本領発揮ですわ。」 

 夜架のその笑みはまるで・・・狂気の笑みだった。




 速攻魔法『暗殺崩束』
 相手が攻撃宣言した時手札を一枚墓地に送って更にそのカード以外の
墓地のカードを除外してバトルフェイズを強制終了させる。




 罠カード『追跡捜査』
 自分フィールド場のモンスターを対象とし同じ名を持つモンスターを可能な限り
特殊召喚出来る。



 永続魔法『ボム・ブレイズ・キャノン』
 このカードはフィールドにある『ブレイズ・キャノン』を墓地に送る事で
発動出来る。
 このカードは一ターンに一度『ボムトークン』を特殊召喚出来る。
 ATK 0  DEF 0


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デュエル④

 まだまだ行くよ。


「私はこれでターンエンド。」

 夜架がそう言うがルクスは厄介だと思っていた。

 フィールドには攻撃と防御が上がった『ダイヤモンド・クラブ・キング』。

 然も№だから破壊するには同じ№でなければならない。

 そしてこの状況で最適解ともなると・・・あれしかないと考えた。

 「(力を貸してくれ・・・璃緒!)」

 「僕のターン・・・ドロー!」

 ルクス  LP3500

 手札  1  デッキ  30  墓地  6  除外  1

 「僕は先ずレベル4となった『ティア―スケイル』と『ラギット・グローブ』でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築・・・

エクシーズ召喚!」

 「今ここに目覚めるは混沌の世界に産まれし神々を奉る令嬢!!」

 「現れよ『No103!!・・・神装零嬢ラグナ・ゼロ』!!」

 神葬零嬢 ラグナ・ゼロ

 ATK  2400   DEF  1200(A表示)

 「更に魔法カード『エクシーズ・バック・コール』を発動!」

 「このカードは墓地に存在するエクシーズモンスターを特殊召喚し

フィールドに存在するモンスターを任意の枚数オーバーレイユニットにすることが

出来る!僕はこの効果で墓地から『レイダーズ・ナイト』を特殊召喚!」

 レイダーズ・ナイト 

 ATK  2000   DEF  0(A表示)

 「だがこの効果で特殊召喚されたモンスターは戦闘を行うことが出来ず攻撃力は

0になる・・・だが『レイダーズ・ナイト』の効果発動!!

オーバーレイユニットを一つ取り除くことでエクシーズチェンジ!」

 「一体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築・・・

エクシーズ召喚!」

 「獰猛なるハヤブサよ。激戦を切り抜けしその翼翻し 寄せ来る敵を打ち破れ!

エクシーズ召喚!『R・R ブレイズ・ファルコン』!!」

 ブレイズ・ファルコン

 ATK  1000  DEF  2000(A表示)

 「そして『ブレイズ・ファルコン』は直接攻撃ができる!

これで終わりだーー!?」

 「『R・R ブレイズ・ファルコン』でダイレクトアタック!!」

 ルクスがそう言うと『ブレイズ・ファルコン』からミサイルが出てきて

攻撃するが・・・夜架は墓地からカードを出した。

 「私は墓地に存在する『暗殺崩束』の効果を発動します。」

 「このタイミングで!?」

 「このカードを墓地から除外することで戦闘ダメージを無効にして

その分ライフを回復することが出来ますわ。」

 夜架

 LP 400(+1000)⇒1400

 「くそ・・・ターンエンド・・・そして『レイダーズ・ナイト』の効果で

特殊召喚した『ブレイズ・ファルコン』は破壊される。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「でしたら・・・ここら辺で私の力を見せてあげますわ、私のターン・・・

ドロー」

 夜架  LP 1400

 手札 1  墓地  6  除外  4

 「私は『ヴォルカニック・リボルバー』を召喚。」

 ヴォルカニック・リボルバー

 ATK  1200  DEF  600

 「私は先ず『ダイヤモンド・クラブ・キング』を攻撃表示に変更。」

 ダイヤモンド・クラブ・キング

 ATK  1000  DEF  4000(D表示)⇒(A表示)

 「そして更に『ダイヤモンド・クラブ・キング』の効果を発動、一ターンに一度オーバーレイユニットを一つ取り除くことで攻撃力を3000にして防御力を0に

致しますが・・・『炎圧鬼バーナー・バイサー』を装備しているのでそれぞれ1000アップいたしておりますわ。」

 ダイヤモンド・クラブ・キング

 ATK  1000⇒(3000+1000)=4000  

 DEF  4000⇒(0+1000)=1000(A表示)

 「そしてこれで」

 「この瞬間に神葬零嬢ラグナ・ゼロの効果発動!相手フィールドに攻撃力が

異なるモンスターがいる時オーバーレイユニットを一つ取り除くことで

そのモンスターを破壊する!・・・『ガイダンス・トゥ・フューネラル』!!」

 その言葉と同時にラグナ・ゼロが氷のブレードで

ダイヤモンド・クラブ・キングを・・・両断することに成功した。

 「!!」

 流石の夜架もそれは驚いたようで少し表情が歪むとルクスは夜架に向けて

こう言った。

 「あの後僕は君の事で調べて分かったことがある・・・君の弟さんの

記録が無かった。」

 「・・・・・」

 「大方あのクソ親父が暗殺してアンタを手に入れたって所だと思うけど遠い国の支配力を高めるためには何かしらの人形が必要だ、

それもそれなりの地位の人間が・・・どうして君は帝国に固執する理由が

あるのかは多分」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「主様、少し昔話を致しましょうか?」

 「・・・良いよ。」

 「以前申し上げた通り私は欠陥品でしたが弟は違いました、誰も彼もが人を

蹴落とすための策しか考えない中弟だけは立派な君主になろうと努力して

やっとなれましたが・・・弟は殺されましたわ、それも保身の為に重臣達が

弟を殺して其の首を献上して・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 悔しくて堪りませんでしたわ。」

 「夜架。」

 「私を人と見てくれたあの子を守れなかった・・・そして私が何故帝国の約定に従っているのは・・・弟を守ろうとしてそういう約定をしたのですわ。」

 だからと言って夜架は・・・こう言った。

 「その約束だけは果たしますわ・・・・!!」

 そう言うと効果を発動した。

 「私はフィールドにある『ヴォルカニック・ボム・キャノン』の更なる効果を

発動!このカードとフィールドのカード全てを除外してデッキからレベル7以上の『ヴォルカニック』モンスターを特殊召喚出来る!!」

 夜架がそう言うとデッキからあるカードを出した。

 「現れなさい!我が心に眠る怒りの焔よ!!その焔を持って地獄から現れなさい『ヴォルカニック・デビル』!!」

 そう言って現れたのは・・・まるで溶岩を身に纏ったかのような悪魔の如き

モンスターであった。

 グォォォォォオオォォォォォォォォ!!

 ヴォルカニック・デビル

 ATK  3000  DEF  1800(A表示)

 「『ヴォルカニック・デビル』・・・!!」

 「さあ主様・・・我が地獄の焔を持って終わらせましょう。」




 魔法カード『エクシーズ・バック・コール』
 このカードはフィールドの任意のモンスターを対象とし墓地に存在するエクシーズモンスターを特殊召喚し指定したモンスターをエクシーズ素材に出来る。


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デュエル5

 続きです。


「・・・僕は『神葬零嬢ラグナ・ゼロ』の効果で一枚ドローできる。

そしてカードを一枚伏せてターンエンド。」

 「あら駄目ですわ主様。」

 「?」

 「『ヴォルカニック・デビル』がいる限り可能な限り攻撃しなければ

いけませんわ。」

 「何!?」

 ルクスはそれを聞いて驚いていると確かに他のモンスターたちが震えながら

攻撃態勢に入っているのが見えたのでまさかと思っていると仕方ないと思ってこう言った。

 「だったら・・・『R・R ラダー・ストリクス』で

『ヴォルカニック・デビル』で攻撃。」

 そう言ったと同時にラダー・ストリクスが攻撃するが

『ヴォルカニック・デビル』が口からマグマを吐き出して破壊した。

 「あぐ!」

 ルクス  LP  3500+(1600-3000)=2100

              -1400

 「更にヴォルカニック・デビル』の効果発動、相手モンスターを破壊した時

全てのモンスターを破壊して1体に付き500のダメージを与えます。」

 ルクス LP  2100+(-500*1)=1600

 「ライフが・・・ここ迄!・・・ターンエンド。」

 ルクス  LP  2100

 手札 0  墓地  8  除外  1

 

 

 

 

 

 「私のターン・・・ドロー。」

 夜架  LP  1400

 手札 0  墓地  8  除外  4

 「永続魔法カード『影奉仕』を発動致します。」

 「このカードが発動した時相手がモンスターを墓地に送られるたびに一枚につき300のダメージを相手に与えます、そして『ヴォルカニック・デビル』で

『神葬零嬢 ラグナ・ゼロ』で攻撃致します。」

 「うわああ!」

 ルクス  LP  1600+(2400-3000)=1000

              -600

 「だけど№は№出なければ破壊できない!」

 「成程、ですが『ヴォルカニック・デビル』の攻撃力は3000、どうやって

攻略するおつもりで?」

 夜架の言葉を聞いてルクスは苦々しい表情をしていた、何せ手札は0でおまけにモンスターは『神葬零嬢 ラグナ・ゼロ』ただ一枚。逆転のカードは今のデッキに何もなしとそう思っていると・・・・何処からか声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーー何しけた顔しているのよルクス君?

 「この声!?」

 ーー貴方が今何しなければいけないのか分かっているのに何でドローしないの?

 「このデッキにはバーンダメージ系の魔法カードは幾つかあるけど攻撃力を

上げたりするようなカードは今このデッキには入って」

 ーー貴方は九十九 遊馬のデュエルを最も近くで見ていたはずよ?

 「・・・遊馬・・・!!」

 ーー何時だって貴方は彼のかっとビングを見ていたんでしょ?

 「かっとビング・・・!!」

 ーー貴方が諦めたら貴方は彼に再び会った時誇れるの?

 「僕は・・・僕は・・・・!!」

 ーー・・・もう大丈夫の様ね。

 「え?」

 ルクスは声の主・・・璃緒の声を聴いて気づくとその手には既にデッキトップに指を添えていた。

 ーーさあ!彼女に貴方の力を見せてやりなさい!!

 「・・・ありがとう・・・璃緒!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「かっとビングだ僕!僕のターン・・・ドロー!!」

 ルクス  LP  1000

 デッキ29⇒28

 手札 1  墓地  8  除外  1

 ルクスはドローしたカードを見て・・・その目を驚かせていた。

 「このカード・・・!!」

 ーーさあ!やっちゃいなさいルクス君!!

 「うん・・・行くよ璃緒!!」

 「僕は手札から『RUM ホーリーフォース』を発動!」

 「そのカードは見たことありませんが『RUM』となると・・・あれですか?」

 「このカードは自分フィールド上にいるモンスターカード一枚を対象にして

そのモンスターよりも一つランクが上の光属性エクシーズモンスターを

特殊召喚出来る!!僕は、ランク4の『神葬零嬢 ラグナ・ゼロ』を

オーバーレイ!!」

 そう言った瞬間に『神葬零嬢 ラグナ・ゼロ』が光り輝くと同時に空に現れた

黒い穴が現れるとルクスはこう続けた。

 「一体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築・・・

ホーリーエクシーズチェンジ!!現れよ!?『H№ 103』!!」

 そう言うと青く輝いていた103が白く輝いた。

 「今ここに現れるは!」

 そう言うとラグナ・ゼロの服が蒼白かったのが白く、そして光り輝き始めた。

 「混沌たる世界を振り払い!」

 璃緒がそう言ったと同時に両手にあったブレードが消えた代わりに

巨大な旗が現れた。

 「「神々の世界を守りし聖女が目を覚ます!!」」

 そう言って現れたのは・・・カオスの時とは違い巨大な旗を回しながら現れた

白いドレスを身に纏った女性が現れた。

 「「現れよH№103『神生無限姫(しんせいむげんき)

リターン=インフィニティ』!!」」

 神生無限姫 リターン=インフィニティ

 ATK  2800  DEF  2400

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コロシアムから数キロ離れた場所

 「何だ!この光は・・・!!」

 サニアがその光を見てそう呟くとセリスティアがこう呟いた。

 「もしかしてこれは・・・ルクス。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギガース付近

 『何だこの光・・・ムカつく奴だ…!‼』

 「分からないかこの大阿保が?」

 『ナニ?!お前これ何なのか知ってるのか!?』

 知っていることを全て話せと言うとリーズシャルテがこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ルクスだよ、アイツの諦めない思いが答えたんだ・・・アイツが作った

デッキがな。」

 そう言うと互いに攻撃が再開した。




 魔法カード『RUMホーリーフォース』
 このカードが発動した時フィールド上にいるエクシーズモンスター一体を選んで
そのモンスターよりも一つランクが上の『H(ホーリー)』と名の付く
エクシーズモンスターを特殊召喚出来る。


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デュエル6

 決着です。


「『H(ホーリー)』・・・それが主様の切り札でしょうか?」

 見た目が変わりましたねと聞くとルクスはこう返した。

 「さあ、どうだろうね?」

 「ですが私の『ヴォルカニック・デビル』は攻撃表示されているモンスターは

全てこの子に攻撃しなければいけない。ですがこの子の攻撃力は3000に対して

『神生無限姫 リターン=インフィニティ』の攻撃力は2800、

そして今主様のライフは丁度1000ですが次の私のターンで終わらせて

見せますわ。」

 (´∀`*)ウフフと夜架が薄く笑っているがルクスは『リターン=インフィニティ』の効果テキストを見て・・・ふっと笑ってこう言った。

 「「其れは如何かな(しら)?」」

 「(・・・今主様とは別にもう一人声が?)」

 空耳かと夜架はそう思っているとルクスと璃緒はこう続けた。

 「「『神生無限姫 リターン=インフィニティ』のモンスター効果発動!

このカードが『神葬零嬢 ラグナ・ゼロ』を素材にエクシーズ召喚したのなら

デッキのカードを半分墓地に送る事でこのターン攻撃力は倍となる!

『ホーリー・ソウル・ブースト』!!」」

 2800⇒5600

   *2 

 「攻撃力が上がった!」

 「「更に『神生無限姫 リターン=インフィニティ』の効果!

オーバーレイユニットを全て取り除くことで相手フィールドのカード全てを

手札に戻してモンスターカード一枚につき800ポイントのダメージを

相手に与える!『セイバー・ウエーブ』!!」

 ルクスと璃緒が互いにそう言った瞬間に

『神生無限姫 リターン=インフィニティ』が持っている旗を翳して

はためかせた瞬間にその光の波にのまれるように『ヴォルカニック・デビル』は

光となって夜架の手札に戻った。

 「ナ!しかもこの光で!!」

 夜架  LP1400⇒800

          -600

 「ですがこの光・・・暖かくて・・・優しい感じが」

 「「バトル!『神生無限姫 リターン=インフィニティ』でプレイヤーに

ダイレクトアタック!!・・・『シャイニング・エクゼキュ―ト』‼」」

 ルクスと璃緒が互いにそう言うと『神生無限姫 リターン=インフィニティ』は夜架目掛けて旗を槍の如く振り上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーー姉上

 「・・・この声・・・・」

 ーーもう良いのです姉上、私は・・・僕はもうこれ以上姉上が傷つく姿を

見たくはありません。

 「いいえ、良くはありません。貴方を守るという約束を果たせなかった私が・・私がそれを許せないから。」

 ーー僕は許すよ。

 「いいえ、例え何があってもこれだけは守りたいんです!貴方との生きた・・・約束を成就しなければ私は・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・私は人としていられなくなります。」

 ーーもう姉上は人間ですよ。

 「いいえ、感情を・・・心が無いと父上が」

 ーー父上が何であったとしても僕は姉上をバケモノとは思えません、

だって姉上は・・・たった一人の僕の心の底から想える家族なんですから。

 「家族」

 ーーだからもう・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・自分を許してください姉上、それこそ僕に対して行う贖罪です。

 「贖罪・・・。」

 夜架はそれを聞いた瞬間に目の前にある少年がいた。

 未だ幼くそして・・・自分が大事に思った少年がそこにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「姉上、今までありがとうございました。」

 「・・・・・陽炎(ひえん)」

 そう言って夜架は弟である『陽炎』の手を取って・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「主様、私の負けですわ。」

 夜架 LP 600-5600=-5000      

 WIN ルクス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「夜架、僕さ。この国を変えたいがためにバハムートを使って帝国を

滅ぼそうとして、けど殺すんじゃなくて対話したかったんだけど

結局のところ兄貴に何もかもぶっ飛ばされてけど・・・向こうに行って

気づいたんだ。一人でも助けたいって願いとこの想いを成し遂げれるまで

僕は諦めない・・・『かっとビング』して見せるって決めたから。」

 だからと言ってルクスは夜架に手を差し伸ばしてこう言った。

 「手伝ってくれないかな?僕の・・・この国をよりよくするために

その力を使わせてくれないかな?」

 守るためにと聞くと夜架はフフフフと笑ってこう答えた。

 「分かりましたわ主様、でしたらまずは情報を提供致しますわ。」

 「情報?」

 ルクスは何だと思っていると夜架はこう答えた。

 「ギガースの制御室までの最短ルートですわ。」

 「!!」

 ルクスはそれを聞いて驚く中で暫く彼女の言葉を聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いかかでしょうか主様、お役に立てましたでしょうか?」

 夜架がそう聞くとルクスはこう答えた。

 「うん、何とかなりそうだね。それじゃあ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おいマテや、その前にその女には用が」

 グライファーが夜架に向けてそう言うとルクスはこう聞いた。

 「君さ・・・あの時襲った?グライファーの??」

 そう聞くと夜架はこう答えた。

 「いいえ、私は主様には嘘は尽きません。」

 「証拠はあるのかよ?」

 グライファーがそう聞くとそう言えばと夜架はこう答えた。

 「ヘイズ軍師によれば何やら特殊な機械を私に与えて適当な機竜に装備させろと言われたのでそれで・・・あれでしょうね?」

 そう言うとルクスはこう呟いた。

 「遠隔操作?」

 「「「?」」」

 それを聞いてグライファーだけではなく夜架、コーラルが

何だと思っているとルクスはこう答えた。

 「多分だけどその機械は予め機竜を遠隔操作するための奴だと思うんだ、

ヘイズは恐らくそれで僕達を衝突させるために・・・多分だけど。」

 「多分かよ?!」

 グライファーはそれを聞いてこけそうになるがだけどと言ってこう続けた。

 「それならヘイブルグ共和国がこの戦いに一枚嚙んでいるって証拠があれば・・間違いなくこの戦いは僕達にこそ大義があるって他国に知らしめれるって

思うんだけどどう思う?」

 グライファーに向けてそう聞くと暫くグライファーはこう答えた。 

 「本当なら俺がこいつをふんじばりてえところだが俺は負けたし何より・・・勝ったのは手前だ、勝った手前が決めれば良いだろ。」

 そう言うとそれじゃあと言って夜架に向けてこう言った。

 「僕はヘイズを倒す、そしてこの戦いを終わらせるよ。」

 じゃあねと言うとルクスは『ラグナ・バハムート』を展開して

ギガースにいるであろうヘイズとリーズシャルテの下に向かって飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そんじゃあ俺らもって・・・あの女何処行った!?」

 グライファーは夜架を見失い何処だと思って探しているのを夜架は

出入り口の所でこう呟いた。

 「(´∀`*)ウフフ、まだまだ修行が足りませぬわね?」

 「それで、どうするのじゃ夜架?」

 天照がそう聞くと夜架はこう答えた。

 「簡単ですわ・・・主様のもとに馳せ参じるまでですわ。」

 そう言うと同時に夜架は消えた。




 H№103  神生無限姫 リターン=インフィニティ
 ATK 2800  DEF  2400
 レベル5モンスター3体以上
 ①このカードが『神葬零嬢 ラグナ・ゼロ』を素材に召喚したのならば
自身のデッキの半分を墓地に送る事で攻撃力が2倍となる。
 ②エクシーズ素材を全て取り除くことで相手フィールド上全てのカードを
手札に戻して戻したモンスターカード一枚に付き800のダメージを与える。
 ③このカードが戦闘及び効果で破壊された時このカードを除外することで
エクストラデッキから『C№103 神葬零嬢 ラグナ・インフィニティ』を特殊召喚し墓地にある『神葬零嬢 ラグナ・ゼロ』をこのカードの下にセットさせることが
出来る。


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セリスティア対サニア

 因縁のある戦い。


闘技場近くの街にて・・・セリスティアはサニア相手に戦っていた。

 「くう!」

 「どうしたセリスティア・ラルグリス!その程度か!!」

 サニアは屋根や壁を使ってブラッドテイルでそこを突き刺して縦横無尽に

スパイダー・シャークはワイバーンさながらの機動力を発揮していた。

 時には消えて時には姿を見せてコアディグレーションでリンドブルムを

押してた。

 ライトニングランスを使おうにもその独特の回避行動に対応が四苦八苦し、

スターライト・ゼロは市街地では使用すら憚る。

 だがサニアの機竜は威力を犠牲にする代わりに相手の行動封じや追い込みを

得意としておりドレイクの戦闘能力の低さを自身の実力で補完していた。

 そしてサニアはディープファングを使って切れ目ない連続攻撃をした。

 「然しここ迄の動き・・・まさか貴方!?」

 セリスティアはサニアのこの高い実力に+して途切れなく行わられる

連続攻撃に・・・ある事を思い出すとサニアはこう言った。

 「成程な・・・既に分かったようだな私のこの攻撃が。」

 「ええ、貴方のこの連続攻撃の正体は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・『エンド・アクション』ですね。」

 そう聞くとサニアはこう答えた。

 

 

 

 

 

 「ああそうだ、私はこの機竜を手に入れた時から己を鍛え上げ、

ヘイブルグ共和国で死ぬかもしれなかった特訓を潜り抜けて今に至るんだ。・・・やっと報われるんだ、体を売って迄働き自分の体を痛めつけ・・・そして

お前のすぐ近くでその言葉を聞いてどれだけ殺意を抱いたか・・・

それがやっと報われるんだ!お前に私がこれ迄受けた屈辱を数百倍にして貴様に

与えて全てに絶望して『殺してください』と言ってもそれを私は上から

見上げて眺めるのだ!!」

 そう言いながらサニアはブラッドテイルで壁を行き来しつつディープファングでセリスティア目掛けて放ったと同時にセリスティアは・・・こう呟いた。

 「前の・・・いえ、今でもですが私は貴方の言葉に対して動揺します。

私が仕出かした行動が貴方を傷つけ運命を狂わしたのも私・・・ですが!」

 そう言うとリンドブルムの装甲が輝いた瞬間に淡い光の領域が周囲に広がった。

 「『ディバイン・ゲート』!その対策位既に出来ている!!」

 そう言ってブラッドテイルとディープファングを二重に使用して絶対防壁の如き壁を作るがセリスティアは転送すると同時にダガーを一本放ったのだ。

 「たかがダガー如きで!」

 サニアはそう言ってディープファングを使ってダガーを弾き飛ばすが

其れと同時にブラッドテイルをすべて使って後方に陣を構えた。

 「(奴は『ディバイン・ゲート』で転送する場所は背後か前方・・・間違いなく後方だ!)」

 そう思っているとセリスティアが現れたのは・・・後方であった。

 「矢張りそっちだな!だがこの防御網を潜り抜けれるか!?」

 そう言うとサニアは更に『コアディグレーション』を構えた瞬間に・・・

リンドブルムが軋み上げた。

 そしてセリスティアはこう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・『リコイル・バースト』。」

 そう言った瞬間にリンドブルムの力が・・・さらに上がった。

 そしてブラッドテイルが・・・ちぎれ散った。

 「・・・そんな・・・バカナ!」

 そう言った瞬間にサニアが・・・吹き飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どうして・・・何で私が?」

 サニアはそう言って空を眺めているがセリスティアがこう続けた。

 「サニア、貴方は私に恨みを持ち。その意志で実力を上げて神装機竜を

使いこなすまで成長いたしました、それは称えるべき行為ですが・・・ですが私は貴方と敵対してでも止めないといけません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同じ師に巡り合い教わった者として。」

 そしてと言ってサニアに向けてこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「貴方は私にとって同じクラスメイトであり・・・級友であり何より・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・私は貴方の姉弟子なんですから。」

 そう言うがサニアはセリスティアに向けてこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふざけるな・・・」

 「サニア。」

 「ふざけるなふざけるな!ふざけんな!ふざけんな!!?私達の怒りは

これで収まる訳じゃない!過去を変える事など出来ず!未来に希望も持てず!!

貴様に復讐するためにしか生きる目的が無かった私達に・・・貴様の許しなど誰が聞くものかーー!!」

 サニアがそう言った瞬間に半壊したスパイダー・シャークが起動すると

同時に・・・サニアはこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「『復讐の再起(リベンジ・アップ)』!!」

 そう言った瞬間にスパイダー・シャークのボロボロになったブラッドテイルが

スパイダー・シャークの装甲に絡みつくと同時に機体に絡まって行った。

 まるで・・・手術で縫合するかのように。

 「サニア・・・それが貴方の機竜の神装・・・!!」

 「そうだ・・・この力を使えばまた使えるようになるためには時間が

掛かってしまう・・・だがどれだけボロボロになったとしても私はお前を殺すまで諦めないと決めているのだ!だからこそ・・・死ねえセリスティア!!」

 サニアはそう言って近くにあったダガーを手に取ってセリスティア目掛けて

向かうとセリスティアはサニアに向けてこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「例え貴方が私を殺したいと願ったとしても私は生きなければいけません・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この身を賭けてでもルクスを守りたいとそう決めているのだから!!」

 そう言うと電流が流れた槍を構えて・・・セリスティアはサニアに向けて技を放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「重撃」

 そう言ったと同時にボロボロだったスパイダー・シャークに命中したと同時に

サニアは壁に激突すると・・・空に向けてこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「御免なさい・・・パパ・・・ママ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先生。」

 そう言って失神するとセリスティアはそれを聞いてこう言った。

 「私は背負います・・・貴方の罪と私の罪は同じようで違う・・・

只の自己満足ですから。」

 そう言って近くにいる王都の機竜部隊と合流しに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ち、アイツはやられたか。』

 「ここ迄だヘイズ、後はお前を倒すだけで終わりだ。」

 リーズシャルテがそう言うとヘイズは懐からあるカードを出した。

 「貴様・・・それは!」

 『まさかこいつを使う事になるとは思えなかったが・・・手前ら全員

ブッコロシテヤルよ!』

 そう言うとヘイズは懐からカードを出してそれを自身の神装機竜

『ニーズヘッグ』に差し込んで・・・闇に近いオーラを放った。




 次回は・・・リーズシャルテ対ヘイズ。


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悪魔降誕

 あのナンバーズが出ます。


 「何だこの光!?」

 リーズシャルテはニーズヘッグから溢れ出ランばかりの光に眩しいと思いながら

目を逸らす中でニーズヘッグに変化が起きていた。

 機体がまるで脈打つかのように鼓動するとボコボコと膨れ上がり

またニーズヘッグの腕が伸び始めると肩から長い槍状の物が出てきたのだ。

 そして何よりも下半身が・・・とんでもない事になっていたのだ。

 螺旋状に組変わりまるでやじろべえみたいになっていたのだ。

 「何だ・・・その姿は・・・・」

 リーズシャルテがそう呟くとヘイズは笑いながらこう答えた。

 『ひゃひゃひゃひゃ!見て驚け!!此れこそ俺のニーズヘッグの新たなる姿!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《HEART・EARTH・ニーズヘッグ》だ!!!』

 ヘイズがそう言って笑っているとヘイズの周りに・・・機竜が現れたのだ。

 するとヘイズは成程と言ってこう続けた。

 『こいつにはそんな能力があるのか・・・ヒヒヒヒ・・・俺の為にあるような

能力じゃねえか!‼』

 するとヘイズは近くに・・・何故か浮かんでいるドレイクに向けてこう言った。

 『おい《キルり》!そいつを俺に寄越せ!‼』

 「承知いたしました。」

 《キルり》と呼ばれた少女がそう言って・・・その姿を粒子とかして

姿を消した。

 「おいお前!奴は何処に行ったのだ!!」

 『へへへ知らねえよそんなの、其れよりもよく見ておけよお姫様・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・俺の新しい力を見て恐れ戦け!‼』

 そう言った瞬間にドレイクが・・・変形を始めたのだ。

 「な!?」

 リーズシャルテはそれを見て驚いているが更に続いた。

 《HEART・EARTH・ニーズヘッグ》はドレイクの背面部の脚部を繋げるように

装備され脚部は其の儘逆関節になって装備され腕は前面に収納された。

 「機竜を合体させたダト!?」

 リーズシャルテはそれを見て驚いていた、何せ機竜を合体させるなンテ方法を

誰も考えた事すらないのだから。

 するとヘイズはリーズシャルテに向けてこう説明した。

 『こいつは他の機竜を武装として使うことが出来るんだ!だから・・・

こんな事がで出来る!‼』

 そう言った瞬間のドレイクを纏った《HEART・EARTH・ニーズヘッグ》が

その姿を・・・消した。

 「消えた!くそ!!ドレイクの透明化をも使えると言うのか!!」

 リーズシャルテはそう言って何処だと思っていると・・・何処からか

声が聞こえた。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『《切断者(アストラルライン)》‼』

 「!?」

 その声が聞こえたと同時に即座に下がるが一歩遅かったのであろう・・・

ティアマトの右腕がキャノン事破壊されたのだ。

 「遅かったか!?」

 『それだけじゃねえ!‼』

 ヘイズがそう言ったと同時に《切断者(アストラルライン)》の射線上にあった建物までもが・・・崩壊したのだ。

 「何て言う威力なんだ。」

 『へへへ!俺が何処か見えねえだろう?』

 「!?」

 『手前らは俺を怒らせすぎたんだ・・・相応の代償を払ってもらうぜ・・・

先ずは手前をズタボロにしてその後に俺をこんな目に遭わせた糞雑用王子!そしてこの国の連中も全員皆殺しにしてやる!‼』

 「貴様!民まで巻き込む気か!?」

 『当たり前だろうが!あんなほっといてもまた増える虫見たいな連中

居てもいなくても同じだ!‼』

 「いや違う!民が無ければ国など無いに等しい!!嘗て旧帝国は

そうしたからこそ滅んだのにお前らはまた同じ歴史を繰り返すのか!?」

 『俺は旧帝国とは違え!奴らにはなかったこの力で俺は!!俺はーー!!!』

 そう言って何度も『切断者(アストラルライン)』をヘイズは放っていると

リーズシャルテはレギオンを使ってこう言った。

 「いい加減にせんかーー!」

 そう言って四方八方に放つとその内の一つが・・・命中した。

 「『スプレッシャー』!」

 その音に反応したリーズシャルテはそこ目掛けて神装を放つと

そこにいたのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ドレイク・・・だと?!」

 地に落ちてバラバラになったドレイクがそこにあった。

 

 『悪いな、こいつは攻撃を感知すると自動的にパージしてくれるらしくて

助かったゼ。』

 「!?」

 それを聞いたリーズシャルテは背後に目を向けると今度はワイアームを装備した『HEART・EARTH・ニーズヘッグ』がそこにいた。

 『次はこいつだ、耐久力も上がったはずだからそうだな・・・

もうさっきの様にはいかねえぜ!?』

 そう言うとヘイズは『HEART・EARTH・ニーズヘッグ』の長い両腕にあった・・・分裂した『ツーブレ―テッド・ソード』がそこにあった。

 「武器も変わっているのか・・・!!」

 『ああそうだ、今のこいつは《双翼斬剣(ダブルスラッシュ・ブレード)》って名前になってるからな・・・前よりも手数は多いぜ!‼』

 そう言って今度は左右どっちからも・・・『切断者(アストラルライン)』を放った。

 『ハハハハハ!もう手前らは終わりだ!!この戦い俺の勝ちだ!‼』

 「くうう!!」

 リーズシャルテはその猛攻に此の儘ではと思っているとヘイズは

リーズシャルテに向けてこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『じゃあなビッチ‼』

 そう言って『切断者(アストラルライン)』を放つのを見てここ迄かと

思っていると突如としてリーズシャルテの姿が・・・消えた。

 『?』

 何でとヘイズはそう思っていると空を見て・・・こう言った。

 『ようやっと来たな・・・糞雑用王子‼』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ルクス!?」

 「よう、今来たぞクソ死にぞこない。」

 ルクスはリーズシャルテの手を持ってヘイズに向けて毒を吐いた。




 『HEART・EARTH・ニーズヘッグ』
 種類  飛翔型
 この機竜は№53を取り込んで誕生した機竜である。
 特徴としては他の機竜と融合して戦闘が出来る為フォースコアからもたらされる
エネルギーは2倍となっている。
 また、この機竜が破壊されると他の機竜が生まれるとなっているが詳細は不明
 『切断者(アストラルライン)』
 ニーズヘッグ時と変わらないがこの機体から放たれる障壁はカウンターとしても
使える。
 武装
 双翼斬剣(ダブルスラッシュ・ブレード)*2
 本機のみに装備されている兵装
 その性能は高く切断の数を増やすことが出来る。


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決着へ

 決着着きます。


 「すまんルクス、助かった。」

 「いえこちらこそって言うか・・・あれがヘイズの機竜ですか?」

 「ああ気を付けろ、奴の機竜は他の機竜と合体できるし奴の造る

あの障壁も厄介だ。」

 「障壁ですか?」

 一体何ですと聞くとリーズシャルテはこう答えた。

 「奴はあの剣から障壁を造るんだ、然も射線軸状にいると

間違いなくやられるから回避するしか道はない。然しやつの障壁は斬った後も

続いていたから恐らくは永続型の神装を持っているはずだから気を付けろ。」

 リーズシャルテはルクスに向けてそう言うとそれではと言ってこう続けた。

 「リーズシャルテ様はあのデカ物を」

 「いや私も戦うぞ。」

 「何言ってんだ!片腕しかない機竜なんて」

 「こんななりでもやれることはあるから耳を貸せ。」

 「・・・・」

 それを聞いて仕方ないと思って耳を貸して・・・ヘエと言ってこう続けた。

 「・・・勝率は?」

 「まあ貴様と一緒ならば大体五分五分だな。」

 「半々かよ・・・まあ・・・ないよりは良いってか!」

 そう言ってルクスはエレナスとヘザーンを構えてヘイズ目掛けて突撃すると

リーズシャルテは何やら集中するような感じでこう言った。

 「期待しているぞ我が騎士よ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『よく来たな糞雑用王子。』

 「ようヘイズ、キタねえカッコしやがって僕の前に出てきたんだ・・・

覚悟決まってんよな?」

 そう言ってルクスはあの時の様に冷めた目つきをしているがヘイズは・・・

へっと言ってこう続けた。

 『そんな事言ってられルの今の内だぜ・・・

このHEART・EARTH・ニーズヘッグの前にくたばりやがれ!‼』

 ヘイズがそう言ったと同時にルクスは成程と言ってこう思っていた。

 「(奴はHEART・EARTHと融合しているのか!だったら機竜の合体は頷くな、何せアイツは・・・僕と遊馬とカイトで倒したんだから!!)」

 そいつの対処法は読めてると思いながらコールド・パルスを使って障壁に

当たった瞬間に・・・凍り付いて砕けたのだ。

 『な』

 「どうしたヘイズ?この障壁は湯葉以下か!?」

 ルクスはそう言いながら突撃してくるのを見てヘイズはハルバードを出して

繰り出そうとすると剣が当たった瞬間に・・・ハルバードが砕け散ったのだ。

 『クソが‼』

 「消えろ!!」

 ルクスがそう言って切り落とそうとした瞬間にギガースの砲塔の一部が

ルクス目掛けて・・・放たれたのだ。

 「ごが!?」

 『へへへ!如何やら運は俺に味方してくれたようだって・・・ヤバいな

ワイアームが氷づいてやがる。』

 そう言ってヘイズは凍りかけたワイアームを解除してワイバーンと合体した。

 ワイバーンのウイングが背面部二結合して本体は下半身と融合して倍近い

高さを誇る様になった。

 『手前はここでブッコロス!死にナ糞雑用王子!‼』

 そう言って高出力のスラスターでルクス目掛けてダブルスラッシュ・ブレードを構えた瞬間に・・・ルクスはこう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「狙いは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「万全だよくやったぞルクス!!ヘイズよく見ておけ!これが私が編み出した

もう一つの技だーー!!!」

 リーズシャルテがそう言ったと同時に幾つものレギオンがヘイズ目掛けて

放たれるがヘイズは笑ってこう言った。

 『まだ分からねえか!俺のアストラルラインで作った障壁を

超えれることなんて』

 「其れは既に・・・超えられてるだろうが!!」

 リーズシャルテがそう言った瞬間にレギオンが障壁に当たったと同時に・・・

レギオンと共に砕け散ったのだ。

 『何だと!この技はあいつの・・・何でだ!?』

 「少しは自分で考えろ大阿保が!」

 リーズシャルテがそう言った瞬間にリーズシャルテはスプレッシャーを

発動させると同時に残ったレギオンが全てHEART・EARTH・ニーズヘッグに集まると回転しながら迫ると同時に機体が・・・ばきりと音を立てた。

 『?‼』

 「スプレッシャーは重力だ、ならばそれを一点に集中すれば・・・

どうなるかわかるよなヘイズ?」

 『ま・・・まさか!?』

 「序にだがルクスの機竜の武装には影響下のある武器全てに氷結能力が

付与されるのだ、重力の重さと氷結における崩壊が同時進行で起きれば

どうなると思う?」

 ヘイズはそれを聞いて・・・アアアアアアアと悲鳴を上げていると

リーズシャルテはこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「私に喧嘩を売るのならばもうちょっと知恵を絞ってからでないとな

へぼ軍師が!!」

 そう言ったと同時に機体が凍りながら圧壊しながらヘイズはこう言った。

 『畜生!畜生!!何故貴様らが!?・・・我らを裏切った』

 そう言い残してヘイズは黒いエネルギーの中にへと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よし・・・後はだな。」

 「はい。」

 ルクスとリーズシャルテはそう言ってギガースの方に目を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ルクス達は夜架から聞いたルートを辿って一本道を駆け上がると・・・

以前アークで見た管理室に着くとそこには・・・頭部に鳥の羽の様な物を

付けた・・・全身に配線を繋いだクランリーゼとラ・クルシェと同じ

ギア・リーダーがそこにいた。

 するとルクス達に気づくとギア・リーダー『エル・ファジュラ』がこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「敗北確定状況撤退不可、最終命令・・・起動。」

 そう言ったと同時にギガースが動くのを感じた。

 恐らくは万が一に備えて王都を破壊する様に命令したのかと思って嫌な奴と

思いながらリーズシャルテはこう言った。

 「もうやめろ!勝敗は既に決まっているんだ!!」

 リーズシャルテはそう言ってワイバーンのブレードを向けるが

『エル・ファジュラ』は何も言わずに攻撃しようとしているので仕方なしと思って行動しようとした瞬間に・・・ふら付いたのだ。

 「くそ・・・こんな時に。」

 そう言うと同時にルクスの方もダメージがあったのであろう

ラグナ・バハムートも動きが鈍ってきたのだ。

 「クソが・・・・!!」

 「目標変化確認、これより目標達成に向けて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そうはいきませんわ。」

 そう言ったと同時にどすり!と音を立てると同時に『エル・ファジュラ』は

何だと思った瞬間にその正体が分かったのだ。

 それは透明になっていた・・・夜架とソードデバイスであった。

 「契約違反ですわよ?この国を滅ぼそうとするなんて許されないですわ。」

 そう言って引き抜くと『エル・ファジュラ』はルクスに対して・・・ニタリト嗤ってこう呟いた。

 「・・・そうか、お前なのか。」

 『ナニ?」

 「嘗て理を乱して望みの世界を手に入れようとした愚か者よ。」

 「どういう意味だ?」

 「お前の様な愚か者たちには・・・相応しい世界を見せてやろう!」

 そう言った瞬間にルクス達の足元に巨大な・・・黒い穴が現れたのだ。

 「な・・・何だこれは!?」

 「この穴・・・透流が来た時と同じ!」

 「主様!」

 夜架がルクスの手を握りルクスの方もリーズシャルテの手を掴んだと同時に

光り輝いたと同時に『エル・ファジュラ』はこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「我らの理想を邪魔する者達に天罰を!」

 そう言ったと同時に倒れて機能停止した『エル・ファジュラ』を残して

ルクス達は・・・この世界から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何処かの世界

 小さな部屋にてベッドの上で横たわって寝ている老人が大型の機械を・・・

光り輝くそれを見てこう言った。

 「これは見たことない現象・・・いや、私は覚えているぞ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 20年前のあの時・・・『ジェネシス』の実験で放たれたエネルギーと

同じ現象だ。」




 次回予告
 夜架「あら主様これは一体?え??作者が新しい奴作ったから私達がそちらに?
番宣??まあ主様の命令でしたら喜んで。突如として飛ばされた私達が
辿り着いたのは新たなる次元軸から得られた膨大なエネルギーで成り立つ世界、
そこにてエネルギーの受信体でもある『コイル』と呼ばれる代物を回収する回収屋の男性と特殊なギア・リーダーと同じろぼっと?なるものの存在の少女と共にとある『コイル』と№を巡って繰り広げられる物語のようですわね。」
 夜架「次回特別章 『ディメンションW・D』次元を繋ぐ記憶の戦い』。」
 夜架「それでは主様、リーズシャルテ様・・・一斉に・・・せーの。」
 夜架・ルクス・リーズシャルテ「「「かっとビングだ僕(私)ーー!!!」」」


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特別ストーリー ディメンションW*D
①ー1


 ディメンションw編の開始です。


何処かの世界

 日本に於いて一人の男性が車の修理をしていた。

 細身でありながら筋肉質で見た限り鍛えられていることがすぐに分かるほどの

体格をしていたその男性はTシャツで夏場の中修理している中で電話が鳴った。

 「あ?」

 そう言って・・・少し遠めに置かれている携帯電話に歩いて向かって行くと

通信早々この言葉が飛んだ。

 『アタシの電話にはすぐに出な。』

 「アンだ、依頼か?」

 『今夜9時にアタシの店に来な。』

 「うげ。」

 男性がそう言うと目の前に・・・4人の子供たちが男性を見るや否や・・・

逃げ出していった。

 「・・・・ちぃ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2036年に存在が確認されたX・Y・Zに続く新たなる次元軸『W』

 その莫大なエネルギーを抽出することが出来るコイル

 そしてそれらをタワーを経由してあらゆる世界に送ることが出来る

世界的ネットワーク技術によって人類は半永久的に世界を照らすことが出来る

エネルギーを手に入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『人類は手に入れたのです・・・無限のエネルギーを!‼』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその夜

 何やらロボットの試合をしている様でありそれを一瞥した半纏を着た先ほどの

男性は其の儘上に行くと・・・4と書かれたバーテンダーの服を着た少年が

案内すると水槽の近くにて女性がこう言った。

 「座りな。」

 そう言うと男性は座ると隣にいた女性が映像を見せてこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「こいつがアンタに仕留めて貰うターゲットだよ、『ジョニー・ウオン』と

『エブリー・ウオン』。こいつらの持っている『不正コイル』を奪って

欲しいんだよ。」

 そう言って太った銀髪の妙齢の女性に対して男性はこう言った。

 「半分はキャッシュ、後はガソリン代だ。」

 「コイル嫌いのアンタが暮らしていけるのはアタシのおかげって言う事・・・

忘れてないよね?・・・期待してるよ『マブチ・キョーマ』。」

 そう言われた『マブチ・キョーマ』は其の儘車に乗って・・・現場に向かって言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方

 フードを被った少女らしき女性が買い物していると近くにあるビルに向かって

何かを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてそのビル

 「ぎゃははは!ついに手に入れたぜ『不正コイル』!!」

 「本物か!?」

 「良く手に入れたな。」

 メンバーがそう言うとグラサンを掛けた男性『ジョニー・ウオン』は

×印が書かれた『コイル』を水鉄砲に装填させるとウオーターサーバーに狙いを

定めるとこう言った。

 「×印がなけりゃあ・・・純正品と何も変わらねえよ!」

 そう言いながら水鉄砲でウオーターサーバー目掛けて放つと

ウオーターサーバーが・・・無惨にも破壊された。

 「どうだよこれが『コイル』の本当の力だ!只の水鉄砲でこの威力だ!!」

 そう言っていると天井にて・・・『マブチ・キョーマ』が苦無形状の

刃物を持ってこう言った。

 「只の力に溺れっちまったガキか。」

 そう言うと扉の開く音が聞こえた。

 「兄ちゃん!」

 「おおどうした!あ?何だそれ??」

 『ジョニー・ウオン』がそう言うと太った男性『エブリー・ウオン』が

こう答えた。

 「扉の前で聞き耳立ててたんだ。」

 「扉の前でだ?」

 「どうしますかボス?」

 「俺が見つけたんだ、だから俺が」

 何でもするんだと言いかけた瞬間に苦無が・・・席に刺さった。

 「誰だ!」

 「勘違いするな、その女を助けに来たんじゃねえ・・・『不正コイル』を回収に来た『回収屋』だ。」

 『マブチ・キョーマ』はそう言って苦無を構えて下に降りるとこう言った。

 「怪我したくなけりゃあ大人しく『不正コイル』を寄越しな。」

 「上等だ手前・・・いてエエエエエエエエエエ!!」

 『ジョニー・ウオン』は自身の腕に刺さっている苦無によって痛がっていると『マブチ・キョーマ』はこう言った。

 「『不正コイル』は手前らの手に負える代物じゃねえんだ、大人しく渡せ。」

 そう言うと『ジョニー・ウオン』は構成員全員に向けてこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「や・・・やれーーーー!!」

 そう言った後同時に数十人もの構成員が一斉に『マブチ・キョーマ』を

倒そうとするも数分足らずで全員が・・・・倒された。

 「一体・・・何で。」

 少女がそう言っていると・・・『ジョニー・ウオン』が少女を人質にして

こう言った。

 「って手前動くんじゃねえぞ!こいつの頭が柘榴みたいに吹っ飛ばすぞ!!」

 そう言いながら震えながら構えていると『マブチ・キョーマ』は・・・しれっとこう言った。

 「女を助けるのは依頼に入ってねえんだ、好きにしろ。」

 「本当に撃つぞ!」

 「好きにしろって言ってんだろ?」

 『マブチ・キョーマ』は『ジョニー・ウオン』に対して真顔でそう言うと

『ジョニー・ウオン』は暫く考えて・・・。

 「クソ糞糞糞糞糞糞糞クソがーー!!!」

 「(お父さん、約束破ります!)」

 少女がそう言った瞬間にフードが脱げて・・・ヘッドギアみたいな機械が

露出したと同時に機械の尻尾が現れると其の儘『ジョニー・ウオン』を・・・

投げ飛ばしたのだ。

 「御免なさい!」

 そう言って倒れた『ジョニー・ウオン』に向けて少女が謝っていると

『ジョニー・ウオン』は失神する手前でこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「に・・・人間じゃ・・・なかったのかよ・・・。」

 そう言って倒れたのだ。




 続きます。


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①-2

 続きです。


 「手前・・・まさか・・・ロボットか?」

 キョーヤが緑の髪をした少女に向けてそう聞くとロボット少女はキョーヤに

近づいて手を上げようとすると・・・悲鳴に似た声が聞こえた。

 「がああああああああああああああああ!!」

 「「!?」」

 2人は何だと思って見てみるとそこで目にしたのは・・・赤い光を放っている

ジョニー・ウオンが悲鳴を上げていた。

 「なんだこいつは?!」

 キョーヤがそう言っているとロボット少女はその方向に目を向けていると

ロボット少女はこう呟いた。

 「あの水鉄砲に付けてあるコイルから・・・今までとは違う強力な

エネルギー反応を感じます!」

 「今までとは違う・・・まさか次元崩壊?!」

 キョーヤがそう言うとちぃい!!とロボット少女を見て担いで・・・走った。

 「ちょ!何するんですか貴方は!?」

 「黙って言うこと聞いてろポンコツ!」

 「ぽ!ポンコツではありません!!私には『ミラ』というちゃんとした名前が」

 「喧しい!黙ってっていうか手前走れ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「キョーヤ!」

 「あ?・・・手前『シューマン』!!」

 キョーヤがそう言った目の前にいる肩までかかった金髪の男性がいるので

恐らく名前なのであろうそういうと『シューマン』と呼ばれる男性は後ろにいる

防護服を着た兵士たちと共に現れてこう言った。

 「キョーヤ!お前が何でロボットと一緒にいるんだ?

お前がここにいるってことは『マリー』さんからの依頼」

 「早く逃げろ!もうすぐ『次元崩壊』が起きるぞ!!」

 「「「!!!」」」

 それを聞いて三人は目を大きく見開いているとジョニー・ウオンがいた部屋から眩い程の光が出てきたのでやばいと感じたのか『シューマン』と呼ばれる男性が

兵士に向けてこう言った。

 「全員ここから避難だ!周辺で待機している部下たちにもそう伝えるんだ!!」

 「「了解!!」」

 それを聞いて兵士たちが下に行くとキョーヤと『シューマン』と『ミラ』は

そのまま窓から外に飛び出すと同時に悲鳴がビルに・・・響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 その声と同時にビル一面に光が満ちた瞬間に・・・全てが終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どうなったんだマブチ?」

 「多分だが・・・次元崩壊が終わったようだな。」

 キョーヤがそう言うと『ミラ』がこう答えた。

 「『次元崩壊』、コイルにある膨大なエネルギーが外界に放たれると同時に

周囲一帯を飲み込んで次元Wがこの世界に具象化する現象。

お父さんから聞いた話ですがどうでしょうか?」

 『ミラ』がそう聞くと『シューマン』はこう答えた。

 「その通りだ、マブチ所で聞くがお父さんってお前」

 「俺がそう呼ばせてんじゃねえよ!他ん所から来てたんだよ!!」

 キョーヤがそう言うと『シューマン』がそうかとニヒルに笑って答えると

さてとと言って立ち上がってこう言った。

 「俺は事故現場に向かうよ、万が一に備えて警戒網を敷いて

封鎖しないといけないからね。」

 「俺も行くぜ、仕事を途中で切り上げっちまったら『マリー』に

怒られかねねえからな。」

 キョーヤがそう言って『ミラ』を・・・放っていくと『ミラ』は

痛いと言ってこう続けた。

 「何するんですか?!」

 そういうとキョーヤはこう答えた。

 「何言ってんだ、さっさとどっか行け。」

 そう言って『シューマン』とと共に歩き出すと『ミラ』はキョーヤに

付いていく感じになったのでキョーヤは何だと聞くと『ミラ』はこう答えた。

 「私はお父さんのためにあのコイルが必要なんです!ですので

ご一緒させていただきます!」

 そういうとキョーヤはこう返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「勝手にしろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして部屋に入るとそこは・・・酷い状況であった。

 何せまるで台風が通ったかのような惨状となっておりそれどころか

その部屋にいた人間たちが・・・もはや形容しがたい状態となっていた。

 周りの物と融合していたりしてこれが人だったのかと言うほどの

状態となっていた。

 「ひでえな。」

 「ああ、周りの物を吸収したりしていて人であったというのかどうかすら

怪しいな。」

 そう言って『シューマン』は構成員達を見ていた。

 武器である剣や銃が腕に溶け合っており中には人間同士が融合してしまっており最早元に戻れないような状態であった。

 「あ・・・あ・・・」

 「後は僕たちに任せてくれマブチ、それと不正コイルは僕たちに」

 任せておいてといいかけた瞬間に声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「が・・・・あああああああああああああああ!!」

 「「「!?」」」

 その悲鳴と共に三人が目を向けるとそこにいたのは・・・異形であった。

 「なんだ・・・あいつは。」

 マブチはそう言ってその異形を見た。

 両腕は右腕は水鉄砲だが腕と同化しており左腕は恐らく銃であろうそれも

同化しているが最も可笑しいのが足である。

 そして何よりも足には・・・04という数字が刻まれていた。

 だが何よりも厄介なのが・・・全身に違法コイルが体内に取り込まれていた。

 まるでタコみたいに幾つもの足がぞろりとありまるで・・・化け物だと

思っているとジョニー・ウオンらしき人間はキョーヤ達を見て・・・

悲鳴を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「がああああああああああああああああああああああああ!!」

 そして水鉄砲と拳銃を構えて・・・同時に放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これがキョーヤ達にとって初めての・・・№との戦闘であった。




 続きます。


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①-3

 追うものと追われるもの


 ジョニー・ウオンが放った攻撃はシューマンとキョーマ、ミラに目がけて

放たれると3人はそれぞれ部屋から出て物陰に隠れた。

 「くそ!次元崩壊起こしたら大体が身動き取れねえはずなのに何だあれはよ!?」

 「マブチ!あれはどうやら只の次元崩壊じゃないかもしれないぞ!!」

 「見りゃあ分かる!糞が、あいつの体中の不正コイル何とかしねえと

このままじゃあ俺ら全員嬲り殺しだぞ!」

 「ですが・・・あの人の体だって持つかどうか。」

 「畜生が・・・それも考えちまったじゃねえか!」

 キョーマはそう言ってジョニー・ウオンを見た瞬間にジョニー・ウオンは・・・

人間としてはありえないほどの跳躍力を見せて逃走したのだ。

 「待ちやがれ!」

 キョーマはそう言って苦無みたいな武器を構えるがジョニー・ウオンは

窓から逃走していて既に遥か向こうにまで飛んでいた。

 「こいつはやべえなシューマン。」

 「お前他人事のように言うがこっちは一大事だ!全員に通達!!

至急防衛線を作れ!?次元崩壊した人間が逃走!そうだ逃走だって何訳が

分からないだ?僕だってあれが何なのか知りたいくらいだよ!!

すぐに武器を持って奴の移動速度を辿って戦闘準備!奴を先回りする!!?」

 そう言っている間にミラはこっそりと出て行っているのを運悪く・・・

マブチがそれを見てしまったのだ。

 「「あ」」

 そしてその儘・・・ミラは走って去っていった。

 「待ちやがれ!」

 キョーマはそう言って追いかけるのを見てシューマンはこう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「まだ心残りがあるのかキョーマ・・・もう5年にもなるのにな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シューマンは其の儘下に行って部隊を指揮しようとすると隊員の一人が

こう報告した。

 「シューマン隊長、先ほど部下からとある報告がありまして」

 「後にしろ、今は逃げ出した新たなる次元崩壊対象の捕縛または

破壊をしなければいけないのだ。」

 「それが・・・対象も同じ方向に行っていると追いかけている部隊から報告が

ありまして」

 「・・・詳しく話せ。」

 シューマンはそう言ってそれを聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「待ちやがれロボット!」

 「何でこちらを追ってくるんですか!?」

 「手前の胸のコイル!豪く偽装されちゃあいるが違法コイルと

同じ反応をしているんだ!!それを寄こしやがれ!?」

 「お断りいたします!!」

 ミラはそう言いながらキョーマ相手に鬼ごっこをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「日陰街・・・間違いないか?」

 シューマンは隊員の一人に向けてそう聞くと隊員の一人はこう答えた。

 「はい、このエリアで間違いありません。例の次元崩壊対象も

こちらに来ていると報告があります。」

 「街の住人の非難は?」

 どうなっていると聞くが隊員の一人はこう答えた。

 「ここにいるのは不法入国者やチンピラとかが集まりますので上層部は

放置しておけと既に『QI』からも指示を出されておりまして。」

 「街の排除をするためには見殺しにしろか・・・あいつが聞いたら怒るだろうな本気で。」

 「隊長?どういたしましょう。」

 そう聞くとシューマンは暫くしてこう答えた。

 「とりあえず半径30メートル四方にいる民間人は全員脱出させるように

しておいてくれ、万が一に備えてだ。」

 「もし・・・拒否したり抵抗された場合は・・・」

 「・・・その時は現場に任せるよ。」

 シューマンは半ばあきらめ口調でそう言っていると・・・窓が開く音が

聞こえた。

 「聞こえてたか・・・すみませんが我々は・・・!!」

 シューマンは男に向けて非難するように言おうとして目を大きく見開いて

驚いていた。

 白髪で髭まで白い

 だがその顔は誰もが知っている人間の顔なのだ。

 今の世界を作ったと言ってもいいその男をシューマンはこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ゆ・・・・『百合埼』博士・・・!!」

 次元コイルと次元軸Wを見つけた稀代の発明家。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『百合埼 士堂』その人だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてそこからほど近い場所。

 「あぐ!」

 ミラは雁字搦め状態で捕まっているがその原因が・・・これだ。

 

 

 

 

 

 

 「いい加減にしやがれロボット風情が・・・!」

 キョーマは鉄線で動きを封じていたのだ。

 するとキョーマはミラに向けてこう言った。

 「さてと、手前のコイルを回収させてもらうぜ。ロボット風情が

好い気になるからだ。」

 そう言ってキョーマは胸元にあるコイルに手を伸ばそうとして・・・

こう呟いた。

 「涙?」

 キョーマはそう言うが確かにそうだった、ミラはロボットなのに

泣いているのだ。しかしキョーマはこう言い放った。

 「け、ロボットが涙なんて流すとはそいつも造った奴の趣味か何かか?」

 「お父さんが私を作ってくれた時にそうしてくれたんです!」

 「お父さん・・・ロボットに親なんていねえ、さっさと回収・・・

なんだあれ?」

 キョーマはそう言ってとある場所に視線を向けたのだ。

 そこで目に映ったのは・・・膨大な緑の光が溢れる場所があったのだ。

 「お父さん。」

 「?」

 キョーマはミラの言葉を聞いてなんだと思っているとミラは・・・

泣きそうな表情でこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「だめですお父さん!それは・・・それは駄目なんですーー!!!」




 次回は・・・爆発。


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①-4

 続きです


 「百合埼博士!直ちに降りてください!!」

 「私はお前たち『ニューテスラ』には従わないぞ!」

 「百合埼博士!今ここに向かって特殊な次元崩壊対象が向かっております!!

このままではここで戦闘が起きてしまいます!?今すぐ逃げないと博士の身を

守ることができません!」

 「お前たちはそうやって私を会社に拘束して全てを有耶無耶に

させる気なのだろう・・・私の娘と妻を殺したように!!」

 百合埼博士が大声でそう言うとシューマンは百合埼博士に向けてこう反論した。

 「二年前のあの事件についてはいたたまれますがあれは保安委員の命令の

食い違いであり既に警備担当は処分しました!ですのでこちらの要求に答えて

退避を」

 「もう良いい!今すぐ去り給え!!さもなくば・・・これを使う!!」

百合埼博士はそう言って懐から・・・見たことないコイルを出すと

シューマンはこう呟いた。

 「なんだあのコイルは・・・見たことない形状だ。」

 そう言ってそのコイルを見ていた。

 通常のコイルの外側に大型のコイルが覆うかのように付けられているため

なんだと思っていると百合埼博士はシューマンに向けてこう言った。

 「私は嘗て次元Wの存在を確立し、そしてこのエネルギーを使うことで

私はエネルギー問題を解決したが私はすべてを失った・・・愛する家族を・・・

それを奪ったお前たち『ニューテスラ』に対して私は全てを白日の下に

晒してやろう真実を!?見るがいい!無限のエネルギーのその神髄を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ああああああああああああああああああああああああああ!!」

 「「「「!?」」」」

 その悲鳴を聞いて百合埼博士は何だと思って振り向いた瞬間に

シューマンはしまったと思って背後にいる2人に向けてこう言った。

 「総員戦闘配備!百合埼博士を至急保護してここから離脱するぞ!!」

 シューマンがそう言って何とかするぞと言うが百合埼博士は謎のコイルを・・・起動してこう言った。

 「見るがいい・・・無限のエネルギーの真価を!」

 そう言って百合埼博士は謎のコイルを起動させるとシューマンに向けて

こう言った。

 「さあ逃げるが良い!君たちはあの時とは関係ないのだから・・・

その命を無駄にするではないぞ。」

 そう言うとシューマンは畜生と言ってこう続けた。

 「総員退避!ここから退避するんだ!!」

 「然しあの次元崩壊対象は!?」

 「仕方ない・・・ここは退避だ!!」

 シューマンがそう言って退避するとジョニー・ウオンが現れて

百合埼博士目がけて水鉄砲を振り上げると百合埼博士はその刹那・・・

こう呟いた。

 「セイラ・・・苺・・・今逝くよ。」

 そう言った瞬間に巨大なエネルギーが百合埼博士を包み込んだと同時に

ジョニー・ウオンの全身のコイルが悲鳴を上げて赤い光が全身を貫くかのように

響いて・・・悲鳴を上げた。

 「ぎゃあああああああああああああああああああああ!!」

 そしてジョニー・ウオンは光の中にへと消えていくとそれと同時に

異変が起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「糞!通信機のコイルが逝かれやがった!!」

 キョーマはそう言って携帯を捨てると今度はミラの様子が可笑しかった。

 「あ・・・が・・・・・あがああああああああああ!」

 ミラは悲鳴を上げながらコイルが光を上げて軋めていていた。

 そして巨大な緑の光が膨張して収まった瞬間に・・・爆発して巨大な煙が辺りを包んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なんだ・・・これは。」

 逃げ出したシューマン達はその光景に呆然としていた。

 百合埼博士のいたマンションを中心に巨大なクレーターが出来上がっていた。

 そしてその辺りにある小さなコイルの・・・残骸が見つかった。

 「違法コイルか・・・全員辺りを調べろ!他に何か百合埼博士について

残っているのかもしれない!!」

 そう言って職員たちに向けて作業するように伝えるとあるものを見て・・・

こう呟いた。

 「なんだあの・・・流星は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何だあの爆発は?・・・コイルが全部止まってんな、あのポンコツのコイルも壊れてるな。」

 そう言ってキョーマはミラを担ごうとすると・・・何かが現れるのが見えた。

 「何だあの光は・・・?」

 キョーマはそう言って何だと思っているとそれが・・・現れた。

 「何かが・・・こっちに来やがった!」

 そう言ってそこから跳躍して脱した瞬間に・・・何かが衝突した。

 「何だこりゃあ!ジョニー・ウオンがこっちにまで来やがったのか?!」

 キョーマはそう言って爆発した場所を見ていると・・・キョーマはこう呟いた。

 「何だこりゃあ?」

 そう言ってキョーマはそれを見ていた。

 黒の体に青白い線が準えた線

 特殊な印象がある双剣

 そして何よりもその少年少女たちを見た。

 銀髪の少年

 金髪に右側のサイドテールの少女

 黒髪長髪の少女

 この三人が揃いも揃って倒れていたのだ。

 「一体今度は何なんだよ今日は本当に何だよこの仕事はよ!」

 キョーマがそう言っているといけねと少年たちを見ると取りあえず縛り上げて

機体から無理やり取り出して機体は苦無状の武器で突き刺して穴を開かせると

同時に落とさせるとこう呟いた。

 「よし、取りあえずは大丈夫だとしてなんだこいつ等は?」

 見たことねえが移民か何かかと思いながら立ち去ろうとすると足元に

何かあったのが見えた。

 「何だこいつは?」

 そう言ってキョーマはそれを拾ってこう呟いた。

 「『№4』?・・・なんだ一体?」

 そう呟きながら取りあえずはと言って拾って其の儘立ち去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここからが始まりなのだ。

 ルクスとキョーマ、2人の主人公たちがこの世界で何を織りなすのか?

 それはまだ・・・誰も知らない。




 そしてキョーマは彼らを知る。


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①-5

 続きです。


マリーの店。

 その地下、そこは地上にあるような多くの人たちが来るような場所ではなく

裏社会の人間たちが集まるようなそんな場所であった。

 そんな中でキョーマはその地下にてロボットミラと・・・ルクス達と

機竜の解析と調査をさせていると・・・解析していた黒い肌の少年『コオロギ』がキョーマに対してひひひひと笑いながらキョーマに向けてこう言った。

 「おいキョーマよ、お前こいつら見てどう思うよ?」

 「あ?・・・只のロボットとガキだろうが?」

 キョーマが『コオロギ』に対してそう答えると近くにいた恰幅のある女性

マリーがこう答えた。

 「あんたとんでもないもの持って来てくれたもんだね?」

 「あ?とんでもないもんだ??いったい何の話だ。」

 「とぼけんな、『コオロギ』。説明してやんな。」

 マリーがそう言うと『コオロギ』は解析した内容をこう答えた。

 「おうおうおう答えてやるよマリー、こいつらを只の回収屋の戦利品だって

思っている馬鹿な奴に教えてやるよ。」

 「ちぃ!」

 キョーマは明らかにバカにされていると思って舌打ちすると『コオロギ』は

こう続けた。

 「まずこのロボットの体なんだが使われているのはトンでもねえ価値がある

代物で同タイプを造るにゃあ人工衛星級かそれ以上の莫大な予算がかかる、

基礎モデルはそこにいる『フォー』と同じだがな。」

 『コオロギ』はそう言って『フォー』と呼ばれるロボットを例に挙げると更に

こう続けた。

 「だが人工皮膚の内側はトンでもねえぜ、内部には修復用ナノマシン・

強化型骨格フレーム・人工筋肉に関しちゃあ化け物レベル。すべてのコイルに

干渉しエネルギー構築を瞬時に把握することができる微細式構築術。普通だったらこういう手合いはどこかで折り合い付けたりして機能が一部シャットダウン

させるんだが・・こいつにはそれがねえ。とどめにこいつの脳みそと呼ばれる

AIには複雑且つ有機的思考デバイスが組み込まれてて俺でも元には戻せねえ、

こいつを造れるのは間違いなく百合埼 士堂博士位なもんだがあっちは・・・

どうかねえ。」

 『コオロギ』はそう言って隣にある・・・リーズシャルテの機竜、

ワイバーンを見て笑いながらこう言った。

 「あはははは!こいつは初めて見る奴だ!!何せこいつにはコイルが

ねんだよ!?」

 「コイルが・・・ない。」

 キョーマはそう言ってワイバーンを見ていると『コオロギ』はデータを

キョーマとマリーに見せてこう続けた。

 「端からみりゃあ只の外骨格型サポートロボットに見えようはあるが

こいつを動かすほどとなるとコイルが間違いなくいる、だがさっき言ったように

こいつにはコイルがねえ。だがそれゆえかどうか知らねえが左肩部に

エネルギー機関らしきのは確認できた。然も三機ともな。」

 そう言って別の格納庫・・・と言うよりもトラックの中にルクスの

ラグナ・バハムートと夜架の炎夜刀ノ鬼神が映っていた。

 あの後キョーマはマリーに願いを出して機竜の回収をお願いしたのだ、

後で出費料報酬が引かれるだろうが仕方なくQ1に獲られるよりはましかと考えて回収させたのだがまさかそれほどとはなとキョーマは内心驚いていると同時に

あることを考えて『コオロギ』に向けてこう聞いた。

 「おい『コオロギ』、聞きてえことがある。」

 「?」

 「こいつを・・・もう一機造ることって出来ねえか?」

 キョーマはそう言いながらワイバーンを見てこう続けた。

 「こいつがありゃあ俺はもっと強くなれる、そうすりゃあ・・・5年前の

記憶につながる手掛りになりそうな仕事だってきっと」

 そう言っているが『コオロギ』は頭を掻いてこう答えた。

 「それだがなあ・・・無理。」

 「は!?なんでだよここに実物があるだろうが!!」

 「無理なんだよ!こいつを造るにゃあ俺だけじゃ足りねえ!!ここでもだ!?もっと専門的な施設・・・それでこそニューテスラみてえに資金も研究員も豊富な場所でしか造れねえよ。仮にここで造ったとしてもだ、メンテナンスとかで

金借金しても足りねえぞ。」

 「・・・くそ。」

 キョーマはそれを聞いて毒づくが他の映像を見せた。

 マリーの部屋で横になって寝ているルクス達が映っていたのだ。

 すると『コオロギ』はキョーマに向けてこう言った。

 「こいつらが所有者なんだろ?だったらこいつらに聞きゃあ

良いんじゃね??・・・IDないけど。」

 「IDがねえ・・・日陰街見てえな密入国者か何かか?」

 キョーマがそう聞くがいやと『コオロギ』はそう答えてこう続けた。

 「それだったらこいつらの機体は全てステルス兵装があっても可笑しくねえが

これにはそれすらねえ・・・全く未知な連中だよ。」

 そう言うと『コオロギ』は更にこう続けた。

 「ああそれとだがお前が持ってきたあのカードだが・・・面白い情報が

手に入ったぜ。」

 「何だよそいつは?」

 キョーマは『コオロギ』の言葉を聞いて何だと聞いた。

 あの時拾ったあのカードは何かあるんじゃないかと思って『コオロギ』に確認を取らせていたのだ。

 すると『コオロギ』は(・∀・)ニヤニヤと笑って・・・こう続けた。

 「今日はお前のおかげで何度目かのびっくりだよ、あのカードちょっと

調べたらよ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・普通じゃあありえねえ、あのサイズで正規品コイルの40倍もの

出力の次元エネルギーが確認取れたぜ。」




 多分次回で第一話が終わる。


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①-6

 これで第一話が終わります。


「正規品コイル40機分だと?!なんかの勘違いだろ!俺が触っても

何もなかったぞ!!」

 キョーマがコオロギに向けてそう言うとコオロギはそうだよなあと言って

こう続けた。

 「そうなんだよなあ、そんだけのエネルギーがあるんなら人間の体なんて

炭に変えることくらい楽勝なんだよなあ。なのに何で・・・手前が無事なのか

そしてどうして・・・それ程のエネルギーがあのカードで形成されちまってんのかだよなあ。」

 そう言うとコオロギは特殊な機械の上にあるカード・・・№を見てそう呟いた。

 どういう技術体系で造られたのか分からないそれを見てコオロギですら

わからない中で恐らくと言って・・・ミラを見てこう言った。

 「分かっているとするなら多分・・・あいつなのかもな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「こいつを再起動させるだって!?ちょっとコオロギあんたこいつを起動させて

QIがここに押し寄せてくるんじゃないのかい!」

 マリーがコオロギに向けてそう聞くとコオロギはこう答えた。

 「大丈夫だよ、こいつは正規コイルに俺のカスタムでナビゲートされないようにシステムを構築されているから追われることはねえよ。」

 コオロギがそう言うとそのコイルをミラの胸部にあるコイルのはめ込み口に

先ほど入れたコイルを装填するとミラが起動した。

 そしてミラが起動するとキョーマを見てこう言った。

 「いやあああ!何でこんな格好何ですか私!!」

 キョーマに向けてそう言いながら・・・ビンタしたのだ。

 「いてえ!何しやがるんだ手前!!」

 キョーマは引っ叩かれた頬を抑えながらこう続けた。

 「お前何しやガンだってこのロボットは!」

 「ロボットロボットしつこいです!こう見えても乙女なんですから!!」

 そう言うのを見てミラはへえと感心しながらこう続けた。

 「然しまあ凄いねえ、中に人が入ってんじゃないかって思うくらいだよ。」

 「へへへ、まあこれ程のAIだったらこれくらいは当たり前だろうなあ。

まあこいつを造るほどの奴となると・・・百合埼博士位なもんだよなあ?」

 「!」

 コオロギの言葉を聞いてミラが目を見開いているとミラが台座から降りて・・・キョーマに対して土下座してこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「お願いします・・・何でもします・・・ですから私に・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・回収屋のお手伝いをさせてください。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「う・・・ん。」

 ルクスが目を見開くと見えたのは・・・天井であった。

 「ここは・・・何処だ?」

 そう言ってルクスは周りを見渡していると・・・リーズシャルテと夜架が

両隣にいるのを見てこう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何だこれ?」




 第2話に入ります。


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2-1

 2話目です。


 晴天、青空が心地よい中キョーマの家(旧ガソリンスタンドで廃屋)に通常ならばコイルが搭載されたトラックが走る中で今時珍しいガソリンで動く自動車が

キョーマの家に着くとキョーマは車から降りると荷台にいる面々に向けて

こう言った。

 「着いたぞ手前ら、降りろ。」

 そう言うと荷台から数人の・・・男女が姿を見せた。

 「あの・・・気づかれてませんよね?」

 「ああ大丈夫だ、今頃コオロギがデータ消してる頃合いだろうしな。」

 そう言ってキョーマは今喋っている少年・・・ルクスに向けてそう言いながら

あの時の事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「お願いします・・・何でもします・・・ですから私に・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・回収屋のお手伝いをさせてください。」

 あの時ミラが土下座するのを見てキョーマは一体何だと思っているとコオロギはそれを見て笑いながらこう言った。

 「あひゃひゃひゃひゅあひゅ!すげえなこいつ土下座してまで懇願してきたぞ?コイル嫌いの回収屋にコイルを付けて見たこともねえ科学技術使って動いている

ロボット、最高のコンビだぜこいつは!!」

 「おいマテコオロギ!俺はこいつとコンビ組むなんて一言も」

 「あんたが持ってきたんだよキョーマ、あんたが責任持つんだよ。」

 「マリー!あんた他人事だと思いやがって」

 キョーマがそう言いかけているとマリーはミラに向けてこう聞いた。

 「それよりもあんた一体どっから来たんだい?コオロギの話じゃあ

あんたを造った奴はとんでもないって話だけどあんたを造ったのは

一体誰なんだい?」

 そう聞くとミラは暫くして・・・こう答えた。

 「私を造ってくれたのは・・・百合埼博士です。」

 「「「!」」」

 それを聞いて全員驚いていた、百合埼博士の事を知らない奴なんて

間違いなくいないからだ。

 「百合埼博士・・・コイルを造っただけじゃなく次元Wの存在を提唱した

天才科学者。」

 「だけど二年前に奥さんと娘さんが事故で死んで以降消息不明になっちまって今どこにいるのか皆目見当がつかねえけどな。」

 コオロギがそう言いながら百合埼博士のプロフィールを開示していると

ミラは3人に向けてこう言った。

 「奥さんとお子さんは・・・殺されましたニューテスラに。」

 「「「!!」」」

 それを聞いてまじかと思っていた、事故死だと世間ではそう認識しているが

まさか殺されているなど皆目考えもしなかったからだ。

 するとミラが何かをしているのを感じてキョーマがコオロギに向けて

こう言った。

 「おいコオロギこいつを」

 止めろと言いかけた瞬間に天井に・・・映像が流れてきたのだ。

 「何だいこれは!」

 「おいおいおい、こいつから映像データを送ってやがるんだ。俺様の特性

ファイアウォールをいともたやすく突破してるぞ。」

 どういう性能しているんだよとコオロギはもはや慌てることをやめて

静観しようとしていると映像に映ったのは・・・女と女の子であった。

 「この女!」

 「キョーマ、あんた知ってるのかい?」

 「あ、ああ。百合埼博士の奥さんの・・・『百合埼 セイラ』博士、

義肢のスペシャリストだ。」

 キョーマがそう言うと少女は『百合埼 セイラ』に向けてこう聞いた。

 『ママ、この子に名前ってあるの?』

 『ん?そうねえ・・・〈苺〉はなんて名前が良い?』

 そう聞くと〈苺〉は暫く考えて・・・こう答えた。

 『〈ミラ〉!』

 『〈ミラ〉?・・・いい名前ね、意味は何??』

 『百合埼 セイラ』は娘でもある『苺』にどういう意味なのと聞くと

『苺』はこう答えた。

 『未来、ママが言ってたでしょ?パパは皆の未来を考えてるって!』

 『ええそうね、パパもママも〈苺〉やみんなの未来を考えて・・・誰かしら?〈苺〉お母さんちょっと出るから。』

 『ハーイ。』

 『苺』は『百合埼 セイラ』に向けて返事してミラを見ていると

ミラの視点が変わったことに気づいた。

 『何ですか貴方たち、主人は貴方がたにもう協力しないと・・・何ですかそれは〈苺〉逃げなさい!』

 『どうしたのママ?』

 『百合埼 セイラ』が『苺』に向けてそう言った瞬間に目の前にいた男たちが

拳銃を構えて・・・・パンパン!と銃声が鳴り響いたのだ。

 そして男たちが『苺』に拳銃を向けて引き金を引くと同時にマリーが大声で

ミラに向けてこう言った。

 「もうやめな!これ以上は見たくないよ!!」

 「!」

 ミラはマリーの言葉を聞いて即座に映像を止めるがマリーは何やら嫌なもの

見たと言うかのように額を指で押していた。

 当たり前であろう子供が殺される所なぞ誰もが見たくないからだ。

 「全く、こいつを見ちまった以上あたしらはニューテスラの敵ってことに

なりそうだね。」

 「ああそうだな、それにしても一体誰が殺したんだこの2人をよ?」

 コオロギがそう呟くとキョーマはコオロギが録った映像を見て・・・

あっと言ってこう続けた。

 「こいつら・・・ニューテスラの実行部隊だ。」

 「何だって・・・知っているのかいあんた?」

 マリーがそう聞くとキョーマはああと言ってこう続けた。

 「前に一度見たことがある、確か実践訓練の時に。だけど何であいつらが」

 一体何の目的でと顎を摩りながらそう呟くとフォーが現れてマリーに向けて

報告した。

 「奥様、先ほどあの子供たちが目を覚ましたと報告が。」

 「ああわかったよ、その子たちをここに連れてきておやり。」

 「畏まりました。」

 フォーがそう言って立ち去るとマリーはキョーマに向けてこう言った。

 「あんたが拾った子たちが一体どんな爆弾もちか・・・

見極めさせてもらうよ。」

 そう言って出ていくのを見てキョーマはこう呟いた。

 「俺が聞きてえよ。」

 「?」

 それを聞いて一体何だと思っているミラであった。




 次回へと続く。


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2-2

 続きです。


「ここって一体・・・どう見てもハートランドじゃない、けどそれに近いって

言うか何て言うか・・・ここは何処なんだ。」

 ルクスはそう呟いて周りを見渡しながら両隣で寝ている

リーズシャルテと夜架を見て起こそうと思ってこう言った。

 「リーシャ様、夜架。起きてくださいまだ夜ですけどって・・・もう夜じゃん!

起きてください!?」

 「ん~~~・・・後・・・20分。」

 「何テンプレ言ってるんですか貴方は!いい加減に起きないと・・・僕が作る

焼肉定食とフルーツサンドイッチ抜きにしますよ。」

 「それだけは勘弁してくれルクス!」

 「定食と聞いて・・・ごはんとみそ汁はついておりますか?」

 「いやお前もかいって何食欲漲ってるの?!」

 お前そんな性格だったのと言っていると2人は起きて周りを見渡して

こう言った。

 「ルクス、ここは一体どこなんだ?どう見ても王城では・・・無いようだって

何だ外のこの光景は!王都でもなければ一体ここは何処なのだ?」

 「それにしてもあまりにも光が多すぎますから暗殺に不向きですわね。」

 「君のこの世界に対する認識が暗殺基準であることに僕はどういえば良いの?」

 ルクスの呟きを聞いてこの世界?とリーズシャルテが何やら疑問を抱いていると

ルクスはこう答えた。

 「多分だけどここは僕たちにとって別世界の様です、帰る方法は今のところ

不明ですね。」

 ルクスがそう呟くとリーズシャルテはそうかと・・・少しだが力なく答えると

夜架はこう続けた。

 「主様、ここは異世界ともなると如何様にこの世界で身銭を稼ぐのでしょう?

何せ我々はこの世界について何も知りませんのでどの様にすべきでしょうか。」

 「そうだね・・・僕たちはこの世界について何も知らないんだから。」

 どうしようと思っているとこんこんとノックする音が聞こえた。

 「・・・2人とも構えてください、万が一に備えて。」

 「ああ、わかった。」

 「御意のままに。」

 それを聞いて夜架は柱の陰に、リーズシャルテはベッドに戻って、ルクスは

扉の前で構えていると・・・扉の向こうから声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どうやら皆様お目覚めの様でございますね。」

 「「「!」」」

 それを聞いて全員一体どこから見ているんだと思っていると声の主は

こう続けた。

 「では私は奥様にご報告させてもらって貴方がたにお話しするようにして

おきますのでそれでは。」

 そう言って恐らくその奥様の所にいくのだろうと思っているとリーズシャルテと夜架は互いにどうすると思っているとこう続けた。

 「とりあえずはこの世界が一体何なのか聞く必要があります、内容次第では

僕たちの処遇諸々についても話し合う必要があります。」

 「・・・そうだな、取りあえずはお前に一存させるが万が一の時には戦いを

覚悟しておいたほうが良いな。」

 「その時は私が最前線にてこの剣を持って戦いますわ。」

 「・・・その時は頼むよ夜架。」

 ルクスはそう言って暫くするともう一度同じ声が聞こえた。

 「奥様がお呼びです、皆様準備は良いでしょうか?」

 そう聞こえるとルクスはこう答えた。

 「うん出来てるよ、扉を開けていいかい?」

 「はい宜しいですよ。」

 ルクスはそれを聞いて開けるとルクスは知らないがフォーがそこに立っていた。

 「ええと・・・君は一体?」

 誰なんだいと聞くとフォーは自身を紹介すると案内を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「奥様、お連れ致しました。」

 ルクスはそれを聞いて周りを見渡してこう考えていた。

 「(ここにいるのは4人、フォーに多分あの褐色の男の子は戦えないと

考えて良いだろう。それとあの銀髪の女の人も戦闘力は無いとしたとして・・・

戦う人間はあの半纏を着た男の人・・・あの人の強さは桁違いだ、

夜架も加えたとしても戦えるかどうか。)」

 そう思っているとキョーマの方もこう思っていた。

 「(あの銀髪のガキ俺たちの戦闘能力を加味したうえで判断しているな、

フォーも加えてだがあいつらがあの兵器らしきものを動かす前にぶっ潰す・・・

あの中で一番やべエノはあの黒髪の女だな、間違いなく殺しに何の迷いもねえ・・『グレンデルの獣』にいりゃあ間違いなく最高戦闘力を発揮するな。)」

 そう思いながらルクスとリーズシャルテの方も見てこう思っていた。

 「(あの金髪はどちらかといやあ指揮官タイプだがコオロギと

同じ思考回路の開発者タイプだな、だがあの銀髪・・・あいつもある意味厄介だなこの状況においても平静で居やがるし人を見る目も確かだとするなら

ここで真っ先に潰すべきはあのガキだな)」

 そう思いながら半纏の中にある武器を何時でも出せるように構える

準備をする中でそれじゃあとマリーはルクス達に向けてこう聞いた。

 「あんた達何者だい?あの兵器はどの国の支援で造られたのか

一体どういう思いでこの国に来ているのかはっきりしてもらうよ。」

 マリーがそう言うとルクスは暫く考えて・・・前に出てこう言った。

 「僕の名前はルクス・アーカディア、僕たちについてですが・・・

これから言うことは真実なので聞いてください。」

 それを聞いて全員耳を傾けるとルクスは一息ついて・・・こう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「僕たちは別世界・・・この世界とは違う異世界からやってきた異邦人です。」

 「「「「・・・・・は?」」」」

 それを聞いてキョーマ達は目を点にしていた。




 次回は互いの世界について。


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2-3

 続きです。


「異世界だ?・・・手前あほなこと言っていると締め上げるぞ!」

キョーマがそう言ってルクスを締め上げようとするとルクスはキョーマを

避けるかのようにその手を掴んでよろけさせたのだ。

 「!」

 キョーマはそれを見てやばいと感じたのであろうすぐさまにその手を返して

ワンテンポ下がるとへえと言ってこう続けた。

 「手前やるじゃねえか、どこの部隊・・・いや、どこでその戦闘技術を

学んだ?」

 「戦闘技術・・・。」

 ルクスははぐらかすようにそう言うがとぼけんじゃねえとキョーマが

そう言ってこう続けた。

 「手前の今の動き方と躱し方・・・どう見てもどっからか戦闘技術を

学んだとしか思えねえその手捌き。並の人間じゃあそこまで出来ねえ

やり方だ・・・おめえは一体何者だ?」

 キョーマがそう言って懐から武器を取り出そうとして構えた瞬間に・・・

ぞわりと何かが後ろにいるのを感じてキョーマはその対象に向けて蹴った瞬間に

その足元に刀が見えたのでキョーマはその刀を持った人間・・・

夜架を見てこう言った。

 「ちぃ、手練れが2人・・・いやあそこで寝ている嬢ちゃん含めりゃあ

三人・・・マリー達がいる中で守り切れるかどうかか。」

 キョーマがそう呟いていると夜架はキョーマを見てこう言った。

 「あらあら、私主様に危険が及びそうでしたので始末しようと

思っていましたのにこの勘の良さは・・・少々本気を出さなければいけないのが

礼儀と言う物ですわね。」

 夜架がそう言って構えた瞬間に・・・キョーマはちぃと言ってこう続けた。

 「仕方ねえがここは手を出さねえほうが利口だろうな。」

 そう言ってキョーマは半纏を脱いで・・・座り込むと夜架はあらあらと言って

こう続けた。

 「ここはもう少し抗うと思っておりましたが。」

 「手前ら3人相手に戦うなんてどう考えても利口的とはいえねえし

手前みたいな・・・どう見ても暗殺者で然も2桁は余裕で殺しているような

気配を出している様な奴と戦うと俺だって只じゃ済まねえよ。」

 そう言うとそうですかと夜架は刀をキョーマに向けているとルクスは

夜架に向けてこう言った。

 「夜架、剣を収めるんだ。彼は戦う気は無いようだから。それに・・・

僕たちしか機竜を動かす方法が無いだろうから。」

 「「「!」」」

 それを聞いてキョーマ達はあの機械が機竜と言う名前であることが

判明したことと同時にアレの使い方と聞いて戦う意味がないと考えたマリーはキョーマに向けてこう言った。

 「キョーマ、ここはあの子たちの言葉を聞いておいて損は無いだろうね。」

 「・・・分かった、それでだ・・・名前は何だ。」

 キョーマはルクス達の方に目を向けると・・・リーズシャルテが立ち上がって

こう答えた。

 「戦う気がないものにこれ以上戦うことは私も同意ではない、初めまして

マリー殿。私はアディスマータ新王国次期女王

『リーズシャルテ・アディスマータ』。」

 「アディスマータ・・・聞いたことがないね。」

 「私は元古都国の国王の娘にしてルクス様の僕、『切姫夜架』と申しますわ。」

 「古都国・・・これも聞いたことがない国だね。」

 「そして僕は元アーカディア帝国皇子で今はアディスマータ新王国に

所属している『九十九・A・ルクス』と言います、リーズシャルテ様の

騎士候補でもあります。」

 「・・・全くこいつら言っていること全部真実だよ、虚言癖でもない限り

真実だろうね。」

 そう言ってマリーはコオロギに向けてどうだいと聞くとコオロギはこう答えた。

 「マリー、こいつらの自己紹介から見た心拍数情報だが・・・真実のようだぜ。何せ熱が通常状態だからな。」

 そう言うとリーズシャルテはコオロギの行動を見て何しているんだと見ているとコオロギはこう答えた。

 「こいつで手前らの心拍数測ってんだよ、それだけじゃねえぜ。スリーサイズに今の手前の体重身長何よりも精神状態ですらお分かりの代物だ。」

 「それは・・・他にも出来るのか?」

 リーズシャルテがそう聞くとおおよと言ってこう続けた。

 「他にもだが手前らの戸籍も調べてんだが・・・まじかよ載ってねえぜ

マリー。こいつらマジでこの国処か・・・存在すらしねえ。」

 コオロギがそう言うとマリーは頭を抱えて本当かいと言うとルクスは

マリーに向けてこう言った。

 「それでですが・・・僕らの言葉を信じてもらえますか?」

 ルクスがそう聞くとマリーはこう言った。

 「知っていること全部言うんだよ、それが条件だ。」

 そう言うとルクスは分かりましたと言って・・・自分たちについて説明した。

 機竜世界

 №

 デュエルの事

 ルクス自身も嘗て異世界に行ったことがあること

 そして自分たちがこの世界に来た経緯を伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「成程ねえ、つまりあんた達はこの世界に迷っちまったんだね。」

 マリーがはあと溜息ついているとキョーマはルクス達を見てこう言った。

 「それでだ・・・それが真実だとしてこいつらどうするんだ?」

 キョーマがそう聞くとマリーはそうだねえとルクス達を見て・・・

ミラを見て・・・キョーマに向けてこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「キョーマ、アンタこいつら全員引き取りな。」




 また次回。


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2-4

 続きです


 「いや待てマリー!何で俺がこいつらを引き取るんだよ!!さっきの

あの言葉だって嘘なのかどうかから考えるのが筋じゃねえのか!?」

 キョーマがそう言うがコオロギがこう答えた。

 「そっちの方だがよ、嘘言ったことにおける微妙な熱パターンが確認されねえし

それ以前にこいつらの言葉には説得力があるぜ。」

 「はあ?」

 何がだと聞くとコオロギはこう続けた。

 「こいつらが持っていたどらぐらいどだっけ?奴らの機体が異世界から

来たんだって言うなら納得がいくぜ、あんな高性能でメインエネルギーですら

特定することが出来ねえ理由がそう言うんなら間違いねえぜそれに・・・

№もそういう曰くつきって言うなら普通のコアの何十倍ものエネルギーを

保持出来るのもそして手前らも同じもの持ってるなら検討が付くってもんだぜ。」

 そう言うとそれでもなとキョーマがそう言っているとマリーが大声でこう言った。

 「いい加減にしな!アンタが何言ったとしてもこいつらがここにいる以上

全てが真実なんだよ!!それにこいつらを拾ったのはアンタなんだからあんたが面倒見なきゃいけないんだよ!?そこのロボットも一緒だよ!」

 「はあ!?このロボットもかよ!」

 「私はミラです!」

 ミラがそう言うとキョーマはミラを見て・・・ルクス達を見て・・・暫くすると

頭を掻きながらこう答えた。

 「・・・分かったよ!俺が全員連れて行きゃあ良いんだろ!!」

 キョーマがそう言うとマリーはふんと鼻息荒してこう言った。

 「分かりゃあ良いんだよ分かりゃあね!」

 そう言うとそれじゃあと言ってルクス達に向けてこう言った。

 「あんたらは帰るための目途が付くまではキョーマの元にいな!

ミラはキョーマの下で回収屋の勉強!!それでいいね!?」

 『ハイ!』

 それを聞いてミラとルクス達はそう答えて・・・キョーマははあと

溜息つくしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして2話目冒頭になるのだがキョーマはマリーから譲ってもらったトラックで機竜を運搬して中に入れようとするとミラはキョーマに向けてこう聞いた。

 「あのう・・・私たちは何処で寝泊まりするのでしょうか?」

 そう聞くとキョーマはミラに向けてこう言った。

 「お前は床だろ?ロボット風情が何言ってんだ?」

 「そんな!私だって女の子なんですから床は酷いじゃないですよ!?」

 そう言っているとリーズシャルテはルクスに向けて耳打ちしてこう聞いた。

 「どう思うんだルクス?あれがクランリーゼ同様のオートマタと思うか?」

 「恐らくそうでしょうね、僕たちがいた世界よりも技術が進んでいるから

ああいう人型のロボットが造られたとしても不思議ではありません。」

 「それにしても本当に人と何ら変わりませんわね、まるで本物の様にしかお見えできませんわ。」

 夜架がミラを見てそう言っていると全くとキョーマはミラを見ていると

溜息付きながらこう言った。

 「言っとくがこいつは決定事項だ、リーズシャルテと切姫は俺のベッドで寝て

俺とルクスはソファーで寝てもらう。そんでお前は床しかねえだろうが、

贅沢言うんじゃねえぞ・・・ロボット風情が」

 「じゃあさ!僕が床で寝て」

 「どうやって寝るんだお前?」

 キョーマはルクスに向けてそう聞くとルクスはこう答えた。

 「寝巻用のそうだな・・・キャンプ用の奴とかある?」

 「そんなもんはねえな、あるのと言えば車を覆うのに使う布程度でしかねえ。」

 「じゃあさ、あの隣の廃車置き場から幾つか座席を貰っていい?あれを

ベッド替わりにするのは良いかな?」

 ルクスが近くにある廃車を見ているとキョーマはそれを聞いて暫くして・・・

こう答えた。

 「ああ、それなら十分にいけるはずだ。お前が造るならミラの分も良いぜ、

工具は車庫にある。好きに使っていい、後はお前らの自主責任だ。」

 じゃあなとキョーマが立ち去るのを見てルクスは全員に向けてこう言った。

 「じゃあ・・・造ろっか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「先ずは車のシートだけど・・・崩れないようにワイバーンで浮遊しながら

外していきますからリーズシャルテ様、すみませんが操作をお願いします。」

 「分かった、取りあえず上から見てみる。」

 リーズシャルテがそう言って見てみると座席からブレードを使って座席を

切り取るとそれを下に降ろした後にミラが幾つかを纏めて運んだ後にスプリングが壊れている所を壊れていないスプリングと交換したりベッドみたいにさせるために布を使って補強したりして暫くすると・・・ベッドが出来上がったのだ。

 「よし、完成ですね。」

 「ほお、確かに見た感じベッドに見えるな。それにしてもあんなぼろぼろの奴をここまで使えるように出来るとはな。」

 リーズシャルテがそう言いながら新しく造られたベッドを見ているとミラがこう言った。

 「ありがとうございますルクスさん!それにしてもよく出来てますね、・・・

そう言えばリーズシャルテさんですけど・・・廃車をずっと見ている様

なんですけど何でですか?」

 ミラがそう聞いているとああと・・・ルクスはそれを見てこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「いつも通りなので気にしないでください。」

 そう答えるしかなかった。




 そして次回へと。


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2-5

 続きです


「それじゃあ次だけどミラは何したいの?」

 ルクスがそう聞くとミラはこう答えた。

 「私の体内にあるナノマシンは常に分裂と増殖を繰り返していますが

実を言えば増殖したものの中には廃棄されるものもあります、ですので

体外に出すにはその・・・何と言いますか。」

 そう言いながらもじもじするのでまじかよとルクスは認識していると

夜架がこう言った。

 「つまりよU」

 「言わんでいいわエロ女!大体察しておるから言うな!!」

 リーズシャルテが夜架の口を塞いでそう言うとルクスはこう続けた。

 「それじゃあトイレとかは・・・キョーマさんが寝ている時にやったほうが良いねあの人多分だけど・・・

『ロボット風情がトイレ何て使うのかよ?外でやれ』って・・・言いそうだから

それも造らなきゃね。」

 「となると・・・屑鉄を幾つか使うとするか。」

 リーズシャルテの言葉と同時に再開された、ワイバーンで分解しつつルクスが

溶接機器を使ってつなぎ合わせて急ごしらえのトイレ部屋を造った。

 「まあ汲み取り式だけどナノマシンって・・・匂うの?」

 ルクスがそう聞いて・・・リーズシャルテが飛び蹴りでこう言った。

 「お前も何デリカシーのない事聞いとるんだーー!!!」

 「ゼブラーー!!!」

 ルクスは顔面から食らって吹き飛ぶとそれを夜架が優しく・・・

胸でキャッチするとこう続けた。

 「あらあら主様、このような明るい場所でやりたいとは。でしたら今夜は倉庫でしっぽりと」

 「やらすかお前らッてツッコミ私しかいないって何だこの地獄はーー!!!」

 リーズシャルテはそう言いながらああもうと言っているとキョーマが現れると

全員を見てこう言った。

 「お前ら、マリーから仕事の依頼が来たぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして夜、キョーマはルクス達を連れて人だかりが多い場所に来ていた。

 『ルーザー!ルーザー!ルーザー!』

 「何かのお祭り・・・でしょうか?」

 ミラがそう呟くといやとキョーマがこう答えた。

 「『ルーザー』、敗者と言う名前の怪盗だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてキョーマはこう説明した。

 「これまで奴は多くの美術館に芸術館などと言った場所を狙うと予告しては・・何も奪わなかったって言う曰くがある奴なんだ。」

 「何も?・・・本当なのかなそれ、実は偽物とする変えていたりとか

してない?」

 ルクスがそう聞くとキョーマはこう返した。

 「ああ、無論そういうのも考慮して検査したがどいつもこいつも本物。

つまり奴は本当に何も盗み出してない、だからこそ『ルーザー』、敗者って

呼ばれてるんだがそこまでの工程が神がかっていて何時の間にかファンが増えてファンサイトにクラブまで出来るっていう人気っぷりが出てるんだ。」

 「成程な、パフォーマンスで人々を魅了して警察どもの動きを

止めさせているのか?」

 「まあなって言うかお前らにもいるのか警察?」

 キョーマがそう聞くと夜架がこう答えた。

 「ええ、私は偵察だけでしたが町の監視等に騎士見習いを使っておりましたが

見慣れない服装でしたわね?黒の肩当と胸当てがありましたわ。」

 「あああれね、彼らはそう言うのだからね。」

 ルクスはアハハと言いながらあることを思い出していた。

 ルクスの世界の警察は遊馬達の世界を基本骨子とし騎士見習いや

町の警ら隊等を使って行われており黒の胸当てと肩当が支給され隊長ともなれば

機竜が与えられている。

 ドレイクが殆どであるが通信技術等はリーズシャルテが新たに作った

通信機次第ではドレイクを経由して各警ら隊に支給されるようになるそうだ。

 そしてルクスは現実に戻るとリーズシャルテがキョーマに向けてこう聞いた。

 「それでだが私たちがいる理由は若しやその『ルーザー』を見つけて

捕まえることなのか?」

 賞金でもあるのかと聞くとキョーマは嫌と言ってこう続けた。

 「俺たちの目的は『ルーザー』が使用していると思われるコイルを

見つけることだ、奴が単独犯ってい訳はなさそうだからな。」

 「根拠はあるのですの?」

 夜架がそう聞くとキョーマはああと言ってこう続けた。

 「奴が警備情報を盗み聞くためには何処かに中継点用の機械に装備されている

コイルがあるはずだ、そいつを回収するのが俺たちの仕事。」

 「あのうキョーマさん宜しいでしょうか?」

 「あ?」

 何だとキョーマはミラを睨みつけるとミラはこう続けた。

 「もし『ルーザー』がコイルを使わない、キョーマさんみたいな人でしたら

どうするのですか?」

 見つけられませんよと言うとそれなと言ってこう続けた。

 「そういう時に備えてお前らの機竜持ってきたんだろうが、通信情報があったら知らせてくれ。マリーから携帯貰ってんだろ?」

 そう聞くとルクス達はこくりと頷くと何やら人の動きがさらに活発に

なり始めたので何だと思っているとキョーマがこう言った。

 「お出ましのようだな。」

 そう言った瞬間にラジオでニュースの音声が流れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『まもなく時間です!今回は〈ルーザー〉はどの様に華麗にそして

今度こそ盗むのでしょうか!!』

 ニュースキャスターがそう言うと映像が変わったと同時に・・・煙が辺り一帯を覆い始めた。

 「これは・・・。」

 「来るぞ。」

 キョーマの言葉に狼狽えていたミラと戦闘態勢に入っているルクス達が頷いて

暫くすると地中から・・・柱の様なものが現れたのだ。

 そしてその上に人影が見えてきたのだ。

 そこにいたには・・・仮面の男

 金色の仮面

 特殊タイプの手袋

 全身を黒の服で覆い

 黒に星マークがついたマントを着た男性が姿を見せた瞬間に

ニュースキャスターは大声でこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『現れました!彼こそが今まで盗みを計画し結局は何も盗まなかった

謎の怪盗・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・『ルーザー』が今現れました!!』




 ルーザーが現れました。


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2-6

 続きです


「あれがルーザーか、見た感じだが怪盗にしてはよく目立つ奴だな。」

 リーズシャルテがそう言うと確かになとキョーマが言ってこう続けた。

 「何故ここ迄大事って言うかあいつ色々とやっているせいで注目されている、

ここ迄マスコミがいる中で盗むとなると結構な神経してねえと出来ねえぞ。」

 そう言っているとそれじゃと言ってこう続けた。

 「先ず俺とルクスが先行してルーザーを追う、夜架は炎夜刀ノ鬼神で奴と恐らく

奴が使っている通信機があるはずだ。そいつを追う、そしてリーズシャルテが

ポンコツと一緒にそこまで向かって仲間がいりゃあそいつらをぶっ潰せ!」

 「分かりました!」

 「主様以外のお方の命令を聞くのは尺でございますが

ここは言うとおりにしておいたほうが利口ですわね。」

 「よろしくなミラ、言っとくが私の操縦は・・・少しだが荒々しいぞ。」

 「はい、よろしくお願いいたしますねってキョーマさん私の事ポンコツって

酷くありませんか?!」

 「いや今更かよ遅えよ。」

 キョーマはミラの言葉を聞いてそう毒づきながらそれじゃあと言って

こう続けた。

 「一仕事と洒落こむぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キョーマ達が互いに配置決めをした後に全員で行動している中で

ルーザーの元に向かうキョーマ・ルクス組の中でルクスは煙幕が張っている中で

こう続けた。

 「それにしてもルーザーは何のために盗みを?」

 「分からねえ!ここ迄仰々しくなっている中で未だ盗みシテ

何も盗まねえってなると只のパフォーマンスって可能性が強そうだな!」

 そう言いながらキョーマとルクスは警備員の中を縫いながら向かっていく中で

ルクスはこう呟いた。

 「本当にそうなのかな?」

 「?」

 「だってさ、盗みをしているのに盗んでない。そこが気掛りなんだ、

まるでマジックをしているみたいに。」

 「マジックな・・・確かにな、ここ迄何も盗んでねえ・・・もしかしたら本当は盗んでいて盗まれてねえって言いたいのか?」

 「そ、例えばそう・・・偽物とすり替えていたりとかは?」

 ルクスがそう聞くとキョーマはいやといってこう続けた。

 「ありえねえな、ちゃんと本物かどうかチェックしている。」

 「その時にすり替えていたりとかは?」

 「そっちも考えてコオロギに調べておいたがやっぱし本物だった。」

 「それじゃあ・・・ルーザーは・・・もしかして。」

 「?」

 「実際は盗んでいるけどそれが誰も気づいていなかったものとかは?

隠し財宝的な。」

 ルクスがそう聞くとキョーマはなるほどなと言って電話をかけようとして・・・まだないことに気づくとルクスに向けてこう言った。

 「ルクス!お前の携帯電話でコオロギに繋げてくれ!!何か見落としが

あるかもしれねえって。」

 「分かった!」

 そう言いながらキョーマ達が中に入ると警備用の鳥もち弾が放たれるが

キョーマ達はそれを避けながらルーザーを追っているとルーザーが

地下に通じる道に入るのを見てルクス達も入ると・・・中で戦闘をしていた

ルーザーがマントの中から細長い・・・今時場違いなほどの代物だがルクスは

それを見て目を大きく見開いてこう言った。

 「あれは・・・ソードデバイス!」

 「!?」

 キョーマはそれを聞いて何だとと思っていた、ソードデバイスはルクス達の

世界にて機竜を扱う際に使われるコントローラーであると同時に機竜を

呼び出すときに使うビーコンの一つである。

 何故それをルーザーがと思っているとキョーマとルクスはある現象を見て・・・驚いていた。

 「何だ・・・こいつは!?」

 「カードが・・・№が・・・光っている!?」

 そう言ってルクスは№62と103

 キョーマは№4を取り出すとそれを見たルーザーは警備員を全員倒した後に

こう続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ほお・・・私以外にそいつを持っている人間がいたとは驚いたな。」

 「「!?」」

 それを聞いてキョーマとルクスは厳戒態勢になって身構えるとルーザーは

ああ済まないと言ってこう続けた。

 「何分初めて見たのでね、驚いたよ。何せ・・・私と同じものを持っている

人間がいたことに。」

 そう言いながらルーザーはポケットから3枚の・・・№を抜き取るとルクスは

それを見て目を見開きながらこう呟いた。

 

 「№・・・5,6・・・『超古代兵器 アトランタル』、それに7の

『ラッキー・ストライプ』?!」

 それを見てルクスは驚いていた、何せ目の前にあるのは・・・ベクター、Ⅲ、チャーリー・マッコイが保有していた№を言うと№7を見てこう呟いた。

 「貴方がここ迄来れたのは・・・そのカード、№7のおかげでしょ。」

 「成程な、このカードを手にしてから何かと融通が利くようになったのは

こいつか。使い手の運・・・いや、事象に干渉して私の全てを導くとは

なんとまあ・・・皮肉だな。私がこいつをあの時に持っていたら。」

 ルーザーがそう呟くのでキョーマとルクスは何だと思っているとルーザーは

カードをポケットに入れなおしてソードデバイスをマントの中に入れなおすとキョーマとルクスに向けてこう言った。

 「初めまして名も知らぬ回収屋達、私の名前はルーザー・・・

№と『№コイル』を手にする怪盗だ。」




 次回に続く。


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2-6

 続きです


 「№コイル・・・だと?」

 キョーマはルーザーの言葉を聞いて眉を潜めていた。

 №は特殊な力を持ちその力は大抵がカードだと思っていたが№のついたコイルは

このかた見たことがなく一体どんなものだと思っているとルーザーはカードを

懐に入れなおしてこう言った。

 「私が初めて№を手に入れたとき私は力があふれ出るのを感じた、そして複数の№を持ち私は自分をコントロールしながら№を扱うことが出来るようになり

そしてその力は私が使っている№コイルにも影響を及ぼしたのだ。」

 そう言って左腕を見せるとそこには確かに書かれていたのだ・・・

『234』と言う数字が刻まれたコイルが。

 「そいつが№コイルか・・・!」

 「如何にもそしてマブチ・キョーマ、私は君を知っている。」

 「俺がお前を・・・何処で会ったんだ?」

 キョーマがそう聞くとルーザーはそうかと溜息付くと仮面に手をかけながらこう言った。

 「思い出せマブチ・キョーマ、お前は私に会っている。何せお前は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・あの時、5年前に出会っているのだから。」

 そう言いながらルーザーは仮面を取って自分の顔を見せて・・・2人は

目を大きく丸くしていた。

 ルーザーの仮面の奥にある顔は・・・酷いものなのだからだ。

 火傷を負っているのかどうか分からないが顔面の皮膚が・・・無いのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何があったんですか・・・貴方に?」

 ルクスがそう聞くとルーザーは頭に?浮かべてこう聞いた。

 「君は私が恐ろしくないのかね?」

 「生憎だけど僕はそれよりも貴女が何で№を持つコイルと№を奪うのかについて聞きたいものでね。」

 それとその顔の怪我についてもと言うとくくくとルーザーは笑いながら

仮面をつけ直すと2人に向けてこう言った。

 「それは、マブチ・キョーマに直接聞いたほうが良い。まあ彼は

覚えていないだろうがな、何せ君は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・あのイースター島での記憶がすっぽりと抜けているのだから。」

 「「!!」」

 それを聞いてルクスだけではなくキョーマも目を大きく見開いていた、特にキョーマにとってはまだ明かしていないのに何で知っているんだと思っているとルーザーは床に手を当てると・・・こう言った。

 「それでは失礼させてもらうよ、私は仕事があるので。」

 それではと言った瞬間に床が赤くなったかと思いきや一瞬で床が・・・

爆発したのだ。

 「なあ!」

 「くそが!」

 ルクスとキョーマは互いにそう言っているとルーザーが消えたのだ。

 床に巨大な・・・穴を残して。

 「追うぞ!奴の目的がコイルってんなら回収するぞ!!」

 「は・・・ハイ!」

 ルクスはキョーマの言葉を聞いて慌てながらも中に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方外では。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ルクスとキョーマの2人はルーザーとやらと何話しているのだ?」

 「何でしょうねえ、全然聞こえません・・・!」

 ミラは何かを感じて空に目を向けるとリーズシャルテがどうしたのだと

聞いてこう続けた。

 「何か感づいたのか?」

 「分かりません・・・ですが何かあることは明らかです。」

 そう言っているとミラは夜架に向けて通信でこう聞いた。

 「夜架さん今宜しいでしょうか?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして夜架はと言うと近くでキョーマがトラックを止めておりその中に

炎夜刀ノ鬼神が配置されておりレーダーで探っているとミラから通信が入った。

 「はいどなたでございましょう・・・あらミラさんどうしたのでしょうか?」

 通信でミラから来たそれに夜架は何ですかと聞くとミラがこう言った。

 「少し聞きたいことがあるのですが宜しいでしょうか。」

 『何でございましょう?』

 「今美術館の上を飛んでいる鳥について何ですが飛行ルートを確認してもらって良いでしょうか?」

 『鳥?・・・何か疑う余地があるのでしょうか?』

 「今のところはわかりませんが、何かあると思ったほうが良いです。今から私の視覚データから転送しますので索敵をお願いします。」

 『分かりましたわ、ではお願いいたしますわね。』

 夜架がそう言うとミラはデータを転送したのだ。

 コオロギによる通信機改造に伴いミラの通信システムでも使えるように

調整してもらったのだがその通信システムを使ってミラは視覚映像を送ると夜架はさてとと言ってこう続けた。

 「それでは・・・始めましょう。」

 そう言って解析を始めた、ドレイクのレーダー能力に

新たにコオロギによって増設された解析システムでミラの映像から鳥たちの軌道を把握しそこからルートを導くとあることが分かるとあらあらと

夜架は驚くような感じでこう言った。

 「これはまた・・・ミラさんの感は中々ですわね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『解析が終わりましたわ、そちらに今送りましたので後は宜しく。』

 そう言って夜架は通信を切るとミラに鳥たちの飛行ルートを算出したデータを

見るとミラはやはりと呟くとリーズシャルテがこう聞いた。

 「何かわかったのか?」

 「はい、これを見てください。」

 そう言ってミラは飛行ルートを見ると・・・あることが分かりリーズシャルテはこう呟いた。

 「成程な、よし。後は追うだけだな。」

 「ええ、恐らくここら辺で高い場所にいるでしょうね。」

 そう言って2人は移動を始めた。




 まだまだ続きます。


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2-7

続きです。


どこかのビル

 「パパ、警備部隊から通信があってもうすぐQIが来るって。」

 『そうか、ならば早急に回収する必要性があるな。』

 通信機から聞こえるのはルーザー、恐らく言動から見て親子であろう帽子を被った少年か少女か分からないが10歳くらいの人影が見えた。

 「監視カメラジャック完了、ターゲットは見えた。周りに警備員はいないし

赤外線は解除したよ。」

 『分かった、お前も無茶はせずに何かあれば撤退するんだぞ。』

 「うん、分かってるよパパ。」

 そう言って通信を切ると・・・背後から声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「こんにちは、貴方が協力者さんですね?」

 「!ロボット・・・・!?」

 その人間は背後にいた・・・ミラを見てそういうとミラが持っているそれを見て

こう聞いた。

 「何で・・・それを・・・!」

 そう言ってミラの手元にあったのは・・・数羽の鳩・・・いや、鳩型の

コイル搭載ロボットであった。

 するとミラはこう答えた。

 「これはですね、あの美術館の周りにいた鳩達なんですけどどうも動きが

可笑しかったのでして夜架さん。あ、私の仲間なんですけどね。彼女に

解析してもらってここまで来たんです。」

 「く!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「動くな小娘。」

 そう言って建物の影の中から・・・リーズシャルテが現れると

ソードデバイスを構えてこう続けた。

 「言っとくが逃げれると思わんほうが良いぞ?こっちにはお前が逃げた時に

備えての手段は持ち合わせているからな。」

 「うぐ!」

 それを聞いてやばいなと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして同時刻・美術館内部。

 「ここか。」

 ルーザーはそう言って辺りを見渡していた。

 周りには希少な品々が大量にある中ガラスケースにあるターゲット

『天使と悪魔の像』に向かって歩いて行ってガラスケースに穴を開けようとすると背後から・・・何かを感じて避けた。

 「ほお、まさか主自らが迎え撃つとはな。」

 ルーザーはそう言って美術館のオーナーに向けてそういうとオーナーはひひひと2体の女性型ロボットを従えてこう言った。

 「生憎だがお前をここで捕まえれば私の社会的信用だけではなく名声が

手に入るんだ!やれお前たち!!」

 「「ラジャー。」」

 女性型ロボットはオーナーの言葉を聞いて攻撃を始めた。

 「おっと、これは危ないな。」

 そう言うと背中からソードデバイスを抜くとオーナーははんと鼻息荒して

こう言った。

 「そんなちんけな武器で彼女たちを止めれるのかよ!」

 そう言うとルーザーが何か呟いた後にソードデバイスが・・・

光り輝き始めたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何だこの光は?!」

 「近いよ!」

 キョーマとルクスがそう言って下にたどり着くと目にしたのは・・・

とんでもない状況であった。

 「ひ・・・ひぃい・・・!!」

 あまりの出来事に恐怖するオーナー

 「「が・・・・ががっが。」」

 ボロボロになって廃棄寸前みたいになった女性型ロボット

 そして・・・そんな前にあったのは・・・大型のロボット

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「機竜。」

 キョーマはそう言ってそれを見ていた。

 見た目は飛竜型に見えるがよく見れば違っていた。

 灰色のミスリルダイト

 歪に曲がっているライン

 翼部と合体しているかのように繋がっている予備脚部

 腕部にはブレードとキャノンの様に見えるが違うところもあった。

 ブレードは鋸みたいに刃毀れしていてキャノンに関して言うならばガトリングと

一緒くたになっていた。

 そして脚部にはホイールが付いておりまるで全ての基本機龍が・・・一つに混ざっているそんな風貌を感じているとルーザーはキョーマとルクスを感じてこう言った。

 「ほお、よく来たな。成程私が造った穴からかと言いたいがよく入ろうと考えたな大した気力だ。」

 「その機龍・・・其れが貴方のドラグナイトですか?」

 ルクスがそう聞くとほうと言ってこう返した。

 「こいつは『ドラグナイト』と言うのか、成程私が最初にこいつを使ったときは何だこれはと

思っていたがこれはこれで使えるなと思って重宝しながら解析していてな。そうだ、

これが私の機体・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・『キマイラ』。それがこいつの名前だ。」

 「『キマイラ』・・・確かにある意味『キマイラ』ですね、普通だったらあり得ない

機体構成だから。」

 ルクスはルーザーの言葉を聞いて成程と感じていた、アビスのキマイラとは違うがこれも同じだと

確信しているからだ。

 「(キメラとキマイラは違うようで同じ手合い、恐らく飛翔能力・地上走行・隠密・通信・索敵全てをあれに凝縮されているとなると・・・厄介だな一人で三人分と相手取ると一緒じゃん)」

 そう思いながらルクスはルーザーを睨んでいるとキョーマは女性型ロボットの胸にある

コイルを見て・・・オーナーに向けてこう言った。

 「おいお前!手前違法コイル使ってんのか!?」

 「ひぃい!」

 オーナーはキョーマの言葉を聞いてビビりながら女性型ロボットに近づくと罅割れているコイルを見てこう言った。

 「は、早く!早く動くんだ!!」

 「おい何やってんだ!コイルが壊れている状態で無理に動かそうとするんじゃねえ!?」

 キョーマがそう言っている中でルーザーはガラスケースにある像を見てガラスケースを破壊すると

ルーザーは天使の像の頭を押すと何か・・・カチッという音が聞こえた。

 そして暫くするとカチカチと言って現れたのは・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・124と書かれたコイルが出てきたのだ。」

 

 「コイル・・・そいつが№コイルか!」

 キョーマがそう言って構えるとルーザーは手で制するかのように止めるとルーザーはこう続けた。

 「待てマブチ・キョーマ、まだ続きがある。」

 「続きだと?一体なんだ。」

 キョーマがそう聞くと今度は悪魔の像の頭を押すとカチカチっと音がして今度は天使の腹部が

スライドすると現われたのは・・・1枚のカードだったがその瞬間にキョーマとルクスの懐にある

№が共鳴を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてそれは・・・夜架の所でもだ。

 「№が・・・何かあるのでしょうか?」

 そう言いながら何時でも出撃できるように夜架は機体を準備していた。




 キマイラ
 種類・・・全機龍型
 本機は『№5キマイラ・ドラゴン』から誕生した機龍でその特徴は全ての機竜の
特性を持っているという単体で複数の性能を全部乗せした機体。
 あらゆることに対応できる反面複数の機体に対して対応しづらいため
これはパイロットの実力に依存してしまうという欠点を持っている。





 武装
    チェーン・スラッシャー
    チェーンソータイプの剣。
    


    ガトリングキャノン


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2-9

 続きです。


「成程な、こいつがここにある№か。」

 ルーザーがそう言って手にあるカードをルクスは一瞬だが見えてこう呟いた。

 「№42・・・見たことない奴だ。」

 「手前ですら見たことないってなると対策のしようがないな・・・

役立たずだなお前。」

 「ちょっとあんた役立たずって酷くない!?」

 ルクスはキョーマに向けて大声でそう言うがハハハハハとルーザーは

笑いながらこう言った。

 「仲いいね君たち最高のコンビだ。」

 「「仲良くねえよ!」」

 キョーマとルクスが互いに大声でそう言うがそれではとルーザーが言うと

こう続けた。

 「私はこれで失礼するとしよう、何せまだ№コイルを集めなければ

いけないからね。」

 そう言って『キマイラ』で飛翔しようとしているのでキョーマが待てと言って

飛び道具を出そうとしているとオーナーが大声で女性型ロボットに向けて

こう言った。

 「おいお前ら何寝ている!立て!!立つんだこの鉄くずが!?」

 そう言いながら蹴るのでキョーマはそれを見てやばいと言ってこう続けた。

 「おいお前やめろ!今そいつらを無理に使おうとすると」

 そう言って止めようとしているとガキがキと音を鳴らし始めて

女性型ロボット2体はオーナーの足を掴むと呟くようにこう言った。

 「マスター・・・マスター。」

 「そそそそうだお前たち!ルーザーを倒してあのコイルを」

 「マスター・・・マスター・・・マスター。」

 「何している!速くルーザーを止めろ!!」

 オーナーはそう言いながらルーザーを指さすがコイルから

溢れんばかりの光が・・放出し始めたのだ。

 「な・・・何だこれは!」

 「速く逃げろ!次元崩壊が起きるぞ!!」

 「「!!」」

 それを聞いてルーザーとルクス(ルクスは知らないが雰囲気でやばいと

感じている)は目を大きく見開いてルーザーはこう言った。

 「ならば私は早急に失礼させてもらおう、次元崩壊に巻き込まれれば私も只では済まないからね。」

 そう言って今度こそ『キマイラ』で飛翔して消えると近くに行ってたキョーマが大声でルクスに向けてこう言った。

 「ルクス逃げろ!巻き込まれりゃあ命はねえぞ!!」

 キョーマがそう言って離れようとするとオーナーがキョーマの足を掴んで

キョーマに命乞いしてこう言った。

 「頼む助けてくれ!なんでも言うこと聞くし金も払うから!!」

 「手前離しやがれ!」

 キョーマがそう言って離れようとしたその時に女性型ロボットの胸に

搭載されているコイルから光が溢れ出して巨大になってきた。

 「や・・・やめ・・・助けて!」

 「糞!こんな所で・・・!!」

 「キョーマさん!」

 「ルクス来るな!手前迄巻き込まれちまうぞ!!」

 キョーマはそう言ってルクスに自分から離れさせようとするとこう続けた。

 「良いか!すぐに逃げろ!!巻き込まれる前に!?・・・俺の分まで

回収して来い!」

 そう言った瞬間にキョーマは光に巻き込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「キョーマさーーーん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーああ、俺は死んだか。

 ーー・・・マちゃん。

 ーー全く、手前の記憶も戻ってねえのにここでリタイアとはな。

 ーー・・-マちゃん!

 ーーここが次元世界か・・・何もねえな。

 ーーョーマちゃん!!

 ーー然し誰だ一体俺の名前・・・どこかで聞いた・・・懐かしいこの声。

 ーーキョーマちゃん!?」

 ーーこの声・・・まさか!

 そう思った瞬間にキョーマの胸の中から暖かいナニカを感じた。

 ーー何だこいつは・・・暖かくて・・・懐かしい。

 「キョーちゃん。」

 「雅!?」

 キョーマがそう言った瞬間に胸からオレンジ色のナイフが鞘事現れたのだ。

 「何だ・・・こいつは?」

 「それはねキョーちゃん、貴方が手に入れた力だよ。」

 「俺が?」

 「私キョーちゃんに出会えてよかったよ。」

 キョーちゃんと呼ぶその黒い短髪で何処かの学校の制服を身に纏い

マフラーを首に纏った少女が笑顔でこう言った。

 「キョーちゃん、何時かまた会おう。」

 「待ってくれ・・・待ってくれ!・・・『雅』?!」

 そう言った瞬間に背後から・・・声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぐぎゃあああああああああああああ!

 「何だこの声はよ?!」

 キョーマがそう言って振り向いた先にいたのは・・・61の数字が肩に刻まれたオレンジ色の恐竜であった。

 まるでマグマが恐竜になったかのような二足歩行の腕が尖ったかぎ爪になった

それはがるがると言いながらキョーマに近寄るとがるがると言ってオレンジ色の

恐竜は別の方向に目を向けるので何だと思っているとそこで目にしたのは・・・

オレンジ色のルクスや夜架達が持っているのとは違う・・・足に車輪がついた

機龍がそこにいた。

 「何だこいつは・・・機竜か?」

 キョーマがそう言って近寄った瞬間に機体が光り輝いて・・・意識が飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「キョーマさん!」

 ルクスはそう言ってその光から離れていると・・・光から何かが見えた。

 「え・・・一体誰が」

 ルクスがそう言いかけていると現れたのは・・・オレンジ色の機龍を身に纏ったキョーマが現れた。

 「よう、ルクス。悪いな、心配したか?」

 「キョーマさん!よく無事でって・・・その機竜ってそれ№じゃないですか

一体どこで?!」

 ルクスはそう言ってその機龍を見てそう聞くと光が収束し始めていた。

 「次元崩壊が収まっていくな。」

 「次元崩壊・・・一体何ですかそれ?」

 「そいつは・・・ミリャア分かるさ。」

 キョーマがそう言った瞬間に光から出てきたのはそれは・・・

哀れな末路であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「わ・・・私は・・・どうなっているんだ?」

 オーナーがそう聞くとああとキョーマはこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「次元崩壊の末路は皆同じだな。」

 そう言って目の前にあったのは・・・数十ものオーナーの顔と女性型ロボットの体が鏡の様に幾つもありそして・・・まるで現実なのかと言いたいほどの

光景であった。




 次回で多分終われる。


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2-10

 終わった。


「これが・・・次元崩壊・・・!」

 ルクスはオーナーの体を見て絶句した。

 その見た目はまさに・・・想像を絶する光景であった。

 結晶で覆われたオーナーは体がまるで鏡の様に幾つもバラバラ死体みたいに

あっちゃこっちゃに分かれていて女性型ロボットも同じようになっているのに

何で生きているんだと思っている中キョーマはルクスに向けてこう言った。

 「これが次元崩壊だ、人間によってはまあ色々だが大体がこんな感じだ。

(あのポンコツ拾ってルクス達が来た日の奴はまあ・・・

№でイレギュラーだったな。)」

 ルクスを見てそう思っていると部屋の外から・・・声が聞こえた。

 「いやあ、また酷い状態だねキョーマ。」

 「・・・シューマン。」

 「あ、初めまして。」

 「やあ初めまして!それにしてもキョーマお前やっと相棒を持ったのか?

これでお前もボッチ卒業だな。」

 「誰がボッチだ誰が!こいつはマリーに頼まれて面倒見ている奴の一人だ!!」

 「一人・・・他にもいるのか?」

 「まあな、後2人程いるがまあ今はどうでもいいとして俺達は今忙しいんだ。」

 そう言っているとシューマンはキョーマの方を見て・・・その纏っている

機竜を見てこう聞いた。

 「キョーマ・・・何だその兵器は?どう見ても『QI』も・・・

グリンデル所属時代にも無かったぞ。」

 一体何なんだと思いながら腰にある拳銃を取り出そうとするとああそいつはなと思っていると取りあえずこう言った。

 

 「こいつはこいつが不法所持していた奴だ、俺が手に入れた。」

 「不法所持ねえ・・・まあ良いがその前にこいつはどうするんだ?」

 シューマンがそう聞くとキョーマは取りあえずと言ってこう答えた。

 「一応こいつは違法コイル使ってたからルートを聞いてその後はまあ・・・

お前らの管轄だな。」

 「ああそうだな、家族諸共隔離対象だ。その後はここいらの次元空間の調査と

清掃でざっと・・・3,4か月ってところだな。」

 そう言うとルクスはシューマンに向けてこう聞いた。

 「家族諸共って・・・まさか監獄とかですか?」

 「いや、『QI』が保有する施設があるんだ。そこで彼の家族の面倒を見る、

僕らは非道はしないさ。」

 そう言って仕事だぞと言って出ていくのを聞くとさてととキョーマは機竜を見てこう呟いた。

 「さて・・・どうするかだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「パパ!大丈夫だったの!?」

 「ああ大丈夫だ、・・・誰かいたのか?」

 ルーザーが子供に向けてそう聞くと子供はこう答えた。

 「うん、さっきまで私と一緒に回収屋がいたけど映像を見て向こうに

行ったよ。」

 「そうか、こっちも回収したよ。」

 ルーザーはそう言って№42と書かれたカードを見せると・・・カードが

全体像を見せた。

 「これがこのカードの全体像か。」

 「戦闘機・・・かな?」

 「『№42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク』・・・

これで4枚目。」

 ルーザーがそう呟くとこう続けた。

 「後一枚・・・それで会える・・・彼女に。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「キョーマさん!大丈夫ですか?!」

 「大丈夫だ、それよりもこいつを積み込むぞ。マリーの所に行って

こいつをコオロギの所でスキャンさせるぞ・・・こいつも一緒にな。」

 そう言ってその機竜を見ているとこう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「雅・・・あの時見たのはお前だったのか?」




 そして第3話へと続く。


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3-1

 第3話目です


「全く・・・色々と問題が増えやがったな。」

 キョーマはそう言いながらあの後の事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「へへへへ、まさか次元崩壊から生き延びただけじゃねえ。機竜を

手に入れちまうとはなあ。」

 コオロギはそう言いながらあらゆるコードが繋がれている機竜・・・

『ヴォルカザウルス』とそのカードを見てこう続けた。

 「然し機体内容が全然違うな、ルクスとリーズシャルテの機竜が飛行型。

夜架の機体は聞いた話だが特装型・・・つまり支援と透過における奇襲攻撃タイプでお前が手に入れたのは陸戦型・・・厚い装甲と車輪を使った機動力がものを言い

武装は両腕に装備されている腕部ヒートクロー、そして両肩にある

高出力エネルギー砲。全くこいつの威力はどんだけなんだよ?想定しているだけでもその威力が鉄どころか噂のエネルギーシールドを貫通出来ちまう化け物、

全くこんなのどうやって造れたのかルクス達のいる世界はとんでもねえ技術を持った古代人がいたようだな。」

 へへへと笑いながら操作をリーズシャルテと共に続けていると

リーズシャルテはこう言った。

 「然し次元空間に機竜があるともなれば他にもある可能性があるな、

それにルーザーと言う奴が№と機竜も持っている。」

 「序にだが奴は№コイルを探しているようだ、なあマリー。

聞きてえことがあるんだが良いか?」

 「大方・・・№コイルについてだろ?」

 マリーがそう言うとキョーマはそうだと答えるとマリーはこう答えた。

 「№コイル、百合埼博士が造った試作コイルだよ。」

 「試作型コイル?つまり今の奴とは性能か出力が違うってのか?」

 「その通りだよキョーマ、№コイルは試作型と言う訳では今現在に

流通されている一般コイルや裏市場に出回り始めている裏コイルのどれよりも・・出力が数十倍もの差があるんだよ。」

 「低いのか?」

 キョーマがそう聞くといやとマリーは首を横に振ってこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「№コイルは今までのどのコイルよりも圧倒的に上なんだよ。」

 「「「!!!」」」

 それを聞いてキョーマだけではなくリーズシャルテとルクスも驚いている中で

説明してやるぜとコオロギが今使っている映像データとは違うデータを

キョーマ達の目の前に見せて説明した。

 「普通、一般コイルや裏コイルは手前ら全員と言うよりもルクス達は

知らねえから知っている奴らも含めてだが次元軸Wからエネルギーを

供給しているがそれは上っ面・・・表面の膜程度だが№コイルは違え。

元々百合埼博士は次元軸Wには未知の領域がありコイルはこちらの世界から

あちらにある次元軸Wの向こうにあるであろう世界とを繋ぐ鍵的な存在であるが

百合埼博士の理論だったがまあ・・・証明出来ちまったなルクス達が

来たって事はよ。」

 ひひひひと笑っていながらコオロギはこう続けた。

 「そんで№コイルってのはよ、言わば次元軸Wから供給されているエネルギーを上っ面じゃねえ深層迄取り出してるからエネルギー量は段違いだ。

気を付けな、№コイルは次元軸Wの深層迄抽出されているから何かしらの現象が

起きる事を念頭においといて損は無えぜ。」

 コオロギはそう言って配線から抽出できた『ヴォルカザウルス』の情報データの解析を終了させると『ヴォルカザウルス』のソードデバイスである短剣を

キョーマに手渡すとこう言った。

 「機体情報は解析してみたが前にも言ったがここで解析するには限界がある、

こいつに何かあったとしても修理できる保証はねえから覚悟しときな。」

 「やっぱQIに頼むしかねえって事か・・・糞が。」

 キョーマはそう言って短剣をコオロギから分捕るかのように取って懐に入れるとマリーはキョーマとミラを見てこう言った。

 「先ずはコイルの収穫金、こいつは全部ミラのもんだから1つ100万円としてそれが6つだから600万円だね。」

 ほらとミラに袋一杯のお金を渡すとミラは目を輝かせてこう言った。

 「これが・・・私が稼いだお金・・・~~~~!!」

 ミラは何やら悶絶するかのように嬉しがっている中で次にと

キョーマに向けてこう言った。

 「あんたはこの№と機竜の回収と情報提供でまあ大体・・・

1500万円だね。」

 「!おいマテよマリー、良いのかそんなに出して。」

 「こいつはあんただけじゃないよ、ルクス達の食費代もあるんだ。

それにこの機竜とルーザーが持っているって言う№の情報料もあるんだよ。」

 「情報料・・・№・・・ルクスから聞いたのか?」

 「ああ、№5はデッキって言うまだ見ぬ可能性を操作して使えなくさせる。

№6は№を装備したり相手の規定ライフを半減させる、№7は幸運を呼び寄せる。全く何時からあたしらはオカルトに迄手を出したんだろうね?」

 そう言うとなるほどなとキョーマはある事を思い出していた。

 「(成程な、№7の力で幸運を呼び寄せてそいつを№6との連携で強化させ

№5の力で相手の行動を阻害させている・・・本当に、俺達はこの世界は

オカルトになっちまったんだろうな。)」

 そう思いながら更にこう思っていた。

 「(いや・・・コイルと次元軸Wなんてもんに手を出した時点で既にこの世界はオカルトになっちまったかもしれねえな。)」

 そう思いながらキョーマは『ヴォルカザウルス』をトラックに移し替える作業に取り掛かったのであった。




 多分これは・・・短くなるかも。


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3-2

 続きです


それからと言う物キョーマも周りは大変であった。

 ヴォルカザウルスの調整に自分の家として使っているガソリンスタンドの

増改築の為に今は工事中の為その近くにミラが買った

キャンピング用のカートを買ったが今回の事もあってキャンピングカーを

今回の報酬で2台ほど購入できたのだ。

 そして今後の事も考えた会議をしようとしてキョーマ用のキャンピングカーで

作戦会議が執り行われた。

 「良いかよく聞け、俺達はコイルを集める。だがルーザーが狙ってる

№コイルをターゲットにすりゃあもしかすりゃあ№も手に入る、もしかしたら

お前らを元の世界に送り届けることが出来るかもしれねえな。」

 「それならば当面の間協力しよう、それに私は一刻も早く向こうの世界に

戻らなければいかん。」

 「僕もです、皆が待っていますしそれに妹を一人にはさせたくありません。」

 「私は主様と共にならどこでも。」

 リーズシャルテ達がそう言うとそうかよと言ってそれじゃあと言って

締めくくった。

 「そんじゃあ今後もよろしく頼むぜ手前ら・・・それとポンコツも。」

 「酷いですよ今の!」

 ミラがそう言って講義するがハイハイと言って外に出ると隣にある廃車場から

声が聞こえた。

 「・・・はあまたかよ。」

 「キョーマさん、何ですかあれは?」

 ルクスがそう聞くとあああれなと言ってこう説明した。

 「あいつらは町の中心にある上流者向けの学校の奴らだ、あいつらからすりゃあ

コイルが無くても動かせる奴はもう今や使われなくなっちまったからな。

だからああやって遊びに来るんだよ・・・全く邪魔でしかならねえよ。」

 キョーマはそう言って去っていくと何か・・・がらんと音がするのが聞こえた

リーズシャルテは何だと思って上を見るとそこで目にしたのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・一番上の車がずれ始めていくのが見えた。

 「不味い!」

 「リーシャ様!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ぶうううううん。」

 「ねえ、もう帰ろうよ?」

 「まだまだ!もうこういうのは無いんだから楽しもうよ。」

 そう言いながら男女が遊んでいると上から廃車が・・・落ちてきたのだ。

 『うわあああああああああ!』

 大声で少年少女達が悲鳴を上げてしゃがむと・・・がずん!と音が聞こえて

何だと思って女の子が目を開けるとそこで目にしたのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・ワイバーンを纏ったリーズシャルテがそこに立っていた。

 「おい、大丈夫かお前ら。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後警察が来て取り調べが始まりキョーマは仕方ねえと思ってマリー経由で

何とか留置場から出れるように電話をしようとしていると高級そうな車が

現れたのだ。

 『?』

 一体誰だと思っていると現れたのは・・・シューマンともう一人・・・

妙齢の女性であった。

 金髪を頭頂部で括って質素だがびしりとしたスーツを身に纏った

その人が現れると少女がこう言った。

 「おばあちゃん!」

 そう言って走ると女性は少女を抱きしめて大丈夫なのかと聞いた後

キョーマ達を見てこう言った。

 「この度は私の孫娘を助けてくれたこと、感謝いたします。」

 「いや・・・私はそれほどの事をした覚えは」

 「あれが・・・孫娘を助けてくれた機械ですね?」

 女性がそう言ってリーズシャルテはああと・・・気まずい表情をしている中でキョーマはシューマンに対してこう聞いた。

 「おい、あの女まさか。」

 「ああ、『ニューテスラエナジー・セントラル47のCOO(最高執行責任者)』・『クレア・スカイハート』だよ。」

 そう言うとマジかよとキョーマは頭が痛くなっていると

『クレア・スカイハート』はリーズシャルテに向けてこう聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「貴方・・・わが社で働く気はありませんか。」

 「「「「「・・・・へ?」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それでニューステラ・エナジーの開発部門に働くこととなったって訳かい?」

 「まあな、ま。こっちは食い扶持がちゃんと働けるようになったから

良いけどな。」

 そう言ってキョーマはマリーに対して溜息付いていた。

 何せ機龍の開発ともなれば莫大な資金援助が約束される代わりに

ニューステラ・エナジーの犬みたいにならなければいけないからだ。

 仕方ないと思っているとマリーがこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「キョーマ、アンタに仕事だよ。」




 次回はあの事件。


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八十神島編ー1

 八十神島編ですう。


 八十神湖

 信州地方の山々に囲まれた場所にあるダムの貯水湖。

 そこの上流には八十神島と呼ばれる小さな島があり入る為に必要なルートは橋がたった一つしかないという辺鄙なこの場所で・・・事件が起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「『榊 四十郎』、アンタも聞いたことあるだろ?本書きの。」

 「ああ、確かホラー物で一世風靡したってまあ聞いたことあるがそいつに

何があったんだ?」

 キョーマがそう聞くとマリーは映像を出しなとコオロギに向けて言うとへいへいとコオロギは機械を操作して説明した。

 「起こったのは今から数日前、『榊 四十郎』の遺体が発見された時の事だ。」

 「遺体・・・自殺か?」

 「いや他殺だ、然も水死のおまけ向き。そして密室で・・・

誰もいなかったようだぜ?」

 「誰も・・・・誰もいなかったのか?」

 キョーマがそう聞くとコオロギは嫌と言ってこう答えた。

 「いたのはロボット、然も家事手伝い用でそいつしかいなかったんだ。」

 コオロギの言葉にキョーマは興ざめしたような感じでこう言った。

 「じゃあそのロボットじゃねえのか?暴走して殺したか遠隔操作とかで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「残念、どっちも外れだ。」

 「?」

 「まあ見て見なって。」

 コオロギはそう言って映像を起動させた。

 映像に写っているのは奇抜な髪形をした男性が机の上で何かをしていた。

 「こいつが『榊 四十郎』、今この映像は例のロボットから送られた映像だ。」

 コオロギがそう言うと『榊 四十郎』はロボットに向けてこう言った。

 『済まないが水を頼みたい。』

 『リョウカイシマシタ』

 ロボットの音声が聞こえてそしてロボットが『榊 四十郎』の所に向かうと『榊四十郎』は何やら・・・何かに恐怖したかのような表情がしていた。

 『待て・・・何で・・・何でお前が!お前たちどうして!?』

 そして映像が途切れて暫くすると・・・映像が再起動して最初に写ったのは・・全身ずぶぬれになって苦しんで死んだ『榊 四十郎』の姿があった。

 「何だ・・・一体何がって・・・まさか№か?!」

 キョーマは考えられる可能性の中で最も現実的ではなく

ファンタジーな要素を答えるとマリーはこう答えた。

 「№・・・まあそうだろうね・・・コイル関連のね。」

 「!№コイル・・・まさかあそこにあるってのかよ!?」

 「その通り、今から21年前にβ版コイル・・・つまり№コイルが

あったって言う情報があってな。ニューステラの前身は18年前と

11年前に調査したんだけどよ・・・その殆どがそこで非業の死・・・

『榊 四十郎』と同じように溺死しちまったんだよ。水深が明らかに

低いところで。」

 コオロギがそう言って映像を切って元に戻すとマリーはキョーマに向けてこう言った。

 「もしかしたら№コイルがあるかもしれない、つまりルーザーも

関係するかもしれないんだよ。そして無論・・・№もね。」

 マリーはキョーマに向けて最後は少し小さな声でそう言うとそうかよと言って

マリーはキョーマに向けて指示した。

 「キョーマ、アンタたち全員に依頼だよ。八十神島に行ってその正体・・・

コイルを回収しな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それで俺達にお鉢が回っちまった訳だ、俺達はこれから八十神島に行くぞ。」

 「八十神島の事件の調査って回収屋って探偵業務もするんですか?」

 ルクスは自動車修理しているキョーマの手伝いをしながらそう聞くとキョーマは違うと答えてこう続けた。

 「こんなの俺らの仕事じゃねえよ、普通だったらと思っちまうが

今回は№コイルが関係してる・・・ルーザーが№と№コイル集めている。二つは

恐らく同じ場所で関係してるかもしれねえってのがマリーの推論だ、そこでルクスお前に聞きてえことがある。」

 「何です?」

 ルクスは何だと思っているとキョーマは懐からあるものを取り出すと

ルクスは・・・目を大きくしてこう呟いた。

 「・・・デュエルモンスターズのカード・・・!」

 「ああ、ヴォルカザウルスを手に入れた後起きたらこの機械と一緒に

置いてあったんだ。」

 キョーマはそう言ってデュエルディスクを見せるとキョーマはルクスに向けて

こう聞いた。

 「こいつの使い方教えてくれ、後やり方。もしかしたら使うことが

あるかもしれないからな、まあ無い方が普通だ。済まないが頼む。」

 キョーマはそう言って頭を下げるとルクスは暫くして・・・こう答えた。

 「分かりました・・・その代わり何ですけど良いですか?」

 「?」

 「・・・ミラさんの事普通の人間として接してください、彼女は貴方のことを

信頼しているのに貴方がしないと一方通行の儘何かあった時手遅れだったと

後悔するかもしれません。」

 「・・・後悔か・・・其れならあったよ・・・もうな。」

 キョーマはそう言って空を眺めているとルクスはこう答えた。

 「それで良いのでしたら僕は教えます。」

 「・・・分かった、だがあいつがアホナことしたら無にする・・・

それで良いな。」

 「分かりました、それでですけど何時行くんですか?」

 ルクスはキョーマに向けてそう聞くとキョーマはこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「三日後、万が一に備えて小型の酸素ボンベを持っていく。」




 続く。


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八十神島編ー2

続きです


 そして数日後の夜、キョーマ達は大型トラックに乗って八十神島にある

榊 四十郎の別荘に向かって行った。

 このトラックにはルクスと夜架の機龍が載っており万が一に備えて

置かれているのだ。

 「それにしても霧が深いな、今日は霧が出るなんて聞いてねえぞ?」

 「こういう時って確か映画で見ましたけど・・・幽霊が出るって言いますけど本当なんでしょうか・・・ね?」

 出ないですよねとミラはそう聞くがキョーマは何も言わずに運転しているので

ミラはあははとルクス達の方を見て聞こうとして・・・こう答えた。

 「幽霊ねえ・・・いても可笑しくないと思いますよって言うか

相手を殺したって事は今度は死んだ人が化けて出るって事あり得ますよ?」

 「それに今更幽霊程度など精霊使いからすれば怖くはありませんしそれに」

 「それに・・・何ですか?」

 ミラはそう聞くとルクスと夜架はこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「この世で一番怖いの何て人間以外にいる(いますか?)」」

 「・・・お二人に聞いた私がバカでした。」

 ミラはそう言って前を振り向くと・・・何かに反応してミラは慌てながら

突如としてハンドルを無理やりに握って・・・曲がった。

 「どわあああああああああ!」

 「うわああああああああああ!」

 「ななななな何だってうご!?」

 「あらあら一体何でございましょうか?」

 夜架はそう言いながら姿勢を正しくして座っていると寝ていたリーズシャルテが慌てながらこう聞いた。

 「一体何が起きたというのだ!こっちは研究所で働いて疲れてるんだぞ!?」

 リーズシャルテは大声でそう言いながら目を擦っていた。

 あの時子供たちを助けた後クレア・スカイハートの推薦により

ニューステラエナジー社で働いており主に機龍の解析と製造についての技術部門に配属となった。

 機龍『ワイバーン』は腕が壊れているだけでまだ使えていたことから

開発局の面々はそれの起動実験と得られたデータから新たな兵器開発や

上手く行けばコイルに変わる新エネルギーを使ったパワードスーツで

更に会社が成長できるという事で色々と試している。

 そしてリーズシャルテ自身もこの世界の科学技術から機龍世界に戻った時に

使えるように勉強をしていた。

 そんな中なのか充実はしているが就寝時間を完全に忘れることが度々ある事から今回は休暇扱いとしてキョーマ達の仕事の手伝いに同行しているのだ。

 それはさて時一体何があったんだと思っているとキョーマはミラに向かって

こう言った。

 「おいポンコツ!手前いきなり何やる気だ!!一歩間違えたら湖に全員

真っ逆さまに落ちてたぞ!?」

 「今!白いワンピースを着た女性が目の前にいたんですよ!?」

 見えなかったんですかと聞くがキョーマは何言ってんだと思ってこう続けた。

 「何言ってやがる、あの時道には誰もいなかったぞ?」

 「・・・・・え?」

 それを聞いてミラは目を点にするがですがと言って車から出てこう反論した。

 「今先ほど女の人がって・・・あれ?」

 そう言って先ほど通っていた道には・・・誰もいなかった。

 轢かれたのなら誰かいるはずなのにって言うか血もなければ痕跡もない、

まるで・・・消えたかのように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「もしかして・・・・今のって・・・まさか・・・!!」

 ミラはそう言いながらキョーマ達の方に目を向けると夜架は

あらあらと言ってこう続けた。

 「恐らく見たんじゃないですの?・・・幽霊を。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ひゃああああああああああああああああああああああああああ!!」

 それを聞いたミラは大声で絶叫した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「全く手前ロボットの癖しやがって何幽霊に怖がってんだよ!?」

 「だってだって!!」

 ミラはそう言いながらルクスの背後に隠れていた。

 そしてキョーマは扉の前に立ってインターホンを鳴らすと向こうから

声が聞こえた。

 『はい、どちら様でしょうか?』

 「マリーの紹介で来た、開けてくれ。」

 『はい、でしたらトラックは城の下にある搬入口がありますのでそちらへ。』

 そう言って切ると同時にぎぃいいと扉が開く音が聞こえたのでキョーマは

ルクス達に向けてこう言った。

 「俺はこれからトラックの言われた場所に置いていくからチェックイン頼むぞ?部屋割りだが個室になってる・・・ポンコツは床な。」

 「更に酷いですうううう!!」

 踏んだり蹴ったりだああああと言いながらじゃあなとキョーマがトラックの方に向かうとまあまあと言ってリーズシャルテがこう続けた。

 「折角なのだ、私がソファーに寝るからお前が」

 「でしたら私の部屋で宜しいかと?私は何処でも寝られますので。」

 それを聞くとええとと言っているとルクスは3人に向けてこう言った。

 「おおい、中に入るよお。」

 そう言って中を見るとそこで目にしたのは・・・

まるで一流ホテルの様な場所であった。

 すると目の前にオーナーであろう、執事みたいな恰好をした男性が

そこに立っていた。

 「お待ちしておりました回収屋の皆様、私は当施設の管理をしております・・・『室井』と申します。どうかよろしくお願いいたします。」

 そう言って会釈する『室井』を見てルクスはこう思っていた。

 「(何だあの人、あの人の立ち方が可笑しい、まるで・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・演技しているみたいだ。)」




 次回は色々と紹介があります。


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八十神島編ー3

 続きです。


 「それでは部屋にご案内しましょう、その前に現在いらっしゃるお客様のご紹介をしましょう。先ずは私この榊様の家の使用人の『秀山 敦』と申します。」

 そう言って『秀山 敦』は人が良さそうに自己紹介して他の人達の紹介も行った。

 「あそこにおられるスーツのお方は『蒔田 清純』様、オカルト出版社の

部長でございます。」

 そう言って恰幅のある男性を見てへえとルクスはそう思いながら『秀山 敦』は

女性の方を紹介した。

 黒髪の長い何やら神経質そうなスーツを着た女性を見かけると『秀山 敦』は

こう続けた。

 「あのお方は榊様の出版社の引き取りするお方『加藤 清海』様でございます、

この度お悔やみをお述べに来られましたと共に今回は遺作となられる原稿をお取りに来られたのでございます。」

 「態々ここに来たという事は・・・相当の仕事人間のようだな。」

 リーズシャルテはそう呟いているとそれとと言って近くで椅子に座っている女性を見た。

 病人であろうか弱々しく本を読んでいた。

 「あそこにおられますのは榊様の妹様、『榊 茉莉紗』でございます。

お見えの通り虚弱でお部屋におられるのです。」

 それを聞いて夜架はこう呟いた。

 「成程、心因性ではないのですね。」

 そう言うとルクス達に向かって近づく金髪の少女はルクスを見ていた。

 「ええと・・・君は?」

 ルクスがそう聞くと少女はこう答えた。

 「初めまして、私は『エリザベス=グリーンハウ=スミス』。今回の事件について回収屋の一人として来たの、宜しくね。」

 そう言って少女は自己紹介を始めた。

 金髪の長髪をツインテールにしてゴスロリのフリルを着た少女がそう言うとへえとルクスはそう思っているがミラは少女をあれと思ってこう聞いた。

 「あの貴方もしかして美術館」

 そう言いかけた瞬間に『エリザベス=グリーンハウ=スミス』は一瞬でミラに

近づいてにやりと笑ってこう言った。

 「言ったら・・・あんたのコイル破壊しちゃうよ♪」

 「?!」

 それを聞いてミラはびくっとしている中でトラックの駐車を終えた

キョーマが現れてこう聞いた。

 「どうしたお前ら?」

 それを聞いてミラはええとと思っていると『秀山 敦』がルクス達に向けて

こう言った。

 「お部屋がお決まりになりました、それとですが皆様にお会いしたい

お方がいるとの事ですのでキョーマ様のお部屋にお連れしておりますので。」

 「俺に・・・誰だ一体?」

 キョーマはそう言って『秀山 敦』に着いて行くとこちらでございますと

『秀山 敦』はキョーマの部屋に案内した。

 そしてその中に入って見えたのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ようマブチ、この部屋最高だねえ。」

 「・・・シューマン。」

 アロハシャツ姿で花で出来た首飾りを付けてウクレレを弾いていた。

 「手前何しにここに来たんだ?俺はマリーに言われてここの回収に

来たんだぞ?」

 「俺はここに観光で来てな、だから有給消化も兼ねてここに来たんだ。」

 シューマンはそう言ってはははと笑っているとキョーマはシューマンに

向かって・・・蹴りを加えようとしたがそれをシューマンは腕をクロスさせて・・ブロックした。

 「おいおいおい同じグレンデルの獣同士仲良くしようじゃないか?」

 「うるせえ!」

 キョーマはシューマンの言葉を聞いてふざけんなと言いながら拳を向けて

殴り飛ばすとシューマンはそれを避けて予め開けていた窓から飛び出して

落ちながらこう言った。

 「明日の夜9時に地下にあるレストランで落ち合おう。」

 そう言いながら落下していくのに対してミラは慌てながらキョーマに向けて

こう言った。

 「何しているんですかキョーマさん!こんな高いところに堕ちたら」

 「大丈夫だ、あいつはこんな3階程度の高さで死にゃあしねえよ。」

 「確かにそうですわね、あの動きから見て彼は中々の実力者でしょうし。」

 「ええ!何言っているんですか夜架さん!!彼は・・・あれ本当だ。」

 ミラはそう言いながら下で手を振っているシューマンを見て呆然としていると

ルクスはキョーマに向けてこう聞いた。

 「あのうキョーマさん、一つ宜しいでしょうか?」

 「何だ?」

 「グリンデルの獣って・・・一体何なんですか?」

 あの異常な戦闘力もですけどと聞くとキョーマは・・・こう答えた。

 「グリンデルの獣、ステラエナジー会社が存在する前。コイルが未だ

普及してなかった時代・・・当時はエネルギー不足に伴う戦争が続いていて俺達はコイルを兵器として使って戦場を巡ってきた、そんな中で最強の戦闘集団として

ステラエナジー会社のお抱えとなっていたのが俺達グリンデルの獣。そして俺とシューマンはその・・・生き残りだ。」

 「生き残り・・・最強の部隊が残ったのがお前たち2人だけなのは

納得いかんな・・・一体何があった?」

 リーズシャルテがその理由に対して聞くとキョーマは口を重くしてこう答えた。

 「・・・分からねえ。」

 「・・・はあ!何言ってんだ!?分からないといは一体何なんだ!?」

 「分からねえんだ!最後の任務での記憶は途切れ途切れで何があったのか

分からねえんだ。」

 キョーマはそう言いながら目を手で覆いながらベッドにぼすっと倒れて

其の儘就寝した。

 「・・・一体何が起きたんだこいつらに。」

 「分かりませんが・・・何かあったという事は確かなようですわ。」

 「それは何時かキョーマさんが自分で言う事を期待して待とう、

取りあえず僕達は明日の仕事に備えて寝よう。」

 ルクスの言葉を聞いて確かにと思いながら眠りについたのであった。




 そして次の朝。


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八十神島編ー4

 続きです。


次の日の朝、キョーマ達は朝食を食した後キョーマ達は四十郎の部屋に入った。

 「ここが殺害現場か。」

 「ええ、この感覚・・・死人特有のなんとも言えない怨霊の感じが

いたしますわね。」

 「・・・分かんのかこの感覚。」

 「ええ、こう見えても暗殺者でしたから。」

 「成程な、俺も感じる・・・人が死んだ場所って言うのは何も言葉が出ねえ

重苦しいナニカを感じちまう。」

 キョーマはそう言って辺りを調べて本を見ているとキョーマは・・・何冊か

その本を取り始めたのだ。

 「何しているんですかキョーマさん。」

 ルクスがそう聞くとキョーマはああと言ってこう答えた。

 「ちょっと気になっちまってな、手伝えポンコツ。こん中に

殺された理由がある・・・そう思っている。」

 「分かりましたキョーマさん!」

 「お前ポンコツって言葉慣れてるだろ。」

 「はい・・・悲しくも。」

 およおよよよよとミラはリーズシャルテに対して泣き姿を見せていた。

 そしてキョーマは何冊か自分とミラの部屋に置いて読み始めるとルクスは

何やら湖を意味深に見ていた。

 「何黄昏てるんだルクス?何かあるのか??」

 リーズシャルテがそう聞くとルクスはいえと言ってこう続けた。

 「何だかここに来てからと言う物落ち着かないんですよ、

この湖に来てからと言う物ナニカを感じてしまって。」

 それを聞いてミラが見たのと関係あるのかと思っていると夜架がこう答えた。

 「恐らくは精霊使いとしての主様の直感が告げておられるのでしょう、

主様は水の精霊使いでありますから特に反応しているのでしょう。」

 そう言っているとお前はとリーズシャルテが聞くと夜架はこう答えた。

 「私もでございます、特にあの部屋・・・榊 四十郎の部屋に入った瞬間から

吐き気を催しそうでしたわ。」

 「霊感と言う奴か、精霊使いはそう言うのが強いのか?」

 「ええ、何せ精霊は全て自然から発生する手合いですのでこの様に異常な・・・まるで空間が切り離されているという感覚がするのです。」

 「空間が切り離されているか・・・まるでここは世界から

切り離されているという感じなのだな。」

 リーズシャルテはそう言いながら外を眺めていた、この霧の深さが

あの世とこの世の狭間の様に感じるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はああ・・・怖かったです~~。」

 ミラはそう言って榊 四十郎の書いた本を置いた。

 「内容もそうですが何と言うか殺人シーンが頭の中で思い浮かべてしまうと

まるで自分がそこにいたような感覚に襲われて・・・あううううう一人は

怖いです~~。」

 そう言っていると扉が開く音が聞こえてミラは・・・大声でこう言った。

  「ひぃあああああああああああああああああああああああ!!」

 「何だ一体何なんだおい!?」

 「あ・・・リーズシャルテさん。」

 ミラはリーズシャルテを見てほっとしているとリーズシャルテは一体何なんだと思っているとミラはリーズシャルテに向けてこう言った。

 「実は榊 四十郎の書いた小説が怖くて怖くて一人じゃ本当に~~!」

 「お前本当にあっちにいるギアスリーダーそっくりな手合いだな。」

 「そんなに似ていますかその人たちと?」

 ミラがそう聞くとリーズシャルテはああと言ってこう続けた。

 「まあな、クランリーゼという奴は忠誠心が熱いだけじゃなく機械に関しても

熟知していて助手としても優秀なんだがラ・クルシェはなあ。」

 そう言っているとどうしたんですかとミラがそう聞くとリーズシャルテは

こう答えた。

 「あいつ本当に純粋無垢なんだが一言多くて本当に迷惑で・・・!!」

 リーズシャルテの最後ら辺の言葉にミラはあはははと乾いた笑みを

浮かべていた。

 何やらあったのかなと思っていると何か・・・声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーー綺麗な体。

 「「!?」」

 ミラとリーズシャルテがそれを聞いて驚くとミラがこう言った。

 「何ですか今の!?」

 「恐らくだが・・・本物の幽霊に私達は出会ってしまった様だな。」

 「ひぃいいいいいいいいいいいい!」

 それを聞いてミラは恐怖の顔色をした瞬間に部屋が・・・がらりと

変わったのだ。

 「何だこれは・・・まさか・・・!」

 リーズシャルテは一体何なんだと思って・・・夜架の言葉を思い出した。

 『まるで空間が切り離されている』

 「空間が・・・切り離されているだと・・・!」

 リーズシャルテは夜架の言葉を思い出すと嘘だろと言う感じであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな中キョーマは地下のレストランにて

 「へえ、旨いなこれ。」

 「そうだろう?何せ店主の一押しだからな。」

 シューマンはそう言いながらキョーマと酒を飲んでいるとシューマンが

こう言った。

 「お前、何でこんな所にいるんだって思ってるんだろ?」

 「まあな、Q1の隊長のお前がこんな所にいるなんて普通はあり得ねえだろ?」

 キョーマがそう聞くとシューマンはこう答えた。

 「嘗て百合埼博士が開発したβ版コイル通称ナンバーズが世界各地に

散らばっていたが資料によればその内の一つが・・・ここにあったらしいんだ。」

 「何だと・・・!」

 「どうやらこの仕事は・・・楽じゃなさそうだな。」

 そう良いながらシューマンは食事を再開した。




 次回は襲撃。


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八十神島編-5

 続きです。


「そろそろ夕食の時間だからリーシャ様を誘うか。」

 ルクスはそう言ってリーズシャルテが泊まっている部屋に着くと

扉をノックしてこう聞いた。

 「リーシャ様、ルクスです。もうすぐ夕ご飯ですので誘いに来ました。」

 「・・・・・」

 「?・・・いないのかな?リーシャ様・・・入りますよ~~。」

 ルクスはそう言って少しずつ扉を開いて見るとそこで目にしたのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・倒れているリーズシャルテとミラがそこにいた。

 「リーシャ様!ミラ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何なんだここは一体!」

 「分かりませんがひぃあああああああああああああああああああああああ!!

ゾンビみたいなのが走って来てますーー!!」

 ミラの言葉を聞いて振り向いたリーズシャルテがその先で目にしたのは・・・

全身ズタボロでああああああああ!と言いながら走ってくる人間たちが

そこにいた。

 「うぎゃあああああああああ!何なんだあいつらはーー!!」

 リーズシャルテはそう言いながら更に走るが2人が走った

その先にあったのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「嘘だろ・・・あんなのがまだいるのか・・・!」

 「ひぇえええええええええええええ!」

 ものすごい数のゾンビがうろついていた。

 「仕方ない・・・窓に飛び出すぞ!」

 「窓って・・・外に出るんですか!?」

 「ここにいるよりかはまだマシだ!それとも・・・お前あいつらと

一緒にいるか?」

 リーズシャルテがそう言って後ろに向けて指さしてミラが振り向くと

その先にあったのは・・・夥しいゾンビであった。

 「いいいいい行きますーー!!」

 そう言いながらミラと共にリーズシャルテ達は外に通じるであろう窓目がけて

同時に飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方こちらでは。

 「リーシャ様!ミラ!!どうしたんだよ一体何があったんだ!?」

 ルクスはそう言いながら2人を起こそうとしていると外から声が聞こえた。

 「一体何があったのよ?」

 「どうしましたかお客様?」

 そう言って現れたのは・・・エリザベスとメイドが現れたのだ。

 「ああ!すみません!!2人が?!」

 それを聞いて何があったんだと思って見て見るとリーズシャルテとミラが

倒れているのが見えた。

 「!何があったのよこれ!!」

 「分かりません!僕がここに来たら既にこの状況に。」

 ルクスがそう言うと廊下から・・・ガタガタと音がするので何だと思っていると外に出たエリザベスが目にしたのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ああああああああ・・・・・

 水の体を持つ人型のナニカが徘徊していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「一端外に出て態勢を立て直すぞ!取りあえずここから現実世界で」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それは無理だ。」

 「「!!」」

 いきなり声がしたのでリーズシャルテとミラが互いに目を見開いて声のする

方角に目を向けるとそこにいたのは・・・若い男性ともう一人、隣にいる紅い髪の女性が見えた。

 「・・・誰だお前は?」

 リーズシャルテがそう聞いた黒髪の男性に対してそう聞くと男性はこう答えた。

 「俺の名前は・・『神木 四郎』。」

 「『神木 四郎』・・・お前の目的は何だ!一体何が目的なんだ!!」

 リーズシャルテが大声でそう聞くとミラはその男性を見て・・・こう言った。

 「リーズシャルテさん・・・あの男・・・私見覚えがあります!」

 「見覚え・・・誰だ一体!?」

 リーズシャルテがそう聞くとミラは・・・震えながらこう答えた。

 「あの人は・・・『神木 四郎』って言っている人は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 榊 四十郎です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何だ一体!?」

 「何かあったようだね。」

 キョーマとシューマンがそう言って外に出るとそこで目にしたのは・・・

外にいる水で出来た人型のナニカがそこにあった。

 「何だこいつらは!」

 「分からないけど・・・厄介だなって事は理解出来るよ!!」

 シューマンはそう言って銃を構えて攻撃するが・・・全然平気だった。

 「・・・やっぱり駄目だったよ。」

 「となると俺の針でも無理そうだな。」

 キョーマがそう言ってちぃっと言いながら構えてを解いて

シューマンに向けて・・・こう答えた。

 「逃げるぞシューマン!」

 「逃げるが勝ちだね!」

 互いにそう言って店内に戻って非常用の扉にシェフと共に入ると人型のナニカはキョーマ達を追っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「お前が榊 四十郎だと!何故死んだお前がここにいるんだ!!」

 そう聞くと『神木 四郎』はこう返した。

 「・・・・・分からない。」

 「何だと?」

 「俺は何時から来ているのか分からない、俺は・・・『俺達』は

ずっとここに捕らわれているんだ。」

 「捕らわれている・・・だと・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ようキョーマ、今良いか?』

 「ああコオロギ!今取り込み中だ!!何か用なのか!?」

 キョーマがそう聞くとコオロギはひひひと笑いながらこう答えた。

 『おおよ、用があるぜ。榊 四十郎の元にいたロボットの映像データが

解析し終えたからその報告だ。』

 「・・・何かわかったのか?」

 『おおよ、榊 四十郎が死んだときな・・・いたんだよ張本人が。』

 今映像を送るぜとキョーマに見せると出たのは・・・先ずは榊 四十郎が

何か言った後に苦しむ映像、そしてもう一つは・・・多くのナニカが榊 四十郎に群がっていた。

 「あんだよ・・・こいつは!」

 キョーマがそう言うとシューマンも何だこれはと思っていると

新たなる情報がでた。

 「今榊 四十郎を首を絞め殺している光景だがその犯人が・・・これだ。」

 そう言って出たのは名前の情報

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「『神木 四郎』・・・2人は同じだって言うのか!」

 『おおよ、詰まる話がこいつは・・・手前で手前を殺しているんだよ。』




 その正体は・・・明かされる真実に必要だった。


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八十神島編-6

 続きです。


「お前が榊 四十郎と言うのならば何故お前は捕らわれているというんだ!お前は既にこの世からいなくなっているしそれにお前は若すぎる!!お前は

一体何者なんだ!!?」

 リーズシャルテがそう言いながらソードデバイスを構えていると神木 四郎・・・いや、榊 四十郎はこう答えた。

 「俺はずっとここに閉じ込められている、この世界で仲間と共に。」

 そう言うと榊 四十郎はこう話した。

 「俺は昔ここにいる仲間と共にダムの建設反対運動をしていたんだ、そしてそこで彼女・・・『榎南森 晴香』と出会ったんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今から21年前

 当時の八十神島には村、八十神村と言う村があった。

 小さな村であったが誰もが親切にそして何よりも雄大で美しい大自然に

囲まれていた。

 だがその村をダムで沈めさせると言う計画があった、当時百合埼博士が考案した『コイル』が少しずつ普及し始めていてダムの建設は自然破壊で非効率的だと

言われていたが建設会社は地元で既にお金を貰っている人たちからすれば

知ったことではないと言わんばかりに工事を進めさせていたがそんな中で

榊 四十郎と共に『黒田 謙二郎』のゼミに所属していた『榎南森 晴香』は

あるものをゼミから持ってきたのだ。

 それが・・・これである。

 「これがコイル・・・世界に新しいエネルギー革命を促す物か。」

 「そうよ、これさえあればダム工事何てしなくて済むしこれから多くの人達が

これを享受することが出来れば自然破壊何てしなくて済むわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そう、俺は・・・俺達はそう思っていた・・・なのに・・・なのに奴らは

俺達がいると知っておきながら態とダムを放流したんだ!」

 「「!!」」

 それを聞いてリーズシャルテとミラは目を見開いて驚いていた、恐らくは

コイル事葬ろうとしたのかと思ったがそこでリーズシャルテはとある疑問を得た。

 何故彼らがコイルを持っていることを知っているのか?・・・これであった。

 「おいお前少し聞きたいが良いか?」

 「・・・何だ?今俺はこいつらを抑え込んでいるが何時でも俺はお前たちを

襲えるという事を忘れるなよ。」

 「ひぃ!」

 それを聞いてミラは周りを見ていた、詰まる話が自分たちは既に

袋のネズミ状態なのだと確信してしまったからだ。

 然しリーズシャルテはそれを聞いても全然恐怖せずにこう聞いた。

 「成程な、こいつらはお前が操っているのか?ならば聞きたいことが

幾つかあるから答えてほしい。」

 「・・・良いだろう、聞こう。」

 「ならば第一だ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・お前たちがコイルを持っていることを話したのは誰だ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、ルクス達はと言うと。

 「ちょ!何よこれ!!」

 エリザベス=グリーンハウはそう言いながら腰から小さな蝙蝠型の

コイル内蔵ロボットで攻撃するも彼らは再生を始めた。

 「くそ!こんな時に!!」

 ルクスはそう言いながらソードデバイスで攻撃するも水なので

直ぐに再生してしまうのだ。

 「ああもう!一体何なのよこれ!!」

 エリザベス=グリーンハウはそう言いながらも追い詰められていくので

どうしたらと思っているとルクスの右手から淡い光が出てきたのだ。

 「ちょ!今度は一体何なのよ!!」

 エリザベス=グリーンハウはそう言いながら何が起きてんのよと言っていると

ルクス精霊刻印から・・・声が聞こえるのを感じた。

 ーーマスター

 「イセリアちゃん・・・君なのかい?」

 ーーはい、私は貴方の精霊。いついかなる時でも貴方のそばにはせ参じれます。

 「え・・・ここ異世界なんだけど!?」

 ーー大丈夫ですよ、精霊刻印があればいかなる場所であろうとも

駆けつけれます。

 「ある意味転移装置扱いかな僕って・・・ああもう仕方ないよね!

行くよイセリア!!」

 ーーでは今参ります、マスター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「儚くも慈しみを持ちし水の王!数多なる命の始まりを告げし女王よ!!

今ここに顕りてわが力となれ!?」

 そう言った瞬間に右腕が光り輝き始めたのだ。

 うおおおおお・・・・!

 「ちょ!今度は何なのよ一体!!」

 エリザベス=グリーンハウはそう言いながら目を瞑ると暫くして現れたのは・・イセリアであった。

 「マスター、只今参りました。」

 「ええと・・・マジで来たよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「誰・・・あの子?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてキョーマ達はと言うと・・・。

 「おいマテよコオロギ!これは間違いねえんだろうな!!」

 『当たり前だろ?ちゃんと3回も確認したんだぜ??』

 「それじゃあ何か?こいつは自分で自分を殺してるって事になるぞ!」

 どういう理屈何だと言っているとシューマンがそれを聞いてこう呟いた。

 「ナンバーズ。」

 「『!!』」

 それを聞いてキョーマとコオロギは驚いているがコオロギは

あり得ねえわけじゃねえなと言ってこう続けた。

 『ナンバーズは前にも言ったが次元軸Wの深層にまでエネルギーを

取り込んでるんだ、過去の自分をコピーされたとしても不思議じゃねえし

それに周りにいる連中も既に死亡が確認されているぜ?それもここでだ!』

 「・・・榊 四十郎はここで何かを隠しているって事か。」

 「となれば一つしかない。」

 そう言って互いにこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「『ナンバーズ』」」




 そしてその問いは?


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八十神島編ー7

 続きです。


「ならば第一だ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・お前たちがコイルを持っていることを話したのは誰だ?」

 リーズシャルテがそう聞くと榊 四十郎はこう答えた。

 「・・・何を言っている?意味が分からない??」

 何故そう聞くんだと聞くとリーズシャルテはこう答えた。

 「お前たちがコイルを持っていることを知っている奴らの中に

スパイがいる・・・そう言っているんだ。」

 「あいつらを疑うのかお前は!!」

 榊 四十郎はそう言うと同時に周りにアルゾンビ達が雄たけび上げながら

近づいてくるのでミラは悲鳴を上げながらリーズシャルテに向かってこう言った。

 「ひぃいいいいいいいいいいいい!リーズシャルテさん

何聞いているんですかって私達ピンチなんですよ?!」

 何火に油を注いでいるんですかと言うとリーズシャルテは榊 四十郎に向かってこう言った。

 「ならばどうやってお前が敵対する連中はコイルの保有を知っていたのだ?

貴様はこいつらを信じているが人はそんなに自分の信念に対して

目を向けるものではない、そして何よりももう一つ気掛かりがある。」

 「何だ?」

 「何故お前は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・こいつらのようにゾンビになっていないのか?良いやそれどころか

お前はこの世界に閉じ込められたと言うがじゃあお前が殺した榊 四十郎は・・・一体誰なのだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方ルクスはと言うと・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「マスター、これは一体何でございましょうか?」

 「いやあ、何なんだろうねこいつら?」

 「ちょっと待ってよあんた一体誰ってどうやってきたの!?」

 エリザベス=グリーンハウはイセリアに向けてそう言いながら蝙蝠型ロボットを操作するが水で出来たナニカは痛みすら無い様で突き進んでいた。

 「ああもう!どうやったら良いのよーー!!」

 エリザベス=グリーンハウはそう叫んでいるとルクスはイセリアに向けて

こう聞いた。

 「イセリアちゃん!こいつら倒せれるかい!?」

 ルクスがそう聞くとイセリアは水で出来たナニカを見てこう答えた。

 「彼らは何か特殊なエネルギー・・・精霊とは違うナニカによって

操られているようです、媒体となっている水を別の物で混ぜ込めれば

止まるかと思います。」

 「他のって何よ!物とかそんなの!?」

 エリザベス=グリーンハウは大声でそう聞くとイセリアはルクスに向けてこう言った。

 「マスター、私が武装化しますので例の技で一気にこの精霊とは

言えない者たちを止めます。」

 「・・・やれるの?」

 ルクスがそう聞くとイセリアはこう答えた。

 「はい、寧ろこの程度楽勝です。」

 「じゃあ・・・行くよイセリアちゃん!」

 「はい、マスター。貴方の望むがままに。」

 イセリアがそう言って願いながらルクスの手を取るとイセリアの体が・・・

弓矢に変わったのだ。

 「・・・何じゃそりゃあああああああああああ!!」

 エリザベス=グリーンハウはそれを見てまあ当然と思うが・・・絶叫したのだ。

 そしてルクスは光る矢を手に取ると其の儘水の矢が・・・水で出来た

ナニカに命中した。

 すると何やら水で出来たナニカは震え始めると其の儘・・・崩れていった。

 「え・・・マジで倒した・・・。」

 エリザベス=グリーンハウはそれを見て信じられないような目を向けていると

ルクスは携帯を操作するとある場所に繋がった。

 「あ、キョーマさん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃のキョーマ達はと言うと・・・。

 「ああもう面倒くせえなあって・・・誰だよこんな時にって・・・ルクス!?」

 一体何なんだよと思いながら電話を繋げるとルクスはこう言った。

 『あ、キョーマさん!大丈夫ですか!?』

 「ああ、こっちは絶賛大ピンチだがよ!何だ一体!?」

 キョーマがそう聞くとルクスはこう答えた。

 『そっちにもいるその化け物ですが対処法が分かりました!』

 「対処法・・・何だ一体?」

 キョーマがそう聞くとルクスはそれを答えるとキョーマは排水管を見て

そこ目がけてナイフを放つと排水管が壊れて中の水が水で出来たナニカに当たると本当に・・・崩れ落ちたのだ。

 「マジかよ。」

 「キョーマ!だったら上にアルミネラルウォーターも使うぞ!!この際だ!?」

 そう言ってシューマンは棚の上にアルミネラルウォーターが入った箱から

ミネラルウォーターを取り出すとそれの蓋を開けて投げると其れに当たった

水で出来たナニカは消えて行った。

 「対策が分かったところで。」

 「ああ・・・反撃と洒落こむぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして場面は再びリーズシャルテ達。

 「俺がゾンビになってないだと?俺はもう死んで」

 「ならばなぜお前は若い姿なのだ!現在の自分を殺しているのに何故お前は

解き放たれないのだ!!この世界と言ったがならば現在の榊 四十郎は誰だと

言ってお前と言ったな・・・そこで導き出された答えは一つ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・お前はそのナンバーズコイルの力でこの世界で出来上がったお前!

そしてこの周りにいるのはお前が現実で助けられなかったいや・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・お前が『助けなかった人たち』!!つまりお前は

この世界に捕らわれているんじゃなくお前はナンバーズコイルによって

出来上がった・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・偽り・・・過去の榊 四十郎だ!!」




 次回へと続く。


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八十神島編ー8

 続きです。


「俺が過去?・・・コイルによって・・・違う違う違う!あの時俺は・・・

俺は!!」

 そう言いながら過去の榊 四十郎は頭を抱え始めながら何か言っていると

ミラはどうしてそう思うんですかと聞くとリーズシャルテはこう答えた。

 「ああ、奴の話を元にするとこうだ。奴は昔この村にいたがダムとやらによって

こいつらを含む全員が水の底に沈んだ、だが今の奴の話を聞くと・・・

合わないんんだこいつらと話にあったコイルを持ってきたという女が

ここにはいないんだ。」

 「えと・・・確か黒の長髪で白いワンピース・・・あれ?見当たりませんね??」

 「そうだ、何故そいつがいない?そしてこいつらは何故ゾンビとしているのに

その女はいないとなると・・・過去でお前はそいつを救った、そしてこの世界に

捕らわれているというこいつら!ならば考えられる結論は只一つ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・お前はこいつらを助けられなかったという無念から生まれた

存在だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、ルクス達はと言うと・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「イセリアちゃん、どうしたの?外なんか見て??」

 ルクスがそう聞くとイセリアはこう答えた。

 「はいルクス、ここから上流14㌔において何か強い力が働いています。

恐らくはそれがこの騒動の原因だと思います。」

 それを遠くから聞いていたエリザベス=グリーンハウは蝙蝠型ロボットを出してこう言った。

 「だったら調査するわよ、そう言うのは私の得意分野なんだから!」

 そう言って蝙蝠型ロボットを空に放つと其の儘飛び立っていった。

 「僕たちはキョーマさんに報告するよ!」

 「はいマスター、貴方の望むままに。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「分かった!俺達もそっちに向かう!!今からフロアに入るからそっから

トラックで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「きゃああああああああああああああああああああ!」

 「「!?」」

 『キョーマさん!何ですか今の悲鳴は!?』

 ルクスが電話越しでそう聞くとキョーマは畜生と言ってこう続けた。

 「悪いルクス!目の前でメイドの一人が・・・!!・・・クソッタレ、

やられた。」

 『何です!?何があったんですか!?』

 ルクスがそう聞くとシューマンがこう答えた。

 「キョーマ、これは。」

 「ああ・・・間違いねえ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・殺されてる、加藤 清海がな。」

 そう言って目の前にいたのはびしょぬれになって息絶えてある

加藤 清海であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「恐らくあいつらに殺されたんだろうな。」

 「多分ね、今まで溺死した奴らも恐らくはあいつらにだろうね。」

 キョーマとシューマンは互いにそう言いながら遺体を見ていた。

 これ迄の死者の死因があの人型のナニカによるものならば捜索していたQ1達も榊四十郎の死も関連しているとするのならばナンバーズコイルが付近にあると言う

可能性が更に濃厚となったのだ。

 「今ルクスの近くにはエリザベス=グリーンハウって言う女と、メイド、

リーズシャルテ、ポンコツ、夜架は間違いなく同じ場所にいるな。それと

俺とお前、あの執事と・・・榊 四十郎の妹・・・!!」

 「不味いぞキョーマ!もし彼女が狙われているとするなら!!」

 「クソッタレ!そっちはお前が行ってくれ!!俺はルクス達と合流してくる!」

 キョーマはそう言ってルクス達と合流するために向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「俺が・・・皆を・・・救えなかった・・・あり得ないあり得ないあり得ない

そんなことがーーーー!!」

 榊 四十郎はそう言った瞬間にゾンビ達がリーズシャルテ達に向かって

襲いかかってきた。

 「きゃああああああああああああああああああああ!何なんですか

本当にーーーー!!」

 「こいつら!・・・いい加減にしろーーーー!!」

 リーズシャルテはそう言うも何もできないという事にふざけるなと思っていた。

 「(ふざけるな!私はここで終わるわけには行かないんだ!!元の世界で

待っている・・・あいつらと・・・新王国で待っている・・・皆の所に

帰るためにも・・・!!)」

 そしてリーズシャルテは空に向けてこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「こんな所で・・・終わってたまるかーーーー!!」

 そう言った瞬間に空から・・・重い声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ほお・・・力が欲しいのか貴様?』

 「!!・・・誰だ・・・何処から聞こえてくるんだ!!」

 「リーシャさん・・・一体誰と?」

 ミラはそう呟くがリーズシャルテは更にこう続けた。

 「貴様は一体誰だ!答えろ!!」

 『俺の事はどうでもよい、貴様は力が欲しているのだろ?』

 「ああそうだ!私は欲しいのだ!!この状況を・・・逆境を

覆される程の力を!!」

 リーズシャルテがそう言うとその声の主はこう言った。 

 『ならばお前の全てを我に寄越せ、そして共にこの世界を破壊』

 「ふざけるなおおまぬけが!お前は私に力を渡すだけで良いんだ!!誰が貴様に全部渡すかこのボケがーーーー!!」

 『・・・ならば力をやらん。』

 「聞いてきて撤回とは随分心が小さいな貴様の実力の無さがよくわかるよ!」

 『何だと・・・!』

 それを聞いて声の主は少し怒っている感じがするがリーズシャルテは更に

こう続けた。

 「なら見せて見ろ!お前の力を!!お前が私にやろうとするその力が

どういう物かをな!!?」

 リーズシャルテがそう言った瞬間に空が赤紫色に輝き始めたのだ。

  「ななななな何ですかこれーー!!」

 ミラがそう言うとリーズシャルテはその空の先で何かが落ちていくのが見えた。

 「どけーー!」

 リーズシャルテはそう言ってゾンビ共を足蹴にして空高く飛ぶと

その光の中にアル赤紫色の・・・西洋剣と鞘を手に取った瞬間にリーズシャルテの頭に言葉が浮かぶと同時にリーズシャルテはこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「『かみ砕け!その牙を持って深海の帝王へと昇りつけよ!!・・・

『シャーク・ドレイク』!!」




 そして次回へと続く。


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八十神島編ー9

 続きです。


 「『かみ砕け!その牙を持って深海の帝王へと昇りつけよ!!・・・

『シャーク・ドレイク』!!」

 リーズシャルテの言葉と同時にリーズシャルテの背後に赤紫色の

ドレイクが姿を現した。

 「コネクト・オン。」

 リーズシャルテの言葉にドレイクは一端バラバラになりそしてその儘・・・機体が展開してリーズシャルテを纏ったのだ。

 「ええええええええええええ!何でこんな所に機竜が現れるんですか~~!?」

 「何だ・・・あれは・・・・。」

 榊 四十郎はそう言ってその機龍・・・『シャーク・ドレイク』を見ていると

リーズシャルテしか分からないが機体から声が聞こえた。

 『良く纏ったな小娘、我の力を見せてやろう。』

 「ほお、この状況を打開できるというのか?」

 リーズシャルテがそう聞くと『シャーク・ドレイク』はこう答えた。

 『見くびるなよ小娘、我にかかればあのような雑魚共一捻りだ。』

 「そいつは・・・お手並み拝見と行くとするか!」

 リーズシャルテの言葉と同時に攻撃が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ようルクス!今大丈夫か!?」

 キョーマがそう言ってルクス達と合流するとルクスが持っている弓矢を見てキョーマは何だそいつはと言った瞬間に弓矢から声が聞こえた。

 「お初めまして、私はマスターの精霊のイセリアと言います。

宜しくお願いいたします。」

 「・・・・・精霊?」

 「ええ・・・まあ。」

 ルクスの表情を見てキョーマはマジかよと言ってこう続けた。

 「機竜に続いて精霊・・・いい加減にしてくれ手前らは

びっくり箱かっつうの!」

 それも飛び切りの爆弾のと言ってルクスは少し申し訳悪そうにしていると

エリザベス=グリーンハウがルクス達に向けてこう言った。

 「ねえ、あんたらの言ってた場所の映像が届いたんだけどここって・・・

ダムの跡地?・・・多分ここよね?」

 エリザベス=グリーンハウはそう言いながら映像を確認していると

キョーマはルクスに向けてこう聞いた。

 「そこにナンバーズコイルがあるのか?」

 「ええ、イセリアちゃんの話によるとそこで何か異様な何かを感じると

言ってました。」

 「ビンゴだな、手前らはここに残ってろ。またあいつらが来た時に

リーズシャルテと序にポンコツが被害に遭っちまったらマリーに何言われるか

わかったもんじゃねえからな。」

 そう言ってキョーマは半纏を着直して窓から出ようとすると

リーズシャルテ達がいる部屋から・・・赤紫色の光が溢れ出していた。

 「な・・・何が起きやがったんだ一体!?」

 キョーマはそう言って中に入ると目にしたのは・・・リーズシャルテが赤紫色に光っているからだ。

 「ちょっと・・・何なのよ今日は本当にーーーー!!」

 エリザベス=グリーンハウの悲鳴は正に全員が思っていることであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな中リーズシャルテとミラはと言うと・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はあああああああああああ!」

 リーズシャルテはそう言いながら『シャーク・ドレイク』でゾンビ集団を

倒していた。

 「流石に頑丈だな!」

 「どどどどどうするんですかこれーー!!」

 助けられたミラはそう言いながら『シャーク・ドレイク』の背面脚部に

摑まっているとリーズシャルテは『シャーク・ドレイク』に向けてこう聞いた。

 「おいお前!武器は何かないのか?まさか拳でやれと言う玉無しと

言う訳ではあるまい?」

 『いちいちうるさいな小娘が!武器ならある!!』

 そう言って出てきたのはサメを模ったようなショットガンと

両腕から展開したガントレットであった。

 無論そこから鋸みたいな武装が出ると『シャーク・ドレイク』はこう説明した。

 『腕の武器は〈チェイン・ガントレット〉、鋸その物も刀身は分割して

掴むことが出来る。ショットガンは〈バイト・ショット〉、弾丸は拡散式だ。

無駄にするなよ?』

 「成程な・・・良いだろう私の腕の良さを見ろ!」

 リーズシャルテはそう言ったと同時に近くにいたゾンビの頭に

〈チェイン・ガントレット〉で切り刻むと近くにいた女性型ゾンビに対して

〈バイト・ショット〉で全身を穴だらけにすると多くのゾンビ達が

リーズシャルテと『シャーク・ドレイク』を止めようとするも

『シャーク・ドレイク』の姿が突如として・・・消えたのだ。

 「何!一体どこに!!」

 榊 四十郎がそう言って周りを見渡していると榊 四十郎は背後に

何かいるのを感じて振り向くとそこで目にしたのは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何だと・・・・!!」

 水上で走っている『シャーク・ドレイク』であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「成程な、こいつが特殊武装か。」

 リーズシャルテはそう言って水面についてある背面脚部を見てそう呟く。

 特殊武装 『ホバー・ライド』

 水上・陸上問わず自在に移動することが出来るそれは小型のホバークラフトと

何ら変わらないのだ。

 「良し!ミラ、索敵したデータを送るぞ。」

 リーズシャルテはそう言って尻尾で繋がっているミラに対してデータを送ると

ミラはこう答えた。

 「ありました!橋の終わり・・・そこです!」

 「よっしゃー!」

 リーズシャルテはそう言って〈バイト・ショット〉を構えて・・・放った。

 そして2人は光に包まれて・・・世界から抜け出すことに成功した。




 そして現実世界へ。


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八十神島編ー10

 神装機龍 『シャーク・ドレイク』
 機体種類 ドレイク
 武装 ショットガン『バイト・ショット』
    腕部搭載チェーンソー『チェイン・ガントレット』
 特殊武装 『ホバー・ライド』
 神装  『ソウル・リベンデッド』
 本機体は『№32 シャーク・ドレイク』の力を受け継いだ機龍
 その能力は敵を確実に葬る為に特化しており攻撃能力は神装系ドレイクの中でも
低いがその代わりに指揮管制能力が高く操縦者次第では高い結果を持つ。   


 「う・・・うう。」

 「あうう・・・ここは・・・。」

 リーズシャルテとミラが目を覚ますと目の前にいたのは・・・

エリザベス=グリーンハウとメイド、ルクスやキョーマがそこに立っていた。

 「リーズシャルテ様!」

 「ようリーシャ、目が覚めたようだな。」

 「・・・そうか、私はあの時変な感じがしてそして・・・今何時だ!?」

 リーズシャルテがそう言って立とうとして・・・ふらついたので

エリザベス=グリーンハウがリーズシャルテに近づいてこう言った。

 「あんた今まで寝ていたのよ!それにあんたの・・・あれ何なのよ!!」

 エリザベス=グリーンハウがそう言って指さすとリーズシャルテはそれを見て・・こう呟いた。

 「あれは・・・夢じゃなかったのか。」

 そう言って見えたのは・・・『シャーク・ドレイク』の機竜としての姿が

そこにあった。

 「あんたが目覚める前にこいつが現れたのよ、一体何があったのよ!?」

 エリザベス=グリーンハウがそう聞くとミラがキョーマに向けてこう言った。

 「キョーマさん!この事件なんですがこれはコイルが関係しています!!」

 「それはさっきコオロギから聞いた、然もこいつはナンバーズコイル。

居場所は特定してる、そっちに行くぞ。」

 キョーマがそう言うと『シャーク・ドレイク』のソードデバイスから・・・通信が入った。

 『主様、外を見ましたが先ほど遺体がありましたわ。』

 「夜架!遺体・・・誰なのそれ!?」

 ルクスがそう聞くと夜架はこう答えた。

 『女性の遺体・・・恐らくは加藤 清海だと思います。』

 「そう・・・場所は?」

 『湿地帯ですわね、車の中にいましたわ。』

 「恐らくは逃げだそうとしていたんだろうな、そして奴らに追いつかれて。」

 「・・・そんな。」

 「ルクス、俺達が今やらなきゃいけないのはこれ以上の犠牲者が出ねえように

ナンバーズコイルを回収する事だな。」

 「ならば向かう」

 リーズシャルテがそう言って立ち上がろうとすると・・・爆発音が聞こえた。

 「何だ今のは!?」

 リーズシャルテがその振動から何があったんだと言うとキョーマの携帯電話から通信が入った。

 『キョーマ大変だ!』

 「どうしたんだシューマン!何があった!?」

 キョーマがそう聞くとシューマンが・・・こう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『榊 茉莉紗さんが連れ去られた!』

 「何い!?」

 キョーマはシューマンの言葉を聞いて驚いているとシューマンは更に

こう続けた。

 『連れ去ったのは2人、男が2人で小型のフライト機で連れ去ったんだ!僕も車で追いかけるからキョーマも追ってくれ!!』

 そう言って通信が切れるとキョーマは糞と言ってこう続けた。

 「ルクス!榊の妹が連れ去られたようだ!!」

 「ええ!」

 「直ぐに追うぞ!お前は空から追ってくれ、俺が陸から追う!」

 そう言うとリーズシャルテがルクスとキョーマに向けてこう言った。

 「待て!私も追うぞ、ナンバーズコイルがそこにあるのなら私が見たものと

繋ぎ合わすとこの街で何が起きたのかが分かるかもしれん!!」

 それにとリーズシャルテは『シャーク・ドレイク』を見て・・・こう答えた。

 「こいつの調律の為には少しばかり動く必要があるしな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてキョーマ達は仕方なしにリーズシャルテ達を連れて行こうとすると

エリザベス=グリーンハウがこう続けた。

 「生憎だけど私も行くわよ、正確な場所は私が知っているしそれに・・・

ナンバーズコイルだとするなら私も用があるのよ。」

 そう言うとそうかよとキョーマはぶっきらぼうにそう言って其の儘・・・

ヴォルカザウルスを纏って移動していった。

 そして途中で夜架と・・・車で移動しているシューマンを見つけると

ルクス達と共に向かっていると竜声でリーズシャルテがこう言った。

 『私とミラはナンバーズコイルの影響で別世界・・・ナンバーズコイルが造った異世界で昔の榊 四十郎と出会った、そしてそいつの昔の仲間たちのゾンビと

出会ったんだ。』

 「どんな異世界なんだよ、まるで終末世界じゃねえか。」

 『奴はこう言った、〈自分たちはこの世界に捕らわれている〉とな。』

 「捕らわれている・・・彼らは無念で死んだという事でしょうか?」

 夜架がそう聞くとリーズシャルテはこう返した。

 『そうだ、だがそこで一つ疑問が残る。』

 「榊四十郎本人は誰なのか?・・・か。」

 キョーマがそう聞くとそうだとリーズシャルテはこう答えた。

 『そうだ、ならば我々が知っている榊四十郎は誰なのか?・・・既に

分かっているのだろう?』

 リーズシャルテがそう聞くと・・・ルクスがこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どちらも真実、榊四十郎は過去の自分によって殺された・・・ですね。」

 そう言うとそうだとリーズシャルテはこう続けた。

 『そして過去の榊四十郎は皆を救えなかったと言ったがならば奴は

助かっているとするなら奴は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・現在の榊四十郎は誰か一人を助けた・・・そう言う事だろうな。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 八十神島ダム跡地

 嘗ては一大事業として造られたそれは今や嘗ての栄光の

なれの果ての場所となっていた。

 そしてそこに向かうのは榊 茉莉紗と・・・彼女を連れ去った男たちであった。




 続く。


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八十神島編ー11

  最後です。


 「うわああああああああああああ!」

 男たちの断末魔が響き渡った、榊 茉莉紗の目の前には2人の・・・男たちが

氷漬けになっていた。

 榊 茉莉紗はそれを見て・・・震えていた。

 それは恐怖ではなく・・・目の前にアルそれを見て驚愕していた。

 ダムの中で氷漬けになりコイルを持っている・・・女性がそこにいた。

 「あ・・・あああ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ここか!」

 キョーマがそう言うとシューマンが車から降りてそして・・・車の中から

ロングライフルを出して構えた。

 「さてと・・・行こうかキョーマ!」

 シューマンがそう言うとキョーマ達機竜部隊達がダムの壁をぶち抜くと其の儘

内部に入って確認を始めると巨大な氷の塊が見えた。

 「何だこいつは?」

 キョーマがそう言うとルクスは榊 茉莉紗を見つけてこう言った。

 「リーシャ様!彼女をお願いします!!」

 「分かった!」

 リーズシャルテがそう言って榊 茉莉紗を助けようとすると・・・まるで

幽霊の様に過去の榊四十郎達が現れた。

 「お前は!」

 リーズシャルテがそう言うと夜架が天照を出してこう言った。

 「下がりなさい、彼らの様な手合いは私が。」

 そう言って構えるが彼らは何もせずに榊 茉莉紗を見ていると過去の榊四十郎が前に出てリーズシャルテに向かってこう言った。

 「君のおかげで・・・思い出したよ全てを。」

 「全てを・・・何を思い出したんだ。」

 リーズシャルテがそう聞くと過去の榊四十郎はリーズシャルテに向けて・・・

こう話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 21年前

 ーーーあの時は豪雨で俺達は村にいたが・・・事件があった。

 事件とは・・・何があったんだ?

 リーズシャルテがそう聞くと過去の榊四十郎はこう答えた。

 ーーー君の言う通りスパイがいた、そしてそいつは・・・榎南森 晴香を

襲いやがったんだ!

 襲う・・・嫌な奴だなそんな状況の中で。

 ーーーああ、本当だよな。そして榎南森 晴香はそいつを・・・殺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 当時

 「うう・・・うう。」

 榎南森 晴香は過去の榊四十郎の胸の中で泣いていた、犯されそうになる中で

スパイの男の頭部を鉈で殺したのだ。

 「四十郎君・・・私・・・私・・・!」

 「晴香、お前は悪くない。お前は悪くないんだ。」

 そう言ていると過去の榊四十郎は男の死体を見てこう言った。

 「晴香、ここは俺に任せて皆を避難させてくれ。俺は・・・やることがある。」

 そう言って過去の榊四十郎は何処かへと行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーそして俺は当時のダム職員を殺してダムを起動させたが・・・晴香は

行ってなかった。

 ちょっと待て!まさかこいつらは!?

 ーーーああそうだ、晴香は・・・間に合わなかった。

 ーーー俺がこいつらのいる場所に来た時にはもう水が村を覆いそうになってた、そして俺は・・・こいつらを見捨ててしまった。

 ・・・仕方あるまい、仕方がない事なのだから。

 ーーーだけど俺は守れなかった・・・!だから俺はここに住んで彼らを

弔うために無心で本を書いてそして・・・!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そこからは私が話そう。」

 「「!」」

 2人が声のする方向に目を向けるとそこで目にしたのは・・・

現在の榊四十郎であった。

 「何で・・・お前が。」

 過去の榊四十郎がそう言うと現在の榊四十郎はこう答えた。

 「私はあの本を書く中でナンバーズコイルの事を思い出して私はこの辺りを

必死で探して今から9か月前に私は・・・彼女とナンバーズコイルを見つけやっと分かった。これまでの事件がこいつによって引き起こされていたこと、そして

何よりも皆が未だ彷徨っていることを悟り・・・彼女と共にここに住んだんだ。」

 そう言って現在の榊四十郎は榊 茉莉紗を見ると・・・夜架がこう言った。

 「もしかして榎南森 晴香は榊 茉莉紗その人でしょうか?」

 「そうだ・・・どうやら君は優秀な名探偵になれそうだね。」

 榊四十郎がそう言うと氷漬けになっている榎南森 晴香を見てこう言った。

 「あれはナンバーズコイルから生まれた存在、頼む。彼らを

解放させるために・・・お願いします回収屋さん。」

 榊四十郎がそう言って頭を下げるとキョーマは暫くして・・・こう答えた。

 「・・・分かった。」

 そう言うとヴォルカザウルスに装備されている大型砲台『マグマカノン』を

起動して・・・放った。

 氷の塊に命中したと同時に砕け散ったと同時に・・・ナンバーズコイルが

現れたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よし、後はこいつを」

 回収するぞとキョーマが言いかけた瞬間に・・・天井が崩れたのだ。

 「何だ!?」

 キョーマがそう言ったと同時に現れたのは・・・1機の機竜であった。

 灰色の機体

 白と黒の縞々模様のライン

 巨大な翼と両手に装備されている双剣が見えるがどこか見たことがある形状の

機竜であるなとルクスがそう思っているとリーズシャルテが・・・こう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あの機体・・・まるで・・・・ニーズヘッグか!?」

 「「!!」」

 それを聞いて驚くとニーズヘッグに似たそれは其の儘ナンバーズコイルを

持って・・・飛び去って行った。

 すると上空でそれを見ていた機竜がそこにいた。

 「あれは・・」

 それは・・・カオス・キマイラを纏ったルーザーがいるとルーザーから

通信が来た。

 『パパ大変!ナンバーズコイルが奪われたわ!』

 「・・・撤退するぞ、ナンバーズコイルが無いとなると我々がここにいる理由が無いな。」

 そう言うと其の儘立ち去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ありがとう、俺達を助けてくれて。」

 「別に、俺達は仕事だったからな。」

 「俺は・・・地獄かな?」

 「?」

 「・・・自分を殺しちまったんだから。」

 過去の榊四十郎はそう言って笑うとキョーマは鼻で笑ってこう答えた。

 「それなら俺もだ、俺はもっと下だろうがな。」

 「そうか・・・ハハ。」

 過去の榊四十郎はそう言って笑いながら光の中へと・・・消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日談だが榎南森 晴香は記憶喪失であり今の今まで榊四十郎の妹・・・

もう随分前に亡くなった妹の名前で生活させていたようだ、彼の資産は

十分にあるし一人で暮らすには有り余るらしいが自分も八十神湖で暮らすそうだ。

 死んでしまった皆の弔いの為だと。

 だがここで一つ疑問点があった、八十神の水が原因だとして一体誰が

ウオーターサーバーに仕込んだのかという話だがそれをしたのは・・・

あのメイドさんであった。

 ダムの放流の際に過去の榊四十郎さんは残っていた男を殺してその遺体を

沈めさせたようだがその男こそが・・・メイドの父親であった。




 「今でも夢に出ます、父が窓の外から見ているのです。仇であるあの男を
殺せと言うかのように・・・そう・・・











 ・・・・あの窓の向こうで。」














 次回は イースター島。


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イースター島編ー1

 イースター島編です。


あれから数日後、とあるニュースが世間を賑していた。

 「ほお、アフリカ連合の王子が来日か。この国はどんな国なのだ?」

 朝食であるパンを食しながら新聞を読んでいるリーズシャルテが近くで

待機してあるミラに向けて聞くとミラは検索してこう答えた。

 「アフリカ連合は嘗ては紛争が激化していましたがコイル製造に必要な鉱石を

採掘できるので現在はニューステラによって多額の資金を手に入れ今や世界有数の

資金豊富な国家連合です、」

 「ほう、そんな国の王子が来たともなると何か国家間の交渉ごとなのかな?」

 「どうでしょう?情報が分かりませんので。」

 「そうか、なら後々分かるかもな。」

 リーズシャルテがそう言ってさてとと言って仕事着に着替え始めた。

 「じゃあ私はこれで、今日はQ1で例のあれの試作モデルが配備されるための

最終試験を行うから当面は泊まることになる。と言う訳で私の飯は良いから

じゃあな!」

 リーズシャルテがそう言って足速く去って行くのを見てミラは手を振って笑顔でいってらっしゃいと言って出迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Q1・技術研究科

 そこは嘗てはコイルを使った武器の製造が主であったが今はコイル技術における悪影響のある武装等の解析を主立っていたがそこでは・・・ある研究が

行われていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よし、システム良好。コイルエネルギーラインオールグリーン。」

 「メインフレーム良好、機体データにバグはありません。」

 「ブースター起動、各武装に問題ありません。」

 「全システムリンク正常、・・・パワードスーツ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ドラグライダー』・・・起動します。」

 そう言って研究者たちの強化ガラス一枚向こうにあるのは・・・

機竜・ワイバーンに酷似したパワードスーツであった。

 『こちらシューマン、機体を動かす。万が一に備えて各員何時でも僕を

撃ち落とせるようにスタンバってくれ。』

 窓一枚外の向こう側でシューマンがそう言うと機竜・ワイバーンに

酷似したパワードスーツはスラスターを噴かすと同時に・・・機体が浮かび

上がったのだ。

 「スラスター正常、機体が・・・浮かんでいます!」

 『こちらシューマン、機体正常・・・この機体は・・・今空を浮いている!』

 シューマンのその・・・上機嫌な声を聴いて研究員達は暫くして・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『いよっしゃーーーーー!!』

 大声で歓声を上げた。

 「やりましたね・・・・『リーズシャルテ』特別研究員!」

 研究員の一人がそう言って・・・白衣を着たリーズシャルテに向けて握手するとリーズシャルテはこう答えた。

 「いや、私は只やれることをしたに過ぎないさ。然しやっとだが

私の夢が一つこの世界で叶えたのだから。」

 そう言ってリーズシャルテは目の前にアル『ドラグライダー』を見て

そう呟いた。

 嘗てこの世界に飛ばされたと同時に一緒に来たワイバーンをスキャンして新たに開発された機体。

 リーズシャルテ達の世界である機竜世界の科学技術はルクスによって一応は

幾つもの科学技術のブレイクスルーが行われているがそれでも中世から

近代手前でしかない技術だがコイル世界においては近代から

未来世界になっているためその技術力は高いからこそ出来たのだ。

 これまでリーズシャルテが整備してきたワイバーン・ワイアーム・ドレイクに

加えてこの世界で発見したヴォルカザウルス、シャーク・ドレイクをスキャンして更に強化開発された機体『ドラグライダー』はワイバーンの高機動性を

再現したそれは飛行能力を持つ戦闘機能力を持っていた。

 「こいつはコイルのエネルギーを充填させることで貯めた分の行動をすることが可能となっている、今までの様にコイルに接続させることでしか動かせれなかった武装等はこの技術を持って戦闘におけるコイルの損傷が原因で起きる同化現象は

軽減できるはずだ。」

 そう言ってリーズシャルテは『ドラグライダー』を見ていると

最高執行責任者でもあるクレア・スカイハートが現れてこう言った。

 「これがその新型機ですか?成功したようですね。」

 「はいクレア・スカイハートCOO!これで次期主力に於けるQ1の戦力拡大と

同時に民生利用における義手義足開発が進みますよ!!」

 「そう、・・・あの時彼女をスカウトしたのは間違いではなかったようね。」

 クレア・スカイハートはそう言って『ドラグライダー』を見ていると

其れとと言ってこう続けた。

 「今日はここ迄としましょう、今度『サルバ=エネ=ティベスティ王子』が

何やら催しをするために食事を出すそうなのでその余りで良ければ

提供しましょう。」

 『いやったーーーー!!』

 その言葉を聞いて全員が嬉しそうにしているとクレア・スカイハートは

こう続けた。

 「それまでは是非とも生産できるように頑張ってください。」

 『ハイ!』

 それを聞いて全員が頷く中リーズシャルテは『ドラグライダー』を見て

こう呟いた。

 「・・・こいつが新たな戦争の火種にさせんようにせんとな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてマリーの店では・・・ある侵入者によって④が・・・破壊された。

 そしてそれが新たな戦いが始まろうとしていた。




 続きです。


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イースター島編②

 続きです。


次の日のマリーの店上階

 「何!④がやられただ!!」

 キョーマの言葉にマリーはそうだよと言って目の前にアル巨大な細長い

水槽らしき物の中にある上半身しかない④が浮いていた。

 「全く何してくれたんだろうね!奴の目的が何であれ④の体を直すには

莫大な費用がかかるんだよ!!それとキョーマ・・・あんたに贈り物だよ。」

 マリーはそう言ってキョーマに向けて手紙を手渡した。

 「こいつが④をぶっ壊した奴が持っていてね、こいつはあんた当てだよ。」

 それを聞いてキョーマは何だと思って開くと中身はこうだ。

 「何々『世界中に名を轟かせる回収屋様一同、今夜7時に皆様でパーティーを

行います。私の依頼を受けてくれるのでしたら莫大な報奨金を与えるのでどうか

来てくれるとありがたい。』サルバ=エネ=ティベスティ。」

 「サルバ・・・確かこの間来たアフリカ連合の王子ですよね?」

 「ああ、回収屋って事は依頼だろうな。其の為にこいつが

ボロボロになっちまうってあり得ねえだろ?こいつは戦闘用に

調整してるじゃねえか??」

 「おおよ!このコオロギ様が態々アンダーグラウンドで手に入れたアンドロイドを攻撃できるように調整した奴をぶっ壊すなんて・・・こいつ何もんだ?」

 コオロギはそう言ってカメラ映像を映し出すと映ったのは④が壊された時の

映像であろうがその④の目の前にいたのは何やらバトルスーツを着た

白髪・褐色の・・・少年が映っていた。

 「あいつは・・・ルワイ!」

 「ルワイって・・・昨日のあの子!?」

 「まさかあの子だとは。」

 「あんたら知り合いなのかい!?」

 マリーがキョーマ達に向けてそう聞くとキョーマはこう答えた。

 「ああ、昨日俺達が出会った奴だが・・・然し何であいつが。」

 キョーマがそう呟いているとマリーはキョーマに向けてこう聞いた。

 「それで・・・どうすんだいアンタ・・・受けるのかい?」

 マリーはキョーマに向けてそう聞くとキョーマは暫くして・・・こう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「俺は・・・この仕事受けねえ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『成程な、皇子に対しては受けないが個人としては興味があると。』

 「ええ、場所はイースター島。僕たちはマリーさんに飛行機を手配しようと

思ってます。」

 『そうか、私も仕事が今プロトタイプの調律が終わってな。

やっと終われそうだ、だから・・・そっちの仕事は何とか行けそうだ。』

 「もうですか!速いですね本当に!!」

 『まあな、ココの連中の仕事は手早いだけではなく私の調律のやり方にも

逐一真似ては発展しようと頑張ってな。本当にここは楽しいよ、それに

ここにいると私も楽しくてな!技術も習得してるから何時か向こうに戻った時に

私は新王国をもっと技術的に豊かな国にしつつ環境もちゃんとして目指すぜ

世界一!!』

 「( ̄∇ ̄;)ハッハッハそうですか~~(すみません女王様、僕には

リーズシャルテ様を止められませんでした。)」

 ルクスは心の中でそう思っているとリーズシャルテは最後にこう言った。

 『さて、私は論文を書き終えてひと眠りするからじゃあな。』

 そう言って電話を切った後ルクスは空を見上げてこう呟いた。

 「はああ~~・・・向こうに戻った時のラフィ女王になんて報告すれば

良いんだろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「良し、それじゃあと。」

 リーズシャルテはそう言って寝ようとすると部屋の外から・・・声が聞こえた。

 「( ゜▽゜)/コンバンハリーズシャルテさん、一つ聞いて宜しいでしょうか?」

 「何だ・・・シューマンか。」

 リーズシャルテが部屋の外にいるシューマンに向けてそう言うと部屋の外にいるシューマンはリーズシャルテに向けてこう聞いた。

 「今聞いたのですがキョーマの奴イースター島に行くと聞いたのですが

本当なのでしょうか?」

 「ああ、なんでもサルバ王子が依頼してきたらしくてな。それを蹴ってでも

自分個人で向こうに行くそうだが。」

 「そうですか・・・リーズシャルテさん、そういえばドラグライダーの

テストですが確か・・・実地テストが未だ残ってますよね?」

 「ああ、町とか後は基地とかで色々とやって武器とかの調整もだが・・・

何故それを聞くのだ?」

 リーズシャルテがそう聞くとシューマンはリーズシャルテに向けて・・・

こう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「僕にも連れて言って下さい、イースター島には僕も因縁があるので。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから数日後

 「それで・・・お前迄来たのかよ。」

 キョーマの言葉にシューマンはこう答えた。

 「まあね、キョーマ。僕だってグレンデルの獣の一員なんだ、あの島には

僕も用があるし・・・できれば皆の遺体を取り戻したいんだ。」

 それにと言ってシューマンは大型飛行機を見てこう続けた。

 「僕だって戦う力を持ってるんだ、機竜を全機持ってこれるには

こいつが必要なんだろ?」

 それを聞いてキョーマは仕方ねえなと言ってこう続けた。

 「・・・足手まといになるんじゃねえぞ。」

 「当然、僕は長獲物を持つことに関しては敵なしなんだよ。」

 「まあな、お前の狙撃能力。当てにしてるぜ。」

 「任せな。」

 互いにそう言いあいながら飛行機に向かうのを見てルクスはこう呟いた。

 「良い仲間なんだね彼らは。」

 「ええ、ああいう人たちは心強いですわ。」




 そしていざイースター島へ。


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イースター島-③

 続きです。


「もう直ぐでイースター島だよ皆、準備しといてよね。ここから先は何が起きるか分からないからね。」

 シューマンは全員に向けてアナウンスするとキョーマ達が準備を始めた。

 それぞれが機体を準備しているとそういやあとキョーマは機体の操縦席にいるシューマンのいる場所に来るとこう聞いた。

 「そういやあだが王子の所は何で来ているんだ?」

 同じ飛行機かと聞くといやとシューマンはこう返した。

 「向こうの方はニューテスラの大型飛行船型飛行機だよ、あれなら大規模な戦力を持っていけるだろうからね。」

 「ならば私達も一緒に行った方が効率が良いんじゃないのか?」

 リーズシャルテがそう聞くとシューマンは嫌と言ってこう返した。

 「あれだと狙われやすいからね、それにイースター島にはコイルのエネルギーを

阻害してしまう場所があるから旧世代のこいつが最も適してるんだ。」

 シューマンがそう言うとそれにと言ってこう続けた。

 「僕自身も決着を付けたいんだ・・・あの場所で。」

 シューマンがそう言うとルクスはキョーマに向けてこう聞いた。

 「キョーマさん、聞きたいことがあるんですけど。」

 「?」

 「・・・グレンデルの獣って・・・どういう組織だったんですか?」

 ルクスがそう聞くとそうだなと言ってキョーマは・・・こう答えた。

 「そうだな・・・先ずは・・・昔話でもするか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昔のキョーマはある意味不良に近かった、喧嘩っ早く強かったキョーマは

色々あったが負けなしで特に投擲関連に関しては敵なしであった。

 そしてそんなキョーマには一人・・・幼馴染がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昔

 「キョーちゃん!また喧嘩したの!!」

 「おお雅か、なあに。何時もの事だ。」

 「本当なの?」

 「ああ、だけどいつも通りの事だよ。」

 そう言ってキョーマは近くにあった缶を近くのごみ箱に・・・見事に

入れることが出来たのだ。

 「凄いよねキョーちゃんの技って、外れた事すらないよ?」

 「前から出来た事だ、それとだが・・・お前体大丈夫なのか?」

 「うん・・・今日は何時もよりも大丈夫ゴホゴホ!」

 それを聞いて雅は咳き込むとおいおいおいとキョーマは体を摩っていた。

 彼女の体は特殊な病に罹っていて今の医療技術では・・・治すことなど

出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今

 「それで俺は何とか出来ねえかって思ったんだ、当時から雅の体は少しずつだが筋肉が硬くなって最終的には硬直して・・・死に至るんだ。」

 「それって筋ジストロフィー症じゃあ。」

 「いや、それとは違う全く未知の病なんだ。同じ病かと思って治療も

同じだったけどそれが違う奴ッて分かって・・・治しようがなかったんだ。」

 「そうだったんですかって・・・あれ?どうしてそれでグリンデルの獣に

なったんですか?」

 全く意味が分からないと言うとキョーマはああなと言ってこう続けた。

 「そっから俺は調べに調べていきついたのが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・体をサイボーグの体とそっくり其の儘入れ替える技術と

それをすることが出来る研究者・・・『百合埼 セイラ』博士に辿り着いたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昔

 「百合埼博士!百合埼博士!!」

 若いころのキョーマはそう言ってセイラ博士に近づこうと走っていくと

近くにいたサンドカラーの防弾スーツを身に纏った金髪の初老で左目に

アイパッチが付いた男性に・・・組み伏せられたのだ。

 「ぐお!」

 「中々良い体格しているな、それにそれなりに経験はありそうだが

まだまだだな。」

 男性がそう言っている中キョーマはセイラ博士に向けてこう言った。

 「博士!博士!!頼む博士!?雅を・・・雅を助けてください!!」

 「「!?」」

 それを聞いて2人は何やらただ事ではないのかと思いキョーマの話を聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「成程な、幼馴染・・・いや、好きな女の体を治すためにな。」

 初老の男性『コリント・キーズ』がそう言うがだがと『コリント・キーズ』は

こう続けた。

 「幼馴染の体を治すために来たのは立派だが金を払えるのかい?」

 「!」

 「見た所きみは未だ未成年・・・幾つかね?」

 「・・・17歳。」

 「若いな、セイラ博士の義肢は世界トップレベルで今でも博士の治療を受けたい人たちは大勢いるんだ。そんな中で君の幼馴染を優先するのは色々と問題が

起きるしそれ以前に今の君では博士の義肢における施術費用・リハビリ・

定期点検費用等で莫大な金・・・数百万か数千万か・・・下手すれば億単位を

払わなければいけなくなる。君では払いきれまい。」

 「必ず・・・必ず払います!その気になれば学校辞めてでもバイトしてそんで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「馬鹿もんが!」

 「「!!」」

 『コリント・キーズ』の怒声にキョーマ処かセイラ博士迄もが驚いていると

『コリント・キーズ』はキョーマに向けてこう言った。

 「君が学校辞めたとして今まで君を育ててくれた家族に何と説明するんだ!

幼馴染の医療費の為に辞めたと言えば傷つくのはその幼馴染なんだぞ!!」

 「・・・・・」

 「それに今君は幸せな身分だ、海外を見れば君くらいの年頃の人間が

働いている。それに此の儘いけば戦争だ、悪いことは言わんからここの事を忘れて家に」

 『コリント・キーズ』はそう言いながら珈琲を飲もうとするとキョーマは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・ズゴン!と頭を机に打ち付けて土下座するようにこう言った。

 「お願いします!あいつは・・・雅は俺にとって大切な存在なんです!!

あいつがいなくなったらと思うと俺・・・お願いします!!あいつを・・・

あいつを助けてください!?」

 お願いしますと言って頭を下げるのを見かねてセイラ博士はため息交じりで

こう言った。

 「ねえ君、一つだけど方法があるって言ったら聞く?」

 「!!なんでも聞きます!!」

 キョーマがそう言うとセイラ博士はキョーマに向けてこう言った。

 「今私はある研究をしているの、その研究に手を貸してくれる・・・つまり

雅ちゃんに対するものだけどこれは賭けよ。下手したら死ぬかもしれないし

何よりも・・・バカでかい金額だけど受ける?」

 「構いません!それであいつが助かるのなら!!」

 キョーマがそう言うとセイラ博士は・・・こう提案した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「貴方の幼馴染の体を頭部以外全部・・・機械にするって案なの。」




 過去語りはまだ続きます。


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イースター島編ー4

 続きです。


 「幼馴染の体を全身機械にするってつまり・・・サイボーグですか?」

 「まあな、だがそうしなけりゃあ雅は生きることが出来ねえ。だからこそ俺は当時セラ博士のガードマンを当時していた隊長との取引で特殊なギフト・・・

つまり才能がある連中をかき集めた、長物を全般的に得意とし射撃にも精通していたシューマン、パソコンや電子戦に精通していたダグ、そして俺は投擲技術、

そして他にも多くの仲間を率いたニューテスラのQ1の前進ともいわれる組織・・・そいつがグレンデルの獣だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昔

 アフリカ連合

 「今回の目的は現在クーデターを引き起こしたアフリカ連合将軍の目的が

ここのタワーの従業員の保護だ!全員気を引き締めろ!!」

 『了解!』

 キョーマ達はそう答えて全員身構えて内部に入った、従業員達は

全員退避していく中で隊長であるコリント・キーズは最上階である社長室に

全員身構えていた。

 「行くぞ。」

 『・・・・』

 全員がそれを聞いて武器を持って・・・突入するとそこで目にしたのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・頭部に穴が開いた男の遺体であった。

 「遅かったか、それにこいつは一体・・・・。」

 コリント・キーズはそう言って死んだ男の口に咥えられていた

携帯電話らしき物を見ているとコリント・キーズは通信機で電算室にいる

ダグに向けて指示を出した。

 「ダグ、この部屋の監視モニターの半日前の映像を見せてくれ。

早送りで見て見たい。」

 『分かりました。』

 それを聞いて通信機の向こうにいる電算室にいるダグがデータを出すと

映ったのは・・・殺された男と一緒に映っていた・・・青みがかかった

銀髪の青年がそこにいた。

 「こいつは!」

 「隊長!知り合いですか!!」

 キョーマがそう聞くとコリント・キーズはその青年を見てこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「『ハルカ・シーマイヤ』だ。」

 「『ハルカ・シーマイヤ』?」

 「ああ、『ハルカ・シーマイヤ』。百合埼博士の一番弟子でコイルの

製造について博士の次に最も詳しい男だ。」

 コリント・キーズがそう言うと映像に映っている『ハルカ・シーマイヤ』は

まるでキョーマ達が見ている事が分かっているかのように振りまいながら

こう言った。

 『聞いているかお前ら、光の速さ+人間の多様性=可能性だ。コイル技術は只の通過点に過ぎない。その本来の目的は・・・人間の可能性を可視化し更なる進化を促す物だ、それなのにお前たちと来たら僕ら研究者が造るものをまるで

只の物の様に僕達を造らせる・・・ふざけんな!僕達はあいつらの

道具でもなければ只の物造りの職人じゃない!!僕たちは芸術家だ、

そして何よりもあいつらよりもこの世界の為に働いている救世主だ!?

だからこそ・・・見てろよニューテスラの愚図共、僕たちはこの世界を変える・・先ずは・・・これだ。』

 『ハルカ・シーマイヤ』はそう言って死体に咥えられている通信機を

見せつけると映っていたのは・・・コイル内蔵型であったことだ。

 「しまった!全員離れろ!!」

 コリント・キーズはそう言って全員を下がらせると全員が下がったと同時に

通信機が爆発してその後に目に映ったのは・・・爆発したことで首から上が

無くなった遺体ではなく・・・次元崩壊でボロボロになった存在であった。

 「こいつはまた。」

 キョーマがそう呟くとそれを一瞥した後に何か声援があるのが聞こえるので

何だと思っているとコリント・キーズはああと言ってこう続けた。

 「どうやらクーデターは失敗に終わったようだな、サルバ王子が

やってくれたらしい・・・ここの安全は確保された、帰投する。」

 そう言って出て行くとキョーマはもう一回外を見た後出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後に爆発音が聞こえたのはそれらからすぐであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今

 「俺はその後国に戻ったが・・・雅の容態は悪化する一方で遂に集中治療室に

入らなきゃあいけない程悪化していった。」

 「そう・・・でしたか。」

 ルクスはそれを聞いて顔を俯かせているとキョーマはこう続けた。

 「そんな中俺達グレンデルの獣はとある任務が言い渡された、正直なところ

雅の事が気がかったが約束だったしそれに・・・任務時には雅の手術で俺は

成功できるって信じていたからな・・・そしてそん時の任務が今から行く・・・イースター島でのことだった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昔

 「これより、任務内容を説明する。『ハルカ・シーマイヤ』は

イースター島にある『アドステラ』と言う施設がある事が分かった為我々は

其処へ向かう。」

 コリント・キーズがそう言うとシューマンがこう聞いた。

 「質問して宜しいでしょうか?」

 「何だ?」

 「『アドステラ』とは一体何なんでしょうか?僕たちは聞いたことが

ありませんですが?」

 そう聞くとコリント・キーズはこう答えた。

 「ここはニューテスラにおいて最も重要な施設らしく何かしらの

研究をしていたようだが私ですら把握されていない、だがここに

『ハルカ・シーマイヤ』がいる以上何かがあると言う可能性が高い。我々は研究員全員を解放して『ハルカ・シーマイヤ』を逮捕する!総員準備に入れ!!」

 『了解!』

 それを聞いてキョーマ達は敬礼した。




 そして次回へと続く。


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イースター島編ー5

 上陸です。


「そして俺達はこの島にやってきた、ハルカ・シーマイヤを捕えるために上陸してそんで・・・そっからの記憶があいまいって言うか・・・思い出せねえんだ。」

 「思い出せないって・・・ルーザーが言っていた事と何か関連があるの?」

 ルクスがそう聞くとキョーマは多分なと言って思い出そうとしていると・・・

機内通信が響いた。

 『皆準備してくれ、そろそろイースター島だ。』

 「着いたようだな・・・降りる準備するぞルクス、こっからは・・・何が

起きたとしても不思議じゃねえ場所だ。」

 「分かった。」

 ルクスはキョーマの言葉を聞いて準備を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キョーマ達が降りた場所は小さな空港であり海際にあった。

 「さてと、ここでは次元Wが使えない場所が幾つかある。僕のドラグライダーは

コイルのエネルギーを充電することが出来るから内蔵バッテリーとして

使用できるけど君たちの方は・・・どうだろうねえ?」

 シューマンはそう言ってルクス達の機竜を見ていた、何せ機竜の

エネルギー機関がコイルと同じように0エリアにどう影響を及ぼすのかが

分からないからだ。

 それじゃあとキョーマはルクス達に向けてこう言った。

 「手前ら、説明するがここは次元Wの影響を一切受け付けねえ未知の世界。

下手すりゃあ・・・命すら拒絶されちまう無の世界、普通なら誰も近寄らねえ

この場所だがあの皇子が何企んでいたとしても俺達がやることは只一つ・・・

コイルの回収が俺達の仕事だ。それを忘れずに死ぬことは許さねえぞ。」

 『了解!』

 それを聞いてルクス達は全員答えると全員機体に搭乗して其の儘・・・

起動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな中あるメンバーがイースター島にいた。

 「パパ!そっちは大丈夫なの!!」

 「ああ、こっちは問題ないよ。エリー。」

 そう言って・・・ルーザーがキマイラを纏いながら飛翔していた。

 「荷物に紛れ込ませて良かったわねえ。」

 「ああ、だがイースター島で何かするにはこれだけでは足りないだろうな。」

 そう言ってキマイラの体に装備・・・いや、搭載してある

ナンバーズコイルを見てこう続けた。

 「だが機竜・・・ドラグナイトの性能は並外れたものだな、コイルを4機も

装備してあるのに壊れないどころかまるでそれすらも取り込まんとするこいつの

特性には驚かせるばかりだ。だが後一つ、ナンバーズコイルを得なければ・・・

あそこに行くことは叶わないだろうな。」

 ルーザーはそう言ってイースター島の・・・丁度中心らへんに目を向けると・・上空から声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「はーーーー八ハッハー!ルーザー!!ここでお前に会えたのも

百年目だなあ!!?」

 「「!!」」

 それを聞いてエリザベス=グリーンハウとルーザーが空を見上げると

現れたのは・・・アメリカンヒーローみたいな服装を着た男であった。

 「貴様を倒して・・・私の名声を更に盛り上げサセヨうじゃないか!」

 「あいつ確か!」

 「ああ・・・アメリカのナンバーワン回収屋『ヒーロー』・

『ジェイソン・クライスラー』・・・私の正体は恐らく初めっから

分かっていたようだな。」

 「まあな、貴様の事は最初の日。歓迎会で分かったからな。」

 「それで・・・私を倒すと言ったが貴殿に出来るのかな?」

 この私にと言ってルーザーはチェーン・スラッシャーとガトリング・キャノンを展開すると『ジェイソン・クライスラー』はむとキマイラを見てこう続けた。

 「全く、ヒーローは生身なのに君はそんな奇天烈なパワードスーツで

戦おうとするのは・・・美学が無いと言うのは嫌なものだなルーザー。」

 「生憎だが私は急いでいる身なんでね、それに・・・ナンバーズコイルを

装備した状態でのこいつらの性能を確かめなくてはいけなくてな。」

 そう言った瞬間にチェーン・スラッシャーの柄部分とガトリング・キャノンの

銃身部分から・・・コイルのエネルギーが一瞬溢れ出しそうであったが

収束するのを見てルーザーはほおと言ってこう続けた。

 「私が考えた以上の現象だ、これならば普通に戦えそうだ。」

 そう言って構えているとふん!と『ジェイソン・クライスラー』は

鼻息荒してこう言った。

 「やはり悪党は悪党・・・正義の力で裁きを下すのみ!」

 『ジェイソン・クライスラー』はそう言うとマントを翻させて両腕を

構えようとするとルーザーは『ジェイソン・クライスラー』の背中に

搭載されているそれを見て・・・目を大きく見開いてこう言った。

 「貴様・・・それはナンバーズコイルか・・・何と言う偶然何という奇跡!

ここで最後の一つに会えるとは・・・神の思し召しと言ったところだな!!」

 ルーザーはそう言ってチェーン・スラッシャーを振り上げるとフハハハハハと『ジェイソン・クライスラー』は高笑いしてこう返した。

 「やってみるが良い悪党!正義の拳を受けるが良い!!」

 そう言って互いに激突すると・・・大爆発が起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方キョーマ達が走っている中リーズシャルテがこう言った。

 「ルクス!誰かが戦っているぞ!!」

 この近くだぞと言うとルクスはどうするべきかと思っているとキョーマがこう言った。

 「それは無視だ!俺達の目的はあくまでコイルの回収・・・そしてこの

イースター島で何が起きたのかを知ることだ・・・それを忘れるんじゃねえ!」

 「・・・リーシャ様!戦っているのは誰か分かりますか!?」

 ルクスがそう聞くと・・・夜架がこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「如何やら戦っているのは2人、そのうち一人はドラグナイト持ちの

ようですわね。」

 『!?』

 それを聞いてキョーマ達が驚くとまさかとルクスがそう言うとキョーマは・・・こう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ああ、恐らく戦っているのは・・・ルーザーだ。」




 次回へ続く。


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イースター島編ー6

 連投です。


「うおおおおおおおお!」

 「( ̄∇ ̄;)ハッハッハハハハハハあはは!」

 ルーザーとジェイソン・クライスラーが互いに攻撃しあっている中ルーザーは更にこう考えていた。

 「(ナンバーズコイルを持っているという事はこいつも№を持っているはず!

先ずはその正体を・・・見極める!)」

 そう思いながらルーザーはガトリング・キャノンを

ジェイソン・クライスラーに向けて放つとジェイソン・クライスラーはおおっとと言って回避しながらこう思っていた。

 「(この攻撃は苛烈だな、それにあのパワードスーツの性能・・・どう見ても

戦闘用サイボーグ何て生易しいレベルではない!このイースター島での事を

誰にも知られるなと言うのが私の仕事・・・秘密に迫るものがいて

それが強敵ならば・・・使わざる負えんなあ・・・こいつを!)」

 そう思いながらジェイソン・クライスラーは胸のプロテクターを外したと同時に

それが見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「!!」」

 それを見てエリザベス=グリーンハウとルーザーは更に目を大きく

見開いていた。

 その・・・カードを見てルーザーは歓喜極まった様な声色でこう言った。

 「矢張り君も・・・持っていたようだな№を!」

 「そうだ!私はこいつを使う事で名声を思うがままにしてきた!!そして

私はこの力でナンバーワンにまで上り詰めた今私は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・お前の持つ名声をすべて手に入れて私は更に上に登りつめてやる!」

 ジェイソン・クライスラーがそう言ったと同時にマントに付いてある星々が

光り輝くとそれらは其の儘まるでルーザーに巻き付くかのようにくっつくと

それではとジェイソン・クライスラーはルーザーに向けてこう言った。

 「貰おうじゃないかルーザー!・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・君の華々しい功績を!その全てを!!」

 そう言った瞬間にルーザーにくっついた星々が点滅するとそこから細長い・・・光がルーザーからジェイソン・クライスラーに向かって伸びて行った。

 そしてそれらがジェイソン・クライスラーにくっつくと

ジェイソン・クライスラーは高笑いしてこう言った。

 「( ̄∇ ̄;)ハッハッハハハハハハ!分かる!!分かるぞルーザー!?

君の輝かしき功績!そしてその才能と経験が私n」

 そう言いかけた瞬間にジェイソン・クライスラーの腕から・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぐじゃりと言うナニカが潰れたかのような嫌な音が聞こえたのだ。

 「・・・・・へ?」

 一体なんだと思って見て見るとジェイソン・クライスラーが目にしたのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・自分の腕がぐにゃりと折れ曲がった姿であった。

 「あ・・・あ・・・・がぐぎゃああああああああああああああ!!」

 ああああああああああああああ!!とジェイソン・クライスラーは断末魔の如き悲鳴を上げているとそれを見たルーザーはジェイソン・クライスラーに向けて

こう言った。

 「成程、貴殿の持つ№の特性は対象の経験か名声、力のどれかを奪う事に

秀でているという事かね?」

 「アガガガ・・・・ぐぎゃああああああああああああああああ!!?」

 「貴殿の顔が焼け爛れ始めているな、成程私の力を奪おうとすることで私の傷迄奪おうとするとは正に盗む私にとってはこの上ない程嬉しい能力だが・・・それが貴殿にとっては誤算のようだったな。」

 ルーザーはジェイソン・クライスラーに向けて憐れみを持ってそう言うが

ジェイソン・クライスラーは襲いかかってくる痛みに悶絶しているがために

何も答えれなかったのだ。

 そしてルーザーはジェイソン・クライスラーの背中にアル

ナンバーズコイルを抜いてそして胸部に目を向けて胸部にある・・・カードを

抜き取ると同時にジェイソン・クライスラーの姿が・・・変わり始めて行った。

 「何よ・・・これ。」

 エリザベス=グリーンハウがそう呟くと恐らくとルーザーは

ジェイソン・クライスラーを見ながらこう言った。

 「恐らくは№を奪われたことで元に戻っていくそうだな、全ては

こいつのおかげだったという訳か。」

 そう言ってもう一度見たジェイソン・クライスラーは・・・本当に本人なのかと疑いたくなるような容姿であった。

 肥満体で然も頭部は禿げ散らかしており脂ぎった体。

 そしてそこから焼け爛れた本人を見てルーザーは

ジェイソン・クライスラーだった人間に向けてこう言った。

 「これで5つ目と5枚目、貴殿のおかげで私はやっとあそこに行けることが

出来る。そして・・・私の体を元に戻してくれたことに対して・・・

ありがとう。」

 そう言ってルーザーは自身の仮面を取るとエリザベス=グリーンハウに向けて

こう言った。

 「さあ行こうエリー、ママが待ってるよ。」

 「うんパパ!」

 エリザベス=グリーンハウはそう言ってキマイラに飛びつくと其の儘2人は飛び去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そう言えばだけどそのカードって何なの?」

 エリザベス=グリーンハウがそう聞くとこう書かれていた。

 「『№8 紋章王 ゲノム・ヘリター』・・・仮面をつけた動物のようだな。」

 そう言ってルーザーは仮面をとった自分とは正反対だなと思ってこう続けた。

 「待っててくれ・・・『ソフィア』。」




 次回へと続く。


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